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1988-03-30 第112回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)    午後三時六分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         川原新次郎君     理 事                 大城 眞順君                 北  修二君                 中村  哲君                 及川 順郎君                 市川 正一君     委 員                 伊江 朝雄君                 板垣  正君                 岩本 政光君                 岡田  広君                 志村 愛子君                 高木 正明君                 矢野俊比古君                 中野  明君                 喜屋武眞榮君                 木本平八郎君    国務大臣        国 務 大 臣        (総務庁長官)  高鳥  修君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       粕谷  茂君    政府委員        北方対策本部審        議官       鈴木  榮君        沖縄開発庁総務        局長       勝又 博明君        沖縄開発庁総務        局会計課長   五郎丸日出昇君        沖縄開発庁振興        局長       塚越 則男君    事務局側        第一特別調査室        長        荻本 雄三君    説明員        防衛庁教育訓練        局訓練課長    柳澤 協二君        防衛施設庁施設        部施設対策第三        課長       嶋口 武彦君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   森山 浩二君        防衛施設庁労務        部労務管理課長  高倉 博郎君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       櫻井 正昭君        外務省アジア局        北東アジア課長  田中  均君        農林水産省農蚕        園芸局畑作振興        課長       武政 邦夫君        林野庁業務部業        務第二課長    小林 新一君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  堀井 修身君        海上保安庁警備        救難部警備第一        課長       中島 健三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十三年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十三年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管総務庁北方対策本部)、沖縄開発庁)及び沖縄振興開発金融公庫)     ─────────────
  2. 川原新次郎

    委員長川原新次郎君) ただいまから沖縄及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  この際、御報告いたします。  去る三月二十五日、予算委員会から、三月三十日一日間、昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、高鳥総務庁長官から説明を求めます。高鳥総務庁長官
  3. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 昭和六十三年度の総務庁北方対策本部関係予算につきましてその概要を御説明申し上げます。  昭和六十三年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち総務庁北方対策本部関係予算要求額は、十四億八千三百三十四万五千円であり、これは前年度の予算額十四億六千八百二十六万七千円に対しまして一%の増となっております。  主な内容について御説明申し上げます。  まず、北方対策本部に必要な経費として、職員人件費等七千二百十四万五千円を計上しております。  また、北方領土問題対策に必要な経費として十四億一千百二十万円を計上しておりますが、その主な内容といたしましては、北方領土問題対策協会補助金五億六十二万三千円及び北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金九億円であります。  北方領土問題対策協会補助金は、同協会北方領土問題について啓蒙宣伝等を行うために必要なものでありますが、特に次代を担う青少年に対して積極的な啓発を進めていくことが大切であるとの観点から、前年度に引き続きまして、中学生向け解説資料作成配布及び青少年向けブロック単位での啓発事業を行うとともに、新たに、全国青年フォーラム等を開催するために必要な経費を計上しております。このほか国際シンポジウムの開催、北方地域居住者等に対する援護措置等について必要な経費を計上しております。  また、北方領土隣接地域振興等基金造成費補助金でありますが、これは昭和五十八年から施行されました北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律に基づき、北海道が設置した基金造成に対して国がその一部を補助するための経費であり、昭和六十三年度は、第六年次目として九億円を確保いたしております。  以上をもちまして、昭和六十三年度の総務庁北方対策本部関係予算説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 川原新次郎

  5. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) この機会に、昭和六十三年度の沖縄開発庁関係予算につきましてその概要を御説明させていただきます。  昭和六十三年度総理府所管一般会計歳出予算のうち沖縄開発庁予算は二千百四十五億四千八百万円であり、これは前年度の予算額二千百三億八千百万円に対し一〇二%となっております。これに大蔵省所管産業投資特別会計に計上のNTT株式売り払い収入を活用した無利子貸付金二百八十三億二千百万円を加えました総額では二千四百二十八億六千九百万円であり、前年度予算額に対し一一五・四%となっております。  次に、主要な項目について御説明いたします。  初めに、沖縄振興開発事業費について申し上げます。  昭和六十三年度は、海邦国体以降の振興開発を引き続き積極的に進め、第二次沖縄振興開発計画後期の諸プロジェクトの推進を図る重要な時期であることからその総額の確保に努めた結果、二千二百十一億七千四百万円で、前年度予算額に対し 一一六・九%となっております。また、その大宗を占める公共事業関係費につきましては、対前年度比一一八%と、近年にない高い伸び予算となっております。  この沖縄振興開発事業費内訳といたしましては、ただいま申し上げました公共事業関係費として二千七十一億六千四百万円、公立学校施設整備費等内容とする沖縄教育振興事業費として九十六億八千八百万円、保健衛生施設等施設整備費等内容とする沖縄保健衛生等対策諸費として八億八千九百万円、ウリミバエ等の根絶を目的とする植物防疫対策費等内容とする沖縄農業振興費として三十四億三千三百万円を計上しております。  これらの沖縄振興開発事業費につきましては、特に、農林水産業振興基礎条件整備水資源開発教育振興、国土の保全及び災害の防止、道路、港湾、空港等交通関係施設整備、住宅、公園、上下水道等生活環境施設整備保健衛生対策促進等七項につきまして配慮をいたした次第であります。  次に、沖縄振興開発事業費以外の諸経費につきまして申し上げます。  第一点は、沖縄における経済振興及び社会開発に必要な資金を融通するために設けられている沖縄振興開発金融公庫に対し、その業務の円滑な運営に資するための補給金として百三十一億九千八百万円を計上しております。  なお、同公庫昭和六十三年度における貸付計画は、NTTの株式売り払い収入を活用した無利子貸付を含めて一千三百二億円、また、地場産業への出資計画は三億円を予定しております。  第二点は、土地関係等事案に係る特別支出金不発弾等の処理、対馬丸遭難学童遺族給付経費等いわゆる沖縄の戦後処理問題の解決を図るために必要な経費として二十一億三千七百万円を計上しております。  これらの経費を含め、一般行政経費等として総額二百十六億九千五百万円を計上しております。  以上をもちまして、昭和六十三年度沖縄開発庁関係予算説明を終わらせていただきます。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 川原新次郎

    委員長川原新次郎君) 以上で説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 中村哲

    中村哲君 北方領土という北の端と沖縄という南方の端と、両方の問題をここで論ずることになりますので、ただ、私ども昨年沖縄現地に参りましたものですから沖縄の方を先にやらせていただきます。  沖縄は、本土復帰して以来十六年がたっておりまして、私も沖縄には、私自身が自分大学沖縄文化研究所というものを開設いたしまして復帰を記念したものですから、もう何回も行っております。しかし今回のように政治、社会経済の問題を正面から考えることをしてまいったわけではありません。むしろ歴史的な研究をしてまいったわけです。  それで、昨年参りましたときに沖縄現地司令官に面会したいと申し出ましたところ、日本国会関係者としては初めて面会する機会が得られました。まあ武人のことでありますから総合的な沖縄及び太平洋の全体の問題とか、あるいは作戦とかそう知っているわけではないと思います。私は復帰以前も必要があって行こうと思いましたけれども駐留軍の方から認可されませんでした。谷川徹三総長と一緒に行こうとしたら行けませんで、復帰しましたら直ちに行きました。  それから随分沖縄は、政治的にも経済的にも発展しておりまして、今から十六年も前、復帰のときどうなるかと思いましたけれども、非常に順調に、そして今回はさらにNTTの株式売り払い収入というものを特別に付加されまして、最初考えられたよりは政府側援助がありまして非常に幸いだと思っております。ただ、これは償還をいずれはしなければならないわけでしょうけれども政府として明年以後どういうふうな形で大体続けるつもりでおられるのでしょうか、お聞きしたい。
  8. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) お答え申し上げます。  NTT関係の無利子貸付金の財源でございますが、これはNTTの株式売り払い収入から生じますところの国債整理基金余裕金でございます。これを活用して無利子貸付金をやっているわけでございますが、今後の株式市場動向でございますとか経済財政事情等が流動的でございますので、法律上もこれは当分の間の制度ということにされております。したがいまして、この制度がいつまで続くかということは現段階で明確なことを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、少なくとも形の上で昭和六十三年度限りの措置ではないということは理解できるところでございます。  沖縄開発庁といたしましては、沖縄において引き続き本土との格差是正自立的発展基礎条件整備するために社会資本整備を進める必要があるというふうに考えておりまして、NTTの無利子貸付金制度が続く限り、極力沖縄でもこの制度を活用して沖縄振興開発を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。
  9. 中村哲

    中村哲君 継続されるという意向はわかりましたけれども、少なくとも来年以降も可能な限り続けられるというふうに理解してよろしいですか。
  10. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) この制度を活用するかどうかということは、全体の財政事情経済情勢等にも絡む問題でございますので、その点につきましては私どもからお答えできないわけでございますが、この制度を実際に使うということが決まっております以上は、沖縄においてもこれを活用したい、こういう趣旨でございます。
  11. 中村哲

    中村哲君 沖縄の場合は、御承知のように広島、長崎とは違いまして戦場になりましたものですから、私は戦前は台北帝大にいたものですから、台北の隣でありまして、本来ニミッツは台湾から対岸である中国のアモイ、あの辺に進出して、そこから日本に対する攻略をという考えをしておりましたところ、ハワイの会談でルーズベルトの調整によってマッカーサーがレイテから、台湾でなくて沖縄にいきなり進出するという作戦をとりました。このために非常に沖縄にとっては不幸でありましたのは、戦場になることを予想していたのでなくて、一般子女がいきなり戦場化したそういう現場被害を受けました。普通は、これは戦場で戦ったことのある私どもの場合、ああいう軍隊の進攻がありますと、普通の市民は山に上がってしまうわけです、これは中国大陸の場合。したがって子女被害を受けない。つまり戦闘員だけが戦うというようなこと、一種の戦場のモラルというのじゃないかもしれないが。  ところが、いきなり沖縄の場合は作戦が変わったということで、台湾で戦うんじゃなくて沖縄だということになったためでありましょう、一般の女子、子供等が砲火の被害を受けまして山に逃げるということもできなかったわけです。これは私のように台湾でそういう問題を考えさせられ、そして実は私個人は、ちょうど終戦のときは緒方、後の副総理が情報局総裁でありまして、台湾作戦どうなるか、そういうことに関連して終戦に持っていこうというのが我々の運動の一つでありましたために、緒方さんにも会ったりして、戦線が変わることは東京で聞きました。しかし、そのために沖縄の人が被害を受けましたことを私は他人事のように思えないわけであります。  それから回復しまして、戦後かなり健全な社会情勢になっているわけですけれども、なお失業は全国一である、それから県民の所得は最下位である、こういう状態でありますので、先ほどの政府財政援助も、今後ともほかのところと違って、NTTに限らず特別に援助されることが望ましいと思うんです。  それで沖縄につきましては、私は大学関係があり、文部省関係がありまして、沖縄大学の新設、それから審査等に参りました。琉球大学以後幾つかの私立がつくられまして、ただ条件は必ずしも満たしてなかったんです。それを認可しようじゃないかという方向で、文部省もそういう考 え方になってくれましてやっておりますけれども、したがってそのために沖縄大学設置条件というのは非常に弱い、ないし本土とは違って今でもそんなに条件を満たしていないと思うんです。見ただけでも、芸大というものができているけれども、がらんとして学生がいるのかどうかわからぬ。それからあそこには看護学部というのがあったのを医学部をつくりましたけれども医学部学生現地県民がどれだけ入れるのか、何のために医学部をつくったのか等々問題がありまして、長年教育関係しておりました限りでも問題が非常に残っている、こういうふうに思っております。  今回の経済、それから財政援助でも第三次産業を頭に置いているようですけれども、やはり第二次産業をもっと育成するというような積極的な考えでおやりになることが望ましいと思うのです。その点について御意見をちょっと承りたい。
  12. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 先生指摘のとおり沖縄におきます第二次産業は、生産面で見ましてもあるいは雇用、人口面で見ましても割合が全国最低であるわけでございまして、沖縄経済力を評価するためにも今後二次産業振興していくということは重要な課題であります。ただ、御案内のように最近の景気動向から見まして、製造業というものの新規の立地というものはなかなか難しいわけでございまして、もろもろの三次産業と関連した二次産業というようなものも工夫しながら今後いろいろと知恵を出し合ってその振興に努めてまいる必要があろうというふうに考えております。
  13. 中村哲

    中村哲君 そのことについても、隣は台湾でありますし、香港を前に置いているわけで、そしてまた中国対岸でありまして、それとのかなり自主的な経済関係促進する、そういう要素として何かもっと発展的なことを考えられているんじゃないかというふうに思います。それについてここに本年度自由貿易地域というものが予算にも上がっているようですが、これちょっと御説明願いたい。
  14. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 自由貿易地域は、沖縄におきます企業立地促進するとともに貿易振興に役立てるために、沖縄振興開発特別措置法の規定によりまして、沖縄県知事の申請に基づきまして沖縄開発庁長官が指定する地域でございまして、関税法に規定する保税地域制度企業立地に関する税制上の優遇措置を組み合わせた沖縄独自の制度でございます。この自由貿易地域につきましては、昨年の十二月九日付をもちまして那覇地区について指定を行ったところでございますが、沖縄県としましては、この地域沖縄の地理的な特性を活用したいわゆる物流中継加工型の自由貿易地域として活用を図る考えでございます。
  15. 中村哲

    中村哲君 子細なことはわかりませんけれども、昨年現地へ参りましたとき、ここがフリーゾーンだというところを自動車から示していただいたものですから大体現場は見ているわけですが、これは飛行場とそれから港、ああいうところの間の地域のようで、これは例を挙げるとどういうことをするんですか。
  16. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) お答えします。  那覇地区に設置する予定自由貿易地域につきましては、ただいまもお答え申しましたように、県といたしましては物流中継加工型として活用することを考えているわけでございますが、しからば具体的に物流中継加工型の自由貿易地域としてどのような機能を持つかということになりますと、一つ中継備蓄機能ということになろうかと思います。中継貿易の拠点あるいは貨物需給調整のための保管、さらには配送基地としての機能、こういうものを持つことになろうかと思います。それから第二は加工製造でございまして、外国等から原材料あるいは半製品等を搬入いたしまして加工製造などを行いまして製品を輸出または輸入する機能ということになろうかと思います。その他、常設展示取引機能あるいは品質調整機能等考えられるかと思います。
  17. 中村哲

    中村哲君 私が新聞等で知っている限りのことですけれども南方でとれるマグロとか、台湾沖でしょうか、エビだとかああいうものを持ってきて加工して、そしてどこかにそれをさらに搬出するんだというようなことのようですけれども、そういう程度でなくて、やるからにはもっと積極的にやったらどうかと思うんですが、その点どうですか。
  18. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 現在、先生案内のとおり、県が立地企業を公募いたしまして、二月末で締め切ったわけでございますが、四十二企業の応募があったと聞いております。その企業事業内容内訳を見ますと、大きく分けて二つに分かれるわけでございますが、一つ製造加工組み立て型の企業、それからもう一つ流通保管系企業、この二つに大別されようかと思います。  最初製造加工組み立て系企業で扱う品目を見ますと、水産物であるとかあるいは農畜産物であるとか、洋酒食料雑貨であるとか区々にわたるわけでございます。他方、流通保管系で見ましても、先生指摘のような水産物流通保管、あるいは農畜産物流通保管、あるいは洋酒食料雑貨を扱うといったような企業が応募しておる、こういう状況でございます。
  19. 中村哲

    中村哲君 隣の台湾というのは韓国に次いで発展が著しいわけです。前に香港を控えているし、背後は中国本土でありますが、この関係は、正面から中国台湾のさまざまな交流はしていないようであるけれども、最近は非常に活発にやるようになっておりまして、私はこれを見たときに中国台湾関係の間に立ってこういうフリーゾーンをつくってそして媒介でもするのかと思ったけれども、それほどの積極的なことじゃないんですね。
  20. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 現在、那覇地区設置予定自由貿易地域の一番考えられておりますのは、先ほど申しましたように物流中継加工型ということで、外国から製品、半製品を輸入しまして市場動向を見ながらそれを加工するとともに本土に輸入するという役割が一番大きいかと思います。ただ、地元におきましては、台湾中国貿易中継として将来活用したいというような考えをお持ちの方もおられるかと聞いております。私どもといたしましては、今回設置予定自由貿易地域がいろんな意味において沖縄経済活性化のために機能を十分果たすよう期待しておるところでございます。
  21. 中村哲

