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1988-04-21 第112回国会 参議院 建設委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      関  嘉彦君     山田  勇君  四月二十日     辞任         補欠選任      木宮 和彦君     服部 安司君      橋本  敦君     内藤  功君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 内藤  功君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君    政府委員        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    参考人        東京理科大学教        授        石原 舜介君        元読売新聞論説        委員       本吉 庸浩君        全国公団住宅自        治会協議会代表        幹事       佐長  勉君        住宅都市整備        公団総裁     丸山 良仁君        住宅都市整備        公団理事     倉茂 周明君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (住宅都市整備公団家賃値上げに関する件)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十九日、関嘉彦君が委員辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。  また、昨二十日、木宮和彦君及び橋本敦君が委員辞任され、その補欠として服部安司君及び内藤功君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 建設事業及び建設計画等に関する調査のうち、住宅都市整備公団家賃値上げに関する件を議題といたします。  まず最初に、建設大臣から本件の経緯及びその内容等について説明を求めます。越智建設大臣
  6. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 昭和六十三年三月三十一日付で住宅都市整備公団から提出されました賃貸住宅家賃等変更についての承認申請概要は次のとおりであります。  第一に、家賃変更する理由としまして、これまで、昭和五十三年度及び昭和五十八年度家賃変更を行ってきたところでありますが、従来、家賃変更に当たっては激変緩和に配慮したこともあって、変更後の家賃はいまだに低い水準にあり、賃貸住宅相互間に不均衡が生じているため、この不均衡を是正することとしております。  第二に、家賃見直し対象とする住宅は、原則として、管理開始年度の翌年度から起算して三年以上を経過した住宅としておりますが、傾斜家賃適用中の住宅及び傾斜家賃終了後三年を経過していない住宅等一定の要件に該当するものについては除くこととしております。また、家賃変更期日としては、昭和六十三年十月一日としておりますが、昭和五十九年度及び昭和六十年度家賃見直し対象となった住宅等については、変更期日を一年間繰り下げることとしております。  第三に、変更家賃算定に当たっては、公営限度額方式に準ずる方式により算定される額を基準として、公団賃貸住宅相互間のより適正な家賃均衡を図るため、立地条件等調査結果により、一定補正を行い、この補正後の額と現行家賃との差額の二分の一を現行家賃に加えた額を基準とし、引き上げの限度額を、一居住室住宅にあっては八千五百円、二居住室住宅にあっては九千五百円、三居住室以上の住宅にあっては一万五百円としております。この結果、公団の試算によれば、昭和六十三年度家賃変更が実施される住宅については、平均約四千七百円、約一八%の家賃変更となり、また、昭和六十四年度家賃変更が実施される住宅については、平均約三千円、約九%の家賃変更となります。  第四に、家賃変更に当たっては、生活保護世帯並びに老人世帯母子世帯及び心身障害者世帯生活に困窮するものについては、従来と同様に家賃減額特別措置を講ずることとしております。  第五に、家賃変更による増収額は、維持管理経費及び家賃の抑制に要する費用に充てるものとしております。  第六に、家賃変更に伴い、敷金変更家賃の三カ月分に相当する額に変更することとしております。  以上が今回の申請概要であります。  なお、前回家賃改定の際、当委員会委員長から、「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」との御要望がありましたので、これを受けまして、公団において家賃改定ルールづくりを行い、これに基づいて、この申請が行われたものと考えております。  建設省としては、本申請を受けて慎重に検討を行ってまいりたいと存じますが、本日の建設委員会におきましても、本件について十分御意見を拝聴させていただきたいと考えております。  ありがとうございました。
  7. 村沢牧

    委員長村沢牧君) それでは、これより参考人方々から御意見をお聞きするわけでございますが、その前に、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人の皆さんには、住宅都市整備公団家賃の値上げ問題について忌憚のない御意見をお述べいただき、本件調査参考にさしていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  なお、会議の進め方としましては、石原参考人本吉参考人及び佐長参考人の順序で、お一人十分程度の御意見をお述べいただき、その後、委員質問にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、石原参考人にお願いいたします。
  8. 石原舜介

    参考人石原舜介君) ただいま御指名いただきました石原でございます。  私は、住宅都市整備公団総裁私的諮問機関として設けられております基本問題懇談会委員一員でございまして、その下に設けられております家賃部会部会長をさしていただいております関係上、きょういろいろ参考人として御意見を申し上げることになったわけでございますが、きょうお話し申し上げたいのは大体三つばかりの内容でございまして、一つは、家賃部会運営につきましてどのようなことであったかということと、二番目には、この家賃部会で出されました主要な意見について申し述べたいと思います。そして三番目には、今回の公団賃貸住宅家賃改定あり方についての私見を述べさしていただきたいと思います。  それではまず初めに、基本問題懇談会家賃部会運営についてでございますが、前回昭和五十八年の家賃改定に当たりまして、衆議院及び参議院両院建設委員長より建設大臣への要望事項というのがございまして、それに基づきまして、建設大臣のあっせんにより、全国公団住宅自治会協議会との係争の解決が昭和六十年三月に図られました。その際、和解のための了解事項といたしまして、基本問題懇談会家賃部会全国公団住宅自治会協議会代表居住者一員として参加させることが決められたわけでございます。そこで、昭和六十年四月九日に、全国公団住宅自治会協議会代表といたしまして井上紘一氏の参加を得まして家賃部会を開催したわけでございます。  その際、この家賃部会に、今後の家賃改定及び第四次空き家家賃改定に当たっての評価手法についてどうあるべきかということが検討されたわけでございますが、この評価手法というのは非常に専門的な内容を含んでおりますので、部会におきまして、この内容専門部会の方に一任してはどうかということを諮りまして、この評価手法検討していただくことにしたわけでございます。この専門部会の方は、当時東大の教授をされておられました下総先生、それから明治大学の教授玉田先生、それから鑑定士として非常に経験の深い林氏、それから弁護士の梶谷氏のそれぞれ御専門の四方にお願いいたしましてこの部会検討しますたたき台を作成していただくことにいたしました。  六十年六月二十七日に、第四次空き家家賃について専門部会から御報告をいただき、懇談いたしまして、これを認めたわけでございます。そして六十二年の五月二十八日には、現地視察ということでひばりが丘、多摩ニュータウン永山地区委員全員で視察いたしました。  専門部会におきましては、実は我々の方から御依頼申し上げました後、二年半に及びまして二十数回にわたるいろいろな検討を積み重ねまして、ようやく原案がまとまりましたので、六十二年十二月二十一日にこの部会の方へその素案が提出されたわけでございます。  その素案に基づきましていろいろ委員の方から意見を伺ってまいったわけでございますが、やはり何といいましても居住者代表であります井上氏からの意見が非常に多くございました、当然のことでございますが。委員会におきますいろいろな発言が正確を期し、しかもその意図が十分伝わるようにというようなこともございまして、この質問事項に関しまして文書で明確に提出していただこうということにいたしまして、まず初めは一月二十五日の部会に七項目から成る質問事項をちょうだいいたしまして、それをもと検討を進めました。それから次の二月十七日の部会には、実に五十三項目という、これは大変多くの問題にわたっての質問でございますが、前回は主に基本的事項についての質問でございましたが、細部にわたってのこのような質問事項につきまして逐一検討を重ねまして、そしてそれについていろいろ検討をしたわけでございます。  いよいよ二月二十四日の最終的な取りまとめの段階になりましたときに、この家賃改定ルール及び家賃改正に対する意見書が提出されました。この意見書参考にしながら、三月四日に、幾つかの修正を行いまして、大方の委員の御了解をいただきましたので、三月十五日に第十九回基本問題懇談会の方へ報告させていただいたわけでございます。こういうようなことで家賃部会運営してまいったわけでございます。  このときにこの部会の中でいろいろ問題になりましたのは、当然のことでございますが、一番基本にございます、今回の家賃改定に当たりまして建設委員会委員長の方からの御指摘もございますように、ルールづくり基本にして行うようにというふうなことがございましたが、そのルールづくりというものは何を指すのかということで、このルールづくりとは何ぞやということでいろいろ検討を重ねたわけでございます。  それから次に、公団家賃の現在の家賃改定必要性が果たしてあるのかどうか、こういう物価の安定している時期に一体家賃を改正する必要性をどういう点で必要とするのかというような議論もございました。  それから、これは最初専門部会の方からの案として出てきたものにやや誤解を招くような表現がございまして、何か今回の家賃改定民間家賃並み補正というような形に誤解されやすい表現が多々あるので、その意図はどういうところにあるのかというふうなことで検討されたわけでございます。  それから、この家賃改定をするならば居住者が望んでおられます修繕、並びにその居住性向上にこの増額分を重点的に回すべきではなかろうかというようなこと。  それから見直し周期に関しまして、今まで五年というふうなことが三年になっているけれども、この点はどうなんだろうかというふうなこと。  それから、居住者の年齢がだんだん高齢化してきておりますので、所得も相対的に低下してきている関係上、果たして現在のこの家賃改定による上昇ということが適切かどうかというふうな面。  あるいは、敷金につきまして前二回の家賃改定の際に見送られたいきさつがございますので、今回もそれを上げるということはどういうことかということ。  それから最後に、文章が余りにも官僚的な表現が多いので、居住者に理解しやすいような形に表現を変えていくべきではないか。  こういうようなことがいろいろ検討されたわけでございます。そういうことに基づきまして今回の家賃改定あり方についての取りまとめがされたわけでございます。  ここで一つお断りしておきたいことは、この家賃部会あるいは基本問題懇談会というのはあくまでも総裁私的諮問機関でございまして、意見を述べることでございまして、この改定内容そのものはあくまでも公団の責任において行っていることでございますので、その点を御了解いただきたいと思います。  それで、今回の家賃改定に当たりまして私の若干の意見最後に述べさせていただきたいと思います。  今回の家賃改定ルールづくりに当たりまして基本になりました算定方法というのが、公営限度額方式に準じた算定法にさらにこれに補正値を掛 けるというふうな方式をとりました。確かにこの公営限度額方式はいろいろ利点がございますけれども、立地条件その他を十分表現するまでに至っていないので、これを今回補正率を掛けることによって若干算定法が一歩前進したのではないかというふうに考えております。専門部会では、不動産鑑定評価方式による方法あるいは基準家賃方式による方法なども並行的に検討されたように聞いております。こういうようなものをもとにいろいろ比較検討しながら、この公営限度額に準ずる方式が適当であるという結論を出されたのは、私はこの方式がやはり他の方式よりもすぐれているというふうに考えておりまして、その点は専門部会の答申は適切であったというふうに考えております。これは細かく申しますといろいろございますので、後ほどまた何か質問がございましたらそれにお答えしたいと思います。  二番目には、家賃見直し周期につきましてでございます。この見直し周期が今まで五年となっておりましたのが今回は三年ということは、これは固定資産税見直し周期と同一になるというふうなことでございますが、この見直し周期を長くとれば一見居住者の方に有利なように考えられますけれども、しかし改定の時期にそれだけ期間が長引けば長引くほどやはり諸般の社会的変化が反映いたしまして、その上昇率が高くなっていく可能性が高まる危険性がございますので、そういう点から考えまして三年程度見直しをしていくということは非常に適切な方法ではないかというふうに考えております。  それから三番目に、今回の家賃改定によって生じます増額分に関しましては、住宅の良好な維持保全及び居住性向上を図るためにいろいろ役立てていこうというふうなことが明確に述べられております。維持修繕ということはこれは当然のことでございますけれども、居住性向上というところに一歩踏み込んだということで、これは今まで以上に、古くなった住宅に対しまして新しい一つ生活上の便益を与えるように居住性向上させるということへこの増額分を使っていくというふうに明示したことは、私は今回の改定はそういう意味でも非常にすぐれているのではないか、こういうふうに考えて賛成でございます。  以上三点、私の感じました点を申し述べて、私の意見を終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  9. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ありがとうございました。  次に、本吉参考人にお願いいたします。
  10. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 本吉でございます。  私は、公団住宅に約二十年住んでいた体験から、一市民として今度の家賃改定をどう思うかということをお話ししてみたいと思います。  私は、結論から申しますと、今度の公団家賃改定賛成でございます。庶民感情から申しますれば、家賃は安くて据え置くのが一番理想的でございますけれども、その結果がどういうことになりますかというと、結局公団住宅が陳腐化して居住環境を阻害していくんじゃないかという点から、やっぱりこの辺をもう少し冷静に判断していくことが必要じゃないかと思います。  まずその賛成の第一点は、先ほど石原先生もおっしゃったように、公団住宅を良好な居住環境にしていくためには計画的な修繕とか何かが必要なのでございますけれども、現在の公団家賃における修繕費を見ますと約一割程度。仮に家賃が二万円としますと月に二千円を将来の修繕費として積み立てているわけですけれども、一年で二万円、十年で二十万円ぐらいしか修繕それから良好な居住環境のための要するにお金が蓄えられない。ですけれども、公団が現在十年から二十年にかけて定期的な大修繕をして、例えば外壁の塗装とか何かして、それからさっき石原先生がおっしゃったような良好な居住環境、現代にマッチした住環境を提供していくように改善していきますと、その修繕費が大体戸当たり百万近くかかるわけでございます。そうすると、さっき言いましたみたいに仮に二万円として二十年積んでも四十万。そうすると百万との大きなギャップができる。そうすると、公団もそれほど親切じゃございませんから、やたらに修繕をしてくれなくなる。そうしますとそのツケは公団入居者に返ってくるというような結果になると思うんです。  そういうためにもある程度家賃水準を上げていくということがこれは避けられない課題になるんじゃないかと思うんです。つまり、良好な住環境を維持していくためにはどうしてもメンテナンスの費用かなりかかるんだということが第一点でございます。  それから第二点は、家賃公平性の問題でございます。  私は、これからの社会は、これだけ地価が高水準になりますと、公的賃貸住宅の役割が非常に大きくなってくると思うわけでございます。ですけれども、新規に供給される家賃はほとんどが十万円以上という非常に高水準になってきて、今度は賃貸を希望してもなかなか庶民は入れないというような現状でございます。その際に、今とられているのは、例えば公団の場合はかなり利子補給が行われて家賃を安くしている。つまり税金を使って、例えば六十一年度、普通の計算でしますと十五万円ぐらいになる家賃を約四万五千円の利子補給によって十万円台、それに傾斜家賃を掛けることによってさらに安くして一般の人が入れるようにしているわけです。これから賃貸住宅をさらに供給拡大していくとなりますと、その利子補給の枠をかなりふやしていかなくちゃいけない。  そのときに考えなくちゃいけないのは、公団に入っていない人たちが、何でそんな税金入居者だけに恩典を与えるんだというような必ず批判が起きてくるんではないか。そのためにも、かなり世間から見まして低水準にある既存の入居者がある程度入居者相互扶助関係から、新規家賃の高くなるのを薄めるような、やっぱりお互いの相互扶助の精神からある程度かぶっていくということはやむを得ないんじゃないか。そのことが結果的に将来の、例えば僕の子供たちが大きくなったときに公団賃貸住宅かなり供給されて入れる道を開いていくことにつながるんじゃないかと思います。  そういう意味家賃の不均衡というのをこの際やっぱり是正していくことが必要で、今度の改定で私が賛成なのは、今言った二点のために、今度改定しました増収分の約七割を良好な居住環境の提供それから修繕費に回していく、約三割を家賃の引き下げに回していく。そういう意味で、私はどなたが考えても一銭でも家賃が高くなるのは嫌だという気持ちはよくわかりますけれども、そういうことを考えていかないと日本全体の住宅がよくならない、また賃貸住宅が供給されていくことにつながらないんじゃないか。そういう意味で私は今度の改定というのは原則的に賛成なわけでございます。  それから第三番目は、従来五年ごとにございました家賃改定を三年ごと見直していくという新しいルールが確立されたことは賛成でございます。つまりそういうルールができますと、家賃というのは家計費に占める影響が非常に大きいので、三年で見直すということがはっきりいたしますれば生活設計が非常に立てやすくなってくるんじゃないか。  それからもう一つ、今度の改定ということは必ずしも家賃を値上げすることを意味するんじゃなくて、家賃を見直すのであって、経済変動がなければそれは別に上げる必要はないんで、ただその見直しをするときの委員会なりにできる限り、例えば公団自治協とか入居者代表を入れてよく議論をしていくべきだと思うんです。  それからもう一つ、今度の問題で一番大切なのは、庶民感情から見ますと本当は絶対値が幾ら上がるんだということが最大の問題なんですけれども、今度の場合は、激変緩和措置を考えて最高でも一万五百円、それから一番狭いところで八千五百円というようなかなり値上げ幅が抑えられている。やっぱりこの程度値上げ幅でしたらある程度やむを得ないんじゃないかという気がいたします。なぜならば、私が二十年前に公団にお世話に なっていた東京北区の赤羽団地というところを見ますと、大体同じくらいの規模の公団住宅と近くにある桐ケ丘という団地を比較しますと、これは都営でございますけれども、都営住宅の方が現在家賃が高いわけですね。本来都営というのは低所得者対象にし、公団住宅は三分位、大体サラリーマンの中堅クラス対象とした家賃なのに、本来もっと手厚く保護を受くべき都営住宅の方の方が現在家賃が高いというような矛盾が出てきている。これは国民感情をある意味で逆なでするような感じ、入ってない方はですね、という気持ちがすると思う。そういう意味でも適正な家賃水準公団家賃をしていくということは極めて必要なことだと思います。  それからもう一つ、これから大切なのは、さっきこれもちょっと石原先生がおっしゃいましたけれども、これから高齢化社会に向かって、かなりの古い住宅では高齢者がお住みになっている、それで所得が減ってくる、その際家賃が上がるということはかなり大きな問題でございますけれども、そのために公団幾つかの対策をとっていますけれども、この問題を抜本的に解決していくのには、今の公団ができ得る限度は、今の法律体系の中ではとても公団ではできない。もし先生方がこれからの高齢化社会を見て、四十年たつと四人に一人が六十五歳以上の社会になったときのこういう社会住宅公団住宅みたいなところの家賃負担をどうするかというのは、これからもう少し高い次元で、ここに御出席先生方たちがその負担をどうするか、それから福祉の関係でどうやって解決していくかということを十分御検討なさって、逆にそれを公団にこうすべきだという形で改善の方向にぜひ持っていっていただくことをお願いして、私の普段考えていることを終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  11. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ありがとうございました。  次に、佐長参考人にお願いいたします。
  12. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 御指名くださいました全国公団住宅自治会協議会代表幹事の一員であります佐長勉でございます。関西自治協の事務局長をしています。関西人ですから時々関西弁が出ると思いますけれどもお許しいただきたいと思います。  私は、服部先生や堀内先生の地元である奈良県の紀寺団地昭和三十九年から住んでおります。また、私は、今先生方にお配りをしております新聞の切り抜きですが、例の暴力団事件で有名になりましたさざなみプラザ団地で、住民が自治会をつくっていい団地にしていこう、こういうことで頑張っておりますし、路上駐車の問題などでも建設省にお願いしたり、いろんなことをして、安心して住み続けられる公団住宅を実現するために頑張っております。  今度の家賃値上げに関して、建設大臣の承認以前に、国権の最高機関である国会で集中審議をしていただき、本当にありがとうございます。建設委員会先生方には心から感謝を申し上げます。  それでは、全国自治協の代表として、団地居住者及び公団住宅に入居したいと願っている多くの勤労者の立場から、今度の値上げ案とルール賛成できないことを申し上げたいと思います。ただ、誤解がないようにしていただきたいと思うのでございますが、絶対反対というふうな印象がありますけれども、そうでないということを前もって申し上げたいと思います。  賛成できない問題は四つございまして、第一に、公団基本問題懇談会家賃部会運営あり方です。第二に、家賃改定必要性及び基本的な考え方です。第三に、家賃算定方法です。第四に、家賃値上げに対する公団住宅居住者の不安や生活実態の問題です。この四点について、過去の経過を踏まえながら、賛成できない内容を申し上げます。  第一に、昭和五十八年四月十二日のこの建設委員会で、「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に」云々と委員長要望公団に出されました。そして、私たちは、国会要望の全面実現運動を内外に呼びかけ、将来にわたって公団と自治会、自治協との関係を円滑なものにすることが大切であるということから、家賃裁判和解運動に取りかかりました。昭和五十九年七月十四日から家賃裁判和解のための交渉を進めてまいりました。そして、九月二十二日の交渉のときに、家賃改定ルールは将来の紛争防止のために必要であるが、その意味ルールの策定なしには次回の家賃改定はしないと理解するがと、こう公団に尋ねた。公団はそのとおりだと答えました。私たちは、この公団の回答を家賃裁判和解に値すると評価したんです。すべての団地居住者公団のこの約束を信じました。さらに、昭和六十年三月十九日の家賃裁判和解の建設大臣あっせん内容も信じました。  ところが、昨年十二月二十一日に突如として提示されたルールなるものは、次回値上げとセットされたものでした。私らは、ルールなくして値上げなしという公団の約束が一方的に破られたことに強い憤りを感じたわけです。しかも、その後の家賃部会議論を見ると、審議回数はわずか四回、その時間は何と実算討議は七時間というではありませんか。そして値上げ案の内容は、前回の値上げまでは最大の根拠にしていた公営限度額方式を変質させておりまして、地価の上昇に合わせた値上げを目的としたものでした。そして補正率という方法を新たに導入しているのです。この間公団に聞いてみました。公団の話では、補正率の公表は算定のプロセスにおける数値を示すことであり、居住者方々に無用の不安と混乱を招くおそれがあるから公表しないんだということでありました。  このような進め方や内容では、改定が公正かつ円滑になるようにという国会要望にほど遠いものであります。私たちに円滑な関係として理解できるかと言われても無理だ。私は、円滑な関係を確立していくというのは、双方の話し合いの機会をもっと多くしていくとかあるいは家賃部会に自治協代表委員を複数で参加させる、こういう工夫をすべきだと思います。  第二に、家賃改定必要性及び基本的な考え方の問題であります。  公団家賃改定の大臣申請前に全戸配布したビラによると、改定の理由として、一つ公団住宅相互間の家賃の不均衡是正、二つに修繕費維持管理経費の確保、三番目に国民的視点の三点を挙げております。しかし、不均衡是正という理由は過去二回の値上げ理由にも使いました。これは、既存住宅家賃と新設住宅の高家賃を比較して、既存住宅家賃を高い家賃に限りなく近づけていこうとするものです。十五万円とか二十万円の家賃住宅をつくっておいて、公共住宅としてのあり方が問われていることについての政府、公団の責任を不問にした比較論で値上げすることは認められないのであります。  また、修繕費、維持管理費の確保が理由になっておりますが、例えば過去二回の家賃値上げ増収額は二千六百十八億円であります。そのうち二千四億円を修繕費、維持管理費に使ったと言われております。私は、こうした総額が公表されることは大事だと思いますが、それ以上に、どこにどれだけの費用が使われたのかという明細を明らかにすることが最も重要だと思っております。このことの実行がなければ納得できないわけであります。  そして、国民的視点という理由が今度の値上げ理由として目立っております。公団住宅は国民共有の貴重な財産ですから国民的視点で考えることには賛成です。しかし、ビラに書かれている内容で、税金から多額の援助の問題や受益者の特定化と応募率の問題については納得できないところがございます。税金の問題では、公団住宅は本来公共住宅でありますから、国の施策上、財政的な援助があって当然であるというふうに思うわけであります。受益者の特定化と応募率の問題では、公共住宅公団住宅の量が決定的に少ない、ここに原因があるということを言わなければなりませ ん。  そして重要なことは、総務庁が発表している公共料金四十品目の中に公団家賃が含まれております。公共料金の特徴は安定性にあります。公団家賃が三年ごとに値上げされるということでは、安定性が失われようとしていることに大きな問題があると思っております。  第三に、家賃算定方法の問題です。  関西に武庫川団地、レインボータウンという関西最大の団地がございます。この団地は、高家賃のため入居希望者がなかったのですが、公団入居者を確保するため家賃を次々とダンピングしていきました。家賃を安くすることはよいことです。本来公団家賃は個別原価方式で決定され、それを七十年間で償却するという仕組みになっております。ところが、家賃のダンピングによって個別原価方式を崩す結果になりました。このダンピングした家賃はどこで取り戻すのでしょうか。この結果、公団家賃設定を需給バランスによって設定する方法に変えたとしか思えないのです。  今度提示されている家賃算定の新たな要素として補正率なるものが出されています。この補正率はさきに述べた需給バランスから発想したように思えてなりません。しかも、補正率の中に地価が大きく反映する内容になっております。これを導入することは、公団家賃を市場家賃というかあるいは相場家賃に近づけることになるので、将来は民間家賃並みになることは必至だと思います。このような算定内容は容認できません。再考を強く要望いたします。  第四に、家賃値上げに対する公団居住者の不安や生活実態の問題について述べます。  私は、たくさんの団地の自治会主催の家賃値上げ問題学習会に行きます。ことしの学習会の特徴はお年寄りの参加者が非常に多いことです。寒風が吹いている中、夜遅くても、集会所から遠くても参加してくるのです。そして熱心に私の話を聞いてくれます。なぜこのような状況になったのか、答えは簡単であります。収入の低下と医療費の増大など経済的状況が深刻化しているからです。委員先生方にお配りさせていただきました居住者実態調査をごらんください。世帯主五十歳以上が全国で三二・四%を占めております。世帯の総収入は、第一分位に属する世帯が三二・八%です。第二分位に属する世帯が二八・六%です。関西では第一と第二分位で六六・七%となっており、生活の深刻度は高くなっているのです。  公団は三年周期の値上げを考えていますよと、こう話をいたしますと、不安の気持ちがぱあっと集会所に広がります。また、公団は三回の値上げ分の敷金を払えと言うていると話をしますと、国会で取らぬと決めたんやろ、何で蒸し返すんやという声が集会所いっぱいになります。学習会を終えて帰る私に、お年寄りの方が手を合わせて拝みます。こんなときの私の気持ち総裁わかりますか。また、こんなことを言われたこともあります。公団は年寄りと貧乏人は死ねというのか、聞いてほしいとね。過去の二回の値上げによる特別措置は、五十三年の値上げでは三百四世帯、五十八年の値上げでは三百六世帯でした。この実態を知っているからこそこのような声が出てくるのです。  建設大臣は過日の集中審議で、家賃が払えないからといって日本から出ていけとは言っていないという趣旨の発言をいたしました。どうか、収入が十万円や十二万円しかない老人や社会的弱者を公団から出ていけと言わない実効ある施策を講じてください。よろしくお願い申し上げます。  そしてもう一つの特徴は、主婦からの声であります。二回も値上げして修繕なんかしてくれへんやんか、値上げのときの約束であった窓枠のアルミサッシ化なんかほとんど進んでいないやんか、三十年代の住宅は建てかえや言うて修繕対象から外してるやん、それでも値上げだけはきっちりやりよる、やらずぶったくりやんか、こういう不満の声が非常に多いことであります。中には私を公団の職員と間違えて、真剣に抗議してくる場面もあるわけです。  最後に、私は、修繕費などに必要な費用はその内容と経理がはっきりしていれば支払います。しかし、現在でも八万円あるいは十万円もする家賃まで今度また値上げしようとする値上げ案には反対です。公団から申請の出ている値上げ案の再検討をお願い申し上げます。  次の問題について委員長初め委員先生方に御尽力いただくことを希望申し上げる。  第一は、公団が国会要望決議を公共住宅制度存続発展の立場で守り、その実現に努力するようにしてください。  第二は、家賃改定ルールは円滑な関係を築くのにほど遠い内容です。引き続き審議をするようにしてください。  第三は、居住者生活実態を踏まえて、安心して継続入居ができる諸施策を拡充及び導入してください。  第四は、公共住宅の決定的な不足と高家賃を糊塗するため、今回の家賃改定を機会に、継続居住の家賃が安過ぎる論が広げられています。これは、公共賃貸住宅の供給を高家賃政策に組み込み、特定階層住宅化、公団住宅の場合は所得の第三分位中位以上の世帯というふうに言っておりますが、そこに固定化しようとする目的があるように思えてなりません。安くて住みやすい公共賃貸住宅の大量建設の政策を軽視しないで、住宅に困窮する多くの国民を大切にしてください。  第五に、値上げ周期の三年はやめてください。  まだ申し上げたいことがありますが、時間がちょっとオーバーいたしました。先生方からの質問の際に機会がありましたら発言させていただきたいと思います。  以上、参考人としての発言を終わります。お聞きいただきましてありがとうございました。
  13. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ありがとうございました。  以上で参考人方々からの御意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 参考人先生方には本日は御多忙の中を大変ありがとうございました。  まず、石原参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、具体的な問題についてもお尋ねしたい点がございますが、その前に基本的な問題といたしまして、戦後における我が国の住宅政策全体を貫いてきたあり方というのは、いわゆる国民の自力建設に重点が置かれて、そこに大きな比重をかけて政策が遂行されてきていると思うのであります。したがって、いわば個人による戸建て住宅というものが住宅建設の中では大変大きな比重を持ち今日に至っておると私は認識いたしております。  そういう状況の中で、今大変地価の高騰という事態に直面をいたし、多くの勤労者の皆さん方の論議にいたしましても、あるいはまた国民全体の受けとめ方にいたしましても、到底これはもう一戸建てのマイホームなんということは夢だ、まず手が届かない。特に三大都市圏等におきましてはまさにそういうことになっているのではないかというように私も痛切に感じているところでございます。  そういう状況の中で、今いわゆる自力建設と公的建設の二つの政策で日本の住宅建設が行われてきたとするならば、今日の段階におきまして、今こそ私は公的建設に政策全体の比重を傾けていかなければならぬ時期に来ているのではないか。特に、この中で住都公団の役割はまさにこれは大きな任務が背負わされておるのではないか、こういうように実は考えるのでございますが、基本的な政策の問題について、基本問題懇談会なりあるいは家賃部会なりでも論議がなされておると思います。それらを含めまして石原参考人の御見解を承りたいと思います。
  15. 石原舜介

