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1988-04-21 第112回国会 参議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      内藤  功君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         関口 恵造君     理 事                 佐々木 満君                 曽根田郁夫君                 山本 正和君                 中西 珠子君     委 員                 石井 道子君                 石本  茂君                 遠藤 政夫君                 斎藤 十朗君                 田代由紀男君                 田中 正巳君                 前島英三郎君                 宮崎 秀樹君                 対馬 孝且君                 浜本 万三君                 沓脱タケ子君                 吉川 春子君                 藤井 恒男君        発  議  者  対馬 孝且君    国務大臣        労 働 大 臣  中村 太郎君    政府委員        労働大臣官房審        議官       佐藤 仁彦君        労働省職業安定        局長       岡部 晃三君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        竹村  毅君        労働省職業能力        開発局長     野崎 和昭君    事務局側        常任委員会専門        員        此村 友一君    説明員        防衛施設庁労務        部労務調査官   井上 憲治君        水産庁漁政部企        画課長      上木 嘉郎君        通商産業省産業        政策局産業構造        課長       松藤 哲夫君        資源エネルギー        庁石炭部炭地        域振興課長    高原 弘栄君        労働省職業安定        局雇用政策課長  廣見 和夫君        労働省職業安定        局業務指導課長  小倉修一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○積雪又は寒冷の度が著しく高い地域における建設業等関係労働者通年雇用促進に関する法律案対馬孝且君外六名発議)     ─────────────
  2. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  3. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案並び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 対馬孝且

    対馬孝且君 きょうは、今委員長から提起がございました二つの法案を中心にいたしまして審議をいたしてまいりたいと思っています。  まず、特定不況業種関係雇用安定法案に関しまして、昭和五十八年にこの法律提案のときにも私は二時間質問をいたしておりますが、その後の経緯を踏まえましてちょっと質問いたしてまいります。  まず、その前に、この提案趣旨にも労働大臣から言われておりますけれども、何といっても雇用拡大局面ということは、趨勢としてはよい方向に行っていますが、特に特定不況業種と言われる石炭造船非鉄金属、こういう関係業種は今なお厳しい状況にあるということを踏まえましてこの対策は必要である、こういう点が大臣提案理由一つになっております。  そこで、お伺いしますが、最近の構造不況業種のいわゆる雇用調整動向、こういうものが一体どういう趨勢にあるかということの流れをひとつお聞かせを願いたい、こう思います。
  5. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 最近の雇用失業情勢全般といたしましては、有効求人倍率が上昇いたしますとともに雇用者も大幅に増加するということで総じて改善しているわけでございますが、やはり円高影響産業構造転換の過程におきまして、先生指摘のような特定業種における雇用情勢には依然厳しさが見られるわけでございます。  御指摘造船におきましては、二〇%の設備廃棄実施されまして、これに伴って既に多数の離職者発生をしておりますが、今後とも引き続き離職者発生する見込みでございます。  石炭産業につきましては、閉山等による離職者発生しているわけでございますが、今後とも生産体制集約化に伴う人員削減が予想されるところでございます。  非鉄金属につきましては、円高影響を真っ向から受けまして相次ぐ閉山、相次ぐ雇用調整予定がうわさされているところでございます。
  6. 対馬孝且

    対馬孝且君 今職安局長から、全体的な傾向としては多少上向きがあるけれども特定不況業種が今なお厳しいという趨勢を言われました。  私も、この雇用審議会総会の六十三年一月十八日発表の労働省の資料を見ましても、これは私なりの把握で、間違っていれば御指摘願っていいんですが、造船は六十一年度以降約二万三千八百人の離職者発生している。それから、鉄鋼大手高炉関係を見ますと、大体四万人以上の雇用調整をせざるを得ないこれからの長期的な一つ流れになっている。加えて、それに伴いまして、下請非鉄金属などを入れますと、およそ二万五千人の離職者発生するだろう。それから、炭鉱も現在既にもう三井砂川真谷地炭鉱を含めて閉山発生が約四千三百人、下請を入れますと七千人を超えている、こういう状況でございます。  したがいまして、私は、そういうことから考えますと、先般、労働省が現行の第五次雇用基本計画提起をいたして、これまで取り組んでまいりました五十八年―六十五年度の当初の雇用基本計画を充実さした、つまり実施基準昭和六十五年までの達成率、これまで私も質問しておりますので申し上げると、大体二%程度目安としてでき るだけ抑えてまいりたい、これは間違いないと思う。したがって、今度の新規のいわゆる第六次新雇用基本計画、これは六十三年度から六十七年までの計画でございますが、この水準をどの程度目安考えているかという点をお伺いいたしたいと思います。
  7. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 雇用失業情勢見通し、これは第六次の雇用対策基本計画にも掲げる予定でございますが、これにつきましては、現在、雇用審議会において慎重検討中でございます。  いずれにいたしましても、これは国の新経済計画整合性を持った数字として検討が進められるであろうというふうに予想されるところでございます。  なお、年次計画的には、昭和六十三年二・七%という数字があるわけでございます。
  8. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、なぜこれを言うかといいますと、これからのいわゆる構造不況あるいは貿易摩擦、国際的な関係から判断をして、四%水準に達するのではないかという懸念を昨年実は通産省が発表いたしました。御存じのとおりだと思います。  そこでお伺いしたいのは、この新雇用基本計画内容について、当初第五次計画で二%ですからやっぱりそこらあたり、局長は二・七%ぐらいと言うことはそれはそれなりのことはあると思いますが、それを達成するための裏打ちの政策が必要ではないかと私は思います。  それに対して私が、今新計画の中を検討してみますと、六十五歳以上定年延長精神薄弱者雇用義務づけ、育児休業制度法制化提案しているわけでありますが、時間短縮あるいは週休二日制、こういうものはもちろん連動して総合的に政策的に遂行されなきゃなりませんけれども、そういう面を含めてどういう検討をされているのか。  また、ここらあたりにメスを入れて、これからの第六次の雇用基本計画目的一つにやっぱり位置づけるべきではないか。この点どういうふうにお考えになってますか。
  9. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま対馬委員指摘のように、今後の五年間の雇用情勢考え、その中での雇用対策考えてまいります場合、高齢者雇用の安定の問題、それから精神薄弱者などハンデキャップ層に対する雇用対策の充実、また職場進出が進んでおります女性の雇用安定の問題、こうしたことが重要な柱になると認識いたしております。  このため、現在、ただいま職業安定局長が申し上げましたように、労使も入っております雇用審議会の場におきまして、どういう対策が実効あるか、この五年間を展望してどういう方向考えていくべきか、そういう点につきまして詰めた議論をいただいているところでございます。
  10. 対馬孝且

    対馬孝且君 そういう認識はまあそのとおりだ、私の認識と同じだということですから、それであれば、今言った高齢者雇用対策精神薄弱者あるいはこういった方々雇用拡大というのは非常に重要な問題になってきている、そこをしかとひとつ受けとめてもらいたい。もちろん時間短縮あるいは週休二日制という雇用拡大の道はありますけれども。  そこで大臣、ひとつ私はこの機会提起をしたいと思うんです。  後でもこれは申し上げたいと思っていますが、全体的に雇用流れを見ますと、端的に申しますけれども、これはまず職安局長にお伺いしますが、北海道福岡県の求人倍率、これは非常に低くなっている。これは大臣御存じのとおり。私の調べによりますと、六十二年度、北海道の場合は完全失業率が四・二%ですよ、全国二・八に対しまして。それから、有効求人倍率が〇・四四。全国が今大体〇・七二から最近は八〇ぐらいまでいっていますけれども、こういうのが北海道福岡県の特徴ですわな。  したがって、こういう問題に対して私は、昨年の三井砂川炭鉱真谷地炭鉱閉山時だけでなくて、特に造船非鉄金属北海道北洋漁業対策、こういう全般を見渡した場合に、北海道あるいは九州福岡なら福岡規模の全体が失業多発地帯、これは全部総ぐるみだと。そういうものに対する人材雇用開発あるいは人材の登用、つまりリクルートセンター構想というのを私はかねて提起をいたしました。それに対し田村通産大臣は、全くごもっともな提案だ、ひとつ積極的に取り組んでまいりたいということでした。きょうは通産省も来ておりますが、私の構想とはちょっと違うんだけれども炭鉱離職者だけのリクルートセンター構想が出てまいりました。これは、私も後で質問しますけれども前進として評価をして受けとめたいと思っているわけです。  そこで、今言ったことなんですけれども、私はここでひとつ大臣に前向きに考えてもらいたい。  というのは、つまり私の考え方はどういうことかといいますと、雇用職業訓練、今現実労働省もてこ入れしてかなりやっています。雇用促進事業団高等職業訓練あるいは道の職業訓練北海道のあるいは公共職業安定所がやっています。ただ、今日のこういう北海道全体、福岡県全体が総ぐるみ失業多発地帯になっている場合に、それだけでいいのかという問題なんです。  そこで、私が言いたいのは、北海道規模リクルートセンターを、単に炭鉱だけではなくて今言った鉄鋼、もちろん造船あるいは北洋漁業それから国鉄の清算事業団に入っている方々を含めて、こういう規模職業情報が一元化するセンター役割、これがないと雇用ミスマッチ現象を含めてなかなか前進していかないんじゃないかというふうに私は考えております。通産省炭鉱離職者リクルートセンターを出しましたけれども、この際、ひとつそういう対策をいま一段階思い切って考えていただきたいということを当委員会でひとつ提案しておきたいと思うんです。  これに対する大臣の受けとめなりあるいはまた局長考え方なり、この機会にはっきりした態度をお聞かせ願いたいと思います。
  11. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 御指摘のとおり、北海道九州は非常に厳しい雇用失業情勢にございます。失業の巣になっていると言っても過言ではないのでございます。  地域的な状況を踏まえたきめ細かな雇用対策が必要であるということは私どもも強く認識しているところでございます。  御指摘のような構想につきましては、このような地域を念頭に置きつつ雇用に関する情報を迅速かつ適切に提供をする、あわせて職業能力開発を効果的に実施する、こういうような体制を整備すべきであるとの御趣旨であると理解するのでございます。  今こうした趣旨におきまして、労働省といたしましては、公共職業安定機関職業能力開発機関との連携を十分に図るということはまずもって重要なことでございますが、昭和六十三年度からは、産業地域高齢者雇用プロジェクトの一環といたしまして、新たに雇用促進事業団地方組織といたしまして雇用促進センターを設ける、これは北海道にも設けるということにいたしておるわけでございます。ここにおきまして雇用管理職業能力開発ということに関する雇用関係情報を機動的に提供していく体制を整備したいと考えているところでございます。  先生指摘趣旨は十分に踏まえまして、必要な情報提供能力開発が効果的に進められるように私ども大いに努力をしてまいりたいと考えております。
  12. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣の答弁の前に、高原炭地域振興課長、この前私が提案をいたしましてこのほど通産省がまとめました、つまり略称炭鉱離職者人材活用センターの強化について、構想のポイントだけちょっと説明してください。その後に大臣リクルートのことについて答えてください。
  13. 高原弘栄

    説明員高原弘栄君) お答え申し上げます。  第八次石炭政策のもとで炭鉱閉山大幅減産に伴いまして多数の離職者発生しているわけでございますが、これらの離職者の再就職を促進するためには、炭鉱離職者人材活用に関しまして きめ細かな対策を私どもとしても実施していく必要があると考えております。  このために、今先生お尋ね人材活用に関します新機関といたしまして財団法人北海道地域総合振興機構、これはまだ仮称でございますが、産業部の中に人材活用対策室を設置すべく現在労働省等関係者最終調整中でございます。  この人材活用対策室の母体となります北海道地域総合振興機構につきましては、現在、札幌通産局北海道開発局北海道設立を積極的に推進中でございまして、五月中にも設立予定でございます。また、これと同時に人材活用対策室も発足を予定しております。  今お尋ね人材活用対策室及びこれに附置されます炭鉱離職者援護相談員の主な事業内容といたしましては、通産省の所管いたします企業あるいは団体の立地動向につきまして、あるいは新企業創設等に関します最新情報労働省の有しております雇用動向に関する最新情報等を集約いたしまして、これらを職業訓練機関におきます職業訓練実施に際して十分活用していくというようなことを考えております。  また、同機関におきまして今後必要な調査研究課題等、例えば昨今非常に関心が高まっております地下空間の利用、これらにつきましては、炭鉱離職者が持っております技能活用する場としてふさわしいところもございますので、そういうものにつきましての可能性、こういうものを研究してまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても、既存の機関役割とそごを来さないように十分調整をとりながら本人材活用対策室所期役割を果たせるよう私どもとしても最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  14. 対馬孝且

    対馬孝且君 今お聞きのとおりで、私は、公共職業安定所なりあるいは労働省サイドがやっておることは承知しております。  ただ、問題は、職業訓練訓練情報情報というこういうサイドが今問題になっておるんです。問題は、これが情報訓練が一致することによって総合的なセンターになることにおいて、これは具体的に言った方がわかりやすいと思うんです。炭鉱の例えば採炭夫であれば、今、問題は建設技術屋が足りないわけだ。あるいは地下隧道工事のそういうエンジニアとして、かつて採炭経験者一定訓練をすれば、そこで一定技能者になるわけです。それを、訓練は経たけれども情報がどこにあるかわからない。例えば、現実に、滝里ダムというのが北海道総合開発の中にありました。そこで技術屋が三十人欲しいのだといったって、そういうものがないからこれはなかなかうまくいっていない、雇用対策の道が開かれないという現象があるんです。  だから、私がかねて一貫してしゃべっているのは、北海道なら北海道福岡なら福岡、そういう丸ぐるみ失業多発地帯の道、県に対してはそういう規模職業情報が一元化した指導センターというものが必要だ、その役割として私がつまりリクルートセンター構想というものを提起をして、通産省がとりあえず炭鉱離職者のそれに踏み切った、こういう経緯でございます。  私の発想は、炭鉱離職者だけを言っておるのではなくて、全体の不況業種基本にした総合指導センターというのが必要ではないか、こういう考えでございますので、ひとつ大臣のお考えを伺います。
  15. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 対馬委員のかねてからの構想でございまして、私どもは、その構想につきましては全面的に賛意を表しておるわけでございますし、通産省は具体的に今度北海道地域総合振興機構というものを考え、その中におきまして御指摘のような人材活用対策室あるいは炭鉱離職者援護相談員というものの設置が見込まれておるわけでございますけれども、この機構には労働省としまして全面的に御協力申し上げることはやぶさかではございません。  しかし、本来的には、今おっしゃられたようなやっぱり情報訓練雇用機会創出、こういう混然一体の中で措置される、とらまえることが一番望ましい姿だと私も思います。  したがいまして、労働省としましては、とりあえずただいま安定局長から御説明申し上げましたような雇用促進センター、この中でまず情報をキャッチ、その情報キャッチいただいたものを今の総合振興機構ですか、その中へ伝達をするというような連携を図っていきたいと思いますし、この総合振興機構の実態を眺めながら、労働省がいかにあるべきかということはその推移を見極めた中で十分検討、協力さしていただきたいと思うわけでございますが、要するに、言わんとするところの機構というものは大変重大であるというふうに考えておるわけでございます。
  16. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣なり局長からお答えございましたからひとつ、今の雇用センターというのはもちろん私は知っていますけれども、それをさらに機動的かつ規格的に、北海道北海道総ぐるみ体制がとれるあるいは福岡なら福岡全体がとれるこういうものを、ぜひもう一歩進めて実るように努力をしてもらいたい、これを申し上げておきます。  よろしゅうございますね。
  17. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) お説の方向十分検討してまいりたいと考えています。
  18. 対馬孝且

