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1988-04-14 第112回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      二木 秀夫君     大塚清次郎君  四月一日     辞任         補欠選任      大塚清次郎君     二木 秀夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 真鍋 賢二君                 松岡滿壽男君                 安恒 良一君                 中野  明君     委 員                 伊江 朝雄君                 坂元 親男君                 高平 公友君                 野沢 太三君                 二木 秀夫君                 森田 重郎君                 山崎 竜男君                 吉川 芳男君                 吉村 真事君                 穐山  篤君                 小山 一平君                 田渕 勲二君                 小笠原貞子君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  石原慎太郎君    政府委員        経済企画庁物価        局長       冨金原俊二君        運輸政務次官   久間 章生君        運輸大臣官房長  棚橋  泰君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    丹羽  晟君        運輸省運輸政策        局長       塩田 澄夫君        運輸省国際運        輸・観光局長   中村  徹君        運輸省地域交通        局長       熊代  健君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       清水 達夫君        運輸省海上技術        安全局長     間野  忠君        運輸省海上技術        安全局船員部長  野尻  豊君        運輸省港湾局長  奥山 文雄君        運輸省航空局長  林  淳司君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        海上保安庁次長  大塚 秀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        内閣審議官    松本 省藏君        警察庁交通局交        通指導課長    小山田 潔君        警察庁交通局交        通規制課長    橋口 俊二君        警察庁交通局運        転免許課長    滝藤 浩二君        外務省アジア局        北東アジア課長  田中  均君        農林水産省構造        改善局計画部事        業計画課長    末松 雄祐君        農林水産省構造        改善局建設部開        発課長      森本 茂俊君        水産庁海洋漁業        部国際課長    中須 勇雄君        労働省労働基準        局安全衛生部化        学物質調査課長  冨田 達夫君        建設省都市局街        路課長      深水 正元君        建設省道路局路        政課長      小鷲  茂君    参考人        国際観光振興会        会長       住田 俊一君        日本国有鉄道清        算事業団理事   前田喜代治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本施策に関する件) ○船舶整備公団法の一部を改正する法律案内閣提出) ○港湾法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会国際観光振興会会長住田俊一君並びに日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 穐山篤

    穐山篤君 質問に先立ちまして、運輸大臣感想をひとつ伺っておきたいと思うんですが、三月十三日にJRダイヤ改正がございました。それから本四架橋も見事に竣工したわけです。いずれも大臣出席でありまして、慶賀にたえないところです。言ってみますと、北海道から九州に至るまですべてレールが一本になった、そういう意味では画期的であったというふうに思うんです。また、大臣にしてみますと、まあ運もよかったんでしょうけれども、いい星の下に生まれたものだ、こんなふうにも思うわけです。  この二つの行事を通しまして、交通問題全体についての御感想をひとつお聞かせをいただきたいと思うんです。
  6. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃいましたように、私、自分自身大変幸運だと思います。まさに世紀の事業の創業に二度も立ち会わせていただきまして、大変感動いたしました。それにしても、日本人という民族は何と勤勉でかつ優秀なのかという感じが改めていたしました。  そして、本四架橋もただの橋ではございませんで、道路と同時に鉄道が走るということでありまして、これによって四つの島が完全に結ばれたわけでございますし、三万キロ近い鉄道が張りめぐらされたということでありますが、同時に、やはり高速鉄道時代高速道路時代が来ているわけでありまして、それに対応する施策を講じなくちゃならないんですが、青函にしましても本四架橋に しましても、できたものは非常に立派で、また広軌で、新幹線を迎えるようにできているんですけれども、その前後左右が非常に不整備感じがしまして、大事業は大事業なりに完成したんですけれども、これをやはり十全に生かしていく努力をしなくちゃいけないなということを改めて感じました。  財政的な問題もございますけれども、いずれにしろ、むだがないようにやはり総合的な交通体系というものをもう一回考え直して、本四架橋にしろ青函トンネルにしろ、これが本当に十全に活用されるような努力をしていきたいと思いました。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 それでは最初に個別の問題に入ります。  豊島区の上池袋新田堀踏切道というのがございます。これは下は山手線が走っているわけですが、上の路上には、従来貨物線があったわけであります。ところが、三月十三日のダイヤ改正におきまして、従来の貨物線が旅客を輸送するダイヤに変更になったわけであります。その点は御承知であろうと思うわけですが、さてそのために、あそこは明治通り交差するわけですけれどもラッシュ時におきます道路交通渋滞が非常に激しくなる。これは予想されておったことでありまして、地元商店街、それから区議会東京都庁というところが昨年からこれを問題にいたしまして、私もお手伝いをさしてもらったわけですが、運輸大臣並びに建設大臣のところに、早急にこの新田堀踏切道問題について適切な解決を図ってほしい、こういう要請をしばしば行っていたわけです。もちろんこれは東京都も絡みます。JR東日本も直接関係をするわけですから、単純なものではないということは十分に承知をしております。  ダイヤ改正が行われました直後、私も朝と夕方現場に行きました。大変な交通渋滞であります。それから、池袋の六ツ又ロータリーというところがあるわけですが、ちょうどあれと近距離で交差をするわけです。そのために、周辺一体交通が十分に機能をしない、そういう問題が出たわけであります。  この問題について、JRなりあるいは東京都なり、それから区議会なりが今いろいろ折衝をしていると思いますが、現状、どういう計画をそれぞれがお持ちになっているのか、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  8. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生指摘新田堀踏切の問題につきまして御説明いたします。  東北、高崎線サービス向上のために、先生の御指摘のように、三月十三日のダイヤ改正で、中距離電車山手貨物線利用による池袋乗り入れということを実施したわけでございます。それで、これによりまして新田堀踏切周辺交通渋滞を招いているということは御指摘のとおりだと考えております。  この踏切立体交差化の問題につきましては、実は五十年代の初めのころから検討されておりまして、地元と当時の国鉄、いろいろな話し合いが行われたようでございますけれども、諸般の事情がございまして、その計画具体化というのが見送られてきたわけでございます。それで、今回の山手貨物線への中距離電車乗り入れ計画というのを昨年JR東日本が明らかにしたわけでございますが、それ以降、東日本会社東京都と豊島区、この三者の間で踏切立体交差化に関しましての協議会を、協議会といいますか検討の場をつくりまして、そこでずっと検討が行われてきました。その結果、最近、先月の末でございますけれども、この三者間で踏切立体交差化につきましての基本的な合意が得られました。具体的にこれから立体交差化事業を進める段取りをつけていくわけでございますけれども、その中で、立体交差化計画には道路拡幅というような問題もあわせて行うように検討されているということを聞いております。  それで、私どもといたしましては、踏切立体交差化というのは、道路交通円滑化の話もございますし、それから当然交通の安全の問題もございますので、ぜひともそういう立体化ということを進めてまいる必要があると考えておりますので、今後とも東日本会社に対しまして地元とよく協議をして、調整を進めて、早く立体交差化実現が図られるように指導してまいりたいと考えております。
  9. 穐山篤

    穐山篤君 私が調査に行ったときは、ダイヤ改正の直後でありました。そのために、池袋側の方もそれから反対側埼玉方面の方につきましても、いずれも長い渋滞であったわけです。  その後、仄聞するところによりますと、この渋滞の解消のために警察庁が大変御努力をいただいたというふうに聞いているわけですが、具体的にはどういうふうにされたんでしょうか。
  10. 橋口俊二

    説明員橋口俊二君) 御指摘のとおり、新田堀につきましては先月のダイヤ改正がございまして、警視庁におきましては、遮断回数が大幅に増加する、それに伴ってラッシュ時の交通渋滞が発生されるだろうと、こういうことを見込みまして、JRと相談をしながら対策をとったわけでございます。  具体的に申し上げますと、JR側におきまして遮断桿遮断時間を従来よりも一回当たり四十七秒短縮する措置をとっていただきまして、それに合わせまして、警視庁におきまして、交差点信号機踏切信号機があるわけでございますが、その両者につきまして列車感知信号機改良いたしまして、遮断桿が上に上がる前に予告信号をもらいましてそれで青信号を出すと、こういう方式に変えまして、青信号を従来よりも十一秒間早く出すようにいたしました。それが一つ。それから二番目には、やはり踏切直近道路違法駐車がありましてそれが渋滞の原因になっておりましたので、ミニパトカーでございますが、そういうものを一週間程度出しまして違法駐車の取り締まり、排除活動をやっております。それから三番目でございますが、これは交差点の方でございますが、右折レーンが従来三十メーターしかございませんでしたものを八十メーターに延ばしまして、右折車両直進車両を邪魔しないようにというような措置をとりました。それからあとは一般的な広報でございますが、道路交通情報センター混雑情報等を提供いたしまして、できるならば迂回をしてもらいたいというような広報をしております。  以上、ダイヤ改正に伴いまして警視庁でとりました具体的な方策でございます。
  11. 穐山篤

    穐山篤君 今、三つないし四つ方策を通して、渋滞をできるだけ解消しようというふうに努力されたわけです。それでダイヤ改正直後の渋滞、一、二キロぐらいでしょうかな、それがどの程度まで圧縮をされたんでしょう。
  12. 橋口俊二

    説明員橋口俊二君) ダイヤ改正前でございますと、例えばラッシュ時、八時から九時の時間帯には、これは貨物でございますのでゼロ回と、つまり列車は通っていないわけでございますが、その後ダイヤ改正になりまして、八時から九時の時間帯に十一本の列車が通っておる。そこで当初は非常に混雑したようでございますが、その後の調査によりますと、一番長い渋滞長で内回りが七百五十メーター、それから外回りが二百メーターというようになっております。したがいまして、これはその後若干減ってはおりますけれども、現在でもまだその程度渋滞長はあるということでございます。
  13. 穐山篤

    穐山篤君 さて、この踏切道を本格的に改良をするということになりますと、先ほど指摘されましたように、どういう立体交差にするかという構想の問題もあるだろうし、それに伴って道路拡幅をしなければならぬ。言うてみますとJR東京都を含めた総合的な立場からこの工事を考えることになるだろうと思うんです。地元の皆さんから言いますと、新しい路線についてはもう隣の山手線と同じようにずっと下げてしまうということを望んでいるわけですが、そうはなかなかいかない感じがするわけです。  しかし、それでも掘り割り方式にして下げなければ具体的に架橋というものは難しいわけでありますので、その点について、直接運輸省なり建設 省が担当しているわけではないとは思いますけれども、私が仄聞するところによりますと、仮に掘り割り方式によりましても、設計をする、それから運輸省なり建設省の承認を求める、工事に着手するということになりますと、早くて三年、遅くて五年かかるというふうに聞いているわけです。したがいまして、できるだけ早く基本的な設計提出を求める。それで早く審査をし認可をして工事に着手をさせるということに相なろうと思うんですが、その点いかがでしょう。
  14. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生の御指摘のとおりでございまして、まずは関係方々の間の検討の結果をできるだけ早く煮詰めていただきまして、それで、それにつきまして今度はその実現をできるだけ早めるように、私どもの方としても鋭意努力いたしたいと思います。
  15. 深水正元

    説明員深水正元君) 建設省といたしましては、新田堀踏切立体化都市計画事業として実施される場合には、三者間の検討結果を踏まえまして、そしてできるだけ早期に事業化が図られるよう協力してまいる所存でございます。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 ぜひそういう態度で早急に取り組んでいただきたいと思うんです。  次の問題は、個別の問題ではありますけれども都市機能交通政策にかかわる問題ですから、そういう立場でお答えをいただきたいと思うんです。  昨日、質問の通告の際に、関係省庁に私の方から資料を差し上げてあります。これは、あかずの踏切の代表的なものを拾い上げたものでありますが、これは私も多少関係しております交通運輸関係労働組合が、昨年の夏に、東京都内の重要な路線で、あかずの踏切のところを調査をしたわけであります。相当組合員を動員して正確なものをつかんでおりますので、この資料についての信憑性は私の経験でも一〇〇%であると、こういうふうにこの資料を見ていただきたいと思います。  「踏切遮断状況バス運行」というので、まあ代表的な例で申し上げたいと思っておりますが、例えば調布の場合に、一時間で遮断回数が二十回、閉鎖をしている時間が三十四分四十秒。ですから、一時間の間に三十分前後の交通交差ができない、そういうものであります。それから、小田急線の成城学園について見ますと、十六時から十七時まで二十四回遮断回数があります。十七時から十八時までの一時間で二十回の遮断回数がありまして、前者は三十八分十秒、後者は四十三分四十二秒、この前後の道路交通遮断をされる、こういう状況にあるわけであります。これは東京を調べたものでありますが、大阪についても同様のことが指摘できると思うんです。  さてそこで、このように一時間の間に三十分以上四十五分以内遮断をされておって交通ができない。これはバス立場から調べたわけですが、もちろんトラックもだめ、マイカーもだめ、人間交通遮断をされる。言うてみますと、都市機能がこういう分野でも麻痺をしている、こういうことになるわけであります。  とりあえず、以上のことについての御感想を伺っておきたいと思います。
  17. 熊代健

    政府委員熊代健君) 組合組合員を動員して調査していただいた資料は、先生指摘のとおりで、我々なりに調べた、車の通過台数遮断されている時間、遮断量ということで数字を物理的に計算するという方式でやったものと、同様な結果が出ております。  先生指摘のように、踏切につきましては、我々としても、一つ交通安全、踏切事故防止という観点から三十六年以来やってきておりますが、一番効果があるのは、やはり立体交差化することによって、先生指摘都市機能向上という面にも非常に効果があるということで、踏切道改良促進法に基づきまして、五年間の計画を立て、踏切道の指定をするといったようなシステムでもって進めておりますが、御指摘のような、一つには、道路管理者側が負担する都市計画事業としてやられることが多いものですから、その金の問題、あるいは構造上の問題、あるいは地元方々との関係等々の問題がありまして、鋭意努力をしておるところでございますが、さらに今後とも力を尽くしてまいらなきゃいかぬというふうに思います。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 どうも答弁が弱々しそうな感じがするんですが、大臣東京都内でこういうようなところが十四カ所あるんです。私ども、こうやってただ暴くという意味ではなくて、その利便性なり公共性というものから軌道と道路交通との交差の問題を考えるわけです。  そこで、予算が成立をしているわけでありますので、運輸省でも建設省でも結構でありますが、今年度、日本全国立体交差ないしは踏切道整備特別措置に関する法律の適用を受けながら踏切道改良をするというところは、何カ所になっているんでしょうか。
  19. 小鷲茂

    説明員(小鷲茂君) 昭和六十三年度のお尋ねでございますが、連続立体交差事業単独立体交差事業、それぞれ分けてお答え申し上げます。  まず、連続立体交差事業につきましては、全国で六十七カ所、事業費にいたしまして約九百十七億円でございます。うち、完成見込みが三カ所でございます。  次に、単独立体交差事業でございますが、箇所数につきましては百二十八カ所、事業費約三百十四億でございます。このうち、年度内完成見込みが二十一カ所となっております。
  20. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、あかずの踏み切り、東京都内で評判の悪い十四カ所は、今年度の計画の中に入っているんでしょうか。
  21. 深水正元

    説明員深水正元君) 十四カ所のうち一カ所だけが現在事業中でございます。
  22. 穐山篤

    穐山篤君 あと政策政治決断の問題ですから、大臣伺います。  四全総について言いますと、三全総から受け継いで、三全総は定住構想基本でありましたが、四全総はそれに交通ネットワーク構想というのが加わって、非常に体系的になってきた。一日交通圏というふうなことで、陸海空通じましていろんな構想がつくられております。そのことはそのことで一面評価はできますけれども。大きい話は大きい話でわかるにしてみても、足元がこれでは、交通問題としてはもう全く機能していない、甚だ恥ずかしい話ではないかなというふうに思うわけです。  単純に東京都心部にあります各省庁の機関を田舎に持っていくだけでは、都市機能というのは回復をしない。当然のことだと思います。やっぱりまず、人間が動いたり、物が動いたり、通信が動いたりする、そういう条件が一番基礎的な条件だと思います。そういう意味で言いますと、代表的には、私が取り上げましたこの踏切道というのは緊急に対策を講じなければならない問題だろう、こういうふうに考えるわけですが、大臣、その点どういうふうに決断をされましょうか、お伺いをしたいと思います。
  23. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 実は昨日、衆議院運輸委員会でも違った観点から社会党の左近委員がこの問題を取り上げられまして、モータリゼーションがこういうふうに非常に一気かせいに進んだものですから、それが機軸になって大都市渋滞というのはもうあちこちで起きているわけでございます。  おっしゃるように、四全総で、関東や関西のメガロポリスに一日で通勤できるようにしましても、肝心の東京大阪へ行って用が足せないのでは困るわけで、都市生活状況というのは非常に悪くなっておりますが、きのうもお答えしましたんですけれども、やはりこういうものにも行政の上で高い優先順位を置いて、できるだけ短期に解決するためにも、行革をやっていますから関係閣僚会議でもこれ以上ふやすなと言われておりますが、都市のこの問題は、やはり関係省庁またいで集中的に合議して対策をしなければならないと思います。例えば高い優先順位をつけて踏切高架化をするのも一案だと思いますし、また並行して自動車の総量規制を何かの形でする、そういった手を講じませんと、本当に都市機能というのは もう麻痺していくばかりだと思っております。
  24. 穐山篤

    穐山篤君 電車に乗った経験から言えば、踏切の数が多いのにもびっくりするんですよね。それが幅員が狭い。人間だけしか通れない踏切道もある。踏切の数が多いと同時に遮断回数が多い。どうにもこうにもならないというのが都心部における踏切の実態ではないかなというふうに思うわけであります。  ぜひ今大臣が言われましたような角度で、まあ予算上のこともあるだろうし、それからそこの地域都市計画のこともあろうと思いますけれども、もう早急に対応を考えてもらいたいし、またそう措置をしてもらいたい、強く要望をしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  25. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 承知いたしました。
  26. 穐山篤

    穐山篤君 次に、竹島問題について伺います。  帰属の話は一番最後にいたしますけれども水産庁伺いますが、この竹島周辺は、イカその他漁業資源の大変多いところでありますが、この竹島周辺におきます操業については、どういう状況でありましょうか。
  27. 中須勇雄

    説明員中須勇雄君) ただいま先生指摘のとおり、竹島周辺海域は我が国の日本海の重要漁場でございまして、もちろん漁海況によりまして年ごとに変動はございますが、昭和六十年のおおむねの数字で申し上げますと、竹島周辺水域で、イカ釣り漁業に関しましては約五百隻を超える船が操業いたしまして、約九千トンの漁獲を上げている。またもう一つ重要漁業でございますべニズワイガニのかご漁業、これにつきましては三十四隻余りの船が操業して、約一万八千トン程度漁獲を上げている、このような状況でございます。
  28. 穐山篤

    穐山篤君 今お話しがありましたように、イカ、ズワイガニ、いろいろ資源もあろうと思うんです。特にイカにつきましては、例えば北朝鮮との間の漁業暫定協定におきましても五月の一日から始まるわけであります。  したがって、この竹島周辺の安全操業というのは、我々も含めて非常に重視をしているところでありますが、海上保安庁さん、この周辺の巡視についてはどういう状況になっているでしょうか。
  29. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 海上保安庁では、日本漁船の安全を確保するという見地に立ちまして、常時竹島周辺海域に巡視船を一隻配備しておりますほか、漁業期間、出漁状況等を勘案しまして、適宜巡視船を増強して警備を行っているという状況でございます。
  30. 穐山篤

    穐山篤君 最近の状況では、特にトラブルというようなことはなかったでしょうか。
  31. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 最近、特にトラブルは生じておりません。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 この竹島というのは、隠岐島から百五十七キロのところに位置をしているわけです。韓国側の方から見ますと、ここは蔚珍というところから二百キロ以上でしょうか、かなり遠くにあるわけであります。昭和五十三年に、私はその当時商工委員をしておって日韓大陸棚の問題を担当しておったわけですが、そのときにも、竹島の周辺におきます安全操業の問題、それから帰属の問題が大いに議論になったことを記憶をしているわけです。  外務省にお伺いをしますが、竹島の主要な島であります東島、西島、この島の上には韓国の施設、韓国人がいるわけでありますが、現在どういう配置になっているでしょうか。
  33. 田中均

    説明員(田中均君) お答え申し上げます。  委員指摘の施設でございますけれども、海上保安庁に依頼をいたしまして視察を行っておるわけでございまして、その結果、私どもの方で確認をいたしておりますのは、現在、灯台、見張り所、兵舎並びにコンクリート製の建物、鉄製のやぐら、アンテナ等の建造物が構築されておる、さらに警備員も配属されておる、こういうのが実態であるというふうに考えております。
  34. 穐山篤

    穐山篤君 そうしますと、昭和五十三年の五月の九日だと記憶をしますが、イカ釣りの日本漁船二十数隻が韓国の警備艇から退去の命令を受けた、そういう事件があるわけですが、その当時の報告におきましても、灯台が一基、監視所が二カ所、小屋が三棟、機関銃座が二基、それから宿舎、これが東島にあって西島に小屋が二棟あったと、そういう報告が記録で残っているわけですが、その当時と現状では、韓国の施設設備、要員というのには変化はないと、こういうふうな理解でよろしゅうございますか。
  35. 田中均

    説明員(田中均君) 私どもも、詳細につきましては当時と変わっていないかどうか確認をいたしておるわけではございませんが、概要、そのとおりのことであろうというふうに考えております。
  36. 穐山篤

    穐山篤君 問題は二つあるわけでありますが、一つは、いよいよイカ釣りの最盛期に入るわけです。そうしますと、日本側の漁船がこの竹島周辺から逐次——まあイカは北上してまた戻ってくるわけですけれども、この漁業について十分安全が担保されなければならない。そういう意味では運輸省海上保安庁その他を含めて重要な立場にあるし、きちっとした姿勢を示さなければならぬと思うわけです。  そういう意味では、舞鶴に拠点のあります八管が中心になると思いますけれども、日本海方面におきます漁業の安全操業について、しっかりした態度を示してもらわなければならぬと思うんですが、運輸大臣、その点いかがなものでしょうか。
  37. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) これはとても大事な問題でございまして、基本的には、運輸省の姿勢云々という以上に国家といいましょうか、日本の政府対韓国の政府間の問題だと思います。  いずれにしろ実態は、先ほど委員は小屋と言われましたけれども、私も写真で見ますと、小屋というよりかもう歴然とした兵舎でありまして、実効支配というか、事実上彼らが主張する竹島を機軸にした領海というんでしょうか、そこには日本の船は入れないのが現状でありまして、この問題が基本的に解決されなければ、保安庁が幾ら逆立ちしても入れないものは入れないわけでありまして、そこで生じてくる摩擦をいかんともしがたいというのが現況であります。
  38. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、竹島の帰属の問題について若干伺いますが、領土問題についての戦後処理といえば三つあるわけですね。北方領土が一つ、竹島が一つ、尖閣諸島が一つ。そういう意味では三つあるわけです。総務庁長官なり外務大臣は、就任をすると北方領土の方はよくおいでになる。しかし、竹島の問題については余り関心がない、あるいは薄いという感じがしてならないんですが、私は、領土問題は、領土の保全、これは独立にかかわる問題ですから、どこが重要でどこが重要でないというふうな考え方であってもらっては困るというふうに思うわけであります。  そこで外務省に伺いますが、昭和四十年の十二月十八日に日韓基本条約が締結をされまして、それから日本国と大韓民国との間の紛争の解決に関する交換公文というのが結ばれているわけであります。これは今後重要な交換公文になりますので、外務省、今お持ちでしたらその内容を公表してもらいたいと思います。
  39. 田中均

    説明員(田中均君) 委員指摘の交換公文でございますが、これは概要、日韓間の紛争につきましてはあくまで外交交渉により平和的手段で解決をする、それが至らぬ場合には調停をするというのを骨子とする交換公文でございます。
  40. 穐山篤

    穐山篤君 きょうは外務大臣はほかの委員会に出ているようですから、大臣の考え方を聞くというわけにはいかないと思いますが、今言われましたように、この紛争の解決に関する交換公文を読んでみますと、両者で合意の上で国際司法裁判所に提起をしましょうというものを含んだ交換公文になっているわけです。  古い話で恐縮でありますが、昭和五十三年六月二十二日に、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定というのが締結をされて国会に提出をされました。このときも、関連をして竹島問題というのが大いに議論になっているわけでありまして、当時、外務大臣あるいは外務省の態度としては、可能な限り韓国側と話をして、合意の上で国際司法裁判所に 提出をするように最大限の努力をいたしますという答弁になっていたわけであります。その後、日本側と韓国側との間には、日韓定期協議であるとかあるいは議員レベルでいえば日韓議員連盟であるとか、いろんなパイプが公式、非公式にあったわけです。しかし、私が知っている範囲で、日本の大臣あるいは要人、議員が竹島の問題について胸を張って主張したという記録は何も残っていない。そういう意味で言いますと、この政府の態度というのは私はまことに遺憾であるというふうに思うわけであります。  そこで、外務省あるいは運輸大臣にも伺うわけですが、昭和二十何年李承晩ラインからの紛争でありました。ですから簡単なものではないということは十分に承知はしておりますが、ただ変化があるということだけは十分認識をしてもらいたいと思うんです。  その変化というのは、相手側であります韓国の内部の状況であります。客観的にいえば、従来は軍部のクーデターによって政権がつくられてきたいきさつがあるわけですが、昨年の憲法の改正、それに伴います選挙、それで盧泰愚政権が誕生をした。そういう意味では民衆の声を受けた政権が成立をした。民主的な政権が誕生した。民主化についてこれからどういうことが行われるかということは十分見る必要があろうと思いますが、その意味では私は、従来の韓国の政権と今回の政権の誕生では質の違うものである、そういうふうに認識して当然だと思うんですが、その点いかがでしょう。
  41. 田中均

