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1988-03-10 第112回国会 衆議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月十日(木曜日)     ─────────────   昭和六十三年三月十日     午後二時本会議     ───────────── ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算     午後五時二分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ────◇─────  議員請暇の件
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  青木正久君及び上村千一郎君から、三月十一日から十八日まで八日間、中曽根康弘君から、三月十一日から二十二日まで十二日間、金子満広君から、三月十七日から二十四日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。      ────◇─────
  5. 自見庄三郎

    ○自見庄三郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算昭和六十三年度政府関係機関予算、右三案を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  6. 原健三郎

    議長原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。     ─────────────  昭和六十三年度一般会計予算  昭和六十三年度特別会計予算  昭和六十三年度政府関係機関予算
  8. 原健三郎

    議長原健三郎君) 昭和六十三年度一般会計予算昭和六十三年度特別会計予算昭和六十三年度政府関係機関予算、右三案を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。予算委員長奥田敬和君。     ─────────────  昭和六十三年度一般会計予算及び同報告書  昭和六十三年度特別会計予算及び同報告書  昭和六十三年度政府関係機関予算及び同報告書     〔本号(二)に掲載〕     ─────────────     〔奥田敬和登壇
  9. 奥田敬和

    奥田敬和君 ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  この予算三案は、去る一月二十五日本委員会に付託され、同月二十九日宮澤大蔵大臣から提案理由説明を聴取し、二月一日から質疑に入り、公聴会分科会を行い、本三月十日討論、採決をいたしたものであります。  まず、予算の概要について申し上げます。  六十三年度一般会計予算規模は五十六兆六千九百九十七億円であり、前年度当初予算に対し四・八%の増加となっております。  歳出については、引き続き既存の制度、施策の見直し等を行っており、その結果、国債費及び地方交付税交付金を除いた、いわゆる一般歳出規模は三十二兆九千八百二十一億円と、前年度当初予算に対し一・二%の増加となっております。  歳入については、租税及び印紙収入は、現行法による増収見込みのほか、土地住宅税制見直し石油税について増収措置を講ずる等の税制改正を行うこととしている結果、前年度当初予算に対し九・五%増の四十五兆九百億円が見込まれております。また、公債発行額は、建設公債五兆六千九百億円、特例公債三兆一千五百十億円で、合計八兆八千四百十億円を予定しております。これは、前年度当初発行予定額を一兆六千六百億円下回るものであります。この結果、公債依存度は一五・六%となっております。  特別会計の数は三十八であり、政府関係機関の数は十一でありまして、ともに前年度と変わりありません。  なお、財政投融資計画規模は二十九兆六千百四十億円であり、前年度当初計画に対し九・四%の増加となっております。  次に、質疑について申し上げます。  質疑は、国政全般にわたって行われたのでありますが、そのうちの主なものについて申し上げますと、  第一に、税制改革についてであります。  まず、昭和五十四年の財政再建に関する国会決議について、「この国権の最高機関意思総理は尊重されるのか、また、その国会決議の中に、一般消費税導入しないということが明確にうたわれているが、竹下内閣としては、その国会決議に反するようなことは考えないということか」との趣旨質疑があり、これに対し政府から、「国会決議を尊重するのは当然のことである。ただ、国会決議そのものは、財政再建に関する決議であり、その中には財政再建手法として、いわゆる一般消費税(仮称)によらないで、行政改革をやりなさい、歳出節減合理化をやりなさい、さらには税制抜本的改正をやりなさい、その手法の順序からして税制改革を否定するものではないというふうに考える」との趣旨答弁がありました。  また、昭和六十年二月六日の衆議院予算委員会における中曽根総理の発言に関し、「多段階、包括的、網羅的、普遍的というのは、例外なくすべての段階から税金を取る、こういうことはしないというのがこの統一見解趣旨だと思う。あれから三年たったが、この考えは変わっていないか」との趣旨質疑があり、これに対し政府から、「それに基づいて提案したのが売上税である。そうして結果として廃案になった。だから、今度はそういう冷厳なる事実を踏まえて、国民コンセンサスは那辺にあるか、言いかえるならば、廃案にならぬようなものを今度はつくらなければいかぬということで、今一生懸命に各方面の意見を聞いておるという段階であると思う」との趣旨答弁がありました。  また、さきの総選挙における税制改革についての選挙公約に関して、「この国会決議重み統一見解重み、そして選挙で当時中曽根内閣約束をして、大型間接税導入しないという約束で成り立っているこの竹下内閣、その立場では断じて今この間接税導入の兆しさえも見せることは国民に対する約束違反ではないか。選挙をやって国民意思を聞いてみたらどうか」との趣旨質疑があり、これに対して政府から、「選挙公約ということになると、いわゆる税制改革は必要であるということは、まさに公約そのものである。租税関係はやはり国民の信を問うべきだ、こういう議論もあり得ると思う。しかし、そもそも選挙というものは、これは憲法で与えられた四年間の任期が存在するわけで、この任期というものは大事に大事にやはりしなきゃならぬものだ。また、国民反対し、自由民主党反対するようなものはやらない、これはそのとおりであると思う」との趣旨答弁がありました。  次に、税の不公平感税制改革必要性について、「どういう税制改革をやるかという中身については、必ずしもはっきりしていない。