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1988-04-14 第112回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)    午前十時五分開会     ─────────────    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      山田  勇君     橋本孝一郎君  四月十四日     辞任         補欠選任      内藤  功君     佐藤 昭夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 服部 安司君                 赤桐  操君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 佐藤 昭夫君                 内藤  功君                 橋本孝一郎君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君    政府委員        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      石川 達紘君        大蔵省主計局主        計官       武藤 敏郎君        大蔵省主税局税        制第一課長    杉崎 重光君        大蔵省銀行局特        別金融課長    浅見 敏彦君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        住宅金融公庫理        事        吉澤 奎介君        住宅金融公庫理        事        田母神三郎君        住宅金融公庫理        事        前田 昌靖君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君        住宅都市整備        公団理事     佐藤 和男君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十三日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 馬場富

    馬場富君 最初法案につきまして、今回の法案は悪質な業者排除することに目的があるわけでありますが、建設業界等では、都道府県ごとに、建設業者組織警察当局連携をとりながら暴力団排除決議とか組織化がされておりますけれども宅建業界の実情というのはどのようになっておりますか、御説明いただきたいと思います。
  5. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 不動産業界のいわゆる感心しない行為、行動に関しまして、私ども、昨年の十月十六日閣議決定された緊急土地対策要綱、これを踏まえましていろいろと厳正な指導に努めているところでございます。とりわけ、昨年の十二月十七日には、関係行政機関協議を行った上で、宅建業法の厳正な運用についてという通達を各都道府県知事に出しているところでございますが、この通達におきましては、免許審査厳正化、とりわけ暴力団排除あるいは悪質な地上げ等を行う者に対する措置厳正化、こういったことをやっているわけでございます。  そういった中で、都道府県あるいは業界団体においてもいわゆる暴力団排除というものについては強い姿勢をとっているところでございまして、昨年の六月末現在で、ちょっと古い数字でございますが、都道府県でも暴力団対策会議、こういったものを設置しているところがたくさんございますし、あるいは業界においても暴力団排除決議、こういったことを多くの機関で行っているという現状になっております。そういった意味で、行政あるいは団体を通じましてこういったことに対する強い姿勢を持って臨みつつあるということでございます。
  6. 馬場富

    馬場富君 次に、今回の法案の中には取引主任者を増員するという点が挙げられておりますけれども、やはり増員するからには、その背景には、取引主任者の資格のない営業マンが、取引主任でなければできない重要事項説明などを現在行っておるという実態が事実あるのかどうか。増員する以上はそういう背景があるからじゃないか。そういう実態があればそれをちょっと説明していただきたいと思います。
  7. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 一般不動産取引に当たりましては、いわゆる営業マンがいろいろなことを説明し、情報を提供する、こういったことは当然のようにあるわけでございます。そういった営業マンがいろいろと情報提供を行う中で、いわゆる宅建業法で言う重要事項、これにかかわる説明までするということは、言うまでもなく宅建業法に違反する行為であるということになるわけでございます。  私ども、事前の情報提供、十分な説明ということは当然営業活動として重要であるし、またそのことが消費者保護にも大事なことであるというふうには受けとめておりますけれども、基本的に重要事項にかかわることは主任者において行うべきものということで考えておる次第でございまして、今回の法律改正に伴いまして、私どもその辺の充実もあわせ考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  8. 馬場富

    馬場富君 だから、取引主任者というのは現状では不足だという事実関係がはっきりとありますか。
  9. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 取引主任者の概数を申し上げますと、現在大体三十五万人程度が登録されておるわけでございますが、そういった総数から見ると、主任者の数というものはそう不足というふうにも必ずしも認識しておりませんけれども、ただ問題は、消費者に実際にコンタクトする場に適切に配置されているかということについては、いろいろと課題が残っておるというふうに認識しているところでございます。そういった意味で、今回の法律改正に伴いまして、私ども主任者配置の仕方あるいは配置の割合、こういったものについて濃密に改善する必要がある、こういうふうに考えているところでございます。
  10. 馬場富

    馬場富君 もう一つの点は、この法案の中に専属専任媒介契約制度の創設がございますが、これはいわゆるレインズを導入したことによって効果があらわれるということでございますが、その流通機構整備が前提となってくるわけですけれども、この状況はどうでしょうか。
  11. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生がおっしゃったように、今回の専属専任媒介契約制度は、情報を充実強化しよう、不動産市場をもっと近代化しよう、こういったことが一つ目的としてあります。そういった中で、その情報機構がどう整備されているかという意味で、レインズ整備不離一体のものというふうに私ども行政的にも受けとめているわけでございまして、現在いわゆるレインズ普及は、十の都府県において整備されておりますが、私どもこれを何とかあと二年くらいの間に全国に展開したいという見通しも立ってまいっております。  そういったところでございますので、レインズ普及と相まちましての今回の新しい専属専任媒介契約制度というものをいよいよ実現させていただきたいと考えている次第でございます。
  12. 馬場富

    馬場富君 この法案からくるポイントは、今回の土地高騰に対して一番問題になったのは、適切な情報交換ができないということですね。業者のみにあって一般消費者ができないというようなのが問題点でありますので、そういう点では、この媒介制度そのものもそうだけれどもレインズ普及徹底ということが非常なポイントだと思うんです。これが本当に完全にできればかなり不動産関係についても問題を少なくすることができると思うんです。  だから、やはりこの問題につきまして、業者消費者の双方にレインズPRというものを、またそういう教育的なことをしっかり行っていかなきゃ効果が上がらないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  13. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 全く先生御指摘のとおり考えておるところでございます。やはり消費者にもこのレインズというものの実態を御理解いただかなきゃならないし、またこれを活用しようという機運が高まってこないと、私ども幾らシステムをつくっても、いうところの近代的な合理的な望ましい不動産市場というものはなかなか形成できないというふうに考えている次第でございまして、私どもこの法律施行後、引き続きこの関係、国民的なPRをやり、周知徹底方努めてまいりたいというふうに考えております。
  14. 馬場富

    馬場富君 それにちょっと関連しますけれども、先日の委員会でも私は取り上げましたが、日本企業や個人による海外での不動産投資の過熱がハワイ等でも非常に批判を浴びているという問題を私は取り上げました。これについても、やはり法的な問題等はまた今後検討されることと思いますが、現在の宅建業法立場からも、国内不動産取引対象とするだけじゃなくて、外国不動産購入についても適用することは私は可能であると思いますし、またこれに対して行政指導を行うこともできるのではないかと思いますが、この点についてひとつ御見解局長大臣から賜りたいと思うんです。
  15. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生が先般も御指摘され、今回またあれですが、いわゆる不動産業海外での不動産投資というものが最近大変目立つというふうな報道等に私ども接しているにつけましても、今おっしゃったようなことについて気にしているところでございます。ただ、残念ながら建設省では実は実態を十分把握できていないという面がございます。と申しますのは、不動産投資、必ずしも不動産業者のみならず、その他のもろもろ関連業者が行っているというふうなこともあるわけでございます。ただ、いずれにしても、相手国の国情なり国民感情を逆なでするような行き過ぎたことについては警戒心を持って臨まなきゃならぬ、こういうふうに認識しているところでございます。  それで、今おっしゃったように、私どもは今まで国内不動産取引行き過ぎ是正といいましょうか、いわゆる投機的取引についても是正指導あるいは自粛を求めての通達等を出しておりますけれども、今後必要に応じまして私ども関係業界に対して注意を喚起する必要があるというように考えております。基本的には、関係省庁との連絡をより一層緊密化しながら適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
  16. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま局長からお答えいたしましたが、海外不動産投資をして非常に非難を浴びておる、これはゆゆしき問題であると、かように思う次第であります。各省庁がよく連携をとりまして、実際に企業として出ていく場合、これはいいといたしましても、値上がりあるいは地上げ、こういうことについては自粛をして、海外から非難を浴びないように努めなければならない、こういうふうに認識をいたしておる次第であります。関係省庁とよく連絡をとりまして、今後指導に努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  17. 馬場富

    馬場富君 局長にもう一遍。現在の宅建業法立場からも、全般については建設省として難しいでしょうけれども宅建業者については国内でも適用ができるんだから、国外についてもやはりこれに対する指導がしっかりとできるのではないか、また通達も出すことができるんじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  18. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 宅建業法世界で直接的にどうかということについては、ちょっと私どもも勉強さしてもらわなきゃならない面があると率直に言って感じますが、ただ、宅建業所管不動産業を預かっている建設省という立場で、必要な指導というものについては努めてまいりたい、こんなふうに考える次第でございます。
  19. 馬場富

    馬場富君 次に、東京一極集中排除のために政府機関移転が実は挙げられておりますけれども、これは新聞記事等には出たり質問の答えには出ておりますけれども、なかなか進んでいない、かけ声で終わってしまうんじゃないかという声も聞かれておりますが、これまでの経過と今後の見通しについて大臣からひとつ御説明いただきたいと思います。
  20. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この問題は国土庁長官所管をしてやっておるのであります。御承知のとおりであります。しかし、東京一極集中から地域分散、そのまず第一には我が政府からやっていかなければならない、これは閣議でもみんな了解をいたしておりますし、進めておる次第であります。  第一弾、第二弾とありますが、第一弾、第二弾を含めて近々その対象決定されると思います。少なくともやはり、移転をする予算、建物とかあるいはその他の費用等もございますので、六十四年度の概算要求をするまでには決定しなければならない。このことは奥野長官も常に言っておりますし、連携をしておる次第でありますが、第一弾、最初に出たのよりははるかに充実したようなことになると思います。こうしなければ効果は出ないと思いますので、私どもも相協力をし、連携をよくとって実施に移してまいりたい、かように思っておる次第であります。
  21. 馬場富

    馬場富君 昨日の新聞等では、ブロック機関はすべて地方に移転するというような原則が決められてきたというような話も聞いておりますけれども政府移転対象というのは今原則的にどんなところにあるのか、この報道のような状況で現在あるのかどうか、この点をもう一遍お尋ねいたします。
  22. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) これは閣議でもたびたび議論が出ておるわけでありますが、各対象部局が事務的に言いますとなかなか難しい。でありますから、一斉にこうした関係は全部出すというようなことで決定をして、逆にここだけはどうしても都合が悪いというところは残すが、そのほかは一斉に出していく、こういうことであります。大体そういう方向で進んでおります。  対象物件については、今いろいろ新聞報道されておりますが、新聞のが当たっておるとも当たってないともここで申し上げるのはちょっと差し控えさしていただきますが、大体その方向でこの夏までには決定をされる、こういうふうに期待をいたしておるような次第であります。これは奥野長官も非常な熱意でやっておりますし、総理自身もそういうお考えでありますから、必ず実効が上がる、こういうふうに認識をしております。
  23. 馬場富

    馬場富君 次に、地価の問題とあわせまして、東京の一等地にあるオーストラリア大使館とかあるいは中国大使館の実は売却の問題が出ております。公示価格の二倍近い値段で東京都と協議されておるということで、中国側は了解したがオーストラリア側はまだ了解していないというような問題等報道されております。これは東京都の問題でもありますが、建設大臣として、こういう外国公館等の問題につきまして基本的にどのような考え方でこの問題をとらえてみえるか、建設大臣としてのお立場から御答弁願いたいと思います。
  24. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) これも国土庁所管でありますが、東京都から国土庁にお話があったようであります。国土庁としては、東京都に対して、公示価格の倍というようなことではちょっと高過ぎるのでないか、そのことが地価高騰の悪影響を及ぼすという観点で今お話し合いが進んでいるようであります。建設省といたしましても、その付近あるいはひいては東京都心部全般地価を引き下げなければならないということに反しますので、できるだけ公示価格に合わしてやっていただくように、公示価格に近い価格取引をしていただくように希望をするものであります。  このことは、先生お説のように、東京都の問題でございますから、東京都と豪州との話し合いになる、かように思いますが、そういうことを希望をしております。
  25. 馬場富

    馬場富君 そこで、国際化時代を迎えまして、東京地価高騰が多くの大使館の、今中国オーストラリアがありますが、その他にもたくさん所有地売却を検討しておるというような情報も入っておりますし、過日は、大使館維持が困難で閉鎖も検討しているというところもある、このような問題も実は反対に提起されておるわけであります。これは非常に国際化を迎えて大きい問題である。ただ、所管東京都にありますけれども、やはり大使館公使館というのはその国の日本での顔であります。そういう地域について、非常にこの問題でトラブル等が起こってきたときに、国際問題として国としてもやはり何らかの考え方をしなきゃならぬというときに迫られるのじゃないか。  こういう点で、建設大臣として政府責任者立場からこういう問題に対して何らか関係当局等とも協議の上措置を考えなきゃいかぬときが来ているんじゃないかと、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  26. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先生の仰せのとおりであります。このことが国際紛争のもとになったり、またお説のように、大使館なり領事館を持っておる、これが維持が難しいというようなことになりますと大変なことであります。このことについてはよく外務大臣とも連絡をとりながらひとつ進めてまいりたい、かように思う次第であります。  しかし、外国そのものもでありますが、国内不動産業者なりあるいはその他の企業も、これをやはり高く買う者があるからそういう問題が起こるわけでありますから、その点については不動産業者については十分指導をしてまいりたい。その他の企業についても、関係省庁とよく連絡をとって、こういうものに余り目をつけて高く買い取るというようなことの話が余り進まないようにすべきだ、こういうふうに思っております。  いろいろ問題がありまして大変なことでありますけれども、これは必ずしも、地価が第一番でございますが、地価だけでなしに円高問題等もこれあり、大変な問題でございますから、外務省ともよく連携をとって進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  27. 馬場富

    馬場富君 建設大臣だけの責任ということではなくて、今そういう地権の問題で国際的に尾を引いておる問題もあります。かつての裁判問題等の結果、その尾を引いておる国際問題があります。そういうものを考え合わせてみたときに、世界の各大使・公使館等、こういう問題について、東京都が担当ではあるけれども地価問題があります、それから税金の問題もあります、そういうことで問題が提起されてきておるわけですから、これはぜひ大臣所管でなくても閣議に呼びかけまして、政府の統一的な見解対処の仕方をしなきゃいかぬじゃないか。ここはこうでここはこうだというようなまた不公平が起こっても大変ですし、片一方は理解したが片一方は理解しないという問題もあっては困りますし、また税制の問題もございます。  そういう点で私は、政府全体としての統一的見解対処のあり方というものについて建設大臣として当然これは閣議皆さん方協議を求めるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  28. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) お話しのとおりであります。寄り寄り閣議あるいは関係大臣とこの問題について話し合いもいたしておりますけれども、これ外国との問題でございますので、やはりそのこと自体は外務省、それから地価問題等については国土庁、ここで一元化してやる、こういうことになっております。そのことについて私ども協力をして、もろもろの問題があるわけでございますけれどもお話しのように、各国間で違いが出たり意見の食い違いがあったりしたら困りますので、今言ったような方向で進めたい。  建設省としては、せっかく公示価格があるわけですから、この規準で取引する場合は取引するし、できるだけそのまま維持をしてもらうことを希望する、こういうふうに考えておる次第であります。
  29. 馬場富

    馬場富君 あと二、三点、中部圏道路整備の問題についてお尋ねいたしますが、先日この委員会大臣より、国会明けにはぜひ視察に行きたいと力強い答弁をいただきまして大変感謝しておりますが、四全総の中でも重要な位置づけというのははっきりとしております。そういう点で、今後の活力ある中部を迎えるためにも道路整備というのは重要な問題だと思いますが、そういう点についての大臣の基本的お考え方をひとつ御説明願いたいと思います。
  30. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の名古屋圏は、四全総位置づけられておりますように、産業技術中枢圏域として開発整備を推進すべきだ、こういうふうに思います。非常に重要な地域だというふうに認識をいたしております。このためには、まず道路網伊勢湾岸道路環状線、あるいはまた東名名神、こういう交通体系、また飛行場等もございますけれども、そういうものを含めてやはり早急に開発をしていくべきだというふうに思います。  先般もお答えいたしましたように、国会が終わりましたらひとつ現地に参りまして十分見て回りたい、また皆さんの御意見も聞かしていただいて、特に道路については十次五カ年計画の中でできる限り整備をしていきたい、かように思う次第であります。
  31. 馬場富

    馬場富君 局長の方にお尋ねいたしますが、私が先般道路整備の中の質問の中で、第二東名、第二名神については国幹道法の推進によって考えていくという、また名神東名現状が非常に麻痺状態にあるので優先的にひとつ考えていきたいという前向きな答弁をいただきましたが、特に伊勢湾岸道路活用による位置決定については、地元愛知県と三重県等との調整の上で努力したいという局長答弁でございました。  この点につきまして再度、特に第二東名と第二名神伊勢湾岸道路活用位置づけについては、地元愛知県あるいは三重県そして名古屋市とともにこの活用を強く要望しておるわけであります。特に第二東名、第二名神名古屋地域通過位置については、他の場所よりもむしろ伊勢湾岸道路活用の方が最良であるという点が地元から強く、三県一市からも出ておりますし、我々が考えてもやはり立地、効果あるいは経済性、今後の中部の活力のためにもこの場所が最良と考えられますけれども、この伊勢湾岸道路事業化が現在進んでおりますので、それと並行して、ほかの場所は別としても、この地域位置づけというものは活用方向で私は踏み切ってもらいたいと思いますが、局長いかがでございますか。
  32. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 伊勢湾岸道路でございますが、愛知の豊田から三重県の四日市に至ります延長五十キロの幹線道路でございます。名港西大橋及びその関連の三キロは既に昭和六十年に供用しておりまして、残りの名港中央大橋あるいは名港東大橋を含む海上部分五キロの区間につきまして六十二年度以降事業化をしているところでございます。そこで、第二東名の問題が出てまいりまして、今いろいろ調査をしております。第十次五カ年計画におきましても高規格幹線道路網の計画の策定に伴いましていろいろ調査をしております。  そこで、伊勢湾岸道の計画と第二東名のいろんな調査との関係をいろいろ調整して取り組んだらどうだと、こういう御質問でございます。第二東名名神が国幹道の予定路線として追加されましたことから、伊勢湾岸の広域幹線道路としての性格を踏まえて第二東名あるいは名神の一部として活用することにつきまして、今いろいろ地元の御意見も伺っておりますし、また愛知三重両県、これ計画面との調整もいろいろございますので、今鋭意調整を図りながら検討を進めているところでございます。
  33. 馬場富

    馬場富君 だから、地元の要望にこたえられるような可能性は十分あるかどうか、この点についてお尋ねします。
  34. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) いろいろな地元の御要望があることは十分承知しております。現在調整をしておりまして、これはまた相手もございますので最終的にまだ詰まっておりませんが、愛知三重県とも十分調整していきたいというふうに考えております。
  35. 馬場富

    馬場富君 次に、十次五計の中で名古屋圏の自動車専用道路計画が立てられておりますが、この中に名岐道路の構想が出てきております。中部の中でも名古屋と岐阜は重要な拠点でございますが、これを結ぶ道路というのは現在二十二号の一般国道一本しかございません。そのために交通が麻痺する状態でございまして、地元におきましては、こういう交通の解決のためにも、また両拠点の活力をつくるためにもやはりこの国道二十二号線を二階建てにした高速道路化というのが強く要望されておるわけで、国の立てられた名岐自動車専用道路の構想については大変皆さん喜んでおるわけであります。どうか、この交通状況等も解決しながら、また岐阜、愛知のそういう活力をつくる一つの幹線としても、地元の要望にこたえて調査費等も考えながら早急に乗り出すべきじゃないかという考えを持ちますが、局長いかがですか。
  36. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第十次五カ年計画におきましては、大都市圏におきます自動車専用道路網の構想を取りまとめております。  名古屋都市圏では、名古屋から岐阜市方面への名岐道路、こういう自動車専用道路の構想がございます。現在名岐方向道路としましては、先生今御指摘のございました国道二十二号線というのがございます。名古屋から岐阜県の岐南まで六車線で整備されております。ただ交通は非常にやはり多いわけでございまして、例えば昭和六十年度のいろんな交通センサスを行いますと、名古屋市側は九万台であるとかあるいは名神から岐阜側でも五万六千から七万二千台、こういうような交通でございます。そこで、先ほど申し上げました大都市圏におきます自動車専用道路網の構想というものを受けまして、国道二十二号線の整備状況あるいは交通需要の動向等を勘案しながら、路線、構造上の調査をする必要があるというふうに考えておりまして、今年度におきまして、中部地方建設局並びに関係機関と調整をして調査に着手して検討していきたいというふうに考えております。
  37. 馬場富

    馬場富君 もう一点、これと同じ十次五計の中で名古屋と冨山を結ぶ四十一号線がございますが、この中でも特に名古屋と小牧間が、御存じのようにあそこには名古屋空港がございます。それで、あそこが非常に交通麻痺の状態に陥るために飛行機に乗りおくれるというような実は問題が外人あたりからも強く言われてきて、空港の生命をなくするような問題になってきております。そのために今当局におかれましても、名古屋—小牧間を片道四車線、八車線の計画が今のってきておりますけれども、あわせまして名濃自動車専用道路という計画が構想に出てきておりますから、まずこの区間だけでもひとつ調査の対象に、二階建てに直す対象にぜひ進めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  38. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず、名濃方向道路といたしましては国道四十一号線がございます。今お話しがございましたように、名古屋から小牧市の改築を現在四十一号についてやっております。名古屋二環、国道三百二号線から県道の春日井稲沢線までこの間一・七キロございますが、これについて八車線にもう既に整備をいたしました。ここで空港に取りつくわけでございます。引き続き、昭和六十三年度からの第十次道路整備五カ年計画期間内に東名高速道路の付近の百五十五号バイパスに至る間の七キロについて整備を終えたいというふうに考えております。  そこで、その方向の構想としまして、やはり十次五カ年計画におきまして、大都市圏におきます自動車専用道路網の構想、こういうものを取りまとめておりまして、その中に名古屋から美濃加茂方面への名濃道路の自動車専用道路という構想がございます。先ほど申し上げました二十二号の場合と同様に、この問題につきましても、現在の国道四十一号線の整備状況、それから交通需要の動向等を踏まえて路線構造、こういうものについてもいろいろ調査をするというようなことを考えておりまして、関係部局と調整いたしまして調査に着手をして、検討していきたいというふうに考えております。
  39. 馬場富

    馬場富君 ここで一点、先般河川局の方にお尋ねいたしましたマイタウン・マイリバー構想の点でございますが、私はこの構想の中で名古屋の堀川の問題を質問いたしました。これは名古屋市の発祥の川でもございます。また都市計画の上からも重要な位置をなしておりますが、現在は排水路のように汚れた、市民に背を向けるような形になってしまっておるわけです。だから、これをやはりどうしても市民の親しめる川にしなきゃいかぬということで、名古屋市も百年祭を期しましてこの構想実現に今一生懸命努力しておるわけですけれども建設省の進められておるマイタウン・マイリバー構想に最も適した河川でもあると思いますので、先般もかなり熱心にその要綱がまとめられておると聞いておりますけれども、今月中にもそのまとめが決定されると聞いておりますが、この状況はいかがですか。
  40. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 御指摘のマイタウン・マイリバー整備事業の要綱の制定でございますが、大分煮詰まってまいりまして、四月中にも制定をいたそうということで努力をいたしております。
  41. 馬場富

    馬場富君 当然要綱が決定されれば、この堀川につきましては、河川管理者である愛知県、また事業主体である名古屋市から申請がなされて指定をされることになると思うんですが、これにつきましては、県、市とも多年の懸案であったために、そういう要綱の決定され次第早く出して推進をお願いしたい。  特に堀川については、この問題について一番先に手を挙げ、また建設省からも指導もいただいて方向性を出した河川でもありますし、かつて江藤建設大臣も現地を視察されまして、その推進についての確約もされておりますので、地元の気持ちとしても、これすぐ申請をするからぜひ最優先的は考えてほしいという強い声がございますが、この点いかがでございますか。
  42. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生御指摘のように、堀川につきまして名古屋市、愛知県が大変御熱心であるということは私ども十分に理解しております。特に、昨年堀川懇談会というのをつくられまして、堀川総合整備構想策定のための提言というのが既に年末に出されております。そのようなことも含めまして、調査等も大変熱心に行っておられるように聞いておりますので、私ども建設省といたしましても、積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えております。
  43. 馬場富

    馬場富君 今月中にも要綱がまとまるというお話もされましたので、そういう申請等があればこれについて指定についても積極的に努力してほしいと思いますが、その点いかがですか。
  44. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 御指摘のように、近く制定を予定しております要綱の中に手順が定まるわけでございまして、まず地元の知事、市長から申請していただきましたものを整備河川として指定さしていただくという手順になろうかと思いますので、そういう申請がございましたら、できるだけ早く河川指定をいたしますように努力しようと思っております。
  45. 馬場富

