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1988-04-20 第112回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月十六日     辞任         補欠選任      神谷信之助君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         梶原 敬義君     理 事                 田代由紀男君                 星  長治君                 青木 薪次君                 片上 公人君     委 員                 井上  孝君                 上杉 光弘君                大河原太一郎君                 下条進一郎君                 竹山  裕君                 永田 良雄君                 野沢 太三君                 増岡 康治君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 佐藤 昭夫君                 勝木 健司君                 秋山  肇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  奥野 誠亮君    政府委員        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁防災局長  三木 克彦君        農林水産大臣官        房審議官     伊藤 礼史君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        内閣審議官    藤田不二男君        防衛庁教育訓練        局訓練課長    柳澤 協二君        科学技術庁研究        開発局企画課長  高多 康次君        外務省経済協力        局政策課長    大島 賢三君        大蔵省主計局主        計官       若林 勝三君        林野庁指導部治        山課長      岡本 敬三君        水産庁漁港部防        災海岸課長    坂井  淳君        運輸省港湾局防        災課長      桜井 正憲君        気象庁観測部測        候課長      佐野 幸三君        気象庁地震火山        部長       山川 宜男君        気象庁地震火山        部地震予知情報        課長       窪田  將君        気象庁海洋気象        部海務課長    里見  穂君        建設省河川局治        水課長      齊藤 尚久君        建設省河川局海        岸課長      都丸 徳治君        建設省河川局防        災課長      佐々木賢一君        建設省河川局砂        防部長      友松 靖夫君        建設省河川局砂        防部砂防課長   松下 忠洋君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       杉山 俊宏君        建設省住宅局建        築指導課長    立石  真君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        山中 保教君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (東海地域及び南関東地域地震対策に関する件)  (火山災害対策に関する件)  (河川改修に関する件)  (土砂災害対策に関する件)  (沖ノ鳥島の保全工事に関する件)  (東京臨海部防災対策に関する件)  (富士山気象レーダーのエコーに関する件)  (国際緊急援助隊に関する件)  (高度情報化社会災害対策に関する件)     ─────────────
  2. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、神谷信之助君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  4. 青木薪次

    青木薪次君 大規模地震対策特別措置法が十年前に制定をされました。私の住む静岡県は地震多発地帯で、法制定以来、数々の大小の地震が起こっているのであります。  私の記憶に残っているのは、ずっと前の一九四四年の東南海地震でありました。私は名古屋で実はある勉強をしておったのでありますが、大変な事態でありました。烈震でありました。すぐ近所静岡県でありますので、大変な事態が到来したということをこの目でまざまざと見せつけられたのでありますが、調べてまいりますると、この近所駿河湾には達していないということがわかったのであります。そうすると、一八五四年の安政の東海地震駿河湾で最も近い地震であったということに実はなるわけであります。そういたしますと、それから数えてちょうどことしは百三十四年になるのであります。歴史的資料から数えて、いつ大地震が起こるかもわからない、いつ起こっても不思議ではないという事態が今日の事態だと実は思っているわけであります。  そういう中から最近、東海地方地震活動に注目すべき幾つかの変化が実は認められておるのであります。これらの変化東南海地震などに先行した変化と類似しているように見えるということでありますが、東海地震基本的前兆現象である可能性が考えられているのでありますから、これらの変化というものが前兆的な現象であるとするならば、その継続期間はそう長いものではないので、地震発生はそれほど先のことではないというように考えているわけであります。最近、伊豆半島では微量な地震発生をいたしておりまして、地震に対する注意深い監視が必要だということだと思うんでありますが、特に東海地方における大地震を想定いたしました私の質問に対して、まず大臣から総括的な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  5. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘のように、東海地域につきましては海洋型の地震のおそれがある という心配がなされておりまして、大規模地震対策特別措置法に基づく強化地域としての指定もなされておるわけでございます。  したがいまして、それに対応した平素からの、これをできる限り被害をどう最小限に食いとめていくかということについて、絶えず努力をしていかなきゃならない。そういうことについて私たちも苦慮し続けておるわけでございます。
  6. 青木薪次

    青木薪次君 私の質問に対して、ひとつ今度は防災局長から御答弁を願いたいと思います。
  7. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 東海区域につきましては、仰せのとおり、地震がいつ起こってきても決しておかしくないという状況でございまして、法律に基づきます強化地域指定をいたしまして対策を行っているところでございます。  特に東海地域につきましては、地震対策緊急整備事業をセットいたしまして、十年間にわたりまして総額五千六百億円という事業を実施いたしまして、避難地避難路整備であるとか、公立小中学校の改築であるとか、こういった事前の予防対策を十分に実施するという建前、考え方でやっておるわけでございます。  ただいままでの進捗状況でございますが、八年目でございます六十二年度におきまして八四%というふうな進捗率でございます。こういった事業を実施いたしまして、一たん発災しました場合の対策を行っているところでございます。  また、予知関係につきましては、東海地域観測強化地域といたしまして、気象庁初め、それぞれの機関におきまして入念な観測を行う。観測結果につきましては気象庁に直接テレメーターで入るということにいたしまして、異常な兆候が発見されました場合には、気象庁において的確な措置がとられるような体制を講じておるところでございます。
  8. 青木薪次

    青木薪次君 一九〇〇年から一九七三年までの約七十年間の結果を見ると、私の住む、安倍川というところにあるわけでありますが、この河口で実は四十センチメートル以上沈んでいることがわかったのであります。それから御前崎から沼津に至る駿河湾西部地域では、いずれも地盤沈降沈みが起こってこれが進んでおります。近ごろになって一センチメートルから一・五センチメートル、一年間に沈んでいることがわかっております。そういたしますと、過去の平均値四ないし五ミリ程度だったことを考えると、二倍から三倍の量であることがわかるのであります。  この現象は、今も海洋性地震ということが答弁にありましたけれども、私は海洋プレート大陸プレートに潜り込んで、プレート同士現象ということがこの中で言えるんじゃないだろうかというように心配を実はいたしているわけでありますが、これは大地震前兆現象ということで考えてよろしいかどうか。専門家の、どなたが答弁してくれますかな。
  9. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 御説明申し上げます。  今先生の御指摘のように、駿河湾の西岸が年間一センチメートル弱沈降しつつあるということは、先生先ほど指摘になりましたように海洋型のプレート大陸側プレートの下に潜り込んでいくということで、それを引きずり込んでいるということで、先生の御指摘のとおりでございます。  このことにつきましては私ども地震専門家が集まります、国土地理院の方で事務局をしていらっしゃいます地震予知連絡会で定期的にデータを持ち寄りまして検討しているわけでございますが、現在のところ、沈み込みは特に加速されているということはなくて、定常的な沈降傾向を示しております。定常的な沈降を示しているということ、それから先ほど先生が御指摘のように、前の大地震からこの地域につきましては百三十年余りの時間が経過しているというようなことは、確かに東海地域が非常に長期的な立場で見ますと、大規模地震に対して要注意の時代に差しかかっているということでございます。  そういうことが、先ほどからの国土庁長官それから防災局長の御説明にもありましたように、大規模地震対策特別措置法に基づきます地震防災対策強化地域指定されている理由であるわけでございます。  ただし、気象庁はこういう非常に長期的に見て大規模地震が想定されておりますので、気象庁は短期の、直前の予知の責任を負っておりますので、二十四時間の監視体制をしいているわけでございますが、現在のところ、幸いなことに近いうちに地震発生するという前兆は起こっていないと申し上げることができるかと思います。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 地震空白域について、どういうように認識されておりますか。
  11. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 先生の御指摘地震空白域についてでございますけれども、まず周辺地域に比べてその部分地震発生が非常に少ないというようなところを地震空白域と呼ぶようでございますし、それからまた、隣り合った地域で大地震が既に発生しているのに、その間のところでまだ大地震発生していないようなところを地震空白域と呼ぶというのが専門家の定義でございます。
  12. 青木薪次

    青木薪次君 日本全体ではどの地域とどの地域というように考えておりますか。
  13. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 今の御指摘の件でございますが、日本全体で明瞭に空白域指摘されておりますのは、先ほどから先生が取り上げておられます東海地域ぐらいだと存じます。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、南関東地域の大地震は関東大震災、大正十二年以来起きていないので、最近神奈川県など首都圏の自治体から、南関東地域東海地震並み地震防災強化地域指定すべきだという意見が強く出されておることは御案内のとおりであります。  それから先日、三月の十八日でしたか、私は麹町の宿舎で泊って、まあ相当な揺れを感じました。もちろんこの地域は、この場所は非常に地盤がかたいと言われております。あるいはまたやわらかい地域もあるのでありますが、千葉県における以前の地震といい、東京神奈川千葉、埼玉、一都三県のこの地域、ここも空白地域ではないのかという議論が盛んになされておりますが、これをどういうように認識されておりますか。
  15. 山川宜男

    説明員山川宜男君) ただいま、先生の御指摘南関東地域でございますけれども、一応地震学者の中での定説では、駿河湾から東京の方に潜り込んでおりますような海洋性プレートによって引き起こされる関東地震と同じような地震は、当分発生しないだろうというふうに言われております。  今、ちょっと申し間違えましたけれども、今申し上げましたのは相模湾の方でございます。駿河湾東海地震関係するものでございまして、相模湾から東京の方に潜り込んでおりますプレートによって引き起こされます関東地震の再来のようなものは、ここ当分ないだろうというのが地震学会定説であろうかと存じております。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 駿河トラフ相模トラフ関係が、プレート理論で言うといわゆる太平洋プレートなり東南海のフィリピンの方から押し寄せてくるプレート、これが大陸プレートと衝突する部分がこの地域であるということになりますと、それはそれとして海洋性地震については予知がある程度できるんじゃないかということは考えられますけれども、一方、今度は内陸部地震については、私は今皆目対策が立てられないという現状じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  17. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 先生、今御指摘直下型地震予知でございますけれども、これはまだ学問的にも海洋型の大規模地震と比べまして地震の起こる範囲も非常に狭いというようなこと、その他地震発生の原因もよくわかっていないということで、学術的にもまだ予知は非常に難しいとされております。これにつきましては地震予知推進本部事務局でいらっしゃいます科学技術庁の方からも補足説明をいただけると思います。
  18. 高多康次

    説明員(高多康次君) ただいまの山川部長の御答弁のように、M七クラス以下の地震、まあこう いうものが直下型の地震規模、最大限でもそれぐらいということでございますが、そういうものにつきましての予知につきましては非常に難しいということでございますけれども科学技術研究によってそういうものができるようにしなければならないということがございますので、六十二年度からは科学技術振興調整費の中で、マグニチュード七クラスの内陸地震予知に関する研究というのを開始しておるところでございます。  こういう研究の結果がすぐに出るということではないかと思いますけれども、そういう努力をしているということを御紹介申し上げます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 科学技術庁防災センターと、それから気象庁監視業務との関連性なんかについても、素人にはなかなかわからぬですよね。科学技術庁としては今も六十二年度から直下型地震についてもひとつ研究をしているんだと力強い話があったわけでありますが、それはぜひやっていただきたいというように思うんでありますが、今の地震予知観測体制についてはどういう器材を使っているんですか。
  20. 山川宜男

