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1988-04-26 第112回国会 参議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十六日(火曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      二木 秀夫君     鳩山威一郎君  四月二十六日     辞任         補欠選任      鳩山威一郎君     永田 良雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         森山 眞弓君     理 事                 宮澤  弘君                 最上  進君                 松前 達郎君                 小西 博行君     委 員                 大鷹 淑子君                 後藤 正夫君                 嶋崎  均君                 永田 良雄君                 林 健太郎君                 原 文兵衛君                 中村  哲君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 広中和歌子君                 立木  洋君                 吉岡 吉典君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  宇野 宗佑君    政府委員        外務大臣官房審        議官       福田  博君        外務大臣官房審        議官       遠藤 哲也君        外務大臣官房領        事移住部長    黒河内久美君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済局次        長        内田 勝久君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君    事務局側        常任委員会専門        員        木村 敬三君    説明員        防衛庁防衛局防        衛課長      萩  次郎君        科学技術庁原子        力局核燃料課長  結城 章夫君        科学技術庁原子        力安全局核燃料        規制課核燃料物        質輸送対策室長  大森 勝良君        科学技術庁原子        力安全局保障措        置課長      谷   弘君        環境庁大気保全        局企画課長    奥村 明雄君        環境庁大気保全        局企画課高層大        気保全対策室長  後藤 博俊君        外務省経済協力        局審議官     川上 隆朗君        外務省国際連合        局外務参事官   法眼 健作君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       阿部巳喜雄君        資源エネルギー        庁長官官房国際        原子力企画官   田中 伸男君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   梅沢  泉君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      三角 逸郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○核物質防護に関する条約締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、二木秀夫君が委員辞任され、その補欠として鳩山威一郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件、核物質防護に関する条約締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。  両件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 中村哲

    中村哲君 ちょうど本日はチェルノブイリ事件がありましてからたまたま二年目に当たるということを知りまして、こういう原発の問題に対しては、日本国民の一人として慎重に、そして今後の世界のいわば宇宙史の展開にいろんな弊害が起こらないように、今の時代を担っている国会の皆さん方とともに責任を持って考えていきたい、こういうふうに思っております。  たまたま私は戦前戦場にも出ましたし、負傷もしましたし、それから戦争末期終戦工作にも関係しましたし、それから戦後の民主的憲法の制定にも発言をしてきまして、じかにお聞きしていないんですけれども、奥野さんが発言されていることなどを間接に知りますと、戦前からの我々のような年代の者には非常に複雑な戦争に対するかかわり合いとそれから反省と、それから戦後全く大きく転換して世界史の中に直接に日本が位置づけられるようになりまして、こういうときに、殊に中国との関係につきましては、何といっても日本の側が武力進出をしておりまして、日本は本土を攻略されたということはない。それ以前に我々終戦工作をしたわけです。  ところが中国の場合は、初めから民衆の住んでいるその風土の中でいきなり戦争をしかけ、そこを戦場にしたのでありまして、こういう中国民衆を目にしてきた者としては、目の前に平和に田畑を耕している人かいても戦闘をそこで開始する、そしてそれらの戦争関係ない者まで殺りくするということが実際に行われてきまして、こういうことを一々申し上げること、そういうことについては慎重にしなきゃなりませんけれども、やはり日本が従来そういう軍国主義的な空気に動かされ、そして政治が一方的に軍に動かされたということに対する反省をしないと、やはり今日の国際関係は、なお当時の大戦に関係した人々も現存しておりますし、そして新しい時代の人はその戦争のことを全然知らないのでありますから、やはりきちんと我々の経験を反省しながら、そして発言することは発言し、そして今後の平和に役立つようにしなければならない、こう思っております。  宇野外相中国を初め東南アジアに行かれるように新聞には出ておりますけれども、中国などの場合には殊に慎重に発言されることを望みます。特に中国政治的な発言をされることとなりますか。
  5. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今中村先生おっしゃいましたことは一番大切なことでありまして、いわゆる過去の戦争において日本軍国主義アジアの諸国民に大変な累を及ぼしたということに関しましては常に私たち反省を忘れてはいけない、そうした結果戦争放棄憲法を持つに至った、こういうこともございますから、したがいまして私たちは常にそういう立場におらなければならないと思っております。  だからアジアの方々に対しましても、先般総理と私ASEANに参りましたが、日本経済大国になったといういろいろ感想を持っていただくだろうが、経済大国は決して軍事大国にはなりません、こういうふうに常に申し上げておることも、そうした過去の歴史における反省に立っての私たち気持ちでございます。したがいまして、このことは韓国に対しましてもまた中国に対しましても私たちは常にそうした反省を忘れてはならない、かように存じております。  今回の奥野さんの発言は、そうした意味を一応込めまして恐らく中国新聞批判を加えたと。中国新聞批判を加えられたということはまことに遺憾な出来事である、私もかように申し上げておるわけでございます。したがいまして、私と中国外相との外相会談までにはそうしたことが極力鎮静化されることを私は望んでおる、だからこちらからお話し申し上げるべきか先方さんからお話が出るのか、それは今後の成り行きを私たちとしては静かに眺めておる。奥野さんの発言は別といたしまして、日本政府並びに国民の多くは今私が申し上げましたと同じような気持ちで今日世界の平和に貢献をしなくちゃならぬ、これが今の日本であるということを私は強調いたしたいと思う次第でございます。
  6. 中村哲

    中村哲君 私自身も中国には最も早く、もう三十年も前になりますけれども、片山哲さんが前首相という資格で中国に招待を受けましたときに一緒に参りまして、中国側日本発言する場合には、当時の印象では相手が政府側であろうとまた民間であろうと言うべきことは言う、そして筋をきちんと通す、建前をきちんとするという、これを重んじておりまして、したがって最近の中国との間の光華寮問題なんかについても言うべきけじめをきちんとするということに非常に気を使っているということを感じます。実際の現実の問題の解決はこれはまさに政治折衝いろいろあるわけですから、そういう意味政府の姿勢というものをきちんと言われることはよろしいんじゃないかと思うんです。  そんな話はともかくとしまして、私がお聞きしたいのは、ちょうど今ラジブ・ガンジー首相が来ておられて、あの人はパイロットだから来たらすぐ帰ってしまったけれども、インドのことについてはこれまでも何回かもう少し日本との政治的な関係やらいろんな交流をすべきでないかということを申してもきたのですが、この参議院で機会をとらえて言っております。  どうも私事みたいになりますけれども、戦前昭和四年ごろだと思いましたけれども、タゴールが第三回目の日本の訪問をされまして、私は高校の一年生であって、朝日新聞が主催しまして講演会がありましたが、その我々の年代の者の中にはインド研究家が非常に多いというか、これという人たちがおりまして、あのタゴール日本へ来たことが非常に印象が深いわけなんです。タゴールとかガンジーとか、その後、戦後になりますとネルーさんでありますけれども、これらの人によって代表的に発言されたアジアの問題といいますか、アジア及び世界の平和の問題、こういうことについては戦前は非常にみんなの心をとらえたところがある。戦後は、ネルーさんが在世の時代はいろんな形でネルーさんの発言を注目することがあったけれども。  ところが、このごろは何だかそれが薄いような感じがしますので、特にやっぱりこの際、インド首相が来られたのでありますから、ぜひインドとの交流を強く進めていただきたいと思います。殊に経済交流もできる限り促進されるといいんじゃないかと思いますが、この点はどうなっているんですか。
  7. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 日本インド関係は明治以来とみに盛んな時代があったと私たちも承っております。岡倉天心アジア一つなりなんというようなことをインドに参りまして申しておりますし、また今の詩人タゴールとの交流も深かったと、こういう話も承っておりますし、さらにはマハトマ・ガンジーが非常にあの糸車を引いている姿は日本人の共感を呼んだということも承っております。そういうすばらしい時代もあったんでございますから、やはりアジア一つなりでございますので、私たちといたしましてはインドとの交流も深めなければならぬ。そういうことで、先般ガンジーさんがお越しいただきましたそのときに、いろいろと総理との間におきましても経済交流に関する話が出ております。この間インドは干ばつでございましたから、我が国といたしましては一千億円の援助もいたしておりまして、一応援助国といたしましてはインドも第一位、二位に位する国ではなかろうかと、こういうふうな交流を続けております。  同時に、この四月から約六カ月にわたりまして御承知インド祭が全国いろんな都市において行われておる。また日本も昨年インドにおいていろいろと行事をした。そういうふうな文化的な交流も深まっておりますが、やはり何と申し上げましてもインド国そのもの国民の福祉の向上、さらには経済的安定等々を考えますと、どういたしましても経済援助等によるところの交流を深めることが一番大切な道ではないかと、かように考えております。  ただし、インドは今のところはいろいろ交流は深めておりますが、投資環境等々におきましてもう少しくやはり向こうの方においても環境等を整えていただかねばならぬということもございますが、そうした率直な意見を交換しながら、今後も中村委員が申されるような線において、ひとつ大いに交流を深めることは両国にとって大切なことである、かように考えております。
  8. 中村哲

    中村哲君 インドは御承知のように英国のコモンウエルズの一つであったところを独立していったものですけれども、英国というのはかつてのコロニーであったところを、非常に緊密な関係を持っておりましてこれはいろんな分析ができると思うけれども、やっぱり何か手のひらを返したように昔の植民地から独立したところに対するというんじゃなくて、いい意味でのつながりを持っておりますね、これはフランスの場合でもそうですが。そういう意味で今日のインドもなお英国との関係が相当あるかとは思うんですが。  もう一つは、インドというのは伝統的にソビエトとかなり近いんですね、ロシアと近いんです。地理的にも、ロシアの南部のチェルノブイリ事件など起こるような黒海の万に面したところにロシアの古い首都があって、それがだんだん北万に移動しましたものですから。ですからインドにしても、問題になるアフガニスタンがまさにそれの欠陥をあらわしているんだけれども、アフガンとかいうものに対して昔のロシアというものは非常に深い関係を持っているところがあるんですね。そういうことから今でもソビエト関係というものは、日本なんかとは違ってかなり緊密なものがあると思うんです。殊にネルーさんがソ連のやっている社会主義についての評価をしておりましたからね。  そういう戦後史のあるインド日本交流するということになりますと、最近の日本経済力は認めていると思うけれども、やはり単純に考えられない社会的な基盤の相違とか、同時にそれを超えた交流というのをどうするかとか、そういうことまで考えませんと、中国その他の近隣の国家と違いまして、日本としてはなかなかインドの感覚というのはつかめないんじゃないかと私は思うんです。ですから、インドと多角的にいろんな意味で深く問題を考究しながらやられるといいと思うんです。  イギリスなんかは長い間インドとの関係がありましたものですから、英国の学者というのは、アダム・スミスにしてもミルにしても、それから法律の上ではメーンにしましても、すべてインドの問題から歴史を考える考え方があるんですが、日本にはそういう学問の背景というものはないんで、何か違うところだと思っているけれども、歴史の発展としては同じような問題が出ているので、そのことはマルクスがインド論を書いていることでもわかるわけですが、一方においてアメリカとの関係が余り深くなってくると、中国さらにインドというような大国との本当の接触をされることを希望したいと思います。  私の持ち時間はわずかなんですが、ラジムガンジーさんが毎日新聞の会見の中でアパルトヘイトのことについて発言しておりますし、それとまた直接の関係はないけれども、四月二十二日のジャパンタイムズで、これは何と読むのか、南アフリカ共和国周辺の諸国を統合しているような連合体の議長であるピーター・ムシさんという人が日本に来た発言がありまして、この中に、宇野外相とやっぱり話しておる。これはつまりアパルトヘイトについて発言しているんですね。内容は、さっき申したように、日本政府政治の面では非常に国連の線に沿ったアパルトヘイト反対ということを言っているけれども、ビジネスの面では何かそれに逆行するような資源をどんどんとっていくということで、ビジネス面とガバメントのところが相反しているような感じがして、これをガンジーさんも言っているんじゃないかと思うんです。その点ちょっと。
  9. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この間お出会いしましたのは、南アフリカ周辺の国々で一つ連合のようなものをつくっておられますが、SADCC、こういうふうに呼びまして、そこの議長ムシさんという方でございました。ボツワナの副大統領でございます。三十分ほどしゃべったんですが、今中村委員おっしゃったように、さらにアパルトヘイトというものはもっと徹底してやってほしい、制裁ということもやってほしいと。制裁をやることにおいて黒人の職場が失われるというようなことがあるかもしれぬが、南ア黒人はそのことに耐え忍ぶであろう、そうしてはっきりとやってほしいんだ、その方がかえっていいんだと、そういうようなことをしきりとおっしゃいました。  私もいつもここの委員会で申し上げておりまするようなことを申し述べまして、我が国の企業においても、昨年はああしたことで第一位になって残念だったが、ことしは決して第一位になりません、中には第二位以下になりますといって宣言もしていてくれる人たちもいるから、そのことを期待しながら通産省と外務省は今全力を挙げておりますというお話をしました。  それと同様なことを実はガンジーさんもおっしゃったわけでありまして、やはり南アに対してはもっとはっきりと制裁をしてほしいものであると。まあ裏の話でございますが、サッチャー首相制裁そのものには反対だ、やはり黒人の生活を脅かしちゃいけませんというふうな主張をされておりますから、英国首相とそしてインド首相との間においては、かつてお出会いになったときにいささか口論もあったというふうなことを耳にいたしておりますが、ガンジーさんも同様な話を一応多くの話の中の一つとして語られたことは事実でございます。
  10. 中村哲

    中村哲君 私の持ち時間をちょっと超したんですが、結末だけつけたいと思うんです。  政府筋は、前の外相アパルトヘイト反対というのを非常に強く言われておりまして、これについての質問をしたことがありますけれども、そのことが何か日本特有建前と本音みたいな感じで、政治の面ではアパルトヘイト反対と言うけれども、実際のところは南アのいろんな資源を、ビジネスの面では収奪しているほどじゃないけれども、どんどん構わず入り込んでいく。あれがつまりサッチャーさんなんかの目では、日本がエコノミックアニマルだと。政治統制力というものを、政治というのはコントロールでありますし、場合によっては抑制すること、これが政治なんですが、そうでなくて、ビジネスマンがやるままにそのまま任せておいて、政治家アパルトヘイト反対なんだと、こう言っているかのような印象を与えるのじゃないかと思うので、どうかその点を、サッチャーさんと会われることもあるんじゃないかと思いますものですから……
  11. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 中村哲君、時間を大分超過しております。
  12. 中村哲

