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1988-05-13 第112回国会 参議院 科学技術特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十三日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         飯田 忠雄君     理 事                 後藤 正夫君                 高杉 廸忠君                 伏見 康治君     委 員                 岡野  裕君                 岡部 三郎君                 木宮 和彦君                 志村 哲良君                 高平 公友君                 成相 善十君                 長谷川 信君                 林  寛子君                 最上  進君                 穐山  篤君                 松前 達郎君                 吉井 英勝君                 小西 博行君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       伊藤宗一郎君    政府委員        科学技術政務次        官        竹山  裕君        科学技術庁長官        官房長      見学 信敬君        科学技術庁原子        力局長      松井  隆君        科学技術庁原子        力安全局長    石塚  貢君        科学技術庁原子        力安全局次長   緒方謙二郎君    事務局側        第三特別調査室        長        高橋 利彰君    説明員        警察庁警備局警        備課長      太田 利邦君        外務省北米局安        全保障課長    岡本 行夫君        外務省国際連合        局原子力課長   中島  明君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電安全管        理課長      三角 逸郎君        運輸省運輸政策        局技術安全課長  山本  孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 飯田忠雄

    委員長飯田忠雄君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 伏見康治

    伏見康治君 きょうこの委員会では最初の質問でございますので、今度の法案改正に至るまでの、核物質防護措置に関するいろいろな国際協定が結ばれて、NPTから始まっていろいろなことが行われてきたと思うんですが、それの歴史と申しますか、経過というか、そういうものを、まず筋書きを簡単にひとつ言っていただきたいと思います。
  4. 中島明

    説明員中島明君) まず先生指摘核兵器の不拡散に関する条約、いわゆるNPTでございますが、これは一九七〇年の三月五日に発効したわけでございますが、この条約は、まず、核兵器国に対しては核兵器移譲等を禁止する、それから、非核兵器国に対しては核兵器などの製造、取得を禁止する、そういうことを決めておる条約でございまして、そのほかにも、原子力平和利用に関する国際原子力機関IAEA保障措置などについて規定しております。この核兵器の不拡散に関する条約NPTは、一言で言えば、核兵器を持っている国をこれ以上ふやさないことによって核戦争が起こる危険性を少しでも少なくしようとするものでございます。  他方、核物質防護に関する条約は、こちらは一九八七年の二月八日に発効したわけでございますが、核物質の不法な取得及び使用を防ぐということを目的としておりまして、そういった観点から、核物質防護する、あるいは核物質に関する犯罪行為処罰を行う、そういうことを規定しております。したがいまして、こちらの核物質防護に関する条約の方は、核ジャック可能性というものがないように、個人または集団による核物質の盗取その他不正使用、そういったことを防ぐということを目的としております。
  5. 伏見康治

    伏見康治君 そういうことで、NPTからだんだんそういうことに対する考えが出てきたわけですが、昔三十何年前に原子力のことを考えたときには、核兵器問題というものと平和利用問題というものは相当はっきり分けられるものだというふうに私は考えていたわけですが、近ごろになって、その間の関係というものは私がかつて想像したよりもはるかに実は密接なものであるということを認識するようになってまいりました。  例えばチェルノブイル原子炉事故というものは、これは平和利用ですから事故が起こっても実は余り大したことはなかろうと思っていたんですが、その結果から申しますというと、非常に大量の死の灰を振りまいてしまったことになるわけでして、核戦争が起こったときに匹敵するような死の灰のばらまき方ですね。つまり、原子炉を長年運転しておりますというと、その中には非常にたくさんの死の灰がたまっておりまして、それが一どきに放出されますというと、原爆の一個や二個分じゃなくて、何十発分あるいは何百発分か一どきにその灰が出てくることになる。したがって、核兵器による放射性物質被害ということ、核戦争による被害ということも我々はしょっちゅう宣伝で聞かされているわけですが、平和利用の場合にも粗相をいたしますというと核戦争に匹敵するような大きな災害が起こるということを改めてチェルノブイル事故によって認識させられたわけです。  それから、そういう意味での計算をやってみますと、日本でも三十何基かの原子炉が動いており、世界じゅうで何百基かの原子炉が動いておりまして、その核燃料の中でプルトニウムが絶えず生産されているわけです。きょうの本会議で、イギリスフランスで処置してプルトニウムに仕立てるというお話があったわけですが、日本だけでも相当な分量だと思うんですが、全世界的に考えてみますというと、このプルトニウム生産量というものは大変なことになるわけです。そして、濃縮ウランの場合と違いまして、プルトニウムの方はいきなりそれが核爆弾原料として使え得るわけでして、つまり、そういう意味では、平和利用をやる段階の中で核兵器ができるという潜在的な可能性というものがどんどんふえていくということを私たちは考えないわけにいかないわけです。  それで、こういう核防護という、つまりそういう潜在的な可能性のあることに対して事前に核兵器に転用されないような措置を講じておくということは、これはもう極めて大事なことになっている。十何年前に考えたことよりも今日の時点で考えると非常に大事なことになっていると思いますので、ひとつ国としてこの問題を真剣にぜひ取り扱っていただきたいという希望をまず申し述べさしていただきたいと思います。  ところで、この新しい問題になっております核防護条約PP条約と略称したいと思いますが、このPP条約の発効、PP条約そのものがまとまったのは一九八二年だと思うんですが、長い間それが発効するという事態にならなかったという理由はどういうところにあるのかちょっと説明していただきたい。
  6. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) お答え申し上げます。  我が国におきまして原子力利用というものが非常に進んでまいったわけでございますけれども原子力施設におきます核物質取扱量等の増大がしたがって予想されるということでございまして、ただいま先生指摘のとおり、この核物質防護措置というものは今後とも非常に重要なものになっていくであろうという段階を迎えたということでございます。  また、国際的にも核物質防護原子力活動を行う上での基本要件として認識されているわけでございまして、原子力開発先進国たる我が国では、こうした国際的な責務を果たすためにも、かねてから関係省庁間で今回の法改正の前提となります核物質防護に関する条約というものへの加入のために必要な条約解釈等につきまして検討を進めるとともに、また加入のために必要かつ適切な国内法体制について協議を行ってきたところでございます。  核物質防護に関する条約は、ただいま先生指摘のとおり昨年二月発効いたしまして、このほどその加入国は二十三カ国を数えるまでに至っておるわけでございますが、このほど私ども政府部内におきまして所要の検討も終了いたしましたということで、我が国といたしましても、同条約に早期に加入すべきとの立場から今国会でこのための承認が先日得られたということでございまして、またあわせてこれに必要な措置も含めた原子炉等規制法改正を行うことにしたものでございます。  なお、そのおくれた理由につきましてお尋ねでございますけれども核物質防護に関する条約といいますものは、やはり核物質に関する犯罪行為処罰義務等刑罰関係規定を有しておるものでございますから、この義務の履行のためにいかなる国内法体制を整備すべきかということにつきまして、他の締約国国内法等調査も含め慎重な検討をする必要がございまして、これに時間を要していたものでございます。  特に、条約処罰を求める犯罪の中には、外国人国外犯というものにつきまして、これは従来我が国刑法では担保できない部分でございましたけれども、これにつきましては昨年の刑法改正によりまして刑法の第四条ノ二というものが新設されました結果、刑法上の罪については条約上の国外犯処罰義務というものが担保されるようになった。そういう情勢の変化もございまして、今国会において本法案を提出させていただいたものでございます。
  7. 伏見康治

    伏見康治君 いろいろ国内法を整備する上において問題点がいっぱいあるだろうということは十分想像できるわけです。というのは、日本平和国家でございまして、軍事機密といったようなことがほとんど問題にならない国でございますが、この核物質に関する限り、それが軍事的なものに転用されないためのいろいろな防護措置というものは、完全に平和的な生活をしている国民にとってはいささか異質な問題でございます。したがって、今のいわば平和を享受している日本国民の間にこういう危険な物質に対する措置を植えつけるということは相当困難な仕事であろうと思います。したがって、十分な審議を経てこの法律をおつくりになるということになったんだろうと思います。  ところで、このPP協定というのは加盟国が何カ国かにならないと成立しないというふうに伺っていたんですが、そうなんでしょうか。それで、現在どのくらいの国が加盟しているんでしょうか。
  8. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) あるいは外務省の方からお答えすることかもしれませんけれども、私ども条約内容で承知しておりますところでは、二十一カ国が加入いたしますと発効するということでございまして、現時点では二十三カ国が加入いたしております。
  9. 伏見康治

    伏見康治君 その出発点になったNPTの方、それからそういうことを実際上国際的に賄っているIAEAという組織があったりするわけですが、このNPT条約加盟している国というものがどういう国々であり、IAEA加盟している国々がどういう国であり、今度のPP加盟している国がどういう国か、この加盟国相互関係みたいなもの、概観を教えていただきたいのですが。
  10. 中島明

    説明員中島明君) まず核兵器拡散条約NPTでございますが、これは一九八七年十二月現在、加盟国は百三十六カ国に上っております。我が国は七六年にこれを批准しております。したがいまして、これは世界のほとんどの国が加盟をいたしておりまして、逆に未加盟国ということでございますと、主な未加盟国といたしましてはフランス中国、これは核兵器国でございますが、核兵器を持たない国、非核兵器国についてはインドパキスタンイスラエル南ア等加盟しておりません。世界のほとんどの国が加盟しているという状況でございます。
  11. 伏見康治

    伏見康治君 それから、IAEAは。
  12. 中島明

    説明員中島明君) それから、IAEAにつきましては、八七年の七月現在百十二カ国が加盟いたしております。NPTにつきましては今申し上げたフランス中国が入っておらないということでございますが、五つの核兵器国フランス中国も含めて加盟しております。それから、核兵器拡散条約に入っていない国であってもIAEAに入っている国が相当数ございます。
  13. 伏見康治

    伏見康治君 それで、さっき二十三カ国と言われた今度のPP加盟しておる方はどんなあんばいですか。
  14. 中島明

    説明員中島明君) PP条約につきましては、現在二十三カ国が加盟しておりますが、核兵器国ということでありますと、これはアメリカ合衆国、ソ連、いずれも加盟しております。そのほか原子力利用における先進国、オーストラリア、それからカナダ、さらには東欧の諸国、ユーゴスラビア、北欧のスウェーデンその他、それから一部の途上国、フィリピンやトルコでございますが、そういった国が加盟しております。  核物質防護に関する条約におきましては、ユーラトム加盟十二カ国、これはフランスイギリス、ドイツを含む欧州諸国でございますが、十二カ国一括してかつユーラトムと同時に加入するということを方針としておりまして、まだ核物質防護条約加盟国にはなっておりません。しかし、近い将来核物質防護条約に入るのではないかというふうな見通しでございます。
  15. 伏見康治

    伏見康治君 一番やっぱり心配なのは、そういう核物質防護に関していろいろな国際連帯的な作業をしようというときに、それに入ってこない方々が一番心配な存在だと思うんです。フランスとか中国というれっきとした核保有国核兵器保有国は別として、インドとかパキスタンとかイスラエルとかいうそういう、新聞によれば潜在的核保有国だと思うんですが、そういう国々に対して外務省はどういう見通しを持っておられるか、近いうちに核武装するとお考えになっているか、それともそういううわさだけで実体はないというふうにお考えになっているか、その辺のところを聞かしてください。
  16. 中島明

    説明員中島明君) 今先生が名前を挙げられた、例えばインドパキスタンという国につきましては、インド政府あるいはパキスタン政府は、みずから原子力利用につきましては平和目的のためにこれを行うのだということを言っておりまして、みずから核兵器をつくるというようなことを公言しているわけではございません。しかし、こういったインドパキスタンは、自国の原子力活動の中で、IAEA査察をすべての活動について受け入れておりませんで、一部の活動のみに対しての査察保障措置を受け入れるというふうにとどまっております。  したがいまして、私どもとしては、そういった国に対しては引き続きどのような政策をとるのかということは注目して見ていかなければならないと思いますし、さらにいろいろな機会をとらえてこういった核兵器拡散条約の未加盟国というものに対しては加盟するように、NPT加盟国になるようにということを勧める、そういう積極的な努力をしなければいけないと、そういうふうに思っております。
  17. 伏見康治

    伏見康治君 未加盟国で潜在的な核武装をしそうな国に対して絶えず警戒しなけりゃならないことは今おっしゃったとおりだと思うんですが、一方、加盟しておられても堂々と核兵器を持っておられる国、つまりアメリカとかソビエトとかいうそういう国々に対して、核兵器をできるだけ拡散しないようにする、あるいはむしろ核兵器をできるだけ少なくさせようというのが日本の国是だと思うんですが、そういう立場からいって、こういう核保有国に対してはどういう立場をおとりになっているのか。つまり、このNPTのような条約というものは核保有国非核保有国との間で非常に不平等な条約であるというふうに普通言われているわけですが、その点についての外務省のお考えを伺いたい。
  18. 中島明

    説明員中島明君) 我が国核兵器拡散条約批准書を寄託するに際しまして日本国政府声明というのを出しておりまして、その中におきまして「この条約は、「核兵器国」に対してのみ核兵器保有を認め、核兵器国に特別の地位を与えている。日本国政府は、このような差別は、将来、核兵器国核兵器を廃絶することによって是正されねばならないと信ずる。このため、日本国政府は、核軍縮の促進に特段の努力を払っていく決意である。」、そのような政府立場を表明しているわけでございます。
  19. 伏見康治