    説明員(田中均君) 委員指摘がございました、外交交渉による問題の解決という点でございますが、実はこれは個々の交渉の中身というものを明らかにするわけにはまいりませんけれども、他方、過去二十数年、外務大臣レベルでは常に問題提起がされておりまして、六十一年から日韓で定期の外相会談が設置されておりますけれども、累次外相会談においても日本側の立場を明確に申し述べているということでございまして、かつ、巡視結果に基づきまして文書で韓国側にも申し入れを行っていると、こういうことでございます。  先生指摘の、韓国の国内における民主化の進展というものは私どもも事実としてあるというふうに考えておりますし、今後とも引き続き最大限努力をしていくということで御理解をいただきたいと考える次第でございます。
  42. 穐山篤

    穐山篤君 北方領土問題で言うならば、中曽根総理は、今度相手側が日本に来て物を言う順番であるというふうなことを言っておったことがあるわけですが、ゴルバチョフ書記長が日本に来てほしい、来て率直に懸案の問題について、領土問題について、経済問題について相談をしようと、そういうことがここ数年間続いているわけです。  それで、この竹島問題について言えば、まあ盧泰愚政権ができたわけですから、改めて日本国政府全体の力で——もちろん国民世論というのは、竹島の帰属は日本のものであると。現にこの竹島は大蔵省の国有財産に掲上されているわけです。したがって、その意味では内閣全体が襟を正して取り組むと。帰属問題についてどっちが来るとか行くとかという話でなくて、少なくとも定期協議という場があるし、まあ議員の皆さん方で言えば日韓議員連盟もあるわけですから、そういう場を通してきちっとこの帰属の問題についてけじめをつけて、まじめな意味で健全な日韓関係というものを持たなければならぬじゃないかと思う。この竹島問題をそのままにしておいて、経済協力だとか、人的交流だとか、そういううまい話だけで通そうといいましても、それは国益にはならないというふうに思うわけであります。  したがって、この際、石原大臣の取り組みの姿勢、決意を伺っておきたいと思います。
  43. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 確かに日本と韓国の間には、過去に好ましからざるとというか、忌まわしい関係がございました。それに対する日本の責任もあるとは思いますが、しかしそれが、歴然たる領土の放棄という形で示さるべきでは絶対ないと私は思います。現に、竹島を起点にした領海の主張というものを実際に彼らは行い、行使しているわけでありまして、日本の漁船も恐らく他の艦船も入れないという状況であります。これは両国の親善のためにも排除さるべき問題でありますし、まして韓国に新しい体質の違う政権が誕生したならば、これを機に、この問題は真正面からやはり話し合われるべき問題と私は思います。  私の個人的な見解でございますけれども、内閣がこれを決めることでありますが、私はまさしくその時期ではないかと思っております。
  44. 穐山篤

    穐山篤君 その態度でひとつ臨んでもらいたいというふうに思います。  次に、鉄道年金の問題に移りたいと思いますが、具体的に鉄道年金に入る前に、年金担当、所管であります厚生省にお伺いをします。  国民年金基礎年金を導入をいたしました。各種共済年金につきましても、それを基本にして整理をしたのは御案内のとおりであります。その際、議論になりました一つの柱は、昭和六十年から昭和七十年まで、この十年間を通して公的年金制度について一元化を図っていこうじゃないか、そういう提案があり、そのことを全体が了承したか否かは別にいたしましても、それぞれの共済組合年金制度というものが改定になったわけであります。  さて、そこでお伺いしますが、国民年金基礎年金が導入をされた今日、この七つの公的年金制度の一元化というのは具体的に何を指しているのか、あるいはどういう作業を念頭に置いて一元化構想が練られているのか、その点、まずお伺いしておきたいと思います。
  45. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。  先生今御指摘のように、先般の年金制度の大改正が行われまして、全国民共通の基礎年金制度というのが導入されたわけでございます。これによりまして、いわゆる公的年金の一階部分に相当する部分につきましては、給付面、そして負担面、両面にわたりまして基本的に公平化が図られたということでございます。また、二階部分につきましては、共済年金の給付水準というものを将来にわたっては厚生年金の給付水準に合わせていくというような改正が行われました結果、将来にわたりましては、その二階部分の給付面につきましても公平化が図られていくというところまできているわけでございます。したがいまして、今後の一元化の課題と申しますのは、被用者年金各制度におきまして負担面での公平化をどうやって図っていくかというところになっているわけでございます。  このような状況に現在あるわけでございますが、現在、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会というものが設置されておりまして、昨年の九月でございましたけれども先生お話のありましたとおり、既に政府の基本的な方針として決まっております昭和七十年を目途に公的年金制度の一元化を完了する、こういう方針に向けまして、昭和六十四年の財政再計算期におきまして、七十年一元化に向けて地ならしできるものについては地ならしをしていこうという申し合わせが行われたわけでございます。これを受けまして、現在関係省庁局長クラスで構成いたします公的年金制度調整連絡会議というものがございまして、ここにおきまして七十年を目途とする一元化に向けて地ならしできる事項についての具体的な検討作業を行っているという状況でございます。  それで、先生さらに具体的に一元化というのはどういうイメージで考えておるのかという御指摘もあったわけでございますが、被用者年金各制度それぞれ非常に歴史、沿革、千差万別と申しますか、多様でございまして、なかなか簡単に一元化というのは実現するような事態でもございません。したがいまして、今申しましたように、中間時点と申しますか、六十四年の時点で一元化に向けた地ならしを行っていき、そしてその一元化に向けた地ならしの結果の推移を見ながら最終的な一元化の姿を考えていくと、かような状況にあるわけでございます。
  46. 穐山篤

    穐山篤君 大枠はわかったような感じでありま すが、その裏側の解釈を私にさしてもらうとするならば、七十年までに行う一元化というのはいわゆる一本化ではない、一本化を必ずしも描いているわけではない。それから二つ目には、六十四年度というのはたまたま財政調整期間が終了するときでありますけれども、それから逐次負担と給付の水準について全体の公的年金がバランスがとれるようにしていくんだよというふうに私なりに解釈をしたわけですが、それは当たっているでしょうか。
  47. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 重ねてのお答えになるかとも思いますけれども、基礎年金制度の導入によりまして、一階部分の給付と負担の公平が図られ、二階部分についても将来に向かっては給付面での公平化が図られていく。したがいまして、一元化に向けての一番の課題というのは、特に被用者年金各制度の負担面での公平化を図ることということになっているわけでございまして、それに向けまして、六十四年時点で地ならしできるものについては地ならしをし、最終的に七十年の時点での一元化完了に向けて動いていくということでございます。  最終的な一元化の姿というのは、なかなか今の時点ではっきりと、こういうものでございますというところをお示しできる状況には実はございませんで、それも地ならし事項をいろいろと被用者年金各制度の歴史、沿革、そういうようなものを踏まえて検討を進めていく中で明らかにしていくということになっているわけでございます。
  48. 穐山篤

    穐山篤君 ちょっと、大事なところですからもう一遍復習をしますと、七つある公的年金制度をすっと一本にするわけじゃない。そのところがまだはっきりされていない。  それから二つ目は、一階の基礎年金部分はこれは皆同じでありますね。もらう人、年金の受給者の立場からいえば、総額は変わらないにしてみても、札の色が一階建ての青い一万円札、二階建ての赤い一万円札と、そういう帳票上の違いは起きるわけですけれども、二階建てにつきましては報酬比例という思想に立っていますから、これもほぼその分野では余り変わりがない。しかし実際の負担面は、負担はまあ歴史もありますし、それから給与の、基本給プラス諸手当の給与水準の違いがありますから、そこを除けば考え方、思想としては報酬比例でみんな同じになる。それから三階のところについては、職域相当部分、それから民間で言う企業年金、あるいはいろんなものがそれに加わっているわけですが、まあ三階建てを含めて、受ける側の立場からいうと、年金額の水準、一階、二階、三階全体を含めて七つの公的年金が、金額は違うにしてもですよ、思想的には同じになっていくんだ、それを裏づける負担の水準についてバランスを図っていく。  こういうふうに、今の答弁を聞きながら私はそう認識したわけですけれども、くどいようですが、その点いかがでしょう。
  49. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) 現時点で、三階部分まで含めて、いわゆる完全にガラガラポンと申しますか、そういうような形で公的年金制度を本当に全部一緒にしてしまうというようなことを現時点で想定をして作業が進んでいるということではございません。そうではございませんが、先行きその公的年金制度の一元化の七十年時点でどういう姿になるかというのを今の時点で、そうではなくてこういう形ですというところまで具体的にお示しできる段階にはまだ至ってなくて、二階部分の負担面での均衡を図るというような方向でまずいろいろと詰めをやりながら、七十年時点での姿もまた明らかにしていくというようなことで作業が進んでいるということで御理解を賜りたいと思います。
  50. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さてそこで、もう一つの問題があるわけですが、国民年金基礎年金導入の部分は、それぞれ拠出をしてそれぞれの共済年金の金庫の方に入っている。そういう意味では、一階建てのところは、年金の財政の問題については統一がされているわけですね。二階の部分については、まだ発足したばかりでありますし、それぞれ別建てになっている、こういう現実なんですが、地ならしをしながら七十年までに一元化をしようという場合の二階建てのその財政のあり方ですね、これはどんなふうに勉強されているんですか。
  51. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) まさしくそこのところが、当面の地ならしできる事項としてどの程度のことができるかということでございまして、そのあたりを今一生懸命、先ほど申しました関係省庁局長クラスの会議におきまして検討を進めているということでございます。
  52. 穐山篤

    穐山篤君 非常にこれは政治的な問題でもありますし、各共済あるいは厚生年金にしましても重大な問題ですから、そう簡単にこうしますとかああしますということはなじまないときだろうというふうに思いますから、それはこれでおいておきます。  さてそこで、今お話しのありましたようなことを認識をしながら、昭和六十四年度まで鉄道共済年金につきましては、財政調整という名の援助をいただきながら運営をされていくわけです。皆さん方からいただきました資料によりましても、積立金を食いながらも昭和六十四年度までは何とかやりくりができると、こういうふうに承知をしているわけですが、六十五年度以降は、前回の委員会で与党の野沢委員からも指摘がされましたように、三千億円ぐらい足りないのではないかなと。それで、大ざっぱに言いますと、三人のうち二人年金をもらって一人は年金がもらえない、これはまあ単純な計算ですがね。そういう銭勘定になるわけです。それをどうするかという問題を持ちながら、少しずつなじませながら一元化の方に連れていく、こういうことに、鉄道共済年金についても同様なことが含まれている、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  53. 松本省藏

    説明員(松本省藏君) まず、鉄道共済年金問題の方についての状況でございますけれども先生既に御承知のとおり、六十四年度までの支払いにつきましては既に確保方策ができている。問題は、今お話しのありましたように、六十五年度以降毎年約三千億円の赤字が見込まれるという状況でございます。当然、一つの年金制度としての赤字幅としては非常に大きいというふうに認識せざるを得ません。  したがいまして、鉄道共済年金問題というのは、これからどういうふうに解決をしていくかということを考えるに当たりましては、相当幅広く国民の方々のコンセンサスというようなものも得ながら答えを出していかなければいけないだろうということでございまして、日本鉄道共済年金問題関係閣僚懇談会というのが既にございまして、そこに、有識者の方々に集まっていただく懇談会を昨年の十一月に設置いたしました。そこで幅広く、例えば国の責任のあり方はどうなんだろうかとか、清算事業団の追加費用等の問題は一体どうだろうかとか、あるいは鉄道共済自身の自助努力の問題はどうだろうとか、それ以外にももろもろの問題があろうかと思いますが、非常に広範多岐にわたる課題についての御論議をしていただいているところでございまして、その有識者の懇談会におきまして、今後も広範多岐にわたる御論議をいただきまして、秋どろまでをめどにいたしまして、六十五年度以降対策の大まかな方向、こういう方向で解決していったらどうかという大まかな方向についての御意見をいただきまして、それを受けた形で鉄道共済関係四閣僚懇談会で具体的な対応策を考えていくということで、鉄道共済年金問題については今政府で検討が進んでいるということでございます。  それで、公的年金制度の一元化の流れとの関係でございますけれども、先ほど一元化の関係での現状を御説明申し上げましたが、鉄道共済年金も、当然でございますけれども公的な年金制度の一つでございます。したがいまして、いわゆる二階部分の負担の不均衡をどういうふうに直していくのかという面で、鉄道共済年金問題についても一元化の観点で触れられることは出てくるであろうと、こういうことになろうかと思います。
  54. 穐山篤

    穐山篤君 六十五年度以降、一元化計画と公的年金の一つである鉄道共済年金も、制度はあるけれども実体がないということでは困りますから、そのために関係者が大変御努力をいただいているし、それから政府の統一見解というものがあるわけでありまして、鉄道共済年金が仮に倒れるというようなことになれば、ほかの公的年金制度についても同様のことが言えるわけでありまして、そういうことがあってはならぬという意味で、ぜひ御努力をいただきたいと思います。  もうちょっと内容に入ろうかと思いましたけれども、まあ雰囲気を壊したのではつまらぬと思いますので、きょうはこの程度にしておきたいと思います。ありがとうございました。  次に、観光政策の問題についてであります。  先日の運輸大臣の所信表明の中にも、海外旅行倍増計画について、重点的な政策として取り上げられました。私どもも、その点では賛意を表したいと思います。  そこで内容に入りたいと思うんですが、私の記憶によりますと、昭和五十三年の十二月に、国際観光の現状と当面の対策というものが、観光基本法の第十九条でしたかに基づきまして観光政策審議会から答申が出されておりますね。あれを読んでみますと、その当時も倍増ということを基調にいたしまして、その当時まあ買春だとかいろんなトラブルがありました、マナーのことも指摘をされました。それで、それを総まとめにして観光政策審議会が議論をして答申をし、おおむね昭和六十年までと、十年間を見通した当面の対策というものが提示をされて、それが我が国の観光政策の重要な柱になっていたというふうに思うんです。そういうことから考えてみますと、おおむね十年を経過をする段階であります。それからもう一つは、その当時考えておりました倍増というのが、今日おおむね倍増近くになりかけております。したがって、今後十年間を考えてみた場合に、新しい倍増計画政策的に考えるということは私は時宜を得た点ではないかなというふうに思うわけであります。  そこで、運輸省から去年の九月に海外旅行促進フォーラムというものが打ち出されておりまして、いろんな分野から勉強がされております。そこで、私、結論を先に申し上げておきたいと思うんですが、やっぱり日本の国際的な立場、日本が貢献をしなければならない課題、そういうことをいろいろ考えてみた場合に、この観光分野におきますものも非常に大きいと思います。そこで、フォーラムも結構でありますが、正規に観光基本法にのっとって、審議会にルールを通して諮問をする、それを運輸省が受けて国の政策に練り上げる、そういう道をとるべきだというふうに結論として申し上げますが、その点いかがですか。
  55. 中村徹

    政府委員中村徹君) 先生指摘昭和五十三年の十二月の観光政策審議会からの意見具申、これは諮問・答申という形ではなくて、意見具申という形で、先生指摘のような内容につきまして、「最近における情勢の変化に対応し当面・講ずべき国際観光対策について」という意見具申がなされておりまして、それに基づいて運輸省といたしましては国際観光施策を推進してきたわけでございます。そして、昭和六十二年の七月になりまして、観光政策審議会の委員の方から、「当面の観光政策に関する緊急提言」というようなことが出されたわけでございます。その中で、国際的な相互理解の増進、それから国際収支の不均衡是正等の観点から、日本人海外旅行者をおおむね五年間で倍増して一千万人の水準にのせるようにしよう、それに必要な諸施策をとるようにという提言がなされたわけでございます。それを受けまして、私ども先生お手元にございます「海外旅行倍増計画」を運輸省として立てまして、これを観光政策審議会に御報告し、了承を得ているというふうな手続を踏んでございます。  これから先、種々の観点で海外旅行倍増計画というのは具体的な施策をこれからどんどん状況に応じて立てていかなければいけないと思いますわけですが、その場合に、やはり今御指摘のように、観光政策審議会にその状況に応じまして御説明し、御意見も承りながら、運輸省施策としてこれを進めてまいりたい、そして関係各省とも十分調整をとりながら政府の施策として進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さてそこで、空港整備の三つのプロジェクトが逐次完成をしていくということになれば、需要と同時にその供給体制もしっかりしてくるであろうということを常に念頭に置くわけですが、最近の事情の変化というものも考慮してもらいたいと思うんです。  最近、海外旅行も非常に多くなってきたわけですが、姉妹都市とか友好都市の締結がそれぞれ行われているわけですね。ここでは人、物、それから最近は投資もやるようになりまして、人、物、金の交流という新しい分野が開拓をされてきたのも、従来の交流からいえば変わった姿ではないかなというふうに思うんです。その友好都市、姉妹都市では、お互いの科学だとかそれから文化だとか芸術、そういうものの交流も非常に激しくなってきた。これは十年前には余りなかったことですから、これもひとつ念頭に置かなければならぬ問題だろうと思う。  それから、添乗員の労働の問題でありますが、派遣労働に添乗員が指定をされたわけでありまして、これに参入する組合がたくさん出てきましたのもこれは新しい要素だろうと思うんです。それから、労働時間の短縮という問題も、これは新しい要素であります。したがって、倍増計画を考える際には、従来と違った新しい発想がいや応なしに求められるという意味では、幅広く意見を聞く必要があろうというふうに思うところであります。  それと同時に、私は直接その場には立ち会っておりませんですが、ヨーロッパのある国では、日本人の団体旅行客の参観は制限をしますという問題があちらこちらで散見をされるようになりました。これは非常に遺憾なことだというふうに思いますが、そういう事件がたくさんある。マナーに関する問題で。これは全く恥ずかしい話だと思うんです。  それから、旅行がどんどん盛んになってきましたために、未登録の業者が本当にふえてまいりました。格安の旅行費用で編成をするわけですが、どうやってあんなに格安の運賃、宿泊料で、できるんだろうかというふうに思うほど格安が出ている。それは割引もあるわけですからできるわけですが、未登録の業者の場合、途中で消えてなくなってしまう。旅行を組織をして、銭が集まった途端に会社がなくなってしまう。そういうのを二、三既に新聞紙上にも発表されているわけでありますので、私は、このフォーラムを拝見しましたけれども、もう少し目を縦横十文字に広げて勉強をしてもらいたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  57. 中村徹

    政府委員中村徹君) ただいま先生指摘の数々の問題は、確かに私どももこれから海外旅行を推進していく上で検討をしなければならない課題であると考えております。  海外旅行促進フォーラムは、この海外旅行倍増計画を単に役所だけで考えるのではなくて、関係方々、地方公共団体でありますとか関係事業者の方、さらには外国の諸観光機関の方、そういう方に集まっていろいろな問題点を指摘していただき、そういったものをお互いに考えていこうというような考え方でつくりましたフォーラムでございますので、そういった場を活用しながら、先生指摘の問題を初め幅広く問題点を議論して解決してまいりたい、かように考えております。
  58. 穐山篤

    穐山篤君 国際観光振興会参考人の方にお願いいたします。  振興会では、「海外旅行情報」というこういう冊子、これは四十一号でありますが、何号までですか、続いているわけであります。  大臣、これをごらんになったことはあるでしょうか。
  59. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 申しわけありませんけれども、余り見たことはございません。
  60. 穐山篤

    穐山篤君 それではもし暇が——暇はないでしょうけれども、ちょっとこれ車の中ででも目を通すと、非常に参考になることが多いと思うんです。  それで、国際観光振興会では、東南アジアを含めてヨーロッパ、アメリカにも出先機関がありますね。その出先機関から幾つか情報が入り、その中で、この際紹介しておいた方がいいだろうというのがこの中にあるわけです。  そこで、先ほどからやりとりをしているのを聞いておられたわけですから、これからの倍増計画の立案なりあるいは執行に当たって、実際に現場で見た、携わった目から、どういうことがこれからの倍増計画、観光政策の中でつくってもらいたい、あるいはしてほしいというのがあるはずだと思うんですが、まず、その点をお伺いします。
  61. 住田俊一

    参考人住田俊一君) 住田でございます。よろしくお願いいたします。  ただいま局長から海外旅行倍増計画のお話がございまして、また先生からいろんな御指摘がございまして、それについてお答え申し上げます。  御承知のように、最近は非常に日本人の海外旅客数はふえております。現地で私どももこういった問題につきまして、安全対策の面からいろいろと対策を講じておる次第でございます。  ただいま先生からも御指摘のように、「海外旅行情報」、「各地の安全情報」というのがございまして、私どもの方の各事務所から、必要最小限度でございますが、こういった情報を各旅行業界あるいは各関係機関に流しておりまして、そういった安全に対して万全の措置を講じております。のみならず、先生も御承知かと思いますが、私どもでは、こういった安全という面から、空港におきまして「目で見る安全な旅のヒント」だとか、そのほか「安全な楽しい旅のために」、こういったパンフレットを出しております。それから最近は、「パスポート副読本 あなたは今日から民間外交官 メイク・フレンズ・フォー・ジャパン」、こういったパンフレットを国際空港に置きまして、この中にいろいろと各地の安全の問題、あるいは習慣の問題、あるいは先ほど先生がおっしゃいましたマナーの問題ですね、習慣とか、こういったようなことを行かれる方が十分に勉強していただきたい、こういうことでパンフレットも出しておる次第でございます。  さて一方現地におきましては、こういったお客様に対していろいろな措置を講じておるわけでございますが、具体的にはいろいろとしておりまして、例えば次のような私どもで集計した表がございます。  一番多いのは何と申しましても旅行者のミス、忘れ物ですね。こういったものが非常にございます。こういった場合には、すぐ私どもは航空会社とか領事館にも連絡しております。結局言葉の問題でございます。したがいまして私どもは、こういったもちろん日本語のできる者をローカルにも置いておりますし、同時に、それがすぐ対応できるような機構も持っておりまして、そういった旅行者のいろんなミスに対しての対応措置をとる。これが非常に多うございます。ちなみに六十年度、私ども統計によりますと、四十七件もございます。これが一番多うございます。  それから二番目に多いのが、残念ながら盗難ですね。すり、それからホテル盗難。ホテルに預けたものがなくなった、これが四十五件でございます。  それから三番目に多いのが旅行業者のミス。あるいはさっき先生お触れになりましたけれども、そういったエージェントの責任があるにかかわらず、ホテルがとれていなかったとか、あるいは飛行機がとれていなかったとか、あるいは荷物が紛失したと、こういう事件が約二十八件起きております。  それから、よくある例でございますが、タクシーで不当な料金を取られたとか、それからバーで非常に不当な料金を取られた、こういうような例がございます。こういう場合にどうしているかと申しますと、私どもは具体的にそれぞれに応じて現地で措置しておりますが、例えばタクシーで不当な料金を取られたといった場合は、例えばホテルのマネジャーですね、それを呼んで話すとか、そういうようなことをしたりしております。  それから、やっぱり一番大きな問題は病気ですね。言葉の問題がございますので、そういった場合には、私どもの当振興会には各事務所に指定のお医者さんのリストがございまして、そこへすぐ通じるようにする。こういうふうにいろいろと努力しておる次第でございます。  そういうことで、いろいろな事件がたくさんありましたけれども、現地の非常な努力によって最近はそういった件数が徐々に減っておりますが、今局長からお話しございましたように、今後倍増計画がもっと推進されますと、いろいろとこういった問題が——あっては困るわけでございますが、もしあった場合において、万全の措置を講じたいということで、本部と現地と十分な連絡をとり、また、こういったトラブルがないように万全の措置を講じておる次第でございます。
  62. 穐山篤

    穐山篤君 この点についての最後に、意見ですが、中曽根総理のときに経済摩擦解消のアクションプログラムという中に一項がありまして、「海外旅行の促進等」というのがあったわけです。これは黒字経済大国の日本として、貿易外収支をできるだけ消化しようというのはわかりますが、ただ、発想の基本が、経常収支の黒字を減らすために旅行に行きましょうというふうな貧しい思想ではつまらぬと思うんです。少なくとも、国際交流、平和への貢献という高い思想がある以上、まず哲学がなければならぬというふうに思うんです。  そこで大臣、最近流行しているものに二つあるんですね。一つは留学生十万人体制、十万という数字が先走りしているんです。受け入れ態勢もないし周到な準備もない、けれども十万人という数字がどんどん世間に流れている。このテン・ミリオン計画というのも、私は数字が先行しないように、やっぱり先ほど言われた、私も申し上げたようなことをがっちり固めておいて、そして倍増計画というものを執行していかなければならぬ。そういう意味で、数字が先行しないように特段の配慮をしてもらいたい、内容を充実をしてもらいたいということを希望しますが、いかがでしょうか。
  63. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) おっしゃるとおりだと思います。御期待にかなうように一生懸命努力するつもりでございます。
  64. 穐山篤

    穐山篤君 次に、航空政策の問題について伺います。先日安恒委員からも問題提起がされておりますから、私はちょっと形を変えた質問をしたいと思います。  最初に日米の航空交渉の状況、それから最近成立をしました日本とオーストラリアの二国間の航空交渉の状況を簡単にひとつ説明を願います。
  65. 中村徹

    政府委員中村徹君) 日米の航空交渉につきましては、一昨年の九月から三回にわたりまして包括的な協定改定交渉を行いましたほか、非公式の意見交換を二回にわたり、例えば最近では去る二月二十五、二十六の両日行っております。この間、包括的な協定改定交渉でございますので、かなり抽象論的な議論が多いわけでございますが、ともに拡大均衡を目指して交渉を進めていくということでは日米両方とも意見が一致しているところでございますが、具体的な問題についてはいろいろ意見に隔たりもございまして、なお両者において協議が進められているところでございます。  それから、今後の進み方でございますけれども、今後の見通しにつきましては、先ほど申し上げました本年二月の非公式の意見交換で議論をいたしまして、包括的協定改定交渉の再開時期をいつにするかということにつきましては今後外交ルートで調整していくということにいたしております。私どもといたしましては、できるだけ早期に包括的協定改定交渉を再開いたしまして、相互の権益の拡大的均衡を目指して努力してまいりた いと思っておるところでございます。  それから、日本とオーストラリアとの交渉は先週行われましたが、これは航空当局間の協議でございますが、これによりまして輸送力の増加というものを図ってまいるわけでございます。これは単位という技術的な単位を使っておりますが、技術的単位によりますと十九・五単位両国間で輸送力がありますが、これを六十三年春には二十一・五単位に、六十三年秋には二十八・〇単位にする。これ例えば747で換算いたしますと、現在週九便のものを六十三年の春には週十便に、さらには六十三年の秋には十三便と、それからあとB767によります共同便一便に拡大していくというようなことで、両航空当局間の方が合意したところでございます。
  66. 穐山篤