国際化時代への対応あるいは高齢化社会への対応、こういう角度からの税制改革必要性もあれば、一般国民からすれば、むしろ不公平が是正されて負担が緩和される、そのための税制改革を期待しているわけです。そこで、こういう不公平感を払拭していくことに力点を置いてやっていかねばならぬが考えを伺いたい」との趣旨質疑があり、これに対して政府から、「不公平感の存在とはどこにあるかというと、垂直的公平、水平的公平、いろいろあるが、物をつくったその努力に対する報酬というものが課税対象になり、それが消費されるときには何もないというのも一つ不公平感として存在しているからこそ、今日、直間問題というのも、国会においてたびたび議論があったように、重要な問題ではないか。それから、クロヨンとかいうような言葉に象徴されるような、いわば給与所得とほかの所得との間に不公平感が存在している。まず、そうしたものがあるからやはり税制改革は必要だという形で今日国民の世論となっている。一方、やはり財政増加圧力に対する安定的な財源というのが当然必要だという二面から税制改革はしなさいというのが、国民全体のコンセンサスになっているのではないか。それに基づいて、今こそ所得消費資産に対してのあるべき税制はどこにあるかということを御議論いただける絶好の機会である」との趣旨答弁がありました。  第二は、防衛問題についてであります。  まず、有事来援のための研究について、「ポンカス、いわゆる資材事前集積ということになれば、当然にWHNS、いわゆる戦時における受け入れ国支援体制に入らざるを得ない。研究平時HNS体制ではなくて、戦時サポート体制研究対象にせざるを得なくなってくる。また、当然WHNSの問題としてこの支援協定を結び、それと表裏一体となる有事立法をつくらざるを得ないということになるがどうか」との趣旨質疑があり、これに対して政府から、「研究協議結論は、日米安保協議委員会報告され、その取り扱いは日米両国政府のそれぞれの判断にゆだねられるものであり、両国政府立法予算ないし行政上の措置を義務づけられるものではない。なお、研究具体的内容については、今後の研究によるものであるが、陸軍部隊については、いわゆるポンカス資材事前集積の問題も含まれると考えられるし、この研究の結果あるいは研究の過程においてWHNS、いわゆる有事における受け入れ国支援の問題も出てくるというふうに考えている」との趣旨答弁がありました。  次に、いわゆる思いやり予算について、「そもそも日米安保における地位協定というのは、米軍維持費経費はアメリカが負担し、日本土地を提供するということから始まっているが、昨年、労務者の手当の半分を日本が持つという特別協定が締結された。ところが、一年もたたないうちに全額持つような仕組みに変えようとしている。そのことも問題だが、昭和五十四年に貯油タンク補修費など四項目施設関係費が計上されて以来十年間で施設関係費は七十項目に膨れ上がっており、今年だけで思いやり予算は一千億円を突破し、施設関係費だけでも七百九十三億円となっている。また、今の思いやり予算の七十項目平時思いやりであり、これが有事思いやりにだんだん変質をしていくのではないか、金額的にも項目的にも一つのラインが検討されてよいときに来ているのではないか」との趣旨質疑があり、これに対して政府から、「在日米軍経費負担についてできる限り努力を行ってきたところである。他方、在日米軍経費が無制限に拡大するとの御指摘については、政府としては、厳しい財政的な制約や社会的経済的影響を考慮しつつ、安保条約目的達成を図る範囲内で、国会の御審議を経つつ経費負担を行ってきている次第であり、御懸念には当たらないと思う。労務費負担に関連して、政府特別協定の締結ないし改正により経費肩がわりを一層拡大していくのではないかとの御指摘もあるが、今般の労務費特別協定改正に関する政府方針は、日米両国を取り巻く経済情勢が最近において一層変化を見せており、そのために、在日米軍経費が著しく圧迫されている事態等にかんがみとられる暫定的、特例的、限定的な性格のものであり、今般明らかにされた措置以外の措置をとることは検討していない。また、施設面につきましては、提供施設整備は、従来から宿舎、隊舎、環境関連施設後方支援施設等中心に行ってきており、今後ともそうした施設中心整備を行っていくことになろうが、個々の事案の採択の際には、そのときそのときの状況等を勘案しつつ一層の国民の理解が得られるよう慎重に検討してまいりたい」との趣旨答弁がありました。  以上申し述べましたほか、首相の基本的政治姿勢衆議院解散と衆参同日選挙などの政治問題、日米首脳会談政府開発援助などの外交問題、中距離核戦力全廃条約我が国対応日米安保条約における事前協議などの防衛問題、為替レート安定策円高差益の還元、経済見通し国際経済摩擦日銀納付金などの経済財政問題、新型間接税導入キャピタルゲイン課税大型間接税の定義、その他税制改革全般にわたる税制問題、教育改革の今後の進め方、留学生の受け入れなどの教育問題、年金医療保険エイズ対策冷凍受精卵外国人労働者対策などの厚生、労働問題、農産物輸入自由化、宍道湖・中海の干拓と淡水化などの農林水産問題、土地対策政府機関地方移転原子力発電安全性防災対策日米科学技術研究開発協力協定地方財政などの地方自治問題等国政の各般にわたって熱心な質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  最後に、予算修正問題について申し上げます。  二月二十七日、日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党民主連合から、大幅減税実施不公平税制是正などを内容とする昭和六十三年度予算修正共同要求が提示され、また、日本共産党革新共同からも別途、予算組み替え要求が提示されました。その後、本問題について与野党間で種々協議が行われたのでありますが、三月八日、自由民主党から、野党会派の要求する減税実施とその財源協議等について回答が行われました。  かくて、本日、質疑終了後、日本共産党革新共同から昭和六十三年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、中島武敏君から趣旨説明が行われました。  次いで、予算三案及び動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党を代表して近藤元次君から、政府原案賛成動議反対日本社会党護憲共同を代表して上原康助君、公明党国民会議を代表して宮地正介君、民社党民主連合を代表して北橋健治君から、それぞれ政府原案及び動議反対日本共産党革新共同を代表して岡崎万寿秀君から、同党提出動議賛成政府原案反対意見が、それぞれ述べられました。  討論終局後、引き続き採決いたしました結果、日本共産党革新共同提出動議は否決され、昭和六十三年度予算三案は、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  10. 原健三郎