    対馬孝且君 実は、地域雇用促進法のときにも質問をいたしましたが、昨年労働省は三十万人プロジェクトチームという構想で取り組んでまいりました。それは結構なんでございますが、今日的段階でその三十万人プロジェクト雇用開発成果が具体的にどうであったか。  もちろん一定数は掌握をしていると思いますが、私なりに申しますと、今度の不況業種法案からまいりますと、産業地域高齢者雇用プロジェクト、そういう構想法案改正趣旨でもあるということにもなるわけであります。雇用開発人員数の問題などもございます。私はこの問題について率直に検討いたしてまいりました。これがいいとか悪いとかは別だよ、これは結果的には三十万人雇用開発一定前進はしたと、こう私は認めます。  それで、私の調べで言いますと、教育訓練円滑実施のための一定数の職業転換雇用調整、これは開発人員で言うと当初の計画は五万六千人、実績は二万九千人。雇用調整活用による失業予防雇用対策、これは十二万六千人、結果は十五万人に伸びている。それから、雇用機会開発地域雇用開発助成金とかあとは特定休職者助成金、これも十一万五千人が九万七千人になっている。トータルでは二十九万七千人という当初の三十万人が、機械的な判断ではありませんけれども二十七万六千人になっていると、こういう数字労働省の方から出ていますが、これは間違いありませんか。  この点を含めて、そういう認識が機械的に判断されるかどうかは別にして、一定成果があることはわかるんだけれども、今度の改正について基本的にそういう評価をしてよろしいと認識が一致するならば、後の質問にちょっと関連あるんですが、そういう理解をしていいかどうか、この点どうですか。
  19. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 先生指摘のとおりの数字で、昨年の十二月末の状況を調査した結果がそのとおりでございます。  したがいまして、凹凸はございますが、三十万人雇用開発プログラム全般といたしましては所期目的達成をいたしましてさらにそれを上回る結果をもって終わるのではないかというふうに予想をしているわけでございます。それだけこの種の新しい助成金制度その他の手法が非常に地域によって着目され、御活用いただいたということでもあろうかと存ずるのでございます。  したがいまして、このような言うなれば大いに評価を得ました手法につきましては、六十三年度に実施しようとしておるこの産業地域高齢者雇用プロジェクトにつきましても、引き続きその主要なものにつきましては存続してこれを取り入れてこのプロジェクト実施していきたいというふうに考えているところでございます。
  20. 対馬孝且

    対馬孝且君 今局長から、そういう認識が一致し、そういう対策をとったことにおける成果だと いう一定評価認識しているわけでありますが、それであるとすれば、今度の法改正による特定不況業種雇用安定改正案に伴う一定のそれでは雇用開発雇用創出というものはどの程度労働省考えられているのか。  まさかそういう目標もなくて法案をつくったわけじゃないと思うので、開発目標がなければこの法案をつくる意味がないわけですから、この前は三十万人プロジェクトで今言ったような数字になっている、今度の法改正ではどの程度それじゃ雇用開発なり雇用創出ができるのか、この点どういうふうにお考えになっていますか。
  21. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) お答えいたします。  今のお尋ねの点でございますが、今回の法改正によりまして各般の措置実施していくということで、基本的には失業率をできる限り抑えていくということを一つ目標としておるわけでございます。  この失業率目標につきましては、中期的なものについては先ほど局長からもお話ありましたように新しい雇用基本計画の中で定めるべく今検討中でございますが、本年度の年次経済見通しにおきましては二・七%程度というふうに見込んでおります。こういうようなものの実現に向けての努力、その一つとして、この法改正を柱として大いにやっていきたいと、こういう考え方でございます。  それからまた、もう一つ、具体的にこの法改正に基づきまして新たに創設することを考えております助成金特定業種雇用安定助成金というものでございますが、こういった助成金活用によりまして、この助成金は一応七月からの施行ということで考えておるわけでございますが、六十三年度中に一万人の雇用維持ということを見込んでおるところでございます。
  22. 対馬孝且

    対馬孝且君 まあ二・七%の失業率で抑え込む、かつ一万人という今の数字、それはわかりました。  ただ、問題は、基本的には三十万人雇用開発というものが基本にしかれてそして特定不況という枠を広める、後から具体的に申し上げますけれども、枠を広めることにおいてつまり三十万人プラスアルファで前進させていこう、この考え方には間違いないと思うんです、そのために法案出したのだから。それにしてはちょっと一万人では少な過ぎるのじゃないかと思うんだな、そろばんのはじき方として。現実に、今どこへ行ったって、北海道だけでも先ほど申しましたように、炭鉱離職者を入れて失業者が七千人もいる。  だから、ことしの七月からということですからあれですけれども、私が聞きたいのは、今回特定不況業種の法制定をすることにおいて、一年間と見た場合に、例えば三十万人のうちの三万人、十分の一ふえるのだとかあるいは五万人にしたいのだとか、何か目標がなければやっぱり説得力を持たないと思うのだな、僕は。どうですか、その点。
  23. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 前回の計画は、三十万人雇用開発プログラムと、三十万人という言葉を出しましたので、そういう意味では数値が非常に耳に入りやすいわかりやすいことだったかと思いますが、今度の計画におきましてこれを数字的に表現すると幾らかと申しますと、これは三十万人を上回る雇用の維持創出ということで計画をしていることでございます。  決して、前回より下回るような雇用の数的な目標ではございません。前回を上回る目標、かつ予算も前回を上回るということでございまして、今課長から申し上げましたのは、今度法改正によるその中の助成金部分だけについて何人分を見込んでいるかということだけについてお答えした数字でございます。
  24. 対馬孝且

    対馬孝且君 今お答えがありましたからこのことで時間をとるわけにいかぬけれども、いずれにしても、これの数字的な目安は、一万人は結構だけれどもさらにそれを拡大雇用開発をするのだと。今の局長の答弁はそういう意味ですから。上回るという意味は、一万も上回るし二万も上回るし五万も上回るのだから、やっぱり意欲的にそういう高い数字で上回る方向でひとつ全力を挙げてもらいたい、これは特に申し上げておきます。  そこで、時間もあれですから、これはこの前の大臣の所見でもちょっと出ていたような感を受けますけれども、総務庁が労働省に対しまして勧告しました問題についてちょっとお伺いしておきたいと私は思うんです。  労働力人口の高齢化の進展に伴いまして高齢者雇用問題が一層深刻になってきていることは今申し上げたとおりであります。そこで、総務庁が、高齢者雇用対策の強化が必要とされる中で、昨年十二月に行政監察の結果に基づく五項目の勧告を提起しました。  これは新聞にも出ましたから申し上げるのでありますが、まず第一に、この五項目とは何ぞやということは私も知っていますけれども一つは求人開拓の積極化、二番目は職業紹介の強化、三番目は高年齢者の職業紹介機関等の連携強化、四番目が高年齢者の再就職促進関係助成金の見直し、五番目が職業相談員等の配置の見直し、こういう五項目の勧告内容でございます。  問題は何かといいますと、これは答弁を一括してもらいたいから申し上げるんですが、今までの公共職業安定所職業紹介あるいは広告による紹介という割合を私なりに調べてみました。掌握しております。これを見ますと、昭和五十八年に職安による紹介就職というのは二四・一%だったんです。ところが、六十一年には二〇・一%と下がっているわけです、公共職業紹介が。逆に、広告紹介、マスコミ紹介あるいは個人紹介いろいろあると思いますが、これは五十八年で一四・二%であったものが一七・六%に上がっているんですよ。これはやっぱり問題だと私は思うんです。労働省雇用配置、職業紹介、職業指導をする。労働省のこれは、年々ふえている失業対策に職安紹介が減って、広告なりマスコミなりのそういう紹介の方で就職がふえている。これは労働行政としてはやっぱり重大な問題ではないかと。もう時間もありませんから内容を率直に私は申し上げます。  そこで、これは何が問題かといいますと、求人・求職に対するいわゆる企業訪問がなされていないということですね。私も現に受けました。公共職業安定所へ行っても全くビジネスだ、我々の心情を聞いてくれないと。これは率直に申しますよ。この間函館どつくの合理化をやったでしょう。私も十年間携わっていますから。それから、長崎造船の合理化で職業安定所へ行っても、全く職業相談員が親身になって相談に乗ってくれない、もう人生嫌になったというような手紙も来ております。現に、これは室蘭に行ったときにも言っていました。ことしの二月に室蘭に鉄鋼の調査団で私も社会党の団長でちょっと行ってきましたけれどもね。  だから、そういうことをかみ合わせると何が問題かといえば、やっぱり職業紹介に対する本当の目配り、言うならばその人の気持ちになって本当の職業相談にあずかってやる、こういう血の通ったというか温かいというかどうもそこらがないというのは、今の結果から見ますとだんだん公共職業安定所のあっせんが落ちて広告がふえていっている、この現象はゆゆしき問題であると私は思います。  この点、大臣はどういうふうにお考えになっているかお伺いしたい、こう思うんです。
  25. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま対馬委員指摘のように、私どもの調査におきましても高齢者の紹介、高齢者公共職業安定所を通じて就職する者の割合がそう伸びないあるいは短期的に見ますと低下する場合もある、それに対して広告等による就職がかなり高い率を示してきているということにつきましては、本当に残念に遺憾に存じております。  行政監察局からは、職業安定行政の高齢者対策に取り組む姿勢あるいはその結果としての業績については全体としては評価できるけれども幾つかの問題があるということで、ただいま対馬委員が御指摘になったような五項目が指摘されたという ふうに理解いたしております。  そこで、その五項目に対して的確に対応いたしますとともに、やはり対馬委員おっしゃいましたように、職員が高齢者に対して温かい気持ちを持って積極的に職業指導あるいは職業相談をし、就職に結びつけていくことが肝要であるというふうに思います。  そういう点から、私ども今行政の重点として置いておりますのは、いわゆる安定所ごとに地域の実態に応じて行いますが、ローラー作戦的な求人開拓を積極的にやろうという点に重点を置いてやっております。  それからまた、広告等による就職が進んでいるということにも私ども十分配慮していかなければならないと思っておりますが、先生御承知のように、労働省職業安定機関におきまして、現在、全国的な総合的雇用情報システムの導入を進めております。ことしの六月から全国的にオンラインで全安定所が結ばれることになりますが、このシステムができますと、ある安定所に出されました求人が自動的に工学的な読み取り装置によってインプットすることができるんですが、そのインプットされた求人が通勤圏内の他の安定所にも同時に利用できるような状態になる。そういうことで求人開拓による情報をより多く集めることができるようになり、またその情報を通勤圏内の安定所が共通に共有し使えるような状況になる。そういう中で今後高齢者職業紹介もさらに大きな業績を上げ、効率的な業務を進めることができるようになるのではないかと考えております。
  26. 対馬孝且

