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1988-03-02 第112回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 近藤 元次君 理事 佐藤 信二君    理事 野田  毅君 理事 官下 創平君    理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君    理事 村山 富市君 理事 池田 克也君    理事 吉田 之久君       甘利  明君    池田 行彦君       稲村 利幸君    上村千一郎君       衛藤征士郎君   小此木彦三郎君       海部 俊樹君    熊谷  弘君       倉成  正君    小坂徳三郎君       後藤田正晴君    左藤  恵君       佐藤 文生君    志賀  節君       鈴木 宗男君    砂田 重民君       田中 直紀君    谷垣 禎一君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       中村正三郎君    西岡 武夫君       橋本龍太郎君    鳩山由紀夫君       林  大幹君    林  義郎君       細田 吉藏君    松田 九郎君      三ツ林弥太郎君    村田敬次郎君       村山 達雄君    井上 一成君       井上 普方君    上原 康助君       小川 国彦君    川崎 寛治君       菅  直人君    佐藤 敬治君       辻  一彦君    井上 和久君       木内 良明君    坂口  力君       水谷  弘君    宮地 正介君       田中 慶秋君    楢崎弥之助君       石井 郁子君    岩佐 恵美君       田中美智子君    中島 武敏君  出席国務大臣         法 務 大 臣 林田悠紀夫君         外 務 大 臣 宇野 宗佑君         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         文 部 大 臣 中島源太郎君         厚 生 大 臣 藤本 孝雄君         農林水産大臣  佐藤  隆君         通商産業大臣  田村  元君         運 輸 大 臣 石原慎太郎君         労 働 大 臣 中村 太郎君         建 設 大 臣 越智 伊平君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      冨金原俊二君         経済企画庁総合         計画局長    星野 進保君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         法務省入国管理         局長      熊谷 直博君         外務大臣官房長 藤井 宏昭君         外務大臣官房外         務報道官    松田 慶文君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         大蔵大臣官房審         議官      尾崎  護君         大蔵省主計局長 西垣  昭君         大蔵省理財局次         長       藤田 弘志君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君         文部省学術国際         局長      植木  浩君         文化庁次長   横瀬 庄次君         厚生大臣官房総         務審議官    黒木 武弘君         厚生大臣官房会         計課長     多田  宏君         厚生省健康政策         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局長      北川 定謙君         厚生省保健医療         局老人保健部長 岸本 正裕君         厚生省薬務局長 坂本 龍彦君         厚生省社会局長 小林 功典君         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産大臣官         房予算課長   上野 博史君         農林水産省構造         改善局次長   内藤 克美君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業省通商         政策局長    村岡 茂生君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         工業技術院長  飯塚 幸三君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         労働大臣官房長 清水 傳雄君         建設大臣官房会         計課長     鹿島 尚武君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省住宅局長 片山 正夫君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         会計検査院長  辻  敬一君         参  考  人         (住宅都市整備         公団理事)   佐藤 和男君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   澤邉  守君         予算委員会調査         室長      右田健次郎君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     谷垣 禎一君   倉成  正君     玉沢徳一郎君   小坂徳三郎君     橋本龍太郎君   砂田 重民君     熊谷  弘君   田中 龍夫君     田中 直紀君   浜田 幸一君     松田 九郎君   林  大幹君     中島  衛君   林  義郎君     鳩山由紀夫君   原田  憲君     甘利  明君   細田 吉藏君     中村正三郎君   渡部 恒三君     鈴木 宗男君   井上 一成君     小川 国彦君   大久保直彦君     木内 良明君   坂口  力君     井上 和久君   安藤  巖君     岩佐 恵美君   浦井  洋君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   甘利  明君     原田  憲君   熊谷  弘君     砂田 重民君   鈴木 宗男君     衛藤征士郎君   田中 直紀君     田中 龍夫君   谷垣 禎一君     愛野興一郎君   玉沢徳一郎君     倉成  正君   中島  衛君     林  大幹君   中村正三郎君     細田 吉藏君   橋本龍太郎君     小坂徳三郎君   鳩山由紀夫君     林  義郎君   松田 九郎君     浜田 幸一君   小川 国彦君     井上 一成君   井上 和久君     坂口  力君   木内 良明君     大久保直彦君   田中美智子君     石井 郁子君 同日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     渡部 恒三君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算      ────◇─────
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木内良明君。
  3. 木内良明

    木内委員 初めに大蔵大臣に、野党が出しております修正共同要求についてお尋ねをいたしておきたいと思いましたが、まだお見えでありませんので、後に回したいと思います。  初めに、留学生受け入れ問題ということについて、何点か各大臣から御見解を承りたいと思います。  留学生受け入れというものは、国際的な相互理解教育研究水準の向上のほか、開発途上国人材育成に貢献するなど、今日の我が国の置かれております国際的な地位と役割から見て、国家的な重要な政治課題一つである、私はこう考えるわけであります。  そこで、まず文部大臣お尋ねをするわけでございますけれども、二十一世紀初頭における我が国における十万人の留学生受け入れということについてでありますけれども昭和五十八年八月三十一日の「二十一世紀への留学生政策に関する提言」これに端を発しているわけでございます。この問題に対する質疑はこれまで国会でたびたび行われてきておりますけれども、当初、例えば六十一年の十二月十二日、衆議院の文教委員会では、この時期十万人を推定するという答弁だった。それから六十二年の八月、これは大きな目標であるというふうに変わっている。さらに十二月八日は、十万人の計画であり、これは目途であります。もっと明確なのは、六十二年六月四日、参議院の決算委員会で、十万人計画ということを考えております、こういう答弁がたびたびにわたって行われてきているわけであります。  したがいまして、以上触れた国会答弁でも明らかなように、紀元二〇〇〇年における十万人の受け入れということは当然実現されることを前提にした政府計画である、こういう位置づけであると私は考えているわけでありますけれども、この点についてのみまず文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
  4. 中島武敏

    中島国務大臣 木内委員おっしゃいますように、二十一世紀初頭におきまして十万人、これは私どもとしては目途といたしております。ただし、どのくらいの伸びで二〇〇〇年に十万人になるかと申しますと、年間一四・二%ぐらいずつ前年比伸びてまいりますと十万人に到達をいたすわけでありますが、現在は年間二二%ぐらいの伸びがございますので、このままの伸びでまいりますと、二〇〇〇年に十万人は突破をいたすという伸び率でございますので、これは当然今のままいけば十万人は自然に到達できる問題であります。  ただ、私どもがむしろ心しなければいけませんのは、おっしゃいますように、こういう留学生相互理解の重要なかけ橋になっていただける有能な人材でありますから、その方々受け入れる人数と同時に、それを非常に理解が深まるような環境整備をし、そして留学をすることによって日本理解し、そして親日的な感情を持っていただき、そして幅広い分野でそういう心を持って活躍をしていただける、そういう受け入れ環境をそれに即した整備をいたしていかなければならぬということに心がけたい、こう思っております。
  5. 木内良明

    木内委員 留学生問題については質疑がちょっと中断するようでありますが、重要な課題、先ほど申し上げました野党修正要求に対する御見解大蔵大臣お尋ねをいたします。  御案内のように、公明党と社会、民社の三野党が先週末、大幅減税を柱とする昭和六十三年度予算政府案に対する修正共同要求をまとめて、その回答期限をきょう二日の正午まで、こういたしているわけでございます。  一つには、政府財政再建一般消費税によらないとする五十四年の国会決議、さらに大型間接税導入を否定した六十年の政府統一見解、こうした経過があるわけでございまして、私はここで憲法六十六条三項についても申し上げなければならない。すなわち、内閣行政権の行使につき国会に対し連帯して責任を負う、こう定めているわけでございまして、時の総理が国会政府統一見解として述べた事項は、内閣の更迭で後の内閣がその責任を免れるものではない、内閣継承義務というものがあるということを指摘をしておきたいわけでございます。  特にこの修正共同要求につきましては、一つには中堅所得者、低所得者負担軽減を図る税率構造の緩和や課税最低限の引き上げによる一兆二千五百五十億円の所得税減税、さらに所得税に準じた住民税減税が三千億円、年金、パート、障害者などへの政策減税相続税減税法人税減税、こうしたものを求めているわけでございまして、総額二兆九千四百億円に上る規模のものでございます。  そこで大蔵大臣、きょう正午ということで私ども政府・自民党にこの実現に向けて要求をいたしているわけでございますが、今いかなる御見解をお持ちか、率直な御見解を伺いたい、このように思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 四党から共同修正案が提出されまして、自由民主党におきましてそれをちょうだいいたしまして、ただいま検討をしておるところでございますので、政府がこの段階であれこれ具体的に申し上げることは避けるべきかと存じますけれども、一応政府立場を申し上げますならば、昭和六十三年度予算は、内外のいろいろな状況の中で、片方で内需振興をしながら他方で財政再建の道を進めていく、そのような要請にこたえたものであると考えておりまして、政府といたしましては最善と信じまして御提案をいたしました。  なお、ただいま税制につきまして御言及がございましたが、政府といたしましても、税制抜本改正につきましてはいろいろに昨年の経緯を踏んまえまして考えておるところでございます。ただいま税制調査会におきまして検討を願っておるところでございますが、いずれその結果を抜本改革の案といたしまして御提案をして御審議を仰ぎたい。したがいまして、税制の問題は、政府といたしましては抜本改革との関連におきまして考え、また御審議を仰ぎたいと思っておるところでございます。  そのようなことが政府立場でございますが、いやしくも公党におかれまして共同修正案を御提示でございますので、党におきましてそれにつきましてさらに詳しく承り、党・政府立場からお答えを申し上げる、そういう段階になろうかと存じます。
  7. 木内良明

