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1988-05-11 第112回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十一日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       阿部 文男君    石破  茂君       衛藤征士郎君    遠藤 武彦君       大石 千八君    金子 一義君       川崎 二郎君    熊谷  弘君       小坂善太郎君    近藤 元次君       杉浦 正健君    田邉 國男君       武部  勤君    玉沢徳一郎君       中島  衛君    長谷川 峻君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       石橋 大吉君    沢藤礼次郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       前島 秀行君    安井 吉典君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       藤田 スミ君    山原健次郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君  出席政府委員         農林水産省経済         局長      塩飽 二郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産省食品         流通局長    谷野  陽君         農林水産技術会         議事務局長   畑中 孝晴君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         運輸大臣官房審         議官      橋本 昌史君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画官   井澤 俊正君         国土庁地方振興         局総務課長   吉原 孝司君         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    三戸 隆男君         外務省北米局北         米第二課長   藪中三十二君         大蔵省国際金融         局国際資本課長 平岡 哲也君         通商産業省立地         公害局立地指導         課長      寺西大三郎君         通商産業省基礎         産業局バイオイ         ンダストリー室         長       岡林 哲夫君         中小企業庁計画         部下請企業課長 桐山 正敏君         気象庁観測部長 駒林  誠君         労働大臣官房審         議官      高橋柵太郎君         労働大臣官房審         議官      若林 之矩君         自治省行政局振         興課長     谷口 恒夫君         自治省行政局公         務員部給与課長 松田 研一君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   石破  茂君     金丸  信君   衛藤征士郎君     中曽根康弘君   遠藤 武彦君     松野 頼三君   川崎 二郎君     渡辺美智雄君 同日  辞任         補欠選任   金丸  信君     石被  茂君   中曽根康弘君     衛藤征士郎君   松野 頼三君     遠藤 武彦君   渡辺美智雄君     川崎 二郎君 同月十一日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     金子 一義君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     近藤 元次君     ───────────── 本日の会議に付した案件  農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号)      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部勤君。
  3. 武部勤

    武部委員 まず最初に、日米農産物交渉についてお伺いしたいと思います。  佐藤農林大臣の切々たる交渉のお姿につきましては、我々も本当に胸が熱くなる思いをして見守ってきたのでありますけれども、筋を通して、勇気ある決断のもとに、交渉決裂も辞さないというような御判断でお帰りになったということにつきましては、我々も強くそれを支持し、深く敬意を表しているところでございます。まことに御苦労さまでございました。  そこで、まず第一に、交渉決裂原因、背景、また今交渉の最大の争点は何であったのか、さらにはまた二国間協議の見通し、私は、これまでの佐藤農林大臣の強い決意に基づく交渉の経過から、安易な妥協をしてはならない、かように思う次第でありますが、このことをまずお伺いしておきたいと思います。
  4. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 大変皆さんに御心配をかけてまいりました。いろいろな意味での御協力、感謝申し上げたいと思います。  五月三日に日米国間協議物別れとなりました。また、四日にパネル設置決定がなされたばかりのところでありますが、現時点では今後の二国間協議を云々する段階ではございません。二国間協議を続けるという約束はございません。しかし、友好国であるアメリカとの間にあらゆるチャネルを通じてひとつ精力的に努力を続け、再々申し上げておりますように、多くの方々に御心配をかけておりますので、円満に一日も早く決着をしなければならないというその考え方は今も変わりございません。しかし、今後また特にアメリカ側から現実的なものが示されるなど、そういうことでの雰囲気が醸成されれば、パネル手続と並行して二国間での解決の道を探っていくことも考えられると思います。  これは、先ほど申し上げたように、とにかくあらゆるチャネルを通じて、ひとつ円満な解決に向けて、決着に向けて努力を続ける、こういうことで御理解を賜りたいと思います。
  5. 武部勤

    武部委員 ただいま交渉決裂原因とか争点は何であったかということもお伺いしたのでありますけれども、これは党の会合等でいろいろと御報告も受けておりますので、私はあえて時間を節約する意味で、課徴金導入の問題について私見を入れて御質問したいと思います。  この課徴金導入は、御案内のとおりガットにおいてもその合法性を認められているものでもありますし、本来的には二国間協議に持ち出す必要のないものではないか、このように考えるわけでありますが、日米友好関係これあり、深い政治判断のもとに話に出された、こう理解しております。しかし、この課徴金国内対策としても極めて重要な問題であります。国内価格安定対策とリンクした上で非常に重要な問題でありますだけに、これは絶対守り抜かなければならない、私はこう思う次第であります。このことについて、大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  6. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 御指摘の問題につきましては私も同様に考えておりまして、先般の日米協議におきましてもそのような日本立場について理解を求める努力は重ねたところでございます。しかし、合意に至らなかったことはまことに遺憾であると思っております。今後とも引き続き、我が国牛肉生産の存立を守るという基本的立場に立って、生産流通消費の各般にわたって私の責任を果たしていかなければならぬ、こう考えております。国境措置国内措置あわせて総合的に判断していくのが今日の国際化の中における、また我が国我が国なりの政策遂行、そのためにはどうしても必要である、非常にグローバルな言い方ではございますが、そのように考えます。
  7. 武部勤

    武部委員 大臣もこのことについてはよく御承知いただいておられることと思います。これは生産者にとりましては命にかかわる大問題でありますので、課徴金だけはしっかり守っていただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  次に、パネルの場で日本政府はどのように対処していこうとしているのか、特に、どのように日本主張を訴えていくのか、このことを含めて御答弁をお願いします。
  8. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 御答弁申し上げます。  パネルの問題についてのお尋ねでございましたが、五月四日のガットの定例の理事会におきまして、日本牛肉かんきつ問題についてアメリカあるいは豪州からのパネル設置要求が出されまして、これに基づいてパネル設置決定されたところでございます。  今後の具体的な取り運びにつきましては、通例のやり方でございますが、まずパネルの構成といたしまして通常三名のパネリストを任命するわけでございますが、具体的なパネリストの人選をどうするか、それから、パネルの具体的な任務を所掌事項として合意する必要がございます。直接的には牛肉かんきつ輸入制限ガット上どのように判断するのかということでございますが、具体的な所掌事項をどのような文言で決定をするかといったような問題が残されております。それらの問題については、理事会の議長と関係国でございます我が国あるいはアメリカ豪州等との協議のもとに決定をされるということになっているわけでございまして、そういった手続的なことの決定の後に具体的なパネルにおける審査が開始される運びになるものと想定をいたしております。  パネルにおける具体的な我が国対応ぶりについてでございますが、パネルについてのいろいろな類似の先例等もございますので、それらの内容等も十分検証し、これを踏まえながら今後さらに我が国として具体的にとるべき対応について慎重に検討してまいる必要があるというふうに考えております。基本的には我が国牛肉かんきつ制度ガット上の位置づけが問題になるわけでございますが、単にそういった問題のみならず、牛肉あるいはかんきつ産業国内生産流通消費実態、これらについて我が国がこれまで市場開放あるいはアクセスの改善のために大変な努力を重ねてきておるわけでございますので、そういった我が国努力実態等幅広い観点からの我が国主張をやってまいることは当然であるというふうに考えております。それらを主張しつつ、パネリスト理解が得られるように最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  9. 武部勤

    武部委員 外務省も来ておられるようですから、ちょっと一言だけ伺っておきたいと思います。  このパネルの場では課徴金の問題は議論されることはないかと思うのですが、その点についてはどうですか。
  10. 藪中三十二

    ○藪中説明員 ただいまの御質問でございますけれども外務省といたしましても、これまでも農水省と一体となって我が国主張を行ってきたところでございまして、日米交渉におきましてもそういう格好努力してきたわけでございます。残念ながら先般の交渉におきまして合意を見るに至らずガットパネル設置になったわけでございます。  ガットパネルにおきますこれからの取り扱いにつきましては、今経済局長の方から御答弁ありましたように、これからまず手続的なところに入っていくわけでございますけれども、今後、いろいろな議論がその後で行われる場合におきましては、政府といたしまして牛肉かんきつ我が国農業に占める重要な地位を踏まえて我が国立場を十分主張していきたいと思っておるわけでございます。
  11. 武部勤

    武部委員 的確に質問にだけ答えてくれればいいわけでして、二十分しかなくて、もうあと九分しかないんだから。課徴金のことを聞いているんだ、ちょっとそれだけ。
  12. 藪中三十二

    ○藪中説明員 失礼いたしました。  課徴金の件につきましては、もちろんこの問題が議論になります場合には、我が国として従来の立場ということで十分これがガットにおいて合法であるということを主張していくことになると思います。
  13. 武部勤

    武部委員 この件につきましてもまだお話し申し上げたいことがたくさんありますけれども、やはり一番大きな問題は、大臣課徴金取り扱いだ、こう思います。したがって、このことはいま一度強く念を押して私は大臣の御決意を伺いたい、かように思います。
  14. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 我が国主権国として与えられた権利は堂々と主張すべきである。この問題は主張するまでもない話ではございますが、先様からいろいろ言われたことについて、これは当然の権利であると重ねて主張してきたところでございますので、今後も当然の権利は当然として主張し続けるつもりでございます。
  15. 武部勤

    武部委員 同時に、先般の二国間協議におきましても、条件次第では自由化も辞さないというようなことも示しているわけでありまして、生産者は今後の動向について非常に不安を持っていると同時に、目標を明示していただければ前向きに真剣に取り組んでいこうという強い意思も持っている、私はこう受けとめている次第でありまして、国内対策も早急に樹立していただきたいということを強く要請しておきたいと思います。  このことにつきましてはまた後で大臣の御答弁をいただきたいと思いますが、時間がありませんので、農村工業導入促進法改正について質疑をさせていただきたいと思います。  まず第一点。今回の改正では、工業のほかに道路貨物運送業倉庫業などの四業種を追加することと税制金融上の優遇措置を適用することがポイントになっていると思う次第でありまして、私はこれは高く評価している次第でありますが、今お話ししておりましたように、農業に対しては内圧外圧非常に厳しい情勢が続いております。したがって、農村活性化、明るい農政の展望が求められている今日、本法改正のねらいをどこに求めているか、農林省のお考えを聞かせていただきたい。
  16. 松山光治

    松山政府委員 今お話しのございましたような中身の御審議をお願いいたしておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、これまでの本制度の果たしてまいりました役割を踏まえ、かつ従来以上に構造改善をせっかく進めていく、そのためには農村における就業機会確保がなお一層必要になってくる、あるいは産業経済構造変化が見込まれる、こういう事情の変化を踏まえながらできるだけ安定的な、より多くの就業機会農村社会確保農村社会活性化につなげていく、こういうねらいのもとに今回の改正案を提案しておる次第でございます。
  17. 武部勤

    武部委員 従来この制度は農水、通産、労働三省体制で運営をしてきたのでありますけれども、今回運輸省主務省庁として参画することになったわけです。運輸省は言うまでもなく交通体系整備など物の流れをスムーズに行うことを所掌しているわけでありますけれども、先日の参考人の陳述の中でも、倉庫業農村への進出に意欲を持っているということで、さらに本腰を入れてこの対策に取り組めば農村活性化に大きな力を発揮してもらえる、こう思うわけでありますが、運輸省の本制度に対する支援内容とその決意を伺いたいと思います。
  18. 橋本昌史

    橋本政府委員 近年の経済変化によりまして、物流事業者に高度な物流サービス要求する需要家がふえておりまして、これに対応した物流施設整備が必要になっているわけでございますけれども都市部におきましては用地あるいは労働力確保の面からこのような施設整備を図ることが困難になってきております。この点、農村地域はまとまった用地、豊富な労働力がございますので物流施設立地に適した条件を有しておると考えております。  今回の農工法に基づく農村地域工業等導入促進制度は、このような状況のもとで物流施設農村地域立地を進めるため有益な制度であり、運輸省といたしましても、物流事業者に対する税制上あるいは資金上の支援措置とともに共同流通業務施設整備促進関係物流事業者に対する必要な指導助言等を通じまして積極的な対応を図ってまいる所存でございます。
  19. 武部勤

    武部委員 大臣、私は御案内のとおり北海道出身でありますけれども農政審の答申にも示されておりますように、今農村は、専業農家を中心にもっと拡大をしたい、前向きにやりたいという意欲を持っている者と同時に、構造調整を進めている段階で、やむなく高齢がゆえに農業をやめざるを得ないという人々も出てきているわけであります。そういう過程で、よりすぐれた若い担い手確保するという観点からも農村環境整備することは極めて大事ではないかということと同時に、雇用確保についても、本法の活用と同時に、例えば北海道の場合には第三次産業、とりわけ観光産業だとかリゾート開発だとか、そういった面でもまだまだ雇用確保機会があるのではないか、かような持論を持っているわけでありますけれども、時間がなくなりましたので最後に一点。  どうも農業に対する内圧外圧外圧のことはわかるのですけれども国内において農業というものが民族の存亡にかかわる大問題なのだという認識が非常に薄れているように私は思うわけであります。こういうことも含めて、大臣は今非常に大切な使命を負って頑張っておられる、かように思う次第でございまして、大臣決意のほどをお聞かせいただきたい、かように思う次第であります。最後に、先ほどの質問最後部分でございますが、このことも含めてお答えをいただければと思います。
  20. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 それでは簡潔にさわりのところだけ申し上げたいと思いますが、先ほど来御質問のございました牛肉かんきつについてのことでございますけれども国内対策、これもちゃんと一緒に進めろ、こういうことでございます。いかに国際化とはいいながら、これはもうパッケージのものであり、当然我が家のことが大事でございますから、そういう意味では、酪農及び肉用牛生産近代化を図るための基本方針、これはタイトルが余りに長ったらしい方針なので酪肉基本方針と言ったらどうだ、けさ実は考えたところでございまして、酪肉基本方針、これに基づいて長期的視点に立ってひとつ最善努力をしてまいりたい、経営体質の強化、生産性の向上など、総合的に推進してまいりたい、こう思っておりますし、果樹農業振興基本方針もございますので、これに基づいてかんきつ部分もそういうことで対応してまいりたい。  今締めくくりに申されました農村における今日の、農業いじめという言葉があるぐらいいろいろ批判を浴びている中で、いかに食糧がとうといものであるか、いかに食糧政策農政というものが大事であるかという責任は我が農林水産省にございます。そういう意味で、活力に満ちた明るい農村社会を築くための担い手対策等々、生活環境整備もございますし、就業機会等確保、こういう問題もございます。そういうことを考えますと、今北海道だがというお話がございましたが、まさに四全総そのものを具体的にどう肉づけをしていくかということにフォローアップをしながら最善を尽くしてまいりたい。必ず成長する産業である、一つの大きな使命を持った農業であるという認識のもとで推進していくことができるよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  21. 武部勤

    武部委員 ありがとうございました。終わります。
  22. 菊池福治郎

  23. 安井吉典

    安井委員 佐藤農林水産大臣、激しい日米交渉、本当に御苦労さまでした。  今も北海道出身の議員からの質問ですけれども、私も北海道で、牛肉については二十六万頭くらいの生産で全国の一〇%を占めているわけですし、特にホルスタインからの雄の子供が十三万頭も肥育素牛として出されているというふうなことで、今度の交渉の成り行きに非常に大きな関心を持ち、したがって二十六日に野党全体を網羅した自由化反対の総決起集会を会館で開いたわけでありますけれども、そこにも激励の電報が届きました。その自由化反対の決議を出発間際に我々代表が大臣にお渡しした、そういうことでございましたけれども交渉の中で、向こうからの激しい要求に対して変な譲歩をされたら大変だな、率直に言ってそういう心配を我々も持っていたわけでありますが、それらに対してきっぱりと拒否をされたということについては我々も評価するわけでございます。今度の日米交渉はなぜまとまらなかったか、その理由について大臣としてどういうふうにとらえておられますか。
  24. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 既に報道もされておるところでありますが、そういうことは別にいたしまして、ワシントンにおける第八回目の会談直後、私がアメリカからアメリカにも向け、もちろん日本にも向けてのコメントを出した次第でございます。これをここで一々申し上げません。既に御案内のところでございます。  私どもの話し合いの交渉中身というものを一一全部お話しするわけにはまいりませんけれども、とにかく私どもの譲れない線というものをなかなか向こうは認めようとしない、こういうことでございまして、日本現実というものをなかなか理解してもらえなかった、こういうことでございます。しかし、また向こうに言わせれば、アメリカ考え方理解させるに至らなかった、こう言うでしょう。そういうことで交渉物別れに終わった、協定は白紙の状態に戻った、こういうことでございます。  しかし、それはそれとして、あらゆるチャネルを通じて、日米間という友好国としての関係思いをいたしながらも、我が国主張をあらゆるチャネルを通じて理解してもらうための努力環境づくり、そういうものは続けていかなければならない、先様我が国現実というものをよく理解をし、そしてまた話し合おうということであればそれはまたそれなりの意味があるということでございまして、既にパネル設置されております。その場においても当然の主張は続けていく、こういうことでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 一応問題はガットの場に移され、パネル審査が始まるという方向に今進んでいるわけです。それと同時に、二国間協議というのを並行して進めていくというおつもりだというふうに今お聞きしたわけですが、そうですか。
  26. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 一、パネル、二、二国間協議、こういうとらえ方をすると今御質問のような言葉になろうかと思います。私が申し上げているのは、それ以外にもやれることは何でもやって合意に持っていかなければならぬ、それは日米友好、そのことを頭に置きながらも我が国食糧政策遂行農政の推進、こういうことを念頭に置きながら努力を続けていく、こういうことでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 私、今一番心配するのは、六月十八日からですか、サミットがあります。そのサミット前に何とか決着をつけなければいけないというような、これはむしろ官邸サイドからの希望というかそういうようなものが出てきやしないかということです。サミットの場で、今のような状況のまま竹下首相が行けば大変な攻撃にさらされる、だから竹下首相立場をよくするためにもそれより前に何とか決着をつけなければいかぬのじゃないか、佐藤農林大臣も御苦労だがそういうことでやってくれというふうな話が来て、そういう後の方が押し詰まったような格好交渉が始まれば、交渉というのはこの間のああいうような方向の中でもあんなに混乱し難しい状況になったのですけれども、今のままでそういうタイムリミットを置いた交渉ということになれば、これはもう率直に言ってこちらのかなりの譲歩がなければまとまらぬということになるのじゃないか、これは私なりの心配です。私だけじゃなしに、大勢の人がそういう心配をしているわけです。その点について大臣はどういうふうなお考えで臨もうとされていますか。
  28. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今お言葉の中に官邸筋からのというお話がございましたが、我が竹下内閣は一枚岩でございます。私を道具に使って、そしていつの日かぽんと決着をする、それをセットされて進めておるのではないかという御心配までしておられるのではないかと今想像をいたしましたが、そういう心配は無用でございます。私は一日も早く決着をしたい、その気持ちは変わりないということは先ほど武部議員にも答えたとおりでございます。そういう中にあって、今までもそういう報道とかいろいろな揣摩憶測、もう本当にたくさんございました。それを基本にして考えていったのでは交渉にはなりませんし、また我が国農業政策の遂行食糧政策の成功にいかないわけでございますから、私はそういうものには惑わされない。  その種の論議を重ねてまいりますと、ここで議論しておったことがまたすぐワシントンに届くわけでございます。もう三十分後にはわかっていますよ。そういうことになりますと、そういう心配までとことんしておられる日本なら、それじゃ譲るのではないか、とことんまで全部譲ってしまうのではないかというあらぬ想像をまたアメリカにさせてはならぬという心配も率直に申し上げてございます。そういう意味で、繰り返しますが、一日も早い決着をと念願しながらも、どこに基点を置いて、言葉は悪いですが、そんな芝居じみたことはやりません。
  29. 安井吉典

    安井委員 今の大臣のお言葉を私たちも信じたいと思います。今日までアメリカで随分頑張ってこられたものが無になるようなことになってはこれは大変でありますから、きちっとした対応をぜひ進めていただきたいと思います。  そこで、問題はまだたくさんあるわけでありますけれども、きょうは本論は農工法ですからその頭をかりて伺っているわけなので、もう一つ質問しておかなければならぬと思いますのは、今度のガットパネルの中で日本側としてはどういうふうに主張されていくのかということであります。  今までのアメリカ交渉では新聞等の伝え方が、これはまあ正しいかどうかは別として、何年後には自由化しますよ、いわゆる課徴金さえ認めてくれればというふうな、一言に言って今までそういうような報道になっているわけです。それは言葉の使い方は注意された表現を交渉ではされていると思いますけれども、国民の方は新聞を読んでいて、あるいはテレビを見ていてみんなそういうふうに受けとめているわけであります。  ただ、そういうふうなことでパネルの中で反論をしていくということになると、ちょっとおかしいことになる。つまり、パネルというのは日本の今の輸入の数量制限がクロかシロかということについての裁きをつけるのではなかろうかと思うのでありますけれども、輸入課徴金という条件さえ認められればというふうなことが、つまりアメリカとのこの間の交渉の継続という格好ではどうもおかしいので、やはりこの問題についての原点からのガットへの対応というのが必要なんじゃないか。自由化日本の今日の農業実態からして困難です、難しいのです、できませんと、そこの主張をいろいろの角度から裏づけていった、そういうふうな論議を日本としては進めていくべきではないか。原点に立っての論議がガットでは必要なのではないか、そう思うわけです。その辺についてはどうですか。
  30. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 経済局長に後補足させたいと思います。  パネル設置をされました。しかしパネルのメンバーもまだ決まっておらない。そういう中にあって、今のお問いかけはその場で原点に立った主張をせよ、こういうことでございます。原点にも立ちますし、日米二国間の交渉の経緯も踏まえながら、そしてパネルの場は多国間における場でございますから、日米だけじゃございませんから、そういう意味我が国の方の主張はちゃんとしなければならない、これは当然のことでございます。
  31. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 今大臣から御答弁された点につきまして若干私の方から補足して申し上げます。  これは先ほど武部委員の御質問に答えたことと同じことを繰り返して御答弁を申し上げるわけでございますが、五月四日にパネルの設立がガット理事会決定を見たわけでございまして、今後は当分の間、パネリストをどなたにお願いするかとか、あるいは具体的なパネルの所掌事務をどういうふうに規定をするかといったような手続的なことについて日本を含めてガット事務局あるいは理事会の議長との間に御相談をして、適切なパネルの開始ができるように持っていく必要があるわけでございます。  パネルが開始された後につきましては、ただいま大臣の方から御答弁申し上げましたように、我が国の基本的な立場について十分パネリスト理解が得られるように主張していく必要がございます。具体的にはガット上の我の国の牛肉ないしはかんきつ制度の位置づけについての主張が基本になるわけでございますが、単にそれだけに限らないで、我が国のこれら産業実態なり、あるいは我が国はこれまでアクセスの改善、農産物の輸入の拡大につきまして多大の努力をいたしてきているわけでございますから、そういったものが正当に評価されるよう幅広い主張を行ってパネル対応していく必要があるというふうに考えております。
  32. 安井吉典

    安井委員 今、私がガットで、特にパネルでどういうふうな主張をするのかと聞いてきちっとしたお答えをもらえるような段階でないことは私もよくわかっています。先ほどアメリカとの交渉の中で大臣きっぱりとおっしゃったようなことでその点を私も理解をしながら、しかしあくまで自由化は困ります、これが我々の原点だったし、この委員会の決議でもあります。そういう原点からのガット交渉、そのことを強く要望しておきます、きょうの段階は。  なお、輸入課徴金については、これはヨーロッパ、EC諸国もやっていることで、アメリカもその輸入課徴金をつぶすことに躍起になっているという状況の中にもあるわけでありますだけに、これからの論議はアメリカだけじゃない多国間の中でいろいろ賛否が飛び交ってなかなか大変だと思うのでありますが、ぜひ日本農業と農民をしっかり守るという態度から対応していただくということをお願いしておきたいと思います。  そこで、本論の今度の農工法改正の問題でありますけれども、割り当てのごく短い時間を三人で分け合っているものですから、私なりに考えている点についてだけ要点のみの質問ということにしていきたいと思います。  きょうは国土庁からもおいでをいただいているわけでありますが、第四次総合開発計画と今度の農工法改正、いわば農村工業導入するという農工法全体の問題についての総合開発計画サイドからの期待、それはどういうことなのかということをまず伺います。
  33. 井澤俊正

    ○井澤説明員 国土の均衡ある発展を図ることが国土計画の基本でありまして、四全総でも、特定の地域への人口や諸機能の過度の集中のない多極分散型国土の形成を目標としているところでございます。このような国土を形成するためには、地方圏における就業機会確保を図ることが重要でありまして、四全総では、農山漁村において農林水産業の健全な振興を図ることに加えまして、地域の雇用増進のために計画的な工業導入等を図ることとしておるところでございます。  このような観点から、本法案によりまして農村地域における雇用機会が増大され、農村地域活性化が図られることによりまして、先ほど申し上げましたような多極分散型国土の形成が進むことを期待しているところでございます。
  34. 安井吉典

    安井委員 そこで、東京への一極集中を多極化、分散化していくということで、受け入れ側については今度の改正でさらに対象業種をふやすとかそういうような努力もあるわけでありますが、むしろ集中している方も、言葉はよくないかもしれませんけれども、余計なやつを追い出していくというような、そういう計画的な配慮というものをもっと積極化していく必要があるのじゃないか。今、政府政府機関の地方分散を積極的にやろうとしていますね。それと同じように、東京に集中しているものはもっとほかへ行きなさい、行くことによっていろいろな優遇措置を講じます、そしてまた受け入れの方は農工法という法律でちゃんと体制を強化しておりますよ、受け入れ側はあるのですけれども、押し出し側といいますか、そちら側に対する何かいい対策というのはないのですかね。検討はないのですか。
  35. 井澤俊正

    ○井澤説明員 先ほども申し上げましたような多極分散型国土の形成を促進するためには、御指摘のような東京一極集中を是正することが必要でありまして、さらにまた各ブロックにおける一極集中とか、そしてまたさらには各県ごとの一極集中とか、このような特定の地域へ人口とか諸機能が過度に集中することは非常に好ましくないという観点から、四全総におきましても各地域ごとの活性化を図ることが必要だという観点から、ブロックごとにおきます活性化の要点、それからまた各地域ごとにおける活性化の要点、基本的な方向を述べております。さらにまた、先ほど申し上げましたようにどういう方向でやっていくかということにつきましては、今国会に提出しております多極分散型国土形成促進法案の中におきまして、それぞれの地域への分散方策の基本的な方向を示しているところでございます。
  36. 安井吉典