    対馬孝且君 その点はわかるんだけれども、私は、本質的な問題が一つあると思うんですよ、見方は別にして。  昭和四十三年に総定員法がしかれまして、その後は職業安定所の職員が現実に二千人減っているわけです。北海道も、炭鉱地帯の赤平、美唄、三笠が軒並み、今までの職業安定所が全部なくなっちゃったんです。全国的に言うと、百一カ所廃止しているんですよ。ところが、昭和四十三年の総定員法以来、労働省の職安職員が二千人減っている。これは一つ問題だし、かつまた百一カ所も職業安定所を廃止してきた、ここにやっぱり問題があるんです。総定員法の見直しということも、今簡単にはできないにしても、やっぱり見直していくと同時に、私の言っているのは、そればかりでなくて、先ほど私も申しましたように、労働省のそういう温かい心の通った職業相談あるいはサービスの強化が対策として必要ではないか、このことを聞いているわけです。  今、審議官からありましたけれども大臣このことのひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  27. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 御指摘の総務庁の監察結果を私は十二月に受けたわけでございますけれども、そのときに幹部を集めまして私が申し上げたことは、とにかく予算をとりながら十分な消化もできないということは、外目から見れば努力が足りない、この一言に尽きると思う、したがって、今審議官が言ったように、足まめに細かく歩いて開発をしろというような指示をしたわけでございます。  いずれにいたしましても、監察結果というものは謙虚に素直に受けとめて、みずからの発意でこれを改善する方向へ進むべきであるというような話をいたしたわけでございます。その後におきましても、ことしの一月には各県の職業安定局長会合を持ちまして、そこでも私からさらにその意識を徹底するよう呼びかけたわけでございます。  今総務庁で主宰しておりますさわやか行政サービスなどというのも、しょせんは血の通う心の通うサービスでなければならぬと思うわけでございまして、このことにつきましてもこれからも省を挙げて取り組むべきだと思っております。  特に、私ども労働省の幹部がいろいろなことを計画し立案をしたところで、それもしょせん一般大衆の面で実施していくのは第一線の機関でありますから、第一線の機関こそ労働省の顔でなければならぬ、顔にふさわしい心のこもったサービスをするようにというのが私の考え方でございまして、お説の点につきましてはこれからも十分徹底してまいりたいと考えております。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣から答弁を聞きましたが、労働省というのはほかの省と違って労働者を保護する省である、これが原点です。通産省のような通産行政をやっているわけじゃないんだから、労働省という看板がある限り、労働省は労働者の権利を保護する主導的立場にある。この認識を踏まえ、大臣、先ほど私も申したように現実には二千人も減っているあるいは百一カ所も窓口が閉鎖されているというあたり、これはやっぱり問題がありますよ。  この点を、大臣の所見がございましたからひとつ見直して、あわせて積極的に取り組んでもらいたい、これを申し上げておきます。
  29. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま労働大臣から申し上げましたように、私ども、血の通った行政をする、そしてその裏づけとなる定員の確保、組織の拡充が必要だというふうに思っております。  六十三年度におきましては、私どもの行政がそれだけ評価されたということであろうと思いますが、九人の定数の純増になりました。これは四十二年の総定員法に基づくその後の定員削減の期間を通じて初めての純増であったわけですけれども、そういう私どもの行政がそれだけ評価され、そして今後の課題を抱えているということで純増を得たわけでございますから、こうした陣容を通じて行政をより積極的に進めてまいりたいと思っております。  また、安定所の削減につきましても、先生おっしゃいますように約百カ所の削減がございましたけれども、またその中で十数カ所の本所の新設を行っております。そういう中で私どもスクラップ・アンド・ビルドを進めて、行政需要に対応し得るような効果的な効率的な組織の配置を考えておりまして、今後ともそういうことで安定所の再配置にも配慮してまいりたいというふうに考えております。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひそういう方向でこれからも取り組んでもらいたいということを強く要請をしておきます。  そこで、時間もありますから、ポイントを絞ってひとつ法案内容をお伺いをいたしてまいります。  まず一つは、今回の法案の特徴として出てきたのは、特定不況業種事業所以外の事業所というのが出てきましたね。これ、労働大臣の認定の一定の事業所、特例事業所。失業の予防の対策として在職者対策ということにどうも重点を置かれているようでありますけれども、この特例事業所なるものは一体どういう指定基準とどういう内容のものなのか、これ、どうもぴんとこないんだね。  具体例を一つ出してもらっても結構ですから、特例事業所とは一体何ぞや、それから特例事業所を定めた目的、同時にまた、この指定基準は何をもって定めるのか、冒頭ここらあたりの法案内容についてお伺いしたい。
  31. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 特例事業所といたしましては、まず第一に、特定不況業種に指定するほどではないけれども、しかしそれに準ずる状況にある業種に属する事業所というのが一つの類型でございます。  もう一つの類型は、海外進出をした企業の関連下請事業所という考え方をとっています。これは、例えば親企業が外国に移ってしまった。最近は海外進出が各業界とも非常に急増いたしておりますが、そうしたところが、いわゆる空洞化現象でございまして、日本に残された関連下請がこれがまことに困窮をする、こういったような関連下請事業所。  それから、貿易事情の著しい変化によりまして特定の仕向け地への輸出量が減少をした、そのような事業所、これらの類型でございまして、そしてこの雇用調整が余儀なくされてしまう、こういったものを救いたいということでこのような特例事業所制度を考案した次第でございます。
  32. 対馬孝且

    対馬孝且君 局長ね、それにしても、内容がこういう抽象的な言葉なんですね。  例えば非鉄金属なら非鉄金属産業の中にそう いうものが具体的にあるのかどうかお伺いしたんだけれども、例えば輸出産業というのは、私聞いた例では、自動車産業が海外進出する、その関係の部品だけはまだ国内でつくっている、そういうことでざっくばらんに言えば、その影響であおりを食ってそういうことにおける転換なり縮小というものが余儀なくされるとか、例えばこういうことという具体例がないとどうもぴんとこないよ、正直に言って。この特例事業所とは一体何なんだ、何を指しているんだと。  一説には、鉄鋼が今上向きになってきているんだけれども、これから必ずしもいいことばかり続かないからやがて鉄鋼がこういう特例事業所に該当してくるんではないかというような、どうも何かおもんぱかったような、それはそれで結構なんだけれども、一体具体例としては何だ、抽象論でなくてどういう産業の場合にどうなるんだということを、我々は国民に解説しなきゃいかぬのだよ、これ。ところが、今のような説明ではこれ正直申し上げてわからない。だから、例えば鉄鋼の場合はどうなる、非鉄金属の場合はどうなるとか、私が言ったような自動車産業のそういう例ならそういう例で影響があるからそれだけの縮小というものがどうなるんだと。  それから、基準がわからないでしょう、局長の今の答弁の中でも。例えば百人使っていました特例事業所がそのことにおいて三十人減ったあるいは五十人減ったということなのか、それとも三人でも五人でもいいのか、そこらあたりの基準というのは一体、例えば何割になるのか。そのあおりを食って三割転換あるいは縮小を余儀なくされた、三割なら三割のものにそういうものを適用するのか。何か、国民サイドでわからぬ。私はどうも納得いかない。
  33. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 特例事業所の考え方につきましては局長から話があったわけでございますが、もう少し具体的にというお尋ねでございます。  例えば海外進出をした企業の関連下請の事業所等もこの中に含めて考えているということでございますが、今、先生お話しのございましたように、確かに自動車産業等では海外進出が盛んに行われております。そういう意味では、具体的に自動車産業で海外進出が行われ、それの部品等を受注している関連下請企業等が海外進出が行われることによって受注量が急激に減少してくるといった場合には、その自動車部品業としましては全体とすればまだ特定不況業種ほどの状況にはなっていない、しかし個別的にそういう形で急速に受注量の減少等に見舞われるおそれがあるためにそれは個別の事業所として認定し個別に対応していきたい、こういうことでございます。  それからまた、これはあくまで今検討中でございますが、仮にある業種が、今先生は製鉄業等を例にお引きになりましたが、ある業種特定不況業種に該当しなくなる、基準から指定から外れるというようなことがあるわけでございますが、そういう事例があった場合でも、特定業種に準ずるような状況ということでそれは個別的に失業の予防措置の対象に含めていきたい、こういうことでそれもあくまで個別の事業所、もちろん基準をつくるわけでございますが、個別の事業所を個々に特例事業所として認定し失業の予防の措置を講ずるようにしていく、こういう仕組みでございます。
  34. 対馬孝且

    対馬孝且君 政策課長ね、それはやっぱり説得力を持たない。  どうもケースがどういうことを指すのか。なぜ言うかというと、今、先般決定した三十四の不況業種が認定されている。私、全部持っている、この前質問していますから。だから、あえて言うなら、そういう事態が起こるとしても、現行ある特定不況業種拡大していけばいいと私は思うんだ。それを、あえて特例事業所と出てきたあたりがどうも紛らわしくて、何かぴんとこない。意欲的に広めたいという気持ちなんだろうけれども、広めるにしてもどうも中途半端などっちつかずのような印象を受けるんだな、この特例事業所というのは。それよりはかえって、事業転換規模縮小を余儀なくされるとするならば、不況業種三十四が三十五になったって三十七になったっていいじゃないか、単純に明快にわかりやすくするなら不況業種の認定を広めていけばいいじゃないか、こういうふうに考えるんだけれども、そこらあたりは新しく出てきた問題だからなかなか、どういう場合に適用されるのかというケースがどうもぴんとこないと率直に申し上げておきます。これ、出された問題だからしようがない。悪いことではないんだけれども、もう少しわかりやすく、こういう場合のケースが適用されますよ、だから三十人失業する者は失業しないで守れるとか百人守れますよと、こうならなければやはり何だかわからないんであって、そういう対策をもう少し具体的に示してもらいたいと思います。まあこれはいいです。  そこで、なぜこれは在職者だけを対象にするのか。特定不況業種の場合は在職者と離職者対策をするんだよ。それを、この特例事業所関係は在職者対策はあっても離職者対策はない。これはどういうことなんだということです。これもまた私はぴんとこないんだ。
  35. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 御説明申し上げておりますように、特例事業所という制度は、業種全体としては特定不況業種ほど困難な状況にはない、そこまでは至っていない、しかしながら個別に雇用調整のおそれのある事業所について手当てをいたしたいと、こういうことでございます。  したがいまして、その制度のねらいそのものが不況業種ほどではないというところからスタートしているわけでございます。しかし、そこまでは至っていないけれども広げていこうと、こういうことでございまして、必ずしもその離職者への対策を重点に置くという制度ではないわけでございまして、むしろ在職者がその就業が続きますように、その業種が引き続き離職者発生させないで雇用が維持されますように、こういう考え方に重点を置くべきそういうふうな範疇のものであると、このような考え方対策を講じているわけでございます。
  36. 対馬孝且

    対馬孝且君 本当に、これは勉強すればするほど、何かなかなかぴりっとこないような問題だなと思う。私なりにずっと勉強をやってみたんだけれども。  今局長が言うとおり、確かに特例事業所が、今、端的に言うなら転換、縮小を余儀なくされる。そのために何とかそこで広めていきたいんだと、これはわかりますよ。それじゃ、ただ在職者対策だけでいいかと言えば、何人かはこれは必ず離職者対策になっていくんだよ、いつかは。そこらあたりを考えた場合にやはり離職者対策が必要であるんではないかという気が一つします。  それからもう一つは、これに関連しましてお伺いするけれども特定地域の場合には結果的にはいわゆる三年間なんですよ。この法律を見ますと、一年間なんだ、この特定不況業種措置が。これは三年なら三年という特定不況地域法と連動して対策をしないと、かえって企業主が困るんではないのか。一年ぐらいで転換を余儀なくされて、例えば三分の二あるいは四分の三、中小企業の場合は四分の三控除してくれる。これはありがたいことなんだけれども、果たして一年間でもって安定できるかといったら、私はそうでないと思うんだ。そういうこともあって特定地域の場合は三年間にしたわけだ、御承知のとおり。私も質問していますけれども。  そうすると、今回の場合なぜ一年なのか。私は、本当に対策をするなら地域法と横並びに特定不況業種は三年間にして、三年、三年で対応することがやはり一番対策になるんではないか。その一年と定めたあたりがどういうことなのかということをお伺いしたい。
  37. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 地域法の場合は、これは新たにその地域におきまして企業を起こしまして、そこに失業者を吸収していく、その場合に出す賃金助成でございます。  今回の特定不況業種の場合におきまする雇用安 定助成金制度による賃金助成と申しますのは、既に雇用されている者が失業の憂き目に遭わないようにその者の雇用をさらに維持をしていく、こういうことでございまして、そういうねらいでございますので一年間の助成期間が適当であると考えたわけでございます。新たに企業を起こしてそこで困難を克服しながら雇用を吸収していこうという場合と比べまして、既に雇用されている者でございます。その者の雇用の維持を図る、今こういうケースの違いが基礎的にありまして、そこでこのような差となっているものでございます。
  38. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは局長特定地域の場合と今の不況業種の場合の違いというのは今の説明である程度わかりますけれども、ただ、私は一年というふうに切ってしまうところに問題があるんじゃないか。  むしろ、平井前労働大臣も言っておりましたけれども、制度をつくったけれどもさっばり適用にならぬというんじゃ意味がないんだ。予算は一千億とったけれども、実際にふたをあけてみたら、制度はできたけれども該当者がいないというんじゃこれはどうにもならないんだ、目いっばい雇用対策のために予算を消化することが大事なことなんだということを私の質問に答えているんだ。  ただ、これは、この法律をなぜつくったかということは、発想は私はいいと思うんですよ。いい発想だと思うんだけれども、機動的に対応できるということにしないと私はこういう法律というものは効果を生まないと思うんだよ。一年なら一年でばさっと切るんじゃなくて、その業種によっては、場合によっては一年が二年になるというそういうものにしていかないと、一年間でばさっと切ったんでは、かえって業者にすれば一年ぐらいならやってもらわなくてもいいわと、こうなっちゃうんだよ。これは現実の問題、現に私のところに来ているよ。これははっきり言うけれども。  私は、せっかくいい法律をつくったんであれば、一年間と切らずに、その事業の規模なり縮小の形態などによって緊急措置をして対応をしなければならない場合についてはあるいは二年まで延長することができるとかこういうものがあっていいと思うんだな。私は、現にこの法律についても質問を事業団体、中小企業から受けているんだけれども、ぜひそういう方向にひとつ改善をしてもらいたい。  もちろん法律ですから、これは今すぐは別にして、何らかの弾力的運用でケースによってはそういう措置がとれないかと思うんだが、そういう考え方はどうですか。
  39. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) これは、ほかのいろいろな助成金制度とのバランスというものも考えざるを得ないのでございます。  例えば雇用調整助成金考えますというと、二百日、一年未満の制度でございます。それから、特定求職者雇用開発助成金も一年の制度でございます。そのような諸制度とバランスを考えて現在の法案を御提出し、また予算措置も現在そのようになっているわけでございます。  将来にどのようにこの制度をさらにまた手厚く改善していくかということにつきましては、さらに今後とも委員の御趣旨を我々ひとつ肝に銘じておきたいと思います。
  40. 対馬孝且

