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1988-04-26 第112回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十六日(火曜日)     午後三時三十二分開議  出席委員    委員長 戸沢 政方君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 今枝 敬雄君 理事 太田 誠一君    理事 保岡 興治君 理事 坂上 富男君    理事 中村  巖君 理事 安倍 基雄君       稲葉  修君    上村千一郎君       佐藤 一郎君    丹羽 兵助君       宮里 松正君    村上誠一郎君       稲葉 誠一君    山花 貞夫君       冬柴 鉄三君    山田 英介君       安藤  巖君  出席国務大臣         法 務 大 臣 林田悠紀夫君  出席政府委員         法務大臣官房長 根來 泰周君         法務大臣官房審         議官      稲葉 威雄君         法務省民事局長 藤井 正雄君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  金谷 利廣君         最高裁判所事務         総局刑事局長  吉丸  眞君         法務委員会調査         室長      乙部 二郎君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     村上誠一郎君 同日  辞任         補欠選任   村上誠一郎君     赤城 宗徳君     ───────────── 四月二十五日  刑事施設法案早期成立に関する請願大原一三紹介)(第一六五四号)  同(岡島正之紹介)(第一六五五号)  同(佐藤信二紹介)(第一六五六号)  同(染谷誠紹介)(第一六五七号)  同(田中角榮紹介)(第一六五八号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一六五九号)  同(原田昇左右紹介)(第一六六〇号)  同外二十一件(松本十郎紹介)(第一六六一号)  同外二件(牧野隆守紹介)(第一六六二号)  同(村岡兼造君紹介)(第一六六三号)  同(阿部文男紹介)(第一七五六号)  同(岡島正之紹介)(第一七五七号)  同(北川正恭紹介)(第一七五八号)  同(小宮山重四郎紹介)(第一七五九号)  同(染谷誠紹介)(第一七六〇号)  同(戸沢政方紹介)(第一七六一号)  同(中山太郎紹介)(第一七六二号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第一七六三号) 同月二十六日  刑事施設法案早期成立に関する請願上村千一郎紹介)(第一八二九号)  同(浦野烋興君紹介)(第一八三〇号)  同(江口一雄紹介)(第一八三一号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八三二号)  同外八件(尾身幸次紹介)(第一八三三号)  同外二件(近藤元次紹介)(第一八三四号)  同(中川秀直紹介)(第一八三五号)  同(前田武志紹介)(第一八三六号)  同(江口一雄紹介)(第一八五八号)  同(小沢辰男紹介)(第一八五九号)  同外八件(尾身幸次紹介)(第一八六〇号)  同(近藤元次紹介)(第一八六一号)  同(笹川堯君紹介)(第一八六二号)  同(鈴木宗男紹介)(第一八六三号)  同(西岡武夫紹介)(第一八六四号)  同外五件(山下徳夫紹介)(第一八六五号)  同(谷垣禎一紹介)(第一八六六号)  同(井上喜一紹介)(第一九〇五号)  同外四件(石渡照久紹介)(第一九〇六号)  同(江口一雄紹介)(第一九〇七号)  同(小沢辰男紹介)(第一九〇八号)  同(鹿野道彦紹介)(第一九〇九号)  同外一件(鯨岡兵輔紹介)(第一九一〇号)  同(小杉隆紹介)(第一九一一号)  同外二件(原田憲紹介)(第一九一二号)  同(松永光紹介)(第一九一三号)  同(渡辺秀央紹介)(第一九一四号)  同外一件(渡辺紘三君紹介)(第一九一五号)  同外二件(逢沢一郎紹介)(第一九四七号)  同外五件(石渡照久紹介)(第一九四八号)  同(稲葉修紹介)(第一九四九号)  同(上草義輝紹介)(第一九五〇号)  同(江口一雄紹介)(第一九五一号)  同(加藤紘一紹介)(第一九五二号)  同(虎島和夫紹介)(第一九五三号)  同外三件(中川昭一紹介)(第一九五四号)  同(野田毅紹介)(第一九五五号)  同(村井仁紹介)(第一九五六号)  同(渡辺秀央紹介)(第一九五七号)  刑事施設法案の廃案に関する請願坂上富男紹介)(第一八五七号)  同(江田五月紹介)(第一九〇〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第一九〇一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一九〇二号)  同(中路雅弘紹介)(第一九〇三号)  同外一件(松本善明紹介)(第一九〇四号)  同外三件(中村巖紹介)(第一九四五号)  同(山田英介紹介)(第一九四六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)      ────◇─────
  2. 戸沢政方

    戸沢委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所金谷総務局長吉丸刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 戸沢政方