    参考人石原舜介君) それではお答えします。  おっしゃるように、最近のこういうような地価の高騰で各庶民の夢を打ち砕くような状態になってきたことは、ただいま御意見のあったとおりでございます。それだけに公的住宅の供給に対しまして庶民は大変期待もし、またこういう方面に力 を入れていただきたいという要望が強くなっておることは申すまでもないことだと思います。  今日までの住宅建設の動向を、資料がございませんので非常に申しわけございませんけれども、今までの審議会等で若干記憶している範囲で申し上げますと、いろいろな住宅建設五カ年計画の経緯などから考えまして、民間自力建設は大体予定どおりの建設戸数を達成しておりますけれども、公的賃貸住宅はやや予定戸数を満たさない状態がここ十年ほど続いております。  この理由はいろいろあろうかと思いますが、一番大きな理由は、何といいましても用地の取得難というふうなことで、今日は非常に高地価ということで、用地取得がさらに困難にはなってきております。過去におきましても大変用地の取得難、こういうことから高家賃化ということを招き、またいろいろ公的住宅建設に対します自治体の若干の抵抗、これは人口増加等に対しましていろいろな関連公共施設等の整備を必要とされるために、そういうようなことからの反対かとも思いますけれども、若干そういうことで足を引っ張るようなこともございまして、なかなかその目標が達成できない状態にあったのではないかというふうに推察するわけでございます。こういうような地価の高騰期になればなるほど、実はもう公的賃貸住宅の方に政策の主流を向けてやっていかなければいけないのではないか。これが我が国では今まで少し不足していたところだろうというふうに思っております。  これは余分なことかもわかりませんけれども、今回の地価対策のために新行革審におきまして現在作文している最中でございますけれども、昨日もその土地臨調におきまして審議した中で、公的な役割が非常に大きいということをうたい込むようにしております。  そういうことで、この議論の中におきましても、家賃部会におきましても当然そういう声が強く出てきておりまして、何とか新設住宅家賃をできるだけ引き下げるような努力をしながら供給量をふやしていかないといけない。これは、最近の動向としまして非常に需要が高まってきていることもございますけれども、ますますこういう方面での力を注ぐような努力をするということでございます。予算措置としては必ずしもそういうことが、この間成立しました本年度の予算にしましても十分まだそこまで踏み込んでいないような感じがいたしますが、いずれにしましてもそういう方向へ進むということは結構なことではないかというふうに思っておりまして、我々もそういうふうな方向が正しい方向ではないかというふうに思っております。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 ありがとうございました。  私はやはりそういう方向でこれからの我が国の住宅政策がとられていかなきゃならないと思うのでございます。  そこで問題は、今そういうような必要性、任務が高くなってきている公団、この公団がそれではこれから果たしていくためには、果たして国民のニーズ、多くの大衆のニーズに従って良質で低家賃公団住宅を提供していくのにはどうしたらいいのか、こういう問題になると思うのであります。部会の方でもいろいろ御論議をいただいていると思いますが、何しろ国の方の金の問題その他とも絡まってまいりますから、いろいろの思うようにならない点もたくさんあるのでありますけれども、しかし、今これほど緊迫したいろいろの住宅問題が発生してきている以上は、ここでやはりこれを吹き抜いていかなければ政策としては成り立たない、こういうふうに考えるわけでございます。  さて、最近の公団建設されていく住宅の状況を見まするというと、かなり家賃のものがぼつぼつ目立ってきております。これは私は、庶民、大衆を相手とする住宅公団としての立場からするならば、やはり一つの大きな問題だろうということは率直に考えなければならないと思うんです。それではこれを解決していくのにはどうしたらいいんだ、こういうことになるのでありますが、この点については具体的にもう一歩深めた御論議もなされていると思いますが、あるいはまた石原参考人の御見解等もおありと思いますが、伺わしていただければ幸いであると思います。
  17. 石原舜介

    参考人石原舜介君) おっしゃるようにだんだん高家賃化していく傾向がございますが、何とかこの高家賃化の中におきましても、第三分位の中位の収入で一六、七%の範囲におさめるように努力していかなければいけないというふうなことで、いろいろ公団自身も施策を考えているようでございます。我々もそういうふうな方向へ進むべきだというふうなことを言っておりますが、何分にもこれだけ地価が上昇し、土地の価格が上がってまいりますと、なかなか意図どおりに達成することができない。何とか土地自体にしましても安くするような方法がないかというふうなことで、今回も我々部会の中で議論したときも、国などにお願いをして、自治体等で保有している埋立地などのようなところを積極的にひとつ開放していただいて、そういうところで家賃負担を軽くしていくような方法がないだろうか。  それからまた、どうしても高くなっていくのには、先ほど本吉参考人の方からもお話がございましたように、国の方からの利子補給というのがある程度家賃の引き下げに役立っているわけでございますが、しかし、現在低利子の時代になってきておりますので、もう少し利子補給の枠を高めるか、そうでなければ財投の利子を引き下げるか、何とかして利子負担を少なくしていく方策を考えていただけないだろうか。  それからもう一つは、やはり住宅の環境整備をしていかなければいけないので、住宅都市整備公団といたしましては、今までも常に民間供給住宅のいわば参考になるほど環境のいい住宅地を造成してきておりますので、そういうようなだけに負担が環境整備費に相当かかっております。そういうものも一部は公共事業等で肩がわりしていただくような措置を講じまして、そういうことが家賃の方へはね返りを少なくするとか、何かそういう工夫も今後必要なんじゃないかというふうに考えます。  こういうような側面すべてを総合的に検討していかないと、家賃そのものを急激に安くしていくということは非常に難しい問題ではないか、かように考えております。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 やっぱり今石原参考人のおっしゃられている点が焦点だろうと私も考えております。  それで、今回の家賃の引き上げあるいはまたこれからの家賃の設定等の中で、まず私は公団自体がみずからの努力で相当セーブしていくことができる面もあると思うんです。それは公団自体のいわゆる企業努力で頑張っていただかなければならない点だろうと思うんです。これは厳しくひとつやるべきだと考えています。もう一つは、今お話がございました金利の軽減の問題。それからもう一つは、関連公共費のいわゆる国庫負担のもっと増額の問題。あるいはまた土地問題等がその焦点だろうと思うのであります。  十年ぐらい前に私が計算して、事実予算委員会等を通じて当時の論争の焦点になった一つの問題としては金利の問題であります。これは一%下げますと当時一万円家賃が下がる、こういう計算になる。今になるともっとふえていると思うのであります。その計算は私わかりませんが、今は恐らくかなりのものになってきているんじゃないか。倍まではいってないと思いますがかなりのものになってきているだろうと思う。したがって、今四%ないし三・五%で財投の金が注がれているようでありますけれども、これをもし一%下げるということになると、かつての時代であれば、金利が七・五%から八%の金を使っている時代において五%ぐらいのものを使ったんですから、それならば思い切って今のお話のとおり一%ぐらい下げたとするならば大体ヨーロッパ並みの金利になるんじゃないか、こういうように考えるのでありまして、これがまず一つの問題点だろうと思うんです。  それからもう一つは土地問題ですけれども、土 地は、私は三大都市圏には相当国有地がたくさんあると思うのでありますが、これらについては御検討いただいたらどうか。  それからもう一つ、関連公共費の問題でありますが、これは私は全額負担をしてもいいと思うんです、今日の段階であれば、こういう公共住宅については。民間一般のデベロッパーがおやりになっている住宅まで全部というわけにいかないと思いますけれども、自力建設まで全部というわけにいかないと思いますけれども、公団の背負っておる分野の関連公共はむしろ国が全額負担してもいい。  こういうことを全部なされば、まさに私は相当家賃の軽減を図ることができるであろうとかねがね考えてきたのでありますが、これらの問題を中心といたしまして、もしいろいろ御検討いただいている経過があればもう一歩突っ込んだ御意見を承りたいと思います。
  19. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 先生のような突っ込んだ検討というのはまだ十分しておりませんでしたが、先ほど申し上げましたように、現在約四万数千円の新規家賃の場合に、値下がりできるというのが、約三・七%から四%強の金利下げでそのぐらいの割合でございますので、一%下げるとやはり一万円強の値下がりになるだろうというふうに計算上なろうかと思います。その一%下げていただければ確かにそういうことで家賃が直接的に月一万円下がるという事実は、これはもう紛れもないことでございます。  それで、特に関連公共施設の全額負担の問題でございますが、これはやはり限界がございます。関連公共施設のうちでも、一般の土地区画整理事業などで民間の方々が受益者負担としまして行っております部分、道路の用地捻出だとかそれの整備費とか、こういうふうなことに関連いたしましては、やはりこれはほかとの兼ね合いもありまして全額負担というふうなわけにはなかなかまいらないかと思います。しかし、主要なところを援助していただければこれも下がってくる可能性は十分ある。特に用地の利用率を上げていくということの方がより大切でございまして、これはいろいろな環境整備の問題もございますけれども、一部の自治体におきましては、計画団地なんかの場合には有効率が五〇%をやや超える程度しか認めてくれないというふうなことがございます。これが一割上がるということになりますと大変それによりまして用地費を安くすることができるわけでございます。そういう点なども、自治体の協力を得まして指導要綱等の点からも見直しをしていただくというふうなことが必要かと思いますので、関連公共施設の整備とあわせまして、そういうふうな有効宅地率を上げるような形でも環境整備は十分できるわけでございますので、そういう点も考慮していただけないだろうか。  特に最近はこういうようなまとまった団地というのがなかなか、入手難ということもございますけれども、実際に開発が難しくなってきております。それでどうしても一般の民間では小さなところをスプロール的に開発しておりますので、それから見ますと公団というのは非常に健全な市街地形成をしておりますので、そういうものを応援していただくような措置をぜひひとつお願いできればよろしいかと思います。  そういう点で、土地問題などに関しましても、国有地を優先的に払い下げてもらえるように、ぜひこれは我々からもお願いをしたいわけでございまして、先ほど申しました埋立地を含めまして、こういう国公有地なども、特に東京におきましては職住接近その他の観点からも住宅を優先的に建設していただくように要望していただけないかというふうに考えております。我々もぜひそういうふうなことを考えるべきではないだろうかということは話の端々に出ておりますけれども、なかなか我々の考えだけではまいりませんので、ひとつ国会の方でそういう要望をしていただければ非常にありがたいというふうに思っております。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 ありがとうございました。  質問を終わります。
  21. 井上孝

    井上孝君 私は自民党の理事の井上でございます。  きょうは、石原本吉佐長の三人の参考人の方、お忙しいところを本当にありがとうございます。特に石原先生本吉さんは、たしか五年前も衆議院の方で参考人に呼ばれております。再度大変御苦労でございます。特に石原先生は五十七年から家賃部会部会長として御苦労願っております。先週も再び衆議院の参考人になられて、重ね重ね大変恐縮に存じております。  さて、公団家賃改定でございますが、法律によりますと、住都公団総裁家賃を定めて建設大臣の承認を受けて改定ができる、こういうことになっておりますが、実は私も建設省におりましてよく知っておりますが、公団昭和三十一年に設立をされ、第一回目の改定が何と二十二年後の五十三年でございます。二十二年間改定をしないで家賃を据え置いております。こういういわば異常な事態で五十三年に初めて従来の低額家賃改定して増額しよう、こういうことになりましたので、あのときに大変な居住者の反対運動がありました。結果として、この五十三年の第一回の改定で衆参両院、国会が乗り出して、両院の建設委員会できょうのような集中審議をする、これはまことに異例な問題であります。法律では先ほど言ったような取り決めでありますが、国会で取り上げなきゃならぬ、こういうようなことになったわけであります。まことに異常な措置と言わざるを得ないと私は今でも思っております。  ところが、五十三年にやりまして、五十八年の改定に際しましてもまた大きな政治問題になりまして、衆参両院で同じような集中審議をやったわけであります。実は第一回目のときは私は建設省の役人でありましたが、第二回目のときは建設委員で集中審議に参加し、しかも自民党の理事を務めておったことが昨日記録を見ましたらありまして、私も何遍もやっているな、石原さんと同じだなという感じでございます。  そういう事態で、たしか五十八年の審議のときに、またまたこういうことを繰り返してはとても円滑な公団の通営はできないということで、先ほど来ちょっと話にありました改定ルールをはっきりさせる、そして再びこういうような異常な措置が必要のないように公団において措置しなさいということで、建設大臣に対して衆参両院の委員長から要望事項が出されております、十分御承知のことと思いますが。特に参議院の建設委員長要望事項の第三項に、「公団は、今後の家賃改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」、ルールをつくりなさいというこういう要望事項がありました。  これを受けて石原先生もそれから本吉さんも委員となって審議をなさったわけでありますが、この実態は先ほど参考人の方のお話にございましたように、二年半にわたって専門部会二十数回を開いて検討をいたしました。その結果出た、先ほどたたき台とおっしゃいましたが、原案をもと家賃部会を四回開いて幅広く議論が行われたと石原先生のお話にございました。この家賃部会には、建設大臣の和解の際のあっせんに従って自治協の代表の方、それから自治協に加入しておらない居住者の方も参加しておられるということを伺っております。そして、この部会で大方の賛同を得て今回の改定方針が三月四日に決定されたと私は承知しております。  ここで石原先生に伺いますが、今回出されました改定の方針が、これで国会が要望いたしました公団賃貸住宅家賃改定の今後のルールができたと座長はお考えになられますか。私どもそういうふうに了解してよろしいのでありますか。これは最終決定は建設大臣なり公団総裁がやるわけですから、先生方意見としてまとめられたと思いますので、かたいことを言えば、座長の個人の御見解でも結構であります。このルールで真剣に公団家賃改定に取り組めば、今後こういったような国会の異常な審議というものが必要なくなるんではないか、私はそれを期待しておるんですが、そう いう点につきまして石原先生の御見解を承りたいと思います。
  22. 石原舜介

    参考人石原舜介君) お答えします。  ただいまお話がございましたように、建設委員長の方から前回の五十八年の審議の際に要望事項が出されまして、「ルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」となっております。それで、五十六年の審議の過程におきまして、当時の住宅局長から、このルールとは何かというふうなことでお答えした内容がございます。それは三つのことを決めなければいけないということで、ルールをつくるにはまず判断基準、それから算定方法、それから周知方法、この三つを決めなければいけないというふうなことで、これができればよろしいのではないかというふうなことでお答えになっておられます。まさにそのとおりだと私も考えております。  そこで、この中で一番基本になりますのが算定方法でございまして、この算定方法が確立いたしますと、現行家賃とこの算定方法によって求められた家賃との間の乖離、これは改定の要があるかどうかという判断がそこでなされるわけでございますので、この算定基準が基礎になりまして、その次に判断基準が動くような形になろうかと思います。それが決定いたしますと、今度はその内容をできるだけつぶさに周知方をしなければいけないというふうなことでございます。もちろん、そのいろいろな審議過程におきまして十分居住者意見を取り入れるようにというふうなことで、周知方の一部にはその審議過程のものもこのルールの一部というふうに考えております。  以上のようなことでございまして、一番基本になりますのが何といいましても算定方法ということでございますので、この算定方法が先ほど申しました専門部会におきまして非常に精力的に御検討をいただきまして、そしてこれのたたき台ができて我々が審議した、こういうふうな過程になっておりまして、これが確立し、そしてそれに基づきます判断基準もでき上がりましたので、この二つは完全に今回の改定案の中で一応いける。そういうふうなこととあわせまして、次に周知方の方法でございます。これはこれからの問題も含んでおりますが、これは公団がこれからとられる措置の中に相当大きなウエートがかかると思いますけれども、我々といたしましては、この改正の周知方を図るために居住者方々に十分それらの内容が伝達できるように説明書を特別に作成いたしまして、そしてそれを居住者方々に配布するようにしまして周知方を図るようにというふうなことをいたしたわけでございますので、我々が関与する範囲におきましては、一応ルールづくりはできた、こういうふうに考えております。
  23. 井上孝