    対馬孝且君 大臣ね、今ここでやりとりを聞いてわかるでしょう。何も追及するとか、私はそういうふうに言っているんじゃないんだ。  そういうケースが現実にある、またそうしてもらいたいと中小企業事業主から私のところへ来ているわけですよ。それだから言っているんであって、今の局長の答弁もわかるんだけれども大臣、ここでやりとりを聞いておって、そういう機動的、弾力的に対応していかないと、こういう不況業種の場合は一年たってから手を打ったってこれは終わりなんだ。半年たってから打ったってこれは倒産になっちゃうんだ。  私は、そうじゃなくて、やっぱり機動的かつ弾力的に対応できるような運用というのがあっていいんじゃないかと、こういうことを言っているんであって、その点、大臣考え方をあわせてお伺いしたい。
  41. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 今局長がお話し申し上げましたように、いろんな助成制度があるわけでございまして、今回の場合は、いわゆる一年間は事業主に補助をして助成をしていくという制度でございまして、今度は従業員が離職した場合というようなことになりますね。  その場合には、それに対応した他の方法で賄っていくということになろうかと思うんですが、お説の点につきましても十分理解する点もありますので、このことはこのこととしましても、今後の検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  42. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひひとつこれは検討していただいて、どうせこれは特定不況業種を救うという目的ならば、直ちにそう機動的に弾力的にすぐ救えるというそういう面の改革を、ぜひ今後の問題として要望しておきたいと思います。  そこで、これはまだたくさん法案の問題はあるんですけれども、孫請、下請認識についてちょっと確認して、これは簡単、単純に答弁してもらえば結構です。  例えば、かつて三井砂川鉱業所があった。その下に三井建設という掘進の下請がありました。その下に何々組という組が、今は坑道掘進で全部あるわけですよ。そこまでいくんだ。親会社、下請、その下に組というのは、いいことではないが存在しているんだからしようがないんだ、社会に形成した制度なんだから。  だから、ここで言う下請という意味は、そこの一番下のところまで対象になりますよと、こういう理解でいいですか。この点どうですか。
  43. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 従前の法律は、第一次下請まで面倒を見させていただいたわけでございます。今回の改正は、二次下請まで見るということでこの改正がなされようとしているわけでございます。  したがいまして、認定基準につきましては、従来、下請という概念は二分の一以上の受注があればそれを下請として救ったわけです。従来二分の一以上というのを、三分の一以上として現在救っております。  孫請についてはどういうふうに考えているかという点につきましては、これも同程度考え方で思い切って救っていきたい、このように考えております。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 それはわかりました。  それじゃ、孫請という今言った三段階の下のところまでというふうに確認してよろしゅうございますね。審議官、どうですか、その点は。今の私のケースを聞いて、それでよろしいというならそれでよろしいと。
  45. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま職業安定局長からお答え申し上げましたとおりでございます。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは、時間がありませんから次の問題に。  まだ法案の問題点はたくさんあるんだけれども、時間がなくなっちゃって申しわけないんだが、駐留軍の関係です。  今回の改正は期間延長だけですからね、そのとおりなんですが、これも私の調べによりますと、五十八年以来の駐留軍労務者の離職者対策状況、六十二年度は若干のあれはあるんですけれども、駐留軍の離職者対策という点についてはちょっとテンポが遅いんではないか、数字的にもそうなっているのであります。もちろん、今度のこれは、次元は違いますけれども米軍の思いやり予算との関連が十分あります。これも承知しています。しかし、我々は、これは基本問題、我が党は防衛問題は絶対反対です。したがって、思いやり予算についてはもちろん内閣委員会や外務委員会でも論議はしますけれども、私は、この法案趣旨からいくならば、言うならば質的量的な離職者対策というのが特にこれから必要ではないかと思うんだが、その見通し対策をお聞かせ願いたい。これが一点。  それから第二は、漁業労働者。  これも時間がないから簡単に単純に申し上げま すが、これも調べてみました。運輸省関係の船員労働者の場合、もちろん陸上とは違いがありますけれども公共職業安定所の五十九年、六十年、六十一年、私なりに掌握してみました、調べてみました。そうすると、北洋漁業あるいは特定漁業離職者の就職件数というのはだんだんふえているのでありますが、運輸省の場合は比較的に就職件数が多いんです。私の調べによると、例えば船員職業安定所の分でいくと、就職件数が五十九年が百六十件、六十年が五百一件、六十一年度は二百五十七件に対して、いわゆる労働省関係で言うと五十九年は六件、六十年度が十八件、六十一年度が二十五件と極めて開きがあるわけだ。これはもちろん、船員は船から船へだから、確かにそれはイコールということはないと私は理解します。しますが、それにしても、これも私調べてみましたけれども、陸上部門への離職者対策というのは必ずしもそれほど前進しているわけではない。このことを考えると、特に北海道北洋漁業あるいは九州関係などを含めて考えますと、漁業労働者の対策というものはもう一歩特段の対策をとってしかるべきじゃないか。  この二点をひとつ率直にお伺いしておきます。
  47. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 第一点の駐留軍関係離職者対策でございます。  ただいまの対馬委員の御質疑の中にもございましたが、思いやり予算によりまして沖縄におけるクラブ等従業員の約三百名の解雇予告が取り消されるなどそれなりの前進を見ております。そういう中で駐留軍関係離職者対策を、離職者の数は最近少なくなってきておりますが、それに対しては十分な対策を講じていく必要があると思っております。  その中で、特に駐留軍関係で注意すべきことは、求職者、離職者が非常に高齢化してきた点です。このために再就職のあっせんがなかなか難しい状況にありますが、先ほどから御指摘いただいておりますように、高齢者に対しましてはその一人一人の持っている能力を十分生かせるような求人開拓をきめ細かく行う、そういう対策を講じながら就職の促進に努めてまいりたいと思っております。
  48. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 漁業離職者関係につきまして、若干数字との問題もございますので、私の方からお答えさしていただきます。  今先生の御指摘になりましたような数字でございますが、確かに、基本的には漁業の離職者方々が陸上の職業転換を希望される方が少ないという状況がございます。数字をまとめて累計をちょっと申し上げてみますと、五十五年以降昨年の十二月まで陸上にかわりたいということで公共職業安定所の方で受け付けまして手帳を発給しました者は三百三十二件、これに対しまして就職された方々は二百四十四ということになっております。三百三十二に対する二百四十四でございますが、船員職業安定所の方でこのようにして受け付けられまして手帳を発給しました件数四千二百七十一件、これに対しまして就職されておられる方が千五百九十六人ということでございます。基本的にこういう数字の希望者の違いということが根底にございます。  もちろん、私どもといたしましては、こうやって職業安定所の方に陸上にかわりたいと言ってこられる方々につきましては全力を尽くして再就職の促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  49. 対馬孝且

    対馬孝且君 いずれにしても、これは駐留軍の場合も漁業労働者もそうだけれども、私も、昨年、釧路と根室で北洋漁業の二百海里で締め出された方々の話をいろいろ聞きました。  漁業労働者というのは、陸上にすぐ行けといってもなかなか、長年海の男として鍛えてきた、だからできれば前浜とか、そういう二百海里の締め出された中にあっても、やっぱり漁業に就職したいと。これは無理からぬことなんですよ。もちろん、陸上部門にそれじゃ漁業労働者がかわるものがあるかというと、そう簡単にはないですよ。そこらあたりもありますけれども、説明は説明としてわかるけれども、いま一歩積極的に取り組んでもらいたいと特に申し上げておきます。  それで、時間もありませんから、昨年の七月三十日に申し上げ、この間もちょっと大臣にも申し上げておりますけれども、かねての三十万人北海道季節労働者の対策の問題でございます。  私は、昨年の七月三十日に平井前労働大臣に対しましてこれを質問いたしております。当時の白井局長も答弁をしておりますが、私も申し上げたのは、かねて北海道季節労働者の通年雇用化の問題、これは三年、三年で五十二年以来今日まで来ているわけです。したがって、問題は何かといえば、当委員会でも議論したことがありますが、不安定労働者とは一体何だ、これは非常に議論を呼んだところでありますが、当時は不安定労働者とは通年雇用ができない労働者、あるいはパートもあります、出稼ぎもあるしいろいろあります。しかし、三百六十五日通年働くことができないという方々は不安定労働者の一番原点である、それは何だといったら北海道の季節労働者における出稼ぎだと。これは、前の初村労働大臣時代に私ここで議論したことがございます。そういう位置づけをしたことがございます。  そこで、私は言うんでありますが、去年の七月三十日にこの問題を私取り上げました。現行制度は、皆さんも御存じのとおり、来年、六十四年三月三十一日をもって終わりになるわけであります。そこで、三年、三年でずっときているものですから、今なお北海道方々は非常に不安定であります。したがって、現在まだ二十七万、約三十万近くいるわけでありますが、来年三月になると一体どうなるんだと、素朴なこれが出るわけです。  そこで、かねて私もここで申し上げたのでありますが、ヨーロッパの方でも、西ドイツだとかスウェーデンではそれなりの対策をしております。それがいいか悪いかは別ですよ、見方はこれはあるにしても、やっぱり長期的な制度をつくってやらないと私は非常に不安だと思うんです。そういう意味で私は、不安定労働者とは何かといえば季節労働者あるいは出稼ぎ労働者だと、こういう位置づけをここで質問したことがありまして、冒頭言ったのはそのことを言っているわけです。したがって、安定するために諸外国の例なども参考にしていいところはとりながら、悪いとかいいとかいう意味じゃなしに、参考にしながらぜひ改善をしてもらいたいということを申し上げました。  これに対して当時の平井労働大臣も、六十四年をもって旧制度の延長をどうするかという問題になっている、自治体あるいは諸外国の今対馬さんから言われましたそういう問題などを参考にしていきながら、ひとつ誠意を持って積極的に取り組んでまいりたいと、非常に前向きに不安定労働者をなくす対応というのは必要であるという意味のことをここに持ってきていますが答弁されています。  したがって、私は、その後新労働大臣になった中村労働大臣にも就任と同時にこの間季節労働者の代表が早速お会いさせていただいて、特に中村労働大臣から、非常に明快な、お互いに知恵を出し合ってひとつよき制度なりよき慣行をつくろうではないか、こういうお話もございました。今安定局を中心に鋭意局長の方でも検討されておると思いますけれども、これ省議ですから八月の予算要求の段階がもう来ますので、今は四月ですが、今国会は五月二十五日でもって恐らく終わると思うんです。そういうふうになりますと、この機会に、八月までに一定方向を出すべきである、出さなければまた予算上間に合わないということになりますし、ひとつこの辺で大臣考え方を積極的に聞かしてもらいたい。  その前に、岡部局長、これまでも鋭意取り組んでもらっていることは私は承知しておりますので、局長考え方をひとつ聞かしていただいて、それから大臣の決意、考え方どもお答え願いたいと思います。
  50. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 現在の冬期雇用安定奨励金制度、それから冬期職業講習助成給付金制度 でございますが、季節労働者の生活の安定ということのために設けられているわけでございますが、暫定措置として三年間の制度として実施されまして、通年雇用化への基盤整備とともに関係労働者の安定のために役割を果たしてきたと思うのでございます。  そこで、これは通年雇用化という一つ考え方のもとに設けられている制度でございますが、六十四年度以降それではどうなるのかということでございます。これは、やはりこの通年雇用化の進捗状況も見きわめながら、この制度の創設の経緯関係自治体あるいは事業主の工事の通年施工化努力、こういったものを十分に検討いたしまして誠意を持って対処してまいりたいと考えているところでございます。  その際、もとより、先生指摘のように諸外国における諸制度、例えば西ドイツのような冬期手当、悪天候手当、これは私もドイツにたまたま在任しておりましたときにこの制度が非常に活用されていた時期でもございまして目の当たりにいたしておりますが、これら諸外国の制度につきましても参考にしながら、我が国の実情に即した制度としていろいろと考えてまいりたいと考えております。
  51. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 私が大臣に就任してからの最初の陳情が、実は、この季節関係労働者の給付金問題でございました。それだけに大変印象も深いわけでございますし、関心も持っておるわけでございます。  そのとき申し上げたんですけれども、要するに雇用の通年化、その前提となる工事の平準化、通年化の問題を関係省庁あるいは道庁にもお願いをいたしまして、そういう方向で行われることを要請してまいりました。しかし、その結果、最善の努力をしたにもかかわりませず天候の条件、気候の条件あるいは地理的条件等々で人為をもってはどうにもいたし方ない条件の中でこれを行うことができないという理由がはっきりした場合には、当然季節労働者の雇用の安定といいましょうか、生活の安定というものを考えていかなければなりませんので、その時点に立ちまして十分検討いたしまして誠意のある御回答を申し上げたいということを申し上げたわけでございます。  お説のように、八月概算要求の締め切りも迫ってくるわけでございますので、今安定局長が申し上げましたように、よその国の制度等も参考にしながら、いずれにいたしましても季節労働者が路頭に迷うということのないような方向検討していかなければいけない、このように考えておるわけであります。
  52. 対馬孝且

    対馬孝且君 今岡部局長初め大臣から答弁がございました。まさに大臣の言われるとおり、季節労働者が悩み苦しみ不安のない改革にぜひ取り組んでもらいたいということを特に申し上げておきます。  特に申し上げなきゃならぬことは、この三年、三年というのは、これは改めてもらいたい。私は特に申し上げなきゃならぬのは、五十七年、初村労働大臣のときに、これも初回だったんですよ、就任したと同時にお会いしたときに代表団に申し上げたことは、いや、この種の不安定労働者のための措置というのは最低五年だよと。それは三年、三年というような、それは今でもそうだけれども、一年たったらまたすぐこの問題に取り組まなきゃならぬというような、これはやっぱり不安定労働者を不安にさせるだけだとうまいことを初村労働大臣は言ったんだけれども、せめて今度の改正に際しては、何の法律でもそうだけれども、今度の駐留軍関係離職者等臨時措置法にしたってあるいは特別措置の延長にしたって、大抵五年ないし七年と出てくるわけですから、やはり最低でも五年、本来ならば十年あたりが安定さしてやるというものだけれども、そこらあたりは最低でも五年でひとつ安定させるという方向でぜひ誠意を持って検討してもらいたい。  同時にもう一つ、私は決して国だけに言っているんじゃないんです。これは、北海道の横路知事に対しても、まず地元からそういう意欲と体制をつくらずして国だけに我々はこの体制をやれというわけにはまいらない、特にこれはこの間も代表団が行きまして私も立ち会っていますけれども北海道知事としましても、特段の対策を、言葉でなくて予算的な裏打ちもして対策をするという考え方を実は明らかにしておりました。  ですから、今申し上げましたようにもう八月まであと幾ばくもありませんし、最終的にはもちろん十二月が確定予算になると思いますけれども、今答弁をされたものを含めて、不安のない、かつまた現行制度を最低として、ひとつぜひ改善の方向努力をしてもらいたい、このことを申し上げたいと思います。  最後にもう一度大臣からお答えを願って、私の質問を終わることにいたします。
  53. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 六十四年以降の季節労働者関係給付金のあり方を決める際に、今おっしゃるとおりのことにつきましても御意見とお知恵をかりながら、十分検討してまいりたいと考えます。
  54. 対馬孝且

