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1988-04-25 第112回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十五日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      本岡 昭次君     一井 淳治君  四月二十三日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     吉井 英勝君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 井上  裕君                 大島 友治君                 杉山 令肇君                 柳川 覺治君                 菅野 久光君                 峯山 昭範君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 斎藤栄三郎君                 寺内 弘子君                 永野 茂門君                 二木 秀夫君                 松尾 官平君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 及川 一夫君                 田渕 勲二君                 丸谷 金保君                 片上 公人君                 刈田 貞子君                 橋本  敦君                 吉井 英勝君                 関  嘉彦君                 藤井 恒男君    国務大臣        運 輸 大 臣  石原慎太郎君    政府委員        運輸大臣官房審        議官       金田 好生君        運輸大臣官房会        計課長      黒野 匡彦君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省国際運        輸・観光局長   中村  徹君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        運輸省港湾局長  奥山 文雄君        運輸省航空局長  林  淳司君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        気象庁長官    菊池 幸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        総務庁人事局参        事官       佐藤 正紀君        環境庁大気保全        局交通公害対策        室長       濱中 裕徳君        自治省行政局公        務員部公務員第        一課長      古居 儔治君        消防庁消防課長  川崎 正信君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        本州四国連絡橋        公団理事     吉田  巌君        日本国有鉄道清        算事業団理事長  杉浦 喬也君        日本国有鉄道清        算事業団理事   杉田 昌久君        日本国有鉄道清        算事業団理事   山口 良雄君        日本国有鉄道清        算事業団理事   池神 重明君        四国旅客鉄道株        式会社取締役運        輸部長      笹子  稔君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十年度一般会計歳入歳出決算昭和六十年度特別会計歳入歳出決算昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十年度政府関係機関決算書(第百八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百八回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書(第百八回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十九日、本岡昭次君が委員辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。  また、去る二十三日、佐藤昭夫君が委員辞任され、その補欠として吉井英勝君が選任されました。     ─────────────
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 昭和六十年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。     ─────────────
  4. 穐山篤

    委員長穐山篤君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 穐山篤

    委員長穐山篤君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 一井淳治

    一井淳治君 民間鉄道でございますけれども、特に地方の場合には赤字路線が少なからずあるというふうに思います。私はこの廃止賛成論者ではないんですけれども廃止する場合の手続なり要件なりについて、まず御説明をいただきたいと思います。
  8. 熊代健

    政府委員熊代健君) 鉄道事業廃止地域社会活動に重大な影響を及ぼす可能性がございますので、鉄道事業法上、運輸大臣許可を要することとしております。具体的には、鉄道事業者申請をして、それを審査して許可をするかどうかになるわけですが、その場合の配慮条件といたしましては、当該地域における輸送需要の動向、それから当該事業経営状況、さらには代替輸送機関整備状況等が考慮の対象になると申し上げられると思います。
  9. 一井淳治

    一井淳治君 今抽象的な御説明をいただいたわけでございますので、もう少し個別の詳細な質問をさせていただきたいと思います。  代替輸送機関の有無の問題でございますけれども、仮に廃止された場合に代替輸送機関がありませんと、沿線住民生活に支障を生じますし、地元産業にも大変な悪影響を及ぼすと思います。この代替輸送機関がないような場合にも廃止が可能なのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  10. 熊代健

    政府委員熊代健君) 代替輸送機関につきましては、鉄道の場合、現時点では大体、バスになろうかと思います。したがいまして、道路整備されているかどうかということになります。その場合に、先生指摘のように、積雪地帯道路の連行の確保年間を通じてかなり運休せざるを得ないとか、あるいは橋梁等があって道路整備がなかなかできないとか、さらにはもう一点申し上げれば、通勤ラッシュ時といいますか、一時間当たりに千人以上といったような相当な量があって、バス代替するには集中的になる部分について問題があるといった場合に、鉄道の方が存続せざるを得ないというような判断になる場合がございます。
  11. 一井淳治

    一井淳治君 道路の問題とその道路の上をバスが走っているかどうかという問題があると思いますけれども道路がだんだん完備されてきますと、ではその次に今度はバス路線をどうするかという歴史的な順序を追って物事が進んでいると思うんです。道路ができたけれども、全然バスも走っていないという地域も少なからずあるというふうに思います。しかし、全く代替輸送機関、具体的にいえばバスになると思うんですけれども、そういったものがないような場合には廃止は考えられないというふうに思うんです。 いかがでございましょうか。
  12. 熊代健

    政府委員熊代健君) 国鉄特定地方交通線でそういう問題がいろいろ出たケースがございますが、地方鉄道の場合に、現実に今の時点では道路はあるけれどもバス路線は設定されていないというときには、当然のことながら廃止をするとすればそこに新たなバス路線を設定して、その会社がやるかあるいは近隣のバス会社がやるか、あるいは新しく何らかの格好でバス事業が起こされるかというようなことが条件に当然ならざるを得ないと思っております。
  13. 一井淳治

    一井淳治君 代替輸送機関が全く見通しもないような場合、突然廃止されますと住民も困りますし、それから地域にある産業も非常に悪い影響をこうむりますので、代替輸送機関見通しもない、廃止されると住民がたちまち困ってしまうという場合には、今後とも廃止は認可しないというふうにお願いしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  14. 熊代健

    政府委員熊代健君) おっしゃるとおり、我々としては鉄道それなりの量の人を運んでおりまして、それが地元生活なり産業なりに影響を及ぼしており、役割を果たしておるわけでございますので、代替機関が全くないというようなときにそれを許可するということは、我々としても考えられないというふうに思っております。
  15. 一井淳治

    一井淳治君 もう一つ、過去の廃止申請事例をお聞かせいただきますと、地元関係者同意を得ているということを聞いているわけでございますけれども、この点はもう少し詳しく御説明いただくとすればどういうことなんでございましょうか。
  16. 熊代健

    政府委員熊代健君) そもそも、鉄道廃止ということは交通機関の発達に伴いまして、鉄道の特性が失われてきているというところにそういう問題が起こるわけでございまして、数字的に例えば国鉄特定地方交通線の場合、乗車密度四千人未満のところにおいては、コスト的にバスの方が有利であるというような考え方に従って行われてきたわけでございます。しかし、この場合にも、特定地方交通線対策協議会というところでいろいろ議論されてどうするかということになったわけでございます。  今までの地方鉄道におきましても、そういう意味で地元市町村あるいは県といったところとそれなり協議をし、ただ、先生指摘のように同意というところまではなかなかいかない場合もあります。完全に同意書がついていないと許可をしないという運用は、先ほど申し上げました基本的な流れの中でそこまで求めるのは酷であるという考え方でございますが、基本的には代替交通機関なり、そういうものについて地元とよく協議をするということを前提に処理してまいったわけでございます。
  17. 一井淳治

    一井淳治君 地元協議が十分になされておる、そして沿線市町村の長の方々も納得しているという状況ができ上がった上で廃止申請が出されるということになるわけなんでしょうか。
  18. 熊代健

    政府委員熊代健君) 基本的に、先ほど申し上げましたように地元市町村全部の同意書ということは求めておりませんけれども、こういう場合、特に市町村だけではなくて県の意向といったようなものも我々はそれなりに配慮しております。 したがいまして、完全な、だれも反対がないというような段階まで求めるのは酷だと思いますが、それなりに誠意を持っていろいろ協議される、その結果、廃止は賛成しかねるけれども、おおむねやむを得ないというようなところに至ったものについて廃止許可するというのが今までの実態でございます。
  19. 一井淳治

    一井淳治君 今局長さんの方から御説明があったような状況ができ上がった上で廃止申請をするというのが過去の事例でございますか。
  20. 熊代健

    政府委員熊代健君) 過去の事例全部がそういうものが整ってからということじゃないかもしれません。場合によっては事業者の方の廃止申請がそこまで至らない段階で出てきている場合もあると思いますが、少なくとも運輸大臣としてそれを許可するという時点は、今申し上げたような状況になった時点を確認した上で処理しておるということでございます。
  21. 一井淳治

    一井淳治君 そういたしますと、仮に廃止をしようという民間鉄道経営者がおられる場合には、地元市町村長あるいは県知事さん等々とよく協議をして、今後の問題等について十分な対策を講ずるとか、そういう処置が必要ということでございましょうか。
  22. 熊代健

    政府委員熊代健君) 処理の方針として、そういうことで今までやってきております。
  23. 一井淳治

    一井淳治君 私は岡山出身でございまして、地元片上鉄道という民間鉄道、これは同和鉱業という会社の一鉄道部門でございますけれども、この片上鉄道からは現時点廃止申請が出ておるかどうか、その点いかがでございましょうか。
  24. 熊代健

    政府委員熊代健君) 私も実は岡山出身でございまして、片上鉄道のことは存じております。お話は出ておりますが、先生指摘のように、私どもとしましては県にもお話しし、あるいは同和鉱業にもよくそういうことで協議をするように申しておりますが、現時点では廃止申請そのものはまだ出てきておりません。
  25. 一井淳治

    一井淳治君 片上鉄道はよく御存じでいらっしゃるようでございますけれども旅客部門とそれから貨物部門と両方ございます。貨物部門についてそのような廃止申請手続が出ておるんじゃないでしょうか。
  26. 熊代健

    政府委員熊代健君) 貨物部門につきましては、御指摘のように、この鉄道同和鉱業の産出する鉱物資源を輸送するということが中心でございまして、ピークには年間八十一万トン以上のものを運んでおりました。貨物だけではもったいないということで、地元からの要請もあって旅客を運んできたということでございますが、御承知のように、六十年の十一月に貨物ダイヤ改正で非常に国鉄貨物輸送が大幅に変わったということもございまして、また、ここの会社鉱物輸送がトラックでカバーできるというようなこともございまして、この貨物部門につきましては昨年の八月に廃止されております。
  27. 一井淳治

    一井淳治君 これは自社分だけでございましょうか、それとも一般の、同和鉱業会社以外からの貨物の引き受けも廃止になったんでしょうか。
  28. 熊代健

    政府委員熊代健君) これは全部でございます。
  29. 一井淳治

    一井淳治君 それから、その片上鉄道につきましては、今御承知のとおり廃止をどうするかという問題が出ておりまして、私ども住民の足を守るという立場からできる限り存続してほしいという要望を重ねておるわけでございますけれども、その前提として会社内容を知りたい。片上鉄道合理化を極力進めておって、にもかかわらず赤字が出るんだという御主張でございます。私どもの方は、経費等具体的な経理内容について知らせてほしいというふうに要望するんですけれども、なかなか具体的な赤字内容、経費の内容についてお知らせいただけないということで難渋しているわけでございます。廃止申請が正規に運輸省の方に提出をされた場合には、鉄道部門赤字内容について検討なさるんでしょうか、どうでしょうか。
  30. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先ほど申し上げましたように、会社鉄道営業状況がどうであるかというのは一つの大きな判断要素でございますので、当然のことながらその点については十分なチェックはすることに相なります。
  31. 一井淳治

    一井淳治君 次に、航空事故救難統制本部の問題について質問をさせていただきたいと思います。  これは六十年の八月十二日に日本航空事故が発生して以来、消防庁RCCに加えるべきではないかという考え方がだんだん前進してきまして、そういうふうなお取り扱いが進んできまして、さらに四月の二十一日から全面的にそういう方向でこられるという運びとなったわけでございますけれども消防庁部門RCCに加えていただくというふうになった場合に、消防庁関係の一番の末端にあります地域消防団、こういったものも体制に加わってくるんでしょうか、どうなんでしょうか。
  32. 川崎正信

    説明員川崎正信君) 現在の市町村消防体制は、常備の消防本部、署並びに消防団で構成されてございますので、今回の遭難救助体制には消防団も参加するわけでございます。
  33. 一井淳治

    一井淳治君 私は消防庁の系統の方々RCCに加わるべきだということを決算委員会でも申し上げておりました責任上といいますか、があるから、この点ちょっと申し上げておかねばならないと思うわけでございます。 ほかの関係省庁の職員の方々はいずれも月給をもらって、救難活動従事いたしましてもそれは月給の範囲内となっておるわけでございますけれども消防団の場合は完全なボランティアではないにしても、一応本職をそれぞれ持っておられまして、本職の多忙な仕事傍ら消防防災業務従事するというふうになっておるわけでございます。特に最近のように山間部が過疎化してまいりますと、山間部消防団方々は一時間ぐらい離れた都市部の方へ働きに出ている。そういった人たちが多くなっているように思いますけれども、仮に六十年の八月に起きましたような大事故山間部で発生したような場合には、テレビで見ましたけれども地元市町村消防団の方が中心となっていく。そうすると、そういった方々勤務先も何日か休まなければいかぬ。夏暑いのに大変御苦労になるわけです。消防団方々に対する手当の問題について、こういう機会にやはりもうちょっと考えてもらわなくちゃならぬではないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  34. 川崎正信

    説明員川崎正信君) 消防団災害事故等の場合に出動いたしました場合には出動手当を支給するということでございます。ボランティアという性格ではございますが、個別の出動ということに着眼し特別の出費をあがなうために手当を支給することにいたしてございます。現在、出動手当として、国の段階におきまして地方交付税で標準的な所要額を措置することといたしまして、六十二年度で一回当たり四千六百円の出動手当を支給するということでございます。ただし、この手当市町村の条例で定めて支給するということになってございますので、実額はなおこれに至らないという実情でございます。
  35. 一井淳治

    一井淳治君 通常の火災の場合を大体対象にしてお考えだと思うわけですけれども、半日ぐらい手伝いをすれば大体火消しの方は済むと思うわけです。しかし、航空事故災害の救援ということになりますと、何日か休まなくてはいけないとかあるいは徹夜作業とか、非常に労務提供内容が飛躍的に大きくなると思いますので、従前の四千六百円でございますか、私は四千七百円というふうに聞いておったんですが、この出動手当について特別手当といいますか、特別の場合には加算するとか、何とかそういったことをこういう機会に御配慮いただきたいというふうに思うわけでございます。課長さんとして消防庁の正式な見解というものはちょっとおっしゃることは困難かもしれませんが、最低限持ち帰って御検討を賜りたいと思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  36. 川崎正信

    説明員川崎正信君) 御指摘のように、消防団出動いたします大災害におきましては、こういった航空機事故のみならず、風水害等におきましては長時間にわたる従事ということが想定されるわけでございます。そういった観点も踏まえまして、先ほどの交付税措置によります所要額よりも相当下回ってございます現在の出動手当支給額をぜひ早急に上げるようにと、私どもは目下、市町村を強く指導いたしておるところでございます。したがいまして、私どもが措置しております交付税措置額に近づきます段階に至りますれば、さらに特別の事情、長期間にわたる従事とかそういったものも次の段階検討すべきものというように考えてございます。
  37. 一井淳治

    一井淳治君 ちょっとお話が出ましたけれども、そうしますと、現実地域で払われている金額はどれくらいになっているんでしょうか。
  38. 川崎正信

    説明員川崎正信君) これは市町村によりましてそれぞれ個々に違ってございますが、通常災害によります出動手当の全国の平均額は、私どもが把握しておりますのは昭和六十二年度で千七百円でございます。
  39. 一井淳治

    一井淳治君 私は六十年八月の事故の際のテレビを見ましたけれども、ああいう大変なお仕事を千七百円平均でお願いするというのは非常に残酷ではないかと思いますので、どうか先ほど言われましたように、できるだけ検討なり御指導を強めていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 及川一夫

    及川一夫君 三十分の枠でございますので、私が今疑問と思っていることについてすべて詰め切ることはできないと思いますけれども、六十一年度の決算ともかなり関係いたしますし、総括質問のこととも関連をすると思いますから、そういう前提で、限られた問題ですが御質問と御意見を申し上げたいと思うんであります。  その一つは、日航の問題にかかわることなのであります。大臣御存じだと思うんですけれども、昨年の暮れ、さらにはことしの年明け、そのころに集中して日航本体の問題に対するさまざまな疑問、労使関係も含めて、あるいは人事の変更、これも御当人から言わしめれば、大変腹立たしい思いを含めておやめになったという経過も新聞紙上で明らかになっております。関連会社日航開発にかかわる問題でも経営者としての見識を疑われるような、それが事実とすれば見織が疑われるという前提ですが、大変大きな問題があるように思うし、日航自身がこの関連会社を通してホテルの買収と建設ということについても、資本金を上回ること三倍、四倍、一体これでいいのかということも紹介をされておられます。  あるいは、日航として出資をしていない民間会社に何のために人件費というものを一億三千万も肩がわりするのかなど、挙げられた項目を見ると国民の前にすべて明らかにしていただきたいということが出ているんであります。一時は会計検査院日航の本社に入ったという報道もなされましたが、これはどうも誤報のようであります。検査院が言っているんですから間違いないでしょう。ただ、電話でお聞きした程度らしいんですが、会計検査院も特段に問題はなかったという形になっているんでありますけれども監督官庁であり行政官庁である運輸省として、日航問題については労使の問題を含めて全く問題ありません、隆々と栄えておりますと言い切れるかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  41. 林淳司

    政府委員林淳司君) ただいま先生から御指摘を受けましたような一連の事件等につきまして、昨年来指摘をされているわけでございますが、そのような批判を受けること自体私どもといたしましては非常に残念なことであると思っております。やはり日本航空は非常に重要な公益事業を担っているわけでございますから、健全な経営確保ということに遺憾なきを期する必要があるということで、昨年日本航空完全民営化を行ったわけでございますが、この機会経営責任を明確にし、健全な経営に邁進するよう私どもとしては十分な指導監督もいたしたいと思いますし、日本航空としてもその点については十分な自覚を持ってもらいたいと思っております。
  42. 及川一夫

    及川一夫君 ところで、今のところそういう疑惑についてはあるのかないかということを含めて断定はできないんでありますが、日航に対しては会計検査院は入れるんですか、入れないんですか。
  43. 大沼嘉章

    説明員大沼嘉章君) 私ども会計検査院といたしましては、日本航空が昨年の十一月十八日まで国が資本金の一部を出資している団体ということで、その段階までは私ども検査対象といたしておったところでございます。
  44. 及川一夫

    及川一夫君 十一月十八日以前のものは政府出資しておりますから、当然検査対象ということになると思いますが、今後はどうなるのですか。
  45. 大沼嘉章

    説明員大沼嘉章君) 今後は、今まで私ども検査の権限の根拠といたしておりました国からの出資というものが外れるわけでございますので、そういう出資の面からの検査対象からは外れるということになるわけでございます。
  46. 及川一夫

    及川一夫君 ならば、政府保証債とか、いわば政府にかかわるお金がありますが、そういう日航の事業に関与しているものはあるかないかということと同時に、そういうものが関与していれば検査院は入るんですか、入らないんですか。
  47. 大沼嘉章

    説明員大沼嘉章君) 今先生指摘ございましたように、日航が民営化された後も、日航が民営化される前に発行されておりました社債等につきましての政府の保証という行為はそのまま存続する。たしかあと十年ほどの期間残ると思いますけれども、そういう状態になってございます。したがいまして、これは全く仮定のお話でございますけれども、今後、日航につきまして経営上非常に問題が生じまして、政府保証の債務の肩がわりと申しましょうか、そういった異常な事態が生ずるようなおそれが出ました場合には、今後はまた別途の検査院法の根拠規定、これは政府保証にかかわる団体といたしまして指定をすることは可能でございます。
  48. 及川一夫

    及川一夫君 そのことを確認しておきたいと思います。  そこで、運輸大臣、石原先生と口をきくのは今回私は初めてなんでございますが、前運輸大臣の橋本運輸大臣からお引き継ぎになるときに、この日航問題では何らかの引き継ぎ、申し送り事項などがあったかどうかということと、今若干やりとりをいたしましたが、断定はできないがそういう問題が指摘をされてそれが解明をされていないという事態について、大臣としていかがお受けとめですか。
  49. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 橋本前大臣から引き継ぎのときに、特段日航に関しての言及はございませんでした。ですが、私も一利用者としてかねがね関心を持っておりましたし、大臣に就任しましてさらにその立場から、民営化されたその後の日航の進み方についていろいろ関心を持っております。一種の過渡期でございますから、いろいろなことを言ってくる人が内部にもおられますし、またそれは陰に陽にチェックをしておりますけれども、ともかくさらに時間の経過を見まして、せっかく民営化されたわけでございますから、民営化の実を上げるように、また時に応じて私たちも、直接の指導ということは問題あるかもしれませんが、ともかく協力をしていきたいと思っております。
  50. 及川一夫

    及川一夫君 さらに大臣にもお尋ねすることがあるかと思いますが、私が今感じていることを中心に御質問申し上げます。  まず第一点として、労使関係の問題、これは安定したというふうに見られておりますかどうか。同時にまた、日航における労働組合は複数存在するというふうに聞いておりますが、幾つの組合があるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  51. 林淳司

    政府委員林淳司君) 現在日本航空には六つの労働組合が存在いたします。それで、ただいま先生日本航空労使関係は安定しておるかどうかということでございますが、政府の立場としてなかなかその辺についての評価は難しいわけでございますけれども、民営化を機会にいたしまして今後日本航空が健全な民間会社として維持発展していくためには、やはり労使関係の安定ということは非常に重要なことでございますので、今後労使がさらに一層の努力をしていただく必要があるというふうに認識をいたしております。
  52. 及川一夫

    及川一夫君 さらに、六十二年の五月十八日に三つの労働組合、一つには日本航空機長組合、二つには航空機関士組合、三つ目には乗員組合、この組合から日本航空株式会社経営にかかわる公開質問状というのが出ているんです。公開質問状というのはちょっと穏やかではないというふうに思いますが、言葉の使い方はともかくとして、橋本前運輸大臣に出されておるんです。これに対して運輸省として、大臣として回答されたかどうか、それをお聞きします。
  53. 林淳司

    政府委員林淳司君) そのような公開質問状と申しますか、意見書と申しますか、そういうものが出てきたことは承知いたしておりますが、それについて運輸省側として、あるいは大臣としてどのように対応したかという事実関係については、ちょっと今ここで把握いたしておりませんので、また後ほど状況を調べて御報告さしていただきたいと思います。
  54. 及川一夫

    及川一夫君 把握していないということはちょっと問題だなと思います。いずれにしてもこれは昨年の話ですから、人事の交代もあったとすればそういう事態もあるというふうには思いますけれども、もしその対応の仕方についておわかりになれば連絡をいただきたいということと、さらにその内容について具体的に出していただきたいと思うんであります。  そこで、運輸大臣、私も労働組合にかかわることを三十数年体験してまいりました。経営そのものについては管理運営権ですから経営者経営権として持っていることは事実なんですが、やはり経営には一つの民主化というものがないと私は生々発展をしないという認識を実は持っています。したがって、経営そのものに対して一つの抱負経論を持つということは、決して労働組合としても悪いことではないと思っています。そして、時と場合によれば、社会正義という立場から、あるいはまた労働組合として、経営をこうしてもらわないとそれこそ心置きなく仕事に当たることはできないというような問題、あるいは利用者というか、日航の場合で言えば国民、NTTあるいは当時の国鉄で言えば国民ということになりますが、そういう方々に対してマイナスにならないようにこう運営すべきだなどということを提言することはよくあることだし、私はあってしかるべきだと思うんです。  ところが、ここに載っているこの公開質問状なるものは、日本航空の監査報告、日本航空自体の中の監査役における、監査団における監査報告に基づいて行われているものなんです。そして、世上、新聞で出たような問題、週刊誌で指摘をされたような問題、それ以上に克明に、しかも内部告発と言ってもいいんじゃないでしょうか。どれ一つ読んでみてもなるほど、これは問題だなと感じさせる内容に実は私はなっているというふうに思っているんであります。  したがって、労働組合が公開質問状という言葉を使うということはなかなかできることではないんですが、この点、それほどのものだというそういう性格づけをして出されたように私は思うんです。ですから非常に重要な問題だし、事実関係として、また労使関係としてこれがどういうふうに扱われているのか、私もまだ調査不十分でありますけれども運輸省としてもかなり注目をしておかなければならない問題ではないか。できれば一つ一つ解明をしておく必要がある、こんなふうに思っているんですが、事情を把握されていないということになると、これ以上議論してもなかなかこれは難しいなということになるわけであります。したがって、きょうは三十分ですからこれ以上のことはこの問題では申し上げませんけれども、六十一年度の決算にかかわらず、時と場合によれば総括質問の際にも見解を求めることがあり得るというふうに思いますので、このことを申し上げて、次の項目に移ってみたいと思います。  第二点として申し上げたいのは、先ほど日航本体の問題とか、日航開発株式会社の問題とかいろいろ申し上げました。その中に、先物予約ということが一つの問題点として出されているわけです。いわば営業活動によってドルを我が手にした。そのドルというものの為替レートが乱高下をしている中で損をしないためにという意味もあったかと思うんですが、いずれにしても、先物予約という形で十年間昭和七十一年まで一定のドルとそれを為替レートとして幾らに見るかということを含めて予約を、恐らくこれはアメリカの航空機製作会社との関係だろうというふうに思うんです。まず、こういった行為というのは、行為自体は許されるんだろうと思うんですが、当時は日航ですから、政府事業ですから、十年間も為替レートに対して予約をするということはあり得るんでしょうか、あり得ていいのでしょうか。きょうは大蔵は別に呼んでおりませんけれども、一体どんなものでしょうね、十年間ですよ。お答え願います。
  55. 林淳司

    政府委員林淳司君) ドルの長期にわたる先物予約でございますけれども、これにつきましては、昭和五十九年に大蔵省の取り扱いが変わったことによりましてこれが可能になったわけでございます。  そこで、ほかの産業分野におきましてもこういう長期の為替予約が行われておりまして、日本航空の場合は、先生指摘のように、昭和六十年の七月から六十一年三月ごろにかけまして、昭和六十一年度から七十一年度までの十年間につきましての長期の為替予約を行ったわけでございますが、これについては、他の産業分野と比較いたしまして特に異例なものであるということでは必ずしもないと考えております。
  56. 及川一夫

    及川一夫君 規定が変わった、したがって、やることも、十年間ということも異例ではない、こうお答えになっていますね。  しかし、事実関係として、我が党の衆議院議員である井上一成先生がこの問題について総理大臣質問書を提出しておられます。期日は昨年の四月十八日でございました。そして五月の八日、二十日間経てお答えがございました。この中に、予約にかかわる為替レートは幾らかという質問に対して、昭和六十一年度百九十五円、六十二年度百九十一円、六十三年度百九十二円、六十四年度百九十二円、六十五年度百九十一円、六十六年度百八十六円、六十七年度百八十六円、六十八年度百八十四円、六十九年度百七十九円、七十年度百七十一円、七十一年度は百五十五円、このように予約されているということをお答えいただいているわけです。みんな予測より上回ってまいるわけです、現在百三十円を切っておる状況にあるわけですから。しかも、ここ一年間の為替レートの流れを見ましても、この数字よりはそれこそ下回っている。つまり、円高ということが明確に実は出ているわけであります。  一体、為替レートというのは十年間も動かないという物の見方ができるのかどうか。恐らくこれは昭和六十年あるいは五十九年あたりに予約をされたんだろうというふうに、私はそこまで確かめておりませんが、どちらにしても、今規定が変わったのが五十九年とおっしゃられておりますから、それ以降ということになりますとそのときに判断をされたんだろうと思う。そのときの為替の値段は一体どのぐらいだったか、私もまだ調べていません。したがって、百九十五円というふうに六十一年度で決めたことは、乱高下を予想して、乱高ですな、これから損をしないためにという発想でやられたんだろうと思うんだけれども、一体これはそういう予測ですから、当たるも八卦、当らないも八卦ということはそれはあり得ます。だけれども、現状から見ると、百九十五円とか百九十一円などというのは、要すれば六十円も違うわけですから、だれの目から見たって損か得かはっきりしておるということが実は言えるわけであります。十年なんということは本当にいいのかどうか、今後の問題もあるから、大蔵とも協議をしなきゃならぬかもしれませんが、どうですか、局長さん。
  57. 林淳司