    穐山篤君 日米の航空交渉について、長い時間が常にかかるわけですが、本当のところ何がネックになっているんでしょうか。
  67. 中村徹

    政府委員中村徹君) 日米の航空交渉におきまして、具体的課題として長い間問題になっておりますのは、日本側の要求といたしましては、一つ貨物専用便のシカゴへの乗り入れ問題というものを言っております。それから特に、新規乗り入れ企業につきまして乗り入れ地点をふやすことがいいか悪いかという問題でございますとか、それから既存の乗り入れ地点への便数が決められているとか、こういった問題がございまして、これらを拡大していくという要求を日本側は持っておる。そのほかに、もちろん基本的な問題といたしまして以遠権の問題を初め、必ずしも均衡していないではないかということで、権益の均衡を求めておるというところでございます。
  68. 穐山篤

    穐山篤君 さて本論に入りますが、運政審の答申が六十一年六月九日にありまして、その一環として、去年、日本航空の民営化という問題もありました。それから国際線の複数社化であるとか、あるいは国内線の競争促進であるとか、そういうことが逐次今運ばれているわけです。  さて、日本とオーストラリアの航空協定で、最終的に十九・五単位が二十八の単位に拡大をする。私の持っている資料で間違いがあれば訂正をいただくわけですが、今までボーイング747ジャンボ、双方週九便、ボーイング767ジャンボ、日本とオーストラリアの共同運航週三便。新しい協定に基づいて、四月からボーイング747一便が増便されて就航をした、それから十月以降はボーイング747ジャンボが週三便、ボーイング767が週一便、これは共同運航。これは間違いないですね。
  69. 中村徹

    政府委員中村徹君) 先生がちょっとおっしゃり違いされたのかと思うのでございますが、十三便でございます、秋からは。今三便とおっしゃったように聞こえたんですが、十三便……
  70. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました、それは合計をしてね。前の九便と含めてですね。
  71. 中村徹

    政府委員中村徹君) はい。
  72. 穐山篤

    穐山篤君 そこで運輸大臣、問題があるんですが、この協定を締結した際に、日本航空が三便受け持ちましょう、うち共同運航が一便、全日空が二便、こういうふうになりましたね。そこでこの運政審の答申を念頭に置きながら、こういう場合の飛行機会社あるいは便数ですね、これはどういうふうな基準で、おまえさんのところは三便ふやしますよ、君の会社は一便ふやしますよと、こういう話になるのか。それは国内のコミューターを含めて幾つかの会社に、おまえさんのところがどこからどこまでは一便就航してよろしいと、こういうふうに現実運んでいるわけです。かつては四五、四七体制というものがあったわけですけれども、それが取り払われて、ある意味でいうと行政は、形の上ではですよ、強制力を失ってはおりますけれども、裁量の部分というのがほとんど一〇〇%になる、裁量が。まあきれいな言葉で言えば調整力、調整機能というものが十分働くという余地が逆に拡大をしてきた。こういう面で、それぞれの就航する便の割り当てをどうされるのか、この点まず冒頭お伺いします。
  73. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生、国際の航空路線で増便が航空協定上実現した場合に、既存の先発企業、それから後発企業、それについての便数等の割り当てについての御質問かと思うのでございますが、これについて、私ども定量的な基準というものを、物差しを持っているわけではございませんで、国際航空路線の複数社化につきましては、当面の考え方としまして、高需要、それからまたは大きな需要増というものが期待できる、そういう既存路線、これが大体複数社化の路線と考えられるわけでございますが、その際、相手国企業との関連におきますところの我が国の航空企業全体としての国際競争力の確保、それから利用者利便の増進というものを基本といたしまして、その路線の需要の動向とかあるいは各社の計画、各航空会社の計画、それから機材、乗員の状況とか、それから各社の経営に及ぼす影響といったものを総合的に考慮いたしまして、我が国に認められた輸送力の範囲内で便数を設定するということにいたしております。
  74. 穐山篤

    穐山篤君 林さん、今のお話を聞いて、すかっとわかる人は一人もいないと思うんですよ。何にも基準がないから。  そこで、きょうは時間がありませんから、私は問題の指摘をしておきたいと思うんです。  三つの航空プロジェクトができ、逐次完成していきますと、先ほど申し上げましたように、国際化というのは急激に拡大をしてくると思うんです。それで、当然のことでありますが、航空の問題にそこを当てはめてみますと、平たい言葉で言えば、路線の獲得という問題が起きるのは当然であります。それから、コミューターを含めてそれぞれの航空会社が、一たんもらった路線、便は手放したくない、こういう問題が起きます。それはその会社の権益という問題に発展をしていくわけです。去年は黒字ですからね、余り各社ともがたがた言いませんけれども、過去、日本航空が赤字であったこともあったわけですね。これからどうなるかも保証の限りではない。そうなりますと、路線の獲得競争、それから既得権化、権益というものが相乗して、問題意識として上るわけです。それから、コミューターなんかでは、私は赤字運航のところも将来出てくると思うんです。赤字のところは脱退をしたいと、こういう気持ちになるのもやむを得ない。しかし、今や公共交通機関の役割までコミューターは昇格をしているわけですから、赤字だからといってやめるわけにもいかない。しかし、民間の会社だから、国が補助金を出すわけにもいかない。そういうプラスの面とマイナスの面が出てくるわけです。  そこで、私が先ほど冒頭に申し上げました航空行政の裁量の問題、調整力の問題というのが非常に重要な位置を占めてくるわけです。まかり間違うとこれに政治力が加わってとんでもない問題に発展しかねない要素もはらんでいるわけです。アメリカのように参入も脱退も自由だと、かなりありました民間の航空会社がどんどんどんどん吸収をされて、最終的には七つから九つぐらいまでに寡占化されるだろうと思うんです。日本の場合には最初からもう寡占状況にあるわけですから、これ以上大きなものは参入をしないとは思いますけれども、なかなか自由に参入ができない。自由にその路線から撤収することができない。そういうがんじがらめに片方の問題があるわけです。  そこで、今申し上げている意味は十分おわかりのことだろうと思いますので、どうやって信頼される裁量権、調整能力を発揮するかということが課題だと思うんです。その意味で私は、局長大臣のこれからの方向性並びに決意というものを十分に聞かせてもらいたい、こう思います。
  75. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 確かに一昨年来推進しております競争促進政策というものを実際にこれを進めていくに当たりましては、かつてのいわゆる四五、四七体制というときのように分野が固定されているという状態から、ある意味で各社がそれぞれの分野に自由に参入できる、こういういわゆる競争促進というものを進めているわけでございますので、その分だけ各社の路線に参入したいという、そのいわゆる競争というものが激しくなってくるということは、これは客観的に言えるかと 思います。したがいまして、その場合、具体的な路線の免許を行うに際しまして、いわゆる行政当局の調整の余地というものが非常に大きくなってきておるということは、これは事実であろうかと思います。したがいまして、これが空港制約とかそういうものがないときはこれは別でございますけれども、現に日本の国情からいいまして、非常に空港能力に制限があると、いわゆる航空の交通容量というものに限界があるという状況の中では、特にそういう必要性が高いであろうということも言えるかと思います。  そういう状況から、私どもとしては、できるだけやはりこの行政というものについて客観性を持っていくということが一つと、それからもう一つは、やはり公正かつ厳正な態度でこの問題を処理をしていくということが特に求められているのではなかろうかというふうに思っておりまして、例えば国内航空路線におきます増便あるいは新規路線の開設に際しまして、いわゆるダブルトラッキングあるいはトリプルトラッキングというふうなことも進めているわけでございますが、その際には、当面例えばダブルの場合はその当該路線の航空旅客が年間七十万人以上とか、あるいはトリプルの場合は当面百万人以上とか、そういうできるだけ客観的な基準というものを私どもとしてはつくりまして、それに照らして判断をしていくということとか、先ほど申しました、繰り返すようでございますが、その際に公正かつ厳正な態度で臨むということを特に私どもとしては念頭に置いて行政を進めておるつもりでございます。
  76. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 四五、四七体制を廃止して規制を緩和はしたわけでありますけれども、アメリカのような完全なディレギュレーションとまた違いまして、今局長申しましたけれども、飛行場のキャパシティーの問題なんかあります。そこをやはり行政が調整せざるを得ないということでありますけれども、例えば羽田が七月から一本新しい滑走路があくわけでありますけれども、これによってどの路線を増便を許すかということも、これはもういろいろ注文もありましたが、利用率ということをあくまでベースにして厳正に選択をいたしました。これからも厳正、公正に事を図っていこうと思っております。
  77. 穐山篤

    穐山篤君 終わります。
  78. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  79. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  80. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 せんだっての委嘱審査の段階では、空と陸につきましていろいろ質問をさせていただいたわけでありますが、本日は、主に海を中心とした、造船その他につきまして質疑をいたしてみたいと思います。  我が国は貿易立国ということを言われておるわけでありまして、いずれにしても、輸出入どちらも、やはり空か海を経由して入ってくるというような形になるわけであります。最近、我が国の日本船の占める割合が非常に低下してきているということが言われておるわけであります。よく食糧問題につきまして、自給率が三分の一だと、まさに外国に胃袋を預けているような状態ではないかという議論がされるわけでありますが、こういう形で、我が商船の比率が低下していくということは、我が国にとっての手足の部分が非常に弱くなってくるという感じがするわけです。その背景には、やはり現在の賃金の問題、よく外国人労働力の問題が現在いろいろな角度で検討されておるわけでありますし、また同時に、国際化の中で産業投資、海外にいろいろな形で産業が進出していくという中におきまして、二十一世紀まであと十二年の間に六十万人ぐらい得べかりし雇用が産業投資によって喪失されてくるだろうという、そういう問題もあるわけでありますが、どうもこのところの比率の低下が、我々といたしましては非常に懸念されるわけです。  どういう理由によって低下してきているのか。また、その割合、比率というものがどういうふうになってきておるのか。また運輸省として、先ほど冒頭に触れました、我が国の経済の安全保障上どの程度の日本船が必要なのか、そういう問題についてひとつ聞かしていただきたいと思います。
  81. 中村徹

    政府委員中村徹君) 我が国の商船隊に占めます日本籍船の比率というのが近年低下しているというのは御指摘のとおりでございまして、昭和六十二年では外国用船の比率というのが四八%、日本籍船の比率が五二%ということで、日本籍船の比率が前年に比べますと三%の低下ということになっております。前年、六十一年におきましては日本籍船が五五%で外国用船が四五%というような状況でございました。数年の経緯を見ますと、大体五〇%台ではありますけれども若干ずつ低下してきておるということであります。  逆の数値で見ますと、我が国におきます便宜置籍国への譲渡船腹量というのを見てまいりますと、ここ毎年いわば日本籍船の船腹量を分母といたしまして便宜置籍国への年間の譲渡の船腹の量を分子といたします比率を計算いたしますと、こと十年ぐらい約五%ぐらいで推移してきたものが、ここ六十一年、六十二年と一〇%から一五%ぐらいに及んでおる。つまり、全体を申しますと、便宜置籍船の割合が非常にふえてきているというところが実態ではないかというふうに思われるわけでございます。  そこで、これがなぜそのような状況になったかという原因でございますけれども、やはり日本人船員と外国人、特に東南アジアの船員との賃金の比較をした場合、船員費の比較をした場合、そこに大きな差異があるということが原因ではないかと思われるわけでございます。例えば、一ドル百四十円で計算いたしまして二十四名の在来船で計算した場合には、全員日本人の船員を配乗すると二百四十万ドル船員費がかかるわけでございますが、東南アジアの船員を二十四名配乗すれば三十五万ドルで済むというような状況でございますので、やはりその船員費の差というのが今言った便宜置籍船の増加ということをもたらしているというふうに考えざるを得ないと思います。  もちろん、このような傾向というのは単に日本だけではございませんで、ヨーロッパ諸国等においてもこのような傾向、フラッギングアウトと申しておりますけれども、こういうフラッギングアウトの傾向が出ておりまして、これに対する対応策として、新船舶登録制度というようなものをヨーロッパ諸国がとってきているという状況はございます。我が国といたしましても、やはり日本籍船を最低限維持していくべきであるという考え方に基づきまして、何らかのこういうフラッギングアウト対策を講じなければならないということで、ただいま海運造船合理化審議会においてフラッギングアウトのワーキンググループ等をつくりまして勉強をしているところでございますけれども先生おっしゃったナショナルミニマムということになりますと、やはり我が国の経済社会が急速な構造変化の過程にあります上に、外航海運が世界的な船腹の過剰状況にあり、また、日本船の競争力が、先ほど申し上げましたように、発展途上国に比べまして著しく低下した状況にあるというようなところから考えまして、やはりどこをナショナルミニマムとするかというのは大変難しい問題であるというふうに考えておりますけれども、海運造船合理化審議会等の場において、今後さらに勉強をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  82. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私、昨年労働政務次官をやっておりましたときに、雇用対策協議会全国八ブロックに分かれましていろいろ事情調査したことがあるんですけれども、九州へ行きましたとき に、長崎の方から外航海運の船員が——長崎がたしか全体の一〇%ぐらいいるんですね、その次が鹿児島県。地域性があるんですよ。そういう人たちが、将来おかに上がってきたときにどうしようかという非常な危惧の意思表示があったのを思い出しておるわけです。  確かに賃金の問題が背景にあるのはわかるわけでありますけれども、これから二十一世紀まで、我が国が産業構造を転換していく中で、第二次産業から三次サービス産業に五百万人ほど労働力をシフトしていかなければならない、この間の失業を何とか、失業なき労働力の移動ということが非常に大きなポイントだし、もう一つは、この十二年の間に労働力人口は五百万人全体でふえるけれども、ふえる五百万人が全部五十五歳以上という高齢者になってくる。それと、さっき言いました、産業投資によって六十万人の得べかりし雇用の喪失という問題が出てくる。そういう動きの中で、ここにおきまして外国人労働力の問題。今外務、それから法務、労働と分かれましていろいろ意見交換しているんですけれども、月末には一定の方向づけをして、後は特別委員会でどう対応するかということをやっていくわけですけれども、この問題も、やはりそういう雇用の面から慎重に対応していくということが一つ。もう一つは、やはり我が国の経済の安全保障という面ですね。この辺はやはりしっかり頭の中に入れて対応していただきたいというふうに思うんです。  確かに今局長言われたように、いろいろ難しい背景があるだろうと思うんですが、その点を特に要望いたしておきたいと思うんです。  それと、造船が非常にここ数年世界的にも低迷をしておるわけですけれども、我が国はその中で特に厳しい状況に置かれておるわけです。どうも聞くところによりますと、かつての世界一の造船国日本が、昨年、韓国に一位の座を渡したんだという話を聞いたことがあるわけでありますけれども、その辺の実態というものが一体どうなっておるのか。その中身を、最近のデータをちょっと聞いてみますると、我が国で建造された船舶は、ほとんど輸出船になってきておるということのようでありますが、その辺の実態がどうなっておるのか、今後の見通しとか対策についてはどのように当局としては考えておられるのか、伺いたいと思います。
  83. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 最初に、昨年韓国が日本を抜いて船舶建造量で世界一になったという趣旨の報道がございましたけれども、あれは輸出船につきまして日本を抜いたということでありまして、輸出船と国内船を含めました全建造量では、まだ依然として日本の建造量が韓国を上回っておるというのが現状でございます。ただ、非常に造船の現状が厳しいということで、とりわけこの円高の問題が起こりましてから経営的に非常に苦しくなっておりますので、我々といたしましては、できるだけ需給のバランスを早く回復することが大事であるというふうに考えてやっておるわけでございます。  最後に御指摘の、特に国内船が減ってきたのではないかということでございますが、その点につきましてはおっしゃるとおりでありまして、最近三年間で申しますと、昭和六十年度には六百四十五万トンの船を受注いたしまして、このうちの四六%が国内船でありました。六十一年度につきましては、かなり受注量は減りまして四百八十三万トンでありましたが、このうちの二百六十三万トン、五四%が日本籍船であったわけですが、六十二年度になりますと、全体の受注量四百三十九万トンのうち国内船は五十三万トンということで一二%に減少しております。
  84. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 その輸出船の状況ですけれども、それをもうちょっと詳しく御説明いただけませんか。いわゆる外国に籍を移した、それのほとんどが日本からの発注になっておるわけなんですか。その辺の実態はどうなんでしょう。
  85. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 先ほど国際運輸・観光局長が申しましたのは、日本籍船として登録されておるものが外国、便宜置籍国へ売却されたというものでございますが、私が今申し上げましたのは、新たに発注された船、その中で輸出船と国内船がどうなっておるかということを申し上げたわけでありまして、最初から日本とは関係ない外国から発注の輸出船、それがどういうことになっておるかという比率でございます。  六十二年度について繰り返しますと、四百三十九万トンの新しい船を日本の造船所が受注したわけでありますが、このうちの五十三万トンだけが日本の船主さんから発注された新造船であったということでございます。
  86. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ただいま運輸大臣衆議院の本会議の方に御出席のようでございまして、せっかく久間政務次官が御出席でございますので、今やりとりいたしたわけですけれども、非常に我が国の造船需要が低迷をしておる、韓国を初め諸外国からの追い上げも厳しいわけでありまして、その中で、特に円高等で極めて厳しい状況に置かれておる、その中から海造審の答申に基づいて一定の施策を現在実施をしておられるわけでありますけれども、そういう中におきまして、我が国の造船業の現状と造船不況に対するこれまでの取り組み、こういうものをひとつ総括してお願いをいたしたいと思います。
  87. 久間章生

    政府委員(久間章生君) 先ほど委員指摘の、海運に従事する従業員数が長崎は非常に多いという話をされましたが、それと変わらず造船も非常に多いわけでございます。ところが、この造船業も、現在世界的に新需要が非常に減退しておるということと、特に我が国の場合は、円高によりまして非常に厳しい状況にあって、造船会社等もかなり合理化をやっているけれどもなかなかうまくやっていけないという非常に本当に厳しい状況にあるわけでございます。  運輸省としましては、そういうわけで昨年こちらの方にお願いして立法いたしました、そして四月に公布施行されました特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づいて、今後中長期的に過剰と思われる設備を、大体従来の設備の二〇%をともかく六十二年度中に処理をして、そして集約化を促進して造船業の経営の安定を図ろうということでやってまいりまして、おおむね六十二年度の末までにこの二〇%を上回る設備の処理の計画が実行に移されることになったわけでございます。  当面、とにかく先ほど言いましたように需要の環境が非常に厳しい状況にありますので、この需要面においても船舶の解徹を今後促進していく等の方法によりまして、何とか需要の創出を図っていきたい、そのように考えているところでございます。
  88. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 久間政務次官のところも造船が大変でございますけれども、実は私の方の山口県の方も非常に厳しい状況に置かれておるわけでありまして、そういう点では立場は非常に似通ったところがあるんです。  それで、昨年四月に公布施行されました、ただいま久間次官から御説明いただきました特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づきまして、六十二年度中に設備処理とかあるいは集約化等の対策を実施をされておるところでありますけれども、この対策の実施状況をお伺いいたしたいと思います。
  89. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 御指摘の、特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づく設備処理と集約化の実施状況でございますが、先月末、昨年度末までに八グループ四十一の会社につきまして実施計画を認定いたしました。この結果、我が国の特定船舶製造事業者、五千トン以上の船舶を建造する能力を有する事業者でございますが、これは昭和六十二年の四月時点で四十四社ございましたが、今回の設備処理と集約によりまして二十六社に減少いたしまして、当時この四十四社が二十一グループに分かれておったわけすが、このグループ数が八つに集約されることとなりました。  また、設備能力でございますが、かつて七十三基、標準貨物船に換算いたしまして六百三万トンの能力がございましたが、設備処理によりまして四十七基、四百六十万トンに減少いたしました。 先ほど政務次官がおっしゃいましたように、設備処理の目標二〇%を上回る二四%近い設備処理率となっております。
  90. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 設備の処理とか集約化等の実施状況につきましては今御説明いただいたわけでありますが、運輸省として、この問題についての評価とか今後の対策等についての決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
  91. 久間章生

    政府委員(久間章生君) 今回実施されまして、我が国の建造能力がこのように大幅に削減されましたことは、またその集約化を見ましたことは、各造船業にとりまして、その体質の改善に非常に貢献したというふうに思います。それと同時に、先ほどから局長から話があっておりましたように、世界の造船業の約半分を我が国が担っておるわけでございますから、そういう意味でも我が国と同様に困難な状況にある世界の造船業の安定にとっても非常に寄与するんじゃないか、そのように評価しておるわけでございます。  ただ、円高を初めとして我が国の造船業を取り巻く環境というのは、先ほどから言いましたように依然として厳しいものがございますし、やっぱりなかなか新規の需要というのが最近停滞しておりますだけに、我が国造船業が再活性化していくためには、まだまだこれから先の困難がたくさんあるわけでございます。そういう意味で、このグループ化、集約化、こういうのを契機として事業提携関係をもっともっと発展させ、あるいは強化する等、今回実施されました措置を踏まえまして事業者が今後とも一層の努力を行っていく必要があると、そのように私どもとしても認識いたしております。  また、先ほど言いましたように、運輸省としても、需要の創出等、造船業の経営安定化に努めてまいりたいと考えております。
  92. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 新聞を見ますと、何か二十日に海造審をやるというふうな記事が出ておりましたが、それはやはり今の次官の御答弁に関連したことなんでしょうか。
  93. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 先ほど先生おっしゃいましたように、今回とりました造船不況対策は、一昨年の海運造船合理化審議会の答申に基づいてやったものでございますので、今回、昨年度末をもちまして設備処理と集約化が一応終わりましたので、その結果について海運造船合理化審議会の方へ報告申し上げたいと考えておりまして、この報告が主たる内容になると思います。
  94. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今回の対策では、私の方の地元の笠戸ドックでありますとか林兼造船等、かなりの規模の造船所が新造船から撤退を余儀なくされたわけです。かつて日本経済の高度経済成長を支えた、各地に立地したそういう造船業が衰退をするということは、それぞれの地域に大変なダメージを与えておるわけです。  ですから、ここ数年間、地方の時代とかあるいは地域の活性化といううたい文句の中で、結果的にはやはり地域の県民所得が低下をせざるを得ない、そういう厳しい状況に置かれています。もちろん経済構造の転換、産業構造の転換という大きな過渡期にあるわけでありますから、その苦しみ、痛みに耐えていかなきゃいかぬことはわかっておるわけでありますけれども、これからやはり多極分散型国土づくり、これをやっていく上におきましても、やはり地域の経済の活力のもとになるそういう産業というものをこれからもう一度見直し、あるいはかなり痛手を負った者に対しては新しい芽を育てていくような手だてをしてやる必要があるだろうと思うんです。  法律には、対策実施に当たってその地域経済あるいは雇用に対する配慮がうたわれておるわけでありますけれども、具体的にどういう配慮がそういう問題に対してなされてきておるのか、その辺についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  95. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 御指摘のように、今回の設備処理あるいは集約化を通じまして、新造船から撤退した事業者の中には、おっしゃいましたように笠戸ドックあるいは林兼造船などを初めといたしまして、経営の継続が困難であるということで会社を解散するような措置を選択した事業者もかなりございます。これらの事業者は、いずれも事前に関係労働組合と十分協議いたしまして、雇用の安定に配慮しながら設備処理、会社解散等の手続を進めております。  具体的には、笠戸ドックあるいは林兼造船もそうでありますが、新造船以外の事業を行う新会社をつくる。当面はできるだけ技術が継承されるものということで修繕船が主たる事業になるかと思いますが、そういったことを行います新会社を設立して、従業員の一部はそこで雇用するということ。それから、設備処理を共同で行っておりますので、同じグループに属する他の会社から雇用を受け入れる。それから、親会社の協力によりまして求職活動を行うというようなことをやっております。  また、政府側といたしましても、現存する雇用関連の諸制度を活用いたしましたり、また地域中小企業対策のいろんな処置を適用するというようなことをいたしまして、雇用あるいは地域経済に与える影響をできるだけ少なくするように努力しておるところでございます。
  96. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 しかし実態的には、例えば山口県を例にとりますと、林兼造船のある下関、それから笠戸ドックのある下松、これはやはり有効求人倍率が県内の市町村では最も低いという厳しい現実があるわけなんです。実際に造船がこう撤退していく段階で、本来なら、地域性もある程度考えた対応が実はしてほしかったと思うんです。しかし、これは先ほど御説明がありましたように、四十四社を二十六社に集約した、二十一グループを八グループに集約した、その段階でそういうグループごとの採算性の問題、自由経済の原則に基づいてのそういう淘汰がなされる、これはやむを得ないことだと思うんですけれども、実際は、やはり地域のバランスをある程度とってそういう対応ができれば一番よかったと思うんです。  しかし、地域経済の再活性化で、そういう形で修繕の方向に撤退せざるを得ないというそのときには、せっかくのそういう修繕施設であるとかすぐれた技術の集積とか、いろいろなものがあるわけですね。造船に附帯したいろんな施設もあるわけです。そういうものは有効に利用しながら、次なるその地域の再活性化に向かって、その立場に置かれた者が最善の努力をしていかなければいけないというふうに思うんですけれども運輸省立場から、そういう造船所が撤退した後の地域の活性化につきまして、港湾の再開発等の面でいろんな施策が講じられる可能性があるだろうと思うんです。またそれをぜひやってもらいたい。だから、せっかく出そうな芽を、例えばレジャーでもいいです。そういうものを積極的にやはり伸ばしていく努力政策面から私は必要だというふうに思うんですけれども、その点について、ひとつ見解をお伺いしたいというふうに思います。
  97. 奥山文雄

