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1988-03-30 第112回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月三十日(水曜日)     午後三時四十三分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       阿部 文男君    石破  茂君       遠藤 武彦君    大石 千八君       金子 一義君    川崎 二郎君       熊谷  弘君    小坂善太郎君       杉浦 正健君    田邉 國男君       武部  勤君    虎島 和夫君       中島  衛君    二田 孝治君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       石橋 大吉君    沢藤礼次郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       前島 秀行君    武田 一夫君       玉城 栄一君    藤原 房雄君       吉浦 忠治君    藤田 スミ君       山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣臨         時代理     林田悠紀夫君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         水産庁長官   田中 宏尚君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境研究技術         課長      清水  浩君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      菊川  治君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         通商産業省基礎         産業局製鉄課長 足立 芳寛君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     二田 孝治君   柳沢 伯夫君     金子 一義君   山崎平八郎君     虎島 和夫君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     柳沢 伯夫君   虎島 和夫君     山崎平八郎君   二田 孝治君     近藤 元治君     ───────────── 三月二十五日  昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七五号) 同月三十日  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)(参議院送付) 同月二十四日  米の輸入自由化反対に関する請願(伏木和雄紹介)(第一一〇一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を故正する法律案内閣提出第二五号)(参議院送付)  森林開発公団法の一部を改正する法律案内閣提出第二九号)  牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する件      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  本日付託になりました内閣提出参議院送付原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨説明を聴取いたします。林田農林水産大臣臨時代理。     ─────────────  原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び改正内容を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和五十二年に、米国ソ連等の二百海里の設定等による水産加工原材料供給事情の著しい変化にかんがみ、これに即応して行われる水産加工施設改良等に必要な長期かつ低利資金貸し付けを行うことを目的として制定されたものであります。  自来、この臨時措置法に基づき、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫及び国民金融公庫からの貸し付けが行われ、原材料北洋魚種からイワシ等の多獲性魚への転換等が促進されてきたところであります。  この臨時措置法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととされておりますが、米国ソ連等の二百海里体制は、昭和六十年代に入って著しく強化され、対日漁獲割り当ては激減しております。また、各国とも、自国資源最大限に活用する観点から、水産資源をみずから漁獲加工し、製品としての輸出に努めており、円高がこれに拍車をかけている面もあって、最近では水産加工品輸入が増大する傾向にあります。  このため、原材料供給事情変化に対処して我が国近海資源食用加工品原材料としての利用を一層促進するとともに、水産加工品貿易事情変化に対処して、主要な近海資源原材料とする水産加工業について、新製品・新技術開発導入共同化を推進することにより、その体質強化していくことが必要となっております。  このような状況にかんがみ、この臨時措置法有効期限を五年間延長し、昭和六十七年度末までとするとともに、新たに、水産加工品貿易事情変化に対処して、主要な近海資源原材料とする水産加工業体質強化を図るための施設費研究開発費等資金の融通が行えるよう、所要の規定の整備を行うこととした次第であります。  以上が、この法律案提案理由及び改正内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で本案の趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  6. 田中恒利

    田中(恒)委員 大変長い法律の名前でございますが、通称水産加工等施設資金法案と称する臨時措置法の二度目の延期につきまして、当面する水産加工業中心とする幾つかの課題を中心に農林水産省の御見解を若干いただきたいと思います。  まず、大臣大変御苦労でございますが、ともかく昭和六十一年度の数字を見ますと、我が国の魚介、魚の生産高年間千二百万トン、そのうち七百九十二万トン、つまり六六%は水産加工に回されておるわけであります。このことは、何といいましても、我が国漁業生産の中でほとんど大半加工過程を経るわけでありまして、加工というのは、生鮮食品につきましてはいわゆる長期保存、こういうことを通して、年間の均衡のある消費を維持させていくし、そのことを通して魚価の安定というものに大きな役割を果たしておるわけでありまして、生鮮食料についてはこの加工状況というものがそれぞれの産業業種分野の盛衰にかかわる、こういうふうに言われておるやに承知をいたしておるわけでありますが、そういう意味で当面私ども、漁業に対するさまざまな施策に比べて、加工業に対してはどうも施策の手が薄いのではないか、こういう声もこれまで幾たびか聞かされてきたわけでございますので、この際、改めて政府のこの水産加工に対する位置づけ並びにこれに対する基本的な方針をまず第一にお伺いをしておきたいと思います。
  7. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 水産加工業は、先生が御指摘のように漁業と極めて密接な関連を保ちながら発展をしてきておりまして、しかも、水産加工業漁業は車の両輪の関係にあり、一体として振興を図る必要があると考えております。また、水産加工業水産物周年安定供給水産物消費拡大流通コスト削減にも重要な役割を果たしていると考えているところであります。  今後、水産行政を推進していくに当たりましては、常にこうした点を念頭に置きながら、国際規制関連魚種から近海資源への原料転換体質強化消費拡大などの施策を的確に講じてまいる所存でございます。  何とぞ今後ともよろしく御支援のほどをお願い申し上げます。
  8. 田中恒利

    田中(恒)委員 基本的な水産加工業に対する考え方幾つかの柱を今お伺いをいたしました。以下、それらの線に沿いながら若干具体的に御質問をさせていただきます。  先ほど御提案されましたように、本法は昭和五十二年の二百海里の設定、特に北洋に対する問題をめぐって当該関係地区、北海道、東北などにおける北洋魚種原材料とする加工業に対して長期低利資金を供給していくというところが端緒になって、この制度が生まれたわけでございますが、その後北洋をめぐる内外情勢は大変厳しゅうございますことは御承知のとおりであります。  しかし、やはりこの制度の発足からいたしまして、北洋における漁業というものあるいは漁獲というものあるいは原魚の輸入というものが今後どういうふうになっていくかという見通し前提にならないと、この法律の中に盛られた諸事業はつながりがなかなかつけにくいと思うわけでございます。まず、今米ソ中心北洋二百海里領海内におけるさまざまな問題が起きておるわけでありますが、この地域から原材料として受け入れられることのできる漁獲量、あるいはスケソウダラなどは洋上買い付けでこれまでやってきたわけでありますが、御承知のように、今後これも大変、ゼロになるといったような状況になっておるわけでありますが、そういう輸入見通しなどについては、政府はどのようにしようとしておるのか、どのように見通しを持っておるのか、まず明らかにしていただきたいわけであります。
  9. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 外国の二百海里内、特に米ソ北洋からの輸入なり、特に日本漁船による漁獲見通しでございますけれども、残念ながら基本的には沿岸国でございますソ連とかアメリカ、こういうところの漁業政策の動向でございますとか、あるいはそういうものを相手といたします我が方との漁業交渉によりまして、結果的に決まってくるという点が多うございますので、具体的に今後どの程度漁獲米ソ二百海里内なり北洋確保できるかということについて数字をもって示すことは極めて難しいわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、先生からもただいまお話がありましたように、二百海里体制というものがコンクリートになってまいりまして、今後とも沿岸国でございますとかあるいはサケマス母川国、こういうところの主張が強まってくることだけは確実でございまして、そういう観点から言いますと、現在の量をどうやって確保していくか、これが日本漁船みずからとるか、あるいはジョイントベンチャーという形であるか、いろいろな展開があろうかと思いますけれども、少なくとも現在の量を確保し発展できるように、これから我々としても漁業交渉努力を積み重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。
  10. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは北洋漁獲がどうなっていくかという問題だけではなくて、確かにこれは日ソ間の、今サケマスやっておりますね、やっておるというか今中断しておりますけれども。しかし、交渉の結果に基づかないとわからないという、今の現状はわからないことはありませんが、しかし、日本のこれからの漁業というものを考えた場合に、やはり長期あるいは中期見通しというものを政府はきちんと持ってそれに基づいて食用は大体この程度加工はこういう状況漁獲についての統計も相当長く整備されておるわけであります。  この間、水産庁研究会中間報告書、これを見ると、全体的には余り消費伸び生産伸びもそんなに大きくはならないだろう、日本の人口が多少伸びていく、しかし必要とする食に対する消費摂取量というのはそんなに変わらぬ、だから、その分だけぐらいの伸びにしか見てないのですが、そういう問題の可否は別にして、農業などは農政審議会中心にして六十五年見通しとか七十年見通しとか、あるいは山の問題も含めて、そういうものに基づいて今の行政は進められておるわけでありますから、漁業については少なくとも中期あるいは長期、漠としたものになる可能性なきにしもあらずでしょうが、最大限やはり需給の見通しというものを設定して、漁業者漁業団体関係機関にその方向に向かって政府施策をとっていくという姿勢を示すのが正しいのではないか。  この議論は、漁業界水産庁の間では恐らく何度か繰り返されたのだと思いますが、なかなか実際出てきていないわけです。今度、研究会報告の一部の中に非常に大まかな見通しを述べているところがあるので、ちょっと注目をしておるわけでありますが、やはりそういう中長期計画を立ててこの計画に基づきながら、これを指針としながら進めていく、こういう政策誘導というようなものがあっていいのではないかと思うのですが、これは長官はいかがでしょうか。
  11. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 水産物につきましては、ただいまお話がありましたように、漁海況等の自然変動の要因が大きいことでございますとか、あるいは諸外国とのいろいろな関係で決まってくるという点が多うございまして、農業と違って長期見通しというものを現在きちんとした形では立てていないわけでございます。  しかし、何といいましても、一つ政策誘導基礎といたしまして何らかの将来の方向づけというものは必要である、しかも、水産物が国民の食生活の中で大きなウエートを占めておりますし、それに加えて肉製品であるとかほかの食料品との代替関係というものも緊密でございますので、実は従来からも、農産物の生産長期見通し、ここの中では付表という形で水産物につきましても同じ年次で大まかな数字は参考として掲げているわけでございます。しかし、それだけではなかなか政策誘導の糧にならないということで、先生からも御紹介ございましたように、先般、研究会を開きまして、そこで大ざっぱながら水産庁としての将来の数値につきましてのいろいろな検討なり、積み上げというものをしてまいっておりますので、でき得れば今後、こういうものをもう少し精度の高い、もう少し権威のあるものに高めるような方途がないかどうかについて、我々としてもこれから検討していかなければならないというふうに考えております。
  12. 田中恒利

    田中(恒)委員 これはぜひ私は、資料もあるし、そんなに大きな変動――この日ソ日米、毎年これは外交交渉で複雑なやりとりをしておりまして、現実には非常に削減削減でこの数年来来ておりますから、だからそういう交渉上のテクニックをめぐって、あらかじめ数字前提にしておくことについてはいろいろ問題があるといったような配慮も考えていらっしゃるのじゃなかろうかと思いますが、しかし、やはり何か指標になるようなものをつくって、そういう方向に向かって関係者が一丸となって努力をしていくというものが必要ではないかと思いますので、水産庁としてはなおいろいろな角度から御検討をお願いをしておきたいと思います。  そこで、この法律に直接影響を与えます日ソサケマス交渉ですね、これは三月の十四日、東京で日ソ両国の合意に基づいて中断をして、再開をするということが約束されておるようでありますが、五月に入ると恐らく操業しなければいけない、サケマスの回遊からいっても五月の初旬には、この時期を逃せば漁獲そのものに影響するという状況でありますからその辺のめどを置きながら、この日ソサケマス交渉について今日までの交渉過程の中でどこが問題になって再開見通しはどういうふうに立っておるのか、いわゆる妥結の時期、めど、そしてその操業に間に合わすように関係の業界や漁民にこれからずっと心配をかけることのないように、そういう方向に向かって政府は全力を挙げるんだと思いますが、なお、この際、その点についての水産庁当局の御決意のほどを承っておきたいと思います。
  13. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 二月二十九日に開催されまして、三月十四日に残念ながら中断いたしました日ソ交渉における対立点といいますか、話のつかなかった主な点でございますけれども、一つは、何といいましてもソ連側が一九九二年までに沖取りを全面禁止するという基本的スタンス提案してきたわけでございますけれども、これにつきましては日本側としては到底認められないということで、この点が基本的考え方としての大きな平行線になっております。それからもう一つ、具体的な今年度の操業条件等につきましても、漁獲クォータでございますとかあるいは操業水域、それからさらに取り締まりの強化のあり方、こういうことにつきまして双方にかなりの隔たりがあった次第でございます。  これからでございますけれども、日本側としてはできるだけ早く、ただいま先生からもお話がありましたように漁期の関係もございますので、できるだけ早くということで、現在外交ルートを通じまして期日につきましては調整中でございますけれども、いずれにいたしましてもこれから関係漁業者十分相談もしながら、しかも我が国として受け入れ可能なライン、こういうものに何とか持っていきたいということで、これからも最大限努力を払ってまいりたいと思っております。
  14. 田中恒利

