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1988-04-13 第112回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十三日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       阿部 文男君    石破  茂君       衛藤征士郎君    遠藤 武彦君       尾形 智矩君    大石 千八君       川崎 二郎君    熊谷  弘君       小坂善太郎君    園田 博之君       田邉 國男君    武部  勤君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       長谷川 峻君    二田 孝治君       柳沢 伯夫君    石橋 大吉君       沢藤礼次郎君    田中 恒利君       竹内  猛君    前島 秀行君       安井 吉典君    武田 一夫君       玉城 栄一君    藤原 房雄君       吉浦 忠治君    藤田 スミ君       山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産技術会         議事務局長   畑中 孝晴君         林野庁長官   松田  堯君         水産庁長官   田中 宏尚君  委員外出席者         環境庁自然保護         局保護管理課長 島田 直幸君         国土庁地方振興         局総務課長   吉原 孝司君         大蔵省主計局主         計官      斎藤 徹郎君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       勝山 正嗣君         文化庁文化財保         護部記念物課長 小林 孝男君         農林水産大臣官         房審議官    濱田幸一郎君         農林水産省経済         局国際部長   塩飽 二郎君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     糟谷  晃君         建設省住宅局住         宅生産課長   上野 公成君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 三月三十一日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     石橋 大吉君 四月一日  辞任         補欠選任   石破  茂君     水野  清君   衛藤征士郎君     松野 幸泰君   遠藤 武彦君     森  美秀君   川崎 二郎君     橋本龍太郎君   近藤 元次君     山村治郎君   保岡 興治君     大塚 雄司君   山崎平八郎君     佐藤 一郎君 同日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     保岡 興治君   佐藤 一郎君     山崎平八郎君   橋本龍太郎君     川崎 二郎君   松野 幸泰君     衛藤征士郎君   水野  清君     石破  茂君   森  美秀君     遠藤 武彦君   山村治郎君     近藤 元次君 同月十二日  辞任         補欠選任   玉城 栄一君     大橋 敏雄君 同日   辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     玉城 栄一君 同月十三日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     二田 孝治君   杉浦 正健君     尾形 智矩君   山崎平八郎君     園田 博之君 同日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     杉浦 正健君   園田 博之君     山崎平八郎君   二田 孝治君     近藤 元次君     ───────────── 四月十三日  農産物の輸入自由化枠拡大反対に関する陳情書外一件(第二七号)  長期営農継続農地制度堅持等に関する陳情書外二件(第二八号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出第二九号)  農用地開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出第三五号)  漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹山登生君。
  3. 笹山登生

    笹山委員 大臣、この前の対米牛肉かんきつ交渉、まことにお疲れさまでございました。きょうは森林開発公団法質疑でございますけれども、せっかく大臣お見えでございますし、また、対米交渉後初の農水委員会でもございますので、これから新しい事態、恐らく全国民農林大臣の一挙手一投足を見守っている最中かと思いますので、今後の、いわば五月四日までの日米の二国間協議に対してどのような態度をとられるのか。やはりこの二国間協議で全力を尽くす、このことしかない。それを農林大臣にお願いすることが全農民の期待にこたえる道であると私どもは感じるわけでございます。今後の協議に臨む農林大臣の心構え、そしていかなる手順を尽くすか、それにつきましての所信をお答えいただきたいと思います。
  4. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 このたびの牛肉かんきつのことについての日米間の交渉経過お尋ねでございますけれども、御案内のとおり、中川ストラウス会談以来の長い交渉経緯がございます。双方基本的立場の違いはありますけれども、その都度友好的、平和的に処理をしてきた、誠実に処理をしてきたという問題でございます。  今回、三月末の期限切れというぎりぎりの段階日米間でやっと話し合いテーブルが用意されましたので、私が訪米をいたしまして、自由化は困難との基本的な立場を明確にしつつ我が国実情等を十二分に説明をいたしましてアメリカ側理解説得最大限努力をいたしたところでございますけれども、残念ながら合意に至りませんでして、まことに申しわけないと思っております。しかし、私といたしましては、何としてもこのことについては友好的、平和的に解決する必要がある、これがまた私の責任であるという観点から、米国はとりあえずガット手続を進めるにいたしましても、これと並行して日米間、二国間協議を継続したい旨を提案いたしました。この点につきましては合意をいたした、意見一致を見たわけでございまして、この合意に基づいて二国間協議を継続するということのために、実は実務者であります眞木経済局長吉國農蚕園芸局長京谷畜産局長を昨日米国に派遣をいたしました。  話は継続しようということが三月末、夜になりまして合意をされましたので、まさに引き続きと思っておりましたけれどもアメリカ側はイースターという社会的な、いろいろそういう行事等のこともございまして若干空白というか間を置くことになりましたけれども、昨日、今申し上げました三局長派遣をいたしまして実務者レベル話し合いを行わせるということにしたわけでございます。  なお、今どのようにこれから進めるのかということもお触れになったように思いますけれども、私といたしましては、引き続き自由化は困難であるということを主張しながら、何としても二国間で友好的、平和的な解決を、あくまでもそういう意味での解決をしたいものだ、私が従来から申し上げております友好国として勝ったとか負けたとかいう決着じゃなしに、友好的な、日米間らしい解決というものが必ずあるはずだということを大事にしながらひとつ努力を続けてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  5. 笹山登生

    笹山委員 ただいま大臣の非常に力強い決意の御披露がございまして、私ども非常に感銘しておるわけでございます。いろいろ紆余曲折はあろうかと思いますけれども、どうかひとつ大きなる国益を考えて御対処のほどをお願いしたいと思います。  では次に、森林開発公団法につきまして林野庁にお伺いしたいと思います。  今回のNTT売却益活用資金による森林開発公団業務拡大、これは非常にいろいろな意味で私は評価しているのです。林道の開設その他の公共関係事業進捗率などということももちろんでございますけれども、やはり今回の業務拡大というものが、従来、ともすれば森林というものは経済財としてしか見なかった、それをひとつ環境財として見る、いわば景観財として森林を見るというものに対して大きなインセンティブを与えるということで、今回のNTT活用資金も意義があると私は思います。  これまで林野庁さん非常に御苦労されまして、例えば国有林野活用につきましてのヒューマングリーンプランとか、または分収育林一つのコアにした「ふれあいの森林」とか、いろいろなメニューがございますけれども、これからの林業政策森林政策というものは、やはりこういうこれまでのいわば経済財プラス景観財というようなものをいかにして引き出すかということにインセンティブを与えていく必要があるかと私は思います。このことがこれからの森林政策、林政の大きな活力にもなるし、また大きな転換へのてこにもなると思いますが、その辺の御所感林野庁長官にお伺いしたいと思います。
  6. 松田堯

    松田政府委員 先生指摘のように、森林は多様な機能を持っているわけでございまして、従来とかく木材生産、つまり経済財というところに焦点を当てて森林管理経営が行われていたわけでございますけれども、最近の情勢の中で、今先生指摘のような国土保全を初めといたしましての各種の公益的機能、総合的に申しますと環境財としての役割が非常に高まってきているように考えております。森林に対する国民期待が非常に多様化しておるわけでございます。  そのような観点から、昨年、森林資源に関する基本計画を改定いたしたところでございまして、森林造成に当たりまして、伐採年齢多様化長期化を図る、また複層林育成天然林造成を進める、さらには、森林空間総合的利用が可能な森林造成を図る、こういったような形の中で森林資源造成を今後とも進めてまいりたい、それを支えます林業振興を総合的に推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
  7. 笹山登生

    笹山委員 公団設置昭和三十一年でございますから、あの当時と大分森林なり林業を取り巻く環境というのは変わってきているかと思います。先ほど林野庁長官お触れになりましたように、昨年の森林資源に関する基本計画、これの中でやはり複層林造成とか、また広葉樹林育成もとにした天然林等、また伐期齢長期化に対応する施策とか、そういうものがいろいろ打ち出されたわけでございますけれども公団造林、この時点で一たん原点に返っていただきまして、その基本計画に合った対応というものもこれから必要なのじゃないか。  また、今の公団造林というのは、いわば分収という一つインセンティブもとにしてのものでございますが、なかなかこれまでのようなぐあいにいかないで、伐期が長期化しますと、そのインセンティブだけではなかなか対応できない面もあるのじゃないか。その辺の今後の公団造林に対します基本計画に基づいた見直しなり考え転換というものは考えていらっしゃるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  8. 松田堯

    松田政府委員 林業が非常に停滞化する中でいわゆる組織造林公団造林あるいは公社造林等役割が非常に高くなってきております。現在、全体の中でそのような組織造林が占めますウエートが約三割近くになってきておるわけでございます。それで、これまで公団造林あるいは公社造林等におきます分収方式、これは皆伐一斉林施業基本にしているものでございます。したがいまして、今後の森林造成複層林施業等を進めていく場合に、これまでの分収方式と違った形の方式というものを検討していかなければいけない、このように考えております。  そのような観点から、六十二年度から三カ年計画で非皆伐施業、つまり先生指摘がございました複層林等施業を進めていく場合の分収林対策調査、どのような形が適切であるのかといったことについての調査を進めているところでございます。二者契約とか三者契約という形で分収方式が進められていくわけでございますので、契約期間あるいは分収の割合等どのような形で進めるのがよろしいのか、検討を今後進めていかなければならない、このように考えております。
  9. 笹山登生

    笹山委員 ぜひとも、その辺の今日的な見直しというものをお願いしたい。特に、当初の水源涵養というニーズは前以上に増しているわけでございますから、ひとつ今後とも新しいシステムのもとでの制度の永続というものをお願いしたいというふうに思うわけでございます。  次に、今回NTT活用資金、これは林業関係のものでございますけれども、ともすれば過疎地に対するこういうNTT活用資金というものは非常に難しい面が多いわけでございます。今回のこのNTT資金の前にヒューマングリーンプランというものの候補地を見ましても、今那須のインターの近くとか、大体高速道路の近くあるいは大都市近郊とか、そういうような民間資本の食いつきやすいところにしかその辺の事業主体というものが生まれにくいということでございます。これはやはり一般のこういう民活の方式には共通の一つの宿命であろうかと思います。私どもは、やはりどうかして民間資本というものを、過疎地一つプロジェクトに食いつきやすいような仕掛けというものをひとつ考え出さなくてはいかぬ。また、そのためにはやはりソフト策の充実とか、例えば今回のこのNTT公団造林に対するリゾート空間への融資にしても、例えば情報センターをつくって、そして民間資本が進出しやすいような環境づくりをするとか、または情報交換場づくりをするとかいうような考えがやはり必要なのじゃないかというようなことも考えるわけでございます。そのようなことで、これから私どもヒューマングリーンプランにつきまして一つ提案をしたいわけでございます。  それは、現在は国有林野一律で、例えば景観のいいところも可能性があるような感じでございますけれども、そうでなくて、やはり一県一地区、リゾートにもすぐれ、そして一つ景観にもすぐぐれたというような候補地をノミネートしていただきまして、それに対して重点開発するような施策というものがとれないものかどうか、そういうことを考えておりますが、その辺いかがでございましょうか。
  10. 松田堯

    松田政府委員 昨年国有林におきましてはヒューマングリーンプランを打ち出しまして、今先生指摘がございましたように山村等にございます国有林を広く活用していきたい、野外レクリエーションの場とか、あるいは自然との触れ合いの場とか、あるいは青少年の教育の場といったような形で広く活用していきたい、そういう方向を打ち出したところでございまして、既に事業に着手したところもあるわけでございます。これらを進めていく場合に民間の力もおかりしなければいけない、こういうことでございますので、全国森林レクリエーション協会、これを新たに創設いたしまして、その森林レク協会で、今先生が御提案のございました、どのようなところが対象地になるのか、どういう可能性を持っているのかといったようなことにつきまして広く情報を収集する、あるいは情報を提供する、そういったような役割を持たせる形の中でこのヒューマングリーンプランを積極的に進めていきたい、このように考えているところでございます。
  11. 笹山登生

    笹山委員 時間もなくなりましたが、最後に、バイオマス資源としての木材利用技術につきましては、今林業試験場等で非常にフィージビリティースタディーというものをやっております。一部民間では、ウッドケミカルという形で、一部の化学会社がいわばもう既に商業技術として実施の段階に至っている。そろそろこのバイオマス資源としての森林位置づけというものをしておく必要があるのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。先ほど基本計画におきましてもまだその位置づけというものは時期尚早というような書かれ方をされておりますが、意外とこれは速いテンポでいくと思いますし、またウッドケミカルとしてのバイオマス木材利用ということが、今のともすれば非常に暗い話題の多い林業に明るい光明をもたらす上で非常に大きなてこになると私ども思うのです。その辺これからどういうようなお考えで、いわば森林資源の中でのバイオマス資源位置づけというのをどうされるのか、その辺ひとつ最後にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  12. 松田堯

    松田政府委員 御指摘がございましたように、地球上のバイオマスの約九割は森林に蓄積されておると言われておりますし、森林年間生産量成長量ということになるわけでございますが、エネルギー量で比較すると石油の年間生産量の約十倍に相当する、このように言われているわけでございます。したがいまして、これを有効に活用していくということは大変大きな課題でございまして、バイオマス変換技術等につきましての研究開発を大きなプロジェクトとして組みまして、現在研究開発を進めているところでございます。木材を飼料に転換するといった技術は既に実用化しているところでございますし、また工業原料として実用化するといった研究プロジェクトも、木材成分総合利用あるいは木材炭化成分を多用途に利用するといったようなことにつきまして技術研究組合に助成をしているところでございます。  ことしの白書におきましても、八日に公表されたわけでございますけれども、これらの可能性につきまして大きくページを割きまして述べているところでございまして、今後とも民間活力を導入しながら積極的に研究開発を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  13. 笹山登生

    笹山委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  14. 菊池福治郎

  15. 串原義直

    串原委員 本日の審議すべき法案は森林開発公団法でありますけれども、時がたまたま重大な時期にありますので、牛肉かんきつの問題について大臣から所信を伺って、それから森林問題に入っていきたい、こんなふうに思います。  そこで、まず大臣に伺いますが、国会におきまして、衆議院、参議院両院とも牛肉オレンジ等輸入自由化に関して決議を過般行いました。これは国会の明確な意思ということであって極めて重いものであると私は考えておるのでございますが、この決議に対する農林大臣見解、この際改めてお尋ねを申し上げたいと思います。
  16. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 私の訪米中、三月三十日に当委員会、また三月三十一日に参議院農林水産委員会において、牛肉かんきつ輸入自由化問題については「輸入自由化問題に関する本委員会の諸決議を踏まえ適切に対処すべきである。」との御決議をいただいたことは承知をいたしております。報告を受けております。これらの決議につきましては、当然のことながらその趣旨に従い最善の努力をいたしてまいりたい、こういうことを考えてきたところでございます。
  17. 串原義直

    串原委員 その大臣の認識に立ちまして、訪米時には汗を流されたというふうに私は理解しておるところでございますが、そこで、大臣アメリカ政府関係者交渉をしたその立場から、アメリカ姿勢をどう受けとめられましたか、この点明確にしておいてもらいたいと思います。
  18. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 結論から申し上げますと、アメリカ基本的姿勢は、牛肉かんきつについては四月一日から完全自由化、こういう基本姿勢に変わりはない、こういうことでございました。  先ほども御答弁申し上げておりますように、牛肉、かつきつの問題は日米間に、中川ストラウス会談以来長い交渉経緯がありますことは委員承知のとおりであります。双方基本的立場には違いはあるものの、その都度友好的、平和的に処理をしてきた問題でございます。誠実に我が方も努めてきたつもりでございます。今回、三月末の期限切れというぎりぎりの段階日米間にやっと話し合いテーブルが用意をされましたので、私が訪米をいたしまして、自由化は困難という基本的な立場を明確にしつつ我が国実情等について十二分に説明をいたしました。米側理解説得最大限努力をいたしたところでありますけれども、残念ながらこの点について合意を得るに至らなかったということでございまして、まことに申しわけないと思っております。  しかし、私といたしましては、何としてもこのことについては友好的、平和的に解決をする必要があるという観点から、米国がとりあえずガット手続を進めるにいたしましても、これと並行して二国間協議を継続したい旨を四回目の会談において提案いたしました。三月三十一日の夜のことでございました。この点については私の提案を認め、意見一致を見た、合意をいたしたところでございます。この合意に基づいて昨日三局長アメリカに向けたということでございまして、実務者レベルにおいて話し合いを行わせることとしたということでございます。私としては、先ほども申し上げましたとおり自由化は困難、このことを主張しつつ、何としても二国間で友好的、平和的な解決を図るため最大限努力をさらに引き続き進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  19. 串原義直

    串原委員 今大臣の話のように、過去日本とアメリカ関係は時によっては意見が違っていたけれども、平和的、友好的に話し合いをして何とか解決して今日に至ったという経過であることは私も承知をいたしておりますが、その立場から見ますと、今回のアメリカ姿勢はまことに遺憾至極な態度であるというふうに私は受けとめているところでございます。  そこで大臣、あなたが今御答弁の中で自由化は困難であるという表現をお使いになりました。日本語というのはなかなか難しいわけでありまして、困難ということはつまり、さらに明確に言うと自由化はしない、できませんということであるのかどうか、大臣見解を伺いたいのであります。
  20. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 予算委員会等でも、また当委員会におきましても再々申し上げてきたかと思いますが、アメリカ側は今までの経緯を踏まえて四月一日から完全自由化、当たり前ではないかという主張でございます。我が方は自由化は困難である、自由化はできません、我が国の現状はかくかくしかじかでございますということを主張しておって、そのずれがあることは御案内のとおりでございます。
  21. 串原義直

    串原委員 私は前回の委員会でも一言触れましたけれども大臣が言われるように、アメリカ姿勢は四月以降非常に強いものであるということを私も過般の訪米に当たりまして承知をし、受けとめて帰ってきたところであります。さらに大臣訪米されたときには、その態度はもっと強いものであったろうと理解できるわけでございます。したがって、それを踏まえてこれからそれぞれの立場で汗を流して二国間交渉話し合いを進めてもらわなければなりませんが、今言われますように、日本語というのは非常に微妙なところがあるわけでありますので、その日本語の解釈という立場から、アメリカという受け取る側にとっても理解ずれがあってはいけないと考えますだけに私はあえてこのことをこの際伺っているわけであります。困難ということは、今少し触れてくださいましたけれども、つまり自由化はできません、困難ということはつまり自由化するわけにはまいりません、こういうことであるということを改めて私は大臣から確認しておきたいと思うのであります。いかがですか。
  22. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、長い間の経緯がございます。そして輸入枠の拡大、こういうことで誠実に履行してきた、足らざるものは安定的な輸入体制によって我が国国民に安定的な食糧の供給をしている、こういうことで私どもは何回も何回もたび重ねて申し上げてきたところでございます。そういう意味自由化は困難、四月一日から完全自由化せいと言われてもそんなことをのめるわけはない。向こう様は農林水産大臣来たって五分で話は終わるよ、こういうことも漏れ聞いておりましたが、そうはいかない。こちらにはこちらの事情がございます、実態がございます、それをよく理解してもらいたい、こういうことで私は話をしてきたわけでございます。  しかし、それはなかなか理解をしてもらうに至らなかった、こういうことでございます。しかし、決裂するわけにはまいりません。私はとにかく話し合いは続けよう、それじゃガットだ、こう言いますから、それはそれで先様の進められることに私がとやかく申し上げない、先様がそういうことを進めるにいたしましても、私は話し合いは必要だ、友好国として話し合いは必要だということで、さらに話し合いをしていこうという提案についてそれはわかった、こういうことでございます。
  23. 串原義直

    串原委員 大事なところですから、いま一度伺います。  困難ということはつまり自由化はできません、こういう基本的な立場である、この立場を踏まえて三月三十一日、ぎりぎりのところであったけれども話し合いを続けていこう、こういうことで合意ができて帰ってまいりました、こういう理解でよろしゅうございますか。
  24. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 そういう理解で結構でございます。
  25. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、ここも大事なところですから伺っておきますが、二国間での話し合い交渉、その立場で三局長派遣した。今三局長訪米している、こういうことでございますが、このことは、ただいま大臣が明確にしてくださいました自由化は困難、できません、この立場をきちっと踏まえての三局長さんの訪米である、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  26. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、三月三十一日の夜に至りまして私の提案をのんでくれたわけでございますから、その話し合い実務者同士でもさらにさせるということでございますので、それはそのとおり、私の言っているとおり理解をしていただきたいと思っております。
  27. 串原義直

    串原委員 わかりました。  それでは、次の質問をいたしますが、私はまことに遺憾だと思っているのでございますけれども、このところ、時によりますと何か自由化を受け入れることを前提としたごとき報道が行われている。そして自由化した場合の事後対策というものがもう既に相当具体的に検討されているやの報道がなされている。私はこのことは大変に遺憾に考えているところでございますけれども、そうはいっても現実に報道されているところでありますから、自由化はできない、反対であるという立場を明確にしつつ、この際生産者も消費者の皆さんにも御理解いただかなければなりませんからあえて伺いたいと思うわけでございます。  と申しますことは、この事後対策が日米協議で具体的に行われているのではないかみたいな報道もある、あるいは国内対策についても相当突っ込んだ検討もされているみたいな報道もある。そういう立場からこの際伺っておきたいと思っているのでございますが、国内対策として仮に不足払い、牛肉、オレンジの自由化に当たって不足払いを行うというようなことの事態になるとするならば、これに伴います予算措置というものはどのくらい必要になってくるのか。これは検討されていたらお答え願いとう存じます。
  28. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 実務者に対する御質問のようでございますが、私からお答えをいたしておきます。  不足払い云々ということについて一部の報道があったにせよ、報道はいろいろな書き方をいたしております。時には一部の報道に困惑をしたこともしばしばでございました。それがまたこの外交交渉にどう影響するか。不足払いというようなことについて検討をしていないのに、ここでまたその想定のもとにお答えすることが外交交渉にどう響くか、私自身極めて神経質になっております。率直に申し上げます、神経質になっております。したがってそういう想定のもとにおける発言、答弁は差し控えたいと思っております。
  29. 串原義直

    串原委員 明確な答弁をいただきましたが、では改めて伺っておきます。これも大事なところだろうと思っております。  不足払いという立場における検討を国内対策の中でもしたことはない、そんなことを考え段階ではない、こういう立場と受けとめてよろしゅうございますか。
  30. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 まず牛肉について補足的に申し上げます。  御案内のとおり牛肉につきましては、我が国の農業に占めます重要性等の観点から、畜産物価格安定法に基づきまして価格安定制度を講じ、国産牛肉の市場価格を一定の安定価格帯で安定的に推移させることによりまして生産と消費の安定を図っているところでありまして、この実効を期するため、輸入割り当て制度もとで畜産振興事業団の輸入牛肉の買い入れ、売り渡しを一元的に行っているところであります。御指摘は、このような制度的仕組みを変えまして、牛肉自由化した場合の国内対策として、牛肉生産農家に不足払いを行うとすればどの程度の財源が必要かという御趣旨だと思いますが、ただいま大臣からお話がございましたように、現在、今後の牛肉輸入のあり方につきまして関係国と鋭意協議を行っている段階にありますので、自由化を前提とした対策について云々するのは適当でないというふうに私ども考えております。
  31. 串原義直

    串原委員 それでは次のこともこの際改めて伺っておきたいわけでありますが、ECとアメリカでは牛肉について可変課徴金制度等々の輸入規制をやっております。具体的にアメリカでは国内法である食肉輸入法で輸入規制をやっている、こういうことでございます。  そこで、我が国がこれらの制度を、あえて私この際申し上げておきますけれども輸入自由化をやってはいけないということなんだけれども、各種の報道がなされていることを踏まえて伺っているわけでありますから御理解を願いたいのですけれども、これらの措置を我が国に導入するという場合、とするならば、可能性があるのかないのかあるいは問題点があるのかないのか、お答え願います。
  32. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 お尋ね先ほどの場合と同様、牛肉自由化をあえて前提としてその後の措置に関しての可能性なり問題点についてのものであるというふうに理解しておるわけでございますが、先ほども申しましたように、そもそも牛肉自由化は困難というふうに考えておるわけでございます。  そこで、そういう前提ではございますが、一般論として申し上げますと、ECの課徴金システムにつきましては輸入禁止的に作用するものとして批判を受けている面もあるということがございます。また米国の食肉輸入法につきましては、輸入制限を発動せず、その強力な国際的地位を背景に輸出国に対しまして自主規制をさせているというケースが多いと承知しておりまして、我が国とはかなり事情を異にするものではないかというふうに考えております。
  33. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今実務者から申し上げましたように、一般論としてお尋ねでございますから申し上げたのであって、本当は一般論も答える必要はないと私は実は腹の中にあるわけでございます。それは大変失礼だと思いますが、答えることによってまた報道が、一部の報道であってもいろいろまた揣摩憶測、尾ひれをつけて活字にされたのでは、またまた難しい問題がふえてくるということであっては交渉当事者としましては甚だ遺憾な結果になるということを神経質に考えておるわけでございます。
  34. 串原義直

