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1988-04-19 第112回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十九日(火曜日)    午前十時三分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 真鍋 賢二君                 松岡滿壽男君                 安恒 良一君                 中野  明君     委 員                 伊江 朝雄君                 木村 睦男君                 坂元 親男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 穐山  篤君                 小山 一平君                 田渕 勲二君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  石原慎太郎君    政府委員        大蔵省主計局次        長        篠沢 恭助君        大蔵省理財局次        長        公文  宏君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   中村  徹君        運輸省貨物流通        局長       中島 眞二君        運輸省海上技術        安全局船員部長  野尻  豊君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    参考人        船舶整備公団理        事長       妹尾 弘人君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会船舶整備公団理事長妹尾弘人君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 まず最初に、船舶整備公団法のこれまでの主な改正経緯について、簡単に説明してください。
  6. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  船舶整備公団は、昭和三十四年に国内旅客船公団として発足をいたしまして、国内旅客船整備対象事業としてスタートをいたしました。その後、この公団は三十六年に名称特定船舶整備公団と改めまして、戦時中に建造されました貨物船であります戦時標準型船船舶代替建造を始めたわけでございます。さらに三十七年には、港湾運送用船舶建造を開始いたしました。三十九年には、老朽貨物船等代替建造港湾において使います荷役機械整備を行うことにいたしました。昭和四十一年には、この公団名称船舶整備公団と改めますとともに、船舶解徹融資ですとか、係船融資等業務を追加したわけでございます。昭和四十四年には、貨物船改造融資をすることになりました。昭和五十四年には、政府追加出資規定を設けますとともに、船舶解徹建造などに対します債務保証業務等を追加いたしまして現在に至っております。  また、昭和四十二年に制定されました船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律附則改正によりまして、公団業務として、ビルジ等排出防止装置設置融資を開始をし、その後、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律によって海洋汚染防止設備設置融資を行っております。  以上がこの公団のやってまいりました業務の概要でございます。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 今説明されましたように、公団は、順次業務の範囲を拡大してきております。  そこで、公団が、我が国経済及び海運業界にどのような貢献をしてきたのか。また、今後どんな役割公団として果たしていくつもりなのか。公団理事長大臣から、それぞれ所見を承りたいと思います。
  8. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 船舶整備公団は、昭和三十四年に、老朽化した船舶が非常に多くなりました、その安全性の確保に問題がございました国内旅客船代替建造を図るために設立されまして、以後、老朽化した国内旅客船や内航貨物船などの代替船舶として六十二年度までの間に実に二千四百隻を超える近代化船建造することによりまして、国内海運業近代化並びに船舶安全性向上に対して非常に大きな貢献をしてきたと評価しております。  また、厳しい社会経済情勢にさらされている今日の国内海運業界の現状にかんがみまして、今後とも船舶整備公団共有方式を的確に活用することによりまして、海運業界近代化並びに船舶安全性向上を図ってまいりたいと思っております。
  9. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) ただいま大臣から御発言いただきましたとおり、船舶整備公団といたしましては、発足以来、我が国産業においては非常に重要な役割を果たしております国内旅客船並びに内航海運業、こういったものを中心といたします企業、ところがこれらの企業は極めて資金調達が困難な零細企業者が大部分で構成されておる、こういったような状況で、一般コマーシャルベースにおける金融機関の利用というのが極めて困難であるというような業者がたくさんおります。そういった業者を相手に、しかしながら船舶近代化を図っていかなくてはならない、あるいは業界近代化を図っていかなければならない、こういった政策目的に対処をいたしましてこの公団というものが設立されたと、かように考えております。  私どもも、そのような政府趣旨にのっとりまして、鋭意公団業務を推進いたしておる次第でございます。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 私は実は公団をめぐるさまざまな課題について勉強してみましたが、中でも一番問題になるのは、公団財政悪化が相当深刻な状態になっていると、こういうふうに思います。  そこで、公団赤字経営に追い詰められた要因をどのように分析をしているのか、説明をしてもらいたい。
  11. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  船舶整備公団は、昭和三十四年に設立されまして以来、長期間にわたりまして健全経営を続けてまいったわけでございまして、昭和六十年度末には約二十一億円の内部留保を持っていたわけでございます。しかしその後公団収支は、事業金利船舶共有建造します場合の使用料として受け取る事業金利調達金利金利差がだんだん小さくなってきたこと等によりまして、悪化をしてまいりました。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 金利差だけではないんじゃないですか。早期償還も増大をしているんじゃないですか。悪化原因は、あなたはいわゆる貸出金利調達金利の差が縮小したと言われていますが、いま一つ原因は、早期償還が増大したということもあるんじゃないですか、どうですか。
  13. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 先生指摘の、早期償還の問題もございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 今私が問いただしたところで、私も、いわゆる公団財政悪化の最大の背景は低金利だと思う。その真相は、いわゆる政策金融としての矛盾が出たものだと理解しています。すなわち公団業務は、他の政府系金融機関と同様に、政策金融の一環を担っているからだと思うんです。民間金融機関は、低金利においてもそれなりの利益を確保しています。それに対して公的金融機関、例えば国民金融公庫、中小企業金融公庫などは、数年前から赤字補てんのための補給金を余儀なくされています。これはまさしく政策金融矛盾だと私は思うわけです。  そこで、まず公団調達金利調達種類別に示してほしい。さらに、六十二年度の調達平均コスト、これを示してもらいたい。
  15. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 昭和六十二年度におきます調達資金金利を申し上げますと、まず第一が資金運用部からの借入金でございます。これは六十三年三月現在は五・〇%でございますが、六十二年度におきましては四・六%のものから五%の間のものになっております。  二番目に資金運用部引受債につきましては、表面利率で四・八%から五・一%になっております。発行者利回りにいたしますと五・〇二%から五・三六%でございます。なお、六十三年三月現在では、表面利率は四・八%、発行者利回りは五・〇二%になっております。  三番目に縁故債でございますが、縁故債表面利率で五・〇%から五・一%、発行者利回りで五・一二%から五・二六%でございます。ちなみに、六十三年三月現在では表面利率五・〇%、発行者利回り五・一二%となっております。  今、これは全体としてどうなっているかという御質問でございますが、加重平均をいたしますと、六十二年度における調達金利平均は約五・〇%になっております。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 次に、貸出金利船種別説明してほしい。そして、それの平均金利は幾らになっていますか。
  17. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 昭和六十二年度におきます公団共有船事業金利を申し上げますと、国内旅客船、これが四・八五%から五・六五%でございます。貨物船及び旅客船の中で中距離フェリーだけ別になっておりますが、これが四・九%から五・七%となっております。  また、融資業務でございますが、貨物船改造融資が四・九%から五・七%、それから海洋汚染防止設備設置融資が四・四七%から五・六%となっております。  また、昭和六十二年度には、事業金利水準がやや高かった昭和六十一年度に、前年度に建造決定を行った船舶建造資金の支払いも行われておりますが、これらをなべて加重平均をいたしますと、六十二年度におきます事業金利平均は約五・五%となっております。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 今ずっとお聞きしたんですが、代表的な調達手段である資金運用部資金からの借入金利は現在五%ですね。これに対しまして貨物船等貸出金利、いろいろ若干差がありますが、ラウンドナンバーして五・五ですね。そうするとこの利ざやは〇・五%ということになる。ところが、民間長期金融機関調達金利貸出金利の差は常に〇・九%に保たれています。これでは公的金融機関優位性も薄れ、そしてそのことが政策金融機関としての経営を圧迫しておるというふうに私は思います。  ですから、この政策金融矛盾について、大蔵省どういうふうにお考えですか。
  19. 公文宏

    政府委員公文宏君) 今金利の面から、あるいは利ざやの面から御指摘がございました。船舶公団で申しますと、非常に単純な図式で申しますと、公団から運用する方は長期プライムレート長プラでございます。先ほどお話しがございましたように五・五。それから今度は公団調達する方、主として運用部でございますが、これは現在で申しますと五・〇、財投金利ということでございます。ですから、今〇・五の利ざやしかない、こういうことでございます。  それを今度は利ざや拡大するためにはどうしたらいいかということになるわけでございますけれども長プラより高い金利運用するということにつきましては政策金融としてなかなかとりがたいという問題もございましょうし、一方、財投金利の方の五・〇をもう少し下げられないかという問題につきましては、これは先生も御承知のように、資金運用部郵便貯金だとか年金の資金をお預かりしておりますから、余り利回りを低くするわけにはいかないというようなことでございまして、長プラとそれから財投金利とのバランスが今現在先生が御指摘のようなことになっておるというのが実情ではないかというふうに私たち認識しております。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 あなたの認識を聞いているんじゃないんだよ。認識説明してもらわなくてもよくわかっているんだから。私があなたに聞いたのは、この政策金融矛盾について大蔵省としてどうお考えかと。認識なんか、説明してもらわぬでも私はよく知っていますから。
  21. 公文宏

    政府委員公文宏君) 今のような状況にあるわけでございますが、〇・五という利ざやをふやすためには、先ほど申しましたように政策金利の方を上げるか、財投金利を下げるかという選択しかないわけでございますが、いずれの問題につきましても、今の状況から申しますと、選択の幅が非常に小さいというのが今私どもとして言える話でございます。
  22. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 今御質問の点につきまして、補足的に申し上げますと、今御指摘のとおり利ざやは〇・五%程度しか期待できないということでございます。そこで私どもは、この点につきまして今後の改善の対策といたしまして、まず……
  23. 安恒良一

    安恒良一君 聞いてないことを答える必要ないよ。何も聞いてないんだから。大蔵省矛盾をどう考えるかと聞いている。今後の改善策なんかまだ聞いてない。  そこで、貸し出しの金利調達金利の差が現在の〇・五%のままで推移するとすると、今後、今赤字状態にあるこの公団財政改善方向に向かうことができるのかどうか。私はかなり困難だと思いますが、この点について、大蔵省運輸省からお考えを聞かしてください。
  24. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 大変失礼いたしました。  それでは申し上げます。現在、金利水準が全般的に低下をいたします等によりまして、公団貨物船建造に係ります事業金利、今は五・五%でございます。これと調達金利の最も多い資金運用部資金借入金利が五・〇%でございますから、この金利差は〇・五%差にすぎなくなっておりますが、公団事業用資産の総額が約二千百億円であるのに対しまして、単年度の公団一般管理費は約十億円程度でございますので、平均して〇・五%程度金利が見込めれば公団収支を均衡させることは私どもは不可能ではないと考えております。  したがいまして、仮に現在の金利差がこれ以上縮小しませんで今後相当期間続くと仮定すれば、これまで発生した赤字要因への対応策中心に今後とも厳しい経営努力を続ける必要はあると思いますが、事業量拡大方向に向かって、一般管理費を初めとする経費を抑制をしていければ、公団収支はおおむね均衡させていくことは不可能ではないと考えております。  もう一度要点を申し上げますと、〇・五%の金利幅が今後とも維持できると私どもは期待をしておるわけでございますが、これを前提といたしまして健全な事業拡大をしていければ、何とか公団収支改善していくのではないか、かように考えているわけでございます。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、自助努力ということを言われたんですが、船舶整備公団職員が何人おるかといったら八十一人。そしていわゆる役員が何人おるかと調べたら、常勤役員が五人。理事長以下各理事皆さん方のお取りになっている給料の月額、それから担当業務を調べたんです。それから非常勤、監事。その人々が何をやっているか書いてこいといって出してもろうたら、それぞれこれ出ていますけれども、私は、内部努力をするに当たって、ちょっとこれ役員が多過ぎる。何でこんなに、八十一人しかおらぬのに、高給を取っている人が五人もおるんだろうか。こういうところこそいわゆる行革審指摘等を受けて——赤字を出しているんですから今、現実に赤字を出しているんですから、後からどんどん議論していきますが、それがために資本金をふやしたり政府補給金もらったり、いろんなことをしなければならぬ。ところが、役員非常勤を含めると六人もいる。そういうようなことで、いわゆる自助努力というのができるんでしょうか。  業務量をふやしていけばいいと言う。業務量をふやしていくことも必要ですね。しかし、そういう公団のあり方ということについて——というのは、私はほかの委員会でもいろいろ議論しているんですが、この種の公団というのはようけあるんです。例えば医療金融公庫とかね。各省各省ごとにこういうものをつくって、そしてそこで何をやっているかというと、やはりこういう金融関係中心にやっておる。この船舶整備公団政府関係金融機関との違いは何かというと、船舶共有しているということが違いがあるだけです。  ですから、今、自助努力担当局長が言われましたから、そういう役員問題並びに自助努力というのはどういうことをされるつもりですか。私は役員なんか多いからこういうものを減らすことも一つ自助努力だと思いますが、どうですか。
  26. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) ただいまも御答弁申し上げましたように、これからの方向としましては、従来もそうでございましたけれども公団事業の規模を健全な形で拡大をしていくということをやってまいりましたのですが、それに対しまして、役員あるいは職員の定員につきましては増加を極力抑制をしてまいったわけでございます。したがいまして、一人当たりで取り扱います業務量というのはだんだんふえてきているという状況にございます。  それで、この公団役割につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、日本の内航の旅客船貨物船の非常に大きなシェアを公団共有船という形で建造しておりますことと、それから金融的な機能も持っておりますが、今安恒先生から御指摘がありましたように共有という形でやっておりますことのほかに、中小企業である海運業者対象にします関係で、二十名ほどの技術陣も擁しております。  このようなことを考えますと、公団がかなり過去において事業拡大してまいりましたけれども公団は極力人をふやさないでやってきたという経緯もございます。これからもこの方針を極力維持をしていきたい、かように考えております。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、これは役人とやりとりしたってだめなんです、パーキンソンの法則ですから。自分たち天下りの行き先のことを考えているからね。なかなかこういうものを減らすという答弁にはならぬから、一遍大臣、私のところに役員皆さん方担当業務がありますから、それ等を十分検討をしてみてください。きょうは返事要りません。役人は、自分たち天下り先なんですから。これを見ると会計検査院、あとは皆運輸省から天下りしておるわけだ、今の役員は。海上保安庁第三海上保安部海上保安庁次長妹尾さんは大洋漁業の副社長となっているが、この人も運輸省におった人ですからね。これはみんな自分たち天下り先ですから、こういうところで私が幾ら言ったって簡単にいかぬ。しかしこれは、行革審の議論のときには対象一つになっておった公団であることは事実なんです。当時運輸省役人がみんなで抵抗してこれは残した。ですからこういうふうな状態になってきたら、やはり内部努力ということについても、まあ私は内部努力だけでこの公団が立ち直ると思わぬ。後からずっと政策を私は提言していきますよ。しかしそういうことも一つのことですね。  そういう意味から言うと、大臣、これは一遍検討をしてもらいたい。今あなたからどうするこうするじゃなくて、中身についてはよく検討してもらいたい。検討してくれますか。
  28. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 承知いたしました。人をふやさないだけではなしに、場合によっては減らさなくちゃならない場合もあると思います。  ただ、私この公団業務についてつまびらかにしておりませんので、詳細に検討いたしまして考慮いたします。
  29. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ検討を……。  そこで、やはり問題は、ここまで来ますと、今さっきからも問題になっておりましたように、資金運用部金利だけで考えてもいわゆる金利引き下げというのは非常に難しい、限界がある。今の利ざやの〇・五をさらに利ざやを余計取るようなことは私は難しいと思う。そこで私から言わせますと、いわゆる公団自身資金調達コスト引き下げについて努力をすべきじゃないか。公団自身資金調達コスト引き下げる、こういう工夫努力が必要だと思いますが、この点について、理事長大臣のお考えを聞かせてください。
  30. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 私ども、現在の公団資金調達方法を大幅にこれを変えるということは極めて困難であるというふうに考えておりまして、この資金調達の面につきましては、正直に申し上げまして、私どもはそれほど妙案を持ち合わせているわけではございません。
  31. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 私ども資金調達方法につきましては、やはり法律の制約もございますし、例えば一般金融機関のように非常に低コスト債券発行あるいは預金を扱うというようなことも極めて困難なわけでございまして、私どもとしては、現在とられている資金調達金利差の中からできるだけ事業量をふやしていくというような格好で、言ってみれば薄利多売というような感じで財政再建を図っていくというのが現在のところの計画でございます。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、このとおりなんですよね。私が資金調達コスト引き下げ工夫はないかと聞いたら、理事長もない、それから運輸省も難しいと。しかしやっぱり公団は維持していきたいと。全然発展性がありません。このままでいったらまだ累積赤字がふえる。私は、こんなのが第二の国鉄になってはいけないと思います。  そこで、それじゃ例えば一つのことを聞きましょう。今度公団資本金の積み増しをして、十二億の増資が認められて十九億になる。そうすると、公団資産は約三千億程度ありますよ、だから私から言うとこれ過小資本だというふうに考える。理事長、あなたが考え公団資本金はどの程度が適正な資本金と思いますか。率直にお考えを聞かしてください。今度十九億にやっとなったんだから。
  33. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 公団に関しましてどのような——政府系金融機関いろいろございます。例えば日本開発銀行あたりでございますと、言ってみれば法律の中に、総資産の約一〇%というものが自己資本でなければならないというような規定もあるわけでございますが、政府系金融機関の中には自己資本比率が極めて低いものもほかにたくさんございます。公団も低い方でございますが一番低いというわけではないわけです、自己資本比率が。それはいろいろと政府系金融機関のできた生い立ちとかいきさつとか、そういったものがあるわけでございまして、例えば日本開発銀行でありますと、そのかわり毎年六十億でしたか八十億でしたか、相当の国庫納付金を納めているというようなこともございます。  それぞれにいろいろなあれがあると思うのでございますが、私どもとしては、理事長として率直に申し上げれば、それは自己資本が充実することはそれだけ資金調達コストが安くなる。それからいろんな、私ども先ほど〇・五%の利差の中で運用していると申し上げましたが、〇・五%の利差で的確に運用できれば実は私ども管理費ぐらい十分賄えているわけです、現在の総資産の中で。ところが、その他の要因もございますので、そういった場合には自己資本比率がもっとあればかなりな弾力的な運用もできるというふうなメリットもございます。このたび、私ども政府におかれて十二億の増資を認めていただいたことは、大変ありがたいことだと考えております。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 あのね理事長、この際率直に、どのくらいかと聞いているんですから、ぐどぐどぐどぐど言わないように。時間がもったいないですからね。そんなに意欲がないようだったら理事長をおやめになったらどうですか。私から言わせると、公団資産が三千億あるわけですからね。今度資本金がやっと十九億になるんですよ。普通の世間の常識から考えると、そんなもの、資本金は五十億ぐらいにしたって何のことはないんですよ。だからきょうは、あなたが言いにくかったなら、ここではっきり言うてもろうてその援助をしようと思っているのに、ああでもないこうでもない、ぐじゅぐじゅぐじゅぐじゅ言うている。そんな意欲のないことじゃ困る。  大臣、往々にしてこういうタイプが多いんですよ。役人天下りをして、今の現状をおれの時代に何とか維持すりゃいいということで、そして公団を次から次に渡り歩くというのがよくあるんですよ。行ったら行ったで、そこで意欲を持たなきゃだめなんだ。どういうふうにすればこの公団が本来の公団の使命を達するかということについて、せっかくこちら側がいろいろ言っているのに対して、ああでもないこうでもないと。現状維持だけでいいというような人にはもったいない。そういう人間にはもったいない。少なくとも理事長になったらその公団を立派にさせるという、それがために政府に遠慮することなく、大蔵省に遠慮することなく、必要な場合にはこれぐらいはふやしてほしいというぐらいのことを言うぐらいの勇気がなけりゃ何で務まりますか、そんなもの。これだけはっきり言うておきます。  そこで今度は大蔵省に聞きたいんだがね。私はやっぱりこの公団の力をつけるため資本金の上積みを検討すべきだと思いますが、大蔵省、この点はどう考えますか。資本金の上積みについて。
  35. 公文宏