    説明員山川宜男君) まず、地震予知のためのいろんな観測体制でございますが、大規模地震が起こります前には、例えば非常に小さい微小地震も含めました前震が起こるんじゃないかということで、まず非常に小さい地震までとらえますような地震観測が大切かと存じます。そういう意味で、先ほど先生も御指摘になりました科学技術庁防災科学技術センターさんの地震計も含めまして、それから東京大学、それから名古屋大学、それからもちろん気象庁の自前の地震計、そういうものを大体五十四台ほど東海地域とその周辺域に展開させていただいております。  それから、地震が起こります前には、やはりその数日前ぐらい、あるいはもう少し短い前かもわかりませんけれども地殻が急に何かひずむんじゃないか、変形するんじゃないかというようなことで、私どもそういう地殻変動をはかる器械も数十台配置しておりまして、合わせて百三十三項目のいろんな観測東海地域とその周辺域に配置いたしております。そういうものを気象庁の本庁にテレメーターして二十四時間監視しているわけでございますが、そういうものを迅速に処理し、判断しやすいようにするということで、前々年度に地震活動総合監視システムという総合システム関係部局のお力添え、御理解によりまして設備することができましたので、そういう最新のシステムも用いて二十四時間の監視体制を続けているところでございます。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 地震計にしても、それから体積ひずみ計とか傾斜計とか、あるいはまた、特に静岡県は伊豆半島西部の焼津港との間に検潮儀を使っているんです、それで海水面の高低をとらえるということで。また地下水の異常を確かめるというようなこともやっているわけでありますけれども、これはやっぱり、いわゆる海洋性地震をとらえたいということだと思うんです。しかし、地震はどこでも発生するわけです。先般の、私ども視察いたしてまいりましたけれども木曽の御嶽山の地震ですね、あれも直下型ですよ。それから、この間起こったのも直下型。いわゆる海岸筋海洋から海岸にかけてのプレート同士が衝突する部分から内陸へ今日移っている、この現象についてどんなふうに考えていますか。
  22. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 海洋とそれから大陸の、何と申しますか境目と申しますか、先ほどから先生指摘のように、海洋プレート大陸側プレートと申しますか、そういうものの下に潜り込んでいるわけでございますので、そこでお互いに押し合っているわけでございます。そうしますと押されている方の、日本列島を含みます大陸型のプレートの方にも圧力がたまってまいりますので、先生先ほど指摘のようないろんなタイプ地震が起こってくるのだということでございますが、現在のところ、地震学の方で突き詰めておりますのはその程度のところまででございまして、内陸型の地震につきましては、同じ内陸型あるいは直下型地震と申しましてもいろんなタイプ地震がございますので、先ほど科学技術庁の方から直下型の地震予知を目指して一生懸命取り組んでいるという御説明がございました。  気象庁でも一応、大変難しい課題ではございますが、気象研究所という研究組織を持っておりますので、そこで特別研究といたしまして直下型地震予知を取り上げて、それの実用化に向けて努力をしているところでございますが、現在のところ、予知は少なくとも非常に難しいということしか申し上げられないところでございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 非常に、これは日本だけの問題じゃありませんけれども、困った問題だというように考えているわけであります。  それでは視点を変えて、マグニチュード震度との関係で、非常に間違いやすいんですね、マグニチュード六といえば、地震の大きさで大体中程度といいますかね。それから震度六といえば烈震ですね。まさに烈震ということになりまして、家屋が三〇%ぐらい倒れるだろう、それから山崩れが起こるだろうというようにいわれているわけでありますが、三月十八日の直下型地震震度三と言われてまいりました。しかし、別の方面では震度四と言われているわけであります。マグニチュードで大体六・〇、それから震度が三、深さが九十九キロというように言われておりますが、こういうようなことについて一般国民マグニチュード震度か、それはわからぬわけですよね。  そういたしますと、このことによってある意味ではパニックが起こる可能性というものが非常に存在すると私は思っているわけであります。マグニチュード八といえばマグニチュード六の実に一千倍。ということになりますと、数字が一つふえるごとに大きさが三十倍ということになりますると、このことに対する国民理解を得るのも非常に難しいということになってくるわけでありますが、震度地震波によって生ずる土地の揺れであって、これは体感で感じるのはこうだと言っておりまするけれども、この辺については、この間の直下型の地震について気象庁の発表した震度東京は三となっているが、東京瓦斯が感知した震度は五となっているんですね。五というのは強震ですからね。強震の分野に入る。  ということになると、なぜこのような大きな違いがあらわれたのかというような点について統一していきませんと、何にもなければいいけれども、やっぱり何か強大な地震が起こったときには取り返しのつかない状態が起こってくるということになるわけでありますが、この点いかがですか。
  24. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 御説明申し上げます。  まず、マグニチュード震度関係につきましては、まさに先生指摘のとおりマグニチュードというのは地震のエネルギーと申しますか、震源域での地震の破壊の大きさをあらわす量でございますし、それから震度と申しますのは、ある場所地震の波によってどれぐらい揺れるか、それぞれの場所でどれぐらい揺れるかをあらわす尺度でございますので、同じ地震関係する術語ではございますが、全然別のものをあらわしているわけでございます。  これにつきましては万国共通にこういう使い分けをいたしておりますので、私どももこれにつきましては日ごろから一般国民皆様方に対して十分PRしていかなきゃいけないということで、機会をとらえてそういうPRもさせていただいているのでございますが、まだ先生指摘のように時々誤解が生ずるようでございますので、これからもそういう努力もしていきたいと存じます。  それから先ほどの、三月の東京都東部の深さ百キロ前後の深い地震震度分布の件でございますが、震度の問題につきましては非常にいろんな難しい問題がございます。  まず、震度体感でやっているのは、こういうふうに計測技術の非常に進歩した時代では時代おくれじゃないかという御意見も時々聞くわけでございますが、震度体感ではかりますのは、これは万国共通原則でございます。これはアメリカでもソ連でも、つまり西側先進国でも東側の先進 国その他でも、どこでも震度体感ではかっているわけでございます。  そういうことで震度体感ではかるのは原則でございますが、学術的に統計的に地震のときの、何と申しますか、その場所での加速度震度とある程度相関がいいというのか、関係が深いというようなことを指摘されておりますので、ある統計的な式に従いまして加速度から震度を換算するということがよく行われるわけでございますが、これは特に直下型地震のように周期の短い波がたくさん入っておりますような地震揺れにつきましては、非常に大きく出過ぎる傾向があるものでございます。  しかし、震度体感というのは万国共通原則ではございますが、日本はとにかく地震が非常に多いところでございますし、万国共通に基づいて観測されております震度にできるだけ近いものを何か計測することができないかということで、気象庁の中に大学の先生方にお集まりいただきまして震度観測検討委員会という委員会をつくりまして、地震専門家、これは地震学専門家だけでなしに、地震工学建築関係土木関係専門家にも入っていただきまして、震度を、万国共通ではかられている震度ではあるけれども、計測することができないかということでずっと二、三年御議論をいただいてまいったわけでございます。  つい二カ月ほど前でございますか、一応その結論をいただきまして、これまでのように単に加速度だけから震度を換算するんじゃなしに、地震の波の、何と申しますか、一往復します周期に関する補正を入れれば、かなりこれまでの体感震度に近い計測震度が出せるんじゃないかということで、気象庁はこれからそういうことにも取り組んでいきたいと思うわけでございます。  それから、東京瓦斯さんが加速度計で地震観測していらっしゃいまして、その結果から先ほど説明申し上げましたように換算式に基づきまして震度相当量を出しておりますものは、これは東京瓦斯の皆様方とも話し合ったことがあるわけでございますが、前年の十二月に起こりました千葉県東方沖の地震なんかでも明らかに一ランクあるいは二ランク大きく出過ぎるというようなことを、御報告と申しますか、私どもにも話していただいておりますので、三月の地震につきましては、私どもといたしましては東京の大手町ではやはり震度三が妥当なところであった。  これは気象庁観測しております加速度計で、実験的に一応気象庁観測しているわけでございますが、それに先ほど震度観測検討委員会で御検討いただいて御報告をいただきました周期に関する補正を加味いたしますと、やはり震度三になったようでございますので、大手町周辺では震度三が一応妥当なところであったと考えているわけでございます。  震度と申しますのは、少し離れたところでも地盤が悪いところでは一ランク、または場合によっては二ランク大きく出ることもございますし、それから建物の構造あるいは建物の階数によりましても違ってまいりますので、こういうこともこれから十分吟味して、行く行くは私ども震度の計測化ができないかという方向で努力してまいるつもりでございますので、そういう方面に向かってもこれからも一生懸命やっていきたいと思っているところでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 今、長々と説明があったわけでありますが、ガルによる震度というものをあなたは長く説明したと思うんですね。  気象庁で六十五年から体感による震度を改めて、そして計測器で決定するということを報じられておりますけれども、私も静岡県で地震に悩まされてまいりました。この間、朝の五時に発生した震度について、寝ながら見たんですけれども、これは震度四だと、こう言ったら、おたくは震度三だと言う。しかし、私ども体感の方が合っていると私は思っているんですよ、まだ今もって。ですから、そういうような体感なんというものは客観性がない。  そこで、計測器で調べるということが一番大切なことでありますけれども、東大の地震研究所の宇津徳治教授は独自の計算方式で、先般の東京直下型地震による東京震度を四と発表いたしておりますね。宇津教授が発表した標準式とはどういうものであるかということについて、あなたが今説明されたことと大体同じであるのではないかというように考えているわけでありますが、そう解釈していいですね。
  26. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 宇津先生の御研究についての御紹介がございましたけれども、実は私ども震度観測検討委員会をお願いしましたときの委員長が宇津先生でいらっしゃいました。  それで、宇津先生が先日、三月の東京地震につきまして震度四というのが平均的な値だというふうにおっしゃいましたんですけれども、宇津先生の元の値ではたしか三・七というような、一応小数点以下の値がついた形で、四捨五入すると四になるという御発表だったかと存じます。それで宇津先生の御発表は、つまりマグニチュードが六ぐらいで深さが百キロぐらいのところに起こりました地震で、その上では平均的なところで震度がこれくらいになるだろうということでございますので、私が先ほど説明申し上げました加速度、ガルと、それから体感による震度との統計的な関係というのとは若干ニュアンスが違うのではないかと思う次第でございます。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 大規模地震対策特別措置法が施行されているわけでありますが、その中で警戒宣言が出された場合、家路へ急ぐ人の群れで鉄道等が大混乱になる、道路も通行不能となるおそれがあると思うのであります。名古屋大学の平松助手のコンピューターを使った予測では、宣言発令後三十分で各ターミナルは大混乱となる。  そこで、東京は世界一の過密地域と言われているわけでありまして、多くの人口と車を抱え、高層ビルが林立し、道路が重層的に走っている。そして今言った交通状況もまことに複雑だ。しかも地下にガス管や、それから石油施設等の危険物が大量に使用されているというようなことから、都市計画も本当の意味でできていないということもあろうと思うんでありますけれども、大変な事態になるということで、震度六の地震による被害の想定についてどういうようにお考えですか。
  28. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 東京都におきまして、いろんな地震タイプが想定されるわけでございますけれども東京都は災害対策基本法に基づきます地域防災計画を策定しておりますが、その前提となります被害想定を行っております。それによりますと、マグニチュード七・九、関東大震災と同じ程度地震を想定しているわけでございますが、その場合にはおおむね震度六ということになりますが、木造建築物の全壊六万棟ぐらい、また焼失が六十二万棟ぐらいというふうな結果になるのではないかと想定をされております。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 静岡県で想定いたしましたのは、今三木防災局長の言われました点について、延焼や類焼によって発生するであろう人的損失などもあり、東海道新幹線とか東名高速道路関係の被害は含まれていないが、被害想定を見ると、人的被害が死者が一万九百人、それから重傷者一万六千七百人、軽傷者九万八千三百人。実際には計算上除外された要因を加えなければならないので、この数字をはかるに上回る被害が発生するおそれがある。  静岡県はこのような被害想定を踏まえた上で、知事のリーダーのもとに地震対策課が中心となって、東海地震対策の立案、実施を図ってきたということであります。静岡県のような非常にまだ、過密地域といっても東京の比べものにならないような地域でも、このような状態になっているわけでありますから、この点について私どもはまず防災対策というものが必要になってくると思うんでありますが、このことについてどういうような対策を大まかに言って講じておりますか。
  30. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 南関東地域につきましては、ただいまのところ、地震がどのような形で想定されるかということにつきましては、これはいろいろ説があるわけでございます。そういった ことから、大規模地震対策特別措置法施行十年を迎えるわけでございまして、一つの節目である。また首都圏におきましていろいろな地震災害に関する論議が行われているという状態でございますので、地方防災会議に設置されております専門委員会を開きまして、専門委員会におきまして、南関東地域における地震の切迫性及びこれに関連します予知の見通しにつきまして、御論議を願うという予定にいたしております。  近く開催される予定でございますが、そのような専門委員会意見をちょうだいいたしまして、基本的な南関東地域における地震対策について検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、さっき三木防災局長が七・九のマグニチュード震度六、六万戸の倒壊と六十二万戸の焼失ということをおっしゃったわけでありますが、幾人亡くなるかという点が私は非常に重大だと思います。  そこで、地震予知が全くなかったときと、それから予知が一日または数時間前になされたとき、すなわち東海地域判定会にかけられて、すぐ総理大臣のところへそのことについて結論が行った、総理大臣が警戒宣言を発したというようなときと、そのままある日、突如として大規模地震が起こった、その被害の大体の想定について、どんなふうに考えていますか。
  32. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 南関東地域につきましては、地震対策強化区域に指定をされておりませんから、警戒宣言を出すことは今ただいまのところできないということになります。したがいまして被害想定はただいまのところ各都道府県で行っておりますが、これは突如発災した場合における被害想定、こういうことでございまして、御指摘のように警戒宣言で事前にいろんな措置を講じて発災した場合との比較は、まだできない状態というのが実態でございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 人的な被害はどの程度と考えていますか。
  34. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 先ほど申しました東京都の場合でございますと、おおむね三万七千人の死者が残念ながら生じるのではないかという想定をいたしております。また、その他の三県、神奈川県、千葉県、埼玉県の三県でも、それぞれ地域防災計画におきまして被害想定を行っておりますが、東京都を合わせまして、想定の態様が違いますので単純に足すのはいかがかと思いますが、単純に足し算をいたしました場合には、約七万人の死者が生ずるのではないかというふうに言われております。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 静岡県が一万九百人亡くなるおそれがある、亡くなると、こう言っているのですね。それから東京が三万七千人、これはちょっと甘く見ているんじゃないかというふうに私は考えるのでありますが、その点は別に大々的に発表するとかしないとかという問題でなくて、もっと深刻に考えなければ、地震は偶発的に起こるわけでありますから、その点、緊急対策整備事業といいますか、これらのことを考えて大臣、どうお考えになりますか。
  36. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今御指摘になりました点が一つの問題点でございます。東京なり神奈川県なり、いつ関東大地震のようなことが起こらないとも限らない。このままでは御指摘のような大災害になりかねない。そうなると、やはり事前の対応をしておく必要があるんじゃないだろうか。関係者も、ある程度の応急の計画を持ってもらって防災訓練をしておく、あるいはそれなりの教育なり広報なりをしておくという必要があるんじゃないかという心配をしておられるわけであります。  しかし、強化地域指定するについては、大地震のおそれが予知されるということでなければならないわけでございます。当然のことだと思います。しかし内陸直下型の地震は、これは予知できないんだと、こうおっしゃるわけであります。しかし地震は起こらないとも、当然またおっしゃらないわけでございます。そうなりますと、やっぱり平素から対応だけはしておかなければいけないんじゃないか。対応できるような仕組みはとってもらいたいというのが関係者の希望でもございます。  そういうこともございますので、今防災対策強化地域専門家の方々に集まってもらって、ひとつ意見をまず聞いてみようじゃないか。その意見の結果を踏まえて我々がひとつ判断をしようじゃないか、こういうことを言っているところでございまして、場合によっては法律改正というようなことも考えなければならないと思いながらも、今さしあたりは、まず専門家会議の結論を承ってみようということにしているところでございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 大臣地震予知関係については、今いろいろ議論してまいりましたように検討がなされておりますが、予防はできないんですからね。予防ができないとするならば、被害を最小限にとどめるために避難地避難路整備状態をもっともっと急速に進めなきゃならぬということになると思うんです。  そこで地震対策の緊急整備事業進捗状況なんでありますが、この六十四年度で法律の有効期間が切れるんですね。したがって、そのことについてどういうように考えているか、国土庁長官とそれから大蔵省の両方から意見を聞きたいと思います。
  38. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 緊急整備事業につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、五カ年計画で発足しました後にこれを改定をいたしまして、現在の十カ年の計画になっておるわけでございます。総額五千六百五十三億円でございまして、避難地避難路整備公立小中学校の改築等々の緊急的な事業を行っておるわけでございます。非常にこの進捗はほかの事業に比べますといいわけでございまして、八年目を迎えまして八四%の進捗率ということでございます。  九年目の六十三年度につきましても、財政的には十分予算を確保してございまして、用地の問題さえなければ六十四年度にこの事業は多分、多分というか財政的には完結するであろうというふうに考えております。二度にわたりまして改定をいたしました事業でございますので、この事業が完成した場合には緊急性のある事業は一応概成するのではないかというふうに考えております。
  39. 若林勝三

    説明員(若林勝三君) ただいま防災局長から御答弁がございましたように、財政当局といたしましてはこの緊急整備事業計画を着実に進めていくということの重要性は十分認識いたしておりまして、これまで適切に対応してきたところでございますが、あと残された期間につきましても適切に対応して、計画の達成を図っていく所存でございます。
  40. 青木薪次

    青木薪次君 大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域といたしまして、現在静岡県を中心に、周辺の六県の百六十九市町村が指定をされております。南関東地域東京神奈川千葉、埼玉の一都三県についても東海地域並みの地震防災強化地域指定すべきではないかという強い希望と意見が寄せられているのでありますが、大臣、このことについては早急に取り組む必要があると思うのでありますが、いかがですか。
  41. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私も大変心配をしながら、とりあえず専門家会議の意見を聞いてもらおうと。その会議をこの二十五日に予定しているようでございます。その意見を踏まえて考えていきたいな、場合によっては、先ほど申し上げましたように立法措置を求めなきゃならなくなるかもしれないなと、こんなことを考えているところでございまして、今の御指摘の点、私たちも真剣に取り組んでいきたいと思っております。
  42. 青木薪次

    青木薪次君 見通しはどうですか。
  43. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほどちょっと申し上げましたように、強化地域指定の要件として、地震発生が予想される条件が満たされなきゃならないわけでございますので、内陸直下型の地震予知できないということになってしまいますと、現行のままで強化地域指定はできないわけ でございます。しかし皆さん大変心配をなされておるわけでございまして、それなりの平素からの対応をしておきたいと、こうもおっしゃっておるわけでございまして、それもまたもっともなことでございます。そうしますと、やっぱり何か立法上の措置も要るんじゃないかな、こういうことになっていくんじゃないかなと、かように考えているわけであります。
  44. 青木薪次

    青木薪次君 本年度の新規施策といたしまして実施されることになっている南関東地域震災応急対策調査とは一体どんな内容か。調査の内容、期間等について説明をお願いいたしたいと思います。
  45. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 南関東の震災対策につきましては、それぞれ一都三県におきまして地域防災計画をつくり、特に震災対策編におきまして詳細な規定を設けまして対策を講じているところでございます。しかしながら、首都圏を構成する区域でございまして、一たん震災が起きました場合には相当な被害が予想され、我が国の中枢機能にかなりの打撃を受ける。こういうことでございますので、国の立場といたしましても公益的な観点から、この一都三県における震災に対するいろいろな施策を講ずべきである。都道府県の領域を越えて講ずべきではないかというふうな観点から、いろいろと調査を行っているところでございます。従来からも実施してきたわけでございまして、震災応急対策活動システムに関する調査といっておるわけでございます。  六十三年度には輸送、救護、医療、情報、こういったそれぞれの施策を必要とする分野につきまして、それぞれの専門家によります検討をいたしていきたいというふうに考えているところでございます。
  46. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、視点を変えて、都市防災の専門家とか法律学者で構成いたしております災害法務研究会がまとめました大規模地震と経済災害に関する報告書がありますが、これは被災後の借地借家とか、あるいはまた銀行預金、火災保険といったようなものの私法上の問題点について検討がなされていると聞いているわけであります。これらの点について、政府側としてはまだこの問題について着手していないということで、国土庁としてはこの問題についてはどんなふうに考えていますか。
  47. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 災害が起きましたときの経済的混乱につきましては、緊急事態に対応して、経済秩序が混乱した場合につきましての措置につきまして災害対策基本法に規定がございます。これは生活必需物資の配給、引き渡しの制限であるとか、価格統制であるとか、金銭債務の支払いの延長であるとか、政令の制定を必要といたしますけれども、こういった措置は講ぜられる仕組みになっておるわけでございます。  しかし、ただいま御指摘のございました私法上のそれぞれの救済措置につきましては全く規定がないわけでございまして、それぞれ登記簿であるとか、証券であるとか、そういったものが焼失した場合の私権の保護につきましては、それぞれの分野におきまして安全措置がとられるであろうということを建前といたしまして運用される予定になっておるわけでございます。しかし、今御指摘のように非常に大事な分野であろうというふうに思いますし、震災というのはこういったものすべてにわたる災害でございますので、国土庁におきましてもそういった意味での研究はこれからやってまいりたいというふうに考えております。
  48. 青木薪次