    串原委員 ただいまの御答弁で例えば不足払いの問題、可変課徴金の問題、輸入制限法の問題等々報道されているけれども、それは交渉の過程であって検討の段階ではない、検討している段階ではありません、こういう御答弁でございましたから、そのことをきちっとこの際受けとめさせておいていただきましょう。これは重ねて申し上げてきたところでありますけれども大臣、まさに正念場であります。まさに正念場という言葉が適切なときに来ております。一層腹を据えて対処してもらうことを強く要請して、私は次の質問に移らせていただくことにいたします。  そこで、森林開発公団法の具体的な本論につきましては同僚議員が以下質問をいたしますから、私は基本になることについて二、三だけ触れさせていただきたいと思っております。  まず初めに伺いたいと思いますことは、今回の法改正によりまして私が一番苦になることは制度の継続性という問題なのであります。今回の制度は法律上つまり新しい制度をつくるわけでありますが、「当分の間」、こう出ておりますね。これは株式の売り払い代金を充てるということでございますから「当分の間」という言葉も使うことになるのかもしれませんけれども、しかし「当分の間」というのはいつまでのことを指すのか、いかがですか。
  35. 松田堯

    松田政府委員 NTT株式売却収入を活用した社会資本整備策は、現下の厳しい財政事情のもとで建設公債の増発を極力抑制しつつ国民生活に緊要な社会資本整備を促進するために行われるものでありまして、今先生指摘の「当分の間」とはこのような趣旨に即して判断されるべきものでありまして、社会資本整備の促進につきましてこのような工夫をしなくとも対応可能な財政事情となる時期までの間である、このように聞いておるところでございます。  今回の法改正におきましては、このような社会資本整備特別措置法に基づき当分の間の事業としてAタイプ事業を行うこととしているので、その期間は先ほど述べましたような期間である、このように理解をいたしておるところでございます。
  36. 串原義直

    串原委員 私、したがって長官、苦になりますということをさっき申し上げておるのはそのところであります。この制度でやることは結構です。「当分の間」というので、数年の間に実は予定していた財源がなくなりましたのでこの制度は終わりますというのでは、これはちょっと結構でございますというわけにはまいりません。今回制度化をしたこの制度というものは継続性がなければいけないと私は思うのであります。したがいまして農林水産省としては、林野庁としては、確かに今日時点では不確定要素があると言えないこともないがこの制度は続けてまいります、財源を検討しつつ続けてまいります、こういうことになりますか、いかがですか。
  37. 松田堯

    松田政府委員 本事業の事後措置といいますか継続性の問題につきましては、その時点におきます経済情勢、また財政事情、さらには社会資本の整備の状況といったようなものを総合的に勘案しながら検討していくべきもの、このように考えておるところでございます。
  38. 串原義直

    串原委員 長官、それはそうでしょう。そのことはわかりますよ。しかし私の言っていることは、今回始めたこの制度は必要度が継続されているならば財源はどういうことがあっても考えてまいります、こういうことでなければいけないじゃありませんか、こういうことを私は申し上げています。それは財政事情もあるでしょう。いろいろありますでしょう。それはわかっていることですけれども制度としては継続性を持って今後も対処してまいります、こういうことでなければいかぬのではないか、こういうふうに申し上げているのですよ。いかがですか。
  39. 松田堯

    松田政府委員 公共事業の推進につきましてはこれまでも力を入れてきたところであり、これからも推進しなければいけない、このように考えているところでございまして、林道あるいは治山、さらには造林事業というものはこれからも継続して進めていかなければいけない、このように考えているところでございます。
  40. 串原義直

    串原委員 あえて付言するようで恐縮でありますが、原資が少なくなったから事業が後退したりダウンするようなことはいけません、こういうことを強調しているのでありますから、そのことは心得てひとつ取り組んでください。  次に伺います。  あえて山と表現させてもらいますが、山の事業というものは、今ちょっと触れましたけれども継続性、五十年、六十年、時によると七十年、八十年と続く仕事であります。植林をして立派な木になるのは八十年もかかることが普通であります。これは継続性が求められている、こういうことが言えると思います。ところが、経済的にはなかなか収益の上がらない仕事であります。だから貴重なものでありますけれども、長い期間がかかって経済的には低い収益の事業である、こういうことになりますから、言うならば公共的な思想というものを取り入れて取り組んでいかない限り、山林、山の事業ということは成功しない、短期視点では成功しない、こういうふうに考えているわけでございます。  したがって、例えば本日審議の対象になっておりますところの森林開発公団あるいは山にまつわる公益法人、いろいろありますが、そういうものがこれからも事業を担当していくという姿が一番望ましい、こういうふうに私は考えているところでございます。我が国の山を守り育てる行政の立場からは森林開発公団、各種の公益法人など、言うならば公共性を強く持った団体が事業を担当し推進をしていくということが最も望ましい姿である、私はこう考えているわけであります。そういう立場で公団のことを挙げたり公益法人のことを申し上げたところでありますが、今後育成強化を図っていく、大事なことだろうと思いますが、それに対する基本的な取り組みについてお答えを願います。
  41. 松田堯

    松田政府委員 森林の持つ各種の機能の中で公的な側面が非常に重要になってきております。国民のニーズも非常に多様化しており、公益的な機能というところに関心が高まってきている、こういう状況でございます。森林を支えるものは林業でございます。各種の林業関係団体あるいは森林所有者、さらには今先生指摘の公団、公社というものがそれぞれの立場森林の健全化、機能を高めるということで一体になりまして努力をしていかなければならない、このように考えているところでございますが、造林の現状を見ましても、公社あるいは公団のシェアというものが非常に高まってきておるところでございます。したがいまして、今後とも公団、公社の公的機関の育成強化にはこれまで以上に努力をしていかなければいけない、このように考えているところでございます。
  42. 串原義直

    串原委員 具体的に伺いますが、先ほど申し上げましたように山林資源は経済性が非常に低い、簡単に言うならばもうかるものではない、こういうことでございます。そこで、杉に例えました場合に、この経済性という立場から検討いたしましたときに利回りはどの程度になると林野庁では検討されていらっしゃいますか。
  43. 松田堯

    松田政府委員 前提の置き方によりましていろいろの結果が出るわけでございますが、造林投資の利回りにつきまして杉で試算をした結果について申し上げますと、全額自己負担の場合一・七、新植の補助がある場合には二・二、あるいは新植下刈り、除間伐に補助がある場合は二・六、六十二年の試算の結果でございます。昭和四十二年ごろ、二十年前でございますと、全額自己負担の場合は五・八、それから新植のみ補助にかかわる場合には六・四、下刈り、除間伐まで補助を加えますと六・八、このような形でございますので、最近の木材価格の低迷あるいは労賃コストの増高といったような背景の中で利回りは大変低くなっているというのが現状でございます。
  44. 串原義直

    串原委員 実はそこが大きな問題だろうと思っておるのであります。かつては、時によりますと利回りが六%近くになった時期がある。ところが、自己資金だった場合には一・七という御答弁を今いただきました。これが実態ですね。これは個人であろうと公共団体であろうと公団であろうと公社であろうとこの理屈は変わりはないわけであります。公団の仕事であるから、公社の仕事であるから経済性が高くなって利回りが高くつきます、こういうわけにはいかない、これはだれでも同じことでございます。  今公団あるいは公社がありますけれども、資金を利用する場合の利子はどのくらいになっているでしょうか。
  45. 松田堯

    松田政府委員 公庫資金の利回りにつきましては三・五%でございます。
  46. 串原義直

    串原委員 今公庫資金三・五%という話がありました。制度資金の中では最も低い利子ですね。ほかの制度であるなら三・五より高いわけですね。したがって、実質的には公庫資金の利子の二分の一くらいしか現実にはこの山の運転資金に対する利回りはつかない、こういうことになるわけですね。したがって先ほど長官にお答えいただきましたように、自己資金の場合一・七の利回りということでありましたが、公団、公社、山にまつわる公益法人、個人も含めまして、山を育てるということになってまいりますと、今後少なくとも一・七に見合うものでなければ、山に対する熱意というものは生まれると言えないわけであります。この現実に対してより一層今後とも取り組んで検討してまいります、新しい制度も含めて検討してまいります、こういうふうにお考えになりませんか。
  47. 松田堯

    松田政府委員 これまでのように林道等の生産基盤の整備を図るあるいは構造改善事業を推進する、さらには担い手の育成確保を図る等々の総合的な施策というものを推進していかなければいけないわけでありますが、森林所有者の方々にインセンティブを与えるというようなことから、国民参加を求めるという形での森林の管理体制といったようなこともこれから進めていかなければいけない、このようにも考えておるところでございます。また、新しい林業といいますか、これまでの木材生産中心だけの林業ではなくて、森林空間を利活用する、こういったような形での幅広い林業、こういったようなことも進める形の中で林業振興ということを進めていかなければいけない、このように考えておるところでございます。
  48. 串原義直

    串原委員 私に与えられました時間が来たからこれでやめることにいたしますが、いずれにしても、山を育てる場合には、公益的な立場に立たないと、演説のようなわけにはいかない、演説だけではうまくない、成果は上がらない、こういうことを強く強調しておきたいと思うのであります。つまりそのことは、長期な、低利なお金を用意することが山を育てる大きな要素である、積極的に取り組んでもらいたいということを強く要請いたしまして、これで質問を終わります。
  49. 菊池福治郎

    菊池委員長 前島秀行君。
  50. 前島秀行

    ○前島委員 最初に大臣訪米御苦労さんでございました。何か週末静岡の方で休養されたというような話も承っておりますが、十分休養されてまた頑張っていただきたいと思います。  今串原議員のやりとりにあったように、森林林業あるいは山村社会を取り巻く状況は非常に厳しい。片や地方公共団体等でいわば森林空間を利用したスポーツ・レクリエーション等々の施設の整備を要望する、いわゆるリゾート開発への動き、それによって活性化を図ろうではないか、こういう動きがある。そういうことで、今回のNTTの株の売却を活用して林道の開設あるいは林野関係の公共事業を大いに促進しようではないか、こういうことが今回の法改正の趣旨だろう、こういうふうに私は思うわけであります。そういう意味で、森林空間総合利用リゾート開発との関係についてとか、あるいは重要な、これからますます任務を果たさなければいかぬ森林開発公団との関連で、林道の整備は今後どんな方向でするのか、あるいは森林整備の方向とか、今議論がありましたような公団の財政状況とか、それから総合的に木材需要をどう拡大していくか、このようなところを中心に質問をしてみたい、こういうふうに思っているところであります。  最初に、森林空間総合利用、いわゆるリゾート開発の問題でありますけれども国民の価値観の変化といいましょうかニーズの多様化といいましょうか、あるいは生活様式がいろいろ変わってきて国民の要求にも変化が出てきた、あるいは余暇といいましょうか休暇というものがふえてきた、そういうことで森林の保健、文化、教育的な機能、いわゆる生産財から環境財への機能というものが非常に大きくなって、それに対する期待がふえてきた、こういうことだと思うのです。それで、すべての面でこれからはいわゆる量から質への時代に変わってきた、森林もそういう意味でそういう国民の質を求めるものにどう対応していったらいいか、こういうことだと思うのです。先ほど議論のありましたように、林野庁自身も、森林の生産財というものもさることながら、そういう環境財への対応というものを非常に重視しているという方向が出されているわけでありますけれども、そういう面でまず最初に、林野庁として総合利用リゾート開発についてどういう基本的な考えを持っているのか、その辺のところを長官に伺っておきたい、こういうふうに思います。
  51. 松田堯

    松田政府委員 総合保養地域の整備は、山村地域の活性化、森林林業の健全な発展にも大きく寄与するものである、そのように考えているところでございます。その整備に当たりましては、地域の林業あるいは地場産業の振興に配慮しながら、地域全体として調和のある発展を図る必要がある、このように考えているところでございます。林野庁といたしましては、これまで実施しております各種の施策との調整を図りながら、良好な自然環境の保全に配慮しつつ、総合保養地域の整備につきまして積極的に推進してまいりたい、このように考えております。
  52. 前島秀行

    ○前島委員 これからの総合利用を行う場合、特にこれから週休二日制の完全実施を初めとして余暇の時間というものが非常にふえてくる、生み出されてくる。同時に余暇の時間をどのように過ごすか、それが生活の質を考える上で大きなポイントになると私は思うのです。そういう面で、従来の観光地を開発する観光地開発型のリゾート開発だとこの時代の要請という意味にこたえていけないというふうに特に私は思うわけです。そういう面では、長期滞在型のリゾート開発でなければその地域の活性化にも通じない、あるいは林業の活性化にも通じない、単なる短期のあるいは従来の観光地開発型のリゾート開発だったならば、時代の要請、生活の質という面あるいは現在求められている地域の活性化あるいは林業の活性化という意味に通じないと私は思うのです。そういうものであるのだったら意味がない、こういうふうに言わざるを得ないと思うのです。そういう観点から、林野庁考えている総合利用という点はその点をどう思っているのか、どう追求されているのか具体的に考えられていたら御意見を伺いたい、こういうふうに思っているところです。
  53. 松田堯

    松田政府委員 それぞれの地域に応じた形のリゾート開発、森林空間活用があってしかるべきではないか、そのような方向で進めなければいけない、このように考えているところでございます。  したがいまして、森林造成につきましても、多様な森林造成を図るということで、昨年改定いたしました森林資源基本計画におきましても、広葉樹資源の見直しあるいは複層林施業を推進するといったような形でそれぞれの地域性を踏まえた森林造成を進め、それを上手に活用していく、こういう方向で事業を進めていかなければいけない、このように考えておるところでございます。
  54. 前島秀行

    ○前島委員 地域の特性を生かすということはまた当然必要だろうと思いますけれども林野庁の側から見るならば、いわゆる林業・林産業を取り巻く状況が厳しいわけですから、その活性化に通ずるあるいは地域の山村の活性化に通ずるという観点が非常に必要だろうと私は思うのです。だから、地域の状況にあわせるということも大事ですけれども、そういう活性化という意味で積極的な対応ということも同時に必要だ、そのための長期滞在型のものを積極的に求める、こういう観点をぜひ重視してほしいということを要望しておきたいと思うのです。  そこで、私は、地域の活性化あるいは林産業の活性化という意味リゾート開発、森林空間の総合活用ということについては積極的に進めるべきであると思うし、異を唱えるものではありませんけれども、昨年成立したいわゆるリゾート法との関係でいろいろな点で若干心配する面もなきにしもあらずという点があろうと思うわけであります。  そこで、リゾート法とそれに関係する民間リゾート開発との関係で、中心的省庁となっておる国土庁の方にちょっとお伺いをしたいと思うのでありますけれども、昨年のリゾート法の成立以後いろいろ六省庁を中心にして連絡をとり合い、あるいは関係市町村等との間で具体的な相談もなされていると思います。具体的に二、三のところでかなりの詰めもなされているというふうに伺っているわけでありますけれども、そのリゾート法との関係で現在どんなところで話が詰まっているのか、そしてその地域でどんなものが中心に進められているのか、国土庁の方で掌握されておりましたらちょっと御報告をお願いしたいと思います。
  55. 吉原孝司

    ○吉原説明員 お答えを申し上げます。  御承知のとおり去年の六月にリゾート法ができまして、十月に基本方針をつくったわけであります。その後、その法律に基づきまして各都道府県が基本構想をつくるべくいろいろ準備を始めたわけでありますが、その過程で、基本構想をつくる前に基礎調査というものを、お互い一緒に勉強する素材でもあるという意味でつくっていただくことにいたしております。この基礎調査が終わりますと御報告をいただきまして、一緒に中身の検討等を六省庁ともどもやっているわけでありますが、現在基礎調査が終わったということで御報告を受けているところが九県でございます。それぞれ六省庁と一緒に関係府県がそれを素材にリゾートの勉強をするわけでありますが、その中で、基礎調査をベースに基本構想の策定に入っていただいたらいかがであろうかということで、基礎調査のヒアリングが終了したと私ども思っておりますものが三重と宮崎と福島の三県でございます。現在この三県につきましては、それぞれに基本構想をつくるべく作業しているという状況でございます。  したがいまして、まだ基本構想そのものが出てきている段階ではございませんので、地元のつくった基本構想について御報告するような内容はございませんが、今まで基礎調査をお聞きした段階で特徴的に三県のリゾート構想を申し上げますと、三重県の場合は当然のことながら伊勢志摩国立公園におきます海岸線を有効活用するというのがメーンになっておりますので、いわゆる海洋型のリゾートということになっております。したがいまして、それに伴います主要なリゾート施設はマリーナとかゴルフ場、さらにまた芸術村というようなものをメーンに置きたいというふうに三重県当局は考えております。  それから、宮崎県も同じように国定公園にあるわけで風光明媚なところでございますが、宮崎県では、触れ合いと交流の場づくりというのをコンセプトにいたしておりまして、コンベンションセンターを中心にリゾート施設を整備するというようなことで、コンベンション施設、マリーナ、ゴルフ場、さらにまた農林漁業体験型や森林活用型のリゾート考えるというようなことを考えております。  それから福島県は、磐梯山あるいは猪苗代湖を中心とした地域でリゾート整備を進めたいというふうに考えておりまして、そうしたところからも御想像がつきますように高原型のリゾートをつくりたいと考えております。したがいまして、そこの地域における主なリゾート施設もスキー場を核としたものになりまして、夏型の施設もそれにあわせ考えるということでゴルフ場等も一緒に検討されているというように私ども聞いております。
  56. 前島秀行

    ○前島委員 今お聞きしましたように、かなりの部分でリゾート法に基づいて、あるいはその法とは別に民間リゾート開発が非常に進んでいると思うのです。今説明のあった三県のかなり詰まった例にしましても、どう見ても既存の観光地開発型を拡大していくという性格が非常に強いような気がするわけです。私は、これからのリゾート開発あるいはリゾート法の精神、そして林野庁考える活性化という観点を大事にするなら、やはり従来の観光地開発型をベースにしたものではなくして、もっと国民大衆が長期に滞在できるような、安くできるようなリゾート開発を特に林野庁は積極的に進めるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけです。  そういう意味から、特に外国と比べた場合のバカンス、旅行にかかる費用が日本の場合は非常に高いわけです。例えばフランスなんかは全家族で旅行すると一日当たり四千三百円でできるとか、西ドイツですと三千百円、日本は現在の費用でいきますと一人につき一万七千九百円なんです。統計をとって外国と比較しますとこれが実態なんです。そうすると、今リゾート法に基づいて進められようとしておる開発というのはこの流れと全然変わるものではない。やはり短期滞在であり現在の観光地開発型を大きくしたというものにすぎないと思うのです。これを進めていく限り林野庁が求める活性化には通じない、また国民の求めるこれからのリゾートのあり方とはまた逆行するような形に私はどうしてもなるような気がしてならぬというのがまず第一点なんです。  そして同時にまた、このリゾート法が成立したということが、ひとり歩きと言っていいのかどうかわかりませんけれども、いろいろな地域で土地の問題、用地の確保という形が非常に先行した動きがあるわけです。私の地域も、富士山から伊豆半島にかけてリゾート地域云々という関係の中で物すごくそれが動き出して、結果として山を荒らされてしまう。林野行政としてその生産現場といいましょうか、その根底を覆すような危険な動きがなきにしもあらず、私はこういう危険というものが非常にあると思うわけです。また、これはリゾート法とは直接関係なく伊豆でやはりそういう開発がなされる。大手の資本が開発をする。既にしているところもありますけれども、そこで開発された用地というのは、例えば宿泊施設なんかも一泊二万、三万という施設なんです。地域の活性化を求めている人たちにある意味では全然関係ないような形でぼんときて、これがリゾート開発だといううたい文句で進められている、こういう動きが非常に顕著にあらわれてきているというふうに私は心配をするわけであります。  そういう面で、林野庁として総合的な空間利用はぜひ必要だと思うのですけれどもリゾート法に伴う一連の開発に対してぴしっとした林野庁姿勢といいましょうか発言といいましょうか、それが非常に重要になってきているのではないだろうかと私は思うわけです。活性化の期待、要望、それがうまく林野行政の活性化、地域の活性化に結びつけばいいのですけれども、今必ずしもその方向に行っているとは言いかねる部分がある、結果としてこれから二十一世紀へ向けての余暇をどう活用していくかという時代の要請にもそぐわないような形になりはせぬだろうか、こういうふうに思うわけであります。そういう面で、林野庁はこれから一連の総合空間利用という意味で、物を言うべきときは言うとか、調整をするときは調整をする、林野庁はその土地を管理しているといいましょうか提供する側にあるわけでありますから、私は物が言えると思うのです。そうしないと、林野の根底を覆してしまうような、崩壊に通ずるような道に行ってしまう危険性もなきにしもあらずだと思うわけであります。そういう面で、一連のリゾート開発と林野庁の進める総合利用という面で、大臣にひとつその基本的な考え方をここで示してほしい、こういうふうに思っているところです。
  57. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど来お話を伺っておりまして、また串原委員先ほど触れられましたこともあわせ考えてみますと、我が農林水産省、林野庁がやはり国土を保全する、森林、山の持つ多面的な機能、人間生活にとって欠かすことのできない、その物の考え方というものをしっかり認識することがまず第一である。きざな言い方かもしれませんが、山、森林のそのことについての一つの哲学、これがなければリゾート法は一体何たることぞということで後世にいろいろ批判される結果になるのではないか、こう思います。そういう意味において、国土庁が一応窓口となっておりますけれども林野庁、農林水産省におきましては、今申し上げたような大事な山、森林の持つ機能というものをひとつ多くの方々に知ってもらった上で、その基盤の上に立ってそれぞれの地域の活性化がある、リゾート法がまた有効的に活用されていく、こういうことでなければならぬ、こう思っております。  この間の土曜日も、そういう意味におきまして緑化運動の一環といたしまして日比谷公園におきまして、総理、衆議院議長とともども苗木を配ったり花を配ったりして、私も同席をいたしましたが、多くの方々にそのことを知ってもらわなければならぬということでございます。ややもすれば冗談ぽくあるいはおもしろおかしく言われるかもしれませんが、山の歌をつくろうということも、決しておもしろおかしく、スター気取りでただ賛美をするということではなしに、山は大事である、その一つの哲学を国民全部に知ってもらう、そのためにはやはり山の歌も必要だなということでいろいろ林野庁にも考えてもらい、私も一緒になって考え、「三郎杉」などという歌がこれからまたできるという運びになっておりますけれども、そういう意味においてこリゾート法に基づく総合保養地域の整備という問題はやはり考えていかなければならない。そして、よくウサギ小屋でどうのこうのと言われておりますが、せめてお互いが休養するのは、つかの間ということではなしに、長期的な保養、静養というものができるようになっていくようでなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  58. 前島秀行

    ○前島委員 長官の方で、林野庁として何かその辺に向けての対応は具体的に検討されているのでありますか。
  59. 松田堯

    松田政府委員 既にヒューマングリーンプランを推進しているわけでございますが、その中におきましても、各種のスポーツ施設あるいは教育訓練のための施設、さらには滞在施設まで含めまして施設の整備を図りたい、こういうように考えておるところでございまして、その進め方といたしまして、地元の市町村の参画を求めまして第三セクター方式で進める、つまり地域振興に結びつける形の中でヒューマングリーンプランを進める、このようなことでやっておるところでございます。また、「ふれあいの郷」の事業が行われておりまして、分収育林とセットにいたしまして、そこで滞在ができる施設、いわゆる別荘的な建物が建てられるわけでございますが、そういったような形の中で滞在型の施設といったようなことも進めているところでございます。  地方自治体におきましてもそのような事業を進める動きがございますので、林業構造改善事業等の中でそれらの一助になるような形での助成といったようなことも進めてまいりたい、このように考えております。
  60. 前島秀行

