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1988-04-12 第112回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十二日(火曜日)    午後一時四十三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         森山 眞弓君     理 事                 宮澤  弘君                 最上  進君                 松前 達郎君                 小西 博行君     委 員                 大鷹 淑子君                 倉田 寛之君                 後藤 正夫君                 嶋崎  均君                 林 健太郎君                 原 文兵衛君                 中村  哲君                 矢田部 理君                 黒柳  明君                 吉岡 吉典君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  宇野 宗佑君    政府委員        外務大臣官房長  藤井 宏昭君        外務大臣官房審        議官       福田  博君        外務大臣官房審        議官       遠藤 哲也君        外務省アジア局        長        藤田 公郎君        外務省欧亜局長  長谷川和年君        外務省中近東ア        フリカ局長    恩田  宗君        外務省経済局次        長        内田 勝久君        外務省条約局長  斉藤 邦彦君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        大蔵省国際金融        局次長      岩崎 文哉君    事務局側        常任委員会専門        員        木村 敬三君    説明員        環境庁自然保護        局野生生物課長  玉川佐久良君        国土庁土地局土        地利用調整課長  鈴木 克之君        外務省経済協力        局審議官     久保田 穰君        外務省国際連合        局外務参事官   法眼 健作君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特に水鳥生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正受諾について承認を求めるの件(内閣提出) ○国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  特に水鳥生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正受諾について承認を求めるの件、国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。  両件につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 松前達郎

    松前達郎君 最初に、条約について幾つか質問をさせていただきたいんです。  まず最初水鳥条約ですね、これにつきましてちょっと教えていただきたいことがあるのでお願いしたいと思うんです。この水鳥条約趣旨といいますか、基本的な趣旨というものをまずお伺いしたいと思うんですが、どういうところにあるんでしょうか。
  4. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) お答えいたします。  この条約は、やはり水鳥生息地としての湿地をひとつ保護してあげましょう、そのためには関係国相寄りまして定期的な会議をこれから開くことが必要ではなかろうか。同時にまた、今まで自発的な拠出によって運営されておりましたが、これからはひとつ割り当て制度によって運営していこうではなかろうか、そういうような二つ趣旨によりまして協定が改定されるわけでございます。
  5. 松前達郎

    松前達郎君 この条約に加盟している国、その国の皆さんが集まられて定期的に今後会議を開いていろいろ決めていこう、そういうことだと私お伺いしたんですけれども、内容的には、例えば生息地としてどこのところを当てると場所指定していくのか、もしか指定された場合に、その指定された地域に関しての何らかの義務が発生していくのか、その辺はいかがでしょうか。
  6. 法眼健作

    説明員法眼健作君) 今度の改正によりましてまず最初に、先ほど大臣が申されましたように国際的に重要な国内湿地を特定いたしまして、これを事務局に通報いたしまして、そしてそのように通報されました湿地に関しましてはその湿地ができる限り適正に保全されるようにそのための計画を作成し、そしてそれを実施すること、それからそのような湿地生態学的特徴の変化に関する情報をきちんと入手するための措置を講ずるとともに、そういった情報事務局に通報すること、それから締約国湿地管理によりまして水鳥の数を増加させるように努めること、それから湿地の研究、管理それから監視等につきまして能力を有する者の訓練を促進すること等が既に義務づけられておりまして、私どもも鋭意やっておるわけでございます。  そしてまた、先ほど大臣が申されましたように、今度の改正によりまして締約国締約国会議によって決めます分担率に従って分担金を支払う、こういうようなことになってございます。
  7. 松前達郎

    松前達郎君 そうしますと、その集められた分担金が使われる主な目的というのは、指定された場所ですとか、それから今の学術的な問題もありましたね、そういうもののために使われるのか、それとも会議運営のために使われるのか、それどっちなんでしょうか。
  8. 法眼健作

    説明員法眼健作君) 両方の面が含まれると思います。これまでの事務局にかかわります拠出につきましては、指定湿地リストを作成いたしましたり、また通信費に充てられましたり、そういったようなことに使われてまいりました。  先ほど私が申し上げました指定されました湿地等、これをきちんとした状況に保ったり、それから能力を有する者の訓練をしたりすること、これは各締約国の問題でございまして、拠出金の方は条約事務局機構自体運営、まあ全員に対する、加盟国に対する連絡だとか、それから通信、それからリストの作成、そういったものに主として使 われると承知しております。
  9. 松前達郎

    松前達郎君 その指定ですね、場所指定する場合の指定の仕方といいますか、検討を当然するわけですけれども、そのやり方というのは一体どういうふうな仕組みでやられているのか、それをお聞きします。
  10. 法眼健作

    説明員法眼健作君) 我が国の場合鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というのがございまして、これによりまして設定されました国設鳥獣保護区であって自然環境保全法自然公園法文化財保護法等自然環境保全に関する法律によって地域指定されておりますもの、そして現行法でこの条約義務を担保し得る地域のうち、地元の御同意を得たものを登録湿地として指定することになってございます。そして、現時点におきましては北海道の釧路湿原とそれから宮城県の伊豆沼、内沼の二つ指定されているわけでございます。  そしてさらに、条約による湿地指定という問題はただいま私冒頭に申し上げましたような手続指定されたものを環境庁長官によりまして、地元の自治体からの同意をちょうだいした上環境庁長官による登録湿地として指定の告示をいたしまして、そしてそれを踏まえて外交ルートを通じまして事務局へ通報する、こういう手続になってございます。
  11. 松前達郎

    松前達郎君 日本の場合、今二カ所おっしゃいました。そうしますと、当然指定された以上この湿地保全しなきゃいけないわけですね。それには、それにかかわる経費といいますか、こういうものについてはこの条約とは関係ないわけですから、当然その地域が何らかの形で経費を持たなきゃいけない。そうすると、都道府県等経費ということになってくるのか、あるいは国としてそれに何らかの対策を講じているのか、その辺いかがでしょうか。
  12. 法眼健作

    説明員法眼健作君) 都道府県予算を講じる面と、それから国がいろいろな企画立案等をいたしましてそれに基づきまして予算措置を通じていろんな措置を講ずる、この二面でやっております。
  13. 松前達郎

    松前達郎君 こういった種類の条約は、条約を結ぶことそれ自身は非常に意義があることになると思うんですけれども結んだ後の問題として責任があちこちに生じてくる場合が非常に多いんですね。ですから、それに対する手当てというのが一体どうなっているのかというんで今お伺いしたわけなんですけれども。  最近特に水鳥生息に関していろいろと報道されたり、テレビなんかでもしょっちゅう出てきますから国民関心が非常に高くなってきているんじゃないか。それからさらに、水鳥の中でもほとんどが渡り鳥だろうと思うんですね。そうすると、その渡り鳥がシベリアへ行ったりあるいは中国とかいろんな関係が出てくる。そういった外国との渡り鳥関係というのも、そういうものを研究している団体もありますね。ですから、非常に関心が高いということになろうと思うんで、せっかくこの条約がある以上これに対するバックアップをそれぞれのところができるように今後もひとつ督励をしていただければというふうに思います。  水鳥についてはその程度にいたしまして、その次に国際復興開発銀行協定改正ですね、これについてお伺いしたいと思うんです。  これは中を拝見してみますと、結局拒否権の発動が一体何%の出資率でもってできるのかというその出資する割合と拒否権の問題とのどうも絡み合いがあるような気がしてならないわけですね。例えば八〇%の出資だったのが八五%にしますと、そのままほっておくとアメリカが一国で拒否ができなくなる。拒否できないというか、拒否というのはネガティブな方で表現すれば拒否になるんですが。ですから、これを変えていこうとかそういうふうなところがどうも主眼みたいな感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
  14. 久保田穰

    説明員久保田穰君) この世銀協定改正につきましては、先生御指摘のようにアメリカ出資比率の問題が絡んでおりまして、若干経緯を御説明しますと、姉妹機関である国際開発協会の第八次増資をめぐりまして、我が国はかねてから世界銀行における発言権を増したい、そのために出資比率を引き上げたいという希望を有していたわけですが、交渉の結果、アメリカ出資比率を引き下げまして、その分我が国出資比率が引き上がるという経緯がございました。その交渉の過程で協定改正発効要件を厳格にするためにただいま御指摘パーセンテージの変更がございまして、その裏腹に厳格にするためのパーセンテージを従来の八〇%から八五%、最も厳格な形にしたわけでございます。  確かにアメリカの意向を無視しては改正がなし得ないという点がございますが、他方、我が国出資比率も引き上がりまして、我が国他国と共同してこの改定を困難にすることができるという意味におきまして我が国の地位も変わりました。これらの目的とするところは一にかかってこの世銀安定性を目指そうと、容易に改定できないということによってこの重要な国際金融機関である世銀安定性をねらうというところにあるわけでございます。
  15. 松前達郎