    中村哲君 はい。  新聞の中で、コンセンサンスということをサッチャーさんは好まない、括弧して総意と書いてあるんですけれども、コンセンサスと総意とはちょっと違うように思いますが、何をサッチャーさんは言われているのかということを私も思うんですけれども、つまりいろんな人の意見をただ吸収するというんじゃなくて、首相にしても外相にしても、あなたが一体どう考えるのか、それをサッチャーという人は非常に見抜く人だと思いますので、どうか御意見を忌憚なく、所信を言われることが望ましいと思います。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 オゾン層保護のためのウィーン条約核物質防護に関する条約でありますけれども、これに入ります前に、日ソ関係の今後の展望について、短い時間ですけれどもお伺いをいたしたいと思うんです。  まず最初に、今ソ連ではペレストロイカが進行中でありますね。このペレストロイカに対する外務大臣評価をまずお伺いいたしたいと思います。
  14. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) やはりゴルバチョフ書記長は、久しく続いておりますソ連体制の中におきましても今のままで果たしてよいかという、そうした歴史観なりまた現在に対する社会経済上の問題なり等々をいろいろ検討された結果ペレストロイカというふうな政策をおとりになったのではなかろうか、私はかように存じます。  もちろん、同じ共産党の中にも保守主義者もいらっしゃいましょうし、共産党の中における革新主義者もいらっしゃると思うのでありますが、久しきにわたったソ連体制のもとでは多くの長老もまだ健在であり、あるいはまた軍隊等指導者も健在である。そうした中においてペレストロイカを言うことは相当勇気を必要とし、また一つの決断ではなかっただろうか、私はこういうふうに思っておりますが、一応そうしたことを今日まで貫いてこられて、アフガン撤兵のごときは、その主張を貫いていわゆる世直しをしようということの自分の思想が一つの芽生えとしてあるわれてきた、こういうふうに見てもいいんじゃなかろうか、私はそう思います。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 大臣のおっしゃるとおりだと私も思うんですけれども、ソ連の場合、軍部がなかなか頭がかたいという話をソ連に行っても聞かされるわけなので、この辺が一つの今後の問題じゃないか、こういうふうに思っております。  今ちょうど大臣の方からアフガニスタン撤兵の問題を言われたわけでありますが、この撤兵に対する評価、これは今まで非常に大きな懸案であったわけでありますから、日本政府としてアフガニスタンからの撤兵をどう評価しているのか、これもひとつ御説明いただきたいと思います。
  16. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) こうした合意が得られましたことは、私は大いに歓迎をしなくちゃならぬと。特にこの経緯におきましては、やはり国連事務次長が大変努力されて、先般ジュネーブで間接的交渉でありますが合意が実ったということ は、日本政府といたしましても評価をし、また歓迎をしなくちゃならないと思います。  これから、十万以上の駐留軍がいたということでございますから、五月十五日からこのソ連軍が秩序正しく撤兵をしてもらうということが大切なことは申すまでもありません。いささかもそこに紛争がどこか残ってしまったり、また新しい紛争が起こったりというようなことはこれはもう本当に平和をこいねがう日本といたしましてはそうしたことがないことを祈るばかりでございます。  一面におきましては、アフガニスタン難民が多くパキスタンにおられる、イランにもおられる。さらにはゲリラの本拠もパキスタンにある。そのゲリラも七つぐらいのグループに分かれておる。中には今後のアフガニスタンにおける政権、そうしたものを目指しまして、アフガン国民総意による政権ができれば、これは私たちの最も願うところでございますが、そうしたものと、そして撤兵難民の帰国、こうしたものが整然と行われるということが一番大切ではなかろうか。そのためには、まず五月十五日からの撤兵というものを私たちは大変重大なものであるとして眺めていきたい、かように考えておる次第でございます。  だから、国連におきましては既に国連監視団を派遣しようということが決まっておりますので、我々といたしましても、日本のできることとしてその費用分担もいたしましょう、なおかつ汗もかかなくちゃいけません。そういう意味で、監視団の中に文民を派遣してはどうか、こういうふうに思っておるところであります。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 その文民の派遣なんですけれども、恐らく外務省のスタッフが派遣されるんじゃないかと。新聞報道によると、課長級であるとか、名のり出る人がどうもいないとか、いろんなことが報道をされているわけであります。これらについてはここでは特に申し上げません。どなたかが行かれて十分監視されるということであろうと思います。  そこで、ソ連の外交の基本姿勢、基本原則といいますか、これにどうも変化が起きているんじゃないかと私は考えておるわけなんです。実は先週モスクワでグロムイコ最高幹部会議長とお会いすることができて、一時間ぐらいお話をしたわけなんですけれども、その会談で、日ソ関係についてグロムイコ氏はこういうことを言うんですね。日ソ関係をこれからよい方向に持っていきたい、その努力を続けていきたい、しかしその結果として日本と第三国の関係を損なうことは考えていない、はっきりこういうことをグロムイコ氏が言っていたわけです。  これは考えてみますと、この意味というのは、日本の国際的関係、とりわけ日米関係について、現状を是認する意味発言じゃないかと私は受け取ったわけなんです。一般的に言いますと、政治体制が異なる点についてはお互いに認め合って尊重し合いながらやっていこうではないか、一般的にはそういう意味だと私は思うわけであります。  これはソ連の外交姿勢というものが基本的に変わりつつあるということの象徴ではないかとも思ったわけなんですが、この点について外務大臣の御意見はございましょうか。
  18. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 恐らくそういう方向をたどりつつあることは事実ではなかろうか、かように思います。  ただ、やはりソ連には共産主義という大理想の国家建設がありまして、現在は共産党独裁による社会主義の国家で、その一歩手前にいる。これがソ連の現実でございましょうけれども、やはりマルクス・レーニン主義を尊華するからには共産主義に向けてさらに前進をしなければならない、こういうふうに私たちは解釈いたしておりますから、その段階におけるペレストロイカということでありまして、やはり一つのあらわれとして、余り強大な際限なき軍備競争はかえって経済に支障を来し、国民の福祉を大いに妨げる、こういうふうな一つ反省があったのは事実であり、また米国もあるいは同じであるかもしれません。それがINFのグローバルゼロとなったと。  そうしたことから考えますと、やはり現在ヨーロッパにおきましてはいろいろとワルシャワ軍、NATO軍がございましょうけれども、そうしたことはこととして現実の問題ではあるが、やはり米ソが常に緊張を緩和する方向へ向かうことは必要だなという感じ方、またソ連が今まで何回となく他国へ介入をされた、アフガンもその顕著な例でございましょうが、そういうふうなことに対する世界的な批判、こうしたこと等々を十二分に反すうをしていただき、またかみしめていただくならば、やはりソ連といたしましても新しい道を歩むことの方が一つの自分の国にとっても大きな利益になるのではなかろうかという思いは確かに私はあると見てもよい、こういうふうに思います。  ただその反面、もう少し通常兵器とかいろいろな面におきまして米ソ今お話をしておられるわけですが、それも並行してひとつ緩和されるということを私たちは望みますが、今のところはペレストロイカ評価するにいたしましても、ソ連の制度そのものあるいは政策そのもの、そのものの中で不動の面もあるということだけは私たちは関心を持っておかなくちゃならぬ、こういうふうに思っております。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 もう一つお伺いするんですが、この会談の際に、グロムイコ氏は日ソ間で政治、経済、文化の面の人的交流の構築がどうしても必要である、こういうことを言っていたわけです。この問題については四月十七日に宇野外務大臣が根室で発言をされたという内容が報道をされておるわけです。その内容も対話拡大という意味のことをおっしゃっておられると思うんですが、この点今後どういうふうに進展さしていかれるつもりか、これをお伺いしたいと思います。
  20. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) やはり私は竹下・ゴルバチョフ会談が速やかに持たれるということが一番大切なことだと、このように思っております。  ソ連に対しましても、うちの総理大臣は四人も行ったがあんたのところはまだ来ておらぬよと、こういうような表現も用いておるわけでございます。その前提としてシェワルナゼ外務大臣と私の定期外相会談、これは東京の番だと、シェワルナゼさんもよく承知しておりますというふうに伝えられておりますから、ことしは、秋以降になるかもしれませんが、そうしたことをまず私たちはやりたい。その前提としてやはり動くことが大切でございますから、事務レベル間の協議をしたい。このことに関しましては、現在のところ在京大使館の方では非常に結構なことでございますというふうな返答も得られておるような次第であります。  これは政府間でございますが、今日経済界におきましても日ソ、ソ日等々いろいろ交流がございますし、また歌舞伎も向こうへ行っておりますし、向こうの芸術座もこっちへ来ますしというふうなことで、文化面におきましての交流も非常に盛んになっておることは喜ばしいことだと思います。  そこで、議会の方におきましても、実はきょう私も夕刻お目にかかりますが、ソ連の最高幹部の、日本で言う議員団の方々がお越しでございますから、こうした日本といわゆる議員交流ということも相当盛んに行われ出したということはいいことではないか。そしてお互いがお互いの歴史を知り、できたならばお互いの風俗、習慣または生活様式そうした異なりが相当ありますが、そうしたところをそれぞれの交流によって埋めていく、さらにまた緩和していくということは大切なことであろうと、こう思っておりますので、そうした意味発言を根室でいたしたわけであります。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 日ソ関係はそのぐらいにいたしまして、オゾン層保護条約に関連した問題に入らしていただきたいと思います。  オゾン層保護の問題は、一九七四年にアメリカのカリフォルニア大学のローランド教授からの論文発表がきっかけとなったと言われておるんですが、欧米諸国では既に当時からエアゾールの使用が禁止されているんですね。日本は産業界の打撃 があるということを懸念してだろうと思いますが、フロンの大気中拡散を環境破壊との因果関係の解明を優先するよう主張していて各国の調整が長引いていた、こういうのがどうも経緯であろうというふうに伺っておるわけです。  現在、オゾン層に到達しておりますフロンガスというのは十年前に地上から放出されたものだ、これまで消費したフロンガスの七〇%はまだ上昇途上にあるんだと、本格的なオゾン層の破壊はこれから始まるんだと、こういうふうに言われているんですね、非常に残念なことだと思うんですが。フロンガスとオゾン層破壊との因果関係の解明というのが明らかになっているのかどうか。もしくは明らかになっているとしますと、フロンの寿命というのは百年前後あると言われておりますから、今まで放出されたフロンによる影響はどのようなものになるんだとお考えになっているのか。これは大臣じゃなくて担当の方からお伺いいたしたいと思います。
  22. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) お答え申し上げます。  一九七四年にアメリカのカリフォルニア大学のローランド教授とモリナ博士がフロンガスによるオゾン層破壊のメカニズムを指摘しまして以来、成層圏オゾン層の生成、消滅に関する大気物理及び大気科学のメカニズムなど成層圏オゾン層科学に関します科学の分野で過去十年以上にわたりまして詳細な研究が行われております。  本日、御審議いただいておりますモントリオール議定書の策定の作業部会において提出されました世界の科学者により合意されましたモデルによりますと、現時点での今までに放出されましたフロンガスによるオゾンの減少は一%以内と予測されておるところでございます。計算の上ではフロンガスによるオゾン層の減少量が一%以内ということでございますが、現在行われておりますドブソン分光光度計によりますオゾン量の観測では二%程度の誤差が生ずると言われていますため、今のところフロンガスによるオゾン層の減少については実際のところ確認できないのではないかと考えられております。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 そういうことだとしますと、因果関係がまだはっきりしていない、余りはっきりとしていないということになるとすれば、かけがえのない地球にとっては取り返しのつかないことが起こる可能性もあるということを憂えなきゃいけないと思うんですね。  今回、我が国が国際的協調のもとに一定の規制を行うということにしたのはこれは評価できると思いますけれども、モントリオール議定書では規制の対象とされているのはフロン五種類とハロン三種類、こういうふうなことになっていると思いますが、これらのほかにオゾン層に影響を与える物質として窒素酸化物があるんですね。こういったようなものが超高層を飛ぶ例えば航空機、あるいはとりわけ超音速旅客機とかそういうものが非常に窒素酸化物を多く出す、こういうものから排出されたものが大気中に入り込んできて大気中の濃度が上昇していく、こういうことが一つある。さらにまた田畑にまかれている大量の窒素肥料も問題だということも言われている。  こういうふうに考えてきますと、フロン以外の物質が規制の対象となっていないのがどうも解せないわけなんで、フロンだけを規制しても、オゾン破壊の原因というものの半分近くが窒素酸化物にあると言われていることから条約の効果が余りないのではないかという疑問も出てくるんですが、その辺いかがでしょうか。
  24. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) 窒素酸化物のうちオゾン層に影響を及ぼすものとしては亜酸化窒素N2Oと言われているものですが、これであろうかと思います。亜酸化窒素の主な発生源は、先生がただいま御指摘されましたようにいろいろなものがございまして、特に天然のものが多くあると言われております。それから最近窒素肥料の使用など人為的なものも増加してきていると言われておりますが、現在の増加率は一年間に〇・二%ぐらいでございまして、フロンガスに比べましてはそれほど大きな伸びではないということでございます。いずれにしましても亜酸化窒素がオゾン層に影響を及ぼすということは国際的にコンセンサスの得られているものでございますが、人為的影響としてはフロンガスよりも小さなものではないかと考えられています。と申しましても、オゾン層の予測モデルにおきましてはさらに窒素酸化物の反応速度定数と申しますか、そのようなものの精度を高めていく必要があろうかと考えております。その意味におきましても今後の調査研究が待たれるところであると思います。
  25. 松前達郎

    松前達郎君 フロンが確実にオゾン層を破壊するということですね。そういうことがわかっているとすると、これはフロンの生産とか消費、これもできるだけ早く中止した方がいいというふうなことも考えられるわけなんですが、十年後にやっと現在の水準の五〇%に下げるという条約、そういう規制内容になっているわけです。これはちょっと緩やか過ぎないかという気もするわけですが、この辺政府の認識はいかがでしょうか。
  26. 法眼健作

    説明員(法眼健作君) 確かに先生の御指摘にございますように、フロンがオゾン層を破壊するというその点に立脚いたしまして、これの消費、生産を制限するということなんでございますが、一方非常にこれは便利に使われてきたものでございますから、フロンを使っておりますものを即座にやめるというといろんな面で支障が出てくるという一つの現実もございまして、そこで各関係国が集まって何度も協議をした結果、このウィーン条約モントリオール議定書になったわけでございます。  究極的にはこれをどうするかということで、幾つかの段階を踏みましてフロンの使用及び消費を制限するという、言ってみますと現実に使用されているその便利さというものがやはりそこにあったものでございますから、しかしそれはそれといたしましても、やはり制限はしなきゃいけないという大きな地球的、環境的な考えから若干の猶予は認めつつこれを制限していく、こういうことに至った次第でございます。
  27. 松前達郎

    松前達郎君 フロンの生産、これ我が国の場合は大体五つの大企業に限られているんじゃないかというふうに私は聞いておるわけです。ですから、そうだとすれば生産規制による影響というのは案外少ないんじゃなかろうかと思うんですが、今おっしゃったように、それよりもフロンを使用する商品の製造業者、こちらの方に打撃が多くなるだろう、こういうふうに言われているんですが、国内法でもフロンガスの規制法案が今提出されておるのでありますが、今回の措置による業界に対する影響というのは一体どういうふうになるんでしょうか、その点予測はつきますでしょうか。
  28. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) ただいま御指摘ありましたようにフロンは有用な化学品でございまして、冷蔵庫、ビル冷房あるいはカークーラー等の冷媒、ウレタン等のプラスチックの発泡剤、これは冷蔵庫の壁等の断熱材等にも使われておりまして、冷蔵庫の壁が年々薄くなってきて断熱効果が高まって中の収納庫の容積が非常に大きくなってきておりますが、そういうことに貢献しております。そういうふうなウレタンの断熱材をつくる際の発泡剤あるいはエアゾール用の噴射剤、それからエレクトロニクス部品、精密機械等の洗浄剤等の用途等非常に多くの用途に使用されておりまして、使用企業数で三万社以上と推定されております。  このように規制の影響範囲は非常に大きいと予想されますので、私どもとしてはフロン等の製造規制を円滑に進めていくためには、フロンの使用形態や用途別、品目別の使用節約の技術的、経済的可能性などを見きわめつつ使用の合理化対策をきめ細かく講じていくことが重要であると考えております。
  29. 松前達郎