    ○前島委員 ともあれ、総合空間利用ということは必要でありますけれども、くれぐれもそれが乱開発にならぬように、同時に、そのリゾートというのが長期滞在型でいわゆる居住機能、余暇機能も備えたようなものであることを強く要望しておきたい、そのために林野庁も積極的に対応してほしい、こういうふうにお願いしておきたいと思います。     〔委員長退席、月原委員長代理着席〕  次に林道整備の方向であります。  今回のNTTの株の売却益を利用するのも林道整備の一環ということだろうと思います。私は前にも全国森林計画における林道計画の数値などを聞いたわけでありますけれども、ここで改めて今までの公団を中心とした林道の開設実績はどの程度であったのか、それから、この実績ベースで行くと、この作成された森林計画というのはどれだけの実績を見込んでいるのか、どれだけ開設できるのか、その見込み、あるいは達成率を向上するために今後どのような取り組みを考えているのか、その辺の基本的なことについて林野庁の方からお伺いしたいと思います。
  61. 松田堯

    松田政府委員 林道の開設につきましては森林資源基本計画の中で長期的に開設をする総延長、これが計画されているところでございまして、それを全国森林計画の中で十五カ年の計画としてブレークダウンするような形の中で推進しているところでございます。  理想とする林道計画につきましては、ほかの公道も含めましてへクタール当たり道路密度を二十メートルまで持っていきたい、そのうち林道はへクタール当たり十一メートルを長期的に考えているところでございます。現在の進捗率といたしましてはへクタール当たり四メートルちょっとでございますので、全体の進行率は四割程度、こういう状況になっているところでございます。  申し上げるまでもなく、林業経営にとって基盤的な施設でございますし、農山村地域の振興にも大きな役割を果たしているものでありますので計画的に推進をしなければいけない、このように考えておるところでございますが、NTT財源の活用も図りつつこれからも積極的に進めてまいりたい、このように考えております。  また、進めるに当たりましては延長を高めるということが必要でございますので、今後低コストで簡易な構造の林道の開設、これも進めていかなければいけないと考えております。また、森林開発公団は、地勢等の地理的条件が極めて悪く、またそこに豊富な森林資源が賦存しておりまして開発が十分に行われていない地域内の林道網の枢要な部分となるべき林道の開設、改良事業を担っているところでございまして、これは奥地山村地域の林業振興、またその他の産業の振興を図る上で極めて重要な役割を果たしているものでありますので、今後とも計画的に推進を図るように努めてまいりたいと考えております。
  62. 前島秀行

    ○前島委員 五十八年から六十年、この三年間の林道開設の実績を基準にしますと、昨年策定した全国森林計画の林道開設計画は、その実績の一四五%でないと達成できないわけです。こういう数字になるわけでありますが、まあ努力されているということはわかるし資金的にもいろいろある、NTTも使うんだ、こう言いますけれども、ここで一四五%の達成率でないとこの計画を達成できない、こういうことになるわけであります。その努力は認めつつも、これは本当に達成できるのかどうなのか、どうですか、長官。
  63. 松田堯

    松田政府委員 逆に申し上げますと、年平均の計画量に対しまして六割程度の進捗率なわけでございます。これまでも林道の開設には努力をしてきたところでありますが、今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
  64. 前島秀行

    ○前島委員 御努力は非常に多とするのですけれども林野庁自身も現在の状況に満足をしているわけではないと私は思っています。そういう面で、これからも例えば大幅な計画の前倒しというぐらいの思い切った措置で、何にせよこの林道の開設の達成についてぜひ御努力を願いたい。林道の開設ということが林産業の活性化の出発点である、一番大事なことだと私は思いますので、その点をぜひ要望しておきたいと思います。  それから次に森林整備の方向でありますけれども、開発公団が設立以来相当の水源林の整備をしてきたと思うわけであります。そういう面でこれまでの実績それから今後の見通し、計画についてひとつ御報告を願いたい、こういうふうに思っています。
  65. 松田堯

    松田政府委員 森林開発公団は、奥地山岳地域における特に水源林等におきます造林の推進を行ってきたところでございますが、全体計画は四十万八千ヘクタールでございます。現在までの累計が三十三万八千ヘクタールでおおむね八割の達成率になっているところでございます。
  66. 前島秀行

    ○前島委員 昨年改定された森林資源基本計画あるいは全国森林計画は、従来の拡大造林型といいましょうか、その整備の方向を大きく変えよう、あるいは育成天然林施業あるいは複層林施業というものを大幅に取り入れよう、こういう方向を打ち出していると思うわけであります。そういう面で森林林業を取り巻く環境の変化、これをある意味で反映してもいる、こういうふうに思うわけであります。拡大造林から育成天然林施業あるいは複層林施業という方向を打ち出しているわけでありますけれども、この方向に基づいて森林開発公団もある意味でその方向に連動するといいましょうか、反映せざるを得ない、また反映していく必要もあるのではないだろうか、こういうふうに思っているわけでありますが、この施業の、あるいは森林整備の方向としてここで打ち出されたものを具体的にどういうふうな方向で実施していくのか、その辺の考え方を聞かせてほしい、こういうふうに思っています。
  67. 松田堯

    松田政府委員 御案内のとおり森林機能を高める、また多様な国民のニーズにこたえるということで森林整備方針の転換を昨年明らかにしたところでございます。複層林造成するあるいは育成天然林施業を進める、こういうことで、そのような方向でこれから森林造成を進めていくということでございますが、この場合に大事なことは、それを推進するためには林道等の整備を積極的に進めていかなければいけないといったようなこともございます。また、造林の補助体系につきまして、複層林あるいは育成天然林施業にもそれが適用されなければならないというようなことで、昨年既に造林の補助体系を変えているところでございます。またきめ細かな森林施業を進めるということでございますから、作業道の整備もなお積極的に進めていかなければいけないということで、それぞれの事業の中で作業道等の予算も積極的に組んでいるところでございます。また、これらを推進するには、林業普及事業の中でその技術体系といったようなものを明らかにする中で進めなければいけないというようなこともございますし、今申し上げましたようないろいろの施策を総合的に進める中で多様な森林造成に努めてまいりたいと考えております。
  68. 前島秀行

    ○前島委員 その技術体系の問題として、基本計画育成天然林施業という問題を大幅に打ち出しているわけですね。この技術体系というのはどの程度整備されているのか、その点を長官に伺いたいと思います。
  69. 松田堯

    松田政府委員 率直に申し上げまして、拡大人工林施業技術体系と育成天然林施業技術体系を比較いたしますと、育成天然林施業の方はまだまだ不十分である、このような状況でございます。林業技術は観察、記録するといったようなことになかなか時間がかかるわけでございまして、精緻な技術体系を体系づける上からいいますと時間がかかる問題でございます。歩きながら考えるといった側面も否定することはできないわけでございまして、これまでの技術を総合する中でそれぞれの地域に合わせた技術体系をこれからも確立していかなければいけない、このように考えております。
  70. 前島秀行

    ○前島委員 施業の方向転換、ある意味では時代の要請という変化だからやむを得ない側面もあるしと思いますけれども、いずれにせよ育成天然林施業技術体系を早急に確立をする、そういう確立をなくしてこの天然林施業のみを実施していきますと、結果として山が荒れてしまう、こういう危険性を大いに伴うものでありますから、その辺の努力をぜひお願いしておきたい、こういうふうに思います。  森林整備、林道の開設に関連して、森林開発公団の財務状況といいましょうか、その点についてちょっと伺いたいのでありますけれども先ほどの議論の中でも林業の利回りというのが非常に低い、こういう状況であります。同時に、開発公団の任務というのは、特に水源林造成という形の任務が非常に大きい、こういう形だろうと思うわけです。  先ほどの議論のように非常に長期を要する森林産業ということになりますと、開発公団の財務状況自身も、借り入れによるのかあるいは政府出資によるのかによって林道を初めとするその他の事業の達成率に大きく反映をしてくるわけであります。出発当初は全額政府出資であったのですけれども、四十二年を境にして変わってきた。三分の二は政府出資によるということで四十三年以降は出発したのですが、その後必ずしも三分の二政府出資となっていない。最近はかなりの改善をなされてきている、こういうふうに伺ってはいるわけでありますけれども、その公団の、特に借り入れ状況の比率の動き、それから現在どうなっているのか、今後その辺の財政状況についてどういう方向を持っているのか伺っておきたい、こういうふうに思います。
  71. 松田堯

    松田政府委員 水源林造成事業の財源につきましては、原則として事業費の三分の二を出資金、三分の一を財投借入金によることといたしておりますが、昭和五十五年度より国の財政事情によりまして出資金の一部を財投に振りかえているところでございます。この出資金の財投への振りかえについては可及的速やかに原則に戻すことが望ましい、このように考えておりまして、厳しい財政事情のもとではありますけれども、毎年改善を図ってきているところでございます。六十三年度におきましては、前年度より十億円減の十六億円と大幅な改善を行っております。なお、振りかえにかかわる利息につきましては補給金として、また元金の償還につきましては全額を出資金で賄うことといたしておりまして、公団の財務に支障を来さぬように措置しているところでございます。
  72. 前島秀行

    ○前島委員 借入金の率がかなり減ってきているという点は非常に好ましいと思いますけれども、それでもまだ三八%だろうと思うわけであります。そういう面で、先ほどの議論にもありましたように、低利の資金というものがどうしても公団においても必要だろう、こういうことだろうと思いますので、その点の努力を引き続き今後もぜひお願いをしたい、こういうふうに思っています。  次に、木材需要の対策ということについてお伺いをしたいと思っています。  さきにも二十一世紀になると国産材時代が来る、これは林業白書等々一連のものでも非常に強調をしているわけであります。そういう面で、現在の状況から、国産材時代が供給という面では来るけれどもそれが需要につながるかどうかという面については、このままの状態ではそうならない、そういう面では今のうちからいろいろな国産材、特に国産材対策というものを立てていく必要があると私は思うのです。  さきに発表された林業白書でも木材需要が非常にふえている、見通しは立ってきている、こういうことになっていますけれども、国産材ということで見ると必ずしもそういう状況にはない。そういう面では国産材、国内の林業・林産業というものは依然として厳しい状況に置かれているというのが実態だろうと私は思うのです。同時にまた、いろいろな地域、現地を歩いてみますと、国産材を利用するための努力が非常になされていることもまた事実だろうと思います。そういう面で、こうした国産材需要、木材需要の大事な芽を今後広めていく、育てていくということも行政の、林野庁のこれからの大きな責任だろうと私は思っています。そういう観点から、林業・林産業の活性を図るために需要を、特に国産材を拡大するためにどうしたらいいのかという点でまず二、三質問をしたいと思うわけです。  昨年ですか、建築基準法が改正になった。このことによって三階建ての建物ができるようになったり、あるいは高さ制限の合理化というのですか、あるいは防火壁の合理化等々で体育館とか文化施設等々が建てられるようになった、これは非常に大きな前進だろうと私は思っているわけです。片方で文部省が学校施設における木材需要の促進という形で指導をされている、こういう点を伺っております。その効果もかなり出てきたというふうに伺っていますけれども、最近の、学校施設における木材需要がどの程度実績を上げているのか、そして木材を使うことによっての現場における反応といいましょうか、どんなふうに掌握されているのか、統計がありましたらお伺いをしたいと思っています。
  73. 勝山正嗣

    ○勝山説明員 文部省におきましては、温かみと潤いのある教育環境づくりに大きな効果が期待できるということから、木材を学校施設に積極的に使用することを昭和六十年八月二十日付の教育助成局長通知等により指導してまいっているところでございます。国庫補助の面でございますけれども昭和五十九年度以降木材を内装に使用して校舎を建築した場合には補助単価のかさ上げを行うようにしております。また昭和六十一年度におきましては、木造校舎の補助単価を約六九%アップしております。こういった改善を行うとともに、木の教育研究施設の補助制度を新設しているところでございます。これの結果でございますけれども、小中学校の木造校舎の建築実績は昭和五十九年度で十三校、六百四十一平方メートルにすぎなかったわけでございますが、昭和六十二年度におきましては実に四十六校、二万六千八百六十二平方メートルと大幅に増加しているという状況でございます。  それから、続きましてもう一つの御質問でございますけれども、学校施設に木材を使用することにつきましては、木材が持つやわらかさと温かみのある感触、室内の湿度変化を緩和させまして快適性を高めるなどのすぐれた性質があるわけでございます。そういった性質が温かみと潤いのある教育環境づくりに役立っているのではかなろうかというふうに考えているわけでございます。また地域の方では、文化、産業に即した施設づくりという観点から木造建物を計画することは意義のあることではないか、こういった効果があるのじゃないかというふうに思われるわけでございます。  実は、このような効果につきましては、数量的にあらわすことは非常に困難になっているわけでございます。実際に木造で建てられた学校では児童生徒に学校への愛着心が育った、落ちついた教育環境となった、文化的な環境となった等よい評判を聞いておるわけでございます。そういった意味では所期の目的を達しているのじゃなかろうかというふうに思っているわけでございます。
  74. 前島秀行

    ○前島委員 そういう意味で、建築基準法の見直しあるいは学校施設で木材を利用する、そのための施策をやるということは非常に歓迎すべきであり、今後も積極的に行っていかなくてはいかぬ、こういうふうに思っているわけでありますけれども、特に、木材需要はふえているけれども国産材は伸びない、それにはいろいろな要因があるのではないだろうかというふうに思うわけであります。その中で、特に国産材と外材を生産、加工、流通の面で比較した場合、差のあることは否めない事実である、こういうふうに指摘をされている。外材との価格競争に勝たない限りは、木材需要はふえているけれども国産材はふえない、こういう形になると思うわけです。  そういう面で、国産材をふやすためにはいろいろな検討課題、重要な課題があるのではないだろうか。まず何といってもコストを下げなくてはいかぬ。そのためには、先ほど来言われているように林道の整備ということがまずコストダウンの最大の要因だ。あるいは良質でなければ外材に勝てない。そういう良質のものをつくるための体制、特に間伐とか枝打ち等々を推進することによって良質な生産体制をつくっていく。あるいは地域材の銘柄化という努力もする必要があるのではないだろうか。あるいは付加価値をつけるための加工技術の向上、こういうような問題、こういう検討課題をやることによって初めて外材に勝てる、こういうことになっていくのだろう、私はこういうふうに思うわけであります。そういう面でこの種の検討課題について、林野庁としてその辺のところをどう考えているのか、受けとめているのか、ひとつ長官、お聞かせ願いたいと思います。
  75. 松田堯

    松田政府委員 国産材時代が想定されているわけでございますが、これを現実のものにするためにはいろいろのことをやっていかなければいけない、御指摘のとおりでございます。コストを下げる、あるいは大量、安定に木材を供給する、そのための生産システムをつくるということも大事なことでございますし、加工、流通段階におきます近代化を図るということも必要なことでございます。また、もっと国民の皆さんに木材を身近なものにするといった努力もしていかなければいけないわけでございます。これまでもそのような施策を推進してきたところでございますが、これからも努めていかなければいけないわけでございます。  六十三年度について申し上げますと、川上と川下を通じた生産、加工、流通等需要拡大を一体的に推進するための地域材の供給特別対策を新たに仕組んだところでございますし、木材に関する総合的な情報センターを整備するといった予算も組んでいるところでございます。さらには、間伐材の有効利用を図るための新しい木質ボードの量産化のための技術開発というものも実施することにしておるところでございまして、今後とも関係省庁との連携を一層密にしながら国産材時代実現に向けての努力を進めてまいりたいと考えております。
  76. 前島秀行

    ○前島委員 特に流通問題が国産材の販路を拡大しない大きな要因だとよく言われ、指摘されているところだろうと思います。国産材の規格、寸法の複雑さというふうな点もよく指摘されています。あるいは在来工法を十分消化できるような技術者といいましょうか大工といいましょうかが最近非常に不足をしている、こういう点もよく指摘をされています。総理府の世論調査によりますと、国産木材住宅の希望というのは非常に多いけれども、そういう流通問題あるいは在来工法を消化する大工不足等々によって現実には半分ぐらいの消化率といいましょうか、そういうふうな統計も出ているようであります。そういう面で、国産材の規格、寸法の複雑性をどう解消していくか等の検討がされているのかどうか。流通問題ですね。  あるいは地域の活性化を図っている優良地域においては有能なリーダーというものが育っている。そういうリーダーのもとで地域一体となった活性化あるいは国産材を活用しているという方向なんというのも現地でよく見かけるわけですね。そういう人材の育成という問題も大きな検討課題になっている。そのために、昨年森林組合法の改正があり、また、その附帯決議の中でもそういうことが指摘をされてきていると私は思うわけです。その辺の人材育成の問題、あるいは地域の材料を使って地域で住宅を建てるいわゆる産直住宅の運動なんというのが自治体なんかでもよく言われているわけであります。  そういう面で、今長官言われましたけれども、そういう流通問題、国産材の販路が拡大しない要因である流通の問題とか、あるいは在来工法を消化するための技術者の養成あるいは地域のリーダーの育成といいましょうか、人材の確保というような問題が国産材を拡大していく上に非常に重要だろう、こういうふうに思うわけであります。その点、検討されてきた面もあるということは私存じ上げていますけれども、改めて長官、これから具体的にどういうふうに対応を考えているのか最後に伺っておきたい、こういうふうに思います。
  77. 松田堯

    松田政府委員 御指摘のように、国産材の需要が拡大されないということにつきましては、ツーバイフォー工法と在来工法を比較してみますと、在来工法が規格が非常に細分化されておるということが需要拡大のネックになっているというようにも考えておるところでございます。これまでもJAS制度の普及に努めてきているところでございますが、なおまだ徹底しておらない、普及しておらない、こういう状況でございますので、JAS制度の普及といったようなことにつきましても今後とも努めてまいりたいと考えておりますし、また、新たにAQ制度等、つまり良質な木材製品、これを表示いたしまして、それを普及するといったような制度でございますが、そのようなことも進めながら国産材の需要の拡大に努めてまいりたいと考えております。  また、人材につきましても御指摘のとおりでございまして、それぞれの地域で活発に木材需要が行われているところにつきましては、そこにリーダーの存在というものが常にあるわけでございます。川上から川下までを通しました産地形成、それを通しての需要拡大ということに努めなければならないと考えておりますので、そのために異業種間の、業種の違った方々の連携といったようなことも進めているところでございます。そういう中で人材の育成強化といったようなことにつきましても努めてまいりたいと考えております。
  78. 前島秀行

    ○前島委員 ともあれ二十一世紀初頭には国産材時代が来る、これは現実の問題でありますが、先ほどいろいろ長官が答えられましたような国産材拡大の具体的な諸施策を強力に進めることによって安定した林業・林産業ができるように、今後の努力を心からお願いをして質問を終わりたいと思います。
  79. 月原茂皓

    ○月原委員長代理 竹内猛君。
  80. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 森林開発公団法の一部を改正する法律案に関連をして、前の二人の委員に引き続いて質問をいたします。  まず、道路をつくり、交通をよくするということは、これは地域の文化を発展させるための不可欠の要件でもあるし、特に山づくりについてはなくてはならない仕事であります。そういう中で昭和三十一年に公団が出発をして今日まで幾つかの仕事をしてきました。林道の整備は、とりわけ森林林業木材業の活性化にとって、さらにこれらを通じた山村地域の活性化にとって、まことに大事な課題となっていることは万人が認めているところであります。その林道の整備の目標については、昨年七月に閣議決定をされた森林資源に関する基本計画において、今後四十年間に二十八万五千キロメートルとすることになっている。この基本計画を受けて、全国森林計画の年次的計画量は四千五百キロメートルとなっているが、開設実績は高くはない、むしろ低いと言わざるを得ない。林道事業の整備率について政府はどのように考えているのか、まずそのことについてお答えをいただきたいのです。
  81. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 林道は、森林の適正な維持管理や効率的な林業経営にとって不可欠な施設であるのみならず、地域振興や住民の福祉の向上にも大きな役割を担っております。今後ともNTT資金活用も図りつつ、林道の整備のためには一層の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  82. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 整備率はどうなっておるのですか。
  83. 松田堯

    松田政府委員 先生指摘森林資源に関する基本計画におきまして、おおむね四十年後の林道の整備目標を二十八万五千キロと計画をしております。これに対しまして、六十一年度末までに開設された林道は十一万八千キロメートルでありますので、計画に対する林道整備の実績は四一%になっております。
  84. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今大臣と長官の言われたように大変大事な仕事であるし、しかも進捗率というのは非常に遅々としております。これも速めながら、同時に完全にしていくということは大事なことだと思うから、十分に進めてほしいということです。  そこで、全国森林計画において目標とする林道の密度については先ほども質問がありましたが、へクタール当たり二十メートルとされているけれども、現状はどの程度のレベルになっているのか、また、現在の開設ペースで目標状態に近づくにはなかなか困難であると考えるが、それはどうか、この点についてお答えをいただきます。
  85. 松田堯

    松田政府委員 先生今おっしゃいました二十メートルは林道、それから森林の中に入っております公道も含めました整備率、その目標をへクタール当たり二十メートルに置いているわけでございます。六十一年末は、そのような同じ考え方でへクタール当たりを申し上げますと、十一・四メートルでございますし、その十一・四メートルの中で林道が四メートル、こういうことでございます。  これからの整備の達成見通しについてでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、六十二年度補正予算以降導入されましたNTT財源の活用も図りつつ、その計画的な整備に努めることとしております。特に今後、低コストで簡易な構造の林道の開設を積極的に進めるとともに、林業振興を図るべき地域において重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。
  86. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、森林林業を取り巻く現状を考えました場合に、森林の持つ多面的な機能森林に対する多様なニーズを考えると、森林木材生産はもちろんのこと、レクリエーション的利用、文化的な利用、森林総合的利用が今後ますます強く求められることになるであろう、その意味からも林道の緊急かつ着実な整備は林業の将来を占う重要な課題と考えております。そういう点に関連をして、ぜひこの問題については努力をしてほしいというように考えます。  そこで、まず林道の舗装について、これまでも重要な林道については開設後数年後に舗装をしてきた実績があると聞いておりますけれども、どのような実績となっているのかについてまずお尋ねをします。
  87. 松田堯

    松田政府委員 林道舗装の実績は一六%でございます。
  88. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その一六%というのは、先ほどの全体に対する一六%、そういうことですか。
  89. 松田堯

    松田政府委員 そういうことでございまして、舗装をしている箇所につきましては集落地域の中にある林道とか、あるいは勾配が非常にきつい箇所とか、あるいは半径が非常にきつい箇所とか、そういうところに重点を置きながら舗装を進めているところでございます。
  90. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 六十三年度の予算において、開設と同時に舗装を行う事業を実施するということであるけれども、林道の事故防止、公害防止の面においても、森林のレクリエーション的利用の面においても、山村の活性化あるいは森林総合的利用といったことを考えても画期的な事業と評価ができるわけでありまして、事業の概要、六十三年度における実施の予定等について伺いたい。
  91. 松田堯

    松田政府委員 車両が大型化してきておりますし、またスピード化してきておりますので、舗装は林道の機能を高める上で大変重要な課題でございます。六十三年度の新規事業といたしまして、林業生産環境整備事業ということで、新規に林道の開設と舗装を一体的に同時に行えるようにしたところでございます。  この事業の内容につきましては、事業主体は都道府県、市町村、森林組合等でございます。六十三年度の事業量は百キロメートル、補助率につきましては、広域基幹林道につきましては百分の六十五、普通林道につきましては百分の四十五の補助率でございます。事業費といたしまして八十九億円余りを計上いたしておるところでございます。
  92. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次に、大規模林道に関連して質問します。  大規模林道については、全国の七つの大規模林業圏において、森林の開発を通じた林業振興山村の定住条件の整備を図るための先導的役割を果たすべきものとして昭和四十八年から事業が開始されたと聞くけれども事業進捗率は高くはない。全体計画の概要はどうなっているか、また今日までの達成率はどうか、さらに事業がおくれている理由は何か等について明らかにされたい。
  93. 松田堯

    松田政府委員 森林開発公団が行っております大規模林道事業につきましては、森林の開発整備を通しまして林業振興を図り、山村の定住条件の整備を図ることが必要な全国七つの地域に大規模林業圏を計画いたしまして林道の開設を進めているところでございますが、全体計画は二十九路線ございます。四十八年度に事業を開始いたしましたが、現在二十五路線につきまして実施しているところでございます。二十五路線の計画延長は約千九百キロメートルでございまして、進捗率につきましては二一%という状況でございます。
  94. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この進捗率でいったら、いつになったら一〇〇%になりますか。
  95. 松田堯

    松田政府委員 大変つらいわけでございますが、テンポを極力上げようということで今後とも努力をしていきたいと思っております。二車線、舗装という構造で進めておるところでございまして、山村の方々の期待が大変大きいわけでございますので、これからも努力をしてまいりたいと思っております。
  96. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 現在のテンポで進んだら千九百何年ぐらいになるであろう、こういうことを質問しているのです。
  97. 松田堯