    松前達郎君 八〇が八五%になるわけですから、逆に引き算しますと八五の場合と一五%のシェア、一五%以上一つの国で握った場合には主導権を持てるわけだ。日本の場合を見てみますと、これは日本一国ではとてもだめなんで、例えばアメリカを除いたとして考えた場合、日独仏で一六・八一、日英独で同じ一六・八一だから、三つの国が合同して同じ意見であればこれの一つのイニシアチブをとれるという格好になるんですね。そういうことから見て今申し上げたんですけれども、どうもアメリカ出資パーセンテージが下がってくるからそれなりにそのパーセンテージを変えていこうという、ちょっと人が悪い見方かもしれませんが、そういうふうに私は見ているわけなんです。しかし、アメリカは一番大きな出資国でしょう。ですから、そういう点も配慮しなきゃいけないし、今おっしゃったような安定したものでなければいけないということももちろんあるわけですから、そういう意味では多少こういうことがあってもやむを得ないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけなんです。国際復興開発銀行協定もそれだけにしておきます。  それで次に、この協定と直接は関係ないんですけれどもアパルトヘイトの問題でお伺いしておきたい。  これは最近非常に問題になってきていますね。国際的な問題としてこのアパルトヘイトの問題がクローズアップしてきているわけです。南アフリカ共和国のそういった問題、そういう政策といいますか、そういうものに対する政府対応についてちょっとお伺いしておきたい。  これは特に我が国との関係ですと、このアパルトヘイト政策そのものの問題ですね。それともう一つは、このアパルトヘイト政策をとっている国に対する我が国対応といいますか、この問題と二つに分けられると思うんですが、後の方で御質問申し上げたいんです。  貿易額が非常にふえてきて、一昨年、まあほかの国が減ったからと言えばそれっきりですが、いずれにしても世界でトップになった、南アとの貿易額ですね。そういうことから国連あるいはアメリカとかアフリカ諸国から非常に非難日本に集中してきつつある。外務省経団連を通じて産業界に対して自粛とかいうふうなことで御指導をされておられるということは前にもお伺いしたわけなんですけれども、特に、これは貿易ですから通産省が本来は主管官庁だと思いますが、円高になったからその分だけ貿易額が突出したとか、あるいは制裁措置に違反したことはないんだ、そういう貿易はしていないんだというようなことをおっしゃっているようなんです。どうもこういった態度は弁解に見えてくるんですが、これが果たして国際社会の中で通るものかどうか、こういうことではどうも説明して納得をしてもらえないのではないかと私は思っておるんです。  そこで、大臣にお伺いしたいんですが、我が国アパルトヘイト政策に対する基本的態度、これについて、また果たして政府内で対立があるのか ないのか、これらをひとつ明らかにしていただければと思います。
  16. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) はっきり申し上げまして、火をつけたのは外務省であるかもしれませんが、現在といたしましては、外務通産ともどもにこの問題に真剣に取り組んでおるというのが現在の政府立場でございます。  もちろん私たちといたしましても、やはり直接所管省ではございませんけれども火事場泥棒と言われるような不名誉なことであってはいけないというので、経団連並びに同友会に現在の南アフリカの情勢を御報告申し上げ、なおかつ世界がこれに対する関心度、そうしたことを詳細御説明申し上げた次第でございますが、両者ともに十分わかっておりますから、ひとつ昨年度のことのないようにいたしましょうと。中には額が下がっただけではこれは不名誉ですと、言うならば二番になって額が下がる、二番以下にならなくちゃいけない、ここまではっきり言っていただいた企業もございます。  その結果、私も通産大臣ともどもにこの問題に関しましてはしばしばお話し合いもしておりますし、また事務局同士話し合いを進めておりますが、最近各紙が報道するところによりますれば、幾つかの企業相当数に上りますけれども原料炭輸入削減検討中であるとか、さらにはVTRの輸出を停止したとか、カーステレオミニコンポ等南ア向け輸出を全面的に中止したとか、南ア輸出中止方針であるとか、いろいろとこのように各企業におきましてどんどんと、私たちの要請にこたえましてそういうような会社の方針を決めていただいております。  したがいまして、これは私といたしましてもやはり我々の願っておるところのことが業界におきましても十分受け入れられているのではないだろうか、このように考えております。
  17. 松前達郎

    松前達郎君 今大臣、そういう努力を各企業がされているとお話があったのですけれども、これは大いにしていただきたいと思うんです。  もう一つの方の問題として、南アフリカを初め、アフリカ諸国に対しての関係、これはどうも日本では日本大臣皆さん方余りアフリカには行かれない、過去三年間皆無だというふうに聞いておるわけなんですけれども経済制裁という問題になってきたときに、欧米経済制裁欧米水準経済制裁だけですべて事が済むのかどうかという問題もあろうかと思います。例えば、イギリスあるいは西ドイツ、先進国ですね、こういった国々は原則的には制裁反対という立場をたしか出しているんだと思うんですけれども、そういう国は余り批判されていないんですね。そして日本だけがどうもやり玉に上がるというのが、ただ単に貿易問題だけでそういうふうな非難がくるのかというとどうもそうでもなさそうだと、アメリカの議会からも強い対日批判があるということも既に報道されておりますから、何かほかにも原因があるんじゃないかと思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。
  18. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) やはりジャパンバッシング一つではないだろうかと私たちは考えます。  それに対しまして、やはりアフリカ対策として御承知のとおりに五億ドル、これは一つ援助としてお使いくださいというような方針を固めました。またそれぞれの国に対しましても、現在いろんなことを伺いながらその実現方を図っているところでございます。  例えばこの間、南アフリカのいわゆる近隣諸国、この方々も非常に迷惑をこうむっておるわけですから、その中の代表的なのではザンビアの外務大臣がやってこられましたが、その方々の御意見に従えば、南アフリカに対しまして非常に日本が厳しい態度をとっていただいてありがたい、なおかつ人づくりの面においても十二分に日本が考慮していただいておることについては感謝をしておると、こういうふうなことで、アフリカ全体といたしまして、いわゆるサハラ以南でございますけれども黒人のいるアフリカでございますが、日本に対しましては、かつても申したかもしれませんが、やはり援助を相当いろいろと小まめに我々といたしましても配慮いたしておりますので、それに対する感謝の念というものは現在非常に強くなりつつあるのではないか。だから、国際的ないろんな問題におきましてもいつでもお互いにひとつ意思の通じ合いを図りましてそして協力しましょうと、こういうふうに言ってきてくれる国が多うございます。  だから、私はアフリカ自体におきましては、現在日本に対するところの反発というものは、あるいは南アは持っているかもしれませんが、他のアフリカ諸国においてはないのではなかろうか。したがいまして、言うならば西欧諸国におきましては、貿易等々の問題を通じましての一つ日本に対する相変わらず日本は汚いなというふうな、アンフェアだというふうな感じが先行しておる面がなきにしもあらずと、こう思います。  私ははっきり申し上げまして、白金なんか、レアメタルのことがすぐに議論されますが、レアメンタルはほかの国にも随分備蓄はあると、そういうことを聞いた場合に、そうしたところとも随分とやはりいろいろ考えていただいたらどうだろうかというような具体的な話も実は中にはしておるわけでございます。しかし、こうしたお話といえどもやはり通産省所管でございますから、私はそうした話を含めまして、もち屋もち屋であるから、まあひとつ通産省外務省お互いに表裏一体となってやっていきましょうというのが現在の我々の姿勢でございます。
  19. 松前達郎

    松前達郎君 今おっしゃいましたレアメタル、これが我が国南アフリカ貿易の中に入っているわけなんですけれども、これはある意味で言うと、経済的な安全保障上の重要な物資なんですね。特に先端技術等の分野ではこれが非常に欠かすことのできないものになってきつつある。そういうふうなことから、通産省は恐らく重要性指摘しているんだろうという面もあると思うんですね。しかし、一九七八年にザイールのシャバの紛争ですか、このときにはコバルト供給が停止されたわけですね。コバルトもやはり非常に重要な物資には違いないわけです。こういったようなことを考えて、どうもそういうふうになっては困るんだとかいろいろな思惑があって、いわゆる国の産業全体の問題としての資源としての貿易ですか、資源貿易といいますか、その辺がひっかかってなかなか制裁できないとかということがどうもあるようにもうかがえるわけなんですね。  しかし、それはそれとしまして、やはりいわゆる政策的に人種差別といいますか、こういったようなことが今の地球上で果たしてあっていいものかどうか、南北戦争それ以前の問題なら別ですけれども。そういった近代的な社会の中で、こういうものは確かにおかしな話なわけですから、そういった面の一つの考え方としての制裁ということもあろうと思うんですね。  だから、二つの面があってということを最初申し上げたのはそういうことなんですが、貿易の方はレアメタルとかそういうものがあって、通産の方はなかなかそういうことも頭に置かなければいけないとあるんでしょうが、外務省はどうですか、貿易の方はとにかくさっきおっしゃったようなことで抑えていくと、そうするといわゆるアパルトヘイトという問題に対してはこれからどういうふうに取り組んでいくとお考えでしょうか。
  20. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) アパルトヘイトそのものに対しましてはやはり人道上、人類上の問題としてこれは重要視していかなければなりません。このことはもういろいろの立場において我が国姿勢というもの、また方針を明らかにいたしておるようなところでございます。  したがいまして、現にこの間もアパルトヘイトに関する映画等々、たまたま外務省試写会をしようかと、ほかの映画館へ私見に行くつもりだったんでございますが、もう既に封切り直前で、それならばいっそのこと外務省でやってくださいというふうな話もありましたから外務省でやったんでございますが、こうしたことが意外と大きく国 民の関心を呼んだことは事実でございます。  したがいまして、二十一世紀を間もなく迎えようという世界において、まだそういう国があるのかということが非常に大きな国民的関心になったことは私は大変結構なことではないだろうかと、かように思いますから、そうした人道上という問題から外務省といたしましては今後もこれに取り組んでいきたい。  したがいまして、経済制裁と一口に申し上げてもいいんでございましょうが、我が国だけがやって他国がこれに協調しない場合はどうなるんだろうという問題もございますし、また経済制裁をやった場合に、そこで働いている被害者黒人みずからの職場を失ったらどうなるんであろうか、いろいろそういうような問題が次から次へと考えられるような面もございますから、非常にそうした面では経済制裁というのはなかなか踏み込みにくい問題である。したがいまして、先ほど申しましたレアメタルのやはり供給を途絶えさせてはいかぬ、需要が高まっておるんだからというようなこともございましょうけれども、そうした問題に対しましても、やはり国内において貯蓄をするとか備蓄をするとか、いろいろ考えていかなくちゃならないんじゃないか。そんなことに関しましては私どもといえどもやはり十二分に関心を持って臨んでいった方がいいのではないか。  だから、そのほかの問題としては周辺諸国、これに対しまして外務省としてはいろいろとその方々意見を聞いてそれに間に合うような援助体制をとること。なかんずく被害者黒人に対しましては、将来において国づくりに間に合うような方々のための人づくり、これに外務省としてももっと力を入れたいというのが現在の考え方でございます。いずれも人道ということからそういうような政策が編み出されるということでございます。
  21. 松前達郎