    井上孝君 今回の改定の方針の中で居住者の方から御要望等もいろいろあったと思いますが、激変緩和とか最高限度額を決める、あるいは弱者を救済する、それから増収額の使途を決める、こういう点は、前回内容の若干の変更はありましても大体前回どおりだと思います。今度の改定で一番特徴的なのは、公営限度額方式に準じて算定された額に地域補正率を適用しておる。それから周期を五年から三年に変えておる。先ほど佐長さんは三年というのは反対だというふうにおっしゃいましたが、この地域補正率周期変更について本吉さんから御意見を簡単にひとつお願いいたしたいと思います。
  24. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) お答えいたします。  今第一の御質問の地域補正率でございますけれども、公営方式を採用しますと、公営方式というのは地域がかなり限定した、例えば東京都なら東京都と限定されている。公団みたいに日本全国やっているとどうもこれを一律にやることが実情に合わないんではないか。そういう意味でやっぱりある程度の地域補正というのをやっていく必要があるのじゃないか。これは実感でございますけれども、例えばこの間名古屋の桃花台というところへ行きますと、そこだと四DKで家賃が四万から五万ぐらい、例えばその地域ですね。東京なんかとは大違いのように、単に一律な公営限度額方式を適用するんじゃなくて、かなりいろんなもので地域差というのがあるので、そういうものを勘案していくということはどうしても大事なことじゃないかと思います。  それから五年か三年かということでございますけれども、確かに一応入居者から見ますと五年に一回の方が何か家賃がしょっちゅう上がらなくていいような気がいたしますけれども、問題は、そのときにたくさん上がるのかどうか、いきなり負担が急増するのか、もしどうしても上げなきゃいけないなら、なれて順次ステップ・バイ・ステップに小刻みに上がっていく方がいいのか。何も改定というのは、私はいつも言うんですけれども、上げるということを前提ではなくて、見直すことが意味があるので、そのようにやっぱりこれを——私さっきから値上げという言葉を使わないで改定という言葉を使ったんですけれども、値上げという言葉を使いますと非常に誤解を招きやすいんじゃないか。三年か五年かというのも同じような考え方で、さっきちょっと石原先生もお触れになったけれども、五年の方が一応何か家賃が上がらないというような感じがいたしますけれども、そのときにたくさん上がればかえっていろんなトラブル、摩擦が起きるんで、やっぱり常識的に三年でやっていく方がいいんじゃないか。  それからもう一つ家賃の計算の根拠になっています固定資産税が三年に一回評価がえしておりますので、それに準拠する方が家賃を考える場合正しいんじゃないか。そういう意味で、三年周期の今度ルールができて——五年ごとにといいますけれども、今までは、公団が建てた年数に応じて今度はどこを適用するかというようなことが最初スタートだったんですけれども、そうしますと入居者から見ますと、いつ私の団地対象になるのか、そういうことがわからなかったのが、これから三年ごと見直していくことになれば、先ほど冒頭に申しましたみたいに生活設計が非常にしやすくなってくるんじゃないかなという感じがするんで、期間が五年じゃなくて三年でもよろしいんじゃないかという気がいたします。
  25. 井上孝

    井上孝君 私の時間がなくなってまいりましたので、佐長さんに最後に伺いますが、佐長さんは全国公団住宅自治会協議会代表幹事をしておられますけれども、全国の公団賃貸住宅、現在全国で約千二百団地、六十七万戸と伺っておりますが、このうちいわゆるおたくの自治協議会に加盟している団地の数及び加入世帯はどのぐらいでございますか。数字だけをひとつ。
  26. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 今井上先生おっしゃるように、全国的にはおっしゃった数の団地があるわけですが、団地も大小がございまして、十世帯ぐらいのところも一団地でカウントされるんですね。それから八千世帯、九千世帯もカウントされるんですが、ただ、私どもの組織は御承知のように自治会という名前がついておりますので、自治会を組織しないと参加できないという仕組みになっております。ところが、都市部における団地では自治会がなかなかでき得ないという傾向がございまして、その自治会ができているところの比率でいきますと、全国的にはもうはるかに過半数を超えております。
  27. 井上孝

    井上孝君 加入世帯数、それを。団地の数は今過半数とおっしゃいましたが、加入世帯数です。
  28. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 三百団地の三十三万世帯です。
  29. 井上孝

    井上孝君 三百団地というのはわかりますが、そこに住んでおられる世帯が今の三十三万、その中で加入しておられる戸数をおっしゃってください。
  30. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 自治会ですからみずから参加するというのが原則ですので、要するに自治会の会員ということを恐らくおっしゃっていると思うんですけれども、組織率で言いますと、かなり差はありますけれども、大体八〇%から九〇%ぐらいの組織率というふうにお考えいただければいいと思います。
  31. 井上孝

    井上孝君 数字がどうも私がつかんでおるのとは大分違うようですね。今おっしゃった八〇%加 入しておられますか、協議会に。みずから佐長さんの協議会に個人の意思で入っておられる会員の数というのはおつかみになっておられないですか。おわかりになったらおっしゃってください。
  32. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 全国的にちょっと把握しておりません。
  33. 井上孝

    井上孝君 しかし、会費か何か取っておられるんじゃないですか。あるいは新聞、機関誌みたいなものを配っておられるでしょう。会員の数が把握されてないんですか、自治協は。
  34. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 会員の数はそれぞれの団地では把握をしておりますし、それからそれぞれの地方自治協ごとにも把握をしておるわけです。恐らく井上先生おっしゃるのは、全国自治協に参加している数が少ないのではないかと、こういうことをおっしゃりたいというふうに思うのですけれども、それは御指摘のとおり、実際八〇あるいは九〇いっていないことは事実です。
  35. 井上孝

    井上孝君 いや、私は自治協の数が少ないということを申し上げようと思っているんじゃないんですよ。せっかく参考人としておいでだし、公団もおたくを交渉の相手として相当重視しておられる。一体公団入居者のどのぐらいを代表しておられるのか。これは合っているかどうかわかりませんが、私が承知いたしておりますのは二六%ぐらい、全体の約四分の一と承知いたしております。  時間がなくなりましたからこれ以上申しませんが、あなたは今回の家賃部会の審議に先ほど非常に不満を述べられましたけれども、これ聞いていると時間がありませんが、家賃部会には自治協に入っておられない居住者の、まあ代表というのは言い過ぎかもしれませんが、自治協以外の方も入っておられますから、あなた方のいろいろな意見がそれは一〇〇%通ればありがたいことですけれども、それは全部が全部公団居住者意見ではない。はっきり言えば四分の一強だということを私はここで最後に申し上げておきたいと思います。  何か御意見があったら言ってください、もう時間がありませんから。
  36. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 私ども毎年、政府や公団にお願いをする、全国的に協力して運動を起こしているんですけれども、その署名が大体六十万人から七十万人集まるわけです。ですから、そういう点で考えますと、今先生御指摘のような形にはならないんじゃないかと私どもは自負しておりますけれども。
  37. 井上孝

    井上孝君 終わります。
  38. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最初に、きょうは参考人の皆様方、大変にお忙しい中を我々の委員会のために御出席賜りまして、本当にありがとうございます。心から御礼を申し上げます。  先ほど同僚委員から石原参考人にいろいろ御質問ございまして、石原参考人から貴重な御意見をいろいろと賜りました。利子の問題あるいは住宅関連公共費の問題、あるいは国公有地の払い下げの問題等々、私たちもまた同僚委員ともども、石原参考人から御意見を賜った中で勉強していきたいと思っております。  最初に、今井上委員の方からもお話がございましたが、先ほど佐長さんの方から、家賃部会運営につきまして、七時間程度の審議で十分論議を尽くしたと言えないというお話もございましたし、当委員会でも建設省公団に対しまして同僚の委員から厳しい叱責があったわけでありますが、石原参考人として、家賃部会長として、これで十分だ、このようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  39. 石原舜介

    参考人石原舜介君) お答えいたします。  先ほども私最初の陳述の中で申し上げましたように、一番基本になります算定方法、これが非常に重要でございまして、これが固まりますとほかは、自動的と言ったらちょっと問題がありますけれども、それほど大きな変化がございませんので、そういうことから、いろいろな意見をちょうだいするのに、この算定方法というのがどうなるかということが中心に審議がされていくわけでございます。そこにおきましていろいろ御意見を承ったわけでございますが、参加いたしました委員方々は、いろいろ御意見をいただいておりますけれども、大体意見が出尽くした。自治協の代表の方はこれでは十分ではないという意見最後までございました。それで途中の過程におきまして、先ほど申し上げましたように、やはり意見を正確に我々に伝えていただくようにということで文書によってはっきりとした御意見をちょうだいしております。  そういう自治協の代表の方の御意見もとにしまして議論もいたしました。そういうことから、大方の賛同と申しましたけれども、ほかの方々は大体これでよかろうというふうなことで、議論が出尽くしたというふうなことで、一応こういうことで報告することに対しましても自治協の代表の方以外は全員賛成といいますか、そのほかは賛成でございました。自治協の方は最後の段階でも、これは当然のことでございますけれども、十分意見が入れられないというふうなことから、自分はこれに賛成しかねるということを基本問題懇談会の方に報告してくれというふうなことで一応了解を得まして、それで基本問題懇談会の方にそういうことを含めて報告いたしました。  ですから、そういうことで議論は全部出尽くしたということで、一応の方針を公団で固めることができるというふうなことで、審議は尽くされたと思っております。
  40. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 わかりました。  それから家賃変更算定につきましては、先ほどの概要説明にございましたが、「公営限度額方式に準ずる方式により算定される額を基準として、」云々とございました。私たちは、公営住宅家賃というのは造営物の使用料として存在しているわけでありますし、いわゆる公団家賃というものは個別原価主義で決められる、それぞれ性格が違うものであるからこれによる比較というのはどだい無理じゃないだろうかという考えを持っておるんですが、その点はどのようにお考えでございましょうか。
  41. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 公営限度額方式というのは、当初家賃基準にいたしまして、それからいろいろ建設資材あるいは手間賃等の値上がり分を考えまして、それによる補正をいたします。それとあわせまして、住宅の今までの経緯の古さというもので割り引きます。そういうふうな形で、当初家賃というものがずっとその後も反映できるという点と、そういう当初家賃もとになっております規模、構造、こういうものも当然のことながら反映されておりますし、それから古さによる補正もでき上がっております。また、こういうものは一律の方式によって多くの住宅家賃算定するのには何かの基準がなければいけないわけですから、そういう意味では共通する尺度としては非常に有効であるというふうに考えております。  しかし、先ほども申し上げましたように、この公営限度額方式に準ずる方式をとっているわけでございますが、準ずるというのは、当然ここまで上がらなければいけない家賃激変緩和のためにその差額の二分の一を減額しているというようなことがございますので、これはやはり激変緩和措置上そういうものをとるべきだろうというふうに考えております。そういう点がちょっと違うのと、それからもう一つは、この中で非常に問題になりますのは、先ほども御質問本吉さんの方にございましたけれども、補正率立地条件によって設けたというふうなことが今回非常に大きな改正点なのでございます。  これは誤解があるといけないのですけれども、公営限度額に準ずる方式算定いたしましたうち、個々に算定いたします地代相当額というのは固定資産税を基礎に算定されるわけでございます。ところが固定資産税というのが実は、自治体の都合——都合といったら変ですけれども、自治体によっていろいろな差がございます。と申しますのは、公示価格を基礎にして仮に考えますと、東京の場合ですと、場合によると一けたぐらいにしか固定資産税評価額が達しない。ところが九州の方ではこれが三〇%をやや超える程度の額にま でなっているということで、地域差が非常にあるわけでございます。そういうことで相対的に自治体間の差が相当ございますので、こういうものの地代相当額に相当するものを寄せ集めまして、そして、それを増額するわけじゃございませんで、それを地域の立地条件によってならそうということで差をつけていくというふうなことでございますので、増額では決してないわけで、あくまでも民間の家賃に近づけるというわけではございませんで、公団住宅の中で調整をしようというふうなことで立地条件の調整をしているわけでございます。  ですから、そういう点によって多少とも、本来はもう少し地代相当額をしっかり考えていかなければいけないんですけれども、今回こういうふうなことでやっておりますので、基本になるのはあくまでも公営限度額方式に準じたんですけれども、これはそういう意味では大量の住宅対象にした家賃算定する共通尺度としては非常に有効であるというふうに考えまして、そのためにそれがより有効なように補正をしたということでございます。
  42. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 佐長参考人にちょっと参考のためにお聞きしたいんですが、五十三年当時、居住者の従前家賃支払い運動というのが行われまして、居住者の皆さん方が利息払いをしなければならなかった、こう聞いているわけですけれども、仮定の話ですが、今回値上げが決定された場合にはどのようにされるおつもりでございますか。
  43. 佐長勉

    参考人佐長勉君) きょうのこの委員会でどういう御意見がまとめられるかわかりませんが、できるだけ私どもの意に沿うようにまとめていただきたいと思いますが、その後に考えたいと思います。
  44. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回、先ほどからお聞きしますと、ルールづくりということが非常に問題になっているわけですが、自治協の皆さん方のあれによりますと、公団家賃の民営化、こういうことを時々拝見するわけでございますが、これは具体的にどんなことをお考えになっていらっしゃいますか。
  45. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 先ほどから議論になっておりますように、今回値上げの算定方式の中に公営限度額に準じてという、前回と違ったところは準じてと一つありまして、さらに次は補正率というのが入ってきました。  先ほど石原先生のお話の中にもありましたように、補正率固定資産税評価がえに連動させていくという形でいきますと、土地の値段は恐らく今の推移で見ますと、僕らも素人ですけれども、下がらへん、こういうふうに思います。そうすると上がっていきますね。特に六十三年度の異常な土地の価格というのは一つのベースをつくってしまいますから、そのベースの上に立って補正率が加味されていきますと上がっていく。しかも、補正率の計算根拠というのは不動産鑑定評価手法を使うんだというようなことも聞いておりますから、公団家賃という一つの公的規制を外して、そしてそういう方向に進むということを、要するに民間並みの家賃に近づけていくというふうな方向が見られるので、民営化、民間と、こういうような言い方をしております。
  46. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ですから、具体的にどういうルールをあなた方はおつくりになろうとお考えになっていらっしゃいますか。
  47. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 名称ですか。
  48. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今石原参考人から激変緩和について、こうこうこういう理由だとありましたけれども、おたくの方はどう考えてみえるんですか、その点は。佐長さんはそういう点は反対だと言うけれども、具体的にこういうふうにやるんだということはないですかね。
  49. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 要するに、とめどもなく家賃が値上げされるような方式というのは公団住宅家賃の安定性からいうたら逆行するわけですから、それはやっぱり納得しがたいということでございます。
  50. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、例えば三年見直しということで石原参考人本吉参考人賛成されているわけです。私も値上げは賛成じゃありませんよ。しかし、本吉参考人石原参考人も、こういうことを基盤に、例えば三年ごと固定資産税見直しがあるからそういうものを基準として三年ごと見直しをしていくんだ、こういうことでお話があるわけですけれども、佐長さんの場合は、三年見直しは反対だとおっしゃるけれども、じゃおたくの方は何年ぐらいだったらよろしいんでしょうか。しかしそうなりますと、先ほど本吉さんのお話にあったけれども、住民の皆様方にまた大きな負担がかかってくるんじゃないでしょうか。その点はどのようにお考えでしょうか。
  51. 佐長勉

    参考人佐長勉君) やっぱり安定性からいうたら本当は、冒頭の陳述でも申し上げましたように、修繕費とか維持管理費ですね、これの増額については内容が明らかになれば一定負担をしてもええ、こういうふうに私ども思っておりますから、周期じゃなくて、見直しという点では決してその部分については反対をしていないわけです。
  52. 内藤功

    内藤功君 参考人の皆さん御苦労さまでございます。日本共産党の内藤功でございます。  佐長参考人に御質問をしたいと思うんですが、佐長さんは自治協の役員といたしまして全国の団地自治会八〇ないし九〇%を代表しておられるというお話でございました。このアンケートあるいは全国の団地自治会のいろんな活動を集約して大変な御奮闘をしておられると思うんです。  そこで、先ほどの御意見の陳述の中に、昭和五十八年家賃裁判の和解のときに、ルールの策定なしには次回家賃の値上げはしない、こういう公団自治協公団との約束があったがこれが破られた、さらに家賃部会そのものの経過についても、居住者の皆さんあるいは自治協の皆さんが大変憤慨しておられるというお話がございました。そこでその点に関してもう少し詳しく率直なところを御説明をいただきたいと思うんです。特にルールといえば、審議経過、だれがどういう手続でどういう議論をするかというプロセス、手続ということが非常に大事なウエートを持つと私は思います。そういうルールの確立が今されているとお考えになっているのか、あるいはいまだこれはルールの確立がされていないと見ておられるのか、この点も含めまして率直な御意見を承りたいと思います。
  53. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 内藤先生のお話にお答えをしたいと思いますが、家賃部会の経過については先ほど若干申し上げましたが、大変問題があると私自身は今も思っております。  家賃部会というのが設置されたのは十年前の昭和五十三年でございます。公団家賃の第一次値上げのとき、当時の日本住宅公団総裁でありました澤田総裁が私たちに対して、今後居住者意見を聞くシステムを検討しているんだと、こういう構想を示したのがそもそもの発端になるわけです。私どもはそういう部会の設置に大きな期待をしましたし、その中の目的として居住者意見を反映させる機関をつくってみたい、こういうこともつけ加えられたわけですね。五十八年の二度目の値上げのときに、衆議院、参議院の両建設委員会委員長要望が出されました。そして、そのときの公団本社との話し合いの席で私たちが、五十七年の家賃部会は再値上げ対策しかなかったのは遺憾だ、こういうふうに申し上げたわけです。公団は、確かに委員の中からあたかも同じような意見があった、こういうお話もあったわけです。  それで、六十年春から開く家賃部会は、公団家賃あり方について、そのルールについて、第一の問題として、じっくり時間をかけてやろうやないか、こういう約束をしていただいたわけです。ところが、六十年の春に私たちの代表家賃部会に参加をいたしましたが、いきなりそのときに空き家家賃の値上げ案が出てきたわけです。それが出てきまして、ルールづくりについては公団は、先ほど申し上げましたように、短時間でやらない、時間をかけて相談したいんだ、こういう表明があったんです。家賃部会でじっくり公団家賃あり方ルールについて議論をするのかというふ うに私たちは思っておったわけですが、とんでもありませんでした。先ほど陳述申し上げましたように、公団家賃部会の全体会を昨年の十二月二十一日に二年半ぶりに開きまして、公団はこういうふうに言いました。この間四人の委員方々に二十数回にわたって原案づくりを検討してもらったので、この専門部会家賃部会と変わらないんだ、こういう言い方をされましてちょっと驚いたわけです。しかも、専門の人が入るので、自治協の代表専門家じゃないから、こういう趣旨のお話があってこれまたびっくりしたわけです。  居住者意見の反映を保証しないという原案づくり、そのこと自体がおかしいというふうに思います。しかも二年半も家賃部会を開いていない。少なくとも中間的な報告があっていいというふうに思うんです。ですから、公団の言う理屈というのは当たっていないんじゃないかと思います。前回の五十八年の値上げのときは家賃部会の討議を十月にお願いしておるんですね。そして今回は十二月ですね。年末のどさくさ紛れといいますか、そういうときに提示してきましてそして一気かせいに決めてしまうというふうなことで、そういう点で言いますと、本来、実際の値上げは一年ぐらいおくらして、一年も二年もおくらして、当初の約束どおり十分審議を尽くしてやるべきだというふうに思います。
  54. 内藤功

    内藤功君 プロセスというものを非常に重視しなければ、ルールづくり、この委員長要望にも、家賃改定について、適切な手続に基づく必要なルールづくりをやって、公正かつ円滑な運営を期するというんですから、私はもうこれが、やはり団地居住者代表の方の意見を十分に調整するようなことがなくやられたという点は非常に問題だという感じを、あなたのお話を聞いて感じたわけなんです。  時間も私の方は非常に限られていますので、もう一問お聞きしたいわけです。  それは、公団は今回の値上げの理由として、いわゆる公団住宅相互間の不均衡是正ということを挙げておるわけですが、今回の方式でいきますと、公団住宅の中でも、家賃の高い方に属する団地でもさらに値上げをするということになって、不均衡是正ではなくて、何といいますか全体の底上げということになっていくんじゃないかと、こういうふうに私は思うのです。この点佐長さんはどういうふうに分析をしておるか。私ども幾つかの団地を、私は東京でございますが、回りますと、非常にそういう切実な声をたくさん聞くわけなんですが、実例も挙げて御説明をいただければと思います。
  55. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 私ども調べたわけでございますが、例えば今内藤先生が御指摘のように、高い住宅、要するに新設団地と言われているところも上げられていっているわけですね。空き家割り増し家賃ということで上げられていって、今公団の方から提示しているやつについても、今後三年ごとに全部見直していくという点で大変な家賃になっていくわけです。  例えば赤羽南一丁目の住宅を例にとりますと、二DKで言いますと、七万二千四百円で入居が始まっておるわけですが、入居というか、傾斜家賃の最終がですね。そして五十九年の四月に四千五百円の空き家割り増しといいますか、それが加算されていきます。それから六十二年の四月に第二次の加算がありまして、九千八百円、これでいきますと八万二千二百円というのが現在の家賃で、最近建設されているところもそういう方向に組み込まれていくというふうな非常に問題のある内容になっております。  時間がありませんから、あとの分についてちょっと申し上げます。  公団は値上げ理由として不均衡是正を言っております。ところがその不均衡是正というのは、今までと今回と違ってきておりまして、一回目の値上げのときは、新旧の公団住宅相互間の家賃の不均衡を是正するんだと言っておったわけです。新しく供給する住宅の高家賃にあわせて古い住宅を値上げする、こういうものでした。ところが今回は、経済事情の変動に応じた適正に評価された家賃額と現在の家賃との開きを、公団住宅相互間でまちまちになっているので、これが不均衡だと、こういうふうに言うわけですね。その相当とされる家賃額と現在の家賃額との開差を是正するために値上げする、それを補正方式ということでこれを導入しましてやろうとしております。  こうした考えをとることは、民間市場家賃の原理を持ち込んでいると言っても過言ではありません。公団家賃全体をどんどん高くしていく、こういう方向しか求めておらないわけです。事実、公団はどんな新しい住宅も三年たったら片っ端から見直し対象に組み込むと。先ほど例を申し上げましたように、傾斜家賃が終わって三年たったら空き家家賃を値上げし、そして継続家賃を値上げする、本当にとめどもない高家賃に持っていこうと。数年前に、日本一高い家賃ということでマスコミで騒がれました昭和五十年入居の東京笹塚駅前や、それから今申し上げました団地ですね。笹塚駅前でもう一つ例を申し上げますと、今でも三DKで十一万三千八百円なんです。さらにこれを値上げするというのです。今言った赤羽南の方も今言ったとおりであります。もうたまったものじゃありません。今度の値上げルールは、昭和五十年あるいは六十年代団地も含めて三年ごとに繰り返し、とどまることを知らない値上げを将来にわたって宣告し、すべての公団家賃の高家賃化を目指したものだというふうに私は思っております。
  56. 山田勇

