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1988-03-09 第112回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十三年三月八日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月八日  本分科員委員会において、次のとおり選任さ  れた。       左藤  恵君    佐藤 文生君       平林 鴻三君    山下 徳夫君       井上 普方君    池田 克也君 三月八日  左藤恵君が委員会において、主査選任された  。 ────────────────────── 昭和六十三年三月九日(水曜日)     午前九時開議  出席分科員    主 査 左藤  恵君       佐藤 文生君    平林 鴻三君       山下 徳夫君    井上 普方君       小野 信一君    佐藤 徳雄君       新村 勝雄君    池田 克也君       鍛冶  清君    小谷 輝二君       柴田  弘君    橋本 文彦君       森田 景一君    兼務 奥野 一雄君 兼務 上坂  昇君    兼務 関山 信之君 兼務 野口 幸一君    兼務 前島 秀行君 兼務 渡部 行雄君    兼務 斉藤  節君 兼務 安倍 基雄君    兼務 玉置 一弥君 兼務 岩佐 恵美君    兼務 佐藤 祐弘君 兼務 柴田 睦夫君    兼務 藤原ひろ子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         郵 政 大 臣 中山 正暉君  出席政府委員         運輸大臣官房長 棚橋  泰君         運輸大臣官房会         計課長     黒野 匡彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      井山 嗣夫君         運輸省国際運輸         ・観光局長   中村  徹君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         運輸省港湾局長 奥山 文雄君         運輸省航空局長 林  淳司君         気象庁長官   菊池 幸雄君         郵政大臣官房長 森本 哲夫君         郵政大臣官房経         理部長     山口 武雄君         郵政省郵務局長 田代  功君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 鈴木  満君         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       神谷 拓雄君         国土庁土地局地         価調査課長   森   悠君         国土庁大都市圏         整備局計画官  井上 興治君         大蔵大臣官房参         事官      中井  省君         大蔵省主計局共         済課長     山口 公生君         大蔵省主計局主         計官      田谷 廣明君         労働省労政局労         働法規課長   渡邊  信君         建設省都市局特         定都市交通施設         整備室長    大川 勝敏君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         建設省道路局地         方道課長    森本 裕士君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      前田喜代治君         参  考  人         (東日本旅客鉄         道株式会社常務         取締役)    松田 昌士君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 分科員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   井上 普方君     小野 信一君   池田 克也君     鍛冶  清君 同日  辞任         補欠選任   小野 信一君     新村 勝雄君   鍛冶  清君     山田 英介君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     井上 普方君   山田 英介君     小谷 輝二君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     新村 勝雄君   小谷 輝二君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     佐藤 徳雄君   柴田  弘君     橋本 文彦君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 徳雄君     新村 勝雄君   橋本 文彦君     草野  威君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     井上 普方君   草野  威君     森田 景一君 同日  辞任         補欠選任   森田 景一君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     池田 克也君 同日  第一分科員渡部行雄君、岩佐恵美君、藤原ひろ  子君、第二分科員関山信之君、第三分科員玉置  一弥君、第四分科員奥野一雄君、前島秀行君、  第五分科員柴田睦夫君、第六分科員上坂昇君、  野口幸一君、佐藤祐弘君、第八分科員斉藤節君  及び安倍基雄君が本分科兼務となった。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省所管事項説明は、両省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算及び昭和六十三年度政府関係機関予算郵政省所管について、政府から説明を聴取いたします。中山郵政大臣
  3. 中山正暉

    中山国務大臣 おはようございます。  郵政省所管事項について御説明を申し上げたいと存じます。  郵政省所管会計昭和六十三年度予算案につきまして、御説明を申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は、二百四十八億円で、前年度当初予算額に対し三億円の増加となっております。この歳出予定額には、電気通信フロンティア技術研究開発放送及び通信複合型衛星研究だと、多様化する情報社会増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送充実を含む放送行政推進、テレトピア等活力ある地域社会情報化推進等に必要な経費を計上しております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は五兆五千百七十二億円で、前年度当初予算額に対し三千七百九十億円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便需要拡大郵便ネットワークの拡充に必要な経費を初め、金融自由化長寿社会への郵便貯金積極的対応に必要な経費長寿社会へ向けての簡易保険郵便年金改善充実に必要な経費郵便局舎等施設整備及び事業経営効率化のための機械化推進に必要な経費、その他所要人件費等を計上しております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和六十三年度単年度で百六十三億円の欠損が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますがへ一般勘定歳入予定額は八兆七千七百十九億円で、前年度当初予算額に対し千七十九億円の増加となっており、歳出予定額は七兆六千七百三十三億円で、前年度当初予算額に対し三千二百八十二億円の減少となっております。  また、金融向山化対策特別勘定におきましては、歳入歳出とも予定額は二兆六千九百五十五億円で、前年度予算額に対し六千四百七十六億円の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は八兆四千七百六十五億円で、前年度当初予算額に対し九千七百三十五億円の増加となっており、歳出予定額は五兆四千九百五十億円で、前年度当初予算額に対し五千三十九億円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は二千九百五十六億円で、前年度予算額に対し七百五十八億円の増加となっており、歳出予定額は五百一億円で、前年度予算額に対し九十五億円の増加となっております。  以上をもちまして、郵政省所管会計昭和六十三年度予算案の概略につきまして、御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いを申し上げます。
  4. 左藤恵

    左藤主査 以上をもちまして、郵政省所管についての説明は終わりました。     ─────────────
  5. 左藤恵

    左藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。野口幸一君。
  6. 野口幸一

    野口分科員 おはようございます。  時間が余りありませんので、初めからないところへ今大臣の御説明がございましたので、なお少なくなりました。  端的に申し上げますが、最近の郵便利用状況、特に私、昨年大阪に参りまして小包集中局を拝見いたしましたが、近年にない活況でございまして、非常に喜ばしい状況だと拝察いたしましたが、その利用状況と、それから特に郵便事業に係ります収支状況、それから料金を値上げすることにつきましての今まででの法令化を緩和いたしましたその以降におけるところの取り扱い状況推移等を、まずちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  7. 田代功

    田代政府委員 最近の郵便物数伸び状況でございますが、昭和六十年度が前年に比べまして四%増、六十一年度が六%増、六十二年度は、四月からこの一月までの間で前年に比べて八%の増と、比較利用増にはずみがついておると思います。特に郵便小包伸びがこの中では著しくなっておりまして、六十年度七%、六十一年度八%とふえてまいりましたが、この六十二年度は、四月から一月末までの合計では、前年に比べまして二〇%の伸びを示しております。中でも特にふるさと小包などは、前年に比べて八〇%増という飛躍的な伸びを示しておりまして、地域振興にも大きく貢献しておると思います。  この物数伸びを反映いたしまして収入につきましても、昭和五十五年に料金の改定をお願いいたしましたが、それ以後六年間毎年黒字を出しまして、当時二千五百億ございました郵便事業累積赤字が昨年の三月末現在で十五億円まで減少するに至っております。その間、当時郵便法改正をお願いした際に、省令郵便料金を変えるように実は法律改正をお願いいたしましたが、この七年間、省令による料金改正を一度もしないで済んだという状況になっております。
  8. 野口幸一

    野口分科員 今御説明ありましたように、特に郵便小包中心として利用者が漸増いたしまして、収支状況も非常によくなっている。このことは私、非常に多とするところでありますが、その内容、どういう理由でそのような状況が生まれてきたかということについての現状の分析はいかがなものですか。
  9. 田代功

    田代政府委員 いろいろ原因ございますが、一つには、郵便局職員意識改革、これが基本だろうと思います。ここ数年前から郵便局職員が、自分たち仕事自分たちで稼ぐといいますか、そういう気持ちが非常に強くなってまいりました。したがって、営業活動ももちろんでありますが、ふだんの取り扱いにおきましても非常に迅速丁寧な取り扱いをするようになりました。そういったものを背景にしまして、私どもも、例えばふるさと小包を開発したり日曜日にも配達するようにしたりとかいったサービス改善、あるいはスピードの面におきましても、かつてのJR中心時代から航空機とトラック輸送に切りかえましたために、全国かなり地域で翌日には届くようになりました。こういったスピードアップですとかあるいは職員仕事ぶりとか、こういったものから郵便局に対するお客様の信頼が増してきた、この結果が先ほど申し上げましたような数字になっているのではないか、このように考えております。
  10. 野口幸一

    野口分科員 今お答えを聞いておりますと、確かにそういう部分といいますか、そういう要素によって郵便利用状況が漸増しておるということは私も認めたいわけではありませんけれども、元来、郵政省というところはいろいろな調査をなさいますが、非常に平面的で安易な方法をおとりになって、例えば郵便配達所要時間だとか配達にかかわる調査の場合、郵便受取人をして何時に着きましたかとかその取り扱いはどうだったかということを通信事務、いわゆる無料はがき郵便局長あてにお返事を書くというような方法だとかいろいろなものがとられておりまして、言葉はちょっと変でありますが立体的なといいますか、もう少し構造を奥深く分析した調査というものが基本的になされていないのじゃないかという気がしてならないのであります。  今お答えがありましたように、例えば小包増加傾向でありますと、確かにふるさと小包というものが利用されて、またそれが郵便局を経由してなされるという傾向にございますことについては御同慶の至りでありますが、ただ、このふるさと小包そのものがどういう産業内容分野から出てきて、そして将来性はどのような状況にあるのかというところまではおつかみになっておられないはずでございます。例えば他のいわゆる宅送便、クロネコヤマトあるいはペリカン便とか言われるような宅送便と郵便小包が具体的にどういう状況配達されているかという比較については、これも憶測にすぎないのでありまして、実態的な調査はなさっておられない。  例えば青森から鹿児島まで仮にペリカン便小包を出した場合、あるいはクロネコヤマト利用した場合、あるいは郵政省郵便小包利用した場合、三者で同じ発送人が同時に同じあて先に荷物を出した場合、どういう経路でどれだけの経費とどれだけの時間がかかり、かつ手元にどういう状況で渡っているかということについての比較調査などは恐らくなされておらぬだろう。だから、世に言うクロネコヤマトの方が小包が早いんだと言われると、そうでございますかというような、いやそんなことありませんと言ってみてもそれは根拠のないありませんでありますし、ああそうですかと言ってみてもそれも根拠のない肯定であるということであろうと思うのであります。  従来、私常々思うのでありますが、郵政省の場合、将来これから言わなければならぬ問題でありますけれども市場開拓にかかわる基本的な調査というものは、もう少しお金をかけた、そして深い視野に立った将来を見通した調査が必要だろう。特に郵便物のこれからの先行き利用状況を勘案いたしますと、確かに鉄道輸送からトラック便に移行し、あるいはまた航空便等に移行してまいったことも事実でありますが、例えばこれから先行き東名高速道路なら東名高速道路利用状況を考えてみますと、だんだんこれは混雑をきわめてまいりまして、所要時間はだんだん遅くたるといいますか、そういう傾向にございます。第二東名とか第二名神とか言われておりますように、そういう道路整備もいよいよ着手をしなければならぬという状況にあるときだけに、先行きの見通しというのは必ずしも現在だけを肯定して言っておっては何もならない。少なくとも十年、二十年を展望した上に立っての郵便輸送のあり方とかいうものもある程度勘案して考えなければならぬ問題だ。  また小包内容につきましても、今私から申し上げましたように、小包そのもの内容がどういうものでどういう傾向で出されてきているか、これは持続的なものか一時的なものかという分析。それから、あるいは特にこれもやっておらないと思いますけれどもデパート等におけるいわゆる贈答品配送状況。話は少し飛びますが、それの中に、郵便法違反でありますけれども手紙が入っている。特に香典のお返し等における贈答品の中に、もう一〇〇%と言っていいほど手紙が入っておるわけであります。ところが、これはどういうことか、百貨店を御調査なさった経験があるのか。あるいは、そういうことはならぬというのは法律上書かれてあるわけでありますが、どういう状況で今それがなされているのか、それによる損失分は一体どのくらいあるのかということも、恐らく一遍も具体的にはお調べになっておらぬだろうと私は思うのです。お調べになっておったら私の間違いですから謝りますけれども、それはなすっておられたいだろうと思うのであります。それはやっておるけれども目をつぶっているのか。あるいはまた、都内におきますと、特急便とかいいましてバイクで郵便物まがいのものを配送しているものもあります。これは配送屋というのですか何というのか、郵便局まがいのものをやっている会社もあります。これも野放してあります。  こういったものをよそに置いておく現況というものは、私は見るに忍びないと思うのであります。もっと深い現況把握をやった上でいわゆる郵便市場開拓という問題について着手をされたいと思うのでありますが、これらの調査を行っておられますか、それとも将来ともこのような深い意味におけるところの立体的な調査をおやりになるお気持ちがあるのか、お伺いいたしたいと思います。
  11. 田代功

    田代政府委員 先生おっしゃいます立体的な深みのある調査と言えるかどうかは私どもちょっと自信はございませんが、私ども長い間郵便事業を実施しておりますし、それからいろいろな競争相手も事実上出てきておりますので、そういったところとの関係ですとか、あるいはどうやったら郵便が逆にこれからもっと出してもらえるかといった観点からの調査ですとか、あるいは二十一世紀に向けて今から何をなすべきであるかといったことについても、私たちなりにいろいろな調査は実はいたしております。ただ、それを現実の施策面にといいますか、これからの郵便事業改善策に具体的にどう生かすかとなりますと大変難しい問題もございますので、時々刻々の、ある意味では現場でいろいろ感触で得ているお客様のニーズに合ったようなサービスを開発しながら、需要の掘り起こしをしていこうかというところが中心でございます。  なお、今具体的な例をお出しになりました、例えば民間のオートバイ便の中に手紙が入っているのではないかとかいうことも、いろいろな角度から情報をとったり、あるいは運輸省なりにもお願いして、標準約款の中に手紙は入れてはいけませんというようなことをお客様に周知してもらったりということもやってはおります。しかし、なおそれで十分とは思っておりませんので、引き続きやりたいと思います。
  12. 野口幸一

    野口分科員 限られた時間でありまして、いろいろなことを申し上げたいと思うのですけれども、そうもできませんからあえてこの問題に絞って申し上げますと、例えば先ほども申し上げましたように、今デパートにおける贈答品の中に手紙が入っているという事実を認めながらも、実は自分のところの小包にはこれを認めないという状況でございます。そういう問題は早期に解決をしていきませんと、これはもうどうにもならない問題になってくるんじゃないでしょうか。今、郵便小包手紙を入れてもよろしいということを堂々とそこの中に出してもいいのじゃないでしょうか。そういう時期が来ているのじゃないかと私は思うのです。  逆に言うならば、片方に目をつぶっておって、自分のところの本業の方ではきちっと規則を守って、小包の中に手紙を入れてはいけませんなんと言っていること自体がもう既に時代に合っていない状況なんです。それだったら、逆に締めるのならばデパート等でそれは調査でもやって、あるいは一日でもそういう現場に行ってそういうことをやっているところをお調べになったことがありますか。やっておられたいでしょう。例えば贈答品関係の売り場に行って、郵政省職員なり監察局なりがそこに入って、そういう郵便物を入れて発送している状況などをつかんだことがありますか。ないでしょう。だから、そこまでやっているんだったら、自分のところの小包だけは手紙を入れてはいけませんなんということを言える状況ではないのじゃないかと思うのです。調査をなさるのは結構だけれども調査をやって、それではこれからの施策にそれをどう生かそうかというところがないということを申し上げているのです。  それから、立ったついでに時間が余りないですから全部言ってしまいますが、例えば業務郵便のこれからの利用郵便市場開拓の問題でも、私も再三いつか分科会で指摘したことがありますけれども郵政省文部省などと提携をして、手紙郵便というものの効用についてもっともっと子女教育から始める、基本的なものから始め直さなければいかぬと思うのですね。口幅ったい言い方をするわけではありませんけれども、今ここにおられる方の中でまともに手紙を書ける人は一体何人いるだろうか。手紙というものの書き方というものに対して本当の教育がなされているだろうか、そういうことなどから始めますところのいわゆる手紙効用。  最近はワープロが盛んになりまして、だれが書いたかがわからないような手紙がどんどん届きます。私どものところにも陳情書が来ますけれども、同じワープロで書いたものに名前だけが書いであるような陳情書なんて、はりきり申し上げて僕は読みません。それは、手紙を書くというところに意味がありまして、最近は世界共通語として英語が非常に大きく教育が言われておりまするけれども、肝心の日本語教育というものがなっていないのじゃないか。それは文部省所管であるかもわかりませんが、郵政省も、手紙という分野から考えるところの文化効用日本文化というものあるいは日本語のよさというものに対する力をもっともっと子女教育の中から、提携をしてその分野を広めていくということをやはりやらなければならぬだろうと思うということを再々申し上げているのですけれども、これは何か文部省任せになっておりまして、郵政省郵便という立場から、その効用についてもっとお金を使って、そして若い人たち手紙を書こうというような気分になるようにしなければならぬ。  これもいつかこの分科会で申し上げたと思いますが、「ふみの日」というのがありますが、この「ふみの日」というのはただ「ふみの日」だけのことであって、例えば「ふみの日」に国民に一人当たり一枚ずつ配って、無料でいいからとにかく一遍はがきを書きなさいというぐらいの、思い切った手紙を奨励する施策をやらなければだめだと思うのですね。例えば、ここにいらっしゃる高官の方にはまことに失礼な言い方をいたしますが、イロハニホヘトというこのイロハをもとの漢字で書いてごらんなさいと言ったら書ける人はありますか、恐らく一〇〇%ないと思いますよ。はっきり言ってそんな時代なんですよ、日本語そのものが。  だからそれは、文部省なんかの教育課程の中に手紙というものの効用手紙書き方というようなものをもっと入れてほしい。そして、そういう子女教育の中から、常に日本語を大事にしよう、お互いの社会の基盤にあるところの日本語というものと手紙というものを使おうじゃないか、それが文化の一番初めの基本ですよというところを、やはりそれを文部省だけに任せるのじゃなくて、郵政省もその一翼を担うべきだ。それはやはり郵政省あたりが主唱をいたしまして、もっと力強い郵便利用のあり方というものについての教育との関連性、連携というものをぜひやっていただきたいなということをお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、ついでに全部申し上げておきますが、年賀郵便取り扱いの問題でございます。これは再々申し上げました。私は郵政省から、あいつが物を言えば年賀郵便のことを言うんじゃないかと思われるかもわかりませんが、去年も「なるべく」問題を全国的に調査をさせていただきました。一番徹底しておりましたのは近畿郵政局でありまして、近畿郵政局は全部、なるべく二十日までにということについて徹底した施策がなされておりました。ほかの郵政局についそは、私が調べた範囲においてはやや完全とは言い切れません。  私が「なるべく」問題を、なぜこんなことをやかましく言うかといいますと、いわゆる法には、この年賀はがき取り扱い期間というのは十二月十五日から二十八日まで、こうなっております。したがって、それを二十日までに出せということは、国民に対して強要するのではなくて御協力を願うのでありまするから、あくまでもお客様を相手にしての協力依頼であります。「なるべく」という字は、たとえ書きたくなくても書かなければならぬものだと私は思うのであります。二十日までに出してくれというのは、本当は「十二月二十日までに」とすっと書きたいだろうけれども、なるべく出してくれという「なるべく」は、これはお客様を相手にしている限りにおいては書かなければならない文句だと思うのです。それが徹底されていないということがまず一点であります。  それからもう一つは、考えてみれば、十五日から取り扱いを開始して二十日までに出せというのは、これは五日間であります。年賀はがきの売り出しは大体十一月五日ごろにおやりになるわけでありまするから、私はこの際、取り扱い期間を十二月十日からにしてはどうか、こういう法改正をお考えになってみてはいかがなものか。それはいろいろ現場の問題もありましょうし、いろいろなことがあるかもわかりませんけれども、年賀はがき取り扱い期間を少しさかのぼらせるという方法もあるのではないか。そして、なるべくなら二十日までというならば、十五日から始まって五日間とその前に出すというのは大分違うわけでありますから、「なるべく」の効用もまた違ってくるだろう。取り扱い期間の効用、これもお考えをいただきたいなということであります。  その次に、持ち戻り郵便物とか持ち戻りの小包とかいうものの取り扱い関係であります。これは、最近はもちろん留守の家庭が漸増の状況にあるわけでありますが、あらかじめ留守の場合はどこにやってほしいということを、一部やっておられるようでありますけれども申し上げておきますが、これを徹底していただいて、そしてその小包なんかのいわば預かる場所をもう少し広げていただきたい。特定郵便局、無集配郵便局に限らず、あるいはいわゆる切手売りさばき所等の利用をいたしまして、近いところにその小包を置いてくるという方法というものを考えてはどうか。切手売りさばき所というのは非常にたくさんあるわけでありますから、切手売りさばき所をもっとよく使って、例えばクリーニングの取り扱いではありませんけれども、そういうものの扱い所というものをどんどんこしらえていって、そしてそこの取扱所では配達できなかった小包を預かっておりますよというような取り扱いというものもできないものか。わざわざ遠いところの郵便局まで行かなくとも、あなたのところに行きましたが小包は入りませんでしたのでどこどこへ預けておきますというのを入り口に張らせていただくとか、あるいは郵便箱に入れさせていただくとかいうことによって、利用者が近いところで小包を受け取ることができるというような方向をぜひこの際お考えをいただきたいなという気持ちがあるわけでございます。  時間がないようでありますから、今まで申し上げましたものに対して概括的な御返事をいただきたいと思います“
  13. 田代功

    田代政府委員 私ども郵便事業を預かっております者にとって、大変ありがたいお話と存じます。  手紙文化効用、私どももいろいろ実施しておりますが、ちょっとマンネリかなという気持ちもしておりますので、またきょうのお話を受けまして、文部省ともさらに打ち合わせをしながら、なるべく若い人にたくさん手紙を書いてもらえるような方策をいろいろ考えたいと思います。  それから、年賀状のあのなるべく二十日までにお出しくださいというのは、もう野口先生から再再にわたって御指摘を受けております。それで私どもも、この「なるべく」という字をきちんと入れるようにという指導は十分したつもりでございますが、全国に二万余の郵便局の中ではまだ残っているというようなお話でございます。さらにまた、これを徹底させたいと思っております。  引き受けの期間でございますが、現在十五日から二十八日まで、私たちはなるべく早く出していただきたいと思っていろいろなお願いをしておりますが、最近、郵便局の業務運行が安定いたしましてから、特にお客様からお出しになる期間が遅くなっておりまして、二十日までに出していただく割合はほんの一握りでございまして、ほとんど二十八日前後、二十八、二十九あたりに皆さん年賀状をお書きになる時代になりました。これは私ども仕事の上にも大変厄介な問題になりますもので、受け付け期間は例えば十日からにするという今の御示唆も含めまして、なるべく早く出してもらえるような手を打ちたいなと考えております。  それから持ち戻りの取り扱いでありますが、売りさばき所にというところまで現在考えておりませんが、お客様の希望によっては、例えば両隣のこのお宅ならば預けておいていいよという御連絡をいただきましたらそこへ預けるとかいうことやら、あるいは夜でも配達しますから御連絡くださいというようなことで、なるべく要望に沿えるようなことをいたしております。今の売りさばき所の件も、ちょっと事務的にはいろいろ難しいこともあるかと思いますので、しばらく勉強させていただきたいと思います。
  14. 中山正暉

    中山国務大臣 野口先生から、大変郵政事業に対する御好意あふるる御示唆をいただきまして、本当に感謝をいたしております。  郵政の御出身でいらっしゃいますので、特に深い愛情を我々郵政省にかけていただいておりますことをふだんから聞き及んでおりますが、先生は特に紅の雪、紅雪という俳号まで持っていらっしゃるようでございまして、本当に昔の手紙を見ましても、額にして表装をして座敷にかけるような手紙があったのですが、このごろはそういうものは余り見かけません。  日本は百八十一億通という世界第三位の手紙の量でございますが、個人では十六位でございまして、百五十通ということのようでございます。私ももっと手紙を書いてもらいたい。特に、緩急自在の毛筆を使う東洋民族が手先が排用だというのは、その毛筆と、それから大変画数の多い字までを見事に書き上げるその技術が、ICとかいろいろな技術に生かされてきたと私は思っておりますので、私も個人的にではありますが、接するお母さん方には、子供さんにひとつ毛筆をやらせてくださいんということをよく申します。私自身も、ここにいつも筆ペンを持っております。そんなふうに、教育的にも我々日本人の器用さというのを失わないために、手紙というのは大変大事じゃないかなと。最近も「レディースポスト’88」と銘打ちまして、女性の指導者の方々、いろいろな多方面で活躍していらっしゃる方々にもこの間から三回にわたりましてお集まりを、もう今二回済ましたところでございますが、その中でも先生の御指摘のような意見が随分出ておりました。  そういう意味で、文化と郵政事業というものがいかに密接なつながりがあるかということを我々も認識をしながら、今後ともひとつ文部省とも話し合い、学校教育の中にも手紙というものを定着させることを実施していきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたしたいと思っております。
  15. 野口幸一

    野口分科員 終わります。
  16. 左藤恵

    左藤主査 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、郵政省所管についての質疑は終了いたしました。     ─────────────
  17. 左藤恵

    左藤主査 次に、運輸省所管について、政府から説明を聴取いたします。石原運輸大臣
  18. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 昭和六十三年度運輸省予算の説明をいたします。  昭和六十三年度の運輸省関係の予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計につきまして申し上げますと、歳入予算総額は二十四億六千二百万円、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百四十七億一千六百万円を含め九千二百八十五億三千万円をそれぞれ計上しております。  次に、特別会計につきまして申し上げます。  自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入予算額二兆三千四百二十七億四千九百万円、歳出予算額六千五十八億八千八百万円、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額四千億二千四百万円、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入予算額三百九十三億四千万円、歳出予算額三百三十三億四千万円、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千百二十八億四千六百万円をそれぞれ計上いたしております。  なお、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計歳出予算には、日本電信電話株式会社の株式、NTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額を計上しております。  また、産業投資特別会計歳出予算には、運輸省関係海岸事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額が計上されております。  また、昭和六十三年度財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として二兆一千八百六十億円が予定されております。  このほか、民間事業者が実施する民間事業者の能力の活用による施設整備事業の一部貸し付けに要する資金のNTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸し付けによる運輸関係社会資本の整備を図ることといたしております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、国鉄改革の推進・定着化対策、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備、交通ネットワークの整備、造船・海運対策及び船員雇用対策、国際交流の推進・観光の振興、貨物流通対策、運輸関係の技術開発の推進、海上保安体制及び気象観測体制の充実強化、地震・火山対策、交通安全対策等各般にわたる施策推進してまいる所存であります。  運輸省関係予算の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  以上をもちまして、昭和六十三年度の運輸省関係の予算につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。
  19. 左藤恵

    左藤主査 この際、お諮りいたします。  ただいま石原運輸大臣から申し出がありました運輸省関係予算の概要の説明につきましては、これを省略いたしまして、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 左藤恵

    左藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────   〔石原国務大臣説明を省略した部分〕  以下、昭和六十三年度予算における主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、国鉄改革の推進・定着化対策につきまして申し上げます。  第一に、旅客鉄道株式会社等につきましては、安全な輸送の確保を図るため、踏切保安施設の整備費の一部を補助するために必要な経費として六億六千三百万円、防災事業費の一部を補助するために必要な経費として八十五億六千万円を計上するとともに、政府保証債の借換資金の円滑な資金調達を図るため財政投融資として一千五百七十一億円、鉄道事業の安全防災対策工事、輸送力増強工事等を促進するため日本開発銀行からの融資として一千二百億円を予定しております。  第二に、新幹線鉄道保有機構につきましては、その資金繰りの円滑化を図るため財政投融資として三千四億円を予定しております。  第三に、日本国有鉄道清算事業団につきましては、補助金として一千六百四十三億円、特定地方交通線特別交付金を交付するために必要な経費として百二十七億円を計上するとともに、財政投融資として一兆三千八百十億円を予定し、その他の資金確保のための措置とあわせ、長期債務等の処理に支障を来さたいよう配慮いたしております。  次に、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備促進につきまして申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第五次空港整備五か年計画の第三年度として、当省所管一般会計予算に七百五十三億六千六百万円、総理府所管一般会計予算に百二十六億八千四百万円を計上し、これに対応いたしまして空港整備特別会計歳入歳出予算額を三千百二十八億四千六百万円とし、空港の整備及び環境対策等を計画的に推進することとしております。  まず、関西国際空港につきましては、関西国際空港株式会社が空港島、空港連絡橋等の建設を行うこととし、同株式会社に対する財政投融資として六百九十億円を予定し、その他の資金を加え、事業費一千百七十二億円を予定しております。  次に、新東京国際空港につきましては、将来の航空輸送需要の増大に対処するとともに、我が国の国際交流上の拠点としての機能を確保するため、同空港の概成に向けて空港施設等の整備を実施し、あわせて空港周辺の環境対策を推進することとし、事業費として六百四十六億円を予定しております。このため、空港整備特別会計において、新東京国際空港公団に対する出資として百十一億円を計上するともに、財政投融資として、過年度に借り入れた資金の借りかえに充当されるものも含め四百三十一億円を予定しております。  次に、航空輸送力の増強と航空機騒音問題の解消を図り、首都圏における国内航空路線の拠点としての機能を確保するため、東京国際空港の沖合展開を推進することとし、空港整備特別会計において八百十六億一千八百万円を計上するとともに、同事業の財源の一部として財政投融資二百億円を予定しております。  次に、国土の均衡ある発展を目指す交通基盤整備の一環として、国内航空ネットワークの拡充を図るため一般空港の計画的整備推進するとともに、地域航空の発達を図るためヘリポート等の整備を促進することとし、NTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金百十九億六千六百万円を含め、空港整備特別会計において八百三十九億九千七百万円を計上しております。  次に、環境対策事業につきましては、空港周辺の整備を促進するため、移転補償等を行うとともに、緩衝緑地帯整備事業を推進し、あわせて空港周辺整備機構または地方公共団体が実施する空港周辺整備事業について所要の助成を行うこととし、空港整備特別会計において三百六十八億五千万円を計上しております。  次に、航空輸送力の整備増強を推進し、利用者利便の向上を図るため、航空機の導入について、月本開発銀行及び日本輸出入銀行からめ融資五百七十億円並びに沖縄振興開発金融公庫からの融資を予定しております。  第二に、港湾整備につきましては、第七次港湾整備五カ年計画の第三年度として、当省所管一般会計予算に一千五百四十一億円、総理府所管一般会計予算に九百七十五億百万円を計上し、これに対応いたしまして港湾整備特別会計歳入歳出予算額を四千億二千四百万円とし、効率的な物流体系の形成を目指した港湾の整備、豊かな生活空間を形成するための事業等を計画的に推進することとしております。  なお、港湾整備特別会計歳出予算には、港湾整備事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金五百三十七億三百万円を計上しております。  また、港湾の再開発等により物流・産業・生活という多様な機能を有する港湾機能の高度化を図るとともに、国民の自由時間の増大に対応した海洋性レクリエーション需要へ対処していくため港湾の整備を民間活力をも活用しつつ推進することとし、NTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸付及び日本開発銀行等からの出融資により港湾文化交流施設、臨海部活性化施設等の整備を支援するなど必要な助成を行っていくこととしております。  第三に、海岸事業につきましては、第四次海岸事業五カ年計画の第三年度として、当省所管一般会計予算に二百三十七億五千八百万円、総理府所管一般会計予算に四十一億六千九百万円を計上しているほか、運輸省関係海岸事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金として産業投資特別会計歳出予算に五十億百万円が計上されており、高潮、津波及び海岸侵食の脅威等から国土を保全するため海岸保全施設の整備を計画的に推進するとともに、海岸環境整備事業を実施することとしております。  第四に、鉄道につきましては、日本鉄道建設公団に対しまして、一般会計からの補助金及び補給金として二百九十二億三千九百万円を計上するとともに、財政投融資として一千五百十八億円を予定しております。  工事規模につきましては一千九百十二億円を予定し、これにより京葉線等の旅客鉄道株式会社等の工事及び大都市における都心乗り入れ工事等民鉄線の工事等を行うこととしております。  整備新幹線につきましては、日本鉄道建設公団に東北、北陸新幹線及び九州新幹線鹿児島ルートの建設費をとりあえずの財源として財投及び利用債で計上しております。また、着手に当たっては、政府・与党一体となって検討を行う検討機関として整備新幹線建設促進に関する検討委員会を設け、その下に優先順位を決定するための着工優先順位専門検討委員会及び財源問題等を検討するための財源問題等専門検討委員会を置き、この検討委員会及び両専門委員会において、JR各社及び関係地方公共団体の意見を聞きつつ、昭和六十三年八月までに結論を得るものとしております。  さらに、北陸新幹線(小松―武生間)及び九州新幹線(長崎ルート)に、つきましては、所要の準備を進めるとともに、北陸新幹線(武生以西)及び北海道新幹線につきましては、引き続き所要調査を進めることとしております。  また、特定地方交通線を廃止する場合に必要となる一般乗合旅客自動車運送事業または鉄道事業を経営する者等に対し、その運営に要する費用の一部を補助するとともに、日本鉄道建設公団の建設に係る地方鉄道新線の円滑な運営に資するため、鉄道事業者に対し、開業に要する費用の一部を補助することとし、これらに必要な経費として二十二億七千五百万円を計上しております。  さらに、幹線鉄道の活性化を図るため、在来幹線と新幹線との直通運転を行うための事業費の一部を補助することとして一億七千万円を計上しております。  次に、運輸関係社会資本の整備と相まって形成される交通ネットワークの整備促進につきまして申し上げます。  第一に、都市交通対策を推進するため、地下高速鉄道及びニュータウン鉄道の建設費の一部を補助するために必要な経費として四百二十八億六千四百万円を計上するとともに、帝都高速度交通営団及び住宅・都市整備公団に対する財政投融資として四百六十四億円を予定しております。  第二に、片福連絡鉄道につきましては、日本鉄道建設公団のP線工事の対象とするとともに、同線の多目的旅客ターミナル施設に対しNTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行からの無利子貸付等を行うことを予定しております。  第三に、大都市における民鉄の安全防災対策工事、輸送力増強工事等を促進するための融資を行うほか、あわせて、鉄軌道新線に対する出資を行うため、日本開発銀行からの出融資として一千五十億円を予定しております。  第四に、バス輸送サービス改善により公共交通機関としてのバスの利用を促進するため、バス交通の活性化に資する施設設備の整備に要する経費の一部を補助することとし、これに必要な経費として二億七千百万円を計上しております。  第五に、中小民鉄対策を推進するため、欠損補助、近代化設備整備費補助及び踏切保安設備整備費補助を行うために必要な経費として九億九千四百万円を計上しております。  第六に、地域住民の生活に不可欠な路線バスの運行を維持するため、都道府県が生活路線維持費補助金、廃止路線代替車両購入費等補助金を交付する場合において当該都道府県に対してその一部を補助することとし、これに必要な経費として百億円を計上しております。  第七に、離島住民の交通を確保するため、離島航路事業者に対する補助に必要な経費として三十二億四千三百万円を計上しております。  次に、造船・海運対策及び船員雇用対策につきまして申し上げます。  まず、造船業経営安定対策につきまして申し上げます。  第一に、国降水準並みの延べ払い条件で船舶輸出を行うために必要な日本輸出入銀行からの融資として八十億円を予定しております。  第二に、造船業の過剰設備の処理を円滑に推進するため、特定船舶製造業安定事業協会に対し、これらの施設の買い上げに要した資金に係る費用の一部を補給するために必要な経費として六億四千七百万円を計上するとともに、造船事業者の生産体制整備に必要な日本開発銀行からの融資を予定しております。  第三に、造船事業者が行う船舶解撤を促進するため、船舶解撤促進事業に要する経費の一部を補助するために必要な経費として七億九千万円を計上しております。  第四に、地域の活性化を図るとともに、造船業の不況対策にも資する施策として、造船業の技術を活用した海上浮体施設整備事業を推進するため、NTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行からの無利子貸付及び日本開発銀行からの融資を予定しております。  次に、海運対策につきまして申し上げます。  第一に、外航海運対策の推進につきましては、日本開発銀行からの融資として四百五十億円を予定し、四十四次計画造船として約八十万総トンの建造を行うほか、新たに外航客船の建造を行うこととしております。  また、外航船舶建造融資利子補給を行うために必要な経費として七億一千六百万円を計上するとともに、日本開発銀行による利子補給金相当額の猶予措置を引き続き講ずることとし、これに伴う日本開発銀行に対する交付金として四億八千三百万円を計上しております。  第二に、船舶整備公団につきましては、財政投融資として、産業投資特別会計からの出資十二億円を含む三百三十八億円を予定し、その他の資金を加え、事業費四百七十七億円を予定し、離島航路を含む国内旅客船及び内航貨物船等の共有建造、既存船舶の運送以外の用途への転用等を行うこととしております。  次に、船員雇用対策につきまして申し上げます。  船員対策といたしましては、外航海運企業における船隊・船員の大幅な縮小に伴う厳しい雇用状況に対処するため、外航船員緊急雇用対策を講じ、船員の雇用の促進及び安定を図るとともに、北洋漁業等の漁業離職船員対策等を推進することとし、これに必要な経費として二十一億二千二百万円を計上しております。  次に、国際交流の推進・観光の振興につきまして申し上げます。  第一に、日本人の海外旅行を促進することにより、国際相互理解の増進、国際収支のバランスの改善等を図るため、観光関係の国際協力推進に必要な経費として二億四千八百万円を計上しております。  第二に、国際観光振興会に対して海外観光宣伝事業等の実施に要する費用の一部を補助するために必要な経費として十九億八千百万円を計上しております。  第三に、自然に親しむ観光レクリエーション活動の場としての家族旅行村と来訪外客による伝統的地域文化の体験、地域住民との交流の場としての国際交流村とを整備するため、これらの整備費の一部を補助することとし、これに必要な経費として二億五千百万円を計上しております。  また、国際市民交流基盤施設及び総合保養地域の特定民間施設整備を図るため、NTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸付及び日本開発銀行等からの出融資を行うことを予定しております。  次に、貨物流通対策につきまして申し上げます。  新たな消費者物流サービスの創出を図るため、フレイトビラ構想を推進することとし、これに必要な経費として二千万円を計上しております。  また、高度化・多様化する物流ニーズに対応するため、NTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行からの無利子貸付及び日本開発銀行からの融資により物流高度化基盤施設の整備を行うとともに、物流の効率化を推進するため、日本開発銀行等からの出資及び融資により貨物流通施設の整備を行っていくこととしております。  次に、運輸関係の技術開発の推進につきまして申し上げます。  財団法人鉄道総合技術研究所に対して磁気浮上方式鉄道の実験線等調査等を委託するとともに、磁気浮上方式鉄道に係る技術開発費等の一部を補助するために必要な経費として十一億七千万円を計上しております。  また、運輸の分野における広範な人工衛星の利用要請にこたえるため多目的な機能を有する衛星システムの開発のための調査研究を行うこととし、これに必要な経費として五千五百万円を計上しております。  次に、海上保安体制の充実強化につきまして申し上げます。  第一に、海上における捜索及び救助に関する国際条約の発効及び国際的な新海洋秩序形成の動きに対応して、広大な周辺海域における航行安全体制の確立及び我が国の権益の確保等のため、前年度から継続のヘリコプター二機搭載型巡視船一隻、長距離捜索救難機二機等の整備に加え、巡視船艇四隻の代替建造等を行うとともに、海洋調査充実強化を図るため中型測量船の代替建造等を行うこととし、これらに必要な経費として九十八億七千七百万円を計上しております。  第二に、船舶交通の安全確保を図るため、光波標識、電波標識等の航路標識の新設及び改良に必要な経費として七十五億四千二百万円を計上しております。  次に、気象観測体制の充実強化及び地震・火山対策につきまして申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化を図るため、静止気象衛星関係業務の推進、アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網等の整備に必要な経費として三十四億五千四百万円を計上しております。  第二に、地震・津波対策及び火山対策の強化を図るため、地震計・検潮施設の整備等に必要な経費として二億二千二百万円を計上しております。  次に、運輸行政の要諦であります安全の確保を図るため、所要の予算を計上しております。  このほか、昭和六十三年にオーストラリアのブリスベン市において開催される国際レジャー博覧会に我が国も公式参加することとし、これに必要な経費の一都として、一般会計に一億五千七百万円を計上するとともに、港湾整備特別会計、空港整備特別会計等においても所要額を計上することとしております。  以上をもちまして、昭和六十三年度の運輸省関係の予算につきましての説明を終わりますが、何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     ─────────────
  21. 左藤恵

    左藤主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。      ────◇─────
  22. 左藤恵

    左藤主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  23. 小野信一

    小野分科員 昭和六十二年の二月二十七日、岩手県の地元紙である岩手日報の夕刊の第一面に、山田線宮古―釜石間、三鉄が実質一貫経営へ、昭和六十二年度中実現で合意と、中村岩手県知事の記者会見の模様が発表になりました。要するに、山田線の宮古―釜石間の路線、施設をJR東日本から三陸鉄道株式会社が借り受けて、鉄道事業を行う第二種免許を六十二年度中に取得して経営するという考え方でございます。  これは三鉄、岩手県、国鉄の三者の合意によって明らかにされたものですけれども、当然運輸省は承知をしていると思いますが、いかがですか。
  24. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまの山田線の宮古―釜石間の問題につきましては、国鉄時代から三陸鉄道が南北リアス線と一貫経営をしたい、こういう御要望が強くあったということを承知しております。そのころ三陸鉄道が国鉄に対しましてそのような御要望をされていたのですが、民営化後のJR東日本になりましてからは、両者間でいろいろと御協議をしていらっしゃるということを、今私ども承知しております。それで、今先生おっしゃいました新聞報道につきましては、私の方は詳細は存じておりませんが、現在両者の協議中である、そういうふうに伺っております。
  25. 小野信一

    小野分科員 三者が合意して発表になったことはお認めになったと受け取っております。  ところが、六十二年の九月十四日、JR東日本の住田社長が就任あいさつのために岩手県を訪れた際に、この三陸鉄道の一貫経営問題に触れて、民営化した以上、財産である路線を無償で譲渡することはできないと、経営移管に難色を示しました。これは、JR側が国鉄の分割・民営化によって従来の姿勢を転換したものだと私は考えます。しかし、岩手県と三鉄は年度内解決、昭和六十二年度中を目指して努力をいたしております。この実現の可能性について、運輸省はどう見ておりますか。
  26. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 JR東日本の住田社長のお話につきましての新聞報道につきましては、その新聞報道は私も拝見いたしました。それで、そのときのほかの新聞では、住田社長は、今先生のおっしゃったような点も報道されておりますけれども、同時に、過去の経緯も踏まえていくという趣旨の御発言もされているやに拝見いたしました。  先ほど御説明いたしましたように、ただいまのところは三陸鉄道それからJR東日本、その間の協議を鋭意進めていられるという状態でございますので、その両者間で適切な結論が得られるように期待いたしておる次第でございます。
  27. 小野信一

    小野分科員 御存じの山田線の昭和六十年度の輸送密度は、千四百八十九人とまことに小さいものです。この線は、御存じのように岩手県の県都盛岡から険しい北上山系を越えまして太平洋岸の宮古に至り、さらに三陸沿岸を南下して釜石に至る線路でございます。沿岸都市釜石と宮古の間の輸送量はまあまあの水準でありますけれども、宮古と盛岡間の乗車人員は大変少のうございます。したがって、もし宮古と釜石間が三鉄の方に移行されますと、輸送密度が宮古―盛岡間は大きく減少いたします。当然その際に、廃止水準から随分下回るものですから、大変な問題が起きるのじゃないか、こう心配しております。同時に、この廃止される部分に、御存じのように岩泉線が接続になっております。したがって、この地域の宮古―釜石間の三鉄への移行問題は、総合運輸体系から考えて、その維持発展から考えて適当なものかどうか、その点について運輸省の見解をお尋ねいたしておきたいと思います。
  28. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 国鉄改革で国鉄を民営化したときの一つの考え方といたしまして、特定地方交通線は新生JRから切り離すということになっているわけでございますけれども、特定地方交通線以外の地方交通線、ただいまの山田線なんかもその特定地方交通線以外の地方交通線になるのではないかと思いますが、その鉄道につきましては、JRが地域に密着した経営で維持していくということを基本的な考え方にいたしております。  したがいまして、ただいま先生御指摘の盛岡―宮古間の山田線の一部の問題につきましても、宮古―釜石間の問題がどう決着するにせよ、基本的にはJR東日本が地元と相談しながら維持していくというのが基本であると考えております。したがいまして、地元の意向を無視してまでもそこの部分を仮に廃止するとか、そんなようなことは考えられないことではないかと思っております。
  29. 小野信一

    小野分科員 住田社長はこの問題に触れまして、既に実施している列車の相互乗り入れで利用者も不便は感じないはずだ、こう言いました。旧国鉄時代にJR東日本、岩手県、三陸鉄道の三者で合意した経営移管が難しいということを示したものだと私は考えます。これは運輸省は、JR東日本がさきに三者が合意した方針を方針変更したものだ、こうお考えになりますか。
  30. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 住田社長の御発言内容自身は詳細に存じておりませんが、基本的に、先ほど御説明いたしましたとおり、国鉄時代からの経緯を踏まえて現在JR東日本と三陸鉄道が鋭意協議を進めているという段階でございますので、必ずしも方針変更とかそういったようなことではないと考えております。
  31. 小野信一

    小野分科員 再度確認いたしますけれども、宮古―釜石間が三陸鉄道株式会社に無償譲渡された場合、あるいは有償でも譲渡された場合に、宮古―盛岡間の乗車密度というものは大変低くなります。同時に、その宮古―盛岡の間から岩泉線が走っております。これもまた、それにまさるとも劣らない乗車密度の少ない路線でございます。したがって、宮古―釜石間が三鉄に移行された場合の乗車密度というものは、全国でもまれなほどの少人数になるだろうと思います。それでもその区間はJR東日本がしっかりと経営を維持していくのだ、こう考えて、そう受け取って間違いございませんか。
  32. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 これも先ほど御答弁いたしましたとおり、基本的には特定地方交通線以外のものはJR各社が維持していくということでございまして、ただいま先生御指摘の盛岡―宮古あるいは岩泉線の問題につきましても、今の基本方針を受けましてJR東日本が考えているに違いないことだと思っておりますので、地元の意向を無視してまでそこについて今後切り離していくとかいうような事態は考えられないと思います。
  33. 小野信一

    小野分科員 日本国有鉄道経営再建特別措置法で廃止対象となった特定地方交通線を地方公共団体が第三セクターで経営する場合、国鉄及び日本鉄道公団はこの第三セクターに鉄道施設を無償で貸し付けてまいりました。しかし、昭和六十一年十二月に日本国有鉄道改革法が制定され、その資産は、新線である鉄建公団の分は一たん国鉄に継承され、国鉄からさらに清算事業団に引き継がれることになりました。そこで清算事業団法を見ますと、附則第十三条一項で、事業団の所有する鉄道施設で地域輸送確保のため既に第三セクター等で運営されているものは無償譲渡することができると書いてあります。しかし、十三条の本文で「譲渡する場合」という文言がございます。逆に考えますと、これは譲渡しなくてもいい、譲渡しない場合もある、こう解釈される事項でございます。要するに、第三セクターがこの鉄道施設を無償で譲渡してほしいと強く希望いたしましても、JR東日本が譲渡しない、清算事業団が譲渡しないという考え方を示せば第三セクターには移行しないということになりますけれども、この条項はそのように解釈してよろしゅうございますか。
  34. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御質問は、清算事業団が今現に持っていてそれを無償貸し付けをしている、そういう無償といいますか貸し付けをしているその線区につきましての譲渡をする場合には無償で行うことができるという規定であるかと思いますが、したがいまして清算事業団の方としてどういう考え方でいくかという話でございますけれども、先生も御高承のとおり、基本的には清算事業団は旧国鉄職員の雇用対策と同時に長期債務の処理をやっているわけでございますけれども、その長期債務の処理ということも半永久的につなぐ話ではございません。一応のある一定の期間内の処理という形が当然考えられるわけでございますので、今の貸しているその鉄道施設につきましても、半永久的に貸していくという形は必ずしも好ましくないと思っているわけでございます。したがいまして、私どもの方といたしましては、清算事業団はできるだけそういう貸し付け線区について無償の譲渡をしていくようにということを期待しているわけでございます。
  35. 小野信一

    小野分科員 これも再度確認いたしますけれども、「譲渡する場合」と第十三条に文言がありますから、第三セクターが幾ら譲渡してほしいと望んでも、清算事業団が事業団の都合によってこれを譲渡しなくてもいいと考えることができますか、こういうことでございます。第三セクターが望めば、やはり事業団は無償で第三セクターにこれを譲渡しなければならないのだ、義務規定に解釈する方が正しいのですか、こういうことでございます。
  36. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの法律の文言は先生おっしゃったとおりでございますので、譲渡しなければならないと規定されているわけではございません。
  37. 小野信一

    小野分科員 再度聞きますけれども、清算事業団が第三セクターに今無償で貸与して運行しておる、そしてある時期が来た場合に無償譲渡してほしいとなった場合に、清算事業団は条件を付することなく第三セクターにこれを無償譲渡しなければならないものなのですか。それとも、清算事業団の都合によってこれを無償譲渡しないで貸与で引き延ばしていく、こういうこともこれは可能だという文言になるのですか。
  38. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 法律の文言は、私申し上げましたように、譲渡する場合においては無償ということが規定されていることでございまして、譲渡しなければならないという規定ではないということは確かでございます。  ただ、先ほど私御説明しましたように、私どもの考え方といたしまして、清算事業団が今貸している鉄道施設につきまして、できるだけ譲渡する方向で運営していただきたいと思っておりますので、そのように清算事業団には指導していきたいと思っております。
  39. 小野信一

