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1988-03-22 第112回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午後四時十七分開議  出席委員    委員長 菊池福治郎君    理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 神田  厚君       阿部 文男君    石破  茂君       衛藤征士郎君    大石 千八君       川崎 二郎君    熊谷  弘君       小坂善太郎君    杉浦 正健君       田邉 國男君    武部  勤君       玉沢徳一郎君    中島  衛君       保岡 興治君    柳沢 伯夫君       石橋 大吉君    沢藤礼次郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       前島 秀行君    安井 吉典君       武田 一夫君    玉城 栄一君       藤原 房雄君    吉浦 忠治君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤  隆君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      浜口 義曠君         農林水産省経済         局長      眞木 秀郎君         農林水産省構造         改善局長    松山 光治君         農林水産省農蚕         園芸局長    吉國  隆君         農林水産省食品         流通局長    谷野  陽君         農林水産技術会         議事務局長   畑中 孝晴君         食糧庁長官   甕   滋君         林野庁長官   松田  堯君         水産庁長官   田中 宏尚君  委員外出席者         外務大臣官房書         記官      東郷 和彦君         文部省体育局学         校給食課長   石川  晋君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 柏崎 澄雄君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     清川 佑二君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ───────────── 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   石破  茂君     倉成  正君   衛藤征士郎君     林  義郎君   川崎 二郎君     愛野興一郎君   近藤 元次君     村田敬次郎君   杉浦 正健君     稲村 利幸君   保岡 興治君     後藤田正晴君   山崎平八郎君     田中 龍夫君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     川崎 二郎君   稲村 利幸君     杉浦 正健君   倉成  正君     石破  茂君   後藤田正晴君     保岡 興治君   田中 龍夫君     山崎平八郎君   林  義郎君     衛藤征士郎君   村田敬次郎君     近藤 元次君 同月四日  辞任         補欠選任   石破  茂君     左藤  恵君   衛藤征士郎君     愛野興一郎君  遠藤 武彦君     三ツ林弥太郎君   川崎 二郎君     村山 達雄君   近藤 元次君     田中 龍夫君   杉浦 正健君     林  義郎君   保岡 興治君     村田敬次郎君   山崎平八郎君     池田 行彦君   児玉 健次君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     衛藤征士郎君   池田 行彦君     山崎平八郎君   左藤  恵君     石破  茂君   田中 龍夫君     近藤 元次君   林  義郎君     杉浦 正健君  三ツ林弥太郎君     遠藤 武彦君   村田敬次郎君     保岡 興治君   村山 達雄君     川崎 二郎君 同月十日  辞任         補欠選任   金子 満広君     山原健二郎君 同月十八日  辞任         補欠選任   石破  茂君     藤波 孝生君   遠藤 武彦君     鳩山由紀夫君   川崎 二郎君     山中 貞則君 同日  辞任         補欠選任   鳩山由紀夫君     遠藤 武彦君   藤波 孝生君     石破  茂君   山中 貞則君     川崎 二郎君     ───────────── 三月十四日  漁業災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第五五号)  農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案内閣提出第五六号) 同月三日  米の輸入自由化反対に関する請願市川雄一紹介)(第五三九号)  同(河村勝紹介)(第五七六号) 同月十一日  農林水産関係普及事業等交付金一般財源化反対に関する請願高沢寅男紹介)(第七八七号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第二八号)  漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)  農林水産業振興に関する件(農林水産業基本施策)      ────◇─────
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田一夫君。
  3. 武田一夫

    武田委員 私は佐藤農林水産大臣所信表明につきまして、何点か御質問申し上げます。  現在の我が国農林水産業内外ともに非常に厳しい状況の中にございまして、このときに農林水産行政最高責任者として日々を送られ、御健闘大臣に、その御苦労は想像以上のものがあると思いまして、その中にあって、どうかひとつ最後まで日本農業の発展のために御活躍いただきたいという願いを込めまして、また多くの農業者大臣の経歴からそのことを期待しておることを、私各地を歩きまして肌で感じている一人でございますので、一層の御健闘をお願い申し上げたい、こう思うわけであります。  そこで私はまず最初に、非常に厳しい農業情勢、いろいろな困難がございますが、こうしたものを克服して、いわゆる明るい農村希望と夢のある農村というものを構築することが今ほど大事なときはないのではないかと感じているわけでございますが、これまでの大臣の実績、経験等を知る者はそうした対応をできる大臣であるという期待をしているところでございまして、この難局の打開のために敢然と挑戦をしていただきたいと思います。そういう意味で、今申し上げました日本農林水産業の明るい未来希望ある未来というものを構築するためにはどういうふうにこれから対応していくべきであるとお考えか、まずその辺の御見解をひとつ聞かせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  4. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 御激励をいただきまして、恐縮に存じております。  これから希望の持てる農林水産業、こうおっしゃられました。まず農業の面で申し上げますならば、経営規模拡大が停滞をしておる、生産性向上の立ちおくれがある、農産物需給の不均衡、こうした問題にも直面しておる。また、内外価格差是正農業保護あり方等について内外から強い関心が寄せられている、これら全部あわせて考えてみますと、もう口で言えない厳しさがあるというふうに感じております。こうした中で、一昨年の十一月の農政審報告、これは言わずもがなでございますが、そこから報告をいただいた内容を踏まえまして、国民食糧国内供給力確保、これを図りながら国民から納得していただける価格での安定供給、これに努めることを基本として、また与えられた国土条件、非常に手狭ではございますが、そういう制約のもとで最大限の生産性向上、これを図るという考え方構造政策推進等にも各般政策を展開してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  もう農業はだめなんだ、だめなんだという声もしきりでございますけれども、そうではない、やはり豊作を喜べるような状況にするにはどうするか、需給均衡はもとよりでございますけれども、そういう物の考え方。今また農林水産業、こうおっしゃいましたので、水産関係で言えば二百海里時代の定着、こういうことをあわせて、これもまた対外的に非常に厳しい環境に置かれておりますが、沿岸漁業、第三次沿整、第八次漁港整備計画、こういうものを中心にひとつ努力していかなければならない。林業についても、一口で申し上げれば、これはもう山の機能森林機能、こういうものは一つの哲学がなければだめなんであって、山あり、また森林あり、そしてそこに川がありということで、やはり国民の中で各界各層にそのことをわかってもらう、そういう中での林業振興、そうした問題も考えていかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。
  5. 武田一夫