    木内委員 あくまでも新大型間接税導入によらない大幅減税実施ということを重ねて要求をいたしておきたいと思います。  先ほどのテーマでございますが、どうも文部大臣答弁を聞いておりますと、二〇〇一年における十万人の受け入れ実施ということについて楽観的な見解をお持ちなのではないかという感を強くいたしました。このままほうっておいて、今日までの数字的な経緯がただ延長されることによって十万人が実現されるということでは決してないと私は思います。  我が国における留学生受け入れの問題として幾つかの政治的あるいは環境的要因があるわけでございますが、例えば近年のこの円高における留学生経済的負担というものが大変に日常的な生活の面で増大をしてきている、あるいはまた我が国特有住宅問題というものが留学生生活にも大きな深刻な影を落としている、加えて日本語習得の難しさでございますとか、さらにまた日本の大学における学位博士号の取得の困難さの問題、加えて日系企業への就職等々各側面における大変に山積した課題のために、私はこの十万人について大変な危惧を抱いているわけでございます。  そこで、この各部面にわたる代表的な問題について、各大臣に御見解を承りたいのでありますけれども、まず建設大臣首都圏近畿圏を初めといたしまして、申し上げたように我が国住宅事情というものは留学生にとって極めて厳しいものがあります。この留学生にとっての宿舎あるいは住宅問題の解決は重要課題である。民間の積極的な協力を得ていくための努力も当然必要でございますけれども、やはり政府による精力的な取り組みが必要であろう、こう思うのであります。  そこで大臣一つ留学生向け公営住宅建設住宅都市整備公団による留学生向け宿舎建設具体的計画に基づいて進められなければならないと思います。またさらに、土地を所有する個人において留学生向け宿舎建設する場合の税制上の特例措置あるいは特別融資制度の枠というものを創設される必要があるのではないか、こうお聞きをするわけでございます。  特に六十一年四月、文部省から出されております「二十一世紀への留学生政策」という資料には、「住宅都市整備公団による宿舎建設検討するほか、地方公共団体積極的貢献を期待する。」という一項があり、さらにまた「土地を所有する個人等留学生のための宿舎建設する場合の特別な融資制度税制上の配慮検討する。」こういうふうに文部省から出ているわけでありますが、こうした点も踏まえながら、建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  8. 越智伊平

    越智国務大臣 公的住宅につきましては、ただいまも留学生、登録をきちっとしておりますと、住宅事情等を勘案してできるだけ入居していただいておるということであります。今お尋ね留学生向け住宅建設あるいは民間建設した場合の低利融資等については、ただいまの制度ではちょっと難しい、率直にただいまの制度ではこれを優先するということは難しい、制度を変えないとなかなか難しい、こういうふうに思っております。
  9. 木内良明

    木内委員 極めて否定的な答弁でありましたが、文部大臣、今の点、文部省政策としてうたいながら建設省はこういう答弁でありますが、今後積極的にその協力方制度の改変、改正等を働きかけていかれる御決意があるかどうか、お聞きします。
  10. 中島武敏

    中島国務大臣 先ほどからのお尋ねでございますが、十万人の留学生対策について決して楽観をしておるわけではございません。今の日本留学したいという御希望と、それから今の受け入れ伸び率の数は幸いにしてそれを上回るような数になっておりますけれども、それだけに魅力ある留学生生活を送っていただくためには特段の努力をいたさなければいかぬ、こういうことを申し上げたわけでございまして、その中に今おっしゃるような教育体制整備ですとかあるいは日本語教育の問題あるいは宿舎の問題、できれば国費留学生をより多く拡充をする、あるいは私費留学生対策あるいは民間方々との協力、これを進めていくということはもちろんでございますので、各省庁に対しましてもそれなりに御協力方はお願いをしていくところでございますが、一方におきまして一番私どもが必要と思っておりますのは民間方々の御協力でございまして、民間企業団体のいわゆる社員寮ども開放していただき、日本の青年と一緒に共同生活ができるというような場も留学生諸君にとってはいい環境提供というふうに思っておりますので、そういうものを総合的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  11. 木内良明

    木内委員 今文部大臣の御答弁の中で、各課題について各省庁協力方を働きかけてまいりたいということでございますので、申し上げた建設省への、建設大臣へのまた要請も行われるであろうと、その答弁を受けとめたいと思います。  次に、通産大臣お尋ねをするわけでございますが、我が国留学をされた方々がやはり一番悩むのは将来的な就職の問題ということがあるわけでございます。特に日系企業への就職問題につきましては、日本留学をし学位を取って母国へ帰り日系企業就職をしたところ、同じ資格を持つ日本人現地採用ということもこれありなかなか待遇の面で差異が大き過ぎる、こういう落胆の声が非常に多く聞かれるわけでございます。この点、日本在外企業協会というのがあるわけでございまして、こうした団体への相談、御協議というものを願い、通産大臣からのお立場留学生にさらに新しい未来が開けるような措置というものを講じていただくわけにはまいらないだろうか、これが一点でございます。  それからもう一点は、日本企業が十分な国際競争力を維持していく上で優秀でしかも日本をよく理解できる外国人人材を登用し企業活動の戦力とすることもこれは大変重要なことであろう、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、日本への留学経験者のための就職あっせん機関として人材バンク的な機関を設立することが有効である。これは先ごろ報告が行われました在外企業協会資料にも提案があるわけでございますが、私もこれはぜひ進めるべきである、このように思うのでございます。留学経験者のアフターケアの一環としていわば日本留学生リクルートセンターの設立の実現をぜひ目指してまいりたいし、また通産大臣にも御尽力をいただきたい。  この二点について御答弁をお願いします。
  12. 田村元

    田村国務大臣 経済国際化の進んでおる中で、日本だけでありませんけれども日本からの帰国留学生日本で習得したいわゆる知識、識見を生かして母国活躍するということは、これは非常に重要なことでございます。裏返して言えば、外国留学した日本人日本外国企業就職して活躍をするあるいは外国企業を相手にして活躍をする、いずれにしても重要なことであると考えます。  ただ理屈からいえば、企業従業員に対する待遇あるいは条件というものは、個々の従業員職務分担責任の軽重、勤務地の変更の可能性等々の要因によって決定されるものでありますから、同一の学歴を有しているからといって必ずしも同一待遇条件が与えられるものではない。これは日本の国内においても本社採用あるいは現場採用支店採用というのがありますが、こういうことは特に国の内外を問わず言えることではあろうと思いますけれども、そう言ってしまえば身もふたもないことである。そこで私もちょっと調べてみましたら、本社採用として日本人と同じ待遇をしている会社もあるんですね、率直に言って。でございますから、機会あるごとに私からも種々配慮をするようにいろいろと企業に申し上げていきたいと思っております。  それから今、日本留学生リクルートセンターという御提案があったわけでございますが、これは私にとってちょっと耳新しい問題でございますので、よく検討をいたしたいと思います。
  13. 木内良明

    木内委員 今通産大臣からは大変に前向きの御答弁を一点、二点ともにいただいたわけでございまして、ぜひ進めていただきたい。要請をいたします。  次に、外務大臣、来るべき二十一世紀国際社会を展望して、いわば出身地域国別留学生分布実態はいかにあるべきかという率直な外務大臣の御見解を承りたいと思うのであります。  すなわち現状では、現在約二万二千人の留学生日本に見えているわけでありますけれども、アジアから八八・四%、北米四・五%、欧州二・六%、こういうことになっているわけでございます。この点が一点。  それから、こうした基本的な考え方に立って、在外公館における留学を希望する外国方々への的確な情報提供システムというものも今後外務省においては充実整備をされるべきであろう、こう思うわけでありまして、以上二点についてお願いいたします。
  14. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 まことに適切な御質問をちょうだいいたしまして、外務省といたしましてもそうした御期待におこたえしなければならない、かように私たちは考えております。  二十一世紀に十万人留学生文部大臣がお話しなされたとおりでございます。きょうのある新聞の論説を読んでおりますと、途上国の人口の増加率は発展国の二・二倍だというふうな数字も出ておりますし、毎年三千万人ずつ人口がふえていかれる。これに対して日本はどういうふうな貢献をしなければならぬかということを私なりにいろいろ考えてみたわけでございますが、しかしやはりいろいろな貢献あれ、物の貢献も大切なれば心の貢献も大切、そう考えてまいりますと、今木内委員が御指摘の留学生問題は、まさに将来にわたってお互いに、日本のいろいろなことを知っていただき、またそうした方々日本との間における友好増進のために役立っていただき、さらに出身国のために大いに社会安定、経済貢献なさるような方々が誕生するということを我々としてはやはり念頭においてかからなければならないと思います。  今日、申されましたとおり確かに東南アジアが多いわけでございますが、これは歴史的にも地理的にも文化的にも非常に近いところでございますからそういうようなことでございましょうし、また我々といたしましては、東南アジアをまず考えてそして世界というものを考えるということは、この間も私、西側にあり同時に太平洋諸国の一員が日本だという立場も明らかにいたしておりますので、今日までの趨勢はそうしたことであったと思います。途上国の中におきましても東西問題以上に南北問題は大切でございますから、今後もやはり十二分に考えていきたいと思いますが、国別、地域別というふうに、ここは何名ここは何名というわけにまいりませんので、そのときのいろいろな諸情勢なり各国の要請に応じまして機敏に対処したい。  先ほどから御指摘の中で一番大切なことは、過般も申し上げましたが、我が国経済成長は大変なものでありまして、したがいまして経済成長と、世界がその経済成長に対するいろいろな期待と、それに伴う国内のいろいろな問題でもっと整備を急がなくてはならない問題があるんじゃなかろうか、こう思います。したがいまして、留学生問題におきましても、先ほどからお述べになりました幾つかの点にかんがみますと、整備を急ぎたいというのが私たちの気持ちでございますから、第一義的にはこれは文部省の所管でございます。しかしながら、建設省も通産省も各省も関与なさることでございましょうから、各省庁十二分に連絡をとり合いまして、今申し上げましたような展望のもとに、やはり心の、ひとつ外交の一番大きな問題として対処しなければならない、かように私は考えております。
  15. 木内良明