    政府委員(奥山文雄君) 御指摘のとおり、造船工業等の跡地につきまして、水際部の活力が大変低下してきているというのが見受けられるわけでございます。これらの不活性化した臨海部を再開発するということが大変大事なことだというふうに認識しておりまして、その場所におきまして産業の転換や土地利用の転換を図ることによって地域の再活性化を図るべく、いろいろな検討をしているところでございます。  ウォーターフロントという特殊な場所、そういった特性を十分に生かすことによってそういう活性化が可能になるのではないかというふうに考えておりまして、昭和六十三年度におきましては、こういった臨海部の活性化のための事業、臨海部活性化事業と私ども称しておりますが、そういった事業を推進するために、公共事業の重点配分には十分配慮することはもちろんでございますが、民間活力の導入を図るということから、いわゆる民活法の特定施設整備事業であるとか、あるいは民間都市開発推進機構等による事業制度を導入いたしまして、さまざまなプロジェクトの展開に役に立っていきたいというふうに考えているところ でございます。  なお、今回改めていわゆる収益回収型のNTT無利子貸付制度も導入することが可能になりまして、いろいろな手だてが整いつつあるということでございます。今後これらを活用することによりまして、その地域性を十分生かした臨海部を総合的に開発し、活性化を図ってまいりたい、さように考えているところでございます。
  98. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 設備処理を今実施しておるわけですけれども、当面の間は新造船の需要がやはり低迷することが予想されるわけですね。だから、その仕事量の低下をカバーして雇用を維持していくためにも造船業の新規の需要を換起していくことが必要であるというふうに思うんです。例えば、いろいろ空港建設なんかのときにそういう造船の技術を利用して新しい形の飛行場をつくっていくとか、あるいはちょっとしたヘリポートとか、さらにコースタルリゾートとかウオーターフロントの中に海洋構造物をどんどんつくっていく。海上での生活も考えていくような新しい分野の需要の創出ということが私は必要であろうというふうに思うんですけれども、造船業に対するそういう運輸省としての需要創出に対する取り組み方を伺いたいと思います。
  99. 間野忠

    政府委員(間野忠君) ただいまおっしゃいましたように、設備処理というのは中長期的に過剰となる設備を廃棄したということでございまして、当面は仕事量が不足しておるということで、やはり依然として需給のアンバランスが残っておるわけであります。そのアンバランスを解消するためには、おっしゃいましたように船舶以外の何らかの需要を考えなきゃいけないということでございまして、やはり当面造船所の仕事量の不足を補うためにはまず解徹を促進することが重要であろう。これはまた余剰船腹の解消にもなりまして、結果的に新しい造船需要を起こすことにもなるということで、ここ十年来、造船事業者が行います解撤事業に対しては補助金を交付してこれを促進するということをやっております。  そのほかにも、ただいまおっしゃいましたような新規のプロジェクトといたしまして、海洋構造物、例えば空港などもいろいろ研究しておるわけでございますが、空港につきましてはやはり陸上につくる場合に比べまして若干コストが高くなるというようなこともあってまだ実現しておらないわけでありますが、先生から例示されましたような、例えば海上の浮体の上につくりましたホテルでありますとか、あるいはスポーツセンターと駐車場を兼ねたようなものでありますとか、幾つか具体的なものが浮かんでおりまして、そういったものに対しましては開発銀行を経由いたしましたNTT株の売却益による無利子融資というようなものも適用していただくことを考えております。  また、開発途上国向けの作業船でありますとかフェリーでありますとか、世界的に見て別に過剰なものではなくて、開発途上国で必要となるような船舶の建造プロジェクトというようなものは積極的に発掘いたしまして、これをもって仕事量の不足を少しでも補いたいというふうに考えて努力しておるところでございます。
  100. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 造船業の不況対策、いろいろと御努力をいただいておるわけでありますけれども、今回、船舶整備公団法の一部改正を提出されるわけですけれども、これもやはりそういう造船の多面的な利用といいましょうか、再活用といいましょうか、そういう部分と関係があるんだろうと思うんですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  101. 塩田澄夫

    政府委員(塩田澄夫君) 今回の船舶整備公団法の改正は、造船不況下におきます造船企業の技術、施設を活用しつつ推進していくことが可能な事業に関するものでございます。  これによりまして余剰船舶等を、駐車場、ホテル、レストラン等に使用する係留船として活用して行う事業を支援をしていきますことは、造船業の需要の創出にも寄与するものと認識をいたしております。
  102. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 運輸大臣が昨年「新潮」に「生還」というのを書かれまして、それも私、読ませていただいたんですけれども大臣の御本には必ず海というものが出てくるわけですが、先ほど来いろんな形で議論しておるんですけれども、これからの我が国において、大いなる四全総、多極分散型国土づくりの中で、海を中心として果たしていかなきゃいけない運輸省の役割は非常に大きいと思っているんですよ。  先ほど局長の御説明がありましたように、港湾におけるウオーターフロント開発のためのさまざまな施策を研究、検討しておられるようでありますけれども、まさに二十一世紀に向けて港湾における開発をどのように行っていくのか。これは日本国民にも非常に大きな夢を与えることであると思いますし、三万三千キロからの海岸線を持つ我が国として、当然二十一世紀に向かってやっていかなきゃいけない非常に重要な施策だと思うんですけれども、これにつきましての方針、ビジョンというものをお伺いをいたしたいというふうに思います。
  103. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 前川リポートなどでも、これから日本人のライフスタイルを変えていこうという提唱がされておりますし、また、そのための一つの大きな眼目がレジャーと。まあレジャーはいろいろございますけれども、その中で、海のレジャーということは非常に大きな比重を持つわけであります。  ですから、与党にもマリーナ議員連盟などもできましたし、それから運輸省政策の中に、ニュー・ウオーターフロントということを提唱しております。ただ、日本の場合には海象が非常に激しい海域でありますから、なかなかほかの国のように海岸線を新しく開発して利用するといっても、実は言うに易しく行うは難しいことは非常にございますが、日本の世界に誇る技術をもってすれば新しいアイデアも出るでしょうし、また、先ほど松岡委員が言われました新しいニーズの開発ということもできると思います。  また、聞くところ行革審では、この港湾並びにニュー・ウオーターフロントの整備開発を進めるために、とかく問題があります漁業権、これに対する積極的な検討が今行われていると聞きますけれども、こういったものも世界に例を見ない形であるわけでありまして、ある意味で制限もし、公共のための施設が水際に積極的に構築されていくような、そしてまたそれに沿って造船界も新しい可能性を開発していくことができますように、運輸省もまた参加して努力したいと思っております。
  104. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 運輸省港湾局の「コースタルリゾート」というこのパンフレットで見ますと、これからの我が国におけるレクリエーション活動の中で、海上・海中遊覧、洋上旅行、それからキャンプ、ボーティング、トローリング、ウインドサーフィン、こういうものが将来ずっと伸びていくであろうというふうな予測があるわけです。  現実に日本各地で、こういう地域の活性化のためにヒラメの養殖とか、レジャーレジャーといろいろ言っておるわけなんですよ。だけど、実際にそういう設備をつくっていく段階、あるいは釣り一つとってみましても、従来の漁協と新しいそういう需要との整合性を持たしていかなきゃいけないいろんな問題が出てきますね。海岸線の所管も、運輸省あり、水産庁あり、そして建設省ありという形でありますから、その辺の連携とか整合性を持たせた使い方も必要だし、片方で一般国民がレジャーと言っても、やはり漁民にとってはそれは生業の場でもあるわけなんです。ですから、これからこういう事業あるいはレクリエーションを進めていく段階で、私は、その辺の調整も総合的に必要な時代が来るだろうというふうに思っておるわけでありまして、積極的なそういうお取り組みをお願いしたいというふうに思うんです。  その中で一つ、このプレジャーボートの普及率を見ますと、ノルウェーが千人に対して百六十一隻。日本は二・一と非常に低いわけですし、これから伸びていくということを聞いておるわけでありますが、これの安全対策につきまして最後にお 伺いして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
  105. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 海上保安庁におきましては、従来からプレジャーボートの安全対策について、安全パトロール、あるいはプレジャーボート用の海図の刊行等を行ってまいりましたけれども、今先生指摘のように、今後プレジャーボートを中心とした海洋レジャーが非常に進展し、特にプレジャーボートは市民生活の重要な一部になると考えられますので、こういった海洋レジャーをバックアップするという見地から、海上保安庁でも救助用の巡視船艇の整備、あるいは航路標識、灯火の整備等、ハード面を含めた総合的な施策を講じてまいりたいと考えております。
  106. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ありがとうございました。
  107. 安恒良一

    ○安恒良一君 まず、経企庁に伺いたいんですが、六十年九月のプラザ合意以降の円高、それから原油価格の下落によるいわゆる差益とその差益の還元状況。それから還元をされた主要な内訳ですね、例えば電力とかガスとか。それらについて、還元の内訳、それから還元額、これについて説明してください。
  108. 冨金原俊二

    政府委員冨金原俊二君) プラザ合意以降の円高差益がどのように発生し、それがどのように還元されたかというお尋ねでございますが、私どもの方で一つの仮定を置きまして計算をしているわけでございますが、基本的な考え方を申し上げますと、プラザ合意前、つまり六十年九月以前一年間の経済構造といいますか、あるいは輸入構造、産業構造が変わらないという前提を置きまして、それで、その後価格、つまり原油の値段が非常に安くなったとか、あるいは円高が進んだという場合に、どれだけ差益が発生をしたであろうかという計算をしてみたわけでございます。  その場合に、原油と原油以外というふうに分けて計算をしておりますけれども、六十年の十月以降今日までの原油安による差益の発生額が、昨年の十二月までで十一兆一千七百億という計算をいたしております。それから原油以外の分野で、つまり円高というふうにお考えいただければいいかと思いますが、それによって差益が発生したと考えられるものが十八兆二千八百億ということで、合わせまして二十九兆四千五百億、まあ約三十兆円という差益がこの二年有余の間に発生をしているということでございます。  これに対しまして、差益の還元の考え方でございますけれども先生承知のとおり、経済が中成長と申しますか、大体三ないし四%、四、五%の成長を遂げて比較的経済が落ちついているという時期は、たまたま第二次オイルショック後の五十七年から九年ぐらいの間でございますが、その時期を見てまいりますと、消費者物価は約二%強上昇しているわけでございます。ところが最近、御承知のとおり景気はいいわけでございますが、それでも中成長ということでございますので、こういった中成長のときに、普通であれば二%弱の上昇が行われるときに、最近は円高やあるいは原油安の影響で物価は非常に落ちついているということでございますので、その差額分は価格に還元されたというふうに考えまして試算をしているわけでございます。  その場合の試算のやり方でございますが、個々の細かい問題について試算をするという形ではなくて、マクロ的にGNPの構成項目、具体的に申し上げますと消費とか投資とかあるいは輸出とか、そういった分野で大きくくくりまして試算をいたしておるわけでございますが、消費につきましては還元額は約十一兆七百億、それから投資部門で四兆六千七百億、まあ細かい端数については計算上幅を持って考えるべきだと思いますが、輸出については四兆七千七百億、合わせまして二十兆五千百億という計算が出ております。まあ二十一兆ということでございますので、総じて御説明を申し上げれば、差益の発生に対して還元が累計では約七割程度という試算をいたしておるわけでございます。ただし、期を追って還元の率は高まっておりまして、例えば最近の六十二年の十—十二月というふうに直近を考えますと、その差益の還元率は約九割近くという感じにはなっているわけでございます。  それから、先生のお尋ねの二点目の、具体的にどういうところで差益の還元を行ったかということでございますが、これにつきましては、先生も御承知かと思いますが、一番大きな項目としては、やはり何といっても電力、ガスの三回にわたる還元でございます。それで、その三回にわたる還元につきまして御説明をいたしたいわけですが、個々の細かい御説明は省きまして、一応直近の、つまり六十三年一月以降の一年間平年度ベースで見ますと、還元額は約二兆六千億という計算をいたしております。その前に、六十二年の一月に暫定の二回目の値下げをいたしておりますが、この場合には一年間で約一兆八千六百億、約一兆九千億ぐらいの差益還元という計算をいたしております。もう少しさかのぼりますが、六十一年六月、ここから差益還元をしたわけでございますが、そのときには、これは六十二年三月までと、ちょっと重なっておりますけれども、約一兆八百六十億というような還元になっているということでございます。  それから、主なものを幾つか申し上げたいわけでございますが、一つは問題になっております輸入牛肉の差益還元ということでございますが、これも六十一年度、六十二年度というふうな差益の還元を実施しております。六十一年度につきましては、一応二百六十億程度という差益の還元を行っているわけでございます。  それから、例えばこれは差益の還元そのものと言えるかどうか議論はいろいろございますが、国内航空運賃、これは運輸省の方でいろいろ何回もお願いをしてやっていただいているわけでございますが、そういったものについての内外格差の是正ということも広い意味での差益還元と申しますか、メリットの還元になろうかと思います。  その他、例えば石油製品の値下げの問題とか、あるいは小麦やあるいは国際航空運賃、国際通信、金の値下げとか、国際郵便の値下げとか、いろいろ努力をいたしておりますが、細かい点について説明がもし必要ならば、後ほど御説明させていただきます。
  109. 安恒良一

    ○安恒良一君 いや、時間が四十分しかないからね。資料をいただいているから細かい点はいいから。  そうすると、差益の未還元額は約八兆九千億ぐらいあるんじゃないかと思うんですが、これは今後どのように還元をしていくつもりですか。
  110. 冨金原俊二

    政府委員冨金原俊二君) 差益の発生と還元につきまして、これも先生よく御承知かと思いますが、我が国の場合には、原材料を輸入いたしまして、それを製品にして消費者の手元に届くというまでに、物によって差はございますが、平均をいたしますと大体七カ月から八カ月ぐらいの期間がかかるわけでございます。したがって、現在、例えば先ほど申し上げた三割程度は形の上では還元されていないということでございますが、時を追って消費者の段階に届いていくという形のものでございますので、完全にパイプの中に詰まってしまって届かないということではないと思います。  一般的な経済の場合には、これはかなり価格競争が激しゅうございますから、そういった価格競争の過程を通じて最終段階まで徐々に還元が浸透していくのではないかと考えておりますが、例えば政府が所管をしております公共料金等につきましては、これは料金の査定等を通じまして厳しい形で中身をよく見ながらできるだけ価格の引き下げとか、あるいは引き上げやむを得ざるものにつきましては、その中身について厳しい査定を行うという形で消費者に還元をするということでないかと考えておりますし、今後もそういう方向で取り組んでいきたいと考えております。
  111. 安恒良一

    ○安恒良一君 今の約三〇%未還元があることはあなたも認められて、私の計算でもそうなるんですが、どういうふうにして返していくかということについて、今の御説明ではちょっとなかなか国民にはわかりにくいと思うんです。ですからこれは、きょうは主として運輸のことをやろうと思っ ていますから、また改めてやりたいと思いますが、やはり、例えば電力とかガスとか食肉とか、こういうのは国民の目にみんな映るわけですね。ところが、経済の仕組みの中で変えていくというやつはなかなか国民の目に映りませんからね。やはりこの円高のメリットというものを、差益還元というものを私はできるだけわかりやすくあれをした方がいい。これだけちょっと言っておきます。  そこで具体的に聞きたいんですが、今ちょっと言われたんですが、航空三社に対する円高の差益還元というのは、具体的にどういうふうにしていますか。これはひとつ運輸省、経企庁から答えてみてください。
  112. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 航空三社の円高差益の問題についての御質問でございますが、円高とそれからもう一つは原油安、この二つの要素があろうかと思うんですが、最近の円高が急激に進行する直前の、要するに比較的為替相場が安定しておりました昭和五十九年度、この時点と、それから直近の決算データのございます六十一年度、この二年間を比較いたしてみますと、まず燃油費、油でございますが、これについては、航空三社国際、国内合計で千四百三十五億円程度のいわば負担軽減があったというふうに思われます。それからさらに、これに機材費あるいは海外での整備費あるいは海外での人件費、そういうものの減少分も含めますと、総額で円高あるいは原油安ということによるメリットが二千百十七億円程度、この程度の費用軽減があるというふうに見ております。  さらに一方、航空企業の場合特殊な事情がございますが、国際線の収入につきまして、一部これは外貨建てで収入が入ってくるという点がございます。そういたしますと、外貨建て収入につきましては、円高に伴いまして逆に差損が生ずるわけでございまして、これがこの二年間で千六十一億円程度というふうに試算をしております。したがいまして、これを相殺いたしますと、円高等によりまして航空三社の収支に与える影響というものは千五十六億円、大体一千億円程度の収支改善効果はこの二年間の間にあった、いわゆる円高あるいは原油安ということに伴なう効果が約一千億円程度あったというふうに試算をいたしております。  また一方、この二年間を見てみますと、五十九年度から六十一年度にかけまして、このほかに需要増に伴います収入増というものが一方ございます。と同時に、一般的な費用増というものが、特にこの二年間は競争促進政策等によりまして種々の設備投資等も行われております関係もございまして、費用増もございます。その関係で、五十九年から六十一年、この二カ年にかけて見ますと、三社の合計の収支はむしろ若干悪化をしておる、五十九年度に比較して六十一年度は百三十六億円程度の悪化が見られるというのが実態でございます。  ただ、六十二年度につきましては、最近の非常な需要の堅調ということを反映いたしまして、これより若干収支は改善されるものというふうに見ておりますけれども、六十一年度と五十九年度を対比するとそのような収支状況になっておるということでございます。
  113. 安恒良一

    ○安恒良一君 べらべらべらべらしゃべられちゃっとわからない。だから後で、円高による収入面のマイナスは航空会社にどれだけある、また逆に、円高による支出面でプラスがどうなっているのか、そういう点を、具体的かつ数字的な資料を届けてほしい。それによって私は判断をしたいと思います。  そこで、今度運輸省が四月から五月にかけて日本発の国際運賃を二から一〇%値下げする。一方、外国発をこれ二・三%から二四%値上げして、方向別格差の是正をしたと、こういうのを私先日新聞で見ました。もう時間がないから、その概要をどく簡単に説明してみてください。
  114. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先生今御指摘のように、ごく最近、国際航空運賃の方向別格差是正につきまして措置をしたわけでございますが、ほとんど全路線にわたって格差是正措置を講ずることにしたわけでございます。  その内容につきましては、まず第一に既に実施に移したもの、それからさらに近々実施が決定されているものという範疇でございますが、それといたしましては、中国線につきまして日本発六%の値下げ、それからオーストラリア線につきまして日本発五%の値下げ、それからさらにこれにあわせましてオーストラリア発一〇%値上げということがございます。そのほか、ニュージーランド線、香港線、欧州線等についても措置をいたしております。  それから第二に、現在相手国政府の認可を待っておる、そういう状態のものがございまして、これは既にIATA協定化されておるわけでございますが、相手国認可待ちというととで早期に実施することが想定される、そういう範疇のものとして、インド・パキスタン線、これについては日本発五%値下げ、それから相手国発五%値上げということでございまして、あとマレーシア線等がございます。  それから第三の範疇といたしまして、今後早期にIATA協定化を図った上で両国政府の認可を得て実施すると、こういう範疇のものといたしまして、むしろこれに主力を置いているわけでございますが、東南アジア六カ国についての日本との間の運賃でございますが、これについて日本発を一〇%値下げをする、それから韓国線につきまして日本発を一〇%値下げをする、韓国発は三%値上げ、こういうことを中心といたしまして、あと台湾線、太平洋線等について全般的に措置をするということにしたわけでございます。
  115. 安恒良一

    ○安恒良一君 そんなのは後から表にしてもらえばいいわけですから、一々読み上げたらいかぬよ、それは。  そこで僕は、どうも聞いていると内容が極めて不十分だ。例えば日本と香港の路線を見ますと、今度日本発の運賃が往復で一〇%下げられる。ところが今度は、香港からこっちへ来るやつは七%引き上げられていますね。そうしますと、日本発の運賃を一〇〇としますと、香港発の往復運賃は、従来が四二・七だったのですが、今回の措置で約五〇・九%になったわけですね、今回の措置で。これが是正と言えるんだろうか。一〇〇にできるだけ近づけるという意味で、その是正した結果が九〇とか八五になった、こういうことだったら私はこれは是正ができたと思うんですが、どうも今回の是正措置というのは極めて不十分だと思いますが、この点、運輸大臣どうお考えになりますか。今具体的な路線で、一つのいわゆる運賃の問題を取り上げてみたんですが。
  116. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 今回の措置は、相手国との関連を考慮した上で当面とり得る措置をやったものでございますけれども、ですから路線によっては、改善の措置が必ずしも十分とは言えないと思います。  ただ、香港の場合、私も非常に疑念を感じまして、詳しくその説明を聞きましたんですけれども、ここでまた説明すると非常に厄介でございますが、また後で局長が伺って御説明申し上げますけれども、どうもやはり為替の強弱というものがもろに運賃に反映してくるので、香港と日本の場合には極端な差があるわけですけれども、ヨーロッパなどは、多少の強弱の差が生み出す発地国建ての運賃の格差というのは無視してやっているようでありまして、それもひとつ御了承願いたいと思います。
  117. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、この方向別格差の是正というのは、本来の円高差益の還元の策ではないと思う。日本発の運賃を下げるかわり外国発の運賃を上げますからね。これそのものが円高の差益還元をしたことには私はならぬと思う。あくまでも片方を下げて片方を上げるんですから。しかしそれにしても、余りにも、一〇〇対六〇なんということでは、私はこれはいけないと思うんですね。一〇〇対六〇なんて。  そこで次に、えらい航空会社がもうかっていないもうかっていないと言われますが、その経営の 中身を少し議論しながら私は運賃値下げについて申し上げてみたいと思うんですが、航空三社の六十年度、六十一年度の燃料費というのは言われましたが、六十二年度は、燃料費は大体どのくらいになりますか。見込みで結構ですから。——六十年と六十一年、今挙げられましたね。六十年が二千六百三十二億、六十一年が千四百九十六億。六十二年は大体どのぐらいになりますか。
  118. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 先ほど私申し上げましたのは、燃料費についての差益還元額と申しますか、円高原油安による二年間のいわゆる負担軽減額を申し上げたわけでございます。  今先生お尋ねの六十年度、六十一年度、六十二年度の航空三社の燃料費そのものの総計でございますけれども、これを申し上げますと、三社の燃料費は、六十年度が二千六百六十一億円でございます。それから六十一年度が千五百十二億円でございます。それから六十二年度は、御指摘のとおりまだ決算が出ておりませんのであくまで見込みでございますが、千五百億円弱。六十一年度の千五百十二億円に対して、これより若干少ない額になろうかというふうに見込んでおります。
  119. 安恒良一

    ○安恒良一君 それで大臣、六十年から見ると、ここ毎年燃料費が、航空三社で約千二百億ずつ安く上がっているわけですね。これをまずちょっと記憶しておいてください。  そこで航空局長、六十三年三月決算の全日空、日本航空、それから日本エアシステムですか、四月から。これの黒字はどの程度と予測されていますか。
  120. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まだ実は数字が固まっておりませんものですから、なかなか確定的な数字を申し上げにくいわけでございますが、一つには、昨年の十一月の時点で中間決算をしたときに見込んだ年間の経常利益の額がございます。それにつきましては、日本航空の場合、その時点で百七十億というふうに見込んでいたわけでございますが、これは最近の状況から見ますと、恐らく、これを百億円ちょっと上回る額がプラスになる。百七十億プラス百億円ちょっとというところではなかろうかというふうに見ております。二百七十億円からそれより若干上回る程度かなというふうに見ております。全日空につきましては、同じく中間決算時に年間の利益を百四十八億というふうに見込んでおりましたが、これは恐らく最終的にこの数字を若干、数億ないし十数億程度上回る額になろうかと思います。それから旧東亜国内航空でございますが、これにつきましては、中間決算の時点で三十九億というふうに見込んでおりましたが、これにつきましても恐らく最終的にはこれを数億上回る程度の額になろうかというふうに見込んでおります。
  121. 安恒良一

    ○安恒良一君 大臣、今言われたとおり、日本航空が約二百五十億から六十億、全日空が百五十億、日本エアシステムがやはり約五十億と、これみんな、一つは円高による経費削減、それから円高による海外旅行ブーム等々がかなり、もちろん企業努力もありますが、私は差益になっていると。この数字もひとつ覚えておいてもらいたいと思う。  そこで、日本航空を民営にするとき、私たちがここで議論をしましたね。そのとき、六十二年度を初年度とする中期計画が私の要求でここに出てきたんですが、民営化の初年度に当たって、日本航空はどのぐらいの利益を出すと当時説明したんでしょうか。
  122. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 日本航空の中期計画でございますか、それに基づいての数字でございますが、六十三年度……
  123. 安恒良一

    ○安恒良一君 六十二年度。
  124. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 六十二年度でございますか、ちょっと今六十二年度手元に数字がございませんのですが、至急探して答弁申し上げます。
  125. 安恒良一

    ○安恒良一君 じゃ、私の方から言いましょう。  六十二年度、経常利益の損益四十億と出していますね。六十三年度百八十億と。これは日本航空自体がここに提出して議論した数字なんです。  ですから大臣、ちょっと見ていただくとわかりますように、当初計画四十億だと、こう言っておったんですがね、そういうものがもう既に二百五十億前後にこれ膨れ上がっているわけですね、率直に言って。だから、私は非常に結構なことだと思うんですよ、日本航空がたくさん稼いでいるというのは結構なことだ。私は、民間会社ですか利益を出すなとは言いません。しかし、当初考えておった四十億が二百数十億になったら、まあ四十億を差し引いた残りぐらいについて、私はやっぱり利益を差益還元としてやっていくと。その主要な原因は一つは、燃料費が大きく安くなったんですね。それから二つ目には、いわゆる円高による海外旅行ブームというもの。そのいろんな要素に助けられて、国会に提出した資料をはるかに上回る利益を——これはわかりやすいので私は日本航空を挙げているわけでありますが、東亜国内航空にしてもどこもみんな同じですから。  その意味から言いますと、私はやはりこの際、国内を含めた運賃の基本料金の値下げ。値下げというのは還元という意味の値下げですよね。私はそういう意味のことを今の経営状況から見ると考えてしかるべきところへ来ているんじゃないかと思いますが、この点どうでしょうか。——大臣に。
  126. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 実際に承った数字を比べますと、まことにそういう感じがいたします。一部には、配当するならその分運賃を下げろという声もあること、確かに承知しておりますし、また、会社によって事情が違うと思います。特に、TDAのような会社は、別に特別肩を持つつもりはございませんけれども、内部の方から聞きますと、初めて配当することで低利の金がこれから借りられるとか、会社の信用というものの確保ということもあるようでございますが、いずれにしろ、航空業界全体が最初の見込みより利益を上げているということならば、これはやはりお客様に何らかの形でそれが還元されるべきだと私は思います。
  127. 安恒良一

