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1988-03-31 第112回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      松本 英一君     大木 正吾君  三月三十一日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     植木 光教君      松浦 孝治君     堀内 俊夫君      大木 正吾君     松本 英一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 植木 光教君                 遠藤  要君                 沓掛 哲男君                 志村 哲良君                 高橋 清孝君                 服部 安司君                 松浦 孝治君                 赤桐  操君                 大木 正吾君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  越智 伊平君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  奥野 誠亮君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     中田 一男君        北海道開発庁計        画監理官     大串 国弘君        北海道開発庁予        算課長      筑紫 勝麿君        国土庁長官官房        長        清水 達雄君        国土庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   荒木  寛君        国土庁長官官房        会計課長     佐々木 徹君        国土庁長官官房        水資源部長    大河原 満君        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        国土庁地方振興        局長       森  繁一君        国土庁防災局長  三木 克彦君        建設政務次官   古賀  誠君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省河川局長  萩原 兼脩君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        外務省経済局国        際経済第二課長  八木  健君        大蔵省主税局税        制第三課長    野村 興児君        大蔵省銀行局保        険部保険第一課        長        阪田 雅裕君        農林水産省構造        改善局農政部農        政調長      野田 哲也君        建設省道路局次        長        市川 一朗君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管北海道開発庁国土庁)、建設省所管住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫)     ─────────────
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨三十日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。  また、本日、久世公堯君委員辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。     ─────────────
  3. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案及び農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 赤桐操

    赤桐操君 この両法案につきましては、いずれも農地宅地化促進のための措置を規定いたしておるものでありまするので、法案内容に入ります前に、都市における農地あり方について若干論議を試みたいと思います。  まず、都市計画法市街化区域内の農地の現況を御報告いただきたいと思います。
  5. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 三大都市圏におきます市街化区域農地、これは昭和六十一年度で七万七千五百ヘクタールでございます。そのうち、これから御審議にかかわります特定市内市街化区域内農地、これが五万九千八百ヘクタールでございます。
  6. 赤桐操

    赤桐操君 これは三大都市圏ですか。全国的にはもっと多いでしょう。
  7. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま御答弁申し上げましたのは三大都市圏でございまして、先生御指摘の全国ということになりますと、全国だと十八万二千ヘクタールでございます。
  8. 赤桐操

    赤桐操君 それから、あと特定市内市街化区域のやつ。
  9. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 特定市内市街化区域内農地は、先ほど御答弁申しましたように、五万九千ヘクタールでございます。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 市街化区域内の農地のいわゆる宅地並み課税対象となる特定市街化区域内農地評価額坪三万円以上、この農地はどのくらいはなっておりますか。
  11. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいまの特定市内市街化区域内農地五万九千八百ヘクタールのうち、宅地並み課税対象農地は四万三千九百ヘクタールでございます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 六十三年の固定資産税評価がえによってさらにこの面積がふえてくるだろうと思うんですが、それはどのくらいにふえるかおわかりですか。
  13. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 六十三年度の評価がえにつきましては現在各市町村におきまして作業を行っておるところでございます。三・三平米当たり三万円以上の評価額になります農地というのは当然増加するものと思われますけれども、その数字につきましては、現在まだ作業中でございますので、把握できる状況には至っていないということにつきまして御了解いただきたいと思います。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 作業中といいますけれども、大体の見通しはいつごろまでにわかりますか。
  15. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 現在各市町村評価がえの作業を行っておりまして、これからの手続といたしましては、この作業の終了いたしましたものを納税者に対しまして固定資産課税台帳縦覧に供します。縦覧の後一定不服審査期間がございまして、これが終わりますと評価額というのは一応確定をいたしますが、各市町村確定いたしました評価額を都道府県を通じまして自治省の方に最終的な数字が参りますのは、例年の例で申しますと大体夏ごろになるんじゃないかと思われます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 この宅地並み課税対象となっております農地の四万三千ヘクタールですか、これのうちで長期営農継続農地認定を受けていわゆる宅地並み課税を免除されているもの、これはどのくらいのものになっておりますか。
  17. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 六十一年度の概要調書で申しますと、約三万七千百ヘクタール程度でございます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 宅地並み課税を免除されたときの税負担率というのが出てくるわけですが、これはどの程度軽減されることになるか、具体的なひとつ御説明を願いたいと思うんですがね。
  19. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) これも六十一年度の全体の平均数字で申しますと、長期営農継続農地全体につきましての平均税額は、百平米をとりまして申し上げますと約四百十円でございます。これを宅地として課税いたしました場合には、百平米で約一万四千七百円になるという数字になっております。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 私が聞いておる範囲では、東京都あたりでは八十分の一だと言っているわけですが、これは全国平均ですか。
  21. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 全国平均でございます。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 長期営農継続農地認定を受けまするというと、今も出ておりますが、一般農地を上回る額の免除がなされることになります。その期間が現在の制度では十年ということになっているようでありますが、しかもこれは五年目ごとに見直されることにはなっておりますが、十年というこの期間長期営農継続期間として見るということについては、今日の段階では少し短過ぎるんじゃないだろうかと私は思うのであります。  少なくとも長期営農と言う以上は最低一世代、まあ世代というのは三十年ということになっておりますが、大体一世代三十年間ぐらいが、少なくとも農業を営む上の長期営農ということになればそのくらいの期間というものは常識ではないだろうかな、こう私は思うのであります。営農継続していく農地に限って長期営農継続農地として宅地並み課税を免除することについては、少なくともこれはもう少し年限の検討が必要ではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  23. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 現行の制度は、長期間営農を希望する者に対しまして、先ほどお話がございましたような一定措置を講ずるというものでございます。  この長期間営農継続するという場合の長期間とは一体何年程度が適当なのか、こういうことにつきましてはいろいろ御議論もあったわけでございますけれども都市農業実態等を考えますと、やはり十年間というのはまあ相当長期間、その間には都市農業変貌等もあると思いますし、また、あくまでもこの制度市街化区域に係る農地につきましての制度でございますので、御案内のとおり、市街化区域はおおむね十年以内に市街化を図るべき区域である、こういうようにもされておるところでございます。先ほど来申しましたようなそういった諸般の情勢を考えますと、現在におきましても十年間というのは制度趣旨といたしましても妥当なところではなかろうか、こういうように考えておるところでございます。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 農地相続について聞いてみますと、大体二十年を経て初めて減免措置がなされるわけですね。大体相続関係では二十年を経なければ減免の恩恵には浴せない、こう言っているわけなんですが、そういう点から見ていっても、農地ということになるならば少し考える余地があるのではないかと思いますが、どうでしょうか。
  25. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 相続税固定資産税の税の性格の違い、それから相続税の場合には、御案内のとおりこれは全国一律に適用される制度であるのに対しまして、固定資産税の方は三大都市圏市街化区域対象といたしております。こういった違い等がございます。それから、例えばこの長期営農継続農地制度につきまして、昭和五十七年度にいろいろ御審議もいただきました際に、固定資産税と申しますのは、相続税のように一回限りの税ではなくて毎年課税をするという性格の税でもございます。そういたしますと、やはり租税債権管理、それから現在地方税法ではやはり五年間で消滅時効なり課税関係の除斥期間なり、こういった課税関係につきましても五年間というのが一つの区切りでございます。  そういうこととの関連で、長期営農と申しますのはやはり十年間程度を見ないといけないけれども租税債権管理等の問題につきましては一たん五年で打ち切って一応確定をし、また引き続いて五年間様子を見る、こういうような制度の仕組みになっております。相続税の場合とはいろんな点におきましての違い等もございまして、五十七年度にこの制度が創設されました際にいろんな御議論をいただきました結果、先ほど私が申しましたようなものができ上がっておる、こういう経緯等につきましても十分御理解をいただきたいものと考えておる次第でございます。
  26. 赤桐操

    赤桐操君 去年の十月に、政府緊急土地対策要綱で、市街化区域内の農地宅地化促進のために長期営農継続農地制度については厳正な運用を図ることということになっているようであります。そういう関係から、長期営農継続農地認定に当たっては営農計画提出、さらにまた現地調査実施、こうしたものを地方公共団体に対して指導をして実際にやっていくということを述べておるようでありますが、長期営農継続農地認定適正化のために具体的にどのような措置が講じられてきているのか、この点ひとつ伺っておきたいと思いますが。
  27. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 自治省といたしましては、先ほどお話ございましたように、昨年の九月、十月、この二度にわたりまして長期営農継続農地制度の厳正な運用につきまして指導いたしておるところでございます。その内容につきましてもお話がございましたような内容のものでございますが、これはやはり具体的には、この指導通達を受けましてそれぞれの関係地方公共団体がどのように適正に実施をするか、実行するかという問題でございますけれども、私ども調査をいたしました、これは悉皆調査ではございませんけれども、いろんな関係団体から聞きましたところでは、この通達を受けまして具体的にどのように実施をしていくかということにつきまして、関係団体におきましては真剣な検討がなされておりま す。この通達に従いまして厳正な運用が行われるよう諸般準備を進めておるところでございます。  なお、敷衍させて申させていただきますと、この長期営農継続農地制度認定関係につきましては、この通達を出しました段階では六十二年度の認定分作業は終わっております。先ほどお話ございましたように、六十三年度分につきましては、六十三年度の評価がえ等もございまして新たに三・三平米当たり三万円以上の農地等も当然出てくるわけでございます。これらの認定につきましては、六十三年度の認定と申しますか、六十三年度に新たに長期営農継続農地対象となったものにつきましての認定作業を現在準備をいたしておるところでございまして、それらの数値等につきましては、先ほど来申しましたようないろんな市町村準備作業等もございますので、その結果はもう少し時間を要するものではなかろうかと考えておる次第でございます。
  28. 赤桐操

    赤桐操君 認定作業というのは地方自治体の長がやるんでしょう。それでまず第一段階として申請がありますね。申請に当たって、これは認定していいかどうかという作業をしなければならぬわけだ。その次に五年たつと見直しがある。この五年で本当にまた確認できるかどうかという手続があることになるわけですね。この二つの段階を経ないと十年にならないわけです。十年になるともう一遍どうするかということをやるわけだ。こういうふうなことをちゃんとやっておりますか、地方自治体
  29. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) 昨年通達を出すに当たりまして、地方公共団体のこの長期営農継続農地制度運用実態につきまして私ども調査をいたしたところでございます。おおむねこの制度趣旨に沿った運用がなされておるものと私ども理解をいたしていたところでございますけれども全国的にそれぞれの地方団体によりまして運用のばらつきなり運用程度の差なりそういうものがないように昨年九月、十月の通達指導いたしたところでございます。厳正にこれらが行われるためには、例えば営農実態だとか、それからこれがこれからどういった農業をやるのかという営農計画だとか、そういったものの裏づけとなるような資料等もこれは自治省の方から指導いたしまして、市町村長納税者に対しましてその提出を求める、そういった方法をとるのが適当ではないかということで全国的に指導もいたしたところでございます。  繰り返しになりますけれども、私ども調査をいたしまして承知しております限りでは、おおむね地方公共団体運用は適切なものであると思っておるところでもございます。
  30. 赤桐操

    赤桐操君 私どもがよく市街化地域でもって見受けるのですが、キリの木が植えてあるとかそれから松がばらばらに植えてあるとかというのがあるんですよ。現実に私は見ているんですがね。そういったようないわゆる偽装農地といいますか、そうしたものに対するところの批判というものも事実耳にいたしております。地方自治体にしてみれば、一々こういうものについて職員を派遣して確認するという作業というのは大変なことだろうと思うんです、それだけ人数も要るわけですから。その管理といいますか、そうした認定手続といいますか、そういうものについては非常に煩瑣なものだろうと思うんですけれども制度がある以上はこれはやはりきちんとしなければならなくなるだろうということになると思うんです。  それで、今のお話によればおおむねよくいっている、こういう話ですから、私が見たようなのは数少ないんだろうと思いますが、おおむねということからもう一歩出てきちんと管理されるところまで持っていく必要があると思いますけれども、成果が上がっているということであるならばこれ以上申し上げても余り意味がないと思いますので、偽装農地のないようにこれは万全を期してもらうということを申し上げておく必要があるだろうと思います。  それから、建設省が行った市街化区域内の農地実態調査結果によりまするというと、東京の例でありますが、市街化区域内の農業家計における農業所得の割合は七%にすぎないということになっています。家計収入の一割にも満たないという状況でありまして、大部分は兼業農家としての他の収入で賄っているというのが現状でございます。これは東京だけでなくて地方にもかなりこういう傾向が今現存しているわけでありますが、農水省都市農業の将来のあり方について、こういう現実を見ながらどのような将来を考えるのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  31. 野田哲也

    説明員野田哲也君) お答えいたします。  都市農業お話でございますが、主として市街化区域内における農業お話だと考えるわけでございますけれども市街化区域は御承知のとおり都市計画法上おおむね十年以内に優先的、計画的は宅地化すべき区域、こういうことになっておるわけでございまして、農政上の扱いにおきましても農地転用につきましては許可を要せず届け出のみで足りることとしておりますし、また基盤整備等効用長期に及ぶ施策は行わないこととしております。そして、災害復旧であるとか防災であるとか技術の普及指導であるとか、そういう農業継続に必要な最小限施策のみを実施するということにしているわけでございます。  しかしながら、現実には、市街化区域と指定されましてもなかなか所期のとおり都市施設整備が進まないということもあるとか、あるいはまた実際に市街化区域内で農業をしていこうという方もおられるわけでございまして、例えば生鮮野菜供給源といたしまして一定ウエートを持っているということがございます。またさらには、環境保全の機能を果たしている。こういう状況でございますので、市街化区域の本来的な制度的性格とそれから現実状況を踏まえまして、住民の合意のもとに線引きの見直しであるとか、そういった土地利用の方向づけを改めて行った上で基本的な都市施設整備等を行いつつ計画的な宅地化を進める。一方、その上でもなお残る農業につきましては、その継続が可能となるよう対処していくべきものと考えております。
  32. 赤桐操

    赤桐操君 農水省立場としては、農業を守ってやるのが任務なんだと思うんですね。だから土地もやはり守られていくという形でなきゃならないわけでしょう、農業基盤ですから。実際に収入という面から見ればそれだけで飯が食っていけない、だから勤めをやる、こういうことになる。兼業農家という形になる。だから私どもは、普通に考えれば、それだったならば農業の面をもう少し合理的に集約して、何かもっと効率のいい形にすることはできないんだろうかと思うんですけれども市場の方の様子を見てみると、いずれもこういう形で市場へ供出された農産物というものは東京市場ではかなりウエートが高いようですね。いずれも一位、二位というランクを持っておるようであります。そしてしかも都民に対しては新しい野菜が出るということでありますね。だから、ちょっと遠方の方でできたものを、東京近郊地域でできたものではなくて、もっと遠い方でできたようなものを送られてきてそれを食ぜんに供するというよりは、はるかに生鮮なものである。とういうことで都民の期待が大きいというように聞いておるわけでありますから、それならそのようにやはりこれをもっと本格的に守ってやる方法が考えられないのか、こういうことになってくるわけであります。  ですから、それならそのように、中途半端な形ではなくて、もう少し本格的な農業を守る方法というのは考えられないのかどうなのか、こういうようになるんですが、この点はいかがですか。
  33. 野田哲也

    説明員野田哲也君) 先ほど申しましたとおり、特に市街化区域に限って言いますれば、本来的に都市化が進んでいくというところでございますけれども、そこで農業継続に必要な最小限措置として災害復旧であるとか防災であるとか普及指導であるとか、こういうことを行っているわけでございます。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 なるほど畑や田んぼの周りに家ができてきて人が住むようになりますと、その農地は大変いろいろの雑物も入ってくるということで農業経営上まことにいけないようでありますけれども、それはそれなりのまた方法を講じながら農地を守るということができないわけがないと思います。それで、今私はこれからの都市政策上で考えてみるときに、建設委員会立場で考えるときにやはり考えられることは、都市における緑を確保していかなければならない。それは公園だけが緑じゃないわけです。そういう広い観点に立った緑ということを考えると、都市農業というものはそういう意味では大変大事なものじゃないか、こういうように考えるわけです。とするならば、都市農業というものに対する保全方法というものは今のままでいいんだろうか。  もっと基本的な考え方に戻るのでありますが、私がさっき偽装農地であるとかいろいろ、十年では短いのではないかという質問を申し上げたのは、やはり農地として将来も守ってやっていけるんだ、七%ぐらいの収益じゃなくて、もっと収益も上がるようになるんだというようにするのには、十年という一区切りでもって、これはやがて売ってしまうんだ、町になってしまうんだ、住宅になってしまうんだという考え方ではなくて、そういう農地もこれから将来大きく守っていかなきゃならないんだ、またやっていくんだという考え方を基本に置くということが必要ではないか、こういうことが第一点なんです。  同時に、農地を守っていくためには、簡単に手放せないようにして、しかもこれでもって相当飯が食えるような形を指導する必要があるのではないか。例えば生産物そのものについても、物によっては食っていけるんですよ、それだけのものがあれば。そういうような方法はないだろうか。私は農業の専門家でありませんからよくわからないけれども、建設の立場都市政策上の考え方から見るというと、そういうことは求めらるべきものではないのかなという意味で言っているわけですがね。
  35. 野田哲也

    説明員野田哲也君) 都市近郊の野菜生産、特に鮮度を要求する軟弱野菜と言われるものなんかは、非常に東京で見ましても市場の占有率が高くて立派な農業が営まれているわけでございまして、そういう農業を続けていけるような配慮ということで現在の固定資産税制度等はあるわけでございますけれども、そういう続けていくべき農業につきましてはそのような続けていけるような配慮が必要だ、こう考えておるわけでございます。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 四十九年に生産緑地法が制定されまして、市街化区域内の農地を生産緑地として保存し、長期にわたって市街化区域内で農業を営むことができることになっておるわけですけれども、生産緑地の制度というものについては余り普及されていないように聞いているんです。その理由は一体どういうことなのか。
  37. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 先生のおっしゃるとおりで、四十九年に制度が創設されました。この制度は、先生御承知のように、都市の中に市街化区域計画的に整備していくということでございますから、その間に公共公益施設等の用地をあらかじめ確保していくことが便利だろうとか、あるいは市街化区域内の中でも一定の要件に該当する農地につきましては、災害防止上の効果とか環境機能とか、そういうふうなことに着目して残していく必要があろうということでできた制度でございます。  しかしながら、先生のおっしゃったように、全くこの制度が普及しないということではございませんで、御承知のように、第一種生産緑地と第二種生産緑地と二通りございます。第一種の方は宅地並み課税が問題になりました五十年、五十一年ぐらいには東京の三多摩地方を中心にかなり、箇所数で三百十七ぐらい最初だあっと出ました。ところが、第一種生産緑地の方は現在においては、例えば五十一年で三百六十六あったのが六十年におきましても三百九十三でございます。と申しますのは、最初宅地並み課税がかなり厳しく実施されるかもしれないという情勢が続いたときにわあっと出まして、それ以降ほぼ横ばいの状態がずっと続いております。これが第一種でございます。  第二種の方は、これは区画整理なんかをやったところ、第一種よりちょっと暫定的な性格がある。第一種は一ヘクタールでございますけれども、〇・二ヘクタールと小さなものでございます。これの方にかなり最初、五十一年で申しますと三百二十二で、その後だんだんふえてまいりましたけれども先ほどから御議論ございますように、長期営農制度ができました五十六年ぐらいが八百六十九で大体ピークでございまして、長期営農制度ができました後からはむしろ横ばい、現在で八百七十二でございます。そういうふうなことでございます。  したがいまして、制度自体はかなり、最初の方はだあっと出ましたんですけれども、その後宅地並み課税との関係で横ばいということでございます。機能としましては、やはりあるものはそれなりに生産緑地としての機能を果たしていると我々は考えているわけであります。ただふえてはいないということでございます。
  38. 赤桐操

    赤桐操君 この生産緑地の問題については、これからはどんなふうに考えていますか。
  39. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 長期営農制度という今の宅地並み制度をとっているということから、今までの経緯から、正直に申しまして大幅にふえるとはなかなか思われませんけれども、ただ先ほどから答弁ありましたように、長期営農が厳格に運用されるということでございますし、そういう意味ではある程度ふえることも期待しております。
  40. 赤桐操

    赤桐操君 そこで一つ伺いたいと思うんですが、新行革審の土地対策検討委員会において、基本答申の中に、宅地並み課税強化の方向を打ち出して、長期営農継続農地を生産緑地に組み入れることを検討している、こういうことを聞いておるわけです。それからまた、農協におきましては、これは東京を中心とした農協でありますが、ここでは、都市農業問題研究会というところへ特に委嘱をして、現行の第一種、第二種のいわゆる生産緑地制度というものについて検討をしてもらっている。その検討もほぼ終わったようであります。何かそういういろいろの研究結果が出されているようでありますが、そうしたものを見ますると、第一種、第二種の生産緑地制度のほかに第三種の生産緑地制度を創設をして、農家が生産緑地を利用しやすくする方策を講じることを提言しておる、こういう模様でございます。  私どもから見ると、大分煩瑣にたえないなという感じがするのであります、率直に申し上げて。もう少しその制度上の交通整理はできないかということになるんですが、それぞれできてきた理由があるわけですから、またそれぞれの中で実施されていることも現実でありますから、にわかにそういうこともできないと思いますが、建設省農水省、それぞれの立場で、こうしたいろいろの一連の政策、制度、これをどういうふうにこれから将来考えようとなさっているんでしょうか。研究会では第三種の生産緑地制度をつくるべきだと言っているんですが、こういったものをあわせていろんな検討がなされておると思いますので、お聞かせいただきたいと思います。
  41. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 新行革審でいろいろ審議されている段階のことについては、現時点で大変コメントしにくいことでありますけれども、確かに先生のおっしゃったように、宅地並み制度をもっと強化したらどうかというふうな意見、あるいは農業団体の方からも第三種生産緑地というふうな案が出ていることは承知しております。  これらについてでございますが、詳しくは今私述べるべきではないかもしれませんけれども、特に第三種の方につきましては、先ほど申しましたように、生産緑地制度はこれからもあり方検討することは大事だと思います。その宅地並み課税程度と申しますか、範囲と申しますか、厳しさと申しますか、そういうものとどうしても生産緑地が裏腹の関係にございますから、総合的に検討 していただかないと、生産緑地だけを例えば規模を下げるとか、そういうことをしてもなかなかうまくいかないんじゃないかということでございます。したがいまして、宅地並み課税あり方自体がいろいろ検討されるということになりますれば、当然生産緑地の方も考えていかなきゃならないというふうな感じではおります。
  42. 赤桐操