    安井委員 大体考え方としては私が主張している方向に向いているような気はするのですけれども現実には、今のこの法律に基づいて団地が造成されたり、農村側では受け入れ体制はかなり進んでいると言ってもいいと思います。ところが、さっぱり企業は来ないのですね。それもブロック別に非常にアンバランスがある。割合にうまくいっているところもあるしさっぱり来ないところもある。それから、今もちょっとお話がありましたように、ブロックの中においても一極集中みたいな形がどうしても起きやすい。さっきも申し上げましたように私は北海道ですけれども、札幌周辺には企業やなんかみんな集まるものですから、北海道の人口は減っているのですけれども札幌の人口だけがどんどんふえているのですよ。これは北海道だけじゃなしに、各ブロックの中であるいは各県の中で同じようなことが言えると思うのですね。  ですから、受け入れ体制さえできればこの法律が希望しているような分散やあるいは農村における雇用の場ができるということにはならぬわけですよ、受け入れ体制ができても来ないのだから。だから私は、さっき政府機関の分散の話を一つ例に挙げましたけれども、もう少し積極的な態度で、集中しているところから分散させるという方向、受け入れの側も受け入れの側だけれども、集まっているところへの対策ですね、そういうところはいづらくなる、農村の方に行ったら非常に企業も状況がよくなるというふうな格好をつくるという努力要求しておきたいと思います。先ほどもそういうおつもりでおやりになるという御答弁でございましたけれども、そのことを重ねてお願いをしておきたいと思います。  それで、今度は農村工業地帯ということで計画化されているその内部の問題でございますけれども、外から工業導入してくることももちろん大事ですが、地場にある産業をもっと育成強化し、活性化していくことが必要ではないかと思います。全国のどこの市町村や地域においても、そこの地理的条件に適合した資源や産品といったようなものがあるのですね。長い沿革の中で培われた生産技術等もあります。一村一品とかいう言葉で言われているのもその一つなのであります。これらのものに対して有効適切な措置が講ぜられれば、商品価値がふえてまた雇用の場も拡大される、そういう結果を生むのではないかと思います。あるいは、外部から余りえたいの知れない企業が来るよりは、気心の知れた地域内の企業がもっと経営を拡大していった方がいいという場合もあり得ると思います。それは一概に言えることではありませんけれども、私の今申し上げているようなことも一つの事実ではないかと思います。ですから、地場産業活性化雇用拡大対策、そういったようなものにもこの法律の対象として積極的に進めていく、そういうお気持ちを持って運営してもらいたいと思うわけです。どうですか。
  37. 松山光治

    松山政府委員 御指摘ございましたように、地域外からの工業等の導入とあわせまして、地域に根差しました地場産業を育成していくことは非常に重要な点だと私ども考えております。現に、これまでに策定してまいりました基本方針におきましても、既存の地場の企業との機能分担に配慮いたしました企業の導入、あるいは地元中小企業の積極的な育成といったような考え方を明確にいたしまして都道府県を指導しておるわけでございます。これら地場産業の育成を図っていきますためには、やはりそれぞれの企業の商品開発能力の育成の問題でございますとか、需要開拓の問題でございますとか、あるいは人材の問題、情報の問題、施設整備の問題等々、多面にわたる問題をどのような形で克服していくか、こういう点があるわけでございますし、そういう意味では地場産業自体の特段の御努力をお願いしなければいかぬと思っておりますけれども政府といたしましても各種の助成事業なり融資事業によりましてそういった振興対策を講じてきておるところでございます。  例えば通産省におきましても、各般の面にわたります中小企業の振興施策を実施いたしております。それから私たちの農林水産省におきましても、地域食品の振興対策でございますとか、あるいは定住促進事業、第三期山村振興農林漁業対策事業等々、これらの事業を地域の実情に応じて活用いたしまして、農林水産物の加工等を行います地場産業の育成に力を入れておるところでございまして、今後とも今申し上げましたような姿勢でこの問題に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  38. 安井吉典

    安井委員 次に、導入対象業種を今度運輸産業等に拡大したわけですが、しかし、農村における就業機会を拡大するということが目的なんですから、そういう目的からすれば、最近の産業構造の変化もありますし、その他いろいろな事情を考えれば、対象業種を現在までの製造工業重点からもっと幅広く拡大すべきではないか、それによって雇用の場の拡大も図れるのではないか、そう思うのですが、この点についてはどう検討されていますか。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  39. 松山光治

    松山政府委員 農村地域にできるだけ多くの就業機会確保していくということは、御指摘のとおり農村活性化を図っていく、あるいは農業構造の改善を円滑に進めていくという観点からいたしまして非常に重要な点であると認識しておるわけでございます。今回の見直しに当たりましても、私どもといたしましてはそういった観点に立ちまして、全産業にわたるレビューを行ったところでございます。  ただその場合に、ただ業種を拡大すればいいというわけでもございませんし、特に昨今は、いろいろな業種の実情に応じながら各種の地域立法と申しましょうか立地立法と申しましょうか、そういうものが出ておりますので、そういうものとの関係を頭に置きながらどのようにするのが一番有効かということになるわけであります。御案内のように、本制度につきましては、産業立地政策の観点農業構造政策の観点とを組み合わせた制度、そういう特色を持っておるわけでございまして、そういった制度の特色を踏まえながらできるだけ多くの業種を対象にしていく、こういう考え方のもとに議論を進めたわけでございます。  そういう場合、考えてまいりますと、事柄の性格上といいますか、制度の対象業種になかなかなじみにくいといったものもあるわけであります。例えば観光業あるいは鉱山業といったような地域特有の資源を活用していく産業になりますとこれはちょっとなじみにくいなということでもございますし、あるいは電気、ガスといったような公益的な見地から立地が進められていくという業種などもそれに該当するかもしれません。さらに、小売業のように人口の集積いたします地域におきましてその程度に応じて自然に立地していくという業種もあるわけでございます。そういうなかなか制度になじみにくい業種を、これはなかなか難しいかなということを考えながら、産業立地政策という観点からいたしますと、農村というのは、財とかサービスというようなマーケットという点からいたしますと都市に比べて比較的魅力に乏しいという地域に相なるわけでございますけれども、従前の地方分散政策、この農工制度も含めまして、そういった諸政策の結果、農村で相当の集積を見ております工業との取引が深い、かつまたその業種自体としても農村に出ていくことにメリットを感じつつある業種、そういう観点からする業種としては一体いかなるものがあろうかという観点が一つ。  それから農業構造改善政策という観点からいたしますれば、やはりそこでできるだけ多くの人を雇っていただく必要があるわけでございまして、そういう意味では、労働集約性といったような観点で見ればどうだろうかということで種々検討いたしました結果、工業との取引関係が深くて、また業といたしましても、交通条件整備その他から見ましてこれから農村地域での展開の可能性を持っておる、しかも労働の集約性がかなり高い業種ということで、御提案をいたしております道路貨物運送業なり倉庫業、こん包業、卸売業という四業種を選定いたしたという経緯があるわけでございます。  もとより、産業経済の変化に伴ってもろもろの状況変化が出てまいるかと思います。私どもとしては、現段階では精いっぱいの努力をしたつもりでございますけれども、今後の問題といたしましては、これからの産業構造の変化なり農村への企業立地の動向等々各般の事情を踏まえ、かつ関係有識者の意見も聞きながら引き続き勉強するという構えで臨んでいきたい、このように考えております。
  40. 安井吉典

    安井委員 引き続き検討していくということで、結論はそういうことではないかなと私は思うのですけれども、同じ市町村でも、うんと山奥の市町村の場合もあるし都市からそう遠くないところにある市町村の場合もあります。ですからそのあり方によって、例えば情報産業だとか研究施設といったようなもの、あるいは人材養成のための施設、今こういうものは対象になっていないのですが、しかし地域によってはそういうようなものも立地してこないとも限らないわけです。そういう可能性があるのに対象業種に入っていないということでオミットされるということになっては困るので、できるだけ幅を広げた考え方で今後とも臨むべきではないかと思います。運輸産業それから卸屋さんまでこの中に入れたのですから、そういう考え方からすればまだまだこれは広げていいのではないかと思います。  例えば研究施設でも、バイオテクノロジーの研究施設などでは、専門の学者ばかりで余り雇用の広がりはないのではないかと言われるかもしれませんけれども、同時に苗をつくったり、つまり無菌状態をつくって、そういう中でピンセットで小さい芽を幾つも分割して試験管に入れて、それで何万本もの苗を仕立てて出しているわけですよ。原原種のもっと基礎的なものです。そういう中で新しい品種の改良も行われている。そういうところが大分できかかっていますよ。農業協同組合がやっているところもありますし、そうでない個人の経営のところもあります。余りそんなところまで目が届いていないようでありますけれども、それは単なる研究施設というだけではなしに、新しい形の苗の製造業だというふうに考えてもいいわけなんです。  私は一例を挙げたわけでありますけれども、そういったようなことで、とにかく業種を拡大することが目的達成に近づく道ではないか。その点についてはさらに検討する、こうおっしゃいましたね。ですから、それで結構なんですけれども、そのことを特にお願いしておきたいと思いますが、大臣、そうでしょう。
  41. 松山光治

    松山政府委員 先ほども申し上げましたように、業種の問題はいろいろと勉強はしたいと思っておりますが、今お話しのございました情報産業なり研究機関一般についての私ども考え方を申し上げておきますと、特にこの種の業種につきましては、地域におきます知識集積の程度と申しますか、いわば素地がどうなっておるかということとかなり密接な関係がある業態であろうというふうに理解しているわけでございます。現段階判断といたしましては、やはり大都市への集積、いわば集中が進み過ぎておりまして、それを地方圏にどういうふうに移していくか、そういう課題に対応するためにことしの国会でいわゆる頭脳立地法が成立を見た、こういう経緯があるわけでございまして、そういう意味では、大都市圏から地方都市への移行を考えるというのがどうやら現段階の課題のようだという認識をいたしておるわけでございます。  農村地域におきます工業導入の問題にいたしましても、やはりそういった知識産業なり情報産業とのつながりをどうしていくかという点は非常に重要な課題でございますけれども、今の段階といたしましては、そういった地方都市におきますこれら産業の発展を有効に活用するようなつながりをどのように考えていくか、そこがまず当面の課題ではないだろうかと私どもとしては考えておるというふうに申し上げておきたいと思います。
  42. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 業種の問題、これはやはり不断の努力、勉強をさせなければならぬと思っております。勉強をいたします。  なお、受け入れやすい形を考えるためには、先ほど来の議論を聞いておりまして、ちょっとその言葉答弁の中に出てこなかったようでございますけれども、四全総で言う定住と交流、このことをそれぞれの地域の特性を生かした形で、道路交通網の整備と相まってどのようにできるか、この視点が非常に重要なことであると考えております。
  43. 安井吉典

    安井委員 後で私もお聞きしようと思ったことを今大臣がお答えくださいましたから、地域の農村工業がそこにきっちり位置づいて、住民と一体になって雇用を広げていくようなことにするためにはそういう公共的な施設やその整備が必要なんですよ。この間参考人からもそういう意見が強く出ましたので、大臣の今の発言、大変心強いと思います。  そこで、同時に立地についての適地の選択なんですが、必ずしも市町村が設定した工業団地に企業の側が満足するとは限らないわけなんですよ。市町村はこれを設定したけれども、もっと私の企業はこういうところがいいんですというふうな希望もやはりあるのではないかと思います。企業側の要求で優良農地をばたばたつぶしていくということもこれは困ると思いますけれども、やはり市町村の側と土地の持ち主のあれもありますし、それから企業の側の希望も聞いて、既存の団地は団地としてそれを拡大するとか、あるいは別な地域は新しい団地を設定するとか、そういうことは実施計画の変更で可能なんですよ。  ところが、農振法だとか都市計画法だとか手続がなかなか厄介で、面積が多ければ知事許可や大臣許可というようなことでかなり手間がとれてというふうな、私がこれはもう少しうまくやる方法があるんじゃないかと言ったら、手間がかかってというふうな答えが市町村側からはね返ってくるわけです。したがいまして、きょうここで細かいことを、これをこうする、ああするというお答えはもらえるとは思いませんけれども、もう少し企業が立地しやすいような計画を立てることについて、何とか手続その他で簡素化できないのかということをひとつ局長から伺います。
  44. 松山光治

    松山政府委員 御案内のように、国の基本方針のもとで県が基本計画をつくり、県なり市町村が実施計画をつくっていく、そういう仕組みになっておるわけでございまして、特に実施計画を策定いたします段階でできるだけ幅広い情報を得、企業サイドの情報も含めて幅広い情報をもとにしながら、現実性のあるといいますか、できるだけむだにならないような計画を的確につくっていただく、そのために農村地域工業導入センターにも大いに頑張ってもらわなければいかぬ、こういうふうに考えておるというのをまず一つ申し上げておきたいと思うわけでございます。  お尋ねの諸手続の問題になるわけでございますが、この法律制度のもとにおきましても、農地転用等の扱いにおきましては、一般の扱いとは大分違いました配慮規定も設けまして配慮した扱いにしておるつもりでございます。ただ、今先生からの御質問の中にちょっとございましたように、優良農地がばたばたとつぶれていくということも困るわけでございまして、やはり農工両全という制度の建前からいたしますと、調整を必要とするところはぎちっと調整した上で工業に入っていただく必要がある。そういう意味での手続面での詰めといいますか検討は、やはりそれなりにお願いせざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、できるだけスムーズにいくような配慮はしていきたいというふうに考えております。
  45. 安井吉典

    安井委員 今度の改正で、都道府県が複数の市町村を対象にした実施計画を策定することができるという改正規定があります。その要件については政令で定めるとあるわけでありますが、法律通過後いろいろ措置されるのだろうと思いますけれども、現段階でどういうようなことを予定されているのか、政令内容ですね、ちょっとお話しください。
  46. 松山光治

    松山政府委員 今回の制度改正におきまして、地域別にかなり導入状況にアンバランスが出ておる、一つの市町村だけではなかなかやりにくいというような事態に対応する転機といたしまして、都道府県が広域の見地から実施計画を定める場合というのを新たに設けることといたしたわけでございます。法律の五条の二項一号から三号までそれぞれ要件が掲げられておりますほかに、政令に一部要件をゆだねておるわけでございます。  私ども今政令で規定することを考えております要件といたしましては、やはり自然的、経済的、社会的条件から見て一体的な複数の市町村から成る農村地域であるというのがまず必要だろうと思っておりますが、そういう農村地域が人口増加率の点で都道府県内の農村地域全体の人口増加率を下回っておるということ、それから製造業者等の就業者比率につきまして、県内の農村地域全体の製造業者等の就業者比率を下回っておる、言ってみればなかなか工業導入等が入りにくかったようなところというような考え方のもとでの要件を定めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  47. 安井吉典

    安井委員 きょう労働省からもおいでいただいておりますので、二、三伺っておきたいと思います。  中高年齢層の就業機会確保という問題がまずあります。農村には中高年齢層が広く住んでおられるわけであります。さらに今後自由化の問題もありますし、農業の経営合理化が進むということになりますと、また中高年齢層の人が新しく農業外に押し出されてくるというおそれもあります。そういうような場合においても、農村地域の中でそれらの人たちの就業の場が拡大されれば、全体の就業がふえれば中高年船層の雇用もふえるということは当然でありますけれども、特に中高年齢層対策という配慮が必要ではないかと思うわけです。例えば中高年齢層の人の雇用を強制していくとか、雇用した場合の優遇措置とか、そういったようないろいろな問題についてのお考えを伺いたいわけであります。過去にこの委員会においてこの法律が論議されたときの附帯決議の中にも、中高年齢層に対する「特別な配慮」という言葉もありました。これまでどうされてきたのか、これからどうされるか、ひとつ伺います。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  48. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  農業従事者の方々が高齢化してくる、また人口全体の年齢別の動きを見ましても非常な速度で高齢化してきているというような実態を受けまして、私ども職業安定行政において中高年齢層の雇用の促進につきましては特別な配慮をいたしてきております。  その中で、特に農村地域に関して申し上げますと、ただいま先生御指摘になりました附帯決議におきまして、計画の策定でありますとかその実施に当たりまして、中高年層への特別の配慮を行うべしという決議がございます。これに基づきまして私どもはいろいろなことをやっておりますが、市町村が策定いたします農村地域工業導入実施計画において、その計画に基づきまして工業導入され、労働力の需要が出てくる場合に、それに対してどういう層の労働力をもって充てるかということもその計画の中に出てまいります。その際に、若年層に偏ることなく、中高年層を積極的に活用するように、そうした計画を策定するよう市町村に対して働きかけを行っておりますし、また必要な援助等も行っているということでございます。  また、労働省は通達を出しまして、導入企業が安定所に求人を出します場合に、労働力の需要充足計画というものを出していただくことにしております。その計画に基づいて事業主は募集活動も行い、また安定所は紹介活動も行っておりますが、その計画において積極的に中高年層を活用する、特に離農転職者等を優先する、そういう計画の内容になるように特別な配慮を行っております。  また、特に求人が少ない農村地域を広く含めまして、雇用促進地域というものを指定しております。北海道の場合について言いますと、札幌安定所管内を除く全地域を、求人が足りない雇用政策上特に配慮を要する雇用促進地域に指定いたしておりますが、その地域内において就職されます四十五歳以上の高齢者がおります場合、そういう中高年齢層を雇用いたします企業に対しまして賃金の助成を行っております。中小企業につきましては二分の一、大企業で三分の一という賃金助成を行う等によりまして、農村地域における中高年層の雇用の促進に特別な配慮を行い、その実を上げるように努力いたしておるところでございます。
  49. 安井吉典

    安井委員 いろいろおやりになっているということを伺いましたが、それと関連して、民有林に働いている労働者の振動病問題があるわけです。  先月末に北海道を初め全国各地で民有林労働者の振動病治療の打ち切りというようなことで大騒ぎになりまして、社会党の私たちもその対策で現地調査をやったり、現在もいろいろ走り回っているわけでありますが、そういうような振動病の治療打ち切りの基本問題を今ここでやるつもりは私にはありませんけれども、その対策として、地域社会ではかなり大きな社会問題化しているわけです。しかし、そういう中で軽快者といいますか比較的程度のいい人もいるわけです。そういうような人について就労の機会を拡大してあげるということについて、この農工法による指定というようなものが役に立つのではないかと思うし、また特に役立てるような方向で運用すべきではないかと思うわけであります。こういうような特殊な状況に置かれている人たちの就労機会の拡大ということについて特に配慮をしてもらいたいという要望についてはどうですか。
  50. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 先生御指摘のように振動障害で悩んでおる方がおられるわけで、そういう方は非常に長期療養を要する面もございますが、ただいま先生の御指摘になりました軽快者につきましては、一刻も早く安定した雇用の場を確保し、それなりの就業条件を享受できるようにしたいということで積極的にこれまでも努力してまいりましたし、また先生御指摘のような考えに立ちまして、今後積極的にやってまいりたいと考えております。  特にそうした軽快者の雇用の場を確保するに当たりましては、そうした軽快者に適した職種は何か、そしてそういう職種に基づいてその人にぴったりした具体的な雇用の場を確保するための個人求人開拓を積極的に進めるということが基本ではないかというふうに考え、職業紹介面での充実を期してまいりたいと思っております。また、そういう軽快者が早く職場に復帰しようという意欲を促進する、またそうした就職のための準備にいろいろなお金もかかりますので、特別援護金というものを支給してまいりましたが、これは従来日額の三十日分を援護金として支給しておりましたが、これからは六十日分にしたいということを考え、現在そうした援護金の充実なども含め総合的な雇用促進対策を検討し、一つ一つ実施し、その雇用の促進の実を上げてまいりたいというふうに考えております。
  51. 安井吉典

    安井委員 もう時間になったようでありますから、最後大臣からまとめて、今度の法律について私もいろいろな注文を申し上げたわけでありますが、それらの点を踏まえて、今後の運用について改善をしながら充実をしていくという努力が必要だと思うのですが、いかがですか。
  52. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほども私はちょっと申し上げましたが、四全総との絡み合いにおいて、それぞれの地域における個性を生かしたフォローアップが必要である。そういうことになりますと、今委員おっしゃいますように、また先ほど来関係各省に質問をしておられるように、我が省といたしましても、我が省が主管はいたしておりますけれども関係各省とも連絡をとりながら、そしてやはり今までの分で足らざるところがあるわけでございますから、御指摘のとおりでございますから、そういう点は勉強を続けながら、ひとつ農村活性化、そしてそれがひいては日本農政の前進、食糧政策遂行を期すことができるように、ひとつまたこの法律を糧といたしまして努力をしてまいりたい、かような決意を申し上げておきたいと思います。
  53. 安井吉典

    安井委員 ありがとうございました。
  54. 菊池福治郎

    菊池委員長 竹内猛君。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案及びそれに関連をして若干の質問をいたします。なお、このことに関連をして、私の地元に起きている問題も含めて質問をいたします。  第一は、この法律が初めて成立したのは四十六年であったわけですけれども、それから今日までの間十七年間を経過しております。幾多の情勢の変化はあったと思いますが、この法律が提案されてから今日までの経過の中で成果と思われる点と、この点は反省をしなければならないと思われる点についてまず報告を願いたい。
  56. 松山光治

    松山政府委員 御指摘ございましたように、本制度は昭和四十六年に制度化されまして、それ以降この法律に基づきます計画的な農村工業導入に努めてきたわけでございます。六十二年三月末現在の立地を決めております企業の数が四千二百余ございまして、そのうち既に操業しております企業が三千四百余あるわけでございます。地元の雇用者が二十一万、農家世帯員が約十万、こういう形に相なっておるわけでございまして、そういう意味では、この制度の成果というお話がございましたが、まずは工業の地方分散を進めますとともに、農村地域におきます就業機会の増大と農家世帯員の安定就業の促進といったような点に貢献してきておるということは一つ言えるのではなかろうかというふうに考えております。  同時に、この制度の目的のもう一面といたしましては、これを通じまして農村におきます就業機会確保を図り、工業導入と相まちました農業構造改善施策の推進によりまして農業構造の改善を図っていくという面が一つあるわけでございます。いろいろな各般の状況との関連がございますから数字の上でのお答えがなかなか難しいわけでございますけれども、事例的に、特に工業の定着しておりますようなところにおきましてはかなり顕著な構造改善の事例も出てきておるわけでございまして、これからになお期待したいというふうに考えておる次第でございます。と同時に、導入されました企業と地元との取引を通じまして地域経済の活性化が図られてきておる、さらに過疎化に歯どめがかかり若者が地元に定着するといったようなことで喜ばれておる地域があちこちに見られるといったようなことも成果として考えられるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  残された問題がどうかというお話でございますけれども、先ほど来のお話にもございましたように、その立地条件等によりまして工業導入がなかなか進んでおらない地域と申しましょうか、そういう意味での地域差の問題が一つあるわけでございます。と同時に、産業構造全体が変化していくという状況が一つあるわけでございますし、かつまた農業構造の改善がなお現下の農政の緊要な課題になっておるといったようなことも踏まえまして、全体といたしまして農村におきます就業機会の安定的な確保をどのように図っていくかというのが基本的な課題であろうというふうに考えております。  そのためになすべきこと多々あろうかと思いますが、情報化社会でもございますし、そういう意味での企業に対する情報提供の強化といったような課題でありますとか、あるいはまた工業導入とあわせて農業構造の改善を進めていくというふうな観点からの基盤整備の問題、あるいは構造改善施策のより一層着実な推進といったもろもろの課題を私どもとしては念頭に置きながら、これを着実にこなすことを通じて法の目的の実現に一段の努力を重ねたい、このように考えておる次第でございます。
  57. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一応の話があったわけですけれども、私は、私の記憶によれば、二千四百の市町村で百万人の雇用を期待していたように思うし、それが千五十一市町村が計画をし、八百八十市町村で実施されている。六十二年三月の導入企業は四千二百三十七、操業中の企業が三千四百一。雇用者が総数で二十六万八千、うち地元雇用が二十一万五千で八〇%、農家世帯員からは九万五千人で地元雇用の四四%、うち常用が八七%ということでありますけれども、今円高・ドル安、自由化の波と内需優先という食糧農業について新たな波の押し寄せているときに一部改正、すなわち農村工業等として道路貨物運送業倉庫業、こん包業及び卸売業を加え、新たな税制金融等について優遇措置をするということは、その意図はよいとしても少し遅きに失したのではないか、こう思われるけれども、これについては局長及び大臣答弁を伺いたい。
  58. 松山光治

    松山政府委員 委員から御指摘ございましたように、発足当初におきましては、百万人雇用というかなり意欲的な目標を掲げて発足したという経緯があるわけでございます。  そういう目標を頭に置きながら本法の施行後市町村、都道府県あるいは経済団体、農業団体、それに関係各省相協力しながら農村地域への工業導入を進めてきたわけでございますけれども、御指摘ございましたようになかなか目標どおりにはまいらなかったという厳しい現実もこれまたあるわけであります。もちろん若干言いわけぎみになりますけれども、やはり全体としての経済情勢に左右される面が多いわけでございまして、例えば昭和四十二年から四十五年、法の制定前でございますけれども、その当時に比べますれば、ちょうど間に石油ショック等が入りまして経済が安定成長期に入るといったようなことで、立地自体がかなり減っておるという事情もあったということはひとつ御理解いただきたいと思っております。しかし、そういう状況の中ではございますけれども、できるだけ幅広く農村におきます就業機会確保を図っていきたい、これは関係者一同の念じておるところでございます。  そういうことを頭に置きながら今回の見直しになったわけでございますが、今先生からは遅きに失したのではないか、こういうお話があったわけでございますけれども、この種の扱いの話につきましてはそれなりの条件の熟度といいましょうかそういうものがやはり必要な話でございます。今回の見直し、何度も申し上げておりますように、産業構造が第三次産業の方に移行していくといった産業構造の変化が一つ背景にあり、かつまた交通条件等がその後相当に整備をされまして、そういった条件の中で製造業以外のものにつきましても農村地域への立地を見込み得る、そういう条件の成熟と申しましょうか、そういう状況の中で今回の改正を御提案するに至ったというふうに私としては考えておる次第でございます。
  59. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 大分古い話も今局長から経緯について出ました。御指摘は遅きに失したのではないか、こういうことでございます。そう問われれば、私自身が農林政務次官を務めましたその前の年に初めてこの法律ができ上がりました。四十六年でございます。その前の年の四十五年には、実は三地域十四ブロックに分けて、日本農業を地域分担政策という表現であのころ地域農政の芽生えが実は始まった、こう認識しております。いろいろなことを考えますと、試行錯誤を続けてきたな、私自身率直な感想を持っております。日に日に進歩しなければなりません。過去を反省しながら、今おっしゃることを頭に置きながら努力を続けていかなければならぬ、こう思っております。
  60. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 遅きには失したにしてもやらないよりはましだということで、これは成功を願わなければならないし、そういうことで今までよりはいろいろな点で都合のいい形になっているからそれはそれとしてしなければならないが、むしろこれからの方が僕は大変だと思うのです。なぜかというと、日本農業工業もその他の産業も大きく変化をする中で、参考資料によると、第一次産業が四十五年一九・三%が七十五年には六%になる、第二次産業は四十五年に三四%、これが三一%になる、第三次が四十五年が四六・六が六三%になるという形で非常に推移が激しい。特に第三次産業への移行が増加すると見られるときに農村工業の展望はどうなるのか、これを聞きたい。
  61. 松山光治

    松山政府委員 全体としての産業構造、やはり第三次産業のウエートが増していくという見通しが一つあるわけでございますし、そういう状況の中では、農村地域についてもそういう全体としての状況の中の影響というのは免れないだろう、もちろん工業自体は農村地域になお進出するというふうに思っておりますけれども、相対的な関係としてはそういうことに相なるのであろう。だから、そういうことも含めながら、今回の制度改正におきましては工業にとどまらずこれと非常にかかわりの深い第三次産業として四業種を新たに対象業種にした、こういうことに相なっておるわけでございます。
  62. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私はこの際、労働省に一つ質問と要望をしたいわけです。それは農林水産省は海外の農業対応するためには足腰の強い農家をつくらなければならない、いつもそういうことを言っている。土地の集中をしろということも言っている、中核農家に集めろということも言っているが、農業本法が三十六年にできてから今日まで二町五反の農家百万戸つくると言っているけれども、これは現実にできていない。そういうような状況からして、いよいよこれからそういうことが可能かというとそれは非常に困難なことだろうと思うのです。規模拡大だけで海外の農業に太刀打ちできるなんということはおよそできない。  そうなると、これは農村の過疎地帯においても特産地においてもリゾートなども計画をしながら、やはりそこで農家の所得を確保するということが大事になってくる。そうすると今の農村工業導入法がしているように道路、交通、運輸、倉庫、こういうものをやり、自宅から工場にあるいは学校に、そして兼業で所得を確保する。つまり生活を守るということが大事だ。そういうことになると自治体等においてはやはり専門学校、技術の学校、こういうものもつくって、そして導入した工場に自宅から通える、学校にも行ける、そういうことをするために今まで労働省が職業訓練とか雇用促進住宅とかというものをつくってきた、これはいいことだと思うのです。そういうようなことをぜひやってもらいたいと思うのです。  私の茨城県の古河市では、古い市役所を今度はコンピューター専門学校にして、コアグループというのですか、そういうものがあって、全国で四番目か五番目の設置場所になってことしから開校したわけですけれども、大変評判がいいのです。こういうようなものをつくって、実際的に地域の人たちが大都市に出なくても一定の人口を持ったところでは学校にも行けるし職場にも行ける、こういうことに努力をしてほしいと思いますけれども、これはいかがですか。
  63. 高橋柵太郎