    小野分科員 清算事業団法附則第十三条二項には、譲渡を行うまでの間は無償で貸し付けることができる、こう書いてあります。この無償の貸付期間はどの程度だと運輸省はお考えになるんでしょうか。附則第六条の「業務に関する特例」では「昭和六十五年四月一日までの間に限り、」と書いてあります。したがってそこから考えますと、無償貸し付けの期限のタイムリミットはこの六十五年の四月一日までなのかなと考えられるのですが、いかがでしょう。  同時に、この三鉄のように国鉄改革法以前に第三セクターの経営になったものは、この附則に縛られることなく、しばらくの間無償貸与で運営ができるのだという考え方も、私は法律の成立過程から考えられるのですけれども運輸省はこのタイムリミットをどうお考えになっておりますか。
  40. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど来議論になっております清算事業団法の附則の十三条の規定は「譲渡する場合には、当分の間、これを無償で行うことができる。」こういう規定でございまして、そこについていつまでとか、そういったような表現は少なくとも十三条の関係ではございません。  それで、それでは今後どうしていくかという話につきましては、鉄道のそれぞれのケース・バイ・ケースで事情が若干異なるかと思います。ただ、私どもの方としては先ほど申し上げたような方針をとっておりますので、できるだけ当事者との間でお話を早く詰めていただければというふうに期待しております。
  41. 小野信一

    小野分科員 これも再度確認いたしておきますけれども、附則第六条の「業務に関する特例」「昭和六十五年四月一日までの間に限り、」これは第十三条と別個なものだ、つながりがないのだと解釈してよろしゅうございますか。
  42. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生おっしゃいました清算事業団法の附則六条の規定は、ここに書いてある期間に限って鉄道施設の保守その他の業務だとの委託を行うことができるというようなことが中心でございますので、先ほどからの議論のお話とは全く別の規定だと考えております。
  43. 小野信一

    小野分科員 今までは、第三セクターで鉄道が運営された場合でも、災害復旧等は資産の所有権者である国鉄あるいは鉄建公団あるいは清算事業団で対応してまいりました。最近でもこの三鉄の野田―宇部間の災害復旧のために一千六百万ほど投下されております。もし第三セクターに譲渡された場合に、これらの災害復旧等の大きな出費についてはこれまでと同じように清算事業団なりJR東日本はこれを補償する、あるいはこれに災害復旧をするという考え方を持ってよろしゅうございますか。  というのは、御存じのように、第三セクターの鉄道の運営は赤字に近い、経営採算すれすれの線でございますから、トンネルがつぶれるとか線路が水害で流されるとか、そういう事態になりますと直ちに赤字になってしまいます。したがって、第三セクターで経営しておる皆さんは、今までと同じような方法で災害復旧その他は当たっていただきたいものだ、こういう希望が強いわけですから、その点に対するお考え方をお聞きいたしておきます。
  44. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 清算事業団が所有しております鉄道施設を第三セクターに譲渡した場合、新しい所有権者である第三セクターの方が基本的には災害復旧その他の措置をとるというのが原則であると考えております。  それでは、特定地方交通線について第三セクターが譲渡を受けた例がどうかという点につきましても、譲渡を受けてやっている第三セクターというのが相当ございます。それで、具体的な災害復旧とかいうようなことがもし起きれば、それはその第三セクターが災害復旧するという形で考えているのだと思っております。
  45. 小野信一

    小野分科員 これは運輸省の考え方としてはいかがなものでしょう。というのは、今何度も同じことなんですけれども言いますけれども、災害復旧を第三セクターで出費してこれを復旧するなどということは大変難しい財政内容であることは、十分皆さんの方が承知しておるわけです。したがって、第三セクターに無償譲渡してなおかつ災害復旧等の出費をするということは不都合であるということは十分承知はいたしておりますけれども、そのために国鉄が民営化され、民営化された各鉄道が大きく経営が回復した、そういうところまで考えてみますと、それくらいの出費をしてもいいんじゃないだろうか、こういう感じがするものですから、第三セクターに無償譲渡すれば私どもは一切関係ございませんよとJR東日本に言われますと大変困った事態になり、第三セクターとして無償譲渡するという動きも当然とまってくるだろう、こういう気がしてなりません。運輸省とすれば何かの打開策をここで見つけてほしいものだ、こういう気持ちがあるものですから御質問いたしておりますので、その点ははっきり第三セクターが災害復旧は行います、こういう運輸省の方針であってこれは変更するわけにはまいりません、こういうことを言われますと大変困るわけで、大臣その辺の内容について、答弁と質問を聞いていて大臣の御感想をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 おっしゃることの御心情は非常によくわかりますが、しからば今まで国鉄以外の私鉄の場合にどうだったかというと、それなりに保険もかけたりして結局そういう災害の復旧というのは私鉄の負担でやっていたわけでございますので、第三セクターとはいえそれなりの性格を持った、独立した主体者でございますから、今総括審議官お答えしたような答えにならざるを得ないんじゃないかと思います。
  47. 小野信一

    小野分科員 最後に、商法や税法などにより、財産を無償で譲渡された場合、貸借対照表には適正な時価で資産計上しなければならない、これは常識でございます。損益計算書には当然資産価格で受贈益として計上されて、相応の税金がかかることになってまいります。JR東日本から第三セクターにそのような無償譲渡が行われた場合に、税金が莫大に課税される可能性が出てまいります。当然この問題についても特別措置がなされなければならないと私は考えるのですけれども、その特別措置はできておるのでしょうか。
  48. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 鉄道施設を譲渡した場合は、国税関係の法人税法の関係では、鉄道施設を無償で譲り受けた固定資産について圧縮記帳という形で圧縮額の損金参入を認めるということを、現在までの地方交通線対策についてはやっております。
  49. 小野信一

    小野分科員 もう少しだれにもわかるように、圧縮記帳というのはどういうものであって、無償譲渡された場合でも第三セクターに対してその分の利益が生まれたとしても税金はかかりませんよ、こういう内容説明願いたいのです。もう一度お答え願いたい。
  50. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりだと理解しております。
  51. 小野信一

    小野分科員 大臣審議官、御存じのように第三セクターの経営は、無償譲渡されても、今の従業員はまた高年齢の年金と給料でJR東日本の給料が保証される、あるいは雇用補助金が出るというような形で、ようやく採算ベースに乗っておるというのが実態でございます。そこに、災害復旧も第三セクターで行わなければならない、あるいはこういう問題が出てまいりまして税金が取られる。第三セクターは、その途端に当然赤字経営に転落をいたします。ですから、その点に対する配慮を十分行って、第三セクターが安全に赤字なく経営できるような方策を何らかの形で見つけていっていただきたいことを心からお願いを申し上げまして、終わります。
  52. 左藤恵

    左藤主査 これにて小野信一君の質疑は終了いたしました。  次に、鍛冶清君。
  53. 鍛冶清

    鍛冶分科員 私は新北九州空港の建設についてお尋ねをしたいと思います。  新北九州空港の建設は、現在北九州地域にとりましては、地盤沈下が激しい中で、もうこれを浮揚させる決め手は新北九州空港の建設以外にないということで、今各界各層挙げてこの実現に強力な取り組みをやっておるところでございまして、運輸省にもこれまでもたびたび陳情も申し上げ、ぜひとも開設をしていただきたい、着工をしていただきたいとお願いをしてまいりました。  私から申し上げる必要もないかもわかりませんけれども、北九州圏域は御承知のように二百万に及ぶ人口を抱えております。また、地域的には九州の北部にございますし、九州の玄関口といたしまして昔から交通上の要地として栄えてきた。陸海空の拠点として栄えてきたし整備されてきたことは御承知のとおりだと思います。こういう歴史的な事実とともに、現在圏域に住んでいらっしゃいます二百万以上に及ぶ方々の利便を確保するために、また地域の活性化を図るために大型ジェット機の離発着できる新北九州空港の建設、繰り返すようでございますが、これはもう必要不可欠であると私どもは考えているわけでございます。  さらにまた、今地域の浮揚ということで取り組む中で、新日本製鉄が北九州市の八幡東区にスペース・ワールドの建設ということを打ち出しまして、これが既に実行段階に入りまして、昭和六十四年にはこの施設を完成して供用を開始する、こういう流れに具体的になってきておる事実もございます。さらには、ほかにいろいろなプロジェクトも動かしてその浮揚を図ろう、そういう兆しが今出てきておるわけですが、最初にも申し上げましたように、そういう中でできるだけ北九州に多くの方々に来ていただこうというふうな基本的な考え方の中で、やはり新北九州空港を一日も早く建設をしていただきたい、これを本当に心からの念願といたしているわけでございます。  この点について幾つかの点でお尋ねを申し上げたいと思いますので、明快にひとつお答えをいただきたい。今までいろいろと私も過去御質問申し上げた内容を含めて、多少重複することもあるかもわかりませんが、現時点から将来をにらんでひとつ明確にいろいろな問題をお示しいただければという思いでございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  最初にお尋ねをいたしたいのは、運輸省において御理解をいただきまして、第五次空港整備五カ年計画の中に北九州空港の問題を採択していただいております。そういう意味で新北九州空港の必要性ということについては運輸省でも御理解をいただいておると思いますけれども、この点について改めてそのお考えを最初にお聞きいたしたいと思います。
  54. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 現在の北九州空港でございますが、滑走路の長さが千五百メートルということでございまして、三方を山に囲まれております。さらに市街地に非常に近接しておるということのために、本格的にジェット機が就航するということが非常に難しい状況でございます。そういう状況の中で圏内に今先生御指摘のように二百万人の人口を抱えます北九州市及びその周辺地域があるわけでございまして、これらの地域の今後の航空需要というものに的確に対応していくということでございます。さらに、地域の活性化を図るというふうな観点から、今おっしゃいましたような北九州における新空港の建設というものについては、私ども運輸省としてもこれは必要であるというふうに考えております。
  55. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そういう御理解が基本的にあって、再度安心もいたしますが、しかしながら空港整備計画に採択されましてから、これがちょうど昭和五十六年に採択をいただいたと思いますが、それからもう七年実はたちました。財政的な事情とか諸般の事情があるとは思いますが、また、こういう空港の建設に当たっては一つ一つクリアしなければならぬ問題がたくさんあるという諸般の事情はよく理解できるわけですけれども、やはり七年間たってみてまだ具体的なプログラムというものが示されていないというようなことについて、地元でも非常に不安感がございます。  そういう意味で、現時点におきまして新空港を建設するに当たってどういう問題があるのか、クリアしなければならない問題点というものはどういうものがあるとお考えなのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  56. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 北九州空港を設置する場合の課題でございますけれども、これにつきましては、まず一つは空域の問題がございます。これは北九州の新しい空港の建設予定地の周辺に、これは民間空港でございますが山口宇部空港、それから自衛隊の築城の飛行場それから小月の飛行場といったような飛行場が存在するということから、北九州空港の空域というものがこれらの各飛行場の空域と重複をするわけでございます。  したがいまして、これら各空港の間の空域調整ということが必要になるわけでございますが、現在のいわゆる計器進入方式ということではこの調整はなかなか難しいわけでございます。しかし、新空港が供用される時期、これはいろいろな諸般の状況から若干先になると思いますが、その時期におきましては現在のILS、これは直線進入方式でございますが、これにかわりましてより自由な進入経路というものが設定できますMLSというものが導入されるであろうというふうに考えております。このMLSを導入するという前提に立ちますと、各空港の空域調整あるいは進入方式の設定ということはおのずからまた違った観点からとらえられるわけでございまして、そういう問題点を解決していく必要があるかと思います。  そこで、そのMLSでございますが、これにつきましては現在我が国におきましても電子航法研究所、こういうところにおきまして運用試験による評価というものを実施しておるところでございまして、国際的にも現在の段階では運用基準がまだ設定されていないわけでございますが、ただ、これにつきましてはICAOという国際民間航空機関、ここで一定のスケジュールを考えておりまして、フェーズI、フェーズII、フェーズIIIというふうな形で、いわゆるフェーズIIIというのは、MLSがプライマリーということで第一次的に採用されるという時期でございます。それが大体一九九八年、今から大体十年後というふうに民間航空機関ではこれを目標としておるということでございまして、その時点でILSからMLSへ移行していくということが決定されておるわけでございます。  したがいまして、我が国におきましても国際民間航空機関のこういうスケジュールというものを踏まえまして、おおむね十年後にはMLSに移行するという方向で考えておりますので、ちょうど北九州空港もそういう問題を踏まえながら解決を図ってまいりたいというふうに考えております。
  57. 鍛冶清

    鍛冶分科員 空域の問題には現時点でほかに特に問題のある点というのはございませんか。
  58. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ほかの問題点というのは特にないと思うのですが、申し上げましたように、現在の直線進入方式、いわゆるILSという方式では空域が完全に重複いたしまして新北九州空港の運営は非常に難しいということでございますが、今申し上げましたようにMLSを採用することによって解決は可能であるというふうに考えております。
  59. 鍛冶清

    鍛冶分科員 もう一つ、地元が空港をつくるに当たって非常に心配しておるし、ぜひ早く決めていただきたいと思っておるのは、空港を建設する位置ということがあるのです。  これも御承知のように周防灘の海上に土砂の処分場というものがございまして、これは苅田沖に今四県が埋め立てをやっているわけでございますけれども、これがほぼ終わりに近づいて、次の延長線上に今度は新門司沖の土砂処分場というものの申請がされ、その計画が認められて、実際的にこれは空港として地元では何とか使いたい、指定を願いたいというふうなこともございまして、今そういう話が進んできておるのであります。  昭和六十一年の五月十七月に当時の運輸大臣の三塚大臣が、苅田沖の処分場を現地に来られましてつぶさに視察をしていただいたという経過がございます。その折三塚大臣は、空港としてこれは場所としても非常にいい、港湾の整備とあわせてこれは一石二鳥になるんじゃないか、財政的にも困難な折からこういうのを活用するのはいいというような意味での発言がございまして、非常に地元も喜んでおったわけでございますけれども、その後埋め立ては進んでおるものの、実際空港の予定地としての確定はなされてないわけでございまして、ここの現在の土砂処分場、ここに新北九州空港を建設することについて可能性というものはどういうふうに運輸省の方ではお考えいただいておるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 新北九州空港の立地の問題でございますけれども、この周辺の地域の地形の状況、それからさらに土地利用状況といった面から考えまして、新空港の建設地点といたしましては、陸上よりはやはり先生のおっしゃいましたように周防灘海域というところの方がすぐれておるというふうに私どもとしては考えております。  その場合に、投資効率というようなことをいろいろ考えますと、今現在関門港路等のしゅんせつ土砂の処分地といたしまして苅田沖に土砂処分場、これは第一土砂処分場でございます。百五十三ヘクタール程度の処分場でございますが、これが造成されつつあるわけでございますけれども、引き続きましてその北側に第二の土砂処分場、これは新門司沖土砂処分場ということでございますが二百十八ヘクタール程度、こういうものが予定されておるということでございまして、こういう第一及び第二土砂処分場というものを活用していくというのが最も適当ではなかろうかというふうに考えております。
  61. 鍛冶清

    鍛冶分科員 そういうふうにはっきり言っていただいて大変力強いのですが、特に今もお答えの中にありましたように新門司沖の土砂処分場の計画、これを事業化するに当たっていよいよ地元では漁業補償交渉というものに入ろうとしているわけです。そこで、そういう流れの中で、今のお答えにあったように適地であるというふうにお考えなのであれば、私ども地元の者は一日も早く航空法に基づく空港としての告示の法手続をしていただきたい。またそれを含めて空港完成までの具体的なスケジュールといいますかプログラム、これについてぜひ知りたいという要望が強くございます。お差し支えがなければこういう問題について具体的にお答えをいただければと思います。
  62. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど申し上げましたように、MLSの実用化の見通しというものを一つきっちりつける必要があろうかと思います。そういうものを踏まえることと、踏まえた上での空域調整ということについて見通しを得る必要がある。地元の合意形成というような状況、こういうものを十分に勘案して計画を確定していくということになろうかと思うわけでございます。  空港整備事業としての着手でございますが、これは現在港湾事業として実施されております土砂処分場、新門司沖土砂処分場、これは新しいものになるわけでございますが、これの事業の進捗状況というものを勘案いたしまして、一方、先ほど申し上げましたMLSの実用化の状況というものを踏まえまして具体的な空港整備をいつごろから開始するかということについては決定をしていくことになろうかと思いますので、今明確に何年の何月からどういうふうにと、なかなか申し上げにくいわけでございますが、その辺の状況を勘案して遅滞なく私どもとしては手続を進めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 鍛冶清

    鍛冶分科員 大体方向としてはどんどん進めていきたいということのようでございますが、空域調整の問題が一番今現在問題になっているんだというふうに理解ができると思います。いずれにしてもいつごろまでにこういう空港を完成するのかということは非常に地元の我々にとりましては関心事でございまして、これに伴って諸計画を並行して進めなければならぬ、こういう動きもございます。  そういう意味合いから、地元ではとにかく六十年代の後半におきまして空港をぜひ供用を開始してほしいという強い念願があるわけですが、今のお話を聞いておりますと、若干のずれも出てくるのかなという気もいたしますが、この空港についてはそういった今までのことを踏まえていつごろまでには完成し、供用開始ができる見通しがあるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 開港時期を予定するための要素と申しますか、いろいろございますが、一つはもちろん地元の合意形成ということが一番重要でございます。さらに先ほど申しました新門司沖の土砂処分場の事業、これは一般の埋立事業ではございませんで、しゅんせつ土砂というものを計画的に処分をしていくということでございますから、そちらの方の、もとになりますところのしゅんせつ港湾事業というものが一つそのスケジュールに影響してくるということでございます。もう一つはMLSの開発の状況、これは先ほど申しましたように、大体ICAOの目標といたしましても十年後にはこれがプライマリーの機器になるということでございますので、その辺が一つのめどでございます。  そういう三つの要素が順調に進捗していくということを前提といたしますと、七十年代の中ごろまでには開港できるというふうに私どもは考えております。
  65. 鍛冶清

    鍛冶分科員 これについては、ぜひそういう方向で一日も早くできるようにお進めをいただきたいと思います。  この新北九州空港の建設について、今の見通しも含めて、ここで大臣にもひとつ、早く建設を進めるという意味お答えをいただければと思いますが、よろしくお願いをいたします。
  66. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 詳細には今局長からお答えいたしたと思いますが、四全総でも多極分散型の国土形成というものを主眼にしておりますし、そういう中で北九州というのは、九州、中国地域の一つのメガロポリスだと思います。そこに有効な飛行場を設置するということは、単に北九州のためではなくて国家全体の経綸のためにも必要なことだと思いますので、技術の開発等いろいろ待たなくてはならぬこともあるかと思いますけれども、そういう条件ができるだけ早く整備されるようにみんなで努力しまして、一刻も早い実現を運輸省も期して努力したいと思っております。
  67. 鍛冶清

    鍛冶分科員 もう少し時間がございますので、あと一つだけお尋ねをしたいと思います。  実は新北九州空港建設ともまた絡んでくるわけではございますけれども、いろいろなプロジェクトなり地域浮揚の考え方が今随分出てきておるのですが、そういう中で、周防灘に人工島をつくって市民の皆さん、県民の皆さんが十分楽しめるような施設を備えたいとか、または若松の方に頓田というところがございますが、そういう貯水池あたりにも世界一の噴水を打ち上げてやったらどうだとか、山田弾薬庫跡地には子供と一緒に遊べるような公園をつくったらどうだとか、いろいろなことがございます。現在市民の皆さんなり県民の皆さん方が利用して楽しんでおられるめかり公園だとかいろいろとあるのでございますが、そういうところに、新北九州空港ができるとともに、ヘリポートをつくってヘリコプターを飛ばせる。地域の子供たち自分の住んでおるふるさとを空から見るということは余り少ないんじゃないか。  今はもう、交通機関としてヘリコプターが考えられる、こういう時代に入ってきておるし、現に筑波博のときは成田から筑波までヘリコプターで輸送し、あれは少し値段が高くて帰りは余り使う人がいなかったという話もございますが、余り長い距離でなければ使いやすい料金でこれは供用できるという具体的な事実もあるようでございます。こういうヘリの基地をつくってヘリコプターを飛ばすという形でやるということは、ひとつ大きな流れとして考えていいんじゃないかというようなことも実は検討の中で出てきたりしております。  したがってこういう問題についても今後北九州からお願いに行くこともあるかと思うのですが、この関係について現在どの程度まで運輸省においてお考えになり、こういうものを実施する際には認可といいますか許可というようなものはどういう形で行われていくのか、この点をひとつお聞かせをいただきたい。
  68. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ヘリコプター輸送でございますけれども、ヘリコプターは運航特性等からいいまして、最近急増しております多様な地域航空というものに対するニーズにこたえることが可能であるということでございますので、これからこのヘリコプター輸送というのが非常に欠きた役割を果たしていくというふうに私どもは考えております。  このために、今後多様なヘリコプター輸送を導入しまして地域振興の拠点を整備する、そういう観点から、その基盤施設といたしまして、地方公共団体が主体となりまして必要な施設を備えた公共用のヘリポートというものを整備していくというのが適当であろうというふうに考えております。  そういうヘリポートといたしましては、空港立地上の制約が非常に強い、かつ需要が非常に大きい東京、大阪の二大都市圏でございますが、県庁所在地あるいはおおむね人口二十万人以上の地方中核都市でございますとか、広域市町村圏あるいはモデル定住圏といったようなところの中心都市でございますとか、リゾート地域あるいは国際観光モデル地区、テクノポリスといったような地域へのヘリコプター輸送のニーズの高い、そういう地域におきまして、地方公共団体が必要なヘリポートを整備していく、そのために国がまず必要な財政上の支援をしていくということが適当であろうと思います。  財政上の措置といたしましては、六十二年度の補正予算におきまして、地方公共団体が整備するヘリポートにつきまして、三〇%のいわゆるNTT株の売却益によるところの無償貸付制度というものが創設をされたわけでございまして、六十三年度におきましても、東京、群馬あるいは西播磨その他四十カ所、合計五十億円の助成金というものが現在予算案に計上されておるという段階でございます。私どもといたしましては、そういう予算を有効に活用しまして必要なヘリポートを積極的に整備していきたいというふうに考えております。  具体的には、地方公共団体から必要な計画の確定後お話がございました場合には、正式の申請を受けまして、航空法に基づく手続を経て、積極的にヘリポートの整備推進してまいりたいというふうに考えております。
  69. 鍛冶清

    鍛冶分科員 御要望してこれで終わりますが、大臣にも、新北九州空港建設については前向きで――前向きという言葉は余りいかぬのかな。とにかく真剣に取り組んでやりますというようなお答えをいただきました。大変力強く思っておりますが、一日も早く実現ができるように、大臣にもまた当局にもこれはぜひお願いをしたい。本当に今地元の強い強い思いでございますので、重ねてお願いをいたしておきます。  ちょっと時間が早いのですが、前の方がちょっと過ごしたようですから、長い時間でございますので少し早くやめさせていただきます。きょうはどうもありがとうございました。
  70. 左藤恵

    左藤主査 これにて鍛冶清君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  71. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いろいろお聞きしたいことがあるのでございますけれども、最初に、最近コンベンションシティーの指定という問題が持ち上がってきておりますが、現状はどういう語になっておるのか、その基準はどうなのか、それから、コンベンションシティーになることの意味、その三つの点をまずお伺いしたいと思います。
  72. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 ただいま御質問のございました国際コンベンションシティーでございますけれども、これは、運輸省におきましてただいま指定の準備をいたしておりまして、希望を持っていらっしゃいます各地方公共団体からそれぞれ御希望を承り、その内容についてヒアリングをいたしておるところでございます。これまでに三十七都市から指定の申請が出ておるところでございます。  指定の基準といたしましては、ハード面、ソフト面、この二つが主たる内容でございますけれども、ハード及びソフト面において国際会議場及び国際会議の運営に足るような施設、組織というようなものを持っておるかどうかということを基準といたしまして市町村を指定するということでございます。  ハード面といたしましては、国際コンベンションの継続的な実施に十分な会議場の施設、宿泊施設等を持っておるかどうか。それからソフト面といたしましては、国際コンベンション振興のための組織があり、かつ国際コンベンションの誘致受け入れについての活動が十分展開できるかどうか、そういうソフト面の体制が整備されているかどうかというのが主たる点でございます。あと、周辺にアフターコンベンションをやりますために必要な観光資源があるか、国際コンベンションシティーの事業の実施計画を十分持っておるかどうかというような点を検討しておる、こういう状況になってございます。  なお、指定のタイミングにつきましては、私どもの作業といたしましては、できれば年度内に指定を行いたいという目途でただいま作業を進めておるところでございます。  それから、指定された意味ということでございますが、指定された意味といいますと、そういう基準にそういう地域が適合しているということを国としてもある程度認証するというようなことでございますし、それをもとに各地方が地方の国際化に取り組んでいただくという手がかりになれば、かように考えておるところでございます。
  73. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 今の施設もしくは組織というのは既にでき上がっている状況でなければならないのか。今から青写真ができて、建設予定というか、そういうような基盤があるとか、その辺はどの程度弾力的に考えておられるのか。
  74. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 基本的にはそういう整備なり組織なりができていなければならないというふうに考えておりますが、もちろんそれは、こういう指定をいたします際に各地方公共団体が計画を持っておるわけでございますから、私どもはその計画の実現性等を考え、弾力的に対応してまいりたい、かように考えております。
  75. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いささか個別的な話で申しわけないが、私は実は選挙区内に浜松という大都市を持っておるわけでございます。これは御承知のように本田、ヤマハ、鈴木、海外に直接名がとどろいている自動車産業あるいはオートバイというバックを持っておりまして、現在駅の周辺あたりに相当大きな敷地を用意してそれなりの施設を考えておる。その余地がある。また、周辺において遷都しようという話もあるくらい日本の真ん中で、浜名湖、風光明媚な、将来観光としても非常に伸ばしていきたいという地域であるわけでございます。  そういった意味で、今のお答えの中で、できているというのみならず、これから大いにそちらの方向に発展し得るという要素も加味していただけるなら非常にいい場所ではないか。国会あたりを持っていってもいいという話もあるそうでございますから、その意味で将来国会まで持っていければ私は一番ありがたいけれども、そういう機能分散ということも含めましてこれは大いに素地のある都市ではないかと私は思っています。その面で、県としては最優先として取り上げておることでございますので、その辺をこれからの検討の段階で御配慮願いたい。これは担当者のみならず大臣のお考えもお聞きしたいと思います。
  76. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 個別にどの都市が指定の対象となり得るかどうか、基準に合っているかどうかということについては、ただいままだヒアリングをいたしておるところですのでお答えいたしかねるわけでございますけれども、浜松につきましては地元が強く希望しているということは承知いたしております。ただいまにおいてはまだ国際会議場の整備その他において十分な状況がどうかは問題がございますけれども、強い熱意を持っておられるということは十分承知いたしておりますので、今後よく検討してまいりたい、かように考えております。
  77. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私も局長と同じ考え方でございます。時々伺うことがございますけれども、非常に温暖で風光明媚なところでして、有力たる一つの候補地であると私も考えております。
  78. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 今、将来大いにそういった国際都市として発展し得る素地がある、現に駅の前にも相当の敷地を用意しておりまして、そこにセンターをつくろうかという計画もございますので、そういった意味も含めて、いわば潜在性があるという意味で、既にできているということだけじゃなくて、できる可能性があるということを含んで考えていただけるということで、非常に力強い御答弁でありがとうございました。  二番目でございますけれども、実は、私は今から十年くらい前に中国財務局長をしておりました。そのときに非常に円高で、いわば瀬戸内海近辺の造船所がばたばたと倒れたわけです。私は当時の日銀の支店長と一緒になって、いろいろ地方銀行など、督励といってはいかぬけれども、支えてくれということを随分やったのでございますが、うまくいった例もあるけれども随分倒れてしまったという経験がございます。  今度の円高というものはそれを大きく上回る規模の円高で、しかもそれは定着しているという状況でございますが、ほかの通産所管の業種は通産なりにいろいろやっているのでございますけれども、造船業に、ついてどうなのか。  もう一つ、私ども関係ある組合の中で海員組合というのがございます。最近これが非常に窮地に立っておる。その意味は、要するに東南アジアあるいは韓国あたりの船員がどんどんと入ってきて日本の船員はなかなかやっていけないということで、非常に職場が狭められている。その一つの原因は、日本船籍でおればまあまあある程度あれなんだけれども、コストを安くするためにむしろ海外へ持っていってしまうというようなこともございまして、ただでさえそういうことがあるのに、そのところに円高となりますと、これは、要するに既存の船をつくるための借金は円建てのままである、ところが収入の方はドル建てになってくる。経費などが海外調達の方で若干安くなる要素がありますけれども、全体的には収益が非常に急減する。でございますから、一つの大きな輸出産業ではないけれども、輸出に似たような、あるいはもっも深刻な打撃を受けている業界である。造船業界及び海運業界が実態的に円高に対してどう対処しているのかということをお聞きしたいと思います。
  79. 間野忠

    ○間野政府委員 最初に造船の方からお答えしたいと存じます。  おっしゃいますように円高で日本の造船業はいろいろな意味で影響を受けておりまして、中には定量的になかなかはかれない問題もございます。例えば円高の進行で韓国に対する競争力が落ちておりますし、また円ではかった場合、受注船価が円建てである場合に随分下がっておる、こういうものはなかなか定量的にはかりがたいわけであります。ただ、ドル建てで受注したものが、受注時のドルと円の為替レートから引き渡しのときのドルと円の為替レートの関係で非常に差損を発生した、こういったものにつきましては比較的よく計算できるわけでございまして、六十二年度のドル建ての輸出船、これは全体の一割ほどございますが、これについて円高による差損をはじいてみますと、大体百五十億円ぐらいの損をこうむっておる。ただ、これよりも、最初に申しましたように、韓国と比較した場合の競争力が落ちておるというような点の方が実際の影響は大きいかと存じます。  それで不況対策でございますけれども、これは石油ショック、第一次、第二次とあったわけですが、その前に船をつくり過ぎたような影響も非常にございまして、そういったことで需給のバランスを失しておるということが非常に大きな問題であると存じますので、現在不況対策としては造船能力の二割の設備削減と、それから過当競争を排除するための集約というのを中心に進めております。そして、この間非常に大きな影響を受けまして、おっしゃいましたような労働組合に対する影響等もございますので、その間の仕事量を若干でも補うというような意味で、解撤の促進でありますとかあるいは海洋浮体構造物の建設の促進、そういったことを進めておる次第でございます。
  80. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 外航海運につきましては、御指摘のとおり円高の影響というのは非常に大きいわけでございまして、理由といたしましては、やはり収入がドルで得られ、支出が円コストの部分が多い、こういうことになっておるわけでございます。これを解決するためには、やはりコストのドル化ということを図っていくというのが一つの方向であろうというふうには思うわけでございます。  それと同時に、もちろん単に円高ということでなくて、実質的に船員のコスト等が海外の船員と比較した場合に大きな差があるということは事実でございます。例えば、二十四名の在来船の場合でございますが、全員日本人の船員を配乗させますと、一ドル百四十円といたしまして、一年間一隻二百四十万ドルかかるわけでございますが、これは東南アジアの船員を配乗させますと、同じ二十四名で三十五万ドルということで六分の一以下、こういうような差があるわけでございます。  実態的にそのような差があり、かつ海運自由の原則のもとで自由な国際競争が行われている中におきましては、やはり国際競争力を確保するために、ある程度便宜置籍船化というようなことによって企業を維持していくということが実質的に行われざるを得ないわけでございまして、現にそのような傾向があるわけでございます。このようなフラッギングアウトをいかに防止するかということで、ただいま海運造船合理化審議会の中にワーキンググループをつくって研究をいたしておるわけでございますが、非常に難しい問題であるというふうに考えております。海外におきましては、やはりフラッギングアウトというような状況が起こっておりますものですから、これに対応する新船舶登録制度というようなことをつくりまして、欧州諸国がこれを実施しつつありますけれども、そのままの形ではなかなか日本に導入するにつきましては問題もございますが、しかし何らかそのような考え方がとり得ないか。例えば混乗というようなやり方があるかと思いますが、ただいま研究をいたしておるところでございます。海運業に対しても一般的な中小企業対策として種々の円高対策をとっておりますことはもちろんでございます。
  81. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 大臣よく聞いていただきたいのですが、大臣は防衛論について非常に見識を持っておられるわけでございますけれども、日本の船籍の船がどんどん減っていくということはいろんな問題があるのですね。というのは、船籍は別としても所有が日本のものという一つの部類と、しかも船籍そのもの、両方が日本のものである、一たん緩急のときに日本のナショナルフラッグである船が非常に少なくなるということは、防衛論としてもちょっと問題がある。雇用の問題としても、海外船籍にすれば日本は必然的にシャットアウトされる。ただコストの面からいって安上がりだから、そうせざるを得ない。  私が一番問題としておりますのは、ドルが半分になってしまった。要するに過去の債務、船をつくるにはべらぼうな借金をするわけですから、過去の債務がそのままであって収入が半減すると、自動的に――自動的にというか、船籍を離脱していかないと、海外に持っていかないとやっていけないという状況が生じつつあるわけですね。これは通常の中小企業対策ではちょっと賄い切れない。  と申しますのは、中小企業というのは大体小ちゃなものでございますけれども、船主なんという場合には、企業の形は小さくても動かしている金が非常に大きなものがある。私が特定のものを言いますと、すぐいろんな問題があると業界からどうのこうのと言われるのは嫌ですから、そういったことはございますけれども、ただ確かにそういう防衛の問題にも連なる。中小企業対策ではやっていけない。雇用にもつながる。一つの盲点ではないかな。通産所管の中小企業とは意味が違うんですね。その辺、これはいわばどういう姿勢を海運業に対して持っていくか。  聞くところによりますと、大手のものにつきましては計画造船をさせで一応監督しておる。ただ、それ以外のものが相当、計画造船以外の、監督外のものがたくさんつくってしまっておる、これはある意味からいうと行政の範囲外かもしれませんけれども、ただし、これがいわば大きな価格変動、ドル価値の変動、彼らに言わせれば、少なくともつくった段階ではドルが半分になるとまでは思っていなかった。見込み違いと言えば見込み違いだけれども、それはやはりこの大きなドル円の変動に関していわば一つの行政の谷間になっているのではないかという気がします。  その面で、こういったいわばナショナルフラッグ問題をどう考えるのか、彼らの雇用をどう考えるのかということを認識はしておられるのかどうか。あるいはそれについてどういう御見解を持っておるのかということを聞きたいと思います。
  82. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 実は流れましたけれども、一般の質問で委員と同じ民社党の河村委員から、政府は日本プロパーの商船隊の、ミニマムをどの限界に考えるかという非常に難しい御質問をいただいておりまして、これは答弁も非常に難しいので、検討するということの域を出ませんでした。  今おっしゃいましたけれども、私はやはりナショナルセキュリティーという観点から日本の商船隊というものの保存を考えたいわけにいかないのではないかと思っております。これは運輸省の管轄を超える大きな問題でありまして、政府といいますか日本の国家全体の姿勢にかかると思いますけれども、一方では例えば食糧なども、安保を踏まえた食糧安保論もございまして、いわゆるナショナルインタレストがどこに置かれるべきかという非常に難しい問題だと思いますが、今御指摘のように、この問題は単に船舶業界の盛衰というようなことだけではなくて、国家全体の大きな目的意識の中でとらえられるべき問題だと私も思っております。  お答えになったかならぬかわかりませんけれども、私も同じような視点でこの問題を積極的にとらえるべきだと思っておりますし、アメリカなどは明らかに国家戦略の中に組み込んでおりますから、船員の給料などの保証というものも非常にたくさんのお金を使ってしておるわけでありまして、そこら辺はアメリカと日本は行政といいますか、政治の姿勢がかなり質的に違うということを痛感せざるを得ません。
  83. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 この問題、実は河村先生が聞いたことを知らなかったのですけれども、私大蔵委員会で取り上げたのです。いわば防衛、雇用、それから業界として業種として、かつては外貨獲得の大きな要素だったわけですね。現在は外貨が余っているからいいとはいっても、やはりその辺は海運業としてのいわば存立というのが、しかも非常な急変、本来ならば通常ドルと円との価値が安定しておればこういう状況にはなっていなかった。それが一気にこうなったために、彼らの経営の見通しを責めると言うてみてもこれはちょっと限度があるわけでございまして、私は、輸出産業の一つの変形である、一般的に自動車とか鉄鋼などは海外に市場を持つと同時に国内にも市場を持っておりまして相当大きな規模のものがやっておる、その面で円高の苦しさというのをどうにかいろいろな方で吸収しながらやっていく。ところが、海運においては非常に中小がタッチしている。形の上では中小だけれども金額的にはべらぼうに大きい。通常の中小企業対策の枠内では入り切らないものがある。こういったことで、ナショナルセキュリティー及び円高対策、雇用の三つの面から取り上げてしかるべき問題ではないかと私は思います。大臣の今のお言葉で大体わかりましたけれども、そういう企業対策の面でもやはり考えるべきではないかということについて、御同感であれば首を振るだけで結構です。
  84. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 全く同感でございまして、この問題はもっと多角的に積極的に考えられるべき問題だと思います。
  85. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 三番目に、きょうは急の話だったのですけれども、日本航空の航空運賃についてこの前大蔵委員会でも質問したのですが、二、三日前の新聞を見ますと八%の配当をするということが載っていますね。これは経営が悪くないという意味ならいいのですけれども、逆に、本会議でも塚本委員長が取り上げたように、東京から海外に行くというときには、こちらの採算でやるということですから、特に海外の航空会社などは東京から出ていく航空機についてはうはうはのような状況になるのです。御承知のように海外で買うと非常に安くなっている。私は、これは一年以上、もうちょっと前でしたか、二年近く前の大蔵委員会で、一体どういう換算レートを使っているんだと言ったときに、二百九十八円とかその辺の前後を聞いて愕然としたのですけれども、ただその後、つい最近もう一遍聞きましたら、そうじゃなくていろいろ修正して、海外の運賃とこちらの運賃との格差で、比率でやっている、その比率は最近は百六十四円ぐらいになっているという話を聞きました。もっとも、これはこちらが下げると同時に向こうは上げさせるわけですから、実は向こうにとってはうはうはの話なんです。  でございますから、今度外国のスチュワーデスを何人採ったとかいろいろ出ていますけれども、海外のスチュワーデスを雇う方がべらぼうに安いという状況、しかも八%の復配をしたと大威張りをしていますけれども、これは基本的には、ほかの輸出業者などは本当の競争でもって、ドルが半分になったわけですから、車なんかも非常に合理化に合理化を重ねて血のにじむような経営努力をして競争しているわけですね。ところが、この日本航空の場合には、少なくとも東京発の運賃は日本航空の採算をもとにして決めるものですからべらぼうに割高なものになっている。こんな独占を許すべきじゃないな、これは全日空でも何でもどんどんと参入させてもっと徹底的に競争させるべきじゃないかと私は思います。私は別に全日空とは関係ないですけれども。やはり私ども円高差益の還元ということを言ったのですけれども、独占体制があるところにはどうしてもその分ができてこない。私は必ずしも円高差益とは言いません、経営努力というか、それが民間と比べて格段に落ちるのじゃないか、しかも八%復配したといって大威張りするなんて何事かと思っているのです。この点、もう時間もございませんから、担当者及び大臣の御所見を伺いたい。
  86. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 この点につきまして、円高の問題につきましては先生もう御理解いただいておると思うのでございますけれども、若干申し上げきせていただきますと、為替変動によります直接的な利益というものは日本航空の場合生じていない。これは、例えば昭和六十一年度の収支構造を見ますと、外貨建での収入が全収入の二二%程度、それから外貨建ての費用が同じく大体二二%でございますから、外貨建ての収入支出、それぞれ差益と差損が相殺し合いまして直接的な利益は出ておりません。  ただしかし、例えば五十九年、これは非常に為替が安定といいますか、今回のような急激な円高になる前でございますけれども昭和五十九年と六十一年度を比較してみますと、確かに油、いわゆる円で国内で調達する油につきましては、これは単価あるいは円高の関係で非常に安くなっている。そういう意味でかなりの差益が出ているということは事実でございます。  これにつきましては、基本的には、国内運賃につきましては、五十七年度以降六年間運賃値上げを抑えてきておるということがございます。さらにまた、最近は国際航空運賃で方向別格差是正ということで日本発の運賃を下げておる、ここ二年の間に七回程度格差是正の措置を講じておりますが、その中で日本発の運賃を下げておるとか、あるいはいろいろな割引運賃を設定しておるというふうなことで、形を変えた意味である程度の差益還元というか、そういうものをやっておると考えます。  ただしかし、先生御指摘のように、これからの日本航空の経営のあり方を考えました場合に、やはりこれからの国際競争は非常に激化してくると思います。そういう面から見ましても、航空企業の一層のコスト節減というものは絶対必要であるというふうに考えております。そういう意味で、私どもとしましてもそういう観点から、国際競争力の強化あるいは利用者の利便の確保、いろいろな面から経営の合理化、経営努力の徹底というものをこれから一層進めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 二本立ての運賃が同じ方式で算定しますと高くたらざるを得ない原理は御理解いただいていると思いますけれども、今お言葉にありましたが、必ずしも日本航空の採算ベースで運賃を決めているわけではございませんで、同じロサンゼルスならロザンゼルスへ飛んでいく全日空も同じ料金になっているはずでございます。ただ、私は配当することがよくないとは申しませんが、これからダブルトラッキングになりまして、同じ日本の航空会社の競争がいい意味で熾烈になっていくことは結構だと思いますし、配当ということを行うよりも、むしろそういう利益を乗客、国民に還元する方法もあるだろうと思いますし、できる限り私は二本立ての運賃を安くすべきだと思いますし、またその努力もいたしますが、配当が必ずしもいい悪いということの議論ではなくて、とにかくそれだけの余裕があるなら配当という形以外でも国民、ユーザーにその利益を還元する努力もやはり企業としてはすべきではないかと思います。  これはちょっと誤解されると困るのですが、配当が悪いというわけではございませんけれども、しかし一方ではすべき努力をしまして、国民のインタレストに応じていく努力を日本航空も全日空もこれからの自由競争の中で積極的に行っていくべきだと思っております。
  88. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 時間もあれでございますけれども、ともかく民間の経営者が血のにじむ努力をしている、それに比べて、しかも海外で買えばべらぼうに安いそのチケットをこちらへ持ってきて売るというようなことまで起こっている状況でございますので、これはよほど引き締めて見ていっていただかなければいけないと思います。  時間も来ましたからこの辺でやめておきます。どうもありがとうございました。
  89. 左藤恵

    左藤主査 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  90. 新村勝雄

    新村分科員 大臣にお伺いいたしますけれども、今、東京の過密化が盛んに言われている。一極集中排除ということも言われておりますけれども、この問題についてはどうお考えですか。
  91. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 東京は確かに過剰な中央集権をしてしまって、東京の都民、周辺の住民にとっても非常に住みにくい地域になったと思います。これを四全総で多極分散化するということは大変結構だと思います。遷都論も出ておりますけれども、しかし、二律背反したことになるかもしれませんが、当面、つまりこの周辺に住んでいらっしゃる方々の便宜というものも積極的に考えませんと、これはきょうも御質問があるやに聞いておりますが、例えば常磐線の混雑ぶりなどはまことに非人間的なものでありまして、私も体験がございます。地方で早く整備新幹線敷いてくれという方方のいらいらもわかりますが、しかし、もう東京近郊の通勤線の混雑ぶりというのはまことに惨たんたるものでありまして、これは肉体的、精神的に非常に大きな負担を市民が負っているわけであります。こういうものも多極分散化に努めると同時に、やはり都市は都市なりに、そういう定住者の条件というものを好転させる努力を積極的にしなければ、行政の手落ちということになると思っております。
  92. 新村勝雄

    新村分科員 集中排除と言いますけれども、一向に集中排除をと言うだけでは解決がつかないと思いますね。  それから、人間の歴史を見ても、やはり人間の文明が起こる場所には必ず人間が集中をして、人間というのはやはり集中、集積の利点というものが明らかにあるわけですから、そういう点で、集中し過ぎたから分散するという単純な発想ではいけないんじゃないかと思います。今、東京を分散しろということがほとんど全国民の合唱みたいになっております。先生の文明論をお聞きしたいんですけれども、古来エジプト文明にしても中国文明にしても、エーゲ海沿岸の文明にしても、人間が集まってそこに文明が起こったわけですから、集中そのものを排除すべきではないと思いますね。集中はある程度これはやむを得ないというか、その利点は大いに発揮していくべきであると思います。  ただ、その前にやるべきことがあるし、東京の現在の集中を解決をするための方策は、実は足元にもあると思うのですよ。その一つは、やはり何といっても東京に対するアクセスというか、交通の問題。交通の問題を解決することによって現在の東京の都市問題は、完全にとはいえないまでもある程度解決ができるのではないか。特に宅地供給、新しい土地の供給等については、交通対策、交通を改善することによって大幅に解決をすることができるわけなんですね。できると思います。  ところが、今地図がなければ頭の中で思い浮かべていただきたいわけですけれども、東京を中心にして、その周辺の鉄道網がどういうふうに現在配置をされ発達をしているかということを思い浮かべていただきたいわけですけれども、日本の文化あるいは勢力が西の方から移ってきたという関係もありまずし、大都市の発展はそういう法則があるという話もありますけれども、西の方が非常紀過密化し、同時にまた鉄道網も極めて密であります。それから南の方も、やはり千葉市の方向へも公私の多くの鉄道網がある。北の方にもそれなりにある。ところが、東側は全くないわけです。  もともと日本の歴史を見ますと、勢力東漸ということですから、東の方はおくれた人たちが住んでいて、それを西の方の勢力が駆逐したから東の方へ移ったというそういう経過もあるのでしょうけれども、現在の交通網は東側が全く疎なんですよ。東側は常磐線一本しかないのです。常磐線に付随をする私鉄が京成とか関東鉄道、あるいは公有の鉄道では武蔵野線というものがありますけれども、それはいずれも常磐線に乗り入れをするわけですから、東京へ入る線というのは常磐線だった一本しかないということで、先ほど大臣が言われたように常磐線の超過密化というものが生まれているわけです。  この問題については、既にもう運輸政策審議会でその事実を認め、第二常磐線は喫緊の事業であろうというふうに言っておるわけですが、これがさっぱり進まない。運政審の答申が出てからその後ほとんど進まないわけです。その経過の中で、残念ながら、国鉄がJRになったというようなこともありまして、あるいはまた、国鉄の経営は前から悪かったわけですから国鉄さんがそのまま健在であっても同じだと思いますけれども、国あるいは国鉄はほとんどそういう新線を顧みる余裕はないんだということで一顧もされない。そうかといって、概算一兆円近くになる大プロジェクトですからほかの方法でもこれまた非常に難しいでしょうし、そういうことで現在ああいう交通地獄が依然として放置をされておる。  しかもこの地域、千葉北部あるいは常磐地区というのは、歴史的に全く政治の光が当たらない地域だったということですね。これは交通問題、鉄道綱だけではなくて、ほかのすべての施策が、いわゆる空白地帯であったと言ってもいいと思います。この地域の政治力が低かったと言われればそれまでですけれども、それでは済まないと思うのですね。こういった事態に対して大臣はどうお考えですか。
  93. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 東京近郊の交通網、図柄的に眺めますと、いかにもおっしゃるとおりの濃淡がくっきりと出ていると思います。ですから、常磐新線の問題も積極的に検討はされているわけでございますが、特に竹下内閣になりまして地価の問題が大眼目になりまして、奥野国土庁長官も、こういうものの解決の有力な方途として、例えば筑波学園都市のような、あの地域の積極的な利用を考えるためにも常磐新線をぜひ早く実現してもらいたいという要望をされておりますし、これは本当にいびつな形になっておりますので、都市計画というものがいかにずさんだったかということの証左だと思いますけれども、それを反省するだけでは済みませんので、こういう地域の活性化といいましょうか、新しい宅地の供給のためにも、私は新しい路線の建設がもう焦眉の問題だと思います。  また余計なことを言うと曲解されて問題になるかもしれませんが、整備新幹線もそれはニーズは高うございましょう。しかし、委員御指摘のように、常磐線で通勤していらっしゃる方々の肉体的、精神的な苦痛というものは体験しないとわからない問題でありまして、これは本当に、あの実態を見ますと、行政は何をしたのかなという感じを痛感せざるを得たいと思います。そういう点で、御指摘のように、東京というメガロポリスの交通網の濃淡というものは平均化されてしかるべきだと思いますし、またそうしたくてはならないと思っております。
  94. 新村勝雄

    新村分科員 大臣、よく御理解なさっておるようでありますけれども、この問題については運政審の答申以前から地域の最大の問題であったわけですが、これが運政審によって正式に認められた、そして答申が出されたということでありますが、その後の動きが先ほども申し上げたように我我地域の住民から見るとほとんどないわけでありまして、地域の住民から突き上げられたというか、その地域の住民の希望を何とかして実現したいということで自治体が最近動いておりますけれども、自治体の努力は限度がありますし、関係県で常磐新線整備検討委員会というものをつくっておりますが、この努力は評価さるべきだと思います。そういうことで、むしろ国よりは地方の動きが先行しておる、地方の努力が先行しておるということなんですね。ですから、これを実現させるためには地方の動きだけではどうにもならないわけでありますから、政府がどれだけ熱意を持ってこの事業を推進してくださるのかというところにかかっておるわけです。そういう点で中央の動きが大変鈍いのですけれども、どういう御努力をなさっているのですか。
  95. 熊代健