    馬場富君 もう一つ、このマイタウン・マイリバー堀川構想にあわせて重要な一つのかなめとなっておるのは、木曽川の水をこの堀川に注ぐという木曽川導水の計画であります。これは別々の立場で今推進されておりますけれども、最終的には総合的な計画になっていくんじゃないかと思うんです。導水の事業につきましては、排水の円滑化のためにも今犬山の頭首工から入る木津用水の複線化の問題の工事も推進されておりますが、この進捗状況はいかがですか。
  46. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 御指摘の木曽川導水事業でございますが、昭和四十七年に実施計画調査に着手をいたしました。また昭和五十八年度から建設事業に入っておるわけでございます。  先生御指摘のとおり、事業の内容は、現在ございます木津用水に大体並行いたしまして導水路をつくりましてそれぞれの河川の治水対策に役立てるほか、利水のため、それからおっしゃいます名古屋市内河川への浄化用水の導入等をもくろんでおるわけでございます。五十八年に既に建設の看板はかけておりますわけですが、現在まで行っておりますことは、現地におきます調査が中心でございまして、どういう形の事業計画で進めていくかという肝心の全体計画そのものがまだ固まっておりません。これは、既に農業用水を中心といたしまして大変複雑な水利系統になっております地域にまた新しく導水路を引くということでございますので、大変多くの関係者の方と事業調整をしなければ全体計画が固まらないという状況にございます。その辺の調整を今鋭意図っておるところでございます。
  47. 馬場富

    馬場富君 局長、この導水には僕は二つのポイントがあると思うんです。一つは、木曽川の水を入れてきれいな水で堀川を浄化するというのもあるんですよ。その計画あとの問題といたしまして、水利権の問題もあります。だがもう一つは、あれは愛知県下の海部郡地域のゼロメートル地帯、海より低い場所があるわけです。そのためにあの十七号台風のときにずたずたにやられたんです。海からは潮は押し寄せてくる。上からは水が流れてくる。その間に挟まって河川がずたずたに切れちゃった。それが十七号台風なんですよ。そのときに上流での排水を考えなきゃならぬというのが一つあったわけです。その構想の中に出てきたのが導水よりも大きい目的があるわけです。そのためは雨水をいわゆる庄内川や新川に導くための方法として考えたのが複線化の問題であると思うんです。導水と別の話があるんです。  そういう考え方があるために、下流の人たちについては最も恩恵ある事業なんですね。そのためには、木曽川にショートカットするとか、下流に流さずに途中で大きい河川に流してしまおうという計画一つが私はこの導水計画の複線化の問題だと思うんですね。だからこそやはりこの複線化の推進については、水利権のことはまた別といたしまして、まずこの複線化については私は下流の人たちだって異議がないと思うんです。結局上流でその水を下流に流さずに大きい河川に流し込むという計画ですから、これは私は悪くないと思うので、この推進についてはやはり積極的に進められるべきである、こう考えますが、河川局長どうですか。
  48. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生御指摘のとおりでございまして、この木曽川導水事業の一番の目的は、おっしゃいますように、濃尾平野を流れております愛知県内のいわゆる低地河川といいますか、ほとんど勾配のない河川の水をいわば導水路で横取りをいたしまして洪水を防ぐということが当然一番かと思っております。  ただ、やはり多目的事業でございますので、事業の全体計画をまとめようと思いますとどうしても利水問題、それから先ほど御指摘の堀川等の名古屋市内河川への浄化用水の導水問題を切り離して事業計画を固めるというわけにまいりませんで、どうしてもやはり、御存じのように濃尾用水なり木曽総合用水なり大変大きな農業用水事業が現にあの地域に完成してございまして、またそれらが営農形態の変更等で水利用計画を変えたい云云のお話がいろいろこんがらがっておりまして、現状、大変申しわけございませんが、調整が確実に終わっていないということにあるわけでございます。御指摘の治水が第一ではないかということは、私どもも現地の地建も十分認識しておりますので、なお意欲的に事業調整を図っていこうと、そのように考えております。
  49. 馬場富

    馬場富君 そういうわけだから、利水権につきましては恩恵を受ける人たちは下流の人たちですよ。利水に対して問題のあるのは、下流のこの水でかんがいを受ける人たちなんですよ。だから、その人たちについては大変洪水のために被害をこうむることについてはマイナスですから、どうしてもそれに対して協力したいということはあるわけです。ところが利水については、僕たちが使っている水だから名古屋の堀川に横取りされてはいかぬという考え方もあるんですよ。そういう点について今両方の面で話が理解されつつ地元について強力な調整が図られようとしておるわけです。だからこの木曽川導水の問題についても私は前進する機会が来ておると思うんです。  これはリバータウン堀川の構想が指定されてくれば、その上でやっぱりその問題に関して熱心に調整が図られるようになってくるというような話も私は聞き及んでおるわけです、両方から。だから、国におきましてもこの点についての調整を図りながら積極的にひとつ乗り出していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  50. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 御指摘のように、マイタウン・マイリバー河川の指定とこの事業とは異種の事業ではございますけれども、いずれも私ども河川局所管事業の中でございます。当然有機的に関連づけて、木曽川導水の方の事業計画をまとめますことにマイタウン・マイリバーの方が進みますこともあわせて考えに入れていかなきゃいけないと思っておりますので、以後熱心にやらせていただこうと考えております。
  51. 内藤功

    内藤功君 この法案は、宅地建物取引業からの暴力団等の排除及び消費者保護目的とするものと理解をいたしますが、不十分な点が幾つかあります。  まず、本法案の五条三号の二で、宅建業の免許を受けようとする者らが傷害罪等で罰金に処せられた場合も五年間は免許をしてはならない。また、既に免許を受けている者が該当するに至った場合は免許取り消しがされる、こういうふうになっております。  ところでお伺いしたいのは、刑法上の罪のうちで、傷害、傷害助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任、これに限った理由は何でございますか。
  52. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 最近の地価高騰に伴いまして、悪質な行為が社会問題になっている、こういったことから、私ども特に暴力団等の悪質な者を宅建業から排除したい、また同時に、そのことによって顧客の信頼を確保したいということになることをねらっているわけでございますが、その中で今先生御指摘のように、刑法の中でも特に私どもは傷害、暴行、脅迫、こういった粗暴行為、それから背任のような人の信頼を裏切る行為、こういったことを行った者については免許をしないように基準を強化しよう、こういったことでございます。  これに限った理由ということになるわけでございますが、実はいろいろの見方があろうかと思いますけれども、やはり基本的には免許基準の強化に当たりましても営業の自由を制限する、こういったことが一つ制度を考える上には当然念頭に置かなきゃならぬというふうに思っておりまして、言うなれば必要最小限度のものということを一つ頭に置いていたことは事実でございます。それからもう一つは、他法令におきます類似のこういう扱いがどうなっているか、こういったことも勘案いたしまして今回のような御提案をさせていただいたという次第でございます。
  53. 内藤功

    内藤功君 私がこれを聞きますのは、これまでの東京を初めとする地上げに伴ういろんな事犯の数々を見聞きしておるわけなんですけれども、傷害、暴行など人の体への危害を及ぼすまでに至らない行為ですね、嫌がらせといいますか威圧といいますか、そういうものでいたたまれなくさせて、そこに住んでいる人が出ていかざるを得ない、こういうのが多いんですね。  私は数日前、東京都内何カ所か調べたんですが、こういう例がある。ちょっと聞いていただきたい。  理髪店に毎日やくざ風の方が角刈りの頭をしてお客を装って二人、三人とやってくるんです。もう刈るところもないのにやってくる。そこで一般のお客さんがもう寄りつかなくなってくる。それが一つの動機になって出ていかざるを得ない。こういう例をお聞きしたんですね。これは刑法二百三十四条威力業務妨害、そこまで至らざる場合は、二百三十三条偽計業務妨害、ここらあたりに当たるんだと思うんですね。そのほか、私前に委員会で取り上げた、鉄板塀で隣のうちを取り囲むとか、本屋さんでお客のいる前で土下座をするとか、それから隣家でマージャンを夜遅くまでやってどんちゃん騒ぎをやってテレビをつけっ放しにするとか等々は、これはさっき言われた六項目の要件に至らないが、非常に多いということを申し上げます。ここまでお考えになってよかったのではないかなという点でお聞きしているわけですが、いかがですか。
  54. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 率直に申しまして、いわゆる地上げ行為に伴う違法行為というか不当行為といいますか、感心しない行為という中には非常に態様が多々あるということは私どももいろいろな事例等を通じて認識しているところでございます。ただ、そういったものについて、この制度を考えるに当たりまして、現実にこれをどういうレベルで考えていくかということを我々慎重に考えなきゃならぬという点がございました。  そういったことを片方に置きながら、また同時に、今御列挙されましたような行為を本当にいわゆる宅建業者として行っているのか、あるいは何らかの関係での事実行為をやる、いわば下り走りといいましょうか、そういったことでやっているのか、まあいろいろの形態があろうかと思いまして、実はこの整理が非常に難しいわけでございますけれども、私どもは、先ほど申しましたように、一つの概念を整理する過程で、先ほど申しましたような特に暴力行為等というものをかなり厳格にとらえまして、今回のような御提案をさせていただいているという次第でございます。  おっしゃるようなそういったふうな事例というものがなしとしないことも社会問題の一つとして受けとめさせていただきますが、これにつきましては、宅建業法世界で適応、対応できるものについては今後ともしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  55. 内藤功

    内藤功君 法務省に伺いたいと思うんです。今言いました刑法の傷害、傷害助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任、これについて有罪判決の言い渡しを受けた者のうち懲役刑と罰金刑の人数、この三年間ぐらいでわかるだけ示してもらいたい。
  56. 石川達紘

    説明員(石川達紘君) 私どもには御質問の各犯罪につきましての第一審判決結果につきまして統計資料がございませんので、最高裁判所で作成されました司法統計年報の全地方裁判所の数字を第一審事件の終局人員調べによりましてお答えいたしたいと思います。  五十九年から昭和六十一年までの三年間を合計して申しますと、傷害罪により懲役刑を言い渡された者は一万一千六百九十二名、罰金刑を言い渡された者は七十四名。暴行罪により懲役刑を言い渡された者は三百八十六名、罰金刑を言い渡された者は八名。凶器準備集合罪により懲役刑を言い渡された者は百二十三名、罰金刑を言い渡された者はありません。脅迫罪により懲役刑を言い渡された者は二百三十五名、罰金刑を言い渡された者はございません。背任罪により懲役刑を言い渡された者は八十七名、罰金刑を言い渡された者はありません。暴力行為等処罰に関する法律違反により懲役刑を言い渡された者は二千五百三十名、罰金刑を言い渡された者は十六名となっております。なお、傷害助勢罪につきましては懲役刑、罰金刑を言い渡された者はございません。  以上でございます。
  57. 内藤功

    内藤功君 非常にはっきりしていると思うんですね。一つ例を挙げてみると、傷害罪は一万一千人が懲役で罰金が七十四名。そうしますと、私はこれが意味がないとまでは申しませんけれども、この罰金刑を加えてもそれほどこのことだけでは実効が上がらない。ですから、これを余り過大に評価するんじゃなくて、やっぱりこれからの運用で厳しくやっていかないといけないと思うんですが、この点をお認めになりますか。
  58. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今法務省から御答弁ありました数字に関してでございますけれども、おっしゃるように裁判所レベルのものはそういうことだろうと私どもも思います。私ども同じように法務省から司法統計年報をちょっと見せていただきましたところ、例えば六十一年の数字ではいわゆる略式命令、これを含めまして見ますると相当な数に実はなっておりまして、御参考までに罰金刑を受けた者、六十一年でございますけれども、今の七つの罪名になりましょうか、七つの罪名に関しまして一万八千七百四十八名、こういったふうな数字が出てまいっております。
  59. 内藤功

    内藤功君 いずれにしても運用でやっていかなきゃいかぬというふうに思いますね。法の五条一項七号、八号によって、法人の場合はその役員、それから政令で定める使用人、個人の場合は政令で定める使用人も免許基準の対象になっている。そこでこういう問題があるんですね。実体は変わらないのに形式的に名前だけ入れかえる、そして免許を取る、こういう脱法的なことが当然考えられる。もう一つ言えば、いわゆる「同等以上の支配力を有するものと認められる者」、これについても脱法的なやり方が当然予想されると思うんですが、これにはどう対応されるおつもりですか。
  60. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これは先生も御案内のとおりのことと思いますけれども宅建業の免許に当たりましては、その役員あるいは支店長のような政令で定める使用人、こういったものはもとより、役員でないけれども相談役だとか顧問だとか、こういったふうな名称のいかんを問わずに経営上役員と同等以上の支配力を持っている者、いわゆる黒幕というふうに言っているわけでございますが、こういったものを含めて免許基準の該当性というものを見まして我々が適否を審査しているということになっているわけでございます。  具体的に、例えば法人の場合で申しますと、発行株式総数の百分の五以上を持っている株主あるいは出資額の百分の五以上に相当する額を出している者だとか、あるいは過去に不正不当行為を行って免許取り消しを受けた会社の役員だとか、あるいは不正不当行為を行って、処分を逃れるためにみずから廃業した会社の役員、こういった人たちにつきましても、今申しましたいわゆる黒幕条項というので私どもは審査させていただいているわけでございます。それだけにこういった実態の掌握ということは大変大事になるわけでございますが、私ども、五十三年以降関係通達を累次出しまして近県同士の情報交換というものも濃密にやらしていただいているところでございます。  いずれにしましても、形式的に役員というものばかりでなくて、今申しましたような形で事実上支配権を持っている者ということに入るならばそれは免許を与えないというふうな厳しい運用をさしていただいているつもりでございます。
  61. 内藤功

    内藤功君 昨年の昭和六十二年十二月十七日付建設経済局長のお出しになった通達宅地建物取引業法の厳正な運用について」では、免許を受けようとする者等が暴力団の構成員である場合には、法第五条第一項五号の「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」に該当するので免許をしてはならない、こういうふうにあります。ところが一方、法六十六条の免許取り消しの事由を見ますとそこには書いてない。これは筋道が通らない、一貫しないように私は思うんです。当然免許取り消し事由にすべきではないかというふうに思うんですが、これはいかがですか。
  62. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今おっしゃいましたように、昨年の十二月十七日付の局長通達は、いわば入口でまずとめよと、こういうことで厳しい基準運用というものを指示、指導しているところでございます。これは今先生おっしゃったように、免許を与える与えないの段階でなくて、既に免許を与えちゃった者についても厳しく対応すべきだという点に関してでございますけれども、これは率直に言いまして、営営行為に入っているという実態を踏まえますと、いわゆる営業の自由ということとの関係もありまして、例えば暴力団の構成員でございましても、これが具体的に違法行為を行っていない場合に、今おっしゃったような免許の取り消しというふうな監督処分を直ちに行うということについてはやはり私どもは慎重でなければならない、こういうふうに思っている次第でございます。  そういった意味で、おっしゃるようなことは形の上では平仄が合っておりませんけれども、ただ申し上げたいことは、免許更新が当然三年ごとに出てまいりますが、この更新に当たりましては新規免許の場合と同じように扱わしていただくということで考えていくべきものでございます。くどいようでございますけれども、その具体の違法行為あるいは不当行為というようなものがない限りにおいて、形式的に構成員であるというだけの理由をもって免許を取り消すということについては、私ども慎重な対処が必要だという認識に立っての通達を出させていただいている次第でございます。
  63. 内藤功

    内藤功君 私はやや甘いんじゃないかという気がするんです。営業活動をこれから始める場合であろうと、営業活動を既に始めている場合であろうと、やはりここのところは、参議院の決議にもありますが、取り締まりの徹底を期すということが参議院の特別委員会での決議でもありますし、やや甘いと思いますが、運用で厳正を期していただきたいというふうに要望しておきます。  この通達では、宅建業者暴力団を利用して、当該暴力団の構成員が違法行為を行った場合、または業者みずから暴行、脅迫、詐欺、恐喝等の違法行為を行った場合、業務停止や免許取り消し等の監督処分をとることとしております。しかし実際は、暴力団に当たるかどうかということの認定は警察の資料を参考にしながら行うことになると思うんですね。したがって、厳格な暴力団ではない、警察の認定した暴力団には当たらない、しかしそれに近い、それまがいの行為を行うという団体または集団または個人がいた場合、暴力団の構成員ではないが非常にそれと同じような行動をやっている場合、そういう場合でも当該宅建業に関して監督処分の適用というものは考えられると思うんですが、この通達はそこまでいっていないのじゃないかというふうにもとれるんです。そこらあたりの解釈、運用はどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  64. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) まずはっきりさせていただきたいのは、私ども昨年十二月の通達を出させていただくに当たりましては、この認定をどうするかということが大変大事な問題であるわけでございますけれども、基本的には今おっしゃったように警察当局との連携情報交換を十分にしながら暴力団であるかどうかということを認定して取り組もうという構えでおるわけでございます。  問題は、暴力団まがいのものという御質問でございますけれども暴力団あるいは暴力団の構成員ということについては、警察当局一つ行政の取り組み方、基準、物の把握の仕方というものがそれなりに明確でございますが、今先生御指摘のようなまがいものあるいは類似のものということになりますとなかなかこれは現実には認定等が面倒なところが出てまいります。そういったことから、先ほど来申しているような十二月の通達は、そういう行為を行った場合というふうにやっぱり実行行為の段階でとらえざるを得ないという側面があるわけでございますので、この点については御理解賜りたいと思っている次第でございます。
  65. 内藤功

    内藤功君 そうすると、この通達の前段は暴力団の構成員で、後段の方では業者みずからと、ここのところで措置するということになりますか。行為でやるというのはどっちの行為でやるのか、それが答えに落ちていますから。質問意味がわかりますか。
  66. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 前段はともかくとして、後段については、利用されたといいましょうか、実行行為を行った者の実行行為というものがまず基本にあるわけでございます。と同時に、それをさせたという宅建業者とのかかわり、こういったことも当然念頭に置いて厳密にこれを調べ上げた上でもって対処してもらいたいというふうに考えている次第でございます。
  67. 内藤功

    内藤功君 その点はわかりました。  本年三月二十二日の当委員会で上田議員が、東京町田市の宅建業者太陽物産の問題を取り上げましたが、太陽物産の代理人として某右翼団体の役員それから太陽物産の社長の夫である人が町田市の職員などに対して暴行を行ったということで町田市長から告発がなされております。これについて建設経済局長答弁として、関係当局の判断を慎重に見守りながら対処していきたいという答弁がございます。そこで一般論としてですが、かような自称代理人と称する者あるいは社長の配偶者という者が繰り返し暴行、脅迫等の違法行為をしているという場合、これはさっきの御答弁で言いますとこの通達の後段の方に該当する、さように理解をしていいのかどうか、これは一般論として聞きます。
  68. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど申し上げましたように、実行行為を行っている者、これの事実と同時に、それをやらせているといいましょうか、いわゆる代理人と今先生おっしゃいましたけれども、それを行わせしめているという宅建業者との間のいわば事実上のかかわり方、この辺のところは大変大事な問題になってくるというふうに考えているわけでございます。  一般論という御質問でございますので、私どもそれ以上のことは具体的にはお答えすべき立場ではございませんけれども、今のお話の例えば町田の例で申し上げましても、私どもそういった点で、実行行為というものがある程度あったと仮にした、仮にと言ってはちょっと失礼でございますけれども、今司法当局で調査中でございますが、そういったことがはっきりしたとした場合においても、今度は果たしてそれを代理人というか、実際やらせたのかどうか、この辺のところについての問題も今後明らかにされなきゃならぬだろうと思っておる次第でございます。
  69. 内藤功

    内藤功君 次の問題は、衆議院でも中島武敏議員が追及したんですが、住友不動産が無免許業者をたくさん使って地上げをやらせていたという問題を指摘しました。無免許業者が自分でビルを建てるということはほとんどないと思うんです。いずれも転売を目的としてそこに介在をしている。無免許業者を利用した宅地建物取引についてもこれは一定の厳正な対応をする必要があると思うんですが、この点のお考えを伺いたいと思います。
  70. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 御指摘の事案、その行為宅建業法で定める業に当たっているかどうかということに基本的にポイントがあろうかと思います。私ども承知している限りにおきましては、これは今先生おっしゃったいわゆる、何といいましょうか、とりあえず子会社と申し上げさせていただきますけれども、子会社がみずからビル事業を営むために土地を取得した。これがその後、いずれにしてもいろいろな経過の中で、転売を目的としない格好で取得したはずのものを、現実にまたそのように住友不動産に貸与している、こういうふうに理解している次第でございますので、宅建業の免許あるなしという問題もさりながら、宅建業法で言ういわゆる宅地建物取引行為に当たっていないというふうに私どもも考えている次第でございます。
  71. 内藤功

    内藤功君 宅建業者が無免許業者を利用してやるということについて、さっきの通達との関係はどうなんですか。同じですか。
  72. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 一番問題になりますのは、無免許業者というものを使ってというその部分だろうと思うんです。使ってということの実態がどういう形態でなされるのか。はっきり申し上げさせていただきますと、いわゆる無免許業者を使うと今先生おっしゃったその内容について、いわゆる無免許業者宅建業法に定められている行為を行う、そういう実態をいわば含めて使ってということになるならば宅建業法との関係の問題も出てまいりますが、単に事実行為としてやるということについてだけならば、私ども直ちにこれをもって宅建業法との関係で監督処分に当たるということを今ちょっと明確に申し上げにくいというふうに考えている次第でございます。
  73. 内藤功

    内藤功君 その答えの前段のところを聞きたかったんです。  それから今度は、総務庁が昭和五十九年に行政監察をやりまして、「宅地建物取引に関する行政監察結果報告書」というものを出しております。この中で幾つかの都府県を調べまして、問題点といたしまして、宅建業法違反で検挙された業者に対する対応として三種類あるが、その内容は朗読を省略しますが、要するに、検挙された者をその段階で把握をして、各都県の主管課において事実確認の上監督処分を実施する、そういう迅速な対応が必要だ、検挙されて裁判によって刑が確定してそれからというのじゃもう遅いんだ、こういう趣旨の指摘をしておりますが、これを受けて建設省としてのおとりになった措置、対応はどういうことをおやりになりましたか。
  74. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しのように、宅建業者がいわゆる業法に触れるような違法行為で検挙された場合に、刑の確定を待って対処するというのでは行政の対応としても非常に問題があるんじゃないかということは私ども常々考えているところでございます。したがって、行政庁みずから調査を行ってその違法行為を確認した上で監督処分を速やかに実施するというのが、これは基本的に望ましいわけでございます。ただ、現実の問題としまして、検挙を受けた場合にはその関係者が勾留されてしまうとか、あるいは関係書類が押収されてしまう、こういったことからしまして行政庁、私どもがこれを調査するのはなかなか難渋をきわめるという現実がございます。そういったことで、すべてが、今先生おっしゃったように、あるいは私御答弁申し上げましたように、刑事の方の処分結果を待たないで早くやるべきであるということも断言しにくい現実がございますが、私どもとしてはできるだけ速やかにとにかく対処したいというこの基本姿勢は今後とも続けて強く指導してまいりたいというように考えております。  それで、現実に先般、例えば最上恒産の事件でございますが、これは東京都におきましては刑の確定を待たずに免許の取り消しということも行っているような事例もあるわけでございますので、私どもできる限りにおいてあらゆる努力をして速やかに対処していく、この基本線は貫いてまいりたいと思っております。
  75. 内藤功

    内藤功君 今局長言いませんでしたけれども、五十九年十二月二十日付で建設経済局長から各知事あて通達というのが出されていますね。この中で監督処分の基準の問題に触れまして、「監督処分を的確に実施するため、建設省において監督処分基準の整備について今後検討を行うこととするが、貴職」、つまり各知事においても「監督処分基準にも配慮しつつ基準を作成するよう努めること。」というふうになっておりますが、この建設省としての基準整備、作業の状況はどうですか。
  76. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) お話しのような行政監察の結果を受けまして、私ども十二月の二十日で局長通達を出しております。こういった中で、今おっしゃった基準の策定ということは監督処分を実施する上で大変に重要な目安である、意義のあるものと考えておりまして、この整備に努めているというのが現実でございます。現在までのところ、おおむね四分の三の都道府県で基準の整備がなされております。残った県についてもできるだけ急いでいただくように指導に努めてまいりたい、かように考えているわけでございます。  実はもう一つ建設省みずからの基準の策定の問題というものも当然あるわけでございますが、これは率直に言いまして大臣処分という事例が比較的数が少ないのが現実でございまして、もうちょっとこの辺は我々見きわめながら基準策定に努めたいと思っているのが一点と、同時に、基本的にはやっぱり各公共団体の基準策定というものも、これと無関係大臣基準というのもいかがかと思いますので、この辺を見きわめながら合理的な基準策定というものに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  77. 内藤功