    政府委員林淳司君) 為替の先物予約につきましては、これは基本的には為替の大幅な変動というものによる危険を回避する、いわばリスクヘッジのために行うものでございます。  そこで、この長期の為替予約につきまして、これはどういう判断で行うかと申しますと、為替相場の先行き見通しというものを予想をして行うものではないわけでございまして、あくまでその予約時点現実の為替レートというものをまずベースにいたしまして、そしてその翌年、さらにその翌々年と、これは日本とアメリカの間の金利差によりまして換算をいたしまして、そして一ドル幾らという金額を決めるわけでございます。  今回の場合、スタート時点は二百円という程度でございましたが、その後、金利差はアメリカの方が高いわけでございますから、したがって、年を経るに従って一ドル当たりの円か百九十五円とか、あるいは百八十円とかという形になっていくわけでございまして、平均すれば百八十五円ということでございます。  したがいまして、こういうものについて、その時点でそういういわばリスク回避のための先物予約をするのが経営上妥当であるかどうかという判断になるわけでございまして、決して予想が間違っているとか、あるいは合っていたとかということではなくて、あくまで今後のいわばリスクを回避するための経営手段としてこういう方法をとるかどうかということについての経営判断の問題であろうと思います。したがいまして、今回の日本航空の先物予約は結果的に差損を生じたということでございますけれども、それはある意味では一種の結果論でございまして、こういう経営判断をすることが、そういうことをやることが果たしていいのかどうかということについては、今後やはり慎重な経営判断をした上でこういうものを決めていく必要があろうと考えております。
  58. 及川一夫

    及川一夫君 私から言えば、非常に事務的にしか聞こえない。確かに民間企業という意味では、営業活動によってそこの職員があるいは労働者が働いて、またいろんな協力をいただいて得るお金ですから、それをどう使おうと民間企業である限りはという気持ちがあるかもしれません。しかし、今私がここで論じているのはそれ以前の六十一年、そして六十二年にかかわる問題です。これを論じているわけでして、そういう意味で言うならば、金を損をしたのか得をしたのかというのは、これは大変な問題じゃないでしょうか。経営判断の問題であるというそういう適当な言葉でお茶を濁されるような問題ではないじゃないかというふうに思うんです。  現実に、六十一年度百九十五円ということを前提にして二億八千七百万ドルということでお約束になられている。これは五百五十九億六千五百万円ということになる。ところが、実際に飛行機が日航に渡る際の当時のレートで言いますと百八十七円ということが明らかになっている。これは五百三十六億六千九百万円である。その差は二十二億九千六百万円。決して少なくないんじゃないでしょうか。これを見れば大体一年分の航空券による為替差損と同じくらいの額になっているんです。それと同時に、六十二年度はまだ決算的に明らかにはされていません。しかし、六十一年度の予約はどうなっているかといえば、百九十一円です。そして三億二千三百万ドルということになっておる。六百十六億九千三百万円であります。現実の相場は幾らですか。現実の相場は六十二年の暮れということになるんですか。百二十円台とは言いますまい。しかし、百三十円であることぐらいはだれでも想定できる。これも調べればわかることです。そういう前提に立って計算してごらんなさい。四百十九億九千万円ですよ。その差は百九十七億三百万円ということになる。これだけ損をする。これは飛行機一台、あのジャンボ一台買ってもおつりが来る勘定です。それだけ損をしているという現実がある。  これがあるにもかかわらず、今局長がお答えになったように経営判断の問題である、その程度で私は済まされるものじゃないように実は思うんであります。しかも十年間ですからね。これはこれから先どうなるんですか。円高対策もいろいろとありますけれども、G7の会議の動向から見ても百五十円を超して百八十円とか百九十円になるような話はないでしょう。民間の企業経営者も明らかに百二十円ぐらいまではとか、百三十円で安定をしてくれるならば何とか対応できるというのが一般的な経営陣の物の見方、言い方ではないですか。ということになりますと、七十一年は百五十五円だからぐっと近づいてくるけれども、それまでは百七十円以上です。それを全部トータルしてごらんなさい、これは大変なことになります。日航があっぷあっぷするのは間違いないという気がしてならないし、そんなところに不安定要素があると思うんです。財政法上とか会計処理上とかそういうものを言えばいろいろあるのかもしれません。減価償却、つまり固定資産である、帳簿上そうしたから為替差損ではない、政府の答弁はそうなっておるんでしょう、井上一成先生に対する回答が。私はこんなばかな話はないと思うんですが、それで一体国民全体が納得するということになるんでしょうか。かてて加えて、こんなに円高だから航空券は安くてもいいということになっておるんでしょう。ちっとも安くならないじゃないですか。なぜですか。  そこで、運輸省の皆さんを通して日航にも尋ねたんですが、トータル的に見ると航空券では差損が多いというふうになっておるんですね、ずっと。どんな円高になっても差損が多い。確かにアメリカで売る日本航空の航空券はドル建てですから、ドルの値段が変わらぬでも円のレートが高くなれば確かに日本円としては少なく入ってきます。したがって差損ということなんでしょう。ならば部品とかオイルはどうだ、これは輸入品が多いんじゃないかというようなことでお尋ねしますと、確かに差益だ、こう言う。ではそれと相殺したらどうなるといったら、依然として差損だという答えしか出てこないのであります。納得できない。したがって資料を出してもらいたい。少なくとも部品とかオイル、輸入にかかわるものについてというのと、航空券にかかわるものと別建てにして出してもらいたいと言っても、分けることがなかなか困難だ、こんなばかな話が出てくるのであります。分けることが困難で何で差益と差損のトータル的な計算ができるんですか。私は非常に納得できない気持ちです。  ただ、今回は時間がなかったものですからそれ以上には申し上げませんでしたけれども、ぜひ運輸省の方でも実情を確かめてもらいたいと思う。それで私は六十一年の決算では洗いざらいにしてもらいたいという気持ちがいっぱいであります。私は、日本航空が倒れたり困ることを期待してやっているんじゃない。これだけのことがいろいろと言われているものをそのまま覆いかぶせて、人事上でも何となく問題がありそうなものを残しながら、そして労使関係は安定しているとは局長は言い切らなかった。 ますます努力をしてもらわなきゃいかぬと言うんですからそれは問題点はあるんでしょう。もともと労働組合は一つでなきゃ私はだめだと思っていますけれども、六つに分かれているんですから、これは安全上も大変です。そういう前提に立っていますから、その部分での局長のお答えは了とします。しかし、トータル的に言えば非常に私は問題があると思うんであります。そういう点で運輸大臣いかがでしょうか、私の言っていることに間違いあるでしょうか。そして、もう少し運輸省としても積極的な意味で少なくとも六十二年度の十一月までは責任があるわけですから、はっきりしてもらいたいということをお願いしたいんですが、大臣いかがですか。
  59. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 局長も答弁いたしましたけれども、また委員指摘のように、日本航空が民営化されましてこれから企業として安定飛行を続けるためにはかなりいろいろな点で腐心、努力をしなくちゃならないと私は思います。また、それをこれからも督励していきたいと思っております。
  60. 及川一夫

    及川一夫君 運輸大臣は言葉の少ない人だということはよくお聞きしているんですが、しかし言葉は少なくとも熱情だけはだれにも負けないとおっしゃられているそうですからその答えにひとつ期待をして、次の機会に私は譲りたいと思います。  時間も非常に少ないので、次にJR関係の問題について一点だけ触れさしてもらいたいと思います。  それは清算事業団それから新幹線鉄道保有機構、JRの関係です。JRには甘く新幹線鉄道保有機構や清算事業団には厳しい、こういう条件に置かれているように私は率直に思うわけでありますけれども、いずれにしても我々野党議員といえども逃げられませんからそれなり責任は持たなければいけないというふうに思うんです。そういった点で、JR各社の事業見通しは大ざっぱでいいんですけれども、いかがなものでしょうか。新聞紙上では上向いているとこう言われているんですが、運輸省としても確信を持ってそうお答えすることができるかどうか、お伺いしておきます。
  61. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) JRは発足しましてから一年たったわけでございます。その初年度、六十二年度の経営状況につきまして今各社がそれぞれ決算の準備をしているところでございますので、その六十二年度決算の確定的な数値は今現在お答えできませんですけれども、現在まで私の手元にございますのは二月の末までの取扱収入というのがございます。それで見ますと、対前年比旅客会社全体で一〇六・一%ということになっておりまして、おおむね各社とも順調な状況であると判断いたしております。  それで、このような状況はJR各社の営業活動によって支えられているところでございますけれども、きめ細かなダイヤの設定をしているとか、企画商品を開発しているとか、駅施設とか車両の改善といったようなことをこの一年やってきておりまして、私どもの言葉で言いますと、地域に密着した利用者重視のそういう事業展開を行ってきていると思っております。このような各社の営業努力の結果が今申し上げました取扱収入、基本的には輸送需要になるわけでございますが、そういう輸送需要の増加につながっているのではないかと考えております。今後ともこのような努力を続けていってもらいたい、かように考えております。
  62. 及川一夫

    及川一夫君 JR本体では確かにそういった事態にあるんでしょうが、鉄道は従来言われている私鉄を除いて、昔の国鉄全体という意味合いで言うと大変な問題を抱えておられるわけですね。とりわけ清算事業団がどう借金を埋めていくのか。国民にその残りを負担をしてもらうにしても、正当性のある処理かないとなかなか国民負担といってもそうはいかないという問題。では、そういう立場に立ってやろうとしても、土地問題などでは土地高騰ということで、簡単に売ろうと思っても売れない。一方では、気持ちの上では高く売りたい。しかし、高く売れば土地高騰につながる。こういうことでぐるぐる回っておる現状にあるんだろうと思います。したがって、お互いに知恵を出さなければならぬ事態なんです。  ただ、ちょっと聞いておきたいんですけれども、私は津田沼を使っておるんですけれども、駅が非常にきれいになりました。きれいになったということは投資をしていることでして、客である我々からいえば非常に歓迎すべきことなんですが、一方では借金がある。JR自体にはないかもしらぬけれども、残してあるということを考えますと、そういうのを使うことは悪いとは言わないんだが、借金との関係でどういう割り切りをするのかということが、実は通勤車内の中でぼそぼそと語られているわけです。国民感情というものでしょう、利用者感情というものでしょう。  そういうこととか、さらには青函トンネル問題では、平年度でも一千三百十六億円とにかく借金返しをしなければいかぬわけでしょう、清算事業団が。ところが、清算事業団に入ってくるお金というのは、使用料としてJRからどのぐらい入ってくるんだろうというものをお尋ねしますと、五億円。えらい違いじゃなということになる。もちろん青函トンネルがすべてじゃありません。しかし、年間を通しては一体JRがどのぐらいそれこそ支払うのかということを考えると極めて少ない。本四架橋は平年度で六百八十九億円の借金返しだが、少なくとも十七億円という数字をお返しする、こういう形の使用料を払うということになっております。何かえらいバランスが崩れているという感じかするわけなんですけれども、この点の解明と同時に、時間も参りましたので、今後この清算事業団が鉄道にかかわる借金、償還というものに対する返済に対しての決意のほどといいますか、それをお尋ねして私の質問を終わりたいと思います。
  63. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 昨年の四月に、いわゆる国鉄改革ということでJR各社の民営・分割を初め一連の国鉄改革の仕事が行われたわけでございますが、その考え方は、基本的には国鉄再建監理委員会の意見を踏まえまして国鉄の膨大な長期債務といいましょうか、借金をどのような形で今後返済をしていくとか、そういうことについての考え方が決まったわけでございます。それによりまして、まずはJR各社、北海道とか四国とか九州というようなところにつきましては長期債務は負わない。それで本州の三社とそれから貨物会社等が長期債務を負うという形をまず考えたわけでございますが、その長期債務の承継の仕方につきましても、新会社の健全経営確保と国民負担の可能な限りの軽減という両面を勘案してぎりぎりのところで、当時改革法に基づきまして設置されました評価審査会というところの御決定を経まして、それで各社が分けたわけでございます。  それで、今先生指摘の問題につきまして、大きな話としましては青函トンネルとそれから本四架橋、これの資本費の負担をどうするかという問題がそれとの関連で出てくるわけでございますけれども、青函トンネルの方は、津軽海峡線の経営主体は北海道JRということで監理委員会の御意見がございましたし、それから本四架橋の方につきましてはJR四国が経営をするということで御意見が決まっております。そういうことから考えますと、この両者につきましては資本費負担の負担力が基本的にはないだろう。 こういうことから、その資本費の問題につきましては両者に負担をかけないように、それでこれは清算事業団の方で長期債務は負うというような形を基本的には考えていたわけでございます。現にいわゆる三つの、私ども三島会社と言っておりますが、その会社につきましては、長期債務は負わないだけではなくて、それぞれの経営安定基金というものを設けて、その基金収入で毎年の出てまいります欠損を埋めるという形をとらないと健全経営ができないというような見通しがございますものですから、そのような配慮をした形で今の国鉄改革の枠組みは決まっているわけでございます。  それで、本州三社はしたがいまして長期債務を負担しているわけでございますけれども、この基本的な枠組みのやり方につきましては、昨年四月の承継計画ということではっきり決まっておりますので、そのあとの、私が先ほど御説明しましたようなJRの経営が順調だということから、その長期債務の承継の問題にまでさかのぼっていろいろ枠組を変えるということは今は困難ではないかと思います。  ただ、先生の御指摘が、実質的に国民負担の軽減という問題の点でございますとすれば、今JR各社の株式は清算事業団が全額持っておりまして、それは今後清算事業団が処理してまいります長期債務の負担を少しでも軽減する、そちらの方に売却益を回すという形になるものでございますから、JR各社の経営状況がいいということが株価に反映するという形で将来出てまいりますとすれば、国民負担の軽減にはそういう意味では大変役に立っていくんではないか、かように考えております。
  64. 菅野久光

    ○菅野久光君 本年は、三月十三日には青函トンネル開通によって北海道と本州が、そして四月十日には本四架橋瀬戸大橋の完成によって本州と四国が結ばれた。そのことによって北海道、本州、四国、九州が一本の鉄路で結ばれた歴史的な年だというふうに思います。この年に、運輸行政の責任者であります石原運輸大臣がそれぞれの開通あるいは創業に立ち会うということで、これからも今のところこのようなことはないんじゃないかということを思いますと、本当についている大臣ではないかというふうに思います。  そこで、きょうは、これだけの大事業に立ち会った大臣でありますからもう一つのこともぜひひとつ大臣のお力をおかりしたい、大臣のお力でつくり上げてもらいたいものだということで、航空安全報告制度の問題についてこれから質問を申し上げたいと思います。  私は、本決算委員会におきまして六十一年の四月二十一日と六十二年の九月二十二日の二回にわたって安全報告制度の問題を取り上げてまいりました。その詳細は議事録のとおりでありますが、今、御承知のように飛行機を利用する人たち年間約六千万人、延べでありますけれども、日本国民の二分の一ということであるだけに、これは非常に重要な問題だというふうに考えますので、ここでもう一度この問題を取り上げたわけであります。  そこで、まず基本的な認識として石原運輸大臣のお考えを伺いたいと思います。  文明には光と陰の部分があって、特に先端技術産業の分野ではそれが著しいというふうに思います。スリーマイル島、チェルノブイリ両原発事故、それからインドでボパールの化学薬品工場の爆発事故日本航空御巣鷹山事故等はその典型であると思います。これらの事故を見てみますと、二つの大きな特徴があると思います。一つは、人間の初歩的な、ささいなミスが思いもかけないようなつながり方をして大事故が発生していくということ、それから二つ目の特徴は、損害が甚大で、特に人的損害は当該企業や当該分野のこうむる損害はもとより、周辺住民、そして救援活動をする人など、各方面にわたる損害もまた極めて甚大である。そういう意味では、安全はまさに公共の問題だと言ってもいいと思います。  ところで、従来の安全対策は、事故が起こった後で原因を調べる、そしてその結果を再発防止に役立てる方法がとられてきたわけでありますが、この方法では機械系の問題のメカニズムの解明には役立ちますが、人間系の問題、人間の持っている問題については余りこれは有効ではない。人間の行動は機械のように結果からだけ演繹するわけにはいかない問題だと思います。そしてまた、事故が発生してから初めて調査が開始される点で、これはもう決定的に違うというふうに思います。巨大事故は未然に防止することこそ重要であって、その有力な事故防止の手がかりがインシデント・リポーティング・システム、安全報告制度であるというふうに考えます。したがって、安全報告制度が機能するためには、最も重要なことは、どうしたら人間のミスがかかわった情報をよりたくさん集められるかということだと思うんです。ですから、そのための組織づくりはこのような観点から考えられなければだめだというふうに思うんです。つまり、制度をつくることが先だということではなくて、情報が集まるようにしなければ制度だけつくっても何にもならないことだと思います。  安全報告制度で最も重要な情報は、これは人間のミスがかかわる情報ですから、事航空に関していえば、これは免許の取り消しだとか停止の行政処分、あるいは飛行の審査を行う、チェックをする運輸省や、人事権を持っている航空会社に、自分のミスのかかわった事故を、その具体的なことを報告するなんということは、これはほとんど考えられないと言ってもいいのではないかと思いますし、報告しろといっても、これはやっぱり困難なことだというふうに思うんです。もちろん運輸省や航空会社も航空の安全確保のために努力すべきことは当然でありますが、人的インシデント、冷やりとした、あるいははっとしたというようなそういうインシデントの情報を運輸省や航空会社関係で集めることには何としてもこれは無理がある。  私は、このような情報の報告先は、運輸省や航空会社から名実ともに完全に独立した組織でなければそういう情報は集まらないというふうに思います。形式的、法律的に運輸省や航空会社とは違う、あるいは単に通常の指揮命令系統から独立しているということだけではこれは集まらない。他方、実質的に独立している組織だからといっても報告はされるとは限らないというふうに思います。それは、自分のミスを報告するからには報告先に対する信頼関係がなくてはならないということだと思うんです。部外者だから言えるというものではないし、権力や権威で報告しろといっても、これはなかなか報告する気にはならない、また自発的意思に基づかなければ本当のことは言えないと思います。  そんなことをいろいろ考えていきますと、この報告制度の問題については、まず、どうしても飛行機を利用する人間がたくさんいるということからその必要性、そして完全に処分権だとか人事権だとかそういうものからの独立性、それから信頼性、それから報告者の自発性、こういったようなものでなければ真実の情報というものが集められないのではないかというふうに思うんですが、その点についての大臣のお考えをまず承りたいと思います。
  65. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 基本的には、菅野委員が御指摘の安全報告制度の意義については私も十分認識しておりますし、また非常に強く共感をいたします。  聞くところ、欧米の先進国でも国によってはこれを採用している国、また何らかの事情で採用していない国もあるようでございますが、何といっても人間にかかわる技術の進歩というのは、やはり体験というものを分析し踏まえて本当の進歩があるわけでございまして、そういう点では、事故に至らなかったとはいえインシデントというその体験は非常に貴重なものだと私は思います。また、これから大きな空港が日本の中にもあちこちできまして、ますます航空圏が過密になります。そういうときに私たちはやはりいろいろな技術を改良しなくてはいけませんが、そのためにもこういう報告というのは非常に貴重だと思います。  ただ、今御指摘のように、この制度そのものの独立性、管理というものの態様がいかにあるかということが非常に問題でありまして、それが担保されませんと、せっかくの報告も十全に行われ得ないという懸念もございますので、これからやはり関係者などと十分協議してこれを検討していきたいと思っております。
  66. 菅野久光

    ○菅野久光君 大臣もこの報告制度の重要性、そしてどんなことが大事かということをよく御存じであることを非常に心強く思っておりますが、きょうは質問と同時に、私なりにいろいろ考え、またいろんな方からのお話を聞いた点について提言もしたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  今申し上げませんでしたが、前のこの委員会でも当時の官房長官である後藤田さんにちょっとお尋ねをしたんですが、そのときに、  確かに航空機事故それから同時に原子力発電所あたりの事故あるいは先端産業、これから巨大なそういった大きな事故が発生するおそれが多分にある。そのときにアクシデントに至らざる前の段階で防止をするためには、小さな何といいますかインシデントというのですか、細かな積み重ねがもうたくさんあるわけですね。それを役所なんかのような従来のような組織の中では本当の姿が出てこないから対応策がとれませんよと、そこを考えなさいという御意見のように拝聴したのですが、間違いないでしょう、恐らく。   私も実は原子力事故でスリーマイル島の事故は直後に視察に参りました。確かにヒューマンファクター、小さな積み重ねですね、そういうようなことですから、やはり先ほど運輸大臣が御答弁なさったように、これは世界各国も今恐らくこういう問題については検討を進められておるんじゃないかと思いますが、そこらの検討結果も見ながら果たしてこれをどのような組織として組み入れていくかということは勉強、検討の課題としてひとつ今日の段階では受けとめさせていただきたいと、かように思います。 と当時の後藤田官房長官もそのようにおっしゃっておりますし、橋本前運輸大臣も、必要なことは必要だが、一体どういう組織をつくったらいいのかということは非常に難しい問題だし、検討しなければならないということもおっしゃっております。  そこで、航空振興財団がこの三月に「安全報告制度の導入のための調査報告書」というものを出されました。これについて若干御質問申し上げたいと思います。  運輸省は、昨年九月、安全報告制度について航空振興財団の中に検討委員会を設けて検討し、今申し上げたようにこの報告書がまとめられました。それを見てみますと、我が国での安全報告制度の導入について基本的な考え方として、まず、安全報告制度が安全対策として極めて有効であることを認めております。これを有効に機能させるための要件として「情報提供者に信頼されるシステムであり、航空関係者が自発的に自己の経験を報告し得る環境を作ること。」、そして「提供された情報が、その内容に応じて適切に関係者へフィードバックされること。」、この三十二ページにそのように報告がされております。また、三十五ページには、運航乗務員のみでなく「あらゆる関係者の情報をより多く集めて分析することが望ましい。」としております。 この点については私は一応評価しておりますが、この報告を受けて運輸省としてはどのようにお考えになっておられるのか、承りたいと思います。
  67. 林淳司

    政府委員林淳司君) 航空振興財団におきまして学識経験者による検討委員会をつくりまして、そこでただいま先生から要旨御指摘のような調査報告書が出たわけでございますが、私どもといたしましては、これでこの安全報告制度についての一つの具体的な方向づけが出されたというふうに考えておりまして、これをベースにいたしましてこれからより具体的な方策の検討を深めてまいりたいと考えております。
  68. 菅野久光

    ○菅野久光君 これをベースにしてということでありますから、それはベースにして考えるということが私も大事だというふうに思います。その基本的考え方の点では多少不足な点はありますけれども、一応評価をしたわけであります。それを受けて具体的に記述している内容について多々問題があると思っておりますので、それらの点についてお尋ねをいたします。  報告書は三十二ページで、安全報告制度の運営機関は、その情報の性質上、制度を設立しても報告が全く行われないという事態になることが予想されるとしながら、国の行政機関や航空会社通常の指揮命令系統から独立した組織としているのにすぎないわけです。つまり実質的には独立していないのではないか、いわゆる形式的、法律的に航空会社運輸省とは別なものであればよいということになるか、または全体を読んでみても、今まで航空会社のうちにあった報告制度は実質的には機能しているとは言いがたいものであるというふうに思います。これを社の外に出して統合して行わせるのではないかというような感じに受け取れるんですが、そこのところはどうでしょうか。
  69. 林淳司

    政府委員林淳司君) この制度が有効に作用するためには、先生指摘のように、監督権限を持った国の行政機関あるいは人事権その他を持っております航空会社ではなかなかうまく機能しないだろうということで、やはり独立性というものが要請されるということはこのレポートに書いてございます。  そこで、この報告書の中では、例えばということで、公益法人というふうな形も考えられるんではなかろうか、しかし公益法人といった場合、その公益法人の遂行します業務の関係でどうしても所管の官庁が出てくるということになると、やはり監督官庁とのかかわりが出てくるということもございます。したがってそれを避けるという意味であれば、あるいは任意団体ということも考えられるという一つの例示をしているわけでございますが、ただ、任意団体の場合には税制上の問題とかいろいろあって、財源対策についてまたいろいろ支障もあるかもわかりません。いろいろな問題がございますけれども、いずれにしても、そういう一つの公益法人ないしは任意団体というものを一つの例示としてこの報告書は掲げておるわけでございます。私どももその辺いろいろな実施主体について利害得失、要はきちっと機能することが大事でございますので、その機能し得るためにはどういう組織がいいかということをさらに深めてまいりたいと考えております。
  70. 菅野久光

    ○菅野久光君 法人の関係については、ちょっとまた後からお伺いいたしたいと思いますが、かつてアメリカのFAA、これは監督官庁なんですね、ここが安全報告制度を実施しようとしたわけですが、定期航空のパイロットの組織であるUSALPAほか関係団体がこぞって反対して、NASAに移管せざるを得なかったという事態となった貴重な教訓があることは、運輸省としても十分御承知だと思います。  昨年九月に運輸省が航空振興財団に安全報告制度検討委員会を設けたときに、日本の定期航空全六社の管理職以外の乗員で組織している日本乗員組合連絡会議が、運輸省等の行う安全報告制度には反対し、設立させない取り組みを行うことを幹事会で決定したというようなことを聞いております。全運輸省労働組合とか全気象労働組合等五十八の組合、三万五百名が加盟している航空安全会議が最近行った調査によりますと、これは四月二十一日に発表されましたが、運輸省は安全報告制度の導入に向けて航空振興財団に調査研究を依頼しているが、今進めているこの報告制度設立に対し賛成と答えたのは二〇%、反対が六八%、その他が一二%ということで、約八〇%がその他を含めて反対ということになっているわけです。  その理由は、この制度を運用するであろう機関が行政当局から完全に独立した第三者機関でないと思われるからという理由が第一位になっております。このほかに、この制度を運用するであろう機関に、行政が司法処分を行う権限を持った機関が絡んでくるように思われるからなどが挙げられております。これらのことをよく踏まえて組織をつくらないと、先ほど局長も言われましたが、肝心の情報源である関係者の協力が得られないのではないかというふうに思うんです。なかなかここのところが難しいところだと思うんですが、一番関係者人たちが集まっているこの連絡会議でそういうようなアンケートが出ているというこの前の発表について、どのようにお答えでしょうか。
  71. 林淳司

    政府委員林淳司君) 非常にそこが難しいところでございまして、一番私どもも頭を悩ませるところでございます。  結局、先ほど申しましたように、この制度が一番機能するということが基本でございますので、そういう観点から考えますと、確かにそのアンケートの結果のようなことにあるいはなるんではないかと思います。したがって、私どもといたしましても、運輸省という行政機関がこのことを直接行うということはもちろん考えておりませんし、それからまた、航空会社に現在社内報告制度はございますけれども、これも十分機能しておりませんので、航空会社の内部あるいはその強い影響のもとで行うということも適切ではなかろう、それとは別の何らかの独立した機関というものが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。恐らくその辺の具体的な独立性の方向がいろいろ検討されれば、またそのレポートするパイロット等の意識も変わってくるんではないかというふうに思いますし、まさにその辺がこの制度を成功させるかどうかのポイントではなかろうかというふうに考えております。
  72. 菅野久光