    議長原健三郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。村山富市君。     〔村山富市登壇
  11. 村山富市

    村山富市君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました昭和六十三年度政府予算三案に対し、反対討論を行うものであります。(拍手)  現在、我が国を取り巻く内外経済社会状況は一段と混迷の度を深めています。それは、まさに常軌を逸した財テクやマネーゲームによる異常な株価や地価の暴騰、その結果あの一九二九年の大恐慌を思わせた昨年十月の世界的な株の大暴落、はたまた貿易経済摩擦の激化に農産物の自由化問題、そして百二十円台という大幅な円高の高進とその定着、産業構造転換、累積債務問題の深刻化など、それぞれに関連し合った重大な課題我が国は直面しているのであります。また一方では、米ソINF全廃に関する合意が成立し、核軍縮、平和に向けた歴史的な第一歩が踏み出されています。平和と軍縮実現のための我が国の役割がますます高まっていると言っても過言ではありません。  このような歴史の転換期とも言える重要な局面にあって、我々政治家の任務は、主権者たる国民の負託にこたえるために、局面を打開するための政策展望を示し、適切な指針を国民の前に明らかにすることであります。日本社会党は、一九八八年を核の廃絶軍縮国民生活水準向上による内需拡大のためのまさに転換元年と位置づけ、この立場に立脚した予算編成を行うよう主張し、土井委員長竹下総理との党首会談を初め、政府・与党に強く要求してきたところでございます。しかしながら、竹下内閣は、前政権政策の誤りを正し、抜本的な政策転換を図って内外要請にこたえ、経済社会の変動に的確に対応すべきであるにもかかわらず、我が党の主張を無視するばかりか、予算案においても、極めて時代認識に欠けた問題の多いものであると断定せざるを得ません。(拍手)  以下、反対理由を具体的に申し上げます。  まず第一に、社会保障教育住宅、交通、農業中小企業など生活関連経費を、時代要請とは裏腹に徹底的に切り詰め、野方図自助努力、民間への依存強化を図った行政改革路線に基づく、まさに国民生活抑圧型といった財政運営を全く改めていないのであります。  その典型は、老齢福祉年金の月額百円の引き上げに示されています。すなわち、一隻一千二百億円もするイージス艦を購入しながら、高齢者福祉年金引き上げは、一日当たりわずか三・三円というスズメの涙にも足らない貧弱なものであります。これでは、来るべき高齢化社会とは名ばかりの、全く国民をないがしろにした予算と言わざるを得ません。総理施政方針演説の中で「本格的な高齢化社会到来を控え、公平で安定した社会保障制度確立を図るため、」と述べております。しかし、政府予算案によれば、国民年金は、保険料は三百円上がったにもかかわらず、受給する年金額は、わずかに五十九円引き上げられることになっています。公的年金である国民年金に加入して四十年掛け続けて、老後は生活保護を受けなければ生活ができない、これを公平な安定した社会保障制度確立と言えるのでしょうか。  また、経済企画庁では、サラリーマンが一戸建ての家を取得する際の平均的な資金計画として、年収平均六百万円、銀行から借りられるのは、その三・五倍に当たる二千百万円、これに年収の一・五倍に当たる九百万円の自己資金を加えて、三千万円の取得費が用意できるだろうと試算しています。ところが、国土庁の都道府県地価調査によりますと、昨年の東京都の住宅地平均価格は、坪当たり二百九十三万八千円であります。三千万円の資金では、土地が何とわずか十坪を購入するだけで精いっぱいというありさまであります。明らかに国民の持ち家の夢は今や完全に奪われていると言っても過言ではないでしょう。これでは、我が国経済一流生活二流と言われるように、国民生活経済のゆがみがますます大きくなるばかりであります。その結果、地域間格差が拡大し、そしてストックのある者とない者との格差は拡大していくばかりであります。  さらに、貿易経済摩擦を激化させることになっていることを指摘しなければなりません。この貿易経済摩擦に適切に対処するためにも、国民生活水準向上地域経済活性化実現することが必要であり、そのためには、中長期的な視点で内需拡大を図る積極的な財政運営への転換が求められているのであります。すなわち、生活優先経済への質の転換を図るための政策展開が今こそ求められているのであります。しかるに、政府予算案は、何らの長期的展望も持たず、ただいたずらに経常経費削減を続け、昭和六十二年度第二次補正予算規模を大きく下回るばかりか、その内容においては、福祉教育住宅農業中小企業など、国民生活を全く無視し、地域経済の苦境を放置したものであり、断じて賛成することはできません。(拍手)  第二は、INF全廃に関する米ソ核軍縮を積極的に評価し、世界軍縮、平和に貢献していく姿勢が見られないことであります。世界最初被爆国である我が国は、この米ソ合意を歓迎し、さらに核兵器の削減廃絶を訴え、通常兵器を含めた世界軍縮実現に貢献しなければならない国際的立場にあることは、だれの目から見ても明らかなことであります。  そのため、我が国は、防衛費の対GNP比一%枠の厳守はもとより、率先して思い切った防衛費削減を行うことが必要不可欠なことでございます。しかし、それとは逆に政府は、大蔵原案段階から防衛費の対GNP比一%枠の突破を図り、五・二%増の防衛費は総額三兆七千三億円にも達し、一・〇一三%という一%突破予算を継続したのであります。また、日米防衛ガイドラインに即して、日米安保体制の質的な強化を推進し、米国製新兵器の購入、ポンカスの開始、思いやり予算の増額などを推進したことは、世界緊張緩和軍縮の潮流に逆行するばかりでなく、東西対立を基調とする国際的軍事緊張を無用にあおるものと言わざるを得ません。アジアにおける平和の実現を願う近隣諸国の人々は、我が国軍備増強に対して警戒心を強めていることは周知の事実であります。さらに、我が国国際協力は、自国の利益追求に偏しているとの批判が強いのでありますが、その批判にこたえるためのODAの質、量の改善ほぼとんど行われていないのが現状であります。これで果たして「世界に貢献する日本」と言えるでありましょうか。軍事緊張を増大させ、国際的友好関係の構築に逆行する竹下内閣姿勢は厳しく指弾されなければなりません。  第三は、税制改革の名のもとに大型間接税導入を企てていることであります。  昨年の売上税騒動を全く反省していないばかりか、総理を筆頭に竹下内閣は、今国会予算委員会などにおいても大型間接税導入の野望を憶面もなく繰り返しているのであります。  政権は交代しても次の総選挙までは拘束するはずの選挙公約を無視することは、主権者である国民意思を無視することであります。また、大型間接税導入フリーハンドを握るため政府統一見解白紙撤回を既成事実化しようとしていることや、一般消費税導入しないとした国会決議を歪曲解釈することによってすり抜けようとする国会軽視態度は、断じて許すことはできません。こうした政府自民党態度は、主権者である国民の期待に真っ向から反するものであり、議会制民主主義を否定するものと言わざるを得ません。(拍手)  我が日本社会党は、税制改革に当たっては、まず多くの国民の不満の対象となっている現行不公平税制是正を徹底的に行い、税に対する国民納税者の信頼を確保することが先決であり、かつ急務であると考えています。また、内需拡大個人消費の増大のためにも、大幅な所得税住民税減税相続税固定資産税軽減などを来年度中において直ちに実施すべきであります。政府はまさに高齢化社会到来口実に使って大型間接税導入をたくらんでいるのです。高齢化社会到来に対処するための負担あり方については、まずは、国民福祉充実の確保を最大の目的として、高齢化社会における財政運営あり方年金医療福祉など社会保障制度確立を目指す中で、国民の参加を得て十分に時間をかけて真剣に検討すべきであると主張するものであります。これに反し、政府は、不公平税制を温存し、高齢化社会到来口実に、所得税減税相続税軽減大型間接税導入と引きかえに、今は広く浅く、将来は厚く広く、逆進性の最も高い間接税を取ろうというのであります。このような欺瞞的なやり方を断じて認めることはできません。(拍手)  このほかにも、抜本的な土地住宅対策の欠如、農産物輸入自由化容認国民健康保険制度の改悪を初め、地方財政住民への負担転嫁NTT株売却益使用方法改善の欠落、環境公害行政軽視など問題点指摘には事欠きません。また、予算審議に付随して国会の品位を汚すような行為が見られたことはまことに遺憾であります。このような事態が二度と起こることがないように主権者である国民の前に襟を正さなければなりません。  我が党を初め野党会派は、共同して政府自民党に対し、来年度中に大型間接税によらない二兆九千四百億円の減税実施を初めとした政府予算案に対する修正要求を行いましたが、三月八日の与野党国対委員長会談で一応の合意に達しました。肝心なことは、これから開かれるであろう協議において、我々野党会派修正要求に明記した項目以外は検討課題として取り上げないこと、そして、その協議結論予算案の成立する四月上旬までに出すことの確認がなされた点であります。不公平税制基本的合意は、自民党決意をすれば容易に実現できることであります。我々は、この合意事項の誠実な実行を期待するものであります。昨年のマル優廃止のときのような政府自民党の欺瞞的な態度は断じて許しません。我が党は、不公平税制是正大幅減税実現に向けて不退転の決意で追求していく覚悟であります。また、いかなる名目にせよ、新型間接税導入は断固阻止する決意であります。(拍手)  最後に、我が党は、平和と国民の暮らしを豊かにする政治の実現に向けて奮闘する決意であることを申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  12. 原健三郎