    戸沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  4. 戸沢政方

    戸沢委員長 内閣提出不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍基雄君。
  5. 安倍基雄

    安倍(基)委員 実はたまたま参考人を呼んで質疑のあったときに私ども党大会でございまして、特に政策担当ということで出席できなかったのでございますけれども、一応議事録を全部読ませていただきまして、大体どのような質疑応答があったかということをちゃんと読んでまいりました。  その中に、いろいろ質疑応答の中に、これは自民党の塩崎委員、もう一人どなたでしたか、野党の方からも、司法書士のところに端末機を置いたらどうかというような話が出たと私は理解しておりますけれども、それについてどういうぐあいに当局考えていらっしゃるかということをまずお伺いしたいと思います。
  6. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 司法書士の事務所に端末機を設置いたしまして、司法書士登記所に出向かないで登記情報を入手することができるというふうな便宜を図ることができるならば、これは司法書士あるいは利用者にとって非常にメリットのあることでございまして、民事行政審議会答申でもそういう点に触れられているわけでございますが、一方、その答申の中では、登記データ不正入手不当利用あるいは登記ファイルへの不当アクセスなどデータ保護上の問題が生じる、それからまたその運用には相当の経費を要するので、現段階で直ちに採用するのは相当でない、将来そういう方向で整備を図るべきである、こういうことになっております。  先生今御指摘のように、先日穂鷹参考人は、現段階でも、読み取りの端末装置を設置した場合に、その外部端末によって登記データ改ざんその他不当な操作をすることは技術的にはできない、こういうお話がございました。これは参考人専門家のおっしゃることでございまして、それは一面でそういうお考えも正しいのであろうとは思います。が同時に、私の方では、メーカーサイドから聞いたところでは、やはりなお絶対に安全であるというところまで評価ができるかどうかにはまだ問題があるように聞いておりまして、そういうことがこの昨年十月の答申の中にあらわれているのじゃなかろうかと思っております。登記データにつきましてはいかなる意味でも絶対に改ざんができないような仕組みのものでなければならない、これは至上命題でございます。  それともう一つは、これについてはやはり相当の経費がかかる。特に端末の置かれる数によりまして、コンピューター本体の容量の問題もございまして、なかなかそう単純にはいかないというふうに考えておりますので、この点は答申にのっとりまして、将来の検討課題として考えさせていただきたいというふうに私どもは思っております。
  7. 安倍基雄

    安倍(基)委員 経費とおっしゃるけれども端末機など設置するのに、いろいろな経費は恐らく本人が負担すると思いますがね。それは自分らに便利なわけですから。これは、司法書士に対する監督的な要素もあるのでしょうから、もし変なことをすればすぐ資格を取り上げるということだってあり得るのじゃないでしょうか。だからその面で、どこにもかしこにも置かせるということはそれは問題かもしれないけれども、いやしくも司法書士ということの資格を与えた者に対して、もしそれがおかしなことをやればすぐ罰則規定を設けるなりなんなりすることもできないわけではないし、反面、その経費なんというのはもう喜んで彼らは負担するであろうというので、その辺が本当に絶対に技術的にそれはできるかできないか、改ざんが可能か可能じゃないかという問題とともに、それだけの人間に資格を与えてやらせる以上それなり監督もできるわけですから、その意味で、将来の問題として検討されるということは私はいいと思いますが、そんなに心配というか、改ざんされるのじゃないか、何々されるのじゃないかということを心配する懸念は余りないのじゃないかな。経費の面も、ちゃんと彼らは自分で負担するでしょう。何だったら、もうちょっと余計に取ったっていいですよ。テレビじゃないけれども、喜んで負担してやるとは思いますがね。  だから、そういった経費的な重荷も余りないだろう。また反面、そうやってそれなり利便性を持たせれば、そしてもしそういうことが起こったならばそれなりにきつく罰する、あるいは資格を取り上げるということも可能なわけですから、改ざん問題はそれほど重要視することもない。経費の問題も改ざん問題もそれほど恐れることはないのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
  8. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 外部端末から絶対に不当な操作はできないというようにするためには、端末機種を限定をするとかあるいは専用回線を用いるとか、いろいろな前提条件がつくようでございます。そうなりますと、その機種につきまして役所の方でリースをしてその上で貸し与えるとか、いろいろなこともまた考えなければなりません。もちろん運用コスト等の直接的な経費利用者の方に負担をさせるということになろうかと思いますが、それだけでなく、やはり役所の側に、コンピューター本体についてこれを大きなものを据えなければならないとか、いろいろな形で間接的な経費を要することにもなろうかと思います。それをどのあたりまで負担させるかというのも、また一つ考えなければならない問題であろうかと思います。いろいろな点を考慮させていただきたいと思っております。
  9. 安倍基雄