    ○菅野久光君 これは非常に大事で、組合だとか会社側だとか役所だとか、そういうことを全く抜きにしてどうやってこの制度をつくり上げるかということで、これはお互いに謙虚に考えていかなきゃならない問題だと思うんです。  それで、組織はつくったが問題のあるケースが幾つもあるわけです。例を一つ申し上げますが、例えば航空医学研究センターがそうだというふうに思うんです。これは私の聞いているところでは日本航空羽田沖事故の後に、昭和五十七年ですが、乗員の免許に必要な航空身体検査を適正に行わしめることが必要であるとの認識から運輸省の航空審議会、会長は土光さんですが、ここで昭和五十八年の十一月十七日に答申を行って、公正な第三者機関によって行わしめる必要があるということにしたんです。しかし、実際に設立されたこのための公益法人は、運輸省と航空振興財団、それから航空公害防止協会、航空保安協会とが中心になって船舶振興会と航空会社出資によって設立された、それが航空医学研究センターなんです。  その構成を見てみますと、理事長は航空振興財団から非常勤で、それから理事及び事務局長は航空局からのこれは天下り、業務課長と総務課長は航空会社からこれも天下り、そういうことで実質的にはこれは公正な第三者機関とはなっていないということになるわけです。形の上ではつくりましたが、派遣された人の構成を見ていくと、これは公正な第三者機関ということにはならない。 だから乗員からの信頼関係が得られないまま日本航空と全日空の乗員は、航空法上は他に運輸省の認める航空身体検査指定医があるにもかかわらず、事実上強制的にここで受けなければならないことになっております。  そして、この研究センターは当初から研究を柱に設立されていて、検査ばかりが厳しく行われていて日常の健康問題については配慮が及んでいないということなんです。一番大事なところが抜けているんじゃないかというふうに思うんです。このため種々の不都合な結果を生じておるわけです。乗員からは非常な不信があります。現に日本エアシステム、前の東亜国内航空、それと運輸省航空局のパイロットはここで航空身体検査を受けておりません。公正な第三者といいながら、実は船舶振興会、運輸省、航空会社から成っているわけです。しかも検査ばかり厳しくてフライトには関係のないような事項で落とされたりしているケースもあったというふうに聞いております。  今回の安全報告制度もこれと似たような方式になるのではないかという危惧の念を乗員が、乗員といっても先ほどの安全会議人たちが持っている。そういう意味では、前にこういったようなことがあるものですから、航空振興財団とかあるいは運輸省に対して非常な反発があるのではないかというふうに思いますが、この点についてはどのような御認識をお持ちでしょうか。
  73. 林淳司

    政府委員林淳司君) 御指摘の点につきましては若干ちょっとその両者では事情が違う点があろうかと思います。  安全報告制度につきましては、一つは乗員が非常に不安に思っておりますのは、結局不注意等によってレポートすればそれがひいては行政処分にはね返るんではなかろうか、これはまさに運輸省の職務権限でございます。それからさらには社内の人事考課等に響くんではなかろうかという意味から、監督権限を持つ運輸省あるいは航空会社から独立したところでやっていく必要があるということでございます。  それに対しまして先ほど先生指摘の航空医学研究センター、これはどちらかといいますと、昭和五十七年の羽田沖事故に際しまして、会社の中の社内の健康管理その他の面で社内の体制ではなかなかうまくいかないんじゃないか、やはり会社の内部だとどうしてもそこに問題が生ずるんではなかろうか、航空機の乗務員というのは非常に重要な身体上の状況が要請されますので、したがって、会社とは独立した形で身体検査というものを十分チェックしていく必要があるんではなかろうかという観点から提言がなされ、さらに航空医学研究センターが会社と独立した形で設けられたということでございます。これは運輸省との関係におきましては、運輸省はそこは厳しく身体検査の実施についてはチェックをしていく責務を持っておりますので、特に運輸省との間に関係があるわけではなくて、むしろ会社から独立した形で重要な業務を遂行する必要があるという認識でつくられたものでございます。したがって、この両者の間は若干その点で事情が異なるのではなかろうかと考えております。
  74. 菅野久光

    ○菅野久光君 もちろん、この報告制度の問題とそれとは違うけれども、公正な第三者機関というようなことで運輸省とかあるいは航空会社がかかわれば、今申し上げたようなことで言われていることと実際にやっていることとの間に相当な違いがある。この研究センターなんかはもう本当に検査ばかり。それはある大学か何かがかかわっていてその大学の研究資料のような形で、本当の意味の健康問題についての配慮というのがないというようなことなんです。ですから、本来的にこれが言われるように胸を張って言えるようなそういうものであれば、日本エアシステム、それから運輸省の航空局のパイロットも当然そこで指定医の問題については考え直してやらなければならない問題じゃないかなというふうに思うのですが、そういうように非常にそのことも乗員の間では不信感の一つの原因になっているという話を聞いておりますから、その点は十分に留意をしていただきたいと思います。  そこで、航空会社からの独立性の問題についても同じであります。航空会社内の安全報告制度では、これは報告された内容が過失に関するものであっても責任を問うたり、処分はしないというふうに明言しているんです。それにもかかわらず報告はほとんど行われていない。この調査報告書の中でも十一ページに、昭和五十七年の七月から六十三年の二月までの五年八カ月で百七十七件報告されている。しかし、それは全部が乗員のミスがかかわっているものではない、いわゆる報告のあったものということで百七十七件ということです。わずかなものになってしまわざるを得ない。  そこで、航空安全会議の調査結果を見てみますと、いつも報告するというのはわずかに六・六%、いつもしないというのは二八・五%、関係者に不利益が生じないと思われるケースのみ報告している。例えば旅客の発病等が含まれると思うがというのが五六・二%です。言えば、報告してもらわなくてもいいようなものが報告されているということにもなるのかもしれません。その他八・七%ということで、その理由は、過去の事故、インシデントの関係者に対する会社の取り扱いに不信感、疑問を持っているが第一位になっている。これは過去にインシデントが発生したことがマスコミに報道されたときに、会社が当該乗員に無理やり記者会見をさせたことがあることなどが影響していると考えられるということなんです。  この振興財団の報告書を見ますと、運営機関は公益法人が望ましいが、それが無理な場合には任意団体、例えば定期航空会社等により構成される委員会というふうになっておりますが、このフィードバックの方法も具体的方法としては航空会社の職員については安全情報類を担当する組織へレポートを送付し、各乗員へのフィードバックは各社にゆだねることとする、このようになっています。これでは全く会社のひもつきになり、フィードバックでさえ各社の選択の余地が残されているということになるのではないでしょうか。日本の定期航空の乗員は合計しても約五千名、インシデントの内容を具体的に書いて報告すれば、たとえ名前を書かないでもそれがだれかということがおよそ見当がつくということなんです。直接これによって過失の責任を問われないまでも、人事考課やパイロットの資格の審査に影響するのではないかと報告者は警戒をするということなんです。  チェックが適正に行われているのならよいけれども、乗員の側からは納得できない実情にあることはアンケート調査の結果を見ればよくわかると思います。この報告書が考えているような安全報告制度をつくれば報告が行われるということであれば、現在でも社内に報告されているのではないかというふうに思うんです。そういう意味では、この振興財団が今想定しているような実施機関では報告はされないで、何か形だけのものになるのではないかという心配をどうしてもせざるを得ない。これは全く安全という観点から見れば憂慮せざるを得ないというふうに思います。基本的な考え方と具体的な内容との間にそごが出ないようにこれをきちっとしなきゃならぬというふうに思うわけです。  そこで、先ほど幾つかのアンケートの結果について申し上げましたが、先ほど私も申し上げましたように、この安全報告制度というのは、思想だとか信条だとか組合だとか会社だとかということではなくて、みんなで知恵を集めて本当にこの報告制度が機能するものにしていかなければならない、言えば、お互いに対立するような問題ではないと思うわけですから、事実に対して謙虚になっていかなければならないのではないかと思います。  そこで、公益法人の問題でありますが、振興財団報告書は、実施機関は公益法人が望ましいが、その設立または活用が困難な場合云々と述べて、公益法人が望ましいというふうにされております。私も安全報告制度を運輸省や航空会社から独立して反復恒常的に実施するためには、多額の基金が必要であるから、公益法人、試験研究法人といいますか、そういうものにすることが望ましいというふうに思います。まず、新たに設立する場合について考えてみますと、運輸省は公益法人設立認可の主務官庁はどこの省庁であると考えておられるのか、そこをちょっと初めにお伺いいたしたいと思います。
  75. 林淳司

    政府委員林淳司君) なかなか難しいところでございますが、航行の安全という問題を所管しておりますのは運輸省でございますので、そういう関係の業務を行う公益法人ということになれば主務官庁は運輸省になるというのが通常考え方であろうかと思います。  ただその場合、では運輸省が先ほど申しましたように航空法上の監督権限を持っておるということとの関連で、果たして独立性が確保、担保できるかどうかということになるわけでございます。これについては、実は先般も宮城さんとその点大分長時間にわたっていろいろお話をしたのでございますけれども、その辺については具体的に公益法人でいけるのか、あるいは先ほど申しましたように監督権限との関係で非常に難しいならばあるいは別途の任意団体という形にするのか、その場合に財源を一体どうやって、財政的にはどうやって賄っていくのか、そういう一つの具体的なイメージをつくり上げてみて、その上で実際にレポートをしてくれる運航乗務員等の意識というものを十分探ってみる必要があるんじゃないか、抽象的な議論をしていてももうしようがないんで、むしろ具体的なイメージをつくりつつ意識を探っていくという形で進めていく必要があるんじゃなかろうかというふうな話も、実はこの間私は宮城さんとしたわけでございます。ちょっと先生の御質問の趣旨を逸脱いたしましたが、そういう感じを持っている次第でございます。
  76. 菅野久光

    ○菅野久光君 航空の問題ですから、常識的に言えば運輸省じゃないかということになるんだと思うんですけれども、石原大臣や林航空局長に個人的に不信感があるということじゃないんでしょうが、今までの行政のあり方から見て、運輸省がかかわったのでは、これはやはり第三者機関として本当に安心して真実を報告するなんということにならないというのが、今の実際報告する人たちのほとんどの考え方だということを十分に考えていかなきゃならないというふうに思うんです。しかし、これはつくらにゃならぬ。つくらなきゃならないときに、では運輸省は何もしなくてもいいのかということにはやっぱりならないと思うんです。運輸省が認可をするということではなく、運輸省がどこにどうするかはこれからの問題だと思うんですけれども、そういう方向に行くような側面的な援助といいますか、そういうことは運輸省としてもぜひこれからやっていただかなければならないと思うんです。この法人設立の問題について今局長とちょと私やりとりいたしましたが、大臣、いかがでしょうか。
  77. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) おっしゃいますとおり、運輸省という名前が出ますと、それはやはり報告する方の意識として非常にちゅうちょされるのは当然だと思います。言ってみると、キリスト教の教会でよくやるざんげの聴聞みたいなものでありますから、そういう告白、ざんげの守秘義務というのはあるわけでありまして、その免責もきちっと担保されませんと、されるべき報告が一向に行われないということになります。これは非常に難しい問題ですけれども、例えば交通安全対策というのは総務庁が今担当しておられますし、私は運輸省が側面から幾ら協力するにしても、表面に出ない方がこれはもうはるかに望ましいと思います。
  78. 菅野久光

    ○菅野久光君 今大臣からも、そういう表に出ない方が望ましいんじゃないかという答弁をいただきました。本当に協力ということにはなるだろうというふうに思いますが、私も今までこの問題にずっとかかわってまいりまして、非常に重要な問題であるだけに、先ほど言いましたように、もう思想、信条だとか組合だとか会社だとか運輸省だとか、そういう立場というものの壁を越えて真実の情報が集まるような組織にしていかなきゃならぬということで、先ほど林局長の方からもお話が出ましたが、既に航空安全報告制度の理念を持って、これを実施している民間の研究団体があるわけです。それで、乗員からも航空管制官からもミスにかかわる情報を千件以上集収して、その分析手法、分析結果について学術的にも高い評価を得ている民間の研究組織、これは航空法調査研究会という名称ですが、これを私は継続反復して実施できる体制をつくっていくことが一番適切だし、早いのではないかというふうに思うんです。この研究会は、先ほど来からいろいろ言っておりますように、運輸省とか航空会社というところに一切かかわらない独立したところで、報告者である乗員や管制官からの信頼を得て、言えば公平、公正な第三者の立場から学術的にも非常に高い水準で行っているところであります。  ここにその研究成果が出されておりますが、「航空法務研究」というこういう本です。大臣はごらんになったことがないかと思いますが、実はここで、五十五年には「航空機事故防止のための提言」ということで運輸大臣に提言をされております。五十八年には「航空の安全確保のための提言」ということで、同じく運輸大臣に提言をされております。  この研究会は、四十三年の二月に設立されてもう二十年になるわけです。五十九年からは財団法人トヨタ財団の研究助成を得て研究をしているところでございます。  例えば、昭和六十年度の推薦理由をちょっと読み上げますと、   IRS(安全報告制度)は、飛行機事故の防止のため、極めて重要なものであると考える。事故の事後調査では知り得ない重要な情報が得られるからである。しかし、諸般の事情から、わが国ではこれを実施し得ない。昨年度の予備調査でIRS(安全報告制度)の重要性がさらに明らかとなり、本年度は本格的な調査を試みる。先人のよくなし得なかった難関に挑戦することは画期的なことで、研究態度とその解明のあり方を高く評価する。この研究における考え方、方法も非常に優れたものである。回答者との信頼関係を保持し、信憑性あるデータを確保できれば関係方面に多大の情報を与えるであろう。 これが推薦理由書でありまして、その選考委員長が加藤一郎東大名誉教授です。  こういう民間の実際研究をなさっているところがあるわけです。この本も「航空法務研究」ということで有斐閣から出ておるわけでありますが、また近く研究成果と改善策についての提言が行われると聞いております。大臣のところへも、何か本ができるようでありますから本を持ってお訪ねされるのではないかと思います。こういうような民間の組織が実際に機能している。こういう研究について全乗員に本を送って、まさに研究の成果をフィードバックしているというようなこともお聞きをしております。そういうことなどを含めて民間での研究、民活民活ということで随分言われてきたわけでありますから、これを活用すべきではないかと思うわけでありますけれども、その点を私はきょうぜひ提言をしたいということなんです。いかがでしょうか。
  79. 林淳司

    政府委員林淳司君) 先ほど来たびたび申し上げておりますように、要は運航乗務員等から有効に情報が集まる、有効に機能するということであろうかと思いますので、そういう考え方を基本に置きまして、ただいまの先生の御意見も十分参考にさせていただきながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  80. 菅野久光

    ○菅野久光君 私も今までこれにかかわってきてこれで三度目のこの席での質問でありますので、ぜひ石原大臣のときにこの制度が発足できるような、そういうことをやり遂げていただきたい。先ほど申し上げました青函トンネル、そして本四架橋、それに続いてこの安全報告制度ということが発足できれば、石原大臣の功績というものがずっと長く残っていくのではないかと思いますので、そのことを強く御期待申し上げておきたいと思います。  次に、清算事業団の関係についてお尋ねをいたします。  予定の時間がちょっと短くなりましたが、昨年の四月に分割・民営化されて一年たちました。先ほど光と陰ということを申し上げましたが、JRと清算事業団の雇用対策部にいる者とではまさに光と陰の部分ではないかというふうに思います。運輸委員会などでもその実情等について大臣もお聞きになっておられまして、三月二十八日の運輸委員会で安恒委員質問に答えて、「きざなことを言うわけじゃありませんけれども、ゲーテの言葉に、人間はすべてのことに耐えられるけれども、唯一耐えられないものは安逸無為の日々を送ることだとありますけれども、」という御答弁をされておりますが、清算事業団の雇用対策部におる者は安逸じゃないんです、不安と無為なんです。  ですから私は、大臣がここで言われたこと以上に大変な状況の中で今再就職の問題について考えられているというふうに思いますが、清算事業団の雇用対策について、私もいろいろ調べていきますと、とにかく「月刊アルバイトニュース」だとかあるいは「QGCクルー」など市販されている求人情報を毎日点呼で伝えるだけだというようなことが言われております。しかも、これらのところは年齢制限で二十歳とか三十歳、あるいは三十歳代から四十歳というところがありますが、何といっても二十歳から三十歳までの代が一番多いんです。問題なのは賃金面なんです。十万とか十二万程度が多くてとても家族が生活していくということにはならない。現行から見ると五万円程度安いというようなことも言われております。  何でも就職さえ世話をすればいいということではないと思うんです。一人の職員も路頭に迷わせないということは、ある程度賃金面のことも考えた、生活も考えた上での路頭に迷わせないことではないかと思うんです。一体この雇用対策の問題で清算事業団としてどのようなことを考えてやっておられるのか、本当に聞くとびっくりするようなことがあります。最もひどいのは、やくざが経営するような企業まであっせんしたということなども聞いておるわけです。本当に真剣にやられているのかどうか、まず、理事長からその点についてお伺いいたしたいと思います。
  81. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 昨年の四月に事業団が発足をいたした時点におきまして、それまでの間大変各方面の御支援をいただきまして、予想いたしました職員の数をはるかに下回る職員でスタートすることができました。引き続き事業団といたしましてもこの雇用対策に全力を傾注して今日までまいったわけでございます。  数字的に申し上げますれば、雇用を必要とする人が、昨年の四月一日では七千六百二十八人でございましたが、この一年間におきまして二千八百五十五人が他に就職等転職をいたしまして、現時点におきまする雇用対策必要の数が四千七百七十三名ということに相なりました。この間三七・四%の職員が他へ就職をしているというのが現状でございます。しかしながら、残されましたこの四千七百七十三名、こうした職員をあと二年間で完全に就職させる、これが我々の最大の責務であるわけであります。しかしながら、この数字の中を見ますると、非常に問題なのは、その八六%を占める数の職員が北海道と九州に極めて偏在をしているという事情でございます。  御承知のように、北海道、九州の雇用事情全般でございますが、雇用事情あるいは経済全体の問題としましては、本州等に比べましてやはりどうしても落ちるということでございますので、何とか道内あるいは九州内で雇用の場を見つけて、職員の希望が地域定着型が非常に多いわけでありますので、そうした職業をあっせんするべく一生懸命やっておりますが、今先生指摘のように賃金水準というような問題等もありまして、どうもなかなか本人の意向と採用側の意向とが合わないということで、地域外の就職が非常に難しくなっております。そういうことに対しまして、これだけの大きな人数を抱えておる立場といたしましては、やはり本州へ来てくださいという、いわば広域異動的な形でやることが最大の課題ではないかというふうに思うわけでございますが、これはもう今までやってまいりました経験からいいましてなかなか難しいことでございます。しかしながら、いずれにいたしましても地域内におきまする雇用のあっせん、あるいはまた本州へ向けての広域異動のあっせん等々な通じまして、一生懸命これからも努力をいたしてまいりたいと考えております。
  82. 菅野久光

    ○菅野久光君 今理事長は、当初の予想を下回る人員で発足をしたというか、そういうようなことを言われましたね。なぜ予想を下回るような人員になったんですか。
  83. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 昭和六十一年度の方向といたしまして希望退職制度というものを採用いたしました。これは法律をもって、特段の措置をもち、希望退職者を募ったわけでございます。そうした希望退職の目標を二万人ということで募集をいたしましたが、国鉄改革のあらしの中で職員の気持ちというものがその希望退職にかなり傾いた実績もございまして、結果的にはその二万人の目標をかなりオーバーする二倍程度の職員の希望退職が出たわけでございます。  当初、清算事業団の方に職員が参ります人数は四万一千人、こうした職員の雇用対策が必要だと想定をいたしましたが、希望退職者の増大ということによりましてこの数字が対照的に半減いたしました。こういうことでございます。
  84. 菅野久光

    ○菅野久光君 希望退職がふえたので、それで当初の予想よりもはるかに少なくなったということなんですが、希望退職なんですが、本当の希望退職、うその希望退職といえばちょっと言葉が適切ではありませんが、清算事業団でのいろいろなやり方といったようなものを見て嫌気が差したというか、そういうことで、もうこれからそこに踏みとどまってというような気持ちにならない、そういうようなことなども私は聞いておりますし、またそのことをあなたたちも願っていた節があったのではないかと思わざるを得ないことも、これも事実としてあります。ですから、それがあなたたちの思惑どおりになってきたということなのかもしれませんが、しかしその間に至る問題というのは、これは本当に多々あります。言えば、人間のやることじゃないというテレビのせりふがありますけれども、そういうようなことも現実的に行われていたようであります。  北海道の地労委で、「元国鉄助役が「選別採用」証言 私たちは国労を排除した」ということを元管理職の人が証言をしております。あなたたちが何と強弁しようと、それはみんなが感じていたことだし、やっぱりそうだったかということになるわけで、これはまた後から聞きたいと思いますが、家族の人たちは次のようなことを言っております。   つい先日のこと、長男が汽車の絵をかくために幼稚園から駅に連れていってもらい、汽車の見学と、お話を聞かせていただいたとか…。夕方、お父さんに会うなり「お父さんいなかったがねえ」と、その言葉が物すごく悲しくて仕方ありませんでした。「お父さんのお仕事は線路のお仕事」と小さいときから教え込んでいたため、駅に行けばお父さんに会えるものと信じていたのでしょう。わたしは何と言ってよいかわかりませんでした。   家庭で一番大きな存在のお父さんのお仕事を、堂々と教えられる日が早く来るよう願っています。 これは清算事業団職員の奥さんの手紙です。  北海道と九州に非常にたくさんの人たちがまだ残っている。この人たちを一年過ぎたわけですからあと二年後にどうしても再就職をさせなければならない。そのための一つの方途としては、北海道と九州は満杯ということですが、しかしJR各社は必ずしもそうでないようであります。広域採用の問題があると思うんですが、その広域採用の問題についてはどのようにお考えでしょうか。
  85. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 先ほどもお答えの中で申し上げましたように、残された四千七百名、特に北海道におきましてはその中で二千五百十九名の職員が残っておるわけでありますが、こうした職員を何とか就職させるということの一つの大きな方向としましては、先ほど申し上げましたように広域採用ということがどうしても必要になってくると思います。  この広域採用、特に関連企業あるいはJR各社ということでございますが、昨年JR各社に要請をいたしまして、特に北海道、九州の職員を本州の旅客三社並びに四国及び貨物JRの各社に採用を要請いたしまして、大いに努力をいたしたところでございます。ただ、いろいろな困難な事情が背景にあることも十分承知しておりますが、なかなかここに応募をいたす数が少ない。昨年、JR各社に要請をいたしました結果の応募者としましては千二百三十名しか出なかったというような実情がございまして、故郷を離れる、違った国へ行って永住するということがいかに困難であるかということがわかるかと思います。そうした応募者が少ない中でさらにまた採用を決定いたしたわけでありますが、その決定をした後におきましても、どうもやはりもう一回考え直すと行かれないということで、二百六十人の辞退者が出たというようなことが昨年行われてきたわけでございます。  そういうことで、広域採用というものは、JR各社に対しましてもあるいはJR以外の会社に対しましても、地域志向型という職員の気持ちからいたしますとなかなか難しいことであるということが過去一年間の実績でわかってきたわけであります。しかし、何とかその辺の気持ちなりあるいは条件というものをすっかり整備をいたしておりますが、一人一人の気持ちをさらに確認しながらできるだけ広域の再就職に向けて今後も努力をしていきたいというのが私の現在の気持ちでございます。
  86. 菅野久光

    ○菅野久光君 広域採用の問題について、昨年はそういう状況だった、ことしはどのように考えていますか。
  87. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 今も申し上げました中で言っているつもりでございますが、ことし、来年、あと二年間で解決をしなきゃならない最大の課題が広域採用という方法であろうというふうに考えております。したがいまして、各職員の一人一人の進路指導の中でこの広域に対する気持ちというものを再度また確認をしつつ、本州各方面に行く気持ちはないかということの確認を一人一人ひざ詰め談判で親身になって話を進めていく、そういうことの中から広域への気持ちを動かして人数を一人一人積み重ねていくというふうにこれからやっていきたいと思っております。
  88. 菅野久光

    ○菅野久光君 去年は去年の状況ですね。ことしはことしの状況。人間の環境というのはそのときそのとき変わるわけです。例えば寝たきりの老人を抱えている家庭がその後老人が亡くなったというようなことや、あるいは子供が学校に行っている、その子供も学校を卒業しただとか、いろいろそのときそのときで状況は変わってくるわけです。ですから、一日も早く広域採用の問題についてきちっとした方針を立ててやってもらいたいと思うんです。現実的に去年の状況とことしの状況、私もいろいろ清算事業団にいる人たちの話を聞いても、気持ちも変わってきています。去年そうだったからことしもそうじゃないかということじゃないんです。しかも二年間責任を持たなきゃいかぬし、そしてその人たちの給料は今は国で払っているわけでしょう、そうですね。ですから、ここは決算委員会ですから、国民の税金を、むだにとは言わぬけれども、できるだけ軽減していくということが必要なことだ。そのためには三年間で全員を就職させるという計画だけれども、一日でも早くあの雇用対策に一人もいなくなることが一番望ましいことなんです。そのためにひとつ全力を挙げてやってもらいたいと思うんです。  総務庁、自治省も来ていると思いますが、総務庁、六十三年度、六十四年度であと何名ぐらい採用できる予定なのか、それから自治省の方もどの程度の数を採用できる予定なのか、その予定数を、時間がありませんからひとつ言ってください。
  89. 佐藤正紀

    説明員佐藤正紀君) 国、特殊法人等につきましては、昨年六月の再就職促進基本計画に基づきまして既に内定しております方々を着実に採用するとともに、それ以外の方々につきましても清算事業団から要望がありました場合には各省庁の実情に応じまして個別に対応してまいりたい、かように考えております。
  90. 古居儔治

    説明員(古居儔治君) 自治省といたしましても、現在内定している方々を着実に採用していただくように要請をしております。また今後、何名ぐらいを目標にいたしているかというお話ではございましたけれども、既に地方公共団体といたしましては厳しい定員管理の中で最大限の努力をしていただいた結果だと思っておりまして、私ども実は要請を引き続きいたしております。今後地方課長会議あるいは総務部長会議等の機会を見つけまして、引き続き御理解と御協力をいただくように地方公共団体に要請してまいりたいというふうに考えておりますけれども、具体的に何人ぐらいを採用できるかという点につきましては、まだ具体的に数字を申し上げられるような段階ではございません。
  91. 菅野久光