    木内委員 在外公館における情報提供システムについての御答弁はありませんでしたが、私の趣旨を踏まえてぜひ進めていただきたい、このことを申し上げておきます。  それから、法務大臣にお聞きするわけでございますが、日本語教育機関のあり方でありますが、外国留学希望者にとって日本語教育日本で受ける機関の選択というものがどうも不安定である。すなわち、文部省では全国日本語教育機関振興協会というものの位置づけを明確にしており、法務省では外国人就学生受け入れ機関協議会、それぞれ三十三校、百十一校あるわけでございますけれども、例えば文部省のいうところの三十三校中の一校に入学をしたいということで入管手続をする際に、手続の現場で、この学校はどうも勧めにくいものである、したがって次のビザ更新のときには学校を検討したらどうかというようなことを聞いて、入国をする際に非常に不安に陥ったという声も実は聞いております。  したがいまして、法務大臣お見えいただいておりますのに恐縮でございますが、時間の関係もこれありまして御答弁は結構でございますが、いずれにいたしましても、こうした留学生に不安を与えないためにも、国として責任ある機関の設置あるいは日本語を学ぶ機関の一元化、基準づくりというものが必要なのではないか、こう思うわけでございます。文部大臣から簡単に御答弁をお願いします。
  16. 植木浩

    ○植木(浩)政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、日本語教育機関につきましては、文部省日本語教育の振興という立場から、法務省は入国管理という立場からそれぞれ関与をしているわけで、日ごろから連携をできるだけ密にするようにいたしております。  なお、文部省といたしましては、昭和六十三年度に日本語教育機関におきます学習目的に応じた教育内容あるいは教育機関等につきまして標準的な基準というものを策定するための検討に着手をしたいと考えております。いずれにいたしましても、日本語教育の振興という立場から法務省とも十分連絡をとりながら進めてまいりたいと思います。
  17. 木内良明

    木内委員 官房長官にお聞きします。  ただいまの議論をお聞きしておわかりのように、留学生受け入れ問題というのは単に文部省外務省の領域にとどまらず、各省マターにまたがる課題が大変に多いわけでございます。  文部大臣どうぞ、所用がおありのようですから。法務大臣も結構でございます。  これまでの答弁にも若干ございましたけれども、この二十一世紀十万人留学生受け入れ計画実現のための関係閣僚会議政府部内に設置されて、ぜひこの実現に向けての政府の前向きな取り組みを進めていただきたい、こう思いますが、御答弁をお願いします。
  18. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 竹下内閣にとりましても、今木内委員御指摘の留学生対策問題というのは極めて重大な課題だという気持ちを持って取り組んでおります。今の質疑を通じまして、各担当の大臣各位も所管する仕事の中で精いっぱいの努力をされることとあわせて他の省庁との連絡協調もいたしていきたい、こういうお気持ちを述べられておりますので、現時点では、特に縦割行政の弊害とか連絡が不十分だというようなところは特段目立つわけでありませんので、率直に申し上げますと、関係閣僚会議というものを今設置したらどうかということについてはまだ結論を得られないところでございます。率直にこれまた申し上げますと、今四十三閣僚会議がございまして、そういった意味で、できればそれぞれの省庁がその責任においてこうした問題にお取り組みをいただきたいというのが、今官房長官としてはそういう気持ちでございます。  特にこの留学生問題につきましては、六十一年以降文部大臣主宰によりまして留学生交流推進のための会議、こういうことで文部大臣を中心にいたしましての会議を今熱心に実行いたしておるところでございますので、一義的にはぜひ文部大臣を中心にいたしましてこの問題に取り組んでいただきたいというふうに思っております。特にこの留学生問題は、民間団体、こういうところの協力を得なければならぬということで、この会議には特に経済団体民間団体等がたくさん加盟をいたしておりますので、しばらく文部大臣の主宰のこの会議の成果を見守っていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても極めて重大な問題でございますので、政府全体で取り組むために必要ということの判断になりましたら、この閣僚会議につきましても検討させていただきたい、こう思っております。
  19. 木内良明

    木内委員 次に、インフルエンザの予防接種の問題についてお聞きをします。  この接種を受ける児童生徒の数が全国の各都市で大幅に今減少しているという事実があります。東京都のインフルエンザ予防接種の実施状況を見ますと、実施率が一回目五二%、昨年の七四%を大きく下回っている。二回目も四〇%、昨年は六四%であった。いずれも過去最低であったということでございました。また、接種率低下のために医師会に費用補償の救済まで行っているという現実があります。接種事故の続発や有効性をめぐるインフルエンザワクチンへの不信感とともに、厚生省がこのたび接種を強制から同意方式に切りかえたことによる影響によるものと見られているのであります。自治体によっては、効果なしとして接種を中止し、接種率が一・一%というところも出てきている。  このような実態を政府はどう認識し、受けとめておられるか。また、社会防衛とか公衆衛生という観点からどう考えておられるのか、お尋ねをいたします。
  20. 北川定謙

    ○北川政府委員 伝染病と予防接種の問題というのはなかなか微妙な点があるわけでございます。インフルエンザの流行というのも、かつては大きな流行がございましたが、ここ十数年は割合に大きな流行がなかったという現状においていろいろな議論が出てまいるわけでございます。昨年の秋からことしの一月末までは例年になく少なかったわけでありますが、ことしの二月の第二週からでございますが、インフルエンザの流行の兆しが見えておるというのが現状でございます。  そこで、ただいま先生御指摘の予防接種の接種率でございますが、現在三十一の都道府県からの報告を集計をしておる段階でございますが、四三%の接種率ということで、例年六〇%の数字をやや下回っておる、こういうことでございます。インフルエンザは毎年数万人から数十万人が罹患をしておるということで、ワクチン以外に有効な予防方法がないというのが現状でございます。  一方、インフルエンザの予防接種は昭和五十一年から、集団生活をする児童生徒等を対象といたしまして、予防接種法に基づく予防接種として実施してきておるのでありますが、その見直しを求める意見もございまして、公衆衛生審議会伝染病予防部会に検討を求め、昨年の八月、部会から意見をちょうだいしたところでございます。  厚生省といたしましては、これに基づき、当面の方針としては、予防接種は従来どおり法に基づく接種として行うことが適当であるというふうに判断をしておるところでございますが、その実施に当たっては、説明書等によってインフルエンザ予防接種の意義と効果について関係者に十分な理解を求める、また問診を十分にする、第三には、被接種者の健康状態に着目をした保護者の意向を記入する欄を問診票に設けること等により、保護者の意向にも十分配慮するというようなことをやっておるわけでございます。  接種率が下がったという御指摘につきましては、現在その原因等について分析する必要があると考えておりますが、ワクチン以外に有効な予防方法がないというところからインフルエンザの予防接種は今後とも必要であるという観点で、国民の皆様に対してもさらに理解を深めていただくようにお願いをしておる段階でございます。
  21. 木内良明

    木内委員 昨年六〇%、本年四三%、三十一都道府県。相当に低下しているところもあり、恐らく平均値の数字だということになると思いますけれども、さらにこの数字については私もフォローしてまいりたい、こういうふうに思います。  インフルエンザワクチンの副作用による犠牲者が後を絶たない。児童生徒の親だけでなく、一部専門家からもワクチン効果を疑問視する声が聞こえるわけであります。特に、死亡事故につながるような義務接種や予防接種はやめるべきという意見、ワクチンが効く効かないの薬効論よりも死亡事故をまず防止すべきだという点で、たとえよく効くワクチンだとしても死亡事故まで覚悟して接種をする必要があるのか、こういう世論も随分起きてきている。こうした世論について厚生大臣の御見解を伺います。
  22. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 先ほど政府委員から御答弁をいたしましたように、インフルエンザの予防につきましては、現在ワクチンの接種以外に有効な方法がないということからワクチンの接種をしているわけでございます。しかし、御指摘のような、この予防接種に伴いましてわずかながら死亡事故等の重篤な副作用が発生しておるわけでございますので、安全で効果の高いワクチンの開発に現在取り組んでおるところでございまして、今後とも予防接種の適切な実施に努めてまいりたいと考えております。
  23. 木内良明

    木内委員 今大臣から御答弁のありました新しいワクチンの研究開発状況、これについて御報告をいただきます。
  24. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 新しいワクチンの研究開発の状況でございますが、現在、厚生省におきましてインフルエンザワクチンに関する研究班というものを設置いたしまして、ここでいわゆる弱毒生ワクチンの開発など、より効果が高く、かつ安全性も十分なワクチンの開発研究を行っている段階でございます。この研究は昭和六十二年度から三カ年計画で行われておりまして、昭和六十四年度を目途といたしましてこの研究の一応の結論が出される見込みで進められております。  同時に、現行の不活化ワクチンにつきましても、この同じ研究班におきまして経鼻的接種方法、つまり霧状にいたしまして鼻から吸収させるという経鼻的接種方法の検討につきましても並行して進められておりまして、これもやはり六十四年度ごろを目途に一応の結論が出される、こういう状況でございます。
  25. 木内良明

    木内委員 局長、ちょっと待ってください。今の経鼻型接種の実施可能時期でございますけれども、今の答弁によりますと、六十四年あるいは実施可能というふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  26. 坂本龍彦

    ○坂本(龍)政府委員 ただいまお答えいたしましたのは、インフルエンザワクチンに関する研究班における現在の研究につきまして一応の結論が出される見込みが昭和六十四年度ごろであるということでございますが、さらに実用化という問題につきましては技術的な問題もございまして、現在の段階で正確な見通しを申し上げるのはなかなか困難でございますが、おおむね四、五年後に実用化という可能性があると考えられております。
  27. 木内良明

    木内委員 おおむね四、五年後にこの経鼻接種の形態が導入されるという明確なお話がありました。  そこで、厚生大臣、今シーズンの接種率を勘案し、さらに国民各層の意見を聞いて、厚生省が昨年八月に示したインフルエンザ予防接種についての当面の方針を関係の審議会に諮って見直す御用意はあるかどうか、お聞きします。
  28. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 先ほど申し上げましたように、インフルエンザの予防にはワクチンの接種以外に有効な方法がございません。したがいまして、当面は昨年八月の公衆衛生審議会の意見を踏まえまして、これを実施していきたいと考えております。  なお、御指摘の予防接種のあり方についてでございますが、今後とも従来同様に医学水準や社会状況の変化も踏まえまして、必要に応じ審議会の意見も十分に聞きながら検討してまいりたい、かように考えております。
  29. 木内良明