    赤桐操君 市街化区域内製地のあり方ということで、この都市農業問題研究会の先生方のご意見を私も見ておるんですけれども、なかなかよく研究をし、立派なまとまった意見が出ていると思うんです。この構成メンバー、相当なものじゃないですか。かなり権威あるメンバーですね。こういった方々が相当の時間をかけて結論を出されつつあるわけであります。今の局長お話によりますと、宅地並み課税との関係を総合的に考えなければならぬということ、これはよくわかるのでありますが、今のままでいくというと余りどの現行法親も効果を上げていないように思うんですが、この点はどうなんでしょうか。
  43. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 基本的には市街化区域内の農地をどうするかということだと思うわけでございますけれども、確かに線引き、おおむね十年以内の市街化ということと、長期営農でまた十年以内とか、非常に微妙な形でバランスの上に立っていますので、先生のおっしゃるように、今の制度をきちっと関連づけるという意味ではまだまだ整理が足りないとは思っておるわけでございます。  先生御承知のように、宅地並み課税というものもなかなかいろいろ問題が政治的にもございますので、そういうものを前提にして考えなきゃいけない。私どもは、やはり大きくは、市街化区域内の農地長期営農がまとまってできるようなところは、逆線引きとかなんとかということで調整区域の方に移行してもらうというふうなことが基本でございましょうし、また余りまとまっていない、しかし生産緑地程度にまとまったものについては、できるだけ生産緑地の方へ移行してもらうということを基本に運用していかざるを得ないというように考えているわけでございます。ただ、その徹底が十分でないというのは現実の問題として常々感じているところでございます。
  44. 赤桐操

    赤桐操君 今の点ですけれども、新行革審がいろいろ検討を進めておるようですね。それで土地対策検討委員会では、宅地の見込みのない農地については市街化区域から市街化調整区域に再編入する、そして逆線引きを実施すべきじゃないか、そういう勧告を予定しているというように聞いているのでありますけれども市街化区域内農地の逆線引き、この問題については建設省農水省それぞれ検討されていると思うんですけれども、これはどんなふうに検討されているのか。さらにまた、これから逆線引きの見通しについてどういうように見通しをつけておられるか。かなりもう現実の問題になっていると思うのでありますけれども、その点伺っておきたいと思います。
  45. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 線引きの見直しにつきましては、現在第二回目の全国的な線引きの見直しをやっておりまして、九五%ぐらいもう終わっております。まだちょっと二、三の県でおくれていますけれども、その結果によりますと、今回の第二回の一斉見直しで大体六万五千ヘクタールほどの面積が新たに市街化区域の中に入ってきております。今御質問の市街化区域から調整区域へ逆に線引きされたもの、それが五千六百ヘクタールほど出ております。入ってくるのに比べれば少ないわけでございますけれども、逆線も事実行っております。  逆線引きの基本的な考え方は、今お話ありましたように、現に市街化区域であってもかなり長期営農を希望する方がまとまっているという地域は、やはり調整区域の方へ逆に行くということを積極的にやってほしいというふうな建設省からも通達を出しまして、地方公共団体もそういった線で極力やっているわけでございます。したがいまして、これから線引きの見直しも随時行われると思いますけれども、常にそういうことで、長期に見込みのないところあるいは農業継続をしたいというところがまとまってあれば調整区域の方へ移行してもらうというふうな方向で処理してまいりたいと考えております。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 私は率直に申し上げまして、諸外国の例を見て感じている面があるんですが、市街化区域内にある農地は、これ邪魔にするとか何か目のかたきにして早く処理してしまうという考えは私はもう持つべきではないと思います。線引きが行われた当時は、中途半端なことをやっているところがかなりあると思ったんですけれども、これは相当慎重にやる必要があるなと思うようになってきました、私は率直に申し上げて。  ということは、例えば西ドイツの例で私現実に見ましたけれども、大変広大な地域のその一角に、中高層ビルだと思いますが、余り高くありませんでしたけれども、七、八階くらいのビルだったと思いますが、住宅が並んでいるわけです。その前の方にかなり広い空き地がありまして、そこにまた小さい、二坪か三坪くらいのガラス張りのハウスがたくさんできているんです。その周りにはダリアだとかいろんな農産物がつくられている。これはかなり広大なものです。  それから、中に入ってその団地の人たちの意見も聞いて、家賃の問題やあるいはまたいろんな政府や日治体の補助の問題、いわゆる受益者負担の問題なども現実に尋ねてみたのでありますが、そういう話が一通り終わりましてから、前の方のあの畑は何だと聞いたら、いやここに住まっている人たちが使っているものだ、こう言うんですね。これはかなり広いものですよ。それで、そこにガラス張りのハウスが、あるいはまたいろんなめいめいのハウスが建てられているんですが、それは自分たちがつくっているんだそうですね。その中にいろいろな設備が入っておりまして、そこで親しい友人を呼んで一週間に一遍くらい泊まっていろいろやるんだ、楽しいひとときを過ごす、こういうことも言っておりました。家族みんながそのハウスを中心として花畑をやってみたりあるいはまた野菜をつくってみる、こういうふうなことをめいめいの発想でやっているようであります。  この現実を見て私は、これは都市の中における緑というものがこういう利用の仕方があるんだなというように考えるようになりました。現実に私が住んでおります千葉市におきましても、私の近所にそういう貸し農地というのができておりまして、この貸し農地というのは、これは大変大きな地主さんでありまして、この人は、私は一切もう売りません、これからは一番大事なことは緑だと思うから、この農地保全しながら皆さんに使ってもらいますと、そう言って私のうちの近所の人たちが借りてやっているというのが現実になってきておりますね。これは、今申し上げた西ドイツの団地における計画的なものではありませんからスケールは違いますけれども、そういう考え方を持ったものも出てきている。  こういうふうに考えると、線引きそのものについて、あるいはまた今の市街化地域の中における農地あり方というものについても私は本格的に考え直す時代が来ているんじゃないだろうかなと思っているんですけれども局長のお考えはいかがですか。
  47. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 先生お話がありましたように、西欧特に西ドイツなんかの場合に比べまして、いわゆる都市計画といいますか、土地利用の規制が、日本の場合都市が急激に成長したということもあろうかと思いますし、日本の都市計画の歴史みたいなものもあろうかと思いますけれども、どうしてもぴしっとなっていないで、若干土地所有者の意向によって左右されるようなところが、都市計画も少しずつ押さえてきておりますけれども、まだそこまでいっていないということでございますが、将来的な考え方としましてはだんだんそういう方向を目指すべきだと私も思っております。  それから、先生の今御例示されましたのはちょっと確かにわかりませんけれども、西ドイツのクラインガルテンとかいうふうなものかと思われま すけれども、そういった制度も、例えば我が国におきましても分区園制度という形で五十七年に似たような制度を導入してみたわけでございます。これは、都市公園の中で、都市公園には位置づけますけれども、中で野菜をつくったり何かできる制度でございます。そういった制度をつくりますとどうしてもある程度長期に、一年や二年でやめてもらっちゃ困るというふうな、制度としてはやっぱりそういうことになります。そうしますと、十年とかなんとかということを義務づけて制約をしますと、実際手が挙がってきたのはまだ十五でございまして、非常に厳しい規制というか、厳しくもないと思いますけれども制度化する規制をやりますと、自由度を失いたくないせいだと思いますけれども、なかなか制度が乗ってこない、定着してこない。都市計画のあれかとも思いますけれども、だんだんそういう方向に行くべきだと思いますが、その辺の制度化するという場合の永続性と現実実態との間にまだギャップがある。努力をしていかなければならない点だと思います。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 それと、やはり土地というものに対する考え方が大分違うと思うんです、基本的に。これがこれからの我が国の土地問題の基本をなすと思うんですけれども、これはまた別途の機会にいろいろ論議を試みたいと思います。  今私が例示した話は、西ドイツのノイエハイマートがみずから事業主体として行った団地なんです。ですから賃貸の住宅なんです。しかも、この賃貸住宅はそういう計画的な措置をしてありまして、広大な土地、これはノイエハイマートの土地なんですが、それを提供したわけです。もちろんそれは地主から買い上げたものでありますけれども、そういうような用途になっている。ですから、その土地が五年とか十年の条件がつけられて使われているものではなくて、ここに住んでいる者は希望するなら長期にわたって、半永久的に使うことができるという条件になっているわけですね。そこまで本来は土地政策というものは考えなければならない時代に来ているのではないだろうか。少し我が国の場合は土地問題の基本的な対策がおくれている、大変なおくれを来している、そのおかげで今日こういう混迷を来していると思うのでありますが、フランスの場合だって同じことが言えます。同じようにやっているようであります。  そういうふうに考えるというと、今の逆線引きの問題と市街化区域内におけるところの農地あり方、こうしたものについては土地問題とあわせて真剣に、これは建設省農水省両省の立場で、省を超えた立場でやはり研究する大変重要な対策ではないだろうかと思いますので、今後、それぞれの省の中の問題ではないということで、もう一歩乗り越えた立場検討をしていただきたい。またそういう考え方はあるかどうか伺っておきたいと思います。
  49. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 運用等の調整関係では、かつて農住組合制度というのもつくりましたし、また去年法律をつくっていただきました新しい農業集落において、半分を農業地に集約して、半分は市街化するとかいう制度農水省と一緒に考えて運営をしているわけでございますけれども、まだまだ考えていく余地はいろいろあろうかと思いますので、これからも勉強さしていただきたいと思います。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 それではひとつ法案内容に若干入りたいと思います。  特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案、この問題について一、二伺っておきたいと思いますが、この法律に基づいて要請される土地区画整理事業の件数は、四十八年にこの法律が制定されて以来わずかに一件にすぎない、こういう実は報告を聞いているわけでございます。大変珍しい実績だと思うのでありますが、この事業の要請がどうしてこのように行われないのか、理由を伺っておきたいと思います。
  51. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 要請土地区画整理事業につきましては、実績は先生の御指摘のように一件でございまして、埼玉県の新座市の区画整理だけでございます。  要請が少ない理由といたしまして私どもが考えておりますのは、農地所有者の皆様が、公共団体等に要請するまでもなく、みずから土地区画整理組合を設立して事業を行ってしまうことが多い、それは別に望ましくないわけじゃないわけでございまして、そういうこと。それからもう一つは、要請までいかなくても、そういった手続をしなくても、通常当該市町村の方で市町村のみずからの事業として区画整理を行うことも多いんではないかというふうなことがあるわけでございます。しかし、実績が少ないことは事実でございます。  ちなみに、区画整理事業自体は要請にはなっておりませんけれども、区画整理事業自体は、例えば過去三年間一都三県を見ますと、要請区画整理という形をとればとれたであろうというふうな条件を満たすものは二十五地区ぐらいあるわけでございます。そういうのは要請まで至らないんですけれども、そういった組合施行とか公共団体施行という形でなされてはおるということでございます。ただ、そうしますと制度を何で残しておくんだという話があろうかと思いますけれども、私どもとしては、最終的に要請できるというものがあって、最後の要請まで至らなくても、収用できるということでというのはちょっと例が悪いかもしれませんけれども、最後の要請ができるという切り札を置いておくということで区画整理事業が進むという効果を期待しておるわけでございます。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 まあこれもそういうことになるんでしょうね。この法律による住宅金融公庫の融資を受けて建設された分譲住宅というのは一軒もないというんですが、そういうふうに理解してよろしいんですか。そうするとまさに法律の存在理由が問われているわけでありますけれども、その存在理由は今のような説明で果たしている、効果を上げている、こういうようになるんですか。
  53. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 住宅金融公庫の融資を受ける分譲住宅のうち特定団地住宅、これは御指摘のように実績がございません。  この理由として考えられますことは、農地の所有者が住宅経営をしてまいります場合に、安定的な生活を継続したいという意向が強うございまして、このために土地を手放さないで所有したままする住宅経営ということでどうしても賃貸住宅志向が強うございまして、このために分譲住宅の方に乗ってこない、こういうことであろうかと思います。制度としまして実績がございませんけれども、両方への道を開いておくことがより幅が広くなる、こういうことでもって制度的にはこのまま温存をしている、こういうことでございます。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 一軒もそういう申し出がなくても法律の用意はしておく、こういうことなんですね。わかりました。  次に、農住利子補給法の件でありますが、昭和四十六年にこの法律が制定をされまして以来、利子補給を受けて建設された戸数は総計で二万六千ぐらいとなっておるようであります。我が国の全体の住宅建築戸数に占める割合から見まするとこれは大変少ないのでありますが、ここ数年間もまた大きな伸びを示していない状況だと、こういうように理解をいたしております。これは利子補給を受けられる団地や住宅の要件が厳し過ぎるからではないのか、こういう説もあるのでありますが、その点は一体どうなのか。  特に、水田要件が大変厳しい条件に置かれている。水田をつぶす割合が厳し過ぎるのではないか、こういうように言われておるわけであります。むしろ水田要件をもっと思い切って名目的なものにするか、法律の基本を変えて廃止してしまうか、どちらか考えた方がいいんじゃないか、その方が住宅建設に寄与する度合いが大きくなるだろう、こういうふうに私も考えるんですが、この点はいかがですか。
  55. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 農住の実績につきましては、四十六年の制度創設以来二万五千九百八十二戸、約二万六千戸でございまして、これの最近の状況は好調でございまして、六十一年、六十二 年とも予算戸数の三千戸を十分達成する、こういうことでございまして、六十三年度におきましては千戸の増で四千戸の予算計画でお願いしているところであります。  この要件として厳し過ぎるかどうかということでございますけれども、まず水田要件の有無につきましては、この事業が賃貸住宅の供給促進ということを行うとともに、あわせて水田の宅地化をねらっている、こういう趣旨制度でございますので、水田要件を全部取っ払うということにつきましてはなかなか困難と考えております。しかし、現在の水田要件が厳し過ぎるかどうかということにつきましては、これはそういう面も確かにございます。現在、都市計画区域内におきまして大規模の農地というのが少なくなってきておりますので、そういう意味におきまして、今回は六十三年度におきまして団地規模要件の一ヘクタールを0〇・五ヘクタールにまず下げまして、それと同時に水田の要件も〇・二五ヘクタール以上と、こういうふうに改正をお願いするところでございます。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 利子補給を受けて建設される賃貸住宅の家賃でありますけれども、これには規制がかけられていると思います。この規制はどんなふうになっているのか、それからまた公募条件等についてはどんなふうになっているか、御説明願いたいと思います。
  57. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 利子補給期間中は家賃の規制を行っております、これは十年間でございますけれども。その場合まず限度額を設けます。限度額の算定に当たりましては、償還金、公租公課、修繕費等を要素として算定されるという一つの方式がございまして、それ以下にしなければいけない。現実にそういうことで執行されておりまして、これの担保といたしましては、罰則の適用、あるいは違反した場合につきましてはその後において利子補給を打ち切る、こういうふうな措置をしてございます。  なお、入居者の募集につきましては原則公募でございまして、ごく一部につきまして経営者の裁量部分を許しておりますけれども、ほとんどは公募でございます。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 これは、十年が終わるというとその制限がなくなるんでしょう。
  59. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 家賃の規制は、利子補給が過ぎますと解けます。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 そうしてその後はどんなふうな家賃になっているかわかっていますか。
  61. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) サンプル調査でございますけれども、既に建てられております住宅調査いたしまして家賃の値上げの状況を調べたことがございます。利子補給期間中の値上げの状況でありますけれども、年にしまして一・六%の上昇を示しております。次に、利子補給が終わった後の家賃の値上げ状況、これについて見ますると、一・四%の率で上がっております。したがいまして、それほど大きな差はない、こういうふうに考えております。
  62. 赤桐操

    赤桐操君 今局長お話によりますると、六十一年度、六十二年度三千戸ということで、これは全部消化できたと。六十三年度は四千戸が目標になっているようですね。これはそうすると大体完全消化の見通しがあるんですか。
  63. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 先ほど要件の改善もあわせてお願いしているということを御説明申し上げましたけれども、過去に四十七年と五十六年に同じように水田要件などの条件の緩和をいたしました。そのときは、その緩和をいたしました後確実に戸数が増加している、こういうことが二度ございました。また、最近の賃貸住宅に対する需要の動向から見まして、今回の要件改善とあわせて措置をすれば十分達成可能であると考えております。
  64. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。  最後に、農住組合ですかのやっておりますいろいろ住宅の建設が大分今日まで行われてきております。かなりの実績を挙げているように思いますが、しかし、特定賃貸住宅というものと比較するとこれは大分大きな差があるように思うのであります。この農住組合制度の創設、そして、こういう賃貸住宅の建設が行われてきておりますが、これは主として三大都市圏でやっておるようでありますが、これからの見通しといいますか、あるいはこれからの持っていき方といいますか、こういう展望等について少しく伺っておきたいと思います。
  65. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 農住組合制度は、国土庁、農林省、建設省、三省庁の共管でございますけれども、便宜私の方から答弁させていただきたいと思います。  農住組合は、当面の営農継続しつつ、良好な住宅宅地の供給を図るという目的で設けられたものでございまして、この制度は、特に宅地需要の強い大都市地域において宅地供給を促進するための緊急措置ということで法律がつくられた経緯から、現在は三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯の市街化区域内農地対象にして適用されているわけでございます。現在までのところ、五十五年に農住組合法が制定されて以来、十二地区におきまして組合が設立されております。この制度制定当初は、非常にいろいろ事務手続のふなれ等によりましてなかなか設立の件数が少なかったわけでございますけれども、六十一年以降約二年間の間に七組合が設立されるなど、近年各地で設立の動きが活発化している状況でございます。私どもといたしましても、この制度によりまして市街化区域農地計画的に転換される、それからまた暫定的な営農継続というものを合理的に継続していくというような観点から、この制度をできるだけ積極的に推進したいということでいろいろ努力をしておる次第でございます。  それから、先生御指摘のこの農住組合制度の適用地域の拡大の問題でございますけれども、実はこの農住組合制度が、法律に設立認可期限が十年間の限定がございまして、昭和六十六年というふうに定められているということもございますので、この延長問題もあることから、農住組合制度の今後の活用方策なり改善、拡充方策につきまして現在国土庁でいろいろ検討を進めているところであります。したがいまして、この対象地域につきましても、三大都市圏以外の地域でも農地宅地の混在の問題もありますし、農業土地利用都市土地利用を行う手法といたしまして、三大都市圏以外の地域にもこの制度を適用することについて検討してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  66. 赤桐操

    赤桐操君 それは昭和六十六年でしたか、今のお話では、その時点で全国的な規模に拡大するかどうかということを打ち出したい、こういうような説明に受け取っていいんですか。
  67. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 昭和六十六年に期限が参りますので、その前にこの農住組合制度の拡充、改善方策につきましていろいろ検討、結論を得まして国会の御審議を得たいというふうに考えておりまして、これが六十四年度になるのか、五年度になるのか、その辺のところはまだこれから検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 赤桐操

    赤桐操君 それでは私は以上で法案関係の質問を終わることにいたしまして、この機会に、千葉県における大変大きな問題が発生いたしてきておりまする東京外郭環状道路の問題で二、三お尋ねをしておきたいと思うのであります。  まず最初に、東京外郭環状道路建設計画、これについて概略の御説明願いたいと思うんですが。
  69. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) 東京外郭環状道路の概略でございますが、これは東京の中心から半径約十五キロメートルの地域を結びまして、東京都の世田谷区から千葉県の市川市に至ります延長約八十五キロメートルの環状道路でございます。これは、御案内のとおり、東京の都心を中心といたします自動車交通の渋滞解消のために、都心に直入する道路の適切な分散等を図るために非常に重要な道路であるという認識を持って現在計画を進めているものでございますが、千葉県下につきましては、国道六号の南から市川市に至るまで約十一 ・五キロメートルございますが、これにつきまして昭和四十四年五月に都市計画決定をいたしております。  若干その後の経緯を申し上げますと、四十四年五月に都市計画決定されましてから、その後市川市議会におきまして外環反対の決議がなされ、また千葉県議会におきまして反対の請願採択等がございましたので、そういった経緯を踏まえまして、五十三年の五月に千葉県知事から建設省関東地方建設局長あてに、国道六号以南については納得される結論が出るまでの間事業実施を見合わせ、さらに抜本的かつ徹底的な検討を願いたいという要望書が出されておりました。こうした要望害を受けまして、昭和六十二年の十月十九日、昨年の十月十九日でございますが、建設省関東地方建設局長より千葉県知事にあてまして、ルート、構造の検討結果を改めて提示しておる、そういったような状況でございます。
  70. 赤桐操

    赤桐操君 この外環道路というのは大分大きなものなんですが、一番進捗しているのは埼玉県のようですね。それで、千葉県側市川へ至るような一つの延長線と、もう一つは、世田谷からぐるっと回って太田区を通って東京湾に出るのが一つと、結局これはぐるっと取り巻くわけでありますが、これは全長どのぐらいの規模なんですか。
  71. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) 全長約八十五キロメートルでございます。
  72. 赤桐操

    赤桐操君 ざっくばらんな話が、この中でどんどん進捗している地域と、それはだめなんだといって徹底的に反対している地域とあると思うんです。これは千葉県だけじゃなくてほかもあると思います、賛成している状況のところと反対している状況のところ。賛成している状況のところばかり報告されるのは困る。反対しているところはどんなふうなのか、見通しはどんなふうになっているのか、参考までに伺いたいと思います。
  73. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) 埼玉県内につきましてはほぼ順調に事業が進んでおります。それから千葉県下につきましては先ほど申し上げたような状況でございます。それから埼玉から西の方、いわゆる東京側でございますが、これにつきましては千葉県側に比べましてさらに進捗度は低いという状況でございます。
  74. 赤桐操

    赤桐操君 この道路は、これは私も大変長い間の問題だと思うんですが、道路をつくるというのは大変根気の要る仕事のようで、大変長い時間が必要のようですね。普通のサイクルでは考えられないような大変長いサイクルで道路局では考えているようでありますが、この外郭環状道路というのは千葉県下では中川、松戸が今御説明のようにかかわっているわけです。しかも、市川、松戸というと千葉県ではまず近郊地域における最も大きな町なんですよ。古い歴史を持つ町なんです。その真ん中を貫くことになるんですね。昭和四十四年にこの建設計画が発表されて以来、市川も松戸も大変な騒ぎをしてきている。  こういう状況でありまして、ただいまお話しのように議会においてはいずれも反対決議が行われてきた。しかもこれは十八年間にわたって今日に至っているわけであります。私がこの問題をこの建設委員会で取り上げたのはちょうど今から十年前なんですよ。昭和五十三年の六月だったと思いますが、ちょうど十年前に同じような質問をしているわけです、私自身が。それで十年を経てまたこういう問題でここで質問することになる。昨年の秋に半地下構造と称する建設省の提案がなされて、また再び市川も松戸も騒然たる状態になってきたというその背景のもとに実は私が今ここで質問に立っておるわけなんですが、また静かなる町がこの提案で騒然たる状態に来ているという状況なんです。  こういう状況なんですが、ここで発生する問題が大分たくさんあるんです。これをひとつ私はきょうは伺いたいと思うんです。  新しい半地下構造というのは、この前の提案から見ると大変スケールが大きくなってきておる。前回までの案は幅員四十メートル、今回は幅員六十メートル、しかも半地下構造で十一・五キロですかに及ぶものだ、こういうことになっているわけなんです。今申し上げたとおり、町が分断される、生活環境が全く破壊されてくる、こういうことになるわけであります。この計画に基づく対象住宅戸数、これは地元の市議会等で論議されている内容を見ると二千百戸です。この前よりも五百戸ぐらい多くなっているんですね。世帯数にいたしまして二千七百世帯。大変なことなんです。千葉県じゃかつてないような大問題だと思うんです。市川市の各町にわたっているのでありますが、その町は十七町に及んでいます。六十メーター道路の両側五百メートル、この中で影響を受ける家屋というのは二万三千二百戸に及ぶ、こういうことが議会で報告されているわけです。また、市議会の論議になっている。  こういう状況なのでありますが、この点についてはそういうように道路局は認識をしておいでになりますか。
  75. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) ただいま先生から御指摘ありました計画の変更内容、四十四年の都市計画決定のときは四十メーターでございましたが、それが今回六十メーターになっております。これは、四十四年当時は自動車専用部門を高架式で提案したのでありますが、それを半地下式に変えたということが第一点。それから、やはりあの辺の道路整備状況を見ますと非常におくれておりますので、外郭環状の主目的は南北軸のいわゆる幹線道路の整備でございますが、この際あわせまして周辺の生活道路としての一般道路の整備、これも必要であろうという判断から、そういったいわゆる生活道路の整備部門をあわせて整備するということにいたしました結果、四十メーターが六十メーターになったといったような経緯もございます。  その結果、移転しなければならない家屋数が二千百戸になったというようなこと。それから、その周辺全体が、私この時点では周辺五百メーターの世帯数までちょっと把握してございませんが、そういった部分も含めまして、大筋先生が御指摘なさいましたような基本的な問題点を含んだ計画案になっていることは事実だと認識しております。
  76. 赤桐操