    熊代政府委員 運輸省が何もやってないということではございませんで、答申をいただいて、先生御指摘のように六十年の運政審の答申でも、第二常磐といいますか常磐新線は非常にウエートが高い、この答申の中でも重要な問題だということで特記されている問題でございました。したがいまして、六十一年一月から関係地方公共団体と私どもの方でいろいろ検討会は進めてまいりましたが、たまたま御承知のように六十二年四月に国鉄が分割・民営化された。したがいまして、六十一年一月から始めた段階では、建設主体はどうなるかは別として、当然運営は基本的にJR東日本にやってもらわざるを得ないと思うわけですが、そういう時点でございましたので、JRといいますか当時の国鉄を参加させることはできなかった。六十二年度予算におきましても、我々としては検討の結果、基本的には第三セクター方式で建設を進め、運営はJR東日本にするという考え方を基本としていろいろ問題点を詰めていくべきではないかという立場に立った検討を進めておりました。  一方、JRの方は、国鉄時代から常磐新線の検討も内部的にはやってきておりましたが、常磐線そのものの十五両編成化あるいは十五両の両数をふやすというようなことを目下鋭意やっておりまして、これは計画的にそれぞれ六十一年にやりまして、今度六十三年あるいは六十五年というテンポで増強を図る。運政審の当時、率直に申し上げて十五両編成で、その計画でもう輸送力増強はできないという感じだったのですけれども、その後新しいJRになって検討した結果、信号方式等に改良を加えることによってさらに二割程度の輸送力増強ができるのじゃないかという意見がJRの中にも出まして、早急に第三セクターをつくることについて、JR東日本としてそういう形をつくれば採算とかなんとかを抜きにしてでも走り出さなければいかぬ、こんな話がございました。  その後我々としましては、新しいJR東日本もできたことですし、JR東日本を加えまして、先生が言われたことと同じことかもしれませんけれども、新たに一都三県とJR東日本、それから運輸省も入りまして常磐新線整備検討委員会というものを発足させて、目下その下の小委員会あるいは幹事会といったところで精力的な検討を鋭意進めている次第でございます。できるだけ早期に検討を促進し、その結果を踏まえて、我々としても積極的な推進を図っていきたいと考えている段階でございます。
  96. 新村勝雄

    新村分科員 これは総工費大体どのくらいかかりますか。
  97. 熊代健

    熊代政府委員 これはあくまで試算でございまして、目下そういう点もその検討委員会で詰めておりますが、従前我々の段階で検討しておりましたところにおきまして、六十二年度価格で筑波研究学園都市まで含めて約六千六百億程度という試算をしてございます。その後土地の問題等もございますので、見直せばあるいは増高するかとも思いますが、その時点ではそういう数字をはじいております。
  98. 新村勝雄

    新村分科員 これは筑波学園都市までとしてもほとんど途中は都市化した区域を通らなければなりませんので、かなり大きな仕事になるわけです。そうしますと、これだけの大プロジェクトを進めることになると用地の問題がありますし大変な大事業ですが、土地の問題等も含めて特別立法でもつくらなければこれはやれないのじゃないかという気がするのですが、そういう構想はないのですか。
  99. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のとおり、こういう宅地の開発に鉄道をあわせて敷設するという場合に、今までの経験からしますとテンポがなかなかうまく合わない、ために鉄道事業が非常に窮地に追い込まれるという例もございます。  この常磐新線を頭に入れまして、先ほど大臣から申し上げましたように東京圏の優良な宅地を大量に供給するというときに、この常磐新線は背後といいますか両側面に開発可能用地を非常に抱えている。当然のことながら農地との関連もあると思います。茨城県サイドではかなりの部分が市街化調整区域でございまして、市街化しておりません。一方、都心の部分についてはもう過密の中を通さなければいかぬ。こちらの方は工事費がかかるという問題がございますが、我々としましては、今国土庁で考えておられます四全総の促進のための立法、そこでも宣言される予定だと聞いておりますが、それを踏まえまして宅地の開発、供給と鉄道の新線建設を一体的に進めるための方策を何らか特別の立法措置を講じて、用地取得でございますとか受益者負担ですとかそういったものをあわせてやれるようなシステムを検討したい。今国会というわけにはまいらないと思いますが、建設省と非常に関係が深いものですから、建設省と運輸省とで目下鋭意勉強を進めているということでございます。
  100. 新村勝雄

    新村分科員 特別立法を考えていらっしゃるということ、大変心強い限りであります。  大臣にお伺いしますけれども、そういう特別立法をぜひこの際至急につくっていただいて、何といっても六千六百億、そのうち一兆くらいの大事業になるでしょうから、その仕事の相当な部分を開発利益を還元してもらうことによって調達するということが社会的な公正からいっても必要だと思うのです。この鉄道ができれば沿線の地価は恐らく数倍、数十倍にはね上がると思いますけれども、それを所有している人たちだけの利益になったのでは社会的公正の上からいってもおもしろくないですから、そういったことをするためにもどうしても特別立法が必要だと思います。そうして開発利益を還元するということが一つ。  それから、沿線の宅地開発ですけれども、実は三十キロ圏内に遊休農地あるいは遊休山林がもういっぱいあるのです。私は三十キロ圏のちょうど境くらいに住んでいるのですけれども、その近所にはたくさんの遊休地があるわけです。しかもそれが、現在の用途地域ですと、いわゆる調整区域ということで開発ができない、家が建たないということなんです。  そういったことを考えると、第二常磐の建設によってそれこそ一石二鳥、三鳥、四鳥、一つの施策で多くの懸案が解決されるということになると思います。交通問題が解決する、あるいは東京の過密の解決の何分の一かに当たるだろうと思います。それから、東京の地価の高騰を抑える作用にもなるし、また勤労者の宅地供給のためにも大いに役立つということです。我々素人が見ましても、あの地域だけでも二百万ぐらいの人口が優に収容できる余力があるわけですから、そういうことを考えてぜひこの特別立法をつくっていただいて、総合的なあの地域の開発、それから東京の過密の解決、それからまた今問題になっている官庁の移転にしても、あの辺へ官庁を移転すれば非常にいいと思います。そう言うと省の人に怒られるかもしれませんけれども、今の官庁を全国にばらまいてみても解決にはならないし、それはある意味ではマイナスになると思います。東京の過密を、例えば一億二千万の人口を日本の四つの島に均等にばらまいた場合には、集積の利益というものが失われて、長期の日本の文明の発展にはマイナスになるのじゃないかと思います。ですから、東京の集積の利益を利用しながら現在の矛盾を解決していくということが必要だと思います。  そういう意味からいっても、手前みそになるかもしれませんけれども、第二常磐の建設と、それに付随をした総合的な国の施策を進めることがこの際ぜひ必要だというふうに考えますが、大臣いかがでしょう。
  101. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 全く同感でございます。私も東京に住み、東京で仕事をしている政治家として、そういう必要を痛感しております。  先ほど特別立法のお話が出ましたが、私も省の中でちょっとそういう話を持ち出したこともございます。一つの例になるかもしれません、ならないかもしれませんが、例えば立地が非常に難しいような新しい交通網のために大深度、つまり五十メートルを超す地下の地下鉄工事、これは日本に技術があるわけですから、そのための地下権の規制の問題なども今積極的に運政局の方で検討しておりますし、やはりいろいろ制約がございますから、それを超えていく特別立法なども時に応じて必要ではないかと思っております。
  102. 新村勝雄

    新村分科員 それから、第二常磐ということになりますけれども、第二常磐を中心とした東京の東側の開発、これは非常に不均等な発展をしておる。その東側の開発をすることによって東京圏の調和のとれた開発を進めるという意味からいっても、ぜひ特別立法を一日も早く成案をまとめていただいて、提出をいただきたいと思います。  時間がありませんからもう一つ。今の東京湾の中に近いうち横断橋がつくられる予定でありますけれども、その横断橋に絡んでといいますか、横断橋の千葉県側に人工島をつくるという構想があるのです。この問題についてはまだ地元には余り協議もされておりませんし、千葉県としても地先の市としても、不安ということでもないのですが、いろいろ憶測をしておるわけです。その概略についてお聞きします。
  103. 奥山文雄

    ○奥山(文)政府委員 運輸省では、昭和五十五年から、千葉だけでございませんで、全国の適地におきまして人工島による地域開発が可能かどうかということにつきまして調査をしておるわけでございます。その一環といたしまして、今お尋ねの木更津沖の人工島を検討しておるわけでございます。  木更津沖に関しましては、昭和六十年度より実施しておりまして、東京湾の横断道路をアクセスの手段として活用する人工島をつくってはどうかというような観点から調査を続けておるわけでございます。これにつきましては、東京湾での海上輸送の近代化に伴いまして必要となってまいります大水深のコンテナバースであるとか海洋性レクリエーション基地としての可能性であるとか、あるいは国際交流施設などを考えてはどうか。さらに加えまして、中小船舶の避泊地の確保、湾全体として避泊地が非常に足らない状況にございますが、そういった避泊地の確保などを目的といたしましてその可能性について調査しておるものでございます。現在、人工島の位置であるとか規模、あるいは土地利用のありよう、あるいは船舶航行に対する影響、周辺環境に与える影響などに、つきましていわゆるフィージビリティースタディーというものを実施している段階でございます。六十二年度も調査を継続中でございますが、今後六十三年度以降もさらに引き続いて調査を実施してまいりたい、こう考えておるところでございます。実現の可能性を見きわめながら、関係機関とも十分調整を図りながら、具体化に向けて検討を進めてまいりたいということでございます。
  104. 新村勝雄

    新村分科員 調査の終わる時期、それから工法であるとか実施の主体をどこにするとか、あるいは費用がどのくらいであるとか、あるいはそれに対する効果、あるいはその後の運営の見通し、それらについてはいかがですか。
  105. 奥山文雄

    ○奥山(文)政府委員 具体的なお尋ねの件に関しまして、どういう手だてで実現へ向けられるかということもございまして、総合的に検討してまいりたいと思っておるところでございます。現在、六十三年度の調査はフィージビリティースタディー、実現化に向けての調査を進めるわけでございまして、この調査結果に基づいて具体的な手だてなどを考えながら進めてまいりたいと思っておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、人工島の中身のことに関係いたしますが、それをどういう形にしていくかということも含めまして総合的な調査を実施している段階でございますので、今はっきりいつ終わるかというお尋ねに対しましては、明確なお答えがまだできませんけれども、できるだけ早く結論を出したい、かように考えておるところでございます。
  106. 新村勝雄

    新村分科員 時間が来たようです。  それではもう一回大臣にお願いしますけれども、政治というのはいろいろな選択肢があるし、やらなければならないことがたくさんあるのですけれども、何を先にやるかということが政治の要諦だと思います。そういった意味で、先ほど申し上げたように、第二常磐線及び東京東部の開発は、いろいろな意味からいって四全総の中の重要な問題でもありましょうし、東京を活性化させるという意味からいっても最も必要度の高い、最も緊急度の高い課題だと思いますので、ぜひひとつその御認識で問題に取り組んでいただきますようにお願いしまして、終わりたいと思います。
  107. 左藤恵

    左藤主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤祐弘君。
  108. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 旧国鉄用地の払い下げ問題についてお聞きをします。  旧国鉄用地の売却につきましては、昨年十月に閣議決定されました緊急土地対策要綱でも、地価の異常高騰地域では「公共用途に供することが確実と認められる場合等を除き、」地価鎮静化まで売却を見合わせるというふうになっておりまして、一般競争入札による売却は中止されておる。ただ、公用、公共用で自治体などとの随意契約で売却する場合は例外とされておるわけでありますが、この場合の売却価格も、当然地価の高騰に影響がないように十分配慮されるべきだというふうに考えますが、運輸省はどのように指導しておりますか。     〔主査退席、平林主査代理着席〕
  109. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 旧国鉄用地の売却問題につきましては、清算事業団法の関係法令で規定がございまして、一定の場合に随意契約で売却できるわけでございますが、その関係の価格につきましては、原則としては当該土地の時価を基準とした価格によらなければならないという規定がございます。したがいまして、随意契約の場合時価で売却するという形になるわけでございますが、その具体的な算定のやり方は、近傍類地の取引価格をもとに、時点の修正だとか土地の形状とか道路条件とか、そういったいろいろなその土地の環境による修正を加えて求めるということでやっていると清算事業団から聞いております。
  110. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 具体的なケースでお聞きをしたいのです。  清算事業団の資産処分審議会で昨年の十二月、旧国鉄の奥戸の宿舎跡、これを東京葛飾区が計画しております特別養護老人ホームの建設用地として売却することを決定された。これは区民の方に大変喜ばれておるわけです。同時に、東京都内で初めての清算事業団による旧国鉄用地売却ということで注目もされておるわけです。  ところで、問題はその価格なんです。一月末の新聞で、清算事業団がその土地に時価よりはるかに高い一平米百十万円、総額で三十五億二千万円という値段をつけて、区との交渉が難航しているというふうに報道されました。一平米百十万円という価格は周辺の、今近傍類地というようなことがありましたが、その公示価格や都の基準地価の二倍以上ということで、これではとても葛飾区で買えない。せっかくの特別養護老人ホームがだめになるんじゃないかという心配が広がったわけです。その後、葛飾区との間で交渉が行われているというふうに聞いておりますけれども、さきの運輸省の御答弁でも、基準はやはり時価だということがありました。公示価格よりもはるかに高い価格で売却しようとは考えておられないだろうというふうに思うのですが、現在どういう話し合いになっておりますか。
  111. 前田喜代治

    ○前田参考人 奥戸の用地につきましては、昨年の九月に葛飾区の方から購入の御希望がありまして、私ども法令上、随意契約でお譲りする場合に、はいろいろ条件がございますので、その辺の条件に合っているかどうかというようなことを検討させていただきまして、十二月の十六日でしたか、資産処分審議会に諮りまして、売却についてはオーケーという御了解をいただいております。  その後、私ども部内的ないろいろな手続あるいは土地の値段につきましての鑑定あるいは内部評価等をとりまして、具体的に交渉に入りましたのが二月の中ごろでございまして、新聞の御紹介がありました時点よりは後からでございますけれども、現在その交渉に入って、価格の問題あるいはその他の条件につきまして交渉中でございます。もともと特別養護老人ホームということで、ことしじゅうにおつくりになりたいという御希望もありますので、本年度の件名として私どもも鋭意努力しているところでございます。
  112. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 本年度中に解決をしていく、詰めていくということで、それはそれで進めていただきたいと思うのですが、その価格の点で依然開きがあって区が苦慮している。区議会でもこの数日間いろいろ議論になっているようなんですね。そこで、やはり趣旨からいいまして時価で売却をするという方向で進められなければならぬというふうに思うのですが、その点再度お聞きしたいと思います。
  113. 前田喜代治

    ○前田参考人 価格につきましては、先ほど運輸省の方からも御説明がございましたように、取引事例あるいはいろいろなところの公示価格その他のデータをもとにいたしまして、当該用地の位置する場所、土地柄あるいは土地の画地の形あるいはその土地の質等、あるいは大きさとかいろいろな要素がございまして、単に公示価格そのものと比較するというのではございませんで、その間にいろいろなものと比較をいたしまして適正な価格を出しまして、それをもって区の価格の方と御相談をしているところでございます。
  114. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 価格の問題が焦点になっているわけですね。具体的な額はなかなかおっしゃらないのだけれども、私が聞いておりますのでは、一月十三日に内示という形で一平米百十万円という数字が出たということなんです。それをもとに新聞報道が行われたわけですが、正式の提示では、二月十五日ですが、一挙に八十万円台というふうに下げられたわけですね。その後区の方が周辺のいろいろなことを考慮して、五十万円から六十万円の範囲が妥当じゃないかということを言いましたところが、二月二十四日には七十万円台というところまで下げられたというふうなことがある。こういうふうに値段が変わっていくのもちょっと意外な感じといいますか、こういう性質の売却の問題でありますから、やはり地価高騰を招かないような適正な価格で売却されなければならぬということが貫かれるべきだというふうに思うのですけれども、どうもそういう点も私一つ疑問は持っておるわけです。  国土庁お見えでしょうか。――地価高騰の抑制策として監視区域というのが設定されているわけですね。それで東京二十三区の場合には、都から委任されて区が直接窓口になって土地取引を監視するというようになっているわけです。適正な価格で取引が行われるように区が行政指導する。その場合の適正な価格について、昨年の土地特別委員会ですが、国土庁長官が公示価格が基準であるというふうに答弁をされておりますが、現在もその方針に変わりはありませんか。
  115. 森悠

    ○森説明員 国土利用計画法の監視区域における届け出に係る価格審査でございますが、これはただいまお話しございましたように、地価公示法に基づく公示価格あるいは同じような形で都道府県が実施しております地価調査の基準地価格、こういったものを基礎といたしまして、こういったものは特定の土地の価格でございますから、届け出がございますと、その届け出に係る土地と公示地点とを比較いたします。それからまた、時点の違いによる修正等はいたしますけれども、そういった形で公示価格を基礎として求めた価格に照らして、届け出に係る価格が著しく適正を欠くかどうかということについて判断をしておるものでございます。
  116. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 今も申し上げましたように、区は国の方針に基づいて監視区域の届け出勧告制、それを行政指導でやっているわけです。その際の基準が、今御説明のあったような公示価格あるいは基準地価ということになるわけです。事業団の方からさきの御説明もあったんですが、公示価格よりもはるかに高いわけです。当該地周辺、この方は一定の指導値をもって指導しているわけですね。その指導値は、大体周辺では一平米五十二万四千円ということになっておりますし、それよりもはるかに駅に近いところでも五十八万円というようなことになっておるわけです。  これは大臣にお聞きをしたいのですが、国の方針として地価抑制を図っていく、異常な高騰ですから。そうして区が実際にそういう行政指導でやっている。それにもかかわらず、清算事業団との話し合いでははるかに高い、十万円以上高いような値段が提示をされておるわけですね。そうしますと、区としてはみずから行政指導している公示価格、基準地価、そういうものよりもはるかに高い買い物をすることはできないわけですね。そんなことをすれば、一体この行政指導は何だということで、実質的に国の方針も否定されてしまうということになってしまうわけです。ですから、私はそういうことではなくて、しかも葛飾の奥戸の国鉄の跡地というのは初めてのケースですから、大変注目もされておりますし、何よりもあそこに特別養護老人ホームができるんだということで区民は大変歓迎しているわけですね。ですから、区の要望に沿った形で適正な価格、そういうことで売却が行われるようにぜひ御指導をしていただきたい、そう思うのですが、どうでしょうか。
  117. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そのいきさつについてはつまびらかにいたしませんが、清算事業団が抱えておる土地の処理は、言ってみればそれをできるだけ高く売ることで国民の負担を軽減しようという目途があるわけです。また一方、土地の高騰によってそれを抑制せざるを得ないという非常に二律背反した条件を背負って皆苦吟しておるわけでございます。しかし、竹下内閣の政策の大眼目の一つは、地価の抑制ということでございますし、土地問題でございますから、それを阻害するようなことがあってはならないと思いますし、先ほど総括審議官説明いたしましたが、あくまでも適正な価格というものを、これはその規準をどこに置くかということは非常に難しいと思いますけれども、その一つの規準として公示価格ということが言われておるわけでございまして、いずれにしろ適正な価格ということを取りつけるべく努力をしてもらいたいと思っております。
  118. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 適正な価格は公示価格であるということは、もうはっきりしているという……
  119. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 いや、そのための一つの規準……
  120. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 規準である。しかも、昨年の国土利用計画法の改正でも「国等は、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、適正な地価の形成が図られるよう配慮するものとする。」という一項が新たに加えられた。それほど重視して取り組んでいるという問題であります。そしてさっきも言いましたが、大臣も東京選出の政治家でありますからよくおわかりと思いますが、区内に、身近なところに特養ホームが欲しいというのは、本当に切実な願いなんですね。ぜひそういう願いを壊さないように、現在行われているようなはるかに高い価格じゃなくて、そういう適正な価格での解決が図られるように、御指導を重ねてお願いをしておきたいと思います。  次に、北千住の駅の混雑問題についてお聞きをしたいと思います。  北千住駅といいますのは、東武線と日比谷線、これが同じホームで入っておりまして、乗りかえも行われるということで、大変な混雑なんです。私もよく利用しているわけですが、ちょっとお見せしますと、ホームいっぱいにもうあふれ返って、両側に電車が入るんですね。電車と接触するような危険もあるというような状態、これが日常的なんですよ。私も大変心配しまして、昨年アンケートの調査もいたしました。やはり皆さんの心配が非常に強いので、アンケート調査はがきが続々と返ってくるんですね。一部を持ってきたのですが、全体で言いますと、危険を感じるという人がほぼ全員です。お一人だけ感じないという人がおられたんだけれども、全員がそういうことです。  その中身で言いますと、電車と接触する危険、こういう状態ですから、ちょっと押されると接触しかねない、それを感じられる方が六七%、ホームからの転落というのが五八%、押されて転びそうになったのが三六%、いろいろな数字が出ているわけです。びっしり書き込んできておられまして、小学生を電車通学させているんだけれども、あの混雑には恐怖を感じますというのとか、ホームが満杯になると中を歩けないのですよ。そうするとホームの端っこをカニの横ばいみたいに歩かなければならないんですね。そのことを書いてきておられる方とか、とにかく頑張ってください、死人が出てからでは遅過ぎますというふうなことまで書いてきておられるのです。そういう深刻な状況になっているのです。これについて運輸省としてどういう手だてを考えておられるのか、まずお聞きしたい。
  121. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘のとおり、私も先日ちょうど霧が発生したときで、混雑度も非常にシビアなときに出っくわしたのですが、つぶさに見させていただきました。  北千住駅におきます混雑緩和対策としては、これまでも、主として東武なんですけれども、東武として、ごらんのように駅のホームを一部こっち側の階段との合流の仕方を変えるとか、一部拡幅するとか、連絡階段の拡幅等々をやってきたわけですけれども基本的に、あそこのホームの拡幅が常磐線等との関係で、今のままではもう可能性がないということで、抜本的には上下二層にいたしまして、四面ホームにしてそれぞれの改良を図っていくというのが、抜本的な改善策として現在考えているところでございます。それまでの間、我々としましても、安全を確保するという観点から、事業者にもできるだけのことはやらせ、我々としても考えられることはいろいろ検討し、指導していきたい。抜本的な改善は今申し上げたようなことで、ただ、これは時間がかかる問題でもございますので、ソフト面を含めまして、我々として最大限可能なものを措置させてまいりたいというふうに思っております。
  122. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 抜本改革ですが、二層化する計画ですね、それは時間がかかるとおっしゃったけれども、何年までにやるということですか。
  123. 熊代健

    熊代政府委員 できるだけ早くということでございますが、実は昨年の十二月に東武鉄道から特定都市鉄道整備事業計画というものの認定申請が出てまいりまして、我々としては伊勢崎線の複々線化とあわせまして、この北千住駅の改良工事をその対象として認定をしたところでございます。この認定をいたしますと、基本的にはそれから十年間ということですから、七十二年度までに全部完成をするという前提での認定になっております。ただ、一刻を争うといいますか、そういうことで我々としてはできるだけ早くやらせたい。  ただ、ここには、先生御承知かと思いますけれども、常磐線のつけかえといいますか、橋梁改良によって線を移しかえ、そこに浮いた用地を活用して二層化するという工事がございますので、その前提条件をできるだけ早くさせるということで、そういう意味では遅くとも七十二年というのが最終でございまして、我々としてはそれを一年でも二年でも早めるということをねらってやらせていきたいということでございます。
  124. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 全体の計画は七十二年だけれども、駅の二層化、立体化は七十年だというふうにこれまで説明でお聞きしているのです。  それから、当面の対策について、日比谷線の始発増発、それも検討されているようにお聞きしたのですが、その点はどうですか。その二点。
  125. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘のように、希望としては今申し上げた北千住駅の改良は七十年度までにはやりたいということで考えております。  それからもう一つの増発につきましては、昨年一編成ラッシュアワーに突っ込んで増発をした。それ以上はちょっと今の段階では無理ではないかというふうに聞いております。  私どもさらに、先生御承知のように、東武線の急行等が来ます、あるいは準急等が来たのが乗りかえるというのがあそこの混雑を非常にふやしているということで、我々としては、ソフト的に言いますと、もう少し手前の駅で乗りかえていただくとかそういうことも、安全ということを考慮すれば、事業者に少し工夫させてやらせていく必要があるのじゃないかというようなことも考えておる次第でございます。
  126. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 去年私たちは東武鉄道と交渉しましたときに、始発を一本ふやすというお話が出まして、十二月から実施されたわけですね。しかし、それでもまだ非常に大混雑ですから、ラッシュの時間帯の前後にさらにもう一本ふやせないだろうかということを検討しておられるというふうにも聞いたのですが、この点、そうじゃないのですか。
  127. 熊代健

    熊代政府委員 現在その点も検討はしているというふうに聞いております。
  128. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 当面の対策は、さらにいろいろぜひ知恵を出して具体化していただきたいと思いますが、問題は、その抜本改良といいますか、これはまだ七年かかるわけですね。今の七十年といいますとこれから七年、しかもこの間、あの沿線はどんどん人口がふえておりまして、東武自身の予測でも、七十年代に入ると三〇%増ですか、何かかなりの乗客増が見込まれるということですから、一層混雑度と危険性が増していくということになるわけです。ですから、本当にこれは私たちとしても心配なわけです。  同時に、もう一つは、今お聞きしたいと思うのは、その抜本的な駅の立体化の方ですが、これは隣接するJRの土地が必要なわけでしょう。JRの土地を譲り受けてそれをも使って立体化するという構想だというふうに聞いているのですが、この点、運輸省としてはJRの協力を得られるという点は確認しておられるのでしょうか。
  129. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘のとおり、先ほど私も申し上げたように、常磐線の橋梁工事というものに伴って、それが完成した場合に、現在の東武あるいは営団日比谷線が使っている用地の北側といいますか西側といいますか、こちらの方の用地を使用して改造が可能だ、こういうことでございます。目下のところ事務的なベースで、営団を含めまして三者でいろいろ協議をしている。私どもといたしましても、当然のことながらJR東日本に必要であれば協力要請をする、あるいは必要な指導もしていくということを考えておるところでございます。
  130. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 ちょっとはっきりしないのですが、計画は出されて、それはもう認められた。しかもそれは運賃値上げを含む、この運賃値上げ自体についてはきょうは時間がありませんから議論しませんけれども、そういうものとして認可されたわけでしょう。しかし、その計画の基本的な要件である土地問題、それはまだJRとの詰めは済んでない、はっきりしてないということですか。そうすると、基本的な要素を欠いた計画を運輸省は承認しちゃったということになるのじゃないですか。
  131. 熊代健

    熊代政府委員 特定都市鉄道整備事業計画の認定の場合に詰まっているかということは、これは例えば複々線化する場合に、用地買収の問題等もございますし、そういうことで我々としては十年間にこれはできるということの前提で認定をした。このJR東日本の用地につきましては、今申し上げたのは、基本的に三者の間で方向としてはそちらの方向で、細かい詰めはもちろんまだ、何年にどうするとか、どういう形態でやるとか、使用料とかあるいはそういったものをどうするかということは当然のことながら決まっておりませんが、いろいろ問題はあろうかと思いますが、我々としては十年間にできるという判断に立ってやっておるわけでございますから、そういう点について支障といいますかそういうものがあれば、当然のことながら私どもの立場としてもJR東日本に協力要請をするということで、今の段階では、何年度にどういう格好で何メートルの幅のものをどうするというところまでは決まっていないけれども、方向としてはそういう話が進められておる。問題が生じたら、我々としては当然のことながらJR東日本に協力要請をしてまいる、そういうことでございます。
  132. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 北千住駅で人身事故が起きたかどうかというのは御承知でしょうか。
  133. 熊代健

    熊代政府委員 私ども調べた結果では、ここ二、三年人身事故は起きておりません。
  134. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)分科員 それもどうも事実と違うのですね。これは実はアンケートでわかったのです。私たちの方に来ましたのに、去年の十月七日、霧の日に、私はホームから線路に転落して一カ月間休まざるを得なかったというのがありまして、これは大変だというので、直接御本人にお会いにも行きました。そうしましたら、その女性ともう一人若い女性二人が押されて転落したのです。ちょうど電車が入っていましたが、その前へ落ちたので、それ以上の大事にはならなかったわけですが、救急車で病院に二人運ばれたのです。東武の職員も見舞いに来ているのですよ。そういう事実があった。  その際は電車は停車中でしたから大事故にはなりませんでしたけれども、私が重視したのは、ケース、性質としては、転落ですから、別な条件のもとでは重大事故になりかねないわけですね。これが報告もされてないというのは、私は非常に問題だというふうに思うのです。ぜひ調査もしていただきたい。こういう危険があるということが今の問題の深刻さを示していると思うのですよ。本当に満杯で、押されると落ちかねない。現に落ちたという例がある。  それ以外にもこのアンケートでいろいろ来ておりまして、ホームの上で将棋倒しのように倒れちゃったというのは、この中だけでも五件あります。それだけに、ぜひ抜本対策をスピードアップしていただくといいますか、工事予定などについていろいろJRからも聞きました。いろいろな問題があるとは思いますが、ぜひ急いでいただきたいと思います。  最後に、大臣に一言御要望ですが、今聞いておられたようなことなんです。抜本策も、当然ながら東武としても立てておられる。職員の方も大変なんですね。しり押しのアルバイトの人が四十八人もおられる。その中には、押しているうちに巻き込まれて次の駅まで行っちゃったとか、手を骨折した人も職員の中にいるというような深刻な状態なんで、早急な解決を図ってもらいたい。JRとの絡みの問題もありますから、ぜひ抜本策と同時に、それに七年間というのは長いですから、その間にもさらに知恵を絞っていろいろな手を打っていただくということをぜひ御指導していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  135. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私、おととしの暮れ、通勤客が着膨れするころ、実は東京の都市再開発のプランをつくろうと思って、常磐線でしたけれども専門家の数人と体験乗車をしたことがございます。それで北千住の駅にもおりまして私自身あの状況を見て知っておりますし、北千住も東京近郊の通勤線の過密の一つの事例だと思いますけれども、ともかく北千住に限らず、東京に定住している人たちの通勤状況というのは非常に過酷な条件にさらされておりまして、これは解決しなくてはならない焦眉の問題だと思っております。北千住だけではなくて、この問題を解決するためにこれからも鋭意努力をするつもりでございますし、またひとつ皆さんからもお知恵をかりたいと思っております。
  136. 平林鴻三

    平林主査代理 これにて佐藤祐弘君の質疑は終了いたしました。  次に、小谷輝二君。
  137. 小谷輝二

    小谷分科員 関西国際空港問題について質問をいたします。  関西国際空港の建設につきましては、地元では非常に期待されたものでございまして、その早期完成が望まれているところであります。石原大臣初め運輸省、また特に航空局の皆さん方が鋭意促進に努めていただいておりますことにつきましては、深く敬意を表するものであります。  昭和六十八年三月開港という目標でございまして、関西国際空港建設の一期工事が始まっておるわけでございますが、現在の進捗状況はどのような状況にあるのか、まず御説明いただきたいと思います。
  138. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関西国際空港の第一期工事の進捗状況でございますが、関西国際空港株式会社におきまして昨年の一月末に空港建設工事に着手をいたしました。そして昭和六十七年度末開港ということを目途にいたしまして、現在空港島それから連絡橋の工事を進めているところでございます。  工事は極めて順調に進捗をいたしております。空港島の護岸工事につきましては地盤改良が完了いたしておりますし、既に護岸の一部が海面上に姿を見せつつあるという状況でございます。それからまた橋脚につきましても、全体三十一基のうちの三基が既に海上に設置を完了いたしております。そういう状況で工事は極めて順調に進捗しておるというふうに考えておりまして、運輸省といたしましては、これからも最善の努力を尽くして予定どおり完成するように全力投球をしたいというふうに思っております。
  139. 小谷輝二

    小谷分科員 特に昨年は、大きな台風もなく大きな災害等もなくて非常に順調に進んでおるように思っておりますし、今後もいろいろな思わぬ台風等の災害がありましても開港目標には完成できるように努めていただきたい、このように思います。  特に、この埋立工事につきまして昨年の夏には海水汚濁問題が起こりまして、一時漁協の方からも工事の中止等の要請があったという経緯がございますが、その後、海水汚濁問題またそれに対する対応策、どのようにとっておられますか。
  140. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 昨年の四月下旬に地元の漁業者から、空港建設工事のために濁りが発生した、これが網の目に詰まって漁ができない、こういう抗議がございまして、それに端を発しましてこの水質汚濁の問題につきまして関西空港環境監視機構、これは府あるいは地元の市町の長で構成されておるわけでございますが、この空港環境監視機構によりまして調査を行ったわけでございます。  その結果、まず水質汚濁と空港建設工事は因果関係が明確には認められなかったというのが第一点でございます。それから第二点、工事による濁りの影響範囲、これは関西国際空港株式会社が実施いたしました環境アセスメントにおける予測範囲というものと同程度であるということが、この機構の調査の結果明らかになったわけでございます。それで、関西国際空港株式会社におきましては、漁業者の工事実施への理解、協力、これを得るために環境保全により一層万全を期するということを方針といたしまして昨年の八月十日に工事周辺海域の上層、下層にそれぞれ汚濁防止膜の展張を行いましてそれを完了したところでございまして、そういう措置、対策を講ずることによりまして今後とも環境問題については十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  141. 小谷輝二

    小谷分科員 このような大きな建設工事には公害問題はつきものでございますけれども、特に環境問題につきましては今後も留意をしていただきたい、このことを要望いたしておきます。  そこで今回、六十三年度予算にも全体構想調査費が計上されまして、いよいよ本格的に二十一世紀を目指す二十四時間使用可能な唯一の空港として、まさに日本の玄関となるものである、このように私たち認識をしておるわけでございますが、それだけに全体構想は万全を期すものでなければならない、このように思っております。  そこで、この空港の二期工事、つまり全体構想はこれから調査が進められていくと思いますけれども、当初予想された構想と大きな違いは起こる可能性があるのかどうか。当初予想された一日の便数、乗降客、また貨物等の数量等はどのようにまずお考えになっていらっしゃるのか。私たち、当初の構想と大きく変わらないものと、このように思っておるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  142. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関西国際空港の全体構想について検討するための基礎的な調査でございますが、これが昭和六十三年度当初予算に計上されているところでございます。経費としては一千万円でございます。  この調査は、近畿圏におきます航空輸送の長期的な需要予測、それから関西国際空港についての長期収支採算性といったものの分析等を行うということでございまして、全体構想完成後の航空需要予測というものはこの調査の結果得られるものでございますので、今の段階で全体構想完成後の予測値というものを私どもとしては持っているわけではございません。ただ、私どもが当初考えておりました、と申しますよりは、地元との関係等でいわゆる三点セットというのがございます。空港計画、環境影響評価あるいは地域整備計画といういわゆる三点セットというのがございますが、その三点セットの中でいわば最終的な関西空港の全体的な能力と申しますか、これは一応の想定といたしまして、年間の着陸回数は二十六万回、旅客数は七千二十万人、それから貨物は二百十四万トン、これは年間でございますが、そのような数値を想定いたしまして三点セットというものを決めた、こういう経緯はございます。
  143. 小谷輝二

    小谷分科員 今まで発表された構想では、この空港島との連絡橋は北ルート一本になっておるわけです。三点セット、今示された数字というのは便数で年間二十六万、一日にすれば七百十二便、乗降客は一日ではおおむね二十万人、貨物で六千トン、このくらいな数字になると思いますけれども、乗降客、貨物等が連絡橋一本ですべて運ばれるわけでございます。もしこの連絡橋で災害とか事故があった場合にはまさに海の孤島になるわけでございますが、地元の泉南市議会でこういう問題を論議されて、南ルート連絡橋の早期具体化が議会で議決され、それぞれの機関に要望をされたということでございますが、この点は御存じなのかどうか。まだ、全体構想の調査でその南ルートの件について検討をされる考え方があるのかどうか、この点、考え方をお示しいただきたいと思います。
  144. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関西国際空港の空港島と対岸部を結びます連絡橋でございますが、これにつきましては、空港島の北端部に取りつくいわゆる北ルートといたしまして、道路、鉄道の併用橋を現在会社におきまして建設中でございます。南ルートにつきましては、地元から整備の要望があるということで、最近では泉南の市議会におきまして昨年の六月に早期具体化についての決議が行われたということは、私どもも承知いたしております。  連絡橋は、現在の北ルートでございますが、これは道路部分は往復六車線の高規格道路でございます。それから、大阪都心部からJRの阪和線それから南海本線を経由いたしまして直接空港に乗り入れる鉄道も整備されるということでございまして、私どもといたしましては、将来の予想交通量に対してこれで十分に対応できるというふうに思っております。  関西国際空港の全体構想調査につきましては、先ほど申しましたように昭和六十三年度予算案で計上されているところでございますが、この調査におきましては、当面、近畿圏におきます航空輸送の長期的な需要予測、それから関西国際空港についての長期収支採算性の分析というようなことを行いまして、現在調査中の大阪国際空港、現空港でございますが、これのあり方についての検討と相まちまして、関西国際空港の全体構想について検討していくということのためのいわば基礎資料を作成することを目的といたしております。したがいまして、この全体構想についての基礎調査というものでいわゆる南ルートというものを調査するのには、ややなじまない性格のものであろうかというふうに思っておるわけでございます。
  145. 小谷輝二

    小谷分科員 これは空港と本土とはかなり距離もあるわけですし、橋そのものは確かに八十メートルからの大きなものでありますし、橋の長さにしましても海の上だけでも四キロからある。陸地の部分を入れても五キロ近くになる。これだけの乗降客と貨物の輸送ということになりましたら、これは何らかのことで災害が起きたときには対応策はないのではなかろうか。地元では、特に和歌山市、泉南市、岩出町、関係の深い市町村は六十三年度予算に、この南ルートの建設に対する利用効果、波及効果、防災効果等を含めてその必要性の理論的基礎資料をまとめるために、市町村自体が予算を組みまして調査に乗り出しておるという状況であります。そのような中で、今度の基礎調査、構想の中で、将来のためにも検討の課題の一つとして、地元の市町村、自治体がそのようにかなり意欲的に南ルートの点については検討しておりますので、御検討を加えていただきたい、検討の課題に乗せていただきたい、このように思うわけですが、どうですか、大臣
  146. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 大臣の前に一言答弁させていただきますが、先ほど申しましたように、現在の六十三年度予算案に計上されております全体構想についての基礎調査費でございますが、需要予測あるいは長期収支予測というふうな観点からの調査でございまして、具体的に空港の全体の計画をどうするかとかルートをどうするというふうなところまで踏み込んだ調査ではございませんので、今回の調査費一千万でございますが、これでそこら辺の調査まで踏み込むということは非常に難しいというふうな考え方を私どもとしては持っているわけでございます。
  147. 小谷輝二

    小谷分科員 国の空港関係の六十三年度予算、これはわかります。要するに地元の市町村で、明確に言いましたら泉南市で三百万、和歌山市で三百万、岩出町で百万、このように、自治体の厳しい財政の中でもこの問題について予算を組んで、先ほど申し上げましたような利用効果とか波及効果とか防災効果というものを考えていこうということで予算を組んでおる状況の中で、確かに今度の全体構想調査の予算の中にはそういうものまでは調査費を出しておりませんという考え方は一応わかりますけれども、今後の検討の課題として、第二期工事の中に一つの検討課題として考えていくことは必要ではないか、こう思うのですが、大臣、この点はどうですか。
  148. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 新規に構えました調査費の用途については、今局長がお話ししたとおりでございますけれども委員御指摘のように、これだけのプロジェクトですからいろいろなニーズがこれからも出てくると思いますけれども、私たちは決してそれに耳を傾けないわけではございません。地域の方々の御意見もしんしゃくし、しかしできるものはできる、できないものはできないという形で判断していこうと思いますが、地域の方々の御意見を聞くことは、もう決してやぶさかではございません。
  149. 小谷輝二

    小谷分科員 大臣の今の御答弁で、地元の南ルート建設に対する要望、また意欲、十分しんしゃくをして今後の検討課題にする、このように理解をさせていただきます。特に、関西国際空港の早期完成について今後も努力していただくことを要望いたしておきます。  次に、日米公共事業協議、これは竹下総理が一月に訪米された際に約束された、日本の特定大型公共事業に米国企業の参入について優遇策をとる、こういうことで、それを受けて東京で過日行われて不調に終わり、第二次がワシントンで再開されて現在なお協議が進んでおるけれども、きょうの報道ではなお難航中である、こういうふうな一部報道がございますが、この点はどうなのか。  さらに、公共事業の本命は建設省所管部分が多いと私たちは思うわけでございますけれども、現在協議されている内容は、報道によれば運輸省所管の空港ターミナル建設等が焦点になっているようでありますが、その理由はどういう理由なのか、この点御説明いただきたいと思います。
  150. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 御答弁申し上げます前に、先ほどの関西空港の南ルートの問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在の北ルートで我々が予想しておる需要には十分対応できるというのが現段階での私どもの考え方でございます。その点はひとつ御理解いただきたいと思います。先ほど大臣申し上げましたように、地元の方々がいろいろ御検討になっておられることは十分私ども承知しておりますし、そういうことについていろいろお話を伺うということは私どもとしてやぶさかではございません。ただ、現段階では北ルートで需要には十分対応できるという考え方であることだけは、ひとつ御理解いただきたいと思います。  それから、ただいま御質問の点でございますけれども、公共事業問題をめぐります日米協議、これにつきましては、先週の三月二日から四日までの予定でワシントンで日米双方の代表団による会議が開催されたわけでございます。その後、いろいろ協議の過程で時間が十分でないということでさらに延長いたしまして土曜日、それからさらに七日の月曜日、それから現地の八日火曜日と延長して協議を行ったわけでございますが、火曜日の夕方に至りまして、日米双方合意に達すべく鋭意協議を続けたわけでございますけれども、依然双方で検討すべき点も残されておりまして、最終的に合意を見るには至らなかったということでございます。今後、日米双方が合意を目指しまして、さらにお互いに問題点を検討した上でお互いに連絡をとり合うということを確認して、一たん協議を中断したというのが現在の状況でございます。  それで、先ほどのターミナルビル等の問題でございますけれども、今回の大型公共事業問題日米協議、これは、日本の公共事業にアメリカの企業を参入させたいというアメリカ側からの要求にこたえまして、日本の現在の公共事業の制度のもとで公共事業への参入に習熟し得るように、特定の大型公共事業につきまして外国企業の参入が容易になるような提案を行ったわけでございます。空港ターミナルビルは、一般的には民間会社あるいは地方公共団体出資の第三セクターによって事業が行われておりまして、こういう法人の事業は、公共事業ではなくてあくまでも民間事業であります。したがいまして、調達方式については公共事業とは全く違う形で会社の自由がゆだねられており、政府はその調達のやり方について関与し得るものではないという考え方でございまして、その旨を米側にも主張したわけでございます。しかしながら米側は、その空港ターミナルビル会社の発注するものについても外国企業が参入できるように政府がそれなりの保証をしてくれぬか、こういうことを主張しておりまして、これも今回合意に至らなかった点の一つでございます。
  151. 小谷輝二

    小谷分科員 先に南ルートの件ですけれども大臣は、地元にそういう意見とか要望とかあるので、それは地元の意見として、大臣としては意見を聞きながら今後の検討課題の中に、できるできぬは別問題として、検討して耳を傾けて聞いていきます、こういうことですね。
  152. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そうであります。  ただ、既にその事案について専門家筋が検討をしているのかどうか、私はそれをつまびらかにいたしませんけれども、もしそれが今この時点で新しく出てきた問題なら、私たち耳を傾けるにやぶさかでございません。ただ、既にそれが検討されているのかどうか、ちょっと私詳しくわかりませんので、既に結論が出たことならこれはやはりあきらめていただかなくちゃならぬと思いますけれども、新しく出てきた問題ならば、私たちそれは耳を傾けさせていただきたいと思います。
  153. 小谷輝二

    小谷分科員 今までの中で、既に計画の北ルートで一応対応はできる、こういう構想は、今までの三点セットの協議の中でも私たちも十分聞かしていただいておりますし、それは十分承知しておるわけでございますけれども、いろいろ空港建設が進んでいく段階の中で、地元の要望、また将来の大きな展望なりいろいろな情報等、特に和歌山、また大阪湾縦貫環状道路とか、また鉄軌道開通とかいうふうな問題も含めて、将来こういう構想が必要ではなかろうか、また新たに考えていくべきではなかろうか、こういう要望が出てきたら耳を傾け、それは成る成らぬは別で、しかもこれはあった方が、現空港の役員さんでもよりベターであるという意見はあるようであります。その点につきましては、これを含めて今後十分地元の自治体の意見、地元地域住民の意見を尊重し、耳を傾けていただきたい、このことを要望しておきます。  それから、現在関西国際空港に、日米公共事業協議で論議されておる内容、要するにアメリカ企業の参入問題でかなり大幅な特例措置がとられたわけでありますけれども、これのとった措置と米国企業の現在の参入状況ですね、これはどうなっていますか。
  154. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 アメリカの企業に限らず外国企業でございますが、日本のいわば建設事業にできるだけ参入したい、こういう希望は既に一昨年から表明されておったわけでございまして、それをめぐりまして種々の協議を米側と続けてきております。  そして現段階では、ここ一年来の協議を踏まえまして関西国際空港プロジェクト、これにつきましては、いわゆる公共事業ではなくてむしろ民間事業主体という範疇に入るわけでございますが、これにつきまして調達手続というものについてできるだけ透明にしていく。要するに外国企業が参入しやすいように手続の透明性をできるだけ確保していく、こういう観点から協議を続けまして、これについては昨年の十一月の時点で一応の決着を見た。そしてそれに基づいて、現在関西国際空港の建設工事につきましては、外国企業から参入希望というものをとりまして、その新しい手続に従って参入をむしろ私どもとしては歓迎していく、こういう考え方をとっているわけでございます。
  155. 小谷輝二

    小谷分科員 アメリカだけでなく、中国の建設大手、中国建築工程総公司ですかな、かなり大手のようですけれども、海外にもかなり行っておるようです。ここも関西国際空港の入札参加の申し入れをしたと報道されておりますけれども、これらの件についての今後の考え方はいかがですか。
  156. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 関西国際空港の取引希望申し出制度、これは空港建設工事等の発注に当たりましてその参考とするために行うものでございます。ただいま先生御指摘の中国建築工程総公司、これが取引希望の申し出を行っておりまして、関西空港株式会社でこれを受理しておるというふうに私どもは聞いております。関西空港会社の発注手続、これは内外無差別でございまして、ただいまの公司につきましても、建設業の許可といったような要件が備わっておりましたら、他の取引希望申し出企業と同等に扱われることになろうというふうに考えております。
  157. 小谷輝二

    小谷分科員 終わります。
  158. 平林鴻三

    平林主査代理 これにて小谷輝二君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  159. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず最初に運輸大臣にお伺いいたしますが、実は会津鬼怒川線が一昨年の十月第三セクター方式で開業されたのでありますが、これは御承知のとおり電化されておりまして、会津高原駅から浅草まで直通で乗り入れができる、こういうふうになっておるわけでございます。ところがその後、それにつながっている国鉄会津線が赤字であるということで、国鉄はこの廃止を決めたわけです。そこで、これを廃止されたのではとても今後会津の発展はもとより、せっかく野岩線を結んで会津高原駅まで電化したことがまさに何の役割も果たせない状態になってしまう、こういうことで、県と関係市町村が集まってその赤字廃止路線を第三セクターで引き受けたわけでございます。ところで、この引き受けた会津線というのはディーゼルが走っておりまして、どうも電化とかみ合わない。そこで、このままで行けば会津高原駅でどうしても乗りかえをして列車待ちというようなことになるので、乗客はもとより地域住民もこの問題については非常に不便を感じ、頭を悩ましておるところでございます。  そこで、この問題解決のために、今福島県は会津高原駅からとりあえず会津田島駅まで電化をしよう、またそうしなければどうにもならない、こういう状況にあるわけです。本来これは会津若松駅まで全部電化されなければならない路線でありまして、そういうふうにすれば会津若松から浅草まで、東京まで出るのにわざわざ郡山回りの新幹線に乗りかえて出る必要はなくなりますので、運賃の面からいたしましてもあるいは時間の面からいたしましても、非常に便利になるわけでございます。現に私自身、もしそこに直通の急行列車でも配車になれば、もう郡山なんかへ出る必要がなくなって直接この列車で上京できる、こういうふうになるわけでございますが、それも今できない状況にありますので、また、そういう事情ですから乗客も二の足を踏んで、この問題解決までは相当困難が伴うと思うわけでございます。  そこで、この路線というのは、大臣も御承知と思いますが、これはかつて国鉄廃止路線になる前に細田運輸大臣のときに私が質問して、ちょうど川の半分まで橋がかかっておって、あとの半分をぜひかけてくれ、こういうことで九十年に及ぶ陳情の結果、野岩線が実現して、その半分がようやく新しくかかって対岸まで通ずるようになった、その途端に今までの古い橋を壊してしまうというのは理不尽じゃないか、こういうふうに質問したところ、まさにそのとおりで、これは特殊な線路として考えております、こういう御答弁であったわけですが、その後の推移を見ておると、全然特殊な考え方がここに当てはめられていない、こういうわけでございます。  そこで私は、この線を生かしていくためにはどうしても電化が必要である。運輸省は、この電化問題についてどのように考えておられるのか。これは事業基本計画の変更をする一つの認可申請がなされることは当然でありますが、そういう一つの手続上の問題あるいはこれからの役割、そういうものについてどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
  160. 熊代健