    安倍(基)委員 そのために本体に対して経費がかかるなら、そのくらいの分担は喜んですると思いますがね。その意味で私はこれは十分検討に値する要望ではないかなと思いますけれども、大臣いかがでございますか。
  10. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 もちろん検討をさしていただきます。これから今世紀程度かけましてコンピューターシステムを完成して、さらにそのコンピューターシステムをうまく利用するということが必要でございますので、その間におきまして十分検討をしまして考えていきたいと存じます。
  11. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ただ、私がこの前お話ししたプライバシーというか、名寄せなんかの問題もありますからね。例えばぱぱっと端末の方で名寄せができちゃうのじゃ問題でございますから、その辺のチェックは十分しなくちゃいけない。登記所でやれば名寄せなんかの管理なんかも、私がこの前しきりと登記というのは一つ公示である、公示という表へ出さなければならぬ要素と、反面、それが今までだったら名寄せがぱっとできないという意味で、ある意味からいえば個人のプライバシーが保護されたけれども、それがぱっとできるようになっちゃって、端末でもってできるようでは、これは大変なことになりますからね。登記所でやるということであれば、それをチェックもできる。その辺の要素もあると思いますけれども、これは将来やはり、殊に機械化時代ですから考えるべきではないかなと私は考えます。  もう一つ中間省略登記の問題がございますがね。これは私が大蔵委員会でいろいろ議論しているときに、例えば土地の短期譲渡所得あるいは長期譲渡所得、税率は全然変わってくる。ところが、本当は短期なんだけれども中間省略することによっていかにも長期であったようなことをやれないことはない。その辺が大蔵委員会でも大分論議されました。  そうなると、やはり中間省略登記ということは余りさせてはどうかなという問題があると思いますね。これは民法との関連もあるかもしれませんけれども、やはり登記法上はきちっと、中間省略登記ということは余りさせない方がむしろいいのじゃないかな。これは司法書士会要望もございますが、なかなか一理あるのじゃないかな。従来これは判例が認めているというようなことを言われますけれども、それは一種の追認みたいな話で、登記法上は中間省略登記余りさせないような形にするのも一方法じゃないかな。特にこういった、それが課税に関係してくるというような問題を抱えてきますと、これはやはり考えなくちゃいけない話じゃないかな。いかがでございますか。
  12. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 民法の解釈におきましても中間省略登記ということは認められておりませんし、また、不動産登記法の上においても中間省略登記が許容されるということにはなっておりません。  ただ、登記所サイドから申しますと、当事者から提出されました書類に基づきまして登記官形式的審査権を行使いたしまして、その書類からその登記の受否を判断するわけでございまして、それが書類の上で中間省略でございますれば、登記官は当然に不動産登記法四十九条で却下をするわけでございます。ところが、中間省略でなくて直接の取引であるという形をとって提出をされてきました場合には、登記官としては、その持っております形式的審査権からは、まさにそれは直接の登記になってしまうわけでございまして、受理せざるを得ないわけでございます。  中間省略登記が望ましくないことは言うまでもございませんで、これは税金の問題がここに影を落としているのだと思いますが、この中間省略の実態につきましては、登記所よりもむしろ売買当事者から登記の委嘱を受けました司法書士の方の方がよく知り得る立場にございますので、適切な御協力をいただければと思っております。
  13. 安倍基雄

    安倍(基)委員 形式審査だから仕方がないとおっしゃるけれども、それじゃ中間省略登記を行った者に対する罰則はあるのですか。
  14. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 罰則はございません。
  15. 安倍基雄

    安倍(基)委員 本来登記法上でもそれは認められていない、ただ、審査でやる場合に形式審査だからだめだというのであれば、その罰則を設けたらどうですか。
  16. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 登記法上認められてないといいますのは、仮に実際に売買が甲から乙、乙から丙へと移転したといたしましても、書類の上で甲から丙へ売買がされたという形の書類が添付されてまいりました場合には、これはもう登記の面では直接の登記でございますので、却下の理由がないわけでございます。このような登記というような私法上の取引に密接に関連する分野におきまして罰則をもって強制するということがどこまで妥当するか、それは登記によって実現しようとする目的との兼ね合いで決められることでございまして、罰則を設けることがそう一概に奨励されることかどうか、これは私どもとしては多少疑問を持つところでございます。
  17. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それをもって脱税した場合に、脱税の方で要するに課せればいいという考えもありますけれども、ただ、いわば隠せるという話になるので、なかなか探していってそれを調べていくということは難しい面もあるわけですよ。だから、こういった中間省略登記が全然ほかのことに関係しない時代ならいいけれども、そういう税法が絡んできて所得隠しの方につながるような状況になってくれば、それだけの罰則を設けることも一つ考え方じゃないかな。私は問いも出さなくて、考えながら今全く思いつきで聞いているのでまことにあれでございますけれども、ふっとそういう考えが浮かんできたものですから。いかがでございますか。
  18. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 結局、罰則実効性を持つためには、やはりそれがうそであるということがわからないと罰則を適用することができないわけでございます。そういたしますと、税法のような実質的な実害と申しますか、国家に実害があって、そういう状況でさえ脱税犯、逋脱犯として処罰することができないのに、私法上のそういう行為について、直ちに見つけてそれを処罰することができるかどうかということについては、私ども少し問題があるのではないかというふうに考えておりまして、そういう実際になかなか難しいような処罰規定をつくるということは、先ほど局長が申し上げました、そもそも私法上のそういう実質の確保登記真実性確保ということにどこまで罰則を用いることが適当かということとも絡んで、なお検討しなければならない多くの問題を含んでいるのではないかというふうに思っております。
  19. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ここで前から言われている原因行為登記簿上の真正確保、そのために例えば原因証書を添付しろとか、そういうようなこともこれに関連するわけですよね。だから、私は別に司法書士会の要請をそのまますぐ実現しろとまでは言うておりませんけれども、理のあるものは実現してもいいのではないか。民社党お得意の是是非々で考えますからね。そうすると、つまり見つけようがないとおっしゃるなら、それなり原因証書がぴっとついてくれば、だれとだれから買った、こうなれば、中間の抜けている連中も浮かび上がってくるわけですな、ある意味からいえば。それは、そこまでごまかしちゃったらなかなか出てこないかもしれないけれどもね。そこで司法書士というものが、さっき、その辺を詳しく知っているというような話で、それがもし真正でないものだったら、それなりにまた司法書士としての罰則を設ける。つまり、こういったものは義務であるときちっとして、それなりのいわば罰則ということを考えれば、私は、特にこの中間省略登記あるいは真正書類の添付ということをしきりと言いますのは、昔の時代と比べてそういった意味の実態的な差が出てきているということなんですね。こればかりやっていると時間がなくなっちゃうから、その点、これは急に大臣に聞くのも、技術的な話ですからちょっと勘弁しておきますけれども、これは一応心のうちにあるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  20. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 登記は、一つには所有権移転過程登記簿にあらわすということを一つ目的にいたしております。と同時に、現在の権利の所在をあらわすということも目的にしているわけでございます。中間省略登記が望ましくないというのは、権利移転過程がそのとおりには登記簿にあらわれていないという点が望ましくないというわけでございますが、現在の権利関係をあらわしているという意味では正しい登記でございまして、これを直ちに不実の登記と言うのもいかがであろうかというふうに考えます。そういう意味合いにおきまして、罰則ということは、やはりその法律によって実現しようとする事柄との兼ね合いでもって設けられるものであろうと思いますので、この場合にそれが必ずしも適当な手段であるとは思われないということが一つでございます。  それから原因証書についてお話がございましたが、このような場合に、多くは直接の取引がなされたような原因証書がつくられてくるということに問題があるわけでございまして、あるいはそういうものをつけないで申請書の副本でもってやってくるという場合もございますが、結局これはその取引をなさる方、登記をなさる方の良識にまつと申しますか、そういうことは期待をするというのが私法のあり方としては適当なんじゃないかというふうに思っているわけでございます。
  21. 安倍基雄