    政府委員公文宏君) 先ほどから御議論になっておりますように、六十三年度におきまして、この公団に対します出資を十二億円増額いたしました。従来までの資本金の残高は七億円でございましたのが、一挙に十九億円になったということでございます。これは当然のことながら財政事情その他運輸省の御当局と十分相談の上、そういうことにいたしたわけでございます。これはたまたま六十三年度に係留船の改造事業という新しい事業をやることになったことに相伴いまして、経営基盤の強化を図るということで増額をしたわけでございます。  確かに出資金の額が多いとか少ないとかいうのはいろいろな御議論があると思いますけれども、公的な機関のほかの機関とのバランスで見ますと、先ほど運輸省からもお答えがございましたけれども、まあバランスのとれている比率になっているのではないかというふうに思っております。ほかの公庫、金融的な側面で申しますと、この公団は金融公庫とよく似た面を持っているわけでございますが、そういう面から見て、ほかの公庫とのバランスから見ましても、この十九億円というのはかなりいいところまでいったのではないかというふうに私ども考えております。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、この点もやっぱりここの経営を健全にする一つの方法としては、公団資産が約三千億あるわけですから、それに見合って適正に資本金もふやしていくということは、私は検討されてしかるべきだと思う。その点の検討をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  37. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 今回、七億から一挙に十九億までふやしたわけでございますが、これを踏まえて、公団のこれからの業務、成り行きを眺めながら検討したいと思います。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 それから次に大蔵省に聞きたいんですが、日航の株を売った、ところが名義書きかえが行われなかったので、いわゆる三月末になっても行われないために配当金が国庫に相当入ると、こう新聞に書かれておりますが、配当金はどの程度入りますか。そして、その配当金はどういうふうにお使いになるつもりですか。
  39. 公文宏

    政府委員公文宏君) 御承知のように、政府保有の日航株は全部売ったわけでございますが、三月三十一日現在で名義書きかえが行われていない株が、聞くところによりますと約二百三十四万株あるということのようでございます。それに見合う配当金は、形の上では、建前の上では、とりあえず国庫に帰属するという考え方でおりますが、額は、仮に配当金の配当率が八%といたしますと約九千万円ということでございます。  なお、この配当金につきましては、もし正当な保有者から請求がございましたならば、これは国庫からその方にお返しするという考え方で対処してまいりたいと思っております。全体で九千万円ぐらいでございます。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 もう三月末は終わっているわけですから、大体一株につき四十円配当ぐらいやりたいと、こう聞いているんですが、そうすると四億ぐらいになるんじゃないですか、どうですか。
  41. 公文宏

    政府委員公文宏君) 日本航空の方から伺いましたところでは、失念株は、先ほども御答弁申し上げましたように、二百三十四万株ということでございます。そうしますと、四十円掛けますと約九千万円ということでございます。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、例えばこれ九千万円ですけれども、それじゃこういうものを、とりあえず国庫と言われていますが、参議院運輸委員会では附帯決議をつけまして、日航の売却益その他は運輸関係に使ったらどうだと、こういう附帯決議を当時つけたんですから、例えば九千万円入ってくるということになれば、これは全然政府は予測しなかった金なんですよね、名義書きかえなかったんですから。ですから私はその金をひとつ公団資本金に九千万円上積みをするということが参議院の運輸委員会の附帯決議の趣旨にも沿うと思いますが、この点、運輸省大蔵省どう考えますか。
  43. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 先生指摘の附帯決議につきましては、御指摘のとおり、「日本航空株式会社の政府保有株式の売却益については、その意義にかんがみ、運輸関連のための費用に充てるよう一層配慮すること。」という附帯決議が昭和六十二年の九月三日にされておりまして、この趣旨に沿いまして船舶整備公団に対します追加出資がなされたものと私ども考えております。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 そんなこと聞いているんじゃないんだよ。あんた、人の質問をよく聞いて答えてください。時間がもったいない。  附帯決議はこうなっているが、今いわゆる日航の株の思わぬ九千万円という金が入るんだから、それを船舶整備公団資本金の上積みに使ったらどうですかと、その点について運輸省どう考えているか、大蔵省どう考えているかということであってね。それについて賛成か反対か、こう考えるとか、こう言ってくれればいいわけで、附帯決議を読み上げたり、趣旨に沿うとか沿わぬとかそんな——人の質問よく聞いて答えてくださいよ、時間がもったいないからね。そうしないと物すごく頭が悪く思えるよ、そんなこと言いよったら。
  45. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 今御指摘の点につきましては、「売却益」と書いてありますので申し上げたわけでございますが、日本航空株式会社の政府保有株式の売却益についての御指摘がここにあると思いましたのでそう申し上げたのでございますが、今のその配当の問題につきましては新しい進展でございますので、私ども、そのことも踏まえて今後いろいろ検討させていただきたいと思います。
  46. 公文宏

    政府委員公文宏君) 附帯決議につきましては、私どもも承知いたしております。おりますが、本件につきましては、今運輸省からお話しがございました点もございますし、私どもといたしましても、やはりこれは国有財産の処分、あるいは国有財産を売却したときの取り扱いの問題でございますから、慎重に考えたいというふうに思います。
  47. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、売却益については書いてあるが、株の名義書きかえの分の事業収入については書いてないからなんて、ああいうことを言うのを三百代言というんだ、三百代言と。思わぬ収入が入ったわけでしょう。売却したが株の名義書きかえがなかったから。それをどうするかということを聞いているんです。  だから大臣、こういうことは前向きに検討してみてください。参議院運輸委員会の一致した要望なんだから。できれば大蔵省とあなたが折衝して、九千万円余計入ったら、その九千万円をこの公団資本金に上積みする努力運輸省としてはしたいぐらいのことを言わなきゃならぬのに、大蔵省はまあ金を管理しておる方だから慎重にというのはわかるんだ。運輸省の方があんな三百代言のようなことを言って、何でこの公団が立ち直りますか。私は、公団を批判するところは批判する。しかし、立ち直らさせるためにこういうものを検討すべきだということの一つの提言をしているわけです。せっかくあんた、名義書きかえしないので九千万も余分な金が入ってくるわけだからね。その金をこの公団資本金に上積みをするために、運輸省は極力、大蔵省と折衝して努力しますぐらいの答えがあっていいんじゃないですか。何となくわけのわからぬことで、いや、売却益とは書いてあったけれども株のあれはないから慎重に検討します——何でそんなに大蔵省に気がねしなきゃいかぬのかね。どうですか、大臣
  48. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃるとおりだと思います。  それが活用できるなら、まあこの公団のためにというか、ほかの運輸省の抱えている案件とどういう優先順位をつけるかは別にしまして、運輸省の行政のために活用したいと思います。
  49. 安恒良一

    安恒良一君 大臣のようにしないと、あの局長のような答弁をしておったら、全部これを大蔵省へ持っていかれて、運輸省のためには一銭にもならぬよ。黙って皆持っていかれてしまうよ。  次に、資金コストの多様化について少し伺ってみたいと思います。  運輸省に伺いたいんですが、船舶整備公団政府保証外債を発行したことがありますか。
  50. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 今まで、外債を発行したことはございません。
  51. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ、大蔵省に聞きますが、あなたがおっしゃったように、これはやはり政府金融機関の一環であるとおっしゃっていますが、他の政府金融機関で、政府保証外債を発行しているところはどことどこですか。
  52. 公文宏

    政府委員公文宏君) 現在のところ、政府保証外債を発行している政府機関としましては五法人ございまして、日本開発銀行日本輸出入銀行、公営企業金融公庫、中小企業金融公庫、それに日本道路公団のこの五法人でございます。
  53. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、大臣よく聞いておってください。これから私がここに外債が必要だと、政府保証外債が必要だという理由を今から申し上げます。  第一は、船舶整備公団よりも早く赤字補給金をもらっている中小企業金融公庫は既に政府保証外債を発行しています。これが第一の理由です。第二の理由は、政府保証外債を発行すれば、低コストでの発行が可能となります。最近で申し上げますと、羽田の埋め立てのために東京都が発行した政府保証外債は、表面金利三%という有利な資金調達手段となっています。ですから、今資金運用部資金コスト五%と比較しますと、外債を発行することによってかなり有利になる。これが第二点。第三点は、中長期的に見まして、円の対外的価値はさらに高まり、円が現在よりも上昇していくというのは大方のエコノミストの一致した見方であります。そこで、現在外債を発行すれば、円が上昇した分だけ為替差益が発生し、有利な資金調達手段となります。これが第三の理由です。  ですから、以上申し上げた三つの理由から、政府保証外債を発行することは今船舶整備公団で一番大きくなっております財政悪化のための対応策になると思います。したがって私は、船舶整備公団政府保証外債の発行に踏み切るようにすべきだと思うんです。金融上のタイミングを見ても、今発行することは非常にいいと思うんです。  そこで、発行できるような体制に、これはやはり一部法律その他を直さなきゃなりませんから、すべきではないかと思いますが、この点について運輸大臣、財政当局の考え方を聞かせてください。
  54. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 大臣がお答えをする前に、技術的な点につきまして私から申し上げさせていただきたいと思います。  安恒先生の御指摘でございますので、私どももできるだけ前向きに検討したいと思いますが、いろいろ技術的な問題点もございますので、一応それをお聞きいただきたいと思います。  まず、政府保証外債につきましては、金利コストと引受手数料が低額であるということがございますが、それに加えましてユーロ市場、ニューヨーク市場等の債券引受能力を活用して低資金資金調達を行うことが可能な仕組みであるということは私どもも承知をいたしております。しかし、政府保証外債の発行につきましては、最低でも一回の発行額を約百億円程度とする必要がある、また、発行者としての信用力を獲得するためには継続的な発行を行うことが必要不可欠であるという点がございます。そういう点から見ますと、財政資金縁故債による民間資金調達資金需要の動向に合わせながら一年一回平均四十六億円余りしか船舶整備公団調達をしておりませんので、そういう船舶整備公団資金調達の手段として政府保証外債が適当であるかどうかということについては問題があるのではないかということでございます。  それからもう一つの問題点は、政府保証外債は為替変動に伴うリスクを避けることができないという問題点がございまして、最近のように激しい為替水準の変動が恒常的になっている情勢下におきましては、政府保証外債の発行を直ちに実施するということにつきましては、いろいろ準備をしなきゃならない面もありまして、私どももなかなかそこへ踏み切れないという面もございます。  今のような問題点があるということだけまず申し上げたいと思います。
  55. 公文宏