    議長原健三郎君) 近藤元次君。     〔近藤元次登壇
  13. 近藤元次

    近藤元次君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度予算三案に対し、賛成討論を行うものであります。(拍手)  最近の経済情勢を見ますと、為替相場は、昨年末のG7による共同声明の発表以降、円高・ドル安の局面が一段落をし、安定した動きを示しております。また、国内景気は、政府の累次にわたる経済対策の効果とも相まって、昨年中ごろから大きく好転をし、今や拡大局面に移行しており、雇用情勢も改善傾向にあるなど極めて順調に推移しているのであります。これは、困難な局面に際し、果敢に対応した国民の英知と努力のたまものであることはもちろんでありますが、それとともに、政府の的確な政策運営によるところも大であります。このことについて、まず政府に対して敬意を表するものであります。しかしながら、他方では、大幅な対外不均衡等を背景に諸外国との間に種々の摩擦が激化しつつあるなど、困難な問題も抱えているのであります。このような現状を踏まえ、さらに将来を展望した場合、二十一世紀に向けて我が国が進むべき道は、対内的には、真に豊かで活力のある経済社会の建設を目指し、対外的には、各国との協調を図りつつ、国際社会に占める地位にふさわしい役割を積極的に果たしていくことであります。  本予算案は、かかる展望を踏まえて、内需中心の持続的成長と財政改革の強力な推進を柱に、この両者のバランスをとりつつ、「世界に貢献する日本」という立場にも十分意を払いながら編成されているものであり、政府はもとより、財政運営の責任政党たる我が自由民主党としても、現状において行い得る最良、最善の予算であると考えるものであります。(拍手)  以下、政府原案賛成する主な理由を申し上げます。  まず、賛成の第一は、内需拡大、雇用の安定等、経済及び国民生活の各面にわたって十分な対策が講じられていることであります。  具体的に申し上げますと、一般公共事業費については、NTT株式の売り払い収入の活用分を含め前年度当初予算に対して二〇%増という高い伸びを確保するなど、内需拡大に最大限の配慮を払っているのであります。また、雇用対策についても、改善傾向にある雇用情勢をさらに確かなものにするために、産業間、地域間、年齢間において見られる不均衡の是正を図ることとして、新たに産業・地域・高齢者雇用プロジェクトを実施することとしております。さらに、社会保障関係費、中小企業対策費等のその他の経費についても、真に必要な施策について重点的な配分を行うなど、厳しい財政事情のもとでその効果が最大限に発揮されるようにめり張りのきいた予算配分が行われているものであります。なお、政府開発援助、いわゆるODA予算については、前年度比六・五%増と防衛費の伸びを上回り、一般歳出中最高の伸び率を確保しており、国際的責務に取り組む我が国の並み並みならぬ意欲は、国際的にも高い評価が得られるものと確信をするものであります。  以上のとおり、本予算案は、内需主導型経済構造への転換国際経済摩擦の解消、雇用の安定、国民生活環境整備等に資するように、経済の各面にわたって積極かつきめ細かな配慮が払われているのでありまして、現下の経済情勢に十二分に対応し得るものと高く評価をするものであります。(拍手)  賛成の第二は、財政改革が着実に前進を見ていることであります。  今後、急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、財政需要の増大を考えた場合、財政が一日も早くこのような社会経済情勢の変化に弾力的に対応し得る力を回復することが肝要であり、財政改革の強力な推進が依然喫緊の課題であることは論をまたないのであります。このため、本予算案におきましては、歳出の徹底した見直し節減合理化等に取り組むことにより、公債発行総額としては一兆六千六百億円の減額、特例公債発行額では一兆八千三百億円の減額を行っているのであります。この結果、公債依存度は一五%台にまで引き下げられ、特例公債が発行された五十年度以降では最も低い水準となるなど、六十五年度までに特例公債依存体質から脱却をし、公債依存度を引き下げるという努力目標達成は今や現実のものとなりつつあります。  しかしながら、このような努力にもかかわらず、公債残高は依然として累増傾向にあり、六十三年度末では百五十九兆円に達する見込みであります。また、その利払い費は十一兆円を超え、実に歳出予算の約二割を占め、社会保障関係費の十兆九千億円をも上回る最大の経費として、依然大きな財政の圧迫要因となっているのであります。財政再建必要性はいささかも減じていないのであります。税の自然増収が見込まれるからといって、歳出合理化の努力が鈍るようなことがあってはならないのであります。むしろ、このようなときこそ、政府におきましては一段と気を引き締め、財政改革を一層強力に推進されんことを強く要望する次第であります。  賛成の第三は、防衛予算について十分な配慮が払われていることであります。  昨年末、米ソ間でINF全廃合意実現されたことは、我が党としても核兵器全廃への輝かしい第一歩を記したものとして高く評価をいたしております。引き続き、戦略核兵器、通常兵器削減へとさらに前進することを希求するものであります。しかしながら、これをもって直ちにデタントが成ったかのごとき、あるいは我が国の防衛力整備世界の潮流に逆行するかのごとき説を立てるのは、現実を見ない、いかにも短絡的、夢想的な考えと言わざるを得ません。この記念すべきINF全廃条約締結のまさにその日に起こったソ連機による我が国領空侵犯事件は、このことを象徴的に物語るものであります。  好むと好まざるとにかかわらず、世界の平和が均衡と抑止により維持されていることは、冷厳な事実であります。それかあらぬか、西側諸国の間で通常兵器のアンバランスによる危機感を惹起し、大きな論議を呼んでいることは御承知のとおりであります。防衛力整備必要性は増しこそすれ、いささかも減じていないのであります。片方で食糧の自給自足、いわゆる食糧安全保障を熱烈に主張しながら、他方では国の存立の基本である防衛の必要性を否定するがごときは、本末を転倒した極めて不可思議な意味不明の論議と言わざるを得ないのであります。(拍手)  防衛の必要性を認め、かつ、西側同盟国の一員としてこれをサポートしていくとの立場に立てば、本予算案に盛り込まれた防衛予算の評価はおのずから決するものであり、防衛関係費総額の規模、在日米軍駐留経費負担、いわゆる思いやり予算等は、いずれも極めて妥当なものと言わざるを得ないのであります。もちろん、いたずらに防衛予算の拡大を意図するものでないことは、昨年一月二十四日の閣議決定において、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、節度ある防衛力を整備する、そのように鮮明にしているとおりであります。また、思いやり予算についても無制限に負担を行おうとするものでないことは、さきの予算委員会において外務大臣が言明をいたしたとおりであります。  有史以来、守りをおろそかにして国を維持し得た例を知らないのであります。今、論ずるべきは、いかにして我が国の安全を確保するかであり、真に守るべきはGNP一%枠ではなく、貴重な国民の生命と財産であることを、この際強く申し述べる次第であります。(拍手)  この際、税制改革問題について一言申し上げます。  今後の高齢化社会到来経済社会の一層の国際化を展望するとき、税制の抜本的改革実現は避けて通れない課題であり、税制改正を検討するに当たっては、我が国の来るべき将来を展望し、将来における望ましい税制あり方、すなわち、新しい時代の税体系を構築していくという中長期的視点が必要なのであります。そのためには、国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、安定した歳入基盤を提供し得る税制を目指し、所得消費資産の間で均衡がとれた、公平かつ簡素な税体系を構築することが不可欠なのであります。与野党間において実りある論議が行われ、国民に十分納得のいく税制改正が行われんことを希求するものであります。  さて、今回、野党会派から我が党に対し政府予算案に対する修正共同要求が行われたのでありますが、これは所得税減税中心とした大幅減税、すなわち税制改正が主たる内容となっているのであります。この税制改正内容は、端的に申せば、中長期的視点を欠くのみならず、減税に対する恒久的財源の裏づけすら欠く極めて不完全なものと言わざるを得ないのであります。  私は、与野党間において意見政策に相違がある場合は、委員会等与えられた場で十分に意見を闘わすべきであり、それが国政について国民の理解を得る最善の方法であり、国会に籍を置くものの責務であると考えるものであります。(拍手)しかるに、今回の予算委員会における突然の審議中断は、質疑者の質問内容とは全く関係のない、修正要求の回答の時間切れを理由としたものであります。これは野党諸君が日ごろから強調する議会制民主主義にもとる到底許すことのできない行為であり、猛省を促し、私の予算三案に対する賛成討論を終わります。(拍手
  14. 原健三郎