    武田委員 そこで、今くしくも大臣から、いろいろな暗いニュースばかりが多い。しかしながら、この暗い中にもしっかりと頑張っている青年後継者も多い。しかしながら、やはりこの暗いということは、東北など歩いてみますと全くこの暗さがひとしお深いものがありまして、その中で嫁の問題などは、特に三十代、四十代の方々で嫁が来ないというケースが非常に深刻であります。この間も私は山形県を二日ばかり歩いたのでありますが、そのときも、そういうことで山形県などは東南アジアの女性との結婚を進めてそうしたカップルが誕生している。山形のある方は、今嫁飢饉時代であるなどという辛らつな話をしているということでございますが、こうした嫁不足の問題というのも言うなれば農業の大きな暗い面の一つではなかろうか。こういうものへの対応というものを、これは今地方自治体やあるいは各種関係機関でいろいろとやっているけれども、これは非常に効率が悪いといいますかうまくいっていない。こういう問題なども解決できるというかそういう問題がなくなるときに、私は、農業等の大きな希望と明るさというものがそこに生まれてきたという一つの証拠になるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  また、例えばNHKのドラマなどを見ましても、農村を取り上げて、土の中に生きる、そういうドラマが余りにもない。要するに家庭ドラマの中にそういうものが出てこない。農家食糧生産に生きがいを感じた、そういう堅実な農家の風景を描いたドラマなどがそういうテレビ等々に登場してくるような、また登場させて、そういう暗さの中にもこういう明るい一面があるのだということを国民に知らしめていくということ、これもひとつ政策的な上で大事ではないかと私は感じるわけでございますが、そういう点については大臣、どうお考えでございましょうか。
  6. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 農村の嫁問題、お嫁さんの問題にも関連をして、明るくそして暗い部分を除去していくようないろいろな手だてをひとつ考えるべきではないか、こういう意味の御質問でございます。  嫁不足という問題になりますと、農村だけではなくてまた商店街もそういう問題を抱えておるということも話に聞きます。しかし、何といっても農村地帯では農業生産それ自体が非常な労働を伴うものであるということから、機械化された今日とはいいながら、非常に気象条件等影響をされる労働の厳しさ、経営の厳しさ、こういうものがほかとは違う側面を持っておるわけでございまして、そういうことについてやはりもっと私どもも、今までもやってまいりましたけれども、これからも現実のそれぞれの地域におけるそういう実態というものを頭に置きながら、そして政策を積み重ねていかなければならない。農村青年が都会からお嫁さんをもらって、そして生き生きとして採算性の追求をしながら農業経営に実効を上げておるというニュースも私自身承知をしておりますし、全部が全部そうだというわけでは決してない。しかしそういうことをもっと例示をして希望を持たせる、そして豊作が喜べるという状況にしていく、これが大事なことだなと思っております。
  7. 武田一夫

    武田委員 私たち後継者皆さんにお会いしたとき、若いお嫁さん方に聞きますと、農家が嫌いで来ないんじゃないという方々がやはり多かったのです。ただ、現実にはやはり農業経営の将来に希望がない、そういうところに不安と心配があるのだ。もし所得的に一般のサラリーマンと農家の所得が同じくらいだったらどうなんだと聞いたら、私たちはやはり農家に来ますよと言う、そういう方々がおりました。そういうことを聞いて私は、これは非常にうれしいことでもあるし、そういう条件整備をきちっとやることによってそうした暗い面の解消は間違いなくできるというふうに思って帰ってきましただけに、どうかひとつ今後の農業のそうした経営が成り立つといいますか、生活が十分にできるような環境づくり対応、これは十分な力を入れなければならない問題ではないかというふうに思っておりますので、ひとつ今後、先ほど決意にございました方向での取り組みをお願い申し上げたいと思います。  次に、二番目に御質問いたしますが、世界農産物貿易構造について農林省はどういうふうな掌握をしているか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 浜口義曠

    浜口政府委員 先生お尋ね世界農産物需給を達観して申し上げますと、一つは過去のことではございますが、過ぐる一九七〇年代に入って以降、過剰と不足の振幅の大きい変動を繰り返してきたというのが第一でございます。そういう状況を受けまして、最近特に八〇年代に入りまして、世界的な景気低迷による需要の伸び悩みと、米国あるいはEC等主要先進国等生産拡大、あるいは中国、インド等国内自給量向上前提にいたしまして大幅な過剰時代に入っている、過剰基調で推移しているというのが現在の姿だろうというふうに考えております。  しかしながら中長期に今後を見てみますと、世界農産物需給状況といたしまして、人口の増の問題がございます。あるいは経済成長に基づきまして飼料用需要増加する、食料の内容高度化が図られるということから飼料用需要増加する、さらにまた耕地面積増加のテンポが鈍化する、さらにまた気象変動等の増大や異常気象といったものが発生いたしました場合マイナス要因に働く。さらにまた、最近よく伝えられているところでございますが、過度の放牧あるいは森林の過伐等を前提といたしまして砂漠化が進行しているというようなことから、例えば二〇〇〇年を見た場合、中長期に見た場合必ずしも安定的でない、不安定の要素があるというふうに考えているところでございます。
  9. 武田一夫

    武田委員 私は、これから世界食糧状況というのは非常に大変ではないかというふうに思うのです。食糧供給というのがいつまでも現在のように安く大量に入るというような保証は全くない。これは今お話ありましたように、例えば中近東などでは生活様式向上するに従って食生活が変わってくる。肉などをたくさん買うようになる、飼料輸入がふえてくる、それが結局は日本にも影響してくるのではないか。金があるからいつでも買えるという状況ではなくなってくるのではないか、こういう問題があると思うのです。それから、国際市場に出る農産物の量は生産量のごく一部であるということも指摘されている。それから、輸出余力のある国は特定の少数国に限られていて、いわゆる売り市場になっているという状況、これは依然として続いている。それから、価格変動が大きいということもある。それから、先ほど話があったように、将来の人口増加に比べ食糧需給不安定要因が山積している等々という問題をしかと踏まえた幅広い視野で日本農業というものを考えなくてはならないというのが現実の問題だと私は思うのであります。  そこで、こうした観点に立ちましたときに、どうしても毎回問題にされる自給率向上の問題、これは重要な政策課題として取り組まなければならないものだと私は考えているわけでございます。主要先進国食糧自給率が、一九八三年、アメリカが一五〇%、フランスが一二一%、西ドイツが七七%、英国が七〇%、残念ながら日本は五三%、先進国最低の水準である。それでは一九七〇年代の自給率を見ますとどうか。アメリカが一一六、フランスが九八、西ドイツが六七、イギリスが四八、日本はそのとき五八であった。こう比較しますと、他国はいずれも自給率を高める努力をしてきた。その中にあって日本だけが低下したというのはどこにその原因があったのか、またこうした行き方を今後もとり続けていくものかどうか。いわゆる外国への依存度がますます高くなっているわけでありまして、数字から見ますと、我が国はもう七〇%が海外依存というところまで農産物自由化が進んでいるというわけでございまして、こうしたことを考えますと、今回十品目の自由化、このことによってさらに自給率の落ち込みというのが想定されるわけでありますが、こうした日本自給率の現状というものをどう考え、どのようにこれを今後改善していくかという問題についてお答えをいただきたい、こう思います。
  10. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 我が国食糧農産物総合自給率は七割程度を維持しておりますが、カロリー自給率では五割程度穀物自給率は三割程度となっております。これはもう委員承知のとおりでございます。これは、国土資源制約がある我が国では、畜産に必要となる飼料穀物の大部分輸入に依存せざるを得ないということ等によるものであります。しかし、食糧国民生活にとって最も基礎的な物資であり、一億二千万人に及ぶ国民食糧安定供給を図っていくことは農政基本的な役割であると考えております。  このため、毎々申し上げておるのでありますが、農政審議会報告を踏まえ、国民の納得し得る価格での食糧安定供給、これに努めることを基本として、与えられた国土条件制約のもとで可能な限り生産性向上、これを図っていくことを中心各般施策を展開していかなければならない。国内での基本的な食糧供給力確保に努め、米等現に国内で自給する体制が確立しているものについては、需給均衡を図りつつ国内自給を図ることが必要だと考えておる次第でございます。
  11. 武田一夫