    ○安恒良一君 そこで大臣、私は値下げの方法で少し注文をしておきたいんですがね。大臣だからそういうふうにすぱっと言われていますが、恐らく航空局長に答弁させますと、それは割引運賃制度を国内はうんとやっていますと、こういうことを恐らく言うんじゃないかと思いますが、私は運賃の割引制度というのは、これは国民全体に対する還元ではないと思うんですね。なぜかというと、これは需要の喚起政策でありますし、まあ利用者へのサービスの一環であることは間違いありません。しかし、全体にやるということになると、やはり私は基本運賃を下げるべきじゃないか。  ただ、例えば、大臣ごらんくださったかどうかわかりませんが、これ、私見本に持ってきたんですが、電力料金やガス料金は、あなたの使ったのは幾らで、そして今回の円高差益の還元は幾らというふうに、ここにちゃんとこういうのをくれるんですよ。基本料金が下がりますからね。これ、見本で持ってきて、人の名前はちょっと消してありますが。そうすると、なるほどと、電力料金、ガス料金については円高のメリットで自分が使ったものの中でこれだけ返してもらったなと、国民みんなわかるんです。ですから航空運賃もそういうふうに航空運賃のチケットに、いわゆる基本料金の割引を明記をする。というのは、今申し上げたように、ことのところになって経営が物すごくよくなっている。その大きな原因が原油、いわゆる油代の問題であるということでありますし、その他円高による利用者が、国内外とも非常に旅行者が、まあ国内の円高というのはありませんが、旅行者が特に外国の場合は円高メリットということでふえていますから。  ですから私は、航空会社が予想を非常に上回る利益を上げているわけですから、その一部を、国民にわかる形で航空料金の基本料金の値下げをするというふうにぜひやるべきだと思いますが、この点どうでしょうか。
  128. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 割引運賃につきましては、ただいま先生指摘のとおり、これは需要喚 起が主体でございますから、おっしゃるとおりこれはいわゆる利益の還元ということにはならないと思います。  基本運賃の問題でございますけれども、これにつきましてはごく最近まで、すなわち六十一年度までは航空三社の収支状況も非常に低迷をしておったということがございまして、六十二年度は非常に需要がふえてきたということ、それを背景といたしまして若干従来と違った様相を呈してきた。まあ利益がかなり見込める、こういう状況になったわけでございます。  そこで、これからの問題でございますけれども、六十二年単年度の収支だけを見て、今直ちに基本運賃を下げることが果たして妥当であろうかどうかということになりますと、ちょっと私どもにはやはり疑問があるわけでございまして、これからの為替の変動の状況、あるいは原油価格の今後の推移、そういうものも十分見きわめる。さらに航空会社の収支の状況をもう少し見た上でその辺の対応策を考えた方がいいんじゃないか、そのように考えているわけでございますので、ぜひ御了解いただきたいと思います。
  129. 安恒良一

    ○安恒良一君 恐らくそんな答えが返ってくるだろうと思ったけれども。  では、今のこの六十二年度当初、例えばわかりやすく日本航空を例に言うと、四十億と踏んでおったのが二百何十億上がった。それでは六十三年度、六十四年度において、今のこの円高の傾向、円ががっとまた昔のように下がるかというとないですね。むしろ私はまだ上がりはしないか、円がですね。円高になりはしないかという心配があるわけです。それから燃料も、急にこれ上がるという見通しは全然ないですよ、燃料も。そうしますと、今の航空三社の経営状態というのは、よくなることはあっても、六十三年度や六十四年度に経常利益が減ったり悪くなるという見通しはないんですよ、これは。悪くなるという見通しがあるならば、例えば円が不安定であるからということであるとか、原油の国際価格が物すごく変動があるとかいうなら、航空局長、あなたがおっしゃったようにちょっとあと一、二年見た上でということになると思いますが、当初四十億ぐらいの経常利益を出したいと言っておったのが——それは努力もあると思います、民営になって。努力もあると思いますけれども、二百何十億も利益が出てきているんですから、その傾向がここ一、二年は僕は続くことは間違いないと思うんです。  そうすると、続いているときに基本料金をやはり幾らかでも下げて、電力やガス会社がやっているように、やはりあなた、本来の運賃ならこうだけれども、この分は下げていますよということを国民に示すと。それはなぜかというと、やはり民間会社ですから、自分の方でこういうものを下げようということにはなかなかならないんです。例えば電力、ガスにしても、これは今言われたように、やはり経企庁なり通産省の行政指導があって下げているわけなんですよ。ですから、航空三社に関して、何といったって行政指導はやはり運輸省ですからね。運輸省みずからがその気持ちをお持ちにならぬと、あなたのようにまだあと一、二年様子見てからにしたいなんと言っておったら、これはとても下がるものじゃないですよ。  ですから私は、やはり通産省と経企庁が一緒になって電力、ガス料金を思い切って下げていきよるわけでしょう、これ。ですからその意味からいうと、私はやはり航空運賃も運輸省の許認可事項でありますし、しかも今日、航空というのがいわば公共交通と同じぐらいの重要なウエートを国内外とも占めていますわね。その意味からいうと、私は今言われたことについて、ちょっといましばらく様子を見てということじゃなくて、大臣、これはもう官僚に言わせればああいうことになりますから、私はやはり思い切ってこの基本料金をこの際下げて、国民に円高差益のメリットを還元する、航空運賃においても。そういうことがあることが私は国民がこの問題について納得する重要な方法だと思いますから、最後に大臣のお考えを聞きたいと思いますが、どうですか。
  130. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 原油価格がこれから上がるのか下がるのか、それから円高はなおこれから進むのかというような、運輸省の管轄をはみ出した非常に大きな問題でありまして、そういう情報もできるだけ正確にとらなくちゃいけないと思います。また、競争が激しくなるから、そのための設備費にお金がかかるという見込みもありますけれども、しかし、アメリカのような完全な自由化と違って、ある意味で限られた会社の中での、何と言うのでしょうか、競争ということになれば、確かに競争は今まで以上に激しくなると思いますけれども、そのことでそうべらぼうに経費が食うというものでもないのではないかとも思います。  ですから、先ほど申しましたように、もう少し多角的に精度の高い情報をとって、それによって判断するということで、いずれにしろ私は運輸省の代表というよりも国民の代表でございますから、運輸省の中でもあくまでも国民の側に立って物事を考えていきたいと思いますし、そういう点で事務方ともある場合には討論もしながらこの問題について積極的に向かい合っていきたいと思います。
  131. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは大臣、その方向でぜひ努力をしていただきたいということを、運輸委員会はいつまでも続くわけですから、何回もまた質問しなきゃならないことになると思いますから。  それでは終わります。
  132. 中野明

    中野明君 最初に、大型公共事業の日米実質決着について、運輸省関係のものをちょっと質問していきたいと思います。  まず、昨年の十一月に、関西空港の問題と東京湾の横断道路、今回NTTの本社のビルがリストアップされているわけですが、この関西空港の発表した手続が米国にとって満足のいくものであるということ、これが下敷きになって今回の決着に落ちついたんだろうと思うんですが、関西空港の手続がどのように簡略にされたのか、あるいはアメリカに理解が得られるような方法になったのか、その点からお答えいただきたいと思います。
  133. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 関西空港の調達手続につきまして、まず、日米間のいろいろの問題が出たわけでございますが、これについては昨年の十一月の時点で実質的には決着を見まして、今回、形式的にもこれについて決着を見たということでございます。  その中身につきましてはいろいろ細かい点たくさんございますけれども、要するに、その発注に関する情報、あるいは指名競争入札とかあるいはその他の情報をできるだけ公開をしていくということが一つでございます。  それからさらに、例えばその指名から競争入札までの期間をできるだけたくさんとる。要するに、余り短期間ですと見積もりが十分できないということもございますので、その間できるだけ期間をとるというふうなこと等いろいろございますけれども、要するに、発注に関する手続について透明性を確保していく。できるだけ透明な手続をとっていく。それによって外国企業が参入しやすいようにしていくというところがポイントでございます。
  134. 中野明

    中野明君 それで、今回の合意で入った公共事業とそれからこの民間第三セクターのプロジェクトですね。その中で運輸省関係、特に関係するところはどれとどれですか。
  135. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回米側と合意を見ました中身のうちで、一つには、まず公共事業についてできるだけ外国企業の参入を容易化するために、特定の七つのプロジェクトについて特例措置をとるということがございます。  その対象七つのうち運輸省関係といたしましては、一つ東京国際空港、羽田でございますが、この沖合展開事業の第三期工事分、それから二つ目は新広島空港、それから三つ目は横浜みなとみらい21事業のうちの一部、この三つでございます。
  136. 中野明

    中野明君 それから、いわゆる民活というんですか、その中では、幾つか入っていますね。
  137. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回の協議で、以上の大規模公共事業に関連いたしますところの民間事業あるいは第三セクター事業というものについても、できるだけ外国企業の参入を歓迎する、こういうことで内外無差別の調達をしよう、政府としてもそのことを勧奨すると、こういうことにしたわけでございますが、一応その該当プロジェクトとして七つ挙げられております。  そのうち運輸省関係は、一つ東京国際空港、羽田でございますが、第二期、第三期のターミナルビル、それから新広島空港のターミナルビル、それからこれは将来の問題でございますが、新北九州空港のターミナルビル、以上の三つでございます。
  138. 中野明

    中野明君 それで、一つだけ私疑問に思っておるのは、今お答えにもありましたように、内外無差別の調達方針として、いわゆる東京国際空港の二期と三期、それから新広島空港ターミナル、北九州空港ターミナル、これら七項目あるわけなんですが、これについて、政府としてはこれらをまあ勧奨すると、こういうふうに日本語では書かれているんですけれども、勧奨するという意味はどういう意味に受け取ったらいいんですか、その辺はどうでしょう。
  139. 林淳司

    政府委員(林淳司君) これにつきましては、要するにその対象となる事業が民間企業である、あるいは第三セクター、これについても商法上の民間企業でございますが、そういうものに対して何らかの強制をするということは、政府としてはこれはできないという大原則はあるんです。したがいまして、これらの会社が自発的に内外無差別の調達方針をとるということについて、政府側としても、まさに文字どおりこれをお勧めするということでございまして、あくまでもそれを会社に対して強制をするということではない。また、そのことについて米側にそのことを約束するとか、あるいは保証するということも今回一切行っていないということでございます。
  140. 中野明

    中野明君 適当な言葉がないから勧奨という言葉になったのかなと思っているんですが、言葉の意味から考えたら、勧奨というのは相当強引に勧めていって強制的にやらすんじゃないかというように私たちは一応受けとめられるんですが、その辺は、これ英語ではどう書いてあるんですかね。
  141. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 英語では、この勧奨というのはエンカレッジという言葉を使っておるわけでございますが、まさにこの点が、米側と非常にぎりぎりの議論が行われた点でございます。アメリカ側におきましては、この点について日本政府が何らかの影響力を行使するということをぜひやれと、こういう強い要望があったわけでございますが、日本側としてはそれは一切できないと。要するに、民間会社に対して政府は強制介入することは制度上一切できないということで、あくまでこれはお勧めをする。要するに強制力を伴わないそういうお勧めをするということしかできない。そういう議論を随分闘わした結果、このエンカレッジという言葉を使ったということでございます。双方そういう理解のもとにエンカレッジという言葉を使ったということでございます。
  142. 中野明

    中野明君 そうすると、これは民間ですから、今局長の答えで素直にそのとおり受け取っておってよろしいわけですね、アメリカもそれで了解済みと。  それからもう一つは、このモニターをして、そして二年後に所期の目的を果たしているかどうか検討するというんですが、そうしますと、モニターをして二年後に結果が出ておらぬということになるとこれは大変なことになるわけなんですが、その辺はどう考えたらいいですかね。勧奨という意味が相当強いものに響いてこないかなというふうに心配をしているわけですけれども、その点はどうでしょう。
  143. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回の協議におきまして、お説のとおり、二年後に今回の一連の措置が、外国企業が建設市場にアクセスをすることについての容易さというものを確保しているかどうか、その辺の所期の目的を達しているかどうかということについてレビューをするということになっているわけでございますが、このレビューについては、あくまで現段階でどういう状況になればということを申し上げるのは非常に難しいわけでございまして、二年の間に、あるプロジェクトではそれなりの実績がまた上がってくると思いますし、それからその他のプロジェクトにおきましても、結果は別にして、機会の均等ということについては十分理解を得るようなそういう手続が行われるということもございましょうし、そういう二年間の措置の実施状況、これは我が国としては、今回こういう合意をした以上それを誠実に履行するということでございますので、その履行状況を踏まえてその時点で判断をするということになろうかと思います。
  144. 中野明

    中野明君 それからもう一つは、アメリカとは話がついたわけですが、他の外国ですね。ECとか、まあ東南アジアもあるでしょうし、その外国との関係は、やはり内外無差別ということでやれるんですか、どうですか。その辺のことについては、何か歯どめになるようなことはあるんですか。
  145. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 今回は日米間のみでこういう合意をしたわけでございますけれども、こういう措置について、じゃ、第三国にどうするのかという問題につきましては、本来日本の制度、これは民間はもちろんでございますけれども、公共事業についても内外無差別の制度であるということがまず大前提にあるわけでございます。そして、今回日米間でその公共事業の手続の一部について特例措置を講ずるということにしたわけでございますが、この特例措置につきましても、原則としては各国に開かれていると。要するに、各国に可能性としては開かれているということでございます。その際、しかし実際の運用に当たりましては、それぞれ相手国の制度、実態といったものが我が国に対して開放的であるかどうかというととを十分判断いたしまして、ケース・バイ・ケースでこれは考えていくという問題であろうかというふうに思っております。
  146. 中野明

    中野明君 そうすると相手が自由にしているかしていないか、あるいは公共事業は開放しているけれども民間は開放してないとか、そういういろいろ事情がありますから、それに見合った状況で日本の国としては判断していると、それでよろしいんですか。
  147. 林淳司

    政府委員(林淳司君) まあ原則として各国に開かれているという原則のもとに、今おっしゃったように、具体的にケース・バイ・ケースで相手国の日本に対する開放状況というものを踏まえて判断をするということでございます。
  148. 中野明

    中野明君 それでもう一つは、これは最後に大臣にお尋ねをしておくんですが、米国の日本企業がこの交渉の最中に締め出されているわけですね、交渉をしている最中に。これ結局それはもう効力を発生して、締め出されて終わりということになっているわけなんですが、今後の問題について、日本の企業を締め出すということは一応これで、この問題以降はもうないというふうに考えてよろしいですか。
  149. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 苦労して両者が長いこと話し合った結果、一応合意をして妥結といいましょうか、この形を見たわけですから、これから先、これが正確に履行される限りにおいてアメリカが、先般のニューヨークの地下鉄でございましたか、ああいう形で日本側を締め出すということはあってはならないと思いますし、また私たちはないと確信しております。
  150. 中野明

    中野明君 じゃ、次の問題に移ります。  もう一つの問題は、ボーイング機の製造ミスとかあるいは事故の問題について、ちょっとお尋ねをしたいわけです。  アメリカのボーイング社製のジャンボ機などが、ボーイング747と767ですか、これが相次いでミスとか故障が発見されておるわけですが、我が国の航空機の主流をなしておりますこのジャンボ機について、今日まで掌握されたミスの状況、欠陥の状況等を報告してください。
  151. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ボーイング社の製造機で、過去一年間に我が国で発見されました製造ミスに起因すると思われるいわゆるふぐあい、これにつきましては、ボーイング747型機について七項目で七機、それから767型機につきましては四項目で十一機、合計いたしますと十一項目十八機という状況でございます。  中身については、詳細は省略いたしますけれども、いろいろ計器の配線ミスとか、あるいは貨物室に対する消火系統の配管のミスとか、いろいろございますけれども、いわば作業過程における作業ミスというものがほとんどでございます。
  152. 中野明

    中野明君 これは我が国の航空機の主流をなしているわけでして、ボーイングは三年前でしたか、あの日航機の事故も起こしていますし、どうしてこういう単純なミスが起こってそれを発見できなかったかということなんです。  先日も日航の社長が社長名でボーイング社にあてて書簡を送って、回答を追っているというふうに報道では伝えられているんですが、これは運輸省としては、書簡の内容について具体的にお聞きになっていると思うんですが、ちょっとその内容を御説明ください。
  153. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 日本航空の社長からボーイングの会長あてに書簡を出したわけでございますけれども、その中身は、ボーイング社のいわゆるボーイング747、これでナセルの温度計の配線ミスがあった、あるいは767で貨物室の中の消火システムの配管ミスがあったといったような例がある。これらの例については、製造あるいは品質の欠陥によるふぐあいということであって、これらの易正策をどうするか、それからボーイング社の品質管理体制の改善をどうするかということについて報告を求めたと、こういう内容だというふうに聞いております。
  154. 中野明

    中野明君 今までこういう例はあったんですかね、過去に。民間の会社の社長が相手に向かってそういうことをしているということ、そういう前例はあるんですかね。
  155. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 社長から直接会長とか社長あてにこういうレターを出したという例は、今までないようでございます。その下の方のレベルでやったという例はあるようでございますけれども、社長から出したという例は初めてでございます。
  156. 中野明

    中野明君 だから、これはよほど重要視している証拠だろうと私どもも思うわけですが、今回の問題はやっぱり配線の取り違えというようなごく初歩的なミスですけれども、やっぱり欠陥商品には違いありません。しかも、空を飛んでいるんですから、もし事故が起こったらこれはもう全滅というようなことになるわけです。それが、日ごろから定期検査もしておる、それにかかわらず、今回、大分たってからわかったということですから、そういう点についての定期検査のあり方というんですか、どうしてこれわかったというふうに聞いておられますか。
  157. 中村資朗

    政府委員中村資朗君) お答えいたします。  そこら辺のミスが発見をされましたのは、同機が導入をされました以後の運航の中で、整備点検がいろいろ行われるわけですけれども、A点検とかB点検とかあるいはC点検と、こう言っておりますが、その点検の中で順次発見をされてきているということでございます。
  158. 中野明

    中野明君 それは日本がその飛行機を購入してからかなり飛んでいると思うんですね。それで、どうして一番最初にわからなんだんだろうかという疑問を私たち素人なりに持つんですが、その点はどうなんでしょうか。
  159. 中村資朗

    政府委員中村資朗君) ものによりましては、パイロットが直接目で見て確認をして、これは間違っているなという事例のものもあったわけでございますけれども、ものによりましては、目に見えないところでシステムが走っておるということでございますので、これにつきましては、定時点検のさなかに見出したということかと思います。
  160. 中野明

    中野明君 見つかった中で、一番古く購入した年代というんですか、それはどれくらいのものになっているんですか。
  161. 中村資朗

    政府委員中村資朗君) 正確な数字を覚えておりませんが、ただいまのところ日本航空で一番古く飛んでいる機体で申しますと、五万七千時間あるいは八千時間ぐらいに達しておると思います。
  162. 中野明

    中野明君 ですから、そんなに飛んでおって、それで初めて検査でわかったというような、そういう点を僕は非常に心配するわけですね。もう購入して最初に検査をして、二、三回飛んでというんならわかるんですけれども、相当古いのが最近になって、取りつけミスがあったとか、そういうような事態が出てきているわけでして、それで結局日本航空の社長も、ボーイング社に直接苦情といいますか要請をしたということになるんじゃないかと思うんですけれども、その点はどうなんですかね、そういう発見がおくれるということは、やっぱりどこかに落ち度があるというんですか、いいかげんな点検をしているんじゃないかという心配を私はするんですけれども、その点はどうお考えになっていますか。
  163. 中村資朗

    政府委員中村資朗君) ちょっと今の私の答え方で誤解を招いたかと思いますけれども、A点検あるいはB点検、A点検といいますのは非常に短い時間でございますが、B点検が二百五十時間だったと思います、それからC点検は三千時間でございます。新規の新しい飛行機を買いましてC点検、三千時間の時間に到達するまでほぼ一年ぐらいかかっておるわけですが、この間で見つかるケースが非常に多いわけでございます。C点検がかなり大きな点検でございますので、その中で見つかってくるという事例が非常に多い。  これにつきましては、やはり、領収検査をもちろん会社としてもやりますし、航空局としても耐空証明検査ということで実施をいたしますので、その中で、製造過程におけるいろいろなミスというものはできるだけつぶすわけでございますけれども、実態としては完全につぶれなかったということでございますので、今回ボーイング社の副社長などの言明もありますとおり、最終的ないろんな検査とか、そういう検査項目の中で、検査のやり方その他をほぼ全項目にわたって見直しをする、こういうことによって、何らかの今後の製造ミスを少しでも減らしてまいろうと、こういうことでございます。
  164. 中野明

    中野明君 日本の重立った会社ですね、日本航空、全日本空輸、それと今名前が変わったんですが東亜国内航空、その三社で幾ら持っているんですかね、この747とそれから767は。
  165. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 我が国の航空会社が現在運航しておりますボーイング747型機につきましては、これは八十七機でございます。それから同じくボーイング767型機、これは四十一機でございまして、合計いたしますと百二十八機ということになっております。
  166. 中野明

    中野明君 それはもう一度全体的に検査をやり直すという、そういうお考えですか。
  167. 中村資朗

    政府委員中村資朗君) 事例が出てまいりましたものについてはもちろん全数検査をやっております。それから、わからない項目も結構あるわけでございますが、ボーイング社としては、検査の手順その他を全機的に見直しをしたいと、こう言っておりますので、今後新しい手順が出てまいりますれば、それなりにさかのぼって必要なことがあればやるということになるかと思います。
  168. 中野明

    中野明君 大臣ね、事故が起こってからではしようがないんでね、今度は幸い事故につながっていないから、あるいはまた考え方によったら単純なつけかえのミスだとかそういうようなことだからといって軽視なさらぬように、あれだけの大きなものが空を飛んでいるんですから、どこか故障があったらすぐ操縦士に感じると思うんですけれども、それが今までわからずに、調べていたら線のつけ方が間違っておったとかね、そういうことがあるんで、ぜひこれは運輸省としてももう一遍飛行機を持っているところに指示を出して、それでやっぱり改めて全部やり直す必要があるんじゃないだろうか。これだけの問題で、もう社長としても腹に据えかねてボーイング社の会長に手紙を 出したんでしょうから、それも初めてのことだというふうに今お答えになっているわけですから、相当会社としても会社の生命にもかかわるぐらいに大事に思って出されたんでしょうから、ぜひこれはもう一遍。そうせぬと、これ日本の主流をなしているわけですから、その点の総点検を命じるようにお願いをしたいと思います。
  169. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 本当にじかに人命にかかわることでございますから、できるだけ徹底した点検を行うように指導していきたいと思っております。
  170. 中野明

    中野明君 それじゃ、この問題はこの程度にとどめます。  次に、コミューター航空に関連してお尋ねをいたしたいと思います。  まず、六十三年度予算で、コミューター空港の建設助成金が新規に五億円計上されておるわけですが、その具体的な事業内容を説明願いたいと思います。
  171. 林淳司

    政府委員(林淳司君) ただいま先生指摘のように、六十三年度予算でコミューター空港に対する助成費として五億円が計上されております。これは新しく六十三年度からコミューター空港に対する助成制度を創設したわけでございますが、その内容は、コみューター空港の建設費の四〇%、これにつきまして、いわゆるNTTのBタイプというやつで、NTTの株式売却益の無利子貸し付けを行う、それで、その償還については、償還期が来たときに空整特会からこれを償還していくと、こういう制度で、実質的には四〇%助成ということになるわけでございますが、そういう制度に基づいて六十三年度五億円が計上されたわけでございます。  その五億円の対象空港といたしましては、鹿児島県の枕崎空港、それから兵庫県の但馬空港、この二つの空港を予定いたしております。
  172. 中野明

    中野明君 それで、この枕崎空港と但馬空港の二つが今回の対象になっているわけですが、完成は何年度になりますか。
  173. 林淳司

    政府委員(林淳司君) たしか三年ないし四年程度だったと思うんですけれども、正確には後ほど調べて御報告を申し上げたいと思います。
  174. 中野明

    中野明君 枕崎と但馬と二つあって、枕崎の方は六十四年度ぐらいにはもう完成するようなふうに私は聞いているんですが、但馬は六十八年度ぐらいということです。同じように計画をして、どうしてこれ差ができるんだろうかと素朴な疑問を持つんですが、その辺はどうでしょうか。
  175. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 枕崎の場合には、既に用地買収がほとんど済んでおるというような特殊事情がございまして、そういうことで割と完成時期が早いということではなかろうかと思います。
  176. 中野明

    中野明君 それで、但馬空港の場合で想定をしますと、この路線としてはどのようなルートを考えておられるんですか。
  177. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 但馬空港をコミューター空港として採択する際の地元計画といたしましては、やはり大阪に対するアクセス、この但馬地域というのは大阪との間の連絡が非常に不便でぜざいますので、大阪に対するアクセスということ、これを主眼に考えておるということでございまして、まあいろいろ、伊丹空港につきましても乗り入れについて環境問題その他ございますけれども、可能であれば伊丹空港との間も結ぶというふうな路線を主体に考えておるということでございます。
  178. 中野明

    中野明君 伊丹空港は、これ受け入れできるんですかね、どうなんでしょう、その辺。せっかくコミューター空港はつくった、けれども肝心の伊丹空港が受け入れ能力がないということになると、これつくってみてもしようがないという感じもしないでないんですが、その辺は大丈夫なんですかね。
  179. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在、伊丹空港の発着枠と申しますか、これは一日三百七十回ということになっておりまして、そのうちジェット機が二百回、それから百七十回が非ジェット機と、こういうことになっております。  ジェット機の枠については今満杯でございますけれども、非ジェットについては、百七十のうち大体百四十回ぐらいを現在使っておるということで、若干まだ余裕があるわけでございますので、その余裕を使うことが可能ではなかろうかということでございますが、これはトータルとしてやはり騒音問題というものがどうなるかという問題とも絡んでまいりますし、その辺のところを最終的にもう少しよく調査をし、地元との調整も行った上で、可能であれば実施をしていくということになろうかと思います。
  180. 中野明