    松田政府委員 申しわけありませんが、計算したことがございません。これからも一生懸命やってまいりたいと思っております。
  98. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大分つらいようだね。しかし、それはちゃんと展望を明らかにしないとぐあい悪いですね。そして皆さんに、大体こういうテンポでこのように進んでいくんだという展望を示してあげることが責任じゃないですか。これは大臣、どうですか、その辺のところは。
  99. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 そういう質問を受けないようにしなければならぬと心得ております。     〔月原委員長代理退席、委員長着席〕
  100. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それでは要望します。ぜひこのことについては知恵を絞って計算をして、こういう状況になればこれくらいのときにはこうなるんだ、そのためには金はどのくらい要る、人間もこうだというぐらいのことはほぼ計算をしておく方がいいのじゃないですか。そういうふうにぜひしてもらいたいということをこの際強く要望します。  そこで、大規模林道は、まさに日本の森林林業の中核ともいうべき、地域における動脈とも称すべきものであり、地域活性化の強力なばねともなるものであって、こうした動脈が一日も早く形成されなければ、動脈につながる林道あるいは作業道の整備も進まないと考えます。この際、大規模林道の達成率の向上について、より一層努力されるよう強く申し入れておきたいということでございます。よろしいですか。
  101. 松田堯

    松田政府委員 そのように努めてまいりたいと考えます。
  102. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 森林総合的利用あるいは文化的利用という面を中心として質問していきたいと思います。  我が国の経済社会が今日のような繁栄を迎えた中で、より精神的に価値の高いものが重視されるようになってまいりました。そのために、余暇を利用して自然と触れ合える場としての森林、あるいは文化的、教育的に活用をされる場としての森林がますます重要視されることになり、森林に対する関心が高まっております。こうした要請にこたえるために、森林においては林業活動を展開する一方で、林業活動との調和を図りつつ、森林総合的利用が図られている。主なるフィールドは国有林であるが、地方公共団体あるいは森林組合が軸となっているケースも少なくはないと聞いております。こうした森林総合的利用、レクリエーションとか学習林等々のそれもありますが、概要を知らせてもらいたい。
  103. 松田堯

    松田政府委員 国有林野におきましては、これまでも森林のレクリエーション的利用を図るということで、保健休養の場として適した森林を自然休養林等に指定をいたしまして、一般の国民の皆様に森林浴の場の提供、あるいは小中学生に対して自然観察、野外スポーツ等の場として広範な利用を進めてきたところでございます。  ヒューマングリーンプランにつきましては、森林に対する多様な国民の要請にこたえるために、国有林野の中で自然景観がすぐれた地域、野外スポーツに適した森林空間等を積極的に国民に提供することといたしまして、民間のノーハウあるいは資金等を活用しまして、自然との触れ合いの場、青少年の教育の場、保養のための場等の整備充実を図るとともに、これらを拠点といたしまして都市と農山村との交流を促進する、こういう考え方、事業内容で推進を図っているところでございます。地域振興に資すということでございますので、第三セクターを活用して事業を進めているところでございます。事業の実施に当たりましては、地元雇用の拡大、地場産品の消費拡大等、農山村地域の振興に配慮しながら進めていくところでございます。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今の長官のお答えはまことに結構なことですけれども、やがてそれと違った現象が出てきていることを証明しながら、またもう少したってから議論します。  次に進んでいきますが、こうした森林総合的利用を図ろうとする場合に、自然は保護すべきものであるとするグループとしばしばいろいろなあつれきが生じております。自然公園法あるいは鳥獣保護区等の法律というものがあって、これは関係者との間に協議が手間取るところもあると聞いております。環境庁、文化庁がこれに関係しているわけですが、この環境庁、文化庁との間には林野庁はどういうような関連を持って山の活用リゾートあるいはヒューマングリーンプランを実行するような体制ができているかどうか、その辺はどうですか。
  105. 松田堯

    松田政府委員 ヒューマングリーンプランを行うところが、今先生指摘の文化庁あるいは環境庁とのかかわりを持ちます自然公園あるいは文化財等に該当いたします場合は、計画段階において協議しながら進めていくというのが現状でございます。
  106. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 文化庁見えていますね。――文化庁に苦言を呈しながらお伺いをします。  現在はつくば市に合併されましたが、当時は筑波町の小田西部の中城というところに堀があります。そこはかって北畠親房が「神皇正統記」を書いた小田城の堀なのです。その堀のところに菊池作一郎という方がいらっしゃいます。そのほかにも鴻巣義男という人がいらっしゃいますが、六十年六月に、家が古くなったからその家を建てかえようというわけで建てかえようとしたところが、県あるいは町の教育委員会から、あるいは国からも来たのでしょう、文化庁の方からの指示があって調査が入ってきた。それでこの方々は、偉い人が来るから土浦までお迎えをした、大変丁寧に取り扱ったわけですけれども、そのときにはもう既に土台が回してあって、結局許可にはなったわけですが、大変締められた、いろいろと苦言を呈された、厳しいものだなということであったわけです。  そこで、私はそこを見に行きまして、六十一年の予算委員会分科会で次の問題も含めて質問いたしました。  次の問題というのは、北畠親房が立てこもった城であります小田城――小田城というのは今は焼けて跡しか残っておりませんが、そこには歴史の碑が残っておりまして、筑波に見学に来る多くの方々は必ずと言っていいほどそこへ立ち寄るわけです。ところが、その手前まで道はあるけれども、その城の周辺になると道が細くてマイクロバスが入らない。非常に細い道だからこれも何とかならないかということで、この二点について質問をいたしましたところ、文化庁の当時の答えは、よくわかりました、それなら筑波の町を介してその点についてはちゃんとしますというお約束であったはずです。  ところが、四月の九日にその現場に行ってみると、何と、手当てをするどころじゃない。ここに写真を撮って持ってきたけれども、汚いこと汚いこと、どぶ、家庭の雑排水、木は茂りほうだい、草は生えほうだい、臭気がどんどん漂ってくる、これから夏になるとメタンガスが出て、たばこに火をつければ火事になる、こういう状態なのです。これでは行政への信頼というものがなくなってしまう。どんな小さいことでも、少なくともここで約束したことは実行してもらわなければ困る。なぜそれができなかったか、その経過について文化庁の方から知らせてもらいたい。
  107. 小林孝男

    ○小林説明員 お答えいたします。  史跡小田城跡の堀や道路の整備の件につきましては、先生今御指摘になりましたように、六十一年三月に衆議院の予算委員会分科会におきましてお尋ねをいただいたところでございます。  その際もお答えしたかと思いますけれども、史跡小田城につきましては地元の筑波町、現在は合併してつくば市になっておりますけれども、そこが法令に基づきます管理団体となっておりまして、一般にそういう史跡の環境整備につきましても地元の管理団体であります地方公共団体が行うということになっておるわけでございまして、御指摘いただきました件につきましては適切な措置をとるように指導してまいったところでございます。  市から事情を聴取いたしましたところ、当該堀の環境悪化と申しますのは、周辺部が非常に市街化が進んでおりまして、家庭の雑排水の混入、排水がよどんでとどまっておるのが原因ということでございまして、市では六十一年度から当該堀の下流におきまして排水工事を実施しておりまして、六十三年度におきましては、排水停滞の一因でもございました排水ヒューム管の改善が行われる予定、こういうぐあいに聞いておるわけでございます。このことによりまして排水の流動促進が図られるものと考えておるところでございます。  なお、根本の問題は堀に家庭の雑排水が流れ込むということであるかと思いますが、現在、市では近隣地域におきまして下水道工事を数年前から進めているところでございまして、これが完成の暁には汚水が堀に流れ込むということもなくなるのではないかと期待しているところでございます。
  108. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 菊池さんあるいは鴻巣さん、この方々は再三にわたって町に対して何とかならないかということを電話しても、返ってくる言葉がないとおっしゃるわけです。文化庁の皆さんがせっかくそういうふうなお答えをしてくれたけれども、現実にここにあるように物すごい状況なのですよ。これが文化財である、少なくとも国の文化財であるということにはならない。菊池さんはあの辺の非常に立派な方ですよ。だから、一遍現地に行ってそういう方々にお会いして、それで従来のいきさつについて説明をして、これからこうなるのですよ、こうしますと言わなければ――また筑波の当時の町長、これは茨城大学の助教授で文化人なのですよ。その文化人である町長さんが、今度は合併になったから随分ややこしい立場にはありますが、そういうところに対して、幾つもない歴史的なところをこんな格好でほっておくというのは少なくとも文化国家の名に恥じはしないか、こういうふうに思います。もう一度誠意あるお答えをいただいて、早速現地に代表を出しておわびをしながら実施する、そういう誠意が必要じゃないですか。
  109. 小林孝男

    ○小林説明員 よく県、市と相談いたしまして、先生のおっしゃる方向で検討させていただきたいと思います。
  110. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは教育委員会が窓口になっているようですから、ぜひそういうふうな誠意を示してもらいたいと思うのです。そうでないと行政というものは信頼されないですよ。行政が信頼されるということを、決めたことを、国会であるいは各級議会で答弁されたことが実行されなかったのはなぜ実行できなかったのか、その点を明らかにしていくということが信頼の関係になると私は思うのです。それがない限りは民主主義は成り立たない、こういうふうに考えます。どういう小さなことでもそうなんです。小さな堀、小さな道路一つでも、そこが問題になっているのですから、それに誠意を持ってこたえていくということは大事じゃないかな、こう思いますので、あえて要請をしながら次に移ります。  先ほどリゾート開発の問題が話になっておりました。昨年、総合保養地域整備法、リゾート法が成立した。最近、法に基づくリゾート開発のほかにも数多くのリゾート開発プロジェクト計画をされあるいは既に動き出しております。国土庁はこうした現状をどのように把握をしておるのか。また法によるリゾート開発は今後どのようなスケジュールで推し進めることになるのか。リゾート開発が山村地域等において雇用の場の創出、あるいは活性化が図られる限りにおいては賛成であります。したがって、私どもはこの法案については条件つき賛成なんです。手放しで賛成じゃない。  つまり業者が、大企業がどんどん入ってきて重要なところをみんな押さえてしまって地元が手が出ない、こういうことではなくて、やはり市町村が主体になって計画を立て、お金がないからそれなら企業の方とも手を組もうじゃないか、そのときには運営その他についてはひとつ話し合いをしよう、住民参加の開発、活性化。大きな会社だけが活性化して、住民は目をあげてみたら周辺がとられてしまっていたというならこれはどうにもならないことです。そういうことでこのリゾートの法案について協力したはずがない、その点はどうですか。
  111. 吉原孝司

    ○吉原説明員 幾つかの御質問が一挙に出たわけでございますが、まず一つ、最近におきますリゾートの開発プロジェクトの状況把握の問題であります。  私ども先ほども御答弁で申し上げましたように、都道府県に基礎調査というものをしていただいておりまして、その基礎調査のヒアリングを通じて進行状況を把握するというような仕方をいたしております。そこで先ほど申し上げましたように、基礎調査が終了したということで報告があったのが九県というような状況でございます。なお、このほかこの基礎調査の終了まで至らないで、現在検討中でいろいろ御相談を受けているというようなところが十数県ほどあるというのが現状であります。したがいまして現時点で、私どもが具体的に御相談等を受けながらリゾート整備をしたいということでいらっしゃっているのはそんなところかというふうに御理解をいただけたらいいんだろうと思います。  それから二つ目に、今後のスケジュールについても御質問がございましたが、私ども、このリゾート法に基づきます基本構想の承認は、各都道府県から基本構想の承認申請があった都度順次進めていくというようなことを方針といたしております。したがいまして、現在、トップといいましょうか一番作業が進んでおりますのは先ほど御紹介をさせていただきました三重あるいは宮崎、福島というところでございますが、そのほかのところでも同じように進めていきたいと思っております。そういう順序から申し上げますと、まず最初に基礎調査の提出があって、それから基礎調査のヒアリングを通じて基本構想の作成に入る、そして関係六省庁による調整の後、関係行政機関、環境庁とかあるいは大蔵省であるとか文部省であるとかあるわけでございますが、そうした関係行政機関との協議を経て基本構想の承認という手続に進むわけでございます。先ほども御報告申し上げましたように、一番進んでいる三県も現在基本構想の作成途上ということでございますので、今後のスケジュールはそういう日程の中で進めさせていただきたいと思っております。  それからリゾート整備の進め方の問題でございます。  確かにリゾートはこれからの二十一世紀に向けてのゆとりある国民生活を支える大変重要な政策になっていくだろうと私ども思っておりまして、そういう意味リゾート整備については十分じっくりと取り組む、しっかりしたコンセプトのもとにじっくり取り組んでほしいということを特にお願いをいたしております。  ただ、御承知のとおりリゾート法には幾つかのポイントがあるわけでございますが、その一つにいわゆる民間事業者の活力活用しながらリゾート地域の整備をしていくというねらいがございまして、そういう意味でこのリゾート整備の成否を握っているのは民間事業者でもあるということが言えるわけでございます。しかしそのことは必ずしも民間事業者がフリーハンドを持っているということでは決してございませんで、先ほど来申し上げておりますように、基本構想を作成するのはあくまでも都道府県でございます。そして都道府県はその基本構想を作成するに当たって関係市町村と協議をして持ち上げてくるというのが法律上定められた手続でございます。したがいまして、あくまでそういう意味で公共セクターが基本構想という形でリゾート整備の進捗をチェックするという仕組みになっているということで、先生の御指摘もその中できちっとクリアをすべきものというように考えております。  今申し上げましたような手続でございますので、住民主導と申しましょうか、住民参加的なリゾート整備もおのずと市町村等の協議を通じて確保されるものと考えております。
  112. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、先ほど農林水産大臣一つの哲学を持たなければならない、長官は雇用であるとかあるいは山村振興、繁栄というようなことを言われました。いずれもこれは共通して立派な考え方だと思いますが、現実にそれじゃ私のところで何が起きているか。  ここに「「筑波スペース・ポート」の事業構想」というのがある。これは三菱商事と大和ハウスがやって、ディズニーランドというのは大変有名でございますが、これの一倍半以上のものを筑波につくろう、こういうことです。既にこの構想を配って、そしてこれに同意するかどうか、同意したら調査をさせてくれ、こういうことを町会長を通じてやっておりますね。この面積が何と相当な面積ですよ。百九十ヘクタールでありますが、その中に水田等農地が三四%あるわけだ。これは農林水産省がかなり判断しなければならないことである。ゴルフ場をつくるのでも、二〇%農地があればいけないでしょう。なかなか難しいのじゃないですか。これは民間ですね。それで三千人の労働力を必要とし、そのうち二千四百から二千七百を地元で雇用するとおっしゃっています。しかしそういう約束はどこにもない。だれもこれを保証するものはないけれども、この計画がひとり歩きをする。  ところがその横には、今度はこれは法律に基づいて筑波山ろく観光基地という形で、地域活性化への一役としてスポーツ施設や伝説の里、まさにこれは法律に基づいている開発事業です。こういうように一方では民間の会社が思うに任せてどえらい金をぶち込んできてどんどんこれをやっている。一方では法律に基づいてまじめにささやかに開発をし、土地改良法などをつくって住民の皆さんの判をとりながらやっている、こういう二つのケースがあるのです。  それから週刊読売の四月十日号によると、大規模のリゾート開発プロジェクトというのはもう既に全国が網の目のようにやられている。これに参加するものは確かに市町村もあります。ありますけれども、日本鋼管であるとか三井であるとか三菱であるとか、あらゆる巨大な会社が主人公になってやっています。こういうものがどんどん入ってこられるとその周辺ははじき出されてしまう。海岸へ行くとマリーナ計画というのがあって海岸線の有効活用、それにリゾートがくっついて海岸もまたとられる、押さえられる。  では一体どういうことになるのか。こういうことになりますと、国土の利用は結構だけれども、これは海外に工場ができて海外から逆輸入をするという状況で、日本の土地というものが地価が高いからそこに今度はリゾート計画を立ててそこでひとつ稼いだ金でゆっくり余暇を楽しもうじゃないか、こういうことになってしまうと、ただでさえ困っているところの山村僻地が必ずしも活性化するとは思えない。そこへ来るけれども、その利潤とかそういうものは会社の方に帰属するのではないか、それを規制することはできないのではないか、こういうことになりかねないわけでありますから、この辺をどのように今から抑えておかなければならないかどうかということを大変心配する。  林道をつくるのも結構、舗装も結構、そして何をするのも結構だけれども、それがそういう企業のために大いに役立つようなことであったならば余り芳しくないのではないか。国民全体が、あるいは地域のその人たちが喜んで参加をし、雇用の場になっていくようなそういう方向でなければいけない。そうするためにはどうしたらいいのかということを私はやはり一緒に検討したい。決してリゾートやそういうものに反対するわけではないのですが、今のような形では大変心配ですね。その点はとりあえず、これはどの辺から答えていただけますか、まず長官からいきますか。
  113. 松田堯

    松田政府委員 総合保養地域の整備等の場合に国土の保全、自然環境の保全等にも十分配慮しなければいけない、また地域振興にもつながるものでなければいけない、先生指摘のとおりであると考えております。特に自然環境の保全につきましては総合リゾート法の基本方針にも明定されているところでございまして、林野庁といたしましては基本方針に沿ってつくられます都道府県の基本構想の作成の段階におきまして、林地許可制度等の趣旨を踏まえながら国土の保全、自然環境の保全等の観点から森林の土地の適正な利用が図られますよう都道府県を指導してまいりたいと考えております。
  114. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大臣はこの辺でどういうふうにお考えになりますか。
  115. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今例示されました三菱だとか大和何とかだとかというお話がございましたが、私、実は承知しておりません。おりませんが、感想を率直に申し上げますと、我々が進めようとしておる森林政策林業政策というものがある、そして治山事業がある。そういう中にとって林道は大切である、進めなければならぬ。そういうときに、他の分野での開発行為というものとそれらの政策との整合性がどうなるのか、同時に、この山村を守っておる人たち、そこに住む人たちのことを考えれば、その人たちの地域の活性化は必要である。しかし、地元が雇用問題等を含めて連動していきませんと何の意味もないことである。そういう点はややもすれば縦割り行政ということで今日までいろいろな部分において御指摘はございましたけれども、我々は他の役所に対しましても農林水産省としての物の考え方、林野庁としての物の考え方、率直に話を進めていかなければならない、さよう心得ております。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 国土庁はそれに対してどうですか。
  117. 吉原孝司

    ○吉原説明員 リゾート法のそもそもの目標が三つほどあるわけでございますが、一つは、これから余暇時間がどんどんふえていく、あるいはライフスタイルも変わっていく、そういう余暇時間の活用の場を今後二十一世紀に向かって整備していくということが当然の目標の一つでありますとともに、もう一つは、地域振興にそれを役立てていくという大事な使命があるわけでございます。したがいまして、先ほど来の御質問の中にありますように、これまでの地域の中に何か囲い込み運動といいましょうか、そのような格好になってしまって、地域と隔絶されたリゾートがつくられてはならないと私どもは思っております。  そういうことで、このリゾート法に基づきます基本方針の中で「特定民間施設の運営」という項目でございますが、これは同時に民間事業者への要請項目と御理解いただいてもいいわけでございます。その中に書いてございますことは「総合保養地域の整備が地域の振興・活性化に結び付くよう、地域住民の雇用、食料品等の地元調達、地域の自然、文化、産業等の紹介等に努めること。」というような留意事項まで書いて、地域とそうしたリゾート産業との融合といいましょうか融和というものを十分配慮して地域振興に役立つように要請をいたしているところでありますし、今後ともそういう格好で都道府県等を指導していきたいと思っております。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほどちょっと環境庁からのお答えを聞かなかったわけですけれども、やはり環境庁となると、いろいろやかましい自然を守る会の人たちから要請があって、あれもだめ、これもだめというふうに言われて木を切るにも容易じゃない。環境庁が一体山村活用というものと環境を保全するということについてどういう調整、調和をしていくのか、環境庁からちょっと聞きたいのです。
  119. 島田直幸

    ○島田説明員 今の先生のお話でございますが、私どもは自然環境の保全というようなことをやっておるわけでございます。その法律で自然公園法あるいは自然環境保全法等を所管しておりまして、例えば自然公園法について申し上げれば、これは自然を保護しながら利用するということがございます。したがいまして、そういう自然公園法の保護の計画なり利用の計画なりに沿って自然を破壊しないようにしながら、しかし利用も進行していく、そういう建前でやっておりますので、何が何でもだめだというような話ではございません。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういうことで、自然を破壊するかどうかわかりませんが、今三菱商事が大和ハウスと一緒にやるのは百九十ヘクタールの山を削るわけですから、そこで宇宙に飛ぶようなスペースシャトルみたいなものをつくろうというわけだ。あそこで砂利をとることさえも難しいことで環境庁は押さえたわけだから、こういうことをやらせること自体は、やはり一定の規制と注意をしなければいけないのじゃないかという感じもします。しかし、私は何もこれに反対をするわけじゃないですよ。地域が活性化するならば、ある条件のもとにはこれはやらなければならないと思っています。  次に、時間もだんだん来ていますから、こういうことをぜひひとつ報告をしてこれからの課題にしてもらわなければならない問題があります。  これは日本経済新聞の六十一年十一月二十五日、「リゾート開発続々」というところですね。これを見ると、「中央省庁も本腰」と。これは全部このまま読んで、ひとつ感想を後で聞きます。   地方自治体と大手資本によるリゾート開発が全国各地で着々と進行するのを見て、中央省庁もこの分野に本腰を入れるようになってきた。   建設省はこの夏、「複合リゾートカントリー構想」を明らかにし、運輸省は観光部が「アトラクティブ・リゾート21構想」、港湾局が「レクリエーション港湾プロジェクト」を発表、国土庁は「広域リゾートエリア構想」、通産省は民活法の適用範囲を「ふるさと村」や大規模複合リゾート施設にまで拡大して「余暇関連施設整備構想」を練るといった具合である。環境庁も公害防止事業団を「環境事業団」に衣替えして「リフレッシュ・イン・ナショナルパーク・プラン」、農林水産省は「農山漁村リゾートゾーン整備構想」を推進する。自治省も二十三日に「大規模広域リゾートゾーン整備構想」を発表した。   そのうち建設省の構想は、約十五万ヘクタールの地域を対象に各種スポーツ施設、文化施設、宿泊施設、会議場などの拠点を設け、これらを結ぶ道路、下水道などの公共施設を優先的に整備するもの。東京湾横断道路などの民間活力利用プロジェクトが大都市圏に偏りがちなのに対し、民活を地方に波及させようというねらいを持っている。   各省庁はそれぞれ独自のリゾート関連法案を次期通常国会に提出しようと準備を進めているが、 云々、こういうように大変リゾートというものは各省庁でねらわれております。  それだけに大事なことは、やはり当該地域の長い文化の伝統、山をつくってきた山村の人々、そういう人たちが目をあけてみたら自分の山もなくなってしまったというようなことがないようにするために、どうしても地域の自治体が参加をする、住民が参加をする、そしてその運営に発言ができるようにする、それから雇用がそこに保障される、こういうことは非常に大事なことだと思うのですね。だから、第三セクター方式という長官の言うことは私は賛成です。前々からそれはいいことだと思っているのです。  それから、大臣が言う一つの哲学というのは山の哲学か緑の哲学かわかりませんが、ともかく哲学ということはいい言葉だ。そういうしっかりとした哲学を持ってリゾートの問題には臨んでもらわないといけない。利益、銭さえもうければいいんだ、金、金、金、これではよろしくないですね。その点について、もう時間がないから最後に一言。ずつ。国土庁も見えているし、環境庁もいるし、長官、最後大臣に締めくくってもらいたい。
  121. 松田堯

    松田政府委員 昨年策定されました四全総におきましても、均衡ある国土の発展という観点から森林の重要性が提起されているところでございます。私どもといたしましては、森林を上手に生かさなければいけない。これまでと違って多様な生かし方というものをそれぞれの地域性を踏まえつつ地域振興に結びつける形の中で推進していかなければならない、このように考えているところでございまして、新しいリゾート等の開発が緑を破壊するといったようなことがいささかもあってはいけない、このように考えておるところでございます。
  122. 吉原孝司