    青木薪次君 それから先般、四月十三日に富士山で大規模な雪崩が発生いたしまして、富士山の総合センターが全壊するなどの被害が発生したわけであります。富士山の雪崩対策がどのようになっているかということについて聞きたいわけでありますが、幸い、今回の雪崩では人命の被害がなかった。これから夏にかけて登山者が殺到するわけでありまして、富士山の防災対策の現状と強化策についてお伺いいたしたいと思います。
  49. 友松靖夫

    説明員(友松靖夫君) ただいま先生お尋ねの雪崩につきましては、私どもに入ってきております情報では十三日の朝、表富士、静岡県側でございますが五合目付近、標高にいたしまして二千四百メートル程度のところでございますが、雪崩が発生をいたしまして、山小屋が二棟半壊をした。ただいま先生指摘のように、無人でございましたので幸い人的被害はなかったわけでございますが、そういった雪崩が発生したという程度の実は情報でございます。何分現地が二千四百メートルというようなことで、まだ大変多くの積雪がございまして、雪崩の発生箇所数であるとか、あるいはその規模、それからまた詳細な被害の実態というものについては、まだ把握していないというのが実情でございます。
  50. 青木薪次

    青木薪次君 いや、強化策をどう考えているのか。
  51. 友松靖夫

    説明員(友松靖夫君) 雪崩対策事業につきましては、昭和六十年度から急傾斜地崩壊対策事業の中で雪崩対策についても施行するということで実施をいたしてきております。さらに、こういった災害に対処いたしますために災害関連緊急雪崩対策事業というのが昭和六十二年度に創設をされたわけでございますので、今後こういった災害につきましては、こういった事業でも対処できるというふうな方策が講じられたわけでございます。  ただ、今御指摘の富士山につきましては、ただいま申し上げましたとおり、雪崩対策事業そのものがまだ二年ちょっとでございますし、緊急対策というのは昨年創設されたばかりでございまして、富士山地域についての雪崩対策というのはまだ実績がございません。  以上でございます。
  52. 青木薪次

    青木薪次君 これはひとつ検討してもらいたいというように考えております。特に大沢崩れの方は、これは大変な災害が常に発生しているわけでありますから、富士山の源頭部分等に対する補強をいたしましたけれども、これは富士山の山の形が変わるくらい、落石その他雪崩が物すごいわけでありますから、その点に対する要望を申し上げておきたいと思います。  それから、昨年十二月に発生いたしました千葉県東方沖地震の原因を調べている科学技術庁の国立防災科学技術センターの岡田研究官は、千葉県印旗郡を中心とする地域地震空白地帯があり、マグニチュード六クラスの地震が起きる可能性が強いとしているのでありますけれども気象庁地震部長はどんな考えでおられますか。
  53. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 御説明申し上げます。  ただいま科学技術庁防災科学技術センターの方の御研究についての御披露がございましたけれども、私どもは現在のところ、マグニチュード六クラスでございますと地震規模も非常に小さいと申しますか、大規模地震に比べれば非常に小さいわけでございますので、その程度空白域地震の震央分布図と申しますか、そういうものをプロットしたところを精細に調べてまいりますと、あっちこっちに見つかるということでございますので、ただいま御指摘の御研究については、一つの個人の御見解というふうに受けとめているわけでございます。
  54. 青木薪次

    青木薪次君 これは直下型の危険性があるんですか。それともいわゆる海溝性ですか。
  55. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 先生の御分類に従いますと、それは確かに直下型地震関係する現象であると考える次第でございます。
  56. 青木薪次

    青木薪次君 それから、伊豆半島沖の群発地震状況についてでありますが、この群発地震の現状についてはどんなふうに考えていますか。
  57. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 伊豆半島東方沖の群発地震に関してでございますが、つい最近の活動と申しますと、二月の中旬から下旬にかけまして若干の活動がございました。大体、伊豆半島東方沖は一年に一、二回程度、かなりの群発地震現象を示すわけでございます。ただ幸い、ごく少数の例、例えば一九八〇年の六月二十九日前後に起こりました群発地震では、その二十九日にマグニチュードが六・七というやや大き目の地震が起こりましたので若干被害があったわけでございますが、その後、それを除きますと、伊豆東方沖で起こって おります地震は大体一年に一、二回群発地震を示すわけでございますが、幸い被害は余り起こっていないような状況でございます。
  58. 青木薪次

    青木薪次君 伊豆半島沖の地震といっても、大体群発地震は伊東市周辺ということが言えると思うんでありますが、三原山との非常に至近距離にある。マグマは一帯につながっているわけでありますから、この点については三原山噴火と伊豆の群発地震関係ありというように皆さんは言っているわけでありますが、専門的立場でどういうふうにおとりになっているか。
  59. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 地震学者あるいは火山学者の中にいろいろとその関連性について御議論があるようでございますが、群発地震活動が起こるとすぐ噴火に結びつく、そういう意味での非常に直接的な関係は、少なくともないというふうに私ども考えております。
  60. 青木薪次

    青木薪次君 昨年の暮れには三原山が再噴火したわけでありますが、現在比較的安定しておりますし、私どもも現地を視察いたしましたけれども、三原山噴火の現状についてはどんなふうに考えていますか。
  61. 山川宜男

    説明員山川宜男君) 三原山噴火につきましては、年に数回開催いたします火山噴火予知連絡会で、そのたびに伊豆大島部会という特別な部会も含めまして慎重に審議しているところでございますが、現在のところ、噴火予知連絡会の先生方の大多数の御意見は、一昨年の十一月のような大規模な噴火はまずないんではないか、しかし山頂付近の小噴火はこれからも若干起こる可能性があるんじゃないか、そういうのが先生方の大多数の御意見かと考えております。
  62. 青木薪次

    青木薪次君 今後の噴火を予測するために、起震車を使ってマグマだまりの探知が行われているというように聞いているわけでありますが、そのことについて説明をいただきたい。
  63. 高多康次

    説明員(高多康次君) この研究につきましては、科学技術振興調整費研究調査ということで、昭和六十二年度の緊急研究課題として実施をいたしたものでございますが、実施そのものはもう終了しておりますけれども調査の結果につきましてはデータを現在研究者が解析中でございまして、その結果がどうであったかということにつきましては、まだ私どもに報告が参っておりません。
  64. 青木薪次

    青木薪次君 時間が参りましたので終わるわけでありますが、あと、何といたしましても地震を事前に予知できるかどうかということにかかっている。それから地震が起きたら、そのために避難地避難路を中心といたしましてどれだけ被害を未然に最少に防ぐことができるかどうかということについては、これは科学的なデータとそれに基づく教育啓蒙、そしてまたふだんの地震防災といいますか、私も起震車の中へ乗って震度四とか五とか六とかというところを見たわけでありますが、大変な事態だと言わなければならぬと思います。  率直に申し上げまして、今の現状から、こういうものは来てみなければわからぬとか、あるいはまた実際に被害が起きてみなければ対策がなかなか打ち立てられないということでは、実は困るわけであります。しかも、一番やっぱり恐ろしいのは私は直下型だというように考えておりまして、今の現状の中では海溝性の地震から直下型の地震内陸部に入ってきている。しかし、それに対する予知は全く今皆無の状態であるというようなことであっては、非常に心配だということになろうかと思うのであります。  私たちは、木造建築の倒壊による被害、山崩れによる被害、落石、崩土による自動車の被害、津波による被害、出火延焼による被害、これらの被害を想定いたしまして、それに対する対策をひとつ完璧な調査の裏づけのもとにやっていただきたいということを強く要請いたし、大臣答弁をお伺いして私の質問を終わります。
  65. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘いただきましたこと、まことにごもっともなことだと思います。今の御意見を踏まえまして、これからも対応につきまして全きを期するように努力を続けていきたいと思います。
  66. 田代由紀男

    田代由紀男君 昨年、六十二年度は大変長雨がありました。長雨で日照時間は平均六時間という異常なもので、そのおかげでミカンなんかはまずいミカンの豊作でしたので、大変価格低下が続いて苦労しております。それから十二号台風でも、五島の台風被害その他被害が多かったわけであります。  そういう被害復旧も大体進んでおりますが、ことし六十三年度の長期見通しで、台風その他長雨、集中豪雨等の見通しはどうであるかというのをまずお聞きします。  それから次に、災害復旧は大体三年で全部済ますことになっておりますが、災害復旧の進捗状態は大変よろしいようでありますが、港湾、漁港、河川、砂防、耕地、そういうものについて、各部門の災害復旧の進捗状態並びに関連災害等の進捗状態がどうであるか。まず、その点をお聞きします。
  67. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 六十三年における災害の発生状況でございますが、まず冬の雪でございます。東北以北では平年を超える地域が見られましたが、北陸以西では少なく、総じて平年に比べ少雪暖冬の年であったということでございます。これらの影響もございまして、西日本の一部の地域で空気が乾燥し、林野火災が発生しております。  また、三月十八日には東京都の東部を震源とするマグニチュード六・〇の地震発生し、千葉、宇都宮等で震度四、東京、横浜等で震度三を記録いたしております。  以上のような状況でございますが、大きな被害については報告されておらない状況でございます。
  68. 佐々木賢一

    説明員佐々木賢一君) お答え申し上げます。  建設省所管の公共土木施設関係でございますが、六十一年度の発生災害でございます。決定工事費で四千九百九十五億円、また、六十二年災害につきましては四千四百四十六億円ということでございます。  これらの災害につきましては早期復旧を図るということで、三カ年以内に完了させるように予算の確保を行っております。特に六十三年度当初予算を確定していただいた段階で、その緊急性また施工能力等を勘案いたしまして、六十一年災については一〇〇%、六十二年災については八六%までの工事の進捗を図るということにしております。  以上でございます。
  69. 伊藤礼史

    政府委員(伊藤礼史君) 農林漁業関係の災害復旧事業について申し上げます。  いわゆる負担法と暫定法等に基づきまして、復旧事業に対して国が補助しているわけでございますが、御指摘の農地農業用施設、治山施設、漁港の災害復旧事業進捗状況につきましては、昭和六十三年度の予算におきまして、六十一年に発生した災害につきましてはすべてが完了するように措置するとともに、六十二年発生の災害につきましては農地農業用施設、治山施設、漁港のそれぞれについて事業量のおおむね九〇%を完了するように措置しているところでございます。  また、六十三年度の発生災害につきましても迅速に査定作業等を行いまして、早期復旧に努めてまいりたいと考えております。
  70. 桜井正憲

    説明員(桜井正憲君) 港湾関係でございますが、六十年災は約七十五億、六十一年災が四十八億、六十二年災が約百四十七億でございました。御指摘のように、一応三カ年をめどにして復旧しておりまして、六十年発生災につきましては、昨年度末までに全部完了し、六十一年につきましてもおおむね九九%、昨年度末で完了しております。なお、昨年の六十二年発生災につきましては、おおむね八三%の予算措置がなされております。  以上でございます。
  71. 田代由紀男

    田代由紀男君 けさ、私は県の河川課長に電話をして聞いたんですが、今報告がありましたように、河川でも八五%完成しておるのでお礼を言っ てくれと言っていました。大変これは進捗率がいいと思いますね。  そこで、それはそれで大変ありがたいことでありますが、去年は委員長のお供をして、浦田委員、私で熊本県の各河川を見て回ったわけですが、いわゆる熊本には一級河川が多うございまして球磨川、緑川、白川、菊池川、四本があります。四本の中で特に暴れ者は緑川の加勢川でありまして、加勢川の工事の進捗状態が依然として悪い。特に沿岸の嘉島町が毎年、常襲被害地域で水につかっておる。また、菊池川でも山鹿市それから菊鹿と鹿央町、こういうのが常襲地帯ですが、こういうものを何とかもっとスピードを速めて、常襲地帯がなくなるように早急に河川改修ができないものか。その点をお聞きします。
  72. 齊藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 御説明申し上げます。  今、先生指摘の河川でございますが、まず加勢川でございます。先生指摘のとおり、五十七年あるいは六十二年等で大きな災害を受けております。我々といたしましては、そういう災害にかんがみまして緊急的に改修をやろうということで、今鋭意努力をしておるところでございます。加勢川につきましては、現在のところ用地買収が大体四五%程度進んでおりまして、嘉島町については完成しております。さらに、その下流部にJRの橋があるわけでございますが、そこから下流についての用地買収をこれから鋭意進めていきたいというふうに考えておるところでございます。昭和七十年には何とかめどがつくようにということで努力をしておるところでございます。  それから次に、菊池川でございますが、菊池川についても五十七年七月の洪水によりまして大きな被害を受けております。今、菊池川につきましては下流部それから上流につきましてはかなりな工事が進捗しておりますが、中流部がそれらに比較いたしまして多少改修がおくれておるところでございます。  そこで、五十七年の七月の洪水の被害によりまして、いわゆる激特事業に採択いたしまして、事業費約二十八億円で六十一年度に激特分につきましては完了しております。引き続きまして、山鹿市等の中流部の改修をこれから鋭意進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。特に菊池川の支川の合志川でございますが、これにつきましてはかなりな進捗を見ておりまして、昭和六十二年度末で六八%程度の改修の進捗状況を示しております。これも昭和六十六年程度をめどにして、何とか形をつけたいということで努力をいたしておるところでございます。
  73. 田代由紀男

    田代由紀男君 ぜひ昭和七十年完成できるように、もっと一年ぐらい早く終えるように努力をしていただきたいと思います。  それから、私どもが回ってみて一番感謝を受けることは激特ですね、激特。今おっしゃった菊池川なんてそうですが、菊池川、白川の激特、これが大変喜ばれました。ただ、激特のフォローですね、これをもっとやってもらうと満点になりますので、その点もよろしくお願いいたします。  また、農林省につきましては排特、湛水防除、こういうものが地域から大変歓迎されておりますので、建設省の激特、農林省の排特、湛水防除、こういうものに力を入れてやっていただくようにお願いします。  次に、六十二年度の環境庁の白書があります。この中に「農地、森林等の管理主体が弱体化している地域がみられる。」「山村地域の過疎化、人口の高齢化、林業活動の停滞等に伴い、管理水準が低下している。」。もう一つ、「農地、森林等は、経済的価値を有するだけでなく、環境保全機能の面でも重要な役割を果しているため、今後、その多面的な機能を重視しつつ、適正な保全を図っていくことが望まれる。特に、森林については、国民の積極的な参加を得つつ保全していくことが重要になっている。」、こう環境庁がちゃんと言っているんですな。  ことし、農林省が白書の内容の相談に来たとき、環境庁さえこう言っておるのですから、もっと農林省は強くこういう点を主張すべきであると言ったわけですが、ことしは間に合いませんでした。  そういうことで、これは大臣にお願いするんですが、大臣は非常に日本の心を大事にして、そして日本国民の精神の健全なる育成ということをいつも言っていただいておって、大変ありがたく思っておりますが、その背景には健全な麗しい国土があるということが大事であります。それで国土の保全ということが災害復旧の終局の目的なんです。国土が保全されなくて、どうして立派な農業も林業も育つでしょう。また、国民もできないし、地域社会も育ってこないと思っております。  そういうときに自由化の問題が起きてきました。果樹の植栽面積が、かつては十七万町歩ありました。現在はだんだん減って十万七千町歩であります。ところが、ミカンというのは海岸の段々畑に多くつくられる。和歌山県なんかは水田が一万ヘクタール強でミカンの方が多いくらいですが、和歌山県、愛媛県、熊本県、長崎県、佐賀県、全部段々地にミカンがあります。これはミカンのほかにはもう何もつくるものがないわけですね。ミカンしか育たない。それで、自由化によってこのミカン山がなくなったら、十万ヘクタールの耕地が全部崩壊するわけです。それは国土の崩壊につながってくるわけであります。こういうところをよく考えていただきたい。  もう一つは畜産の問題ですが、畜産でも自由化によってだんだん停滞していきますと、堆肥が足りなくなる、堆肥が。肥料の堆肥ができなくなる。堆肥ができなくなると、水田もできないし、野菜もできないし、お茶屋さんの茶園等もできない。そういう関連をよくお考えいただきまして、大臣が閣僚会議の中心になって、自由化というものがどういうぐあいに国土の崩壊につながるか、そこをよく御研究をいただいて、農林大臣はもちろんでございますが、関係大臣にもお話しいただき、閣内統一の意見もつくっていただきたい。自由化というものは国土を滅ぼし、民族を滅ぼすのです。  私は、かつて農業新聞に、二週間ぐらい前に書いてありますが、「ミカン、畜産とも農家の生活そのものだ。自由化すれば国土の荒廃、農村の過疎化に通じる」ということを書いてありますが、そういうところ、ぜひ大臣のお力でそういう意識をかき立てていただきたい。自由化というものがどういう大きな被害を我が国に与えるかということの御認識と御発言をいただきたいと思います。大臣の所感をお願いいたします。
  74. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今御指摘になりましたように、かんきつの段々畑が国土の崩壊を防止するに大きな役割をしているということももっともでございます。水田はまた水田で、水の確保に大きな役割をしておりますし、あわせて環境を守る意味においても、大切な存在だと思っております。やはり、緑と水に恵まれましたこの国土を大切にしていくということが、基本的な国民の考えなければならない点だと思いますので、今御指摘いただきましたこともよく心して考えていかせていただきたいと思っております。
  75. 田代由紀男