    中村哲君 台湾中国とは、お互いに自分の方が中国なんだという立場をとっているものですから、相入れないようです。それは建前だけであって、実質的には、殊に台湾の新政府ができてからだと、彼は台北帝大の卒業生であります。そして、台湾は割にナショナリズムが一方で強いんですが、それらも非常に円滑に島内の統治がやれるようになってきているように思います。それからまた同時に、香港中国大陸との交流をかなりじかにやるとしてきている。そういうときに沖縄が途中に入っても随分事情は変わってくるんじゃないか。  それからもう一つ、最近の中国海南島の開発をやろうと、こう言っている。私は海南島は戦場で知っているんですけれども、あそこは九州とそう違わないと思うんですが、一部は非常にまだ開発されていない農地でありますけれども、片一方は欧米の影響がありまして、オランダなんかの影響がありまして、南方の市街地のような風貌をしたそういう都市が、海口なんてありますが、しかもあそこは日本とも関係のあった汪兆銘の出身地であります。それから大体中国革命家はみんな南方からということになっていて、皆さん方の知っている人は大体南方の華僑と共通した民族出身と言っていい。殊に鄧小平にしてもあれはみんな南方中国の人でありますので、したがって新中国かなり力を入れると思うんですよ。そういう中で沖縄がああいうフリーゾーンなんていうのをつくるのは、やっぱり構想をもっと大きくしてやられるといいと思います。それはその程度で。  それから、今度の予算の中で、たしか久米島ジェット機基地をつくる、こういうことがあって、それでその準備をするための費用が入っておりますから、したがって久米島空港、相当強化されてくると思います。  この久米島という島は、歴史を申しますと、沖縄中国関係を持ったときの中継地的な役割をしているんです。沖縄から中国へ船が行くときに、久米島あるいは久米島の沿岸でいろいろ水を補給したりなんかしている。久米島は従来からレーダー基地になっているんですが、そういう意味では東シナ海全体に対するレーダー基地としての軍事的な役割を持っていると思っておりますが、そこにジェット機が発着するために拡大するというときに、何か従来、久米島へ行くときは小さな飛行機で、非常になごやかな感じだったんですが、それが今度ジェット機が飛行するような基地になるというのは、ちょっと心配することもないではないんですが、実際の飛行場はどういうふうにつくられるんですか。
  22. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) 御質問の久米島空港でございますが、昭和四十三年の十二月からYS11型機が就航をいたしております。その利用状況を見ますと、復帰直後には旅客数が十万一千人ぐらいでありましたけれども、六十一年度の実績を見ますと二十一万四千人ということで、二・一倍の伸びを示しております。ここは大変観光的にはよいところでございますので、今後も観光振興に伴ってさらに旅客需要伸びてきまして、昭和七十年には年間四十万人ぐらいになるんではないかという予測をしております。また、貨物につきましても、昭和四十八年には大体百トンぐらいしかございませんでしたが、昭和六十一年度にはクルマエビ等の水産品を中心といたしまして八百十四トンと非常に急激な伸びを示しております。  こういった状況を踏まえまして地元から強い要望がございまして、沖縄開発庁としても旅客及び貨物の輸送需要の増大に対処して、地域振興それから民生安定を図るためにより大型の航空機が就航可能な空港をつくる必要があるというふうに考えまして、現在千二百メートルの滑走路を持っておる空港でございますけれども、これを二千メートルの滑走路を持つ、ジェットが着き得るような空港にしたいということで整備のための予算を計上しているところでございます。
  23. 中村哲

    中村哲君 開発というのはやっぱり将来に向けてのことですから、したがって航空機も性能のいいものにしなきゃならないということはあると思うんです。ただ、あそこの海岸なんかに観光というか、学生たちが利用できたりなんかするようなそういうような要素では、場合によっては船の方がいいし、それから小さい飛行機でもいいんですね。私も久米島には三回ぐらい行っておりますけれども、何か科学を高度にすればいいというだけじゃなくて、やっぱり従来からの風致を保存するということ、これは二度と保全はできないわけですからね。だから、久米島というところは歴史も古いところということで、ほかの石垣とか宮古とかに比べまして那覇のすぐ近くでありまして、しかもあそこは儒学、儒教の伝統的な教育をした寺子屋的なものが早く開けたようなところでありまして、あそこの人はそういう教養があることを誇りとしているわけですが、やっぱりそういう面の文化的な性質の尊重ということ、これを忘れないようにしていただきたいと思います。  沖縄についてはそんなことですが、ただ戦後の処理の中になお昔の爆弾の残っているものの処理だとか、ああいうこともあるようですけれども、これは相当あるんですか、なおそういう処理をする必要のあるところが。
  24. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 先生の御質問はいわゆる不発弾の件かと思いますが、不発弾の処理につきましては、沖縄開発庁といたしましても予算を計上いたしまして、年間十二件程度の処理をいたしておりますとともに、公共事業等で発見されましたいわゆる発見弾につきましても適宜処理いたしてこれまで来ているわけでございますが、その数字ははっきりいたしませんが、まだまだ沖縄には不発弾等は多数残っているものと推測しております。
  25. 中村哲

    中村哲君 それじゃ、沖縄のことはそのくらいにいたしまして、今度は一転して北方領土のことになるんでありますが、先般総務長官がみずから北方領土を視察されたようで、そのときに抱負を述べておられるんですが、ひとつじかにこういう場でお聞きしたいと思います。
  26. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいまお尋ねのように、私、先般三月の二十六日の土曜日から二十七日の日曜日にかけまして根室に参りまして、納沙布岬の先端に立ちまして北方領土視察をさせていただいたところであります。  ちょうど二十七日の日曜日は大変すばらしい快晴に恵まれまして、歯舞諸島のほか国後などにつきましてもはるかに望見することができました。かつまた、ちょうど到着いたしましたときには、巡視船がいわゆる境界線付近におりましたが、その後ソ連側の監視船がやってくるというような状況でございました。そういう中で父祖伝来の地がいわれなく不法に占拠をされておる。かつまた、そのいわゆる境界線なるものを越えた場合に、我が国の漁船が家族の見ている前で拿捕されて、二年も三年も拘留されるというような事態が発生しているということにつきまして、大変残念な思いをしたところでございます。  また、北方領土関係者初め、北海道あるいは根室市長などなど関係者からいろいろと地元の当面しております困難な問題につきまして御説明を受けました。粘り強く返還要求運動を続けられておることにつきまして非常に強い感銘を受けますとともに、早期返還に向けまして国民世論の啓発に努め、努力してまいらなければならないということを痛感した次第でございます。
  27. 中村哲

    中村哲君 きのうだったかきょうだったか、竹下首相に北方領土現場を見てほしいということをどなたか要請されたということですが、そのことはわかっているというような返事が新聞に書いてあったけれども、わかっているだけでなくて、実行されるといいと思います。  今言われたことは、実は私どもがこの委員会として現地に参りましたときに見られたこととほとんど同じことで、こちらが海上保安庁の船で行きますと、向こうの方もちゃんと出てくるんですね。それは双方そういうことは科学的に探知できることなんだと思うんです。あの国後、択捉の沿岸に近いところの漁場についても、こちらの北海道側に来ている、あるいはそこに住んでいる漁民としてはかなり詳しく知っているもので、何か多少間隙を縫って接近するというようなことがあるようなんです。そういうことがあるから余り強く向こうばかりがどうだというようなことではないようで、海上保安庁の船長がそのことを、そういうふうには言いませんでしたけれども、向こうもむやみに拿捕するんじゃないんだと、向こうは法治国というか、向こうは向こうなりの法律があって、むやみに拿捕すると自分たちの責任になるので、それは目に余るときはやっているのだというようなことをわざわざ私に言ったのですが、これは社会党だから言ったんだというような気もするんですが、そんなことで、相互に、漁民はあの島のことはよく知っている、サケが上って帰るところの川の事情はよく知っているんですね。それで、かなり中に入っていくときもあるのじゃないかと思うんですけれども、これは現場を私見たわけじゃありません。そんなような問題も慎重にどうか観察していただきたいと思います。  北方領土の問題は、ヤルタ会談というものがありましたけれども、この委員会は各党超越して四島返還であります。これは徳川時代からの日本の歴史を見ても、あの四島については日本側が権利を主張するだけの根拠を持っている。社会党としてももちろんこれを主張しているわけであります。  ただ、新聞には、北方領土からソ連が軍隊を、軍事施設を撤退してもいいようなことを書いてある場合があるんですけれども、これは国会では新聞の記事をよく引用するけれども、新聞の記事というものは、新聞社もおられるけれども、そう正 確ではないので、我々学生問題なんかで処理しておりますときに新聞で書かれるのは必ずしも正確じゃございませんから、新聞にあるからどうだといって、それを理由としては言えないんですけれども、多少今のゴルバチョフになってから含みを持っているところがあるんじゃないかと思うんですが、こういう点は、外務省関係の方がおられるとすればお聞きしたいと思うんですけれども、特におられなければ……。  それから、北方領土に関する予算としまして、やはり沿岸のいろんな意味での助成を含んでいると思うんですが、この点もしお聞きできたらと思います。
  28. 鈴木榮

    政府委員(鈴木榮君) お答え申し上げます。  北方領土隣接地域というのがございまして、その振興につきましては、隣接地域振興を行います基金をつくっております。それは、五十八年から国で八億を出し、それから北海道でその残りの分を出しまして積み立てておりまして、その基金の運用を活用いたしまして、北方領土隣接地域、根室ほかその近辺の町でございますが、その振興に充てるようにいたしておるわけでございます。
  29. 中村哲

    中村哲君 そこに展望台を設けて、そして修学旅行の学生たちに、新時代を担う者であるために教育上この北方領土の問題が大きいのだということを忘れないように宣伝するということをされるようですが、そのこともいいんですけれども、あの沿岸の風致の助成、殊にあそこの森林等にはよく新聞等で書かれますようにいろんな珍しい鳥獣が住んでおります。この問題は余りここでは出ないけれども、あの沿岸の風致その他で援助されるというならば、あの原始林の保全をどうするか、ただ保全するというだけじゃなくて、それと開発との兼ね合いがまさに政治なんでありまして、森林に手をつけるなということを言う運動はありますけれども、そういうことも考慮しながら、同時に開発援助をされることは望ましいと思います。殊にこの委員会を終わりますと何の関係か季節外れのようにしてあそこの環境の保全をしろというような民間のいろんな運動がよく伝わってくるんですが、そこらのところも十分配慮されてこの沿岸等の開発についての計画をつくられるといいと思うんです。それは別に御返事いただかなくても結構です。  それから、先ほど申しました四島のうち国後、択捉は今ソ連側の軍事的な施設だと思われるものが海からも見えまして、ここはそう簡単じゃないと思うけれども、あとの島についてはそれほどソ連との問題はないんですから、これらの島の墓参のことなんかは可能ならば促進されるといいと思うんです。国後、択捉もやれるならもちろんいいですけれども。これも新聞には出ておりますけれども、どういうふうになっているんですか。
  30. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいまの北方領土の墓参の問題でありますが、委員御承知のことでありますが、昭和六十一年に交換された墓参に関する口上書に基づきまして、毎年度訪問の場所、日程等をソ連と協議して決定することになっておりますが、昨年並びに一昨年実施されました北方領土の墓参は歯舞群島の水晶島及び色丹島の二島への墓参しか認められないという結果になっております。  北方領土の元居住者の方々からは北方領土全域にわたって墓参をしたい、特に択捉や国後への墓参実現の要望が非常に強うございますので、また国後島につきましては昭和四十一年、四十二年、四十四年、四十五年と墓参をした実績がございます。そういうことをも考えまして、外務省を通じましてぜひ特別な配慮を払っていただくように当庁としては要請をしてまいりたいと、このように考えております。
  31. 中村哲

    中村哲君 これはむしろソ連に聞きたいことであるけれども、その時代は可能であったのにこのごろは中絶しているというのはどういう事情、こちらの努力が足りないのでしょうか。そこら、当時の政府の方じゃないからおわかりにならないかもわかりませんが、なぜそうなったのですか。
  32. 鈴木榮

    政府委員(鈴木榮君) 最近北方領土の墓参が再開されまして、外務省にその都度引き揚げてきた方々の御意向を伝えまして、四島にわたりまして墓参ができるようにお願いしているわけでございます。外務省は日程のぎりぎりの線まで詰めて向こうと交渉に当たってもらっておるわけなんですが、結果的には、御存じのとおりの一部の墓参しか認められないということになっております。その理由につきましてはこちらではわからない次第でございます。
  33. 中村哲