    伏見康治君 この五月の末から国際連合核軍縮特別総会が開かれてまたいろんな議論があると思うんですが、日本政府がその席でも今言われたような核兵器廃絶の方向に向かっての主義主張を繰り返されることを希望しておきたいと思います。  それで、NPT条約あるいは今度のPP条約といったようなもので我々は国際的な機関IAEAのようなものからいろいろな査察を受ける、つまり平和利用目的核物質を悪い方の目的には使っておりませんという意味査察を受けることになっていると思うんですが、具体的にはその査察というのはどういう形で行われているのかという点を伺いたいと思います。
  20. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) まず、国内の各原子力施設におきまして核物質というものが平和利用以外のものに転用されていないかどうかということを検証するための制度というものを、日本政府がそれを検証するというような形の制度をまず設けております。さらに二国間条約で定められております保障措置というものはNPT条約の定めによりましてIAEA査察を受ける、それは日本政府が行った査察IAEAによってさらに確認をしていただく。わかりやすく言えば、そういう形で現在の保障措置が実施されております。
  21. 伏見康治

    伏見康治君 それで、例えば使い済み核燃料を再処理してプルトニウムをそこから抽出する、あるいは残りのウラン235を抽出するといったような操作が行われているわけですが、その操作の中で、入り口のところでその中に問題になる核物質がどれだけ含まれているか、また出口のところでどれだけのものが含まれているかというのをそれぞれ測定することができるはずですが、その入っただけのものが必ずしもいつも出てくるとは限らないんですが、そういうようなときには一体どういうふうに考えているのか、あるいはどういうふうに処置するのか。
  22. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) ただいま先生指摘計量の差といいますか、それは保障措置の分野ではMUF、マテリアル・アンアカウンテッド・フォーという言葉で私どもこれを使っておりますけれども、このMUFというのは、その言葉意味からもわかりますように、これは本来的に計量できなかったものという意味でございまして、普通原子力施設におきましては、一年に一回とか二回定期的に棚卸しという形のものが行われる際の帳簿上の在庫量の値と実在庫量との間に生ずる差というふうに言うことができます。これは施設内の各計測点における計測誤差でございますとか、あるいは工程内に滞留している核燃料物質、そういったものが積み重なって生ずるというものでございまして、実際に核物質がなくなってしまうということを意味するものではないわけでございます。  なお、国、それから国際原子力機関IAEA、こういったところによります保障措置は定期的な棚卸しのみによって行われているのではない、MUFという値のみによって行われているのではございませんで、核物質が移動するたびに行われておりますその流れの検認でございますとか、あるいは封印でございますとかあるいは監視カメラ、そういったものによって封じ込めあるいは監視というような手段など二重三重の監視がなされておるわけでございまして、これらによりまして核物質施設工程から不正に持ち出されたりなくなったりしていないということを確認しているものでございます。  したがいまして、こういった保障措置というのは計量によりまして出口入り口との差だけでもって行っているということではございません。いろんな手段を組み合わせて行っているというのが実情でございます。
  23. 伏見康治

    伏見康治君 ここで、シュピーゲルという雑誌に去年だか出ておりましたスキャンダル、西独IAEA査察した結果行方不明のプルトニウムがあるということから、何か担当者イスラエルかどこか潜在的核保有国の方へ横流ししたといったような記事がありまして、相当のセンセーションを起こしたのじゃないかと思うんですが、うそか本当かもわかりませんが、それについて原子力局としてはお調べになったかどうか伺いたいと思います。
  24. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘の先般の西独シュピーゲル誌で報道されました原爆七十発分の不明についての記事でございますが、その事実関係につきましては、シュピーゲルという雑誌の中で一九八七年三月までにIAEAの書類の上では七十個の原爆相当する核物質が紛失していると記載しておるわけでございますが、この指摘につきましては、その後国際原子力機関IAEA保障措置、それからその報告内容、そういったものを十分に理解せずに行ったものであって、IAEA報告の中で用いた数値というものを核物質が紛失したというふうに誤解していると思われるというふうにIAEAも明らかにしておるわけでございます。すなわち、IAEAは本件がIAEA保障措置信頼性というものに対して誤解を招くおそれがあるというようなことで対外新聞発表をその後行っておりまして、その中ではIAEA保障措置下核物質平和利用が確保され、さらにまた適切に計量されているということをIAEAは明らかにいたしております。  したがいまして、一九八七年におきましても、IAEA保障措置のもとに置かれました核物質につきましては平和利用が確保されたというふうに私どもは理解をいたしております。
  25. 伏見康治

    伏見康治君 IAEA立場でそういうことはなかったとはっきり言われたことは大変いいんですが、シュピーゲルによると、何か悪いことをした人が罰せられたとか逃げたとかいうようなことまで書いてあるんですが、そういう方面はどうなんですか。
  26. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) もう一つの方の事実関係につきましては、その内容も不明でございますし、それと今回の間には何ら関係がないものというふうに私どもは理解いたしておる次第でございます。
  27. 伏見康治

    伏見康治君 日本は従来からNPT条約に基づいてIAEA査察を受けてきて、それで十分かと思っていたんですが、今回のPP条約が加わると今までやってきたことより何かさらに厳重になるというような意味ですか。何か、どれだけ、どういう面でものが変わるんでしょうか。
  28. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 現在の日本核物質防護措置、これは既にいろいろ実施されておるわけでございますが、その指針となっておりますのは昭和五十六年に原子力委員会が決定いたしました、事業者として核物質防護上とるべき措置要件、これに従いまして実施されております。  原子力委員会が決めましたこの要件、これは実はIAEAがっくりました核物質防護上の指針、これは各国に勧告されたわけでございますが、そういったものをもとに原子力委員会日本実情に合ったものとしてつくったものでございまして、これは現状においておおよそすべての項目について国際水準に達しているということでございますので、内容的には既に十分な措置が施されている。  今回の法律改正におきましては、このIAEAがっくりかつ原子力委員会が策定しました基準というものを法令上明確に位置づけるという趣旨で法令上の措置を施しているものでございますので、法律改正し、もちろんその一部には核物質防護のための規定をつくるという規定、認可するということでございますとか、核物質防護のための管理者を置くといったような点につきましてより拡充された制度ということになっておりますけれども防護措置としてなされる項目につきましては、特に今回法律改正したといたしましても実質的には変わるものではございません。
  29. 伏見康治

    伏見康治君 先日実はこの委員会の何人かが東海村に参りまして、原研並びに動燃でフィジカルプロテクション、PPなるものがどういうふうに行われているかを見学さしていただいて、その実態の幾分かを見てきたことになるんですが、問題になる区域を金網の塀で取り囲んであるとか、出入りする人は特定のカードを持った人でなけりゃ入れないとかいうようないろいろなPPがあるわけですが、そういう具体的なやり方についてちょっと説明――全面的でなくていいんですが、ごく簡単に何か……。
  30. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 具体的な項目だけ御説明申し上げますと、まず、使用中とかあるいは貯蔵中の核物質につきましては、例えば核物質防護のための区域を設定する、あるいはその区域の監視を行うということ、あるいは区域の出入り管理、区域に入ったり出たりする人の管理をするということ、あるいはその核物質の所在とか移動、そういったものについてその確認とか封印とかかぎをかけるといったそういった管理、それから侵入警報装置等の維持でございますとか、あるいはいざという何かトラブルが生じたときの連絡通報体制の整備でございますとか、あるいは核物質防護の詳細に係る情報の管理でございますとか、緊急時における対応体制の確立、それから核物質防護に関する設備あるいは機器、そういったものの保守点検、それから核物質防護のための組織体制の整備、それから核物質防護に関する従業員の教育訓練、こういった項目が施設で取り扱われております核物質に対する防護措置ということになろうかと思います。  また、輸送中の核物質防護要件といたしましては、これも基本的には原子力委員会報告書の中に示されてございますけれども核物質防護計画書の策定あるいは輸送の責任者の付き添いといったこと、それから輸送中の連絡通報体制の整備、また輸送容器等の施錠あるいは封印ということ、それから核物質防護計画の詳細に係る情報の管理、それから緊急時における対応体制の確立、こういったことが主な項目であろうかと思っております。
  31. 伏見康治

    伏見康治君 これは通告していないんだけれども、二、三日前に核物質をトラックで輸送しているときに何か原子力反対運動の方々が追跡したという新聞記事を拝見いたしましたが、つまり核物質を移動するといったようなことはできるだけ知られないようになすっているんでしょうかね。核ジャックが途中で待ち伏せして何かするというようなことを避けるためには、銀行の現金輸送車と同じようなもので秘密行動をされるんでしょうかね。あの場合はどうしてそれがわかっちゃったんでしょうか。
  32. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 輸送計画書ができますと各県の公安委員会等に届け出るということになっておりまして、経路あるいは時刻、そういったものにつきましては公安委員会の指示を受けながら輸送するという体制になっております。  そこで、核物質防護する観点からやはり情報を管理しなければいけないという性格のものもございまして、そういったものは不必要に出ていかないようにするというのが一応の考え方でございますけれども、特に法律で縛っているというものでもございません。私たち行政の立場からはそういった情報が漏れないような方向でやっていただくということが基本であると思っておりますけれども、やはり情報はそれぞれ必要なところには一応お届けし、お知らせしておるということもございますので、何らかの経路で知られるということもあるいはケースによってはあり得るというのがこれまでの現状でございます。
  33. 伏見康治

    伏見康治君 実は四月二十日に私がちょっと休んだときに塩出委員から質問した件でございますが、ブラジルで大量のセシウムがばらまかれて何人か人が死ぬといったような騒ぎを起こしたんですが、その際に病院に置かれていたセシウムというものは鉛の厚い筒に包まれていて、つまりそういう意味での機械的、物理的な防護というものは一応施されておりましたけれども、とにかく病院そのものが破産したかなんかでもって管理者が全部いなくなってしまって、セシウムだけがほうり出されていた。それをぽんこつ屋がやってきて壊してしまって、そしてセシウムをばらまいたということであるらしいんですけれども、物理的に非常に厳重なプロテクションをやるだけではだめであって、管理体制そのものがそういうお粗末なことになってしまうと何が起こるかわからないという感じがするんですが、今言われているPP、フィジカルプロテクションというのはフィジカルな方に重きがあって、そればかりじゃないとは思いますけれども、いわばハードウエアの方だけに重きがあって、ソフトウエアの方の考察が足りないのではないかという印象を受けるんですが、そういうことはないんですか、どうですか。
  34. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 核物質防護のための措置は、基本的には核物質を盗取等の不法な行為から守るという観点から講じられるものでございます。その内容につきましては、ただいま先生指摘のとおり、フィジカルプロテクションという名が示すとおりハード面の措置というものが中心ではあるものの、しかし、さらにこれをより万全なものとするために御指摘のように区域の出入り管理等の措置というのは非常に重要であるというふうに考えております。  そこで、今回の法改正におきましても、事業者に対しまして義務づけることを予定いたしております項目、先ほど申し上げました項目でございますが、その中にも、核物質防護のための区域の設定でございますとか、あるいは侵入警報装置等の確立維持、出入り管理、ハードを中心とするそういった措置を加えまして、ソフト面では、核物質防護のための区域の出入り管理、核物質防護のための組織体制の整備、核物質防護に関する従業員の教育訓練といったような管理面、ソフト面の措置もあわせて講じなければいけないということになっておる次第でございますので、この点につきましては、先生の御指摘は私どもといたしましては重要なものであるということで、原子力委員会も決めているというふうになっております。
  35. 伏見康治

    伏見康治君 日本はとにかく原子力平和利用に徹するという立場でございますので、それが万一にも核ハイジャックみたいなものに脅かされて悪い結果にならないようにあらゆる対策を練っていただきたいという希望を述べて、話題を少し変えたいと思います。  きょうの本会議でもちょっと申し上げたことでございますが、チェルノブイル事故というものは、他山の石としてそれを利用すると言っては語弊がございますけれども、あれを一つの実験と考えますと、極めて貴重な実験データを提供していると思うんですね。つまり、何人も人を殺したり何十人もの人を重篤な放射能症状にさせたりするということは本当の実験ではできないことでございますので、結果から言うとこれは非常に貴重なデータだと思うわけです。  広島と長崎に、昔ABCCと称していて、今、放射線影響研究所と称する施設がございまして、特に広島、長崎の原子爆弾の放射線が人体に与えた影響を長年にわたって追跡調査をしていたということは皆様よく御承知のとおりでございますが、そういうデータから、人体にどのくらいの放射線が当たった場合にはそれがどういう障害を与えるか、例えば、がんがどういうふうにどういうような率で発生してくるかといったような非常に貴重なデータを提供してきたと思うんですね。  ところが、数年前から、その広島の原爆の中性子とかガンマ線の線量の値がその当時考えていたものが実は相当狂っているんだということに気がつきまして、改めて広島の瓦の上にできている誘導放射能の強さを調べ直したり、何か大騒ぎをして改めてその線量を確立し、それによって昔からやってきたABCCの疫学調査的なものを書き直すといったようなことがございました。そういう苦労をしておられる方々の姿を見ますと、チェルノブイル事故というものはそういう方々にとっては非常に貴重なデータをたくさん提供しているというふうに考えられるわけです。  よかれあしかれ、今後人類というものはいろんな意味放射性物質とおつき合いをしながら暮らしていかなくちゃならないわけですから、そういうデータをちゃんと整えておくということは原子力の将来にとって極めて大事なことだと思うんですが、そのチェルノブイル事故の後で、そういうデータを獲得するため、ソビエトの方あるいはIAEAの方々がそういうデータをちゃんととるように何か日本政府としては措置をなさったかどうかということを伺います。
  36. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 先生指摘のとおり、疫学的データを集めましてそういうものを評価しておくということは極めて重要な課題であろうというふうに考えております。  それで、今先生指摘のソ連からの話でございますけれども、実は先生御案内のとおり、日本とソ連との間には科学技術協力協定という協定がございまして、それに基づきまして幾つかの分野の協力が行われているわけでございます。その中の一つに原子力があるわけでございまして、従来は核融合を中心にしてやられていたわけでございます。  それで、実はチェルノブイル後でございますけれども、六十一年九月にその協定に基づく日ソ科学技術協力委員会というのが開催されました。そのとき、先生の御指摘もこれありましたものですから、私どもはその場でソ連側に対しまして、チェルノブイル原発事故に関連した日ソ共同疫学調査という形で提案を申し上げた次第でございます。ただ、その場では明確な賛同は得られなかったというのが現状でございます。それで、さらにもう一回、しつこいようでございますけれども、翌年、六十二年十二月でございますけれども、同委員会が開催されましたときに、再度私どもの方から幾つかのテーマにつきましてソ連側に共同調査という格好で提案を行いました。  それで、その六十二年十二月におきましては、日本側は放射線医学総合研究所、ソ連側はソ連邦医学アカデミー全ソ放射線医学科学センターとの間でその課題につきまして共同調査を行おうという形で合意はされてございます。  それで、じゃ具体的にどういうことをやっていくかという内容を詰める段階になってきておるわけでございまして、私どもの方から提案したものでございますから、近く放射線医学総合研究所の方から、例えばセシウムの摂取量と生物学的半減期の問題等々幾つかのテーマを考えておりまして、そういうものの具体的協力内容をソ連に提案いたしまして、そこでもう少し具体化したいというふうに考えてございます。  一方、それは二国間の話でございまして、多国間といたしましては、一つは先生御案内のとおり国連に科学委員会、これは略すとそうなんでございますけれども、UNSCEAR、ユナイテッド・ネーションズ・サイエンティフィック・コミッティー・オン・ザ・エフェクツ・オブ・アトミック・レディエーションですか、アンスクエアと我々は略称で言っていますけれども、そういった会議がございまして、これがことしの六月にウィーンで開催されるというふうになってございます。  それで、そこにおきまして各国からチェルノブイルに関するそういったデータも提供されるというふうになっている次第でございます。これにつきましても、日本は放射線医学総合研究所が中心になりましてそういったものについて、日本のデータの取りまとめももちろんいたしますし、逆に各国からも出していただくという形で、日本からも参加してそういうものの収集あるいは国際的な協力の輪を広めるという形に努力してまいりたいというように考えている次第でございます。
  37. 伏見康治