    田代由紀男君 特に日本列島それから中国もそうでございますが、モンスーン地帯です。台風地帯でありますから、このモンスーン地帯の農業、林業それと畜産等につきましては——カリフォルニアなんかは一年に一週間しか雨が降らぬでかんがいできるんです。台風なんかないんです。そういうことで、モンスーン地帯の特性をお考えいただいて、今度の新ラウンドの中にも、モンスーン地帯の特性を考えて新ラウンドをつくるように私も要請してありまして、日本側の要求にそれは入れてもらいましたが、そういうところを考えていただいて、ぜひモンスーン地帯の国土をどうして守っていくかということを主張していただきたいと思います。  それからもう一つ、土地高騰と災害の問題です。  土地がだんだん上がってくると、海を埋め立てた方が手っ取り早い、金もうけができるものですから。港湾とか漁港の管理地域内の土地を埋め立 ててくれという要請が大変強うございます。私どもの郷里でもあります。これを見逃しておきますと、港湾、漁港の管理機能が阻害されますし、特に河川が流れ込んでいるところにおいては河川の排水断面もだんだん減ってきますし、もしそのところに集中豪雨が起きてきて、そして高潮があって、風速二十五メートルの風が吹いてくる、そういうことになりますと、もう大変なことです。そういうことをよくお考えになりまして、港湾の管理者、漁港の管理者、河川の管理者はよくその点を考えて今後の管理監督に当たっていただきたい。  特に、私がきのう聞いてみますと、港湾とか漁港には管理をするための特別な委員会がないわけです。国有林には、国有林を一町歩開発するにしても審議会があります。私も審議委員になったことがありますが、なかなか厳しい審議のもとに国有林の協議をいただきます。そういうことがないだけに、どうしてやるかというのを市会とか町村の議会に任せますと、そういうところには管理しようという意欲がない。意欲がないんですから、どうしても埋めて土地をつくって金もうけしたい、そっちの力が強くなってくる。それに対応するためには非常に強い管理者の意思能力が大事でありますから、その点をひとつ、ぜひもっと徹底して管理ができるようにお願いしたいと思います。各役所の所管の答弁をいただきます。
  76. 桜井正憲

    説明員(桜井正憲君) 確かに御指摘のように、埋め立てがさまざまな用途を目的に行われております。御指摘のとおり、防災面あるいは他の港の機能との調和というのは非常に重要な問題でございまして、従来から港湾計画を決定する際には、そういった配慮は適切に行われるべきだということでやってきております。また、御指摘の河口部の埋め立てもございまして、これは計画の段階から特に河川管理者等、関係機関とも十分調整しなさいよということで港湾管理者を指導しております。  ただ、こういった調整はかなり時間がかかるという面もございまして、そういった調整をできるだけ速やかにやるように、計画段階から調整をしろということも港湾管理者の方に申しておりまして、そういった観点から、遺漏のないような指導をしております。  以上でございます。
  77. 坂井淳

    説明員(坂井淳君) 私ども漁港を担当しておりますが、漁港関係ではそれほど大きい埋め立てはございませんけれども先生の御指摘のように、漁港を埋め立てする場合に、洪水、高潮あるいは漁船の利用に支障を生じないように十分技術的な配慮をして計画しておりますが、今後とも十分に留意して進めてまいりたいと思います。  それから、河川との調整ということでございますが、この点につきましても十分漁港管理者を指導してまいりたいと考えております。
  78. 齊藤尚久

    説明員(齋藤尚久君) 河川を管理する立場から御説明申し上げます。  河口部におきまして、港湾その他の埋め立てが行われることが多いわけでございますが、そのような場合には、法律等の規定に基づきまして関係の方々と協議調整を行ってきております。その際の基本的な考え方といたしましては、十分な技術的検討をいたしまして、埋め立て等によりまして洪水あるいは高潮に対する河川の機能が損なわれることのないように、埋め立ての法線であるとか、そういうものにつきまして調整を行っているところでございます。  今後とも、先生の御指摘は大変重要なことでございますので、十分調整が図られますように、出先機関あるいは都道府県等々を指導していきたいというふうに考えております。
  79. 田代由紀男

    田代由紀男君 今の御意見はよくわかりましたが、埋め立ての計画をつくるのは港湾課であり、漁港課です。漁港課や港湾課が埋め立ての計画をつくって、河川課と合議をするんですね。そうすると河川課は嫌とは言えないんです、つくってくると。そういうところが問題です。私もこの前、港湾課長が来て説明したから、あなたたち港湾課長というのは港湾の管理をする、港湾をなるべく広く深く保っていくのが港湾課長の任務だと。埋め立ての計画を持ってくるやつがあるかといってしかったんだけれども、河川課と合議してからお持ちしていると言う。しかし、でき上がってから合議しても、河川課長は嫌とは言えない。仲間同士だものな。そこのところが難しい。そうじゃないか、斎藤君。なあ、そこが難しいだろう。  そこのところを、初めから一緒になって計画して、どうであるかということを管理者の立場、また河川の立場からよく話し合ってからやらぬと、でき上がってからやりにくくなる。集中豪雨が来るわ、高潮はあるわ、台風は来るわ、そういうときにどうしますか。そういうことをよく考えてやってください。お願いしておきます。  次に、農林省の審議官が来ておられるから、ひとつお願いしておきますが、さっき大臣からお答えのありました自由化と国土保全の問題、このことをよく佐藤大臣にもお伝えいただきまして、そういう高い見地から自由化の阻止をやってくれるように大臣にもぜひお願いを申し上げます。  それから、次でありますが、土砂災害の問題です。土石流、地すべり、がけ崩れなどの土砂災害についてであります。  近年の災害による死者は全体的に減少してきたとはいえ、土砂災害は毎年のようにどこかで発生し、その犠牲者は後を絶ちません。例えば昭和五十一年七月の長崎豪雨や昭和五十八年七月の島根豪雨、昭和五十九年六月の熊本県五木村の梅雨前線による土砂災害、こういうものが最近でもあります。政府はこのような事態を重視し、このたび土砂災害対策推進要綱を定められたと聞いておりますが、この要綱を取りまとめるに当たりましての基本的な考え方、今後の土砂災害対策の進め方について国土庁にお尋ねいたします。
  80. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) ただいま御指摘のように、自然災害による死者は少なくなっておりますが、土砂災害による死者が大変にふえておる、過半数を占めるという状態になっております。また、災害も昭和五十七年から五年間、頻発をいたしております。  我が国は傾斜地が多く、世界的に見ても浸食が激しいという国土条件もございますが、特に土砂の移動流出は宿命的なものと言えるほどでございます。土砂災害から人命、財産を守ることは極めて重要な課題であるというふうに考えております。  御指摘のございました土砂災害対策推進要綱でございますが、このような状況に対処するため、関係省庁によります連絡会議及び学識経験者による懇談会を開催いたしまして、今後取り組むべき施策の基本方針を明らかにし、関係省庁一団となりまして、ハード、ソフト両面におきます総合的な対策を実施していこうというものでございまして、三月十五日に中央防災会議で決定をしたものでございます。  基本的な中身といたしましては三つございますが、まず一つが土砂災害の発生メカニズムを研究開発、調査すること。二つ目に砂防、治山等の国土保全事業により危険箇所を少なくすること。また、適切な誘導によりまして安全な土地利用を図ることが重要でございます。  さらに、これらの点につきましては、今までも関係省庁によってやってまいったわけでございますが、必ずしも十分だと言いにくい点もあるわけでございまして、対策に時間がかかり、膨大な経費を要するということでございました。当面におきましては、こういった施策をさらに積極的に推進したいということでございますが、さらに住民等に対する危険箇所の周知や観測体制整備、予警報体制整備等を行いまして、警戒避難体制整備を積極的に推進する。また、不幸にして一たん発災した場合には迅速、的確なる応急対策を実施をし、かつ災害復旧を早急に実施する、こういった施策を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  今後とも、関係省庁及び関係機関におきまして密接な連携、調整を行いまして、この推進要綱を 的確に実施されますよう努力をしていくつもりでございます。
  81. 田代由紀男

    田代由紀男君 土砂災害対策推進要綱に関連して、林野庁の方で六十三年度に新たに創設した山地災害危険地区を対象とした新規事業がありますが、その内容について御説明願います。
  82. 岡本敬三

    説明員(岡本敬三君) 林野庁といたしましては、山崩れなどによりまして人家とか公共施設、これらに被害を与えるおそれのある箇所を山地災害危険地区ということで把握をいたしております。約十七万カ所というふうに現在承知しておりますが、それらの山地災害を未然に防止するという意味からは、従来予防治山といいました治山事業ということで対応してきているわけでございます。六十三年度からは、新たにこういう危険地を対象といたしまして、再度災害防止のために緊急に対応する必要がある箇所につきまして、災害関連の山地災害危険地区対策事業というものを実施をいたすことといたしております。この事業は、市町村営の事業でございまして、国の補助率は二分の一ということになっております。  私ども、第七次の治山事業五カ年計画におきましても、こういう山地災害の危険地区の整備を重点課題といたしておりますので、これらの事業の推進によりまして、この危険地区対策に万全を期してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  83. 田代由紀男

    田代由紀男君 今の林野庁の事業も、これは災害復旧の予算の枠内でおやりになるんだそうですが、できたらこういう大事な事業でありますから、別に予算項目も設けてやれるようにさらに努力をいただきたいと思います。  それから、これは建設省も農林省も林野庁も一緒でありますが、さっきの土地高騰ともう一つ、これは関係があるんですね。土地高騰がやってきますと、だんだん安いところに宅地を求めていきますので、安いところといいますと今のような土砂崩壊の危険のあるところが多いですね。鹿児島のシラスの下とかが多いですが、そういうところもよく検討されまして、住宅を建ててはならないところは、建ててはならないという規制をぴしゃとやって、土地高騰により宅地がそういう危険地区に入り込まぬように、前もって予防していただくことが一番いいと思うんです。その点もちょっと新聞に出ておりましたから、さらに御検討いただいて、研究をいただくようにお願いします。  それから地震の話は、青本委員から大体話がありましたから、私は簡単に質問しますが、千葉県にこの委員会で現地調査に、今度の二十五日の月曜日に行きますが、南関東地域地震発生を非常にみんな懸念して、心配しておるわけですね。それで、これはこういうような状況にかんがみまして、政府におかれてもこの問題についていろいろな対策をやっていただいておりますが、大臣のこの点についての所信を表明していただきまして、みんなが心配せぬでもいいような大臣のお言葉をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  84. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 南関東地域は我が国の政治、経済、文化の中心でございますだけに、過去に経験しました関東大震災と同じ程度地震発生した場合には、広域かつ激甚な被害が予想されるわけでございますので、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の四都県等にわたる広域的かつ総合的な防災対策関係行政機関の密接な連携のもとに講じてまいる必要がございます。  このような観点から、国土庁におきましては南関東地域に大地震発生した場合の広域的かつ総合的な災害対策のあり方を検討いたしますとともに、広域的な被害想定を前提とした震災応急対策活動システムに関する調査関係省庁の協力を得て進めているところでございまして、早急に結論を得たいと考えております。また、首都圏地震防災への関心の高まりを踏まえまして、中央防災会議地震防災対策強化地域指定専門委員会を開催いたしまして、南関東地域における地震発生の切迫性、地震予知の見通し等につきまして専門家意見を聴取し、南関東地域の震災対策のあり方について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  85. 田代由紀男

    田代由紀男君 さらに、防災訓練等に対する参加者もだんだんふえてはおりますが、まだ徹底していない向きもありますから、そういう面についてもさらに徹底するようにお願いをしたいと思います。  また、桜島、阿蘇等の活火山対策でありますが、私も三回ぐらい現地に行きまして、なかなか対策が大変であるなと思って行きまして、建設省、林野庁ともによくやっていただいております。しかし昨年は桜島もああいう状態でありますし、阿蘇は幾らか鎮静化しておりますが、依然として降灰の被害等はひどうございますので、そういうものに対する対策を各方面で行って、さらに今後万全を期していただくようにお願いしたいと思います。その点について御答弁をお願いいたします。
  86. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 我が国の火山対策は、関係機関連携いたしまして、一つには噴火予知等に向けての観測研究体制整備強化の問題がございます。二つには活動火山対策特別措置法等に基づきます諸対策の実施がございます。これらを柱として推進させているところでございます。  今御指摘のありました桜島につきましては、活動火山対策特別措置法に基づく対策に加えまして、昭和五十九年十二月に桜島火山対策懇談会によりまして取りまとめられた提言がございますので、これを踏まえまして種々の措置が積極的に講じられているところでございます。これからも最善を尽くしていきたいと思います。
  87. 田代由紀男

    田代由紀男君 終わります。
  88. 片上公人

    ○片上公人君 建設省は現在、沖ノ鳥島の護岸工事を進めておりますが、私は昨年の十一月二十日の土地問題特別委員会で、この日本最南端の同島が水没の危機にあり、領土でなくなると周辺約四十万平方キロの漁業水域、海底資源を失うことになり、その重要性、緊急性を訴えました。  建設省は当初、六十三年度の概算要求のときは保全対策費として約五千万円を計上していたようでございますけれども、一週間後の二十六日には六十二年度の災害対策復旧事業として六十八億円を決定し、三年間計画で約三百億円で国土喪失に歯どめの工事が始まりましたが、現在までの鉄製の消波ブロック、作業基地の建設等の工事の進捗状況、また保全工事計画の概要を具体的に説明願います。
  89. 都丸徳治

    説明員都丸徳治君) 沖ノ鳥島の保全工事の概要ですけれども、全体といたしましては沖ノ鳥島の環礁内にあります二つの露岩の保全を図るということで、当該露岩を中心にいたしまして鉄製の消波ブロックにより、直径五十メートルで、これをドーナツ状に固めましてその内側をコンクリートで充てんすることとしております。この工事につきましては、昨年度は鉄製消波ブロック及び海上作業基地の製作を行いました。今年度、六十三年度ですけれども、これら鉄製消波ブロック及び海上作業基地の現地への設置工事を予定しております。  なお、この鋼製消波ブロックの設置工事でありますけれども、既に準備整いまして二十二日には出航することとしております。作業そのものは非常に単純な作業ではありますけれども、この工事はすべて海上、しかも日本から千七百キロも離れた海上で行いますので、二万トン級の作業船、作業収納船、それから資材を仮置きしたり人が居住したりと、このような機能を持った二万トン級の船二隻を初めとして総数で約二十隻ぐらいになるかと思いますけれども、それで現地に向かいます。到着後はヘリコプター二機及び起重機船を用いまして、鉄製の消波ブロックを逐次、先ほど申しましたドーナツ型の形に設置していく予定にしております。工期は一応十月末までの六カ月間を予定しております。
  90. 片上公人