    田中(恒)委員 この沖取り漁業についてのソビエト側主張が本年は特に強く表明をされておるということでありますが、この点についてはこれまでの交渉の中で、本年度この沖取り漁業禁止ということについて決定的に対立点になっていくというふうなニュアンスで受けとめられていらっしゃるのかどうか、この点も、少し中身に入るわけでありますが、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  15. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 沖取り禁止の問題につきましては長い経緯がございまして、最近では二年前の日ソ共同委員会の際にも、これから三年以内に沖取りに関しまして何らかの提案なりコメントをするということが経緯としてあったわけでございます。それで、今回の交渉におきまして、具体的に一九九二年までに全面的に禁止するという声明を会議の冒頭に発表してきたわけでございます。それで、会議の前半は大方そういう基本的な考え方につきましてのやりとりで終始したわけでございますけれども、現実的解決といいますか、対応といいますか、そういうものの一環として、それはそれといたしまして、差し迫って決めなければならない今年度の漁獲割り当て数量なり操業条件、こういうものについての具体的中身につきまして向こう側からも提案がありこちら側からも提案をしたわけでございますけれども、そういう基本的なやつがずっと底流にくすぶりながら今年度の具体的な折衝をしているというのが今年度の非常に大きな特徴かと思っておりますけれども、我々といたしましては何とか現実的対応として今年度の話についてできるだけ早く決着をつけてしまいたいというふうに考えている次第でございます。
  16. 田中恒利

    田中(恒)委員 非常にこれは微妙な日ソ間の毎年繰り返されていく漁業交渉でありますから、それぞれがこれまでの交渉過程の中で相手側の呼吸もある程度伝えていらっしゃるのだと思いますから私はこれ以上申し上げませんが、ぜひ五月の初めの操業時期に間に合うように、これまでの実績などに大きな変化が起きないようにひとつ最大限努力を注いでいただきたいと思います。  ともかくこの漁業問題は、現在米ソ間においても、大変日本漁業というか日本漁船の締め出しといったように思われるようなものが、話がどうもあちこち進められておる。第一にベーリング公海上の操業の問題もありますし、北洋の問題についても、これはこの漁業だけではありませんが、どうも最近、まあまあ佐藤大臣向こうに行ってオレンジ牛肉問題で頑張ってくれているのだと思いますが、ともかく通商摩擦貿易摩擦のあおりを農林水産業、一手に引き受けた感があって、いろいろなところから外国との関係であつれき、摩擦が起きておるわけです。漁業も今に始まったことじゃありませんが、北洋なり日ソを通して大変厳しい状況の中に置かれておるわけでありますが、水産外交というものが大変重要な時期に入っておるわけでありまして、そういう水産外交の中でお互いにそれぞれの国の漁業の利害をぶつけ合いながらしかも協調していく、こういう意味では海外漁場確保のために積極的な漁業協力なども当然やるべきことは我が国もやらなければいけないと思いますけれども、しかしそのことだけで事が済むような甘い状況ではないのですね。  先般、調査捕鯨の実施を、政府、踏み切って行いましたね。これをめぐって大変アメリカとの間にいろいろ問題が起きて、場合によるとペリー修正法の発動、これは日程的にいくと四月の十日ごろがぎりぎりの期限になる。四月の十日ごろにこの修正法が仮に発動されるとすれば、なかなかこれは難しいだろうと言われておりますが、我が国漁業製品輸出全面ストップをしていくということになる。しかし我々から言わせれば、アメリカに約七百億円、我々はアメリカから千八百億円買っておるわけでありますから、そういう貿易環境からいくと我が国としてもそういう事態になれば当然腹を決めなければいかぬということになるのですね。そういう意味で、私は何もこんなところで大きな声で言いたくないが、我々野党はこの委員会にいわゆる本邦漁業者漁業生産活動確保に関する法律案というものを提出をいたしております。これはある時期には与野党一緒に、こういう話が進んでおりましたが、残念ながら野党共同提案という形で出されておるわけでありますが、私はやはり日本漁場漁業、これまでの長い伝統、実績、そういうものの上に立って、そして新しい国際環境の中で、我々としては我々の主張すべきことを主張し、我々の権益を守るために努めるけれども、なおかつ話がつかない場合には何らかの形でこの種の法案国内整備をされる必要がある。今牛肉オレンジ問題をめぐってガット提訴云々議論がなされておりますが、この問題をめぐっても、国内でも、自民党の内部でも声を大きくしてそういう法案整備の必要あり、こういうふうに皆さん盛んに言われていらっしゃるわけですね。そういう意味で、この水産の、我々は対抗法案と言っておりますが、こういうものがなければ、当面話し合いだけで、お互い信頼関係だけでというわけにはいかない、そういう現実があると私は思います。この点について、これは長官でも大臣でも結構ですが、水産庁はやはりきちんと腹を決めてかかっていただかないと、当面の北洋問題やベーリング公海上の問題や、あるいは今、日米間で問題になっておりますさまざまな大きな漁業問題の解決は何だかずるずる後ろへ下がっていくということだけに終わってしまうんじゃないか、私はこう心配を持つ一人であります。私の考えに間違った面があれば御指摘をいただきたいと思いますが、ここまで来ると、我々としてはこういう法案与野党で真剣に議論をして内容のあるものに仕上げていく必要がある、こういうふうに考えておりますが、政府はどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうか。なかなか言いにくい点があることは十分承知なんですが、貿易摩擦の問題については言わなければいけないことは言わないと、国際的にどうだこうだと遠慮しておったら本当のものは出てこない、近ごろ私もこういうふうに思っております。あえてこの対抗法案についての政府の所見を求めておきたいと思います。
  17. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここのところ非常に困難な漁業交渉をしている身としては、ただいま先生からお話ありましたことも気持ちとしては十分わかるわけでございますし、それからある意味では我々に対する応援なり叱咜という感じもしておるわけでございますけれども、しかし対抗法案そのものにつきましては、国内消費者なりあるいは外国からの原材料に依存しております加工業者、こういうような国内問題も一つございますし、それからガットとの関連その他いろいろな諸外国との関係全般に微妙な影響というものがございますので、やはりこういう国内、国際含めましてこれから総合的な判断をすべき事項というふうに思っております。  それから、当面は、今もお話ございました鯨に絡みましてペリー修正法の発動というようなことが一つ懸念されているわけでございますけれども、これにつきましては、我々としては、ペリー修正法がガットに違反しているのであるということで、そういうものの発動なりあるいはペリー修正法の存在そのものについてアメリカに対しまして厳重に抗議し、注意を喚起している段階でございますので、それと同等あるいはそれと質的に非常に類似しておりますいわゆる対抗法案国内的にという問題につきましては、先ほど申し上げましたように国内、国際含めまして相当慎重な判断を重ねなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  18. 田中恒利

    田中(恒)委員 本法は、五十二年臨時措置として制定されましてから五十八年に五年間の延長、そしてまたこの時期に二度目の延長でありますが、十一年間この臨時措置法に基づく措置がなされてきたわけであります。この際改めて、これまでの経過の上に立って、この法律の果たした役割そしてどういう点が前進をし、どういう点はなお問題として残っておる、つまり総括を一応一般的に明らかにしていただきたいと思います。
  19. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 この法律の今までの実績といいますか、効果でございますけれども、まず具体的な融資実績という点で見てみますと、全体で七百八十八件の四百六十二億円というものが融資になっているわけでございます。この内訳でございますけれども、御承知のとおりこの資金は、北洋転換等資金と多獲性魚種有効利用促進資金、この二つから成っているわけでございますけれども、前者が百十一件で七十億円、それから後者が六百七十七件で三百九十二億円という形に相なっております。  この資金によりまして、特に冷凍冷蔵施設でございますとか加工場でございますとか乾燥機でございますとか、あるいは練り製品の製造施設等、こういうものが導入されてきたわけでございますけれども、この結果、当初ねらっておりました北洋魚種から近海資源への原料転換近海資源でイワシでございますとかホタテ、こういうものへの原料転換というものがかなり進んだということと、それからイワシ等食用加工原料としての利用もある程度量的には促進されてきたということで、やはりこの十年間相当な効果があったと思っているわけでございます。  しかし、ただ六十年代に入りましてから、特に二百海里体制というものがもう一つ強くなってまいりまして、漁業情勢が非常に厳しくなってきた。それに加えまして、いろいろと輸入製品というものとの競合というような問題も出てまいりまして、せっかくのこういう特別措置法をつくっていただきながら、水産加工業の経営というものはまだまだ地域により、経営のあり方によりましては苦しい点があるわけでございます。したがいまして、そういう苦しい状況の中で、従来の融資制度実績なり反省に徴しまして、これからもう一つ発展させたいということで今回の法律改正というものをお願いしている次第でございます。
  20. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、水産庁からいただいたこの資料にも融資計画と融資の実績、五十三年から六十一年までの資料をいただいておるのですが、これを見ると、やはりだんだん融資実績が下がっておりますね。これはいろいろな状況変化漁業の環境の厳しさというものが反映しておるのでしょうが、この傾向をどういうふうに見ていらっしゃるか、この点が一つであります。  それから、今回の法改正で、従来言われておりました北洋魚種中心とした一号資金が廃止をされて、実質的に二号資金の方に入っていく、こういう形のようでありますが、一号資金がなくなることによって北海道、青森、岩手、宮城ですか、こういう地方のこれまでの加工業者の中で今回の貸し付けの対象外に外される心配はないかということが第二点。  それから第三点は、新たに近海低利用資源利用促進資金、それから近海資源水産加工業体質強化資金、こういう二つの従来からつながっておるといえばつながっておりますものがありますが、これは指定される魚種はどういう魚か。それから対象都道府県が明らかにされておるわけでありますけれども、この加工資金というのは北洋から入ってきておりますから、当初は北洋魚種というところからだんだん近海へ広がっていって、多獲収量、たくさんとれる魚などに広がってきておるわけでありますが、やはり将来は加工全体の魚種を対象にして、それから、たくさんあるだけじゃなくて、非常に熱心な漁業地域をできるだけたくさん入れるような配慮が必要だと思いますし、恐らくこの制度の運用に当たってはそういう声が関係地域や関係業種からたくさん出てくると私は思うのです。これはできるだけ弾力的に運用をして実態に沿う取り扱い方をすべきだ、こういうふうに考えておるわけでありますが、この三つの点について、まず改正点に関連をいたしまして、水産庁当局の御見解をお尋ねをしておきたいと思います。
  21. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 まず第一点の融資実績についての見方でございますけれども、これは五十三年度にこの資金が発足いたしましてから、当初は計画融資額より実績の方がかなり上回るというハイベースで融資が行われてきたわけでございますけれども、その後二百海里が深まり、特に六十年度というようなものは円高でございますとかということも重なりまして、加工業者自体の設備投資意欲というものが残念ながら相当減退したということで、昭和六十年度が一番ボトムの二十二億円というところまでせっかくのこの制度融資が落ち込んだわけでございます。しかしその後、最近になりまして、六十年代に入ってのもう一つ厳しい新二百海里ショックといいますか、そういうものからも立ち直りかかってまいりまして、経営環境の変化に積極的に対応したいという加工業者というものも多くなってまいりまして、六十一年度には四十億、それから六十二年度には、これはまだ概算でございますけれども四十五億ということで、ここのところ上向いてきているわけでございます。したがいまして、こういう動き、環境に対応いたしまして資金種類をふやすなりあるいは資金中身を見直すということで、こういう環境にひとつはずみをつけられるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  それから、二番目にございました一号資金廃止後の問題でございますが、一号資金そのものの今までの貸付実績を見てみましても、件数で見ましても全体の一割程度ということでございますし、それから一号資金でやっておりましたものの相当部分を占めておりますイワシ、サバへの北洋魚種からの転換、こういうものは今後の新一号資金で手当てが可能でございますし、それからホタテであるとかイカ、こういうものにつきましては、新二号資金で新製品なり新技術の導入ということは手当てできているわけでございますし、それから地域的にも、従来一号資金の対象になっていた県は今度の新一号資金なり新二号資金で十分対象になる地域でございますので、今までの一号資金を削りましても実需者なり要望のある方々に御不便をかけるということはないのではないかというふうに考えております。  それから、全体的な話といたしまして、そういう地域の限定であるとか魚種の限定、こういうものを漁業の移り変わりとともに見直すなり、もっと弾力的にという話でございますが、それは先生からお話があったとおりでございまして、我々といたしましてもそういう態度で臨みたいと常日ごろ思っておりますけれども、ただ全体的に申し上げまして、この資金制度というものが中小企業というものを相手にし、しかも農林漁業金融公庫中心にして融資している、それから長期低利ということの限定がございますので、何でもかんでもというわけにはまいりませんけれども、政策的にそれなりに位置づけできる地域なり魚種につきましては、そのときそのときの漁業情勢なりを勘案いたしまして適切に対処してまいりたいと思っております。
  22. 田中恒利