    ○菅野久光君 当初の計画があるわけですけれども、その後総体の人数が減ったということでいろいろあると思うんです。しかし、これはいずれにしろ国の責任ということでやることになっているわけですから、この取りまとめは総務庁ですが、運輸省のこれは雇用対策部ですか、何か運輸省の中にもこの関係がありますね。どのようにお考えでしょうか。
  92. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 私どもの組織の正式な名前は、私どもの方では国有鉄道改革推進部というのがございますが、その中に再就職対策室というのがございます。それで、清算事業団が行っております雇用対策につきましての指導といいますか、それがうまくいくようにということで私どもの立場から清算事業団を指導しているところでございます。  この問題につきましては、先ほど来清算事業団からるる御説明いたしておりますけれども、基本的にはあと二年間の間でできるだけ広域的なそういう再就職の場を見つけていただき、そこでミスマッチの起こらないように、できるだけ早い機会に新しい就職口を見つけていただくように最大限の努力をしていただきたいと思っておりますし、そのように清算事業団に対して今後とも強く指導してまいりたいと思っております。
  93. 菅野久光

    ○菅野久光君 この問題は、JRに分割したときの基本計画があるんですが、北海道と九州は満度だが、ほかのJRはあの基本計画よりはるかに下回った人数なんですね。そこで発足しているわけです。そして黒字だ黒字だということになっているわけですけれども、こことの関係はどうしても国民の中ではこれは納得ができない。そこの関係をちゃんとやれば、広域採用の問題もいろいろありますけれども、もっと何とかなるんじゃないかという考え方が率直にこれはあります。  そこで、各JR会社関連企業をいろいろやっているわけですけれども、企業をやれば当然そこに人が必要になってくるわけです。これは九十一号の二十条、二十一条との関係などを含めてやはり優先採用ということが当然あってしかるべきではないかと思いますが、理事長、私はまだ分割・民営の前にここで職員の管理調書の問題を問題にしたことがあります。これから民間だとか各公的部門なんかに就職をお願いしなきゃならないのに、そこでふるい分けるような調書などはつくるべきでない、今までやってこないのになぜ今やらなきゃならぬのだということを私は理事長に言ったことがあるんです。それをあなたたちはあえてやった。その中で、先ほど申し上げました地労委での「私たちは国労を排除した」という中にそのことが明確に出ているんです。 国労というだけで点数をがたっと下げて、国労から抜けて別な組織に行ったといったら点数をぐんと上げた、そういうことが今日の事業団にいる人たちの就職に大きな妨げになっているのではないかと私は思わざるを得ない。  そういう意味では、当時の国鉄当局のやったことは重大な問題として私はどうしても指摘せざるを得ない。そして、当時の国鉄の幹部の人たちがみんなそれぞれのJRの人事担当のところにいるわけでしょう。だから、今清算事業団にいるのは九九%ぐらいは国労の人たちだ。この人たちをJRに入れないようにしよう、みんなで手を組んでそうやっているわけでしょう。それは当時の総裁としてのあなたの責任じゃないかというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。
  94. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 一昨年、昨年にかけまして国会等におきまして、国鉄改革問題の法案あるいはその他の課題につきまして、今先生おっしゃいましたような御質問をかなり受けております。私は終始一貫、組合の差別ということは絶対にいたしておりません、組合であるからといって差別ということなし、全くの公平平等な気持ちで各組合に提案をし、各組合から意見を聞き、その間に不明朗なことは一切ありませんということを再三再四お答えを申し続けてきたわけであります。現在でも私は、そうしたことが末端にまで行き渡ってやってきたんだというふうに確信を抱いておるところでございまして、その間にいろいろな問題が発生をし、裁判の問題等もございまするが、私自身の気持ちとしましては今申し上げましたようなところでやってきたつもりであります。
  95. 菅野久光

    ○菅野久光君 終わります。
  96. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  97. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十年度決算外二件を議題とし、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 守住有信

    守住有信君 石原運輸大臣、長い間私は運輸行政、運輸政策を通じて、いろんな予算を通じて積み上げがございましたが、私はきょうは地方地域の問題の実態と申しますか、そういう角度から幾つかの例を挙げて政府委員の方にお尋ねをしたいと思っておりますので、その論議をお聞き取りいただきまして、後で新運輸大臣としての……。特に地方の分権と申しますか、規制の緩和の問題が一方では流れておりますけれども、これはトラック業界等々考えますと非常に問題があると思っております。むしろ私は地方分権、都道府県に対しますところの運輸省の権限移譲と申しますか、地方の実態、地方開発に即した、あるいは地方分散等々いろいろな大きなテーマがあるわけでございますけれども、そういう意味でお聞き取りをいただきたいと思うわけでございます。  第一点、まずは飛行場の問題から入らせていただきます。  熊本空港、昭和四十六年でございますか、二千五百メートル滑走路で、地方空港としてできまして、その後、五十年代に入って三千メートルというふうになりましたが、なお非常に欠航率が高いというので、これは県議会でも、あるいは県内の各利用者からも、産業界からもいろいろ声が出ておるわけでございます。そこで、事実としまして、欠航率あるいは欠航便数が一体どうなっておるであろうかということをまずお尋ねしたいわけでございます。
  99. 林淳司

    政府委員林淳司君) 熊本空港につきましては、年間を通じますと欠航率は大体二%程度ということで、九州のほかの空港に比較いたしまして若干高いという状況にございます。ただ、特に霧の発生の多い春から初夏にかけましては欠航率が高くなりまして、ほかの要因による欠航も含めますと五%を超す月もあるというのが現在の実態でございます。
  100. 守住有信

    守住有信君 私もお聞きいたしましたところ、五十九年度が二・三%、六十年度が二・五%、六十一年度が二・七%で、六十二年度はまだ把握しておりません。これはパーセントで二%程度と言いますけれども、便数で見ますと、往復で機材の関係がございますから一便と見て二百五、六十便、だんだんこのパーセントも実は上がりつつあるわけでございます。九州で長崎空港がございますが、あれは離島というものを含めたところの欠航率でございますので、鹿児島空港あるいは福岡空港等々と比較した方がいいんじゃないか。  これに対しまして、私が昨年お聞きしましたところ、いわゆる飛行場の飛行機に対します誘導レーダーが、今まではアナログ型であった、そしていろんな通信の世界は全部ディジタル化でございますが、この誘導レーダーについてもディジタル化の実験、これは何も霧の問題だけではないと思いますけれども、そういうディジタル化の中で、飛行機が飛行場の中に入ってまいります場合に、いろいろな、幅が広くなるとか、あるいは滑走路の入路の上空百二十メートルでございますか、そういう誘導レーダーでパイロットがそのレーダーに連れられて入ってくる。そういう意味でも、今後、まだ実験でございますけれども、この欠航率、霧が多いという面がございますが、その中でパイロットが自信を持ってマニュアルに従いながらも入路ができる、こういうものの何か一助になるんじゃないか。  あるいはまた、六十三年度、いろいろ気象条件をお調べになるようでございます。県も一生懸命これに協力しておるわけでございますが、その中でどのような、例えて言いますと、あと五百メートル滑走路を延ばせばパイロットは自信を持って着陸ができる、こういうことにも影響するんじゃないか、いい面が出てくるんじゃないかと思っております。その面の見通しと申しますか、今後のお取り組み、まだ決まっていないけれども、どういう構想をお持ちなのか、これをお尋ねしたいと思うわけでございます。
  101. 林淳司

    政府委員林淳司君) 熊本空港がほかの空港に比べまして欠航率がかなり高い原因といたしまして、いわゆる海霧でございますか、海で発生する霧がその滑走路の進入の末端にちょうど地形的にたまる、こういう特異な現象がある、それが原因なわけでございます。  六十一年度、六十二年度におきましては、熊本県の方で欠航要因の把握でありますとか、あるいは気象観測といったものを行ってきたわけでございますが、六十三年度におきましては、国におきまして霧の発生メカニズムといったものについての調査を行う予定にしております。その調査の結果、今後有効な対策を考えてまいりたいというふうに考えているわけでございまして、先生ただいま御指摘のように、滑走路を少し移動するということも一つの案でございましょう。いずれにしても、六十三年度の調査の結果を待って有効な対策を考えたいと思っております。  それから、ただいま御指摘のMLSでございますけれども、これにつきましては、現在計器着陸装置はいわゆるINSでございます。これにかわる新しい装置といたしましてMLSがあるわけでございますが、これは現在、まさに熊本空港におきまして私ども運輸省の電子航法研究所による運用評価を実施しておるわけでございます。このMLSにつきましては、国際民間航空機関の計画によりますと、今から十年後でございますが、昭和七十三年以降、このMLSがINSにかわってプライマリーシステムになるということでございまして、さらに昭和七十五年以降はすべてMLSにかえるということになっております。  我が国といたしましても、この計画に沿ってMLSの整備をやりたいということで、現在まさに熊本空港で運用評価を行っておるわけでございます。このMLSの運用方式につきまして、当初は現在のINSと同等のレベルで運用を始めるわけでございますけれども、逐次その運用の高度化を進めてまいるということでありまして、着陸条件の緩和を図っていくということになるわけでございます。あるいは、さらには曲線進入方式ということで、地形的ないろんな問題を避けて曲線で入っていくということも可能になります。そういう運用の高度化が可能な段階になりました場合には、航空機の就航率の改善といったことにも非常に大きな効果を発掘するものであろうと考えているわけでございます。
  102. 守住有信

    守住有信君 私ども非常にやはり熊本経済は、東京、大阪、商圏はあちらでございます。一点集中に批判をいたしておりますが、実態は東京、大阪中心でございますので、この飛行機による効用というのが非常に大きいわけでございます。一方、欠航率が高い。羽田でだめならまだ乗客、利用者は理解ができるわけでございますが、離陸をして、最後は板付空港に着かなきゃならぬという実態が幅広くあるわけでございまして、実は乗客と全日空や東亜の職員との間で板付空港で口論が起こっておる、こういうことが現実にだんだんと多くなっており、心配をいたしております。  それから同時に、私なんかは技術的によくわかりませんが、こういう意見もございます。航空研究所でレーザー光線を使った——パイロットに対しまして飛行場の方からレーザー光線が出まして、パイロットはレーザーを予防できる眼鏡をつけまして、そして霧があっても雲があっても滑走路ははっきり見える、こういうふうな研究開発も必要ではないか、素人の考えでございますけれども。この技術革新の世の中、航空研究所や電子航法研究所はいろいろお取り組みでございますので、そういう点も私は、ただ単に思いつきでございますけれども、一言申し上げたいほどこの欠航問題が大きな問題になっておるということを一言申し上げた次第でございます。  それから、もう一つが運賃の問題でございます。いろいろお聞きし、調べましたところ、板付空港との間には航路の距離が余り差がないようでございますけれども現実には板付空港と羽田との間、羽田と熊本空港の間が熊本空港は二千百円ですか、高い、そしてキロ数は三十六キロぐらいしか熊本空港の方が長くはない、こういうこともあるわけでございます。そういう運賃の問題、これは国際航空運賃につきましても大きな論議になっております。国内航空運賃につきましても、地方の時代、地域間競争とかいろいろ言われております。その運賃の賃率の決め方も私はお聞きしましたので今お尋ねはしないわけでございますが、そういう中で、運賃政策としてバランスのとれた運賃の合理的理由はわかりますが、同時に他方で運賃政策論議として、例えばこの間NTTの遠距離の電話料金、特に離島につきまして、例えば沖縄の場合、離島ではなくて鹿児島県に隣接しておる、こういうとらえ方であの離島に対します電話料金はぐっと下げたわけでございます。そういうまさしく地方振興のための特別の政策的な判断を何らか加味していく運賃体系づくりということについても私の頭では動くわけでございますが、こういう点に対してのお考えはいかがでございましょうか。
  103. 林淳司

    政府委員林淳司君) 国内航空旅客運賃の設定に当たりましては、路線ごとの採算を考慮いたしまして、距離でありますとか、あるいは需要の大きさ、それからさらに使用機材、これは小さい小型機であるかあるいは大型機であるかといったような使用機材、それから季節波動がどの程度あるかといったようなそれぞれの路線の特性を極力反映させながら、基本的にはその路線ごとのコストというものを考えるわけでございますが、さらに全体として企業全体の収支を償うよう、そういう観点も加味して運賃はそれぞれ設定されているわけでございます。  運賃の設定の仕方につきまして、先生指摘のように地域振興という視点を加味するということにつきましては、これは国土政策という点からは理解し得るところでございますけれども、一方また、これを運航する会社民間会社でもございまして、やはりできるだけコストに見合った運賃設定をしたいという考え方もあるわけでございます。現実に離島路線その他あるいは非常に便数の少ない、旅客数の少ないローカル線と幹線を比較して、必ずしもコストを完全に反映した運賃格差がついているわけではございません。確かにローカル線の方が幹線に比べると若干運賃水準は高いことは事実でございますけれども、しかし、コストほど開いているわけではございませんで、やはりトータルとして妥当な利用者の利便性という点も考えましてその水準を設定しているというのが現状でございます。
  104. 守住有信

    守住有信君 もう一点でございますが、近く羽田でやっと滑走路の増設ができる、長期的にはさらにあとプラス二本でございますか、お取り組みになる、非常に私は意義のあることだと思っております。しかし一本の場合は、熊本空港増便要請、県も県議会も要望をしているわけでございますが、こういう点はどうでございましょうか。
  105. 林淳司

    政府委員林淳司君) 現在の羽田空港につきまして、いわゆる沖合い展開事業を実施しておりまして、その第一期でありますところの新しいA滑走路がこの七月に供用を開始する予定でございます。その場合、現在に比べますと年間約二万回程度発着回数がふえるということで、一日当たりにいたしますと大体二十五便程度の増加は可能になってくるということでございます。ただ、これにつきましては、一つにはこれをさばく航空交通管制官の慣熟の期間が必要であること、それからもう一つは、次のステップである沖合いの滑走路ができ上がるのは昭和七十年でございますので、それまでの間、需要の変動に対応していかなきゃならないということから、段階的に増便をしていくという方針をとっておりまして、この七月には十便程度増便するわけでございます。今後さらに十五便程度を昭和七十年にかけて増便の可能性があるわけでございますけれども、これにつきましては、今後それぞれの路線の需要の動向でありますとか、あるいは機材の大型化の可能性でありますとか、そういう観点を十分検討いたしまして、客観的な基準で路線の調整を行ってまいりたいと考えております。
  106. 守住有信

    守住有信君 それで九州全体、熊本から見まして、熊本の方も熊本空港だけの観点だけでなくて、もっと複眼レフ的なものの発想を持たなきゃならぬというふうに私は感じまして、熊本側から見まして板付空港の活用を考える。その場合、建設省、道路公団等で既に高速道路ができ上がりましてハイウェイバスも走っておるわけでございます。ところが板付空港を見ますと、福岡県内のバスの停留所はございます、西鉄でございます。ところが、産交等の熊本へ行くハイウェイバスの停留所すら、飛行場の前、板付の前でございますが、ない。あるいはまたその時間帯が、板付空港は七時から夜の十時まで大ジャンボが何機となく飛んでおります。それといわゆる高速道路、ハイウェイバスとアクセスする、まさしくアクセスの問題でございますが、これが板付空港にも立ち寄っていない、こういう問題がございます。  私、正月から、これは特に熊本県周辺の中小企業者でございますが、同じ商品を競争でやっておるのに福岡の同業の会社に比べてコストが高い。何となれば東京でどうしても一泊しなきゃならぬ。あるいはその時間をフル活用するためにも時間的な制約も出てくる、同じ市場間の競争でございますが。そこで企画開発部、県でございますが、文書を差し上げましたところ、この点は非常に迅速に九州の運輸局、あの部長さんも局長さんも西鉄、産交に行政指導していただきまして、半年もたたぬうちに七月にもこれが実現できる。そうすると、熊本市内の出張で、税金を使って行かれる方は別でございますけれども、私が気になりますのは中小企業、零細企業の方々のコスト、これが、高速バスの時間帯であるいは空港への立ち寄りも可能になるようでございます。この点はまさしく昔は運輸省、郵政省も多少縦割り行政でございましたが、地域流通局という観点、地域交通と総合交通という観点でおやりになりまして、近く七月には実現できるということで、これは私は高く評価しております。  これと同じような問題が幹線空港と地方空港、地方の他の地域との間に飛行機あるいはハイウェイバス、JRその他とどうアクセスさせてやっていくかということ。どちらかというと業者間任せでなくて、営業免許、いろんな免許の問題があったようでございますが、むしろ運輸省、運輸局がこういう形に向かって積極的に行政指導をなさいまして、その地方のそれぞれの地域振興のために、あるいはコスト低減のために、今回の場合は非常に迅速にやっていただきました。私は似たようなことが他の地域と幹線空港との間にあるんじゃないかということを感じますので、この点は今後に対するお願いでございますが、何も熊本や福岡のことだけを申しておるんじゃございません。他の地域でのアクセス、いろんな複合的な輸送機関を結合させていく、その時間帯から何から細かく見てやっていくということをこれはお願いをしておきたいと思います。何か御意見ございましたら。
  107. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、現在の熊本空港の状況から、福岡空港と熊本とを高速バスで結ぶことによって、より地域人たちへの利便が高まるという御指摘に基づいて運輸局がそれぞれ事業者指導しまして、即座にできればいいんですが、御指摘のように車両の手当て等があって、夏ごろまでには動かせるというふうに聞いております。こういう一日交流圏というような問題を考えます場合に、幹線交通であります航空機あるいは新幹線、それから在来線の鉄道あるいは高速バス一般バス、こういったジャンクションをアクセス交通としてきちっとやるということが非常に大事だと思います、御指摘のとおりでございます。我々といたしましてもそういうアクセスを整備することによってより利便を向上させるという観点から、地方におきまして運輸局を中心に、御指摘のように場合によっては積極的に事業者指導していくということで今後ともやってまいりたいと思っております。
  108. 守住有信

    守住有信君 そういう具体的なことを私は念頭に置きながら、現在一方で、経済審議会で地方分権の問題が大きく議論されておるわけでございます。私の県の細川知事もそのメンバーでございまして、御議論の中に入っておられるわけでございます。いろいろ考えまして、運輸省地方運輸局には諮問機関として地方交通審議会というのが置かれてはいるようでございますが、よく深く考えますと、私は厚生省や建設省その他みんな機関委任事務とか事務委任とか地方事務官とか、そういう方々が県庁内におられまして、そしてその県が地域内の問題、県内の問題、県を超える問題は私は運輸省だと思いますけれども、県内のきめの細かい総合的な調整的な行政が他省庁ではそういう形でやられておる。運輸省の方は地方自治体との仕組みが非常にない、あるいは乏しいというふうに感じておるものでございます。  したがいまして、例えて申し上げますと、これは県内だけでございますよ、県を超えるのは絶対運輸省だと思いますが、県内のバス路線の認可、停留所の新設、変更等々の権限の問題、これが地方分権になるわけでございますが、これは公安委員会とか道路管理者の許可とか、あるいは停留所につきましても、しかも複数事業者でやるという面もありまして、横の関係で総合一体的な調整が図られる必要があるというふうに認識をいたしたわけでございます。したがいまして、この点についても都道府県にこれを総合調整する権限を付与していくという方法が考えられると思うわけでございます。細かいことで、バス事業者間の停留所の総合整理の調整についても、一番地方の自治体、市町村をわかっておる県の方が非常に私はスムーズにいくと思うわけでございます。  御参考までに、これは田舎の実例でございますけれども、例えばこれは熊本県の南の方、国鉄の山野線が廃止に相なりました。そして、ここに対して熊本の九州産交と鹿児島の南国交通がそれぞれバス転換にかかる代替バスの運行系統、停留所でございますが、これがそれぞれである、名前も似たようなところ。例を申し上げます。水俣駅前からともに出るわけですが、桜井町と産交は言う。南国交通は四ッ角と言う。あるいはまた途中で新町というところがある。南国交通は城山入口と言う。あるいはまたいろいろ、時間がないから申し上げませんけれども、県で一番わかっておりますから、その調整権を私は県に委任をする。いわゆる規制の緩和はいろいろ問題がございますので、その権限の都道府県に対する移譲ということをおやりになれば、県は市町村、利用者団体、いろんな関係機関とも密接な総合調整をいつもやっておるわけでございますので、これは非常にスムーズにいくんじゃないかという感を深くいたしておるわけでございます。  そういう意味で、まだほかにもいろいろございます。例えて言いますと、これはバスの停留所等は新設、変更もございますが、そのほか例えば道路との関係で、今県は天草リゾートでございますけれども一車線しかない。そこにバス停がございます。そうすると、観光のマイカーその他はそこでとまる。だからバスベイといいますか、停留所の道路を分けましてバスが横へ停留して、そして一般の乗用車はさっと走っていくようにする、これに四億円かけて今からやり出すわけでございますが、例えばそれが事前調整で、道路行政と運輸行政あるいはバス事業者との総合調整が県に権限が委任ができておったら、後になってまあ四億円もかけたとか、各地でそういう問題がいっぱいあるわけでございます。いかにすればスピードアップをして観光開発その他お客様を東京、大阪、外国から呼べるかということでございますが、そういう点も私は一つの例ではないか、こういうことでございます。  時間もございませんので、あと次の方にも移らせていただきたいと思いますが、恐らく都道府県の方から、石原運輸大臣あるいは細川県知事でも結構でございますが、同じ文人派的文化論のお二人でいらっしゃいますので、こういう点につきまして地方の本当の実態を知っておる、あるいは分権論を唱えておる細川知事さんなどとも意見交換をなさったらいかがかな、こういうふうにも感ずるものでございますので、そこらあたり多少お話を聞きながら印象等お語りいただければありがたいと思うわけでございます。
  109. 熊代健

    政府委員熊代健君) 御指摘のような地方の実態の問題につきまして、実態を一番把握しているという面で都道府県に、特に陸運行政だと思いますが、陸運行政の権限を移譲したらどうかという議論は確かにございます。ただ私どもバスだけじゃございませんで、タクシー、トラック等々全部やっております。県にそれを全部やっていただくということになると、逆に効率性の面で問題が生じないかなという点が一つあると思います。  それから、今非常にふぐあいな御指摘を受けたんですが、停留所等につきましては、我々としては五十七年ごろそういう問題を許認可の対象にするということをむしろやめた方がいいという観点から、停留所の名称ですとか位置とかにつきましては、これは警察あるいは道路管理者といろいろ交通状況によりましてやらなきゃいかぬわけですが、基本的に届け出で足りるということにしておりまして、むしろ我々としては直接事業を営んでおる事業者判断にゆだねてきたところでございます。  御指摘のような不都合な点につきましては、県ごとにございます陸運支局というところを我々はもっと督励して、きちっとしたものにやらせるようにすべき問題だろうと考えます。  大臣が御答弁になる前に、私からちょっと実情だけ御説明させていただきました。
  110. 守住有信

    守住有信君 いや、せっかく届け出にお変えになったわけでございますが、それが専業者に任せてありますために山野線のようなことがあるわけでございまして、この届け出を都道府県に対する届け出という形に変えられますと、県の方で両バス、同じ地域住民の声も踏まえながら同じような名前でコントロールができるわけでございます。その調整権を、届け出の場合の届け出先を地方運輸局等ではなくて県庁の方へおやりになったらいかがか。これはちょっと細かい具体論でございますので、届け出制は結構でございますが、その届け出先を都道府県におやりになるという意味も含めて実は私は御意見を申し上げておるわけでございます。これは個別でございますけれども、全体の印象として、お聞きになっておって運輸大臣いかがかな、また細川知事ともいかがかなと思うわけでございます。どうぞひとつ……。
  111. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 具体的には局長の方からお答えいたすと思いますけれども一般論として私は多極分散型の国家をこれからつくっていこうという時代、地方の時代ということが言われて大変久しくなります。これからますます地方が、地方だけではなしに日本的な規模での意味合いというものを大きく持つ時期が来ると思います。そういう点でやはり非常な中央集権、中央集権というのは日本の実態でありますけれども、これを極力地方分権に持っていくことでやはり地方が活性化され、また御指摘のように地方の特性を生かした行政が行われ得ると思います。私と細川知事とは、私の組織をそのまま提供して三年後に波は全国区へ出まして、そういう縁で非常に近しい仲ですし、なかなかアイデアマンですし、これからも熊本県に限らず、地方の問題についてああいう有能な知事といろいろ意見を交わしながら国の行政の指導もし、またぜい肉をそいで行政ができるだけ簡素化され、そういうものが地方に移譲されて、そこで行政の実を地方として上げるようなそういう努力をしていくべきだと思っております。
  112. 守住有信

    守住有信君 どうも大変ありがとうございました。時間がございませんので、あとちょっと具体論に入らせていただきたいと思います。  八代港の整備、これは明治以来国の重要港湾として皆さん方御努力をいただいておったわけでございますが、この中で最近八代港の工事事務所を廃止しまして熊本市の方へ持っていくというお話を聞いておるわけでございます。背景を申し上げますと、熊本県は県南の方が非常に振興がおくれておるという意識というか、また実態もあるわけでございまして、その中で、もちろん熊本新港の問題がありますけれども、いわゆる工事事務所を廃止する、こういう声が出ております。まだまだ八代港につきましては今後の継続した対策をいろいろとらなきゃならぬ。時間がございませんので具体的には申し上げませんけれども、これが八代市初め八代郡その他の地域でも非常に大きな問題になっております。  私は行革の方はわかるわけでございますが、何でシンボルである所長さんまでが熊本新港あるいは熊本市の方へ移らなきゃならぬであろうか。職員につきまして合理的にその港湾の順序が、天草は水俣も近く終わりますし、それからどんどん新港の方へ重点が移っていくのがよくわかりますけれども、シンボルである所長さん、所長さんも車で新港まで八代からわずか一時間でございます。農免道路、海岸を走りまして国道で行きますとわずか一時間で行けるわけでございますし、この点についてはよく地元の方とも御相談いただきまして、八代市その他港湾関係者が要望しておる問題につきましても、十分なお話し合い、見通しをつけられていかれる。その間は職員は別でございますし、次長さん等々で新港問題等は対処されていく。重要な場合は所長さんは車で飛んでいけば一時間でございます。そういう点を私は御指摘を申し上げておきたいと思うわけでございます。  あともう一つ非常に重要な問題がございますので、この点についても触れさせていただきますが、例の立野から南郷谷を通りまして高森町、それからトンネルを掘って宮崎県の高千穂線と結ばせようという大きな流れがございまして、これに国鉄当局あるいはその後鉄建公団がお取り組みでございました。ところが、あの高森トンネルで、あれは申し上げますと、熊本県というのは阿蘇の長い何千年、何万年に及ぶ噴火に伴いまして地層がそうなっておりますが、非常に立派な地下水の水脈がずっと流れておるわけでございます。その中でその水脈に何カ所かぶち当たりましたが、地元の意見と、その当時トンネルを掘りたいという要望もございましたので、うまくそれを進められ、そして幾つかの水脈がかれました。十三ある水源が枯渇をして今鉄建公団でいろんな対応策をやっておられます。農業用水はみんな湧水を使っておったわけでございます。その他飲料水、生活用水、営業用水等々。そこで鉄建公団はポンプアップをするというやり方で今やっておられるわけでございますが、近くお聞きをしておりますと、鉄建公団のこの業務が清算事業団の方へ移ってしまうということのように聞いております。  それで、原因者が鉄建公団であったわけでございますが、それが人格が変わってしまうという意味も含めまして非常に地元では心配があるわけでございます。地方財政にとりましても、このポンプアップの電力代だけで年間一億円近くかかると聞いております。それがそのまま地元負担に相なりますとこれはどうなるだろうか。そして、このままの用水の水を電力で押し上げる方法だけだとこれは一生、永遠の問題でございますので、これをどうやって調整をしていくかというのは、鉄建公団も非常に真剣にお取り組みですが、頭の痛い問題だ。こういう大きな問題が実はそこに過去の流れからあるわけでございます。これは原因者は鉄建公団であるというのははっきりしておるわけでございます。そして、事は農業用水、高森の外輪山のあそこのすそ野には多数の農民がおります。それから飲料用水や生活用水の問題でもある。そして地方財政は、高森町はわずか地方税収入は三億円ぐらいでございますから、この一億円の問題がどうなっていくか、こういうことにも関係するわけでございます。  これにつきまして、ここで私はどういう方向とかいうのはなかなか問題があろうと思います。いろいろ御検討はなされておるようでございますけれども、何せこの水問題というのはあらゆる町民全体に及ぶ問題でございますし、この見通しがはっきりしておりませんことには、鉄建公団は清算事業団の方に移譲した、こういうことで再び大きな問題になりかねない。こういう場合も私は熊本県という調整機能が間に入りまして、そういう県と——鉄建公団と高森町の直の関係だけではなくて、住民と直ではなくて、住民との間には損害賠償の訴訟も起こっておるわけでございますけれども、直だけでなくて、もつと調整機能としての熊本県の役割。熊本県には何の責任もありませんけれども、そういう役割等々、あるいは農業用水でございますので、いずれは農水省に関係するかもしれません。  こういう問題につきまして、どうかひとつトップの皆様方、これを真剣にやっておられるのは下関の事務所、高森で三人職員がおります。鉄建公団の方々だけでございます。鉄建公団そのものもあるいは管理官も真剣にお取り組みでございますけれども、これは大きな問題になりかねないというふうに見ております。運輸省の幹部の方々、私も役人をしておりましたが、官房長初め各局、あるいは場合によっては他の省庁とも関連させながらこの対策をやらなきゃいけないときが来るのではないか、こういう予感がいたしておりますので、一言指摘をさせていただきまして、時間もございませんので、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  113. 片上公人