    中野明君 コミューター航空というのはこれまで離島航路を中心に運航されてきたわけですが、しかし昨年の四月に我が国で初めて都市間のコミューターとして西瀬戸エアリンクが運航されておるんですが、この西瀬戸経済圏の広島、松山、大分を結びつけたコミューター構想で、我が国初の試みということから大変な関心は呼んでおるんですが、どうも経営収支状態が思わしくないというふうに聞いておりますが、広島—大分、広島—松山、この平均搭乗率というものはどういうふうになっていますか。
  181. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 西瀬戸エアリンクでございますが、三つの地点を結んでおるわけでございますが、一つまず大分—松山、これについては利用率が約二九%程度、それから松山—広島につきましては一九%程度、それから広島—大分、これが三六%ということで、平均いたしますと二八%程度の利用率ということでございます。
  182. 中野明

    中野明君 経営収支がこれでは、非常に採算がとれませんね。コミューター航空というのは採算性というのが一番ネックと言われておるんですが、これを証明した形になっているわけなんですが、運航成績が芳しくない要因は、運輸省としてはどう見ておられますか。
  183. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 現在行われておりますコミューター航空でございますが、大部分が離島路線でございます。これについてはいわゆる代替交通手段がほとんどないということからそれなりの経営成績を上げておるわけでございますが、この西瀬戸エアリンクの場合は、これは海越えということではありますけれども、いわゆる離島路線ではないということから、ほかの輸送手段、特に広島—松山については高速船が並行して走っておるわけでございまして、これとの競合ということもあろうかと思います。そういうふうな特殊な状況のところを除きまして、それ以外の路線につきましても、具体的に、例えば大分の場合で言いますと、大分空港と大分の市街地との間、これはかなり離れておりまして、例えばホーバークラフト、陸上のバス、あるいはその他の乗用車ということになりましてもかなり時間がかかる。そういうことになりますと、やはりコミューター航空でやってきて、それからそのアクセスに非常に時間がかかるということでありますと、その場合にやはりそれだけの効果が減殺されてしまうというふうなこともあろうかと思いますし、いろいろ特殊な事情があろうかと思います。  会社側の方としては、私ども聞いている範囲では、予約販売体制、これをもう少し強化する。いわゆる営業体制が非常に弱いということがありますので、そういう営業体制を強化していくということ。それから運航ダイヤが旅客のニーズに必ずしも合っていないという面があるようでございまして、そういうダイヤを旅客のニーズに合ったダイヤに設定し直していくということ。それからいろいろ割引運賃を導入していくというふうなこと。そういうふうなことを会社の方としてはこれから実施していきたい。  さらに、地方公共団体もこういうコミューター航空についてバックアップを積極的にしていきたいということで、広島県とかあるいは大分県等におきまして、かなりいろいろなバックアップ体制をとっていくようにしていきたいというふうなことを私どもとしては聞いております。
  184. 中野明

    中野明君 四全総でも、ヘリポートを含めて今後五十から七十カ所程度整備していくという計画をしておるんですが、現状のままでは、これどう も採算も合わぬし、絵そらごとに終わってしまう懸念があるんですが、せっかく出始めたコミューター航空の芽をうまく引き出していくと、こういう責任が国にもあるんじゃないか、このように思います。  それで、今いろいろ言うておられるわけなんですが、コミューター航空としての財政的な援助というのは今申されたとおりなんですが、将来の問題として、コミューター航空の位置づけですね、これを明確にしてきちんとした助成制度を確立するか、それとも、何かこうNTTの金で今一時的にやっているんですが、これは永久のものではありませんので、第三種空港と同等の助成方式にするとか、あるいは一定の補給制度、利子補給制度というんですか、それを導入するとか、早急に検討する必要があるんじゃないだろうか。そうしないと、国の方で指定をしてつくっていく、利用する人は限りがある。そうするとせっかくつくったのがもう何にもならない。あるいは運賃の関係でもうお手上げになってやめてしまうというようなことになっても、これせっかくやりかけたのが何にもならないということになるんですが、その辺の点はどういうふうにお考えになっていますか。
  185. 林淳司

    政府委員(林淳司君) やはりコミューター航空は、今先生が御指摘になりましたように、採算をどうやって確保していくかということが一番最大の課題であろうかと思います。通常の定期便に比べますとどうしてもやはり飛行機が小型でございますので、座席当たりの単価が高くなってしまうということで運賃も非常に高くなるわけでございまして、そういう点から、どうやってその需要を確保し採算をとっていくか、これが一番の課題であろうかと思います。  それでそのためには、やはりこの運航を試みようとする運航事業者、あるいはコミューター航空というのは非常に地域的な輸送手段という色彩が強いわけでございますので、地方公共団体、こういうところが十分その市場調査をして、事業として成り立ち得るようなそういうコミューター航急路線を選定していくということがまず必要でありましょうし、同時にまた会社側としても、従来の発想を超えたいろんな創意工夫というものも必要でございましょうし、あるいは地方自治体におきましてもいろんな形での地域的な支援策というものを考えていくことが必要であろう。  そういう地域を主体とする航空でございますが、同時にまた長い目で見れば、これもやはり重要な一つ交通手段であるということではあろうと思いますので、そういう点から、私ども国といたしましてもやはりそれ相当の支援措置を講じていく必要があるだろう。今回とりましたコミューター空港に対する助成措置というものも、そういう考え方のもとに創設したわけでございまして、そのほかに今回いろんな意味での融資制度、要するに地方自治体以外の者がコミューター空港をつくる場合の低利融資とか、そのコミューター航空事業者がコミューター航空機を購入する場合の低利融資というふうな制度も今回創設したわけでございまして、そういうことを含めて総合的にこういうコミューター航空というものが将来できるだけ事業として成り立ち得るような環境を整えていくということが必要であろうかと思っております。
  186. 中野明

    中野明君 次に、コミューター航空に関連して、農水省では農道空港という考え方を持っておられるようなんですが、六十三年度の予算にも何がしか予算措置がなされているようなんですが、この農道空港の考え方と今後の進め方について、農水省おられましたら説明をお願いしたいと思います。
  187. 森本茂俊

    説明員(森本茂俊君) 近年、農産物の消費地への空輸量がふえております。今後、その傾向はますます強まるものというふうに考えております。また、農業の生産面におきましても、薬剤や肥料の散布に小型航空機の利用が見込まれるところでございます。  そこで、このような農村における航空機利用の需要にこたえるため、農道の一部を拡幅して、航空機が発着できる施設を農村部に整備していきたいというふうに考えているわけでございます。  今後の進め方でございますが、六十二年度におきましては、農道離着陸場の希望地区、これが六地区あったわけでございますが、気象でございますとか地形、周辺交通網の状況等の立地条件でございますとか、それから空輸の対象として想定される農産物の生産見通し、それから空輸出荷の経済性、地元の態勢等の調査を行っているところでございまして、で、これらの調査につきましては六十二年度中に取りまとめを終えまして、その調査結果を踏まえまして、この六地区につきまして六十三年度から全体実施設計に着手することにしております。
  188. 中野明

    中野明君 運輸省は、この農水省の農道空港構想ということをお聞きになっていると思うんですけれども運輸省の考えを聞かせてください。
  189. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 農林水産省のいわゆる農道離着陸場——豊道空港ではなくて農道離着陸場でございますが、この構想は、専ら農林水産物の輸送の合理化あるいは農作業の効率化、こういうことを図るために行うものであるというふうにまず理解しております。それからさらに農道の線形、これを基本的に維持しながら、拡幅して整備をして、これを臨時的にその航空機の離着陸に使用すると、そういうものであるというふうに承知をいたしております。  整備後も農道の用に供しまして、その傍ら臨時的に航空機の離着陸にも利用するという場合に、その農道は専ら航空機の離着陸の用に供するためのいわゆる航空法上の飛行場ではございませんので、したがいまして、航空法第七十九条ただし書きに該当するわけでありまして、その規定によって、飛行場以外の場所における離着陸の許可、これを受けて利用する施設と、そういうふうな位置づけで私どもは受けとめております。
  190. 中野明

    中野明君 そうすると、道路交通法との絡みはどうなるんでしょうか。道交法ですから警察ですかね、おられましたら。
  191. 橋口俊二

    説明員橋口俊二君) 今御指摘になりました農道の離着陸場でございますが、そのような構想があるということは聞き及んでおりますが、御指摘のとおり、道路交通法との関係が出てこようかと思います。そういうことで我々関心を持って検討しておるところでございます。  ただ、何しろ道路に航空機が離発着するということは初めてでございますし、具体的な中身をまだ伺っておりませんので、これは具体化に応じまして検討を進めたいと、こういうふうに考えております。
  192. 中野明

    中野明君 農水省はもう予算をつけてやろうとしているわけですから、そんなのんきなことを言っておったら困るんでして、もう具体的に走り出そうとしているわけですから。その点を私は一番心配をしているわけです。  要するに農道の——空港とは言わぬようですからなんですけれども、農道利用の空港ですか、あるいはコミューターは運輸省の所管ですね。それで、一番懸念されるのは管制のあり方、それから今の安全性の問題ですね。最近は小型航空機による事故も多発しておる傾向にもあるわけで、なおのこと安全対策面においては関係省庁の連携協議体制というものを確立すべきであると、このように考えるわけですが、警察の方も早急にお願いしますね、これ。
  193. 橋口俊二

    説明員橋口俊二君) ちょっと言い方が不十分だったかと思いますが、消極的ということではございませんで、先生が申されました利用の形態とかあるいは管理の形態、それから管制の形ですね、そういうようなことについて具体的に承知しておりませんので、それによりまして私ども道路交通法との関係が、例えば通行禁止とかあるいは道路の使用許可とか、いろいろ形が変わってきますので、そこらを承知しておりませんので、これから詰めてまいりたいと、こういうことでございます。
  194. 中野明

    中野明君 航空局長のお答えでは、航空法上の対象外というふうに答えられたというふうに私聞 いたんですが、今後これを整備していこうとするならば、航空法上の明確な規定を置く必要はないのかどうか。それとも現在もうあるのかどうか。対象外という見解でおられるのか。その辺をちょっと。
  195. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私先ほど申し上げましたのは、航空法上の飛行場ではないということでございます。したがって、航空法七十九条ただし書きがございまして、いわゆる飛行場以外の場所で離着陸する場合には、その都度運輸大臣の許可が必要でございます。そういう意味では航空法の対象でございます。  したがって、具体的に農道離着陸場が使用される場合には、その航空法七十九条ただし書きの規定に基づきまして、離着陸を行う場所の位置でありますとか、広さあるいは強度、あるいは離着陸に支障を及ぼす周辺の物件の有無といったものを十分審査しまして個々具体的な許可を行っていきたいと、このように者えているわけでございます。
  196. 中野明

    中野明君 要するに、コミューター航空もようやくこれから実施が始まろうとしておりますし、運輸省においても、航空審議会に小委員会なんかをつくっていろいろ勉強はしておられると思うのですが、今の農道を利用しての飛行機の発着という問題も含めて、総合的な位置づけを明確にして、国が果たすべき役割も一定のルールをつくって促進すべきではないかと、こういうふうに私は考えておるんですが、その点はいかがでしょうか。
  197. 林淳司

    政府委員(林淳司君) 私ども基本的には、航空機による旅客輸送というものは、航空法上の飛行場、これは第一種から第三種の空港もございますし、それ以外の無種空港もございますし、それから今度のようなコミューター空港、これも航空法上の飛行場でございますし、あるいは公共用のヘリポートもございます。そういう航空法上の飛行場において航空旅客輸送は行われる、これが基本であろうというふうに考えております。  ただ、今回の農道離着陸場につきましては、これは先ほど申しましたように、私どもとしては専ら農産物の流通の合理化あるいは農作業の合理化、そういう目的のために農道を一時的に使用するものであるという認識をいたしておりますので、そこは先ほど申しました航空輸送という問題とはちょっと次元の違う話であろうというふうに考えております。
  198. 中野明

    中野明君 大臣、農水省はどういうふうにお考えになっているか、これもお聞きせなならぬのですけれども、こういうのが次々に出てきてかなりややこしい。小型航空機の事故なんかもふえていますし、何か安全対策の上からも一定の枠をはめる必要があるんじゃないかというふうに私は思うんです。  大臣がお答えになる前に、農水省としては、今航空局長がおっしゃったように、将来も専ら農産物を運ぶだけという考えでおられるのか、それとも、将来の問題についてどうお考えになっているのかお聞きして、それで大臣の答弁をお願いします。
  199. 末松雄祐

    説明員(末松雄祐君) 私ども、農道離着陸場というものを考えましたのは、農道を利用いたしまして、航空機によりまして農産物を出荷することによりまして幾らかでも農産物の付加価値を高くすることができるんじゃないか、そういう発想でいろんな検討に入ったわけでございます。  そこで、六十二年度に予算がつきましてもろもろの調査をやってまいったわけでございまして、安全管理の面とかあるいは将来の輸送の経路とか、そういうものにつきましては、今後とも運輸省なり警察庁と十分に協議しながらやってまいりたいと考えております。
  200. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) この農道空港ですか、これに関しては運輸省と農水省との間にいろいろ申し合わせがあるようでございますけれども、私は、要するに飛んだ方が非常に便利だと思うんですよ、もちろん安全は確保しなくちゃいけませんけれども。  実は、私は沖縄の慶良間に友人と二人でコミューターの空港をつくりました。渡嘉敷島のところです。一たんつくりますと非常に便利で、皆さんに評価をしていただいたんですけれども。まあ松山、広島、大分のああいう比較的中都市というか地方の大都市を結ぶコミューターというのは、ほかの便もありますから難しいと思いますけれども、例えば北海道の空知とか日高とか、ああいうところは道路で行っても汽車で行っても非常に時間がかかりまして、札幌あたりからコミューターで飛んでいくと非常に簡単に行けるはずです。  私は、飛行場の概念というものは今ちょっと過渡期にあるようでございますけれども、野菜だけじゃなくて、農産物だけじゃなくて、人間も小型飛行機で運んだらいいと思いますし、機材もそんなに高くありませんし、円高になりまして飛行機も安くなりましたし、それから燃料費も安いわけですから、ヘリコプターと違って割と廉価な運賃で済むと思います。  アメリカで私ちょっと長いことある取材したときに、アラスカでビーチクラフトの双発であっちこっち飛び回りましたけれども、それこそ向こうはブッシュパイロットというような人たちが、本当にプロ中のプロですけれども、駅の前におりたりハイウエーにおりたりして、最初はびっくりしましたが、やってみると非常に便利なもので、日本はそこまでいかないと思いますけれども、農道を使用したコミューターの飛行というのは大変結構だと思います。  ただ、そのために規則がばらばらだと困りますから、それはちゃんと統一して、それなりの新しい種類の旅客運送というものも十分考えるべき時期に来ているんじゃないかと私は思います。
  201. 中野明

    中野明君 それじゃ最後に、AT車の問題に移りたいと思います。  昨年の夏に、AT軍が急発進事故等を起こしまして、当委員会でも大変問題になったわけですが、実際の事故件数がふえてきておるというふうに私は受け取っておるんですが、それとも利用者の関心が高まってそうなってきたのか、その辺の状況をちょっと、事故の件数とそして内容について分析されておりますかどうか、発表してもらいたいと思います。
  202. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) お答え申し上げます。  私どもが四半期ことに自動車メーカー等から報告を得ておるものでございますが、五十八年から六十二年の十二月末まで五年間で、AT車の急発進、急加速に絡む苦情、あるいは一部事故に至ったものもございますが、トータルで六百四十二件の件数を数えております。  それで、傾向といたしましては、昨年の夏以降、急激に報道等された影響もあるかと思いますが、昨年の後半若干ふえてきておる、最近少し減っておる、こういうのが実態でございます。
  203. 中野明

    中野明君 これは構造上の問題があったのか、誤操作が原因なのか、その辺の色分けはしておられるんですか。
  204. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) お答え申し上げます。  先般、交通安全公害研究所の方から中間報告が出されましたが、その中間報告におきましては、現在、先ほど申し上げました六百四十二件ではございませんで、中間段階の二百六十一件について分析をいたしております。  それによりますと、二百六十一件のうち誤操作あるいは取り扱い不適及び運転者の思い違いなど、車両側の問題とは考えられないものが百二件、これははっきりいたしております。それから、事故後の点検により整備調整不良等の原因が明らかになったものが六件、それから三番目に、これが御指摘の、事故の原因が誤操作なのか車両の構造装置などにあるのか特定できないもの、いわゆる不透明なもの、これが百二十九件、それから、申し立ての内容が非常に不正確で調査できないものが二十四件、以上のとおりになっております。
  205. 中野明

    中野明君 それで、昨年以来自工会が取り組んできた防止策が十二月にまとまりまして、安全装置を新型車に取りつけていく方針であるというふ うに私聞いておるんですが、対象が新型車ということになると、今走っておる古いAT車というんですかね、これは装備する必要はないのかどうか。その辺はどうお考えになっておりますか。
  206. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) 御指摘の誤操作防止の安全装置でございますが、いわゆるスタートいたしますときにブレーキを踏んでいないとシフトレバーが動かない、シフトロックと申しておるものでございますが、これが技術的に非常に精度の高い内容でございまして、また、実際にメーカーが出荷段階ではなくて使用過程において改造いたしますと非常に大規模な改造になりまして、この対策を使用過程の方まで適用することにつきましては、技術的に現実的に非常に困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  207. 中野明

    中野明君 これに関連をして、輸出しておる車についての対応も取りざたされておるんですが、個別会社の判断と伝えられておるんですが、運輸省としてはそれでいいと、このように考えておられますか。
  208. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) 自動車の安全基準といいますか構造装置につきましては、現在自動車が国際商品となっておりまして、国際的に基準が調和されているかどうかというものも一つの問題点でございまして、現在、このAT車の問題は、主として日本並びに米国において問題となっておりまして、欧州あたりにつきましてはまだそういう問題は起きておりません。そういう環境の中で日本の自動車メーカーといたしまして、国内につきましては御指摘のように私どもの指導により全部新車について取りつける、こういうことでございますが、日本のメーカーが外国に出すものにつきましては、私どもといたしまして、正式にはまだメーカーの意向は聞いておりませんが、それぞれの国の、各国の要請というものもあろうかと思いますが、その辺を踏まえて判断されていくのではないかというふうに考えております。
  209. 中野明

    中野明君 それで、警察庁にお尋ねをするんですが、このAT車の普及によって普通自動車運転免許取得の技能教習にAT車の教習時間をふやす実験を始めておるようですが、これについて、理由と目的について説明をしていただきたい。
  210. 滝藤浩二

    説明員滝藤浩二君) 御指摘の件につきましては、既に現在教習所で二時限のAT技能研修を行っているところでございますが、昨年暮れにアンケートをとりましたところ、ATの教習につきまして、もっと時間を延ばしてほしいという意見も六〇%強ございました。  世の実勢を見ましても、新規登録乗用車で六割強がATだということがございますので、私どもといたしましても、今後どれぐらい教習の課程にAT教習を入れていけばいいのかということで、この四月から実験教習ということで、教習所十三カ所におきまして行っております。四時限あるいは六時限ということでそれぞれ課程を変えまして実験をいたしておりまして、これがことしじゅうには結果及び分析が得られるのではないかと思っておりまして、これを受けまして検討を加えてまいりたいというように考えております。
  211. 中野明

    中野明君 それで、AT車の限定免許ということについて先日も私触れたことがあるんですが、今回アンケートをとられたようですが、その結果をちょっと説明してください。
  212. 滝藤浩二

    説明員滝藤浩二君) AT限定免許につきまして、既成の運転者及び指定自動車教習所の教習生およそ五千三百人前後につきましてアンケートをとっております。そのうち、既成の運転者につきましては、AT限定免許を導入することについて賛成が一四%でございまして、反対が五五・四%でございます。逆に教習生でございますが、これにつきましては、賛成が三四・四%、反対三二・三%と、ほぼ同じぐらいの数字を示しておりまして、これだけではまだ、どちらかなということで判断をしかねるぐらいの感じで見ております。
  213. 中野明

    中野明君 それで、先ほど運輸省の方からも報告があったんですが、この中間報告が四月六日に出されたわけです。それで、この中間報告を見て今後の対応策、それを運輸省とそれから警察の方にお伺いをします。
  214. 清水達夫

    政府委員(清水達夫君) 今回の中間報告におきましては、実際に交通安全公害研究所におきまして現車を用いました試験をいたしました結果、AT車の急発進、急加速の現象を、人為的に故障させることによりまして再現をさせた。そのときエンジン回転数が上昇するなどの現象が確認されたわけでございます。これはなかなか再現が難しい現象でございまして、やはり人為的に故障させる、こういうことによって、技術的にはそういうところが故障するとエンジン回転数が上がると、こういう現象はあり得る、こういうことを確認したところでございます。  したがいまして、今後、六十三年度におきましては、それではこういった現象がどういった条件のもとで発生するのかを究明するために、引き続き、現車を用いました調査解析を継続するとともに、これまでのいろんな調査結果を踏まえまして、別途ペダル配置等人間工学的な要因とかあるいはAT機構そのものの技術的な要因、さらには車に乗っております電子装置、こういったものの信頼性などのいろんな側面から総合的に検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  なお、今般の中間報告におきまして、電子機器等につきましてフェールセーフ性を確保する、それからそういうICなどの信頼性の確保につきまして一定の提言が行われておりますので、こういったものにつきましては、当面の対応といたしまして日本自動車工業会に対しましてこの提言内容の速やかな検討方を近日中に指示する、こういうことにいたしております。
  215. 小山田潔

    説明員(小山田潔君) 今般の中間報告に関連の深い、今後のAT車の交通事故の捜査につきまして申し上げます。  警察におきましては、交通事故が発生した場合には、従来から、AT車に限らず現場の状況とかそれから車両の状況を検分いたしまして、その結果とそれから運転者の供述などを突き合わせまして総合的に判断いたしまして、その事故が車両の故障や構造上の欠陥から生じたと疑われる場合には、従来から鑑定とか検査を行いましてその捜査を慎重にやっておるという現状でございます。この考え方が今後とも基本になるわけでございますが、今後AT車の事故の捜査に当たりましては、今回の中間報告の内容を十分参考にいたしまして、一層慎重に捜査を行っていきたいということでございます。  また、運転者の教育の問題も大きいわけでございますので、AT車の操作に習熟する、また、適切にAT車の運転操作ができるような方策を推進してまいるということでございます。
  216. 中野明