    田中(恒)委員 運用に当たってはできるだけ、特に前の一号資金がなくなって新しい制度に変わったから、一号資金に適用されておった方々がこれから外されるというようなことがないように、ないようになるだろうというようなことのようですが、ひとつそんなことが起きぬように十分留意をして運用に当たっていただきたいと思います。  そこで、この加工の問題は、やはりこれからは、いろいろ言いましても近海資源をどう有効に活用していくかというところがだんだん重要視をされていくと思うのでありまして、そういう意味で、今度の改正の中にもそういう趣旨を織り込んだ魚種なり、地域の拡大というものがなされておると思うわけでありますが、こういう近海における漁業資源を加工に有効に活用していくための施策についての具体的な考え方を改めてお聞きをいたしたい。  特に、これも今始まったことではありませんが、イワシですね、ともかく四百五十万トンからある。日本の全漁獲生産高の半分近くになるようなものがあって、今だんだん伸びておるのだと思いますが、二割程度食用、あとの八割はえさなり肥料なり、そういう形になっておる。これだけ冷凍の施設が発展をしておるわけでありますから、これの有効な活用というものについては試験研究機関を初め相当力を入れてきたのだろうと思いますが、それにしても量が多いということでしょうか、やはりイワシの活用という問題については今後ともいろいろな形で知恵を絞っていかなければいかぬと思うのです。  私なども六本木の方へ行くと、イワシの刺身を食わしてくれるのですね。あれはほかの魚に比べたら安いし、いいですよ。私は海の、市場の近くに生まれて、私のところの県は沿岸漁業ですけれども、やはりイワシほどうまいものはないんだな、特に脂の乗ったのは。タイとかヒラメとかいろいろ言うけれども、イワシほどうまいものはないんだが、あれがめちゃくちゃに安くてほったらかされておる。これは資源の活用としては最も気を使わなければいかぬと思うのですが、いろいろありましょう。流通の流れの中で消費者自体も高いものがいいと思っているような意識もあるし、いろいろ難しい面がありましょうが、我が国近海資源の、特にこの活用の具体的な、重点的な課題としては、イワシの問題についてさらに積極的に水産庁が取り組むことを御要請したいと思います。これまでもいろいろ頑張っていただいておるわけでありますが、改めてこの近海資源活用という点に焦点を置きながら、この問題についての水産庁の御見解を承りたいと思います。
  23. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 せっかく近海で大量にとれております資源、これを食生活に結びつけないという手はないわけでございまして、我々といたしましてもいろいろな努力を既にしてきておるわけでございます。何といいましても流通加工の合理化、それからさらに消費拡大のための施策が必要なわけでございますけれども、そのための具体的仕事といたしましては、一つはただいま先生からお話がございました新製品なり新技術の開発ということを国の研究機関でございますとか民間、大学あるいは都道府県というところと相連携しながら進めているわけでございます。それから、産地等におきましては中核的な流通加工施設整備するということで助成も行っておりますし、それからあと、今回延長をお願いしております法律そのものがそのための融資の手当てということに相なっておるわけでございます。  それから、特にお話がございましたイワシでございますけれども、これはもう先生からお話がありましたとおり、四百数十万トンとれている中で二割しか食用に向けられていないという形でございます。しかしこの中身を見てみますと、例えば十年前に比べてみますとイワシの加工も倍ぐらいにふえてまいりまして、現在八十万トンからのイワシが加工で食べられているわけでございます。一方生食用につきましては八、九万トンということで、ほとんど十年間動いてないという形になっているわけでございますけれども、今お話がありましたとおり、やはり生食のイワシというものを味が落ちないうちに地元で一度食べた人というのは一生忘れられないということがあるわけでございますし、それから私ごとで恐縮でございますけれども、先週ここで熊本がイワシの宅配便を全国的にやっているという答弁をいたしましたら、銚子から、うちだってやるよといって、わざわざ送っていただきましたけれども、これがわいろになるのかどうか定かではございませんが、いろいろな努力というものはそれぞれする必要があるわけでございます。  ただ、イワシの場合残念ながら、あれだけ大量に一時期にとれるということで、笛や太鼓で生食用を宣伝いたしましても数量という点でそう大きく伸びるということが期待できない点がございますので、やはり加工用の需要をどうやって開発していくか、そのためには特にスケトウダラ等との関係ですり身需要が大きいわけでございますけれども、これについては色であるとかにおいであるとか、依然としていろいろ問題があったわけでございますけれども、ここのところ真空さらし法というようなものが開発されまして、そういうマイナス要素を相当除去できるという段階になってきておりますので、そういうものも含めまして今後とも何とかイワシの消費拡大というものに努めてまいりたいと思っております。
  24. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま一つ漁業問題で大きな問題は、円高の問題ですね。円高水産物貿易環境というものは大きく変わっておるわけでありまして、いずれにせよ輸出は缶詰などを中心になかなか難しい状況になってきておる。逆に輸入はふえていく。それにも増して諸外国はこれからは付加価値を高めていくということで製品輸出に切りかえるということでありますから、どんどん外国加工品が入ってくる。こういう状況が次第に我が国製品にいろいろな影響を与え始めておる、こういう状況が出てきておると思うのですね。こういう環境の変化に対してどういうふうに対応したらいいのか。極端なものについては、私はやはり円高というのはいいところもあるが悪いところもあるということでしょうから、プラス・マイナスどうだということになっていくと、今言われておる日本経済全体が円高で厳しくなったところもあるのでしょうが大きくなったところもあるので、その辺を公平にいろいろな諸施策でコントロールさせていくという手法が経済政策としてもとられようとしておるのだと思いますが、私はやはり水産物貿易環境のこういう変化に対して何か打つ手はないのか、こういう点を水産庁としてこれから検討してもらいたいと思うのです。特に缶詰類などについては相当な影響が出始めておるようでありますから、何らかの措置を講じてもらいたい、こういう考えを持っておる一人でありますが、事は大きな問題でありますから、単に円高のメリットを還元させていくようなことだけでも済まない。基本的にはやはり低いコストで国際競争力をつくり上げるような技術の革新なり流通の合理化なりあるいは共同化、協業化、こういう方向に向かって努めていかなければいけないのだと思いますが、それにしても水産加工業界をめぐって非常に円高の打撃というのは中小企業であるだけに、零細企業であるだけに厳しい現状が出てきておると思うのです。これらに対する対策のお考えがありましたら、お示しをしていただきたいと思います。
  25. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここのところ我が国の内外の漁業情勢なりあるいは円高ということで、水産加工関係輸出輸入、ともに厳しい局面に当面しているわけでございます。この中で特に輸入関係につきましては、一つは国境措置で輸入を規制できないかという問題が当然あるわけでございますけれども、水産物の場合には御承知のとおりサバでございますとかあるいはイワシ、イカというような中小企業者なり加工業者、特に沿岸の漁業者、こういうものに影響を与えるものにつきましては輸入割り当て制度というものを現在も採用しているわけでございますし、それからここのところいろいろ問題が出てきておるマグロでございますとかワカメ、こういうものについては政府間なりあるいは民間ベースで輸入数量を決めまして、そしてこれを具体的に担保する手段として輸入事前確認制というものもとっているということで、率直に申し上げまして、ほかの産物に比べますと国境保護措置というものは幸いにして継続できてきているという形に相なっているわけでございますので、今後もこういう制度を何とか円滑に運営しながら輸入に対して対応してまいりたいと思っております。  しかし、それに比べまして、先生からも今お話しがありましたように内外格差といいますか、構造問題というものも一つあるわけでございますので、何とか国産の水産物につきまして、最近の消費者のいろいろなニーズの変化、こういうものに対応したコストダウンなりあるいは個性的な商品づくりというものも必要になってまいります。それからさらには、共同化なり組織化ということで加工企業そのものの経営基盤を強化するということも必要になるわけでございまして、そういうためにも今回の法律により新しい資金制度というものも手当てする等を含めまして、これからも少しでも守れるようあるいは前に進めるよう努力してまいりたいと思っております。
  26. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、これも一括してお尋ねしておきますが、政府は、本年度から水産加工経営改善資金として運転資金の融資を行うということになっております。これの施設資金との関係です。これは、私どもは一体的、有機的に施設資金と運転資金とを組み合わせてやるということはさらに効果が高くなる、こう考えておりますが、そういう運営の仕方を進めると理解してよろしいのかどうかが一つ。  それから、今お話しのありました加工業状況、いろいろ問題を持っておりますが、いずれにせよ、基本的に従業員十人未満の事業所が六〇%を占めるという極めて零細な企業体であるというところに、今日の国際環境の厳しさの中で我が国水産加工業が当面する一つの大きな問題があると思うのです。これはいずれにせよ協業化、共同化あるいは組織化、こういう形で合理化を進めていくという方向で生き延びていかなければいけないと思うのです。そういう意味でも、政府の方でももう十数年前から流通加工センター形成事業であるとかあるいは拠点総合整備事業であるとかあるいは本年度からは中核流通加工施設整備事業であるとか、こういうような形で団地化というものを相当力を入れていらっしゃったわけですね。ところが、これも徐々には立派な団地ができておるという施設も幾たびか私ども見せていただきましたけれども、しかし、これが決定打というような形になっておるのかどうか、まだ団地化の速度も極めて鈍い、こういうように理解をしておるわけでありますが、いずれにせよ共同化とか団地化とかといったようなことは思い切ってやらなければいけない。そうなると、この加工施設資金制度の中で、もう少し思い切った金利であるとか税制措置であるとかなどを含めた特例措置、こういう政策、誘導目標についてはやってもいいのじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、こんなことはこの制度の中でやれないのか、あるいはこの制度以外で十分に配慮しておるのか、こういう点についてちょっとお教えいただきたいと思うのです。
  27. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 最初の、今回の改正でお願いしております施設資金と予算補助で行っております運転資金の補助、これの運用の問題でございますけれども、我々といたしましてもお説のとおりこれを一体的に運用するということが基本でございます。ともすると、農林漁業金融公庫中心にする普通の金融機関とそれから運転資金の方は都道府県の特別会計というのが窓口になっておるために、一体的あるいは相互に整合性のある運用に欠ける心配もあるわけでございますけれども、これはまさしく加工業再建のための車の両輪的な融資制度でございますので、両者の調整なり整合性というものを持たせるための努力というものは今後とも継続してまいりたいと思っております。  それから、水産加工業そのものの構造改善のための共同化なりあるいは協業化あるいは団地化という問題でございますが、これは我々も先ほどもお話しいたしましたように中長期的にはこの道しかないというふうに考えていろいろな手だてを講じてきておるわけでございます。そのためにこそ、こういう今回お願いしている金融制度もあるわけでございますけれども、この中身につきまして、金利等についていろいろ御意見もあろうかと思いますが、現在の制度金融の体系、こういう中では我々が精いっぱい確立し得る期間であり金利水準であるというふうに現状ではお答えせざるを得ないと考えておる次第でございます。  しかし一方、そういう一般的な加工施設だけではなくて、拠点的なものでございますとかモデル的なものというものにつきましては、融資だけではなくて、先生からも今お話がありましたように、中核施設に対しますモデル事業というようなことで別途補助金ということで誘導して、これが模範となっていろいろな普及が図られるということをこいねがって財政も投じている次第でございます。
  28. 田中恒利