    政府委員公文宏君) 船舶整備公団政府保証外債の発行問題につきましては、実は、今まで一度も運輸省の方からもお話を聞いておりませんので、具体的に是非を検討したことはございません。  ただ、今運輸政策局長からお答えがありましたように、いろいろな問題点があることは事実でございますし、それから相手はマーケットでございますから、こちらが幾ら出したいと思いましても、相手側がうまく受けてくれないというようなことになりますと、いわば条件も悪くなるというようなこともございます。いろんな点を考えなきゃいけないということではないかと思います。
  56. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、全くお聞きのとおりでね。非常に赤字で困っている、その赤字原因は何かというと、政策金融だと。その政策金融の中で、借りられる分については、利ざやは〇・五しかないんですよ。これは郵貯とか年金事業団の金ですからね。そうすると、今四十六億と言われたところの縁故債であるとかその他、そちらをふやすことの努力をしなきゃだめなんです。それが、わずか四十六億だから外債を借りることについてはということでね、全く消極的なんですね。  しかも、私が聞いたら大臣理事長は、この公団は今後もずっと持続をして、どんどん仕事をして発展させていくんだ、こう言っているんです。発展させていくなら、必要な安い金利のお金をつくる努力をすべきであって、そんなことが嫌なら公団はやめなさいと言っているんです。そしてこの仕事は金融公庫に譲ればいいんですよ、金を貸すだけなら。金を貸すだけならほかに政府政策金融というのはあるんですから、何も理事長以下こんなたくさんの人間がおる必要はないんです。しかし、ここはこことして独自にやっていこうというなら、少なくとも、いわゆる低金利のお金を調達する方法について意欲的に取り組むべきですよ。大蔵省言っていますわ、運輸省からまだ一遍も相談受けたことないと。何ですかあなたたちは。現状維持ばっかりして。赤字がもしも出てきたときはどうなるんですか、将来は。どうしてもう少し前向きに意欲的に、こういうものについてお考えにならないんですか。  少なくともいわゆる民間金融の分野では金利の自由化、これは国際的な大きな流れになっているでしょう。そういうときに、私は公的金融機関だけが取り残されてはいけないと思うんです。だから少なくとも船舶整備公団政府保証外債の発行の可能性を開くための研究を十分する、検討する。そして根拠規定をつくる、そういう検討に入りたいぐらいのことは、国際的な金利の自由化の流れの中で、そんな考えが浮かばないんですか、あなたたちは。いま少し公団側も、監督官庁である運輸省も、意欲的に物事をお考えになったらどうですか。問題があります問題があります、現状維持現状維持、そして赤字ができたら政府から補給金をもらえばいいんだと。そういうことは国民は望んでないんですよ、そういう運営は。  例えば、一つの例を挙げましょう。問題がないないと言っているけれども、ことしは退職給与引当金はゼロになっているじゃないですか、財政が悪いために。六十三年度の貸借対照表を見ますと、退職給与引当金の残高はゼロになっていますよ。これだけの人間を計上して、法的に認められている退職給与引当金計上をゼロにしなきゃならぬという予算編成自体に問題があるんです。ですからそういう場合に、私が言っているように、資本金の上積みであるとか、安い金利のものを調達する方法を積極的に考えるとか、さらに公団自身経営努力についても積極的に考えるとか、そういう形において私は法案というものが提出されるべきだと思うんです。  せっかく私の方から意欲的にいろんなことを提起しても、検討します検討します、難しい難しいと。そんなことをしてまで現状維持なら、私はこの公団は要らぬと言うんだ、この公団は。こういう公団は要らぬ。国民の金のむだ遣い、そういうことなら。そうじゃなくて、本当に公団を設立した目的に沿ってやっていくというならば、今私が言ったような問題に積極的に取り組むという意欲が理事長なり大臣なりから示されない。そして聞けば抽象的なことばかり言う。私はこの法案に賛成なんですよ。賛成なんだけれども、どうもあなたたちの話を聞いておったら、これ、だんだん反対しなきゃならぬような気分になってきた。あなたたちの話を聞いておったら全く意欲がないんだ、意欲が。どうですか。  少なくとも今、いろんな外債を発行する条件が整っていて、しかもそれの金利が非常に安いんですからね。為替変動のリスクがありますと。それはもちろん外債を発行すればリスクはありますよ。あっても、政府金融機関は、今私が言ったように、政策金融を行っているところは五つ皆外債発行をやっているじゃないですか。そういうことについてどうしてあなたたちは前向きに検討しようとしないのか。そうでなければ、ぬるま湯で現状維持のままやっておるなら、おやめになった方がいいです。私はそう思いますよ。ぬるま湯で現状維持のままこういう公団運営をしてだんだん赤字がたまっていくならやめた方がいい。私は政治家として、国民の代表として、やめるべきだとはっきり言いますよ。そうじゃなくて、意欲的に、この公団が持っている目的をさらに達成するということで今回の法案改正を御提出になったということなら私は賛成に回りますが、どうもね。  大臣、今までの私と担当者のやりとりを聞かれてどう思われますか、こういう点について。
  57. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) たしか羽田に関して、鈴木都知事が外国まで出かけていって外債の発行に努力をされました。私それは非常に思い切ったことをやられたなと思っておりましたが、今になってみると、うまいことやったなという感じがいたします。  おっしゃるとおり、公団のこれからの将来というものをポジティブに、つまり肯定的に、積極的に考えるならば、外債の発行というのはやっぱり一つの判断と思います。ただ、為替の変動というのはちょっと見込みがつかない面もありますけれども、それを勘案し、また、内航における新しい船腹の需要というようなものも勘案して、公団の所要資金量というものを勘案した上で、これは積極的に考えていきたいと思います。
  58. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ大臣、前向きに取り組んでもらいたい。  それから公団理事長も、あなた余り遠慮しないでね、公団側としてはこういうことについてはどうだというのを積極的に持ち込む意欲をお持ちになったらどうですか。あなたの考えを聞かしてください。どうも現状維持、消極論に聞こえてなりません。少し資本金の問題なり外債の問題なり、内部努力なり、積極的に、公団をつくった目的を果たしていくんだと、こういうやっぱり意欲がないと、どうもこの法案に賛成に回りかねるから、はっきりしてください。
  59. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 私ごとを申し上げて恐縮なんでございますが、私昨年の春から、公団理事長といたしまして、最近民活民活という言葉が言われておるわけでございますけれども民間に活力を求めると同時に、政府系金融機関の官界についてもやはり活力ある団体でなければそれは存続すべきものではない。やはり、官活というふうな言葉はございませんけれども、活力がある公団にしたいと、かように考えておりまして、鋭意中長期の計画についても検討をいたしまして、それから運輸省大蔵省にも、事あるごとにはいろんなお願いを実は内々にはいたしております。  しかしながら、やはり案のまとまらない段階におきましていろいろとふろしきを広げるというようなことはいかがかということは、これはまあ役人をしていた育ちからいって仕方がないのかもしれませんけれども、そういう点はございます。意欲だけは十分持っておるつもりでございますので、その点は御了承願いたいと思っております。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 意欲を持っていたら、やっぱりどんどんそういうことを提起をしなきゃいけませんね。与野党に皆さん方が、こういうふうにしてもらいたいぐらいの話があってしかるべきですよ。法案を出しました、よろしくということだけでお帰りになりましたけれどもね。それに、中身について、こういうふうなことについては法案審議のときに、こういう点はさらに検討してもらいたいぐらいのことを、与党、野党に話があって私はしかるべきだと思いますよ。そうでないと、どうもきょうやりとりしていると、大変僕は不満だということだけは申し上げておきます。  それじゃその次、これと関係いたします内航海運の最近の輸送実績、それから輸送機関別のシェアについて、ひとつ報告してみてください。
  61. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内航海運の輸送量の推移を申し上げます。  第二次オイルショック後の昭和五十五年度におきまして、国内の貨物輸送量、トンキロベースでございますが、内航が二千二百二十二億トンキロでございました。その後、五十六年、五十七年度と下がりまして、五十七年度が千九百八十一億トンキロ、それから五十八年度、五十九年度はまた上昇に転じまして、五十九年度が二千百一億トンキロ、それから六十年度は二千五十八億トンキロ、六十一年度は千九百八十億トンキロと減少してまいっております。六十二年度に入りましてから、特に昨年度の後半から五兆円の内需振興策の効果が出てまいりまして、鉄鋼とかあるいはセメントなどの荷動きが活発化しておりますので、六十二年度は前年よりもふえるという見込みでございます。  一方、シェアについて申し上げますと、内航それからトラック、鉄道のそれぞれのシェアでございますが、内航海運は五十二年度に五二・三%ということでございまして、これがピークでございました。それが今申し上げたようなことでだんだん低下してまいりまして、六十一年度は四六%に落ち込んでおります。トラックの方は伸びておりまして、五十二年度に三七%でありましたのが、六十年度には内航を上回りまして、六十一年度は全体の五〇%を占めるということに相なっております。
  62. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、今も言われたように、このシェアは、五十二年度五二・三%をピークに内航の輸送分担率がどんどん下がっている、逐年下がっています。六十一年度では、トンキロ全体で四五・五%に落ちています。  この現状を見て、大臣は今後、内航海運をどういうふうに持っていこうというお考えを持たれておりますか。大臣の所見を承ります。
  63. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 前川レポートなどを読みますと、これ何も神様の御託宣じゃありませんけれども、しかし全体の傾向としては、重厚長大から知識集約型の産業に変わろうとしているわけでありまして、今一時的に内需が刺激されて、内航船の主な荷物であります石油とかセメントとか鉄材が非常に出回っておりますが、しかし、やがてはこれ減少していく傾向にあると思います。横ばいから減少していくと思いますけれども、ですから、これに対応して船腹調整して、とにかく過剰な船腹を整理する。それからまた、構造改善をして零細企業の性格から脱するように努力をさせる。また、新しい荷物の需要を育成、喚起してそれに対処していくということで、内航の海運というものを健全に保っていきたいと思っております。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 内航海運の転廃業の実態、それから海運業者の倒産はどのくらいあるというふうに把握していますか。  それから、六十年九月のプラザ合意以降急激な円高が内航業界にどういう影響を与えているのか、これ説明してください。
  65. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内航海運業におきます許可事業者、運送業、いわゆるオペレーターと、それから船舶の貸し渡し業、いわゆるオーナーでございますが、この数の減少数を申し上げます。  五十八年度が六十四事業者、五十九年度が百四十事業者、六十年度が百四十四事業者、六十一年度は百九十二事業者と、毎年度減少してまいっております。  倒産の件数は、帝国データバンク調査によりますと、内航海運事業者で五十八年度が十事業者、五十九年度が九事業者、六十年度が十八事業者、六十一年度は十事業者となっております。  さらに、急激な円高が内航海運にどういう影響を与えているかという御質問でございますが、この急激な円高の進行によりまして我が国の輸出産業は大きな打撃を受けております。そういうことで、鉄鋼業、セメント業などの輸出が減少しております。ということは、これらの産業の生産量が減少しているわけでございますので、その原材料と製品の輸送に当たっております内航海運も、六十一年度には輸送量の減少に見舞われる、あるいは運賃収入も減少するという影響が出ております。  一方、輸入原油の価格が低下しておりますために、内航海運の燃料費も大きく低下しております。そういうことで、経営面では運賃収入の減少を補ったというような事実もございます。また、金利の低下等もございまして、営業外経費が減るというようなことで、数字の上では、六十年度に比べて六十一年度は経常損益の面ではむしろ改善されるという結果となっております。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 これは資料を要求していましたが、届いていませんから、後で資料をください。  次に、内航運賃の決定のあり方について伺いたいんですが、内航運賃の決定の仕組みはどうなっていますか。
  67. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内航海運の運賃につきましては、内航海運業法、それから内航海運組合法、それから海上運送法にそれぞれ規定がございまして、標準運賃制度、それから内航海運組合法によります調整事業の一環として行います調整運賃、それから海上運送法によります内航海運事業者が協定をしました協定運賃という制度がございます。現在のところ、この中で実際に設定されておりますのは、海上運送法に基づく協定運賃だけでございまして、標準運賃あるいは調整運賃は設定されておりません。
  68. 安恒良一

    安恒良一君 内航海運の基準運賃を見ると、逐年低下の傾向にある。どうして適正な運賃が割り込んでいるんでしょうか。最近の内航運賃の動向と、それから今言った基準運賃を割り込んでいる原因はどこにあるんでしょうか。
  69. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま申し上げましたように、標準運賃制度あるいは調整運賃制度がございますけれども、これは現在設定されておりません。と申しますのは、昭和四十年代にはこういう制度を活用しておったわけでございますけれども、その後、内航海運業におきましては、日本内航海運組合総連合会を中心といたしまして船腹調整などの組織的活動が充実してまいっておりまして、一般的に言えば体質の強化が図られてまいっております。運賃につきましても、関係の荷主の業界との間で一つの話し合いの場が確立してまいってきております。こういう内航海運事業者と荷主の業界間の話し合いに基づきまして、個別の船社と荷主との間で運賃決定が行われるということが一般に行われているところでございます。  最近この内航運賃が低下しているではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げたような燃料費がかなり低下をした。全体のコストの中での内航の燃料費のウエートも最近では一〇%を下回るというような結果となっておりますし、また、金利の低下によります営業外経費が減少するということでコストが減少してまいっております。そういうことを背景といたしまして、内航海運業界と荷主業界との話し合いの結果、そういうふうに引き下げが行われるという事実がございます。
  70. 安恒良一

    安恒良一君 どうもわからぬのですが、それじゃ、内航運賃を決めるための内航海運業法第十六条の規定がありますから、その第十六条の規定をちょっと読み上げてみてください。
  71. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内航海運業法第十六条は、標準運賃及び標準料金に関する規定でございまして、第一項で、「運輸大臣は、航路及び貨物を指定して、内航運送業又は内航運送取扱業について標準運賃又は標準料金を設定し、これを告示する。」ということでございます。  この標準運賃制度は、いわゆる認可運賃とは異なっておりまして、一つの標準的な目安を示すということでございまして、さらに第十八条で、この標準運賃が設定されております航路なり貸物に係る運送につきまして、この標準運賃と異なる運賃で取引をした内航海運業者がある場合において、この取引が内航海運業の健全な発達を阻害するおそれがあると認めるときは、運輸大臣はその者に対し、この取引の是正その他必要な措置をとるべきことを勧告することができると、こういう制度となっております。
  72. 安恒良一

    安恒良一君 今あなたの説明を聞くと、現在は標準運賃は設定されていないと、こういうことですがね、法律にきちっと明文規定があるにもかかわらず標準運賃が設定されていないのは、私は非常におかしいと思いますが、その点はどうですか。
  73. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 標準運賃は、過去、昭和四十一年と四十六年に二回設定されまして、五十年の五月まで存続してまいりましたが、現在は設定されておりません。標準運賃は、内航の場合、特徴といたしまして、航路なりあるいは貨物、それから運航の条件というようなものによりまして非常にコストがばらばらでございまして、これにつきまして全体を包括して類型化したような運賃というのが設定しにくいという特徴がございます。したがいまして、この標準運賃も、過去設定された場合につきましては、特定の航路、それから貨物、停泊日数、あるいは船型を前提としまして運賃を算出しておったわけでございまして、複雑多岐な内航海運のすべてのケースについて適用できるものではなかったわけでございます。  そうして四十年代には、一応目安ではありますけれども、この標準運賃が設定されてまいったわけでありますけれども先ほど申し上げましたように、運賃の設定につきまして、内航海運業界関係の荷主業界との間で話し合いの場が確立されまして、個別の船社と荷主との間でも具体的な運賃交渉が比較的スムーズに行われる体制が整いまして、いわばルールが確立したということから、業界の方から、この標準運賃の設定を廃止するという希望が出てまいりまして、廃止をしたという経緯でございます。
  74. 安恒良一

    安恒良一君 そうすると、これは全く、いわば自由運賃で行われているということになるわけですが、私は、非常にその点はおかしいと思うんです。というのは、我が国の運賃制度は、鉄道にせよ、航空にせよ、トラックにせよ、政府の認可運賃になっていますね。しかし、内航だけは違って、法律規定にあるのは「標準運賃」ということになっておる。そうすると、今後四全総その他で、また大臣の所信表明の中でも、物流の方向としては、陸海空を通ずる一貫輸送体系、こういうことを大臣は言われてますね。そうしますと、鉄道貨物やトラック貨物、航空貨物については全部政府の認可運賃なのに、内航運賃のみが自由運賃、こういうことで四全総に言われておるところの総合貨物輸送体系というのが考えられるのですか。私は非常にその面で不合理が出てくると思いますが、総合貨物輸送体系との関係からどのようにお考えか。あとは全部認可運賃、ここだけは自由運賃だ、こういうことになるんですね。それで本当に陸海空を通ずる貨物の一貫輸送体系ができるんでしょうか。  その点、大臣どういうふうに考えますか。
  75. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) それはおっしゃるとおり非常に難しいと思います。そこだけすぽっと抜けて、荷主の裁量で値切られたりするわけでありますから、せっかくの一貫した輸送体系というものがそこで支障を来すことは、私は間違いないと思います。
  76. 安恒良一