    熊代政府委員 会津線につきましては、先生御指摘のように、特定地方交通線でバスに転換した方が適当な路線ということで指定された線であったわけですが、昨年七月に地元の県、市町村を中心とします第三セクターで引き続き発足した鉄道でございます。お話のとおり、会津高原駅で野岩鉄道と連絡し、さらに東武と結ばれて浅草まで来るというような路線になっておるわけでございます。  ただ、おっしゃるとおり、会津高原駅から先は単線で非電化区間であるということで、これは第三セクター発足時からいろいろ問題になっておったことは、私も十分よく承知しております。最近会津線から、正式には聞いておりませんけれども、とりあえず会津田島まで段階的に電化をしたい、電化することによって浅草までの直通運転ができるようにしないというふうな御計画を検討されているということは承知しております。おっしゃるように、この地域は野岩鉄道が通ったことによりましてかなり開発も進み、地元の活性化につながっているというふうに理解しておりますので、電化につきまして鉄道事業法に基づきます事業基本計画の変更、あるいはそれに次いで出ます工事計画の変更の認可という手続が必要なわけでございますが、それらにつきましてそれぞれ審査基準はございますが、我々としても実情を十分理解してそれなりに適切に対処すると同時に、場合によっては適切な指導助言等も与えてまいりたい、これは本省だけではなくて東北運輸局も当然のことながら御相談に乗りながらというふうに考えております。
  161. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 大変御親切な答弁ありがとうございました。  そこで、この地域は御承知のように日本でもまれだというくらい景観に恵まれた、観光リゾート地域に最適の地域でございます。しかも今リゾート地域建設の進軍ラッパが鳴っている中で、この福島県側の沿線というものは、会津高原リゾート建設の承認地域ということで今取り組んでおるわけでございます。そしてこの野岩線ができてからというものは、乗客も非常にふえて将来に明るい見通しがついておるわけでございます。国が赤字でどうにもならなくなって捨てた同然のような路線を、今度地域の第三セクターでこれを引き受けて、そして復興し、さらにすばらしくこれを発展させよう、こういう意気込みで取り組んでおるのでございますから、でき得ればこれに対して運輸省としても何がしかの心づけをするなり補助金を考えるなり、何かそういうものがありてしかるべきではないか。  特に、もう後は野となれ山となれ式では私は困ると思うのですよ。役所というのは、役所それ自体が独立しているものではなくて、国民の支持あるいは国民から愛される、そういう一つの信頼の中心として役所の権威を維持しなければならぬと思うわけです。ところが、これはもう終わったのだから後はそっちで勝手にやれというようなことになりますと、運輸省というところのお役人は血も涙もないのか、こういうことになってくると思うのです。  しかもこれは、通産省と県の話し合いの中で、福島県がいただいておる電力移出県等交付金というものを、こういう面にも用途拡大してもいいというような了解を大体とっておると言われております。通産省はそういう一つの温情を示しながら地域開発に協力しようとしておるのに、その中心的役割を果たしている運輸省が我関せずでおられるだろうか、こういうふうに私は考えるわけであります。この辺で一考あってしかるべきだと思うのです。特に大臣はこれで二回目の経験ですから、閣僚の中でも相当幅がきくのじゃないかと思います。そういう点で、ひとつ独特な運輸行政を展開してもらいたいと思うのですが、運輸大臣いかがでしょうか。     〔平林主査代理退席、主査着席〕
  162. 熊代健

    熊代政府委員 特定地方交通線につきましては、先生御承知のように第三セクターに転換するときに転換交付金というものを交付することにしておりますし、その後の運営上の欠損につきましては、五年間にわたって鉄道の場合は二分の一を補助する、それから一般の中小民鉄等の場合に近代化補助といったような制度もございます。しかし、いずれにいたしましてもかなりの資本費負担を事業者自身が、この近代化補助の場合にかかります。そういうことで、特定地方交通線の転換というものの一環の中で、我々としてはできるだけの御支援といいますかそういうことをやってまいりたいと思うわけですけれども、今のところ先生御指摘のようなものを使いながら電化を進めるというふうに伺っておりますので、その方向でまずやる。積極的にその他の新規の助成をということにつきましては、現時点では非常に難しいのではなかろうかというふうに思っております。
  163. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 先ほどの最初の答弁は非常に親切でいいなと思って聞いていたら、その次は、今度はまるっきり正反対ですね。どうしてそう変わられるものですかな。この転換交付金が手切れ金だというならそれでも仕方ないんでしょうけれども、子供を連れて別れていった妻に対して、別れたから後は勝手にしろ、手切れ金は既に渡しているじゃないかと言うのと同じですよ。その子供が成長して非常に優秀で大学に行けるようになった、何とか学費を援助してくれというときに、そんなこと今言えた義理かと言ってしりをまくるのと同じですよ。そうじゃないですか。  国がやってもどうにもならない赤字線を、地方のしかも非常に財政の貧弱な自治体が引き受けて、そしてようやく生き返らせて、よみがえらせて、そしてこれからこれが地域開発の中心的な役割を果たすのだというときに、しかも電化ですよ。電化だって一キロ三千万ぐらいでできるものじゃないですからね。そういうのでごまかそうとするところに問題があるのですよ。それでは国民から支持を受けられませんよ、そんなことをやっていたのじゃ。やはり政治というのは生きたものでございますから、その実情に対応できる、そしてそれをさらに一歩上に発展させられる、そういう指導的な役割を果たすようなものでなければ政治の方向としては間違いじゃないか。  ですから、その点で役人の方はなかなか口がかたくてそういう判断ができないから、そこで私は政治家である大臣お答えを求めたわけです。どうかひとつ大臣、勇気ある答弁をお願いします。
  164. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 お言葉をおかりしますと、運輸省にとりましては子を連れて泣く泣く別れた妻は一人だけでございませんで、たくさんいるわけでありまして、これを一つだけ特例というわけにもなかなかいきません。そういう意味では、局長が今御答弁したわけでございますけれども、ともかく第三セクターという形で独立された限り、決められた限りの支援はいたしますけれども、後はという言い方は角が立つかもしれませんが、ともかくその枠を超える限りではその主体者である第三セクターに御努力を願う以外にないわけでありまして、ひとつそれは運輸省としての苦衷を御理解いただきたいと思うわけであります。
  165. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それは私の質問も非常に唐突としているかもしれませんが、問題はそういうのが今後やはり相当出てくると思いますよ。その地域が非常に真剣に取り組んだ結果、どうしても電化しなくちゃならぬ。しかも、今二十世紀が終わって二十一世紀に向かうときに電化されずに気動車だなんて、これは笑われ物じゃないでしょうか。日本は今世界で非常に金持ち国と言われておるだけに、やはりそういう点で気持ちだけでも、今財政が赤字だからどうしようもないので、ひとつこれは全くの寸志だというので包む場合もあるわけですからね。そういう形でも、何らかそこに温情というか誠意というかそういうものを出して、それを一つの励ましにして他の交通関係を励ましていく。よし、やればできるんだなというように指導していくのが政治じゃないかと私は思いますが、大臣、これはどうでしょうか。それくらいはひとつ決断してくださいよ。
  166. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 いや、おっしゃることはよくわかりますが、しょせん先立つものが問題でありまして、そういう理由から国鉄も民営化、分割したわけでありますし、また赤字路線の撤廃という形にも進んだわけでありまして、今の財政事情で決められた枠を超えての寸志というのはなかなか難しいと思いますが、財政状況がこれから先好転すればまた別のことだと思いますけれども、いずれにしろ第三セクターを形成されている方々の御努力で分かれた鉄道を発展させていただきたいし、またそれにのっとってひとつ地方を活性化していただきたいと思うや切でございます。
  167. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がありませんから次に移りますが、ひとつこの問題については今後検討をしていただくよう、私から強く陳情申し上げます。よろしくお願いします。  次には、今福島空港建設がどんどん進んでおるわけでございます。これには用地の買収計画も順調に進んで、関係住民にとっては異常なほど期待をかけておるところでございます。このことについて、運輸省としまして今後具体的にどういう手順で、どういう取り組みの中で進んでいかれるのか、その辺のスケジュールをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  168. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 福島空港につきましては、昭和六十一年度に新規事業として採択をいたしました。これまで実施設計調査、それから用地買収のための予算を計上してきております。昭和六十三年度予算案におきましては、本格工事に着手するための用地造成等の所要の費用、二十億円でございますが、これを政府予算案に計上をいたしております。これは、六十二年度が六億円でございますから、対前年度比では三・三倍という額になります。  航空法に基づく供用開始の予定期日は昭和六十八年三月末ということになっておりまして、省といたしましても予定どおりこれが供用できますように、着実にその整備を図っていくという考え方でございます。
  169. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは今運輸省の御答弁がありましたとおり、ひとつよろしく御指導等さらに強力なお取り組みをお願いいたします。  そこで、建設省に最後お伺いいたしますが、この福島空港建設に伴って、これから建設されるであろう道路網の整備について今後どういう計画があるのか、その実施の概要並びに計画の具体的な御説明をお願いしたいと思います。
  170. 森本哲夫

    森本説明員 先生御案内のとおり、福島空港建設に伴いまして整備が必要とされます関連道路につきましては、一般県道古殿―須賀川線、一般国道百十八号線がございます。  空港に直接アクセスすることになります一般県道古殿―須賀川線につきましては、昭和六十二年度に国庫補助事業及び県単独事業によりまして改良に着手しております。また、高速道路のインターアクセスとしても重要な一般国道百十八号線につきましては、昭和六十一年度に国庫補助事業によりまして改良に着手しております。いずれも空港開港の時期に合わせまして供用を図るために、鋭意事業を推進していくこととしております。
  171. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この道路綱の整備というのは非常に重要でありまして、さらに最近はいろいろな資材の運搬道路等ができておるわけでございますが、これはただ福島空港というだけでなく、この空港を中心とした広い会津方部も入れた地域全体を見詰めながら、今後合理的な道路綱の整備をしてほしい。そして今、東北横断自動車道がどんどんと建設促進されておりますが、これについてもやはり空港との関連を絶えず考えながら建設を進めていただきたい。このことについて、ひとつ一言御答弁をお願いします。
  172. 森本哲夫

    森本説明員 今先生からお話のございました空港周辺だけでなしに、福島管内全域につきまして既にもう高速道路の東北自動車道は供用を開始しておりますし、現在鋭意事業が進められております横断道路につきましても、早期に完成すべく道路公団としまして事業を進めております。その他、国道あるいは県道等につきましても、来年度六十三年度から第十次道路整備五カ年計画が発足いたしますので、その中でネットワークの強化に努めていくというふうに考えております。
  173. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 最後に、ひとつ運輸大臣から運輸行政について基本的な考え方をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。あなたが運輸大臣になって、こういう運輸行政を今後やっていくという……。
  174. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 先般、運輸委員会では所信表明なるものをいたしましたですが、ここでそれを繰り返す時間もございませんけれども、新しい時代に入りつつあり、新しい成熟した社会がつくられようとしておるわけで、それを保障する、それに見合った交通体系というものをつくっていかなければならないと思います。空海陸それぞれ方法もございますけれども、また決してむだのない、物が重ならないように、ともかく効率のいい、そしてどうやらこのごろの日本人にとって非常に価値あるものは時間ということでございますから、四全総にうたわれておりますように、東京―大阪メガロポリスにはどこからでも一日で通勤して帰ることのできるような、そういう便宜というものを国全体に保障していきたいと思っております。
  175. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  176. 左藤恵

    左藤主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  177. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 大臣、大変御苦労さまでございます。まだ昼食もされていないということですので、どうぞ一時二十五分になりましたら御退席をいただきますように。  私は、大臣もよく御承知の中部新国際空港につきまして、その必要性、重要性について大臣がどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。  御承知のように第四次全国総合開発計画におきまして、中京圏は、世界的な産業技術中枢圏域の形成を目指す位置づけのもとに、その実現のために国際交流機能の強化、国際航空網の充実を図る方向が示されておるわけであります。  伊勢湾地域におきまして目指すこの中部新国際空港というのは、人口、産業、技術などの高い集積や大きな開発余力の高次な利用及び国際化、情報化時代に対応する産業、流通機能の強化、さらには創造的文化、都市づくりに向けた基幹となる機能を創出しようとするものであり、当地域の果たすべき役割の実現には不可欠であるわけであります。  また、同時に、定住と交流による地域の活性化、国際化と世界都市機能の再編成及び安全で質の高い国土環境の整備という国土政策に貢献する極めて重要な国家的プロジェクトであります。このように私どもはとらえておりますが、大臣の御所見はいかがでありましょうか。
  178. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 これは大変大きなプロジェクトでございます。今政府としては正式に、採択はしておりませんけれども、この実現のために地方公共団体関係者がいろいろ御調査をいただいているわけでございますが、打ち割った話、今回の公共事業参入の日米会談なんかでも、向こう側の方が先にこれを参入の対象にして持ち出すぐらい、外国から眺めましても名古屋を中心にしました日本有数のメガロポリスがあるわけでございまして、そこに現代的な空港の必要というのは、外国人から眺めても評価されるものだと思います。当然私たちも、この問題を前進的に考えていかなくてはならないと思っております。  ただ、その前に立地でありますとか経済性でありますとか十分な調査をいただきまして、また、公害等の障害のないような条件を検討していただきたいと思うわけでございます。
  179. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 私は、この中部新国際空港につきましては、過去六回、中曽根総理を初めといたしましてそのときどきの運輸大臣にその建設促進について御質問をしてまいりました。きょうは七回目であります。  それで、今日までの経緯を見ますと、大臣もよく御承知だと思いますが、昭和六十年の一月には、愛知、岐阜、三重三県と名古屋市あるいは地元経済団体で中部新国際空港建設促進期成同盟会が結成をされました。それから同じく六十年の三月には、三県の選出国会議員でいわゆる中部国際空港の促進のための議員連盟が、共産党を除く超党派で江崎真澄さんを会長として結成をされまして、今日まで活動を続けております。そして同じく六十年の十二月には、運輸大臣の許可を得まして財団法人中部空港調査会が設立をされております。この空港調査会が今運輸省の御援助のもとに調査を進めております。  そこで私、今回質問するにつきましていろいろその調査会に聞いてまいりました。  一つは、公害等の問題もありますし地元のコンセンサスも得なければならない、どこへ空港を立地するかという問題があります。この問題は、調査会の方の私どもに対する報告では、遅くとも昭和六十四年の中ごろまでにこれは決定をしてまいりたい、このように申しております。二つ目には、しからばいつまでにこの空港が必要であるか。二十一世紀初頭と言われておるわけでありますが、少なくとも西暦二〇〇五年までにはどうしても必要になってくる、このように言っております。それから最後に重要な問題は、費用負担のあり方であります。今大臣がおっしゃいましたが、これも関西方式で、民間等々も入れてやっていく、こういうところまで今実は調査会の方で進んでおるわけであります。  こういった条件が整備されれば、当然この空港は建設に向かって国の本格的な調査が始められてしかるべきであろう、このように考えるわけでありますが、いかがですか。大臣のお考えをお伺いいたします。
  180. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 全く同感でございます。
  181. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 しからば、今私が申しました三点を条件にしまして、その条件が整備されたら国による本格的な調査の早期着手ということをお願い申し上げたい。同感であるということでございますので、私もそのように了解します。  それから、今日まで運動を進めてまいりまして、議員連盟の会合には必ず航空局長がお見えになりまして、林さんですかな、国鉄のときにお世話になりましたが、おかげさまで国土庁は四全総の中できちっと位置づけていただきましたが、残念ながら第五次空港整備五カ年計画の中にはこれは位置づけられなかった。  そこで、先ほど申しましたこういった三条件がきちっと整えば、昭和六十六年度を初年度とする第六次空港整備五カ年計画の中で明確な位置づけをしてしかるべきである、私はこのように考えるわけでありますが、大臣の御所見をお伺いします。
  182. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 大臣の前にまず御答弁させていただきます。  ただいま先生から御指摘いただきました三つの点を中心といたしまして調査会で十分な調査、議論が行われまして、そして地域社会としての合意形成というものが相当程度整うということになりますれば、あえて第何次ということは申し上げませんが、その時点で五カ年計画での取り扱いを私どもとしては真剣に検討してまいりたい、このように考えております。
  183. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 私はもう調査会の方から聞いて話をしているんだよ。地元のコンセンサスを得て、六十四年度の中ごろまでに適地は決めます、費用負担も関西方式でやります、二〇〇五年までにやりますよと。第六次の五カ年計画に入れて当然じゃありませんか。それを大臣に聞いているのです。どうですか。
  184. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 これはあくまでも仮定の問題でありますけれども、今おっしゃった三条件というのは空港実現のために不可欠の条件だと思いますし、それが満たされれば次の五カ年計画に組み入れられて妥当だと私は思います。
  185. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そういうふうに答弁をしていただきたかったのです、林さん。  それで、現在の名古屋空港の問題に入りたいと思いましたが、大臣の昼食の時間もありますので手短にやらさせていただきたいと思いますが、その前に国土庁にお聞きします。  この中部新国際空港につきましては、四全総では位置づけられました。第三次中部圏基本開発整備計画は、一、二年前から策定に入られまして、六十三年の早い段階で成案を得たい、今鋭意作業中とお聞きをいたしておます。この国家計画に一段と明確に位置づけることについていかにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  186. 井上興治

    井上説明員 二十一世紀に向けまして中部圏を活力ある圏域として整備していく、そのために高速交通体系の整備が不可欠であろうと考えております。  中部圏における国際航空網の充実を図る観点から、その対応策についてはさらに調査を進めることが必要であると認識しております。現在策定作業を進めております新しい中部圏基本開発整備計画におきましてもそのような考え方に沿って位置づけをしてまいりたい、このように考えております。
  187. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 第三次の計画においてきちっと位置づけをしていただいておるわけですね。  次は、中央新幹線のリニアモーターカーの問題について、まず大臣の御所見を伺っていきたいわけであります。  四全総を見ますと、八十八ページですが、「さらに、中央新幹線について長期的視点から調査を進めるほか、磁気浮上式鉄道」、これがリニアモーターカーのことでありますが、「など新しい技術の開発や建設コスト低減のための既存技術の高度化を進め、質の高い鉄道システムの実現を目指す。」このように言っておるわけです。  大臣も先般、西ドイツへ行かれましたね。そしてリニアモーターカーめ開発状況を視察されたとお聞きをしました。帰国後一月二十一日の記者会見で、「次世代型の高速鉄道であるリニアモーターカーの実験線を東京―山梨―名古屋―大阪間のリニア中央新幹線の一部区間とJR札幌駅―新千歳空港ターミナルビルを結ぶ四五・三キロに二年後に同時着工し、早期に実用化したいとの方針を明らかにした。二つの実験線を選んだのは旅客需要が多く、採算が十分とれるとの判断から。」なされた、このようにあるマスコミが報道しております。また、大臣は「近く閣議と自民党交通部会で説明政府、自民党の長期的な課題としてリニア両線の実現を図る考えだ。」「「日本のリニア技術は西ドイツをしのぐ世界一の水準にある。財源難なので、政府、民間企業、経済界を含めた第三セクター方式も一案」と述べ、リニア構想の具体化に向け意欲を示した。」このようにある新聞は報道いたしておりますが、事実かどうか確認をいたしたいと思います。
  188. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 ちょっと私の申し上げたことに概念的な混乱がございまして、それを説明しながら申させていただきます。  日本のリニアの技術はまさしく世界一であるという確信を持っております。それから、直線の比較的平板な立地条件の中では、来年の実験を終わりますと再来年からもうすぐに実用に供するぐらい技術は成熟しております。ですから、私は、どこかでそれを実用化してみせることで世界の耳目も集め、国際商品として認定されると信じますので、その立地として例えば東京―成田、結構でございますから後で申し上げますが、トンネルの実験がまだ終わっていませんのでこれは技術的に難しかろうか、ですから、札幌―千歳というものを、実用実験といいましょうか、現在でも新幹線を走らせながらいろいろ新しい技術も開発しているわけでございまして、そういう意味で実用線ということでこれを申しました。あそこはなどは第三セクターなり民間の資金を使えばできる範囲のことでございます。  ただ、これを長距離で走らせるということになりますと、日本の地形からいってやはりトンネルをつくらなくてはなりません。この実験は、ドイツではヨーロッパの地形からいってやらないつもりのようでありますし、そういう意味でも、トンネルの必要性は世界じゅうあるわけでありますから、日本がドイツをしのぐ国際商品となり得るわけでありますけれども、そのためにはやはり山梨なりあるいは宮崎なり、今宮崎には大変お世話いただいているわけでありますけれども、ちょうど新幹線の実験をしましたように将来その四、五十キロの路線を実用線に組み込むような形で立地を選んで、まずトンネル内の急勾配なりカーブの実験をこれからする必要がある。  そういうことで、一億八千万の調査費をつけまして、札幌―千歳は別の範疇でございますから、長距離、百キロ単位の距離を動かすために山梨なり宮崎なりそういう地域を設定して、トンネルの実験を含めた最終的な実験を時間をかけて行う必要があるのではないかと思っております。
  189. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 札幌―千歳、肯定されました。それから、山梨を中心にしたトンネルの実験あるいは宮崎という言葉も、これはもう宮崎県に大変な御配慮をされてなされたと思います。  私は地元だから言うわけじゃありませんが、御案内のように東京都を初めといたしまして大阪まで、一都一府六県だと思いますが、それぞれの地方自治体、それから議員連盟もあります。やはり共産党を除いた我々みんな顧問になっておるわけでありますが、昨年八月六日には議員が集まりまして、そして奥野国土庁長官からもこの中央新幹線の推進についてかたい決意が述べられたわけであります。宮崎も結構でありますが、どうせやるたら東京―山梨、やはり山梨県を中心にして将来通るところへやった方が経済的にも効果的である、私はこう思いますが、どうですか。
  190. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そういうものも調査すべくこの二年間で、一億八千万の調査費をつけて、次の積極的な立地というものを考えていこうということでございます。これは暗示になるか啓示になるかわかりませんけれども、先ほど御発言のありました中部国際空港も、もしリニアが東京―大阪間が中部を経て五百キロのスピードでつながることになりますと、明らかにその有効性というのは今と違ってくるわけでありまして、成田がこれからどうなるか、完成しなくちゃいけませんし、関西空港もどういう形で、完全な形になるかわかりませんが、ともかくアクセスの問題もありまして、中部地域の方々だけではなくて、その沿線なりあるいは東京、大阪の人たちが飛行機を国際的に利用するときに、リニアがあれば中部空港が便利だということになりかねない。これは決して小説的な想像ではなくて、技術がそれを優に保証し得る、そういう時代に来ていると私は思っております。
  191. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 大臣の記者会見によると、財源難でありますから「政府、民間企業、経済界を含めた第三セクター方式も一案」となっておりますね。それで、私はJR東海の社長を初め関係者といろいろ話をしました。それから愛知県、名古屋市等の自治体の関係者ともいろいろ話をしました。とにかくこの中央新幹線を建設してこれを運行するにはまず建設主体が必要だと思います。はっきりと言っているわけでありますが、建設主体は鉄建公団である。そして事業主体が問題である。お金をどこが出すか。これは国と地方自治体と民間、これが第三セクター方式になってくると思いますが、JR東海もそれ相応の応分の負担をしてもいい、私きのう電話で確認しましたが、そう言っておりました。その事業主体、建設主体について大臣はどう考えられるのかというのが一つ。  それから、運営主体は、東海道新幹線が今、通過しておりましても、将来の予測によれば、私の間違いかもしれませんが、一日七万人から八万人ぐらい乗るのじゃないか。十分採算が合う。だから運営主体はぜひJR東海にさせていただきたい。県や市の自治体もそのような配慮をお願いしたい、こう言っておるわけでございますが、この建設主体、事業主体、運営主体、この三つにつきまして大臣の意のあるところをお聞かせいただきたいと思います。
  192. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 若干法律的な問題もございますものですから私の方から答弁させていただきます。  御案内のように、中央新幹線は全国新幹線鉄道整備法上の基本計画路線でございます。それで、その法律によりますと建設主体あるいは運営主体、そういうものにつきましては運輸大臣が指名するという形になっております。現在までのところ、まずは整備計画を決定した路線がございますわけで、その整備計画を決定した路線の今後の建設状況とか、そういったようなことを詰めた後の問題として営業主体なり建設主体なり運営主体の問題が出てくるのではないかと考えております。したがいまして、具体的にどこにどうするかというような話につきましては現在までのところはまだはっきりしたものはございません。
  193. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 僕はそんなことをお聞きしようと思って質問したわけじゃありません。JR東海の話も持ち出して、大臣の記者会見の話も持ち出して、こうした場合は建設主体はこうなりますよ、なりませんかというお話を私はしているわけです。だから、はっきり言います。建設主体は鉄建公団、事業主体はいわゆる第三セクター、これは大臣がおっしゃっております。国、地方自治体そして民間、それにJR東海も応分の負担をする、してもいいと言っています。運営主体、経営主体、これはJR東海、いかがですか。あなた、そんな質問しているわけじゃないんだから。時間がないんだから。もうあと五分。
  194. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私は日本のリニアをマグレブの技術の、主権がどこにあるのか、今鉄道総合技術研究所ですか、持っておるわけでありますけれども、実質に開発しましたのは国鉄でありますから、各JRがこれに対して潜在的な権利を持っていると思いますし、そういう兼ね合いから建設主体がどこにあるべきかということ、ちょっと私、そういう法律的な手続でつまびらかにいたしませんが、事業主体、運営主体については、これは独断と言われるかもしれませんけれども、JR東海が非常に熱心にこの問題に取り組んでおられるのは知っておりますし、それならばやはり熱意のあるところがそういうものは優先すると思います。  それから、現況から眺めればやはり第三セクターという形をとらざるを得ないだろう。そこに参加する主体者がどことどこになるかはわかりませんけれども、先のことでしょうが、しかしそれが一番自然で可能な形ではないかと思います。
  195. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 大臣どうもありがとうございました。四分早いんですけれども、いい答弁をいただきましたから、どうぞ食事に行ってください。  それでその次、現在の名古屋空港ですね。もう満杯になっております。この名古屋空港の整備拡充につきましてまず運輸省当局にお聞きしたいのは、名古屋空港の機能を強化するために、現在の第五次空港整備五カ年計画の計画期間内に滑走路延長を、現在二千七百四十メーターでありますね、これを三千メーターに延長を実現をさせていただきたい、そして早期にターミナル地域整備基本計画、マスタープランを見直して、ターミナル施設の整備拡充を図っていただきたい、こういった要望があるがいかがですかということであります。  それから、時間がないので建設省にあわせてお伺いしますが、この名古屋空港までのアクセスの整備促進であります。とにかく名古屋駅から、交通渋滞のために、あるときは一時間かかると思ったら、またあるとき一時間半かかる、また車のない深夜、早朝等は三十分もかからずに行ける。非常に今アクセスで困っているわけであります。  そこで、一般国道四十一号のうち、一般国道三百二号から名神高速道路小牧インターチェンジまでの拡幅事業の促進を図り、また専用高架道路建設のための調査を実施するとともに、これと一体となって空港アクセスの機能を高めることとなる名古屋環状二号線、名古屋高速道路等の基幹道路網の早期完成を図っていただきたい、こういうことでありますが、運輸省当局それから建設省から答弁をお聞きをしたい、こう思います。
  196. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 現在の名古屋空港の整備の問題でございますが、運輸省といたしましては、六十一年の十一月に決定いたしました第五次空港整備五カ年計画におきまして、名古屋空港の滑走路延長整備の計画、これは二千七百メートルを三千メートルに延長するわけでございますが、これを組み入れております。  この名古屋空港の滑走路延長の問題につきましては、アメリカの西海岸等への直行便の就航を可能とするという目的のためのものでございますが、いつ事業に着手するかという時期につきましては、土地取得とかあるいは騒音問題といったような地元の合意の状況あるいはアメリカ西海岸への直行便就航の需要動向というようなものを見きわめつつ検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、現名古屋空港のターミナル地区整備の問題でございますけれども、これまでに国際線それから国内線のエプロン、ターミナルビル、貨物ビルあるいは道路駐車場といった諸施設の整備を図ってきております。国際線ターミナルビルにつきましては六十二年三月に一応の拡張整備を終えたわけでございますけれども、最近の国際線旅客需要の急増といった状況に対応するためにさらに一層の拡張が必要でございまして、その国際線ターミナルビルの拡張の具体化に向けて現在検討を進めている段階でございます。
  197. 堀泰晴

    ○堀説明員 お答えいたします。  四十一号につきましては現在工事を進めておりまして、先生御指摘の三百二号から小牧インターにつきましては、第十次の五カ年計画の中で完成するように努めてまいりたいと思っております。  また専用高架道の建設につきましては、今後この交通需要を勘案して調査をしてまいりたい、こう考えております。  それから二環のことでございますけれども、御案内のように、名古屋環状二号線は延長六十六キロの環状道路でございまして、現在鋭意事業を進めております。  一般部につきましては約二十キロが供用しておりまして、今年度末にさらに五キロの供用が図られる予定になっております。専用部については、海上部八キロについて有料道路事業として事業を実施しておりまして、このうち名港西大橋の三キロにつきましては六十年三月に供用をしております。また、東名高速道路の名古屋インターチェンジから近畿自動車道の名古屋西インターチェンジの二十八キロにつきましては高速自動車国道として整備を進めておりまして、六十二年度末には、清洲東インターチェンジから名古屋西インターチェンジの約九キロも今月二十三日に供用する予定になっております。また、そのほかの区間につきましては、第十次五カ年計画内に供用を図るべく逐次整備を進めてまいりたい、こう考えております。  次に名古屋都市高速道路についてでございますけれども、昨年十二月に整備計画の変更をいたしまして、総延長四十一・四キロを当面事業をする区間といたしております。現在既に二十三・一キロの供用を図っておりまして、さらに四月には二・七キロ、また六十三年度には合わせて四・四キロの供用を図って、逐次名古屋都市高速道路の整備を進めてまいりたい、こう思っておりますのでよろしくお願いいたします。
  198. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 もう時間がなくなりましたので最後にいたします。  リニアモーターカーですね、過日の名古屋市議会本会議におきまして、名古屋市の西尾市長は、中央新幹線が名古屋を通る場合、名古屋駅からかけ離れるというのはいわゆる交通網の集積の関係から好ましくない、であるから近くにある旧国鉄跡地である笹島貨物駅跡地を中央新幹線の駅に利用したらどうかという、その方向で働きかけていきたい、こういう答弁がありましたが、運輸省のお考え。  それから、今の名古屋空港の整備。昨年末に中部管区行政監察局から、国際空港としては余りにも貧弱である、粗末であるという指摘があったわけですね。それで、このマスタープランの問題でも、できることとできぬこととあるわけでありますが、とにかく出国待合室や国際線到着ロビーの拡張、身障者の車いすが利用できる、そういったエレベーターの設置という問題が大きな問題になっている、こういった問題を具体的にどう考えられているのか。  以上二問お聞きをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。いかがでしょう。
  199. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 中央新幹線の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在の基本計画路線でございますので、どこをどう通すというような具体的な検討はまだ一切いたしておりません。したがいまして、御指摘の笹島の問題も含めまして、整備新幹線の見通しをつけた後の問題かと考えております。
  200. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、空港ビル会社の方で現在検討を進めておる段階でございます。
  201. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 では、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  202. 左藤恵

    左藤主査 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。
  203. 関山信之

    関山分科員 ただいまも名古屋空港の整備拡充の問題が取り上げられておりましたが、世はまさに航空機時代でございまして、国会議員のパスも国鉄と飛行機の選択制が導入されるような時代でございますだけに、どこでも地域の空港問題に対する関心は強いんだと思いますし、また私ども新潟でございますが、地元でも滑走路の五百メートル延長について今本省の方にもいろいろとお願いをしている段階でございます。  しかしこれは新潟だけに限らず、この空港問題というのは、大きな立場からいえば地域経済の活性化という意味では私どもは大いにその整備拡充に力を入れていただくためにお願いもしなければならぬ。しかし一方で空港の問題はその周辺に住む人たちにとっては文句なしに迷惑なわけでございまして、この迷惑というものについて一定の手だてを講じませんとこの問題がスムーズに動かないということは御承知のとおりでございます。いわば地方の自治体や我々地元の関係者にとりましては、この種の問題については絶えず二律背反の立場に立たされるというところがございまして、どうしても地元の対策についても十分な手だてをお願いをするということに相なるわけでございますが、きょうは民防工事の問題について何点かお尋ねをしたいわけでございます。  最初に、これは一つは飛行場の滑走路が延長される、延長されるということに伴って航空機の発着も機材の大型化も大いに促されるでしょうし、またその利用度も高まるということを前提にしておるわけでございますけれども、今の騒音防止法の枠組みの中で、拡張に伴う騒音レベルの測定の見直しだとか地域指定の見直しだとかというものについてはどういう枠組みの中で扱われるのか、ちょっとお聞かせをいただいておきたいと思います。     〔主査退席、平林主査代理着席〕
  204. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ジェット化等に伴いまして滑走路を延長するというケースはよくあるわけでございますが、そういう滑走路の延長に伴いまして空港の騒音区域が広がるというふうに予測される場合には、事前に区域の追加指定を行います。そうしまして、その追加指定を行った区域について移転補償あるいは民家防音工事といったような所要の対策を講じるというふうなことで従来から対処をしてきておるわけでございます。
  205. 関山信之

    関山分科員 予想されるというのは、もう一つ突っ込んで御説明をいただきますとどういうことになりましょうか。と申しますのは、飛行場の滑走路の延長というものが直ちにそこでの具体的な航空機の離発着にどれだけの大きなウエートを増すかといったようなことについて必ずしも予測しがたい場合は、どういう時点でそういう見直しをするのかというようなことについて。
  206. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 滑走路の延長を計画いたします段階で、現在は例えばYSで一日何便飛んでいる、それがジェット化をすることによりましてどういう機種のジェット機が、まあ需要等に応じましてその機種も違ってくると思いますが、そういうジェット機がどの程度の便数就航するかということを具体的に予測いたします。その予測に基づいて空港整備も行うわけでございますが、同時に同じ予測に基づいて騒音区域というものを指定いたしましてそして所要の対策を講ずるということでございます。
  207. 関山信之

    関山分科員 なお念を押しておきますが、具体的に新潟の場合は二千メートルが二千五百メートルになる、そのことを前提にしながら一定の航空機の発着状態について予測しながらそこで対応する、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  208. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 空港整備の、延長なら延長の具体的な計画をきちっと実施計画的に固めていく段階におきまして、その状況のもとでどういう機種がどの程度就航していくかということは確定してくるわけでございますので、その段階になりませんと、それより前の段階ではやはりなかなか対応は難しいというふうに思うわけでございます。
  209. 関山信之

    関山分科員 それから、今民防工事をやりますと空調機の設置が制度的に認められているわけでございますけれども、これは実は私、六十年に航空機騒音防止法の改正が行われました際に運輸委員会で質問をさせていただいておるわけでございますが、長年たちますと空調機が損耗をいたします。特に海岸端の飛行場などでは周辺が塩害などの関係もあって損耗が激しいというようなことを申し上げて、これに対する手だてをお願いを申し上げておいたわけなんですが、六十一年、六十二年度にかけてこの実態把握の調査が全国的に進められておるようでございますけれども、この調査の現在の段階でおわかりの状況がございましたらお聞かせをいただきたいのと、これを踏まえてどういう将来の対応の方向で対処をされていくのか。ぜひ前向きな形でこの問題が処理がされることが私どもにとりましては大変ありがたい話ですけれども、お聞かせいただきたいわけです。
  210. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいまの御質問の民防家屋の空調機器の問題でございますけれども、これにつきましては六十一年度におきまして大阪、福岡、新潟それから那覇、この四空港を対象にいたしまして、約一千三百台の空調機器についてその老朽化の実態を調査いたしました。さらに六十二年度におきましては、現在まだ六十二年度でございますが、さらにこれら調査結果の分析をしながら、老朽化した機器の機能回復を適切に行うための技術的な検討といったような補足的な調査を現在実施をいたしております。これらの技術的な検討とあわせまして、仮に更新するとした場合に、制度化するために必要となる更新の方法でありますとか時期あるいは費用負担といった諸問題につきまして、これからの問題として十分整理、検討を進めていくというふうにいたしたいと考えております。  この民防家屋の空調機の老朽化による更新問題についての考え方でございますけれども、この民防工事事業を四十九年度に開始をいたしまして以来最も古い空調機器で、先ほど先生御指摘ございましたように十年余りを経過しておりまして、老朽化に伴う更新の要望が出されておるということは十分認識いたしております。これにつきましては、今後の発生源対策がどう進捗するか、あるいは空調機器の一般的な普及率というものが一体どういう状況になってくるか、そういう問題を見きわめながら、老朽化の実態あるいは費用負担あるいは財源といったような問題を多角的、総合的に検討することが必要でございまして、引き続き現在調査を行っておるわけでございますが、これからはその調査の結果を踏まえまして総合的な見地から検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  211. 関山信之

    関山分科員 もう一つの問題として、これもかねてからの懸案なんですけれども、この空調機の維持管理費に対する要望も強いわけですね。この手の後ろ向きの要求というと地元の人たちにはしかられるのですが、しかし冒頭申し上げましたように地方自治体、大阪とか福岡とか成田とか東京とか周辺整備機構あたりでやっていらっしゃるところはいいんですけれども、地方へ行きますと町村や県が現実の窓口になるわけで、まさに板挟みで苦しむという意味では、この辺の維持管理費の問題も、それは玄関払いというわけにはいかない問題として従来も扱われてきたと思いますし、運輸省もそれなりに御努力をいただいている経過はわかるわけなんですけれども、きょうは大蔵省を呼ばなかったのですが、これは現在ではどんな状況なんでしょうか。
  212. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 民防家屋の空調機の維持管理費の問題でございますけれども、これにつきまして、私どもとしては限定した対象につきまして何らかの措置が講ぜられないかということでいろいろな努力はいたしておるわけでございますが、現段階におきまして、航空機騒音防止法によりまして維持管理費は負担しないという法体系になっているわけでございます。これは航空機騒音防止法というものが、施策の緊要度とか他の助成との均衡とか財政状況といったようなものを考慮してこういう体系になったものだというふうに考えておるわけでございますが、そういうことで一つは御理解いただきたいことと、私どもとしても限定されたものについて何かできないかという努力は引き続き行っていきたいというふうに考えております。
  213. 関山信之

    関山分科員 それで、現実には、地方によっては生活保護世帯に対して維持管理費を各自治体の財政で賄っているというケースもあるやに聞いておりますし、私どもの地元でもそういう実態があるわけですけれども、ここのところはどうなんでしょうか。  航空機燃料譲与税というものもあるわけですし、そこだけをとはいかないのでしょうけれども、ある程度特定をして、今も御指導はいただいているのかもしれませんが、もう少しきちっとした枠組みの中でこの問題の解決を図るというような、私はこの維持管理費についての全体的な予算要求の規模も存じ上げていないわけですけれども、今の航空機燃料譲与税の全体の枠組みの地方配分の枠組みを変えるとか、何らかの方法でこういう問題への対処ができないものだろうかというふうに考えるわけです。  局長御案内のとおり、空港特会において従来も民防工事のウエートというのは非常に大きかった。しかし、もうほとんど九〇%から一〇〇%、ほぼ終わったという現段階に立ち至りておるわけでございますから、したがいまして、財源的にもそういうものを新しい民防、民防といいましょうか周辺の騒音対策の事業に振り向けていってもこれは悪くないのじゃないかというふうにも考えまして、今、航空機燃料税は十三分の十一が一般会計から空港特会に入るという仕掛けになっておるわけでございます。十三分の二が地方へ、県、市へ、こういうことなんですけれども、そこら辺の枠組みを少し変えることによって、この問題についてそれぞれの関係する地方自治体が、それこそ自治体の責任できちっと対処できるような方法は講じられないものでしょうか。
  214. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の騒音防止法におきましては維持管理費は負担しないという法体系になっておるわけでございます。それに対して先生からいろいろ御指摘ございまして、例えば燃料譲与税で地方では公共施設等についていろいろな対策を講じておるというふうなことはあるわけでございますけれども、民家の防音工事の維持管理ということについてそういうものを使うのが果たして妥当であるかどうかということについて、いろいろまた議論もあろうかと思いますので、その辺はこれから自治体あるいは私どもも含めていろいろ研究をしていく課題ではなかろうかというふうに考えております。
  215. 関山信之

    関山分科員 法律の枠組みがそうであることは私もわかりますので、そうであるとすれば、今の法体系のもとでいけば、大蔵省に、生活保護世帯についてという今の要求のパターンでいくか、当面譲与税の扱いでいくかしかないだろうと思います。考え方としては、地方自治体も、一種の特定財源としておりていくわけですけれども、かなり一般財源的に使われている部分もあるやに聞く部分もあるものですから、その辺はぜひひとつ御研究の上問題を詰めていただけたらなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから三番目なんですけれども、これも非常に難しい問題だと思いますので、これはむしろ局長、できれば大臣にも考え方みたいなものについてお聞かせをいただければありがたいなと思っているのですが、要するに、今の航空機騒音防止法上からいけば、空港の供用開始の告示のときに現実にうちが建っていなければこの法律の適用は受けられない、これは当然の話だと思うのですね。後から、飛行場がありてうるさいのを承知で来ている人たちのことまで面倒見切れぬよというのはわかるのです。  ただ、この法律上のどういうことでこうなったのか、私もいささかわからぬ部分もあるものですからしつこくこの前のときも伺ったのですけれども、その土地を告示前に所有していた人が、供用開始前にその土地を所有していた人が、その当時はいろいろな事情でうちを建てられなかった、しかし告示後にうちを建てたというケースについては何らかの救済措置があっていいんじゃないだろうか。法律の建前からいきますと、現に存在している住居、こうなっていますから、ここはなかなか穴が抜けないのですけれども法律をいじくるかどうかのことも含めて、ここは我々が下で話をしておりますときにその理屈を言われますとなかなか説明ができないのですね。だものですから、ぜひひとつこの問題については関係者に答弁のできるような方針、お考えをお示しいただきたいものだ、こう思うわけです。
  216. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 大変難しい問題を御指摘いただいたわけでございますが、先生御承知のとおり、現在の航空機騒音防止法では「指定の際現に所在する住宅」というものについて対象にするということでございまして、土地を持っておって後で住宅を建てた場合はだめなのかということについて、今の法体系ではこれは難しい。さらに、この問題については騒音訴訟という形で裁判所の判断もございますが、危険への接近理論というようなことで、この点は騒音防止法の現在の考え方が容認されているという事実もあるわけでございます。  この辺のところについては法律論というかむしろ実態論だろうと思うのですけれども、この対策の限界をどこに求めるかということの考え方の問題に結局はなるのじゃないかと思うのです。現在の騒音防止法の立法の際にその辺の議論は十分あったと思うのですけれども、現段階ではこういう形で整備が行われておるということでございまして、法律論というかむしろ実態論を踏まえて、立法論としての検討の余地はもちろんあろうかと思いますけれども、私ども現在行政を預かっておる段階といたしまして、やはりこの施策の限界、その予算の効率的執行という問題もございますし、いろいろな面から見て現在のこの法体系というもので実施をしていくのが妥当ではないかな、こういう感じを私どもとしては持っておる次第でございます。
  217. 関山信之

    関山分科員 やはり法律の制約があるものですからどうしてもそういうお答えになってしまうのだろうと思うのです。これは、一遍でき上がった空港が供用を開始して特別な動きがなければいいのですけれども、例えば拡張問題だとか、その周辺の整備のために飛行場の用地を拡張するとかという問題が出てきたときに出てくることなんですね。  今お話しをいただいても具体的にどれだけのケースが全国的にあるのかわかりません。これが二種地域でありますと皆さん方の方で買収をするという手だてが残るのですけれども、一種の場合はそれがきかないものですから何とも我々も説明がつかないという状況にございます。先ほど申し上げましたように民防対策が一つの区切りに来ているわけでございますので、残された問題の整理といったような立場から、この問題についてもぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  218. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 これは一般論として申し上げるわけでございますが、いろんな制度につきまして、そのときそのときの実態というもの、あるいはいろんな施策というものの完成度合い、その重点の置き方というものは、その都度変わってくるわけでございますから、そういう意味で全般的に騒音対策についても、これはプラスの面、マイナスの面、両方あろうと思いますけれども、いろんな観点からの検討は私どもとしても真剣にやっていかなければいかぬ、これはあくまで一般論で恐縮でございますが、そういう感じを私どもとしては持っておる次第でございます。
  219. 関山信之

    関山分科員 それでは次の問題に移らしていただきますが、地方空港の国際化による地方の活性化、いわば今申し上げた民防工事の裏側にあります、むしろ積極的な側面としての地方空港の位置づけの問題なんです。  ところで、成田ですが、二期工事、いろいろと障害があって思うように展開をしていないという話も聞きますし、ときどき新聞には「成田空港、パンク寸前」とか、あるいは「離陸「早い者勝ちだ!」」と、それこそ成田空港ラッシュの状況が、時折思い出したように新聞で報道されるような状況が依然として続いておるわけでございます。昨年あたりの報道でも、ラッシュ時には二分半に一回の離発着、あるいは搭乗手続が、これ以上ふえると三十分が一時間を超えるというようなことになるとか、あるいは新たに三十九カ国が国際線の乗り入れを要求してきているとか、いろんな話もあるわけですけれども、六十五年概成というのは、端的に言って可能なんですか、不可能なんですか。
  220. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 私どもとしては、成田がただいま先生御指摘のように非常に過密な状態にあるということで、やはりこれは何とか打開をしなければいけない、こういう考え方を基本に持っておりまして、そういうことから、一昨年の十一月からいわゆる第二期工事の実施に入ったわけでございます。これについては六十五年度概成ということを目標にいたしておりまして、私どもとしてはぜひともその目標に向けて最大限の努力を傾注していく、こういうことで臨みたいというふうに考えておるわけでございます。
  221. 関山信之

    関山分科員 そこは議論してもしようがないところですから……。  そこで、実は国土庁からおいでをいただいておりますが、四全総絡みだと思うのですけれども、この正月に国土庁に地方空港の国際化による活性化方策調査委員会というのが発足をして、成田、大阪両空港に集中する傾向が強まっている国際路線について、私は今成田がパンク寸前という、そういう状況を踏まえて申し上げておるわけですが、むしろ逆に、地方の活性化のために、むしろ積極的に地方空港の位置づけをすべきだというような考え方で委員会を発足をさせたというふうに承っております。これは、三月に提言というのでほぼ中身の議論も詰まってきているんじゃないかと思いますが、これについてお聞かせをいただける部分があればお願いしたい。
  222. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 四全総にも示されておりますとおり、地方空港国際化というものがその地域を国際交流拠点として育成していく上で大きな役割を有しているということで、全国で将来的に十五カ所程度そういう形にしたいというようなことが四全総でもうたわれております。  現在国際線が入っております空港は十一カ所でございますが、現実を見てみますと、その利用につきましては必ずしも芳しい状態になっておりません。それは、地方空港を取り巻きます利用可能圏といいますか、そこで発生いたします需要自体が、国際線が運行する、採算をとって運行するという点で十分でないということが大きな原因であろうかと思います。あるいは現実の話として成田あるいは大阪に流れているというようなことで、いずれも大変不振をかこっておりますので、四全総が描いておりますようなところの地域の国際交流拠点としての機能発揮に十分貢献していたいというふうに実は認識しておるところでございます。  それで、私どもの方で調査委員会を昨年発足させまして、これから地域の国際化を充実いたしますし、それから四全総の目指す拠点を育成していくということからいろいろな検討をしたいというふうに考えておりまして、日本航空協会にお願いいたしましてそこに調査委員会を設置した次第でございます。委員会には、運輸省関係の方々あるいは地方公共団体の関係の方々あるいは学識経験者の方々に大勢入っていただいておりますので、議論は進んでおりますが、まだ今のところ十分な成果を得るまでには至っておりません、というごとでございます。
  223. 関山信之

    関山分科員 三月中に提言はまとまるのですか、まとまらないのですか。
  224. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 ちょっと今のところまだ予定が立っておりません。
  225. 関山信之

    関山分科員 いつごろになる予定ですか。
  226. 神谷拓雄

    ○神谷説明員 三月にもう一度委員会を行います。そこでいろいろな点を委員会の方々に御議論していただくつもりでございますけれども、その時点でこれが結論であるというような格好のものにはまだちょっと至らないというようなことでございます。その委員会の御議論を踏まえたいと、いつということはちょっと申し上げにくいのですけれども、できるだけ早目にまとめたいというふうに思っております。
  227. 関山信之

    関山分科員 今お聞き及びのような作業が進んでおるわけでございますけれども、当然運輸省の方としてもこれをどう受けとめるかということはこれからの作業になるのかもしれませんが、ぜひその辺は、私、ここは我田引水、手前みその話になっていくのですけれども、新潟などはぜひ脚注目をいただきたいと思うのです。  と申しますのは、たまたま足元だからというわけではないのですけれども、新幹線ができまして、あそこはもう二時間を切ろうとしておるわけですね。東京に入ってくるわけでしょう。新潟駅から空港までは今でも車で二十分ぐらいということになりますと、まごまごしておりますと成田へ行くよりは間違いなく空港へ届く、そういう位置にあるのですね。新幹線にしたって、田中元総理絡みでいろいろと取りざたされたこともあるのですが、いずれにしても、ああいう立派なものをつくってもらって、それがもう少し効果的に、有効に、国内総合交通体系の一環に組み入れられるということがありませんと、僕らも、ただ何となく、地方空港を拡充せいの、滑走路を延ばせのと言ったって、それだけ言えば意味のない話になる。  どういう空港として地方空港の整備をしていくのか。これは私どもも一般的にただ整備せい整備せいと言ったってしようがないのですから、その地域の拠点になる、そういう空港なら空港、さまざまなインフラはそれぞれ皆そういうことが問われるのでしょうが、それなりの目的、それなりの位置づけ、それなりの将来に向けての役割をきちっとさせてこの種の投資をやっていくということが求められているのではないか、こんなふうにも思いまして、ぜひひとつこの地方空港の国際化について、この際大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  228. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 結論から申しますと、それは地方の空港が国際化されることは利用者の便利、地域の振興、文化文明の交流あるいは臨空産業の展開等で望ましいことでございますけれども、本来、国際路線の開設は、まずそれを担当する航空会社の企業の採算をベースにして行わなければならないと思いますし、それから、それゆえに地方の空港にかなりの規模の国際線への需要がなければ定期便ということにはならないと思います。ただ、過渡的な問題としてチャーター便などを活用することで地方を固めていくということは十分考えられ得ると思います。
  229. 関山信之