    中村哲君 あの四島に戦前というか終戦まで居住していた、そしてあそこで耕作していた人というのは、北海道の本島から船で渡ってそして耕作していた人もいるわけでしょう。あそこに墓があるというような場合、あそこに居住していた人がそういたかどうかということがあるんですけれども、この人たちの写真が現地の北方館に出ておりましたけれども、やはり原住民に近い方々のように見受けました。それで、これらの千島列島の先住者というのは一体ソ連か日本かと言うけれども、実際にはアイヌという言葉で言われているような先住の人々であります。これは、ここで前にも申しましたけれども日本の人類学の、殊に世界的な権威でありました鳥居竜蔵さんが大正の初期に千島の現地の調査をしておりまして、そしてあそこにはアイヌの何という人が住んでいるという名前まで上がっているんでありまして、したがってこれはそういう原住民の人たちの長らく住んでいた島であります。  もうそろそろやめますけれども、一言申したいのは、日本の普通の人は、アイヌの人というのは北方に移動したかのように思っていますけれども、実際にアイヌの人というのは関東地方から、北陸から、それから東北地方から、こういうところは原住民はアイヌの人だったんじゃないかと言われるぐらい、そしてそういう研究がありますように、そのアイヌの人たちというのは、今日アイヌと言わないでウタリと言っていますが、ウタリというのは仲間という意味で、アイヌというのは人ということです。大体部族の名前は、お前は何だと聞くと自分はアイヌだ、おれは人だと言うときに、旅行者が名前と間違えて、それでアイヌという名前にするんで、人間という意味なんです。関東地方から東北地方から、アイヌの人は先住民としてはかなり力を持っていたわけでありまして、あの清原とか藤原とか言っておる平泉文化もアイヌ文化じゃないかというので歴史的な調査を大がかりにしたことがあります。  それで、そういう人たちが別に北方に追いやられたんじゃなくて、アイヌの人たちというのは、どちらかといえば日本人の中でもむしろスマートなんですね、西欧的なんです。だから、ソビエトなんかから見ると、自分たちと同じ白人だ、こういうふうに見ているわけで、これは大体が大陸とつながっている人たちであります。したがって混血してしまうとむしろ日本人が非常にスマートになっていくんで、この問題がアメリカなんかとは違うわけです。カラードの人たちと白人が混血するということを嫌う。それをやっていると現在のメキシコのような人種ができるんだとか、いろんなそういうことがあって人種の問題が注目されるんですけれども日本の場合にはそういうことがない。  一例を挙げますと、吉田松陰は幕末に、津軽海峡までロシアの船が南下するというので見に行くわけです。そうすると、津軽半島のつけ根に、ここはアイヌの人の部落だと彼の日記の中に書いてある。ところがそこへ行ってみると、別に今はアイヌの人じゃない。それはなぜかというと、アイヌの人はみんな混血していくからです。つまり、東北の人たちの祖先だからでありまして、東北の人は何か劣っているかのように言った人も、これはユネスコか国連かの役員をしているような日本の財界の人でありますけれども、そういうんじゃなくて、アイヌの人というのは自然に日本の文化の中に溶け込んでいったのであります。  私は終戦直後、北大が最後の帝国大学として法学部をつくりましたときの最初の講義に参ったりしたものですが、終戦直後の北海道におけるアイ ヌ部落というのは隅から隅まで歩いてみました。今はかなり変わっていると思いますけれども、何かいわゆる差別というような問題にならないで済むようなことがあるわけです。例えば柳田国男が「山の人生」を書いている。山野に住む人、これは実際には東北地方の山で生活する人、里に出てこないで山で生活する人、殊にマタギという猟師がおりますが、これがアイヌの人だったとばかりは言えないんですけれども、こういう人たちはアイヌの前の先住民の名残であるというようなことが柳田さんの興味にあったわけであります。アイヌの人の問題なんかも、中曽根さんが、日本人は単一民族だとか失言をされたようなことがありましたけれども、もっと広い意味でインターナショナルにこういう問題を考える必要があると思います。  それで、一言だけ最後に申し上げておきます。  「成吉思汗ハ源義経也」というのを書いた小谷部全一郎という人がおりました、明治の、大正になりましたですかね。源義経というのはゲンギケイと読める。ゲンギケイはジンギスカン。要するにゲンギケイ、源義経だ、北海道から蒙古に渡った。蒙古と北海道が本質的なつながりを持ち、例えば江差追分なんていう、江差のあのメロディーというのは蒙古の民歌でありまして、蒙古の草原で録音したあのメロディーは全く江差追分であります。  このごろ国際交流なんていうことを急に言い出しておりますけれども、広い立場から東北地方、それから北海道地方の文化等の研究というものは日本では早くから行われておりまして、それをいたしましたのは、先ほど申しました小谷部全一郎さんもその一人でありまして、その彼がアシスタントをしたのがバチェラーさんです。そのバチェラーさんがアイヌの研究を日本では最も早くされた。そのバチェラーさんの影響を受けておるのが金田一京助さんなんかであります。その小谷部さんというのは、当時は荒唐無稽なことを言うというけれども、このごろのジャーナリズムでは歴史だか物語だかわからないような話をたくさんつくって、そして非常に売れて有名になってテレビのドラマになったりするんですが、小谷部全一郎というのはそういうロマンを持った人でありました。この人は実際にはアイヌの教化のために献身した人でありまして、たまたま私は北海道の大学関係審査に参りましたときに――伊達紋別というところがあります。これは伊達というのは伊達藩の士族たちが維新後あそこに移動して、そして開発したので伊達という名前がついている。あの伊達紋別には廃屋になった教会がありまして、その教会はバチェラーさん、それから小谷部全一郎さんの教会なんです。それは行ってみますと、まだ名刺だとか写真とか張ってありまして、そこの世話をしているのがアイヌに関係の深いおばあさんであります。ああいうものを保存しないで、そして国際交流というとアメリカだとかその他をすぐやりますけれども、歴史上のああいう国際交流の恩人のような人の顕彰というか、ああいう伊達紋別の廃れた教会なんかを何かの形で保存されるといいと思うのです。  つまり、アイヌの問題に絡むものだからじゃないかと思うので、土人保護法なんというのにもそういう先覚者たちの意見が入っている。それをどう解釈するかというようなことがあるためにアイヌの歴史というものをどう掘り起こすかという難しい問題があると思うのです。しかし、バチェラーさんのような大きな功績のある人、こういう人のことを北海道庁が何かの形で保存すべきだと思う。ただ戦後は、憲法に宗教の自由、そういうことに干渉しないようなことを言っていることもあるのか、やり方が難しいのか知りませんけれども、世界的な宗教であるキリスト教の記念すべき会館になりますけれども、こういうところは保存されるといいと思うのです。これは北海道庁に申し上げているわけです。  以上をもって私の担当した時間を済ませていただきたいと思います。
  34. 中野明

    ○中野明君 ただいまも出ておりましたが、高鳥総務庁長官、竹下内閣の閣僚としては初めて北方領土を視察してこられたわけですが、重複を避けまして、そのときに択捉、国後両島にも墓参を拡大するように外務省に要請するというふうに述べておられるわけですが、この経過と感触をちょっとお述べいただきたいと思います。
  35. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 先ほども申し上げたところでございますが、地元の元居住者の側からは、ただ単に歯舞諸島だけではなくて、国後、択捉へも墓参を拡大してほしい、また、墓参地域についてももっともっとふやしてほしいという強い御要請がございます。それを受けまして当庁といたしましては、外交窓口であります外務省の方に地元の御希望を伝えまして、強くその実現方を交渉していただくように申し入れをいたしているところであります。もとより容易なことではないとは思いますが、地元の強い御希望がございますので、ぜひ実現に向かってさらなる努力を積み重ねてまいりたい、このように考えております。  具体的な感触ということになりますと、私の立場ではいささか申し上げかねるところでございますが、一生懸命頑張りたい、このように思っております。
  36. 中野明

    ○中野明君 高鳥長官が外務省に話されて、それで外務省の返事はどうだったのですか、その辺ちょっと聞かせてください。
  37. 鈴木榮

    政府委員(鈴木榮君) 墓参につきましては、毎回その都度場所等は外務省とソ連側と協議することになっております。当方としては、北方四島から引き揚げた方々の要望を入れまして、四島全域にわたって墓参ができるようにということを外務省にお願いをしております。その意向を受けまして、外務省はこの墓参の日程ができますぎりぎりの日にちまでそれを詰めて協議しておりまして、それを一々我々に報告を受けるということはしておらないのでございます。
  38. 中野明

    ○中野明君 いずれにしても、これは住民の悲願でもありますので、ぜひ長官におかれましても今後とも鋭意努力をしていただきたい。特に強くお願いをしておきます。  それでは、沖縄の問題に入りたいと思います。  まず一点は、昨年の七月二十三日に、これは当委員会でも外務委員会でも、衆参ともに大変課題になった問題なんですが、那覇の南東の百三十キロメートルの海上で操業中のマグロはえ縄漁船第一一徳丸、これが被弾した事件で、第十一管区海上保安本部は、三月十四日に、当時現場で空対空ミサイル射撃訓練をしていた航空自衛隊南西航空混成団の指揮官パイロットを過失往来妨害罪の容疑で那覇地方検察庁へ書類送検されたというふうに承知をしております。海上保安庁ではこの沖縄の問題を担当する当委員会に対しても、改めて容疑事実の内容及び適用罰則など、第一一徳丸の被弾事件の概要を御報告していただきたい、このように思います。
  39. 中島健三

    説明員(中島健三君) お答えいたします。  先生指摘の第一一徳丸の事件につきましては、昨年の事件発生以来八カ月にわたりまして現地の第十一管区海上保安本部で鋭意捜査を行っておったわけでございますけれども、先ほど先生が御指摘のように、去る三月十四日、現場で空対空ミサイル射撃訓練を実施しておりました航空自衛隊南西航空混成団所属の自衛隊員を過失往来妨害罪、これは刑法第百二十九条第一項でございますけれども、その過失往来妨害罪で那覇地方検察庁の方へ書類送致したものでございます。
  40. 中野明

    ○中野明君 それで、今もお話に出ておりましたが、この事件は、事件発生後送検するまでに八カ月を要しております。地元の県議会で本事件に関する二度目の真相究明に関する意見書を採択してからでも三カ月経過しておる。このような長期間を要した事情というのは何であったのですか、ちょっと説明をしていただきたい。
  41. 中島健三

    説明員(中島健三君) 本件は陸上におきます刑事事件と異なりまして海上における事件でございましたため、痕跡というものも残りにくく、物証としましては一徳丸の船内に残されました金属片二個といった程度のもので、ほとんどそれ以外の 物的証拠も少なかったというような状況がございまして、関係者からの事情聴取だとか、いろんな情況証拠の収集等をする必要があったため時間を要したということでございます。
  42. 中野明

    ○中野明君 いずれにしましても、当時訓練をしておったのは自衛隊の飛行機しかないという現状の中で、そのように時間がかかるというのも非常に私、納得いきかねるんです。  衆議院の社会党の上原議員も内閣に質問主意書を出されてその答弁が返っておるわけですが、それによりますと防衛庁は、「射撃機の操縦者等は、ミサイルの射撃に当たって、安全のために確保すべき範囲内の海上に船舶が存在しないことを航空機のレーダー及び目視により確認している。」あるいは「射撃機の操縦者は、ミサイルがほぼ直進し、その後、海面上に着水したと思われる波紋が生じたのを視認しているが、その際、同ミサイルが飛しょうした方向及び波紋の周辺に船舶を視認していない。」と答弁書を出しておるんですが、今日、指揮官のパイロットが送検という現段階において、この内閣の答弁書というのはいささかも変更がないものかどうか、その辺はどう思われますか。
  43. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 私ども防衛庁の方で調査した事項を答弁書でお答えしたわけでございますので私の方から申し上げますと、私どもとしても海上保安庁の方で犯罪捜査として行っておられる以外にいろいろ調査しておるわけでございます。その限りでは、防衛庁が確認した範囲としては、この答弁書で申し上げたとおりと私ども考えておる次第でございます。
  44. 中野明

    ○中野明君 そうすると、裁判の結果、具体的な事例が明らかになってくると思うんですけれども、その出た結果には従われるというお考えですか。
  45. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) もちろん司法の御判断というのは基本的には最終的なものであると考えておりますが、現在、那覇地検におきましてこれからさらに御捜査があるわけでございますので、私どもはそれに引き続き協力していきたいと考えておるわけでございます。
  46. 中野明

    ○中野明君 どうもこの答弁書が一方的に報告を聞いたその内容になっておるわけですが、海上保安庁の方で書類を送検されているわけですから、海上保安庁としてはそれなりの確証を持って送検されている、このように私どもは理解をするんですが、海上保安庁、それで間違いないですか。
  47. 中島健三

    説明員(中島健三君) 私どもが第十一管区海上保安本部から報告を受けたところによりますと、当本部では十分な捜査を尽くした結果、過失往来妨害罪の容疑があると認めて送致したというふうに聞いておるところでございます。
  48. 中野明

    ○中野明君 防衛庁の姿勢として納得できないのは、この問題に対しては、マスコミの報道なんかをよく読んでみますと、自衛隊機の事件へのかかわりを否定して、もし裁判になれば受けて立つというような強気の姿勢を持っている点にあるんじゃないかというふうに私は心配をするわけです。自衛隊機しかそのときは訓練をしていないわけですから、その点もっと謙虚に事件当初から事実を確認するというんですか、そういう意味で、昨年も航空機のニアミスの問題のときも、高知の沖もありました、千歳もあったわけです。これなんかも結局後になって事実であったと、このように答えておられるわけでして、今回も恐らく海上保安庁の調査されたのは正しいんじゃないかと私どもも想像しているわけです。  事件が起こって、事実をどうも隠そうというんですか、そういう感じが自衛隊の姿勢として非常にあるんじゃないか、それが結局県民並びに国民の不信を呼んでいるんじゃないか、そういうふうに思うんですが、これは今後もうないことを願うわけですけれども、ニアミスにしてもあるいはこういう被弾事件にしても皆無とは言えない場合もあるでしょう。そのときに防衛庁の姿勢というのが、いや、うちじゃないんだというふうに全面的に頭から逃げてかかろうとする、その姿勢がまた事故を起こすことにもなりかねない。そのように心配をするんですが、その点、もう一度防衛庁としてしっかりした答弁をお願いしたいと思います。
  49. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 先生の御指摘になりました懸念と申しますか、あるいは批判と申しますか、そういったものを私どもは十分理解いたさなければなりませんし、しておるつもりでございます。  ただ、先生、昨年のニアミス事案の例等をお引き合いにおっしゃったわけでございますが、あの件についても私ども非常に対応の遅さというものは確かにあったと思います。ただ、本件がいわゆるニアミスかどうかという問題は、これはその事態が危険かどうかという非常に主観的な要素をはらんだ問題ということがございますが、本件の場合は客観的な事実関係の問題でございまして、私どもも殊さらこれは隠し立てとかといった意味ではございませんで、捜査進行中でございますので、捜査に協力するという立場でいろいろ御説明やら資料の提出等は行ってきたわけでございますけれども、そのこと自体は捜査上の御協力ということでやっております関係上、そのままいろいろ御説明するわけにいかないということも御理解いただきたいと思います。  私どもとしては、当面現場の隊員の供述等を整理いたしまして、一応刑事事件という形で手続が進行しております。これに協力して見守っていくべき立場であろうと思いますが、現場の被疑者を含めまして、関係の隊員が刑事事件の関係者という立場においてまあ否定しておる。それは一応私どもなりの調査ではそれも一理あると考えておるわけでございますが、そうしますと、それを役所の立場で、指揮命令系統によってその認識が違うというわけにもまいらないという面もございまして、そういうさまざまな事情があって、いろいろ地元の方にはおわかりになりにくい状況があるいはあるのかと思います。いずれにしましても、地検の今後の調査にできるだけ御協力をしまして、早期の事案解明を図れるよう協力していきたいということを今考えておるわけでございます。
  50. 中野明

    ○中野明君 とにかく、所属の自衛隊員をかばうというような意味から捜査に非協力であったということになったらこれは問題であります。ですから、その点は、なぜこんなに八カ月もかかったんだろうかということを考えると、やはり防衛庁の姿勢が問題になってくるんじゃないかというふうに私どもは受け取るわけでありまして、事件になっておるわけですから、どうか鋭意真相究明に全面的に協力をしていただいて、そして結論が出れば経過を公表していただくというような措置をとっていくことがやはり国民、県民に安心を与える一つの大きな要素になってくるんじゃないか、このように思いますので、ぜひこれは実行してもらいたいな、このように考えております。  沖縄開発庁長官、この種の事件、同じ国の機関同士で、片方はそうじゃないと言い張っており、片方は調べてみた結果書類送検された、こういうことなんですが、このような事件が後を絶つようにぜひ開発庁としても両方に要請をしてもらいたいと思うんですが、長官としてのこの事件の御感想をお聞きしておきたいと思います。
  51. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 今、本件につきましては、先生と海上保安庁、防衛庁との質疑を拝聴いたしておりました。過失往来妨害罪の容疑で自衛隊員が書類送検されたということを承知いたしております。  ただ、先生御承知のとおり、沖縄開発庁はこの事件について直接関与する立場にありませんので、私どもの気持ちとしては、再びこのようなことが起きないように願っております。これからも県民生活の安全が確保されるように私どもとしては強く期待をいたしております。
  52. 中野明

    ○中野明君 いずれにしても、国の機関同士で意見が対立して、片方はやっていない、片方は調べた結果やったと、こういうことになるということはまことに国民の側から見たら非常に不可解な問題でして、ぜひ率直にこういうことは事を明らかにしてもらいたいな、このように思います。この 問題はその程度にしておきます。  次に、石垣空港の問題でちょっと二、三お尋ねをしたいと思います。  石垣空港問題についてはこの委員会でも私も問題にしたことがあるんですが、設計変更をして、そして滑走路の敷地を狭めて、それで一応環境庁としても大体評価されておったようなニュアンスで私承知をしておるわけですが、このたび石原運輸大臣が発言されて、そしてそれが徐々に後退をしてきておるように私も受けとめておりますけれども、環境庁として、この前私が質問したときに答弁をされましたが、その後のお考えというものをお聞きしたいと思います。
  53. 櫻井正昭

    説明員(櫻井正昭君) お答えを申し上げます。  昨年の八月に沖縄県の知事が、サンゴ礁、アオサンゴの保全の立場からそれに配慮をされて計画を縮小されたことにつきまして、アオサンゴの保全の観点からそういう方向に計画を変更されたことについて、当時評価申し上げているということを申し上げたと思います。  現時点での考えでございますけれども沖縄県は当初の計画を縮小した上で改めて環境アセスメントを行う準備を今進めているというふうに聞いておりますので、環境庁といたしましては、この県の環境アセスメントの結果を踏まえて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  54. 中野明