    中野明君 じゃ、この問題の最後として大臣に。  AT車の限定免許、これについて、随分市販の新車なんかはもう大半が大体AT車になりつつあるような現状でございまして、将来の課題として、やっぱり限定免許にする必要もあるんじゃないかと私は思っているんですけれども、AT車の事故対策大臣のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  217. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) ちょっと私、考えをまとめてまいりませんでしたけれども、私も昔免許を取ったときはいわゆるクラッチつきの車でありましたが、今はほとんどAT車になっているわけでありまして、一部の専門家といいましょうか、営業に従事している運転手しか普通のクラッチのついた自動車を使っていないのが社会的な現況だと思いますので、やはりそういう現実に対応した施策をしなくちゃならないかと思います。  これはにわかにここでお答えできませんけれども、鋭意研究するつもりでございます。
  218. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 前回当委員会で、上野、札幌、そして大井の関連事業が驚くべき姿になっているというのを申し上げたわけですけれども、それだけではなくて、JRの関連事業に対する力の入れ方は異常なものだと、驚くことが次々と出てまいります。  ただいま資料としてお配りいたしました、これ はJR西日本です。JR西日本の関連事業のマル秘の資料でございます。この二つの会社をJRが一〇〇%出資いたしましてつくっている。一つはハートアンドアクション・フーズ株式会社、それからもう一つはハートアンドアクション・リーテイル株式会社、こういう二つの会社を西日本JRがつくっております。  そして、この印刷、ちょっときれいに出ていないんですけれども一つの方、ハートアンドアクション・リーティルの方をごらんいただきますと、何をするかといいましたら、小売関係では、例えば一番から言いますと、織物から衣類、身の回り品、飲食料品の小売、自動車、自転車の小売、家具、建具及び什器、医薬品、化粧品、スポーツ用品、玩具、娯楽、植木に造花に種に園芸、ペットに魚というのが出て、そしてその次には写真、時計、宝石等、次々と、これ読んでいくと時間がなくなりますからごらんいただきたいと思いますけれども、やらないのは葬式だけというふうに全部入っているわけでございます。,  そして、その次、十一番から十五番を見ますと、売るだけではなくてこれの製造をする。製造だけではなくて今度は卸をする。それから輸入もするというのが十五番まで。それから十六番からは、今度はサービス。切手、軽食、喫茶、スポーツ用品のリース並びに写真の現像とかファクシミリサービス、通信サービス等、サービスもやるわけなんですね。そして、JRでやっているオレンジカードなんかも当然売ります。それから広告代理、生命保険もやります。  そして下の方にいきますと、これらに対して技術援助をし、そして投資の指導もする。研究もする。それからまた、西日本旅客株式会社の業務の受託をしまして、出改札の受託とか、荷物の受託とかというふうに、まあありとあらゆるものをやるわけでございます。  その次の資料をごらんいただいたらいいと思いますけれども、これはどこで、資本金がどれで、どういう規模の店をつくるかというのが出ております。そして、この店でどれくらいの社員を必要とするかというのが最後の方に出ておりまして、各支店でどれだけの人員というのが資料として出ているわけなんですね。これ、一〇〇%JRの出資の会社なんです。これで見ますと、六十六年には合わせて九百十店舗持つということです。それから社員数は五千八百人、そして営業収入は約六百億を上げる、こう計算をしているわけです。  先ほど言いましたように、もう葬式以外は全部やるということで、そしてまた一等地で、駅構内で、もう地代なんて要らないというふうな仲ですから、この六百億だの何百億なんという利益が当然上がってくるはずだ、そう思うわけなんですね。こういうのが資料としても準備されて、どんどんされている。  これ見ていたち、この間もそう思ったんだけど、本当、やめられないですね。やめられないですわ。お金があったら大臣もちょっと一口乗れば確実にもうかるいい仕事なんですよ。これやめられない仕事だ、こう思うわけなんですね。  こんなことは全くべらぼうな話じゃないかということと、それから地元の商店の方々としたら大変な影響だと思いますね。一番いい土地で、全部そろっているんだから。やっぱり何だかんだいっても、そこへ行って買いやすいという問題になってくるだろう。  そして、一歩下がってもうけるのも結構ということになっても、そのもうけは、この間も申し上げましたように、お答えいただきましたように、運輸事業鉄道事業には一銭も還元されないんですよね、もうけるだけもうけちゃって。これ、ちょっと話が違うんじゃないか、今までの経過から見まして。これがJRの姿なんだ。JRというのは、国民の財産を安く譲り受けて、どんな規模でも、何でもつくって大もうけして、そしてそのもうけは鉄道事業には還元しません、これがJRの正体だということになるんですね。  大臣、どうなんでしょうか。——いや、審議官、あなたのお答えもいいけど、大臣に。大臣、わかりやすいでしょう、私言ったの。難しい話じゃない、JRというのはこんなものだったのかと私は聞いている。どうお思いになりますか。——びっくりして言葉がないんなら、それでいいですよ。
  219. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) いろいろ私の知らない事実をお話しいただいて、大変印象深く聞いておりますけれども、とにかく自立した民間企業でありますから、その経営方針で事をやっていらっしゃるんだと思いますけれども、もともと最初にうたわれておりますように、周囲の地域との協調というものは、やっぱり欠かすことができないと私は思います。
  220. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あなた、言いたいことがあるんだったら簡単に。
  221. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先日私御答弁申し上げた覚えがございますけれどもJRが関連事業でいろいろな収益を上げるという場面があった場合に、それを鉄道本業に入れるか入れないかということにつきまして、今先生は、それは入れないということでおっしゃっていらっしゃるんですけれども基本的には、まあ民間会社でございますから、民間会社の経営陣が、会社全体としての経営をどう見ていくかという問題がまずはあるのではないかと思っておりますので、そういう経営陣の経営判断によっていろんなことが考えられるのではないかと御答弁申し上げたつもりでございます。
  222. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それ、この間と同じ答弁だよね。そうしたら、もうかったときに、JRは運輸、鉄道本来の事業に入れるということは、やる気になったらできますということですね。それでいいんですか。
  223. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 私がこの間申し上げたのは、今の答弁と、それから基本的に、鉄道事業とその他の事業とはどのように扱っていくかという、私どもの方の立場の話としてもう一つ申し上げましたのは、鉄道事業鉄道事業として収支採算性というのは、それはそれなりの区分経理的な物の見方をして、それで判断していくということではありませんと。その関連事業との関連とか、そういうふうなことで関連事業の方が仮に問題が出るようなことがあったときに、鉄道の方の事業の収入あるいは収益から関連事業の方を補てんするというような話になってまいりますというのは、やはり基本的には困るという事態もあるのではないかと思います。その逆ももちろん考えられるわけでございますが。  私どもの方の立場としては、いろいろな鉄道事業の経営上の判断を私どもがいたしますときは、鉄道事業鉄道事業、その他はその他という形で考えたい、この二つを申し上げたつもりでございます。
  224. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それもこの間の答弁を繰り返されたのね。  大臣ね、簡単に確認したいんだけれども、この間もきょうも御答弁なすった、民間会社だからといったって、JRというのは一般の民間会社とは違うんだから、都合のいいときだけ民間ですなんて無責任なこと言ったらだめだわ。それで確認したいんだけれども、もうけが出たときには鉄道事業に当然入れさせますという指導をなさいますね、大臣。——いや、あなた、責任持って言えますか。——だって、鉄道を生かすためにといって国鉄を分割・民営化したんでしょう。鉄道事業に還元しないで、もうけるだけもうけてなんという話はないと思う。
  225. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 各JRは、鉄道事業だけではなくて、附帯していろんな事業をこれからもされるわけでありますけれども、逆に、鉄道事業が黒字を出して、ほかの事業が収支が思わしくなくなった場合ということも想定されるわけでありまして、小笠原委員が今言っていらっしゃるケースだけではないわけですから。そこら辺は、やっぱり経営当事者が全体の経営というものを考えられて判断されるべき問題だと思います。
  226. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 常識で考えたってね、土地代をただみたいに、一万分の一の簿価でもらって、そ れで損するなんということはあり得ない。損するという心配があるなら、損するような仕事をする必要はないんですよ。JRはもう鉄道輸送本業で進むべきなんだわ。  だから、いろいろ言われたけれども矛盾というのではっきり答えられないわけだ。だけど、今までの経過からいって、収益を上げたときは、鉄道営業にプラスになるために関連事業をやるんでしょう。そうしたら、そのプラスになった利益というものは還元いたしますという、三塚大臣もおっしゃった、それを当然踏襲して指導すべきだということを私は重ねて申し上げる。大臣どうですか。鉄道事業のプラスになるようにといって関連事業というのをやるんですよ。もうけるために関連事業だけやればよろしいなんて言っているんじゃない、今までの経過から見たら。その辺のところけじめつけてください。一般の営業と違うんだから。時間がないから、はっきりさしてください。
  227. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 三塚運輸大臣が答弁されました趣旨は、鉄道……
  228. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 収益を上げて、鉄道経営にプラスになっていくようにとちゃんと議事録に出ている、私の質問に対してね。だから、そういう趣旨であなたも引き続いて御努力いただきたい。
  229. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) ですから、要するにいろんな事業起こしたことで会社全体がよくなれば、それは当然鉄道部門にも必ずいい影響を与えるであろうということを含めて三塚大臣は言われたわけであります。
  230. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間がないからね。もう当然、利益を上げたら、三塚さんおっしゃったように、プラスになっていくように、鉄道事業というものにプラスになるように御指導もいただきたい、そう思うわけです。  それで、中小企業との関係なんだけれども、これは会社法十条に、これは単に分野法とか商調法とか既存の法だけではなくて、この十条によってより義務が加重されているというふうに私は考えるんですけれども、そういう解釈でいいでしょうか。いいか悪いか簡単に。
  231. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 私どもの方は、会社法の十条で規定されているそのままの受けとめ方をいたしておりまして、ただいま先生おっしゃいました中小企業の関係法律の適用との関係におきましては、当然あちらの法律の要件に合った場合はあちらの法律が働く、こういうふうに考えております。
  232. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 単なる今までの商調法とかなんとかより重いという位置づけできるわけですね、この会社法。会社法十条で、みんなに要請されて入れたわけでしょう。その義務が、中小企業との話し合いというのより加重されているという、そういう十条だと思うんですよ。——はいならはいと。
  233. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 会社法十条、今私の手元にございますけれども、そこで言っていますのは、中小企業との関係では、中小企業者の事業活動を不当に妨げ、また利益を不当に侵害することのないように特に配慮する、こういう特に配慮するというこの意味での規定が働いているという受けとめ方でございます。
  234. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 もう時間がないから言わないけれども……。  それじゃその次、今度は貨車解体の問題について具体的に伺いたいんです。  JRは、国鉄車両の解体作業を事業団から引き受けてやっていらっしゃいます。事業団として、今まで貨車解体を何両やって、これから全体で何両の予定を立てていらっしゃるか、簡単にお答えいただきたい。
  235. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 清算事業団といたしまして、約一万八千両の車両を国鉄から引き継いでおりまして、それは逐次解体をする、あるいは部外に売却する等の手続をとっております。  六十二年度実績といたしまして、解体の方でございますが、約五千百両解体いたしました。順次解体の作業を進めてまいりたいと思います。
  236. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 あと一万三千両ほど残って、解体が続けられるということになっていくわけです。  ここで問題なのは、貨車にはいろんなものがついておりましてね、それが人体の健康上重大な問題となってきているというのを私はきょう取り上げたいと思うんです。  それは、塩化ビニール管の切断をいたします。そのときに、有害物質の発生するものがあるわけですね。解体して切っていくときに出てくる。その塩ビ管を加熱し切断するという作業があるわけですよね。あの貨車の下にいろいろ電線があって、そのカバーしている塩ビを切っていくと、そういうことなんです。そして、塩化水素というものが出てくると思うんですけれども、有害物質としては何が出てきて、そしてどういう対策が必要なのかということを、労働省、お答えいただきたいと思います。
  237. 冨田達夫

    説明員(冨田達夫君) 塩化ビニール管を燃焼させたときに生ずるガスといたしましては、一般的には塩化水素ガスが考えられます。この塩化水素ガスは刺激性が強いガスで、不快感とかあるいは目、皮膚の炎症を引き起こすことがございます。  それで、その塩化水素については、特定化学物質等障害予防規則において、製造または取り扱う設備が特定化学設備に該当する場合には、改良、漏えい防止の処置を講ずること。それから作業に当たっては、作業主任者を選任して、労働者が汚染または吸入しないような作業の方法を決定して、労働者を指揮すること。それから、製造または取り扱う作業場に必要な保護具を備えつけることなどの措置を講ずるよう義務づけております。  ただ、先生指摘の事案につきましては、製造、取り扱いに該当しませんので、法的な規制は現在のところございません。
  238. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、塩化水素の抑制濃度、またその濃度を超えると障害が起きるということは考えられるわけですけれども、その抑制濃度は何ppmなんですか。
  239. 冨田達夫

    説明員(冨田達夫君) 日本産業衛生学会において勧告値として出している許容濃度がございます。これは五ppmということでございまして、この許容濃度というのは、一日八時間その環境で作業をしても一般に障害は起こらないであろうとされている数値と言われております。
  240. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その抑制濃度は五ppmということがわかりました。  ところでJRは、この塩化水素発生に対する対策はゼロと言っていいですね。対策は何にもありません。どのくらいの濃度が出ているかということも調査していないんです。労働者が独自に調査しているわけです。  どういう調査をしたかといいますと、北川式ガス検知器というので行っている。これは労働省の作業環境測定基準をクリアしている器械なんだけれども、通常作業している状態ではかったんですね。はかったんだけれども、ちょっと離れたところではかっても、こういうのがあるんですけれども資料提示)ぱっと二二ppmまで上がっちゃったというんですね。それで、近くになったらもっと強く出ているはずなんだけれども、残念ながらこの器械では二二ppmしかはかれなかったということなんですよ。一メートル離れて二二ppmぱっと出てくる。煙がずっと流れている。あっという間に五メートル、八メートル流れていく。そこのところへ持っていってもやっぱり二二ppmぱっと出ているということなんですね。抑制濃度が五ppmだから、はるかに超えたものだ。  そして、先ほどおっしゃいました労働省労働衛生課でお出しになっている「特定化学物質等作業主任者テキスト」、これを見ますと、作業をする者には保護具として、「酸性ガス用防毒マスク、保護衣類、保護眼鏡、ゴム手袋などを使用する。」、こう書いてあるわけですよ。ところがJRの方では、作業にそれを使わせないどころか、そういうものを持っていないんですね。だから何にもなし、無防備でやっているという状態なんですよ。  そこで私は、これは大変だと。私が大変だと言うのではなくて、そこで働いている労働者が、物すごく心配だといって、これを持ってきてくれたんです。これは上着ですが、見事に切れちゃっているんですよね。肩が切れてますよね、上着。それからもう一つ、こんなのをいっぱい持ってきて、きれいなものじゃないんだけれども、これはズボンの方なんです。ズボンもここからここら辺が皆裂けている。これは着用して一週間なんです。着用して一週間で、そして洗濯したらこういうふうにみんなぴっと裂けちゃうんですよね。まだあるけれども、もういいわ、やめましょう。こういうふうに裂けちゃう。  それでその労働者は、何でこんなになっちゃうんだろうと。首のところと、さっき見せた手のこの下ね。ここは何だといったら、前かけをしていないところなんですね。前かけをしているところは防げるけれども、前かけから出ている肩だとか、襟の下だとかというのがこういう形になってくる。こんなにぼろぼろ裂けちゃうんだ、これはただごとではないと。自分でも、のどが痛いというような症状があったり、吐き気がしたりということがある。それで鉄道病院に行って診てもらったら、いや風邪でしょうと、こう言われた。だけど、風邪にしてはというので、心配で、またほかの病院に行ったら、これは単なる風邪ではないと、こう言われた。こういう問題なんですね。  先ほどの、防具をしなければならないとかいうふうな労働安全法の問題は製造過程における規定だから、この作業場は外で作業しています、だからここには適用されないというような、そういうお答えでありましたね。そこで私、大臣に聞いてもらいたいんだけど、こんなことが外の作業で起きるとはだれも予測していないわけです。だから製造過程でと、こういう法律、規則というものがつくられたわけだ。だけど、その後のが大変だということは、これは事実なわけですよね、塩化水素。工場の中であろうと、それから外で作業をしていようと、塩化水素は同じなんですよ。工場用の塩化水素が出るわけじゃないんだから。同じ塩化水素が出てきている。そうすると、法律的には工場内の製造過程での規制でございますから、屋外では対象になりませんというのは、まことに官僚的発想です。法があって人間が生きていくんじゃなくて、人間の命、健康を守るために法というもので安全を守っていくわけですよね。そうしたら、当然中にいても外にいてもそれを受ける労働者にとっては危険なんだから、だから労働者は不安だといってこういうのを持ち込んできて、私もびっくりしたというような状態なんですよね。  だから大臣にお願いしたいんですけれども、このことはまだ調査をしていないんです。調査してくれないから、労働者が忙しいのにそういう器械を買って調査したんだから、だから早急に調査してもらいたいということですよね。そして現実に、こういうふうにみんなぼろになっちゃうというくらいであれば、当然肉体的にも大変だということを本人たちも言っていますから、だから調査すること、そして塩化水素というのは特に規制された有害物質なんだから、JRとしても、マスクをつけるとか防具をきちっとさせるということをはっきりさせて、労働者の健康を守ってもらいたいというのが私の願いなんです。それについて、お約束をいただきたいと思います。
  241. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 現況を調査させます。
  242. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、調査するまでにも毎日これやられているんだから、ぼろになっていくくらいやられているんだから、だから調査に時間がかかったら大変だから、ぜひマスクをつけるとか、ここだけは防がれているけれどもそのほかはどうしたらいいのかということも一緒に考えて、御指導いただきたいと思います。いかがですか。
  243. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 解体作業の現状を把握しながら、現場の労働者と打ち合わせて、適切な作業が行われるように指導いたします。
  244. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ労働省、今の趣旨を踏まえて、きちっと御相談くださって、安全を守れるようによろしくお願いをいたします。いいですね、労働省としても。——頭下げても議事録残らないんだわ。労働省としてもやってくれますか。
  245. 冨田達夫

    説明員(冨田達夫君) 今運輸大臣お答えになりましたように、十分連絡をとりまして、適切な対応をとってまいりたいと思います。
  246. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それじゃ労働省、結構です。  あと時間、何分まであるの。——じゃ、次の問題に移ります。  長大四線に入ります。  三月二十八日だったと思います。地方交通線の問題で指摘いたしました。この廃止によって、バスになり第三セクターに転換した路線の利用者は、非常に高いお金を取られちゃう、負担が多い、そして自治体の負担増も大変なものだと、厳しい経営を今強いられているわけです。  問題になっておりますのは、北海道の長大四線と言われております、御承知のとおり、これはいずれもその辺のひげ線と違いまして、百キロを超える産業生活路線になっております。これを何とか残してほしいということでございます。  そこで、この長大四線について伺っていくわけですけれどもJR北海道が、この四線が廃止され第三セクターで運用された場合の収支の試算をしておりますね。それの初年度は幾らの赤字が出るというふうにJR北海道は試算していますでしょうか。
  247. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生指摘の長大四線につきましては、それぞれの線ごとに地元での協議会を開催しておりまして、そこの中でいろいろな御議論をいただいていると伺っております。  それで、私ども承知しておりますのは、その中の標津線と池北線につきまして、ことしに入りましてから協議会で収支の検討が行われまして、それで、その第一年度ですと、標津線が六億円、それから池北線が九億円の収支試算で赤字が出るというような資料協議会提出されたと伺っております。
  248. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 途中でごめんなさい。  清算事業団にお帰りいただくので、ちょっと一つ聞きたいんだけれども、さっきの車両の解体、これは一車両解体にJRに幾らでやってくれというふうな契約になっているのか、それとも、この車両はJRに上げるよと。上げるから解体して鉄くずを売ったりなんかして自分で賄っていいよというふうな、その解体の契約は一体どうなっているのかというのをちょっと教えてもらいたい。
  249. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 解体の万は、事業団の方からJR各社に発注いたしまして、費用を払って解体をしてもらうという仕組みになっております。
  250. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 一両幾らという費用を払って……
  251. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) はい、そうでございます。
  252. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それは幾らというのはわかりますか。
  253. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) これはいろいろございまして、車種によって異なりますし、それからまたその解体の実費以外に、それの回送の手続とか費用とか、いろんなものがかさみますので、そういうものを含めました費用総額を払う、派生したものにつきましては、それはまたこちらが引き取るということでございますが、したがって、実質的には差額をJRに払うという形になっております。  それから、先生申しわけございません。先ほどの車両数でございますけれども、一万八千両のうち約五千両既に解体いたしました。そのほかに三千両近く売却いたしておりますので、残っているものは約一万両でございます。
  254. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 わかりました。どうもありがとうございました。結構です。  それじゃ、ちょっと答弁の途中で、私ぼんやりしていて、入っちゃいました。済みません。  今赤字の方をおっしゃいましたけれども、名寄、天北というのは具体的に幾らになっているか というのはまだ正式には調査されていないということなんだけれども、もう既に新聞報道もされております。大体新聞報道と合っているわけです。それで、おっしゃいましたように、標津線六億、池北線が九億か十億、名寄線が九億五百万、それから天北線が八億四百万、合計で赤字が出るのが大体三十二億というのがもう新聞でも公表されているし、おたくの言っていらっしゃるのと大体合うということを私はここで言いたいわけです。  そこで、次の問題なんだけれども、もしこの長大四線を第三セクターに転換しますと、転換交付金というのがありますね。転換交付金プラス赤字に対しての補助が五年間つきますね。それは一体どのくらいの金額になりますでしょうか。
  255. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 転換交付金につきましては、キロ当たり三千万円ということで定まっておりますので、それぞれの四線につきましてのキロ程に今のキロ当たり三千万を掛けますと、天北線が四十四億六千七百万、名寄線が四十二億九千万、それから池北線が四十二億、それから標津線が三十五億七百万。それぞれのキロ程で掛けました計算で、それが転換交付金の限度額という形になると思います。  それから、先生も御存じのとおり、運営費の補助につきましては、鉄道の場合とバスの場合と違っておりますが、ただいまの御質問鉄道の場合かと思います。それで、鉄道の場合は赤字の半額を五年間という形になっております。それで、今の協議会で出ました数字で、池北線と標津線とあるわけでございますけれども、当初の五年で池北線が二十三億、それから標津線が十六億でございます。
  256. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、ありがとうございました。  そうしますと、あと名寄線、天北線、これも五年間赤字の二分の一補助ということで、先ほど申し上げました赤字分の二分の一掛ける五といたしますと、これも池北線と大体同じ、名寄線が二十三億、天北線が二十二億という数字に出てまいります。合計いたしますと、転換交付金が百六十五億、そして赤字の補助というのがこれが八十三億と、こうなるわけでございます。そういうことで、第三セクターに転換するために、転換交付金百六十五億、プラス赤字分の二分の一五年間補助が八十三億。合計いたしますと、第三セクターにするために使われるお金が約二百五十億。単純に転換交付金と赤字補助額というのを加えますと二百五十億持ち出さなきゃならないという数字、この数字をちょっと大臣も覚えておいていただきたいと思います。この長大四線を廃止することによって今言ったように約二百五十億円国が負担しなければならなくなってくるわけなんです。  JR北海道の経営安定基金、いわゆる三島基金ですね、その北海道分について、いろいろ伺いたいと思います。  分割・民営化法案をずっと審議してきました、何年も。そのときに、我々が一番懸念して論議をした最大の問題は何だといったら、分割して、JR北海道というのは、経営が一体成り立つのか。四国も九州もそうですね、三島は。成り立つのかというのがどうしても心配だ、どう計算しても不安でしようがないというので、繰り返し私も国会で質問をしたわけです。それに対して政府は、収支計画をお出しになりました。そして、議事録にもありますけれども、万全だと言われたんです。絶対この計画でやっていけると、もう本当に何回も答弁なさったわけですよ。ところが、売上税というものが浮上してきた、そしていつの間にか、その対策も含められていたんでしょうけれども、三島基金の北海道分が六百二十億上乗せされた。六百二十億プラスになりましたね。プラスにしていただいてありがたいと言いましょうか、まあ悪いことじゃない——そうも言えないかな。とにかく六百二十億プラスになってきているわけですね。  そこで私が言いたいのは、あの分割・民営化であれだけ何回も審議して、国会で審議して、それで大丈夫だとおっしゃったんですよ。    〔委員長退席、理事中野明君着席〕 これでいけるんだ、絶対大丈夫なんだと。国会で大丈夫だと言われたのに、国会が終わったらいつの間にか大丈夫じゃないよと、六百二十億上積みいたしますと、こういうことなんですね。何のごあいさつもないんですわ。何の審議もないんですから。大丈夫だなんて言ったって、国会が済んじゃったら、何のことはない、いつの間にか六百二十億の基金上積み。伺えばこの中には、売上税対策費も入っていた、だけど、売上税そのまんま飛んじゃったんでしょう。このお金どうなっているんですか。これがありますよね。  そして、この売上税だけじゃないですね。記憶しているだけでも、人件費も、三%アップのが〇・九五%で抑えられちゃったわけでしょう。それから何ですか、出向している人の人件費というのも半分出向先が持つわけでしょう。それから今度は欠員になったまんま、そのまんまでしょう。そうしたら、いいもんだね、もらうだけもらっちゃって出さないで済むんだもの。だから、こういうやり方はよろしくない。国民の財産を持ってJRというのは発足したんだから、だから私はこの財産を、このお金を国民のために還元して使ってほしいと、ここではっきり言わなければならないわけなんですわ。  だから、長大四線を切っちゃって、そしてさっき言った二百五十億新たに国が持ち出してというやり方ではなくて、殺すために使うんじゃなくて生かすために使ってほしい。そして、その長大四線を抱えているところは、この間も申し上げましたように、もう過疎になっていく、教育費も高くなっていく。運賃もということで、大臣も生存権、教育権にまで影響するということは考えなきゃならないとおっしゃったくらいなんですわ。  だから、ことで私は具体的に提案をしたい、そう思うわけです。これは二百五十億、そのお金を基金に組み込んでほしい。そして六百二十億ふやした、その六百二十億と合わせますと八百七十億というお金になる。この八百七十億、これの利子だけで六十四億になるんですよ。だから、上積みされた六百二十億、使わないでいいものがいっぱい入っている。そして二百五十億、殺すために使うお金を加えると八百七十億。これの利子というものを計算すると六十四億。さっき言った長大四線の赤字というのは幾らか。三十二億でしたね。三十二億、こんなのは出そうと思えば出せるんですよ。出そうと思えば出せる。だから、殺すために使うんじゃなくて生かすために使うべきであると私は主張しなければならない。いかがですか。
  257. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 地方交通対策というのは、国鉄時代からずっと続けてきた対策でございますけれども、その目的とするところは、輸送密度が低くて、したがってそこを運営する交通機関としてはバスの輸送に適すると、そういうような路線につきまして対策をとっていくということでございますので、一つは当時の国鉄の収支状況との関係という問題が一つありますが、それだけではございませんで、もう一つは国民経済的に考えて、一番効率的な輸送機関を選択するというその地域交通体系を構築するために必要なものだと、こういう考え方が当時からありまして、現在もその両万の考え方で物事を進めているわけでございます。    〔理事中野明君退席、委員長着席〕  ただ、これの代替輸送機関を選択するに当たりましては、地方でのそれぞれのお考えがあるということがございますものですから、地方での協議会ということを開いて、それで、その地元の御意向に従って、地元がどうしても鉄道輸送ということを御選択になる場合は、そういう方向で物事を考えていきたいということをこの地方交通対策の基幹としていたわけでございます。  そういうことでございますので、今仮に、JRが国鉄から引き継いできております特定地方交通線の問題につきましても、これは今の協議会の中で、どんな交通機関が一番いいかということを御選択いただくということで考えておりますので、その地元での協議の中で、転換交付金やなんかの 使い方につきましてもお定めいただけるという制度になっておりまして、それがまた地方の実情に一番適するのではないかと、こう考えております。したがいまして、先生おっしゃるように、今の場合ですと、JR北海道旅客会社がそのまま経営を持っていくとか、あるいは今申し上げました国の制度を変更いたしまして上乗せのようなことをやるとか、そういうような考え方は、今この際にはとりがたい問題ではないかと考えております。
  258. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 小笠原君、時間です。
  259. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そうなんですね、済みません。私、十八分までだと思っていたもので、ごめんなさい。これで締めますから。  もう国の制度でこうなっている、だから変えられないと。そこがまた官僚の頭だよね。あの当時何て言っていたかというと、赤字大変だ大変だと言って脅迫したんだわ、はっきり言ったらね。だけど、JRになったら、赤字は全部、もうしがらみ外して、そして合理化して、人は減らしてということで。今言ったような状況というのはあのときと変わっているんですよ。その変わっている中で、私は具体的に言った、生かそうと思えばやれるんです。やる気がないから、あのときのままで制度上がどうたらこうたらと、こういうふうにおっしゃるわけです。  それでは伺いますけれども、私はJRは本来長大四線抱えていけると思うんだけれどもJRが自治体と共同出資して一緒に負担していくという、自治体が第三セクターに入るということについて法的規制があるのかないのかという具体的な問題です。  もう時間がないからこれで終わらなければなりませんけれども、宮津線だとか、あそこも七線カットされるんです。あそこのJR、これ、当期利益が七十八億、赤字は五億なんだ。だから、七十八億から五億引いたって七十三億黒字出るじゃないのと、こういうように状況が変化しているということと、議事録を見ましても、「抱えても十分会社がやっていける、こういうことであるならば、新会社の分野としてこれは残さざるを得ないんじゃないか。残す以上は、これをできるだけ地域に密着さして生かしていくような努力を」というふうに林さんもおっしゃっていましたし、状況が変わったという中で、やっぱりきちっと生かすという姿勢に立ってもらいたいの。殺すために金は出す、全く何の政治なんだと言いたいわけです。  そういう意味で、ぜひ検討していただきたいということを要望して終わります。ごめんなさい、済みません。
  260. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 北海道旅客会社は、先ほど先生指摘ありましたように、経営安定基金がございまして、それでその経営安定基金の果実で経常の収支の場合の出てまいります赤字を消していくということを考えてやったわけでございますけれども、今の経営安定基金の果実が入りませんと基本的には赤字でございます。そういうことでございますから、経営安定基金の数字を入れて初めてこう成り立っていく会社ということになっております。  それで、そのほかに、もう先生御存じのとおりでございますけれども、国鉄の長期債務とかそういったようなものは引き継がせておりませんし、今の経営状況というのはまだ六十二年度の決算が出るか出ないかという段階でございますし、そういう意味では、そういう経営基盤を考えました、今までも御説明申し上げていますやり方を今この時点でいろいろ変更するという要素は今の段階ではないと考えております。  そういうことでございますので、その長大四線の話につきましても、基本的には今まで従来どおり継続してまいりました地方交通対策の考え方をそのまま進めるのが、今この時点では一番いい解決策ではないかと考えております。
  261. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 JRが第三セクターに入るのは法的規制があるのないの。抜けたよ。
  262. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 失礼いたしました。先生の御質問は地方公共団体、自治体とおっしゃったと思いましたものですからお答えしなかったのでございますが、これは既に例がございます。  つまり、第三セクターに地方公共団体が出資して、それで地方交通線の代替輸送の第三セクターをつくるというような例は既にあると思います。
  263. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、そうじゃなくて、JR一つの団体として一緒に第三セクターをつくる……
  264. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) それからJRの問題につきましては、先ほどから申し上げましたように、民間会社でございますから、その民間会社の経営陣がどう判断するかという問題がまずあるかと思いますけれども、私どもといたしましては、基本的にはJR、あるいはその前の国鉄時代から抱えていくことが難しい路線という前提で考えております地方交通線の対策でございますので、それについてJRが第三セクターの中に——先生おっしゃるのは多分出資というお話ではないかと思いますが、そのような形にしろ、そういう面でその出資の効果とか、そういったようなことを考えますと、余り適切ではないと考えております。
  265. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄が民営化実施後一年迎えたわけですけれどもJR各社の経営状態は予想を上回る好調なことになる予想であります。この状態について、運輸省としてどう判断をされておるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  266. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 総体的にJRは非常によくやっていると思います。六十二年度の経営状況につきましては、現在、各社で決算のための作業を進めている段階でありまして、現時点でその現況について決算べースの確定的な数字をお示しする段階までに至っていませんが、一応二月末までの取扱収入で見ますと、旅客会社計で前年比一〇六・一%となっているなど、各社ともおおむね順調な状況と考えております。  きめの細かいダイヤの設定、魅力のある企画商品の開発、駅施設あるいは車両の改善など、地域に密着した利用者重視の事業展開を行ってきておりまして、経営努力の結果が輸送需要の増加にもつながっていると思っております。  今後も、各社ともこのような積極的な、またきめの細かい事業運営に取り組んでいってもらいたいし、今後とも国鉄改革の趣旨に沿って健全経営の基盤の確立に向かって努力をしてくれることを期待しております。
  267. 田渕哲也

