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1988-05-17 第112回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十七日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      上杉 光弘君     堀内 俊夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  内海 英男君    政府委員        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十三日、上杉光弘君が委員を辞任され、その補欠として堀内俊夫君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) この際、内海国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。内海国土庁長官
  4. 内海英男

    国務大臣内海英男君) このたび国土庁長官を拝命いたしました内海英男でございます。  国土庁の使命は、豊かで住みよい国づくり地域づくりに邁進していくことであると考えております。私は、奥野前国土庁長官国土政策を引き継ぐとともに、かつそれを発展させるべく尽力してまいる所存でございます。  委員長を初め委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。  どうぞよろしくお願いを申し上げます。     ─────────────
  5. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回、本案の趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 赤桐操

    赤桐操君 私は、この法案につきましては賛成の立場に立つものでございますが、将来いろいろこれにかかわる問題があるように思いますので、以下若干ただしておきたいと思うわけであります。  まず最初に、区画整理は、公共施設住宅用地を同時に整備する手法として、良好な市街地形成宅地の供給に今日まで大きな役割を果たしてきたと思うのでありますが、これまでの事業実績についてどのようになっているか、まず伺っておきたいと思います。
  7. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 区画整理事業は、昭和六十二年度末までに全国完了をしましたのは約六千八百七十地区で、面積で約二十四万ヘクタールでございます。以上は完了でございまして、それに現在施行中といいますか、事業中のものは約千七百地区で、約七万八千ヘクタールでございます。完了地区面積事業中の面積事業中の面積の方の二分の一が概成しているということで、これを合わせますと合計で面積が二十八万ヘクタールが一応整備済みというふうになるわけでございます。  この二十八万ヘクタールでございますけれども、中身で見ますと、DIDの約一六%が区画整理でやったという勘定になります。それからDID外市街化区域内等でございますけれども、そういうところで約一七%が区画整理でなされているというふうなことになります。  なお最近十カ年間の五十三年度から六十二年度までの状況をちょっと補足さしていただきますと、最近十カ年間で新たに着工した事業について見ますと、土地区画整理組合等民間主体による事業が約千六百五十地区で、三万一千ヘクタール、地方公共団体等公的機関による事業が約五百三十地区、約二万五千ヘクタールとなっております。合わせまして十年間で二千百八十地区、五万七千ヘクタールとなります。これは年平均で見ますと、二百十七地区で五千七百へクタール程度事業が行われているというふうに見ていただきたいと思います。
  8. 赤桐操

    赤桐操君 将来における市街地の予想として、昭和八十五年を目標としていろいろ建設省事業計画をしておられるようでありますが、その時点における市街地面積に対して区画整理事業を含めて面的に整備を要する面積をどの程度に見ておられるのか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
  9. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 二十一世紀初頭には、市街地面積が百七十万ヘクタール程度考えております。そこで、今都市局長からお答えいたしましたように、ただいま区画整理ででき上がっておるのが約二十八万ヘクタール、あと三十数万ヘクタール、三十五、六万ヘクタールを土地区画整理によって整備していこう、こういうふうに考えておる次第であります。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 将来必要となる市街地面積が、大臣あるいはまた局長から御説明をいただいておるわけでありますが、面的整備が必要な市街地整備についてはこれからどういうような段取りといいますか、プログラムを持って進めていくのか。特に市街地整備というのはいろいろな手法があると思うのでありますが、これらの点も含めて明らかにしていただきたいと思います。
  11. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 今大臣からお話がございましたように、二十一世紀の初頭、大体八十五 年ぐらいをめどに、私どもとしては、建設省長期構想等あるいは四全総等のマクロの数字から推しまして、大体八十五年くらいに百七十万ヘクタールぐらいの将来市街地を予想して、まずそれをベースにしているわけでございます。その百七十万の中で、現在——現在というのは昭和六十年度現在でございますけれども、現在、市街化区域になっているところと、線引きはしていないけれども用途地域が定まっているところというのが約百六十六万ヘクタールあるわけでございます。そうしますとその残りの分が、新たに市街化区域等に編入されるべき区域というのが四万二千ヘクタールぐらいを考えているわけでございます。  そこで問題は、現在市街地の百六十六万ヘクタールでございますけれども、その内訳は大きく分けまして、いわゆるDID既成市街地の中のDIDになっているものが百六十六万のうち百五万ヘクタールあると考えておるわけでございます。これは統計上DIDは百六万ヘクタールでございます。それとDID外のいわゆる、市街化区域等になっていますけれどもDIDになっていないというところが六十万ヘクタールぐらいあるわけでございます。  この既成市街地の百六万ヘクタールの中で、先生指摘の既に面的整備完了している地域というのは三十万ヘクタールぐらいでございます。残りのところは面的整備ができておりませんので、そこのところをできるだけ面的整備をしなきゃならぬという課題が一つございます。それから、既成市街地外のところで面的整備が既に終了したのが約十八万ヘクタールでございます。残りのところを面的整備しなければならない。それから、新たに市街化区域へ入ってくるところで面的整備が終わっているのは千七百ヘクタールしかございませんので、その残り部分面的整備をしなきゃならぬということになります。  そこで、その残り部分の中で、既に面的整備を終わった残り部分はできるだけ面的整備をしたいと考えておるわけでございますけれども、今までの状況それからこれからのことも考えましても、全部が全部面的整備はなかなかできないというのが実情でございます。したがいまして、その残された部分の中で面的整備を五十七万ヘクタール程度していこうと考えておるわけでございます。そのうち、先ほど大臣が申し上げましたように五十七万のうち三十六万を区画整理でやりたいというふうに考えておるわけでございます。区画整理以外の面的整備と申しますと、先生承知のように、再開発事業とかそれから開発許可による民間事業とかいろいろ事業があるわけでございますけれども面的整備をそういう形で進めていきたい。  ところが、面的整備を進めていきましてもまだ面的整備が終わらない部分がたくさん残るわけでございます。これは私ども個別整備地区と申しておるわけでございますけれども、できるだけそういう地区計画的に市街化され、あるいは計画的に市街地の再編成がなされるように、個別整備地区につきましては街路整備とか公園整備インフラ整備をするとともに、できるだけ地区計画をかけてまいりたい、要するに計画誘導をしてまいりたい。それから、過日今国会で御審議いただきました再開発地区計画も大いに活用してまいりたいというふうな形。そのほか、個別的には総合設計とか特定街区とかそういうふうな計画もできるだけ交えて、この個別整備地区もできるだけ良好な地域に置きかえてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 その個別整備地域の場合と面的整備地域の場合では、個別整備地域というのは比較的よく進捗しつつある、あるいはそういう見込みのある地域だと理解していましたが、そうではないんですか。
  13. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 本来といいますか、非常に理想的な姿から見ますと、先生指摘のように、DIDもこれからDIDになるところも区画整理とか再開発とかで面的整備をするのが一番理想だと私は思うわけでございますけれども、今までの実績あるいは事業のやりにくさ等を見ますとやはり全部面的の整備ではカバーできないというふうな見込みがございますので、個別整備地区、例えば個別というのは街路整備事業とか公園とかいう事業をやりながら整備していく地域というふうに考えておるわけでございますけれども、そういう地区相当程度残るというふうに考えているわけでございます。  ただ、端的にインフラだけ整備していきますと、必ずしも好ましい市街地整備にはならないという場合が多うございますので、例えばミニ開発等になってしまう、あるいはミニ開発されたところがそのまま残るというようなことになりますので、計画手法をあわせて考えまして、地区計画とかそれから再開発地区計画とか、そういうふうなものも適時規制誘導的な手法としてインフラ整備とあわせてやることによってできるだけ良好な市街地にしていこうというふうに考えている次第でございます。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  市街地の今までの進捗状況進行状況等を見ておりますると、人口の集中地区面積推移で見ますると、全国で五十年から五十五年の間に約十八万ヘクタール、年間に直すと大体三万六千ヘクタールぐらいです。それから五十五年から六十年の間では少しテンポがおくれてまいりまして五万七千ヘクタール、年間で大体一万一千ヘクタールくらいになりますが、そういう状況であったと思うのであります。市街地は年々増加しているわけなんであって、これに対して市街地整備の基本となる区画整理事業状況を見てみるというと、その認可の状態は年平均で五千ヘクタール強ということになっているようであります。要するに、既存の都市基盤整備が非常におくれている上に、新たに増加する市街地整備にも追いついていないというのが状況ではないかと言われているわけであります。こういう状況が過去の今までの経過であったわけです。  今、今後のいろいろの展望を伺ったのでありますが、これからのこういった展望の中で飛躍的に区画整理事業を前進させなければそれらの計画が達成できないと思うのでありますが、これはどういうふうにお考えでしょうか。
  15. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 赤桐先生指摘のように、市街化区域は少しスローダウンしてきましたけれどもDID面積はやはりどんどん伸びていっているわけでございまして、端的に昭和五十年から六十年の十年間を見ましてもDIDは約二十四万ヘクタールぐらいふえている。ところが、それに対しまして区画整理はどれだけ新規にやったかというと六万ぐらいでございますから、DIDのふえていく分の四分の一ぐらいが区画整理でフォローしているという勘定になるわけでございます。したがいまして、本来理想的な姿で言えば、区画整理だけではない、再開発とかいろいろありますけれども区画整理面開発の王様でございますので、できるだけ新市街地のふえるのに同じくらいの区画整理をやっていかないといけないということになろうかと思います。私どもとしても一生懸命そういうことで努力はしているんですけれども、実態は先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、面開発をできるだけやっていくということで、従来からのこの土地区画整理法助成等も含めてさらに一生懸命やらなければならぬというのが大前提でございますけれども、それに加えましてもう少し事業の量をふやしていこうということで一つは今回の改正をお願いしているというのが一点でございます。それからもう一つは、面開発区画整理ほど大きくはございませんけれども市街地開発事業も、過日適用対象をふやしていただいたりして、その他でふやしていこうということを考えております。それからまた、優良宅地開発促進制度というのも民間優良開発で良好な面開発だと思いますし、そういう制度も今国会でお願いしていることは御承知のとおりだと思います。そのほか計画的な誘導手法としまして再開発地区計画も新たにお願いしたというふうなこ とでございまして、そのほか、先ほど申しましたけれども特定街区とか総合設計等もできるだけ利用してまいりたいというふうに考えております。  そのようにいろんな施策を総合して、新たに市街化してくるところに対応したのをできるだけ面開発で取り組もうというふうに考えておりますけれども、今までの実績等から申しまして、そんなにこういうものを一生懸命やってすべてカバーできるかというとなかなか難しい点もあろうかと思います。  そこで、一つ線引きの見直しを現在先生承知のとおりやっているわけでございますけれども、新しく市街化区域へ入ってくるところは、区画整理とか面開発のできる可能性のある、あるいはする意思のあるところをできるだけ市街化区域に編入していく。逆に、現在市街化区域にあってもなかなか区画整理とか面開発をしたくないというところがまとまって存在すれば、逆線引きという形で市街化区域から、出ていってもらうというのは語弊がありますけれども調整区域の方へ移っていただくというふうなことで、線引き操作等もあわせましてできるだけ新たに市街化するものについては良好な面開発でフォローしようというふうに考えている次第でございます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 その気持ちは、いろいろの手法でおやりをいただくということはわかるのでありますが、何といっても区画整理事業が今日までの市街地形成を推進するための基本的な事業であるし、またそれだけの役割を果たした事業であるだけに、いろんな手法はあるかもしれないけれども、やはりこれが中心になるだろうということにならざるを得ないと思うんです。  その場合に、こういう今度の改正案が出されているんですけれども、また一定の展望大臣の御説明等でも明らかになっておりますが、今度この改正によってかなりの前進があるとお考えになるんでしょうか。相当の大きな進捗を期待できるということになるのかどうなのか。この点ひとつ局長の御見解を伺いたいと思います。
  17. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 第三者施行制度とか参加組合員制度というのは、いわゆる初期の段階資金手当てを導入しようというふうな意図もございますし、また区画整理に非常に精通した経験豊富な者が一般の地権者との共同によってノーハウを生かすような方法を活用しようということですから、これによりまして区画整理がかなり進むことを期待しているわけでございます。先生の御指摘のように、将来市街地あるいは市街化区域相当編入していく中で区画整理でかなりカバーできるかという量的な面はなかなか計算しにくいので計算してはおりませんけれども、期待としてはかなり期待しているわけでございます。  それともう一つは、区画整理をした後の立ち上がりと申しますか、市街化もいろいろ各方面から問題にされているわけでございまして、こういった第三者施行とか参加組合員制度の導入によりまして市街化の速度も少し早くなるんじゃないかというふうなことで、立ち上がり促進考え改正をしているわけでございます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 御説明のように、第三者施行とか参加組合員制度というようなものを今回の改正で取り入れられることになるわけであります。したがって、今後は住都公団とかあるいは公的機関がそれぞれ入ることができますし、また民間相当ノーハウ資金力を持つデベロッパーも入ることができるわけでありますけれども、こういったもので促進はできるかもしれませんが、同時にまた、私ども心配することは、千葉県でも最近の例でございましたけれども、悪質な者やあるいは大手資本が中に入ってその事務局を事実上振り回すとか、そして主導権を握る、こういうような事態も発生することも憂慮されるんじゃないかと思うんです。  今回の改正で、事業主体になる者とかあるいは組合員になる者の性格とか責任とかというものはかなり問われてくると思いますけれども住都公団地方住宅供給公社等公的団体については法律で出ておりますからわかりますが、「その他政令で定めるもの」となっておりますね。これはどういう範囲のものが入ってくるんでしょうか。
  19. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 第三者施行の場合と参加組合員の場合と二通りございますから、分けて御説明させていただきたいと思います。  第三者施行と申しますのは、これは先生承知のように、区画整理の中の個人施行の中へ導入しようということでございますから、数人が共同して区画整理をやる場合あるいは一人で区画整理をやる場合、こういった場合のときに第三者施行者を交代していただいてやろうという制度でございます。こちらの方につきましてはどういうものを政令考えておりますかと申しますと、法律で例示しておりましたように、住宅都市整備公団とか地方住宅供給公社のほかに、政令では公益法人、例えば各県にある区画整理協会等考えております。あるいはまた地方公共団体の出資または拠出に係る法人、これは第三セクターと言われているものでございます。それから三つ目としましては、これは民間デベロッパー等、あるいは場合によったら信託みたいな形でお入り願うこともあるかもしれませんし、建設関係の方が入られるかもしれませんけれども資力信用のある民間デベロッパーということを考えているわけでございます。  したがいまして、問題は、私どもも当然心配といえば心配がないわけじゃないんですけれども、そういった場合、公共法人と第三セクターの場合は特に余り心配はなさらないと思うんですけれども民間が入るということで先生の御指摘のような向きがあるかどうかということだと思います。  第三者施行というのは、御承知のように区画整理施行者でございますので、当然地権者等同意に基づいて出てくる施行者でございますけれども知事節目節目で監督できるわけでございます。例えば区画整理事業を認可する場合、あるいは換地計画をつくる場合、その他常時区画整理法の規定によりまして施行者がちゃんと所期の目的で施行するようにということで知事が監督しているわけでございますので、法律で書いてございます資力信用でまずチェックすると同時に、施行中もずっと知事がフォローしているということで、この施行者がいいかげんなことはなかなかできない。まあ全くできないと私ども考えておるわけでございますので、これはそういう意味で安全ではないかというふうに思うわけでございます。  それからもう一つの方の参加組合員制度でございますけれども、これは組合施行区画整理第三者が、例えば住宅都市整備公団とか住宅供給公社等最初負担金という形でお金を出しまして、参加組合員として特別な組合員で入って一緒に組合事業をやりまして、その負担金に見合う形のものを保留地見合いのところから土地で最終的にいただくというふうな制度でございます。この制度につきましては、当然法律政令でもって参加組合員になり得る者を限定してございます。この場合は、先ほどの場合とちょっと違いまして公共法人だけに限定しているわけでございます。したがいまして民間デベロッパーとかいうのはこの場合には入りません。  そういうことで、組合員として入る場合は、施行者となる場合よりは端的に申しますと知事の監督がしにくいわけでございます。そういった事情もあり、昨今の情勢もございますので、組合員の方は公共団体に限ると一応限定させていただきました。しかも、限った上で、さらに換地計画とかそういった折々については知事が目を光らせていくということもございますから、今回の改正でそういった御心配のことは、私どもはそういった点にはかなり気をつけたつもりでおりますので、そういうことがないように考えておりますし、ないようにまた努めたいと考えておる次第でございます。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 もう一度確認しますが、参加組合員の方は公共法人のみで民間デベロッパーとかそんなのは入らない、これは間違いないわけですね。
  21. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) はい。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、第三者施行の方で、資力あるいは信用のある者、こうなっているんです。これほどの辺までを資力を持ち信用ある者とお考えになるんですか。
  23. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは具体的には知事が認可する場合に決める、判断するということになります。  知事の判断の材料ということは、まず一つに、地権者同意を要するわけでございますけれども地権者が真正な意思に基づいて同意した、例えばおどかされたりだまされたりして同意したものじゃないかどうかということをまず十分確認したい。それから資力信用技術的能力というのは、法人である場合には財務諸表とか銀行関係預金残高とかそういったものを総合して審査したいというふうに考えておるわけでございます。特段どういう審査をしろという具体の話まではまだ決めてございませんけれども、十分な審査をしてやっていきたいと考えている次第でございます。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、必ずしもこれは大きなスケールを持つ、そういった立場にあるところの資力とか信用を持つ者ということを言っているわけではないわけですね。
  25. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) そういうことでございまして、これは通達で一応基準を出したいと思いますけれども、例えば宅地建物取引業で何か余り好ましくない前歴があるとか、そういうふうなことも具体通達で何か審査基準にして、一種の信用でございますけれども、そういう点もチェックしたいと考えている次第でございます。
  26. 赤桐操

    赤桐操君 要するに、知事がこれを認可するわけでしょうから、県段階において実績のないような者であるとか、あるいは今示されたような銀行その他等においても信用のないような業者であるとか、そういう者は入らない、したがってそういう者を排除できるようなきちっとした一定の基準を示す、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  27. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のおっしゃるのは基本的にそのとおりでございますけれども実績と申しましても、新しい制度でございますから、区画整理について技術的なノーハウを持っているということが当然必要になりますから、区画整理の何といいますか、技術的な要員をそろえている、例えば区画整理士等をちゃんと持っているとかいうことも一つの判断材料になろうかと思います。
  28. 赤桐操

    赤桐操君 次に、今の御説明にもありましたが、これからそういった第三者施行者であるとか参加組合員に新しい形の導入がなされるわけでありますが、こうした第三者施行者とか参加組合員の今度権利義務の問題も出てくると思うんですけれども、これはどんなふうになりますか。一般組合員と同じになりますか。
  29. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 一般組合員土地所有者あるいは借地権者でございますから、土地に関する何らかの権原を持っているわけでございますけれども参加組合員負担金というお金を出して組合員の一員になってくるわけでございますので、そういった面で本質的な違いがあるわけでございます。例えば組合の場合に、組合の総会とかいろいろ議決とかいうふうな組合の運営につきましては、参加組合員も一員として参加することになっております。ただ、組合員の性格からいいまして一部の議決事項には参加組合員は入らないということもございます。
  30. 赤桐操