    木内委員 ただいまの大臣答弁は、私が申し上げた見直しを含めての検討ということで答弁を受けとめたい、こういうふうに思います。  それから次に、厚生大臣にお聞きをいたします。  このほど厚生白書が公表されました。そこでは、日本社会保障制度は二十一世紀に向かって大きな転換期を迎えるものであるという指摘が行われておりまして、特に社会保障サービス、わけても高齢化に対応して必要となる医療や社会福祉に関するサービスについては、それを支えるマンパワーの量と質及びサービスのシステム化が極めて重要である、こういう点が述べられているわけでありまして、私はこれに全く異論のないところであります。また、高齢者を取り巻く環境も大きな変化が生じてきておりまして、特に子供の数が減り、女性の社会進出が一般的になってきている中で、寝たきりあるいは要介護状態になったときにどうするかという心配は国民だれもが持っているのであります。  年金制度、あるいは人生の大切な仕上げ時期とも言える後期高齢化におけるいろいろな問題が指摘されるわけでありますが、寝たきりなどの状態になったときに受ける処遇についてはこうした不安に満ちたものであって、いわゆるクォリティー・オブ・ライフ、こういう観点からもこの介護の問題は今後の我が国の国民生活をめぐる極めて重要な問題である、こういうふうに思います。  そこで、当面の大きな課題一つである在宅ケアということに関連してお聞きをするわけでありますが、寝たきり老人等の在宅ケアの分野における専門マンパワーの養成をどのように行おうとしておられるのか、まずこの方針をお聞きしたい、こういうふうに思います。  それから、近年の福祉サービスをめぐる新しい動きとして、シルバーサービスと呼ばれる純民間部門における福祉サービスが出現をしてきている。この動きは今後の高齢者が本格的な年金を受給し始めることや、国民が多様なサービスをみずからの選択で求め始めているという傾向を考えると、恐らく今後拡大の傾向をたどる、こう思われます。こうした民間サービスは、その創意工夫や多様性という面で大いに期待をしてよろしいと私は思いますけれども、一方においてこのまま放置をしておきますと、老人の弱みにつけ込んだ利潤追求主義に陥ったり質の低いサービスが横行する可能性もある。したがって、こうしたことのないような方策を講じるべきだ、こう思うのでありまして、厚生大臣の御見解もあわせて伺いたい。  もう一点。まとめてお聞きしますので、簡潔にお答えをいただければと思います。  厚生白書にも取り上げられておりますけれども、介護にかかわる専門マンパワーの養成、確保を図りつつ、総合的、専門的な民間在宅介護サービスを育成することが急がれていると思いますけれども、厚生大臣としては具体的にどのような方針で臨まれるのか、以上まとめて御答弁いただければと思います。
  30. 藤本孝雄

    ○藤本国務大臣 本格的な高齢化社会を迎えまして老後が長期化をしていくと、御指摘のように介護を要するお年寄りの数も増大するわけでございます。介護を要するお年寄りの対策につきましては、そのお年寄りが住みなれた地域社会、また御自分のおうちで介護を受けるということが望ましいわけでございまして、その場合を考えてみますと、保健医療の面と福祉の面とあるわけでございまして、御指摘のような総合的な在宅ケアということが今後非常に重要な課題になってまいると考えております。そこで、六十三年度の予算につきまして、これらの問題を今後進めていくために十カ所のモデル地区を指定をいたしまして、総合的な在宅ケア対策を考えていこうということで現在進めておる次第でございます。  それから、二番目のシルバーサービス、この問題も老後の長期化に伴い、また価値観の多様化、ニーズの多様化に応じまして、民間におけるシルバーサービスの分野は今後拡大してくると思います。その場合考えなければならないことは、御指摘の質の問題と、国、地方の公共のサービスと民間のサービスがどういう責任分担をしていくかという二つの問題があろうかと思うわけでございますが、質の問題につきましては、良質なサービスが受けられますように国、地方が十分に行政指導をしてまいることは当然でありますけれども、同時に、これらの業界として倫理問題について十分に考えていただく必要があると思います。現在、このために民間事業者の集まりでございますシルバーサービス振興会、ここに倫理綱領の策定等をお願いいたしておりまして、自主的に現在取り組みをいただいておるような状況でございまして、本年五月までに倫理綱領が策定されるというふうに承っております。  それから、最後のマンパワーの養成、確保についての御指摘でございますが、御指摘のように民間在宅介護サービスの育成、まことに同感でございまして、大いにこれから強化をしてまいりたい、かように考えております。
  31. 木内良明

    木内委員 以上で終わります。
  32. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、井上和久君から関連質疑の申し出があります。木内君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井上和久君。
  33. 井上和久

    井上(和)委員 官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。  私は、さきの総選挙におきまして国民の皆様の御支援をいただき、議席を与えてもらったわけでありますが、議員の一年生といたしましてこの一年数カ月過ごしました。その中での率直な感想というものを述べたいと思うのですが、何といいましても、まず国会の場を初めといたしまして、ここで話される言葉というのが非常に難しい言葉あるいは一般では使われていないというような言葉を非常に多く耳にいたします。今まで地元に帰りましていろいろな機会を通じましてお話をいたしましても、役所で使われている言葉というのはわかりにくいというのが国民の皆さんの声でもあろうというふうに思います。同時に、政治の場で使われると、言葉というものが一種独特の使われ方をするというふうに国民の皆さんが思っておられるということがよくわかりました。  私もこちらへ上がってくるまでにも、巷間で言われておりますように、「鋭意努力する」とか、あるいは「善処する」とか、「慎重に検討する」というのは大体やらないということの代名詞だ、こんな話を聞いておりまして、ああ、なるほどそんなものかなと思ったりしながらやってきたわけでございますが、この難しい言葉とあいまいにとれる表現というのが、結局政治というものが難しいと国民の皆さんが思う原因になっておるのではないか、こう思うわけであります。  政治や行政というものは国民が基盤であります。まして民主政治というのは国民により理解をされるということからスタートをするべきものであろうというふうに思うわけであります。したがいまして、あくまでも政治の姿勢というものは国民の皆さんにわかりやすいように、理解しやすいように重心が置かれた表現でなければならない、こういうふうに私は感じるものでありますが、官房長官のこれについての御所見を承りたいと思います。
  34. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 官房長官として答弁せよ、こういうことでございますが、私も四半世期議席をちょうだいしてきておるわけでございますが、井上議員初めて議会に臨まれて思われるお気持ち、私も二十五年そう思ってきたところも正直ございます。しかし、そのよって来るところは那辺にあるかということについてももう少し研究しなければならぬのじゃないか。  正直申し上げますと、野党各党から御質疑をちょうだいして、政府としてはそれに答弁一本やりといいますか、そういう形での議会の姿でもございまして、その点諸外国の姿などを見ますと、もう少し議論が双方とも展開していくというような形の中で、実は答弁ぶりにつきましても御批判をいただくような点についての改善もなされるのではないかという気が、率直に実はいたしております。これは議会のみならず、どうも日本語というのは、遺憾でありますとかそういう言葉が多々使用される点もございますので、国民の目から見てもう少しずばりずばりと結論を得ていくということでないと、政治の姿に対してめり張りのきいたという感じを持たれないのではないかということを率直に考えます。  そういった意味で、いろいろ政府としての言葉のあり方につきましては従来から問題になっておるようでございまして、昭和二十四年の公用文改善協議会報告「公用文の改善」を初めといたしまして、今日までずっといろいろ政府部内では検討いたしておるところではございますが、政府の考え方を明確に表現をし、そして御質疑等を通じて明快なお答えの中で政府のあり方をお示しのできるように今後とも努力をいたしていきたい、こう考えております。
  35. 井上和久

    井上(和)委員 政府は一月二十六日に「さわやか行政サービス運動」につきまして閣議決定を行いました。ちょうどここにあるわけでありますが、この中に「「国民の立場に立った親切な行政」、「真心のこもった行政」を実現する必要がある。」こういうふうにうたわれております。これは大変いいことだと思うのであります。ただ、先ほど申し上げました、この中では「国民の立場に立った親切な行政」ということをうたうわけでありますから、何よりもやはりわかりやすい言葉、親しみやすい言葉というものが使われるということからスタートをしていくべきものではないのかな、こういう気持ちが強くするわけでございます。  この閣議決定の文書の中を見ましても、言葉をわかりやすくしようというような事柄はどこにも入っておりません。そうしますと、こういう事柄は進まないのじゃないかなと思うし、まして、私これを見せていただいて、例えば「以下の措置を講ずるものとする。」とかいうふうにこれ自体がそういうふうな文書になっておりますので、ぜひこういうことから変えてもらうべきじゃないか。言葉というものからわかりやすくすることが親しみやすい国民の立場に立つことだということを御認識をいただくべきだというふうに思うわけでありますが、この行政サービス運動の中での言葉というものをわかりやすくしようということをどうとらえていかれるかということについてお願いをいたしたいと思います。
  36. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 さわやか行政の展開は、総務庁長官のもとで今展開をいたしておるところでございますが、そのさわやか行政のまず最初としてわかりやすい言葉を使いなさい、こういう御指摘でございます。その点はそのとおりだと思いますので、重々注意をいたしてまいりたいと思います。
  37. 井上和久