    片上公人君 ペルシャ湾の安全航行確保につきましてお伺いいたします。  米軍によりますペルシャ湾のイラン石油基地攻撃でイラン・イラク戦争の行方はいよいよ混沌としてまいっておりますが、戦火が第三国のタンカーに及ぶようになりましてからもう四年が過ぎて、先月十八日にはついに日本人の船員として二人目の犠牲者が発生しました。  そこで問題なのは、先日犠牲になりました新ノ居静士さんのように、乗り込む船が便宜置籍船であって、その被害が大変目立っておることでございます。日本の場合、関係便宜置籍船は約一千五百隻、この乗組員は日本人船員二千二百人、外国人船員三万八百人と言われております。今回の犠牲の背景には、外航海運の不況で職場を失った日本人船員が危険を覚悟で外国船に乗船し、危険海域に行かざるを得ない事情がございます。  そこで、現在ペルシャ湾を航行しているこのような便宜置籍船と我が国船舶の安全確保状況をどのように認識し、対応を図っているのか伺いたいと思います。
  114. 中村徹

    政府委員中村徹君) 我が国の原油の約五五%がホルムズ海峡を経由しておりますので、我が国としましてはペルシャ湾における船舶の安全かつ円滑な運航の確保を重要な問題と認識して、これの安全確保対策に努力をいたしておるところでございます。現在まで約四百隻の船舶が攻撃を受けているわけでございますが、この中には十八隻の日本関係船舶が含まれておりまして、そのうち四隻が日本船籍でございまして、残りの十四隻が便宜置籍船を含みます外国用船等になっておるという現状でございます。  そこで、私どもといたしましては、外国用船も含めまして日本関係船舶の安全確保を図るために、関係省庁及び海運労使から成りますペルシャ湾安全対策官民連絡会というようなものを設けまして、ペルシャ湾内外の船舶の動静を確保し、いろいろなこの地域に関します情報を海運労使へ迅速に伝えるといったような安全対策を現在講じておるところでございます。  なお、日本関係船舶の安全確保につきましては、船団を組んで定時に入出港を図るというような方法によりまして、ただいま安全運航の確保に万全を期しておるという状況でございます。
  115. 片上公人

    片上公人君 次に、上海の列車事故について伺いたいと思います。  先月二十四日に中国修学旅行中の高知学芸高校の教師、生徒二十八名が列車事故で死亡、ほかに多数の負傷者を出したわけでございますが、まことにこの事故は痛ましい限りでございます。その後中国側から調査結果が発表されておりますが、事故の背景として中国側の困難な鉄道事情が浮かび上がっております。中国は我が国最大の円借款供与国でございますし、また、これまでその額の半分以上は運輸関係となっております。中国に対する運輸関係の経済協力の実情はいかなるものであったか。今回の事故の背景を考えますと、運輸技術、運転技術、運輸施設・機器の操作、ダイヤの編成等ソフト面での協力が一層必要ではないかと考えるわけでございますが、運輸省の見解、今後の対応はどうか伺います。
  116. 中村徹

    政府委員中村徹君) 御指摘のとおり、我が国といたしましては、中国に対しまして従来から鉄道分野につきまして特に資金及び技術の両面から幅広く協力を行ってございまして、第一次円借款につきましては千二百六十七億円、第二次円借款につきましても千三百二十億円というような供与を行い、また技術協力といたしましては土木関係、それから信号関係鉄道の幅広い分野におきまして、毎年専門家派遣あるいは研修員の受け入れというものをそれぞれ二十名ずつ行っておるということで協力を行っております。さらに、最近では中国の鉄道管理学院に対しましてプロジェクト方式による技術協力というようなことも行っております。したがいまして運輸省といたしましては、今後とも中国側のニーズを含めまして、単にハード面だけではなくソフト面も含めまして、いわゆる安全対策面も含めましてできる限りの協力を行ってまいりたいと考えております。
  117. 片上公人

    片上公人君 今回の事故につきましては、その責任問題は別としまして、中国側の誠意ある態度が報道されており、この点は評価しなければならないと思います。運輸省は現在テン・ミリオン計画を進めている立場からこの事故に無関係ではあり得ないと思いますが、今回の事故に関しまして運輸省は今後何をなすべきと考えていらっしゃるのか。テン・ミリオン計画、高校の海外修学旅行等の現在の方針に変更はないかどうか、これを伺いたいと思います。
  118. 中村徹

    政府委員中村徹君) テン・ミリオン計画そのものは、国際的な相互理解の増進あるいは国際収支バランスの改善等に寄与するものとして私ども今後とも推進していきたいと考えておりますところであり、特に海外修学旅行につきましては、青少年期における国際的な相互理解の増進等に非常に有効なものであるということから、今後ともその促進を図っていきたいと考えております。  しかしながら、御指摘のように海外修学旅行の促進につきましては、安全面に十分配慮していくということが非常に重要であると考えておりまして、この観点から運輸省、外務省、文部省あるいは関係の公益法人、関係事業者などをメンバーといたします日本人海外旅行安全等対策研究会というものを三月末に設けまして、このような検討を進めておりますところでございます。  この研究会におきまして、安全等の情報提供、し事故発生時の連絡体制、あるいは事故の補償等に関しまして十分に検討を重ねることによりまして日本人の海外旅行の安全に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  119. 片上公人

    片上公人君 次に、AT車問題についてお伺いいたします。  昨年の夏、一連の急発進、急加速事故の発生が社会問題化するまでに至ったことはまだ記憶に新しいところでございますが、私も本委員会におきましてこの問題を取り上げましたところ、当時の橋本運輸大臣は、誤操作という従来の立場から一歩踏み込んで原因究明に当たる方針を示されました。  先般、交通安全公害研究所の中間報告が出されましたけれども、その結果はどのような内容であったのか、御報告を願いたいと思います。
  120. 熊代健

    政府委員熊代健君) 御指摘のAT車の急発進、急加速に関する交通安全公害研究所の試験調査につきまして、先日中間報告書が提出されましたが、その内容は概略次のようなことになっております。  まず、エンジン回転数の異常上昇につきましては、電子式燃料噴射方式あるいは気化器方式のエンジンにつきまして、それぞれ回転数を一定に保つアイドル回転数補正装置、それから定速走行装置に通常では起こり得ないような方法で人為的にこれにふぐあいを発生させた場合、エンジン回転数が異状に上昇し、車両が正常状態よりも強い発進、加速性能を示すことが確認された。  それから次に、ブレーキ性能につきましては、このようなエンジン回転数の異常上昇があった場合でも、ブレーキ機能は正常に維持されるということが確認されております。  もう一つ、車載の電子機器につきまして回路の分析を行いまして、電磁波照射、電磁雑音の印加等の試験をこれまた通常では考えられない程度の厳しい条件で実施したが、その結果車両において急発進、急加速を起こすようなふぐあいの発生は認められなかった。  さらに、今後解明すべき点としては、このように今までの調査結果からは人為的に急発進、急加速現象を再現することができたものの、現実的にどのような条件下でそのような現象が起きるのか解明されていないので、この点を中心に六十三年度も引き続き実車を用いた原因究明に関する調査解析を継続する。  なお、中間的な報告でございますが、さらに電子機器の信頼性等についての提言を二点ばかりいたしております。  以上でございます。
  121. 片上公人

    片上公人君 これは中間報告でございますけれども、今後の調査予定も一応立てられた内容となっておるわけでございます。この調査予定の各事項につきまして逐次判明した段階で報告されていくのか、あるいは次には最終報告という形で提出することになるのか、今後の進め方を伺いたいと思います。そして、ある程度最終報告をいつごろにしたいのか、大臣の希望でも結構でございますから御報告願いたいと思います。
  122. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先ほど申し上げましたようなことで、六十三年度も実車試験を含めて調査解析を進めると同時に、部外の学識経験者等も入っていただいた委員会で検討を進めるということにいたしております。部分的にということはなかなか難しいと思われますので、六十三年度いっぱいかけまして、ただ技術的な問題でございますのでこれが最終報告になるかどうかちょっと私どもとしても断定できませんが、いずれにしましても第二次中間報告あるいは最終報告という格好で六十三年度いっぱいに結果をまとめたものを出してもらうことにいたしております。
  123. 片上公人

    片上公人君 この中間報告におきましては、六十二年六月までの事故件数二百六十一件について分析をし、誤操作か車両の構造装置に原因があったのか特定できないとするものが百二十九件となっております。昨年七月の国会の答弁では百七十八件中誤操作だけでは説明できないものが六件とお答えになっておるのに比べますと、件数もさることながらその割合が大幅にふえているように見えますが、これは一体どうしたことなのか、御説明願いたいと思います。
  124. 熊代健

    政府委員熊代健君) 昨年の六月たったと思いますが、この問題が出ましたときに、原因究明その他対策を早急にやりたいと申し上げたときに、五十八年の一月から昨年の三月までに運輸省に急発進、急加速ということで苦情あるいは事故報告を受けたものが百七十八件ございます。先生指摘のように、基本的には操作をきちっとやっておればということでございましたが、一般走行中あるいは徐行中に起きた事故というのが六件ございました。これは、ブレーキと間違えてアクセルを踏んだとかというようなことが特に考えられないというケースも非常に多いということで、誤操作だけで説明しにくいのは六件程度ございますというお答えをしたわけでございます。  今回の中間報告で言っております百二十九件というのは、これは五十八年一月から六十二年六月までのものをとったその事故例、報告例から研究調査対象にするという立場から、全事例の中で明らかに誤操作である、また整備、調整不良である、あるいは報告内容から不明である、この三つを除いたものについて、原因が車両構造にあるか運転者にあるのかわからないということで、それを全部対象にした、こういうことで数字がちょっと観点が違う御報告になっております。
  125. 片上公人

    片上公人君 運輸省は六十二年一月から九月までの件数は二百九十三件と発表されましたけれども、六十二年の十二月までの数字が何件になったのかわかれば報告願いたいと思います。
  126. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先ほど申し上げたようなことで、六十二年一月から六十二年の十二月までに発生したものとして運輸省に報告された件数は四百三十件でございます。  なお、発生形態別に申し上げますと、急発進二百八十五件、急加速七十八件、その他六十三件、状況不明四件というような内容になっております。
  127. 片上公人

    片上公人君 これの個々の事故分析はメーカーの手で行われるということでございますが、従来AT車の事故隠しなどメーカーに対しましてはユーザーの不信がございました。個々の事故の処理体制につきましてメーカーに対する運輸省の適切な監督、指導が行われる必要があると思いますが、分析を委託してから報告までの時期、調査報告、運輸省係官の立ち会い等、適正を期すためにどのような措置をとっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  128. 熊代健

    政府委員熊代健君) 現在、先ほど御説明いたしました交通安全公害研究所でみずからやるほかに、メーカーに対しましては、それぞれ車種ごとに報告が上がってきております個々の事例につきまして、原因究明のために必要に応じて同型の車両を用いて再現試験等も行い、その結果を報告せよと。この期限は、再現試験等非常に技術的な問題がございますので、六十四年度いっぱいということに最終的にはしておりますが、運輸省といたしましては、これらの結果につきまして進捗状況を見ながら適宜聴取をする。その内容によりましては、必要ある場合に例えば再現実験への職員の立ち会い、あるいは場合によって中立的な外部機関に確認試験の依頼等を行うということで公正面を担保してまいりたいと考えております。
  129. 片上公人

    片上公人君 外車の事故隠しですが、これは大変目立ってきておりまして、二度も警告を受けた代理店もあると伝えられております。運輸省のこの弱腰を非難し、また現在のリコール届け出制の外車に対する有効性につきまして疑問を呈しておる報道もなされておりますが、運輸省としては現在のリコール届け出制につきましてこれで十分と考えていらっしゃるのか。特に外車に対しても適切十分な制度であるとお考えかどうか、御見解を伺いたいと思います。
  130. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、一つは西欧におきまして、特に西ドイツでございますが、リコールの制度が日本とかなり違っております。国民性もあるのか知りませんが、そういった意味でとことん原因が確かに確認されないとなかなか応じないということがございました。それがひいてはこちらの方の輸入代理店といいましょうか、そういったところに二度にわたりそれに基づいての報告的なものあるいは措置を怠ったということで厳重な警告を発した。我が国のリコール制度そのものはそういった意味から申し上げますと、一般的に輸入車においてもきちっと機能しておると思っておりますが、遺憾ながら国の制度の違いの面で輸入車についてそういう事例があった。  これを踏まえまして、先ほど二度目の警告のときに、それの親元のメーカーとの関係等を含めまして品質管理体制、それから通報を当方にやる場合の体制等につきまして厳重な体制整備を図らせる。それから同時に、我々といたしましても、そういう制度の違いにつきまして自動車メーカー等の会議あるいは国際的な情報提供機関等々を通じてよく理解を得るということでやることにしております。当面、とりあえずそういうことで我が国のリコール制度の適正な運用ということを図ってまいりたいと思っております。
  131. 片上公人

    片上公人君 昨年の十二月に自工会が発表しました安全装置というのは、これは国産車が対象ですし、中間報告の搭載電子部品のフェールセーフ性、信頼性確保の提言も国産メーカーにはこれは行政指導もできるでありましょう。しかし、外車に対しましては輸入代理店を指導、処分することでこれは十分な実効性があるかどうかということは疑わしいと思います。日本は大変ヒステリックとの声もヨーロッパで上がっているとも伝えられておりますが、これが貿易摩擦の新たな火種になることを心配しております。そうならぬよう、一方では安全が確保されるよう適切な措置を期待するわけでございますが、この件についてどうでしょうか。
  132. 熊代健

    政府委員熊代健君) 昨年いろいろな対策を講じる中の一つとして自工会に対しまして、仮に誤操作があった場合に、それを防止する、その発生をできるだけ減らすということで適切な装置が設けられないかということでやりました結果、十二月に御指摘のような誤操作防止対策を、国産メーカーについてはとりあえず六十三年度中を目標にやるということになったわけです。これは端的に申し上げまして、それがなければ絶対に安全に支障があるというものではございませんで、いわば適正な操作が誤られた場合にそれをフォローアップするということでございますので、いわばベターな装置ということに相なります。それで、いわば日本の自動車メーカーの自主基準ということでやらざるを得ない状況でございます。したがいまして、外国車にそれを保安基準の一部として要求をするということは現段階では考えておりません。そういう意味で、新たな非関税障壁というようなことは議論にならないと思いますが、我々としましては、最初の根っこでございます適正な操作手順、マニュアルといいますか、そういったものをきちっとユーザーである人に適切に指導といいますか、慣熟していただくということをまずは輸入車についてはやる。それから先につきましては、日本人の好みに対してどういうふうに相手が対応するかということを見守っていくということでとりあえずは対応するという考え方で進めたいと思っております。
  133. 片上公人

    片上公人君 航空運賃についてでございますが、国際航空運賃につきまして方向別格差是正に取り組んでこられたようでございます。先日実施されました是正措置の内容と、特に格差が大きいと言われていたアジア方面の格差、具体的に香港、マニラ、ソウル、それぞれの地点発と日本発の運賃格差が今回の是正によりましてどのぐらいの差になったのか、御説明願いたいと思います。
  134. 林淳司

    政府委員林淳司君) 国際航空運賃の方向別格差の問題につきましては、従来から利用者の公平感の確保といった観点からできるだけその縮小に努めてきているところでございます。  先般、東南アジア、中国あるいは韓国、台湾、オセアニア、太平洋、欧州といったほとんどすべての路線にわたりまして日本発運賃の値下げ、それから相手国運賃の値上げということによります是正措置を速やかに講ずるという方針を定めたところでございます。このうち、中国線日本発六%値上げを初めといたしまして、オーストラリアあるいはニュージーランド、香港といった各線については既に実施に移しております。  今回の措置が実施されることによりまして、香港線につきましては、日本発往復運賃を一〇〇といたしました場合、香港発の往復運賃の水準が四三から五一ということになるわけでございます。それからさらに、フィリピンのマニラでございますが、これについては従来の六三から七〇というレベルになる。それから韓国線につきましては、五三から六〇というレベルに一応是正をされることになるということでございます。
  135. 片上公人

    片上公人君 運輸省も熱心に取り組んでこられたと思いますけれども、この程度では国民もまだまだ不満は解消されないと思っております。IATA、それから相手国の承認を求めながら行っていく方向別格差是正には、これはどうしても限界があると思うのでございますが、運輸省はもっと努力すべきであると思います。いかがでしょうか。
  136. 林淳司

    政府委員林淳司君) 今回の措置は相手国との関連も考慮いたしまして、当面とり得る措置ということで取りまとめたものでございます。路線によりましては確かに御指摘のとおり、改善措置が必ずしもまだ十分でないというものもあるわけでございまして、その点私どもも十分認識をいたしております。今後とも、為替相場の動向がどう変化していくか、また企業収支の推移といった点も十分勘案して、さらに改善を図るよう努力をしてまいりたいと考えております。
  137. 片上公人

    片上公人君 このような為替変動の大変激しい情勢の中で、発地国運賃制度をとる限りにおきましてこのような矛盾は避けられないのではないかと思いますが、国民の国際航空運賃に対する不満を抜本的に解消するためには、現在IATAでとられておる発地国運賃制度を何らかの形で変更を求めていく必要があるのではないかと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
  138. 林淳司

    政府委員林淳司君) 現在の国際航空運賃の設定の仕組みは、昭和四十八年に為替が変動相場制に移行した時点で採用されたわけでございますが、変動相場制のもとにおきましてはやはり通貨の相対的価値が逐次変わってくるわけでございますので、従来のようなドルとかあるいはポンドといった基軸通貨を基準として運賃を設定するという仕組みはなかなか採用しがたいわけでございます。  そこで、現在発地国通貨建て運賃主義というものを国際的に採用しているわけでございまして、この仕組み自体にかわるいい仕組みというのはなかなか国際的にも難しいわけでございまして、現在のところまだいいアイデアがないということでございます。  ただ、最近のような状況を受けまして、IATA、これは国際航空運送協会でございますが、IATAにおきましても何らかのやはり方向別格差是正の仕組みを考える必要があるということで、先般このIATAの総会におきまして一つの提案をしております。それはSDRで判断をいたしまして、各国の通貨をモニターしていく、そしてプラス・マイナス三%以上の変動が二十日以上続いた場合には、その両国の企業に対しまして方向別格差是正のための措置をとるようIATAが勧告をする、こういう制度が決められまして、来年の七月からスタートをするという段取りになったところでございます。
  139. 片上公人

    片上公人君 次に、国内航空運賃についてでございますが、飛行距離が短縮されたにもかかわらず安くならない、ジェット化によりましてかえって運賃が高くなったなど、国民の不満が非常に高い。例えば、先日には新岡山空港が開港するなどジェット化が急激に進んでいるけれども、ジェット化による大型機材の導入、飛行時間の短縮による人件費の節約等、コストは下がるはずなのに、実際の運賃はジェット料金上乗せ分原則として高くなるというのは、利用者としては大変理解できないのでございますが、どういうことにこれはなっておるのか、説明願いたいと思います。
  140. 林淳司

    政府委員林淳司君) 国内航空運賃につきましては、基本的には各路線ごとの特性をできる限り反映させる、ただしかし、全体として航空会社の収支が償うように設定をする、この両面が相まって運賃が設定されております。そしてまた、その各路線のコストというのは需要構造あるいは使用機材というような要素によって変わってくるわけでございますが、これらの要素というのは逐次多様に変動してまいります。したがいまして、特定の路線につきましてジェット化を行った、あるいは需要が急激にふえたといったような状況変化があった場合に、その都度その路線についてだけその運賃の値上げとか、あるいは値下げをやっていくというのは必ずしも現実的でないという面がございます。そこで、これは原価要素、変動の多様性とかあるいは各路線の運賃の激変緩和とか、あるいは企業全体の収支に与える影響といったようなことを考慮いたしますと、全路線について調整を図り得るような、そういう運賃改定の機会をとらえまして必要な見直しを行っていくというのが適当ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  141. 片上公人

    片上公人君 運輸大臣は三月の八日、通行税廃止条件に六十四年四月の運賃値下げを表明した、こう報道されておりますけれども、この席で改めて値下げの決意を述べていただきたいと思います。通行税廃止条件ですが、運輸省が行っている日本型航空自由化などのサービスの向上とともに、運賃の値下げにつながってこないのでは、これは利用者にとって意味がない、早急な実施をお願いしたいと思うのでございますが、考えを伺いたいと思います。
  142. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 通行税に関しましては、六十三年度の税制改正要求として運輸省からその廃止を要求してまいりまして、まだ実現しておりませんが、これはテン・ミリオン計画も推進している傍らでこういう税金がまかり通るというのは非常に矛盾した話でありまして、これは何とか廃止に持っていきたいと思っております。また、そのときにはその分の負担の軽減というのは当然運賃の上で考えられるべきだと思っております。
  143. 片上公人

    片上公人君 現在ジェット化、飛行経路の短縮などが随所で行われていますし、また日本型自由化によるダブトラ化が進みまして、国内航空の変革が進んでおる状況でございますが、この変革に合わせまして従来の運賃制度を例えば対キロ制にするなど、利用者にわかりやすい運賃制度に改めることが必要とされる時期に来ているのではないかと思いますが、値下げとともに運賃制度改革につきまして運輸大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  144. 林淳司

    政府委員林淳司君) 国内航空旅客運賃の設定に当たりましては、キロ当たり同一賃率をとるということになりますとコストを必ずしも適正に反映したものにならないという問題点がございまして、従来から路線ごとの採算を考慮いたしまして、路線、距離あるいは需要の大きさ、それから使用機材等の特性というものを極力反映させながら、全体として企業の収支を償うように設定をしておるところでございます。今後とも遠距離逓減というものを基本といたしながらこれらの路線の特性を十分勘案して、同じような態様の路線については同じようなレベルの運賃が設定されるという、整合性のある運賃体系を目指して今後検討してまいりたいと考えております。
  145. 片上公人

    片上公人君 次に、リニアについてお伺いいたしますが、六十三年度の新規予算としてリニアの実用実験線調査費が一億八千万円計上されております。具体的には、二年の調査期間を経ましてどこに実験線をつくるのか決定されることと思いますが、大臣の発言を聞いておりますと、もうあたかも千歳—札幌間に決定したいかのようなニュアンスでございます。大臣はこのリニア実験線をどこにつくるのか、腹案があるならおっしゃっていただきたいし、もしないとするならば発言は慎重にすべきではないかと思います。なお、この調査の進め方はどうなっておるのかということをお伺いしたいと思います。
  146. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 西独に参りまして、向こうのリニアを視察して日本と見比べて帰りまして、その後の発言で自分の感想を述べまして、ちょっと言葉が足らずに誤解を招きましたが、あくまでも私が札幌—千歳間について言及しましたのは、実験線ということではなくて、優に国際的な商品価値を持っている技術でございますから、例えば札幌—千歳のような平たんで直線に近いところですとすぐにも実用に供することができる、そういうことで一種のショールームをつくるという意味でもう実用に供したらどうか。  ただ、これは札幌—千歳間のことでございますが、巷間言われておりますように、新しい新幹線としてこれを使う、つまり高速鉄道として百キロ単位でこれを動かすということになりますと、日本の地形からしましてトンネルの実験とかすれ違いの実験とかということをしなくてはなりません。これをこれから一億八千万かけてどこで行うかという調査をするわけでございまして、私が申しました札幌—千歳間は北海道の財界も非常に意欲がございますし、また工費も千億ぐらいのものでありますから、起債をしてもよろしいし、また民間の活力を利用しても、これはやろうと思ったらすぐにもできることでございますので、そういう意味で申しました。ですから、事の範疇が違うのでひとつそれを御理解いただきたいと思います。
  147. 片上公人

    片上公人君 リニアにつきましては、宮崎での実験をほぼ終了しつつありますし、今後の課題としてトンネル風の影響、分岐装置の開発、そして長距離走行の場合の送電システムの確立等が挙げられておりますけれども、何といいましても超電導という強力な磁界の影響が心配されます。時計が狂ったり心臓のペースメーカーにも影響があるとの指摘もございますが、磁気シールド対策をどのように考えていらっしゃるのか、またそのための技術開発は既に終了しているのかどうか、説明していただきたいと思います。
  148. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生の御指摘の問題につきましては、現在走行実験中のJR方式のリニアモーターカーにつきましては磁石の真上の床面、そこでの磁束密度は二百ガウス程度ということでございます。それで、そこの床に座席がついているわけでございますが、座席に着いて座っている人の胸の高さ、胸部の位置で今の磁束密度をはかりますと百ガウス程度というふうに聞いておりまして、通常の場合、これらの数値は医学的には問題のない値だというふうに聞いております。しかし、今先生指摘のように、ペースメーカーとか時計などの超小型モーターを使っている機器に対しまして影響が出ておりますので、今後実際の車をつくっていくに際しましては、車両と車両の連結部分というところに磁石を配置するとか、それから高温の超電導の材料がございますが、その高温超電導材によるシールドをいたしますと非常に磁気対策になるわけでございますので、そういうような技術開発を行うということにしております。
  149. 片上公人

    片上公人君 次に、リニアの実用化のめどを大臣はいつごろと考えていらっしゃるか。二十一世紀の前にも開発は可能と考えているかどうか、伺いたいと思います。
  150. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 先ほど申し上げましたが、技術を開発している当事者から聞きますと、直線で平たんなそういう地域ならばもう再来年からでも来年度の実験を終えれば実用可能である。これはちょうど新幹線も今走らせながら改良しているように、そういう形で実用に供し得る。ただ、予算とか立地の問題もございますけれども、トンネルその他の大きな実験に関してはなお時間を要してこれを完成したいと思っております。やはりできれば二十一世紀の来る前にこれを仕上げて、世界に日本の技術の一つの結晶、傑作として披露したいものだなと思っております。
  151. 片上公人