    赤桐操君 そこで次は、参加組合員制度、あるいは資金調達の代償として最終的に第三者施行者等が保留地を与えられるわけでありますけれども、この場合私はこの保留地の動き方というのは大変大きな意義を持つと思うんです。スケールによってはかなり大きなものになってくると思うんです。  そういう意味で、こういう制度ですから、そういう指導ができるかどうかわからないけれども、相なるべくならば、公団であるとかあるいは地方の住宅供給公社であるとか、そういった公共団体といいますか、公的機関にこうしたものが振り向けられるようにすべきだと思うんです。これはいろいろのこれからの土地政策上の観点に立って考えたときに、このことは今大変大切な問題じゃないかというふうに考えるんですが、この点についてはどういうようにお考えになりますか。
  31. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 二つのケースがあって、ややこしくて恐縮でございますけれども、まず参加組合員の方から申しますと、参加組合員は先ほど御説明しましたように住宅都市整備公団とか地域公団とか住宅供給公社、いわゆる先生のおっしゃいました公的機関でございます。しかも住宅を建てることに特化した公的機関考えているわけでございますから、そういった参加組合員負担金を出して保留地を取得して、その保留地というのは結果的には公団住宅ができるとか供給公社住宅ができることを大いに期待しているわけでございます。民間はこの際は入っておりませんので、民間というよりは公的に有利な形で制度ができている。民間参加組合員はないという形になります。  もう一つの方の第三者施行の方は、これは民間デベロッパーもございます。これも当初事業費を立てかえておいて、そのかわりに保留地見合いのものをいただく、こういうことになりますので、先生のおっしゃるようないわゆる保留地の処分をどうするかという問題が当然ございます。  これにつきましては、私ども区画整理施行した後の保留地の処分につきましては、日ごろから指導しておりまして、できるだけ公開抽せんをやる等のことによりまして地価の高騰を招かないようにしてほしいというふうな通達も出したり指導もしているわけでございます。そういったことで、第三者施行の場合に、デベロッパーが入って保留地処分をするような場合に周辺に変な影響を及ぼさないように、あるいは不公平な手段で処分しないようにという形を知事から指導をしていただくべく知事に対しても通達の形でお願いしたいと考えている次第でございます。
  32. 赤桐操

    赤桐操君 正直申し上げて私は、やはりこれからは、特に東京とか近郊整備地域、三大都市圏、こういう地域、いわゆる人口集中の地域においては戸建てというのは大体もう考えるべき時期は過ぎた。また多くのサラリーマン、労働者の立場から見ても一戸建て住宅なんということは考えられない。そういう時期に来ているということになってくるというと、当然その志向するものはいわゆる共同住宅にならざるを得ないだろうと思うんです。それで諸外国がやっているような形になる以外にないと思うんです、これから将来は。またそういう方向に誘導すべきだと思うんです。  そういう形にしながら持っていくということであれば、特にDID地域におけるところの言ってみれば大きな役割を果たしていかなきゃならぬ区画整理事業ということになってくるならば、その保留地等は挙げてもう公共的なものに渡して、そこで賃貸住宅に使っていくという形の方向づけがされるべきだと思うんです。したがって、民間デベロッパーなんかが入ってそういうものを利用しながら、民間活力と称しながら高級住宅を建てていくということになりますと、これはとても庶民の手の届かない住宅になってしまうということになるわけでありまして、大変この区画整理事業推進の本旨からいっても外れてくるのではないだろうかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  33. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のお考えも私なりに理解できるのでございます。要するに公的なものの大切さは理解しているつもりでございますけれども民間デベロッパーが現実に、例えば住宅供給に占める割合というふうなものも結構ありますし、これは民間の優良な開発はそれなりにやっていくべきだというふうにも考える次第でございます。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 民間自力建設とそれから公的機関の建設との論争はまた後にいたしますが、今回の改正第三者施行参加組合員制度が取り入れられる、こういう中で、これと同じようなことが従来 から組合施行等について行われてきたと思うんです。大手デベロッパー等による事業代行というのがあったと思うんですけれども、この事業代行が行われている状況についてどんなふうに把握しておられるか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  35. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 私ども昭和六十一年に行った調査によりますと、今先生の御指摘の業務代行方式でございますが、それでやっている区画整理事業は四十一地域がございます。四十一地域というのはどの程度かと申しますと、六十一年三月三十一日で施行中の組合の区画整理事業は全体で八百五十七地区ありまして、業務代行方式はほとんど組合施行についてなされております。ですから、全体の組合の八百五十七地区のうちの四十一地区が業務代行方式で行われているというふうな状況でございます。この業務代行方式でやっている中でほとんど、四十一のうちの三十九地区住宅開発型でございます。  それから、業務代行方式と一概に申しますけれども、これは法律とか制度できちっと決まっているものでないもので、業者の組合との契約によりまして、測量、仮換地計画または換地計画の作成、土木工事、登記に関する事務等々、そういった事務の全部または一部をやっておりまして、そういったことを法律上の施行者でございませんから代行するという形でやっている。施行者施行者としての責任者、施行者はあくまでも組合であって、事実行為を代行しているという形をとっている次第でございます。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 今度のこの改正案提案に当たってかなり土地区画整理協会の意見が入っていると思うんです。これが大体基本になっているんじゃないかと思うのであります。この中では、業務代行方式の法定化を求めているように思うんです、中身を見ますというと。今回の改正の中にこれは入らなかったわけでありますが、これは入れる必要ないというお考えだったんですか。
  37. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 確かに先生指摘の協会の研究会におきましてはそういう指摘がございました。ただ、立法化に当たりまして、当初研究しないわけではなかったのでございますけれども、研究をしてまいりましたけれども、実態を調べてみますと、先ほどもちょっと私申しましたように、業務代行の仕方がいろいろばらばらでございまして、いろんなケースがあるわけでございます。これを法的にぴしっとやるのはなかなか難しいという現状もございますので、今回は正直に申しましてちょっと法的な整理が間に合わなかったという感じもございます。  そういうことで改正はしておりませんけれども、この業務代行方式のようなこういった方式がよくないという判断ではなくて、それはそれなりに促進してまいりたい、法律マスターではございませんけれども、やっていきたいという考えは持っているわけでございます。もうしばらく勉強させていただかないと、今の実情ではちょっと実態がつかみにくいという感じでございます。
  38. 赤桐操

    赤桐操君 現実に八百五十七の中でもって四十一地域がこの方式で行われているということで、しかも三十九が住宅地の開発型なんだと、こういうことで御説明いただいているわけでありますが、そうなればこれはもう現実に行われているんですね、これが四十一地区も。やはりそれなりの実績を上げてきていると思うのであります。  民間デベロッパー等が中に入っていって、こういうぐあいな第三者施行という形になるというのも一つの手かもしれませんけれども、これで済むならこれでいいんじゃないか、民間の場合は。むしろ、第三者施行の中に入っていって保留地までもらうというやり方ではなくてした方がいいんじゃないかなという感じを私はしているんですけれども余りよく現実に私も具体的には入っておりませんから不十分な点があると思うんですけれども、これはどうなんですか。
  39. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) この業務代行というのは事実上の代行でございますから、法律的に施行者でないわけでございますから、これは当然のことでございますけれども区画整理施行する場合にやっぱり施行者でなければちょっとやりにくい。例えば公共施設整備の相手方と折衝するとかいろいろ名実ともに施行者でなければやりにくい事業もたくさんありますので、どうしても事実上の代行者というのはそれなりの限界が一つあるということで、本来施行者ほど何でもやれるということではないという一つの事情もございます。  それから、業務代行者の中には宅地開発業者とか建設業者とか区画整理コンサルタント等も入っておりまして、業務施行でもほんの設計みたいなものを代行していただくようなものと、先生のおっしゃいました第三者施行に非常に近い形のものもございまして、いろいろ実態がそういった形でございますので、その点ももう少し整理して、ただ方向的に市街化促進とか区画整理促進というふうな大きな方向におきましてはプラスになると思いますので、もう少し整理をさしていただきたいと考えているわけでございます。
  40. 赤桐操

    赤桐操君 この制度で助成が行われておりますが、この助成について若干伺ってみたいと思うのであります。  土地区画整理事業公共施設整備等を通じてその土地の価値を上げて、さらにその増加分をもって事業費を支弁する、こういう建前で行われてきていることは事実だと思うんです。しかし、区画整理事業そのものが都市基盤や環境を整備するという公的な役割を果たしている、また宅地の供給につながるんだという点から事業促進するという観点に立つならば、国としてももっと本格的な踏み込んだ助成が必要ではないのかなというようにいつも実は私は感じているんです。  それで、現在の助成制度というものについて、いろいろあるようでありますけれども、ひとつ端的にわかりやすく御説明願いたいと思うんです。
  41. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 現在の助成制度、ちょっと複雑で申しわけございませんけれども、端的に申し上げますと五つほどございます。  一つは、いわゆる道路整備特別会計による区画整理事業費の補助金がございます。  それからもう一つは、先生のよく御承知住宅宅地関連公共施設整備促進事業費の助成がございます。これが二つ目。  三つ目は、一定の要件を満たします新規宅地開発型の土地区画整理事業におきまして国の無利子貸付金制度がございます。それが三つ目でございます。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  それから四つ目は住宅金融公庫によります宅地造成資金の融資がございます。  それから最後の五つ目は、公園とか水路等の公共施設管理者がその施設整備に要する費用の全部または一部を負担する公共施設管理者負担金制度、これは助成と言えるか、原因者負担と言えるかという問題がございますけれども、お金が出るという意味ではこの五つの道があるということでございます。
  42. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、補助金として出てくるのは区画整理事業の本来やってきている補助金と、それから住宅関係のいわゆる関連公共費の補助と、この二つに大別できますか。
  43. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) その二つでございます。
  44. 赤桐操

    赤桐操君 この助成のぐあいでありますが、事業を行う主体、すなわち公団とか公共団体のような公的機関と、それから組合員個人、一般のいわゆるこうしたものでない組合員の場合では違っているように思うんですけれども、この点はどうなんですか。
  45. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 複雑になりますので先ほど御説明しませんでしたけれども先生のおっしゃるとおり、国の補助につきましては公共団体の場合と組合の補助の場合との対象が違っております。性格的には、公共団体施行区画整理事業区画整理法等によります国の法律に基づく補助でございます。組合施行区画整理につきましてはこれは予算に基づく予算補助でございます。  そういった性格的な違いもございますけれど も、なぜそうかということにまでさかのぼりますと、概して公共団体施行の場合は大きな社会資本、例えば主要な都市計画街路等大きな公共施設整備を伴うケースも多いわけでございまして、そういったこともありまして、本来といいますか、区画整理法の中で補助することができると書いてあるのは公共団体施行のみでございます。予算的に組合施行先生のお話にあったような趣旨で、立派な公共施設整備もあるじゃないかというふうな趣旨で予算的に補完しているわけでございます。したがいまして国の補助率も若干違いまして、地方公共団体施行の場合は、今はちょっと暫定的に五・二五%になっていますけれども、三分の二が原則でございます。組合施行の場合は、県が組合に施行した場合の半分を国が補助する、こういう間接補助のシステムをとっているわけでございます。  それから補助対象におきましても、公共団体施行の場合は例えば面積は五ヘクタール以上でいいということでございますけれども組合施行の場合は都市計画事業として施行されるもので面積は十ヘクタール以上というふうな違いもございます。  補助限度額とかいろいろ補助金の細かい点において若干違いがございますけれども組合施行の場合でも特定土地区画整理事業になりますとかなり公共団体の補助の場合に近いものになっていくというふうな、中身によっても違いまして、一々御説明しますと大変複雑になりますが、概要はそういうことでございます。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、公共団体と組合の場合の差についての問題点は後に回しまして、一般の助成の場合、区画整理事業のいわゆる助成の場合で、補助を受けているものと補助を受けていないものでは、実際に補助を受けている事業数の割合が私の手元の表で見ますと四〇%に満たないんですね。ですから、要するに事業数全体から見ていって補助事業となっているものが少ないのではないか、こういうように思うんですが、この点はどうなんでしょうか。
  47. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生、先ほど御質問の要旨の中でお話がありましたように、区画整理事業そのものの性格に起因すると思うわけでございますけれども区画整理事業は、本来と言ったらおかしいのでございますけれども、そもそも公共施設整備をやって、それでそこの地域の効用増があるというふうなことで、まず公共施設用地の減歩と、それからそれにプラスしてその事業費を生み出すための保留地減歩、公共減歩と保留地減歩から成り立っている。したがいまして、非常に採算的に良好な場合を考えますと、保留地処分金によって公共施設整備事業ができるというふうな場合もかなりあるわけでございます。現実の問題としてあるわけでございます。  ところが、先生おっしゃいましたように、重要な公共施設整備できるのではないか、そういったこともこれあり、あるいはそういう保留地処分金だけでは採算が合わない、しかし事業としては良好な市街地形成のため、あるいは道路、公園等もできるということもございまして、そういったいい事業ですからそこに補助金の余地が出てくるわけでございまして、要するに補助金がなくても保留地処分金等で賄える事業については補助金は出てこない。要するに、区画整理事業全体の中から保留地処分金等を差っ引いてそれでまだ事業費に足りない部分、そこが補助の対象になっていくという点が一つございます。  それからもう一つは、公共施設と言われましても、身の回りの小さな、区画整理組合自体がつくってみずから負担すればいいだろうと思われる程度の小さな公共施設の場合には補助金が出ませんので、補助金の出るケースというのは例えば、いろいろケースによって違いますけれども、大ざっぱに申しますと、街路事業で十二メートル以上の根幹的な街路事業整備する、その場合の用地買収方式による事業費というのが今度は限度額として設定されているわけですから、限度もそういうところで頭打ちになっているということでございます。  したがいまして、先生おっしゃいましたように、補助金をもらっていないのがたくさんあるというふうなのは、一つは補助金をもらわなくても保留地で何とか賄えるというふうなもの、あるいは補助金をもらうに値するような立派なというか、例えば十二メートル以上の道路というような重要な道路の整備を伴わないもの、その二つが対象から外れていく。残りのものも、事業費の中で保留地の処分で得た利益を除いた残り事業費の例えば私先ほど申しました三分の二とか二分の一とかいうのが補助金である。その補助金も単独で道路をつくる場合の事業費が限度額というふうにいろいろ枠がはまっているわけでございまして、そういう状態になっているわけでございます。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、公共的な負担分については補助金のあるなしは別にしてかかっていることは間違いないと思うんです。  それで、一方の方は、四割程度のものについては、あるいは四割に満たないようでありますが、一部については補助金が出ている、しかし補助金の出ない方が六割もある、こうなるわけですね。そうすると、補助金の出ない方であっても補助金が出た方であっても、そのいわゆる公共的な開発負担ですね、その対象となる道路であるとか、いかに十二メーターというその標準に合わなくても、その以下のものであってもこれは負担行為がなされることになりますね。しかし、負担行為を行った後はそれはそれぞれの市町村に採納されることになるでしょう。どっちにしても同じことですね、これは。補助金があった道路であっても補助金のない道路であってもそれは採納されることになるでしょう。  そういうことになるわけなんですけれども、一方は補助金がなされているわけですから、一方は補助金がなされていないわけですから、全然補助金がなされていないところは自力でつくって採納しているわけですからね。これは後の管理とかその他についても国や県の方からもそう強い指導ができなくなるんじゃないのか、こういうように私は思うんです。  この管理、指導の問題はいずれまた後にいたしますが、やはり原則として補助金というものは出すべきだ、こういうように私は思うんですよ。この点についてはどうですか。
  49. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生の御質問の中で、確かに地区数は対象事業が少ないわけでございますけれども、四割弱になりますけれども面積比率で見ますと補助金の方が組合施行の場合四割、公共団体施行の場合八割でございますから、面積ではかなりの補助金、面積比で見ますと地区数比で見るよりは補助金はよく出ているということをひとつ御理解願いたいと思います。  それから、そうであっても補助金が確かに出ていない地域がある、いずれにしても公共施設を大なり小なり整備するんだから補助金を出したらどうかというお考えがあらうかと思いますけれども区画整理自体がやっぱり基本的に保留地処分金で採算をとるということで構成されておりますので、それでも採算が合わないもの、あるいは公共施設の負担、公共施設の公共性といいますか、都市計画施設たるような重要な公共施設をつくる場合という限定が今あるわけでございます。これは再々申しておりますけれども、もっと一般化するというような区画整理促進という意味では、全部とまで言わなくてもできるだけ、例えば十二を八にするとかいう形で私どももいろいろそういうふうなことで努力をしているつもりでございますけれども、やっぱり財政との問題もありますし、区画整理の性格からいって全部が全部というわけにもいかないので現状はそうなっているわけでございます。  今後、大臣申されましたように、区画整理ももっとふやさなきゃいかぬという問題もございますので、そちらの方もできるだけの検討、努力を重ねてまいりたいと考えている次第でございます。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 その問題は若干私も考え方に相違がありますが、後にいたしたいと思います。  そこで減歩率の問題で若干質問いたしたいと思うのでありますが、これは保留地処分との関連が出てまいりますので大変重要な問題だと思うのでありますが、補助事業である場合とそうでない場合とありますけれども、この場合の減歩率について、私は大分違いがあるように思うんです、減歩率そのものについて。これはどんなふうになっておりますか。
  51. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) ちょっと資料を探しておりますけれども、その前に、一般的なお答えで恐縮でございますけれども、全体の減歩率というのは、公共減歩が二二%でございます、全部平均しますと。それから保留地減歩が一一%。全体で三三・五%が平均でございます。この中で組合施行は公共減歩が二一・七%、保留地減歩が一四・三%で、合計三六・一%。それから公共団体施行は公共減歩が一九・五%、保留地減歩が六・七%、合わせまして二六・二%ということで、組合の場合の方が減歩率は公共団体よりはかなり高くなっている。一般的に補助金も公共団体の方へ入っておりますというふうな状況でございます。  それから補助金の場合の、補助金が出ているものの減歩は、公共減歩、保留地減歩合わせまして三〇・一%、それから補助金が出ていない場合は三七%で、補助金が出ている方が六%程度低いというふうなことになっております。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 今の御説明でもありましたように、組合の場合における公共減歩と保留地減歩、それから公共団体の公共減歩と保留地減歩ですか、これはいずれも公共団体の方が低いですね、この点については。それで組合施行の方が多くなっておるわけです、これはいずれも。そういうふうになっておるようであります。組合の場合と公共団体の場合はどうしてこんなふうに差があるんですか。
  53. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 一番大きな差はやっぱり施行場所の違いがあろうかと思います。組合施行の場合は、どちらかというと新市街地と申しますか、まだ市街地から遠いところで宅地開発をやる場合が非常に多いという問題が一つございます。公共団体の場合は既成市街地に近いところが比較的多いということがあります。  そうしますと当然、新市街地宅地供給方式でやる場合には、やはり既設の道路等も余りないというふうなこともございまして、公共減歩も比較的多くなる。それから開発利益ということで、既成市街地化したところより山野とか何かの場合には施行後の開発利益と施行前の差が出てまいります。既成市街地に近い方はさほど差が出ませんから、結局処分できる保留地の保留地減歩が事実上とれるという問題がございます。したがいまして、公共減歩、保留地域歩とも一般的に申しまして公共団体が低い。補助金もこれはございますけれども、基本的にはそういう性格があるということであると考えております。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 これは、公共団体が行っているから公共減歩も低いし保留地減歩も低くなっているということではないんですか。
  55. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) そうでなくて、地域、場所の差が大きいと考えております。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、公共団体が行ったもので、組合よりも場合によっては公共減歩も保留地減歩も多くなっている場合もあるんですか。
  57. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) おっしゃるとおり事業によってそれは違います。先生がおっしゃるとおりだと思います。ちなみに、公団、公社等が、住宅都市整備公団ですね、公社等の区画整理におきましては公共減歩が二九%ぐらいで保留地減歩が一五%ぐらい、四四・六%ぐらい減歩がかかっております。したがいまして、外でやる、外というか市街から離れたところでやる場合には、公的機関がやってもかなり減歩は高いという傾向が出ております。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 そういう御説明であればそういうことだろうと思うのでありますけれども、どうも私ども手持ちの資料あるいは公開されている資料なんか見るというと、一般的に見てもかなり組合施行の場合と公共団体施行の場合においてはそうした減歩についての差があるように私は認識せざるを得ないんです。それが地域差によって生ずるというふうに僕は理解できないんですけれども説明がそういうことであれば間違いないことでしょう。  そこで、公共団体がこれからいろいろそれぞれの新しい改正によって入ってくることになりますけれども、そうすると、公共団体が入ったことによって減歩率に影響があるということはあり得ないわけですね。
  59. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 今度入ってくる第三者施行の場合でも参加組合の場合でも、そういう方が入ってこない場合には、保留地となるべきところが変わるだけございますから、要するに保留地減歩をとれる範囲内で変わっていくということですから、その他の人の減歩が強くなるということはございません。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  それから、私の手元にもらってある資料を見るというと、土地区画整理事業費の推移を見ると、昭和五十三年から六十三年までの間を見てみますと、国の方の補助事業というもの、補助費については余り大きく違いはないんですね。この事業費全体は六十三年なんかはぐんと伸びているんですけれども、予算の内容等を見ましてもそれほど補助費はないということになっていますが、そういうような状況に理解してよろしいんですか。
  61. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生の御指摘の点は、ここしばらく補助率カットの問題がございまして、暫定的に補助率が、例えば三分の二が五・二五とかいうふうになっておりますのでそういう結果になっている。事業は伸びておりますけれども、国の補助金自体は事業の伸びほど伸びていないという結果になっているということでございます。
  62. 赤桐操