    山田勇君 民社党の山田勇でございます。三参考人大変御苦労さまでございます。  石原参考人にお伺いをいたします。  改正のルールづくりができたということでございます。この是非は今ここでは論議は差し控えさせていただきますが、その公団側の家賃の改正ルールはできた。そこで石原参考人部会の中でこういうお話があったかなかったか、論議がなされたかをちょっとお聞きしたいんですが、居住者サイドのルールというものが論議をされたかどうか。と申しますのは、先ほど佐長参考人が、公団住宅というのは国民共有の財産である、ある意味では財源である。ということになってきますと僕ちょっと——公団側がある程度所得水準を決めて入居者を募集して入れました。しかし、その募集で入ってこられた方の所得水準が上がる方もおられます。逆に下がる方もおられましょう。そういう点についての公団側の居住者に対する、入居するときの一つ所得というものを基準ルールをつくって入れるんですから、それに対するチェック度というのはどんなものでしょうか。  ここに佐長参考人の世帯の年間総収入云々、その中で、いわゆる条件次第では公団賃貸に永住する、五〇・二%、現団地に永住する、三一・〇%と、かなり高い水準で永住権を獲得をしておりますが、この公共性、国民共有の財源という形からいくと、永住をするということが果たして公共住宅公団の政策といいましょうか、そういうものとマッチするのか。  これは大変私ごとで恐れ入ります。私も九年余り千里団地に住まわせていただきました。その入ったときには生活設計を立てて入りました。こんなに安い、その当時ですよ、昭和四十年代ですか、こんなに安い家賃に人さんより、これも七回応募して八回目に入らせてもらった。ああ、ありがたいという気持ちで入らせていただいて、女房と一生懸命頑張ろう、安い家賃の間に蓄積をしよう、そして自分の生活設計、いわゆる人生設計をつくろうという形で着々とやってきました。だから、昭和四十三年参議院に立候補したのは、団地から選挙事務所を持って全国区に立候補した。これはもう自治省調べてわかるとおり私一人でございます。だから、その団地を基盤として立候補して、そしてその時点からまた時間がたってますから、次は土地を購入する、その千里の土地を購入する。生活設計を立てながらやってきました。しかし、その自分の生活とこの土地を持って住居を構えるのは非常に不合理だ、合理性がないという形で、その土地を売ってまた普通の民間のマンションへかわったという、私はそれなりの時代時代に 即応した自分の生活設計を立てて歩んできました。  だから皆さんと一緒なんです、きょう傍聴にお見えの皆さんと。タレントといえど、私が公団へ入ったときは、私は吉本興業からもらうのはわずか十日間で六千円なんです。それをコンビと割りますと三千円しかないんです。その中で六千円ぐらいの家賃を払ったんですが、苦しいんです。苦しいけれども生活設計を立ててきた。  これは公団に対する要望、後で建設委員会でまた総裁等の御出席をいただきまして質問しますが、とりあえず、公団サイドもややルーズな点があるんではないか。不正入居者とかいうこともありましょう。しかし、そういう世帯を持って、現に私が知っている人は、もう大きく金をもうけてもまだ団地に住んで自分はよそに家を持っているというような、これはもう完全な不正入居者ですが、そういう方もおられるので、所得一つ基準として入居したこの所得水準は、今いわゆるルールの中で、三年だったら三年の間で一遍チェックをする必要があるんではないか。あなたはこれだけの高所得ですから出ていってもらえないでしょうか、それで困窮者がおるんでこの方を入れるという形、まあところてん方式といいましょうか、そういう方式をきちっと、居住者に対するルールづくりというのを今真剣に考えていかなければならない時代ではないかなと思います。  これは佐長参考人の、国民共有の財源である、財産であるという点から見て、ひとつそういうのが部会で審議をなされたかどうかをお聞きします。
  57. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 今のお話の中で、永住されることに対してどうかということが主要な質問事項だと思うんですが、公団の場合には入居の所得制限というものがございませんで、入居時に大体一応の基準を達成しておればそれで入居できまして、その後所得が上がろうが下がろうが、そういうことによって入居をお断りするということは、公営住宅のものとは違いまして、公団の場合にはそういうことで入居を拒否するということはございません。ですから、今回一緒に審議に参加していただきました加藤さんという、これは自治協の代表じゃなくて一般居住者代表の方ですが、この方はもう非常に喜んで、私はここへ永住したい、だからこういうふうなことを要望するんだということでいろいろ要望事項がございました。  これは、公団としては永住していただくということは非常にありがたいことなのでございまして、そういうところで長く住んで一つの地域社会をつくっていただくということが望ましいんじゃないかというふうなことを考えております。そういうことから、できるだけ自分たちの住んでいる環境をよくしていく、あるいは建物をよくしていくというふうなことで、修繕その他をできるだけ負担しながらやっていこうということで、大変修繕に対しましては積極的に、非常にそういうものの負担ならば喜んでと、先ほど佐長さんもそうおっしゃいましたけれども、これは居住者一般全部がそういうふうにお考えになっていて、そして国家の財産というふうな形でこれを健全な姿で維持していくようなことに対しては非常に協力的で、それに反対することはないんだということはるる言われております。  そういうこともあわせまして、永住ということは、こういうのが三〇%あるということは、ちょっと数として私は逆に少ないんじゃないかと思うぐらい実は永住は結構なことだというふうに思っておりまして、ぜひそういうような形で皆さんが喜んで住んでいただけるような形にしたい。しかし、やはりそれ相応の負担はしていただかなきゃいけないということは、これはまた別問題でございます。
  58. 山田勇

    山田勇君 時間が来ましたので質問を終わります。佐長参考人にも聞きたいことがたくさんあったんですが、済みません、時間がございませんので。
  59. 青木茂

    ○青木茂君 十分間でございますから、とても一問一答をやっている時間ございません。私の方で四つほど質問を羅列いたしますから、お答えをいただければ大変ありがたいと思うわけでございます。  まず第一点は、本吉参考人にお伺いを申し上げたいんですけれども、御承知のとおり、本年度と六十六年は固定資産税の評価がえの年に当たります。民間の貸し家オーナーというんですか、そういう人たち固定資産税の評価がえを口実にいたしまして虎視たんたんと家賃値上げをねらっておるわけです。そういう時期に公団が率先をして改定ですか値上げですか、やりますと、民間のオーナーは非常に喜びまして、国家機関でさえやっているんだから、民間の家賃値上げも当たり前じゃないかというようなことで、家賃一斉値上げの火が広がる危険性可能性がありはしないか。この点につきまして、本吉先生には、居住者というよりマスコミ人としてお答えをいただければありがたいと思うわけでございます。これが第一点。  それから第二点は佐長参考人にお願いを申し上げたいんですけれども、公団住宅における敷金というものはどういう性格のものであるとお思いなのか、そして今度の家賃改定敷金まで、言葉は下品になりますけれども、敷金まで連れしょん的に上げてしまうということの持つ一体意味と影響はどうなんであろうかということをお伺い申し上げたいと思うわけでございます。  それから石原先生は、もう学者でございますから、この問題を離れましてもう少しこの問題の背景にある大きな問題についてお伺い申し上げたいんですけれども、石原先生に対しては二つ。  一つは、私建設委員会にお世話をいただいたときに、一番初めの質問で、建設省というのは道路重点官庁なのか住宅重点官庁なのかと言って迫ったことがございます。まあ五分五分だという当然役人らしい答えにすぎなかったわけですけれども、見ていまして、年度末になると穴を掘ったり埋めたり、どうも不必要な金があそこに投入をされている。あれが公団住宅の方へ回ったらこんなことをやらぬでも済むんじゃないかというような気がしないでもない。こういう問題に対するお考えはいかがでございましょうか。これが第一点でございます。  それから石原先生の第二点は、これはまたもっと大きな問題でございますけれども、ちょうど戦争に負けましたときに、西ドイツの方では、あれはエアハルトさんですか、あのときは、国民に住宅を与えられないぐらいならばGNPを犠牲にした方がまだましだ、こういうようなことを言って本当に住宅建設に突っ走ったという歴史の教訓があるわけです。ところが日本はそうじゃなしにGNPGNPで突っ走った。それが四十年たった今、両国の住宅政策の哲学の差みたいなものが依然として影を落としているんじゃないかというような気がして仕方がないんですけれども、これは非常に気楽に御感想をいただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
  60. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) お答えします。  私もそういう可能性はなきにしもあらずだと思うんです。ただ、一つ誤解があるのは、今度の六十三年の固定資産税の評価がえは、最近の地価高騰をもろに受けるはずじゃなくて、たしか評価基準が六十一年七月ですか、地価高騰の寸前の評価なんで、それがわっと間違って伝わって今度の評価がえに——先生の御指摘のは、六十六年にもろに反映してくるんじゃないかというのが第一点。ですから、確かにこれは便乗値上げというのはいつも起きることでございまして、この間も、変な話ですけれども、練馬区の農住マンションを見に行きましたら、あそこをお建てになっている方が、土地をただで提供しても、大体坪八千円ぐらいが家賃なんですけれども、土地をただでやって農協から借金してやると全然利益がないと言うんですね。だけど上げられないのは、家賃が十万超しちゃうとそう入居者がないということで余り家賃を高い水準に設定できない点が現実にあるんじゃないか。  ただ、便乗値上げというのはいつでもそういう形で起きてくる可能性というのはある。それと公 団の問題というのは若干別に考えるのが筋じゃないかという気がいたします。
  61. 佐長勉

    参考人佐長勉君) 青木先生がおっしゃった敷金の性格はどう考えているのかというのは、公団でありませんので理屈はわかりませんが、一応担保性を持ったものだ、こういうふうに思っております。  今回、先生おっしゃるように、敷金を出せ、先生うまいこと、連れしょん的にということをおっしゃったわけで、まさにそのとおりだと思いますが、今回は、一回目、二回目の値上げ、それから今回のと、過去さかのぼって全部敷金出しなさい、こういう公団要望ですけれども、合わせますと最高額は何と八万二千五百円払わなきゃならない。高ければ分割でもいいよ、こういうようにおっしゃるわけですが、これは過去二回の衆議院、参議院の建設委員会で集中審議していただきまして、そのときに敷金は取りやめ、こういう御意見最後まとまっておりまして、過去二回の分については敷金を取らなかったということですので、ぜひ先生おっしゃるような形で敷金などは取るべきでないというふうに委員会でまとめていただきたいと思います。
  62. 石原舜介

    参考人石原舜介君) 建設省住宅あるいは道路、どちらに重点を置いてやるのかというふうなお話でございますが、これは役人の回答が両方等しくというふうなことでございますが、予算の配分的なことから考えますと、住宅というのはやはり道路に比較しまして少ないということはこれは御承知のとおりでございます。これはなぜそうなるかといいますと、これは我が国の住宅政策そのものにも還元してくる問題でございまして、やはり住宅というのはある程度社会的な面での保障的な側面がございます。道路というのは基盤的ものでございますので、これはどうしても公共がやらなきゃいけない。そういう差がそういうふうなことを生んで、ウエートの置き方が若干道路に傾斜しているというのは、これはやむを得ないことではないかというふうに思っております。  そういう点で実は戦後の住宅政策を考えてみますと、我が国では確かに初めのころはなかなか資金が足りないものですから、傾斜生産方式というふうなことで、いわば生産基盤的な、エネルギーの面の開発だとかというふうなことで炭鉱あるいは電源開発、こういうふうなところに重点的に投資をしていったというふうなことがございます。それがおっしゃるようなGNP中心、こういうふうな解釈だと思いますが、しかしそういう中でも、公営住宅というものを早くから手がけて整備していこうというふうなことで二十三年ごろからやっているわけでございます。  ただ、住宅をつくるという概念の中に、ヨーロッパの諸国は住宅とはこういうものだという非常なはっきりとした哲学を持っておるわけです。ですから、幾ら困窮しているときでもきちっとした規模のものを建設していった。そういうものを保障するのが国家的役割だというふうなことでエアハルトがそういう形でやっていったということはおっしゃるとおりでございます。それに対しまして日本では、緊急を要する、要するに雨露をしのげればいいというふうなことが、やはり住宅に対しまして、住む場自体がそういうような最小限住宅みたいなものを何とか確保してあげればいいんじゃないかというふうなことで、住宅そのものに対してのいろんな機能、これだけ備えなければいけないんだ、住宅はかくあるべしだというふうな点の問題よりは急場しのぎのものということで考えますと、よく我々例え話で言うんですけれども、日本はおにぎりをたくさんつくってそれをできるだけたくさんの人に配ろうというふうな住宅政策をとった。それに対しましてヨーロッパの諸国は、住宅とはこういうものだという定食でいっているわけでございますから、今日ではそういうものを建てかえる要はないんですけれども、日本は余りおにぎりばかりだったものですから、三十年代につくった公団住宅などは五十平米以下の非常に零細な今日で考えると住宅になってしまった。それで建てかえが必要になってきたということで二重投資になった。  そういう面から、住宅政策のあり方自体のその国々の考え方というか、国民がそういう要請をしたんじゃないかというふうに思います。ですから、その当時にたとえ定食を提供したら恐らく国民から非難ごうごうで、特定の人だけにあんな立派な家を与えて我々はあばら家にいつまでも置いておくのか、こういうふうな非難があったと思います。全部が住めるようになって初めてもう少しいいものをという要求が出てくる。これはやはり日本の国民性だと思うんですね。ですから、決して住宅政策が間違ったわけではございませんけれども、やはりそこら辺の違いが今日のいろんな住宅の差を生んできているんじゃないか、こういうふうに考えております。
  63. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。委員会代表いたしまして謹んで御礼申し上げます。  本件に関する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  64. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査のうち、住宅都市整備公団家賃値上げに関する件を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  65. 小川仁一

    ○小川仁一君 午前中三人の参考人の方からいろいろお聞きをいたしましたが、結局は日本の国の住宅政策の貧困さというところからいろんな問題が派生をしているのだなという感じを強く持ちました。この問題はまた改めて建設委員会等で建設省のお考えを聞きながらお話し合いをすることにして、きょうは公団家賃値上げ問題に絞って御質問をいたします。  この問題は、五十三年の際も五十八年の際も、衆参ともに各会派協議の上委員長要望が出されています。公団総裁も大臣ももう十分おわかりになっておると思いますから中身は申し上げませんが、この二回の要望事項をごらんになってどのような問題意識を持っておられるか、総裁に伺いたいと思います。
  66. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 両院の委員長の御要望につきましては、我々としても十分に意識してそれに対処しなければならないと考えて実施に移しているところでございまして、事公団に関する限りにおきましては、委員長要望項目のうちほとんど全部のものについて、完全とは申しませんが、ある程度の御要望にはおこたえできた、このように考えておるわけでございます。
  67. 小川仁一

    ○小川仁一君 ある程度要望、ある程度の期待にこたえる施策、こうおっしゃっています。それで、要望事項というのは衆参ともほとんど同じような問題、文面にあらわれている文章と、その文章、文脈の中にある具体的問題とあると思います。私なりに吟味をしながら、まず重点的に、この要望事項の三項にあります家賃改定ルールづくりについて御質問申し上げたいと思います。  このルールは、基本問題懇談会家賃部会家賃専門部会等で検討されたようでございますが、ルールと値上げについて討議した基本問題懇談会はことしの三月十五日一回だけのようでございますが、そうですか。
  68. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 基本問題懇談会検討いたしましたのは、最終案について一回だけでございます。ただし、家賃部会におきまして、家賃問題は基本問題懇談会でなくて家賃部会において行うということを基本問題懇談会の了承を得た上でやったことでございます。
  69. 小川仁一

    ○小川仁一君 いずれにしても一回ですね。今おっしゃった家賃部会の懇談、それは実質的討議を 専門部会にさらにお任せになった。この家賃部会というのは、これも御報告によるというと昨年の十二月から三月までの四回だけ、こんなふうに聞いておりますが、間違いございませんか。
  70. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 確かに四回だけでございまして、先ほどから七時間というお話が出ておりますが、私もこの家賃部会には全部出席さしていただきましたのですが、少なくも十時間はやっております。時間の問題ではございませんが、そういうことでございます。  ところで、家賃部会が四回でございますけれども、この問題は、午前中にも御議論のございましたように、技術的、専門的な問題が多いわけでございますから、直ちに家賃部会というところで専門でない方に大勢お入りいただきましてもなかなか議論が進まない。やはりある程度たたき台をつくっていただいて、それを材料にして御検討をいただくのが効率的でもあり、またやり方としても適切である、こういう家賃部会の御判断に基づきましてやられたわけでございまして、その結果が四回、こういうことになっているわけでございます。その四回のほかに、午前中にもお話が出ましたように、例えば自治協の委員の方から出されました御意見等につきましては五十数項目の御意見が出たわけでございますが、それについてはそれぞれ個別にもお話もいたしましたし、また家賃部会にも御報告して御議論を賜った、こういう段階でございます。
  71. 小川仁一

    ○小川仁一君 非常に御苦労しておられるようですが、専門部会というのは四人の構成で、資料によりますと、下総薫さん、玉田弘毅さん、梶谷玄さん、林道三郎さん、お名前にもし間違って読んだところがあったらお許しを願うことにして、この四人のようですが、ここには居住者代表の方が入っていないんですね。なぜでございましょう
  72. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど総裁も申し上げたわけでございますが、六十年の四月だと思いましたが、家賃部会におきまして、家賃部会の各委員先生方の了承を得て、詳細にかつ問題点を整理する、そういうことで専門部会というものをつくって、それぞれの専門家でそれをやってもらおうということについて各委員の了承を得た上で専門部会を設置したということでございます。
  73. 小川仁一

    ○小川仁一君 そうすると、家賃部会にお入りになっていた居住者代表の方もそのことを了解したわけですね。
  74. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 私当時おりませんので、直接ではございませんけれども、記録等によりまして、そのときの家賃部会委員の了承を得て専門部会を設置したというふうになっております。
  75. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 私は当時おりましたが、そのとおりでございます。
  76. 小川仁一

    ○小川仁一君 そうですか。そうすると、居住者代表の方も了解をして専門委員会がつくられたと、こう了解をいたしてまいります。  そうしますと、専門委員会というのがいろいろお仕事をやったでしょうが、その結果、家賃部会に入っておられる居住者代表の方が意見をお出しになった。先ほども聞いておりますと、この四回の中で何回にもわたって、項目によると、あの計算だと六十項目、約七十項目近い御意見をお出しになったようでございますが、その意見が今度のルールづくりの中にどのように反映したかという点、これがわかったらお知らせ願いたいと思います。
  77. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 居住者代表の方お二人入っておるわけでございますが、家賃部会専門部会等につきましては自由な御意見を伺うということで、どの先生がどういうことを言ったということについては公開を差し控えさしていただきたいと思いますが、居住者代表方々の主な御意見ということで申し上げますと、例えば修繕費等の必要な経費の確保を家賃改定の第一理由にすべきであるというようなことがございました。これにつきましては、結局、報告いたしました中身にありますように、大方の意見で、朝方も出ておりましたが、不均衡是正、それから維持修繕等のいわゆる管理経費の確保、それから国民的視点、三つの観点から整理すべきであるということになったわけでございます。  それから、二番目に、家賃改定を三年周期に短縮することには問題が多いという御意見がございました。これにつきましては、もう既に朝方いろいろ御意見がございましたので省略したいと思います。  それから、引き上げ限度を見直すべきだ、それから特別措置についての拡充を図るべきだという御意見がございました。引き上げ限度額につきましては、私どもといいますか、専門部会でたたき台として、六十三年度改定の部分でございますけれども、出てまいりましたのは、これは五十八年のときに使いました方法、すなわち五十三年から五十八年までの消費者物価指数によって額を改定するという方式で計算したものを出しておったわけです。これは一万九百円、九千八百円、八千七百円ということでございますが、そういう御意見もありまして最終的には五百円という形でそれぞれ端数は切られたということがございます。  それから特別措置についての拡充でございますが、これは大方の御意見で、今公団一定のことを家賃改定に関連してやろうとしているわけでございますが、そういうものを超えた特別措置というものは、現在の全体の仕組みの中では公団のみで解決できるものでないという御議論が大方の御意見であったわけでございます。  それから居住者の御意見の四番目でございますが、敷金については今までの経緯もあるので改正すべきではない、つまり取りやめるべきだという御意見がございましたが、これも大方の委員先生方の御意見で、やはり担保性とかあるいは公平性というようなことで申請内容のようなものになったわけでございます。  それから五番目でございますが、居住者へのわかりやすい周知方法を工夫すべきだという御意見がございました。これについては、朝方石原先生からもありましたが、我々は説明資料をつくったわけでございます。ただ、説明資料というのはかなり分厚いものですから、実際に居住者に、六十七万戸に既に二回配っておるわけでございますが、その場合にはその説明資料を活用させていただいて適宜必要なところを配布するという形で使わせせていただいております。  それから居住者の御意見の六番目として、主なものでございますけれども、所得実態を配慮したものにすべきであるというような御意見がございましたが、主として公団の役割といいますか、そういうものに関するものが多かったというふうに認識しております。  いずれにしましても、各先生方の御意見を伺いながら全体として先ほどのような結果になったということでございます。
  78. 小川仁一

    ○小川仁一君 私が聞いているのは、いろんな問題の結果を聞いているのではなくて、居住者方々が出された問題で何と何がどうこの改定案に反映したかというその点だけをもう一遍改めて言ってください。
  79. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 大変失礼しました。簡潔に申し上げます。  主な点でございますけれども、まず傾斜終了後二年以上という原案になっておりました、対象外にするものですね。それに対して、周期三年ということであるならば三年ということではないかということで、傾斜終了後三年以上というふうに修正がなされております。  それから見直し周期関係で経過措置、つまり五十九年度及び六十年度見直し住宅についてこれの実施を一年間繰り延べるというのもその結果だというふうに理解しております。  それから先ほど申しましたように引き上げ限度額一つございます、引き上げ限度額の切り捨てといいますか。  それから、全体の先生方の御意見ですから必ずしも居住者の御意見とストレートにつながっているかどうかは明確ではございませんけれども、生活保護世帯等に対する特別措置の適用期間、これ は三年の原案だったわけですが、これを五年というふうに直しております。  それから増収額の使途と修繕関係でございますが、居住性向上という観点にも意を用いることにする、そういうことで明記をしたというような点でございます。
  80. 小川仁一

    ○小川仁一君 いろいろお話を聞いていますと、意見が入った分もあり意見が入らない分もある。まあそれは抜きにして、最後の第十一回の家賃部会ですか、居住者代表の方が審議打ち切りに強く反対している、こういうふうにお話がありましたが、委員長要望の「公正かつ円滑に行われるよう配慮する」という趣旨がございます。打ち切りに強く反対したということの流れと、打ち切らなければならなかった流れ、こういったようなものと委員長要望とのかかわりでいけば、ややこの要望趣旨に反するような感じもするんですが、その辺はどういうふうに認識しておられますか。
  81. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 強く反対されたかどうかという問題でございますが、確かに自治協代表委員の方からは、基本問題懇談会に報告する場合に自治協からは反対があったということは明確にしてもらいたい、こういう御発言はございました。ただ大方の御意見は、既に議論は出尽くしたからこれでよろしいんではないかという方があったわけでございます。もちろん採決をしたわけではございませんから、全員の御意思がはっきりしたとは申しかねますし、また一人の御反対があったにもかかわらず強行採決をしたという事実もございません。  そういうことで、我々の判断といたしましては、大方の御了解は得られたからそれほど問題はない、むしろ民主的に行われた、このように考えているわけでございます。
  82. 小川仁一