    伏見康治君 前に申し上げたことがとにかく一応取り上げられて実行に移っているようで、大いにその線で推進していただきたいと心から希望いたします。  私自身が昔、原子炉の安全性、特に立地条件をつくるという作業の片棒を担がされたことがあるわけです。先日亡くなってしまいました藤波さんがまだ課長時代だったかな、に御一緒に仕事をして、原子炉の周りに勝手に人が入ってはいけない区域をつくるとか、あるいは人が住めないところをつくっておくとかいうような、そういう条件をいろいろ検討したことを思い出したんですが、その際に、私たちは原子炉から何か放射能を含んだ煙のようなもの、トリウムが外へ逃げていくときにそれがどういう行動をするかということを一応考えてみたことを思い出したわけです。その際に、畠山先生という気象学の大先生がおられまして、その先生が風の吹いている中でトリウムがどういうふうに変形していくか、またどういうふうに拡散していくかという大変難しい気象学的な方程式を立てられて、それでどのぐらい行けば放射能の雲がどれだけ薄くなるかといったようなそういう計算を非常にたくさんおやりになったことを思い出したんです。  ところが、この間のチェルノブイルのときのいろいろな情報を伺いますと、特にNHKの、現地というか、つまりスウェーデンあたりの話を聞きますというと、決定的な要因というのは、結局雨が降るか降らないかで放射能が地上に降るか降らないかが決まってしまって、上を通る放射性の雲から出てくるラディエーションなんというのはほとんど問題ではない、決定的な要因は雨であるということになってしまったようなので、私は昔やったことに本当に意味があったかどうかということをいささか反省させられているわけですが、そういう意味でのチェルノブイルからの教訓というものは何かありますか。
  38. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) チェルノブイルの場合にソ連で非常に雨の影響が大きかったというふうに報ぜられておりますし、この件につきましては、チェルノブイル事故の後、原子力安全委員会のソ連原子力発電所事故調査特別委員会においても取り上げられ、検討がなされております。  ソ連の場合、何分非常に大量の放射性物質が放出され、それが非常に広範囲に拡散したのは降雨による影響が大きかったのが一つの原因であるというふうに言われておるわけでございますが、我が国事故調査特別委員会におきましては、この問題につきまして、我が国の立地評価上の被曝解析における降雨の影響というものを再確認すべく降雨の年間出現頻度あるいは降雨率というものを考慮いたしまして、代表的なモデルについて試算を行ってみたということでございます。その結果、降雨によって地表面に沈着した放射性物質、これを考慮いたしましても全身被曝線量の増加は非常にわずかなものでございまして、現行の被曝解析手法、立地評価上の被曝解析手法は特に改める必要はないというのが日本事故調査特別委員会の結論でございます。  しかしながら、事故調査特別委員会では、一方において、放射性物質の大量放出の場合にはこのような雨による効果というものが存在するということを踏まえまして、防災対策に係る事項の一つといたしまして、事故時の環境放射線モニタリングの際にはその局所的な汚染というものに配慮することを指摘しておるわけでございまして、一つの教訓といたしまして防災対策の方の専門部会で検討を進めております。
  39. 伏見康治

    伏見康治君 そういう意味で、チェルノブイルの経験をいろいろな意味で将来のために生かして、その知識を有効に使っていただきたいと思います。  同じような意味で、シビアアクシデント、過酷事故というんでしょうか、つまり普通の工学的にあり得べきと考えられる事故以上の事故というものをやはり考えておかなくちゃいけないというわけで、過酷事故考えに入れた安全性の研究というものが行われているように伺っているんですが、そうでしょうか。
  40. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 原子力安全委員会におきましては、先ほど申し上げました事故調査特別委員会におきまして調査、審議の結果、原子力の安全性の一層の向上ということの観点から七つの項目について指摘をしたわけでございます。  現在、原子力安全委員会におきましては、これらのフォローアップといたしまして、シビアアクシデントに対する安全委員会の取り組み方、シビアアクシデントだけではございません、そのほか防災対策の充実といったようなものにつきましても現在それぞれの専門部会で検討を進めるということをいたしておりますし、また原子力施設等安全研究年次計画といったものを五年間についてつくり、それを毎年度見直しをしておりますが、その見直しを行いまして、本年度以降にこのシビアアクシデントという問題、あるいは人的因子あるいはマン・マシン・インターフェース、そういった問題も含めましてその研究を強化するということをこの年次計画の中に盛り込んだところでございます。
  41. 伏見康治

    伏見康治君 松井さんがさっき手を挙げたけれども、何か、もうないですか。同じことですか。
  42. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 全く内容は同じでございます。  もう一つ追加いたしますと、おっしゃるとおり安全研究というのは非常に重要だと私ども考えておりまして、今、石塚局長から話がありましたとおり、昔は原子力委員会原子力安全委員会が一つだった、そのころから原子力委員会のもとに原子炉施設の安全研究を分担する専門部会、これはスタンディングでございまして、もう昭和四十何年からやっております。  そういうところで五年ごとの計画をつくり、それを毎年レビューしていくという仕組みでやってございまして、そういう意味では、新たな事象、想像されないことが起きた場合であるとか、常にそういうものに対する研究という形で入れ込んでそれを行っていくという仕組みでやっておりまして、そういう意味では今度のチェルノブイルにつきましても、そういったものの必要な研究というのはそういう安全研究年次計画の中に入れ込んでやっているというふうに考えております。
  43. 伏見康治

    伏見康治君 また話が変わるんですが、いわゆる死の灰、後に残る放射性物質の始末というものは何といっても頭の痛い問題でございますが、現在のようなやり方で化学処理でそれをまとめてガラスの中に溶かし込んでどこかに置くといったような構想のほかに、放射性物質そのものをもっと性質のいいものに変えてしまう、例えばもっと寿命の短いものに変えてしまうとか、できれば安定な原子核に変えてしまうといったような放射能の消滅処理という考え方が原理としてはあり得ると思うんですが、それに対する研究というものも何かやっておられるように伺ったんですが、ちょっと説明していただけるとありがたいんですが。
  44. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 特に放射性廃棄物でも高レベルの放射性廃棄物の問題かと思います。  その中にはいろいろな核種が含まれているわけでございまして、例えば非常に強い放射線を出すけれども半減期が短いもの、あるいは比較的弱いけれども非常に半減期の長いもの、あるいは有用な金属等が入っておるとか、そういうものがごっちゃになって現在はあるわけでございます。そういうものを性質で分けまして、群分離と我々言っておりますけれども、幾つかのグループに分けるということ。それで、そのうちのあるグループ、例えば放射線の半減期が非常に長いもの、こういうものはできれば消滅処理と申しまして、安定な核種に変換する。そういうようなことができないだろうかということのアイデアは昔からあったわけでございます。  それで、現在私どもそういうものにつきましても、昨年の六月原子力委員会でまとめました長期計画におきましても、そういうものはやはり基礎的研究として重要であるという認識でいろんな施策を展開すべきであるという考え方をとっておりまして、具体的に申し上げますと、現在これは主に日本原子力研究所とそれから動力炉・核燃料開発事業団、この辺が分担してやっておるわけでございます。でございますけれども、原研の方におきましては専焼炉、専焼原子炉と申しますか、核種を変換するためにつくった原子炉といいますか、そういったものを用いて核分裂をさせてそこで核種を変換して消滅処理してまいる、そういう方法がないだろうか。あるいは加速器を用いまして、その加速器によって核破砕を行うというような方法がないだろうか。そういうようなことを原研が研究を行っている。  一方、動燃事業団は、ガンマー線を用いました光核反応といいますか、そういった新しい方法で例えばストロンチウムとかセシウム、そういうものが消滅処理できないだろうかというような技術、そういうものの研究を始めておるわけでございます。  さらに原子力委員会におきましても、そういった長計はつくりましたけれども、今後、具体的に言えば放射性廃棄物問題いろいろとありますものでございますから、放射性廃棄物対策専門部会というのをつくりまして、そこの中で技術分科会のもとにそういった群分離・消滅処理技術検討委員会、こういうものをつくりまして、そこでさらにそういった技術の調査研究といいますか、を始めておる次第でございます。  ちなみに予算を申し上げますと、原研、動燃両方合わせてでございますけれども、六十二年度が一億三千三百万でやっておりましたけれども、六十三年度はかなり増額いたしまして二億八千四百万というような額に倍以上にふやしまして、少しそういった研究も強化しようかなというふうに考えているところでございます。
  45. 伏見康治

    伏見康治君 通告はしていないんですけれども、きょう本会議でやったことをもう一遍伺いたいんですが、固有安全炉の研究というものをどういうふうにやっているか。高温ガス炉といったような言葉がちょっと本会議では出てきたわけですが、その辺もうちょっと詳しく説明していただけるでしょうか。
  46. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 先生御案内のとおり、現在の原子力発電所におきましても、固有安全性というんですか、そういうものを持たすようには設計、製作、運転しているわけでございますけれども、いずれにしろ安全の確保ということは非常に重要な問題だと、こういう考え方から、最新の知見、科学的知見、そういうものが得られた場合にはなるべくそういうものを安全の方にフィードバックしていくということが大事であろうという考え方で、現在、炉の保有する、何というのですか、物理的特性を可能な限り生かした受動的な、あるいは静的な安全防護系、そういうものを採用するという方法があるんじゃないかという形で固有安全炉というものの研究を進めるということも重要であろうという認識でございます。それで、これも先ほどの原子力委員会の長期計画に戻りますけれども、やはり同じような認識でそういったものをちゃんと基礎研究でしっかりやるべきであるということでやっております。  先生御案内のとおり、各国におきましても軽水炉のあの型でもって固有安全性を高めたタイプの炉、それからモジュラー型の高温ガス炉タイプの炉、あるいは高速炉でもってより安全なモジュラー型のタイプの炉、そういった研究というのはいろいろと進んでいるわけでございます。  それで、日本考えておりますのは、一つは、軽水炉につきましてはメーカーもいろいろと基礎研究はやっていると思いますけれども、国といたしましては日本原子力研究所が中心になりまして軽水炉タイプでより固有の安全の炉ができないだろうかといった調査、設計、研究というんですか、そういうものを始めているところでございます。  それからもう一つ、高温ガス炉でございますけれども、これにつきましても比較的中小型の安全炉ということは前から言われているタイプの炉でございます。それで、日本としてもそういったものの重要性を認識していまして、ひとつ日本としてもやっぱり独自に自前でそういうものをちゃんとつくって運転してみることが大事じゃないかということで、日本原子力研究所におきまして、従来多目的高温ガス炉というアイデアであったものを変換いたしまして、むしろ将来のことを見まして、高温ガス炉技術の基盤の確立あるいは高温ガス炉技術の高度化あるいは高温工学に関する先端的研究、そういったようなものを目的といたしました、高温工学試験研究炉というふうな名前で我々言っておりますけれども、そういった炉をつくろうということで本年度の予算でも実施設計等のお金をちょうだいいたしておりまして、これから着実にそういうものを進めていきたいという形で、新しいいろんな知見につきましてはなるべく吸収いたしましてそういうものを反映させていきたいというふうに考えているわけでございます。
  47. 伏見康治