    安倍(基)委員 しかし、真正でない原因証書を作成すれば、それそのものが問題になるわけじゃないですか。
  22. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 しかし、真正でない証書と申しますけれども、それはその名義人の御意思でつくられているわけでございますから、そういう意味では偽造でも何でもないわけでございまして、そのこと自体を直ちにとがめるわけにもいかないのではなかろうかと思います。
  23. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この問題ばかり取り上げていると時間がなくなりますから、一つ教えていただきたいのですけれども司法書士地位というのは、日本においては、諸外国と比べてどういう差があるのですか。そしてこれは、例えばこの前の質疑応答の中でフランスの問題が出てきて、フランス公証人の話が出ました。フランス公証人制度はきちっとしているからどうのこうの、真正性の担保の問題ですけれども、この問題については、司法書士のいわば地位というか立場、権限、これはほかの国と比べてどういう格好になっていますか。
  24. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 ほかの国では、司法書士というような職種に該当するものは、直接これに該当するようなものは見当たらないようでございます。  今先生が御指摘のように、フランスでは、登記事務につきましては、公証人がこれを公正証書の形でまず取引を扱いまして、それでもって登記をするという形になっております。ですから、フランスにおきましては、日本で申します公証人司法書士とをあわせたような機能を登記に関しましてはフランス公証人がやっているということになるわけでございます。  そのほか、イギリスではソリシターという制度がございまして、これはバリスターと言われる法廷弁護士とは違った一段格の下の、何といいますか、事務弁護士というふうに普通言っておりますけれども、その数が非常に多うございまして、いわば町の法律相談家として非常に普遍的に利用されているということがあるようでございまして、これが比較的近いものかもしれません。しかし、今申し上げましたように基本的には弁護士でございますので、日本のように弁護士制度司法書士制度が截然として分かれているという制度とは違っているわけでございます。  フランスの先ほどの公証人はいわば日本公証人と同じ公務員に準ずる地位を持っておりまして、日本司法書士はそういう点では全く、ある意味では、国から監督は受けておりますけれども資格者として民間の、公務員ではないという地位にあるわけでございます。
  25. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私も前回たしかソリシターとの関連をちょっとお話ししたと思いますけれども、いずれにせよ日本の場合には、弁護士というものが非常に限定されておって、司法書士が身近な庶民の法律上の相談相手になっているという要素もあるわけですね。今まで日本人というのは、どっちかというと権利意識がなくて、まあまあまあまあで来ている。だけれども、私は海外に二年半ばかり留学したことがあるのですけれども、ともかく向こうの連中はすぐ訴訟に訴える。そのためにまた弁護士が逆に多過ぎて質の悪い弁護士も随分いるようでございますけれども、だんだんと日本もそういう方向になっていくのではないか。  そこで結局、この前もちらっと言った弁護士の数の問題とも絡まってきますけれども司法書士というものをもうちょっと今の状況からソリシターに近いような、もっともこれは試験をまた新たにやらなければいかぬようなこともあると思いますが、日本は要するに非常に少数の弁護士と、あと司法書士というような形で処理されているわけですけれども、何か中間的なものがあってもいいのじゃないかなという気がいたします。これは制度上の問題ですからなかなか難しい問題かもしれませんけれども、この点、いかがでございます。
  26. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 これはやはり歴史的な経過を経てこういうふうな制度をつくってまいりましたわけでございます。その場合に、専門家同士の職域の問題というのはいろいろな面で難しい問題を持っております。これは先生よく御案内のとおりでございますが、その中へまた新しい職種をつくるということは、これは非常に難しい問題をさらに投げかける。数の問題、いわば量の問題でございますが、それとそれから質の問題、どういう仕事をさせるかということについては、これは時代の要請に応じてそれぞれ考えていかなければならないとは思いますけれども、現在の制度の中でどういうふうにすみ分けをしていくかという方向考えさせていただければありがたい、むしろ新しい職種をつくるというのはなかなか困難な話ではないかというふうに考えております。
  27. 安倍基雄