    関山分科員 最後に一つ。おっしゃるとおりなんで、ですから、逆に運輸省としてそういう各企業の、まあ採算ベースに乗るか乗らないかというのは、成田から飛ばすか、新潟から飛ばすか、あるいは仙台から飛ばすか、もちろん飛行場の受け入れの容量もありますから、何でも飛ばせと言ったって飛ばせるものでもないのですが、その辺は少なくとも成田なり――羽田はちょっと違うでしょうけれども、成田の状況などを見ながら、地方へ分けられるものは分ける、そういう作業ぐらいは、せっかく国土庁もそういう委員会をつくってやっていらっしゃるわけですから、ぜひお考えをいただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
  230. 中村徹

    ○中村(徹)政府委員 私どもといたしましても地方空港の国際化は進めてまいりたいと思っておりまして、私どもの局内でも地方空港のアドバイザリーチームというようなものを二月には発足させまして、関係の地方公共団体とか旅行関係業界、あわせていろいろ研究はいたしておりまして、需要の開発に向かっていろいろ努力は進めております。しかし、大臣も申し上げましたように、基本的には企業採算の問題が基本になりますので、そのあたりなかなか難しい問題点が存在すると思います。やはりスタートはチャーター便の活用ではないか、かように考えておりますが、需要開発に向かって私どももいろいろ研究、努力をしているところでございます。
  231. 関山信之

    関山分科員 ありがとうございました。
  232. 平林鴻三

    平林主査代理 これにて関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、藤原ひろ子君。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 全国七万数千軒に上る認証自動車整備業者、この方たちは今大資本のメーカーやディーラーの横暴な企業活動によりまして不況のどん底にあえいでおります。私の地元では、零細な整備業者が京都自動車整備業界を良くする会というのをつくりまして、経営と暮らしを守るために必死の取り組みをしております。     〔平林主査代理退席、主査着席〕  そこで、零細な整備業者の切実な要求、この声をもとにしてお尋ねをしていきたいと思いますが、第一は、欠陥車のリコール対策をめぐる問題でございます。  その一つは、メーカー、ディーラーによります自動車登録データの悪用問題でございます。一昨年、ユーザーの氏名、住所、自動車の登録番号、型式等が記録をされました軽自動車データが漏れるという事件が発覚をいたしまして大変大きな社会問題となり、政治問題にまでなったということは記憶に新しいところでございます。しかし、これは氷山の一角でありまして、実際にはメーカーとディーラーによります自動車登録データの悪用が今日も横行しているわけです。メーカーは、欠陥車をリコールした際に、運輸省であるとか全国軽自動車協会連合会が管理をいたします自動車登録ファイル、これから関係データの提供を受けることができることになっているわけです。メーカーに直結いたしますディーラーは、メーカーからこのデータの提供が受けられるわけですね。メーカーに直結するディーラーは、メーカーからこのデータの提供を受けて、顧客リストとしてそれを悪用して、零細な認証整備業者の顧客を不当に奪って、整備までそこのディーラーがやって、その経営を大変圧迫しているというような状態が起こっているわけです。  これは、直接その方々から話を聞きながら、私はゆゆしい事態が野放しされているのだなということを感じたわけです。運輸省として徹底した御指導をぜひともお願いをしたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
  234. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、自動車の登録情報及び軽自動車の検査情報のいわゆるユーザーリストにつきましては、リコール車の回収あるいは定期点検整備の励行を図るために、各メーカーに対しましてみずからが製作した車に限って提供しているものでございます。  それから、このデータにつきましては、日常ユーザーに接しておるその系列のディーラーにおいて管理させることとした方が迅速なリコール車の回収が可能となるということから、メーカーからディーラーに渡すことは認めているわけですけれども、これは自動車の安全を確保するためのものでございまして、ディーラーがメーカーから得た提供情報をもとに営業活動を行う、それを営業活動のために使うということは禁止しているところでございます。万一そういう事例があるといたしますれば、我々としては、今申し上げたような目的で我々が持っておりますデータを提供するということですので、その点につきましては十分厳重に指導してまいりたいというふうに思っております。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 ぜひ指導をしていただきたいと思うのですが、こうした事態が横行しているという事実を突きとめたわけたのですね。  そこで、私思いますのは、やはりデータの管理、これが不十分な点があるのじゃないか。善意を持ってそのようにディーラーに管理をさせた方がよいという思いが悪用されてきているというふうな状況にある。欧米諸国のようにプライバシー保護法やデータ保護法が制定されていないという状況であっても、個人の情報が安易に入手できるというようでは余りにも管理がずさんじゃないかなというふうに思うのですね。  政府は、一九八六年一月二十九日の事務次官会議で「磁気テープ等によりデータを外部に提供する場合には、原則として、提供するデータの内容・使用目的・提供方法・管理等について覚書を取り交わす」、こういうことを内容といたしました電子計算機処理データ保護管理準則、これを定めているはずですね。  運輸省は、自動車登録データを提供するに当たって一体どのような覚書を取り交わしていらっしゃるのだろうか。まさか運輸省は、ディーラーが顧客リストとして悪用するようなことを見て見ぬふりといいますか、黙認をしていらっしゃるようなことはないだろうと思いますが、また本当にそういう事態を御存じないのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  236. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、昭和五十一年の事務次官等会議の申し合わせに従いまして、我我自身、登録管理室ということで自動車登録ファイルを持っているわけですが、個々につきましての管理の厳正化を図りますと同時に自動車登録情報の提供は、現在自動車検査登録協力会というところを通じてメーカーに流しているわけですが、そういうものを流します場合に自動車工業会と検査登録協力会との間で覚書を結ばせまして、提供データを目的外に使用したり、あらかじめ承認した者以外の者に漏らしたりすることのないよう管理するということを条件にしておりますし、また、データの管理状況については検査登録協力会の方が必要に応じて調査できるというような内密の覚書を交わさせているところでございます。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 ぜひそれが生きた覚書ということになるように。自動車登録ファイルデータのずさんな管理とメーカーなどによる悪用は、ユーザーのプライバシーにもかかわる重大な問題だというふうに思うのと同時に、これが先ほどから申しておりますように零細な認証整備業者の経営にかかわる大問題ということになってきているわけです。そういう点から、ユーザーのプライバシーを守り一認証整備業者の経営を守るために、自動車登録ファイルデータの管理体制を抜本的に強化していただきたいということと、あわせてデータの悪用や乱用を根絶するためにメーカー、ディーラーを厳しく指導していただきたい。今もやっているという御返事でございますけれども、こういう事態が事実起こっているという中でぜひ指導を強化していただきたい。抜本的にも御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  238. 熊代健

    熊代政府委員 今申し上げましたように、こういう自動車あるいは軽自動車の登録検査のデータにつきましては、安全を確保するために、特にリコール車の回収あるいは定期点検整備の拡充を図りたいという目的で提供しておるわけでございまして、目的外に使用することにつきましてはこれを厳しく禁止する、データの管理状況についても必要に応じて調査するという体制をとっておるわけでございまして、今後とも、この提供データについての目的外使用といった問題については、関係メーカーあるいはディーラー等についての指導を強化してまいりたいと思います。  なお、そういう事例がございましたら我々としても調査をすることも辞せず、そういう禁止された目的に使われることのないように厳格に対応してまいりたいと思います。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。  リコール対策をめぐるもう一つの問題をお尋ねしたいと思うのですが、それは、ディーラーによるリコール車の排他的整備という問題であります。  メーカーが欠陥車をリコールしましたときにディーラーはメーカーの指示によりリコール車を無料で修理するわけですが、町の零細な認証整備業者が修理した場合は有料になっているわけです。それは、ディーラーに整備業者が整備代を請求しても、メーカー、ディーラーが支払わないという事態が起こっているわけです。その結果、認証整備業者はリコール車の修理ができないようになりまして、結局顧客をディーラーに奪われてしまう、経営がますます圧迫される、こういう悪循環にも追い込まれているということがあるのです。整備業者の多くが、資本に物を言わせて、サービスの美名のもとに顧客を収奪していくディーラーのやり方はもう我慢ができないという悲痛なしかも心からの怒りの声を上げていらっしゃるわけですが、なぜこうしたリコール車の修理のやり方を黙認していらっしゃるのだろうか。黙認というのか、それとも全然御存じなかったということなのかなと思うのですが、認証整備業者のこういう悲痛な怒りの声、こういう問題をどのように受け止められていらっしゃるのでしょうか。
  240. 熊代健

    熊代政府委員 これはリコールという問題について先生と我々の認識の相違があるのかと思うのですが、一般にリコールを行うという場合は、一当該車両を使用しているユーザーに対してその欠陥部品を基本的に無料で交換するということにいたさないと、他の部品で交換したりしますとかえって不完全なものになってしまうということがございまして、そういうことでダイレクトメールでも、最寄りのディーラー工場へ車を持ってきて、部品交換が中心になるわけですけれども、無償で交換してくださいという連絡をしているところでございます。  したがいまして、ディーラー以外の整備工場でリコール対策部品を整えるということは基本的に非常に難しい話でございまして、そういうところへ来た場合でも、それはディーラー工場へ行っていただかないと困る、それから、部品交換といいましてもなかなか高度の技術を要するといったような面もございますし、工具等についてもそういう特殊な高度のものも要るということですので、リコール対象車両は本来工場に行けばいいわけですけれども、そのかわりとしてディーラー工場というものになっておるわけでございまして、むしろ有料で一般の整備工場でそういうリコール対策が実施されることはない、リコールとして公表し回収を始めた後の段階ではそういうことは基本的に起こり得ないと我々は思っているわけでございます。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 それではこういう場合はどうしたらいいのでしょうか、教えていただきたいのです。  京都のある認証整備業者が昨年の十二月にエンジンオイル漏れの修理をして、これはリコール車だというような認識が全然なしにお客さんが持ってこられたから修理をして、いろいろ工賃、部品料も含めて修理代を五万六千円もらわれた。そうしたら、別のお客さんがまた同じ車で同じところを修理しなければならない、エンジンオイル漏れで持ってこられたので、これはおかしいな、リコール車じゃないかなということで問い合わせをしたのですね。それじゃ、そうですからうちへ持ってきなさいということで持っていったら、メーカー、ディーラーの方は、ここの納品書が出ていますが、その分はクレームと書いて、ゼロですからお金は要らない、ただでというかそういうもので取りかえをしてもらったわけです。この整備業者の方は、それじゃこれは前の段階でお客さんに対して申しわけないことをした、五万六千円お返ししなければいかぬ、こう思いまして、その分を自分のところは受け取ったけれどもそれをお返ししなければならぬから返してくれ、こういうふうに言うたら、それはだめだということで、それをリコール車なんですよとお客さんに言えば自腹を切って返さなければいかぬ、上の方は返してくれない、こういう板挟みになっておられる。これは名前を出すといけませんから出しませんけれども、納品書を見せてこう言われた。そういう例が一つや二つじゃないのですよという話を聞いて、これは大変だなと思ったのですが、それじゃこういう場合はどうしたらいいのでしょうか。
  242. 熊代健

    熊代政府委員 我々としては、リコールをいたします場合には整備事業者の団体である日整連といったようなところも通じまして、こういうことについて、この会社のこういう車種についてリコールが行われるということは周知させることにしておるわけです。したがいまして、そのリコールが行われた後にはそういうケースはなかなか起きないと思うのですけれども、起こらないようにPRはできるだけきちっとさらにやらせたいと思いますが、今おっしゃったように、その以前にたまたま修理したものでリコールの対象部品があったという場合には、基本的には個別、と申しますのは、その部品だけの交換ということじゃなくて整備を行う場合には通常他の部分も行われるというケースが多いものですから、ケース・バイ・ケースということでお答えせざるを得ないのですけれども、御指摘のようなリコールが行われている部品について一般の整備工場で行われたということについて、ユーザーあるいはこの場合は整備工場から申し入れがあった場合に、修理伝票等でそれが明らかな場合には当該修理代金、その部分についての修理代金はお支払いするという原則に立ってやっていると承知しておりますし、我々はそうすべきだと思っておるところでございます。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 この納品書、おっしゃるようにエンジンオイル漏れだけじゃなくてほかもやっています。ほかもやり、これがあったということです。しかし、エンジンオイル漏れ、ここにリコール車として欠陥があるのならばちゃんとこの分は返してもらう、それで顧客に、ユーザーに返すということをきちんとしなければいけないですね。もししない場合はまた御指導いただきたいということで、そういうふうにおっしゃれば多分やられるだろうと信じているわけです。それで、そういう中でなぜこういうことが起こるのか、やはりリコール車だということをなかなか整備業界の方なんかには知らせてもらえないというふうな状態竜あるのじゃないかな。  我が党は、ここ十数年来メーカーの欠陥車隠しと、運輸省の欠陥車野放し行政ということだということで追及をしてきたわけですけれども運輸省が株式会社ヤナセに対してフォルクスワーゲンの欠陥車隠しで二度にわたって警告書を出されているわけですね。これが示していますように、メーカーの欠陥車隠しの体質というのは今なお改まっていない。運輸大臣御自身も、先日の予算委員会でAT車の暴走事故、故障に関連して、欠陥車隠しをする傾向がないでもないというふうに御答弁をされたところですね。メーカー、ディーラーによるこういう排他的なリコール車修理のやり方をそのまま黙認していくというふうなことであれば、これが欠陥車隠しの温床になるということにもつながるわけですね。同時に、先ほど来申しております零細な認証整備業者の経営と暮らしを守るためにもこういう欠陥車隠しの体質を正す、排他的なリコール車修理のやり方、こういうことがあればきちんと徹底して指導していただく、こことここだ、こう言えば、ちゃんとやはり指導していただけるという状態をぜひつくっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  244. 熊代健

    熊代政府委員 先ほども申し上げましたように、リコールの届け出を我々受けますと、これにつきまして整備事業者の団体でございます整備振興会を通じまして、各都道府県あるいはそういうところに支部がございますが、そこを通じて流す、同時に役所サイドでも運輸局あるいは支局等を通じて周知徹底を図る。それから欠陥車につきましては先ほど申し上げたように、ディーラーで対策を終えますと何号というリコール対策を講じたという表示をステッカー的なものを張らせることにしております。  先生おっしゃるような、リコール車について対策をディーラー工場でしかやれないということと、一般の整備工場をそれによって圧迫するということとは直接関係がないことであって、むしろ先ほどおっしゃったようなリコール前にそういう手当てがなされた、これも基本的にはそれがきちっとした部品の、新たた部品じゃなくて従前ある部品で交換するというケースもありますけれども、そういうことである場合を除きましては、さらにもう一遍ディーラー工場できちっと対策車だという格好で担保するということをやらせているわけでございまして、我々としては、あくまで欠陥が発見され、それについて安全上の対策を講じる、これをもう一〇〇%講じさせるということがまず第一番に必要なことだというふうに思っておりますし、整備事業者等への周知の不足な点がありますれば、我々としては整備業界へそういう観点からの指導をさらに強化してまいりたいというふうに思います。     〔主査退席、平林主査代理着席〕
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 リコール車だ、欠陥車だということを整備業者にも同じようにわかるように徹底していただくということが一つ非常に大事なことですね。それがずれているらしいのです、現場では。そこらをぜひお願いをしたいということです。  それから、公正取引委員会がせっかく来ていらっしゃいますのでお願いしたいと思うのですが、表示の問題ですね。こういう点で、ディーラーが表示した価格以下で安売りを組織的に系統的にやっているというふうな事態も起こっていると思うのですけれども、こういう不当な顧客の誘引を防止して、公正な競争を確保するために新車の価格表示のあり方についてどのように指導されてきたか。また、新車販売におけるディーラーの零細業者いじめのやり方というふうな点について正していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  246. 鈴木満

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  自動車業界におきましては、昭和四十六年に景品表示法に基づきまして公正競争規約というのが設定されておりまして、この規約に基づきましてディーラー等が販売する新車には必ず販売価格を表示することになっているわけでございます。公正取引委員会といたしましては、これまでもこの規約遵守についてディーラー等を指導をしてきたところでございますが、今後とも事業者間の公正な競争を促進するとともに、消費者の適正な商品選択を確保するために自動車のディーラーに対して適切な価格表示を行うよう指導してまいりたいと考えております。  また、サブディーラーとディーラーとの価格の問題でございますが、まずサブディーラーというのは、ディーラーから卸売を受けてそれで消費者に販売している者でございまして、ある程度ディーラーよりも仕入れ価格は高くなっているという事実はありましょうけれども、それ自体ではディーラーとサブディーラー間の公正な競争が阻害されているとは言えないと思われます。また、ディーラーが仮にサブディーラーよりも安く実際に車を販売していることがございましても、その価格が仕入れ原価を下回って継続して販売されている、こういう場合には不当廉売に当たるわけですが、それ以外は、そうでなければ通常は独禁法上は問題とならないと考えられます。     〔平林主査代理退席、主査着席〕
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 最後にもう一つお尋ねしたいのですが、自動車登録の手数料の徴収をめぐる問題なんです。自動車の登録が登録権利者、つまりユーザーの義務であり、しかも権利であるというふうに思うのですが、自動車登録令第十条によってこれは明白だと思います。ところが、ディーラーがユーザーに対して登録をしてあげますということで大変高く取っているんです。登録に要する公定費用は、車庫証明も含めて全体で数千円で足りるというふうなところです。  京都のあるディーラーの諸費用の中に書かれているわけですけれども、検査登録費用で一万九千円、納車費用として一万九千円、車庫証明の費用として七千円、その他諸費用を含めて五万二千円も取られているのですね。これはちょっとおかしいじゃないかと思うのですが、ユーザーがもうそれは要らぬさかい自分で行く、そういうふうに言いますと、そんなこと言うならよそで買ってください、こういうことまで言うという事態があるわけですね。自動車の登録の際にユーザーの権利を損なう、もちろんお願いしますと言われる方もあるでしょうけれども、そういういろいろ言うて五、六万も取っているというふうな事態、登録手数料でももうけるというふうな大変悪質な状態にあるというふうに思うのですが、こういう手数料の徴収とか顧客データの悪用などという先ほど申したようなゆゆしい事態を正す上で、陸運事務所の窓口に、ユーザー車検の窓口を設けたと同じようにユーザー登録の窓口を設けるとか、あるいは自動車販売業者にユーザー登録制度の説明を義務づけるというふうな措置をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  248. 熊代健

    熊代政府委員 ディーラーの登録手数料につきましては、たしか六十年に質問主意書をいただいたこともございまして、これにつきましては、ディーラー関係団体に対しまして通産省と運輸省との連名で、登録、納車等自動車販売業者が行う業務については、顧客にその内容説明を事前に行う、また、これらの業務に伴う費用のうち販売価格ではカバーされないものの徴収については、法定費用及び人件費、交通費等で当該業務の実施のために必要な直接経費、この中には検査登録申請書類とか車庫証明申請書類の作成費用は除くということにして、それに限ることとし、その額は合理的に算定されたものとするということで指導を行っているところでございます。  先ほど先生がおっしゃったように、今印鑑証明でありますとか車庫証明でありますとか、そういうことをみずからおやりになるよりもディーラーに任せるというケースが非常に多いわけですが、我々としては、それを否定するということは、今の競争の状況の中でよそへ行ってくれといったようなことはあり得ないと思っておりますし、それから、自販連を通じまして、登録につきましてユーザーのみずからの登録ということを要請される場合にはそれに適切にこたえるように指導しております。それからまた、我々自身としましても、ユーザーがみずから簡単に登録申請等ができるようにということで、この一月からOCR方式といったようなものも採用してきておるところでございますし、窓口につきましても、現在主要な支局につきましては専門官を配置しております。年々ふやすことにしておりまして、六十三年度予算では、先生の地元になります京都の支局にも置かしていただくということにしておりますし、一般の支局あるいは登録事務所等におきましても、適切に問い合わせ等には対応して、ユーザーのみずからの申請に応じるようにということをやっております。  ただ、ディーラーにこの説明を法的に義務づけるということにつきましては、我々としては、そういうことについて行政指導を今までやっているところでございますけれども、法的に義務づけるのはいかがかなというふうに思っておるところでございます。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)分科員 運輸行政を末端で支えてまいりました一つのものとして、やはり認証整備業者があるわけですね。ですから、今大変窮状に立っておりますので、ぜひこれを打開して、その経営と暮らしを守るために今こそ温かい行政の手を差し伸べていただきたいということを心からお願いをして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  250. 左藤恵

    左藤主査 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤節君。
  251. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 私は、公明党・国民会議の斉藤節でございます。まず最初に、リニアモーターカーについて御質問申し上げたいと思います。  リニアモーターカーは、申すまでもなく、二十一世紀における国内の主要都市を結ぶ高速交通機関として最も重要な交通機関になるだろう、こんなふうに思うわけでありますけれども、恐らくこれは明らかなことだと私は思うわけであります。なぜかと申しますと、航空機に匹敵するようなスピードを持っているということ、それから安全である、しかも一度に航空機よりも何倍もの乗客を輸送できる、そういう観点から、リニアモーターカーというのは、これにすぐるような交通機関はないのではないか、理想的じゃないか、こんなふうに思うわけであります。  そこで、石原運輸大臣は、歴代の運輸大臣の方方の中で最もこのリニアモーターカーに対して御理解があり、しかも最も御熱心にやっておられる大臣じゃないかな、私はそのように思っているわけでございます。と申しますのは、大臣御自身が宮崎のJRの実験場までわざわざ出向かれまして、そしてそこで視察され、また試乗までされているというようなこと、あるいは札幌に行かれまして、リニアモーターカーを千歳と札幌の間でやったらいいんじゃないかとか、いろいろの御発言などもあるわけでありまして、そういうようなことをいろいろお聞きしまして、私は大変心強く感じている者の一人でございます。  そこで、御所見を承りたいのでございますが、まず実用化はまだまだ先の話じゃないかなと思うわけでありますけれども大臣として、いつごろになるかという、そういうような見通しなどをお持ちでございましたら、ここでそれをお聞かせ願えればな、そんなふうに思うわけでありますけれども、いかがでございますか。
  252. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 足りないところは政府委員から答弁いたしますが、私が視察しましたり、またドイツの技術に比べまして認識しましたことは、立地の条件にもよりますけれども、ドイツも同じレベルまでやや来ておりますが、少なくとも平地で直線に近い、それも四、五十キロの距離ならば、来年宮崎の実験線でそう多くない残された実験を終えますと再来年からでも実用に供し得るということを、技術の開発当事者もこの間言っておりました。ラジオでもその発言を私は聞きましたが、私もそうだと思います。そのほか、これが距離が長くなりますと、変電所の問題とかすれ違いとか、特にトンネルは日本に欠かすことができませんので、この風圧実験をしなくてはなりませんけれども、それはさらに数年かかると思います。  いずれにしろ世界に冠たる国際的な商品価値を持つ日本の技術を世界に向かって喧伝するためにも、実験線はどこにするか、二億近い予算措置を講じてこれから二年間研究するわけでございますが、それとは別途に、私は、実用実験線と申しますか、実用しながらも改良すればよろしいので、そういう路線を短距離でたくさんの人の乗れるところに行うべきである。東京―成田が望ましいのですけれども、これはどうしても地下ということにならざるを得ないと思いますし、そのためのトンネルの実験も必要なので、さしずめ私の思いつくところでは、年間一千万人の乗客の乗りおりする千歳と札幌の間が非常にふさわしいのではないか、これをショールームにして、とにかく外国に日本の技術を喧伝したいということを申し上げました。
  253. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そこで、今大臣が言われたのですが、いろいろの地方自治体でリニアモーターカーの誘致運動が行われたり、あるいは候補地として名のり出たりしているようなことも聞かれるわけでございますけれども、まだ時期尚早という感は否めないわけであります。導入に当たりまして、今も大臣が言っておられましたように、いろいろ条件はあると思いますけれども、トンネルがあるとか平らでないとか、そういったことがあり得ると思います。地理的条件あるいは経済的条件など、そういった条件を加味して、今も千歳というふうに言われましたけれども、最もベターな条件をどのようにお考えになっておられるのか、もう一度。
  254. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 これは直線で平たんにこしたことはございませんけれども、多少のカーブがありましても多少の起伏がありましても、リニアは非常に推進力がございますし、そういう意味では、トンネルさえなければ、その条件がかなう限り再来年からでも、技術者が言っておりますので、実用に供し得るのじゃないかと私は思います。現にアメリカだと、二、三の引き合いもございますし、そこでぜひ日本の技術を輸出したい、実験実用線ということも私申した次第でございます。
  255. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 そこで、これは開発の問題と実用化の問題でございますけれども、現在実用化に向けて最も力を入れて取り組んでいるのはJR、そんなふうに思うのです。また日本航空なども研究中で、実験車もつくってやっている状況であるというふうに聞いているのでありますけれども、これに対して、先ほども申し上げましたように、二十一世紀には最も重要な交通機関になるだろうと予想されるそういうリニアモーターカーに対しまして国はそれほど力を入れてないんじゃないか。入れておれば結構なんですけれども、そんな素朴な疑問を抱いているわけであります。  ここで御提案申し上げたいのは、今JRが行っているリニアモーターカーの開発部門を独立させまして、切り離して別会社、公社でも公団でもいいと思うのですけれども、別な組織体にしまして、これに対して国が強力にバックアップしていくというようなことをやって実用化を少しでも早めていく、そういうようなことをしてはどうか、そんなふうに考えているわけでありますけれども、これに対する大臣の御所見を承れればと思うのです。
  256. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生御存じのとおり、今JR方式のリニアモーターカーの開発は、財団法人の鉄道総合技術研究所が行っているわけでございます。それは国鉄の民営化までの段階の業務を引き継いだわけでございますけれども、この研究所が優秀な技術者を集めて、これまでの研究成果の蓄積というのを引き継いでおりますので、リニアモーターカーの開発自体の話としましては、現在行っております研究所がやるのが一番妥当ではないかと思っております。  それで問題は、それができたときの現実の路線建設とかそういった整備の問題というのが次に起こるかと思いますけれども、その問題につきましては、別会社を使うとかそういうことまで含めまして、どんな主体がやるのが適当かというのは、その技術開発がもう少し進んだ段階で改めて検討すべき問題ではないかと考えております。
  257. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 リニアモーターカーについて大変よくわかりましたので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、題がかわりますけれども、中央線、それから五日市線、青梅線につきまして御質問申し上げたいと思うわけでございます。  御案内のことだと思いますけれども、中央線は、朝夕でありますが特にラッシュ時には大変な乗降客で混雑しているわけでございます。そういうことで、三鷹―立川間を複々線化した方がいいのじゃないかといったようなこともありますし、そういう対策だとか今までいろいろと議論されてきていたと思うのでありますけれども、私自身も毎日中央線を利用させていただいて通っている者といたしまして痛切に感じているわけでありますが、十三日から大々的にJRのダイヤ改正が行われるときでもあります。これにはもう間に合わないと思うのでありますが、中央線は三鷹―中野間をすべてノンストップにしてしまったらどうか。もちろん、夜遅くは通勤快速というのがありましてこれをやったり、あるいは日曜日などは普通の快速でも三鷹―中野間をノンストップで走っているということは実際にあるわけでありますけれども、ウイークデーでも朝夕のラッシュ時におきましてここをノンストップにしてはどうかな、そんなふうに考えるわけでございます。  なぜそんなことを言うかと申しますと、この中央線に並行しまして東西線と総武線が走っているわけですね。三鷹―中野間はどの線も停留所は同じであるといったこともございまして、中央線は特にこの間ストップする必要はないのじゃないかな、そんなふうに考えているわけでございます。そういう点どうかということでお伺いしたいのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  258. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 中央線の問題につきましては、確かに先生がおっしゃるように、最大混雑時のラッシュ一時間当たりの乗車効率というのが高い部分が一部ございます。  それで、今後のJR東日本のそれについての対策につきましては、基本的には新しいATSの技術みたいなものを導入いたしまして、それで運転時隔の短縮、つまり間隔を短くして輸送力をふやす、こういうようなことを中心に今後の検討を進めているというふうに聞いております。またそれにあわせまして、ただいま先生がおっしゃるような急行といいますか、快速と緩行のバランスをうまくとるというようなことも検討しているというふうに聞いております。     〔主査退席、平林主査代理着席〕
  259. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 いずれにしましても、現在のラッシュ時における混雑というのは大変なものでありますので、そのような対策をひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。ここをノンストップにすれば、おっしゃられておりましたように、その分だけ本数なんかもふやすことができるわけでありますから、その辺よろしくお願いしたいと思うわけでございます。  次は、五日市線の問題でございますけれども、これは余り経済性がないというふうに考えられているかもしれませんが、しかし、実際に利用している方々にとりましては深刻でございまして、ここを何とか複線化してもらえないだろうかといったような要望があるわけでございます。そういう意味で、複線化についてどのように考えておられるのか、その辺をちょっと御答弁願いたいと思うわけでございます。  また、五日市線の東京駅への乗り入れといいましょうか、東京まで直通のものをもう少しふやしてほしい、何とか増発してもらえぬだろうかといったようなこともございまして、住民の方々の要望がいろいろ強いわけでございます。その辺を御当局としてどのように考えておられるのかお知らせ願えれば、そんなふうに思うわけでございます。  あわせて、青梅線も確かに、前々からいろいろ私どもも要求してまいりまして、東京への直通がかなりふえてはきておりますけれども、まだまだ十分ではない、そんなふうに一般住民の方々から言われるわけでございます。その辺、乗り入れ回数をふやせるのかどうか。今のところは立川どまりというのがほとんどでございまして、その辺どのようにお考えになっておられるか、あわせて御答弁いただければありがたいと思います。
  260. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 五日市線と青梅線の問題でございますが、今の東京へ乗り入れといいましょうか、東京まで列車を走らせるというその問題につきましては、青梅線は昭和二十四年、それから五日市線は昭和三十六年にそういう東京直通乗り入れというのを始めたわけでございます。現在のところ、一日当たり上下合わせまして、青梅線は二十九本、それから五日市線は五本、それぞれ東京まで直通乗り入れをしている本数がございます。それで、ことしの三月のダイヤ改正で、青梅線については一往復それをふやすということのほか、なお立川―青梅間、その間につきましても一往復増発する、そういうことを考えております。それから五日市線の方につきましては、拝島―武蔵五日市間、この間に今度の三月のダイヤ改正で一往復増発するという形になっておりまして、両線について一層のダイヤ改善が図られることになると思います。  それで、先ほど先生おっしゃいました五日市線につきましてのさらに設備投資の問題がございますが、民営化されました各旅客会社の設備投資の問題、例えば電化。とか複線化とか、そういったような問題につきましては、個々のプロジェクトごとに輸送需要の動向とか投資の採算性とかいうことを考えて、会社が経営判断をしていくという形で考えられるべき問題であると思っております。
  261. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 では、次のことに入りたいと思いますけれども、次は、八高線の問題でございます。  この八高線は、申すまでもなく首都圏西部の拠点都市であります八王子市とそれから産業都市であります高崎市、これを結ぶ動脈鉄道であるわけであります。沿線住民の足としてその果たす役割は極めて重要だ、そんなふうに感じているわけであります。特に、上越新幹線の高崎駅における乗降利用客は八高線沿線において増加しておる、そういうことでございます。また、東北新幹線及び上越新幹線の主要駅であります大宮駅を起点に、通勤新線との関連による埼京線の開通及び川越線の電車化、こういったものに伴いまして八高線の位置づけは一属重要視されてきたのではないか、そんなふうに私は感じているわけでございます。  このような状況の中で、もう申すまでもなく、八高線は昭和九年に全線開通されて以来、逐次整備がなされてきたとはいいますけれども、首都圏内においていまだ複線・電車化されていない、いわゆるディーゼル車のままで今日に至っているわけであります。近年、経済の発展は、首都の過密化によりまして、首都圏外周部へとあらゆる機能が拡大をしてきておるわけでございます。特に人口あるいは産業、教育文化機能等の拡大が著しくなっておりますし、いわゆる環状線の整備が急務になってきているというふうに私は感じているわけでございます。それにかんがみまして、八高線の早期複線化及び電車化、これが重要な課題になるのではないかな、そんなふうに思っているわけであります。  このような実情から次のような質問をしたいわけでありますけれども、JRとして八高線はどのような位置づけにしておられるのか、その辺まずお聞かせ願いたいなと思います。
  262. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 八高線につきましては、先生の御質問の中にもございましたように、八王子、立川、そういったいわゆる核都市の後背地を結ぶといいますか、後背地に位置する路線でございまして、今後の都市整備の進展とかいうことに伴いまして輸送需要が増大していく路線であるという形でJR東日本も認識しているやに伺っております。  それで現在、御指摘のとおり八高線は単線で非電化でございますけれども、それにつきましての今後の設備投資の問題につきましては、先ほど私申し上げましたように、今後の輸送需要の動向とか採算性とかいうことを考えて投資をどう経営判断していくかという問題が基本かと思いますが、具体的に八高線で申し上げますと、当面の輸送改善施策といたしまして、八王子と高麗川間の電化の問題につきましては、今JR東日本で鋭意検討を行っているというふうに聞いております。複線化の問題はもう少し長期的な検討課題、このようなことをJR東日本は現在考えているというところでございます。
  263. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 このいわゆる八王子と高麗川の間、これとそれから高麗川以北というのでしょうか、埼玉県側とでは八高線の性格も大分違っていると私は思うのでありますけれども、確かに、今JRの方でそういう電車化の検討をされておること、大変ありがたいのでございますけれども、これは見通しとして大体いつごろになるのか、その辺いかがでございましょうか。
  264. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま鋭意検討を行っているというふうに伺っておりますが、どのくらいの段階でその検討結果が出るかということにつきましては、まだそこまでの段階までは至っていないということだと思います。
  265. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 それは鋭意御検討されまして、一日も早く電車化をしていただきたいと思うわけであります。実際には、ディーゼルにお乗りになったことおありだと思うのでありますけれども、大変汚いのですね、すすとか何か入ってきまして。しかも音が激しいということで、いろいろ不快感が多いものですから、やはりもう少し快的な旅行をさしていただきたい、そんなふうに思っているわけでございます。  この八高線のいわゆる経済性については、どうなんでしょうか、余りよろしくないのでございますか。あのような状況だからよろしくないのかもしれませんが、その辺どうなっておりますか、お聞かせ願います。
  266. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 六十一年度、これは国鉄時代の実績しか今のところ出ておりませんものですから、その国鉄時代の数字で恐縮でございますが、六十一年度の収入が三十二億三千七百万円、それで経費が八十九億四千八百万円で、営業係数は二七六、そういうことで赤字の路線という形になると思います。それで、ただ、この営業係数につきましては、昭和五十九年度が一三八、昭和六十年度が三二二というような形で、若干ずつでも改善は行われている、こういう形でございます。
  267. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 あともう時間が残り少なくなりましたので、もう少し質問さしていただきますが、私鉄線のことでございます。  私の関係しておりますところは京王電鉄とそれから小田急電鉄でございますけれども、これの開発、今いろいろやっているわけでありますが、例えば京王電鉄でございましたら相模原線を今やっているところでございます。それから、小田急線では多摩線ですね、これをやっているところでありますけれども、これの進捗状況はどんなふうになっているのか。何か用地買収の問題でいろいろもたついているというふうな話も聞いておりますので、いつごろ開業ができるのか、その辺の見通しなどもあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  268. 熊代健

    熊代政府委員 まず京王相模原線につきましては、お説のように京王多摩センターから橋本駅間約九キロやっておるわけです。このうちの橋本駅付近の一部の区間で用地買収が難航して、現在未買収で、残りの区間については路盤工事ももう完了している。未買収の用地につきましては、六十一年七月に鉄建公団が土地収用の事業認定を受けまして、現在土地収用委員会において審理中でございます。この部分の用地が取得できますれば、直ちに工事にかかればその用地買収から一年半たてばできる。  なお、多摩センターから橋本駅間のうち、既に工事がほぼ完成しております南大沢駅間約五キロ、これにつきましては、東京都等からの御要望もございまして、京王帝都電鉄として部分開業といいますか、早期開業について現在検討しております。我々もできるだけそちらの方向でやらせたいというふうに思っております。  それから、小田急多摩線についてでございますが、これは多摩センター駅と唐木田駅間約一・七キロでございますが、昨年十月に工事施行の認可を行いまして、十一月に鉄建公団に工事実施の指示をし、直ちに着工しております。用地につきましては、ニュータウン内でございますのですべて確保されております。工事についても既に九割方発注済みでございまして、鋭意工事を進めております。完成予定は六十五年三月で、今のところ順調にやっていけるのじゃなかろうかというふうに思っております。
  269. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 その辺ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  また、府中とか狛江、これはいずれも京王線と小田急線ですけれども、連続立体交差化の問題、今盛んに府中でやっております。それから八王子の北野、あそこでもやっておりますけれども、その見通しは、いつごろ府中はでき上がるのか。それからまたほかの方はどうなのか。その辺、進捗状況などお聞かせ願えればと思います。
  270. 熊代健

    熊代政府委員 連続立体交差化事業というのは、御承知のように都市計画事業として東京都あるいは府中市、そういったところが電鉄会社と一緒にやっておるものですから電鉄会社だけの話ではないのですけれども、府中につきましては市の再開発事業に伴う駅部の用地買収中で、路盤工事として下り線部分は約八〇%が完成している。当初の都市計画事業としては六十六年三月ということを目標にしておるわけでございますが、現在のところ、かなり遅延が懸念されるということでございます。  それから、北野地区でございますが、これは一〇〇%用地取得済みでございまして、現在路盤工事の約七〇%を完成しております。これも当初六十六年三月の完成予定ということで、これは特に大幅なおくれはなくてやれるのじゃなかろうか。  それから、もう一つの小田急の狛江付近でございますが、この連続立体交差化事業につきましては、五十五年九月から既に用地買収等にかかっておるのですけれども、現在まだ五〇%程度の取得状況でございます。工事につきましては、そういう状況でございますのでまだかかれておりません。現時点では七十年を目標にということでやっておるところでございます。
  271. 斉藤節

    斉藤(節)分科員 もう時間になってしまったのでこれで終わるわけでありますけれども、その立体化あるいは八高線の問題その他ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
  272. 平林鴻三

    平林主査代理 これにて斉藤節君の質疑は終了いたしました。  次に、前島秀行君。
  273. 前島秀行

    前島分科員 下田船渠の問題についてお尋ねをしたいと思います。御承知のように、ドックの状況については大臣も就任直後、現地の皆さんからの要請を聞いていただいたこともあると思いますのでおわかりとは思いますが、特に私は、一組合が解散に反対しているとか、あるいは自主的に今管理をしているんだ、そういう事態ではないんだ。地域の住民、地域関係者からドックの存続について非常に要望が強いということを、ぜひ大臣関係者にも御理解をいただいて、今後の対策あるいは関係者のところに御指導を賜りたい、こういう意味でいろいろお尋ねをしたり、若干最近の状況等々も報告しながら考え方を伺ってみたいと思うのです。最初に、昨年の十一月二十七日の解散というのが現地にとってどういう衝撃的なことだったのかという点をまず理解していただくために、実はこれは十二月十一日の現地の新聞なんです。これは全国紙の現地の通信部の記者が、一年間の活動を振り返ってのシリーズ物の中でこの下田船渠の問題を取り上げているわけです。  その中で、冒頭  「なぜだ?!」―。どこかの元デパート社長ではないが、そういいたくなるようなシーンが目の前で起きた。経営不振に陥っていた下田船渠の解散劇。わずか一、二分の臨時株主総会。あっという間の強行採決。八十九年間にわたって燃えつづけた下田の〃造船の灯〃が消え、三十八人の従業員全員の職場が奪われた瞬間だった。 総会の成立を宣言する沖守弘社長に対し、「お前にも女房や子供はいるだろう。これからオレたち親子はどう生活すればいいんだ」「家のローンや子供の学費も払えない。〃死ね〃ということか」。労組員の、腹の底から絞り出したような悲痛な声が乱れ飛ぶ。  新聞記者は常に沈着冷静に―その鉄則はわかっていたが、突然の解散強行にカメラを構えていた私の体もカッと熱くなっていた。  これが十一月二十七日の解散劇を取材した記者の十二月十一日の記事ですから、十日後の感想といいますかレポート記事なんであります。  この記事でも明らかなように、その解散によって百三十八人の従業員が全員解雇になって企業は解散となったのですが、ここに至るまでの経過はいろいろあるわけです。特に、来島グループ入りしてからの経過というのが特に重要だと私は思うわけです。というのは、経営が厳しい、造船業界の不況という形の中で六十年十月に、それまでは  大洋漁業がバックグラウンドだったものを来島入りをした。そのとき百六十名の希望退職を募っているわけです。そして、そのときにいわゆる今までやっていたドックとしての営業活動、販売活動というのは来島に一元化した。そして、設計という技術も事実上取り上げられるような形になった。そして、来島入りする大きな条件の一つとして、全従業員を松山に呼んで一カ月間の徹底した社員教育をするんだ、こういう条件があったわけです。  これに対して組合はいろいろな議論をしたけれども、その条件話し合いの中で、新造船事業は継続するという一項があって、やはり百六十名の希望退職とか組合に対するいろいろなあれとか、あるいは設計とか営業活動を一元化する、本当に会社がつぶれるような事態だけれども、会社が新造船事業は継続するという約束をした。それが協定文に入っているので、この条件をのんで一九八五年、昭和六十年十月に大洋漁業から来島グループに入ったという経過があるのですね。これに対して組合は、この一カ月間の松山まで出向いての三泊四日の研修は全員実行しているわけですね。そして、希望退職にも応じるという約束をそのまま組合としては実行してきている。その間、会社側が約束した新造船、造船の発注はゼロなんですね。この事態を地元の融資の一つであった静岡銀行は、約束が違うではないか、新造船を発注しないなら企業として存続しないよ、無理だということもあって、約束が違うということで静岡銀行は下田船渠に対する融資を打ち切ってしまった。  その後、ますます苦しくなって、六十二年五月に今度はまたまた合理化案が出てきたわけですね。それは七十五人の人員の削減、百七十名から七十五名ですから半分以下ですね。このことは、もう修理工場、新造船事業をやらないということを意味するわけですね。百七十で何とか新造船できるかもしらぬけれども、それを七十五名、半分にしてしまうのですから、新造船事業をやらないということを意味する。それだけではなくして一  賃金一〇%カットを二年間、賃上げも一時金も二カ年の凍結、こういうような案がまた出てきたわけですね。その他、一時帰休制度だとか七十五名の退職者以外にも関連企業への出向だとか、細かな九項目にわたる労働条件の改善という案が六十二年の五月に出てきたわけです。組合としたら、前の約東を守っていた。だけれども、会社側は新造船事業という発注事業をやらない。そのことによって、融資を続けていた静銀が融資をストップしてしまった。そして、今私が言ったような新たな案が出てきたわけですから、組合としては当然簡単には引き受けられない、こういう事態になってきたわけです。  そういう状況の中で、六十二年五月に実は仮谷旧社長がこの案を提案をして、すぐ六月に今の沖社長にかわっているわけですね。旧社長に提案させておいて新社長が来た。まずそこでこういう経過が、社長の交代劇があるわけですが、そういう状況の中で去年の十月、結論が出なかったもので会社側は一方的に、組合の合意なくしてこの七十五名の希望退職を一方通告したのですね。募集したわけです。そうしたら、一週間やったんだけれども一人も希望退職の応募者が出なかったという事態があるわけですね。私はこのとき何回となく現地に行きましたけれども、会社側がもう少し誠意ある対応をしたら、誠意あるやり方をしたら一人も出ないというようなことはなかったと思うけれども、余りにも一方的なことをやったものでだれも出なかった。  そして、どうしようもなくなって十一月二十七日の会社解散、こういう事態になったわけなんですけれども、この一連の会社のやり方を見ると、全く組合を無視したような、正常な労使関係と言えないと私は思うのですね。組合側は約束どおりちゃんと実施をしてきたけれども、企業側が何ら約束を守らない。そのことは、静銀の融資が打ち切られたことをもってわかると思うのです。  そういう面で、この一連の事態は非常に異常事態だと思いますけれども、今なおその状況は続いているわけなんで、この事態に対する労働省としての見解を簡単に承っておきたい、こういうふうに思います。
  274. 渡邊信

    ○渡邊説明員 今先生お話しになりました下田船渠につきましては、現在労働組合の方から静岡県の地方労働委員会に不当労働行為であるという申し立てを行っておりまして、今いろいろとお話がありましたが、その中で、会社が組合の申し入れたドッグの再建に関する団交を拒否するのは不当労働行為である、あるいは会社が組合と協議をせずに株主総会で策定した全員解雇、これは不当労働行為である、こういったとを現在労働委員会で争っている最中でございます。  したがいまして、こういった問題につきまして、労働省として既に労働委員会にかかっている事件についてとかくの見解を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に言いますと、退職の条件等について労働組合から団交の申し入れがあったという場合には、事業主、使用者はこれに応ずべき立場にあるということはもちろん言えるかと思います。  私どもとしましては、いずれにしましても関係者の話し合いによって事態が円満に推移するということを強く希望しております。
  275. 前島秀行

    前島分科員 むしろ大臣にお聞きしたいのですが、この下田船渠の解散についてはある銀行が状況分析しているリポートがあるのですけれども、その銀行でさえ、この下田船渠の位置づけというのは地域に非常に重要だということを言っておるわけです。要するに人口の大体一割が関係していますから。それと、下田船渠というのは明治以来ずっとあれですので、静岡における造船技術の発祥の地なんですね。それから避難港という性格を持っているので、地元の銀行でも何としても残したいということを言っている。それから斉藤知事も県議会の答弁で、何とかして残したい、例えば市長も相談に来たので第三セクターという方向を探ってみるという答弁もしているわけです。そして、これは超党派ですから、地元の自民党の支部も知事に何とか残してくれという要請をしているとか、あるいは大臣のところにも要請が行ったはずだと思いますが、下田の商工会議所とか議長とか漁協組合長とか、キンメダイの組合長なんかも何とか残してほしい、こういう要請をしているわけですね。  それで、今第三セクターで何とかならぬかという方向で努力をしているわけですが、清算人並びに日債銀、来島興産はそういうものは一切受け付けないという対応をとっているわけなんです。私は、周辺の自治体、知事、地元の皆さんの意向から見て、そういうかたくなな状況ではなくて何とか第三セクターで、修理工場でもいいのだから、運輸省としても港の性格、下田の性格から見てという方向に関係者、とりわけ日債銀、来島興産に指導をしてほしい、こういうふうに思っているわけですが、その辺のお考え方をぜひ伺いたい、こういうふうに思います。
  276. 間野忠

    ○間野政府委員 ただいまいろいろ下田船渠の件について御発言ありまして、事実、下田船渠の組合あるいは地元の方で修理ドックとしてでも残したいという動きがある、あるいは御希望があるというふうに伺っております。ただ、造船業の場合、たとえ修繕と申しましてもかなりの運転資金を要するものですから、やはり信用を回復するということがまず第一でございますし、また、こういった経営上の問題から一方は破産を申し立てるというような事態になっておりますこと、それからさっきの信用力と関係があるわけですけれども、土地とか設備、こういったものが第三者の所有になっておるというようなことで担保力も非常にないということから、下田船渠の修理部門だけ存続させるということも非常に難しいかと思いますし、仮にやるとしたら関係者間の調整が非常に問題になると思います。  それで、日債銀あるいは来島興産のお話がございましたけれども、経営危機が表面化しましてから私自身も来島興産側と若干協議したことがあるのですが、御承知のように来島興産といたしましてはもう既に三千億に上る債務を抱えておって関係の子会社に対しても自立化を要請しておる、これ以上の資金的な援助は非常に難しいということを申しております。そういったことから考えまして、仮に第三セクターとしてでも修理ドックとしての存続ができる前提条件というのは、だれが責任を持って経営に当たり、そして複雑に絡み合った土地の問題とかなんとかは、関係者の間での意見の一致を見るということが何よりも重要なことかと存じます。
  277. 前島秀行

    前島分科員 確かに来島グループの実態、下田船渠の実態等々から見るとそういうことで、そこでやはり第三セクターという議論が出てきていると私は思うのですね。  それで、今問題になっていますのは、東京電力の電力送電の問題があるわけです。知事も何とか第三セクターで、地元の自治体も関係業者もそう言いますので、何とか第三セクターに行くまでの間、電力を続けてくれないか、そうしないと保安的にも、またもしもそういう方向で行ったときに、電力がとまれば一切の機械云々というのは使えなくなるわけですから、そういう意味でぜひ電力は送電をしてくれ、こういう組合側の要請が東京電力に行っていたわけですね。  それで、清算人の方からは当然契約ダウンの申し入れが来た。こういう中で私も相談にあずかりまして、私も何回か東京電力の沼津支店とか現地の下田営業所とかへ、こういう事情だからということをお願いに行った。東京電力側も、単なる一組合からではないということは客観的に、ドックの存続、修理工場でもという周辺の要望が強いことも理解いただきまして、そういう努力が関係方面で続けられているということを理解をしてくれて、現在まで電力を送電をしてもらっているわけですね。  このことに対して執拗にといいましょうか、清算人から再三タウンだとか、そして今回破産申告をしたから直ちに切れ、こういう要望が東京電力の方に書留で行くわけですね。最初にお願いしたときに私も清算人に直接電話をして、その電話の内容をメモにして東京電力に渡して頼むというような形にしていた関係もありまして、東京電力は何とか清算人に了承をというような形をとってくれ、こう言ったけれども、清算人はそれはうんとは言えません、こういう状況の中でやりとりをしているわけです。先ほど言いましたように、知事や地元の自治体や関係者が、何とか第三セクターなりでもって、規模は小さくても修理工場でいかないと避難港としての役目はしないとか、漁協を抱えたりキンメダイの漁村をあれしているということなので努力をしているわけですから、運輸省として何かそういう方向に向けて東電も協力してやってくれ、あるいはそういう争い事の方に巻き込まれちゃって、一方の方の要請で云々というのは東電の立場からなかなかしにくいということもこれありまして、真ん中に入って困っているわけです。  私はここでぜひお願いしたいのは、周辺が第三セクターで何とか、せめて修理工場としてでもやろうじゃないかという努力をしているわけですから、その方向が見えるまで東電が送電できるように何らかの道を、この一連の問題の中で努力をして指導をしてほしい。下田船渠というのは解散しちゃったわけですから、興産なり日債銀にそういう方向を指導してほしいというふうに思うわけですけれども、その辺の考え方なり御指導をしてもらえるかどうか見解を賜りたい、こういうふうに思います。
  278. 間野忠