    松前達郎君 我が国におけるフロンの輸出あるいは輸入、この状況は一体どういうふうになっておりますでしょうか。
  30. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) 現在調査中でございまして、正確な数値は申し上げられませんが、輸出輸入とも一万五千トン前後だと推定しております。
  31. 松前達郎

    松前達郎君 これらの輸出入が一万五千トンと言われたわけですけれども、輸出入の量の規制、これについては今後取り組まれるかどうか、この点いかがでしょうか。
  32. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) 輸出につきましては、このモントリオール議定書におきましては規制すべき量といたしまして生産量と消費量を掲げております。消費量の内訳は、これは実際の消費者が消費する量というものを把握することは困難でございますので、見かけの消費量という考え方をとっておりまして、消費量イコール生産量プラス輸入量マイナス輸出量という数値でございます。  したがいまして、モントリオール議定書を遵守するためには輸入量を規制する必要がございます。輸出量は、これは監視をすれば十分でございまして、輸出がふえても消費量は下がるだけでございますので、これを規制する必要は目下特段の理由が見つかりません。したがいまして、輸入量は規制せざるを得ないわけでございますので、これにつきましては外国為替及び外国貿易管理法等を援用いたしまして、規制を行っていく予定にしております。
  33. 松前達郎

    松前達郎君 一言で言うと、国内でどれだけ消費するか、その消費をなるべく抑えていこう、そういうことになるんですね、今輸出入の問題をおっしゃいましたけれども。
  34. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) 生産を規制するということでございますので、消費量も規制するということでございますが、これはその数値を規制するということは、実際に使用されている量を少なくしていかなければいかぬことでございますので、消費をできるだけ少なくしていただくというふうなこともあわせて行っていく必要があるというふうに考えております。
  35. 松前達郎

    松前達郎君 フロンについてはそういうことで今後だんだんと規制がされていくということになっていくとすれば、これにかわるべきものをやはり開発をしなきゃいけない、こういうふうに思うんです。これらについてはデュポンが既にその開発に成功しているということも聞いておるんですが、代替品開発の状況は一体どうなっているんでしょうか。
  36. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) フロンには御承知のように今回対象品目としてフロンの11、12、113、114、115という五品目が対象となっておりますが、このすべてが現在代替品のめどが立っているわけではございません。  現在フロンの11についてはフロンの1、2、3、フロンの12についてはフロンの134aが有望であるというふうにされておりまして、各メーカーにおいてその開発を進めていると聞いております。また、我が国の企業を含む世界の化学メーカー十四社、これには御指摘のデュポン社も入っておりますが、共同によりましてフロンの123、134aの毒性試験が行われているというふうに聞いております。
  37. 松前達郎

    松前達郎君 国民の皆さんは恐らく自分たちの身の回りにどれだけフロンが使われているかということは余り知らない方が多いんじゃないかと思うんですね。こういうふうなことになってくれば、確かにフロンを規制するというと消費も規制される、そういうことがやはり一番キーポイントだと思うんですね。代替品をまず開発するということも含めてそういうことを総合的にやっていかなきゃいけない、こう思うんですが、政府としてフロンの規制に真剣に対応しようとするなら、我々の身の回りで使われておる製品にフロンが使われているということを明確に表示したり、その意味をPRするということもどうしても必要じゃないか、こう思うんですが、その点は今後やっていかれますか。その辺いかがでしょう。
  38. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、フロンガスは大変有用なものとして広く国民生活に使われておるわけでございまして、これを削減していくということに当たりましては、国民に広く理解を求めていくということが大変重要なことというふうに考えておる次第でございます。  環境庁としましては、基本的にはユーザーの企業においてできるだけ排出抑制や使用合理化を進めていただくということを考えておるわけでございますが、それにあわせて消費者サイドにおいても、そうしたフロンガスを使わない商品というものもあるわけでありまして、そういうものを選択できるような方途というものを考えていくべきではないかというふうに考えております。私どもの方で現在検討を進めておりますが、西ドイツにおいてエコロジカルマークという環境上の影響が少ない、あるいはないという商品については表示をするという制度がありまして、そうした制度を我が国でも採用し、そしてこのフロン問題についても、例えばフロンガスを使用していないスプレーというようなものについて表示をすることができないかどうか、現在検討を進めておる段階でございます。
  39. 松前達郎

    松前達郎君 その辺努力をしていただいて、国民の協力を得ながらフロンの消費量を減らしていくということが必要だと思うんですね。今後、ひとつその辺努力をさらにお願いしたいと思います。  オゾン層保護の問題はこのぐらいにいたしまして、次に核物質防護に関する条約に関しての質問に入りますが、その前に、基本的認識として、日本の場合は原子力発電がこの対象となるわけでありますから、原子力発電の現状と将来の展望、これについてまずお伺いしたいと思います。我が国における原子力発電の現状、これ簡単でいいですから御説明いただけませんか。
  40. 梅沢泉

    説明員(梅沢泉君) 簡単にということでございますので、現在、我が国におきましては商業用発電炉として三十五基運転されておりまして、設備容量といたしまして二千七百八十八万キロワット、これは全発電設備の一七・一%。それから、発電電力量は千八百五十二億キロワットアワーで、これは全発電電力量の二九・一%。いずれも六十二年度推計値でこざいますが、そういう実態となっております。
  41. 松前達郎

    松前達郎君 最近電力事情が、需給の問題から見てもかつて想像していたよりはるかに楽になったというふうに私は思っておるわけなんですね、原子力発電がいいか悪いか、これは別といたしまして。  原子力発電そのものが最初に行われたときは、原発の方が安いんだ、経済性がいいんだ、もちろんその当時は油の値段が非常に高かった時代ですね。最近のような状況になってきますと、どうも原発そのものの経済性というものがそんな優位性を持っていないだろうと私は思っておりますが、原子力発電の経済性について最近の状況はいかがでしょうか。
  42. 梅沢泉

    説明員(梅沢泉君) 先生御指摘の経済性の問題でございますが、確かに過去に比べれば相対的優位性というのは薄れつつあるわけでございますが、やはり絶対的にはまだ原子力発電は経済的に有利でございます。  数字でお示しいたしますと、昨年、六十二年度運開ベース、つまり六十二年度に運転開始した発電のプラントを考えた場合に、耐用年発電原価、つまり設備が長い間使用されるわけでございますが、その期間を通じての平均コストでございますけれども、それで比べてみますと、原子力は一キロワットアワー当たり九円程度でございまして、石炭火力が十円から十一円程度、石油火力及びLNGが十一円から十二円程度、一般水力が十三円程度でございますので、いずれにしてもまだ原子力は最も安価な電源であると言えると思います。
  43. 松前達郎

    松前達郎君 まだ、まだというふうにおっしゃったんですが、いずれどこかで逆転するんじゃないかという、これは計算の基礎がいろいろ考え方によって違うということもあると思うんですね。その辺、今後この核物質防護とも関係がある問題なんですが、再処理ですとかいろんなものが出てきますと、そういうものでまたコストが多少、一円ぐらい上がるんじゃないかと言われておりますから、そうすると大体バランスしてしまうということも考えられるんですが、いかがですか。
  44. 梅沢泉

    説明員(梅沢泉君) 先生御指摘のとおり、現在のこの費用の中には、廃炉の費用でございますとかあるいは高レベル廃棄物の処理費用が含まれておりません。ただ、これにつきましても、現時点でいろいろ試算をいたしますとやはり原価の約一〇%程度じゃないかというところでございますので、その廃炉及び高レベル廃棄物の処理費用を勘案しても、なお原子力発電のコストというのは他の電源に比べて優位性があるのではないかと思っております。
  45. 松前達郎

    松前達郎君 だんだん際どくなってきたわけですね。  それはそのぐらいにしまして、核燃料の供給ですね、これの現状、これも簡単で結構ですが、これをひとつ説明していただきたい。
  46. 田中伸男

    説明員(田中伸男君) 我が国の電気事業者は海外の鉱山会社とウランの長期購入契約を有しておるわけでございますけれども、長期契約の数量の累計で申し上げますと、約二十万三千ショートトン、イエローケーキのベースで確保してございまして、これらの数量でございますと、一九九〇年代の半ばまでの我が国の原子力発電の需要が満たせる見通しになっている次第でございます。
  47. 松前達郎

    松前達郎君 これもいずれ日米原子力協定とかいろんなものがあって、この核燃料そのものが大変なひもつきでありますから、移動するにも何にしろ全部監視つきである、監視つきという言葉が適当かどうか知りませんけれども。そういったような状況のもとで今原子力発電所が運転されているわけですね。そこで、生産されるプルトニウムですね、これの現有量と保管状況についてお伺いしたいと思います。
  48. 谷弘

    説明員(谷弘君) 我が国の原子力施設にございますプルトニウムの量は、昨年末、すなわち昭和六十二年十二月三十一日現在で約十九トンでございます。その大部分は使用済み燃料の中に含まれておるものでございまして、未回収の状態で大部分あるという現状でございます。
  49. 松前達郎

    松前達郎君 これは、原子力施設の中に保管されているとおっしゃったわけですか。その保管状況は厳重に保管されているのだと思いますけれども、どうですか。
  50. 谷弘

    説明員(谷弘君) 使用済み燃料は発電所の中にもございますし、再処理工場のスペントフュエルポンドにもございます。それからもちろん加工用の施設にも若干入っているのがございますが、いずれにしましても、このように各原子力施設にございますプルトニウムの管理につきましては、すべての核物質、どういう状態にあるかにかかわらず、すべての核物質につきまして、日本とIAEAの保障措置協定に基づきまして、厳密な計量、管理、これは平和目的以外に使われないようにするために厳重な計量と管理を行っております。また、核物質防護につきましても、昭和五十六年に原子力委員会が既に指針を出しておりまして、盗難防止等を図るためにその指針に従いまして防護措置がとられているという現状にございます。
  51. 松前達郎

    松前達郎君 プルトニウムが純粋な形でないということはもうわかっておりますけれども、ですから、そのまますぐそれを持っていって何かに使おうといったってそのままでは使えない、やはり精製しなきゃいけないわけですね。特にハイジャック、核ジャックといいますか、こういう問題のときには、使われる使い方がいろいろあるかもしれませんが、例えば核爆発に使うとすれば相当高純度のものにしなきゃいけない。しかし、いずれにしてもあることはあるわけですから、これについて恐らく今後核物質防護という問題が出てくる。もちろん輸送の段階ですね、再処理のために輸送する段階、これはまたいずれ次の機会にお伺いしますけれども、そういったような問題があるので今回の条約というものに加盟するということになるんだと思うんです。  いろいろと原子力発電というのは問題が多くて、どうも簡単にすかっとそれで結構ですと言えない面もあるわけなんですけれども、今後の電力需要に対する原子力発電の役割というのは一体どういうところにあるんだろうか。最近エネルギーバランスを五年おきぐらいですか、三年おきぐらいですか、ときどき予測をされておるんですが、だんだんとそれが下方修正されていくような状況なんで、今後の電力需要と原子力発電、原子力の場合電力だけですけれども、これについてどういうふうに予測をされておられるのか、それをひとつお願いしたいと思います。
  52. 梅沢泉

    説明員(梅沢泉君) 実は昨年の十月に、電気事業審議会の需給部会で七十年あるいは七十五年の見通しを立てたわけでございます。それによりますと、今後とも電力需要は、「内需を中心とした安定的な経済成長に伴って着実に増加するものと見込まれる」ということでございまして、六十一年をベースにいたしまして七十年までの平均的な伸びは二・三%ということになっております。ちなみに六十一年度は大変国内景気の低迷等がございまして電力需要が落ち込んだわけでございますが、六十二年度は実績といたしまして六・三%のアップということで、着実に増加の一途をたどっているわけでございます。  こうした電力需要に対応いたしまして、やはりエネルギーの供給構造が極めて脆弱でございます我が国といたしましては、安定供給あるいは先ほど申し上げましたような供給コストの低減を図るために、各電源の特性を踏まえたバランスのとれた電源開発を進める必要があるわけでございます。  原子力でございますが、これにつきましては、いつまでにどれだけの量を幾らでと、こういう三つの条件と、それから先ほどフロンの件で先生も御指摘のとおり、NOxでございますとかSOxでございますとか、あるいはC02の問題といったような環境に対する影響を考えた場合には、現時点において我が国としてとり得る選択肢としては原子力を除くことはできないんじゃないかというところでございます。もちろん原子力につきましては、国民の間に不安感があるわけでございますので、当方といたしましてはその安全確保に万全を期しつつ、今後とも原子力発電につきましては着実に開発を進めていきたいと考えております。
  53. 松前達郎