    ○片上公人君 仲ノ鳥島の水没回避は、二百海里四方の漁業権、マンガン、ニッケル等海底資源の採取権が維持できることになりまして、その将来に対する効果は絶大でございます。この四月十四日には科学技術庁も同島に気象観測の拠点をつく り、活用を開始されたと聞いております。水没防止のための護岸工事の効果につきまして、同島の環境、現在の技術等から見ましてその見通しをどのように持っていらっしゃるのか、伺います。
  91. 都丸徳治

    説明員都丸徳治君) ただいま申しました保全工事ですけれども、私どもはこれを実施することによりまして沖ノ鳥島のただいま環礁内にあります二つの露岩につきましてはこれ以上の浸食は防止できると考えております。
  92. 片上公人

    ○片上公人君 災害という観点でございますので国土庁長官にお伺いいたします。  場所場所でございますので大変難しい工事と思われますけれども、政府の迅速な対応は一応評価されるところでございますが、数年前までは満水時でも四つか五つ、島が出ておったわけでございますから、事前に対応すべきであったのではないか。この護岸工事に関しまして、国土保全という立場から長官の御感想を伺います。
  93. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 国土を保全するということは国の基本的な責務だと思います。また御指摘の島には、かつては国の気象観測所もあったようでございます。重ねて、我が国が排他的経済水域を主張できる二百海里圏内を考えますと、一層重要性が加わってまいってきておりますので、この保全につきましては関係省庁とも協力しながら最善を尽くしていきたいと思います。
  94. 片上公人

    ○片上公人君 次に、東京を中心とする南関東地域地震対策について若干伺います。先ほど来御質問がございましたけれども、大変重要なことだと思いますので重ねて御質問申し上げます。  大規模地震によります災害防止という面から大規模地震対策特別措置法が五十三年に制定されまして、地震防災に関する対策を強化する地域地震防災対策強化地域指定し、地震対策が進められているわけでありますが、その強化地域は現在、いわゆる東海地震に関連した静岡県を中心とした地域指定されているだけでございます。  東海地震は、学問的にはもういつ地震発生してもおかしくない状況と言われておりますし、もとよりその対策は重要でございますが、南関東地域も関東大震災を初め、過去大規模地震の災害を受けておりまして、今、過去に経験したような地震が起きれば、その都市構造から見まして大変な被害が予想されます。  国土庁は南関東地域強化地域指定することを検討中と伝えられておりますけれども、早急に指定して対策を強化すべきであると思いますが、重ねてお伺いいたします。
  95. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 御指摘強化地域でございますが、「大規模地震発生するおそれが特に大きいと認められる地殻内において大規模地震発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災に関する対策を強化する必要がある地域」というふうに定められております。指定に当たりましては、中央防災会議に諮問するとともに、関係の都道府県知事、市町村長の意見を聞いて内閣総理大臣指定すると、こういうことになっておるわけでございます。  御指摘のように、東海地震につきましては昭和五十四年に指定をされております。それぞれ各般の施策が講ぜられているところでございます。  強化地域指定の見直しにつきましては、常に地震発生の切迫性及び地震予知の見通し、こういった面、それからさらに対象地域における諸般の社会情勢、被災の場合の大きさというようなものでございますが、こういったことを勘案しつつ常に検討すべきものであるというふうに考えております。  南関東地域につきましては、いろいろな懸念が言われているわけでございますけれども強化地域指定の要否につきましては、まず専門的な立場から検討をすべきであるということでございますので、近く中央防災会議専門委員会を開催いたしまして、地震発生の切迫性と地震予知の見通しを重点に御意見を伺うということにいたしているところでございます。
  96. 片上公人

    ○片上公人君 南関東地域では相模湾、房総沖あるいは東京直下型等いわゆる地震の巣があるようでございまして、関東大震災から六十五年を経過していますが、これらの地域における大規模地震の起きる可能性についてどう考えていらっしゃるか、気象庁にお伺いいたします。
  97. 窪田將

    説明員(窪田將君) 御説明いたします。  関東大地震海洋型の巨大地震でありましたが、南関東においては、これと同じ型の大規模地震は当分起こらないと考えております。
  98. 片上公人

    ○片上公人君 仮に関東大震災規模地震発生すれば、現在の東京を中心とする南関東地域における被災は、人口、産業等の密度から見ましても東海地震をはるかに超える大変なものが予想されます。したがって早急に強化地域指定するべきだと思いますが、国土庁は二、三年前にこの地域の被害想定調査を行ったと聞いておりますが、その結果はまだ公表されておりません。その内容を早急に公表すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
  99. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 御指摘のとおり、一都三県に大きな地震が参りました場合には非常に激甚な被害が生ずるであろうということが想定されるわけでございます。それぞれ一都三県におきましては、災害対策基本法に基づきます地域防災計画におきまして被害想定を行い、それぞれ対策を講じているところでございます。震災対策編というかなり立派な対策ができているわけでございます。  しかし、首都圏、一都三県を含みます東京を中心とします圏域は、我が国の政治、経済、文化の中心の区域でございまして、こういった観点から、国としても広域的ないろんな意味での対策を講ずるべきであるということで震災応急対策活動システム、これは一都三県の広域的災害に対応いたしまして、政府の関係省庁がどんなふうに対応したらいいかということをシステムとして研究しておるものでございまして、こういったことを調査を進めております。その前提となります一都三県の広域的な地域における被害の想定を前に行っておるということでございます。この被害想定は、このシステムの一環として実施しているものでございますので、システムはただいま鋭意検討をして早急に結論を得たいと思っておりますが、そのシステムと一緒に申し上げるべきものであるというふうに考えております。  なお、このシステムにつきましては、輸送、救護、医療、情報等の具体的な分野における対策につきまして、ただいま鋭意検討を行っているところでございます。
  100. 片上公人

    ○片上公人君 国土庁長官は、土地対策の元締めの大臣としまして政府関係機関の移転等を鋭意進めておられますけれども、なお、それを発展させて、遷都論の議論も大変活発になっております。  遷都論につきましては、その理由は種々挙げられておりますが、その一つとして、現在の東京は災害、特に地震に対して極めてもろいということを挙げる有力な意見がございます。防災面からの遷都について長官はどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  101. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京の過密を救うためにはいろいろな機能を分散させることが必要だということが指摘されておるわけでございますし、また、それのための施策もいろいろと講ぜられているところでございます。そういう意味合いにおきまして首都機能の一括移転もまさに問題であるわけでございます。しかし、他の問題とは違いまして、首都ということになりますと国民全体の課題でもございますので、やはり国民全体の論議が熟した上でないと結論を出すことはできないんじゃないかな、こう考えているところでございます。
  102. 片上公人

    ○片上公人君 東京が災害に対して大変にもろいということが危惧されている中で、東京には現在、大規模開発が構想されておりますけれども東京臨海部開発推進協議会が去る三月十八日に東京臨海部開発に関する基本方針を発表いたしました。そこで、臨海部開発における防災対策について伺います。  まず、臨海部副都心三百五十ヘクタール、晴海・ 豊洲埠頭地区二百ヘクタール、豊洲一から五丁目地区の百ヘクタール等、合わせて六百五十ヘクタールになりますが、これだけの地域にどのくらいの人々が就業し、居住するのか、その想定人口数を伺います。
  103. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいま臨海部の中で豊洲一丁目から五丁目の区域につきましては、まだ具体的な人口等の想定はいたしておりません。残りの五百五十ヘクタールにつきましては、就業人口で十七万から十九万人、居住人口といたしまして十一万から十三万人を想定しております。
  104. 片上公人

    ○片上公人君 臨海部の埋立地にそれだけの数の人々が生活するのでございますから、その開発におきましては高潮や地震等に対する防災対策を万全に行わなければならないと思います。  国土庁長官は、土地対策大臣であるとともに災害対策の責任者でもございますので、開発すなわちオフィスや住宅の供給促進も必要ではありますが、一方で災害の防止ということも、将来長く土地利用を固定する都市のあり方として、極めて重要に位置づけて対処するべきだと思いますが、長官のお考えを承りたいと思います。
  105. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京臨海部開発につきましては、埋立地の開発であることなどの地区特性を有しておりますので、液状化対策を含めた地盤の安全性、津波・高潮対策、建築物の安全対策、ライフライン施設の安全対策などの防災対策について、十分配慮した町づくりを行っていくことが非常に重要であると考えております。国土庁といたしましては、東京臨海部開発が防災対策にも十分配慮され、安全で災害に強い町づくりが進められるよう努めてまいる考えでございます。
  106. 片上公人

    ○片上公人君 臨海部の埋立地の開発は、そこが海であったために地盤の状態が非常に重要な問題になります。そこで、臨海部の開発におきまして建物と地盤関係についてお伺いいたします。  この臨海部開発地域には、最新の技術を導入したインテリジェントビルや超高層及び中高層住宅等、多くの高層建築物を建設する予定のようでございますが、もともと海であった埋立地に高層ビルを林立して建設いたしましても本当に地盤は大丈夫なのかという、こういう不安が国民にはあると思います。また、昭和三十九年の新潟地震以来注目されている地盤の液状化現象が、昨年十二月の千葉東方沖の地震で埋立地や地盤の弱いところで多発いたしました。臨海部開発地域に関東大地震クラスの地震がもし起きた場合、建造物やそこに住む人々の安全に重大な影響や被害が予想されると思います。この点についてどのように考えていらっしゃるか、説明願います。
  107. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 東京都臨海部につきまして、東京都を中心に今まで防災対策上の調査検討等を進めてまいりました。その結果によりますと、十三号地を中心といたします区域は埋め立てが他の埋立地と違いましてごみではございません、土砂をもって行っております。なお、埋め立て後十年もたっておりますので、かなりな程度、安定した地盤となっております。  なお、建物を建てます場合には、支持基盤でございます東京砂利層等に基礎を建てることが肝心でございますが、この砂利層が比較的、地盤面から二十五メーターないし三十メーターと東京におきましてはやや浅いところにあるという点からいたしまして、埋立地といたしましては地盤良好という結論になっているわけでございます。  ただ、埋立地にございます以上は、液状化現象とかあるいは高潮対策、このようなものが肝心でございますので、六十三年度以降も引き続き厳重に調査検討を進めてまいる所存でございます。
  108. 片上公人

    ○片上公人君 臨海部開発地域の居住人口が、先ほどの話でも十万を超える数字でございましたけれども、それだけの規模の宅地計画は、宅地の供給という観点からは大きな意味がありますけれども、このような地域には当然保育所や小学校、中学校また公共施設等も必要になり、一つの大きな地域社会の形成となります。基本方針をつくるに当たりまして、防災面においてどのような配慮をしてきたか、伺いたいと思います。
  109. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 東京都において六十三年三月二十九日に公表いたしました臨海部副都心の開発基本計画におきまして、特に防災面対策につきまして詳細なる計画の内容を記述しております。  簡単に御紹介申し上げますと、ただいまのような液状化についての配慮、特にこの地域が大震災のおそれのある地域であることを特に配慮いたしまして、具体的には液状化対策、高潮対策、それから建物の耐震構造、さらに加えまして、火災が発生した場合を想定いたしましての高層ビルにもたえ得る陸上消火活動、及び海上からのそれに対する支援消火活動。さらには、この地域東京地区の海における一大拠点となるということを考えまして、東京都全般を対象といたしました防災支援物資の揚陸等の施設、このようなものも想定いたしましたかなり詳細な計画を記述しておりますが、さらに続きまして、将来も重ねて検討することが必要であるということを考えておるわけでございます。
  110. 片上公人

    ○片上公人君 長官にお伺いいたしますが、長官は建設委員会の所信で臨海部開発等の大型プロジェクトの推進に取り組んでまいりたいと述べていらっしゃいますが、臨海部の開発は東京一極集中をさらに進めるものだとの批判のほかに、防災面からも多くの問題がございます。今取り上げました埋立地の地盤問題はその中の一面にすぎません。自然との調和、環境の保全措置もとらなければならないと思います。  ウオーターフロントという言葉が大変流行いたしておりますけれども東京湾というかけがえのない自然の保全ということにもこれは十分に配慮しながら、じっくりと時間をかけて検討して臨海部開発を行うべきものだと私は思いますが、長官の御意見を承りたいと思います。
  111. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 東京湾の利用の基本的な方向につきましては、一昨年六月に決定しました第四次首都圏基本計画におきまして位置づけしているところでございます。  東京地域は物流、産業、生活の各方面にわたり貴重な空間を提供し、また自然環境としてもかけがえのないものと認識しております。将来におきましても、貴重な内湾としての特質を活用しながら、適切な保全を図るとともに、首都圏における多様な要請にこたえるため秩序のある利用を進める必要があると考えております。  東京圏におきましては地価高騰、慢性化している住宅問題、全国的な中枢機能、世界都市機能のために必要な都市整備等に対する要請が強い状況にありますし、東京臨海部の未利用埋立地等の有効活用が求められているところでございます。このため東京臨海部につきましては、防災対策、環境保全等に配慮しながらその開発を進めていく必要があると考えているものでございます。
  112. 片上公人

    ○片上公人君 次に、土砂災害対策についてお伺いいたします。  まず、最近の土砂災害の発生状況、被害状況はどのようになっているか。また、自然災害に占める土砂災害の比率はどの程度なのか。そして近年、土砂災害が大変頻発している理由についてどう考えていらっしゃるかをお伺いいたします。
  113. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 最近における土砂災害の発生状況でございますが、五十七年七月には長崎等におきまして、豪雨が原因でございますが、死者、行方不明者二百五十九人、五十八年七月におきましては、島根県等におきまして豪雨により九十四人、五十九年の九月には長野県大滝村におきまして地震によりまして二十九人、昭和六十年の七月には長野県地附山におきまして豪雨により二十六人、昭和六十一年の七月には鹿児島において豪雨により十八人というふうに、毎年のように土砂災害における被害が発生し、大きな被害になっております。  また、自然災害のうちで土砂災害による死者、行方不明者数の割合でございますが、過去五年間では四割から八割というふうなことでございまして、極めて高い割合となっております。  このように土砂災害が頻発している理由でございますが、幾つか考えられるわけでございますが、まず、基本的に我が国は急峻な山地やがけ地が多いために危険箇所数が非常に多いということが第一でございます。また、都市化の拡大等によりまして山地、丘陵地の土地利用が増大しておりまして、今まで余り利用されていない山地やがけ地が利用されるようになっているということがございます。また、災害の特質といたしまして、予知が困難でございます。さらに局地的な集中豪雨というふうな現象でございますので、突発的に発生するというふうなことでございまして、避難が間に合わないなど対策になかなか難しい側面があるということがございます。  以上のような点が頻発している理由であろうかと思います。
  114. 片上公人

    ○片上公人君 土砂災害危険箇所の整備の現況はどうなっているか。建設省所管分、農林水産省所管分につきまして、それぞれ報告をお願いいたします。
  115. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 国土庁からまとめて申し上げますと、危険箇所の六十一年度末の整備状況でございます。  まず、建設省関係でございますが、整備率でございますが、土石流危険渓流で一六%、地すべり危険箇所で同じ一六%、急傾斜地崩壊危険箇所で一七%でございます。  また、農水省所管分の整備着手率でございますが、地すべり危険箇所で構造改善局関係が三七%、林野庁関係が五〇%でございます。また、山腹崩壊危険箇所では二五%、崩壊土砂流出危険箇所で三九%、このような状況でございます。
  116. 片上公人