    ○中野明君 西銘沖縄県知事は、本年の八月までに諸準備を終えて公有水面埋め立ての認可申請を行いたいというような意向のようでございますけれども開発庁として現在その準備状況はどのように掌握されておりますか。
  55. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) 昨年の八月二十七日に、御指摘のように、沖縄県知事から、アオサンゴ群生の保全に一層配慮して早期着工を図るために、既定計画を南側から五百メートル縮小いたしまして二千メートル滑走路の空港に計画変更したいという意向表明がなされたわけでございますが、それに基づきまして変更計画案について県が環境アセスメントに係る手続を改めて行うことになっております。現在その手続を進めているところでございます。  今後、計画変更に伴う手続といたしましては、環境アセスメントに係る手続のほかに、公有水面埋め立てに係る手続、それから航空法に係る手続というものが必要になります。県といたしましては、早期着工を図るために、本年の八月末ごろまでに公有水面埋め立て免許の出願を行いたいというふうに考えておりまして、それまでに環境アセスメントの一連の手続として、建設省所管事業に係る環境影響評価実施要綱というものに基づきまして、環境影響評価準備書の公告、縦覧、説明会の開催、関係住民及び関係市町村の意見の聴取、それから知事の意見を求めた上で準備書の記載事項に検討を加えて環境影響評価書を作成し、公告、縦覧に供するなどの所定の手続を終える予定であるというふうに承知をいたしております。
  56. 中野明

    ○中野明君 それで運輸省、来ておられましたらちょっとお聞きしておきたいんですが、石垣島の航空の需要予測とそれから利用状況、それをちょっと改めて教えてください。
  57. 堀井修身

    説明員(堀井修身君) お答えいたします。  現在の石垣空港利用状況でございますけれども、年間の乗降客が六十一年度の実績でございますが七十三万程度でございます。なお、その中の主力路線は那覇と結びます路線でありまして、年間六十万人を超えておるという現状でございます。また、この路線の座席の利用率でございますけれども、これは季節によりましてかなり変動がございますけれども、通年で申し上げますと七〇%を超えておる、多客期におきましては九〇%を超えるというような時期もあるということでございまして、現石垣空港千五百の暫定ジェットでございますが、これだけの需要を扱うには非常に混雑をしておるというふうに申し上げて過言ではないと思っております。  それから、将来の需要予測でございますけれども、私ども六十一年度から第五次の空港整備五カ年計画というのを発足させてございますが、そのときの六十五年度の石垣空港の需要予測値でございますけれども、百万ちょっとぐらいになるんではないかというふうに考えておるところでございます。
  58. 中野明

    ○中野明君 ここの空港はどうしても広げなきゃならないという地元の要望、各界各層の要望というのが非常に強いものですから、あえてこれをお尋ねしているわけですけれども開発庁の長官としてはどのようにお考えになっていますか。
  59. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 先生十分御承知のことでございますから多くを申し上げませんけれども、自然環境をなるたけ破壊しないで現状維持を保っていきたい、これは私どもも強く念願をしております。しかし、その一方、地域の住民の方々の生活をお守りしなきゃならぬ、こういうこともあるわけでございまして、その辺の調和を図りながら事業者である県も十分配慮をしてこのことにかかったことだと、こういうふうに思っております。いずれにしましても、日本には日本の環境アセスメントの制度がありますので、いろいろと設計変更などをして対処をしてきた経過を踏まえて今提出をしているようでございますから、その評価が出た時点で私どもも御協力すべきことは御協力しなきゃいかぬ、こういうふうに思っておりますが、ただ、今までの経緯を踏まえてこれは国としてもぜひ、暫定のジェット空港でありますから、暫定というのは正規にしなきゃいけない。非常に危険度も伴うんだろうと私ども思っておりますから、そういう意味ではこの事業に御協力をさせていただきたい、こういう姿勢で臨んでおります。
  60. 中野明

    ○中野明君 この環境アセスメントは大体いつごろ結果が出るんですか。その辺は環境庁ですか。
  61. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) 環境アセスメントと申しますか、今現在いろいろ調査を行って準備書を作成しているわけでございますが、先ほど申しましたようないろんな段階を経まして、それが準備書から評価書に固まってまいります。一方で、公有水面の埋め立ての免許の申請をいたしまして、その免許を、これは建設大臣に出すわけですけれども、建設大臣がその場合に環境庁の御意見を伺って結論を出すことになっております。先ほど申しましたように、県としては八月の末ごろまでに出願をしたいということを言っておりまして、それから各省の審査が始まるわけでございます。これがどれぐらいになるかということは、ちょっと私どもも予測の限りではございませんが、できるだけ早くこれの結論が出ることを期待しておるところでございます。
  62. 中野明

    ○中野明君 これ、もう予算がついて流れて三年ですかね。ですから、県が県なりに設計変更して出されたわけですから、これ、そんなに時間がかかる問題じゃないと思うんですが、その辺はどう考えておられますか。  それから、やっているとまた流れるということになって、これは予算の執行上も財政法の上からいってもおかしな問題になってくるんですが、その辺はどうなんですか。今度のような場合はかなり具体化してそれを設計変更したんですから、かなり早い時期に結果が出るんじゃないか、このように私どもは想像しているわけですけれども、その辺の見通しはどうなんですか。
  63. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) 県といたしましても、従来の計画を変更いたしまして、アオサンゴの群生を保全しつつ開発を進めるということに徹して作業を進めているわけでございますので、十分な調査を行ったところだろうと私どもも想像をいたしております。そうしたことを踏まえまして、できるだけ早く結論が出ることを私どもとしても期待しておるところでございます。
  64. 中野明

    ○中野明君 いずれにしても、これは賛否両論があって大変騒ぎになった問題で、その結果、設計変更をされて申請をまた出し直すという形になっているわけですので、早急に結論が出ることを私どもも期待をしておりますし、早く地域住民の要望にこたえられるような結果になることを強く要望しておきます。  それではもう一点だけお尋ねしますが、去る二月の二日に農産物の輸入制限十二品目に関してガ ットの裁定案を一括受諾をして、その結果としてパインも、そのパインの缶詰とか果汁、これらも含まれておって沖縄県下のパイン産業への打撃というものは、これはもう多大の打撃を与えられるということは必至の情勢でございますが、関係従事者は十万人、こう言われておるわけですが、農林水産省としてどういう姿勢でこれを救済しようとしているのか、その辺をちょっとお尋ねをしたいと思います。
  65. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 先生おっしゃいますように、沖縄県にとりましてはパイナップルというのは非常に厳しい条件のもとにつくられている、また代替性のない重要な作物だというふうに私ども考えております。こういった転作が困難な作物を、今後できるだけガットの整合性がある範囲内でどういうふうに救済していくかということを、今私ども自身は県にも、また県の農業団体にも十分その意向を聞きつつ体制を整えているところでございまして、体制が整い次第具体的なお話ができるようになるというふうに考えております。
  66. 中野明

    ○中野明君 今も答弁の中にありましたように、これは沖縄にとっては本当に重要な基幹産業一つであります。それだけによほど対応策をしっかり講じてあげないと県民の生活にも多大の影響が出てまいります。開発庁としてパイン農家に与える影響、これについての予測をどのように見ておられるんですか、ちょっと教えてください。
  67. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) パインの関係でございますが、沖縄でのパイン生産は本島の北部、それから八重山で地域農業の重要な農産物でございます。それで現在千四百戸ばかりの農家がこの産業に携わっておりますし、金額的には売上高は大体二十億円ぐらいというふうに考えております。  これからパイン缶詰につきましては自由化が避けられないという情勢でございますが、これについてどのような影響が農家に生ずるかというようなことにつきまして、私どもも県あるいは農業団体等からいろいろお話を伺っておりますが、農林水産省初め関係各省とも相談をしながらいろいろな対策について努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  68. 中野明

    ○中野明君 いずれ具体的に数字も明らかになってくると思うんですが、政府が約束されている自由化に対応して国内農家が生き残れるような国内対策に万全を期すと、このように方針を出しておられるんですが、改めてここで確認をしておきたいと思うんですが、それについては間違いなくそうされますか。
  69. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 先ほども申し上げましたように、関係各方面からの意見の聴取が終わり次第、十分手順を踏みつつ、所要かつ適切な処置につき最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  70. 中野明

    ○中野明君 いずれにしても農産物が自由化されて国内の農業に与える影響というものは莫大なものがあるわけですから、その点についてはぜひ遺憾のないように措置をお願いしたい、このように思います。パイン農家にしても、あるいはサトウキビの問題にしても大変深刻な状況でありますので、ぜひお願いをしたいと思います。  それではもう一点だけお願いしておきます。  沖縄では大量輸送機関というものがございません。そのために、たびたび私もお伺いしているんですが、着々と進んでおるとは思いますけれども、まだまだ道路網、交通網というものは大変な渋滞を来しておるという状況でありまして、特に本土決戦の場所になりました島尻地区ですね。この地区は近年那覇に対して近い関係で、なかなか交通渋滞でどうしようもないというような現状をたびたび目にするわけですけれども、高規格の道路の建設とか、あるいは那覇の東バイパスの事業の促進とか、あるいは南風原のバイパスの建設とか西海岸の道路の南伸、このように問題が山積されているわけですが、それについて第二次振計でいろいろ計画はされていると思うのですが、概略、道路行政について開発庁として考えておられること、やろうとなさっていることをお聞きしたいと思います。
  71. 塚越則男

    政府委員塚越則男君) 御指摘のように沖縄での陸上交通は専ら道路に依存しているわけでございまして、道路整備県民の生活とか産業活動に与える影響が非常に大きいわけでございます。そこで私ども復帰後、道路の整備ということに力を注いでまいりまして、整備水準、例えば舗装率ですとか整備率、そういったものにつきましては改善をされてきておりますけれども、まだ道路網密度が低いとか、体系的な道路網の整備がおくれているといったような問題がございまして、これからこういった点に力を入れていかなければならないというふうに考えております。  そこで、今後とも基幹的な道路網としての那覇空港自動車道、それから西海岸道路等の整備を進める。また混雑の激しい都市内あるいは都市周辺道路の整備を進める。また本島北部それから離島などの地域振興を図るための道路の整備、島尻地区などの整備も入りますけれども、等を積極的に推進していくとともに、リゾート開発等の新たな課題にも十分配慮をいたしまして、必要な道路の整備を積極的に進めていきたいというふうに考えております。
  72. 中野明

    ○中野明君 本土復帰してから、振興開発計画によって公共施設というもの、これは学校にしてもあるいはその他の施設にしても目をみはるような変わり方。ところが高速大量輸送機関がないものですから、一番道路関係整備がどうしてもおくれているという感じを私も持っているわけですが、ぜひこれは精力的にやっていただいて、今申し上げた、那覇市を中心にする道路というのが非常に混雑をするものですから、ぜひこれは適切な整備をお願いしたい。この問題、もう最後でございますので、大臣から所信をお聞きして終わりたいと思います。
  73. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 御指摘のとおりだと、こういうように思います。私ども、このごろ言われておる言葉ですが、交通過疎という言葉があります。これは陸上も水上も、それから空中も含めてのことだろうと、こういうふうに思いますけれども、特に車社会になりましたから道路網の水準を上げなければいけない、こんなふうに思いますが、いろいろな事情があって開発庁の当初の方針どおりになかなか計画が進んでいない向きもあるようでございますが、今後御鞭撻をいただきまして、せっかく努力をしていきたいと、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  74. 市川正一

    ○市川正一君 沖縄の浦添市と宜野湾市の間にあるパイプライン、米軍燃料送油管でありますが、この道路は、未返還の米軍用施設で道路法に規定する道路には該当いたしませんが、市街地の居住地域に敷設されておるために実際には生活及び経済道路として地域住民に利用されている。ところが、このパイプライン道路の中央には数多くのバルブボックスが路上に突き出ております。ここに私写真持ってまいりましたが、ちょっと後で大臣にもお届けしたいと思います。そのために交通保安上の問題あるいは道路整備や区画整理等都市計画を進める上で大きな障害になっております。  パイプラインにおける交通事故は、宜野湾市だけの統計でありますが、昭和五十六年十月から六十一年十月の五年間に四百五十一件も起きております。そのうち、今大臣見ていただいているバルブボックスを原因とする事故は四十六件、そして死者が二人おります。したがって、このパイプラインの返還及びバルブボックスの撤去は、沖縄県また関係自治体を初め地元住民の強い要望になっておる次第であります。  このパイプラインの返還については、昭和五十一年の第十六回日米安全保障協議委員会において合意されている。その後段階的に返還が進められ、北上ラインは、ここに地図を持ってまいりましたが、現在、今述べた浦添市伊祖から宜野湾市伊佐の間の約四十二キロを残すだけになっております。ほかのパイプライン施設が返還されているにもかかわらず、この部分がいまだに返還されていない理由は一体なぜなのか。また防衛施設庁としては、返還のために米側とどういう交渉をして いるのか、まず明らかにしていただきたい。
  75. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) お答えいたします。  まず、第十六回の安全保障協議委員会で返還が合意されました部分につきましては既に返還を完了しております。これはバルブボックス二十までの点でございまして、ただいま委員がおっしゃいました区間の送油管は安全保障協議委員会で合意された以外の部分でございまして、これにつきましては沖縄県の方から強い返還の要望がございまして、米軍の方に返還要請いたしまして、ただいま米側の方から条件つきで返還を考慮してもよいという回答が来ております。
  76. 市川正一

    ○市川正一君 じゃ、条件つきで返還してもいいという、その条件というのは一体何ですか。
  77. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) この条件につきましては、日米間の交渉事でございますので、ここで回答は差し控えさせていただきたいと思います。
  78. 市川正一

    ○市川正一君 おかしいじゃないですか。どういう条件ならば返還するというんですか。それはあなた交渉しているんだから、はっきりと。
  79. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) ただいま条件についていろいろ米側と調整しておりまして、この内容につきましては、日米間の合意がございまして、両政府の合意ができないと公表できないことになっておりますので、御了承願いたいと思います。
  80. 市川正一

    ○市川正一君 どういう条件をアメリカ側は出しているんだということを聞いているんですよ。どうも私時間がありませんので、じゃ後でそれは詰めることにして……。  浦添から宜野湾までのパイプラインがまだ返還されていない理由として、いろいろ関係方面から説明を受けると、いざというときに使用したいというのが米側の理由だと言われておりますが、それはアメリカが緊急時あるいはアメリカ有事の際に必要なパイプラインの施設として保持していくということなんですか。
  81. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) そういうことでございます。
  82. 市川正一

    ○市川正一君 えらいまたはっきりおっしゃるんですが、そうだと思います。  そうすると、返還されていないパイプラインの中にバルブボックスナンバー二十という米軍用施設があります、今あなたがおっしゃった。今そこまでは撤去されているわけです。  防衛施設庁からの事前の説明では、この施設は日本エッソ石油、いわゆる南西石油が米軍と使用契約を結んでいる共同使用施設である、こういう報告を受けておりますけれども、その点を確認いたしたいんですが、間違いありませんか。
  83. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) 間違いございません。ただいまエッソ石油の沖縄支店が共同使用しております。
  84. 市川正一

    ○市川正一君 そうしますと、いざというときに残したいと、使用したいということに相なるんです。  私、略図を持ってまいりました。(資料を示す)この赤線が、まだ残っているところです。いわゆる宜野湾とそれから浦添です。ここに普天間基地があります、それから嘉手納基地があります。このパイプがここへの石油ルート、これはバルブボックスナンバー二十を起点として南西石油の備蓄タンクと直結しておるわけです。  このバルブボックスナンバー二十というのは、復帰前はアメリカの石油会社が米軍と琉球電力公社、今は沖縄電力でありますが、そこに石油を供給していた際に利用されていたもので、復帰の時点で米国の石油会社から現在の日本エッソ石油、南西石油に引き継がれたものであります。  いざというときに使用したいという米軍の理由は、緊急時の際にこのバルブボックスナンバー二十を経由して、例えば金武湾の方からのタンク貯蔵が使用できなくなったというような場合にいつでも南西石油から石油の供給を受けられるようにしておくということに相なるんではないでしょうか。
  85. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) その点は私つまびらかに存じ上げないんでございますけれども、いずれにしても米側の方は緊急用として使いたいということで保留しているようでございます。
  86. 市川正一