    赤桐操君 そうしますと、補助金カットが回復すればこの事業費はもっと伸びていくというふうに理解してよろしいんですか。ということは、あの補助金は限度があるんですね。第一年度は一年限りという約束であれは行われたんですが、第二年目に三年という年月を期限として再提案されてこれが通っているわけです。四年で終わるはずなんです、これは全部。  私は冒頭、補助金問題についてもあるいはまたいわゆる関連公共費の問題についても、これらについては速やかに回復すべきだという主張をしているわけでありますが、この事業費の中でも六十三年度事業ではかなり伸びてきておりますけれども、その割合に国の補助の方が伸びていないという状況でありますから、今の補助金カットの期限が切れればこれは大きく伸ばしていくことができる、こういうように理解してよろしいんですか。
  63. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 補助率がもとに戻れば非常に事業促進に有利に働くというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、六十三年度におきましては、先生指摘の五十九年から六十二年ぐらいまではずっと国費が横ばいでございましたけれども、六十三年は二割ぐらい国費もふやしていただいておりますので、これで六十三年度以降かなり伸びがよくなるものとは思いますけれども、なお補助率がもとに戻れば非常に促進には役に立つというふうに考えております。
  64. 赤桐操

    赤桐操君 それでは大臣に私伺いたいと思うんですが、先般も私は、年間三百億という積み上げの約束が大前提となって関連公共費はスタートを切っているはずでありますけれども、今日あの割合でいけば二千億を超えていると思うんですね、はるかに。しかし一千五十億でとまってしまっておる。これも、財政状況もよくなってきているわけだし、さらにまたいろいろ諸情勢から見ていっても、もっと内需拡大政策から見ていってこの種のものこそふやしていかなきゃならないという観点からしても、これは当然ふやすように、もとに復するように、少なくとも毎年三百億ずつ積み上げてくるように、こういうペースを戻すように努力すべきじゃないかということを大臣に申し上げたと思うのであります。  これと同じように、この補助金カットの問題も 私は建設省は大きく影響を受けた省であったと思うんです。したがって、今の関連公共費のペースの回復と同じようにこれをひとつ速やかに回復するように大臣いろいろと今後御努力をいただくことについて、また大蔵省との関係等についても本格的に決意を固めて取り組まれるかどうか、ひとつ伺っておきたいと思うんです。
  65. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 補助金カットをもとの補助率に戻す、これは非常に重要な問題であります。今都市局長からもお答えいたしましたように、非常にすべての事業がスムーズにいく、特に全般的な公共事業の補助率そのものもしかりでありますけれども、これだけ土地の問題がありますので、特に土地関係、区画整理であるとか再開発であるとか、こういうものには重点的に補助率を戻してもらいたい、こういう希望はあります。率直に言って建設省としてはそういうことであります。  しかし、全体の事業枠との問題もありますので、事業量をどうするかという問題との絡みでありますので、できるだけ大蔵と今後折衝をして、事業量も確保いたしますし補助率をもとのように戻す、こういうことで努力をいたしたい、かように思います。努力はお約束いたしますが、事業量との問題で、全般的な問題で今の財源の問題との絡みもありますので非常に難しい。ここ一、二年はいいと思うんですが、恒久的な問題で財源確保、これが非常に難しいのでなかろうか、こういうふうに思っておりますので、努力いたすことはお約束をいたしたい、こういうふうに思います。
  66. 赤桐操

    赤桐操君 私に約束するなんというものよりは、これは大臣の仕事だと思うんですよ。本来建設大臣の任務だと思うんで、それでそういうふうに私は申し上げたわけですから、間違わないでください、これは。  それから、もっと端的に申し上げますけれども、自治大臣は補助金カットはもうこれ以上延長させないということを意思表示しているんですよ、大臣として。建設大臣もそのくらいの意思表示をすべきだと思うんですが、いかがですか。
  67. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 自治大臣が補助率はもとに戻すと胸をたたいておるのであります。私もその気持ちは同じでありますけれども、一方、先ほど申し上げましたように、全体枠の問題、特にこの区画整理にいたしましても、区画整理を予定よりも少なくしたのではいけない、予定どおり進めていかなければいけない。これは道路の問題もその他の公園の問題も下水の問題もそういうことでありますので、それとの絡みがございますから、自治大臣ほど胸のたたきようがちょっと弱い、こういうことであります。努力はいたします。努力はいたしますが、全体事業量、それと補助金の問題が必ず絡んでまいりますので、まあこの辺で最大限の努力をいたすことをお約束いたします。
  68. 赤桐操

    赤桐操君 私はこの補助金の問題でいろいろ伺ってきたんですけれども、どうも納得できない点があるんですが、具体的に一つ伺いたいと思うんです。  例えば汐留の駅の跡地が二十ヘクタールあるそうですね。この二十ヘクタールを仮に今都市計画法に基づく開発を行うとしたならばこれは一体どの程度の公共負担、減歩が行われるようになるのか。もう一つは、そうではなくて、区画整理事業によって行われるとしたならばどのくらいの減歩で済むのか。この点概略で結構です。詳しいデータを裏づけての御答弁は今求めませんけれども、感想でいいんですけれども伺いたいと思うんです。
  69. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 御承知のように、関連の公共施設も中の公共施設もいろいろございますけれども、関公をわきに置いて考えますと、公共施設がないわけでございますから、公共減歩が二五%くらい、これはちょっとヤマカンございますけれども、というふうな感じになろうかと思います。
  70. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、それは区画整理事業でやってもいわゆる都市計画法でやっても同じだということですか、開発は。
  71. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 街路、公園とかできるものについては水準は同程度のものをつくらなければいけないし、つくるべきだと考えております。
  72. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、例えば公団なら公団が都市計画法に基づいて開発の申請を行っていく場合において、あるいはまた一般の民間がやってもいいんですけれども、その場合とそれから区画整理事業でやる場合、この場合ではいずれも同じだというんですか、二五%ぐらいでよろしいということになりますか。
  73. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 二五%というのはちょっと詳しくあれじゃないんですけれども、多分二五%くらいだろうということでございますけれども区画整理の場合の整備の水準と例えば開発許可等の整備の水準というのはほぼ同じような水準で考えておりますので、良好な市街地ということになれば、要するに公共減歩とか公共施設用地に充てる分、その辺の比率はほとんど同じものになると考えております。
  74. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、一般の調整区域なんかで行われる場合においてはかなり減歩率が高いですね。場合によっては五〇%ぐらい提供しなきゃならぬ場合がしばしばあるようでありますけれども、二十ヘクタールというものだとかなり大きなものになると思うんですが、ここではそんな必要はないとおっしゃるんですか。
  75. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 公共施設をどのくらい必要かというのは現場に当たらないといけないわけでございますけれども既成市街地内で、例えば今例にお挙げいただいた汐留の場合でも、周辺の方は一応公共施設があるわけで、内部だけの話になりますので、やはり全く遠くの方の何もないところよりは公共減歩は少なくなるのが普通だと思うわけであります。
  76. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  保留地の処分ということをめぐって、これからいろいろ業者やなんかも入ってきてやるわけなんですけれども、現在のシステムでいきますと、保留地が多くなればなるほど地権者余り喜ばないと思うんです。不満を持つと思うんです。しかし、逆に今度保留地を少なくしてなるべくロスをないようにするということになると、今度は業者の立場になると、保留地をもらって売る面積が少なくなりますから、これはまたそれをめぐっていろいろ問題が出てくると思うんです。  だから私は、この保留地をもとにしながら住宅促進策をとるということについては基本的にやはり大きな問題があるんじゃないかというふうに思うんです。もちろんある程度、今全面負担ということはできないと思いますけれども、この保留地というものについての扱い方について、いつまでも、これから将来も今までのようなやり方でいっていいのかどうなのかということが一つ大きな問題になってくるんじゃないか。特に今のような土地の値上がりの激しいときにこうした行為が行われていっていいものかどうかというように私は思うんです。保留地処分をどうしてもしなきゃならないから業者は値よく売るように努力します。また値よく売れるかもしれない、今の時世であれば。それはもうその団地の基準価格になってしまうんですよね。だから基準価格は保留地処分によって決まってしまうと思います。  そういうぐあいに次々と引き上げの引き金みたいな形を、種を発生させるということについてはこれはいかがかと私は思うんですが、この点については土地政策上の立場から見てどのようにお考えになりますか。
  77. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生の御指摘の点は区画整理に限らない話かとも思いますけれども区画整理の場合にもそうでしょうけれども、要するにこういった新規開発事業において公共施設整備ができる。したがいまして、そこの当該公共施設整備インフラ整備された地域が従来のインフラのない条件に比べまして土地が上がることは効用増でやむを得ないと思うわけでございまして、当然のことだと思うんですけれども、それが一た んそこでそういった値づきができますと、環境の整備されてない、インフラの十分でない地域まで値上がりしまして周辺の素地の価格が上昇してくる、こういうことがとめどもなく地価の悪循環をもたらすというそういった事情もあろうかと思います。  そういうことはあろうかと思いますけれども開発利益というものは現行制度におきましては完全に回収できておりませんし、また開発効果が周辺に波及するのを防止するような特別な方法もなかなかないわけでございますので、やはりそれは、非常に一般的でございますけれども、一般的な国土法の規制区域とか、もし防止をするとすればそういった土地政策、一般施策でフォローしないと、個別事業ごとにはなかなかフォローできない問題ではないかと思うわけでございます。
  78. 赤桐操

    赤桐操君 これは当然国土法の規制を受けることになると思うんです。これはもうすべて国土法の規制を受けるでしょうけれども、しかし問題は、国土法の規制を受けながらいろいろやりながら、今のお話のように土地の価値が上がるんだから値段が上がるんだ、こういう形でもって許していくことになりますから、次々と連鎖反応で進んでいくことになると思うんですよ。だからその点で見直す必要はないのか、対策を考えなくてもよいのか、こう言っているわけなんですがね。
  79. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) お言葉でございますけれども、その当該地域インフラ整備することによって素地の時代より宅地になった場合に地価が上がるということは、これは当然事業も予想することでございまして、適正な価格の上昇である限りこれは許容されるべきだと思うわけでございます。  ところが、当該地域外のところに及ぼす波及効果というのは、私も先生のおっしゃるとおりそういったものがなければいいなとは思うんですけれども、なかなか効果的な手法がないし、国土法の規制かなんかで対応するという一般的な対応しか、個別事業法の対応はなかなか無理ではないかというふうに考えている次第でございます。
  80. 赤桐操

    赤桐操君 私は、個別にそれぞれのきめ細かい対策が講じられていかなければ、投網で網をかぶせるようにして土地規制を行っていくというやり方には限界があると思うんです、正直申し上げて。それは現状を抑えていくということはできるかもしれぬけれども、あるいはまたこれ以上値上がりを何とか延ばしていくということはできるかもしれぬけれども、しかしじりじりと底が上がってくるでしょう、今のような形でもって。そうすれば、これを抑えることはできないんだということになれば、上がっていくのが正常だということになってしまう。そこに値上がりというものが便乗してくることになるんじゃないですか。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕  私は、今の土地規制の問題についてはそこに大きな問題点があると思うんです。こういう観点に立ったきめ細かい対策というものがとられなければ日本の場合の土地値上がりを規制するということにはならないだろうというふうに私は考えているものだから、この点を見直しする必要があるだろうというように指摘しているんですけれども、それはないとおっしゃるならこれは話が別ですね。考え方に基本的な差があると思います、これは。
  81. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) インフラ整備された地域がそれなりの効用増で上がるのは、これは予想したことでやむを得ない。周辺への影響でございますけれども、今ストレートに周辺への影響を防止するための施策というのはなかなか個別法ではない。  そこで考えられることは、じゃ腕をこまねくのかということになりますと、一番問題なのは、先生も従来から御意見があろうかと思いますけれども、日本におきましては、良好な宅地でなくて、要するにみずからインフラ整備して良好な宅地にしなくてもいわゆる安易に宅地化ができるという点が、したがいまして、本来ならば例えば区画整理をやった場所でなければ住宅が建てられない、こう仮定した場合には、区画整理をやった効果が区画整理をやらないところに悪影響を及ぼすことはまずないと思うんですけれども区画整理をやりたところもそれに近いところも、区画整理をやらないところでも同じように住宅が建てられるところに一つ問題があろうかと思うわけでございます。  しからば、良好な開発をしないところは、いわゆるミニ開発とかスプロールみたいな形で便乗的に開発するところは、都市計画上何か抑える方法はないのかという議論があろうかと思います。そういったものにつきましては私どもはできるだけ面的開発をしたい。一番最初の議論でございますけれども残り部分につきましては、地区計画とかそういった再開発地区計画というふうなもので抑えて、安直な開発ができない、なるべくしにくいという方法もあわせてとっていくというのは、ちょっと間接的ではございますけれども先生のお答えにならないかもしれませんけれども都市計画サイドからできる方法としてはできるだけそういう方向で持っていくということではないかと考えている次第でございます。
  82. 赤桐操

    赤桐操君 土地の値上がりを規制するということと、それから土地を提供してもらってどんどん住宅地をつくって供給していくということ、両面をやらなきゃならぬわけですからなかなか大変な事業だと思いますけれども、そういう総合的な観点に立った対策というものは両面から進めていないとこれはえらいことになると思うんです。  それから同時にまた、そのことは一応以上で結構でありますが、今のお話の中にもあったように、例えば千葉県なんかでも、国電沿線でもしばしば見受けられると思いますが、船橋市なんというのはもう手のつけようのないところになったんですね、一部においては。どこから手を出していいかわからないような状態になっているところもあります。今長期にわたって都市計画を進めているようでありますが、正直申し上げて大変な膨張、発展、区画整理あるいはまた都市計画、こうしたものをやらないうちにどんどん伸びていってしまったという典型的な町だと思うのであります。そうなってきてから、その都市のいろいろ再開発の方法もあるだろうし、区画整理の方法もあるだろうし、いろんな手法で行われることになりますけれども、結局は大変な金を要することになるわけです。これは国も県も市も大変な難渋をきわめることになるわけでありますが、そういうふうにならぬうちにやはり先手を打つ必要があるわけなんで、そこに区画整理事業の大きな意義があると思うのであります。そういう意味では私は常識的に考えてもこれ大変な差があるように思います。  端的な一つの例で今船橋の例を申し上げたわけですけれども、こういう形にならないようにするのにはこの事業促進策をとることが大事だと思うんです。そのためには、保留地だとかそういうものでいろいろこそくな手段で町の開発のいろいろ支弁をなさせるというやり方ではなくて、もっと本格的に国が踏み込んで補助事業といいますか、補助対策といいますか、こうしたものに当たるべきじゃないかと思うんですが、この点は総合的にもう一歩突っ込んだ補助政策というものは考えられないのかどうなのか。この点一つ伺いたいと思います。
  83. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生指摘のように、スプロールが進んでしまい、ミニ開発が進んでしまってから区画整理をやるということになれば、事業費も膨大なことになりますし、それを償うための保留地をとろうとしても、なかなかそれに見合う効用増がなければとれない。そこで左前になって税金もかなり出さなきゃいかぬというふうなことになってくるわけでございますけれども、国民経済的に見まして、あるいは良好な市街地形成するという意味からも先手先手に区画整理をやっていくということが、それはすべきものであるし、理想であると思いますけれども、現実の問題として残念ながら必ずしもそうなっていない。追いかけっこみたいな形になっていることも事実 でございます。  それをできるだけ先行的に区画整理をやろうということで、私どもも当初に三十六万ヘクタールぐらいを、ちょっと現在の実行ペースからいうと非常に大き目でございます。過去三十年間以上のことをこれから二十年間でやろうということで、大げさでございますけれども、とにかく余りおくれを出さないような形で区画整理を進めていこうということになれば、先生指摘のように区画整理の助成というふうなことをもっともっと強く考えていく必要があるんじゃないかという御意見はよくわかりますし、私どもとしてもそういう方向で努力してまいりたいと思います。ただ一つだけ、保留地をとって売るようなことをしないでと、こうおっしゃいますと、区画整理事業そのものが何だかわからなくなってしまいますし、要するに区画整理は保留地というものをとって事業費をやるという基本がございますので、実は私も応援していただくのは非常にありがたいのでございますけれども、保留地をとらないというところまでは私どもとしてはちょっと考えにくいというふうに考えております。
  84. 赤桐操

    赤桐操君 私はなぜそういうことを申し上げるかというと、区画整理事業というものの本来の趣旨は宅地を供給することでしょう。要するに国民に宅地を供給することがこの事業の目的です。ところが、この事業をやりたいんだけれども土地を提供してくれなきゃどうにもならないから、提供者に対するいろいろの利便を与えなきゃならない、こういうことになってきていると思うんです。その一つの方法の中にいわゆる保留地の処分とか減歩率を低くするとかという問題が出てきていると思うんです。しかし、本来の一番最終のエンドユーザーから見るならば、これはいささかいろんな面で私たちの立場考えてくれているんですか、こういう問題が出てくるようなことでは困るということを言っているわけです、私は。  本来、国民の立場に立って土地の供給は行われるべきものですよ。ところが、土地はだんだんと加えることによって価値も上がってくるんですから、高くなるのが普通なんです。これはお買いくださいということならだれでもできることですよ。政策ではないと思う。そうではなくて、一番最後の国民に手に入るときに国民のためになる土地政策でなければならないだろう。そういう意味からするならば、もっと本格的にもう一歩突っ込んだ助成制度というものを考えるべきじゃないのか、こういう趣旨なんです、私の言っていることは。そういう意味で、私は今もうちょっと突っ込んだ本格的な対策をとらなければこれはまずいじゃないですかということなんです。
  85. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) そういう区画整理促進という観点からも補助制度というのは、これから補助を現状以上に厚くといいますか、強くしていくという方向では先生のおっしゃるとおり努力を続けたいと思うわけでございます。  ただ、エンドユーザーに対してというふうなことで、当該土地の、区画整理をやった土地の値上がりというふうな、何といいますか、ミクロ的というか、その場所の値上がりの問題もあろうかと思いますけれども区画整理事業で大量な宅地を供給することによって宅地の逼迫の度合いを薄めることによりまして需給関係を好転させれば、それによる地価の上昇というのは緩和されますし、そういう意味では区画整理事業事業量の増大そのものが国民的に相当プラスになるというふうにも考えているところでございます。
  86. 赤桐操

    赤桐操君 次に、未利用地の問題でひとつ伺っておきたいと思います。  私どもがよく目にするのでありますが、道路もよくできておるし、きちっとした一つ整備された地域になっているんですが、その道路沿いに農地がたくさんあるという例もございます。区画整理が済んだそういう地域で長期間未利用になっている状態、こうしたものをどの程度に把握していらっしゃるか、伺いたいと思います。
  87. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 未利用地の問題は従前からも各方面でいろいろな御指摘があり、御意見ございますので、私どもとしては三年ぐらいに一遍ずつ調査してフォローしているつもりでございますけれども、一番最近の調査によりますと、区画整理完了したけれどもまだ住宅等上物に利用されていない面積というのは全国で二万二千二百ヘクタールほどございます。首都圏で五千八百ヘクタールほど存在しております。
  88. 赤桐操