    ○高橋説明員 先生御指摘になりましたように、我が国産業におきましても最近はコンピューター、ME化を中心とします技術革新の進展が著しいわけでございます。農村地域におきましても、既存の企業あるいは進出企業におきましてこれらの技術の変化に柔軟に対応できる高度な技能者が求められているところでございます。  そこで、労働省といたしましても、これらの地域におきます公共職業訓練施設におきましてME関連機器の計画的な整備を図りながら電子科でございますとか機械料、これはメカトロを中心といたします内容でございますが、情報経理科というようなME関連訓練科の設置拡充等を現在積極的に進めているところでございまして、農村地域におきます高卒者がこのようなME関連の技能を習得でき、そして自宅から通勤し得るというようなことを考えているわけでございます。今後ともこういった施策を一層推進を図ってまいりたいと考えております。
  64. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 筑波においてはもう一つ、これは報告だけさせていただきますが、多くの技術者、科学者あるいは教授が筑波研究学園には来ておりますが、定年でおやめになる。そうするとそこにはおれなくなるわけですから、そういう方々が何とかして地元で仕事をしたいということからいろいろ要望いたしまして、科学博覧会のソビエト館を利用して、そこで筑波の情報専門学校をつくって古河と同じようにそこでも仕事をしておりますが、これはやはり大変評判がいい。科学技術情報化時代においてそういうものが必要であるわけですから、ぜひこのことを労働省も自治省もそれぞれが一緒になってやってもらいたいということを要望いたします。  続いて通産省にお伺いしますが、最近特に安くて広い土地、豊富で比較的安い労働力、こういうものを用いて技術者を入れて生産を行い、それを逆輸入するということが非常に言われており、それは単に機械だけでなしに最近では農産物もそれをやっている。例えば時計が四つのうち一つはそこから入ってくる。つまり、アジア新興工業国家がそれですね。最近はカゴメジュースがアメリカのカリフォルニアに工場をつくって逆輸入をする。こういうことが行われてくると、日本のように比較的生産コストが高い、そして原料は外国から輸入しなければならない、労働賃金も他国に比べれば安いとは言えない、高いとも言えないけれども。そういうことになると大量生産で安いところに土地や労働力を求めてそれを逆輸入する、これがますますふえると思います。そして日本が空洞化する。農村工業方向とこれは逆比例になる。これを抑えることができるかできないか、通産省、その点についてどうですか。
  65. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、日本の海外投資は最近のいろいろな経済情勢等もございましてふえてまいっております。ちょっと数字を申し上げますと、六十一年度で全体で二百二十三億ドルということになっておりまして、六十二年度の数字はまだ全体が出ておりませんが、さらに若干ふえるのではないかという感じがしております。将来の見通しについてはまだ正確に言えませんが、引き続きこの海外投資は進んでいくものと思います。ちなみに製造業でございますが、このうち大体二割ぐらいが製造業の投資というふうに理解しております。  こういった海外投資が進むことによっていわば日本の経済が空洞化するんじゃないか、何かその歯どめが必要じゃないか、こういう御指摘でございますが、御案内のように現在保護貿易を廃止して、いわば自由貿易体制の中でいかに輸入の拡大を通して経済の均衡発展を図っていくかということが日本に課せられた基本的課題じゃないか、こう思うわけでございます。したがいまして、この流れを何か規制するというようなことは適切じゃないんじゃないか、私はこう考えております。しかし日本の経済、特に地方が空洞化していくということに対する懸念、これはもう御指摘のとおりでございますので、あわせてこの空洞化対策、いわば地域の活性化対策、これには最大の努力を払わなくちゃいけない、こう思っておりまして、通産省も実はこの問題に省を挙げて各局取り組んでおるわけでございます。  御案内のように、例を申し上げてみますと、技術開発関係では新規産業、いわば産業興しということでいろいろな技術開発を進めておるわけでございますし、また、特定不況地域におきましては産業構造転換円滑化臨時措置法なりあるいは特定地域中小企業対策臨時措置法、こういった法律を用意いたしまして特定地域の不況対策、いわば活性化対策もやっておりますし、最近におきましてはさらに、今度の国会でも審議していただきまして認めていただきましたが、頭脳立地法という法案、これはいわば東京の一極集中を排除するためにソフトの部門を地方に持っていく、研究所なりあるいは情報なり、そういったものを地方に持っていくというようなこと、そういったものを含めて地方の技術のレベルのアップなりあるいは新しい産業を興していく、こういったものを用意したとか、あるいは民活法では八業種を追加しまして地域の活性化に寄与しよう、そのほか中小企業では御案内の融合化法ですね、これも大いに地域の活性化に役立つんじゃないか、そういったことで国内対策につきましてもこういったものを通して挙げてやっていかなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
  66. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この際、これは非常に大事な問題ですから、農水大臣も閣議においてこの問題はひとつ重要な観点として、内需優先というようなこともある、あるけれども、空洞化してしまったらせっかく法律をつくってももぬけの殻になってしまうのだから、そういうことにならないようにするためにひとつ頑張ってほしいということについて決意はどうですか。
  67. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今ほど通産省の方からもお答えがありました。考えればずっと昔から相当考え方は変わってきているのではないか。その変わってきている部分を今委員答弁をされたような感じで承っておりました。農業保護、この問題についてのいろいろなところでの議論は踏まえつつも、農村の空洞化そして食糧政策の大事な点、これはやはり通産省も認めておる、いわゆる産業と違う特殊な立場にある農業、よく活字に出てくるような聖域、聖域というような言い方をするわけでは決してございませんけれども、いわゆる産業と違う農業、それを抱えておる農村、そこが活性化しなければという認識は各省共通であると私は思っております。  そういう意味において私ども責任はまたいよいよ重くなってきておる。だから本法をひとつ成立をさせていただき、先ほど随分昔からの法律だが、ないよりはいいみたいな評価もちょっとお言葉の中にございましたけれども、そうおっしゃらずにひとつ御示唆、御教導を賜りまして、ひとつこの趣旨が生かされますよう私ども努力してまいりますので、よろしくお願いをいたします。
  68. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農業産業としてちゃんと確立させ、それから農村というものを活性化する、そこで働く農民の人間としての存在を大事にする、そして新鮮で良質で比較的消費者に喜ばれる食糧をつくる、これが農業の役目で、緑と空気がそれに伴うわけだから、工業のように二十四時間機械を回して仕事をするのとこれはちょっと違うんだ、天候と土地を相手にするんですからね。だからどうしてもこれは国内でやってもらわなければ困る。外国から輸入するなんということに気持ちをよくしたら困る、やはり不愉快になってもらわなければいけない。  そこで、今度は自治省にお尋ねしますが、農村工業導入をした結果、自治体というものは、特に過疎地帯、固定資産税なりあるいは雇用なりそういうものでどの程度潤ったかということについて計算をされたことがありますか。
  69. 佐野徹治

    ○佐野説明員 固定資産税の関係につきましてお答えをいたします。  八百八十の市町村に工場が導入されておるわけでございますが、これらにつきましての詳細な調査はいたしておりませんので正確な数値は把握いたしておりませんが、農村地域工業導入促進法に基づきます地方交付税の減収補てん措置がございます。この措置から推計されます一企業当たりの固定資産税額、これを六十二年度で推計をいたしますと大体一千万円程度になるわけでございます。先ほど来お話ございましたように、現在操業中の企業が三千四百程度ということでございますので、一応の計算といたしまして、一企業当たり一千万円のものが三千四百ある、こういう計算をいたしますと三百四十億円程度という計算になるのではないかと考えておるところでございます。‐
  70. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、茨城県に今度は問題を置きかえていきますと、茨城県の場合には農村工業導入法を成功させるために一番重要な問題になっているのは何といっても運輸、交通の問題です。  そこで、今度は気象庁に質問するわけですが、気象庁というのは、基本的任務として国土と生活を守るための非常に重要な仕事をされている。にもかかわらず気象庁の一般的な予算が非常に少ない。DD型の護衛艦一隻をつくると五百十三億という。気象庁の六十三年度の予算を全部計算してみても多分五百五十四億くらいでしょう。五千人以上の者が働いていて、これが国の予算の千分の一、国民の生命、財産を守るという気象庁の予算にしてはささやかなものだと思うのです。防衛庁の費用はどんどんふえるし、それから予算も人員もふえるわけだ。戦争というのは人為的なもので、やめようとする意思があればやめられるけれども、天災地変、地震、洪水、津波、これはどうもやろうと思ってできるものでもない、自然現象ですからね。これを予知し未然に防ぐということは大事なことなんだ。  ところが、総定員法の中でどんどん人間が減らされていくというのは極めて問題だ、こう思うのです。だからそういうものについてはむしろ適材適所に人を配置して予防措置をするというのが筋だけれども、それについての主張が意外に少ない。気象庁の予算は、理学博士とかそういう科学者ばかりで余り予算に興味を持たない方がいらっしゃるかもしれないが、もう少し予算的措置について頑張ってもらいたいと思うけれども、これはいかがですか。
  71. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  気象庁は、日本のみならず国際的な自然を対象にしまして災害の予防、交通の安全、産業の興隆、民生の安定を国内及び国際をにらんで働いておるところでございます。  ただいま先生から予算のことを激励いただきました。私ども、予算に余り興味もないのではないかというおしかりの言葉をいただきましたが、御激励と承ります。私、何度も予算を担当しまして一生懸命やってまいったつもりでございます。そして、ただいまの国際的な日本の厳しい地位の中で十分に予算はちょうだいしているのではないかと感謝しているところでございます。
  72. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 感謝していると言われれば何も言うことはないが、余り下部を刺激しないようにしてもらわないと、中央ばかりが感謝していても下の方は必ずしも感謝していないようだから。あれもやめようこれもやめょう、あそこは減らそうなんてことになって、そして地震が起こってくれば、あそこにあるべきものがなかった、いるべきところに人がいなかった、そうでしょう。秋田の地震のとき確も長野県の木曽の山の中のところでもみんなそうじゃないですか。新聞で、あるべきものがなかった、いるべき人がいなかった、事故が起こればそういうことを言う。だから、これは余り感謝しない方がいいですよ。感謝というのは余分だよね。  そこで、私の記憶では、気象庁が出発してから百十三年、間違いがあれば訂正してもらうが、その間のいろいろな資料というのは一体どこにありますか。有名な人もおりますね。いろいろな険しいことに出っくわしたこともある。そういうことをいろいろつづったのがあるはずだ。この資料はどこに統一して保管をして、いつでも統一的に見られることになっていますか。
  73. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  気象庁は、明治以来気象の観測、地震の観測、火山の観測、海洋の観測を行ってきておりまして、これらの先人の努力と汗の結晶である貴重な記録の上に私どもが世間に現在お働き申し上げていくことができるものだと考えております。この観測を行いました、あるいは天気図を引きましたもともとの気象官署におきまして必要なものはきちんと整えて保管してありまして、部外の方がお見えになりますとお見せすることができます。また、すべての資料は気象庁本庁等に本物またはそのコピーをとりまして明治以来のものすべてが保管してあります。
  74. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう必要なものであるとかなんとかというのは気象庁が判断するのじゃなくて、一般の国民が判断して必要かどうかということであって、そういうものが本庁のような狭いところにしまってあってはだめなんで、そういうものは一般に公表すべきなんだ。例えば三十年とか五十年とか百年とかいうことになると、年史をつくるとかあるいは資料館をつくるとかという行事をやる。三十年の海上保安庁は呉に資料館をつくったのですね。二階の堂々たるものをつくった。ところが百年たった気象庁に統一した資料を保存する場所が今のところない、あっちへ行きこっちへ行き。私は地磁気観測所のことで資料を求めたけれどもさっぱり資料らしい資料は見せてもらえなかった。そういうことで大変不満なんだ。  幸いに合併をして新しくつくば市が茨城県第三の都市として出発した。そのつくば市の中に、大手町の出張所じゃなくて、それと同じような形で気象研究所、高層気象台、気象測器工場、こういう三つのものがあり、そこには広い土地がある。こういうところに、現在測器工場の中に二十坪のささやかな保管する建物があるけれども、そうじゃなくてもっとしっかりした、だれが見ても見れるような、例えばその隣には工業技術院の地質標本館というのがあるけれども、あの程度のものをつくってほしいという要望が強くある。地元のつくば市の市議会でも要望したし、茨城県でもこれについては協力しようという。だから、気象庁の駒林観測部長さん、長官に次ぐ偉い人だそうですから、余り感謝しないで、予算を要望して大衆の期待にこたえなければだめだよ。ひとつ答えてください。
  75. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  先ほど一部お答え申し上げましたとおり、気象庁本庁等で明治以来のすべての資料を整えてございまして、また各地の気象台にも必要なものは整えてありまして、部外の方がおいでになればお見せできる形になっております。また、気象に関する設備、機器類につきましても、例えば科学技術週間等の機会をとらえまして適時に公開をいたしまして皆様方にごらんいただきPR、御理解にも努めているところでございます。また先生御案内のように、気象測器工場の中に、ささやかでございますが常時機器の展示も行っているところでございます。このように貴重な資料を保存することに努力を傾けているところでありますので、新たに資料館を設置することは考えておりません。
  76. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 考えておらなくても、要請をしたんだから、検討するくらいのことは言ったらどうです、頭から否定しないで。
  77. 駒林誠

    ○駒林説明員 過去の資料、機械類、先人の血と汗の結晶であるそういうものは非常に大事なものであることはよく理解しております。そして私どもとしては保管、整えることに精いっぱい努力しているので、現在の時点でこれ以上資料館をつくることは考えておりません。
  78. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それじゃまた、今度は長官を呼び出してやるから、きょうはその程度でとどめます。  続いて、霞ヶ浦、筑波山それから研究学園都市、これは世界に誇る都市だから、この三つに物すごい海外の人が集まってくるわけです。東京からも非常に見物人が多い。そういうことで今筑波山に一千万人を超えるようなレジャー施設をつくろうという一つの計画がある。だから茨城県の県南の予報について知りたいという形で非常によく電話がかかってくるのです。それに対して統一的に答える施設がない。だからこの際予報についてもサービスセンターをつくってほしいということが、これまた気象庁に対する強い要請として市なり県なりから出されている。これに対してはいかがですか。
  79. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  茨城県内の気象情報サービスにつきましては、水戸地方気象台において、技術課及び防災業務課がありまして、県南を含みまして県内全域の気象状況を常時監視しまして、適時適切な気象情報の発表に努めているところであります。その活動は天気相談等も含んでおります。さらに、ダイヤル一七七番の電話によっても情報を提供いたしているところであります。なお、本年度成立を賜りました予算の中で、水戸地方気象台の現業体制を強化するため、年内に一名の増員をお認めいただいたところでありまして、感謝を申し上げている次第でございます。この増員によりまして、なお一層の県内サービスの向上に努めたいと考えている次第であります。  なお、気象庁が行っております現在の気象サービスのあり方につきましては、新しい情報メディアの発達を踏まえながら総合的に検討していかなければならないと考えておる次第でございます。
  80. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 余り感謝ばかりしないで、要求すべきものは大いに要求して、そして予算をもらって感謝をする、こういうふうに感謝の置き方を変えないと、これは容易じゃないですよ、観測部長。風当たりが強いですよ、これは今度は台風だけじゃない、人風が吹きますからね。観測部長は長官に次ぐ偉い人だそうだからひとつしっかり検討して、資料館などというものも堂々とつくるように研究をして、新つくば市の発足と同時に、気象庁があの広いところに公開の、だれでもいつでも見れるような、そして小中学校から専門家が出入りして見れるようなものをつくっていくことは決してむだなことじゃないのですよ。国費をむだに使わないですよ。だから、余り感謝なんかしないで、そういうことについて一緒に要求するのだよ。  さて、次にいきます。運輸政策審議会東京圏都市交通部会小委員会ヒアリングというものが五十八年に行われました。これは万博を契機にしたものですけれども、茨城県でも既に五十八年から五十九年に検討して、私ももう何遍も同じようなことを質問しているが、柿岡に地磁気観測所というものがある。大正二年に東京から移っていった。いきなりあそこにできたものじゃないですよ、東京から移っていったのだから。今七十年越していますね。それがなぜ柿岡になければならないかという理論的根拠あるいは主体的条件、これを教えていただきたい。
  81. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  柿岡にある地磁気観測所は、大正十三年より世界で十六カ所ある標準観測所の一つに指定され、東アジア、西太平洋では唯一の国際的な標準観測所となっております。  柿岡の地磁気観測所では、地磁気を長期にわたり連続的に精密観測するとともに、その観測地を基準地として国内及び国外の利用に供しております。しかしながら、気象庁としては地域社会の発展と調和を図りつつ業務を進めることが重要であるとの認識に立ちまして、昭和五十七年秋に茨城県が設けた地磁気観測所問題研究会の研究成果を十分尊重いたしまして、短周期観測については必要な諸条件が整えば新しい観測地点へ移転することはやむを得ないと考えております。しかしながら、長周期観測については、移転した場合に新旧両地点のデータを接続する補正法が確立されていないので、長周期観測施設の移転は困難と考えております。  なお、明治十六年より東京において地磁気観測を行っておりましたが、大正二年柿岡に移転した時点では、当観測所はいまだ国際的な標準観測所としては指定されておりませんでした。
  82. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、長短の区別があるけれども、長期の方は移転ができないけれども短期は考える、こういうことですね。運輸政策審議会のこれによっても、ここに何項目かあるけれども、やはり柿岡の地磁気観測所というものが実際はその地域の交通、産業に物すごく影響している。ここに赤い地図があるけれども、この地図の真ん中が柿岡だ。これから三十五キロの中においては、まず交直両用の電流、特に交流でなければうまくいかないという形で、この赤いところにはほとんど重要な企業が入ってない。小さな工業ぐらいのものですね。  それからもう一つは、特に四全総の、人口を移さなければならない、過疎過密の問題もあってここに移そう。知事は四千ヘクタールの宅地を提供しようと言っている。そういうときであるだけに、やはりこの地磁気観測所についての労働条件、三十数名の職員がおりますけれども、その労働条件を現状より落とすことのないように、労働条件を守りながら、同時に地域の要求にこたえるということについて考えてもらいたい。それは周辺から言われるまでもなく内部から、むしろこういうこととこういうことが整えばこういうふうになるんだということを積極的に提言した方がベターじゃないのかと思うのです、あれだけの優秀な研究者と学者がいらっしゃるのですからね。  そういう人たちが地域から妙な目で見られる。何をしているんだ。地域の人たちは邪魔になることだけが問題になっていますよ。新聞の中でもどこでもそうだ。口を開けば、百人いれば百人ともそういうことを言っている。一人も味方がいないんだよ、実際は。そういう状態では困るんだから、やはり生きがいと働きがいのある職場にしてもらいたい。その中には現に地磁気の研究所から長峰のところの職場で仕事をしている者もいる。コンピューターもある。いろいろなことで進んでいるわけだから、いつまでも七十年前のデータだけを後生大事にするんじゃなくて、もう少し、皆さんは最先端を行くのですからそういうふうにしてもらわないと非常に困る。ぜひそのような努力をしてもらいたいが、どうだろう。
  83. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  先生が初めにおっしゃいました労働条件のことでございますが、地磁気観測所の観測設備のうち、もし短周期観測のものが今よりも北の方の茨城県北部に移ったとしたらば、その労働条件はどうかという御指摘だと理解申し上げます。私ども気象庁では、富士山などの山岳、僻地、離島、海洋、南極などで働くのが通常の職場となっているところでございまして、職員は、あるいはおなかの中でそういう気持ちが出ることがあっても、決して外へ向かって口でそういうことを言うことはないと思います。また、私どもとしましてもそれに甘えることはなく、気象庁の伝統である遠隔僻地でも、夜でも昼でも働くという長い間の習慣の中から生み出されました慣行などを十分に配慮しながら、移転が行われるような場合には配慮をしていかなければならないと思っています。  それから、七十年前の考え方及び設備は古いのではないか、新技術に即して考え直さなければいけないのではないかという御指摘でございます。地磁気の観測は古くからある観測でありまして、現在の日進月歩の技術観測を取り入れてはおります。したがいまして、先ほどおっしゃいましたように学園都市にある大型コンピューターなども、柿岡の地磁気観測所の構内で離れていて使うことができるわけでございます。また地磁気の観測センサーそのものも、国際的な標準観測所にふさわしく世界最高級のものをそろえているつもりでございます。電車が入ってくると影響を受けてしまうということは、現在の最高級の技術水準をもちましても、直流電車に関しては防ぎ切れない状況でございまして、その点については、技術革新の時代でございますが御理解を賜りたいと思っております。  しかしながら、これが永久にそうだというわけではございませんで、技術革新の途上で新旧両地点の長周期観測のデータの接続法などがあらわれるか、あるいは移転しないでも、電車が走ってきても何らかの方法で本来の地磁気を検出する方法を開発することができれば、そのときは早速に御報告申し上げたいと思います。けれども地磁気の観測に関しましては、なかなか目の前に見えている目標というわけにはいかないと考えております。
  84. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これ以上時間がもうなくなってしまったから、なおまた別の機会にさらに今の報告を受けて質問します。  最後に、自治省にお伺いしますけれども、現在、合併したつくば市の中に幾つかの問題点があることを承知していると思うが、まずそれを自治省から、どういうふうにつかんでいるかお聞きしたい。合併後の問題です。
  85. 松田研一

    松田説明員 つくば市が合併により誕生した際のいろいろな問題についてどうつかんでいるかという御指摘でございますが、給与関係につきましては、合併直前に現在のつくば市を構成いたします五つの旧町村でいわゆる一斉昇短といったような措置を講じたというふうに聞いておるところであります。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 つくば市は五町村が合併をした。もう一つの茎崎町が残っている。その五町村が合併をしたけれども、市長選挙には筑波町は参加できなかった。四つの町村で選挙をやったのです。現在の市長は、その七四%ぐらいの投票率の中で比較多数、三二%の得票で市長になった。ちょうど韓国の盧大統領と同じような当選の仕方をしている。多数は意見がある、そういう意見があるにもかかわらず、県との合併協定を次々と破棄するような勝手なことをする。  今の給与の問題も、僕は給与を上げては悪いとは言わないが、合併祝いとして給与を上げる、きょうの読売新聞には、群馬県の何とかという村でやはりこういうやみ給与を出したことがある、そうじゃなくて堂々とこれはやったらいいじゃないかと思うのです。それで県の方から、これはまずいから五月中には何とかしろという勧告も出ているけれども、その一方で、今度は国土庁が特別給付金というものを二億二千万ぐらい出している。それで、この給与の値上げというのは固めて言うと大体一億になる、こういうことで、合併のビジョンをはっきり出さないうちに、とにかくこんなようなことばかりやっていたのでは、本当に世界に冠たる科学技術の町つくばとしての将来ビジョンを欠くのじゃないかと思うのです。もちろん、自治体だから一々自治省からああしろこうしろと言うことはあるいはよろしくないかもしれない。しかし、余りにも目に余る場合においてはその指導ぐらいはすべきじゃないのかな、こう思うのですよ。  きょうはもう時間がないから余り細かいことに触れないが、いずれ何日か後で科学技術の委員会でこの問題についてはしっかり議論をさせてもらいますけれども、とりあえず今つくば市に起こっている幾つかの問題、これはやはり将来の世界に冠たる学術の町のつくばに対してビジョンを欠くものでありますから、この点については自治省としてしっかりした目を光らせてほしいと思いますけれども、その点はいかがですか。
  87. 谷口恒夫

    ○谷口説明員 御指摘のように、つくば市合併以来、副市長の問題でありますとか市長特別補佐の問題でありますとか、いろいろ問題が起こっているのを自治省としても承知しております。御指摘のとおり、まさにつくば市として一刻も早くその合併の目的を遂げて発展してもらいたいというのが私どもの願いでございます。そういう方向になりますように今後とも十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後ですけれども、これも自治省にぜひ要望したいことだが、学園都市というのは六カ町村です。今は五つが一緒になっているが、二千八百平米というものがその学園の、従来国が直接に手をつけてきたところであり、合併した場合にはそれの何倍かの関連地域があるのですね。そこで行政水準を同じゅうする。一体行政水準をどこに一致させるのか。ある調査によると八十一億の金がかかると言っている。八十一億という金で行政水準がどこに一元化されるのか。電話の局番も、二つの電話局を通じなければ一つの市に通じない。学区は三つの学区がある。警察にしても幾つもの警察がある。こういうようにすべてやるべきことが整理をされないで、やるべきでないことについて一番先に手をつけるという逆さまな行き方については、これはやはりよろしくないと思うのですね。  そういう点で、これからこのつくば市の問題についてはしっかり議論をさせてもらいますが、きょうは農村工業導入法の法律からつくば市の方に入って恐縮ですけれども、やはり気象庁の地磁気観測所の問題にしても何にしても、農村工業をあの地域に伸ばそうとすれば、どうしてもそこで邪魔になるのが地磁気観測所の問題だから、それは労働条件も加味しながら内部から、自分たちはこういうふうに地域の要求にも沿うし、自分たちの歴史的な任務、社会的な責任、こういうものも果たしていくのだということも提案をして一緒に話し合いをするような方向でやっていけば非常にいい状況になるのじゃないか、こういうふうに思っておるものですから、あえてこの場でそういうことを申し上げた次第です。  どうもありがとうございました。
  89. 菊池福治郎

    菊池委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ────◇─────     午後一時二分開議
  90. 菊池福治郎

    菊池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢藤礼次郎君。
  91. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 今回提案されております法律案、全体としては各地域あるいは工業立地者含めて大方歓迎しているという空気はございます。私は、直接その法律案中身に入る前に、この農村地域工業導入促進法の持っている意義あるいはこれの背景になっている農山村地帯の現状をどう把握するか、あるいは今後過疎過密の進行ということが指摘されておるのだけれども、今後農業なり農村はどう変わっていくのか、あるいはそれをどうリードしていくのかという農工法の基盤と申しますか、背景ということにつきまして、二、三冒頭に質問させていただきたいと思います。  まず、国土庁が先日発表しました過疎白書、「過疎対策の現況」という冊子を大急ぎで見せていただいたわけであります。この中で、これは過疎地帯になるわけですが、「これまでのところ、全体の人口減少率は鈍化している。」「六十五年以降人口減少率は再び悪化し始め、そして、八十年には前五年間の人口減少率が約七%推計され、今後過疎化が再び大きく進むことが示されている。」こういう指摘をしておるわけです。その結果、過疎地域の人口は六十年から八十年には約二〇%減少する。拝見しますと、過疎過密の進行を憂えている立場からすればぞっとするような数字を挙げて指摘しておられるわけですが、この過疎過密、農村における過疎化の進行、その実態、今後の見通しを国土庁としてはどうとらえているかということを総体的にまずお聞きしたいと思うわけであります。
  92. 吉原孝司