    ○市川正一君 先ほどはっきりおっしゃった、またレクチャーのときにいろいろお伺いすると、例えばということで金武湾のタンクが機能停止をしたときなどを想定しているようだというふうに防衛庁はおっしゃったんですね。だから、そういう極めて軍事的な意図というものがこれと結びついておる。今日までこの施設を返還しなかったのは、あくまでもこの施設を緊急時に使用できる施設として確保していくため以外の何物でもなかったと思うのであります。  さて、今回提起されている条件というのも、結局米軍が緊急時に使用できる現在のパイプライン施設と同種の代替施設をほかにつくらなければ返還しないということなんですか、イエスかノーかで。
  87. 森山浩二

    説明員(森山浩二君) そういったことも含まれていると思いますけれども、いずれにしろいろいろ条件がついておるということでございます。
  88. 市川正一

    ○市川正一君 含まれているということをしかと確認をいたします。  そこで、今国会ではいわゆる有事来援研究に関連していろいろな問題が予算委員会でも議論され、私も取り上げました。事前備蓄、ポンカスなどが問題になり、政府は民間の活用も対象になると、こう答弁されております。今回のこの沖縄のパイプラインのケースは、既にアメリカが民間利用ということで事実上先取りしているというふうに言っても過言でないと思うんです。しかし、冒頭申しましたように、大臣、このパイプライン施設は交通安全上の問題を初め、道路整備や区画整理等都市計画を進める上で大きな障害になっております。  長官にお伺いしたいんでありますが、基地の整理縮小は第二次振興計画の重要な柱であります。パイプライン並びにバルブボックスを無条件に即時返還並びに撤去させ、そして県民の生活のための都市計画を進めることは県議会でも、知事も関係市町村もみんなこぞって願っているところです。ぜひ沖縄の担当大臣としてこの問題について関係省庁と積極的に協議をいただく、返還が実現できるように努力さるべきだと思いますが、決意のほどを承りたい。
  89. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) できるだけ努力をしてみます。
  90. 市川正一

    ○市川正一君 できるだけじゃなしに、全力を挙げてとか、もう少し決意のかたきを示してください。
  91. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 先生、大体のお見通しはお持ちだろうと思いますので、こういう専門委員の皆様がお集まりになったときに余りオーバーなことを申し上げて逆にひんしゅくを買うようなことになってもいけないと思いまして、私の誠意の範囲内でできる、そういう表現で御答弁をさしていただきました。
  92. 市川正一

    ○市川正一君 長官として全力を挙げてやる、そういう意味でございますね。そう理解してよろしゅうございますか。
  93. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) どういうことですか、もう一度ちょっと聞かせてください。
  94. 市川正一

    ○市川正一君 長官の立場で全力を尽くすと、こういうふうに理解してよろしいですか。
  95. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 市川先生御承知のとおり、返還されるまでは私どもの所管外のことでございますので、これは防衛庁が当面は責任者でございますから、私が断言をするということは少しその立場を逸脱する、こう思いますので、一応私がお答えをした言葉の範囲内で御理解をいただきたい、こう思います。
  96. 市川正一

    ○市川正一君 私も、関係省庁と積極的に協議し、返還が実現できるよう努力していただきたい、こう申しまして、何も長官一人にげたを預けたり、後で言質をとったりするような意図はないんで、もう一度重ねて、県民の要望にこたえて沖縄の担当大臣として全力を尽くすと、こういうふうに理解してよろしいですか。
  97. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 今先生が御理解を深めていただいたようですから、その御趣旨にのっとっ て努力をいたします。
  98. 市川正一

    ○市川正一君 もともとそう言っておりました。  時間も迫ってまいりましたんですが、次の問題でありますが、去年の七月、沖縄の南東海上で、いわゆる第一一徳丸の至近距離でミサイルのようなものが落下した事件について、私は昨年本委員会でもこの問題を追及いたしました。議事録もあります。先ほど同僚の中野議員からもこの問題が取り上げられました。  そこで伺いたいのは、今月の十四日に第十一管区海上保安本部は、当時現場で空対空の実射訓練をしていた航空自衛隊南西航空混成団の自衛隊員を過失往来妨害罪の容疑で那覇地検に書類送検をいたしました。ところが、防衛庁は自衛隊機のかかわり合いを否定しており、柳澤訓練課長いてますか。――あなたは新聞報道によれば、「もし裁判になれば受けて立つ、」こう言うて開き直っておるじゃないですか。一体どっちが本当なんですか、国民、県民は重大な関心持っています。  海上保安庁に伺いますが、調査結果は責任を持てるものでしょうな、当然。
  99. 中島健三

    説明員(中島健三君) 先ほども申し上げましたように、第十一管区海上保安本部におきまして鋭意捜査を尽くした結果、過失往来妨害罪の容疑があるということで送致したものだということで報告を受けておるところでございます。
  100. 市川正一

    ○市川正一君 防衛庁はどうなんですか、あくまで否定するんですか。
  101. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 私どもとしては海上保安庁の方で送致されましたその事実認定の内容、因果関係判断等について承知しておりませんので、そのことについて特にコメントすべき立場にはないわけでございますが、私どもなりの調査は今まで海保の捜査に御協力かたがた防衛庁なりにやってきております。その限りでは、私どもがやっておりました訓練と事案との結びつきといいますか因果関係が防衛庁が行った調査の限りではどうもはっきり認められないのではないかということは考えております。  ただ、先ほど先生指摘になりましたような、裁判になったら受けて立つというようなことは、私現に申し上げたこともございませんし、いずれにしても、これから検察庁のお調べが進む中でそれに協力していきたいと考えておるということを申し上げたわけでございます。
  102. 市川正一

    ○市川正一君 ここにちゃんと、あなた別人じゃないでしょう、柳澤訓練課長というのはあなたでしょうが。じゃこれは事実に反するんですか。これだけ歴然としているのにまだしらを切る。さっきあなたは中野委員の質問に対して認識の問題ではなしに客観的事実の問題だ、こう開き直った。しかし、客観的事実というのは一体何ですか。あの当時、あのとき、あの洋上で訓練していたのは、そしてまたミサイルを発射したのは航空自衛隊南西航空混成団のファントム四機しかいなかったじゃないですか。これが客観的事実です。もう一度聞くが、絶対に責任はない、かかわりはない、こう言うんですか。
  103. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) いろいろな当時の状況を判断していかなければいかぬわけでございますが、もちろん現在検察庁の段階で捜査をされておる段階でございます。ですから、私ども一〇〇%絶対に責任がないとかいうことを申し上げられる立場にないこともまた事実でございまして、そういう意味からもできるだけ早く検察庁の調査に御協力をして事案の解明をしていかなきゃいかぬということを考えておるわけでございます。
  104. 市川正一

    ○市川正一君 大分怪しくなってきたじゃないか、雲行きが。それで、その協力するというのはあなた、何をやるのか後で聞きたいと思うんだけれども。  ところで、海上保安庁に伺いますが、三月二十五日に伊美本部長は、沖縄の県警記者クラブの質問に答えて、送致した人数や氏名、被疑事実の一部でも明らかにすると防衛機密に触れる、こう述べておりますが、これは事実なんですか。また、防衛機密に触れるという判断は海上保安庁単独ではできぬと思うんですが、どういう根拠に基づくものですか、お答え願いたい。
  105. 中島健三

    説明員(中島健三君) 私ども海上保安庁といたしまして、何が防衛機密に当たるのかどうかというようなことを判断する立場にはないことは先生指摘のとおりでございまして、私どもが十一管区海上保安本部において報道機関等に対して公表しました以外の捜査結果の詳細を公表しないということは、そういう防衛機密に触れるということで公表しないということではございません。
  106. 市川正一

    ○市川正一君 そうすると、伊美本部長は防衛機密に触れる云々ということは言うたのか言うてないのかどっちです。
  107. 中島健三

    説明員(中島健三君) 私、その場で定かに聞いたわけでもございませんのでここではっきりとお答えすることはできませんけれども現地からの報告では、防衛機密に触れるから捜査結果の詳細を公表することはできないという趣旨の発言をしたことはないというふうに聞いております。
  108. 市川正一

    ○市川正一君 これもまたインチキなんだな。ここに記者関係の人いますけれども、事実の経過は、伊美本部長が送検した根拠や基本的内容を明らかにしない上に記者会見も拒否したというので記者クラブが本部長に抗議するという一幕、経過もあったんです。私、じかに記者会見に参加した複数の記者に確認をしたが、伊美本部長は明確に防衛機密に触れると述べたというふうに証言を私はとっています。  そうしますと、今防衛機密に触れるというような判断ではなしに、地検の捜査にも影響するからというふうなことで言ったんだということになりますと、もしそういうことが食言か失言であるというんだったら取り消しというふうにきちっとげじめつけましょうや、どうですか。
  109. 中島健三

    説明員(中島健三君) 私、先ほど申しましたように、その場で実際に聞いていたわけではございませんので、その本部長の発言の趣旨というものはその場で正確にとらえることはできませんけれども、先ほども申しましたように、私どもは何が防衛機密かどうかを判断する立場にもございませんので、そういうことで捜査結果の詳細を公表しないということではございません。
  110. 市川正一

    ○市川正一君 それでは何が防衛機密かということを、一体だれがそういうことを入れ知恵したのか、圧力かけたのか、そこをはっきりさせたいんです。  防衛庁に聞きますが、この事件の唯一の物的証拠は、当時現場で実射訓練をしていたF4EJのスパローミサイルの破片と見られる金属片二個です。柳澤さん、そうでしょう、これはあなたも知っている。それで、スパローミサイルは現在三菱がライセンス生産をしているものであります。防衛庁は事件の関連性が断定できない、こう盛んに繰り返しておる。きょうも言うておる。そうすると、自衛隊があくまでもこのスパローミサイルと関係がないと言うんだったら、スパローの構造または性能等について積極的に国民の前に、だから関連はないというふうに明らかにすべきじゃないですか、解明すべきじゃないですか、どうですか。
  111. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) いずれにしましても現在地検の方で捜査されておるわけでございますので、この段階で私どもがこうであるというような私どもなりの判断、御説明というのは、捜査等の関係がございますのでとりあえず差し控えるべきであろうというふうに考えております。
  112. 市川正一

    ○市川正一君 何が差し控えるですか。もうあれから八カ月たっているんですよ、さっき中野委員も指摘なすった。そうすると、あのスパローミサイルとはこの金属片二片は関係ないんだということをあなた方ははっきり言えばいいじゃないですか。何で言えないんです。
  113. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) その金属片二片について私どもは十一管区海上保安本部から嘱託を受けて鑑定を実施したわけでございます。その鑑定の結果につきましては、実はこれは捜査上の嘱託に基づく鑑定で、結果は全部海上保安庁の方にお知らせをしておりますので、その辺の説明は実は私どもとしてはちょっといたしかねる立場にあるわけでございます。
  114. 市川正一

    ○市川正一君 あなた、金属片二片を検査したと言うんでしょう。それが当時発射されたところのあのスパローミサイルと一緒なのか関係ないのか、シロかクロか、簡単なことじゃないですか。もしそれがそうでないと言うんだったら、あなたの言うようにシロです、それをはっきりすればいいじゃないですか。何でそれをちゃんとせぬのか、はっきりしてください。
  115. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) これは捜査の流れの問題でございますので……
  116. 市川正一

    ○市川正一君 流れじゃないと言うんだ、原点だ。
  117. 柳澤協二

    説明員(柳澤協二君) 私どもの方から答えるのはどうもあれなんで、海上保安庁の方にお聞きいただきたいと思います。
  118. 市川正一

    ○市川正一君 海上保安庁にはちゃんと白か黒か届けているというわけでしょう。海上保安庁の方はそれに基づいて黒だと断定して書類送検したんでしょう。明らかに今のあなたの答弁からも論理的にはこれがクロだったということを客観的に、間接的にあなた証言したことになるんです。  時間が参りましたので、防衛庁航空自衛隊は那覇地検の捜査の結果を見守るとか、地検の捜査に協力する、そう口では言うとるが、協力どころか逆に妨害し、逆に圧力を加えておる。結局その大もとには日米相互防衛援助協定、いわゆるMSA協定、それに基づくところの秘密保護法がある。だからアメリカの言いなりになっておるじゃないですか。私はそういう点で、県民や国民の命を守るよりも軍事機密を優先する、そういう態度を厳しく糾弾して、ちょうど時間になりましたので終わらせていただきます。
  119. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、北方領土関係に関連して質問したいんですが、まず第一にお伺いしますが、北方領土返還要求国民運動ですか、これが北海道以下全都道府県やっと参加したわけですけれども、それで島根県が一番おくれて六十二年の三月にようやく県民会議が成立したということなんですが、このおくれた理由を簡単に説明してください。
  120. 鈴木榮

    政府委員(鈴木榮君) 島根県におきましても早くから北方領土返還要求のための県民会議をつくろうという動きはございましたが、県民会議の円滑な運営のためにはなるべく多くの関係団体の参加が必要である、こういうことでその準備期間等に時間を要しまして、その結果昨年三月の設置になったものと聞いております。島根県の県民会議は竹島の返還要求をあわせて行うこととされておりますが、これ以外の点では他の県民会議と特に異なる点はないものと私ども承知しております。
  121. 木本平八郎

    木本平八郎君 今おっしゃいました竹島の問題ですね。今、日本では北方領土の問題が非常にやかましく国民の関心を集めているんですけれども、竹島の方も同じように韓国に不法占拠されているわけです。これに対してはどういうふうに今まで韓国と交渉されてきたんですか。
  122. 田中均

    説明員(田中均君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、竹島につきましては韓国が各種の施設を構築いたしまして不法に占拠を続けているという状態でございます。日本政府の立場といたしましても、歴史的事実並びに国際法的に見まして日本固有の領土であるという基本的な立場を有しておりまして、一方こういう紛争にかかわる問題は平和的手段で解決をするということでございまして、累次外相会談を中心に韓国側にも申し入れを行ってきておるというのが現状でございます。
  123. 木本平八郎

    木本平八郎君 今までどういうふうに韓国と交渉をなさったのか資料がないんですね、全然。これは発表されていないんですか。
  124. 田中均

    説明員(田中均君) 外交関係にかかわることでございまして、必ずしもいついかなる場で申し入れを行ったかということを記録にとどめておるわけではございませんが、これまでの定期的な外相会談の席上では累次申し入れを行っておりますし、それから累次の各種のふさわしい会談の席上では申し入れを行っておるということでございますし、また文書でも申し入れを行っているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  125. 木本平八郎

    木本平八郎君 同じ領土問題で外務省が北方領土についてはこういう詳しい資料を出されているんですよ。一番最後に年表がついているんです、何年に何をやってどうやったと。これだけ詳しく出ているんですね。それに対して竹島問題については全然ないんですよ。一体これはどういうことなんですか。
  126. 田中均

    説明員(田中均君) 日韓間におきましては紛争解決にかかわる交換公文というのがございまして、あくまで平和的な手段により、話し合いにより解決をするという基本的な了解の中で日韓間で話し合いを行ってきておるということでございます。
  127. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、先ほど読まれました総務長官の説明の中に、北方領土に関して五億六十二万三千円というのが、まあこれは結論的に言えば啓蒙宣伝費というふうになっているんですね。中学生向け解説資料作成配布及び青少年向けブロック単位での啓発事業を行う。あるいは青年フォーラムを開催するとか国際シンポジウムだとか、いろいろなこういうことをやられるわけです。同じような状況にあるのにどうして竹島の方は国民に対する啓蒙運動をなさらないんですか。
  128. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) 竹島につきましては、委員御承知のとおり、ただいま外交交渉の対象として外務省が所管をしておられますので、当庁といたしましては外務省の外交交渉を見守っておる、こういう段階でございまして、したがって当庁として現在取り扱っていないというのが現状でございます。
  129. 木本平八郎