    ○小川仁一君 今までの経過をお聞きになりながら、居住者意見の反映のぐあいあるいは審議打ち切りのぐあいなどをお聞きしながら、大臣どうお考えになりますか。この審議の進め方、そしてここまでに至った経緯についてひとつお考えがあったらお聞かせ願いたいと思います。
  83. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど来の問答を聞いておりまして、当委員会のいろいろ御審議をいただいてルールづくりということが出ております。衆議院においてもそのとおりでありますし、大体趣旨は参議院も衆議院もほぼ同じだ、こういうふうに判断をいたしております。そういうことによって懇談会なりあるいは家賃部会なりで論議をいたしまして、その結果三月三十一日に建設大臣の方に申請が来ておる。  聞いておるといいますことは、先ほど来総裁初め御答弁のとおりである、こう受けとめておる次第であります。今から十分御論議のことを配慮に入れて審査をしていきたいということであります。  それが十分であったかないかの問題でございますけれども、そこに私が立ち会っておりませんので、一応ルールとしてはルールづくりをするし、また審査をして申請が出てきた、こういうふうに受けとめておる次第であります。
  84. 小川仁一

    ○小川仁一君 私も実際討論、審議の様子を見ていませんが、いろいろ経過的なものをお聞きしますと、やっぱり幕切れは委員長要望に沿ったものではなかったのでないかという感じがいたしますので、つけ加えておきたいと思います。  次に、ルール基本とされているいわゆる公営限度額方式、これは公営住宅家賃算定方式でありますが、公団の場合は五十三年のときも五十八年のときもこの方式に基づいておられるようであります。ところがこの第三項は、その五十三、五十八年の申請に対してやっぱりこれを不十分として必要なルールづくりを要請しているわけでございます。したがって、今回も公営限度額をお使いになったということは、要望とのかかわりで言えばちょっと理解に苦しむ感じがいたしますが、いかがでございましょうか。
  85. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 公営限度額方式に準じた方式ということで従来使わしていただいてきたわけでございますが、この方式は、もうくどくど御説明いたしませんが、先ほど石原先生がおっしゃったようないろんな面で公団家賃改定に適している面がある。しかして、立地条件の反映という点については、これは地代相当額が固定資産税評価額を使っておりますから、その限度においては、立地条件の評価というのも入っておるわけですが、十分でないということで地域補正というのをやらさせていただく。ただ、これは全体のレベルを押し上げるものではなくて、これも先ほど御説明ありましたので簡単にいたしますが、均衡させるという意味での補正であるということで、決して委員長要望に沿わないものではないというふうに考えているところでございます。
  86. 小川仁一

    ○小川仁一君 今度ちょっと建設省の方にお伺いしますけれども、各地方自治体が公営住宅を持っておりますが、形式的には公営限度額方式、あれをやっておりますが、実際は地代相当額を据え置くとかなどの方法によって家賃負担軽減を行っている地方自治体がかなりあるように聞いておりますが、これはおわかりになっておりましたらお答え願いたいと思います。
  87. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公営住宅家賃変更につきましては、公営住宅法令の規定によりまして、公営限度額方式によりました額を限度としまして変更する、その場合につきましては建設大臣の承認を要しない、こういうことになっておるわけでございまして、各地方公共団体は、その限度額以内におきまして、公営住宅が低額所得者用の住宅であることを考えまして、それぞれ地域の実情に応じましてそれぞれの方式でもって減額をして実行しているところでございます。  具体的にいろいろの方法があると思いますけれども、例えば地代につきましては据え置いて取らないというところも一部にございますし、また三分の一を取るというところもございますし、また二分の一を取るというふうに規定をしているところもございますし、また特段の規定を設けていないところもありまして、これは地域の実情によりましてさまざまでございますけれども、一つ公営限度額方式によりまして算定された限度額以内でもっていろいろのことが行われている、こういうことでございます。
  88. 小川仁一

    ○小川仁一君 それは各地方自治体がその地域の勤労者の皆さんの家賃負担というものを軽減してやろう、こういう配慮でいろいろと御苦労しておられると思います。これはどう評価なさいますか。よくやっているな、こんなふうに評価なさいますか。どうでしょうか。
  89. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公営住宅家賃につきましては、国の補助金、これは建設時における補助金、その後において補給されます家賃収入補助金、もう一つ家賃対策補助金、これらの補助金を除きましてその余の金額をベースに算定いたすのがルールでございまして、その場合につきましては地方公共団体の負担一つもない、こういう状況でございます。そういう制度でございますけれども、公営住宅の性格からして低家賃ということが一つの大きな課題でございますので、そういう面から地方公共団体がそれぞれ地域の実情に応じまして家賃を減額する措置を講じているところでございまして、家賃改定に際しまして限度額いっぱいに取らずに何らかの減額措置をするということは、そういう全体の流れの中での一つの行為であると考えております。
  90. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、住民のことを考えている地方自治体のこのやり方は評価したいと思っているんです。よくやってくれていると思う。各地方自治体が公営限度額方式にさまざまこういったバリエーションをつけている。結局この方式は適正な家賃、適正というのは、入っている人たちの支払い能力に応じた負担も含めた適切な家賃を出そうとするわけで、公営限度額方式だけで今言ったようないろいろな措置をとらないと不適切だ、こういうことを逆に証明しているような感じもするんです。  五十八年の値上げのときにも指摘されましたけれども、例えば東京都住宅対策審議会、これは専門部会長をお務めになっている下総先生が会長を していますね。ここでは、公営限度額方式は大都市の実態にふさわしくないと、こういう御答申をしておられます。これらを考え合わせてみますと、公営限度額方式というのは完全な方式とは言いがたい、不十分な点があるんじゃないかと思いますが、公団どうでございましょうか。
  91. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 東京都の答申の中で、「大都市の実態にそぐわない。」という部分が確かにございます。ただ、これは、変更法定限度額方式の額の範囲内でいわゆる応能家賃方式への将来の移行を考慮して、現行の政策家賃の問題点を是正し、住宅水準に見合った新しい政策家賃により行うという、そういう一連の過程の中で議論されたもので、結局はあくまでも公営限度額方式の枠の中で都営住宅の個別的な事情に応じて実態との関連において指摘されたというふうに理解をしておるわけであります。  それで、繰り返して申しませんが、公団住宅が大量にあるとか、それからある程度一律に処理しなきゃいかぬ、そういうようなこと等々から、あるいは当初の家賃との関係、古さを考慮する、規模とか、そういったものに応じた、そういうようなことで考えますといろいろほかにも方法はある。これは検討いたしました。しかし、公営限度額に準じた方式基本とするというのがやはり現在においては最もふさわしい。ただ、先ほど申しましたような補正というのが必要だという結論に達したところでございます。
  92. 小川仁一

    ○小川仁一君 この公営限度額方式の一番の問題点は、地代相当額や公租公課部分が地価上昇によって引き上げられるとそれがストレートに家賃にはね返ってくるというところだと思うんです。例えば家賃に占める地代相当額の割合を、第一次、第二次の値上げそして今回ということで、昭和三十一年の供給の二DK、家賃五千円としたもので試算した表が私の手元に今ございますが、これによりますと、地代相当額は当初計算が七・九%、今回の引き上げによってそれが四三・二%にはね上がっている。こういう傾向は間違いないでしょうか。おたくで試算したものがあればまたお示し願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  93. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 公営限度額方式に準じた方式基本とするわけでございますが、家賃の要素であります地代相当額の算定に当たって固定資産税の評価額をどう使っているというその割合は、平均的に見ますと三割程度でありますけれども、引き上げ額は、全体に出てきた算定額と現行家賃の差の半分を加算するというようなこともあります。それからさらに激変緩和の措置をするというようなことがあります。そういうこともありまして、いつが何%いつが何%だというのは、これは全体的な問題でもございますので、なかなか申し上げにくいし、困難かと思います。ただ、先ほど申しましたようなことから、いわゆる地価の変動が家賃に直接大幅な影響を与えるということにはならないというふうに考えております。
  94. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 渡辺理事、私から申し上げる。的確に答えてください、質問に。質問に答えてないよ、あんた。
  95. 小川仁一

    ○小川仁一君 手元に資料がなければあなたの方にお願いしておきますが、公団家賃の構成比、いわゆる構成要素としては償却費、地代相当額、修繕費、管理事務費、損害保険料、公租公課、引当金、こういった七つの項目で当初計算をなさったようであります。それで平均家賃の構成比、五十三年度値上げ、五十八年度値上げ、六十三年度値上げといったようなものを今ここで出してくれとは言いません。いずれ委員会で私たち要望事項を決定する際の非常に大きな参考資料になると思いますから、後で結構ですからお出し願いたいと思います。これがお願い。  そして、さっきは実は地代相当額が計画初年度は七・九%の構成比だったが、今度の改正では四三・二%ぐらいになっているんじゃないか。地代構成比というのが非常に高いウエートを家賃値上げの中で占めているのではないかというのがさっきの私の質問でございます。
  96. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 年代が経るに従ってそういう傾向が強まるということはあるかと思いますが、先ほどの年度ごとの資料につきましては、これなかなか難しいのでちょっと工夫してみたいというふうに思っております。
  97. 村沢牧

    委員長村沢牧君) まだ質問に答えてないよ、あんた。
  98. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 失礼しました。先ほど申し上げましたように、地代相当額の占める割合は平均で大体三割程度ということでございます。
  99. 小川仁一

    ○小川仁一君 私の手元にある計算とは一〇%以上違うんです。ここでおたくが計算してきていないと思いますから、これは要求していなかったから討論してもいたし方ありませんから、先ほどのような形で資料をお出し願いたい。それは同時に、同じように三十一年供給の二DK家賃のいわゆるパーセントだけではなくて、値上げ分の金額でもやれるなら出していただきたいと思います。お願いしておきます。
  100. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 大変申しわけありませんけれども、先ほど工夫したいというふうに申し上げましたが、これなかなか難しい問題がたくさんございます。したがって、ストレートに御要望のような資料ができるかどうか直ちにはお答えできない。大変申しわけありませんが率直に申し上げたいと思います。
  101. 小川仁一

    ○小川仁一君 要素は、他の要素がこうなってくれば減っているという説明があっても構いません、そのことは。だけど基本的な流れというものはある程度あるはずでございますから、そういう条件は幾つか控除するなら控除して構いませんから、お願いしておきます。  次に移りますが、結局こういうふうに家賃の構成比の中に地代相当額が非常に大きなウエートを占めてくるというのは、これは東京を含む三大都市圏の地価暴騰が原因だと思います。これは住んでいる国民の責任じゃないんですよね。ちょっと極端かもしれませんが、中曽根さんの遺産責任みたいな、やはり政治の責任面がかなりあると思うんです。したがってこれは当然政治として配慮しなければならない部分があるわけです。そのあらわれ方が、地方自治体では地代相当額を据え置くとか、何かの形で国民に転嫁しないような形をとっているわけです。  大臣、ひとつ政治責任というふうな立場から、今後公団家賃も含め、今言ったような国民の負担を配慮するような方式についてのお考えがございませんでしょうか。
  102. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど来の御論議の中で、公営住宅に対して各地方自治体が配慮をしておる、そのことは事実でありますし、また公営住宅は御承知のように目的が低所得者向け、こういうことになっております。でございますから、公団住宅でそれをそのまま適用するかといいますと、これは少し考え方が、これは御承知のように中堅勤労者ということになっておりますので少し目的が違う、かように思います。  地価の値上がりにつきましてはいろいろ御論議があります。これは何としてでも地価を引き下げる、これは政府としても極力早く引き下げていく、高値安定にならないように、こういうことで努めておるような次第であります。
  103. 小川仁一

    ○小川仁一君 公営限度額方式に引き続いて、補正というお言葉がありましたから、その問題についてお伺いいたします。  今回補正という方式をおやりになろうとしているわけですが、公団の今後の家賃改定についてというのが今まで出ているわけでございますね。これは五十八年と六十三年ではちょっと食い違いがあるような感じがするんです。今回の場合は、公営限度額方式は四ページに書いておりまして、「それぞれ住宅の」云々「個々の立地条件、環境条件等の変化に必ずしも的確に対応していない」、こういうことをおっしゃっている。ところが五十八年のときは、五十八年の今後の家賃改定の六ページで、公営限度額方式は、建設時以降の立地便益の変化等も考えられる方式、こういうふうに言っておられて、前の公団の考え方と今回の公 団の考え方が明らかに私は食い違っていると認識をしたわけでございますが、一体どっちが本音ですか。
  104. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 食い違いということではございませんで、公営限度額に準じた方式、これは五十八年のときにも使った方式ですが、その中には当然そういう形での立地条件の加味もされていることは事実です。それは先ほど申しましたように、固定資産税評価額というものが要素の中に入っておりますから、その限りでは入っているということでありますが、その結果を見てみるとどうしてもまだばらつきがある。  これは具体的に申しますと、例えば同じような公団住宅が二つある。それが一つは世田谷にあり一つが松戸にある。ほとんど年代も同じであり家賃も同じである、それから大きさも同じであるという状況がある場合があります。その場合に、空き家募集をいたしますと、これは決して倍率で云々ということではありませんけれども、百倍も違うということでありまして、片方は非常に入りたい人が多いわけでございます。百人に一人しか入れない。片方はその百分の一の応募者しかいないということでございます。そうしますと、立地条件という広い言葉で申し上げて恐縮ですが、そこにはやはり何らかの差があってしかるべきである。非常に人気のあるところではそれ相応の多少なりの加算をお願いできないだろうかということが今回の考え方でございまして、補正ということはそこにあらわれているわけでございます。
  105. 小川仁一

    ○小川仁一君 違っているから補正が出てきたんでしょう。違わなきゃ補正というのは出てこないわけだ。簡単な理屈ですがね。やはり食い違っているんじゃないですか。
  106. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほどお示しになりました四ページの「必ずしも的確に対応していない」というところでその表現をしているわけです。つまり不十分だということでございます。
  107. 小川仁一

    ○小川仁一君 ということで今回補正をやられたと思いますが、この補正もとになる調査ルールに基づいて実施されたのですか。
  108. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 補正の問題でございますが、これは立地条件を指数化してそれを使うということでございますが、これは民間の、民間といいましても公益法人ということになると思いますが、全国的に立地しておりますので、そういうところに依頼して調査をするということでございます。
  109. 小川仁一

    ○小川仁一君 どこの機関にお願いをし、いつの時期に、これは同一時期だと思いますが、どのような指数に基づいておやりになったのですか。
  110. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これは、専門部会検討経過の中で検討に必要と考えられるいろんな調査を行ったわけですが、その中の一つ立地条件等の格差というものを調査しようということで、六十二年の四月に具体の調査を依頼したわけです。これは財団法人の不動産研究所でございます。それの報告を六十二年の十月に得ていたわけでございます。それは検討過程の中での一つ調査にすぎなかったわけでございますが、それがいろいろな経過がありまして今回のような方式をとることになった。その結果、その報告の結果を、一年前のものではありますけれども使うことができるようになったという経緯でございます。
  111. 小川仁一

    ○小川仁一君 どのような項目調査なさったのですか。
  112. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これはまず基本的には、各圏域間の格差でありますとか交通事情とか、そういったようないわゆるそれぞれの値といいますか、比較をしていくわけでございます。ただ、理論的にはそういうことでありますけれども、具体的には、これはそれぞれの機関がノーハウを持ってやっておるということもございます。  ただ、現実の問題として考えてみますと、理論的ないろいろな項目、これが全国的な立地ということがございますが、それが総合的に反映されるということになりますと、いわゆる比準手法といったものを用いて指数を算定するということになると思います。
  113. 小川仁一

    ○小川仁一君 ここに公団からいただいた「算定方式の概念図」というのがございまして、「立地条件等調査結果による公団住宅相互間の指数」なんて書いてあります。さらに、「立地条件等調査による格差の指数について」というのがございます。それによると、次のような項目調査するとして八項目ございますね。  各圏域間の格差(各圏域の社会、経済活動の状況、住宅事情の動向を反映した評価の格差)。交通事情(駅への接近性等)。道路事情。生活関連施設(店舗、小中学校、銀行、郵便局等)。周辺の土地の利用状況。公法上の規制の状況(用途地域等の規制の状況)。供給処理施設の状況(上下水道、都市ガス等の完備状況)。居住性を阻害する要因(嫌悪施設)の有無。  こういうふうな格好でやっていますが、これについては全部その不動産研究所なるものが御調査になって一定の指数をお出しになった、こう理解してよろしゅうございますか。
  114. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 基本的に調べるべき項目はこういう項目であるということは間違いございません。それを実際に不動産研究所がどうやるかという場合には、これは先ほど申しましたように、こういったものが一番総合的に反映されている方法として比準調査の手法を使ったというふうに考えております。
  115. 小川仁一

    ○小川仁一君 ちょっと細かくなりますが、交通事情だとか道路事情などというものを、どのような調査をして、どのような評価をされ、どのような指数を出されたのか、お伺いします。
  116. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 具体的にそれをどういう形でやったかというのは、これはトータルとして研究所で調査してございますので、ちょっと私としてはお答えしかねます。
  117. 小川仁一

    ○小川仁一君 調査結果が公団に対して報告されたんじゃないですか、この不動産研究所から。報告されたとすれば、道路事情とかその他の指標がいろいろな形で変化として出てきているような気がするんですが、どうなんですか。
  118. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 結果の報告を受けている、総合的に勘案した結果の報告を受けているということでございます。
  119. 小川仁一

    ○小川仁一君 総合的なものはわかりましたが、私は各項目を聞いているんです。みんな足してごちゃまぜにして、シチューみたいにごたっとやってしまったんじゃ何も意味がないですよ。塩味がどれくらいあった、ニンジンや芋がどれくらい入っていたと、こういうことを聞いているんです。あそこの中で何が生煮えだったとか、塩が強過ぎたとかということがやっぱり補正率なり指標をつくるときに非常に大事だと思うんですよ。ですから内容を聞いているんです、私は。内容がわかってなけりやわかってなくていいですよ。
  120. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) そういう意味では、総合的な結果のみを受け取っているということでございます。
  121. 小川仁一

    ○小川仁一君 じゃ今度は、同じことで、居住性を阻害する要因というのがあるんですが、例えばこのごろNOxが非常に発生している地帯もある、公団住宅にはないかもしれないけれども。あるいは道路が大きいのが通って騒音が非常に激しくなっているところもある。いろいろな居住上のマイナス要件というのもあり得るはずなんです。こういうものも調査をされていますね。
  122. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど先生が挙げられました八項目目の居住性を阻害する要因(嫌悪施設)、この中に入っていると思います。
  123. 小川仁一

    ○小川仁一君 具体的に何があるか言ってみていただけませんか。
  124. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) その具体の調査でどれがどうということではありませんが、一般的な意味で嫌悪施設は、例えば焼却場でありますとかそういったものだと思います。
  125. 小川仁一

    ○小川仁一君 せっかく補正値を出すために八項目調査していながら、一つ一つに対しての調査結果がなくして総合的に出しましたと、これじゃ何のために調査をやったんですか。そしてその補正が、ルール三の場合の算定方式、今までの公営 限度額方式にかけられて存在するといったときに、これが総合的に出ました、総合的に出ましたじゃ、私はマイナス要件があったかプラス要件があったか、補正率がプラスかマイナスかということの中身がなければ、とてもじゃないけれども今度の算定方式というものについては納得しかねるような感じがするんで念を入れているんですが、個々については一切ない。個々について一切補正のこれがなければ何のための補正率だ、こういう疑問が当然わいてくると思うんですが、私の言うことが無理でしょうか。
  126. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これは全体で二千点といいますか、二千住宅ぐらいについて調査を依頼したわけでございますが、それについて、その調査の過程ではデータとしては研究所にはあると思います。しかし、我々が必要とするのはまさにその結果としてのその均衡状況、補正指数でございますのでそういうふうに申し上げたわけでございます。
  127. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は補正指数が出てくる一つ一つの要素を聞いているんです。そいつがなしで補正指数が出たというんなら、今はやりの入学試験の何とか方式というやつで、答えだけ合えばいいというこういうやつなんだ。それじゃだめですよ。あれは三問あれば三分の一の確率があるんだから、棒を倒してつばをつけてもどれかは、三分の一は当たるということになる。だから、補正率というものを堂々と書いたらその中身を明確にしてもらわないとちょっと私はこれから物を言うのにつらいんですが、どうなんですかね。
  128. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 今お話ししていますのは、不動産研究所に委託をしてその結果だけを当公団がもらっている、こういうことになっているわけです。したがいまして、不動産研究所ではそれぞれの項目ごと内容は持っているわけでございます。だから、そういうものがなくて出しているわけではございませんで、例えば入学試験でございますと、全体で五百点以上なければ合格しないという場合に、五百点という点は総合点としてあるが、算数が幾らで国語が幾らでという数字をうちがもらっていないというだけでございまして、これは不動産研究所の方に必要があれば出してもらうようにできると思います。
  129. 小川仁一

    ○小川仁一君 算数が幾らで国語が幾らだからというのがわからなきゃ、算数ゼロのやつが物理系に入ったりすると困ったことになるでしょう。国文学に、数学は満点だが国語は零点の者が入ったらやっぱり困るわね、幾ら総合点が五百点でも。だから、こいつはもう一遍総合性の中身というものを公団自身が研究所から資料を取り寄せて分析して、そして検討してみる必要ありませんか。
  130. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) それは日本で最も権威の高い不動産研究所がやっている仕事でございますから、まず間違いはないと思いますが、必要があればうちでチェックいたします。
  131. 小川仁一

    ○小川仁一君 権威が高いかもわかりませんが、世の中には権威が高くたって悪いことしてるやつもいるんだから。だから、その権威性は何によるかわかりませんが、私はその権威性よりもあなた方が出している算定方式の権威性を大事にしたいから、補正の各指標というものを明らかにして、総合点は別としても、そこの中に決定的にマイナスの指標が一つあったとすればそれは減額要素になるのか、あるいは家賃改定の場合にこの地区を考え直さなきゃならないのかというふうな状況も出てくると思うんです。平均値だけの問題ではないんです、住んでいる人というものは。  ですから、ぜひこれはおやりをいただいてから今回の家賃値上げの算定方式をおつくりになった方がいいのではないか、こう思いますが、いかがでございますか。
  132. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど申しましたように、具体の手法として比準調査手法を使うわけでございますので、我々としては、先ほど総裁が申し上げましたが、信頼できる機関であるということから、その結果の数字を使えば十分であるというふうに思っております。
  133. 小川仁一