    議長原健三郎君) 伏屋修治君。     〔伏屋修治君登壇
  15. 伏屋修治

    ○伏屋修治君 私は、公明党国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度政府予算三案について、反対討論を行うものであります。(拍手)  昭和六十三年度予算は、持続的な内需拡大と貿易に偏った経済構造、産業構造転換を同時に進めるために、山積するさまざまな課題を解決し、我が国の今後の方向を決定する重要な役割を担っております。しかしながら、予算政府案は、こうした要求に全くこたえていないばかりか、国民生活の質的水準の向上に対する配慮が極めて乏しいと言わざるを得ません。一方、防衛費の対GNP比一%枠を六十二年度に引き続いて突破させ、軍縮とは裏腹の方向へと傾斜を深めているのであります。  この一カ月余にわたる予算審議において、我々は、さまざまな角度から予算政府案の矛盾をただしてまいりました。その結果、我が党は、日本社会党民社党、社会民主連合と共同で大幅所得税減税などを含む二兆九千四百億円に上る予算修正要求政府自民党に提出したのであります。当初、政府自民党は、重点項目に絞った四野党の共同修正要求に謙虚に耳を傾けようとせず、税制の抜本改革と称して、大型間接税導入を既定路線化しようと画策、固執し、国会の空転をもたらしました。このような政府自民党姿勢は、少数意見の尊重という議会制民主政治のルールを踏みにじり、まことに遺憾なものでありました。  私は、政府自民党に猛省を促すとともに、我々の粘り強い要求によって与野党間で合意した大型間接税導入抜きの大幅減税実施を、政府自民党が誠意を持って速やかに実行するよう強く要求するものであります。(拍手)  以下、本予算三案に反対する具体的な理由を申し述べます。  本予算案反対する第一の理由は、我々野党の要求によって所得税減税等の実施が確約されたものの、本予算案には所得税減税等が盛り込まれていないことであります。  我が国経済を持続的な内需拡大基調に乗せるためには、内需の大きな柱である個人消費の持続的拡大を図ることが重要であります。ここ数年来続いている消費性向の低下を食いとめ上昇させるためには、昨年の所得税減税では余りにも不十分であります。既に昨年の所得税減税は、社会保険料等の増大などから帳消しになっているのが実情であります。しかも、政府自民党は、この四月からマル優制度の廃止など弱い者いじめを強行しようとしているのであります。また、ことしの春闘も、生活向上を求める賃上げ要求にもかかわらず、厳しい状況にあります。それゆえに、我が党は、共産党を除く他の野党と共同して、所得税減税を柱とした大幅減税を要求したのであります。  個人消費を拡大し、内需拡大を図るためには、与野党間で合意した二兆円規模所得税住民税減税実施は緊急の課題なのであります。所得税減税等の実施による消費水準の向上は、我が国が迫られている経済構造、産業構造転換という面からも重要な意味を持つものであります。  私は、重ねて大幅減税の早期実施を強く要求するものであります。(拍手)  さて、反対の第二の理由は、税制の抜本改革と称して、大型間接税導入を既定路線化しようとしていることにあります。  さきの六十三年度所得税減税等に関する与野党合意では、大型間接税抜きの減税が明確にされ、減税との絡みで大型間接税導入しようとした政府自民党のねらいはついえたものの、政府自民党は、依然として、税制の抜本改革と称し、国会での政府統一見解に反し、国民に対する選挙公約に違反し、国権の最高機関である立法府の国会決議に違反する大型間接税導入を画策しようとしているのであります。  昨年、「国民自民党員が反対するような大型間接税導入しない」との選挙公約に反し国会に提出されてきた売上税法案が、国民の怒りが爆発して廃案になってからまだ一年もたっていないにもかかわらず、再び大型間接税導入しようと画策する竹下内閣姿勢は、売上税の教訓を既に忘れてしまったとしか言いようがありません。  現在の竹下内閣が、一昨年の衆参同日選挙のときに得た議席の上に成り立っている以上、大型間接税はやらないとした自民党選挙公約は、今日でも生きているのは当然であります。また、「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模消費税を投網をかけるようなやり方はとらない」という六十年二月の政府統一見解は、その経緯から見て白紙化できるものではなく、竹下内閣がこの見解を遵守しなければならないことは自明の理であります。  さらには、五十四年十二月の「財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、」との国会決議を、これは財政再建に関する決議であって、これに竹下内閣税制改革は縛られないと言い、また、竹下税制改革はむしろ国会決議に沿うものだと強弁することは、立法府が解釈すべき国会決議を、行政府決議趣旨を歪曲して解釈するものとして、国会軽視と言わざるを得ないのであります。  税制改革に当たっては、まず、不公平税制是正、総合課税の再構築、資産課税の強化等を行うべきであり、特に、有価証券譲渡益、キャピタルゲイン課税強化、赤字法人に対する課税の適正化、大企業の持つ含み資産の再評価益課税の検討等を速やかに行うべきであります。これらに手をつけず、逆進性の極めて強い大型間接税導入を企図することは、いわゆる所得資産消費において一層の不公平、格差拡大を広げる結果になることは必至であります。  我々は、大型間接税導入を画策し、既定路線化しようとする税制改革には断固として反対するものであります。(拍手)  第三には、内需拡大を持続させる施策が不十分なことであります。  我々は、日本経済が直面している最大の課題は、いかにして中長期的かつ持続的な内需型成長を図るか、そして日本経済の構造転換産業構造転換をいかにして実現するか、この一点に集中していることをかねてから指摘してまいりました。  我が国に今日要求されていることは、対外経済政策の修正や生産の合理化ではなくして、物事に対する基本的理念を変えることにあると痛感させられます。現状のままで我が国の景気が回復したとしても、それで問題は解決せず、従来の繰り返しが懸念されるのであります。  例えば、六十三年度の公共事業関係費は、NTTの株式売却益の活用によって一九・七%と近年にない伸び率になったとはいえ、一般会計公共事業関係費は六十二年度補正後を下回っている上、事業の配分は従来どおりで変わっていないのであります。各省庁別の予算配分を見ても、ここ十年来ほとんど変化が見られません。国民生活に密着する住宅、下水道など生活関連社会資本整備は、今なお大幅におくれたままにあります。各省庁別、分野別シェア、予算配分構造を大胆に見直し生活関連社会資本整備に重点を置き、国民生活の質的向上を図ることが今こそ求められているのであります。  そのためには、個人消費拡大の問題を初め、余剰資金の効果的吸収方法や企業投資、民間と地方自治体の独創性を発揮させての活性化などに至るまで、まさしく広範な分野にわたる総合的政策と誘導的施策の組み合わせが求められているのであります。そうした政策要求に対して昨今の政府施策がもたらしたものは何かといえば、地価の狂乱を挙げざるを得ません。しかも、地価高騰を抑制する有効な施策はほとんど皆無と言わざるを得ません。これは極めて遺憾なことであります。  内需拡大を持続させるための具体的施策が講ぜられていないばかりか、公共事業の円滑な執行とその効果的配分についての改善が全く行われていない本予算案では、せっかく上向きつつある我が国経済が今後とも持続的に内需主導で安定成長できるかどうか、極めて不安であります。  反対する第四の理由は、本予算案は、国民生活への思いやりを極めて欠いているということであります。  高齢化社会への到来に備え、年金医療制度を初め、すべての分野を見直し対応策を急ぐとともに、当面、お年寄り、母子家庭、身障者など社会的に弱い立場の人たちの生活の安定や在宅福祉の充実に重点的に取り組むことが、緊急施策として望まれています。ところが、本予算案福祉、文教予算の伸び率が圧縮され、しかも、老齢福祉年金引き上げが月額わずか百円ということに象徴されるように、国民生活への思いやりが全く欠けているのであります。国保制度改革も問題が少なくありません。また、国立大学授業料の引き上げも予定されております。一方、中小企業、雇用対策を見ても、円高に苦しむ中小企業を初め、労働者の生活安定を図るための施策にはほど遠いと言わざるを得ないのであります。  このような国民生活軽視し圧迫する本予算は、断じて許されるものではありません。(拍手)  最後に、昨年に引き続き防衛費の対GNP比一%枠を突破していることであります。  防衛費をめぐる情勢は、外にあっては、ソ連の国防費の据え置き、アメリカの国防費三年連続の実質減を初め、多くの西欧主要国も国防費の伸び率をゼロにしようとしております。内にあっては、昨今の大幅な円高差益による防衛費削減、縮小のチャンスを迎えております。にもかかわらず、本予算は、正面装備の拡充、在日米軍の駐留経費の増額などにより、その伸び率は他の一般予算に比べ突出しております。特に、今国会でも指摘したように、五十三年度から始められた思いやり予算は、六十二億円から来年度は実に約千二百三億円にも上っているのであります。したがって、思いやり予算提供施設整備費の見直し、正面装備の拡大の中止、円高差益、油の値下がり分等により、GNP比一%枠内におさめることが十分に可能であります。世界軍縮方向に向かいつつある中で、ひとり我が国が、防衛力増強への歯どめであり、平和政策一つである防衛費の対GNP比一%枠の突破を行ったことは断じて容認できません。  日本世界の平和勢力としてその範を示すためにも、防衛費の対GNP比一%枠を断固死守するため、一%枠突出分を削減し、我が国軍縮推進の役割を果たすべきであることを強く要求するものであります。  以上、反対の主な理由を申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 安倍基雄君。     〔安倍基雄君登壇
  17. 安倍基雄