    赤桐操君 それからあとは、問題がたくさんあるんですが、時間の関係がありますのでこれから私がずっと申し上げます。  次は、今でもかなり大気汚染が激しいんです。外環計画地付近の測定値が出ておるのでありますが、十年前に市川市の測定では〇・〇二ppmだったんですね。ところが最近の状況は〇・〇五三ppm、こう言っているんです。大変増大しているんです。これは現状の道路事情の中での話なんです。それから浮遊粒子状物質と称するものが、一立方メートル単位で〇・一七三ミリグラム、こういうように出ております。環境基準から見るとはるかにこれだとオーバーしておるというのが現状で、大気汚染が現在の時点においてもかなり激しく悪化してきており、人体に対する影響が大きいと、こういうように憂慮されている状況にあるようであります。  それから次の問題は、教育環境の破壊の問題が一つあります。この地域は非常に学校施設が集中しているところでございまして、ここの状態を見るというと、幼稚園関係で四つの幼稚園がつぶれる。それから、学区の分断対象になる学校は市川小中で十四、松戸の小中で三、それから道路の両端五百メートル以内で影響を受ける学校は小中高で二十三校、幼稚園で十一、こういうようになっているのであります。  それから第四に、医療環境が大変大きく破壊されてくるということも一つ強く取り上げられております。それは、この地域で対象になるものは、東京医科歯科大学が一つ、それから歯科医が一つ、さらに道路の両端五百メートル以内では病院関係が二つ、医院で十七、歯科医が十四、合計で三十五の医療機関が影響を受ける、こういう状況のようであります。  それから第五の問題としましては、福祉関係の施設が大変大きく破壊されてくる。これは公私立 の保育園が九つ、障害者のための施設、児童福祉関係の施設が合わせて五、こういう影響を受けることになっております。  その他いろいろありまして、例えば史跡の関係が大分ある。神社仏閣なんかも二十八に及んでいると言っているんですが、かなり多い地域なんですね、神社仏閣が二十八あるというんですから。  こういうような状況であるというように私どもは認識しておりますが、またこれは議会でも論議されている。県議会でもこのことは明らかにされていますが、道路局の方ではどのような認識を持っておられますか。
  77. 市川一朗

    説明員(市川一朗君) 私どもの基本的な認識は、この提案がもし地元で受け入れられます場合はこれを都市計画決定手続に入るわけでございます。基本的な環境アセスメントにつきましては、その都市計画決定手続の際にかなり詳しくやらせていただくということでございます。今回の計画案自体の中に環境施設帯の設置というのを盛り込んでおりまして、それが全体としての幅員が膨らんでいる原因の一つにもなっているわけでございますが、この環境施設帯の設置が環境問題に関しましてはかなり有効に機能するものと私どもは認識しておるわけでございます。  それからもろもろの施設の関係でございますが、直接この道路を計画どおりした場合に、移転しなければならないものとして私ども把握しておりますものは、移転家屋は先ほども出ましたように約二千百戸でございます。それから、学校は日出学園小中高、それから幼稚園が四幼稚園、それから医療施設が東京医科歯科大と歯科医院、こういったようなところと認識しております。あとは、関連して周辺の地域にある施設として影響を受ける施設という意味で先生の方のお手元の資料の中に表示されておるのではないかと思います。  いずれにいたしましても、かなり大量の移転を伴う事業でもございますし、また市街地の真ん中を通すという意味で地域の分断的な効果が出てまいることも事実でございますので、こういった問題につきまして地元公共団体と十分調整しながらやっておく必要があるということで、現在千葉県に先ほど申し上げましたような提示を行っておるわけです。千葉県の方も、知事さんの方から各市に対して十分検討してくれということを言っておりまして、私どもも地元の意見はできるだけ尊重いたしまして、いわゆる納得ずくでやりたいと思っておる次第でございます。
  78. 赤桐操

    赤桐操君 私は十年前にも提案したことがあるんです。  これは時間がありませんからお答えは必要ありませんけれども、別ルートの設定は考えられないのか。そのとき私は川を利用したらどうかということを申し上げたんですが、最近になるとハイウエーが江戸川の上を走っているんですね。そのときの道路局長さんだったかな、浅井さんからの答弁では、それはできない、こういうことだったんです、川の上は通しませんと。しかし最近の技術を見ると通しているじゃないか、こういうふうに私は思うんですがね。この別ルートを設定すること、そういうものを含めて検討の余地はないのだろうか。あるいはまた十一・五キロのトンネルというのはちょっと長いかもしれないけれども、そこは何らかの方法を講じながらこういった地下方式というものを完全にすることはどうなんだろうかということなども考えているんですけれども、これもやはり必ずしもこれを提案したからこれでもってということでなくて、技術は日進月歩進んでおるわけであるし、今までできなくてもこれからはできるかもしれない。そういうことをひとつ十分考えて御検討おきをいただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。  以上をもって終わります。
  79. 馬場富

    ○馬場富君 法案の農住法の関係で質問をいたします。  最近の建設状況は年間約三千戸とのことでございますが、一年間に百数十万戸という総住宅着工戸数から見ればその比率は非常に微々たるものでございますが、農住賃貸住宅は、住宅政策全体の中においてどのような位置づけを建設省としては持ってみえますか、お尋ねいたします。
  80. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 農住の実績は、御指摘にもありますように六十年、六十一年、六十二年と三千戸のペースで建設が行われておりまして、総数におきましても二万六千戸、こういうことでございます。確かに量としては少ないわけでございます。  これの住宅政策を進める上についての位置づけでありますけれども、現在民間の賃貸住宅が大変不足をしておる。特は良質でかつ世帯向けの規模の賃貸住宅が不足をしている。こういうことに対応いたしますために、五カ年計画におきましても、良質賃貸住宅の供給ということで、まず公営あるいは公団住宅等の直接供給を図るとともに、もう一つの手段としまして、国または地方公共団体が利子補給等の資金上の援助を行いまして、あるいは融資等の資金上の援助を行いまして、土地所有者による良質な賃貸住宅の供給もあわせ行っていこう、こういうことから公庫の土地担保賃貸住宅でありますとかあるいは国と地方公共団体が一緒に協力して行います特定賃貸住宅制度でありますとか、あるいはこの農住法に基づきます農住住宅、こういうことを進めておるわけでございます。そういう意味におきまして、土地所有者による民間賃貸住宅、その一環として行っている、こういうことでございます。
  81. 馬場富

    ○馬場富君 次に、特定市街化区域法案の問題につきまして、特定市街化区域農地の所有者等が当該農地を転用して賃貸住宅または分譲住宅を建設する場合等における住宅金融公庫の貸し付けの特例を今回法律事項から政令事項に委任した理由は那辺にありますか。
  82. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これまで、御案内のとおり、この賃貸住宅を例えば例にとりますと、金利四・五%ということで法律上決められておるわけでございますけれども、最近のいわゆる金利動向を見てまいりますと、これがある意味では下支えといいましょうか、もっと低い水準でなければならないと思われるような金利水準になっているときにもうちょっと弾力的に運用していく必要があるという観点から、具体的には六十三年度これを少しく下げようという構想を持って御審議を賜っているわけでございます。そういった意味で法定事項から政令に委任さしていただきたいというものでございます。
  83. 馬場富

    ○馬場富君 それは結局公定歩合や金利の非常に機動的な変化というものに対して対応していくためにそういう措置になったと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  84. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生おっしゃるとおりでございます。私ども、この関係の金利は実は住宅金融公庫の金利でも一番有利な災害復興住宅並みの金利を適用さしていただいておりまして、その辺等との関係もありますので、法定でいわば下限を決められておりますならば非常にこの制度が機動的に運用できないというふうに考えている次第でございます。
  85. 馬場富

    ○馬場富君 次に、宅地化促進法三条による農地を持つ人が、要請土地区画整理事業の実績はこれまでに一件しかないというのが実情です。また、六条による住宅金融公庫の貸し付けの特例のうち特定団地住宅の実績はゼロ、こう聞いておりますが、その理由はどういうところにあるのか。また、このようなものに対して制度をやはり存続させる必要があるかどうか。これは一件しかないとか全然ないとかという問題に対しての制度の存続の問題ですが、どうですか。
  86. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 要請土地区画整理事業が少ない理由でございますけれども農業者等が要請区画整理を地方公共団体に要請する前に、要請に至らなくても土地区画整理事業を施行できるという状態がかなりございます。それからもう一つは、正規の要請手続は行わないんですけれども地方公共団体が区画整理事業をやってしまうという場合がございます。  そういうことで、確かに実績は少のうございますけれども、やはり要請できるという最終的な担 保を残しておくことによりまして、区画整理事業自体は出てまいっておりますので、一つの、何といいますか、最後には要請できるということを法律上書いておくことはそれなりの意味があると考えている次第でございます。
  87. 馬場富

    ○馬場富君 法案の最後として、都市農業問題研究会では、経過的に農業土地利用を容認しつつ水準の高い住宅地開発に誘導する仕組みの一つとして、第三種生産緑地制度の創設を提案しておられるということを聞いておりますが、この点について御説明願いたいと思います。
  88. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 正規の検討課題ということではなくて、いろいろ農業団体等から第三種生産緑地をしたらどうかというふうな御意見が出ていることもお聞きしております。  生産緑地制度自体は、現行の制度、指定は当初はあったんですけれども、最近停滞していますから、そういった意味で岐路に立っていますので、いろいろな面で勉強していかなきゃならぬ点は多いかと存じておりますけれども、どうしても宅地並み制度と生産緑地制度実態上相互に非常に密接に関連しておりますので、宅地並み制度全体をどうするかという見直しの一環として私どもも生産緑地のあり方を勉強してまいりたいと考えております。
  89. 馬場富

    ○馬場富君 ここで大臣に、昨日も建設市場開放問題についての御質問をいたしましたが、きょうの報道等でも、韓国が外務省に特例対象から排除しないでほしいという申し入れをされた、こういうふうに報じられております。私は、こういう諸外国との問題等もあわせまして、国際化を迎えた日本として、この機に日本の公共事業の入札制度ももっとわかりやすい方法に改善すべきではないかというふうに考えるときが来ておるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  90. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) お話のように、外国から見ると閉鎖的だ、こういうことを言われております。国内でもそういうことを言われてもおります。しかし、やはり長い歴史と慣習、こういうことでありますから、今指名競争入札を変えていくということにはなかなかならない。考えておりません。  ただ、昨日も申し上げましたように、米国との話ができまして、その他の国につきましてはやはり内外無差別の原則、しかしながら相互関係でございますから、相手の国と自由にでき得るようなことになれば、やはり相互関係で同じようなことになっていくのでなかろうか、こう思います。実際問題は、今アメリカ以外の国、出ておる国もございますけれども、希望しておるような国は余りこちらから出ていけない、こういうことでありますので、そのとおりで進めたいと思います。ただ、業界を含めて近代化していくことについては努力をいたしますし、構造改善ももくろんでおりますので、そういう方向で近代化を進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  91. 馬場富

    ○馬場富君 外国の人たちが入札制度に参加する場合に、今のような複雑なわかりにくいものであると、第一に心配するのは、そのことについて摩擦が起こるという心配も起こってくるわけです。今二国間の問題で官房副長官が行って努力されて解決はしたが、実際その問題に移したときに、日本の入札制度のわかりにくさのために問題が提起されてくるおそれもある。だから僕は今質問しておるんです。だからそれを起こすようなことは、当然今から用意すべきじゃないかと思うが、どうでしょうか。
  92. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 日本の公共事業をめぐりましていろいろと受けとめ方なされていることもこれは率直に認めなきゃなりません。ただ、今大臣も御答弁申し上げましたけれども、基本的に日本の制度は官民ともども内外無差別である。ここのところをめぐって、果たしてどれだけ理解されているかという点を考えますと、今先生おっしゃったように、私どもこれについての周知は十分図っていくように努めなきゃならぬ、こう思っております。そういった中でございますけれども、公共事業をめぐります、特に発注方式をめぐりますあり方というものについては、長い歴史の中で各国それぞれがそれぞれの合理性の中で積み上げてきている事情があることはもう言うまでもありませんわけでして、これを広くどうするかということについて、私ども二国間協議という場よりもむしろ多国間の場で必要があれば話し合うべきもの、こういうふうに考えている次第でございます。  今般の日米交渉も、そういった意味で確かに当初日米の間では、特に米国から日本の制度がわかりにくいという御指摘もあったことは否むべくもありませんけれども、やはり交渉を重ねる過程で、日本のいわゆる建設業許可から始まって、登録を受け指名をいただいてそれからというふうな手続、一連の手続につきましてのその合理性といいますか、事情はかなりの理解が深まったものと私ども理解している次第でございます。
  93. 馬場富

    ○馬場富君 そこでもう一点、きのうも質問を私ちょっといたしましたが、実際参入しても、実績が上がるかどうかについてはやってみなきゃわからぬという大臣の御答弁でした。それは事実そうでしょうが、やはり向こう側としては、やりたいために実は二国間で話をして決めたわけですから、向こうにはやりたいという希望が強いわけです。そういうときに、今入札の制度もありますけれども、実績が上がらないということも私は起こってくる問題だ、こう思うんです。そうしたときに、この問題に対しては官房副長官も努力されました。政府も努力されましたが、今農業問題も非常に大臣が努力しておられるようですけれども、利害が相反する日本の国と外国との問題です。だから、これについては両国間のこれに対する理解度という問題がなければ、これはまた大きな問題を醸すばかりになってくるのじゃないか。  そういう点で、こういう問題に対処する建設大臣の心構えをここでひとつお聞かせいただきたいと思います。
  94. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほどもお答えいたしましたが、今の先生の御趣旨ごもっともと思います。率直に言いまして、二年後に見直すということもございますし、実際に実績が上がらないとまた二年後になかなか紛糾する可能性もございます。でございますから、建設省といたしましては、手続その他を親切に指導——指導といいますか協力をする、窓口をつくって親切に協力をする。そしてその後の入札なり見積もりなりは、やはり原則が立派な施設、これを安くということであります。これは原則どおりでございますから、相手の方の企業にも努力をしていただいて実績が上がるように進めていきたい。二年後にまた大きい紛争にならないように努力をしていきたい、こういうふうに思います。  ただ、ハイテク関係が非常に熱心なようでありますので、その点もありますが、金額的にどうなるのかという心配もございますけれども、要は参入をしやすいように協力をしていく、こういうつもりであります。その後は、やはり技術の面あるいは価格の面、大いに外国企業、アメリカ企業も努力をしていただきたい、こういうふうに思う次第であります。
  95. 馬場富

    ○馬場富君 私も、日本の国民の一人として、また日本の利害の関係からいったらこういうことについては余り賛成じゃないんです。だが、日本はかって高度経済成長からずっと成長してきて、生産国として資源を輸入して品物を輸出していく。そういうことで、私は世界にかけたいろいろな迷惑というものも大きい問題があると思うんです。そういうことからいったら、日本の持った宿命の問題でもあると私たちは腹を決めなきゃいかぬと思うんです。  そういう点で、やはり協調以外に私は日本のこれからの対外政策というものは考えられないということを基準にしておるから、どうか大臣におきましても、これは大変つらい話ですけれども、これに対しては日本がある程度まで誠意を持っていかなければ、この事態というものはまた大きい波乱を起こす原因になってしまうという点で、そういう対外摩擦の問題についての大臣のお考え方を 一言聞かせていただきたいんです。
  96. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 貿易摩擦全般の問題もこれあり、昨日も申し上げましたが、誠意を持って対処してまいりたい。言いかえますと、親切に親切にひとつ指導といいますか、お教えをして参入してもらう。そして、先ほど言いましたように、それがうんと高いとか、第一番にいい施設でないといけませんから、いいものを、日本の価格と競争できるように向こうも勉強していただきましょうし、我が方も実績が上がるように誠心誠意協力をしていく、こういうことで考えておる次第であります。
  97. 馬場富

    ○馬場富君 ぜひひとつお願いいたします。  当局も努力され、また国民も努力する、そういう中で、やはり裏腹の問題といたしまして、また再びそういうアメリカや外国との摩擦の原因になろうとする問題が今起こっております。それは日本企業による米国への不動産投資が急増しているということです。昨年、米国の週刊誌タイムが「売りに出たアメリカ」という記事を書いておりますが、土地やビル、ホテル、ゴルフ場、マンションなどが買いあさられておるという問題です。政府はこういう実態につきまして十分把握してみえますかどうか、この点をお伺いいたします。
  98. 八木健

    説明員(八木健君) 先生御指摘のように、円高ドル安傾向あるいは日米間の投資利回り格差等から、日本からのアメリカに対する不動産投資が増加していることは私どももそのように聞いておりますが、日米双方とも統計上の困難から必ずしも正確な数字は把握できていないという状況でございます。  ただ、現在よく使われております数値としまして、アメリカ商務省が出しておる報告書の統計があります。これは主としまして新聞報道等の公開情報を積み上げて集計したという性格のものでございますが、この報告書によりますと、日本からの不動産投資額、これは八四年で七億五千万ドル、八五年で八億三千万から八六年は五十五億五千万ドルと大幅にふえているというふうに承知しております。
  99. 馬場富

    ○馬場富君 この問題につきまして建設省の方も把握してみえますか。
  100. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 実はこの不動産投資に関する調査あるいは資料、率直に申しまして建設省にはないわけでございまして、私たちも傾向を見るに当たりましては大蔵省資料などをにらんでいる、こういった現状の域を出ない次第でございます。
  101. 馬場富

    ○馬場富君 先ほど外務省から説明がありましたように、ジェトロ等の調査によりましても、この八六年の日本の米国への不動産投資は、今の数字でもありますように、前年からすると四倍の六十億ドルだ、八四年に比べると約十倍の伸びになってきておるという異常な状況になってきておるわけです。こうした日本企業の不動産投資は、アメリカのビルのテナント料や地価の高騰などももたらして、対日批判をもたらすことの大きい懸念がされておるわけでありますが、この行為に対して政府として、建設大臣、外務省の見解をお尋ねいたしたいと思います。
  102. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 不動産投資につきましては、相手国の国情や国民感情等を考慮して摩擦にならないように努めなければならない、かように思います。これの関係省庁、今の外務省あるいは大蔵省等々と協議をして進めてまいりたい、かように思います。  今まで建設省としては、先ほど局長がお答えいたしましたように、まだ十分調査もできておりませんので、特に建設省所管団体等には十分指導をしてまいりたいと思います。ゼネコンとかあるいは不動産業者、これは指導してまいりたいと思いますが、大蔵とか関連のところともよく連絡して進めてまいりたいと思う次第であります。
  103. 馬場富

    ○馬場富君 ハワイでは、日本人の投資を制限するための法案が州議会に提出されたと伝えられておりますが、ホノルルのファシー市長は、円高をいいことにして日本人がゴルフ場内の農地や一般住宅まで買いまくった結果、市民は固定資産税の支払いに苦しんでいると述べておりますが、外務省はこのことについて理解していますか。
  104. 八木健

    説明員(八木健君) 先生御指摘のように、ファシー・ホノルル市長が最近、日本を含めまして外国一般から住宅その他の不動産投資を禁止する法案を州議会に提出したと聞いております。この法案につきましては、州議会内でも、まず法案審議に時間的制約がある、今会期が四月二十五日までだそうでございますが、それからまた、同法案がアメリカの憲法上問題がないのかどうかというような点についても検討する必要があるというような点で慎重論も出ているということだそうでございます。  今後の進捗状況等を見守っていきたい、こう考えております。
  105. 馬場富

    ○馬場富君 その報道等によりますと、日本人は一体どこまで侵略してくるのか、明らかに投資目的の住宅買い占めは許せない、家を売らない住民には価格の高騰は固定資産税の増加で迷惑がかかっておる、このような批判が続出しておることが報道されておるわけでありますが、このままこの問題については放置しておいていいかどうかということを建設大臣と外務省にお尋ねしたい。  二点目は、実態政府の責任で調査をするのかどうかという問題です。  三点目は、日米関係にもこういう問題が影響してきて再びまた新しき摩擦が起こる懸念もあると考えるが、この点について担当当局、建設、外務、大蔵からひとつ御説明を願いたいと思います。
  106. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) この件につきまして、先生御指摘のように、私どもも新聞等の報道などなどで今おっしゃったようなことがなされていることについては本当に気にしている次第でございます。  ただ、建設省立場で申し上げさせていただきますと、なかなかこれが実態調査する手だてが私どもにない、こういった現状と、もう一つは、これはくどいようですけれども、いわゆる宅建業者といいましょうか、不動産業者といいましょうか、そういったものも確かに幾つか散見されるわけでございますが、そのほかにも機関投資家の動きというふうな、非常に幅広い問題も背景にあるというふうなことも察知されるわけでございます。私どもとしては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、所管関係業界に対してのこれからのコンタクトというものを、そういう神経を払いながら一層強めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。そういったことからいたしますと、私ども改めて調査するかということについては、率直に言いまして、こういう調査手法というものをまだ念頭に持ち合わせないものですから、これも大臣が御答弁申し上げましたけれども関係省庁との連携の中で私どもも情報をいただきながら適切な対応に努めたいと思っております。  全体を通じまして、私どもも、こういう問題が新しい日本と他国との間の摩擦の火種になるということについては注意を払っていかなきゃならぬということで緊張している次第でございます。
  107. 八木健