    井上(和)委員 具体的に申し上げたいと思うのですが、いわゆる役所言葉あるいは政治言葉というものが理解しにくい、こういうことにつきましてはいろいろな理由があろうと思うわけでありますが、まず一つは、用語自体が既に古いものでありまして、一般社会では余り使われていない、こういうふうに考えられるものが使われております。  ここで、大変恐れ入りますが、ちょっと資料をごらんをいただきたいと思います。この資料を見ていただきますと、これはまず「よく使われる役所・政治ことば」を気がついたといいましょうか、自分で拾ってみたわけであります。「即応していく」あるいは「先般の」「税体系の構築」、こういうふうにずっとありまして、特にどうかなと思うのは「喫緊の課題」であるとかあるいは「諸般の問題」、こういうことはよく使われると思いますし、「忌憚のない」あるいは「生起する」「惹起する」、こういうふうな言葉がございます。特にまた「緊要である」とか「可及的速やかに」、こういうふうな御表現、よく使われるものであるというふうに思うわけでございます。  これは国会の中では使いなれておる言葉なのかもわかりませんけれども、一般の国民の皆さんには極めてわかりにくい、難しい言葉に入ろうかと思うのであります。特に先ほど申しました「喫緊の課題」という「喫緊」あるいは「忌憚のない」「緊要」、こういうふうな文字につきましては、今はワープロの時代といいますが、ワープロの単語にもこれはないわけでございます。したがいまして、こうしたことを変えるということは大変大事なことではないかというふうに思うわけでございます。言葉や表現というものは時代によっていろいろと変化をしていくものでございます。政府や行政では国民に理解しやすいもの、なじみやすいものにしていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。  それで、次の資料2をごらんいただいたらと思うのでありますが、これは「あなたは、役所からの通知文などで使われている言葉にどのような感想をお持ちですか。」こういう質問のアンケートでございまして、まず一は「パターン化している」、二番目が「文章が硬い」「命令的」である。「簡潔」というのはありますが、「理屈っぽい」とか「古くさい」とかいろいろ結果が出ております。また「役所ことばの中で改善が必要と思われることばや言い回しを指摘してください。」こういうアンケートでは、「遺憾のないように」あるいは「遺漏のないように」「思料する」ものとする、あるいは「されたく」とか「されたい」とか「周知徹底」「特段の御協力を賜り」「何々方について」、こういうふうなことが指摘をされておるという結果になっておるわけであります。  また、言葉を見直すということは、単に理解しやすい、なじみやすいということだけではありませんで、例えばある自治体では、「みだりに立ち入ることを禁ず」という看板を変えたということが言われております。どう変えたかというと、「この庭には鳥やリスなんかも住んでいます、自然を大切に静かな散策をお楽しみください」こういうふうに立て札が変わったということであります。そういたしますと、みだりに立ち入りを禁ずという感じと、先ほどの、この庭にはリスなども住んでいてというようになってきますと、これはもう政治の姿勢が変わったと言えるのではないかと私は思うのであります。したがいまして、言葉が変わるということは、単に理解しやすいということだけではなくして、それが優しい、思いやりのある、いわば国民の方を向いた政治に変わっていくという政治の姿勢、行政の姿勢にこれが変わるということにもなるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  先ほどから官房長官の御答弁をいただいたわけでありますが、具体的に研究会をつくるなりあるいは有識者の御意見を聞くなりしていただきまして、立派な国語の先生方もたくさんいらっしゃることでございますので、ぜひそういうふうな機関をおつくりいただいて検討を具体的に進めてもらいたいと思いますが、これについて御答弁をお願いをいたしたいと思います。
  38. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 委員の御主張されておる意味は十分理解できるところでございますし、また政府としても先ほど少しく御答弁申し上げましたが、従来、戦後、この言葉の問題も極めて重要だということで、しばしば研究検討を重ねてきたようなところでございます。ごく最近では、公用文における漢字使用等について事務次官会議の申し合わせ等もいたしておりまして、そういった意味で各省庁にもその趣旨を徹底していこうということでいたしております。  先ほど先生が資料として御提示されましたものをいろいろ拝読いたしておりますと、率直に申し上げて、先ほど「遺憾の意」という言葉を私からも申し上げましたが、なかなかこの辺の言葉は日本の文化のよって来るところにも現存するような気もいたしておりまして、「遺憾の意」ということは、完全に否定をしているのか、あるいは半分否定しているのか、肯定しているのか、この辺はその使われた時点における判読で解釈をしなきゃならぬというようなところが、これは国会のみならず民間でもそういう使われ方が種々されておるようなところでございまして、この点は私、文部大臣でもございませんので申し上げることはいかがかと思いますが、どうも日本語というもののある意味のあいまいさ、こういうものもあるような気がいたしております。  しかし、法律を制定する議会でございますし、政治の場でございますので、やはりこういった言葉の使用方法あるいは意味、こういうものにつきましてもお互い理解をし合えるものでなければならないのではないかというふうに考えております。そういう意味で、政府といたしましても、国民に政府の考え方を明らかにいたすためにも、この用語の使用あるいはその概念のあり方等につきましてはできる限り正確を期していくように努力をいたしていきたい、こう考えております。
  39. 井上和久

    井上(和)委員 私、この質問に当たりまして若干勉強もいたしました。その中で、今官房長官お答えいただきました正確を期していく、その正確を期していくのが強過ぎてわかりやすさというものがなおざりになってきたのが今日の姿になったという意見が実はあるわけでございます。そういうふうな意味もございますし、ありがたい御答弁だと思うのですが、官房長官の責任のもとでぜひともこれは制度化をしていただいて取り組んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。  それでは、次に建設大臣お尋ねをいたします。大臣はちょうど私と同じ愛媛の出身ということでありまして、私はその先輩の御活躍、さらに今回の大臣に御就任になっての御活躍に対しまして期待をいたしますとともに、注目をいたしておる次第でございます。そういったことを含みまして御質問をいたしたいと存じます。  初めに住宅問題についてお願いをいたします。  昭和六十二年度の新設住宅着工戸数の実績見込みで約百七十万戸が予想をされております。これは史上第三番目の住宅建設の年になるだろう、こういうふうに言われておるわけでありまして、また昨年の内需拡大の中でこの住宅建設というものが果たしてきた役割は非常に大きなものがあった、こういうふうに存ずるのであります。ことしはこれに陰りが見え始めておるというお話もございます。政府見通しでも百五十万戸、民間予想では百四十五万戸という見方がなされているやに伺っております。理由はいろいろあろうと思うのでありますが、結論的には地価高騰により高くて買えないというのが結論ではないかというふうに思うわけであります。住宅関係機関やあるいは民間銀行の意識調査でも、住宅の取得はもはや手の届かないものになった、こういうあきらめの声が半数以上を占めておるという結果が出ております。よく議論されます平均的なサラリーマンの年収の五倍程度、こう言われるわけでありますが、既に東京圏などではもうそれさえもはるかに超して、年収の十一倍を超え、六千万、七千万、こういうふうに分譲住宅で言われております。この傾向が地方にも及び、サラリーマンのマイホームの夢というものを打ち砕いていくということになりますと大変なことでございます。  そこで、質問の第一点は、現行の住宅促進税制というものを充実をさせ、控除率を民間、公的ローンを含めて二%、控除期間を十年に延長すべきであると思います。大変重い住宅ローンの負担感を少しでも和らげて、金利の引き下げだけでなく税制面からの後押しというものが大変大切な事柄であろう、こういうふうに思うわけでありますが、大蔵大臣建設大臣のこれについての御所見をお伺いをいたしたいと思います。
  40. 越智伊平

    越智国務大臣 私の建設大臣就任につきまして御激励をいただきましてまことにありがとうございます。国家国民のために微力でございますが全力を尽くしたいと、かように思う次第であります。  今お話にございましたように、六十二年度は百七十万戸の計画、これは実現の見込みであります。六十三年度は百五十万と言われておりますが、できるだけこれを進めてまいりたい。ただ、土地の問題ももちろんございますけれども、それだけでなくやはり少し六十三年度分が六十二年度に繰り上げをされた、これは金利の問題、いろいろございますが、そういうことで予想どおり進めてまいりたい、かように思います。  税制面の問題でございますが、いろいろ大蔵省とも話し合いまして、今租税特別措置法で最大限のことで御提案をいたしておるような次第であります。野党の皆さんから二%ということが出ておるようでございますけれども、これはいろいろ党間の話し合いでありまして、私どもの方は、建設省といたしましてはもう最大限の特別措置法で一%にしていただいた、こういうことでありますので、政府としてはただいまのところこれが一番妥当な線だと、こういうふうに存じております。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま建設大臣がお答えになられましたように、六十三年度の税制改正におきまして持ち家取得促進のための優遇措置をさらに講じたところでございまして、財政といたしましてはかなり大きな努力をいたしておる、五年間通じますと減収は四千五百億円と見積られるわけでございますが、最大限の努力をいたしておるつもりでございます。
  42. 井上和久

    井上(和)委員 次に、地価の問題でありますが、地価は鎮静の方向にある、こういうふうに関係閣僚の中で言われておるようでございます。同時に別の意見では、首都圏を中心に異常に値上がりをして高いところで張りついておる、これは鎮静化と言うものではないのだというふうな意見もございます。  ここにちょうど労働組合の連合が組合員にアンケートをいたしております。それによりますと、地価高騰で暮らし向きに影響を受けている、こう答えた人が五五・六%と過半数を超えております。その人たちの四二%がマイホームを入手しにくくなったと答えておるのであります。さらにその中の三割の人がもうマイホームはあきらめるしかない、こういうふうに断念をしている、こういう結果が出ておるわけであります。さらに、政府の言う地価は鎮静化しているということについて、下がっていない、まだ上がっている、こう見ている人が五一%、半分以上おるというふうな結果が出ておるわけであります。しかも、地価の狂乱の原因については実に六一%の人が、何もしてこなかった政府責任である、こういうふうに考えており、大多数のサラリーマンの方々の声としては政府に対してこういうふうな気持ちを持っているというのが、この間のアンケートの結果でございます。  この結果に対しまして、大臣一言。お願いをしたいと思います。
  43. 越智伊平

    越智国務大臣 アンケートではいろいろ出てくるであろうと思いますけれども、確かに東京都内では大きい下がりはないにしても地価は下がっている、こういうふうに受けとめております。しかし周辺の方ではやはり上がっておる、また地方へ行きますと値上がりしているところもある、こういうふうに思います。  そこで、マイホームの問題でありますけれども、今農地では御承知のように減反が三分の一というような状況でございますので、第一番には、宅地開発を今まで抑制ぎみでございましたけれども地方公共団体では大変前向きにやっていただいておるところもございますけれども、まだ抑制、抑制の方向でなかなか開発許可がおりない、こういうこともございますので、できるだけ御協力をいただいて積極的に宅地供給、開発を進めてまいりたい、かように思います。もう一点は交通機関、道路あるいは鉄道を含めましてこれを進めていって通勤距離が短くなるように努力をしてまいりたい、かように思います。  でございますから、東京都内では確かにマイホームは難しいと思いますけれども、地方に行きますと、先生と同じ愛媛へ行きますとまだマイホームが持てないということではございませんので、そういう地域分散を含めて努力をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  44. 井上和久