    内藤功君 最後に大臣にお伺いしたいんですが、昨年の十月一日からことしの一月一日まで一都三県、東京及びその近県ですが、その地価動向を見ますと、国土庁地価が鎮静化したように言っておるんですが、しかし、先日発表された公示地価にあらわれていますように、東京圏の住宅地は平均六八・六%という過去最大の上昇率なんです。私は、鎮静化というのは狂乱地価の高値固定化を意味するにすぎないと思うんです。特に、東京の中でも三多摩方面が最近やっぱり上がっておりまして、住宅地は八九%の急騰になっております。悪質な地上げ行為新聞にはこのごろ余り出なくなったようですけれども、三多摩各市に広がっているということを私ども最近調査をして感じました。  私はJRの八王子駅南口方面を先日調査したんですが、都心の業者が入り込んでいるんです。執拗な土地買収、借地権者の追い出しをやっております。中には、暴力団の幹部のところに連れていかれて手付金をもらい、契約書に捺印させられるという事例も発生していると聞きます。先ほど局長は最上恒産のことを言われましたが、その法的措置についてはこれはもちろん評価をいたしますが、しかし、まだ大部分この種のものが放置されているという状況でございます。本法の仕組みからいきまして、監督処分は当該の宅建業者に限られるというために、地上げ業者を背後で指揮し、操り、それこそ使っている大手の企業には全く責任が問われない、手がつけられないというのが本法案の持っている一つの欠陥じゃないかと私は思うんです。  そこで、本法案が一定の改善であることはもちろん認めるわけですが、これで処置できるのはほんの一部にすぎない。参議院の土地問題特別委員会は、去年の十二月九日付の決議の第三項で、「いわゆる悪質な「地上げ屋」等業者に対する取締りの徹底を期すこと。」ということを各会派共同提案におきまして全会一致決議しております。本法案はそういう参議院の決議をも受けてつくられたものと理解をいたしますが、なお不十分な点はさっき指摘のとおりであります。建設省の断固たる姿勢が望まれているところだと思いますので、最後に建設大臣の、私の開陳した意見等についてのお考え方、またこの問題に臨む御決意等を伺っておきたいと思います。
  78. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど来の問答を聞いておりまして、ただいま御質問がございましたが、地価の問題は確かに安定を、安定といいますか、今上昇は都心部ではとまっておる、やや下落傾向にある、これをさらに引き下げなければならない、高値安定ではいけない、引き下げなければならない、こういうことで努力をいたしております。確かにちょっと離れたところではまだ少し値上がりがしておるということも聞いておりますけれども、特に都心部においてはマンション等も値下がりをしておる、こういうふうに聞いております。これが実感であります。  今回のこの宅建法の改正につきましては、お説のように、地上げ屋等の悪質な者を排除しよう、こういう目的で改正をして御審議をいただいておるわけであります。今後、より宅建業者が資質の向上ほ努力をされ、また国民から信頼をされるような宅建業者になるように期待をいたし、私どもとしてはそういうふうに指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  79. 青木茂

    ○青木茂君 今提出されております法案消費者保護ということだろうと思うんですけれども、一口に消費者保護と申しましても、相手が非常に近代的な進んだ業界ならば、私は消費者保護というとかえって自由経済の活力を阻害することになるんではないかと思いますけれども、相手の業界が非常におくれた、問題点をはらんでいる業界であるとするならば、これはもう徹底した消費者保護と申しますか、消費者立場に立っての規制を加えなければいけない問題だと思うわけでございます。  そこで、今問題になっている不動産業界でございますけれども、過日、一年ぐらい前でございますか、私はこの委員会で建設業界につきまして非常に近代的でないところがあるというふうに御質問しましたら、省側の御答弁で、近代的でないということは絶対ない、ただ、前近代的なところは若干はあるかもしれない、こういう御答弁があったんですけれども、非近代ということと前近代というのはどこがどう違うんでしょうかね、まずここをちょっと聞きたいんですけれども
  80. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 大変先生厳密な言葉の意味をめぐっての御質問になりますといささか私も御答弁しにくい感じを持ちますけれども、前局長のときにいろんなやりとりがあったという中でのいわゆる非近代的要素云々というようなくだりは、率直に言いまして、やはり建設業という業種、業界というものを見たときに、今後いわゆる社会資本整備あるいは住宅等の整備に当たって基幹産業として大変大きな役割を担っていくべきという大きな使命と課題を持っているということと考え合わしたときに、まだまだ改善を要する点があるんじゃないか、こういった意味での御発言が多分あったんじゃないかと思います。  しからば、ではそれはどういうことだろうかというふうに私なりにも考えさしていただきますと、幾つかの今後克服しなければならない、よりよくしなければならない側面というのは率直に言ってあるんじゃないかと思っております。一例を申しますと、いわば企業体質が脆弱な実態が残っておる、あるいはまた製造業と比べまして、いわゆる労働条件が必ずしも十分でない、あるいはまた契約の仕方を見ましても、特に元請、下請の関係などを見ますると、いまだにまだ口頭契約で済ましているというふうな側面も見受けられるところでもある、部分的な話でございますけれども。そういったことなどなどを考えましたときに、先ほど申しましたように、今後の基幹産業としての役割を果たしていく上で解決されなければならない課題がある、こういったことで御答弁されているんではないかというふうに受けとめている次第でございます。  なお、ついででございますが、私も現在この建設行政を預かっておる立場でも、いろいろと今後に向けての建設業の発展、いわば技術と経営にすぐれた企業が本当に伸びていくような基盤づくり、条件整備ということが大変官民通じて大きな課題であると認識しております。そういった中で先般の建設業法の改正をいただいて、これはいよいよ六月から施行になりますが、私ども具体的には、経営事項の審査の問題、あるいはまた建設業許可審査の今度は厳格化の問題、あるいはまた元下関係の改善、こういったことについて重点を置いた具体の行政対応をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 青木茂

    ○青木茂君 非近代ということはないけれども、前近代ということはあるというのは、実は重要な問題なんですけれども、前の方のことですからそんなに追及しても仕方がない、これぐらいにしておきましょう。  ただ、私がここでこういうまくらを振って申し上げたいことは、建設業界ですからどうも近代企業として必ずしも十分でないところがあるということになりますと、不動産業界というのはもっとひどい、非常に問題点を多く含む業界だ。それだけに他の業界以上に私は消費者が迷惑どころかかなり恐れおののく点が多々あると思うわけなんです。だからそういう意味におきまして、不動産業界に対するいろいろな注文、規制というものは、他の本当に近代企業より、より以上に積極的に内容を固めていかなければならない問題ではないかと考えております。まずこの基本的な問題について、大臣どうお考えですか。
  82. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この宅地建物取引業者一般的に個々の議論になりますと、悪質悪質と、こう言いますけれども、私は、全体が悪質なのではなくして、悪質な者がおる、これを基準に悪質悪質と言われるとちょっと的外れでないか、まじめな人が多い、かように認識をしております。ただ、一部悪質な者がいるから悪質悪質と、こういうふうに言われるんでないかと思う次第であります。でありますから、今回この改正によってより悪質な者を排除していく、そうすれば全体がよくなる、かように思う次第であります。  そして、やはり消費者の保護、国民の保護、この立場から進めていかなければならないし、近代的とか非近代的とかいろいろ言いますけれども東京都の中心部などでは大きい宅建業者が多いでしょうけれども、田舎ではやはり小規模ながら信頼をされる宅建業者もおりますし、悪質といいますか、信頼をされない者もおる、これは建設業者も同じことだ、かように思う次第であります。農村地帯の田舎に行けば、たとえ大工さんであってもやはりまじめな人は信頼を受けてそれなりにやっておるというふうに思います。でございますから、ひとつこの目的が悪質者の排除と、こういうことに重点を置いて進めていくべきでないか、かように思う次第であります。
  83. 青木茂

    ○青木茂君 そこら辺がよくわからぬですけれども、要するに悪質な者が他の業界より多く、かなり目立つ、そしてより質が悪いということを私申し上げているんです。ですから、もしそういうものがあるとすれば、そこにストレートに照準を合わせて、それをできるだけ少なくするようにしていかないと何もできない。ちょうど、よく脱税があると、これは一部悪質なやつの脱税だから、大部分はまじめなんだから一部の脱税はしようがないじゃないかという議論になってしまうと、これはどうしようもなくなるわけなんですね。だからそういう意味におきまして、私は、問題点を多くはらむ業界なんだから、かなり消費者レベルに立った規制が必要だというわけなんです。  その意味で、クーリングオフについてちょっと伺いたいんですけれども、このクーリングオフを五日から八日にしたわけですね。ただ、確かにクーリングオフというのは異常な取引状態の場合を救済するということには違いないわけですけれども消費者立場に立ちますと、とにかく何が何だかわからないままに判を押させられたというのが末端においてはかなりあるわけなんですよ。そうすると、八日というのは少しまだ短いんじゃないか。マルチ商法なんかと一緒で、これは十四日、二週間ぐらいまで延ばしてもいいような気がしますけれども、五日を八日にしたという、三日延ばしたということの何か理由はあったわけですか。
  84. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 不動産取引をめぐりましていろいろな社会事象が起こっている、あるいは先生のお言葉をかりると、大変恐れおののくというお言葉を使われましたけれども、そういったふうな業界体質という言葉でちょっとおっしゃられたんですけれども、私どもそれについては、大臣先ほど御答弁申し上げたように、基本的に認識して取り組んでいるわけです。基本的に不動産、特に住宅宅地のような大きな物件を売買するというこの取引行為については、まず基本に大事なことは、業者のことも大事でございますが、これをお求めになる消費者の心構え、こういったものも問われているということは言うまでもないと思います。  その中でのクーリングオフの問題でございますが、おっしゃったように非常に異常な状態の中でのいわば取引、申し込みというものをめぐっての制度であるわけでございますので、私ども、ゆがめられた意思決定をいわば正常な意思決定に取り戻す、切りかえる期間というものとして幾日くらい必要かなと、こういったふうな観点からできている制度であるわけです。先般小川先生の御質問にもお答えしましたけれども、こういう期間がそれじゃ長ければ長いほどいいのかということになりますと、やっぱり一般的な商取引行為に対して非常に不安定な状態になってしまうということは、これまた一つの新しい問題を残してしまうというふうに考えているところでございまして、先ほど来申しているような基本前提に立ちますと、先般も御答弁申しましたけれども、土曜日、日曜日を挟んでゆっくり考える期間というものとしては八日間というものが一つの目安として合理性があるんじゃないかというふうに考えて、従来の五日間を八日間に御提案さしていただいた、こういう次第でございます。
  85. 青木茂

    ○青木茂君 それは御趣旨はよくわかるんですけれども、クーリングオフで一番長いのが二週間ですよね。そうすると、先ほど申し上げたように、この業界はいろいろ問題点を多くはらむ業界だから、実例のある一番長い十四日ぐらいまで延ばしてみたらどうだろうかということを申し上げたわけなんですけれどもね。
  86. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今先生から訪問販売二週間という御発言ございますが、私ども動きとしてそういうことがあるということは承知しておりますが、現行法制はたしか七日間になっていようかと思います。ですから私どもは、この八日間というのは言うなれば日本の制度の中では一番長い期間、まあわずか一日じゃないかというふうにおっしゃられるかもしれませんけれども、一番長い期間をとらしていただいた。その考え方は、土、日を挟んで十分考える期間というものをセットさしていただいた次第でございます。
  87. 青木茂

    ○青木茂君 マルチ商法というのはどうなんですか、何日なんですか。
  88. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) あれも基本的には七日間のはずであります。
  89. 青木茂

    ○青木茂君 十四日じゃないですか。十四日にしようという話はないですか。
  90. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 十四日にしようという動きはありますけれども、現行制度は七日間でございます。
  91. 青木茂

    ○青木茂君 だからこちらも、八日にしようというんだから、十四日にしようとしてもいいような気がしますけれども、まあその問題はそれで結構です。  もう一つ、やっぱりクーリングオフというのは、かなりプロの人はクーリングオフということはどういうことなのかわかりますけれども一般のそれじゃ消費者の方にクーリングオフという言葉がどういう意味なのか全部徹底されているかというと、必ずしもそうでもないというと、この法律案の中に、クーリングオフというのはこういうことでと、いわゆる解説、PRですね、そうしてこれをはっきり記載させるというようなところまで持っていってもいいんじゃないか。必ずしもこれは必要な記載事項ではないというわけですね、今のところ。だから、必要な記載事項まで消費者立場に立てば持っていってもいいんじゃないかと思うんだけれども、どうなんですかね。
  92. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) おっしゃるように、幾ら制度をよくつくりましても、これを消費者の方方に一般的に周知していただく、承知していただくということが当然大事であるわけでして、そういう意味で私ども、これについて今現在まだ不十分だとすれば今後ともこういうことについての普及、啓発はさしていただきたいと思います。  問題は、クーリングオフ制度、今書面にしてという御指摘でございますけれども、契約、いわゆる申し込みを受け付けるときには基本的にはこれを告げなければならないというふうな運用をしているわけでございますので、そういったことの中で今後ともそういった制度の徹底を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  93. 青木茂

    ○青木茂君 制度の徹底ということ、全般に理解してもらって、こういうふうに消費者を守っているんだということ、単に案文をつくるだけではこれはどうしようもないんだから、できるだけ普及できるような広報活動というのか、そういうものはぜひお願いを申し上げたいと思うわけなんです。  今度は、広報活動の話が出ましたけれども、民間の不動産業界の広報活動、いわゆる広告表示、これは少々野放しが過ぎるんじゃないか。その野放しが過ぎる中で、どうしても家を買いたい、求めたい、借りたいという人が本当に必要とされるところが案外欠落しているし、案外誇大が多いし、そこら辺のところを何とか指導するというのか、消費者が信頼できる広告、これは民間にそのまま任しておいちゃ絶対できません。できませんから、それを行政立場指導するというようなことはお考えじゃございませんか。
  94. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) いわゆる誇大広告というのは、消費者に対して非常に判断を惑わす最大のポイントであるというふうに私ども深刻に受けとめているわけでございまして、それだけに宅建業法でも厳しくこれを規制しているということは御案内のとおりでございます。  問題は、それじゃこれをどういうふうに現実に運用するかということになるわけでございますけれども、現在全国九つの地区でもって不動産公正取引協議会というものが不動産業界の努力によってできているわけでございます。この協議会がいわゆる不当景品類及び不当表示防止法、この規定によりまして公正取引委員会の認定を受けて、実は業界団体の自主規制として一つの規約をつくっているわけでございます。こういったみずからの規約を持って誇大広告の自粛、自重ということに努めているわけでございますが、幸いにしてと言いましょうか、現在この協議会に加入している業者は大体全業者の九割方が加入しております。こういったいわば自主的な動きといいましょうか、企業のみずからの一つの構えという中で大分この辺の誇大広告というのは是正されているわけでございますけれども、率直に申しまして、まだ一割ぐらいの未加入業者もおる、こういったところもかなりいわゆる誇大広告のまだ後を絶たないというふうな実情もございます。  参考までに申し上げますと、誇大広告の処分というものも大分減ってはきておりますけれども、まだそういう問題が残っておりますので、これからその協議会への加入というものも我々強く指導してまいりたいし、また協議会自身、もっと言えば業界自身の誇大広告自重活動というものについても厳しい指導体制を組んでまいりたいと思っております。
  95. 青木茂

    ○青木茂君 一番問題になるのは、歩いて何分というやつなんですね、あるいは電車で何分。これがかなりめちゃくちゃなんですよ。私が実際体験した例で申しますと、駅から十分と書いてあったが、実際歩いてみたら三十分かかった。そのころ私も実は若くて非常に純情可憐だったから文句も言えなかったんですけれども、三十分かかった。そしたら途端にその業者が本気になってすごみ出してきて、ここまで案内さしてそれでノーで帰るとはどういうわけか。駅から十分と書いてあったから、駅から十分だと思ったら三十分かかったからキャンセル、こう言ったら、駅から十分、冗談じゃない、駅からジューブンかかると、こう読むんだと本気でおどすんですよ。  とにかく、悪いのは一部かもしれないけれども、ひどいのがかなりあるということは事実なんです。だからそこら辺の、特に歩いて何分なんかの規制は僕は正しくやらせるべきだと思いますよ。その点は大蔵省の銀行規制はしっかりしていますよ。例えばアドオンなんという金利体系がありますけれども、ああいうものは計算が違うから実質年利で必ず表示しなきゃいけないというような行政指導をやっていますよね。だからそういう意味において、建設省もそこら辺のところはぴしっとやってもらわないと、広告自体に対する消費者の信頼度が薄くなってくる。これはぜひひとつきつくお願いしたいですね。
  96. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま先生から具体の事例を御紹介いただきましたけれども、先ほど私御答弁申し上げましたように、協議会、こういったところでつくっている公正競争規約、これは非常に厳密につくっておりまして、例えば徒歩の話も出ましたけれども道路距離八十メートルをもって徒歩一分とする、こういったようなことなどなどが非常に細かく決められた規約を実は持っておるわけです。この規約を協議会のメンバーは守ろう守るということでやっているわけですが、今先生おっしゃったような事例もまだ後を絶たないという現実も率直に言ってあるかもしれません。これは、先ほど言ったように、この協議会に加入していない者がまだ一割前後おりまして、そういった中の業者じゃないかなと思いますが、断言もできません。  いずれにしても私ども、こういうせっかく立派な規約を持っている業界の自主活動というものは、これは公正取引委員会の認定も受けている規約でございますので、こういったものをしっかりと守りかつ実行していくように、あるいはまた協議会にさらに積極的に加入していただくように促進方も含めてこれから指導に努めてまいりたいと思っております。
  97. 青木茂

    ○青木茂君 幾ら立派な規約をつくっても、それが守られなければ何にもならないんで、だから僕はアフターケアがこれは非常に必要だというふうに思うわけなんです。  今盛んに業者団体のお話が出てまいりましたけれども、いわゆる業者団体に加入していないアウトサイダーというのは一割ぐらいですか、大体。それでいいですね。
  98. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 全国の業者数、十一万のうち、全国レベルで申しますけれども、未加入が一万、ほぼ一割ということに相なります。
  99. 青木茂

    ○青木茂君 取引件数が非常に多くて地価高騰をしている東京だとか大阪、そういうところに非常にこのアウトサイダーが何かたむろしているような感じもあるんだけれども東京のそれの比率わかりますか。
  100. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま御答弁申し上げましたのは全国のレベルで申しましたが、東京だけで言いますと、二万業者ございますけれども、そのうち約六千が未加入ということですから、未加入率が高うございます。
  101. 青木茂

    ○青木茂君 そして、いわゆる家の需要というのが大都市に集中しているというのもこれまた疑いのない事実なんだから、そのアウトサイダーが東京、大阪というような大都市に多いということは、また問題が多くそういうところから出てくるということなんですから、このアウトサイダーというものをどういうふうに、アウトサイダーが全部まじめでないとは言わないけれども業界に加入している者がより良心的な企業運営をやっていると仮にするならば、大都市に多いアウトサイダーをどういうふうにして協会の中に引きずり込んでいくか、これは自然の減少を待っておったのじゃ、むしろ逆にアウトサイダーがふえますよ。だからそこら辺はどういう手法をお考えですか。
  102. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) やはりこういうアウトサイダーが特に大都市について多いということはいろいろな原因があろうと思いますけれども、その根っこに宅地建物取引業界に参入する壁といいましょうか、非常に参入しやすいという今までの制度のあり方というものも一つ作用しているんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。基本的には、しっかりした業者にしっかりした営業を行うために免許を与えたい、ここのところを整序をする必要があるだろう、こんな考え方もあって今回の御提案を申し上げているわけでございます。  それ以上に具体的に、既に免許を持っている業者についてどうかということについては、これは行政としてこの団体に入らなきゃならぬというようなことを規制できるものでもありませんが、やはり業界団体に対する指導というものを私ども強めながら積極的に加入の促進を図っていただくように努めてまいりたいと考えている次第でございます。
  103. 青木茂

    ○青木茂君 行政が民間に余り口を出し過ぎることは私も決して賛成ではないんだけれども、前々から申し上げておるように、この業界にはいろいろ問題が多いんだから、目を光らせるということはこれまで以上にやっていただかないといけないと思います。  最後に、苦情が出た場合の処理の問題でございますけれども不動産取引であるとか何かの苦情処理の公的機関というものはどこかで扱っていますか。
  104. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 不動産をめぐります苦情というのは非常に幅広く、それだけに件数も多いということにもなっているわけでございますけれども、総じまして、国、建設省がその一つでございますけれども、あるいは都道府県宅建業取引の主管課、こういったところが行政として一つの窓口を開いているということはございます。さらにまた業界団体あるいは一般的な消費者団体、こういったものもそれぞれについて対応をしているわけでございます。  特に申し上げさしていただきたいのは、五十九年の四月でございますけれども建設省あるいは地方公共団体などが中心になりまして不動産適正取引推進機構という新しい組織を財団法人でございますが発足さしていただいております。この機構は、公共団体あるいは事業者団体消費者団体等に対しまして苦情処理に関する助言と指導、支援、こういったものをひとつ中心的にやっていこうじゃないかということで構えておりますが、そういった中で、いわばここだけの機関というよりも、行政もあるいはそういった団体も含めて総がかりでこれに対応していこうという仕掛けでございます。  ただ、具体的にいろいろと相談にあずかっている中で、いろいろな苦情の実態と同時に、解決策をめぐっていろいろな種類のものが出てまいります。基本的には民民でお話しいただいて尽くすべきものというものもありましょうけれども、その間において、宅建業に触れるもの、感心しない行為行政として指導すべきもの、これは積極的に国なり県の立場でもって指導をしている、こういったのが実態でございます。
  105. 青木茂

    ○青木茂君 時間も終わりつつありますから、簡単にお願い、これは御質問というよりお願いですけれども、トラブルが起きた場合に、そのトラブルの双方を、どこの機関であるかどうか、呼んで、いわゆる法律用語で言えば和解をさせる。それはそれで済んでしまうんだけれども一般の人にはどういうトラブルがどういうふうに解決されたかということは全然わからないから、一般の方の参考資料にならないんですよ。悪い言葉で言うと、トラブルの処理が何か示談的に、密室的に済まされてしまう。だからできるだけ、これは行政の仕事だろうと思うんですけれども、いろいろなトラブルというものを集めて一つのパンフレットか何か、本か何かにして、いわゆる公開をして、一般消費者の人に不動産取引においてこういう問題があるんだからこの点は気をつけなさいよというようなことを周知徹底させるというのが私は一つ行政の任務ではないかと思うわけでございます。  いろいろありましたけれども、最後に大臣に、私が一番最初に申し上げたこと、問題をはらむ業界ほど消費者の保護は徹底させなければならないということについて、一番最初に御答弁をいただいたんだけれども、今の一問一答を聞いておられて、少し御答弁の内容が違ってきたのかどうか、そこのところを確認して終わります。
  106. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今問答を聞いておりまして、基本的に変わったというわけではありませんけれども消費者、国民の保護という点、また宅建業者の信頼の問題、信頼される、こういうことに指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。  今いろいろ紛争がございますが、例えば土地にしても家にしても、買う人もしっかり研究をして腹決めをしていただこうし、また宅建業者の甘い言葉に乗らないようにしていただく、また宅建業者も、そういううまいことを、ジップンとジュウブンとの違いというようなことのないようにきちっと指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  107. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  110. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、ただいま可決されました宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、宅地建物取引業の実態にかんがみ、悪質な業者排除し、資質の向上及び業務の適正化に努めるとともに、中小業者の保護、育成に十分配慮すること。  二、宅地建物取引に関する苦情、紛争の迅速かつ適切な解決を図るため、処理体制の充実強化に努めること。  三、クーリング・オフ制度及び従業者証明書制度については、今回の改正の趣旨を踏まえ、その周知徹底に努めること。  四、専属専任媒介契約制度の前提となる優良な流通機構については、中小業者に十分配慮しつつ、その整備を促進すること。  五、分譲マンション等の取引に係る紛争を防止するため、設計図、仕様書の内容と実物が異なることのないよう宅地建物取引業者を厳重に指導するとともに、分譲マンション等における良好な住生活を確保するため、管理の公正と充実を図ること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  111. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  112. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智建設大臣
  113. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 宅地建物取引業法及び積立式宅地建物販売業法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いいたしまして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  114. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時三十二分開会
  116. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、内藤功君が委員辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。     ─────────────
  117. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日、住宅金融公庫及び住宅都市整備公団の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  119. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 赤桐操

    赤桐操君 今回の公庫法の改正は、親、子供が居住する住宅の建築、購入にも融資の対象を拡大しようとするものでありまするし、また増改築や大規模修繕のための改良融資にも特別割り増し制度を導入しよう、こういう考え方ででき上がったものでありますので、まさに国民の期待にこたえるものとしてひとまず私は賛意を表したいと思うわけであります。しかし、金融公庫のこれからの問題の中で貸付金利等にかなりの問題があると思いますので、これをめぐりまして以下御質問をいたしていきたいと思います。  住宅建設の問題は内需拡大のいわば柱として大変政府も力を入れているところでありますが、その中心は今公庫融資の増加となってきております。六十二年度は当初計画で五十二万戸、緊急経済対策で大型補正による二万五千戸が追加、貸付戸数の総数は五十四万五千戸となってきております。今年度は当初から五十四万五千戸という昨年の補正後の数と同数のものが設定されておるわけでありますが、一方、東京を中心とした大都市では、地価高騰等の影響を受けまして、借り入れの申し込みが大変減少してきている、こういう状況新聞等で大分大きく報道されているようは思います。六十三年度の貸付戸数の消化の状況、さらにはまた、ことし見込んでおりまする今後の消化見込み、こういったものについての建設省見解を承っておきたいと思います。
  121. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公庫融資の大宗を占めます個人住宅の回次別募集結果がございますが、六十二年度は非常に順調でございまして、前年度の申し込み受理戸数に比べまして一三%増の四十二万戸となっております。このようなことから、六十三年二月末現在の貸付実績は五十一万六千戸でございまして、金額としまして五兆二千九百二十五億円でございまして、進捗率といたしますと、金額ベースで九二・七%になっております。これを前年同期と比べますと、前年同期は八一・一%でございますから、このことから考えまして、六十二年度の公庫融資戸数につきましてはおおむね計画どおり執行ができると見込んでおります。  また、六十三年度の公庫融資戸数につきましては五十四万五千戸と六十二年と同数を盛っておりますけれども、持ち家系と貸し家系の要素別に六十三年度の着工見通し、それから公庫利用率から推計した戸数、さらにまた六十三年度におきまして貸付限度額を引き上げまして、さらに融資対象住宅の規模区分の見直しなどの制度の改善のこともございますので、そういう効果を勘案いたしますと、前年度当初から比べまして二万五千戸の増でありますが、これは十分達成可能であると考えております。
  122. 赤桐操