    松前達郎君 レアメタルだけに限って言いますと、備蓄するということでまた南アからがさっと買ったんじゃ、これはもう全然貿易額がふえていきますから先ほどおっしゃったことと逆になってしまうので、備蓄も必要だというので前からもそういうことで行っておりますね。国内生産というのはほとんどありませんので、今後の課題として、これは外務省じゃなくてほかの省庁の問題ですけれどもこれも考えていかなきゃならない、こう思うので、その辺はまたひとつ十分お考えいただいてお願いしたいと思います。  次に、アメリカの議会で今まで問題となってきた包括通商法案ですね、これについてお伺いをいたしたいんです。  最近の報道の中に、あるいは議論の中で見てみますと、これが通っても余り影響ないんだという意見の方もおられるんですね、あるいは大統領拒否権があるから大丈夫だと。しかし、これ自身がさっきのジャパンバッシングじゃないけれども日本に対する一つの大きな圧力として、要するに日本というのはショックを与えなければだめなんだというアメリカの考え方というものがどうも象徴しているようなそういうような感じがするわけなんです。  これについては保護貿易であるとか保護主義的であるとかいろんな意見もあるようでありますけれども、また同時にアメリカの選挙が今進行していますから、そういう問題との関係があると思うんです。我が国として人の国のやることですから、これはこちらの方でどうしろこうしろ言えないわけですが、これに対して大統領が拒否権を持っているということについての大統領に対する要望といいますか、こういうものは正式におやりになったわけでしょうか。
  22. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この問題に関しましては、やはり自由貿易主義の今日の流れの中において、流れというよりもその基盤の上において、アメリカ議会が余りにも保護貿易主義者ということは甚だ遺憾であるということは、竹下・レーガン会談におきましても総理から申し上げておりますし、また私と国務長官との間の会談におきましてもはっきりこの点は申し上げておきました。したがいまして、米政府といたしましては、この問題に対してあくまでもやはり自由貿易体制でなければならぬ、だから議会の行き過ぎに対しましては、万一の場合には拒否権を発動しますと、こういうことはかねておっしゃっておるわけでございます。  特に最近は、その包括法案の中に我が国関係するいわゆる東芝制裁法というものが余りにも露骨に入り過ぎておるというような面もございますから、したがいまして、単なる包括法案に対する、保護主義に対する反対という立場だけではなくして我が国立場も明らかにしておく必要がある。こんなことでございますから、過般ももう既に一般的に発表されておりますが、私もまた総理もいろんな立場におきまして米政府に対しましてはそのことを連絡申し上げております。そうして、極力やはり政府がこの問題に対しましてひとつ御努力賜りたいということを要請した次第であります。
  23. 松前達郎

    松前達郎君 東芝の問題はこれちょっとアメリカの方の理解が、いわゆる同系列という会社のシステムというものを余り理解していない面があるんですね、大分感情的だったと思うんです。  今でも私思い出すんですが、東芝のテープレコーダーをハンマーでぶん殴って、あれは皆さんも頭に焼きついていると思うんですけれども、あれから見ると、アメリカの議員というのは非常にレベルが低いのかなということも感じたんですけれどもね。しかし、いずれにしてもこの包括通商法の中に東芝というものがココムの問題として入ってきてしまっているということですね。これがどうも残念なんですけれども、しかしこれも今おっしゃったようなことで十分日本立場といいますか、考え方も説明していただいて、今後大統領が拒否権を発動するかどうかこれは別としまして、十分説明しておく必要があるんじゃないか、こう思うんですね。  包括法案はそれだけにしますけれども、その次に、最後になりますが、最近アメリカの経済界がソ連と非常に接触を始めている。特にベリティ商務長官を先頭にしてモスコーに行って米ソ合同経済委員会をやる。それに相呼応して五百名の大デレゲーション、民間ですけれども、これが訪ソして米ソの貿易経済会議を行っている。こういうことが報道されておりますね。それとまた同時に合弁がどんどん進行している。  経済の面ではそういうことなんですが、例えば観光の面一つ挙げても、もう今ホテルはアメリカ人でいっぱいなんですね。なかなか予約できない、特にあのインツーリストのホテルなんかは。それだけアメリカ関心がソ連に向いてきた。アメリカ人というのは非常に端的に行動するのでそういうふうなことになるのかもしれません、修学旅行も行っているという話ですから。  ということは、やはりアメリカとソ連の関係がINFの全廃条約、全廃の合意、あれから大分変わってきているような感じがするわけなんですね。そして、前にも申し上げましたように、さっきのレアメタルなどはバム鉄道沿いに資源があるのでこれの大調査団を送り込んだり、いろんなことをやっているわけですね。さっきのココムの問題とも関係があって、日本の場合はそういった非常に高いレベルの技術の製品というものが日本の得意とするところであるから、なかなかその辺での交流というのはできないかもしれませんが、アメリカの場合は特に農産物中心にやっているようですけれども。どうも非常にアメリカがソ連に対して経済的に交流を始めた、見直しを始めたのじゃなかろうかと私は思うんです。これはペレストロイカとの関係もあると思います。  前にこの委員会でもお伺いしたときに、日本がソ連に対する基本的政策としては政経不分離ということをおっしゃったんですけれども、これは建前はそうかもしれませんが、やはり政経を分離ということを言わなくてもいいんですから、とにかく経済というものについてもう一度ソ連との間にどういう面で交流ができるのか。これは両国の国益にならなければいけないと思うんです。そうい う面もそろそろ検討を始めないと、気がついてみたら欧米諸国が全部やってしまった後だったということになりかねないので、私は最近どうもそれを感じておるんですけれども、その点いかがでしょうか。
  24. 長谷川和年

    政府委員長谷川和年君) 日ソ間の経済関係でございますが、確かに今委員御指摘のとおり、米ソ間ではいろいろな動きがあるようでございます。ただ、日ソ間につきましても、御案内のようにことし一月東京で日ソ経済委員会の合同会議が開かれる、あるいは昨年一月にモスコーで日ソ間で科学技術協力委員会が開かれると、いろんな意味でもって実務関係は着実に進展をしております。米ソ関係ではこのような経済合同委員会みたいに開かれておりますが、実際どの程度進んでいるかは今後注目しなくちゃいけないと思います。  例えばアメリカは依然としてソ連に最恵国待遇を与えておらず、また公的信用の供与も制限しておりまして、少し前にさかのぼりますが、日ソ貿易と米ソ貿易を比べてみますと、往復で日ソ貿易の方が米ソ貿易の約三倍と、こういうような数字もございます。また合弁につきましては、やはりこれは民間の方の判断で進んでおりまして、実際には日ソ間では一件合意が成立しておりまして、米ソ間ではやはりこの合弁の話がはかばかしく進んでいないと、こう承知しております。  政府としては、従来から日ソ間につきましては経済、文化その他の面におきまして実務面では着実に進める、しかし基本的に北方領土の返還を求めて平和条約を結び、真の相互理解に基づく安定した関係を築く、こういった基本的な方針がございまして、無原則な政経分離の方針はとらない、こういった方針は今後とも堅持していく考えでおります。しかし同時にバランスのとれた関係を進めていく、貿易、経済、文化、申しましたようにこういった実務関係、これも着実に進めていくという考えでございます。
  25. 黒柳明

    ○黒柳明君 まず、開発銀行の資金、これは運用面でどんなところに運用されて、どういう効果があったか、数多くあると思うんですけれども、ひとつ最近の例を一、二教えていただけますか。
  26. 久保田穰

    説明員久保田穰君) 国際復興開発銀行は戦後世界経済の安定と発展を目的としまして設立されたわけですが、主な業務としまして、一つは信用の供与、加盟国に対する開発計画その他について信用資金を貸し付けるということでございまして、もう一つはその他の事業活動、これも主要な業務の一つでございまして、加盟国の要請に基づいて援助国の会議を主宰したり、また経済開発計画についての調査検討に資する技術協力等々を行っております。  開発途上国に対する援助という側面では、現在国際機関としましては世銀が最も重要な役割を果たしております。
  27. 黒柳明