    ○間野政府委員 基本的に、送電の継続ということは電力会社と使用者の間の問題であろうと思います。しかも先ほど申し上げましたように、設備といいましても建物も含んでどこまでかはっきりせぬ面はあるのですが、設備、土地その他はまた第三者の別の人が所有しておる。ただ、送電の契約自体は下田船渠がやっておるということですが、これは支払い能力がないということで基本的に我々としても関与できないということのほかに、東京電力側といたしましても契約者から、違った人から代金をもらいつつあるということ。それと御承知のような、これは一種の工場でございますから、相当の大電流を要する設備になっておりますので、多分電気事業法上の主任技術者だと思いますが、主任技術者というのが現在いなくなっておるというようなことでは、東京電力としてはなかなか責任を負いかねる、給電しても責任を負いかねるということのようでございます。
  279. 前島秀行

    前島分科員 組合側は東電に要請をし、要請も受けてくれて、ちゃんと一月から二月にかけての電力料金を組合は払っているわけです。ここへ来るまでは、実はドックは二カ月以上滞納していて、滞納を理由にして東京電力はとめざるを得ないということで、それで組合側が清算人に交渉して滞納部分はあれしてもらって、自分たちが新たに責任を持つ部分については、もう二月二十九日に約百万近い電気料金をちゃんと払っているわけですね。  同時にまた、このドックの必要性を証明するということになると思いますけれども、この一月から二月にかけて修理を頼まれてきているわけです。キンメダイと先ほど言いましたけれども、その基地になっていますから、そこから造船の修理をしてくれということがこの一月から二月の間でもって九件来ているわけですね。それから同時に、周辺に漁港がありますから、船がおかしくなると修理する場がありませんから、現実に工場閉鎖となっている事態という状況を知りながらも、キンメダイの漁協の船を修理に来てもらったり、周辺の漁村の船が修理をしてもらったりという形になっているわけですね。現実にそれだけ下田の港、あのドックが周辺にとっては必要なんだ、せめて修理工場としての必要性ということは、このことが示していると思うのですよ。  それを知っているから、知事も自治体も周辺の人たちも、何とか第三セクターでという事態なんですね。現実にそういうことになっているわけです、この一月から二月の事態の中で。やはりここで電気をとめてしまったら、それも全然できなくなっちゃって、確かに今局長さんが言われるように、私も土地が別なところからリースになっている実態とか、よう知っていますけれども、何とかそこをみんなで探っている間に息をつないでおくといいましょうか、そういう意味で電気をとめないでほしい、こういうことがあると思うのです。それが実態なんですね。  それで、具体的な方法はともかくとして、それをとめないような努力というか指導というのを何らかの方法でやってほしいな。これはいろいろあれしますけれども、一連の削減に絡んだ、造船の合理化に絡んだ問題なんですから、運輸省当局に御努力願うしかないということになるのですよ。東京電力は東京電力の立場がありますから、これはもうあれなんだ。そこを運輸省の方で何らかの形の努力、指導をしてもらって、私は方法論はここでどうのこうの言いませんけれども、その辺ぜひお願いしたいのですけれども局長さんもう一度その辺のところ、どうですか。
  280. 間野忠

    ○間野政府委員 今何かいたしましても、恐らく効果はないと存じます。
  281. 前島秀行

    前島分科員 ぜひまた、我々も東京電力の方にその点のお願いをしたり、実質的に何とか継続できる努力をしたいと思いますけれども、せめてお願いしたいのは、それならこれだけはあれしてほしいのです。  修理に行くなとか修理に出すなとか、あるいは電気をとめるとかいうことだけは正直言っていろいろあるということは聞いているのですが、そういうことだけはやらぬでほしいという気持ち、その辺はどうですか。
  282. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 それは責任を持って、そういうことはさせません。  私も下田よく知っておりまして、最初は本当に閑散とした温泉町でしたけれども、あの造船所が発展するにつれて町も大きくなりましたし、また衰退すれば、町そのものは観光地として少しは栄えるでしょうけれども、活気は非常に失われるでしょう。それは本当に、釜石その他も企業城下町というのはございますけれども、下田もほかと比べてサイズは大きいか小さいかわかりませんが、典型的な町だと思います。本当に痛ましいと思いますけれども、御存じのように造船そのものはこういう状況下にありますから大変難しい問題ですが、少なくとも今委員が御指摘のそういうことだけはさせませんから。
  283. 前島秀行

    前島分科員 局長さん、例の船台削減の二〇%の問題で、来島グループの削減は現状ではどんなふうになっていますか。
  284. 間野忠

    ○間野政府委員 ほかのグループからはいろいろ実施計画が出てまいりまして、現在までのところ五つのグループ、会社の数にしまして二十六社から出ておるのでございますが、来島グループはいろいろ難しい会社を抱えておる関係もあるのかと思いますけれども、まだ計画が出てまいっておりません。多分グループ内でまだ最終的な案を得るに至ってないんだろうと思います。
  285. 前島秀行

    前島分科員 そこで私は、この六十年からの来島グループの下田船渠に対する対応、今回の解散それから破産申し立ての一連の経過を見ると、非常に残念な対応だったというふうに思うのですね。非常に誠意がないあれなんです。  例えば組合の方にしてみれば、何とか再建をしたいという形でいろいろな提案をしているわけですね。知事の方も何とか残したいから、県としていろいろな融資をしたり仕事をやるぞ、こういうことを言っているけれども、この二年間というもの何の対応もしていない。私は六十一年に社会党の正式な代表団という形でもって、旧社長時代関係者、安恒参議院議員等々と行って、みんなこう言っているんだから存続するように努力をしてくれ、知事もこう言っているじゃないかという話をしたのですけれども、何ら積極的な努力というものが反応として出てこなかった。その後ますますおかしくなっちゃってという事態になったわけですね。ある意味で言うなら、この特安法を盾にとって悪用をしてというふうに思わざるを得ない部分もなきにしもあらずなんです。そういう面では、私はこの下田船渠七千五百トンの船台は設備削減の中に入れてもらいたくない、入れるべきではない、こういうふうに思っていますけれども、どうですか。
  286. 間野忠

    ○間野政府委員 現在の造船不況の本当の原因は需給のアンバランスにあると思いまして、供給力が非常に上回っている限りは造船のマーケットが回復することはあり得ない。船をつくればつくるほど赤字がかさむ、累積するというような事態が続くことになると思いますので、これはどうしても設備を削減し操業量を減らしていく以外に方法はないと思いますので、これを四十四社、特定船舶製造業の者が遂行していきますには、みんなで参加して実施していかなくてはならないということで、そこに例外は設けるべきではないと考えております。     〔平林主査代理退席、主査着席〕
  287. 前島秀行

    前島分科員 一般論としては、私そのことを否定したいのです。全体やっぱりそういうことでないとどうしようもないということはわかりますけれども、件下田船渠に対する来島グループの対応を見てきますと、六十年のときに大洋漁業から行ったときのいろいろな条件を見てきますと、二〇%削減という方針を、僕から見ると、実態から見ると本当に悪用して、逆手にとったような形でもって会社を解散すればいいんだ、その間残す努力というのは何もしてないんですよ。何の努力もしてないのですよ。二〇%削減だ、それを義務づけられている。一応形の上では組合に、のみっこないような一〇%の賃金カット二年、それから一時金も手当も二年間凍結する、それをわずか二年の間にそんなのめっこないような、あり得ないような提案をしてきて、それをのまないから、そうしないからといって会社解散だ。当然応じない。十一月二十七日以来、わずか数日前に私はドックヘ行ってきましたけれども、この年末の厳しい、金一銭ももらえない状況の中で、正式に組合で六〇%の退職金をもらってやめていったのは四人しかいないのですよ。それほど組合員みんなというのはやっぱりあそこで、ドックを残したい、働きたいというのを示しているわけなんですよね。  それを、のまないことをわかり切っていて、黙ってその間何の団体交渉もしないで、期限が来たら一方的に解散する。解散の事態は、私が最初に読んだようにああいう事態ですね。本当に計画的にやった。それを逆手にとって、解散をさせれば後文句ないから、破産申告すればその相手になる組合の条件も法的にないから、裁判所がやってくれるからいいじゃないかというふうにやったというふうに私は思わざるを得ないのですよ。そうすると、この特安法で言っている、とりわけ附帯決議になっておる自治体との相談だとか組合と十分協議しろよという精神は、何にも実行してないんですね。本当にあの特安法の考え方に違反することだ、こういうふうに私は思うわけです。  ですから、具体的にまだ出てない、こういうことでありますから、この二年間来島グループがどういうことをやってきたか、これはもう少し具体的にいろいろまた別の機会に質問をしてみたいと思っていますけれども、その点を安易に考えてもらっちゃ困る。といいますのは、非常に不誠実であったということだけは事実なんで、これをそのまま削減の対象にしておったら、これから二〇%削減する場合、そういう方法をとればどんどんできるということになりますので、その点を十分考慮をして具体的な案が出たときには対応をぜひお願いをしたい、このことを強くお願いをして、時間がありませんので質問を終わらせていただきます。
  288. 左藤恵

    左藤主査 これにて前島秀行君の質疑は終了いたしました。  次に、橋本文彦君。
  289. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 最初に大臣にお尋ねいたしま、すけれども大臣に大変ゆかりのあるあの湘南、神奈川県の湘南でありますけれども、この藤沢あるいは茅ケ崎方面で、若者がいわゆる自動車のナンバープレートに湘南ナンバーをぜひ実現してもらいたいという話がございまして、大変地元では問題になっているわけでございます。聞くところによりますと、大臣も鎌倉とかあるいは逗子等も含めて湘南ナンバーを検討しているとか、あるいはそういうのが実現したらいいなというようなお話をしたとかしないとかいう話があるのですが、そういう話をしたことございますか。
  290. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 まさしくございます。この間、湘南の同窓生がちょっと有志集まりましたときに、たまたま私、運輸大臣に就任しまして、それもあってかあの地方にそういう要求があるということをお聞きいたしました。これはどこが決めることなんでしょうか、やっぱり地元の要請があって、それがユーザーたちの大きな便利につながるんならば、それもまた結構なことじゃないかと私は思います。
  291. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 最近九州の筑豊自動車検査登録事務所が、たしか六十年十月ごろ新設されました。それから今年度におきましては愛知県、あそこにまたできそうだ。それから埼玉県の浦和の方でも新しい事務所を新設するような動きもあるということを聞いておりますけれども、これらの新しく事務所ができる場合の基準と申しますか、どういう条件が整うと新しい事務所ができるのか、概略がございましたらその基準をお聞かせ願いたいと思います。
  292. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの新しく自動車検査登録事務所を設ける場合の基準と申しますか考え方でございますが、私どもは自動車の検査業務量が増大する場合に基本的には指定整備制度、いわゆる民間車検というものを活用してその合理化に努めてきているところでございますけれども、検査業務のこういった合理化を図りましてもなおかつ自動車検査場におきます業務量の増大が避けられない場合には、検査コースの増設等により対応することといたしておるわけでございます。しかしながら、そういう増コースのための用地確保ができないなど検査コースを増設することが極めて困難な場合に、御指摘の自動車検査登録事務所の新設、こういうものを検討することといたしております。  それで、この場合におきます考え方の第一点といたしまして、新設しようとする自動車検査登録事務所の管轄区域における車両数の伸びが著しく、年間業務量が非常に多いということがまず一つ。次に、新設しようといたします自動車検査登録事務所の管轄区域が、現存の自動車検査場から遠隔地にあるなど地理的に不便な地域であって、一定のまとまった経済圏を形成しているものであるかどうかということ。さらに三番目には、自動車検査登録事務所を新設することによりまして、業務処理の円滑化並びに利用者の利便の向上が図れるものである。こういった点を総合的に勘案いたしまして、自動車検査登録事務所の新設の可否について検討する、こういうことにいたしておるわけでございます。
  293. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 抽象的な説明でございまして、それなりには理解できるのですが、具体的に、九州の筑豊それから愛知県の豊橋、数字的なデータを示して説明願えませんか。
  294. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 まず最初に、九州の筑豊の検査登録事務所でございますが、これは昭和六十年度に開設いたしたものでございます。ここは、筑豊事務所を新設する前に福岡と北九州、既存の検査登録事務所がございましたが、そこの両方の分割、こういう形になっております。検査対象車両数が、福岡が五十九万六千台、北九州が三十九万五千台という形でございましたが、新しく筑豊に支所を設けた、こういうことでございます。  次に豊橋でございますが、これは西三河に検査登録事務所がありまして、それを分割したという形でございます。分割する前に西三河が七十八万二千台、こういうことでございます。  それから春日部の問題でございますが、これはまだ新たにこれから六十三年度予算で用地をお認めいただくという形で、これから計画していく問題でございますが、春日部は現在は大宮を分割するという形でございまして、大宮が八十八万六千台の検査対象車両数ということでございます。
  295. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 現在の車両数はわかるのですが、伸び率とさっきおっしゃいましたね、伸び率が大事なんだと。伸び率はいかがなんですか。
  296. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 伸び率は、申しわけございませんが手持ちの資料がございませんので正確にお答え申し上げられませんが、それぞれこういう問題が出ておる地域におきましてはそれなりの伸び率、最近全体といたしましては伸び率が鈍っておりますけれども、まだ車の台数というのは漸増しておる、こういうことであろうかと思います。
  297. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 新しい事務所をつくる場合に、いわゆる検査事務所の総敷地面積、これは基準があるのですか。
  298. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 一応、敷地面積の施設基準という形で設けてございます。敷地面積といたしまして、五コースの場合二万二千六百平米、それが基準になっております。それから、四コースの場合が一万八千五百平米、三コースの場合が一万四千四百平米という形でございまして、豊橋が五コースでございます。それから大宮が六コース、北九州が三コース、福岡四コース、こういう形でございます。――失礼しました。六コースの場合が二万六千七百平米、こういうことでございます。
  299. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ところで、相模自動車検査登録事務所の件なんですが、まず自動車の伸び率からいきますと、現在百十万前後あるのではなかろうか。昨年の六十二年三月の段階で百一万、十一月の段階で百七万というデータがありますので、恐らく現在では百十万程度いっているのじゃなかろうかと思います。そして、この伸び率なんですけれども、この十年間に約一・九倍、二倍にふえております。大変な伸び率でございます。  それから、遠隔、不便ということもおっしゃいましたけれども、この相模自動車の場合には神奈川県下の約三分の二の範囲を有しておりまして、内容は、神奈川県の北部、中央部、西部を合わせますと県下の三分の二を超える。その中には十三市十六町一村が存在しております。そして、いろいろな企業誘致等もございます。また、人口の郊外化によりましてどんどん人口がふえている。そして同時に、自動車も今言ったようにふえてきている。そういう状況の中で、事務所を使う人には非常に不便である。コースの方も昭和五十一年に一コース増設されました後は一切動いておらない。その間に現在のように業務量が二倍になってしまう。しかも同時に、五十一年度にコースが増設された、その間に人員の増加はございましたけれども、その後は一向に人員の増加もない。人員はそのままで業務量は倍になってしまう。  この間、私どもの方で相模自動車検査登録事務所を視察してまいりました。生の声を所長さん以下に聞いてまいりました。どのように本省の方にいくかわかりませんけれども、とにかく職員としてはもう限界である、ぎりぎりであるというようなことを言っております。具体的にいろいろなケースがあったのですが、職員一人一人が万歩計をつけておられる。どの程度歩くのか、一時間に大体四千五百歩から五千歩を歩くそうです。今、プロ野球の選手がキャンプを張っておりますけれども、このプロ野球の選手が五時間、六時間運動しますね、その間に大体三万歩ぐらい。そうすると、単純に計算して、一時間に五千歩の職員が八時間労働すれば五、八、四十で四万歩になる。プロ野球の選手のハードトレーニングよりも厳しい、そういう業務量をこなしている。これは登録事務の方もそれから検査している方も、大体同じようなデータを示している。大変な状況のようでございます。  こういうことを勘案していきますと、相模事務所の方は、現状ではコースの増設はできないことになると思います。どうしても分割あるいは新設ということが根底にあると思うのですけれども、現在運輸省の方はこの相模事務所に関してはどういう考えをお持ちでしょうか。
  300. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。  先生、具体的にいろいろ御指摘いただきました。私どもも、この相模の検査登録事務所は比較的忙しいところであるということは、十分認識いたしておるつもりでございます。したがいまして、今後車両数の増加などに対応いたしまして長期的には当然検討課題になる、こう考えております。  しかしながら、一方、御案内のように現下の行政改革の流れは非常に厳しゅうございます。こういった中で、利用者に対するサービスの向上と私どもの行政機関の行政の効率化といったものの調和を図ることが必要ではなかろうかということでございまして、当面は直ちに新しい事務所を増設することは大変困難ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。長期的な検討課題としては認識をいたしておる、こういうことでございます。
  301. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 長期的な課題としてはということで大変先の長いような答弁でございますけれども、現実に事務所を使っている利用者は、特に週末とか月末になると最低でも三時間ぐらい、半日ぐらい費やさなければ所定の事務が終えられない、こういう現状なんです。しかもこの相模事務所の場合には、恐らく運輸省が考えておられる以上のスピードで自動車が入ってくるのではなかろうか、こう思っております。また、先ほどお話がありました指定整備率、これが問題なのでございますけれども、神奈川県の場合には指定整備率をふやすことも現状では厳しいということを現場の皆さんは言っておられる。そういうことを考えてみますと、長期的なということよりも喫緊の課題ではなかろうかと思うのです。  現在、春日部というものが検討されておる。それから、ことしは豊橋というのが実現する。そのほかにもいろいろと新しい事務所をつくるという動きがあるのでしょうけれども、端的にいきましてこの相模事務所、どのぐらいの年度の間にという構想がおありなのでしょうか。
  302. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましても、部内職員のためにも新しいものをつくりたいというのはやまやまでございまして、過去の実績を見てみますと、昭和六十年度に筑豊ができました。それで六十三年度、約三年かかって次に一つ豊橋ができる。こういったピッチで進んでございますので、そういった流れの中でこの相模についても、業務量の比較的多いところというふうに認識いたしておりますので、そういう中で検討させていただきたいと思います。
  303. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 相模事務所の業務量が多いという認識はあることはわかりました。  それでは、もっと具体的に詰めていきますけれども、相模事務所よりももっともっと業務量が多い、大変だという事務所はほかにどの程度ありますか。
  304. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 具体的な名前はちょっとここでは差し控えさせていただきたいのですが、数カ所まだ全国にはございます。
  305. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 数カ所を具体的な数字で言うことは不可能でしょうか。
  306. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 大変申しわけないのですが、具体的な資料を持ち合わせませんので、ちょっと答弁を控えさせていただきたいと思うのです。
  307. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 アバウトな質問でございますけれども、この相模事務所の場合には、指で数えて五本のうちに入りますか。
  308. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 端的に申しまして、五本よりちょっと出るところだそうでございます。
  309. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 ところで、これは仮定の話なんですけれども、事務所が新設される場合の名称はどういう基準で決まるのでしょうか。
  310. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 いわゆるナンバープレートの名前につきましては、私どもはこれまで原則的には一車検場ごとに変えておりまして、その地域を代表する名前を出すということを基本原則にいたしておりますけれども、これは個々ケース・バイ・ケースでいろいろな御要望とか御意見がございまして、そこら辺をコンセンサスをとりながら決めていく、こういうことだと思います。
  311. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 神奈川県の場合には、当初神奈川ナンバー、それが川崎ができた関係でですか横浜と川崎に分かれ、さらに横浜ナンバーが相模ナンバーに分かれたと聞いております。神奈川という名前が横浜、さらに川崎、相模というふうに分かれてきたわけですけれども、現在は相模ナンバーが非常に多く走っておるという状況でございます。  この相模ナンバーですけれども、地方に行きますと正確にサガミと読んでくれないそうです。何と読んでおられるか、御存じですか。
  312. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 寡聞にして存じておりません。
  313. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 相模の文字を大相撲のスモウと読んでスモウナンバーが来た、非常に珍しいナンバーである、それは悪い評価なんです。決していい評価ではないのです。非常にダサイという表現で言われてしまう。相模ナンバーで走るのは嫌だ、こういう若者が多いと聞きます。  そこで、湘南ナンバーという声があるのですけれども、具体的に相模事務所という事務所の名前を湘南自動車検査登録事務所と変えてしまえばナンバーは変えられるわけですね。
  314. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。  現在の名称のつけ方の基準といたしまして、一応市及び特別区にあってはその市の名前をつけるという原則になっております。
  315. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 相模という市はございません。
  316. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 先ほど市のことだけ申し上げましたけれども、そのほかに、今の原則によった場合、他と紛らわしい、不適切と認められるときには、旧国名等判別しやすい名称とするということになっております。
  317. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 神奈川県は相模の国であるという、その辺からですか。
  318. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 はい。
  319. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 そうすると、おかしいのですよ。神奈川県全体が相模の国なんですが、なぜそこに横浜と川崎があって相模ができるのですか。
  320. 清水達夫

    ○清水(達夫)政府委員 お答え申し上げます。  実は、この所在地が神奈川県の愛甲郡愛川町というところでございまして、それが全国的にも非常にわかりにくい、そういう意味合いにおきまして相模というふうにつけたということでございます。
  321. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 これは果てしなき論争ですからやめますけれども、冒頭大臣にお尋ねいたしましたけれども大臣も湘南には非常にゆかりの先生でございまして、同窓会の席上でも湘南ナンバーが実現したらいいなという願望を漏らしておったという。ぜひ大臣御在任中に、この湘南ナンバー実現に向けてのステップ、足がかりを何としてもつけていただきたい、このようにお願いしたいと思います。
  322. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 いささか恣意的な答弁になるかもしれませんけれども湘南ナンバー、まことに賛成でございます。実現すると、恐らく日本で最もソフィスティケーテッドなナンバーだと若者たちは呼ぶと思いますし、現に、相模の事務所へ通って丸一日かかってしまった、途中非常に渋滞するものですから非常に不便だということを多くの人が言っておりました。行革の時代ですから、物をいたずらにふやすのは慎まなければいけないと思いますけれども、同時にやはりユーザー、国民の利便というものも考えなければいけません。ふやすべきものはふやし、減らすべきものは減らすということだと私は思います。一考に値する御提案ではないかと私は思います。
  323. 橋本文彦

    橋本(文)分科員 終わります。
  324. 左藤恵

    左藤主査 これにて橋本文彦君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤徳雄君。
  325. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 私は、気象観測、気象情報の問題について幾つかお尋ねをいたしまして、大臣からいいお答えをいただきたいな、こういうことを願いながら実は分科会に参加をしたわけであります。  ちょっと最初に説明をさせていただきたいと思いますが、昔から自然環境の中で営まれております人間生活というのは、いろいろな面で気象と深いかかわりを持っておることは御承知のとおりであります。生活とは、日々の衣食住、文化、産業、交通などでありまして、また、災害も人間生活の一部であると言えるかもしれません、決して災害が起こっていいという前提で申し上げているわけではありませんが。  このように考えますと、気象と生活のかかわりというのは日常生活の全般にわたっていることになっているわけでありまして、御承知のとおり、市民生活向上のために各種気象情報というのは今日の情報社会で占める役割は不動のものであり、不可欠な情報であると私は理解をしているわけであります。したがって、常に必要に応じて敏速に利用できるような方法を講ずるということは論をまたないわけでありますが、いずれにいたしましても、人間活動は、その大小があるとはいいながら、天気による影響は避けることができないのではないか、こんなふうに理解をしておるわけであります。  ところで、私の地元でありますが、福島県郡山市にありました郡山気象通報所、これは御承知かと思いますけれども、極めて歴史が古うございます。明治二十四年六月に設置をされております。以来そこで有人気象観測を行っておりまして、郡山地方の気象観測予報に大きな貢献をしてまいりました。ところが、昭和三十二年十二月から五十三年四月まで三人体制であったわけでありますが、市民や市の当局あるいは市議会等が反対をしたわけでありますけれども、五十三年の四月に通報所が廃止されてしまった、こういう経緯であります。  そこでお尋ねをいたしますのは、廃止をした理由は一体何だったのでしょうか。
  326. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 先生御指摘のように郡山の気象通報所というのがございまして、これは、気象通報所となりましたのは昭和三十二年でございます。それ以来、人数など変遷がございましたけれども、ここでの主な仕事は、郡山における雨量観測と、近隣の山間部における無線ロボット雨量計、これのデータを受信し中継する、そういうことが任務でございました。  しかしながら、地域気象観測システム、いわゆるアメダスというものが整備されまして、観測の自動化、それから観測データの自動収集ということが可能になりましたので、気象通報所の役目は終わったということで、昭和五十三年の四月に廃止したということでございます。
  327. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 ちょっと別なことをお尋ねいたしますが、昭和五十三年の十月一日に、埼玉県庁消防防災課の中に防災気象官を置いたと伺っておりますが、間違いございませんか。
  328. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 地方自治体で行われていることに関しましてはちょっと存じておりません。
  329. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 私の調べた範囲ですと、これは地方自治体だけではないのですね。身分がどうなっているかおわかりですか、ここにいらっしゃる方は。
  330. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 それにつきましてはちょっと存じ上げておりません。
  331. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 埼玉県に防災気象官浦和駐在所が置かれたことは事実であります。現存しております。  置いたことそのものは私は悪いと言っているのじゃないのです。ところが、郡山が廃止をされた、多分行革だという認識をしているわけでありますが、廃止をした途端に片方では浦和に駐在所、しかも、身分は国だと思いますね、私の調べた範囲が間違いないとすれば。片方で廃止して片方で新しくつくる。まあ駐在所ですからそう大がかりなものではないとは思いますけれども、地元ではどうも奇異な感じがしていますね。浦和に駐在所ができたことを、私は結構だと思っているのです。悪いとは決して言いません。だが、片方で廃止して片方でつくるということはつじつまが合わないんじゃないか。余計なことかもしれませんけれども、当時の運輸大臣は埼玉県出身者なんですね。それを私は追及しようとは思いません。思いませんが、地元の人はみんなこのことを知っているのですよ。こういうことがあっていいのでしょうかね。まあ大臣の答弁までいくかどうかわかりませんけれども……。
  332. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 先生のおっしゃる意味はわかりまして、ちょっと正確に申し上げますと、埼玉県には熊谷市に熊谷地方気象台がございます。それで、熊谷地方気象台の浦和連絡事務所ということで、県庁に人を派遣しております。先生はそのことをおっしゃったのだろうと思います。  それで、これは、大体県に一つ地方気象台がございまして、現在は、その地方気象台が全県の気象状況を常時監視する、そして全県に対してきめ細かな気象情報を出す、そういうことをやっております。ただ、熊谷市は県庁所在地でございませんので、いろいろ県と防災上の連絡などがある、そういう場合はどうしても人を派遣しなければいけない。そうしますと、一々熊谷から行くのは大変なので、一応県庁に人を派遣していろいろと防災上の連絡に当たっている、そういう事情でございます。
  333. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 先ほどから申し上げておりますように、私はそれをやったのは悪いなどと言っていないのですよ。結構だと思うのですよ。だけれども、私の地元にしてみれば、廃止をされて、そして当時の運輸大臣がいたからかどうかわかりませんけれども、駐在所であろうと何であろうと、とにかく片方をなくして片方を新しくつくったということについては理解ができないという声のあることだけは、これは理解をしてください。それを申し上げたくて言ったのであります。  さてそこで、私の地元の郡山市は、福島県のほぼ中央に位置しております。大臣、我が福島県をどれだけ御存じだかわかりませんけれども、郡山市は人口三十万を超しました。そして、県内交通の中心地でもあります。そして、経済都市でもあります。そういう状態にあるのにもかかわらず、テレビ等での気象情報というのは、福島、小名浜、それから会津若松、白河の各気象情報は明示されますが、中心的役割を果たしている私の地元の郡山は表示がありません。市民感情としても、おかしいじゃないか、こういう声が実は今高まっているわけであります。  さらに、我が郡山市は面積約七百三十平方キロメートル、東西約四十七キロメートル、南北約四十キロにわたっております広域都市でありまして、現実に西部湖南地区やあるいは中央部市街地区、東部阿武隈丘陵地区等、極端に気象状況が異なることがたびたびございます。市民は大変な不便を感じているわけであります。例えば、私は郡山市でありますが、会津若松の玄関口に住んでいるわけであります。スキー等であそこを通った方はどなたも感じると思いますが、わずか二十キロそこそこ離れたところで雪の量が物すごく違うというほど気象の変化が激しいところでありまして、有名な猪苗代湖がございます。猪苗代湖の半分が郡山市で半分が猪苗代町になるわけであります。気象条件が大体同じでありますが、かなり気象の変化の激しいところであります。とりわけ六十一年の八・五大水害、これは大水害に見舞われたわけでありますが、我が郡山だけではありませんけれども、私の選挙区全体が大変な被害を受けまして以来、気象情報には市民全体が非常に敏感になってきているという実情であります。  県内の気象観測が先ほど申し上げました四地点だけで、県中央にぽかっと穴があいているような感じ、そういう認識を市民の間で持っておりまして、これじゃいけない。冒頭申し上げたとおりでございまして、市民生活に重要な影響を持つものでありますから、したがって、各界各層の人たちがお集まりになって、郡山市の測候所問題を考える会というものを組織されました。そして、市民運動として今非常に高まって、発展をしてきているわけであります。考える会は市議会に対しても陳情いたしまして、満場一致で議会がこれを採択をしたという経緯があります。それは、郡山市を軸とした県中地区の住民というのが県の人口の約四分の一を超えている、こういう実態にありまして、もし郡山で観測が可能になれば県内全域の天気予報はもっと正確になるであろうし、そして生活や産業にもたらす効果というのは極めて大きい、こういう判断をしているわけであります。  さて、そこでお尋ねでありますが、これを受けて郡山市は、郡山市気象観測・気象情報懇談会なるものを設置をいたしました。そして要綱を策定をいたしまして討議を行ったのであります。六十二年三月十七日に郡山市における気象観測及び気象情報のあり方についての提言書が提出されました。すなわちその内容というのは、防災はもとより市民生活や農業を初めとする各産業分野において気象情報の果たす役割は極めて大きいものがある。とりわけ防災面においては、市民の生活を守り、財産の保全に努めるという見地からいきましても、正確な情報がより迅速に収集、提供されるように配慮されたいと提言をいたしました。  この前新聞で拝見いたしますと、石原大臣が、何か地震というのは体で感じたものが正確にはかれるのだそうで、私も初めて認識をしたのでありますが、この科学が発達している段階に一体どうなっているのかなという疑問を実は私も持っているわけでありますが、地震が起きても県の中心地である郡山市のデータが全然あらわれない、いつでも白河やあるいは会津若松や福島、小名浜と、こういうふうに実は震度が公表されるわけであります。同時に、小名浜沖地震が最近かなり頻繁にありまして、実は非常に不安を抱いているわけであります。そこで何とか、考える会の皆さんを中心として市民運動として盛り上がってきていますから、いま一度つくり直してもらうというのは変な言い方でありますけれども、何かそれに見合うような状況として、県の中心地であるだけに設置してほしい、こういう要望が非常に強いのでありますが、いかがでしょうか。
  334. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 福島県につきましては、御案内のように福島に地方気象台がございます。それで、この福島地方気象台におきましては気象レーダー観測網とか静止気象衛星それから郡山にはアメダスの観測点がございまして、その郡山の観測点も含めまして県内には四十八カ所のアメダスの観測点がございます。こういう観測によりまして福島気象台におきまして県内全域の気象状況を常時監視しているということでございます。それからまたその気象情報、予報とか警報という気象情報の提供ということにつきましては、これは地域的にきめの細かい情報が欲しいという社会のニーズにこたえまして、県内を七つの地域に細分いたしております。そして、適時適切なきめの細かい気象情報の発表に努めているというところでございます。それで、これら情報が出ましてそれがうまく伝わらないといけないわけでございますけれども、これらの情報は福島県の防災行政無線などによりまして郡山市を含む県内の市町村に伝達されているという状況でございます。  そういうわけでございまして、福島気象台では県内の気象情報サービスに万全を期しているということでございまして、新たに郡山市に気象官署を設置するということは考えておりませんけれども、今後ともきめの細かい気象情報の提供に努めてまいりたい、そういうように思っております。  福島県は今七つの地域に細分されておりまして、浜通り、中通り、会津、そしてその中通りがさらに三カ所に北部、中部、南部と細分されておりまして、その中部の中心が郡山でございます。したがいまして、郡山の詳しい状況はその中部に対して出される気象情報を見ていただけばよくわかる、そういうことになっております。
  335. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 そうですかと言って引き下がるわけにはいかないのですね。例えば先ほど申し上げました考える会が市民からのアンケートをとって公表いたしました。それによりますと、郡山市民の七五%が現在の気象情報に不満を持っていることが明らかになりまして、地方新聞の方でもこれを大きく取り上げられました。福島県の地図というのはまさに御承知のとおりなんでありまして、その中心地で地震が起きても震度の表示が全然ない、いろいろあります。これは市民にとってはまさに不安だと思いますよ、私もそこに住んでおるわけでありますからそういう意味で私を含めて。郡山市民の感情、根強い要望、現状への不満――これは気象情報が市民活動と密着している。特にこの前の八・五水害で非常に神経過敏になっております。そういう意味では何としても何らかの形でつくってほしいなという気持ちは私は十分理解できるし、そして先ほどの通り一遍の答えだけでは私を初め市民の皆さん全体が理解できないのではないでしょうか。大臣、いかがですか。御見解をください。
  336. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私、地図がないので福島の全体の地図の構造というのをつまびらかにいたしませんが、今長官が申しましたように、北部、中部、南部と分けてその中部としての予報が郡山のそのものの予報とずれているなら問題があると思いますけれども、例えば中部を中部郡山地方と呼んで済むことならそれは呼んだらいいと思うのです。  それから、話はごちゃごちゃしますけれども、私は長官が御説明しましたように通報所は不要だと思います。これは気象庁に行っていただきますと、アメダスとか今度入れました新型のスーパーコンピューターを駆使しますと自動的にデータが集まってきまして、非常に短い局地的な二時間後、三時間後の予報までできるようになりました。それを福島の気象台が取り次ぐわけでありますけれども、その福島に限って申し上げまして、郡山の地方というものが中部という呼び名から実質的に予報としてずれるなら問題がありますけれども、中部を郡山地方と呼んで済むことならそう呼んだらよろしいと思いますし、さらに区分けが必要なくらい、中部がどれほどの大きさのものか知りませんが、中部に含まれる郡山と郡山以外の中部の地域の予報といいましょうか気象がかなり違うならばこれはまた区分を、これは気象庁の得意なわざでありますから、さらに気象の地域性に沿って分けることもできるのではないか。  ただ、皆さん日本の気象台の予報は当たらないなんてよく言われますけれども、これはもう世界に比類のないぐらい精度を持ったものでありまして、日本の全体の国土の悪い気象条件からすると外国人が感心するくらい精度を持ったものであります。さらにこれが正確になること受け合いでありますが、ただ、委員御指摘のように、中部という呼び名と郡山というものの食い違いが地域的にあるならば、これは直すことはできるのではないか。あとは専門家に任せます。
  337. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 ただいまの御質問では、なるべくきめの細かい、例えば郡山なら郡山の予報というような観点からお話しになったと思いますけれども、ただいま大臣が述べられましたように、郡山を含む割と狭い地域で予警報を出しているということがございますし、将来的には、水害などと関連いたしまして、大雨が降ったような場合に降水短時間予報というのをこれから計画しております。これは、五キロ平方ごとに降水量を計算いたしまして三時間先まで一時間ごとに、そんな形で提供していくということも計画しておりますので、そういうデータなどを御使用いただきますと郡山の状況も非常に詳細につかめる、防災への対応も十分にできる、そういうように考えております。
  338. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 日本の天気予報は当たらないと言う人もいるそうでありますが、当たらないときもあったことも事実であります。私は、信頼をしてないなんということじゃありません。もちろん信頼をしているだけに、もっときめ細かな観測装置をお願いしたいということを申し上げたのであります。ひとつ御理解をいただきたいと思います。  そこで、こういう問題を提起しているところが全国に幾つかあると思いますが、今の財政事情やいろいろな面からいってもなかなか難しいということから、自治体が乗り出してつくられたところがありますね。例えば日立市であるとか八王子市であるとか、おわかりでしょう。それはどういうシステムになっていますか。
  339. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 非常にきめの細かい予報、例えば八王子の予報はどうか、日立の予報はどうか、これはポイント予報などと呼んでおりますけれども、そういうものになりますと気象庁ではなかなか対応できませんので、あるいは日立市だとか八王子市などの自治体がやっていただけるというのであれば、これはいろいろデータを送りましてその業務を支援する、そういう形でそういう動きは大いにやっていただきたいということで考えております。
  340. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 それは自治体そのものがやっていらっしゃるのですか。
  341. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 日立と八王子の場合は自治体がやっているというように聞いております。
  342. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 その場合に、財政措置については国は一切面倒を見ないということになっているのでしょうか。あるいは若干の補助をするとか交付するとかということになっているのですか。事実はどうなっていますか。
  343. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 お金の面では面倒は見ておりませんけれども、いろいろな気象データ、あるいは予想天気図とか、天気予報を出す場合に必要ないろいろなデータがございます。そういうものは全部無料で提供しているわけでございます。
  344. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 大体今までの時間、間もなく三十分になるわけでありますが、こういう質問をしたらこういう答えが返ってくるだろうなと想定したとおりの答えが返ってきておりまして、少しがっかりしているのであります。しかし、地元の三十万市民の熱望というのは大変なものでありまして、仮に日立市あるいはまた八王子市のようなシステムがとれるならそうしたいという声もあることも事実であります。その場合につきまして特に気象庁から行政指導を強力に行ってほしいなということをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  345. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 もし郡山市が日立市とか八王子市と同じようなことをやりたいというのであれば、同じような援助をしていきたいと思っております。
  346. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 一分か二分、少し余りましたけれども大体時間も参りましたから、審議協力する意味をもちまして私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。
  347. 左藤恵

    左藤主査 これにて佐藤徳雄君の質疑は終了いたしました。  次に、上坂昇君。
  348. 上坂昇

    上坂分科員 早速質問をいたしますが、まず全文を申し上げます。  国鉄労働組合員に対する本務外し、差別、選別等の不当労働行為と見られるものは、旧国鉄時代の六十二年当初から人活センターあるいは勤務不可能な地域、職場への配転、また旧国鉄関係の他企業への出向など多くの事例が見られるところでありますが、こうした措置は分割・民営化になれば姿を消すだろう、極力緩和されるだろうと期待しておりました。  ところが六十二年の四月以降JR各社になっても一向に姿を消すこともない。緩和もされず、むしろかえって激しくなり、JR各社に対する労組からの不当労働行為救済命令申し立て書の地方労働委に対する提出は、三月一日現在で実に百五十五件に達しているのであります。  特にJR東日本旅客鉄道株式会社水戸運行部の無人化駅への配転措置は異常としか言いようがありません。六月中旬及び九月下旬に私は現地を調査いたしましたが、六十二年六月二日付朝日新聞及び六月十九日号のアサヒグラフの記事報道と全く一致したものがありました。すなわち、JRに移る準備期の六十二年三月に、常磐線の無人駅四カ所、磐越東線一カ所、水郡線二カ所に対して各二名ずつの配転が行われまして、七無人駅で十四名であります。  その業務内容といいますのは、六十二年三月発行の水戸局の「無人駅の販売業務等について」という文書によりますと、一、物販すなわち缶入り商品、スナック菓子、ガムなどの販売、二番目には観光地パンフレットの配布、旅程など案内業務、三番目には駅舎内外、ホーム、駅前広場、便所等の清掃、四、その他管理駅長が指定した業務となっております。  勤務時間は大体八時から十八時三十分まででありまして、実に十時間三十分の勤務状況であります。出面は一名、要員は二名ですが、出面は一名。営業開始六十二年四月上旬。  私の調査では、管理駅があって、その駅まで行って点呼を受け、販売物品を受け取って、つり銭をもらってから配置駅に着くんです。帰りには売上伝票、売上金などを管理駅に納めてから帰途につくのでありますから、要員の中には通勤時間を含めると実に十五時間以上に及ぶ人が出てきております。今時間短縮が叫ばれている折から、まことにこれは異常としか言いようがありません。  販売品では缶ジュースだけ、スナック菓子やガムは全然売ってない。当初から取り扱っていないのでありまして、大体、駅の付近で小売店が自動販売機でジュースを売っているのでありますから、ほとんど売れない。一日に一本売れるかどうか。私の知りている常陸青柳駅というところでは十一カ月に売れたのが十八本であります。百円でありますから千八百円の売り上げ、そして二十円の利益で三百六十円。ほかの駅でも大同小異であります。これを常識外れと言わざるして何と言いましょうか。  赤井駅の調査では、乗降客と一切話をしてはならない。ジュースは売れない。そして案内もしてはいけない。ここは跨線橋がありませんから危険も多少あると思うのです。しかし、表で乗客と接触していけないのだから、表へ出てぼやっとしているわけにもいかぬ。とにかくカーテンを閉めて中に入っているしかない、これは全く異常であります。これで安全運転などと言っている人がいるんだからあきれ返って物が言えないということであります。業務とされている案内は一切やっちゃいけないのですね、乗客と接触しないんだから。  それから、私の二回の調査の後、二回調査をやりましたが、七月と十一月と十二月にその後十四名の配置がえが行われましたが、いまだに下小川、磐城太田、日立木の三駅にはそれぞれ一名、二名、二名の五名が配置されて勤務しております。  問題なのは、十四名の人たちがすべて保線区の技術職員であるということ、そして国鉄労働組合に所属しているということ、私が最も問題にしなければならないのは、我が日本社会党の党員であるということであります。これは不当労働行為の疑いだけではなくて、思想、信条によるところの人権差別、私はこう断言せざるを得ないのです。水戸運行部によると、これを適材適所だ、こう言っているのです。これはびっくりしちゃう。私は格子なき牢獄じゃないか、こう思っているわけです。我が党の土井委員長に対してのその家族の皆さんからの手紙を今大臣に差し上げて見ていただいているところであります。  そこでこの事件では、去る二月の十六日に私は八名ばかりの地元の市会議員やそれから国鉄の関係者あるいはOBの人たちと一緒に労働省に出向きまして、不当労働行為に対する茨城地方労働委員会の勧告を全然受け入れてないのでこれを受け入れるべきではないか、それからこういうおかしな配転とか嫌がらせ人事はやめるべきではないか、そういう指導をしていただきたいということを要請したのでありますが、これに対して労働省はどういう措置をとったか。また労働省のそうした措置に対して水戸運行部というところはどんな対応をしたのかということを答えていただきたい。後でいいですからね。  三月三日に東京都地労委が東日本社の住田社長に対し不当労働行為の撤回命令を行いました。これは御存じのとおりであります。この種組合側の申し立ては先ほど言ったように全国で百五十五件、こうしたものに対してはどういう措置をとるのか。東日本会社としてはこれを受けるのかどうか、ここも御説明をいただきたい常務さんはどなたですか。―松田さん、後で答えてください。  それから運輸省は、私が以上述べたようなことを今まで知っていたのか知らなかったのか。知っていたとすれば一体これを放置したのはどういう理由によるのか。いや、おれと同じことやっているんだなと思っていたのかどうかということなんですね。私たちと同じことをやってくれてありがたいと思っていたのかどうか。その辺も一つ。それからまた、指導してないとすれば今後どういう指導をされるか、このことをお答えをいただきたい。  それから大臣には、こんなふうでJR東日本社が国民に親しまれる鉄道なんというものを再建できるのかどうか、その点で所信を承りたい。  時間がないですから全部やってしまいます。  次に、六十二年の三月ですが、無人駅、常陸青柳駅というところに二名が配置されたんですが、そのうちの大津豊君という人がおります。これは下館保線区の技術者でありましたが、これが一人勤務していた三月の十三日に、実は駅構内で踏切事故が起こった。乗用車が入ってきて脱輪してしまった。そこで汽車もとまっちゃいました。さあその後やるのが大変でした。たった一人でありますから、あっちこっちの連絡からその始末から、もう大変な苦労をいたしました。しかし、応援が来るまでに未然にこれを防いでしまったのです。交通渋滞の整理から全部一人でやったのです。そのために大津君に対しては、その沈着果敢な事故処理の行為に対しまして実は当時の水戸鉄道管理局のいわゆる運輸長、この人は綿引操という人ですが、この人の名前で賞状を出しておるのです。「あなたは業務上特段の貢献をしたのでこれを賞します昭和六十二年三月三十日」というのです。これに対して大津君は何と言っているかというと、いや私は職員として当たり前のことをやったんです。賞状をもらうというのはちょっと面映ゆいのです。このくらい立派なことを言っているのです。  それにもかかわらず、この大津君に対しては職員となじまないと言うんですからね。そういうふうに判断する、なじまない。それから勤務成績が著しく不当だ、こういう理由で一年間青柳駅に持っていかれた。いわゆる隔離された。格子なき牢獄に入れられていたわけであります。期末手当も大体五%カットされている。どうでしょうね、これ。どうしてそういう嫌がらせや差別とかをやるのか、どうも私にはわからないんですね。  自分の会社の職員を信頼しない、それから思いやりもかけない、こんな非人間的な扱いをして何とも思わない経営者がいるような会社は決して栄える道理はないと私は思うのです。一年か二年は十万人首切ったからもうかるかもしれないけれども、こんなのもうかりっこない、将来はだめになっちゃうと私は思う。口先ばかり顧客に対するサービスだとか、こんなこと言ったって信用できるわけがない。だから、安全運行は怠ることになります。私はこういうふうな考え方を持っている、大臣そう思いませんか。  こんな事例や、先ほど申し上げました安全運行にかかわる事故、これはもっともっとたくさん、いっぱいあります。ただ、時間がないから出さないだけであります。これについて大臣はどういうふうに思われるか、また私が今申し上げたことについて、常務さんからでいいですが、松田さん、どういうふうにこれにお答えになるか、まずここで二問答えてください。
  349. 渡邊信

    ○渡邊説明員 JRの東日本水戸運行部に係ります労使関係の問題につきましては、先生今お話しありましたように、二月十六日に先生や国労水戸地方本部の方々が御要請に労働省にお見えになりました。労働省としましては、これをお受けいたしまして、御要請の趣旨をJR東日本の人事部と水戸運行部にお伝えしております。また、現に労働委員会に係属している事件について、労働省がこれは不当労働行為であるとかないとか言う立場にはございませんが、一般論といたしまして、厳に不当労働行為にわたるような行為のないように申し伝えてございます。
  350. 松田昌士

    ○松田参考人 幾つかの御指摘をちょうだいしておりますので、多少順不同になるかもしれませんが、お答えを申し上げたいと思います。  一番最初の、水戸でジュースを売っておるというところの事件でございますが、私どものところ、四月になりましてから、鉄道だけじゃなくて、関連事業というものについてのノーハウを身につけさせ、マナーをよくし、教育をするというためにいろいろなところで仕事をさせておるのが実情であります。駅を清掃するのも、それからジュースを売るのも、これも一つの、言ってみればOJTといいますか、実地教育の一つであると考えております。そういう中でこれから総合力として会社を発展させようと思っておるわけでありますから、決して御指摘のように社会党員であるから差別をしておるなんということはございません。  さらに、何か八時三十分から十八時三十分までの異常に長い労働時間である、こう言っておりますけれども、これは就業規則の中にきちっと入っております勤務種別でございまして、ほかにもこういうような形で勤務しておる例はたくさんあるわけであります。私どもの中ではC型勤務というものの一つでございますから、特に御指摘の方に不当に長い時間を勤務させておるということではございません。  それから、先ほどの二つ目は、踏切事故で表彰された人間のボーナスというものが下がっておる噂のお話でございますが、私どもの新会社は四月一日からでございまして、四月一日から五月三十一日までの勤務成績というむのを総合的に勘案して夏期手当というものの増減を行うということになっております。国鉄時代にそういう形で運輸長の即賞という表彰を受けたにもかかわらず、夏のボーナスが変動するのはおかしいというのは、ちょっとこれは対象が違う件であろうかというふうに思います。  それから、過日都労委から出ております救済命令でございますけれども、私ども内容を詳細に検討しておりまして、期限までの間に私どもの会社としての態度を決めようというふうに思っております。十五日以内ということでございますので、なお数日間検討した上で態度をはっきりさせたい、こう思っております。  それから、いろいろ不安全であるということを申されましたが、私どもは決してそう思っておりません。安全というのは私どもの会社の基本でありますし、安全こそが私どもの最大の商品の特徴でございます。むしろ、国鉄の時代よりもJRになって安全は高まっておる、事故も減っておるということが自信を持って言えることでありまして、何か特に不安全な、あるいは安全をないがしろにしておるというのは、いささかこれは先生の思い違いではないかと思います。  いろいろと、まだJRになりまして一年でございますから至らない点がたくさんあるかと思いますが、過日新聞に出ておりましたように、約六割の利用される皆さん方が過去よりよくなったとお思いいただいているわけでございまして、私どもなおこれから至らない点はどんどんと直しつつ、努力をしていくつもりでございます。
  351. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど先生が御指摘になられました水戸の具体的な事案の、その詳細の問題につきましては、個別の問題につきましては私ども承知しておりませんが、現在、茨城県の地方労働委員会で係争中の事件であるということは承知いたしております。それで、私どもといたしましては、現在係争中の事柄につきましてコメントは差し控えさ起ていただきたいと考えております。
  352. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 先ほど松田常務も申されましたが、先般の世論調査を見ましても、国民の過半は新生民営のJRを非常に評価しておることはもう間違いございません。今日のJRに対して、いろいろ政治的な立場から視点も違うこともありましょうけれどもしかし、国民はこれを公平に判断し、評価しておると思います。国民にしてみれば、かつての国鉄の態様はやや狂態に近いものに映ったと私も思いますし、そういう過去の印象を踏まえて国民が今日のJRを非常に高く評価しておることは、もう当然だと思います。  また、今、丹羽総括審議官が申しましたが、いろいろ労務問題があるとは聞いておりますけれども、これはあくまで、民営化し私企業になった各JRの自主性にのっとりました経営判断によって対処をされるべき問題だと心得ますし、その限りでは、私たちは今は論評することを差し控えたいと思います。
  353. 上坂昇