    安恒良一君 さらに大臣、この自由運賃で私が問題があると言っているのは、内航業者の九〇%は中小零細企業なんです。ですから、零細でかつ微弱ですから、そういう業界の実態からすると、荷主側のコスト引き下げの圧力がうんとあるわけです。そういうものこそ政府が横から配慮する必要があるんです。配慮しないと、荷主と業者だけに任せておったら、これは買いたたかれちゃうんです、率直に言って。ですから、そういうものこそ政府として配慮が必要でありますから、だからこの内航規定の中にこういう標準運賃制度というものを設けられたんです。  それじゃ聞きますが、もう一切これは用をなしてないということですから、それならば、この際この法律からこれは削除されたらどうですか。十六条というのはもう今の実態に合っていないんだと、こんなものあったって邪魔だと、荷主と業者に決めさせることが今の内航業者の意に沿っているんだというふうに担当局長は言われていますから、そうすると、この法律そのものがもう要らないということですから、政府は、この十六条の削除を国会に提案されたらどうですか。
  77. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 先ほど申し上げましたように、内航運賃の場合、コストが非常に多種多様でございますので類型的な運賃を設定しにくいということから、現在の標準運賃制度あるいは調整運賃制度が導入されまして、いわゆる認可制度を導入しなかったということでございます。  当時、立法論としてはいろいろ議論があったようでございます。そして経過につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、御指摘ございましたように、内航海運自体中小企業が九〇%を超えるという業界でございます。そして、目下のところは比較的荷動きも活発でございますが、長期的に見ればやはり産業構造の転換に伴いまして一応は減少が見込まれるわけでございますので、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、船腹調整を進めていく、あるいは構造改善を推進していく、また内航におきまして、雑貨輸送等の分野にも進出を図っていくというような諸般の施策を講じまして、内航海運全体の地位向上といいますか、というものを図るべく、関係者一同努力しているところでございますけれども、長期的に見れば、今のような問題もございます。状況の推移によっては、やはりこの標準運賃制度あるいは調整運賃制度を設定しなきゃいけないというケースも全くないというふうに今断言するわけにはまいらないと思います。
  78. 安恒良一

    安恒良一君 全くわからないんだよね。十六条があって、私もいわゆる内航運賃の編成については、古くからどういう経過で、審議会でどういう議論があったか、そしてここに至ったかということを、私は私なりに全部勉強しました。その中で今十六条がある。それで十六条について聞いたら、実際はこれは今は全然役立ってないんだと。荷主と業者との間の交渉で決められたいわば全く自由運賃ですね。そうすると、自由運賃にすると何が起こるかということになれば、あなたも言ったように、九〇%以上がいわゆる中小零細ですからね、荷主の思うままに買いたたかれる。一方国は、陸海空を含めた貨物の一貫輸送ということを言っておる。しかもこの内航が占めている貨物の中の比重というのは、今は五〇を割っていますが、それでも四五の比重を持っている。それに、大臣が言うように真ん中だけがぽそっと抜けておってね。トラックと鉄道と航空はちゃんと認可運賃、一応認可運賃制度になっている。ところが肝心のところはぽそっと抜けておって、これが用をなしていない。用をなしてないのなれば、そんならやめたらどうだと、これそのものの条文はもう死んでいるからやめたらどうだと言ったら、あなたの言い分は、いや将来はまた要るかもわからぬと、これじゃ全く説明になっていないと思うんですね。  そこで大臣、じゃ、私の方から提案しましょう。何も私はこの十六条の標準運賃制度がよいと言っているわけじゃないんです。こんなもの、守られていない、死文化しているんです。そこで私は、今後陸海空を通ずる総合物流体系の整備、あるいは輸送機関の相互競争条件の整備のためにも、運賃決定は同じような認可運賃制度にする必要があると思うんです。そういう意味で、ぜひとも内航運賃の決定の仕組みについても再検討をされたらどうか。今の制度は死文化しています。そしてほっておいたら荷主に買いたたかれるだけです。  ですから私は、四全総に言うところの物流の陸海空を通じた一体の輸送体系ということならば、ここもやはりこの認可運賃制度というものについて、そういうことに取り組むのが運輸省じゃないですか。運輸省というのは政策官庁になったというんでしょう。そこに政策局長も来ているわけだからね。きょう来ているかどうかわからぬけれども。だからその意味からいうても、私はやはり貨物の一貫輸送という場合に、そういうことについても私は検討をされるべき段階に来ていると。とにかく今は荷物がかなり活発に動いているから、油も下がっているから何とか内航海運業者は潤っているからいいじゃないかという、そういう場当たり的じゃだめなんです。これは後から関係する法案の審議のときにも関係が出てきますからね。私はこの九〇%もが中小零細の内航海運業者をきちっとしていく、そして輸送の一貫体系をもつという意味からいうと、真ん中だけがぽこっと抜けているというような運賃制度のあり方はおかしい。  そこで認可運賃制度を適用しなきゃならぬと思うんですが、今までその点についての検討、研究なんかしたことはあるんですか、運輸省
  79. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) 内航海運につきまして、今のような制度になっていることは先ほど説明したとおりでございまして、内航海運の特性からして、類型的な運賃を設定しにくい、そういうことで強制力のある運賃が技術的に設定しにくいということから、参入については許可制といたしましたけれども、運賃については今のような仕組みになっているわけでございます。  そういうことで、今日までの運輸省におきます検討の結果では、認可制度が導入しにくいというふうに考えております。
  80. 安恒良一

    安恒良一君 そうするとあれですか。運輸省は従来どおりにここの運賃については、大臣は真ん中だけがぽこっと抜けておったらおかしいと言うけれども、あなたたちは、自由運賃でここはいくと、今のように業者との間の自由な取引によってやると、そんな考えですか。大臣の言っていることとあなたの言っていることはまるっきり違うじゃないか。どうするんですか、これ。今は全く自由運賃になっているでしょう。そして業者に買いたたかれているでしょう。しかもそれのシェアが全体の貨物の中の約四五%のシェアを占めているのですよ。あとのところは全部おたくは認可運賃でおやりになっているのですからね。しかも九〇%が零細業者でしょう。そして荷主に買いたたかれておるわけですよ。  それじゃ、認可運賃がだめならどういうことをしてこれをきちっとしていくんですか。しにくいと、それだけの答弁じゃ困りますよ。どうするんですか、あなたたちは。どういうふうにこれをしていこうとしているのですか。そのことを僕は聞いているんだ。
  81. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 今内航が運んでおります荷物の大きな部分を占める鉄とか石炭とかセメントというのは、主に一貫輸送の対象にならずに、運びきりという性格を持っているようでありますが、しかし、これからまた、例えばこの間も大分に行きましたら、アジアポートなどという構想がありまして、これは実現できるかできないかわかりませんけれども、そうしますと、つまりそこからまた内航船が同じようなセメントや鉄鉱石を運ぶというような事態も起こってくるわけでありまして、また新しいまた荷物も開拓されるでしょうし、やはり一貫輸送というのはもう時代のニーズでありますから、鶏が先になるか卵が先になるかの論になるかもしれませんけれども、やはりそれが予測されるなら今からそういう準備をしなくちゃいかぬと私は思います。  ただ、局長がるる御説明しましたように、内航船の業界というのはいろいろ多岐にわたる要素がありまして、それが運賃を複雑にしておることは否めませんけれども、しかしそれは時代が何らかの形で淘汰していくでしょうし、またいかなくてはなりませんし、やはり時代の主流であります一貫輸送というものの成就のためには、この抜けた部分を何らかの形で補っていく努力をこれから運輸省こそがしなくてはならないと思っております。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 まあ役人というのは、自分のポストのところのことだけしか頭が働かぬからそういう答弁になると思うけれども、やはり私は、この内航海運対策のあり方ということで、その中の一環として四十一年の二月に海運造船合理化審議会等において運賃の認可問題についていろいろ議論されている議事録も僕は読んでいるわけですね。そういう中において、これは後からの法案にも関係しますが、内航海運というもののあり方には非常に問題があるわけですよ。だからこそ私は総合的にそういうものについてやっぱりもう一遍洗い直しをしてみる必要があるじゃないか、こういうことを提起をしているわけですよ。  この法案とは直接今関係ないにしても、まあこの法案とも関係ありますけれども、やはりそういう意味からいっても、四十一年当時とは今世の中の情勢がうんと変わっています。さらに運輸大臣が言われるように二十一世紀に向けてさらに変わろうとしています。そういうときに、貨物のいわゆる陸海空を通じた一貫輸送体系、それと民間運賃のあり方の問題等々についてさらに総合的に検討する、それが運輸省の仕事だし、運輸省だけでだめならば関係審議会に諮問をしてでもお考えくださることがいいのではないだろうかということを私は言っているわけであって、現状がこうなっておるからこれしかしようがないと。これしかしようがないと言うなら世の中進歩ないんですよ。  そして、さらに内航海運業界は、場合によればだんだん行き詰まっていくことになるでしょう。この船舶整備公団法を提起した一つも、余っている船にいわゆる駐車場をつくったりレストランをつくったりするという関係の仕事もこれはさせようということでしょう。この提案説明の冒頭に書いてあるじゃないですか。内航海運業が大変困っているから、それを助ける一助としても必要だと、こう書いてあるわけだ。それでこの法案が出てきたから、私は内航海運のあり方という問題の一つとして、今の運賃制度というものが、ここだけが自由運賃になっている、そして荷主によって買いたたかれている。そのことが内航海運業者に大きな打撃を与えているという意味で、ずっと私は倒産件数なり実態なりをこう聞いてきたわけですから、少し運輸省自体としても、そういうものをこの際総ざらいをする、そういう意欲があっていいと思いますが、どうですか。
  83. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) まさにおっしゃるとおりだと思います。まして、陸上で高速鉄道網構想というのがありまして、在来線がこれに沿って淘汰されていきますと、従来鉄道が運んでいた貨物の運搬というのは海上になる、あるいはトラックになる、特に海上輸送の比重というのはまた逆にふえてくるんじゃないかという想定もできるわけで、それと加えて一貫輸送という時代の要請があるわけでありますから、私たち、大事な問題としてこれをとらえて検討しようと思います。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 以上、いろいろ質問をしました。私はかなり問題を前向きに検討してもらいたいということで提起をしたつもりです。批判は批判としてしましたが、前向きにこういう問題を検討してもらいたいということを言ってきたと思いますから、どうぞ、きょうの委員会だけの問題ではなくして、ひとつきちっと検討してもらいたい。いずれまた検討の結果については改めて聞くことになると思います。  以上で終わります。
  85. 高平公友

    ○高平公友君 ただいま安恒委員が、船舶整備公団の維持についていろいろの提言等もありましたが、私がこれから質問しようとするのは、この船舶整備公団とは直接関係がないわけでありまして、運輸省の航海訓練所、練習船の問題についてお伺いをいたしたいと思います。しかしこれを語るには、少し時間をいただきまして船舶の進歩の歴史といいますか、そのことも少し述べさせていただきたいと思います。  地球の三分の二が海で三分の一が陸地であるということになりますと、当然人間は海洋というものをこれはもう利用せねばならぬし、これは当然ここがいろいろな意味の人間とのつながりの場になるわけであります。最初は人間はいかだだとか、くり舟で海洋を利用したわけであります。史料によりますと、紀元前四〇〇〇年にエジプトの王家の墓を発掘しましたときに、その墓石の彫刻といいますか、それでナイルに浮かぶ舟の壮大さ、そして進歩というものを知ったわけであります。その後、同じエジプトで、これは紀元前一二〇〇年ぐらいですが、ラムセス三世の墓地を開いたときに、彼がクレタ島遠征の勝利を記念した、クレタ島といいますとナイルを下って今度は海洋へ出ねばならぬ、二百マイルか三百マイル下ると思いますけれども、そこで活躍した、その船の模型がこの中から出ました。そしてその進歩に驚いた次第であります。それからフェニキアの商船、これは地中海で活躍しました。それからギリシャの商船はエーゲ海ですね。これは一段かい船、二段、三段のかいをこぐ船でありました。それからローマの軍船、これは三段ガレー船とか五段ガレー船であります。映画でもよくこれを見るわけでありますが。このころは帆が主体であってかいは補助の役割を果たしておりました。  そういうぐあいに進歩いたしましたが、特に十世紀前後に、八世紀から十世紀、ノルマン人の時代が訪れたわけであります。このノルマン人はバイキングと言っておりますが、これはなかなか造船技術にもすぐれておりましたし、それから勇敢でありました。北海、バルチック海、それから大西洋を乗り切ってヨーロッパ各地に遠征をいたしました。カナダの沖合、北部アメリカまでという話もありますけれども、随分と活躍した時代でありました。まあこのときは大変な船の実は進歩があったわけであります。それから帆船の研究も、イギリスのハロルド船とかノルウェーのウイリアム船、十一世紀でありますけれども、これらも全部進歩しました。この間十字軍の遠征などもありました。そして大航海時代に入ったわけであります。  十五世紀の初頭になりますけれども、東方見聞録で有名なマルコポーロ、それからコロンブスですね、アメリカを発見した。それからマゼラン、これはポルトガル人であります。それからまたバスコ・ダ・ガマ、これは喜望岬を発見したわけであります。そのような大きな進歩をいたしまして、特に軍船におきましては、イギリスは十八世紀、一八〇五年にビクトリー号というものをつくりました。そのときの様子を我々聞いておりますが、三本マストで砲百門を装備したというすばらしい艦船で、海上で大いに活躍した時代であります。ネルソンがフランス艦隊を討ち破ったのもこの時期であったわけであります。  一方、日本は一体どうなっておるかといいますと、日本は大きな進歩を見ておりません。奈良時代、六五〇年でありますけれども、遣唐船というもので遣唐使を送り込んだ。これは記録に載っております。そして一四〇〇年、室町時代でありますが、明へ遣明船というものを送っている。五百石から二千五百石積みのものだといいますが、これを十数隻送り込んでおります。下って安土桃山時代、この時代は秀吉の日本丸、それから御朱印船と、こうしたものが瀬戸内、四国、九州で、軍船の割拠の時代でもあったわけであります。その後徳川時代になりまして鎖国主義をとりました。しかし内海の物流のために、弁財船という千石船ですね、それから有名な北前船が国内でその役割を果たしてきたわけであります。  私がなぜこんなことを申し上げるかといいますと、やはり長い壮大な、雄大な船の進歩の歴史の中に、いろいろロマンもあり物語もあるんです。若い人たちのあこがれといいますか、そういうものがこの船舶に常にうかがわれるわけであります。御承知のように、今までいろいろ話がありましたが、我が国はやっぱり四面が海でありまして、船というものは我々から離すわけにはまいりません。飛行機が進歩しましても、内陸で鉄道が進歩しましても、我々は海外から一年に六億トンの資源を、食糧も含め、石炭も含め、鉄鉱石も含めて、こういうものを入れねばならぬという宿命を持っております。これから時代がどういうぐあいに変化いたしましても、飛行機で石炭を運ぶわけにはいかぬでしょう。あるいはまた鉄鉱石を運ぶわけにはいかぬと思います。したがって我々は、社会経済状況が大きく変わりましても、やはりこの船舶によるその備えというのはこれはかちっと守っていくべきではなかろうかと思うわけであります。  私はその意味におきまして、この運輸省の航海訓練所ですか、ここに練習船がありますが、その練習船も、大成丸、これは明治三十七年ですね、それから始まりまして、進徳丸というのもありましたし、初代の日本丸、海王丸ですね。それから今の日本丸、これは就航しておりますね。これらあたりでの訓練は、これは基本でありますだけに揺るがせにはできない、そんなぐあいに思うわけであります。商船大学だとか高専、いろいろありますが、しかし、いずれもこの練習船に乗り組んで、そして基本を身につけなければ、立派な船乗りとして社会で活躍ができないわけであります。  それで、この卒業生というのは、大ざっぱにいいまして今までどのくらいの数になりましょうか。それと、どの地方からどのくらい出ておるのか。まあ長野や山梨、海のないところは、大学へはおいでになるでしょうが商船学校へは希望者が少ないと思うんですが、そんなことがわかったらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  86. 野尻豊

    政府委員(野尻豊君) 先生質問の二点でございますが、まず最初に、練習船によって訓練を受けた訓練生の数でございますけれども、航海訓練所が創立されたのは昭和十八年でありまして、昭和六十二年まで四十五年間に、訓練を受けた訓練生の数は延べ約九万九千人、ざっと十万人といったところでございます。  それからもう一点の御質問は、船員を多く輩出している地域はどこかということでありますが、船員全体の出生地あるいは本籍地を地域別に調べた資料はございませんけれども、外航二団体に所属しております船員につきましては、昭和六十一年四月一日現在での居住地調べによりますと、多いのは長崎県の二千三百六十二人を筆頭にしまして、以下、兵庫県が一千八百三十八人、神奈川県が一千四百人、山口県が一千三百二十六人、鹿児島県が一千二百三十五人、そして石川県が一千四十五人、こういったところでございます。
  87. 高平公友