    説明員(八木健君) 不動産投資につきまして極端に投機的であったりあるいは急激である場合には、やはり現地において無用な反発、摩擦というようなことが生ずる可能性があるわけでございますので、そうなりますとまた現地におきましても、ただいまお話がございましたように、あるいはホノルルで見られましたような何らかの規制の動きが出てくるということかと思います。  外務省といたしましては、進出企業等が今後とも米国社会の一員としましてそれにふさわしい行動をとることを期待いたしまして、このような摩擦が生ずることとならないようにしていければと、こう期待するとともに、また調査云々ということにつきましては、外務省にとりまして若干困難等もございますので、外国当局が持っております数値とか、外国当局あるいは外国一般の反応等等につきまして引き続き情報の収集等に努めていきたい、こう思っております。
  108. 阪田雅裕

    説明員(阪田雅裕君) 本邦企業によります不動 産の購入は、外国為替及び外国貿易管理法上対外直接投資ということになるわけでございますけれども、この対外直接投資につきましては、基本的には企業の自主的な判断あるいは責任、そういうものとで行われるべきものであるという考え方のもとで、現在の外為法上は原則自由に行われるということになっております。また、この対外直接投資につきましては、OECD等の立場においてもできるだけ自由化するということにされておりますので、対外直役を安易に規制するということはかえって国際的な非難を受けるおそれもないわけではないというようなことで、今直ちにこれを規制するということは大変難しいかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、私ども大蔵省の所管であります金融機関、特に生命保険会社等ということになりますが、近年かなりそういう意味での対外での不動産投資というのはふえておりますので、今後ともそういった投資が現地からの批判を招くことのないようにしかるべく指導してまいりたいと思っておりますし、また保険会社につきましては、そういう海外での不動産購入につきましては事前に私どものところに届け出る、私どもの方でチェックするという仕組みに現在なっておりますということを御報告させていただきます。
  109. 馬場富

    ○馬場富君 この問題の締めくくりとしまして、大臣、今実態はそういう状況ですから、報道等の状況は間違いないと私は思うんです。だから、調査とあわせまして今後の規制を含めたり、そういう問題をあわせまして、日米関係に非常な問題が起こったら大変だ、経済の摩擦も過去の歴史からいけば厳しい結果を出しています。だが、土地という問題については日本の過去の歴史から推しても大変厳しい歴史を持っております。  だから、私はこの問題については、大臣が各省とも連携をとってもらって、そしてトップのところでこの問題に対する実態の把握と、特に投機的なそういう投資については、実態把握とそれに対する対応のあり方というものを考えなきゃいかぬじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
  110. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 今大蔵省の方から答弁がございましたが、今の法規上規制はできないというお話でございましたが、各省よく連絡をとりまして、規制ができなくても自粛をしてもらう、行政指導で自粛をしてもらって貿易摩擦に及ばないように、紛争を生じないように努力をいたしたいと思います。
  111. 馬場富

    ○馬場富君 次に、建設省が考えてみえまする都市の景観、総理のふるさと創生論ともあわせて、水辺に親しむ市民の憩いの場所という問題で、マイタウン・マイリバーという構想が考えられておりますが、この点につきましては私はこの委員会でも過去に何回か名古屋の堀川の問題を取り上げてきました。そして、やはり水辺に親しむ、市民たちが憩いの場所とできるような建設はぜひ必要だと思いますが、このことにつきましても建設省においてはこの構想を検討されておると聞いておりますが、その趣旨と条件についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  112. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生御指摘のように、私ども河川のサイドの者も都市内におきます水辺空間の重要性を大変認識をしておりまして、たまたま六十二年度からでございますが、これはマイタウン・マイリバー整備事業というネーミングを行いまして、河川の沿川地域を都市市街地再開発等とあわせまして一体的に再整備しますことで良好な水辺空間をつくっていこうという考えを持ち出しておるわけでございます。  今のところ、その構想の中で条件と申しますか、考えておりますことですが、やはりこれは東京を含めまして町の中でシンボル的な河川であるようなもの、また現実にそういう市街地整備に関します事業の実施のための努力といいますか、動きが現に沿川についてありますもの、あるいはそういうことについて市あるいは地域住民の方の大変熱意が高いというような川を選び出しましてそういう仕事をしてみたらと考えておるところでございます。
  113. 馬場富

    ○馬場富君 かつてはこれが小河川の改修事業ということで進められておったわけですけれども、やはり大きくこれは総合対策として、都市河川ももちろんですが、公園あるいは都市再開発あるいは災害対策あるいは水辺に親しむ文教・福祉施設等も考えながらこれを総合計画として、要綱もかなりまとまった、日程も進んでおる、こういうように聞いておりますが、いつごろの決定になるか、そこらあたりの模様をお聞かせ願いたいと思います。
  114. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) 先生おっしゃいますように、河川限りで考えますと、在来の例えば中小河川改修事業とか都市小河川改修事業とか、そういう事業としてまず採択をいたしまして、あわせましてそういう市街地整備として一体でやるということでこういうネーミングをしてみたわけでございます。  御指摘のように、やはり私ども河川サイドと都市あるいは住宅部局とが足並みをそろえてその内容をチェックする必要がありますので、一応私どもとしましては、先生今おっしゃいましたように、整備事業の実施要領なるものをまずつくりまして、その線に沿って仕事を動かしていこうかと思っておるわけでございます。現在建設省部内において調整をしておりますが、できるだけ早い時期に実施要領として出したいというふうに考えてございます。
  115. 馬場富

    ○馬場富君 聞くところによりますと、間近に決定がなされるというように聞いておりますが、そこらあたりの問題と、それからあわせまして、名古屋の堀川については御存じのように名古屋の中心河川です。名古屋の町というのは都市計画もあの城が中心となって都市計画が立てられておりますし、その城をつくったときの河川である堀川はやはり都市計画上も一番大きい名古屋の顔です。この顔が長年放置されたためにいわゆる排水路のような形になってしまった。だからこれをやはり顔にするためには、マイタウン・マイリバー、この構想に私は条件的にも趣旨的にも最もかなっておる、こう思います。  それから、かつての小河川事業の当時、私は江藤建設大臣にこの場で何回もそのことを質問いたしまして、総合計画として進めてほしいと。江藤建設大臣も、これについてはやはり総合事業として、あわせて民活を含めてこれを進めていきたいということもここで確約されて、堀川については前向きに検討するというお話でございました。だから、一番早く手を挙げて、百年祭も間近に控えて、そのイベントとして構想だけでも打ち出していきたいという地元の強い熱望でございますので、この点につきましてひとつ当局のお考えと、あわせて大臣にも一言御答弁賜りたいと思っております。
  116. 萩原兼脩

    政府委員(萩原兼脩君) この整備事業そのものは六十二年度に財政当局との話し合いで実施を決めたものでございますので、結果、本日でもう年度が切れてしまいますわけですが、できるだけ早くその整備要領なるものは出そうと思っております。  また、先生のおっしゃいました名古屋の堀川につきまして、地元の皆様がそういう趣旨に沿って河川整備をしよう、周辺整備をしようということを強く要望しておられることは私どもも十分承知をいたしております。聞くところでございますが、既に堀川懇談会というような懇談会をおつくりになりまして、昨年一年かかられまして堀川総合整備構想策定のための提言なるものを市長さんにお出しになられたというようなことも聞いてございます。したがいまして、市あるいは県と十分御相談をいたしまして、私どもの要綱が策定されれば早い時期に河川指定の申請をしていただく、そういうような手順を踏めればと考えております。
  117. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 河川につきましては、河川の強度、安全度ですね、これを強化していくことはもちろんでありますけれども、潤いと親しみのある河川に進めていきたい、かように思います。ただいま局長からお答えをいたしましたよう に、今後公園化といいますか、そういうことに大いに努力をしていきたい、かように思う次第であります。
  118. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  119. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  120. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一括して提案されている法案の中で、農地所有者等賃貸住宅、いわゆる農住ですね、この建設融資利子補給臨時措置法についてですが、今日なお住宅不足が非常に深刻で、この制度の延長は妥当だと考えております。  もう一つの特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法について申しますと、これは宅地並み課税とセットされた法案でございまして、宅地並み課税については、いろいろその後変化がございますけれども、この法案の基本的性格は余り変化がございません。これは都市農業農地の役割を無視して宅地化促進をねらったもので、この基本的性格については依然として幾つかの問題をはらんでいると思いますので、若干の問題について質問させていただきたいと思います。  近年の東京中心の地価高騰で一般のサラリーマンは首都圏で住宅を取得するのは非常に困難になってきた。この中で市街化区域内の農地住宅がなかなか取得できない問題の元凶であるかのような論調が非常に横行しました。私たち、農協の中央会とも懇談しましたが、この議論が非常に広がっているので大変つらいという話も直接お伺いしまして、,幹部の方々もかなり病気になったということも言われたんです。  いわゆる新前川レポート、昨年の四月二十三日経済審議経済構造調整特別部会の報告がございますが、これも重点として実施すべきであるトップに、「市街化区域内製地の優遇税制の是正」ということを挙げております。「真の営農者の取扱い、生産緑地制度との関連に留意しつつ、例外的取扱いが大部分となっている現状を改め、宅地課税が原則となるような運用を図るべきである。」と、こう述べております。昨年の十月十二日の行革審の「当面の地価等土地対策に関する答申」、これは今回の地価高騰の原因について、「東京都心部等における事務所床需要の急激に増大等に起因するものであるが、」と、こう述べてあります。しかし、都心の地価高騰だけでなく、周辺の住宅地価格まで東京では急激に上昇してまいりましたが、この原因について国土庁はどう考えておられますか、質問したいと思います。
  121. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 東京都心部の商業地の地価高騰は、先生御指摘のように基本的には事務所ビル需要の急激な増大に起因するものというふうに考えておりますが、住宅地につきましては、まず比較的高度利用が可能な都心部の住宅地にビル用地需要が波及いたしました。また、都心部での用地売却者等による買いかえ需要が周辺部の住宅地で増大したということによりまして住宅地の地価上昇が生じたというふうに考えております。  さらに、これらの実需を見込んだ手当て買いとか、投機的な土地取引が活発化したということが地価上昇を増幅させた要因であると思いますし、また近年におきます金融緩和状況、これがこれらの動きに拍車をかけたというふうに考えておる次第でございます。
  122. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 事務所需要については、これもこの建設委員会でも問題にしましたし、それから昨年の臨時国会でもいろいろ問題になりましたが、国土庁が首都改造計画で新規事務所床の需要五千ヘクタールという数字を発表して、その後訂正されましたけれども、こういう過剰見通しが問題があった。昨年の臨時国会では竹下首相自身が、金融の自由化、これが例えばアメリカの金融機関その他の東京へのオフィスビル、オフィスを要求することが非常にふえたということで、ある原因があったということで責任を認めておられます。過剰見通しはあったけれども、確かに一時一定の需要の増大があった、供給が追いつかなかったということはあったと思うんですね。  他方、住宅用地の場合にはちょっと事情が違うんじゃないかと思います。建設省が昨年九月九日、行革審の土地対策検討委員会に対して報告を行っておりまして、この中には、「宅地の供給についても昭和六十一年度における公的宅地供給が増大していること等からみて、住宅建設に必要な宅地の量の確保は可能と考えている。」、こう建設省は言っているんですよね。住都公団、六十二年度から六十六年度七百ヘクタール。地方公共団体など四百二十ヘクタール。民間保有地、これは首都圏の五ヘクタール以上の大規模宅地開発計画面積四千五百ヘクタール。工場跡地などの活用、臨海部の埋立地などを含めて三千百ヘクタールという数字建設省は出しておりまして、そういう見地を言っているわけですね。  そうしますと、住宅地について言えば、一年で二倍になるような急騰を引き起こすような需給のアンバランス、これはなかったと言えるんじゃないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  123. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 首都圏の住宅地を含めます土地価格の高騰の背景は、先ほど国土庁の方から御答弁申し上げたようなことと同じように私ども認識しております。ただ、それに加えまして、基本的には住宅地については現実の需給バランスがとれていないということも大きな要素として背景にある、こう私ども受けとめておるわけでございます。  ただいま先生おっしゃったように、建設省長期計画、これは第五期住宅建設五カ年計画のときと合わせて六十一年度から六十五年度までの間の見通しをつくっておるわけでございますけれども、これで新たに必要となる宅地全国で御案内のとおり五万九千二百ヘクタール、三大都市圏で二万七千六百ヘクタール、こう見通しておるわけでございます。これに対しまして六十一年度の宅地供給量はどうであったかと申しますと、全国で一方四百ヘクタールということでございますし、三大都市圏では五千百ヘクタールと相なっております。こういった数字を二つ並べてみますると、先ほど長期見通しと比較してみますると、全国で年千四百ヘクタール、三大都市圏で四百ヘクタール、このくらいが我々の見通しと比べまして供給が落ち込んでおる、こういった現実は認めざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。私ども、そういった観点からも、やはり宅地の供給というものはさらに一層の努力をする必要がある、こういう認識をしております。
  124. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 市街化区域内の農地が首都圏の住宅地の価格の急上昇の原因だという論調がいろいろあったわけですけれども、私は事実に反すると思うんです。この宅地並み課税が本格的に始まった昭和四十八年以降、東京都の特定市街化区域内農地の面積の推移、これはどうだったでしょうか。
  125. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 東京都の市街化区域内農地、これにつきましては四十八年が一万四千八百六十ヘクタールございました。これが六十一年度には八千六百ヘクタールということになっておりまして、十三年間で六千二百ヘクタール減少という姿を見ております。これについてどのくらいがいわゆる住宅地に向かったかということは、率直に言って推計の域を出ませんけれども農水省等の資料をもとにしまして見ると大体半分強が宅地に向かったんじゃないか、こんなふうに考えておる次第でございます。
  126. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十三年間で六千二百ヘクタール農地が減った。そうしますと、もし平均一軒の住宅が百五十平米としますと、一ヘクタールで何軒建つか。これに六千二百掛けると約四十万戸ぐらいになるんじゃないかと思うんですがね。それで、この間東京都で住宅戸数の変化はどうだった でしょうか。
  127. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 十三年間即比べる統計がございませんので、ほぼ同時期ということで昭和四十八年から昭和五十八年で申し上げますが、昭和四十八年東京都における住宅戸数は三百五十万戸、五十八年が四百二万戸、その間の増加は五十二万五千戸でございます。
  128. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十二年間で東京都で約五十万戸の住宅がふえている。先ほどお話ですと、この十三年間で六千二百ヘクタール農地が減った、その半分が住宅宅地になったんじゃないかと言われますと、さっき私暗算で四十万戸と言いましたが、半分では二十万戸ですよね。そうしますと、この十二、三年の間で五十万戸住宅が建って、そのうち二十万戸は市街化区域農地の減少で建っているということに計算としてなるんですよね。そうすると、農地宅地並み課税問題で、農家が頑張っているから宅地がだんだん少なくなって需要供給のアンバランスが非常に激しくなってそれで地価高騰が起きているという話は、この数字から見てもおかしいと思うんですよね。  もう一つお伺いしたいのは、首都圏で企業が保有している遊休地はどのぐらいありますか。
  129. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 国土庁の資料で私ども掌握しているところで申し上げさせていただきますと、六十一年に国土庁が行いました企業土地調査でございますけれども、これによりますと一部三県の区域で、市街化区域で二千九百ヘクタール、市街化調整区域で四千三百ヘクタール、こういう数字を承知しているところでございます。
  130. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一都三県ということで東京都の場合が山ておりませんけれども市街化区域で二千九百ヘクタール、市街化調整区域で四千三百ヘクタール、政府の統計でもかなりの面積があるんですね。先ほどの答弁でも、市街化区域で残っている農地が八千六百ヘクタールというのでしょう。そうすると、企業の持っている遊休地でも今のような数字があるわけなのでかなり大きな数字ですよね。  先ほど建設省の行革審に出した報告でも、民間宅地開発事業者が保有している土地の活用、首都圏における大規模宅地開発計画面積四千五百ヘクタールという数字も出ておりますけれども、私はここで根本的問題が起きると思うのは、農家が持っている農地については宅地並み課税ということで非常に厳しい追及をやって、さあこれを宅地にしろ、吐き出せ吐き出せと言っている。ところが、企業もかなり大きな土地を持っていて、しかも遊休地があるんですよ。そういうものについては、これを吐き出すための有効な措置はとらない。これは私この委員会でも問題にしたことがあるんだけれども、四全総の国土庁の原案では事務所税が書かれていたのに、財界の要求で最後にこれは削られてしまうということになってくるわけで、こういう大きなアンバランスをそのままにしておいて、ただ農地を持っている農家の宅地並み課税問題だけを追及するというのは極めて問題が多いと思うんですね。  昨年の九月十八日の毎日新聞の「ニュースきょうあす」という欄に、土地住宅問題専門家の本間編集委員が、「農地転用でOKか」という論説を書いています。これを見ますと、市街化区域農地から供給されたはずの土地について、「これらの宅地はどこかへ消失してしまい、地価の安定にさっぱり役立たずであった」、こう指摘している。宅地並み課税によって市街化区域農地宅地化を強要しても、「それらの土地が細分化されて小出しに供給されるとなると、逆に地価高騰につながりかねない。」という指摘を行っているんですね。こういう指摘を国土庁建設省はやはりまともに受けとめて施策を進めていただきたいというふうに思います。  もう時間がございませんので、最後に一つ別の問題を質問したいんですが、私は八六年三月二十日の当委員会で、地価の高騰で多摩地区の貴重な雑木林が失われるということを指摘して、この市街化区域内の雑木林、これが公益のために役立っているときは農地並みの相続税の猶予制度を設けるよう提案したのですが、当時の江藤建設大臣は検討させていただきたいと答弁されましたが、検討結果はどうたったでしょうか。
  131. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) ただいまの問題につきましては、先生の御指摘の点だけではなくて、長くなるとあれですから簡単に申しますと、緑地保全地区とかいわゆる生産緑地地区とか、いろいろ法律の制度のきちっとしたものにつきましても、これを民有の場合に相続税農地並みの猶予措置というのは先生御承知のようにないわけでございます。したがいまして、そういう非常に法律的に制度ができたものから、さらに一番下の方は条例に基づく保全協定が締結されたものとか、地方公共団体との間で契約があって、その契約が締結されている緑地とか借地公園とか、全部につきまして何とか相続税農地並みができないかというふうなことでいろいろ私ども検討しまして、税制の要求等もしたのでございますけれども、なかなか制度的に、御承知のように農地の場合でも二十年間続けなきゃだめだという規定がある。  そういうことで、これらの施設の永続性というのが大変問題になりまして、正規に決まっているような生産緑地とか農地保全地区とか、そういうものでも農地並みにならないというのが現状でございます。そこまでいかなくても、延納利子税の引き下げぐらいはできないかということで、私どもは借地公園については頑張っておるわけでございますけれども、大変難しい問題でございます。なお続けていろいろ検討させていただきたいと思います。
  132. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なお御努力をお願いしたいんです。  もう一つの問題として、特に多摩地区ですけれども、児童公園だとか市民スポーツ施設が土地所有者が提供して利用されてきたわけですね。ところが、私どもも昨年調査したんですけれども、地価高騰で相続税その他もありまして、土地所有者が返してくれということになって、多摩地区で返還を余儀なくされている例が非常にふえている。  その後、東京都の市長会、これがことしの二月二十五日、六十二年度以降の三年間で九十六カ所、十三万平方メートルの児童公園、スポーツ広場などが返還で失われているという発表をいたしました。その調査に基づいて、この東京都市長会から私どものところに要望書が参っております。非常にこれは大きな問題だというんですね。せっかく児童公園だとかスポーツ広場をつくってきたのに、地価高騰で相続税問題その他で地主さんが返してくれというので返さざるを得ない。市民にとっても大変な問題だというので、非常にこれは公共性の強いものだということを強調されて、例えば引き続き利用を継続させる場合の相続税の特別措置、公共団体に売却する場合の譲渡所得に対する軽減などの優遇措置、さらに都市公園以外の多様な広場などの取得に対する補助とか融資制度の導入をぜひやってほしいと。これは多摩の市長会としては市民の要望にこたえる上で非常に重要だ。私ども事務所もアンケートをやってみますと、三鷹市などはもう決定的手段がないんだ、東久留米市も本当に困った、買収も地価高騰で無理だ、調布市なども対応策がなくて苦慮しているという答えなんですね。  市街化区域農地の無秩序な開発を招く宅地並み課税に力を入れるんじゃなくて、こういう問題についても積極的な御努力をお願いしたいと思うんですが、この問題について見解と態度をお伺いしたいと思います。
  133. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) ただいまの先生の要望は、東京都の市長会からの要望は建設大臣あてにも出されておりますので、私ども、市長さん方の要望でございますから、具体に少し調べましていろいろ対応を考えたいと思っておりますけれども先ほどの御質問にございますように、一番主に相続税の問題が出てまいります。相続税の問題は先ほどのような理由で大変難しい問題がございますし、それから用地買収に関して公園と同じような補助をするというのも、残念ながら暫定的要素が強くて、制度論としてしっかりしていないと いう問題がございますから、なかなか補助とか税制に扱いにくい問題がございます。  ただ、そういったものが役立っているということは十分わかりますので、何らかの方法があるかどうか、引き続き調査なり検討、勉強をしてまいりたいと思っております。
  134. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  135. 山田勇

    ○山田勇君 市街化区域内農地宅地化に当たっては各方面からいろんな指摘がなされていますが、依然として農地宅地化が進んでいません。これはなぜ進まないのか。何か大きな原因があるのか。その理由をまずお聞かせください。
  136. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 特に三大都市圏の特定市の市街化区域内農地状況でございますが、現行の宅地並み制度が五十七年実施されて以来六十一年度までの四年間で七千五百ヘクタール、年平均で千九百ヘクタール程度減少してまいっております。言ってしまえば、この数字の見方でございますが、この程度という感じを私ども持っておりますけれども、その理由はやはり何といいましても農家の方の強い土地保有志向、これが考えられます。  例えば、昨年の二月に建設省調査を行ったわけでございますが、そのときのアンケート調査の結果を見てまいりますと、農家の方の約六割が市街化区域内農地の全部あるいはほとんどを今後十年間そのまま農地として使いたいと、こういったことが、アンケート調査でございますけれども、回答を得ておる次第でございます。
  137. 山田勇

    ○山田勇君 市街化区域内農地宅地化を促進する上でのこの二法案の役割、またその効果についてはどのような認識をお持ちでしょうか。特に賃貸住宅の建設促進などには有効に活用されていますか。いかがなものでしょう。
  138. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先ほど申し上げましたように、農家の方の土地保有意識というものは非常に強いわけでございまして、その保有意識を無視した宅地化促進というのは言うほど現実は容易ではない、こういうふうに理解しているわけでございます。  そういった中で、今回御提案申し上げて御審議いただいています二法案は、例えば賃貸住宅の融資につきまして、施行以来住宅金融公庫について三万六千戸、例の宅地化促進の方の関係です。それから、利子補給に関するものも二万六千戸、こういったふうな実績を上げているわけでございまして、そういった農家の方の保有志向が強い中では、今の二つの法制に基づきます融資制度による賃貸住宅の供給というものは宅地化政策において大変大きな効果を占めているわけでございます。
  139. 山田勇