    ○安倍基雄君 私は、民社党民主連合を代表して、ただいま提案されました昭和六十三年度予算三案に対し、反対立場から討論するものであります。(拍手)  私は、今から三年前の昭和六十年三月、この本会議場において六十年度予算に対する反対討論を行ったのでありますが、その際、四つの問題点指摘いたしました。すなわち、税負担資産所得者に軽く勤労者に重い結果、内需が狭められ、輸出依存型経済となっていること、中堅所得者に対する税負担が重く、サラリーマン層に不満がうっせきしていること、行政改革が不徹底であること、地方税がメガロポリスに集中し、その是正が必要であることの四点であります。三年後の六十三年度予算においても、これら諸点についてさしたる改善が見られないばかりではなく、その後の大きな情勢変化に対し適切な手段が講じられていないのであります。  以下に私の反対理由を述べたいと考えます。  第一の理由は、この予算において、長期的視野における我が国産業構造についてのビジョンが全く存在しないことであります。  G5以降、ドルの実質的価値が二年間で半減し、円高が定着した現在、我が国経済は大きな構造変化を迫られております。また、有力企業のみならず中小企業に至るまで、多くの企業が海外における生産に踏み切り、産業の空洞化が急速に進みつつあります。近い将来においても、雇用問題が懸念される状況にあります。一方、国内における投資機会が狭められていることもあり、海外投資がその累積額において二千億ドルの水準にまで達しております。この二年間におけるドルの下落による為替差損は、公的部門、私的部門を合わせると、少なくとも七ないし八兆円を上回るものと推計されます。  我が国として将来どのような産業を基幹産業として保持し、雇用を確保していくのか、海外へ流出していく資金を国内においてどのように活用していくのか、さらに、三十兆円に上ると推計される円高差益を国内にどのように還元し、またその一部を産業構造転換のために利用していくのかという基本問題について、政府はほとんど配慮しておりません。このままにして推移せんか、米国経済が空洞化し、深刻な雇用問題に発展したと同じ道を我が国がたどることは必定であります。本予算は、こうした問題から目をそらせたその場しのぎの予算であると言わざるを得ないのであります。  第二の理由は、内需拡大の方法についてであります。  輸出依存型経済から内需依存型経済への転換が現在における急務であり、そのための内需拡大が必要であることは言うまでもありません。このためには、まず大衆に購買力を与え、こうした需要を背景に膨大な民間資金を海外への投資、つまり、ドル価値の下落により紙切れに変わってしまうかもしれない債券への投資ではなく、国内の開発のために使用すること、言いかえれば、民間資金に投資機会を与えることが本筋であります。  このためには、規制緩和を中心とする適切な土地政策や民間需要の喚起、公共的部門へのこれら資金の活用が必要であります。限られた国家資金による一時的な公共事業による内需拡大策は、言いかえればその場限りの注射にすぎず、これをやめたときにはもとに戻るものであります。特に、最近のように地価上昇が著しい状況のもとでは、従来のような公共事業は一部の土地所有者あるいは一部業界の利益に終わり、その経済的な波及効果ほごく限られていると言わざるを得ません。公共事業が内需拡大の決め手である時代は過ぎ去ろうとしております。政府は、公共事業の拡大により内需拡大がなされたと宣伝しておりますが、これはまさに一時的なものであり、公共事業のレベルが下がればもとに復するものであります。むしろ、消費の堅調の伸びを確保する中堅所得者への減税の方が長期的に見て内需拡大に役立つと考えられます。長期的な視野に立った内需依存型の経済への移行は、従来のパターンのままの公共事業の拡大で実現し得るものではありません。本予算が、公共事業、しかもその質を十分吟味しない公共事業に重点を置き、減税の持つ内需拡大の役割を軽く見て、減税間接税導入の政治的手段と扱うことは近視眼的な考え方と言わざるを得ません。  第三の理由は、不公平税制是正及び行政改革がいまだ十分行われていないことであります。  政府は、この秋の国会間接税導入を意図しているようでありますが、我が党は、間接税論議に入る前に、まず不公平税制是正し、行政改革を徹底的に行うこと、そして間接税導入の前には、選挙を通じて民意を改めて問うべきことを主張しております。本予算は、我が党のこの要求に及ばざること遠いと言わざるを得ません。税制については、勤労所得についての税負担が依然として重い一方、キャピタルゲイン課税にいまだ手がつけられていないのみならず、法人関係について有利な特例措置の多くが継続されたままであります。また、行政改革についても、なるほど電電、国鉄、専売の民営化は行われましたが、膨大な補助金が依然として存在しております。これらの補助金は既得権となっておりますが、こうした補助金の整理なしに、ただ行政費を切り詰めてみても限度があります。国民に新たな負担を求める以上、補助金の整理及び中央地方を通じての行革を徹底的に行うべきであります。  第四の理由は、地方の行革と関連して、国と地方との関係が見直されていないことであります。  人口において全国比九・六%の東京都に地方税の一八%が集中しており、法人住民税、法人事業税を例にとると、全国で約六兆八千億円のうち約一兆七千億円、つまり二五%が東京の収入になっているのであります。国は、比較的財政力の弱い地方自治体を基準に、足腰の弱いものにもついていける、いわゆる護送船団方式をとっているため、財政力の豊かな自治体においては大きなむだを生じているのであります。大都会の地価高騰を反映し、メガロポリスとその他自治体の財政力の格差は広がる一方であり、また、これら富裕自治体においても各種の事業に国から多額の補助金を得ているのであります。現在、政府は、直間比率の是正を主張しておりますが、国と地方とを通して見れば、我が国の税体系は欧米諸国と比較して、所得消費資産のうち、資産についての税負担が低いのであります。年金医療等についての国の負担が年々増加している反面、国税と地方税との境界及び国と地方との支出負担の割合が固定化されている点に注目すべきであります。税制の抜本的改革は、単に国税内部における見直しではなく、国と地方を通じた改革でなければなりません。本予算にはそのような視点が全く欠けているのであります。  最後に、私が心配にたえないのは、今後、対米交渉の過程においてさまざまな負担我が国が負うこととなり、このための財政支出が予想されることであります。市場開放は、円高メリットを生かし、我が国経済先進国から生活先進国へと変化せしめるために必要なことであります。しかし、これはあくまで我が国のイニシアチブのもとに一定の期間をかけて合理的な方法で行うべきであります。中曽根内閣当時と同じように、米国からの外圧に屈する形で行うことは、国内関係業界への補償あるいは財政援助を増加せざるを得ないという結果となりましょう。これは、一方で行革のため補助金を整理しながら、他方で新たな補助金をつくり出すことになります。既に述べましたように、我が国はドル建て債券への投資額が大幅に減価するという、いわばキャピタルロスをこうむりながら米国経済を支えているのであります。対米交渉において、むしろ米国の節度ある経済運営を要求すべきであり、退陣間近なレーガン政権の市場開放、対外援助肩がわり等の過大な要求をただ受け入れ、これを我が国財政にしわ寄せするという態度をとるべきではありません。既に六十三年度予算においてもその傾向があらわれつつあることをここに警告するものであります。  以上、昭和六十三年度予算に対し我々が反対せざるを得ない理由を述べました。政府は、本年秋、大型間接税導入中心とする税制改革を意図しているようでありますが、国民に新たな負担を求めるためには、税金は一銭一厘といえどもこれが国民の汗と脂の結晶であることを自覚すべきであり、その見地から六十三年度予算は、行政改革不公平税制是正、支出における節度などの面から見て、我々の要求するものとはほど遠いと言わざるを得ません。税制改革は、十分時間をかけて国民合意のもとに行うべきであります。米国独立の出発点が、代表なきところには課税なし、ノータクゼーション・ウイズアウト・レプレゼンテーションの合い言葉であったこと、税金問題が民主主義の原点であることを考えれば、税制改革は慎重であるべきであると考えます。  最後に、政府大型間接税の論議と切り離して、我々野党共同提案による不公平税制是正、その他の財源に基づく減税に真剣に取り組むことを強く要請して、私の反対討論を終わります。(拍手
  18. 原健三郎