    ○高平公友君 そこで練習船というのは、やっぱり定年が来ると、五十年ぐらいですか、次々と更新するんでしょう。  私は、帆船議員懇談会というところへ入っておりまして、ただいま就航しておりますところの二代目日本丸ですが、なかなか金が集まらぬというので、皆さんと御相談しまして、我々せめて基金だけでも出そうではないかといって、約六十人ほど入っておりますが、十万円出して、貧者の一燈だけれどもこれでひとつやってくれろと。当時大蔵省はなかなか渋くてね。最近はある程度理解はしてくれるでしょうけれども。そんな経緯がありまして、今の二代目日本丸がどんどんとやっておるということに対して非常に私は喜びを持っておるわけであります。  そこで、初代の日本丸と同じ昭和五年に恐らく進水いたしました海王丸ですね、これは任期が来ると払い下げるわけですよ。今初代の日本丸がこれは横浜でありましたが、自治体に払い下げられておるわけでありますけれども、残っておる海王丸につきまして、各地方自治体から、そういう奨励の意味も含めて、ぜひ我が県に、我が市にという要望が極めて多いと聞いております。一体これは何カ所ぐらい今あるんでしょうか。
  88. 野尻豊

    政府委員(野尻豊君) 関係の各地方自治体に、現在運航しております海王丸が廃船した後の払い下げ希望について打診しましたところ、現在のところ大阪市、それから富山県から払い下げの希望が出ております。
  89. 高平公友

    ○高平公友君 そこで、運輸省でこの払い下げの条件というものを考えておいでになると思います。相当厳しいように聞いておりますが、これについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。  それと一緒に、さきに払い下げた日本丸ですね、これが一体払い下げた目的にかなっておるか。どういう影響を与えておるか。若い人の海洋に対する意欲といいますか、海事思想の普及と言えばいいか、そんなものがどうなっておるか、この二点をお聞かせいただきたい。
  90. 野尻豊

    政府委員(野尻豊君) まず、日本丸の保存につきまして、先生今御指摘がありましたように横浜で保存しておりますが、それについての考え方について、先に御説明申し上げます。  日本丸につきましては、昭和五十九年に用途廃止されました。当時、日本丸につきまして払い下げ希望が十の地方自治体から出されておりました。そこで、どの自治体に払い下げをするのが一番望ましいかということを御審議していただくために、運輸省におきましては、多数の学識経験者を集めまして懇談会を設けた次第であります。その懇談会から、五十八年の八月に一つの報告書をまとめて答申をしていただきました。その中では、「日本丸の保存及び有効利用に関する指針」と、それからその指針に基づいて十の地方自治体についていろいろな角度から検討した結果、横浜市が適当であるというような御意見をいただいたわけであります。  そこで、どういうような指針が出されたかということでありますけれども一つは、「永久保存の体制が引取り後速やかにかつ十分に整備されること。」、二番目は、「海事思想の普及及び青少年の錬成に最も効果的に役立てること。」、三番目に、「管理運営のための組織及び資金が適切に計画されていること。」といった三点につきまして基本的な考え方をまとめ、さらにその三点につきまして細かく指針を作成しております。  それから、これが横浜市に払い下げた後、海事思想の普及にどのように役立っているかという趣旨の御質問でありますけれども昭和六十年度以降横浜市ではこの日本丸を一般の人たちに開放いたしまして海事思想の普及に役立てているわけでありますけれども、これまでの間に、各年度ごとにどのぐらいの人数の方が日本丸に見学に訪れたかということをお話しいたしますと、昭和六十年度で三十八万三千人、それから六十一年度が二十二万三千人、さらに六十二年度は十八万五千人ということでございまして、かなりの人数の方々が日本丸の見学においでになったということがこの数字ではっきりしている、こう思います。
  91. 高平公友

    ○高平公友君 相当の経費がかかるものだと思いますけれども、これは払い下げの経費自体は一億から二億であると思いますが、後、永久保存ということになりますと、係留するのに相当金がかかると思うんですが、これは大体どのぐらい、いろんな環境を整備しますとざっとどのぐらいかかるのか、それをちょっと御説明ください。
  92. 野尻豊

    政府委員(野尻豊君) 経費の問題ですけれども、横浜市では、この日本丸を払い下げを受けまして、まず施設その他の整備をいたしました。と同時に、帆船日本丸記念財団という財団法人を設立いたしまして、この財団におきまして日本丸の保存管理を行っているという現状でございます。日本丸は、先ほど申し上げましたように五十九年の十月に払い下げを受けたわけでありますけれども、船体の整備、改修等を行いまして、六十年の四月二十八日から公開ということでございます。  そこでまず経費でありますけれども、初期投資といたしまして、横浜市の負担としましては、日本丸の払い下げに要する経費それから改修費これを合わせまして六億二千八百万円、それから緑地、護岸、ドックの改修費として五十一億一千三百万円、それから訓練センター二億九千万円、合計六十億三千万円ということになっております。なお、この六十億三千万のうち、六十二年までの支出額は四十四億二百万円でありまして、残りの十五億余りの金額については六十三年度以降整備するということになっているそうであります。なお、このほかにマリタイムミュージアムというミュージアムが五十億円で建設されるというように聞いております。  それから、今は初期投資でありますけれども、供用いたしました後は、維持管理費が必要になってまいります。その経費につきまして財団が支出しているものについて、昭和六十二年度予算で御説明いたしますと、総額が約二億四千万円でありまして、その経費を償う収入は、観覧料収入それから横浜市からの受託収入等で、営業に伴うものが九千八百万円、基金利子等が一億四千二百万円ということになっております。それから見学者は先ほど申し上げましたような人数で推移しておりまして、ざっと今申し上げました初期投資とそれから毎年毎年支払う運営経費と、この二つで経費負担になっているというふうにお考えいただきたいと思います。
  93. 高平公友

    ○高平公友君 よくわかりました。相当な金がかかるということは聞いておりますが、六十億前後かかるということを知ったわけであります。  そこで、私は富山出身でありますから、富山と大阪というと、富山にとはなかなか私の立場からは皆さんの前で言えぬわけでありますけれども、ただ、やはり海事思想の普及ということになりますと、広い日本のことですから、こっちとあっちと、それぞれに配分するのが当然だと思うんですが、それはそれとしまして、これからどういうぐあいに——今のところは二つの自治体でありますけれども、どんな考え方でこの海王丸を処理されようとするのか、そのことだけ承らせていただきたいと思います。
  94. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) さきの日本丸につきましては、例の「練習船日本丸の保存及び有効利用に関する懇談会」に御審議願ったわけですけれども、あくまでもその御論議を遵守して考えていこうと思いますが、今のところそれ以上のことは申せませんし、また、両自治体の申し出の内容を聞きまして、できるだけ早く決定しようと思っております。
  95. 高平公友

    ○高平公友君 ありがとうございました。
  96. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  97. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  98. 中野明

    中野明君 けさほども議論がありましたが、最初に、船舶整備公団財政悪化問題について質問をいたしたいと思います。  六十二年度の補正予算で二億六千八百六十五万円、六十三年度予算でも二億六百八十四万円ですか、が赤字補てんとして補給金が交付をされておるわけですが、公団財政がまさに危機に直面しているわけです。一たび政府補給金に依存するようになると、公団自身経営努力に水を差すことになりかねないかと懸念をいたすものであります。国鉄が一番端的な例ですが、安易に政府補給金に依存していくようなことになっては極めて危険でございます。この点を強く指摘をしておきたいんですが、公団公社といえども、その基本はあくまで独立採算の原則を守っていくことではないか、このように考えておりますが、運輸省公団にそれぞれ所見をお伺いしたい、このように思います。
  99. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  船舶整備公団は、昭和三十四年の創立以来最近まで、自助努力によりまして独立採算に基づく健全経営を続けてまいりました。しかしながら、先ほど来御説明を申し上げておりますように、六十一年度以来事業金利調達金利金利差の縮小などによりまして、公団経営が急速に悪化をしてまいりました。その結果、今先生が御指摘のとおり、六十二年度補正予算で初めて船舶整備公団補給金二億六千九百万円の交付を受けたわけでございまして、これに引き続きまして、六十三年度におきましても二億七百万円の補給金が計上されたところでございます。  このような収支悪化は、金利情勢を中心とする外部的な要因による面が強いものですから、私ども、やむを得ない事情によるものであったと考えますが、運輸省としましては、ただいま中野先生から御指摘がございましたように、公団経営は独立採算の原則によるべきだということに全く同じ意見でございまして、今後は、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、一般管理費の節減をしながら、事業量をできるだけ拡大をしていくということによりまして、収支改善策を講じていくように、公団を的確に指導しながら、可能な限り独立採算を維持していきたい、かように考えております。
  100. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) ただいま運輸政策局長から御答弁いただきましたとおり、私ども公団設立以来約三十年、実は一般会計のお世話にならずに今日まで過ごしてきたわけでございますが、ここ両三年ほどに収支は急速に悪化いたしました。これは先ほど来御説明いたしましたとおり、一つには金利差の縮小ということもございますが、一番大きな原因は、ごく最近まで、非常に我が国が高金利の時代で、八%を超えるというような金利でプライムレートが設定されていたわけでございます。それがここ二年ほどの間急速に金利が低下いたしまして、そういった金利低下に伴って、過去の公団建造いたしました高金利船についての早期償還の要求が非常に多かったわけでございます。  この早期償還というものが公団財政にどのような影響を与えますかと申しますと、八%を超えるような金利で十数年という長期のお金を実質上お貸ししているわけでございますが、これが返ってまいりますと、この金をもとの債権者にお返しするわけで、これはやっぱり私どもも十年ぐらいの契約でお金を借りているわけでございますから、結局私どもはその金利八%のコストのかかったお金を現在の事業運用金利である五・五%というような金で運用しなければならない。こういったようなことで、この早期償還問題というものが急速に公団収支の足を引っ張ったというのが偽らざるところでございます。  私どもといたしましては、当然のことながら自立運営ということを目標といたしておりますので、できるだけ経費の節減を図るとともに、早期償還問題とかそういったようなものについてもいろいろな策を考えつつ、ぜひ一日も早く収支改善、財務体質の改善、こういったものを図ってまいりたいと、かように考えております。
  101. 中野明

    中野明君 今説明がありましたが、私は、公団財政悪化をもたらしている要因一つには、未収金が増大しているという問題が見逃せないと思います。そこで、六十一年度末と六十二年度末の未収金の残高を教えてもらいたい。
  102. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  船舶整備公団船舶使用料に係る未収金でございますが、これは、近海船業界の急激な円高の進行と船腹過剰による深刻な不況等によりまして、六十一年度末で約六十億円、六十二年度末で約九十億円になっております。
  103. 中野明

    中野明君 この貸借対照表を見ますと、決算額で六十四億四千四百万、六十二年度末は八十四億ということになっているが、それは違うんですかね。どうでしょう。
  104. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  ただいま申し上げました金額は、公団全体の未収金でございますが、ただいま中野先生指摘の数字は、近海船に係る分でございます。したがいまして、近海船についての御質問でございますので、私の答弁は六十三億七千二百万円と訂正をさしていただきます。
  105. 中野明

    中野明君 貸借対照表を見せてもらいますと、六十一年度末決算額で未収金が六十四億何がしですね。それから六十二年度末は八十四億何がしと、こういうことになっていますが、この数字は違うんですか。もう一遍。
  106. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 六十二年度決算見込み額の八十四億というのは、私どもの未収金の現在の全額でございます。六十三年度予定額というところにおきましては、これはいわゆるリスケジュールと申しますか、特約によりまして支払いを延ばすというような、一定の特約を結んだものを引いております。したがいまして、六十三年度の六十七億というのは、主として近海船に係る未収金の全額、かように考えていただいていいと思います。
  107. 中野明

    中野明君 六十一年度末の未収金と六十二年度末の未収金の残高を教えてもらいたいんです。
  108. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 六十一年度の未収金残額は六十四億四千五百万でございます。それから六十二年度の未収金残は八十四億でございます。それで、この六十一年度から六十二年度にかけまして、二十億未収金がふえている。この分は主として近海船に係る未収金の増でございます。
  109. 中野明

    中野明君 そうすると、先ほど局長が言われたのは数字が違うわけですね。今の答えでいいわけでしょう。
  110. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) はい、結構でございます。
  111. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 訂正させていただきます。ベースの違う数字を申し上げて大変申しわけございません。  六十一年度決算における未収金は六十四億円、六十二年度決算見込みにおける未収金は八十四億円です。
  112. 中野明

    中野明君 この未収金の内容ですが、今ちょっと触れておられたんですが、二十億も膨れ上がったということですし、この未収金の要因についてもう少しわかるように説明してくれますか。
  113. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 未収金の主たる内容は、先ほど申しましたように近海船に係る未収金でございます。  近海船につきましては、これは急速な円高によりまして船主の収入が非常に減っております。それで実は船舶収入だけでは、これは大体オペレーターとドル契約で用船料を結んでおりますので、例えば月十万ドルといったら、かつてこの船をつくった時代は、月十万ドルというのは二千七百万ぐらいに相当していたわけです。それが現在では、月十万ドルというのは千三百万ぐらいにしか相当しないわけです。そういたしますと、近海船業者の財政の中からでは、船員費を払い、油代を払い、運転資金を払いますと、もうそれだけで公団に返ってくる金は全くないと、こういったような状況がここ一、二年続いているわけでございます。  かような状況でございますので、私どもも、できるだけいわゆる約定の元本の返済は要求いたしておりますけれども、実際には、毎月二億程度の未収金が現在発生しているということでございます。
  114. 中野明

    中野明君 それで、この未収金の中には、今おっしゃったような払おうと思っても払えないのもあるかもしれませんけれども、払えるのに払わぬというんですか、俗に言うたちの悪いのも入っているんじゃないですかね。その辺どうでしょう。
  115. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 私どももこれは個別に精査いたしておりまして、例えば船で払えなくても、企業全体としては余裕があるというようなところが払わないというようなことは、やはり信義誠実の原則に反するのではないか。かような観点で、払えるところはもうできるだけ払ってもらうというようなことを鋭意やっております。それからまた一方では、最近近海船市況がかなりよくなっておりますので、オペレーターの方に対しては、もっと用船料を上げてやれというようなことも鋭意各社ごとに督促いたしております。  さような努力を積み重ねながら、何とかこの近海船の未収金の回収については最善の努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  116. 中野明

    中野明君 それで、先ほど触れられたわけですけれども、六十三年度の未収金の見込みが約十八億円ほど減るようになっているわけです。ところが対象が零細企業だけに、無理をすると事業者の経営を圧迫するという心配も片方であります。だから、公団財政の健全化と海運業者経営という問題を、バランスをとっていかなければならないという苦しい立場もあると思うんですが、理事長として、このバランスの面はどう考えておられますか。
  117. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 私どもといたしましても、これはやはり政府政策的な一つの方針に従ってつくってまいった船でございますから、そういった船が事業を継続していくということの重要性ということをも十分考えなければならないと考えております。しかしながら、片一方では財政資金という非常に貴重なお金を預かって運用しているわけでございますから、こういった債権の確保ということも誠心誠意努めていかなければならない。この辺の兼ね合いと申しますか、その辺は大変苦慮しているところでございますけれども、私どもは、両方をにらみ合わせながら最大限の努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  118. 中野明