    ○吉原説明員 リゾートは良好な自然環境もとで成立する事業でございますから、自分の資源を食ってリゾートが成立するとは思っておりません。そういう意味では自然環境を保全するというのは最大の眼目だと思います。  それと同時に、先ほどお答えさせていただきましたが、事業の主体は、この法律は民間事業者の能力の活用ということを言っております。ただし、それは先ほど申し上げましたようにフリーハンドではなくて、あくまで都道府県が定めます基本構想に基づいて事業が行われるということでございます。その際に都道府県は当然市町村と協議して定めるわけでございますが、それが言ってみれば今後の二十一世紀に向けてのリゾート基本的な方向を定めるものでございますので、どうか都道府県におかれてはしっかりとしたリゾート構想をつくってほしいということ、それから同時に、その構想に基づいて今度はじっくりと着実にリゾート整備を進めてほしいということを特にお願いをいたしているような次第でございます。
  123. 島田直幸

    ○島田説明員 先ほども申し上げましたように、自然環境への影響を十分注意していただきながら適正な利用を考えていただくということだと思います。そういう目的のために私どもも慎重に対応していきたいと思います。
  124. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今それぞれの役所から答えられましたが、答えられたとおりに進めるとするならば必ずうまくいくはずだ。物、金だけの価値観では困る、こういう意味のお話がございました。貴重な御意見として私も承りました。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 大変大事なことでありまして、これからの日本の発展の方向というものが一極集中から多極分散、そして過疎をだんだん解消していって本当に過疎地帯というものがなくなるようにしなければならない。そういう努力をそれぞれがしているときであるだけに、いたずらに資本が導入をされて、それにかき回されないようにしなければならない。先ほど国土庁から話があったように自治体に十分に注意をしていただいて、資本にかき回されないように自治体が第三セクターなりそういうものに住民に参加をしてもらった中で――資本を排除しろとは言わない、提携をしていかなければ金がないのですから。そういうものと提携をしていって巨大な利益をむさぼることのないように、利益はいいあんばいに分け合う、お互いに楽しむという心が必要じゃないのかな、こういうふうに思っている。そうでないと海岸も山も、どこもここもみんな押さえられてしまって本当にだめになってしまうということを心配いたしますから私はこういうことを重ね重ね申し上げているわけで、先ほど大臣のお答えは結構ですが、ひとつしっかり頑張ってほしい。これは閣議でも主張してもらいたい、こういうことを要望して、終わります。
  126. 菊池福治郎

    菊池委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  127. 菊池福治郎

    菊池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。水谷弘君。
  128. 水谷弘

    ○水谷委員 森林開発公団法の一部を改正する法律案の審議に先立ちまして、重大な時期にございます牛肉かんきつ交渉について、冒頭、大臣お尋ねを申し上げたいと思います。  先ほど同僚議員の質疑等がございましたので、大臣が重大な決意で我が国の農業を守るために大変な御努力をされておられる、そのことについては十分承知をいたしまして、政府・与党を挙げて二国間協議におけるこの交渉の成功を期して真剣に取り組んでおられるということもよくわかっております。  我が党の矢野委員長が先般訪米をいたしまして、一昨日の午後、私も先般伺ったときにお会いをしておりますボーカス上院議員と会いまして、その折に牛肉、オレンジ問題についてボーカス上院議員の方からアメリカ側の主張についていろいろお話がございました。これに対し、我が党の委員長牛肉、オレンジ問題はガットではなく二国間でぜひ解決を望みたい、そうしなければ日米双方が当事者能力を疑われることになる、このような内容の話をしております。我が党も従来から牛肉かんきつ問題については自由化はすべきではない、我が国の現状から見てそれはとてもできることではない、こういう姿勢で今日まで貫いてきておるわけであります。  さて、今この問題で三局長訪米をされました。これは大臣もおっしゃるとおり、二国間協議が中断をしておる、その協議をさらに進めるために我が方の主張、またアメリカ側の主張、そこに何とか解決の糸口を見出そうということで派遣をされた、そういう事情であるわけでありますが、間もなく帰ってみえる。さらには日米の貿易交渉、また高級事務レベル協議、USTRのスミス次席代表、さらにはウォリス国務次官等の来日、これから後しばらくの間そのような形での各種のいろいろな交渉が進展をしていくわけでありますが、従来の政府の方針をいささかも改めることなく我が国の政府の主張をどこまでも主張されていくものと私は信じておりますし、またそれは困難な道であっても断じてそれを踏み外すことはできない、こういうふうに考えておるわけであります。しかしながら、五月四日ガット理事会におけるアメリカ側のパネル設置という問題もこれあり、これからのスケジュールの中でどのようにこれをクリアし、この二国間の協議を成功裏に導いていくために、具体的に大臣としてどういう決意と取り組みで今後お進めになるのか、今までの御決意等も伺っておりますからおおむね了解はいたしておりますけれども、改めてお伺いをしておきたい、こう思うわけであります。
  129. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 冒頭、矢野委員長訪米のことに触れられまして、二国間で友好的に話し合わなければ当事者能力を疑われるではないか、牛肉問題では特に強い立場をとっておりますボーカス議員との間のやりとりを御紹介くださいまして心から感謝を申し上げておきたいと思います。  このたびの私の訪米の結果につきましては、繰り返すようで恐縮でございますけれども重ねて申し上げておきたいと思いますが、日米間に中川ストラウス会談以来の長い交渉経緯がございまして、双方基本的な立場の相違はあってもその都度友好的、平和的に実は処理をしてきた問題でございます。先般の三月三十一日という一つの大きな節目、この段階でどのような話し合いをするか、合意をするかということについてテーブルづくりを進めてまいりましたけれどもなかなかできずに、二日半前にやっと第一回目の会談が行われ、都合四回の会談をいたしたわけでございます。私は、従来の方針どおり自由化は困難であるということを重ね重ね説明をし、今日の日本の実情というものも十分説明をいたしました。先様は四月一日完全自由化、それが当たり前、こういうかたくなな実は態度でございまして、残念ながら我が方の主張を認めさせるというわけにはまいりませんでした。まことに申しわけないと思っております。残念なことでございます。しかし、お互いが考えますように友好的に結論を引き出さなければならぬ、こういうことで、決裂するのは簡単でございますけれども決裂してはならない。こういうことで実は私の方から四回目の会談のときに提案をいたしまして、話し合いは引き続きやりましょう。ガット云々の話もございましたけれども、その手続手続としてそちらはお進めになろうとも、話し合い話し合いとして何としても継続をするということに合意を得たいものだと主張いたしましたところが、それはわかった、話し合いは継続しましょう、こういうことでございました。しかし、イースターという宗教的、社会的な行事でございましょうかうまく解説はできませんけれども、そういう行事の中にみんなお休みになってしまう、こういうことでございまして、結果一時中断をする格好になりました。しかし話し合いは続けよう、こういうことでございましたので、一週間たった時点で実務者局長に昨日アメリカに立ってもらった、こういうわけでございまして、実務者同士で精力的に話し合って、いろいろな観点からいろいろな話し合いをしてもらおう、こう思って派遣をした次第でございます。  従来の主張をもとにしてとにかく頑張れ、こういうお話でございます。私どもは引き続き自由化は困難ということを基本にしながら、いろいろな角度からの外交折衝に責任を持って当たらなければならないと考えておるところでございます。
  130. 水谷弘

    ○水谷委員 訪米されまして四回にわたる大変な交渉をなさって、テレビで大臣が部屋に入っていかれるお姿を私も見ておりまして、本当に覚悟を決めた男の顔を見たような思いでございました。その御決心でこれからもどこまでも、日本の農業を守るということだけではない、日本の国民の生活を守るという大事な視点から、さらにはまた今ウルグアイ・ラウンド、ニューラウンドにおける新しい農業交渉、農業貿易のルールづくりが行われている最中に、今回のアメリカの力による貿易に対する威嚇を通じながら一方的な立場をもって押し切ろうとすることを許したならば将来新たに開かれていくであろう新しい貿易秩序をも損ねるという観点からすれば、国際的にもこの日本の立場というものは数多くの国々に必ず理解と支持を得られる、そういう大事な指標となっていくものと私は考えているわけであります。  よく言われておりますように、自国で食肉輸入法を持ちながら、さらには一般的な農産物にしてみればウエーバー条項を持ち、またECにおいても可変課徴金制度を持ち、それぞれの国々が農産物については他の工業製品と違う貿易における明確な措置を講じている中で、我が国がこの交渉の中からもし軟弱な姿勢転換して少しでも譲るような姿勢が出てきたならば、これは重大な問題と国民から大きな糾弾を受けなければならない、私はそういうふうに覚悟を決めているわけでありますが、大臣も同じ御決心であるということを確認いたし、頑張っていただきたいと思うわけであります。  これは仮定の議論でまことに恐縮でありますが、お答えになれなければお答えになる必要はございませんが、五月四日ガット理事会においてアメリカ側がパネルの設置を要求してきた場合、我が国としては二国間協議をもってこの問題の解決に当たるとして、このパネル設置に対しては理事会においてこれを拒否なさるお考えはあるかどうか。交渉のさなか仮定の論議をしてまことに恐縮でありますが、断固そうあるべきであろうと私は考えておるわけでありますけれども、御所見を伺えるのであれば伺っておきたいと存じます。
  131. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 米国側のスケジュールとしては伝えられておるとおりだと私も想像いたしております。しかし、三月三十一日、大きな節目を迎えたその夜に、話し合いは継続しようということでの話し合い基本にしながら解決を図るために全力を尽くしてまいりたい、こう思っておりますので、直接的に触れることはひとつ御理解を賜りたい、こう思っております。  話し合いは何としてもしなければならぬのでございます。先ほど申し上げますように、決裂は簡単でございます。しかし、あらゆる角度から物を考えなければなりません。それぞれの国の歴史的ないろいろな措置というものがございます。それを私はここで一々批判しようとは思いませんけれども我が国には我が国の方針というものがあるわけでございます、また歴史的な経緯もあるわけでございますから、それを頭に置きながら私は責任を持った行動をとらなければならない、処理をしなければならないと強い決意を引き続きいたしておるところでございます。
  132. 水谷弘

    ○水谷委員 意見は違うけれども、ともに相手の立場を尊重し、最後までとことん話し合う、これは自由主義世界に住む我々のあらゆる交渉事の基本であろうと思います。どうか最後まで頑張っていただきたいと思います。  次に木材貿易の中で、これもまたガットでございますけれども、二つ、ガットをめぐって問題になっているものがあるわけでございますが、きょうはそのうちの一つだけお尋ねをしておきたいと思います。  カナダが、トウヒ、松、モミ、いわゆるSPF加工材に対する日本の関税は不公平だということで、SPFに関するパネルの設置を要請し、ガット理事会において三月二十二日これが決定されました。我が国もそのパネル設置要請に対しては受け入れる旨を表明して、これが理事会で決議をされたわけであります。  今、若干私が触れましたが、今日までのSPF関税に対する経過、パネルにおける今後の我が国の主張、さらにはその主張を続けた最終的な我が国としての態度について長官からお伺いしておきたいと思います。
  133. 松田堯

    松田政府委員 十年ほど前から、カナダからヘムロックとSPFの関税差につきまして問題の提起がなされていたところでございます。  ヘムロックにつきましては、関税がゼロでございます。SPFにつきましては、昨年一〇%から八%に下げたところでございますが、現在八%の関税があるわけでございまして、これは差別である、アンフェアであるということでの問題提起がなされていたわけでございますが、昨年からこれが顕在化してきているわけでございます。  我が国といたしましては、樹種も違う、用途も違うということで関税差はガット上正当である、このように主張をしているところであります。ことしの三月初めに実務者レベル協議を行ったところでございますが、双方の主張につきまして一致するところを見なかったわけでございます。カナダは、本件に関しましてパネルの設置を要請し、三月二十二日のガット理事会におきましてその設置が決定されたところでございます。  今後はパネルの論議にゆだねられるわけでございますが、そこにおきましては、本関税のガット上の整合性についての我が国考え方について理解が得られるよう最大限努力をしていく所存でございます。  一方、カナダとの二国間の協議というものは、ガットの議論と並行しながら続けてまいる考えであります。
  134. 水谷弘

    ○水谷委員 これもやはり紛争処理機能を果たす意味でパネル設置になってきているわけでありますけれども、やはりカナダとはひとつ誠意を持って協議をお続けをいただきたい。一年間で二%――一二%じゃなかったですか、一〇%ですか。
  135. 松田堯

    松田政府委員 昨年の三月までは一〇%であったわけでありますが、四月に八%に下げたところであります。
  136. 水谷弘

    ○水谷委員 そこへ我が国としてさらに関税の引き下げはこの程度まで引き下げてもよろしいというような考え方は先方には提示をなさっているのでありましょうか。詳しい交渉事ですからおっしゃれないと言えばそこまでは伺いませんけれども、その辺はいかがですか。
  137. 松田堯

    松田政府委員 交渉事でございますから、双方がこれまでの考え方そのものを主張し合っておったのでは交渉になりませんので、我が方としての譲るべき線の提案はしたところでございますけれども、結果的に一致しなかったわけでございます。現在はそれがまた振り出しに戻ってこれからまた議論を始める、こういう状況でございます。
  138. 水谷弘

    ○水谷委員 これはアメリカのいわゆるヘムロックと材質等が違うわけでございまして競合関係にはない。またさらにはこれは北海道のトドマツなどと競合する非常に大事なものであります。そういう意味ではどうかしっかりとしたスタンスに立ってこれも交渉に継続的に臨んでいっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、法案の中身並びに林業全般について質問をさせていただきたいと思います。  この森林開発公団法の一部改正案、今回の改正そのものについては私どもも、この現在の森林林業、また山村社会を取り巻く厳しい情勢の中で林道など林野関係公共事業をより一層推進するために、NTT株の売却益に基づく国の無利子貸付金を活用して林野関係公共事業のうち第三セクターが行うもの、スポーツ・レクリエーション施設等の整備と密接に関連した収益還元型事業としてこれら林野公共事業を促進するということは適切なことであろう、こういうふうに考えております。しかし、先ほど来から指摘がございましたように、この初年度のいわゆる資金の額、さらにはこの事業の継続性、またこの事業の範囲等々いろいろ申し上げたいことはございますけれども、私は森林開発公団全体的な問題についてきょうは触れてみたいと思っております。  その第一点は、ことしは、いろいろな年に言われておりますけれども水づくり元年。昨年首都圏を初めといたしまして大変な渇水を迎えたわけでございますが、その苦い経験から我が国の国土の将来を考えて本格的な水づくりに取り組まなければならぬ。四全総においてもこの問題については相当のスペースを割き、位置づけをし、取り組んでいこうとされているわけであります。その中で我が林業として重要な問題となってくるものといえば、いわゆる水資源の確保のために最も必要な水源林の問題であろうと思うわけであります。  昨年の首都圏のいろいろな渇水状況をテレビで報道しておりました。そういう報道等を私も見ておりましたが、そのことについてある人が触れておられまして、ダムの貯水量が対前年比何%になったとかいう報道がいろいろあってダムの問題がかなりクローズアップされてきたけれども、いわゆる森林問題、その一番もとになっている水源涵養林、水資源の涵養をする水源林の問題とかこういう森林の問題についてのいろいろな問題提起というものは非常に少なかった、こういうふうな指摘をしておられる方がおるわけで、水のことで私がここで細々と申し上げる必要はないわけでありますけれども、いろいろな方々が分析をしておられるその数字を拝見してみますと、これからの水需要というのは、生活水準の向上また生産活動の拡大、こういうことを考えると二十一世紀には現在八百九十億トンと言われている水需要が一千三百億トンに増大するのではないか、これほどの急激な増大が考えられる。そういうことを考えれば考えるほど山村地域、いわゆる森林林業の問題が国民的な課題となり、またさらには国民が本当に大切なものとしてこれを注目していかなければならないわけであります。しかしながら、どちらかといいますとまだまだそのような国民的なコンセンサスが確立をされていないというのが実情であろうと思うわけであります。森林の持つ公益的機能、これは決して水だけではございません、ほかにも山ほど機能はあるわけでありますけれども、直接的に私どもがそれを考える場合にやはり水源としての位置づけというのが最も大切になってくると思うわけでございます。  そこで、森林開発公団として今日までの事業の中で水源林造成事業について取り組んでこられたのは、私も数字をいただいておりますのでその造成事業経過、実績等についてはわかっておりますが、現在の森林林業環境を見ますと、いよいよ森林開発公団、いわゆる公共部門によるこの水源林の造成というのは重要な役割を持ってくるわけであります。そういう意味で今後の水源林造成事業にどのようにお取り組みをされていかれるか、そのことについての基本的な考え方、お取り組みについて伺っておきたいと思います。
  139. 松田堯

    松田政府委員 森林開発公団の水源林造成事業は、奥地山岳林におきまして造林等がなかなか進まない地域の水源涵養保安林、また同予定地におきまして無立木地あるいは疎林状になっているところに造林を行ってきたところでございます。全体計画が四十万八千ヘクタールでございますが、既に三十四万五千ヘクタールの造林地がつくられてきております。  先生指摘のように、森林の持ちます水資源涵養機能の重要性というものは今後ますます高まってまいりますので、今後の水源林の造成事業の進め方につきまして、分収造林対象地の面積について現在調査を行っているところでございます。複層林施業の推進といったようなこともございますので、そういったようなことを含めて、この調査結果を踏まえながら検討をしてまいりたいと考えております。
  140. 水谷弘

    ○水谷委員 その調査はいつごろまでに結果がわかるように計画されておりますか。
  141. 松田堯

    松田政府委員 ことしの七月ごろには報告書が出てくる、このように考えております。
  142. 水谷弘

    ○水谷委員 報告書が出次第ひとつ御報告をお願いいたしておきます。  次に、同じく開発公団の事業としてこれも地域における、または基幹的な大変な事業であります林道の整備の問題でありますが、私から申し上げるまでもなく昔は林業とは林道の整備だということまで言われ、いわゆる森林林業の経営の骨格は、また動脈は林道だ、これはもう当然のことであろうと思うわけです。そういう意味では先ほど来のやりとりでも、いわゆる林道整備の森林資源基本計画の改定をされ、林道整備目標を二十八万五千キロメートル、このようになさって、これもおおむね四十年後までに完了するという計画もとに進めておられる、こういうことでございました。しかし、最近の林道の整備の推進状況を見ますと、当初の計画から見ますと大変な落ち込みが見えてまいりまして、国有林もそうですが、国有林、民有林ともに整備の達成率というのはかなり低くなっております。こんなペースで行って果たして四十年で完成できるのかな、これは私だけではない、みんなそういう疑問を持っておられると思うわけです。これがなかなか進まない原因は、一番大きな問題は国家財政、いわゆる経済成長下降に伴う林道開設予算、こういうものが大変に低下をしてきた。それだけではなくて林道開設の単価、コスト、こういうものもかなり増高してきている。そういういろいろな要素があることはよくわかっておりますけれども、四十年後にはほぼ完成を見たいということで鋭意取り組まれるとするならば、今のような体制のままで進められてもとてもこれはできない。  長官、御就任になり、私きょう初めて御質問さしていただいているわけでありますけれども、新たな長官に就任されてどうか今までの貴重な経緯を踏まえながらも前へ飛び出したように施策を打ち出していただいて、従来のスローペースからペースを速めていっていただきませんと、先ほど来から議論がありますようにいよいよ二十一世紀国産材時代が来る。ところが林道も何も整備されていない。現状でも林道が整備されていないためにいわゆる除間伐ができない、保育ができない、そういういろいろな問題がたくさんあるわけであります。そういうことから見れば林道の整備というのは骨格、動脈づくりでありますからいろいろな基盤整備を進める中でも特に力を入れておられると思いますけれども、そういう点、今後この整備を進められる基本的なお考え、大規模林道を含めた構想、そしてそれに対する対策、施策、財政的な取り組み、それについてお尋ねをしておきたいと思います。
  143. 松田堯

    松田政府委員 御指摘がございましたように国産材時代の到来が見通されておりますけれども、外材に対抗し得る条件の整備を図る上から、あるいは森林の適切な管理を行いましてその機能を高める上から、さらには地域振興を図る上からも林道の整備は大変大きな課題であります。目標とする林道総延長からいたしますと現在まだ整備率が四割ちょっとでございますし、今後の計画につきましても年平均の計画量に比べて六割程度の事業が行われておる、こういったような状況でありますから、これからも力を入れてその推進を図らなければいけない、このように考えております。そのような上からもこのNTTの財源の活用を図りつつ、一般林道あるいは大規模林道につきましてもその推進を図っていきたいということで御審議を賜っているところでございます。大規模林道につきましても、山村におきましては大変夢のある事業でありまして、期待も大きいわけでございますが、現在の進捗率は二割程度でございます。今後とも力を入れましてその促進を図ってまいりたい、このように考えております。
  144. 水谷弘

    ○水谷委員 御専門の長官にこんなことを申し上げて恐縮でありますけれども、従来の林道の林道密度、これを決定し路線の配置図が確立をされていく、林間における作業道とかいろいろなものも全部計算のファクターとなさっていろいろおやりいただいているわけでありますけれども、いろいろなことを学者の方々がおっしゃっております。宇宙衛星の航空写真を利用して従来の林道計画というものをここでもう一度明確に見直しをすべきではないのか、さらには林業圏域内の森林資源の構成状態というものがこの数十年の間大きな変化をしてきている状況もある、そういうことも含めた、本当に将来を見据えたしっかりとした林道計画というものをここでもう一度確立をすべきだ、こういう指摘もあるわけであります。  また、先ほどからのいわゆるリゾート構想、これが定着をしていくためにも、大体年間延べ八億人とかという数字まである方は言っておられますが、そんなに森林に入っておられるのかなと数字を疑いたくなるくらいですけれども、そうなんだろうと思います。そういう方々に本当に快適にまた安全に十分にそういう森林の資産というものを活用していただくためにも、さらには先ほどおっしゃった地域社会の活性化のため、山村における林道は本当にそこの動脈であり生命線でもある。つい二年前でしたか、私の選挙区の茂木町で大災害がございまして、私もその日のうちに現地へ参ろうと思いまして行ったわけでありますけれども、幹線道路は全部ずたずたでございまして、どうにもならないで裏道裏道、それこそ林道の裏の方まで、山の方からおりて六時間がかりでやっと町の中へ入った体験がございます。そのときに、林道は意外としっかりしておるな、あの集中豪雨の中でも見事機能を果たしている、大したものだ、ありがたいな、こんなふうに思った経験もございます。  いずれにしてもあらゆる面から、先ほど長官がおっしゃったいわゆる国産材のコストをダウンさせるために、機械の搬入をするにしても、さらには適正な作業をそこに配置するにしても、これもまた林道の整備が肝要であるわけでありますから、先ほどの御決心どおりひとつ積極的にお進めをいただきたいと思うわけであります。  次に、白書をいただきました。六十二年度の「林業の動向に関する年次報告」をちょうだいいたしました。昨年の白書も拝読させていただいておりますが、より一層充実した白書の中身であるなというふうに私も読ませていただいております。この中で、特に我が国の海外林業協力ということについて何点か私はここでお尋ねをしておきたいと思うわけであります。  先ほどもいろいろ議論がございましたけれども我が国に今外材が大変な量で入ってきているわけでございます。その入ってきている外材も熱帯林からの材が大変に多いわけでありまして、開発途上国の用材生産量の約一四%は輸出に回っている、こう言われている。その輸出に回っている半数を我が国が輸入をしているということになりますと、いわゆる熱帯雨林の壊廃というものが地球的な問題としても大変言われている。これは用材だけの問題では決してございませんので、この熱帯雨林の壊廃は、焼き畑またはそこに道路がつくられるとかいろいろな問題でこれが壊廃をされ、それが原因となって、ことしの白書にも明確にそれが書かれております。「熱帯地域における森林の減少、荒廃は、現地における経済社会の維持、発展を妨げるのみならず、世界的な環境の変動、貴重な生物遺伝資源の損失につながるものであり、その保全を図るためのグローバルな取組が重要となっている。」このように白書でも述べているわけであります。  我が国が今東南アジアの国々の貴重な財産を、いわゆる円高ということも一つの拍車になりこの輸入が急増を続けてきているわけでありますが、貴重な資源を安いから幾らでも使っていいという理屈は成り立たないわけでありまして、使えば使ったものに対する代価としてさらにその育成と保護を果たしていくのも我が国役割であるはずであります。JICAを通じたり、また国際機関に対する協力をなさったり、ITTO、国際熱帯木材機関の本部が横浜に設置をされ、この海外協力についても我が国が真剣に取り組んでいる、そういう問題についても伺っております。この海外協力について今後政府として今まで以上に力を入れていかなければならないわけでありますが、どういう考え方でお進めになっていくか、お尋ねをしておきたいと思います。
  145. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 海外林業協力につきましては、これまでも積極的に取り組んでまいりましたけれども、特に最近に至りまして、今おっしゃいますように世界的に熱帯地域における森林資源の減少及びこれに伴う地球的規模での環境の悪化の問題が指摘をされておりまして、国際社会において林業先進国としての我が国森林資源造成等に一層の役割を果たすことが今後とも期待されていると考えております。  このため、農林水産省といたしましては、林業についての技術及び資金等に関する協力の一層の推進を図り、これら熱帯地域の森林資源造成等に積極的に寄与してまいらなければならない、基本的にはこういう考え方でございます。
  146. 水谷弘