    武田委員 食糧というのは国民の命を支える重要なものでございますだけに、各国ともその食糧生産に特に力を入れている。しかも農業は自然が相手でございます。そういう産業であるために、天候の影響も受けやすいというハンディを背負っている。それだけにしかと守りながら育てていく、これがやはり国の基本政策ではないか。さらに国際情勢に敏感であるということの要素もある。各国ともそうした問題を踏まえて、食糧生産というものは一国の安全保障の一環として保護振興にこれ努めてきたということではなかろうか。我が国もそうしたことを怠っていたわけではないのでしょうけれども現実がこうした食糧自給率という面の数字にあらわれているということを考えますと、今こうした問題を率直に反省して、我々としましても、今際限ない農産物自由化要求にきちんと歯どめをかけつつ断固たる決意国内農業保護振興を確立すべきときである。そのことをまた農家皆さんだけでなく、多くの国民が、消費者が特に関心を持って見守っている。これが今、日本農業に課せられた課題だと私は思うのでございまして、国内農業保護振興への取り組みについて大臣から御決意をいただきたいと思うわけであります。
  12. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほども申し上げておりますように農業の果たす役割、これはもう繰り返して申し上げません。急速な国際化の中でいろいろな国々がいろいろなことを言うわけでございます。それはもちろん頭に置きながらも、我が国食糧政策をどう進めるかということになりますと、やはり安定的な供給体制をつくり上げていく、しかし、どうしてもそれだけでは足りないということも委員御案内のとおりでございまして、足らざるところは安定的な輸入体制、あわせて供給体制というものをしっかりしたものにしていかなければならぬ。そういうときに自由化一つの波が押し寄せてきておることも事実でございますけれども我が国食糧政策はもうこれで終わりである、将来はないということになったのでは国として大変なことになりますし、大変なこと以上に国の存立にかかわることであると言っても言い過ぎではない、こういう考え方に立って私どもは真剣に今努力を続ける。しかし、あくまでも対外的には円満な話し合いによって我が国事情というものをわかってもらうという平和的な解決へ向けてまた努力をしておる、こういう状況にございます。
  13. 武田一夫

    武田委員 現実農業を取り巻く環境は、米をとれば減反また米価の引き下げ、牛肉も乳製品もサトウキビも値下げ、さらにパイナップル缶詰等自由化、拾い上げると全く悲観的な空気ばかりが農業の周辺に漂っている。その中から力強く頑張れと言うならば、それだけの対応をやはり我々としては十分になさなければならない。国はこういうときこそ日本農業をどう守るかという点についての明確なる農政方向というものを提示しなければならないし、すべきことが責任であるし、またそれが大事な課題だ、こう思っておりますので、大臣中心としてひとつ今後の対応に万全の構えで臨んでほしい、このことをお願い申し上げる次第であります。  次に、質問外交の問題でございます。  せんだっても話が出たわけでありますが、総理府の外交世論調査の中身を見ますと、欧米先進国の対日市場開放要求に対して、日本が積極的に応ずべきと考えている人は四人に一人、二六・四%、しかし、国内事情を考慮し慎重にすべきだと考えている人は三四・二%、率先して市場開放はすべきでない、これが二〇・九%、いわゆる慎重派というべきものが過半数を占めているわけであります。こういう国民世論というものを大事に政策の中において考えなければならない、こういうふうに思うわけでありますが、今厳しいこの自由化要求の攻勢の中にあって、国民世論というのはどのように受けとめてどのように対応していくつもりか、外務省も含めましてこれは大事な今後の課題であろう、こういうふうに思うわけでありますが、御見解をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  14. 東郷和彦

    東郷説明員 お答え申し上げます。  日本国民が、欧米の対日市場開放要求ということに対しましてどのように感じているかということにつきましては、今回の世論調査の結果を含めまして外務省としましても強い関心を持って勉強しているところでございます。先生御指摘の今回の結果につきましては、日本の対外不均衡是正の過程においていろいろ国内的に困難な問題が出てくる、この問題について十分配慮することが必要であるという国民の認識を示しているというふうに思いまして、真剣に受けとめているところでございます。同時に、今回の世論調査の結果では、大幅な日本の黒字を削減していくという大きな方向性につきましては、政府政策努力というものについて国民の理解を得られているというふうに受けとめております。  そこで、今後の対応につきましては、このような大きな流れの中で、個々の問題についての対応について過ちがないよう全力を尽くして適切な対処をしてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  15. 武田一夫

    武田委員 農林省としては、例えば市場開放問題で米国の動きが非常に声高でございますが、果たして米国農家の声が反映しているかという面について、そういう情勢をどういうふうにキャッチしているかという問題であります。  山形県の農協中央会の会長が話しておりましたが、ガットの総会と同じころに日本アメリカ、カナダなどの生産農家の集まりがあったそうであります。そこで米国のファーマーズ・ユニオン、いわゆる自営農家組合というのですか、このカーペンター会長という方が、市場開放は穀物メジャーを利するだけだ、我々には余りこれでうまみがあるということはないのだという話をされていた。こういう農家の代表が、市場開放は穀物メジャーを利するだけだ、そういう話をしていたというようなことを聞きますと、こうした問題をやはりもっともっと知りながら、アメリカに対する我々の、また国の対応というものを十分になすべきじゃないか。  各地に行って聞きますと、どうもアメリカの理不尽な要求を受け過ぎるのじゃないか、言いなりになっているのじゃないか、我々農家、農民の声というものは全く向こうに通じていない、そういう不満はもうあちこちで聞かれるわけでございまして、日本代表というがだれの農林省なんだという声も聞かれているわけでございます。また、日本外交の幼稚さというかまずさといいますか、あるいはまた人間的なつき合いの弱さというか、そういうものがもろに出ているということも聞いております。  例えば先般のガット理事会の様子をちょっと聞いたときに、確かに米国の主張がむちゃなところはわかる、不合理だというのはわかる、こういう国々は多くいたそうでありますけれども、しかしながら、それじゃ日本に協力してくれるかというとみんな我関せず、こういうことであった。ということは、私は、これは今後の外交といいますか、やはり日本を本当に理解し、日本と一緒になって物を考えるという方々が多く周辺の国々に出てこなければいけないのではないか、こう考えると、これは外務省だけの問題でなく、各省庁、農林省においてもそうした外国とのつき合いを日ごろ平常の中でしかとやる、また、相手にもそれなりの利益やそういうものを与えるというか、相互援助のできるようなつき合いが必要でないかということを痛感するものでございます。  こうした問題につきまして大臣は、関係国との友好関係に留意することを所信表明の中で強調しているわけでございます。私は、この点は今後非常に重要な課題となって日本の将来の明暗を決めるものではなかろうかと思うわけでございまして、この件について大臣に、今後関係国との友好関係のさらなる深い、そして心と心の結びつきが可能なまでの友好関係を進めていただきたいという願いを込め、大臣の御見解をお聞かせいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  16. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 非常に貴重な御意見を承りました。やはり常日ごろが大事である、これは国内においてもそうであります。お互いふるさとにおいてもそうだろうと思います。しかし、対外政策を論ずるとき、話し合いをするときには常日ごろがいよいよ大事であるという認識を私自身深めております。そういう言い方をしますと、外務大臣の言うべきことを横取りしたようなことになるかもしれませんけれども、そこはそこ、縦割り行政ではなくて行政もやはり横の連携を保ちながら対応をしていく。であればこそ二月一日、我が省で八品目についてのプロジェクトチームを編成するに際しましても、関係大臣御同席の上、話し合い、申し合わせをした経緯もこれあり、そういう考え方に立ってこれから——もう世界じゅうでみんなが言いたいこと言うわけでございますから、そういう中にあってもやはり譲るべきものは譲る、譲れないものは譲れないのだということを具体的にわかってもらうにしても、常日ごろというものが大事だなとつくづくと感じ入っている次第でございます。
  17. 武田一夫