    赤桐操君 首都圏で五千八百ヘクタール、大変大きなものになると思うのでありますが、こうしたものについては、かなり補助金を出して終わったものと、先ほどのように余り補助金を出さないで済んでいるものあると思うんですけれども、いずれにしてもこれは一定期間内に住宅の建築を義務づける必要があるんじゃないかと思うんです。補助も余り大してやらないで、なるべく自前でやってもらいたい、できたものは採納してください、後の管理もそう徹底したことは御遠慮しなきゃならないという形になってきたんでは困ると思うんです。だから、思い切った補助も出すし政策も行うけれども、同時に後の管理についてもこれはきちっとした管理を行っていくという方向づけが必要だと思うんですが、この点はどうですか。
  89. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 区画整理済み地の宅地促進については、これは重要な住宅用地候補でございますので、この市街化は本当に大切なことだという認識は十分持っております。従来からもいろいろ税制、財政織りまぜて促進策を講じてまいっておりますけれども先生のおっしゃいますように、例えばの話として、補助金が出ている事業でもあることだし、早期の宅地化、一定の期間に宅地化しないものには補助金を返還させるとか、あるいは未利用地の中で農地以外の土地もありますけれども、半分ぐらいは農地でございます。長期営農というふうな形で御承知宅地並み課税を免れているところもわずかではございますけれどもあります。そういったものにつきまして完全の宅地並み課税、長期営農を認めないというふうな制度をとったらどうかとかいういわゆるむち的な施策で対応するというのがドラスチックな形ではあり得る、考え方としてはあるのかもしれないと思います。  ただ問題は、そういうふうにしますと、先生承知のように、区画整理事業は、先ほどから御質問ございますように、地権者同意を得て、しかも負担を願って協力を得てやっている事業でございます。そういうことで、しかし、やるのはいいけれども後で市街化を早くしなければ相当なペナルティーがかかるとかいうことになりますと、区画整理事業そのものをやりたがらなくなるということが多分大きく出てくるんではないかということを私ども危惧しているわけでございます。したがいまして、ドラスチックな形でもしやらねばならない、例えば長期営農地については厳しい宅地並み課税を厳格に適用するということになれば、一般の市街化区域内の農地の宅地並み課税で例えば長期営農というふうな特例がもしないというふうなことになれば、区画整理の中のやつも、それは当然でございましょうけれども区画整理をやったところだけ特に厳しくやるというふうなことになりますと、区画整理自体をやりたがらなくなってしまうというふうなおそれもあるわけでございます。  そういうふうなことで、むち的な施策というのはドラスチックではございますけれども区画整理事業進捗を妨げるおそれがあるということでございますので、私どもはできるだけ促進策、例えば税制あるいは住宅金融公庫等の促進策、あるいは地方公共団体にお願いして地権者等をよく指導してもらう、あるいは計画をつくって指導してもらうといういろいろな施策をやってきているわけでございまして、今後ともそういった促進策をさらにいろいろ考えてやっていきたいというふうに考える次第でございます。
  90. 赤桐操

    赤桐操君 宅地並み課税の問題も随分今日まで論議されてきているし、いろいろ手段、方法等も検討されてきていると思いますけれども、見るべきものは見て、十分に補償するものは補償して、そのかわりに一定の限界の中でぴたっと整理をつ けるという形をとらないと、これはいつまでたっても本来の趣旨とは違う方向に行ってしまうんじゃないか、こういうように思いますので、さらにひとつ検討を願いたいと思います。この点はひとつそういうふうに希望を申し上げておきたいと思います。  次に、この法律案の中には出てこなかったんですけれども、いわゆる土地信託制度の問題が最近新聞紙上とかあるいは関係方面からかなり話題となって出てきているわけであります。これについて伺いたいと思うのでありますが、今回この制度をこの中に入れなかったということはどういうことなんでしょうか。
  91. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生承知のように、土地信託を活用しまして区画整理をやるということ自体のできるかできないかという法律論におきましては、土地所有者から信託銀行なりが信託を受けまして、それを一人の所有者がまとめて区画整理をするというのは、法律改正がなければできないということではないわけでございまして、法律改正がなくてもできたわけでございます。現状でもできるわけでございます。  ただ、信託でもってそういうことをもしやろうとすれば、従来の施行者とその信託を受けた者が何か規約かなんかで、規準で申し合わせをしておいた方がやりやすい。本人ならもういいんですけれども第三者、信託を受けた人が、所有権は信託ですから移るわけでございますけれども、もともとの所有者との間に約束事をしておいた方がいいだろうという話がありまして、それでそういった規準があれば非常に便利でわかりやすく明確になるわけです、その受託関係。ところが一人施行の場合に区画整理は規準をつくることは要らないということになっております。従来は規準をつくらなくてもいい。本人がやるんですから別に規準をつくる必要がないということになったんですけれども、今度第三者施行ということを入れましたので規準をつくることになりました。したがいまして、今度は一人施行の場合でも規準というのができますから、従来から信託でもできますけれども、今度は両者の関係が明白になりますからやりよくなったということにはなろうかと思います。ですから、今度の改正の中に含まれて、表面には出ておりませんけれども、含まれてやりやすくなったということは言えると思います。  繰り返しのようですけれども、従来でもできたわけでございます。よりやりやすくなったという、今度の改正で自動的にそういうことになるというふうに考えているわけでございます。
  92. 赤桐操

    赤桐操君 この法律との関係には必ずしもならないかもしれませんが、信託関係、信託制度の活用という問題についてちょっと広げていろいろ伺ってみたいと思っているんです。  この法律が内面的にはそういうことを含んでいるんだということであればなお結構なんですけれども、私はやはりこの信託制度というか、この種のものについてはこれから考えていかなきゃならないんじゃないかと思うんです。国の立場からも、六十一年の五月に、国有財産法の一部を改正するということで、国公有地についてもこの信託制度考えるということになってきたと思うのであります。こういうことが導入されることになっておりますね。  そういうところからいろいろ、例えば池袋の郵便局あたりでも改築をし直してこれを多角的に利用しよう、こういう考え方が出てきている。ところが、信託関係の方の銀行筋等の意見によるというと、住宅関係では乗らない。これには採算が、要するに商業ベースでいかなければ、各種テナントを入れて、ビルを建築し管理をしていくという方式でなければこれは成り立たぬというように言われているようであります。  そうだとするならば、この際やはり私は、土地を大きく提供して管理していくという考え方でいくんだったならば、例えば公団などのような公共機関においてこれを考えてはどうなんだろうか。きょうの新聞などを見るというと、東京都がこれを考えているようでありますけれども公的機関がこの種のものを扱うようにして何ら差し支えないんじゃないか。むしろ公的機関が積極的に国民の財産を扱い、有効に幅広くこれを行っていくということが必要ではないのか、こういうふうに思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  93. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生の御質問に直接答えられるかどうかいささか疑問ですけれども、公団あるいは地方住宅供給公社、こういったところが土地の信託を受けて住宅を供給するという御提言と受けとめさしていただきますが、率直に言いまして、最近土地保有意識が国民に非常に強いという中で、すべて土地の所有権を公的機関に移動していただいて、これをもって宅地を供給する、住宅を供給するという制度だけでは限界があると私ども率直に感じているところでございます。  そういった中では、所有権を移さないままで、土地を地主さんが保有したままで住宅宅地の供給に結びつけるという施策は大変重要だと認識しているわけでございまして、そういった観点から、端的に言って、住宅都市整備公団におきましては五十八年度からある種の賃貸方式を実は実施はいたしております。これは特別借地方式賃貸住宅制度、こういうものでございまして、地主さんから一応原則として七十年間の期限で土地を借り受けまして、それに賃貸住宅を建てて経営する、こういう方式でございます。と同時に、地主さんと公団との間では、二十年後に地主さんの希望があれば建物は地主さんに時価で譲渡しますとか、あるいはまた、一定期間後には土地の譲り受け、これを地主さんの申し出によって公団も相談に応じます、こういったことを基本にした制度をとっているわけでございます。これは現在までのところ大体二十五団地で、千百三十戸余り供給いたしております。  さてそこで、今先生の御指摘の、それを一歩進めて信託という格好でやったらどうかということ、私ども実は興味ある課題とは思っております。ただ十分なまだ研究ができておりませんけれども、この信託というのは基本的に、先生も御存じのとおり、委託者であります土地所有者、これに対して信託配当をしなきゃいかぬということは当然でございます。そうなりますと、相応の配当が得られるような水準の賃料というものが当然必要になってまいりますし、今お話もありましたように管理運営等の経費もかかるということになりますと、相当水準のやはり賃料というものを今度入居者あるいは借り受け人からいただかなきゃならぬという面が公団なり住宅供給公社がやる場合に出てまいります。そういったときに、立地条件等の問題もございますし、かなり一般的なすぐれた立地条件といいましょうか、便利なところ、こういうことになりますと、かなり高い賃料をいただかないとこの信託契約というものは成り立たないんじゃないかということも、抽象的ですけれども、今懸念いたしておるわけでございます。  そんなことで、そういった点をまだ十分見きわめができておりません。が、私ども問題は若干あるな、こんな感じを今持っておるわけでございます。  同時に、もう御案内のとおり、これは信託業法との関係も当然出てまいります。そういった手当て、これは一つの立法政策の問題だといえばそれまでかもしれまぜんが、そういった意味で実質的にそういったものがうまく乗るかどうか、この辺のところがいわゆる公的機関の政策、住宅供給政策、家賃政策などの関係も含めて、ちょっとこれは慎重に検討させていただきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  94. 赤桐操

    赤桐操君 それからまた、国公有地が相当東京都内にもあるわけであるし、首都圏、三大都市圏に相当あると思いますけれども、この国公有地の利用の仕方についてもいろいろ私は考えなきゃならぬと思うんです。従来のように、今大蔵省が持つ国有財産の状態を見ても、東京都内それから神奈川県、千葉県、埼玉県にはかなりのものが存在しておりますね。特に東京近郊の地帯には相当あるように思うのでありまして、こうしたものにつ いても、今直ちに処分をするということでは問題があるとするならば、これを一時そういった一つの過程を経ながら住宅に供給をしていくというような方法をとることはできないか。  一つの端的な例で、これはほんの一つの思いつきにすぎないかもしれませんが、国鉄の汐留の駅がよく論議になりますから、この例で言うなれば、要するに国鉄は今清算事業団自体が埋め合わせなきゃならない金が必要なのでありまして、その金の工面がつけばいいわけです。これは本来私ども考え方でいけば、国がこれは見なきゃならない問題だろうと思いますけれども土地を今売るということについて問題があって売れないという状態であるならば、これを国が何らかの措置を行って肩がわりをして、そしていわゆる住宅用地等にこれを供するということはできないのかどうなのか、こういうことについてはお考えになりませんか。国公有地とあわせてのこれは考え方ですが。
  95. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 汐留についてはいろいろ検討中でございますから直接触れませんけれども、一般的に、国公有地あるいは旧国鉄用地、清算事業団の持っているところの処分というものにつきましては、公共団体の意見を十分参酌しまして、協議して使途を決めるということでございまして、現にそういった場合に公共団体から、特に都心等におきましては区の方からかなり先生のおっしゃったような意見も出ておりますし、具体の処理に当たっては公共団体の意見というのが相当反映された形の処理になるのではないかと私どもは期待している次第でございます。  ただ、国が直接と申しますのもなかなか難しい問題がございますので、これは検討さしていただきたいと思います。
  96. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 国公有地につきまして、地方公共団体、特に住都公団に譲渡をしてもらいたいということで話をしております。  ただ、東京都は、もう高いということでなしに、公示価格にしてもらっても、一般的に言われておるような中堅勤労者の住宅に持ってこれない、こういう今悩みを持っているのであります。それでは何かの方法で公示価格以下にしてもらわなければ、住都公団とても、家賃で七、八万円まで、あるいは分譲で所得の五カ年分というめどにいたしましても、率直に言って今都心周辺というか、ずっと遠方へ行けば別ですけれども、この周辺でやれない、そういう悩みで今いろいろ話し合っておる、これが実情であります。できるだけ全般的の地価が下がって公示価格が下がってくれると非常にありがたい。このことを何としてでも下げないといけないと基本的に思っておりますのはそういう状態であります。  今譲ってくれるといっても、公示価格で住都公団が譲ってもらってもとても採算がとれない、採算がとれないといいますか、家賃の設定ができない、こういう状態であります。
  97. 赤桐操

    赤桐操君 今この時世ですから売買行為は無理だと思いますけれども、売る売らないということではなくて、何らかの他の知恵がないのか。国自体としても金がないわけではないでしょう。いよいよになれば融通する金はないはずではないだろう。そういう観点に立つならば、一時的にそうしたもので肩がわりをしておきながら、国自体が国自体の実施部隊にやらせるということならばできるはずじゃないかということを私は主張しているわけでありますが、必ずしも一定の形だけではなくていろいろの方法があると思いますから、これからひとつそういうものを含めて検討をいただくということで、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  99. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  100. 馬場富

    ○馬場富君 最初に、土地区画整理事業は、公共施設整備等を通して健全な市街地を造成するとともに、宅地の供給施策としても重要な事業であると私は思っておりますが、土地区画整理事業をめぐる最近の状況と、あわせまして今回の改正の理由と背景について御説明願いたいと思います。
  101. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 土地区画整理事業は、良好な市街地形成するとともに宅地の供給ということで、今までもその役割を果たしてきたところであります。ところが最近御承知のように非常に地価が高騰いたしまして、宅地の供給あるいは良好な市街地、このことがより大事であります。  そこで第一点は、第三者施行というのを取り入れまして、第三者施行できる。それから組合施行の場合、組合員に入れて、これは住都公団とかあるいは地域整備公団または地方住宅供給公社というものを入れまして、保留地を話し合いでそこにとってもらうということ。あるいは非常に小さい宅地になりますと共有を認める。こういう制度によってより促進を図ろうということであります。  今までの状況については政府委員から答弁をさせます。
  102. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生お尋ねの区画整理事業の最近の状況について概略御説明させていただきたいと思います。  土地区画整理事業は着実に一応伸びてはおるわけでございますけれども施行面積、認可件数で見る限りそんなに急激にふえているという感じではございません。大体年平均地区数で二百十から二十くらい、それから面積で大体五千七百ヘクタールくらいのところをここ十年間若干上向きながら横ばいのような形で、横ばいよりちょっと上向きぐらいの形で推移しているのが全体でございます。それで六十二年度末現在、全国で実施しております区画整理は一千六百九十六地区で約七万九千ヘクタールの実施が行われている状況でございます。この内訳は、土地区画整理組合を初めとする民間主体による事業が九百二十六地区、約三万ヘクタール、地方公共団体等公的機関による事業が七百七十地区、約四万九千ヘクタールとなっております。
  103. 馬場富

    ○馬場富君 今回の法改正の背景には、昨年一月に出されました土地区画整理制度の改善に関する提言が私は一つ基準になっておる、こういうように理解しておりますが、提言では、今回の改正案に盛り込まれた項目のほかに、業務代行方式の法定化とか、あるいは土地信託方式の活用とか、あるいは立体換地の手続の整備とか、申し出換地制度の創設の四項目が指摘されておるわけでありますが、これらについてはこの改正になぜ盛り込まれなかったか、その理由をひとつ御説明願いたいと思います。
  104. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) さきに大臣から御答弁がございましたように、今回の改正の重立った点は三点でございますけれども、今先生お尋ねの土地区画整理協会の提言はもう少し広範に提言がございました。提言でございますから、この中で立法化するに当たってはいろいろさらに検討して適正なものを選び出したという形をとっておるわけでございますけれども先生おっしゃいましたように、その一つ一つについて簡単に御説明させていただきたいと思います。  まず、御指摘土地信託でございますけれども、これは一人で行う個人施行について規約に準じた規準の作成の必要性があるのではないかというふうなことでございました。これは第三者施行制度の創設に伴う改正でそれが含まれますので、いわばこの土地信託に関して協会の言っているのは第三者施行の創設に伴う改正の中に含まれているというふうに見ていただければいいんじゃないかと思います。  それからその次に業務代行方式でございますけれども、これは先ほども御質問ございましたのですけれども、業務代行の形態が個々の事業ごとに大変実態が異なっておりますことから、業務代行 者というふうなものを明確に定義することが大変困難な状況でございます。そういうふうなことで、今回の改正にはちょっとその辺の整理をもう少し勉強しなければいけないということで今回は断念したところでございます。  それから仮立体換地制度は、今まで区画整理法に立体換地の規定はございますけれども、立体換地を行っている事業というのはほとんどないわけでございます。現在大阪市の三国駅周辺で計画していることはございますけれども、実態が余りないことから、仮立体換地制度についての事業手法をもし取り入れるにしましても、区画整理法全体との兼ね合い、そういったものも含めましてもう少し検討する必要があるということで、これも今回は見送ることにしたものでございます。  それから申し出換地制度は、土地区画整理法の第八十九条に規定するいわゆる照応の原則、区画整理では非常に重要な原則とされております照応の原則というものの例外を設けるということに事実上なるわけでございますけれども、これは区画整理が非常に財産権の内容に変更を加えるという事業でございまして、この照応の原則というのは、例外規定でこれを直していくということは大変慎重であるべきだし、難しい問題でございます。そういうことから、もしそういうことを考えるにしましても、もっともっと慎重に検討する必要があるということでこれも見送った次第でございます。
  105. 馬場富

    ○馬場富君 今回の改正の中の第一点として、第三者施行制度の創設でございますが、第三者施行制度は、地権者でない第三者区画整理に必要な資金とノーハウを提供して事業促進を図るものということで、第三者がこの中に入るということになるわけですが、その適格者としては、住部公団とか地域公団、住宅供給公社「その他土地区画整理事業施行するため必要な資力信用及び技術的能力を有する者で政令で定めるもの」とされているが、この「政令で定めるもの」とはどのような種類の関係が予定されておりますか。
  106. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは、今先生の御質問のように、法律に例示しております公団、公社のほかに公益法人、私ども具体的には土地区画整理協会、県ごとにあるのでございますけれども、などを頭の中に置いております。そういった公益法人、それから第三セクター地方公共団体の出資等にかかわる法人でございます。それからあとは民間デベロッパー等考えております。
  107. 馬場富

    ○馬場富君 今民間デベロッパー等と言われましたが、そういうものの理解からいきますと大手のゼネコン等も入るのではないか。ここらあたりはどうですか。
  108. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 新しい制度でございますから、今はっきりしたことは言えませんけれども民間デベロッパー先生の御指摘のゼネコン、あるいは場合によっては信託等あるいは銀行等があるかどうか、かなり広範に入る可能性はございます。
  109. 馬場富