    ○水谷委員 長官にお尋ねをいたしますが、今回審議をさせていただいている森林開発公団法、この開発公団の事業として海外林業協力というものもしっかり事業の中で取り組んで、そのために法改正が必要であればそれもせねばならぬ。農用地開発公団は既にその所要の改正を行っている。このことについて、突然で申しわけありませんがお尋ねをしておきたいと思います。
  147. 松田堯

    松田政府委員 林業を含めていろいろの事業分野の技術協力、これは国際協力事業団、JICAを中心に進めているところでございます。いろいろの技術協力を行っていく場合に、これからは多数分野の協力という形で行っていくのが必要なことではないだろうか、このように考えておりますので、JICAを中心に一元的に技術協力を進めていくのが適切ではないか、このように考えております。
  148. 水谷弘

    ○水谷委員 次に、長い経過とお取り組みの中から緑と水の森林基金の設立が行われたわけであります。現在の森林林業、さらには河川整備、こういう総合的なことを考えれば、まず財政的な問題がそこに必ず出てくる。資金が必要である。そういういろいろな総合的な国民的要請といいますか、そういう中から建設省、林野庁が大変努力をされ、水源税構想とかいろいろな構想を出してはたたかれ、引っ込め、御苦労の結果、一歩前進、この基金制度が誕生してまいりました。私も基本的には受益者負担の原理というものは当然であろうと考えておりますが、適切な負担はこれからますます必要になってくるだろう、こういうふうに考えているわけであります。  この設立までには、特に私が住んでおります海のない、実際に水源の地である県がいろいろ骨を折りながら、海なし七県などと言われておりますけれども、その関係者も一生懸命頑張ってこれを促進をしてこられた。そういう多くの方々、もちろん政府・与党である自民党の皆さん方も一生懸命取り組んでこられた。また林業活性化議員連盟であるそれぞれの方々もみんな一生懸命取り組んでこられた。そういう意味では、この基金というものはこれからもより大きく、生まれるのは非常に小さいわけですが、赤ちゃんと同じで小さく産んで大きく育てて、より一層の効果を発揮をしていかなければならないと思っております。  ただ私は、この規模だけでは、今緊急を要している現在の森林林業を支えていくためには、まことにまだまだだな、こういうことを感じてならないわけです。そういう意味で、これを一つのステップにして、今後ともこういう方向もひとつ大事だなと思います。もちろん基本的には、国民の生命と財産を守る最も基本である、基幹であるこの森林林業は、国民のとうとい血税によって、いわゆる一般会計によってこれをぴしっと位置づけをするのは骨子であり一番大切なことでありますけれども、冒頭にも申し上げましたように、妥当な、適切な受益者の負担という合意を形成してのそういう方向性をつくっていく、こういうことは非常に大事であろうと考えているわけであります。  私、このことについて詳しく伺うつもりはございませんけれども、こういう資金を使ってでも、国内の森林資源の整備、利用、調査研究、開発だけではなくて、やはり先ほど私が指摘をいたしましたいわゆる熱帯雨林、そういう海外の国際協力にも、日本の姿勢として国民の多くから、あらゆる方々から賛同を得てできたこの基金がそういう方向にも踏み出して取り組んでいくんだ、こういう姿勢は大切ではないか、こう思うわけでございますが、この点はいかがでございましょう。
  149. 松田堯

    松田政府委員 森林基金につきましては、おかげさまで去る三月三十一日に緑化推進委員会を緑化推進機構ということで名称、定款等を変えまして、正式に緑と水の森林基金ということで発足をしたところでございます。また、基金による事業が円滑に展開されますように関係機関の必要な協力をいただくということで、四月十二日に閣議了解を行っていただいたところでございます。  これの運用につきましては、緑化推進機構に設置されます緑と水の森林基金運営審議会でこれから審議されることになるわけでございますが、まず基金をお願いをいたしまして、その上で先生今御提案のありました国際交流、海外の技術協力等にも活用していくということにつきましても運営審議会で検討をしていただく課題ではないか、このように考えております。
  150. 水谷弘

    ○水谷委員 以上で終わります。
  151. 菊池福治郎

    菊池委員長 武田一夫君。
  152. 武田一夫

    ○武田委員 森林開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、七点ほど質問をいたします。  大臣には、牛肉、オレンジについては大変御苦労さまでございます。先ほども話がありましたように、これからが大事だと思います。これまでの数々の御苦労の上に、さらにひとつ一致団結してこの国難ともいうべき問題に対処してほしい、こう思います。御健闘を祈るわけでございます。  そこで、一つ、最近私、気になるのですが、閣内でどうとかこうとかというのがよく新聞に書かれます。中には三年後に自由化とか云々なんということで、新聞もよくないとこの間も私言ったのですが、そういう雑音が一切ないような、水も漏らさぬ対応をひとつお互いにしていかなければいけないんじゃないか、こういうことでございまして、大臣は相当ぴりぴりと神経をとがらせていると思うのですが、なおかつああいうのが新聞に出てくる、報道されるということがないよう、ひとつ竹下総理以下挙党一致でそうしたものに対応する心構えだけは持ってほしいな、これを要望しておきたい。これは国民の、農家の皆さん方の最大の期待だと思っておるわけでありまして、特にどうとかという御返答はいただきませんので、御要望しておきたい、こう思います。  まず最初に、森林林業及び山村社会を取り巻く状況というのは、御案内のとおり長年にわたって林業活動が停滞をいたしております、そういう状況等非常に厳しいものがございます。こうした厳しい情勢を改善しながら活力を与えていくということが非常に重要な課題だと私は思っておるわけでありまして、この点につきましてどういう対策をなさるつもりか、まずその点からお聞きをしたいと思います。
  153. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 いろいろ御激励いただきまして、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。  一部の報道にはしばしば困惑をいたしておりまして、言論統制をするわけにもいかず、出版の不自由を押しつけるわけにもいかず、あってはならないことでございますが、事実一部の報道には困惑をいたしております。今後ともまた何かと御協力をお願い申し上げたいと思います。  我が国林業木材産業は長い間価格の低迷等困難な状況にありましたが、最近に至りまして木林需要が回復傾向にあるなど、明るい一面も見え始めております。このような中で、林業木材産業の一層の体質の強化、活性化を図るとともに、多様化する国民のニーズにこたえて森林を整備することが必要となっております。このため、我が省といたしましては、木材需要の拡大、造林、林道等林業生産基盤の整備、森林総合的利用の促進と山村振興など各般の施策を推進しているところでありまして、今後とも金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進してまいりたいという基本的な考え方をまず申し上げておきたいと思います。
  154. 武田一夫

    ○武田委員 国有林林業に占めるウエートは非常に大きいわけでございます。この林業の公益性の確保、これはいつも問題になるところでございますが、それに対する財政的方針というのは非常に明確ではない。そうしたいのだけれどもなかなか金がそれにはつかない。これは価値を生むというよりも――本当は価値を生んでいるわけでありますけれども、マイナス的な金の使い方のように思われる。こういう理解度の少ない、まだ理解が十分でないということもございまして、林野庁としても良好な森林経営とそれから予算の問題で頭を悩ますことしきりじゃないか。こういうことを思いますときに、今後そうした公益性の確保という問題にさらに重点を置いた林野行政というのが必要だ、私はこう思っているわけでありまして、大臣もその点については十分御理解をいただけると思うのでありますが、林野庁の悩みをひとつ最大限にバックアップしてほしいな、こういうふうに思っております。  そこで、山村社会の活性化を図る、これは一口に言ってもなかなか難しいことでございます。美しい緑ときれいな水のあるところは貧しい、そういう言葉があるわけでございまして、そうした山村社会の活性化を図るためにこれから力を入れるということは非常に重要なことであります。特に林道の開設その他の林野関係公共事業の推進が非常に重要、かつ積極的に行わなければならない、こう思うわけでありますが、その実情はどうなっておるのか、ひとつ御説明をいただきたい、こう思います。
  155. 松田堯

    松田政府委員 森林はその多くが山村に賦存するわけでございますが、現在、山村は全人口の五%の方々が住んでいるわけであります。その山村森林森林全体の約六割を占める、こういうことでございまして、五%の方々が六割の森林を管理しているというのが現状でございます。近年におきます木材価格の低迷あるいは木材需要の停滞、こういう形の中で森林所有者等の方々がかつての森林の管理に対する意欲を失いつつある。これは実は大変な問題でございます。森林の管理が行き届かなくなりますと森林は荒れる、こういうことでございますので、各種の施策を総合的に推進をしていかなければいけない、このように考えているところでございます。  林野庁といたしましても、山村におきましては社会資本等の整備が未整備でございますので、林道、造林、治山等の公共事業を中心にその活力回復に向けまして努力をしているところでございます。
  156. 武田一夫

    ○武田委員 次に、今回の法改正によりましてもたらされる効用というものについてはどういうふうに見られているか、その件につきましてお尋ねをいたします。
  157. 松田堯

    松田政府委員 Aタイプ事業につきましては、スポーツ・レクリエーション等の整備を森林の中で行う事業体、その本体がございまして、その本体の施設整備等におきましては、就労の場の提供、あるいは地元から生産されます各種の産物の活用等大変な効果がある、このように考えております。それと一体的に林道、治山、造林ということが進められるわけでございまして、これは先ほど申し上げましたように、山村等におきます公共事業等の推進にも大変貢献するところが大きい、このように考えております。
  158. 武田一夫

    ○武田委員 第三セクターが主体となって森林総合的利用にも資する事業が実施されるということに大きな期待を抱いているようでございますが、その具体的なものについてはどういうものを想定しているのか、そしてこの第三セクターが新たに実施することになる事業というのは大体どういうものを指しているのかという問題についてひとつお答えをいただきたい、こう思うのです。
  159. 松田堯

    松田政府委員 六十三年度予算では約十四億の予算を計上しているところでございますが、主として六十三年度予定しております箇所は北海道、東北地域が中心でございまして、六カ所予定をしているところでございます。内容につきましては、スキー場、それに関連する施設というものが中心でございます。
  160. 武田一夫

    ○武田委員 「森林環境の利用方法に関する今後の意向」という昭和六十一年三月の余暇開発センターの資料があるのですが、その中で一番多いのは三九・五%でふるさとの森、森林公園等に利用する、それから次に多いのがキャンプ場、それから観光農林園、シイタケ園とか山菜園とか、それから林間学校、サマースクールなどの開催に利用する、その次が林産物の産地直売、そしてこのスキー場が六位、そのほかに体験林業とかキノコ狩りのイベントとか特別村民などの会員制度、あるいは分収育林制度云々と、大体十一ばかりの項目があります。  今の話では、今後スキー場というのが中心だということでありますが、こういうことを考えますと、いろいろと今後こうしたものが大なり小なり出てくる可能性が十分に考えられる。大体最初は東北、北海道というのは、最初にやる人のことをよく見ていて、いいとなると続いてやるというくせがありまして、よくなればどんどん我も我もとくる可能性もある。ほかの地域でも恐らくそうでしょう。こうなると、本年度が初年度十四億円の予算でスタートということでありますが、地域活性化のばねとして期待されるということを考えると、今後こうした予想されるものに対する対応もやはり考えていただかなければいけないのじゃないか。そうなると、ちょっとこれだけでは、いろいろと御配慮いただいてちょうだいしているお金では不十分ではないかという気がしてならないし、そういう心配もあるのでございます。そういう意味で、政策的効果にどれだけのものがあるかというような疑問を生じているところもあるということでございますが、この点についてはどういうふうにお考えなのでございましょうか。特に山の仕事というのは息の長い作業でございますから、やはりこれは継続してやっていただかないと、その地域の方々もしり切れトンボみたいな形でやられても困るということでございますので、その点もあわせながら、十分な対応、波及効果のあるようなものをお考えいただければと思うのでございますが、長官、いかがですか。
  161. 松田堯

    松田政府委員 初めての事業でございますから、分析をしてみますと、やはり取り組みをすることについてちゅうちょされた地域あるいは事業体もあったようでございます。収益事業の採算性の問題といったようなこともございますし、最初の事業につきましては、それが成功をするような形で指導をするとともに、十分に調査、分析をいたしまして、その普及に努めてまいりたい、このように考えております。  先ほど申し上げましたように、本体事業の地域振興に与える効果というものが大変大きいわけでございますし、それと一体的に各種の公共事業が推進されるわけでございますので、林業サイドから見ましても、地域振興に果たします効果は大変大きいものになるのではないだろうか。また、そのように進めていかなければいけないと考えております。
  162. 武田一夫

    ○武田委員 大蔵省さんにも来てもらっているんですが、いろいろと林野庁さんが要望した十分な手当てをしていただいたと聞いて、私も感謝しておるのでありますが、そういう中で、今私が申し上げましたように、今後事業の面で金がもっと必要になってくるというときは、それなりの御配慮をしてほしいと思うのですが、大蔵省さん、ひとつ温かい御答弁をちょうだいしたいと思います。
  163. 斎藤徹郎

    ○斎藤説明員 NTT活用した無利子融資制度でございますけれども、これはもう委員案内のとおり、公共事業に関して言いますと、二つタイプがございまして、一つはいわゆるAタイプと呼ばれているもの、もう一つBタイプと呼ばれているものがございます。このBタイプは、無利子貸し付けをした後、公共事業を行いまして、後日補助金で御返済いただく。これに対しまして、いわゆるAタイプの公共事業と申しますのは、償還性がある事業と申しますか公共事業あるいはこれと一体的に他の事業、例えばスキー場の建設ですとか、こういった事業を行うことによりましてその事業の中から返済資金を生み出していただく、こういうタイプの事業でございます。  森林開発公団が六十三年度に行うこの種のAタイプ事業につきましては御指摘のとおり十四億円を計上してございますけれども、これに伴いまして一体として地域のスキー場とかその他もろもろのレクリエーション施設の整備事業が行われるということでございます。この場合、もちろんAタイプですから償還性、将来の収益が上がる、その収益によって借金の御返済をいただくということを考えておりますので、六十三年度におきましても慎重に対象事業を選んだところでございますけれども、とりあえず六十三年度につきましては、こういったAタイプ事業の要件に合致するものにつきましてはすべて取り上げることといたしております。私どもといたしましては、このAタイプ事業、それから先ほど申し上げました通常の公共事業に貸し出されるBタイプの事業、これとを合わせまして地域の活性化を何とかして図っていきたい、こういうように考えております。  なお、先ほど御質問にありましたいわゆるNTT株の売却益を活用した事業、これは確かに御指摘のように財源として限りがございます。このNTT株を売り払い切ってしまった後どうなるのであろうかという御懸念であろうかと思いますけれども、当然のことながら事業がそこで急に遮断するとか、こういったことがないように、その時点時点における経済情勢、財政状況、社会資本整備の進捗状況等を総合的に勘案して十全の対応を図ってまいりたい、こういうように考えております。
  164. 武田一夫

    ○武田委員 随分先のことまで答弁していただきましたが、今大蔵省の斎藤さんからいろいろ説明をいただいた。それによって林野庁さんも安心はしていいと思うのですが、これはさっきも話があったように、継続性の問題をひとつあわせて十分に御検討しながら、ここでは、「当分の間」と法律ではなっているということでありますが、一、二年くらいのあれではちょっと困るわけでありますから、この点やはり林野庁としてもそうした今後長い期間にわたる継続性を同時に確保するという努力とそういう姿勢を大蔵省等にも十分説明をしながら対応してもらうということが必要でないか。長官、この点は十分対応をしてほしい、こう思いますが、どうでしょう。
  165. 松田堯

    松田政府委員 これまでも林野公共事業の推進につきましては努力をしてきたところでございますが、今後ともこのNTTの資金を含めて公共事業の推進には努力をしてまいりたいと考えます。
  166. 武田一夫

    ○武田委員 次に、第三セクターが新たに実施する事業として保安施設事業というものを挙げております。全保安林の面積の九六%が水源涵養林と土砂扞止林ですか、というもので占められている。第三セクターが新たに実施する事業というのは、こういうものとのかかわり、それから治山事業五カ年計画というのがありますね、これとのかかわり、これはどういうふうになっていくのか、この点をひとつ説明してもらいたい。
  167. 松田堯

    松田政府委員 第三セクターがこのAタイプの事業で実施いたします保安施設事業の内容は、これまで林野関係公共事業として都道府県が実施しているものと同種のものを考えているわけでございまして、具体的には崩壊危険地の崩壊を未然に防止するための予防治山、雪崩の被害を防止するための防災林造成等の事業でございます。  第三セクターが行う保安施設事業は、国が無利子の貸付金を貸し付ける財政的裏づけがあることや、国があらかじめ必要な貸付金額を予算に計上することができるために計画的な実施が担保されるということになりますので、この事業で行った保安施設事業につきましても治山事業五カ年計画に含める、このように考えております。
  168. 武田一夫

    ○武田委員 今森林公団が全国七カ所で仕事をやっておりますね。北海道、東北、東北では岩手県ですか林道事業をやっていますね。ああいう七カ所で行っているそういうものと第三セクターのつながりというものは考えられるわけですか、またあるわけですか。
  169. 松田堯

    松田政府委員 御指摘の件は大規模林道のことについての御質問かと思います。大規模林道につきましては、Bタイプ事業の中でその促進を図るということで、対前年比一二〇%近い予算を計上いたしているところでございます。
  170. 武田一夫

    ○武田委員 次に、森林公団の事業として造林事業と林道事業の二つがあるということで、この間現地に行っていろいろと話を聞きました。その際、現地の皆さん方が非常に遠慮深くしかも力強く話されたことは――これは最低規模の人数でやっているようです。ですから担当面積もかなりふえているということでございます。しかしながら予算は十分にちょうだいをしている、ありがたいことだ、こういうけなげなお話がございました中で、今後も時期時期に十分に対応できる予算措置をお願いしたい。どっと来られても、その時期例えば間伐、除伐等々でまた少なくなるとかいうことになると困るから、その時期時期にふさわしい予算の取りつけを今後も、今のペースで結構でございますから、下がらない程度に、ちょっとくらい上げながらやってほしいという話を聞いてきました。というのは、予算の安定的必要量というのは事業を安定的に進める上でやはり必要なものだということを示しているのじゃないか。事業が順調に進んでいますので、先ほど指摘されたように進捗率が非常に遅くなって長年かかってしまうということがないような、そういう苦労を現地の皆さん方にさせないようにひとつお願いをしたい。これはお願いでございます。  そこで、二つの事業の中で、造林事業についてお尋ねしたいのですが、造林が成功したのか失敗したのかという、物は判断というのが必要じゃないか、どれをどういう基準でもって決めているのかなという問題が一つ。それからもう一つは、造林木が実際木材として価値のあるものなのか、あるいは時代の要請に沿ったそういうものがつくられているのかどうかという問題についてやはり考える必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点についてはどういうふうに取り組んでおるのでしょうか。
  171. 松田堯

    松田政府委員 技術的な問題でございますけれども、それぞれの地域におきましての自然条件等を踏まえましての育林体系、技術体系をつくりまして、それに基づいて造林等の実施をしているところでございます。  成功はいかなる基準で判断をしているかということについてでございますが、植栽した後根づいているかどうか、活着が良好であるかどうか、植栽後の年々の成長が良好であるかどうか、病害虫等の被害を受けているかいないか、近傍類似の人工造林地に比べて遜色がないか、そういった因子を基準にいたしまして判断をしているところでございます。  また、造林木が林木としての価値を持っているかどうかということについてでございますが、現在、水源林造成事業造成されました造林地は、昭和三十六年から始まったわけでございますので、最高の林齢につきましても二十七年生でございます。五十九年から間伐も行っているところでございまして、おおむね順調に生育をしている、このように判断をいたしております。
  172. 武田一夫

    ○武田委員 昔余り必要でなかったものが最近価値が生まれてきた、評価されている。いろいろ時代の変化によって木も対応できるような、そういう見通しのできるような林業をすべきでないかという人もいるわけでありまして、これからの研究課題ではないか。そういう意味では、山に木を植えるだけが能でない、よくて価値のあるものであれば、手間がかからず運び出せる平地、極端に言えば例えば減反した田んぼに植えるとか、里にそういうものを大量に植えるとかいうような研究というのもあってもいいのじゃないか、こういうことも、私も話を聞いてなるほどなと思ったわけであります。今後の一つの課題ではないかということです。特に、これからは、二十一世紀というのは世界的には木材が不足するのだということが報告されていますね。となれば、日本の木というのはそういう意味では活用されるチャンスではないか、そういうチャンスが来ているのではないかと思うだけに、そうした総合的な判断の中で、森林、山、木というものを考えていく必要があるのではないか、こういうことも私は考えているのですが、そうした方向への取り組みなどもひとつ十分に御検討してほしいな、こう思っております。  そこでその次にお尋ねしたいのは、今申し上げた国産時代の到来に伴っての消費拡大のための住宅産業ですね、この問題について、木造住宅についてお尋ねをしたいと思うのです。  世論調査では、八四%の人が木造住宅に住みたいという希望を持っている。しかし、六十二年の木造住宅率は四五、六%ということで、まだまだ希望にこたえられない。ということは、こたえる努力をすれば、そうした需要というものがまだまだ伸びることも考えられると思うのでありますが、こうした両者の間にギャップがあるのはどこに原因があるのか、それをこれからどういうふうに克服していくかという問題について、最初に建設省からお尋ねをしたいと思います。
  173. 上野公成

    ○上野説明員 木造の住宅の需要と供給についてギャップがございますのは、委員指摘のとおりでございます。建設省といたしましても、木造住宅に対する国民の根強い要望がございますので、それに何とかしてこたえようということで木造の住宅の振興に努めているところでございます。  その木造住宅の低下の原因でございますけれども、私ども考えておりますのは四点ほどございます。一つは、地価が上昇しておりますし、土地の取得難ということ、それから住宅に対する消費者の考え方も違うということがございますけれども、都市部で中高層の共同住宅が多くなっている。それから二点目は、木造住宅の生産、供給の担い手、これは小規模の建築工事業者でございます。これらの業者の経営の近代化だとか技術開発のおくれとかこういったものが、木造住宅生産の供給体制のおくれというものが一つの原因じゃないか、二点目でございます。それから三点目でございますけれども、木造住宅は火に弱いとか耐久性が劣る、こういったことが言われておるわけでございまして、確かにそのとおりでございますけれども、これらを何らかの点でカバーをしていかなければいけない、こういう技術開発のおくれが三点目でございます。それから四点目でございますけれども、これらの三つに加えまして、戦後に建ちました木造住宅が非常に厳しい資源制約のもとで建てられたので、余りいいイメージを持っていない。木造住宅に対する誤った認識がどうもあるようだ。この四点を、木造住宅の率が低下している原因だというふうに考えております。  これに対しまして今後木造住宅の振興を図るためには、これらの私が今申し上げました点を改善していくということが重要だと思います。木造の場合は、地域地域で非常に住宅に個性がございますので、地域の特性を踏まえました良質な木造住宅の建設を促進するようなことをまず一点やってまいりたい。それから優良な小規模建築工事業者の育成に努めてまいりたい。また、生産、供給の体制というものも近代化をしてまいりたい。それから、先ほど木造は火に弱いというようなことがございましたけれども、それも性能の向上のための技術開発に努めてまいりたい。それから木造の知識についても新しい、正しい知識の普及に努めてまいりたい。こういうふうに考えております。  これらはもう既に関係省庁、特に林野庁の方とも協力しながらやっているところでございまして、特に昨年の建築基準法の改正で木造については三階建てができるようになったとか、体育館のような大規模な建築物も可能になったということでございますので、今後とも木造住宅の振興の充実に努めてまいりたいと思っております。
  174. 武田一夫