    井上(和)委員 さきの土地問題の特別委員会で大臣は、低所得者を初めサラリーマン向けの住宅は公営や公団等で供給していく必要がある、安い土地そして安い家賃の公営住宅あるいは公団住宅、これの供給に大いに力を入れていかなければならない、こういうふうに土地問題のときに御答弁なさっております。今もそれはそのとおりでございますか。
  45. 越智伊平

    越智国務大臣 今お話がございました、まずマイホームですね、持ち家政策。これを強力に推し進めてまいりたいと思いますけれども、やはり所得の低い方々、こういう方々には安い家賃の公営住宅、端的に言いますと、今結婚してすぐのような人に持ち家といってもなかなか難しい、そういう人は公営住宅で、そして所得が多くなるに従って持ち家に誘導していく、こういうふうに進めてまいりたい、かように思う次第であります。
  46. 井上和久

    井上(和)委員 公団住宅とかあるいは安い土地そして安い家賃へ努力をする、その考え方については変わりがないという御答弁であったというふうに思います。  ところが実は、これは住宅都市整備公団の関西支社が今月募集をいたします大阪の箕面の小野原の分譲住宅でありますが、実にこれは一億円の分譲住宅の売り出しをするということであります。住宅都市整備公団というのは、より安くよりよい住宅を国民に提供するということが使命であるというふうに思うわけであります。また大臣も先ほどから、またさきの土地委員会でもそのように御答弁になっておりますが、現実に一億円の公団の住宅ということになりますと、これは大臣の言われることとえらい違うことができてきているというふうに私どもは考えるわけであります。公団自体が試算をしても、即金、頭金で三千二百万を出して二十年のローンを組んで毎月二十七万一千四百円でしたか、これだけ二十年間払い続けないといけないというような、それは土地代だけです、こういう実態のものなんです。  それが売り出されるということで、民間の関係者の中にも、こんなことでは困るのだ、公団というのは、日本住宅事情というものがより大衆のためによくならなければならぬ、こういうものを出すということは、それは抑制ではなくしてつり上げる、そういう役目を果たしてくるのだということで大変憤慨をしているというようなコメントも載っておるわけでありますが、これは私どもが考えましても大変おかしな事柄であるというふうに思うわけなんです。これにつきまして大臣
  47. 越智伊平

    越智国務大臣 ただいまのお話でございますが、先ほど基本的な問題をお答えいたしました。具体的な問題は、後で公団の参考人からお聞きいただきたいと思いますが、このことは、住宅・都市公団はその地域の方々からいろいろ要望等を聞きまして、箕面市ですか、そこの地域の方が、ここは非常にいいところだからということで少し高所得者が入る住宅をやってくれないかというようなことがあったそうであります。そして公団と業者との共同で、土地は公団、建物は業者ということでやっておるので、このことにつきましても私もいろいろ聞いたのでありますが、地元からとにかく高所得者が入るようなところもつくってくれというような要望もありましてそういうことになったようであります。  しかし、平均的には全体的に三千万余りの分譲ということになっておりますので、このことについてはそのいきさつ等をお聞き願いたいと思いますが、決していいものを建ててということは、公的な機関としてはやるということは考えておりません。やはり大衆向きのものをやっていく、こういう考え方で指導をしてまいりたい、こう思っております。
  48. 佐藤和男

    佐藤参考人 御説明させていただきます。  まず、一般論といたしまして公団が供給しております住宅なり宅地の価格の水準でございますが、分譲住宅につきましては三千百万、六十一年度の平均でございます。また分譲宅地につきましては千九百七十九万でございますから約二千万というところでございまして、これは首都圏においてもこれよりやや高いという程度でございます。したがいまして、全般的には大都市地域におきます、先生おっしゃいます中堅勤労者向けの低廉かつ良好な居住環境を有する住宅宅地の供給という公団の使命を果たしているものというふうに考えております。  御指摘の小野原東地区でございますが、これは昭和五十五年ごろに用地を取得しまして、そこで土地区画整理事業を実施いたしました。施行面積は三十ヘクタールでございますから、公団としては余り大きなものではございません。ただ、隣接が非常にスプロール地帯でございますので、公共団体からぜひ公団に区画整理で立派な町をつくってもらいたいということで施行したものでございます。今回一部完成いたしまして宅地の供給をするということになりました際に、更地で供給するものとそれから公団の分譲住宅として供給するもの、これは大体頭が七千万ぐらい以下のところでございます。それからもう一つ、宅地で供給しまして、そこに民間住宅建築業者の方が住宅をつくる、したがって宅地は私どもから供給いたしまして、それから住宅民間の事業者の方がお売りになるという共同の方式をとったわけでございます。それで、全般としまして、この地域が一般的な価格水準が高かったことから、原価が非常に高かった、それから非常に高品質、高規格ということで、規模等について相当高額なものになったという結果を招来したものでございます。
  49. 井上和久

    井上(和)委員 時間がありませんので次に行きますが、この住宅が売り出しになるまでは昨年十二月の東京・多摩ニュータウンの共同住宅の七千六百三十六万円というのが今までの最高であったのです。それが今回超えられたわけでありますが、しかもこれは大阪でありますし、どんどんこういうふうに地方にといいましょうか広がっていくことになると、大変なことになるというふうに私は思います。そういうことを踏まえまして、ほかに一億円以上というか一億円規模の住宅建設計画というものがあるというふうにも聞いておるわけでありますが、これについて具体的に答えてもらいたいと思います。
  50. 佐藤和男

    佐藤参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のような分譲住宅につきましてもそれから宅地につきましても、おっしゃるような一億円というような計画を現在私ども公団としては持っておりません。
  51. 井上和久

    井上(和)委員 それでは次に、個人消費の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  内需拡大の主役であります消費者というものは数字の上では比較的堅調に推移をしておる、こういうふうに見えるわけでありますが、六十二年平均の家計調査報告によりますと、全世帯の消費支出というものは前年比で名目で一・七%、実質で一・九%の増となっておる。しかし世帯別では、サラリーマン世帯の消費支出で名目〇・八、実質一・〇増にとどまったのに対して、会社経営者や商店主など一般世帯は名目で四・一増、実質四・三%増と高い伸びとなっておる、こういうふうな結果が出ております。これは持てる世帯と持たざる世帯という消費支出の格差が拡大しておる、こういうことを明確に示してきておるのじゃないかというふうに思うわけであります。サラリーマンの消費の鈍化というものは、結局いろいろな理由があろうと思いますけれども、超緊縮財政や円高誘導、産業空洞化政策をとった中曽根前政権に大きな政治的な責任があるということも言えるというふうに思います。この政策というものを転換することが、今後、現在の日本にとっても大切な事柄であるというように思うのですが、これについて御答弁を願いたいと思います。
  52. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 井上委員にお答えいたします。  確かに御指摘の問題点もございますけれども、最近の消費動向を家計調査で見ますると、勤労者世帯の伸びが確かに低いけれども個人消費全体としては堅調におっしゃるとおり推移している。しかし、個人消費は国民経済の約六割ぐらいをGNPに占めておるわけでございまして、内需主導型の経済構造への転換、定着を図るためには、その安定的な伸びが間違いなく確定的に拡大していくことが重要である、この認識も同じであろうと思います。  今後とも個人消費の拡大を実現していくためには、物価の安定のもとで経済の持続的成長を維持することなどによって実質可処分所得、減税などを含めましたその問題であるとか、あるいは自由時間の増加、すなわち労働時間の短縮といいましょうか、こういうものを図っていくことが必要欠くべからざるものである、このように考えておる次第でございます。
  53. 井上和久

    井上(和)委員 円高差益の還元問題についてお聞きをしたいと思いますが、これにつきましては政府国会答弁におきましても、努力をしております、こういうふうな御答弁でございました。ところが、一般国民の側からいたしますと、円高差益というものが十分に還元されておるという実感はないというのが実情じゃないかというふうに思うわけであります。  先日NHKが「円高差益三十兆円・なぜ豊かさが実感できないか」こういうふうな特別番組を放送いたしました。これなどでも指摘をされておりましたけれども、最近海外旅行での状況が変わってきた。それは何かというと、日本へ持ち帰るお土産が変わってきた。それは、外国にある日本の会社のものを買って帰るようになったというふうなことが取り上げられておりました。同じ製品を日本で買うのと外国で買うのとでは外国で買う方が安い、こういうふうなことが現実にあるということでございます。これは大変おかしな話であると思うのでありますが、通産省が調査したというふうなことも流れたりしましたが、これは実はそうじゃなかったというふうにも聞いております。したがいまして、今後こういうふうな問題が出るということは日本の国民にとりましても大変不都合なことであろうというふうに私は思います。これについての通産大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  54. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 先生御指摘のような報道に最近多数接するようになっているのはそのとおりでございます。どうしてそういうことが起きるかということでございますが、基本的には、円の上昇が非常に急激だったものですから、日本のメーカーが海外における価格の引き上げがまだ十分追いついていないというタイムラグがあるかと私どもは思いますし、そのほかにも、日本国内で売られるものと海外で売られるものとの規格が違うとか物品税のかけ方が違うとかいろいろなことがございます。しかし私どもは、そういういろいろな問題がありまして比較は大変困難だとは思いますけれども、御指摘のように円高になったときに日本の消費者がそのメリットを十分受けないということであってはならないと思いますので、そういう意識を持ちましてこの問題を注目してまいりたいと思っております。
  55. 井上和久