    ○馬場富君 今回の区画整理と直接関係もあると思いますけれども、問題は今度の地価高騰ですが、東京圏や大都市圏が土地の値上がりによって土地供給とかそういうことが非常に問題視されておるわけですね。そういうところにあって、特に今度の民活という名のもとに民間のそういうゼネコンやらデベロッパー等が参加したために、かえって競合が土地値上げを推進したという現状は見逃すことはできぬと思うんです。  そういう点で、僕はこの土地区画整理の問題は宅地供給面からいくと大きい一つの柱になってくると思うんです。今までの考え方よりも、市街化整備ということもありますけれども宅地供給という面では非常に大きい効果を上げてきた一つの柱だと思うんです。これを私は大いに今回のこれからの宅地供給の中で生かしていく一つ建設省の柱にした方がいいと思う。しかも、それは公共事業の柱にしていくということが大切なんじゃないかという点で、公共事業もしくは公共主導による事業の柱にしていくといいんじゃないか。そういう点で、非常に静かではあるけれども大きい効果を上げておるという点の魅力があります。だから地域の人たちとの協力も得られていくという点ですね。それから町づくりという点にも非常に効果があります。  そういう点からいきますと、住都公団とか地域公団あるいは住宅供給公社等はもちろん結構なことですし、地方自治体の主導によるものは結構ですが、こういうものをぐんと前に出した行き方でやっていくべきだと思います。特に東京圏や大都市圏について、地価が高騰しているところについては、よしんばこれはやはり公的問題に最初は限定したくらいにして、この問題は東京圏やあるいは大都市圏についてはそういうような指導事項を設けて初めから取り組んだ方がいいんじゃないか。デベロッパーやゼネコン等、最初からそういうふうに甘く見た取り組み方というのは、これの悪用というものも一つ考えられていくわけです。  第三者制度の創設ということは非常にいい方法ではあるけれども、そこに一つの道を与えておくことによって、大きい間違いも起こしかねない要素が含まれておるという点について大変心配するわけですけれども、この点はどうでしょうか。
  110. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先ほど一番当初に先生の御質問にありました土地区画整理協会の提言におきましても、この第三者施行あるいは参加組合員につきましても、民間の優良デベロッパーも入った方がいいんじゃないかというふうな内容にもなっていたかと思います。事実、現在ある再開発法で見ましても、第三者施行あるいは参加組合員制度というのは現にございまして、民間の方も参加組合員制度にも入っているわけでございます。それから民間といいましても、先生承知のように、区画整理事業では、民間土地の地主となりまして区画整理事業をやっている例というのは数多くあるわけでございます。それなりのいい事業もやっているわけでございます。  そういうことをいろいろ考え合わせますと、この第三者施行参加組合員の方も、殊さら両方とも民間も入れてやるということは、それはそんなに民間を入れないということをするべきじゃないんじゃないかという意見もあるくらいの状況であったわけでございます。  しかし、昨今の情勢をいろいろ考えますと、区画整理事業に初めてこういった第三者施行なり参加組合員制度を取り入れるという最初の試みでもございますし、そうであるならばやはり土地所有者等の安全というふうなことにもっと念を入れて財産権の保護等も考えなきゃいかぬというふうなことで、今回の改正は、第三者施行の方は知事等が十分監督できるし、監督も行き届く場合でございますから、これはデベロッパー等も含めますけれども参加組合員になりますと、やはり組合の一員ということになりまして、若干施行者よりは組合の一員ということで目の十分届きかねない点も出てくるおそれがなしとしないというふうなことで、安全ベースでこの際は参加組合員の方は公共的な機関に限定したということで、かなり慎重にしたつもりでございます。  そういうことで、制度の中でそういった慎重な扱いをしたわけでございますけれども、この第三者施行の場合に民間デベロッパーもはいれるわけでございますけれども、こういったことにつきましても、事業認可をとる際、あるいは他の所有者の同意も十分とらなきゃいかぬとか、あるいは仮換地指定あるいは換地計画、そういうものにおきましても他の地権者同意とともに知事の認可もとらなきゃいかぬ等々いろいろ、第三者施行者が万が一にも他の地権者等に迷惑がかかったり一般の方々から非難されることのないような、そういうふうなことの仕組みの上で認めていこうというふうに限定した次第でございます。
  111. 馬場富

    ○馬場富君 局長の答弁だと、参加組合員制度の関係でそれは絞っていくという趣旨ですが、それはそれで、参加組合員制度の中にはゼネコンやデベロッパーを入れないということで調整して、第三者施行の中には一応考えていくという答弁ですけれども、それはそれで理解はできます。  私が先ほど申しましたことは、土地委員会等でも私はそれを発言していますけれども、今回の東京の土地問題は、ゼネコンやホテル、デベロッパー等の参画が大きいマイナス効果をあらわしておるわけです。これは事実いろんな問題点が起こった場合に、この東京問題の地上げの焦点の一角に必ず入って事業を遂行しておるということは現実な問題なんです。  だからそういう点で私は、よしんば参加者において調整するならするで結構ですが、この東京圏もしくは大都市圏については、何回もここで申し上げております公共の発動ということを私が言っておるのは、住都公団地域公団やさらには住宅公社等が積極的に乗り出していく事業ではないか。そういうことによって宅地造成をやっていかせる方向を国としても指導すべきじゃないか。民活民活という言葉はありますが、民活というのは公共で補えぬときに起こり得る言葉であって、非常事態が起こったときには民活じゃだめなんです。そのために政策制度があるわけです。国の制度があるわけですよ。  だから、今一番問題なのは、宅地供給なんかの部類からいっての土地区画整理事業ということを今にらんだわけですよ、ただ区画整理事業だけじゃなくて。これが宅地供給をもたらしておる一つの大きい事業だから、それだけにその事業というのは、これからは大都市圏、特に東京圏等については公共的なものが極力施行者の中に入っていって事業を進めていくことがいいんじゃないかということを私は強く感ずるために今この点を特に申し上げておくが、大臣のそこらあたりの認識をひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  112. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 組合員には入れないが、地域によって確かに民間でやりました場合に土地が高くなるかどうかという問題もありますけれども、東京都内でもちょっと下がりつつあるようでありますから、今から土地投機にこれを利用するというようなことはできないし、知事も監督をするわけですからそれはやらせない、こういう考え方であります。
  113. 馬場富

    ○馬場富君 それは大臣と私の見解の相違ですけれども、非常に甘いと思うんですよ。  大臣、東京の土地問題は僕はずっと調べていますよ。今監視区域や金融措置で一応おさまっていますけれども、ずっと私が調べた範囲では、金余りの現象なんて言われて、今例えば外国国債を買ったりそういうような投資法も随分あったわけですよ。だが円高等でそういうマイナス面も出ています。そうすると、銀行や金融機関は借り手のないほど金がだぶついておるんです。  そういう点で、これは日本の制度にも一つは問題があるけれども土地の担保制度土地の力というのは一番強いんですよ。金融機関に行って土地以外のもの、ほかのものを持っていったってどうしようもないということなんです。一番それは金融でも何でも信用のあるのは人なんですけれども事業を行う人なんですけれども、実際は、日本の実情というのは土地の担保の方が効果があるんです。そのぐらい土地というのは力があるんですよ。持たせちゃったんです。特に東京の高騰するこの中で一番魅力のあるのは、東京の土地を買っておけばいいという神話的な話や、あるいは事実それを裏づける金融機関やそういう体制をみんなつくってしまっているんです。  今、そういう状況の中にあって、一時静かに行われておるだけなんです。必ずこの問題が、問題提起が少なくなってきたら私は頭を持ち上げてくると思うんです。なぜかというと、ほかに金を使うところがないんですよ。多分に土地投機を行わせる状況というのは東京都内に潜んでいます。また静かに動いています。表面の土地じゃなくていろんな方向で動いています。大臣は、これだけ安定したから大丈夫だとおっしゃっていますけれども、それは僕は全然甘いと思うんですよ。こういう土地の値上がりや、この間国土庁長官になった内海さんも言いましたけれども大臣もおっしゃっているじゃないですか、高値安定よりも引き下げるとおっしゃっているじゃないですか。引き下げるからには、そういう大手の持った土地保有やそういう会社のみんな持っておる土地保有というのが東京の中で大きい力を持っていますよ。これが動きかけたとしたら手がつけられませんよ。  だから、そういう点でこの問題についてはよほど監視の目を続けていかなければならぬし、また国自体が、それを抜くだけの公共の住宅対策や土地供給についても公が乗り出して真剣に取り組まなければこれは解決しない。もう東京が火種になって全国に広がっていく、かえって外国の方に迷惑をかける、こういうことに私はなると思うんです。そこらあたりはどうでしょうか。
  114. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の地価の点では先生とちょっと見解が違うわけであります。  共通いたしておりますのは、確かに金融機関が、土地に対する担保力があるから土地に対しては金融を緩やかにしておった。ところが大蔵省の監督で非常に土地に対する金は出しにくくなった。むしろ投機的なものについては一切出していない。本当に利用する土地には出しますけれどもそれ以外出さない。でございますから、開発をやっておるところでも途中でとんざしておるようなところもございます。でございますから、これは金融関係の監督を厳しくすれば地価は下がってくる。既に東京都心部では二、三割下がったようなところもあります。しかし、二、三割ぐらい下がったのでは、三倍ぐらいになっておりますから、二、三割下がったんではとてもいかないから、私どもはもとの状態に、特に言いますと、三分の一ですか、三分の一までならなくてもそれに近いようなものまで引き下げなければならない、こういうことで今努力をしておるわけであります。  確かに周辺部では今まだ下がってもおりませんし、まだ上昇をしておるような状態でありますけれども、東京都の場合、都心部は確かに下がっておる。これは、業界の方々もあるいは住都公団等も今土地を買えば、買ってくれというようなところがたくさんあるようでありますが、今の価格で買えばどうしても住宅を供給するような数字にならないということで慎重に、今都心部に近いところでは高いから買えないような状態であります。でございますから、私は公示価格自体が下がるような状態に持っていかないといけない、こういうふうに思っております。これは一建設省だけでなしに政府全体として地価をとにかく引き下げるんだ、こういう意気込みでやりておりますので、確かに下がってくる。周辺の方では今後開発していけば上がるところもあるかもしれませんが、都心部では下がるということを期待いたしますし、そうしなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  115. 馬場富

    ○馬場富君 私が言っておるのは土地区画整理のことで、土地区画整理の参画者としてやっていく場合に一番起こりやすいのは、都心部なんかで土地区画整理というのは今できかねると思うんですよ。やれば再開発だと思うんです。区画整理はとてもできない状況にあると思うんです。だから、そういう区画整理のやるところについてもそういう力が及んでいくと危険だからできるだけ公がやりなさいと。もう決めた以上絶対やるなというわけじゃなくて、参加者は絶対やるなで結構ですが、第三者の中にはそういうものを含めるということはまあ条件として入れておいてもいいが、やはりこういうところこそ公共の住宅公団とかそういうところが一生懸命手がけていくべきじゃないかということを私は今言っておるわけです。  一つの今例が出ましたから言いますけれども銀行融資の調整でも、投機的な土地には貸しませんと言っていますよ。だけど、投機的な土地には貸さなくても事業用のものについては貸さなきゃならぬです。そこまで制限できないんですよ。そうだとしたら、不動産業者とゼネコンとが組んでやれば投機的なものだって事業となるんですよ。そこに抜け道はちゃんとあるんです。私は現実を見ていますから、必ずそういうところの動きが出てきますよ。  そういう点でよほど監視の目をしっかりしていただかなきゃいかぬということからこのことを申 し上げておるんで、第三者制度の中でも極力公共に大都市圏については重きを置くという考え方で取り組むべきじゃないか。この制度の中でも、その他の中にそういうものが含まれておりますが、その他でないものが一生懸命やるということが必要じゃないでしょうか。どうですか。
  116. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のおっしゃる前段の、こういった第三者施行の中に民間も入れてもそれは大臣初め知事の監督を十分やって変なことにならないようにというのはそのとおり考えておりますし、施行に当たっての通達等でもその辺の趣旨は徹底したいと思っております。  それから第二の点については、法律等を見ていただけばある程度おわかりになっていただけると思いますけれども先生のおっしゃるように、公的機関をかなり重視した制度改正だということで理解していただきたいと思います。ただ現実の問題として、民間の方でも区画整理事業の中に地主として参画して良好な成績をおさめている者も現におるわけでございまして、そういった良好な区画整理をしている実績もあるわけでございますから、民間が入ることをあえて締め出すようなことは私どもとしてはしたくない。公共へ重点を置いているというのは今回の改正でも理解していただけるのではないかと思っております。
  117. 馬場富

    ○馬場富君 繰り返して言っておきますが、限定して言えば、東京圏においては特にそういう点に重きを置いた施行考えてもらいたい、こう思います。  次に、改正点の三になりますけれども宅地の共有化制度の創設がございますが、これは地方公共団体等施行するものに限っているというこの限定はどういうところから起こったんでしょうか。
  118. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは最初先生の御質問とも若干関連いたしますけれども区画整理は非常に法律も古い歴史もございますし、それなりの伝統もありますから、なかなか一筆一筆の宅地、従前のやつを従後の宅地に置きかえるという仕組みでございますから、そもそも共有化ということを一般的には予想していないわけでございます。ところが、土地利用がだんだん進んでいきますと、場合によっては共有化がいいんじゃないかというケースがかなり見受けられるわけでございます。そういうことで共有化についての考え方も区画整理協会の方からも出ているわけでございますけれども、共有化というのを一般的に認めますと、当然共有化する方々同士では合意に達しての話でございますけれども区画整理というのは、馬場先生承知のように、他の地権者へのやはり換地計画においてかなりの影響が場合によったら出てくるわけでございますので、共有化を一般的に認めるまではなかなかいかないだろうという結論になったわけでございます。  ただ、一般的には共有化は認められませんけれども、共有化が特に必要の場合は、先生先ほど御指摘ありましたように、区画整理事業が特に市街地の中の方に近づいてくるところも必要性としてはあるわけでございます。そういったところでやる場合には往々にして、既に宅地があって、しかも宅地が狭い状態、例えば百平米足らずの宅地を持っているような場合がかなりあるわけでございます。家が建っている場合もかなりあるわけでございます。そういった場合に、さらに区画整理で減歩というような話になりますと宅地が非常に小さくなるというふうなこともありまして、地方公共団体施行区画整理に限って小規模宅地対策がとれるというふうに区画整理法の特例があるわけでございます。  小規模宅地対策というのは、場合によったら、そういった余り小さな宅地になってしまう場合には換地を不交付、換地を与えないということもできる。あるいは、与えないというのはできるだけ避けたい話でございますので、増し換地、たくさんの地積の多い人からいただいてきて、小さな方へちょっとつけてやる、あるいは保留地を横にとって付換地とかいういろいろな仕組みが公共団体施行の小規模宅地対策にはあるわけでございます。  その中に共有化を認めることにすれば、小さな宅地を持っている方々が共同で利用することによって区画整理地区の外へ出なければならないということもかなり防げるんではないかというふうなこと、あるいは余り周辺の人に迷惑をかけないでということは、増し換地とかなんかということにならないでおさめることもあるいはできるかもしれないというふうなことで、小規模宅地対策の特例としてだけ今回共有というふうな道を開かせていただいたということでございます。  繰り返しになりますけれども、小規模宅地対策ができるのは地方公共団体等施行区画整理に限定されておりますので、当然その中の共有換地というのもこの地方公共団体等区画整理に限定されることになったわけでございます。
  119. 馬場富

    ○馬場富君 これは小規模宅地の減歩問題から起こってきた問題だと思うんです。だから、共有制度になるときは小規模のものは金銭の清算で分配しておったわけでしょう。現場で我々もこの問題によくぶつかるんですけれども、結局そこらあたりの分け分の申し出とかそういうことが案外我々の耳によく入ってくる問題なんですね。  共有化制度というのは土地でもって解決していくということでしょう、金銭的な清算せぬでも。だから僕は方法としてはいい方法だ、もめごとを少なくしていく方法だなとは理解するんです。それならば、地方公共団体でなくて、ほかの団体による区画整理についての問題についても順次適用していくことの方がかえっていいことではないかと私は思ってお尋ねしておるんですが、その点はどうでしょうか。
  120. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 例えば組合施行等でございましたら、そういった問題は組合の中で話し合いである程度解決できる問題もあろうかと思います。ただ、そうかといいましても、組合施行の場合必ずしも全員が賛成でない場合もあるわけでございますから、強制的に共有化をするという権能は、別に法律を今度直しておりませんからできないわけでございますけれども、強制的にするのでなくて話し合いでそういった対応を考えていく道は残されていると思います。  なぜ強制的に組合がやらないかと申しますと、強制的に共有化に持っていくということになりますと、かなりのきつい制約でもございますので、公共団体等の公正な第三者ということが適切ではないかということで、過小宅地対策は公共団体に限られているというふうに解釈しているわけでございます。
  121. 馬場富

    ○馬場富君 次に、先ほどちょっと申し上げましたが、土地区画整理のこの事業はやはり宅地供給に大きい役割を果たしておるということに私は非常に重きを置くわけです。なぜかというと、今土地対策で大臣が一番お悩みなのもこの宅地供給が大変だからですよ。だから、それが区画整理という中でそういう宅地供給が比較的円滑に行われる方法としてはこれはいい制度だと思っておるんです。  これの位置づけ、役割というのは今後どのように考えていかれるか。区画整理事業の中で宅地供給の占める位置づけというのを従来よりはちょっと変えて考えていく必要があるんではないかということなんです。
  122. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) お答えの前に、先ほど共有化は強制のごとく私言いましたんですけれども、共有化そのものは両者の合意で強制力はないんですけれども、過小宅地が強制力を持つという、他の過小宅地対策でございますね、そういうことでございまして、ちょっと訂正させていただきます。  それから先生の御質問でございますけれども宅地供給に占める区画整理のいろいろ質的あるいは量的役割でございますけれども先生承知のように、最近民間、公的宅地供給を合わした形のいわゆる新規の宅地供給というのは、十年前の一万三千とか五千とか、ずっと減ってまいりまして今一万ちょっとの供給にトータルでなっているわけでございます。  ところが、区画整理の方は非常にこういった地道な事業でございますし、着実に伸びているという傾向がございまして、全体一万四百ヘクタールの新規宅地供給の中で区画整理から供給される完成宅地はずっとコンスタントに三千八百ヘクタール前後で供給がなされているということでございます。したがいまして、区画整理がどんどん伸びればもっとよろしいのでございますけれども、全体に新規宅地供給がダウンしていく中で、区画整理は着実に供給をしているという状況でございます。したがいまして、全体の中のシェアも、例えば五十二年で見ますと、全体の宅地供給の中で二八%を区画整理から住宅地が供給されたのですけれども、六十一年度になりますと、二八%が三七%に上昇しているということで、総体的なウエートは上昇している次第でございます。  これは量的な問題でございますけれども、もう一つは、先生指摘のように、区画整理事業は、素地と申しますか、土地所有者が主としてやる事業でございますから、いわゆる素地を例えば第三者が、デベロッパー等が買いに入って造成して売るというその最初の素地を買うという段階が原則的にないわけでございますので、そういったことからも、素地価格が上昇してコストプッシュによる地価の上昇という観点からは、土地所有者みずからの供給であるということで素地市場への上昇インパクトがないということもあります。これが地価の高騰が云々されている時期においては、区画整理事業の地価安定のための一つのメリットではないかと考えているわけでございます。  そういうふうなことで、量的にもあるいは事業の性格からいっても、区画整理は重要な事業であると考えておりますので、今回の改正その他もろもろの面からさらに一層推進していくようなことをいろいろ考えてみたいと思っている次第でございます。
  123. 馬場富

    ○馬場富君 目的の中にも、健全な市街化地域の造成とあわせて宅地の供給ということがありますから、今局長説明のように、やはり安定した宅地供給において、地道ではあるけれども、弊害を伴わない宅地供給の場でありますので、土地問題が大きくクローズアップされておる市街地におきましては、やはりこの事業というのは非常に今後大きい役割を果たしてくる。目的は二つあるけれども、並行して行われるという供給事業の方もかなり重要な地位を占めておるわけですから、この点にひとつ力を入れていただきたい。  特に、この土地区画整理法というのは昭和三十年に施行されておりますけれども、それ以来三十年間を経過しておりますが、その間宅地供給に果たしてきた役割というのは、ずっと私は数字を見ておりますと大きい役割を果たしてきておると思うんです。現在の宅地供給の約四割は土地区画整理事業によって行われておるということが明確に数字の上にあらわれておるわけであります。それから戦前から行われていた分も含めると、日本人の五人に一人はこの土地区画整理事業の行われた土地の上に住んでおるということになるわけです。そうすると、大きな二つの目的をやりながら、片一方の目的の宅地供給において大きな役割を果たしておったということが、私はこの数字からも推せるわけであります。  そういう点で、宅地供給という面についても建設省においても大きい位置づけをされまして、全国的にこの問題についてしっかりと取り組んでいただきたい。特に、市街化等について高騰が予想されておる地域については、土地形成とあわせまして、そしてこれが基本となって周辺の農地の宅地化の問題も起こってくるわけですから、中心である区画整理事業の方が円滑にいかなければ農地の市街化の問題等についてもうまくいかないことになるわけです。区画整理がしっかりしてなくて、外のみを案外あおる傾向も随分あるわけですが、そういう点についてひとつ大臣からも、区画整理事業土地供給の位置づけとして、大臣土地国会等でも一番お悩みの宅地供給を静かに行う方法として、できるだけ公共が主導型でやれる事業として適切なことではないか、こう思うんですが、どうでしょうか。
  124. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お話のとおりであります。何といっても宅地が非常に不足をいたしておりますので、高騰をいたしましたいろいろの要因はございますけれども、今からは宅地の供給に力を入れていかなければならない。いろいろの手法がありましょうけれども、この土地区画整理事業の果たす役割というのは非常に大きい、かように思いますし、また特に都市の周辺部で事前に、住宅やあるいは事務所が建ち並ぶ前に区画整理できちっとしておく、こういうことが大事であると思いますので、宅地供給の面からも大いに区画整理を進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  125. 馬場富