    田中(恒)委員 あと一、二問申し上げたいと思うのですが、先ほど来何度か申し上げましたように、これは二度目の延長でありますが、むしろ私はこの水産加工の位置づけの重要性、先ほど大臣が最初におっしゃられましたが、それから今日の厳しさ、そういうものを考え、そしてこの近海から遠洋、沿岸のさまざまな漁業資源について、新しい技術の体系の中できちんとした一つ加工体制というものを打ち立てるためには、こういう臨時処置じゃなくて、やはり本格的、恒久的な制度化、立法化が心要な状況になっておるんじゃないか。この法律などが突破口になって引き継がれていくのか、あるいは新たに考えるのか、いろいろな問題はあると思いますが、やはり我が国のいわゆる水産加工業というものに筋を入れた、いわゆる恒久立法というものが今求められているんじゃなかろうか、こういう思いを実はいたしておるものであります。この法律は今度五年間延長ということでありますから、私どももこれに賛成でありますが、やはりもっときちんとした、さまざまな漁業資源を加工の中に活用して、しかも国際的に対応できる体質強化を図っていくというような意味で、本格的な加工制度なり加工立法に向けて水産庁が前向きに検討していく、こういう御意思ありや否や、この際ひとつお尋ねしておきます。
  29. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 こういう非常に厳しい環境には置かれておりますけれども、水産加工業も一般の中小企業という観点でいろいろと中小企業金融公庫でございますとか、国民金融公庫でございますとか、いろいろな制度融資なり政策融資ということの対象になっておるわけでございますけれども、しかしその中で特にいろいろ問題がある、しかも二百海里でございますとか、あるいは貿易事情変化という緊急の事態に対応するための臨時応急の時限的な処置であるということで、本来第一次産業に融資しているはずの農林漁業金融公庫にこういう長期低利の融資というものを特に設定させてきているわけでございます。そういう考え方から今回もこういう期限を切ってお願いしているわけでございますけれども、率直に申し上げまして、この五年間で全部が全部水産加工対策が完了するかどうかという問題もあるわけでございますし、それから五年後の時点での漁業情勢はどうあるかという問題もあるわけでございます。したがいまして、五年たった時点におきましては、そこでその状況を十分見きわめながら何らかの対応を検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  30. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はきょうは極めて不十分な質問しかできないのですが、この漁業金融の問題で、金融の自由化というものが着実に前進をしておるのですね。四月一日の例のマル優廃止をめぐって我々の身近にも大変な預金の分捕り合いの競争が各金融機関で激化をしております。新しい商品の開発が庶民の中に、農村、漁村でも投げかけられております。そして低金利時代に入りました。そういう全般的な金融情勢を考えた場合に、これは制度資金、公庫融資というものを軸にして組み立てられておるわけでありますし、いま一つは系統金融ですね、農林中金、信漁連、そして漁協信用部、この仕組みがありますね。こういう形で我が国生産性の低い漁業に対する施策対応というか援助をしておるわけでありますが、これがこういう低金利時代の、しかも金融の自由化、そして金利の統制が外れて自由化されていくと、やがて小口金融の金利の自由化といったようなものが出てくるでしょう。そういう時代になると、これまでのようなありがたさというか値打ちがやはりだんだん薄くなっていくのじゃないか。現に今日でも銀行の方が弾力性があって、金利も安いし貸し出し条件も簡単だし緩やかであるということで、特にこの加工業者なんかは銀行利用が非常に多いですよ。ですから、そういう意味ではよっぽど、それかといってこういう状態がいつまでも続くのかというと、やはりいつかはまた金利が高くなっていって、利子補給などが行われておるこういうものが喜ばれるという時代が来るでしょう。だから、いろいろありますけれども、しかしやはりこれからやがて怒濤のように押しかけてきておるこの金利の自由化という体制の中で、公庫資金中心とした制度金融のあり方というものが問われていると思うのです。そういう意味で私は、この問題についてはきょうはゆっくりできませんが、ぜひ検討してもらいたい。  それから系統、漁協の信用事業ですね。特に漁協、この間委員長提案で合併助長をまた再現いたしましたけれども、漁協の信用事業というのはそういう面では非常にいろいろ問題があるというか、規模が小さくてやはり力が弱いです。この金融、金利の自由化の中で立ち向かうだけの力を持っていないと私は思うのです。しかし、やはりこういうものを地域の漁業振興、漁業者の生活指導まで考えるということになれば、系統金融というか、漁協の信用事業、信用力を拡大しなければいけない。合併だけでやれるかといったら、合併で前進するでしょうが、合併だけでは不十分だと思うのです。一部には既に県の信連ですね、県の漁達、信漁連を一つの単位として本店、支店関係の金融の業務の思い切った刷新をやらなければいかぬ、こういう説も議論はされておりますね。そういうことなどを考えると、まことに難しい金融情勢の中にあるわけでありますから、こういう資金が有効に活用されるためにはそういう情勢にも対応できるような体質なり内容考えなければいかぬ、こういうように実は思っております。この点を私の所見として申し上げて、水産庁の方からお話があれば御見解を承りたいと思いますし、委員長、あと少し時間を保留というか、いろいろ後の相談がありますので残させて、残された時間だけ余裕を持たせていただきたいと思いますが、以上で質問を終わります。何かありますか。
  31. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 全体的な金融情勢なり漁協の問題点につきましての認識は先生と全く同じでございまして、何とかこういう厳しい中で漁業経営あるいは系統組織というものが成り立つようにいろいろな手だてをしていかなければならないと思っております。その一環として合併助成法の再延長なり本資金制度の改善等というものをさせていただいておるわけでございますけれども、今後ともいろいろな手だてを工夫しながら何とか漁業の将来のために尽くしてまいりたいと思っております。
  32. 菊池福治郎

    菊池委員長 吉浦忠治君。
  33. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。  初めに、佐藤農水大臣アメリカとの牛肉オレンジ交渉のために訪米をされておりまして、我が国農業を守るために努力をされている最中でありまして、我々は、その努力に大いなる期待をいたしているわけであります。佐藤大臣の訪米中の代理として林田法務大臣が臨時代理に任命されて、本委員会に御出席をされておられるわけでありまして、本当に御苦労さまでございます。私はなるべく臨時代理のお口を煩わさないようにしたいと思っておりますものですから、よろしくお願いをいたしたいと思います。  ちょっと視点を変えまして、最初に魚食の普及について長官と意見を交わさせていただきたいと思いますけれども、我が国では伝統的にたんぱく質を米、大豆製品であるとか、あるいはみそ、豆腐、魚によって補ってまいりましたけれども、戦後急速な西欧化をしているわけでありまして、いわゆる肉や卵などの動物性たんぱく質が加わりまして質的にレベルアップされておるわけであります。今日、魚と肉の関係を調べてまいりますと、四五対五五という数値を示していると思うのです。一方、最近欧米諸国では健康に対する認識から動脈硬化を促進する動物性脂肪のとり過ぎが心配されておりまして、たんぱく質源として大豆や魚などの不飽和脂肪酸、いわゆる飽和脂肪酸の少ないものをとるというふうな、そういう食品を好むというふうに変わってきておりまして、我が国の食生活に非常に関心を示されているのは御案内のとおりでございます。そこで、農水省も我が意を得たりというふうにお考えのようでありまして、日本型食生活を進めておられるようでありますが、私は、要はバランスのとれた食生活を送ることに尽きるのではないか、こういうふうに思うのです。  最近、我が国の社会が著しく変化をしてまいりました。家庭においてもなるべく手をかけることを省くことが多くなってきております。いわゆる手軽に料理ができる肉に偏りがちではないかというふうに心配をいたしておりまして、ますます肉のとり過ぎにはならないかというふうに心配をしているわけです。ほうっておきますというと、だんだん比重が偏っていくのじゃないかというふうになお心配をいたしますが、そこで魚食の普及というものがここで大事になってきはしないか。  そこで、水産庁長官は、お忙しい方ですから家庭の中のことは余り関心がないのじゃないか、お話伺いますと大変家庭的な方でもあると聞いておりますけれども、そういう点で多分台所に入られた経験もないのじゃないかとは思いますけれども、田中家に何本の包丁がおありなのか、大変恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。
  34. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここのところ余り台所には入っておりませんけれども、一年半前に引っ越ししました際に、荷物のこん包は手伝いましたので覚えておりますし、それから、個人的な質問ですので個人的なお答えになって恐縮でございますけれども、実は私も女房も北海道の港町で育ち、それから母親の方の実家が料亭であったということがございまして、両方とも子供のころから日本型食生活といいますか、魚を中心にする中で育ってまいりまして、魚を対象に行政をやりますのは水産庁長官になって初めてでございますけれども、食べる方につきましては相当長い間つき合ってきているわけでございます。  それで、本数でございますけれども、定かではございませんが、少なくとも二十本はあるはずでございます。
  35. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 だんだん後でお聞きをいたしていきます。  大日本水産会が昭和六十年三月に「首都圏の主婦千人に聞く」というので、「水産物中心とした食生活に関する調査」というものをやっておりますが、これを見てまいりますと、平均で包丁が三・八本というのだそうです。年齢が二十九歳以下の主婦の場合、半数が二本以下というふうな結果が出ているようです。もっと著しいのは、包丁を全然持っていない、こういう家庭があるということで私はびっくりしておりますけれども、識者の中には、若い人には加工食品に対する抵抗感がなくて、今後も包丁離れの傾向が進むのではないかというふうに予期している方もいらっしゃいます。この場合、加工食品とは完全調理済みの食品のことを言われているというふうに思うわけでありますが、日本型食生活を進める農水省としてこの傾向は黙視できないのではないかという危惧を私はしておるわけです。  そこで、その包丁の分はわかりました、長官もたくさん持っていらっしゃるようでございますけれども、魚食普及について、このアンケート調査についての認識をどのように長官はお持ちなのか、お答えをいただきたい。
  36. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 実は我々夫婦はそうなんでございますけれども、去年息子が結婚いたしまして、お嫁さんの持ってきた包丁があの万能包丁という、洋出刃でございますね、あれが一本と、それからペティナイフといいますか、果物も切れれば無理すると魚も刺身にできるというものと、それからもう一つ、あとはキッチンばさみ、この三つを嫁道具で持ってきまして、母親である私の女房が非常に悲しみまして、柳刃でございますとか、それから菜っ切り包丁でございますとか、ああいうものを買って与えましたけれども、なかなか使わないでぴかぴかで息子夫婦の台所に眠っているような感じでございます。そういうことから言いましても、非常に今の若い方々は包丁になれていない。  これも笑い話にならない悲しい話でございますけれども、例えば、一昨年にある大手スーパーが仕立て券つきの塩引きというものを売り出したら非常に売れた。これは、贈答品でもらったサケをスーパーのどこの店にでも持っていくと切り身にしてくれるという券がついているものを売り出したら、非常にヒットしたというような話があるわけでございますし、それから、我が家の近所の若い奥様が、年末になりますと、やはり我が家にサケを持ってまいりましてうちの女房にスライスしてもらう。どうも近所の魚屋は、一匹を切り身にするのに四百円から五百円の手数料を東京は取るようでございます。こういうことは、本当に我々子供のころから魚とつき合いながら育ってきた身にしてみますと、悲しむべきことでございます。  ただしかし、ここのところ見てみますと、例えばカルチャースクールでございますとか、いろいろな料理教室、こういうところで、従来ですと、若い方々がほとんどフランス料理を習いたいという志向が強かったようでございますけれども、そういう関係者に聞いてみますと、ここのところ、魚であるとかあるいは日本料理でございますとか、こういうものについての講義の時間帯をできるだけふやしてほしいという要望が若い方にもかなり出てきているようでございます。それから、若い方々もここのところいろいろな、居酒屋チェーンでございますとかああいうところで、コンパやなんかで魚に味覚としてなれるというチャンスもできてきているようでございまして、それを支えるためにやはり包丁で自分の若いだんなに奉仕したいという奇特な人もふえてきているようでございますので、何とか貴重な伝統でございます包丁文化というものも維持しながら、それを維持することがやはり魚の普及というものにつながると思っておりますので、そういう面からも、いろいろなPRでございますとかそういうことについては意を用いてまいりたいと思っております。
  37. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 文部省、見えておりますか。――先ほどのアンケートによりますと、主婦のうち魚の調理が全く苦にならない、こう答えた人が二割、苦にならないと答えた人が三割、こうなっているわけです。年齢別に見てまいりますと、魚の調理を苦にしない主婦は年齢が高いほど多くなっている、これは常識のとおりです。二十四歳以下の方が二六・七%に対しまして、五十五歳以上では七四・六%、こうなっているのです。また、親から魚料理を習ったか否かということによって、よく習ったという主婦はほかに比べてみますとはるかに魚料理を苦にしない人が多いわけですね。母親が子どもに教える家庭での教育がいかに重要であるかということがここで言えると思うのです。現在、戦後生まれの世代が多くなってきておりますし、核家族化も定着をしてきているという点から見てまいりますと、いわばよき魚食の伝統が伝授されないのじゃないか、伝わらないのじゃないか、次の世代にその主流が受け継がれないのじゃないかという心配を私はしているのです。  そこで、これから新しい家庭を営もうとされている世代の方々に魚を積極的に食べてもらうということは大切なことであります。今テレビ等でもグルメ番組が数多く放映されております。私もそうした番組を見ながら、戦後の一時期のことが思い出されておるわけでありますけれども、本当に日本の国も豊かになったな、こう思います。正直言って、こうした番組を見たところで、これは単なるショーでしかないじゃないか、魚食の普及には大して役立ってはいないのじゃないかという点も言えるのじゃないかと思うのです。  そこで、いかに魚食普及を定着させるかというふうに考えてまいりますと、学校教育の場でなければならぬのじゃないか。魚料理を取り扱ってもらえるかどうか、私も以前教師をしていた関係もありまして、学校に問い合わせてみました。料理の時間というのはテレビにありますけれども、文部省に聞きましたらば給食のことと勘違いされて、給食の時間に云々、こういう返事が参りましたけれども、私はそういうことを聞いているのじゃなくて、中学校の家庭科教育の中で魚の調理をやっておられるのかどうか、そういう点を問い合わせてみましたらば、いずれの学校もやっていない、こういう返事であります。学校教育に種々のものを持ち込むことは今望ましいことじゃないかもしれません。私も余りこういう雑用を持ち込むことには賛成しない立場をとりますけれども、基本的なことぐらい教えなければならぬのじゃないか、こう思うのです。一匹の魚をさばいたり三枚におろすくらいは家庭科の料理実習の中でやれるように思うのですけれども、この点文部省はどういうふうな見解を持ってていらっしゃるか。
  38. 菊川治