    ○片上公人君 土石流危険渓流にしましても、急傾斜地崩壊の危険箇所にしましても、西日本に偏るいわゆる西高東低となっております。  私の地元の兵庫県におきましても、この三年間の土砂崩れ状況を見ましても六十年度で十五件、六十一年度で四件、六十二年度では七件と、この三年だけでも二十六件ございました。六十年、六十三年の養父郡関宮町、美方郡浜坂町のときは、規模は大きかったけれども、これは人災がありませんでしたが、六十一年の神戸市東灘区では死者一名、負傷者二名という人災まで起こりましたけれども、この西日本地域の持つ特殊性から見まして、その対応には力を十分入れるべきではないかと思いますが、御見解を伺います。
  117. 松下忠洋

    説明員(松下忠洋君) 砂防課長でございます。  御説明申し上げます。  土石流危険渓流でございますけれども、全国に約七万渓流がございます。それから急傾斜地崩壊危険箇所、いわゆるがけ崩れの危険箇所でございますけれども、約七万七千カ所を数えております。その分布は先生指摘のとおり、主に地形とか土地利用等の条件から西日本に多く分布している状況になっております。  整備に関しましては、危険箇所数であるとか、近年の災害の状況等を勘案して従来からも促進しているところでありますけれども、今後とも事業の重要性にかんがみまして、なお一層推進してまいりたいというふうに考えております。  なお、建設省におきましては、昭和五十八年度からの毎年六月を土砂災害防止月間というふうに決めまして、災害防止の意識の向上等に努めておりますけれども、本年度はその一環として阪神大水害五十年に当たりますので、神戸市におきましてこの土砂災害防止月間推進の集いの全国大会を開きまして、防災意識の高揚に努めたいというふうに考えております。今後とも、広く住民の方々に土砂災害に対する防災意識の普及に努めてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  118. 片上公人

    ○片上公人君 建設省でも本年度から第二次急傾斜地崩壊対策五カ年計画がスタートいたしますが、第一次五カ年計画の実績と第二次計画の概要について説明願います。
  119. 杉山俊宏

    説明員(杉山俊宏君) 御説明申し上げます。  いわゆる第一次の急傾斜地対策の五カ年でございますが、五十七年の七月の長崎災害等を契機にしましてできたものでございます。昭和五十八年から六十二年までの五カ年でございまして、総投資の規模は五千五百億でございます。ただ、その五カ年間は、公共事業に対する予算の面は大変厳しい面がございまして、その進捗状況は約八九%になっているわけでございます。  したがいまして、第一次の計画の目標が約二〇%でございますが、それに対しまして六十二年度末で約一八%という率になっておるわけでございます。  したがいまして、これらの状況から見まして、さらに事業の一層の計画的な推進を図るため、六十三年から五カ年計画を策定しておるところでございます。その投資規模でございますが、総投資八千億でございます。そのうち、いわゆる本体と呼びます急傾斜の事業でございますが五千億でございまして、災害関連地方単独千四百億、さらに調整費千六百億でございまして、整備率一八%を二五%に上げたいというふうに考えておるわけでございまして、先般、二月五日に閣議了解をちょうだいしたところでございます。  以上でございます。
  120. 片上公人

    ○片上公人君 昨年の八月三十一日に、総務庁から土砂災害を中心とした防災対策に関する行政監察結果が発表されましたけれども、それによりますと、五十六年から五年間に死傷者や家屋損壊などの土砂災害を出した現場のうちで四割は都道府県などが危険箇所として実態調査をしていない。しかも、そのうち四分の一は危険基準に該当するのに見逃されていた。また危険箇所と認定され調査の進んでいる場所でも、法律に基づく危険区域に指定されているのは約四分の一で、防災工事も全体の二割しか進んでいない、そういうことが指摘されております。  このようなことでは、せっかく計画をつくり予算を立てても一向に土砂災害の防止には役立たない、こう思いますが、どうなんでしょうか。
  121. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 昨年の防災対策に関する行政監察の結果、ただいま先生指摘のとおりの御指摘がございまして、また勧告も受けておるわけでございます。土砂災害危険箇所の実態把握につきまして不十分な点があるということでございます。体制や予算の関係で、基準に該当しておるのではないかと思われるところが、必ずしもまだ実態把握が十分でないという点があることは事実でございます。  また、危険箇所に関する法律の指定でございますが、これも今の危険箇所の把握と同じような面、あるいはまた法律の指定を土地の関係者が嫌うという面もございまして、なかなか指定が進まないということで、改善について勧告を受けたわけでございます。  この結果を踏まえまして、関係省庁におきまして危険箇所の調査、把握の充実、それから危険区域の法指定の促進、これを土砂災害対策推進要綱に基づきまして実施をするということで進めてまいる考えでございます。
  122. 片上公人

    ○片上公人君 先ほども御質問がございましたけれども、先般の三月十五日に中央防災会議で土砂災害対策推進要綱が決定されましたが、その要綱の基本的な考えをもう一度お伺いしたい。そして、総合的な土砂災害対策をどのように進めていこうとされておるのか、伺います。
  123. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 災害の状況につきましては、先ほどからお話しのとおりでございますが、土砂災害対策推進要綱はこのような状況に対処するために、関係します省庁におきます全省庁の連絡会議及びこの方面におきます学識経験者の懇談会、それぞれ意見をちょうだいいたしまして、今後取り組むべき施策の基本方針を明らかにしていこうという考え方で取りまとめたものでございます。ハード及びソフトの各般の施策を有機的に組み合わせ、総合的に推進する、こういう観点から中央防災会議で三月十五日に決定をさせていただいたわけでございます。  基本的な考え方といたしましては、まず基本的な面で三つございますが、土砂災害の発生メカニズム、これは大変難しいものでございますが、研 究開発、調査の推進。それから二番目には、砂防、治山等の国土保全事業によりまして危険箇所を減少させる。三番目には、安全な土地利用を誘導する。こういったことが重要でございまして、これまで関係省庁におきましてやってまいりましたものを、さらに推進してまいりたいということでございます。  また、これらの対策には、先ほどのお話にもございましたが、時間もかかり、膨大な経費を必要とするわけでございます。  当面の対策といたしまして、人命保護を第一義として、突発的な土砂災害の発生に的確に対応しなければならないということでございますので、住民等に対しまして危険箇所の周知や観測・予警報体制整備及び警戒避難体制整備を積極的に推進する。また災害発生時におきましては、迅速、的確なる応急対策、また一方、災害復旧の実施を図る。こういった点を中心とするものでございます。
  124. 片上公人

    ○片上公人君 今お話がございましたように、防災対策は施設整備などハードの面の対策とあわせまして、防災体制、情報システムなどのソフト面も大変重要だと思います。そのためには、がけ崩れなど危険性のある地域をやはり事前に公表して、日ごろから防災意識を高めるような工夫をする。そういう必要があるのではないかと思いますが、国土庁長官のお考えをお伺いして質問を終わります。
  125. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘のとおり、土砂災害の未然防止と被害の軽減のためには、治山、砂防事業の推進などハード面の対策とあわせまして、土砂災害危険箇所の周知徹底、防災意識の高揚、予警報の伝達、避難体制整備など、ソフト面の対策も含めた総合的な土砂災害対策を推進する必要がございます。  このたび取りまとめました土砂災害対策推進要綱も、このようなソフト面を重視しておりまして、今後、この要綱に基づき関係省庁との緊密な連携のもとに、地方公共団体や地域住民の協力を求めながら、総合的な土砂災害対策の推進にさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  126. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、災害遺児育英制度の問題について質問いたします。  昨日、災害遺児の高校進学をすすめる会が災害遺児奨学金制度を独自にスタートせざるを得なくなったことについて、総理を初め政府として財源措置も含めて四月一日実施に間に合うよう検討すると国会で答弁をしながら、制度の創設を引き延ばしてきたことはまことに遺憾であります。  そこで国土庁長官、内閣の一員として、こうした事態についての責任を問われておると思いますが、御所見はどうでしょうか。
  127. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私も何度か予算委員会等でこの問答を聞いておりまして、いまだに具体化していないことは残念に思っておる一人でございます。  予算委員会で総理がお答えをいたしましたとおり、昨年末の党首会談で示された問題点であることから、今後はさらに政党間の問題として検討を進めて、できるだけ早く結論を得ることと最後にはなってまいったと思っております。  私といたしましても、政党間で早く結論を出していただきますように期待しているところでございます。
  128. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 四月十三日のサンケイ新聞によりますと、政府としては補助金を出さず、日本船舶振興会や日本自転車振興会の出資に依存するという報道があります。また、四月十六日の毎日新聞には、自民党文教部会などで同様の方向を決めたとの報道もあります。政府の取りまとめ役としての内閣審議官にお尋ねをしますけれども、これらの報道は事実ですか。
  129. 藤田不二男

    説明員藤田不二男君) 御説明申し上げます。  災害遺児育英奨学金制度の問題につきましては昨年末の党首会談の後、総理の御指示によりまして私ども内政審議室におきまして検討を開始いたしました。その後、国会での御論議等を踏まえまして関係省庁でよく検討してきたところでございます。  災害遺児を対象といたします特別の育英制度を設けることにつきましては、他の原因、例えば父母の病死あるいは失業などでございますけれども、そういった他の原因によりまして経済的に進学が困難になった者との均衡という問題もございまして、慎重な対応が必要でありまするけれども、いずれにいたしましてもこの問題につきましては、昨年末の党首会談におきまして示された問題であるということから、今後さらに政党間の問題といたしまして検討を進めていくこととされたところでございます。私どもといたしましては政党間で早く結論を出していただくように期待しているところでございます。  なお、先生指摘のサンケイ新聞の記事等につきましては、私どもでは全く関知していないところでございます。
  130. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 同様に四月十三日のサンケイ新聞の記事で文部省に尋ねますが、日本育英会の奨学金の引き上げを検討していると報じられていますけれども、事実ですか。
  131. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 文部省来ておるのかな、文部省。
  132. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 来ていない……。  もう時間が空費できませんので進めますけれども、新聞に報道されておるそういう事実などについては関知しないと言いながら、とにかく政党間の相談を見守っていくと称して、総理を初めとして四月一日新学期に間に合うようにひとつ鋭意検討を進めていきたいという国会で公式の答弁をしながら、政党間の話し合いというのは、正式の国会の機関じゃない、我が党を除く非公式の機関である与野党協議なるもの。そこの進展を見守っていくという、こういうことは四月発足をさせるという約束を踏みにじるものじゃありませんか。大臣、どういうお考えでしょうか。まことに今日の事態は残念だと最初申されたけれども、どうでしょう。
  133. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いろんな経過があったように私なりに推測しているわけでございます。いろいろ問題を検討するにつれまして障害が出てきて、結果的には政党間の話し合いで決着をつけたら一番妥当ではなかろうかなという結論になったように、経過的に伺っているわけでございます。そういうことで、今も政党間の結論が早く出ることを期待しているというお答えもあり、私もまた、そう思っているところでございます。
  134. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とにかく、今次通常国会の本会議代表質問、それから予算委員会、二月一日から始まった、ここで我が党を含めまして各党がこの問題を取り上げてきておるわけですね。そして国会の場で正式に四月一日に間に合うようにと、例えばこれは二月一日に社会党の山口さんがやられた質問でありますけれども、ごく一部を引用するとすれば「ぜひこれは新学期に間に合うように精力的に詰めていただくことをお願いしたいと思います。いいですね。」と。そうすると例の浜幸さんが一言入れて、総理にわざわざ念を押されて、総理いいんですかとこう聞いて、内閣総理大臣「よくわかりました。」と。  こういう問答で国会の正式の場で確認してきたことを、何か今後の政党間の協議、これがどういうふうに進んでいくかという、そういうことですりかえがされたら、これは大変なことだと思うんです。何のために国会でああいう議論をやってきたのかということになるわけでありまして、これはやろうと思えば、補助金は初年度わずか五千万円ぐらいで済む問題であります。  そうして片一方、最初言いました災害遺児の高校進学をすすめる会、二億二千万円の善意の募金をもとにして、とにかく一日も早くやろうということで、もう事実上のスタートをさせようということで、これらの人たちがこういう努力をしておる。そのことを漫然と先へずるずると結論を引き延ばしていくというようなことは、これは政府として、繰り返し言うようですけれども、国会に約束をしてきたということからこれは許されないこ とだと思うんです。ぜひ国土庁長官として一日も早い制度の創設、しかも、さっき新聞の引用という形ですけれども、補助金を出しましょうと言っておった、これをやめるという方向でもし事が進んでおるとすれば重大でありますから、約束どおりに制度の創設のために国土庁長官としてひとつ努力をするということをやってもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  135. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) やれるのにかかわらずやらないのじゃなくて、いろんな矛盾がその過程で出てくるものでございますので苦慮しているというのが実態でございます。その結果が、一番最近の話としては政党間の話し合いで結論を出そうじゃないかというところに来ているわけでございます。国土庁は防災行政を担当しているわけでもございますし、また自然災害による被災者の救済を進める立場もあるわけでございますので、今後とも関係省庁と十分相談をしていきたいと思います。
  136. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なかなか簡単にできないので苦慮をしているのだというのであれば、なぜ予算委員会の場でああいう約束をされたのかということを逆に言いたくなるわけですね。だから、これは問題は私と大臣だけの問答で済まない問題だと思うんです、各党が本会議で予算委員会でいろいろ取り上げてきた問題ですから。例えば山口さんの発言とのかかわりでも、政府は一切びた一文出さぬ、船舶振興会や自転車振興会、こういうところの金だけに依存していくのだというようなことで承知なさるはずなかろうと思うので、委員長、この問題の結論についてはひとつ理事会でよく御協議をいただきたいと思います。お願いしておきます。
  137. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 佐藤君要望の件の取り扱いにつきましては、理事会で協議いたします。
  138. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、次は気象レーダーのエコーの問題について質問をいたします。  一月の二十六日、二十七日の両日にわたって、天気は快晴であったにもかかわらず、近畿地方から中部地方にかけて富士山レーダーに正体不明の映像があらわれた件でありますけれども気象庁、これは事実ですね。
  139. 佐野幸三

    説明員(佐野幸三君) お答えいたします。  先生の御指摘の原因不明のエコーでございますが、次のように観測しております。  一月二十六日十二時、富士山レーダーの定時観測におきまして大阪付近から東海、伊豆半島にかけまして帯状のエコーを観測しております。当日は先生指摘のとおり、降水エコーが発生するような気象状況ではございませんでしたので、この富士山レーダーを担当しております東京管区気象台から大阪管区あるいは名古屋地方気象台に、当時の天気状況あるいはエコーの状況等について照会をしております。その結果、これは降水に伴うエコーではないということを判断しております。その後、二十六日の十八時及び二十七日の十二時にも同じような場所に同じようなエコーを観測しております。これらにつきましても、当時の天気状況等から考えまして降水に伴うエコーじゃないと判断をしております。  以上でございます。
  140. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、自衛隊の訓練機がレーダー電波妨害のため使用する、いわゆるチャフでありますが、このアルミ箔の箔片を散布したものではないかという見方があります。気象庁、チャフの訓練によるアルミ箔の散布は気象観測上、また防災上重要な影響を受けると思いますが、見解はどうですか。
  141. 佐野幸三

    説明員(佐野幸三君) チャフについては、普通のエコーをレーダーで監視しておりますと、普通の自然現象、降水を伴うエコーとは様子が違いますので、監視をしていて、これは降水に伴わないエコーであるということを判断しております。
  142. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私が聞いているのは、そういうチャフという名のアルミ箔片の散布が行われると、気象観測上あるいは防災上に影響が出るんじゃないんですかということを聞いているんです。
  143. 佐野幸三