    ○黒柳明君 アフガニスタンのソ連の撤兵ということが報じられておりまして、間もなく調印されると。  新聞報道ですけれども外務省から何か課長さんが一人停戦監視団の中に派遣されるというような、これはもう実際に国連から何かのアプローチがあって決まっているわけですか、どうなっているの。
  28. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) アフガニスタンに関します間接交渉の結果は十四日に署名されるということになっておりまして、具体的な内容はまだ必ずしも詳細明らかになっておりません。  ただ、私どもといたしましては、この合意が署名されましてソ連軍が撤退を始めますと、そういった撤兵の監視あるいはその他の合意事項の監視ということに関しまして、国連の方でこれを監視するグループというのが組織されるというふうに理解しております。その際には、我が国としても何らかの人的な貢献あるいは文民の派遣を含めましてそういったことも必要かということで検討はしております。
  29. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、まだ国連から正式な要請があったわけではないわけですね。
  30. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 非公式な意見交換は行っております。
  31. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、構成メンバーが五十人ぐらい、こういうふうに書いてありましたが、この人数は大体こんなものなんですか。  ということは、課長さん一人の派遣ということで、私はかつて十年ぐらい前かな、レバノンに超党派の議員の先生と一緒にお供したことがあるんです。そのときそこにいらっしゃる国連の監視軍を見まして、当然紛争地域ですから、軍事的に非常に紛争しているところですから、ここに日本がいたんじゃ困るけれども、やっぱりいないというのは肩身が狭いような気もしないではなかったですね。ですから、自衛隊派遣につきましてはいろんな論議がありますし、国会の決議もあります。問題があるし、必ずしも賛成しかねるんですけれども、やっぱり文民でしたら世界の要請にこたえてこういう面でも我が国が平和に対する分担をすべきであるのかなと。  そうすると、新聞の記事の方が当然先行しているような感じもしますけれども、五十人の中の一人でいいのかなというような感じもしますし、課長さん一人というのは、書いてありましたが、果たしてそんな偉い方が一人行って手足がなくていいのかなと、いろんな感じもするんですが、十四日のこと、それからスタートして、まだ撤兵だってそれから半年かかるわけですからそこらあたり余裕があると思うんですけれども、内々にもっと具体的に何か考えていることでもあれば、あるいは課長一人派遣するという新聞報道はそのとおりなのか、そこらあたりどうなんですか。
  32. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 今委員御指摘の五十名というのがございましたけれども、確かにそういう話もございますが、通常はこういう監視団は、大体は軍人さんがその多数を占めて参加するわけでございます。といいますのは、撤兵その他でございますと、やはり単なる文官でございますといろんな意味での指揮等が必ずしも十分でないということもございまして、したがいまして大多数はそういった軍人から成る監視団でございますけれども、ただそれとは別に、必ずしも規模は大きくございませんけれども、文民の部門ができるのではないか、こういうふうな想定に基づきまして、そこでそれができましたときには我が国としては文民一名の派遣を行いたい、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、今委員が御指摘になりました課長さんかどうかということは、ちょっとこれはまだはっきりいたしません。
  33. 黒柳明

    ○黒柳明君 限られた課長さんですからね。やっぱりアフガニスタンの問題も重要ですけれども国会の問題も重要なわけですから。——まあ結構です。  そうすると、従来の軍を中心にしての監視団以外の文民の監視団もできるであろう、これも感触なんですね、まだできるかどうかも決まっていないと。
  34. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 軍人の監視団と文民の監視団があるというよりは、全体のそういった監視機構みたいなものがございまして、その中で恐らく軍人さんを中心とする部門と、政治的な調整とか政務の調整とか、そういったものを主として任務とする文民の部門と両方があるのではないかというふうに考えております。
  35. 黒柳明

    ○黒柳明君 今までの過去の例というのは、どこでどういう例がありますか、我が国の派遣じゃなくてね。
  36. 遠藤實

    政府委員遠藤實君) 従来の国連の監視団につきましては、現存しますものはほとんどが軍人から成る監視団でございます。  ただ、現在まだ発効しておりませんけれども、ナミビアの独立支援グループというのが決議されておりまして、これはナミビアを選挙を通じまして独立に導くのを支援するということでございまして、そこにはいわゆる軍人部門とそれから文民部門とはっきり分かれております。  これは国会でも何回か答弁いたしましたけれども、もしこのナミビア支援グループが成立いたしましたときは我が国としても文民の派遣を検討し たい、こういうことを言っております。しかし、これは結局現在まで御承知のような状況で発効していないわけでございます。しかし、今回これがアフガニスタンでそういった文民部門を含む監視団と支援グループというものができました暁には、我が国としてはせっかくの機会でもございますので文民の派遣をしたいというふうに考えているわけでございます。
  37. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、原則的に国際協力できる部門はどこだって積極的にやった方がいい、これはあくまでも原則論でして、ナミビアの問題もこれは実現できないから我が国は派遣していないだけであって、アフガニスタンの場合はこれは間違いなく実現できるのではないかという感じはします。従来のナミビアよりもアフガニスタンの実現性の方が早いんじゃなかろうか。そうなると、今度はまた、まだまだ国際紛争地域はいっぱいあるわけでありまして、イラン、イラクがどういうふうになるか、カンボジア、ベトナム、どういうことになるか、あるいは中米ニカラグア、いろんな問題がありますね。  そうすると、政府としては、こういう軍中心の中に文民ができれば、今後もやっぱり同じようなパターンでどんどん派遣していくという方針はもうこれは変えるわけにいかないですね、アフガニスタンで派遣ということが決まれば、ということになるでしょうか。これからはそういう軍中心の今まで、あるいはこれから軍の中でそういう民間部門ができてくれば、そこにはもう必ず日本は随時派遣していくと、こういうことが定着していくということになるんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。
  38. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 今回のは今国連局長が申したとおりでございまして、やはり紛争処理に日本も貢献しなくちゃいかぬ。これは我が国の外交の大きな柱でございますから、もちろん監視団に関しましては、もう既に国連のいろんな会議におきましても十二分に経済的な援助をさせていただきましょうということは約束しておるわけであります。そして、一日も早く紛争が終了することを望んでおりますから、私といたしましては文民ならば当然この際出ていってもらおう。初めての試みであるが、やはりそうしたことも平和に貢献する日本としての大きな姿勢であると、かように思っております。  だから、今黒柳委員が御質問なさいましたように、他にも紛争があって、もし国連がそういうふうな平和解決のために、今の似たような姿の場合がございましたならば、当然我が国といたしましても続いて貢献をしなくちゃならぬだろう、かように考えております。
  39. 黒柳明

    ○黒柳明君 ただ、従来もナミビアの問題で論議されてきましたし、今回非常にそれが現実化する可能性があるわけですから、当然軍の中の民間部門って何ですか、まあこれは新しいケースなものですから、でき上がってみませんとどういうものができ上がるのか、どういう運営をされるのか、未知数な要素がいっぱいあって仮定のことになりますが、従来自衛隊との絡みで、派遣というものについていつも私たちは野党として歯どめをかけ、注意を喚起し、疑念を持ってきたわけであります。  ですから、大臣、どうなんでしょうか。新しいケース、新しいものが誕生するわけですけれども、当然注意しなきゃならない点がいっぱいあると思いますね。軍の中で——軍の中でやるかどうかというのは別にしまして、今の局長の話ですと、軍が主体になるんだと思うんですね、その中の民間部門。そうなりますと、現地に行って私たち野党が見ながら、その外務省から派遣の人を監視しているわけでもありませんし、マスコミの人が報道されているのを私たちが見て、それでまた一つの材料にするということになるわけでしょうから、器というものは非常に私たちは好まない。器の中で国際協力をすると、こういうような形になるのですよね。やっぱり疑惑といいますか、危険といいますか、そういう要素が多分にある。  一歩間違えれば、やっぱり大勢の中に引き込まれていくという可能性もあると思いますから、十二分に注意しなくちゃならない問題があるし、ナミビアの問題は、まあ論議しましたけれども実現性がなかなかなくて、今回は実現性が非常に強い、米ソも合意ですから。その裏側において国連がそれをつくるということも合意ですから、その中に民間部門もできるであろう。内々話しして、もう派遣ということもある程度決まっていますからね、強い意欲ですから。そうなると、そこで一線を画して注意しなきゃならない、こういう問題があると思うんですが、大臣はその点いかがですかね。
  40. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) もちろん自衛隊の派遣ということに関しましては、これは自衛隊にそういう任務は与えられておりませんから、到底今日そうしたことは考えられないというのが日本立場でございます。それがややもすれば国際場裏におきましては時折問題になっておるということも事実でございます。しかし、やはり我々としては法律は尊重してやっていかなければなりません。  したがいまして、もちろん今後の問題もケース・バイ・ケースというふうなことになるではございましょうが、今回のやつは、国連局長が申しましたとおり、やはり難民がこれからパキスタンからあるいはイランからアフガニスタンに帰っていかれる、そういう問題も含めまして、まずソ連の撤兵ということ等も含めての問題でございますので相当これは大仕掛けな、国連としても覚悟をしなければできないような問題で、単に兵隊さんだけが兵隊さんの番に行ったというだけでおさまる問題じゃない、こういうような判断が当然働いていくんじゃなかろうか。まあ私たちもそのように判断しております。  したがいまして、民間部門というものが非常に重要視される今回のケースである、こういう一つのけじめがございますから、そういうけじめの中において、日本といたしましても初めてのことではあるが、やはりそうしたことには呼応していこうということでございます。  もちろん、人選に関しましては言葉の問題がございますね。どういうような監視団が来て、共通語が何であるか、あるいはまた地元の言葉を知らずに行くのかと、いろいろと検討しなくちゃならない問題がありましょうし、言うならば健康であることも大切でしょうし、今から課長とかどうとかいうようなことは決めるべきでなく、適材適所と申しましょうか、そうしたことを十二分に検討してほしいということを事務当局に私から申しておるところでございます。
  41. 黒柳明