    対馬孝且君 終わります。
  55. 中西珠子

    ○中西珠子君 日本の経済は景気の回復が着実に進みつつあると言われており、全般的には雇用情勢もやや改善傾向を示しておりますが、特定業種地域高齢者については著しく改善のおくれが目立っております。造船非鉄金属石炭鉄鋼などの構造的不況業種では引き続き雇用調整が余儀なくされるでしょうし、不況業種を中核的な産業としている地域、特に北海道九州などではいまだ新たな産業開発されておらず、雇用機会も限られており、離職者の再就職も困難な状況らしいし、高齢者については依然として有効求人倍率も低い水準にあります。  こういった情勢の中で、日本としては、国際協調型経済構造への変革を推進し、一層の市場開放と輸入の促進、節度ある輸出を図る一方、内需主導型へと産業構造転換を図らなければならない、こういった状況下にあるわけです。これには大変大きな痛みが伴う。  殊に、雇用失業情勢は、中長期的に見て楽観は許されないと思うのですが、労働省は最近の雇用失業情勢をどのようにとらえ、また中長期的にはどのような見通しをお持ちですか、お伺いします。
  56. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 雇用失業情勢でございますが、有効求人倍率の面で見まするというと、昨年一月の〇・六一倍を底にいたしまして現在では〇・八八倍に上昇いたしまして、さらにまた上昇機運があるということでございまして、総じて改善を見ていると思うのでございます。  しかしながら、この中でも特定業種あるいは地域高齢者といったところにつきましては改善のおくれが非常に見られるわけでございます。御指摘のように造船、非鉄というふうな構造的な不況業種につきましては、円高影響もさらに加わりまして業況が悪化をしておりまして、大量の過剰人員が生じているわけでございます。引き続き雇用調整の進展が予想されるところでございます。それから、地域的に見ましても、例えば北海道あるいは九州というようなところに見られますように、これはもともと産業集積が少なくて雇用機会が不足していた地域でございますが、さらにこれらのところでは低い水準有効求人倍率等推移するおそれがあるわけでございます。高年齢者につきましては、御高承のとおり、求人数が不足をいたしておりまして、有効求人倍率も〇・一とか〇・二というような甚だ低い水準にあるということは御高承のとおりでございます。  さて、これは中長期的にさらにどうかという点になりまするというと、私どもまことに予断を許さぬものがあると考えておるわけでございます。  一つには、現在海外企業進出が相次いでおりまして、そういう意味における産業空洞化と言われる現象がどのように雇用失業情勢影響をもたらすかどうか。逆にまた、海外で生産されましたものの製品輸入というものが我が国雇用失業情勢にどのように影響を与えるか。それから、ME等最近のいわば技術革新の進展が引き続き行われてお りますが、これらの省力効果等々ございますし、さらにまた高齢化の影響、こういうものを総合的に考えてまいりますというと、いわゆる全般的な経済構造転換と言われます中で、雇用失業情勢につきましてはいささかも予断を許さぬ、こういう心構えで私どもこの情勢を判断いたしたいと考えているところでございます。
  57. 中西珠子

    ○中西珠子君 通産省の当面の産業構造調整策また産業政策の長期ビジョンというものをお示しいただきたいと思うんですが、通産省見えていますか。
  58. 松藤哲夫

    説明員(松藤哲夫君) 今後の産業構造の展望等につきましては、一昨年の五月に二十一世紀産業社会の基本構想というビジョンを出しまして、また昨年の十二月には日本の産業構造の中期展望というビジョンを、これはいずれも産業構造審議会という場におきまして検討をいたしまして、二十一世紀にかけての日本の産業構造の展望及び問題点等についての勉強をしております。  日本の今の対外不均衡是正というのが非常に急務になっているわけでございまして、また現在その調整の過程で相当の海外投資の伸びがあり、かつまた輸入の拡大があるということで、先ほど労働省局長さんも御指摘のとおり、国内の空洞化という問題がいろいろ心配されておるわけでございますが、私ども見通しといたしましては、マクロ的にはエレクトロニクスとか新素材、バイオといった技術革新を中心にさらに日本の製造業は高度化していく、それからサービス産業情報産業とかレジャー、リゾートあるいは健康産業といったような新しいものを中心に相当雇用機会を伸ばしていくということでございまして、先ほど申し上げました海外投資あるいは逆輸入による効果というものもかなりございますが、これを補って余りあるだけの新しい雇用開発は十分マクロ的には可能であるというふうに私どもとしては姿を描いておるわけであります。  ただ、先生も御指摘のように、むしろ個別ミクロ的あるいは地域ごとあるいは産業ごとの各論ベースで見ますると、これは相当の痛みを伴うわけでございまして、現に急激な円高によって競争力を失いつつある産業あるいはその産業に従来依存していた地域、こういうところで雇用問題を中心に非常に深刻な状態が懸念される事態があるわけでございます。  幸いにして、一昨年来のいろんな官民の努力によりまして景気が非常にいいものでございますから今やや小康状態を保っておりますが、私どもとしては、こういうミクロレベルの業種転換あるいは新しい産業の育成、それによって雇用機会拡大するということが通産省にとっても最大の課題であるというふうに考えておりまして、その面で高目の内需中心の成長を持続するとともに、技術開発の推進あるいは新産業の育成あるいは疲弊した地域に新しい産業を誘導するあるいは疲弊した産業が新しい分野に出ていくことをお助けするといったような産業サイドからのいろんな政策を通じまして、労働省と協力しながら雇用問題が深刻化しないように万全の努力をしてまいるつもりでございます。
  59. 中西珠子

    ○中西珠子君 労働省と緊密な連携をとって、労働省の方の施策と通産省の方の施策とが有機的な連携をとってそして推進されますように、心から要望いたします。  それから、労働省の方で今回、特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案をお出しになって今審議中でございますが、この有効期限を七年間延長するという根拠はどこにあるんでしょうか。七年たつと何とかなると、こういうことなのか、何かのやはり根拠がおありになると思うんですね。それにつきましてどのようなお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
  60. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 先生から産業構造転換状況についてのお尋ねもただいまございましたけれども、新・前川レポートにおきましては一九九〇年代前半すなわち昭和六十年代、これからの七年間を構造調整期ととらえているわけでございます。  すなわち、国際経済環境の変化を背景として経済構造転換を余儀なくされておりますし、またこれが我が国の生きる道であろうと思いますが、そのスピード、タイミング等を推しはかりましてこれからの七年間が構造転換調整期と言うべきものであろうと私どもも理解をするわけでございます。既に、産業構造転換円滑化臨時措置法というこの通産省の法律につきましてもほぼ昭和六十年代を対象といたしておられると伺っているわけでございますが、このようなことから昭和六十年代を通じまして産業構造転換、経済構造の転換ということに対する施策として今回の特定不況業種法を提案させていただいているわけでございます。  法案内容は構造転換ということを念頭に置いてつくられているわけでございまして、したがいまして廃止期限を昭和七十年六月三十日ということで七年間の延長というふうにさせていただいているところでございます。
  61. 中西珠子

    ○中西珠子君 特定不況業種として現在指定されている三十四業種、これは改正法施行後、本年七月一日以降も引き続き指定されるということですか。
  62. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 現在の三十四業種でございますが、これは現在の法律の期限でございます六月末ですべて期限切れとなるわけでございます。  したがいまして、新しく法律が成立いたしました場合にはその機会全般的な業種見直しを行うということになるわけでございまして、必要なものにつきましては新たに指定をするという形になるわけでございます。  もとより、その際には、各業種の実情を十分に調査いたしまして、実態を見きわめながら法の趣旨に沿って所要の指定を行ってまいりたい、このように考えております。
  63. 中西珠子

    ○中西珠子君 十分に調査して実態を見きわめながら見直しを行っていただきたいと思います。  次に、改正法案の第二条第一項の四として、労働大臣の認定する特例事業所、これを失業予防措置の対象として加えることになっていますが、大臣が認定するという認定の基準、それから省令の内容、これはまだ決まっていらっしゃらないでしょうけれども、わかる限りお聞かせください。
  64. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 特例事業所に関します労働省令でございますが、この内容といたしまして大きく分けて二つあると思っております。  一つは、この特例事業所の認定に関します手続的な面でございます。公共職業安定所を中心にいたしまして認定その他申請の手続が進んでまいりますので、その手続を労働省令で定めたいというのが第一点でございます。  それからもう一つの点は、この法律の二条の四号の中に、特別の事情を共通にするそういう事業所について雇用調整を余儀なくされていく、その場合、特例事業所に認定していくんだという趣旨が書かれております。そういったような共通する事情、これを労働省令で内容を定めていくという必要がございます。例えば、企業の海外進出に伴いましてそういう企業から委託を受けて製造等を行っております事業所、そういったような内容労働省令で規定してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  65. 中西珠子

    ○中西珠子君 認定の基準というのはどういうふうになるんでしょうか。
  66. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) この特例事業所の認定は個別に大臣が認定するという形になるわけでございますが、当然その個別の認定の基準が必要になってまいります。  それにつきましては、一定考え方はこの省令に基づきまして、さらに具体的なものにつきましては審議会の意見等も承りながら定めてまいりたいと、このように考えております。
  67. 中西珠子

    ○中西珠子君 特例事業所への援護措置内容はどのようなものをお考えですか。
  68. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) この特例事業所に対します援護措置でございますが、これにつきましては 特定不況業種に属します事業主についての援助措置基本的には同様なものを考えてまいりたいと、このように思っております。  具体的には、そういったような特例事業所におきまして事業転換等によって雇用機会を確保していくあるいはまた教育訓練等を実施していくといったような場合などにつきまして賃金を助成する、あるいはそういったような事業転換による雇用の確保というものについて特別の奨励金を支給するといったようなことなどを考えておるわけでございます。
  69. 中西珠子

    ○中西珠子君 特例事業所関係の第二条第五項、これが一つ加わりまして「労働大臣は、第一項第四号の労働省令を定めようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。」と、こうなっていますね。  「関係行政機関の長」というのは、どこの行政機関の長と協議なさるわけですか。
  70. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) この「関係行政機関」の考え方でございますが、先ほど申し上げましたように、労働省令で具体的に特例事業所として認定する際の一定の事業活動の内容等を決めたい、このように考えておるわけでございますが、そういったような事業活動の内容にわたってまいりますので、当該事業を所管しております大臣、そういったようなそれぞれの事業所管大臣に協議していくということになる、このように考えております。
  71. 中西珠子

    ○中西珠子君 それから、関連下請事業主の範囲を拡大なさるそうですが、その関係の政令と労働省令で定める内容というのはどういうことをお考えですか。
  72. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 下請事業主の範囲を孫請事業主まで拡大したいということでございますが、その内容につきまして若干技術的になっておりますが、政令とそれから労働省令で所要の要件を、内容を定めていくというふうにいたしております。  政令の方では親企業から直接委託を受けて行っている事業者を定めまして、さらにその事業者から委託を受けて行う事業者、すなわちそれが孫請になるわけでございますが、そういったような範囲については労働省令で定めていくということを考えておるわけでございます。
  73. 中西珠子

    ○中西珠子君 ただいま審議中の特定不況業種雇用安定法の改正で、特定不況業種などの雇用失業予防措置を拡充強化されまして、産業間のいわゆるミスマッチへの対応を推進される。また、地域間のミスマッチへの対応としては、六十二年に地域雇用開発促進法が制定されまして、総合的な地域雇用対策また地域雇用開発というものが推進されているわけでございます。また、年齢間のミスマッチへの対応としては、高齢者などの雇用機会の確保対策を推進していらっしゃるわけでございまして、もっと積極的に求人開拓とかなんかもやっていただきたいとは考えておりますが、一応一生懸命確保のための対策労働省としては推進していらっしゃる。  一方また、円滑な職業転換のためには職業能力開発職業転換のための訓練が必要ですが、こういったものも拡充し促進させるということをお考えになっている、いわゆる産業地域高齢者雇用プロジェクト、これは既に大臣から所信表明のときにお話しになったわけでございますが、これに対しましては賛同の意を表明いたしまして、その効果的な実施を大いに期待しているわけでございますが、このプロジェクト実施への大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  74. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 御承知のとおり、我が国経済が円高や海外貿易摩擦を背景といたしまして内需主導型の産業構造への転換を図ること、これが全く国民的な課題となっておるわけでございます。  その過程におきましては、産業職業間の労働力需給のミスマッチの拡大雇用調整の増加など各種の雇用問題が発するおそれが十分予想されるわけでございます。  政府としましては、当面する不況業種等の雇用問題に的確に対処するとともに、こうした産業構造転換の過程において雇用面での影響を受ける労働者の雇用の安定を図るため、今般、特定不況業種法について所要の改正を行うこととしたわけであります。  今後とも関係省庁等の密接な連携をとりながら、引き続きこれら不況業種関係労働者の雇用の安定のための施策を積極的に推進してまいりたいということでございますけれども、あえて御決意ということでございますので、私どもは、これを機会に本当に勤労者の皆さんの、特に、とりわけ離職者雇用の確保の問題あるいはまた高齢者の就業機会の確保、さらにまた障害者の就業機会の確保、その前提といたしまして職業訓練の充実等々一層気持ちを新たにして真剣に取り組む決意であります。
  75. 中西珠子