    ○小川仁一君 今まで質問を申し上げましたが、私の言っていることがいいのか、公団が御答弁なさっているのがいいのか。権威と総合性。私は、個々の調査項目に対する一つ一つ検討と、そして総合性、そういうものの意見の食い違いでございますが、何か考えてみると、公営限度額方式といい今度の補正のやり方といい、どうしても不十分だという感じがするんですよ。特に補正の問題が不十分です。調査項目はあるが、そいつの結果はわからない。総合点だけもらった、総合点が合格だからいいんだ。しかし、さっき言ったように、決定的なマイナス点がないのかどうかということについては吟味はしてない。  こうなりますと、これはやっぱりデータを公表してもらわなきゃならない、公表しなきゃとても意見を言えないという状況なんですが、データを公表しますか。
  134. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 補正率といいますのは、あくまでも、公営限度に準ずる方式で計算したものを指数化したものと、それから先ほど申しました立地条件で計算したもの、その関係で出てくる数字でございまして、独立の意味がないわけでございます。すなわち、それが高いからいい団地であるとか、低いから悪い団地であるとかというような関係にございません。したがって、公表することは差し控えたいというふうに思います。
  135. 小川仁一

    ○小川仁一君 ますますわからなくなりましたね、あなたのお答えが。私だけわからないのかな。  とにかく私はこのことを聞いているんですよ。おたくからいただいた資料だ、これは。勝手につくったものじゃないですよ。それについて八つの項目の資料、これから指標を出して補正率が出てくるだろうということで一つはお伺いした。総合点でおやりになっていると。しかし、総合点というのは必ずしも一つ一つの決定的な条件が中に内蔵しているかどうかということまでは見れないからということを前提にしてお願いしているのであって、やっぱりこれは公表してもらわなきゃどうにもなりませんが、大臣どうですか、今の話を聞いていて。補正率の出し方と掛け方、これで算定方式は合格ですか。どうでしょう大臣、ひとつこの辺でお考えをお聞かせ願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  136. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいまの論議を聞いておりまして、別に私は隠さなければならない、こういうふうには思いません。調査してみて皆さんに見ていただく、あるいは説明する。項目が多いでしょうから大変であろうと思うのですが、主な項目だけでも資料を取り寄せて御説明したらいいと思います。  一般的に、総合値といいますか、例えば私どもがやっております土地の鑑定あるいは建物の鑑定、こういうのはやはり総合値で、その中身でなしに、鑑定士に依頼して出てくるのは総合的なものでやっておる、そういうことからきたのであろう。そしてまた、そういう権威のある研究所ということでありますから、そういうことでやっておるのであろうと私は今想像をしたわけであります。いずれにしても、全体の資料を全部というとこれは大変なことであろうから、主な項目だけでも、これ公表して新聞に発表するかどうかいうことはひとつまた委員長と、ここだけの話にしていただく。といいますのは、この団地はいいとか悪いとかいうことが出ますとこれも大変なことでありますから、主な項目だけでもひとつ公団の方——出しますか。そうしてください。そういうことで進めてまいりたい、かように思います。
  137. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 今渡辺理事から御説明申しましたように、出してみても、そこの立地がいいのか悪いのかという具体的な立地を示すものではなくて、公営限度額方式と比較してどうなっているかというものを出すのでありまして、その資料を出しても、こういう表現はどうかと思いますが、余り意味がございませんが、せっかくの要求でございますから、全部というわけにはまいりませんが、一、二の例をお出しして御検討いただいたらと思います。
  138. 小川仁一

    ○小川仁一君 何で意味のない調査やったんだ、不動産研究所に銭かけて。しかも大変な金かかっ ているでしょう。そんなこと聞いたら家賃払っている人たち怒りますよ、何だ、意味のない、価値のない調査やったのかと。私は価値があると思うから聞いているんだ。しかもちゃんと算定方式補正と入っている。今になって価値はないと言うんだったら、あの補正という文字もこれから消してくださいよ。むだな金はだれが責任を持って払う。
  139. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 意味がないと申しましたのは、その指数によってその場所が一等地であるとか二等地であるとかいうことが出るのではなくて、公営限度額方式とそこの立地との差を示すものでございますから、それでその指数が高いからといってそこがいい場所で、公営限度額方式で出るものよりはいい場所なんですが、非常にいいものだということだとか、マイナスの点が出たからといってその立地条件が非常に悪いとか、そういうことではないということを申し上げたんで、これには非常に意味はあるんです。
  140. 小川仁一

    ○小川仁一君 意味があったりなかったり、なかなか大変ですが。私は、ここが一等地とかここが悪い土地とかなんということを判定するためにお聞きしているんじゃないということだけははっきりしておきます。  時間がなくなってきましたんで、こればかりやっていられませんが、私のところへ随分多くの、住宅に住んでおられる方から陳情が来ます。今も昼休みに帰っていったら電話がかかってきている。敷金の追加徴収だけはやめてくれよ、今までやったことがないんだからと、こういうお話なんですね。これおやめになりませんか。
  141. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 確かに前二回は委員長要望ということで、こういう表現は適当かどうかわかりませんが、公団といたしましてはやむを得ずおりたわけでございます。これは建設大臣からその点で条件つきで御承認をいただいたから、当然公団としては監督官庁の命令に従うべきものでございますから従ったわけでございますが、実際問題といたしましては、敷金と申しますのは申し上げるまでもなく、家賃等の担保に使うものでございます。あるいは退去のときに修繕費その他をいただきますが、それの担保に使うものでございます。  したがいまして、例えば昭和三十一年の敷金の状況を見ますと、当時は三カ月分をいただいたんですが、今の家賃と比べますと〇・七五カ月分にしかならないわけでございます。ところが、現在の新しいものはもちろん三カ月もらっております。例えば昭和三十一年の家賃が、ちょっと手元にすぐ出てまいりませんが、例えば現在が二万円だとしますと、二万円の七五%ということになります。ところが、現在の平均家賃は七万数千円でございますから、それの三倍ということは二十一万円でございます。これは何に使っているかと申しますと、その運用利益は団地施設の環境改善に使っているわけでございます。したがいまして、その二万円足らずしか出していない方も二十一万円出している方も同じような便益を受けているわけでございます。そういう点から申しますと、やはり理論的にはいただくのが筋だと考えております。
  142. 小川仁一

    ○小川仁一君 家賃の安い人、出したことがある人ない人、こういう差をつけ始めますというと、それは早く生まれた者もあれば遅く生まれた者もあるし、いろいろ個々差が出てきますから、個々差を平均化するというふうな意味のお話だろうと思いますが、いずれにしても、余り民間の方式に追随して、今民賃を借りますとお礼金なんというのまで入ります。まさかお礼金までは取らないと思いますけれども、公団は。だんだんこう拡大していくんですよ。だから、どこかで公団というものが持つ良識の中でとめ得るもの、こういうものが私はあってもいいと思うんですよ。  そういう意味でまずこの敷金を問題にいたしましたし、それから改定期間、これもいろいろ考えてみました。前二十年間もやらないでおいて一遍に五十三年にやったんでえらい騒ぎになった。だからといって、小刻みに上げるかといっても、これまた三年というのを固定資産税の上がったときを利用するだけみたいな格好で、固定資産の値上がりを待っているみたいな形になってしまう可能性もある。これもひとつ延期を今までどおりやられたらいいのではないか、こういうふうな感じ。随分多くの方からおはがきをいただきながら、私はその方々気持ちもわかるような気がします。しかしまた、公団方々も絶対反対とは言ってないんですね。理のあるところは通そうという考え方をさっき参考人の方がお話しになっている。ですから、さっきの補正問題なんかでの算定基準の問題その他、まだお話し合いの条件があるんじゃないかという感じがするんですよ、今の問題を含めて。どうなんですか、もうお話し合いの状況というのはないんですか。
  143. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、三年近くの歳月をかけ、居住者の方にもお入りいただき、あるいは労働界の代表の方にもお入りいただき、各層各界の皆様方の御意見をお聞きした上で定められたルールでございまして、現段階ではこれが一番の適切なルールだと我々は考えて建設大臣申請を申し上げたわけでございます。したがいまして、ぜひ申請内容どおり御承認をいただくようにお願いしたいと考えております。
  144. 小川仁一

    ○小川仁一君 時間がなくなりましたから、一言だけ申し上げて終わりますが、さっきの算定ルールの問題の補正問題を含めてやっぱり改定あり方については問題が残ります、私自身の感覚でも。そういうことを含みますと、せっかくのお話ですけれども、はい、さようでございますかとはそう簡単に言えないような気持ちが今しているわけでございます。  大臣どうなんですか、我々は我々で意見を出しますけれども、認可される立場にある大臣として、これからいろんな意見をお聞きになって最終的に独自の判断をなさる、こういう御決意はございましょうか。
  145. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 当委員会で御審議をいただき、いろいろの御意見を承っております。この後もいろいろ御意見が皆さんからあるであろうと思いますが、十分その御意見を踏まえて審査してまいりたい、かように思います。  今お話しのございましたまず第一番の敷金の問題でありますが、これも御意見いろいろございますので、その点もひとつ十分審査をしよう。  それから期間の問題でありますけれども、御承知のように最近経済も非常に変化が激しい時代であります。この点についても、これはなかなか期間が、入居者の方からいえば長い方がいいし、もうやらないことが一番、値上げをしないことが一番いいと思うのでありますけれども、けさ御説明申し上げましたように、やはり格差あるいは維持管理、こういうものも考えてやっていかなければならない、こういうふうに思いますが、いずれにいたしましても、皆さんの御議論を踏まえて審査をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  146. 小川仁一

    ○小川仁一君 終わります。
  147. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは引き続きまして質問さしていただきますが、今同僚委員からいろいろとございましたので、重複はなるべく避けたいと思います。  最初に、やはり午前中の参考人の方の御意見の中にもありましたとおり、家賃部会の審議の模様というのは、公団の皆さん方は十分に第三者の意見を聞いた、もう三年もかけたということでございますけれども、参考人の皆様方の御意見を聞いてみますと、いきなり六十二年十二月二十一日に家賃部会が招集をされて、わずか四回ぐらいしかなかった、これでは十分と言えないんじゃないかと。私もそういうように思うわけですね。十月一日から値上げをしなけりゃならないんだ、その日にちに合わせて今回のこの値上げの申請も出されておる。ですから、もっともっと十分な討議が行われ、あるいはもっと自治協の皆様方とも話し合いをされて出されても遅くないんじゃないか。  なぜこれ十月一日としなきゃならないのか。前 回の値上げが十月一日になっているから、それに合わせてやっていくんだというお考えかもしれませんけれども、家計を預かる皆さん方の立場に立ってみますと、ベースアップの時期というのは十月じゃないんですね、日本は。そういう時期に合わせた方がいろいろとこれは、あるいは進学の時期、いろんなときがございますね、そういうときに合わせた方がやはり家賃の問題にしましても家計をやりくりされる皆さん方にとってはその計画を立てやすいんじゃないか、こう思っておるわけですが、なぜ十月一日に固執をされるのか。  あるいは今回の場合でも、多少値上げの申請については拙速主義であり過ぎたんじゃないか。今の補正率の問題にしましても、それは確かに不動産研究所というところは権威があるところかもしれませんけれども、公団としたって優秀な技術陣を持っておるわけですから、多少の抜き取り検査的なポイント、ポイントでチェックはして、果たしてその出された数字が十分であるかどうか、やはり公団としても責任を持ってこれは調査して対応されるべきではなかったか、こう思いますが、その点どうでしょう。
  148. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) まず、最後の方に申されました評価のチェックの問題でございますが、これは当然公団がその責任を持っているわけですから必要に応じてやることは確かでございますが、それを公表する公表しないの問題とはまた別の問題だというふうに思っております。  それから十月一日になぜこだわるのかということが第二点目、順番がちょっと変わって恐縮でございますけれども、それは一つあると思います。これにつきましては、まさに五十八年の十月一日に値上げを御了解いただいたということで十月一日にやりたいということがまず第一でございますけれども、五十八年以降ずっと年央である十月一日に毎年度、これは今まではずっと毎年度やってくるシステムですから、ずっとやってきたということがあるわけです。したがいまして、それとのやはり公平性の確保ということも考えて十月一日ということが妥当であるというふうに考えているわけでございます。  それから拙速ではなかったかということでございますが、これは午前中の石原部会長のお話を聞いていただければ御納得いったんではないかと思いますが、これは確かに家賃問題ですから立場の違いから最後まで了解できないという御意見ございましたけれども、全体としては意見が出尽くしたという仕切りをされたわけでございまして、決して強行打ち切りとかそういう雰囲気ではなかったというふうに、私も出ておりましたが、理解しております。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 再度申し上げますが、今の渡辺理事の御答弁はあくまでも年央だということで、かたくなな態度を固執されておるわけですけれども、やはりその点は居住者の皆さん方のことも考えて公団としてやるべきじゃないかなと私は申し上げているんです。その点どうでしょうか。
  150. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 率直に申し上げて、確かに値上げを受ける方、住まわれている方、これはもう値上げがない方がいいに決まっています。これは私が住んでいても同じであります。したがいまして、その点はおっしゃることはよくわかるわけです。しかし、ずっと今まで毎年毎年十月一日でやって、もうお願いしてきた方もいるわけです。そういう方々との公平性というものがありますし、まさに前の十月一日からちょうど五年たっているということで十月一日をぜひお願いしたいということでございます。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は賛成できませんけれども。  それでは次に、この委員会では値上げの問題を論議するときに今までも何回となく論議されておりましたが、公団家賃改定を行う前に経営状況改善を公団として十分努力すべきじゃないかということです。公団はかねてから長期未利用地ですか、あるいは空き家、あるいは民営賃貸用の特定分譲住宅償還延滞等、そういう解消について努力するということで今までやっておりましたけれども、あるいは未納家賃などの回収についても努力するということで何回も答弁いただいていますが、そういう面での公団自身の経営改善努力はどのようになっておりますか。
  152. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 今おっしゃられましたように、公団が経営効率の改善に努めなければならないことは当然のことでございまして、鋭意努力しているところでございます。  具体的に今御質問の点についてお答え申しますと、まず昭和五十五年に会計検査院から指摘された長期未利用地の問題でございますが、当時は二十一地区、千三百二十八ヘクタールの未利用地があったわけでございます。その後鋭意その開発に努め、十六地区、七百十一ヘクタールにつきましては、あるいは一部学校等に売却したものもございますが、すべて工事にかかっておりますし、入居を開始しているものもあります。でき上がった団地もございます。  それから残りの五団地のうちの二団地につきましては、現在施行認可を得るべくいろいろと手続中でございまして、近いうちに着工の運びになる予定でございます。  それから残り三地区ございますが、この三地区につきましては今公共団体と鋭意検討中でございますが、例えば高尾山の隣にあります川口地区等につきましては、今度圏央道の計画等もございますので優良な団地になりつつあります。ただし、これを住宅団地として使うか、あるいは研究所その他の団地として使うかということになりますと、八王子当局の意向もいろいろあるわけでございますから、例えばの話でございますが、その辺を十分に調整をしなければならない問題が残っております。この地区が三地区でございますが、これにつきましても鋭意進めてまいりたいということでございまして、二十一地区中ようやく三地区になった。まだ三地区あることはまことに申しわけないとは思っておりますけれども、相当の努力をしておることはお認め願いたいと存じます。  それから未入居住宅につきましては、最盛期、未入居住宅、保守管理住宅は五十二年度四万戸を超えておりまして、大変な御批判を受けたわけでございますが、昨年度末、この三月三十一日現在で百四十八戸に減っております。これもゼロにしたいわけでございますが、この百四十八戸中、中身を申し上げますと、残っておりますのは北九州の百四十四戸と北海道の四戸でございます。これにつきましても鋭意努力をしているわけでございますが、御承知のように北九州は鉄鋼もだめ石炭もだめということで人口も減少しております。したがいましてこのような状況にあるわけでございます。北海道も同様の傾向でございます。その他につきましては御承知のようにすべてなくなりまして、新規住宅につきましては何十倍、何百倍という倍率になっているわけでございまして、むしろ需要に追いつかないで申しわけなく考えているところでございます。  次に、民賃の滞納の問題でございますが、確かに民賃の滞納につきましては、この解消に特別班をつくって努力をいたしておりますが、まだまだ思うような進捗は見ておりません。これはまことに残念に存じますけれども、それでも昭和五十八年度末におきましては、収入金に対する未収金の割合は九・二%でございましたが、六十二年度末ではこれが三・二%まで減少してまいっております。しかしながら、家賃その他は十二カ月を超えるものは六億円程度ということでございまして、これに比べるとまだまだ努力が足りないとおしかりをこうむってもやむを得ないと存じます。したがいまして、この民賃につきましては鋭意努力をいたしますが、これは率直に申しまして、地方部に建てた民賃がなかなか家賃が入らないがために滞納が生ずる、こういう事態にあるものでございますから、今後は、建設につきましても十分に審査をいたしまして、入居者が確保できる地域についてだけ民賃を建てるようにいたしてまいりたい、このように考えております。  総括的に申しますと、当公団の六十一年度の経理でございますが、この決算状況は公園部門と鉄道部門で両方合わせますと三十五億円の赤字が出 ております。しかしながら、これは新公団になりましてから工事にかかったわけでございまして、初期投資の段階でこれはいわば計画的に出る赤字でございますから、長期的に見れば解消できるものと考えております。最もの大宗をなします住宅部門につきましては、わずかではございますが四千四百万円の黒字ということになっておりますし、宅地部門では三億一千三百万円の黒字ということになっておりまして、全体といたしましては残念ながら赤字になっておりますが、経営面で影響のある部分につきましてはわずかでございますが黒字になっておる。これで赤字を出すようなことには絶対ならないように努力してまいりたい。  したがいまして、今回の家賃改定につきましてもその点でもぜひお認め願いたいと考えているわけでございます。
  153. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の家賃改定では、従来と変わりまして値上げの周期をこれまでの五年から、ずっと朝からも論議ありましたけれども、固定資産税の評価の見直しとあわせて三年ごとにするとはっきり書いてきているわけです。そこにルールづくりをしたということで地域補正の導入も書いてあるわけですけれども、これは前回委員長要望にありましたような「公団現行家賃制度を逸脱しないこと。」、こういう委員長要望に逸脱をしているんじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。
  154. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 三年ということをお願いしている理由はもうるる述べておるところでございますが、その基本は、固定資産税の評価の周期に合わせたということでございます。五年周期をとっておりますと、その三年と五年が違いますので、一つのスパンの中に二回の固定資産税の評価がえが入ってくる場合、あるいは一回の場合というような不公平といいますか、不均衡が生ずる場合がございます。そういうことも考えますと、むしろ三年という方が均衡という意味からいいますとすぐれている。そういうことから考えますと、決して現行家賃制度の逸脱というふうにはなっていないというふうに思います。
  155. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ですから、そこで私たち思いますのは、従来の五年から三年にすることの理由として、今固定資産税の評価がえの三年ごとということが挙げられているわけですけれども、渡辺理事のお話を聞いていますと、評価額に連動させることがより合理的である、こういうことだと思いますが、どうしても本音は、これまでよりより安定的に値上げをしていきたいというのが本音じゃないかと思うんですが、その点はどう思いますか。
  156. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) まさに三年間の固定資産税、これは国の制度でございますから、それに周期を合わせて均衡を図るということに主眼点があるわけでございます。
  157. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣はどのように考えられますか。
  158. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 期間の問題の観念ですけれども、これは先ほどもお答えいたしましたが、やはり今のように変化の激しいときであります。これは産業構造もあるいは経済も非常に変化が激しい、こういうときでございますから、期間を余り長くするよりは短くして、余り急激に、上がるか下がるかわかりませんけれども、私どもは地価の問題でも引き下げを図ろうと努力をいたしておりますが、いずれにしても、余り長い期間というよりは短い期間で急激な変化がない方がいいんではなかろうか、こういうふうに考えております。  今からいろいろ審査をするわけでありますけれども、期間の問題は将来もやっぱり短い期間、三年、固定資産の評価がえの時期もありますし、いろいろの見方で、非常に変動が激しい時期でございますから、期間もそういうふうにやっていくのがいいんではなかろうか、ただいまはそういうふうに考えておる次第であります。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今大臣も地価の抑制についていろいろと努力されているということでございますが、将来もしも固定資産税の評価額が下がった場合には値下げをされるんですね。
  160. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) その部分については当然そういうことになると思います。地価が下がればやっぱり算定の基礎はそういうことになる。プラスの面、マイナスの面総合的に計算してやっていくべきだ、こういうふうに私は思っております。  これは民間でありますけれども、民間の中古マンションの家賃もあるいは分譲も現に下がっておる、都内では下がっておりますので、そういうふうに持っていくことがいい。地価にいたしますと、高値安定を続けていくという考えでございません、どうしてでもこれを引き下げなければならない、こういうふうに思っておりますので、そういうことで進めてまいりたいと思います。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは公団にお聞きしますけれども、公団は基礎として公営限度額方式に準ずるということでございますが、公団としては、率直にお伺いしますけれども、値上げ額はどの程度が妥当だとお考えになっていますか。
  162. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 率直に申し上げますが、値上げ額は幾らが妥当かというのは非常に難しい御質問でございまして、とてもお答えできるものじゃないかと思います。  ただ、公団の場合には公営限度額分に準ずる方式基本としている、さらに算定額と現行の二分の一にしている、さらに引き上げ限度額を設けている、特別措置をつけている、いろいろやって算定をしているわけでございますので、その結果出てきたものは妥当な範囲内にあるのではないかというふうに考えているということでございます。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 皆さん方のあれを見ますと、低所得者方々老人世帯あるいは保護を受けられている方々に対するいろんな配慮をすると書いてありますが、実際にはごく限られたわずかな人しか対象になっていないんじゃないかと思うんです。この点の配慮を拡大することについてはどのように考えていますか。
  164. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) いわゆる狭義の意味でございますが、福祉政策というのは、元来やはり国なり公共団体というものが中心になって、それとの役割分担を図りながら公団もできる限りの努力をするというのが基本ではないかというふうに思っておるわけでございます。そうしますと、そういう国の制度の中で対象となっている階層あるいはそういう制度と整合性のとれた措置、こういうものがどうしても要請されるのではないか。したがって、現在とっております特別措置、これは先ほど申しました激変緩和措置のほかにさらに特別措置をとっているものでございますが、例えば老人でございますと、生活保護の場合の老齢加算、これは七十歳でございますが、そういうことで七十歳以上の方、ただ一定の場合には六十五歳というものがございますけれども、そういうことでお願いをしているわけでございます。  それから、非常に適用件数が少ないではないかというお話がございました。確かに絶対数といいますか、第一次のときがたしか三百四世帯、それから第二次のときが三百六世帯という形で、率にすると非常に少ないわけでございますけれども、これは基本的に、その対象とするものがそれぞれの地域でもって定められた住宅扶助限度額、これとの相関で決まる。つまり、住宅扶助限度額よりも家賃改定によって上がる場合、これは現在の家賃が既に住宅扶助限度額よりも高い場合には現在の家賃ということになりますけれども、それを超える場合に初めてその適用条件が出てくるということでございます。  しかして、値上げを今度お願いしておりますが、推計でございますけれども、その値上げをした後でも三万五千円未満、以下といいますか、の住宅が七八・一%、非常に多いということでございます。片や、例えば東京都の場合ですと、住宅扶助限度額というのは六十三年度は四万七千八百円という数字になっているわけでございます。したがいまして、そういったものとの関係でやはりそういう適用数というのが出てくるというふうにも理解すべきではないかというふうに思っています。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 公団はこれまで、五十三年に平均三七%ですか、五十八年に二六%の家賃値上げを実施しているわけで、今回三回目になるわけです。今回の値上げを見てみますと平均一八%、四千七百円。アップ率、値上げ幅とも過去二回に比べますとちょっと低く抑えられているようですけれども、しかし三年ごと家賃値上げが行われてまいりますと、つまり一回ごとのその値上げ幅は小刻みでも、何回も何回も重ねられることによりまして入居者の家計に対してじわじわとそのしわ寄せがくるんじゃないか。結局入居者に重い負担になってくるんじゃないか、こういうことを私は懸念して反対しているわけですが、その点はどうでしょうか。
  166. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 例えば固定資産税評価額の適用といいますか、あらわれ方というのは、これは五年でも三年でも結局は何回かやればそれまでの固定資産税評価額の変化というのは全部入ってくるわけですから、それは同じことであるというふうに思います。  それで、先ほど申しましたように、公団家賃改定の際に、いろんな形で激変緩和措置あるいは一定の方には特別措置というものを講じて、そういう点を配慮しつつ改定を行っているところでございますので、そういう意味での急激な重荷といいますか、そういうことにはならないというふうに考えているわけでございます。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総裁、急激ということじゃなくて、徐々にやはりこれは積もり積もれば大きくなっていくんじゃないですか。その点を言っているわけです。一回だけの急激な変化ということじゃないんですよ。この点どうですか。
  168. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 公営限度額方式に準ずる方式というのを基本としているわけですが、これ自体公営住宅法に決められている方法でありまして、いわば家賃算定額がある意味では低く出る方法ではないかというふうに考えておるわけです。それにさらに改定ごとに先ほど申しましたような措置を行っていくわけですから、そのときそのときで考えていただければそのようなことにはならないという意味でございます。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は、敷金の追加徴収について、先ほど同僚委員からも反対がございましたけれども、私たちもやはりこの問題については今回見送る考えを大臣としてはっきりしていただきたい、このように思います。敷金を追加徴収することによってこれこそ一時的な負担を家計に強いることになるんじゃないかと思います。  そこでちょっとお伺いしますけれども、今回の値上げが認められた、まあ大臣はこれから敷金のことはいろいろとお考えになるということでございましたけれども、もしも大臣が認可した場合には敷金が認められちゃうことになるんですけれども、今後も値上げのたびにその敷金については追加徴収をしていくことになるんですか。
  170. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) それはいわゆるルール部分にかかわるものだと思いますが、今回ああいう手続といいますか、まとめましたルールによればまさに御指摘のようになるわけでございます。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、大臣、今度の値上げ後の家賃総額の三カ月相当額として現在との敷金の差額は、自治協の皆さん方の試算によると、追加徴収されるのは最高では八万二千五百円になるということでございますけれども、値上げのたびに値上げ額の三倍の敷金追加徴収となりますとこれは大変な数字になろうと思います。その点ひとつ御勘案をされてこの問題は決めていただきたいと思いますが、御意見はいかがですか。
  172. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この問題につきましては、先ほど小川先生の質問にもお答えいたしましたが、御論議の途中で予見を言うわけにはいきませんが、十分当委員会の御論議を踏まえて審査をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  174. 内藤功