    ○山田勇君 市街化区域内の農地宅地化する際に特に注意することは、スプロール的な開発またミニ開発は厳に慎まなければならないと考えますが、その観点から、農地宅地化を行っていく上で都市計画の果たす役割はどのようにお考えになっておられますか。
  140. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 市街化区域内の農地宅地化を進める上には確かに適正な規模、配置の公共施設を伴った計画的な市街化を図るべきだと考えております。このために、できるだけまとまった土地につきましては土地区画整理事業等の面開発を実施しまして良好な市街地整備を進めてまいりたいと考えております。ただ、余りまとまっていない、小規模に介在してぱらぱらしている農地等があるような地域につきましては、これを計画的な市街化の方へ誘導するために、現在だんだん用いられてまいっております都市計画の地区計画制度、これを大いに活用してまいりたいと思っております。
  141. 山田勇

    ○山田勇君 宅地並み課税を行う上で、すべてを宅地として転用することを望まない農家もあり、営農を続けたいという要望もあわせて宅地化するためにはその受け皿づくりも大切であると考えます。そこで、大都市部の農地所有者が営農継続しつつ共同で住宅地造成を目的とするいわゆる農住組合制度の活用を図るべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  142. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 農住組合制度は、先生御指摘のように、農家の営農の意向にも配慮しながら市街化区域農地計画的に、道路とか公園とか、そういう基盤整備の整った良好な住宅宅地として供給する上で極めて有効であるというふうに考えている次第でございます。  国土庁としては、従来から、この制度を積極的に推進したいということで、土地利用の転換につきまして計画を作成するための費用とか、それからまた農住組合が事業計画をつくる場合の事業経費についての助成とか、そういうこともやっておりますし、また今後とも地方公共団体なりそれからまた農協系統組織の協力も得ながら、この農住組合制度の農家への普及啓蒙の徹底を図りながら一層のこの制度の推進に努めてまいりたいと存じております。
  143. 山田勇

    ○山田勇君 長期営農継続農地認定を受けることによって宅地並み課税が徴税猶予ということになっているんですが、まあ大部分でありますが、そこで本当に農業を続けたいという農家への配慮や、生産緑地制度との関連に十分留意をしながら、原則として宅地並み課税が行われるよう改めるべきだと考えますが、建設省考え方をお聞かせください。
  144. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 五十七年に導入されました現行の宅地並み課税というのは、原則として農地について宅地並みに課税するというものと私ども受けとめている次第でございます。ただ、この際に、生産緑地については今先生がおっしゃったように宅地並み課税が適用除外となっているとか、あるいはまた現実営農との調整を図るために長期営農制度ができておるわけでございますが、この運用実態が三大都市圏の地域で見た場合でも八四・五%、こういったほとんどのものがいわば長期営農農地として認定されておる。こういった現実についていろいろと問題がある、また御批判もある、こういうふうに受けとめている次第でございます。  私どもとしては、今後とも、先生のおっしゃったようなことも十分踏まえながら、生産緑地の制度というものの活用を促進していただくとか、あるいはまたあわせて、特にこの宅地並み課税運用の仕方、とりわけ昨年九月に自治省から公共団体に対しまして指導が出されているわけでございますので、この制度が本当に農業経営の意思を持っている適切なところに絞り込んで厳正に運用されるように期待している次第でございます。
  145. 山田勇

    ○山田勇君 宅地の需給見通しがつくられているが、最近の宅地供給は伸び悩みの状況であります。宅地供給を十分に行うためにはやはり農地計画的な宅地化を推進することが重要課題であると考えますが、大臣、最後に御所見を伺って私の質問を終わります。
  146. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 市街化区域内の農地につきましては、もともと市街化区域は御承知のとおり十年めどで市街化を進めるということであります。しかし、真に農業営農を行っている人は、たびたび申し上げておりますように、逆線引きでもして農地としてやっていく、しかし値上がりを見越して、先ほどお話がございましたが、木を植えたりクリを植えたり、あるいは何か申しわけ的な農業をしているというような人は宅地に供給をしてもらいたい、こういうことであります。また、調整区域内ももちろん優良なところは宅地に供給してもらいたい、こういう考え方であります。  宅地並み課税については、厳正に制度としてあるわけですから、これがどうと申すわけにはいきませんけれども、厳正に運用をしていくということで進めてまいりたい、こういう考え方であります。
  147. 青木茂

    ○青木茂君 ただいま最後に大任がおっしゃったことからひとつ進めたいと思いますけれども、そもそも市街化区域というものが制定されました趣旨というもの、これは一体どこにあったんですか。
  148. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 先生御承知のように、三十年代後半ぐらいから四十年代前半にかけまして住宅需要が大変旺盛になりまして、郊外へ郊外 へ、スプロールと申しまして、交通機関のタコ足状にどんどん市街化区域がとめどもなく発展していった。そこで都市施設が追いつかなくなるわけでございますので、ある一定の範囲を決めまして都市施設等の整備をやるかわりは、一定の範囲を超えたところは調整区域というふうなことで、そこまでスプロールが及ばないような施策をしようということで、四十五年の法律改正、それ以降線引きというのが全国的に行われまして、そういう制度ができたわけでございます。
  149. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、結局市街化区域というのは、土地を高度利用して都市をつくるというのが目的だと、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  150. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 都市施設整備との関連でございますから、おおむね十年の間に優先的に計画的に市街化を図るべき地域というふうなことで発足したわけでございます。
  151. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、どうしてもその中で農地が点々と存在するということは、市街化区域といわゆる線引きをした趣旨とはやや逆行するし、何よりも、私クールに考えてみて、市街化区域の中での農業というもの、これが職業的にペイするというのか利潤を上げることができるとお思いですか。
  152. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) けさほどからのいろいろ議論もございますが、野菜等で特別なことをすれば上がるかもわかりませんけれども、一般的に考えますと、市街化区域内の農業というのは大変難しい、特に点在しておりますと大変難しい。それから、先ほど都市局長がお答えいたしましたが、市街化区域内は市街化区域としての公共施設、農業につきましては農業立場からの施設でございますから、そういうことの基本がやはり違っておりますから、点在をしておるのは、交換分合してでもどうしても農業を続けようというところは逆線引きででも農地で残す。しかしそれもなかなか中央都市圏では難しいのでなかろうかと思いますけれども、逆線引きあるいは交換分合等をして整理をしていく必要がある、こういうふうに思います。  確かに公園も少ないわけでございますが、宅地化していくと同時に公園化もしていく、そういうことによって緑は保存といいますか、緑の地域を多くしていく、いわゆる都市計画を進めていくということが大事である、こういう認識に立っている次第であります。
  153. 青木茂

    ○青木茂君 やっぱり都市としましては、緑をつくるのは、公共的に公園だとか何とかを整備するのが実情に合っていると思うわけなんです。仮にその農地市街化区域の中にあって、そこで目いっぱい農業経営をやっても、それがその家庭の生計費を賄い、余剰を生むような農業経営市街化区域の中で果たしてできるだろうかということは私ども最大の疑問なんですけれども、できるとお思いですか。
  154. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生おっしゃったように、三大都市圏農業の姿というものは、率直に言って、大変御熱心な篤農家もいることは事実でございます。それからまた東京圏でのいわゆる軟弱野菜の出産地であるとかいうふうなことも先般来出ておりますけれども、そういったものを支えている農家の方が少なからずいらっしゃることは否定できません。  統計的に農林水産省の農家経済調査、六十年というふうなものをちょっと見てまいりますと、例えば東京の方で言いますと、農家の家計収入の中で農業所得はどのくらい占めているかというと七%、こういうふうな数字も出ております。また千葉県、埼玉県あるいはその近郊を見てまいりましても、率直に言いまして一〇%台、こんなような状況になっている次第でございます。いずれにしましてもかなり兼業的形態の中で家計が支えられている、こんなのが統計的な姿ではないかと思います。
  155. 青木茂

    ○青木茂君 と思います。もちろん職業選択の自由ということは厳としてあるわけですから。  私は、市街化区域の中に農業があったってこれを行政的にどうこう言う筋合いのものではないと思っております。思っておりますけれども、今話が出たようは、市街化区域の中においてはなかなか農業としてペイしないということになると、これは言葉を選ばなきゃならないけれども、一つの希望というのか、土地保有への執着というのか、そういうところで、ペイしないにもかかわらず農業をやりたいという農家の方の御意向だと思います。とするならば、私は宅地供給だとかという問題を離れまして、少なくとも市街化区域内の固定資産税は、宅地農地と八十分の一というような差があるのはおかしいのではないかということを常に考えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。
  156. 佐野徹治

    説明員佐野徹治君) これは固定資産税評価及び課税の基本的な問題にかかわる問題でもなかろうかと考えております。  現行の制度をくどくど御説明をいたすのはどうかと思いますが、やはり現行の制度は、農業継続する希望を持っておりまして、かつ現実農業を行っておる人に対しましては、やはり一定の配慮はしなければならないのではないか、こういう前提で制度ができ上がっております。そういうことになりますと、農業をいたしております土地、すなわち農地でございますけれども農地に対する課税ということになりますれば、これは市街化区域内の農地でありましてもそれ以外の農地でありましても、やはり農地として課税をいたすという点での差はないということになるのではないかと思っております。  長期営農継続農地につきましては一定のいろんな条件がございまして、それらの条件を満たしておるものにつきましてのみ農地としての課税をいたす、こういう整理をいたしておるものでございます。農地としての課税ということになりますれば、一般の固定資産税の税負担の状況を踏まえますと、先ほど御指摘ございましたようなそういった差も生じてくるのではないかなというように考えておる次第でございます。
  157. 青木茂

    ○青木茂君 お役人的答弁からいえばそういうことでしょうけれども都市の住民が一般に素朴に肌で感じている問題は、農業を確かにやっているという名目にはなっている。名目にはなっているけれども、ビルとビルの谷間に大根を二、三本値えている。実は私の家の近くにもあるわけなんですけれども、そういうのが農業をやっているということで、そこら辺の認定が実情に即して少し甘過ぎるんじゃないか。実際農業をやっていらっしゃる方についてとかく言いません。言いませんけれども偽装農地というのか、話は飛びますけれども、疑似サラリーマンというのもあるんですよ。商売をやっている方の専従者が、専従者給与というやつで給与所得控除まで認められちゃって、それが本当のサラリーマンと同待遇だという疑似サラリーマンというのもありますからね。それと同じように疑似農地というのもかなりあるはずだ。そこのところを行政としてはしっかり見詰めていただきたいと私は思います。時間がありませんからこの問題はこれだけで終わります。  もう一つ農地に関しまして、これは一般的に言いまして、農地相続税の特例というのはどういうもので、どういう一体根拠とか理由で制定されたものでしょうか。
  158. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  ただいま農地につきましての相続税の猶予制度、これがどういう趣旨でできているのかというお尋ねでございますが、本制度は、一つは農地の細分化を防止する、そしてまた農家の後継者を確保する、こういった農業政策上の観点から設けられているものでございまして、これは農地の特殊事情というものを考慮しているわけでございます。一つは、農地法に、農地は耕作者みずからが所有することが適当である。また、農業基本法におきましても、農地の細分化防止のためにできる限り農業後継者が、いわゆる民法の均分相続にとらわれることなく農地を引き継ぐことができる、こういった規定がございますので、こういったものを踏まえまして設けられた趣旨でございます。 相続税の体系の中では極めて異例の措置でございます。しかしながら、本制度はこういう創設の趣旨に即しましてそれなりの効果を有していると私どもは考えているわけでございます。
  159. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、地価が大分上がってきた現状において、この制度の持つ意味というものは非常に希薄になってきたんじゃないかという気がしてならないんですけれども、それは大蔵省の方どういう御見解ですか。
  160. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  この猶予制度につきましては、特に都市近郊の問題といたしまして先ほどからいろいろ御議論があるわけでございますが、特に私どもといたしましても、一つは宅地供給の阻害要因になっているのではないか、こういう御批判もございます。こういったいろんな御意見をお伺いしているわけでございますけれども全国的ないわゆる農業というものを見た場合に、やはりそれなりの効果を有しているということは否定できない事実でございますし、都市近郊であるからといいましても、先ほどお話ございましたけれども、一生懸命営農に取り組んでいらっしゃるまじめな方々もたくさんいらっしゃるわけでございます。こういった場合に本制度を適用外とすることはどうかということは当然議論があるわけでございます。納税猶予制度につきましては今後とも制度の厳正な運用ということは当然でございますけれども市街化区域内の農地に対しまして本制度はどうあるべきか、こういったことにつきましては、市街化区域内の農地あり方、すなわち都市計画上位層づけが明確にできないか、あるいは土地利用計画の策定がやはり前提として不可欠ではないかと思うわけでございます。  と申しますのは、私ども、税制度の中でこの土地農地として適正だとか、あるいはこの農地宅地にすべきだとか、こういった判断はできないわけでございますので、そういった意味から土地利用計画の策定といったものをまって検討すべきであろう、こういう考え方を持っております。
  161. 青木茂

    ○青木茂君 農業をやる方にとって農地というのは一種の資本ですよね。だから、資本に対する相続税の特例があるならば、バランス上中小企業の相続においても資本の相続に対する特例がないと、どうも農業と他の職業とのアンバランスがここでも出ているような気がするんですけれども、これに対して大蔵省どうですか。
  162. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  農地といいますのは農業にとりましてやはり基本的な生産手段でございます。先ほど説明いたしましたように、農業二法、農地法、農業基本法においてそういった規定を設けているわけでございますので、私どもはそれを受けまして相続税法上特例を設けている。今お話ございました、それじゃ中小企業も同じじゃないか、こういう御議論がございますけれども、私どもは立法府において定められたそういう二法に基づきましてこういう特例を設けている、こういう御説明をさせていただきたいと思います。
  163. 青木茂

    ○青木茂君 立法府というふうに言われちゃうと、立法府でもって物を考えなきゃならないんだけれども、しかしこの問題で余り時間はとれませんから、ちょっと問題を転換をさせます。  我々が、地価というものを、一体我々の土地というのは幾らぐらいなのかなというふうに考えるときに、役所の出すところの地価というのがまさにいろんなところでもってばらばらなんですね。とにかく国土庁の公示価格、国税庁の相続税評価市町村固定資産税評価、みんなばらばらに違うわけなんです。国民としては非常に頭が混乱をしてしまって、それがまた土地売買においてごまかされてしまう原因にもなってくるということですから、土地評価がばらばらであるということを何らかの形で統一するという方向は出ないものでしょうか。
  164. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 先生御指摘のように、現在全国的、継続的に行っております公的な土地評価といたしましては、国土庁、私ども実施しております地価公示なり都道府県地価調査というのがございますし、また固定資産税評価額、それから相続税評価額というふうに三つに分かれているというふうに考えられます。私ども実施しております地価公示なり都道府県地価調査、これは自由な取引が行われるとした場合において通常成立すると認められる価格をあらわしているものでありまして、一般の土地取引の指標とか、それからまた国土利用計画法による届け出の価格審査の基準にいたしておるわけでございます。また、固定資産税評価額とか相続税評価額につきましては、これは課税の標準として使われておるものでございまして、それぞれ制度の目的、性格に違いがあるわけでございます。  これらの評価額につきましては、それぞれの制度の目的に応じてかなりの違いがあるわけでございますけれども、この評価を統一することについてはいろいろ困難な面があると思いますけれども、今後ともこの公的な地価評価あり方につきましては関係省庁の間で研究を続けてまいりたいと思っております。
  165. 青木茂

    ○青木茂君 経済学には一物一価の原則というのがあるので、とにかく一つのものについて余りにもたくさんの価格が出てくるということは、国民レベルにおいては先ほど申し上げましたように非常に混乱をするということだけは強く申し上げておきます。  もう時間があと一分三十秒ぐらいですから、次の点だけをお願いをして終わります。  今首都圏には非常にいろいろなプロジェクトが開発の名において組まれておる。ところがすべてこれは道路開発とか何かであって、ストレートに住宅増加を見込んだプロジェクトというものがどうもない。しかも土地高騰の中におきまして、どんどん土地が高くなり相続税が払えないということで、先駆的なデベロッパーが一生懸命つくり上げた田園調布だとか成城、田園まさに荒れなんとすというようなところがあるわけなんですよ。だからそういう意味におきまして、世界一の金持ち国の日本で、それを支えてきた、まじめに生活に努力し、職業に努力する人たちが首都圏あたりで普通の家さえ持てないこのパラドックスは、これは僕は政治の非常に大きな検討課題だと思うわけです。  それにつきまして最後に大臣の御決意と御見解を伺って質問を終わります。
  166. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 確かに今土地が高騰いたしまして、持ち家というのも大変な事態であります。でございますから、これは何としてでも地価を下げなくてはいけない。また、交通網を整備して通勤距離を時間的に短くしないといけない。こういうことを行いましてできるだけ地価の下落を図っていかなければいけない。すぐにはなかなか率直に言って難しいと思いますけれども、この問題はやはり需要と供給のバランスの問題で、古いマンションなどは今大分下がりつつあるようでありますけれども、地価そのものを下げるような手だてをしていかないといけない、こういうふうに思います。その間は、やはり公的住宅を初め民間住宅でも融資とか特別償却とかいろいろ考えまして、低家賃で入れるように努めていかなければいけない。最終的にはやはり地価の値下がり、これを行うようにしなければならない、こういうふうに考えておる次第であります。
  167. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  もともとこの臨時措置法は、その第一条に法律の趣旨として、「特定市街化区域農地固定資産税課税適正化を図るに際し、これとあわせ て、」云々云々「必要な事項を定めるものとする」とうたわれているように、三大都市圏市街化区域農地に対する固定資産税宅地並み課税実施を推進するための法律であります。農地宅地並み課税制度が地価の高騰の防止には役立つものではなく、勤労者の切実な住宅要求を解決するものではないことは、これまでの経過からも明白であります。そればかりか、農地の無秩序な切り売りを招き、都市農業都市近郊農地の果たしている積極的役割を損なうとともに、都市近郊に残された貴重な空間を破壊し、良好な市街地の形成をも困難にするものと言わざるを得ません。  もちろん、我が党は、農民が自主的な意思で農地宅地化することを否定するものではなく、そのための優遇措置に反対するものではありませんが、この臨時措置法がさきに述べたような農地宅地並み課税を推進する道具として設けられている以上、その延長には反対です。  大都市への新鮮な野菜供給源としても、また、都市環境を保全する貴重な緑としても重要な役割を果たしている都市農業都市近郊農地は守り、大企業が保有している広大な遊休地を適正な価格で放出させることこそ重要です。また、良質で低廉な公共住宅を国と地方公共団体の責任で大量に建設することが、国民の住宅要求に真にこたえる道であることを強調して、反対討論を終わります。
  170. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案の採決に入ります。  まず、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  172. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定しました。  次に、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  173. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定しました。  なお、以上両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。
  175. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに両法案審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  どうもありがとうございました。     ─────────────
  176. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 去る二十八日に引き続き、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並びに住宅金融公庫、北海道東北開発公庫を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  177. 大木正吾

    大木正吾君 予算委員会におきまして国土庁長官等からも話を承ったんですが、幸いにいたしまして東京都内一部には異常な高騰がどうやら少し落ちつきまして若干地価が下がる傾向があるやに承っておりますし、同時に中古マンション等も若干下がっているような報道がございますが、そういったことを中心といたしましてこれから四、五点について建設大臣並びに国土庁長官に伺いたい、こう考えています。  まず、現在の地価の抑制問題でございますけれども、国土利用計画に基づきましてどのような規制が行われているか、また同時にその結果について現状どうなっているか、これについて伺います。
  178. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 現在国土利用計画法につきましてとっている措置といたしましては、昨年の通常国会で改正していただきました監視区域制度というものを積極的に運用している次第でございます。現在のところ監視区域の指定をされているところは一都二府十二県八政令指定都市において実施されております。特に首都圏におきましては、およそ四十キロ圏から六十キロぐらいまでの都心への通勤圏が監視区域として指定されておりまして、地価の鎮静化は広がりつつあるというふうに考えている次第でございます。
  179. 大木正吾

    大木正吾君 周辺の土地も時間がたつに従って今の傾向からいきますればいずれ鎮静化するだろうと思うんですが、私が考えますには、このチャンスといいましょうか、こういった動向をとらえて地価の抑制策をしなければならない、こういう考えでございますが、それについてはどうですか。
  180. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 首都圏にとってみますと、やはりまだ首都圏の本当の外縁部、四十キロ、五十キロ、六十キロ、そういうところでもまだ地価が上昇しつつあるというところもあるわけでございます。  そこで私どもとしましては、そういうところにできるだけ早目に監視区域を指定するように、また監視区域運用についても強化を図るようにということで関係地方公共団体指導しているところでございます。四月一日からは神奈川県とか千葉県、埼玉県、こういうところでも監視区域の拡大を予定いたしておりますし、そのほか地方の方でも奈良県、福岡県、京都市、それから新潟県とか大阪府、兵庫県、こういうところでも監視区域の拡大を予定している次第でございます。
  181. 大木正吾

    大木正吾君 それでは、国土庁長官も来ましたから土地に対する基本的な政府考え方を聞きたいんです。  一つは、大体昭和六十年前後から東京土地は二、三〇%ずつ毎年上がってきました。それが六十二年度に一挙に噴き上がってきたわけでございますが、これに対する責任といいますか、金融機関とかあるいは不動産業者等もございますが、最大の責任あるものはやっぱり政府と考えますが、それについてはどうですか。
  182. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 今のように責任問題を時々お尋ねをいただくわけでございます。  その都度私は、それぞれ最善を尽くしてこられたんじゃないかと思うんです、ただ余りにも日本の経済発展が速かったものだから、それなりに高度な発展を夢見る、したがって幾らでもオフィス床は要るんだ、土地を買っておけば上がるに違いないんだというような気持ちも全体に漂い過ぎてああいう結果になったんじゃないか、こう思うわけでございます。今になって考えてみますと、あのときにああしたらよかった、あんなことをしなけりゃよかったということがいろいろあるけれども、しかしやっぱり結論は、余りにも速い日本の経済成長が今日の土地暴騰を生んでしまったんじゃないか、こうお答えをしていますし、またそう思っているところでございます。
  183. 大木正吾