    ○黒柳明君 話題を変えまして、最近新聞の活字に在日の大使館の土地の売却が頻繁に出ておりましてね、八日の閣議ですか、これはマスコミの活字でありますが、そういう活字を見て奥野国土庁長官が外務大臣に呼びかけたんだと思うんですが、土地の高騰を招かないようにひとつ協力し合ってと、こんな話が新聞に出ておりました。その後どうですか。  さらに、中国政府所有地売却、オーストラリア大使館売却、あるいは高過ぎるとか、東京都の勧告がどうだとかいろいろ活字になっておりますけれども、あの八日の閣議で国土庁長官のお話外務大臣も協力しよう。その後、報道は続いておりますけれども外務省としては大臣としては当然御関心があると思うんですが、何か手を打たれて何かこの問題について対処されましたでしょうか。
  42. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) おっしゃるとおり、奥野国土庁長官からそうした要請がございました。したがいまして、当然のことでございますが、奥野さんの言い分は、在外公館はそれぞれ特権は持っているでしょうけれども、そこにいる国の法令には従わなければならないというので、今日は我が国においてもいろんな法令があるから、まあひとつそういう意味合いでぜひとも外務省の御協力のほどをお願いしますと、こういうことでございました。  それで、もちろんそういうことでございますが、外務省側では直ちに在外公館にこうせいああせいと言う命令権もございませんし、要望をするにす ぎません。あるいはまた、東京都が肝心のその所管庁でございますから、東京都に対しましても外務省から、こういう要請があったということを私から申し上げました。その結果、東京都と在外公館との話になる。しかし、私たちも無関心であってはいけない、せっかく国土庁長官から言われた以上は。そういうことでございますから、事務当局がいろいろとその辺の折衝もいたしましたので、ひとつ政府委員から答弁をしていただきます。
  43. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 本件は、ただいま大臣から御説明ございましたように、我が国における在京公館の土地の売却ということでございまして、これが東京都における地価の高騰などを招かないようにという見地から、外務省としても重大な関心を持ってきております。  具体的には、国土利用計画法上の手続に基づきまして、東京都に対して売却の申請を行っている、豪州の場合には行っているというふうに承知しておりますし、我が外務省といたしましても、実は本件豪州の場合につきまして申しますれば、昨年の九月、既にこの売却の話がある程度出ておりますときに、在京の豪州大使館に対しまして地価の高騰を招かないようにということ、さらに我が国においては国内法上ただいま私も触れました国土利用計画法というものがあって、その手続がこうこうしかじかあるんだということを豪州大使館にも伝えておる次第でございます。
  44. 黒柳明

    ○黒柳明君 国土庁、オーストラリア大使館は今どうなっているんですか。簡単に一言。
  45. 鈴木克之

    説明員(鈴木克之君) 御指摘の案件につきましては、過日オーストラリア大使館当局から国土利用計画法に基づきます届け出が出されたところでございまして、現在新聞等でいろいろ報道されておりますが、個別案件の処理ということで、所管庁でございます東京都において、鋭意国土利用計画法の趣旨にのっとりまして必要な行政指導を行っておるところでございます。
  46. 黒柳明

    ○黒柳明君 いろんな問題があるんですけれども、どうも昨年みたいに土地の高騰というのはないんですが、高値安定になるのかあるいは安定していないで徐々に上がっているのか、やっぱり一等地の大使館、その大使館を中心にして業者が相当大使館のお尻をあおっているというのか、そういう傾向があるような感じがするんです。これは自発的に売るものを別に我々がどう云々するものじゃないと思いますけれども、国土庁あるいは外務省も昨年九月からオーストラリアの案件があったと言うけれども、今何件ぐらい在京の大使館から土地を売却したいなんという件数がありますか。お話し合いが来ていますか。来ていないかな、まだ外務省には。何件。
  47. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 豪州の場合には正式に外務省に対しまして口上書で申し入れがございます。中国大使館については承知しておりますが、それ以外の公館については、私現在手元に持っておりません。
  48. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣、港区だけで三十一件、港区だけ。当然港や渋谷は集中していますから。だから必ずしもこの三十一件は全部売却しようという話し合いじゃないというのですよ。ですけれども、それを根底にした話し合いが三十一件来ているというのですよ。三十一件、これは大変なわけですよ。それから、当然これとはケースは違っても、後進国の賃貸といいますか、土地が高騰して家賃が払えない、何とかしてくれ、こういうものがありますね。政府も自民党も財界も、私たちも何とかすべきだと、めんどう見ようと。これ全く逆なんですね。要するに、土地を持っているところ、それを売りたいというのは話し合いがうんと来ているわけです。しかも、表に出ている中国あるいはオーストラリア、これもやっぱり業者との正式な入札の中では相当高かったわけですね。それが今東京都の勧告を受けている。それで、中国の場合にはそれじゃ下げましょうと、オーストラリア大使館の場合にはきょうの午後あたりに最終回答を出しましょうと、こういうことなんです。  ところが、どうも私は今官房長がおっしゃったオーストラリア政府の——これはオーストラリア政府の口上書ですからね、こんなものは私は出しちゃいけないんだと思うんですけれども、これを見ますとどうもおかしい。やっぱりオーストラリアとしても売るわけですから、そうすると今度は伊藤忠を中心に買う買い方がいるわけですから、三田コンソーシアムというのがいるわけですよね。そことの間で売買契約を結ぶわけですけれども、やっぱり買いたい、売りたいですから、そのためには国際法を適用しない、けさの新聞あたりはもう東京都の勧告には従わない、こんなことも活字にはなっていました。実態はどうであるか。きのう参事官、オーストラリア大使館と東京都と話し合った。その中ではいろんな話が出たらしいですね。これは高く売れりゃそれにこしたことありませんから、そういうニュアンスの話も出たみたいです。  ところが、口上書を見ますと、六千百五十平米の売却予定。その中の約四千平米が庭園が公衆のために開放されることになっている。六千百五十から四千引くと二千百五十。大体七百坪ぐらいのところに何か利用するわけね、実際には。六千百五十平米買うんですよ。ですけれども、四千平米は庭園として公衆に開放される。そうすると、残る二千百五十平米、大体七百坪、そこだけを今のところ六百億。これから若干割り引いても五百何十億。坪単価当たり七千から八千になるんですね。べらぼうな高額でこれ買うことになる。そんな高い値で業者が買うわけないです。幾ら高騰といったって、オーストラリア大使館そんな高くない。  そうすると、こういう口上書というものは果たして、何も私はこれうそと言っているんじゃないですよ。非常に全くこういうふうに本当にできるのかな、こんな疑惑、疑問がある。売りゃいいんだ、買えばいいんだ、あとは税金問題だったって国内法に従うかどうか、国際法そんなルールが適用されるかどうか、我々は都の勧告なんか従わなくていいんだ、いろいろいろいろ活字で私たち参考にさしていただいて、いろいろ意見聞きますと、どうも一たび売ってしまえば、一たび買ってしまえば、一たび建築してしまえばもうオーストラリア大使館の中だからなんというものがあるような感じがしないでもないですね。これはきょう時間が短いですし、こんなものはわずかの時間で詰めるというわけにいきません。  しかも、業者は一等地を買いたい、国土法の問題できちっとした法的には規制がありますから、それできちっと売買できますからね。幾ら公平な入札をしたからといったって、やっぱり法律の網があるわけですから、ですから全然どこはばかるところないわけですね。だけど、どこはばかることないんだけれども、どうもこの額は高過ぎるんじゃないかな、こんな感じ、感触、わかりません。わかりませんから、まだまだ私これはいかぬとか疑惑だとか、こんな段階じゃないと思うんですけれども、よく注意しておきませんと、外務大臣がせっかく国土庁長官と打ち合わせして、関心を持って、いろんなことあっちゃいけないというのが次から次から来て、中国大使館みたいに東京都の勧告に素直に従うところばかりであればいいんです。ですけれども、高く売るために売却するんですから、大使館としましてもね。あるいは国際法上あるいは国内法上すっきり、やっぱり税金を課税できるのかどうか、いろんな問題があります、やってみますと。  ですから、その面も、該当は地方自治体でありまして、外務省直接、官房長がそんなことにタッチするものじゃないし、儀典官の一係員がやっている、大変ですね、聞きますと、大臣。これ一回ちょっと慰労でもしてやらないと、儀典官がこんなことをやっていたらね。これは、ベネズエラの人が来る、またすぐ来る、わずか一人の人がやっていて、これは大使館との窓口だと思いますね。そんなものを処理して、あるいはいろんな問題があったとき、これをやるなんという必要も起こっていないし、これからも起こっちゃいけないと思いますね。ですけれども、儀典長のもとのわずかの一儀典官の一係員がこれを担当してやっていて、これはとてもじゃないけれども、今のうちな らいいと。ただし、これが本当に港区に三十一件、その問い合わせが売却の方向にでも進んでくりゃ、そのときに対処を、室でもつくればこれは間に合わないことないと思いますけれども、やっぱりひとつその辺の事情をよく確かめてくださいよ、担当のところに。  それから、東京都の方も東京都で一生懸命やっているし、各区も一生懸命やっています。港区あたりが一番のこれは中心ですからね。三十一件来ている。話し合いが来ている。こういうことですから、事前にそういうこともお調べいただいて、ひとつ係の方もよくお聞きいただきまして、間違っても大使館が考えている法律の、都の勧告に従って高値なんか呼ばないように、中はやっぱり業者の、これがそういうケースなんて私断言しません。また業者の裏のあれがあって、特に土地なんというのはそういう問題が発生していますから、そんなことは万が一にもないと思いますけれども外務省も相手が担当の大使館ですから、ひとつ十二分に実情を調べて、何か黒い問題でも起こる可能性があったら十二分にその問題に対処する。そのためには今の儀典官の中の一人二人じゃとても大変。これもよく事情を調べてもらいたいということを要望し、将来何か起こらないために、今のうちにひとつきちっとした外交的な話し合い、理解、それも与えておいてもらいたい、こういうことなんですが、大臣、最後に一言お願いします。
  49. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 非常に大切な御指摘を賜りましてありがとうございます。おっしゃるとおりでございますから、我々といたしましても十二分に在外公館に対しましてもやはりアドバイスをし、また御理解を願うところははっきり申し上げたいと思います。  実は豪州の問題も、大使館だけではなくして、この間大臣が来られましたが、大臣みずからやはり豪州の窮状を訴えられて、ある程度の価格はやむを得ない、十二分に法令の点は承知しておりますと、こういうような言葉でございましたから、ひとつ法令もございます、東京都ともお打ち合わせしてくださいと、こういうふうに私からもお願いしたというような一こまもあったわけでございます。今後家賃が払えない、地代が高いという大使館も相当あるわけでございまして、現在これは窓口がどういたしましても儀典官のところになりますので、仰せのとおり少数精鋭で今頑張っていてくれますので、この間も私、心からねぎらっておきました。  一番大切なことは、やはり例えば、今売る方の話は別といたしまして、非常にお困りの大使館のために何とか安い家賃、安い地代、そうしたことを今検討して、ある程度話は進めておるつもりでございますけれども、なかなか目鼻がつくところまでは来ておりませんが、そういう問題のときにやはり業界が顔を出している面があります。その業界が顔を出しているのは外務省に出さずに相手国に出しまして、私たちがまとめてやるから逆に外務省に陳情しなさいと、そういう面もはっきり申し上げてありますから、私二、三気がつきましたので、そういう人たちは相手にしなさんなということを儀典官から各在外公館に言っておけと、こういうふうに申しまして、そういう点も十二分に注意をしておるつもりでございます。なお一層そういう面に関心を抱いてまいりたいと思います。
  50. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 最初に、今議論になりましたアフガニスタンの監視団の問題で一言お尋ねしたいんですが、これは国連憲章第何条に基づくものか、それだけお伺いしておきたいと思います。
  51. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) 今回の監視団の設置につきましては、これは安全保障理事会の決議に基づくものと承知しております。
  52. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、国連憲章の何条によるという国連憲章との関係というのは出てこないんですか。
  53. 斉藤邦彦