    木本平八郎君 外務省の方はこういうPRとか、国民に啓蒙するというふうな点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  130. 田中均

    説明員(田中均君) 私どももまさに本件につきましては日本の基本的な立場もはっきりしておるわけでございますから、あくまで韓国側と話し合いにより問題解決を行うという基本方針に基づいて、私御答弁申し上げましたように、累次の外相会談等で問題提起を行っておるわけでございまして、今の日韓の関係の中でこの問題についても粘り強い交渉をしていこうというのが私どもの今の基本的な態度でございます。
  131. 木本平八郎

    木本平八郎君 非常に答弁しにくいと思いますので私から申し上げますと、ソ連に対してはこれはまだ講和条約もできていないし、はっきり言って我々の自由陣営じゃないということで相当強腰に交渉できる。しかしながら韓国とは隣国でもあるし、非常に親密に友好関係を保っていかなきゃいかぬ。したがって余り強いことも言えないということだろうと思うんです。これに答弁求めるとますます苦しくなるからもう答弁求めませんけれどもね。  そこで、私がここで非常に問題にしたいのは、韓国にどなり込めと言っているわけじゃないんです。その点は誤解しないでもらいたいんですけれども、本当にこういう交渉の仕方というのが日韓友好を深めるんでしょうかね。こういうやり方をしているとかえってぎくしゃくするんじゃないか。やっぱり言うことはちゃんと言って、やることはやって堂々とやっていかないと日韓関係というのは、今でも割合にいろいろ問題があるわけですよ、スポーツ議員連盟のビザが出るとか出ないとか。ああいうこともやっているわけだから、非常に韓国と日本との間というのは歴史的にいろいろありますから、ちょっと間違えるとだだだっと問題がエスカレートしちゃうんじゃないかという心配があるんですね。  これは日本国民全部そう思っているわけです。韓国側の新聞なんかによりますと、彼らも意識してこういう一億ウォンかなんか使ってあそこに移住する人を国民的英雄に扱っているわけでしょう。そうして大変なフィーバー状況なんですな、向こう側は。それでそういうことに対して向こうの方も意識的にそれやっていると思うんですけれども日本がそれを臭い物にふたをするというか、おっかなびっくりでやっているという対応が必ずしもいい結果にはならないんじゃないかとい う気がするんですが、その辺はどうですか。
  132. 田中均

    説明員(田中均君) 私ども韓国に言うべきことを言わないということではございませんで、私が申し上げておりますとおり、重要な会談の機会には必ずといってもいいほど私どもの基本的な立場というものを申し入れをしておるわけでございまして、さらには毎年海上保安庁に依頼をいたしまして巡視をしていただいておる、本年三月にもそういう巡視をやっていただきまして、それに基づいて文書で韓国側に申し入れをしておるということでござまして、引き続きそういう日本としての立場はきちんと先方に伝え、問題の解決を図っていきたいというふうに考えております。
  133. 木本平八郎

    木本平八郎君 私はわずかですけれども海外におった経験もありまして、外交というのはそもそもやっぱり弱腰外交の方がいいと、軟弱外交の方がいい、無難なんだと思っているんですよ、これは基本的に。タカ派だとか強腰外交だとか、これは違いますけれども、何か受けて立つとか、国際連盟脱退したことがあるんだとか、何かおっしゃる偉い政治家がおられるわけですよ。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 しかし、私はもうそういうようなのは一番危ないと思うんですね。だから弱腰くらいがちょうどいいと思うんです。しかしこれは屈辱的になっちゃ困るんですね。国民が少なくともそう思ったらえらいことになるんですよ。今の日米関係もそうなんです。これはここのなんじゃないからほかの場で言うつもりですけれども、そういう点を考えてやっぱりきちっと言うべきことは言っていくということをやっておきませんと、国民の方にも悪影響を及ぼすし、韓国側に対しても非常にマイナスになってくるんじゃないかというふうに思うんですが、さっき笑っていらっしゃったけれども、弱腰外交というのはあなた方どういうふうに考えますか。
  134. 田中均

    説明員(田中均君) ちょっと私ども何が弱腰外交の実体かというのはよくわかりませんので直截に御答弁はできないかと思いますが、他方外交におきまして、当然のことながら言うべきことを言うというのは基本的な方針でございますし、一方におきましては韓国のような隣国、まさに新しい時代に入ろうとしている日韓関係でございますから、国民レベルの相互理解というのはどんどん深めていかなければいけないし、そういう日韓の相互理解がどんどん深まってこそ、さらに外交的にも問題の処理がしやすくなるということであろうかと思います。ですから、そういう相互理解を進めるということ、それから言うべきことは常に言っておくことということにおきましては、先生が御指摘になったような基本的な方針を我々も有しておるつもりでございます。
  135. 木本平八郎

    木本平八郎君 それで、もう一つ釈迦に説法させていただきたいんですけれども、私たちが見ていまして、外交というのは、日ごろ非常にうまくやっておく、いざとなったときに本音をぶつけられるように日ごろから土壌を耕しておくというのが外交の本質だと思うんですね。ところが、はっきり申し上げて私の感じでは、日本の外交というのは何か表面上、ロンかヤスかちゃかちゃかとやっておいて、いざとなったら物が言えないのか言わないのか知りませんけれども、これじゃ反対なんですね。したがって韓国に対する対応も、そういう外交の本質というのはもちろんよくおわかりなんですけれども、いろいろ思惑の方が先に来て、それで日本は世界一外交下手だと、こう言われるわけですね。まさに日韓問題もそうなっていって、それでおかしくなっていくんじゃないかという気がするもんですから、ここで非常に問題を取り上げているんです。  それで、ついでに申し上げますと、韓国は、サハリン上空で大韓航空機が落とされましたね。あの賠償問題も全然まだ解決してないわけでしょう。それで、国民とかああいう関係者、被害者、遺族なんかになってくると、こういう問題が重なってくるとだんだんだんだんおかしくなるんですね。この問題は何ていったってキャリアは大韓航空機なんですからね。乗った乗客は大韓航空と契約して乗っているわけでしょう。したがって、やっぱりこれは早く補償問題を解決してくれということで、政府としても全力を尽くしていただかなきゃいかぬし、その問題をいつまでも置いておくと日韓関係を損なっていくんじゃないかと思うんですが、非常に言いにくいかもしれませんけれども、あなたの意見をちょっと聞かしてください。
  136. 田中均

    説明員(田中均君) 私は必ずしも日本が最も外交下手であるという先生の御指摘にくみし得るものではございませんけれども、まさにいろんな問題をきちんと解決をして、言うべきことは言っておくということについては、私も、やるべきことであるし、そういう先生の御指摘の趣旨は十分踏まえまして韓国との外交関係をやっていくつもりでございます。
  137. 木本平八郎

    木本平八郎君 この問題はちょっと微妙になってくるのでこの辺で切り上げたいと思うんです。  それで、少し時間が余っていますので沖縄関係一つだけお伺いしたいんですが、それは、先ほどもありましたけれども、あそこに自由貿易地区、フリーゾーンを今度設けられましたね。あれで経済的に沖縄がどのぐらい利得するんだろう、メリットがどのぐらいあるんだろう、どういうふうに金額的にはじいておられるか、その辺をちょっとお聞きしたいんですが。
  138. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 那覇地区設置予定自由貿易地域につきましては、これは県の想定でございますが、十五社程度立地企業があるだろうと見ているわけでございますが、これは施設面からもそういうことが当然言えるわけでございます。その立地企業十五社につきまして、雇用効果は約二百名、それから一年間当たりの売上額は大体百五十億という想定をしております。
  139. 木本平八郎

    木本平八郎君 私は、結論的に申し上げて、その程度じゃしようがないと思うんですよ。沖縄の問題は、もう今、問題になってから十五年以上たっているわけでしょう。私、沖縄開発庁なんていうのは一日も早く解散するのが理想だと思うんですね。ということは、要するに経済的にキャッチアップすれば沖縄開発庁というのはもう要らなくなるわけだ。そういう意味で、やられるんならぜひもっと思い切ったことやってもらいたい。私は沖縄県全部をフリーゾーンにしてもいいんじゃないかと思う。そのくらい思い切ってやって、そして例えばあそこへ本土からどんどん買い物に行って、フリーゾーンで免税のものをどんどん買って帰ってくる。それは船で持って帰っちゃ困るけれども、飛行機で持って帰る程度ならどんどんそういうふうにやるべきじゃないかと思うんですが、その辺どうですか。
  140. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 自由貿易地域制度は、関税法に規定しております保税制度企業立地のための税制上の優遇措置、これを組み合わせた制度でございますが、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 御指摘の件につきましては、とりあえず現行制度によりまして自由貿易地域の設置を行いまして、その運営状況を見ながら中長期的な課題として検討すべきものと、かように考えております。
  141. 木本平八郎

    木本平八郎君 一応最後にちょっと要望だけ申し上げて私の質問終わりますけれども、だから今後ひとつこのフリーゾーンをそういうふうに拡大して、起死回生策とまでは言いませんけれども、形だけじゃなくて、百五十億円というのが、せめて純利益がそのくらいになるように持っていってもらいたいと思うんですね。そうしないと、余りお茶を濁すようなことを重ねても沖縄問題というのはなかなか解決できないと思うんです。そういうことでぜひ今後その辺の配慮をしていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
  142. 大城眞順

    ○大城眞順君 昭和六十三年度の沖縄開発庁関係予算等につきましてお尋ねいたしたいと思います。  豊かで住みよい沖縄を目指した第二次沖縄振興開発計画も後半に入りまして、昨年秋の海邦国体の大きな成果を踏まえまして、ことしはいよいよ沖縄の将来にわたる発展の基盤を強固なものにす るための重要な時期に差しかかろうといたしておるのであります。  竹下総理は、ことし一月の就任初の施政方針演説におきまして、ふるさと創生の理念のもとに均衡ある国土づくりを目指し、沖縄振興開発のための諸施策を引き続き積極的に推進すると述べられましたが、今年度沖縄関係予算はこの竹下総理の基本方針のもとに策定されたものと私は高く評価をいたしております。特に沖縄関係予算の中心である振興開発事業費は二千二百十一億七千四百万円、前年度に比較いたしましても一六・九%の増加となり、中でも公共事業関係費は初めて二千億円台を突破いたしまして、前年度比一八%の増加を示しております。継続していた新規のプロジェクトのほとんどが認められましたことは関係者の一人といたしまして喜びにたえません。粕谷長官を初め関係者各位の御尽力のたまものと感謝申し上げる次第であります。とともに、この予算沖縄自立的発展の糧となりますように執行の面でうんと創意工夫を凝らしていただく。今年度予算に対する長官の所見をまず伺っておきたいと思います。
  143. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) お答えをいたします。  昭和六十三年度予算におきましては、NTTの株式売り払い収入による無利子貸付金を極力活用することにより公共事業費が二千七十一億六千四百万円と、初めて御指摘のように二千億円台になりました。対前年度比でも一八%の増と大きな伸びを確保しているところであります。またその内容につきましても、本土との格差の是正を図るとともに、御指摘のように沖縄自立的発展の糧となるよう、その基礎条件整備することに十分配慮して重点的に予算を配分したものと考えております。これにより海邦国体以降の振興開発を引き続き積極的に進めることができ、第二次沖縄振興開発計画の目的達成に向けて大きなはずみになるものと考えております。  しかしながら、計上した予算を十分に執行しなければこうした効果も期待できないわけでありまして、公共事業を円滑に推進していくため事業の早期発注に意を用いるとともに、県、市町村との連携のもとに、地元の協力を得て用地の取得や補償処理などの執行体制の充実を図ることが必要であると考えております。
  144. 大城眞順

    ○大城眞順君 そこで、ポスト国体、そして第二次振興開発計画後半の展望と戦略の一つとして大きく取り上げられるのが先ほど提起されましたFTZ、すなわち自由貿易地域の設置であります。これにつきましては、構想の段階から各種の調査研究、そして立案に至るまで長年にわたる官民関係者各位の御労苦と開発庁の特段の御配慮により地域指定していただきました。長官を初め関係機関に深甚なる敬意をまずもって表するものであります。  そこで、この自由貿易地域は、御案内のとおり物流中継加工型と言われておりまして、中継、備蓄、加工製造、そして常設の展示、そしてその中における取引あるいは品質の調整等さまざまな機能を持つようでございますけれども、このフリー・トレード・ゾーンに対しまして二、三の点についてお聞きいたしたいと思います。  この自由貿易地域は画期的な事業であるだけに、県民の関心も非常に高いわけでございますが、長い間この問題がいろいろと報道されておりました。その間に実現される段階に参りまして、巷間で話されていることは、ちょっと規模が小さいんじゃないか、こういうことが盛んに言われているわけでございます。国際化時代に、そして沖縄が南の玄関口として日本の国策に従って我が国のためにも発展してもらうためには、どうしてもこのフリーゾーンということと国際化ということを結びつけて考えなければならない、このように考えております。  そういうことで、この規模が小さいということと将来のいわゆるフリー・トレード・ゾーンのビジョンというものがあればお聞かせ願いたいと思います。あるいは将来ともそういった形の規模でいくのか、その辺からまず簡単にお答え願えれば幸いだと思います。
  145. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) まず規模の問題でございますが、現在那覇地区設置予定自由貿易地域は面積三ヘクタール、施設面積九千平米ということで整備をしておるわけでございますが、沖縄に初めての自由貿易地域であるということ、しかもその持つ機能物流中継加工型であるということから、この規模で必ずしも狭いということは当たらないんじゃないか、かように思っておるわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、昨年沖縄振興開発審議会から御提言いただきました後期展望と戦略でも触れてありますように、中長期的には那覇港湾浦添地先あるいは中城湾港等に自由貿易地域の設置ということも課題として出てくるんじゃなかろうかというふうに思っております。
  146. 大城眞順

    ○大城眞順君 それで、この自由貿易地域立地する企業のメリットでございますけれども、全体的に金額の面からどのくらいのメリットがあるかという御質問をいただきましたけれども、私はこれを金額面からでなくして立地した場所、いわゆる地理的な特性がどうなっておるのか、あるいはまた保税制度面からのメリットを含めて制度的なメリットはどのぐらいあるかということをお聞きいたしたいと思います。
  147. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 自由貿易地域は、先生案内のように関税法に規定する保税地域制度立地企業に対する税制上の優遇措置を組み合わせた制度であるわけでございますが、今後どのような企業立地し、どのような経済活動を行うかによってこの自由貿易地域立地することのメリットはいろいろ変わってくると思います。現在時点で沖縄県におきまして、応募した四十二企業につきまして立地企業を選定中でございますので、現在時点で具体的に先生にお答えすることはできないわけでございますが、私どもとしましては自由貿易地域制度立地企業が十分活用されて、沖縄経済活性化機能するように十分見守っていきたい、このように考えております。
  148. 大城眞順