    井上(和)委員 外務大臣お越しいただきましたのでお伺いをいたしたいと思います。  昨年十二月二十二日、在京大使館三十一カ国で結成をしておる外国公館建設推進協議会の会長であるガーナ大使が外務大臣を訪問されまして、ここ数年の東京都心部の地価高騰のために家賃が毎年三、四〇%も上昇しておる事実を指摘いたしまして、いろいろ努力をしておるけれども大変な状況であるということについての窮状を訴える陳情があったというふうに聞いております。外務大臣もそれに対しまして、国有地の最大限の活用という面等から真剣に検討いたしたいというふうなお約束をなさったそうであります。これについてすぐにチームをつくって検討するように指示をされたということであります。大変すばらしいことだと思うのですが、このことについて、どのように進捗されているか、またお考えを聞きたいと思います。
  56. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 仰せのとおりのことがございました。それで、これはほっておくわけにはまいりません。したがいまして、プロジェクトチームを儀典長のもとに設けましてただいま検討させております。高いから困る。家賃が高い、地代が高い、さらには外交活動が必要でございますからやはり都心部というふうな感じ方、そういうところをどうやってこなすか、鋭意やっておる最中でございますので、御理解賜りたいと思います。
  57. 井上和久

    井上(和)委員 防衛庁の跡地問題についてでありますが、端的に言いまして、この防衛庁の移転というものがいつから始まり、いつ終わり、また跡地利用というものについて大蔵省は何か考えておられるか、そのことについてお伺いいたしたいと思います。
  58. 藤田弘志

    ○藤田(弘)政府委員 お答えいたします。  防衛庁檜町庁舎の移転計画につきましては、昭和六十三年度の特定国有財産整備特別会計予算におきまして建設予定地の調査設計費が計上されております。檜町庁舎の移転自身は昭和七十年度、その跡地の処分は七十一年度以降ということで相当先の話になります。また、本跡地の処分収入によりまして移転費用を賄う計画になっておりますことに配意する必要があろうかと思います。  それで、その跡地の利用でございますが、これは国の機関等の地方移転の一環として生じるものでございまして、今後、国の機関等移転推進連絡会議等におきまして跡地利用の基本的な考え方を整理しますとともに、本跡地の具体的な利用計画につきましては、本移転計画の進捗状況等を見ながら国有財産審議会におきまして、地元地方公共団体、学識経験者等の意見を聞きながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
  59. 井上和久

    井上(和)委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  60. 奥田敬和

    奥田委員長 これにて木内君、井上君の質疑は終了いたしました。  次に、井上普方君。
  61. 井上普方

    井上(普)委員 私は、土地問題は次の機会に譲るといたしまして、どうも海外援助問題についてこの国会で余り問題になっておりませんので、きょうはひとつこの点についてお伺いいたしたいと思います。  海外援助につきましては、これは御承知のように一兆円を超えるというような巨額なものになっておりますし、さらにこれから大きくなる約束を政府は諸外国にもなさっておられます。そこでひとつお伺いいたしたいのだが、どうも見てみると主管官庁というのがともかく四つもある。共管になっている。そこで、海外援助というものの理念は一体どういうことなんだ、これをひとつまず経済企画庁長官から、その次は通産大臣大蔵大臣外務大臣の順序にお伺いいたしたいと思います。
  62. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私の理念を説くのが、所管であるかどうかはわかりませんけれども、私なりの理念を申し上げさせていただきたいと思います。  御案内のとおり、日本は敗戦後四十年の間、大変な苦労のもとに今日の経済大国と曲がりなりにも言われるような実績を残したわけでございますが、我が国は自由主義世界の中における経済大国としての自覚をまず持つべきである。そういう自覚の上に立って、世界経済の調和ある発展というものに積極的に国際的にどのような形で貢献でき得るか、こういうことを考えますると、世界百数十数カ国の中における、経済成長を遂げていかなければならない今からの国々にあらゆる限りにおける応援、援助を続けていくことこそ、これが日本の軍事大国化の道ではない経済大国としてのある意味における使命であると同時に、その国々をまた開かれた社会に私どもともども持っていく、この考え方こそが次の世界における連帯意識にもつながる。同時にまた、そのこと自体が世界各国の友好と同時にヒューマニズムの上に立っても大きく貢献でき得る、そういう問題意識がこの経済援助という形であらわれていくものだ、私はこのように考えております。
  63. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今経企庁長官からもお話しになりましたが、それを要約いたしますと、やはり南北問題には相互依存、そうして人道上の考慮というものが根底にございますから、そうしたものを我が国として理念としながらいかに貢献するか、こういう気持ちでございます。
  64. 田村元

    田村国務大臣 私は経済協力について勉強するたびに思うのでありますけれども経済協力というものを施しと考えるがごときは絶対にこれはすべきでない。むしろ経済大国であり大きな黒字国としての崇高な国際的責務であるというふうに考えるべきだ。だからその意味において、ODAでもそうでありますけれども、いろいろな面で一層の内容の充実、つまり受ける側の立場に立ってのことを考えるべきだ。特にこのような円高のときにはなおさらでありまから、そういう点は十分に考えるべきだというふうに思っております。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 第一はやはり人類愛ということだと思います。第二は、我が国は平和の維持と増進に軍事力では貢献できませんので、こういう道しか貢献する方法がないと思っております。
  66. 井上普方

    井上(普)委員 はしなくも四人の大臣からいろいろ海外援助の理念についてお話しになった。海外援助というものは基本的には人道主義、これで出発しなければならないと思うのであります。そしてそれによって、相互依存によって世界経済を発展させ、あるいは低開発国と申しますか、そういう国々の方々生活をよくするという立場に立っていかなければならぬと思います。  しかし、今の四人のお話を海外援助につきましてお伺いいたしたのでありますが、四人の大臣の中には、あるいは経済協力という言葉をお使いになった方もある。私は、海外援助ということになるとODAだろうと思うのですよ。こういうような考え方が理念において主管官庁の四人の大臣の中においても一致していない。ここに海外援助の混迷が日本にはあるのじゃないだろうか。あるいはまた、主管官庁が四つに共管になっておるがゆえに混迷しておるのではないだろうかとまず考えられるのであります。  この問題はさておきまして、日本の海外援助を考えました場合に、これは、海外援助は御承知のように賠償、学者の言うところを見てみますと戦後の賠償問題から発展してきたのだ。しかし経済力がたくさん出てきた、日本についてきたというところで、海外援助につきましては日本も応分の金を出し、今じゃ世界の、アメリカに次ぐ多額の金を出す国になっておるのでありますが、さて先ほども田村通産大臣が言われたように、受ける側に立っての立場で果たして問題が進められておるだろうか。ここに大きな疑問を持つと同時に、マルコス疑惑に見られますように、一体日本の国民の税金が正当に使われておるのだろうか。他の国民の福祉の向上に、生活の向上に使われておるのだろうか。その間に、何と申しますか汚職支援と申しますか、そういうような支援のてこ入れに使われたのではないだろうかというような疑念が国民の間には広がっておるのは事実であります。その証拠に八六年に、おととし内閣が調べた統計によりますと、海外援助をやらなければならぬという認識を持っておるのは、国民の七六%が持っている、そういう比率は示したのでありますが、その国民の海外援助を増加させるという気持ちは、世論調査はだんだんと低くなっておるのであります。このことを考えるならば、この海外援助につきまして特に姿勢を正さなければならないと私は考えるのでありますが、どなたでも結構でございますから、ひとつ御答弁を承りたいと思うのです。
  67. 田村元

    田村国務大臣 いろいろと海外でマルコス疑惑を初めとして問いただされておるものもあります。当然のこととして姿勢を正して取り組むべきであると思うし、また人道上の見地から、この海外援助がいやしくも人道に反するようなことに使われてはなおさら困るわけでありまして、より効率のよい、波及効果が出ますように心得るべきであろうと思う。国民の貴重なお金でもあるわけでありますから、その点は十分の配慮をすべきだと思います。
  68. 井上普方

    井上(普)委員 先ほども申しましたように、国民の七六%近くが海外援助について理解を示しておるというのは、これはアフリカのサハラ砂漠以南のあの飢餓の状況、あるいはまたエチオピアのあの飢餓の状況、あるいは東南アジア諸国における貧困のさま、こういうものが大きな影響を示しておるのではないだろうかと私は思うのであります。したがって、あくまでもこの海外援助というものは、人道主義に基づいて、それが相互依存の形の経済発展にまで及んでいき、低開発国の国民の生活あるいは福祉を向上させるという目的でなければならぬと私は思います。しかし、政府のこのことに対する理念というものが、今も四人がおっしゃられますように、理念それ自体も一致していない。  この理念につきましては、これは経済利益を重視する方もございましょう、あるいはまた安全保障という考え方でODAを考える考え方もございましょう、あるいはまた人道主義あるいは相互依存型のODAに対する考え方もあると思うのであります。あるいはまた、考え方によれば、外務省の中にもこういうような考え方の人間がおりますが、政治戦略的な海外援助型であっていいんじゃないかという考え方、あるいは経済国益型、こういう海外援助型でもいいんじゃないだろうか、いやいやそうじゃない、あくまでも人道主義によってやるのが海外援助の姿である、こういう考え方に、大体大別すると四つないし三つに大別できるわけなんであります。  これを一つ一つこれでなければならぬということを私は申しません。しかしながら、どこに視点を置いた海外援助であるか、この点はひとつ内閣としては明確にしていただきたいし、この海外援助の理念というものを確立していただかなければならないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  69. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほど申しましたとおり、また井上委員も今申されましたとおり、やはり理念は人道上の考慮であり、さらには相互依存だ、これ以外のものではない、私はこう思って推進しております。
  70. 井上普方

    井上(普)委員 この点におきましては、宇野外務大臣と私とは意見が一致するものであります。しかしながら、私も通産省から資料をいただきました。これはことしの三月の終わりですか発表する経済協力の白書の原稿なんでありますが、拝見いたしました。これは実に労作だと思っております。しかし視点が違う。視点は、あくまでも経済利益重視型の経済協力。現に、ただいまも田村通産大臣がおっしゃられましたが、経済協力と海外援助との差というものを一体どう考えられておるのか。  ただいま、その田村通産大臣のお話によると、経済協力の中の一環が海外援助であるというお考え方になっている。海外援助と経済協力とはどこが違うのですか、ひとつその点を明確にしていただきたいと思うのです。
  71. 田村元