    政府委員(斉藤邦彦君) 申しわけございませんが、今直ちにどの特定の条ということをお答えする用意がございませんけれども、当然国連憲章の規定に基づきましてそういう決議をしたわけでございます。一般論といたしまして、紛争の解決に関する規定、これに基づいた決議であるというふうに考えられます。
  54. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 後でも結構ですから、第何条ということを示していただきたいと思います。  次に、水鳥条約ですけれども、この条約に加盟してから今日まで、日本はこの条約の責任を果たすためにどういう努力をやってきたのか、それは国際的に条約加盟国にふさわしい努力と言われ得るものになっているかどうかお伺いします。
  55. 玉川佐久良

    説明員玉川佐久良君) 我が国におきましてもラムサール条約に加盟いたして現在まで二つ登録湿地指定しているところでございますが、その条約上の義務といたしまして、湿地の適切な保全あるいは管理、こういったことについて私ども鋭意努力しているところでございます。
  56. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本湿地登録が二カ所だというのは、ヨーロッパ諸国の三十カ所、四十カ所に比べれば、私は非常に少ないと思いますね。それで日本条約加盟国として十分な責任を果たしているというふうには言いがたいじゃないか。水鳥の保護というのがこういう国際協力を通じてしか成り立たないからこういう条約もできているだろうと思いますし、そうだとすると、日本政府はやはり条約加盟国の責任において、国際的にもそれにふさわしい積極的な努力が今後必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、その点の政府の考え方をお伺いします。
  57. 玉川佐久良

    説明員玉川佐久良君) ラムサール条約締約国は本年二月十五日現在で四十六カ国でございます。そのうち登録湿地について見ますと、ただいま先生御指摘のございましたように、イタリアの四十カ所であるとか、あるいはデンマークの三十八カ所というように、二十以上の登録湿地を有する国が七カ国ございます。しかし一方で、登録湿地が一ないし二の国は、我が国、スイス、フランス、ニュージーランド等十八カ国、約四割ございまして、我が国登録湿地数が一概には少ないと言えない状況にございます。  我が国登録湿地が少ないという理由の一つといたしまして、特に湿地の規模が小さい等、自然条件におきまして他の国に比べて差があること、さらに、将来とも湿地保全が十分に保証されるようなところについて登録を行うと、こういう立場をとっているからでございます。
  58. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の答弁ですと、これまでどおりの努力で十分だというように聞こえますけれども、やはり指定が欲しいという要請等も我々も受けている事例もほかにもあります。ですから、この問題をそんなに時間をかけて論議しようとは思いませんけれども、私はこういう機会に一層国際的にも責任を果たすという態度の表明ぐらいはあってもいいじゃないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  59. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 自然を保護し、また自然を後世に残していくということは、現代人といたしましても一番大切なことではなかろうかと思います。  特に水鳥のごとく、この今回の提案理由にもありまするとおり、やはり生息地そのものを守ってやらなければならないという点もございますから、今おっしゃいましたとおり、我々といたしましてもそうした面に関する関心をなお一層深く持つ、そして日本日本といたしましても積極的にこれに参加する。幸い日本渡り鳥が多い国だろうと、こういうように思っております。したがいまして、南からも北からも来るわけでございますので、そういう面におきましてはやはり先頭に立ってそうしたことを宣言し得るような国としての役目を果たしたいと、かように存じます。
  60. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 次に、世銀協定改正問題ですが、政府の国会論議の説明等を見ますと、世銀への出資比率の変更というのは、あたかも日本やカナダなどの要求に対してアメリカが譲歩し、その結果実現したというように聞き取れるものになっておりますけれども、私はこれはいささか疑問を感じますので、まず示していただきたいのは、アメリ カの世界銀行への出資比率、投票権というのがどういうふうになっているのか、七五年、八〇年、八七年の数字で示していただきたいと思います。
  61. 岩崎文哉

    政府委員(岩崎文哉君) お答え申し上げます。  世銀の米国の出資シェア及び投票権シェアの推移でございますが、七五年の出資シェアは二五・九四%、投票権のシェアが二三・四五%。八〇年が二一・七八%、同じく二〇・七五%。八七年、これは特別増資後でございます。一八・九一%、一八・〇七%となっております。  なお、つけ加えますと、出資シェアと投票権シェアの差額というものは、いわゆる群小国に対する基礎投票権部分というものを割り当てた結果、その若干の差が生じておるということでございます。
  62. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の数字でわかりますように、一九七五年二六%に近いものが八七年で一九%を割っています。こういうようにアメリカ世銀に対する出資シェアは減っているわけでして、特に日本の要求に応じてアメリカが今回譲歩した結果出資比率の変更があったというのではなく、逆にアメリカの減った部分を日本などが負担するという形になっていると私は思います。  大体、これまでのアメリカ・レーガン政権になってからの援助政策というのは、外務省の文書でもお書きになっていますけれども、二国間援助を重視していく、多国間援助というのももちろん軽視はしないけれども、中心は二国間援助を中心にしていく、その結果が世銀に対してもこういう形であらわれているのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  63. 久保田穰

    説明員久保田穰君) ただいま委員御指摘の米国の援助政策としての多国間援助及び二国間援助でございますが、アメリカの場合USAID、開発援助局を通じての人道的な面に重点を置きました二国間援助というものも援助国十八カ国中非常に大きな割合でトップの座を占めておりまして、他方、世銀につきましても戦後の世界経済の安定と発展及び途上国に対する援助という役割から非常に大きな地位を占めている。要するに、多数国、二国両方とも非常に大きな役割を果たしているというのが実態だと思います。
  64. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカ政府の責任ある人の発言によっても、レーガン大統領の方針は、アメリカにとってでき得る限り低いコストで国際機関が西側経済社会の広範な利益に貢献し続けることを保障する最善の方法だと、こういうふうに言われております。それから、アメリカが国際機関について言えばできるだけ低いコストでアメリカ目的を果たしたい、そこの低いコストの部分、それを補うのが日本の今回の増加だというように私は見ますけれども、その点はいかがですか。
  65. 久保田穰

    説明員久保田穰君) 世銀出資、これは開発援助ということでODAの資金が流れるわけでございますが、戦後アメリカが断然他を引き離して、特に世銀を通ずる途上国に対する役割というものを担ってまいったわけですが、その後日本初め欧州の主要国という各国もそれぞれ経済的な役割、その実力というものを増してきておりまして、それに伴って応分の出資を行い、かつ国際援助機関において発言権をふやすという側面があると思います。
  66. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 世銀での日本の役割を高めることの是非の問題については後でもう一度触れたいと思います。  本案件の中心である投票権数の問題ですけれども、現行協定改正に必要な投票権数を八〇%から八五%に改正する、しかもそれは協定の安定のためだということになっていますけれども、八〇%では不安定なのかどうなのかという点で私疑問を感じざるを得ないのですね。これ先ほども議論がありましたけれども。これは例えば一国一票制をとっている国連でも、憲章の改正は構成国の三分の二ということで採択されることになっています。世銀の今回の改正に関連して見れば、八〇%ではなぜ不安定なのか、あるいはそういう論理で言えば、国連の今のような憲章の改正規定というものは不安定だというふうなことにもなるんではないかという議論も成り立つわけですけれども、私はここで言う八五%は協定の安定ということよりはアメリカ発言権の安定ということにしかとれませんけれども、安定論、これについてはどういう御見解ですか。
  67. 久保田穰