    武田委員 ひとつ懸命にそうした方向への取り組みをお願い申し上げたいと思います。  さて、二月のガット理事会で、日本政府はパイナップル缶詰を含む農産物の八品目の自由化勧告を受諾したのでございます。このことで我が国農業は一段と厳しい市場開放体制のもとにさらされたということでありまして、農家皆さん方にとっては非常に残念なこと、そして大変な選択を政府はとったのだということで深刻に受けとめておる、これは現実農家皆さん方の心情でございます。そして今度は牛肉の番か、こういうふうに心配をしています。米政府は四月以降の全面自由化、あるいは早期の自由化時期を明示する以外交渉の余地はないと強硬な姿勢をとり続けているということでございまして、眞木局長が先日日本の代表として現地に行かれましてお帰りになったわけでございまして、大変御苦労なさったと聞いておりますが、どういう状況であったのか、その状況、そしてそれに対して今後どういうふうに対応するつもりなのか、その点をひとつ簡潔にお聞かせいただければ、こういうふうに思います。
  18. 眞木秀郎

    ○眞木政府委員 牛肉、かんきつの問題につきましては、これまでの経緯も踏まえまして、昨年来機会がありますごとにアメリカ側に対しまして一刻も早く話し合いのテーブルに着いて二国間で現実的な解決を目指すべきだということで働きかけを行ってきているところでございます。ことしに入りましても二月それから三月十五日と二回にわたりまして訪米をいたしまして、USTRその他向こうの関係者に対しまして話し合いのテーブルに着くよう強く要請をしたところでございます。  しかしながらアメリカは、お聞き及びのように自由化時期の明示をしない限り交渉のテーブルには着かないという強い態度を今日まで崩しておりません。二月の際には、仮にこのまま三月末の現行の約束の期限が経過する場合には、これはアメリカにとって大きな問題であり、ガット提訴も考えなければならないというようなことを申しましたし、また今回は、アメリカ基本的立場というものは、あくまでこの四月一日からの自由化を求める。しかし、その自由化時期明示ということに関連するわけでございますが、日本側が自由化について長い期間を必要とするならば、その場合には代償の問題も生じてくるであろうというような非常に強い態度で臨んできておるわけでございます。三月末にかけての日数、ごく限られたわずかな日数になったわけでございますが、我々としてはあくまで当方の考え方自由化は困難である、あくまでも話し合いによる解決をしたいということで懸命の努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  19. 武田一夫

    武田委員 なかなか厳しいやりとりがあったようでございまして、今後相当また御苦労なさるんじゃないかと思います。  牛肉は、御承知のとおり全国の農家で生産されておりまして、米とともに今後の日本農業の基幹作物と位置づけられているものだと私は思うのであります。その牛肉の扱われ方によっては、これは間違いなく日本農業の将来を左右する重大な問題になりかねない。今までとは事が違う。我が国の畜産、酪農全体を直撃する重大な事態になることは必至であります。こういうことを考えましたときに、政府は今こそ重大な決意で断固として日本の牛肉生産農家を守ること、その一点に心をとどめて交渉に当たるべき、私はそういう決意でいると思うのでありますが、そうお願いをしたい。  先日の新聞によりますと、安倍幹事長は十八日、竹下首相と会って牛肉問題で農林水産大臣を訪米させるべきとの進言をしたようでございます。佐藤大臣、何か新聞によりますと、私が行ってもどうなるのか、意味がないですよなんていう記事がございました。板挟みで揺れる農林水産大臣なんていう記事がありますが、これはこの新聞社の書き過ぎであって、そんなことはない、大臣は当初から時が来れば私は行くんだという決意を決めていたように聞いております。政府としてもいよいよ大臣の出番だというふうに伺っているわけでございますが、大臣としては一日も早く米国に乗り込んでいって、そしてしかとした対応の中で、日本生産農家が本当に一生懸命やってくれているんだ、そういう行動を期待したいと私は思っておるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  20. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 いろいろ今御意見をお聞きしながら思い出しておったのでありますが、行ってもしようがないよというような言い方をしたことはないと私は思います。しかし、一部の報道、新聞等一部ではございますけれどもいろいろなことを書かれて、私も困惑をするときがしばしばでございますので、新聞の活字をもとにしての議論は私は差し控えたいと思っております。もし質問者に質問をする機会が許されれば、それはどこのどなたがお書きになったのかと聞きたいところでありますが、それを言ってはならない、こう心得ておるわけでございます。  私は、安倍幹事長が竹下総理に要請をされたという話も報道で見ました、また読みました。読みましたけれども、私自身に対する何の指示も、指図もございません。しかし言わずもがな、農林水産省が責任を持って対応をしなければならぬことは言うに及ばず、そして関係各省との関係も出てきた場合には内閣一体となってこれを処理する、こういうことが必要でございましょうし、私は、今テーブルがまだつくられていないときに行ってもしようがない、一日も早くテーブルがつくられることを期待いたしておる、こういうことを申し上げてきたわけでございます。
  21. 武田一夫