    安倍(基)委員 公認会計士と税理士というような関係、税理士であり公認会計士であるというようなものもあるわけですね。じゃ、いわば公証人司法書士というような組み合わせもあり得るのかな、これはちょっと思いつきですけれどもね。これは十分勉強したわけじゃないから、もう少し私ども検討した上で考えてみたいと思いますけれども、これだけ訴訟の意識がだんだんと発展してきますと、それなりの社会的な役割を持つグループを持たざるを得ないのじゃないかと思います。この辺はまた改めてよく検討した上で、また三巡目があるそうですから三巡日のときでももうちょっと突っ込んで聞いてみたいと思います。  次に、あと残り少ないから、私は前回、司法試験の回数制限はどうか、こうお話ししたが、これは本当かどうか知らぬけれども、日弁連も何かそんなことを言ってきている。私が発言したときは別に日弁連に頼まれたわけでも何でもない。柳の枝に飛びつくカエルという日本的なあれから、ともかく何回やってもやるならいいじゃないか、何も三回でとめることはないよ、本人が好きでやっているんだから、そういうことで考えたのですけれども、日弁連も同じことを言っているようでございますけれども、これについて、どうもこの回数制限というのはちょっとクエスチョンマークだなと思うが、いかがでございます。
  28. 根來泰周

    根來政府委員 司法試験の改正に関しまして、日弁連にただいまいろいろ意見を承っておる段階でございます。しかしながら、本年三月十七日に日弁連の法曹養成問題委員会中間報告というのが出されましたけれども、この報告書においては、今の司法試験制度というのは若年受験者にとって合格が非常に困難になっているという問題があるということを指摘した上で、受験回数の制限等の方策について、その是非を含めて検討すべきであるという意見を中間的にちょうだいしております。  そういうことでございまして、日弁連自身としても、回数制限に賛成とも申されておりませんが、否定的な態度もとっていないというふうに私どもは理解しておるわけでございます。現在意見交換を行っている段階でございますので、最終的にはもう少し時間がたってから意見をいただけるものと期待しております。
  29. 安倍基雄

    安倍(基)委員 じゃ、私の見たのが誤報だったのかどうか、もう一遍日弁連といろいろあれしてみますけれどもね。これとの関係で、刑事施設法のときの論議で出てくるのかと思いますけれども、しきりと国選弁護の弁護料が随分低いよという話が出てきているのですよね。私は本当に誤審とかそういうことを考えるときに、やはり国選弁護というものはみんなが進んでやれるような経費というか、報酬を当然得られるべきだと思いますが、これはほかの国と比べてどうなんでしょうね。それから昔と比べて国選弁護というのは、この前たまたま刑事補償法で、かつての昭和七年のときの補償額は通常の平均賃金の倍あったというような話もしたわけですけれども、横から見て縦から見て、横というのは横並びの国ですね、縦から見てというのは過去と現在ですね、その辺を比較して国選弁護料というのは現在どう位置づけ、つまり一般から比べて高いのか安いのか、ほかの国と比べてどうなのか、昔の金額と比べてどうなのか、物価指数の上昇を考えた場合ですね、いかがでございますか。
  30. 吉丸眞