    ○菊川説明員 小中高等学校におきます家庭科教育の中での魚料理に関する指導についてでございますが、小中高等学校を通じまして食物に関する学習の中で魚の料理に関する指導も行っていこうということになっておりまして、現在の学習指導要領におきましても、小学校の段階では調理は難しいということで、魚の栄養源としての重要性というものを指導しておるところでございますけれども、中学校では、学習指導要領におきましては、日常食の調理として魚料理に関する実習を行うということで、魚の油焼き、ムニエル、あるいは煮物、直火焼き、塩焼き、照り焼きなどの実習について教えることになっておりまして、その家庭科の教科書もあるわけでございます。その中でもムニエルのつくり方、照り焼きのつくり方など教科書自身にも書いておりまして、制度としてはそういうことを教えることになっております。一般の学校ではもちろん現在のところは女子が対象でございまして、女子につきましては全部やらせるということになっております。ただ、男子につきましても七〇%程度の者は食物を履修しておるというふうな実態もあるわけでございます。  制度的にはそういうふうになっておるわけでございますが、先生の御指摘の、調査されまして十分でないという点も確かに一部にはあるのではないかというふうに私どもも思っております。それは、一つには先生の自覚という問題もあるのではないかと思っております。我が国の食生活の上で魚の料理というものは大変重要なものでございますので、今後とも教育内容の面でも適切な指導ができるように考えてまいりたいと思いますし、また先生の自覚といった点につきましても今後重要性を促してまいりたいと思っております。
  39. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 文部省、もう少し聞いておってくださいね。  長官、今文部省の答弁がありましたけれども、どういうふうな感想をお持ちですか。
  40. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 料理という、人間が食べて生きていく一番基本の話でございますので、学校でも基本的なことはやっていただきたいとは思いますけれども、しかしこれはやはり家庭で母から子に、あるいはお嫁さんに引き継いでいくことが調理方法であるとか伝統の伝達の一番スムーズな方法じゃないかという感じもいたしております。何といいましても現在家庭で実権を握っております奥様連中がどっちを向くかということが将来の食生活を画していくと思っておりますので、最近、主婦の方々は非常に余暇もできてまいりまして、カルチャースクールでございますとかいろいろな研修、勉強の機会もあるようでございますので、そういうものに対して我々としても積極的に働きかけてまいりたいと思っております。
  41. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 魚食普及に関して、かつて全国漁業協同組合連合会と大水の方で共同で「ザ・サカナ」という立派な小冊子をお出しになった。ごらんになったことありますか。この小冊子は大変好評を博していたわけでありますけれども、現在は出ていないのじゃないかと思う。そこで魚食普及は、一度だけこういう小冊子を出しただけでなくて、やはり永続的にやっていかなくてはいかぬと思うのです。水産庁としていろいろ努力されておられることはわかりますけれども、今後この普及活動を進めていただくという点で、長官どういうふうにお考えなのか。これを見ますと、一番最後のところに「昭和五十九年度水産物消費拡大特別対策事業(水産庁補助事業)」こうきちっと明記してある。この中身を見ますと、大変食欲をそそって今にも料理をしたくなるほどいい小冊子なんです。そのときだけでは困るのであって、なぜおやめになったのか、こういう普及活動をぜひやっていただきたいと思うのですけれども、御見解をいただきたい。
  42. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 「ザ・サカナ」というもの、五十九年に出たわけでございますけれども、あれは、普通PRの余り上手じゃない役人系統が発行したPR物といたしましては非常にすぐれたものでございまして、当時私も官房長をやっておりまして、全省的にあれを回覧した記憶がございますし、それから今回長官になりまして一番勉強になったのがあの三冊で、ほかは難しくてなかなか頭に入らなかった記憶もあるわけでございます。  五十九年にああいうのをつくってスタートしたわけでございますけれども、いわばあれはすべての魚についての総論的なものをいろいろな形でまとめてみた。それから、六十年度からはああいうものを一つの基盤といたしまして、それぞれの地域なりあるいは各論という形でいろいろなPRをするということで、例えば具体的に申し上げますと、六十年度からの全国四十七都道府県の魚食普及地方ステーションというようなものも助成しておりますし、それから大日本水産会が「おさかな相談室」というものを設けるとか、あるいは全漁連の「中央シーフードセンター」というようなもので魚食普及に関する映画フィルムでございますとかビデオそれから資料、こういうものを作成したり貸し出したり、あるいは料理教室というものもやっております。  それから、余り目立たないかもわかりませんけれども、テレビ放映のスポンサーになったりあるいはいろいろな形での小冊子というものも国の助成事業という形で出しているわけでございますけれども、何といいましてもあの「ザ・サカナ」というものはあれだけヒットした宣伝の仕方でございましたので、ああいう先例ももう一度見直しながら、せっかくかけているPR費が十全な効果が出ているかどうか、これから中身についても少し勉強してまいりたいと思っております。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  43. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 魚に対する一般的認識として、言いかえれば魚が敬遠される点は私は三つあるんじゃないか、こう思うのです。まず第一に、主婦の方が臭くて嫌だ、二番目には面倒くさい、三番目には腐りやすいんじゃないか、そういう点で敬遠されているような気がするわけですね。最近は各家庭に冷凍冷蔵庫等が行き届いているわけですから、以前のような状態とは違う、そういうのがネックになっているんじゃない、私はそういう認識をしたいわけです。そこで、こうした点を克服すれば、さらに消費伸びるんじゃないか、こう思うのです。そういう点でどのような見解をお持ちなのか。  先ほど長官が包丁の種類もたくさん知っていらっしゃるし、私びっくりしたのですけれども、三種類ぐらいは私のうちにもあるわけなんですが、この包丁の種類をちょっと調べてみましたら、日本の包丁だけでも四十種類から五十種類あるんだそうですね。長官はこれのことをよく知っていらっしゃいますが、これに出ております。冷凍用包丁それから万能包丁、牛刀それから菜切り包丁、柳刃包丁、タコ引き包丁、出刃包丁それから小出刃というのですか、ここに出ているだけでもかなりの包丁の種類が出ておりますし、三種類ぐらいは普通どの家庭にもあるんじゃないか、こう思っておりますが、料理の点で今申し上げたような点、どういうふうにお考えになっておられるかどうか、お答えをいただきたい。
  44. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ありましたように、魚が敬遠されるというか魚に入り切らない原因として、においとそれから調理の手間、腐りやすさ、この三つがいろいろな世論調査なりアンケートで集計されてきているわけでございます。  それで、においにつきましては、先ほど文部省からもありましたムニエルでございますとかあるいは照り焼きでございますとか、こういう調理方法でにおいを中和するということも一つの方法でございますし、それからここのところいろいろな調理器具で、においなりあるいは煙の出ない調理器具というものも技術が開発されてきておりますので、若い方々にはこういうものを使っていただくということでございます。しかし残念ながら、やはりムニエルでございますとか照り焼きよりは、ジッと焼いて煙の出る焼き魚の方が本当だろうと私たち世代は思っておりますけれども、しかし若い方々はそうもまいりませんので、調理方法なり調理器具というものについての工夫が必要かと思っております。  それから手間の問題につきましては、これは今回もお願いしております加工資金で、いろいろな加工についての施設なりあるいは技術開発をするということになっているわけでございますけれども、こういう加工ということを通じまして、調理しなくとも簡単に口に入るという魚の消費形態というものは相当ふえてきているわけでございますし、それからここのところ、例えばアジなんかでも、ああいう小骨まできちんと抜いた形で切り身になって売られているというようなことになってまいりますと、手間という点も相当省けてくるんじゃないかと思っております。  それから、さらに腐りやすいという問題につきましてはただいま先生からお話ありましたように、冷蔵庫がこれだけ普及し、しかもここのところ氷温という形で新しい冷蔵システムというものを開発されてきて、これも家庭に入ってきておりますので、この面でも消費という点では相当前進できるのではないかという感じがいたしております。  いずれにいたしましても、今までマイナスと思われた点を一つずつ克服すると同時に、場合によっては今までマイナスと思われていたものがプラスになるといいますか、ああいうにおいになれるとにおいがかえってよくなるという点もございますので、そういう逆手に使う消費拡大というのもひとつ考えるべき対象ではないかという感じがいたしております。
  45. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 文部省、結構でございます。ありがとうございました。  次に、水産加工業の経営対策について伺っておきたいと思いますが、我が国水産加工業体質は九九%が沿岸漁業とリンケージしている零細業者でありまして、その基盤がいかにも脆弱であるわけでありますが、今何にも増して体質強化が求められているところであります。水産加工業に対する行政対応は中小企業庁と水産庁がとり行っているところでありますが、この水産加工業に対しては、現在沿岸漁業の水揚げの約七割が水産加工業向けに回されているほどですから、沿岸漁業と密接な関係にあるにもかかわらず、水産庁には流通課に加工対策室があるだけであって、いつも中小企業庁の中のいわゆる中小企業対策の陰に隠れて後塵を拝しているのではないかという感がするわけです。これでは漁業を含めた振興にはならないのではないかというふうに思うわけでありまして、もっと前面に出して施策を展開すべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点どういうふうにお考えなのか。
  46. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 御説のとおり、水産加工業については通産もかなり絡んでいるわけでございまして、水産加工業は一般的に中小零細な企業が多いということからいいまして、通産省の中小企業庁において行われております中小企業に対する一般的な施策、これも当然必要なわけでございまして、そういう点では通産省にも御迷惑をかけるなりいろいろと御指導をちょうだいしているわけでございます。  しかし一方で、ただいまもお話いただきましたように、水産加工業の場合には水産物そのものを加工する作業でございますし、それからまさしく漁業経営そのものと車の両輪という形でございますので、我々も通産省と手を相携えながら、そういう原料供給者なり漁業経営と大きな関係があるという立場から、積極的にいろんな対応をしてきているつもりでございます。  確かに組織としては対策室というようなものが一課でございますけれども、対策室だけではなくて、他に遠洋課なり沖合課なりあるいは沿岸課なり国際課というところもすべて流通加工に絡んで初めて行政としての成果が上がる話でございますので、もちろん全庁的な取り組みというものをこれからも進めてまいらなければなりませんし、それから通産省と離れましてうち独自でできるものは、先ほどからお話が出ております水産物中核流通加工施設でございますとか、こういうことで具体的補助助成手段というものも持ちまして対応しておりますし、それからいろんなPRでございますとか宣伝、こういうものにつきましても、当方独自としても相当やっているつもりでございます。  いずれにいたしましても、今後も中小企業の一般的な施策のうち、その採用といいますか適用可能なものにつきましてはできるだけ通産省の守備範囲たりとも活用させていただきながら、主務官庁として積極的に水産加工業対策というものを推進してまいりたいと思っております。
  47. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 私は、さきに水揚げの約七割が水産加工向けに送られているというふうに申し上げましたが、現在漁業者の経営は大変に厳しいものがあることはもう既に御承知のとおりでありまして、これからの漁業水産加工業と一体となった経営を行っていかなければだめになるのではないかというふうに考えるわけです。そこで、漁業者はただ魚をいかにたくさんとるかということだけではだめでありまして、今後は需要に合わせた経営をしていかなければならないのではないかというふうに考えるわけです。  そのためには、いかに水産加工業とタイアップした形で経営していくかが今後迫られるのではないかというふうに思うわけです。漁業水産加工業はいわば車の両輪のようなものであって、さらに進んで将来は、漁業の方から見るならば、いかに水産加工業を取り込んだ形で経営していくかということになろうと思うのです。そのために構造対策を強力に推進すべきであるというふうに考えておりますけれども、この点どういう見解を持っていらっしゃるか。
  48. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 一般的に消費あっての生産でございまして、漁業経営の場合にももちろんそういう前提で仕事をしなければならないわけでございますが、一般の、計画的につくって、つくったものを売っていくということよりは、水産の場合にはとってしまったというか、とれてしまったものをどうやっていくかということが今までは多かったわけでございますけれども、ただいま先生からもお話がありましたように、やはり需要に見合った、あるいは消費者ニーズにこたえた形で漁業経営なり漁獲努力そのものをどうやって持っていくかということがこれからの課題でございます。  それからここのところのいろいろな魚に対する消費の動向からいいまして、付加価値をつける、加工する、手を加えるということでの魚の普及なり商売というものがますます多くなってまいりますので、やはり漁業経営者みずからが加工であるとか付加価値部門、こういうものにどうやって取り組んでいくかということが今後のいろいろなことを画する一つの問題になってこようかと思っておりますので、我々といたしましても漁業経営者なりあるいは漁業経営者の協同組織体でございます漁協あるいは水産加工業協同組合、こういうものに対しましてもいろいろな手だてを講じてまいりたいと思っております。
  49. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 長官に先にちょっとお尋ねをいたしておきたいのですけれども、時間が切り詰められてしまいましたものですから、通告したことが全部質問ができませんが、通産省を呼んでおきましたものですから、ちょっと質問を先にやらしていただきたいと思うのです。  缶詰について水産庁長官に伺っておきたいのですが、水産物の缶詰について、カニ缶からイワシ缶まで価格に相当な開きがあるわけでありますけれども、例えばイワシの缶詰では中身と缶との価格の割合がどうなっておるのか、この点長官お答えいただきたいのです。
  50. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 缶詰の缶代につきましては、種類でございますとか材質、いろいろございまして一概には申し上げられませんけれども、製造原価に占める缶代の比率というものを一応推計してみますと、マグロ缶詰で一、二割、それから今例示ございましたイワシの缶詰で約四割というふうに聞いております。
  51. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 その缶詰の缶が高いという声があるわけです。水産加工業の実情を調査したところ、水産加工業者から、缶詰の缶代が諸外国より我が国の方が非常に高い、こういう声があるのです。私どもは農林水産物については若干諸外国より価格の高いのもやむを得ないというふうには思っておりますけれども、工業製品について競争力は確保されていると信じておりましたが、そこでそういう点にぶち当たって意外に思っているわけです。私、ごく最近沖縄のパインの調査にも参りましたけれども、そのときも沖縄の農協中央会の会長さんが言っておりました。生産物のコストダウンはできるけれども、缶の値段の高いのが一向に下がらない、これはどうにかならないのかということを厳しく私どもに要求がありました。  そこで通産省の方にお聞きしたいわけですけれども、缶詰の缶代の諸外国との比較はどうなっておるのか。一つの見方として、我が国の方が高いのは製缶業界の寡占体質にあるのじゃないか、こう思うのです。そういう指摘もされておりますし、また私もそう思うのですが、参考のために会社別のシェアも伺っておきたい。なぜ缶が高いのかという点とそのシェア別もお答えいただければ、こう思います。
  52. 足立芳寛