    伏見康治君 また話を常識的な方へ返したいんですが、先ほど消滅処理の研究があると言われた高レベルの廃棄物の処理処分、消滅処理というのはやや遠い将来のお話だと思うんですが、さしあたって高レベル廃棄物というものをどういう方法で処理処分するか、それの現在の考え方みたいなものを教えてください。
  48. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 現在の高レベル放射性廃棄物の処理処分の基本的な考え方でございますけれども、再処理工場で使用済み燃料から分離されたいわゆる高レベル放射性廃棄物につきましては、これは液体でございますものですからまず安定な形態に固化しようと。その場合に使う手段としては、現在ガラスでやろうというふうに考えております。もちろんアイデアとしてはオーストラリアが持っておりますシンロック方式とか、岩石に似たようなものにしようとか、そういうアイデアもございますけれども、基本的に世界各国、日本もそうでございますけれども、ガラスで固化しようというふうに考えています。  先生御案内のとおり、ガラスというのは多種類の元素を均一に溶かし込むということで非常に安定的にその中に封じ込められるという性質がございますし、長期間にわたって安定な物質である。それからもう一つは、ガラスについては、人類がかなり古くから使っておりますものですから、そのプロセスに関しての非常に完熟度が高い。そんなようなこともございまして、世界的にガラスで固めようというのが一般的になっております。  固めたものにつきまして、次が、まだ放射能物質がかなりあって発熱するものでございますから、地下に埋めるためには大体百度ぐらいまでに温度を下げた方が望ましいということで三十年から五十年間ぐらい、これは多少燃焼度によって違うものでございますから三十年から五十年と幅があるわけでございますけれども、ぐらい貯蔵いたしまして、その貯蔵した後にそれを今度は地下数百メーターより深い地層に処分をする。これが基本的な考え方でございます。  これにつきましては我が方、日本といたしましても、まずガラス固化につきましては動燃事業団を中心にいたしまして、日本原子力研究所も一緒にやっておりますけれども、十数年の長いガラス固化の技術の研究開発を進めてございまして、ことしから予算をいただきまして、昭和六十五年度に試運転が開始できるようにガラス固化プラント、これは具体的に現在動燃事業団の再処理工場にあります放射性高レベル廃棄物をそこでガラス固化しようという形で、そういう施設の建設に着手したいというふうに考えているわけでございます。  それで、三十年から五十年貯蔵した後に地下に埋めるわけでございますけれども、ただ地下に埋める場合にも、まだ私ども地層の中の深いところのいろいろと岩体とかあるいは水理とか水文とかわからないことがございますものですから、それについてはまたこれから大いに勉強しなくちゃいけないということを考えております。  そういうことで、着実に将来そういった形で安全に処分をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 伏見康治

    伏見康治君 簡単な質問ですが、ガラスにもいろいろなガラスがあるんですね。普通の安いガラスはソーダガラスですが、何かガラスによっては水で洗っても外へ抜け出るものが非常に少ないガラスがあるといったような話を聞いたことがあるんですが、そういう研究も行われているわけですか。
  50. 松井隆

    政府委員(松井隆君) ガラスにつきましては、現在考えているのは、いわゆる硼珪酸ガラスと申しますか、それを考えてございます。これの特色は、いわゆるビーカーとか試験管とか、そういった理化学用ガラスとしてかなり用いられているガラスでございます。これは水や薬品に対しまして非常に耐食性にすぐれているという特色があります。それから同時に耐熱性にも非常にすぐれておるということで、高温にさらされてもかなり丈夫にしっかりもとのままでもっているという特色がある。それからよく窓ガラスに用いられているソーダガラス、先ほど先生の言われたソーダガラスは窓ガラス等に用いられているものでございますけれども、そういったものに比べてガラスの溶融温度を低くすることができるということで、プロセス材料技術と申しますか、そういうものをつくる過程における材料の負担を軽減することができるとか、そういった幾つかの特色がございまして、今のところ大体硼珪酸ガラスということを考えている次第でございます。
  51. 伏見康治

    伏見康治君 これは余談ですけれどもチェルノブイル事故のあったときに、あるロシア人が日本でゼオライトをたくさん手に入れる工夫はないだろうかと。ゼオライトというのは、ガラスと同じように結晶の中に洞穴がたくさんあっていろんな外からの物質を吸着してくれる材料ですね。ガラスに限らず、私はもっと広い視野から、いろんな物質を中に内蔵してくれるような物質を探すべきだというような感じもするんです。ガラスにこだわる必要は必ずしもないんじゃないか、話は別ですが。  もうそろそろ時間が迫ってまいりました。  今は非常に強い方の廃棄物処分のお話を伺ったんですが、逆に今度は、非常に汚れ方が薄くて、殊に放射性物質の寿命が短くて、初めは確かに放射性物質で汚れていたけれども今はディケーしてしまって計数管にもかからないといったような弱い放射性物質というか、汚れ方の非常に薄いものがあると思うんですが、そういうものの処分方針はどういうことになっているんでしょうか。
  52. 松井隆

    政府委員(松井隆君) 先生指摘のとおり、同じ放射性廃棄物と申しましても非常に極端にレベルの低い放射性廃棄物もあるわけでございます。それで一つの想定でございますけれども、今後原子炉の廃止措置というのをやった場合には当然そういうものがかなり出てくるであろうということも予想されるわけでございます。  それで、昨年の六月の先ほど申しました原子力委員会の長期計画でのこれに対する認識でございますけれども、放射能レベルに応じた合理的な処分を行うこと、このための基準の整備等を進めることとするということが重要ではないか、またこれらの廃棄物については一定の条件を付して再利用の道も開くものとし、このための研究開発等を進めるということで決まっているわけでございます。  それで、このような方針を受けまして、主として現在日本原子力研究所を中心にやっておるわけでございますけれども、極低レベル放射性廃棄物の合理的処分にかかわる安全性の試験、それから原子炉施設等の解体によって発生する廃棄物の再利用技術の開発、そういうものを今進めているところでございます。  なお、具体的に今後どういうふうに進めていくかということにつきましては、原子力委員会の長計は非常に大きな方針を示しているだけのものでございますから、昨年十一月から原子力委員会に先ほど申しました放射性廃棄物対策専門部会というのをつくりまして、そういうところで今検討を進めているというところでございます。
  53. 伏見康治

    伏見康治君 そういうことを考える上においてICRP勧告の、どういう放射線のレベルまでは許されるかというその数字が非常に大事なものだと思うんです。このICRPの勧告が随分長い間たなざらしになっていていまだに国内の法規の中に反映されていないように伺っているんですが、それはどういうふうになっているんでしょうか。
  54. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘のとおり、極低レベルの廃棄物であって規制の対象を除外できるレベルはどういったレベルに設定すべきかといったことにつきましてはIAEAにおきまして引き続き検討中でございますが、原子力安全委員会におきましてもこの値につきましてはそういった国際的な動向も踏まえまして現在専門部会で検討を行っておるところでございます。  また、この濃度値を検討するに当たりましてはいろいろな検討項目がございます。例えば対象とすべき廃棄物の種類あるいは形態をどういうふうに分類していくかという問題とか、あるいは線量評価モデルをどのように設定していけばよろしいかという問題、あるいは測定できる下限値、あるいは自然の放射能レベルとの関係をどのように考えるか、そういった多様な問題がございまして、こういったものを現在総合的に検討を進めているという段階でございます。
  55. 伏見康治

    伏見康治君 そろそろ時間が終わりになりますが、実は長官、きょうの本会議で質問する予定だったものが議長さんに時間超過と言われて割愛しちゃったのがありますので、ここでそれを復活させたいんですが、よろしいでしょうか。  人間はよかれあしかれ放射能というものを発見してそれを使う道を発見してしまいましたので、放射能とつき合うということが必然になっているわけです。それは嫌だと言って逃げるわけにいきませんで、これを我々の生活の中に取り入れてそれから受ける害をなくして利用すべきところは利用していく、そういう立場をとらざるを得ないと思うんですが、大抵の方が、放射線というものは目には見えないし肌には感じられませんので、何か要するにわからないもの、わからないものは非常に恐怖心をあふるものでありまして、それが原子力に対する嫌悪感というものを助長していると思うんですね。  私は、これからの人類というものは放射線と共存していかなけりゃならないはずなので、もう少し私たちが身近なものとして放射線を知る必要があると思うんです。そのためにはごく簡単な計測機器、いわばガイガーカウンターみたいなものをもっと安く大量生産してそこらじゅうに配って、どなたでも簡単に放射線をはかれる――例えば近ごろ、チェルノブイルのおかげでヨーロッパ諸国から入ってくるチーズが大抵汚染しているというようなお話がありますね。そうすると、それをどこかしかるべきところにはかってもらうんじゃなくて、手軽に皆さんが自分ではかってみられる、そして納得してヨーロッパのチーズを召し上がっていただくといったようなことができれば私は非常にいいと思うんですが、そういう意味で測定器、放射線検出器というか、そういうものを普及するということをひとつ考えていただきたいと思うんです。  そこで、それに関連してもう一つ、私の友人が人にしきりに運動しているお話をちょっと御紹介申し上げておきたいと思うんですが、ミュンヘン工科大学で原子核物理をやっております森永晴彦さんという方がおられます、元東大教授で途中からドイツへ行っちゃった人ですが。この人がドイツで研究している間に加速器を使ってアルゴンの42というのをつくることができるようになりました。これは全く新しい放射性物質なんですが、そのアルゴンの42というのは割合に寿命が長くて、一遍つくってそれをボンベの中へ詰めておきますというと長く放射性物質としての性質を持っているわけですが、その中に針金を突っ込んでやりますとアルゴン42が崩壊してできるカリウムの42というのがその針金の表面に沈殿してまいります。カリウムの42というのは寿命が、正確な数字忘れてしまいましたが、せいぜい一日ぐらいの短い寿命のものでございます。  それで、例えば田舎のお医者さんにそういう装置、要するにアルゴン42を入れたボンベを備えておいていただいて、その中に針金をつけておいていただいて、カリウムの42が欲しくなったときにその針金を抜いていただいて例えばコップの水の中につけますというと、これが放射性のカリウムの溶液になるわけです。これは極めて弱くて寿命が短いものですから、放射線障害という面では全然問題にならないんで、その水を例えば患者さんに飲んでいただいてそのカリウムがどういうふうに体の中で伝わっていくかといったような追跡はお医者さんとしてできるわけですね。  そういうわけで、極めて手軽に田舎のお医者さんでも放射性物質をトレーサーとして使える可能性があるわけでして、そういうやり方で放射性物質というものを国民生活の中に普及していくということによって放射線時代に対する国民の心構えが養成されるのではないかというのが、我が友森永晴彦君の年来主張している点なんでございます。  その森永さんの言うことをそっくりそのまま受け取るかどうかはまた別問題ですが、その方針ですね、つまり放射性物質を簡単に検出できる放射線検出器を普及していただいて、放射線を身近なものに感じていただくということがこれからの原子力時代に大変必要なことだと思うんですが、長官のお考えを伺いたいと思います。
  56. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 技術的な問題もありますので、もし不十分でしたら政府委員の方から補足をさせていただきますけれども先生の年来の御主張でございます、人類が放射性物質と共存を余儀なくされているんで、その共存体制を安定的に持っていくためには、家庭にちょうど体温計や血圧計のようなそういう簡便な放射線検知器を備えつけるべきだという御提案、私も傾聴に値する御提案だと考えます。  全体としても学校、保健所あるいは警察等、そういう方向にこういうものを取り備えるべきだという方向に進んでおりますけれども先生の御提案も十分検討させていただく案と存じますので、関係省庁と相提携して御趣旨の実現のために検討さしていただきたいと思っております。  なお、不十分でございましたら政府委員の方から補足をさせていただきます。
  57. 伏見康治