    吉丸最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、刑事裁判を適正かつ円滑に運営するためには弁護人の弁護活動に負うところが多いわけでございまして、その意味で国選弁護人が選任される場合、その活動は大変重要なものと考えております。したがって、国選弁護人の報酬の増額につきましては、国選弁護人の活動にふさわしい額を確保するようその増額に努力しているところでございまして、御承知のとおり近年財政事情が非常に厳しい状況にございますが、そのような中で財政当局の御理解も得まして、昭和五十八年を除いては毎年一般の公務員の給与改定率よりも手厚い引き上げを実現してまいってきたところでございます。適正な国選弁護報酬の確保につきましては、今後ともさらに努力をいたしてまいりたいと思います。  外国との比較ということでございますが、御承知のとおり国によって訴訟手続あるいは弁護人制度等が大変異なってまいりますので、その比較はなかなか難しいところがございます。また、報酬支給の実情等につきましては私どもも把握しかねるところも少なくないわけでございます。  そこで、法制が比較的はっきりしておりますのは西ドイツでございますので、これについて申しますと、西ドイツでは私選弁護人につきましても、その報酬が各種の裁判所ごとに何マルクから何マルクまでというふうに法律で定められております。そして、国選弁護人の報酬は私選弁護人の報酬の最低額の四倍とする、ただし最高額の二分の一を超えることはできないというふうに定められております。この規定によりますと、例えば地裁の大法廷、これは三人の職業裁判官と二人の参審員から構成されて、比較的重要な刑事事件を処理する裁判所でございますが、この地裁大法廷の事件について選任される国選弁護人の報酬は四百マルク、邦貨に換算いたしますと約三万円となります。ただし公判が一日で終わらなかった場合には、二回以降の公判一回ごとに三百十マルク、これは二万三千円ほどでございます、この三百十マルクずつを加算するというようなことになっております。  我が国では、地裁の開廷三開廷の場合の国選弁護人報酬の基準額は五万七千円でございますが、西独の地裁大法廷で開廷三回の場合の報酬をさきの基準によって計算いたしますと約七万六千円ということになります。単純に金額だけを比較いたしますと西独の方がかなり高いように見えますが、しかし、よく知られておりますように西独では公判審理が非常に集中して行われ、例えば我が国では数開廷を要するような相当複雑な事件なども一日のうちに証拠調べ、弁論というようなことを集中して行いまして、一開廷で終わってしまうという例が多いという実情もございます。そのような法廷の実情等も考えますと、単純に開廷数による計算上の報酬額の比較だけで報酬の多少を判断する、どちらが高いかどうかということを判断することも難しいのではないかというふうに思われます。  次に、米国について申しますと、米国では連邦と各州によって大変制度が異なっております。州によっては日本のような国選弁護人制度ではなくて、パブリックディフェンダーと申しますか……(安倍(基)委員「時間が短いですから簡単でいいです」と呼ぶ)そのようなことで米国についても州等によって制度が大変異なっておりまして、しかも米国では報酬を法廷活動あるいは法廷外活動一時間ごとに幾らというような額で計算することになっております。このように計算の単位あるいは報酬決定の考え方が違いますので、これまた比較が難しいわけでございますが、我が国に比べまして必ずしも高いとも申せない状況にあるように思われます。  いずれにせよ、今後とも国選弁護報酬の充実についてはさらに努力してまいりたいと考えております。
  31. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これはなかなか諸外国と比べて難しい話もありましょうけれども、それは単位当たりの、時間当たりのあれとか何らかの横並びの比較もあり得るのだし、昔との比較もあり得るのだし、国選弁護はどうもみんな避けるというような話ではしようがないので、僕はよく言うのです。あなた方は随分ぎゃあぎゃあ言うけれども、反面、よく外務委員会で言っているODAあたりに一兆円ぐらいは出す時代ですから、国民の税金でやるわけですから、私がODAのことを反対すると皆顔をしかめちゃって、与野党だれもそんなこと反対してきませんよと言うからますます、これはまたあした外務委員会でやろうと思っておるのですけれども、もう少し司法にきちっととるべきものはとったらいいんですよ。本当に何というか、その辺がやはりちょっと問題なんですな。  ちょっと時間もないですから、司法試験も、判検事の数が足りない、特に検事になり手がないからふやすという話もあるけれども、幾ら数をふやしたって全部弁護士になってしまうかもしれない。国選弁護料を上げればあるいは弁護士がまたふえちゃうかもしれないが、それは別として、ともかく司法にもうちょっと、ほかのつまらないことに、公共事業——公共事業はつまらないとは言わないけれども、いろいろな方に金をざっくざっく使っておきながら、国の一番大事なところに——皆さんが大蔵省だ、財政財政だと言うけれども、私は大蔵省だったのだけれども、つまらないことに幾らでも使っているのですよ、実際のところ。それはきちっと大臣、少しこの辺、別にあなた方を援護射撃するわけじゃないけれども、司法にもっと金を使うべきですよ、実際のところ。警察にも使い、警察というと怒られちゃうかもしれないけれども、司法にも使い、国税ほも、国税職員はちょっと高くしておりますけれども、そういう憎まれるところにちゃんと金をとっておかないと、それがだめになったら、要するに社会というのは非常に変な話になる。この辺、別に大臣の援護射撃じゃないけれども、もっととるべきものはとってくださいよ。ちょっと最後に大臣の話を聞いてから……。
  32. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 法務省は、おっしゃいますように確かに予算をとるのが下手である、こう言われておりまして、そういう意味において今年度の予算につきましては大分奔走をいたしまして、少しはよかったと言われておるのですが、やはり相変わらず低いわけで、国の法秩序維持ということは、これは民主主義国家の最も重要なことでありますから、今後その点をよく踏まえまして努力をしてまいりたいと存じます。
  33. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ちょっと時間超過して次の方に悪いことしましたけれども、これで終わります。
  34. 戸沢政方

  35. 中村巖

    中村(巖)委員 大変私の持ち時間が少ないものですから大したことは聞けないと思いますけれども、最初にコンピューター化の問題で、従来板橋出張所においていろいろ作業がやられてまいりましたけれども、現時点で板橋出張所におけるコンピューター化の移行作業というものはどういうことになっておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  36. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 五十八年にパイロットシステムを導入いたしまして、当初はマンションなど区分建物約一万個とその敷地の登記簿を対象にして移行をして、パイロットシステムを稼働いたしました。六十年三月に評価委員会からの中間報告がなされまして、この際に、なおより精密な評価を行うために対象を拡大せよ、こういう御指摘がございましたので、それを受けまして六十年度から全不動産の移行を行いまして、全部の移行をやりまして並行処理を拡大運用して今日に至っております。
  37. 中村巖

    中村(巖)委員 並行処理ということで、これに関する法律に基づいてやっておられるのでしょうけれども、今移行作業は板橋登記所管轄のすべての不動産についてもうコンピューターに入れたのでしょうか、どうなんでしょうか。
  38. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 板橋出張所の全部の不動産がコンピューターに入っております。
  39. 中村巖