    片上公人君 リニアの建設費についてでございますけれども、どの程度を考えていらっしゃるのか。例えば中央リニア新幹線の促進期成同盟会では三兆円を数字に挙げていらっしゃいますし、もっと安くできるはずだとの声もございます。運輸省としておおむねどの程度を考えていらっしゃるのか、めどでよいから伺いたいと思います。それが無理ならば、整備新幹線と比較しまして大体どの程度の建設費がかかるのかどうか、このあたりを説明していただきたいと思います。
  152. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 私どもの耳にもいろいろなそういう試算の数字は入っておるんでございますけれども、私どもといたしましては、まだリニアモーターカーにつきましては技術開発途上でございますから、その建設費の明確な算定というのは現時点では困難であると思っております。  一般的な傾向といたしましては、新幹線と比較いたしまして、軌道とか電気関係の施設というものにつきましてはコストが高くなる要素がございますけれども、橋梁とかトンネルといったようなものの構造物につきましては、車両が軽量化されるとかそういったような関係からコストは安くなるという要素があると考えております。それで、いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、リニアモーターカーの建設費そのものは現時点では未知の部分が多いので、今後例えば地上コイルの大量生産によるコストダウンとか、そういったような程度もまだ明らかではございませんし、建設する路線の位置だとか地形だとか地質とか、そういったような関係によっても異なってくると思いますので、ただいまのところはこの程度のお答えしかできないかと思っております。
  153. 片上公人

    片上公人君 リニアにつきましては西独もかなり先行していると聞いております。大臣も西独でトランスラピッドと呼ばれているリニアカーを視察されたそうでございます。リニアという最先端技術の開発に対しまして西独と我が国との取り組み方につきましていろいろ実感されたことがあると思いますので、この御見解を伺いたいと思います。
  154. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 聞きますと向こうがかけたお金が大体一千億、日本が五百億プラス民間からの支出もあるようでございますが、実験のキャンパスの印象というのは非常に格差がありまして、向こうは三十数キロのループのある路線を敷き、日本はわずか七キロ。ただ、技術は日本の方がはるかに上で、早い話が四百キロのトップスピードに到達するのに日本の場合は二キロ、ドイツの場合には八キロ近くかかる。八キロかかれば日本の路線はないわけでありますから、向こうへ落っこってしまうんですね。わずか二キロでトップスピードに乗る。それぐらい技術はすぐれておりますし、浮上したクリアランスも向こうが一センチ、こちらが十センチ、地震やあるいは障害物があったときにも非常に日本の方が有利であります。  また、先ほど総括審議官からもお答えしたと思いますけれども、コストの面でもシート当たりの単価やあるいは電力はドイツと比べて日本の方がコストも低い。それから、ドイツが結局想定してあきらめました超電導によるいろいろな技術的な困難さというもの、例えば磁気の問題にしろ電力のコストの問題にしろ、そういったものを日本は全部クリアしてきたわけでありまして、かけたお金は少ないかもしれませんけれども、技術的には日本の方がはるかに進んでいる。ですから、何とかこれを一刻も早く実用に供したいし、世界にもそれをはっきりと認めさせたいと思っている次第でございます。
  155. 片上公人

    片上公人君 大臣のおっしゃるように、西独では一千億円程度、日本では六十三年度予算ではようやく実験線調査費を含めまして七億八千万円ということでございます。もう少し予算の上積みを図りまして技術開発を促進させるべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。
  156. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 全くそのとおりで、大変ありがたい御意見をいただきまして、ありがとうございました。
  157. 片上公人

    片上公人君 リニアの問題に関連しまして、これは将来の構想となるわけでございますけれども、リニアを利用した遷都、分都、展都論という考えがございます。このようなリニア遷都論につきまして、大臣の個人的見解で結構ですから御所見を最後に伺いまして、質問を終わります。
  158. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) リニアを走らせるにしましても、結局路線の立地に日本は日本的な非常に困難がございまして一概に申せませんが、これはほかの在来の新幹線でも同じことであります。いずれにしろ、多極分散型ということを今の政府は考えておるわけであります。分散するにしても、分散した都市と都市が短時間で結ばれるにこしたことはないわけで、そういう意味ではこれから思い切った東京あるいは大阪の機能分散した場合でもそれをつなぐ鉄道網というものが、例えばリニアで運用されるということになれば多極分散がそれほど、分散といいましょうか、隔絶したものにならずに日本全体が非常に機能的に運営されることは間違いない。そういう意味では、これからの多極分散のための非常に有効な手段だと心得ております。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 新しい空港が今できつつあるわけですけれども、きょうも朝からいろいろ質問がございました。大臣、成田もそうでありますし、これからできます関西の新しい空港もやっぱりそうだと思うんですが、どんなに立派な空港ができてもアクセスがちゃんとしないとこれはその効用をなさないと私は思うんです。先ほど午前中の質問の中にも板付の話がちょっと出てまいりましたが、そういうような意味で、アクセスをどうするかというのは私はこれからの空港をつくる上で大変大事な問題じゃないかなと思っております。  そういうような意味で、これから新しい空港を建てる場合の基本的な考え方、これはやっぱりアクセスに対する基本的な認識というのは非常に大事だと私は思うんです。こういう質問の予告は余りしていなかったんですけれども大臣のお考えですね、外国に行かれてもそうだと私は思うんですが、関西の国際空港にいたしましても非常に都心から遠いわけです。そういうような面で考えますと、もうちょっと何とかしてもらいたいという思いが非常に強いわけです。そういうような意味できょうは質問したいと思っておりまして、空港とアクセスという問題についての大臣のお考えを初めにお伺いしておきたいと思います。
  160. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 全くおっしゃるとおりでありまして、我々もお互いに政治家でありながら、同時にまた空港の利用者であるわけですけれども、日本の場合は本当に不便な空港が多い。関西空港なども恐らく今のままでできますと大変な混雑が予想され、また不便が予想されるわけです。この間もほかの委員会でも質問を受けましたが、例えば大深度の直通する地下鉄のようなものを大阪のしかるべき地点からでも設けないと、大変不便な空港にならざるを得ないような気がいたします。成田もそうでありまして、幾つか案がありながら、それが全部とんざしている。恐らくあれほど劣悪な空港は世界に例がないんじゃないかというのが実態でありまして、先ほども実は運輸省の中でいろいろ議論を交わしてきたところでございます。  本当に成田も最初の計画どおりにできるだけ早く完成をしなくてはならぬと思います。またその努力をしておりますが、よしんばそれを完成されても一向に不便さは変わらないということではどうもまことに仕方がない。そういう意味で、これからいろいろプロジェクトが空港に限らず展開されるでありましょうけれども、まずアクセスというものを確保しませんと、本体ができてもその本体がその効を上げない、本当に日本の場合には残念ながらこの繰り返し繰り返しというのが実態だという気がいたします。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは決算委員会でございますから、過去何でこういうことになったのかということを反省をしながら、二度とこういう失敗をやりたくないという思いで、成田新幹線という、昔そういう名前があったらしいんですが、本当に何でこういうことになったのか、これをもうちょっと明らかにしていきたいと思いまして、あえて取り上げるわけであります。  初めに、検査院の方にお伺いをいたします。  検査院検査報告を出しておられますが、特記事項というのが昭和五十年からずうっと出ております。件数を勘定してみましたら全部で四十三件かあるわけです。この四十三件の特記事項というのを見てみますと、非常に大事なことが書いてあるんです。我々決算委員会で審議する上でもこれはなかなかいいことが書いてある。それがきっかけで審議ができたということもありますし、そういうような意味で非常に私は大事なことだと思っております。そういうような意味で、こういう点についてはこれからもしっかりこの特記事項というのは取り上げてもらいたいと思うんです。特記事項に書いたがために決算委員会で取り上げられたということで、逆にいじめられるというようなことがあったんじゃ困りますんで、そういうことは私たちするつもりはございません。  いずれにしましても、そういうような中で昭和五十七年に取り上げられました成田新幹線の建設工事、これは一体、当時の状況等を含めまして、現在どういうふうになっているのか、国のつぎ込んだお金とかいろんなことが検査報告の中にありますが、そういう点を含めまして簡潔に概要を御説明いただきたいと思います。
  162. 三原英孝

    説明員(三原英孝君) 先生指摘のとおり、会計検査院では昭和五十七年度の決算検査報告におきまして成田新幹線の工事について問題を提起いたしてございます。これは特記事項として掲記したわけでございますけれども、日本鉄道建設公団が昭和五十七年度末の段階で総額八百二十八億円余りを投入いたしまして、成田新幹線工事の施設、具体的には空港の駅の施設とそれから駅と土屋区域間の路盤工事でございますが、これを建設いたしてございます。  ところが、そのほかの工事が成田新幹線工事としては建設のめどが立たない。しかも、これにかわる各種の鉄道ルートの案が検討されておったんでございますが、それにつきましても方策の決定が容易でないという状況の中で、このまま推移いたしますとせっかく多額の資金を投下して建設した施設が長期間遊休することになる。しかも、そればかりではなく、それにかかる建設利息、これが毎年多額の建設利息を払っておるわけでございますとか、あるいは維持管理費、こういったものも年々累増していくことになるということでございましたので、その状況を特に掲記を要する事項として検査報告に掲記した次第でございます。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 概要はわかりました。  そこで、成田新幹線の建設は検査報告によりましても明確でございますが、昭和四十六年の一月に運輸大臣が基本計画を決定し、これに基づきまして鉄建公団が工事実施計画の認可を受けまして四十九年二月に着工した、それが六十二年四月の国鉄の分割・民営化に伴いまして、日本国有鉄道改革法等の施行法によりまして成田新幹線の基本計画というのは失効する、これは要するに消えてなくなるということです。先ほどもお話ございましたようにこんな八百二十八億という大変なお金をつぎ込んでやられたこの計画が、すべて中途で結局ほうり出されてしまうということになったわけであります。この責任は一体どうなっているのか。基本計画を立てたときには、どういうことになっていたのか。これはやっぱりそれなりの理由は私はあると思います。  したがいまして、その理由は一体どういうふうになっていたのか。反対の理由等もこの検査報告の中に随分あります。ありますが、例えばこの検査報告には、「地元住民の反対等によって今後の建設の目途が立たず、また、これに代わる各種の鉄道ルート案についても、関連事業者等の利害関係の調整などの諸問題があって最終的な方針が確立していない。」、こういうようなことが書いてあります。しかし、こんな話というのは初めからわかっているわけでございます。初めから全くめどのないものにかかったのかどうかということもあるわけですが、この問題についての経過等を含めまして運輸省の弁明というものがあると私は思うんです。これはどういうことだったのか、一遍詳しくこの点は教えていただきたいと思います。
  164. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 成田新幹線の問題につきましては、東京の都心と成田空港との間を高速で旅客輸送するという目的で計画されたものでございますけれども、これは計画を受けて鉄建公団の方で工事を開始しましたその時点の、当初のころから東京都の東部地区の住民方々を初めとしまして、いろいろな意味での御反対がありました。  それで、当時鉄建公団の方といたしましては、それでは空港側に近い方から、成田空港それからさらに土屋というところの方向にかけましての工事を進めてきたわけでございますけれども、その間に鉄道による別のアクセス計画といったような検討問題も出てまいりましたものですから、そこの工事をまずは、いずれも新しい案につきましても手戻りの生じないという観点から、そういったような空港—土屋間の工事に限ってずっとやってきたわけでございます。  それで、五十七年度、先ほど会計検査院の方の御指摘は五十八年に出ておるわけでございますが、その直前の段階ぐらいまでのところで今の申し上げました工事はほとんど完了してきましたことと、その時点になりましても依然として東京都の東部地区の住民等の御反対はおさまっていないということ、そういったようなことを考えまして、これ以上の投資を行ってまいりますと、国鉄再建を一生懸命やっていた当時でございますので、その国鉄の収支に対します悪影響というようなことも出てまいるかということになりますので、その当時の判断で五十八年度以降につきましては工事を凍結するという判断をしたわけでございます。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはいろいろと検討せにゃいかぬ問題はいっぱいあるわけですけれども地元の東京都はずっと初めから反対だったんですか。
  166. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 詳細詳しくは今ちょっと手元にございませんけれども、四十七年に行政訴訟が東京都の江戸川区から提起されまして、これは東京地裁にかけられていたわけですが、その訴訟は五十三年に最高裁で上告棄却するまでずっと続けてきていたわけでございます。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 要するに東京都は反対だったんですか。これは大阪でもみんなそうですが、地元の府県がその計画そのものにずっと反対をしているのに国が無理やりに押し切ってやったのか、あるいは東京都は賛成をしたのかどうか、あるいは江戸川区だけは反対でそのほかのところは賛成だったのか。いわゆる地方自治体が反対なのに見切り発車したのかということがあるわけです。これはこれからの問題がありますから、やっぱり地元が反対しているのに見切り発車してはいかぬということもありますね、これから新しい空港をつくる場合に。ですから、これはどうだったんですかというふうに聞いているわけです。
  168. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 四十六年に基本計画ができ、同じ年度に整備計画ができたわけでございますが、その段階の話といたしましての東京都なり江戸川区のことは、四十七年に先ほど私が御説明いたしました行政訴訟が提起されているわけでございます。東京都は、地元の江戸川区が反対しているということがございますものですから、都としても賛成はできないという立場であったと伺っております。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、東京都は一回も賛成したことはないわけですね。それじゃずっと反対ですか。
  170. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ずっとどこまで反対を続けてきたかというところまでちょっと把握しておりませんが、今私の手元にある限りにおいては、そういう地元民の反対があるという趣旨で東京都は反対しているということを聞いております。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はそんな難しいことを聞いているんじゃなしに、東京都はそれじゃ逆に言えば賛成したことがあるんですか。ないんでしょう。要するに、これからこういうような工事をやる場合に、地元の府県とかそういうところは非常に大事です。何でかといったら、土地の買収にしたって、工事を進めるにしたって、何をやるにしたって、地元の府県やそういうところが協力してくれぬとできないわけですから、そういうような意味では、地元のそういうところがどうしても反対を続けている限り見切り発車はしない方がいい、逆に言えば。もっと逆な立場で言えば、そういうところが賛成するまで粘り強く説得する、そのことが逆に工事を早めることにもなる、そういうような反省を持って私は言っているわけですけれども、そこら辺のところはぜひそういうふうにやってもらいたいと私は思うんです。  それから、これは運輸省当局にもうちょっと詳しくお伺いしたいんですが、私の手元にも決算額で、特に昭和四十六年からどういうふうに使われたかという資料は出ておりますが、実際問題としてこの五十七年度末までの工事費というのは、この資料によりますと、建設費が五百四十三億円、建設利息が約二百十四億円、総額で八百二十九億円、それで五十七年度分の支払い利息が四十八億円、維持修理費が六千万円というふうに出ております。  そこで、五十八年度以降も含めまして、現在までに支出された建設費の総額とか、それから建設利息の支払い総額はどういうふうになっておりますでしょうか。
  172. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 六十一年度までの建設費の投資額は五百四十七億円でございます。それから、それにかかわります利子額でございますけれども、その一部が利子補給の補助金を百二十一億受けてございますので、それを除いた金額としますと三百二十一億、両方合わせますと四百四十二億でございます。  それから、鉄建公団が行っております維持管理費は、年間約五千万円程度というふうに伺っております。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、百二十一億の利息の問題がありますけれども、トータルでは約一千億近くになるわけですね。  そこで、これは清算事業団の方が特に成田空港を中心にして今完成した部分につきましては引き継いでいらっしゃるそうでございますが、清算事業団が継承した成田新幹線関係の負債総額はどういうふうになっていらっしゃるのか。それからその返済状況とか年間の管理費等は現在どういうふうになっていらっしゃるか、そういう点も含めて御答弁いただきたいと思います。
  174. 杉浦喬也

    参考人(杉浦喬也君) 昨年の四月一日に当国鉄清算事業団が引き継ぎました成田新幹線にかかわる承継債務額は七百九十五億円になっております。それ以後利子がかさむわけでありますが、利子の支払い額が六十二年度で四十八億円、それから六十三年度、本年度支払う予定が五十二億円ということになっております。それから維持管理に要する費用でありますが、六十二年度で約五千万円という金額に相なっております。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、今運輸省当局からいろんな理由を聞きましたけれども、これだけ聞いただけじゃ大臣、わかりません、実際のところ。もう少し詳しく資料とかデータとか出していただいて、分析して、そして本当のところどういうことであったのかというものを見ないと私はわからないと思うんですけれども、いずれにしましても初めの考え方は私はいいと思うんです。少なくとも東京都心から成田空港までの六十何キロの間を新幹線で飛ばす、そうすると三十分とか非常に短い時間でつながるということですから、これは考え方としては非常にいいと思うし、それが完成することを我々も念願していたわけであります。しかしながら、いろんな理由によりましてこれが失敗したわけであります。  私はもう一つ、一遍運輸省に聞いておきたいのは、この間からこの質問をするに当たっていろんなことをお伺いしているわけでありますが、この問題についての運輸省の努力の仕方がちょっと足らぬのと違うのか、私はそう思っているわけです。というのは、いわゆる空港のアクセスについての問題がいっぱいあるわけですけれども、成田新高速鉄道関係者研究会というものをつくって、アクセスの問題についていろいろとやっていらっしゃるそうであります。これは私の手元になかなかいい資料が入ってきませんで、実際はたくさんいろんな問題があるんだそうですが、何回も申し上げても、メンバーの資料とかちょっとした資料しか私の手元に入ってきませんでした。しかし、この研究会はどういう意図でつくられて、どういうことが行われたのか、一遍御説明いただけますでしょうか。
  176. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘の研究会につきましては、成田新高速鉄道のA、B、C、三案のうちB案についての研究をするということで、このB案というのは複数の鉄道会社、したがって、それが活用できるということで、それを進めたいという考え方があるわけです。その多数の会社により運営されているということで、空港に直通特急を通さなきゃいかぬ、そういったことで調整をする必要がある。そういった技術的な問題を含めて、印旛松虫—空港間といったようなものについてはまだ主体が決まっていないとかいろいろ問題があるわけですが、それらについていわゆる勉強会を行うという考え方で五十八年からやられておるというものでございます。  検討内容は、端的に申し上げますと、現在、東京方面から印旛松虫という千葉ニュータウンの住宅・都市整備公団が免許を有しておりますところ以遠の成田までの主体、あるいはそこの採算をとるための助成等々の問題、あるいは鉄建公団が敷設してまいりましたものの施設の引き継ぎ方法等、それから東京—江戸橋間について事業主体、あるいは助成措置といったようないろいろな問題を検討してまいったものでございます。さらに、六十一年の十二月にこの路線の真ん中辺にございます千葉ニュータウンの計画が縮小されるというような事態もございまして、それらの新しい変化も踏まえてさらに検討をしなきゃいかぬというような状態で、性格といたしましては勉強会といったような格好で、運輸省としてその結論を活用して対応していくというものでございます。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう時間が来ました。時間があればもうちょっとやりたいのですけれども、今の研究会も、大臣、これは本当に結論を得てとおっしゃっていますけれども、どういう研究会なんだと言うていろいろ詰めますと、何となくみんな運輸省関係がないような、これは事務局は鉄建公団に置いているんですとか言うわけです。鉄建公団は何をやっているんですかと詰めますと、いや事務処理だけですと。とにかくあれこれあれこれどうも責任のある答弁じゃない。ですから、私はこういうような問題も、成田新幹線なんというのがアウトになってやっているわけですから、やっぱりアクセスを本気で考えてもらいたいと思うんです。これが一つ。  それからもう一つは、例えば関西国際空港の問題にいたしましても、このアクセスをちゃんとするために運輸省の基本的な考え方をぴしっとしてもらいたい。運輸省はこう考えている、地元市町村どうですかと、こうぴしっとやっていただきたい。そういうふうにしてやらないと、後でいつもごちゃごちゃした問題が起きてきます。確かにこれは総論賛成、各論反対なんという悪弊がありますから、そういうのがあるのはまずいのですけれども、それはそれとしても運輸省自身がきちっとしていればそれはそれで解決する問題だと私は思うんです。  そういうような意味で、時間があればもう少し細かいところもやりたいのですけれども、ありませんので、要するにそういう意味でこれからの新しい空港を建設する場合の基本的な考え方、そして運輸省のあり方、それは私はもうそれなりにきちっとしていると思うんです。大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わります。
  178. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 成田新幹線の問題はもう本当に大プロジェクトにとってのいい薬でありまして、やはり二度とこういう轍を踏まないように我々も自戒して綿密な計画を立てて、空港なりその他のプロジェクトを実現していきたいと思っております。
  179. 吉井英勝

    吉井英勝君 私は、鉄道駅の身体障害者、老人対策についてまず最初に伺いたいと思います。  既に予算委員会での我が党市川委員質問を初めこの問題を連続して取り上げてまいりました。総理、石原大臣鉄道施設担当者などから答弁をいただいておりますが、その後運輸省ではどのように取り組んでいただいているか、最初にまずお伺いしたいと思います。
  180. 熊代健

    政府委員熊代健君) 高齢者、身体障害者等へのサービスだけじゃなくて二十一世紀に向けてのものを考える場合に、特に鉄道駅が高いところあるいは低いところにいくということで、主としてエスカレーターだと思いますが、エスカレーターについてできるだけ設置を促進するという御答弁を大臣からもしていただきました。  この問題につきましては、特に大手私鉄におきましては五カ年計画で設備投資計画を立てさせております。現在の五カ年計画は六十二年度からの五カ年になっておりますが、その中でのウエートの置き方につきましてひとつさらにその点を加味していかなきゃいかぬということ。それから議論の一つとして、そういうものをガイドラインとしてでも指導基準のようなものがつくれないかという御意見もございました。したがいまして、我々として今後そういう点に重点を置くということと同時に、サービス基準でございますので、安全基準として設置し強制するというのは無理があろうというふうに思いますが、既設のものに対する改造の場合の指導基準、新設は当然のことといたしまして、そういったものを検討させるということで事務方にそういう方向での検討を指示してやらせておるところでございます。
  181. 吉井英勝

    吉井英勝君 実は、鉄道事業者が一社だけの場合などは駅のエスカレーターなど比較的取り組みやすいわけですが、しかし都市部の駅と申しますのは幾つかの事業主体がございまして、そういう接続駅という場合が多いですね。    〔委員長退席、理事菅野久光君着席〕  具体例として一つ御紹介しておきたいと思うんですが、大阪の堺市の中百舌鳥駅というのを少し見てまいりますと、ここは新幹線の新大阪駅から大阪市営地下鉄に乗っていただきまして、仁徳陵を初めとする古代の百舌鳥古墳群のあるところを訪ねる場合の終点の駅となるわけです。ここで高野山へ行く南海線に乗りかえとか、あるいは泉北ニュータウンへ行く泉北高速鉄道というそういう鉄道とのドッキングした接続駅であるわけです。この駅はまた、大阪市の長居公園というのはこれは身体障害者スポーツ施設などが設けられておりまして、そこへ行く障害者の方の乗り継ぎ駅でもあるわけなんです。また逆に、泉北高速鉄道の終点の光明池駅というところには大阪府のファインプラザなど身障者施設、現在国や堺市の身体障害者職業訓練施設その他の事業も進められているそういうところへ行く障害者の方の乗り継ぎ駅となるわけです。つまり福祉駅という性格を持っているわけです。  ところが、乗り継ぎに際して見てまいりますと、地下鉄から南海線などに乗りかえの場合、地下鉄のホームから改札口までが階段で見ますと三十三段、改札口から地上まで三カ所階段がございまして合計六十七段、さらに地上を出て八十メートル歩いてから橋上駅を上ること四十七段、合計百四十七段という非常にたくさんの階段があるわけなんです。これだけ上らないと乗りかえができないんですが、高野山へお参りに行くお年寄りの方などは、高野山の階段を上る前にこの駅でくたびれてしまうという状態なんです。現在、この地下鉄ホームから改札口の間だけ一カ所隅っこの方にエスカレーターが一基ありますが、仮にこれを使っても百十四段上らなきゃならない。  この場合を見てみますと、事業主体が四つになるわけです。地下鉄の方は大阪市、地下鉄の改札を出てから地下道とか階段は大阪府なんですね。地上に出ますと堺市の連絡通路を歩いて、最後に橋上駅というのは南海と泉北高速の二社の共同利用駅という形になっておるわけです。ここの地下鉄は昨年の四月に開通した新しいところなんですけれども、それぞれの事業者が老人とか身障者、妊婦、病虚弱の人のことを余り考えないで進めてきた結果、昭和五十八年三月に運輸省の方では既にガイドラインを示しておられるわけです。そういうものがあったにもかかわらずばらばらにやってきた結果、こういう問題が出ているわけです。  以上、私は一例を御紹介したわけです。せっかく運輸省の方で公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドラインなどを作成されて取り組んでいただいているんですが、やはりこうした都市部における接続駅などで見られる、異なる鉄道の駅のホームとホームの間を接続する連絡通路をできるだけ距離を短くするとか、昇降する階段の段数を少なくすることとか、それからエスカレーターとかエレベーターの設置を図るなど、安全、便利で合理的で、しかも運輸省の方で作成されたこういう障害者用のガイドラインなどを生かしていただいて福祉的配慮を行うように、関係事業者の間はもとより、国の方でも、運輸省が補助する部分とか建設省が補助する部分とかあるものですから、やはり関係省庁間でもよく調整を図られてこの種の事業が速やかに進むように取り組んでいただきたい、こういう異なる事業者間の接続駅の問題についても一層改善を進めていただきたいというふうに思うわけです。この問題については、大臣にちょっと見解を伺っておきたいと思うんです。
  182. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 日本の社会も変わってまいりまして、日本人のライフサイクルもライフスタイルも変わってきつつあるわけでございます。何といっても高齢化社会になってまいりましたし、高齢者の方が従来のように家で隠遁しているというそういう社会でもなくなりました。身障者の方はもちろんでございますけれども、高齢者の方を含めてそういう方々の利便のために駅というものがエスカレーター等を設置することで便利化されるということは歴史的な必然だと思います。  ただ、既存の駅、特に古い駅などはなかなか改修が物理的にも不可能な面がありますので、非常にケース・バイ・ケースで困難も予想されますが、いずれにしろこれから設置される駅に関してはそういったものは必ず附帯されるように指導していくつもりでございます。東京など都心が今度は新宿に移るとさらに混雑が予想されるんですけれども、新宿駅なども非常に改修するに難しい条件がありまして苦労しているところでございます。しかし、いずれにしろ時代の要請に合った形で駅が便利化されるように努力していくつもりです。
  183. 吉井英勝