    田村国務大臣 私は経済担当相でありますから、経済という言葉を使いました。これはおわかりいただけると思います。海外援助と経済協力というものは、私どもの担当する立場で言えばしょせんは同じものであって、その中における仕分けの問題、私はそういうふうに考えております。
  72. 井上普方

    井上(普)委員 海外援助と経済協力とは私はおのずから違ってくると思う。例えて言うならば、経済協力というのは、これは私の主観になるかもしらぬけれども経済協力ということになると、アメリカの自動車産業がえらい失業者が出てきた、ひとつ助けてやろうじやないかというので自動車の輸出をともかく減らすというような、一例を挙げればこういうのを経済協力というのじゃないだろうか。  法的に言うならば、海外援助というものは、これはDACですかの考え方によりますと違ってきています。すなわちバランスの問題であって、海外援助というものはDACが発表いたしております定義によりますと、これは何でしたか、ちょっとど忘れしておるのでございますが、海外の国がともかく負担を少なくするような考え方、この政府間の援助というものがなければならぬ、それが海外援助であるということを明確に規定し、二五%以上でなければならぬというようなことが書いてございます。  ここのところから考えますと、日本の海外援助につきましては、それは国々によって違いましょう。諸外国におきましては、日本の海外援助というのは少ない、こう言う。日本は東南アジアに集中しておるじゃないか、こう言います。しかし、それは当然の話であって、少ない少ないと言うけれども、西欧各国においてはかっては植民地を持っておって、旧宗主国としての責任というものもございましょう。スウェーデンとかあるいはデンマーク、フィンランドなんかは別ではございましょうけれども、旧植民地を持っておった国と、日本のように戦争で被害を与えた国というのとは、海外援助の考え方も考え方として違って当然だと思う。  しかしながら、人道的な考え方、あるいはそういうような考え方からするならば、日本の海外援助というのはさらに大きくしなければ、また経済的な見方からいたしましても、マクロに見ましてもそういうような世界経済が発展することをこいねがわなきゃならない。しかし、根底にあるのは人道主義であり相互依存型でなければならないと私は考えるのであります。したがって、政治戦略的な意味合いを持つ海外援助というものは厳格にこれは区別し、これをやめなければならないと思うのですが、外務大臣、いかがでございます。
  73. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今援助と経済協力のお話もございましたが、ここで整理整とんのために私から申し上げますと、ODAは御承知のとおり政府開発援助、こういうことでございます。そして現在、世界においてはODAのみが援助である、こういうふうに認識されておりまして、その中には無償もございます。二国間の借款もございます。その他政府機関以外があります、民間もあります、こうなっておるわけでございますから、先ほど井上委員が申されましたとおり、私たちはODAに全力を挙げておるというのが現状でございます。したがいまして、そのODAは先ほど申し上げたような理念に基づいてやはり運営されなければなりませんから、何か戦略的にやった部分はないのかというような御疑念を今申されたわけでございますが、私たちは戦略的にODAを扱ったことはございません。またそのような位置づけをすることもない、こういうふうに申し上げます。
  74. 井上普方

    井上(普)委員 外務大臣はそういうようなお考え方で進められておるのはまことに結構な話だと私は思う。しかしながら、遺憾ながら海外援助の実態を見てみるときに果たしてそうだろうか。  一例を挙げるならば、トルコへのODA援助は一体何だったのだろうか。あるいはパキスタン、あるいはタイに対する援助は交戦周辺国の援助ということで出したのではないだろうか。そしてまた、日本はこの援助協議をアメリカと行っておるじゃありませんか。八三年から日米共同援助プロジェクトが実施されました。八四年の九月には、日本は戦略的に重要な地域への援助増加を含め援助の向上を図るべきだと日米諮問委員会が報告されております。その後八五年一月の日米首脳・外相会談を契機にして日米援助協議が次官級に昇格されておることは御存じのとおりであります。これは一体どんなことを協議するのですか。お伺いいたしたいと思います。
  75. 英正道

    ○英政府委員 井上委員御案内のように、現在日本とアメリカは援助国としては第一位、第二位の国でございます。それで、南北問題に、先ほど関係の大臣から御答弁申し上げておりますように、人道的な考慮、相互依存ということで取り組んでおるわけでございますけれども、その援助がやはり有効に途上国の民生、経済の向上に資するために使われるためには、やはり世界銀行であるとか主要な援助国である日本、アメリカが矛盾したことをやってはいけない、お互いに長短相補って助けていかなきゃいけない、そういう観点から日本とアメリカの間で援助についてそれぞれの自主的な判断に立つけれども協調しながらやっていく、そういうようなことを話すということで日米の援助協議が行われておるわけでございます。
  76. 井上普方

    井上(普)委員 これは日米でやるだけじゃない。この協議は国際機関としてOECDがあり、またDACもある。なぜ日米だけがやらなきゃならないのか、素直に私はこれは疑問を持たざるを得ない。
  77. 英正道

    ○英政府委員 素直に御答弁申し上げますが、まさに援助政策全体については、御指摘のようにOECDの開発援助委員会で政策マターを含めて協議しておるわけでございます。そのほか、世銀が主宰する援助会議というようなものもあるわけでございます。そういうところで調整が行われておるわけでございます。  それから、日本政府の援助協議について申し上げますと、もちろん最大の援助国であるアメリカとの間の協議を行っておる、これは重要でございますが、そのほかに他の主要な援助国であるイギリスともカナダとも豪州ともニュージーランドともECとも広く協議をしておりまして、日本の税金がそれらの国の援助とともに最も効果を上げるように運営しているということでございます。
  78. 井上普方

    井上(普)委員 日米が援助協議を定期的にするようになっている、ここに戦略的な援助と申さなくて何でありましょう。これは外務大臣のお考え方と違った方向に援助自身がいっているのじゃないだろうか、こう言わざるを得ないと思います。まして、最近になってアメリカは、中南米の援助を日本に肩がわりしろという要求があるのじゃございませんか。その点いかがでございますか。
  79. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 具体的に申しますと、この間も総理とASEANに参りましてASEANの六カ国の首脳と総理が個別に会談されますと、各首脳のいずれも朗せずして申されたことは、やはり社会の安定である、そして国民生活の向上、福祉の向上である、こういうふうに申されております。だからぴたりとそこら辺は合っておるわけでありまして、したがいまして、我が国といたしましては、過般も申し上げましたとおり、もうほとんどグローバルな立場で世界各地から、債務がこれだけあるがどうしたらいいだろうか、あるいはまた日本が援助してくれないだろうか、それぞれの国から日本に参っておりますので、アメリカから言われたからどうのこうのというのじゃなくして、あくまでも相手国のプロジェクト等々を厳密に審査して、そして個々のケースを十二分に勘案し、そして我が国の自主的判断においてやっておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  80. 井上普方

    井上(普)委員 先般も新聞紙上によりますと、これはアメリカ側から中南米の、特に中米の海外援助をひとつ日本が請け負ってほしい、ある程度増額してほしいという要求がアメリカから来ておるやに承っております。なければ幸いであります。ないのですな。——はい。  そこで私は、一体海外援助というものが本当に国民のためになっているのだろうか、日本の商社やあるいは企業の利益になっているのじゃないだろうか、こういう観点からやられているのじゃないだろうかという疑念を持たざるを得ないのであります。あるいは、もう御存じのとおり、マルコス疑惑によりまして、あの援助というのは、それは中曽根内閣のときではございましたけれども、明らかにマルコス政権の支えをやったのだとしか私らには思えません。そしてまた、アキノ政権になりましてからもいろいろと言われまして、雑誌あるいは週刊誌等が言っておるのですからどこまで本当かうそかわかりませんけれども、若王子三井物産支店長の誘拐事件もこれに関係しておるのだなんという話もまことしやかに伝えられておることは御存じのとおりであります。  そこで一つお伺いしたいのだが、日本の国民からの税金が、これが正当に使われておるかどうか、この点についてお伺いしたいのですが、マレーシアで製鉄所をつくりましたわな、日本とマレーシアの合弁会社を。トレンガヌ製鉄所です。これを新日鉄がっくりましたけれども、製鉄所が動かなくなって賠償金を二百八十億取られたという話がございます。海外経済協力基金四百二十億が飛んでしまったという話がありますが、この実態はどうでございますか。  通産大臣、私、このことを質問するのは、通告をさっき一時間ほど前にやりましたので通産大臣は御存じないと思うのですから、事務当局からひとつ御答弁いただいて結構です。
  81. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 先生お尋ねの件は、新日本製鉄がマラヤで取り組みました直接還元製鉄のプロジェクトだと思います。  本件については、我が国としては経済協力基金はお金を出しておりません。輸銀のサプライヤーズクレジットだけだったと思いますが、御存じのように技術的なトラブルがございまして十分コミットしたとおりのスペックが出てこないという問題がございまして、ある程度新日鉄の方で賠償金を払ったと聞いております。
  82. 奥田敬和

    奥田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  83. 奥田敬和

    奥田委員長 速記を起こして。  ただいまの与野党理事間の交渉の経過について御報告申し上げます。  ただいま、正午時点になって自民党側から回答がないのは遺憾ということで審議を中断される申し入れがありました。  しかし、委員長としては、与野党理事間合意のもとに決められたスケジュールに従って質疑を続行したいということを申し入れたわけでございますけれども、このとおり民社党、共産党の理事はまだ御同席願っておりますけれども社会、公明の両党がこの回答を不満として退席されました。まことに遺憾であります。  しかしながら、ただいま与野党理事間で運営についていましばらくの時間をかして協議したいという申し入れがございましたので、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ────◇─────     午後四時四分開議
  84. 奥田敬和

    奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  再開に先立ち、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合所属委員に出席を要請いたしたのでありますが、出席をいただけませんので、再度出席を要請いたさせます。しばらくお待ちください。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  85. 奥田敬和

    奥田委員長 速記を起こしてください。  出席を要請いたしましたが、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合所属委員の出席をいただけません。  この際、委員長から申し上げます。  私は、与野党合意を尊重し、本委員会の円満運営に努力してまいりましたが、本日の委員審議中、突然の審議中断があったことは、予算委員会の権威と秩序にかんがみ、まことに遺憾であり、猛省を促すものであります。  次回は、明三日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会