    大木正吾君 奥野さんみたいに立派な人格高潔、しかも野心がない、そして大胆に物ができる、そういった方がせめて六十年度ごろに国土庁 長官をやっておったら私は少し事態が変わったという感じがするんですよ。別にお世辞を言うわけじゃありませんけれども。  とにかく最近の情報化社会とか、あるいは六十年度以降、ずっと東京に住んでいまして見ていますと、公示価格が大体二五から三〇ぐらい上がってきてるんです、ずっと。そして昨年の異常な高騰という状態になっていくわけですから、あのころから今の状態というのはわかっておったわけですよ。大蔵省は、ここにいませんけれども東京金融センターといたしましてオフショア市場の開設のことも当然わかっておったし、NTTの民営化問題に絡んで情報化社会、これもわかっておったわけでしょう。そういうことになれば、当然東京に新しい金融市場が登場すれば、ロンドン、ニーューヨークに次ぐわけなんだから、事務所がたくさん要ることは当たり前のことなんですよ。  そういった面に絡んで、関係省庁、特に建設省等では見通しの狂いも、事務所がもっと大きくなるという話もありましたね、そういったこと等を考えますと、私は単に政府だけの責任とは申し上げませんよ。日本国民の心理状態もありますよ。そういったことと関連いたしまして、やっぱり政府には最大の責任がある、こう考えているわけでありますが、そのことを長々とここでもって申し上げるつもりはございません。  問題は、上がってしまった土地をこのまま放置することがいいかどうかという問題なんです。東京周辺の東京圏というのがございますが、東京圏の、どうでしょうかね、坪百五十万、二百万ぐらいのところまでは、おれの土地は上がって結構だった、こういう気持ちの方々はまだいると思うんだ、私は。しかし東京二十三区の中に入ったら坪五百万。この諸君は二百平米前後から三百平米前後、ここら辺の方々で持っているんだ。付加価値を生まないサラリーマンの住宅の場合には、これは大体自分の息子、孫の時代には自分の土地はなくなってしまう、こういうふうにみんな見るんです。そういった状態の中ですから、どうしても高値安定の状態ではほうっておくことはできないわけですね。  そうすると、政府自身が土地に対しましてこれからどういうような基本的な考え方を持ちまして——東京です、私は周辺部は言わない、つながっていますけれども東京に準じていくわけだけれども、そういった心理的なことはわかりますから言いませんが、東京に人間が住むことがいいか悪いのか。東京は全部事務所にしてしまうのかどうなのか。地価の抑制というか、あるいは福祉面を重視した形の利用といいましょうか、そういった問題について、日本の首都東京土地については一般のサラリーマン等は住んじゃいけないのか、いいのか、あるいは公共優先なのか、福祉優先なのか、そういった問題について政府の基本的考え方を聞きたいんです。
  184. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 地域社会はやはり基本的には職場と住所が近接している、そういう活力のある社会が大切じゃないか、こう思っているわけでございます。今までのままでございますと、都心三区なり都心五区なりへ目がけてみんなが勤務地として足を運ぶ、したがって道路は自動車でいっぱいになってしまうわ、鉄道ははみ出してしまうわというようなことになりますので、やっぱり中心を幾つもつくらなきゃいけないなということから東京の副都心計画が始まったと思います。今は御承知のように大崎、渋谷、新宿、池袋、錦糸町、上野・浅草、東京湾臨海部、この七つの副都心を整備しようとしているわけでございます。またそういう考え方で、東京湾臨海部におきましてオフィス中心に考えないでくれ、もっと住宅をふやしてくれ、こういう考え方東京都が受け入れてくれまして住宅もふやしてくれることになったわけでございます。  さらに、その外には東京のいろんな施設を持ってきて一つの中枢都市をつくっていこうじゃないかというようなことで、業務核都市整備していこうというのが首都改造計画に上がっておるわけでございます。神奈川県の横浜、川崎、東京の立川、八王子、埼玉県の大宮、浦和、茨城県の土浦、筑波、千葉県の千葉、さらにその外には、神奈川県については厚木、東京の場合には青梅、埼玉の場合には熊谷、千葉の場合には成田、木更津、それぞれを都市圏にしていこうじゃないかというふうに考えているわけでございまして、東京の場合には多心型都市構造と呼んでいるわけでございます。また、首都圏の場合には多核多圏域地域構造にしていこうじゃないか、核をたくさんつくる、それを中心にして都市圏を構成する、そういうものを全体で首都圏にしていこう、こういうことでございまして、秩序ある首都圏にしていこうじゃないか、あくまでも職住近接の地域社会をねらっていこうじゃないかという考え方になっておるわけでございます。  同時に、地価の問題になってまいりますと、最後はやはり需要と供給の問題を考えなきゃなりませんので、思い切って都心の需要は分散していこうじゃないか、そのためには政府関係機関まで外へ出そうと考えておるわけでございます。さらに土地の供給をふやしていこうということで、建設省の方では都市計画の用途地域の見直しまで考えていただいているわけでございますし、また幾つもの立法をお願いしていることも御承知のとおりでございまして、なお一層総合的に検討しながら解決を図っていきたいなということで努力を続けているところでございます。
  185. 大木正吾

    大木正吾君 幾つかお話がありましたけれども、その中でもって基本的な考え方を伺いたいんです。  まず第一に、社会的な規制、まあ国土利用計画法がございますが、この運用でもって金融業界等に対する大蔵省の指導もあったようであります。そういった中で、世田谷とかあるいは都心の一部等で地価が下がり、あるいは売買も若干というような話もありますし、同時にマンションも相当に余りつつあるような傾向にある、こういう話も出ています。そういった中でもって、土地について社会的規制をするかどうか、これが一つの問題ですね。それから同時に、公共の福祉のために、結果的には福祉を優先して土地を利用するかどうか。そういった二つの理念を中心としまして、東京都内に人間が住める状態をこれからも維持するように考えていくかどうか、このことについてひとつ答えてください。
  186. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 言うまでもございませんが、土地は生産なり生活なり国民共同の基盤でございますので、やっぱり国民全体の立場も考えて土地が利用されていかなきゃいけないんじゃないか、こう思うわけでございます。しかし、日本の場合には土地の所有者の力が非常に強いわけでございますし、また公共の利益ということにつきましても、これまで、一人の反対があっても公共の施設はつくりませんよというようなことを言われた為政者もおったりいたしまして、なかなか国民の気持ちもそこに向いてきていない。しかし向かせることが大切でございますので、今御指摘いただきましたような点につきまして国民の気持ちも変えていかなきゃならない。法律、制度も私権の制限ということにつながるわけでございますけれども、やっぱり進めていかなきゃならない。  また、私権の制限という点につきましては、今行革審におきましてそこをとらえて土地問題を俎上にのっけていただいておるわけでございまして、六月には答申をいただけるという段取りになってきているわけでございます。  そういうことを踏まえまして、全く考え方は今御指摘いただきましたと同じような気持ちを持っているわけでございます。今後も、場合によっては法案ということになるかもしれませんし、また国民の皆さん方の理解を求めるということにもなるかもしれませんが、努力を続けさしていただきたいと思っております。
  187. 大木正吾

    大木正吾君 関連いたしまして具体的に少し話をしてみたいと思います。  例えば、東京の杉並におりまして、そして平米で計算するか坪で計算するか別にいたしまして、坪五百方というふうに形を置いて考えますと、当 然これは地価の計算の相続税の根拠になります問題でございますから、いずれにいたしましても、公示価格あるいはいろんな地価等がございますけれども、路線価格というものが中心となって計算されていますわね。それで、平板的に極めてアバウトでもって計算していきますと、公示価格に対しまして大体四割ぐらいの計算で頭で計算して間違いない、こういうふうな計算ができるんです。  私も大体百坪ぐらいの土地をずっと法律に基づいて計算してみたんですが、結果的に言えば、百坪ぐらい土地を持っておりますと相続税が七千万円ぐらいを超える額になってしまう、こういう計算が出るわけです。そうしますと、六十坪か七十坪の土地ですと、その真ん中に家を建てますから、その方はもしも土地を三分の一売って納める、こういうふうにいった場合には当然この上物は壊さなぎゃいかぬ、結果的に。壊してまた建てなくちゃいかぬわけですね。そうすると優に一億超す費用がかかるわけですよ。そういったことが結果的には、例えば女房が生き残った場合に、女房の分は相当に安いから云々という話がありますわね。今出ている例えば法律の抜本改正の中では三千万ぐらいの基礎控除を上げようと、こういう話もあります。言えばこれは焼け石に水の話なんですよ。女房が長生きしたといったって大体七、八年か十年ですよ、平均年齢で申し上げましてしても。  そういうふうにしていきますと、結果的にはこれは自分の子供の時代に東京からジプシーのごとく田舎に逃げていくのか、それは札束は入ってくるかもしれませんよ、逃げ切っていくのか、あるいは自分の時代にミニ住宅でもって逃れるかどうか、マンションに移すのかどうか、そういう状態になってしまう。奥野大臣も、恐らく東京に自分の家がございまして、どこか自分の実家の方にも家があるかもしれませんが、東京にしかない私たちの場合にはこれは行くところがないんですね。  そういったことを考えていきますと、私たちは、首都圏首都圏ときんきん言いますけれども、圧倒的な情報量が集まっている、東京は九〇%の情報が集まっています。異常地価の高騰が始まったのは東京なんです、いずれにしても。千葉県で始まったわけでもないし、神奈川県でも何でもないんです。そういう問題からして、やはり問題の急所をどういうふうに押さえ込めるかというのが肝心な問題なんです。ですから、今行革審でやっていますが、行革審のこの問題に対する取り組みの状況はどうなんですか。
  188. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 今おっしゃったような問題が相続税の問題の一番大きな課題になっておるわけでございまして、今回の税制改革の重点が相続税の改革問題にある、こう思っておるわけでございます。したがいまして、今のような点を十分に踏まえて御理解いただけるような改革案をつくってもらわなきゃならない、そのための努力もしていかなきゃならない、こう思っているところでございます。
  189. 大木正吾

    大木正吾君 この種の問題につきましては、何といいますか、都民の心理状態というんでしょうか、国民全体の心理状態、あるいは関係いたします金融機関、不動産業者、そういった方々の心理状態、そういったことが極めて大きな影響をもたらすと思うんです。やはり人間というものは、もうマンションはありませんよ、こういうふうにやられますと、早く買わなきゃならぬという気持ちでもってせき立てられますから、高いものを買ってしまう。しかし、ちょっと待てよ、まだまだあるよ、こうなったら手控えますから、結果的に安いものが手に入ります。  私はある意味では、東京で一部でもって土地が高値だけれども安定してきました、同時にマンションも若干だぶついてきましたというこの時期にこそ、例えば都営住宅を建てる東京都、同時に住都公団等が国の機関としてあります、同時に住宅供給公社もありますね、どうもその辺の財投資金の使い方等も含めて見ていきますと、金が余ったりあるいは競争したり、半民間的なものもたくさんございますけれども、何か自分たちのエリアの中だけでもって物を見ている。私が申し上げたように、みんなの気持ちが、どうやら手控えておけばマンションもうちょっと安くなりそうだぞ、こういう気持ちになったときとか、土地は幾らか下がってきたぞといったときとか、そういうときにこういったいろんな政府関係あるいは公立関係の、住宅を供給するところの関係の公団等がお互いに力を合わせて、例えば蒲田から川崎周辺には、もう下請工場をやっていてもしようがない、公害があってしようがない、とにかく工場の古いやつがたくさんあちこちにありまして、駐車場がたくさん残っている。売ればまた税金をたくさん取られるものですから、売らないで駐車場でもってとりあえず税金分ぐらい、固定資産税都市開発税ぐらいかせぐ、こういう状態があります。  そういったものをうまく誘導しまして、代替地を提供しながら土地をまとめて、そしてここには二十階建ての公団、あるいはでかい住宅が一万五千戸建ちますよ、三年後に、そういったことを何カ所か計画をする、こういった発想が浮かんできませんか。どうですか。
  190. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 大変東京圏の宅地価格が高騰している原因はいろいろあるわけでございますけれども、その中の一つに、言うなれば将来の実需が先行きに対する不透明感の中で早く顕在化するということも一つあると私も認識しているわけでございます。  そういった中で、今先生おっしゃったように、いわゆる公的な宅地住宅の供給の見通しというものをつくり上げ、できるだけお示しするということの重要性というものを認識しています。とりわけ、昨年十月に政府が決めました緊急土地対策要綱におきましても、公的プロジェクトにつきまして実施プログラムを策定するということが決められているわけでございまして、建設省におきましても、公的宅地につきまして、ということは具体的には住都公団あるいは地方住宅供給公社あるいは都道府県、こういったところが中心になりますけれども、こういった公的供給につきましての供給時期あるいは供給の量、こういったものをまとめるべく現在鋭意作業中でございます。
  191. 大木正吾

    大木正吾君 作業中のものはぜひこれは大胆に機会をとらえてやってほしいんです。余りちびちびやらないで、やっぱり大胆にチャンスを見て、雰囲気を見ながらやることが極めて効果的なことなんですから、全部手遅れ手遅れでやってきたんじゃ、今までの失敗はそのことのケースの積み重ねでございますから。  そこでその次の問題でもって伺いますが、今本委員会で採決をされました法案にも絡むかもしれませんが、土地の問題は、だれが話ししましても需要と供給の関係だ、こういう話がございます。これは一つの非常に乱暴な提言なんですが、例えば東京の三多摩には相当に、練馬区等にもございますけれども市街化農地がたくさんございます。これについて私たちの友人などが、何とかああいったものを住宅並み課税にできないかという話もしたこともありますし、同時にまた反面では、何としても都会のためにああいった緑が欲しい、あるいは畑が欲しい、あった方がいい、こういう意見も中にはあるわけです。しかし、この市街化農地問題につきまして、私が考えるには、やっぱり思い切ったある政治誘導方法が要るだろうと思うんです。  その方法としまして、営農の本当に、例えば私は営農できませんと、今東京二十三区でもって、大学を出た方で農業をしようという方は何人おりますか。私は、三十年たって農業やる方はなかなか得がたいというか、なくなってしまう、こういう感じもします。嫁さん来ませんよ、恐らく。そういったことを考えた場合に、余り目先のことばかりの利害に取りつかれないで、そしてもっと大胆に、例えばここまでは緑地ですよとぴしっと緑地でもって整理していく。そして一方の方は、営農の気持ちありませんから、見込みありませんから、二重にかかったっていいんです。急に固定資産税や何かを上げたらこれは大変ですからね。そういった点も含めて、そういったものの言えば激 変緩和的なことを考えながら、農業を続けていくというよりむしろ緑地化です、緑地をがっちり固めて新しい都市構造を考えていく。一方では、宅地だけで結構ですからと、しかしその方は十年から二十年、十五年で結構ですが、そういった面で税制の激変ということを緩和しながら土地を提供してもらう。こういった大胆な発想はできませんか。どうでしょうか。
  192. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) いろいろな大胆な発想は大変参考になりますし、そういうことを言っていただくことがまた地価の引き下げにも私は効果があるんじゃないか、こう思うわけでございます。先ほど大木さんが、地価が上がる上がると言うからまた高騰に拍車をかけていったんだ、こういう御指摘をなさいました。まさに私はそのとおりだと思うのでございまして、地価はなおこれから下がっていくよということになってきますと、買い控えがまた強くなってくるだろう、こう思うわけでございます。土地の問題でありましても株式の問題でありましても似たようなところがあるんじゃないか、こう思うわけでございます。  この間内閣総理大臣を座長といたします、また与党の幹部も入りました土地対策関係閣僚会議で、事務当局が、東京の地価が鎮静化に向かいました、こう言いましたら、今の地価は数倍にもなっているじゃないか、鎮静化ということは高値安定になってしまうじゃないか、とんでもないことだという厳しい批判がございました。そこで、幸いにして鎮静化、低下傾向にはなったけれども、今までの厳しい施策は緩めないで、より以上に厳しい姿勢を持ち続けていきたい、こういう申し合わせをしたわけでございました。したがいまして、大蔵省も金融面において従来の姿勢を緩めないでやっていただけると思っているわけでございます。やっぱり金融が緩んできたことが、金を使ってもらう、なお土地が上るんだという大木さんの御指摘のような空気が次々に土地転がしみたいなことになっていって、転がされるたびに値が上がっていった、それが高騰に拍車をかけたということになったと思うのでございます。  今のような市街化農地についての構想とかあるいは水田転作を求められている地域は、そういう水田を土地の交換をしながら一まとめにして、そこで新しい地域開発をやったらいいじゃないかというようなことを言っている地方団体もあったりするわけでございます。  おっしゃいますような大胆な構想がどんどん出てくることが地価問題に対しまする大きな解決の力になっていくんじゃないかなと私も期待いたすものでございます。
  193. 大木正吾

    大木正吾君 公団関係の方々はおいでになっていないと思うんですが、一応関係の方に伺います。  公示価格を形成する順序、手順については、私は余り細かいことは知りませんから伺いませんが、先ほどどなたかも質問いたしておりましたけれども、地価の表示の仕方がたくさんございまして、これこそ縦割り行政の典型的な標本だというふうに言われても仕方ないと思うんですが、要するに公示価格あるいは基準価格、そして相続税評価基準、固定資産税評価基準、こういったようなものがずらっと横にあるわけです。私たち東京なり日本に住んでおりまして、こんなややこしい物差しがあるので、わからぬといいますか、とにかく面倒でどうにもしようがないという感じがいたします。こういうものを一本化するということについて先ほどどなたか返事をされましたから私はあえて問いません。  実は建設委員会で前にちょこっと顔を出したときに伺ったことがありましたけれども、今、例えば住宅公団等が大きな団地をつくる場合なんかの土地を買う場合、公示価格でもって買える、あるいは基準価格で買えるものはありますか、ないですか。どうですか、その辺のことについては。
  194. 片山正夫

    政府委員(片山正夫君) 現実住宅都市整備公団で土地を取得している場合の価格の決め方を御説明申し上げますけれども住宅都市整備公司としましては、不動産鑑定機関の鑑定評価額を基本とするという規則をきちんと設けておりまして、鑑定評価額は、御案内のように、地価公示法の規定によりまして公示価格を規準とするということになっておりますので、そういう観点から、住宅都市整備公団で取得します価格は地価公示価格と均衡がとれた形でもって執行されておるところでございます。現実にそれを跳びはねたような大きな価格は住都公団としては経営が成り立ちませんので、やはりそういう均衡のとれた形でもって執行されておると考えております。
  195. 大木正吾

    大木正吾君 大体、民間の業者から言わせますと、今のお話がまさしくナンセンスというか、民間の業者の場合には、公示価格がずっと出まして、基準価格が出ますね、そうしますと、これに対して最低二割高前後がそのときの時価なんだ、こういうふうにすぐ見てしまうんですね。もう公示価格とか基準価格で絶対買えるものじゃないんです。時価というものはもう公示価格の二割高のものだ、こういうふうに頭の中ではじいているんです、初めから。そういったものが結果的には日本の地価の国が国民に示す言えば定価なんだよ、こういう言い方は私はやっぱり何らかの方法でもってやめなきゃいかぬと思うんです。それはもう一分も違っちゃいかぬとは私申し上げませんけれども、やっぱり政府が示すものについては国民の信頼があって、そしてある程度はそれが基準になって、その程度の地価でもって土地が買える、手に入る、こういう状態に持っていかなきゃいかぬと思うんです。  そういったものをまとめる方法と物差しをもっときらっと、その土地の実際の適正な価格といいますか、時価に合うような形にする方法は全くありませんか。どうですか、それは。
  196. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) まず公示価格の算定の方法から説明させていただきたいと思いますけれども現実の取引の価格につきましては、地価の安定している状況では、かなり幅の狭い取引の価格といいますか、そういう幅で取引が成立しておりまして、公示価格を決定する場合にはそういう現実の取引価格をもとにいたしまして算定しているわけでございます。ところが地価が急激に上昇しているような場合には、現実の取引価格も幅が非常に広く、著しく投機的な高い価格から通常の価格から、いろいろ幅が広がるわけでございます。  私ども公示価格を算定する場合には、そういう投機的な著しく跳びはねた価格というものはこれを排除するといいますか、それでまた正常な状態での取引ということで、そういう取引事例をもとにして算定しているわけでございます。したがいまして、価格の上昇が非常に激しいようなときには、公示価格に対しまして現実にはそれよりもかなり高い価格が現実の取引として成立するという場合もあるかと思いますけれども、それはあくまでも業者の売り希望価格とか店頭価格というものでございまして、私どもといたしましては、この公示価格を指標にいたしまして国土利用計画法の審査もやっている次第でございます。
  197. 大木正吾

    大木正吾君 いずれにいたしましても、両大臣おられますけれども、私はむしろこういった異常な地価の高騰の中で国民全部が悩み、私自身も自分の反省といたしまして、昭和五十九年、六十年ごろに、自分の住んでいる土地が値上がりしてきたものについては、ささやかな自分の財産がふえた、こういう感じを持ったものなんですよ。今の心境はといいますと、おれの息子のときには土地が半分になります、孫のときには土地がなくなりますよと。そのときにはしようがないから、私たちを産んだじいさん、ばあさん、三代ぐらい前になりますけれども、その辺が住んでいた九十九里に、沿岸に買い上げた土地がありますから、そこへ行くしかないなと、こういうばか話をやるんです。  札束を持って田舎へ行けばいいじゃないか、こういう話があるかもしれませんけれども、言えば人生七十年か六十年かわかりませんけれども、その間に、メダカ釣りをやった仲間の契り、それは確かに散っちゃうのは仕方がない面もございます けれども、自分が住んだところから去っていくという寂しさ、これはとにかく奥野さん、本当によくわかるでしょう。それはもうとても札束にかえられない気持ちがやっぱり残ると思うんですね。  ですから、そういったことを考えていただきますと、やっぱりこういったときにこそ相当荒っぽい手段を講じながら、地価のむしろ高値安定をせめて一割五分でも二割でも結構ですから下げる傾向に誘導するといいましょうか、私も決して法律だけをがんがんやれということを申し上げません。しかし、そういった誘導政策ということもあらゆるものを駆使しまして工夫していくということは非常に大事な問題だと思うんです。  ですから、これに関連して、きょうここに関係者がおられぬから答えられぬかもしれませんけれども、例えばの話が、本当は自治大臣に関する問題なんですが、固定資産税都市計画税、これなんかは三年前のものを基準にしてことしの一月一日から変わったわけでしょう。一番高騰した去年の分が出てくるのは三年後なんですよね。そのときに私たち年金生活者、同年輩の方々、六十五歳ぐらいの方が入ってきますわね。そのときに固定資産税あるいはあれが本年の大体倍になりますよ。計算していきますと倍になりますよ。そうしたら生活できますか、土地を持っていましても。私はだからここに自治大臣がいたら聞きたいんだけれども、そのときに法改正するのか。基礎的な法律を変えなければ、また東京都が陳情に行きました、けしからぬと。それは、東京都のど真ん中と竹下さんの島根県と一緒に扱うことができない状態になってしまったんだ。こういうふうにしてしまった私たち自身全体にこれは責任がありますがね。  そういった中ですから、やっぱり私は何らかの蛮勇を振るった形の解決策をこの際には見つけることがどうしても要るんだろうと思います。  散見した中で、土地の行革審の答申をちらっと斜めに見たんですが、あの中じゃいいことがたくさん書いてございますけれども国土庁長官、あれについて、各官庁や不動産業界等から、あるいは銀行業界等からいろんないちゃもんがつくかもしれませんけれども、断固としてあれを実行される所存でございますか。どうでしょうか。
  198. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 行革審の答申が正式に決まりました段階では、できる限り行革審の答申に沿って解決していかなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。まだ最終段階になっておりませんが、答申は重要なものとして政府としては受けとめていかなきゃならないと思います。  同時に、おっしゃいましたように、私たちも、今の東京の地価がそのままでございますと、割安感で地方の地価高騰につながるんじゃないかなという心配をしておりまして、ぜひ下げていきたい。六十一年、六十二年の建築着工統計なんかを見ていますと非常にふえているようでございます。そういうことを反映して、マンションは値下がりしてきたじゃないかとか、あるいは空室が目立つようになってきたじゃないかとか、あるいは外国人住宅だってこのごろつくったからといってすぐ借り手が見つかるような状態でなくなったじゃないかというような話もございますし、積極的に土地をふやしていこうと努力もしているわけでございますから、私は土地が余ってくるんじゃないかなとまで思っているわけでございまして、大木さんの基本的な考え方に従って努力を続けていきたいと思います。
  199. 大木正吾