    上坂分科員 去る六十三年二月十四日ですが、私の地元のいわき市の四倉町に住む植田敏夫君が、同じ市内の平窪地内というところで自分の車の中でガソリン焼身自殺を遂げました。彼は平運転区の機関士でありまして、現在はボイラー部門を担当しておりました。労組は動力車労組に所属しておりますが、妻、それから一男一女の子供が二人、年老いた父母がおります。四十七歳。職場に出勤途中で、十一時五十分ごろに発見されました。ボイラーの仕事がなくなったらどうするかなどと上司から言われていたというふうに聞いております。ぐあいの悪いときも、ここは病院じゃないんだから職場を転換した方がいいだろうなんて言っている職場の上司がいたということも、みんな話しているところであります。  この死亡に対して、招待された席なら欠かしたことがないと大変評判の高い水戸運行部長は、この部下のお通夜にも告別式にも姿を見せなかったのであります。代理で済ませたつもりなのでありましょうが、お線香の一本も上げる気持ちはなかったのだろうかと、私はあきれ果てているのであります。この部長は名前は何というのですか。途中だけれども、ちょっとお尋ねします。
  354. 松田昌士

    ○松田参考人 東光と申します。
  355. 上坂昇

    上坂分科員 今東光さんと同じですね。  この平運転区では、同じ職場から、五十八年の十二月三日に四十三歳の人がガス自殺、五十九年十月十五日に四十歳の人が投身、六十一年八月一日には四十三歳の人が首つり自殺、今回で四人目、みんな四十代の働き盛りであります。この人たちは私はみんな知っています。列車を運転する人がノイローゼになったり体を悪くして、悲観をして自殺をするということがある。考えると、どうもそういう原因をつくり出しているものがあるのではないか、あながち本人たちのせいばかりではない、こういうふうに考えざるを得ない。  これらの人たちは私はみんな知っているのですが、こういう状況運輸省としては一体見逃していいものか。運転の機関士が体を悪くしたりノイローゼになったりしたら、いつ、どこで、どういう事故が起こるかわからない。しかも、今運転士は一人でありますから、全く安全運行どころの騒ぎではないと言わざるを得ない。国鉄以来、特に分割・民営化の動きが出てから、自殺者は全国で既に二十八人に及んでいるということでありますが、これは認めてもらえるだろうと思うのです。  昔、「鬼の動労、仏のケサジロウ」という言葉があったんですね。どんなに闘いを激しくやっても慈悲の心は持っていたんです。この東光さんという人は慈悲の心が全然ないんですね。こんなふうだからこうした事件が、自殺とか何か出てくるのじゃないかと思うのです。組合つぶしや不当労働行為、それからさきの格子なき牢獄的配転が日常茶飯事に繰り返されていると言わざるを得ない。  こんなことを東京本社の首脳部も知らないはずはないと私は思うのですが、自己の社員をいたわり、社員の仕事をやりよくし、職場を明るくさせ、職員の業務遂行に正当に報いるという立場や営業の方針があって初めて職員協力が得られ、JR各会社の目標である鉄道の安全運行、サービス提供の実が上がると私は思うのですが、今のような状況で国鉄以来の企業の再建、営業の向上を図ることができるのでありましょうか。これは総括審議官にお伺いしたいと思います。  去る二月二十六日、私の地元で鉄道の公共交通・安全輸送を守る相馬地方共闘会議というのがありまして、そこの議長さんを中心にして数人の人が、市町村会議員を含めまして、各現場の長に交渉した。原町保線区、原町通信区。そうしたら、原町保線区では焼きそばを食べながら応対しているんですね。目覚まし時計を五分間セットして持ってきて、これがジーンと鳴ったら帰ってください。最後に下へ降りてきて組合員にあいさつしたら、表に出ろ、やくざ並みの言葉なんですね。もう地元の人は大変憤慨しています。  私の地元のいわき市でも、これも平保線区に行ったんですね。そうしたら、二十分立たせて、私は権限ないんだ、水戸運行部の広報室に行ってください、こうですよ。もう何もしないのです。そして、自分たちの上司に伝えるということも言わないわけだ。ここには市会議員がみんな入っているんですね。五人もいるのです。JRに対してはもう協力しないぞと怒っていますよ。  湯本駅長は、名刺をちゃんと入れたのに見もしないで、あなたたち利用者だとは思わない、帰ってください、退去してください。これはテープにとってありますが、これは水戸運行部の方からこうやれという指令がちゃんと出ているんですね。こういう地域人たちと溶け込むことができないような状況で、利用者に対するサービスはどうなんだろうと言って、先ほどうまいことを言ったけれども、そんなふうにとてもじゃないが思えないんですね。  今常磐線の特急、私は十五年間、毎週乗っている。その中でずっとコーヒーが販売されているんですね。このコーヒー、最近はカップの中身が少なくなっちゃった。何でかというと揺れてこぼれてしまうから。そこで六分目ぐらいしかコーヒーをつがないんですよ。ポットから。これは本当なんです。みんな知っているんですよ。このごろ少なくなったなと言っているんです。それほど揺れるんですよ。大臣、常磐線に乗ってごらんなさい、こうやってつかまって歩かないととても歩けないのです。そのくらい揺れがひどいのです。JR、あなたのところの職員が、上坂さん、いつ脱線するか、ひっくり返るかわからないよ、こう言っている。私もおっかなびっくり乗っているんだ。  こんな運行状態の反面、一方では青函トンネルを走って上野から北海道までノンストップで、特急で、個室で、シャワーつき、そして七千円のフランス料理を用意しているなんて言って、ホテル並みだなんて威張っているのだけれども、私はもっと違ったところに力を入れるべきではないかと思うのですね。常磐線は本当に危ないんですからね。  聞くところによると、JR発足一周年記念行事、もちつき大会、地酒祭り、郷土芸能、駅コンサートなどのお祭りをやるんだそうです。大体水戸だけで三千万円をかけるというんですね。先ほどの不当労働行為にはJR各社で五億円を使ったと言われている。こういうばかばかしい金をとんでもないところに使いながら、こんなに揺れて、コーヒーも全然飲めないような状況にしておいて、それで先ほど言ったように安全だ、松田さん、何を言っているのかと言わざるを得ないのです。  もう一つ。今度オレンジカードの販売が社員の目標にされているのですよ。上期下期各十万円ずつ、達成すると報償金が出るんだ、バックペイがあるのです。それでも田舎では売れないですよ。したがって、年休を使って上京して、親戚とか友人なんかに売っているのです。ところが、これの達成ができない人は名前を張り出しちゃうのです。そして、これからの勤務状況のいわゆる採点の資料にする、こういうのであります。まことにひどい話で、これは二月二十五日の「いはらき」新聞にちゃんと出ているのですが、これは増収活動という名前で呼ばれているのですね。こんなようなオレンジカードで収入を図るというのです。「増収活動は勤務時間内にはできないのに、参加しないからと名前を張り出すのはタダ働きの強制であり、人権侵害にも当たる」。だれでもこう思っているのですよ。こういうようにちゃんと新聞にも書いてある。そういうことが日常茶飯事に行われているのがJR各社であるということなのであります。  そこで、こうしたJRのあり方を、会社の言うことばかり信用しないで、やはり我々毎日乗って歩く住民とか利用者の立場も信用なさって、国鉄よりはよくなったかもしれないですよ、分割・民営化したんだから。よくならなければ分割・民営化なんかする必要はなかったんだから。だけれども、まだまだ危ないところはたくさんある。だから、労働者いじめをやらないようにして、こういう交通安全を真っ先に取り上げて、松田さんが言ったような方針でやってくれというのが私の考え方なんだ。そこのところについてどういう御指導をなされるか。私が今まで申し上げたことに対して大臣はいかなる感想を持たれるか。これはお答えをいただきたい。
  356. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど先生の御指摘の中に私の答弁をというお話がございましたので、まず答弁させていただきます。  自殺された方が出られたということはまことに痛ましいことだと感じております。JR東日本といたしましても、自分の社の社員のことでございますので、こういう自殺という不幸な事態の発生を未然に防止するためにいろいろと対応を今しているということを聞いております。今後ともその努力を続けていただきたい、かように感じております。
  357. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 JRに限らず、民鉄に限らず、空も海もそうでありますけれども、運輸業務というのはあくまでも安全性を絶対に目的として、そしてまたJRの場合には前と違いまして分割したことでもございますので、地域性に密着したサービスをこれからも開拓して、ひとつ国民の評価を得ていただきたいと思います。過去が過去でございますから、いろいろトラブルの中での人間の感情もあると思いますけれども、ひとつそういう恩讐を超えてこういう問題を冷静に解決していっていただきたいと思っております。
  358. 上坂昇

    上坂分科員 どうせいい答えは返ってこないと思うから、あなたのはいいや。  どうもありがとうございました。
  359. 左藤恵

    左藤主査 これにて上坂昇君の質疑は終了いたしました。  次に、森田景一君。
  360. 森田景一

    森田(景)分科員 私は、鉄道新線の建設問題についてお尋ねしたいと思っております。  その前に、今まで国鉄でございましたから運輸省でいろいろと直接指示ができたと思いますけれども、今度JRとなりまして民間鉄道と同じ立場になりました。それで、運輸省としてのこうしたJRあるいは私鉄、そういったところに対する権限、これは通告してありませんでしたので資料がお手元にないかと思うのですけれども運輸省の権限というものをまずお聞かせいただいておいて、それで、その範囲でないと質問ができないんじゃないか、こう思いましたものですから、最初にお聞かせいただきたい。
  361. 熊代健

    熊代政府委員 先生御承知のように、昨年の国鉄の分割・民営化のときに、それまで国有鉄道法それから地方鉄道法と二つに分かれておりましたものを鉄道事業法という形で一本にいたしました。したがいまして、新線の建設につきましては基本的に事業の免許を、法律学的に言えば特許に当たると思いますが、免許を得るということが先行いたします。それに従って工事計画とかということで基本的には進んでいく。鉄道事業法の仕組みといたしましては、基本的に受けて立つといいますか申請主義でございます。したがいまして、申請があれば受けるという格好でございますが、その中で我々としては、運輸政策的にどうやっていくべきかということで運輸政策審議会に諮りまして、例えば東京圏につきましては、六十年の七月に昭和七十五年に向けてこういう鉄道を整備していくべきだというあれをいただいております。そういうことに従って、JRにいたしましてもあるいは民鉄にいたしましても、基本的には行政指導的なことを地方公共団体を含めましてやるという立場に立つということでございます。
  362. 森田景一

    森田(景)分科員 結局運輸省としては鉄道新線については免許を与える、これが直接の権限である、あとは行政指導である、こういう御答弁だったと思うのですね。そうすると、これから鉄道新線の建設については運輸省に余り多くを期待できないんじゃないかな、こんなふうに思って心配しておるわけなんです。  実は今お話がございましたように、運輸政策審議会で六十年の七月に答申がございました。東京から埼玉県、千葉県、茨城県に通ずる常磐新線を建設するという答申がありまして、今お答えいただきましたように十五年間で建設をしよう、こういう答申があったわけでございます。私どもは、先ほどもお話がありましたが、常磐線を利用しております関係上大変深い関心を持っていたわけでございます。御存じのとおり、常磐線は乗車率二八〇%といいますから日本一混雑のひどい鉄道であるということで、国鉄時代から第二常磐線、そういう形で早く新しい鉄道をつくってほしいという要請が地元から起こっておりましたし、また地方公共団体も含めてそういう運動が行われてきたわけでございます。運輸政策審議会の答申があったら途端に民営化されてしまった、こういうことで、さあ、いつになったらこれができるのだろう、地元としては、運輸政策審議会の答申どおり少なくとも十五年以内にはぜひ新しい鉄道を走らせてもらいたい、こういう大きな要望があるわけなのでございます。  そういう経過は御存じだと思いますのでお答えいただきませんけれども、それについては今申請主義だということをお答えになりました。答申はありましたけれども、この新線を建設する者、建設主体というのでしょうか、これをどういう形にするかというのは運輸省で指導していく、そういうお立場なんですか。それとも答申はあったけれどもあとは申請があるまではどうにもならない、こういうものなのでしょうか。
  363. 熊代健

    熊代政府委員 今御指摘の常磐新線と呼んでおりますけれども、この線につきましては、御指摘のように茨城県から千葉県、埼玉県、東京都と一都三県が関係いたします。  それから、建設主体は鉄道事業法で業種を一種、二種、三種という分け方をして、建設を推進するためにそういう区分を新たに設けたことがありまして、これを建設するとした場合に考えられますことは、JRの常磐線の別線という考え方でJR東日本がみずから一種事業者として建設もし、運営もするというやり方と、それからだれか第三セクターなどをつくってこれが三種事業ということで建設をする、運営は、使用させるあるいは譲渡するという格好でJR東日本がやる、こういう二つが考えられると思います。  これらにつきまして、今申し上げたように一部三県、JR東日本、それからなお北千住あたりで東武線とも絡んでまいります。そういったことで関係者が多い。したがいまして、六十年の運政審の答申の中でも第三セクターの方がいいのではないか、当時国鉄であったということもございます、そういうニュアンスが強うございます。それに対して、これは一都三県及びJR東日本が基本的に合意していただかないと、国の事業としてやるというものではございませんであくまで地方の地域のための鉄道というのが大前提にありますので、それについて我々としては、これは土地の問題も絡んできておりますけれども、できるだけ早くということで、今申し上げたような主体をどうしていくかということについてもできるだけの合意を早く得るように側面的にプッシュする。  それから、この線につきましては、我々の試算で六千億程度かかるということですが、地価が高騰しておったりしますとさらにかかる、その財源の問題あるいは経営を成り立たせるためにどういうような受益負担をしていくか、それから宅地の開発と整合性を持たしていかなければいかぬ、それに対してどういうふうにやっていくべきかというようなことで詰めなければいかぬ問題が非常にある。これらについて、今申し上げた運輸省が直接建設する公共事業的なものではないものですから直接というわけにはいきませんが、運政審の答申の中でも非常に重要なものとして取り上げて、これの推進についてこういうことを検討しろということも言われていることもございまして、我々として、それを前に進めるために関係事業者間の検討委員会を設けて、鋭意今申し上げたような問題点につきまして詰めをしてもらっているということでございます。
  364. 森田景一

    森田(景)分科員 状況はわかります。実は御存じと思いますけれども、JRになりましてから一都三県の方々は一日も早く常磐新線の建設に着手したいという意向で、今お話がありました第三セクター方式でやらざるを得ないだろうということで調査会社をつくる、こういう計画になりました。東京、千葉、埼玉、茨城、一都三県で二億円、そしてJRの方からは日本開発銀行が一億円を出すということで、これは予算まで組んだわけです。ところが、土壇場になりましてJR東日本が国の方の助成制度がはっきりしないということから参加しない、こういうことになりまして、これが設立できなくなってしまった。地元にとりましては大変大きなショックだったわけでございます。その後運輸大臣にも陳情もしたようでございますけれども、今お話がありましたように調査機関をつくるということで、今調査機関でやっているわけですね。少なくとも建設しよう、するんだという意思があるならば、せっかく予算まで三億円の調査会社をつくるということで組んだんですから、しかも話し合いの段階では合意もしたわけです。どうしてJR東日本がこのように拒否したか、いきさつ御存じでしょうか。
  365. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘のように、六十二年度予算、今年度予算を組みますときに、鉄道を開銀の出資対象にするということと、その中に、常磐新線について第三セクターを設立し、それに出資を予定して一億円、こういう開銀の出資対象にするということで額は一億円、そういういきさつがありました。このときは御承知のようにまだ国鉄時代でございました。したがいまして、六十年の答申をいただきまして、六十一年の一月から運輸省それから一都三県の関係者で検討会を持たざるを得なかった、現在のJR東日本を加えるわけにはまいりませんでした。そういうことで進めて、地方公共団体と我々とで大体方向づけをして予算を要求し成立を見た。  それに対しまして、新規に発足しましたJR東日本というのは、御承知のように、そういう非採算なものを無理無理つくらせるということであってはならないという趣旨も一つあったわけでございますけれども、新しい経営主体になりまして、常磐新線が長期的に必要であるということは、これは一致しておりました。今でも変わっておりません。ただ、常磐線の輸送力増強、十五両編成ですとかさらに本数をふやすとか、こういうことをやってまいっております。これは計画的に、六十年のときにも基本的にあったわけでございますが、その本数の上限が、その時点で予定されておったもの以上にはふやせないという前提であったのですが、JR東日本になりましてから、さらにJR東日本として改めて検討をやったところ、実は信号等にある程度の金をかけて改良すれば本数の増加がさらに可能だ、そういうことが出てきたという問題。  それから我々としては、一都三県にまたがりますし、事業主体、運営主体につきまして基本的にどういう問題を解決しなければいかぬかということを第三セクターで、つくってからやったらどうだという考え方でございましたが、JR東日本としては、そういうものが調査ということでできても既成事実になってしまう、それよりも前に主な検討しなければいかぬ事項をあらかじめ詰めておきたい、こういうことになりまして、今申し上げたように、我々としては、ただいつまでも延ばすわけにいかないということで、JR東日本も当然入ってもらって、基本的にやるということでは一致しておりますので、それについて早く問題点の解明といいますか、その中には、当然JR東日本としては、国は何をやってくれるんだ、地方公共団体は何をやってくれるんだという問題もございますが、それらを含めて大きな問題のある程度合意を得てからかかるということになった次第でございます。
  366. 森田景一

    森田(景)分科員 それで私、今のお話を聞いて不思議に思うのは、この第三セクターの調査会社をつくると既成事実になる、既成事実になるからつくらないで協議会でやるんだ、こういうことなんですね。ところが常磐新線は、運政審の答申では十五年のうちに建設すべきものである、こういう答申なんですよ。十五年でやるというのはかなり大変な仕事になるわけですから、少なくとも既成事実としてやらなければならない問題ではないのですか。それが、そうなると既成事実になるからできません、こういう論法は私は非常におかしいと思っているのです。いかがでしょう。
  367. 熊代健

    熊代政府委員 私の舌足らずであったかと思いますが、既成事実というのは、前の国鉄時代と同じように、とにかくつくるんだ、採算がとれてもとれなくても、借金でやれというような話に落ちつくことになりかねないので、それについてはJR東日本としては出資に参加するわけにいかない、事前にある程度の問題はクリアしてからかかりたい、こういうことになったことでございまして、やること自体をJR東日本が反対しているということではなくて、採算というものをあくまで頭に置かざるを得ない、それについて大まかなりなんなりにしろ、確信を持てるところまである程度詰める必要がある、こういうことでございます。
  368. 森田景一

    森田(景)分科員 頭脳明断な大臣、今やりとりをお聞きいただいておかしいなと思いませんか。つくるというのは運政審で決まっている、しかもその必要性はJR東日本も認めている、だけれども調査会社をつくると既定事実になるからそれはできない。随分おかしいと思いませんか、率直な話。
  369. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 運政審でそういう決定をした後に国鉄の大改革があったわけでありまして、今、局長が申しましたように、以前は非常にやみくもに新線をつくって、またそれで赤字を生んでという形がありましたものですから、JRとしても殊に慎重にならざるを得なかったと思います。言うにやすく行うに非常に難しい計画でありまして、東京都内の立地など、土地の収用といいますかこれも大変お金がかかる。どれだけかかるかちょっと予想もつかぬ。大体概算は立つでしょうけれども、そこら辺と、収支の見込みその他採算、なかなか難しい問題があってつまり、まさに既定事実として足かせ手かせということは困る、新生JRとしては及び腰になったのは否めないと思います。  ただ、加えて申しますと、私もちょっと必要があって一昨年の暮れに常磐線に乗りましたが、これはもう非人間的な混雑でありまして、整備新幹線も必要かもしれませんけれども、東京の特に東部の、非常に不便なあの交通網というものを一刻も早く整備しなくてはならない、これはもう本当に焦眉の問題だと心得てはおります。ですから、これから督励もしまして、できるだけ早い形でその実現にこぎつけたい。国土庁長官の奥野さんも非常にそれを要求しておられますし、筑波学園都市などあそこの活用のためにも、この新線はどうしても必要だという認識は強く持っております。
  370. 森田景一

    森田(景)分科員 私がお尋ねしたこととはそれていらっしゃいますけれども大臣の方も、極力早く促進していきたいという御趣旨だと思いますので、ぜひ大臣在任中にそういう方向をつくっていただきたい、このように要請しておきたいと思うのです。  今土地の話が出ましたけれども、鉄道新線の計画がありまして、いよいよ着手するということになりますと、用地買収というのは非常に大変な仕事になるわけです。これも担当者にはお話ししておきませんでしたからそちらには何にも用意がないと思いますが、今土地の取得の方法としては、国あるいは地方公共団体では都市計画法に基づいて先買い権というのが認められている。この先買い権を鉄道会社にも認めよう、こういうことで政府の方針が一致したというふうに聞いておりますけれども「これは事実でしょうか。内容についておわかりでしたら御報告いただきたいと思います。
  371. 熊代健

    熊代政府委員 新聞に一部そういう報道がなされたことは事実でございますが、先生御指摘のとおり、鉄道をつくります場合に用地を取得、確保するということが河よりも重要なことになっております。現実に、用地なり地上権の取得に時間がかかったために開通が非常におくれる、あるいはそれが採算にも非常に悪影響を及ぼすといったような例が出てきているわけでございます。  先ほど大臣からもお答えいたしましたように、地価の問題を首都圏で解決する場合に、かなり大量の優良な宅地を計画的に供給する必要がある、それにはどうしても高速鉄道が必要だ、したがって、これらを一体的にやっていくシステムというものを考えるべきだ。そういうことで実は建設省と運輸省とで、目下のところはその二省ですが、あと問題に関係する省庁もいろいろ出てくると思いますが、とりあえずそこで用地の取得とか宅地開発と一体的にやらせるシステムをどうしたらいいかということをやっております。  その中に一つの検討課題として、鉄道事業者がこれらの用地を確保するために、土地区画整理関係の場合の公共減歩といいますか、減歩の対象施設として鉄道用地ができないかとか、あるいは先生御指摘の、鉄道事業者に先買い権というものを与えられないかといったような問題を大きな検討課題として検討しておりますが、先買い権を認めることができるとか「あるいはそれについてやりましょうとかというところまではまだ結論を得ておりません。
  372. 森田景一

    森田(景)分科員 多極分散型国土形成促進法案(仮称)と言われていますが、これが出る予定にはなっているわけですね。その中に、先買い権の形で「鉄道整備と一体の新市街地整備のため、鉄道事業者等による用地取得の円滑化を図る」ということを盛り込む、そして新しい法案は次の国会に出す、こんなふうに聞いているわけであります。これは間違いありませんか。
  373. 熊代健

    熊代政府委員 いわゆる四全総の推進法案ということで国土庁が目下鋭意準備中の法案の、先生御指摘のあれは中間段階でのお話かと思います。いずれにしましても、条文等につきまして、それが正確かどうかというのは別にいたしまして、その四全総を促進をするための法案に、宅地開発と鉄道開発を一体的に進めることを国としても措置すべきというような内容に恐らくなると思いますが、そういった条文を入れる。それに対しまして、先ほど申し上げたような関係省庁でいろいろ法的に詰めなければいかぬ問題が多いものですから今国会というわけにはまいらないのですが、来国会に向けて今申し上げたようなことを詰めた法案を提出したい、そんなふうに思っております。具体的にお読み上げになったのは、その中間的なあれだとは思います。
  374. 森田景一

    森田(景)分科員 もっと細かくお尋ねしたいのですが、時間の関係であと絞って質問させていただきます。  一つは、JR東日本が常磐新線を渋っている理由は、先ほど大臣からお話がありました整備新幹線、これを建設させなければこちらをやりますという、これはお名前を申し上げるわけにはいきませんけれども、JRの幹部はそういう考えを持っていらっしゃる。この整備新幹線はどこがやるのですか、大臣
  375. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 整備新幹線の問題につきましては、現在、政府・与党の間で考え方をまとめた刷り物がございまして、それで整備新幹線建設促進に関する検討委員会、そういうのをつくりまして、その中で整備新幹線をどう取り扱うかという話を今後詰めていくことになっております。それで、整備新幹線自身の建設主体の問題につきましては、これは鉄道建設公団が行うということで既に決着しております。それから、運営主体をどこにするかということに関しましても、各JR会社の担当の領域内の整備新幹線につきましては、その運営主体としてはその担当のJR会社がやる、ここまでは決まっております。
  376. 森田景一

    森田(景)分科員 もう時間がないのでほかのはやりませんけれども、今のお話、整備新幹線は鉄道建設公団が建設するというのが決まっている。それならば常磐新線だって鉄道建設公団でつくらせればいいじゃないですか。どうなんですか。
  377. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま私がお答えしました問題は、法律上の措置といたしまして建設主体は国鉄改革関連法案の中で鉄道建設公団と決めたわけでございます。常磐新線の問題につきましては、まだそこまでの、いろいろな法律上の措置にしろ何にしろ未熟の段階ではないかと考えております。
  378. 森田景一

    森田(景)分科員 大臣、先ほども申し上げましたけれども、そういうふうに片っ方は鉄道建設公団である、しかもいつできるかわからない。常磐新線の方はやればすぐできるし、これは旧国鉄時代であっても採算に乗る路線である、こういう状況でございますので、ひとつ格段の御検討をお願いしまして、一日も早くこれが建設主体が決まり、また予定どおり建設が進むように御努力をお願いしまして、質問を終わります。
  379. 左藤恵

    左藤主査 これにて森田景一君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  380. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 JRの総武線の問題ですが、通勤通学者の安全対策、それから利用者サービスに関連してお尋ねをいたします。  まずJR東日本の総武線の西船橋駅の問題であります。西船橋駅は昭和三十三年に駅が新設されまして、そこに昭和四十四年に営団東西線が乗り入れてまいりました。続いて昭和五十三年に武蔵野線が開業します。さらに昭和六十一年三月には京葉線の暫定開業がありまして、これら各線の乗りかえ駅になりまし利用者も大きく膨れ上がっております。六十一年度で見ますと、総武線西船橋駅の乗車人員は、総武線の中で船橋駅、津田沼駅に次いで三番目に多く、一日に十万五千四百人となっております。ところが、この駅の方は大分老朽化が進んでおりまして、利用者にとっていろいろの被害を生じさせているというのが現状であります。  まず駅に入る北口の階段でありますが、ここは屋根もなくて、階段が傷んで、でこぼこもできて、階段の乗降に当たって毎日人が転倒するというような状況であります。北口階段の傷みを直ちに補修する。そして雨などが降ると傷みも早いと思いますので、階段の上に上屋をつけてもらいたいというのが利用者の強い要望になっているわけでございます。これを実現してもらいたいと思うのですけれども、どうお考えであるか、お伺いいたします。
  381. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生のお尋ねでございますものですから、JR東日本に今の点につきまして照会いたしました。その結果は、西船橋駅の北口階段の安全性の問題につきましては、会社としては特に問題はないと考えておりまして、乗客の事故などにつきましても駅長に特に報告がないというような形で聞いております。  それから、雨漏りの件につきましては、昨年十月、ホーム上屋等三カ所につきまして補修工事を行っているというふうに聞いております。
  382. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 そうすると、今の雨漏りは直ちに直すという報告でございますか。
  383. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 昨年十月に三カ所の補修工事を既に行ったというところでございます。
  384. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 駅の方にも一カ所残っているというふうにこの前、私JRの方から聞いて、これをやると聞きましたけれども、これが確認されていないわけですか。
  385. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 冒頭に申し上げましたとおり、昨日の段階でJR東日本に問い合わせたところでございます。それで、その三カ所の補修を昨年十月に行ったと聞いております。
  386. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 それは私が三、四日前に聞いたことですから、もう一遍確認して直すべきものは直すというふうにしていただきたいと思います。  それからもう一つ、雨漏りというのもぽつぽつかかってくるというわけでなくて、どんとかかってくる。たまって、それが一遍に落ちるということからでしょうけれども、晴れ着を汚したというようなことで非常に怒っていた人もいたわけです。そういう意味で、もう一遍ちゃんと確認して、補修をさせていただきたいということを申し上げたいと思います。  それに関連してですけれども、武蔵野線がこの西船橋駅のすぐ近くで、千葉街道、十四号線の上を通るわけですが、その国道の歩道を、その下を歩いておりますと突然雨水でしょうか落ちてくる。これは雨の日というわけではなくて、天気の日にもやはり水が落ちてくるということがあるわけで、これも早急に解決すべき問題である、このように考えますが、この点はどうでしょうか。
  387. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの御指摘の件は私ども特に承知しておりませんが、なお照会するようにいたします。
  388. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 照会して、ぜひ補修をして、鉄道のために被害を受けるということがないようにしていただきたいと思います。  それから次に、西船橋駅の第二ホームの照明の問題です。  これは千葉の方面から東京の方面への上り線、緩行線だけですが、この発着ホームでありまして、三番線、四番線というところであります。朝のラッシュには非常に混雑するところであるわけです。ここは、北側の方を第一ホームと言っておりますが、それからその次の第二ホーム、東西線側を第三、第四、こうなるわけですけれども、ちょうど真ん中にありまして、上は駅舎になっておりますので、第一ホームや第三、第四などに比べますと非常に暗いところになっているわけです。要するに、外からの明かりが入りませんし、上の方は駅舎の関係でともかく暗くなっております。通勤通学時間にはホームに人があふれるわけですから、暗い状態というのは非常に心配で、駅員の人に聞いても非常に心配だということを言っておられました。  暗いということが関係あるとも言われますけれども、一昨年この線路で自殺者も五人出たというふうに聞いているわけです。そういうことを考えて、利用者の間で照明が暗過ぎる、暗くて危険の心配がある、こういうことで、照明を明るくつけるようにという要望がありますし、またその対策が必要であると思いますが、この点についてはどのようなお考えですか。
  389. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 これも先生のお尋ねでございますので、私どもの方としてJR東日本に照会いたしました。JR東日本としましては、現在の西船橋駅の第二ホームの照明につきましては、特に安全上暗いというようなことで問題があるというふうには考えていない、こういう回答でございます。
  390. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 その駅の人はなれているということかもしれませんけれども、本当に利用する人にとっては、やはり線路などは夜はよく見なければ見えないという暗さなものですから、その点はJRの言葉だけではなくて、安全という立場から運輸省が点検するなりして調べていただきたい。そして安全対策を講じていただきたいということを申し上げたいと思います。  次は、お隣の船橋駅の問題であります。この駅は総武線で一番利用者が多いわけです。六十一年度では一日十三万五千九百人という乗客の数になっております。この船橋駅は東武線との乗りかえ駅になっておりますが、乗りかえのときに東武線から総武線に乗る場合、あるいは自由通路になっておりますから、北口から来て総武線に乗る場合、乗車券を買おうといたしますと、自動券売機が南口にしかありませんので、ラッシュのときなんかは南からどっと来る人、そういう中で北の方から南の券売機の方に向かっていく人、大量の人たちが南北に交差して歩いて、買わなければならないわけです。それは人間同士が衝突をしたりしていろんなトラブルも起きるようであります。こういう状況ですから、北口の方から来られる人の間では、この自動券売機を北口の方にも設置してもらいたいという要望が強いわけであります。  JRの方に聞きますと、設置場所の問題があるということを言われますけれども、駅の状況を見ておりますと、改札口に向かって右側の方が駅の建物になっておりますが、そこのところは券売機を設置できるような場所になるんじゃないかと私など見て考えるわけですけれども、そういう状況ですから、北口の方にも券売機を置くというような御指導を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  391. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 船橋駅の北口は今、先生の御質問の中にもございましたように、東武鉄道と接している場所でございますものですから、そういう意味ではJRの方のスペースといいましょうか、そういう設置の場所というのが限られてくるわけでございます。そういうことでJRの用地、自動券売機を置く用地が今のところ見当たらないということと、それからもう一つは、ここはコンコースになっているわけでございますから、そこの旅客の流動との関係で、北口の設置というのは現在のところは非常に難しいのではないかということをJRからは聞いております。基本的にはその辺は会社の判断であり、会社の責任で考えるべき問題ではないかと思っております。
  392. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 現実に十三万というような人が乗車いたしますし、そのうちの大半が朝でありますし、そういう中ですれ違うわけですから、本当にこれは、北口の皆さん方の要望というのは強いと思うわけであります。そういう点から、駅の方にも私たち要望を出すようにいたしますけれども運輸省としても、みんなの安全と利便というようなことから努力をするような御指導をお願いしたいと思うわけであります。  次は、総武線全体の問題ですけれども、総武線にはエスカレーターがないという問題です。  これは新しく快速線が走ります馬喰町や新日本橋にはエスカレーターがあるわけですけれども、千葉駅から浅草橋駅の間、二十駅あるわけですけれども、ここに一カ所もエスカレーターがつくられていない。駅は高齢者の人もあるいは障害者の人も利用されるわけでありますから、そしてまた、たくさんの人が利用されるわけですから、エスカレーターの設置も検討すべきではないかと思うわけであります。確かに、いろいろ駅には条件もあるでありましょうけれども、例えばJR稲毛駅の場合、この駅の近所には障害者の施設もありますし、駅の構造から考えてみましても設置が不可能というような状況ではないように思っております。乗車人員も五万四千八百人という数字が出ているわけです。ですから、総武線全体にエスカレーターがついていないということも考えていただいて、やはり利便ということからエスカレーターの設置ということの御指導もいただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  393. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生の御指摘のように、総武線内駅数、全部で六十八駅ですが、そのうち今エスカレーターの設置されている駅名は、東京駅、秋葉原駅、新日本橋駅、馬喰町駅、この四駅でございますけれども、JRの方といたしましては、今までも設置ができるところについてはできるだけエスカレーターの設置ということも進めてきております。  具体的な御指摘の稲毛駅の話につきましては、階段に併設するか、あるいはそれとまた別にエスカレーターだけ設置するという二つのやり方があるかと思います。前者の場合ですと、階段を狭め、てしまうというようなことでないとほかのスペースが狭くなる。そうしますと、階段の幅員が狭くなってしまうのでちょっと問題であるということ。それから、別に設置するという話になりますと、コンコース自体のスペースが物すごく狭くなってしまう。こんなことがございまして、稲毛駅のことに関しましては大変難しいのではないかということを会社は判断しているように聞いております。
  394. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 これは船橋だとか津田沼なんかの方が難しいから、しかも非常に必要なんですけれども難しそうだから言いませんで、比較的階段の広さもとってあるし、余裕のある稲毛駅ということを私言ったわけですが、こういうところでできないということになりますと、総武線全体がエスカレーターのない駅になってしまうということでありますから、こういう点は、稲毛駅は特に障害者の方、高齢者の利用も多いわけですから、特に検討を深めるということが必要であると思いますし、そういう御指導をしていただきたいということであります。  次に、京葉線の問題であります。  ことしの十二月には新木場と蘇我間が開業いたします。東京乗り入れの早期実現というのは千葉県民の皆さん方の多年の願いでありましたから、一歩前進であるわけであります。全面開通は六十五年度と言われておりますが、この六十五年度までに全面開通を実現するというその見通しはどうなっているでありましょうか、お伺いします。
  395. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 京葉線につきましては、既に六十一年三月に西船橋―千葉みなと間が部分開業しているわけでございますが、今、先生御指摘のように新木場―蘇我間が六十三年十二月。それでその前に、六十三年六月に営団地下鉄有楽町線の新富町―新木場間が開通いたしますので、そこを経由いたしまして、六十三年十二月の段階になりますと都心と直結されることになると思います。それで、残されました東京から新木場の間の問題につきましては、六十四年度中に完成することを目途に今建設を進めている段階でございます。
  396. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 私、先ほど六十五年度と言いましたがこれは六十四年度で、今の段階で見て、用地の取得その他で六十四年度内に本当に予定どおり実現できる見通しは立っているのかという質問でございます。
  397. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 今のところ、その六十四年度中に、完成するという予定は変えてないと聞いております。
  398. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 ことしの暫定開業に当たりまして列車を増発してもらいたいという要望があります。  また終電の時間ですが、これもほかの路線程度の終電時間、例えば、蘇我駅まで行って、蘇我駅で、この蘇我駅から出る内房線、外房線などに接続できる、そういう時間帯の終電を期待しているわけですけれども、そういう運行計画についてはどういう方向で進められるのでしょうか。
  399. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 京葉線の新木場―蘇我間の運行計画につきましては、現在JR東日本で検討中の段階でございますので、まだその内容につきましては確定してないと聞いております。
  400. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 検討される時期が来ましたら、またそういう要望も踏まえて御指導いただきたいと思います。  それから、暫定開業に当たって快速電車を走らせるようにという希望も強いのですが、先ほど言われましたように、有楽町線が新木場までことしの六月に延伸されますから、本当に東京へ総武線を使わないで行けるという状況にもなってまいります。そういうことで営団線との接続もできるわけですから、快速線というものの実現は不可能ではない問題だろうというように思うのですが、快速線などについては、今度の蘇我―新木場間の開業に当たっては対象になるのでしょうか。
  401. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 新木場までの開業はことしの十二月一日と聞いておりますけれども、ことしの秋ぐらいまでをめどにその運行計画を定めるということで今検討中でございますから、先生御指摘の点も含めて検討中で、まだ決まっていないと聞いております。
  402. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 その点検討の対象に入れていただきたいと思うわけでございます。  それから、京葉線が開通いたしまして、この電車が千葉の海浜団地を通過するわけでありますが、幸町団地や高洲団地などでの騒音問題が生じておりまして、騒音対策が団地の間で求められております。高洲地域の高層住宅では最高九十七ホン、これは市役所がはかったものでありますが、そういう記録も出ているわけであります。私自身も、この団地の人と一緒に国鉄当局やJR当局に対して繰り返し対策を求めてまいりました。住民から苦情が出ないような騒音対策を京葉線で講じなければならないし、そういうことを実施するように指導してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  403. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 京葉線につきましては、ロングレールを使うとか防音壁を設置するとか、そのほかに線路の両側に道路とか緑地を設置するとか、京葉線の建設段階でいろいろ環境対策についても配慮して建設を行ってきたところでございますが、先生の御指摘のように、開業後に沿線の住民の方から騒音についての苦情をいただいておりますので、今JR東日本で車輪のフラット削正とか一部区間の防音壁のかさ上げをするとか、試験的にそういったことをやっております。その結果を踏まえまして、今後どのような対策が一番有効であるかを会社において検討中だと聞いております。今後とも、そういう結果を踏まえた有効な対策をとっていただきたいと思っております。
  404. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 その試験の結果どの程度下がるということはお聞きではないでしょうか。
  405. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 車輪のフラット削正という、削るわけですが、それで二ないし三ホン、そのほかにもバラストを散布するとかいうやり方で一ないし三ホン、そういった騒音防止といいますか、ホンが下がるという効果が出ているというのが今までの結果でございます。こういういろいろなものを組み合わせて、どのようにやっていけばいいかということを今会社の方で検討中だと伺っております。
  406. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 これは会社の方も、ともかく来年までには八十ホンに下げるようにしたい。今言われましたほかに、線路自身を研磨するということもやっておられるようであります。そういう点で、八十ホンに下げるということをぜひ実現するように御指導願いたいと思いますが、どうですか。
  407. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま申し上げましたように、会社がやっているいろいろな試験的な対策の効果的なものを選んで、そういう努力を続けていってもらいたいと考えております。
  408. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 事実関係については時間が参りましたので、最後に大臣に、このJR、国鉄から会社に変わりましたけれども、たくさんの国民が利用される鉄道であるということから考えてみました場合に、安全性それからみんなのための便利さということでは、ほかの民間の会社に決して劣るものであってはならないと思います。そしてまた、騒音などの被害を与えないようにしなければならないと思いますけれども大臣としてのJRに対するそういう点での御指導の所信をお伺いして、終わりたいと思います。
  409. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 民営化いたしました好機でございますからあくまでもお客様の立場に立って、また分割したことでございますので、それぞれの地域に密着して、そして何といっても安全第一に、単に乗客だけではなしに公害の防止も含めてみんなに評価される経営をしていってもらいたいと思っておりますし、またそれを指導するよう努力するつもりでございます。
  410. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 終わります。
  411. 左藤恵

    左藤主査 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、玉置一弥君。     〔主査退席、平林主査代理着席〕
  412. 玉置一弥

    玉置分科員 きょうは問題点を絞ってお聞きしていきたいと思います。特に国鉄の民営化以降の問題で、国鉄の本体そのものもあるのですけれども、残されました国鉄清算事業団、片方で見ると民営化した各企業の経営状態が非常に改善されてきているということでの評価はあるのでございますが、逆に清算事業団としての問題点がかなり大きくなってきたのではないか、こういう心配がございます。そういう面から、これから三点にわたって大臣並びに関係者の御意見を承りたいと思います。  一つは、国鉄の用地売却の問題でございます。これは御存じのように、国鉄清算事業団の長期累積債務の返済の重要な資源でございまして、これを一つの財源、いわゆる自主財源、自分たちの中で賄える財源ということで計画をされております。ところが、六十二年度には大変な土地の高騰がございまして、これを抑えるために土地売却の停止の措置をとられているということでございます。こういう状態でございますから、いつまでこういう地価上昇が続くのかというものをにらんで清算事業団そのもののあり方を考えていかなければいけないということがございます。  そういう面から見まして、政府の方としてもいろいろ閣議で論議をされてきたりしまして、一月二十六日には国鉄清算事業団の債務の償還等についてということで新しい基本的な方針が決定されました。これによりますと、現在の長期債務の十九兆九千億円に加えて年金負担額で事業団が支払われる費用が五兆六千六百億円あり、合計二十五兆五千六百億円の長期債務が現在ある、こういうことになっております。また、それ以外にこのための利払いが七兆八千九百億円と見込まれておりまして、これらの債務を返済していくことになりますとよほどの金額を年間返していかなければいけない、こういうことでございます。当初の予定でございますと、六十二年度分の返済としては、土地売却で予定されておりましたのが三千億ということでございますが、現在御存じのように土地売却が一応停止ということになっております。  ですから、まず問題点として出てまいりますのは、当初予定をされておりました三千億円の土地売却益を充当する部分についてどういう措置をなっていくのか、それから基本的に従来の償還計画というものがございますけれども、これに変化が出てくるのかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  413. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず、昭和六十二年度の土地売却で予定しておりました三千億の問題につきましてお答えしたいと思いますが、今先生の御指摘にもございましたが、緊急土地対策要綱で、地価が異常に高騰している地域におきましては売却を当面見合わせるという措置をとっております。それから、その他の部分につきましても、関係者とのいろいろな協議の状態を見た結果、当初予定しておりました六十二年度の三千億というのはその半分程度になるのではないか、そう考えております。しかし、六十二年度につきましては、当初の見込みに比べて変化した部分がほかにもございまして、一つは、国鉄から清算事業団に移行する際の国鉄からの繰越金というのがあるわけでございますが、これが六十一年度の特に末の方で、国鉄時代の固定資産売却の進展というのがございましたので、それで約二千億程度六十一年度のその売却の予定が増加するという結果が得られておりました。  それからもう一つは、清算事業団で行うこととなります雇用対策の関係で、当初考えていたよりも清算事業団に移行する人数が減ったために雇用対策対象職員が減少いたしたということで、そこで約千九百億円ぐらいの減少が図られるということが見込まれることになりました。その結果、ただいまの三千億の用地売却の点につきましても半分程度ということになりましたが、なお今申し上げましたこれも予想外の変化がございました結果、借り入れの増加というような事態は避けることができるという見込みになっております。  それから、全体の長期債務の返還の問題につきましては、先ほど先生の御指摘にもございましたが、ことしの一月二十六日の償還の基本方針というのを閣議決定いたしまして、その中で、清算事業団の方に引き継ぎましたいわゆる土地などの自主財源ということで充ててもなお残る長期債務分につきましては、最終的には国において処理するということを決めております。当面は用地売却などをできるだけ推進して極力国民負担の軽減に努める、こういう考え方を定めておりまして、これは、六十二年の一月に閣議決定したその考え方と基本的に同じ考え方をとっております。  ただ、その用地売却などに当たりましては、先ほどの土地対策との関係も、緊急土地対策要綱の話とかそういったような問題がこの新しい閣議決定には入っておりますし、それから単に売却するということだけではなくて、地価を顕在化させたい土地の処分方法、そういったようなことを検討して、またそういう方面での自主財源の活用というようなことをやはり閣議決定の中で定めております。
  414. 玉置一弥

    玉置分科員 自主財源、土地の売却の当初見込みが七兆七千億円ぐらいあるということでございまして、多分これは、これだけの値上がりでございますから、若干金額は上回ってきているというふうに思います。しかし、残りを差し引きましても、残債といいますか長期債務が十八兆円ばかりあるわけですね。十八兆円を、今のお話でございますと国が責任を持つということでございますから、当然国民の負担ということになるわけでございます。  これからのいろいろな国の財政状態等を考えていきますと、今現在で百五十九兆円の国債発行残高があります。そのほかに借入金等いろいろあるのですけれども、それが返されるとしましてもそれに上乗せになる、これが国の借金として残るわけですね。そういうふうに考えていきますと、余り安易に国の責任においてということでやられますと、非常に我々としても困る部分が出てくるのでございますが、かといって、今の新しく出発をいたしました各旅客会社等に負担を背負わせるというのはなかなか難しい。こういう非常に板挟みみたいな感じでございまして、できるだけ負担感のないような状態で処理をしていただきますように、より具体的な政策をぜひ出していただきたい。  それから、利払いも今七兆幾らというのがございまして、債務棚上げになっていればいいのですけれども、債務棚上げでない場合は利払いが加算をされていくということでございます。十九兆でございますから、少なくとも今ある債務の利子ぐらいは毎年毎年追加をされていくという危険もあるわけでございまして、余り長くはできないのですね。清算事業団そのものが一応五年以内という一つのめどがございまして、それまでに償還をし、なおかつ再雇用のいろいろな手続をしていく、こういうことでございますから、国の責任においてやる場合には、何年ぐらいをめどにしてこの長期債務の償還をしていくのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  415. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず、先生御指摘のその前提の数字でございますが、現在、清算事業団で処理しなければなりません長期債務――長期債務だけではございません。先ほどの年金負担とか、そういったことも含めました長期債務等の全体の金額は二十五兆六千億でございますが、そのうち新幹線保有機構の方から、これは新幹線の収益性に着目しまして、若干その再調達価格と簿価との差をここに入れる形を考えておりますので、それが二兆九千億。それから、一応土地売却収入を、先ほど先生がおっしゃったように七兆七千億と見込んでおります。それから、その他の株式等の売却収入が一兆二千億。そのような計算をいたしますと、計算上の話でございますが、残りの国民負担というのは十三兆八千億という形で今考えております。  それで、その件につきましては、先ほど私が申し上げましたことしの一月の閣議決定、償還基本方針でございますが、これはその前の閣議決定をフォローするものであるという御説明を申し上げましたが、その前の閣議決定の日付を実は間違えておりまして失礼いたしました。六十二年と申し上げましたが六十一年でございます。それで、その基本的な考え方としまして、今申し上げました土地とか株式、そういったようなものの資産の適切な運用なり処分なりを進めまして、自主財源のできるだけの増大を図って、極力国民負担の軽減に努めるということをまずやるということを考えております。それから、先ほど数字で御説明しました十三兆八千億をできるだけ圧縮しよう、こういうことが基本でございます。  それで、しかしそういう自主財源を充ててもなお残る事業団の債務、そういったようなものについては最終的には国において処理するということでございますが、その本格的な処理のために必要な新たな財源措置ということにつきましては、雇用対策とか土地処分、清算事業団で行っておりますそういう二つのものがその主な業務でございますが、その見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する、これが償還基本方針の中で定めた考え方でございます。  なお、先ほど先生、清算事業団五年というお話がございましたけれども、今考えています雇用対策は六十二年四月一日から三年をめどに行うということを考えております。それから、この土地処分の話は、もう少し長期的に時間がかかるのではないかと思っております。それで、いずれにしろ新たな財源措置については、そういう見通しがおおよそつくと考えられる段階、そこで決定したい、こういうふうに考えております。
  416. 玉置一弥

    玉置分科員 再就職の方も予算委員会等でいろいろお聞きになっている方がおられまして、北海道では二千五百六十八名、本州では五百八十六名、四国三十六名、九州千五百六十九名、こういうことらしいのですけれども、残ったほどなかなか再就職しにくいというのが通常でございまして、我々の地域の方の役所でありますとかあるいは民間企業、私の事務所もいますけれども、それぞれ国鉄の方に来ていただいていまして、残るほどにだんだん再就職が難しくなると思うので、より一層の努力をお願い申し上げたいと思います。  それから、やはり償還の期限でございますけれども、余り長引かすとまた金利問題というのが発生してくると思いますので、ある程度めどがつくというのはなるべく早い時期にお願いしたい、かように思います。  これは、よく考えると所管が違うのですが、国鉄問題の一環として国鉄年金制度のお話を申し上げたいと思います。いつでしたか、五十八年ぐらいですか統合化話が出てきて、結局は国鉄共済と国家公務員とNTTとの統合が行われまして、これは昭和五十九年でございます。それから、六十一年には基礎年金制度というものが出されてきた。今五年間という財政調整の期限内であるということでございますが、現在の年金の財政収支等につきまして、大蔵省から今現在どういう状況にあるのかということをお聞きしたいと思います。
  417. 山口武雄