    ○大城眞順君 時間ございませんのでどんどん進みますけれども自由貿易地域という場合には、この沖縄地域指定をしていただいた、特措法によって地域指定していただきましたけれども、これはあくまでも関税法に規定する保税地域制度とそして立地する企業に対する税制上の優遇措置を組み合わしたものがいわゆるこれからつくろうとする沖縄自由貿易地域だと思うんですけれども外国といろいろ比べました場合に余りにも制度的にも規模の上からもちょっと小さ過ぎるんじゃないかということでございます。小さく産んで大きく育てるという言葉もあるわけでありますけれども、やはりせっかくつくっていただく以上は沖縄の地理的条件からいたしまして、そして国際化時代におけるいわゆる貿易ターミナル、プレース、場所じゃなくて、フリー・トレード・ゾーンらしく大きな夢を持たなくちゃならない、このように考えておりまして次の質問をいたすわけでございます。  各国との比較をしてみたんでございますけれども、時間ございませんので、まずアメリカのフリー・トレード・ゾーンと比べてみただけでも非常に違うんです。目的から指定の方法あるいはどういった業務ができるのか、あるいは貨物保管はどういうふうな形でなされるのか、あるいは関税上の利点とか管理体制とか、いろいろ異なる。その中で、まずアメリカでは貨物保管期間というのは原則無期限です。しかし、我が国の保税制度からすると最長二年とかいろんな制約があるわけでございます。あるいは関税上の利点からいたしましても、ここで加工され出される品物のうち、国内に出荷する場合も、アメリカの場合は製品あるいは輸入部品の関税率のうち低い方を選ぶような制度がありますけれども、今度つくる沖縄にはそれがない、国内に出荷する場合関税の優遇はないわけだ。  これだけとってみましても、いかに規模が小さいかということですけれども、しかしやはりこれは関税法の枠内でしか今やろうというあれはない わけで、これつくるわけですから、関税法が窮屈であればその制約はある程度のけて法改正でもしまして、将来はやはりフリー・トレード・ゾーンらしい、各国に負けないようなところまで持っていくべきじゃないか。貿易の自由化、国際化という時代の流れでございますので、いわゆる国内法がこうだからこれしかできないというような小さい考え方ではだめだと思いますけれども、これについてのコメントをいただきたいと思うんです。
  149. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 先生の御指摘は、自由貿易地域につきましては将来機能を充実させる必要があるんじゃないかということかと思います。この点につきましては、再々申し上げているところでございますが、とりあえずは初めての制度として設置しようとするものでございますから、その運営状況を見きわめていきたいと思うわけでございますが、中長期的な課題といたしましては機能の改善というようなことも検討課題となる時期がいずれあろうかと思っております。
  150. 大城眞順

    ○大城眞順君 先ほど、いろいろと立地する企業の数とか、その内容についてもちょっと触れておったように記憶しておりますけれども、かつて遠いイギリスからも含めまして外国企業が二十二社ぐらい希望しておるんだという時点もありましたけれども、最近の資料を見ますと、本土企業はおろか、みんな現地企業みたいな感じがいたすわけでございます。これも、やはりメリットの問題だと思いますので、香港やらシンガポールやらアメリカやら、そういった大きなフリーゾーンで商売をしておった外国企業としては、これはもう小さくてとてもじゃないがということになっちゃってこうなっていると思うんですけれども、その辺もやはりこれからの施策としては考えていかないと、せっかくの我が国における南への玄関口と言われておるのにふさわしいところをつくっていかんといかぬじゃないか、これらについても御質問申し上げたいところでございますけれども、時間がございませんので、どうぞひとつ今後ともいろいろそうしていただきまして夢を広げていただければ幸いだと思います。  次に進みますけれども沖縄県の基幹農業の一つであるパイナップル、さっきも取り上げられておりましたけれども、その自由化問題について、その経過とこれからの展望についてちょっとだけ触れてみたいと思います。  農林省は、農産物十二品目の自由化、または今ちょうど牛肉、オレンジの自由化問題大変な御苦労を重ねてまいっておるわけでございますけれども、その中でパインだけは他の品目と違い特殊な事情を背負っている、このように考えておるわけであります。それはやはり米軍基地や安全保障に直接間接に関係する唯一のこの十二品目の中の農産物であります。  そこで、お尋ねいたすわけでございますけれども、今日までいろいろ御苦労なさいましたけれども、米側と折衝してこられた中で、このパインについては自由化はちょっと困るというような理論づけをするために、どのようなことをアメリカと話していただいたのか。ということは、沖縄とハワイは、ハワイは御案内のとおりアメリカ唯一のパイン産地であります。沖縄日本の唯一のパイン産地であります。その唯一のパイン産地同士がいわゆるシスターステーツ、姉妹州というのですか、姉妹県というのですか、向こうは州でこっちは県ですが、結んでおりながら、もう本当に朝晩関係ある中にあるわけですけれども、知事に会ったり、向こうのそういった方々、関係者の方々に会っても、一遍だに日本はけしからぬ、ハワイのパインを買えと言われたことはないんです。そしてまたフィリピン、一番大きな輸出国でありますフィリピン、その次タイ、マレーシア、台湾、米国がたったの三%であります、日本でパインを輸入しているのは。たったの三%の国が文句を言って、フィリピンだと三七%も日本に輸出している、あるいはタイ、私はいまだに正式にあるいは報道の上でも、日本けしからぬ、パインを自由化しろという記事も見たこともなければ声を聞いたこともない。  そういったことを一つ一つ考えて物事をスクリーンして見た場合に、何でアメリカはこの十二品目、ほかの品目でも同じだと思います。でん粉にいたしましても、その他のものにいたしましても、アメリカから来るもの大した量じゃない。みんな東南アジアから来るんです。そこには何かアメリカの戦略があるんじゃないかと、私はこのように考えます。そうじゃないと、アメリカの経済にちっとも差し支えのないような量でございます。そして沖縄においては、御案内のように何回もいろんな先生方からお聞かせしていただいているわけでございますけれども、軍用基地を接収するために住民を他に移して、何もできない貧困な土壌に、パインしかできないところに移されているわけですから、いろんな歴史的な背景を考えた場合に、沖縄の出身の議員として情けない話だなということを感じまして、一体農林省はこういったものも含めてアメリカの戦略はどこにあるか、なぜパインまで入れなくちゃならぬのかというようなことまで話していらしたのか、それをこれからお聞きしたいと思います。
  151. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 先生の御指摘の点でございますが、私ども沖縄県のパインが非常に特殊な事情、まず気候的にも北限に入ったぎりぎりの作物でありますし、それからそれも非常に厳しい条件の地帯に入っております。なぜそういう厳しい条件のところに入ったかという歴史的経過もあるわけでございまして、このことにつきましては、二国間の場だけではなくて、ガットの場でも私ども繰り返し実は主張してまいりました。その繰り返し主張する場合も、政府だけではなく、沖縄県民の方々や地元の農業団体の方々と協調しながらも、アメリカ側にできるだけ説得これ努めたわけでございます。しかし、残念ながらガットの方では、ガット十一条2項の(C)に適合しないという裁定を受けてしまったわけでございまして、私どもこのことを受けたときに、沖縄県農業に対するいろんな影響、特にパイン産業産業として支えてきた県民の方々に対する影響等を考えて極力これも回避したかったわけでございますが、日本が置かれている国際的立場なりガット条約国であるということを含めまして、非常にやむを得ない、非常に残念でございますけれども、ぎりぎりの判断をさしていただいたというところでございます。
  152. 大城眞順

    ○大城眞順君 まあ私冒頭に申し上げましたように、農林省の、特に最近の経済自由化、貿易自由化の問題についての御苦労を多といたすわけでございますけれども、ただやはり、この十二品目についてパッケージで、これはそもそも各地域におけるかけがえのない農産物であるというようなことをおっしゃったかもしれませんけれども、今私が申し上げているような背景を本当に農林省はおっしゃったのか、アメリカに。これを疑問視する方々もおるわけですから、私はあえて問うわけです。  我が自民党からも何回となく責任者の先生方が行っていただいたわけですね。それでどういったことかということをちゃんと私は資料ももらっておりますけれども政府がどういった言葉で沖縄のこのパインというものの歴史を語り、おかしいじゃないかたった三%のやつに何で文句ある、フィリピンから文句ないのに、タイから文句ないのに、もちろんいろいろとこのパインの缶の製造につきまして、アメリカの資本も入っているんでしょうけれども、少なくとも全体的にプレッシャーかかるんだったらまだしも、なぜアメリカだけがやいやいしているか。やっぱり戦略があると思うんですよ。アメリカは何をたくらんでいるんですかな。二十七カ年間沖縄を占領して、しかも自分たちが植えさしたパインをこのようなことにするということは、アメリカのいわゆる沖縄支配というものが間違っておったということにしかならない。私はその点で非常に残念でならない、アメリカの立場からいたしましても。せっかく沖縄、それは歴史は歴史ですけれども、二十七カ年間よきにつけあしきにつけ沖縄県民とつき合っておってこういった形で仕打ちされるということは、彼ら 自体が占領政策の中で沖縄に対するやり方を間違っておったという証明の一つにしかならぬじゃないですか。  意見だけ申し上げてまことに失礼ですけれども、何か全体的に東南アジアとの関係が多いんですね、ほかの品目にしましても。どんな戦略を持っているんですか、アメリカは。皆さんどうお考えですか。
  153. 武政邦夫

    説明員(武政邦夫君) 今の御指摘は十二品目全体にかかわるものというふうに考えますが、アメリカ人の政策を私どもが云々するというのは大変難しいと思っておりますけれども、私どもがこの四年間アメリカ側と折衝した経過の中では、アメリカがずっと主張しておりますのがいわゆる自由貿易主義でございまして、それもガットに適合性のないものはアンフェアである、これを一貫して主張しているわけでございます。その中で、最初は十三でございますが、十二の品目が要するにアメリカ側に直接的、間接的にアンフェアなものとしてガット提訴を受けたということでございまして、現在またさらにその残りの二つの大きな品目が日米間で今日協議されておるということでございまして、アメリカ側は一貫して日本の現在の置かれておる地位から見て当然のこととして自由貿易主義の第一人者でなければならないという認識のもとに我々にいろんな主張をしておるということに受け取っております。
  154. 大城眞順

    ○大城眞順君 こちらが期待する御回答には直接なっていないわけですけれども、向こうの戦略だから仕方がないといったような態度でなく、お互い戦略で戦わぬといかぬですからね。  アメリカというのは、御案内のとおり合理主義者です。ラショナルでリーズナブルでなくちゃ向こうは合点がいかない国民性を持っている。それを突くんです。これは向こうの強みでもあれば弱みでもあるんです。何だ、アメリカの合理主義はこんなものか、不合理主義が合理主義かと。だから、いわゆる説得の仕方としてはどうしてもアメリカの戦略は那辺にあるかということを皆さん知り尽くしていかないとこれからもいろんな貿易摩擦が起こってくるかと思いますので、あえて私見を申し述べておきます。時間がございません。国内対策やらいろいろお尋ねしたいことがたくさんありますけれども沖縄の農民がそういった歴史的な背景の中でこれ以上苦しまないように、パインをつくってよかったというような形でこの問題を処理していただきたいことを心から私はお願いをいたしておきます。  次に、いわゆる勅令貸付国有林野の無償譲渡について県から何度となく、厳密に言えば西銘知事を中心にいたしまして政府の方に三十回余りにもわたってお願いをしてまいっております。  この問題は、明治三十二年に制定された沖縄県土地整理法によりまして国有林に編入された沖縄の旧藩時代のそま山を県は明治四十二年に無償で八十年間という期間を設けて借り受け、そしてその中で造林、林道の開設を通しまして沖縄の林業の振興を図ってきたわけであります。その賃借期限が来年の五月に切れるわけです。あと一カ年しかございません。しかし、沖縄の林業開発のためにこの国有林野を無償譲渡していかないと沖縄としては非常に今までの歴史の経緯からいたしても困るのではないかと思っております。  それでお尋ねいたしますけれども、皆さんのこの問題に処する基本姿勢として、沖縄は大戦でもうみんな山を焼かれました。五、六人で抱えるような五、六百年あるいは七、八百年と思われる琉球松等を含めまして大木が、今から考えるとあほうみたいですけれども、我が日本軍がどんどん倒してアメリカの戦車の邪魔をするとか、あるいはまた防空ごうの内枠をつくるとかというようなことで、沖縄の立派な木を、蔡温という昔の偉い人がいい政治をして植えた松並木というものを全部戦争目的遂行のために焼いた。そういったことを考えた場合に、むしろ無償譲渡を喜んで国が率先してやるべきじゃないか、私はこのように考えております。それが唯一の沖縄の悲惨な歴史に対する皆さんへの報いであると。ということは、もちろん今法律があります、無償譲渡はできませんという法律がありますけれども、しかしそれは法律を変えてでもやらないといかぬと私は思うんです。そしてまた法律論じゃなくて現実からいっても、今行革のあらしが吹きまくっておるわけです。林業に関する公務員もどんどん少なくなっておりますし、むしろ沖縄県に任せてこの山を守り山を開発していった方が国策にもつながっていく。国が勝手にこれを引き取ってやるといったところでますます山は荒れていく一方だと私は思うんです。だから現実の面からもこれはぜひひとつ、これは廃藩置県以前の琉球王朝時代の財産です。王府とその周辺に住む住民が一緒になって守ってきた山です。これを、ただ沖縄日本の領土になったからということでいわゆる国有林としてそれを沖縄にまた貸しておるというような状況、この歴史を踏まえていただきたいわけでございます。  現在、どういったことで沖縄県当局とお話をし、あるいはどういった基本姿勢でこの問題に対処していこうとされるのか、その辺を大まかにひとつお願いいたしたいと思います。
  155. 小林新一

    説明員(小林新一君) 御案内のとおり、勅令貸付国有林でございますが、沖縄県の基本財産を造成すること及び沖縄県林業の模範を示すことを趣旨といたしまして、明治四十二年勅令に基づく契約によりまして沖縄県に対しまして無償で国有林野を貸し付けております。その契約期間が明、昭和六十四年五月に満了するということになっておるわけでございます。  期間満了後の取り扱いにつきましては、これまで貸し付けを行ってまいりました趣旨、すなわちただいま申し上げました沖縄県の基本財産の造成沖縄県林業の模範を示す、このことを踏まえまして、また沖縄県が県営林経営を行ってきた実績、沖縄県の社会経済動向沖縄県に対します各種の特別措置等との関連を総合的に考慮しまして、昭和六十四年五月という契約期間満了ということを十分頭に置きまして現在慎重に検討を進めさしていただいているところであります。
  156. 大城眞順

    ○大城眞順君 時間が参りましたので、あとの質問ちょっと読み上げて簡単にお答え願いたいわけですけれども、次に沖縄の戦没者の慰霊につきましてお願いを申し上げておきたいと思います。  六月二十三日は沖縄戦の終結の日であり、二十数万の戦没者の冥福と恒久平和を祈念するためこの日をわざわざ慰霊の日と定め、昭和二十七年以来沖縄全戦没者追悼式を遺族多数参列のもとに厳粛にとり行ってまいりました。  復帰から十六年、米国統治の二十七年もだんだんと記憶から薄れつつあるとはいえ、あの戦争の悲惨な情景だけは時がたつにつれてますます県民一人一人の脳裏に焼きついていくのであります。少年時代に戦争に直接参加し、級友のほとんどすべてを失った忌まわしい体験を私はした者といたしまして、六月二十三日は自分の命日のような感じがしてなりません。毎年毎年がその気持ちの繰り返しであります。  昨年までに二十六回も追悼式を挙行してまいりましたが、直接内閣総理大臣のお出ましをいただいたことはございません。今日まで総務長官、開発庁長官、政務次官、事務次官が総理大臣のごあいさつを代読してまいったわけであります。今さら申し上げるのも口幅ったいことでございますけれども沖縄は去る大戦の終えんの地であり、国土の中で県全体が戦火に巻き込まれた唯一の土地であります。沖縄こそ平和のメッカにしたいと願うのは私だけではないと思います。  人類史上初めてこうむった残酷きわまる原爆の被害で一瞬にして滅失した広島、長崎の町と人々、それはまさに日本の歴史の大きな傷であります。それらのみたまの冥福を祈るため総理大臣が毎年お出ましになっておることは大変結構なことであり当然なことだと思います。しかしながら、沖縄の慰霊祭に対しましても、二、三年に一度ぐらいでよろしゅうございますから、総理大臣みずからが御来島いただきまして英霊を弔い県民を励ますことができれば、県民の心も幾らか安ら ぎ、大きな沖縄振興開発のエネルギーとなると思っておりますけれども開発庁長官の御所見を賜りたいし、またぜひ総理大臣に担当大臣としての立場から御提言いただければ幸いだと思いますけれども、いかがなものでしょうか。  もう時間が来ましたので締めます。第一一徳丸の問題もありましたけれども、もう出ましたので。  時間がございませんが、高鳥長官せっかくいらしておりますので。沖縄の人こそ本当に北方領土の心を私は知っておると思います。みずから二十七カ年も自分の生まれたふるさとが、そしてふるさとが四十何年経過しても帰ってこないというのは、人間としてこれ以上惨めな、不幸せなことはないと私は思います。総理、長官もおっしゃっているとおり、新聞も拝見させていただきましたが、そのとおりだと思います。どうぞひとつこれからも北方領土に対しては世界の世論に訴えて、どんなことがあってもしぶとく力強く北方領土を返していただくための長官の御努力をお願いし、もし御所見があればいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  157. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 先生のお話を承っておりまして、大変に私は緊張とそれから当時の沖縄の地上戦の状況をいささかなりとも、まだ青年の入り口に入った年齢でございましたけれども、承知いたしておりますので、厳粛に受けとめさしていただいております。  我が国でさきの大戦で地上戦が行われましたのは、もうおっしゃるとおり沖縄だけでございます。その被害ははかり知れないほど、沖縄全島が焦土化したということも承知いたしております。そういう中で大変とうとい人命が失われていきました。そういう大きな犠牲を払った地域の毎年の追悼式に総理がぜひ三年に一度ぐらいはという切なる先生の御要請といいますか、お訴えといいますか、お気持ち痛いほどわかるような気がいたします。総理に機会があれば私からもそういう御発言がありました向きは必ずお伝えをさせていただくということをお約束いたしまして、お答えにさせていただきたいと思います。
  158. 高鳥修