    大木正吾君 これは建設大臣にも伺いたいんですが、とにかく両大臣が力を合わせていただきまして、そうしてまさしく現在の異常な状態の渦中にある人間、私たちはその渦中にある人間なんですよ。東京から追われましたら、札束が二、三億懐に入りましても寂しい思いでもって老後を過ごさなきゃならない状態になってしまうんです、結果的には。そういったことについてお考えいただきまして、今奥野大臣おっしゃったんですが、とにかく東京に住めなくなってしまう、ジプシーのごとく追い出されてしまう。この問題につきましては何としても考えてもらいたい。  同時に、このことが決着に向かってといいましょうか、ある程度安心して住んでいける状態が都心を中心にして生まれてきますれば、周辺の、東京圏とさっき盛んにおっしゃったけれども東京が地価が下がり始めた、あるいは二割ぐらい下がったというときに周辺が上がるばかはないですからね、これは。そういったことなんですから、やっぱり東京中心に物を考えていただくということはどうしても大事なのでありまして、私はそのことを両大臣からどうしても——行革審の答申については、いろんな業界の恐らく陳情、介入、あるいは内閣の中にも意見の違う方が出てくるかもしれませんよ。  同時に、地方の島根県、あえて竹下さんが島根県だから島根県だけを挙げますがね、ほかを挙げたらまた怒られますからね。だから、そういう意味でもって申し上げるんですが、東京とそういった島根県との状況の違いということを十分考えてもらって、そして東京の地価を安定させれば国土全体が、各県庁所在地の市も全体が安定に向かうんだ、こういったことについてしっかり腹に置いていただいて、そして行革審の答申がもし出ましたら後しっかり守ってもらうことについて両大臣の所見を伺って終わりにいたします。
  200. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) けさから皆さんからいろいろ御意見がございました。また今先生からのお話でございますが、行革審の答申が出ました場合には最大限これを実行していく、こういうふうに思います。  また、どんな物価でも結局一割過剰になれば値段は半分になる、こう言われております。でございますから、土地にしてもあるいは住宅にしてもやはり需要と供給の問題だ。このためには、土地の問題ではいろいろありますけれども農地さらには産業構造、大変変化をいたしておりますから、工場跡地その他を大いに開発させていただいて供給面を増加させていく、そして地価を下げていくことに大いに努力をしたい、かように思います。
  201. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 行革審の答申が決まりました暁は、政府として当然これを重く受けとめていかなければならないと考えておるわけでございます。  なお、地価の問題につきましては、むしろ都心については人口の流入は減っているくらいなわけでございますので、これだけ土地がふえてきて、土地の値段が上がるわけじゃない、むしろ下がっていくべきじゃないか、本来はそうあるべきものだ、こう思っておりますし、そういうように努力していきたいと思います。
  202. 大木正吾

    大木正吾君 どうもありがとうございました。終わります。     ─────────────
  203. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 委員異動について御報告いたします。  本日、松浦孝治君及び大木正吾君が委員辞任され、その補欠として堀内俊夫君及び松本英一君がそれぞれ選任をされました。     ─────────────
  204. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは大臣に、けさほどからも同僚委員からいろいろと質疑がございました例の外国企業の我が国への参入の問題ですけれども、私もこれが決着じゃなくて新たな出発点ではないかという感じもいたしますので、何点か大臣にいろいろとお考えをお聞しておきたい、こう思いますのでよろしくお願いいたします。  最初に、この交渉というのは、せんだっても私ちょっとお話をさしていただきましたが、やはり二年近くかかってここまで来たということですが、中には、初期の消火さえしておけばこんな大火にならなかったんじゃないか、こういう御意見の方もお見えになるようでございます。日米交渉におきまして、日本側は譲歩を小出しにしてきたためにアメリカを怒らせて、結局は政治的な解決を図るという日本的な対応のまずさにもその原因があったんじゃないか、こういう意見もございま すが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  205. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 御指摘のように、非常に小出しにやってきたから長引いたとか、いろいろ御意見、御批判があることも十分承知をいたしております。しかし、建設業の問題につきましては、我が国が長い歴史、慣習がございますし、そういう面でいろいろやはり外国との問題、米国との問題、一つには国内的な問題もありますし、小出しであったかどうか、これは別としまして、一挙にここまでという決着のところまで最初に飛び出すことはどうかな、こういうふうに思っておる次第であります。  このたび一応決着をいたしましたことについては喜ばしいことだと、かように思う次第であります。
  206. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この交渉の中で、アメリカが本当にやりたい仕事はどういうものであるという御理解をされますか、どういうものであるんですか。
  207. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) ただいま先生、交渉の経過を振り返って幾つかの御指摘ございましたが、ちょっとあえて補足をさしていただきます。  この交渉はもともと公共事業の世界におきます参入問題ということで始められてきていたし、私どももそういった認識で対応してまいったわけでございますが、どうも交渉の過程でいろいろとわかってまいりましたのは、私ども理解している公共事業とアメリカ側が理解している公共事業の間が必ずしもぴたっとイコールではないらしいということがわかり、かつその間においていろいろと交渉が難しい局面を迎えたという経緯があるわけでございます。  そのことがまさしく、今先生御質問のどういったところに関心があったのかということとも絡まるわけでございますが、一言で言うて、アメリカにとって関心のあったものは、アメリカの企業がいわば自信を持っている分野ということが終始あったかと思います。それはエンジニアリングであり、あるいは先端的な技術の分野である、こういったふうに言えょうかと思います。そのことは私どもが当初認識していた公共事業、いわゆる私どもの言う公共事業と必ずしもぴたっと一致したものじゃなかったという経緯があろうかと思います。
  208. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今お話がありましたとおり、米国の要求そのものが、日本の公共事業の発注システムの変更、こういうことにあるのではないかという感じがするわけです。  これは大臣も既に御承知になったと思いますが、アメリカは要するに空港についての設計あるいはコンサルタントに類する知的集約産業に関心があって、これはべリティ商務長官も言われていまして、報道もされていますけれども、我々は地面から六インチ以下のことには関心がない。つまり、土木工事はどうでもいいんだ、最新のシステム設計、開発施行に関心があるのだということを向こうは示してきているわけですね。ところがその部分につきましては、今大臣もおっしゃいましたが、日本にはそれぞれの長い間の歴史、慣習がある。特に建設省あるいはJR、旧国鉄ですね、あるいは公団にしましてもそれぞれの技術陣を持っている。その両国のシステムの差から今回の建設摩擦が生じてきたんじゃないか。ですから、アメリカと日本のいろんな事業を進めるところのシステムの差を埋める努力をしないで政治的な決着を図ったということは、本当の意味での決着になっていないんじゃないか、こういう感じがするんですが、この点どうですか。
  209. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 今回の交渉、特に公共事業についてちょっと明確に申し上げさしていただきますと、昨年の十一月にいわゆる関西空港問題が解決を見た、見る過程において公共事業に関心が向けられた、こういった経過がありますが、その中で今先生御指摘のいわゆるシステム、もっと言えば制度、こういったものについてどう見るかという問題が当然我々終始関心を持っていたわけでございます。  今大臣も御答弁申し上げましたように、公共事業の世界でのいわゆる発注の仕方、制度というものはそれぞれの国が長い歴史の中でつくり上げてきているものである、またそういったそれぞれの国が長い歴史の中で持っていた事情を踏まえたものである、こういったことからしますと、制度そのもの、システムそのものをどうするということについては、これは二国間の協議でなくて、むしろ多国間で取り上げるべきものだ、こういうふうな基本的スタンスを堅持してまいったわけでございます。そうはいいながら、日本の公共事業市場に米国企業が入りにくいという現実に対してどう対応するか。これについては、今申しましたように、日本の制度の根幹は変えられないけれども、弾力的な運用が可能な範囲内でその弾力的特例措置を編み出していわば習熟のためのひとつの手続を、ルールを決めましょうといったふうに整理さしていただいて今日まで交渉が持たれてきた、こういったのが実態でございます。
  210. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 局長の御答弁もわかるわけですけれども、ただ、アメリカの目指すところは最終的には、向こうもよく勉強して研究していますから、そうは局長がおっしゃったとしても、やはり日本の公共事業の発注のシステムですね、建設省は一生懸命守ろう、大臣も無理難題言われてもということでおっしゃっておみえになりますけれども、そこまで入り込んでこないことには根本的な解決にならないんじゃないか、こういう気がして仕方ないんですけれども、その点どうですか。
  211. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 公共事業のみならず広く民間市場も含めて、今先生おっしゃったような物の見方というか、問題の所在というのは、確かにこれは否定すべくもなくあると思います。私どもそういったことについて、特にシステム的な分野といったことについては、民間においてはもし必要ならば大いにこれは頑張っていただきたいしというふうな基本的考えを持っております。  ただ、公共事業につきましては、ちょっと私も余りよくわかりませんが、エンジニアリング・イン・ハウスというような言葉を盛んに言われ、私どもも主張してまいっておりますけれども、今先生のお話にありますけれども、私ども建設省自身もそうでございますし、あるいは関係の公団がそうでありますように、日本の制度がそういった設計、コンサルティングなどの主要な部分をみずからができる体制をつくり上げている、ここのところをいじるということについては、少なくとも公共事業の世界でそれをいじるということについては私どももにわかにそういう方向でという気持ちにはなれないし、現実もそういうものではないだろう、こういうふうに考えておる次第です。    〔委員長退席、理事小川仁一君着席〕  もちろん、くどいようですけれども、民間のマーケットにおいてもそういう不文律は当然あるわけでございますし、先ほどちょっと話題になりましたようなターミナルの問題、これなんかはもう民間の世界という理解をいたしておりますけれども、そういったところについては大いに考えられるところじゃないか、こんなふうな経過だと思います。
  212. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいま局長からお答えをいたしましたが、いずれにしても、せっかく決着を見たわけでありますから、今からいろいろと連絡をとって実績が上がるような方法をしておかないとまた摩擦が続いていくのでなかろうかと心配をいたしております。そのためには、親切に対応して、実際は話はできたけれども中身は何もなかったということのないように今後努力をしていかなければならない、こういうふうに思います。これは日本の側も努力をいたしますけれども、アメリカ企業もひとつ大いに勉強していただいて、やはり立派ないい施設を適当な価格、言いかえれば安く、競争に勝てるような状態にひとつ努力をしてもらいたい、こういうふうに思う次第であります。
  213. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではまた続けますけれども、アメリカの要求は当初、日本の企業と平等な参入機会を与えてほしい、こういうものであったのですが、それがいろいろと伝えられているところを見ますと、実質的に仕事を得られるように保証し てもらいたい、こういうふうに変わってきていますね。それが日本側が約束をしました勧奨という形で、これは実質保証を与えたということになるんでしょうか。まだその点がちょっとはっきりしないんですけれども、勧奨とは具体的に何を指しているのか。その点どうでしょうか。
  214. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 勧奨という言葉が使われている部分は、いわゆる民間または第三セクターが事業者になるプロジェクトにかかわる部分であるわけでございますが、これは言うまでもなく政府として個別具体に介入できない部分であるわけでございます。そういった意味で、ここで勧奨という言葉、英語では何かエンカレッジという言葉であるそうでございますが、俗に言うお勧めする、こういうことであると理解しておりまして、これを受けとめる個々の民間企業なり第三セクターがどういう判断をし、最終的に決断するかということについては、挙げて民間発注者の判断にかかることである、こういったものと理解いたしております。
  215. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回の一応の決着というのは、機会の平等は保証する、しかし結果の平等まで政府が約束することは言っていない。例えば、大学の受験資格は与えますけれども、合格するかどうかはそちらさんの成績次第ですよと、こういうことで理解してよろしいんでしょうか。
  216. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 先生お話しのとおりと私どもも信じておるわけでございます。要するに結果までお約束するということは、先ほど大臣も御答弁申し上げましたけれども、やはりこの問題はアメリカ企業のいわゆる企業努力というものもなくしては語れないわけでございますので、今先生おっしゃったように、結果の平等ということまでは我々お約束したものでないということでございます。
  217. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 要するに裏口入学は認めませんよということですね。
  218. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) そのとおりでございます。
  219. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、結果の平等まで約束はしていないと言いますけれども、あと実施状態に対するモニタリング制度を設けたとありますね。二年後に日米間でレビュー、見直しをするということになっているわけですけれども、結果が出てきませんとやはり日米経済摩擦の火種になるんじゃないかという感じがするわけですが、勧奨、エンカレッジとおっしゃいました、それとレビューとの関係についてどう対応されるつもりでしょうか。
  220. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほどお答えをいたしましたが、やはり我が方も手続とかいろいろ技術的な問題とかの説明なりそういうことを親切に行いますし、アメリカ企業も強い部分ではやはり強いのでないでしょうか、私はそう思います。  ただ、率直に言って、土木部門とハイテクと比べますとハイテクの方が額からいうと少ないのではないかと思いますので、金額の問題でまたいろいろあるのでなかろうかと思いますけれども、極力あらゆる面でアメリカ企業も努力をしていただいて、ひとついい点数、どうにか入学点数をとっていただかないと、特に公共事業もそうでありますし、民間にいたしましてもやはり裏口ということではなかなかうまくいかない、こういうことでございますから、正当な競争でやっていただく、それに大いに努力をしていただく。ですから、双方が努力しないとうまくいかないというふうに思いますので、二年後のことも目標に置いて協力をしていきたい、こういうふうに思う次第であります。
  221. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 これも新聞報道されているわけですけれども、米商務省は今回の建設市場開放問題合意で、日本が米建設会社に参入機会を与えることを決めた事業の総枠は百六十九億ドル、約二兆円となるということを発表しているらしいんですけれども、そのような約束はされているんでしょうか。あるいはまた、日本としてどの程度の規模になると推定をされていますか。
  222. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) 結論的には、そのような数字を示しながら交渉を進められたというふうには承知いたしておりません。  ただ、公共事業の部分につきましてはいわゆる七つのプロジェクトを提示し、それでもってここで習熟の一つのチャンスにしようというリストアップをしていますが、その中に具体的に幾つかの事業を列記しています。その中で参考までに建設省の所管事業だけちょっと見てみますと、もう新聞等でも報道されておりますけれども、明石海峡大橋だとか伊勢湾岸道路あるいは東京湾再開発関連の首都高速道路十二号線、それからまた横浜みなとみらいのいわば基盤的な事業、さらに関西学園都市基盤的な事業、こういったものを具体的にリストアップいたしておりますけれども、この事業費を単純に足してみますと、一兆円ちょっとというふうな数字が出ています。    〔理事小川仁一君退席、委員長着席〕 これは建設省所管の分だけでございます。しかし、それをさらに膨らました格好でトータルで幾ら、民間のプロジェクトまで含めて幾らというふうなことは、金額幾らという格好の取り決めをしたものではございません。
  223. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また二年後のレビューでいろいろ問題の起こらないようにひとつ対処していただきたいと思います。大臣はよく企業はそれほど熱心でないということをおっしゃいますが、アメリカは日本以上に産軍合同企業体でございますので、これはもういろいろと交渉に当たる役人そのものが企業でございますというふうに理解された方がよろしいんじゃないかと思いますので、これから二年後また火種にならないように頑張っていただきたいと思います。  次に、国土庁にちょっとお伺いしますが、中部圏の問題でございますが、東海環状自動車道がございますが、この構想については、元の国土庁長官の松野さんの時代にこのことが国土庁から大きく提唱されたように覚えておりますが、これはどのように位置づけをされておりましょうか。
  224. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 東海環状自動車道路のことだと思いますが、御指摘のとおり大事な路線でございますし、四全総の中にも明確に位置づけられておるわけでございますし、また先般の高規格幹線道路の中にも入っておるわけでございまして、既に閣議決定を見ているわけでございます。また、近く中部圏の開発基本計画を策定するわけでございますけれども、当然その中にも取り上げられるものだと考えております。
  225. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 建設省にお尋ねしますが、せんだって、この東海環状自動車道の基準ルートのうち、部分的に発表されましたね。これは関から土岐市間約四十キロでございますが、中部地建でルートを決定し発表されました。確かに岐阜県の東濃地方、県も東濃地方の開発につきましては、研究学園都市を建設していきたいということで、構想を持ちまして今鋭意進めているところでございますので、このルート決定については非常に新しい希望のもとになるんじゃないか、このように私は思っております。  ただ、あともう少し、関市までと中央高速道の中間でございますので、これからの発展ということを考えますと、岐阜市へのより近いルートの設定をいろいろとお願いしていかなきゃならないんじゃないかと思うんですが、その点、西への調査とか、その点にはどのような計画でございましょうか。
  226. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) 東海環状自動車道は、名古屋を中心といたしまして三十キロあるいは四十キロ圏内で、延長百六十キロの環状道路でございます。昭和五十九年度から大規模事業計画調査ということで本格的な調査を始めております。昨年、高規格幹線道路網一万四千キロの策定に当たりまして、この一部ということで位置づけられております。  具体的には、昭和六十一年度から、沿線の土地利用とか交通利用、道路網としての効率性を考慮いたしまして、三重県では東名阪から北勢町間、それから岐阜県では東海北陸自動車道から中央自動車道間、それから愛知県では瀬戸から東名高速 道路間の三区間、この三区間を特に重点区間ということで調査の推進を図ってまいりました。これら重点区間につきましては、第十次道路整備五カ年計画中に都市計画決定を行って、事業化について検討してまいりたいというふうに考えております。  今御指摘がございましたように、岐阜県の重点区間ということは、地元自治体と調整が完了しましたものですから、関から土岐に至る四十キロにつきまして三月二十三日にルートの公表を行いました。これに続きます関から岐阜市に至る区間についても、今後、地域開発動向、交通事情などを勘案して、高規格幹線道路としての調査を進めてまいる考えでございます。
  227. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 東海北陸自動車道もございますが、北陸とのいろんな接点等もございまして、今後そこのところの道路網の整備を進めていただきたいと思うんです。  もう一点だけちょっとお聞きしておきますが、今岐阜市は、ぎふ中部未来博ということでいろいろとやっておりますが、岐阜市内の環状道路の問題はどうなっていますか。
  228. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 岐阜市内の環状道路でございますけれども、これは先生御承知のように、百五十六号と二十一号は道路局の方でございますけれども、二十一号から分かれてまた百五十六号までの道順のところが街路事業としてやっているところでございます。その中で二十一号から長良福光、要するに岐阜白鳥線までのところでございますね、その部分は既に完了しているわけでございます。残りの部分、そこから長良川を渡って百五十六号に至るまでの間がまだやっていないのでございますけれども、そこが問題になろうかと思います。  ぎふ未来博との関係では、大体今完了しているところでかなりの量はさばけると思いますけれども、環状でございますから残りの部分があるわけで、そこもできれば一番いいんですけれども、そこの状況は、現在、白島線との交差部以来、雄総地区までの約二キロの区間のうち、福光工区約〇・五キロから雄総工区約〇・四キロにつきましては、昭和六十一年度から街路事業で着手しております。それから真福寺工区約〇・六キロにつきましては、昭和六十三年度から組合施行の区画整理事業を実施すべく準備しておりまして、また堀田工区約〇・五キロについても、引き続き区画整理事業に着手することをめどに岐阜県においても準備を進めているとお聞きしております。  そうしますと、あと残りの雄総地区から長良川を渡り国道百五十六号に至る区間が約二キロぐらい問題でございますけれども、現在事業主体となる岐阜県におきまして事業の進め方につきまして検討を行っている段階でございます。建設省としましても、この検討結果を踏まえまして、事業の進捗が図られるよう努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  229. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、東京駅問題を質問したいんですが、国際都市東京を旗印にして、東京をマンハッタンのような超高層ビルの林立する都市にしようとしている政府、財界の再開発の論理と、人間と文化の都市として守ろうという市民の論理とが都市あり方をめぐって今せめぎ合っている東京です。その象徴的なものが東京駅並びにその周辺の再開発で、前建設大臣の天野さんはたびたびこの東京駅再開発構想をこの委員会でもお述べになりまして、例えば一番最近で言いますと去年の七月三十日、国鉄の空中権を使えばJRでも相当収入になる、それで東京駅を提案している。‐「少なくとも霞ケ関ビルが十二本建つ、こういう考え方でこれをやれば一挙に地価は下がります。これは間違いないのであります」、総理と会って、やろう、これから三カ月のうちに格好をつけようというお話を私どもも何度も聞かされた。新聞にはこの天野構想の図まで出ている状況なんですね。  御存じと思いますけれども、もう既に予算委員会でも問題になって、文部大臣は東京駅を保存したいという強い意欲を示されたわけですが、その後市民運動が起きました。前の文化庁長官の三浦朱門さん、それから女優の高峰三枝子さんを代表にして、赤レンガの東京駅を愛する市民の会が署名運動をやったり非常に熱心におやりになっています。最近こういうパンフレットもできました。  こういう経過になっているんですけれども、それから政府の方も連絡会議ができたりいろいろ方針ができておりますが、建設大臣、天野さんのようなお考えなのか、それともこういう市民運動、それから政府のその後の方針に基づいてこの問題どういうスタンスをお持ちなのか、まずお伺いしたい。
  230. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 天野前建設大臣がこうした構想を持っていたということは十分承知をいたしておりますし、また引き継ぎもいたしております。ただいま調査委員会でいろいろ御調査をいただいておりますから、そのことを踏まえて進めてまいりたい、かように思う次第であります。赤レンガの問題につきましてもひとつよく検討をして進めてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今のお話東京駅周辺地区再開発調査委員会、この委員に東大の名誉教授の村松貞次郎さんが入られているんです。村松さんが「東京人」という雑誌に書かれているんです。私が入ったのは、少数意見になるかもしれぬけれども、この委員会の中で言うべきことを言っておかなきゃならぬというおつもりでここに入ったと書かれていまして、「東京駅を保存するのか、建て替えるのかという問題は、我が国の歴史的な建築物を今後どう取り扱っていくのかという問題の総てを集約したケースだと私は考えている。」と書かれているんですね。ですから非常に重みの大きい問題なんです。  日本建築学会の要望書、これはJRの東日本に出したもので、これは建設省その他にも要望が出ているんですけれども、この要望書には、「東京駅は、日本の近代洋風建築のなかで、現存する最大規模の建築で南北の長さは約三百三十四・五メートル」「十九世紀ヴィクトリア朝様式」だ、「赤レンガ造りとした洋風駅舎で、日本では現存する唯一の建築」だという文化的価値を述べられている。明治、大正時代の建築界の泰斗であった辰野金吾氏が心血を注いだものだと書かれている。この市民の会のパンフレットを見ますと、辰野さんは東京駅が完成した後、最後の執念は国会議事堂の設計だったというんですね。それでこれはコンペによる設計採用を主張した。その審査員に就任されて第一次審査が終了して一カ月後天界に旅立った、そういう有名な方なんですね。それで、これは今の現状のまま保存というだけでなく、市民の会は復元を要望されている。御存じのように空襲でかなり被害を受けまして二つのドームが壊されて、その後修復して八角屋根になった。もともとは三階だったのが今二階なんですよね。  こういう文化的価値という点、建築学会の主張などを考えた際、調査委員会は非常に駅舎の取り扱いを十分検討となっているんだけれども、単なる保存を検討するのか、あるいは要望の強い復元、ここまで含めて考えられるのか、これいかがでしょうか。
  232. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいま先生からいろいろ御意見がございました。調査委員会の先生方は皆それぞれ立派な方でお願いをしております。でございますから、全体の調査委員会の結論を待って今後検討をしてまいりたい、こういうふうに思う次第であります。でございますから、今この復元をするかとかしないとかということを含めまして、第一義では調査委員会の結論を待ってそれからまた検討をしていきたい、こういうことであります。
  233. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 復元も含めて調査委員会で検討するという答弁を承りました。
  234. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) いや、ちょっと待ってください。  それは、調査委員会の予見を私どもがしておるわけではございませんので、調査委員会の皆さんの先生方の結論を待って、その上で検討をしてい くということで、前提を持って申し上げておるわけではございませんから、その点ははっきりしておかないと間違いが起こりますから、あえて答弁をいたしておきます。
  235. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なかなか大臣神経質で、私も何かあなたが一言言ったからといってぎゅっとつかんで最後まで、時にはやりますけれども、そういうつもりはございませんから。  それで、しかしなかなかこの問題大きいんですよ。御存じのように三菱地所が丸の内再開発計画を発表している。私持ってきましたけれども、これは鳥瞰図ですよ。もう丸の内地区にこういう超高層ビルをずらっと建てる計画で、これはなかなかすごいもので、高容積率、二〇〇〇%ですよ、これ前提でやるんですって。  さて、三菱地所のこの計画東京駅どうなっているかといいますと、東京駅を一応保存することになっているんだけれども、一番大事なドーム、あそこに超高層ビルを建てることになっているんです。一応こういうのは残るけれども、ドームを貫いて超高層ビルを建てる。これは平面図もそうなっていますね。図もそうなっている。建てるつもりなんですな。これでは保存とは全くならない。そういう計画を、あそこで土地を持っている三菱地所が本気で考えて公表しているということはひとつ建設大臣も頭に置いてほしい。  さて、ここで私大問題だと思いますのは、こういう問題があるんです。例えば天野前建設大臣の考えておられる十二棟分といっても、これは床面積で二百ヘクタール、収容人口十万人になるんですよ。そうすると、これは朝日新聞もおととしの十月七日付で、こういうことをやると多心型構想に逆行する、道路も下水もパンクする、そう言われているんだが、こういう三菱地所みたいに東京駅のところに超高層ビル、高さ二百メートルのビルをだあっとこんなに建てたら、さあこれは大変なことになる。道路、下水、公共投資の額も莫大なものになる。しかも今まで以上に、東京一極集中といって大問題になっているんだから、これは僕は怪しいと思っているんだが、四全総の多心型なるものにも逆行するようになると思うんですが、この点、これは指導官庁として大問題だと思うんですが、どうお考えになりますか。
  236. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) いろいろの先生がいろいろの案を出されることは、これは御自由であります。
  237. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは先生じゃないんです。三菱地所です。
  238. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) また企業なりそういうところがいろいろな案を出されることは、これは御自由であります。その問題について、どういう構想が一番いいのか、そういうことの検討は今後進めてまいりたい、かように思います。もちろん再開発いたしますと、道路なり下水なりあるいは交通機関なり、そういうものも一緒にやらなければ、それだけをやるということにはなかなかいかないと思います。  それから、東京駅を再開発したから一極集中になるという考えではありません。やはり全体的な都心部の床面積、また今後だんだん情報化されていきますし、機械設備等も各事務所とも多くなってまいる、こういうふうに思いますので、そのことが東京駅再開発が一極集中の引き金になるというような考え方ではありません。  今後いろいろな御意見も聞き、また先生方あるいは企業その他もいろいろの意見を出していただいて、それを全部検討して、調査委員会がございますから、調査委員会の結論を待っていろいろな構想を進めていきたい、こういうふうな考え方であります。
  239. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、資本の論理というのはまことに無責任で、マルクスが、後は野となれ山となれだと、つまりそういうことを資本論の中で、我がなき後に洪水が来りというのが資本の論理だということを書いていますけれども、この場合もそうです。甘くないですよ。この三菱地所の丸の内再開発計画は、「再開発に伴って必要となる交通施設(道路・鉄道)および供給処理施設(上下水道・熱系統)等については、今後の整備可能な水準を踏まえた検討を行った結果、余裕を生じるものと判断される。」と勝手に書いてあります。公共投資を自分で出すわけじゃないから、「余裕を生ずるもの」と勝手なことを言って、丸の内にこんなものを建てて、余裕を生ずると。本当に僕は資本の論理というのはひどいというように思うんですよね。だから、甘くないということを建設大臣よくお考えになって、これはみんなの東京ですから、こういう問題について企業が勝手な企画を出したときは本当に検討分析して指導するという決意で仕事をしていただきたいと思います。  もう時間が参りましたので、私最後に申し上げたいことがあるんですが、日本建築学会の要望書の責任者は建築学会の建築歴史・意匠委員委員長の坂本勝比古千葉大教授、この坂本教授が朝日新聞のことしの二月四日付の夕刊に、「歴史と美の「ランドマーク」」という論文を書かれた。これを見ますと、私は本当に驚いた。日本建築学会と都の教育委員会の調べで五十五年に千代田、中央、台東三区内に主な近代建築が二百六十九棟あった、ところが去年の夏都が調査したところ、そのうち三分の一に当たる八十九棟が既に姿を消していると。どんどんなくなっていくんですよね。歴史的ランドマークというものが放置しておくと資本の論理でどんどんなくなっていくんです。  教授は、ニューヨーク市では、一九六五年、早くもランドマーク保護法を制定し、すぐれた近代建築を積極的に指定する制度を採用した、保存に当たっていろんな制度とか税制上の優遇措置を講じ、都市景観を守る努力を熱心に実行しておる。私は何でもアメリカのまねをしろというのは絶対反対なんだが、こういう点はやっぱり学ぶ必要があると思うんですね。これはヨーロッパでもそうですけれども。  私は、大臣、こういうふうに非常に大事な文化的な価値を持つ伝統的な建築が失われていくのを防ぐために、単に東京駅問題だけではないので、やっぱり制度、法律としても、ニューヨークのようなランド保護法など、こういうものも真剣に検討すべき段階に来ているように思うんですが、検討の御意見はございませんか。
  240. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 先ほど甘くはないというお話でございましたが、私は甘くも辛くもない、中庸でまいりますから、その点は御了承いただきたいと思います。  それから今のお話でございますけれども、各先生方もいろいろの意見を出していただくこと結構でありますけれども、やはり大勢の方々の先生の御意見を聞いてから、一人の先生の意見だけ取り上げるというわけにもまいりませんので、第一段階先ほど言いました調査委員会の結論を待って進めたい、かように思います。  それから文化財保護につきましては、建設省というより文部省、文化庁の方が担当をいたしておりますから、どうぞひとつ、これはどうかというようなのがありましたらその方へお示しいただいて、私の方も建物等でどうであろうかというのがありましたら文化庁の方と相談をいたしたい、こういうふうに思います。  東京駅につきましては、今後いろいろ皆さんの御意見を聞きながら調査委員会の結論を待ちたい、こういうふうに思う次第であります。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  242. 山田勇