    武田委員 農家皆さん方の不安を解消するためには、自民党の皆さんの中にも、自由化拒否を貫き、米国がガットに提訴するなら受けて立つくらいの気概でやらなくちゃいけないんじゃないかという議論もあるそうでありますが、これは国民農村皆さん方の心の代弁者でなかろうか、私もそういうふうに痛感をするわけでございまして、そのときが来たらこの決意でとにかく適切果敢に、敏速に対応しなければならない、そのことを私は心から期待をしております。  新聞の記事は、私もかつて新聞記者の端くれとして、正しいことを本当に国民のために、あるいは皆さん方のためにしかとした報道を流すのが新聞の役目でありますから、いろいろ大臣が苦労しているのを私は知っております。そういうようなことのないように、これはこの場で私も宣言させていただきまして、今後あれば我々も一緒になって、そういうマスコミが国民に迷惑をかけ、国に迷惑をかけるようなことはするべきでないということをはっきり断言させていただきたい。そういう意味大臣も、そういうことが言われるような言動とかそういうものをみじんも見せてならぬというかたい決意はひとつしかと持っていただきたい、これをお願いするわけでございます。  というのは、先ほども申しましたけれども、やはり日本農業の将来を考えますと、この牛肉の自由化というのは、間違いなく日本農業を守る最後のとりでにならなくちゃならない。これが破られれば、米の自由化というのは間違いなく怒濤のごとく押し寄せるという心配が深刻に農村消費者の中にも根強く浸透しているからでございまして、日本の安泰のための最大の攻防戦である、その意味佐藤大臣農林水産業最高責任者として歴史に名前が残されることを期待しているわけでございます。  そこで次にお尋ねします。自由化することを決めたパイナップル缶詰の問題について多少お尋ねをします。  大臣も先般沖縄を訪ねまして、現地の皆さん方と御懇談なさいまして、現地もつぶさに視察をされてきまして、地元の皆さん方の要望につきまして最善を尽くしたいと最大限の激励をされてお帰りになったと聞いております。私たちも去る三月の十五、十六日、大久保書記長を団長としまして神崎国際局長、水谷、吉浦そして玉城、私と農林水産のメンバー全員と、地元沖縄の県会議員白保そして宮城、市会議員の高良、こういう地元の議員総勢十五名、二日間各地をつぶさに視察いたしまして、関係各界からいろいろの要望あるいはまた陳情等をちょうだいしてまいりました。  そのときも、一番最初に出た言葉は、大臣から最善の善処を尽くすという激励を受けた、我々はそれに期待をしているということでございました。大久保書記長は佐藤大臣の人柄を話しながら、佐藤大臣は農民思いの人一倍強い方であり、誠実に物事を実行する信頼あるお方であるから、その一言は間違いなく実行することを期待して構いませんよ、こう申し上げまして、我々も最大限の努力をして政府と一体になり、皆さん方の苦境を克服するために頑張ることをお約束して帰ってまいりました。先ほど、その代表三人が時間の都合で少しではございましたが大臣に申し入れ、陳情いたしたわけでございます。その中で、特に私は現地の皆さん方が非常に深刻に悩み、そして期待している問題につきまして、大臣そして関係部局の皆さん方からお答えをちょうだいしたいと思うわけであります。  それは、生産者の皆さん方は、パインの産業としての体質の強化のために自分たちもこれから一生懸命やろう、やりますと、こういうかたい決意でございました。県農協中央会長も、このことについては我々自身が一生懸命努力することがまず大事だという決意でございました。しかしその努力、その決意が実るためには政府の力強いバックアップも必要であります。そこで、パイン産業の体質強化のために国としてぜひバックアップしてほしいということで要望を受けた何点かのうち、以下質問申し上げたいと思います。  一つは、この生産基盤の整備の問題について積極的に取り組んでほしいという御要望がございました。それから二番目には、優良種苗N六七—一〇の配給について、しかとした対応をしてほしいということでございました。三番目は機械化による省力化、経営規模拡大に十分対応できる条件整備をしてほしいということでございました。それから生食パインづくりを進めたい、そのための対応をしかとしてほしい、この四点がまず各地で聞かれた要望でございました。この点についていかが取り計らっていただけるものか、その取り組み方について御質問申し上げるわけでございます。御答弁をいただきたいと思います。
  22. 吉國隆

    吉國政府委員 パイナップルの自由化に備えての対策という意味では、御存じのようにプロジェクトチームで今鋭意検討を行っている段階でございますが、沖縄のパイナップル産業の体質強化という問題につきましては、これは自由化問題とは別に従来からも進めてまいっておる課題でございまして、ただいま先生からお話のありました四点につきまして、ごく概略どういった考え方で取り進めているかということを申し述べさしていただきたいと思います。  まず、基盤整備の関係でございますが、機械化等を推進していくためにも基盤整備が非常に重要でございますので、農道、作業道の整備等を中心といたしまして各種の基盤整備を行っているところでございます。  また、優良種苗の配付の問題につきましては、従来品種に比べましてかなりの多収になる、また品種的にも固定しておりまして安定した収量が上げられますN六七—一〇というのがございまして、これの早急な普及を図るということで優良種苗の増殖、配付の事業を実施いたしておるという状況にございます。  三点目の機械化の問題でございますが、最近開発をされました防除、収穫等を行いますための多目的な作業機械、これを初めといたしまして、省力化を図るために重要な機械化の推進を取り進めているところでございます。  第四点の生食用のパイナップルの問題につきましては、沖縄のパイナップルの独自の風味を生かして生食用の完熟パイナップルを育てていく必要があるというふうに私ども考えているところでございまして、時期によりまして糖度が十分でないという問題をカバーいたしますためのビニールハウスの整備、こういったものを進めているところでございまして、こういった形で総合的に体質強化を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  23. 武田一夫

    武田委員 農家皆さん方は、こういう厳しい中でもそういういろいろな条件整備対応していただくことによって外国との競合に打ちかとう、特に生食につきましてはこれから本格的にてこ入れをして、おいしい、新鮮で甘味の高いものをつくるという意欲に燃えておりました。この問題については、特に今後ひとつ大きな課題になると思います。そういう意味で、現地の細々とした要望を十分に聞き取っていただいて、ひとつ皆さん方の生産意欲がいや増して高まり、こういう厳しい中でもきちっとそれを乗り越えられる力をつけさしていただきたい、このことを私はお願いする次第でございます。  次に、水田農業確立対策についてお尋ねをいたします。  ことしもまた減反面積の上積みが行われるようでございまして、農家皆さん方の大変苦慮しているところでございます。どこへ行っても、いつまで減反は続けるつもりなんだ、いつになったら減反は終わるんでしょうかと聞かれるわけであります。我々が農家皆さんや関係団体に行ったときに、減反というのはしなくてもいい、もう安心してくださいよといつになったら答えることができるんでございましょうか。その点の御指導をお願いしたい、こう思うわけであります。
  24. 吉國隆

    吉國政府委員 先生承知のように米の需給の安定を図り、またその基礎の上に価格の安定を図るということは非常に重要な問題でございまして、ここ十数年来計画生産をしつつ、農業生産性向上を図っていくという視点からの対策が進められているわけでございますが、こういった計画的な生産の手法というものについては、なおその必要性があると私ども考えているところでございます。
  25. 武田一夫