    中野明君 当初から余り無理な予算を立てているような気がするんですがね、この十八億も減るということはね。六十三年度見込み額。ですからこれをやりますと、予算に無理があると、六十三年度の補正予算でまた補給金を上積みしてもらわなきゃいかぬ。そのような事態にならないかということを私は心配するわけなんですが、その点は理事長どうですか。
  119. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) ちょっとあれなんでございますが、未収金の問題は、実は経常収支損益の問題とは一応——未収金という形で債権としてありますので、これは直ちに損にはつながらないわけでございます。したがいまして、私先ほど申し上げましたように、損益に関係している部分は主として早期売船の問題。それで未収金の問題は、これは確かに資金繰りの問題には関係ございますけれども、当面、当該業者が倒産するまでは、ちょっと語弊がございますけれども、倒産して、公団がその債権を償却するという段階になって初めて損金として立つ。それで、補給金につきましては、これは大体損益の問題を補給金としてお願いしていると、かような形でございますので、直ちにこの未収金について、未収金の回収見込み額を多くすることによって、それが補給金にはね返ってくると、このような関連性はないのでございます。  ただ、先ほどちょっと申しましたように、ここで十八億も未収金が減ったという分は、無理して取り立てるということではなくて、先ほど申しましたように、特約を結んで支払い猶予をするというようなことをいたしますと、その債権の償還期限が来年以降に延びますから、したがって六十三年では未収金として立たないと、この分を減らしたということでございます。
  120. 中野明

    中野明君 それでは次の問題に移ります。  行政改革の問題ですけれども、行革ではやかましく言われていろいろ政府の方も努力をしているんですが、まず公団において、組織とか定員の見直し、このような問題をどういうふうに図ってこられたか。その辺をお伺いします。
  121. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 公団の定員につきましては、昭和四十一年でございますか、一番数が多かった時分は百三名、百名を超えていたと思います。それ以後、業務は増加しているにもかかわらず逐次定員削減を行っておりまして、現在八十ちょっとと、約二十名の減員をいたしております。  業務が増加したということを端的に申し上げますと、例えば六十一年では、私ども共有建造をいたしております建造船舶は、実に百三十隻に達しております。それから六十二年度は多分百五十隻ぐらいだろうと思います。一口に百三十隻、百五十隻と申しますけれども、これは三日に一遍船が竣工していることになるわけです。これを全部共有という形で建造いたしますので、いろんな手続とか検査とか、これはもう全部公団がやっているわけです。  例えば、卑近な例を申し上げて恐縮なんでございますが、登記に私の住民登録が要りますので、一隻の船について三枚の住民登録をとらなければなりませんから、年間四、五百枚の住民登録票を私の区役所から持っていくというようなことで、それで現在抱えている船が千隻ほどございまして、この千隻の船についてどこかで事故があれば、例えば近海船が出ますとマニラで事故があってもうちの技術の者が飛んで行かなくちゃならない、こういうようなことで、業務は非常に多端でございます。正直に申し上げて非常に多端でございます。しかしながら、何分にも財政事情が苦しい状態でございますので、私どもとしては、少数精鋭主義をもって、何と申しますか、例えばオートメ化をできるだけ図るとか、あるいはいろんな手続の簡素化について工夫を凝らすとか、こういったようなことによって何とか対処をしているというのが実態でございます。  一方、かような日常業務の煩雑を鋭意こなすとともに、片方では業務の効率化のためのソフト面の改正、あるいは今後の公団の歩み方というようなものについてどうやっていくかというようなことも日常的に逐次検討し、あるいは政府に御要望申し上げる、こういった業務も必要でございますので、企画室というようなものを設けてそれに当たらせる、こういったようなことをやっております。しかしながら、基本的には一般経費の節減ということを常に念頭に置きながら、繁忙な業務に耐えているというのが偽らざるところでございます。
  122. 中野明

    中野明君 今回の改正で、役員の任期も短縮をされているように思いますが、今まで百何人かおられたときと役員の数は変わっていないのかどうか。  それから、任期を短縮されたんですけれども理事長はそのまま四年、ほかの役員は二年と、そうなっているんですが、その辺の理由ですね。これ、運輸省に意見をちょっと聞きたいんです。
  123. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 役員の任期の短縮につきましては、政府の行政改革の方針に従いまして、公社公団につきましては一律にその長は四年、それから理事、幹事は二年という方針がありますので、その方針に準拠いたしまして、このたび改正をした次第でございます。
  124. 中野明

    中野明君 役員の数はどうでしょうか、公団の。
  125. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 先ほど申しましたように、四十一年の段階で役員の数は現在の数と同じでございます。それから一人、常勤の幹事が非常勤になった、この分だけは減っているわけでございますが、しかしながら先ほど来申し上げておりますように、業務一つも減っていないわけでございます。むしろ職員の数が減っただけ役員の負担は重くなっているというのが現状でございます。
  126. 中野明

    中野明君 本来ならば、役員の方から減らして職員はなるたけ置いておく方がいいんじゃないかと、こういうふうに考えます。いろいろ理由があるんでしょうけれども役員の方も、これはもうちょっと考えられた方がいいんじゃないかなと、こういう気がいたします。  それで次の問題ですが、臨調の最終答申では、特殊法人の問題について、特殊法人等は中期的な事業計画を策定して、計画の終了時点ごとに機構とか定員等を含めて全般的な見直しを行うと、このように指摘をされております。  また、昨年の十二月の総務庁の特殊法人に関する調査結果では、公団が中期計画を策定していないとのことなんですが、どうしてこれ策定されなかったのか、その辺説明してください。
  127. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 定員削減の問題でございますが、機構の効率化につきまして、先ほど来るる申し上げましたように、政府の方針に従って今後できるだけ、可能な限りは少数精鋭でまいりたいと考えております。  それから中期計画についてでございますけれども、これは、私どもは実質上政府系の金融機関であるという面が業務上多分にあります。金融機関というのはある意味では受け身と申しますか、建造の申し込みがあったに従って貸し出しと申しますか共有建造をやっていくと、こういったようなことでございますので、しかも船をつくるということについては、例えば現在のように低金利で船価も安い、こういう時点では申し込みは殺到しているわけでございます。ここ数年前のように金利も高い、船価も高いというときには申し込みが余りない、こういったようなこともございまして、これを、私どもが計画をつくっているからその計画に従って無理やりつくらせる、あるいはその計画に従って無理やりことしはこれだけしか予算がないよと、こういうやり方は、必ずしも計画というものにはなじまないのではないかという点はあるのでございます。  しかしながら、政府の御方針として中期計画というものをつくってやっていくということでございますので、私どもは、現在公団で最も重要な計画というのは実は収支改善でございます、正直申し上げまして。それで、むしろ中期計画というよりは収支改善計画というようなものに重点を置いて、運輸省の御指導を仰ぎながら中期計画の策定に進んでまいりたいと、かように考えております。
  128. 中野明

    中野明君 そうすると、臨調もそれから去年の末の総務庁も、中期的な事業計画を策定しろということになっているんですが、それを今まで、今答弁されておるような理由で策定しておられなかったようなんですが、今後はこれどうするんですか。臨調の方でもそう言っているわけなんですから。
  129. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 私どもも、政府の御方針がそういうことでございますので、早急に検討いたしまして計画を策定したいと、かように考えております。
  130. 中野明

    中野明君 運輸省もそれでよろしいんですか。今まで策定していなかったのにはそれなりの理由があったと思うんですけれども、策定して出してもらうようにする方針なんですか。
  131. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 運輸省といたしましては、総務庁の勧告に基づきまして、ことしの一月に公団に対して所要の改善措置を講ずるよう指示をしておりまして、今後とも公団に対して適切な指導を行いまして速やかに中期計画を策定させていきたいと思っております。  また、最近の公団収支状況にかんがみまして、一般管理費の縮減、未収金の回収強化等の収支改善策についても、中期計画の中に盛り込ませるように指導してまいるつもりでございます。
  132. 中野明

    中野明君 それからもう一点は、この総務庁の行政監察の結果報告にも出ているわけなんですが、公団における年度の事業計画と事業報告というのが出ているわけなんですけれども、これが要するに予算と決算のような関係になっているんじゃないかと、こう私は見たわけなんですが、全然年度の事業計画と事業報告とが一致しないわけですね。貸付金の利息収入がなかったり、あるいは保証料の収入が欠落しておったりというような、事業計画と事業報告というのは普通は予算と決算みたいな関係で関連してなきゃならぬのに、これが一目瞭然にならぬというふうに指摘をされているんですが、これは何か理由があるんですか。
  133. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) これは私ども大変申しわけなかったと思うんですけれども、貸付金の利息、私ども貸し付けで扱っている金額非常に少額でございまして、それから保証業務で取っております保証料、これも大変少額な金額でございましたので、私どもは実は報告の場合にその金額を省略をいたしたわけでございますが、御指摘を受けましたので、今後はこれを記載するようにいたしたい、かように考えております。
  134. 中野明

    中野明君 そうすると、年度事業計画と事業報告というものは、外部の人が見ても一致できるように手直しをする、そういうことですね。
  135. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) はい。
  136. 中野明

    中野明君 運輸省は、これをどう見ておられたんですか、今まで。
  137. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) ただいま御指摘ございましたように、事業報告書と年度事業計画の二つの整合性がないという点につきましては、適当でないと考えますので、公団にそのように修正をしてもらうように指導しているところでございます。
  138. 中野明

    中野明君 これ今までずっとこのままで、総務庁の監察がなかったらそのままになっておったというふうに思うんですけれども、その点運輸省の方としては、気づいておって言わなかったのか、それとも、現状のままでいいと思っておられたのか。その辺をちょっと聞きたかったんです。
  139. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) その点につきましては、運輸省の監督が不十分であったと思っております。
  140. 中野明

    中野明君 船舶整備公団、これは行革審のときにも問題になった公団一つなんですけれども、そうすると、やっぱりそれだけに力を入れて監督もし指導もし、そして改善も加えていかなきゃならぬということですから、ぜひその点は、公団法の法律改正が出たから私たちも勉強してわかったわけですけれども、監督の責任にある運輸省の方で、きちっとこれをやってもらわないと心配だなという感じがするわけです。その点はぜひお願いをしたいなと、このように思います。  それからもう一点は、民間のシンクタンクであります財団法人の国民経済研究協会ですか、それが公団公社の民営化の問題を提起しているわけなんですが、せっかくの機会ですから、船舶整備公団は民営化になじむ組織なのか、それとも民営化にするとしたら問題がどこら辺にあるのか。その辺、参考までに運輸省の意見をお聞かせ願いたいと思うんです。
  141. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 船舶整備公団は、中小零細な事業者が多い国内旅客船業界、それから内航貨物船業界等の近代化を図るために、船舶代替建造等に要する資金を長期低利で融通をしておりますが、その方式が、共有方式という独特の方式を活用することによりまして、担保を徴収をしないで済ませる。また、公団技術陣がおりまして、船舶の設計ですとか造船所におきます工程管理等に関する技術的な支援を行うことによりまして、資金力、技術力が乏しい中小零細事業者が安全かつ経済的な船舶建造を行うことができるような支援をしているわけでございます。この点は先生が御高承のとおりでございます。国内物流の基幹となっております内航海運や生活航路を中心とする旅客船事業につきまして、その公共性にかんがみまして、船舶建造に際しこのような総合的な支援措置を今後とも講じていくことが私どもは必要だと考えております。そのためには、現在の公団方式を維持することによりまして、法的な助成措置を維持していくことが不可欠であると考えております。  それで、ただいま御質問の、民営化をした場合の問題点としましては、まず、担保力、信用力が乏しい中小零細な船主に対しまして、現在のような優遇措置を講ずることができるかどうか、かなり難しいというふうに考えておりまして、その結果、中小零細船主は船舶建造資金の確保に困難を生じるという問題が起こりましょうし、また、船舶整備公団が老朽船の代替建造を推進をしておりますが、老朽船がいつまでも残ってしまうというような問題が起こるのではないか、かように考えております。
  142. 中野明

    中野明君 それでは最後にお尋ねをしておきますが、青函トンネルはできましたし、本四架橋も開通になったわけなんですが、この二つのビッグプロジェクトによって輸送のあり方も大きく影響を受けるんじゃないか、このように心配をしておるわけですが、鉄道と自動車と航空、それに内航海運間の競争が一段と激しくなることが予想されるわけです。こうした状況を踏まえて、内航海運の競争力の維持、活性化に向けて公団も積極的な努力をする必要があるわけですが、内航海運の活性化について、大臣、御意見がありましたらお願いいたします。
  143. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 先ほども申し上げましたけれども、内航海運の将来は決して甘い見通しではないと思います。今一時的な好況期にはございますけれども、大半の荷物であります鉄鋼、セメント、石油などはもう長期的には横ばいから減少の傾向にございますので、やはりこれを見越していろいろ対策をしなくちゃならぬと思っております。  船腹調整を進めることでの過剰船舶の整理、あるいは構造改善をしまして中小企業性を脱却させる、あるいは内航においても成長可能の雑貨輸送分野の育成等によって新規の分野を開拓しようと思っておりますが、その他いろいろ知恵を尽くしまして、物流にとっても欠かすことのできない手段でございますから、何とかこれを健全に維持するように努力しようと思っております。
  144. 中野明

    中野明君 では公団、せっかく改正法が出ているわけですから、遊覧専用船ですね、これが追加されたわけなんですが、六十三年の建造計画というのはどれぐらいあるんですか。  それから、特定係留船の活用事業で六十三年度には横浜と浦安で計画があるということを聞いているんですが、この事業の採算性はどう考えておられるか。この二点。
  145. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) まず、お尋ねの遊覧専用船の建造の問題でございますが、この法律改正が行われました後速やかにどのようなニーズがあるかを把握いたしまして、共有の条件等に関する詰めを行いました上でできるだけ早期に実施したいと考えておりますが、具体的には六十三年度の財政投融資の要求に盛り込むということになると思います。  それから係留船の計画でございますが、まず、横浜におきます駐車場船事業につきましては、六十四年に開催される横浜博覧会における駐車場需要の増大、及び横浜市における慢性的な駐車場不足に対応して、既存の船舶を駐車場船に改造して活用しようとする事業でございまして、事業費十九億円を見込んでおります。一方、浦安において計画されておりますマリーナクラブハウス等の整備事業は、東京ディズニーランドのすぐ近くに所在する浦安市の舞浜地区に建設が予定されております民間マリーナに隣接をいたしまして、国内フェリーを改造した係留船を活用してマリーナのクラブハウスレストラン、ショッピングアーケードなどの複合的用途に使用する事業でございまして、事業費十二億円を見込んでおります。  これらの二つの事業につきましては、現在地元で事業主体や対象船舶等の具体的な内容について計画が練られているところでございまして、その上で船舶整備公団事業申請があった段階で採算性について十分に審査をすることにいたしております。昨年、予算要求の段階で、一定の前提を置きまして試算したところによりますと、この二つの事業とも十分その成算があるというふうに想定をいたしております。
  146. 中野明

    中野明君 ただ心配なのは、採算性が十分可能な問題であるならば民間金融でも十分対応は図れるということになるわけですね。公団の目的は、公団法第一条に、資金調達が困難な事業者等に協力する、このようになっているわけなんですが、この特定係留船の活用事業を行おうとする事業者はかなり力があるところで、採算も可能ということであれば、民間金融の導入で十分やれるんじゃないかという、一方でそういう心配もするわけです。だから、公団民間金融を圧迫するというようなことになっては、これ設立の趣旨にも外れるんじゃないかというような気がするんですが、その辺はどうお考えなんですか。
  147. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) ただいま中野先生が御指摘になりましたような問題点は確かにあると思いますが、私どもとしましては、この余剰船舶等の係留船への改造業務をできるだけ推進をしたいと考えておりますので、このプロジェクトのすべてに船舶整備公団が支援をする必要はないと思いますが、船舶の改造に相当多額の費用を要するような場合、また採算性が中期的には合っても短期的には合わないというような場合に、なかなか改造船舶の係留船事業が実現が困難ではないかと考えておりますし、また、海運事業者だけではなくて、地方公共団体等、あるいは造船事業者、あるいは開発事業者等とジョイントベンチャーで新法人を設立してこのような係留船事業を行う場合も多いと思うのでございますが、そのような場合にも、新しい法人をつくってこのような事業を行います場合に、担保がないというようなことでなかなか資金調達ができないという事例も聞いております。  したがいまして、全部について船舶整備公団が支援をする必要はないと思いますけれども、今申し上げましたような例におきまして、船舶整備公団が支援をすることによって係留船事業が進展をするんではないかと、かように考えております。
  148. 中野明