    内藤功君 大都市圏を中心とする今日の異常な地価高騰のもとで、マイホームの夢が破れ、住みなれたところから追い出されるという深刻な状況に多くの国民が現在置かれております。人間の居住権というものは、憲法二十五条でも保障する健康で文化的な生活の権利の中でも、衣食住といいますから、もう中心中の中心の権利でありますが、これすらが脅かされているという現状であると思います。  こういうときに、この異常な地価を引き下げて良質で低廉な住宅を大量に供給するということが政府、公団の責務だと思います。ほかにやるところはないんです。この間の委員長要望の第一項でも、特に「高家賃の引下げに努める」ということをちゃんとうたっております。ところが、公団家賃の抑制どころか反対に値上げをしようというのであります。しかも、経済事情の変動による家賃の不均衡の是正と称しまして、まずこの考え方は、あるべき家賃はこうだ、こういうものを想定して、そして現行の継続家賃をそれに限りなく近づけていく、そのために今後新たに三年ごと家賃見直し、値上げをやろう、こういうことで私は言語道断だと思うんです。  ほかの公共料金で三年ごとに確実に見直して上がるというのがありますか。あったら教えてもらいたい。参考にしたかどうか。それから、三年たって家賃の方は上がるが、年金や給料は三年たって確実に上がりますか。これはちょびっと上がるかもしれない。しかし一七%も一八%もそんなに上がるものですか。そういうのをこれを決める場合にどう考えたか説明してもらいたい。  結局これは、地価の異常な高騰や物価の上昇、さらにいわゆる周辺再開発、こういうものに便乗して何でも収入をふやせばいい、臨調行革路線、家賃収入をこういうものに便乗してふやそうということなんじゃないですか。本音はどうなんですか。今の二点お答えいただきたい。
  175. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 三年ごとにほかの公共料金が値上げされているかどうかは私は存じません。ただし、家賃については、やはりこれも国民共同の財産でありますから、適時的確に見直していくのが適当である。その場合において、その積算基準となっている固定資産税、あるいは居住者の方にとりましても、五年で急激に上がるよりは三年で上がった方が適当である。もう一点は、民間の家賃の状況を見ても大体二年に一回は上がっておる。これらのことを考えます場合にはやはり適切な値上げをする必要があるんではないか。  この場合に、たとえ今回の値上げをいたしましても、その家賃負担率は六・八%ということでございまして、収入が上がらなくてもお払いいただける料金の中に入っていると私は考えているわけでございます。
  176. 内藤功

    内藤功君 そういうことだからみんな怒るんです。世の悪徳家主でもこういう下手な説明はしませんよ。他の公共料金で三年ごとに上がるものがあるか、調べてないのかと言ったら、それは知らないというんですね。そのくらい調べてなきゃいけませんよ。  もう一つ私の聞いた、三年たって家賃は上がるが、賃金や年金はそういう割で上がるか、答えられてないじゃないですか。また、本音は地価の異常な今日の高騰に便乗して家賃収入をふやそうとするんじゃないか、どうなんだ、これに対して一言も弁解がないじゃないですか。もう一回やってください。
  177. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公共料金の値上げの周期を全部知っているわけじゃございませんけれども、具体的にまずございます。また、今確認させておりますけれども、各種試験の手数料でありますとか、あるいは建築の確認申請の手数料、そういうものは原則三年で改定するというようなルールに、これは私の記憶でありますけれども、たしかなっていると思いますし、また具体的に他の公共料金で三年ごと周期で上げているものも事実ございます。ただいま確認させてございます。
  178. 内藤功

    内藤功君 試験の手数料と家賃と比べられますか。家賃は十何%生活に食い込むんです。試験の手数料なんというのは受ける人だけの話なんですね。それしかあなた言えないわけでしょう。あとはどうなんですか。給料や年金が三年たったら家賃にふさわしいように上がりますか。答えがない ですね。
  179. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公共料金の具体的の例のおただしでございましたので、私が記憶する範囲でもって申し上げたわけでございまして、他の事例につきましてはただいま調べさせてございますけれども、いずれも公共料金というのは生活に密着した料金でございますので、そういう意味で公共料金として登録されているわけでございます。それが他の手数料で家賃とは性格が違う、それは種類は違いますけれども、いずれも生活に密着した料金であると私は思っております。
  180. 内藤功

    内藤功君 これでもうはっきりと三年ごとの値上げというものがいかに合理性の裏づけがなくやられているかが私はわかったと思うんです。多少のいろんなことを言っておりますけれども、結局この値上げの論理というのは、私が見るところ、本質的に営利企業の家賃の値上げの論理と同じだと私は思うんです。公共住宅公団住宅の使命というものを軽んじた論理で打ち出してきておる。地価や物価水準がどんなに上がろうとも、居住者には何のメリット、利益もない。古い住宅はますます古くなって品質が低下するのに逆に家賃はどんどん上がりますから、居住者が怒るのは当然であります。  公団は今回の家賃改定ルールにつきまして、けさ石原先生も言っておられましたけれども、家賃部会の大方の賛同を得た、大方のですね、完全な全員のじゃないんですよ。かつ、一応ルールができたと思うと、一応思う、これしか言えないんですね。できてない証拠なんです、この言葉は。ですから石原先生のお話は、その裏としてルールは確立されてない、こういうふうに私は読みましたよ。直接家賃を払うのは居住者であります、全国の居住者です。その全国の団地居住者代表である自治協の代表の反対を押し切って、十分な調整もされない、話の詰めもされないんでしょう。六十項目ですか、質問意見書を出した、それに対して反論、意見を出した、その上でどこが一致できるか、一致点を求めて大家とたな子が話し合うのが家賃の決め方なんです。そういう初歩的なことも尽くしていませんよ。一人だけだというけれども、この一人は全国で数十万あるいは数百万の代表ですよ、この人は。その人の意見を聞くだけ聞いたということでもって、その形式、外観だけとれればもうそれでルールは確立された、そういうことは私は通用しないと思うんですが、いかがですか。
  181. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 五十八年の委員長要望にございます適切な手続に基づくルールづくりということは、まさに広く各界の意見を聞いてそしてそのルールづくりをしろということではないかというふうに理解しておるわけでございますが、まさにそういうことを踏まえて基本問題懇談会の中の家賃部会、これは学者でありますとかマスコミ界、言論界あるいは労働界あるいは居住者、そういう形でできているわけです。なぜならば、まさに公団住宅というのは、先ほどからも出ておりますけれども、国民の資産であるということであります。したがって、やはりそういう客観性を持った理論を踏まえてルールづくりをするということではないかと思います。  したがって、これはあくまでもいわゆる法律に基づく審議会でございませんから、表決をとるとかそういうことはございませんが、先ほど石原先生がおっしゃっていましたように大方の委員の方はこれでもう議論が出尽くしたということでございます。したがいまして、私はルールづくりはできたというふうに考えております。
  182. 内藤功

    内藤功君 その大方の中に、団地居住者、つまりお家賃を払う人の代表を除いて、それで大方と幾ら言ったってそれは正常なルールづくりじゃないですね。そういう家賃を払う人の立場、これをちゃんと反映できるようなそういうルールづくりというものがこの委員長要望で望まれておったんじゃないですか。それと違うじゃないですか、これは。私の聞いているのはそういうことです。
  183. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) お説ではございますが、今も申しましたように国民共有の財産でございますから、入居者方々とだけ相談してやるというわけにはまいりません。また、入居者の御意見が反対であるからといって決めないでいるというわけにもまいりません。これは公団総裁としての怠慢になるわけであります。そういうような観点から、お一人の方が反対されたからといってこれを改定しないということはあり得ないことでございまして、決をとったわけではございませんが、その他の方々にとりましてはこれで結構だ、こういうことになっているから、私の責任でこのルールは決めさしていただいたわけでございます。
  184. 内藤功

    内藤功君 これはあくまで家賃を決めるんです。そして本院の建設委員会委員長要望の第三項では、適切な手続に基づくルールづくりを行い、改定が公正かつ円滑に行われるように公団に配慮を求めたんです。第七項では、入居者との相互理解を深めるために、入居者に対して公団の積極的な努力を求めたんです。この裏は、やはりこの精神というのは、家賃を払う賃借人の、居住者のその意向というものを十分に酌んで、それと納得、話し合いでいく、言いっ放しじゃないというルールじゃありませんか。そういうルールになっていますか。再度答弁してください。
  185. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 六十八万戸の住宅を相手にして我々は管理をしているわけでございまして、六十八万人とうちの管理担当職員千数百名でお話し合いをするということはとても事務的に不可能でございます。したがいまして、既に二回の文書を発送して御理解を求めているわけでございますが、今後とも数回の文書を発送して御理解を求める考えでございます。
  186. 内藤功

    内藤功君 私もこの文書を見ましたよ。東京都内のいろんな団地を見ました。みんな怒っているのは、ルールづくりをやる、国会の偉い先生方建設委員会で決めてくれた、当時の建設大臣もこれは守ると言ってくれた、その要望書があるから、まずルールづくりとしてどうしたらいいかということが、時間もかけてじっくり話し合われて、ルールなりあるいは一つの機関ができて、そうして中身の議論になると思っていたところが、突如として今総裁の言った文書が配布をされた、これくらい国会を軽く見たやり方はないじゃないかという意見を私は聞きましたよ。そしてまた、団地住民からすれば寝耳に水の文書を配布、そういう印象を受けている人が非常に多いんです。  ですから、私さっき言葉強く言いましたけれども、民間の悪徳家主でもそういう説明をしない。まあ失礼の段があったら私は幾らでも直しますけれども、本当にそう思うんです。これは本当の賃借人というものを一つの相手と見ない。それはほかの人が入ってもいいです。しかし、賃借人というのを除いた大方の同意なんというものは私はこの種の賃料を決める機関としてはふさわしくない。重ねて意見を申し上げておきたいと思います。何かありましたらどうぞ。
  187. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) ルールづくりにつきましては、けさほどから何回も議論のあるところでございまして、大方の方々の御了解を得た、こういうことでございます。一名の反対があったからといってルールづくりができないということになりますと、永遠にルールづくりはできないわけであります。そういうことは我々としてはとる立場ではありません。
  188. 内藤功

    内藤功君 だから私は、あなたがそういう答弁言うと思って、一名じゃない、全国の公団自治会の代表している方ですよ。それは先ほど井上先生の方から何%とかいういろんな御異論ありました。しかしこの自治協というのが全国でアンケートも行い、そういう住民の意向を反映して過去長い間活動してきたのは歴然たる事実ですよ。ですから不十分だけれども家賃部会にも入っているんですよ。そういう人を一人と見るところに大きな問題があるんです。これはこれからここにおられる越智建設大臣が公正なるお立場で御判断をされると思うから、私はどこに違いがあるかというのをよく大臣にはっきり聞いておいてもらいたいと思うんです、質問は後でやりますから。  次に、公団は、値上げ対象住宅居住者の多く が所得水準第二分位、第一分位であることを当然御承知であります。そもそも公団住宅というのは、中堅勤労者、第三分位の中というものを標準としたものである、こういうことを言っておりますね。家賃水準居住者生活実態とは関係ない、こういうことも公団は言っております。さらに、今回の値上げにつきましても激変緩和特別措置をとったから過重負担ではないと言うんですよ。  それなら聞きますけれども、現居住者家賃負担率の限度を超える過重な負担をかけることには絶対ならない、こういうふうにおっしゃるのかどうか、その点はっきり聞きたい。  もう一つは、それとも、値上げがもし過重だとお感じになる人がいたら、過重な負担だとおっしゃる人は公団住宅を出てよそへお行きなさい、こうおっしゃるのか。そこのところをはっきり聞いておきたいと思うんです。
  189. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 家賃負担の問題につきましては、これはまさに八十七万戸ないし八万戸、これそれぞれいろんな方が入っているわけでございます。したがって個別個別にどうだという議論はいかがかと思います。公営住宅があって、その上と言ったら語弊がありますが、公団住宅がありかつ公庫住宅がありという役割分担の中で公団が果たすべき役割というのが、これは国から与えられている役割だと思いますが、三分位中位、言ってみれば中堅勤労者、こういった方々対象にしていくということだと思います。
  190. 内藤功

    内藤功君 私はここで抽象論をやっているんじゃないんです。生きた生の生活の問題なんです、これは。ですから個が集まって全をつくるわけです。  そこで聞きますが、そういうことを言うなら聞きますが、私のところにもいろんな御陳情があり、資料がいっぱいありますが、その一つの例、これは東京都の小平団地の方であります。お名前もここにありますが、仮にAさんとしておきます。八十四歳の方です。奥さん七十六歳です。お二人暮らしで、これは三DKでございます。お家賃が現在二万九千四百円。年金でこの方は収入が月十六万円、年収で約二百万円でございます。これは具体的な数を申し上げた方がいい。家賃負担率が計算しますと一八・四%。今でもこれは一八・四%、大変でございます。この上こういう方に、これはこの方だけじゃありません、いっぱいいます、こういう高齢者の年金生活者にさらに値上げを押しつけることになるんですね。こういうのも、さっきの質問じゃありませんが、過酷ではない、過重な負担ではないと、こうおっしゃいますか。
  191. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 家賃改定に伴いまして実施しようとしている特別措置、これは東京の場合でございますと、老人の場合、お二人でございますと、年間の所得が二百八十三万円以下の方に対しては対象になるわけでございます。ところが、先ほど申しましたように、生活保護法に基づいて地域ごとに定められております住宅扶助限度額、これが四万七千八百円ということでございます。したがいまして、現在、お話の二万九千四百円ということになりますとそれ以下になるものですから、この適用対象にならないということだと思います。
  192. 内藤功

    内藤功君 大分先走って、これから聞こうとすることにもう答えていますが、慌てなくてもいいんです。よく質問を聞いて答えてください。随分先に回り過ぎるね、あなたは。  ところで聞きますが、特別措置というのは、今の話にいくんならこっちもそこで聞きましょう。家賃が、地域ごとに決められている住宅扶助限度額、これを超えなきゃ特別措置対象にならない、こういうわけでしょう。東京都の住宅扶助限度額は四万七千八百円、こういうお答えでしたね。私の次の質問をどういうわけか先にもうお答えになっている。東京の小平団地では、これまで実施されたいろんな空き家の家賃の設定の仕方、それから補正率等から見て私は最高の値上げがこの場合予想されるのは当然だと思うんですよ。このAさんの場合は改定後の家賃が三万九千九百円。つまり一万五百円ということをプラスしますと三万九千九百円。これじゃ特別措置対象にはならない。そうすると、これまで第一次、第二次、二回値上げをやりましたが、特別措置が適用されたのはどのくらいでございますか。これは世帯数と実施戸数割合と平均減額額で答えてください。
  193. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) ちょっと資料の関係で、まず世帯数とそれから減額額……
  194. 内藤功

    内藤功君 平均の減額額だな。資料あるでしょう。
  195. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 失礼いたしました。  第一次改定では、適用世帯数、これは四つの種類ございますが、全部で三百四世帯で、平均減額額は三千二百円でございます。それから第二次の改定では、適用世帯数が三百六世帯、平均減額額が三千三百円ということになっております。
  196. 内藤功

    内藤功君 実施戸数割合はどのぐらいですか、パーセント。
  197. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 第一次では〇・〇六%、第二次では〇・〇九%でございます。
  198. 内藤功

    内藤功君 非常に微々たるものであります。数字で明らかなんですね。  このAさんの場合、改定後の家賃負担率が二四・九%になる。昭和四十二年に住宅審議会の答申では、第一分位の二人世帯の家賃負担率というものは限度が一七・一%だった。これを七・八%も上回ることになるんですよ。こういう例がいっぱいあります。もう時間がないのでほかの方の例は残念ながらここでは省略をせざるを得ない。政府の住宅審議会の示した限度すら超えるという家賃を、長年住んできてその団地のいろんな環境づくり、自治会の活動、いろんな周りの環境づくりに骨を折ってきた人たちに押しつけるということは私は道理に合わないと思うんです。特に、さっき例に挙げたAさんのような年金生活者、こういう方はもう出ていってくれ、所得の少ない人、貧しい人は出ていってくれと、こういうことになるんじゃないか。これは私が思うだけじゃなくて、もうどんな団地へ行きましてもそこの、お年寄りの方、六十代半ば以上の方はみんな言っておられるわけであります。  そこで、最後に私は建設大臣に、お待ちいただいたので、あなたに伺いたいと思うんです。あなたはこれから重要な判断をされようとしているわけです。しかし率直に答弁をしてもらいたいと思うんです。  この継続家賃について、こういう居住者の実態に目をつぶって、公団住宅対象は中堅勤労者であるという政策に固執しておりますと、高齢化して年金生活者が多くなっていくというこういう居住者の多くを結局追い出すことになっていくんですよ。そうした階層の人を受け入れるに足りる公営住宅は現在日本に十分ありますか。  四月二十日の毎日新聞の夕刊社会面を大臣ごらんになりましたか。現在、立ち退きを迫られてひとり暮らしのお年寄りが施設に避難したり、あるいは駅や地下道で野宿を続ける人がかなり出てきている。長くは読みませんが、深刻な事態、ホームレスですね、日本の、これが出てきておる。公団の管理開始以来三十有余年、今日では公団住宅対象は中堅勤労者だというこの論理一本やりでは現実の問題の解決になりませんですよ。そういう姿勢だから居住者の理解が得られないんです。さっき総裁や理事のおっしゃるようなああいう言い方じゃ納得を得られないのは当たり前ですよ。一方の方は絶対反対じゃないと柔軟な姿勢を示しているのに、ああいう説明じゃ納得を得られない。そうじゃありませんか。
  199. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 内藤君、簡潔にお願いします。
  200. 内藤功

    内藤功君 ですから、これは公団だけではなくて政府の住宅政策の責任であり、今の問題を再検討すべき時期に来ておるのではないかと私は思います。  きょうも非常にたくさんの方が傍聴しておられますけれども、こういう関心にこたえた大臣の御答弁を願いたい。今までの公団の答弁では私は本 当に切実な声にこたえていないと思いますので、大臣の御答弁を求めたいと思います。
  201. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 私のところにも何千通かの要望がはがきで来ております。何千通か来ておりますが、これみんな一様に値上げをやめてくれということで、上げてもいいよというのがないかと思って毎日読んでおりますけれども、一つもございません。でございますから、入居者からいえば家賃が安い方が、上がらないことがいいことは当然であります。  それから基本的な問題でありますからお答えをいたしておきますけれども、公団住宅の中堅勤労者ということはやはりそのとおりでございますから、それを曲げるわけにはいかない。公営住宅は公営住宅の目的、公団住宅公団住宅の目的であります。ただ、公団ができましてから三十年たちますと、その間に、好むと好まざるにかかわらず、生活保護世帯もできますし老人もできますし母子家庭もできますし身体障害者、そういうことについては、十分その長い期間にそういうことが自然に起こったわけでございますから、これはそれなりの措置をしてまいるつもりであります。ただ、先生が言われますように、公団に決して追い出すというようなことはいたさせません。追い出すという言葉をたびたびお使いになりますけれども、追い出すということはいたしません。  それから会の持ちようでございますけれども、会はもちろん少数意見も聞きますし、十分議論をしていただいて、最終的には満場一致にならないとできないということになりますと、もうどこの町内会であっても部落であってもできない。でございますから、その点も御了解をいただきたい、私はこういうふうに思います。でございますから、当委員会におきまして十分御論議をいただき、その御論議を聞いて私は審査を進めていきたい、かように思います。でございますから、必ずしも内藤先生のおっしゃるとおりにはならないかもわかりません。これはもうはっきり、できないことはできない、できることはやりますと、これが私の性格でございますから、できる範囲のことはやらしていただきますが、できないことはここで上手を言っておいてもすぐわかることでございますから、やはり私はそういうもろもろのことを考慮しながら審査を進めてまいりたい、かように思いますので御了解をいただきたい、かように思う次第であります。
  202. 山田勇