    ○中西珠子君 どうぞ、ただいまの御決意表明のとおり、頑張っていただくようにお願いいたします。  次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法改正案についてお伺いいたします。  国際情勢の変化とか米軍の方針の変化とかまた円高ドル安の影響などによって駐留軍関係雇用というものは大変不安定だと思うのでございますが、駐留軍関係従業員の雇用見通し、それから最近五カ年間の年度別の駐留軍関係従業員の離職状況、解雇者の数などについて防衛施設庁から御説明いただきたいと思います。
  76. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) 駐留軍従業員というのは、先生も御承知のとおり、その使用者が在日米軍である、そういうふうな特殊性のために、部隊の移動であるとか撤退とかそういう可能性がしょっちゅうあるわけでございます。そういうことでこの雇用が極めて不安定である。これに加えまして、最近の円高ドル安あるいはアメリカの国防予算の削減等そういうような要素が加わりまして、なかなか今後の雇用見通しを我々的確に把握することは非常に困難でございます。  当庁といたしましては、このような従業員の雇用不安を解消するために、現在御審議をお願いをしていますこの法律の延長を初め、もう一つは、いわゆる特別協定によって在日駐留経費の増額をしておるわけでございますけれども、これらの処置によって相当程度雇用の不安ということは解消されておるものと考えております。しかしながら、円高が最近も相当進行する等在日米軍の台所事情はなお苦しいものがありますので、従業員の雇用不安が完全にこういうような処置によって解消されたとは言えない状況でございます。  現在のところ、在日米軍からいわゆる首切り、人員整理等に関する情報は得てはおりませんけれども、今後とも従業員の雇用影響を及ぼすような情報の早期把握に努めまして、所要の処置を適切に講ずる所存でございます。  それから、最近五カ年間の駐留軍従業員の離職状況あるいは解雇者数ということでございますが、数字を申し上げますと、昭和五十八年度、これは退職者が二千三百十六名、このうちいわゆる離職者、これが九百九十五名。五十九年度が二千四百四十二名、これが全退職者、そのうち離職者関係が九百七十九名。それから六十年度、退職者が二千七百二十五名、うち離職者が千百六十九名。六十一年度が退職者が二千九百七十五名、うち離職者が四百八十九名。それから六十二年度が退職者が三千九百七十二名、うち離職者が三百六十八名でございます。  以上でございます。
  77. 中西珠子

    ○中西珠子君 離職者数が相当出ているわけですけれども、殊に人員整理、解雇などがあるという場合は、情報をとるのはなかなか難しいかもしれませんけれども情報を早くキャッチして素早い対応をしていただきたいと思います。  こういった駐留軍関係離職者の援護措置というものはどのようになっておりますか。それが一点でございます。  それから、特別給付金が余り高くない、低いというふうに考えますし、昭和五十三年四月に駐留軍関係離職者等臨時措置法の前回の改正のときに 衆参両院の社会労働委員会で附帯決議が採択されておりまして、その中に「特別給付金の増額及び支給区分の拡大を図ること。」とありますが、これについて何らかの措置をおとりになりましたか。  これは労働省と防衛施設庁、それぞれお答えいただきたいと思います。
  78. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 労働省から援護措置の概要につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  駐留軍関係離職者対策につきましては、現在御審議いただいております法律、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして、関係省庁事務次官で構成されます中央駐留軍関係離職者対策協議会を中心に、各省庁の連携強化を図りつつ、各省庁が一体となりまして各種の離職者対策を総合的に実施いたしております。  労働省といたしましては、同法に基づき関係省庁との連携を密にしながら、これら離職者に対しまして就職促進手当その他の職業転換給付金を支給しながら職業指導、職業紹介を積極的に進め、また必要な職業訓練実施に努めております。  また一方、駐留軍離職者雇用する事業主に対しましては、特定求職者雇用開発助成金を支給するなど、各種の雇用促進措置を講じ、再就職の早期実現を図っているところでございます。
  79. 井上憲治

    説明員(井上憲治君) 特別給付金に関するお尋ねでございますけれども、特別給付金とは、先生も御承知のように、駐留軍従業員が在日米軍基地へ勤めておるということで先ほど申し上げましたようにいろいろ雇用の不安定要素があるということで離職を余儀なくされるということが往々にございます。そのために、そういう場合に離職後の生活の安定ということと、米軍基地という外国軍隊に勤務をして言葉とか風俗とか習慣とかそういうのが異なるような特殊な環境の中で我が国の条約上の義務復行に協力をした、そういうような労苦をねぎらうということで支給しておるわけでございますけれども、この特別給付金は退職金とは全く別に支給しておるものでございます。このような性格の給付金というのはほかに例はないと我々聞いておりますけれども、そういうことで一概に低いかどうかという比較はちょっと困難であろうかと思います。  ただ、我々としましては、この支給額につきましてはこの制度が創設以来ほとんど毎年のように消費者物価指数の上昇率であるとか国家公務員のベースアップの率であるとかこういうことを参酌いたしまして単価の増額を図っております。現に、昭和六十三年度、今年度におきましても国家公務員のベースアップ率、これを参考としまして支給単価の増額を図っておるところでございます。
  80. 中西珠子

    ○中西珠子君 駐留軍関係の従業員というのは非常に特殊性があって先ほどもちょっと出ました高齢化が進んでいる、また職種が細分化している、単能化しているというふうなことのために、非常に離職者の就職は難しいということを聞いておりますが、どのようなところに再就職しているのか。
  81. 小倉修一郎

    説明員小倉修一郎君) 駐留軍関係離職者の再就職の状況でございますが、先生ただいま御指摘のように、再就職は非常に困難な状況にあるということでございます。  そこで、過去約五年間の状況を申し上げますと、昭和五十八年の四月以降六十二年の十二月末までの間の離職者の再就職の状況でございますが、その間に公共職業安定所に新規に求職を申し込みをされました離職者が三千六百三十八人でございます。このうちその就職指導期間中に再就職をされました方、いわゆる手帳を持って安定所にお見えになって就職指導を受けられる間に再就職をされました方が三百六十人でございます。そこで、現在なお千五百二十六人の方が安定所に求職中ということでございます。  なお、再就職されました方の内訳でございますが、民間企業へ就職されました方が二百六十二人、官公庁へ就職されました方が四十四人、なお自営業を開始されました方が五十四人、こういう数字になっております。
  82. 中西珠子

    ○中西珠子君 駐留軍関係離職者は非帯に高齢者が多いということもありまして就職が困難という状況を今如実に数字でお示しいただいたと思うわけでございますが、そういった実情にありますから一層再就職の促進のため、あっせんのために御努力いただきたいし、また既設の援護措置を一層拡充して効果的な運用を確保していただきたいと思います。  次に、国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の有効期限を五年間延長する理由について伺いたいと思います。
  83. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 国際協定締結等に起因して実施される減船に伴いますところの離職を余儀なくされた漁業従業者につきましては、国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法に基づきまして、失業期間中の職業の安定と再就職の促進に努めるため特別な措置を講ずることにいたしておりまして、これまでそれなりの効果を上げてきたところでございます。  最近の事情を見ましても、我が国の漁業をめぐる国際環境を見ますと、米国及びソ連の二百海里水域内において漁獲量割り当ての削減等漁業規制の強化が懸念されるなど、依然厳しい状況が続いております。したがいまして、引き続き漁業離職者発生することが予想されるわけでございます。  こうした状況を勘案いたしましてこの法律の有効期間をさらに延長することといたしたいと考えておるわけでございますが、延長の期間につきましては、今後長期間における国際協定等の動向の見通しを立てることが極めて難しい状況にございますので、過去におけるこの法律の有効期間の延長の経緯に倣いまして五年間延長するということにしたところでございます。
  84. 中西珠子

    ○中西珠子君 水産庁、おいでになっていますでしょうか。――今もお話が出ましたように、我が国の漁業をめぐる国際環境は非常に厳しい、米国及びソ連の二百海里水域内では漁獲量の割り当て量の削減など、非常に漁業規制が強化される傾向にあると素人ながら考えるわけでございます。  漁船の減船を行わなければならないそういった関係の漁業者、またそういったところから離職を余儀なくされる人たち、こういったものの見通しというものに対してまた対策というものに対しては、水産庁はどのようにお考えですか。
  85. 上木嘉郎

    説明員(上木嘉郎君) お答え申し上げます。  二百海里体制に突入いたしましたのが昭和五十二年でございますので十年余りを経過したわけでございますが、我が国の漁業をめぐりますところの国際環境は非常に厳しくなっておりまして、米ソを初めといたしまして沿岸国は自分の国の二百海里内の漁業資源を自国の水産業なり水産加工業の振興に資するべき資源だ、こういう位置づけを強めておりまして、入漁料の引き上げだとかあるいは漁獲割り当て量の削減だとかこういうような国際規制を強化してきておるわけでございます。  また、そういう二百海里内だけではなくて公海につきましても、サケ・マスのような遡河性魚種についての資源管理を強化するとかあるいは環境保護の観点から海産哺乳動物とか海鳥の保護を目的とした規制をする動き、さらには公海の底魚資源についても資源管理を強化するというような動きが出てまいっておるわけでございます。  私どもといたしましては、そういう厳しい国際環境のもとではございますけれども、有効適切な資金協力あるいは技術協力というようなものを着実に実施していくと同時に、粘り強い漁業交渉をやることによりまして極力海外漁場の確保に努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。  今後の見通しについては、相手国のあることでもございますしなかなか難しいわけでございますけれども、私どもといたしまして、漁業者なり漁業従事者の経営の安定あるいは生活の安定という観点から最大限の努力を傾注していきたいと考えておるわけでございます。
  86. 中西珠子

    ○中西珠子君 相手のあることですから非常に見通しは難しいということではありますけれども、我が国の漁業の見通しというものは非常に暗いのではないかと私は実は思っているわけなんです。それで、漁業関係離職者というのはこれからますますふえていくのではないかと思いますので、そういった人たちに対するやはり援護措置というものは大いに考えていただかなくちゃいけないし、また国際的な交渉においてはなるたけ日本の立場をはっきりとおっしゃって頑張っていただきたいと要望いたします。  特定漁業離職者求職手帳の現在の発給状況というのはどういうふうになっていますか。また、再就職状況というのはどのようになっていますか。
  87. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) 特定漁業離職者求職手帳の現在までの発給件数、昭和五十五年度から昨年十二月末までの累計を申し上げますと、四千六百三件の発給となっております。  この方々につきまして、就職された件数千八百四十という件数になっておるわけでございます。
  88. 中西珠子

    ○中西珠子君 どういうところに就職したかわかりますか。
  89. 廣見和夫

    説明員廣見和夫君) この漁業離職者方々、大体、再び漁業あるいはほかの海運業に船員として就職を希望される方が一般に多うございまして、数から言えばそういう方の方が多いわけでございます。  私ども労働省といたしましては、公共職業安定所の方で陸上部門に職業転換を希望される方々に対しまして就職のあっせんをお世話しておるわけでございますが、その職種を見てみますと、やはり建設業関係あるいは水産加工業関係が多くなっておるようでございます。
  90. 中西珠子

    ○中西珠子君 この漁業離職者対策につきましても、また駐留軍離職者対策につきましても、労働省関係各省庁が緊密な連携をとってやっていただきたい、大いに対策を効果的に行っていただきたいと要望いたします。  円高の定着、企業の海外進出の増加、技術革新の進展また産業構造調整の進展などによって雇用をめぐる環境は非常に厳しいものがあると思いますが、産業経済政策の中における雇用対策はますます重要性を増しております。  御高承のとおり、日本はILOの百二十二号条約、雇用政策に関する条約を二、三年前に批准いたしましたが、この条約は、加盟国は、経済成長と経済発展を刺激し、生活水準を向上させ、労働力需要を満たし、失業と潜在失業を克服するために、主要目標として、完全であり、また生産的であり、かつ自由に選択のできる雇用促進する、そういった総合的な雇用対策を積極的に宣言し、また追求するべきものである、としております。  このような条件を満たした産業経済政策と有機的に結びついた雇用対策を積極的に効果的に推進していただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺いまして私の質問を終えます。
  91. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) お説のとおりだと思っておるわけでございます。  労働省の本来の使命でございまする勤労者の生活の安定あるいはより一層の福祉の向上ということから申し上げましても、このことは労働省だけの力で果たせるものではございません。国の経済運営あるいは産業政策ともども相まってその目的達成することができると思うわけでございまして、その意味では、今までも通産省とか建設省というようなところとは定期的な大臣を含んでの会議を開いておりますけれども、お話がありましたように運輸省ともあるいはその他の省庁とも事務当局では常に緊密な連絡を持っておるわけでございます。  今後の構造調整期におきましても、御指摘のように雇用の安定が最大の国民的な課題であり、このため適切な経済運営と相まって雇用政策の果たす役割はますます大きいものと認識をいたしております。このような観点から、構造調整期における雇用の安定を確保するため六十三年度におきましては御承知の産業地域高齢者雇用プロジェクトを推進することとしておるわけでございます。さらに、中長期的な観点からの雇用対策基本的な方向づけを図るため昭和六十三年度から六十七年度までを計画期間とする第六次雇用対策基本計画を新たに策定することとしておりまして、現在鋭意検討を進めておるという状態でございまして、御指摘につきましては十分精いっぱいの努力をいたす所存でございます。
  92. 中西珠子