    赤桐操君 次に、国の住宅政策が大分広がってきておりますし、公庫の業務の範囲もかなり大きくなってきておるように思います。昨年はセカンドハウスに対するところの融資制度が創設をされ、ことしはいわば親や子供の居住する住宅資金の貸し出し、これがスタートをする。貸出制度の多様化が図られてきておるわけでありますけれども、問題は、公庫の貸出金利と民間住宅ローンの金利との間の格差の問題を私はここで改めて考え直す時期に来ているように思うんです。  そこでまず、現行の公庫融資と民間住宅ローン金利との状況関係等につきまして伺っておきたいと思います。
  123. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公庫の金利につきましては、原資であります財投資金と連動して定めることといたしておりまして、公庫につきましては法定上限五・五%をもちまして、基準金利口でございますけれども設定しております。この場合、民間金融ローンにつきましては長期プライムレートに連動してこれが定められております。固定制と変動制がございますけれども、現在民間住宅ローンにつきましては固定制が六・四八%、それから変動制が五・五%でもって執行されておるところでございまして、また金融公庫につきましては基準金利口が、一番低い金利口が四・五%、中間金利口が四・八%、それから財投並み金利が五・一%、そういう状況でございます。
  124. 赤桐操

    赤桐操君 金融が今日大幅に緩和をされてきておりますし、民間住宅ローンの金利が今お示しのように史上最低と言われる超低金利時代に入ってきておるわけでありまして、このいわゆる低金利融資を柱とする公庫融資のありがたさというものはかつての時代とは大分違いが出てきているんではないか、こういうように私は感じております。公庫の金利を引き下げていかないと、公庫の貸付対象戸数を増加させても消化は大丈夫だ、こう言っておりまするけれども、昨年創設された都市・田園複合住宅、これの消化状況等を見ても必ずしも期待どおりにはいっていないようであります。さらにまた、いろいろ最近におけるところの市場の住宅建設の状況等、あるいはことしの下半期あたりからは陰りが出るのではないかと言われている状況、こういうものをも勘案してみると、いわゆる政令金利と言われる大規模住宅並みの金利で、民間ローンの金利との差が少ない今日の制度をもってしてはいささかメリットが少ない、こういうように国民の皆さん方は感じておるのではないかと思うんです。  そういう点から、最近の新聞報道などで見られまするように、大分ローンの返済が多くなっているようですね。窓口に長蛇の列だとか、預金繰り上げ返済が急増しているというのがこの二月のころの新聞報道されておりますけれども、そういうような傾向が出てきているのではないか。今回の親孝行ローンの創設を初めといたしまして、公庫金利全般の大幅な引き上げを検討する、見直す時期に私は来ているのではないかと思うんですが、大臣いかがでございますか。
  125. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど住宅局長から御答弁申し上げましたように、令もやはり民間よりは公庫の方が安い。幅がちょっと狭いのでありますけれども、最低が四・五%、中間が四・八%、財投の五・一%、これをやはり持続していく。これはもうずっと制度的に大体決まっておりますので、なかなかこれ以上引き下げるということが非常に厳しいような状況であります、他の融資等も含めまして。でありますから、建設省としては今の制度そのものをよくしていくように努力をいたしております。最低の平米数を多くするとか、中間をもっと幅を広げるとか、こういうことで努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  126. 赤桐操

    赤桐操君 今年度の場合におきましては、個人住宅の融資の限度額を土地についても百万円引き上げる、それからまたマンションでは百五十万円、この引き上げを行うということになっているようでありますが、最近の大都市地域での異常な地価高騰あるいはマンション価格の大幅な値上がり、こういったものでもって、実際には大分いろいろこれを購入する側にしてみると問題が起きております。それで、その程度でもって追いつけるかどうか、私はは若干疑問を感じておるのであります。特に、異常な値上がりをした地域と余りそれほどまでいっていない地域との格差がかなり今回は出てきているように思うんです。  ですから、貸付限度額を現状に合った額にまで、何らかの方法でそれぞれの地域ごとの実情に見合った対策をとっていかないと、これは金融公庫としての一定の役割を果たすことができないのではないか。ある地域には大変行き届いた格好になるけれども、ある地域においてはちょっと追いつけない問題である。逆にむしろ民間ローンを利用した方が便利で簡単でよろしいというようなことになってきたんでは、一番密集地域で、大都市における望まれている地域において、本来果たさなきゃならぬ金融公庫の役割も果たすことができないことになるのではないか、こういうように感ずるんですが、その点はいかがですか。
  127. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 今回、大都市、東京圏を中心にいたしまして住宅地価格が高騰いたしまして、その影響を受けまして住宅価格も上昇いたしております。こういう中にありまして、公庫融資といたしましてもその融資の実効を確保するために限度枠の拡充に努力をしたところでございます。  まず、六十三年度予算におきまして、建築費につきましては、工事費の価格の上昇が東京と全国を比べましてもそれほど差がない。東京圏におきましては六十一年度から六十二年度までの建築単価の上昇率が三・九%の増でありますが、その他地域におきましても三・八%の増、こういうこともございますので、地域的なことは考慮せずに全国一律でもって建築費単価につきましては五十万円の引き上げを図ったところでありますが、土地費につきましては地域におきましてかなりの差がございます。そこで、まず東京圏につきましては、通常の融資限度額と特別割り増し限度額合わせまして百五十万円から最高二百万円まで引き上げることにいたしました。また大阪圏につきましては二十万円を引き上げ、その他の地域につきましては執行に当たりまして地区区分の改定によりまして措置する、こういうふうに地域の差につきまして考慮したところでございます。
  128. 赤桐操

    赤桐操君 公庫の実効貸付率の問題ですが、これは実際にかかっている費用と公庫が計算して出す費用があるわけですね。いわゆる実効貸付率というのが出てくるわけでありますが、個人住宅、マンションなどの種類別と、大都市地域と地方などに区別したものは大体総体的なものはわかりますか。
  129. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 実質融資率につきまして、まず個人建設について見ますると、これは全国のデータだけしかここへ持っておりませんけれども、全国ベースでもって五十八年には四二・一%が実質融資率でございましたけれども、六十二年は五五・三%になっております。  次にマンションにつきましては、五十八年のときに全国では三八・五%のところが、六十二年度におきましては五三%になっております。またマンションのうち東京圏につきましては、五十八年には三四・六%でございましたけれども、六十二年には四八%というふうになってございます。
  130. 赤桐操

    赤桐操君 公庫の融資というのは、いわゆる標準建築費に対するところの対象面積を掛けて、そこに八割を掛けるということになっているようですね。なかなかややこしいやり方なんです。したがって、いわゆる標準建築費というものが実情に合っていない場合は逆に今度実効の面において貸し付けはダウンしてしまうことになると思うんです。また、地域的にも建築費に大きな幅があると私も考えるのでありますが、標準建築費の地域格差というのはどういうように判断をし、あるいはまた埋め合わせするのか。
  131. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 工事費の標準建設費の出し方につきましては、地域のそれぞれの工事の実態、実費をもとに積算をすることといたしておりまして、現在それぞれの地域におきましておおむねそれほどの不平等さがなく設定されていると考えております。  なお、標準建設費と実態の建設費の差でございますけれども、これは残念ながら若干の差がございます。全国ベースで申し上げますと、昭和六十一年度でもって、標準建設費でもって実態建設費を割った数字が七九・三%でございます。これは五十八年度の時点におきましては七五・二%でありましたので、若干の改善は見られているもののまだ差は確かにございます。
  132. 赤桐操

    赤桐操君 私はこれは全国ベースだと思うんですよ。実際には大変楽なところもあると思うんですが、本当に大変なところは到底そこまでいっていないと思います。せいぜい六〇%くらいじゃないですか。見かけは八割ということになっているけれども、実際はそうではないというのが私は現場の声だと思うんですよ。そういう点から、いろいろ建設省の方で考えている、あるいは金融公庫の方で考えているような、行き届いたものだと考えているかもしれませんが、現場の方ではそういう受けとめ方ではないと思うんです。この点はどういうように理解しておりますか。
  133. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 地域別に確たる差の数字はただいまちょっと資料を持ち合わせておりませんけれども、先ほど御説明申し上げましたように、全国ベースでは差がございます。したがいまして、実効ある融資を行うという建前からいいますと、差のあることはこれは問題でございますので、そういうことを改善いたしますために、特別割り増し貸し付けを通常の貸付金額に上乗せをいたしましてまず実施をしております。  このことと同時に、最近の工事費の上昇の中の一つの要因といたしまして、性能のアップという要素がございます。これは、遮音性を高めましたりあるいは基礎を特別に強化をいたしましたり、あるいは雪国におきましては高床式をとるなり、あるいは降灰地域につきましては降灰対策を行う、そういうそれぞれの性能のアップの要素もございますので、そういうことにつきましては、通常の貸し付ける金額の上乗せをいたしまして、項目によって違いますけれども、五十万でありますとか相当の金額をそれぞれ相乗いたしまして融資をして差し上げる、こういうことでもってできるだけ実効あるように努力をしているところであります。
  134. 赤桐操

    赤桐操君 次に、金融公庫の貸出金利の問題で少しく突っ込んだ御質問をしていきたいと思います。  現行の公庫の融資金利と、さらに資金運用部のいわゆる預託金利、財投金利、これはどのような関係になっておりますか、御説明願いたいと思います。
  135. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 現在、公庫の基準金利は先ほど御説明申し上げましたように四・五%、資金運用部資金の預託金利は五・〇%となっております。公庫の基準金利につきましては、原資であります資金運用部資金の預託金利が六・五%以上の比較的高水準のときには、住宅金融公庫法の法定上限金利制によりまして五・五%でもって固定されている、こういうことが一つのルールになっております。また、預託金利が六・五%を下回るときはその変動幅に連動いたしまして公庫の基準金利を五・五%以下に設定しているところでございまして、平均的には預託金利変動幅のおおむね六割程度の幅で設定をしている、こういうところでございます。
  136. 赤桐操

    赤桐操君 預託金利が変動した場合にはそれに従って公庫の貸出金利も連動していく、この関係は大体六割ぐらいということなんですね。これがすなわち六割ルールと称するものだろうと思うんですけれども、この六割というのは、もう一遍よく説明してもらいたいと思うんですが、どういう根拠からくるんですか。
  137. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 民間住宅ローンの金利の決め方のルールがございます。この場合は、長期プライムレートが変動いたしますと、固定型の場合でございますけれども、その変動幅の六割でもってそれを連動して変えていく、こういうルールが片方にございます。  そういうことを一つの考慮に含め、かつまた、公庫融資という主として低額所得者を含めたそういう国民一般に対する融資でございますので、これは安定的かつ計画的に融資をしていかなければいけないということで、変動幅につきまして、金利が下がっているときはそれほどの問題は生じないわけですけれども、金利が低いときに今度は預託金利が上がった場合に、完全連動という方式をとった場合につきましては急激に金利が上がってしまう。過去に、最低金利のときに公庫の基準金利四・二%というのがございましたけれども、このときに預託金利が〇・六%上がりまして四・六から五・二に上がりましたときに、公庫の基準金利につきましては四・二を完全連動いたしませんで四・六にとどめた、こういうこともございましたので、低金利のところから変動するときにはむしろ完全連動でない方が有利に働く、こういうこともございます。また高金利のときにつきましては、先ほど御説明を申し上げましたように、法定でもって五・五%と上にいく方は抑えられております。  そういうこともありまして、全体といたしまして六割幅をめどに変動させるというルールを現在とっているところであります。
  138. 赤桐操

    赤桐操君 私は大体基本的な物の考え方が、金融公庫の金利はもっと下げるべきだ、こういう考え方を基本に持っておりますので、そういう観点で今質問をこれからもしていくわけですけれども、私は諸外国の例と比較しても高いと思っております、日本の金利は。したがって、住宅政策から考えていってもこれはやはりもう一遍考え直すべき時期が来ている、こう実は考えながら質問していることを前提として了解しておいてもらいたいと思うんです。  高金利の時代は確かに八%から九%、一〇%前後のものがあったと思うんです。中小金融あたりの銀行から借りる場合においては大変な高利なものを借りなきゃならなかったと思いますけれども、現在ではこれはもうそれが過去の時代のことであって、今日はまさに金融自由化の時代、選択の時代だ、競争の時代だ、こういう時期に入ってきている。私は、いつまでもその時代のことが根底に置かれて論争すべきものではない、もう時代が変わった、こういう実は認識に立っているわけです。したがって、かつての高金利の時代にはこれは五・五、そしてその六割ルールでもって処置をしていく、こういうことの時代はあったかもしれないけれども、低金利時代で、財投金利も長い間低水準にあるわけでありますから、基準金利との連動については、これはもうまさに預託金利変動幅の六割分を下げるということではなくて、やはり完全連動を原則とするような考え方に立つべきじゃないか、こういうように思うんですが、どうですか、大蔵省の考え方は。
  139. 浅見敏彦

    説明員(浅見敏彦君) 住宅公庫の金利のレベルについて、あるいはその変動の仕方についてのお尋ねでございますが、まず、住宅公庫の金利につきましては固定金利制をとってございます。既に先生御高承のとおりでありますが、先ほど来往宅局長からも御答弁がございましたように、個人住宅の標準住宅Aと私ども呼んでおりますが、この金利は当初十年間四・五%、十一年目以降が五・一%となっております。これを民間住宅ローンと比較いたしますと、これも先ほど建設省から御答弁ございましたけれども、民間の場合は実は固定金利制と変動金利制の選択制になっておりまして、この固定金利をとりました場合には六・四八%ということになります。ちなみに変動金利をとりますと五・五〇%でございますが、これは、私ども家を建てますときに、極めて長期の借り入れでございますので、やはり将来にわたる家計の支出ということを考えますと、将来の返済計画がある程度確定している方が望ましいということで、固定金利をとるケースが多うございます。  そういうことで考えますと、例えば現在極めて低金利と言われております状況でも、民間が六・四八でございますので、六・四八と四・五の間に約二%の差が当初十年間ございます。以後十一年目以降でも一・四ございまして、こういった金利のレベルあるいは貸し付けの期間ですとかそういった点も考えますと、現在の水準というのはやはり住宅を建てる方にとってそれなりのメリットのある制度ではなかろうか。そういうことで、最近の実績をちょっと見ますと、六十二年度の貸付契約が約五兆五千億に近いところまでまいっておりまして、前年度比で二六%ふえているということで、これはお借りになる方にとってやはりこういう低金利の時代でもメリットがあるのではないか、かように考えている次第でございます。  それから金利の変え方の問題についてもお尋ねがございました。これも先ほど住宅局長から御丁寧な御答弁ございましたけれども、私どもは、金利の上げ局面、下げ局面、いろんな局面にわたって住宅建設そのものに影響が出ないようにやっていくということが長い目で見て大切ではないかということで、これまでも十分配慮してまいったつもりでございます。金利のレベルの設定及び適用の時期、これも赤桐先生よく御承知のように、住宅公庫の場合募集期間という制度をとっておりますので、特に下げますときにはさかのぼって当初の募集から適用するというようなことで、財政負担が伴うわけでございますが、そういったことに意を用いておりますけれども、そういった金利のレベル及び適用時期等につきましても今後とも十分配慮いたしまして、建設省御当局とよく御相談の上決めていくべきものだ、かように考えております。
  140. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、この六割ルールでいくんだと、こういうことですな、局長
  141. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 現在の金融公庫に出されております補給金の額と、それから累積しております補給金等の関係も考慮に入れなければいけないと思うわけでありますけれども、そういうことを考えましたとき、それからまた、先ほども説明申し上げましたように、低金利時代から上昇局面にあるときの有利さ等も考えまして、おおむね六割という幅でもって当面は運用していかざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  142. 赤桐操

    赤桐操君 御答弁をいただいたところでありますけれども、最近の公庫の貸出金利の改定を見ますと必ずしもそうじゃないだろうと思うんです、正直申し上げて。これは数字で出てきていますから、これで見るとちょっと理解のできないところがあるんですね。  六十三年の二月の段階においては預託金利が五・二%から五・〇%、これは〇・二%下がっている。ところが、今六割ルールだということでいくんだったならば、基準金利は〇・一二%下がるべきところを、基準金利は四・六%から四・五%にしか下がっていないんです。要するに〇・一%しか下がっていないんです。六割下がっていないんです、六割になっていない。こういうようになってきているんですが、これはどんなふうに理解したらいいんですか。
  143. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほど、完全連動でなくある率をもちまして運動設定しているという考え方でもって御説明申し上げましたが、最近の財投の金利の変更の度合い、度数、それから変更幅等がかなり頻繁に行われておりますので、そういうことを考えましたときに、厳密にその都度その都度六割でもって変動ということは、数字が大変細かくなるということもございます。そういうことも考え、また六十二年度におきましてはいろいろ経済対策上内需振興という大きな役割もございましたので、そういうこともまた背景に置きながらおおむね六割をめどに変動しているところでございます。  直近におきましては、財投金利、預託金利が〇・二%下がりまして公庫金利は〇・一%しか下げなかったので、これは比率からいえば五割でございまして、六割では確かにないわけですけれども、全体として大きな流れとしては六割をめどに変動させていく、こういうことでやっているところでございます。
  144. 赤桐操

    赤桐操君 いろいろ言わんとするところはわかるんですが、余り大蔵省に遠慮しなくてもいいんじゃないですか、正直申し上げて。私も、きょう来ていらっしゃる方々は大蔵委員会当時いろいろお世話をかけた間柄ですから、まあそのことも忘れて言っているわけじゃないけれども、事業官庁というのは仕事をするのが任務ですよ。大蔵省は、何のかんの言っても予算を何とか逃げようとしますよ、要求されるものを。だから、事業官庁が遠慮しちゃったんではこれは私は本当の国民のための行政ができないと思うんですよ。大蔵委員会で私がやっている当時の私の基本姿勢建設委員会のやる基本姿勢は違ってくるんですよ、正直申し上げて。そういう観点にも立っている、私は。大蔵省の方から来ていただいた方々を目のかたきにして言うわけじゃないけれども、余り遠慮することはないと思うんですよ。  何で六割というんなら六割やらないんですか。そして四・六%から四・四%に下げたらどうですか。新聞でもこのことを指摘しておりますよ、世論でも。もう少しはっきりした御答弁をいただきたいと思うんですがね。
  145. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 御支援の御指摘、住宅対策を執行する私としては大変ありがたいお話でございますけれども、特段の遠慮を申し上げているわけではございませんで、例えば六十二年五月三十日に改定いたしましたときは、預託金利が五・二%から四・六%と〇・六下がったわけでありますけれども、このときに公庫基準金利につきましては四・七から四・二と〇・五下げたところでございます。これは下げ率からいいますと八割以上という下げ率でございまして、別に六割にいつも固執しているというわけじゃございません。先ほどもちょっと御説明を申し上げましたけれども、このときは景気対策ということもございまして、特に住宅対策頑張る、こういうことで大蔵省の協力も得ましてこういうふうに大幅に下げて執行したところでございます。  こういうこともございまして、六割は一つのめどでやらしていただいている、こういうことでございます。
  146. 赤桐操

    赤桐操君 正直申し上げて、そういうめどでおやりになっていただいていることは結構だと思いますが、両省で御努力いただいていると思うんですけれども、改定の都度少しずつ値切られてくるような感じがするんですよ、今の数字を見ていると。たまにはそういうこともあると思いますけれども、だんだん落とされてきているんじゃないか。  それから、これから後段で補給金の問題でもお尋ねしたいと思っていますけれども、補給金だって同じですよ。何もこんな程度のものを後へ後へ持っていく必要ないと思うんですよ。これだけ予算が今、増収といったって大変なものだし、NTTの収益だって大変なものですよ。金が余っちゃっているんです、大蔵省は。そういうようなときに何も事業官庁が、国民のためにいろいろ、特に住宅対策というのは今の内閣の主たる柱なんですよ。それを遂行するということであるならば、絶対値切らせない、少しでも余計にがめつく獲得していく、こういう線が出てこなければ私はおかしいと思うんです、正直申し上げて。またそれを国民は政府の非常に温かい措置であるということで受けとめていくと思うんです。ですからそういう意味でもって考えていかなきゃならないと思うんです。  そういう考え方に立ちますと、良質な資金を融通するという住宅金融公庫本来の目的から考えれば、当然もうこれは基準金利は預託金利より一・〇%以上の低水準に求めるべきだというふうに私は考えるんです。ということは、国際金融ということで今日はいろいろ自由化の時代に入っているんです。アメリカの銀行が日本へ来てもいいんです。日本の銀行がアメリカへ行ってもいいし、ヨーロッパへ行ってももちろんいいんです、構わないんです。ほかの国ではどうやっているかということを見なきゃならぬ。ヨーロッパの各国はほとんどこんな高い金利でやっているところはないと私は思うんです。したがって私は、思い切って預託金利よりも今申し上げたように一%以上の低水準に持っていくべきだ、こういう主張をするんですが、いかがですか。
  147. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅対策の観点から見ますれば確かに基準金利をできるだけ低位にするということは非常に重要なことだと考えております。しかし現実の問題といたしまして、厳しい財政再建の途中にあります現時点におきまして、御案内のように大幅な特別繰り延べ額を要しておる状況にありますときに、そういう中にあって公庫の融資をさらに内容をよくしていくという要請も片やございます。貸付限度額を引き上げるという要請も強いわけでありますし、また規模別の規模を大きくしていくということもまた大きな要請でございます。それからまた性能を充実するためにいろいろな政策割り増しにも対応していかなければいけない。  こういう新しい施策要請にこたえていくためにも、そういう苦しい中で財政資金を効率的に執行していくためには、金利差が大きくなりますと財政の負担が大変大きくなるということで、ある程度はやむを得ない状況であるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。低ければ低いほど私どもとしては望ましいわけでありますけれども、現実としましてはやはりそういう制約条件下にあるということで、やむを得ず六割というようなことを一つのめどにしまして執行しているという状況でございますけれども、公庫融資を充実するということについては私どもももちろんそういう気持ちでございます。
  148. 赤桐操

    赤桐操君 五十七年の公庫法改正で、貸し出しも十一年目以降はすべて財投並み金利となる。財投並みというのは五・一%、今の数字でいきますと。段階金利制がこういう形で導入をされる。そしてまた基準金利と財投並み金利の間に中間金利が設けられた。これは五十七年ですね。三つの規模別の金利が設定をされたわけでありますけれども、これらの三つの金利相互間の金利差についてはどういう操作で行われていくんですか、またきたんですか。
  149. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 規模差によりまして金利を五十七年に改定いたしまして、新しく規模差に基づく制度を設けましたけれども、このときの一つ考え方といたしましては、規模の大きい住宅、こういうものを一つ政策の対象にしていこうと。全体の住宅水準を引き上げてまいりますときに、規模がだんだん大きくなっていくという状況、現実的にも持ち家につきましては年々規模が大きくなってきておりますけれども、こういうことを踏まえまして、現在の日本住宅事情の中で居住水準が一番厳しく映るところは規模の問題でございますから、そういう意味で大規模のものをできるだけ供給していく、こういう観点からは政策融資対象の中にも大規模のものも入れなければいけない、こういうことが片方あるわけでございます。  しかしながら、同時にまた、厳しい財政状況の中でそういう新しいことを盛り込むということにつきましてもまたかなり困難な点がございます。したがって、新しい大規模のものに対する政策融資の金利設定につきましては、大規模のものを建設する方々も比較的所得におきましても小規模のものをつくられるよりは余裕があると申しますか、相対的には裕福な状況等もございますので、そういうことも考慮いたしまして、金利につきましては、大規模のものにつきましては財政負担のかからない財投並み金利というような形でもって設定をさせていただきまして、中間のものにつきましてはそのおおむね半分、そういうところでもって設定したところであります。
  150. 赤桐操

    赤桐操君 財投並み金利というものが大変底になっているように思うんですけれども、なかなかそれを超えることができないようでありますが、最近は預託金利が下がってきて、しかもそれが基準金利に完全に連動していない。今のような御説明でありますが、財投並み金利と基準金利の差がますます今後縮まってくるわけですね、そういう関係から。したがって、中間金利制というものを設けておくということについてはいかがかと思うんです。  これを数字で見てみますと、六十年の十月段階における財投金利は六・八五、中間金利が六・四%、それから基準金利で五・五、こうなっている。この財投金利と基準金利の幅というのはこれは一・三五の幅があるんですよ。ところが六十一年の四月になってこれを見てみるというと、財投金利が六・一五で中間金利が五・六五、基準金利が五・二五ということでその幅は〇・九%に縮まっちゃった。これは大蔵省の方も御存じだと思うんです。それから六十三年、本年の二月になると、これは財投金利が五・一%、いわゆる中間金利と称するのは四・八なんです。それで基準金利というのは四・五です。四・四じゃないんです、四・五です。そうするとその幅は〇・六ということになる、財投金利と基準金利の差が。  こういうような状況にまできてしまっているのに、三つの方式による分け方というものをあえてしておかなきゃならぬ理由があるんですかね。私はもうこういう中間金利を設けておく必要はなくなってきたというように感じるんですが、どうですか。
  151. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 制度を導入した最初のときに、大型住宅について財投並み金利口を設けまして、また基準金利との間の開差もございましたので、そこをなだらかにつなげる、こういう意味合いで中間口を設けまして制度が発足したわけでございます。その後財投並み金利と基準金利の差が縮まってきた状況でございますけれども、一応制度としてそういう三段階制をしいたということでございますので、これを現在差が少し縮まったということだけでこれを撤廃するということもいかがなものかと考えまして、現在こういう制度に引き続きしているところでございます。
  152. 赤桐操