    中野明君 最後に大臣にお尋ねしますが、この行革、臨調も言うた、総務庁も言うたということで、それがなかなか実行をされないというね、けさほどから同僚の委員も質問しておりましたように、何か現状維持をしてぬるま湯につかっておったらそれでいいんだというような感じがどうしてもします。ですから、今後の問題として、運輸省が監督の省であるわけですから、言われたことはちゃんと守り、それ以上に経営を健全にしていくための努力というものをぜひこれは督励をしてもらわなきゃならぬと思いますので、その辺を含めて大臣から御答弁をいただいて終わりにします。
  149. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) この公団は、三十四年に創立されてから六十二年度までに、既に二千四百隻という近代化船を提供してきたわけでございまして、そういう意味では立派な実績を示しておると思います。こういう新しい変革期に、おっしゃるとおり一方では行革の問題もございますが、決してむだな存在にならないように、これから、内航を含めた日本の水面を使った事業というものが違う活路を開くような方向のために、公団が十分役立つような指導、督励をしていこうと思います。
  150. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、この法律関係して何点か伺いたいと思います。  係留船に改造する船、これは日本海運業者の持っている船なら、漁船を除いてどんな船舶でもよいと伺っておりますが、そうであると外国船の場合はどうなるのか。便宜置籍船も対象になるのか。いかがでございますか。
  151. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 対象船舶には、便宜置籍船を含めまして外国船は入っておりません。対象にいたしておりません。
  152. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 実質的に日本企業が一定の期間便宜置籍船を借りている、用船として使っている。長期に、一年以上というような場合には入るのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
  153. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 日本企業が長期に使用しております便宜置籍船につきましては、例外的に入れる場合があるということにいたしております。
  154. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、余剰船舶を取得するという場合、だれでも、例えば不動産屋さんが、ひとつ仕事をしたいというので不動産屋さんが取得することができるのか。また、子会社が取得する場合も自由なのか。だれでも余剰船舶を取得するということは自由なのかということ。  それから、それを買い受けた場合に、これを転売するということができるのか。転売は制限されているのかという問題。いかがですか。
  155. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 今のお尋ねは、船舶整備公団共有で係留船事業を行おうとする人が、船舶を第三者から購入しようとする場合に、だれがやるかということについて制限があるかというお尋ねが一つだと思いますが、その点につきましては、私どもは制限を設ける必要はないと考えております。  それから、そのような余剰船舶等を購入をした人が改めてその船を転売できるかどうかということでございますが、これは、余剰船舶等を購入した人が船舶整備公団共有でその船に改造を加えた後の場合についてのお尋ねだと思いますが、その場合には、この船につきましては、既に船舶整備公団とその余剰船舶を購入した者との共有になっておりますから、当然、当事者間の了解がなければ転売はできないということでございます。
  156. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ところで、この法律の目的としては、船舶整備公団と余剰船舶の深刻さということが訴えられているわけです。同時に、代替に役立つということをまた考えていかなきゃならないということが言われています。しかし、今お答えいただきましたように、日本籍船ではなくて便宜置籍船まで改造の対象になるということでございます。そうすると、これでは何のための余剰船舶対策と言えるだろうかというふうな疑問を持たざるを得ない。  それからまた、取得するというのも、これは不動産会社も含めてだれでも取得するということができる。そうしますと、海運・造船対策というものの話ではない。船舶整備公団が不動産業者と船の改造対策を考えてやるという、目的とはちょっと違う、まことに奇妙な状況になるのではないかという点をどう考えられるのか。  また、そればかりではなくて、大手海運業者からその子会社に船を譲る、子会社が余剰船舶として親の大手から取得するということができる。その取得するときには公団から融資を受けているわけですね、それを譲り受けるという仕組みになっている。  こういうふうに考えますと、本来の船舶公団が行ってきた、行わねばならないという内航海運業対象にした事業とは質が異なるのではないか。こういう質の異なる事業をつけ加えたということが、私は今度の法改正について同意できないという問題になると言わざるを得ないわけなんです。  さらに、先ほどから御議論ございました、この公団の財政も大変苦しいというその中で、予算枠がこれらの事業に持っていかれる。それで本来の中小内航海運業者船舶建造に影響を与える。影響がちょっと心配だというようなお答えがさっきありましたけれども、本来の内航海運業者船舶建造に影響を与えるということになると、ちょっとこれは大変な問題だと言わざるを得ないのですが、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。
  157. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) お答え申し上げます。  まず第一点、船舶でございますが、私どもあくまでも日本船を中心考えておりますので、外国船に重点があるわけではございませんから、日本船の余剰船対策になると考えております。  それから、この余剰船腹等を購入して係留船事業を行う者が、海運事業者あるいは造船事業者、海運事業者あるいは海運関係者でない場合があるのではないかという御指摘でございますが、私ども考え方は、余剰船舶等を、できるだけ運送をする船でない機能を持つものに変えることによりまして、運送に従事する船舶、余剰船舶等を減らしていこうということでございます。この余剰船舶の中には本当に余っているものと、それから必ずしも余っていないけれども、非常に老朽船であるものという二種類がございますが、いずれにいたしましても、余剰船がなくなるということは海運対策になるわけでございますし、それから老朽船というのは、船舶の安全の観点からも問題があるわけでございますから、そういうものが減っていくということが意義があるのではないか、かように考えるわけでございます。それが適正に使用されるということであれば、これはそういった面から海運対策になる、あるいは造船需要の創出になる、このように考えているわけでございます。  六十三年度予算におきまして、この係留船事業につきましては、財政投融資でございますが、予算が確保されておりますので、その予算を使ってこの係留船事業を行うことにしておりますので、この事業を行うことによりましてほかの事業に何ら悪い影響はない。  先ほど来御説明をいたしておりますように、公団事業を適正な形で拡大することによりまして、公団経営改善にも資する、かように考えている次第でございます。
  158. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ大丈夫だというふうに考えていらっしゃるんですね。  この係留船というものなんですけれども、これは宿泊、飲食店というようなものだけではなくて、どんな事業でもできる、別に制限はないというふうに考えてよろしいでしょうか。
  159. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 御指摘のとおり、どのような事業に係留船を使うかということにつきましては、制限を設けておりません。
  160. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 制限がないということになりますとね、これからどんどん係留船がどこかに置かれるんでしょうけれども、私が今心配するのは、場所によって、さっきもちょっとおっしゃった浦安なんかもそうなんだけれども、飲食店、レストラン、何でもできるわけ。そうすると、その地元の関係業者への影響というものはどういうふうに考えていらっしゃるのか。  この間うち、私はJR商法でいろいろ伺ってきたけれども、これも人込みの中、たくさん人口が集まるところに係留船を置く。そしていろいろの仕事が何でもできるというと、その地元の関係業者への影響がちょっと心配だ。しかも、これは一〇〇%政府出資の船舶整備公団ですよね。そうすると、船舶整備公団という一〇〇%政府出資の会社が地元の商店街などを圧迫するということになりかねない。こういう問題に対して、具体的に対応、規制措置、どういうふうな問題を考えていらっしゃるのでしょうか。
  161. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 先ほど来、必ずしもこの係留船の用途につきましては法律上限定がない、まあ適正な事業であればこれを限定する必要がないと考えておりますが、実際問題としまして、この係留船の活用事業が公有水面を使うということになる場合が多いと思いますので、そのようなことにかんがみまして、まず地域の振興に資する事業であること、あるいは地域における雇用の安定に資する事業であること、あるいはウオーターフロントにおけるレクリエーション事業に対応する事業であること、このようなものが予想されるわけであります。  また、今申し上げましたような事業に準ずる事業であって、地元の地方公共団体や関係事業者が推進しようとするもの、なるべくこのようなものに係留船が使われるように、船舶整備公団を指導してまいりたいと考えておりまして、実際問題といたしまして、地元の特定係留船の活用事業が実際に円滑に運営されるためには、地元業者を含めまして十分地元社会に受け入れられることが必要だというふうに考えております。  この点を踏まえまして、この事業の実施に際しましては、地元業者などを含めて、十分地元の関係の方々と相談をするように、船舶整備公団を通じてこの事業を実際に行う事業者に対して指導をしてまいりたいと考えております。
  162. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 具体的にどうするというのではないけれども、十分話し合いをして納得してもらえるように、船舶公団に責任を持って指導するというわけですね。
  163. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 船舶整備公団を十分に指導していきたいと考えております。
  164. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ、具体的な問題として伺っていきたいんですけれども、浦安市にマリーナができますね。その一連の関係の問題を簡潔に御説明いただけますか。どういう構想でどういうふうに考えているというような問題。
  165. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) まず、浦安のマリーナクラブハウスの整備事業でございますが、これは東京ディズニーランドのすぐ近くにあります浦安市の舞浜地区に建設が予定されております民間マリーナに隣接をいたしまして、大型フェリーを改造した係留船を係留いたしまして、マリーナのクラブハウス、レストラン、ショッピングアーケードなどの複合的用途に使用するという事業でございまして、船舶整備公団の六十三年度事業計画におきまして、事業費十二億円を見込んでおります。また、この係留船には、現在東京港と浦安市の間で就航が計画されております海上バスのターミナルも併設される予定になっております。  事業主体、改造を行う船舶等、事業の具体的な内容につきましては、マリーナ建設計画が確定し次第浦安市や関係事業者の間で調整が行われることになっております。
  166. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今概括的におっしゃったわけですけれども、このマリーナの計画を二つに分けることができると思うんですよね。それは、建設省の責任でNTTの売却益でもって事業を行う。マリーナ事業ということでそこのところにヨットやそれから船の係留地をつくる。そのために建設省で堤防をずっとつくられますよね、舞浜地区に。これが浦安市と第一不動産といった大手の不動産会社が入って第三セクターをつくって建設をされるというのが一つ事業ですよね。それに係る費用というのは、モーターボートやヨットのそのマリーナを利用する利用料でこの建設費を支払っていこうという、こういう計画になっていますよね。これは大きなマリーナという係留地をつくるという一つ事業。  その事業の中に、具体的に今度の船舶公団法の事業として対象になっております大型フェリーというのを改造してこのマリーナの中に係留するということになりますわけでしょう、係留船として。そして、その係留しようとするこのマリーナの中の事業というのは、日立造船が中心となって民間セクターが係留船を置くわけですね。そしてその係留船、フェリーを改造して係留船にするんだけれども、その一つの係留船という大型フェリーの中身を調べてみると、一つはヨット、モーターボートでマリーナを利用する人の専用クラブハウスね。専用クラブハウスとしてその大型船の中にできるというのが一つですね。調べてみたら、シャワーができる、ミーティングルーム、ロビーなどがあるというのが一つその大型船の中にできるわけです。二番目には、一般客用に、いわゆるレストラン、ショッピングセンターというのがその中にできますね。そして三番目に、東京ディズニーランドのお客さんを運ぶ海上バスね、さっきおっしゃった。この海上バスのターミナルにしようと考えている。その一つの係留船の船の中に、三つのヨットのクラブハウス、マリーナクラブハウスと、お買い物や何かと、それから海上バスのターミナルにしようとすると考えられている。これらの施設の利益で改造に係る公団からの融資を返済するという計画でございますね。  以上見てきますと、この公団法の、大型フェリーを改造してそしてここのところに係留船とするということと、このために建設省が行っている堤防ですね、大きな係留という地域をつくる。これとが一緒にならなかったらできないことですよね。  だから私事業の中身を二つに分けたけれども、建設省の所管で大きく舞浜にマリーナ地域をつくっていますね。そこに係留船や何か船が出入りできるようにする。その中に大型フェリーを改造した係留船をつける、こうなるわけでしょう。だから、二つに分けたけれども、これはもう一体として考えなければならない、こういうふうになるわけですわね。
  167. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 一体と見るという見方でございますけれども、相互に非常に補完関係にあるという意味で一体というふうにおっしゃるのですと、そういう関係があるかと思いますが、別々のプロジェクトでございますし、その置かれる場所も全く隣ということではございませんで、少し離れております。
  168. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一体というのは、一つというのじゃなくて、補完関係だって、同じ地区にお互いに相乗作用を持っているという意味で私は一体と申し上げた。そのとおりだとおっしゃいました。  それで、このマリーナの建設に第一不動産が加わるということなんですね。これは調べてみたら加わっているというわけなんです。この第一不動産がどうして関係するのかなと、第一不動産というものを調べてみました。そうしますと、東京ディズニーランドの近く、ここのところにあと一年余でホテルが六つか七つになるということですね。ここにホテルができる。そのホテル群のうち二つ、この二つのホテルがホテルサンルートプラザ東京とホテル東京ベイ東急というこの大きなしっかりしたホテル二つが第一不動産系だというふうに言われているんです。これは両方のホテルの所有者と第一不動産社長とが同一人。これは千葉県の企業庁地域整備業務課の報告されていることなんです。このホテルの目の前にマリーナの係留船をつくる。そして今回の法案でフェリーを改造してここに係留するということになるわけです。ディズニーランドの経営者はオリエンタルランドというところなんだけれども、利用者の海上バスのターミナルにする計画は第一不動産絡みというふうに言われて、そしてここでお客さんを呼べる、そしてホテルに泊まらせるというふうになるわけですよね。  こういうふうに考えてみますと、この浦安市で公団法でのフェリー改造、係留する計面というものはマリーナ事業と一体のものであり、そしてはっきり言わせていただけば、先ほどもちょっとあったけれども、大企業のための利益を保証するという事業ということになるのではないか。決して公団法の目的に沿ったそういうものではなくて、大きな資本の利益を保証するものだと言わざるを得ないんだけれども、その辺のところはどういうふうにごらんになっているかという問題を伺って終わりにいたします。
  169. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 浦安の具体的な計画につきましては、いずれにいたしましてもマリーナの建設計画が確定し次第、ただいま先生が御指摘になりましたような詳細の計画について、船舶整備公団中心検討をすることになると思うわけでございまして、私どもとしましては、具体的にどのようなことが行われるか、そのことが適切であるかどうかということにつきましては、実際に公団共有をするかしないかというときに決める問題だと考えます。  一般的に申しまして、マリーナに附置されるレストラン、あるいは駐車場、あるいはそれに関連する宿泊施設その他、このようなものが余剰船舶を活用してどんどんできるということは、船舶の有効利用という観点、あるいは余剰船舶対策という観点、あるいは今運輸省が進めております海洋性のレクリエーションの振興という観点から、その事柄は好ましいことであると考えております。  具体的にそのプロジェクトがほかの面から問題があるかどうかということは私どもは別問題だと考えておりますので、そのような問題につきましては、個別個別の対応で適切に対応するように、船舶整備公団に指導をしてまいりたいと、かように考えております。
  170. 田渕哲也

    田渕哲也君 昭和三十四年以来、国内旅客船公団の設立から今日に至るまで、いろいろ経緯がありましたけれども、この船舶整備公団が仕事をしてきたわけです。  この公団が果たしてきた役割、あるいは成果についてどう考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  171. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 船舶整備公団は、昭和三十四年に設立されましてから、当時非常に国内旅客船におきまして老朽化した船舶が多くて、安全性の確保に問題があるという状態でございましたが、この国内旅客船代替建造を通じまして、国内旅客船の安全と近代化に大いに貢献をしたと思います。また、その後、戦時標準船という戦時中に建造され非常に安全性に問題があった貨物船につきまして代替建造をするということをいたしました。これも貨物船の安全対策に大いに貢献をしたわけでございます。  そのほか、先ほど来申し上げておりますように船込みのときに港湾運送用の船舶をつくったり、あるいは海洋汚染防止対策が必要になってきた段階で海洋汚染関係融資をしたり、また、海運不況で内航海運業界が非常に経営が難しいときに、自主的に運転資金の確保につながる債務保証制度を設けたりしまして、そのときそのときの海運業界のニーズに応じた適切な対応をしながら、六十二年度までの間に二千四百隻を超える船舶建造いたしまして国内海運業界近代化船舶安全性向上に多大な貢献をしてきたというふうに認識をいたしております。
  172. 田渕哲也