    吉井英勝君 実は、今御紹介いたしました中百舌鳥駅などは昨年の四月に新しく地下鉄が開通したというところなんですが、昭和五十八年に運輸省の方からそういうガイドラインが示されながらも、必ずしも事態は関係事業者間でよく調整がとられて進んでいないというのが実態ですので、一層この点については努力を払っていただきたいと思うわけです。  次に、関西新空港建設に絡んで砂利船汚職というのが発生いたしました。贈収賄容疑に問われた関係者が逮捕、起訴されてから三カ月余りがたちますが、私は内航海運をめぐる今回の事件について調べてみますと、運輸省指導や対応に問題があるということがうかがわれます。  そこで具体的にお聞きしたいんです。昭和五十五年の十一月六日の全国砂利石材自家用船組合連合会と日本内航海運組合総連合会との砂利船等の正常化に関する協定と了解事項、三つの文書のうちの二つの文書については、当時の運輸省海運局内航課長が立ち会って署名、捺印をしているわけですが、なぜ運輸省が立ち会うこととなったのか伺います。
  184. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 自家用砂利船の営業船への転用につきましては長年にわたる経緯がございました。    〔理事菅野久光君退席、委員長着席〕 昭和四十年代に自家用船が非常にふえまして、一方、オイルショック後の公共事業の減少に伴いましてこれらの自家用船が営業船の領域を侵すというような事態も頻繁に発生いたしまして、一方、自家用の方も仕事を求めて営業船としての地位を認知してもらいたいという要請が非常に強うございました。そこで、自家用船の方は全国砂利石材自家用船組合連合会、俗に全自連と申しますが、この団体がございます。一方、営業船の方につきましては日本内航海運組合総連合会がございまして、この両者の間でいろいろと話し合いが行われてきたわけでありますけれども、この自家用船の砂利営業転用につきましては非常に話し合いが難航いたしました。そこで、運輸省が両者の間の意見調整を行いまして、当時の課長も大変苦労しながら最終的に意見の調整が図られたわけでありまして、その過程におきましては運輸省としての見解を示すというようなこともございました。そういう事実を踏まえまして最終的に昭和五十五年十一月に、今申し上げました総連合会と全自連との間に基本協定が締結されたわけでありますけれども、その際担当の、当時は海運局内航課長でございましたが、これが立会人となったものでございます。
  185. 吉井英勝

    吉井英勝君 今おっしゃいましたように、長年の経過があったわけですね。何回となく正常化に関する協定が結ばれ破綻するということを繰り返して、そしてその末に運輸省の調停でやっと結ばれたのが五十五年協定だったわけですね。ですからその意味では、これまでの協定と運輸省が立ち会って署名捺印までしているこの協定とは協定の重さが違う。比較にならないぐらい重いものです。それだけに運輸省の直接的な責任も重視されるべきものだと思うわけです。この五十五年協定においては、全自連は、自家用の転用予定船並びに解撤予定船及び既に解徹済みの砂利船等の合計重量トン数の三十分の八に相当する船腹量を昭和五十七年九月三十日までに解撤すること、その解撤所要量について総連合会の確認を受けることが明記されています。同協定に基づく覚書によりますと、解撤が実施された場合は、総連合会の所定の書式により報告するものとされています。  今御紹介しましたように、この協定によると昭和五十七年九月三十日までに解撤することとされているわけですが、この解撤と転用の実施状況について御報告いただきたいと思います。
  186. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) これにつきましても、五十五年の基本協定締結時と、それからその後さらに追加的に自家用船で転用したいという船が出てきたりいたしまして経緯があったわけでございますけれども、最終的には転用の対象になりましたのは、七百五十四隻、四十七万一千七百八十二重量トンでございました。したがいまして、この解撤所要量は、ただいまお話のございましたように、三十分の八に相当いたします十二万八千十一重量トンが解撤所要量ということになったわけであります。そこで、全自連の所属の営業転用を希望しております船の中からの解撤が八万一千六百七十重量トン行われました。そのほかに、既存の営業船をいわば買ってまいりまして、これをスクラップに充てるというものもございまして、合計いたしまして解撤いたしましたのは九万四千五百二十八重量トンでございました。そこで、十二万八千十一重量トンとの間の差の三万三千四百八十三重量トンが不足になるわけでございますが、これは当初の両者の約定によりまして、解撤不足量に対する保証預託金をそのまま総連の方に引き渡すという形で解決が行われております。
  187. 吉井英勝

    吉井英勝君 昭和五十七年九月三十日時点での解撤の執行率が五、六〇%で、最終的に六十二年までかかっているわけですね。協定それ自体が守られていないわけです。  問題はそれだけじゃなくて、私どもの調査によりますと、昭和五十二年から八年間で総連合会の監査委員会がこれら一連の協定に基づいて解撤完了を承認した合計二百五十一隻のうち、約一割に相当する二十隻が実際には解撤されずに稼働中であったり、総連合に書類のないもの、解撤せず国内に売却していたものなどあることが判明しております。解撤完了の承認手続に疑惑の念を抱かざるを得ない実態であることが明らかになってまいりました。総連合会というのは運輸省指導のもとにある団体ですが、運輸省はそういう実態を御存じなのかどうか、伺います。
  188. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 以上申し上げましたように、合計約九万五千重量トンの解撤が行われたということが全自連を通じまして総連の方からの報告で私ども承知いたしておるところでございますが、解撤したはずの砂利船が解撤されずにいるとの情報が一部にございましたので、当局の方も調査をいたしました。ただいま二十隻というお話がございましたが、それらについて当たりましたところ、そのうちの三隻につきまして、解撤が行われれば船舶原簿から抹消されるわけでありますけれども、これが残っている事実を最近私ども確認いたしました。これらはいずれもいわゆる営業船としては使用されておりませんけれども、一部自家用等に使われている模様でございまして、現在その状況について調査をいたしております。
  189. 吉井英勝

    吉井英勝君 三隻とおっしゃったわけですが、疑惑のあること自体が重大なわけですね。一体それじゃ、何トンの何という名前の船がその三隻に相当するんですか。
  190. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 私どものただいままでに掌握しているところでは、船の名前で申し上げますと、第十朝朋丸、それから第二幸陽丸、それから第三光梅丸の三隻でございます。
  191. 吉井英勝

    吉井英勝君 しかし、実際にはもっとありますね。例えば立興丸ですか、五十六年二月理事会承認船ですが、五十二年五月大阪府の村角建設に売却し、六十二年に砂利船汚職が発覚しそうになったので村角建設がクウェートの船会社に海外売船しているとか、第二十四明神丸ですか、これは五十一年十二月に広島県の竹原仲で沈没した二十四明神丸を、全自連の指示で、中国海運局が解徹船リストに登載させ、実際には沈没してから、三カ月前に沈んだ船をリストに載せて生き返らせてみたりとか、今おっしゃった船ももちろんございますし、しかしほかにもぞろぞろ問題のあるのがございますね。例えば第五地産丸、これは、報告によりますと、横浜市で解撤して大田区の業者に鉄くずとして売却したとなっているんですが、その証拠写真となるものは実は背景に千葉県の藤代造船所が写っており、解徹現場は報告書と全く違う、写真はピンぼけで船の名前も確認できない、しかも、この解撤状況というのは監査委員が見たわけでもなく、関係者の事情聴取から解撤されたものと推定した、総連合会の事務局ではこの船を改めて点検して、あのころ無理やり押し込んだ船があったと証言しているものに至るまで、随分あるわけです。  問題は、やはりこういうものについて、一隻一隻についてちゃんと調査をされて、まず報告をいただきたいと思うんですが、どうですか。
  192. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま申し上げましたように、当時短期間の間に多くの船を解撤したわけでございまして、隻数にいたしますと二百五十五隻でございます。原則は、総連合会におきまして現地にその解徹を確認して行うということでございますが、多数にわたったために書類審査で行ったものがございます。その中から任意に選出したものだけをいわばサンプル的に現地調査をやるということをいたしておりまして、その現地調査を行わなかったものの中から今御指摘のようなものが出たと思われます。私どもが現在船舶原簿から抹消されていないということで確認したのは以上の三隻でございますが、全体としてあってはならないことでございますので、当時どういう経緯であったか、それからまた、これについてどう対処していくかということを総連合会の方にも指示をいたしまして、調べてみたいと思います。
  193. 吉井英勝

    吉井英勝君 今二、三の船について私も御紹介いたしましたが、偽装解撤の操作によって、不況にあえぐ零細業者が泣く泣く出した保証金の中から、この二十隻分だけで実は合計四億円に上る解撤交付金を、全自運の一部の幹部などが不法に横領して政界工作などに使ったのではないかという問題、また、解撤完了証明書を出してきた総連合会も全自連の不正に手をかしていたのではないかという疑惑が持たれております。現に総連合会の関係者は、当時の監査状況について、無理やり押し込んだ船があった、一部の処理監査委員に不正があった、全自連から金をもらった人物がいたなどを証言しております。  さて、事件当時の新聞報道などを見ておりますと、例えば一月十九日付のサンケイによりますと、昭和五十五年十一月当時の内航課長や六十年三月当時の海上貨物課長らに、田代議員が呼びつけて圧力をかけたとなっておりますが、この圧力の結果がどうかはここではおいておくとして、やはり運輸省が協定に立会人として署名、捺印までしているのに、その協定が遵守されているかどうかをきちっとフォローしないで、立会人としての責任が果たせるわけはないと思うわけです。運輸省のそうした態度が今回の腐敗や汚職事件の温床をつくることになっていると思うわけですが、本件については調査をして報告をいただくとともに、ただすべきことはやはりただすべきだと思うわけです。最後に大臣の御見解を伺って、質問を終わります。
  194. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま田代議員からの働きかけのお話がございましたけれども、田代議員からのお話はこの転用船を認めた際の協定の中にございます、いわゆる一身限りの船舶とすることとか、あるいはオペレーターとしての地位は当面認めないということのこの制限を解除することについてのお申し出でございました。運輸省並びに総連合会といたしましては、営業船として転用を認めた以上は、ただいまの解撤そのほかの約束がきちんと守られることを確認した上で、いずれは営業船と同じ扱いをすべきだという基本的な認識にございましたので、いろいろな経緯がございましたけれども、約束の遵守状況等を確認した上で順次この制限を撤廃したものでございます。田代先生からの働きかけによって筋を曲げてそういうふうにしたとかいう事実はございませんので、念のため申し上げておきます。  なお、ただいまの三隻、そのほかのものについては調査をいたします。
  195. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 局長から申しましたが、事実を調査いたしまして、いたずらな誤解を招かないようにこれから指導していくつもりでございます。
  196. 橋本敦

    ○橋本敦君 きょうは本四架橋公団、JRの参考人、お越しをいただきましてありがとうございます。本四架橋に伴う列車の騒音公害という大変重大な問題がありますので、それをお伺いする予定でおります。  それに先立ちまして、気象関係の人員増を含む問題についてまず質問をしたいと思います。  御存じのように、昭和五十三年に大規模地震対策特別措置法かつくられまして、地震対策災害対策は非常に大事な国民的課題になってまいりました。その中の一つとしてお伺いするのでありますが、大阪の方では大規模地震によりまして万が一気象庁本庁の方がその機能を喪失した場合には、第一代行機関としての役割を果たすという位置づけがなされているわけです。その位置づけがなされて、それにふさわしい体制が具体的にどのように大阪でとられているのかいないのか、まずこの点簡単に明らかにしていただけますか。
  197. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 先生指摘のように、本庁が大規模地震などによりまして地震業務あるいは津波業務、これは完全に失うということは余り考えていないんですけれども、その一部が失われた場合、それは直ちに大阪、東京、仙台の各管区気象台の管轄地域にあります気象官署の地震に関する観測のデータ、観測成果並びに長野県の松代に地震観測所がございます。ここにあります群列地震観測システムによります観測成果を代替官署であります大阪管区気象台に集めまして、そこで地震情報などの発表を行うという体制をとることとしているわけでございます。
  198. 橋本敦

    ○橋本敦君 考え方としてそれはわかるんですが、そういう体制をとろうとしているということで大阪の方がその機能を果たすだけの具体的な対策が進んでいるのかといいますと、それは具体的には進んでいないのではないかということから私は質問をするわけです。  そこで、大阪の方は具体的にそれを進めるために、とりあえず体制の強化として大阪管区気象台の技術部に地震課を設置しまして、職員は六名増員、十一名振りかえ、こういう体制で地震課な設置したいということを予算を含めた要望として具体的に提起をしております。これは当然のことだと思うんですが、長官いかがですか。
  199. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 大阪管区気象台の地震、津波の常時監視体制の強化、これは図っていかなければならないわけでございまして、このために地震、津波担当者の複数体制をとる、あるいは解析担当者を設けるというようなことで、これまでに人員増を行って整備をしてまいってきております。そういうわけでございますので、現在大阪管区気象台では本庁の代替官署としての機能を果たすことができるというように考えております。
  200. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に管区気象台の方から来年度予算に向けての話の一つとして、今私がお話ししたような地震課を今お話ししたような人員で整備したいということが言われていると思うんですが、これは御存じでしょう。
  201. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 存じ上げております。
  202. 橋本敦

    ○橋本敦君 私が言うのは、その要望を積極的に受け入れて予算措置等もこれから要求しながら実現をするということに進んでもらいたい、こういうことで質問しているんですが、いかがですか。
  203. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 各管区からいろいろと、これは大阪ばかりでございませんで、体制整備ということについては一般的に要望がございます。大阪に関しましても、先生指摘のような御要望がございますけれども、一応事があった場合に大阪管区で代替官署としての機能は果たせるかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、これまで人員増も行っておりますし、整備を進めてきておりますので、現状でやっていけるというふうに考えているわけでございます。ただ、一般的にこれは全国的に申し上げまして、やはり地震、津波業務というのは今後ともいろいろと充実、整備をしていかなければならない問題であるというようにはとらえております。
  204. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的にこの大阪の要望は、それじゃ聞いているけれども、これを実現するというような意思は全然ないという答弁ですか。そう聞こえますよ。
  205. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 来年度におきましてそういう形に持っていくということは現在考えておりません。
  206. 橋本敦

    ○橋本敦君 来年度以降は考えますか。
  207. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 先ほど申し上げましたように、地震、津波業務体制整備充実ということは全国的に考えていく問題であろうというふうに考えておりまして、そういう中の一環としてというよりも、そういう体制整備ということで今後とも考えていかなければならない問題だと思っております。
  208. 橋本敦

    ○橋本敦君 もっと責任を持って第一代替機能を強化するということも含めて、積極的な対応を長官としてはやるべきだと思います。  次の問題に移りますが、天気相談業務の充実であります。  今日、気象についての業務は非常に国民的な重要性を増しておりますし、同時に国民からのニーズも非常に拡大をして多くなっております。電話照会等の実情を見ましても、八五年度十月八日から十七日の十日間を見ても、電話の照会回数は全気象労働組合の調査でも大阪では二千三百七十四回となっております。これは同時に電話がかかることがありますから個別的にはもっと多かったと予想されますし、全国的にも多くなっています。そして、予報部の予報課に天気相談所を置くということは気象庁の組織細則で決まっておることでありますが、これについても、現在やっている予報官による天気相談業務は休日やら夜間も含めてもっと全面的に国民のニーズにこたえられるようにする必要があるのではないか、そのために大阪の方では具体的な要望として人員の増員要求も出ております。来年度以降この増員要求について十分考慮していかなくちゃならぬと思っておりますが、長官の御意見はどうですか。簡単に答えていただけますか、増員要求についての長官の姿勢でいいです。
  209. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 確かに天気相談所は休日や土曜日の午後、それから夜間などは閉所するわけでございます。しかしながら、いろいろと電話件数の最近の一年間の統計などを見ましても、一応増員をしなくても現状でやっていけるというように考えております。
  210. 橋本敦

    ○橋本敦君 長官、全然それは話になりませんね。やっぱり現場の実情を長官はもっとよくつかんでもらわなきゃ困ります。あるいは夜間とか土曜日の午後とか休日とかどれだけのニーズがあるか、もっと具体的につかむべきです。そしてそれをやるためには、現在の人員で足らないということは現場の声としてはっきりしているんですから、大阪の方から増員要求が出ている。  それからもう一つは、管区気象台だけじゃなくて、地方気象台でも天気相談所を設置するということは自治体の議決による要望でも幾つか挙がってきておるわけですが、そういう状況は長官御存じですか、自治体の要望にもなっていることは。
  211. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 知っております。幾つかの自治体からそういう要望があることは知っております。
  212. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういった状況を踏まえてこうした天気相談所業務の充実のために、一層人員増も含めて検討する必要があるということは、これは御認識でしょう。
  213. 菊池幸雄

    政府委員(菊池幸雄君) 現在いろいろ気象情報に対しますニーズというのは増加してきております。しかしながら、一方におきまして新しいメディアというものもまた進んでおるわけでございます。そういうわけでございまして、いろいろな御要望がございますけれども、今後の問題といたしましては、気象情報サービスのあり方というものを、そういう新しいメディアの進展ということも踏まえながら検討してまいらなければならない問題であるというように考えております。
  214. 橋本敦

    ○橋本敦君 幾らメディアの問題があったって気象庁自身が責任を持って、国民のために予報業務を拡充しなきゃだめじゃないですか。これはもう長官と話しても全然だめですね。  運輸大臣、お聞きのように、国民のニーズが非常に高いことは長官も認識されておるんです。自治体の要望もあるんです。だから、地方気象台における天気相談所の開設も含めて、こういった天気相談所を国民のために、人員も含めて一層充実するように、大臣としても積極的に御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
  215. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) いろいろ予算等の制限もございまして、日本人の生活様式も変わってきて、今長官がお答えしましたように、非常に天気予報に対するニーズが高まっておることは承知しておりますが、でき得ればメディアを含めまして技術的なものを合理化することでそれにこたえていきたいと思っております。しかし、それでもなお賄い切れないものがあれば、これはやはり国民の皆様の要望でございますから、積極的に検討をしなくてはならないと思います。
  216. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間がありませんから、この質問はこれで終わってまいりますが、長官の答弁は、私にとっては国民のためにいささか姿勢と決断を欠くものだというように言わざるを得ないです。もっと積極的に国民のニーズにこたえる気象業務の充実のために長官としての責任を果たしてもらいたい、このことを申し上げておきます。  さて、きょうの質問の本題ですが、時間がもうなくなってまいりましたが、二十一世紀のかけ橋として本四架橋が、まさに壮大な工事ではありましたが、完成をして、四日から運行を開始した。ところが、やってみますと、大変な列車通過に伴う騒音公害で、今住民の間では大問題になってきておるんです。  運輸大臣御存じかと思いますけれども、具体的に言えば、本州側の下津井、田の口から出てまいりますが、その周辺の住民の皆さん、田之浦地区、ここでは住民の方が大変なショックだというように地元の人は言っております。岩黒島に至っては、自治会長の岩本さんのお話によりましても、これは本当に驚きのほかない、電車の音というのはジェット機の轟音と同じで、びっくりしている、夜も寝られない。そしてまた、八十ホンを超えるというのはこれはもう論外だという怒りの声で埋まっておるわけであります。  そこで、まず本四架橋公団にお伺いしますが、こういった騒音について住民から厳しい批判が今起こっておる状況については、実情を把握しておられますか。
  217. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) 先生から今御指摘がございました騒音の問題につきましては、関係住民方々の中からより一層鉄道騒音の低減を図ってもらいたいという御要望があることは承知しております。
  218. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に騒音測定をされた結果はどうですか。
  219. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) 開業後におきまして関係方々の立ち合いのもとで騒音測定をすることになっておりますが、一部の地区で既に測定を行っており、現在データ整理中でございます。  なお、試験運転……
  220. 橋本敦

    ○橋本敦君 試験運転はいいです。現在です。
  221. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) その測定結果につきましては、まとまり次第地域方々に御説明をしたいと思っております。
  222. 橋本敦

    ○橋本敦君 きょう二十五日は現地で住民説明会をやっているのじゃありませんか。
  223. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) まだ細かい内容については連絡は受けておりません。
  224. 橋本敦

    ○橋本敦君 最高は八十ホンを超える八十三ホン前後だというように現地から聞いておりますが、御存じでしょう。
  225. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) 一部の地区におきましてそういう値が出ておることは聞いております。
  226. 橋本敦

    ○橋本敦君 これは大変な騒音なんです。JRに伺いますけれども、夜の九時から午前七時までの間にこの本四架橋を通過する列車本数は何本ぐらいありますか。
  227. 笹子稔

    参考人(笹子稔君) お答えいたします。  旅客列車につきましては上下で十三本、貨物列車が五本、合わせて十八本でございます。
  228. 橋本敦

    ○橋本敦君 大阪空港の騒音公害は大変な問題になって、生活権侵害、人格権侵害等々最高裁まで行ったわけですが、夜間の静ひつというのは人間生活にとってこれは不可欠のものです。この本四架橋を見ますと、大阪空港は夜九時から朝の七時まで発着を運輸省も禁止しておりますが、この本四架橋の列車は今言ったように夜中も走っているわけですね。そして夜中のしじまを被って騒音がまさに頭から降り注いでくるという状況ですから、今まで静かだった瀬戸の海に住んでいた人々にとっては、これはもう大変なことになるわけです。まず伺いますが、騒音問題について、この本四架橋について環境影響評価ではどのようになっておったんですか。
  229. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) 環境影響評価手続をしたわけでございますが、その中におきましては環境保全目標といたしまして一般区間において八十ホン以下、つり橋等超大橋におきましては八十五ホン以下としております。
  230. 橋本敦

    ○橋本敦君 八十ホン、八十五ホンというのはかなりの高い値です。環境庁に伺いますが、そういうような値で住民の静ひつは維持できると考えていたんですか。
  231. 濱中裕徳

    説明員(濱中裕徳君) お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、環境庁につきましては新幹線鉄道に関しまして昭和五十年に環境基準を設定いたしておりますが、その際には主として住居の用に供される地域にあっては七十ホン、商工業の用に供される地域にあっては七十五ホンの基準値が定められております。しかしながら、在来鉄道騒音につきましては鉄道の形態、運行方法が多種多様でございますので、一律に規制するのがなかなか難しいという実情がございまして、現在のところ基準を設定するに至っていない状況でございます。そこで、環境影響評価に際しましては、私ども公団から提出されました環境影響評価書案につきまして審査をいたしまして意見を申し上げたところでございますが、その際、列車騒音につきましては騒音レベル五ホン程度を軽減することを目標として鋭意技術開発を推進し、その成果を効果的に活用して沿線生活環境への影響を極力軽減するように努めることとの意見を申し述べたところでございます。
  232. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に言うと、八十五ホンを五ホン減らして八十ホンにすればいいということですか。ちょっと答えだけ結論を言ってください。
  233. 濱中裕徳

    説明員(濱中裕徳君) お答え申し上げます。  私どもは、新幹線の環境基準につきまして先ほど申し述べたとおりでございますけれども、この本州四国連絡橋建設事業に関します環境影響評価におきましては、列車鉄道騒音発生源対策のみの目標ということで申し上げまして、当時の技術開発の状況、それからその当時から建設に至るまでの間にどの程度技術開発が推進されるであろうかという見通し等を踏まえまして、先ほど申し述べましたような五ホン程度の軽減をすることを目標にして努力すべきであるとの意見を申し述べたものでございます。
  234. 橋本敦

    ○橋本敦君 仮に八十ホンを五ホン減らすとすると七十五ですが、現在七十五どころか最高は八十三ぐらいになっているというのは今公団もお答えになったとおりです。だからそういう意味では環境庁の指摘した数字にもなっていない、いいですか。  それからもう一つは、新幹線は七十ホンとこう言いますが、新幹線は深夜は走っていません、午前一時、二時、朝の五時。ここは深夜と午前四時、五時に走るのです。しかも静かなところですから、新幹線の七十ホン以上の厳しい処置が本当に必要なんです、夜寝られなくなるのですから。大阪空港は夜九時から朝七時までとめているのです。だからそういったあいまいな甘い環境庁の姿勢がこういったことを生み出す一つは重大な問題になっている。それからもう一つは、本四連絡橋公団自体が、環境庁が言うような八十ホンをさらに五ホン下げるという技術的にはその他の努力もしていないで、現在八十ホン以上の音を出しているというところにも重大な責任がある。したがって、この問題については毎日毎日深夜住民は寝られないのですから、早急に対策を講じてこの騒音公害をなくしていくために全力を挙げなければ、夢のかけ橋どころか住民にとっては大変なことになります。  運輸大臣に伺いますが、この騒音をなくす対策というのは直ちに全力を挙げて運輸省としても指導すべきだと思いますが、いかがですか。
  235. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生指摘の本四架橋の騒音の関係でございますが、環境庁から御説明がありましたように環境影響評価書の中での保全目標というのが八十ホンとする、それは一般の地区でございまして、つり橋等の超大橋梁というところにつきましては八十五ホンということになっていると私ども承知しております。それでさらに努力目標といたしまして五ホン程度を下げるということになっておりまして、ただいままでの開業後の測定値につきましては先ほどの本四公団のお答えのようにまだ整理中でございますが、開業前の訓練のときの測定値で与島の部分で若干八十ホンを超すという部分が出たということで、基本的には保全目標自身は達成していると思っております。  なお、努力目標につきまして若干超している部分がございますが、確かに地元でいろいろ御迷惑をおかけしていることではございます。今後とも引き続き技術的に可能な限り音源対策を講じることとすることで、現在本四公団の方も吸音板とか制振材の取りつけを行っているというふうに聞いておりますので、今後ともそのような努力をしていただきたいと考えております。
  236. 橋本敦

    ○橋本敦君 もう時間が来ましたから最後に聞きますが、大臣、もっと厳密に環境を住民のために守るという姿勢に運輸省は立たなくちゃだめですよ。今基本的にはクリアしているというようなことをおっしゃったけれども、あなたもお認めになっているように八十三ホンが出ているという事実は答弁のとおりですから、これは努力目標だって何したってクリアしていません。しかも深夜だということを言っているでしょう。だから新幹線の七十ホンよりもっと厳しくすべきなんで、そういう厳しい姿勢で厳しい騒音対策をやらせるということで、大臣、積極的に指導してもらいたい。そしてまた、公団としてもJRとしても、住民の要望にこたえて騒音対策を積極的にやるという姿勢で具体的に事を進めるということについて最後にはっきりした答弁をしてもらいたい。このことをお願いして、質問を終わります。
  237. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 私、環境庁におりましたときにこのプロジェクトが俎上に上りまして、私も幾つか疑義を呈したのを覚えておりますが、結果としてそれが住民の皆様に御迷惑をかけたという形になっているならば、せっかくのプロジェクトでございますから、やはりそういうものを抑制するようにあらゆる技術を駆使して努力をしたいと思います。
  238. 橋本敦

    ○橋本敦君 公団側の対策の答弁を伺いたいと思います。
  239. 吉田巌

    参考人(吉田巌君) つり橋等超大橋梁につきましては、風に対する安定性であるとかあるいは橋げたの部材の耐荷力等に限度がございますので、そういう意味で騒音対策については現状においては非常に厳しい状態にございますが、先ほどございましたように技術開発というものを踏まえまして今後とも努力をしてまいりたいと思います。
  240. 橋本敦