    伏見康治君 時間が参りましたので……。
  58. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 私は、まず最初にPPの問題から順番に伺っていきたいと思いますが、核ジャックなど絶対許さないということ、これは当然のことでありますし、そのための核物質防護ということは大事な課題であります。  ところで、その点では核についての情報を公開して、そうして従事する科学者、研究者、労働者はもとより、広く国民監視によって防護するということが一番大事な観点だと思うんです。原子力三原則の一つ、公開の原則が防護考える上でも極めて大事な問題であり、その保証を明確にするということが必要であると思いますが、まずこの基本的な問題から長官のお考えを最初に伺っておきたいと思います。
  59. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘の公開の問題あるいは研究者の自主性の問題、こういったことは、やはり我が国原子力基本法の中の三原則ということで、日本原子力の研究、開発、利用の基本であるということで規定をされておるわけでございますので、核物質防護のための諸施策を進めるに当たりましても、この原則につきましては十分に遵守し守っていくということが非常に重要であろうというふうに考えております。
  60. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 また、あわせまして、原子力施設の科学者、研究者、労働者の皆さんの自主性とか、それから専門研究の自由とか自治の保証というのが、みずから防護についての自覚を高め核防護をより確実にしていくという点で大事な問題だと思うんです。  ところで、核防条約があって国内法としての本法案でございますが、この条約と不可分の一部である附属書I、IIから成るということがこの核防条約で示されているわけですが、この附属書のIの中では第一群で、信頼性の確認がされた者のみが出入りできる、こういうことが示されております。実はこういう点では、米軍などではそれが非常に問題になってくるわけですが、軍事施設に見られるような信頼性のチェックということで、個人の宗教とか思想信条とか人種とか出身についてチェックをするような人間に対する不信から出発したのでは、自覚的な防護は生まれないというふうに思うわけです。この点について、関係者、国民の自覚的防護の必要性、またそのためにも信頼性のチェックということで人権が侵害されるようなことは絶対あっちゃならぬということ、この点を確認しておきたいと思いますが、いかがですか。
  61. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 昭和五十五年の原子力委員会核物質防護専門部会の報告書にございます「事業者等の措置すべき核物質防護要件」におきましては、核物質防護のための区域の出入り管理に関するものといたしまして、臨時に当該区域に出入りを行う者につきましては事前に信頼性の確認を行った上で許可を与えた者、そういう人に制限すべきことということになっておるわけでございます。ただ、ここで言う信頼性確認とは、あくまでも臨時に区域への出入りを行う者に対するものでございまして、具体的には身分証明書等によります身分の確認及び防護区域への出入りの必要性、そういったものを確認すれば足りるということでございます。  したがいまして、通常の事業活動を遂行するに必要な限度、すなわち核物質の取り扱い等特定の活動を行うことについてその当該者が認められているかどうか、そういった確認を行えば足りるということでございますから、御指摘のような人権を侵害する、そういった問題につきましては、私ども何ら心配はないというふうに考えております。
  62. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 その点は非常に大事な点ですので、確認しておきたいと思います。  特にこの信頼性の確認については、本当は基準が問題なんですね。この基準、方法、判断をするのは一体だれかとかライン上の権限とか、どの場所で確認をするとか、この点は多くは府省令にゆだねられ、あいまいな部分がございます。しかし、特に信頼性のチェックで今おっしゃっておられるのは、あくまでも臨時の立入者に対してのみだと、こういうことでございますので、この点を確認して、次に行きたいと思うんです。  米国で実際に行っている信頼性チェックのやり方というのは随分厳しいものでございますが、アメリカの要請があったら答弁を変えてアメリカ並みにするということになると、これは随分心配なわけです。日米原子力協定によるアメリカの対日規制権がこの信頼性確認の方法にまで入ってくるのかどうかという点、この点だけは、いささか気がかりな点でございますので、そういうものは及ばないという、こういう立場かどうか、この点を確認しておきたいんです。
  63. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘の日米原子力協力協定の実施と今回の法案とは、特に何ら関係はございません。したがいまして、日米の方の協定の中での規定というのは、そのために必要な法律改正をここで行っているという趣旨ではございません。
  64. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 そのとおりなんですが、この協定によって、日本においても信頼性確認の方法についてアメリカのようなやり方というのをとってもらいたいとかそういう要望が仮にあったとしても、これは日本日本のやり方で従来どおりやっているんだからそういうことはいたしませんということは、これははっきり答えられますね。
  65. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) どういう方法で信頼性の確認を行うかにつきましては、それはそれぞれの国の国情で決まることでございまして、アメリカが日本信頼性の確認についてあれこれ言うということはないと思います。
  66. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 また、IAEAのINFCIRCレビュー1、これと原子力委員会PP指針とを比べますと、信頼性確認の区分が違っていて、日本原子力委員会PP指針の方がかなり厳しい内容。つまり、例えば同じ研究所の職員が自由に交流し合って研究していく上でカテゴリーII、IIIの区分まで日本では事実上Iの区分が適用となりますね、内容を見ておりますと。そういうことは必要じゃないと思うんですよね。カテゴリーIIやIIIのものを扱うのにまで、事実上Iのカテゴリーの区分で示された取り扱い。余りにも厳しくすると、これは同じ研究者の自由な交流を妨げるという問題が出てくるわけです。この点についてはいかがお考えですか。
  67. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 原子力委員会の専門部会の報告書におきましては、核物質防護のための区域の出入り管理に関するものといたしまして、臨時に当該区域の出入りを行う者は事前に信頼性の確認を行った上で許可を与えた者に限り、そういった者に制限するというふうにされているわけでございます。  また、IAEA勧告におきましては、まず使用中、貯蔵中の核物質防護要件の冒頭におきまして、総論の部分におきまして、常時核物質に近づき、または諸施設への出入りを許可されるすべての人の信頼性の事前確認を要求することと、そういった記載がございますとともに、区分Iそれから区分IIの核物質使用あるいは貯蔵の要件といたしまして、内部区域への出入りは信頼性を事前に確認された者及びそのエスコートを受ける人たちに限られるべきであるとされまして、防護区域にかかる出入り管理に関する核物質防護上の重要な事項としてこの信頼性の確認が取り上げられておるわけでございます。  上記専門部会の報告書の信頼性の確認に関する要件はこのようなIAEAの勧告に対応するものでございまして、我が国の国情に即して原子力委員会においてこのような決定がなされたということでございます。
  68. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 あくまで臨時の立入者についてというお考えから出発しているということであって、再度確認しておきたいんですが、そうすると、この表のII、IIIの区分のものについても、これは区分Iの場合と同じような扱いというより、研究所の内部においては研究者の自由な交流を妨げるようなやり方というのは運用の面において絶対しないということ、そういう意味ですね。そういうふうに確認していいですね。
  69. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 日本におきましては、I、II、III、それぞれのすべての区分につきまして、臨時に立ち入る者についてのみそういった簡便な信頼性の確認という手続を今のところ考えている次第でございます。
  70. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 原子力委員会PP指針というのがありますけれども、これはIAEAのよりかなり厳しいものだと思いますが、今おっしゃったように、臨時の立ち入りの者に限りということで、研究所内部の研究者たちの自由な交流を妨げないものと、こういうふうに確認されたものと私は理解しますので、次にほかのことを伺いたいと思います。  原子力機関に働く者の人権とか基本的権利の尊重、これは当然のことなんですが、またこういう観点からいたしますと、このPPについて、これを進めていくことと同時に、そのことによる行き過ぎをチェックするということの必要性ですね、核防護は大事なことですが、余りにも核防護が行き過ぎてしまうとまた問題が出てくる場合がありますが、例えば職場には使用者それから労働者側の代表が入った労働安全衛生委員会とかこういうのが通常つくられますが、またこういう点では既に原子力研究施設の中ではそういう労働者代表が入ってこういうPP問題について検討しているところもありますが、労働安全衛生委員会とはもちろん違う性格のものですが、このPPについてもそういうふうに進めることと同時に、行き過ぎをチェックするという機関なり体制なりを、やはり研究者なり労働組合代表なりが入った、使用者側も入った機関を設けて、学問研究の自由とか自治、これがPPと矛盾を来さないようにする措置が非常に大事なことじゃないかと思うのですが、この点についてお考えを伺っておきたいと思います。
  71. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 今回のそれぞれの核物質防護上の要件、これは原子力委員会が決めました基準、そういったものをベースとしてやっていただくということになろうかと思います。  そこで、そのそれぞれの防護はそれぞれの事業者が責任を持って事業所内でやるわけでございますけれども、そういったもの、そのよりどころとなりますそれぞれの基準、ただいま申し上げましたとおり、そういったものを制定するに当たりましてはその時点でもまた原子力委員会の御意見を十分に尊重して決めていくということになっておるわけでございます。  今回の法改正は決して従事者の人権を侵すというような性格のものではございませんし、またその運用に当たりましても、間違っても従事者の人権が侵されるということがないように十分事業者を私ども指導し、万遺漏なきを期していきたいというふうに考えております。
  72. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 そういうことがあっちゃならないということで、おっしゃるとおりなんですが、ただ問題は、核防護ということと同時に、一面この防護が行き過ぎますと、気がかりな問題と申しますか、人権なり基本的権利にかかわる問題が出てくるという場合がやはり懸念されますので、PPの問題というのは非常に微妙な問題を持っているんですね。核ジャックその他から防護する上で厳正にやらなきゃいけないという面とともに、それが行き過ぎると、その内部の研究者、労働者の人権なり基本的権利にかかわる問題、非常に微妙な問題を抱えているわけですね。にかかわる問題です。ですから、そういう点では、学問研究の自由や自治がこのPPと矛盾しないように、原子力委員会のお話今おっしゃったわけですけれども、同時にそこには、その施設使用者側と同時に労働組合代表なども入った機関などを設けてそういうことを行き過ぎがないようにチェックしていくという体制も、これは非常に微妙な問題だけに私は非常に大事な問題じゃないかと、こういうふうに思うわけです。この点のお考えを伺っておきたいんです。
  73. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 事業者によって具体的にどのような方法がとられるかということにつきましては、これは個々の事業所の事情に応じまして様々のケースがあると思いますけれども、いずれにいたしましても、核物質防護のための措置、これが当該事業所において事業に携わる人々の相互協力の関係のもとで適切に講じられていくというのが基本であり、望ましい姿であろうと思っております。
  74. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 そこで、その相互協力の関係なりそれを体制的にも保障するものとして、やはり労働者、労働組合代表とかそういう代表も入った機関を設けてこういうものを進めていかれる、行き過ぎをチェックするように、それはぜひ考えていただきたいと思うんです。  また、核物質防護管理者の選任に当たって、天下りとか横滑り、警察、防衛庁など部外者でなく、原子力機関に従事する職員から選任するということは必要であり当然のことだと思うんですが、この点はよろしいですね。
  75. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) そのとおりでございます。
  76. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 次に、私、実は先日、動燃へ調査に行きましたけれども、動燃といいますと、事業団法第一条で「原子力基本法に基づき、平和の目的に限り、」となっているわけですが、また、その根拠法となる原子力基本法は、先ほど来局長も確認されたように、第二条では「基本方針」として公開の原則がもちろんうたわれているわけですが、動燃といえば国の特殊法人であり、そして動燃のウラン濃縮の予算などは科学技術庁の方から毎年二十八億とか二十二億とか出しているわけですが、実はここの濃縮ウランのプラントですね、これを見に行ったときに気がついたんですが、そもそも動燃など日本原子力の研究開発等に携わっている機関において、これは法にあるように私は公開が原則だと思うんですが、このとおりでいいんですね。
  77. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) いわゆる公開の原則につきましては、これは原子力基本法の精神にのっとりまして、原子力平和利用を確保するとともに原子力の安全性についての国民の理解を深める、そして原子力の研究開発及びその利用の促進に寄与するというのがこの公開の原則の趣旨でございます。  しかしながら、公開の原則の適用に当たりましては、財産権の保護でございますとか、あるいは核不拡散上の観点からのノーハウ、あるいは商業機密、あるいは核不拡散上あるいは核物質防護上の機微な情報につきましては、従来から慎重な取り扱いを行っておるところでございます。特にプルトニウムの管理状態あるいは侵入警報装置の設置場所、あるいは今御指摘濃縮ウラン施設、そういった核物質防護上機微な情報につきましては、それがすべて公開されてしまえばやはりこれはかえって核物質防護の実効上の問題が出てくるというふうに考えておりますし、また、ひいては我が国原子力平和利用というものが担保されないというようなことにもなりかねないと思うわけでございます。  このような観点から、核物質防護上の情報の管理につきましては、その必要性について既に原子力委員会核物質防護専門部会におきましてもその点が述べられておるところでございます。こういった観点から、核物質防護に係る機微な情報についての不必要な分散を抑制するということは、これは原子力基本法に言う公開の原則に反しないというふうに私ども考えておるわけでございます。  以上でございます。
  78. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 今おっしゃったのは機微なものですね。どこに警報装置がついているとかそういう機微なものについては公開しない部分もあるという、こういうお話ですね。公開はあくまで原則でしょう。
  79. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 原子力基本法が規定をいたしております公開の対象は、研究開発の成果を公開するという趣旨であるかと思います。
  80. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 濃縮ウランプラント、工場ですね、その機微な部分、今おっしゃったように警報装置であるとか、どこに何がついているとか、それはおっしゃるとおりだと思うんですが、しかし、濃縮ウラン工場そのものが公開が原則か非公開が原則かとなれば、動燃事業団の事業団法によっても、その根拠法によっても、これは原則は公開ですね。私、そのことを言っているんです。
  81. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御案内のことかと思いますけれどもウラン濃縮の技術、これは技術といたしましては非常に機微な技術ということになっておりまして、ウランを濃縮することにより核兵器の材料をつくることができるということになっておりますので、ウラン濃縮の技術というもの、ひいてはプラントにかかわります情報、そういったものは私どもはやはり機微な情報として核不拡散上の配慮から十分慎重な取り扱いが必要であるというふうにこれまで対応しております。
  82. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 そうすると、原子力施設の個々の施設についてのPP検討を今しているわけですけれども、このPPをはるかに越えてしまって、もともと施設そのものが機密であるから見せないということになってくると、PPにかかわるこの法律上の部分と全く別な世界がさらに広がっているということになるんですが、そういうことでいいんですか。
  83. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 核物質防護上管理すべき情報と、それからただいま申し上げました核不拡散上管理しなければいけない情報、これは別のものでございまして、私ども核物質防護上のいろいろな手当てをしていく際に注意しなければいけない情報というのは、核不拡散のための情報を指しているものではございません。
  84. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 濃縮ウラン工場があって、機密にしたい部分、ノーハウの部分とかそういう部分、工場全部がそういう部分じゃないでしょう。工場全部が全く非公開、こういうことでいいんですか。
  85. 松井隆

    政府委員(松井隆君) ここにウラン濃縮をする工場がある、これ自体はオープンでございます。ただその中で、例えばここの部分は核不拡散上困るとか、あるいはPP上困るとか、そういうことはあり得るかと思っております。
  86. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 そうですね。おっしゃったとおりが私原則だと思うんです。  だから、ウラン濃縮工場そのものは原則公開ですね。その中の部分によっては機密を要するといいますか、ノーハウにかかわる部分とかでどうしてもこれは非公開にしておきたい、あるいは機微な情報にかかわるそういう部分があるということですね。大事な点ですので再度ちょっと確認しておきたいのですが。
  87. 松井隆