    田渕哲也君 ある一定の時期に、例えば戦後のある時期に老朽船の代替建造をして安全と近代化に寄与してきた、これはよくわかるわけです。ただ、そういう一定の時期に一定の効果は上げ得たと思うんですけれども日本の内航海運が抱えておる本質的な問題、これは必ずしも公団の責任というわけではありませんけれども、そういう内航海運の抱える課題というもの、これはあんまり改善されていないように思うんです。例えば、現状においても九〇%以上が資本金一億円以下の中小零細企業であるというような状態はそのまま続いておるわけであります。  このような内航海運が現在抱えておる課題というものについて、お伺いをしたいと思います。
  173. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま御指摘のように、内航海運業界におきましては、中小企業が九四%というような比率を占めています。これは従来から非常に事業者数が多く、しかも零細事業者が多いというのがこの業界の特徴でございました。特に、いわゆるオーナーでございます船舶貸し渡し事業者の大部分が一杯船主と言われます零細な事業者であるということで、経営も不安定な状態にあったわけでございます。  そこで、昭和三十九年に内航海運業法、内航海運組合法のいわゆる内航二法を制定いたしまして、当初は登録制でございましたが、四十一年にはこれを改めまして許可制にいたしましたが、企業基盤の強化とか、船腹調整によります船腹量の縮減、あるいは適正運賃の収受などの施策を実施してまいったところでございまして、その結果、例えば事業者数は昭和五十一年度末で運送業、貸し渡し業、取り扱い業を含めました実海運事業者数、二種以上の兼業者の重複を除きまして一万三千余りございましたけれども昭和六十一年度には八千四百余りというふうに約三分の二に減少しております。船腹量も多年にわたって過剰船腹に悩まされてきたわけでございますが、一般貨物船昭和五十一年度末の二百三十五万総トンから六十一年度末には二百三万総トン、油槽船が同様にいたしまして九十八万トンから八十八万トンに減少してまいっております。また、貸し渡し業者の中でのいわゆる一杯船主の比率も、五十一年度末には八一%でありましたのが六〇%に低下してまいっております。  また、零細な事業者でございますので、相互協力ということで、内航海運組合法によります海軍組合を設立して団体活動を行っておりますが、この基盤も強化するということで、その整理統合を進めてまいってきたところでございまして、御指摘のとおりまだまだ問題は残しておりますけれども関係者の努力によってそれなりの成果は上がってきているというふうに私ども考えております。
  174. 田渕哲也

    田渕哲也君 確かに徐々に改善はされてきておりますけれども、本質的な課題というのはやはり残されておると思うんです。特に、最近国内貨物輸送に占める海運のシェアというのは低下の傾向にあるということは御承知のとおりであります。  貨物全体につきましても、先ほどからの御指摘のように、五十二年で五二%あったものが六十一年は四六%のシェアである。貨物全体がいわゆる重厚長大から軽薄短小へというような、日本の産業構造の変化による原因もあるわけですけれども、ただ、鉄鋼のように船舶に最も向いておると思われるような、例えば重量があり、長尺であり、大量輸送、長距離輸送の多い鉄鋼のようなものにおいても、それの海運が運んでおるシェアというものはやはり低下の傾向にある。こういう点についてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。
  175. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま御指摘ございました、例えば鉄鋼でございますが、我が国の国内輸送におきますトンキロベースでの輸送機関別のシェアを見ますと、内航海運のシェアは、五十年度におきまして七六%でありましたのが六十一年度には七五%と、もちろん自動車が一八%から二四%と大きく伸びておりますが、鉄道が六%から一%というふうに低下しておりまして、内航のシェアは余り変わっていないというのが実情でございます。御指摘のとおり、鉄鋼は八〇%近くのシェアを占めておりますし、そのほか、セメントとか石灰石あるいは石炭等につきましては九〇%ぐらいのシェアを占めております。  全体として我が国の産業構造の変換が進んでおりますけれども、六十一年度においてはやはり五〇%近くのシェアは占めているわけでございまして、依然として、また将来とも、我が国の産業経済活動を支える動脈としての役割が期待されていると思っております。
  176. 田渕哲也

    田渕哲也君 鉄鋼の国内輸送のうち船舶の占めるシェアは、この鉄鋼連盟の資料では、昭和五十年に七三・一%、それが六十一年には六七・八%、やはり徐々に低減の傾向にあるということが指摘されておるわけです。局長説明とはちょっと数字が食い違っておるようですけれども、やはり徐々ながらシェアは低下しておるのだと思います。そうして、こういうことを考えてみますと、やはり物流に対するニーズが変化しておるということが言えると思います。  まず第一は、短期納入といいますか、最近は在庫管理というのが非常にシビアになってきて、要るときに要るだけのものが欲しい、したがって必要なときに入れてもらわないと困るというような要求がふえておる。また、それに関連して非常に少ロット化している。大量に一遍にどかっともらうよりも、必要な減った分だけ運んでいこうというような傾向も出てきておる。それから、そういう素材そのものの多様化ということも進んでおる。さらには、その品質維持というものへの対応というものもやらなくてはならない。こういうように物流に対するニーズが変わってきておるわけです。こういうものに海運が対応するためには、やはり船舶近代化とか専用船化を進める必要が出てくる。あるいは、廃船や運航の能率化をもっと進めなくてはならない。さらには複合一貫輸送、総合物流事業への脱皮ということも考えなくてはならない。また、情報化に対応するためにコンピューターオンラインシステムなどの導入ということも必要だと言われておりますけれども、こういうことに取り組むには、やはり今のような零細企業的体質の海運ではなかなか対応しきれない面があるのではないかと思います。  こういう点について、運輸省はこれからどのように取り組まれる方針かお伺いをしたいと思います。
  177. 中島眞二

    政府委員(中島眞二君) ただいま御指摘のとおり、物流に対するニーズは高度化、多様化してまいっておりまして、全体としては輸送需要が非常に小口、多頻度化してきておりますし、それから、ジャスト・イン・タイムということに典型的に見られますように、高度のサービスが要求されてきている。あるいはまた、高速化の要請。それから、単に輸送だけではなくて、その前後におきますところの保管なり、あるいはその輸送過程における加工というようなものも含めましたトータルのサービスが求められてまいっております。そういうところからすれば、やはりトラックの方が輸送機関として有利であるということから、産業構造の変換に伴って輸送機関別のシェアが変わってきているということでございます。  内航海運につきましては、そういう点でシェアは低下してまいってきておりますけれども、しかし、やはり素材型の産業というのは、全体のウエートは減るとしましても、我が国経済にとっては必要不可欠でございますので、従来からのいわゆる素材型産業の原材料あるいは製品の輸送というのは依然としてあるわけでございまして、内航海運が本来の特徴、輸送機関としての特性を発揮できる分野は依然として相当あるわけでございますから、これについて、荷主の求めに応じて、あるいはそれを先取りした形で内航海運が荷主の求めるサービスを提供していくということが必要だと思います。  内航海運業界は非常に事業者数も多うございますし、零細企業者も多いわけでありますが、内航総連合会を中心にしまして、そういう将来のこともにらんでの施策をいろいろとやってまいってきております。引き続き、船腹調整策とか転廃業の促進とか、それから内航海運組合の組織規模の適正化と活動の強化等の施策を図っていこうとしておりまして、私ども行政としても、その推進を図ってまいりたいと思っております。  さらに、御指摘のとおりの内航の新規需要の開拓ということの取り組みが必要でございまして、貨物の小口、多頻度化の傾向を踏まえまして雑貨輸送を伸ばすために、営業力と申しますか、集貨力の強化、あるいはコンテナ船とかローロー船の建造の促進などを目指していく必要があると思います。また、物流業界一般の動向でもございます複合一貫輸送、総合物流事業者への脱皮への取り組みとか情報化への対応ということを考えていかなければいけませんので、行政としても、そういうことを頭に置きながら業界の指導に当たってまいりたいというふうに考えております。
  178. 田渕哲也

    田渕哲也君 もちろん現在は日本経済全体が構造変化ということを求められておりまして、こういうことは単に海運業界だけではないと思います。例えば鉄鋼業界とか繊維業界でも、その仕事そのものの質を変えていかなくてはならない。そういう意味から、海運業界も複合一貫輸送とかあるいは情報化への対応とか、新たなものへ取り組んでいく必要がやはり出てきておると思うんです。ただ、現在のようなやっぱり非常に零細業者の多い海運企業の実態からすると、なかなかそれは難しい。したがって、一番大事なことは、海運業界の構造改善をどう進めるかということだと思うんです。  ただ、今までこの船舶整備公団が果たしてきた役割というのは、やはり資金力のない人に低利融資をするとか、あるいは船舶共有化によって債権を担保するとか、こういう措置はとられてきたけれども、こういうことだけでは余り構造改善に寄与しないのではないか。むしろ零細な業者というものを温存するということにもそれは働いていく傾向があるわけでありまして、むしろ構造改善にインセンティブを与える方向でそういうことを考えていかなくてはならないと思うんです。  そこで今回の改正の意義は、そういう観点から見た場合に一体どういう効果があるかお伺いをしたいのであります。  まず、今度遊覧船を含めることにしたということですけれども、今までこの遊覧船が除かれていた理由は何なんでしょうか。
  179. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 昭和三十四年に国内旅客船公団として発足をいたしました時代には、旅客船は生活航路に使われるものが中心でございまして、そういう遊覧船以外のものを重点的に整備をしようという考え方から、このような制限が設けられていたわけでございます。
  180. 田渕哲也

    田渕哲也君 今回その遊覧船を加えたことが、いわゆる海運業界の発展についてどういう意義を持つのか、お伺いをしたいと思います。
  181. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 運輸省としましては、これからの国民の自由時間の増大に伴う自由時間の活用策の一つとして、海洋性レクリエーションを含めた種々のレクリエーションの振興策を推進しているところでございますが、海洋における有力なレクリエーション振興策の一として、遊覧船、あるいは観光船の建造の促進ということが考えられると思います。
  182. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、公団の仕事というものは、何でも広げていけばいいというものじゃないと思うんですね。やっぱり必要最小限度のところで効果のある仕事をするということではないかと思うんです。だから、民間でできるような分野までどんどん広げていくべきものではないのではないかと思います。余剰船舶の解消のために係留船の問題が役に立つと言われればこれはそうかもしれないと思うんですけれども、ただ、何しろ今までの公団の仕事の拡大の変遷を見ても、確かにそのときどきのニーズというものに応じて拡大をしておるわけですけれども、やはりもう少し基本的なところで効果的な役割を果たすということが第一ではないか、こういう気がするわけです。  そこで、船舶整備公団の組織、業務運営について、先ほども少し論議がありましたけれども、六十一年四月に、組織、要員の再編成が行われました。そのときに総務部の企画室が新設されましたけれども、この目的は何か、お伺いをしたいと思います。
  183. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 船舶整備公団の内部の組織のことでございますので、妹尾参考人から答弁をさせていただきたいと思います。
  184. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 先ほどから御指摘のとおり、公団を取り巻く海運関係の環境は大変厳しくなっております。公団といたしましても、時代の変遷に伴いまして新しいニーズに従った仕事を計画していく、それからもう一つは、公団の中の平常業務について効率化を図っていく、こういった二面の点において企画部門の充実ということが必要である、こういった観点から企画室を新設させていただいたわけでございます。
  185. 田渕哲也

    田渕哲也君 これは、総務庁の「特殊法人に関する調査結果報告書」並びに特殊法人に関する調査結果に基づく勧告の中でも触れられておりますけれども、やはり中期的に環境が変わっておる公団、それから新しい需要の変化に対応するための課題、そういうものが指摘されておるものに船舶整備公団が挙げられておるわけです。したがって私は、企画室ができたというのは、やっぱり新しい需要の変化に対応するための課題というものを持っておる、それに対してどのように基本的な方針を策定するか、こういう役割を持って企画室ができたと思うんですね。ところが、この調査結果にも報告されておりますように、それから一年以上たっても何ら計画を策定していないということが指摘されておるわけです。この点についてはどうお考えですか。
  186. 妹尾弘人

    参考人妹尾弘人君) 先ほど申しましたように、企画室の新設については、新しいニーズに沿って公団の今後の歩むべき道、こういったようなものを模索してまいると、こういった趣旨で新設いたしたわけでございますが、折から金利の低下あるいは円高の急激な進行、こういったような外部環境の変化が非常に激しかった、こういったような状況でございましたので、中長期の計画を、これが決定版だという形で策定するにはなお時日を要したわけでございますけれども、目下鋭意取り組んでおります。
  187. 田渕哲也

    田渕哲也君 今回の法律改正に当たりまして、私は先ほど申し上げましたように、確かに現在の海運業界の情勢を見て、例えば余剰船舶の解消のためにインセンティブを与えるという意味では一つの効果があると思うんです。しかしそれだけでなくて、やっぱりもう少し構造改善を積極的に進めると、そういった観点から運輸政策を立てていくべきではないかと思うんですが、運輸省としてはどのような方針を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  188. 塩田澄夫

    政府委員塩田澄夫君) 公団の企画に関します業務計画、総合的な事業計画の策定につきましては総務庁からも指摘を受けているところでもありますし、運輸省としましても船舶整備公団に対しまして所要の改善措置を講ずるように指示をしているところでございますので、公団を今後とも適切に指導をしてまいりたいと思います。  ところで、公団業務に関連をいたしまして、現在におきます社会経済情勢のもとで日本の海運業の構造改善のために公団に何をなすべきか、どういう機能を果たさせるべきかということにつきましては、当面、船舶整備公団の現在行っております業務とこの法律改正によりまして新たに追加される業務とをできるだけ適切に推進することによりまして、内航船を中心とする船舶近代化の促進を通じて、日本の内航海運の、あるいは国内旅客船事業近代化、合理化に資するようにしたいと考えているところでございます。
  189. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  190. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま審議されております船舶整備公団法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本来の船舶整備公団は、内航海運の中小零細海運事業者の船舶建造、改造を対象にしていた公団設立の趣旨に全く異なった事業を加えたことです。これは海運業者に全く関係のない大手の不動産業や観光業者などすべての大企業が自由に進出できる異質な事業を加えたものと言えます。また、大企業奉仕の臨海部活性化事業の名のもとの民活と一体であり、また、それを支える事業であり、大企業を救済するものであります。  反対理由の第二は、本法案の目的は、深刻な余剰船舶等の解消と言いながら、法案の対象となる船舶の中には便宜置籍船など外国用船も含まれており、これで何の余剰船対策と言えるでしょう。さらに、大手海運会社から子会社が対象となる船舶を取得することも可能であり、一種の船転がしもでき、加えて、転売の規制もないことも質疑を通して明らかになりました。  反対の理由の第三は、この異質な事業がふえたことにより、本来の趣旨であった内航海運事業者の船舶建造の要求にも影響を与えかねないことであります。公団設立以来の目的は、資金調達の困難な中小零細海運事業者の救済にあります。現に六十一年度、六十二年度の内航海運業者からの建造希望が殺到して、事業計画を変更しなくてはならない事態が起きています。このような状況の中で予算枠が狭まり、本来の事業に影響を与えかねない懸念があります。  反対理由の第四は、この事業により自治体の財政負担も増し、そればかりか大企業本位の事業に自治体を巻き込むことは問題であります。事業が失敗すれば自治体に大きな負担となり、影響を与えかねないことは明らかです。さらに、この係留船で行う事業は、ホテル、レストランなどどんな事業でもでき、係留される場所によっては当然飲食店等、地元関係中小業者経営を圧迫するなど重大な影響が考えられます。一〇〇%政府出資の船舶整備公団の行う事業として、政府中小企業者を圧迫することにもなりかねないと言えましょう。  以上の理由から本法案に反対し、討論を終わります。
  192. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  船舶整備公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  193. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十一分散会