    ○山田勇君 東京一極集中の弊害を除去し、多極分散型国土形成については、今や国民的課題となり、我が国の健全な発展を図る上で不可欠な問題であります。  私の住んでおります大阪都市圏は、先般の委員会でも申しましたように、四全総において、「東京圏に次ぐ諸機能の集積を持つことから、その特性を生かして独自の全国的、世界的な中枢機能を担う。」と位置づけられる多極分散型国土の形成に重要な役割を果たすことが期待されているわけです。具体的には、地方支分部局や附属機関の移転、さらに本省機能そのものの地方分散を推進しなければならないと思いますが、近畿の自治体や経済団体は四全総に対する共同意見の中で、文部 省、文化庁、科学技術庁、特許庁、工業技術院、また中小企業庁などの地方移転を提言しております。国土庁としてはこのような具体案に対してどのような御見解をお持ちでしょうか。
  243. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 大阪初め近畿の地方公共団体及び財界からさまざまな御要望が出ておりますことはよく承知しております。それから、ただいまの四全総における近畿地方の位置づけも山田先生のおっしゃるとおりでございます。  ただ、具体的な機関の移転の問題につきましては、ただいま国の機関の移転について検討中でございますが、これは中央省庁を含んでおりません。地方ブロック機関あるいは研究機関等でございます。それにつきましては、今後移転する機関の御意見あるいは受け入れ自治体の御意見、あるいは国全体としての地方分散等の方針等を踏まえまして検討さしていただきたいと存じます。
  244. 山田勇

    ○山田勇君 大阪におきましては、産学官の連携のもとに、文化学術に関する情報発信機能、アジア・太平洋地域を中心とする国際交流機能等の強化、またバイオサイエンスの研究拠点の形成などに努めていますが、これらに関連する機関、例えば日本科学技術情報センター、アジア経済研究所、国立衛生試験所、国立予防衛生研究所など、現在では移転候補に挙げられていない機関についても大阪へ移転してほしいという声がありますが、この点はいかがでしょうか。
  245. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) ただいまの御要望についても私どもにも承っている点でございます。ただ、先ほども申し上げましたとおり、具体的機関の移転につきましては、現在それぞれ検討中でございますので、その結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいと存じます。
  246. 山田勇

    ○山田勇君 ちょっと話は変わりますが、居住用資産の買いかえ特例についてお尋ねをしておきたいと思います。  この居住用資産の買いかえ特例について、一定規模以下のみを減税対象とするなど、制度を改善する考えは建設省ございませんか。
  247. 望月薫雄

    政府委員望月薫雄君) これまでの買いかえ資産特例制度というのは、先生も御案内のとおり、住みかえの円滑な促進を図るという観点から、買いかえるときにおける課税の繰り延べを認めていたわけでございますけれども、一方で、この制度が昨今の地価高騰を周辺に波及させる一因になっているという御指摘もこれあり、今回地価対策の一環として、現行の買いかえ制度特例を原則的に廃止するということにしようというものでございます。  ただ、これにかえまして、三千万円の特別控除を行い、その後に軽減税率を適用するということで、言うなれば住みかえの促進と居住の安定の確保ということはそういう面で配慮されている、こういうふうに受けとめているわけでございます。さらにまた、先祖伝来の居住用財産の買いかえについて配慮するということについては、先生も御案内のとおりでございますが、以上のようなことを考えますと、今先生御指摘の小規模な宅地の譲渡につきましては、具体的には三千万円控除の活用だとか、あるいは父母間の相続による場合の特例というようなことで相当程度の配慮はなされるもの、こういうふうに受けとめている次第でございます。
  248. 山田勇

    ○山田勇君 先ほど、同僚の大木委員からも質疑が出ておりました、土地の公的評価制度がまちまちである現状をぜひ是正してほしい、公的評価に対する信頼感を高めるため、今後、地価公示、固定資産税評価、さらに路線価などの土地の公的評価の一元化をぜひ図ってほしいという大木委員質疑でございました。御答弁はいただいて、私もそばで聞いておりましたが、この公的な評価制度が出るとそれを基準に上がるんです。公的評価がこれぐらいだから、本当の売買価格をこれぐらいにしろ、これを基準にしておるんです。そこにこの公的評価制度のぜひ見直してほしいというねらいがあるんです。こう高くなっていくと、ある程度評価制度をオーバーしてやりますと、国土法が御承知のとおりございます。この国土法も、悪いのがおりまして、無理に係争するわけです。裁判所に持ち上げる。即決和解でやりましょう、そうすると国土法を逃れられるんです。  そういうふうに、不動産業者といいますか、上回る知恵を持っておるのがおりまして、そういう前例もこのごろ随分あるわけです。だから、裁判所の方にも法務委員会を通じて十分これはチェックしてほしいということは先日言ってあるんですが、こういうふうに知恵を働かす者がおりますので、そういう点から見ても、公的評価制度をもう一遍何らかの形で見直してほしいなという気持ちを持っております。  御答弁をいただきまして私の質問を終わります。
  249. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) まず、先生御指摘の、即決和解によりまして国土法の審査を逃れるという件でございますけれども、これは私どももそういう報告を受けておりまして、最高裁判所の方の事務局と十分連絡をとりまして、そういう抜け道が悪用されないようにという連絡を密にしているところでございます。  それから、地価公示が地価の高騰にかえって悪用されている面があるんじゃなかろうかというような御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、先ほど説明しましたように、まず公示価格を設定するに当たりまして、非常に投機的な高値の取引価格というものは基準としないということで、正常の取引価格、これを基準といたしまして公示価格を設定して、しかも、その公示価格をもとにいたしまして国土利用計画法の価格審査というものを実施いたしております。  また、一部業者の中では、国土法の審査というのは、ある程度、公示価格よりもアローアンスといいますか、そういうものを見込んで審査しているわけでございますけれども、そういう国土法の審査済みの価格であるからこれは適正な価格であるというようなことを称している業者もおるようでございますけれども、これは不当な表示であるということで、そういうことを行わないようにということを指導している次第でございます。
  250. 青木茂

    ○青木茂君 昨日大臣は、いわゆる行政組織におおむねむだはないというふうにお答えになりましたけれども、どうも私が見ますとかなりむだがあるような気がするわけなんです。この行政組織のむだにつきまして、いわゆる首都高週道路公団ですか、これを例にとりまして少し御質問をしたいと思っております。  まず、首都高速道路公団の下部組織であるところの首都高速道路協会というやつですね、これは一体何をやるところですか。
  251. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 御指摘の協会は、回数通行券の販売、それから高架下の駐車場の設置管理、それから休憩施設の設置管理、それから首都高速道路に関するいろいろガイドブックとか地図等の広報活動、その他交通遺児についての助成とか、フラワーポットの設置とか、そういうことをやっております。
  252. 青木茂

    ○青木茂君 その協会の一番大きな収入源は回数券ですか。
  253. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) ちょっと詳しい資料ございませんけれども、回数券の収入が、六十一年度で申しますと三百九十億くらいになりますから一番大きいと思います。
  254. 青木茂

    ○青木茂君 ここにありますからそのとおりだと思います。  そこで、この協会の現在持っている正味財産は現在どれぐらいでしょうか。
  255. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 現在の正味財産は、公益事業と収益事業に分けまして、公益事業関係が一億二千万余り、それから収益事業が七億八百万程度でございまして、合わせまして八億三千万ちょっとになります。
  256. 青木茂

    ○青木茂君 十年前はどうでした。
  257. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 六十一年のがただいまの数字でございまして、十年前は、五十一年度で見ますと、両方合わせますと二億九千万円くらいでございます。
  258. 青木茂

    ○青木茂君 設立時はどれぐらいですか。
  259. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 四十一年の設立時は千三百万円でございます。
  260. 青木茂

    ○青木茂君 つまり、設立時千三百万円のものが十年後には二億円になって、また十年たつと八億円になっているわけですね。回数券販売というのはこんなにもうかるのかということなんです。  その次に、民間会社でイースタンロードサービス株式会社というのがありますが、これはどういうことをやる会社ですか。
  261. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) その前に、申しわけございませんけれども先ほどの正味財産蓄積は、当協会は駐車場とか休憩所施設の収益が大分ありますので、回数券だけではないということを申しておきます。  それから、ただいまの御質問のイースタンロードサービスの業務内容は、高速道路の料金の徴収それから清掃、保全事業、それから料金所における回数通行券の発売等が主なものであると聞いております。
  262. 青木茂

    ○青木茂君 つまり、回数券を売るだけで公団があって協会があって、また民間会社のイースタンロードサービスというのがあるわけですね。回数券販売なんだから公団だけでできそうなものだという感じがいたします。  それから次に、補償センターというやつがあるんですけれども、これは何をやるところですか。
  263. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 補償センターは、首都高速道路建設にかかわる用地取得等に関する用地交渉等の公団業務の補助事業が一つ、それから調査及び研究、資料の収集提供あるいは研修、講習会等をやる組織でございます。
  264. 青木茂

    ○青木茂君 技術センターというのがありますね、これは何をやるところですか。
  265. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 技術センターは、首都高速道路にかかわる建設管理に関する技術的な調査研究及び開発、それから首都高速道路の点検調査、施工管理、三つ目が資料の収集解析及び提供、四つ目が技術者の研修、講習会等を実施する組織でございます。
  266. 青木茂

    ○青木茂君 東京エアターミナル株式会社というのがありますね、これは何をやるところですか。
  267. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) これは、自動車ターミナル法に基づく自動車ターミナルと交通施設の所有及び経営を一つやっております。それから航空運送事業者等に対する役務の提供等を実施していると聞いております。
  268. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、公団プロパーの仕事というのは一体何なんですか。いろんな仕事を全部下請に回しちゃっているわけだけれども、首都高速道路公団がメーンにやっている仕事というものは一体何なんでしょうか。
  269. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) いろいろあろうかと思いますけれども、毎年の事業計画をつくり、事業を施行し、それから企画とか人事管理、給与、そういったもの、それから設計とか技術的な問題、そういうふうにたくさんあろうかと思います。
  270. 青木茂

    ○青木茂君 たくさんあるでしょうけれども、それじゃ公団の職員全体、総人員は一体何名です
  271. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 公団の総人員は千四百十六名でございます。
  272. 青木茂

    ○青木茂君 そうすると、この千四百十六名の人を、仮に非常にアバウトというのか大ざっぱに管理部門と現場部門に分けたとすれば、これはどういうふうに分かれるでしょうか。
  273. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 分け方が難しいのですけれども、先生の御意向に合うかどうかわかりませんけれども、例えば公団の本所と地方の出先機関で分けますと、本所が三百六十人、出先機関が千五十六人でございます。それから、そういう分類がいいかどうかわかりませんけれども、業態別に分類しますと、総務、人事、経理等の管理部門の職員が二百八十二名、それから具体の管理とか計画、工務等のいわゆる現場といいますか、に近い部門、これが千百三十四名というふうなことになります。
  274. 青木茂

    ○青木茂君 そういたしますと、全国をわたる道路公団ならわかりますけれども、首都高という非常に限定された地域におけるいわゆる管理職として三百六十名だとか二百八十二名だとか、果たして必要なんでしょうか。
  275. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) やはり公的機関でございますし、事業も大きな事業をやっておりますので、予算事務とか大勢の人間を扱う人事、労務関係の事務、そういったものを含めますと、他の公団等と比較したわけではないんですけれども、そんなにいわゆる管理部門偏重の形をしているとは認識しておりません。
  276. 青木茂

    ○青木茂君 私は昨日、行政の生産性、民間企業におけるいわゆる生産性向上の努力、これに対して行政自体も生産性向上努力というものをしなければちょっと国民の納得は得られないだろうと、こういうふうに申し上げた。そういたしますと、首都高を見てみますと、重要な仕事はみんな下請、孫請へじゃんじゃん移行されてくるんですよ。だから、首都高でやらなければならない仕事から下請、孫請を引いていくと一体何が残るんだろうかという疑問は非常に強いわけです。しかも、その中で管理職だけで三百六十とか二百八十二という人たちがいらっしゃるわけですね。だからこれやっぱり、行政おおむね妥当と——かなり余剰人員を抱え過ぎているんではないか。  今の一問一答を聞いておられて、大臣どんな御見解でしたか。
  277. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) 首都高速道路は、御承知のように、大変建設も進めておりますし、公団自体の人員についても制限を受けておりますし、またやはり業務を委託した方が経済的に効率的になろう、こういうふうに考えております。いろいろ説明を聞いておりますけれども、なるほどこれぐらいは必要なんだなと、こういうふうに感じておるような次第であります。
  278. 青木茂

    ○青木茂君 業務を委託した方が効率的、これはわかるんですけれども、業務を委託する方がかなりの人間を抱えているというところに非効率というのか、むだはないかということが私の伺いたかったところなんですがね。
  279. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) ただいまのようなお話でありますが、率直に言って、今大変な首都高速道路を建設いたしておりますし、いろいろの複雑な問題もありますし、よく検討はしてみますが、今の人員は必要なんでないか、かように感じておる次第であります。
  280. 青木茂

    ○青木茂君 それは大臣のお立場で今の段階で不必要だという御答弁は口が曲がってもそれはできないことはわかりますよ。わかりますけれども、首都高なら首都高というものがあって、それで重要な仕事は下請、孫請へ全部回しちゃって、そうして合計千四百人に近いような人員を抱えて給料を払っている。しかも協会なるものは、今お聞きしたように、とにかく千三百万でスタートしたやつが今八億も財産を抱えている。それがなぜドライバーの料金引き下げに回らないのだろうかという疑問というものはどうしても残るわけですよ。  もう時間が来ましたから、最後に一問だけ。  特にこれが本当に必要があってつくられておるものならそれはわかります。わかりますけれども、もしこれが役人の天下り機構であるということになったらこれはゆゆしき問題です。例えば今イースタンロード株式会社ということを申し上げましたけれども、イースタンロード株式会社の社長は協会の理事を兼ねているんです。そうすると、発注する方と発注される方が幹部が一緒だというような形の中で一体果たして自由経済の競争原理というものは働くのかどうか。まだまだ実はいっぱいあるんです。今言った技術センター、補償センター、その他の中に公団あるいは協会からずらずらと天下りしていく例というものはまだいっぱいある。いっぱいあるけれども、そういうものになってしまったら、果たして行政生産性の向上、それが必要だと言い切れるかどうか。  最後にこの点を大臣に所見を伺って、終わります。
  281. 越智伊平

    ○国務大臣(越智伊平君) いろいろお話ございましたが、私もこういう質問があるということでいろいろと説明を受けました。なるほどなと、こう いうふうに感じております。しかし先生のせっかくの御質問でございますから、もう一度ひとつ見直し検討をしてみたい、こういうふうに思います。
  282. 村沢牧

    委員長村沢牧君) これをもって、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省所管総理府所管のうち国土庁北海道開発庁並びに住宅金融公庫、北海道東北開発公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会