    ○足立説明員 缶詰の缶の価格の問題でございますが、御存じのとおり、食料用の缶というのは、その強度、材質、形状、表面の印刷等で非常に多種多様でございまして一概に比較することはできないのでございますが、先生指摘のように、諸外国との比較を行いますと、一昨年来の急激な円高によりまして、円が二百二、三十円というような水準から現在のような水準でございます。そういう意味で、我が国の食料缶の価格が諸外国の缶に比べまして一時的に割高になっているということも事実でございます。このような状況というのは、製缶メーカーにとりましても非常に厳しい国際競争の中に置かれているわけでございまして、またプラスチック等他の素材との競合ということもございまして、そういう意味で現在製缶業界においてコスト削減のための合理化努力を続けておるというふうに聞いております。  その製缶業界の寡占の問題でございますが、上位三社の食缶の六十一年のシェアを申し上げますと、東洋製罐が六〇%、大和製罐が二四%、北海製罐が一一%というような数字になっております。これらの製缶メーカーは非常なる高速での製品加工をやっておるわけでございまして、三社で大多数を供給しておるということも事実でございますが、この三社間の競争というのも非常に激烈でございます。また、先ほど申し上げました缶のプラスチック等々の他の素材との競合というのも非常に激烈でございまして、そのような競争の中で価格が形成されており、三社による不当な価格の形成は行われていないのではないかというふうに考えております。しかし、いずれにいたしましても、この缶詰の缶の価格について今後とも合理化努力によって価格の是正が図られるべきとも考えており、またそう期待しておるわけでございますが、先生の今の御指摘の点も十分に踏まえまして、今後ともその動向につきましては十分に注視してまいる所存でございます。
  53. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 では結構でございます。ありがとうございました。  それでは最後に、水産対抗法案について私の所見を申し上げて終わりたいと思うのです。  さきに我が国は、国際捕鯨委員会の科学委員会の両論併記の報告を得て、三百頭捕獲のいわゆる予備調査捕鯨に踏み切ったところでありますが、米国ペリー修正法を持ち出して我が国調査捕鯨を中止させるために圧力をかけてまいってきておるわけです。なぜに国際捕鯨条約で認められた捕鯨国の主権に基づく調査捕鯨が一国の一片の法律のために侵害されなければならないのか、本当に理不尽この上もなく憤慨にたえないところでありますけれども、一方我が国水産外交といえばその交渉の都度、譲歩に譲歩を重ねてきた歴史と言っても過言ではなかろうと思うのです。そのよって来るところは相手国に何ら対抗する手段を持ってないからじゃないか、こう思うのです。  それで、先ほど同僚議員からも御指摘ありましたように、これでは勝負にならぬと思うのです。この点は、交渉に当たられた担当者が一番感じられているところだろうと思うのです。私は、水産対抗法案について本委員会でしばしば言及してまいりました。我が国水産業の健全なる発展を願うためでありますから、この際考えるべき最優先の課題ではないか、こう考えるわけです。この点、真剣に検討されることを要望して、私の質問を終わります。
  54. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 神田厚君。
  55. 神田厚

    ○神田委員 法律案につきまして御質問を申し上げますが、まずその前に、ちょっと交渉が中断をしております日ソサケマス漁業交渉の問題について長官にお尋ねをいたします。  交渉再開される見通しあるいは今後の交渉に当たっての基本政策、基本姿勢、さらにサケマス漁業がかなり締め出されておりますけれども、これらについての将来的な考え方等につきましてお答えをいただきたいと思います。
  56. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今年度のサケマス交渉につきましては三月十四日に中断しているわけでございますが、当方といたしましては、漁期との関係もございますので、できるだけ早い時期に交渉再開したいということでソビエト側に働きかけておりますが、現在まだ具体的に何日からということにつきましては両者間の調整がついておりません。少なくとも漁期に間に合う時期に再開をすべくこれからも働きかけをいたしてまいりたいと思っております。  それから、協議に臨む態度といたしましては従来から一貫しておりまして、少なくとも沖取り全面禁止というソビエトの打ち出しに対しましては、我々としては長い歴史と伝統、しかも認められた公海での操業という問題もあるわけでございますので、何とか従来の権益を守りたいということで折衝に臨むわけでございますけれども、いずれにいたしましても、関係漁業者とも十分相談しながら、我が国が受け入れ可能な結論というものを得られるようにこれからの折衝に全力を注ぎたいというふうに考えている次第でございます。  それからもう一つ。これだけ細くなってまいりましたサケマス外国との関係を契機といたしまして、これからサケマス全体をどうするかということでございますけれども、もう現在の段階でも実績ベースでも二万トンという漁獲高にサケがなっているわけでございますが、それと並行してといいますか裏腹な形で、日本国内で放流し、帰ってきたサケというものが相当ふえてきているわけでございます。今後ともそういう栽培漁業というものにいろいろな手だてを加えると同時に、不足な分につきましては円滑な輸入というものも図りまして、せっかくここ数年急速に伸びてまいりましたサケに対する需要、こういうものに的確にこたえてまいりたいというふうに考えております。
  57. 神田厚

    ○神田委員 ひとつ漁期に間に合うように精力的に交渉をしていただきたいと思うのであります。  さらに、ただいま吉浦委員の方からお話がございましたが、調査捕鯨に対するアメリカ対応が、聞くところによりますとペリー修正法の発動を考えているというようなことがあるようであります。その辺の情報をどういうふうに考えておられるのか。また、仮にペリー修正法のようなものが発動された場合の対応策としてはどんなことを考えておるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ペリー修正法を発動するかどうかの動きにつきましてはいろいろなチャンネルで情報を探っておりますけれも、まだアメリカ政府部内がいろいろな動きがございまして、どちらに決着がつくかということは残念ながら現段階では見通しができないわけでございます。しかし、我々といたしましては、ペリー修正法が適用になった際に引き起こされるいろいろな問題点につきまして、アメリカ政府側にいろいろな形で注意を喚起し、冷静な対応というものを従来からも行ってきておりますし、それから今後もそういう方向アメリカに働きかけてまいりたいと思っております。  したがいまして、ペリー修正法の発動というものを何とか回避したいということで我々行動し、アメリカ側に働きかけているわけでございますけれども、万々が一、不幸にして発動になった際には、ペリー修正法外国からの水産物輸入を制限なり禁止するということはガット規定上も違反するというふうに我々は考えておりますので、少なくともガットへの提訴というものを検討せざるを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  59. 神田厚

    ○神田委員 それでは、水産加工の問題に移ります。  水産加工業漁業と大変密接な関係にありまして、水産加工の振興が漁業の安定につながっていくことがまことに重要であるというふうに考えておりますが、政府水産加工業をどのように位置づけているのか、基本的な考え方と、水産加工業が重要だと言っておきながら、予算の面では必ずしも予算のつけ方が十分ではないという点が指摘をされておりますけれども、その点について考え方をお示しをいただきたいと思います。
  60. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 水産加工業の位置づけでございますけれども、第一には、何と申しましても漁業生産物の最大の販路ということで、我が国で水揚げされた生産物のうち六五%が加工に向かっているという点が第一でございます。  それから第二は、ああいう漁村地帯を初めといたしまして水産加工が立地している場所での就業機会を提供する等々によりまして、地域経済に大きく貢献しているという点でございます。  それから第三点といたしまして、水産物加工を通ずるということで周年的に安定供給ができるための役割を果たしているという点でございます。  それから第四点といたしましては、ただいまの周年安定供給ということとも関連いたしておりますけれども、水産物消費拡大なり流通コスト削減ということに寄与しておりまして、これが結果的に漁業にも大きな利益になっているという点でございます。  これだけ重要な産業であり、いわば漁業経営と車の両輪と言いながら予算についてはというお話でございますけれども、確かに農林水産省全体の施策の中でこういう流通加工部面に対する予算の手だてにつきましては過去いろいろと問題があったわけでございますが、ここのところとるだけではなくて、とった後の流通なり加工消費ということの重大性というものに着目いたしまして、それぞれこういう加工関係あるいは流通、消費関係につきましても予算面で、非常に厳しい財政事情で必ずしも御納得いただけないかとは思いますけれども、我々といたしましては最大限努力をし、必要額は少なくとも確保できてきているというふうに考えておりますが、今後ともそういう基本ラインに沿いまして努力を重ねてまいりたいと思っております。
  61. 神田厚

    ○神田委員 現在、円高が非常に進行しているわけですが、この円高水産加工業に対して及ぼす影響、これは非常に大きいわけでありますけれども、場合によりますと水産加工業の構造の変化まで促すような状況になっている。今後、水産庁としては、こういう状況の中で水産加工業の将来的なあり方をどういうふうに考えているのか。また、円高の影響がどのような形でこの水産加工業にあらわれるというふうに判断をしているのか、その辺についてお聞かせをいただきます。
  62. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ここのところの円高で一番影響を受けております水産関係は何といいましても水産缶詰製造業でございまして、これの輸出が相当落ち込んできているわけでございます。  具体的には、例えば水産缶詰で、カツオ、マグロ、サバ、イワシが主体でございますけれども、六十二年の一月から十二月までが数字として出ておりますけれども、これを対前年の同期で比べてみますと、輸出数量で七〇%、それから輸出金額で六一%というふうに減少してきている次第でございまして、このあおりを受けまして生産が減少し、場所によっては休業する工場も出てきているわけでございます。こういうものにつきましてはいろいろと制度的な手だてがございますので、そういう関係法令、例えば特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基づきます緊急経営安定対策、こういうものの対象業種に指定いたしましていろんな優遇措置を講ずるとか、あるいは円高で影響を受けておりますような地域につきましては、法律で指定をいたしましていろいろな対策をとるというようなことをやってきておるわけでございますが、当方といたしましても、今回お願いしております水産加工施設資金法の改正、こういうようなもので新製品なりあるいは新技術開発導入、さらには構造そのものを直すということで共同化でございますとか協業化、こういうものを融資の対象といたしまして、何とかここのところ苦しい水産加工業の立て直しということに全力を注ぎたいと思っておるわけでございます。
  63. 神田厚

    ○神田委員 この水産加工施設資金創設、これは昭和五十三年度立法以来、九年間にわたっておるわけでありますが、本資金の融通によって水産加工業者の経営状況にどのような効果があったというふうに判断をしておられますか。
  64. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 この制度の発足しましてから、五十三年度でございますけれども、六十一年度までの間で融資実績で四百六十二億円というものを投じまして、冷蔵庫でございますとか、あるいは加工施設でございますとか解体場でございますとか、いろんな機械、施設整備してきたわけでございます。この結果、北洋に依存しておりました魚を原料としての加工から近海物への転換というものがある程度進みましたし、それから施設の近代化、合理化というものも相当程度進みまして、それなりの効果というものはかなり出てきておるわけでございますけれども、残念ながら漁業経営全体の厳しさなり、あるいは先ほどお話ありましたような円高の問題、そういう中にありまして、この資金のこの十年間実績をもってしても完全に苦しみは解消し得ていないというのが現状かと思っております。
  65. 神田厚