    赤桐操君 私はこれから逆戻りするというのは余りないだろうと思うんです。六十年段階の状態は今の倍の差がありますよ。倍を超えています。それが縮まっちゃっている。もう中間なんかなくていいんですよ。五十七年以前の状態は戻っちゃっている、こういうことになると思うんです。だから、必要があってこんなことをやったんだろうと思うんだけれども、なだらかなということもわかりますけれども、もうこれからは必要ないように思うんだがね。その意義と役割というものは終わった、こう私は判断するんですが、どうですか。
  153. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 現在三段階制で、なだらかということでやっておるわけですけれども、こういうなだらかな状況にありますときに、例えば規模別の区分の限界をそれぞれ上昇さしていく、改善を図っていくときにこの中間金利口があるとするならば、比較的これはやりやすいと申しますか、二段階制より三段階制を設けました方がそれぞれやりやすい、こういうメリットがないわけではございませんですし、そういうことを全体的に考えましたときに、これをあえてまた二段階制に持っていくことも考えなくてもよろしいのではないかというような考え方でございます。
  154. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしても、低金利時代に入ってきておりまして、民間住宅ローンの金利も下がってきている、公庫融資との実質的な差が縮まってきている、こういう今日の状態の中で、一方地価高騰が、先ほどの質問にもありましたけれども、私はこれ以上余り下がらないと思うんですよ。日本のいわゆる公示価格であるとかあるいは鑑定士によるところのいろいろ作業とか、さらにまた日本住宅団地のつくり方、こうしたものを見ているというと、これ以上押し上げても下がらないと私は判断するんです。いわば住宅価格がこれからは急騰していく、こういう状況の中では私は公庫金利というのはますます考えていかなきゃならない段階に来ておる、配慮すべき時期に来ている、こういうように考えるものであります。  今回新しい融資制度が次々にできてきておりまして、先般のセカンドハウスのいわゆるローン、それからまた今回の親孝行ローン、こういうようになってきているわけでありますが、セカンドハウスは五・三%、それから親孝行ローンが五・一%。セカンドハウスというのは、一つ持っていながら、例えば通勤用であるとかあるいはその逆であるとか、そういう意味で使わなきゃならないものであるし、それからまた親孝行ローンの今回の問題にしましても、これはいわばまさに趣旨はそのとおりのものでありますが、こういうものこそ私は基準金利の適用が行われてしかるべきだと思うんですが、この点は建設省としてはどう考えますか。
  155. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 公庫融資の考え方といたしまして、まず、みずからが居住する住宅を第一優先に考えているということが一つございます。したがいまして、六十二年に設けました複合居住用住宅につきましては、みずから居住するという第一の住宅に加えての住宅、二番目の住宅、こういうこともございまして、財投並み金利にさらに〇・二乗せた金利に設定をしたわけであります。  今回の親孝行ローンの金利につきましては、現在行っております一般貸し付けの大型住宅の金利、これは二百二十平方メートルまでのものでございますけれども、これにつきまして財投並み金利五・一%でもってこれが執行されているところでございます。したがいまして、そういう大型住宅は通常の場合は親子三世代居住というような場合に多く使われるわけでありますけれども、そういうことを考えましたときに、親族のための居住に要する二番目の住宅、みずからは居住しないけれども二番目の住宅、こういうことでもありということで、そこら辺を総合的に勘案いたしまして大型住宅並みの金利、つまり財投並み金利五・一%に設定をしたところであります。
  156. 赤桐操

    赤桐操君 これは十一年目からは五・一になるんでしょう、いずれにしても。財投並み金利になるわけでしょう。  どうなんですかね、せめてこの親孝行ローンというローン制度は基準金利を適用することはできないんですか。どうしても五・一%以上に持っていっておかなきゃいけないんですか。去年、ことしと二つつくっているわけですよね。いずれも五%の枠を超えることができないんですか。落とすことができないんですか。どうしても五%以上に位置づけよう、位置づけようとされているように私には見えるんですけれども、それがだめだということは、どうしてできないんですか。四・八という数字もあるんですよ、中間金利方式で。これを使ったっていいと思うんですよ、もし基準金利ができないというんだったならば。三段階あるというならば、中間のやつは使えませんか。
  157. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 現在実行しております一般貸し付けの中の大型住宅、これはいわゆる老人同居の住宅の場合ほとんどがここに該当してくるわけでございます。老人同居、つまり親と一緒に同居している、こういう実態がありますので、これの金利が五・一という財投並み金利で執行していくということになりますと、隣居、近居といえども二番目の住宅というのはもとのみずからが居住している住宅と一緒に考えざるを得ないということから考えますと、新しい制度でありますけれども五・一にせざるを得ない状況があろうかと思います。  しかし、金利を下げることにつきましては、基本的には住宅対策としては必要なことでございますので、今後こういう一般貸し付けにおきますそれぞれの金利の規模区分をだんだんと見直していく状況は今後続いていくと思いますけれども、そういう中であわせて検討していかなくちゃいけない問題ではないかと考えております。
  158. 赤桐操

    赤桐操君 住宅改良資金というのは四・八でしょう。
  159. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 中間金利口の四・八でございます。
  160. 赤桐操

    赤桐操君 これは今の説明との関係はどうなりますか。
  161. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 親孝行ローンの中に改良も含まれております。親が住んでいる住宅を改良する場合も建てかえる場合も親孝行ローンの中に入っておりまして、この場合につきましては、親の住宅を改良するということでございますので、一応財投並み金利の方でやっております。
  162. 赤桐操

    赤桐操君 これはもう一つ進んで四・八に抑えたらいいですよ。五・一というのはおかしいですよ。もう一歩進めていくべきですよ。私はそう思う。そういうようにして少しでも五・一というこのラインを突破して低金利へ低金利へと住宅政策を持っていかなければ、これは建設省の使命を達成できないと思いますよ。これに対して大蔵省もやはり格段の理解をすべきだと思うんですが、大蔵省の考えはどうですか。
  163. 浅見敏彦

    説明員(浅見敏彦君) まず、金融でございますので資金にコストがございます。御高承のように住宅公庫の場合運用部から借り入れてまいりますので、これと同じ率で貸したといたしましても所要の経費分は逆ざやになるということでございますので、もう既に御高承のとおりでございますけれども、現在の例えば四・五%というような金利が実現できるのは、まさに財政資金を投入することによって実現するこれは政策金利だというふうに理解できるわけでございます。  そこで、限られた現在の厳しい財政事情のもとで財政資金をどこにどのような優先順位で投入するか、こういう判断の問題に私はなってくるのだろうと思うわけでございます。今御議論のございます親孝行ローン、あるいは昨年度発足をいたしましたいわゆるセカンドハウス、これが五・一なり五・三の現行水準でございますが、これは実は私ども政策金利全体を見せていただいております者から拝見いたしますと、例えば一般の自己居住の用に供するものとの差がなぜできたのかというところは、先ほど来住宅局長から御説明のございますように、高齢化社会への対応という社会的な政策目的があるにせよ、みずから居住するのでないというその差に着目し、一定の差を設ける。セカンドハウスの場合は必ずいわば二戸目の住宅だということで、またややそれよりも優先順位が落ちるということで若干の差を設ける、こういったきめ細かな段階的な金利水準が設定されているというふうに思うわけでございます。  ちなみに、一言関連の金融機関の例をちょっと御説明させていただきますと、例えば日本開発銀行でございますとか北海道東北開発公庫等がさまざまな融資を政策目的に沿って行っておりますけれども、これの実は基準金利、私ども基準金利というときは、これは五・五でございまして、いわゆる長期プライムレートでございます。そして、こういった機関の最優遇特利と私ども呼んでおりますが、特別金利のうち最も優遇されたものが実は財投並みの金利ということになっておりまして、その特利が一から五まで実はございます。特利五というのが最優遇になってございますが、そういうのに当てはめますと、ただいま御議論のございます親孝行ローンとかセカンドハウスというのは、こういった金融機関で言えば特利四・五とか特利五に当たる金利で、それが長期二十五年とかそれ以上で借り入れるというのは、私ども政策金融全体を見、財政資金とのかかわりを持つ者から見れば、それなりの重要性を判断しての金利である、かように感じておるところでございまして、以上御説明をさせていただきました。
  164. 赤桐操

    赤桐操君 大蔵の方に私は申し上げたいと思うんですが、住宅政策というものは国の手段に使うべきものじゃないんですよ、本来。私はヨーロッパ各国の状態や何かを何回も見に行ってきておりますけれども、景気の浮揚、活性化のための手段ではないんです、これは本来。そういう考え方に立っているから土地というものが商品になってしまう、家というものが商品になっちゃう、私はそう考える。少なくとも家というものや土地というものに対しての物の考え方が、それは日本の場合におきましては憲法もあるし我が国の法体系から見ていったって個人の財産であり権利であることは間違いない。しかしこれは商品化していくべきものではないと思うんですよ、本来的に。ところが、いつの間にか戦後日本の政治の中でこれが商品化されてしまった。だから今日土地でこれだけ苦労していると思うんです。  そういう意味で考えてみるというと、国の住宅政策の一番大宗としてその任を背負う金融公庫の今回のいろいろ打ち出している政策については、そういった考え方をきちっと整理しながらその面の政策として表現していく理念がなけりゃならないと私は思うんです。一般銀行の場合においてはそれはわかりますよ、銀行は金を集めてそれを循環しながらもうけていく機関ですから。これは私はそれなりにいいと思いますけれども、少なくとも国の政策として行うこの種の金融公庫の住宅政策ということになるならば、やはり私はその点をきちっと理念として確立しながらやるべきだ、こういうふうに思うんです。  そういうような観点に立つというと、今回の、何というか、今の御答弁がよくわからないんですが、公庫の調達原資として資金運用部の金を使っていくわけでありますから、確かにこの資金運用部の金を回して、大蔵省の立場にすれば大変大きな貢献をしているということになると思うんですけれども、しかし、どうも資金運用部資金の預託金利より高い金利が適用される融資制度のところにすべての政策が集中してきているように思う、最近。だからこのセカンドハウスにしても今回の親孝行ローンにしても五%の段階をダウンさせることはできない、こういうように私は感じてしょうがないんです。そういう意味で私は受けとめながら、ある意味における批判を含めて今質問しているわけです。  したがって、言うなれば、基準金利分の融資の拡充、改善が建設省の本来の道筋でなきゃならないと思うんだ、僕は。それがこれからの日本の土地政策になり、住宅政策の基本をなすようにしなければ土地の問題も解決しないし、マンションの高値も低くなりませんよ。その基本的な考え方を一体どうあなた方は受けとめているか、こういう問題だと思うんです。これは建設省だけでできることでなくて、大蔵省にも真剣に考えてもらって、大蔵省自体だってそうでしょう、幾ら資金運用部で金を集めていってこれを財投で使ってみたところで効果のない金の使い方なんて意味がないでしょう、現実の問題。今百八十兆ぐらいになっているでしょう。その金をやはり効果のある金にしていかなければ意味がないというんです。土地費に食われてしまって、道路をつくろうと思ったって道路を斜めにつくるんじゃこれは話にならないでしょう。そういう意味で、物の考え方の基本から考え直していかないとこれからの建設行政はできませんよ。それから大蔵省の資金運用部で集められている金の趣旨からいったって相反することになりますよ。  こういうことを今申し上げているつもりなんですが、どうですか、両省の考え方は。
  165. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅対策を充実していくための基本的な課題の一つとして、規模別に金利が設定されております規模区分の上昇を図っていく、引き上げを図っていくことが大きな問題として一つあると思っております。この規模区分の引き上げにつきましては、五十七年度に基準金利口は百十平方メートルに設定したところでありますけれども、その後の改善によりまして六十三年度は百二十五平米になってきているところであり、大型住宅は百五十平方メートルが二百二十まで広がっているという状況でございます。住宅対策をより充実していくためには、中長期的にもこの規模区分はそれぞれ改善をまず図っていくべきだと私は考えております。  それと同時にまた、新しく政策融資の対象に加えたものにつきましても、住宅の住まい方、これが多様化してきておりまして、現在では、みずから居住する住宅一つ持つことが住宅の基本ということで体系が組まれておりますけれども住宅の将来のあり方を考えてみますときに、例えば人口千人当たりの住宅数が日本では三百二十ぐらいでございます。アメリカで約四百、スウェーデンなどにおきましては四百四十戸という数字になっておりますから、そういうことを考えますと、将来はまた住宅の住まい方も大きく変わってくる。こういうようなときになりますれば、先ほどの規模区分の改善と両方あわせまして、新しいそういうものに対する金利の考え方もまた新しい考え方をとっていかざるを得ないのではないかと考えております。そういう中長期的な動きも含めましてこの基準金利口の拡充につきましては大いに拡充すべく努力をしてまいりたいと思っております。
  166. 浅見敏彦

    説明員(浅見敏彦君) 先ほど来御説明さしていただきましたように、私どもも、住宅政策並びに土地政策等の重要性を十分に念頭に置きつつ、限られた財政資金を少しでも有効に使おうということで金利体系等に工夫をしてまいっているわけでございます。ただいま例えば段階金利制等につきまして赤桐先生からの御指摘があり、建設省住宅局長からの御答弁がございましたが、こういったことにつきましても、よくそういった問題を念頭に置きつつ、今後とも御相談をさせていただきたい、かように考えております。
  167. 赤桐操

    赤桐操君 この辺で、この問題は大変重要な問題だと思うので、大臣のお考えをひとつ改めて伺っておきたいと思うんです。
  168. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 先ほど来の問答を聞いておりまして、先生が非常に建設省住宅政策に激励を賜っておりますこと、感謝を申し上げます。  率直に申し上げまして、私ども予算のときにいろいろ折衝をいたしております。例えば基準金利の百二十平米を五平米上げるだけでも皆さん大変意見を闘わしてやっておる。そういう姿を見まして、私も五平米がそんなに大事かという話をしましたら、この五平米が大事なんだと。なぜなれば、良好な住宅ということ、坪数で言いますと一坪半ですね、一坪半をふやすだけで、基準金利をふやすだけで住宅が非常によくなるんだ、こういう話を聞かされたわけであります。  先生の言われるように、中間金利の分も私どもはでき得ればこの基準金利に一緒に持っていったらいい、こういう考え方も率直にいたしました。しかし、やはりそれだけ大きい住宅を建てるということになりますと、低所得者よりも所得の少し高い人の方に有利になるんではないかという考え方もあったりいたしまして、いずれにしても、住宅政策そのものをやるといたしますと、できるだけ金利が低い、四・五%も今では低いと思っておりますが、さらに下げた方がいいことにはこれは間違いないのであります。また、その平米数もふやしていく、あるいはセカンドハウスにしても親孝行ローンにしても、低金利の方がいいことはもう先生のお説のとおりであります。しかし、大蔵省が説明いたしましたように、全体の資金の中でやっていくということになりますと一挙にこれが解決できない。  でございますから、ほかのものとの整合性もございますししますから、今後とも建設省としては努力をする、大蔵省にもひとつ御理解をいただいて皆さんの御趣旨に沿って進めていくということで進めさせていただきたい、かように思う次第であります。一挙にやれば非常にいいわけであります。先生のお説ごもっともでございますけれども、なかなか今の制度で一挙にやるということができませんので徐々に努力をしていきたい、かように思いますので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  169. 赤桐操

    赤桐操君 大臣に重ねてこの問題については今後一層の御努力をいただくことをお願いをしておきたい。また別の場で私はこれをやりたいと思っておりますが、建設省も本気になってこれは取り組んでもらいたい、こういうことだけ申し上げておきたいと思います。  次に、補給金の問題で少しお尋ねをしておきたいと思うんです。  公庫の金利水準が低目に今設定できない背景に、私はいろいろ利子補給金の問題が絡まっているんじゃないかなというふうに感ずるんです、率直に申し上げて。これは大前提としてちょっと伺っておきたいのですが、これは五十七年度から実施になっているんですね。いわゆるゼロシーリング、それから各種補助金の削減、こうしたものが発生したころじゃないかと思うんですが、そのゼロシーリングの中での一つの対策としてとられたものなんですか。
  170. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 財政再建中の一つ措置として特例措置が制度として設けられたわけでございますので、ゼロシーリングとはそういう関係はございます。
  171. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  補給金の問題は、一つには増高が他の住宅政策に影響を与えない。これはやっぱり今の枠の問題だと思うんです。それからもう一つは、財政再建策との絡みから一定額を後年度に繰り延べる、こういういわゆる特別損失制度の設定が五十七年から始まったと思うのでありますが、それが五十九年度までということで一応の措置がとられてスタートを切ったんですけれども、その後さらに六十五年度まで延長されておりますね。いろいろ伺ってみるというと、本来補給金というのが一つあるわけなんですが、これの推移はどんなふうになっているか、概略説明願いたいと思います。
  172. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 本来補給金につきましては、六十三年度で三千八百九億円でございまして、五十七年度当時が三千二百九十五億でございまして、これが年々ふえてまいりまして六十三年時点で三千八百九億円、こういう状況になっておりまして、六十年をピークにまた減少している、こういうことでございます。
  173. 赤桐操

    赤桐操君 御説明によりますと大体六十年度をピークにして減少しているようであります。百二回国会の中で当時の住宅局長説明された中では、毎年二百億くらいのものは計上されていかなければならないだろう、こういう説明がなされておるようでありますが、それが逆に減ってきているという状況のようでありますけれども、これはどういう事情によるものでしょうか。
  174. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 当時御説明の金額とは金利の水準等の状況が違いますので、数字的には必ずしも一致しなくなりますけれども、本来補給金というのは、先ほど御説明申し上げましたように、五十七年が三千二百九十五億でありまして、六十三年が三千八百九億、六十五年に今の情勢のまま推移いたしますと三千八百三十九億、こういうことになりまして、その後は本来補給金としては減っていく傾向を示します。  なお、毎年度財政措置として措置している金額は、五十七年のときには補給金財政措置額は二千八百十三億でございましたが、その後徐々に増加させておりまして、六十三年度では三千四百四十億円というふうになっております。
  175. 赤桐操

    赤桐操君 どうですか、これはもう補給金の一部を特別損失として後年度に繰り延べるような必要はなくなっているんじゃないでしょうか。五十七年当時の財政状況、五十七年当時の客観的諸条件、予算状況等と現在置かれている立場とは大分違うと思いますよ、がらりと。特に本年から明年にかけての今後の状態というのは変わっていくと思うんです。そうした中であえてこれを延ばしておく必要はないと思うので、特別損失制度を廃止してはどうかと私は思うんですが、大蔵省の見解はどうですか。
  176. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) この繰り延べ措置は、御承知のとおり、大変厳しい財政事情のもとで、他方、全体としてはやはりバランスのとれた住宅政策を推進していく必要があるという両方を勘案いたしましてこの繰り延べ措置をとったわけでございます。負担の平準化を図ったわけでございます。  恐らく御指摘の点は、当時の財政事情と現時点での財政事情が少しずつよくなってきているといいますか、そういうことも含めての御質問かと思いますが、確かに自然増収等いろいろ報道されておりますが、私どもは基本的に、約百六十兆円の国債残高を抱え、毎年度の利払い費が十兆円を上回るというような財政事情でございまして、こういう状況のもとで、六十五年度にいわゆる特例公債を脱却するという努力目標のために今全力を投入する必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、現時点において考えましても、今までのような繰り延べ措置を引き続き当面講じていく必要があると基本的に判断しておる次第でございます。
  177. 赤桐操

    赤桐操君 財政論争してもしようがないんだけれども、確かに百六十兆の国債残高を持っているわけでありますけれども、この当時の状態とは変わっていますよ、今。NTTの状態を見たって、最終的には二十三兆円ぐらいの収入があるんじゃないですか、国は。二十二兆円から三兆私はあると思うな。さらにもう三分の一残っているはずですよ、NTTのあれが。それだけの余裕を持った売り方をしていると私は思うんです。  それから、六十二年度の増収は実際問題として五兆円でしょう。六十三年度も大体同様ないしはそれ以上になると思う。四兆七、八千億とこの間の説明はしておるようでありますが、五兆円を超えると思うんです。そういう状況で国の税収についても今大きく伸びてきておるわけであるし、内需の拡大も順調に進んでおるわけであるし、特にその中の中心的な大きな柱になっているのが住宅政策であるとするならば、住宅政策に元を投ずるということは逆にこれはさらに大きな果実を得るということに考えても差し支えないと思うんです、現実の問題として。これほどの波及効果が大きいものはないと思うんです。  そういう観点からするならば、御説明ではあるけれども、この際ひとつ本格的に廃止についての検討をするということについて検討してもらえませんか。
  178. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) まず一言あらかじめお話し申し上げておきたいのは、NTTにつきましては無利子貸付制度ということで運用させていただきますので、利子補給の方に使うわけにはまいらないという事情がございます。  そこで、御指摘の住宅対策全体の予算ということがどうなっているか、いわばその中でどういう財源の配分をしていったらいいかという非常に大きな問題も御指摘の中にあろうかと考えられます。六十三年度で住宅対策といいますと八千二百億円余の資金が投入されておるわけでございます。こういう中で、住宅金融公庫の利子補給金のほかに、公営住宅あるいはその他の住宅地区改良事業等諸般の住宅政策を推進していかなければならないわけでございますけれども、社会資本整備を推進するという基本的な方針のもとで住宅対策全体の投入が少しふえていく、今までと違いまして少しずつふえていくというような状況を想定いたしましても、この補給金につきまして繰り延べ措置をなくしてしまうというそういう財政余力が生ずるような状況ではないというふうに考えておる次第でございます。
  179. 赤桐操

    赤桐操君 NTT株についてはこういうものに消費することはできないのであって、私もそれは産投会計に入れる場合の論議に参画していますからよく知っております。しかし、今度の予算編成を見てごらんなさい。投資的経費の部分についてよく検討してみたらわかるじゃないですか。これによって代替しているじゃないですか、このNTT株によって。その分だけ本来的なものを投資的経費に回さなきゃならぬ分をあなた方の方はほかに回すことができるじゃないですか。そのことを言っているんです、私は。それはできないなんていうことはあり得ないんです。この金を産投会計に入れ、それを投資的経費の部分に代替的に投入していくという形をとっているわけなんです。  したがって、例えば今度の建設省予算の内容を見ても、本来ならばもっと投資的経費のこの部分に金が入るべきじゃないかと思うところに金が積まれていないじゃないですか。ほかへ使っているわけでしょう。だからこれは同じことを言っているんです、私は。そんな形式上の問題じゃなくて、実質的にそういうものが入ってきている以上は、これは大きなものではないんですかと。しかもその額はちょっとやそっとのものじゃありませんよ。二十二兆から二十三兆に及ぶものですよ。この問題を最後まで論争してもこれは始まりませんが、私はそういう意味でもって申し上げいるわけです。したがって、これはひとつやはり、大体一千億程度のものでずっと繰り延べられてきていると思うんですけれども、この問題については、私は大蔵省としても本気になって検討すべきものである、このように考えます。  それで、なぜそういうことを私が主張するかというと、特別損失金というこの制度、いずれこれは交付金でもって解消されていくことになると思うんです。ところが、補給金を安易に特別損失金として繰り延べていくということになると、やがてこの繰り戻しが負担となってきて、公庫融資の制度の縮減、こうしたものにはね返ってくる可能性が出てくるのではないか。例えば今もいろいろ私が申し上げているような、五%のいわゆる財投並みの金利をもう一歩下げることはできないのか。なかなかこれはできないですね。これなんかにしてもこうしたものが私は実際面としては絡んでいるんじゃないかというように感ずるんです。繰り延べ金額はそういうことでなるべくひとつこれは抑えるということでいかなきゃならぬわけでありますから、廃止への方向づけを検討してもらうように願いたいと思うのであります。  ここで一つお尋ねしておきたいと思いますが、六十三年度末の特別損失金の残高はどのくらいになっておるか、さらにまた六十五年度末の残高の予想はどういうように予想されているか、伺っておきたいと思います。
  180. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十三年度末の特別損失金の残高は五千百六十四億円であります。次に、六十五年度末の残高は、これについては今後の状況の変化がありますので、そういう状況変化があるという前提のもとに現在の状況で推計いたしますと、約六千六百億円、こういうふうになります。
  181. 赤桐操

    赤桐操君 そうするとこれはやはり当初の想定よりも大きくなってきておりますね、若干。わかりました。  次に、五十七年度から五十九年度に繰り延べた特別損失金の繰り戻しが始まっておるわけでありますが、六十二年度の交付金の合計額は幾らになりますか。
  182. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十二年度の交付金金額は四百六十八億であります。
  183. 赤桐操

    赤桐操君 六十年度の特別損失金から六年据え置いて五年返済となることになりますから、七十年度、七十一年度が交付金合計額のピークになりますね。七十年と七十一年が最高になるでしょう、これは。その金額の予想はどのくらいになるかおわかりになりますか。
  184. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) これもたびたび申し上げますけれども状況の変化があるという前提でもって現在の状況から試算いたしますと、七十年度の交付金は千五十九億、七十一年度は千七十七億であります。
  185. 赤桐操

