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加戸政府委員 臨教審答申は、一部の
教職員団体の
行動につきまして、関係者の自覚と反省を強く求めたいということを申しておりますと同時に、
文部省に対しましてもそれぞれの苦情といいますか提言をいただいているわけでございますから、ある
意味ではけんか両成敗のような書き方でないわけではございませんけれ
ども、そういった
事柄、
文部省の対応にもそれぞれ反省すべき点がないわけではございませんが、従来から
教職員団体の
行動によりまして
学校現場で大きな混乱が起きているという状況は、大変悲しいことでございますけれ
ども、
昭和三十年代に入りましてから今日まで続いているわけでございます。
そこで、
文部省といたしましては、
法令に基づいて
行動していただくということを
基本といたしておるわけでございまして、また私
ども行政の立場でも、違法
行為が
学校教育の
現場で行われるということはできる限り避けたい、また仮に違法
行為が起こりました場合には、それに対する厳正な処分をとっていただかざるを得ないし、そのことがまた再び
学校現場に大きな混乱をいや増すというような結果にもなることを避けたいとの
気持ちが強いわけでございます。したがいまして、従来から、
教職員団体におきまして違法なストライキ等を計画されあるいは指令が出ました
段階におきましては、
文部省といたしまして、違法なストライキを行わないよう、かつ、違法なストライキが行われました場合には厳正な措置をとるようにという通達を出してまいったわけでございますし、さらに、いわゆる国政選挙、衆参両院の選挙あるいは地方統一選挙等におきまして、
教職員が
公務員法あるいは公職選挙法等の規定に
違反するような違法な
行為を行わないように具体的な
行為を細部に示しまして、それに対する適切な対応を都道府県にお願いしてきたという過去の事情があるわけでございます。
私
ども、法によってすべて縛るということだけを本意とするわけではございませんけれ
ども、
教職員の行われております違法な活動につきましては、法を知らないために
教職員が
行動に参加するあるいは
行動をとられるということがないように、法の規定に基づきまして適切な
指導を行ってきたつもりでございます。
六十三年三月二十九日の通達は、
文部省教育助成局長の
通知でございますけれ
ども、
先生のお言葉でございますので、
通知文全文を読み上げさせていただきます。
日本
教職員組合は、本年二月一日から三日にかけて開催された第六十四回定期大会において、「
教育臨調路線」と対決し、「
初任者研修制度」、「
教育職員免許法改悪」に反対するため、ストライキを含む全国統一闘争を
組織し、不退転の
決意でたたかう等を
内容とする
昭和六十二年度
運動方針を決定し、その後三月二十四日に開催された第百十七回中央
委員会においても、臨教審関連六法案を阻止するため、国会審議の山場でストライキを含む全国統一闘争を
組織してたたかう等とした当面の闘争方針を決定しています。また、
昭和六十二年度
運動方針においては、今年度から実施されている
初任者研修の
試行阻止のため、集会、デモ、署名・決議などによる
反対行動を行うこととしています。
いうまでもなく、公立
学校教職員は次代を担う
国民の育成という極めて公共性の高い職責を担うものであり、
公務員たる
教職員が争議
行為を行うことは、
法律で厳に禁止されているところであります。また、公立
学校の
教育公務員については、他の地方
公務員とは異なり、その職務と責任の特殊性にかんがみ
教育公務員特例法により
政治的行為が国立
学校の
教育公務員と同様に制限されているところであり、国の機関又は公の機関において決定した政策の実施、例えば
初任者研修の実施を妨害するために、示威運動や署名運動の企画・
指導等を行うこと、そのような目的を有する文書、図画等を発行し、回覧に供すること等は
政治的行為に該当するものとして禁止されているところであります。それにもかかわらず、
国民からの厳しい批判を無視し、ストライキ等の違法
行為を含む闘争を行おうとし、また、
政治的行為の制限に
違反するような
反対行動を行おうとしていることは全く
理解に苦しむところであり、誠に遺憾であります。
貴職におかれては、
教職員が争議
行為や
政治的行為の制限に
違反する違法な
行為を行ったり、
教育の政治的
中立性を疑わしめる
行為をすることにより、
国民の
学校教育に対する
信頼を裏切る結果を招くことのないよう
教職員の
服務規律の確保は努められるよう願います。
なお、貴管下市町村
教育委員会に対しても、このことの周知徹底について遺憾のないようお取り計らい願います。
今読み上げましたのが通達の
内容でございますが、これを出しました
趣旨は、この通達に書いてございますけれ
ども、日教組の
運動方針並びに中央
委員会におきます外部に出されました決定に基づいて、各都道府県におきます
学校現場等におきまして、この
運動方針あるいは闘争方針等を受けて、いわゆる法を知らないがために違法な
行為に及ぶことのないよう
教職員に注意を喚起したわけでございまして、
一つが、六法案粉砕のためのストライキに対しましては
法律で禁止されている違法な争議
行為をしないようにということでございますし、二つ目は、
初任者研修の試行が六十三年度五十七都道府県指定都市でスタートするわけでございますが、これに対します阻止闘争がいわゆる
教育公務員特例法、それに基づく国家
公務員法並びにそれに基づきます人事院規則で定める
政治的行為に該当する
行為を行うことのないように、いわゆる人事院規則の規定をそのまま引き写して
通知を流したわけでございます。
その中で、「公の機関において決定した政策の実施、」のところに「例えば
初任者研修の実施」という言葉を入れておりますのは
文部省サイドで入れた
考え方でございまして、それ以外のこの違法
行為に関します
部分は、人事院規則の条文どおりの規定を引いて周知徹底を図ろうとしたことでございまして、私
どもは、
学校の
現場におきまして法を知らざるがゆえに違法な
行為に及ぶことのないように注意を喚起させていただいたということでございます。
なお、付言させていただきますれば、従来の通達と違いまして、まだ運動の具体的な指令が発出されておりませんので、「厳正な措置をとられるよう」という従来の例文はこの中には入れておりません。