    松前達郎君 電力需給が将来、ペースはかつてのペースではないかもしれないけれどもだんだんと上がっていくと、七十年二・三%とおっしゃったわけで、これは当然の話だと思うんですね。産業活動が活発になればそれだけ電力は必要である。それと同時に、新しい技術がまたどんどんと生まれてくる。超電導とかそういうものがあって、そのストックが、電力のストレージがうまくいくようになればまた多少これも変わってくるだろう、これは将来の問題ですけれども。だから需給というものについての見通しというのは、今おっしゃったのは現時点での見通しだと思うんですね。  それで、原子力発電が必要だとおっしゃるんですが、これは私の個人的な意見ですが、必要だとは思いますけれども、もうこの辺が限度じゃないかという気もするんですね。大体三〇%前後でいいんじゃなかろうかという気もするわけです。これはしかしここで議論する必要はないと思う。ほかの委員会でもやります。  ところで、原子力発電所そのものによる環境汚染というものもあるわけですね。現に、日本では大きなものはございませんけれども、一度だけどこかで排水をどぶの中に流しちゃったというのがありましたね。これは作業員のミスだということになっていましたけれども、それは小さな事故かもしれません。チェルノブイリあるいはスリーマイルの事故等もありました。ですから、核物質防護に関する問題も重要なんですが、それと同時に、こういった核ジャックじゃない汚染、環境汚染ですね、これも非常に重要だと思うんです。ですからこれについても今後十分気をつけていかなきゃならないと思いますが、その点いかがでしょうか。
  54. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 先生御指摘のように、日本における原子力発電所におきましては、例えば六十二年度では、法律で届けがございました故障、トラブルのたぐいでございます、環境に影響を与えるというようなことはございませんが、それで十九件程度ございます。いずれにいたしましても今先生の御指摘のように、間違えても原子力発電のトラブル、事故といったようなことがあって環境を汚すといったようなことがないように、通産省といたしましては十分に電気事業者を指導して規制をしていきたい。  それから、当然ながら原子力発電の信頼性を維持しながら、先ほど申しました新しい技術開発、改良等も進めていきまして、あわせて従来における故障、トラブル等を含めた運転経験、これをお互い有用活用しながら、運転員だとか保守員の資質の向上といったようなことを積極的に進めてまいりまして、安全には万全を期したいと、こう考える次第でございます。
  55. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣総理大臣が明後後日ですか訪欧されるに当たりまして、せんだって総理外務大臣お話をしたときに、何か訪欧に際して国際協力構想、仮称でしょうけれども、一回検討してみると、こんな指示があったと、こういうふうなことが伝えられておりますが、あと三日後の旅立ちでありますけれども、その後、断片的に活字になりまして、アフガンのことやらあるいはODAのことだろうなんということが活字になっておりましたが、この際ひとつまとめて、総理から指示をされてどんな構想をまとめられたのかお話しいただきたいと思います。
  56. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 総理の施政方針演説におきましても、また私の外交方針演説におきましても、開かれた日本並びに世界に貢献する日本、なかんずく平和に貢献する日本と、こういうふうな柱を立ててありまして、それぞれその柱の実現のために努力をしてまいった次第でございますが、総理といたされましては、これからASEANも重要でございますが、同様にECも重要視しなくちゃいかぬと。今までは日米間の間はよかったが、ややもすれば欧州が日米間の距離よりもやや遠かった、またその関係もあるいは日米間の関係以上のものはなかったと。しかし、欧州並びに日本、そしてアメリカが世界の三極であるということはもうだれしもこれを認めるところだから、ついては訪欧に際して今までの一つの具体的な話をしないことには、やはり抽象論ではなかなか世界日本の方針を認めてくれないだろうと、そういう意味で、ぜひとも具体化してほしいというような要請があったわけでございます。  もちろん外務省も今日まで同様の考え方でございましたから、いろいろと検討をさしておりましたので、したがいましてこの間も、例えばその中にはODAという大きな日本の貢献する部面があるだろうと、これに関しましても、今議会において、与野党超越して、もうまさに一致の姿でいろいろ私ども御注文を承っておるので、やはりそうした議会の声にもおこたえし、なおかつそれが、言うならば政府と議会一致して、こういう問題は世界に貢献する道だということが言い得るならばこれにこしたことはない。したがいまして、総理のそうしたお気持ちを体しまして十二分に検討いたしましょうと。それが例えばODAにおきましては質量ともにこの際検討しなければならないと、こういうふうなことを申し上げたわけでございました。  総理は具体的には、ロンドンの市長主催の午さん会か何かあると聞いておりますから、そこでスピーチをされる。そのスピーチにおいて、一応第一弾と申しましょうか、大体の全貌を明らかにしていただいて、そして最終的にはやはりこの国会が終了した後の国会において、やはり国会に対する一つの報告というものが一番総締めくくりですよ。その間にサミットございますから、サミットにおきましてもいろいろ議題なりが参加国の事務的レベルにおいて調整されておりますから、それに見合った分につきましては具体的に申し上げることが必要であろう、こういうことをお話し申し上げたわけであります。
  57. 黒柳明

    ○黒柳明君 ODAのこととアフガンのことと、それから国際文化交流、こんな三つのことが活字になって出ておりましたが、今ODAのことだけお触れになりましたが、あと二つですか。結局三つのテーマですか。
  58. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 大体あとのことも、アフガンに関しましては、これは平和的貢献の最たるものであるというので、今までのパターンになかった文民派遣ということを考えておる。さらに文化交流ということは一番大切だということを主張したい、こういうことであります。
  59. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、この前私やりましたが、アフガンの文民派遣ということも今言いましたロンドンで総理が公式に発表する、こういうことになるわけですね。
  60. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 総理大臣のスピーチでございますから、私たちはそうしたいろいろ検討を命ぜられましたことについては差し上げます。あとは、総理がやはり自分の立場において選択をし、整理をされると思いますから、その内容まで外務大臣が今からこうですということは私はちょっと僭越じゃないか、こう考えます。
  61. 黒柳明

    ○黒柳明君 昨日、何かECの外相理事会で、アメリカと同じような公共事業の参入の門戸を開け、こんな決議があった。これは予想されたことですか。
  62. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは、今までECの関係大臣お話をしておりましても、また関係者が来られましても、日本市場への参入ということは強く要請されておった次第でございます。したがいまして、当然予想されておりますし、私もアメリカに対しましては単に日米間の問題は日米以外の国々にも適用されますよと、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  63. 黒柳明

    ○黒柳明君 これも総理大臣訪欧に時期を合わせて決議したのか、あるいはそこの辺までは相手国のやったことだからわかりませんけれども、当然やはり総理が行かれる直前にこういう問題を提起したということは、一つのやはりECと日本、竹下総理との話題の争点になることは間違いないでしょうね。
  64. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いろいろとそういうことも話題になると思っております。
  65. 黒柳明

    ○黒柳明君 ODAのことですけれども、今のODAが七十億ドルを超えたわけですか、相当急速に伸びていますからね、アメリカの七十八億ドルにもう一歩だ。これを七十五億ぐらいにして、それから質、量ともに充実させる。これはむしろ訪欧じゃなくて六月のサミットに打ち出したいというようなうわさも流れておりますが、その点いかがなものでしょうか。
  66. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) それも総理の御判断でございまして、やはり先ほど申し上げましたような幾つかの柱で、私たちもより具体化しようということ。そして、日本は今まで汗かいていないと。こう言われますから、汗もかきます。金だけ出して汗かいておらぬということが多うございますから、大いに汗もかきましょう、こういうようなことで、いわゆる私たちの申し上げてきたことが単に空文化しない、絶対空文化させません、こういう気持ちを、言われるまでもなく日本からどんどんと打ち出そうということでございますから、したがいまして、その点は総理が今後どういうふうに、第一弾第二弾、そういうふうになっていくのか。私といたしましては、最終的には国会で総括締めくくりということが大切でございますよ、こう申し上げておりますから、そういうような段階的な発表なりあるいはまたスピーチになるということも考えられます。
  67. 黒柳明

    ○黒柳明君 七十五億ドルぐらいまでの急速な拡大ということは当然計算の中にあるわけですか、数字的に。
  68. 川上隆朗

    説明員(川上隆朗君) 先生が今おっしゃいました七十五億ドルというのは、恐らく八七年の数字のことをおっしゃっているんだと思いますが、これについては現在まだ集計中でございまして、あと恐らく一、二カ月ぐらい確定値が出るのには時間がかかるんじゃないかという状況でございます。ただ、かなりふえるということはそのとおりでございます。
  69. 黒柳明

    ○黒柳明君 外務大臣は今度は東南アジアと。一体どうなんでしょうか。農林大臣は汗をかいて往復していますし、通産大臣も頑張っているし、官房長官もと。問題の外務大臣がアメリカへ全然行かれないで、それで東南アジアと。  これはいろんな責任範囲、分担範囲が当然ありますけれども、私たちもついせんだってアメリカへ行って帰ってきたばっかりなんですけれども、やはり基本的にはソ連との問題しかりですが、信頼関係。確かに信頼関係だけですべての今の問題が解決するわけじゃないですけれども、特に論理的に言って、行政当局の突き上げは議員ですから、議員の突き上げは有権者、こういうことで、やはり基本的なこの信頼関係の欠除、そこらあたりから議会筋が非常に強行である。これは言うまでもありませんですね。  それについてやはり大きな鎮静の力になるのは、やはり農林大臣もあるいは官房副長官も部分的な経済摩擦、必要ですけれども、外交の当事者、責任者である外務大臣がやはり訪米されて、あるいは足しげく外国との窓口になられて対話されて、そして日本の姿勢というものを粘り強く主張してくる。今こそアメリカというのは、外務大臣が動かなければ、対話しなきゃならないその最たるところだと思うんですけれども、偶然東南アジアの方にぶつかっていった。急速にこういうような議会筋のいろんな摩擦が起こると予想は当然していたと思いますね。ですけれども、何かこう東南アジアに行かれるというのは、もっと東の方に行くべきじゃないかというような感じが私してならないんです。  せんだっては、外務大臣の訪米かなんという時期もちょっとありましたですね、立ち消えしたわけですけれども。政府の連帯感に立った上でのいろんな大臣の訪米であり、東南アジアであり、相当各大臣新聞によると連休中各方面に行くみたいですけれども、外務大臣、できるならば基本的な信頼関係の確立のためにもう速やかにやはりアメリカに行っていただきたい。こんな感じがするんですが、その点いかがですか。
  70. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 御承知のとおり、アメリカとの問題を一つ一つ片づけてまいりました。外務大臣は、今日内政に関する総攬者という立場におります。これは英国もアメリカも同様であります。  現在、日米間の問題、これに対しましても外務大臣が出ていきゃいい、私はこう思いますが、しかし、やはり所管省がございますし、外務省はそうした問題と表裏一体となって交渉しておるわけであります。私も日本におりますが、しばしば書簡の往復によっていろいろと私たち気持ちを訴えておるということも事実でございます。ちょうどたまたま国会も予算委員会の最中で、私はその予算委員会を留守するわけにはまいらぬ、またこうやって条約案件も御審議願わなくちゃなりませんから、外務大臣は衆参両院の外務委員会以外にも内閣委員会、さらには安保委員会、さらには沖縄北方領土委員会等々、土曜日以外はもうぴったり日程が組まれております。そうしたこともやはり私は果たしていかなければなりません。  したがいまして、当然今黒柳委員のおっしゃることはもう本当にうれしい限りでこざいますが、そうした拘束もあるし、また議会というものは一番大切なところでございますから、そうした事情を相手国にも伝えながら、とりあえずこの間は予算委員会関係ない小沢官房副長官にひとつ行ってもらおうとか、そのかわりに向こうから電話がかかってきまして最終的には私が判断をするとか、いろいろそうした手分けをしてやっておるというのが現在の日本の外交でございまして、連休という長い間でございますから、私はやはり韓国へ行きました。中国もことし十周年、早く行って全人代でおかわりになった方々にも敬意と祝意を表して、さらにその関係を深めたい。さらにASEANはやはり足元でございますから、OECDの会議がもう近くございますのでやはりASEANの御意見も聞く、NICSの意見も当然あるだろうと、そういう立場におります。  したがいまして、拡大ASEAN会議のときにはアメリカのシュルツ国務長官とお出会いしようと、こういうふうにもうかねて約束もしてありますし、また私が南米方面を回る、そうしたアメリカの近くに行ったときには、やはり極力ワシントンに足を運んでいろんな問題に対して、別にこれ問題なくてもやはり大切な国々ですから意見の交換は常にする、こう思っております。  欧州だと、もうほとんど一週間に一回は留守にして外務大臣はあちらこちら回っているというんですよ。だから私も気が気でないんです。欧州はもう電話かけ合いましてね、電話でしゃべっておると。局長クラスもECの中では電話でもう片づけておるというようなこともありますが、我が国は一々出かけなくちゃならぬのだな、もう少しくスピーディーにやりたいなという問題もございますが、そうしたこともあるということも今後ひとついろいろと考えていきたい、かように思っておる次第であります。
  71. 黒柳明

    ○黒柳明君 きのうは奥野発言で衆議院の二委員会でいろいろ問題になりました。また、けさ新華社が、竹下総理奥野発言の是非を言わないから奥野さんの弁護をしたんじゃないかなんてクレームつけていますね。それから外務省の首脳が、これは外務大臣が行ったときに話題にならないんじゃないかと、両国とも、韓国も中国も外交ルートで正式に話題に取り上げていないと、こんなコメントが出ておりましたけれども、どうですか藤田さん、要するに外交ルートで向こうから発言がない、クレームがついていない、だから外務大臣訪中のときにこの問題は取り上げられないだろうというような外務省首脳のコメントが出ていたんですけれども、その要はどういうことなんでしょうか。
  72. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いろいろ大切な日中間の関係にもしも、一人のお方の個人的な意見でございましても、やはりそうした発言中国新聞で論評を加えられたということはこれは遺憾だと、こういうふうに私ははっきり申し上げて、そして我が国政府並びに私の外務大臣としての職責から申し上げましても、韓国に対しましても三十六年間私たち反省すべき歴史があった、そうしたことは一切日韓基本条約においてきちっと両国においてそれはされたものである。まだ中国に対しても日本軍閥等々の進出、御迷惑かけたという点に関しましても、私たちは大いなる反省のもとにやはり今日の日中平和友好条約を結び、四原則とか共同宣言とか、もうあらゆることを重ねてやってきておる。そして非常に両国ともに今よい関係にある。  多少は問題がありましても両国の努力によってこれは改善をすべきである、こういう立場であることはもう間違いございませんので、もしそうしたことが話題になれば私は今申し上げたようなことをはっきり申し上げて、やはりもうこうした問題に関していろいろそれが話題にむしろならないように、鎮静化するように我々としては心得ていきたい。しかし、こうした問題がもし相手から出ました場合は、私は今申し上げたような立場においてはっきりと日本の立場を鮮明にしたいと、かように思っておる次第であります。
  73. 黒柳明

    ○黒柳明君 けさの閣議ではこの問題は話題になったんですか。
  74. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) けさの閣議におきましても全く話題になりません。奥野さんも沈黙を保ち、ほかの閣僚もそれにさわらなかったというのが閣議です。
  75. 黒柳明

    ○黒柳明君 さわれなかったんじゃないんですか。だから、当事者が全く発言撤回しないということですし、摩擦を起こしたことは注意する、こういう自覚みたいな反省みたいな発言をしたみたいですけれども、そこらあたりにやっぱり外国のいら立ちがあるんじゃないんですかね。  外務大臣がおっしゃった遺憾というのは、奥野さんに対しておまえまずいこと言ったという遺憾なのか、あるいは日本政府として、当然外務大臣日本政府を代表している大臣ですからね、外交の責任者ですから遺憾だと、こういうことなのか、いろんな意味に、含めて遺憾でしょうね。ただそれが中国側にはあるいは韓国側に、含めて陳謝と受けとめられるかどうかですね。本当に申しわけなかったと、日本語というのは非常に含みがありますからね、だから遺憾。それを外務大臣が遺憾と言ったんだからこれはもう日本政府を代表して陳謝したんだと受けとれない面があるんじゃないんですかね。  だから今申しましたように、総理大臣奥野発言に対しての是非を言わなかったということで、まあ話し言葉ですからね、そのときの雰囲気やなんか一応ありますから、言ったか言わないかこれもわかりませんし、まあ言わないと出ているから言わなかったんでしょう。あるいはそれも意図的に言わなかったのか、避けたのか、逃げたのか、言えなかったのか、言いにくかったのか、これもわかりませんね。しかしやっぱり向こうがそういうふうに、今大臣がおっしゃったように、一新聞なりといえどもクレームをつけることはうまくないんだと、それが日本政府として受けとめられているか、どう受けとめたかというものが全くないことについておかしいぞということが活字になってまたいわゆる追い打ちというんですかね。  光華寮問題だったってココムの問題だったって、光華寮問題なんかずっと昔の話みたいですけれども、こちらから要人が行くとまた話が出るわけ。非常に各国の外交というのは失礼ですけれどもしつっこいですね。日本の場合には非常に淡泊ですよ、いろんなことについて。ですから政府として陳謝するという姿勢、これはとらないんですね、一大臣発言ですけれども。陳謝するという姿勢はとらないんですね、政府としては。外務大臣の遺憾という言葉でこれはもう終わりにしようと、こういうことなんですね。
  76. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 極力こうした問題が私は両国のこれまでの関係あるいは今後の良好なる関係に影響を与えることがないことを祈るというのが外務大臣の立場であり政府の立場であると、こう御理解賜ればいいんじゃないかと思います。
  77. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然いつも発言する方が、いわゆるタカ派と言われる人が、きのうも奥野さんが日本だけが侵略国家の焔印を押されるのはおかしいから反論したんだと、そういう考えを持っている人が何か事があると公式、準公式、非公式に発言して、それが当然政府の要人、閣僚ですからやり玉に上がると。ですから、これからそういう主張、持論を持っている人は閣僚にしない、こうしなきゃうまくないわけね。そこらあたり、やっぱり宇野外務大臣あたりがこういう機会にそれとなく発言するぐらいの勇気がないと、これから中曽根派を率いてやがて次の次あたりの首領になるというにはちょっと皆さんがこう寄ってこないわけですよ。ただ単に準候補者として埋没するというおそれがあるんで、やっぱり言うべきは思い切って言わなあかぬ。  ちょっと今のこの発言も何か鎮静化する鎮静化する、鎮静化すればいいですけれども、特別鎮静化する手も打っていないでしょうし、向こうからの出方待ちと、こういうことだと思います。これ以上あれしましても鎮静化するのを待つと、こういうことだけで、貧乏くじ引かれた外務大臣をむしろ激励してお送りしなければならない私ども立場だと思いますけれどもね。  それから、きのうですか、例の高知の学芸高校の補償問題で、当然当事者同士の交渉だと。だけれどもいろんな問題があったんで、外務省も外交レートで全面的にバックアップすると。それから何か向こう側から、県と学校当局とじかに交渉したい、こんなことが来ましたが、この背景はどういうことなんでしょうか、外務省を通じて来て……。
  78. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) 今の委員御指摘の点でございますけれども、県が窓口にというような報道があったことは承知しておりますけれども、私どもとしても目下中国側の意向を詳しく聞いているところでございます。  いずれにしましても、今委員御指摘のとおり、外務省といたしましては親身になって当事者間のお話し合いをお助けしていくという立場に変わりはございません。
  79. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、外務省を通じて来たんじゃなくてもうじかに行ったわけですか、きのうの報道は。外務省を通じてじかに高知と学校当局と補償問題をやるという話が来たんじゃないんですか。
  80. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) その辺の詳細については承知いたしておりません。
  81. 黒柳明