    ○馬場富君 一般に公共投資はGNPに対して乗数効果あるいは生産誘発効果が高いとされておりますが、土地区画整理事業の経済波及効果というものもかなり私は大きい力があると思うんです。特に、内需拡大型の観点からの政策転換がされておりますが、この中でのこの事業の波及効果というのは非常に効果的なんじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  126. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生の御指摘のように、土地区画整理事業公共施設整備宅地の造成工事による生産の誘発効果とともに、ある場合には、建物の移転に伴いまして移転補償金が出るわけでございまして、さらにその際自己資金を追加して建物の増改築を行うというふうなことがございます。また、保留地を買った人が新築等の建築関連投資の誘発効果も大きいわけでございます。  こういったものを若干私どもでモデル的に考えまして、総経済波及効果を概算して試しにしたものがございます。それによりますと、総事業費の約五・三倍くらいのいわゆる誘発効果といいますか、需要創出効果があるという計算がございます。大体区画整理事業は平均的に見て一億ちょっとぐらいのことでございますので、一ヘクタール当たりで見ますと六億くらいの形の誘発効果ということになりましょうか。一つの試算でございますけれども、そういう試算をしたことがございます。
  127. 馬場富

    ○馬場富君 そこで、都市計画区域の決定を行った市町村は全国で約千九百あるわけでありますが、そのうち半数近くの約九百の市町村が区画整理事業の未経験の状況にあるわけです。だから、今後とも土地区画整理事業市街地及びその地域の効果的な発展につながることのPRや状況説明等もよく私は当局としても考えられて、土地区画整理事業全国への理解ということもして、秩序ある市街化形成と、あわせて地域宅地供給やそういう点にも大きい効果をあらわすことが必要じゃないかということで、この点についてやはり緊急に整備についても検討されていく必要があるのではないか、全国的にPRとか状況認識等をされる必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  128. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 実態に関しましては先生のおっしゃるとおりでございます。  そこで、国としましても、毎年全国的にハウツーセミナーというようなものを開催したり、あるいは各地域別の研究会というふうなのをできるだけ多く開催しまして、未経験の市町村の関係職員の啓蒙、指導というようなものを行っているわけでございます。そのほか、この区画整理は、先生承知のように、愛知県とか埼玉県とか非常に区画整理の得意というか、御熱心な県もありますし、そうでないところもあるというふうな、県の中の事情でもでこぼこがございます。そういったこともありまして、県あるいは地方の指導ということも大変重要なことではないかと考えております。そういうことで、国、地方をあわせまして、機会をとらえて、これからの区画整理をすべきところでまだやっていないようなところの指導を徹底してまいりたいと考えておる次第でございます。  ただ、ちなみにここ三年で見ましても、七十二の市町村が新たに区画整理を実施しようというふ うな傾向が出ております。まだまだ十分でございませんので、今後とも一層努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  129. 馬場富

    ○馬場富君 事業をやる以上、予算面のことですけれども、最近ゼロシーリングとかマイナスシーリング等によって予算全体が抑えられてきたわけですけれども、最近は公共事業の拡大等も考えられてきておる現状にはありますけれども、その中で特に都市開発の予算というのは非常に伸びておるわけです。そしてこの区画整理事業の予算というのは余り伸びていないわけです。ここらあたり、数字は説明してもらわなくてもわかっていますが、やはり都市開発という抜き差しならぬところにやるわけですよ。だが土地区画整理というのは計画的に行っていく事業なんです。そういう点で、よしんばこの区画整理事業の方を、一つは基盤づくりの問題ですから、私はそれからいけば再開発の問題は応急処置だと考えていいと思うんです、ひどい言い方かもしれませんけれども。  そこらあたりの点を考え合わせていきますと、やはり区画整理事業に対する予算も——こちらを減らせというわけじゃないですよ、都市開発も必要ですけれども、この区画整理の方の予算ももう少し、道路の予算の中の一部をちょっと回すというようなお粗末なことでは、法律改正して大臣が力んで答弁されるほどのことはないんじゃないか。こういう点でここらあたりをどうお考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  130. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 傾向は確かに市街地開発に比べて区画整理の方が伸び自体は、区画整理も着実に伸びてはおりますけれども、比べればそういうことになります。  先生御理解願いたいのは、再開発事業自体が、何か事業自体が基盤整備余りないようなというふうなことではなくて、やはり再開発もこれから大事な事業でございますし、基盤整備も同時にやっていく事業であるということで力を入れさしていただきたいと思います。ただ、再開発事業は、法律施行が四十四年でございましたか、やはり再開発事業施行するに至るまでに大変何か潜伏期間と申しますか、いろいろその地域の住民を、区画整理も同じことが言えますけれども、そこの再開発をいざやるというところまで持っていくために非常に事業が時間がかかるということもございます。そういったことで最近になって相当テンポが伸び出したという傾向にございます。区画整理は前からかなりコンスタントにやっていましたので、その伸び率自体で見ますと、最近になって伸びてくるというものにどうしても伸び率が強くなるということもある程度自然なことだと御理解願いたいと思います。  ただ、区画整理につきましては、先ほどからも御質問ございますけれども、私どもとしては、今後とも補助金等も含めまして、できるだけそういった助成措置というものを検討してまいりたいと考えているわけでございます。  また、先生指摘の街路事業費の補助、街路事業相当分、道路特会から出ている補助金でございますけれども、そのほか公園とかにつきましても管理者負担制度というのもございますし、できるだけそういったものも活用してまいりたいと考えている次第でございます。
  131. 馬場富

    ○馬場富君 そこで大臣に一言、これ予算のことですから。都市開発の予算の伸びは、中曽根総理のお声がかりによって余計伸びているわけですよ。だから、土地供給をあわせまして区画整理事業は竹下内閣のお声がかりで伸びたというくらいの推進をお願いしたいと思うが、これはいかがでしょうか。
  132. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今都市局長からもお話がございましたように、産業構造が変化して再開発が、再開発というのは主として駅前のようなところをやっていた、ところが工場跡地等を再開発するというところで非常に多くなったということもあります。しかし、ずっと長く着実にやっておるのはこの区画整理だと思いますので、区画整理に対する補助金、これについても努力をいたしまして、いろいろの手法宅地の供給ということでは同じことでありますけれども、そういうふうに土地区画整理事業についての補助金の増額につきましても、竹下内閣の目玉になるかどうかは別といたしまして、今後努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  133. 馬場富

    ○馬場富君 最後に一つだけ、これは都市局にお尋ねしておきますが、都市局でうるおいのあるまちづくりというのを計画されておりますが、これと土地区画整理事業との関係性は、これは一貫した事業だと思います。これに関係しまして、先般もここで私何回か質問しましたマイタウン・マイリバー構想がございますが、名古屋については堀川等についてもこの事業が今推進されておると聞いておりますけれども、ここらあたりの兼ね合いの問題をひとつ説明していただきましょう。お願いします。
  134. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これからの問題としまして、うるおいのあるまちづくりというのは大変重要なことになろうかと思います。建設省あるいは都市局としましても、いろいろな事業をやっているわけでございまして、その一つとしてふるさとの顔づくりモデル事業とか、いろいろシンボルロードとかやっておりますけれども先生指摘都市の良好な水辺空間を形成するための河川改修事業、これは河川局の所管でございますけれども、こういった事業都市づくりの事業であるかと思います。  この辺につきましては、河川局長さんおられますので、河川局長さんの方から御答弁が適切だと思いますので、よろしゅうございますでしょうか。
  135. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) お答えをさしていただきます。  御指摘のございました堀川のマイタウン・マイリバー整備事業でございます。前回あるいは前々回も先生から御質問がございましたが、四月の末日に私どもこの整備事業の要綱を制定いたしました。現在愛知県、名古屋市両県市で申請書を作成中と聞いております。申請の手続がなされましたら、できるだけ早い時期に河川の指定が行えますよう、関係部局と協議をいたしました上でそのようにいたしたく考えております。
  136. 馬場富

    ○馬場富君 終わります。
  137. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今回の改正は、第三者施行制度参加組合員制度の創設が中心ですが、いずれも地権者、一般組合員の権利保護が大きな問題になると思うんです。この第三者施行個人施行ですから、事業計画を決めなきゃならぬ。それから共同の個人施行の場合は規約、それから一人施行の場合は規準を決めて知事施行認可を申請することになります。  それで、組合施行の場合との違いがここから生まれてくるんですけれども事業計画はともに地権者等同意が必要になっていますが、規約、規準については地権者同意、これを必要としないということになっています。組合の場合には定款を、地権者の三分の二以上の同意が必要になってくる。  それで、規約、規準というのは何が中身かというと、これは法律に書いてあるんだが、法律の第五条、第十五条で費用分担に関する事項ということが決まっている。それから施行令の第一条で、権利の価額の評価方法、地積の決定の方法、設置する工作物等の管理、処分に関する事項、いずれも非常に重要な内容だと思うんです。そういうものを地権者同意の必要なしに第三者がいわば勝手に決めることができるということになっているのは懸念を持つんです。なぜ少なくとも三分の二以上の同意とかそういうふうにしなかったんでしょうか。
  138. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) この規準、規約の場合と組合員施行の定款の場合との違いのお話でございますけれども法律的には規準もそれから定款の場合もその施行者の中の約束でございます。要するに、組合施行施行者の間の中で施行者が集まって決めるものが定款でございますし、また規約も規準も施行者が決めるものでございます。したがいまして、事業計画の中身におきましては、 施行者以外の者が、これも利害関係がありますので、これは法律的にもきちっと同意が必要だと、こう書いてあるわけでございます。  ところが、それでは先生のおっしゃるように、規準の中にはいろいろのものが書いてあるじゃないか、そこで同意がないんじゃないかというふうなことでございますけれども、基本的には第三者施行地権者同意をもって始まることでございます。そこで、どういう方法で施行者がやるかということは、これはそこの施行者土地所有者の間で意思の疎通がなくてできるものではないわけでございます。ですから、当然のこととして、事業計画の中身等を、同時に規準の決め方については実際上は同意が当然できて、その同意ができたものを両方あわせて持って知事の認可を受けるというふうな段取りになろうかと思います。法律上その規準を同意にしていないというのは、規準、規約というのはそもそも施行者が決める行為だからと、こういうふうなことでございます。権利関係に問題があることについては事業計画換地計画、仮換地の指定について全部同意というふうな仕組みになっているというふうに理解しております。
  139. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長の言われるのは僕は形式論理だと思うんです。意思の疎通があるから結局白紙委任して信頼して任せるということになると思うんです。答弁でも明らかなように、第三者というのは公団、公社も入るんだが民間デベロッパーも入るということでしょう。白紙委任について、局長の言われるように、意思の疎通があるから信頼できるというふうには実際上なっていないんです。  第三者施行について既に都市開発法に同様の規定がありまして、私、前回都市開発法に関する総務庁の報告を取り上げましたね。これを見ますと、昭和六十年度の調査結果で、第三者施行実績は、調査対象十都道府県でわずか四件なんです。たった四つです。その理由としてここに書かれているのは、一、処分を第三者に任せることの不安です。二、民間デベロッパーが自己利益中心となるのではないかという不信感、三、不採算見通しになったときのデベロッパーの撤退や責任所在の不明確等の不安ということが指摘されているんで、民間デベロッパーがすべて信頼できるかというと、フジタ工業のこともきのうから取り上げられているけれども、一々挙げないでもやっぱり不良もあるわけでしょう。  そうなりますと、第三者施行について都市開発法と同様の制度を導入するんなら、こういう不安を解消するような新たな措置を考えないでやれるというのは、私は無責任なように思いますけれども、何か対応措置をお考えになりませんか。
  140. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 要するに規準において同意がないから不安だというふうなことではないと思います。それは再開発の場合でも同意を前提にしていますから、不安だと思わない人は同意するし、不安だと思う人は同意しないという結果だと思います。  当然のことながら、先ほど申しましたように、その規準と事業計画書はセットで認可になる話でございますので、その規準の決め方、これを何も地権者にないしょにする話ではないわけで、実質的には、普通同意が行われて事業計画の認可がなされるものでございますから、もしそういった御心配があるようでございましたら、そういった施行上の問題点としまして、認可を受ける際には知事がちゃんとそういった申請の、同意がなされたかどうかということも認可の申請の際の知事の判断材料になりますけれども、そういった点もよくチェックするように指導してまいりたいと考えております。
  141. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今までも業務代行方式というのがあったわけですね。何でこの業務代行方式よりさらにチェックの不完全な第三者施行制度を導入したのか、私は到底わからない。  先ほどから土地区画整理協会の提言がたびたび引用されますが、この提言にもこう書かれている。「通常の組合員は、土地区画整理事業の実施についての知識等が乏しく、業務代行者に適切な指示を与えるのが困難なことが多いほか、民間事業者の業務内容について十分な判断能力を有することが期待できないのが通例」だと、こう書かれている。他方、民間事業者は、共同施行土地区画整理事業組合施行よりも手続が簡便なので、他人の所有する土地も含んで事業を実施するときには魅力ある手法になっている。だから民間デベロッパーにとっては魅力あるんですよ、この共同施行の方式は。他方、組合員の方は知識がないんだということが指摘されているわけでしょう。これもしかし、第三者施行制度を提案しているんだが、こういう現実がありながら業務代行方式以上にチェック権限が少ないこういう方式を導入することは、私は、地権者たちが事業が実際に進んでからこんなはずじゃなかったということになるおそれが極めて強いということを指摘したいと思います。  次は、参加組合員制度の創設です。  午前中からの答弁で、これは「政令で定める者」となっているけれども、公団、公社などで、民間デベロッパーを入れない、こういう答弁でした。ただ、どうなるんですか、法改正をしなくても、じゃ政令を変えれば民間デベロッパーも入れられるように、将来要望が強かったり、このまた提言などが出てきたらやることもあるんですか。
  142. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 結論から申しますと、法律の書き方からいってそういうことはできないと思います。  と申しますのは、先生承知の、第三者施行については公団、公社その他資力信用なんとかかんとかと書いてございます。それから参加組合員の方は公団、公社その他政令で定めるというふうに書いてございます。そういう意味では、法律の書き方から予測しているのは、公団、公社並びにそれと同等なものに限定するという意味で参加組合員の方はなっているはずでございます。第三者施行の方は、公団、公社その他資力信用となっていますから、政令でその他資力信用の者として民間も入れたいと考えて、予想して書いているわけでございます。そのことからいいますと、もし仮に参加組合員デベロッパーを入れるということになれば、法律改正からやるのが妥当だ、そういうことになろうかと思っております。
  143. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 参加組合員土地を与えることになるわけですね。これは仮換地の段階で決めるんですか。それとも換地計画段階土地を与えることが決まるんですか。これはいつどういうふうにして決めるんですか。
  144. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 参加組合員が取得することになる宅地のまずおおむねの位置、地積等は、一般地権者参加組合員との協議によって定められる。この協議によって定まったものを定款の段階で定款の案に記載しまして、それで地権者の三分の二以上の同意を得ることによって決まるということでございますので、概略、おおむねの位置、地積はまず定款で決定するというのが一つでございます。それから、概略と申しましたのは、参加組合員が取得する宅地の位置、地積のきちっとしたもの、最終的な姿は換地計画において正確に定められるというふうなことでございます。
  145. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、最初概略が定款のところで決まる。参加組合員土地を与えてしまうので地権者の換地、これは減ることになりますか。
  146. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは結論から申しまして、減ることには実質的にならないと考えております。  と申しますのは、参加組合員がもしなかったと仮定しますと、そうすると組合はその事業費捻出のために保留地というものをとって、その保留地を処分したもので事業費に充てるわけでございます。ところが、参加組合員があるときには参加組合員負担金というふうなものを先にいただいておいて、参加組合員がない場合の保留地に見合う分、そこのところを参加組合員土地で組合が与えるということになりますので、他の人の減歩率 とかそういうものには原則的にかかわりがないというふうに考えている次第でございます。
  147. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 保留地はほぼ仮換地の段階で決まりますね。そうすると、参加組合員に与えるのは保留地の中から与えることになってくるとなると、一般の組合員の換地調整とは一応かかわりなく先に参加組合員土地を決めてしまうということになるのではないかと思うんです。これは一般の組合員の権利を制約することになる懸念があると思わざるを得ません。  もう一つ価格の問題ですが、参加組合員の取得する土地の価格はいつ決まりますか。
  148. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 参加組合員が取得する価格も、おおむねの位置、地積と同様に、清算は別としまして、概略は定款に記載することによって定款の合意が得られる段階で決まるわけでございます。
  149. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 やはり、ずっと説明を聞いていますと、参加組合員、これは公団、公社なんですけれども、知識も持っている、ノーハウも持っている、技術も持っている、大体そこを信頼してやっていくということになるんだろうと思うんですが、それが取得する土地も、その価格も定款の段階でほぼ決まるわけですね。しかし、一般の組合員は、通常工事が概成したときに価格が決まって処理が行われるわけなので、特に今のように地価が高騰して、しかも工事が長期にわたることになりますと、やっぱり概成がかなり後になるということがありますね。そうすると、参加組合員は特別に安く最初に保留地を、しかも価格も安く取得するという可能性が強い。そういう不公平を防止する措置が必要に思うんですけれども、いかがでしょうか。
  150. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 区画整理の手順から申しますと先生のおっしゃるとおりでございますけれども先生承知のように、区画整理でもって、定款を定め事業計画を定めて都道府県知事の認可をとるという場合には、概略もう事業計画ができなきゃいかぬ。事業計画ができるということは、大体の面積が決まって、場所が決まって、保留地がどのくらいとれるかという目安がないと事業主とのあれができないんですから、それは正確には決まりませんけれども、概略の段階ではどの程度保留地ができるかというのは通常決まるわけでございますので、若干早目に見えますけれども、そんなに通常の区画整理では無理のない話ではないということが一点。  それから、当然参加組合員が、大体どんな場所にどのくらいの価格でということは、参加組合員とほかの組合員はこれは合意でやるわけでございますから、同意が必要なわけですから、参加組合員だけいい思いをするということは、相対で見ますと他の組合員が損をするということにもなりかねるわけですから、そういうことのないように組合の内部で調整が一般的にはなされるはずだし、また換地計画、仮換地の指定等につきましては、知事第三者立場で、権利者間あるいは参加組合員、もともとの組合員との間で、不公平な換地計画にならないかとか、そういうチェックも当然知事がやれる立場にあるし、それもやっていただかなきゃならぬというふうなことで、万々そういうふうなアンバランスの生じないようにやっていただきたいと思うし、それを期待しているわけでございます。それから参加組合員も公的な機関に限定されていますし、地権者をだますようなことは万々ないと考えている次第でございます。
  151. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私たちは、この土地区画整理手法そのものにやっぱり根本的な問題点を感じているんです。  六年前にこの改正があった際私当委員会で質問しているんですけれども、このとき建設省の担当の方から、こういう手法があるのは日本と韓国と台湾だけだという話を聞きまして、担当の方から聞いたわけなんで、質問をしました。当時の加瀬局長は、突然の御質問でちょっとお答えが的確かどうかわかりませんが、もともとドイツからこの手法を取り入れたと承知しているという答弁がありました。私今度いろいろ文献を調べてみたんですけれども、加瀬局長が言われたように、もともとドイツから取り入れたというのは事実で、プロイセンの市長のアジケスという人、この人は土地行政の専門家で国会議員だったそうで、非常に有能な人だったそうですが、耕地整理、土地改良、こういうものの手法を学んでこれは生まれたものだ。大正八年、都市計画法、それから大正十二年、特別都市計画法等々だということが文献などでも明らかになっているんですけれども、さて、その起源はドイツから学んだものにせよ、現在日本では都市計画の母と土地区画整理は言われているんですけれども、こういう手法を欧米の先進諸国で取り入れているところがありますか。お伺いします。
  152. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 私もそう詳しく知らないんで申しわけないんですけれども先生のおっしゃる概要は、先生のおっしゃるとおりドイツの発祥で、いろいろ耕地整理等を通しまして今のようになったということを承知しております。  発祥は確かにドイツでございますけれども、欧州では特に事業が盛んに行われているというふうなことは聞いておりません。事業が盛んなのは欧州でなくてむしろ台湾、韓国等でございまして、そのやり方はおおむね日本と同様であるというふうに承知しております。最近では、アメリカの一部の州が大変日本の区画整理に関心を持ちまして、区画整理制度化の検討を急いでいるというお話もあります。大変前向きであるというふうに聞いております。  なお、東南アジア諸国等におきましても区画整理への関心が高まっておりまして、日本への専門家の派遣の要請も出てきております。マレーシアとかフィリピンに現在人を派遣中でもございます。そんな情勢でございます。
  153. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長の言われるとおりです。  私も、東大出版会の「ヨーロッパの土地法制」、これはフランス、イギリス、西ドイツの研究、それから日本開発銀行の「欧米諸国の都市整備制度」というもの、それから石田頼房教授の「日本における土地区画整理制度史概説」などなどを見ました。それから建設省の方の書かれたのがございました。並木昭夫氏で、書かれた当時は建設省都市局技術参事官、この方の「都市整備」という著書の中に、「欧米諸国の再開発車業制度の概観」という節があります。  これにも書かれておりますけれども、アメリカ、イギリス、フランスなどはどこでも公共的な買収、収用、それが基本で、区画整理手法はこれには全くありません。ただ、西ドイツに区画整理手法が今でもあるそうですが、これは有名なBプラン、ベバウウングスプラン、地区詳細計画、これを実現するという形で行われているものであるということが書かれておりまして、減歩も多少あるようです。しかし、この減歩というのも限度が決まっていて、公共施設用地の設置者は代替地の提供義務が決まっているということになっており、特に日本では幹線道路の建設のために区画整理、減歩が行われるんですが、西ドイツでは幹線道路等の建設のために、収用のかわりに区画整理方式の利用は許さないということになっているということなどがあります。  今局長お答えのように、広く行われているのは日本と韓国と台湾だ。韓国、台湾というのは日本の元植民地だったわけなので、やはり日本で独自に発達してきた制度が韓国並びに台湾で日本と同じように使われている。最近、今のお話では、アメリカの州で一部見習おうという動きが出ているということですね。  そうしますと、歴史は非常に独特のものなんですね。日本の歴史についても、先ほどの石田氏のかなり詳細な研究が「総合都市研究」に載っています。石田氏は自治体研究社から「日本近代都市計画の百年」という著書もまとめられております。それから岩見良太郎氏の「土地区画整理の研究」という、これもかなり膨大な本で、私も何も全部読んだわけじゃないんですけれども、歴史の主なところはやっぱり非常に重要な日本における問題だと思って調べました。  もう時間がありませんからまたいつかの機会にしたいと考えておりますけれども、まず西ドイツから入ってきて耕地整理、つまり郊外の土地の地主による区画整理として明治、大正から始まったものなんです。既成市街地に使われ始めたのは関東大震災後ですね。この関東大震災のときに特別都市計画法というものが生まれる。それまであったいろんな制限がなくなり、特に一割までの減歩は無償ということまで決まった。これが大問題になるんですね。「日本近代都市計画の百年」を見ますと、帝国議会で満場一致反対です、これは憲法違反だというので。当時議員は地主さんが多かったせいもあるんでしょう、一九二五年三月、衆議院で全会一致、区画整理改善決議、それに基づいて改正案が出たんだけれども、その翌年国会解散で廃案になってしまったという歴史があってこの特別都市計画法が行われている。  それから戦争中にさらにこれが改悪されて、軍都整備都市計画、それから新興工業都市計画というので、疎開する工場をどんどん都市計画でつくっていく。この際は減歩は四割から五割に達したという事実が述べられています。戦後、戦災復興目的で特別都市計画法、これが施行された。このとき一割五分まで無償減歩、これが決まるわけです。  この点で一つおもしろいのは、この一割五分の無償減歩というのは憲法違反だということが問題になって、当時GHQのケネイ氏の見解、一割五分で無償取得するのは憲法二十九条違反だという見解が出ている。法務庁調査意見局もこれは憲法違反の可能性があるということがこの本にも引用されている。ですから、戦前の一割無償でという減歩も帝国議会で満場一致反対なんです。戦後の戦災復興のときにもGHQから法務庁まで憲法違反の疑いが強いということが出ている。  戦前の耕地時代は、小作人と地主との闘争が赤い糸のように貫いた。既成市街地をこういう手法で減歩してやっていくわけですから、これは住民と施行者、特に地方公共団体あるいは行政庁との大対決が戦前も戦後もずっと貫かれてきた。その中で次々に日本における都市計画の最大の柱としてこれが成長、発展してきて、ついに今我々が審議しているきょうの第三者制度の創設等々というところまで行くわけであります。  それで、この独自の土地区画整理法、これが昭和二十九年、一九五四年に単独法として成立しまして、減歩については減歩補償ということになる。この減歩補償というのは、もういろんな学者の見解があるんでしょうけれども、私が見た岩見さんなどの見解によると、整理前と整理後の価格で、整理後が整理前の価格を下回らなければ補償しないでいいんだと。そうしますと物すごい改悪だ、下回らなければ一切補償しないでいいということになった恐るべきものだという判定が下されています。これは学者すべての見解ではもちろんないでしょうけれども。  午前中の局長の答弁だと、今減歩はどうなっているかというと、戦前は一割とか一割五分とかが無償というんだから、大体一〇%前後だったようです、特に耕地整理なんかの場合は。戦後大きな街路を、十二メーター以上の話も先ほど出ましたけれども、やるということになるとこれはなかなか大変なことになるので、先ほどの答弁では、公共減歩、保留地域歩を入れて平均で三三・五%という答弁ですね。住都公団施行平均四四・六%という答弁ですね。これは大変なことだと思うんですよ。三割、四割減歩で取られて、これは不動産資本にとっては、受益者負担でいい、地価が上がるからというんでしょうけれども、それこそ一般のただ住んでいる住民、小さな店舗、生存権に基づいて小さな土地を持っている人にとってはこれは大変なことで、大問題が起きていくと思うんです。  こういう国際的な歴史を見ると、私は、皆さん方が非常に自信をお持ちの土地区画整理というのは、むしろ日本のおくれた政治の、国民の権利がまだまだ確立されていない、しかもお上の言うことにはというところの政治のおくれが生み出した、戦前、戦後、戦争を通じ、軍国主義を通じ、自民党の独裁的支配の三十年を通じて発展してきた制度ではないかと思うんです。  これは大臣にお考えをお聞きしても、なかなかこれは大問題ですけれども、我々はどうもそういうふうにしか思えませんが、最後にひとつお考えがあったらお願いします。
  154. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 関東大震災からの流れ、いろいろお話を承りましたが、一つ一つが全部よくないようなお話でありますけれども、これは全面的に違うわけでありますが、関東大震災後の区画整理、その後、戦時中に戦災に遭ったそこの区画整理、最近は非常に構造が変わってきた。変わってきたといいますのは、道路にいたしましても、自動車が非常に通行するようになった。また防災等で、道路も広くなければ建築の許可にもならない。これも防災面でありますが、消防車の出入り、こういうことであります。  一方、耕地整理につきましても、いろいろ歴史はありまずけれども、最近もつくりやすい農地ということで、名前は変わりましたが、基盤整備ということで各地区とも行われておる。この基盤整備にいたしましても、この土地区画整理にいたしましても、地域住民の方がみんなで寄り合ってよりよい土地にしようという基本的な考え方がある。みんながやらないというところではできないわけですから、みんながよりつくりやすい農地を造成しようでないか、あるいはより住みよい環境の宅地をつくろうでないか、こういうことでみんながそういう意思に基づいてやっておるわけであります。政府はそれをひとつ補助もし、きちっとしてお手伝いをしよう、こういうことで、私の方から押しつけるということではございません。  しかし、やるからには立派なものにするために基準も決め、助成もして、また基本的には減歩、これによってみんなでやろう。しかしそれが余り多くなってもいけないから補償もし、また地価の問題を言いますといろいろありますけれども一つ区域内で保留地を決めて、その保留地で大体賄うようにしよう、しかしそれだけではいけないから助成をしよう、こういうことでありますから、一番いい制度だ、また一番民主的な制度だ、私はこういうふうに解釈をしております。でございますから、先生のお考えとはもう全然観点が違うわけであります。  要は、私ども、よりよい環境の宅地をつくっていく、そしてまた新しい宅地開発もしていこう、こういう考え方でございますから、今後も大いに進めていきますし、やはり個人の財産でございますから、できるだけ減歩が少ないようにいたしますし、なるべく迷惑が少ないように、しかしでき上がったものは、減歩しましても必ず価値としては十分それ以上のものに私はなっている、またそうでなければ同意をして皆さんが進めない、こういうふうに思っております。  今後大いにこの土地区画整理法を進めていって宅地の供給に努めたい、かような考え方であります。
  155. 山田勇

