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黒柳明君 これは
外務大臣、こんなものを出す必要ないと思いますね。これ、旅行のたびにこういうもの来ますよ。(
資料を示す)費用が幾らだ、地図がどこだ。ところが、中国だけはこういうものがついています。「緊急事故
対策とその報告ルート」と書いてあるんですよ。これがついているんです。私も国際
局長二十二年やった。いろんなパンフレットを見ました。注意もしました。事故があってはならない。ないことが当たり前。だけど、こういうパンフレットは余り見ません。これは私全部目についているかどうかわかりませんよ。緊急事故
対策とその報告ルート、これは交通公社、旅行会、四つしかありませんね、近畿ツーリストとか。そこでつくっているパンフレットですよ。
そこで、この桃色が添乗員。事故が起こったら
在外公館に報告すること、それとその次は北京駐在事務所に報告すること、これのどれをやったか。この
在外公館なんかやりようがないわけです。本当は上海の総領事にやればいいんでしょうね、このルートですと。北京に行ったわけです、北京に。交通公社の北京駐在事務所。そして北京駐在事務所から交通公社の本社、本社から
外務省、六時。六時で上海総領事に電話をかけた、
外務省が。だれもいない。それで八時になったら現地から
外務省に電話が入った、領事部第二課に。こういうことなんですよ。
だから、これだけ、不慮の事態に備え、日ごろから社員は徹底的な教育と訓練を
実施し、万が一の場合全社を挙げて迅速な処置が行われる万全の体制をしておりますと、こういう注意書きがしてあって、こういうふうに書いてある。だから、我我は万全の体制で事故は起こりません、起こったとしたってこういう
緊急事態の体制が整っていますよと。これもまあ私わかりません。非常に異例ですね、こういうパンフレットがついているのは。しかも、添乗員、これ桃色。それが
在外公館、北京駐在事務所へすぐ連絡とりなさい。この
在外公館の連絡はしなかった。すぐ北京事務所へ行った。そして北京事務所から本社へ来て、
外務省に来たのは六時。だからこっちなんかにする余地ありませんよ、添乗員としたら。混乱しているんですから。ですけれども添乗員がいましたから、生存者が、先生がいましたから、だからそれでも敏速にできた。その情報がどんどん学校には入っていったわけです。こういうことなわけです。
何も不測の事故が、
緊急事態が起こるためにこれをつくったんじゃないと思いますよ。ですけれども予測して、あくまでも大事なお子さんを参加させるわけですから、これは各交通公社、旅行会としても一生懸命です。こういう
対策を持って、そして社員には指導訓練してありますと。してある中にやっぱり
在外公館は書いてありますけれども、これは両てんびんで電話もかけられないで、一方的にみずからの上司にと、こういうふうなことになっているわけです。だから訓練されていても、なかなか現地で事故が起こったら訓練どおりいきませんね。まして不測の事故が起こるのはこれはわかりゃしません。
そこで私はいよいよ本論に入りたい。
外務省はよくやりましたよ、
外務大臣。決してけなしているんじゃないんですよ。藤田さん後ろでにらんでいますけれども、決して私は藤田さんをあれしているんじゃないですよ。よくやったという大前提で、私はうそでもない、本当であります。
ただ、問題はその次なんです。さっきも社会党の
松前先生おっしゃったように、文部省が昨年の九月に教育
委員会の部
課長会議で、
海外旅行、ミリオン
計画というんですか、と同時に修学旅行も拡大しなさい、推進しましょう。それで一月に出したわけでしょう。その後のルートはどうなるのか。これは当然ながら国公立しかこの教育
委員会の指導訓練なんか周知徹底できません。私立高校は全く業者任せです。国公立だって業者任せですよ。それで業者の方も今この事件が起こる前から反省しているのは、現地の受け入れ体制の安全と衛生面と輸送力を
強化しなければならないということを、この事故が起こってからじゃないですよ、二十四日の前からこれをやらなければならないということを感じているというんですよ。
ところが、業者の場合やっぱり競争ですから、なかなかそうはいかない。シェアを獲得する方が先行する。何も文部省と運輸省がそれに乗っかったとは言いませんよ。その業者の後押ししたとは私は言いませんよ。ですけれども、
外務省の方はやっぱりそういう
立場とちょっと違うわけだ、
立場は。現地の情報を収集できます。業者が何をここで一番先に言うかということは、現地の情報の収集はできないことはないと言うんです。できないことはないけれども、それを先に立てたら商売にならないというわけですよ、情報を先に立てたら。危険ですよ、こうありますよとなったら商売になりません。私
たち万全を尽くしています、一生懸命やっていますよ、そういうところがみんなあるんですから、あれも危険ですよ、これも危険ですよと。
私は中国旅行だけを取り上げたくないんです。言っているつもりはないんです。ですけれども、言うまでもなく現地主義ですから、ついせんだってまでは現地へ行ってみなければ飛行機の便もわからない、汽車の便もわからない。今は改善されたけれども、現にまだ変更は幾らもある。今回の旅行だって変更した一環なんです。そういうものが現にあるんです。旅行社だってそういうことは知っている。まあ私は極端に、だからもうけ主義とは言いませんよ。そんなことはないと思います。ですけれども、やっぱり商売ですよ、競争ですよ。その中によって現地の実情というものを隠してまでもとは私は言いませんけれども、むしろ注意を促すためには、こういう点もあります、こういうこともありました、私
たち注意しますけれども、皆さん方ぜひそういうことを認識した上でひとつ御旅行してください。そのぐらいのことがないとうまくなかったんじゃないか、あるいはうまくない面もこれからできるのではなかろうか。
ただ単に、失礼ですけれども、本当に失礼ですけれども、事故が起こった。よくやったんだ、どこもいいんだと。私は、どこもいい、どこもいいと言ってそれでいいんだ、
黒柳もいいんだと、こう言っておしまいにしたいんですよ。それが一番いいです、利口になっていれば。ただ、利口になってばかりいられるかな。行って業者に話を聞き、現場に行って実際いろんなことを聞いてみますと、今言った本音、まだまだいっぱいあります。いっぱいあるけれども、そんなもの私、委嘱審査の会ですから、この会というものを私はやっぱり自覚して、業者の言い分なんかずらずらずらずら言ったってしようがありません。
文部省、運輸省と
立場が違うんじゃないですか、
外務省というのは。イの一番に行かなければならないのは政務次官ですよ。外務政務次官ですよ。運輸省、文部省じゃありませんよ。それで現地とのやっぱり窓口にならなきゃならない、そういう
立場においてはもうちょっと情報を集めろじゃなくて、情報があるわけですから、その情報を認識させなきゃならない。
今回の旅行でも、いやいや生徒が希望して行ったんだから班が分かれていたんだ、自分で行きたかったからなんて陰口をきく人もいます。まあそれはそうかわかりませんよ。ですけれども、事故がある前提で行くなんてことじゃありませんから、喜んでみんな楽しい旅行のつもりで行かれたわけです。だから、せめて
外務省が、外地で何か起こったから勧告するんじゃなくて、通告するんじゃなくて、こういう情報があるんですから、やっぱりそこらあたり運輸省、文部省と若干違った角度で情報収集、情報分析、そして生命、財産を守る、こういう役目があるんじゃなかったかなと、こういう感じもするんですが、いかがですか。