    ○吉原説明員 今も過疎白書を御紹介されて申されたとおりでございますが、過去、過疎対策の緊急措置法あるいは現在の特別措置法、そういう格好で過疎対策を進めてまいりました。昭和四十年代の人口動向を見ますと、一二%とか一三%五年間で人口減少をしていたわけでありますが、最近の動向は、例えば五十五年と六十年の五カ年の人口減少率が三・一%にとどまっているという意味で、最近の人口動向というのは落ちつきが見られるという意味で、人口流出にも少し歯どめがかかったというような見方ができるわけであります。  ただし、今後どうなるかというのをある程度持っている必要があるということで、五十五年から六十年におけるそれぞれの年齢階層における人口動態がそのまま今後も継続するというように、大変大胆な仮定でございますが仮定をいたしますと、今御紹介ありましたように、今後高齢化の進展に伴って人口減少が再び進むというようなことがわかったわけでありまして、その点を今後の過疎対策考える上での一つの判断材料にする必要があるという意味で、過疎白書の中でそういうことを明らかにしたわけであります。
  93. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 同じく国土庁に関連して質問を続けさせていただきます。  三全総の時代から四全総へと進んでまいったわけですが、三全総で言ういわゆる定住構想、岩手にもモデル圏域があるわけですけれども、そういった定住構想に基づくモデル圏域を見た場合、それが目標どおり進んできた、到達したという到達度というものをどの程度に見ておられるか、私は、数字はかなり厳しいのじゃないかと思うのです。岩手県の場合は、両磐と言いまして、東磐井と西磐井のあの圏域がモデルになっているわけですが、人口増加がはっきりしているのは中核の一関市だけといってもよろしいんで、周辺の山村部、農村部は減少の歯どめがかかっていない、そう見ざるを得ない実態があるわけです。  ごく大ざっぱで結構ですが、三全総のいわゆる定住構想、定住圏設定という目標に対しての到達度をどの程度に押さえておられるか、その反省を四全総の具体的な進展の中でどう補強し、進めていかれるおつもりなのかということを、決意を込めてひとつお答えをお願いしたいと思うわけです。
  94. 吉原孝司

    ○吉原説明員 モデル定住圏という格好で、生活圏単位に地域整備をしていこうということで、三全総が定住構想を打ち出したものを受けまして対策を進めてきたわけでございますが、今御指摘のとおり、周辺部ではいわゆる過疎地域と同じような現象が起こっております。ただ、私ども現在、多極分散型国土形成促進法を御審議願っているわけでございますが、そこの中でも書いておりますように、都市というものは周辺の農村と一体となって存在するものという認識をいたしております。そういう意味で、今度の法案の中でも、地方都市の整備育成に当たりましては周辺と一体となって整備をすべしということを言っておりますので、そういう方針に沿って私ども、今後とも周辺の農村部と都市部とを一体にした整備を進めていくということで努力をしていきたいと思っております。
  95. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 もう少しこの論議をしたいのですが、時間の関係もありますので、以上二つの質問答弁も含めて、大臣、お聞きになったと思うのです。つまり、過疎化の進行というのはそうたやすく脱し得ないという指摘がありましたし、いわゆる定住構想という三全総の一つの目標も必ずしも均衡のとれた目標に向かっての進行状況ではない、こういうことも今のお答えから受けとることができるわけでありますが、こうした農山村の過疎化の進行ということに対して、農水大臣としてこの現象をどうとらえておられるかという基本を一つと、それから、その中にあって農村地域工業導入促進法の果たしてきた役割をどのように自己採点しておられるかという点についてお聞かせ願いたいと思います。
  96. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 四全総は、第一次から第三次と進んでまいりまして、昨年秋、第四次全国総合開発計画が策定をされた。その経緯を見れば、率直に申し上げて、一つの目標達成のために努力は続けておるけれども、それがどのような尺度でどのように進んできたのか答えると言われると非常に答えにくい状況にございます。どんどん進むようであれば四全総は要らなかったではないかという議論もまた出てこようと思います。やはり目的達成のために、その時代の流れを頭に置きながら、国民のニーズ、そういうことに理解される形のものを練りに練り上げて四全総というものが決まってきた。農林水産大臣になる前に私も立法府議員の立場で携わってきただけに、率直にそういう感想を持つものでございます。  農工制度が果たしてきた役割ということに限って言えば、農村地域工業導入制度によって農村地域への工業導入が促進されたということは認めていいのではないか。一般的には工業の地方分散が進むとともに、農村地域における就業機会がふえまして、農家世帯員の安定就業の促進には貢献をしておると私は思っております。工業導入と相まった農業構造改善施策の推進によって、導入された工業への就業者が農地の出し手や農作業の委託者になる等により農業構造の改善が進む事例が出てきていることも事実でございます。  地域経済が活性化しなければならないということはいろいろな場で申し上げておるところでございますけれども、地域によっては過疎化に歯どめがかかったり、あるいはまた地元に定着する若者がふえるところも出てきた。全部そういうふうにどんどんふえていっておるかと言われればそうではございませんけれども、そういうことで若者が地元に定着するところも出てきたということを考えますと、総体的に申し上げましてその効果は出てきておる、こう判断をいたしております。なおかつ、このたびの法改正によっていよいよその目的の実効が上がりますよう全力を尽くさなければならぬ、かように思っておるところでございます。
  97. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 過疎化の進行がこれ以上深刻になってまいりますと、当然のことですが、結局それと裏腹の関係上地域の高齢化が進行するという特徴が出てくるわけで、岩手の場合はそれが全国水準よりも早く出ているという実態があるわけです。高齢化が進む原因というのは、出生率が低下するとか死亡率が低下するとかあるいは若者が流出するとか幾つかあるわけですが、やはり何といっても地元に働く場がないということだろうと思うのですね。  そういった中で、やはり農業そのもの、林業そのものに対する魅力、あるいは社会的な評価、あるいはそれに対応する政策というものが他の産業部門よりも低く位置づけられている。士農工商なんという昔のランクがありましたけれども、二位じゃないですね、今や全体的な評価からすれば四位くらいに低いのじゃないでしょうか。そういった農業本来、林業本来の必要性というものをちょっと横に置いておいて、その代替措置としてこの農工法が出てきたとは私は考えたくないわけです。やはりそれは本来的な農業というもの、林業というものの大切さをきちんと大事にしながら、しかもなお農村構造、農業構造の変化に伴う雇用の場の拡大ということ、基本は農業、林業を大切にするのだということでなければならない、私はそう思うのです。そのことを一言大臣のお言葉をお願いしたいのです。
  98. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど一緒に答えればよかったのかもしれませんが、恐縮でございました。おっしゃるとおりでございます。しかし、関係各省共管をするということで、窓口は私の方が相務め、努力を誓っておるわけでございますけれども、おっしゃるように基本的には農業の持つ特殊性、食糧政策の持つ意義、あるいは農村、山村、あるいは半農半漁のところもございますから漁村等も含めて、そういう意味でその地域地域の活性化が図られるようにしていかなければならない。それは山を大事にすることである、木を育てることである、川の流れを潤沢にすることである、そして農地田畑というものが実効の上がる魅力のある産業へつながっていくということでなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  99. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 大臣にはもう一つだけぜひお聞きしたいのですが、今お答えになりましたように、農業を大切にし林業を大切にするという基本を踏まえながら農村工業等を導入する、雇用の場を拡大する、その方向はいいと私は思うのです。ただ実際、後でもちょっと触れますけれども工業導入しやすい地域となかなかそうはいかない地域とがある。後者はやはり何といっても山村地帯に多いです。東北地方、岩手をイメージして申し上げるならば、新幹線なり高速道の一本通っている縦の線、その周辺は割合に集まりやすいし導入しやすい。ところが東西の方に入っていきますと、山村に入っていきますとかなり苦しい状態がある。工業用地、工場用地は造成したがまだ入っていないという地域も残されております。そういった中で過疎地帯ほど今後大きな負担を背負っていかなければならないし、高齢化が進むとなれば地域の福祉政策というものも非常に重要になってくる。  こういう中で過疎法、過疎地域振興特別措魔法が来年度で期限切れになるという実態があるわけですね。私はこれは議会の責任として論議していくべきことだろうと思うのですが、この過疎地域振興特別措置法の目的、ここで条文は読みませんけれども、この目的に照らして、この過疎地域振興特別措置法の目的は達せられたというふうにはとらえがたい。これはむしろ今後とも必要じゃないか。来年度で打ち切れるような状況じゃないと思うのです。このことについて、大臣の農山村に対する把握を土台にしながら、今私が申し上げたことについての御所見を承りたいと思います。
  100. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 過疎法のことになりますとまた国土庁、自治省、そういうところにウエートがかかっておることになりますので、余り私が先走った見解を述べるわけにはまいりません。国土庁の方からでも後で補足をいたしてもらいたいと思いますが、やはり現実をどう見るかということによって適切な判断をすべきである。もちろんこれが延長ということになりますれば国会の御審議をお願いしなければならぬ。国会の審議をお願いするというのは極めて重要なことでございますから、そういう意味においても今私慎重な答弁を申し上げておるわけでございます。  また、岩手が高齢化が進んでおるということを申されましたが、新潟も全国的には相当高齢化が進んでおる方で、この問題は非常に社会的なあるいは社会政策的な面に大きなインパクトを与えるものであり、いろいろな政策につながる問題であります。そういうことを考えますと、それぞれの人口構造あるいはそれぞれの地域の特性、そういうことをいろいろ含めまして実情に合った地域地域の活性化をどう図っていくかということについて真剣な努力が必要である、しかも縦割り行政ではなくて横にも網を張った形での関係各省との議論というものについては不断の努力を続けていかなければならぬ、かように思っておるところでございます。
  101. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ということで国土庁の方にお聞きするわけですが、さっきお答え願った中で、過疎地域の過疎化の進行が今後ともなお予想されるというお答えがありましたし、都市周辺地域においてまだ課題が残っているという御答弁もあったわけです。過疎地域振興特別措置法のうたっている目的あるいはそれに基づく過疎地域振興のための対策の目標、こういったものについては、私は繰り返すようですがその必要性は依然として残っている、あるいはむしろ今後大切になるのじゃないかという考えを持っているのですが、国土庁どうですか。せっかく大臣が慎重な中にもかなり前向きな答弁をされているわけですが、それを十分そしゃくしながらお答え願いたい。
  102. 吉原孝司

    ○吉原説明員 先ほど過疎白書に絡んだ御質問もありましたし、あるいは今大臣の方から御答弁があったとおりでございまして、私ども過疎白書の中で御説明をさせていただいておりますように、過去の対策はそれなりに成果を上げてきたというように一定の評価を与えております。と同時に、なお今後とも大きな課題を抱えておるというようにまたあわせて問題意識を持っているわけでございまして、そういう観点からいきまして、今後とも過疎地域に対する対策を充実強化する必要があると私ども考えております。  ただ、それをどういう格好でやったらいいのかというのは、これまでの成果あるいは現状というものをさらに分析を加えて、その中でより有効な対策として構築していく必要があるだろう。特に過疎対策特別措置法は御承知のとおり議員立法でもございますので、国会の先生方とも十分御相談をし、お知恵をおかりしながら一緒に考えさせていただければと思っております。
  103. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この問題については今お二方から御答弁をいただきましたので、かなりの共通認識に立ったと私は理解いたしております。今後の課題として、議会側も責任はあることでございますから、関係省庁と十分意見を交換しながら、この問題については悔いを残さないように過疎地域振興のために私ども努力をしてまいりたい、これからも努力をお願いしたいということでこの問題は打ち切らせていただきます。国土庁どうも御苦労さまでございました。  次に、法案の内容について二、三御質問申し上げたいと思います。  新しく「工業等」ということで四業種が追加になるわけでございますが、さっき冒頭に申し上げましたように、歓迎するという空気は確かに強うございます。ただ、地域によっての適合、不適合があるのではないかという気がする。これは四業種とも流通関係の業種でしょう、とすればある程度まとまった工業団地とか交通の利便というものが、この業種を追加したことによってプラスになるかならないかの違いが出てくると思うのです。そうしますと、今問題にしております過疎地域なりあるいは幹線から離れた山村には、この四業種追加は必ずしもプラスになるという予測はできないのではないかという指摘もあるわけです。そうすれば一体どう努力するんだということになるわけですが、この辺について、ちょっと難しい質問になるかもしれませんが、ひとつお答え願いたいと思うのです。
  104. 松山光治

    松山政府委員 工業導入のされ方が地域によって大分違いがございますし、そういった十分な導入が行われておらない地域の問題は私ども大変重視いたしておりまして、従来からこういう地域に重点を置いた指導に努めてきておるつもりでございます。  御指摘のように今回の改正に伴います四業種の追加は、工業とのかかわり合いの強さでございますとか交通条件といったようなことからいたしますれば、工業導入の進んでおる地域に比べればやや立地条件等の点でマイナス面があるというふうには思いますけれども、今回の改正におきましてはこれまでの導入状況を頭に置きながら、そういった地域への工業導入の促進に資するための措置ということで都道府県が広域的な観点から実施計画をつくり、関係の市町村と一緒になりまして工業導入努力する、そういう制度も新たに導入したわけでございます。こういう制度によりまして、なかなか市町村単独では企業の誘致が難しいといったような地域についてもさらに一層の発展の可能性が出てくるのではなかろうか、このように我々としては考えておるわけでございます。  それから、法律制度ではございませんが、今度、ことしの四月から新しい金融上の優遇措置ということで、不安定な兼業農家が多くて特に就業の場の確保の必要な地域を対象にいたしまして、ほかの農村地域の場合に比べますれば一段と低利の融資を開銀なり中小公庫なり国民公庫から行うといった措置も講じております。さらに、世の中情報化社会でございますから、必要とする情報を企業にもどんどん出していくといった活動が必要でございますけれども、従来からの農村地域工業導入促進センターの活動に加えまして、パソコンシステムを利用いたしました新しい立地情報システムをことしから始める、こういった措置の活用を通じまして企業導入を進めていく。また、各地域におきましてもひとつこういった措置を有効に活用していただきまして頑張っていただきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  105. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 次に、すべて関連するわけでありますけれども農村地域工業導入促進法に対する附帯決議、昭和四十六年五月十九日の附帯決議でありますが、この中で幾つかの項目があるわけですけれども、二つほど取り上げてみたいと思うのです。  「導入される工業は、公害をもたらすおそれのないことを旨とし、公害防止対策に万全を期する」云々とあります。団地の規模によるでしょうけれども、排水の処理に苦労しているケースが多いのではないかと思うのです。自主管理に任せておるというところも非常に多いと思うのです、団地の規模からすれば。そういった排水、公害対策について「公害をもたらすおそれのないことを旨とし、公害防止対策に万全を期する」という視点から今までの経過の中で何か事故がなかったか、あるいは総括した場合にこの問題についてはどう総括されるかということが一つと、同じく附帯決議の中に「積雪寒冷地帯の工業導入については、特殊事情を考慮し、その円滑な導入が図られるよう配慮すること。」とあるわけですけれども、積雪寒冷地帯の工業導入についての配慮、努力というものがどのようになされて、効果がどのように出ているかということを二項目、簡単で結構ですからお聞かせ願いたいと思います。
  106. 松山光治

    松山政府委員 工業農村への導入に伴いまして農村の環境に悪影響が及ばないように公害防止の面では格段の注意をするように、基本方針等におきましても考え方を明らかにしておるところでございます。今御質問のございました排水処理の問題等につきましては、共同排水処理施設設置等についての税制面での配慮も行っておるところでございまして、今までのところ私どもは、そういった処理をめぐって非常に問題があるという報告を聞いておらないところでございます。  積雪寒冷地への工業導入の問題でございますけれども、本制度のこれまでの運用面におきまして、まずは基本方針に、積雪寒冷地等の安定した就業機会が不足しておる地域に重点を置くというのを非常に重要な目標の一つとして指導に努めてきておるところでございます。諸般の事情から地域間で導入状況に差があることは先ほども申し上げたところでございますが、今回の改正におきます広域的な実施計画制度の活用等々を通じまして、今後ともひとつそういった地帯への企業導入の問題ということもよく考えていきたいと思っております。
  107. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 次に、同じく附帯決議の中に、私にとっては注目すべき文言があるわけですが、「進出企業と地場産業との相互協和を図るとともに、当該地域の発展に貢献してきた地場産業の育成につき、十分な配慮をすること。 なお、とくに農協系統を中心とした工業の積極的な導入とその育成に努めること。」こういうのがあります。その前段の地場産業と進出してきた企業との相互協和という問題について、例えば部品なり原材料を現地調達したいとか、あるいは部品の製造を委託したいとか、あるいは清掃委託とかそういったことを、必要性はあるんだが地場のそれにこたえる体制が必ずしもできていないという実態もちらほら聞くわけであります。  地場産業と進出企業との連携、地域によって違うでしょうけれども、製造委託あるいは清掃委託、処理委託などの外注の三分の一くらいしか地元企業が対応してない、あとは頭を越して遠くに外注しているという例も多いわけです。そういった意味で、周辺の、つまり地場産業の力づけをする、必要なところには設備投資をしてもらいながら共存共栄するという体制を目指すべきだと思うわけです。この点についての取り組みなりお考えをお聞きしたいということが一つ。  それから、後段にありました農協系統のいわゆる育成と申しますか、農協系統を中心とした工業の積極的な導入、この問題については私はもうちょっと質問を続けたいと思うのですが、非常に重要な部分だと思うのです。というのは、農工法の趣旨は必ずしも外部から連れてくる者だけを対象にするのじゃなくて、地場の資本あるいは地場の産業と結びつけて地場の一次産業も底上げするということにしながら、そこで加工業なり付加価値を高める業を興していく、これも私は当然含まれるだろうと思うのですが、そちらの方に大きな希望を見出していかなければならない。  特に、岩手のことが再三出て恐縮なんですが、つくることは、第一次産業生産することは得意だけれども、それに付加価値をつけるという一・五次産業というのでしょうか、これが決定的に不足している。これを興すのはだれかということになりますと、大きな企業なりに頼るのは一番簡単な方法ですが、全国的なネットワークを持っておる農協がこういった地場との結びつきを密接にしながら、地場の産業を生かしながら一・五次産業を興していくという方に農工法が結びついていけばすばらしいことになるんじゃないかと思うので、後段の部分についてもあわせてお答えを願いたいと思うわけです。
  108. 松山光治

    松山政府委員 地区外からの工業導入だけではなくて下請の問題も含めまして、あるいは農協という事業体の問題も含めまして地場産業をあわせて育成していく、非常に重要なことであるというふうに認識をいたしております。そういう観点から、基本方針におきましても、既存企業との機能分担に配慮いたしました企業導入、あるいは地元の中小企業の育成の重要性といったような考え方を明確にしまして都道府県等を指導してきておるということをまず申し上げておきたいというふうに思います。  そういうことで、地場産業の育成のための施策ということになりますれば、私どもだけではなくて通産省初め関係省でそれぞれおやりになっているということになるわけでございますけれども、通産省におきましても、中小企業の育成といったような観点から各般の施策を講ぜられております。私どもにおきましても、地域の食品振興対策でございますとか、いわゆる定住促進対策、山村振興対策といったような施策を活用いたしまして、特に私どもの場合には農林水産物の加工を行う地場産業ということが中心になるわけでございますが、そのための施設整備その他についても助成、援助をしてきておるというのがこれまでの経緯でございます。  その一環といたしまして、農林水産物の加工事業に取り組もうとする農協につきましては、特にその施設設置に対しまして、これはいろいろな事業がございます。農業構造改善事業などにも、そのメニューの一つになっておるわけでございますが、地域定住対策あるいは山村振興対策といった幾つかのメニュー事業の中で助成を行ってきておるわけでございます。こういったこともございまして、近年加工事業を実施する農協の数が増加する傾向にございまして、私ども押さえております数字では、六十一年度で七百近い組合が加工事業を実施しておるというふうに承知いたしておるわけでございます。  それから、地場産業の育成の問題と密接不可分な関係にございます下請企業の問題でございますが、これも工業導入が円滑に進むための非常に重要な条件の一つだろうというふうに考えてございまして、そういった意味で、下請企業の育成ということを基本方針に明記いたしまして、関係省庁とともにその推進に当たっておるところでございます。  私どもの行っております施策についてとりあえず御説明申し上げたいと思います。  先ほど来申し上げましたような各種のメニュー事業を活用いたしまして、農村地域導入されました企業から下請作業を共同で行うための施設整備等をこれまでも行ってきたところでございますけれども、特に本年度から、今回の法律改正にも合わせる形で新たに農山村地域企業導入特別推進事業というちょっと長い名前の補助事業でございますが、これを仕組みまして、下請用の共同作業施設等の計画的な整備を推進する、こういう体制をとっておるところでございます。
  109. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 この地場産業の振興あるいは一次産品の加工、いわゆる一・五次産業の振興という点で関連して申し上げたいわけですが、この前の委員会の最後部分で、私、水田の全面活用ということで大臣からも丁重なお答えをいただいたわけですが、水田を全面活用していく、人間の食べる食糧と家畜の飼料、そしてもう一つ、三つ目に燃料をつくろうじゃないかということが既にアメリカ、ブラジル等で実用化している、原料は違いままけれどもね。そして、既にガソリンにアルコールをまぜて走っている車もあり、アルコール専用車も走っているという実態が進んでいる、そのことも御指摘を申し上げながら、多収穫米を原料とするアルコール製造、この場合はいろいろな税金とか制度等の縛りがあると思うのですけれども、それは必要に応じて変えていけばいいんです。アルコールをつくって、ガソリンに一五ないし二〇%混入する、そのことによってオクタン価が上がる、今までのエンジンでそのまま使える、こういうことから、農村地域における米のエネルギー化システムの開発に関する研究というのが一部のグループで進められているわけで、多分冊子をお上げしてあると思うのです。  この中には、途中経過の中でお聞きしたんですが、農水省では農蚕園芸局、通産省では基礎産業局がタッチしている、あるいは接触しているということも私なりにお聞きしているわけですけれども、この多収穫米を原料とする米のアルコール化、燃料化ということについて、ローカルエネルギーの開発ということもこの農工の第四次方針にあるわけですね。それから附帯決議の中にもあるわけです、ローカルエネルギーという観点から。そしてまた、一面でいえば、きょうは直接の目的じゃないんですけれども、減反政策を転換して水田を全面活用するという非常に大きなテーマにもぶつかるわけですが、そういったローカルエネルギーの開発、地域における米のエネルギー化システムの開発という点について、両省のお考え、それから今までの経過でお知らせ願える点があったらお聞かせ願いたいと思います。
  110. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 この前の先生の御質問のときに、大臣から大変水田は大事なのでそれを守っていくためにというお答えを申し上げたわけでございますが、その中でも、水稲をいろいろな面で多用途に使えるものであればできるだけ広い用途に使おうということで、私ども品種開発等もやっておるわけでございます。  今のエネルギーの問題も、例えばもみ殻を燃料に使って米の乾燥ができないか、そういうプラント化をするとか、あるいは稲わらをもう少し多用途に利用できないか、いろいろなことをやっておりますが、米をアルコール化するということは民間でも御研究をなさっておるということを伺っておりますけれども、今のままでは、お米をアルコールにするために使うエネルギーというのはかなりかかりますので、そこを何とかしない限りなかなか実用化はできないのではないかということで、私どももそこのエネルギーをできるだけ少なくて済むように、具体的には米をエネルギー化していく場合には、お酒をつくる場合と同じでございますけれども、蒸して、蒸煮して発酵させるということになるわけですが、それを蒸さずに生米あるいは生芋からいきなりブドウ糖をつくる、あるいはそれからアルコールをつくるということについては、私どもで新しい菌を見つけてかなりそれを使って今やっております。  それを今度は高濃度に濃縮するというところでまたエネルギーがかなり要りますので、そういうところは今度は膜利用等をしていきませんとなかなか使えないのではないかということで、個々の部分部分の技術開発ということは現在やっておりますけれども、なかなかそれを開発あるいは事業化というような段階にはまだ立ち至っていないというのが実態でございます。このほかに、農村の未利用資源の利用だとか、いろいろな面で農村にあります、潜在する資源をできるだけ有効に使っていくという点でいろいろな試験研究に特に取り組んでいるところでございます。
  111. 岡林哲夫

    ○岡林説明員 通産省といたしましては、燃料用アルコールの製造技術の開発といたしまして、現在新エネルギー総合開発機構と燃料用アルコール開発技術研究組合におきまして、低廉な農林産廃棄物を原料といたしましたバクテリアによるエタノール新生産技術という研究開発を行っております。またそのほかに、新燃料油開発技術研究組合におきまして、アルコールと石油製品との混合利用を可能にするための技術開発等を行っておるところでございますけれども、こうした成果は当然米からのアルコール生産についても生かされていくわけでございますが、先ほど農林省の方からもお答えがありましたように、現状では原料価格が割高であるためにどうしても経済性の面で問題がございますので、先ほど申しましたような研究開発を鋭意行いまして、より新しい技術開発を行っているというところでございます。
  112. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私に与えられた時間が残り少ないので、余り詳しく論議できないのが残念ですが、私もただ資料だけ眺めて申し上げているのではございません。岩手県の醸造試験場と提携しまして、もみの状態からいきなり発酵させるとか、私も農芸料の出身ですから先ほどの御答弁よくわかるのですが、熱源を農村自体に求めるということは、高い温度は必要としないわけですから簡単だと思うのです。減圧蒸留という手もあるわけでございまして、田舎の小さな川の流れを利用してサッカーをつくる、サッカーというのは吸引機ですが、減圧蒸留もできるという研究もしてもらっておる。そういったことを積み重ねながら、私どももいろいろな角度から勉強しますから、うたっております農協にふさわしい事業、と同時にローカルエネルギーの開発にふさわしいテーマだと思うので、両省に対してこの問題についてはひとつ熱心に前向きの姿勢で取り組んでいただきたいということを要望申し上げたいと思います。その点については質問を終わらせていただきます。  最後になりますが、今度の法改正に当たって計画を達成するための措置というものを四省からいただいた資料の中で拝見しているわけでありますが、その中から二点ほど取り上げて質問を申し上げたいと思うわけです。  その一つは、税制上の措置としまして、農用地等を工場用地造成のために売り渡した場合に、譲渡所得に対する特別控除ということがうたわれているわけですね。現在は五百万円までとなっているはずです。ところが、現地に実際行ってみますと、工場用地ですからかなり広い山林原野をまとめて買うという場合があります。例えば一町歩当たり五百万円のところで大抵二、三町歩まとめて売るというケースが出てくる。そうしますと五百万を超えるわけでして、どかっと税金がかかってくる。それでこれはどうもという声が、売る方にも、市町村、自治体、取得する側にもあるわけです。  土地収用法の場合は三千万でしょう。公共用地で買収する場合もたしか三千万ですね。ですから五百万というのはいかにも低いのではないか。三千万とは言わないけれども、せめて千万、二千万の線というのが妥当ではないかという声もあるのです。これは私ども強く要望しておきますので、まずこのことについての御答弁をお願いしたい。これが一つ。  それから二つ目は、ひっくるめて申し上げますが、資金調達のためにいろいろな制度金融を利用するということで、この資料の中にも、例えば農林中金から資金の貸し付けを行うとか、それから先ほど触れられました新規の金融措置として、日本開発銀行、北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫といったところを対象とする制度資金の融資ということが打ち出されているわけですが、ケースケースによって違うと思うのですけれども、利率が高いという声があるわけです。  というのは、金利が自由化されまして、市中銀行との取引を持っている企業にお聞きしますと、歩積み両建ての時代はもうとっくに過ぎてしまっている、取引銀行との話のしようでは五%を割る利率で借りられると言うのです。そういう時期に来ているということで、制度金融の中には七%とか、中には六%というのもあったはずですが、今どうなっているのでしょうか。農林中金とか中小企業金融公庫とかを含めて、今申し上げたいろいろな制度金融についての金利の問題、そして借りやすさ、書類がこんなになるとか、それからこれは金融とは関係ありませんが、四、五十万の補助金をもらうための書類をつくるのに一人のお役人様が三カ月ぐらいかかる場合がある。月給二十万として六十万、六十万の人件費を使って四十五万の補助をもらうという笑い話があったのですが、そういう手続上の簡略等も含めて、通産省と農水省、両省にそのことを質問して終わらせていただきたいと思います。
  113. 松山光治