    武田委員 生産性向上を図れということで一生懸命増産すると、今度は余ったからその分減反せよでは、これは悪循環の繰り返しではないか、まことにそのとおりだと思うわけです。私たち生産性向上なんて言わないで、十とれるところを八ぐらいとれ、田んぼをつぶすよりはその方がいいのではないか。それもそうだな、十とれるところを七にして田んぼはやはり全部生かしていきたい、こう言う人もいるわけであります。手抜きをして米をつくれとは我々言えないし、国もそうは言えないでしょうけれども現実にはそうしなければならないようなところまで追い込まれている。農家皆さん方が一生懸命手入れをしていいものをつくる努力をするところに一つの生きがいと喜びがあるわけでございますから、この点はやはり本気になって考えてあげないと、後継者もその親の、先輩の姿勢を受け継ぐのではないでしょうかね。そういう意味で、今回米の過剰対策として米需給均衡化緊急対策というのを打ち出しました。生産農家皆さん方は本当に涙ぐましい消費拡大です。どういうようなことをなさっているか、実態をつかんでいたらお聞かせいただきたい、どうでしょうか。
  26. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、水田農業確立対策を七十七万ヘクタール、六カ年の計画で稲作、転作物をあわせましての生産性向上に努めるといったラインで努力をしていただいておるわけでございますが、最近の作柄あるいは需要の動向といった状況の中で、来年度緊急的に三十万トンの需給調整をさらに実施しなければいけない、こういうことでこの需給均衡化緊急対策をスタートさせようとしておるわけでございます。その対策の中におきましては、地域の創意工夫を生かした需給ギャップ縮小のための努力を精いっぱいやっていこうということがその一環としてございます。  現在までに生産者団体等による消費純増策の取り組み状況を取りまとめて御報告いただくことになっておりますが、最終的にまとまっておりません。しかし、その中におきまして私ども耳にしておりますのは、農協等による備蓄を図ろうではないか、あるいは米の加工食品等についての原材料の供給、製品の引き取り、さらに米菓についての原料米の供給、製品の引き取り、さらには生産者団体等による米飯学校給食の推進というようないろいろな取り組みがございます。そういった取り組みを進めると同時に、他用途米の生産、さらには需要開発米についての努力、そういったものも並行いたしまして今回の対策、生産、在庫調整、消費拡大、各分野におきます努力を尽くそう、こういう趣旨で努力をしてまいることになっております。
  27. 武田一夫

    武田委員 私は山形へ行ったら、酒二本とオランダセンベイ何箱かをお米と取りかえて消費拡大するとか、あるいは玄米ジュースをつくるとかおかゆをつくって販売するとか、いろいろ御苦労しているようでありますが、米消費拡大対策の具体的な九つのタイプというのを示しましたね。学校給食、純米酒、米菓、米加工食品、行事用のお握り、地方自治体等による備蓄、料理講習会用の米、農協の米加工食品展示備蓄、アフリカなどへの救援物資、その他創意工夫によってできるものがあれば、これもやはりカウントするということなのでしょうか。  その場合どういう方法でそれを認めるのかという問題ですが、例えば私の地元では、ある農協がスーパーを持っているわけです。その周辺は学生さんが多いものですから深夜まで物を買いに来る。だから焼きお握りとかをつくって販売して対応したい、こういう場合はどうなんでしょうかと聞かれたけれども、私わかりませんから、ちゃんと聞いてきて、これをカウントできるようにお願いしてきます、こう言ってきたのでありますが、これによってかなり消費できるというような一つの具体的な例であります。こういう問題については、これも消費拡大のタイプの中のその他という中で処理されるものかどうか、あるいはそのほかにそういうものが出てきたときはどういうふうにしてこれを認めていただけるのか、この点について具体的に聞かせていただきたい、こう思います。
  28. 甕滋

    ○甕政府委員 米の消費拡大に取り組んでいただきます場合に、それがこれまでの消費のレベルよりもふやすものであること、純増であることといったことが実はこの際の条件といいますか要件になっております。そのために各計画ごとに食糧事務所が関係団体の方とも御相談をいたしまして、ケースごとにそれを決めてきておるところでございます。たまたま九つのタイプということで考えられるものを参考までにお示したことはございますけれども、それに当てはまらなくても純増につながる御努力があり、かつそれが一定の純増になるといった認定ができますものについてはできるだけ前向きに取り上げていこう、こういう考え方でございます。たまたま宮城県におきましては、御飯もう一杯運動といいますか、農協がお米を保管いたしまして、それを精米の形で農家供給をして農家消費をふやそう、生産世帯におきましても最近米の消費減少が目立っておるものでございますので、そういった形で何とか純増に持ち込もう、こんな御計画もありまして、これは一定の割合で純増と認めよう、こうした経過もございます。  ただいまお尋ねの具体的なケースにつきましてはちょっと私の耳に入っておりませんけれども、そういう認定にあるいは要件に合致するものかどうかという判断が一つあろうかと思われます。
  29. 武田一夫

    武田委員 それから、おいしい米を食べさせることによって消費を伸ばそう、こういう努力が県内各地あるいは他県でも進んで、いわゆるササニシキを学校給食にという地域がふえています。ところが、これは負担がばかにならないわけです。農協と町、市で負担すると言ってもかなりの財政負担で戸惑っている地域が出てきたわけです。一回ふやせばいいんだが、二回ふやすとなると大変でございまして、宮城県内の例を申し上げますと、今、一週間に五回米飯給食をやっている市がございます。こういうところはもうこれ以上ふやすわけにいかぬということですが、そういうところにまで持っていこうということで、二回を三回、三回のところは四回というふうに、しかも地元のおいしい米ということで、多賀城という農協はもう既に始まっている。それから古川という農協を中心とした古川市、これも始めよう、その近くの小牛田という町も始めよう。しかしこれは試算してみるとばかにならない。小さな町で六百万くらい負担しなくちゃならないというので、計画したのだけれども、金をどこから出すのだということになって今足踏みをしている。  こうなりますと、これは学校給食ですから文部省にもお願いして、何らかの形で、全部とは言わないまでも、やはり国の助成による消費拡大一つのはずみをつける取り組みが欲しいなと私は思うのですが、この点どうでしょうか。そうすれば、多少のものはやはりお互いに補てんしようという気持ちはあるのです、町も市も農協も。ところが、その金額が大きくなってくる。一週間に一回ふやすというのが二回になる、三回になるとなると、これはとても学校給食という問題では——しかも、実際問題ササニシキと政府米では生徒が食う量が違う。うまくて足りないと言っているものですからもっと食わせたい。これは現実家庭からも喜ばれているわけですから、やはりそういう本当の食味のものを食べさせて大人にするというのが大事なことでありまして、うまくないものを食わせておいて大人にしてそれでおしまいにするというのは、いかにもこれは今の米消費拡大の中ではまずいと思うわけで、私はそういうおいしい米を、地元の米を学校給食の中でというその運動を進めるためのバックアップをひとつ農林省も文部省等も考えてほしいと思うのですが、どうですか、この点は。
  30. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいまお話ございましたような学校給食を通じまして米の消費拡大、さらには将来の日本人の食生活を望ましいものに導いていこう、こういう考え方、私どもも従来から文部省とも相談をいたしまして学校給食の米飯給食を推進しておるところでございます。この緊急対策におきましても、学校給食面におきます需要拡大努力というものにも、これはメニューの主要なものの一つとしてお示しいたしまして取り組んでいただいておるわけです。  そういった中で、各地で今お話ございましたような政府米でなくて自主流通米、おいしい米でこれを伸ばしていこうという動きも数多く見られるように思います。その多くは現在の学校給食に対します私どもの助成制度、これは政府米を五割から六割値引きをいたしまして供給するという制度をいわば下敷きにいたしまして、その上にそれを自主流通米で置きかえて、さらに量的な拡大もねらおう、こういう形が多いように思います。恐らく多賀城等のケースもそれであろうかと思いますが、これは政府助成とそれから農協等の自主努力と合わせて一本という形で行われておりますので、では一体どの分が消費の純増になるか、こういう問題にもなるわけでございますけれども、極力そういう御努力を私どももカウントしていくという趣旨から、政府の助成のほかに皆様方の御努力の分を二分の一ということでカウントいたしまして、その分が純増になるというような認定もいたしましてその推進方を図っていこう、こういう考えでございます。
  31. 武田一夫

