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井上(和)
委員 具体的に申し上げたいと思うのですが、いわゆる役所言葉あるいは政治言葉というものが
理解しにくい、こういうことにつきましてはいろいろな理由があろうと思うわけでありますが、まず
一つは、用語自体が既に古いものでありまして、一般
社会では余り使われていない、こういうふうに考えられるものが使われております。
ここで、大変恐れ入りますが、ちょっと
資料をごらんをいただきたいと思います。この
資料を見ていただきますと、これはまず「よく使われる役所・政治ことば」を気がついたといいましょうか、自分で拾ってみたわけであります。「即応していく」あるいは「先般の」「税体系の構築」、こういうふうにずっとありまして、特にどうかなと思うのは「喫緊の
課題」であるとかあるいは「諸般の問題」、こういうことはよく使われると思いますし、「忌憚のない」あるいは「生起する」「惹起する」、こういうふうな言葉がございます。特にまた「緊要である」とか「可及的速やかに」、こういうふうな御表現、よく使われるものであるというふうに思うわけでございます。
これは
国会の中では使いなれておる言葉なのかもわかりませんけれ
ども、一般の国民の皆さんには極めてわかりにくい、難しい言葉に入ろうかと思うのであります。特に先ほど申しました「喫緊の
課題」という「喫緊」あるいは「忌憚のない」「緊要」、こういうふうな文字につきましては、今はワープロの時代といいますが、ワープロの単語にもこれはないわけでございます。したがいまして、こうしたことを変えるということは大変大事なことではないかというふうに思うわけでございます。言葉や表現というものは時代によっていろいろと変化をしていくものでございます。
政府や行政では国民に
理解しやすいもの、なじみやすいものにしていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。
それで、次の
資料2をごらんいただいたらと思うのでありますが、これは「あなたは、役所からの通知文などで使われている言葉にどのような感想をお持ちですか。」こういう質問のアンケートでございまして、まず一は「パターン化している」、二番目が「文章が硬い」「命令的」である。「簡潔」というのはありますが、「理屈っぽい」とか「古くさい」とかいろいろ結果が出ております。また「役所ことばの中で改善が必要と思われることばや言い回しを指摘してください。」こういうアンケートでは、「遺憾のないように」あるいは「遺漏のないように」「思料する」ものとする、あるいは「されたく」とか「されたい」とか「周知徹底」「特段の御
協力を賜り」「何々方について」、こういうふうなことが指摘をされておるという結果になっておるわけであります。
また、言葉を見直すということは、単に
理解しやすい、なじみやすいということだけではありませんで、例えばある自治体では、「みだりに立ち入ることを禁ず」という看板を変えたということが言われております。どう変えたかというと、「この庭には鳥やリスなんかも住んでいます、自然を大切に静かな散策をお楽しみください」こういうふうに立て札が変わったということであります。そういたしますと、みだりに立ち入りを禁ずという感じと、先ほどの、この庭にはリスな
ども住んでいてというようになってきますと、これはもう政治の姿勢が変わったと言えるのではないかと私は思うのであります。したがいまして、言葉が変わるということは、単に
理解しやすいということだけではなくして、それが優しい、思いやりのある、いわば国民の方を向いた政治に変わっていくという政治の姿勢、行政の姿勢にこれが変わるということにもなるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
先ほどから官
房長官の御
答弁をいただいたわけでありますが、具体的に研究会をつくるなりあるいは有識者の御意見を聞くなりしていただきまして、立派な国語の先生方もたくさんいらっしゃることでございますので、ぜひそういうふうな
機関をおつくりいただいて
検討を具体的に進めてもらいたいと思いますが、これについて御
答弁をお願いをいたしたいと思います。