    ○中西珠子君 ありがとうございました。  私の質問を終わります。
  93. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法改正案についてお伺いをいたしたいと思います。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕  私は労働省のいわゆる失業の予防あるいは雇用の維持のための努力等々で随分いろいろ御苦労されていることをかねがね見ておりましていつも思うのですけれども、内外の国際情勢あるいは我が国の経済動向の変更に従って、働く人たちというのは木の葉のように振り回されている、労働省の施策というのは大体そういう振り回されている働く人たちの後追いの施策にならざるを得ないという宿命にあるわけですね。そういう点で大変難しいところはありますけれども、この点が十分なされないと働く人たちの雇用の安定は本当に確保されないなという点を常に考えているわけです。  今回の改正案は、失業の予防を中心として雇用の維持安定のための施策ということで、七年間の延長ですか、そして失業の予防対策の充実を図っていこうという改善策の法案でございます。そういう点でこれはそれなりに評価をしていきたいと思うわけですが、今回の改正案の中では二次下請の事業主も対象に入れるということでございます。特定不況業種以外の事業所においても、労働大臣が認定した一定の事業所を特例事業所としてこれを対象とするという点が新たに改善措置として加えられたという点で、これは大変複雑多岐にわたる状況の中での対応として措置をとられようとするということでございます。  そこで、同僚委員からも既に質疑もございましたけれども、私も、労働大臣が認定をする特例事業所というのはどういうものなのか、そしてこれはどういう対策をとるのか、認定の基準をどうしていくのだろうかという点が今日の複雑多岐にわたる情勢の中で非常に大事な点だと思いますので、その点をまずお伺いをさせていただきたいと思います。
  94. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 先ほど来この問題につきまして論議を重ねておりますので御承知だと思いますが、特定不況業種に属している事業所ではないけれども特定不況業種に属している事業所と同じように雇用面で厳しい状況に置かれ雇用調整実施を迫られているような事業所があった場合に、これに対しまして失業の予防に関する措置を講じたい、そういう観点から個別事業所を認定し特例事業所としてこの法律に定める失業予防措置をとれるそういう特例事業所制度を設けようとしているわけでございます。  特例事業所としてどういうものがあるかという点でございますが、先ほど職業安定局長が三つの類型に分けて例示的に御説明申し上げましたが、一つ特定不況業種に準ずる状況にある業種に属する事業所、それから二つ目が海外進出をした企業の関連下請事業所、三つ目が貿易事情の著しい変化により特定の仕向け地への輸出量が減少している事業所、そういったものが例として挙げられますが、そうした事業所に対しまして失業の予防を中心とする措置を講じようということでございます。  具体的に失業の予防を講ずるための措置としてどのようなものがあるかということでございますが、その事業所が事業転換によって抱えております雇用者雇用機会の確保を図るための措置あるいは教育訓練実施等の措置、そういう措置を講じます場合に賃金についての助成を行うこと、また雇用機会の確保のための努力雇用機会を確保するために設備の整備でありますとかその他の努力をする事業主に対しましては特別奨励金の支給を行うこと、そうしたことによりましてそうした 特例事業所における雇用者失業の予防を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、新しくそういうことで踏み出されたのはやはり今日の多様な状況に対応していくためになされたものと思われますが、しかしこういう施策は本当にしゃくし定規でなくて実効のあるものにしていくためには運用のあり方が非常に大事じゃないかと思うんですね。  今までのやり方というのは私は余り弾力性があると思わないものですから、そういった点でこういうふうに踏み出した以上はそういう弾力性のある運用のあり方というものに踏み出していただけるように、実効を本当に上げられるようにしてもらいたいと思いますが、その点はどうでしょうか。
  96. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 私ども、こういう制度が創設されましたならば、それが実効性を上げて失業の予防に本当に役立つようにしていかなければならないと思います。  そういう意味におきまして、制度の持っている本来の趣旨を踏み外すことなく、その中で弾力的かつ機動的な運用を図るべきことと考えております。
  97. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間が余りありませんから、かねがね私自身が若干の意見を持っている点を出していきたいと思います。  例えば、経済の動向に従って構造調整などが急速にやられていく、そういう中での雇用調整の問題というので雇用調整助成金などが大変大幅に運用されているわけですね。雇用調整助成金の支給状況を見ていて感じるところがありますのでちょっと尋ねたいと思うんです。  八七年度の雇調金の全体の支給額というのは、これは労働省でいただいた資料だから間違いないと思いますが、二百八十一億円。そして全産業に対しては二百四十億円、そのうち鉄鋼が百二十九億円ということのようですが、間違いありませんか。
  98. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) ただいま御指摘になりました数字、六十二年の四月から六十二年の十二月までの支給状況数字かと存じます。
  99. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 その数値を見てちょっと感じたんですが、全産業で二百四十億、そのうちの鉄鋼が百二十九億ということで二分の一以上鉄鋼が占めている。  ところで、それじゃ鉄鋼がどうなっているのかなと思って鉄鋼大手五社の従業員の動向を見てみた。鉄鋼五社の従業員の増減数というのを、これは私ども会社四季報とか東洋経済等の資料でずっと拾い上げてみたわけです。そうしますと、これは鉄鋼五社関係で一九七五年から八七年までの十二年間に五万三千三百七十五人が減っているんですね。これもっと減っているのと違うかなと私実は思った。といいますのは、いわゆる五カ年計画で四万五千人減らすというのを、何かこれどうなるのかなという感じもしているんですが、我々の方で拾い上げた統計ではそうなっているわけですね。逆に、これら鉄鋼五社が海外進出をして海外でふえている労働者数というのが、これも我々のそういう関係の資料、通産省の資料なども参考にして調べてみましたところが二万三千五百七十七人海外ではふえているんですね。  これは、数字は大きく間違っていないですか、ちょっと数字だけ確認をしておきたいんですが。
  100. 佐藤仁彦

    政府委員佐藤仁彦君) 鉄鋼大手五社においてここ十年間で約五万人程度の減少になっていると私も記憶いたしております。  海外の数字につきましては、突然のお尋ねでございまして、私ども承知いたしておりません。
  101. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、国内で五万三千人余り減って海外で二万三千五百人からふえている、こういう状況というのは、ほかのところは話は別として、雇調金だけを見ましても全産業の二分の一がここに支給されている。  特に、鉄鋼五社の場合は昨年からですね、特定不況業種に指定をされたのは。そういうわずかな期間でもどんとふえるというふうな状況を見ますと、果たしてこういうやり方で失業の予防や雇用の維持に役立っているんだろうかな、こういう運用のやり方というのが本来の任務に十分合致しているのかなというのがちょっとよくわからない。判断に迷います。  そういう点については、労働省、どういうふうにお考えになっているのか、まず御見解を伺いたいわけです。
  102. 岡部晃三

    政府委員岡部晃三君) 鉄鋼業についてのお尋ねでございますが、鉄鋼業はNICS等の追い上げによりまして非常に困難な状況にここ数年来立ち至っていることは、これは客観的な事実であろうかと思うのでございます。  先生は最近の若干の景気の戻しという現象からそのようなお尋ねになるのであろうかなと思いますが、今のところ、鉄鋼業におきましては四万人の今後における人員の合理化、雇用調整ということにつきましてはまだ警戒の態勢を解いていないというふうにも聞いているところでございます。  したがいまして、これは、短期的な段階で判断をいたすよりもやはり中期的な観点でこのような産業界の移ろいというものを判断していく必要があろうかと思うところでございます。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、鉄鋼が好況になっているのに金を出しているからいかぬと言うているんじゃない。  そういう観点じゃなくて、五万三千人も労働者が減らされて、海外で二万三千人ふえているということになりますと、国内の労働者の五万三千人が減らされているわけでしょう。それらに雇調金等を支給して確かに生首は切っていないけれども、それらは雇用の維持に役に立っているのかというと、長期的に見たら非常に労働条件の低下その他雇用不安等にさらされる状況にあるわけですね。そういうことを見てみますと、たまたま鉄鋼の例をとりましたけれども鉄鋼などの大手あるいは大企業のすさまじい合理化でどんどん人を減らして、それで海外進出をやって産業空洞化で大騒動、後始末もしなくちゃならないという状況に置かれているわけです。だから、例えば雇調金がどかんと使われているけれども、これは大企業やこういう鉄鋼大手などのような大企業のすさまじい合理化や海外進出を自由にやっていくための受け皿みたいな役割しか果たされていないんではないかなあと、そんな感じもするわけです。  この点はいろいろ問題はあろうと思うんですが、時間が余りたくさんありませんから何とも十分論議ができません。けれども、例えば去年の六月に鉄鋼特定不況業種に認定された。それでどかんと雇調金がふえているんですわ。ふえるはずなんで、認定を六月にされて、去年の九月には二万一千人の出向をさしているんですね。だから、すぐにそういうふうに活用されていっているということは、それはそれなりに、労働者の給与は下がったにしても、生首は切られていないということに中途半端な格好だけれどもなっているわけです。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕  ところが、それじゃ中小企業なんかだったらどうなっているか。  私は、今度の改善点でも、それから特例事業所の問題でも特に中小企業対策の問題を念頭に置かれていると思うんですが、中小企業の場合には従来の施策では大変困難であったと思うんです。私は具体的な例を出してとやかく言う余裕もありませんけれども円高不況が急速な中で特に中小・零細企業というのは随分困ったんですね。転換事業を通産省がやると言う。それは何とかならぬかといったら、企業転換やらなかったらそれはあかぬのだと。それじゃせめて労働省の雇調金でも何とかならぬかと言うても、それはやっぱりぐあいが悪いんだというようなことで、随分努力をしている中小企業、零細企業等数多く知っておりますが、それらは随分積み残されている。それで結果としては労働者が首を切られていっているという事態があります。  例えば、公式の席上だから名前を出していいかどうかわからぬですけれども、ある音響関係の労働者三百人ぐらいのそういう中企業がラジカセとかテープレコーダーなどをつくっていた。家電の 音響製造業種というのはCDコンポが好調だったために結局は全体として好況業種だという認定をされて、音響の中でも余り売れなかったラジカセとかテレコなどをつくっていたこの業種は結局適用されないということになった。ここの会社なんかを見ていてわかったんですが、労働組合もその事業主も、何とか首を切らないでやっていきたいと話し合って大変協調してやっていた。しかし、どうにもならないというので、最近は、大阪の工場を売り払ってそして韓国へでも出かけていってそこで製造しようかというふうなところまで来ているという事態などもあるんです。私は、それについての意見を聞こうと思っていないのです。どういう事態が現実にあるかということを申し上げようと思っているんです。  もう一つは、これも小さな企業ですが、建築金物の企業なんです。この企業昭和四十年から四十六年まで輸出貢献企業としてずっと表彰を受けてきた。六十年の二月から六十一年の一月まではまだ売り上げをほぼ維持していたんです。ところが、六十一年の二月から六十二年の一月になったら、売り上げが六割にがたんと落ちているんです。そういうことなのでここも何とか首は切りたくない、労働者の雇用を維持したいということでいろいろと御苦労されたんですけれども、国内では建築金物というのは大体不況業種じゃないんですね。なぜそうなっているかというと、売り上げの七五%から八〇%が輸出なんです。大体輸出貢献企業として表彰されたような企業だから、急激な円高で輸出がどんどん減って、今では二五%に落ちているんです。国内の市場を開拓するための息をつく間何とかならないかというのでいろいろやりましたけれども企業転換できないわけです、その企業はやりたいわけですが。そういう場合もついに救済されなかった。ここも三分の一の労働者の首を切るというふうな事態が起こりました。  これはほんの一例ですが、私が冒頭に申し上げたように、せっかくの法律改正をやるんですから弾力的な運用というのは極めて大事だ、本当に労働者の失業の予防と雇用維持の実効の上がるようにやってほしいということを最初に申し上げましたが、今日の情勢の中でこういうことは非常に大事だと思いますので、せっかくの法改正でございますのでひとつこの点については大臣の御決意を最初にお伺いをしておきたいなと思うのです。
  104. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 今、先生のお話を承りながら、なるほど弾力性のあるきめ細かい配慮をしなければいけないなということは痛感をいたしたわけでございます。  今の雇用調整助成金制度というのは、産業構造の変化等を背景に、事業主が事業規模の縮小等を余儀なくされる場合において、関係労働者の失業の予防を図ることを目的とするものでありまして、このような状況にある事業主については、中小企業事業主を初めできるだけ広く適用され、利用されることが望ましいと考えておるわけでございます。  今回の法改正においては、先ほども申し述べたとおり、特定不況業種以外の業種の事業主であっても、雇用調整を余儀なくされるおそれがあると認められる一定の事業所を特例事業所として法の対象にする、ここが今のお話のような場合の一つの救済の措置ではないかと思うわけです。特定不況業種事業主の関連下請事業主の範囲を拡大し、二次下請事業主も法の対象とすることとしたところでございます。  あわせて、雇用調整助成金制度や新たに設けられる助成金制度趣旨内容等周知徹底に鋭意努力をいたしてまいりますとともに、これら助成金制度が中小企業事業主を初めとする適用対象事業主において積極的に活用されるようにPR、周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは大臣の御決意のようにぜひ御推進をいただきたいと思います。  もう時間が余りありませんけれども雇用の維持と失業の予防の上で、先ほどからも論議が出ておりますように、高齢者雇用というのが大変大事だと思うわけでございます。  そういう点で、率を見ましても失業率がやや下がってきつつあるんですが、しかし高齢者有効求人倍率は依然として悪いんですね。これは失業率も平均より大分悪いわけですから、私は、高齢者雇用についての特段の配慮、対策、あるいは労働省が持っているもろもろの権能を十分に活用して、大いにこの点については進めていただきたいなと思っているわけです。  多くを申し上げる余裕もありませんので、具体例だけを一、二申し上げたいと思うんです。  例えば、こんなことで御理解を賜りたいんですが、鉄鋼大手五社、大きいところだから話がわかりやすいから鉄鋼を出しておるんですが、鉄鋼大手五社の定年延長の一時停止問題というのがあります。鉄鋼大手は、本来で言えばことしから六十歳定年をやるということであったのが、向こう三年間五十九歳で凍結するということになったんですね。労働者はそれなりにみずからの人生設計というのを持っていますから、計画を大変狂わされたということで怒っておるわけです。こういう状況にあり、しかも五十九歳定年を凍結してやるというので五十八歳になると大体一年間の休業と教育期間ということになるんですね。そうなると給料ががたんと減るわけです。  これは新日鉄の例ですが、大体、休みの日は給料は出さぬでよろしいという計算になるものだから、例えば五月みたいに休日の多い月は六〇%を割るというんです。そういう大変な状況になっているわけです。こういう鉄鋼大手の定年制の一時ストップというのは六十歳定年の法律の趣旨にも反するのだから、これはひとつ解決をするべきではないかと思いますし、労働省も御指導なさるべきではないかと思います。  というのは、一つは、さっきもちょっと局長も言われたように、鉄鋼の景気が急速にまた変わってきて好況化しています。そういう状況がありますから、ひとつぜひやってもらいたいなと思うんです。鉄鋼の景気の動向というのは物すごい急です。一昨年ですかが四千億の赤字だといって大宣伝をしていたわけですが、昨年からことしにかけてはもう既に六百億の黒字基調だということが新聞等でも盛んに言われておりますし、社内でも言われているようでございます。ですから、そういうことで定年延長でもやれば、これは高齢者雇用を救済できるのじゃないかと思うんです。  もう時間がありませんから、特にこういうことで意を用いていただきたいと思うことを二、三申し上げておきたい。なぜかといいますと、定年延長の凍結で、例えば八幡で見ますと、それだけで五百人の人がやめている、首になっている。薄板総合管理システムという製造技術の導入によるこの合理化で二百人減っている。フル生産の中でこうやって人を減らすわけですから生産が追いつかなくて、これも報道されておりますが五千トンの生産のおくれが出た、二万トンの注文を断るというような事態が出ています。これは御承知だろうと思うんですね。知らなかったら調べてもろうたらよろしいが、こういうことで人を減らして生産が追いつかなくて、生産のおくれが出るあるいは発注を断らなきゃならないというふうなことになっている。そうしたら、おる労働者はどんなことになるかといったら労働強化、大変な生産増加ですから超々過密労働、長時間労働が強いられるということになって有給休暇もとれないというふうな状況に追い込まれた。  そういう結果は、労働災害が激発をする。何か、鉄鋼は随分死亡事故が多いですね。私も調べてみて驚いた。こういう問題は別の機会にまたお伺いしたいと思っておりますが、鉄鋼関係では昨年一年で九人の死亡事故が起こっている。さらにことしに入って現在まででまた九人になっているというわけですから、こういう事態、矛盾が職場の労働者の中にも出てきてしまっているわけです。こういうところでは定年延長はまず早く凍結をやめて、御指導のとおり六十歳をぜひ早くやりなさい、そして労働時間の短縮等についてもこれは御指導のとおりに実現をさせられるように、有 給休暇や週休二日などはきっちり早くやれるような体制をとらせることが、やはり中高年対策にとっても非常に大事だと思います。  その点についての御見解を伺いたい。
  106. 竹村毅