    松山政府委員 まず農地等の譲渡所得についての特例の話でございますけれども、御指摘のように制度といたしましては三千万、二千万、千五百万、五百万という四種類の特別控除がございます。ただこれは私権に対する制限の度合い、それから使途の公共性の有無といったようなことでこういうランクになってございまして、今の三千万の場合には、土地収用法に基づく強制収用権の認められた公共事業にかかわるものが一番高いということに相なっておるわけであります。農工団地内の農地等を工業用地のために譲渡したという場合には、農地保有合理化等のために農地等を譲渡した場合と同様の五百万が適用されておるわけでございますが、これは私権に対して強制的な制限があるわけでもございませんし、使途も私企業のためだということでこういう現状になっておるというふうにまずは御理解をいただきたいわけであります。  ただ、現行の五百万、これは昭和五十年からの据え置きでございます。その間の農地価格の動向から見ますれば、今の水準が適切かどうかということについてはいろいろと議論があるということは私どもも承知はいたしておりますが、今申し上げましたような全体としての税体系の中でどのようにこれを考えていくかということでもございますので、私どもとしてはその取り扱いについてはこれからも関係当局ともいろいろと相談していきたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。  それから、金融の問題でございますが、一つは政府金融機関からの融資を予定しておるわけでございますが、日本開発銀行なり中小企業金融公庫なりそういった政府金融機関からの融資につきましては、資料にも出しておきましたように、今回特利制度を設けまして五・四あるいは五・二といったような低利での融資が可能なような措置をとったところでございます。  一般金融機関からの融資と提携する形で農林中央金庫からの融資もできる道を制度上開いておるわけでございますが、農林中金の金利水準につきましては、これは民間の金融機関の一つでございますので、自主的な判断によって定められておるというふうに承知をいたしており、非常に高いものだというふうには私ども聞いておらないわけでございます。  なお、いろいろな事務手続の問題、私ども必ずしも実情を承知しておるわけではございませんけれども、できるだけ簡便なものにするような努力は必要だろうというふうに考えております。
  114. 桐山正敏

    ○桐山説明員 ただいま農水省の方からも御答弁がございましたけれども、今回の措置では中公、国金の方から特利ということで五・四%の金融が用意されておるところでございますが、この金利につきましては、今全体的に民間の金利が下がっておるという状況もございますが、この制度金融といたしまして財政投融資を原資としておるというような事情もございまして、制度的にそういう金利ということで決められたところでございまして、決して不当に高いというようなことではないかと思っております。  なお、事務手続につきましては、先ほど農水省の方からお話がありましたように、そういった際に、とかく書類審査等に時間がかかるとかいう声も聞いてはおりますので、できるだけそういうことのないように迅速に対応するように関係機関を指導していきたいというふうに考えております。
  115. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 終わります。
  116. 菊池福治郎

    菊池委員長 水谷弘君。
  117. 水谷弘

    ○水谷委員 法案の質疑に入ります前に、既に同僚議員からも質問がございました牛肉、オレンジ日米交渉の問題につきまして冒頭お尋ねをいたします。  大臣、報道によりますと、お体を傷められるような思いで大変一生懸命頑張っておみえになりました。もうすっかりお元気になられたのかどうか心配でございますが、総括的に、私の実感といたしまして、かつての交渉に見られないような粘り強い、また我が国農業をめぐるいろいろな問題をしっかり体して全力で交渉に当たられた、このように私も評価をいたしております。しかしながら、相手のあることでございまして、我が国の中ではアメリカの強硬な態度に対する怒りの声も各所に出ているわけであります。  いよいよガットの場に舞台が移されてきたわけでありますけれども政府としてもあくまでも二国間における交渉を通じて早期にこの問題の解決を図っていきたい、こういう見解でおられるわけでありますが、アメリカの方からも、きょうのお昼のニュースでは財務長官のお話やら、また昨日の夕刊では国務長官の見解などが伝えられております。いずれにしても、二国間でこれを早期に解決することを双方の政府が望んでいるわけであります。しかしながら、そこに越さなければならない問題点がたくさんある、そのことも私はよく承知しておりますし、昨日の参議院の委員会における大臣答弁等も私は伺っておりますけれども、改めてこれからのこの問題に関する交渉に臨まれる政府考え方、それからまた見通し、それについて冒頭お尋ねをしておきたいと思います。
  118. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 いろいろ御心配をかけて恐縮に思っております。  牛肉かんきつ問題につきましては、去る四月二十六日から五月五日まで訪米し、ヤイター代表と協議を行ってまいりましたが、残念ながら合意を得るに至りませんでした。  我が方は、国際化の現状を踏まえながらも、基本的には自由化困難との立場に立ちつつ、日本農業の将来にとり最善解決策を見出すとの観点から、国内の政治経済情勢にかんがみて、許容され得るぎりぎりの提案を行ったところでございます。しかしながら、米側は我が方提案を正当に評価しようとせず、従来どおりのかたい態度に終始いたしましたことはまことに遺憾でございます。  また、今回の協議がこのような結果となったため、五月四日のガット理事会において米国及び豪州の要請に基づき、牛肉かんきつについてパネル設置決定されたところでございます。  今後の対応につきましては、我が国牛肉かんきつ生産の存立を守るという基本的立場に立ちまして、生産流通消費の各般にわたりましてその責任を私どもは果たしてまいらなければならぬ、そう思っておるわけでございます。  お昼のニュースは、私は参議院本会議あるいは政府・与党首脳会議に出席をしておりましたために見ておりませんけれども、いろいろな評価、いろいろな批判、いろいろな反応がこのたびの交渉の結果としていろいろ出てくると私は思います。そういうものを頭の中に入れながら、ひとつ今後の対応策というものを考えていかなければならぬだろう。基本方針には変わりはございません。
  119. 水谷弘

    ○水谷委員 ぜひそういうことで最後までひとつ闘っていただきたい。これはもう表現不穏当かもしれませんが、闘う姿勢でひとつがっちりやっていただきたい。  また、いろいろ検討されているということで報道されておりますが、確認でございますけれどもガット牛肉かんきつ、いわゆる牛肉かんきつセットでパネル設置ということに決まっているわけでございます。紛争処理としてそれが行われるわけでありますが、パネル牛肉牛肉、オレンジはオレンジでと、こういうふうな要請を日本政府としてはしていきたい、こういうような報道がなされておりますが、その線というのは検討し、進めておられることなんでしょうか。これは細かいことですので、局長に御答弁いただければ……。
  120. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 お答え申し上げます。  五月四日のガットの定例の理事会で、牛肉かんきつにつきまして日本のとっております輸入制限等についてガット上の判断を求めるという趣旨でパネルの設立がなされたわけでございますが、具体的なパネリストをどなたにお願いするのかあるいはパネルが取り上げるべき事項、これはタームス・オブ・レファレンスと言っておりますが、そのタームス・オブ・レファレンス、パネルの役割というものをどういう表現で具体的に規定をするのかといったようなことにつきまして、理事会の議長と関係国でございますアメリカ豪州等協議を進めながら理事会の議長が決定をしていくのだということを理事会から委任をされておるわけでございますので、今後できるだけ早い期間にそういう御相談があるという前提で私どもは取り組んでいるわけでございますが、今委員の方からお話のございましたように、具体的なパネルの設立の態様につきましては、かんきつ牛肉については当然生産なり貿易の実情というものが異なっておりますし、関係国も相違がございますので、基本的には違ったものがそれぞれ独自の主張ができるような態様のパネルの設立がやはり望ましいという基本的な考え方に立っております。わけても前回の十二品目問題のパネルリポートの理事会での採択の際に、十二品目を一括して一つのリポートの中に盛り込まれたためにこれを分割して処理できなかったという大変残念な経験がございますので、そのことも十分念頭に置きながら、牛肉かんきつパネルでの日本側の対応パネルの組織なり態様のあり方の面から日本にとって不利益にならないように、最良の構成のもとにスタートができるように努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
  121. 水谷弘

    ○水谷委員 ぜひ御努力をお願いをいたします。  本当に佐藤農水大臣、重大な時期に大臣についておられ、佐藤大臣であればこそこれらの難局を乗り越えられるものと私も思っております。どうぞ国民の、また特に生産者消費者の皆様方の御期待にこたえていただきまして、譲れないものは断じて譲らない、その基本に立ってひとつ最後まで御努力をお願いを申し上げておきます。  それでは具体的な農工法の法案の問題について、何点か御質疑をさせていただきたいと存じます。  今回改正になるわけでございます農村地域工業導入促進法、昭和四十六年に法律が施行されて今日に至っているわけでありますが、いろいろ資料をちょうだいをいたしておりまして検討させていただきました。概要は私も把握をしておるつもりでございますけれども、この法の所期の目的であった農村地域における安定的就業の場を提供するという目的、それに沿ってこの法のもとに事業が今日まで推進をされてきたわけでありますけれども、過去十七年間この事業が今日まで推進をされてきた、そのことを細かくお聞きするわけじゃありませんけれども、総括をして、どういうふうに今日までこの事業を総括をされておるか、所期の目的がどこまで達成をされてきたか、それらを踏まえて今回の改正に踏み込んでこられたわけでありますけれども、今後どういう対応を基本的になさろうとしているのか、その点について総括的にお伺いをしておきたいと存じます。これは直接の担当である農水省、さらにはいわゆる企業導入のお立場に立っておられる通産省、さらには現地でいろいろな雇用の問題を取り扱っておられる労働省、あわせて御答弁をいただきたいと存じます。     〔委員長退席、月原委員長代理着席〕
  122. 松山光治

    松山政府委員 まず窓口でございます私どもの方から総括的に、これまでのこの制度の果たしてきた役割なりこれからの取り組み方についてお答えを申し上げたいと思います。  四十六年以降の制度の実行の中で、操業中の企業は既に三千四百を超えており、地元の雇用者が二十一万余、そのうち農家世帯からの雇用者が十万弱、こういう現状にあるわけでございますが、そういう実態を見ましても、工業の地方分散を進めますとともに、農村地域におきます就業機会の増大、農家世帯員の安定就業の促進という点に貢献してきたと私どもとしてはまずは考えておるわけでございます。同時に、工業導入と相まちまして農業基盤整備事業その他、関係農業改善施策を推進しておるわけでございまして、賃貸借あるいは受委託といった形での農業構造の改善を進めている事例もあちこちに見られるといったような状況になっておるというふうに認識をいたしております。これらを通じまして、地域経済の活性化、過疎化への歯どめもかかり始めるところもあるといったようなことで、いろいろと問題を抱えながらもそれなりの成果を上げてきたのではなかろうかというふうに考えております。  今、問題というふうに申しましたが、やはり地域によりまして導入の程度にある程度の差があるという現実が一つあるわけでございます。私どもとしては、そういう意味で、かつこれからますます農業構造の改善を進めなければならない。そのためには農村地域におきます安定的な就業機会確保が非常に重要な課題になっておる。こういう現段階における課題、さらには産業構造の変化の見通し、状態といったようなものを踏まえまして、今回御提案を申し上げておりますような導入対象業種の拡大と広域的な観点からいたします実施計画の制度といったようなものを通じて、さらに一層の農村地域への工業等の導入という課題に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  123. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  通産省におきましても、農村地域工業導入促進法制定以来の成果につきましては、他の地域産業立地法案等との関係もありますが、そういった関連法案のいわば誘導効果とあわせて考えますと、今日まで工業の地方分散は全体的には順調に推移してきたのではないか、こういうふうに評価しております。  ちょっと具体的に申し上げますと、大都市部における工場敷地面積は最近十年間で約一五%減少しております。一方、フローベースで見ました新増設でございますが、これは敷地面積ベースで見ますと約七割が地方に立地しております。その中で農村地域への立地を見ますと、全体件数の六割、敷地面積でも約六割、こういうふうに農村地域への新増設の立地も盛んになっているというふうに理解しております。いっとき確かに経済情勢が悪いときには全体的に大変件数が減りましたけれども、最近は年間大体二千五百件くらいということになっておりまして、最近の内需拡大といった政策効果もございまして順調に立地件数がふえておりまして、これも今申しましたように地方への分散が進んでおる、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  124. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 労働省におきましても、農工法施行以来、農業従事者の転職したいという希望のある場合の就職の促進、また農村地域における雇用機会の増大、開発に努力してまいりました。  まず就職関係で申しますと、やはり転職希望者の方々の相談に乗る必要があるし、また、相談の上、農業従事者の就職あっせんを専門的に行う機関を設けて行うことがより効率的でもありますし、きめ細かな指導、紹介ができるということで、相談員を配置いたしますとともに、農村人材銀行を設置し、必要な職業訓練を施すとか、あるいは職業転換給付金を支給する等の措置によりまして就職の促進を図ってまいりました。最近の実績を申し上げますと、昭和六十年度では相談をいただきました件数が約十六万件、うち求職を申し出た者が一万一千名、就職に結びつきました者が七千二百ということでございます。六十一年度につきましても十五万件の相談があり、九千六百件の求職の申し込みがあって、五千五百件の就職が達成いたしております。  また、雇用機会の開発、創出につきましては、農工法の施行を関係機関と協力して実施し、安定的な雇用機会が得られるように努力してまいりましたし、また労働省として、地域雇用開発等促進法という法律がございますが、その法律を活用いたしまして地域指定を行い、きめ細かな指導等を行うことによりまして雇用機会の創出を図り、農業従事者の転職、就職の促進に努めてきたところでございます。今後とも、新法が成立いたしましたならば、この法律が策定されました精神にのっとり、なお一層の努力を重ねてまいりたいと考えております。
  125. 水谷弘

    ○水谷委員 それぞれお答えがございました。  マクロ的に把握をすれば、ただいま仰せのとおり、この法によって工業の地方分散さらには農村地域の経済の活性化、そういう面では大きな役割を果たしてきたことも事実であろうと思います。しかし、五十一年九月に策定された第二次の基本方針の中でも指摘をされておりますとおり、地方格差といいますか、これが本当にこの法によって成功した地域と、計画は立てた、また企業誘致の態勢は整えたけれども、なかなか導入がされない、そういう遠隔地、山村地域、過疎化の急激に進んでいる地域、こういうところに対してその都度鋭意取り組んでこられたわけでございますけれども、まだまだその点については確たる効果が発揮されていない。  いろいろな数字がございますけれども、例えば実施計画を策定している市町村の中で八三・七%に相当する八百八十市町村で企業の立地決定をしている、こういう数字がございます。しかしその反面、工業用地すべてに企業が立地している導入済みのものは三百十六市町村、三〇・一%、あとの五百六十四市町村、五三・六%は用地の一部に企業が進出している、一部導入の市町村がある。これに対して企業の立地が全く決定していない市町村が百七十一、一六・三%、こういう数字になっております。この実態をいろいろ検討をし、それへの対応を御苦労しておられることはよくわかりますけれども、これらの企業立地が全く決定していない地域についてどういう問題点があるのか、またどういう対応をしておられるのか、細かいことで恐縮でございますけれども、お尋ねをしたいと思います。  もう一点、お出しいただきました資料の中に、私の方からお尋ねをして農工地区企業の倒産件数というものを出していただきました。五十九年が八件、六十年が十六件、六十一年が十七件、こういう数字が出ておりますが、この倒産の主な理由といいますか、企業が倒産に至った背景、いろいろあると思いますけれども、検討に値するような要因で倒産が発生しているとすれば対応しなければなりませんので、この点もお尋ねをしておきたいと思います。
  126. 寺西大三郎

    ○寺西説明員 ただいまお尋ねのありましたまず最初の問題でございますが、地域によって導入状況に非常に差があるのではないかという点でございます。確かに全体といたしましてはこの制度は地方への工業の分散に大変貢献していると思うわけでございますが、御指摘のとおり、地域によりまして全く導入されない、あるいは一部しか導入されずに広い面積が未分譲であるというものが残っているのは事実でございます。ただ、そういったところにつきましてはそれなりに問題があるわけでございまして、例えば高速交通体系がまだ整備されていない団地である、あるいは取りつけ道路が不備な団地である、その他立地条件等々によりましてなかなか導入が進まない。場合によりましては企業誘致の仕方についてもなお努力すべきところがある、こういったものもございます。ただ、遠隔地全般にこういった問題があるわけでございますけれども、私どもの調査によりますと、全国の立地件数の中で遠隔地の立地件数のシェアは昭和四十四年には七・五%でございましたが、六十二年には一七%にまで伸びております。ということで、全体としては遠隔地だから立地しないということではなくて、高速交通体系整備その他によりまして次第に立地が進んでおるわけでございます。  私どもといたしましては、導入が進んでいない地区に対して重点的に企業立地を図るよう市町村、都道府県を指導いたしておるわけでございます。今後ともこういった努力は続けたいと思いますが、さらに今回の改正におきまして業種を四業種追加いたしましたこと、それから新たに政府金融機関からの低利融資制度を設けた、こういったことによりまして一層の立地が進むものと期待をいたしておるわけでございます。     〔月原委員長代理退席、委員長着席〕  次に、二番目の御質問でございました倒産の問題でございます。非常に貴重な農地を転用してもらってその場所に立地をする以上は倒産というようなことがあってはならないのは当然でございまして、私どもといたしましても優良な企業の、成長性のある、あるいは安定性のある企業の導入を図る旨基本方針にうたい、また地方自治体を指導してきたわけでございますが、今御指摘のような件数の倒産が実際に発生いたしております。企業は非常に激しい競争の中で企業活動を行っておりますので、倒産ゼロというのは無理かと思いますが、どうしてもやむを得ず発生しておるというふうに考えるわけでございます。ただ、ただいまの件数は、現在農工地区で稼働中の三千四百企業に対しまして年間で大体〇・三%から〇・五%の発生率だと思います。これは、全国押しなべての平均的な製造業の倒産比率に比べますと、かなり低いものでございます。ということで、あってはならないことでございますが、比較的には低いということは言えると思います。  なぜ倒産したかという事情につきましては、必ずしも傾向的にこうであるという具体的な御説明をするような要因は見当たらないわけでございまして、受注が減って売れ行きが不振になった、あるいは資金繰りに行き詰まったというような一般的な倒産事例が多いように聞いております。
  127. 水谷弘

    ○水谷委員 遠隔地に従来に増していわゆる工業用地が開発をされている、そういうことで立地がなかなか進まない、こういうお答えもございましたが、現実、冒頭御答弁がありましたように、高速交通体系の未整備または域内道路が連結されて整備をされていない、さらには現地の雇用環境といいますか人材の問題とか、いろいろな問題が複雑に交錯してなかなかそこが開発をされない、企業誘致がされないということだと思います。だからこそ国が本格的にそういう地域については取り組みをしてあげなければ、いつまでたってもそこは開発をされていかない、地域の活性化が起こらない、そういうことでございますので、今回のこの法改正が、第四次全国総合開発計画でもうたわれている地域振興策として明確に機能を果たせるようにあらゆる角度からこれは対応をしていただきませんと、今回、広域的な取り組みの手法を導入する、税制金融のさらに一層強化をした措置をとられた、また、新たに四業種を参入をされた、これらはごくごく一部分の問題であって、総合的にこの法が過疎地域や農山村の活性化のために本当に機能を発揮していくためには、もっともっといろいろなことを本格的にお取り組みをいただかなければならないだろう、そういうふうに考えるわけであります。  進出をされる企業の側としてみれば、あくまでもこれは慈善事業ではございません。企業は、その企業の存亡をかけてやはりその地域に進出を図るわけでありますから、企業が追求する経済合理主義というものがどこまでも優先されなければ企業の進出などというのはあり得ないわけです。そういう観点から、これを推進するのにはもう一ひねり二ひねり真剣な、具体的な対応が必要だな、こういうふうに私は思えてならないわけであります。  その点についてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  128. 松山光治

    松山政府委員 今まで必ずしも工業導入が十分行われておらない、安定的な就業機会の不足しておる地域を重点的に考えまして、これまでも工業導入の推進に努めてきた、関係各省からも申し上げたとおりでございます。  今先生から御指摘がございますように、要は、均衡ある国土の発展という観点から政府全体としてどういうふうな取り組みをしていくか、こういうことに帰するわけでございます。私ども、この農工制度の側面からいたしましても、現段階で抱えておりますもろもろの問題、現状を踏まえまして、先ほど通産省からもお話がございましたけれども、広域的な観点からする実施計画の策定を制度化したり、あるいは、特定の地域につきましての特に低い利率を適用した融資の措置をとったりといったようなことをいたしておる次第でございます。  もう一つは、やはり企業サイドに各地域の特色、それを十分PRをいたしまして、そういう意味での企業立地情報の提供システムを強化することが重要である、このように考えまして、従来から行っております農村地域工業導入促進センターの事業に加えまして、パソコン通信システムを利用いたしました新しい立地情報システムの整備にことしから入る、こういうことをしておる次第でございまして、こういったことと相まちましてこれからの地域振興の問題に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  129. 水谷弘

    ○水谷委員 六十二年三月に第四次農村地域工業導入基本方針が策定されているわけでございますけれども、この中でもいろいろなことが指摘をされて、その方針に掲げられているわけでありますが、その点について何点か御質問をしておきたいと思います。  まず最初に、今後農村地域導入すべき工業の業種ということについて、「技術先端型業種等雇用効果の大きい内陸型業種を中心に成長性と安定性のあるものを対象とする。」としておられるわけですけれども、これらのものを導入するのには、やはりその基盤として、研究、情報、人材育成機能等のいわゆるソフトな産業基盤の整備、こういうものが土台となって、そこからこの方針でうたっているこれらの企業の導入が可能になってくると考えられるわけでありますが、この研究や情報、人材育成、こういうことに関して具体的にどのように施策を講じ、今日まで進めてこられて、また、今後どういうふうに進めていかれようとしておられるか。労働省、通産省、お尋ねをしておきたいと思います。
  130. 高橋柵太郎

    ○高橋説明員 先生御指摘のように、農村地域におきまして雇用効果の大きい先端技術産業等の導入を推進するためには、人材育成の強化を図ることは非常に重要なことであるというふうに考えております。  このため労働省といたしまして、農村地域やその周辺におきましても、公共職業訓練施設におきまして訓練用のME機器の計画的な整備を図りながら、既存の機械科等の訓練料を整備充実して、労働者がこれらの機器を使いこなせるようにする、さらに、メカトロ科、OA事務科などの複数の職種にわたります訓練科を設けまして、ME関連の技能も習得できるようにするなどによりまして、雇用が期待できるME関連技能労働者の養成に努めているところでございます。  私ども、今後ともこのような施策の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  131. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  御指摘の人材養成を含めたソフト部門の産業基盤の整備の重要性につきましては、当省においても十分認識しておりまして、過去いろいろな政策、例えば中小企業におきまして地場の人材の養成とかいろいろな面で整備を図ってまいりました。また、情報関連におきましても、いわゆる地域の情報システム化ということで、過去も数年にわたりまして、さらに、ことしも充実させて、地域のシステム化について努力するということで各般の施策を講じているわけでございますが、御案内のように最近の産業のソフト化ということで、研究あるいは情報だとかデザインだとか、そういったものが産業に占めるウエートが大変高くなってまいっております。また、最近地域の空洞化というようなことから、いわば地域産業の高度化をいかに進めるか、東京の一極集中を排除しながら地域の高度化をどう図っていくかという大変大きな課題があるわけでございます。  これに対処するために当省におきましては、いわば頭脳立地法、地域の産業を高度化するための法律でございますが、そういうのを今国会に提出いたしまして成立をさせていただいたところでございます。ここでも、研究あるいはデザイン、情報といったいわばソフトを地方に分散させて、地域の産業の高度化を図っていきたい、これは当然人材養成も入りますし技術開発も入りますが、企業の各般にわたる機能を強化していくというようなことからそういった施策を今展開しようとしているわけでございまして、これもいわば農工法の大いなる補完になろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  132. 水谷弘

    ○水谷委員 中高年齢者が多い地域、さらには新規学卒者がなかなか定着をしない、そういう地域でございます。業種の転換、いろいろな仕事から、農業から工業へ、製造業へ、そういう転職という形になっていくわけでありますので、そこにおける再就職のための教育、育成、これは非常に重要になってまいります。ひとつ従来にも増して、大都市に集中しているこれらの機能を農山村地域に積極的に誘導を図っていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、公害防止及び自然環境の保全の問題でございますが、これも基本方針の中に明確に「実施計画の策定及びこれに基づく具体的な工業導入に当たっては、必要に応じて環境に与える影響を調査検討し、公害の防止、自然環境の保全、廃棄物の適正な処理等農村地域の環境の保全に十分配慮する。」というふうに基本方針ではうたわれておりますが、先ほども質問がございましたいわゆる工業排水——造成をされた農工団地、これは都市、いわゆる市街化区域にあるような巨大な団地ではございません。規模もかなり小さいものがあろうと思います。その立地した企業が自己の責任においてそれを処理しなければならない、そうなってまいりますと、そのためには莫大な費用がかかってくる、それが一つの進出をためらう要素になっている、そういうことを多く聞くわけでございます。もう一つは、そこから発生する産業廃棄物、これも原則はみずからそれを処理しなければならない、自己責任があるわけでありますけれども、これにしてもそれだけで、その企業の責任においてということではとても、これもまた進出しようとしてもそれらの環境の整っていないような地域に喜んでおいでいただく企業というのは非常に難しいだろう、私はこう思うわけであります。  この工業排水の問題とか産業廃棄物の処理については、企業または地元の市町村にだけ責任を預けておいたのではなかなか解決できないのではないだろうか、こう思うわけでありますが、この点について国として積極的にこういう方策、施策で対応してまいりますというお考えがおありになるかどうか、検討しておられるのかどうなのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  133. 松山光治

    松山政府委員 農村地域の健全な環境を保全しながら工業導入を進めていく、こういう観点から実施方針等においても考え方を明らかにしておる、先生御指摘のとおりでございます。工場排水の処理の問題あるいは産業廃棄物の処理の問題、それぞれ所要の法律がございまして、それに基づいて適正な処理が行われることが期待されておる。その場合に原因者負担の原則と申しましょうか、これが国際的にも確立された一つの原則になっておるわけでございまして、そういう意味では自己責任のもとに処理されるべきだというのが基本的には当然の仕組みとして成り立っておるということはひとつ御理解をいただいておかなきゃならぬのであろうというふうに思っております。  そこで、農工団地におきます具体的な排水処理の問題でございますが、地域の実情あるいは企業の態様等に応じて異なっておるわけでございますけれども、単独処理あるいは団地造成主体が設置いたしました共同処理施設によります共同処理等の形でなされておるようでございます。これらにつきましては、先ほど申しました原則との調整、調和ということがあるわけでありますが、その上で公害防止施設の普及を図る等の観点から、既に施設の特別償却等の面で税制面の措置がとられておるようでございますし、かつまた政府金融機関からの低利融資の道も開かれておる、そういうものを有効に活用していただくのではなかろうかと考えておる次第でございます。  産業廃棄物の処理の問題につきましては、農工地区における処理の状況、いろいろな形態はあるようでございますけれども、専門の廃棄物処理業者に委託して処理されておる、そういう例が多いようでございます。もちろん企業の自己処理といいますかそういうこともあるわけでございますけれども、これにつきましても先ほど申し上げましたような原則の範囲内で処理施設に対します税制上の特別措置あるいは政府金融機関によります低利融資といったような道も開かれておりますので、それらをひとつ有効に活用していただきながら適切な処理に努めていただきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  134. 水谷弘