    田渕哲也君 このように経営が改善しておる原因というのは、今も申されましたJR各社の営業努力、経営努力、そういうものも一つの大きな要素だと思いますが、何といっても大きな原因は、過剰人員の解消、あるいは予定された人員より少ない人間でやっておる、まあ人件費が大幅に浮いておる、こういうことだと言われております。  それから私は、本質的にはもう一つあるわけでありまして、やはり非常に膨大な債務、これを一応肩がわりして清算事業団に全部移してしまった。だから、これで大体一兆円ぐらいのものが助かっておるわけでありますが、もちろんこれは別にしても、営業収支というものを改善されておることは間違いがないと思います。  この債務の問題は後で触れたいと思いますけれども、これ、人間が減って収益改善に寄与しておると言われますけれども、現在の実際の人員というものは、予定人員から見たら各社とも減っておるようでありますけれども、企業経営に当たる適正人員規模との関係ではどのような状態なのかお伺いをしたいと思います。
  268. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 今の先生の御質問の、まずは民営化を行いますときの基本計画で考えていましたその人数と、そのときに考えておりました鉄道だけをやるに当たりましての適正要員数、それがございますが、そのときの適正要員数は、JR各社全部を総計いたしまして十八万四千八百七十名ということを考えておりました。それで、現在のJR各社全部を総合いたしましたその合計数は、十九万九千九百四十名でございます。
  269. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄再建監理委員会がはじき出したこの適正人員規模と比較しますと、現在の従業 員数、社員数が、全部大体それを上回っておるわけです。四国だけはそれを若干下回っておる。だから四国はまあ鉄道経営の適正人員規模をやや下回る人員でやっておる。そのほかのところはやはり適正人員規模を上回っておるわけでありますけれども、このような人員ですね、適正人員規模を超える人員というものは、現在どのように活用しておるのか。また将来の見通しはどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  270. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先ほど来御議論をいただいておりますJRにつきましては、鉄道本業のほかに関連事業という分野ということがございまして、私どもといたしましては、国鉄改革の趣旨に沿いまして、新会社が安定的な経営基盤というのを確立していく、そういうために鉄道本業以外の問題につきましても経営の多角化とかいろんな面で考えまして、ほかの事業にもやはり進出していく、展開していくということが必要かと考えております。それで、そういう関係事業につきまして、今の本業のための要員数にプラスする方々がそういう事業を担当なされるという形で各社とも考えていると伺っております。
  271. 田渕哲也

    田渕哲也君 そうすると、四国以外の各社は、大体適正人員規模を上回っておる社員というものは関連事業に従事しておるというふうに解釈していいのか、あるいは、今の段階でもまだ必ずしもそれが十分活用し切れなくて過剰人員があると解釈していいのか、どちらなんですか。
  272. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先生御高承のとおり、JR発足いたしましてまだ一年でございますので、その関連事業の面につきましても、必ずしも十分な展開をしているというわけでもございません。そういう意味では、すべて今の適正規模の人員との差のその方々が十分関連事業で全部対応しているという形でない会社も中にはあると伺っております。
  273. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、将来の見通しとして、関連事業がだんだんふえていって、この人員は完全に活用される、あるいはさらに雇用をふやせるというふうに考えておられますかどうか。
  274. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 今各JR各社はそういう新しい事業につきましていろいろと工夫を凝らしているところでございますので、これからの問題といたしましては、そういう事業に必要な人員として十分役立っていかれるのではないかと考えております。
  275. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、青函トンネルが開業しましてその収支状況はどうなるか。これはもう少したってみないとわからないと思いますけれども、最近の報道によりますと、今までの青函連絡船のときに比べたらかなりの人がこれを利用しておる、七〇%以上それをオーバーしておるというようなことも報道されております。しかし、長期的に見た場合に、果たして収支が償うかどうかとなれば、なかなか厳しいのではないかと思うんです。  この収支の見通しについて、どのように考えておられますか。
  276. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) ただいま先生の御指摘のとおり、三月十二日まで青函連絡船で十三日からは海峡線の鉄道になったわけでございますが、鉄道になってからの収支状況は、まだ余り日にちがたっておりませんけれども、対前年の同期というような形で比較した場合、一日平均で対前年で一八一%というのが今我々がつかんでおります実績でございます。  ただ、それにいたしましても、海峡線自身は今の段階ではまだ黒字という予測まではいっておりませんで、これからの展開によって変わるかと思いますけれども、今の段階では、やはり赤字が出るのではないかと思っております。それで、先ほど来御議論ございました北海道会社の経営安定基金の計算の根拠にもその海峡線の赤字ということを当然想定しておりまして、それで、今後出てまいります海峡線の収支につきましては、経営安定基金の果実によって埋めていく、こういうふうに考えております。
  277. 田渕哲也

    田渕哲也君 国鉄改革の残された課題として挙げられるのは、やはり清算事業団の職員の再就職の対策と、それから長期債務の処理だと思います。  まず、再就職の未内定者、これは三月一日現在で五千七十九人と言われておりますが、この人たちのこれからの見通し、再就職の見通しについて、どう考えておられますか。
  278. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 清算事業団職員の再就職対策の問題につきましては、国鉄改革時から最大問題の一つだということで、私どもいろいろと関係方面の御協力をいただいて、全力を尽くしてまいったところでございます。  それで、現在のところ、民営化してから一年たちまして、四月一日現在で再就職先が未定の職員は、現在約四千八百名、四千七百七十三名でございます。先生の先ほどおっしゃいました数字は、私がこの間御答弁申し上げた三月一日現在の数字でございますが、一カ月たちまして、五千人の大台を切って四千七百七十三名まで減ってまいりました。ただ、この方々の中心は北海道と九州ということでございますので、これも御高承のとおり、雇用情勢というのは大変厳しいところでございますものですから、ここの残られた方々の再就職先をその地場の、関係地域だけでは、見つけるということはなかなか難しい情勢ではないかと思っておりますので、本州を中心の新しい雇用先ということをいろいろ開拓いたしまして、また、そちらに向きやすいように清算事業団職員の教育訓練と申すのでしょうか、そういったようないろんな研修を受けていただくとか、そんなようなことを考えておりまして、そういう形で今後重点的に職員の御希望、あるいは能力に合った、そういう再就職先ということを確保してまいりたいと考えております。
  279. 田渕哲也

    田渕哲也君 それから、長期債務の処理の方針と見通しについてお伺いをしたいのですけれども、六十二年度の土地の売却収入は、当初三千億円の見通しを立てておりましたけれども、実績見込みは千三百億程度、非常に予定を下回っておるわけです。六十三年度も三千億円の見込みをしておりますけれども、果たしてこれが達成可能かどうかお伺いをしたいと思います。
  280. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 土地売却の問題につきましては、現在、「緊急土地対策要綱」という閣議決定に従いまして、地価が異常に高騰している地域につきましての売却は原則として見合わせるという形をとっております。そういうことで、地価対策というのに配慮をしながらこの清算事業団用地の売却問題は進めていくつもりでおりますので、今の六十三年度の予定の三千億円ということの達成につきましては、必ずしも容易ではないと思っておりますが、そういう地価対策などにも配慮しながらも最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  281. 田渕哲也

    田渕哲也君 それからもう一つ、長期債務処理に当たって重要な要素に株式の売却ということがあるわけですが、この株式売却のスケジュールはどう考えておられますか。
  282. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 清算事業団が持っておりますJR関係の株式は、現在、額面で約四千六百億円という程度の株でございますけれども、この売却のスケジュールの問題につきましては、まずはJR各社が経営成績を上げていただいて、それでその経営が安定していくということの見通しがついた段階で売却をするとか、そういった形を考えていくべきものではないかと考えておりますので、今の段階ではまだ数年先の話ではないかと思っております。
  283. 田渕哲也

    田渕哲也君 私がお伺いしておるのは、その時期についてはもう前々から論議されておるところですけれども、この債務の償還計画の中ではどのように見込んでおるか。あるいはその土地の売却のテンポですね、どのように見込んでおるのか。そういうことをお伺いしておるのです。
  284. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 基本的には、長期債務の処理の問題につきましては、ことしに入りましてから閣議決定いたしまして償還基本方針というのをつくっておりますが、そこでは、今清算事業団 で行っております雇用対策の見通しとか、それから今の土地売却の見通しが立つような時期に、基本的には国において処理するということを決めておりますので、その国においての処理の仕方に関係いたします本格的な財源・措置、そういったようなものを決めるということを考えております。  したがいまして、今申し上げた見通しが立つ時点、そういう時点で全般の話としては決めるということになっておりますが、当面は、今清算事業団に国から千六百億円強の補助金を入れておりますが、そういう補助金とか、それから先ほど来御指摘がございますが、土地売却の自主財源、そういったようなことで、過去の長期債務が利が利を生むような形にならない、そういうことでここ当面は考えておりまして、その見通しがおおよそつくという段階で本格的に措置はもう一度考える、こういうことでございます。  なお、今の先生の御指摘の中にございました株の売却の金額は、先ほど私が申し上げました四千六百億という額面の金額で一応考えて計算をしております。これは、その額面の金額がどのくらいの形で売却されるかということは今の段階では見通しが立たないものですから、自主財源の問題としましては、新幹線保有機構から受け取る貸付料の一部と、それから土地の売却が七兆七千億、それと今の株の関係が、JRの株が四千六百億、それでさらには若干営団地下鉄の持ち分というようなことも計算しておりますが、そういう計算をしまして、なおかつ残る金額が十四兆弱という形で御説明申し上げております。
  285. 田渕哲也

    田渕哲也君 私がお伺いしておるのは、この中に利子の支払い予定額というのが七兆八千九百億円計上されておりますね。これはやはり、例えば土地の売却収入、株の売却収入等で債務を返還して、残った分の約十四兆円を国民負担というようなことで計画を立てておるわけですけれども、やはり土地がいつ売れるか、株がいつ売れるかということでこの支払い利子の金額がうんと変わってくるわけです。だから、この七兆八千九百億円を算定しておる根拠として、土地の売却のスケジュール、あるいは株の売却の時期というのを想定しておると思うんですね。それをお伺いしておるわけです。
  286. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) まず、七兆八千九百億の数字そのものは、国鉄から引き継いだ長期債務等がございます、それの約定に従いました金利を計算いたしまして自動的に出てくる数字でございますので、この金額そのものの話としては基本的には変わらないということになると思いますが、多分先生の御指摘は、そういうことだけではなくて、これからの自主財源の入れ方によってはさらにまた借り増しやなんかの問題が出てくるという、そういう御指摘かと思っております。  まずは、その六十二年度の問題につきましては、先ほど三千億を予定していたものが千三百億程度ということでございますが、国鉄からの繰越金の余裕とか、そういったような財源がございまして、これは今千三百億に減ったことによる新たな負担というような問題は生じておりません。  それで、六十三年度は一応その三千億というふうなことを予定しておるわけでございますが、先ほど、全般の話との関係で償還基本方針の考え方を御説明いたしましたが、当面の、本格的な財源・措置をとるまでの間の措置につきましては、今のままで、先ほど申し上げました利が利を生むというような形は防げるのではないかと考えております。
  287. 田渕哲也

    田渕哲也君 私が心配するのは、清算事業団の予算を見ても、六十二年度の予算の中で、支払い利子その他で九千五百億円、六十三年度は一兆一千百五十三億円、これはどんどん雪だるま式にふえていくのではないかということです。一年間見ても千五百億円利子がふえていく。六年たてば、たちまちこれは支払い利子だけでも二兆円ぐらいだ。かつての国鉄と同じぐらいの赤字を清算事業団は出すことになるわけです。  だから、JRの方はもうかったもうかったと言いながら、片一方で清算事業団の利子が雪だるま式にふえていけば何にもならない。そういう意味で、どのようにこの長期債務の処理をするかというのは極めて重要なことだと思うんです。だから、土地の売却にしても、やっぱり余りこれをおくらせるとそういうことになるのではないかというおそれを抱いているわけですけれども、いかがですか。
  288. 丹羽晟

    政府委員丹羽晟君) 先ほど来御説明申し上げていますように、閣議決定いたしました償還基本方針で、今の当面の問題の次に出てまいります本格的な財源・措置をとるというその時期の問題は、清算事業団で現在行っております雇用対策を初めとするそういう事業の見通し、それから土地売却が当面の数年間どの程度になるかというようなそういう見通し、そういうものがおおよそつくという段階で本格的な財源・措置を考えていくということでございますので、それが、雇用対策は御存じのとおり特別措置法で、三年間でできるだけ、できるだけといいますか、三年間で全員の方の再就職をしていただくという、こういうことを考えておりますので、その辺のタイミングが本格的な財源・措置をとるための見通しのつけやすい時期になるのではないかと思っているわけです。  それまでの当面の措置につきましては、今まで引き継ぎました長期債務から発生する利子がさらに利を生むというようなことは少なくとも避けられるように措置できると考えております。
  289. 田渕哲也

    田渕哲也君 余り時間がなくなりましたが、あと一つ。  私鉄運賃の値上げが申請されております。首都圏六社、平均で一二・四%、もちろんこの中には四・七%分の特定都市鉄道整備積立金というのが含まれておるそうでありますけれども、これはいつごろ結論を出される予定ですか。
  290. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、昨年の五月に運賃改定しました関西の五社と京成を除いた関東の六社から、ことしの一月二十三日に、改定率で一二・四、実質増収率で一一・六という改定申請が出されております。  直ちに一月二十八日に運輸審議会に諮問いたしまして、公聴会等の手続あるいは事務的な審議等を現在鋭意やっていただいております。たまたま昨年の関西の関係の運賃改定が、同じ一月二十三日に出されまして、連休明けの五月十六日実施ということに相なりました。前回、昨年の場合は、関西と関東とで公聴会を開くというような事態もございました。私どもとしては、それを考えますと、確定しているわけじゃございません、運輸審議会の御審議も経、閣内の手続としても関係閣僚会議等に諮る必要がございますので確定したわけじゃございませんが、昨年がそういうタイミングで行われた、ことしについても、厳正に対応いたすわけですけれども、時期としてはそれに似通った時期に処分をするとすれば処分をいたしたいというふうに思っております。
  291. 田渕哲也

    田渕哲也君 現在はエネルギーコストなども低下しておるわけですし、諸物価も安定しております。そういう中で一二・四%というのはかなり大幅な値上げという印象を受けるわけです。もちろんこれは特定都市鉄道整備積立金がそのうち四・七%分合まれておるからだと思いますけれども、何となく、特定都市鉄道整備積立金制度が去年設けられた、だからこの機会に各社が一斉にこれを利用しようということで運賃値上げを申請したというような嫌いもなくはないのではないかと思うんです。もちろんこの制度は利用者負担の枠を非常に広げた考え方であって、あくまでも受益者負担ということを原則にするならば、そういう考え方そのものは理解できないではないんですが、ややちょっと無理があるような気もするわけですね。  例えば、複々線化とかそういうことができるのは十年先、七十二年度でありますから、それまで前払いで運賃を払った人がそのときにはほかへ行ってしまうこともある。厳密に考えるとちょっと無理があると思います。あるいは改良路線以外の人もその運賃の値上げの影響を受ける人も出てくる。それからもう一つ重大なのは、将来、十年先 に果たして本当に混雑が緩和され、スピードアップするのか。人口がまたふえて、積立金やって複々線やったけれども混雑はちっとも変わらない、もうかるのは利用者がふえた私鉄だけだ、お金を払った人はちっとも受益者にならぬということだって想定されるわけです。この点についてどう考えておられますか。
  292. 熊代健

    政府委員熊代健君) 先生指摘のように、昨年の七月から特定都市鉄道整備促進特別措置法ということで、いわば運賃のかさ上げといいますか、上乗せをした部分につきまして、その増収分を工事費の四分の一に達するまで積み立てる。これを取り崩して工事費に充当するということで、金利負担等を少なくし、民鉄事業者がなかなかやりたがらない複々線化工事といったような大規模な工事のインセンティブを与えることによってそれを促進するということでございます。  先生指摘のように、この法律自身の審議の中でもいろいろ議論されたことだと承知しておりますが、現在の利用者に将来のサービス対価を前払いしてもらうと。それで、基本的に民鉄の運賃は、一部割り増し料金的なものをかさ上げしているところもございますが、基本的には各社ことに一つ基本賃率に基づいて定められております。線区ごとではございません。  それからもう一つ申し上げたいのは、過去の設備投資による恩恵を現在利用している我々も恩恵を受けている。それから、一定の範囲内において運賃を負担していただくその母体の一体性ということが是認されるのではないかということで考えられた制度でございまして、基本的に、総体として受益者負担の原則に反するものではないというふうに思っております。  それから、先生指摘のように、確かに全体として最終完成年度は七十二年度ということでございますが、我々としては、できるだけその輸送力増強の効果が上がった時点でそれを供用させるような段取りにはしたいと思いますし、それからもう一つ指摘の、綿区別の負担につきましては、今回の申請におきましても、一部他線区との差を設けるというような考え方の申請になっておりまして、我々としても、それを考慮しながら処理していくべきだというふうに思っております。  それからもう一つ、混雑率が果たして解消するのかということでございますが、御承知だと思いますが、六十年に東京圏の高速鉄道整備計画というものを運輸政策審議会にかけてつくっていただいております。そのときにいろいろ将来の人口の予測等々を勘案した上で計画された中身に沿ったものでございまして、その点は我々として確実に混雑率は下がる、また確実な工事の実施を運輸省としても担保するような姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。
  293. 田渕哲也

    田渕哲也君 最後に運輸大臣にお伺いします。  新聞によると、大臣は、個人的意見であるけれども整備新幹線より首都圏の通勤ラッシュの混雑緩和が急務だということを言われたのが新聞記事に載っておりました。私はこれ全く同感だと思うんですね。今の私鉄の制度の、受益者負担という原則から見れば、それを広げてやるということも理解できないではない。ただ、私が言いたいのは、首都圏で私鉄五社の複々線計画その他で必要な金額は八千六百八十一億円、それから首都圏の民鉄の利用者は一日一千百八十万人。整備新幹線で五兆三千億便うのも結構です。それからこれを公費負担でやるのも結構です。それならやっぱり一日一千万人が利用するこの首都圏の私鉄関係整備にもっと公費をつぎ込んだっていいんじゃないか。こんな前払い運賃で、将来どこかへ移るような人からまで金を取らなくても、無利子融資をもっとふやすとか、あるいは補助金をふやすとか、そういうことで処置すべきじゃないかと思うんですね。  整備新幹線をつくったって、一番たくさん乗るところで一日二万人なんて言われている。そんなところに五兆円も——まあつぎ込むことが悪いと言いませんよ、お金があるならつぎ込んでも結構ですけれども、一日一千万人も非常に残酷な環境の中で通勤している人をちょっとでも楽にするために公費を回すということは、これはまあ整備新幹線との対比で言っているわけで、整備新幹線があくまでこれを受益者負担でやるというなら私はこんなこと言いませんよ。やっぱり国民の公平という点から見れば、そういう点も考えてしかるべきではないかという気がしますが、いかがですか。
  294. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 日本は今、関東メガロポリスと関西メガロポリスの二眼レフ的な構造になっておりまして、過度な集中が行われているわけですけれども、これを分散することも急務でありますが、同時に、大都市における快適な生活、あるいは都市機能というものを円滑に図らなくてはならないと思います。そういうことで問われて、私は整備新幹線を推進されている方々にも、一方では運輸行政の大きな眼目としてこういう問題が歴然としてあるんだということを御理解いただきたいということを申しました。  大都市交通網の整備は、やはり方法をいろいろ検討して、どちらに優先順位を置くかということは大変政治問題になると思いますけれども、いずれにしろ、私たちが積極的に考えなくちゃならない問題の一つだと思っております。
  295. 田渕哲也

    田渕哲也君 終わります。
  296. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  297. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、船舶整備公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石原運輸大臣
  298. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) ただいま議題となりました船舶整備公団法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年、海運業界におきましては、引き続く船腹の過剰及び老朽船舶の増加が問題となっており、このための対策一つとしてこれらの余剰船舶等の有効活用を促進するとともに、その円滑な処理を図ることが期待されております。また、近年における産業構造の転換の流れに対応して、海運業の経営の改善を図るため、海運事業者の事業の多角化を促進することが求められております。一方、深刻な仕事量の不足に悩む造船業の分野においては、新たな造船需要を創出することが強く望まれております。  本法律案は、海運、造船をめぐるこのような状況を踏まえ、船舶整備公団の業務に、余剰船舶等を係留船として活用して行う事業の用に供するために改造すること等を追加することにより、余剰船舶等の活用、その円滑な処理等に資する対策を講じようとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、船舶整備公団の業務に、自己の所有に係る余剰船舶等を係留船として活用して行う事業を営む海上旅客運送事業者等と費用を分担して、当該余剰船舶等を係留船に改造すること等を追加することとしております。  第二に、船舶整備公団が行う共有建造業務等の対象となる国内旅客船として、専ら遊覧の用に供する国内旅客船を追加することとしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  299. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する自後の審査は後日に譲ります。     ─────────────
  300. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 次に、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。石原運輸大臣
  301. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  港湾は、物流活動、産業活動及び国民生活の基盤となる重要な社会資本であり、その整備の促進 を図ることは、我が国経済社会の健全な発展にとって必要不可欠であります。  一方、最近における経済社会情勢にかんがみますと、社会資本の整備を図ることにより内需拡大の要請にこたえ、地域の活性化に資することが緊急な課題となっており、港湾におきましても、第百九回臨時国会における日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の成立及びこれに伴う港湾法等の改正により、港湾管理者の行う港湾施設の整備に対し、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用したいわゆる補助金償還型の無利子貸し付けを行う道が開かれたところであります。  この法律案は、こうした方策に加えて、近年港湾管理者以外の者が一般公衆の利用に供する港湾施設の整備を行おうとする要請が高まってきている状況を踏まえ、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法に基づく無利子貸付制度の活用をさらに進めて、港湾の整備のより一層の促進を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、地方公共団体の出資等に係る法人が行う一般公衆の利用に供する港湾施設の建設または改良工事のうち、これと密接に関連して行われる事業により生ずる収益をもってその費用を支弁することができると認められるものについて、新たに日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を活用したいわゆる収益回収型の無利子貸し付けを行うことができることとする等所要の措置を定めることとするものであります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  302. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する自後の審査は後日に譲ります。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会