    中村(巖)委員 そうすると、板橋出張所においては、今はいわゆる謄抄本、そういったものは全部コンピューターでできる、こういうことになるわけですか。
  40. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 謄抄本は一部コンピューターでないものがございます。
  41. 中村巖

    中村(巖)委員 板橋出張所におけるコンピューター化について、今局長も言っておられましたけれども中間の評価というものが出されておるようですけれども、その後最終的な評価書みたいなものというのは出されたのでございましょうか。
  42. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 本年の三日に最終の評価報告がなされました。この報告におきましては、「パイロット・システムでは、現に、コンピュータ・システムによる登記事務の合理化、効果的な処理が行われていると認められ、また、コンピュータ処理の場面においては、簿冊処理に比較し、利用者に対するサービスの一層の向上と登記事務に従事する職員に対するより良好な執務環境の提供を図ることが可能であると考えられる。」こういう報告になっております。
  43. 中村巖

    中村(巖)委員 板橋出張所で管轄の物件が総体で何筆個あるのか、それを入れるのにどのくらいの所要時間ということになるのか、そういうことはわかっておられますか。
  44. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 全部で二十二万筆個ぐらいでございまして、大体一年間を要しております。
  45. 中村巖

    中村(巖)委員 そうすると、他の登記所においてもこのコンピューターに全部入れるということで、それは繁忙でない登記所は別でしょうけれども、板橋程度の繁忙ないしはその前後のものについては、コンピューターに入れるまでに一年ぐらいかかる、こういうことの計算になりましょうか。
  46. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 基本的にはそのとおりでございますが、ただ、この板橋はシステムの第一号でございまして、まだシステムが確立してない、あるいはなれが十分でないということがございましたが、だんだんなれてまいりまして、板橋の移行の過程でも能率が上がってきているということがございますので、今後ますます効率化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  47. 中村巖

    中村(巖)委員 そのコンピューターにインプットする作業、それは法務局の職員がやるのでしょうか、それともどこか外部に委託してやっておったのでしょうか、板橋の場合。
  48. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 これは外部に委託をしてやりました。今後も大体そういう計画でございます。
  49. 中村巖

    中村(巖)委員 そうすると、インプットする限りにおいては職員を使わないということになると思います。そうすると、外部の委託業者が登記所に来てそういう作業をかなり長期間にわたってやるということにならざるを得ないはずですけれども、そうなるといろんな意味での管理上の危険性みたいなものはないのでしょうか。
  50. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 登記簿の移行につきましては、移行原稿の作成から始まりまして、移行データの入力、さらにそれの校正、修正、そして移行の確認と、非常に多くの段階を経ることになります。その初めのあたりの主な部分を外部に委託することになりますが、最終的にこの移行の結果の校合、確認、これはあくまでも登記官がみずからの責任においてやらなければなりません。これは登記所の職員がやることになるわけでございます。それまでの間における移行管理というものは、これはバックアップセンターにおける登記所の職員がその責任を持つことになります。
  51. 中村巖

    中村(巖)委員 そして結局、板橋出張所において今使われているシステムといいますか、プログラムといいますか、そういうものはもう既に完成したということなんでしょうか、それともまだ手直ししたりしなければならない、まだ不十分なところがある、あるいはまた完成度を高めなければならない、こういうことなんでしょうか。
  52. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 現在板橋で行っておりますのは、あくまで並行処理のためのシステムでございまして、この法律が成立しました暁に板橋をブックレスの第一号登記所として指定したいというふうに考えておりますが、そのシステムはブックレスの、全く登記簿を使わない仕組みでございます。したがいまして、そのプログラムは全く異なるものでございます。そういう意味で入れかえを行います。その入れかえをするためのプログラムはほぼ完成していると言っていいと思います。ことしの三月に船橋の登記情報センターにおいて一応公開実験を行いましたので、その成果はほぼ完成に近いという状況になっておりますが、なおいろいろ改善を要する点ももちろんあるわけでございまして、なるべく効率化を図るためにステップの数を減らすというようなことをやらなければいけないわけでございますが、そういう作業を今精力的にやっているわけでございます。
  53. 中村巖

    中村(巖)委員 この法律を今審議中であるわけですけれども、この法律が成立をした、そして施行されたという段階では、もう直ちにこの板橋出張所はこの法律に基づく指定を受けられるという状態にまで来ているわけですか。
  54. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 そのとおりでございまして、まず第一号にここを指定していただきたいと考えております。
  55. 中村巖

    中村(巖)委員 第一号に指定することは間違いないので、ほかはどこもやっていないのですからそうでしょうけれども法律施行後直ちにというような状況なのか、ある程度時間を置いて指定をするというおつもりなのかということを伺っているわけでございます。
  56. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 この法律がいつ成立させていただけるか、ちょっとあれでございますが、一、二カ月のうちにはというふうに考えております。
  57. 中村巖