    ○水谷委員 農村地域への工業導入が、公害の発生によって地域の環境を悪化させるようなことのないように、これについては十分な対応をお願いしておきます。  さらに、農村工業導入促進法は、地域に経済の活性化をもたらすと同時に農業構造の転換のためにこれが資する方向に向かわなければならないわけで、基盤の整備または近代化施設等の整備というものが一体的に行われて初めてその地域全体において効果が発揮されるわけであります。もう一つのねらいは、その地域に農業の本格的な前進的な展開が行われていかなければならない。農用地の流動化とか中核農家の経営規模の拡大、さらには農用地の有効利用、こういうことがあわせてそこで行われていくようにならなければこの事業促進の意味はないわけでありますが、なかなかこれが思うように現場においては一体的に進まない。そこで、この法が施行されていく中において、これらのいわゆるソフト面での流動化、規模拡大、有効利用にどういうふうに取り組んでいかれるのか、その点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  135. 松山光治

    松山政府委員 御指摘のように本制度は、一方で工業導入を図り安定的な就業機会確保を図りながら、他方で農業の健全な発展を図っていく、こういうことをねらいとするものでございまして、そういう意味では工業導入と相まって農業振興のための各般の施策を進めてまいる、こういう考え方のもとに制度の運用を行ってきておるところでございます。  特に基盤整備の問題が重要でございまして、工業導入と一体的に基盤整備を進めるという趣旨のもとに、四十六年の制度発足以来、工業導入関連の農業基盤整備事業というのを特に実施をいたしてございまして、六十一年度までで約百九十億円の予算を投じておりますけれども、圃場整備なり用排水施設なり農道の整備を行ってきているという実態があるわけでございます。私どもとしましては、これからの展開に当たりましてもこういった意味での基盤整備に特に力を入れておきたいと思っておりまして、六十三年度におきましても全体の予算の伸びをかなり大きく上回ります対前年比四割増の予算の計上を行っておるわけでございます。  これがハードの側面でございますが、御指摘のように、その上で営まれる営農のあり方、農用地の流動化の問題、その他格段の努力を必要とすると思っております。そのためには、私ども持っております制度といたしましての農用地利用増進対策の活用等、地域ぐるみでの取り組みの必要性を痛感し、その線での指導に努めておるところでございますが、御案内のように六十三年度予算におきましても、今お尋ねのございましたソフトの対策という点からいたしますと、例えば各市町村ごとに構造政策推進会議を設け地域ぐるみでの推進体制の整備を図るための予算も計上いたしておりますし、あるいは中核的な農家のつながりをつけていくための予算でございますとか地域リーダーを育成するための予算でございますとか、従来から農用地の流動化のための予算につきましてはいろいろな予算がございましたけれども、さらにそれに加えてそういった施策の拡充も図ったところでございまして、こういう措置を有効活用しながら農業構造の改善という重要な課題に積極的に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  136. 水谷弘

    ○水谷委員 今回の広域実施計画制度の採用、この問題について、いろいろ具体的にはこれから、その広域計画策定の対象となる地区等については政令で定められるということになっておるようでございますけれども、計画の策定とその運用に当たっては、各市町村の役割分担またはどういう企業をそこへ誘致し配置をするか、またいわゆる工業導入の農工団地の位置をどこに選定をしていくか、またその周辺の基盤の整備を図る費用分担をどうするかなどなど、計画が広域になればなるほど、それが市町村にまたがれば、従来にないいろいろな問題点が発生してくることが考えられるわけでありますけれども、それらを含めて政令でどういう要件を定められようとしておられるのか、これらの関係市町村のいろいろな調整をどういうふうに図っていかれようとしておられるか、その点についてお尋ねをいたします。
  137. 松山光治

    松山政府委員 まず、都道府県が新しく策定いたします実施計画の対象地域について政令で具体的な要件を定める、こういうことに相なっておるわけでございますが、今私ども考えております要件といたしましては、自然的、経済的、社会的条件から見まして一体的な複数の市町村から成ります農村地域といったようなことで、それについてまた特定の要件を考える。その場合、一つは人口増加率でございまして、都道府県内の農村地域全体の人口増加率を下回る。もう一つの点は、製造業等の就業者比率でございまして、同じく県内の農村地域全体の就業者比率を下回っているという、要はこれから工業導入をさらに促進しなければいかぬと申しますか、今までなかなか難しい事情にあった、そういう地域を対象とした広域的な計画ということを考えておるわけでございます。  単独の市町村では工業導入がなかなか円滑に進みにくい、そういう難しさのあるところでございますので、広域的な観点から、都道府県が音頭をとって実施計画をつくっていくという制度考えたわけでございますが、御指摘のようにそれだけに、どこに地区を設定するかとか、あるいは誘致活動等に伴います費用負担をどうするか等々、いわば各市町村間あるいは都道府県との間の役割分担について、いろいろと調整を行う必要があることはそのとおりであろうというふうに思っております。  これの調整の具体的な進め方ということに相なりますれば、やはり都道府県が中心になりまして主体的にこの問題に取り組んでいただき、自分の地域振興の非常に重要な課題として関係市町村との間の調整を行っていただくことが適当ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。その場合、私どもといたしましては、都道府県には関係市町村と十分協議してもらいたいということは指導したいと思っておりますし、かつまた市町村に対しましても、都道府県と十分連絡し、協力していくように、そしてせっかくの制度でございますので、これを有効に活用するようなお互いの取り組み、努力を期待したい、このように考えておる次第でございます。
  138. 水谷弘

    ○水谷委員 どうかそれぞれの役割分担、現場でいろんな調整がつかないようなことのないように、国はしっかりとした方針を指し示していただきたいと思います。  以上、時間でございますので終わりますが、今回の改正によって本当に期待をしておられる地域というのは相当あるわけでございますので、この改正が見事に現地に効果をあらしめるために、運用において特段の御努力、あらゆる方面からの力を結集して、どうか効果あらしめるようにお願いをしておきます。  以上で終わります。
  139. 菊池福治郎

    菊池委員長 武田一夫君。
  140. 武田一夫

    ○武田委員 農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げます。  この制度は、農業地域への工業導入を積極的かつ計画的に促進する、そして農業従事者がその希望及び能力に従って導入される工業に就業することを促進するとともに、それと相まって農業構造の改善を促進するための措置を講ずることにより、農業工業との均衡ある発展及び雇用構造の高度化に資することを目的としている、こういうことでございます。  そして、この制度の対象となる農村地域として、農業振興地域、振興山村、それから過疎地域、こういう地域をその対象地域としておるわけでございます。非常に結構なものだ、私もこれは非常にいい法律であるということで関心を持ってきた一人でございます。  そこで、私は四全総という一つの大きな国の方向性の中で、法というもの、制度がどのように生きているか、効果があるかという問題からまず聞いていきたいな、こういうわけできょうは国土庁にもおいでいただいております。  この制度は、制定されましてから十七年を経過するわけであります。この間に、新全総から始まりまして四全総に至って終始一貫、特に最近はそうでありますが、国土の均衡ある発展、それから過疎過密の解消という大きな命題を抱えて、その一つの大きな施策として中央集中、一点集中を多極分散型への方向へという一つの大きな課題、命題を持っているわけでございます。  そういう意味で、過疎あるいは山村振興地域等等に工場、企業等が出てきて、そこに地元の雇用、若い方も中高年の方々もそこに定住、定着する、そういう大きな課題も背負っているのがこの法ではないか。これは通産省の方にもあります再配置法ですか、これも同じそういう役割を果たすというように思うわけであります。そういう意味で、この法はここ十七年間の中で各地域においてどういうような推移で今日まで来たか、まずその実態を国土庁はどういうふうにつかんでいるか、その辺をひとつお聞きをしたい、こういうふうに思います。
  141. 三戸隆男

    ○三戸説明員 まず、山村地域の状況から御説明いたします。  振興山村におきます工場の立地動向でございますが、工場立地動向調査によりますと、五十年以降この十年間に千八百四十一件の立地がございます。この間おおむね増加傾向で推移しておりまして、山村地域の全国に占める立地件数の割合も大体一割前後ということでございます。六十一年について見ますと、立地件数約二百九十件ということで、全国に占める割合も大体一二%というような状況でございます。  それで、六十年におきます振興山村の工場の現状でございますが、工場数全体で約三万二千、従業員数で三十五万六千人ということでございます。業種別の工場数の割合は、縫製、繊維関係が約二五%でございます。それから木材、木工関係が二〇%、以下食品関係あるいは機械、電気関係、こういうふうな状況になっております。
  142. 武田一夫

    ○武田委員 今実態をお聞きしました。通産省、おいでになっていると思うのでありますが、通産省の管轄の工業再配置法という制度があります。これによる企業、工場等のこういう地域への進出というのはどの程度あるか、この実態をひとつ聞かせてください。
  143. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  地方への産業立地につきましては、工業再配置促進法あるいはテクノポリス法といった関連法によりましてその促進を図っているわけでございます。工場の新造施設のベースで申し上げますと、最近では約七割が、これは敷地面積でございますが、件数で申しますと約八割が地方に分散して立地しているという状況にございます。  また、この工業再配置促進法というのは、極めて過密地帯、首都圏あるいは近畿圏、こういったところから誘導地域に移転させることもこの法律でやっておるわけでございます。その結果、最近の数字で申しますと、東京首都圏におきましては、工場敷地面積では一六%ぐらい減少している、出荷額ベースで申しましても伸び率が非常に鈍化しておる、そういった数字が出ておりまして、工場の地方分散につきましては相当成果を上げている、我々はこういうふうに評価をしているわけでございます。
  144. 武田一夫

    ○武田委員 両省庁から説明を聞きました。この企業誘致に関して、工場の団地造成をします。農工団地も造成するわけです、これは農林省も関係ありますけれども。通産省の関係の工場団地の売れ残りというのが結横ある、これで困っている、そういう町村、県がたくさんあると思う。  例えばこれは六十年で、ちょっと古いのですが、東北の例を調べますと、工場団地の売れ残りは何と六〇%、それは余り減っていないと思います。山形県が一番売れ行きがよくて、それでも四八%ぐらいは残っている。確かに東北などは企業に非常に多くおいでいただいて助かっているところがあるのですが、それにしても、全国的から見ると生活水準といい所得水準も非常に低い。考えてみれば、北東北などは沖縄に次いで県民所得は第二位だ。企業が来ているけれども、なおかつそういう非常に厳しい状況。  そういう中で、各都道府県、市町村等は、何とかいい企業を呼んで人々をそこに定着をさせながらその地域の発展のために寄与しよう、こういうふうでありますが、そういう売れ残りがある。農工団地をつくっても、計画はしたけれども結局いまだに入ってこないという地域が結構ある。もう最初から、うちのところは入ってきそうはないということで、農業地域でありながら計画さえも立てられないような地域がある。  特にこれは農村なんですが、半農半漁の地域、海岸線というようなもの、例えば宮城県などを見ますと、菊池先生のいる周辺のあのあたりは、そういうことは全く考えられないということで計画さえギブアップしているというようなことがありまして、そこにも農業関係者はいる。というのを考えますと、これは非常にすばらしい法案でありますが、そういうところへのてこ入れがこれからは重要な課題になってくるのではないか。  そういう土地が余っておりますと、その元金ですか、あと利子の問題でもう大変な苦労をするということで、これは農林省あるいは通産省というような感じではなくて、一体となって、というのは企業が来るときは、東北など、宮城県などを考えてみましても、通産省の指導の工業再配置法にのっとって来るといっても、集まってくるのは——大体周辺は二、三十分や一時間あれば農村からどんどん来れる。そこにまた農工団地がつくられるということで、競合する中で、確かにこれを見てみると、農工団地の方は入っている率は多いですよ。しかしながら、工業再配置法によって入っているものもある。  最近、私、あちこち歩いて聞いたら、どちらかというと農工団地に入るのを嫌って、それでみずから土地を探し、町村、県と交渉して立地条件のいいところに持っていくというのもある。こういうことで、農工団地を埋めるのも大変苦労なんですというケースもある。  せっかく造成したところが遊んでいるということを解消するために、両者、そういう農村地域構造改善の大きな力となる、そういう工業立地雇用という問題を踏まえた場合には、私はこれは別々というよりもお互いに、国土庁さんなんかも中心になって両方うまく進めていると思うのですが、一層緊密にこれはやっていかないと、今後企業が入ってきて雇用に結びついていくという、このことはなかなか厳しいのではないかという感じがしてならないのでありますので、どういうお考えを持っているか、その点を関係者からお聞かせをいただきたいと思います。
  145. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 産業立地政策を担当しておる通産省として、先生の御指摘について考え方を御説明したいと思います。  この産業立地につきましては、目的なりあるいは対象とする地域なりによって、それぞれの目的とした法律が準備され、現在運用されていることは御案内のとおりかと思います。  この農村地区工業導入促進法は、御案内のとおり農村地域への工業導入を積極的に図って、いわば農村地区の雇用機会の増大の構造改善を図るといったことが目的とされているわけでございますし、また工業再配置促進法は、いわばこれは首都圏あるいは近畿圏といった極めて過密化している地域から、過疎地区、誘導地区と我々申し上げておりますが、そういったところへ工業を広く分散させようということを目的としておる法律でございまして、それぞれその法の目的とするところによりまして対象とする地域も異なるようになっております。農地工業導入地区の対象市町村数と工業再配置促進法で言う対象地域の市町村数も数字的にも異なっておりまして、そういった意味で対象とするものが違いますから、それぞれの法の目的によって進めなくてはいかぬということが実態かと思います。  しかし、今申しましたように全体の数はそれぞれ違うとはいっても、かなりの部分で重複することもまたこれは事実でございます。そういった面で、それぞれの法の目的によってお互い調整し、かつまたある意味では相互に補完しながら運用するということが大変重要かと思います。この農村地域工業導入促進法においても工配法との整合性を十分とるようにという精神がうたわれておりますし、また逆に、工業再配置法におきましては農工法との関連で十分整合性を保つということがうたわれておりまして、そんなことから我々も相互にこれを補完しながら、調整をとりながら運用することが重要ではないか、こう考えておるわけでございます。  ちなみに具体例をちょっと申し上げますと、御案内かと思いますが地域振興整備公団、これは工業再配置促進法に基づきまして工場の地域分散を進めている事業団でございます。ここにおいていわゆる中核工業団地を造成しておりまして、今現在二十四手がけておりますが、そのうち農工地区につくっているのは十九ございます。これは、農工地区にもそういった中核団地をつくって農工法の精神に基づく目的を達成するように、そういった面からも十分補完強化できるような体制下でやっておるということでございます。そういったことも十分御理解いただきまして、我々もそれぞれの法の精神を生かして、逆にそれぞれがもちはもち屋で補完することによってむしろ能力を十分に発揮するように、そういった方向で運用することがベターじゃないかと考えておるわけでございます。
  146. 松山光治

    松山政府委員 基本的な考え方は今通産省の方からお答えのあったとおりでございます。  今の農工法と再配置促進法との関係につきましても、農村地域の方から見ますれば私ども農村地域の方が言ってみればキャッチャー、受け皿的な役割を果たしておるわけでございます。この農村地域工業導入促進法におきまして関係省庁がそれぞれ主務官庁になっておるというのも、お互いに提携して円滑な農村地域への工業導入促進に当たっていこうというあらわれであるわけでございまして、御指摘の点を踏まえましてこれからも努力してまいりたい、このように考えております。
  147. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、例えばブロック別の工業導入状況を見てみますと、全国的に導入済みというのは計画の三〇%しかないわけです。一部導入等を含めまして八三・七%になっているのですが、要するに完全に埋まっているところというのは三〇%しかない。特に全国平均を下回っている地域というのは、やはり北海道で、これは一五・七%、東北も二五・九%、北陸二六・四%。言うなれば典型的な過疎あるいは山村地域、そういうところの多いところです。こういうところはいろいろと苦労している地域、またここは農業の重要な地域。ですからこういう地域がこの法によって効果あるような実態が出てこないと、やはりこれは何だと言われても実態の上からはやむを得ないのじゃないか。  そういうことで、なぜこういうところが工業導入が促進できないのかということについてどういう分析をしているか、まず農林水産省から聞きたいと思うのです。
  148. 松山光治

    松山政府委員 私の方からとりあえずお答え申し上げたいと思います。  やはり個々の地区ごとによっていろいろな事情の違いがあろうかと思いますし、なかなか一概には言いにくいかと思いますが、道路条件の問題でございますとか、要は企業が入りやすい、そういった意味での条件の問題といったようなことがいろいろとあるのではないだろうか、このように考えております。通産省の方からもまたお考えの御説明があろうかと思います。
  149. 寺西大三郎

    ○寺西説明員 ブロックによって導入状況に差があるということでございますが、確かに数字で見ますと今御指摘のとおり、完全にすべての土地を売り切ったという導入済みの市町村につきましては、北海道、東北、北陸あたりについてその比率が低いのは事実でございます。ただ、こういった地域につきましても企業立地のペースは全国全体の比率から見ますと上がってきているわけでございまして、企業立地そのものが進まないというこでは必ずしもございません。各地域の開発に向ける熱意というものが非常に高い地域でございまして、このために非常に大きな土地を用意し、そこに一部入ってくるけれども全部は埋まらないというケースが多いわけでございます。したがいまして、例えば北海道の例をとりますと、一部だけでも導入されたという市町村を加えますと全市町村の九〇%が導入が進んでいるというふうなことになりまして、必ずしも数字だけでは比較しがたいものがあろうかと思います。  もう一点違う角度から導入されやすいところ、されにくいところということについて御説明申し上げます。私どもいろいろ企業が立地地域を選定する理由について企業側からアンケートをとったりいたしまして調べておるわけでございますが、最も選定理由として挙げてまいりますのが幾つかございます。一つは、県、市町村の助成、協力の姿勢でございます。二つ目は、市場への輸送の便でございます。三つ目は、労働力確保でございます。四つ目は、取引企業への近接性でございます。市場への輸送の便というのは、これはあくまでも交通体系その他の問題で、かなりハードな整備が行われないと進まないものでございますけれども、県、市町村の助成、協力の姿勢ということを一番に挙げる企業が非常に多いということは注目すべきではないかと思うわけでございます。したがいまして、計画は立てたけれども一市町村ではなかなか企業に対する十分な手当てがし切れないというような市町村につきましては、県が十分な指導を行う、あるいは今回の改正にありますように複数の市町村が一致して一つの団地を運営していく、こういった格好での運営を行うことによりまして導入が一層進むものと期待をいたしておるわけでございます。
  150. 武田一夫

    ○武田委員 まあ条件はいろいろあります。今話があったこのことは非常に重要な問題でありますから、そういう意味で今後広域的な対応というのが非常に重要なことになってくる。そうするとこれまでの造成した団地の中で、これまであったものをある程度整理整とんする、そういうこともあわせて今後のこの制度の充実の方向への一つの課題にしていかなくちゃいけないのじゃないか、こういうことも私は考えているわけです。  そこで、これから二十一世紀に向かっていろいろ状況変化もあるでしょう、企業のいろんな変化もございますでしょうが、今回の改正によって運送業とかこん包業とかというものもその中に入れるということ、これがあるわけですが、それ以外ですね、要するに、これはこれとして必要なものとして法案の中で今回対応するということで結構でありますけれども、問題はそういうものの仕事が出せる、あるいは仕事を持ってくる、いわゆるつくるあるいは開発する、そういうものがいろいろとたくさん出てこなくちゃならないわけです。農水省としては、やはり今後二十一世紀までにかけてどういうものが農村地域に進出していく可能性を持っているか、そういうものはどういうものを考えているのか。先ほど聞きましたら、縫製でしょう、そういうのが二〇%か二五%ですか。それから木材とかというのが二〇%とかというパーセントの高いものをおっしゃいましたね。ところがこれだけではちょっとおさまらないので、特に今後必要なのは要するに男性型企業ですね、男が張りつけるような企業というのがどんどんそこに要求されるわけでありますから、どちらかというと工場に働く女性のものというのが割と多かったということから、やはり少しは方向転換をしていく必要性があるのじゃないかということを考えると、これから進出していただきたい、してほしいという企業というものはどういうものかということも、これは通産省やあるいは関係省庁との協力によってお願いをしなくちゃいけない、こう思うわけなんですが、どういうものを考えているのかということをちょっと聞きたい、こう思うのです。
  151. 松山光治

    松山政府委員 私ども立場からいたしますれば、やはり安定的な雇用機会であり、かつまた雇用吸収力の大きな業種に入っていただきたい、これが基本的な考え方でございます。そういう意味で、先般策定いたしました基本方針におきましても、工業の業種につきましては「技術先端型業種等雇用効果の大きい内陸型業種を中心に成長性と安定性のあるものを対象とする」といったような考え方を明らかにしておるところでございまして、さらに、それ以下の具体的な業種がどうかといったようなことになりますれば、これは地域の実情によっていろいろとあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、今申しましたような成長性と安定性、雇用吸収力の大きさといったような、そういう業種を中心にひとつ導入を進めていただくように関係省庁にも御協力をお願いしなければいかぬだろう、このように考えている次第でございます。
  152. 武田一夫

    ○武田委員 通産省はどういう見通しといいますか、それを持っておりますか。
  153. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  確かに地元が期待する男子雇用型の企業というのは、大変どこでも希望するわけでございます。そういった意味から申し上げますと、確かに機械加工型の企業、こういったものが男子雇用型の最たる例かと思いますが、これは、経済の変動によりまして必ずしもそういったものが地方に分散していくことがうまくいかない時期もございます。  かつては確かに先端産業が相当地方に分散いたしました。御案内のようにIC関係、先生の郷里の東北の方にも相当立地が進みましたし、九州の方にも参りました。しかしその後ちょっと停滞ぎみでございましたが、最近、設備投資の状況、見通しを見ますと、内需の拡大ということから大変活発化しつつあるという状況になってまいりまして、対前年比でことしを見ますと約一〇%の伸び、さらに将来ともこれが内需拡大の振興策と相まって伸びていくという予想もございます。また業種的に見ますと、いわば地場資源型の産業、食品だとかあるいは木材加工だとか、そういったものも当然伸びていくということになっておりますが、あわせまして機械産業型のものも相当期待が持てる。事務機械だとかあるいは工作機械だとか、こういったものの設備投資が盛んになってまいったということから今後の伸びが期待されるというような分析も出ております。  また、私ども、あわせましてやはり地域の産業おこしということを今考えておりまして、これは中小企業庁の方でも一生懸命やってくれておりますし、また先ほど私ちょっと申し上げましたけれども、頭脳立地法という法律を今成立させていただきましたが、これでもいわば地域の産業の高度化を図るということから、研究部門、情報部門、デザイン部門、そういったいわば産業の機能を支えている高次のものを地方に分散させて、そこで産業の高度化を図って新しい産業おこしといったものもあわせてやっていこうということも考えておりますので、今後、先生の御指摘のあった点につきましてはそういったもろもろの施策を総合的に効果あらしめるように努力していきたいものだ、こう考えておるわけでございます。
  154. 武田一夫

    ○武田委員 次に、外資系企業の導入促進という問題について、これがどういうふうな実態なのか、その今後の見通し、どういうふうに見られているか、このことをまずお尋ねしたい。
  155. 平岡哲也

    ○平岡説明員 外国から我が国への直接投資につきましては、外為法上届け出を要するわけでございますが、我が国はこれを歓迎するという基本的立場に立ちまして、原則自由に行えることとしております。  最近の届け出状況を見ますと、六十年度が九億三千万ドル、六十一年度九億四千万ドル、六十二年度二十二億一千四百万ドルと増加傾向にあるわけでございます。これを業種別の状況で見ますと、六十二年度は現在集計作業中でありますので、六十一年度について見ますと、業種別シェアは、エレクトロニクスとかそういった機械製造業二四・七%、医薬品その他の化学工業一八・〇%、商事・貿易業一三・八%、金融保険業九・三%といった状況になっております。総体として見まして、製造業の割合が五二・七%ということで半分強を占めております。  今後の見通しでございますけれども、確たることを申し上げることはできませんが、企業活動の国際化の進展等に伴いまして今後とも着実に増加していく可能性はあるのではないか、こんなふうに考えております。
  156. 武田一夫

    ○武田委員 これから国内だけでなくて、やはりこういう外資系のものが入ってこれるような条件づくりが重要である、こういうことで期待をするわけですが、一方、日本の国から外へ出ていく日本の企業が結構今あるわけです。その実態をちょっと聞かしてもらいましょうか。どうなっていますか。
  157. 平岡哲也

    ○平岡説明員 我が国企業の外国への進出状況でございますが、外為法上の対外直接投資届け出状況で見ますと、五十七年度以降六十二年度までの数字をちょっと並べて申し上げますと、七十七億ドル、八十一億ドル、百二億ドル、百二十二億ドル、二百二十三億ドル、そして六十二年度が三百三十四億ドルということで、相当の伸びを示しております。  これを業種別に見てみますと、六十二年度は集計作業中でありますので、五十七年度から六十一年度までの五年間を全体として申し上げます。業種別シェアは、製造業向けが二二・〇%、商業向けが一三・一%、金融保険業向けが二四・六%、運輸業向けが一一・七%、不動産業向けが一〇・五%などとなっております。総体といたしまして、製造業向けのほか、金融国際化等を反映をいたしまして、金融保険業向けその他非製造業のウエートが高くなっております。
  158. 武田一夫

    ○武田委員 製造業が二二%と多い。こういう企業が海外に出ていくということがこの法案のいろいろな中に差しさわりがないということはないんじゃないかという心配がある。そういう意味で、国内で誘導できるような対応は、農水省も通産省も含めまして各省庁の協力の中でしかと対応しておかぬと、その事業の中に計画の狂いが出てくるんじゃないかという心配があるわけですが、農水省としてこの点はどう考えていますか。
  159. 松山光治