    ○武田委員 今の点について、林野庁でも一言何かしゃべってください。
  175. 松田堯

    松田政府委員 昨年は百六十七万四千戸の住宅が建てられたわけでございまして、史上三番目でございます。木造住宅につきましても七十四万戸、対前年比一七%の増となったわけでございますが、全体に占めます木造住宅の割合は、残念ながら対前年比で減少いたしまして四四・三%になったわけでございます。  先生指摘のように、世論調査では八四%の方々が木造住宅に住みたい、このように考えていらっしゃるわけでありまして、この木造住宅の割合の減少は、持ち家住宅に占める割合について見ますと八〇%でございますので世論調査の結果と実は一致しておるわけでございますが、建設省からの御説明にもありましたように、共同住宅がどうしても木造という形ではなかなかつくり得ないといったような問題もありますので、いわゆる貸し家が多くなっているということで木造率が低下をいたした、このように考えているところであります。  今後とも関係省庁と連携を図りながら、持ち家の取得促進のための施策を推進するとともに、マンション等の共同住宅におきましても内装等につきましては木質化を進めるといったようなことでの需要拡大を図ってまいりたいと考えております。
  176. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろと大変な状況はわかります。その中で、市場を開発する、加工技術の向上とか、もう一つはもっと安くできないか、新建材と比べると木造の方は割高であるというふうなところのいわゆる問題の一つとして流通経路にもネックがあるのじゃないか。問屋から流れてくる材料のマージンがかなりきついというような、そういういろいろな問題を解決して希望のそうした方々に提供できる木づくりの住宅というものをこれからの日本の林業振興と同時に考えてほしい、このことを一つお願いし、それによって結局価値が高まればまた林業振興が勢いを増してくるということでございますから、これからの一つの大きな課題として木造住宅、またそれと同時に、公共の施設についても木造でやれるものはやろうということで公民館とかそういうところ、あるいは集会所等も木造を多用しているというケースも見られておりますので、消費拡大は進むだろう、こう思うわけでございますので、なお一層の頑張りをお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。  時間が十分ほど余ったのでありますが、早目に終わるのは一向に差し支えないと思いますのでこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  177. 菊池福治郎

    菊池委員長 神田厚君。
  178. 神田厚

    ○神田委員 森林開発公団法の一部を改正する法案につきまして御質問を申し上げます。  まず、林業、林産業が現在構造的な不振に陥っておりまして、その活性化を図るためには地域振興及び林業基盤整備等の対策強化が必要であるわけであります。こうした中で、森林開発公団は行政改革に関連してその存廃が論議をされた経緯がありますが、林道の開設あるいは改良等の林道網の拡充あるいは水源林の造成等、造林事業に果たしてきた役割は大変大きなものがあると考えております。今回の森林開発公団法の一部を改正する趣旨につきまして少しくお聞かせをいただきたいと思います。
  179. 松田堯

    松田政府委員 林業を取り巻く環境は大変厳しい状況が続いておりますが、その問題を克服する上から、生産基盤の整備を図ることが極めて重要な課題であります。今回の公団法の改正につきましては、このような状況を踏まえまして、NTT資金の収益回収型の資金を活用いたしまして林業生産基盤の整備を推進するために公団法の一部改正を行うものであります。  その内容につきましては、森林開発公団が奥地山村地域におきまして基幹的な林道の開設、拡張の事業またはこれとあわせて行う保安施設事業もしくは造林の事業をみずから行うとともに、保安施設事業、造林の事業または林道の開設、拡張の事業を行う第三セクターに対しましてこれに必要な資金を無利子で貸し付けることができることとするものであります。
  180. 神田厚

    ○神田委員 四全総におきましても、森林林業の重要性を指摘し、林業、林産業の活性化、山村地域振興を求めております。労働力人口の都市集中化ということは趨勢的なものがありますが、そうした農山村の過疎化の中で、農林業に従事する若者が足をとめ、後継者をつくっていくには公共事業の拡大による山村の活性化が必要であります。山村における公共事業にとって林野関係の公共事業予算は大きな比重を占めていると考えられますが、林野関係公共事業についての考え方をお伺いいたします。
  181. 松田堯

    松田政府委員 林野公共は、治山、林道、造林と三つの公共事業を持っているわけでございますが、この公共事業につきましては、国土の保全、林業生産基盤の整備等、林業サイドの側面のみならず、山村地域の活性化といったようなことからも大変重要な役割を果たしているものと考えております。今後ともこのNTT財源を含めまして予算の確保に努め、計画的な公共事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
  182. 神田厚

    ○神田委員 林野関係公共事業のうち、NTT・Aタイプ事業とBタイプ事業があるわけでありますが、それらの相違と、またそれぞれの波及効果についてはどういうふうに考えているかお伺いしたいと思います。
  183. 松田堯

    松田政府委員 Bタイプ事業につきましては、公共事業のうち地域開発の一環として広範な開発効果が期待できるものを緊急に実施するため補助金方式で進めるものでありまして、後日補助金によって償還が予定されるものでございます。  一方、Aタイプ事業につきましては、林野公共事業のうち、これと密接に関連をいたしますスポーツ・レクリエーション施設等から生じます収益をもってその公共事業の費用を支弁することができるものにつきまして、森林開発公団がみずから実施する、また第三セクターに対しましての無利子の貸し付けを行う、こういうものでございます。  両事業の波及効果につきましては、償還の方法について、一方が補助金により、他方が密接に関連する事業の収益により行われる、こういう差がございますけれども双方ともに林業振興のみならず広く山村地域の活性化に資するものである、このように考えております。
  184. 神田厚

    ○神田委員 NTT・Aタイプ事業対象地域はどのような地域を考えているか、また第三セクター方式の導入と資金の貸し付けを行うとただいま答弁がございましたが、そういう計画もありますけれども、このような農山村のいわゆる人口の過疎化あるいは農山村の不振というような状況から見ましてそういう可能性が果たしてあるのかどうか、それらの計画がうまく生かされるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
  185. 松田堯

    松田政府委員 Aタイプ事業対象地域でございますが、森林開発公団が行う事業でもございますので、地勢等の地理的条件が極めて悪く、かつ豊富な森林資源の開発が十分に行われる地域内で行うことを予定しているところでございます。これらの地域は林野率が高い奥地山村地域でございますので、実際の運用に当たりましては、山村振興法に基づく振興山村及びこれに準ずる地域が該当する、このように考えております。  第三セクターを活用することが予定されているけれども山村を取り巻く厳しい状況からその可能性いかんという御質問でございますが、最近国民のニーズが多様化しておりますので、山村にございます森林地域においてのスポーツ・レクリエーション施設等を整備するという機運が非常に高まっているところでございます。地域振興に結びつけなければいけないわけでございますので、民間活力活用して第三セクター方式事業を進めることになっておりますので、波及効果もまたこれからのこの事業可能性というものも非常に大きい、このように考えているところでございます。
  186. 神田厚

    ○神田委員 資金の貸し付けに対する受け手があるのかどうかということについてなかなか明確な御答弁がなかったようでありますが、せっかくの事業資金でありますから、それらが有効に活用されるようにひとつ林野庁といたしましても積極的な行政を行っていただきたいと考えております。  次に、NTT・Aタイプ事業について森林所有者以外に費用負担を求めておりますが、負担の対象をどう考えているのか、あるいは負担ということに対して問題はないのかどうか伺いたいと思います。
  187. 松田堯

    松田政府委員 このAタイプの資金を活用したいという事業体はかなり要請が強うございまして、当面ことしは六カ所ということで現在のところ予定をいたしておるところでございます。  Aタイプ事業の費用負担者並びに費用を負担させることについて問題はないかという御質問でございますが、先ほども御説明いたしましたように、それらの事業者が本体事業として行いますスポーツ・レクリエーション施設等の事業から得られる収益をもって貸付金の償還財源に充てる、このような仕組みになっているところでございます。貸付金の償還につきましては、公共事業と密接に関連した収益事業をもって貸付金の償還を行うことが将来にわたって可能であるかどうか十分審査した上で貸し付けを行うことによりまして、事業の円滑な運用を期してまいりたいと考えております。
  188. 神田厚

    ○神田委員 次に、林道について御質問申し上げます。  山村振興あるいは林業生産基盤整備にとりまして林道網の拡充が重要課題であります。林道の整備率と今後の計画及び大規模林道開設の全体計画進捗率はどのようになっているのか。また、大規模林道の開設に当たって、南アルプススーパー林道を初め各地で自然環境の保全が大きな問題になっておりますが、この点に対する林野庁としての考え方、対策はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。
  189. 松田堯

    松田政府委員 最初に林道の進捗率でございますけれども、目標といたします林道の総延長は二十八万五千キロを計画いたしているところでございますが、六十一年度末の実績は十一万八千キロでございまして、達成率が四一%になっております。大規模林道につきましては、全体計画二十九路線一千九百メートルに対して六十二年度末の延長見込みは約四百キロメートルでございますので、進捗率は二一%でございます。  大規模林道の開設に当たりまして、自然環境保全に対する考え方、対策ということでございますが、言うまでもなく、森林の中で各種の施設を設置する場合に森林の伐採とか土地の形質の変更等を伴うことになりますので、自然環境の保全には十分配慮するよう努めているところでございます。土地の形質の変更につきましては、最小限にとどめて土砂の移動量を極力抑制するほか、残土処理、切り取りのり面の安定と緑化、崩壊防止施設の設置等について特に配慮することにいたしております。また、路線の選定に当たりましては、その路線の周辺におきます植生、地質、地形、気象条件等を把握いたしまして適切な措置を講ずるために、特に自然環境の保全に留意する必要のある森林を通過する路線につきましては、あらかじめ環境アセスメントを実施するなど適正な実施に努めているところでございます。
  190. 神田厚

    ○神田委員 大規模林道の計画が千九百メートルとおっしゃいましたが、これは千九百キロメートルだと思いますから、そのように受けとめておきます。自然破壊という今日的な大変な問題が起こっておりますので、ひとつその点に留意して計画を進めていただきたいというふうに考えております。  それから、ヒューマングリーンプラン等々林野庁がいろいろと施策を進めようとしておりますが、農林水産省が実施をしているリゾート関連施設の整備事業はどういうふうになっているのか、その内容とNTT・Aタイプ事業との関連はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。
  191. 松田堯

    松田政府委員 先ほど二十九路線と申し上げましたけれども、実は二十五路線でございますので訂正をさせていただきたいと存じます。  ヒューマングリーンプランについてでございますが、国民森林に対する多様な要請にこたえるために、昨年からヒューマングリーンプランを実施しているところでございます。国有林野内におきます森林空間活用した野外スポーツや保健休養のための施設の整備、また、森林を保健休養、文化教育等、人と自然との触れ合いの場として利用するために、そのための森林づくりないしは施設整備等を推進しているところでございます。六十三年度には、これらに加えまして都市近郊林におきます生活環境の保全や保健、文化的な利用の場としての整備、またいわゆるリゾート法に基づく特定地域内において広域的な森林総合利用のための林道防災施設、森林等の整備を新たに実施することといたしております。今後ともこれらの施策の実施を通しまして森林総合利用の推進を図ってまいりたいと考えております。  また、これらの事業とAタイプ事業との関連でございますが、Aタイプ事業は奥地山村地域におきます国有林、民有林にかかわりなく林業生産基盤の整備等を促進するために行うものでございます。その地域に国有林が含まれる場合もあるわけでございまして、その場合は国有林経営との調整を図りながら積極的に対応していくことといたしております。
  192. 神田厚

    ○神田委員 次に、リゾート法に基づく地域指定と保安林の規制との関係でありますが、森林を利用するスポーツ・レクリエーションあるいはヒューマングリーンプラン等の具体的な開設に当たりましては、保安林の利用ということが考えられますが、この事業の推進と保安林の規制との関係はどうなっているかをお伺いしたいと思います。
  193. 松田堯

    松田政府委員 森林の約三割が保安林でございますし、国有林の約半分が保安林でございます。したがいまして、総合保養地域の中に保安林が含まれるということは当然起こり得るわけでございます。このため、都道府県が総合保養地域の整備に関します基本構想を作成する段階におきまして、保安林の指定目的、現在また将来におきますその機能の発揮の状況等を考慮の上事業の必要性、用地事情等について事前に調整を図りながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  194. 神田厚

    ○神田委員 大臣最後にお伺いしたいと思いますが、経済社会の発展に伴いまして森林林業に対する国民的要請が非常に高まってきております。そういうことで、林業の整備やあるいは活性化というようなことを推進していくと同時に、またヒューマングリーンプラン等々の事業も積極的に展開をしているという現状であるかと思うのでありますが、今回の森林開発公団法の一部改正を機に、林業生産基盤の拡充に対する取り組みを一層強化するように要請をしたいのでありますが、いかがでありますか。
  195. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 森林林業生産、国土の保全、水資源の涵養等国民経済上はもとより国民生活上も重要な役割を果たしております。このため、林業生産活動の活性化を通じて健全な森林育成していくことが国政上の重要な課題であると認識いたしておりまして、林業経営の生産性向上の基本となる林業生産基盤については、造林、林道等の整備を通じましてこれまでも力を尽くしてきたところでございます。今後とも森林林業の重要性にかんがみ、NTT財源の活用も図りつつ林業生産基盤の計画的な整備に努めてまいりたい、こう思っております。
  196. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  197. 菊池福治郎

  198. 山原健二郎

    ○山原委員 牛肉、オレンジ問題について最初に少しお伺いしたいと思います。  四月八日の臨時ガット理事会で米国は提訴したわけですが、日本は第三国による紛争処理委員会、パネルの設置に反対して、パネルの設置には至らなかった。日本がパネル設置に反対した理由は何かということをちょっとまとめてお伺いしておきたいのです。ダブるかもしれませんが、よろしくお願いします。
  199. 塩飽二郎

    ○塩飽説明員 お答え申し上げます。  四月八日のガット理事会で、牛肉かんきつにつきましてのパネル設置問題がアメリカから提起されたわけでございます。アメリカはその際、我が国牛肉かんきつの輸入制限が、ガットの条文では十一条一項という条文でございますが、それに違反しているということ、さらに現在までの四年間の協定の期限が切れるに際しまして、三月末に日米間の協議を行ったけれども、これがうまくいかなかった等の理由を挙げまして、ガット二十三条二項に基づきますパネルの設置を理事会の決定として求めるという発言を行ったわけでございます。これに対しまして、我が国はジュネーブの波多野大使から我が国立場を述べたわけでございますが、我が国の農業にとりましての牛肉かんきつの重要性、さらにまたその輸入制限撤廃の困難性、輸入面での我が国の過去これまでの一貫した努力等を強調しつつ、本件につきましては我が国米国との二国間の協議がまだ行われておらず、相互に満足のいく解決に向かって両国のハイレベルの協議がなお継続中である、したがって四月八日の段階でパネルの設置を決定することは時期尚早であって、日本としてはそのような決定には応じられないという我が国考え方を表明したわけでございます。
  200. 山原健二郎

    ○山原委員 特に牛肉について、今までも何遍も御質問申し上げましたように、米国自身は輸入制限を実施していること、また、日本の国家貿易品目であることなどから見て、米国による自由化要求あるいはガット提訴自体等が理不尽であり、不当なものであるというこの認識については今ももちろん変わっていないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  201. 塩飽二郎

    ○塩飽説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の方から御指摘がございましたように、さらにまた先ほど答弁の中で申し上げましたように、我が国としてはこの牛肉かんきつの問題につきまして、二国間協議による円満な解決を大変強く希望しておるわけでございます。さらにまた、御案内のように先月末には佐藤大臣がみずからワシントンに参りまして、四回にわたる交渉を行ったわけでございます。それらをベースにしながら、さらに二国間の協議を継続することによりまして円満な解決を図るべきであるというのが、私ども基本的な立場でございます。もちろんガットの紛争の解決の最終的な手段としては、パネルの設置による解決という道があることは私ども承知をいたしておりますけれども、本問題の過去の経緯、さらにまた現在の二国間による解決に向かっての取り組みを踏まえまして、私どもとしては何とかパネルの設置という最終的な手段によらない円満な解決を求めていきたいという立場でございます。
  202. 山原健二郎

    ○山原委員 私がお尋ねしたいのは、ガット提訴あるいは今回の要求そのものの理不尽さ、不当さというものについては、かつて十二品目の場合でも、農水省の方も理不尽であり不当であるという態度をとられましたね。また、時には言えた義理かという言葉まであったわけですが、この考え方そのものは変わっていないと思うのですが、そのように認識してよろしいでしょうか。
  203. 塩飽二郎

    ○塩飽説明員 アメリカのパネル設置による本問題の解決に向かっての要請につきましてのお尋ねでございますが、十二品目に関連いたしましても、従来私どもが申し上げていることでございますが、アメリカは御案内のように、十数品目にわたる農産物につきまして一九五五年に取得をしたウエーバーに基づいて、実質的には輸入制限と同様の措置を継続いたしておる。さらにまた、牛肉につきましても、食肉輸入法に基づいて、実際には主要輸出国でございます豪州あるいはニュージーランドとの実質的な輸出国による規制を協定によって実行しているわけでございますが、実際食肉輸入法に基づく輸入制限の権限をバックにしたそのような措置をとっておる。そういうアメリカの農産物に関する保護のあり方というものを考えますと、アメリカ我が国に対する牛肉あるいはかんきつについての主張あるいはガットにおけるパネル設置の要求というものは極めて不公平な、我が国立場を十分勘案していない主張であるというのが私どもの認識でございます。
  204. 山原健二郎

    ○山原委員 十二品目のときにもかなり厳しい批判を農水省としてもしてこられたわけでございますけれども、その点が何となくあいまいと言ってはなんですけれども、少しトーンがダウンしておることが気にかかるわけですが、その意味であえてお尋ねをしたわけです。  五月四日に予定されているガット理事会でもパネル設置反対の態度を貫くおつもりなのかどうか、この点を大臣に伺いたいのですが、いかがでしょうか。
  205. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今朝来この委員会でお答えをいたしておりますように、ガットへの手続を進めるであろうという推測はしながらも、また五月四日パネル設置の云々ということを推察しながらも、私はそのことについては触れたくはございません。私は、三月三十一日夜に及び第四回目の会談において、そういう一つの先様のお考えになっていることはお考えになっていることとしても、我が方は二国間によって円満に友好的に話し合いをして決着をいたしたい、そういう意味での話し合いを継続しようではないかと提案をし、それが認められ合意をしておるその流れでございますから、今申し上げたようにそのことについては申し上げません、こう申し上げておるわけでございます。
  206. 山原健二郎

    ○山原委員 この二国間協議の中で、自由化ということが選択肢の一つになっておるかどうかという問題ですが、この点はどのようにお答えになるのでしょうか。
  207. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 これも今朝来お答え申し上げておりますように、自由化は困難であるという基本的な姿勢に何ら変わりはない、こういうことです。
  208. 山原健二郎

    ○山原委員 そうしますと、自由化は困難だというこの立場は、今後の二国間協議においても貫かれるというお考えと受け取ってよろしいのですね。
  209. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 そのような考え方の中で実務的な話し合いもさせなければなりませんので、話し合いをしようということで合意をいたしておりますので、昨日も三局長派遣した、こういうことでございます。
  210. 山原健二郎

    ○山原委員 これは新聞情報ですから、これも恐らくお尋ねがあったと思いますが、やはりこれは農民に対して一定の大きな影響も与えておりますし、また動揺も与えておりますからお聞きしないわけにはまいりませんが、安倍幹事長が、日本さえよければよいという状況は終わった、国際的に日本が厳しい状況にあるという講演をされたことが四月十日の新聞に出ております。また、先日政府首脳発言として、牛肉、オレンジの自由化は好ましいとの発言が大きく報道されました。さらに、竹下総理が四月十日の記者会見で、交渉の中で自由化受け入れということになればそれに従ってバックアップするのかという記者質問に対して、国内対策、お互いの話し合い合意、すべてを含めて全面的にバックアップしていくとお答えになったことが伝えられているのでございます。  こうした発言を総合すると、自民党首脳部としては自由化時期の明示は避けられないとの判断に傾いているのではないかと受け取られるような雰囲気が醸し出されているわけでございますが、そういうことは絶対にないのだというふうに理解してよろしいでしょうか。
  211. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 一部の報道にあるので、また農民、農家にそれなりの不安、動揺を与えておるので、聞きたくはないけれども聞かねばならぬという極めて遠慮がちな御質問でございまして、恐縮痛み入っております。私も答えたくはございませんけれども、答えなければならぬのでございます。一部の報道によるそうした事実は、私がただいま考えておることとはかけ離れておるということを率直に申し上げておきたいと思います。  しかし、ここで重ねて申し上げておきますが、報道管制をしくという気持ちは毛頭ございませんし、自由主義国でございますから言論の弾圧をする考え方もない、こういうことでございます。
  212. 山原健二郎

    ○山原委員 もちろん発言の自由はどなたにもあるわけでございますけれども、事は国益に関する問題として、新聞報道に首脳部というふうな形が出ますと、これは質問せざるを得ないわけですが、そんなことはないのだということであるならば、ここできっぱりと牛肉、オレンジについては自由化しないという御答弁がいただけるのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  213. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 有能な委員におかれては、今私の言ったことで十分感じておられることと推察をいたしますが、自由化は困難であるという従来の方針に変わりはございません。
  214. 山原健二郎

    ○山原委員 これ以上申し上げませんが、オーストラリア政府は日本が牛肉自由化を拒否していることに対して五月四日のガット理事会に対して提訴し、パネルの設置を要求するとしております。政府はこのパネル設置についても拒否の態度をとられるのでしょうか。この点はいかがですか。
  215. 濱田幸一郎

    ○濱田説明員 オーストラリアも関係大臣のステートメントによりましてそのような発表をなされたというふうに承知しておりますが、牛肉貿易の問題につきましては、二国間によります話し合いを通じて、双方が受け入れ可能な解決策を求めていくよう最善の努力を図る所存でございますので、現段階でパネル設置問題について云々する段階ではないというふうに考えております。
  216. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、農産物十二品目のガット裁定採択の際、日本は裁定文の解釈には承認しがたい内容が含まれていることを指摘しました。これは私は大変適切な指摘だと思っております。特に、国家貿易品目についても数量的輸入制限の一般的禁止の原則が適用されるとした解釈は承認できないとの考えを表明したわけでございます。ところが、今度の米国もあるいは豪州の場合も、これは今お答えがありましたように、オーストラリアの場合はまだ確定的なものではないと思いますが、日本政府の態度表明などはほとんど意に介さず、我が国の国家貿易品目である牛肉自由化を迫り、ガット提訴のいわばおどしをかけてきている。このことは、ガット裁定を一括受諾したことの重みの前に、ガット裁定の解釈に対する疑義、不承認の表明などがほとんど役に立っていないと思われるのでございますが、この点はどうお考えになっておりますか。
  217. 塩飽二郎

    ○塩飽説明員 お答え申し上げます。  十二品目のパネルリポートの理事会における裁決に際しまして、我が国態度表明といたしまして、今委員の方から御指摘のありましたようなパネルの判断の一部につきまして日本の立場を明確に発言をし、それを記録にとどめた経緯があることは御案内のとおりでございます。  ただ、パネルの結論を理事会で採択したことに伴ういわば効果の問題になるわけでございますけれども、あくまでパネルの判断は当該案件についての個別的な判断あるいはそれに対する関係国の立場というものの表明を記録にとどめているわけでございまして、それと別の案件についての将来の先例としての意味は当然持ってくるわけでございますが、それが自動的に将来の類似の案件について拘束力を持つとかあるいは当然の判断になるという性格では必ずしもない。紛争の案件の個別性というものがございます。したがって、そういう制約の中でのパネルの結論でありあるいは関係国の意見表明でありその立場の反映である、そういう性格のものとして御理解をいただきたいと思います。
  218. 山原健二郎

    ○山原委員 裁定の解釈について疑義があるあるいは承認できない。不承認の意思を表明されたことが生きるかどうかは、これを拒絶するか受諾をするかによって、その方がはるかに重みを持って、結局日本政府として立場を表明した、これを承認できませんよということ自体が何か消えてしまって、そして不当なことが通る、私はそういう感じを持っておりますので今御質問申し上げたわけですが、時間の関係で次へ移りたいと思います。  農業総合研究所が行った牛肉輸入自由化の影響に関するシミュレーション研究の要点をお示しをいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  219. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 農業総合研究所の研究官が、四月にセミナーがございましてそのセミナーのときにいろいろな前提を置きましてシミュレーションをやっておりまして、牛肉がどの程度の数量が入ったらどういう需給状況になるかというようなことをそのセミナーで発表をいたしております。それによりますと、牛肉を完全に自由化をいたしますとかなりの程度自給率が下がってくるというような結論が出ておりますが、これはあくまでもいろいろな前提を置いてやっておりますシミュレーションで、一つの研究のテーマでございまして、特にそのセミナーでの議論は、そのシミュレーションの数字を出す過程とかあるいは数式とか、そういったところに議論が集中をいたしておりまして、特にその結論をもって私どもはどうこうするということではない問題であろうと思っております。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  220. 山原健二郎