    説明員久保田穰君) 本件の改正につきましては、確かに協定改正手続につきましてこれを非常に厳格なものにする、それをもって協定安定性を向上させて世界銀行の業務の円滑な運営を期待するというところがその目的であるわけでございます。  そこで、改正手続が厳格になることによって、その安定ということの意味でございますが、現在百五十一カ国、途上国も含めまして改正をしたいという希望がないわけでございまして、やはり重要な援助の役割を果たしておる銀行がこの一番大事な協定というものをやたらに改定しないという考え方が支配していると見られます。その中で最も重要な役割を果たしておるアメリカ、その次に位する我が国、その他イギリス、ドイツ、フランス等これらの国の意に反しまして協定改正されることはないということがすなわちこの安定に資するというふうに見ております。
  68. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 改正規定が厳格であることが協定の安定だというのは、私は全く協定の安定ということの議論にはなく、日本あるいはアメリカ等の考える意味での安定ということではあり得たとしても協定の安定という議論はこれは成り立たないと思いますが、今回の改正の発議はどこから行われたんですか。
  69. 久保田穰

    説明員久保田穰君) 今回の改正につきましては、昭和六十一年に世界銀行の姉妹機関でありますIDA、国際開発協会でありますが、これは非常にソフトな融資を開発途上国に行っておる機関でございまして、ここの第八次増資というものを行うという交渉の過程で、特に我が国、カナダ、イタリア等がこの増資に対して特別の役割を果たしたいということに伴いまして、我が方もこの出資シェアを高め、かつ発言権を高めたいという主張を行ったわけでございます。これに対して、この措置としましてアメリカの持っておる出資比率を二%削りまして二〇・九一から一八・九一%にするという形でほかの国に割り振ったわけでございますが、そのような交渉アメリカを含めまして関係各国間の中で行われた結果、昭和六十二年総務会におきまして承認されたという経過をたどった次第でございます。
  70. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その条件としてアメリカ協定改正というのを提起したというのが実質じゃありませんか。
  71. 久保田穰

    説明員久保田穰君) 交渉の過程につきましてはただいまお答え申し上げたとおりでございますが、アメリカとしましてはただいま申し上げましたように自己の出資比率を引き下げるという交渉を行ったわけでございますが、その過程におきまして、見返りに協定改正発効要件を厳格にするということを条件として示唆したということは委員御指摘のとおりだと思います。
  72. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 外務省もはっきり認められましたし、これ八七年度の世銀の年次報告にもちゃんと書かれていることですから、これは否定できない事実ですね。要するに、米国の投票権が二〇%を割り、一国での拒否権がなくなったから、それを一五%に改正することによって引き続き維持していこうということですから、結局この改正協定の安定ということじゃなくて、アメリカ一国での拒否権の安定ということだということは、今の認められた答弁からも明らかになったと思います。どうですか、そういうふうに再度確認していただいていいですか。
  73. 久保田穰

    説明員久保田穰君) この協定改正につきましては、米国の拒否権という言葉はもちろん協定上規定されているわけではございません。またこの改正が、先ほど申し上げましたように、協定の安定及び現在加盟しておる百五十一カ国の動向から見ましても安定を希望するという立場から、米国その他主要な国の意思に反して改正することができないということをしやすくしておるというこ とも事実であると思います。  米国だけが意に反して改定できないという立場で裨益するのでなくても、我が国につきましても今回の出資比率の増加に合わせて改正を阻止しやすくなったということも事実であると申し上げておきたいと思います。
  74. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 世銀は中立的だとよく言われますけど、実際の運営は米国主導で行われてきた、このことはアメリカ政府自身が議会で証言していることなどでも非常にはっきりしますが、この点はどうですか。例えばリーガン財務長官が、八一年ですので少し古い資料ですけど、議会で証言したところによるとこう言っておりますね。「世界銀行貸付の上位十カ国のうち七カ国とアメリカは相互防衛関係を維持している。すなわち、ブラジル、トルコ、韓国、タイ、コロンビア、フィリピン、メキシコである。これらの諸国だけで八〇年世銀による総貸付の半分近い三十六億ドルを借り入れている。」云々と、あとまた続くわけですけど、こういう世銀の役割を引き続き維持していこう、そのために出資率は低くなってもアメリカ主導権を握れる、そういうことが今回の改正の基本的なねらいだと思います。世銀アメリカの主導で行われているというこの事実は政府もお認めになるでしょうね。
  75. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。  世銀は成立の過程それから世界におけるアメリカの金融上の実力ということから申し上げまして、世銀運営面で特に影響が強いということは否定できないと思います。ただし、本件改定の交渉で非常に厳格な条件をつけたわけですが、一般的に見まして世銀運営自体について見ますと、世銀の中身は、総裁はアメリカ人でございますが、管理職を含めまして出身者は非常に多岐の加盟国にまたがっておりまして、世銀の組織の中で行われますいろいろな意思決定、融資計画であるとか、先ほど御指摘のいろいろな貸し付けの問題、援助の問題等の政策問題につきましては、理事会に上程される前に世界各国から集まりました専門家によって十分議論される、また理事会そのものにおきましても、投票権の多数によらずに各理事が運営に積極的に参加するという形で運営が行われております。
  76. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今、アメリカの非常に強い権限を持った運営が行われてきたということはお認めになったわけですけど、そういう状況のもとでは、アメリカ政府自身が言っているように、世銀アメリカ世界戦略に貢献する役割を果たしている、日本出資をふやすだけでは引き続きアメリカの戦略を補完するのに利用されるだけという結果になると思います。そういう点で、世銀の最近の役割というものについてアフリカ等で非常に強い批判が起こっているという問題についても触れておく必要があると思います。  IMFや世界銀行が八〇年代に入ってから取り入れた構造調整借款、これをめぐってアフリカ等でもさまざまな動きが起こっている。この状況は政府も御存じになっているはずですね。
  77. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。  途上国に対する援助という側面からの世銀の役割及びそこにおけるアメリカの役割という視点からこの問題を見るわけでございますが、現在途上国が最も困難を感じておるのは非常に巨額の累積債務でございます。これの解決のために、米国を初め世銀を場とする参加国が苦労しておるわけでございますが、委員御指摘のように、どちらかというと大きな、巨大な開発プロジェクトというものはしばらくおきまして、現在累積債務を救うための形の構造調整援助というものを世銀及びIMFが主導しておりまして、各国がこれに協調しておるということは、御承知のとおりだと思います。  それで、その際に、援助はするけれども、途上国側においても財政政策その他貿易政策、数々の改善策をとることをいろいろレコメンドするわけでございまして、これが途上国にとってかなり苦しい場合がございまして、委員御指摘のように、アフリカ等における若干の国からかなり批判が出ていると思います。ただし、国際機関、特に世銀の場合、援助においては非常に中立性とそれから専門性という特色がございまして、二国間の援助よりもむしろその面が非常に強いということで、これに期待する声も強いのも確かだと思います。
  78. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 時間がありませんから、アフリカ等で起こっている問題について詳しく述べる余裕はありませんけど、それはいろいろな文書で指摘されておりますし、そしてこれがうまくいっていないということを指摘した文書もたくさんあります。  このことを私言いたいのは、外務省世界銀行のこういう実態をよく分析し、世界銀行への出資をふやしさえすれば発展途上国のためになるというようなことにならないんだ、こういう結果として多くの非難、また所得が大幅に低下するというような事態をもたらすことがないような方向への問題意識を持っていただかないと、出資をふやした、したがって日本援助で一層大きい役割を果たしているんだということにはならないという点ですね。  結論的に、途上国の国民生活よりも対外債務返済額の保障を優先するというような今のIMFや世界銀行のやり方を改めて、本当に途上国の自立的な経済発展に役立つそういう方向での経済協力、そういうことをもうちょっと真剣に検討しなければ、この協定で増資したということで日本が一層大きい役割を果たし得るということにはならないということを述べて質問を終わりにしたいと思います。
  79. 小西博行

    ○小西博行君 まず、世銀関係について二、三点質問というよりも、むしろお伺いいたしたいというふうに思います。  先ほども少しございましたが、世銀の機能と役割、これを簡潔にひとつ教えていただきたいと思います。
  80. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。 世銀の主な機能は、まず加盟国の中で開発途上諸国の経済社会開発のために必要な資金を貸し付けるということでございます。これら諸国の経済発展を支援することでございますが、世銀は設立以来一九八七年六月末現在で百四カ国地域等に対しまして累計で二千八百十八件、約一千四百億ドルの貸付承諾を行っております。一九八七会計年度の貸付承諾額も約百四十二億ドルと、国際機関としては最も多額の開発資金を供与しております。  二番目に、開発援助に関する幅広い調査研究という活動を行っております。これは、加盟国の要請に基づいて援助国会合という形で会議を主催しまして、途上国の経済開発計画策定にかかわる技術援助等を行うことによりまして開発援助の質の改善に大きく寄与しております。  このような世銀の機能によりまして、途上国に対する開発援助の分野において世銀が国際的機関として主導的な役割を果たしておるわけでございまして、途上国に対する開発援助を外交の重要な柱としている我が国としても、世銀重要性にかんがみて今後とも積極的な貢献を行っていきたいというふうに考えております。
  81. 小西博行