    松山政府委員 いわゆる海外立地が増加しておる、そのことが国内産業の空洞化をもたらすのではないかという御指摘の問題でございますが、私どもも事態はなかなか厳しいものがあるという認識を持っておりますし、先ほども通産省の方からもお話があったわけでございますけれども、全体としての産業興し、地域振興の問題にも通産省としてもお取り組みいただいておる、このように認識をしておるわけでございます。私どもといたしましても、そういう厳しい事態が予想されるということも一つ頭に置きながら、今回の法律改正を契機にその他関係の地域振興対策を、私どもの方も助成制度を持っておりますので、そういうものも有効活用しながら地域の振興という課題に取り組んでいきたい、このように考えておる次第でございます。
  160. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、最後に一括して、工業導入促進のためのいろいろな条件整備をこれからしなくてはならないわけですが、地元に行っていろいろな方々とお会いしたところでお聞きしたものを通して、いろいろと御質問申し上げます。  まず一つは、多様化する需要や技術革新の進展等の情勢変化対応して工業導入を進めるため、工業団地の交通網等のハードな産業基盤の整備が重要なことはもちろんでございますけれども、それ以上に、特に今後、技術、情報、人材育成機能等のソフトな産業基盤の整備促進が急務だということが、これは会う方々からの御要望でございます。これに対する対応をどうしていくのかというのがまず一点であります。  それから二番目には、農業からの転職者、特に中高年齢者について円滑に就業できるようにするための施策をもっと充実してほしいという要望であります。例えば、職業転換給付金制度とかその他の助成制度の積極的な活用を図り、あるいは能力再開発訓練等の受講促進等々の条件整備をしかとしながら、受け入れ体制をしかとやってほしいということが二番目でございます。  それから、三番目としまして、進出しようとする企業が非常に戸惑うのが、要するに下請の企業が十分でないということで困る、そのためについ中央の方に仕事が行ってしまうということを言われておりますので、立地企業と有機的連携を有する地元中小企業の育成に力を入れなければ、これは受け皿として進出する企業も戸惑うという、この問題を政府はやはりバックアップしなければならない、こういうふうに思うという問題が三番目であります。  それから四番目には、農工団地の造成に当たりまして、農地転用がネックだということで苦労したというケースがございまして、この点についての対応をしかとしてほしいなという声がございました。その反面、農村への企業誘致というのは農地のスプロール化あるいは周辺整備の著しい上昇等によりまして、農業用水の汚染など周辺の農業環境が壊されるという心配をしておりまして、こういう問題に対する対応もしかとしなければ、農業者としてはなかなかそういうものに協力できないという声もございました。各地を回りましてお聞きした中で、特にこの問題につきまして関心を持っている、そういう問題提起がございましたので、関係当局からこの問題についての取り組みをひとつお聞きをしたいな、こういうふうに思います。
  161. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 私の方から、いわゆるソフトの部分整備の問題についてお答えしたいと思います。  御指摘のとおり、産業立地を進めるに当たりましてはハードの面の整備は当然のことでございまして、その整備が進んでいるということがまず第一に重要かと思いますが、あわせまして、いろいろな面でのソフトの整備、人材の養成あるいは技術力の確保、または進出企業を支えていただく下請企業の生産体制の整備の問題だとか、そういったもろもろの条件が整わないと、企業は地方に進出しない、私はこう考えておるわけでございます。そういったことから、第四次のこの基本方針の中にも、ソフトの産業基盤の整備の重要性がうたわれておるわけでございまして、我々もいろいろな面からこの点について努力してまいりました。  例えば、中小企業の関連の施策におきましては、人材養成あるいは技術開発の問題、そういった面でいろいろな施策を展開してまいりましたし、また御案内の民活法、これはたしか八業種でございましたけれども、今度は追加いたしまして十九にした、これも地方のいわば民間の能力を活用していろいろな基盤を整備しよう、特にリサーチコアと申し上げまして、これで情報関連だとかあるいは技術関連だとかいったものを地方において民間の力をかりて活用して強化していこう、こんなこともやってまいりましたし、また先ほども申しましたように、頭脳立地法という法案を今出しまして、いよいよことしから本格的に、いわば今日の産業のソフト化、サービス化の問題に対処すべく地方においてそういったものを集積させていこうという政策をも今展開しようとしておるわけでございまして、そういった政策の総合的な効果を今後発揮するよう努力していきたい、こう考えておるわけでございます。
  162. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  農業からの転職者、特に中高年齢者に対して円滑に就職できるようにさらに努力すべきではないかという御趣旨の御質問かと思います。これまで労働省としましては、農業従事者に対する就職援助措置として、相談員の設置農村人材銀行の設置等によりまして、きめ細かな職業指導、職業紹介等を実施いたしますとともに、農業従事者の実態に即した農業者転職訓練及び職場適応訓練の実施、さらに職業転換給付金の支給等を通じて、円滑な再就職、転職を図ってまいりました。今後におきましても、第四次の農村地域工業導入基本方針に基づき、また、今回の農工法改正により新たな導入業種となった追加業種における雇用機会の増大等を背景にいたしまして、積極的な就業促進に努めてまいりたいと考えております。
  163. 松山光治

    松山政府委員 工業団地の造成に関連いたしました農地転用にかかわる問題でございますが、工業導入を円滑に進めるという観点と、それから御指摘がございましたように必要な農用地確保していくという両方の観点からの適切な土地利用調整ということが課題になるわけでございます。私どもといたしましては、そういう両にらみの考え方を一つとりながら、実施計画を策定いたします段階で、関係者の間で一番望ましい合理的な土地利用計画はどうかという観点から十分御相談をいただきまして、その調整されました結果を尊重して転用問題を考えていく、一般の場合に比べましてはかなり弾力的な配慮を行ってきておるつもりでございます。どういう形での問題があったのか、私具体的にはつまびらかにはしておりませんけれども考え方といたしましては、そういう意味での合理的な土地利用を図っていくという考え方に立って、これからも必要な指導を行っていきたい、このように考えております。  なお、下請企業の問題は今通産省の方からもお答えがございましたが、私どもの方も所管の事業の中で、下請企業を育成するための共同利用施設設置等についての助成を行っておるということを申し添えておきたいと思います。
  164. 武田一夫

    ○武田委員 大臣に何もお尋ねしないのも失礼でございます。  最後に、この法案の中で企業の問題だけを取り上げたのですが、これが結局構造政策、いわゆる農地の拡大の方に余り効力を発揮してないということを言う人もいるし、そういうことも聞いている。これはこの間の池田さんでしたか、あの方も、残念ながら遅々としてその方向へは行ってないのでございますと、正直に参考人質疑のときに話がありましたね。ですから、これは特に中高年齢層あるいはまた二兼農家の中で常用的な雇用につかれて働く方々が、やはり自分の土地を貸すなり売るなりすることによって規模拡大の方向へ進めていかぬとその効果が半減でございますし、この問題について何が大事かというと、やはり基盤整備なんだ、環境整備だということを池田さんもおっしゃっておったわけでありますが、この点についてやはり研究をしてほしいと思うのです。例えば、就職した、土地をお貸ししましょうというけれども、基盤整備してないものはお借りする方も御遠慮いただきたいというケースが多いわけです。ですから、そういう方々については、例えば基盤整備については全額国の方で面倒見るよ、そしてその土地を安心してお貸ししていただきたい、例えばですよ、これは、局長、首をこう曲げていたけれども。そういう何かスムーズに土地が、この法案の効力の結果として効果が出てくるような方向への取り組みを検討、研究してほしいな、私はこういうふうに思うんです。でなければ、就職した、土地は相変わらずしょぼしょぼやっていますよでは、これはやはり申しわけないんじゃないかという気がしてなりません。  いろいろと具体的な問題があるのでありますが、要するに農業工業とのお互いの協力の中で農地も拡大して農業政策がしかと行われる、しかも雇用がしかと行われるということによってその地域の活性化が進むという方向への効果をあらしめるためには、その問題はもう抜きにして通れない問題だということでございまして、大臣のお考えやら決意をひとつお聞きしたい。  最後にオレンジ等をお聞きしようと思ったのですが、この問題については大変御苦労さまでございました。うちの水谷議員ももう質問を申し上げましたものですから、今後の大臣の最大の頑張りに期待して、この問題についてはひとつ十分に国民の期待にこたえるように、農民の期待にこたえるように頑張ってほしいと激励を申し上げて、質問はやめにして終わらしていただきたい、こう思います。
  165. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 最後の点の御激励をいただきまして恐縮でございます。一生懸命やります。  今、前段おっしゃったほとんどの部分は、私の答弁をしようと思うことをほとんど言っておられるのではないか。ただ一点、基盤整備を国で全部やったらどうかと言われると、ちょっと局長も驚いたような顔をしたのかどうか私も見ておりませんでしたが、これはしかしそれぐらいのつもりで一生懸命にやれという激励と理解をいたしたいと思います。  社会資本の整備あるいは公共投資の推進、そういうことによってその地域に定住と交流ができる魅力のある活性化された農村、そして農業自体もそういう中にあって当然のことながら一つの採算性を追求しながら、他の産業と一味も二味も違う形の農業の持つ使命食糧政策の持つ役割、そういうものが実っていくような相乗的効果を上げられるように我々は心しなければならぬ、かよう心得ております。
  166. 武田一夫

    ○武田委員 終わります。
  167. 菊池福治郎

    菊池委員長 神田厚君。
  168. 神田厚

    ○神田委員 農村工業導入法の前に、本日いろいろ議論になっております牛肉、オレンジ交渉で一言大臣の方にお伺いをしたいと思うのであります。  大変厳しい、難しい交渉でございましたが、結果は残念ながら決裂という状況でありました。しかしながら、私どもはやはり我が国主張を貫いて、下手な妥協をするよりもさらに交渉の継続を踏まえながら努力をしていくという今回の結果は、佐藤大臣、大変御苦労なさったようでありますけれども、今後ガット裁定の場になるのかあるいは二国間協議の形が継続される状況になるのかわかりませんが、ひとつ日本の畜産農業、果樹農業を守るという意味におきまして精力的な御活躍をお願いしたい、このように要望したいと思っております。
  169. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今朝来お答えを申し上げているところでございますけれども牛肉かんきつ問題につきましては、去る四月二十六日から五月五日まで訪米し、ヤイター代表と協議を行ってまいりましたが、残念ながら合意に至りませんでした。我が方は国際化の現状を踏まえながらも基本的には自由化困難との立場に立ちつつ、日本農業の将来にとり最善解決策を見出すとの観点から、国内の政治経済の情勢にかんがみて許容され得るぎりぎりの提案を行ったところでございます。中身について全部申し上げることはお許しをいただきたいと思います。しかしながら、米側が我が方の提案を正当に評価しようとせず従来どおりのかたい態度に終始したことはまことに遺憾であります。また、今回の協議がこのような結果となったため、今委員のお言葉にもございましたように、五月四日のガット理事会においてということでガットの場でということも一方には進められる。米国と豪州の要請に基づき牛肉かんきつについてパネル設置決定されたところでございます。  今後の対応につきましては、我が国牛肉かんきつ生産の存立を守るという基本的立場、これに立ちまして生産流通消費各般にわたりその責任を全うしてまいりたい、こう思っております。このたびの交渉の結果、いろいろな評価もあるでしょう。批判ももちろんあるでしょう。しかし、相手国の反応等も踏まえながらこれからの対処をいかがするか、慎重にひとつ検討してまいりたい。そうは言いながら、私自身がこの場でもしばしば答弁をいたしておりますように、関係者の方方に大変な心配をおかけしておりますので、一日も早い決着、こういうことを念じながら、あらゆるチャネルを通じてひとつ努力をしなければならない、かように思っております。重ねて申し上げますが、今は冷静に従来と同じような方針を持ちまして、そしてこのたびの反応を見守りたい、こう思っておるところでございます。
  170. 神田厚

    ○神田委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  それでは農村地域工業導入法の問題に移らしていただきます。  昭和四十六年に策定されました第一次基本方針におきましては、昭和五十年を目標に工業出荷額が九兆円、雇用労働力百万人、うち農業就業者六十万人を見込んでおりましたが、六十二年度末の現状について見ますと、雇用者数は約二十七万人、うち地元雇用者数は約二十二万人、また農家世帯からの雇用者は約十万人にすぎないというふうになっております。目標と結果についてどのような評価をしておりますか。
  171. 松山光治

    松山政府委員 本制度の運用に当たりましては、関係省庁と相協力しながら市町村、都道府県あるいは経済団体、農業団体、関係者の理解と協力を得て積極的な工業導入の推進に努めてきたところでございます。  第一次基本方針に示しました目標とその後の結果との間には、残念ながら今御指摘のような大きな違いがあるわけでございます。昭和四十六年という年、その後のかなり大きな経済変動といったような事情がやはり一つ働いておるわけでございます。私どもとしてはただ、そういういろいろな著しい経済変動の中でのなかなか困難な事情が一つあったということを念頭に置きながらも、今御指摘のような実績を踏まえて考えましたときには、やはりそれなりの就業機会確保あるいは地域の活性化等々法の目指しております点について一定の役割を果たしておる、残された課題につきまして最近の状況も踏まえながら新しい取り組みを行うということで今回の改正法案の提案を行っておる、こういうことをひとり御理解を賜りたいと考えておる次第でございます。
  172. 神田厚

    ○神田委員 本法のそもそもの目的が、農村の中高年齢層を中心に安定的な就業の機会を与えるということによりまして農業構造の改善を図ることにあるわけでありますが、進出工場に中高年齢層がどの程度就業しているのか、またこの結果農業構造の改善はどの程度進んでいるのか、農地の流動化、規模拡大に資しているのかどうか、そのことをお示しをいただきたいと思います。
  173. 松山光治

    松山政府委員 まず工業導入地区の進出工場への採用の状況、就業の状況でございます。  これまで進出企業に採用されました方のうち、いわば新卒ではございませんで中途採用をされました方の割合を見てみますと大体七割程度ということになってございまして、これが全部中高年齢者に当たるとも考えられないわけでございますけれども、やはりある程度の中高年齢の方の就業が確保されておるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  農業構造等の改善の問題になりますれば、御案内のように就業機会確保農業構造の改善を円滑に進めていく上での一つの重要な要件をなしておる、このように考えるところでございますが、その他各地域の実情に応じたそれなりのもろもろの取り組みがあって初めて具体化していくという形のものでもございます。そういう意味では、数量的に農業構造の改善にどの程度の寄与をしておるかあるいは経営規模の拡大にどういう役割を果たしておるか、計量的に申し上げにくいところでございますけれども、各地の事例を見ましても、農村工業導入が行われあるいはそれが定着していくにつれて貸し借りもふえるあるいは委託をする者もふえてくるといったような事例も見られるところでございまして、そういう意味では、農業構造の改善への寄与といいますかあるいは工業導入を契機といたしました農業構造の改善はそれなりに進展を見ているものと考えている次第でございます。
  174. 神田厚

    ○神田委員 次に、第四次全国総合開発計画におきましては、東京一極集中を是正して各種機能の地方分散による国土の均衡ある発展を図ることを目的としているわけでありますが、こうした中で本改正等はどのような位置づけがされるのか、また今回の改正によりまして新導入対象業種となる道路貨物運送業倉庫業、こん包業及び卸売業の業種はいずれも都市型業種でありますが、本法の対象となったことによって農村地域への導入が推進されるという実績が上がる形になるのかどうか。導入促進のためには道路、通信、運輸施設等のハード面の基礎整備のほかに、情報、人材育成機能等のソフト面の基盤整備を一層促進する必要があると思いますが、この点をどのように対処する方針なのか。  さらに、今後サービス業の進展に合わせてサービス業を加えたらどうかという考え方もありますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  175. 松山光治

    松山政府委員 今回の農工法改正は、制度発足以来の事業の実績あるいは昨今のもろもろの事情というのを踏まえまして対象業種を拡大する、あるいは都道府県が行います広域的な実施計画策定の機会をふやす、こういうことを通じまして農村地域工業等の導入を積極的に進める、農業従事者の当農村地域における就業機会確保を図りまして農業構造の改善あるいは地域の活性化を図っていこう、こういうねらいを持つものでございます。  そういう意味では、これを推進することによりまして農業の振興あるいは農村活性化工業の地方分散等、四全総の課題の達成に資するものであるというふうに考えておる次第でございます。  ところで、今回の法改正で追加されます四業種について都市型ではないか、こういう御指摘が一つあったわけでございますけれども、この四業種につきましては、最近の物流サービスの高度化なり多様化に対応いたしましてその整備が必要な状況にあるというふうに認識しております。ただ、都市部では交通渋滞なりあるいは労働力確保難等が大きな問題になっている一方で、農村地域では交通基盤の整備が進みまして、あるいはまたこれら業種の主要な取引先は工業でございますけれども農村地域への工業立地がしんしん進展しておるといったような事情から、都市型と言われてまいりましたけれども、そういう意味での地理的な制約要因が緩和されてきておるという事情にあるというふうに考えておりまして、そういう事情を踏まえまして私どもは、今後農村地域への導入を十分考え得る業種ということで今回新たに対象業種として追加することにしたところでございまして、これら業種の農村への進出を期待したいというふうに考えておる次第でございます。  情報なり人材育成機能等のソフト面の基盤整備の促進の問題でございますが、これは主として関係省庁においていろいろとお考えいただくという世界の分野でございます。先ほども通産省の方からもお答えがあったところでございますけれども、私どもといたしましては基本方針におきましてこういったソフト面の基盤整備の促進の必要性を明らかにいたしまして、具体的には通商産業省等が中心となりまして頭脳立地構想その他の施策の推進に努めておるということを申し上げておきたいと思います。  なお、対象業種にサービス業を加えてはどうかという御意見をいただいたわけでございます。私ども、今回の見直しに当たりましてはできるだけ幅広く農村における就業機会確保を図っていくという観点から全業種について見直し検討を行ったところでございます。その場合に、産業立地政策の観点と構造政策の両面からの議論をいろいろと詰めてまいりまして、一つには、現に農村地域立地がたくさん見られます工業との関係が深く、かつまた業自体としても農村地域への進出の可能性なり必要性の要因を持っておる業種であり、かつ労働集約性の面から見ても農業にとっても好ましい、こういう観点から四つの業種を選んだという経緯がございます。対象業種の問題については今後の勉強課題にはしたいとは思っておりますけれども、今回の改正に当たってはそういう考え方のもとに四業種に限定したというふうに御理解をいただきたいと思っております。
  176. 神田厚

    ○神田委員 次に、最近円高等を契機といたしまして海外への工場立地が増加をし、またアジアNICS等との間で激しい輸出競争が繰り広げられておりますが、今後こうしたことが農村地域への工業導入にどんな影響を与えるものと想定をしているのか、農村地域工業導入する形の中で現在、税制上、金融上の優遇措置が講ぜられておりますけれども、さらにこれを拡充する必要があると考えますが、どのようにお考えでありますか。
  177. 松山光治

    松山政府委員 海外への直接投資の伸展は、我が国の国際的に調和のとれた経済構造の実現でございますとかあるいは世界経済の活性化等への寄与といったような意義を有する反面で、我が国産業活力なり雇用なり地域経済に与える影響が率直に申し上げて懸念されるところでございますし、先ほども通産省からも同じような考え方の表明があったわけでございます。もちろん、最近内需拡大ということで国内立地もふえておるという事情にもあるというふうに考えておりますけれども国内における地域振興と申しますかそういう観点から各般の政策努力が必要ではないか、このように考えております。私どもといたしましても各種の地域振興対策を持っておりますので、そういう観点からそれを活用していきたいと思っておりますし、かつまた、先ほど通産省からも空洞化対策といいますか、あるいは地域の活性化対策ということで省を挙げて格段の政策努力を行うんだというようなお答えがございましたが、関係省庁とも十分相談しながら対応考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  178. 神田厚

    ○神田委員 第四次農村地域工業導入基本方針におきましては、特に工業導入が十分に行われておらず安定した就業機会が不足している地域に重点を置いて工業を誘導し、工業の地方分散を図る、こういうことがその趣旨でございますが、具体的にどのような誘導施策を講ずるのか。特に山村、過疎地域に対しては特別の優遇措置が必要であると考えますが、いかがでありますか。
  179. 松山光治

    松山政府委員 工業導入がいまだ必ずしも十分ではない、そういった地域に対する対応は非常に重要な課題であると考えておりまして、そういう考え方基本方針に明らかにし指導に努めてきたところでございます。  具体的な対応策というお尋ねがあったわけでございますが、今回の法律改正におきまして、なかなか単独の市町村だけでは対応がしにくいような難しい状況にある地域、そういう地域をひとつ念頭に置きながら都道府県が広域的な見地から実施計画をつくり、関係市町村と協調して工業導入を図っていくような制度を用意いたしましたのも、そういう事態に対する対応の一つとして考えたわけでございます。  また、これは法律上の制度ではございませんけれども金融上の措置といたしまして、不安定兼業農家が多く、特に就業の場の確保が必要とされておる農村地域につきましては、政府系の金融機関からの融資におきまして特別の融資制度、低利のものを用意するというのを六十三年度から考えておるところでございますし、かつまた、これら地域への工業導入を円滑に進める上で非常に重要な役割を果たすと考えております情報の提供の面でも、従来からの農村地域工業導入促進センターの活動に加えまして、パソコンシステムを利用いたしました新しい立地情報システムの整備にも六十三年度から着手をしようとしております。これらを通じまして、なかなか難しい事情にあるわけでございますけれども、そういう地域への円滑な工業等の導入を期待したいと思いますし、また今申し上げましたような各般の措置を各地域におきましてもひとつ有効に活用していただきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  180. 神田厚

    ○神田委員 工業等の導入がおくれている地域あるいは今後とも導入しにくい地域におきましては、地域の農林水産物の付加価値を高める地場産業の育成が今後一層重要になるというように思われますが、政府におきましてはどのような施策を講じようとしておりますか。
  181. 松山光治

    松山政府委員 地場産業の育成、これは地区外からの工業導入と並びまして非常に重要な点であるというふうに考えておりまして、基本方針におきましてもそういう考え方を明らかにしてその指導に当たっておるところでございます。  地場産業の育成対策につきましては、政府関係省それぞれのつかさ、つかさでいろいろな対策を講じておるわけでございますが、今お尋ねの農林水産物の付加価値を高める地場産業の育成、こういった観点では、私ども農林水産省といたしましても、地域食品振興対策あるいは山村振興対策なり地域定住促進事業といったものを有効活用しながら、農林水産物の加工等を行う地場産業の育成に力を入れておるところでございまして、今後ともさらに努力してまいりたい、このように考えております。
  182. 神田厚

    ○神田委員 今回の改正におきましては、工業等の導入がおくれ就業機会の不足している複数の市町村を対象に都道府県が実施計画を定めることができることとしておりますが、市町村にとってどのようなメリットがあるものになるのか。さらに、この広域的観点に立った計画、制度を実効あらしめるためには都道府県と関係市町村の緊密な協力体制の確立が必要と思われますが、具体的にどのような方策を考えておりますか。
  183. 松山光治

    松山政府委員 工業導入を図りたいけれども置かれたいろいろな条件からするとなかなか単独では難しい問題を抱えているといったようなことで、計画も立てられないという地区がいろいろあるわけであります。他方、交通条件の発展その他からいたしまして、ある程度一体的に考え得る複数の市町村というものがございまして、少し広域的に物を考えていったときには、いわば他の市町村への通勤の形態での就業の可能性のある、そういった意味での地区もあるわけでございます。  そこで、そういった地区を念頭に置きながら、個々の市町村だけではなかなか難しい仕事ではございますが、それを都道府県がイニシアチブをとりながら広域的な観点から実施計画の策定を行って工業導入の円滑な推進を図っていこうというのが今回の制度改正の一つでございます。もちろん、それに伴いまして市町村間で一種の任務分担と申しましょうか、そういうものについての調整が当然必要になってくるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり都道府県が中心になって市町村との調整に当たっていただきたい。その場合、都道府県においては市町村の意見を十分間いてもらいたいと思っておりますし、かつまた、市町村には、お互いの連絡をよくするとともに、都道府県にも十分協調しながら円滑な制度の推進を図るように指導をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  184. 神田厚

    ○神田委員 最近の我が国農村農業を取り巻く環境は、農産物価格の低迷、水田面積三分の一に及ぶ減反の実施、牛肉かんきつの輸入自由化問題等、大変厳しいものがあります。このため農業の体質強化と農業活性化を図るための施策の確立が要請されておりまして、その意味におきまして、本法に対しては今後大きな期待が寄せられております。農村地域工業等の導入と相まって農業構造をどのように改善しようというのか、お伺いをしたいと思います。
  185. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 我が国農業の発展のためにはその構造改善を積極的に進めることが重要でありまして、このため地域の実態に応じ農地の売買や貸し借り、農作業の受委託などを進めることによって中核農家の規模拡大あるいは生産組織の育成を図っていきたいと考えております。  このような観点から、関係機関、団体の密接な連携のもとでの農地の貸し借りの掘り起こし活動の強化、それから農地流動化の前提となる土地基盤等の整備の推進、また農村地域における工業等の導入等による安定的な就業機会確保、これらの諸課題に取り組んでまいりたいと考えております。
  186. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  187. 菊池福治郎

    菊池委員長 藤田スミ君。
  188. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、まず最初に牛肉、オレンジの問題についてお伺いをいたします。  今までの当委員会の質疑を聞いておりましても、多くの国民や農民が自由化されたら大変なことになるとかたずをのんで見守っておりましたあの日米交渉について当委員会でも詳細に交渉経過が明らかにされなかったわけです。極めて遺憾なことだと思います。  今まで、大臣自由化は困難であるとして当委員会でも再三にわたって言明をしておられました。ところが、日米交渉では、仮設作業だとしながら自由化に踏み込み交渉を始めたと報道され、大臣発表要旨を見ますと「我が国としても譲れるものと譲れないものがあり、この点について米側の歩み寄りが見られなかった」と記述されているわけであります。  そこで、まずお伺いをいたしますが、大臣我が国として譲れるものというのは今回の日米交渉で一体何だったのでしょうか。牛肉の場合、オレンジの場合、譲れるものというのは一体何だったのかお伺いをいたします。
  189. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 冒頭、何か交渉経過について私どもが明らかにしなかったのは遺憾である、こういうお話があったように聞き取りましたが、私は、再々申し上げておりますように、我が国農業政策の推進、食糧政策の前進のために全力を挙げていかなければならぬ、もちろん国際化する中にあって孤立をするようなことがあってはならない、そういう中でぎりぎりの選択をしながら努力をしてきた、努力を重ねつつあるということでございます。交渉中身については外交交渉でございますから一々申し上げるわけにはまいりません、この言葉は何回となく申し上げまして、そして皆さんから御理解を賜って今日に至っておるということでございまして、何にも言わずに、報告もせずにほっぽっておいたということではございませんので、ひとつあしからず。そういう意味でおっしゃったのではないと思うけれども、私からまずそれを申し上げておきたいと思います。  もう一つは、譲れるものと譲れないものがある、一体それは何なのか、こういうお尋ねで……(藤田委員「譲れるもの」と呼ぶ)これは相対的なものですから。譲れるものがあるから譲れないものもある、譲れないものがあるけれども譲れるものもある、こういうことでこれは相対的なものでありますから、私から一口で申し上げさせていただくならば、我が国牛肉あるいはかんきつ、この存立をなくしてしまうようなことがあってはならぬ、この存立ということができるようにしなければならぬ、こういうことで、私がワシントンから第八回目の会談直後に国民の皆さんに向け、もちろんその中にあなたも入っておるわけでございますが、関心を持つ皆さんに向けまして、一、二、三と三点に区切って、もうお読みになったとおりでございますが、これは全部一つのものとして御理解いただくとよくわかっていただけるのではないか、こう思います。
  190. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は詳細にというふうに申し上げましたので、誤解をしないようにしていただきたいと思います。  それから、譲れるものというのは一体何なのかということをお伺いをしたのですが、そういうふうにお答えをいただいておりません。私の質問にまともにお答えをいただいていないというふうに思うのです。  牛肉、オレンジの日米協定が期限切れになったのを受けて、四月八日はアメリカガットに提訴をして、パネル設置要求しました。これに対して、日本パネル設置を拒否したわけです。ところが、日米交渉が決裂をした五月四日のガットで、アメリカ及びオーストラリアがパネル設置要求したのに対しては、設置に同意をされた。他方、大臣は二国間による一日も早い円満解決主張しておられるわけです。これは一体どういうことを意味しているのでしょうか。パネル裁定の見通しが暗いことは、十二品目の裁定を見ても明らかだと言われています。また、十二品目に見られるように、ガット裁定を拒否できない日本政府のもとでは、パネル設置意味は深刻であります。  日米交渉の決裂とは裏腹に、現時点は牛肉、オレンジの自由化に向けて着実に進んでいるのではないでしょうか。もしそうでないとすれば、パネル裁定を拒否することもあり得るということをここで明らかにしていただきたいのであります。
  191. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 これも再々申し上げていることでございますが、日米間を考えますと、我が国友好国であるという基本的なスタンスの上に立ちまして、私は交渉を進めてきた経緯があることは御案内のとおりでございます。  それを認めるか認めないかによって議論が大きく分かれるところであります。あなたとまた意見の違う点もそこから出てくるのではないかということを、私はきのう参議院の農林水産委員会に出まして、日本共産党の御質問を受けてさように感じた次第でございます。  残余は経済局長から答弁させます。
  192. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 パネルの問題にお触れになりましたので、私の方から補足して申し上げますと、委員の方からお話がございましたように、五月四日のガットの定例の理事会におきまして、アメリカあるいは豪州から、我が国牛肉及びかんきつにつきましての制度に対するガット上の位置づけについて、紛争処理手続でございますパネル設置が正式に要請されまして、ガット理事会において決定を見たわけでございます。  我が国は、紛争当事国といたしまして、ガットの加盟国として、ガット加盟国間の貿易上の紛争については最終的にはパネルによる第三者の判断を尊重しつつ手続を進め、貿易上の紛争の処理を行っていく、そういう手続があるわけでございますので、これを尊重するという観点からパネル設置を受け入れることにしたわけでございます。  パネルにおきます今後の具体的な対応ぶりにつきましては、先ほども答弁申し上げたわけですが、具体的なパネリストをどなたにお願いするのか、あるいはパネルの任務をどういうふうに分掌化するのかという手続上の問題がございます。それを踏まえて具体的にパネルがスタートするわけでございますが、ガットにおける過去のパネル先例等も十分調べまして、慎重に対応していく必要がございます。  ガット上の我が国の関連する牛肉及びかんきつについての制度の位置づけはもちろんでございますが、これまで牛肉あるいはかんきつにつきまして我が国努力をしてまいりました市場拡大のための一連の措置、それから農産物の純輸入国第一位の地位に我が国はあるわけでございまして、そういった面で世界の農産物の貿易の安定的な拡大の機会を開放していくという観点から、我が国は大変な寄与をしているわけでございますから、そういった点についてもパネリスト理解が十分得られるように、我々としては対処していかなくてはいけないというふうに考えているわけでございます。  具体的なパネル審査、その結果としての報告書に対する対応につきましては、現段階ではまだパネルの手続が始まったばかりでございますので、発言は控えさぜていただきたいと思います。
  193. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣、問題はアメリカ友好国と見るかどうかといったようなことじゃないのです。大事な点は、日本の国の主権を守るかどうか、日本農業食糧を守るかどうかということじゃありませんか。そういうふうな大臣の御発言は私は大変心外なんです。  大臣発表の要旨を見ても思うわけですが、発表要旨には今後の対応が確かに書かれております。そこには「我が国牛肉かんきつ生産の存立を守るとの基本的立場に立って、」と書かれているわけです。これは従来、大臣自由化は困難であるとの基本的立場に立って、とおっしゃっておられたその言葉は、一言も書かれておりません。生産の存立とおっしゃいますけれども生産者を守るということは書かれていないわけです。どうしてでしょうか、大臣
  194. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 どうしてでしょうかということでございますので、御説明申し上げたいと思います。  まず、今二度目の質問でございますが、その冒頭に、友好国がどうのこうのと言っているんじゃないんだ、主権国家としてどうだと。あなたはきのう、参議院の農林水産委員会においても傍聴されておりました。私は存じ上げております。私が答えたこともそれなりに御存じの上でおっしゃっているものと理解をいたしております。言わぬでもいいことですが、はっきり言っておきます。私はきのうも主権国家として当然のことを主張しておるということは言っております。そういうことで、私はあえて友好国のところの次に主権国家としてという言葉は申し上げませんでしたが、いや、わかっちゃいるけれども、それでもつけ加えろと言われればつけ加えておきます。主権国家として当然の主張をいたしました、こういうことでございます。  また、生産者立場を守ると書いてないではないか。牛肉かんきつの存立を守ると言っておるわけでございますから、もう言わずもがなではないかなと思います。だけれども、これはもう私は第八回目の会談の直後、そういうことで私の談話を発表しておりますので、今からこれをつけ加えろと言われてもあれですし、それほど活字についての関心はございません。
  195. 藤田スミ