    山口説明員 先生の御指摘の共済年金、鉄道共済年金の財政事情は大変苦しゅうございます。今おっしゃいました財調五カ年計画、これは今おっしゃったように五十九年の四月に成立した統合法によって仕組まれた六十年度から六十四年度までの措置でございまして、国家公務員共済それからNTT、たばこ、この三共済が実は国鉄共済年金に応援をするということを今やっておるわけでございます。それで、実はその当時は人員を三十二万人ぐらいの体制ということで組んでおりましたので、そういった応援体制が組めれば一応この五年間は収支とんとんでいけるというふうな見込みでおったわけでございます。ところが、その後の変化によりまして大幅に人員が減ってきた、一方、受給者はどんどんふえてきたということで、実はその後年間七百億ぐらいの赤字が出るという感じになったわけでございます。  それで、これでは大変だということで、政府といたしましても政府の統一見解というのを六十年の十一月に出しまして、まずはこの財調期間の六十四年度までは早急に何とかする、その後六十五年度以降についても検討を始める、こういうことを申し上げまして、とりあえずは六十四年度までの支払いに支障を来さないように措置をしなければいかぬということになったわけでございます。その結果、関係の四大臣でいろいろ検討をしていただきまして、一応昨年の三月には一部追加費用の見直し、それから積立金を一部取り崩しをいたしまして、六十四年度までは支払いに支障は来さないようにすることができたわけでございます。  現状はそんな状況にございます。
  418. 玉置一弥

    玉置分科員 今お話にありましたように、民営化を一つの起点として非常に年金財政の悪化というものが行われております。これは、当初見込まれた三十二万人体制から今二十六万、将来は十八万までいくだろう、こういうふうに見込まれておりまして、その分受給者が当然ふえてくるということになります。受給者の場合はそのままふえていくのですけれども、逆に掛金を支払っていただける方がどんどんと減ってしまう、こういうことになるわけです。これは所管は違いますけれども、国鉄OBの方々に全部該当する問題でございまして、少なくとも大蔵省も主管の省庁としての動きがあるわけでございますが、運輸省もやはり、今ほかの関係の方が私鉄に行ったりあるいは関連の会社に行ったりということでそこで働いておられると思いますけれども、何らかの動きをとらなければいけないと思いますが、いかがでございますか。
  419. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま大蔵省の方から御説明があったところでございますけれども、この新しい日本鉄道共済年金という問題になるわけでございますが、それにつきましては、現在関係省庁四省庁の大臣の閣僚懇談会がございまして、それでそこで検討しているというところでございます。その中に学識経験者の方々を中心といたしました懇談会をつくっていただきまして、そこで大所高所の議論をしていただきまして、その結論を踏まえまして六十五年度以降の対策につきまして適切な対策をとっていただきたいと考えておりますし、この件につきましては大蔵省ともよく御相談しながらやっていきたいと考えております。
  420. 玉置一弥

    玉置分科員 六十五年から新しい制度でということでございますが、一方では七十年に総合的な年金制度をつくろうという動きがございます。そういうふうに考えていきますと、二段階でまだまだ変化していくわけですね。ところが、統合のときにもいろいろありましたけれども、これだけ成熟度の高いところと一緒になるのが嫌だというのがたくさんおられます。特に国家公務員の方ですね。それから当時の電電公社、たばこ産業、それぞれが民業部門としてしようがなくというのがあったのですね。そういう意味からいくと、やはり情勢がどんどん悪化しておりますから、その辺もっと強く積極的に働きかけていかないとなかなか乗っていただけないのではないかというふうに思います。  それからもう一つは、六十四年度まで財源が本当にもつのかどうかですね。積立金等からいくといけるような気がするのですが、収支が物すごく悪化しておりまして、そういう面から見ると、どこかに移行するにしても積立金は全くないよというような形になってしまう可能性があります。そうなってくると、まさに財源等も今度の話のときにまた別の拠出金というものを考えなければいけない、こういう話になってくると思いますが、いかがでございますか。
  421. 山口武雄

    山口説明員 先生の御指摘のとおり、実は公的年金制度にはもう一つの課題がございます。それは、公的年金の七十年一元化完了という課題でございます。これは、この国鉄共済年金問題とはまた別の話ではございますが、そこでやはり今各ばらばらになっております諸制度を何とかして調和のある、安定的な制度にしていかなければいけないということで、閣議決定までしておるわけでございます。しかし、その七十年における完了した姿というものがどういったものを描いているかということにつきましては、またいろいろ思惑等の違いもございまして、まだコンセンサスも得ておりません。ただ、そういった局面に向かいまして私ども、各制度がそれぞれの立場を乗り越えて、国全体の公的年金制度の長期的な安定のために努力していこうということで今努力しております。関係大臣のお集まりもお願いしまして、これで今検討を始めておるわけでございます。着実にその辺の検討も進めさせていただきたいと思っております。  一方、鉄道共済年金につきましても、御指摘のように積立金が非常に減ってしまっていることも事実でございます。そうなりますと、一元化のときに支障になるのではないか、これも御指摘のとおりでございますが、何せ単独で立っておりますと、これから三千億を超えるという赤字を抱える事態になっておりますので非常に問題が大きい。したがいまして、先ほどの運輸省からの御説明にありましたように、やはり大所高所からの御議論をいただいて国民的コンセンサスを得ながら進めなきゃいかぬだろうということで、有識者による御検討を今お願いしているところでございます。ことしの秋ごろまでには大まかな方向を出していただきたいというふうに考えておるところでございます。
  422. 玉置一弥

    玉置分科員 ぜひ早い時期に準備をしていただかないと、今後話し合いが長引いてくると思いますので、お願いをしたいと思います。  では、続きまして整備新幹線の問題をお伺いしたいと思います。これも予算委員会等でしょっちゅう出てくる問題でございますけれども、なかなか自民党さんの中でもまとまらないというようで、何か八月ごろをめどに検討を続けていく、こういうことでございます。  私たちが心配をいたしますのは、便益性という面からいくとあった方がいいというふうな感じがいたしますけれども、しかし今の財源問題、政治路線化していこうじゃないかという動きが大分強くなってきているようでございますが、実際につくってもらった費用は国民全体で持たされて、今度運営をしていくための費用まで持たされるというのはどうかな、ちょっとそんな気がするわけですね。そういう面から考えまして、まず大臣に、整備新幹線に対しての基本的な運輸省のお考え方、この辺をお述べいただきたいと思います。
  423. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 新しい文明の、新しい成熟した社会が来ようとしているわけでございまして、それに見合った高速鉄道網という構想はあるわけで、整備新幹線だけではなくて、またその次の段階の新幹線に関する構想も構想としてはあるわけでありますが、しょせんやはり先立つものの問題でありまして、これを考慮せずに花火ばかり上げてもどうなるものでもないということで、与党と政府の間に、財源問題と順位の検討と二つの専門委員会をつくりまして今検討を開始したわけでありますけれども、なかなか難問だとは思います。
  424. 玉置一弥

    玉置分科員 五十九年度価格によりますと、この整備新幹線五線を合計しますと五兆三千億円という建設費用がかかります、こういうことが出ております。今ですともっと高くなるのでしょうね。その中で、私も与党の議員さんを含めいろいろな人から、ここだけはおまえ反対するなと言われるのですね。例えば青森―札幌間とか青森―盛岡間、この辺は本州の首根っこじゃないか、こういうふうな話があります。それぞれ言われるとなるほどなと思うのですが、全体の費用から考えますと、とても今の長期債務を抱えた上での状態の中でさらに五兆三千億、今八兆ぐらいになっていると思いますけれども、これだけの金額は財源的に非常に難しいというふうに思います。もしやるとすれば財源をどうするのか、この辺もお聞きしたいと思います。
  425. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 整備新幹線の取り扱いにつきましては、ただいま大臣から答弁いたしましたとおりでありますが、若干補足させていただきますと、昨年末の予算編成に当たりまして政府・与党の申し合わせがございます。それの内容で、東北・北陸の新幹線と九州新幹線の鹿児島ルート、それに、つきまして順次建設に着手することとしますが、着手に当たっては優先順位を定めてその順位の順に着手する。それとともに財源問題、並行在来線廃止の具体的方法というようなものにつきましても結論を得るということとされております。  これにつきましては、政府・与党一体となって検討を行う検討機関といたしまして整備新幹線建設促進に関する検討委員会というのを設けてございまして、その下に、先ほど大臣が答弁いたしました優先順位を決定するための専門委員会と財源問題等についての検討を行うための専門委員会、その二つを置いて、そこでJR各社とか関係地方公共団体の意見を聞きながら六十三年八月までに結論を得るということとしているところでございます。
  426. 玉置一弥

    玉置分科員 時間が来たので終わりますけれども、国民全体の納得が得られるように、ぜひ公平な目で財源負担と便益性ということをはかりではかっていただいて、ごり押しに言われたからオーケーするというようなことのないようにぜひお願いを申し上げたいと思います。  終わります。
  427. 平林鴻三

    平林主査代理 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。  次に、奥野一雄君。
  428. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 大臣には北海道の交通関係につきましていつもお世話になっておりまして、感謝を申し上げます。時間の関係もありますのでまとめてお伺いをしたいと思っておりますので、お願いしたいと思います。  最初に、日本航空が完全民営化というのですか、そういうことになりましたが、その理由というのは何でしょう。これは競争体制の強化というのでしょうか、そういうことによってやる方がいいということからなされたのではないかなという感じがしているのですが、その辺どうでしょう。
  429. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 昨年法律を通していただきまして日本航空の完全民営化が現在行われたわけでございますが、これは、基本的にはいわゆる民営化ということによって経営責任を明確にしていくということがあると思います。と同時にまた、一昨年来、現在の状況にかんがみまして航空企業について競争促進政策というのを導入いたしておりますが、その際に競争条件をできるだけ均等化していくという意味合い、これも非常に強い民営化の理由ということでございます。
  430. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 私もそういう認識を持っております。そういう前提の中で、一月の二十九日ですか、運輸省の方では羽田空港の沖合事業に伴って本年の七月から一部利用できるということでそれぞれ増便などを行ったわけでありますけれども、当初これは私の方の函館空港なんかも入るんじゃないかなと思っておったら除外をされていたわけでありまして、その理由を一つ聞きたいということですね。それから何か基準があるのか、あったらそれもお尋ねをしたい。  それから、これは物価委員会なんかでも再三お尋ねをしてきているわけでありますけれども、この前の物価の委員会でも私はナイトステイということについてもお尋ねをいたしました。また繰り返すのもあれですけれども、実際に速い飛行機であるはずなのにローカルで利用する場合には非常に不便だ、これは再三申し上げてまいりました。東京からなら大変便利だけれども、例えば私の地元の函館から、今ですと朝一便は十時ころですから、東京に来てその日に帰ろうとしたら東京には二時間半か三時間もいれない。  今政府の方では東京の一極集中制というものをできるだけ緩和しようとか、地方の経済の活性化を図ろうとか、いろいろな努力をされているわけです。もしそういうような国の方針ということであれば、航空行政ばかりではございませんけれども、そういう面も配慮すべきでないだろうか。確かにナイトステイということになればそれは経費はかかるわけでありますけれども、そういうことをやらなければ、大都市、特に東京と地方の間の均衡というのはなかなか回復されていかないだろう、こう思うわけですね。そういう面で、前回のお答えではそういう指導などもしていきたい、こういうことをお答えになっているわけでございますけれども、今後どういう指導というものを各航空会社の方にやられようとするのか、そういう面について一つお尋ねをしたいということです。  それからもう一つの問題は運賃の見直しということで、これも前回申し上げました。北海道の場合には四路線が千円ほど割引になったけれども、私どもからすればこれは運賃の見直しでない、単に今まで迂回路、千歳経由であったのが三陸沖に抜けるということになったことに対する見直しであって、根本的な運賃改正とは我々思っていない。まあ割引運賃やなんかの関係でも随分私も申し上げてまいりました。  しかし、一つの例として申し上げますと、今冬ですから北海道にスキーツアーなんかというのが大変はやっているわけでございますけれども、そういう中で東京のそういう業者が大変安い運賃でスキーツアーというものをやっているわけですね。往復でホテル二泊二万八千八百円。片道二万五千八百円くらいですか、ですから片道よりわずか三千円高いというだけですね。そういうことでやっているわけですよ。地元のスキー愛好者から言わせますと、そういうのが例えばスキー場に来ますと、今度は地元の人がホテルもなかなか利用できない。地元の人がホテルとかリフトなんかを利用すれば二泊だったら三万円は軽く吹っ飛んでしまう。地元にいてもですよ。なのに、安いからいいということにはなるかどうかわかりませんけれども、往復で二万八千八百円で二泊、しかも大体一流ホテルというようなことがなされている。じゃ、それでペイするんだったら基本運賃というのは一体何だということになると思うんですね。そういう面でやはり運賃というものについての見直しということは急がなければならないんでないかというのが私の一つの考え方でございます。  特にまた強く言われておりますのは、通行税の問題もございますけれども、航空関係ではそのほかの公租公課というものが運賃全体の三〇%を占めるくらいになっているわけですね。こういうことなんかも今のこの状況からいって果たして妥当なのかどうかという感じもするわけですね。そういう面から航空運賃の見直しということについてやはり真剣に考えていくべきでないか、こう思っているわけですが、以上三点、まずお尋ねしておきたいと思います。
  431. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 たくさんの御質問ございましたけれども、まず第一に函館―東京路線のダブルトラック化を図るべきではないか、こういう御指摘でございます  国内航空路線のダブル化あるいはトリプル化ということにつきましては、今回の競争促進政策の中でいわゆる一定の基準というものを私ども設けておりまして、ダブルにつきましては年間の旅客需要が七十万人以上、それからトリプルにつきましては百万人以上、こういうふうな路線について積極的に推進する、こういう基準を設けております。  それに照らしてみました場合に、函館―東京路線につきましては、六十一年度の旅客需要、これが六十八万五千人ということでございまして、七十万人にわずかではございますがまだ達していないという状況にございます。そういう状況ではございますけれども、今後のこの路線の需要の動向というものを十分見きわめた上で、関係航空会社の意向もいろいろ聞きながらダブル化についての検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから第二点はナイトステイの問題でございます。  これは役所の方が指導するというよりはむしろ会社の経営判断の問題だと思うのですけれども、夜間駐機が行われますと結果的にその空港からの出発便が早くなる、そういう利用者にとって非常に便利になるということは事実でございまして、そういう利便はあるわけでございます。しかし、一方夜間駐機をいろんなところで各空港に分散していくということにいたしますと、一つには運航乗務員とかあるいは客室乗務員といったような人たちの宿泊が必要になってくるとか、あるいは航空機の整備あるいは出発前点検といったことのための要員とか設備、こういうことについて新たにつくらなきゃいけないというふうなことで、効率性からの問題もございます。  したがいまして、航空会社としてはそういう要素をいろいろ考慮して、関係路線の需要の規模でありますとか便数でありますとか、そういうふうなことに応じましてナイトステイというものをどこの空港で行うかということを会社の経営判断として決定をしているわけでございまして、私どもとしてもできるだけその決定を尊重してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから三つ目は割引運賃と基本運賃というものとの関係でございます。  割引運賃と申しますのは、こういうものが適用される基本的な理由といたしましては、需要の動向、これは閑散期もあればピークもあるわけでございますが、そういう需要の動向というものに即応しまして運賃割引によりまして需要を喚起する、そして収入の増大とか輸送力の有効活用を図っていくという、どちらかというと航空会社の経営上の理由によるものでございます。運輸省といたしましては、そういう会社の経営判断というものについては利用者の公平感というものが阻害されない限りにおきまして、できる限り弾力的な導入を認めてきておるというのが従来の行政姿勢でございます。  今御指摘ございました格安ツアーというものでございますが、これは東京―札幌間につきまして割引率が一番大きな時期での正規の割引運賃額を大幅に下回っておるという、これはどちらかというと認可運賃違反の問題でございまして、他の旅行業者からも非常に大きな反発を招いているというものでございます。  こういう認可運賃違反という事例はごく一部と考えられますけれども運輸省といたしましては、こういうことはやはり全体の秩序を非常に乱してしまう、利用者の公平感を損なうという問題もございますので、そういうことのないように航空会社に対して指導を行っているというのが実態でございます。したがいまして、このような割引運賃の運用をしてきているわけでございますけれども基本運賃というものがやはり運賃制度の基本であることはもう先生御指摘のとおりでございまして、それを基本に据えた上で割引というものは適切に運用していく必要があるというふうに考えておりますし、それから基本運賃につきましても、現在の航空会社の経営状況から今直ちにこれを下げるというのもなかなか難しいとは思いますが、これからいろんな諸要素を勘案して基本運賃の問題についても十分私どもとしてもこれに目を配って、適切に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  432. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 ちょっと今おわかりになるかどうかわかりませんけれども、次のお尋ねに入る前に、今度の羽田空港の拡張といいますか、あれに伴って広島とか松山なんかの場合は増便ということになるわけですが、あそこは滑走路が何メートルありますか、わかりますか。
  433. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 広島は現在新空港をつくっておりますが、現在の空港は千八百メートルの滑走路でございます。それから松山も、これもやはり二千五百へ延ばす整備を現在行っておりますが、現在は二千メートルでございます。
  434. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 函館空港のダブルトラッキングのことについては、六十一年度は六十八万五千ですか何かで、まだ基準の七十万にはちょっと達してないんだ、こういうことでありますけれども、昨年一年間、六十二年一年間だと七十九万の利用客になっているわけでございます。本州路線では東京線が七十九万七千七百人、そのほかあと名古屋とか仙台、秋田、東亜国内の千歳とかいろんなところがありますけれども、そのくらいふえていっているわけです。東京から函館へ来るのが約四十万ですか、それから函館から東京が三十九万何がしということで、伸び率にしたら大変な伸び率になっているわけです。ですから、それは六十一年はちょっと足りなかったんだ、こうなりますけれども、恐らくこれからどんどんふえていくという可能性があると思うのです。  運輸省の方ではどういう判断をされたのかわかりませんけれども、函館の場合だったら例えば大型旅客機でカバーできるじゃないか、こういうのが何か一つの理由になっているというふうにも聞いているわけです。たしか二千五百メートルで、今三千メートルに延ばそうということをやっているわけですから、ジャンボ機でもそれは夏場はできる。しかし前段申し上げましたように、もし競争ということになるのであれば、ほかの路線の場合でも、現在、例えば全日空なら全日空が入っているところを一便減らして新しいものを入れてみたり、あるいは日航が入っているところを減らして、またふやしてみたりとかいうようなことを何回もやっているわけですね。これは地元の経済界にしてみますと、ダブルでやってもらった方がいろんな面で大変いい結果をもたらすんじゃないか、長期的に見るとそういうことだということで、大変乗り気になっているわけですよ。したがって、一年ぐらい基準になっている七十万を超えたぐらいではだめだということになればそれは別でありますけれども、これはいつごろ例えば可能性というものが出てくるんでしょうかね。その辺のところをちょっとまた、お尋ねをしておきたいと思います。  それから、時間の関係でまとめて申しわけありませんけれども、ナイトステイの方は、確かにそれは運輸省の方がこうしなさいというわけには簡単にはいかないと思うのです。しかし、実際に利用している我々にすれば、本来ならそれは列車で来てもいいと思っているけれども、実際列車というわけにもなかなかまいりませんから、どうしてもやはり飛行機を利用せざるを得ない。それが先ほど言ったようなことで非常に不便だ。同じ北海道の出身の議員であっても、札幌へ行かれる方だったら悠々六時か七時でも間に合うのですね。私なんか三時半に出なければもう間に合わないということになったら、何もできないということになるのですね。これはいろんな活動面、これは我々だけじゃなくて経済界の人方とか、そういうような人方なんかでも、やはり大変影響が出てくるわけですね。  そうすると、やはり確かに航空会社のいろんな問題もありますけれども、今函館の場合には、もし日航が入ってくれば、日航、全日空、東亜、それから前の近距離、これは四社になるわけでありますから、そういう中でお互いに協力し合ってやれば必ずしも不可能なことでない。確かにその会社が決めるということが一番前提ということになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、例えば地域のいろんな活性化の問題だとかなんとかを考えた場合には、指導方針とすれば私はあってもいいんじゃないか、こういう感じがするわけですね。ですから、そういうようなことについてこれからもっと指導をしてもらいたい、私はこう思っているわけでありますけれども、それはできるのかできないのかということにもなるわけでありますね。ぜひそういう面の見解を、もう一つお願いしたいと思うのです。  それから、運賃の関係で、安いツアーのものについては今お話を伺ってわかりましたけれども、なかなか大蔵省は頑強で、通行税というものの廃止というものをうんと言われないわけであります。先ほど言いましたように、航空運賃にかかっている公租公課というのは、日本の場合には三〇%近くにもなっているわけですね。これは国によって条件は違うから一概に比較はできませんけれども、イギリスの場合だと大体一七%、フランスの場合は付加価値税を含めて一四%、アメリカの場合には、何か旅客切符税というものがあるそうでありますが、それを含めてわずか九%、こういうことになっているわけですね。こういうようなものなんかが、やはり航空運賃は高いという印象を利用者に与えているんじゃないか、こう思うのですね。だから、こういうようなものなんかについても、一番簡単なのはやはり通行税をまず何としても廃止するということだと思うのですよ。これは所管は一体どっちになるのでしょうね、この通行税というのは。つくったのはどっちになるのですか。大蔵省の方が勝手につくったのでしょうかね。通行税だから何かこっちの方に、運輸省の方が私は大きな力を持っているんじゃないかと思うのですけれども。  通行税全体の中で占めている割合というのは、九四%を占めているわけでしょう、航空の方が。あとJRの寝台だとか、あるいはグリーンなんかにもかかってしますし汽船の特別室なんかにもかかっていますけれども、全体の九四%は航空関係が受け持っているわけですから、こういうものについてはやはり廃止をするということで対大蔵省あたりとも、これは積極的にやってもらわなければいけないんじゃないか、こう思っているのですが、その辺もひとつ含めてまたお尋ねしたいと思います。
  435. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 再度のお尋ねでございます。  まずダブル化の問題でございますけれども、私ども、先ほど申しましたように競争促進政策というものをこれからできるだけ推進していきたいというふうに考えているわけです。したがいまして、その函館―東京路線につきましても、先ほど申しましたように七十万にはわずか足らないわけでございますが、いずれこれは七十万に達するでしょうし……(奥野(一)分科員「去年ふえているから」と呼ぶ)はい、そういうことで、いわばこれからの問題として取り組んでまいりたい。ただ、今の時点で、やはり羽田の発着枠というものがございますけれども、いつという確定的な時期を申し上げるのはちょっとなかなか難しゅうございますので、それは御了承をいただきたいと思います。  それからナイトステイの問題でございますが、これは先ほど御答弁申し上げたようなことでございますけれども、やはり会社の効率的な運営ということも大事でございますので、その辺も踏まえながら考えてまいる問題かなというふうに思っております。  それから、通行税あるいは公租公課、運賃水準との関連で御質問でございます。  通行税につきましては、これは私どもといたしましても、やはり現在の時代に合わない税制ではなかろうか、こういうことで税制改正要望を再々提出しておるところでございますが、今までのところ実現を見ておりません。これについては今後も私どもは努力をしてまいりたいと思っております。  それから、公租公課の問題、公租公課という言葉遣いに私どもはちょっと抵抗があるわけでございますけれども、やはり日本の場合、用地費が非常に高いというふうなこと、あるいは非常に狭隘な国土でございますので騒音問題というのが非常に深刻な問題で、そういうことからどうしても空港整備のコストが高くなってくるということがございまして、利用者負担という面から見るとどうしてもそういう面が外国に比べると出てまいるわけでございます。  私どもとしても、ただしかし、やはりできるだけ効率的な空港整備を図るということで、こういうものの負担が余り過重にならないように、そこは十分配慮しながら、あわせてまた財源の確保も考えなければいけませんし、そういうことも比較考量しながら十分検討してまいりたいというふうに思っております。     〔平林主査代理退席、主査着席〕
  436. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 もう時間がありませんので、これまたいつかの機会にお願いすることにして、次に、JR松前線が二月一日から廃止になって、今バスが代替運行をしておるわけでありますけれども、地元の自治体の方から話を聞きましたりあるいは現在代替バスを運行している函館バスあたりから聞くと、いろいろな問題が発生してきております。  先ほどいろいろな打ち合わせをしましたときには、協議決定をしたその見直しというのはできない、こういうことなんですけれども、これは例えばJRが運営をしている、こういうことになっているときには、JR自体が何かの変化があれば必ず見直しをするだろうと思うのですよ。見直しをしないでJRがずっとやるということはないと思うのですね。この地方交通線の廃止という問題だって、一つの見直しみたいなものだと思うのですね。  実際にそれを協議している段階では、旅客はこのくらいあるだろう、こういうことで恐らく積算はしたと思う。しかし、実際やってみるとそうならない。例えば旅客人員なんかの問題にしても、当初の見込みから今またぐっと落ち込んできている。なぜ落ち込んできたのか。それは例えば通学定期なんかは場所によってはJRの三倍、こういうことになっているわけですね。安いところだって二・四、五倍、こうなっている。それで、子供さんを持っている家庭では、これは大変だ、現在の通学生の場合には全額国が負担をするということになっているけれども、新入生の場合には自治体が四分の一より補助をしてくれない。そうすると、これは大変だということで、今奥さん方というかお母さん方が車の運転免許を取りに行っているわけですよ。それで逆にあの近郊の車の教習所に思いがけないほどの生徒が来て、そっちの方が喜んでおるわけでありますけれども、ということは、その方々が免許を取得されますと、もう今度はバスも利用しないということになるのです。そうすれば、また当初の見込みよりはるかに利用人員が減るということになります。それでもこの協議決定したものの中でやりなさいというのは、私は少し酷じゃないかという感じがするのですね。  それから、運行時間なんかについても、前の、木古内から函館に行くJRの時間に合わせるために、実際には今バスは法定速度を違反して運行している、こういう実態にあるわけです。これは労働組合自体も違反だということを承知しながら了承しているというような状態もあるわけですね。そういうことになると問題だと思うのですね。それから今度は、例えば木古内から松前線を今バスで利用している人方が、例えば学校の何かの用事で、部の活動か何かで函館に出かけなければならない。その場合に帰りが間に合わないということになるのです。バスの接続が間に合わない。そうすれば一泊しなければならないという現象だって出てきているわけなんですよ。時間がないから中身を今一つ一つ詳しく申し上げられなくなっちゃっているのでありますけれども、そういう状況になってきている。  それから、当初旧国鉄が試算をしたものでいきますと、大体十一億くらいの基金は残るのではないか。国鉄の方で試算したのは、必要経費をごく低く抑えるあるいは積立金の金利を五・何%と高く見込む。ところが現実にはそれと違ったものですから、実際には七億ちょっとくらいの基金しか残らない、そういう差も出てきているわけですね。  そんなようなことがあって、これから全然見直しもしないんだ、しゃにむにそれでやっていけということになれば、ある時期が来ればパンクしてしまうだろうと私は思うんですね。そういうことで果たしていいのかどうかということについてちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  437. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 特定地方交通線対策は、五十五年の私ども再建法と呼んでおります法律がございまして、その法律に従った制度としてやっていたわけでございますが、先般の国鉄改革のときに法律上の手当てをいたしまして、その一部の関係の規定を新しく有効な立法措置としていたわけでございます。  それの考え方によりますれば、旧国鉄の特定地方交通線を転換するに当たりましては、転換後の輸送をどのようにしていくかということを協議していただくために協議会を、地元の地方公共団体を含めまして基本的には行政機関が中心になって集まりまして、そこでその対策を決めていただくという制度をとっていたわけでございます。  それで、その中で転換交付金をどのように使うかとか、第三セクターの鉄道にするかバスにするかとか、そのようないろいろな御議論をいただいて、この松前線に関しましてはバスで運行するということをお決めいただいたということがあったわけでございます。その協議会自身はそういう役割の協議会でございますので、そこで決められた結論に従って今実行されているわけでございます。その協議会自身はもうそういう役割を果たしてしまったわけでございますので、それの中で御協議いただいたことを変えるという機関が現実にはないわけでございます。  したがいまして、そこでお決めいただいたいろいろな基金の使い方とか、どのような運行形態にするかというようなことを、事態が当時予測したものと違った場合にどのように対処するかという問題につきましては、その決めた内容を変えるということ自身は、そういう協議改定はできないのですけれども、実質問題としまして、地元の関係の方々が地元の関係の方々のできる範囲内のことでいろいろと新しい事態に対応するということ自身は、それはそれで可能なことではないかと考えております。
  438. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 もう時間がなくなってしまったので、ちょっとこれ以上申し上げられませんけれども、これからもまだ転換なんかされるところも出てくるだろうと思うので、その場合にやはりそういう面では十分配慮してもらいたいと思うのですよ。  今言われましたように地元で協議して、利用客はこのくらいあるだろうというのが、先ほど申し上げましたようにかえって不便になった、料金が高くなった、逆にマイカーの方がはるかに得だなんということでそっちの方へ人間が行ってしまうということがもう現実に出てきているわけです。それから、ダイヤに接続しなければならないということで無理な運転をして、これは安全性の問題も出てくるわけです。それじゃ道路の整備なんというものだってそれと一緒にやっているかというと、それは運輸省所管外ということになってしまうんでしょう。  だから、そういうようなことで余り役所的な発想ということだけでなくて、必ずしもそうだというふうには思いません、いろいろ御心配をされているだろうと思うのでありますけれども、やはり地元側にしますと何か役所的な発想だけでやられているような感じがしているわけですから、そういう面についてはこれからの御配慮をぜひいただきたいと思うのですが、時間がありませんので、きょうはこの程度にさしていただきます。どうもありがとうございました。
  439. 左藤恵

    左藤主査 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  440. 岩佐恵美

    岩佐分科員 為替差益の還元で物価が下がらなければならない、そういう時期でありますけれども、関東の大手私鉄各社が運賃の値上げ申請を出しました。しかも、今度の値上げの半分は十年先の混雑緩和のための設備投資額の前取り、代金を先にいただいて品物は十年先、そういう内容のものであります。  ここに新聞各紙がいろいろと今度の値上げについて書いています。例えば「厳しい査定すべき私鉄運賃」「「前借り運賃」に疑問残るが」「私鉄運賃 大幅上げ歯止め必要」「サービス発車が先では?私鉄先取り値上げ申請利用者は「不満です」」「「約束」積み残し心配」「混雑緩和 〝先取り値上げ〟 実現は九年も先のことなのに」、こういう新旧各紙の主張があります。  それから、読者からは「説得力がない私鉄の値上げ」「筋が通らない私鉄の値上げ」、特に八十歳の方が「今の乗客が十年先も同じく乗客であるとは神様だって請け負わぬだろう。」こういう表現をしておられるわけであります。  大臣にまずお伺いをしたいと思います。このような国民の声あるいは世論をどう受けとめてこの運賃値上げに対処していかれるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  441. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 その前に、昨年運賃改定いたしました京成を除く大手民鉄六社から、確かにことし一月二十三日、大体平均一一・六%の運賃改定、つまり値上げの申請がなされまして、今運輸審議会に諮問し、これから厳正、適切に審議をいただき、またそれを踏まえて厳正、適切に処置していくつもりでございます。  今委員がおっしゃいました、つまり十年先の設備投資のための前借りといいましょうか先ヅモといいましょうか、そういう性格を持っているわけでありますが、確かに、高齢の方は十年先おれは生きておらぬとおっしゃられるかもしれません。しかし、若い利用者もふえておることでもございますし、東京近郊の通勤線の混雑ぶりというのはまさに非人間的なものだと思います。これを放置することの方が私はやはり政治の責任だと思いますし、また企業もこれを解消するために、少しでも軽減するために努力をすべきだと思いますし、またその努力を私たちはやはり評価し、時間はかかるかもしれませんけれども現況を少しでも改良するためにその努力はすべきものという評価の上で運賃の値上げについて対処していくつもりでございます。
  442. 岩佐恵美

    岩佐分科員 具体的に伺っていきたいと思いますけれども、まず値上げ六社のうち、従来加算運賃制度をとっていた路線、そして今度の運賃値上げの申請でこれをどういうふうにしていこうとしているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  443. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、現行の私鉄の運賃は全利用者を一つの利用共同体としてとらえまして、平等に負担を求めるということで、基本的には一社一運賃制を原則としているわけですけれども、新線建設のような特別な鉄道投資を行った場合、その資本費を全利用者に一律に負担させるのは負担の均衡を著しく失するというような場合に、御指摘のような当該投資による受益者という範囲で、その受益者に加算運賃を負担してもらうという意味で特別加算運賃制度を設けているわけでございます。  今回の関東六社の運賃改定申請におきましては、現在加算運賃の設けられている東急新玉川線、小田急多摩線、京王相模原線等につきまして、加算運賃設定後相当期間を経過して順次その資本費負担の平準化が図られてきているということから、段階的に解消するという方針のもとに、東急新玉川線の新線加算について見ますと、三キロを超え十キロまでの普通運賃を十円加算分を引き下げる等々の内容の申請を受けております。
  444. 岩佐恵美

    岩佐分科員 加算運賃は十年で解消する、これは昨年十二月の私の物価問題特別委員会での質疑の中で運輸省自身がお答えになったわけであります。例えば、京王相模原線の京王多摩川からよみうりランドまでの区間、これはもう建設後十七年たっています。それから多摩センターまでも十四年経過をしているわけであります。京王及び小田急の相模原線、多摩線の用地取得について鉄道側はどのような条件だったのか。それから鉄道建設の総事業費のうちの鉄道それから開発者、そのそれぞれの負担はどうだったのか、お示しをいただきたいと思います。
  445. 熊代健

    熊代政府委員 質問の趣旨が用地取得云々ということをおっしゃったのですが、多摩ニュータウン線に係ります開発者の負担割合ということだと理解いたしますが、ニュータウン鉄道の建設に当たっては、ニュータウン開発者が原則としてその区域内の隧道の場合のトンネル部分や高架橋の場合の支柱部分のような基礎構造物の工事費について、その二分の一を負担することによりまして整備を促進するということにしているわけでございます。これがいわゆる開発者負担の方式ということでございまして、それぞれ区域外にどういう線が敷かれるかということでその負担の比率は異なってまいりますが、具体的に多摩ニュータウンの例で申し上げますと、京王相模原線が七百六十一億円中四百五十九億円、六〇%、それから小田急多摩線が四百三十二億円中百七十七億円、四一%を開発者が負担するということでございます。
  446. 岩佐恵美

    岩佐分科員 土地の取得については鉄道側は坪一万円まで支出をしている、こういうふうに私は承知をしているわけでありますけれども、しかも、建設費について今お示しのように、開発者がかなりの部分を負担をしている。開発者といってもこれは東京都、それから住宅・都市整備公団、それに東京都住宅供給公社となるわけですが、まさにこれは利用者の負担であります。家賃だとかあるいは住宅地取得だとかそういうところにかかってくるわけであります。そうしますと、その住民が多摩線、相模原線を利用する際に、建設のときに負担をして、しかも加算運賃で通常より現在では三十円から五十円も割高の運賃だ、今度の値上げで一部解消しても二十円から四十円ということになるわけであります。それに先ほど大臣が強調された先取り値上げということを重ねますと三重、四重のこれは負担になるということで、多摩ニュータウンに住んでおられる方は非常に問題じゃないかということで指摘をしておられます。  特に、加算運賃についてもう既に十七年とか十四年とかたっているわけですから、下げてもいいんではないかということについて鉄道側は、下げると今度の運賃値上げが十数%ということですので値下げの部分が出てきてしまう。値上げのときに値下げの部分ができるのは、これは他の利用者から見て不公平だ、不満が出るのじゃないかというようなことで、値下げができないというような説明もあるわけでありますけれども、これではとても利用者は納得できないということだと思います。通常は、取り過ぎた分というのはこれは払い戻すというのが商習慣の常であります。私はそのことを強く指摘をしたいと思いますが、いかがですか。
  447. 熊代健

    熊代政府委員 今申し上げましたように、確かに、その地域内の部分につきましては、鉄道用地について素地価格で譲渡するとか建設費の二分の一を負担するとかということでやってもらっているわけですけれども、それ以外の部分についてまでそれは及んでおりませんで、先ほど申し上げたように六〇%を負担していただいておりましても、二百数十億とかそういった負担があるわけでございます。  加算運賃につきましては、御指摘のように過去において設けておりました東急田園都市線等々につきまして、十年以上経過した段階、これは運賃改定等とかそういう時期によって違いますが、場合によっては十七年ぐらいたっているのもございます。そういうことで、方向としてはそういう方向でやっていく、今後とも、加算運賃設定後相当期間を経過して、その企業において資本費負担がかなり平準化してくるという場合については、順次解消をしていく方向で我々は検討をいたしたいというふうに思っております。
  448. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今の御回答ではこれはもう利用者は納得できないということでありますけれども、幾つか値上げ申請の中で、私たちは水増しではないかという点で問題を指摘をしているわけですけれども、例えば資本費のとり方あるいは減価償却などどうなのか。特に資本費については、私も前回十二月の物特委で少し立ち入って伺ったわけでありますけれども、きょうは時間が限られていますので、値上げの中でかなり大きな問題になっております事業報酬について伺いたいというふうに思います。  この事業報酬について、これはどういう基準で算定をするのか、教えていただきたいと思います。
  449. 熊代健

    熊代政府委員 事業報酬制度、いわゆるフェアリターンと言っておりますが、この制度は、電力とか鉄道のように安全確保ですとか需要増に対して適切な設備投資を行わせる必要のある事業につきましてこれを担保するとともに、個々の企業の特殊事情によって原価水準に差異が生ずるということを防ぐ等のために設定したものでございます。  この算定に当たりましては、同種の事業の平均的な資本構成、適正な配当率、社債あるいは長期借入金のその時点における平均金利というものを勘案して、いわば投下資本といいますかその使用している資産の適正な報酬を確保することによって再投資を可能にするという考え方に立ったもので、今申し上げたような平均的な資本構成でありますとかその時点の長期借入金等の平均利率でございますとか配当率ですとか、そういったものを基準にして定めているわけでございます。
  450. 岩佐恵美

    岩佐分科員 伺いますけれども、過去の事業報酬と金利の関係、五十六年と五十九年についてお示しをいただきたいと思います。
  451. 熊代健

    熊代政府委員 基本的に、その時点におけるプライムレートだけではない、先ほど申し上げたようなことで事業報酬率は決まるわけですけれども、御指摘の時点におけるプライムレートについて申し上げますと、五十六年の五月及び五十九年の一月の運賃改定につきましては、事業報酬率は八%といたしたわけでございます。昨年の関西五社と京成の運賃改定におきましては七%といたしました。このときの長期プライムレートは五十六年五月が八・五、五十九年一月が八・二、六十二年五月、昨年五月は五・二%という状況でございます。
  452. 岩佐恵美

    岩佐分科員 現在のプライムレートは何%ですか。
  453. 中井省

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  現在の長期プライムレートは五・五%でございます。
  454. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今説明の中では、事業報酬率は金利だけではないんだ、いろいろなほかの条件があるけれども、それだけではないというふうに言われましたけれども、今までの考え方として、長期のプライムレートと事業報酬率が過去においてリンクしているということは常識的であったというふうに思います。そういう観点から五十六年あるいは五十九年を見ると、プライムレートよりも事業報酬率の方が低いという状況もあるわけでありますから、今度の運賃値上げ申請では事業報酬率が七%というふうになっていますが、実際の金利の方は五・五%である。  私は、過去に借金をした分も含めて、ある社の六十一年度の借入金、社債残高、これらの加重平均金利を計算してみたわけですけれども、約五・五%となっているわけであります。ですから、そういう点からして、大体金利と同等であるということから、この事業報酬率というのは高過ぎるというふうに思います。しかも従来から指摘をしているように、値上げ申請六社の内部留保は、六十二年の三月末で三千四百二十五億八千万円、前回の値上げ時から一千億円の積み増しをしているわけであります。つまり自己資本の運用を十分できる状態にあるわけであります。厳重にこれらのことをチェックすべきだ。そしてこれはもうちゃんとやっていけば値上げの理由はなくなるはずであります。その点を大臣にお伺いをしたいと思います。こういういろいろな状況を勘案して厳正にやっていくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  455. 熊代健

    熊代政府委員 今我々としては細目を詰めている段階でございますが、他人資本の報酬率が先生御指摘のように五・五ということは、我々としてはちょっと数字的に違うのではなかろうかと思います。御承知のように、金利は下がったり上がったりいたします。鉄道投資の場合には基本的にかなり長期の資金を借り入れをせざるを得ない。したがいまして、八年とか十年とか前を考えますと八・二とかそういう時代もあったわけでして、昨年の場合は五・二というプライムレートのときに、それまでの八%をそれなりに見直して我々としては七%ということで査定をした。さらに今回の場合には、それに従いまして、申請者が自己資本報酬率あるいは他人資本報酬率というものをはじいた上で一応七%ということで申請を出してきているということでございます。  それから、内部留保につきましては、退職給与引当金ですとか資本準備金等々、法定の積立金等が基本的なものでございまして、これは商法とか法人税法などの法律で認められた範囲内で計上しているものでございまして、おっしゃるように資金的な運用面ではかなり楽な面もあると思いますけれども基本的に、これに頼ってということの対象になるべき経費といいますか資源ではないというふうに考えております。
  456. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私は、六十一年度のある社の長期の借入金等を加重平均をして金利が五・五%である、こういうふうに申し上げているわけです。それが頭から違うんだ、こういうふうに言われるのはちょっと心外なんですね。私たちもそれはしかるべくきちっと、ここで言うわけですから、ある社のというふうに。別にその社の名前を特定して細かく、〇・何とかかんとかということまでではないにしても、それはもうある程度ちゃんと責任を持ってここで言っているわけですから、頭からそういうふうに否定されるというのは、これはちょっとどうかと思うのです。議論が始まらないわけですね。それはここできちっと言っているわけてすから、それなりのちゃんとした根拠があります。私は、そういうことも勘案しながらきちっと対応してくださいよということを言っているのです。私、そんなことありませんというのはちょっと心外です。取り消してもらいたいと思います。
  457. 熊代健

    熊代政府委員 後ほど先生の方から、その対象資本借入金の問題について私どもも教えていただきたいと思います。  我々で得ている有価証券報告書等々を根っこにした現時点における借入金の平均金利は、そういう六・幾つという数字になっているということですので、私の方が正しいとは決して申し上げませんけれども、これは事実の問題ですので、その辺はお示しいただけば我々としてもよく調べたいというふうに思います。
  458. 岩佐恵美

    岩佐分科員 それならそれでいいのですけれども、それは違いますと頭から言われても困るわけです。  それから大臣に、今いろいろ議論をしていてそういういろいろな問題があります。こういう点について、冒頭に申し上げたように、本当に細かく見て――私は別に私鉄がつぶれたらいいとかそんなふうに思っているわけじゃないのですね。ただ利用者の方も、生活が幾ら豊かになったとかいろいろ言っても、大変なところは大変なんですね。必死の思いなんです。ですから、きちんと対応していただきたいということを申し上げているわけです。大臣、再度そこら辺の態度を明確にしていただきたいと思います。
  459. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 新しい設備に対する投資のそれを加算して運賃を上げるというのは、なかなか利用者の方々に御理解していただきにくい問題だと思います。いずれにしろそれも大きな要因でありますけれども、おかげさまで物が上がらないで安定している時代に、かなり広範囲の方々に負担を増していただくことでありますから、運賃の値上げに際しましては厳正、適切に対応して、判定していきたいと思っております。
  460. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、道路と鉄道の立体化によって生じる鉄道の高架下利用の問題について伺いたいと思います。  都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定、いわゆる建運協定によって、私鉄の工事費負担は七%、残りの九三%は自治体負担です。そして高架下利用は私鉄が九割、自治体が一割となっています。値上げ申請を今回出している私鉄各社の建運協定関係の高架下利用面積と自治体利用の面積を示していただきたいと思います。
  461. 熊代健

    熊代政府委員 先生がおっしゃった中で高架下を一〇%というのは、条件といいますか修飾がつくのですが、東京におきます東武、京王、京成、小田急、京浜急行、以上につきまして、連続立体交差高架下の鉄道所有面積と利用状況ということで、トータルで申し上げさせていただきたいと思います。  トータルで、利用可能面積が七万六千百平方メートル、公共利用に供されているのが一万二千三百平方メートル、一六%になります。それから、店舗等で利用しておりますのが三万一千二百平方メートル、末利用が三万二千六百平方メートルというような状況になっております。
  462. 岩佐恵美

    岩佐分科員 要は、今お示しをいただいた利用の割合でも既に一六%ですか、自治体が利用しているという状況になっているわけですけれども、建運協定では一割というふうになっている。これがネックになって、今都心部、郊外そうですけれども地価が高騰していて、特に駐輪場問題などこの高架下を利用したいという自治体の要望が非常に強いわけでありますけれども、二十年前に決められた建運協定、これによってなかなか十分にその利用範囲が広がっていかないというような悩みが聞かれるわけであります。この建運協定について運輸省、建設省もきょう来ておられますけれども、こうした実態調査を行って適切にそれぞれ利用していける、そういう条件をつくっていくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  463. 熊代健

    熊代政府委員 二つの論点があろうかと思います。  先生、運輸省と建設省の協定による高架下の公共利用が一〇というふうにおっしゃいましたけれども、この協定では、高架下の利用について公共利用の場合は貸し付け可能面積の一〇%まではその使用料を公租公課相当額とするということでございまして、それ以上のものを利用させないということではございません。その一〇%までは公租公課以上取らない、これが七%という受益分を計算したときの根拠になっております。そういうことでございます。  それから、現在の実態を調査の上、この協定の分担率について見直すべきじゃないかという御指摘ですが、当省といたしましては、工事費の負担及び高架下利用等につきまして適宜調査を実施してきたところでございますけれども、協定当時と現在とで基本的な条件が変化しているとは思われませんので、現時点では特に見直す必要はないというふうに考えております。
  464. 大川勝敏

    ○大川説明員 連続立体交差化事業につきましては、この建運協定に基づきましてこれまで三十九カ所の事業が完了しておるところでございますけれども、協定締結当時と、状況につきましては基本的にそう大きく変化しているというふうには思われませんので、現在のところ見直しの考えは持ってございません。
  465. 岩佐恵美

    岩佐分科員 今の一割は、別に一割にこだわるということではないということでありますけれども、多摩センターとか永山とか府中、それから長沼―北野間の高架下利用は、自治体側の駐輪場等の利用の非常に強い要望が出ているわけで、これについては、自治体側の要望が受け入れられるような条件で話し合えるようぜひ指導していただきたいと思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、あとどうしても聞いておきたい問題を少しまとめて伺います。  一つは、これからの高架駅、計画の段階でエスカレーターの設置、これを指導すべきだというふうに思いますけれども、これがどうなっているのかという点。それからエスカレーターについて、これは障害者用ということで、運輸省のガイドラインでは大中小の駅すべてにエスカレーター等の設置が規格上設けられているわけであります。ただガイドラインだけつくって、あとはほうりっ放しというふうになっているような嫌いもありますので、これは構造基準を法律に盛り込むなど、ぜひこの促進をしていっていただきたいというふうに思うわけですけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  466. 熊代健

    熊代政府委員 民鉄におきます身障者対策につきましては、旅客サービスの向上ということでその整備推進してきたところでございますが、特に五十三年以来運賃改定の際、自転車置き場とかあるいは駅トイレ、身障者のための施設等旅客のための身近なサービス施設の整備についても十分な配慮をするようにという趣旨の指導通達を出しまして、それに従って順次やらせておる。これは先生も御承知だと思いますが、新しくつくるときには計画的にできますが、古い駅の改造ということになりますと用地の問題が絡んでまいりましたり、それから建設費もかなりかさむということで、我々としてはできるだけそういう方向でもっていかせる。それから、身体障害者用のものにつきまして、我々として、改善するときにはできるだけそういうふうな基準に合致したようなものにさせるという方向で指導としてやっていっているところでございます。  なお、そういう状況なものですから、これを一律に設備基準ということで、こういうものにはこうしなきゃいかぬということまでは今の段階では非常に無理がある。したがいまして、行政指導という形で逐次できるだけ前向きにやらしていくということにしたいと思っております。
  467. 岩佐恵美

    岩佐分科員 時間が参りましたので、最後に大臣の御所見を伺って、終わりにしたいと思います。  高齢化社会を迎えて、また国際障害者年のまだ最中でございます。今言われたように行政指導でかなりこういう障害者が利用できるような、あるいはお年寄りが利用できるような、そういう駅にしていくということでの指導を強められるということでありますけれども、やはり規格基準、これは社会全体が高齢化に向かっている中でどうしてもつくっていかなければいけない問題だと思います。この点について研究をして、ぜひ積極的に促進をしていただきたい、この面についての決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  468. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。この間も身障者の代表のある議員から、モノレールで乗る方の浜松町はエレベーターがついているのに、おりる方の羽田にはついていないというような指摘がありましたけれども、まことにお恥ずかしい話でございまして、既成の駅はなかなか改良が難しい点もございますけれども、これからはそういうものを完備するような、そういう指導だけではなしに、できれば基準のようなものをつくっていくべきではないかと私も思います。
  469. 岩佐恵美

    岩佐分科員 終わります。
  470. 左藤恵

    左藤主査 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして運輸省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後七時二十八分散会