    説明員(佐野幸三君) お答えします。  そういったエコーは、そのまま処理いたしますと、要するに降水の実況監視の把握に誤りを生ずるということになります。したがいまして、今先ほど申し上げましたように十分監視をして、対処をしているということでございます。
  144. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで防衛庁に聞きます。  チャフの訓練を実施する場合、影響を受ける関係機関に事前連絡は行っているんですか。
  145. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 私どもチャフを散布する訓練を実施します際に、基本的には、影響を及ぼす可能性がある場合と申しますのは、チャフは先生御承知と思いますが、対象とする周波数によりましてその形状を変えて使用するものでございますので、対象とする周波数が異なります場合には、基本的にはその他のレーダーに対して、何といいましょうか、影響を与える可能性はないものですから、そういったケースは別でございますが、基本的に気象レーダーとか、あるいは航空路の監視レーダー等に近いものを対象として行うといったような場合には、まず第一に何といってもそういったものに影響を与えないような場所を選びます。それから風向き等を考慮して行うことが第一でございますが、それでも影響が考えられます場合には、当然そういった機関には連絡をしておるところでございます。
  146. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 どういう機関に連絡しているかと聞いているんですから、答えてください。
  147. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) これは気象庁関係では、東京管区の気象台の関係あるいは運輸省の航空交通管制部でございます。
  148. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、この問題の一月の二十六日、二十七日、このときにはチャフの訓練を実施をしていたのかどうか。実施していたとすれば、その場所、時間を明らかにしてください。
  149. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 一月の二十六、二十七日、いずれもチャフを散布する訓練は実施されておったわけでございますが、場所は四国沖の訓練空域と、それからもう一つは九州の北方の訓練空域でございまして、時間的なものといたしましては午前八時から九時、あるいは十一時から十一時半、午後一時半、午後二時から二時半といったようなことで二十六日は実施しております。二十七日につきましても、八時から九時、それから十一時十五分ごろから十一時半ごろまで。もう一つは二時から二時半ごろまで。  これは両方同時ではございませんが、それぞれの時間帯で九州北方、または四国沖を使いましてチャフを散布いたしました。
  150. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、そういう時刻並びに場所で行ったチャフの訓練ですけれども、その際、どの機関に事前連絡をしたんですか。気象庁には連絡をしたんですか。
  151. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) これは結論から申しますと、このときの訓練については事前連絡をしておりません。と申しますのは、これは戦闘機が自分の飛行機を、何といいましょうか、相手方の対空ミサイルによってねらわれているものからその戦闘機自身が身を守るためのチャフでございまして、その使用する周波数帯が気象レーダーとは基本的に全く異なるものでございますので、影響が生じるおそれはないということがあったためでございます。
  152. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんな勝手な理屈は通りません。前段で聞いたときには、チャフをやる場合には運輸省の航空管制部ですか、そこと東京管区気象台に連絡することにしている。こう言いながら、しかし一月の二十六、二十七日にやったあれについては、影響が出ないというふうに防衛庁が判断しているから連絡をする必要はないんだと。防衛庁の主観的な判断だけでそういうことがどんどんとまかり通ったら、一体どういうことになるんですか。  もう余り時間がありませんから、さらに話を進めるわけでありますけれども、昭和六十年の十二月、防衛庁は気象庁に対して、大規模なチャフ散布をする場合は、可能な限り事前に防衛庁側から気象庁側に電話連絡するとの口頭了解事項、こういうものがあります。これは気象庁の業務便覧の 中にちゃんと書いてある。そういうことがあるにもかかわらず、それさえやらないという形で事が秘密裏にどんどん進められておるということが今後ともますます続くということになれば、これは気象観測上、防災上ゆゆしいことになる。というので、私は、こういったチャフ訓練というものは日本の領空、領海ではもうやらないということ、そのことを厳重にこの席を通して防衛庁に要求をしておきたいと思います。  なお気象庁、富士山レーダーでは、やらなかったというふうに防衛庁言っておりますけれども、しからば富士山レーダーにエコーが出た原因については、今なお原因がはっきり決められないわけですね。その問題については、私はあいまいにしてはいかぬということで、ひとつ関係省庁とも協議、資料の突き合わせなどもやって、速やかに原因を確かめて報告をしてもらいたいというふうに気象庁に求めますが、どうですか。
  153. 佐野幸三

    説明員(佐野幸三君) 気象庁といたしましては、降水に伴うエコーじゃないということはわかっておりますが、原因については今調査中でございます。わかれば報告したいと思います。
  154. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 わかればといって、もう三カ月近くたっているわけでしょう、一月の二十六、二十七の事柄ですからね。そんなに長いこと長いこと原因不明のまま放置をされるということになったら、これまた大変なことですから、もう至急にこの原因究明を急いで国会に報告してくださいね。
  155. 佐野幸三

    説明員(佐野幸三君) 了解いたしました。
  156. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで最後に、舞鶴海洋気象台の気象観測船清風丸の代替船建造の問題についてでありますが、この清風丸は主として日本海海域を担当し、年間百九十日の観測航海というので、一般観測を初めとして波浪、霧、豪雪などの特別観測、定期海洋観測など貴重なデータを提供しております。日本海海域は格好の漁場であるとともに、冬季には季節風が強く、しばしば豪雪をもたらす。こういった点で清風丸の果たしている役割は大きいわけであります。  しかし片一方、昭和三十九年三月に建造されて既に二十三年が経過して、年々老朽化が進み、操縦性能が低下してきております。この清風丸の代替船建造の問題については、もう気象庁当局も把握をされているように、京都府を初め舞鶴市、宮津市、福知山市の各自治体、各県からも意見書などが寄せられている。また、漁業協同組合の関係からは、十分機能が発揮できる清風丸の代替船建造についての要望が続々と出されております。  函館の高風丸の代替船建造は、本年度で終了するわけであります。いよいよ次はこの舞鶴の清風丸という順番になってくるわけでありますけれども、ぜひとも六十四年度の概算要求に、本予算で予算化されるためには、まず概算要求にのせるということが必要かと思うので、そういう方向での努力気象庁としてやっていただきたいということと、奥野大臣も、防災に責任を持っておられます大臣として、気象庁の問題は管轄は運輸省かと思いますけれども、運輸大臣ともよく御相談の上、この日本海域の観測に万全が期せられるよう、ひとつ清風丸の代替問題について後押しを国土庁長官としてもお願いをしたいということで質問します。
  157. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今のお話、運輸大臣にもよく連絡しておきます。
  158. 里見穂

    説明員(里見穂君) 海洋観測船による海洋観測及び海上気象観測につきましては、陸上の観測、それから気象衛星の観測等とともに、日常の天気予報、海水象の予報、異常気象、気候変動対策等の気象業務に大変重要な役割を果たしております。  先生指摘のとおり、京都府議会、それから舞鶴市議会から意見書が提出されていることは承知しております。その内容につきましては、気象庁のその他の重点項目等を総合いたしまして検討してまいりたいと考えております。  なお、六十四年度の予算要求につきましては、作業を進めている段階でございますので、先ほど申し上げたとおり、総合的に今後検討してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  159. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  160. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 速記を起こして。
  161. 勝木健司

    ○勝木健司君 質問させていただきます。  長官も所信の中で述べられておりますが、我が国は地形的、自然的条件により災害を受けやすい国土となっております。しかしながら、我が国の今後の国土づくりに当たっては、四全総でも触れているように、「計画の基本的目標」の中の「国土計画の基本的課題」の三つのうちの一つに、「安全で質の高い国土環境の整備」というものが挙げられております。この点、長官も所信の中で言われておることでありますが、そこで、この四全総で言っている国民生活の安全性確保について奥野長官の認識はどうなのか、お聞きをしたいというふうに思います。
  162. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今御指摘いただきましたように、四全総の基本的課題の三つのうちの一つに「安全で質の高い国土環境の整備」を挙げているわけでございます。  四全総の実施につきましては、東京一極集中を是正し、多極分散型国土の形成を進めていきますために、地域の創意と工夫を基軸とした地域づくりを基本とし、その基盤となる交通、情報・通信体系の整備や、行政機関、事務所等の移転の促進、地域の発展のための拠点の整備等、幅広い観点から施策を講じていく考えでありますし、このために関係法案を国会で御審議いただいているところでございます。  防災対策の具体的内容といたしましては、国土保全の推進、安全に十分配慮した地域づくりと土地利用、大規模地震等広域的な災害への対応、火山災害対策、高度情報化に伴う安全対策の強化、交通の拡大に伴う安全性の確保、防災技術の研究などが挙げられておりまして、これらについて今後関係各省庁と協力して強力に推進していく考えでございます。
  163. 勝木健司

    ○勝木健司君 最近、東京及び東京近辺での地震が多発しております。  現在、東京には行政、経済、人口の集中が見られ、一度大規模地震災害が発生した場合は、その被害は甚大なものになると思われます。  そこで、この南関東地域における震災応急対策活動システムに関する調査の実施について、現在までの調査状況、計画の内容など、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。同僚議員も質問されておりますけれども、重ねてお伺いいたします。
  164. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 南関東地域に大規模地震発生した場合に対処するために、基本的には中央防災会議で大都市震災対策推進要綱を決定いたしまして、防災対策の基本を定め、防災業務計画、地域防災計画等によって対策を講じているところでございます。  しかしながら、さらに広域的な防災活動体制の充実を図る必要がございますので、現在、大都市地域を対象といたしまして震災応急対策活動システムに関する調査を実施しているところです。調査事項といたしましては情報の収集伝達、輸送活動、救護活動、医療活動などを取り上げまして、これらの応急活動対策の最適運用のあり方について関係省庁と検討を進めているところでございます。
  165. 勝木健司

    ○勝木健司君 また先月、三月十八日ですか、東京直下型地震というものが起きたところであります。幸い震源が深かったということで大きな被害は免れたわけでありますが、この直下型は事前予知が不可能だというふうに言われておりますが、非常にそういった意味で心もとないと言わざるを得ません。今のところ、予知できそうなのは東海大地震だけであり、そういった意味ではこの東京直下型の地震というものは突然発生する、襲ってくるというふうに思います。地震学者もいつ東京直下に大地震が起きてもおかしくないというふうに言われております。この点について政府はどのように認識をされ、考えられておるのか、お伺い をしたいと思います。
  166. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 首都圏の重要性は御指摘のとおりでございまして、ここに大地震が起きました場合の被害ははかり知れないものがございます。しかし、直下型地震につきましてはいろいろと研究開発部門で研究いたしているわけでございますが、予知は現在のところ不可能に近い状態である、こういうふうに言われておるわけでございます。  このような状況におきまして被害を最小限に食いとめるためには、地域防災計画等におきまして災害応急対策をきめ細かくやっていくより仕方がないという状況でございます。災害予防の観点からは避難地避難路整備、不燃化の推進といったような都市防災力を強化する、こういった施策を講ずべきでございます。また、広域的な防災活動体制の充実強化を図る必要がございます。こういった意味先ほど申し上げましたシステムもやっているわけでございまして、担当いたします関係都道府県、関係省庁と緊密な連絡をとりまして対策を講じていく必要があると考えております。
  167. 勝木健司

    ○勝木健司君 大きな被害はなかったとはいえ、住民の不安というものは大変大きかったように思います。東海道新幹線の徐行運転あるいは首都圏の交通網が寸断をされた、また電話や電気など、生活パイプラインが影響を受けたということは御承知のとおりであります。  東京直下型の地震予知できないかもしれませんけれども、もしこのような地震がある場合に、大変大きな被害になるということは予測できるのじゃないかというふうに思いますので、早急にそういう体制というものを整えていくべきだろうというふうに思います。  そういった意味で、今回の東京直下型の場合は、幸いですが早朝に起きたということでありまして、大半の人が寝ぼけ眼で、その場で揺れに任せ、茫然としておった。あるいは戸をあげたり身を伏せるなどという行動に出た人は二八%しかいなかったというふうに報道されております。しかも当時、火気は一二%の家庭で使っていたけれども地震と同時に消火したというのは、そのうちの七五%であったということで、過去のデータの最低の状況であるというふうに、東京消防庁が地震後百人の都民に行った電話のアンケートの結果が出ておるところであります。  そういった意味で、災害時の対応で一番大事なのは、やっぱり住民の地震に対する意識づけであろうというふうに思います。避難訓練、防災広報を通じての住民の意識づけ、また地震発生時の適切かつ迅速な情報提供と誘導など、防災体制の再点検をすることが必要だろうというふうに思います。それについてのお考えと、また対策等々がありましたらお伺いしたいと思います。
  168. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 直下型地震につきましては予知がしにくいということでございまして、御指摘のように、この間の地震は大変震源が深うございましたので被災に至らなかったということでございますが、浅ければどのような被害になるかということが非常に憂慮されるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、やはり御指摘もございましたように、この区域におきます住民がまず震災に対するおそれを正しく認識して、定めております震災時のマニュアルに基づきます行動をしていただくということが大事でございます。落ちついて火を消していただくとか、車に乗っているときの避難のあり方とかいろいろ定めてございますが、そういったものを周知徹底をいたしまして御理解をいただくとともに、そのとおり行動していただくということが必要でございますし、先ほど申し上げましたような、そういった総合的な防災体制を充実していくことがこれから重要な課題であるというふうに認識しております。
  169. 勝木健司

    ○勝木健司君 時間の関係で次に進ませていただきますが、自然災害の防止、軽減が国民的課題であるというのは常識であります。それが大切だということ。同時にまた、災害は世界のさまざまな地域でも起こっておるということでありまして、自然災害の防止、被害の軽減というものはやはり人類共通の悲願であるというふうに思います。  このような状況の中で、昨年の十二月にモロッコと共同提案いたしました国際防災旬年というものが第四十二回の国連総会で全会一致で採択されたところであります。  この国際防災旬年とはどのような構想なのかということと、また国連決議の趣旨の概要、及びこれに対する我が国の取り組みはどうなっておるのかということを説明いただきたいと思います。
  170. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) この構想は、今世紀最後の十年間に世界の自然災害を大幅に軽減しようという国際的な運動でございます。一九八七年の国連総会におきまして我が国とモロッコが主要提案国となりまして、九十三カ国により共同提案され、全会一致で決議されたものでございます。我が国は自然災害に見舞われやすい国土条件のもとに置かれており、災害対策について豊富な蓄積を有しておりますので、この構想には大いに寄与できるのではないかと考えられるわけでございます。  国内の体制といたしましては、国土庁が中心になりまして関係省庁から構成される国際防災旬年連絡会を開いております。この構想に対する動向についての情報交換を行っておりますとともに、我が国における取り組み方についてただいま検討を始めたところでございます。学界におかれましても、この問題については積極的に取り組んでいこうという動きが強いわけでございますので、日本学術会議の中にも国際防災旬年懇談会が設けられておりまして、学界のお立場で検討されております。  今後とも関係方面と密接な連絡をとりまして、十分な国際的運動になるように努力してまいりたいと思っております。
  171. 勝木健司

    ○勝木健司君 我が国の防災に対する国際的な取り組みの根拠をなすものとして、昨年の第百九回国会におきます国際緊急援助隊の派遣に関する法律が制定されたところであります。我が国の国際的地位は、今や非常に高いものとなってきているように思います。もし日本が外国での災害被害の復旧や防災に力をかさないといたしますれば、我が国の見識を疑われかねない状況であります。  そこで従来、とかく金は出すが人は出さないと各国から批判されていた日本の国際災害援助が、本格的に動き出し、国際国家日本としての責務を果たす上でも歓迎すべきものだというふうに思います。そういった意味で、国際緊急援助隊の派遣の仕組みはどのようになっているのか。また、最近の外国での災害における国際緊急援助活動の状況はどのようになっておるのかということで、派遣実績についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  172. 大島賢三