    ○橋本敦君 きょうは時間がありませんから、またお伺いします。
  241. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大臣には最後に質問しますから、その間ゆっくり休んでください。  JRの問題について最初にお伺いいたします。  国鉄改革実施後一年を経過したわけでございますが、運輸省としてはこの新会社の営業活動をどのように評価なさっておられるか、また、新会社の今後の経営のあり方についてどのように考えておられるか、最初にこのことをお尋ねいたします。
  242. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) JR各社の六十二年度の経営状況のことでございますけれども会社がまとめます決算につきましては、現在各社でその決算のための準備の諸作業を進めているところでございますので、基本的に六十二年度の決算の数字はまだ確たるお答えができませんけれども、収入の面の取り扱い収入が二月末までの段階の集計はございます。それによりますと、旅客会社合計で対前年比で一〇六・一%という状況でございます。したがいまして、各社ともおおむね順調にここ一年を過ごしてきているんではないかと考えております。  それで、このような収入増ということにつきましてはJR各社が発足して以来いろいろ営業努力をしております。きめ細やかなダイヤの設定をいたすとか、魅力のある企画商品を開発いたすとか、それから駅施設とか車両の改善といったようなことをいたしますとか、その地域地域に密着いたしました利用者重視のそういう事業展開を行っているというふうに考えておりますので、こういうような各社の営業努力が今申し上げたような収入増加、あるいはその基礎となります輸送需要の増ということにつながったんではないかと考えております。このような各社がさめ細かな事業運営ということを積極的に続けているというところでございますので、今後とも国鉄改革の趣旨に沿って各社ともこのような努力を継続していただきたい、かように考えております。
  243. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 「JR各社 大幅黒字決算に」ということで、二月二十八日の中央紙でございますが、これは全部六段抜きで出ています。国民だれしもびっくりしたわけです、一年で手のひらを返したように黒字になるなんてどうしたことだと。それはうれしいことではあるんですが、私どももびっくりいたしました。今概念的に各般の努力というふうに言われたんですが、この新聞が書いている大見出しは「人件費減少が効く」、こういうふうに書いているわけです。いろんな要素があるんでございましょうが、具体的にもう少し、どうしてこのようにぱっと黒字に転換できたのか、どのようにそれを運輸省は見てとっているのか、その辺をもう少し聞かしてください。
  244. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) まずは収入の問題につきましては、先ほど私が御説明申し上げましたように、各社とも積極的に、かつきめ細かな地域密着型の営業努力をしているというところがございます。それだけではございませんで、幸いにしまして景気回復期に当たりましたものですから、そういう要素も加わりまして輸送需要が増加した、したがってそれによっての収入がまたふえたという関係がまず第一ではないかと思っております。  それから、経費の問題につきましては、一般的に業務運営の効率化ということをいたしまして、各社経費節減を図っているわけでございます。それから今先生指摘人件費の問題も、職員数が、当初定めておりました基本計画の中に採用目標数というのがございますが、その数より下回っているという会社がございます。そういう人件費負担の軽減という要素ももちろんございますが、経費面につきましてもそういう経営努力と、それからそのような人件費の問題といったようなことがありまして、コストの削減というのでしょうか、そういう形で効いてきているというように考えております。
  245. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もう少しお話ししたいのだけれども、先に移らせていただきまして、整備新幹線の問題についてお尋ねいたしたいわけです。整備新幹線については優先順位、財源問題など二つの検討委員会を設置して、ことしの八月までに結論を得ることになっているわけでありますが、この整備新幹線の問題はJR各社にとって極めて重大な問題であろうと思います。建設費の問題、需要の予測、収支及び採算性の見通し、他の交通施設の状況、JR各社の経営見通し、あるいは在来線廃止可能性など極めて重要な問題だと思うんです。運輸省としても八月までの結論を出すまでにJR各社の意見を聞くということになっているわけでありますが、具体的にどのようなスケジュールでJR各社の意見を聞いていかれるのか、現在のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  246. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 先生の御指摘のように整備新幹線の取り扱いにつきましては、昨年末の予算編成のときに政府と与党間の申し合わせがございまして、それまでの財源問題等検討委員会というのを廃止いたしまして、整備新幹線建設促進に関する検討委員会という委員会を設けまして、その下に優先順位を決定するための着工優先順位専門検討委員会、それから財源問題などを検討いたします財源問題等専門検討委員会、この二つの専門委員会を置きまして、ここで八月末までに結論を出すということを今後やっていくという形になっております。その中でJR各社、また要すれば地方公共団体の御意見も伺っていくということになっていくわけでございますが、現在までのところJR各社の六十二年度の決算が今まだ出ておりません状態でございますので、それがいつごろ確定するかというようなこととの関係で今後JR各社の意見を聞く時期を決めてまいりたい、かように考えております。
  247. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 具体的にいつごろになるんですか。
  248. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 結論は八月までに出すということでございます。それまでに当然JR各社の意見を聞いてまいるということを考えておりますが、先ほど申し上げましたように決算との関係が非常に深い問題でもございますので、今のところはまだ時期を決めていない、こういうところでございます。
  249. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 八月といったってもう目の前ですからね。だから必ずこれは取り扱いに定めておるように、地方自治体はもちろんのことJRの意見を十分徴していただきたいと思います。  次に、青函トンネルが開業したわけでありますが、国鉄と航空機の輸送量シェアというのを国鉄監査報告書で見ますと、東京—札幌間は九六%が航空機を利用するということになっております。また、JR北海道は毎年三十億円の赤字を予測しておるわけです。そこで、せっかく大事業としてトンネルが開通したわけでありますが、この赤字をどう負担していくのか、運輸省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  250. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 北海道会社につきましては、昨年の四月に発足いたしましたその当初から、津軽海峡線につきましての開業後の経営見通しというようなことも織り込みまして、私ども経営安定基金と言っておりますが、約六千八百億円の経営安定基金を設定いたしました。その基金の果実、利子でございますが、会社の営業損益は私どもの推計によりますと赤字になるわけでございますが、その利子でそれを埋めて、それで会社全体として黒字になるという枠組みを考えております。そういう基本的な枠組みの中で、北海道会社は、津軽海峡線でございますが、三月十三日のに合わせまして上下三十本の旅客列車を海峡線に設定するなどのダイヤ改正を実施いたしまして、海峡線の開業を今後の会社経営に寄与させるために積極的な営業施策の努力を展開していると聞いております。現在までのところ私どもが把握しております数字では極めて好調に推移しておる、かように伺っております。
  251. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 私は運営費が必ず赤字になっていくだろうと思っているんだけれども、あなたはそう思っていないわけですか。
  252. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 私はまとめて申し上げましたので若干説明不足かと思います。私どものところに六十三年度の北海道会社の事業計画というものが提出されておりますけれども、それに添付書類といたしまして収支予算という表がございます。それで見ますと、北海道会社の営業損益は、鉄道の営業利益で言いまして六十三年度は五百十八億の赤字が出るという形を想定いたしております。それで、先ほど申し上げました経営安定基金で四百九十八億の利子が上がるということがございますので、それを入れ、その他の特別損益の特別利益を入れまして、それで会社全体としましての六十三年度当期利益が十億円ということで税引き前が二十三億、このようなことで一応会社は予定いたしております。でございますので、その会社全体の営業損益の中に今の津軽海峡線の収支も、これは赤字が見込まれておりますけれども、入っておるわけでございます。
  253. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 わかりました。  函館、青森、八戸の三市がまとまれば、札幌、仙台に次ぐ北海道、東北第三の経済圏になるという期待を非常に大きく持っているようでございます。しかし、この地域交通機関というのが非常に乏しい状況でありますが、運輸省としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  254. 金田好生

    政府委員(金田好生君) お答え申し上げます。  青函地域におきましては、去る三月十三日の青函トンネルの供用に伴いまして、天候に左右されない安定的な輸送ルートが誕生しただけではなくて、従来の青函連絡船利用の場合に比べまして輸送時間の大幅な短縮が図られたわけでございます。青函トンネル供用後の利用状況は、今御説明がございましたように大変順調でございまして、津軽海峡線の開業後一カ月間の旅客輸送実績は前年同期比で約八割の増加になったと推計されております。また、青函連絡船の廃止後も青函間の海上輸送がございますが、これを担当するフェリーにつきましても、就航船舶の代替建造を図るなどサービスの向上に努めておるところでございまして、青函トンネル供用後のフェリーの輸送実績も順調に推移しておると聞いております。  以上のように、青函地域におきましては交通機関整備が飛躍的に進められまして、またその成果が着々とあらわれつつあると考えられるところでございます。今後さらに、地元において青函博の開催を初めといたしまして各種活性化策が講ぜられることと伝えられておるところでございますが、これら交通機関の十分な活用が図られまして、同地域における交流が一層活発化することを期待しているところでございます。
  255. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 国鉄改革の残された非常に大きな課題であります清算事業団の職員の再就職対策と長期債務などの処理について、現状どのような状況になっておるか。
  256. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) まず、清算事業団職員の雇用対策関係から御説明申し上げます。  この清算事業団職員といいますか旧国鉄の職員の方々の再就職対策の問題につきましては、国鉄改革に当たっての最大の問題の一つということで私ども認識しておりまして、国鉄時代から政府が一丸となって最大の努力をしてまいったわけでございます。その結果、公的部門を初めといたしまして各分野の御協力もありまして比較的に順調に推移しました結果、この一年で、再就職を必要とする方として清算事業団に移行した職員が一万八千八百七十七人おいでなんですが、そのうちの五三%に当たる九千九百五十人という方々が既に再就職をいたしておるところでございます。  それで、今後残された再就職先のまだ未定の方々の問題があるわけでございますけれども、この方々中心は雇用情勢の厳しい北海道とか九州地域の職員の方々が多いわけでございますので、まずはこの一年間の間にその方々、北海道とか九州の清算事業団職員を対象といたしましてJRの新会社による追加募集をいたしまして、その結果千六百三十人の方々が追加採用されております。その結果再就職先未定の方々は、一年前の四月一日現在では七千六百二十八人の方々が清算事業団職員として清算事業団に移られたわけでございますが、二千八百五十五人減りまして、ことしの六月一日現在で考えますと、四千七百七十三人という形になっております。  それから、第二の長期債務の処理の問題でございますが、この長期債務の処理の問題につきましては、基本的な方針をことしの一月二十六日に閣議決定いたしました。私ども償還基本方針と言っておりますが、償還基本方針を閣議決定したわけでございます。その内容の主な点を申し上げますと、国鉄の清算事業団が処理すべき長期債務などの予定額というのが全部で二十五兆五千六百億ございます。その長期債務にかかる利子が三十年間で七兆八千九百億円、合計三十三兆四千五百億ということがまずは見込まれるわけでございます。清算事業団におきましては、国鉄から引き継ぎました土地などの自主財源がございますので、そういう土地売却などをした結果の自主財源を充てましてもなお残る長期債務などにつきましては、最終的には国において処理するということでございますが、当面は土地などの適切な処分を進めまして自主財源の増大を図って、極力国民負担の軽減に努めたいということを定めてございます。  今のは当面の話でございますが、長期債務の本格的処理に必要な新たな財源措置といったことにつきましては、清算事業団、先ほど御説明しましたように、雇用対策をやっているわけでございます。そういう雇用対策とか、あるいは今行っております土地の処分などのそういう見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的な見直しとあわせまして、検討、決定するということといたしております。それまでの間は清算事業団に対しまして、財政事情の許す範囲内での必要な助成とか資金繰りなどの円滑化のための措置を講ずるということを定めております。  以上が償還基本方針の内容の主な点でございますが、このような考え方に従いまして、六十三年度予算におきましても清算事業団に対しまして千六百四十三億円の助成を入れるとともに、資金繰りの円滑化を図るために一兆三千八百十億円の財政投融資を行っております。それによって資金の確保に努めるようにしております。  大体、以上のようでございます。
  257. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 再就職対策は非常に厳しい環境の中で御努力いただいているわけでありますが、今お話しありましたように、今日現在、再就職先未定者が四千七百七十三人いらっしゃるわけで、これは法律で定められた二年のうちに就職先を決めなきゃいけないわけでしょう。それはいつなのか、また具体的にその四千七百七十三人の方たちの再就職の見通しは大体ついているのかどうか。どうでしょうか。
  258. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生から御指摘の再就職先が未定の方々が四月一日現在で四千七百七十三人いらっしゃるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この方々の主たる今おいでになる地域が北海道、九州でございますので、その地域先生承知のとおり大変就職状況の厳しいところでもございます。清算事業団といたしましては、各方面の御協力を引き続き仰いでいるところでございますが、同じ地域ではなかなか再就職先を確保することが難しいという情勢もございますので、全国的な観点から再就職を行うということが必要であろうと考えております。このために清算事業団で職員の個々の方々の御希望を伺い、またその能力に応じました教育訓練とか個別求人開拓、職業紹介をきめ細かく今実施しているところでございますが、なおその職員を雇い入れていただく事業主に対しましても必要な助成措置を講ずるというようなことをやっております。先生の今の御指摘にありましたように、あとこの二年以内に再就職ができますように最大限の努力をいたしたいと考えております。
  259. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いつですか、それの期限は。
  260. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 昨年の四月一日から三年間ということでございますので、六十五年四月一日までという形になると思います。
  261. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 北海道にしても九州にしても土地の方々たちですから、なかなか東京へ出てくるだとか名古屋に出ていくというようなことは難しいと思うし、おっしゃったように九州そして北海道、基幹産業はああいった状況にあって雇用が非常に難しい。したがって、随分御苦労が多いと思いますが、これは法律で定められたことでもありますので、今後さらにせっかくの努力をお願いいたしたいと思います。  次に、土地の売却収入の問題です。六十二年度三千億円の見通しを立てておられたわけですが、実績見込みは五割の一千五百億円という状況になっているわけです。しかるに、六十三年度も三千億円を見込んでおられるんですが、これは達成可能なのかどうか、どうでしょうか。
  262. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 清算事業団の土地の売却の問題につきましては、先生御高承のとおり、緊急土地対策要綱という閣議決定で、地価が異常に高騰している地域における売却を原則として見合わせるなどという形をとりまして、土地対策に配慮して行っているところでございます。そういうこともございまして、当初見込んでおりました三千億円が、実績といたしましては千三百億程度ということにとどまるのではないかと思います。それで、確かに六十三年度の見込みの三千億の問題につきましては、その達成が必ずしも容易だとは考えておりませんけれども、今後とも清算事業団が最大限の努力をするように指導してまいりたいと考えております。
  263. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間の関係国鉄関係は以上にしまして、次に、航空関係質問に入らしていただきます。  最初に、日本航空完全民営化によって経営体質の改善がどのように進むと考えておられるのか、お尋ねいたします。
  264. 林淳司

    政府委員林淳司君) 先生承知のとおり、昨年の十二月に日本航空完全民営化のための一連の措置が完了したわけでございます。完全民営化によりまして私ども期待しておりますのは二つございまして、一つは従来のようないわば特殊法人という形の場合、政府の規制、監督といったようなことを通じて経営の自主性に問題があったわけでございますが、完全民営化によりまして自主的な経営体制の確立ということが一つは期待できようかと思います。  それからもう一つは、従来のような特殊法人でございますと、政府にある程度依存すると申しますか、いわゆる親方日の丸体質というものが残るわけでございますけれども完全民営化によりまして、経営者は最終的な経営責任を負わなければならない、いわば経営責任の明確化ということが図られることが期待できるわけでございます。  ただいま競争促進政策というものを展開しているわけでございますが、各航空会社はこれからさらに競争が厳しくなる。さらに、ほかの交通機関との間の競争も厳しくなっていく。さらには国際的な競争も次第に厳しくなっていく。そういう条件の中で、今回の完全民営化によりまして、日本航空としましてはいわゆる健全経営の確立ということについて、あるいは経営の効率化ということにつきまして、一段の努力をそういう体制の中でしていくことになるであろうと思いますし、そうしなければまた企業として成り立ち得ないということでございますので、そういう方向に一段と努力をされることを期待しているわけでございます。
  265. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 昨年、航空局長の通達の形で、航空各社に対して旅客の運賃負担を少しでも減らしさらに需要を喚起するという立場から、営業割引運賃のニーズに応じた多角的、弾力的な導入を指導しておられるわけです。この点についてなるほど主な国内航空割引運賃対象路線あるいは割引運賃の種類などかなり多く出ているんですけれども、利用客が非常に少ない。なぜ少ないのかという点について、航空運賃のせっかくの割引制度をしいていながらわからないと。そういえば我々もそういったPRに接したことは余りないし、運輸省もせっかくの局長の通達、指導によってこういった形がとられているのに、運輸省の方も積極的なPRをしておるようにも思われないわけですが、利用率向上という観点と利用者の利便という面から見て今後どうするのか、その辺についてもちょっと聞かせていただきたいと思います。
  266. 林淳司

    政府委員林淳司君) 各種割引運賃につきましては、先生ただいま御指摘のとおり、利用者の利便の向上とそれから航空需要の喚起を図るということから私どもとしてもむしろ積極的に導入を指導しているところでございます。おっしゃるように、この割引制度の利用率につきましては、現在七三%程度のお客さんが割引運賃を利用しておる。ただしかし、その中には往復割引の人が三二%ございますので、四〇%強の方が往復割引以外の割引運賃を利用されておるということでありまして、必ずしも十分とは思えないわけでございますが、御指摘のようにこれを今後できるだけ利用していただくためには積極的なPR活動によりまして、要するに利用者に情報を十分提供するということが一番大事だと思いますので、私どもといたしましても常々航空会社にそのことを申し上げておりますし、今後もその方向で必要な指導をしていきたいと思っております。
  267. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間の関係で、四全総関係のことをまとめて三つ四つお聞きいたしますから教えていただきたいと思います。  一つは、四全総に盛り込まれた交流ネットワーク構想の推進について運輸省としては具体的にどう取り組んでいるのかということ。それから四全総と五六答申は整合性の面から問題がないのかということ。それから三つ目が、多極分散の観点からネットワークを整備するといっても採算性の面から障害が出てくるのではないかと考えるんですけれども、この点についてどういう御見解をお持ちか。四つ目が、四全総を踏まえて九〇年代の総合交通体系について運輸省としても新たな計画を策定すべきではないか。まとめてひとつお答えいただきたいと思います。
  268. 金田好生

    政府委員(金田好生君) ただいま先生質問の四点につきまして御答弁申し上げます。  まず、交通体系の整備等を目指す交流ネットワーク構想でございますが、運輸省としましては五カ年計画などに基づきまして、空港、港湾などの幹線交通ネットワークの整備を積極的に推進してまいりたい。また、整備新幹線につきまして、先ほど丹羽総括審議官から御説明ございました検討委員会の場で御議論がなされております。八月までの結論を待って適切に対処してまいりたい、このように考えております。  なお、高速幹線交通ネットワークのアクセスの問題がまた一つあるわけでございますが、鉄道バスなどの輸送機関を有機的に組み合わせました地域内交通につきましても整備を進めてまいる、このように考えておるところでございます。  二点目の御指摘の五六答申とそれから四全総の関係でございますが、五六答申は八〇年代における総合的な交通政策のあり方を展望しております。四全総はこれに対しまして交通政策を含めまして二〇〇〇年を目標とした総合的な国土開発計画を示したものでございますので、目標年次とその対象範囲において相違点がございます。ただ、交通体系の整備の基本的な考え方自体につきましては、四全総では二十一世紀の交通体系の形成に当たっては、各交通機関間の適切な競争と利用者の自由な選択を通して、交通機関の特性が生かされた形で全国一日交通圏の実現を目指すというふうに言っております。五六答申では、各交通機関の競争と利用者の自由な選択が反映した形での全国日帰り可能圏の拡大という目標を設定してございますので、こういった五六答申の目標を発展的に四全総が敷衍さしたものである、このように理解しております。  それから、三点目の御指摘でございます、多極分散の観点から交通ネットワークを整備するに当たっての採算性の問題でございますが、この点につきましては、各地域における地域間の交通にかかわる需要などの採算性に関連する事項をまず基本的な原則として据えまして、一方で地域間の交通の利便性に関する地域格差の是正といった観点にも配慮しながら、各交通機関の特性が十分に発揮されますよう交通ネットワークの整備を進めていく必要があると考えております。  それから、最後の四点目、九〇年代の総合的な交通体系についての御指摘でございますが、運輸省としましては、現段階におきまして九〇年代における総合的な交通計画を直ちに作成するという考え方は目下ございませんけれども、内外の経済社会情勢あるいは交通施設の整備などにおける新たな状況の変化を踏まえまして、九〇年代における総合的な運輸政策のあり方につきまして今後検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  269. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 昭和六十年の七月に運政審の七号答申、「東京圏における高速鉄道中心とする交通網の整備に関する基本計画について」というのが出ているわけですが、これは宅地供給という点からも大変急がれる問題だと思うんです。その進捗状況が今どうなっているのか、お尋ねいたします。
  270. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、東京圏におきます鉄道網の整備は、市民生活の改善あるいは都市機能の向上という面も当然ありますが、さらに良質な宅地供給を図る上でも重要だということで、昭和六十年の運政審の答申を踏まえまして、地下鉄補助、ニュータウン補助、あるいは鉄建公団CD線方式、P線方式、さらには最近、特定都市鉄道整備積立金制度といったようなものを活用して逐次進めているところでございますが、現時点でこの運政審の答申の中に、七十五年を目標に約五百三十キロに及びます新線建設あるいは複々線化等が計画されておりますが、現在までに約五十六キロが開業して、百六十六キロについて工事中でございます。今後ともこれの着実な推進に努力してまいりたいと思っております。
  271. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大深度地下鉄道ということについて調査されているわけでありますが、これは地権者の私権の問題ともかかわるし、国土開発との関係もある。そういった点で、運輸省として一番先を走っておられることと思うんですが、他省庁との関係がどうなっているのか。それからいつごろを目途にこれは実用化を考えているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  272. 金田好生

    政府委員(金田好生君) 大深度を利用いたします地下鉄道整備につきましては、先月三月に外部の学識経験者から構成していただきました大深度地下鉄道整備に関する調査研究委員会で結論を取りまとめていただきまして、大変前向き、積極的なお考えをいただいたところでございます。概略関係省庁にもその報告書の内容はとりあえず御説明したところでございますが、運輸省におきましてその立法化に向けて今作業を始めたところでございます。鉄道整備の緊要性からなるべく早く取りまとめをいたしたいと考えておりますが、運輸省としての考え方を整理した段階関係省庁には御相談を申し上げまして、調整すべき事項があれば調整をしてまいりたいと考えております。  それで、具体的な実用化の点でございますが、今申し上げましたように、そういった調査研究委員会での結論を踏まえて立法化作業に向けての検討作業を始めたというところでございますので、具体的な日程はまだ確定してございません。したがいまして、大深度を利用する地下鉄道の実用化の時期についていついつと具体的に申し上げられる段階にはございませんが、現在の大都市圏におきます鉄道整備の緊要性にかんがみまして、運輸省としてはできる限り早く結論を得るべく検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  273. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 小型航空の問題についてお尋ねしようと思っていたんですが、時間がありませんのでこれはまた別の機会に譲りたいと思います。  先ほどもリニアモーターカーの話が出ておりましたが、もう既に誘致合戦が華々しく行われているところで、大臣もいろんなお考えを持っておられるようでございますが、実用実験線としての適地という条件、どこにするということでなく適地としての条件はどういうものを想定しているのか、どういうことが適地として必要なのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  274. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) リニアモーターカーにつきましては、JR方式のリニアモーターカーは技術開発の程度が実用化に近い段階にまいっておりますので、その実用化に向けての技術開発をさらに促進する必要がございますので、本年度から二年間の予定で実用化に向けた今後の技術開発の進め方の検討等とあわせまして実験線に関する調査を実施することといたしております。この調査費が先ほどから出ていますように、一億八千万円を六十三年度予算に計上しているところでございます。  今先生質問の実験線に関する適地の問題でございますけれども、この調査の中で実験線の具備すべき条件とか、それから候補地の選定などにつきましても行うこととしておるわけでございますので、現在のところは具体的にどこに建設するかというようなことは、この結果を踏まえて考えていく形になると思っております。
  275. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もう時間が参りましたので、大臣、お休みいただいたと思いますから、最後に大臣にお尋ねしておきたい。  それは豪華客船の問題なんです。  日本海事広報協会が昨年行ったアンケート調査で、意外にも豪華客船待望論が日本に高まっている。昨年のクイーン・エリザベス号に、これは横浜港からホノルルまでの間日本人が乗っていったわけだけれども、六百五十人、これは客室の制限があったようですからフリーに出すと優に千人を超す人たちが乗っただろうと。アンケート調査でも、日本に豪華客船が欲しいか、豪華客船で海外旅行をしたいかというアンケートに対して、これは首都圏に勤める男性サラリーマンを対象にしたアンケートで九二%が「はい」ということです。船旅をしたいという人、あるいは日本に豪華客船を持ちたいという人たちが優に全部、過半数を超しておるわけです。  こういった点に実は私どもは着目いたしまして、私どもの塚本委員長が昨年の六月二十四日に中曽根総理と、これには当時の後藤田官房長官も同席なさっていたわけですが、ここで四十分間にわたって会談をして、豪華客船を日本で建造すべきである、国がやはり半分ほど建造費を持ってやったらどうだ、先進国の中で自国の豪華客船を持っていないのは日本だけじゃないか、世界全部先進国は持っている、そしてこれからの日本の健全なレジャーなども考えた場合に、あるいは日本の造船技術、海運技術、そして海洋国日本ということを考えると当然これは一隻ぐらい持っていいんじゃないかということを申し上げたわけです。これに対して中曽根総理も、それは大変いいことだ、再三このことについては運輸省を通じて民社党はそういった考えを持っていることを聞いていたが、なかなか話を進めていなかった、まことに遺憾である、したがって官房を窓口として前向きに検討しましょうということになったんです。  そこで私は、これはお願いかたがた大臣のお考えをお聞きしたいんだけれども、今すぐこれを決定するということはいろいろな問題があろうと私は思います。しかし、大臣がいつまで在任されるのかわかりませんが、そう余り長くないですね。とりわけ海洋問題について詳しい、また熱心な大臣がせっかく運輸大臣として御就任なんだから、大臣の在任中に政府自身の手による豪華客船建造の道筋というものぐらいはつけたらどうだろう。もちろん大臣在任中にそれは決定して事が運べばいいけれども、ちょっと私は時間的に余裕がないだろうと思うので、大臣在任中に、よしやろうじゃないかということで旗を振って進路をひとつ見つけてほしいということをお願いかたがた、また大臣の御所見をお聞きいたしたいと思うんです。いかがでしょう。
  276. 石原慎太郎

    ○国務大臣石原慎太郎君) 塚本委員長からそういう申し出があったことも承知しておりますし、民社党からかねがね年金客船の構想も御提案になっているようでございます。それでたしか中曽根総理は承知されて、調査費をつけられて調査も一段落して、間もなく、本当に間もなく答申が出るようでございますのでそれを踏まえて、とにかく時代の要請もございますから積極的に考えてみたいなと思っております。  郵船も何か豪華な客船をつくるように決定したようでございますし、これからレジャー時代と言われて、日本人はどうも船に乗るのは実を言いますと余り得手じゃないようですけれども、しかし、本当に船の長旅というのはすばらしいものですから、少し日本人も趣味の懐が深くなってそういう形で人生を満喫して過ごすというのも非常にいいことだと思います。私は、やはり何といっても周りを海に囲まれている日本でございますから、そういう新しいレジャーの境地というものを開拓できればなと本当に思います。  また一方では、修学旅行のためにそういう客船を使って、そう遠くへ行かないにしても、このアジアの周辺の主な港をめぐるような構想を持ったらどうかという御忠言もありまして、これまた非常に有益な御提案だと思いますので、積極的に考えてみたいと思っております。  まずその答申を拝見した上で、それを踏まえていろいろさらに具体的な案を考えていきたいなと思っています。
  277. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る五月二十三日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会