    ○山田勇君 まずお尋ねをいたしますが、    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕 最近の宅地の供給量の推移と区画整理による供給量の推移はどのようになっているのか、特に三大都市圏についてどうなっておるか、お尋ねをいたします。
  156. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生、最近とお尋ねがございましたけれども昭和五十二年度から六十一年度の十年間について御説明させていただきたいと思います。  宅地の全体の供給量は、五十二年度で一万三千五百ヘクタールが総体の供給量でございましたけれども、それが停滞傾向で全体は推移しておりまして、昭和六十一年度では全国で一万四百ヘクタールまで落ちております。また三大都市圏では六十一年度全体が五千百ヘクタールとなっております。  これに対しまして区画整理の方でございますけれども、十年間にわたって、毎年若干のでこぼこはございますけれども、三千八百ヘクタール前後 で安定的に推移しております。したがいまして、六十一年度において全国で三千八百ヘクタール、三大都市圏で千八百ヘクタールの宅地が供給されているというふうになっております。したがいまして、供給量全体に占める区画整理事業による供給の割合は過去十年間に二八%から三八%に増加している次第でございます。
  157. 山田勇

    ○山田勇君 次に、今回の法律改正による第三者施行制度の拡充によってどの程度区画整理事業が推進されることとなるのかをお尋ねをいたします。また、この第三者とはどのようなものを想定しているのか。悪質なデベロッパーのチェックなどはどのようにして行うのですか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
  158. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 第三者施行制度は、個人施行土地区画整理事業において行われるものでございまして、今度の改正で新しく出てくるものでございますので、この改正で数量的にどのくらいというのはいささかはじきがたい問題でございますけれども、ただ、第三者施行の母体であります個人施行土地区画整理事業全体は過去十年間で約五千ヘクタールぐらい施行されております。というのは、個人施行の割合というのは、施行面積で言いますと区画整理全体の九%ぐらいになるわけでございます。ですから、施行面積で言う九%のシェアを持っている個人施行第三者施行制度を導入することによりましてこれをふやしていこうということになるのですけれども、数量的にどこまでというのはちょっとわかりませんので、御勘弁願いたいと思います。  それから第三者施行については、先ほど来数多くの質問が出でおりますけれども民間デベロッパー等も入ります。そういうことでまさかのことを心配せざるを得ないわけでございますけれども、たびたび申してございますように、都道府県知事事業施行を認可するに当たりまして、事業計画の内容のチェックのほか、申請者の資格、変なことをしていないかとか、そういうのを含めましてこれを厳重にチェックして、過去に宅地建物取引業法の違反等がないかどうかという点もチェックして慎重に許可をしたいと考えているわけでございます。なお、施行中につきましても、施行者でございますので、一貫して事業が終わるまで知事の監督下に置かれますから、その辺でもずっとフォローできるんではないかと考えている次第でございます。
  159. 山田勇

    ○山田勇君 次に、参加組合員制度についてでありますが、これは区画整理の推進策として要望の強かったものと聞いておりますが、これについても、この制度の創設によってどの程度事業の推進に寄与することになりますか。また、この参加組合員を公約機関を対象としていますのはどういう理由からでしょうか。なぜ優良な民間デベロッパーは対象としていないんでしょうか。今後は対象となるよう検討していくべきではないでしょうか。そういう点についてお尋ねをいたします。
  160. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 参加組合員制度を設けるに当たりまして、各方面から、公的な機関以外にも民間からも確かに要望は強かったことは事実でございます。区画整理協会等の意見書の中にもそういったことも書かれております。しかし、こういった現在の地価の高騰の情勢、もろもろの背景、そういったものを考えると同時に、こういった新しい制度の創設でございますから慎重にも慎重を期さなければいけないというふうな面もありまして、今回は公的団体に限ったということでございます。  したがいまして、政令で書く場合にも当然公共法人に限定しようと考えておりますけれども、長期的には、こういったものの実績をよく見た上で、民間の方もうまくチェックのシステムが働くような考え方も、今後できたようなことになりますればそのときにまた検討も考えたいと思います。そのときにはやはり法律改正という形をとらざるを得ないと思いますので、そういった可能性は将来の問題としてはあるわけでございますけれども、ここではそういうことになっております。
  161. 山田勇

    ○山田勇君 この宅地の共有化制度によるメリットはどのようなものを考えておられますか。また、共有化する際のトラブル防止について、両者合意の上とはいえ、万全を期することのできるよう配慮すべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。
  162. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 現在の改正前の制度でございますけれども、過小宅地、例えば住宅地域だと百平米以下ぐらいが一応の基準でございますけれども、商業地域だと六十五平米以下ぐらいの小さなものでございます。そういったものになってしまうという場合には利用上問題があるということで、方法としてはいろいろありますけれども一つは換地不交付ということで換地を与えないことができるという規定がございます。  もう一つは、増し換地といって、隣から少し借りてきてやる場合いろいろな対応がなされているわけでございますけれども、なかなか換地不交付だとか、人からちょっと借りてきてというのは、——計画で決めるんで、借りるわけじゃないんですけれども、やはりいろいろな問題があろうかと思いますので、できれば不交付ということもしたくないということで、共有化という制度。この共有化については、両者が合意しなければいけないということでありますけれども、そういうことをやりましてできるだけ換地不交付等をなくしたいというふうなことでございます。  しかし、両方が先生おっしゃるとおりに協議でやるということになりましても、いざというふうな場合にトラブルがないとは限りません。そういうことでトラブルを防止するように、理事長さん、施行者が中に入ってそういうトラブルのないように、もしあるようでしたらそれを調整し、トラブル防止のためのいろいろな配慮をするようやっていただきたいという指導もしてまいりたいと思っております。
  163. 山田勇

    ○山田勇君 区画整理事業は良質な宅地供給を進める上で、道路、公園などの公共施設整備、改善するなど、その役割は大きいものがあります。また、宅地供給量の約四〇%は区画整理によるものであります。ところが、区画整理済み地の活用が十分でないと言われておりますが、その実態はどうなっておりますでしょうか。
  164. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 建設省が六十二年十一月現在の調査をしたものによりますと、これは全部の区画整理とは言えませんけれども、三十七年から五十九年度までに事業認可のあった区画整理事業、ほとんどをカバーしていると思いますけれども、そういった事業で既に事業完了した地区において、宅地事業が済んでいるわけでございますけれども、まだ建物が上に建っていない、利用されていないというようなものが全国で二万二千二百ヘクタールございます。首都圏で五千八百ヘクタールあります。これは前回、三年くらい前に調査したときも同じくらいあったのでございますけれども、前回調査したときの未利用の宅地の四分の一くらいは、三年前ですね、前回宅地に利用されていなかった土地をフォローしてみますと、三年間でその四分の一くらいは住宅が建っているということで、速度はそう速くないとは言いませんけれども、一般の市街化区域内の農地が大体年間三%くらいのスピードで通常市街化されております。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 区画整理済み地の方は七%くらいの速度で市街化されて、これは十分と言うか言わないかという問題がございますけれども、一般の市街化区域内の農地よりは倍以上のスピードで一応ビルトアップはされているという状況でございます。
  165. 山田勇

    ○山田勇君 次は、大臣にお伺いいたしますが、宅地需要度の特に高い首都圏においては未利用の宅地用地が約五千八百ヘクタールも、六十年度現在ですがありますね。この未利用の宅地用地の活用策についてはどのような考えを持っておられますか。  昨年、総務庁が宅地の供給に関する行政監察を報告していますが、この中でも区画整理済み未利用地の活用について指摘をしておりますが、この点建設省としてはどのような認識を、またどのよ うな対応を考えておられますか、お聞かせいただきたいと思います。
  166. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 区画整理済み地域の主として農地でありますが、農地につきましてはできるだけ宅地に供給してもらいたい、こういう気持ちでいっぱいであります。このために税制の改正とかいろいろございますが、余りこれを厳しくやりますと逆に今度は区画整理をやろうというときに同意が得られない、こういうことで非常に困っているわけでありますけれども、率直に言って、荒らしておるところ、あるいはクリを植えているところ、キリを植えているところ、こういうところはやはり宅地に供給してもらいたい。それから農地でつくっているところは、交換でもして外に出ていただく、追い出しではありませんけれども、そういう交換分合かなんかにして、逆線引きでもいたしまして集めて調整区域に持っていくのが適当だ、このことを主張いたしております。  税のことにつきましては、長期営農制度等ございまして、これは余りきつく言いますと、先ほど言いましたように、今度は新しく事業をしようというところに非常に反対が出るということで心配をいたしておりますが、いずれにしても宅地として利用をするように努めてまいりたい、またそういうふうに努力をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。
  167. 山田勇

    ○山田勇君 きのう土地対策特別委員会、大臣も御出席の中で同僚議員の中から、農地の問題のいわゆる税制逃れといいましょうか、ああいう形で、農林水産大臣も格段の調査をしてこれからやっていくというようなことの御答弁もありましたが、そのようにぜひ大臣の方からも御努力をいただきたいと思います。  若干質疑を早めます。同僚議員と重複するところがありますので割愛させていただきます。  最後でございますが、土地問題は今や政治の最重要課題であります。この土地区画整理法制定の理念であります、健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉の増進を図るという原点を忘れずに事業の推進を期さなければならないと考えます。強く私はこの希望を述べまして、質問をこれで終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  168. 青木茂