    ○黒柳明君 ですから、外務省を通じて来たんじゃないということですね、そうなると。それでいいわけですね。
  82. 黒河内久美

    政府委員黒河内久美君) はい。
  83. 黒柳明

    ○黒柳明君 わかりました。  それから、外務大臣インドネシア等も回られるわけですけれども、留学生問題で私ども今、まあ野党ですけれども力及ばないながら一生懸命やっているんです。政府も非常にいろんな面においてこれ推進されているんですけれども、インドネシアだけじゃないですね、東南アジアの留学生問題。これは政府の円借款でバックアップする、これはやっぱり向こうからそういうリクエストがなければやりにくい、できない、こういう問題でありましょうけれども、もしそういう要望をされた場合には円借款で留学生をバックアップするという考えもお持ちでしょうか。
  84. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いろんな方法でやはりやっていかなければならないと思いますから、今黒柳さんおっしゃったことも一つの有力な手段であるかもしれません。いずれにしましても十万人受け入れる、しかもそれに対しましては本当にこれは与野党一致した意見としてしっかりやれというのが現状でございますから、閣僚懇談会を開きましてそうした問題も十二分に検討します。もちろん具体的に来た場合には応ずべく体制を整えることが必要だろう、こういうふうに思います。
  85. 黒柳明

    ○黒柳明君 審議官、まだ具体的に申し込みはないんですね。
  86. 川上隆朗

    説明員(川上隆朗君) 現在のところ具体的な申し入れは、インドネシアを含めましていずれの途上国からもございません。
  87. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうですか。  どうなんでしょうか、円借款ということでやっぱり当事者、向こうの国もやりにくいんですかね。  私たち考えると、留学生問題というのは、言うまでもなく宿舎の問題とか経済問題が主体で、どうも非常に困っていらっしゃるわけですよ。それについてこちらのマスコミで、あるいは答弁で今もおっしゃったように、あればそういうことも含めてという発言もありながら、何か私たちが考えているのと逆じゃないかというような感じがあるわけですよ。向こうからそういうリクエストがあっても、いやなかなかと、財政問題があって、バランスがあってというようなことが普通だと思うんですけれども、こちらから積極的にそういう姿勢を示しながら向こうからそういう問題の提起がないということは、今度は外務大臣インドネシアへは行くんですけれども、インドネシアだけの問題じゃないですね、東南アジアの留学生は、最近は中国を含めて非常に多くなっているんですけれども、そういう問題についてどうこれを受けとめたらいいですかね。私たちもよく大使館員に会ってそういう問題を個々には話し合ってみるんですけれども、正式にそういう問題が向こうから提起されないということはどういうことなんでしょうか。
  88. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 御承知のとおり、私費留学生と国費留学生等々ございまして、日本には非常に私費留学生が多い。この方々が非常に困っておるということもありますし、そして国費の場合には一応、東京だけではありません、地方の大学にも優秀なところへ行ってください、こういうことが言えるんですが、私費留学生の場合には自分の選択ということもございまして、これは文部省としても今後非常に重大な問題だから考えておきましょう、なおかつ奨学金の問題があります、あるいはいろいろとそうした面の方も考えなくちゃいかぬ。私たちから考えますと、出す方はいろいろと国費につきましては、相当な計画をお持ちになった場合にそういうふうな話も出てくるかもしれないなということを想像しながら対応策を講じておくことも必要だろう、こう思っておる次第であります。
  89. 黒柳明

    ○黒柳明君 環境庁がいらっしゃるんで、オゾンからちょっと低いんであれですけれども。  最近自動車のブレーキのアスベストの大気汚染というのがぼちぼち問題になっているんですが、これについてはどの程度関心を持たれ、あるいは予備段階の調査が進み、あるいは実際にこういう各国での実情というものはどういうふうになっているんでしょうか。
  90. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) お答えを申し上げます。  アスベストの問題につきましては、従来労働現場での影響ということで問題になってきたわけでございますが、最近諸外国で一般環境の問題ということについてもいろいろの御指摘がございます。  環境庁といたしましても、一般環境での状況についてこれまで実態把握を進めておりまして、現在のところは直接直ちに人の健康に大きな影響を与えるという状況ではなく、リスクは非常に小さいという判断をいたしておりますが、事柄といたしまして非常に蓄積性があるものでございますから、関係の業界や関係省庁を通じまして、できるだけ排出を抑制していただくよう要請をするとともに、その実態を継続的にモニタリングをしまして必要な対策をとれるように把握を進めておるという状況でございます。  先生御指摘の自動車の関係のブレーキとかその他に使われておるものでございますが、現在のところ私どもが把握しております環境上の状況としてはそれほど高いレベルにはないというふうに理解をしておりますが、最近では自動車業界でも代替品を使っていくというような動きもございまして、私どもとしてもできるだけ排出抑制、そういうものが出てこないような形が進むことについては望ましいと考えておりまして、関係省庁とも連携をとりながらこの問題についても適切に取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  91. 黒柳明

    ○黒柳明君 新製品の開発はもう行われて、新製品はもうできているんですか。コストが高くてまだ実用化されないわけですか。
  92. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) 車の車種なりあるいは使われている場所によりまして代替品の状況が異なっておるわけでございますが、一部のものについて順次代替をしていくというふうな動きがあるというふうに聞いております。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 核物質防護条約ですが、この次の原子力の平和利用協定にも関係するんですけれども、今核燃料が船で搬入されている。やがて飛行機でアメリカから搬入される可能性があって、そうなると今度は陸送も今以上に行われる、こういうことになるかと思うんですけれども、これはいつごろになるんでしょうか。
  94. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) お答えいたします。  今先生御指摘の御質問は、我が国がイギリスとフランスに使用済み燃料の再処理を委託しておりまして、そこで回収されたプルトニウムを日本に持ち帰ってくる話だと存じます。このプルトニウムは我が国において核燃料としてもう一度使いたいということで、ぜひ持ち帰るということで考えてございます。  以前は確かに船で運んだわけでございますが、今後は飛行機で運びたいという計画を持っております。実際に運ぶ時期でございますけれども、私どもといたしましては一九九〇年代に入ってなるべく早くこの輸送を開始したいと思っておる次第でございます。
  95. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると当然陸送も頻繁になる、こう考えられるんですか。
  96. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) イギリス、フランスから我が国までの輸送は……
  97. 黒柳明

    ○黒柳明君 いやいや、我が国の国内。
  98. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 我が国の国内に着きましてからは当然トラックなりで運ぶことになるわけでございます。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 今、陸送というのはどこか一カ所あると言われましたが、それはどこですか。
  100. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) こういったプルトニウムの燃料を取り扱います施設は、我が国におきましては茨城県東海村の動力炉・核燃料開発事業団の東海事業所の中にございます。したがいまして、そこにプルトニウムは今持ち込まれております。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 いや、今一般公道を輸送するところがどこかあるんです、公道を走る。
  102. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 昭和五十九年に船で持ち帰った事例がございますが、そのときは東京港に船で着きまして、その後陸送で東海村まで持っていったわけでございます。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、今現在、五十九年じゃなく、どこか一カ所あるでしょう、一キロか二キロ公道を陸送するところが。ないですか、今。
  104. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) お答え申し上げます。  先生の御質問は核燃料物質全般に関します輸送、そういうことかと思いますが、これにつきましては、陸上輸送、海上輸送、航空輸送あるわけでございますけれども、それぞれ国際基準がございまして、それに基づいた国内基準、これはできております。それに沿った形で安全確保を図りながら運送されているという状況にはなっております。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 原子力の防災対策の地域防災計画、これを見ますと、施設の事故、火災、そういう問題が書いてあるんですね。当然アメリカは軍隊ですから、民間も取り扱っていますけれども、私たち米軍の核のことはいろいろあれしている。これは米軍の核の消火法や防災対処法なんですよ。相当違うんですね。これから陸送が頻繁になると当然安全対策なんか全く変わるわけですね、今のマニュアルと。そうすると、九〇年代あたりになって空輸され、今度は陸送される。そうなると今のこの安全対策、私はちょっと手元に持ってこなかったけれども見させていただきました。  その中に書いてあることは、当然輸送のこととか航空機の事故とか、そんなことは書いてありませんね、航空機なんか我々関係ありませんから。そうじゃなくて施設の事故、施設の火災、そういうものについての防災対策、これしか書いてないんですよね。これからはやっぱりトラックの事故とか、そういう問題までも安全対策というものは敷衍されていくわけでしょうか。
  106. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 核燃料物質の輸送に際します安全確保に関しましては、先ほど申し上げましたように、国際原子力機関が定めました放射性物質の安全輸送規則というものが定められてございます。我が国を含めまして各国ともこの規則に沿いまして輸送の安全規制を実施しておるわけでございますが、この規則の中では核燃料物質それぞれの種類、量、それからその性質に応じまして輸送されるものが満たすべき強度等がございます。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、事故、火災、それについての対処の仕方なんです。
  108. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) はい。それで、輸送物に対して機械的な強度でございますとか耐火性でございますとかの技術基準が定められておりまして、これをまず守った輸送をしなければいけないということが法令上定められているわけでございます。
  109. 黒柳明

    ○黒柳明君 それは各国同じなんですよ、安全基準は。そうじゃなくて、その安全基準にのっとって輸送するわけ。そうでしょう、安全を確保しているわけ。それにのっとった上において事故が起こる。それについての対処の仕方が米軍では出ている。ところがそういうものが出ていない。それで一番心配するのは、やっぱり公道を陸送するときが将来一番心配だと。別に施設の中は構わないということじゃないですよ、施設の中だって問題ですよ。ですけれども、施設の中はそれなりにきちっとやっているでしょうけれども、公道なんかに出てきて、一般道路に出てきたときが一番問題だと、こういうことを今言っているんです。  あくまでも安全基準にないわけない。国際的に同じですよ。そうじゃなくて、米軍あたりは安全な上にも容器や何か完璧になっていますよ。私も見たことがありますよ。その上において、万が一航空機あるいはトラック等が事故を起こした場合、そのときにはこう対処すべしというものがあるわけですよ。ところが、国際基準を私は見たことはありませんけれども、皆さん方のあれを見せていただくと、どうもそういうあれがないんですよね。
  110. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 先ほど申し上げました輸送容器の安全基準に加えまして、核燃料物質の輸送中に交通事故に巻き込まれる、こういう事態が発生した場合のことでございますが、まず事業者が関係機関に通報するということが、そしてまた安全上必要な措置を講ずることが法律上義務づけられております。
  111. 黒柳明

    ○黒柳明君 それじゃ、万が一事故が発生した場合に、まず第一にどういうふうな防火対策をしますか。爆発する危険もある、起爆剤に爆発する危険もある、火災の危険もある、そのときはまずどういう対処をしますか。
  112. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 先ほど申しましたように、技術基準でもって耐火性が要求されております。そういうことから、交通事故に巻き込まれましても、その輸送物から放射性物質が出てくるということはないというのが実際の姿でございますが、実際に運ばれる際におきましても、事業者は消火設備等を保有しながら輸送を行うというのが実態でございます。
  113. 黒柳明

    ○黒柳明君 トラックが火災を起こした場合にはどういう対処をしますか。
  114. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 今申し上げましたように、核燃料が運ばれる場合には、大体におきまして伴走車というものがついてございます。この伴走車に、対応するために必要な要員、機材等が積まれてございます。そういうことにおきまして、基本的には事業者自身が対応することによりまして消火等が問題なく済むというふうに思っておりますが、それは今申し上げましたように事業者に義務づけておる点でございます。
  115. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、事業者じゃなくて、実際にトラックが火災を起こした、起爆する可能性がある、そういうときはどうしますか。どう対処しますか。まず火を消すんですか。
  116. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 核燃料物質は火にあぶられましてもそれが爆発するとかそういう性質を持っておりません。
  117. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃなくて、トラックの火を消すんですか。
  118. 大森勝良

    説明員(大森勝良君) 先ほど申し上げましたように、その事業者に消火設備等の携行を義務づけておりますので、まず事業者がみずから火を消すということを行うということになると思います。
  119. 黒柳明