    武田委員 そのときの財政的な負担が相当深刻に農協とそれから町に、市にかかってくるわけです。それでやろう、いいなと考えたけれども、計算してみたらこれはべらぼうになっちゃう。そこで今苦労しているわけなんです。ここのところを何とか研究していただきたい。それは丸々政府米と同じにするというのは無理ですから、二分の一の純増をカウントするというならば、やはり助成ももっと、そういう自主流通米については財政負担を何らかの形で少し軽減してやる、そういう研究をしていただかぬと、これはいずれ、特に市、町とかという自治体の方がへばっちゃうようでして、それで結局農協の方に全部丸々来てしまう。それならば農協もそんなにというところで足踏みしてしまうというところでございますので、これはひとつ今後の研究課題として取り組んでいただければ、こう思います。答弁はもういいですから、ひとつお願いしたいと思うのです。  それから、農家が今そうやって一生懸命頑張っているのですが、やはり農業を支える多くの関係機関がございます。そういう方々もあわせて一生懸命消費拡大のために頑張っていかなくてはいけない、こう思っていました。ところが、新聞で見ましたら、北陸農政局の方で三月一日から職員を中心に消費拡大を推進しているということであります。まことに結構なことでございまして、何か消費拡大推進班というのを設置しまして、「食べようごはん!あと一杯」というキャッチフレーズ、「毎朝欠かさずあさご飯」のキャッチフレーズで取り組んでいる。農家皆さん方もさぞかし元気づけられているのではないか、こう思います。非常に結構な、非常にいいことだと思うのであります。  これは北陸農政局でなくて、まず本省から始めたらどうでしょうか。今本省には職員が何人いるのですか。もし一人が一日一杯、家族合わせて何人いるかわからぬけれども、どのくらいの人数でどのくらい消費拡大ができるか。もし計算できていたら聞かせていただきたい。そして、農政局はほかにも東北農政局等々あります。これを合わせるとどのくらいになるものか、数でも聞かせてもらえればと思います。そしてそれに関係する諸団体がございます、外郭団体もございます、まずそういうところから取り組んだだけでも相当消費拡大が進むのじゃないか、こう思うのでございますが、どうでございますか。その実態を含めてひとつ御見解を聞かせてもらえれば、こう思います。
  32. 甕滋

    ○甕政府委員 今御指摘ございましたように、農林水産省が率先をして米の消費拡大に努めるべきであろうというお話は私どももそのとおりと思っております。  これまでも、米の生産調整の事業をスタートさせます際に、閣議におきましてもその話題を出していただき、また私ども自身の省におきましても、率先垂範をするという意味合いで、もろもろの行事あるいは会食等の際に極力米の御飯を提供する、あるいは酒類を使用するような場合には日本酒を使うといったようなことでその定着が図られてきているわけでございます。特に需給の不均衡が厳しさを増している昨今におきまして、農林水産省、地方農政局あるいは食糧事務所、さらには地方公共団体の職員等がみずから米の消費拡大努力を重ねていくことは重要であると考えておるわけでございます。これまでも「米まつり」でありますとか「農林水産祭」あるいは「消費者の部屋」といった場におきまして、お握りとか米料理を実演して、試食会の開催を行うといったことも行っております。また食糧事務所、地方農政局等によりましては、例えば五と八の日を「ごはんの日」ということで、庁舎内で食堂の米飯メニューの拡大あるいはお握り弁当の販売を行うというふうに、あらゆる機会をとらえて米消費拡大取り組みを進めているところでございますが、そういった取り組みを今後さらに強化いたしまして、この需給均衡下におきます消費拡大一般の推進を図ってまいりたいと考えております。
  33. 武田一夫

    武田委員 余りこの問題は深追いしませんので、ひとつ懸命に取り組んでください。御飯食って糖尿病になったなんて言われると困りますから。  そこで、やはり食べ物というのは、子供のときから舌でつかんだものはずっと大人にいっても続くものだ、いわゆる舌で覚えた食歴というのは一生を支配するなんてことを言われておりますが、年齢別に見ましても、六十歳以上の一日の米の摂取量は二百二十四グラムだそうでありまして、成長期の十代の方々はその半分だ。これは食生活の変化もあるのでしょうけれども、やはり舌で覚えた食歴というのがかなり影響がある。御飯とみそ汁、おしんことか、サンマにイワシとか、そういう一つの食生活のパターンがありますね。今日本型食生活というものの定着促進ということをいっていますが、日本型食生活というのは具体的には何だと聞かれると、例えば、御飯一ぜん半にイワシを一匹とか、みそ汁一杯とか、おしんこが何とか、あるいは卵焼きが何とかというような一つのパターンというものが、やはり国民の中にこういうものだというものが頭の中にぱっと入ってくるようにまでPRしないといけない、こういうふうに私思っているのです。  一体日本型食生活というのはどういうものなのかひとつ具体的に、一般消費者国民がわかるように説明をしてもらいたい。この食生活が健康の上で非常にいい一つの姿なんだということであるならば、健康というものが大事な今の世の中でございますから、それをあらゆる分野に浸透させながら、その中で米というもののあずかって大きい分野というものを強調することは重要な我々の責任でもあろう、こう思うのでございます。そういう点からこの問題についてひとつ御答弁をいただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 谷野陽

    ○谷野(陽)政府委員 我が国の食生活は長い歴史の中で培われてきたものでございまして、ただいま御指摘のような、従来の米、魚、野菜を中心といたしました伝統的な食生活のパターンに肉類、牛乳、乳製品、果実などが豊富に加わって多様性があり、バランスのとれたものとなっているというふうに評価をされておるわけでございます。このような日本型食生活というのは、我が国の内部ではもちろんでございますが、諸外国からも大変健康にもよい、こういうことで注目をされておるわけでございます。  日本型食生活というのはメニュー的には一体どういうものであるか、こういうお話でございますが、今申し上げましたように、従来の米、魚、野菜を中心といたしました伝統的な食生活のパターンのみが必ずしも健康にいいというふうには言いがたいところもございます。肉も大事でございますし、牛乳もカルシウムの摂取上非常に有益である。また果実の摂取も最近はふえておりまして、これまた健康にもよろしいわけでございます。全体として、よく言われておりますPFC、たん白質と脂肪と炭水化物のバランスというものが、現在の日本の摂取形態というのはほぼ理想の形に近い、今後これがヨーロッパでございますとかアメリカでございますとかに見られますように、脂肪の摂取が過多になっていく、あるいは動物性のたんぱく質に偏重していく、こういうようなことがむしろ起きないように誘導していくということが日本型食生活として国民のコンセンサスを得られる方向であろうと考えておるわけでございます。ただ、このようにPFCというような抽象的な話ではわからないではないか、こういうお話もまことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、いろいろと幅広い観点からいろいろな提案を含めました啓発運動をやってまいりたいと考えておるわけでございます。  食生活はそれ自体としては、毎日の食生活としての極めて私的な側面が非常に強いわけでございまして、やはりこの定着、普及ということになりますといろいろな啓発活動というようなことが中心になってくるわけでございますが、そういう中で日本型食生活のよさというものも次第にいろいろな調査によりますと浸透いたしてきております。そういう方向でさらに努力をしてまいりたいと考えております。
  35. 武田一夫