    議長原健三郎君) 山原健二郎君。     〔山原健二郎君登壇
  19. 山原健二郎

    ○山原健二郎君 私は、日本共産党革新共同を代表しまして、政府提出の昭和六十三年度予算三案に対し、断固反対立場から討論を行います。(拍手)  反対の第一の理由は、公約を乱暴に踏みにじり、大型間接税の年内導入、次年度実施を当面の最優先課題とする大増税推進予算であるということであります。自民党の安倍幹事長などは直接税と間接税の割合を五対五にまで持っていくと公言をしておりまして、この五対五とは政府答弁によっても間接税は何と十兆三千億円増、一世帯当たり三十二万円の大増税となるのであります。まさに公約違反の大増税以外の何物でもありません。  本予算審議を通じまして、高齢化社会に備えた税制改革であるとした政府の論拠に全く根拠がなく、大型間接税導入の真のねらいが大軍拡のための財源づくりであることが明白となりました。自民党の渡辺政調会長は税制改革のインタビューで、日本防衛費日本自身で持つのはもっともだと述べております。お年寄りがふえて大変だ、オオカミが来ると政府自民党が言いますが、本当のオオカミは軍事費にあるとの予算委員会における我が党の正森議員の指摘はまさに核心をついたものであり、政府の新大型間接税導入の根拠である高齢化社会対応論は、その論点が崩れ去ったのであります。(拍手)  大型間接税導入に対して国民の声は明確にノーであります。大型間接税導入が最大の争点として戦われた大阪の参議院補欠選挙で、我が党の吉井候補が、直間比率見直しを掲げた自民党の候補者を破り当選をいたしました。このとき、次のような投書がある新聞の「声」の欄に載せられております。「今度の参院大阪選挙区の補欠選挙で、大型間接税への賛否が最大の争点であったことは紛れもない事実であった。」「大型間接税を争点にした選挙で、今度は大阪で共産党に敗れている。つまり農村でも都市でも国民大型間接税反対であることがわかったはずである。」と述べております。また、「最近の政府予算を見ても、教育福祉、とりわけ老人年金を削り取って軍事費につぎ込んでいる。大型間接税導入されたら、これが何に使われるのかも、国民は感づいているのだ。」と述べております。このように新大型間接税反対の声は、今や人民の声、天の声、地の声となっているのであります。(拍手)  ところが、国会審議権を侵し、密室の中で一昨日結ばれた自由民主党と我が党を除く野党との合意は一体何であったのでしょうか。減税財源確保について社公民三党が主張していた公約上当然の、大型間接税導入しないとの明記がないばかりか、「その財源については、社公民三会派の要求する「不公平税制等の是正」及び「その他の項目」を含め」として、それ以外の大型間接税についても論議の対象の余地を残したものではなかったでしょうか。さらに、共産党を排除した政策担当者による密室協議の場は、マル優廃止に道を開いた税制協と同様、減税財源口実に新大型間接税導入に道筋をつけるものであることは予測にかたくないところであります。特定党派の協議の名のもとに、国会審議をないがしろにし、しかも新大型間接税導入の舞台になりかねない新たな協議の場を設置することは、議会制民主主義に反するものと言わなければなりません。(拍手)  今、竹下内閣国民に対して真に誠実な道を選ぼうとするならば、そのとるべき道は公約どおり大型間接税導入を断念することであります。それでもあえて税制の抜本的改革に渾身の努力を傾けると言うのであるならば、本院を解散して国民に信を問う以外の道はないはずであります。  反対の第二の理由は、本予算INF全廃条約の締結に示された核軍縮への世界政治の流れに逆らい、軍事費のGNP比一%突破を固定し、実質世界第三位の軍事費でアメリカのレーガン核戦略を補完する大軍拡予算であるということであります。  新規計上されました一隻千二百二十三億円もする米核空母護衛のためのイージス艦米軍戦略を補完する対潜水艦戦センター、OTHレーダー設置調査費などは、アメリカの要求を全面的に受け入れたものであります。米軍、自衛隊用の有事立法研究を含むアメリカ有事への全面的な参戦体制づくりを目指す米軍有事来援の日米共同研究開始の合意とあわせ、日本をアメリカの核戦争に巻き込む危険を一層強めるものであります。今や我が国は、日米軍事同盟のもとで、世界の大勢となっている核軍縮への逆流のアジア最大の拠点となっています。また地位協定特別協定の改定までねらった思いやり予算の拡大、これは今やアメリカでは、かさにかかって在比米軍基地の使用料まで日本への肩がわりを要求する事態にまで発展しているのでありますが、この思いやり予算とともに、安保は国是として三宅島NLP基地建設と逗子池子米軍住宅建設強行のための予算の計上は、地方自治を真っ向から踏みにじるものとして断じて認められないものであります。竹下首相は、先日の三宅島村議選に示された民意を無視し、NLP基地建設の意図を明らかにいたしましたが、即時中止を要求するものであります。(拍手)  反対の第三の理由は、NTT株売却益財源とする民間活力プロジェクトへの無利子融資など、巨大企業にはたっぷりと奉仕する一方、国民に対しては新たな福祉教育切り捨てと狂乱地価を強要する国民総我慢予算であるということであります。  一千億円の民活無利子融資、公共事業の二〇%増額、新エネルギー総合開発機構への助成措置の拡大など、大企業に対しては、至れり尽くせりの手厚い援助措置をとっているのであります。ところが福祉教育はどうでありましょうか。余りにも冷酷無比。生活保護を拒否された母子家庭の母親が餓死し、また福祉事務所の冷たい仕打ちに死をもって抗議するという東京都荒川区の例など全国各地で起きている現実、これが日本福祉の現状であり、その生活保護費を削減してはばからないというのが本予算案なのであります。中小企業対策費の六年連続削減、戦後の一時期を除き最悪に貧困な文教予算などなど、国民犠牲の最たる予算と断ぜざるを得ません。中曽根前首相が「戦後政治の総決算」の一環としてつくった臨教審は、教育条件整備など本来の責務を放棄して、全く国民合意のない学校における管理体制の強化、日の丸、君が代の押しつけなど国家主義教育の推進の答申を行い、それをもとに今国会に数々の悪法を提出していることも許しがたいことなのであります。  第四の理由は、アメリカに双子の赤字の責任を一言も求めずに、その肩がわりをし、異常円高と産業空洞化の一層の推進、不当な農産物輸入自由化農業を破壊する経済主権放棄の予算であることであります。  理不尽きわまるガット裁定一括受諾など、とめどもない農産物輸入自由化を進める一方、農業保護予算に大なたを振るい、食管制度の変質を図るなど、米国と財界の圧力を受け入れ自民党政府農業つぶしは目に余るものがあります。これは農民への攻撃にとどまらず、さきの総理府世論調査でも示されました、安全な食糧は日本の大地からという消費者を含む国民の総意に対する挑戦と言わなければなりません。  以上、反対理由を申し述べましたが、六十三年度予算は、総じて軍拡、大増税、暮らし破壊の三悪予算であるということが端的に言えます。しかも軍事、政治、経済のあらゆる面においてアメリカとの運命共同体的性格、死なばもろともの一蓮托生を強めているところに最大の特徴があります。その根源は何か。日米安保条約にほかならないことは明瞭であります。「コメ・ココム・税制までも この国を 縛る鎖は 日米安保」、日本共産党革新共同はこの日米安保条約廃棄のために全力を尽くすとともに、大型間接税の完全放棄、軍事費を一兆九千億円削って、増税なしの三兆円減税とともに、暮らし、福祉教育農業中小企業優先の予算に組み替えることを要求するものであります。(拍手)  ことしは自由民権運動百一年の年に当たります。全国民と青年たちを魅了し尽くしたこの自由民権運動が掲げたものは、不平等条約の撤廃でありました。今で言えば安保条約撤廃と言えましょう。さらに重税反対租税軽減、そして限りなき人民の権利を主張して立ち上がったものでありました。そして血の弾圧にも屈せず国会の開設をかち取ったのであります。その運動の発端となった建白書の中には、生きて奴隷の民たらんよりは死して自由の鬼たらんという、極めて鮮烈な自由と人権を希求する言葉が残されております。今こそ、国権の最高機関である国会は、この百年前の先人の歩んだ先進性に学び、憲法の指し示す国民主権を貫く大道を国民とともに前進すべきであることを私は強調するものであります。この観点からも重ねて日本共産党革新共同は新大型間接税導入を絶対許さないという国民運動の先頭に立って闘うことをここに表明し、反対討論を終わるものであります。(拍手
  20. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  21. 原健三郎

    議長原健三郎君) 昭和六十三年度一般会計予算外二案を一括して採決いたします。  この採決は記名投票をもって行います。  三案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  22. 原健三郎

    議長原健三郎君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。  投票を計算させます。     〔参事投票を計算〕
  23. 原健三郎

    議長原健三郎君) 投票の結果を事務総長から報告させます。     〔事務総長報告〕  投票総数 四百七十八   可とする者(白票)       二百八十三     〔拍手〕   否とする者(青票)       百九十五     〔拍手
  24. 原健三郎