    山田勇君 まず、公団にお尋ねをいたします。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  家賃の値上げということは、たとえいかなる理由があるにしてもうれしいことでないことは事実であります。そこで、居住者の立場からすれば値上げは反対、もしどうしても値上げをするというのであれば、それが十分に納得のできるものでなければならないのは当然であります。そこで、今回の家賃改定案の策定過程において居住者の納得のいく作業を行ったのかどうか。昭和五十九年に設置された総裁の私的懇談会、基本問題懇談会家賃部会の論議が尽くされなかったのではないか。家賃部会は四回だけで、専門部会は二十回以上開いたと聞いておりますが、それでは居住者議論が反映されているとは言えないのではないか。この点について公団側の御答弁をいただきたいと思います。
  203. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほどから繰り返して申し上げておりますので恐縮でございますけれども、やはり家賃ルールの中で非常に重要な要素といいますか、それは算定方法になるわけでございます。それで、これは専門的な検討あるいは繰り返し繰り返しの検討が必要だということもございまして専門部会でやったということで、これは私が先ほど申しましたように、家賃部会の各委員の了承を得て専門部会でそれをやることになったということであります。そこで二十数回ということでございます。そこで取りまとめた言ってみればたたき台、これについて四回、確かに四回家賃部会を行ったわけですが、これは部会長であります石原先生が午前中にも申し上げましたように、いろいろ議論がありました。非常に活発な議論がありました。それから居住者の方あるいは自治協の代表の方もいろいろな意見を多く出されました。それから紙でも出ました。  我々は、単に四回という会議だけではなくて、個別にお話し合いにも参りました。特に井上委員に対しては個別の御説明もいたしました。そういうことも含めて最終的に部会長の御判断で、全体の意見が出尽くしたと御判断になったというふうに考えておりますので、議論は私は尽くされているというふうに思っております。
  204. 山田勇

    山田勇君 渡辺さん、四回だから二十回だからという回数にこだわらなくていいんです。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 これは一回でも実のある審議をすれば十分なんです。僕はこういう回数ではなく、十八年私国会に籍を置かさしていただきますが、いろんな問題、こういう懇談会だとか諮問機関という問題になると、必ずといって、なぜその反対する立場の方、いわゆる居住者サイドの方、例えばきょうでしたら佐長さん、なぜ入れないんですか。公団が自信を持って、こういう形の中で家賃を上げなければ私のところの財政が成り立ちませんよという原点に立って説明をし、上げなければならない。賛成者も反対者もいる。総裁いみじくも、一名の反対があってもこれは上げてもらわないと公団としての使命が果たされないんだ、これは総裁の責任だと言う。こういうように反対する人をなぜ入れないんですか。五人でも十人でもたくさん入れてと言ってない。居住者代表者一人入れて部会やったらいいのと違いますか。  僕はいつでも、これは最近のことですが、小川先生もおいでですが、環境委員会で公健法のときでもなぜ反対の方を入れないんだと。反対は反対ですよ、あくまで。しかし、反対だけれども、こうしないとできないんだという、そういう民主主義のルールにのっとって多数の皆さんに御判断いただいた、それでいいんじゃないですか。それで居住者の皆さん、一応我々の代表は行ったけれども力は尽きた、私たちの意見は通らなかった、上がる、上がるから条件闘争しましょうという形へなぜ持っていかないんですか。これはもう実にいつも不思議に思うんですがね。  そういう点でもう一度、今後こういう問題、これ三年ごとにやるんですから、そういう点でひとつ進歩的な御返事をいただきたいんです。
  205. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) ルールづくりにつきましては今回確立されたと我々は認識しておりますので、三年ごとというふうには思っておりません。  それから居住者代表をなぜ入れないのかという御質問でございますが、六十年三月十九日の建設大臣のあっせんで、全国公団住宅自治会協議会代表居住者一員として家賃部会に参加させること、こういうのがあるわけでございまして、その結果自治協の代表の方一名、それから前から自治協に加盟されておらないといいますか、その他の居住者代表の万が一名入っておられるわけでございまして、居住者代表家賃部会で二名おられるわけでございます。それからあとマスコミの代表、言論界といいますか、それから学者、それから労働界、それから実務家、そういう形で、先ほど何万人を代表しているというお話ございましたけれども、これは言論界であっても労働界であっても学者であっても、やはり国民の資産について議論するという意味ではそれぞれ代表的な立場を持ってるんだというふうに思います。
  206. 山田勇

    山田勇君 労働界代表、佐分利さんだと思います。僕らも佐分利さんに十分レクチャーを受けながら、この問題懇談会のあり方をいろいろ聞きました。実に民主的に、議論議論賛成賛成、反対は反対という形で物すごくいいディスカッションしたというふうに私たちも御報告を受けております。これは労働界の代表者に受けております。それゆえに、なぜ居住者代表者を入れなかったのかなという残念さは残っているわけです。今後こういう問題は多々出てくる問題なので、大臣に後ほど固めてお聞きしますが、ひとつその点も御勘案いただきたいと思います。  次に、建設省にお尋ねをします。  基本問題懇談会という場で家賃問題、特に改定ルールを決めるということの妥当性についてお聞きしたいんですが、公団住宅というものは国が直接的に供給する唯一とも言える住宅と思うわけです。したがって、その家賃は当然先ほど来論議されております公共料金の性格も含まれていると思います。この値上げによって民間の賃貸住宅家賃へのはね返りという点についてはどうお思いになっておられますか。
  207. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 今回の家賃改定平均では二万五千六百円が三万三百円、約一八%の引き上げになるわけでありますけれども、これが年次別にかなり違ってきております。一番値上がりの大きいもの、これは当然一番古いものになりますので、昭和三十一年度に管理開始した住宅についてみますと、当初家賃が四千六百円でございます、月当たり。それが二度の改定を経まして、さらに今回の改定が原案のとおりなされるとなりますと、当初四千六百円が二万三千二百円になります。この値上がり率は三十二年間で五・〇倍、こういうことになります。  一方、統計局で出しております消費者物価指数から全体の民間の家賃を見ますと、三十一年の家賃指数を一〇〇としますと、六十二年の家賃指数が九六〇でございますから九・六倍ということでございますので、今回の家賃改定が仮になされたとしましても九・六倍よりは低い。約半分ぐらいの指数。したがいまして、民間水準よりかなり低い水準で動きますので、大きな逆に影響はない、こう考えております。
  208. 山田勇

    山田勇君 大臣にお尋ねをします。  ほかの公共料金の値上げを決める際にはおおむね審議会を開き論議を尽くしているわけですが、公団住宅賃貸料金の値上げを決めるのに、これは僕は名称というか、公称にこだわっているのかもわかりませんが、懇談会で決めるというのはいかがなものでしょうか。また、審議会の設置について検討すべきだと思いますが、大臣にこの点についてお尋ねをします。  また、公団の業務のあり方ということですが、最近の公団は、需要があるからということで、家賃を二十万円以上の賃貸住宅、また億ションと呼ばれるようなものを供給しておりますが、本来、先ほど大臣が言われた、中堅勤労者のための住宅供給に力点を置くべきだ、それはそれぞれの役目がある、そういうことを言われました。公団には国からの補助金が導入されております。民間のデベロッパーと争うような必要はないと思うんですね。  そういう二点について大臣にお尋ねをいたしておきます。
  209. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の前段の懇談会と審議会の問題でありますが、審議会というのが、どれもこれも審議会審議会というので、私は審議会という名前を余り希望はいたさないのであります。前の委員長見解、委員会結論を出されまして、大臣あっせんで代表者を入れて御審議を願いたいということでございますから、それのあり方についてはいろいろ御批判がありましたけれども、やっておられますので、これはひとつ公団の方でも続いて今後も進めてもらいたい。  ただ、入居者代表、先ほどのお話では、何十万、何百万人の代表といいますが、何百万というのは、団地住宅はそれほどありませんので、これは先生でなしに前のですが、せいぜいやっても六十八万人の代表のはずでありますけれども、とにかくそういう代表の方も入れて審議をする。しかし、これが満場一致で決まるということはない。自分はまあまあと思っても、代表で出ておる以上は、帰って、賛成をしてきたなんと言ったらこれは大変なことですから、私はないと思いますよ。思いますが、いずれにしても、十分そういうことで審議をしていただく、審議をするということには賛成であります。でございますからそういうふうに今後も進めてまいりたい。  高額の問題は、常々私公団の方にも、分譲にいたしましても賃貸にいたしましても、やはり中堅勤労者、これの目標でやってもらいたいということを話しておるわけであります。  ただし、現在やっておる中には、もう率直に言いまして、地価の高騰等もこれあり、非常に優良な、優良といいますか、都心部でやっておるようなものについてはやはり高いのが出てくるかもわかりませんけれども、極力分譲にいたしましても億ションというようなことのないように、また家賃にいたしましてもほぼ二〇%以内で賄えるようなふうにしてもらいたい。徐々にそういうふうにやっていくと思います。ただいまやっておりますもの、あるいは今からも都内の開発等でやっていくものについては多少いろいろあるかもわかりませんけれども、極力そういうふうにしてまいりたい。  また、今鉄道跡地とかいろいろ私も交渉をして地方自治体なりあるいは公団なりにひとつ分譲をしてもらうようにやっておりますけれども、一方、清算事業団は清算事業団で御承知のように借金を抱えておりますので、なかなかこれは難しいのでありますけれども、一般的には中堅勤労者に向く分譲、賃貸、これを進めていくように指導してまいりたい、かように思う次第であります。
  210. 山田勇

    山田勇君 大臣の懇切丁寧な答弁をいただいたわけです。  億ションにしろ二十万にしろ、公団が土地を買うについて、交換地とかそういうので残地的なもので残っていく、その非常に高い値段がついているものですから、どうしても公団として空き地でいつまでもおけない。建てると、償却の計算しますとああいう家賃になるということはよくわかるんですが、そんなものを好んで建てているとは僕も思いません。  そこで大臣、僕はこれは最後要望というよりお願いなんです。申請書が出ています。家賃平均四千七百円とか六千七百円とかいう平均値が出てきます。しかしこれは決まったわけではないんです。大臣が今から決めるんです。今僕が政府委員に聞きに行ったのは、これは閣議決定が必要なのか、大変不勉強で申しわけないんですが、聞いたんです。これは閣議決定要りません、大臣のおなかにおさまっていることですと。  申請を出されました。例えば十月、これは妥協なんです、大臣、こういうのは大切なんですよ。だから、十月一日ということで値段を上げるなら、三カ月おくれて一月の一日とか、そういうことにはならないのか。三年と五年の間だからその中をとって四年に一回の改定はできぬのか、これは極端な妥協的な案として。それは今から大臣が決めることなんで、これは質問じゃありません。もう切なるお願いです。公団公団の事情があることはよくわかりますが、大臣の腹一つで、これ三月送るとどのぐらいの予算の狂いが出てくるんだ、そのぐらいは何とかフォローできないのか、一カ月おくれて十一月にしたらどうなるんだとかというのは、もう一度公団申請を再検討していただきまして、値上げは値上げとしていたし方ないという形ならば、一カ月でもおくれて値上げを実施してもらうように切々とお願いをして、私の質問を終わっておきます。  もう大臣の答弁要りません。それは大臣答弁がとても今ここではできませんのはよく承知しておりますので、期待をいたしております。
  211. 青木茂

    ○青木茂君 まず、公団の方へお伺いをいたしますけれども、公団家賃は民間の家賃に比べましてどれぐらいの水準が妥当だとお考えですか。例えば八割だとか例えば五割だとか例えば三割だとか、そういうような一種のスタンダードというものはおなかの中にはお持ちですか。
  212. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これは大変難しい御質問です。と申しますのは、例えば今まで相当の家賃裁判がございました。その中でいろいろの判決がございますが、その中で示されているのは相当であるということだけでありまして、何割だから相当であるというようなことがないわけでございます。それから、算定方式のときにいろいろ検討した中に政策減額方式というのが一つあったわけでございます。つまり、民間の家賃があってその水準に対して何割なら相当である、こういうやり方 というのも検討したわけでございますが、結局この何割というのをどうやって出したらいいのかというのがどうしようもなくて、やはりその万策がとれなかったということでございます。
  213. 青木茂

    ○青木茂君 それは確かに難しいですけれども、裁判は相当でいいですわ。しかし、それを実施する役所としての公団がどれぐらいのところに据え置くかという一種の腹押さえがなくて、家賃改定なんというのは適切だとか適切でないとかいうことが言えるかどうかちょっと私はわからないんだけれども、それでは現状はどうなっていますか。例えば家計調査か何かから見て、民営借家と公営借家のバランス、これはどうなっていますか。
  214. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 地域によって非常に違うんですが、一番安いところで、民間周辺家賃の同種類のものに比べまして二五%ぐらいです。それから高いところといいますか、立地条件によりますと九割近いところがあるわけでございます。そういうような観点から、民間家賃に比準するわけではございませんが、余りにも地価の違いがあり過ぎるからやはり補正が必要ではないかということも考えております。
  215. 青木茂

    ○青木茂君 午前中からの議論を伺っていると、やはり一つのよりどころが民間家賃にあるというようなことを、そういう雰囲気を感じましたね。そうなると、その民間家賃のどれぐらいのところに水準を置くべきかというある程度の押さえがなかったら、僕は家賃問題は議論できないと思うんだけれども。それじゃ言い方を変えます。  世帯主の定期収入に対して家賃限度というものは、生活経済の上でどれぐらいだとお思いですか。
  216. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) それは所得階層によって違うんです。例えば公営住宅階層ですと大体限度が一五%ぐらいと言われております。それから中堅勤労者の場合には二二%が限度ではないか、総収入に対する家賃負担率ですね。そう言われています。
  217. 青木茂

    ○青木茂君 もちろん所得階層、いろんな条件によって違うけれども、そう言われておるというのは何か根拠があるんですか。
  218. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) これは正式に決まったものではございませんけれども、住宅宅地審議会におきましていろいろと家賃負担率を検討されたときの資料として残っておりまして、当時私は住宅局の計画課長でそれを担当しておりました。
  219. 青木茂

    ○青木茂君 一五%とかなんというのは、家賃だけではなしに住居費全体を指しているんじゃないんですか。
  220. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) そのときの試算は家賃負担率だけでございます。
  221. 青木茂

    ○青木茂君 総務庁統計局の家計調査六十一年によりますと、民営の借家で、世帯主定期収入に対して、実収入に対してじゃないですよ、一五%で、公営借家では八%になっていますね。今お答えの数字とえらい差があるんだけれども、まあそこら辺のところを追及したらお答えできないから、ひとつ十分御検討をいただきまして、要するに生活の中の家賃なんだから、そこにはおのずから私は超えてはいけない限度があると思います。それで、参考までに申し上げておきますけど、世界の学者の研究で、家賃負担率は定期収入に対する一〇%がメルクマールです。これだけは申し上げておきます。私はその方の専門なんです。  その次に、ルールづくりについて伺いますけれども、盛んにこのルールづくりについて拙速論が出ましたけれども、拙速であるかどうかは別問題として、私はむしろ、適切な手続という言葉の中にはオープニングの原則というのか、公開の原則というのが入っていいと思うんですよ。だだっとやってきて、そして結論がばんと出てくる。それよりも、どうするああするというやりとりというものを常に国民の前に提示していって、だんだん詰めていったらこういう結論になりましたということだと非常に納得も得やすいと思うわけなんですけれども、この公開の原則についてはどういうお考えですか。
  222. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 一つのお考えだと存じますけれども、こういう家賃問題になりますとやはり皆さんから率直な意見を承らなきゃならぬ、こういう面がございます。その場合に傍聴人が入っておるということになりますと、例えばきょうもこんなにおられますが、この方はどういう方かと申しますと、私もよくわかりませんが、多分当公団のお客さんではないかと思います。したがいまして、お客さん以外の人が傍聴に来られるということはほとんどないんではないか、このような気がいたしますと、やはりこういうお客さんの前でお話しすることは一般の委員にとりましてはある程度の、何と言いますか、圧力を感ずる。私もここで今圧力を感じているわけです。そんなような気がしますから、やはり公開というのはどうかと思うわけです。
  223. 青木茂

    ○青木茂君 圧力を感じていらっしゃるにしては堂々としてますね。  私が公開と申し上げたのはそういう意味じゃないんです。やりとりというものを例えば文書にして流すとか、あるいはその都度記者会見してマスコミに発表するとか、そういう意味であって、やりとりの席上にそれは利害関係者の方を入れる、こういう意味ではないんですよ。公開というのはあくまで言論を通じての公開ですから、それぐらいはお考えいただいた方がいいんじゃないかと思うんですけれども。
  224. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) まさにおっしゃるとおりでございまして、途中の段階では、議論の段階でございますからなかなか新聞発表というのは困難でございますが、ある程度結論を得たときには記者懇談会を私がやりまして内容は説明しておりますし、結論を得た場合にはもちろん新聞発表をしておりますし、大臣に申請をいたしました場合にも新聞発表はいたしております。
  225. 青木茂

    ○青木茂君 私が公開というのは、ある程度結論とか最終的な結論ということではなしに、会議の都度というのか、その都度というのかな、その経過を知らせるということが大切だと思うんですよ。密室で有名な、私が尊敬する小倉税制調査会長のあの政府税調だってやってますよ、終わったたびに記者会見を。それをやらないものだから、それで最後にぽんと結論か何か出てどうだこうだというものだから私は問題が起きるんだと思います。  公開ということをもう一歩詰めていただきたいというお願いに対する御見解をひとつ伺いたい。
  226. 丸山良仁

    参考人(丸山良仁君) 大変有益な御意見を承りましたから、ぜひ参考にさせていただきたいと存じます。
  227. 青木茂

    ○青木茂君 そう言われてしまうと、まあよしなにひとつお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  それから一つは料金の問題でございますけれども、僕は公団家賃といえども一種のこれは確かに公共性があるというのか、公共料金だと思うわけなんですよ。そうなると、公共料金であるがゆえに単なる経済合理性だけではいけない面がある。それから単なるいわゆる民間経済への追随だけでもいかない面がある。そこには、公共であるがゆえに住民に対する政治的思いやりというものがなければ私はいけないと思います。公共であるがゆえのこの政治的な思いやりというものが今回の家賃改定の案の中にどういうふうに出ているか。これは朝から少しずつはお話ございましたけれども、まとめてひとつ……。
  228. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 本来、公団住宅といいましてもその家賃は敷地と家屋の使用対価であるということがまず根っこにあると思います。現にこの公団住宅家賃につきましては借家法の適用がなされるわけでございます。したがいまして、そういう意味ではいわゆる一般の経済原則を考慮すべき面もあるわけでございます。しかし、今お示しのように公共的な性格も当然持っておるわけでございます。だからこそ、公団法の施行規則の四条によって、家賃変更しようとする場合には大臣の承認を得るということになっております。  それから思いやりという点でございますけれど も、まず前提条件といいますか、公営住宅とか、先ほどから繰り返していますから簡単に言いますが、やっぱり役割分担というのがある。それから、我々だっていろいろなことをやるというのはいいと思うんですけれども、現在の制度の中では公団がし得るいろんな措置には限界がある。そういうものも考えながら激変緩和措置とか上限措置とか特別措置とか、こういうものを織り込んでいるということでございます。
  229. 青木茂

    ○青木茂君 その最後のところを言ってくださればいいんで、余り係り結びだとかまくら言葉とか前置詞だとか、そういうものを置くとわからなくなってしまうんですよ。  時間が来つつありますからあれですけど、その次は、どうしても問題になっております敷金なんです。  家賃の問題は、私は、賛成、反対いろいろあると思います。これは賃金と一緒で、もらう方は多いほどいいし払う方は少ないほどいいというような問題がありますから、いろいろあると思いますけれども、私はこの敷金というのだけはどうにも納得できないんです。公共性という基本的性格を踏まえた場合、この敷金というのは一体どういう性格のものなんですか。朝の質問をもう一回聞くわけですけれどもね。
  230. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) これは一般論で恐縮でございますけれども、通常の場合と同様でありまして、賃借人の債務を担保する目的で授受されるものだ、そしてその契約が終わるときに精算される。お預かりするということでございます。
  231. 青木茂

    ○青木茂君 だから私は、公共性があるという前提の中において敷金というものはどういうものなんだということを伺ったわけです。一般と全く同じということになれば、公団が持っている基本的な性格である公共性というものが自己否定されてしまうということなんです。  じゃ、今まではどういう基準敷金というのはいただいていたわけですか。
  232. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 新規の場合、それから空き家に入られる場合、それから例えばシャワーをおつけしてそれで増加家賃の場合、それから増築で家賃が増加する場合、すべて新しい家賃の三カ月分の敷金をいただいております。
  233. 青木茂

    ○青木茂君 三カ月分ということですね。今回も値上げ分に対しての三カ月分、こういうことになるわけですか。どうなんですか、今回は。
  234. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) そのとおりでございます。差額をいただきたいということでございます。
  235. 青木茂

    ○青木茂君 私は、公団、いわゆる国の行政組織であるがゆえにどこかに思いやりを示すべきだということをるる申し上げたわけです。仮に、この敷金の問題に何か一つの思いやり的な配慮、一般の場合と同じということで片づけてしまわずに、思いやり的な配慮というものがあるとすれば、私は大変そこに国民、特に住民に対する国の愛情というものが出てきていいことなんだがなと思うわけなんですけれども、ここはひとつ、大臣のおなかの中は知らぬけれども、どうですか、この問題は。
  236. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) きょうの皆さんの当委員会の御論議を十分参考にさせていただきたい、そして審査を進めてまいりたい、かように思っております。  先ほどの公共料金であるか経済主義であるかという問題にも絡みまして、実は建設大臣といいますか、これは経済企画庁長官との協議がある、閣議ではございませんけれども。そういうことになっておりますので、十分本日の論議を踏まえて審査をしてまいりたい。思いやりができるのかできないのか、どれだけ思いやり——このごろ思いやり予算というのはいろいろ流行しておりますので、思いやりがどれだけできるのか十分審査をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  237. 青木茂

    ○青木茂君 永田町の辞書にある言葉は、一般の解釈ではわからない点があるんです。今大臣のお答え、永田町的理解では前向きのような感じがあるんだけれども、その前向きというのがくせ者であって、もう大臣の腹は決まっていて、何とかここを切り抜けようとしているんじゃないか、これが一般の理解なんです。そうでないとおっしゃっているんだから、ひとつそうでないように今後事実でもって示していただきたい。  これで質問を終わります。
  238. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 本件についての本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会