    政府委員(松井隆君) そのとおりでございます。
  88. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 ただ、現実には動燃の工場というのは事実上、私結局この間お話をしまして最終的に見てもらいましょうということになりましたけれども、科学者、研究者といえども簡単に入ってもらっては困るんだということで、何ですか、私行きましたときにお聞きしますと、副所長さんまでが、実は私も見せてもらえないんですよと言っておられて、日本原子力研究開発の中で工場丸ごと入れないということで既に原則公開が破られているということは、これはPP関係の問題に先立って既に非公開の部分が広がっているということで非常に大変な問題だということを感じた次第です。特にこれは国の特殊法人ですね。そして何も秘密に核兵器を開発している研究機関じゃないわけですから、やはりそういうところから次々と原則公開が崩されていくということが非常に大変な問題なんだということを私は指摘しておきたいと思うわけです。  動燃の話に入りましたから動燃について少し触れておきますと、話変わりますけれども、放射性沃素129が通常の百倍から二百五十倍も高い値で検出されたということ、これは科学技術庁の放医研が発表されましたけれども、動燃の希ガスフィルターの性能などを伺うと九九・八ないし九%フィルターの効果が出ているんだというお話のようですが、実は現在の動燃の再処理の計画能力に対して稼動状況というのは約二〇%ですね。ですから、さらにこれが一〇〇%稼動になればどうなるかというのは、これはこの間の検出値の五倍ですから五百倍から一千数百倍ぐらい高い濃度で出てくるという勘定になりますし、また青森県六ケ所村で核燃料サイクルが計画されて、そこの再処理工場の建設計画によると、日本原燃サービスは今処理能力年間八百トンの計画ですか、これでいくと動燃東海でかなり高性能のフィルターを使われても出てくる放射性沃素は六ケ所村であればバックグラウンド値の二千倍から五千倍ぐらい出る、こういう問題も出ようかと思うんですが、それでも基準値に比べて大丈夫だというお話かもしれませんが、問題は人体ですね。放射性沃素129が蓄積されていったときの蓄積量と障害の関係について、せっかくの機会ですので、動燃でこういう問題検出されていますので、この点についてはどういうふうに検討を進めておられるか、この点だけ一点お聞きしておきたいと思うんです。
  89. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 今御指摘の動燃の周辺におきまして検出されました沃素129についての安全性の評価の御質問でございますが、この検出されました沃素129の濃度はごく微量でございまして、住民の健康には全く影響のないレベルでございます。  ちなみにICRPの勧告値、これは十六歳末満の子供の甲状腺に対する線量限度でございますが、これは千五百ミリレムというふうに決められてございますが、それに比べまして、幼児の甲状腺に対し今回の値ではこれは〇・四ミリレムにしか相当しないわけでございます。また、再処理工場の現在の運転状態、これが今後継続するといたしまして、実際は雨によってどんどんまた流されていくという効果もございますけれども、それを無視しかつ五十年間にわたって蓄積が継続すると仮定いたしましても、五十年後における幼児甲状腺に対しましては一ミリレム以下であるというふうに計算されるわけでございます。  安全審査の時点での評価値、これは二百十トン処理という仮定で計算しておるものでございますが、これは幼児甲状腺に対しまして約九ミリレム・パー・イヤー、これは二十年間の土壌への蓄積を考慮してこういった値が計算されておりますが、こういった値、それからICRPの勧告値でございます先ほど申し上げました千五百ミリレム、こういったものに比べましてもいずれも非常に小さい値であるということが言えようかと思います。
  90. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 私は、大事なことは、基準に合って安全であるとかいうことよりも、随分努力はされたにしても、性能を高めたにしても、動燃の希ガスフィルターからもなお漏えいがあるということ、そういうこと自体が問題だと。それに対して安全だ安全だと言うこと以上に、それに対する対策をどのようにパーフェクトを目指して取り組むかというその発想こそ私は科技庁に今求められる課題じゃないかと思いますし、そのことを指摘しておきたいと思うんです。  時間があれですので、外務省に来ていただいておりますので外務省の方も含めてお伺いしたいんですが、横須賀市で原子力潜水艦事故対策が今問題になっております。地域防災計画がつくれない状態に今あるわけです。チェルノブイリのような事故が入港中の原潜で起こったときに国や県はどう対応するのかということが今問題になっておりますが、この点はどうですか。
  91. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 原子力推進艦が横須賀港に入ります際の安全対策についてのお尋ねだと承知いたしますが、米側は累次にわたります政府声明あるいは覚書等をもちまして原子力の安全性を保証いたしまして、また米国の港においてとられております安全上の措置は厳格に日本の港でもすべて遵守するといったようなことを約束しております。さらに、日本の領海内においては燃料を補給したりあるいは動力装置を修理したり、そういうことはしないということも約束しておりまして、万全の安全対策をとっていると私ども考えております。  したがいまして、私どもとして新たに追加的な安全対策というものをとる必要性というのは現在のところは感じていない次第でございます。
  92. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 それじゃ改めて外務省に伺いますけれども昭和六十三年四月二十八日付で「米国原子力艦船の寄港三〇〇回にあたっての市長コメント」というのが横山和夫横須賀市長名で発表されました。同時にこれは外務省にも提出されているものですが、このコメントで横山市長は、万一の放射能もれ等の事故対策については国の責任において確立するよう強く要請しております。さきに開かれました三港連絡協議会というのがございますけれども、そこの要望書とも関連して、これは横須賀市長の政府に対する基本姿勢と言えるものですが、このコメントで言われている事故対策の確立について、それさえ、今の御答弁ですともう大丈夫だからその必要性なしというふうにお考えのように伺えるんですが、これはどうなんですか。
  93. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) ただいま御指摘の二つの文書は、私どもも慎んでお受けしております。  ただ、私ども考え方は、先ほど申しましたように、米側において所要の安全措置は十分とられている、また日本政府といたしまして行っております放射能の測定、これは測定船とかモニタリングポストとか使う方法いろいろございますが、こういったことによる安全性の確保あるいは原子力船が港へ出入りいたしますときの交通上の安全対策、こういったものは引き続き厳格にとっていく所存でございまして、万が一にも事故を絶対に起こしてはならないという覚悟で今後とも安全性の確保には力を入れていく所存でございます。
  94. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 この点で科学技術庁に聞いておきたいんですが、チェルノブイリ事故の後、横須賀市、佐世保市、沖縄県の米原子力軍艦寄港地でつくる三港連絡協議会が、昭和六十二年三月十三日付で科学技術庁原子力安全課長あてに要望書を提出しております。ここに持ってまいっておりまして、私も読んでおりますが、それによりますと、原子力軍艦に係る事故時対策の情報・資料の交換等の促進ということのほか、現在の放射能調査指針大綱以上の大きな事故発生も想定されることから、緊急事態発生時の具体的対応指針を明確にするよう求めています。  この要望にある米原潜の緊急事態発生時の具体的対応指針、これは原潜の寄港を容認して以来毎年のように要望が出ているわけですが、いまだに科学技術庁はこれに対して答えていないようです。これはどういうわけですか。
  95. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 米原子力潜水艦の安全性につきましては、ただいま外務省の方から御答弁がございましたとおり、十分な安全対策が講じられた上で寄港をしてきている。したがいまして、米原潜によります影響といったものが周辺の住民に及ぶことはないというふうに私どもは確信しておるわけでございます。  しかしながら、地域防災計画という観点につきましては、これは地方自治体がおつくりになるということでございますので、特に私どもその件につきましては、これは国の立場からは必要はないというふうに考えておりますけれども、地方公共団体がおつくりになるということにつきましては、それは地方公共団体の御判断によるものであるというふうに考える次第でございます。  いずれにいたしましても、放射能の調査体制というものが、大綱でございますか、私ども原子力委員会の議を経て定めました原子力軍艦放射能調査指針大綱に基づきまして寄港の都度調査を実施いたしておりまして、そういった枠組みの中で十分な対応策をとっているというふうに思っております。
  96. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これは科学技術庁でも外務省でも結構なんですが、アメリカの原子力潜水艦は事故は一回もないんですね。そういうふうに確認していいんですか。
  97. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 私どもの承知する限り、原子炉の安全対策が破れて原子炉事故を起こして周辺に被害を及ぼすような形で事故があったということはなかったと思います。承知しておりません。
  98. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 原潜事故はないんですか、原潜の事故は。
  99. 岡本行夫

    説明員(岡本行夫君) 御承知のように、世上非常に有名になりましたスレッシャー号の沈没事件等原潜が何らかの形で事故に巻き込まれた、そのような事態はもちろんあると思います。  私が申し上げましたのは、先ほど来御説明しております米側の原子炉の安全性に関する保証または誓約、こういったものに対して私どもの方で疑念を差し挟むような形での事故はなかったということでございます。
  100. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 これはアメリカの原潜を全面的に信頼するというだけで、事故対策については何ら考えない、もともと事故はあり得ないから考えない、こういう発想ですが、科学技術庁の方も地域が地域防災計画を考えるのは勝手だけれども国は一切考えないんだと、こういうお考えのようでございますが、これは本当に大変なことだと思うんです。市長も地域の住民も、これ何か考えてほしい、大変だと言っているんですね。ところが、一切考えない。  私はこういう軍事施設について、これはそこでは信頼性チェックも日本のやり方と違うやり方やっているんだから大丈夫というお考えかもしれないけれども、そこでは核ジャック対策は大丈夫というお考えかもしれないが、事故対策抜きで核の問題について国民の不安や疑念に答えることはできないと思うんですよね。少なくとも事故というものは起こるわけなんです。絶対あり得ないという保証はできないわけなんです。そのときの万全の対策というものをいつも考えるということが一番大事なわけです。実は米軍自身も推進力としての原子炉事故そのものの可能性というのは否定していないということをつけ加えておきたいと思うんです。  それで、最後に長官に伺っておきたいんですが、私はきょう軍事施設の問題も最後に触れましたけれども、動燃の問題も含めてやはり一番大事なことというのは、核ジャック、これは絶対許しちゃならないことです。しかし同時に大事なことは、それはすべて結局この原子力三原則に基づいて自主、民主、公開、とりわけ国民によく知らされるということ、公開で国民的な監視のもとでこういう事態を防いでいくということが大事なことでありまして、動燃などで残念な事態もちょっと見られますが、最後に、国民的な公開、監視の中でPPを進める、この点についての長官のお考えだけ伺って終わりたいと思います。
  101. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 大臣の御答弁の前にちょっと私から原潜につきまして一言最後にコメントさせていただきたいと思いますが、実際事故が起きるかもしれないということに対する防災対策あるいは防災計画、これは、日本の法体系上、災害対策基本法にのっとって地方公共団体がつくるかつくらないかを御判断される問題でございます。  それから、原子力を推進力としております船の事故についての考え方でございますが、これは一般論といたしまして陸上の施設とは違った対応ができるというふうに私ども基本的には考えております。陸上施設の場合は、事故が起きた場合は周辺の住民が避難をしなければいけないという宿命がございますけれども、船の場合は船の方が適当な距離まで動いていくという違いがございまして、その点が非常に大きな違いだろうというふうに私ども考えておる次第でございます。
  102. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 先ほど来政府委員も累次申し上げておりますとおり、民主、自主、公開の原則、この三原則を守りつつ原子力の開発、利用を進めるということは我が国の基本方針でございまして、この方針を堅持することは当然でございます。  また、御審議をいただいております核物質防護等につきましても、当然この自主、民主、公開の三原則の精神に沿いました運用をしていく所存でございます。
  103. 吉井英勝

    ○吉井英勝君 時間が来ましたので、終わります。
  104. 小西博行

    ○小西博行君 原子力発電の問題はもう以前から私も何回も御質問申し上げておりますが、何だかんだ言いながら、原子力発電が今日のように全体の二八%に至るほど発展しているということは、しかも事故としては大した事故もなしで今日までやってきているというのは、事業者努力はもちろんでありますが、関係の皆さん方の私は努力だと、そういう意味ではもう世界でトップクラスではないかというように日本人としては自負しているわけですが、しかし、なおかつ、原子力という問題が問題だけに、安全については十分な対応をしておく必要があるんじゃないか、ひょっとして油断いたしますと大変なことになる、そういうような大きな問題を私は秘めているんじゃないかと思いますので、きょうは特に防護とそれから防災という面でお尋ねを申し上げたいというふうに考えております。  これは一昨日も実は省令で定めているというお話もちょっとございまして、私も十分それを熟知しているわけではありませんので、そういう部分も含めてお答え願えたらと思います。  まず第一なんですが、核物質防護管理者の要件、これは府省令で定めるというふうに書かれておるんですが、その条件についてお願いしたいと思います。
  105. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 核物質防護管理者の要件につきましてのお尋ねでございますが、詳細につきましては政府令の内容で定めることといたしておりまして、現在検討中でございますけれども、大きく分けましてこの要件には二つあろうかと思います。  まず第一点は、工場または事業所におきまして核物質防護に関する業務を適切に遂行することができる管理的または監督的なそういう地位にある人であるかどうか、それから第二点の要件といたしましては、防護の対象となります特定核燃料物質の取り扱い等についてある一定の知識を有する者であるかどうかという、この二点が管理者の要件であろうかと考えております。
  106. 小西博行

    ○小西博行君 選任の基準といたしまして、「特定核燃料物質の取扱い等の知識」というふうに書かれているわけなんですね。しかし中身がよく私わからないんですけれども、この中身についてはどうなんでしょうか。
  107. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 一定の知識とは一体どの程度の知識かというお尋ねかと思いますが、主な項目は四つぐらいあろうかと思います。  第一は特定核燃料物質の性質についての知識、それから第二に特定核物質の取り扱いに関する技術的な知識、それから第三に核物質防護というものに関する一般的な知識、それから第四に放射線防護というものに関する一般的な知識、こういった項目が考えられると思いますけれども、現実には、先ほど申し上げました監督的あるいは指導的な地位にある者でございますればこういった知識に関する要件についても十分にこれを兼ね備えておられるはずであるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  108. 小西博行

    ○小西博行君 例えば原子炉主任技術者とかあるいは核燃料取扱主任者というような資格がございますね。それで、これなんかは専門知識を相当要求されて、国家試験にまず合格する、そうしてそれから指名されるというふうになっていますね。こういうようなものは必要ないんでしょうかね。
  109. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 選任の基準につきましては今申し上げたとおりでございますけれども、今回の法改正によりまして事業者義務づけることとなる要件にかんがみれば、核物質防護管理者がその職務を遂行するに当たって特定核燃料物質の取り扱い等について特に高度な専門的な技術、知識を必要とするというふうには考えられないわけでございまして、そういう意味から資格試験制度というものを新たに設けるところまでは必要ないというふうに考えた次第でございます。
  110. 小西博行