    ○小西博行君 そこでお伺いしたいんですが、当然それぞれの国でお金をお借りして何とか大きなプロジェクトを完成したいとかあるいは開発をやってみたいというような要請があるんだろうと思うんですね。それに対して、先ほどから何回か出てまいりましたように調査をする、事前調査を十分にする。それは当然お金を貸すわけですから必ず払ってもらわなきゃいけない、返してもらわなきゃいけないという条件がつくだろうと思うんですね。ところが、実際の実績を見てみますとかなり赤字の国が多いわけですね。たくさん借りている国ほどまた国内の経済的ないろんな問題で大変厳しい状況になっているという感じがするわけですね。  そういう意味でこの事前調査というのは、特に今私が申し上げたような赤字国でも将来必ずこれがプラスになるんだ、かなり長期にわたって考えた上で貸し付けする、そういうような何か調査条件というようなものがあるのかどうか教えていた だきたいと思います。
  82. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。  世銀から貸し付けを受ける場合には、確かに委員御指摘のように世銀があらかじめ各種の調査を行うということがございまして、これはそもそも貸し付けを受けるわけですから、受け入れ国の方で責任を持って世銀が納得する説明を行わなければならないわけでございますが、場合によりましては、国の事情によって世銀から技術援助という形で、一年ないしは時には数年ぐらいかかることもございますが、プロジェクトによりましてかなり綿密な時間をかけた調査が行われます。その上で世銀におきまして、本部においていろいろな審査を行いまして、この技術面、経済面、財務面それから特に環境の問題等も含めまして詳細なチェック、検討が行われることになっております。その上で、かなり長期にわたる貸し付けでございますけれども、それが行われるということでございます。
  83. 小西博行

    ○小西博行君 と申しますのは、ブラジルの例の大型発電所というのがございましたね。もっともその発電所が完成してその電力を有効に産業に使っていくということになって初めて利益が生まれると思うんですが、あれも随分長いことかかってやられたと思うんです。当然ああいう発電所建設ということで相当世銀からまたお金を借りたということもあろうかと思うんですが、最近もやっぱりそういう大きなプロジェクトというのは幾つかございますか。
  84. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。  これが最近でございますが、一九八七年度における承諾での主要のプロジェクトを申し上げますと、インドネシアにおきまして農業政策調整を目的とする貸し付けとして三億ドル、それから都市開発のプロジェクトとして二・七億ドル。それからブラジルでございますが、都市交通のプロジェクトとしまして二億ドル、サンパウロ幹線道路の建設プロジェクトとして一・七億ドル、それからブラジル北東部の農村開発プロジェクト、同じく一・七億ドル。メキシコでは貿易政策貸し付け五億ドル、それから第九次農業信用プロジェクトに対しまして四億ドル。トルコではエネルギー部門の調整のための援助として三・三億ドル、それから鉄道関係のプロジェクトとして二億ドルというようなかなり大型の案件がございます。
  85. 小西博行

    ○小西博行君 つまりただお金を貸すという機能だけではなくて、先ほどのお話のように、技術のいろんな分野についても送り込んでそのプロジェクトを完成させていくということですから、恐らく日本あたりの技術ということになりますと、やっぱり日本向きの技術態勢というものを指導するという格好になりますね。発展途上国というのは大分違いますね、現在やっている様子が。その辺の構造調整というものは例えば日本から行って十分やるとか、あるいはどなたか専門家が行ってやっていく、そういうことは向こうの国との話し合いということで進められるべきなんでしょうか。
  86. 久保田穰

    説明員久保田穰君) お答え申し上げます。  世銀の行っている援助でございますが、これはほかの場合も一般的に当てはまるわけでございますけれども、大きく分けましてプロジェクト援助と、それから先ほどから話題になっております構造調整のための一種の財政的なノンプロジェクトないしはプログラム援助と呼んでおりますが、こういうふうに大別されると思います。後者の場合でございますと、受け入れ国が貿易政策なり、例えば貿易の自由化を推進するとか財政政策、税制面を改正するとか、要するに財政の健全化を目指すわけですが、そういう政策をとるということを条件に財政的な、現金供与に近い形の資金援助が行われるわけですけれども、この場合にはマクロ政策的な観点から世銀の専門家が綿密に調べましていろんなアドバイスを行っております。  他方、この援助の主流を占めておるプロジェクト援助では、鉄道の建設であるとかダムの建設であるとか空港の建設というような部分でございますけれども、この部分につきましては世銀が直接実施する場合もございますが、例えば国連関係の技術協力の機関としましてUNDPというようなところもございますし、また我が国の場合ですと技術協力というものを国際協力事業団を通して二国間で実施しておりますが、そういう二国間ないしは国際機関の専門家集団がそれぞれの援助のベースで調査、作成した計画に基づきまして、世銀がそれに沿って今度は資金面を担当して援助していくという形もございます。
  87. 小西博行

    ○小西博行君 ありがとうございました。  もう時間がございませんから、水鳥の件一問だけお願いをして終わりたいと思います。  私も水鳥がどのような様子でどうなっているかというのはほとんど実は存じておりませんで、役所の方々にもいろいろお聞きしたんだけれども、そういうちゃんとしたものというのは割合少ないんだ、データは余りありませんわというようなお話だったものですから、確かに湿地帯を指定して世界に貢献していくということは非常に大切だと思うんですが、日本としてこういう水鳥のいろんな調査だとか研究というのはやっぱり大学が中心になってやっているんでしょうか。その辺の様子をお伺いしたいと思うんですよ。
  88. 玉川佐久良

    説明員玉川佐久良君) 水鳥の調査につきましては、大学でももちろんやっておりますが、環境庁が主体になりまして昭和四十五年から、例えばガン、カモ、白鳥などの調査を毎年実施する。また一方、民間の日本野鳥の会の支部を集めたような形でシギ、千鳥の調査を実施するというような形もございまして、いろいろな形で調査が実施されているところでございます。
  89. 小西博行

    ○小西博行君 じゃ大体体系立ってどういう鳥がどういうように移動するということはもうほぼ完璧に今押さえているということですね。
  90. 玉川佐久良

    説明員玉川佐久良君) 我が国は五百六種類の鳥類がいると言われているわけでございますが、各国との協力なども得ながら、標識調査という手法を用いまして、これは野鳥に標識をつけましてその渡りのルートを解明するというための調査でございますが、そういったものに基づきまして現在では約七割強が渡り鳥であるということが判明いたしているわけでございます。  そういうようなものとあわせまして、我が国は日米、日豪、日中、この三カ国と二国間の渡り鳥保護条約ないしは協定締結しているわけでございますが、それらの国につきまして見ますと、日米間ではシギ類を中心にしまして百九十種、それから日豪につきましては七十六種、日中については二百二十七種の鳥類が渡り鳥という形で指定されております。
  91. 小西博行

    ○小西博行君 終わります。ありがとうございました。
  92. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 他に御発言もなければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両件について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  94. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾についての反対討論を行うものです。  反対の理由の第一は、本改正が米国の世界銀行への出資比率の引き下げによってその発言権が低下することがないよう、米国の協定改正に対する拒否権を引き続き保証し、米国主導による世界銀行の非民主的な運営を一層拡大し、固定化しようとするものだからであります。  政府は、改正協定安定性の向上に資するものであると説明しておりますが、国連憲章の改正でさえ三分の二の多数で行われることを考えれば、協定改正要件の八五%への引き上げは何ら合理性を持つものではありません。  政府の言い分は、米国主導の世界銀行運営を絶対視し、この米国主導の拡大こそが安定性に結び つくとする立場を示す以外の何物でもないのであります。  第二は、本改正と一体のものである我が国世界銀行への出資増は、財政赤字に直面する米国の負担の肩がわりであり、同時にそれをてこにして多国籍企業的海外進出を進める財界、大企業の要求にこたえ、政府世界銀行など国際開発諸機関での発言権の強化をもくろむものだからであります。  以上、本協定改正は、専ら米国と我が国財界、大企業の要求にこたえるものであり、累積債務や飢餓に苦しむ発展途上諸国の要求にこたえた真の互恵平等の立場に立つ国際開発諸機関の改革とは全く逆行するものであることを指摘し、反対討論を終わります。
  95. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、特に水鳥生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、国際復興開発銀行協定第八条(a)の改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  100. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 次に、日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件、千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件、以上両件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宇野外務大臣
  101. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ただいま議題となりました日本国政府国際熱帯木材機関との間の本部協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、千九百八十三年の国際熱帯木材協定により設立されました国際熱帯木材機関の本部が横浜に置かれることに伴い、同機関がその本部において十分かつ能率的に任務を遂行できるようにするため、同機関側と本部協定案の交渉を行いましたところ、案文について合意が得られましたので、本年二月二十七日に東京において我が方本大臣と先方フリーザイラー事務局長との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、本文二十四カ条から成っており、同機関並びにその職員及び専門家並びに加盟国の代表の地位、特権及び免除について定めております。同機関は、本格的な活動を開始しつつあり、この協定締結我が国における同機関の円滑かつ効果的な活動の確保に資することが期待されております。  よって、ここにこの協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百八十七年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この協定は、昭和六十二年三月二十日にジュネーブで開催された国際連合天然ゴム会議で採択されたものであります。我が国は、昨年十二月十八日にこの協定に署名いたしました。  この協定は、天然ゴムの価格の安定及び供給の確保等の目的を達成するために国際的な緩衝在庫を設置し運用すること、国際天然ゴム機関において天然ゴムに関する情報を収集すること等について規定いたしております。  我が国がこの協定締結することは、天然ゴムの輸入の安定を図るとともに、開発途上にある天然ゴムの生産国の経済開発に貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  102. 森山眞弓

    委員長森山眞弓君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会