    説明員(大島賢三君) 御説明申し上げます。  国際協力の一環といたしまして、災害の場合の協力を一層積極的にやるべきであるという趣旨に基づきまして、ただいま御指摘のございました国際緊急援助隊の派遣に関する法律というものが昨年の九月に成立を見たわけでございます。援助隊の派遣の仕組みにつきましては、まず大規模な災害が発生しました場合に、その被災国政府あるいは国際機関、こういったようなところから人員の派遣要請がございました場合に、外務大臣はその派遣が適当であるというふうに認められる場合には、その派遣の具体的な要請の内容それから災害の種類、いろいろな要素を勘案いたしまして、関係行政機関と協議を行う。その協議の結果に基づきまして具体的な援助隊の編成を決める、こういうことになります。そういうことで決まりましたら、実際の援助隊の派遣業務は国際協力事業団が行うということになっております。  それから、現地におきます救助活動あるいは援助隊のさまざまな活動につきましては、被災国政府の機関あるいは外国の同様の援助隊のようなもの等とも密接な調整を図りながら活動を行う、大筋こういう仕組みになっております。  それから第二点の、最近の派遣の実績でございますが、六十一年度におきましては、ソロモン諸 島の台風の災害、あるいはカメルーンにございました火山のガス噴出の災害、それからエルサルバドルの地震災害、南太平洋のクック諸島におきます台風災害等、七つの災害に対しまして計四十二名の人員を派遣をいたし、あわせて医薬、医療品でございますとか、毛布、テント、あるいは浄水器等の機材を供与いたしております。  それから昨年、六十二年度につきましては、バングラデシュの洪水災害、ベネズエラにおきます洪水災害、ベトナムの台風災害、ブラジルの洪水災害等、九つの大きな災害がございまして、これに対しましても合わせて二十六名を派遣をいたし、同様機材の供与等を行いました。  法律が成立いたしました昨年九月以降について見ますと、さらにエチオピアの干ばつの被災民、それからごく最近ではビルマの大火災によります被害等ございまして、これらに対しましても人員を派遣し、あわせて医薬品等の機材を供与している。大体こういう実績になっております。
  173. 勝木健司

    ○勝木健司君 災害が発生した時点におきましては、一番求められているのはやっぱり復旧活動、医療活動、食糧の確保などであろうというふうに思います。これは国内でも海外でも同じだと考えます。  災害発生時の混乱している中に、科学者とかあるいは復旧に関係のない者が少々行っても、意味がないとは言わないまでも、受け入れ側としてどう思うかという点もあろうかというふうに思います。いろいろな新聞等々でも報道されておりましたように、この内容を見てみますと、果たして本当にこれで十分なのかというふうに思わざるを得ないわけであります。  災害復旧には重機械を購入して、搬入して復旧を助ける。あるいは食糧の確保を図るため、そしてそのためには大型輸送機や訓練された大量の人員というものが動員されるべきであるというふうに思います。日本国内でも、災害というと自衛隊の協力というものを求めて、人命救助や復旧活動に当たっております。災害復旧において自衛隊の果たす役割というものは極めて大きいように思います。  ところが、海外の、それも大災害で苦しんでいる人を助けるのに何ゆえ自衛隊の持てる力を使えないのか。これまで行ってきた緊急援助は医療班や調整班という小規模なものでありまして、あとは金で済ませておるように思われます。確かに援助金も重要でありますが、より大切なのは速やかな復旧活動を行っていく点にあろうかというふうに思います。    〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕  そこで、長官にお伺いいたします。このために我が党は、現在の国際援助隊というものを救難工事の能力も持つ、強力かつ実効性のあるものとするため、自衛隊の一部も加えた総合的な編成として常設のものとするよう主張しておるわけでありますが、そういった意味で、国内の安全だけが確保されればそれでよしとするのか、それともグローバルに国際的に安全を保持するべく、この程度の協力は日本も行ってしかるべきであると考えるかであろうかというふうに思います。政治家奥野先生として、この点、すなわち援助隊に対する自衛隊の参加の必要性についての御答弁をお聞かせをいただきたいと思います。政治家としての見識というものがありましたらお示しいただきたいというふうに思います。
  174. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今お話がございましたように、国際緊急援助隊の派遣につきましては自衛隊を対象にしておりません。当時、自衛隊の参加が得られなければ適切な国際緊急援助活動を行い得ないような事態は当面考えられないと判断したためだと、こう言われているわけであります。  しかし、私の個人的な見解でございますけれども、自衛隊の災害派遣の制度があるわけでございます。また、災害に際して対応する経験は多分に持っておるわけでございまして、最も私は災害に対する対処の能力を備えているものじゃないだろうかなと思っているわけでございます。同時に、今の日本は国際協力で実績を上げていくことじゃないだろうか。やっぱり災害援助の場合に実績を積んでいる自衛隊が参加すれば、私は協力の実績がうんと上がるんじゃないだろうかな。そのことを通じて、私は日本は国際的にも評価される存在になるんじゃないかな、こういうことを考えますと、早く自衛隊についての考え方が国内で熟してきて、自衛隊法をこういう問題で改正するからといって混乱が起きないような時代を迎えたいなと、こんな希望を強く持っている一人でございます。
  175. 勝木健司

    ○勝木健司君 ありがとうございました。終わります。
  176. 秋山肇

    ○秋山肇君 昨年の十二月に千葉県東方沖地震があり、また、ことしの三月十八日未明に東京直下型の地震があったわけですが、まず大臣にちょっとお伺いしたいんです。遷都論その他いろいろ出て、大臣ともいろいろ意見を交わしたことが予算委員会でございますけれども、まず東京というのは地盤的に言ってしっかりしたところであるのかないのかということを、御専門でなくて、大臣のお考えとして、私も素人ですから。  先ほどのお話の湾岸構想、臨海都市の問題なんかで、埋立地は十五メーターか三十メーターのところに砂利層支持基盤があるという建設省からの答弁が出ていたようですけれども、そういうことを含めまして、後ほど質問していきますけれども、まず第一に高層ビルが建っている東京というのが、果たして大都市の基盤層としてしっかりしたところであるかどうか。その点、大臣のお考えを最初にお聞きをしたいと思います。    〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕
  177. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御指摘いただきましたように全くの素人でございます。しかし、地盤のいいところもあるし悪いところもあるというお話は伺っております。幸いにしてだんだん科学的な技術が発展してきておりますので、東京はそれなりに発展していくだけの基盤を持っておったということになるんじゃないかな、こう思っておるところでございます。
  178. 秋山肇

    ○秋山肇君 そうしますと、基盤層としては東京というのは高層ビルが建っていっても大丈夫だという御認識でよろしゅうございますね。
  179. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) そう思っております。
  180. 秋山肇

    ○秋山肇君 現在、そういうことで東京というのが国際都市東京ということで高層ビルが建ってきておるわけでして、そして高度情報化社会として発展しているわけでありますし、その情報伝達機能は電話だけではなくて、ファクシミリであるとかパソコン通信等の発達により、ここ数年で飛躍的に進んできておるわけでございます。従来は民間企業中心に情報化が進められてきたわけですが、最近では建設省のインテリジェントシティー構想、通産省の情報化未来都市構想、郵政省のテレトピア構想等、いろいろな情報化構想が各省庁から打ち出されていると伺っております。  高度情報化社会ではインテリジェントビルがますますふえると思うのですが、このインテリジェントビルの概念といいますか、定義はどういうことなのか、お伺いしたいと思います。
  181. 立石真

    説明員(立石真君) 先生指摘のとおり、高度情報化社会の進展につれまして、今後インテリジェントビルが非常に増加していくというように考えております。このインテリジェントビルの定義でございますけれども、確たる定義という形にはまだ確立しておりませんが、一般に言われておりますところでは高度な情報処理、通信機能と、快適、良好な執務環境を兼ね備えたオフィスビルであるというように考えておりまして、具体的には四つございます。  第一点は、コンピューターとかワープロなどの高度な事務処理機器とかシステムを高度に利用できるように、いわゆるオフィスオートメーションと言っておりますが、こういうものに対応できるようにしていること。第二番目にはエアコン、照明設備、防災設備などの自動制御が図られておりまして、建築設備の高度化、いわゆるビルディングオートメーションと言っておりますが、そういうものが進んでいること。第三点は高速で大容量 の通信装置、ファクシミリなどの文字、図形等の伝送装置、いわゆる高度情報通信機能と言っておりますが、そういうものへの対応が進んでいること。そして第四は、そこで働く人々にとって快適なオフィス空間が確保されるようにしていること。  こういうような四つの要素を総合的に実現しているものをインテリジェントビルと言うというように私たち考えております。
  182. 秋山肇

    ○秋山肇君 四月十九日の新聞に、都心にまたのっぽ情報化ビルというような記事が出ておりますし、そういうことでこれからの都市のあり方を考えた場合に、いろいろな高度の情報機能を備えたビルの需要がますますふえていくんだと思うんです。  そこで、建設省にお尋ねをもう一回いたしますが、この高度情報化社会というのは大変機能的である反面、逆に災害に対してはもろいという側面もあるというふうに思います。といいますのは、この情報化社会は人や物、情報の高密度な集積が見られ、電力、ガス、水道等の依存度が高くなるわけであります。また電話による情報伝達や金融、流通等における広域情報ネットワーク等が発達しているため、一度災害によって被害を受けると、その影響がかなり広範囲に波及すると思っております。事実、世界の金融情報センターの役割を果たしている東京が災害により、経済活動がストップでもすれば、その影響はすぐさま世界じゅうに広がると思います。  もし災害に遭った場合、最小限度の被害にとどめるようにしなければならないと思います。そのために建設省としては、ビルの防災対策の面からどのような対策といいますか、指導をされているか、お伺いしたいと思います。
  183. 山中保教

    説明員(山中保教君) 建築物の防災対策につきましては、建築基準法令に基づきまして建築物の用途でございますとか規模に応じまして、災害時に建物が倒壊しないように構造制限をいたしますとか、あるいは火災が拡大しないように防火区画を設けますとか、あるいは避難路を確保いたしますために階段の位置とか構造制限をいたしております。さらに煙対策として、排煙設備等の設置などを最低の基準といたしまして義務づけております。  さらに、今先生がお話しございましたビルでございますけれども、社会的に重要なコンピューターシステムとか、あるいは情報通信システムが設置されております建物につきましては、災害時におきましてもその機能を維持することが望ましいというふうに考えておりまして、このため建設省では、昭和六十一年五月でございますけれども、「コンピュータシステム・情報通信システムを設置する建築物に係る安全対策基準」という設計指針を定めまして、この基準の中では、例えば大震災に対しても構造耐力上支障を生ずることがないよう、法令の最低基準を超えますような耐震設計をいたします建築物にいたしますとか、あるいはコンピューター室などは独立的な防火防煙の区画を設けますとか、あるいは電源設備につきましては二重系統にいたしますとかいった耐震防火措置を講ずるような設計指針といたしております。  これを地方公共団体やあるいは建築士会等の関係団体に通知いたしまして、これらの建築物の安全性の向上を図っているところでございます。
  184. 秋山肇

    ○秋山肇君 災害があった場合、今のお話でよくわかるんですが、一次災害はそれほど大きくなくとも被害の対象範囲が時間とともに拡大していくという二次災害、三次災害を引き起こす可能性があります。例えば昭和六十一年三月二十三日に首都圏で大雪が降りましてかなりの被害が出ました。このときは車のスリップ事故等はもちろんあったわけですけれども、それ以上に送電線の鉄塔倒壊による停電の被害、さらには停電したことにより浄水場のポンプが停止し、それによる断水が被害の範囲を拡大したとも言われております。  また、六十一年八月の台風十号によりまして大雨があったわけですが、このときに福島県にある郡山工業団地でもかなりの被害が出たわけですが、その後の復旧ぐあいを見てみますと、精密機械を導入し省力化を図っていた企業ほど、OA機器や生産設備が水浸しになり、企業活動を再開するまでに時間がかかる。人手の依存度が高かった企業の再開がむしろ早かったということも聞いております。  このように、情報化社会においては一次災害から二次、三次災害に波及するいわゆる災害連鎖に対する防災対策が必要であると考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  185. 三木克彦

    政府委員三木克彦君) 情報化社会におきましては、ただいま御指摘のとおり、一次災害を契機といたしまして二次災害、三次災害が起きまして、いわゆる災害連鎖という状況が起きることが指摘されております。御指摘のありました二つの事象はそのとおりであろうと思います。  この関係でございますが、高密になった社会におきましてはそれなりの特別な防災対策を講ずる必要があるというふうに考えられるわけでございます。これはそれぞれの連鎖の状況に対応いたしましていろいろな対策があるわけでございますが、まずライフラインの関係につきましては、多重化する。安全化する。情報システムにつきましては多重化、分散化、こういったふうなそれぞれの機能に応じました対策を講ずる必要があるというふうに考えられますし、なお基本的には構造物の不燃化、耐震化、そういったことを通じまして安全度を向上させるということが必要であろうかと思います。  これからは、それぞれの管理を担当される方が自分自身の安全策として考えられるべきものと基本的には考えられますが、社会全体に対する影響が大きゅうございますので、そういったものについてのバックアップの考え方は関係省庁と相談しながら進めていかなければならないというふうに考えております。
  186. 秋山肇

    ○秋山肇君 ここに太陽工業の会長の能村さんがサンケイ新聞で対談しているんですが、今のお話で、「何事も人柱が必要」だと。人柱、古い言葉ですが、瀬戸大橋にしてもこれは紫雲丸事故があったからだ、青函トンネルは洞爺丸事件があった。  この能村さんが言われるのは、今三木さんが言っていましたけれども自分で考えなきゃいけないということからすると、この人は戦後事業を継承したときに台風によって水をかぶってしまって、大阪でしょう、太陽工業は。そして全滅をしてしまったという苦い経験があるんで、必ず高いところの地盤のいいところに工場等を移しているということなんですね。そういうことからすると、今の郡山の工業団地等も、こういう団地を造成するときに、特に今いろんなOA機器が入った、工場生産にしても工業団地にしてもいろいろと出てくるわけでしょう。ですから、それを民間ということだけじゃなくて、やはりそういう見地から考えていくべきだろうというふうに思うんです。  さっき大臣地盤はどうですかと、お互いに素人同士ですけれどもと言ったんですが、ここに能村さんも言っているんですが、東京は関東ローム層の十メーターの上にあるから地盤が余りよくないとこの人は言っているんですけれども、私はそうじゃなくて、その下に砂利層があるから東京というのは大丈夫だなというふうに思っていますが。そういう点について民間が考えるのも当然ですが、まず行政としてその辺も十分考えていく必要があるというふうに思うんですけれども、先に人柱で、東京が全部焼けてしまった、地震で壊滅をしてしまってもう一回つくりかえるというのは、これは一番簡単なことかもしれませんが、その点について大臣、もう一度お考えをお聞きしたいと思います。
  187. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 人柱とおっしゃいましたので、私もなるほどそういうことかなと考えましたのは、昭和五十九年に世田谷の洞道内のNTTの電話線ケーブルの火災がございました。あれからNTTもバイパスをつくりましたり、あるいは環状の、ループを考えて、こちらがだめならこっちから回ろうと考えてみたり、あるいは交換設備を郊外に重ねてつくったり、いろんなことをや っているようでございますが、やっぱりそういう意味で国土づくりにおきましても、国際的な機能を果たすところを東京だけじゃなしに大阪その他にも持っていこう。  今、東京湾の臨海部でテレポートを考えているわけでございますけれども、ほかにもテレポートも設けて宇宙衛星との連絡も十分とれるようにして、通信機能を災害に当たっても失わないようにしようとか考えていかなきゃならぬと思います。まさに多極分散型の国土づくりは秋山さんがおっしゃったような意味合いにも役立つんじゃないだろうかな、こう思っているところでございます。安全の面についてはこれからも一層留意していきたいと思います。
  188. 秋山肇

    ○秋山肇君 そういうことで、一度災害でストップする、今大臣のお話の中にありました世田谷のあの電話局の事件なんというのはまさにそのとおりなんですが、これだけ集中して設備投資をしたものがもしストップしたらば、これに対しての今度は損害といいますか、被害といいますか、それぞれの受ける額というのは大変なものだろうというふうに思うわけですね。  ですから、その復旧ということやストップした被害の額を考えれば、今のお話にありましたような電話回線のバイパス化だとかいろいろな問題は、ぜひ事前にやっておかなければならないことなんですが、ともすると、残念ながら日本というのは人柱的な、どうも一度そういうことが出ないと実施をしないという傾向にあるので、ほかに私も関連した質問を用意してはおりましたけれども、ぜひひとつそういう意味で、防災ということで都民の一人一人、先ほど勝木先生質問にもありましたけれども、防災意識の認識を深める。  同時に行政指導として、ましてこういうときですから、お金に余裕のあるときに、その辺は大臣からぜひひとつ行政指導をお願い申し上げたいと思うんですが、大臣のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  189. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 今の御意見に沿って努力をしていきたいと思います。
  190. 梶原敬義

    委員長梶原敬義君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会