    国務大臣高鳥修君) ただいまの大城委員の御激励につきましては、まさにそのとおりであると考えておりますので、一生懸命御意向を体して頑張ってまいりたいと存じます。
  159. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ただいままで多くの委員から沖縄の問題を大分論じていただきました。私は時間の都合もございますので、今まで皆さんが触れていただかなかった問題を拾い上げて二、三お尋ねいたしたいと存じます。  まず、次のことを確認いたしたいと思います。  投下した爆弾の中で不発に終わるというその確率は二割であると専門家から聞いております。防衛庁にそのように理解してよろしいかとまずお尋ねします。――開発庁でも結構です。
  160. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 突然の御質問でございますし、私ども専門家でございませんので、この場ではちょっと即答できかねます。
  161. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は専門家からそう聞いておりますので、それを確認したいと思って今お尋ねしたわけです。  そこで、太平洋戦争の間に一つの島に、一地域に最も爆弾の投下されたのは沖縄島であると言われております。してみると、その投下爆弾の二割の不発弾が埋没しておるわけなんですから、それを全部掘り起こすためには数十年かかるという意見もいろいろ交わされてきておりますが、私はそういう観点に立って不発弾処理対策費について質問いたします。  この処理対策費が予算数字によりますと三百四十九万四千、約三百五十万円増額となっております。その増額の意味づけを推進調査費がついたと述べておられます。そこでお聞きしたいことは、具体的にはその調査というのはどのように考えておられるか、お聞きしたい。
  162. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 現在の不発弾等処理事業と申しますのは、住民からの埋没情報に基づきまして探査、発掘を行っているわけでございまして、戦後四十数年を経過いたしまして、戦争体験者の高齢化あるいは記憶の喪失等によりまして情報が年々減少しているという状況にあるわけでございますが、反面、発見届けや発見弾の処理実績というものは依然として高い水準にあるというのが現状でございます。したがいまして、これまでのような情報収集のみでは不発弾等処理対策の目的というものが十分に達成できないというふうに考えられております。このため御指摘のございました推進調査費三百四十数万円を計上することによりまして、これまでの対策費に加えてほかにとるべき有効な方法について調査、検討を行いたいと思っております。  調査内容につきましては今後検討するところでございますが、発見弾の現状把握あるいは公共事業以外の不発弾対策の現状把握を行うなどして問題点を抽出し、それによりまして不発弾等の除去の一層の促進を期待したいと、かように考えておるものでございます。
  163. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 少ない予算からいろいろと検討されてひねり出されたというお気持ちはわからぬわけではないが、ところで、現在のジオレーダー、いわゆる探査距離は御案内のことと思いますが、地下二メートル以内の機能しか持っておりませんね。ところが、科学の進歩は四、五年内に探知距離を十メーターまで延ばすことが可能である、こう報じられております。  それと関連しまして、これは私の提案として受けとめていただきたいんですが、今日いわゆる沖縄における開発、宅地造成とかいろんな工事が行われておりますが、その時点における発見弾が、いわゆる工事現場での発見弾が大分今日も出て立ち退き騒ぎをしておる、村を挙げてあるいは部落を挙げて。それで、一つ、交付金の対象事業とする、二つ、市街化密集地域においては点の探知じゃなく面に広げて調査を行うこと、三つ、不発弾が処理された地域を公示し、住民に安全情報を流すシステムを検討してもらいたい。ということは、人間の最も命にかかわる危険、そうして精神的な不安感、このことが人間にとって反平和の精神的不安、危険感、これをどうしても除去するという立場からも私が要望したこの三つの点は非常に大事なことであると思いますが、開発庁の所見を承りたい。
  164. 勝又博明

    政府委員勝又博明君) 先生指摘の第一点でございますが、公共事業に際して発見された、いわゆる発見弾の処理に当たって交付金を出すべきじゃないかという御指摘でございますが、現在交付金は、御案内のように、沖縄開発庁沖縄県に対しまして不発弾等の探査、発掘のための工事費等として交付しているわけでございます。なお、国が行う公共事業に際しましてのいわゆる発見弾につきましては、事業費によって処理されているところでございます。  それから先生指摘の第二点でございますが、市街化区域における不発弾の処理については、面的な処理を図るべきじゃないかという御指摘でございます。  市街化区域、市街化地域におきます不発弾の処理というのは、既に上に建物等が乗っているわけでございますので非常に難しい問題があるわけでございますが、先生先ほど御指摘の推進調査費の使い方といたしましては、そのような面的な処理なども含めていろいろと不発弾対策を勉強していきたい、かように考えております。  それから第三点でございますが、安全情報を流したらどうかということでございますが、安全情報を流すことにつきましては、不発弾の埋没状況が現在のところ正確な把握が非常に困難でございますというようなことからいろいろ問題もございますので、慎重な検討が必要ではなかろうか、かように考えております。
  165. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 三点については困難という文言おっしゃいましたが、そうだと思うんです。困難は不可能ではないということを私よく言うんですが、困難を克服するものはそれに対する熱意、努力、誠意、このことが裏づけられれば必ず予算は、物は生まれてくる。こういう意味で困難、困難と おっしゃらぬように、誠意を持って努力する、このようにお答えしていただきたかったわけですが、困難で逃げられたような感じがしまして残念に思いますが、よろしゅうございますね。このようにひとつ頑張ってくださいよ。  次に進めてまいりたいのは、住宅防音家屋空調施設維持管理費の助成について申し上げます。  十年一昔と申します。十年一日のごとくという言葉もありますが、昭和五十四年からことしまでまさに十年、そしてこの空調施設維持管理費の必要性を痛感しておられればこそ十年も繰り返し繰り返し要望されたと私は理解いたします。だが今回もまた認められていない、こう聞いておりますが、私はそこに問題を求めたいと思うのであります。その必要性は強く認識をしておられるにもかかわらず、いまだに実現できないというのはいかなる理由でありましょうか。また、財政当局にどのように折衝されたのであるか、詳しい答弁は要りませんからひとつ簡潔に姿勢を示してもらいたい。
  166. 嶋口武彦

    説明員嶋口武彦君) 先生指摘の生活保護世帯に対する空調機器の使用に伴う電気料金の国庫負担につきましては、昭和五十四年度から継続して要求してまいったわけでありますけれども、遺憾ながらいまだ実現するに至っていないということでございます。その間の事情について申し上げますと、住宅防音工事をまだ実施していない世帯が非常にまだたくさん残っておりまして、これは周辺環境整備法第四条に基づきまして、いわば義務的に政府がやるということでございますけれども、こういうものがたくさん残っている。現下の厳しい財政事情のもとで今後この多数の住宅防音工事をやっていくということになりますと膨大な経費がかかるであろう、こういうことは、やはり義務的になっているものがたくさん残っているということを考えていく必要があるだろうというふうな事情によりましていまだ実現に至っていないということでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、やはり生活保護世帯にとって空調機器の使用というものは生活に対して大変負担になっているということは十分承知しておりまして、そういう実態を踏まえて、やはりできるだけ早くこれを実現したいんだと強く迫ってきているわけでありますけれども、引き続きこういう考え方で財政当局に対して協議してまいりたいと、このように考えております。
  167. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が率直に申し上げたいことは、もう熱意と努力をあと一押しだと、そこを姿勢を取り直して頑張っていただきたい、このことを要望します。こう申しますのは、私がこのことについてお尋ねした質問主意書への答弁によりますと、「限られた財源の下で法に定められた助成措置を推進することが急務である」と言っておられます。その急務とされる住宅防音工事の助成措置についてはいつまでに終了させる意図でありますか、その見通しを明確に示してもらいたいんですが、いかがですか。
  168. 嶋口武彦

    説明員嶋口武彦君) 住宅防音工事の対象世帯数は全国で約三十一万ございます。このように非常に膨大でございまして、昭和五十年当時から鋭意やってまいっているわけでございますが、何分三十一万世帯ということで膨大でありますので、なかなか進捗が思うようにいかないというのが実情でございますけれども、六十二年度末までにおける進捗状況について申し上げますと、新規工事として行います一、二室工事は全体の約七三%に当たる二十二万六千世帯を実施しております。沖縄関係について申し上げますと、約一〇%ほど高くなっておりまして、八三%ぐらい実施しているということでございます。  それから、一、二室が終わった後追加工事として全室化防音工事というのをやるんでございますけれども、まだ新規工事が残っているということでこの進捗がおくれていますが、今のところ八〇W以上、まあ音のうるさい地域でございますけれども、こういうものを優先的にやっているんですが、この地域について見ますと、全体の約二二%に当たる約三万世帯を実施している。これを沖縄関係について申し上げますと、やはり数字が高くなっておりまして、三四%実施しているというふうな状況でございます。したがいまして、まだ多数残っているということでございます。  じゃ今後の見通しについてどうかということで、先ほど先生、困難というふうに言うのはいかぬと言われますけれども、各年度でどの程度予算がつくのかということは現段階において申し上げるとなかなかいろいろ差しさわりがありますし、私どももちろん希望があるわけでございますけれども、各年度の予算というのは各年度に決まっていくということでございますし、それから各飛行場でいろいろ音の出方が違ってくる。飛行態様が違ったとかそういうような状況で音の出方が違ってきますと、やはりそれに応じた形で住宅防音工事を実施していかなきゃいけないというふうな状況がありまして、そういう不確定の要素がありますので、確たることを申し上げることはなかなか困難だと。しかしながら、最近五・五%対前年度増の、厳しい財政事情のもとでありますけれども予算を獲得しておるわけでございますので、こういうふうに引き続き最大限努力してできるだけ早く終わらせたいと、このように考えている次第であります。
  169. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が申し上げたいことは、本土にも基地はある、沖縄にも基地はある。本土基地は点ですよ。沖縄基地は面ですよ。ここに沖縄基地の特殊事情がある。そこを理解の上に次のことを聞いてくださいよ。  空調施設の維持管理費に助成措置がないため、生活保護世帯に限らず困っていますよ。地域住民、特に夏が長いため空調施設を使用する期間が長い沖縄の住民にとって過大な負担を強いられる結果になっておる。中には防音施設等を利用しない世帯も出てきておるということなんですね。このような現状について担当長官であります沖縄開発庁長官はどのように認識しておられるか御所見を承りたい。
  170. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) 先生指摘の問題は、基地周辺の住民の方々の日常生活にかかわる重要な問題でありまして、私といたしましても大変関心を持たしていただいておる次第ですが、今後関係省庁の検討を踏まえて適切な措置が講ぜられることを期待しているわけでございます。
  171. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 こういったあり方がだんだん広がって高まると政府不信につながるということを知っていただきたい。ということは、次元の違う本土沖縄の特殊事情に対しては特殊な配慮をすることによってバランスを保たれているでしょう。それを一律の物差しを当てる、そこに論理の飛躍があるんです。そのことをわかってもらわぬというと沖縄問題は、本土並みというけれども単なるこれは概念に、アドバルーンにしかなりませんよ。実質的に埋めていくという、整えていくというこのことが大事であります。そのことを特に長官にも御要望、御理解を重ねて求めたいと思います。  では最後に、海兵隊クラブ従業員解雇問題について、詳しいこと、これは衆議院でも大分論ぜられてきておりますね。この問題については、先月の衆議院予算委員会での論議を拝見しますと、公式な結論はまだ出ておらず、日米間の協議は継続中であるが人員整理が行われることはなく、将来の見通しもプラスに作用しているとのことでありましたね。大変あのときは現地ではみんな非常に希望を持って今日を待ったわけですが、いまだに具体的にはあらわれてこない。そこで、その後の進展及び現在の状況は一体どうなっておるかお伺いしたい。
  172. 高倉博郎

    説明員(高倉博郎君) お答え申し上げます。  海兵隊クラブ従業員の人員整理の問題につきましては、昨年九月、一部を除いて本年三月三十一日まで一時的に撤回されたことは御承知のとおりでございます。もう三月三十一日は明日でございますけれども、今先生御引用になりました衆議院で政府委員の方から答弁いたしました状況から具体的には現在のところまだ進展しておりません。 しかし、私どもといたしましては、関係従業員の方々の雇用不安をできるだけ早く解消しなきゃいけないということで引き続き米側と誠意を持って努力しているところでございます。  衆議院のときにもお答えしておりますけれども、私どもの瓦防衛庁長官が一月に訪米されましたときにアメリカのカールッチ国防長官とお会いになりまして、特に本件問題を含めて従業員の雇用の安定について特段の意を用いてくれということで申し入れをされております。これに対して国防長官も御理解を示されたと伺っております。こういうことで私どもとしましては、この問題は人員整理を出さないような形で解決する方向に向かって期待できるんじゃないかと思っておるわけでございますが、現在のところまだ公式な回答が来ていないという状況でございまして、引き続き努力してまいりたいと思っております。
  173. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これで結びたいと思いますが、ここでもずばり申し上げたいのは、あと一歩という努力が、そこまで追い詰めてきておるのに、県民の期待する方向に努力してもらう誠意と熱意をここでもう一押し高めてもらえば、ということは解雇通告を三月までに撤回するということでありましたね。あさってから四月にもなろうとしている。いまだに解決を見ていないことはまさに問題である。特に一月の日米防衛首脳会談で瓦防衛庁長官がクラブ従業員の雇用の継続について要請したところ、カールッチ米国防長官もこれを了解したとのことであるにもかかわらず、最高責任者が了解したと明言しておられるその結論が出ていないのは一体いかなる理由だろうか、そこに、ここまで追い詰めたのに、もしこれがそのままうやむやにされる、あるいは時をかしますなら、政府不信は、今度は法のもとの、差別から犠牲に、こういう感情に当然高まっていくことを私はずばり申し上げておきたい。そのことに対して一言でも結構です、長官にお答え願って私の質問を終わります。
  174. 粕谷茂

    国務大臣粕谷茂君) この問題は、ただでさえ沖縄の雇用失業の状況からいって、ぜひひとつ妥当な解決を図られるように願っているものです。よく私どもがこの問題に直接関与する立場ではありませんとかいう言葉を使うんですが、私も余りそういう言葉は使いたくないんです、何か傍観者のようで、責任逃れのようにも聞こえるかとも思いますから。  ただ、まあ大臣に就任してからいろいろと事務方との打ち合わせをやっておりますと、やはり行政の領域というものは峻厳でなければならない、でないと混乱を起こす。こういうことにもなりかねないということをつぶさに感じてまいりまして、この問題はそういう意味から開発庁が直接担当する立場にありませんので、今私どもが意見を挟むことは差し控えなければならぬとは思いますけれども、ぜひ当事者間で話し合って、そして適切な処置が講じられるように心から願っております。
  175. 川原新次郎

    委員長川原新次郎君) 以上をもって昭和六十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち総務庁北方対策本部沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫についての委嘱審査を終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 川原新次郎

    委員長川原新次郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十八分散会