    赤桐操君 新しい貸付制度が次々と設定をされて、結局補給金の繰り延べが私は影響していると思うのでありますが、何とか補給金の増高を避けよう避けようとしていわゆる新品種がつくられてきている。これは思い過ごしかどうか知らないけれども、どうもそんな感じがするんですが、この点はどうですか。
  186. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 相当多額の特別損失金を後年度に繰り延べをしながら、片や、毎年の住宅のニーズ、いろいろ多様化してまいりますけれども、そういうニーズにもこたえていかなければいけない。こういう中で六十二年度、六十三年度におきましても貸付限度額の引き上げでありますとか、あるいは規模区分の見直しでありますとか、さらには政策の割り増し融資としていろいろの制度をつくってきているところであります。  このことは、考えてみますれば、この特別損失金の繰り延べ制度というのは望ましいことではないと思っておりまずけれども、六十三年度の場合を見ましても千百四十七億というものを繰り延べておりますので、これがもし財政の中で支出をせざるを得ないとなりますれば、約八千億の住宅対策費の中に既に公庫の補給金が三千四百四十億占めておりますから、その残余の金額のところとの影響も千百四十億というのは大変大きな形でもって影響してくる。こういうことを考えますと、やはり特別損失金の制度というのは望ましい制度ではありませんけれども、やむを得ない措置としてこの制度がありますために、公庫融資につきましても新しい制度が逆に繰り込めた、制度化できたというふうな感じでもって私どもは受けとめております。
  187. 赤桐操

    赤桐操君 公庫融資制度に実際私は影響を与えていると思います、現実の問題で。これからはひとつぜひ、私から提起しているように、これは一日も早く廃止をしてもらうという方向で、これはもう再延長は一切ない、それで満額を交付する、こういうようにひとつ持っていくべきだと思いますが、大臣並びに大蔵省、考え方はいかがですか。
  188. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 現在のこの制度が六十五年度まで法律上定められておりますので、六十六年度以降のお尋ねということでお答えさしていただきます。  非常に当面厳しい財政事情が続いていくだろう、一方、御指摘のように、住宅政策は何としてもバランスのとれたものとして推進していかなければならないというふうに今考えておるわけでございますが、結局現時点におきましては、六十六年度以降のお話ということになりますと、その時点における財政事情なりあるいは住宅政策全体のあり方なり、公庫補給金の見通し等、本措置をめぐるさまざまの状況を踏まえまして、その段階で十分検討することになろうかと考えております。
  189. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま大蔵省からも御答弁がありましたが、確かに繰り延べをしない、このことがいいことは、住宅だけで考えますとそういうことでございますが、今もお話がございましたように、ある程度の枠ですね、建設戸数なりまた今後の、先ほどお話のございました利子の問題、そういう総合的な判断をしてできるだけ御趣旨に沿うように、私の方としてはできるだけ繰り延べをしないことがいいことは決まっておりますので努力をいたします。努力はいたしますが、先ほど言いましたように、全体的な規模、全体的な問題とのかかわり合いもございますので、努力をするということで御了承をいただきたいと思います。
  190. 赤桐操

    赤桐操君 それでは引き続いて住宅減税問題で若干お伺いしたいと思うのでありますが、建設省は六十三年度税制改正で住宅取得促進税制の拡充を要求しているようでありますが、その概要の御説明を願いたいと思います。
  191. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十三年度の住宅取得促進税制の要望といたしましては、六十二年度までの制度に加えまして、さらに対象枠、これはローン残高でありますけれども、その対象枠の算定に当たりまして、公的資金につきまして二分の一というものを掛けておりますが、これの撤廃、さらに控除率を二%にするということ、さらにはまた増改築工事も含めるというようなことの要望を出したところでございます。その結果といたしましてとらえたところにつきましては、控除率については、六十二年度までの制度の一%にとどまりましたけれども、公的資金の二分の一というものの撤廃は要求が通りまして実現を見て、民間資金と公的ローン両方とも同じ状況に相なったということと、また増改築工事につきましても対象にされた、こういうことでございます。
  192. 赤桐操

    赤桐操君 これは住宅減税の規模をいろいろ論議する場合においてはよく引き合いに出されますけれども、歳出総額に占める住宅関係の減免税額の割合の国際比較を見ると、我が国の場合においては〇・二%になっておるわけです。まことに低い状態であります。各国の状況を見ると、アメリカが四・一、イギリスが三・七、フランスが一・八、西ドイツが三・七、日本はわずかに〇・二であります。  こういう状況であるのでありますが、六十三年度の改正要求がそのまま認められたとして、その割合はどんなふうになりますか。
  193. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十三年度で実現を見ました税制につきましては、六十三年度の初年度ベースでは〇・五%でありますけれども、これが平年度ベースになりますると一・一%になります。  また、各国の比較のときでありますけれども、これは時点がいろいろ違いましたりするために数字が年々動いておりますけれども、フランスの場合は一・五%、西ドイツの場合は一・三%、なおアメリカは四・一、イギリスは四・二という水準でございますので、そういうことから比べますと、アメリカ、イギリスにはまだ遠く及びませんけれども、フランス、西ドイツにはかなり近づいてきている、こういうことでございます。  なお、六十三年度の当初建設省から要望したものが全部もし通ったとすれば、平年度ベース一・一と六十三年度で改正された結果なっているんですけれども、これが二・九になる予定でございましたけれども
  194. 赤桐操

    赤桐操君 控除率の問題ですけれども、これを少なくとも思い切って二%程度ということに拡充することはできないですか。六十二、六十三年度と概算要求時には二%の要望を出していると思うんですね、大蔵省に対して。しかしこれが実現を見ていないと思うんです、六十二年度も六十三年度も。このことは新聞でも大分報道されて国民の皆さん方よく承知しておると思うんですけれども、これを思い切ってそういう形に実現する方法はないものですか。
  195. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅対策の推進という観点から見れば、控除率を大きく二%にするということは極めて大きな効果があると私どもは考えておりまして、そういう趣旨から要望ベースとしましては二%というふうに、控除率を従来の一%の倍ということでもって要望申し上げたわけでありますけれども、結果は御案内のように控除率は据え置かれておるわけであります。  なお、公的資金が二分の一の制約条件が取れましたために、その分だけでの減税の大きさもこれはかなり大きいところでございまして、六十二年度までの制度では、住宅取得促進税制の平年度ベースでの減税額が年間二千三百五十億円というのが六十二年度までの状況でございましたけれども、平年度ベースにいたしまして、これが二分の一が取れたためにさらに、その他増改築等もありますけれども、二千百五十億が平年度ベースでは追加されてくる。合わせると四千五百億円の平年度ベースの減税効果になる、こういうふうに試算されておりますので、こういう点から見ますると今回の二分の一はかなり大幅な減税であったということは言えるのではないかと思っております。  しかしながら、二%を当初要望したのができなかったのは私どもとしましても残念であると思っておりますので、今後この税制の拡充につきましては努力をいたしたいと考えております。
  196. 赤桐操

    赤桐操君 やっぱり若干の手直し程度ではうまくないので、建設省要望の二%というのは私は当然だと思うんです。大蔵省の考えはどうなんですか。
  197. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 現在のような住宅取得促進税制というのは、昭和六十一年度にそれまでの制度を抜本的に見直しまして創設いたしたものでございますが、その後六十二年度におきましては、従来控除ができる期間というのを三年間であったものを五年間ということに延ばしました。そしてこの六十三年度改正におきましては、ただいま御説明がございましたとおり、公的なローンについて従来は二分の一だけをカウントするとしていたのを全額計算に入れる、それから増改築をやるというようなことをやりました結果、全体として、従来あった部分に加えて減税規模は完全な平年度で四千五百億にも上るというものでございまして、租税特別措置としては最大級のものでございます。ちなみに、老人等のマル優にほぼ匹敵するぐらいの規模になるものでございます。  この場合、ローン残高が最高二千万でございますから、それの一%ということになりますと二十万円の所得税が一年間で税額控除できるということになりますが、その二十万円の所得税を納めるという家庭は、夫婦、子二人の世帯では年収五百万円を超える給与収入を得ているような家庭でございまして、そういうことから考えましてもかなりのものだということは御理解いただけるかと思います。
  198. 赤桐操

    赤桐操君 各国の状況について少し点検してみる必要があると思うんですけれども、アメリカの場合でまいりますると、住宅建設のための借入金の利子をすべて所得控除するような制度の導入をしておる、こういうわけであります。これはアメリカの引例でよく言われることなのでありますけれども、こういった思い切った対策というものも必要じゃないかと思うんです。こういう点についてはどんなふうにお考えですか。
  199. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十三年度の税制要望を出しますときに各国の制度につきましてもいろいろと検討を加えたところでございます。御指摘にありましたように、アメリカの場合はローン利子所得控除制度、ローン利子を所得から控除いたしましてそれに税率を掛ける、こういう制度になっておるわけであります。我が国の場合は税額控除制度でございまして、この税額控除制度を六十三年度要望におきましても引き続き採用することとして、控除率の内容等を引き上げるということでもって要望を出したのであります。  このアメリカの所得控除制度をとらなかった大きな理由としましては、所得控除制度をとりますと最後のところの限界税率でもってきいてまいりますので、所得の高額の人により有利に働いてしまうということもあり、現実の減税額二十万円というのはある程度のレベルのところでございますので、そういうことも考えましたときに、我が国の住宅対策の中で持ち家建設を最もしておりますのが、公庫融資の実態から見てまいりますれば、公庫融資のうちの八割が第三分位まで、下から第三分位、そういう一般の方々が多数を占めていることも考え合わせまして、税額控除制度の方を継続する、こういう判断をしたところであります。その充実を図るという意味で控除率のアップとかあるいは対象の金額のアップというような要求の形にさしてもらったわけでございます。
  200. 赤桐操

    赤桐操君 アメリカではセカンドハウスまで適用しているんじゃないですか。日本の場合には金利の問題で大分差をつけるようになっているようですけれども、これは自分の本宅とセカンドハウスと全部オールですよ。
  201. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 税制要望に当たりまして、アメリカがセカンドハウスも対象にしているということで、我が国におきましても、政策融資の方につきましては六十二年にいわゆるセカンドハウス、複合居住用住宅と言っていますけれども、これを政策融資の対象にしたこととも並び考えまして、税制要望におきましても複合居住用住宅対象にすべく要望はしたところでありますが、結果としてはそれが認められなかった、こういうことであります。
  202. 赤桐操

    赤桐操君 しかも額が違うんですよ。借入額で百万ドルまででしょう。日本の邦貨に換算して一億二千六百万。それが全期間です。そういう大変スケールの大きなものであります。それからイギリスの状況を見ますると、利子の二七%分を事実上補給する、こういう制度をとっているようであります。借り入れたものは利子の二七%を減額して金融機関に支払う、国税当局が減額分を金融機関に支払う、しかもそれを全期間にわたって行う、こうなっているわけですね。これは大変なものだと思うんです。それから西ドイツの場合でありますが、この状況を見るというと、住宅ローンを組む、組まないにはかかわらないで、住宅とその敷地の取得費、これを対象として五%の所得控除を行う、これは八年間だというんですか。そういう形をとっているんです。  西ドイツの例と日本の場合とを考えてみますると、先ほど大蔵省の方からの説明では、二十万円、五年間で百万円、今度のあれではそう出ておるようであります。私の試算ですから少し当てにならない点があるんですが、そうすると西ドイツの場合は三倍ぐらいになるんじゃないですか、日本の場合の控除額に比べて。これは後でよく計算してみたいと思いますけれども、そういうふうに感ずるんです。ちょっと目の子勘定で見ただけですからわかりませんが。そういう場合に、各国の状況を見ても物のやり方がやっぱり本格的に取り組んでいるんですよ。いろんな国民の目から見てわからないように、やれこれは段階方式であるとか、これは三つの種類に分けてあるとかなんとかということをやっていないですよ。もう全部一本でぴしゃっとやっているんです。これが私は政治だと思うんですよ。そういうふうにもっと国民がぴしっと受けとめてわかりやすくするような税制度に改革すべきですよ、この問題は。  そういう住宅減税の問題について私は所感を述べて、終わりたいと思います。
  203. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは引き続きまして質問に入らせていただきます。  ちょっとこれは余談なんですけれども大臣、せんだってアメリカの建設業の問題でちょっと質問させていただきましたが、その後いろいろ状況が、まあ決着したのかなという感じもするんですけれども、あるアメリカの方が日本の人に聞いたそうです。農林省は、オレンジと牛肉の問題で大臣が来た、しかし建設業の問題で官房副長官がいらっしゃった、なぜなんだ、こう聞いたそうですね。それに対して日本の方が答えまして、牛肉とオレンジの問題は日本全体の問題だ、しかし建設の問題はある一部の派閥に関する問題だ、だからその代表が来たんだ、そう答えたというんです。向こうの人にわかったかわからないかわかりませんけれども。そういうような意識でとらえられている部分もあるとするとこれは大変なことじゃないか、こう思うんです。  それと今度もう一つは、きょう農林省の設置法案について内閣委員会で審議しております。国際化という中で、日本の各省庁も今まで国内に顔を向けていただけではなかなか対応し切れない。先ほどもちょっと官公庁職員抄録というのを拝見しますと、通産省とか外務省は当然対外的な部分が多いですから、いわゆるバイスミニスターですか、何か副大臣格の方がいて、次官クラスの方がいて、それぞれ国際的な問題に対応されている。農水省も今度新しい制度をつくって、審議官制度ですかをつくって、それがそういう問題について対応していくということでございますが、やはり日本の各省庁も、建設省もそうだと思いますけれども、これからはいやでも応でもそういう国際的にもっと視野を広げた分野で日本行政というものを振り返ってやっていかなきゃならない時代が来ているんじゃないかと思うんです。  そういう意味で、官房長お見えになりますけれども、改革のことはそっちの方だと思いますが、どうでしょうか、やはり将来を見通して、今でも担当されている方はおみえになると思いますけれども、これからはそういう副大臣が来たということで対外的に交渉できるような省内における組織をつくり上げるべきじゃないかなと思うんですが、その点どうでしょうか。
  204. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 農産物につきましては、農林大臣がみずから主管してやっておられます。建設業につきましては、お話がございましたけれども、そういうことでなしに、私が感じておりますのは、建設省の分野、運輸省の分野、これどちらが行きましても、結果が出ますとなかなか難しい問題がございます。我が国の方の組織で、率直に言って、飛行場の問題は運輸省でありますし、また海岸の問題も運輸省でありますし、道路や橋は建設省であります。そういうところから非常にそういう分野に詳しい小沢副長官が行かれた、適当であった、非常に御努力いただいてありがたい、こういうふうに思っている次第であります。  それからもう一点、国際化の問題につきましては、私も建設省幹部も一致して、これは好む好まざるにかかわらず今後は国際化に対応できるようにしなければならないというふうに考えております。今回も実は、アタッシェにいたしましてもニューヨークにもぜひこれは出しておかないといけないということで、外務省と交渉しましてそういうことにいたしておりますし、もろもろの問題につきましても、やはり幹部が外国へあらゆることに、出張にも積極的にやって、ひとつ外国状況、要は国際化、これに対応していかなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  205. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは本日の主題に入ります。  最初に親孝行ローンの創設の問題ですけれども住宅金融公庫が創設をされましてから今まで、みずから居住するため住宅を必要とするための住宅建設以外には貸し付けを認めない、こういう方向で来たわけですけれども、それから見ますと大きな方針の転換ではないかと思います。私たちも賛同はしておりますけれども、その理由はどのような理由でしょうか。
  206. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅のニーズの中に、親との同居のニーズあるいは近居、隣居のニーズ等がだんだん強まっておりまして、同居につきましては公庫融資につきましても同居の場合の割り増し融資を実施しているところでありますけれども、隣居、近居にはそういう制度は現在ないわけであります。したがいまして、そういうニーズに対応いたしますために、親族を身近に呼び寄せるというような観点から今回隣居、近居用の融資制度を新たに設けたということが一点。  次に、高齢化社会が進展するにつれまして、社会の一線からのきました親が高齢の状況でもって家に住んでいる場合に、それの修繕でありますとかあるいは建てかえということが親としてはなかなかしにくくなっているような場合も生じつつあります。そういうことで、子の方が親孝行という観点から修繕なり建てかえをするということはまた意義あることでございますので、そういうことも含めまして隣居、近居とあわせまして親孝行ローンという新しい制度をつくったところであります。
  207. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これはどの程度の貸付戸数というものを見込んでいらっしゃいますか。
  208. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 親孝行ローンの需要予測をするにつきましては、これは新しい制度であるということと、それからこれを正確に推計するための統計上のデータがぴったりしたものがないというようなことから、正確な把握はできかねるところでありますけれども、二世帯住宅の同居の場合のケースの場合は実績がございますし、それから子が親に援助をしているという状況のデータもございますので、そういうようなデータをいろいろと調べました結果、六十三年度では四千戸ぐらいと見込んでいるところであります。
  209. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この親孝行ローンで、親子が隣居、近居を行うための住宅建設に対して貸し付けを行う場合の隣居、近居とはどういう範囲を考えてみえますか。
  210. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) まず隣居、近居といたしましては、原則的には同一市町村それから隣接する市町村という行政域でもって一応考えますけれども、そのことにとらわれずに、隣居、近居は可能な時間といたしましておおむね一時間ぐらいを想定いたしまして、これが通常考えられます都市交通機関によりましてカバーできる範囲であるならば隣居、近居の可能範囲、こういうふうに見ております。
  211. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 このローンの貸付金利につきましては先ほど赤桐委員の方からいろいろ詳しい御討議がございましたので、私も拝聴しておりまして赤桐委員の説に賛成でございます。何とかこの金利の低下を目指して頑張っていただきたい、こう思います。  次に、補給金のことにつきまして、先ほど詳しい話がありましたが、私も多少お聞きしておきたいと思います。  最初に、六十三年度予算におきます公庫補給金の内容ですけれども、計上額、繰り延べ額及びその考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
  212. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) まず考え方でありますけれども、公庫補給金は、公庫が貸付原資であります財投資金の借入金利、現在五・〇%でありますけれども、これを下回る金利で貸し付けを行うことによりまして生ずる損益差、それと業務委託に要する経費等、これにつきまして国が一般会計で補てんすることによりまして公庫の業務の運営を維持する、こういうことであります。  六十三年度予算におきましては、公庫補給金の所要額は、過去の特別損失金に係る交付金を含めまして対前年度二百九十七億円増の四千五百八十七億円でありますが、厳しい財政事情のもとで全体としてバランスのとれた住宅対策を進める必要があることから、千百四十七億円を繰り延べまして、財政としまして計上しておりますのは三千四百四十億円であります。
  213. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 財政の中期展望では、六十五年末までに赤字公債依存体質からの脱却が可能である、こうしているわけですが、真の財政再建のためには、一般会計からの財投へのツケ回しとかあるいは後年度先送りなどの後年度負担の解消が不可欠であると思いますが、このような後年度負担総額は六十三年度末でどのようになるのか。また、それらの解消に向けて大蔵省どのようなプログラムを持っていらっしゃるのか。
  214. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 住宅金融公庫の繰り延べ、六十三年度末で累計額が五千百六十四億円ということに相なります。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕 これは六十六年度以降五カ年でそれぞれ措置をしていくことになっております。これは法律でそのような措置が決められておるわけでございまして、住宅公庫の運営には支障が生じないようなそういう措置が講じられていくものというふうに考えております。
  215. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 全体どうですか。
  216. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 国の予算全体での今のいろいろ繰り延べ措置の総額ということでございましょうか。——ちょっと今手元にないのでございますけれども建設省以外にも社会保障関係等々におきまして繰り延べないしはいろいろな貸借関係等の措置がございまして、その総額はちょっと現時点で手元にございませんが、また後ほど報告さしていただきます。
  217. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、六十五年までの繰り延べ額の累計及び当該繰り延べ額を全額解消するまでに要する利息の総額を示してもらいたい。
  218. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) この特損の借入金利息、六十三年度におきましては三百八億円という措置がこれは予算上なされておるわけでございます。
  219. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど赤桐委員質問の中で、ゼロシーリング、それから各種補助金の削減が発生したいわゆる昭和五十七年、その対策の一つとしてこれはとられてきたんじゃないかということで御質問がありましたが、その中で局長は、ゼロシーリングとは関係ないという旨の御答弁がありましたね。財政再建中の措置一つとして見られている、ゼロシーリングと関係はないという答弁があったんじゃないんですか。違いますか。
  220. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほど御答弁申し上げましたときに、この特例措置は財政再建期間中の特別措置として制度化されたということで御答弁申し上げ、したがって、財政再建ということとゼロシーリングは密接な関係がありますので、関係は当然あります、そういうつもりで御答弁申し上げたつもりでございます。
  221. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほどちょっと関係ないように——関係ありと言いましたか。それならいいですが、直接関係ないようなちょっと答弁があったもので再度質問さしてもらったんです。確かにあのときも問題になったわけですね、予算のときに。これは、ゼロシーリングするためにこの制度をつくって、一般会計が膨らまないようにいろんな操作した中の一つでしょう。違いますか。
  222. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 財政再建の一環でございますので、当然ゼロシーリングとは深い関係がございまして、そういう意味で、先ほど私が最後のところで関係はありますと。ちょっと声が小さかったかどうかわかりませんですけれども、失礼申し上げました。
  223. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、この繰り延べ措置は財政再建期間中の特例措置である、こういうことで理解してよろしいわけですね。
  224. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) そのとおりでございます。
  225. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、先ほどから論議がありましたように、六十五年度までに赤字公債依存体質から脱却がされれば、六十六年以降につきましてはこのような措置は廃止されるべきものと我々考えていますけれども、大蔵省、建設省はどのように考えていますか。
  226. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 六十五年度までの特例的な措置として現在法律上定められておるわけでございますので、その段階において、先ほど申し上げましたとおり、財政事情あるいは住宅政策全体のあり方、公庫補給金の見通し等のいろいろ諸般の情勢を踏まえて、それをどうするかについては検討していくということになろうかと考えております。  なお、ちょっと先ほどの答弁を御報告させていただきますが、この住宅金融公庫の利子補給金の一部繰り延べのほかに、国全体として見ますと、厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等の特例で二兆円余り、そのほか国民年金特別会計の国庫負担金の繰り入れの平準化等々すべてこれを合計いたしますと、ざっと十一兆円余りの何らかの後年度への負担の繰り延べというものが財政全体としてはあるわけでございます。
  227. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 もしも諸般の情勢が変わって、検討された結果、六十六年度から繰り延べ措置を廃止した場合には、仮定の話になりますが、六十六年度予算において必要と見込まれる補給金計上額の見通しはどのようになりますか。
  228. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) このいわゆる本来補給金が六十六年度でどのような金額になるかという点につきましては、諸般の情勢を前提としてみないと計算がなかなかできないわけでございまして、先ほど住宅局長の方から数字のお話がございましたが、これは建設省におきまして六十三年度予算をベースにいたしまして、また貸し付け条件等につきましてはことしの二月に改定されました現時点における金利等々を前提として計算した場合には、本来補給金が六十六年度三千七百六十三億円になるという試算がございます。これらにつきましては、財政当局といたしましては具体的な財政当局としての試算というのはしておらないわけでございますが、現在の諸般の状況、現在どおりだとすればこのような数字になろうかと思います。
  229. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その他税の自然増収というものが、先ほど議論の中でも、大分見込まれるということが報道されておりますけれども、そういう財政事情でありますから、六十五年までの間においてもこの公庫補給金というものをやはり計画的に増加させることは十分可能であると思うんですが、その点どうでしょうか。
  230. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 確かに、先ほどもお話のありましたNTT株式の売却収入の活用等による措置等社会資本整備をめぐりまして、この六十三年度予算からまた従来と比べますと積極的な内需拡大策に沿った運営がなされておるわけでございます。しかしながら、財政事情の基本的な構造は百六十兆円に上る借入残高、国債残高、さらには毎年度の利払いだけでも十兆円を上回るというような財政の硬直化要因がございますので、当面、六十五年度までに特例公債を脱却しなきゃならないというこの目標を何とか達成するためには、やはり引き続き厳しい財政の見直しを常にしていく必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  こういう状況の中におきましても、もちろん住宅対策を初めといたします社会資本の整備につきましては十分配慮していかなければならないわけでございますが、そうであればあるほどこの補給金の繰り延べ制度というものをもとに戻すというような状況ではないのではないかというふうに考えております。
  231. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その点については先ほど赤桐議員からいろんな御意見を出しておりましたし、私たちもそれを拝聴してそのとおりだと思っているわけです。それはいろいろと大蔵当局としていつもお答えになることは同じような御答弁ばかりでございますが、その点は十分考えてやっていかなきゃならないんじゃないかと思います。  宮澤大蔵大臣もせんだっての予算委員会におきましては、その処理をだんだんしていかなきゃならないということで御答弁されておりますし、過去においてとにかく拝借してきたものはだんだん返していくんだという方向でやっていらっしゃるわけですし、NTTのことにつきましては、利子補給については使えないとか、いろんな御意見も言っておりましたけれども、やはり住宅対策は内需拡大の中の一つの大きな柱でございます。建設省住宅対策費の中でそれをやれと言ってもこれはなかなか難しいんです、ほかの部分が削られていくわけですから。ですから、まず何を内需拡大として国際的に要求される時代において大蔵省でめり張りをつけていくか。建設省でもいろいろ、住宅だけじゃありませんから、国土の保全、道路の問題などもございますから無理でしょうから、その点はやはり大蔵当局として、財政当局として、苦しい中でありましょうけれども、それは予算要求はいろいろされるでしょうけれども、どっかめり張りをつけてその点についてはきちんとすべきじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
  232. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 確かに御指摘のとおり、社会資本整備を推進するに当たりまして、いろいろめり張りをつけるべきではないかという点につきましては、私どもも同様に考えておるわけでございます。  ただ、今の状況を考えますと、NTTを活用しながらやっていくわけでございますが、建設国債といえどもこれを安易に増発するような状況でないということを前提にしてまいりますと、社会資本の投入全体をふやすという場合に、住宅もちろん重要でありましょうし、その他生活基盤の整備、下水道、公園等も重要でありましょうし、あるいは道路等もまた重要だというようなことで、各種の社会資本のバランスある整備を進めていくということが必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、社会資本の投入全体はできるだけふやしていくという努力をいたしましても、その中でいろいろ優先すべきものがございまして、全体として考えますと、この現在の繰り延べ制度というものを六十五年度までは少なくとも堅持していく必要があるのではないかというのが私ども考え方であるわけでございます。
  233. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、六十五年までは、これは法律で決まっていますので、あくまで堅持をしていく、六十六年、そのときの情勢の変化によってはまず最優先でこの問題は処理をする、こういう考えですね。
  234. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 先ほど申し上げましたとおり、その時点における財政事情、住宅政策のあり方、また公庫補給金の見通し等いろいろな状況を踏まえまして十分に検討さしていただきたいと考えております。
  235. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 十分に検討して成果を出してもらいたいと思うんですが、やはり住宅が何といっても内需拡大で選ばれているんです。地方におきましても、景気振興にとりましては一番末広だと申しますか、大きな影響のあるところでございますし、ぜひとも、今まで議論がありました、赤桐委員からも的確な御指摘もあったその線に沿ってやっていただきたいと思います。大臣いかがでしょうか。
  236. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) この補給金の問題は、先ほどもお答え申し上げましたが、ぜひとも繰り延べをしないように進めてまいるように努力はいたします。  しかし、第一番に大きく言いますと、今の社会資本充実の財源がどうなるかということの見通しが率直に言ってまだ立っていないわけであります。というのは、今はNTTの売却益、これの後に続くものがどうなるのか、実はまだはっきりと見通しが立っていないような状況であります。でございますから、社会資本、公共事業、住宅対策、これがまだここ六十五年や六年で十分だと言えるような状態にはなかなかならないと思いますので、全体枠の中でこれをまず確保する、そうして住宅対策や公共事業、特に生活関連のものを充実していく、その中にあって全体枠の中で考えなければならない、こういうふうに思いますし、住宅は大変大事でございますから努力をいたします。しかし、ここで六十五年以降は絶対にやらないんだということが言い切れるほどのまだ余裕といいますか、自信が財源問題からして私にはない、これは率直な話、考え方であります。いずれにしても努力は最大限いたしたいと思います。
  237. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ努力を要望して次に変わります。  昭和六十三年度の政府経済見通しでは、名目値によります民間住宅投資を二十兆円と予測して、対前年度比の伸びを三・一%に見込んでいますけれども、この背景となっておりますところの六十三年度住宅着工見通しについて建設省のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  238. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 六十二年度の状況が極めて好調で推移いたしまして、まだ三月までの統計が出ておりませんけれども、二月までの統計から推計いたしまして約百七十二万戸前後の数字になろうかと考えております。  この六十二年度の好調さの中に、かなりの部分、時期を見ての前倒しというか駆け込み建設があったというようなこともございまして、さらに統計を見てみますると、貸し家につきましてピーク時を過ぎたというような傾向も見られるところでございますので、貸し家について戸数の減がかなりの確度で予測できる。また一方、持ち家住宅につきましては、低金利が引き続き持続されているようなこともございまして、これの戸数につきましては安定的に推移していくのではないかというような感じを持っております。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 そういうことから、全体といたしましては六十三年度約百五十五万前後、百五十万台と言った方が正確かもしれませんけれども、そういうような予測をしているところであります。
  239. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 公庫にお聞きしたいんですけれども、大都市地域を中心に地価高騰から持ち家取得が非常に困難になっているということで、これは三十代の若い方々はほとんど絶望的ではないか、こういうことでございますが、こういう中で公庫の六十三年度事業計画、五十四・五万戸ですか、この達成は可能なんでしょうか。また、公庫融資における大都市対策でどのような措置をとられているんですか。
  240. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) まず、六十三年度の計画五十四万五千戸の達成の見込みであるますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、六十三年度の全体の戸数の見通しのうち持ち家建設は安定的に推移すると御説明申し上げましたけれども、この持ち家建設につきましては公庫の利用率が極めて高い状況でございます。六十二年度の持ち家系公庫利用率というのは四六%でありますから、これは極めて高い。一方、貸し家建設は全体としては戸数減になるという御説明を申し上げましたけれども、貸し家建設につきましては公庫利用率が三・三%と六十二年度ベースで低い。こういうようなことから、さらに政策としまして貸付限度額を引き上げましたり、あるいは規模区分を見直したりする制度改善もやっておるところでございますので、そういう点につきまして五十四万五千戸の達成については十分可能であろう、こういうふうに考えております。  なお、六十三年度におきます具体的な施策としまして、特に貸付限度額につきましては、東京圏におきまして最高二百五十万円を引き上げるというようなことも講じておりまして、例えばマンション住宅につきまして見ますれば、従前が千九百十万円であったところを二千百六十万円まで融資が可能になるというようなこともございますので、そういうことも大きな効果を発揮するものと考えております。
  241. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 やはり大都市における持ち家取得の円滑化のためには、宅地供給を飛躍的に増大させることが必要ですけれども、それにつきましてはいろいろとこの委員会でも今までも論議が重ねられてきております。市街化区域の拡大であるとか市街化区域内の農地の宅地化の促進であるとか、開発要綱の行き過ぎた開発者負担の是正とか、開発許可の手続の迅速化などいろいろな点も論議されてきておりますけれども建設省としては何かこうというものは考えてみえませんでしょうか。
  242. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 昨今の地価の動向、とりわけ大都市地域での地価の高い水準、こういうことを考えますと、ただいま先生おっしゃいましたように、宅地供給というものがとりわけまた大事な課題である、こういう認識に立って私どもも取り組んでおる次第でございます。  そういった中で、ただいまお話しのようなもろもろの施策、これを積極的に推進したいという考え方に立っておりますが、中でもまず線引きの見直しにつきましては、これもしばしば御答弁させていただいておりますけれども、現在第二回の線引き見直し、これを精力的にやって、おおむね九五%ぐらいの都市計画区域が見直しが進んでおります。こういった中で、かなりの面積が新たに市街化区域に編入するということも出ておりまして、全国で六万四千ヘクタール、三大都市圏では二万二千ヘクタールという面積が新しく市街化区域に入れられたところでございます。今後こういったところを重点的に市街化を図っていく、こういうことにまず努めていきたいと考えております。  また、市街化区域内農地の問題、これもしばしば御議論があるところでございますが、やはり現実は三大都市圏にある市街化区域内農地、これを何とか宅地化促進に結びつけたいということでございます。特に、その八五%が長期営農農地に認定されている、こういった現実を見てまいりますと、特に課税の厳正化ということについて、先般の自治省の御指導等も踏まえてこの効果をできるだけ上げていただきたいというふうに期待しながら、建設省としましても持てる施策を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。  さらにまた、指導要綱の行き過ぎの是正問題、これも先生御指摘のとおりでございます。建設省は、必要に応じて個別市町村の段階までかゆいところに手が届くような指導にも努めながら一歩一歩改善に努めているところでございます。  また、宅地開発関連します許可手続が大変時間がかかる、これが宅地開発意欲を減殺していることも事実でございますので、これも先般来指導通達等を重ねまして、言うなれば事務の迅速化のためにも様式の簡素化、統一化、あるいは図面も標準化するというようなことまで指導しながらやらせていただいておる。  こういうことを積み上げておりますが、今後こういった施策を推進することはもとよりでございますけれども、私ども、今国会に別途大都市地域におきます宅地供給のための緊急措置法というのも新たに御提案させていただいている次第でございまして、特に、国、公共団体あるいは民間も一体となって宅地化を進めるという新しい体制をぜひ進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。
  243. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 またそのときに論議したいと思います。  次は、住宅投資の拡大と居住水準の向上のために、最近住宅リフォームということが盛んになってきておりますけれども、このリフォーム市場の現状と将来の見通しについてどのように考えられていますか。
  244. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) リフォーム市場の現況としましては、建築着工統計、住宅需要実態調査等の調査結果から見ますと、近年一年間に十平方メートル以上の大規模な増改築が約十七万件、十平方メートル以下の小規模な増改築は約三十六万件でありまして、合わせまして五十三万件というふうに推計をしているところであります。この投資額としましては、これらの増改築によるものに設備改善等のリフォーム工事も加えまして約五兆七千億と推計しているところであります。  今後の状況につきましては、国民の中の住宅に対するニーズのうちに特に増改築を計画しているものがかなり多いという調査結果もあり、さらに四十年代に大量に建設されました住宅が築後十年から二十年を迎えるという状況でございますので、リフォームニーズはさらに高まってくるものと考えております。
  245. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かにおっしゃるとおりにこのリフォームに対するニーズは高まってくるものと私も思いますが、住宅リフォームをより一層活性化させるためには金利を基準金利にまで下げるべきじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  246. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 金利につきましては先ほどからいろいろ御議論を承ったところでありますけれども、この金利につきましては現在は中間金利口の四・八%を設定し、このことの一つとしましては、まず第一に考えるのは、新しく住宅を求めることが一番優先順位が高い、こういうことの次の段階だということで四・八ということもあります。それからまた、増改築の場合は工事費の金額は新築取得のケースに比べれば金額は小さい、したがって負担も新築に比べれば軽いというようなこともあわせ考えまして中間金利口に設定したところでございまして、金利全体の中でできるだけ優位になるように今後も努力はしたいと思っております。
  247. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かに現在もう家を持っている方でございますし、金額的にも少ないものでありますけれども、少しでも直そうとしますと案外金額的にかかるものなんですね、このリフォームというのは。そういった点でやはりもう少し検討を加えていただきたいと思います。  また、消費者に対して技術的な問題を含めて的確な情報提供を行う体制を整備する必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  248. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) リフォームと申しますのは工事費の金額が小さい割にはその内容が複雑でございまして、通常、工務店などに消費者の方が相談を持ちかけましてもなかなか嫌われるというか、後回しにされるとか、そういうような傾向がないわけではございません。したがいまして、消費者に対してそういうリフォームにつきましての知識を十分普及するということは極めて重要なことだと考えておりまして、建設省といたしましても、財団法人日本住宅リフォームセンターを設立しておりまして、そのセンターによりまして相談員制度というのを発足させております。現在全国で二万四千名の相談員を登録いたしまして、これを全国の百二十二の相談窓口と関連させましてその活用の積極化を図っているところでございます。
  249. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 確かにおっしゃるとおりいろいろと考えてやっておみえになると思います。  これは宮脇さんという方が書かれているんですけれども、これは建設省とはちょっと管轄外になって申しわけないんですが、フィンランドの小学生用の建築の教科書なんか見ますと、「国土と建築の様式、生活用具、公営住宅、都会に住むことと田舎に住むことの違い、建築の工法、ギリシャの柱頭の様式、図面の書き方読み方、建築金物、調和の原則——なんていうのがみんな絵入りで書いてあって、最後には、自分たちの住んでいる環境を維持するために、こうやって署名を集め、デモをして請願をしなさいと教えている。」、それは小学校の教科書でも教えているということでございますし、外国の方でいろいろとお聞きになったことをお書きになっています。大体外国では、「原則として高校までに男の子は家のメンテナンス、家庭電気製品の修理、女の子はインテリアコーディネーションの基礎を殆ど習っている。」と、こう宮脇さんという方が書いておみえになります。  それに引きかえて日本は、受験勉強で忙しいですからそういうことはなかなかないんじゃないかということでございますが、その程度の基礎的なこともやはり、昔は家庭科なんてありまして、我我のときにはなかったですけれども、そういうところでしっかりと勉強しておけば、リフォームになっても業者の言葉だけに振り回されることもなくなるんじゃないかなと思うわけです。  公庫としましても、きょう河野さんお見えになっていらっしゃいますが、そういったサービスの面につきましてもいろいろとお考えになっていらっしゃるとお聞きしますが、その点どうでしょうか。
  250. 田母神三郎