    ○青木茂君 私は、この国会の当委員会の最後の質問者ということになる。これ光栄というのか、困ったことだというのか難しいんで、今提案されているところの法律はそんなに間口の広い法律とは言えませんものですから、もう午前中からの質疑において、今までは八〇%、九〇%ぼやいたんですけれども、きょうは一〇〇%出ちゃっていますね、私がきのう聞こうと思ったことが。それで困るんですが、そんならやめりゃいいじゃないかというけれども、それはそういうわけにもいかないんで、少々、大変申しわけないけれども、お知らせいたしましたこと以外にわたるかもしれませんけれども、そこら辺のところは気楽にひとつ御答弁をいただきたいと思います。  この法律で私どもが一番心配しておりますことは、これは午前中からもずっと出ておりましたところの周辺地区に対する地価高騰のデモンストレーション効果ですね、これが一番心配なんですけれども、その点について今までの御答弁をごく簡単にひとつ繰り返していただきたい。
  169. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) これは、先ほども御質問ございましたけれども、別に区画整理事業であろうが開発許可でやる事業であろうが、あるいは単独に道路なり公園なり整備された場合でございましょうが、そういった場合にいろいろ整備して、そこの場所が立地条件がよくなり、環境がよくなり便利になりということで、そこが効用増という形で地価が上がるのは、これはある程度当然のことだと思うんです。  一たんそういう施設ができますと、その周辺でもある程度利用できますし、それから周辺で、隣で開発する際に、その最終的な完成品の売り値がどうしても素地の取得まで影響しまして、余り手当てのない素地まで完成品と同じような値段になってしまうというふうなことが連鎖的に起こりまして、地価が上昇していく一つの経路かと思うわけでございます。大変好ましくないわけでございますけれども、その一つ一つのプロジェクトにおいてそれを防止することはなかなか難しくて、やはり国土法の全体の土地取引の規制、適正な価格の形成という一般論を適用するしか価格政策としては余り有効なのは今のところないんじゃないかと考えている、これは私の私見でございますけれども。  ところが、そういうことでそれじゃいいかという御質問も赤桐先生からございましたのです。私どもとしては、例えば市街化区域内におきましては、そもそも理想的な形で物を申しますと、それは計画的な、例えば区画整理とか良好な開発開発された地域、それはそれなりのコストをかけているし、それなりの値打ちがあるわけですから、それはいいんですけれども、そういう地域だけは住宅は建てられますけれども、ただ何にもしないで、横の開発がなされたからそれの便益をやって、余りちょこちょこっと、まあ道路を、小さい道路でもつければ家が建てられるというふうなことになりますと、同じような値段がつく。ですから逆に、そういった安直なミニ開発といいますか、スプロールというようなものを本当は抑えられれば一番いいわけでございます。  しかし、今例えば私ども開発許可制度を見ましても、市街化区域内の開発許可というのは、千平米以上は開発許可が要りますけれども、五百、三百平米になりますと、極端な場合、一戸建て、二戸ばかりつくる場合には開発許可が要らない。建築基準法に合っていて道路がある程度あればできるということでございますので、やはり地価がうつってしまうという問題がございます。これは規則で三百平米までは下げることができますけれども、それとて完璧なものではないという問題がございます。ですからなかなか規制では、それじゃ物すごく下げたらどうだということになりますと、これは事務が猛烈に煩瑣になりますし、また建てかえ等の場合にはどうするかとか、いろいろまた難しい問題も出てまいります。そういうことでやたら下げるわけにもなかなかいかない。  そうしますと、次にできる制度としましては、いわゆる面開発でやった計画的な開発地域はいいんですけれども、その他スプロールが起きそうなところ、あるいはこれから開発するようなところは、私どもで言うと都市計画地区計画という制度がございます。これは一言で申しますと、もう少し細かい西ドイツのBプランというやつを類似な制度として導入した制度でございますから、一般の安直に開発できるということじゃなくて、ある程度計画的なことでないと開発できないという網をかぶせることだと思うんです。  ところが、この地区計画をできるだけ活用してやろうとは考えておりますけれども地区計画でも、その地区内の土地の人たちのおおむねの同意がないと、みんなが反対というところに強制的にかぶせることは、事実上地区計画の発案が、地権者同意までいきませんけれども、発案自体に参画できるという仕組みをとっていますから、ある意味では民主的でございますけれども、ですから大方の同意がないとそういうものもできないということで、万能ではございません。しかし、できるだけ良好な町づくりということで、面開発をやるか地区計画に従うかということでなければ、なかなか開発をしにくいという情勢になってまいりますと、やはりいたずらに整備もしないで値段が上がっていくということがある程度防げるんじゃないか。そういうことに力を入れたいということでございます。
  170. 青木茂

    ○青木茂君 今お話がございましたように、とにかく地価の少なくとも引き下げ要因ではなしに引き上げ要因になるということなんで、何かここに歯どめをつくらなきゃいけないけれども、これは私権問題と絡みますわね。どうなんですか、この私権という問題なんですけれども土地は私人の、私の人間の所有に属すると、こういう定義をしていいかな、私権というやつは、土地に関する。
  171. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 土地は私権の問題、これは非常に解釈が難しいと思います。  先ほど都市局長がお答えいたしましたが、区画整理をやりますと、例えば二〇%の減歩をいたしますと、平米当たりで言いますとやはり二〇%程度高くなることは、そのことは私はやむを得ない。しかしその地域全般的に見ますとやはり地価が下がってくる、こういうことの御解釈で御了承いただけないと、二〇%あるいは三〇%減歩をしたけれども、その土地自体はそれよりもなお安くなるよという政策ではちょっとこの区画整理乗ってきませんので、現状のことだけは、私権といいますか、私所有者に、しかし都市全般、その付近を含めて供給が多くなることによって全般的な地価は下がってくる、こういうことの解釈でないと成り立っていかない。損をするけれどもやらないか、こういうことではなかなかできないから、現状維持にはなりますよ、また使い勝手もよくなりますよ、環境もよくなりますよと、そういうことで進めないとなかなか進まないんでないか、こういうふうに思いますので、その点はひとつ御了承をいただいて、宅地の供給をふやしていって全般的な地価の引き下げに供する、努力する、こういうことでひとつ御了承いただきたい、かように思う次第であります。
  172. 青木茂

    ○青木茂君 土地は輸入できない商品ですから、ある程度市場経済の原理原則を外れても仕方がないのではないかという気がしないでもないんですよね、輸入できる米でさえ食管で統制しているんだから。  それで、土地は私の所有に属する、これはヨーロッパどこだってそうです。しかし、土地にかかわるすべてのものも個人の自由勝手だという理解は、僕は自由圏諸国でもないんじゃないかと思うんです。つまり、幾ら自分の土地でも活用し過ぎの土地、それから活用し足らない土地、これはかなりペナルティーがあるんですよね。  この間、世界納税者連合というのができまして、ヨーロッパへ行きましていろんな人たちと会ってきたんですけれども、例えばフランスで聞いたんですけれども、フランスでは、何かPLDと言っているんだそうですけれども、法定上限密度法というのがあるんですよ。それで、土地面債以上の床面積を持ったら、それはその超えた部分については新しく土地を買ったとみなして市町村に払えとか何とかというのがあるそうですね。これは御承知ですか。ありますね。とにかく、人権宣言で所有権は神聖不可侵であると宣言したフランスでも土地についてはそういう規定がありますね。  それから、さっきドイツのBプランですか、いろいろ上田先生からも出ましたし、さっき局長からも出たんですけれども、このBプランは逆にえらい詳細に地区計画を決めますよね。決めて、その決めたものに適合しなければ、自分の土地だけれども、それは未利用で遊ばしているんだ、そういうのはいかぬというわけで、補償金はくれるらしいけれども、出ていけというところまでドイツは言えるらしいですね、このBプランでは。  そういう例を見てみますと、何か土地というのを市場経済の原理原則だけで済ましておくと僕は永久に地価問題は解決しないような気がするんですよ。一歩、私権の制限というのかな、私権に踏み込んでみる、これは長期的課題としまして、そういうふうに感じておるわけなんですけれども、どんな御感想ですか。
  173. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 先生のおっしゃるいろいろ例示の西ドイツのBプランの問題とか、これは地区詳細計画というふうなことで、かなり詳細な利用制限のお話でございますけれども、それからPLDの問題、これは一定の容積率以上のものはお金を出せというふうな話、それから諸外国の制度等もございまして、私どもの日本の場合でもかなりの部分、外国の制度も日本の国情に合わせながら入れてきているわけでございます。日本の方にもそれなりに容積率もございますし、市街化区域調整区域線引きもございますし、いろいろ用途規制なり土地利用規制というのはかなりあることはあるわけでございます。  ただ、外国に比べてどうかといえば、一般論として言えば西欧、西ドイツ等に比べれば詳細性あるいは厳しさの点において若干自由度が高いかもしれませんけれども、日本にもきちっとあるわけです。例えば、都市が非常に変動していく時代には詳細性できちっとしたものを決めますと、都市形態が硬直化しちゃうわけですね。そういうことがあって、日本の都市には当てはまると思いますけれども、伸び盛りのときには余り厳しい枠をはめない方が経済的に社会的にもいい場合があるという一面、余り厳しくない方がいいという問題もあるわけでございます。ところが、厳しさを欠きますと環境破壊とか公害とかいう問題がありますので、大変その辺は難しい問題でございますのですけれども、毎年のように若干本来的な都市計画に近い厳しさを追求していくような方向で制度が補完されてきつつあるのではないかなと私なんか考えている次第でございます。
  174. 青木茂

    ○青木茂君 本当に行政というのは難しいですな。ただ、これはお答え要りませんけれども、今土地問題がこれだけ大きな問題になっているから、土地問題につきましては今までの常識は抜いて、かなり蛮勇を振るっていただかないと解決の方向に行かないんじゃないかという気はしております。  それから第二の質問なんですけれども、これどうしてもノーハウとか知識力と資金力、そういうものを考えると、このプランの中には大手デベロッパーというのかな、これがかなり僕は参加してくると思うんですよ。これはいいことなんだけれども、一面からいうと、大手デベロッパーの利益にかなり国の法律がサービスをする形にもなるわけです。それを考えていくと、少しはデベロッパーの人に負担をしてもらってもいいんではないかという気がして仕方がないんです。それについて何かイギリスにプランニングゲインとかいうのございますね。それをちょっと御説明いただけませんか。
  175. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) にわかで、不勉強で申しわけないんですけれども、今先生の御指摘のプランニングゲインというのは、計画許可に当たりまして、当局と開発者の合意によりまして、開発者に公共公益施設の整備、あるいは土地の提供などを行う。開発者によりまして公共公益施設の整備をやったり土地を提供さしたりするというふうなことで、いわゆる開発者の利益を公共に還元するような制度ではないかと考えられるわけでございます。  これを日本で見ますと、非常に最近問題になっております指導要綱に大変似ているような要素もあるんではないか。要するに開発者が市なり県との当局の合意によりまして公共施設整備なりあるいは土地の提供——土地の提供というシステムがあるかどうかわかりませんけれども、何らかの見返りを提供するというふうな感じでございまして、これがイギリスではどの程度うまくいっているかまでわかりませんけれども、日本ではちょっと指導要綱、あるいは区画整理の場合には一面公共減歩的な要素、道路等を出すための減歩に近いような制度であるかというような感じもいたします。しかし、片や日本においては指導要綱の行き過ぎで大変デベロッパーが苦慮しているということで行き過ぎ是正というふうな話もございまして、運用ということになりますともっと勉強してみないとちょっとわからない点があるような感じがいたします。
  176. 青木茂

    ○青木茂君 私が理解しているところによると、プランニングゲインというのは、ある程度デベロッパーに、税金とは言わぬけれども、税金的な物的負担ですね、物的負担を利益の一部を割いてもいいじゃないかというような趣旨でできているんじゃないかと思うんです。やはり国が特定企業というのか、特定業者に一つのメリットを与える場合、そのメリットに対する見返りを、メリットを受けた部分が何分の一でも、とにかく百分の一でもいいから反対給付していくというような考え方を今後とっていかないとそこに平等の原則が崩れ てくるんではないか。これは要望だけにとどめておきます。  それから、今伸び盛りという御表現がございましたけれども、欧米に行きますと、むしろ伸び盛りというより都市の成長を管理するというんですか、そういう方向に何か都市政策が行っておるようなんです。この法律とちょっと離れて恐縮なんですけれども、行っておるようだ。その一例として、この間僕はアメリカの代表から聞いてきたんですけれども、何かボストンにダウン・タウン・プランとかいうのがあるそうですね。そこには三つばかり条件があって、その第三条件あたりが非常にこれから我々としても考えていかなければいけないことなんじゃないかと思うんですけれども、その点についてちょっとそれじゃ……。
  177. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) ダウン・タウン・プランをボストンあたりで、アメリカではニューヨークとかというのもそういった傾向があるようでございますけれども、確かに例えば高さ制限などを一時外して建築活動を旺盛にしようというふうなことも行われたんですけど、それの弊害等もあらわれましてまた高さ制限を復活するというふうなこともありまして、いわば成長管理政策に移ったという話も聞いておるわけでございます。  ただ、これは国の経済とか都市のあり方によってもいろいろ変わってくると思いますのでございますけれども、例えばボストンの場合は、超過密した中心業務地区開発抑制等、逆に開発のおくれている地区への誘導とか、あるいはまたオフィス建設に対する住宅建設の義務づけ、あるいは負担金というふうな管理的な政策がなされていることはお聞きしています。  日本の場合、即座にそれが例えば東京とかなんとかにどうかという問題も、なかなかこれはまた難しい議論のあるところでございましょうけれども、日本全体のことを考えますと、まさに超過密化した業務地を多角的に地方へ分散しようというような施策は日本でも行っていることでございます。ただ、東京そのものの容積率を例えば低く逆に抑えてといいましても、現状においては相当程度の実需もあろうかと思いますので、そういう方向まではまだ行っていないんじゃないか。むしろ業務用、住宅用の需要に対して供給をすべき時期にあるんではないかというふうに考えるわけでございます。いろいろ国情、地域の実情によってそういうことも行われておりますし、そういったこともよその国で行われていることも私たちがいろいろ今後の施策を練る上で大いに勉強し、参考にすべきところは参考にすべきものであると考えております。
  178. 青木茂

    ○青木茂君 この計画で高度制限をしたり、容積率を切り下げるということは、今日本でまねしたらこれは逆効果が出ますから、そういうことはまねをすべきではないと思うんですけれども、ただオフィスビルなんかつくる場合に、住宅と雇用を義務づけるというような、具体論はともかくとしてそういう物の考え方は日本でもまねしてもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
  179. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) それぞれのプロジェクトとか再開発計画におきまして、地方公共団体の調整の際にできるだけ、住宅を義務づけるとまでいかなくても、どのくらいやってほしいとかいうふうな公的な要望等も受けてデベロッパーがやる場合は間々あることだと思います。  それからもう一つ、私どもの場合で、優良な再開発等をやる場合に、例えば特定街区とか総合設計制度とかいうふうな制度を活用している場合に、例えば住宅をその中に含んでいる場合には、容積率アップをそうでない場合よりは少し余計に容積率アップをするとかという促進策はとっておりますけれども、なかなか一般的には義務づけまではいっていないと思います。これは一般的なコンセンサスの問題かと思いますけれども、そんな感じがいたします。
  180. 青木茂

    ○青木茂君 最後に土地信託の問題を伺おうかと思ったけれども、大分出たわけですので、今回の改正土地信託について触れられていないという理由は今までの流れの中でわかりました。わかりましたけれども、一般論といたしまして、複数の地権者土地を分け持っている、あくまで一般論ですよ、そこに土地信託を導入していくということについては今後検討の要があるとお思いですか。これはちょっと無理じゃないかというふうに現時点においては思っておられるか。これはどちらなんですか。
  181. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) まず土地信託の現状でございますけれども、私ども新聞紙上等で最近の姿を見ておりますと、六十二年度末で全国で大体千五百件程度、こういう状況承知しておりますが、詳細は、数字で見まして、昨年の九月現在、これで千百六十七件ございました。その中で、今先生おっしゃったような共同委託の土地信託、これが二百三十七件という状況でございまして、大体二割というふうに承知いたしております。  こういったことで全体をはかることがどういうふうに見たらいいか、私どももちょっと即断を許さないわけでございますけれども、一般的に信託という問題が今後普及、促進されていくとすれば、その中で今おっしゃったような共同的なものというものは、その土地の規模、区画などなど総合的に考え合わせますと十分にあり得ることだろう、このように認識しております。
  182. 青木茂

    ○青木茂君 もう一つ伺いたいんですが、二百三十七件ありますね。将来は相続するんだ、つまり共同相続人が持っている共有地を土地信託するのはこれは割に簡単にやると思うんですよ。そうでないものはこの二百三十七のうちどれぐらいあるでしょうか。
  183. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 今二百三十七ということを申し上げましたけれども、若干古い、その直前のデータになりますけれども、昨年の三月に私ども実は共同委託の土地信託百六十七件につきまして今先生おっしゃったようなことをアンケート調査いたしました。要するに、親族関係のものとそうでないものというものを調べたところ、親族関係で共同してやっているというのが七割、親族でないものが三割。ただ、これ実はアンケートなものですから非常に回答率が悪くて、六十八件回答がございまして、それをもって全体を推しはかれるかどうか、アンケートの結果ではそういう状況でございました。
  184. 青木茂

    ○青木茂君 時間が参りつつございますから、最後に、今のお答えとこの法律の関係で考えるというと、土地信託の問題はともかくといたしまして、複数地権者を集めるということは、この合意というものはかなり難しい。共同相続人ならこれはいいです。いいけれども、そうでない人たちの合意をとることがこれからやっていく上において非常に難しいんじゃないかという気がしております。合意がなければ事業が進まないとすると必要な事業もおくれる可能性も出てくる。  そうなりますと、今後のこの法律施行における研究課題といたしましては、完全な合意というものが絶対の条件なのか、あるいは何らか合意に達する誘導策というようなものが必要なのか、あるいは半強制、さらに言えば強制というようなところまで踏み込む必要があるのかどうかということが、私はこの法律が実りある効果を上げるためのこれからの検討事項ではないかという気がしております。その点についてもお答えというより御感想を伺いまして終わります。
  185. 木内啓介

    政府委員木内啓介君) 個人施行といえども先生のおっしゃるように全員合意というのはなかなか難しい問題だと思います。  そういうことで、区画整理を進めていく場合には、地主さんも含めまして啓蒙、御協力ということはやっていかなきゃいけないし、努力したいと思っておるわけでございますけれども、ある程度半強制的ということになりますと、これはやっぱり個人施行の感じというよりは、半強制ということはよくないわけでございますけれども組合施行の形をとりますと三分の二で一応できる。しかし、組合施行の場合三分の二でできるということであっても、できるだけ、全員とは言わなくても、大方の意見かないと事業施行の間でトラブ ルが起こるというふうなことがございまして、今の日本国の私権意識を前提としますと、先生おっしゃるようになかなか難しい問題が残ろうと思いますけれども区画整理事業はいい事業でございますので、できるだけ伸ばそうということで努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  186. 青木茂

    ○青木茂君 建設大臣、いかがですか。
  187. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今都市局長からお答えいたしましたが、この区画整理事業だけではございません、できるだけ民主的に話し合いでやっております。  例えばいろいろ用地の問題等大変難しい問題がございましても、できるだけ話し合いをして、強制収用というようなことはやっておりませんし、もう本当にやむを得ない場合だけでありまして、これも当然共有ということになりますと話し合いをする。それができない場合には増し換地とか飛び換地とかあらゆる手法でできるだけ民主的にやっていくような指導をいたしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  188. 青木茂

    ○青木茂君 ありがとうございました。終わります。
  189. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  191. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、土地区画整理法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  本改正案は、市街地開発車業で制度化されている第三者施行参加組合員制度等を土地区画整理事業にも導入するものです。市街地土地区画整理事業は、ほとんどの場合、事業による財産価値の上昇なるものを口実に住宅用地等を無償で削り、さらには多額の清算金の支払いまで押しつける住民犠牲の事業となっています。本改正案は、住部公団を初め官民のデベロッパーの主導の土地区画整理事業を進めやすくしようとするものであり、住民の犠牲をさらに拡大するおそれが強いものであります。  第一に、個人施行事業における第三者施行は、地権者の権利の保障が不十分であり、市街地開発事業においても余り活用されていない制度です。民間デベロッパー主導の土地区画整理事業に新たな道を開く本改正案は、住民の住宅用地等を民間デベロッパーの利潤追求のえじきにするおそれがあります。  第二に、参加組合員制度の導入は、参加組合員土地を予定価額で先取りし、その配置においても価額においても参加組合員を優遇することになりかねません。一般組合員の取得する土地に不利益を生じるおそれがあります。  土地区画整理事業制度は、もともと都市近郊等において地権者土地の利用増進を図るために任意で行う事業としてつくられたものです。ところが、この制度市街地における強制的な事業に拡大し、みずから居住している住宅用地にまで無償減歩を押しつけることとしたため、住民の犠牲で公共施設用地を確保する手段になっているのであります。住民本位の町づくりに役立つ土地区画整理事業を円滑に進めるためには、この問題点を是正することこそ急務であることを指摘して、私の反対討論を終わります。
  192. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  土地区画整理法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  194. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  195. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、ただいま可決されました土地区画整理法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    土地区画整理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、第三者施行制度の活用については、悪質な不動産業者等が施行者となることのないよう指導を行い、地権者の保護に努めること。  二、参加組合員制度の運用に当たっては、参加組合員の町づくりの知識・経験等を十分活用し、良好な市街地形成されるよう努めること。  三、小規模な宅地については、共有換地制度を活用し、宅地地積の適正化に努めること。  四、土地区画整理事業完了地区内の未利用地について、その有効利用の促進のため、適切な措置を講ずること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  197. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智建設大臣
  198. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 土地区画整理法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。
  199. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十三分散会