    ○藤田委員 私が申し上げたのは、従来、自由化は困難であるというのを基本的立場にされておられた大臣が、この要旨を見ると、自由化は困難であるとの基本的立場という、一言もそういう言葉が書かれていないのはなぜなんですかということをお伺いしている。
  196. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 何でそう悪う悪う解釈しなさるのでしょうかな。自由化は困難であるということを申し上げながら、そして交渉でありますから、いろんな角度からの話し合いをしたということでございます。
  197. 藤田スミ

    ○藤田委員 一番大事な問題は、自由化はできないということなんです。だから私は悪く悪く解釈をしているわけではありません。そしてこの基本的立場に立つなら、輸入自由化をして課徴金制度導入してもいいわけ、こういうことじゃないですか。結局、この基本的立場は輸入の自由化を打ち出したものじゃないでしょうか。そうでないとしたら、今後とも、ガットも含めて自由化は困難であるという立場を貫くことを明らかにしてください。
  198. 塩飽二郎

    塩飽政府委員 牛肉並びにかんきつについての対米交渉につきまして、先ほど大臣の方から基本的な心構え、取り組みの姿勢につきまして御答弁申し上げたわけでございます。今後、この問題は、前回のワシントンにおきます大臣とヤイター代表との八回にわたる交渉におきましても、残念ながら我が国立場アメリカに納得させることができなかったということで解決を見てないわけでございますが、先ほどから大臣が御答弁申し上げておるように、関係農家の困難、不安を一日も早く解消する必要もございますので、一日も早く解決をすべく、引き続き私どもとしては取り組んでいく必要がございます。  その場合、先ほど申し上げましたようにパネルの手続にも一方移行しておりますので、私どもといたしましては、ガットにおけるパネル手続に対する万全の対応もすると同時に、機会をつかまえながら二国間ルートその他によりまして、我が国の肉牛あるいはかんきつの存立が図られるような形で、本問題の解決に向かって一層努力をいたしたいということでございます。
  199. 藤田スミ

    ○藤田委員 あなた方は、みずからの努力を盛んに強調していらっしゃるわけです。しかし、牛肉、オレンジの自由化そのものについては既にもう了解をしておって、結局課徴金導入や移行期間の設定あるいは国内対策はあくまでもその事後措置ということじゃないでしょうか。しかし、自由化を前提にする以上、これらの対策を幾ら強調しても、結局大臣がおっしゃる牛肉かんきつの存立そのものが守れないんだということを生産者消費者も今訴えているわけです。いかに食糧がとうとく、農業がとうとい、大臣は午前中そういうふうにおっしゃいました、そして、それに国民は理解をしてもらいたいというふうにおっしゃっても、自由化はできないんだ、日本農業のために、食糧のためにできないんだということを毅然として政府が貫くことが、そのことを逆に国民にも理解してもらうことになるんだというふうに私は考えます。  既に日本は世界最大の農産物輸入国になっているわけです。これ以上よその国に食糧依存をするということをやめて自由化を拒否することは、これはまさに独立国として当然のことではないでしょうか。ガットであれアメリカであれ、この権利を侵すことはできません。牛肉とオレンジの輸入自由化には応じることができない、これこそまさに今日本農業生産者、国民が求めている態度なんだということを私は最後にこの問題で重ねて申し上げておきたいと思います。  農村地域工業導入促進法の問題について入っていきたいと思います。  いわゆる農政審報告、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」の中で、「経営規模の拡大と担い手の育成」をうたい、「経営規模を拡大していく過程において、現に農業に従事している者が農外へ流出することに伴う雇用、所得の確保を図ることが極めて重要であることは論をまたないが、この場合各地域ごとに社会、経済全体の十分な協力の下に、他産業分野への就業機会確保が図られることが不可欠である。」と書かれています。その点では、農村地域工業導入促進法の一つの柱である農業構造改善を無理に進めるために工業導入を焦って進めるというようなことはあってはならないわけです。まして、農政審報告に沿ったものだということで、各市町村が構造改善事業に消極的な零細農民に対して強制的に離農を迫るというようなことがあってはならないというふうに考えますが、農水省としてそういうことがないように十分な指導をすべきだという点についてはいかがでしょうか。
  200. 松山光治

    松山政府委員 農工制度は、言うまでもございませんが、工業等の導入を促進いたしまして農村地域に安定的な就業機会の増大を図り、出稼ぎ等も極力少なくする、それで他産業への就業を希望しておる農業従事者に、安心して転業できるような条件整備を行うということでございまして、そういうことをやりながら円滑な農業構造の改善を進めていきたいと考えておる次第でございます。したがいまして、あくまでも農業従事者の自発的意思を尊重し、かつ地域の農業のあり方について十分地域の関係者が話し合いをしながら円滑に事態を進めていってもらいたいものだ、このように考えておる次第でございます。
  201. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは、雇用労働条件の問題から質問を進めていきたいと思いますが、前川リポートに基づく産業構造調整路線、そして円高政策で、工業導入地区立地企業についても深刻な影響が出てきているというふうに考えるわけです。  そこでお伺いしますが、六十年の九月以降現在までの立地企業の倒産及び事業所閉鎖の状況及びそれによる失業者数と、そのうち農業従事者の数について明らかにしていただきたいわけです。
  202. 松山光治

    松山政府委員 お尋ねの点につきましては、地元の実情が微妙かつ複雑な場合が多い等、事柄の性格上行政サイドとしてなかなか把握しにくい、そういう問題があるわけでございまして、私どもも必ずしも十分事情を把握しておるわけでございませんけれども、今まで私どもの方に集まっておる情報からいたしますと、六十年の九月以降六十一年度の末までの倒産の件数でございますが、二十八件というふうに承知をいたしております。  倒産により解雇されました雇用者の数、これの把握はさらに難しさが増すわけでありますけれども、現在把握しているところによりますと、今の二十八件の倒産企業のうち二十三社に従事しておりまして解雇された方が八百六十人余というふうに聞いております。このうち農家世帯員がどれだけかというのはますます難しいのですけれども、うち二十二社について聞きましたところでは、三百七十人程度が農家世帯員であった、こういうふうに承知をいたしております。
  203. 藤田スミ

    ○藤田委員 「農業と経済」、昨年十一月に出されておりますが、この中に「産業の空洞化と農村雇用」ということで農村地域工業導入促進センターの方が書かれたものを持っています。その中で農村地域工業導入促進センターの調査ということで、立地企業の九一・二%が円高の影響を受けていて、その対策で賃金の抑制、雇用調整、人員削減がなされているということが非常に細かく紹介されています。このうち、解雇された従業者の中に農家世帯員はどれぐらい含まれているのかということに対して、過半数が農家という市町村が三四・五%、大部分が農家なんだというのが二〇・八%で、つまり五五%以上の市町村で解雇者は農家世帯員が過半数を超えている、こういう統計が示されています。つまり農業者が真っ先に雇用調整されているわけなんです。このような農業者を真っ先に雇用調整する企業に対して一体どのような対策をお考えでしょうか。
  204. 松山光治

    松山政府委員 農村工業導入地区に入っております企業に雇用されておる地元の出身者といいますか、地元から雇用されている方が二十一万人、そのうち農家世帯員が約十万人ということで、大体半分が農家の世帯員でございますから、先生御指摘の数字、私ちょっと今手元には持っておらぬのでありますけれども、解雇が起こりましたときにある程度農家世帯員にも影響が及んでいるということは十分あり得ることだろうと思っております。ただ、そのことが今先生がおっしゃられましたように直ちに農家世帯員から順番に解雇が進んでおるということを意味しておるかどうか、私は必ずしもそうではないのだろうというふうに思っておりますし、農家世帯員から順番に解雇が行われておるということで問題になっておるといったような事例を寡聞にして存じ上げておらないということでございます。
  205. 藤田スミ

    ○藤田委員 ある程度の影響というようなものだったら、私はあえてここで問題にしないのです。せっかく出ているこのセンターの調査をもう一度よくごらんいただいて、ぜひ御検討いただきたいというふうに思うのです。何しろ過半数が農家だという市町村が三四・五、大部分が農家であったというのが二〇・八というふうな数字になっておりまして、これはやはり農業者を真っ先に雇用調整するということになっているのじゃないかということでこの中でも指摘をされておりますので、私はこういう問題にぜひとも関心を持っていただかなければちょっと無責任だなと思うのですが、今後どうするか、検討はいただけますね。
  206. 松山光治

    松山政府委員 農業従事者あるいは農家世帯員の安定的な就業機会確保ということでこの制度が始まっておるわけでございますから、私、寡聞にしてそういう事例を存じておらないというふうに申し上げたわけでございまして、大変関心を有しておるところでございます。今御指摘の資料は私ちょっと目を通していなかったのは申しわけないと思っておりますけれども、これからも強い関心のもとに農家世帯員の就業の安定という問題を考えてまいりたい、このように考えております。
  207. 藤田スミ

    ○藤田委員 農工法に基づく企業誘致に限らず、農村地域、特に過疎地域の企業誘致は企業に来てもらうだけでもありがたいんだ、文句をつけたら企業に逃げられてしまうということで、言ってみれば企業のやりたいほうだいになる傾向が強いわけです。結局、誘致企業と誘致市町村との関係は圧倒的に企業の側の優位にある、こういうことが特に過疎地域では言えると思います。そういうことから、農家を雇用調整の対象にするというようなことはもちろんですが、最低賃金も下回る賃金でも文句が言えない、残業の割り増し賃金を支給されなくても文句が言えない、それどころではなくて市町村の方でも逆に押さえにかかるといったようなことで、結局そこで働く農村婦人や農家世帯員が劣悪な労働条件を強いられるというようなことになっているわけです。この点、労働省としてどのような認識対策をお持ちなのか、明らかにしてください。
  208. 若林之矩

    ○若林説明員 誘致企業と申しましても実態はさまざまでございますけれども、一般的に申しますとある程度の規模の企業でございますので、労務管理面については概して進んでいるということが言えようかと存じますし、地元において指導的な立場に立って労働条件改善に取り組んでいる誘致企業もあるわけでございます。ただ一部には、誘致企業で管理担当者が労務管理の知識が大変乏しくて法違反が生じている、こういった実態があることも事実でございます。
  209. 藤田スミ

    ○藤田委員 対策をどうしているのかということについて、もう一度後でお答えください。  青森県の弘前労働基準監督署が昨年の三月に誘致企業労働条件実態調査を行って、その結果、誘致企業の八三・三%が労働基準法違反になっているということを明らかにしておりましたので、私はこの弘前の労働基準監督署を訪ねてまいりました。そうしたら、進出企業は労働基準法に関する自覚がない、また、進出企業では本社から若い社員を派遣してくるので労務経験もなく平気で違反行為をする傾向があるというようなことでした。もっとも、この労基署ではこの調査結果を公表して同時に進出企業に対して行政指導を行った結果、最近は随分改善をされてきたと言われています。また、青森県の労働基準局は優良な誘致企業の事業場の名前を公表する制度を始め、そういうことで改善が進められてきたということなんですが、私はこういうことは労働省が進んで全国的に行うべきことじゃないかと考えるわけです。こういうような取り組みが各県、各労働基準監督署ということで任せられてしまうならば、今の傾向では、企業側ではあの県はうるさいからもう進出を見合わせようというような動きにもなりかねない、そういう不安を一方に抱えるわけですから、私は、この農工法の担当省庁である労働省自身もそういう点で全国的な調査、指導にもっと真剣に取り組むべきだというふうに考えます。いかがでしょうか。
  210. 若林之矩

    ○若林説明員 私ども労働基準行政は全国斉一的な行政を展開しておるわけでございます。したがいまして、本省の示しました全国的な運営方針の中で、各基準局なり監督署がその地域におきます問題業種でございますとか問題事業場に対しまして重点的、計画的な監督を実施しておるわけでございます。したがいまして、ある県におきましてある業種が特に問題だという場合には、それにつきましていろいろ工夫をして計画的に是正を図っていくということでございまして、今回先生御指摘のケースにつきましては、誘致企業というものをとらえたときにその労働条件が非常におくれているということでこれを重点的に取り上げたわけでございます。結局、私どももこういうケースがほかの県で出てくれば当然その県では同じような手法でその改善を図っていくわけでございまして、ただ誘致企業ということだけで私ども行政展開をしているわけではございません。しかし、誘致企業というのは一般にある程度の規模でございますし、私どもの定期的な監督の中にまず入ってくることでございますから、一般的にはそういったような監督の中で十分その状況も把握できますし、問題があれば是正をしていく、そしてそういったケースが多くあるとすれば、ただいま申しましたような重点的なものととらえてそれを計画的に改善していく、こういうことになろうかと思います。
  211. 藤田スミ

    ○藤田委員 非常に企業に来てもらいたい地域、そこにその地域としてのいわば弱みというのですか、弱い立場というものがあるのです。そのしわ寄せが労働条件の方までいくわけですから、私はそういうところにもっと着目をした労働省の取り組みというのが本法所管の担当省庁としても責任があるじゃないかというふうに考えるわけです。ぜひそういうことで今後とも積極的な労働条件改善のためのお取り組みを約束していただきたい。もう一度はっきりとお答えください。
  212. 若林之矩

    ○若林説明員 ただいま申し上げましたように、誘致企業も含めまして私ども監督を実施しておるわけでございますので、そういった中で誘致企業に問題があるということであれば当然それを個別に私ども是正を図ってまいるわけでございますし、そういった誘致企業は多くそういったような違反があるということでございましたらば、それを重点的にとらえて、いろいろな工夫を凝らしてその是正を図ってまいるということで進めてまいりたいと思っております。
  213. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは企業誘致の問題についてお伺いをいたします。  先日の参考人質疑農工法のうまくいっている地域の実情というのを随分聞かせていただきました。しかし、大変な地域もあるのだということもまたけさほど来の質疑の中でも明らかにされていると思います。特に大都市圏から離れている農村地域は、農工法による工業団地をつくっても、売れ残っているところは大変なわけです。  青森県の金谷工業団地というのがございます。四十六年から五十七年まで十年間に三十億円以上の事業費をかけて百一万平米の工業用地を造成したわけです。ところが、現在わずか三・四%の分譲率で、毎年三億円の欠損金、この欠損金は全額支払い利息ですが、こういう状態になっています。今は新産業都市建設事業団として会計処理をされているのですが、関係市町村は、この事業団が行き詰まり、解散をして、膨大な赤字を背負うことになるのではないか、そういう点では深刻な不安を抱えています。  これらの工業団地は、国の新産都市計画に基づいて推進されたものであり、私は国の責任は免れないと考えるわけです。その点、今回の法改正によってもなかなか見通しが立たない工業団地について国としてももっと積極的に対応すべきではないかと考えますが、どうでしょう。
  214. 松山光治

    松山政府委員 御指摘の金谷工業団地でございますが、県が農工団地といたしまして計画を策定いたし、新産業都市建設事業団に事業委託を行って造成いたしました団地でございまして、御指摘のございましたように、残念ながら三社しかまだ入っておらないという実情にあるわけでございます。県からの報告によりますと、この団地に企業立地が十分進まない一番大きな理由は、産業用の道路の整備が十分でなかったことなのだというふうに聞いておるわけでございますが、幸いにして、六十二年度に県と町の努力によりまして産業用道路の全線が開通いたしまして、立地条件改善されておると聞いておるわけでございます。私どもとしては、せっかく造成いたしました地区に企業が入ってこないのは大変残念なことと考えておるわけでございますし、今回の法改正、それに関連いたします措置も有効に活用していただきながら、できるだけ早く企業立地が進むことを期待したいと考えておるわけでございますけれども、私どもとしても、計画の策定に当たりました青森県あるいは企業立地の指導に当たります通産省ともこれからまた改めて密接な連携をとってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  215. 藤田スミ

    ○藤田委員 幾つかの青森県下の自治体を訪ねて、言われたことは、これは結局むつ小川原を散在させたようなものなのだということでありまして、私は特に過疎地の深刻さというものを受けとめました。  農工法制度的枠組みは、全国一律で大都市圏周辺も過疎地も同じ扱いになっています。大都市圏周辺では市町村が企業を選ぶのだと言われているのです。ところが、過疎地のようなところは企業が市町村を選ぶというように態度が変わるわけです。その点では、過疎地の市町村については農工法制度的枠組みの中でも特に手厚い対応がなされるべきではないかということを考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  216. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 過疎地域など工業導入の進んでいない地域の就業機会確保は重要な課題であります。このため、本年度に、企業立地を進める必要が高い農村地域では開銀等の特別融資を設けたほか、今回の法改正において、市町村単独では企業誘致が難しい地域について都道府県が主体となって工業導入の実施計画を定め、市町村と協調して企業誘致を行う道を開いております。これらの措置は、これまで工業等の導入が進みにくかった地域における企業導入の促進要因となるものと考えております。
  217. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一つ、大変具体的な問題で農水省の指導を求めておきたいと私は思うのです。  青森県に野辺地町というのがあるのですが、サントリーが進出予定をしまして、昭和五十五年に立地を決め、六十一年着工で、六十三年一部操業開始なんだと町民に大変な期待を持たせていました。ところが、八年たった現在、予定地はまだ広大な原野なんです。最近熊襲発言がありまして、そういう影響があったのかなと思いますが、サントリーの専務が先月の下旬に、二十八棟の原酒の倉庫を建設するという最初の計画の中の二棟だけを早ければ六十三年じゅうに取りかかりたいと約束をしたそうですが、しきりに酒税法の改正だとかスコッチウイスキーの輸入の動向などを見ながらと言っているところを見ると、これもまた不安になってくるわけです。この地域は、サントリーの進出によって、馬門温泉だとかあるいは町のスキー場だとかスポーツ施設とうまく連携して、それこそ全体の活性化になるようにといういい計画を着々進めたのに、ここだけが取り残されているのですね。やはり私は、サントリーに余り勝手気ままを許すということではなしに、最初の約束をサントリーがきちんと守るように、一日も早く操業ができるように農水省としてもひとつ指導をしていただきたいと思います。
  218. 松山光治

    松山政府委員 地域が非常に期待をいたしておることでありますが、予定よりも大分おくれておるということで、私どもといたしましても、これは各企業それぞれのやむを得ぬ事情があるのだろうとは思いますけれども、できることなら地元の希望が満たされるような方向でサントリーにも考えてもらいたいなというふうには思っておりますけれども、やはりそこは私企業が私企業の立場で御判断になる性格の話でもございます。かつまた、今お話のございましたように、六十三年度に貯蔵庫の建設に着手するというようなことも聞いております。そういう意味では、関係省庁とも私ども連携をとりながら、ともかくは県なり市町村とサントリーとの関係でもございますので、できるだけ事態が円滑に進むことを期待していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  219. 藤田スミ

    ○藤田委員 最後に、規制措置がないという点では、公害問題も規制措置がありません。第四次農村地域工業導入基本方針では、「工業の業種については、技術先端型業種等雇用効果の大きい内陸型業種を中心に成長性と安定性のあるものを対象とする。この場合において、公害のおそれのない業種又は公害防止設備を完備した企業の導入を図る」としておりますが、IC製造企業などは「公害のおそれのない業種」に該当するんでしょうか。公害のおそれのない業種というのは一体どういう業種を具体的に指しているんでしょうか。
  220. 松山光治

    松山政府委員 工業導入に伴いまして農村の環境に悪影響が生じてはいけない、こういう基本的な考え方のもとに、今後公害問題についての考え方を明らかにいたしておるところでございます。基本方針におきましては、その点につきまして、「公害のおそれのない業種又は公害防止設備を完備した企業の導入を図る」ということになってございまして、何か具体的な業種を想定しているというよりも、むしろその趣旨とするところは、公害を生じるようなことがあってはならない、そういう考え方のもとに企業導入を図っていくんだ、そういうふうにお読みいただきたいと思うわけでございます。  今具体的にIC企業はどういうことになるのであるのかというお尋ねがあったわけでございますが、IC工場等において使用いたしますトリクロロエチレン等の有機溶剤につきまして環境に及ぼす影響が懸念されておる、そういう事情にあるということは承知をいたしておるわけでございますが、別途関係省におきまして、その生産なり貯蔵なり使用等についての注意が通達され、あるいは暫定排出濃度目標が設定される等、必要な指導が既に行われておるというふうに承知をいたしております。基本方針考え方は、そういった必要な指導を遵守しながら工業として入ってくる、そういうことを考えておるわけでございます。
  221. 藤田スミ

    ○藤田委員 IC工場については多くの有害化学物質が使われていて、しかもその使用、排出の実態が企業秘密にされているという状態の中で、環境庁等四省庁が初めて全国的な調査を行って、その中から、やはり工場周辺の井戸水なんかから人体に有害な、おっしゃったトリクロロエチレンが検出されるとか、弗素化合物についても使用量が多く、一部は排出ガスにおいて比較的高い濃度が検出され、工場周辺の環境大気中においても低レベルではあるが検出されているということで、今後詳細な調査が必要だし、監視も行政指導も強めていこう、こういうことですから、私はやはりこういった企業についてもめったやたらに来い来いというようなことでは、かつての神通川、水俣というような繰り返しになるという点で、あえてこの問題を求めているところであります。  時間が参りましたので、私は最後大臣に一つだけお伺いします。  私は青森県を歩いてみて、この工業導入促進法が実施され、実際に実行され、あるいは市町村が独自に企業誘致ということでやっている涙ぐましい取り組みと同時に、それにしても本来農村地域はやはり農業活性化を、本当にここでとれるもので活性化を進めていくべきじゃないかということを改めて思いました。そういう点で私は大臣最後に、きょうはるる取り上げられてきたこの問題について、もう一度大臣決意のほどを聞かせていただきたいわけです。
  222. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 農村活性化並びにとりもなおさず農業食糧政策等々の前進のために最大の努力を払っていかなければならぬ、そこには雇用問題もあるからである。環境問題についても触れられましたが、農村の環境が悪くなっては困る、農村だけではない、日本全体環境が悪くなってはならない、地球上全部悪くなってはならない、以上でございます。
  223. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  224. 菊池福治郎

    菊池委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  225. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  226. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  227. 菊池福治郎

    菊池委員長 この際、本案に対し、月原茂皓君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。沢藤礼次郎君。
  228. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農業構造の改善農村地域活性化を図るため、本法の施行に当たっては左記事項の実現に万全を期すべきである。       記  一 道路貨物運送業等新対象業種を農村地域へ計画的に導入・定着させ、安定的な地元雇用確保されるよう、関係業界、地方自治体等に対し十分な指導を行うとともに、その導入に当たっては、優良農地の確保、公害の防止等に遺憾なきを期すること。    また、産業構造の変化産業の地方分散の動向等を踏まえ、必要に応じ、対象業種の適切な拡大を検討すること。  二 今回新設される広域的見地からの計画制度の運用に当たっては、導入地区の選定、各市町村の役割分担等について十分な事前調整を行い、関係都道府県・市町村が一体となって取り組むことができる体制が確立されるよう指導すること。  三 最近の円高等を背景とする工業の海外立地の増加及び新興工業国との輸出競争の激化傾向に対処する等のため、農村地域への円滑な工業等の導入に必要な用地確保、道路、通信・運輸施設等の整備と併せ、研究、情報、人材育成機能等のソフト面での産業基盤の整備も促進すること。  四 工業等の導入が十分には行われておらず、安定した就業機会が不足している地域に対し重点的に工業等を誘導するとともに、付加価値の向上にも配慮した地場産業等の育成を図る施策の強化拡充に努めること。  五 農村地域への工業等の導入と相まって、農業構造等の改善を図るため、農業生産基盤・農村環境整備、農地保有の合理化等を一体的に推進すること。  六 農村地域導入される工業等に地元住民が円滑に就業できるよう、雇用情報の収集、提供、職業紹介の充実、職業訓練等の実施に必要な施策の強化拡充を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  229. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  月原浩皓君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  230. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣
  231. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私、初めて全会一致の御可決をいただきました。感謝にたえません。  ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ─────────────
  232. 菊池福治郎

    菊池委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  234. 菊池福治郎

    菊池委員長 次回は、来る十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会