    ○小西博行君 じゃ、したがいましてこの管理者というのは、特にその義務ですね、義務というのは核物質防護規定を定めて認可を受けなければならないと、こういうふうになっていますね。それでいいんでしょうかね、義務は。
  111. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 核物質防護管理者の義務といいますか、権限、これは法案の中に書いてございますが、御説明を申し上げますと、事業者が行うべき核物質防護のための業務は非常に広範かつ多岐にわたるというふうに考えられますので、その実効性を確保するためには核物質防護のための権限と責任、これを一元的に有する者による統一的な管理のもとで組織的、効率的な業務が行われるというふうに措置することが重要であるというのが前提でございます。そこで、昭和五十五年の原子力委員会の専門部会の報告におきましても組織体制の整備の重要性が指摘されておるわけでございまして、まさにこの核物質防護管理者というのは組織体制のかなめになるということになろうかと思います。  そこで、核物質防護管理者の当該事業所における具体的な職務あるいは権限の内容につきましては、事業者が当該事業所の事情に応じまして、どういう物質をどういうふうに取り扱っているか、これはそれぞれの事業所で異なるわけでございますので、それぞれの事業所の事情に応じて事業者が自主的に策定する核物質防護規定の中において定められることになるわけでございますが、一般的に考えまして、その業務といたしましては、核物質防護規定の制定あるいは変更の立案でございますとか、あるいは今回の法改正により事業者義務づけられることとなりますいろいろな防護措置に関する業務、あるいはこういったものが関係法令及び核物質防護規定に準拠して適切に行われるよう指導、監督する、あるいは緊急時を含めまして従業員等に対し必要な指導、指示を行う、そういったことが権限、職務内容になろうかと思われます。
  112. 小西博行

    ○小西博行君 今のお話を聞いておりますと、かなり高い職務というふうに受け取るわけですね。  そうなりますと、緊急時に対するいろんな対応の仕方も当然そこにかかってくるんじゃないかということになりますと、所長さん以下部長さん、課長さんというような方々が当然この管理者にならなければうまく仕事の関係とかあるいは責任分担上動かないんじゃないか、例えば、所長さん以外の方にその責任を持っていってあなたが防護管理者ですよと言ってもそれはなかなか全体には動きにくいんじゃないかという感じが私はいたしますが、一つの研究所の場合ですと所長を中心にして仕事上の組織がございますね、そういう形でやはり体制づくりというのがされていくんでしょうね。
  113. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) それぞれの事業所によりましていろいろな体制あるいはいろんな人的構成になっているというふうに理解されるわけでございますけれども、こういった事業所内におきまして関係する業務を統一的に管理することができる権限を有する地位にある人でございますればそれ相当の知識も備えておられる、あるいはそういう人がたまたまその地位におられない場合には代替できるようなポストには少なくともそういう技術的な知識を持っておられる人がほかにおられるであろう、そういったことを総合的に事業者において勘案をいたしまして、事業者が最も適任と思われる方を選任しそれを国に届け出ていただくということでございますので、その態様は事業所の内部の事情によってさまざまであろうというふうに考えられます。
  114. 小西博行

    ○小西博行君 多分私が申し上げたような格好にならざるを得ないんじゃないか、そういうようにちょっと感じるわけです。  さて、実は私もこの間、同僚委員と一緒に動燃あるいは研究所、勉強さしていただいたわけです。ちょうどお昼御飯のときにもしテロなんかが入ってきたらどうなるんでしょうねというお話をちょっとさしていただきましたら、警察の方から何分以内に駆けつけますというようなお話があったものですから、そうはいっても事前にそういうことを予知していろんな方策はとれるのかという心配にもちょっとなったものですから、その点をちょっと一、二点お尋ねしたいんですが、警察庁の方にも来ていただいていると思うんですが、特に私は、この間参りました動燃とか研究所、こういうところに対して、やっぱりひょっとしてひょっとするんかわからないというような観点から警察庁の方でも相当関心は持っておられるんじゃないか、そういう意味で、安全という見地からどのようにお考えになっておられるか、お尋ねしたいと思います。
  115. 太田利邦

    説明員(太田利邦君) 核物質施設に対する攻撃あるいは侵入、核物質の盗取、そういった不法行為に対しましては、警察としてその未然防止に真剣に取り組んでいるところであります。  このため、警察では必要に応じて施設周辺の警戒あるいは警備計画の点検、補正、各種訓練の実施、関係機関との連携の強化などを行い、核物質施設に対する不法事案の未然防止と事案発生時の即応体制の確立に努めているところであります。
  116. 小西博行

    ○小西博行君 警察としては非常にその点が、事件が起きますとゴーサインが出るんだろうと思いますが、事前ということになりますとなかなか難しい面があるんではないかという感じも実はいたすわけです。  いずれにしても、この核防護対策はとにかく万全を期さなければいけないということは、これは間違いないことでございます。そのためにはどうしても犯罪予防という面が非常に大切じゃないか、警察の介入する分野も限定があるということになりますと当然運輸省あるいは通産あるいは科学技術庁、こういうところである程度予防対策といいますか施策を練られてやっぱり行動に移していかなければいけないというような大きな問題があるんじゃないかと思いまして、この三省庁でそれぞれどのようにしてやられるのか、これをお聞きしたいと思います。
  117. 山本孝

    説明員(山本孝君) 運輸省の方からお答えさせていただきます。  まず、核物質の輸送中におきます犯罪を予防する措置につきましては、先生御案内のとおり、昭和五十五年の原子力委員会核物質防護専門部会報告書に具体的な要件が示されております。これらの要件につきましては大部分は実は既に核物質輸送の安全確保のための現行の法規制において達成されております。  すなわち、核物質からの放射線が人に害を与えないよう頑丈な容器に収納した輸送物とすること、こういった安全の観点の規制がございますが、これは同時に容器自体が容易に持ち運びができない、こういうことになっております。それからまた、輸送物を輸送中に移動しないよう船体あるいは機体といったようなものに強固に積みつけることとしてございます。これはすなわち、それから容易に取り去ったり持ち去ったりができないということになっております。それから輸送物に容易に人が近づかないように、場合によっては収納した場所に施錠をするとかあるいは人が容易に近づけないような措置を講じるといったようなことを既に講じております。こういったことが同時に核物質防護のための予防措置として十分な効果を有していると考えております。  しかしながら、さらに今回、こういうことに加えまして、例えば輸送中あるいは荷役中の核物質防護の輸送責任者、こういうものを選任させるとか、あるいはさらに同一経路とか同時刻の輸送、ワンパターンで繰り返さないとか、こういったようないわゆる原子力委員会報告書に示されておりますような要件を完全に満たすというために所要の規定を整備することといたしております。  それから、加えまして、実際の輸送に際しましては関係官庁と十分連絡をとり合いまして輸送中の防護に万全を期すように考えております。  以上でございます。
  118. 三角逸郎

    説明員(三角逸郎君) 我が国原子力発電所に関しまするところの核物質防護の対策につきましては昭和五十六年の原子力委員会の決定の内容を踏まえまして既に相当程度十分な措置が講じられているところでございますが、具体的に申しますれば、原子力発電所におきましての核物質防護のための措置といたしまして、一つには例えば核物質防護のための区域の設定をいたしますとか、これは具体的には不用な者だとか車両、不法侵入の早期発見のようなことで周辺に防護区域を設ける、それからさらに防護区域に次ぎまして、不法侵入防止だとか不法侵入の早期の発見といったような観点でさらなる二重のフェンス等々を設けるといったようなことの区域の設定をいたします。それからあと、区域の出入り監視といったようなことも行いますし、それと加えまして、例えば出入りの管理所間の相互の連絡といったようなことでの通報連絡体制の整備といったようなこと、それからあわせまして核物質防護に関する教育訓練といったようなことを実施するとともに、緊急時においても迅速かつ適切な措置がとれるように常日ごろからの連絡といったようなことも図っているところでございます。  まあ、そのように原子力発電所の防護対策につきましては従来より万全を期しているつもりでございますけれども、なお一層その充実を図っていきたいと思っているところでございます。
  119. 小西博行

    ○小西博行君 科学技術庁はどうですか。
  120. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 先般来から申し上げておりますような昭和五十六年の原子力委員会が決めました要件、そういったものを政令あるいは府令で定めてまいる予定でございます。
  121. 太田利邦

    説明員(太田利邦君) 私、先生の御質問をもし誤解していたとしたら大変失礼でございますけれども、警察が核物質施設にかかわる核ジャック等の措置について事前にはなかなかというお話でしたけれども、ただ犯罪の未然防止という意味で申しますと、各種犯罪を防止するため必要な措置を講ずるというのは警察の当然の責務でありまして、その意味で、核物質施設に対する攻撃、侵入あるいは核物質の盗取等の不法行為を未然に防止するという、そういう点についても他の犯罪防止と何ら異なるところはないということが警察の立場でありますので、もし私がちょっと事前には難しいという意味犯罪予防、阻止の件と取り間違えていたとしたら失礼でありますが、一応そういうことでありますのでよろしくお願いいたします。
  122. 小西博行

    ○小西博行君 まあ、原子力とかあるいは原子力以外というようなことに分けて、全く同じということでしょう。
  123. 太田利邦

    説明員(太田利邦君) さようでございます。
  124. 小西博行

    ○小西博行君 同じようなことで、犯罪が起こりそうであればもちろん調査もしなきゃいけないし、予防もしなきゃいけない。  ところで、発電所の場合は当然民間の一つの事業ということでやっておるわけですが、そういうところへ治安当局が入っていってどうも事件が起こりそうだというようなことで内部をチェックするというのは、事業者からやっぱり要求があって初めて出かけていくということになりますか。
  125. 太田利邦

    説明員(太田利邦君) そのあたり、私どもとしてはいわゆる防犯指導というような観点でいろいろなことを考えますけれども、それと同様のことであろうというふうに考えております。
  126. 小西博行

    ○小西博行君 そういう意味で予防的な措置というのがすごく私は大切だと思うんですね。ちょっと言葉が適当ではないんですけれども、例えば火事が随分発生する、消防の皆さん方が努力して予防しておけばほとんど火事は出ない、むしろ火事を出さないということが消防の皆さん方の本来の仕事ではないかと私はいつも思うんですが、ところが逆に、そういう場合には何もしていないというような住民からの反発というのが逆にあるような気もするわけですが、私はそうじゃなくてやっぱり予防的な措置を十分とることが非常に大切ではないか、そのように思いますので、私は研究所なら研究所の内部のいろんな安全に対する対策というのはそれなりにとっておられるような気がしてならないんです。これはもう電力関係でも、相当行かしていただいたし、研究所もそうです。しかし、一たんそういうような外部からのいろんな侵入者によってそういう問題が起きたときに、どのように具体的に対応していくかというのが実はもっと大きな問題ではないか、私はそのように思いまして、その辺の対策を各省庁でうまくやっぱり一つのシステムを構築していかなきゃいけない、起こってしまって慌てふためくというのが割合日本は多いですから、そういう体制を十分やっていただきたい、そういう要望から私は今の質問を申し上げたわけです。  さて、時間が大分迫ってまいりましたが、防災対策ですね、これは自然のいろんな地震その他のものがございまして、そういう防災対策というのはかなり今まででもやっておられるんじゃないかと思うんです。それと防護体制との関係ですね。防護と防災は少し意味が、発生事由が違うということがありまして違うんだろうと、私もそういうように解釈しておるわけですが、しかし、少なくとも原子炉に関して異常が炉に発生したというようなことになりますと、何かこの両方が同時に機能しなきゃいけないような感じになりはしないか。そういう意味で、特に周辺の住民の皆さん方の混乱その他ございますよね、それに対して私はこの二つの機能を何かいい形で一つにまとめておく部分があってもいいんじゃないかというふうに思うんです。その辺の考え方をお聞かせ願いたいと思うんです。
  127. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 先生の御指摘はそのとおりかと思います。  原子力施設におきましては一般的な災害、すなわち地震とか火災あるいは事故、そういったものにかかわります防災対策といたしまして、事故の発生の防止あるいは事故の拡大の防止あるいは災害の防止といったことにつきまして必要な対策がとられていることは御案内のとおりでございます。  他方、原子力施設における核物質防護のための対策、これは核物質の盗取等によります不法な移転を防止するということを主眼とするものでございまして、区域の設定あるいは出入りの管理の実施、あるいは連絡通報体制の確立、そういったものが主な内容となっておるものでございます。  核物質の盗取といった緊急時の対応体制につきましては、盗取された核物質によってもし汚染というような放射線あるいは放射能の事故が起きる可能性ももちろん否定できないということでございまして、この辺は御指摘のとおりでございまして、こういった場合には、無用な社会的混乱を防ぐためにも、当該汚染に対する安全対策上の措置としての核物質防護の対策とその両方の有機的なつながりを持ってこれを措置できるように万全の対策で臨むということは極めて重要なことかと思います。  放射線事故に発展したような場合には、災害防止のための対策と核物質防護のための対策、これは一部共通する部分も出てくるかと思いますし、あるいは災害防止に責任を持つ原子炉等の主任技術者あるいはPPの管理者、こういった両者によります綿密な協力あるいは打ち合わせといったことも必要になろうかと思います。そういったことにつきましては、やはり防護措置規定の中にきちっと位置づけるとかそういうことをいたしまして、緊急時の対応体制についての重要性、これは原子力委員会要件の中にもきちっとうたわれていることでございますので、万遺漏なきを期すよう指導してまいりたいというふうに考えております。
  128. 小西博行

    ○小西博行君 発電所なんかの場合ですと、事件が発生した場合の防災マニュアル、どのように逃げるかとかどういう対策をとったらいいのかというようなことは私非常に大切だと思うんですが、この防護関係でも具体的にそういうマニュアル、例えば動燃だとか研究所というのはちゃんとやっぱりそういうマニュアルがあって、その訓練というのはある程度やっているんでしょうか。
  129. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 核物質防護規定の中には教育訓練につきましても記載されることになっておりまして、核物質防護上の措置につきましても訓練あるいは教育、そういったものが行われることになっております。
  130. 小西博行