    ○神田委員 当初は融資額あるいは利用件数等も相当数あったようでありますが、近年貸付実績が非常に低迷している、特に、一号資金についてはわずかな融資実績しかない、こういうことであります。この原因はどういうふうにお考えでありますか。
  66. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ありましたように、この制度の発足した最初のころは相当な融資要望がございまして、計画額より実績が上回るという年が続いたわけでございますけれども、残念ながらその後、平均貸付実績というものがかなり落ちてまいりまして、特に昭和六十年度には円高でございますとか二百海里体制というものがもう一つ厳しくなったということもございまして、設備投資意欲というものが低下したということで、貸付実績も二十二億というボトムまで落ちてしまったわけでございます。しかしその後、そういう二百海里なりいろいろな問題に対するショックというものから若干立ち直りましたと同時に、魚に対する需要というものにも動きが出てきたということで、本資金に対する要望というのが少しずつ上向いてまいりまして、六十年度二十二億でございましたものが、六十一年度には四十億、それから六十二年度には、まだ概算ではございますけれども、四十五億というふうにふえてきているわけでございます。  ただ、この中で特にお話ございました第一号資金につきましては、二百海里からの転換ということでございまして、一道三県の原料転換を行ってきたわけでございますけれども、これでどうしても転換せざるを得ないものにつきましては、五十三年、五十四年当時に相当程度この資金を借りまして転換を済ませたということで、その後は多獲性魚の有効利用促進というものに本資金自体も重点が移ってきておるわけでございまして、そういうことの結果といたしまして、最近では、旧一号資金といいますか現一号資金といいますか、この資金需要は少なくなっているということは事実かと思います。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 神田厚

    ○神田委員 一号資金関係でさらに御質問申し上げますが、現行法の一号資金、すなわち加工原料を北洋魚種から近海の多獲性魚種に転換する資金、これが本改正案において廃止される、こういうことになります。この点について、実態上問題が生じないのかどうか、その点をお伺いいたします。
  68. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 現一号資金貸し付けは全体の中で一割程度でございまして、しかも、その相当部分を占めております北洋魚種からイワシ、サバ等への転換というものは、今回お願いしております新一号資金、これの融資対象になりますし、それから、ホタテでございますとかイカ、こういうものにつきましては、今回新しくお願いしております二号資金、これで新技術なりあるいは新製品開発導入というものが対象になっておりますので、実質的には現一号資金を廃止いたしましてもほとんど問題は出ないというふうに理解している次第でございます。
  69. 神田厚

    ○神田委員 低迷している原因も少し詳しく追求をしないといけないわけでありますが、借りたいと希望している人と融資条件が調わないのではないか。あるいは金利が比較的高い、それから償還期限が経営状況にそぐわない、融資手続が煩雑である、こういうふうなことが一部指摘をされておりますけれども、この点につきましてはどういうふうに考えているのか。  同時に、この資金は、本来はもう少し使われなければならなかった資金であるはずでありますが、なかなか使われないのでありますから、ただいま指摘しましたような条件等の緩和、融資条件の弾力化というような形で水産加工業体質強化を図る必要があるというふうに思っておりますが、水産庁としての考え方をお伺いしたい。
  70. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 せっかくお認めいただいております制度資金が十全に活用されるということは、我々としても望んでおる次第でございます。そういう中で金利、償還期限等の貸付条件についていろいろ問題があるんじゃないかという御指摘でございますけれども、率直に申し上げまして、他の農林漁業金融公庫資金の貸付条件というものを踏まえまして設定されておりまして、いろいろな制度資金の中ではそれなりの設定ということになっておりますので、これ以上この条件を、期間なり金利につきまして緩和することは、全体の金利体系の中で非常に困難ではないかというふうに考えておりますので、ひとつこの点は御理解いただきたいと思っております。  しかし、一方で、期間なり貸付条件はともかくとして、借り入れ手続が煩雑ではないかという御指摘をこういう制度資金につきましてはよく受けるわけでございますけれども、制度資金で財政が一部入っているということからいいまして、何と言いましても相手方の信用をより以上精査する必要がございますし、それから、一つの融資目的を持って融資しておりますので、そういうものの確認作業ということで若干手間取るという傾向はこういう制度資金について持ちがちでございますけれども、できるだけ速やかに希望者の実態に応じた貸し付け方ができるにこしたことはございませんので、当方といたしましても、例えば申請書を、従来複数枚出させておりましたのを一枚にするとか、そういう身近なところから手続関係を見直している次第でございまして、何とか円滑な本資金の活用ができるように、今後ともそういう見直しができればやってまいりたいというふうに考えております。
  71. 神田厚

    ○神田委員 それから、関係者の間では、この法律昭和五十七年度に次いで二回目の期限延長ということになっておりますが、現在の我が国水産業の状況考えますと、本法を恒久的なものとして、この法律を恒久法という形で確保したいというような考え方もあるようでありますが、水産庁の見解はいかがでありますか。
  72. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 そういう話もよく耳にするわけでございますけれども、我々といたしましては、やはり第一次産業を貸付対象にしております農林漁業金融公庫、これにこれだけの制度融資というものを特に行っているということは、やはり緊急で限られた期間内に手当てする必要があるという一つの大義名分があるゆえでございますし、本資金もまさしく二百海里なり貿易事情変化、そういうものに対応いたしまして、できるだけ速やかに水産加工業体質を直したいあるいはかたくしたいということで、従来から五年、五年ということで来ているわけでございますので、今回もそういう形でお願いしているわけでございますけれども、全体的あるいは将来の方向につきましては、五年たった時点あるいは先の時点におきまして、いろいろな水産加工業を取り巻く情勢なりというものを頭の中に入れながら検討は深めてまいりたいと思っております。
  73. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  74. 菊池福治郎

    菊池委員長 藤田スミ君。
  75. 藤田スミ

    ○藤田委員 与えられた時間が非常に限定されておりますので、御答弁を簡潔にお願いいたします。  水産加工業は、二百海里規制により原料魚の調達に支障を来しておりますし、水産加工品輸入が増加し、輸出が不振になり、加えて大手商社の海外投資なども加わりまして、非常に厳しい状態にあることは言うまでもありません。私は、先日銚子に行ってまいりました。例外なく十人未満、六割の人たちが、そういう小さな職場の中で、しかも労働の主体は婦人たちでありました。非常に冷たい、寒い労働環境の中で冷凍品を扱っている状態は、職場の婦人にとって過酷なものだなと思いました。しかし、そういった労働力によって支えられた、この地域にとっては重要な基幹産業であり、水産加工業を今まさに守り振興させていかなければならない責任があると思います。  ところで、関係者から出された意見の中で、ぜひサンマを今回の法案の一号資金の対象魚種にしてほしい、こういう強い要望がありました。その点、運用の点も含めて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  あわせて、イワシの消費拡大についてお伺いをいたします。  先ほどもありましたが、そのほとんどがハマチ養殖のえさとして使われている。しかし、イワシは人に食べてもらいたい、食用化させていきたいということで、水産加工業者としても長年の念願になっています。今回の法改正では、イワシの新製品、新技術開発導入共同化を図るのに必要な施設研究開発費等の繰り延べ資産、特許権等の無体財産権の取得等に対し、長期低利資金を融通することにしております。制度改正自身は必要なことですが、産地では、こういった融資だけではなく、国としても研究開発に共同して取り組み、また開発が進んだとしても、イワシの加工過程で歩どまりが極めて悪く、商品化して軌道に乗るまではまだまだ多くの困難が予想されるわけですので、商品として軌道に乗るまで国としての援助も必要だと考えます。  この二点をあわせて御答弁をお願いいたします。
  76. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 最初の点でございますけれども、本資金制度の性格といいますか、本資金制度では、加工としてまだ低利用であるというようなことで、本資金を融通すれば食用加工利用が相当程度伸展する、あるいは新しい加工需要が出てくるというものを対象にしているわけでございますけれども、今お話がございましたサンマにつきましては、食用利用というものの割合が相当高うございまして、全体の九一%程度がそういうものにもう既に加工という形で消化されておりますので、新たに本資金制度の対象とするという必要性につきましては残念ながら乏しいのではないかというふうに考えております。  それから、第二点のイワシを中心といたします消費拡大でございますけれども、これはただいまお話がありましたように、我々といたしましても、何といっても近海で四百万トンを超える量がとれているイワシ、これをどうやって人様に食べていただくかということが魚全体の需要拡大なり漁業経営のためにも不可欠なことでございまして、いろいろな新製品の研究開発、こういうものにつきましては、国みずからの試験研究機関でももちろんやっておりますけれども、そのほかに都道府県なり民間なり大学なり、こういうところにも助成いたしまして、一体となって新しい技術開発を試みているわけでございます。  それから、特にイワシの加工の場合にはにおいなり色というものに問題があったわけでございますけれども、これにつきましても最近加工法が開発されてきておりますので、こういうものも普及してまいりたいと思っている次第でございます。しかし、その普及過程のものについてコスト的なものを助成するということにつきましては、そういう試験研究についていろいろ手だてをするなりあるいはこういう資金で融通を申し上げるなりPRをするなり、いろいろなそういう周辺対策というものを積み重ねていきまして、それぞれの方々に成り立つような経営をやっていただきたいわけでございまして、そこは経営としての自助努力というものも大きく期待してまいりたいというふうに考えております。
  77. 藤田スミ

    ○藤田委員 サンマはぜひとも弾力的な運用で融資の幅を広げていただきたいと思いますし、商品化して軌道に乗るように一層の御援助を重ねて要望しておきます。  私は、魚の消費拡大のために、輸入水産物の安全性の問題についてこれからお尋ねをしていきたいと思います。  厚生省にお願いをしていると思いますが、輸入水産物の安全性のチェックは輸入時にどのようになされているでしょうか。簡潔にお願いいたします。
  78. 難波江

    ○難波説明員 お答えを申し上げます。  輸入時における魚介類等の食品の検査は、諸外国における情報それから輸入時または国内における過去の検査結果等を総合的に勘案いたしまして、食品衛生上問題が生じるおそれの強い食品等につきまして重点的に監視を行っているところでございます。
  79. 藤田スミ

    ○藤田委員 重点的にと言ったって、今養殖ウナギに対する抗生物質の検査、これだけが輸入時の検査であって、他は、おっしゃったように外国から情報が入ってくれば対応する、そういうことですね。
  80. 難波江

    ○難波説明員 輸入の魚介類に限り、残留物質等について申し上げれば先生指摘のとおりでございます。
  81. 藤田スミ

    ○藤田委員 情報が入れば対応するので問題はないというふうに聞こえたわけですが、例えばPCB、水銀、これらは全世界的に汚染が広がっておりますが、環境庁、輸入水産物を多く輸出するASEAN諸国や発展途上国のこれら、例えばPCB、水銀、TBTOなどの化学物質の汚染状況をつかんでおられますか。
  82. 清水浩

    ○清水説明員 お答えいたします。  世界的な化学物質の環境汚染の状況につきましては、国連の環境計画が地球的規模の環境監視のために進めております地球環境監視計画の報告資料というものがありますが、お尋ねの水銀、PCBの環境汚染状況について申し上げれば、地球環境監視計画の中では河川、湖沼、地下水の水銀の汚染状況だけが調査対象となっておりまして、PCBは環境測定の項目に入っておらないというのが現状でございます。
  83. 藤田スミ

    ○藤田委員 そうすると、我が国では皆目情報が入っていないというふうに聞きましたが、そういうふうに聞いていいわけですね。
  84. 清水浩

    ○清水説明員 水銀につきましては、先ほど私が御説明しました国連の調査計画の中で三百四十四地点を国連は測定しております。水銀につきましては、WHOの飲料水がガイドラインを超える測定値の得られた地点が約一〇%ということでございまして、個別の資料等については把握しておりません。
  85. 藤田スミ

    ○藤田委員 厚生省、どうですか。こういう状態なんですよ。情報が入ったらなんといっても、結局その当該国でほとんどがともに化学物質調査もやられていない。そういう状態の中で、情報が入ってきたら対応するなんという姿勢で安全性の確保がどうしてできるのでしょうか。三月二十日に、タイ産の鳥肉から日本の基準値〇・二ppmの倍以上のディルドリンが検出されたわけですが、これも、この基準は昨年の輸入牛肉の農薬汚染の問題で急遽つくって、そして輸入時のモニタリングで検出したわけです。今輸入は当然とまっておりますが、こういうような体制がなければ国民は安心して輸入魚についても食べていくということにならないわけです。非常に不安なわけです。だから情報が入ったら対応するということではなしに、食肉のように輸入時に定期的なモニタリングを行うべきだと考えますが、どうでしょうか。
  86. 難波江

    ○難波説明員 お答えを申し上げます。  御承知のように魚介類は食肉と若干事情が違うわけでございますが、魚介類につきましてもPCB、水銀等いろいろな汚染物質の問題がございます。今後とも情報入手に努めるとともに、さらに国内に入りましてからの監視成績等を勘案しながら、私ども必要に応じてモニタリングを実施してまいりたいと考えております。
  87. 藤田スミ