    政府委員(竹村毅君) 鉄鋼大手各社の定年制の延長につきましては、先生の御指摘ありましたとおり、六十歳定年というものを決めておりましたけれども、三年間延長するという処置を現在とっております。これは、円高とか構造不況、そういう厳しい経済環境のもとで労使が協議を尽くした上で合意に至ったというふうに聞いておりますので、この時点ではある意味ではやむを得ない面もあったんではなかろうかというふうに思います。  しかしながら、本格的な高齢化社会というものを迎えつつある中で、何よりもまず六十歳定年の確保というのが一番の重要な課題でもございます。また、鉄鋼といいますと産業界を代表するようなところでございます。したがいまして、こういうふうな立場にある鉄鋼大手の各社が一日も早く六十歳定年を実現するということを我々も期待いたしておりますし、また状況に応じていろいろなアドバイスなりを継続してまいりたいというふうに思っております。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 労使協議があるからといって、労働省、事態を黙って見ているというわけにはいかぬのじゃないかという点を私はきょうは特に申し上げている。労使協議で決めておるということは百も承知です。その上で申し上げておりますので御理解をいただきたいと思います。  同じく例えばJRです。  JRも、これは継承するときに六十歳定年は決めているんですね。しかし、昨年継承するときに五十五歳というふうにしておるようですが、これも私は六十歳定年を早くやらせるように指導なさる必要があるなと思っている。そのことは本当は詳しく言いたかったのだけれども、もうありませんから端的に言います。なぜかというたら、このJR各社、まだ決算はできていないでしょうけれども、大体黒字基調ということが報道されておりますし、私どもが伺っている範囲でもそのようになっておると思います。私は、やはり定年延長でもやって職場の労働者の人員を充足させる必要があるなと、そういうふうに思うんです。  全部言いたかったけれども言えませんが、例えば継承法人の職員数、基本計画と四月一日現在の職員数というのはみんなずっと少ないですね。基本計画、例えば西日本だったら五万三千四百人、ところが現在の職員数は五万一千五百四十人、随分少ないんですね。これはJR各社とも全部そうですよ。そういうことになっておりまして、しかも問題は、せっかく清算事業団から採用するということになっておって、作業はやっているようですけれども思うように採用もされておらないようです。  例えば、時間がないから西日本だけの実例を申し上げますと、ことしの三月一日現在で職員数が五万一千四百十人ですね。基本計画との欠員、不足数は千九百九十人になっているんですね。それで、募集をして、百二十人採用通知を出したけれども、実際に採用したのは七十一人だというんですね。私は、国民の足と命を守らなきゃならないJR各社がこんなに労働者の数が少なくてそのままでいくということになると大変だなと思う。  その他の問題もたくさんありますが、法人を継承するときにはちゃんと必要な人数を決めて、その人数に見合う資産もちゃんと引き継いでいるはずなんじゃないですか、これは人件費を引き継いだとは言わぬけれども。だから、せめて基本計画で決めただけの人間を早く充足させていく、そのためには定年延長もやらせて充足を促進するということをせめてやるべきではないか。  今五十五歳でみんなやめておるのだから、六十にしたって一遍にはたくさんふえない、ふえるはずがない。しかし、今五十歳前後の人でも将来自分の仕事をしていく上での展望が見えるようになるわけですから、そういうことをJRの代表的なところできちんと労働省がおやりになることが非常に大事ではないかと思いますが、いかがですか。
  108. 竹村毅

    政府委員(竹村毅君) ただいま先生の御指摘にございましたJR各社の定年制、六十歳と規定しているにもかかわらず五十五歳ということになっておる背景というものは、発足当時のいろいろな背景、条件、そういうものを想定して決めたという面もあろうかと思います。  例えば、過剰人員を抱えているとか国鉄の債務を引き継ぐとか、そうしてまたは北海道旅客会社等においては営業収支の赤字を最初から経営安定基金より補てんするとかそういう条件があったもとでの規定ということでございます。  しかしながら、労働省といたしましては、何よりもこのJR各社の経営の健全化、安定化に各社が努めていただきまして、一日も早く六十歳定年というものの実現を図るように指導してまいりたいというふうに思っております。
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、六十歳定年を決めて五十五歳でやっているということの背景は知っているんですよ。  がさっと減らすときに、年寄りは早いとこやめさせて若手をふやしていこうというのは、どこの企業でも考えることなんで当たり前のことなんです。そういうことをやったのだけれども、しかし残念なことに、例えば西日本みたいに二千人近くも欠員のままという状況が続いておるというもとでは、これは経営も好転の兆しがあり、先が見え出したという限りでは、やはり労働者だけに犠牲を押しつけるんではなしに、そういう点は労働大臣として御指導いただくということが非常に大事ではないか。それは六十歳定年という旗を掲げていないんだったら話は別です。ちゃんと掲げておられるわけですから、せめてそういうことが大事ではないかと思うんです。  時間がありませんので、最後に大臣にお伺いしたいと思いますのは、今回の法改正で複雑多岐にわたるところを少しでも救済していこうという熱意というものがよくうかがわれます。そういう点で失業の予防や雇用の維持のために大事な点での高齢者対策、これをやるためにはやはり定年延長というのは不可欠だと思うんです。この点を強く御指導いただくと同時に、やはり労働時間短縮の問題も重要な課題なので、有給休暇はきちんととれるようにあるいは週休二日制を早くやれるように、そして仕事を分けてやるという体制が当たり前になるということにならないと、これは雇用の維持、とりわけ高齢者雇用の維持というのは困難だろうと思いますので、そういう点についての御決意、御見解をお伺いをいたしまして終わりたいと思うんです。
  110. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) 高齢者対策の一環としての定年制の完全実施といいましょうか、六十歳定年のより一層の充実を図ってまいりたいと私ども考えておりますし、これを直ちに六十五歳に延長するにはまだ機が熟さないと承知いたしているわけでありまして、六十歳定年を基盤に私どもとしましては六十五歳ぐらいまで任意な延長をお願いしたいというようなことをまずやっていきたいと思っているわけでございますし、時間短縮の問題につきましてもお説のとおりでございまして、一九九〇年代の前段早い時期に週四十時間と決まっておるわけでございます。  それに向けて、有給休暇の普及徹底を中心といたしまして、これから最善の努力を払う決意であります。
  111. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 終わります。
  112. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 以上をもちまして両案に対する質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  113. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決す べきものと決定いたしました。  この際、山本正和君から発言を求められておりますので、これを許します。山本正和君。
  114. 山本正和

    ○山本正和君 私は、ただいま可決されました特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、本法の趣旨が最大限に生かされるよう、特定不況業種等の指定に当たっては、業種の実情に即応して機動的に行うこと。また、特定不況業種の関連下請中小企業については、関係労働者の雇用の安定を図る見地から、本法に基づく援護措置が適切に活用されるよう、広報、相談、指導等につき格別の努力をすること。  二、失業予防のための新たな助成及び援助については、これらの施策の円滑かつ効果的な活用に努めること。  三、中高年齢者の再就職が極めて困難である実情にかんがみ、雇用延長、能力再開発等特段の配慮措置を講ずるとともに、求人開拓を含めた職業紹介機能の強化を図ること。  四、公共職業訓練施設の充実強化、民間各種職業訓練施設の活用等に努めるとともに、事業主に対する委託訓練の積極的活用等実情に即応した職業訓練体制の充実強化を図ること。  五、円高の定着、企業の海外進出の増加等今後も引き続き予想される内外の経済事情の著しい変化に対処し、雇用の維持、拡大を図るため、新たな雇用対策基本計画の策定を進める等、総合的な雇用対策の展開に努めること。  六、本法の実効ある運営を確保するため、行政の実施体制を充実強化すること。   右決議する。  以上でございます。
  115. 関口恵造

    委員長関口恵造君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中村労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中村労働大臣
  117. 中村太郎

    国務大臣中村太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてその御趣旨を尊重いたし、努力する所存であります。
  118. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案に対する審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  121. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 次に、積雪又は寒冷の度が著しく高い地域における建設業等関係労働者通年雇用促進に関する法律案を議題といたします。  発議者対馬孝且君から趣旨説明を聴取いたします。対馬君。
  122. 対馬孝且

    対馬孝且君 ただいま議題となりました積雪又は寒冷の度が著しく高い地域における建設業等関係労働者通年雇用促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  北海道を初めとする北国の冬は、温暖な地方に住んでいる人々の想像を超えるほど、長くて厳しいものであります。このため、これらの地域におきましては、冬期に積雪・寒冷などの厳しい気象条件に阻害されて建設業等の事業活動が著しく低下し、その結果、地域経済活動の停滞、大量の季節的失業者の発生、出稼ぎの増加等さまざまな経済的・社会的問題が生じているところであります。  例えば、北海道を例にとりますと、冬期における建設工事量は夏期の十分の一近くにまで落ち込みます。この冬期における建設活動の低下の影響は建設労働者の雇用状況に最もよくあらわれており、建設業における夏期と冬期の雇用者数の差は約十九万人にも及んでおります。この建設業における季節労働者の数は、二十七万人とも言われる北海道の全季節労働者のおよそ七〇%にも当たり、さらにこれに建設関連産業における季節労働者数まで加えますと、実に北海道の全季節労働者の八〇%近くが建設業及びその関連産業の季節労働者で占められているのであります。ちなみに、北海道雇用労働者数が約百九十八万人と言われておりますから、北海道雇用労働者のおよそ九人に一人が建設業及びその関連産業の季節労働者ということになるわけであります。  そして、これらの季節労働者は、その大半が通年雇用を希望しているにもかかわらず、冬期に失業を余儀なくされているのであって、その間、これらの人々は、雇用保険法の特例一時金の受給や預貯金の取り崩しなどによって辛うじて生計を立てているというのが実情なのであります。なお、この特例一時金の支給額は、北海道の建設業の季節労働者に支払われているものに限ってみましても年度合計で四百億円余にも上っております。  北海道等におけるこのような問題を解決するためには、通年施工・通年雇用促進が不可欠であります。この通年施工・通年雇用の問題は古くて新しい問題であり、これまで、雇用促進事業団法による通年雇用設備設置資金融資制度、雇用保険法による通年雇用奨励金制度、暫定措置としての冬期雇用安定奨励金・冬期職業講習助成給付金制度等種々の対応策が講じられてきたところではありますが、残念ながら十分な効果を上げているとは申せません。そこで、この際、季節労働者の職業及び生活の安定と地域経済の健全な発展を図るためには、既存の制度の維持・拡充によるのではなく、新規立法により、通年施工・通年雇用促進のための諸施策を積極的かつ強力に推進していく必要があると考えられ、ここに本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案内容についてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、積雪または寒冷の度が著しく高い地域であって、この法律で定める通年雇用促進のための措置を講ずる必要がある地域を「特定地域」として、また、建設業その他冬期に、特定地域内に所在する専業所において事業活動の縮小を余儀なくされ、これに伴い離職する者が多数発生していると認められる業種を「特定業種」として、それぞれ政令で指定することとしております。  第二に、特定地域内で特定業種に属する事業を行う事業主であって、通年施工を行うことにより季節労働者の通年雇用を行う者に対して、通年施工・通年雇用促進のための各種助成金を支給することとしております。  その一は、冬期に、特定業種に属する事業を行い、かつ、季節労働者を雇用するため必要な設備の設置・整備に要する費用に充てるための助成金の支給であります。  その二は、事業主が冬期に積雪または寒冷の度が著しく高いため劣悪な作業環境のもとにおいて業務に従事することとなる労働者に対して特別に 支払う手当に要する費用に充てるための助成金の支給であります。  その三は、事業主が冬期に専ら悪天候等によりやむを得ず業務に従事させることができなかった労働者に対して特別に支払う手当に要する費用に充てるための助成金の支給であります。  その四は、以上の費用以外の冬期に特定業種に属する事業を行うため特に必要となる費用に充てるための助成金の支給であります。  第三に、特定業種に属する事業を行う事業主に特定地域内で季節的に雇用されていた労働者に対して、通年雇用を容易にするため必要な知識及び技能を習得させるための講習であって、二十日以上の期間にわたって実施されるものを行うとともに、当該講習を受けた日数が二十日以上である者に対して給付金を支給することとしております。  第四に、右の季節的に雇用されていた労働者に対して生活指導、健康相談、健康診断等これらの季節労働者の通年雇用促進及びその生活の安定に関し必要な措置を講ずることとしております。  なお、以上述べました第二から第四までの施策につきましては、雇用促進事業団にこれを行わせることとし、国はこれらに必要となる費用に相当する金額を当該事業団に交付することとしております。  続いて第五に、国、地方公共団体及び特殊法人は、公共事業を計画実施するに当たっては、特定地域内の特定業種に属する事業分野における通年雇用促進について配慮することとしております。  なお、この法律は公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げて、提案の理由にかえます。  以上であります。  ありがとうございました。
  123. 関口恵造

    委員長関口恵造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会