    ○小西博行君 いやいや、行われることになっているのはよくわかる。実際やっておるんでしょうか、現実に。
  131. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 現在、核物質防護については法律上これから明定していくわけでございますが、実態上は既に実施されているというものでございまして、核物質防護につきましてもそれぞれの関係の部署におきまして訓練が行われているというふうに承知をいたしております。
  132. 小西博行

    ○小西博行君 多分起きないだろうという設定で余り真剣にやらないというのがこの種のものなんですね。ですから、私は、ぜひ事業所の内部でそういうことはまずやるべきだというのが一つ、それから、やっぱり近所の住民の方がいらっしゃるものですから、そういう方々にもそういうマニュアル、これはもちろん住民としてのマニュアルですが、そういうものをつくってどういうような形で対応するか、こういう二つのものですがね。  実は、この間テレビ朝日の「ニュースステーション」という久米宏がやっているあれ、もう恐らく見られた人も何人かいらっしゃると思うんですけれども、アメリカのそういう場合の防災のマニュアル、そして具体的な訓練の仕方、これがちょっとテレビで放映されておりましたよね。非常に具体的なんです。例えば、テレビはつけっ放しにしなさい、窓は閉める、外出はしないこと、一番驚いたのは電話をかけるなというのがあるんですね、電話をかけるな。というのは一番大切な――例えば恐らく皆さん方のところにどんどん電話がかかってくると思うんですが、一斉に電話をかけますと全然つながらないということがどうもあるようで、どこへ電話をするなとかどこへ電話をしなさいと、具体的にそういうことまで詳細に明記しているというようなお話をちょうどテレビでやっていたんですが、私は本来そうあるべきなんじゃないかと思うんです。その辺はどうでしょうかね。
  133. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 原子力の防災につきましては、これは地方自治体等関係機関におきまして地域防災計画等が作成され、万全の体制あるいは対策が講じられているわけでございますが、周辺住民に対します原子力防災を含む原子力に関する知識の普及、啓蒙、こういった点につきましては、国におきましてはパンフレットを用いまして広報を行うとか、あるいは各地方自治体が普及活動を実施する際の留意点あるいは具体的な参考例、そういったものをまとめてマニュアルを作成いたしまして、これを地方自治体に提示をしていくということもございますし、さらに広報・安全等対策交付金、こういった財政的な援助も地方自治体に対して国としては行っているというのが現状でございます。  また、地方自治体におきましては、原子力防災に関するパンフレットの配布をいたしましたり、また新聞の折り込み広告あるいは原子力施設の見学会、そういったことを主催するということも行っているというふうに承知をいたしておるわけでございます。  今後とも広報を含む防災対策につきましては、地方自治体に対しより一層適切な指導を行うとともに、防災に関するパンフレットの作成等、そういったものの内容の充実にも努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  134. 小西博行

    ○小西博行君 今まで、どうなんでしょうか、こういう防災意識に対しての関心の度合いというのはアンケートなんかとられたことありますか。
  135. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 国といたしましては一般的に原子力モニターという制度を用いていろんな方の意識、御意見を伺うということもやっておりますが、あるいは地方自治体におきましてもそれなりの調査というものはなされているのではないかと思います。ただ、こういったものに対する意識といいますか関心といいますか、そういったものはやはり地方によって多少ばらつきがあるんじゃないかというふうに感じておる次第でございます。
  136. 小西博行

    ○小西博行君 それはもう原発のないところというのは、ほとんどもちろん関心ないだろうと思います。原発があるような県といいますか地方自治体にしましても、その関心の度合いが少ない。なぜ少ないのかといういろいろの調査があるようですけれどもね。例えば、原発にもともと反対だからそういうような住民参加のいろんな活動、防災に対する活動、こんなものには参加したくないと。ところが、逆に原発には賛成の方も、もう安全だからそういうところへ行くことはないというようなことで非常に低いというようなことが実はあるわけですね。それだけに何かいい方法を考えないと、問題がなければ一番いいんですけれども、さっきの火災の話のようにひょっとして問題が起こってしまってはこれはもう普通の火事とは大違いですから、そういう意味の啓発を私は何かの方法で政府でやるべきじゃないかな、そういうふうに感じるんですが、それに対する御意見はどうでしょうか。
  137. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) それぞれの地域におきます実情といいますか、そういったことにつきましてはそれぞれの地方自治体が一番よく知っているわけでございまして、どういった広報が必要か、どういった訓練が必要か、そういったことについての地方自治体の御判断というのがやはりまず第一であろうと思います。  そういったものが実施される場合には、国といたしまして財政的な援助あるいは技術面での支援、そういったものをこれまで行っておるわけでございますが、そういった活動につきましては、地方自治体との私どもコンタクトもありますので、地方自治体の御意向等を踏まえまして必要に応じいろいろと万全を期してまいりたいというふうに感じております。
  138. 小西博行

    ○小西博行君 先へ進みますけれども核物質防護関連の研究開発、こういうことについて国は相当いろいろ研究をしていらっしゃるんじゃないかという感じはしているんです。例えばこの間、動燃へ参りまして実際に中へ入る場合のいろんなチェックのシステムとかそういうものを拝見いたしました。それから、核そのものの組み立てを実際に炉にセットするところを見せていただいたんですが、いかにも原始的で、これはもちろん実験だから特に原始的なんだろうと思うんですが、何か子供だましのようにコンベヤーが来て、そうしてエレベーターですっと上がって、それから移動してそれをつかんで炉に入れる、こういうような本当に、むしろあれは全然人がいなくたって移動できるし装てんできるというふうに私は思ったんです。  実際の仕事ということになりますと、できるだけ核に近づかないということで、そういうことも十分もちろん考えていらっしゃると思うんですが、もう少し防護ということでいろんな研究の分野がありはしないか。例えばIC、LSIなんというのは、人がとにかくつかめばつかむほど、あるいは作業者として入れば入るほどごみがつく、そして不良品が出る、だからロボットで移動も全部やる、こういうようなことで、もう現実にそうやっていますよね。  アメリカが非常に不良品が多いというのは、どうもその辺がいかぬということも言われているように、せっかくのこういうチャンスですから、私はそれだけで相当研究するテーマがありはしないかという感じがしてならないんですけれども、この辺の研究というのは、現在の場合は実験するために仕方なくやっているというような感じで、それが一つの歯どめになっているだろうと思うんですけれども、そんなんじゃなくてもっと抜本的に研究ができないものか、それはどうでしょうか。
  139. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘のとおりでございまして、この核物質防護というものが有効に実施されますような研究開発、それは私ども大変力を入れて進めさせていただいております。  若干の御説明をさせていただきますならば、まず原子力研究所あるいは動力炉・核燃料開発事業団、こういったところを中心といたしまして、例えば出入り監視装置、それから侵入警報機器あるいは外周フェンス等、こういったものの信頼性を評価するための試験を実施しているということがございますし、また施設における不法侵入とか盗取に対する防護対策、こういったもののシミュレーションをいたしまして、ある一つのモデルをつくりましてそれで評価をしてみるというような手法を使いまして、すなわちハード面、ソフト面を含めまして双方にわたる研究開発というものが現在実施されてきておりまして、その一部につきましてはもう既に実用化しているというものもございます。  また、少し具体的な話になりますけれども、返還プルトニウムの航空輸送に関連をいたしまして、動燃事業団では航空機に搭載される通常の通信系から独立した通信系を開発するということでございますとか、あるいはコンテナ――核物質の輸送容器でございますが、不法な接近を防止するというようなそういうコンテナを開発するといったようなことも現在実施をいたしております。  核物質防護の重要性にかんがみまして、研究開発につきましてはこういったものが適切に実施されるように今後とも配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  140. 小西博行

    ○小西博行君 これも余談になりますが、いろんな企業にノーハウがありますね。それで部外者に全然見せないという企業がありまして、いろいろ調べてみますと、本当にそれだけのノーハウがあるかと思いますと、むしろおくれているから恥ずかしくて見せないというのをこの間ふっと感じたわけです。最先端の中身の研究というのはすごいことをやっていらっしゃるんだろうけれども、しかし、入るときにこうやっているから大丈夫ですというふうに、自分も行って通りながら見てみたんだけれども、しかしやっぱりこれじゃだめだろうと、実際は。  ですから、核の研究をしているところからヒントを得るんじゃなくて、むしろほかの一般の民間の非常に厳重に上手にやっているところもありますから、そういう分野をかえって勉強したらいかがなんでしょうか。伝統のあるおまんじゅう屋へ行くと、なるほどすばらしく人が入らぬようにしているなというようなヒントもあるいは得られるかもわからない。それは民間でもよくあるんです。機械メーカーだったらお互いに機械メーカー同士で物すごく勉強しているんだけれども、ひょっと食品関係へ行ってみますと、あっというようなヒントがそこにあるわけです。ところが、機械屋は食品の方は見に行かないんですね。  そういうようなことを私は何回か経験しておりますが、恐らくもう少しすっきりしたすばらしいもの、デザインももちろん含めてですけれども、できるんじゃないかな。今特にまた電子工学が非常に進んでおりますから、機械的な分野でどんどんやろうと思ったらいやにごつくて変なものになりますけれども、電子工学の分野でうまくやりますと、非常に小さくてスマートで頑丈なものといいますか、そういうこともまた設計ができるんじゃないか。そういうことでちょっと感じたから申し上げたいと思います。  もう時間がほとんどないんですけれども、最後にちょっと申し上げたいんですが、核防護システムの総合評価の手法、こういうものが導入できないだろうか。これも非常に広い分野にわたるものですから、一体どういうファクターをとってどういう点数にすればいいかという問題もあるでしょうけれども、ここの研究所は何点だというようなことがぴしっとある程度出るような体制をもうぜひつくっておく必要があるんじゃないか。もちろん事業者の性格によってはそのウエートの点数も変えなきゃいけないだろうという感じがするんですね。特に危険物ということになりますとそうだと思いますが、そういうような標準化というものが一つできますと、それが完璧なものじゃなくても、もう少しこの点をよくしたいという一つの目標にも実はなるんじゃないか。そういうことで、私はそれを提案さしていただきたいと思うんですが、そういうものがもしおありになったら御意見をいただきたいと思います。
  141. 石塚貢

    政府委員石塚貢君) 御指摘核物質防護システムの総合評価手法、これは先生指摘のとおり大変有効かつ重要な手法というふうに私どもも認識をいたしております。  この核物質防護装置は、当該施設における原子力活動のいろんな態様あるいは取り扱う核物質の種類、あるいは量、立地条件、そういったものを総合的に勘案したものになるということでございますので、そういった観点から核物質防護装置の有効性というものを常に評価をしておく必要があり、そのための手法を開発するということが重要であるということで、私どもも過去こういった検討をいたしております。まだ完全なものに仕上がっているということじゃございませんけれども、今後事業者が実施いたします核物質防護のための措置、こういったものを適切に実施していただくために、こういった勉強結果、研究結果というものが反映されるように、事業者による防護規定の策定といったようなものに対する審査を通じましてそういう研究成果といったものを活用してまいりたいというふうに考えております。手法として確立しているわけじゃございませんが、検討は続けております。
  142. 小西博行

    ○小西博行君 と申しますのは、こういう委員会でそれぞれ審議する場合でも、確かに日本の核の問題については非常に安全なんだけれども、全体の中ではこの部分が少し弱い、ここまでしか進んでいないというその一つの指標になるだろうと思うんです。そうしないと、皆さんの頭の中にそれぞれの分野がありますから、たとえそれは小さい問題でも本人にとったら大きい問題ということにとらえる場合も私はたくさんあるだろうと思うんです。それだけに、何かそういう標準型みたいなものでどこまで進行しているというのが一目瞭然でわかるような体制をつくっていく必要があるんじゃないか。そのことが次の技術の発展というものにもつながっていく。  最後に、大臣、そういうことでごく狭い分野で質問さしていただいたんですが、いずれにしても日本の現在までの核の扱いというのはそれほど失敗なしにやってきた。しかし、これ一回失敗いたしますともう大変なことでありますから、そういう意味で私は省庁の皆さん方にも本当にこれから先も努力をぜひしていただきたいという願いがございます。そういう意味で、最後に長官の決意なり聞けたら幸いでありますが、これで終わりたいと思います。
  143. 伊藤宗一郎

    ○国務大臣(伊藤宗一郎君) 小西委員から原子力政策について適切な、また御示唆に富んだ御指摘を賜りまして、大変力強く感じております。  先生指摘の防災対策、防護対策等々も含めまして原子力についての国民の、しかも住民だけでなしに、また当事者だけでなしに、全国民すべてについて正しい理解が得られるように、もっと言うなら国際的に、原子力先進国もまた後進国も合めて原子力についての正しい理解が得られますように、御指摘の点につきましても重々我々も心にしてきめの細かい対策を進めて、先生指摘のとおり総発電量の二八%、やがて四〇%にもなると言われておりますこの原子力発電の安定的なまた着実な推進のために全力を尽くし、また原子力政策につきましては謙虚の上にも謙虚に、どんなに謙虚であっても謙虚過ぎることはないわけでございますから、何回も申し上げてお耳ざわりだと思いますけれども、私は原子力政策についてはあつものに懲りてなますを吹くというぐらいの謙虚さを持って、しかしこれが将来の日本、また将来の人類の福祉のために必ず役立つものだという信念なり確信なり、ある意味では誇りを持って、また使命感を持って原子力政策というものを進めてまいりたいと思っております。  そのためには国会、特に当該委員の皆様方の、これまでも御支援を賜っておりましたけれども、これまで以上の御支援をお願いする以外にはこの今の厳しい原子力を取り巻く情勢を突破することはできませんので、この上ともの御支援と御協力を委員会の皆様方にお願いを申し上げたい、このように考えております。
  144. 飯田忠雄

    委員長飯田忠雄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会