    ○黒柳明君 ところがこちらを見ますと、どんなに安全な容器、安全なものがあっても起爆の可能性があるから、その場合一切千五百フィート以内に立ち入ってはならない、まずそれが状況判断の第一だと、こう出ているんです。  だからそこらあたりがどうも、まあこれはこれから聞いて教えを請わなきゃならないことであるのかもわかりません。もっと説明を受けて、私は専門家じゃないものですから、じっくり聞いたわけでもないんですけれども、今、公道を陸送するというのは頻度が少ないですから、施設内ですから完全に安全は確保される。万が一あった場合はといったって施設の中ですから、まあ中では起こっていいというわけではないんですけれども、一般の市民にそれなりの被害を与えない可能性があるわけですけれども、今度は空輸になって陸送が頻繁になると、やっぱり幾ら安全安全と言ったって、安全の中でも万が一の可能性があるからいろいろ対処の仕方が書いてあるわけですよ。ところが、どうも国際基準と米軍における対処の仕方との違いが文書ではっきりしているんです。そこらあたりどうも納得できないということがあるんです。  大臣、どうですか。仮えば一昨日もチェルノブイリの二周年で反核の集会があったり、あるいは出力調整で部分的にその地域だけでも反対運動が起こったり、原発と自衛隊と安保、これは与野党の一つの争点でなかなか解決できない。ただ自衛隊と安保の場合には、アンケートをとると八割以上は是認するという国民の意思が出ているんですよ。どうも原発は、チェルノブイリの事故があったからということでもあるでしょうけれども、最近その地域だけじゃなくて、全体的に国民の何か不安感が根強くなったんじゃないか、ふえたんじゃないか。米軍の基地、自衛隊の問題、何かあれば部分的にはそれは反自衛隊、反基地問題は起こりますけれども、そんな国民全体に根強い問題じゃないと思うんですよ。だけれども、原子力発電の事故についての不安を含めてのそういう国民的な反核、反原発、こういうものは何かふえているような感じがするんです。  ですから、この次の原子力利用の協定の問題も、それが根にあるのでただ単に上っ面だけで対処するというわけにいかないんじゃないか、こんな感じかするんですが、大臣どうでしょうか。今の、地域的にせよ最近起こった国民の原発反対の問題と安保や自衛隊に対する反対、これとは相当ウエートが原発の方が国民の間に不安がふえているんじゃないかという感じがするんですが、いかがですか。
  120. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) そういう問題がけさ実は伊藤科学技術庁長官から閣議において提起されております。ということは、やはり安全性に対するPR、これがもう少しく行き届いておらない。こうした面は私たちもさらに大いに安全性を申し述べなくちゃいかぬ。  確かに日本におきましては、まだ原子力発電と原爆とを混同されている面がたくさんありますし、現に原子力船「むつ」が長崎に行くときにも、長崎の方々は、原爆を積んでくるんだってぬというのが一般的な認識であったというような面もございますから、チェルノブイリの型式と我が国の型式とは全く違いますので非常に安全に安全を期してやっておりますし、またチェルノブイリのああいうふうな事故に関しましては、一般的原子力の平和利用という問題につきましてもさらに反省を重ねながら、やはり国民の理解を得るように努力しなくちゃいかぬ、こう思っておりますので、今後も政府一体となってやろうやということがけさほどの話であったわけであります。
  121. 立木洋

    ○立木洋君 協定と条約の前に若干のことをお尋ねしたいんです。  一つは、平時の相互兵たん支援協定というものが新聞で報道されているのを見たわけですけれども、米軍と自衛隊による共同訓練を行う際に、部隊の輸送だとか役務あるいは燃料などの資材などを相互に融通しやすいようにするために相互兵たん支援協定を結ぶというふうな問題がアメリカの政府の側から非公式に打診が来ているのではないかという問題ですが、そういう打診が来ているということを政府筋が明らかにしたという報道があるんですけれども、この点については事実なのかどうなのか、まずお尋ねしたいと思います。
  122. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 打診というようなことはございません。お尋ねの件は、米国のNATO相互支援法についてのことと思いますけれども、この法律は一昨年の改正によりまして、国防長官に今先生がおっしゃられたような協定をNATO諸国だけではなくて、その他の国とも締結する権限を与えたものでございます。私どもといたしましては、そのような経緯、すなわちNATO諸国以外の一部の国にもこのような協定を締結する道は開かれた、アメリカにとっては開かれたというその経緯を事務レベルで聞いているということはございますけれども、正式な申し入れがあったというようなことはございません。
  123. 立木洋

    ○立木洋君 つまり、正式でなければ、ある程度話し合いみたいなものはアメリカ側からあったわけですね。
  124. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 話し合いといったようなものもございません。事務レベルで説明を受けたことがあるということでございます。
  125. 立木洋

    ○立木洋君 防衛庁の方はこの問題についてアメリカ側から何らかの話し合いがあったでしょうか。
  126. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) ただいまのはクロス・サービシング・アグリーメントのことだと思いますが、先ほどもお話がございましたように、こういう協定がNATOの諸国と結ばれているということで、それがどういうものかという点につきまして米側から説明を受けたことはございます。しかしながら、具体的に防衛庁側にどうこうという打診といったようなものは受け取っておりません。
  127. 立木洋

    ○立木洋君 去年の一月にアメリカの上院の軍事委員会でへイグさんが述べていましたですよね。結局、今言われたようにNATOの相互支援法の適用範囲を韓国や日本に拡大する問題について、それによって継戦能力を改善する方向にそれが貢献できることになるんだという趣旨のことを述べていましたし、またことしの三月の同じ軍事委員会で、日本への相互支援法適用拡大は進行中の重要な計画である、同法に基づく相互兵たん支援協定締結に至る議論が現在行われているというふうに委員会の中では述べられているわけですね。  こういうことを見れば、説明を受けたというお話で、その問題に対する相手から何らかの要求めいたことではなく、ただ単なるそういうことについて説明を受けたということだけにとどまるのか、あるいはそれに基づいて何らかの検討あるいは研究といいますか、どういうふうにすべきかというふうなことが外務省、防衛庁等のあたりで研究がなされているのかどうなのか、その点はどうでしょうか。
  128. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 先生御指摘のへイグ米太平洋軍司令官の証言についてはいずれも私ども承知いたしております。前者は、まさにこの米国の国内法が改正されましたときにそれに先立って行われたものであります。後者につきましては、そのように司令官は申しておりますけれども、実情と申しますのは、政府側から従来申し上げておりますように、話し合いというものではなくて、向こう側から米国が既にNATO諸国と締結しているこの協定の内容について事実法律的な仕組みの説明を受けているということに尽きるわけでございます。
  129. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) ただいまのお話がありましたとおりでございまして、昨年の後半でございますか、アメリカから人が参りまして、NATOとの結んだ協定について、国防長官が韓国とか日本とも協定を結ぶ権限が与えられたんだということで私が説明を受けたわけでございます。その説明を受けたにとどまりまして、防衛庁として何らかの検討を行っているというようなことはございません。
  130. 立木洋

    ○立木洋君 その説明を受けた際の感触、あるいは今私が述べましたへイグ司令官のそういう米上院軍事委員会における証言ですね、こういう内容から見て、これが遠からずやっぱり日本側に要請してくるんではないかというふうなことが当然考えられるんですけれども、そういうふうな御認識はお持ちでしょうか。  今はいわゆる正式な公式な打診というものはない、ただ説明を受けただけであると言われるけれども、これらの経過から見ますと当然要請してくるというふうに考えられるんですけれども、そういうあたりはどういうふうに受けとめておいででしょうか。
  131. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 今申し上げましたように、政府としては特に現在検討しておりませんけれども、米国から具体的な要請がありましたらばその段階で改めて検討しようと思っております。
  132. 萩次郎

    説明員(萩次郎君) 具体的にアメリカ側から要請がありました場合には、その協定を結ぶことによって我が方にとってもメリットがあるかどうかということが一つの問題点であろうと思いますので、その辺を勘案の上改めて横討を開始するということになろうかと思います。
  133. 立木洋

    ○立木洋君 相互兵たん支援協定の原型は、御承知のように一九七九年のアメリカの国内法で、NATOの相互支援法に当たるというふうに言われているわけですね。このNATOの相互支援法と言われるものがどういう内容のものかということについてはもちろん御承知だろうと思いますけれども、どういうものでしょうか。
  134. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) 概要は私ども承知いたしております。  これは米国の国内法でございまして、我が国として有権的に解釈する立場にございませんけれども、この法律におきまして米国と特定の対象国との間において兵たん支援、供給品及び役務を相互的に提供し、双方の債権債務を自後的に清算する協定が想定されておりまして、具体的には共同演習のときにこの仕組みを通じてより効率的に相互の兵たん、供給品あるいは役務の交流をなし得るようにと考えている由であります。
  135. 立木洋

    ○立木洋君 役務だとか一般資材等々の問題は別としましても、例えば新聞なんかで報道されている物々交換という意味で、NATOの場合には弾薬だとか兵器類なんかの融通だとか貸与だとかというふうな問題も当然含まれているわけですか。
  136. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) この米国の国内法を見ておりますと、弾薬は入っておるようでございますけれども、いわゆる武器は入っておりません。
  137. 立木洋

    ○立木洋君 日本の場合にそれを受け入れて検討するというふうになった場合には、そういう弾薬などの貸与だとかというふうなものは当然行われるべきではないということが日本の武器輸出三原則に基づくならば当然考えられると思いますが、そういう点は問題ないでしょうね。
  138. 有馬龍夫

    政府委員(有馬龍夫君) これは先ほど来申し上げておりますように、今検討しているわけではございませんので、今御提起になりましたような問題について考えたことはございませんです。
  139. 立木洋

    ○立木洋君 大臣に最後に一言だけですが、武器輸出三原則が問題になりましたときに政府が統一見解を出して、武器技術の問題に関してはアメリカの場合例外とする、しかし武器そのもの、この輸出についての三原則というのはやっぱり守るんだということが統一見解として述べられているわけですね。  この兵たん問題で通産省の貿易局の方での内容を聞きますと、つまり弾薬などをこういう兵たん支援協定などの場合に貸与するだとかいうふうなことも実際にはやはり輸出に当たるという見解なわけですね。そうすると、こういう兵たん支援協定ができた場合でもそういうふうな武器の貸与なんということは行ってはならないということは、当然武器輸出三原則に基づいてやらなければならないという乙とに私はなるだろうと思うんです。  この問題は、今局長の方からはまだ正式に打診がなされたわけではないし、将来の問題だということですけれども、そういう問題についても当然アメリカから要請してくる可能性が私は極めて強いというふうに考えられますから、この兵たん協定の問題については。その場合もそのことを念頭に置いておいていただきたいということを一言この際申し上げておきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
  140. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今、北米局長からお話がありましたとおりに、要請があった場合には検討しようというふうなことは言い得るかもしれませんが、まだ将来のことでございます。しかし、武器三原則というものに対する解釈、こうした問題もございますから、そうしたことも十二分に頭に入れながらの要請があった場合の対応ということになるだろう、こういうふうに考えます。
  141. 立木洋

    ○立木洋君 もう一つ日本外務省の外交姿勢の問題に関連するんですが、パナマの情勢ですね、依然として深刻な状態が続いているわけですが、当初三月初めに外務省としてはパナマの新しい体制に対して容認することを示唆する表明がなされた、内政不干渉の立場に立ってというふうなことですが、しかしその二日後、三月四日に日本の在米大使館の加藤参事官に対してアメリカの国務省からパナマに関する話があってから政府のパナマに対する態度が変わってきたというふうなことが新聞で報道されているわけですが、この新体制については政府は現在どういうふうに考えておられるのか。  また、この新聞報道がなされている状況から見て、当初の政府の考え方とそれがどういう過程の中で変わったのか、そういう経過と現在の御認識についてお聞きしたいんですけれども。
  142. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) パナマの問題に関しましては、政府承認するとかしないとかいう場合のケースには当たらないケースだというふうになっております。だから、そうした一つの説明というものがさながら容認したというように受けとめられた面もあるかもしれませんが、私自身のそのときの判断は、やはりこれはノリエガという麻薬の総取締役とも言われておるような方がそれぞれ民意に反して大統領を自由自在に交代させておる。そのもとに生まれた大統領であり、言うならば当時は二人大統領がいる。  そういうことであるから、改めて容認するとか承認するとかいうような手続は必要でないだろうけれども、しかし我が国の派遣をしている脱パナマ大使が、いやしくもパナマの新しい政府の公式行事に顔を出すということになれば、それはすなわち容認ととられても仕方がないことになる。だから、それは極力注意をしなくちゃいかぬ、あくまでもしばらくの間は、我々がすべてを判断するまでは絶対さようなことのなきようにということを現地に指令いたしたわけでございますから、したがいまして、アメリカから言われたからどうのこうのというのじゃなくして、我々の判断によりまして今日もなおそうした事態を続けておるということでございます。
  143. 立木洋

    ○立木洋君 確かに麻薬の云々あるいは腐敗、これは政権としては大変な問題だというふうに私は考えるわけで、しかしあそこの経緯を見てみますと、あそこでどういうふうな政権がどういう形で成立するかという問題はやはりパナマの人々自身が決めるべきことだろう。だから韓国でいろいろな腐敗が起こった、問題が起こったといって外部で日本があの政権はやめるだとか、この政権がいいだとかというようなことは、もちろんこれはおっしゃることができないわけですから、それぞれの国で当然決めるべきである。考え方はあったにしても、それはそういう態度をとるのがやっぱり内政不干渉の原則に基づくあり方だろうと思うんですね。  しかし、当時のあの経過を見てみますと、パナマ運河の権益問題をめぐってこの間アメリカとの間でいろいろと経緯があって、一九九九年にはパナマ運河の運営管理委員会の構成がパナマ側に有利になるだとか、今世紀内にこれを返還しなければならないだとかいろいろな問題があって、レーガンさんもこんなことをカーターさんがやったのはけしからぬと言って大分怒ったような経緯もあったそうですが、そういう経緯の中からパナマに対する圧力というのが強まってきたというふうなことも問題にされているんではないかというふうに思うんです。  もちろんパナマ運河というのがあの地域において重要な役割を担っているということはこれは世界的にも注目される点ですけれども、しかしそこの国の主権の問題等々については、やはりそれを侵害するようなことが私はあってはならないだろうと思う。これは何も麻薬の云々、腐敗の云々がいいという意味ではもちろんありませんけれども、そういう意味では当初日本政府が内政不干渉という見解をとったということは、私はやっぱり適切ではなかっただろうか。  だからそういう点で言うならば、この問題に関しては今経済封鎖の問題があって大変な事態があそこで起こっている。さらには軍隊まで導入されているというふうな危険な状態にならないように、やはり日本政府としては自主的な立場に立ってこのパナマの問題をきちっと見守りながら、内政不干渉の原則で再びあそこで重大な事態にならないように対応をしていくということが私は必要ではないだろうかというふうに考えるんですが、大臣いかがでしょうか。
  144. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) パナマ運河が我が国にとりましても非常に大切な施設であるということはこれは今さら申し上げるまでもございません。そんなことでパナマの国自体に対しましても、我が国の多くの企業が進出しているというふうな現実もあるわけでございまして、我々といたしましては、そのためにもやはり非常にその地域、その国を重要視しておるというのが現在の立場でございます。
  145. 立木洋

    ○立木洋君 くれぐれもこのパナマの問題での事態がより複雑になるようなことのないように、日本政府としては自主的な立場で対応してくださるように重ねて要望しておきたいというふうに思います。  次に、条約の問題ですが、オゾン層保護の問題、これは人の健康の問題にとってもあるいは生物環境の問題にとっても非常に重要な内容を持っている点であるということは言うまでもないわけですが、この条約と議定書の規定に基づいてフロンガスの生産や消費が削減されるとするならば、オゾンの減少はどの程度緩和されるのか、そういう見通しやまた現状についてまず最初に説明をお願いしたいと思います。
  146. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) お答え申し上げます。  米国の環境保護庁、EPAでございますが、この報告書によれば、モントリオール議定書に沿った規制が予定どおり世界的に実施されれば、オゾンの全量の減少率は最高二%以内にとどまると予測されております。  こうした科学的知見を踏まえて、国際的な合意がなされたものと承知しております。  なお、科学的知見につきましては、オゾン層の状態の現状把握とその的確な将来予測などにつきまして、今後とも引き続き国際的に検討されることとなっておりまして、規制のあり方も、こうした検討を踏まえて、定期的に見直されることになろうかと考えております。
  147. 立木洋