    ○藤田委員 そんなことを言っていたらとても安心してお魚を食べるということになりませんよ。私は東京都のPCB、水銀の調査結果について東京都からいただいているのです。これを見ますと、PCBは五十八年から六十年の間は検出ゼロであります。しかし六十一年に一検体輸入タラから検出されました。水銀の基準値を超える魚はどうでしょうか。五十八年、七百二の魚の検体中七十四検体が基準をオーバーしていますが、その中で規制対象は四十六、うち輸入魚は二十三、五〇%でしょう。五十九年は、六百十六の検体中四十六検体、規制対象魚は二十二、うち輸入魚は十四、六四%です。六十年は、五百九十四検体中三十四検体検出されまして、規制対象は二十、うち輸入魚は十六、八〇%が輸入魚でクロと出たのです。六十一年は、五百十九検体中二十八検体、規制対象は十二、うち輸入魚は八、六七%。そして東京都は、輸入魚で水銀が出やすい魚はギンサワラ、カマス、アンゴラレンコダイ、マダイ、こういうふうに言われているわけです。これはえらいことだと思われませんか。国が基準を定めたのは、改めて言うまでもありませんが、国民の健康を守るためではなかったのでしょうか。その基準を超える輸入魚がこれだけ検出されているのにいまだに輸入時の検査をやろうとしない。市場に出回ってからではまさにもう手おくれなんです。消費者はたまりませんよ。政府の責任じゃないでしょうか。特にPCBの問題でも、これはわずか一検体ということにはならないわけです。我が国では、このようなPCBの魚が出てくるとPCB汚染についての水域を指定し、その水域では魚を絶対にとってはならない、こういうふうに非常に厳格な規制を行っています。ところが、外国産はノーチェックで入ってくる。これでは話にならないじゃありませんか。私は、この輸入タラ、PCBの一検体についても早速に原産国と水域を調査し、その地域からの輸入魚は輸入時にすべて検査をすることを要求したいわけですが、重ねて輸入時の輸入魚に対する検査を検討していただきたいわけです。
  88. 難波江

    ○難波説明員 お答えを申し上げます。  最初に、水銀の規制値の問題でございますが、先生承知のように、昭和四十八年に第三水俣病騒ぎを契機につくったわけでございますが、水俣病等水銀による中毒というのはメチル水銀の長期摂取による健康障害ということで、当時の魚介類の水銀に関する専門家会議におきましては、個々の魚介類を排除するということでなくて、週間のメチル水銀の許容限度を〇・一七ミリグラムと決めて、要するに長期に継続して高濃度の水銀の含まれる魚介類を摂取しなければいいというような決め方で、なおそれの実効を期すために流通魚の中から基準を超えるものを排除することによってトータルで国民の健康を守ろう、こういう考え方でやったわけでございます。したがいまして、先生指摘のように、これらの水銀の基準値を守る上で私ども非常に重要と考えておりますのは、いわゆる水俣湾のように特に環境汚染があって、高濃度の汚染魚介類がたくさん出るというようなものを流通から排除していこうということでございます。  しかし一方、水銀につきましては、魚介類の中に魚種によって深海魚とかマグロのように天然で非常に水銀含量が高いものがございます。これらについては今規制対象から除外をしているわけでございますが、規制対象から除外されていないものでも天然と思われる高濃度の水銀を含む魚介類も一部に出てくるわけでございます。したがいまして、いろいろそういうような諸外国状況を踏まえ、なお国内の検査状況を踏まえながら、やはり輸入時点に検査の必要があると認められるような状況がある場合には私どもも積極的に検査してまいりたいと考えておるところでございます。
  89. 藤田スミ

    ○藤田委員 何をいろいろ弁解しているのですか。このおたくが出している「魚介類の水銀の暫定的規制値について」という通知なんですが、この中にも「水銀による人の健康に及ぼす影響については重大な関心が払われなければならないということから魚介類の水銀に関する暫定的基準を定めることとした。」「この暫定的規制値をこえる魚介類を市場から排除すれば、国民の殆んどが今までどおり魚介類を摂食しても水銀による人体への健康被害は生じないものである。」というふうに書いてまして、いろいろ弁解されたようなことは余り書いてませんよ。どうして輸入のときに食肉と同じように検査することに抵抗されるのですか。
  90. 難波江

    ○難波説明員 お答えを申し上げます。  別に検査に抵抗しているわけではございませんで、私ども輸入食品、いろいろな種類のものが出てまいります。また、それにいろいろな項目、いろいろな物質についての監視が必要になってまいります。そういう中でできるだけ効率的に検査をするということが必要なのでございまして、私ども水銀を決して軽視をしているわけでもございません、PCBも軽視をしているわけではございません。十分検討をし、御指摘も踏まえて、今後とも検査体制整備してまいりたいというふうに考えております。
  91. 藤田スミ

    ○藤田委員 さらに、日本では円高で養殖水産物輸入も急増しています。また、今後その魚種もふえてくることが伝えられています。ところが養殖魚は日本でも抗生物質の多投与が問題になっておりまして、これもまた消費者の安全性に対する関心は高まっているわけです。一方、輸入養殖水産物については、現状ではさっき言いましたようにウナギしかチェックしていないわけです。ところが最近ではブラックタイガーというようなエビやその他の輸入養殖水産物が急増しておりますが、こういうものは全くノンチェックなわけです。これについても私は厳しいチェックが必要だと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  92. 難波江

    ○難波説明員 先生の御指摘でございますが、御指摘のとおりウナギについてはやっているわけでございますが、エビについては現在行っておりません。エビの検査について今後検討してまいりたいと思います。
  93. 藤田スミ

    ○藤田委員 次に、TBTOの問題についてお伺いいたします。  三月二十五日の生活環境審議会化学物質専門委員会で、TBT化合物を指定化学物質にしたとのことであります。その前提として通産省の、TBTOは難分解性を有し、生物濃縮性もあるとの報告とともに、厚生省として、TBTOは亜急性毒性があるとの報告がなされているわけです。現在引き続いて慢性毒性試験が行われていますが、これもクロになる可能性は非常に高いというふうに言えると思います。こういった情勢であれば、できるだけ早く食品中のTBTO残留基準をつくり、それに基づいて規制を行うことが非常に大事だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  94. 難波江

    ○難波説明員 先生指摘のように現在慢性毒性試験等の調査が行われているわけでございますが、私どもといたしましては、今後環境及び食品中の残留の推移、さらにただいま申し上げましたような慢性毒性の試験の結果等を踏まえまして、必要に応じて一日許容摂取量の見直し等所要の対策を講じてまいる考えでございます。
  95. 藤田スミ

    ○藤田委員 農水省に申し上げます。  今お聞きのとおりです。TBTOについては、これは慢性毒性の試験結果が出れば基準値を設けていきたい、こういうことでありますし、養殖水産物のエビについては、これは輸入時の検査を検討するという御答弁をいただきました。PCB並びに水銀についても今後検討していきたいということです。消費者にとって魚離れという言葉の中に、もちろん価格もありますよ、またその他のこともあると思うのです。しかし、安全性というのは、これはもうストレートに響きますからね。こういうものが検出された、こういう汚染があったということだけで消費者は途端に魚から離れることはもう言うまでもありません。  そういう点で私は安全性について、特に輸入魚が今日までノンチェックで来たということに対して非常に大きな怒りを持っているのです。その怒りは、国民の健康がおろそかにされているということもありますが、国民が魚離れを起こして一層水産業に大きな打撃を与えるという点でも私はこの輸入魚のノンチェックの問題については非常に大きな怒りを持っています。水産庁としてもぜひともこうした問題に大いに関心を持っていただき、今御答弁をいただいたことが直ちに実行できるようにぜひともお取り組みを進めていただきたいということを申し上げたいわけです。いかがでしょうか。
  96. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 水産庁といたしましても、安全な魚を安定的に供給するということが最大の責務でございますので、関係省庁とも十分連携をとりながら適切に対応してまいりたいと思っております。
  97. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  98. 菊池福治郎

    菊池委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  99. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  101. 菊池福治郎

    菊池委員長 この際、本案に対し、笹山登生君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。前島秀行君。
  102. 前島秀行

    ○前島委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     原材料供給事情変化に即応して行われる水産加工業施設改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   水産加工業は、国民食生活の安定、漁業経営の安定並びに地域活性化等に重要な役割を果たしているところであるが、近年、諸外国漁業規制の強化に伴い原料魚調達に支障が生じているばかりか、沿岸国製品輸出指向、円高に伴う水産加工品輸入の急増と輸出の不振、さらには畜産物との消費の競合などその経営環境はまことに厳しいものがある。   よって政府は、漁業と密接不可分の関係にある水産加工業の振興のため、本法の施行に当たっては左記事項の実現に万全を期すべきである。      記  一 円高水産加工業の経営に重大な影響を及ぼしている状況にかんがみ、水産物の秩序ある輸入に努めるとともに、零細な水産加工業共同化・組織化の促進を図る等によりその経営体質強化を図ること。併せて、魚価が低迷している現状に対処する等のため、漁業生産体制整備強化を図ること。  二 多獲性魚をはじめ、我が国近海資源食用加工原材料としての利用を一層促進するため、国民のニーズにあった水産加工品の開発、消費の定着・拡大に努めること。  三 水産加工施設資金の融通に当たっては、漁業生産及び食用加工利用の実情等に即し、適宜、貸付けの対象となる魚種及び対象地域を見直すなど弾力的運用に努めるとともに、漁業との関連性に配慮した水産加工業者の体質強化等のための金融制度の確立について検討すること。また、本資金水産加工経営改善促進資金との有機的な活用を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の経過等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  103. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  笹山登生君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  104. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣臨時代理から発言を求められておりますので、これを許します。林田農林水産大臣臨時代理
  105. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、十分検討の上、善処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  106. 菊池福治郎

    菊池委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  108. 菊池福治郎

    菊池委員長 速記をとめて。ちょっとお待ちください。     〔速記中止〕
  109. 菊池福治郎

    菊池委員長 速記を起こしてください。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  この際、保利耕輔君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合の共同提案による牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。串原義直君。
  110. 串原義直

    ○串原委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合を代表して、牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する件(案)の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     牛肉オレンジ等輸入自由化問題に関する件(案)   牛肉オレンジ等輸入枠に関する日米合意の期限切れを目前にし、米国政府我が国に対してこれらの輸入自由化を強く要求している。   牛肉及びかんきつ生産は、我が国農業にとって基幹的作目であり、地域農業及び地域経済を支える重要産業であるばかりか、国土の保全にも極めて重要な役割を果たしており、また畜産農家、果樹農家とも極めて厳しい情勢の下で生産性向上のために懸命の努力をしている。   かかる情勢の下、万一、米側要求をそのまま受け入れれば、畜産経営、果樹経営のみならず、地域経済、国土の保全等に重大な影響を及ぼすこと必至である。   よって政府は、本問題については、我が国農業の現状に対する諸外国の理解が得られるよう一層の努力を行うとともに、輸入自由化問題に関する本委員会の諸決議を踏まえ適切に対処すべきである。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、これまでに本委員会において行われました質疑過程等を通じて委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  111. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  保利耕輔君外三名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  112. 菊池福治郎

    菊池委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣臨時代理から発言を求められておりますので、これを許します。林田農林水産大臣臨時代理
  113. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、今後鋭意努力をいたしてまいります。
  114. 菊池福治郎

    菊池委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 菊池福治郎

    菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ────◇─────
  116. 菊池福治郎

    菊池委員長 内閣提出森林開発公団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。  まず、趣旨説明を聴取いたします。林田農林水産大臣臨時代理。     ─────────────  森林開発公団法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  117. 林田悠紀夫

    林田国務大臣 森林開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  最近における林業を取り巻く情勢には、林業生産活動の低迷、林業就業者の減少等依然として厳しいものがあり、特に奥地山村地域においては、林業生産基盤の整備が立ちおくれており、森林資源の開発が十分に行われていない状況にあります。  このため、このような地域において、林業生産基盤の整備を促進し、林業の振興を図ることが重要な課題となっております。  一方、奥地山村地域の中には、豊富な森林資源を活用したスポーツ・レクリエーション施設等の整備が進められている地域があり、林業生産基盤の整備に当たっては、これらの施設の効率的な利用にも資するよう行うことにより、地域の活性化を図ることが求められております。  このため、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入に基づく国の無利子貸付制度のうち収益回収型の資金を活用して、森林開発公団が、当分の間、林業生産基盤の整備等の事業を行うことができるよう、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、森林開発公団が、奥地山村地域において、基幹的な林道の開設・拡張の事業またはこれとあわせて行う保安施設事業もしくは造林の事業をみずから行うとともに、保安施設事業、造林の事業または林道の開設・拡張の事業を行う第三セクターに対し、これに必要な資金を無利子で貸し付けることができるものとしております。  また、政府は、森林開発公団に対し、これらの業務に要する資金を無利子で貸し付けることができることとしております。  第二に、森林開発公団及び第三セクターが行う保安施設事業については、これを治山事業五カ年計画に含めるとともに、当該事業に対する貸付金に関する経理を、国有林野事業特別会計治山勘定において行うこととしております。  以上がこの法律案提案理由及び主な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  118. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で本案の趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十一分散会