    参考人田母神三郎君) 住宅金融公庫といたしましてもリフォームの重要性については常々そう考えて、申込手続の簡素化とかそれから融資条件の改善等、そういったことについては逐年努力を続けてきたところでございます。  例えば申込手続の簡素化について申し上げますと、建築確認を要しないような工事につきましては地方公共団体の工事審査は廃止していいとか、あるいはキッチン、バス等の住宅設備のリフォームにつきましては、無担保のクイックリフォームローンというような制度を設けまして、資金を早期に出すとかそういうようなことをも実施してございます。それから、すまい・るサービスといたしまして、住生活の向上のためにいろんな住宅相談というものも日曜出勤をいたしまして住宅展示場等で行ってもおります。また、融資条件の改善につきましては、融資対象工事の拡大とかあるいは限度額を引き上げるとか、そういったことで逐年努力をしてきているところでございます。  今後も引き続きまして申込手続の改善あるいは融資条件の手直し、住情報のサービス等につきましては努力を重ねてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  251. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今参考人の方からいろいろとお話がございましたが、ぜひともそういうサービスとかあるいは利用者の方々とのつながりというものを非常に強化していただきまして、民間の方も定期になりますと公庫と大体同じような金利体系とかそういうことで仕事もしてまいりますので、余り差がなくなってしまうんじゃないかという声もありますが、私はそういうことはない、また一つの大きな使命があるんじゃないか、こう思ってもおります。かつて特殊法人の問題いろいろと問題になりましたが、そのときにも、一つ一つの特殊法人というものをやはり政策的につくったんですから、その政策をしっかり守りながら、優良な一つ企業と申しますか、民間企業まで発展させるべきじゃないかということでお話させていただいたこともありますので、ぜひとも今後も公庫の業務につきまして頑張っていただきたい、こう思います。  最後に高齢化の対策の問題でございますが、高齢化社会を迎えようとしておりますので、高齢者の方々が安全で快適な住生活を営めるようにするためには、住宅の構造、設備についてあるいは高齢者の住まい方に対応したさまざまな工夫、配慮が必要になると思うんです。私たちも、お年寄りの同居されている家庭の方々、特に老人のケアをしなければならない方々のいろんな御意見をお聞きしますと、やはり住居費の負担が一番大きいというお答えがいろいろあるわけでございますが、その点建設省としてもお考えになっていらっしゃると思いますが、どうでしょうか。
  252. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 高齢者が安全で快適に住生活を営めるようにするために、住宅に対しまして設計上のいろいろの配慮をすることがまず一つの基本的な問題としてあるかと思います。  この場合につきましては、まず設計上の配慮の具体事項としましては、床を滑りにくく仕上げるということが一つあります。それから段差の解消ということがございます。小さな段差でもつまずきますとすぐ骨折等にもつながるということで段差の解消をする。それから手すりの設置ということで、廊下から階段あるいは浴室、便所に至りまして手すりを設置していく。さらに利用しやすい設備機器の設置等を行う。また浴槽につきましても、埋め込み浴槽にするとかレバーハンドルを設けるというようなことも考えられ、また老人室につきましてはできるだけ一階部分に設ける、こういうようなことが必要であろうと考えております。さらにまた老人室、浴室、便所等へ非常用のブザーの設置、さらには浴室、便所に対して暖房設備を特に加えるというようなことも必要かと思いまして、こういうことでもって現在指導しておりますけれども、さらに、六十二年度から六十六年度にかけまして、長寿社会における居住環境向上技術の開発ということで、高齢化社会になりましたときにも、住宅トータルとしましての設計指針を現在準備中、こういうことでございます。
  253. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この法案でも隣居、近居ということでいろいろとお考えになっているようでございますけれども、今おっしゃったような総合的な対策をこれからもいろいろと検討をしていただきたい、このように思います。  せんだって、私どもの同僚議員の中で火災で御家族の方が死去された問題がございましたが、お年寄りの方が新建材のガスで意識を失われたんじゃないかと見られる点もあるようでございます。そういう新建材ということも必要でございますが、そういうお年寄りの部屋にどういうような建材を利用したらいいのかということも研究を進められていると思いますが、それはどうでしょうか。
  254. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほど六十六年度にかけまして技術開発を進めているということで御説明申し上げましたが、こういう中におきましてもそういう火災対策のことも含めまして研究を進めてまいりたいと考えております。
  255. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 住都公団の方も見えていますけれども、最後になりますが、いろんな総合的な対策を今後講じていただきたいと存じます。  せんだってスウェーデンに行きましたところ、岩盤をくり抜いて地下鉄を通して、その地下鉄の先に公団住宅をつくっているわけです。公団住宅をつくって、そこに、海岸のところですから小型原子力発電所で電力を発電して送っている。その公団に参りましたら、地下鉄の駅の上にお年寄りの老人ホテル、老人ホーム、老人の部屋をまず優先的につくる。その周辺にあと若年の方々を配置する。全部色がそれぞれ違うわけですね。老人のアパートはこういう色、若い人のところの色はこうだと、色分けもちゃんとできるということで相当進んでおります。また、スペインに参りましたら、建っているマンションがそれぞれ個性的な中で調和がとれているということでございます。  私は今度住都公団の住宅も拝見させていただこうと思っていますが、日本も個性化は進めていらっしゃると思いますけれども、さらにいろんな面の、目から見るそういう環境の重視と申しますか、そういう点も含めていろいろと対策を考えていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  256. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 高齢化社会に入ってきましたときに、高齢者を市街地の中にどのように配置していくかという問題につきまして各国でもっていろいろなアプローチをしているところだと思っております。アメリカのように、健常高齢者を主としてねらいまして大規模なニュータウンを開発しているという例もございますけれども、ヨーロッパの例の場合ですと、比較的小規模の棟でもって、それほど大きな量にしませんで、市街地の中の他の階層の者とうまくまぜ合わせましていいコミュニティーをつくっているという例もございます。また、高齢者になりましたときにはいろいろのケアが伴ってまいりますので、余り小規模で散在させるとそちらのケアの方がお留守になるということもございます。  その点、どういう規模のものをどういうように配置するかということはこれからの大きな研究課題でもあると私ども思っておりますので、そういう御指摘のところを注意しながら前向きな形でもって大いに取り組んでまいりたいと考えております。
  257. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  258. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まず、住宅金融公庫法の一部改正案についてでありますが、これはいわゆる親孝行ローンの創設と住宅改良資金に対する特別割り増し制度の新設であって、それ自体は我が党としても賛成であります。しかし、今日の異常な地価高騰のもとで、とりわけ東京などでは一般の勤労者が住宅を取得することはほとんど不可能になっている。この程度の改善はいわば焼け石に水と言わざるを得ません。みずからの住宅取得さえなかなか大変だという状況のもとで、親の住宅建設のためのローンも借りられる勤労者がどれだけいるか極めて疑問であります。  そこで、今回の措置で子供が親の住宅を建設、購入する戸数をどれくらいに見込んでいるのか、金融公庫を利用しての全体としての建設戸数との比率はどれくらいになりますか。
  259. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 親孝行ローンの需要見通しにつきましては四千戸程度を見込んでいるところであります。  これの算出推計につきましては、これが新しい制度であるということが一点と、また統計上この需要を推計するデータが不足をしておりますので、正確に把握することは極めて困難なところでありますけれども、既にありますいろいろのデータ、例えば公庫におきます二世代住宅に対する貸付実績でありますとか、あるいは高齢者の居住する老朽化した住宅のストック量でありますとか、あるいは高齢者の家計収入に対する子供の援助の状況、こういうさまざまな数字を組み合わせまして推計したところ、おおむね四千戸、こういうことでもって計上したところであります。なお、五十四万五千戸に対する比率としましては〇・七%でございます。
  260. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 今の数字が示しますように、全体から見ればまさに微々たるものであります。今日何よりも一番求められているのは、安い良質な公共賃貸住宅の大量供給であります。ところが、勤労者の要求とは反対にこのたび住都公団の賃貸住宅継続家賃の大幅引き上げが行われようとしているのであります。そこで、来週また集中審議も行なわれる模様でありますけれども、機会を得ましたので私この機会に少し質問をしておきたいと思うわけであります。  言うまでもなく、公団家賃も公共料金の一種であります。公共料金はできるだけ国民の負担を低く抑えるのが当然でありまして、経営が苦しくて値上げを申請する場合であっても極力値上げ幅を抑えることが求められている。ところが、公団は黒字なのになぜ今回値上げをするんでしょうか。
  261. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 御存じのように、住都公団法の施行規則の五条に家賃改定に関する規定があるわけでございますが、経済事情等の変動あるいは賃貸住宅相互間の均衡、こういったものを保つために必要な場合には大臣の承認を得て家賃の改定を行うことができるということになっております。まさにそういう理由によりまして今回家賃改定をお願いし、より適正な公団賃貸住宅相互間の均衡、それから維持保全関係の費用の確保というものを図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  262. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 従前建てたものがいろいろ激変緩和措置どもとってきたということと、新しく建てられたものとの間の家賃の不均衡、それが主な理由に挙げられているわけでありますけれども、しかしその際問題なのは、最近建設をされている住宅の家賃上昇の主な要因、それは地代相当額と公租公課だ。いずれも固定資産税の上昇が最大の要因として考えられると思うわけであります。百歩譲って、この固定資産税相当額を当該住宅の居住者が負担するというだけならばわからないでもないわけですけれども関係のない地代の上昇分、これを居住者にその一定部分を負担させるというのは、これはどう見ても理解しがたいわけでありますけれども、それはなぜでしょうか。
  263. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、公団の賃貸住宅相互間の均衡を図るということでございます。したがいまして、最近の新しく供給しております賃貸住宅、これはやはり相当の高額なものになってくるということでございます。そういうことで、五十八年度のときもそうでございましたが、増収分の一定割合をその抑制の方にも回さしていただくということでございます。
  264. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 家賃の不均衡が生まれているからその均衡を図るんだというにしても、その不均衡がなぜ生まれたかということは居住者の何ら責めを負うべき問題ではないわけです。社会的原因によってそういう不均衡が生じてきたということで、最近私も地元京都で公団住宅に住む人たちからの要望を聞く幾つかの懇談会にも出席をする機会があったんですけれども、改めてこの居住者の方々の生の声を聞いて家賃値上げの深刻な影響に驚いているわけであります。  例えば、十条団地というところがありますが、そこの老夫婦は三十年間公団に住み続けてきた。今、年金だけの生活でやっているんだけれども、値上げをされれば払えなくなる、出ていかなければならない。老人と金のない者は出ていけというのが一体公団の方針なのかという声とか、八幡市というところの男山団地での意見でありますけれども、例の国会要望から見ても今回のやり方はまさにペテンとも言うべきものだ。住民との話し合いはおろか、ただの一度の説明会もやっていないという実情さえ訴えられているわけであります。  公団に聞きますけれども、例えば高齢者六十五歳以上をとったとして、一体居住者の中の何%ぐらいを占めているか。低所得層ということで所得第一分位、第二分位、これに属する人たちがどれくらい比重を占めているか、どうつかんでおるんですか。
  265. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 六十年の調査、これは全数調査ではございませんけれども、世帯主が六十五歳以上の場合でございますが、その場合は全体で割合が五・一%ということになっております。それから六十五歳以上の高齢者を含む世帯、これで見ますと全体の八・六%ということになっておるわけでございます。  それから収入の点でございますけれども、御存じのように、公団は、全体の住宅政策の中で公営住宅などとの役割分担を果たしながら中堅勤労者階層に対して適切、良質な住宅を供給していくという役割を持っておるわけでございまして、そのため、いわゆる所得分位の三分位中位というものを中心に供給をしているというわけでございます。したがいまして、確かに居住者の実態というのは一方にあるわけでございますが、そういうものによって家賃の改定をいろいろ考えるとかということになりますと、現在の制度の中では公団の枠を超えたものにならざるを得ないというふうに考えるわけでございまして、そういう意味で所得の調査というものをやっているわけではございません。
  266. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 六十五歳以上の世帯は五・一%だというふうにおっしゃっているんですけれども、果たしてそれは本当に正確な調査をなさったのかなというふうに疑いを持たざるを得ません。  私は自治会の代表から公式に聞きましたけれども、例えば京都のさっき挙げました十条団地、ここでいきますと六十五歳以上の世帯は一五・四%というんですよ。それから所得の面で言えば、第三分位を軸にいろいろ判断をしているということですけれども、それよりも所得の低い第一分位と第二分位の合計が十条の団地では六八%であります。もっと著しいのは西陣の公団団地、ここは七二・六%だという。これほどの姿があるわけですから、本当に今回の値上げの問題については慎重にしてもらわなくてはならないと思うわけでありまして、まさに高齢者、低所得者いじめの値上げではないかという意見を持たざるを得ないわけです。  ところで聞きますが、三月の二十三日、建設省の公団監理官室の担当者が、住民の代表との話し合いの席上で、公団は福祉目的ではない、老人は息子から仕送りをもらえと発言をして大変な怒りを買ったというふうに聞いているんですけれども、こういう考え方が公団の考えですか。
  267. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 今お聞きしたところでは、公団監理官室は建設省にございまして、公団の監督に当たっているところでございますが、今おっしゃったようなことを考えて公団が家賃改定をするとか、そういうことではございません。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは建設省考え方どうですか。
  269. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 私そういう事実の報告を受けておりませんけれども住宅対策と福祉対策それぞれの施策が総合的に展開をしていくというような気持ちでもし発言されたとするならば、そういう気持ちで発言があったのかもしれませんですけれども、直接そういうことがあったかどうかということについては聞いておりません。
  270. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日にちも挙げて、必要とあれば名前を挙げてもいいんですけれども、仮にM氏ということにしておきます。その方が事実このことを発言されておる。公団家賃の決定については、低所得者だとか生活保護世帯だとか、こういうところについては一定の配慮をするということがありますね。だから、そこに示されるように、福祉とは全然無関係に家賃は決めているんだという問題ではなかろうと思うのに、こういう発言が出てくるというところに、居住者の切実な思いを無視して高飛車的に家賃の値上げがやられていくんじゃないかという疑問が出てくるわけです。  私は日にちとM氏ということまで申したのでありますから、ひとつ大臣、よく事実調査をしていただいて、いたずらに住民の不信、怒りを買うことがないような適切な指導をお願いをしたいと思いますが、大臣どうでしょうか。
  271. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今住宅局長からお答えをいたしましたが、私もその話は聞いておりません。ただ、そのお聞きになった方がどういうとり方をしたのか、どういう発言をしたのか、それは聞いてみますけれども、先ほど住都公団の方からお答えいたしましたように、基本的には住宅公団は中堅サラリーマンの方々の住宅を供給する、こういう任務を持っております。そのことはひとつ御理解をいただきたい、かように思う次第であります。ただ、出ていけというようなお話もございましたが、そういう気持ちは持っていないと思いますし、よく話し合って進めていきたい、こう思います。  また、確かに家賃の値上げ申請が来ております。これは住宅相互間の均衡の問題、あるいはよりよい維持管理の問題等々を含めて申請が来ておると聞いておりますが、十分審査をしていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  272. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 実情はどういう姿であったかという点をぜひよく調査をしていただいて、必要な場合には適切な指導を行っていただきたいと思います。  そこで、公団の一般的な家賃値上げのやり方をめぐって前回の五十八年のときにも大いに問題になり、衆参両院の建設委員会での要望という名の意見まとめといいますか、決議と申しますか、こういうものが行われました。当院の関係でいきますと、その第三項で、「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」としておりますし、また第七項で、「公団は、家賃の改定の周知徹底と相互理解を深めるため、入居者に対し積極的な努力を行うこと。」というふうにうたっているわけでありますけれども、こうした点についてどういう努力をやられたんでしょうか。
  273. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) まず、適切な手続に基づくルールづくりということでありますが、そういう要望を受けまして、公団といたしましては、総裁の私的諮問機関でございます基本問題懇談会、ここで御意見を伺うということにしたわけでございます。  ところで、家賃問題はかなり専門的、技術的問題もございます。そういうことで、その中に家賃部会というのを設けていただきまして、これは十三人から成っておりますが、大臣あっせんもございまして、その中に居住者の代表の方に二人入っていただきましてそこで議論をしていただくということになったわけでございます。さらに、詳細な検討を行うということから専門部会というのを、これはたしか六十年四月の家賃部会で皆様方の御了解を得てその専門部会で詳細な検討を行うということになりまして、専門部会で二十数回の検討を行って、いわゆるたたき台と申しますか、を公団が取りまとめたわけでございます。それを家賃部会に十二月に提出いたしまして、家賃部会で非常に御活発な御意見を伺い、四回にわたって御議論を願いまして、それを基本問題懇談会に去る三月十五日に報告したということでございます。したがって、私どもとしてはそこででき上がったルール、これに従って今回の申請を行ったというふうに考えておるわけでございます。  それから周知徹底のお話でございますが、これにつきましては五十八年の実績のお尋ねだと思いますが、我々といたしましては、何せ数十万戸という住宅の家賃の改定をやるわけでございますので、最も正確に公平にかつ迅速に周知徹底を行わなきゃならない、そういうことで、文書によることがこの条件に最も合った方法であるというふうに考えて、これを主体として行ってきたわけでございますが、そのほかに、疑問がある方、質問がある方等々あるわけでございますので、各支社に特別な説明の窓口を設けて質問等にお答えするという形でやってまいったわけでございます。  五十八年改定時の周知状況について簡潔に申し上げますと、周知文の配布等につきましては十二回、窓口での説明が三百九十一件、電話での問い合わせが一万九百七十四件ということになっておるわけでございます。今回も今申しましたような考え方に基づいて周知徹底に努力してまいりたいと思っております。
  274. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 前段で言われた、ルールづくりのために公団の基本問題懇談会家賃部会並びにさらにその中に専門部会をつくってきたと。確かに家賃部会には公団自治協の代表が加わっている。きのう私の部屋へ来ていただいた説明によれば、これが四回ぐらいだ。専門部会は二十数回やってきているけれども、これには自治協の代表は入っていないわけですね。だから、こうした点でやはり本当に自治協の意見をよく酌み取って慎重に検討をやっていこうというにはちょっと片手落ちだというふうに言わざるを得ない点がある。しかも問題は、このルールづくりの検討のためにこういう組織をやっていろいろ話し合ってきたというんですけれども、そこの結論が出ないまま、いわゆるルールなるものの結論が出ないまま今度の家賃値上げ申請、こういうことで出ているから非常に今もめているんじゃないですか。  私は、前回わざわざ、要望という名前ではありますけれども、あれだけの決議を衆参両院でつくって、ルールづくりのためにひとつ大いに努力をしてもらいたいという形になっておった。それに沿って事がやられていないというここが非常に重大な問題だと思う。しかも、全国自治協の方の御意見を聞くと、確かに自治協の広報部長をされておる井上さんなんかも家賃部会には入っておったということですけれども、なお審議継続を求めておったのにそれが一方的に打ち切られて、今の話のルールづくりの問題についての結論が出ないまま家賃値上げ問題が強引に決着というか、性急な結論が出されたという点で、繰り返して言うようですけれども国会決議というか意見まとめ、それから裁判所での和解の条件、これに照らしても今回のやり方というのは非常に問題があるということで、大臣、ひとつこれは慎重に受けとめて、私としては、もう一遍今回の値上げ案の申請を差し戻しをして、さらに慎重な再検討を求めるという態度を建設大臣としてはとっていただきたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  275. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) いろいろお話がございました。慎重に審査をいたします。
  276. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 慎重に審査をしていただくためにも、もう一遍これは差し戻して、再検討せよと命じていただきたいというふうに重ねて私の意見を申し上げておきます。
  277. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 差し戻すか戻さないか、そんなことを予見を持ってやるということはいたしませんので、慎重に審査をいたします。
  278. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、一つ重大な問題を感ずるのは、片一方でこういう形で値上げがどんどんと押しつけられていくという動きが始まっている。ところが片一方で、非常に安い値段で一部団体に住都公団がかつて取得をしておる土地を放出していくという問題が起こっているんじゃないかということであります。  昨年、一九八七年の三月十一日の朝日新聞にも報道されたところでありますが、新聞報道が十一日で、事は昨年の三月の十日、公団の丸山総裁が経団連の常任理事会に出席をされて、公団は今後年間五百ヘクタールの土地を供給していく。新しい複合都市づくりに経済界と協力したいと話をしたということでありますけれども、このことの意味は、臨調答申が言っているところの、大都市での住宅建設は民間に任せて、みずからは、このみずからは公団はという意味だと思いますが、みずからは都市再開発や基盤整備に努めよという、これを忠実に実行していくんだ、本来の住都公団の任務であります、庶民に安い住宅を供給するというこの政策は根本的に転換するということを意味する総裁の発言なんでしょうか。
  279. 佐藤和男