    ○立木洋君 世界じゅうでの生産の量が百六万トンですか、百十万トンか、そのぐらい言われておりますよね。大体、日本で生産しているのが、いろんな数値がありますけれども十二万から十七万ぐらいまで、いろいろなデータがあるのでどれが正確かはっきりわかりませんけれども、いずれにしても一割から、例えば一五%ぐらいの程度が日本で生産されている。これが、今言われたようにオゾンの破壊という状態につながっていくということになるならば、日本は約一割以上生産している状況にあるわけですから、相当これは日本としても注意していかなければならない問題になるだろうと思うんですね。  その点で、こういう日本のオゾンの減少モデルの比較研究などについての参加の状況ですね、それから、それに対して一体その研究の現状や予算、その問題についての予算等はどういうふうな状況になっているのか、それはいかがでしょうか。
  148. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、この問題についての科学的研究は大変重要でございまして、環境庁におきましても、昭和五十二年から航空機を利用した上層大気の把握でありますとか文献調査などを進めてきておるわけでございますが、昨年の二月から、各方面の専門家から成ります成層圏オゾン層保護に関する検討会というものを設置しまして、体系的な検討を続けてきておるところでございます。本年からはまず大気中のフロンなどの濃度の監視をしなければいけないということで、新たにこの予算を計上いたしておりますほかに、国立公害研究所で特別研究ということで、五年間に因果関係のさらなる一層の究明でありますとか、予測のモデルをさらに精緻にしていくための作業でありますとか、影響の把握でありますとか、こういうような総合的な研究を始めることにいたしております。  また、これは昨年度の補正予算で設置をいたしたものでございますが、最新鋭のオゾンレーザーレーダーというものを設置をいたしまして、オゾン層の高度分布の把握、こういうようなものにも取り組んでおるところでございます。
  149. 立木洋

    ○立木洋君 いろいろ私たちが目につくのは、見てみますと、例えばアメリカの航空宇宙局の資料だとか、あるいはアメリカの環境保護庁の資料だとかが目につくわけですね。なかなか日本でどの程度までその研究が進んでいるのか、実際に今から始めるものであるというふうな点も若干あったかのように聞いたんですが、やはりこういう点については環境庁の方としても努力をしていただいて、やっぱり人の健康あるいは生物、環境にかかわる重要な点ですから十分に研究して、日本独自にでもこれをきちっと把握していくようなことが私は必要ではないだろうかというふうに考えるわけです。  今度の議定書は、これはまあ第一歩だというふうに言われています。先ほどの説明でも、聞きますと、いわゆる使用上の便利さというふうな問題があって、一挙になくしていく点にはいろいろな問題もあるということで、段階を経ることによってこういう形になった。一種の妥協というか、妥協という表現が悪ければ、そういうことで合意に達したということなのか、いずれにしろこれで十分だという問題では私はないだろうと思いますね。一九九〇年に検討がなされるということですが、さらに今の事態をもっと積極的に進めていく方向で日本政府としては対応していく考えがあるのかどうなのか、その点についてはいかがでしょうか。
  150. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきましたように、現在のモントリオール議定書は、先ほど申し上げましたように、米国環境保護庁の報告によれば、この議定書に沿った規制が行われればオゾンの最高の減少量は二%以内にとどまるということで国際的に合意されたものと承知しておりますが、オゾン全量の減少の予測につきましては、大気中での化学反応や地球全体の大気の動きなどを組み込んだ数理モデルを用いて行われておりますけれども、今後とも、科学的知見の進歩に応じて予測モデルや計算を一層精密にしていく必要があると考えております。  こうしたことから、モントリオール議定書におきましては、一九九〇年を初年度としまして、少なくとも四年ごとに締約国間におきまして、最新の科学的知見に応じた規制措置の見直しを行うという仕組みになっておりますし、このように国際的な合意となった今回のオゾン層保護対策では、必要があれば制度の強化などの対応も可能な仕組みになっております。環境庁としましても、こうした仕組みを踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。  それから、対策の見直しに際しましては、我が国としましても積極的に貢献するために、環境庁におきましては、オゾンレーザーレーダーなどによるオゾン層の監視とか、大気中の問題となりますフロンやハロンの濃度の監視、それから最新の科学的知見を踏まえました精密な予測モデルの作成などを行っていくこととしております。
  151. 立木洋

    ○立木洋君 関連国内法をちょっと見せていただいたんですけれども、生産している大手が五社ですか、六社ですか。しかし、実際に使用しているというのは三万三千とかという状況ですね。国内関連法を見てみますと、製造者の製造する数量許可を受けることにより生産における数量を規制するというふうなことになっているわけですね、許可制度で生産の規制を受けると。しかし、大口の使用者の規制だとか排出規制などについても当然検討してしかるべきではないだろうかというふうに思うんですが、そこらあたりはどういうふうに考えておられますか。
  152. 奥村明雄

    説明員(奥村明雄君) 先生おっしゃるように、排出抑制というのは極めて大事なことと考えておりまして、提案をさせていただいております法案の中でも、諸外国が共通の課題として責務を負っております生産の規制のほかに、排出抑制ということを法案の中にも盛り込ませていただいているわけでございますが、具体的には排出抑制あるいは使用合理化といった指針をつくりまして、それに従って事業者における努力を促進するという考え方にいたしております。  また、このため、排出抑制のための設備をつくらなければいけませんので、そうした事業者における負担を軽減をするという観点から、税制上の優遇措置として固定資産税の軽減というものを法律にうたっておりますし、また政令によりまして、これに合わせて所得税の方での特別償却という手だても今後関係省庁と御相談をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  153. 立木洋

    ○立木洋君 その点は十分に対策を検討していただきたいということを要望しておきたいんですが。  それからもう一つの点としては、かつてトリクロが使われていて、これは有毒であるということでフロンにかわる。それでまたフロンも、こういう形でいろいろ研究してみるとこれまたオゾンの保護にとって有害であるというようなことが問題になる。いろいろともちろん代替物質が研究されるでしょうけれども、出てきた代替物質がまたさらにいろいろな危害を環境や人に与えるというようなことになるとこれはいろいろ問題になるので、そういう点についてはやっぱり環境庁の方としても、今後代替物質を開発する場合の対応の仕方というのは当然検討があってしかるべきではないか。  そうしないと、結局トリクロからフロンにかわってやっぱり一定量になって十年後でしょう、そのオゾンに対する影響がわかるというのが。大量に使用されるようになって初めて今度それの規制を段階的にやるというふうなことになると、やはり一定の影響はどうしても受けるわけですから、これは人の健康の問題にとって大切な問題なので、そういう代替物質の開発の問題についてもそこらあたりは十分に検討しながら考えないといけないんではないかというふうに思いますけれどもね。使用の便利さだとかいろいろな点で消費者にとって必要だというふうなことでやはりすぐ必要の方は広がりますから。そういう点ではどういうふうにお考えになっておられましょうか。
  154. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) ただいま先生から御指摘いただきましたように、新しい物質や製品の利用に伴いまして新しい公害を生ずることのないように十分配慮を行うことが極めて大切なことと考えております。御指摘いただきましたフロンの代替品につきましては、オゾン層に与える影響がないことを確認することは当然のことでございますが、それらの物質がまた新しい公害を生ずることのないように事前に十分な調査研究が行われるべきであると考えております。  環境庁といたしましては、関係省庁と十分連携をとりまして、こうした調査研究が行われるよう図ってまいりますとともに、国立公害研究所におきましても、代替物質の環境影響についてのレビューなどを行うなど代替物質が問題を起こさないように万全を期してまいりたいと考えております。
  155. 立木洋

    ○立木洋君 万全を期すという言葉を大分力を込めて言われたけれども、体制的にはそういう保障はやっぱりあるんですか。連絡はとってみるものの結局は相手任せで、環境庁としてはお話しすることはお話しするまでであって、結局体制的にはそれが完備され、きちっとした監督のもとにそれが行われるというようなことにはなっていないんではないかということを感じるんですけれども、体制的には保障されているんですか。
  156. 後藤博俊

    説明員後藤博俊君) 先生御指摘いただきましたとおりに、法的にはそのようなことになっておりませんけれども、そのような体制ができるように万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  157. 立木洋

    ○立木洋君 外務大臣、これは管轄はもちろん別かもしれませんけれども、オゾンの方の問題もやっぱりきちっと確認される、そして発効されるということになると、先ほども申し上げましたように、日本で生産している量というのは一割以上にも上りますし、今度代替物質を開発する場合でも、そういう有害、有毒的なものにはならない、そういう代替物質が開発されなければならない。こういう点というのは、人の健康にとっても環境にとっても非常に大切な点だと思うんですね。  ですから、外務省の方でこの条約が採択されたということでそれで終わりということではなくて、それが忠実にやっぱり実行される過程まで大臣目を配りながら、そういう点でも関係省庁にもきちっと申し述べていただいて、体制的にもそういうことが完備されていけるようにひとつ注意を促すように努力していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  158. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この問題は全人類の問題でございますから、日本だけがまたひとりよがりだと言われるようなことがあってはいけません。そこで、世界的にお互いに協調しようということになったわけでございますので、それぞれ所管省はございましょうけれども、やはりこうした協定を結びます以上は、私たちといたしましても十二分に内政に対しましても重大な関心を持って臨んでいくと、こうした姿勢を貫きたいと思います。
  159. 立木洋

    ○立木洋君 それからもう一つ問題を感じるのは、途上国の場合、この条約によりますと一人当たり〇・三キログラムの範囲で生産されることが可能である、つまり規制されていないわけですね。もちろん先進国の状況で言えば、空調だとか冷媒などについてはもうほとんど飽和状態ですから問題にはならないでしょうけれども、自動車などを輸出していわゆるクーラーなんかを使用する。そうすると、日本の企業が海外に進出していってその地域でフロンなどを生産するというふうなことが起こるとこれは規制の対象にはならないわけですね、一人当たり〇・三キログラムまで途上国では認められているということになっているわけですから。  こういうふうな問題についてはどういうふうな監視といいますか、そういう問題についての考え方をお持ちになっておられるんでしょうか。
  160. 法眼健作

    説明員(法眼健作君) 条約及び議定書におきましては、特に議定書の第五条におきましては、今先生言われたような途上国に対する特例措置が認められているわけでございます。  これの背景を若干申し上げますと、これも先生も先ほどちょっと言われましたように、フロンは非常に使いやすい便利なものであるということで、これがいろんなものに使われているわけでございまして、しかしながらこれは規制しなければいけないということで、条約の中では一人当たり〇・三キログラム未満、それでそれにつきましては十年間実施の期間を途上国についてはおくらせるということを認めたわけでございます。したがいまして、その意味では先進国の企業が途上国での生産に関与するということは可能ではあると考えます。  しかし、この議定書の中には明確に、「基礎的な国内需要を満たすため、」という条件が付せられておりまして、その限りにおいて認められたわけでございまして、したがいましてそういう縛りがかかっているわけでございます。したがいまして、そこで認められましたその活動というものが、フロンの生産をどんどんそこで自由にやって構わないということではないというふうに考えております。  それから開発途上国で締約国でない途上国につきましては、これは議定書の四条におきましていろいろな形で規定がございまして、締約国でない国に対しては規制物質の生産等には協力しないということになっているわけでございます。
  161. 立木洋

    ○立木洋君 もちろん私は、すべての企業が悪いのどうのという意味ではありませんけれども、やっぱり個々にはそういうふうなことが、実際には海外に進出して、その国内法のない状態のもとで生産がどんどんやられる。一方、日本の国では規制がされながら海外ではそういう増産が図られるというようなことになると、やはり海外に進出してこういう国際的な法に反することが日本の企業によって行われるということになれば、これまた日本全体にとっても好ましくない汚名を国際的に広げることになるわけですから、そういう問題についても目を配るということが大切ではないかというふうに思うんです。  いずれにしても、これは九〇年に再検討されるということもありますから、私はいろいろな意味でまだまだ問題はこれが第一歩だというふうに言われている点に私は十分留意していただいて、今後これをよりよく改善していくという形でこのオゾン層保護を十分やれるように努力していただきたいということをこの問題では最後に要望しておきたいと思います。  次に、核物質防護に関する条約の問題ですが、この外務省からいただいた条約の説明書の最初のところに、「核物質の不法な取得及び使用の危険性も高まったので、」というふうにありますが、これはどういうふうな形で現実には生じているんでしょうか、この「危険性」というのは。
  162. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) 実はこの条約をつくろうじゃないかと、こういうふうな動きが出てまいりましたのはちょうど一九七〇年代に入ってからなのでございますけれども、その背景としまして二点あるわけでございます。  一つは、七〇年代に入ってからテロ行為が、これは別に核とは関係ございませんけれども、一般的な意味でのテロ行為が非常に急増してきたという事実が一つあるわけでございます。それからもう一つは、七〇年代に入りまして原子力発電の発電が多くなってきた。したがいまして、当然のことながら核燃料の輸送等々が量的にもあるいは回数的にもふえてきた。この二つの要素を踏まえまして、もしこういうような核物質が盗まれたりあるいはこれでもって脅迫されたりしたら大変だと、こういうふうなことがこの条約をつくろうじゃないかという背景にあったわけでございます。
  163. 立木洋

    ○立木洋君 この使われる危険性、つまり盗まれたものが使われる危険性というのは、今テロ行為という問題を出されましたけれども、現実的なそういう可能性というのはあるんですか。盗まれた核物質が使われる危険性というのは。
  164. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) これ全く幸いにしてと申した方がいいと思いますけれども、核物質が盗まれたり、盗まれた結果これを使われたというケースは今のところ内外ともにございません。  しかしながら、一つは直接使われたということではなくて、核物質がおどかしといいますか、脅迫に使われたケースは、外国ではそういう事例がかなり報ぜられております。
  165. 立木洋

    ○立木洋君 どうも素人でその辺わからぬのですけれども、核物質が盗まれて、これはどういうふうな形で脅迫に利用されるのですか。
  166. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) 二つぐらい考えられる方法があると思うのでございますが、一つは、プルトニウムを例えば水道の水の中に、言うことを聞かなければ混入するぞと、こういうふうな脅迫。これは実は現実にアメリカのニューヨークで起こったと言われているわけでございますけれども、そういうふうなこと。あるいは水道までいかなくても、プルトニウムをどこかへ行ってまくぞとか、こういうふうなことが考えられるのではないかと思われるわけでございます。  それからもう一つの、これはかなり理論的になるかと思いますけれども、もし非常な高度の技術を持っておりますれば、例えばプルトニウムを盗んだときにはこれでもって核爆発装置をつくるということも理論的には考えられるのではないかと思われます。
  167. 立木洋

    ○立木洋君 それでは、条項の中で、第六条の第一項に書かれてあります「秘密のものとして受領する情報の秘密性を保護するため、」という、この「秘密のものとして受領する情報の秘密性」というこの「情報」というのはどういう種類の情報なんでしょうか。
  168. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) これは、この条約核物質防護でございますから、当然核物質が輸送されますときに関係国がお互いに情報交換をし合うことになるわけでございますけれども、その中で例えば核物質がどこにあって、どういうふうな量があって、どういう経路を通って、例えばA国からB国へ移転される、その場合にあるいはどういうふうな防護措置がとられておるか、そういったようなものがここの第六条の一項でございますけれども、そこに該当するのではないかと思われるわけでございます。
  169. 立木洋