    ○山原委員 農水省の機関の調査でも本当に重大な調査結果が出ているわけでございまして、そういう意味で深刻な事態を迎える可能性を持った問題であることは間違いございません。そういう意味で日本政府としても今後この問題については、恐らく各党が要請しておりますように、毅然たる態度で臨むことがとにかく今求められているということを申し上げまして、法案に入りたいと思います。  法案につきまして、まず第一番に、NTT株売却益を活用した収益償還型、Aタイプの無利子融資制度を導入するというのが今回の法改正の主要な内容でありますが、林道などから収益は上がらないわけですから収益の上がる事業と密着して実施される形になると思います。この収益事業としてはどういうものを想定しているか、具体的に手を挙げてきている例があるのか、その点ちょっと伺いたいのです。
  221. 松田堯

    松田政府委員 Aタイプの事業と関連して行われますいわゆる本体事業につきましては、その事業の内容はスポーツ・レクリエーション施設、スキー場等が中心になって事業が行われることになるわけでございます。
  222. 山原健二郎

    ○山原委員 収益活動を実施している既存の施設の場合を考えてみますと、恐らく道路等は当然整備済みと思われるのでありますが、収益金を投入してわざわざ林道を整備する必要性が出てくるものかどうかという疑問を持つのでございますが、これにはどうお答えになりますか。
  223. 松田堯

    松田政府委員 森林の中でスポーツ・レクリエーション施設の整備が行われるわけでございますので、それに関連いたしましてのアクセスのための林道、あるいは開発行為がそこに入るわけでございますので、それに必要な保安施設あるいは森林造成事業というものは当然本体事業を進めるためにも必要になってくるわけでございます。
  224. 山原健二郎

    ○山原委員 今回のAタイプ事業の導入は奥地山村地域にレジャー産業を誘致する上での円滑剤的性格を持つと理解されるわけですが、そうでしょうか、そうではありませんか。
  225. 松田堯

    松田政府委員 先生、今、潤滑剤とおっしゃったのでしょうか。(山原委員「円滑剤」と呼ぶ)そのような性格を持っているものと考えております。
  226. 山原健二郎

    ○山原委員 森林開発公団法は、地勢等の地理的条件が極めて悪く、かつ豊富な森林資源の開発が十分に行われていない特定の地域内の森林を開発し、林業生産の増大に資することを目的としております。要するに「林業生産の増大に資することを目的」と、こうしているわけでありますが、今回のAタイプ事業の導入はこの公団法の目的の枠におさまらない面が出てくるのではないかと思いますが、そういうことはないでしょうか。
  227. 松田堯

    松田政府委員 先生おっしゃいましたように、森林開発公団の目的といたしまして、対象地域につきましては地勢等の地理的条件が悪く、かつ豊富な森林資源の開発が十分に行われていない地域を対象にしております。また事業内容につきましては、開発するために必要な林道の開設、改良、森林造成等の事業を行うことにしているわけでございます。  今回のAタイプ事業につきましては、地域につきましては森林開発公団が直接行う場合、また貸付事業を行う場合、双方ともに公団法の目的規定に規定されております、先ほど申し上げましたいわゆる地理的条件の悪い、しかも豊富に森林が存在する地域でございます。また、公団がみずから行う保安施設事業につきましても、森林の開発に必要な事業でありまして、かつ公団の林道、造林の事業と密接な関連を有するものでございます。さらに、公団が行う貸付事業は、林道事業等を行います第三セクターに対しまして資金を供給するものでありまして、公団が行う事業を補完するものである、このように考えておりまして、公団の目的規定に合致するものである、このように考えております。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  228. 山原健二郎

    ○山原委員 Aタイプ事業の導入によりまして収益型産業の奥地山村への進出が促進され、その結果森林地帯の乱開発あるいは自然破壊などを生じさせることにならないかという心配もあるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  229. 松田堯

    松田政府委員 事業を行う場合には計画段階からそのようなことのないように指導をいたしたい、このように考えておりますし、必要な場合には環境アセスメント等も行うことにしながら進めてまいりたいと考えております。
  230. 山原健二郎

    ○山原委員 今回のAタイプ事業の導入に限らないわけですけれども、林道建設あるいは国有林の伐採など森林開発事業には自然環境破壊という問題と背中合わせのケースが少なくないわけです。例えば知床の問題あるいは青森、秋田県境を走る青秋林道建設問題などなど、きょうは個々の問題についてはお聞きはしませんが、自然保護とのかかわりでは慎重に地元や関係団体の意向を十分踏まえて対応することが必要だと思います。当然大臣もそうお考えになっておると思いますが、大臣、その点いかがでしょうか。
  231. 松田堯

    松田政府委員 森林において行われます各種の管理行為、そこには伐採もございますし造林もございますし林道の作設もございます。事業を行う場合につきましては、森林の健全化を志向しながら管理を行っているところでございまして、自然破壊が生じることのないように細心の注意を払いながら進めているところでございます。
  232. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 林野庁長官の言うとおりでございます。
  233. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一点、これは通告していなかったようですけれども、入山料との関係を一言聞いておきたいのです。  Aタイプ事業の導入など収益性のある事業との関連という方向が出てくる中で、入山料徴収が広く導入されるのではないかという懸念もあるわけですが、そういう懸念は必要ないとお考えでしょうか。
  234. 松田堯

    松田政府委員 Aタイプ事業と入山料のことにつきましては、直接かかわりはない、このように考えておりますが、一般論で申し上げますと、今後受益者負担という形の中でそういう問題も検討していく課題ではないか、このように考えております。
  235. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題と関連して個別の問題を質問して恐縮ですけれども、これは全国にも通用する問題でありますのでちょっと申し上げたいのです。  高知県の奈半利川の濁水問題がございます。私は、山を培うことは非常に大事なことでありますし、国民生活と密着しておると思います。そういう意味で、この奈半利川が昨年十月の大雨以降赤く濁ったまま四カ月、五カ月たってもおさまらない状態にありまして、県政上の重大な課題となっております。奈半利川に発電用ダムが何カ所かにわたってつくられて以来、濁水問題はたびたび繰り返されてきましたが、今回は特に深刻でございまして、地元住民は当事者である電発に対し対策を繰り返し要請をしてきております。  そこで、電発を所管する通産省、資源エネルギー庁においでいただいておりますが、この点について二、三伺いたいと思います。  電発あるいは所管の通産省として、この原因とその責任についてどのようにお考えになっているか、これを伺いたいのです。
  236. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 公益事業部の計画課長でございます。  先生今御指摘の高知県の奈半利川には電発のダムが三つございまして、ここで昨年十月の大雨に原因する濁水が非常に長期化しております。ことしの三月ごろまで約四、五カ月続いたということでございます。  この濁水が非常に長期化したという点につきましては、私ども幾つか原因があると思いますけれども考えられますのは、今回の大雨が非常に大規模であったということ、あるいは秋から冬にかけて非常に気温の低いときにありましたので、なかなか水が澄まなかった、澄むのに時間がかかったとかいろいろございますけれども、いずれにしましても、この点は非常に複雑な問題でございますので、昨年十二月に学識経験者の意見も聞きながら対策を検討しようということで検討委員会を設置しております。ここで濁水の原因、それの対策といったものを今まとめて議論をしていただいているというところでございます。この結果を踏まえまして適切な対応をとっていきたいというのが私ども考え方でございます。
  237. 山原健二郎

    ○山原委員 この要因が複合的だということはもちろんわかります。  実は私は四国の吉野川の流域で生まれ育った者ですけれども、例の日本第三番目の巨大ダム、早明浦ダムができまして、私のふるさとは子供の姿を河原で見ることができないくらいに水が濁っているのです。ダムができるとそういうことが全国各地にあるわけですが、ここの場合は数カ町村が一緒になりまして、この問題に本当に頭を悩ましておりまして、しばしば陳情もなされますし、先日は社会党の井上さんが本会議で取り上げられた例もこの奈半利川の問題なんですね。  昭和六十一年の奈半利川水系の水利使用権更新の際の交渉におきまして、濁水問題に限らず、ダム建設以降、水温の低下、浜辺の侵食、海面及び海底の汚染等々の問題に関して強く訴えが出されました。そして、長期濁水については二度と起こさないとの確認もなされてきたのでございます。ところがわずか一年余りの後に今回の事態の発生を見るに至りまして、地元関係者は、犠牲の大きさにもう耐え切れない、こういう結論から、今後同じ状況を繰り返さないための根本対策を求めているのでございます。  そこで重ねて通産省にお伺いしますが、電発として根本対策をどう講ずる考えか、御承知でしたらお聞かせいただきたいのです。  また、濁水防止対策の一つである奥地山林等の濁水発生源対策について河川管理者及び関係行政当局の善処方をお願いすることを含めまして対処することを電発として約束してきておるのでございますが、どのような対処を講じられてきたか、また講ずるつもりか、これまた御承知でしたらお伺いしたいのであります。  もう一つ林野庁にお伺いしますが、奈半利川上流の魚梁瀬の国有林の伐採が進みまして、皆伐地を中心に八百カ所近い崩壊が見られるという状態でございます。この水源の山の荒廃の想像以上の進行が奈半利川濁水の一つの原因になっている。電発もそのことを念頭に置いて奥地山林等の濁水発生源対策を講ずる必要性を認めているのであります。林野庁としましても地元の要望を踏まえ対策を講じてもらいたいと思うのですが、この点を伺います。  御承知のように、日本三大美林の一つと言われた魚梁瀬の天然資源は明治末期の九千二百ヘクタールから今約三千ヘクタールまでに減っているわけでございまして、皆伐地に崩壊が多数発生することは営林署も認めているわけでございます。皆伐後五年目くらいから崩壊が見られ、特に十年目から二十年目くらいまでの植林区域で最も崩壊が発生しやすいと述べておるわけでございます。こういうことを考えますと、国土保全あるいは緑のダムということでつくられたわけでございますけれども、こういう点が非常な脆弱性を暴露した結果になっておりまして、これに対してはどうしても一定の対策を立てなければならないと思いますので、あえてこの点について両省にお伺いしたいのです。
  238. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 奈半利川の濁水問題でございますけれども、昨年大規模な濁水が生じましたが、先ほど先生がおっしゃいましたようにこの濁水問題はもう少し長い歴史がございまして、昭和五十年代の初期にも何度か濁水が生じております。それに対応しまして電発の方といたしましては取水設備を改造いたしまして、上澄みのなるべくきれいな水を取水して発電に回せるように設備の改造を五十五年にしたわけでございます。その後、これも先生今御指摘でございましたけれども、水利権の更新問題と関連いたしまして五十九年から六十一年ころにかけまして地元といろいろな御相談をさせていただきました。地元からは濁水問題その他このダムの利用に関しましていろいろな御要望が出されております。その点につきましては電発を指導いたしましてよく相談をさせました結果、六十一年二月にそれぞれの御要望の点について回答を示して合意をしている、了承をいただいているというふうに聞いております。  ただ、その後、昨年の十月になりまして、非常に大きな出水、豪雨に伴う濁水問題が新たに発生いたしまして、これに対応する対策をどうするかという点につきましては、私どもとしてはやはり専門家の意見をきちんと聞いた上で適切な対応をとらなければいけないだろうというふうに考えまして、大学の先生その他から成ります検討委員会を設けて、現在対応策を検討しております。それから、その過程におきましては、当然のことながら関係の市町村あるいは県、それから河川を管理いたします建設省、この辺とも緊密な連絡をとりながら現在検討を進めているところでございます。その結果が出ましたらば、電発の方を指導いたしまして適切な必要な措置をとらせるということにしたいというふうに考えております。
  239. 松田堯

    松田政府委員 先生案内のとおり、魚梁瀬ダムが存在いたします馬路村は、魚梁瀬杉の生産でその地域の方々の生活が成り立っている、こういう地域でございます。森林施業を行うに当たりましては、地形、地質あるいは森林の状況等を考えながら、沢沿いの急斜地等は保護樹帯として残す、あるいは皆伐のできないところは択伐をするといったような形で、細心の注意を払いながら森林施業を行っているところでございます。  昨年十月の台風によりまして、その地域におきまして大変多くの崩壊地が発生したところでございますが、緊急度の高いところから災害復旧工事を計画的に実施しているところでございまして、今後とも林地の保存には十分に注意を払いながら森林の管理、森林施業を進めてまいりたいと考えております。
  240. 山原健二郎

    ○山原委員 土佐の国有林というのは、藩政時代に野中兼山という有名な学者であり土木事業をやった人がおいでるわけですが、波は、八尺回り、百八十年生以下の木は切ってはいけないということを教えているのです。そして二百五十年間山を守ってきた。そういう土佐藩の家老の歴史があるわけでございますけれども、そういう意味では、非常に安易に原生林を切っていくとかいうようなことが行われておると思うのです。林野庁としまして、森林公益的機能を守り、強化することは当然の仕事であって、そのことが濁水防止にも役立つ、そういう観点からこの問題につきましても今後対処していただくように強く要請をしまして、質問を終わりたいと思います。  最後に、この法案について私どもの党の見解を申し上げて後の反対討論は省略させていただきますが、今回の法改正はNTT株売却益を活用した収益償還型Aタイプ無利子融資制度の導入を主な内容としております。私の党はNTTを公共企業形態に戻すことを現在主張しているところです。NTT政府持ち株の順次放出は、特殊会社を準民間会社化する民営化促進の過程そのものであって、貴重な財産を財界に売り渡すものだと考えております。しかも、政府はNTT株売却益を国債償還の財源に充てる法律を成立させたばかりであるにもかかわらず、早くもそれを放棄し、本法案で他に流用する道を広げ、財政再建をおくらせるものだと考えておりまして、以上の基本的立場からこの法案に対しては遺憾ながら反対せざるを得ないということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  241. 菊池福治郎

    菊池委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  242. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  243. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  244. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  245. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、内閣提出農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。     ─────────────  農用地開発公団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  246. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農用地開発公団は、昭和四十九年に設立されて以来、国内の農畜産物の供給体制を整備するため、未利用、低位利用の土地が広範囲にわたって所在する地域において、農畜産物の濃密生産団地を建設する業務を実施し、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に寄与してきたところであります。  しかしながら、近年、農畜産物需給が総じて緩和基調に転ずる等、公団の業務をめぐる諸事情に変化が見られるところであります。  他方、我が国農業は、農畜産物需給の不均衡に加え、経営規模拡大の停滞、生産性向上の立ちおくれ等の諸問題に直面するとともに、農畜産物の生産コストの低減に対する強い関心が内外から寄せられるなど極めて厳しい状況下にあり、我が国農業の健全な発展を図るためには、その体質を強化し、生産性の向上と農業構造の改善を可能な限り促進することが急務となっているところであります。  これらの課題に対処するためには、基礎的条件である農業生産基盤の整備を図ることが不可欠でありますが、その重要性が一層高まっていることから、特に、農用地等の存在の状況などに照らし農業生産基盤の整備を急速に図ることが必要かつ効果的と認められる農業地域内において、農用地及び土地改良施設の整備等を総合的かつ集中的に実施することが必要であると考えております。また、自然条件の特殊性に起因して農業生産を著しく阻害する障害が生じている農業地域内において、その障害を除去するために必要な特定の土地改良施設の整備を急速に実施することが必要となっております。  このため、特に、このような課題に対処することを目的として、農用地の整備及び保全を主体とした新たな事業実施方式を創設し、この業務を現行の農畜産物の濃密生産団地の建設の業務にかえて公団に実施させることとし、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、法律の題名を農用地整備公団法に改めるとともに、公団の名称を農用地整備公団に改めることとしております。  第二に、公団の業務といたしましては、さきに申し述べました公団の新たな目的を達成するため、農用地の改良または保全のために必要な区画整理等の事業と土地改良施設の新設または改良の事業とを一体として総合的かつ集中的に行う業務及び農業生産を著しく阻害する障害を除去するために必要な特定の農業用用排水施設の新設または改良の事業を急速かつ計画的に行う業務に変更することとしております。  第三に、公団の新たな業務の実施につきましては、都道府県から区域を特定して事業実施の申し出があった場合に農林水産大臣事業実施方針を定め、これを公団に指示することとし、これに基づいて公団は、事業実施計画を作成し、事業参加資格者の同意、農林水産大臣の認可等の手続を経て、事業を行うこととしております。  第四に、公団の新たな業務のうち農業生産基盤整備関係の業務に要する費用につきましては、公団は、その一部を都道府県に負担させることができることとすることとしております。  なお、公団は、現行の農畜産物の濃密生産団地の建設に関する業務については、継続中のもの及び調査中のものに限り実施することができることとするほか、海外農業関発に関する調査等の業務については、従来どおり実施することとしております。  このほか、公団は、当分の間、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を原資とする収益回収型の無利子貸付制度活用して、土地改良施設の整備等に関する業務を行うことができることとしております。  以上がこの法律案提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  247. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、補足説明を聴取いたします。松山構造改善局長
  248. 松山光治

    ○松山政府委員 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。  第一は、法律の題名を農用地整備公団法に改めるとともに、農用地開発公団を農用地整備公団に改称することであります。これは、公団の目的となる業務を、農用地の開発を主体としたものから農用地の整備等を主体としたものに変更することといたしておりますことから、法律の題名と公団の名称をその新たな目的に応じたものに変更するものであります。  第二は、公団の目的及び業務に関する規定の改正であります。  現行の公団の主要な業務は、未懇地等が相当の範囲にわたって存在する地域において、近代的な農業経営を行うために必要な農畜産物の濃密生産団地を建設するため、農用地の造成及び農業用施設の整備等の事業をあわせて行うことでありますが、農業生産基盤を早急に整備していくため、この業務にかえ、公団が、農業の生産性の向上と農業構造の改善に寄与することを目的として、農用地の整備及び保全を主体とした業務を一定の農業地域内において行うこととしております。  その一つは、農用地等の存在及び整備の状況その他の農業経営に関する基本的条件の現況等に照らして農業生産基盤の整備を急速に図ることが必要かつ効果的と認められる農業地域内において、農用地の改良または保全のために必要な区画整理、暗渠排水等の事業と土地改良施設の新設または改良の事業とを一体として総合的かつ集中的に行う業務であります。  また、これらの事業とあわせて、委託に基づき、農業用施設またはその用に供される土地の整備の事業を行うことができることとするほか、換地による非農用地の創設、農用地に関する権利等の交換分合、土地改良施設の災害復旧事業等を行うことができることとしております。  その二は、地形、地質その他の自然条件の特殊性に起因して、農用地の排水条件の著しい悪化その他の農業生産を著しく阻害する障害が生じている農業地域内において、その障害を除去するために必要な特定の農業用用排水施設の新設または改良の事業を急速かつ計画的に行う業務であります。  同時に、この事業を行うことにより整備された農業用用排水施設の管理、災害復旧事業等を行うことができることとしております。  第三は、公団の業務の実施についての規定の整備であります。  公団の業務の実施につきましては、現行は、都道府県から区域を特定して事業実施の申し出があった場合において、農林水産大臣が一定の要件を備えているものと認めるときは、事業実施方針を定めてこれを公団に指示し、これに基づいて公団が事業実施計画を作成することになっております。  新たな業務につきましても、その基本的枠組みは維持しておりますが、新たな事業内容に応じて、区域内の農用地の相当部分が集団的に存在すること等を事業実施の申し出の要件とするほか、農用地整備事業実施計画または農用地保全事業実施計画の作成手続事業参加資格者の同意を得る手続等につき、所要の規定の整備を行うこととしております。なお、公団が特定の農業用用排水施設の管理を行おうとするときは、その実施の細目について管理規程を作成しなければならないこととしております。  第四は、公団の業務に要する費用についての規定の整備であります。  公団の新たな業務に要する費用につきましては、受託業務を除いて、従来と同様に、その一部を都道府県に負担させることができることとし、都道府県は、その負担金の全部または一部を、直接または市町村を通じて、受益者から徴収することができることとしております。  第五は、公団の業務の特例等であります。  公団は、現行の農畜産物の濃密生産団地の建設の業務につきましては、この法律の施行前に開始されたもの及び事前の調査がこの法律の施行前に開始されたものに限り、行うことができることとしております。また、公団は、当分の間、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を原資とする収益回収型の無利子貸付制度活用して、土地改良施設の整備等の事業を行うことができることとするとともに、土地改良区等が土地改良事業を行う場合にその費用に充てる資金を無利子で貸し付けることができることとしております。  以上のほか、公団の理事及び監事について、それぞれ一人を減員し、任期を三年から二年に改めるなど所要の規定の整備を行うとともに、関係法律について所要の改正を行っております。  以上をもちまして、農用地開発公団法の一部を改正する法律案提案理由の補足説明を終わります。
  249. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。      ────◇─────
  250. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、内閣提出漁業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。     ─────────────  漁業災害補償法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  251. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁業災害補償制度は、昭和三十九年の創設以来、中小漁業者の相互救済の精神を基調とした共済事業の実施を通じて、その経営の安定に重要な役割を果たしてまいりました。  しかしながら、近年における我が国水産業を取り巻く厳しい環境の中で、共済事業の運営は、新たな対応を必要とするに至っております。すなわち、国際的な二百海里体制の定着、水産物需要の伸び悩み等の厳しい状況のもとで、我が国周辺水域における漁獲不振等により共済事故が多発してきております。また、共済の加入がいまだ十分ではないという事情もございます。  政府におきましては、このような事情にかんがみ、漁業及び漁業共済に関する学識経験者等の意見をも踏まえて慎重に検討した上で、中小漁業者の共済需要の多様化に対応しつつ、漁業災害補償制度をより漁業実態に即した制度とし、その健全かつ円滑な運営を確保することを旨として漁獲共済の仕組み等について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、漁獲共済についての改正であります。まず、加入の拡大を図るため、漁業協同組合の組合員である中小漁業者の相当部分が漁獲共済に関する規約を定めた場合には、その漁業協同組合が共済契約を締結することができるようにするとともに、長期共済の制度において契約割合の固定制を緩和することとしております。また、特定の漁業について、共済金の支払い方法の特例を設けることとしております。  第二に、漁業共済組合連合会による漁業再共済事業及び政府による漁業共済保険事業についての改正であります。最近における共済事故の態様等にかんがみ、漁業共済組合連合会の再共済金額及び政府の保険金額の算定方法を改めることとしております。  第三に、特定養殖共済の本格実施であります。これは、昭和四十九年以来試験的に実施してまいりました養殖業についての生産金額の減少等をてん補する特定養殖共済を新たな漁業共済事業として実施するために必要な措置を定めるものであります。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  252. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、補足説明を聴取いたします。田中水産庁長官
  253. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 漁業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下、その内容について若干補足させていただきます。  第一に、漁獲共済についての改正であります。  まず、加入の拡大を図るための共済契約の締結方式の改正であります。漁船漁業及び定置漁業等におきましては、これまで、漁業者が個別に加入することとしておりましたが、これに加え、新たに、漁業協同組合の直接の構成員である漁業者の相当部分が漁獲共済に関する規約を定めたときは、その漁業協同組合が被共済者として加入できることとしております。  次に、継続申込特約による長期共済の制度におきまして、これまで、契約割合は、特約に係る期間内、原則として変更できなかったものを、一定の要件に該当する場合には引き上げることができることとしております。  また、共済金の支払い方法の特例の新設でありますが、これは、その経営事情及び共済事故の発生の態様に照らして特例を定める必要があるものとして政令で定める特定の種類の漁業につきまして、共済責任期間中の漁獲数量が基準漁獲数量を上回った場合には共済金を減額することとするものであります。  第二に、漁業共済組合連合会による漁業再共済事業及び政府による漁業共済保険事業についての改正であります。  これは、漁業共済組合連合会の再共済金額及び政府の保険金額の算定方法等を改めることにより、漁業共済組合と漁業共済組合連合会との間における漁業共済事業による共済金の支払いについての責任の分担方法及び漁業共済組合連合会と政府との間における漁業再共済事業による再共済金の支払いについての責任の分担方法を改善しようとするものであります。  第三に、特定養殖共済の本格実施であります。  特定養殖共済は、特定の養殖業につき生産金額の減少または養殖施設の損害に関して給付を行う事業として、これまで試験的に実施してまいりましたが、これを、漁業共済事業として本格的に実施することとしております。  なお、特定養殖共済は、当面、これまで試験実施を行ってまいりましたノリ養殖業を対象として行う予定であります。  以上のほか、所要の規定の整備を行っております。  以上もちまして漁業災害補償法の一部を改正する法律案提案理由の補足説明を終わります。
  254. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  255. 菊池福治郎

    菊池委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会