    中村(巖)委員 そこで順次同じようなことをほかの登記所もやりたい、こういうことでございましょう。  そこで、今登記所の数は千百幾つですか、あって、そのうち全部が全部指定をする、コンピューターを置くということではないみたいなお話もあるのですが、今後の指定全体の計画というのはどういうふうに考えておられるわけですか。
  58. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 現在の登記所の数は千百七十弱でございます。  今後の計画でございますが、まず全国の八つのブロックでそれぞれ一つずつ移行をする。これは全国の職員に対する啓発とコンピューターに対する知識の付与という、そういう教育的意味合いも含めまして、まず各ブロック一庁ずつということから始めてまいります。と同時にもう一つは、民事行政審議会でも答申の中に盛られておりますが、コンピューター化のメリットの大きい繁忙登記所からやっていくというもう一つの建前がございます。  そういった方針に基づきまして順次移行のための諸条件の整備を急いでまいりたいと思いますが、期間といたしましては、かねて申し上げておりますように今世紀いっぱいぐらいはかかるというふうに考えております。
  59. 中村巖

    中村(巖)委員 その八つのブロックは各一つずつの出張所でやりたい、こういうことでございます。そのそれぞれのどこでやりたいという具体的な登記所名というのはもう決まっておるのですか。
  60. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 現在既に移行作業に着手いたしておりますところが東京の江戸川出張所、大阪法務局の不動産登記部門、名古屋法務局の名東出張所、仙台法務局の大河原支局、以上でございます。  残る広島、福岡、札幌、高松につきましては、六十三年度新規に移行作業を始めることになりますが、まだ決まっておりません。
  61. 中村巖

    中村(巖)委員 そうすると、もう既に移行作業がスタートをしているところについては、結局それが完成するまで一年なら一年ということで、一年たつとそれは、この法律が成立すればこの法律の指定を受けるということになるのか、その中間に電子情報処理の並行処理の法律がありまして、それによって並行処理の指定ができるということになっているのですが、その中間では並行処理の期間というものを置いて、そしてその上でさらに全部できたらば今度本法案の指定をする、こういう過程になりましょうか。
  62. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 これは、ブックレスシステムが開発されました現在におきましては、中間の並行処理の段階を置かないで直接ブックレスのやり方へ、つまり今度の改正法で認められるやり方に移りたいというように思っております。
  63. 中村巖

    中村(巖)委員 そうすると、この板橋の出張所が終わると、この前審議成立をさせた、正式の題名は忘れましたが、あの法律というものはもう生命を終えた、こういうことになるのですか。
  64. 稲葉威雄

    稲葉政府委員 あの法律は国の責務を決めた部分もございまして、そういう部分は当然残るわけでございますが、そのほかの並行処理についての規定は、不動産登記に関する限りは今後使わないことになるのではないかというふうに考えております。  ただ、商業登記がまだ今後、今システム開発中でございまして、その当初の段階において、もちろん今審議していただいている法律によってダイレクトにブックレス処理ができるかもしれませんが、あるいは並行処理という形をとらしていただくかもしれません。その辺は、そのシステムの開発の状況を見定めてどちらの道をとるかということを考えさせていただきたいというふうに思っております。
  65. 中村巖

    中村(巖)委員 今商業登記の話が出ましたけれども、本法案でも商業登記についても不動産登記法と同じような形でやることになっておりますが、商業登記に関するそのシステムの開発については現在どうなっておるか、その見通しはどうでございましょうか。
  66. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 商業・法人登記のシステムにつきましては、現在プログラムの作成を終えましてそのテストを実施中でございます。今後のスケジュールとしましては、本年中に実際の登記所のデータを利用した最終の運用テストを実施してシステムを完成させたい、そのシステムが完成した後は適当な登記所を選んで移行作業をする、そういたしまして来年度中にはその運用を開始いたしたいと考えております。
  67. 中村巖

    中村(巖)委員 あと一点ですけれども、コンピューターというのは我々は余りよくわからないで、端末機をたたくのもよくわからない。年をとっていますからなかなかそううまくいかないわけでありまして、こういうコンピューター化を全般的に進めるということになると職員の研修というのが大変じゃないかというふうに思いますけれども、その辺はどうおやりになるおつもりでしょうか。
  68. 藤井正雄

    藤井(正)政府委員 大体三つぐらい考えております。  一つは、コンピューターを導入する登記所の職員に対する端末操作の実習でございまして、実習を中心にしたいわば導入研修でございますが、これは、これまでの経験では数時間程度の操作実習で大体操作可能になるということでございます。ですから、これはもう特に研修といったとりたてたことをやるものではございませんで、当該登記所で実施をするということになります。  それから二つ目は、各局のコンピューター化推進の核となりまして、かつ将来のバックアップセンターの要員となるべき職員を養成するための研修でございます。これは基礎的研修から、より高度な研修まで、大体三つのランクぐらいのものを考えておりますが、これは毎年各局から一名ずつぐらい選びまして登記情報センターでこの研修を実施したいというふうに考えております。  それからもう一つは、バックアップセンターで移行作業の管理を行う要員、バックアップセンターの移行管理要員ですが、これに対する研修というものを考えております。これもやはり登記情報センターで実施をしたい、こういうふうに考えております。  もちろんこれまで法務局職員に対するいろいろな研修がございますので、その中にこれからはコンピューターに関する科目も導入して広く知識を涵養していくということも今後検討しなければならないと思っております。
  69. 中村巖

    中村(巖)委員 時間ですので、終わります。
  70. 戸沢政方

    戸沢委員長 次回は、来る五月十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十七分散会