    議長原健三郎君) 右の結果、昭和六十三年度一般会計予算外二案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)     ─────────────  昭和六十三年度一般会計予算外二案を委員長報告のとおり決するを可とする議員の氏名       安倍晋太郎君    阿部 文男君       相沢 英之君    逢沢 一郎君       愛知 和男君    愛野興一郎君       赤城 宗徳君    麻生 太郎君       天野 公義君    甘利  明君       新井 将敬君    有馬 元治君       粟屋 敏信君    井出 正一君       井上 喜一君    伊藤宗一郎君       伊吹 文明君    池田 行彦君       石井  一君    石川 要三君       石破  茂君    石橋 一弥君       石原慎太郎君    石渡 照久君       糸山英太郎君    稲垣 実男君       稻葉  修君    稲村 利幸君       今井  勇君    今枝 敬雄君       宇野 宗佑君    上草 義輝君       魚住 汎英君    臼井日出男君       内海 英男君    浦野 烋興君       江口 一雄君    江藤 隆美君       衛藤征士郎君    榎本 和平君       遠藤 武彦君    小川  元君       小此木彦三郎君   小里 貞利君       小沢 一郎君    小澤  潔君       小沢 辰男君    小渕 恵三君       尾形 智矩君    尾身 幸次君       越智 伊平君    越智 通雄君       大石 千八君    大石 正光君       大島 理森君    大塚 雄司君       大坪健一郎君    大野  明君       大野 功統君    大原 一三君       大村 襄治君    太田 誠一君       岡島 正之君    奥田 敬和君       奥田 幹生君    奥野 誠亮君       加藤 紘一君    加藤 卓二君       加藤 六月君    鹿野 道彦君       海部 俊樹君    柿澤 弘治君       梶山 静六君    粕谷  茂君       片岡 清一君    片岡 武司君       金子 一義君    金子原二郎君       金丸  信君    亀井 静香君       亀井 善之君    亀岡 高夫君       唐沢俊二郎君    川崎 二郎君       瓦   力君    木部 佳昭君       木村 守男君    木村 義雄君       菊池福治郎君    岸田 文武君       北川 石松君    北川 正恭君       北口  博君    北村 直人君       久間 章生君    久野 忠治君       工藤  巌君    鯨岡 兵輔君       熊谷  弘君    熊川 次男君       倉成  正君    栗原 祐幸君       小泉純一郎君    小坂善太郎君       小坂徳三郎君    小杉  隆君       小宮山重四郎君   古賀  誠君       古賀 正浩君    後藤田正晴君       河野 洋平君    河本 敏夫君       高村 正彦君    鴻池 祥肇君       近藤 鉄雄君    近藤 元次君       左藤  恵君    佐藤 一郎君       佐藤 静雄君    佐藤 信二君       佐藤 敬夫君    佐藤  隆君       佐藤 守良君    齋藤 邦吉君       坂田 道太君    坂本三十次君       桜井  新君    櫻内 義雄君       笹川  尭君    笹山 登生君       志賀  節君    自見庄三郎君       椎名 素夫君    塩崎  潤君       島村 宜伸君    白川 勝彦君       杉浦 正健君    杉山 憲夫君       鈴木 善幸君    鈴木 恒夫君       鈴木 宗男君    砂田 重民君       関谷 勝嗣君    園田 博之君       田澤 吉郎君    田名部匡省君       田中 龍夫君    田中 直紀君       田邉 國男君    田原  隆君       田村  元君    田村 良平君       高鳥  修君    高橋 一郎君       高橋 辰夫君    竹内 黎一君       竹下  登君    武部  勤君       谷  洋一君    谷垣 禎一君       谷川 和穗君    玉生 孝久君       玉沢徳一郎君    近岡理一郎君       津島 雄二君    塚原 俊平君       月原 茂皓君    戸井田三郎君       戸沢 政方君    戸塚 進也君       渡海紀三朗君    東家 嘉幸君       友納 武人君    虎島 和夫君       中尾 栄一君    中川 昭一君       中川 秀直君    中島源太郎君       中島  衛君    中西 啓介君       中村喜四郎君    中村正三郎君       中村  靖君    中山 太郎君       中山 利生君    中山 成彬君       中山 正暉君    長野 祐也君       二階 俊博君    二階堂 進君       丹羽 兵助君    丹羽 雄哉君       西岡 武夫君    西田  司君       額賀福志郎君    野田  毅君       野中 英二君    野中 広務君       野呂 昭彦君    野呂田芳成君       羽田  孜君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    長谷川 峻君       畑 英次郎君    鳩山 邦夫君       鳩山由紀夫君    浜田 幸一君       浜田卓二郎君    浜野  剛君       林  大幹君    林  義郎君       原田  憲君    原田昇左右君       東   力君    平泉  渉君       平沼 赳夫君    平林 鴻三君       深谷 隆司君    吹田  愰君       福島 譲二君    福田 赳夫君       福田  一君    福永 健司君       藤波 孝生君    藤本 孝雄君       船田  元君    古屋  亨君       保利 耕輔君    穂積 良行君       細田 吉藏君    堀内 光雄君       堀之内久男君    前田 武志君       牧野 隆守君    増岡 博之君       町村 信孝君    松田 岩夫君       松田 九郎君    松永  光君       松野 幸泰君    松野 頼三君      松本 十郎君    三ッ林弥太郎君       三原 朝彦君    三塚  博君       箕輪  登君    水野  清君       宮崎 茂一君    宮里 松正君       宮澤 喜一君    宮下 創平君       武藤 嘉文君    村井  仁君       村岡 兼造君    村上誠一郎君       村田敬次郎君    村山 達雄君       持永 和見君    粟山  明君       森   清君    森  喜朗君       森下 元晴君    森田  一君       谷津 義男君    保岡 興治君       柳沢 伯夫君    山口 敏夫君       山下 元利君    山下 徳夫君       山中 貞則君    山村新治郎君       山本 幸雄君    与謝野 馨君       若林 正俊君    綿貫 民輔君       渡部 恒三君    渡辺 栄一君       渡辺 紘三君    渡辺 省一君       渡辺 秀央君    渡辺美智雄君       佐藤 孝行君  否とする議員の氏名       阿部未喜男君    五十嵐広三君       井上  泉君    井上 一成君       井上 普方君    伊藤  茂君       伊藤 忠治君    池端 清一君       石橋 大吉君    石橋 政嗣君       稲葉 誠一君    岩垂寿喜男君       上田 卓三君    上田  哲君       上田 利正君    上原 康助君       江田 五月君    小川 国彦君       小澤 克介君    小野 信一君       緒方 克陽君    大出  俊君       大原  亨君    奥野 一雄君       加藤 万吉君    角屋堅次郎君       金子 みつ君    川崎 寛治君       川俣健二郎君    河上 民雄君       河野  正君    菅  直人君       木間  章君    串原 義直君       小林 恒人君    上坂  昇君       左近 正男君    佐藤 観樹君       佐藤 敬治君    佐藤 徳雄君       坂上 富男君    沢田  広君       沢藤礼次郎君    渋沢 利久君       嶋崎  譲君    清水  勇君       城地 豊司君    新村 勝雄君       新盛 辰雄君    関山 信之君       田口 健二君    田中 恒利君       田邊  誠君    田並 胤明君       高沢 寅男君    竹内  猛君       辻  一彦君    戸田 菊雄君       土井たか子君    中沢 健次君       中西 績介君    中村  茂君       中村 正男君    永井 孝信君       野口 幸一君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    広瀬 秀吉君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       前島 秀行君    松前  仰君       三野 優美君    水田  稔君       武藤 山治君    村山 喜一君       村山 富市君    安井 吉典君       安田 修三君    山口 鶴男君       山下八洲夫君    山花 貞夫君       吉原 米治君    渡部 行雄君       浅井 美幸君    新井 彬之君       有島 重武君    井上 和久君       池田 克也君    石田幸四郎君       市川 雄一君    遠藤 和良君       小川新一郎君    大久保直彦君       大野  潔君    大橋 敏雄君       近江巳記夫君    長田 武士君       鍛冶  清君    貝沼 次郎君       神崎 武法君    木内 良明君       草川 昭三君    草野  威君       小谷 輝二君    権藤 恒夫君       斉藤  節君    坂井 弘一君       坂口  力君    柴田  弘君       鈴切 康雄君    竹入 義勝君       竹内 勝彦君    武田 一夫君       玉城 栄一君    鳥居 一雄君       中村  巌君    西中  清君       沼川 洋一君    橋本 文彦君       春田 重昭君    日笠 勝之君      平石磨作太郎君    伏木 和雄君       伏屋 修治君    藤原 房雄君       二見 伸明君    冬柴 鉄三君       古川 雅司君    正木 良明君       水谷  弘君    宮地 正介君       森田 景一君    矢追 秀彦君       矢野 絢也君    薮仲 義彦君       山田 英介君    吉井 光照君       吉浦 忠治君    渡部 一郎君       安倍 基雄君    阿部 昭吾君       青山  丘君    伊藤 英成君       小沢 貞孝君    大矢 卓史君       岡田 正勝君    川端 達夫君       河村  勝君    神田  厚君       木下敬之助君    北橋 健治君       小渕 正義君    佐々木良作君       田中 慶秋君    滝沢 幸助君       玉置 一弥君    塚本 三郎君       中野 寛成君    中村 正雄君       永末 英一君    楢崎弥之助君       西村 章三君    林  保夫君       吉田 之久君    米沢  隆君       和田 一仁君    安藤  巖君       石井 郁子君    岩佐 恵美君       浦井  洋君    岡崎万寿秀君       金子 満広君    経塚 幸夫君       工藤  晃君    児玉 健次君       佐藤 祐弘君    柴田 睦夫君       田中美智子君    辻  第一君       寺前  巖君    中路 雅弘君       中島 武敏君    野間 友一君       東中 光雄君    不破 哲三君       藤田 スミ君    藤原ひろ子君       正森 成二君    松本 善明君       村上  弘君    矢島 恒夫君       山原健二郎君    田川 誠一君       多賀谷真稔君      ────◇─────
  25. 原健三郎

    議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十分散会