    参考人佐藤和男君) 昨年の三月、私どもの総裁がお招きを受けまして経団連の常任理事会におきまして、公団の新しい都市開発の展開について御説明申し上げました。その際、今後の都市開発方向として、その前年、新住宅市街地開発法の一部改正もございまして、複合都市開発の推進についてお話を申し上げたわけでございます。都市開発の具体の例としては、ニュータウンの一部におきまして研究所等の業務用の施設の立地をしていただくということが、ニュータウン居住者にとりましてもまた地域にとりましても非常にプラスであるということで、この方向は都市開発方向一つとして進めてまいりたいということを申し上げたわけでございます。
  280. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 抽象的にはそういった方向をお認めになったかのような発言でありますけれども、具体例でお聞きをします。  私の京都府の木津町、一番南の町でありますけれども、奈良市と背中合わせの町です。そこの境目のところに高の原という地域がありますけれども、こういう裏表のビラで、これがばっと高級マンションの絵なんです。裏側にこういう間取りの二LDKとか三LDK、これが値段が何ぼだという地図で、これがばっと全戸配られたということであるんですけれども、公団は近鉄不動産に高の原の土地を一体どういう価格方式、要するに最初の住都公団の取得価格あと何々をプラスして、要するに時価で売っているわけではないんですね。そこらのちょっと、どういう価格方式、事実関係で売っているか。どうでしょうか。
  281. 佐藤和男

    参考人佐藤和男君) 最初のお尋ねの都市開発の新たな方向としての複合都市開発という点と、今ほどのお尋ねは、具体の相楽地区におきまして、その前年新住法の政令が改正になりまして、民間の住宅業者に私どもが土地を譲渡し、その民間の住宅業者がマンション等を建てて売却するという、民間おろしと俗に称しております方式をとった事例のお尋ねだろうと思いますが、その中では、当然のことながら、民間事業者に対する土地の譲渡はまさに鑑定評価によります適正な時価による処分でございます。
  282. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 適正な時価とおっしゃっても、私の疑いはそれだけの答弁では消えません。一遍ひとつ私の方に、どういう価格方式で売ったかというのを資料として、今ここで言えなければ後日御提示いただけますか。
  283. 佐藤和男

    参考人佐藤和男君) その相楽地区の民間おろしの価格水準は大体六万四千円前後と承知しております、平米当たり単価で。これは、それぞれの宅地につきまして複数の鑑定評価を依頼いたしまして、適正な時価を算出して、それをベースに公募をかけて譲渡したものでございます。同じ住宅地に結果的になるわけでございますが、私どもが直接宅地分譲いたします場合には、公団法の定めるところによりまして原価を基準としていたします。このような、別途、今ほどのお尋ねのような民間事業者に対する宅地開発の譲渡は時価を基準とすることといたされておりますので、今ほど申し上げましたような鑑定評価書をとり、それに基づいて時価処分をしたわけでございます。
  284. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私がなぜこのことを問題にしたかといいますと、大臣片一方で、さっき数字を挙げましたように、高齢者そして低所得者、これが相当の率を占める公団の居住者に対しては値上げがどんどん押しつけられるという動きが進行している。片一方では、こういうマンションの建設、あるいはさっきもありましたように五百ヘクタールのうち百は工業用地、百が研究施設等に使うというところで、そういうところへ安い値段でそういうものがどんどんと言うならば放出をされていくということが起こっておって、本当につり合いのとれた住宅政策というふうに一体言えるのかという意味で問題にしているわけであります。  一遍大臣としてもよく実態を把握していただいて、まあよその土地でもいろいろあると思うんです、ここだけの例じゃないと思うんですけれども、実情をよく把握していただいて、指導すべき点があれば指導するということで御検討を大臣にお願いして、終わっておきたいと思います。
  285. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) いろいろお話がございました。  よく話を聞いてみたいと思いますが、先ほどもお答えいたしましたように、鑑定をしてそれで売却しておる、こういう話であります。確かに、土地の値上がりが続きましたから売却した時点と今の価格では多少違いが出るかもわかりません、これは私の想像でありますけれども。いずれにしても、不正があればよく指導をいたしますが、正当にやっておればこれはお認めをいただかないと、こういう公団でありますから御了承いただかないといけない、こういうふうに思っております。
  286. 青木茂

    ○青木茂君 質問者も最後になりますと、もう聞きたいことは皆出ちゃったんですね。昨日私は十ばかり御質問の内容を申し上げたわけですけれども、そのうち八つは既に出てしまいました。だから全く切り方を変えないとこれはやりようがなくなりました。  そこで、唐突ではございますけれども住宅金融公庫は、すまい・るという広報誌を出していらっしゃいますね。すまい・るって何だろう、ここにぽつが入っているから、これ何だろうと思ったら、住まいするということなんですって。住まいするがスマイルというほほ笑みにつながる、こういうことらしい。ただ、現在の建設行政、それから住宅金融公庫のあり方が果たして国民がスマイルするような内容になっているかどうかということについては私は多大の疑問があるわけなんです。  そこで、まず皮切りに大臣にちょっと伺いますけれども、今度の六十三年度予算でいわゆる思いやり予算という名前がついているのがありますね。この思いやり予算の内容そのものを論議する場ではないからそれはおくといたしまして、予算ですから、理屈をおっ外して国民に対する思いやりというものがどこかになければいかぬわけなんです。そうなりますと、今度のこの住宅金融公庫法の改正について、国民に対する思いやり、つまり今度の法案のチャームポイント大臣は何だとお考えになりますか。
  287. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) やはり融資の拡充、税制の問題等々、我が建設省としては、みんなが努力をいたしまして、公庫の方にお願いしてこれを早く希望者にお届けする、これがやはり思いやりだと。できるだけ有利な融資をするし、また取得税制等も拡充して住宅の欲しい方にできるだけサービスをしていく、こういう気持ちでおります。
  288. 青木茂

    ○青木茂君 それはそのとおりだと思いますよ。思いますけれども、朝からの論議を伺っておりまして、私は、理屈理屈の繰り返しであって、国民に対する本当に思いやりのために理屈をおっ外したというのが見られなかったわけなんです。一例を挙げれば親孝行ローンですね。これなんかも確かに思いやりだと思うんだ。思うんだけれども、その金利を五・一%なんて上げちゃったら、これは理屈の問題になっちゃって何もなりはせぬというところに私はどうも吹っ切れないものが残っておるわけなんです。  それを前提にしまして、このすまい・るという広報誌、ちょっと伺っておきますけれども住宅情報サービスというものの重要性というものを公庫はどういうふうにお考えですか。
  289. 前田昌靖

    参考人(前田昌靖君) 先生の御質問でございますが、すまい・るというのは、国民が住まいをするということで、その「る」と引っかけまして、ほほ笑んで楽しくという意味をかけまして、すまい・るという名前にしてございますが、この業務自身につきましては、最近国民の間で住まいに対します御要望というのは非常にニーズが多様化しているというふうに存じます。それに対応しまして、公庫自身が蓄積をしておりますいろんな情報、これは金融もそうでございますし、技術情報もかなりの蓄積がございますが、これを公平な立場で国民の皆様に御提供をする、もちろん資金計画は当然でございますけれども住宅の建設とかリフォームとか、そういったものに対します技術的な情報を差し上げ、そういったことで国民の方にぜひよりよい住まいの形成にお役に立ちたいということでございます。  これにつきましては、ただ単にお金を貸すというだけではなくて、適切な情報が必要、世の中には確かにたくさんの住宅情報がございますが、適正な情報を公平な立場で差し上げる必要が現在あるのではないかというようなことで、六十二年度からこの業務を開始したというところでございます。
  290. 青木茂

    ○青木茂君 けさいただいたんだからよくは目を通しておりませんけれども、これをずらっと見てみて、民間の精緻徹底した情報量の提供に比べますと、いかにもこれはお粗末と言っては失礼ですけれども、正直お粗末なんですよ。当たり前のことしかないわけなんです。公庫がおやりになるせっかくの、これは金がかかっているんだから、情報サービスなんだから、国の機関としての特徴をもう少しはっきり打ち出してみたらどうかと思うんですけれども、公庫の方では、民間の住宅サービスに対する公庫の情報サービスの特徴、つまりどこをどう違えていけばいいかということについて何か一つの基本的なプリンシプルはお持ちですか。
  291. 前田昌靖

    参考人(前田昌靖君) 公庫は公的機関でございます。したがいまして、公平性のデータを出さなければいけない。公平なデータということは偏らないということでございます。それが一つ住宅を建設するという人たちにとりましては、かなり情報としてはトータルで必要だというふうに思います。トータル的な判断が必要だということ、これが二番目。三番目が非営利的ということだというふうに存じます。  確かに先生おっしゃいますように、そのパンフレットだけで御想像をいただきますのが非常に難しいと思いますが、現実的には、例えば地域別の建設費というものも公庫の方で、実際にお建てになった人たちの価格がデータとして把握をされておりますので、各地ごとにどのぐらいの形で価格が分布されているか、そういうようなデータも現実にお尋ねをいただければすぐ出る。それとあわせて資金計画を立てていただく。あるいは現実にお建てになる方は家の建設で間取り等も非常に悩んでおられる。それの参考資料を、地域によって住宅の内容というのは当然違うわけでございますので、その地域で建てられた住宅の参考資料をすぐOA機器を使ってお出しする。そういう形の即時性もある程度持って総合的に情報を提供してお役に立てたい。こういうふうな形で現在動かしてございます。
  292. 青木茂

    ○青木茂君 そういうようなサービス内容をやりますよということなんですけれども、これを拝見しまして、こういうことがあるから相談に来いよということは出ているけれども、せっかくいろんな情報をお持ちのものがそれぞれの家庭に届かないわけなんです、これでは。だからこれは僕はむだ金じゃないかと思うんだけれども、どうなんですかね。これの利用状況はどうなんですか。
  293. 前田昌靖

    参考人(前田昌靖君) 現実に六十二年度一年間そういうような形で日曜相談というようなこともやりまして、ウイークデーでは出てこられない方方にも実際に展示場等に出てまいりまして御相談にも応じます。当然電話もございます。それから講演会とかセミナーとかというような形の計画もかなりの数をこなしてございます。  そういったような形で一年間やりましたが、一カ月当たりの相談件数みたいなものはどうなっておるかと申しますと、電話相談が一カ月で約六万件でございます。それから面接相談、フェース・ツー・フェースでやるというのはかなり重要でございますが、この相談が一カ月当たり四千件を超えている、全国ででございますが、そういう状況でございます。
  294. 青木茂

    ○青木茂君 民間はもっと派手にやっているわけですね。だからどうも特徴が出ない。  それとともに、もう一つ伺いたいのは、このすまい・るというパンフレットは、制作が住宅金融普及協会、こういうふうになっているんですけれども住宅金融普及協会というのは、これは何なんですか。
  295. 吉澤奎介

    参考人(吉澤奎介君) 住宅金融普及協会というのは、建設大臣の認可を受けました財団法人でございます。設立の目的は、住宅金融公庫の使命を一層伸長させるためにその事業に協力するとか、あるいはより全般的に住宅問題に対する調査研究を行う、こういったことを使命といたしております。
  296. 青木茂

    ○青木茂君 それぐらいのことは公庫自体でできませんか。
  297. 吉澤奎介

    参考人(吉澤奎介君) 公庫でできる分野もございますが、公庫は何せ千百人で事業をやっておりますし、またこういうすまい・るもやっておるわけでございます。その一部をこういう金融機関の活力を利用してやっていただく方がベターだと思う点がございます。そういうものをやっていただいている面がございます。
  298. 青木茂

    ○青木茂君 しかし、この住宅金融普及協会というものの役員構成を見てみますと、全部これは役所からの天下りなんですよ。何か必要もないのに、これは民間のどこかの株式会社へ安い金で頼むというなら話はわかるんだけれども、この協会なるもののあれをずらっと見てみて、皆どこかの役所からの、養老院なんというと失礼だから言わぬけれども、そういう構成なんですよ。これはもう単なるお役人の後の受け皿にすぎないんじゃないかという感じがどうしても強いということなんですね。  そこで、会長さんの御経歴はどうなんですか。
  299. 吉澤奎介

    参考人(吉澤奎介君) 会長は非常勤でございまして、余り出てこない、別に仕事を持っておるということでございますが。経歴は、建設省住宅局長を退任いたしまして、あと住都公団、阪神道路公団等の役員を歴任して、現在は首都圏不燃建築公社の名誉会長という職務をいたしております。
  300. 青木茂

    ○青木茂君 いただいた資料の中には、松栄建物株式会社の社長さんというのがございますけれども、これは現在もですか。
  301. 吉澤奎介

    参考人(吉澤奎介君) 現在もそういう社長さんはやっておられると聞いております。
  302. 青木茂

    ○青木茂君 とにかく、役所をやめて住都公団、阪神道路公団、地域振興公団、不燃公社などずっと渡り歩いて、そして現在は、建物だから建設関係だろうが、その社長さんをやっておられて、その方が非常勤とはいえ普及協会の会長である。何か注文を出す方と注文を受ける方が一緒のような感じがあって、そこら辺のところが全く不透明である。これは実は住宅金融公庫だけでなしに、私がこの前問題にした首都道路公団にもいろいろあるわけなんですよ。  こういう屋上屋を重ねるような行政のあり方、もしこれだけ渡り歩いてその都度退職金を取られたらたまったものじゃないわけですからね。それがもっと国民に一つでも二つでも良質な住宅を供給する原資に回るというのが、僕は思いやりであり本当の行政のあり方だと思うんですけれども、これは大臣いかがですか。
  303. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 今の会長の話は実は聞いていないわけでありますけれども、協会というのは、その筋の権威者といいますか学識経験者といいますか、これは率直に言って、報酬などのこともどの程度か、あるいはあるのかないのか聞いておりませんが、協会というたぐいのものはその筋の権威者が大体やっておるということであります。そういう意味では、今私がこれがいいとか悪いとか即答ができない、ただいま初めて聞きましたので、調べておりませんから。そういう感じがいたします。
  304. 青木茂

    ○青木茂君 基本財産一億八千万持っておられるんだから、私はこういうものこそ本当に住宅建設の増加に回した方がいい。  それから、今大臣のお言葉ですけれども、権威者というものは何もお役所に勤めている人ばかりが権威者ではない。もっといっぱい民間に立派な人たちがおるんだから、オール役人OBで固めたような住宅金融普及協会がこの業界における最大の権威者とはどうしても認められないし、また同時に、このできたものがそんなに権威のある人がうまくつくったとは、すまい・るという名前だけはナウいけれども、内容であるともどうしても私は思えない。思えないから、こういうふうなものが行政改革、行政改革と言われるときにやり玉に上がらざるを得ない。これは国民に対して弁解ができないですよ、そういうような状況をつくっておったら。  私が御質問したいと思っておったこと、さっきも言ったように八割方はもう前に済んじゃいましたから、この点だけで、少し天下りの不当というものを申し上げて、終わりにします。
  305. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  307. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  308. 小川仁一

    ○小川仁一君 私は、ただいま可決されました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議日本共産党、民社党・国民連合、サラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、地価高騰等により、大都市圏を中心に住宅問題が深刻化している現状にかんがみ、適正な価格で良質な住宅を取得することが可能となるよう、住宅・宅地対策を積極的かつ強力に推進すること。  二、立ち遅れている居住水準の向上と居住環境の整備に積極的に取り組むとともに、良質な賃貸住宅供給の一層の促進に努めること。  三、国民の住宅取得を容易にするとともに内需の拡大を図るため、引き続き、住宅減税の拡充に努めること。  四、住宅金融公庫融資については、貸付限度額等貸付条件の充実に引き続き努めるとともに、公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の配慮を払うこと。  五、高齢化社会や多様な居住形態に対応する住宅政策の推進に努めるとともに、計画的な宅地供給の促進に努めること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  309. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  310. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、越智建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。越智建設大臣
  311. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審査中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。
  312. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  313. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  314. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。越智建設大臣
  315. 越智伊平

    国務大臣越智伊平君) ただいま議題となりました住宅都市整備公団法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国の現下の経済情勢を見ますと、国民生活に緊要な社会資本の整備を促進することにより、内需を中心とした景気の持続的拡大を図り、雇用の安定と地域経済の活性化を積極的に図っていくことが重要な課題となっております。このため、昭和六十二年度において、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸付制度を創設し、社会資本の整備の促進を図っているところであります。  昭和六十三年度においても、引き続き、こうした課題にこたえるため、所管事業の効果的かつ効率的な実施に努め、また、民間活力をも活用しつつ、住宅・社会資本の計画的かつ着実な整備を推進していく所存でありますが、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸付制度についても、住宅都市整備公団等が行う公共施設の整備に関する事業の一層の促進を図るために、その拡充を図ることが必要であることから、この法律案を提出することとしたものであります。  この法律案は、第一に、住宅都市整備公団等が宅地の造成とあわせて行う道路、公園、下水道、河川等の公共施設の整備に関する事業、第二に、住宅都市整備公団、土地区画整理組合等が土地区画整理事業として行う道路、公園、下水道、河川等の公共施設の整備に関する事業、第三に、第三セクターが行う河川、砂防設備等の整備に関する事業の各事業のうち、その事業に関連する事業により生ずる収益をもってその事業に要する費用を支弁することができると認められるものについて、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用した国の無利子貸し付けを行うことができることとするものであります。  このため、住宅都市整備公団法、地域振興整備公団法、地方住宅供給公社法、民間都市開発の推進に関する特別措置法、都市開発資金の貸付けに関する法律、土地区画整理法の六法律について所要の改正を行うとともに、当該無利子貸し付けに関する政府の経理に関する規定等を整備するため、附則において、関連する四法律について所要の改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  なお、本法律案は、その施行期日を「昭和六十三年四月一日」と提案しておりましたが、その期日を経過しましたので、衆議院におきまして「公布の日」に修正されておりますので、御報告いたします。
  316. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  317. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設諸計画等に関する調査のうち、住宅都市整備公団家賃値上げに関する件について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  318. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五分散会