    ○立木洋君 それからもう一つ、附属書Iの中の1の(C)項に「定められた防護区域であつて、更に、信頼性の確認された者に出入が限られ、」というこの「信頼性の確認された者」というのは、この「信頼性」というのはどういう意味なのか、どの程度の信頼性なのか。この「信頼性」というのをどういうふうに理解すればいいのか、その辺はいかがですか。
  170. 遠藤哲也

    政府委員(遠藤哲也君) 今先生の御質問の附属書Iの1の(C)でございますけれども、これはいわゆる事業活動の一環としてであって、貯蔵されている区域内に入ってくる人間が、例えば身分証明書を持っておるとか、あるいはその施設の職員でない場合もあろうかと思いますけれども、その場合には事業者から発行された例えば身分証明書等々を持っておる、こういうふうなことで信頼性が確認される。いわゆる事業活動の一環としての信頼性というふうに解釈されております。
  171. 立木洋

    ○立木洋君 それから、その次に核物質の国際輸送についての安全輸送容器の開発が進めるれているということですが、これはアメリカのサンディア国立研究所で行われている。そこに動燃の職員も派遣されていると言われておりますが、これは間違いないでしょうか。
  172. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 先生御指摘のとおり、動燃事業団がアメリカのサンディア国立研究所においてプルトニウムの航空輸送容器の開発を進めております。
  173. 立木洋

    ○立木洋君 このサンディア国立研究所というのはどういうものを主に研究しているところでしょうか、中心的には。
  174. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) このサンディア国立研究所は、アメリカのDOEの下部機関でございまして、核融合の研究、原子力の研究、さらには核兵器の開発といったことをやっておるように承知しております。
  175. 立木洋

    ○立木洋君 つまり、専ら核兵器のいろんなユニット、核弾頭を除くユニットの開発だとか、兵器部門の研究が中心に行われているというふうにアメリカの政府の資料でも述べられています。  動燃事業団法では、「原子力基本法に基づき、平和の目的に限り、」「原子力の開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立されるものとする。」というふうに述べられているわけですが、核兵器の開発を行っている研究機関に派遣されて、そこでともに行うというのは、これはいささか動燃事業団法に抵触するんではないかという感じがするんですが、どうですか。
  176. 結城章夫

    説明員(結城章夫君) 一般的にアメリカと日本といろんな分野で研究協力を進めております。アメリカが核兵器の開発をやっているのは事実でございますが、我が国がアメリカと協力しておりますのはあくまでも平和利用の分野での協力でございまして、この輸送容器の開発もまさに平和利用のために行っておる開発でございまして、そういう意味では問題ないと思っております。
  177. 立木洋

    ○立木洋君 もちろんですよ。それは動燃の職員が核兵器の開発に協力しておったら大変なことになる。しかし、私が言っているのは、そういうところで一緒に研究する、開発するということ自体にやはり問題があるのではないか。  本当の意味でいえば、この核物質の完全な平和利用というのは、核兵器というのが完全になくなってしまえば完全に核の平和利用だけでそれはやっていけるということになるので、残念ながら歴史というのは核兵器の開発から開始された。それを平和利用に用いるというふうな変な歴史の経過を経てきたためにそういう状態になっているわけですから。動燃がそこで仕事をしているという問題について私が懸念を抱いたのは、そういう問題についても十分な配慮が必要である。これが当たり前で当然なんだというふうな考えで臨まれては困るということだけを私としては申し述べておきたいわけです。そのことを強調して、私の質問を終わります。
  178. 小西博行

    ○小西博行君 オゾン層保護についての条約についてまず御質問を申し上げたいと思います。  私この条約を拝見さしていただいて、しかもこのフロンガスの問題というのはかなり以前からいろんな形で問題になっております。私は基本的にこのように考えておるんです。要するにフロンガスを使って、そしていろんな生産工場でたくさんのものを消費している。その段階でこれが空気中に漏れるというようなことが実はこれが一番大きな問題ではないかと思うわけです。  もちろん最近のICとかLSI、これの製造が非常に量的にも拡大されておりまして、その洗浄に大変便利よく使っているというようなことでありますから、管理を徹底的にやって、あるいは品質特性的に十分それにたえるだけのものを設計すればかなり私は防護ができるんではないかという実は感じでもあるわけです。同時に、このオゾン層を破壊しないような何かこのフロンとかハロンにかわるような物質の研究開発という両面が私は大変必要ではないか。とりあえずこの生産といいますか、使用量というものをだんだん減していこうではないか、こういう形でこの条文ができ上がっているんじゃないかというように思っているわけです。  そこで、まず私最初にお聞きしたいのは、こういう廃棄物の処理の仕方という問題については、特にこの東南アジアなんかでは日本が非常に進んでいるじゃないか。そういう意味で、特にこのNICSの国々に対して相当やはり技術的な指導であるとかあるいは援助、そういうものをやらない限りはなかなか難しいんではないか、そのように思いまして、まずその問題をどのようにお考えになっているかお聞きしたいと思います。
  179. 法眼健作

    説明員(法眼健作君) 途上国との関連につきましては、議定書それから条約、いろいろなところで途上国への技術協力、援助ということが規定されているわけでございます。そして特にその議定書の第五条におきましては、「環境上安全な代替物質及び代替技術の取得を円滑にし及びその速やかな利用を援助する」ということが明記されておりますし、またそういった観点から「代替技術及び代替製品の利用のため、」援助等の供与を二国間または多数国間で促進するべきということがうたわれております。それから議定書の第十条におきまして、議定書への参加等を円滑にするための技術援助を促進することをさらにまたうたっております。  具体的にどういうふうに開発途上国に対して援助を行うかという方法につきましては今後締約国会議において具体的に検討されると思われますが、我が国といたしましてもその代替技術、代替製品等の開発を通じましてできる限りこれらの規定に沿ったような協力をしてまいりたいと考えております。
  180. 小西博行

    ○小西博行君 モントリオール議定書に署名した国というのはこれで見ますと三十一カ国ということになっておりまして、いわゆるお隣の韓国であるとか中国とかフィリピンというような国々はそれに署名をしていないわけですね。  私はむしろそういう国々というのは、さっき申し上げましたようにこの廃棄の処理の技術というのがやっぱりまだ相当おくれているんじゃないか、あるいはひょっとして法律的にそういう取り締まりというんでしょうか、そういうものが非常に弱いんではないか、そういうふうに感じますので、これ後でも御質問申し上げますけれども、とにかく早くこの締約国に入ってもらわなきゃいけない、加盟してもらってそして同じ土俵の中でお互いに切瑳琢磨していかなきゃいけない、そういうように私は考えるんですけれども、具体的に働きかけといってもやっぱりそれぞれの国の実情があると思うんです。  私はどうも自分で車に実際乗っておりまして、いわゆるエアコンについている、入っているそういうガスですね、こういうものも相当品質によってちょっと古くなるとすぐ漏れるとか、これはむしろ製造の段階の品質だと思うんです。設計の方では割合びしっと書かれていると思うんですね。だからそういう生産技術的な要素が非常に強いんではないかなという感じがいたします。工場関係の場合はそういうものでぴしっとやればある程度抑えられると思うんです。  幾ら使ってもそれが漏れなければ本当は問題ないということになるわけですから、むしろ我々が日常使っているそういう車であるとかあるいはヘアスプレーなんかもそれ入るのかとも思うんですけれども、そういう分野もあわせてどういうようにこれから、日本もそうですが、指導していったらいいのか、非常に難しい分野だと思うんですね。工場だけだったら量で規制していくとかいうことをチェックすればいいんですけれども、一般の皆さん方が使っているものを一体どうするんだと、しかも今申し上げたようなお隣の国に対してどうなのかと、この辺はどうでしょうか。
  181. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘にありましたカークーラー用のものにつきましてのお話でございますが、確かに現在カークーラー等では三年に一遍充てんしないとクーラーの効きが悪くなるということでございまして、これはやはりいろんなところから漏れているというところにそれが原因があるわけでございまして、この問題の重要性にかんがみれば、そういうことのないような品質のカークーラーを開発するということが重要だと思います。例えば現在漏れていると思われますゴム管だとか、そういうものをさらに強固なものにかえていくとかということも重要かと思います。また、ほかにも仕様の場面で改良の要するところがたくさんあろうかと思います。  今回御審議いただいております法律の中でも、環境庁長官、通商産業大臣がその使用の合理化のための指針を定めるということになっております。こういう条文を活用いたしまして、必要な部門についてはさらに技術開発を促してこの問題の解決のために有用な機器の開発を促進してまいりたいというふうに考えております。またそういうものが開発されますと、日本の機器が東南アジア諸国等にも輸出されておりますので、東南アジア諸国等に対する技術移転というものもそういうものを通じて行われていくんではなかろうかというふうに考えております。
  182. 法眼健作

    説明員(法眼健作君) 先生の先ほどおっしゃられました前段との関連でございますが、まさに御指摘のようにできるだけ多くの国、理想的にはすべての国がこれに参加するということが望まれるわけでございます。したがいまして、我が国といたしましてもできるだけ多くの国がこの条約に入り、この議定書に入るということを強く希望しております。  特に韓国を初めとするアジアのNICS諸国等は我が国と非常に密接な関係を持っているわけでございまして、これらの国が早期に条約及び議定書に入っていただけるようにと働きかけていきたいと考えておりますし、また必要に応じましてそういったことを促進するためのセミナーなども開催を含め、いろいろな方途を検討してまいりたいと考えております。
  183. 小西博行

    ○小西博行君 今お答えいただいたんですが、ゴム管をかえるとおっしゃったですね。ゴム管をかえる前に、実際車をやられたらわかりますけれども、中にフロンガスが漏れているかどうかというのはわからないんですね。結果的にはこれはガスがないなというのは、エンジンを回してみて、エアコンを入れてみると色でわかるんですね。だから、私はそういうような意味でゴム管ということだけではなしに、車にちょっと何か差し込んでみるともうすぐチェックできる、これは漏れているというのが実はないんですよ。だから、結果的に冷えないから漏れているということなんです。もう漏れてしまった後ですね。  ですから、そういう計器類のこれからの設計というのは、恐らくそういう分野に相当研究していかなきゃいけないだろうと思うんです。あれがもし毒ガスということになれば相当やっぱり厳しいチェックもあるでしょうし、それからそういう計器の開発というのも当然できていると思うんですけれども、現実に漏れよるかどうかというのは常にあれはわかりにくいんです。だから、恐らくいろんな工場でそれに類したものがたくさんあると思うんで、これはむしろ通産省の分野かもわかりませんけれども、そういう新しい分野をこれから改めてやっぱり考え直していく。これは圧も非常に高いですし、目に見えないガスということもありますから、そういう意味で大変だと思うんで、そういう研究をぜひとも通産の方でもやっていただきたい、あるいは科学技術庁の分野になるかもわかりませんが、そういう分野でやっていただきたい。  それからもう一点は、海外のことはまあいいといたしまして、国内の製造に対してこの量をぐっと減していくということなんですね。当然そういうチェックをしていかなければいけない。そういうチェックの仕方を国内ではどういう格好でやっていくのか、これをお聞きしたいと思うんです。
  184. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) お答え申し上げます。  製造につきましては、今回御提案しております法律の中で、通商産業大臣に対して製造の許可の申請をするということで製造業者に対してフロンの製造の許可制をしくこととしております。
  185. 小西博行

    ○小西博行君 したがって許可願いを出して許可をいただいて、後はどれだけ使用したというその使用量を報告するという格好になるんでしょうか。
  186. 阿部巳喜雄

    説明員阿部巳喜雄君) お答え申します。  製造許可を得られたものについてフロンのメーカーは製造するわけでございますが、その製造実績等の届け出もしていただきまして、その合計量等について通商産業大臣が公表することとしております。また、その数字等についていろいろ疑義がある場合には、立入検査等も必要に応じて可能になっております。
  187. 小西博行

    ○小西博行君 時間が来ましたからもうあと一問にしたいと思うんですが、特にこれは韓国あたりから将来日本に車が輸入されるというような現象が当然出てくるかもわかりません。あるいはエアコンの設備が日本へ輸入される、その場合には韓国もまた締約国になっておらないとそれが輸入できない、日本では買うことができない、そういうような条約に見えるわけですね、法律的にそういうふうになると。  ということでありますから、しばらくはまだ時間があるようですけれども、そういう意味で私が今お尋ねした面は間違いございませんか。
  188. 法眼健作

    説明員(法眼健作君) 議定書の第四条におきまして、「締約国は、この議定書の締約国でない国から規制物質を輸入することをこの議定書の効力発生の日から一年以内に禁止するものとする。」という規定が確かにございます。
  189. 小西博行

    ○小西博行君 最後に大臣、そういうようなことでございまして、とにかくこのNICSの問題がこれから先の貿易関係ということに非常に大きく影響するというのがちゃんと書いておりますので、そういう意味でも日本が東南アジア近辺では中心になりまして、先ほど申し上げたいろんな技術援助であるとか、あるいは時によってはお金で支援する場合があるかもしれませんが、そういう分野でやっぱり大いにやっていただきたい。そうしないと結果的にこの目的に沿うような格好にならないというように思いますが、感想をひとつお願いして終わりたいと思います。
  190. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今御指摘のNICSが今後この問題をどうするかとか、加盟するかしないかという問題は、地球環境の上からも非常に大切な問題だと思います。  したがいまして、私たちは、今日ただいま先進国の一員であり、同時にアジアの一員だから、NICSに関しましてはそういうような立場で臨んでおるわけでありますが、NICSにもやはり経済に関します言い分が相当ございますし、また私たちもその努力を買ってあげなくちゃいけませんので、こういう問題は言うならばお互い人類に危害を与えるおそれある問題と、そういうふうに考え、地球環境でございますから、したがいましてこうした問題に関しましても、やはりよきチャンスあらば我が国としてもお勧めすることは一つの大切なことではないだろうか、現在はそういうふうに考えます。
  191. 小西博行

    ○小西博行君 終わります。     ─────────────
  192. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) この際、委員異動について御報告いたします。  先ほど、鳩山威一郎君が委員辞任され、その補欠として永田良雄君が選任されました。     ─────────────
  193. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 他に御発言もなければ、オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより本件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  195. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  197. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。宇野外務大臣
  198. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。  この法律案は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当について加算される限度を改めるものであります。現行制度のもとでは、在外職員は年少子女一名につき月額一万八千円の定額支給を受けるほか、一定の範囲の教育費につき三万六千円を限度として加算が認められております。  今回の改正は、最近現地における授業料等が高騰し、右加算を受けてもなお多額の教育費負担を余儀なくされている在外職員がふえつつあることにかんがみ、右負担の軽減を図るため、その加算限度額を三万六千円から四万五千円に引き上げようとするものであります。  なお、本法律案は、昭和六十三年四月一日に施行されることを想定しておりましたが、これが実施されませんでしたので、所要の調整を行うため、四月十九日、衆議院においてその附則の一部が修正されましたので、申し添えます。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  199. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会