    武田委員 問題なのは、日本型食生活を定着させれば米の消費拡大というものが間違いなくそれによって進むのか。パンがそれの中に入ってきて、パンの方が進んだとか、そばがいいとかなんというのでは、日本型食生活が定着したら消費減退なんというふうになれば、これは何のためにこのときに日本型食生活を出したのかと言われかねないわけです。日本型食生活というのはやはり米が中心的な食糧として、それをやっていけば、一食ふえなくても二分の一食は間違いなくふえるとか、そういうところに結びつくものかという問題も含めて聞きたいわけですが、この点はどうですか。
  36. 谷野陽

    ○谷野(陽)政府委員 日本型食生活の定義というのは人によりましていろいろ違うわけでございまして、いろいろ世論調査を私どもいたしております。食料品消費モニター調査というのもその一つでございますが、日本型食生活のイメージとして、米飯、みそ汁、漬物、魚などの日本の伝統的な食事というものが非常に多い時代もあったわけでございますが、最近では、このようなものに肉、乳製品等が多様に加わったバランスのよい食事というふうに受けとめられておるわけでございます。私どもといたしましては、パンを食べたら日本型食生活でなくなるというところまで言うつもりはないわけでございますけれども、最近では諸外国におきましてもいろいろなものを、例えば穀物でございますと全粒の形で食べるということが大変健康にいいというようなことも言われておるわけでございまして、米飯というものが日本型食生活一つの重要な基礎であることには間違いないというふうに考えております。
  37. 武田一夫

    武田委員 その問題はそれでいいでしょう。  ところで、子供のときから御飯をおいしく食べる、御飯はおいしいものだという習性を身につけさせる必要があるとなりますと、今小学校等から給食ですが、保育所や幼稚園の段階から、御飯というもののありがたさとおいしさというものをやはり体験させていくことが重要だ、こう思うので、これは厚生省、文部省、何らかの形で、国を支えるそういう子供さん方に、お米というのが日本の重要な穀物である、食糧であるということを体で感じさせながら、将来間違いなく米を中心として健康でたくましく、優秀な、かわいい、すばらしい、そういう人間が育つ、そういうものをやはり誘導していく必要があるんじゃないかと思うのです。それは難しいとかなんとかいうのですが、それは難しいからこそ一生懸命みんなで努力して、どこかでそれをやり得る何かを見つけ出すという必要がないか、私はこう思うのです。きょうは厚生省と文部省の方もおいでになっていますので、農林省は大いに賛成というふうに決まっているわけでありますから、その二つの省の関係者の方に御答弁をいただきたい、こう思います。
  38. 石川晋

    ○石川説明員 文部省におきましては、米飯給食ということについては、私ども小学校、中学校そして定時制高等学校ないしは特殊教育の諸学校におきましては学校給食というものを実施しているわけでございますが、その中で米飯給食の普及を図っておる。その趣旨といたしましては、先生御指摘のように我が国の風土に適した、食糧事情を配慮した、かつ給食内容の多様化を図る、大変教育的に有意義であるということで五十一年来実施しているものでございます。  御指摘のように、子供のときから食事をするという中で好ましい食習慣を育てるということでございますから、学校給食でおいしい御飯をいただいた子供たちは、大人になってもそういう食生活というものをつくっていくであろうというふうには考えているわけでございます。というわけで、昭和五十一年来スタートいたしまして、現在では、学校給食はおおむね週五回でございますが、平均いたしまして御飯の給食というものが週二・二回というところまで来ている現状でございます。さらに今後週三回を目指して、なおおくれている、特に都市部で平均回数等がまだまだ少ないのでございますが、そういったところについて指導を強め、実施回数等を漸進的に週三回に近づけていきたいというふうに考えている次第でございます。
  39. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げます。  保育所におきましては、親と子の触れ合いなどを考慮いたしまして、施設におきましては副食を提供し、主食につきましてはそれぞれの御家庭から持参していただくという格好にいたしているところでございます。しかしながら、各市町村あるいは施設がそれぞれの御判断で、地域地域の実情を勘案いたしまして米飯などによります完全給食を実施することについてはそれぞれの御判断で差し支えない、かようにいたしているところでございます。
  40. 武田一夫

    武田委員 やはり今一貫教育ですから、場所によっては幼稚園と小学校が一緒になっている地域も出てきています。学校給食の量をふやすことはそう問題はない、それをやれるような方向考えさせれば幼稚園から保育所からきちっとやれる、間違いなくそういう体制はございます。制度的にどうしてそれができないのかということを考えると、やはり文部省と厚生省ともう少し仲よく、お互いに日本農業日本の米を大事にしよう、子供を大事にしよう、そういうお互いの共通の土壌の中で物を考えるという姿勢を持ってもらえば、何も余り難しいことなくスムーズにできるんではないか、こういうふうに思うのです。  子供さん方に聞きますと、御飯の方がおいしい。残さない。これは間違いない事実でありまして、おいしく食べて帰ってくる。残さない。これは小学校をあちこち回りますと間違いない事実です。ですから、何もパンを食うなとは言いません。日曜日はパンを食ってもいいのです。土、日くらいは食ってもいいのですが、最低基準の中で、やはり必要な食生活の根幹としての米に対する親しみの度合いを小さいときからきちっと植えつけていくということをみんなでやらなくてはいけない、こういうふうに思うわけでございます。この問題についてはまた今後いろいろの角度から取り上げたいと思うのですが、ひとつ一層努力をしていただきたいなと思います。  それからもう一つ、国会の周辺の食堂の米はうまくないですね、大臣。国会の中にある食堂がありますが、米が余りうまくないですね。ここは陳情とかで随分人が集まります。ここで本当のおいしいものを食わせるように、どうでしょうか、新潟と宮城で米を提供しては。ここに来まして、本当においしいと言って帰った人はいないです。やはり食糧政策としては、一番人の集まるマンモス消費地帯です、ここは。何か改善を考えたらどんなものでしょうか。それでここから消費拡大がどんどん進んでいく。どうでしょうか、大臣
  41. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 国会の食堂、議員会館の食堂も含めてのことなんでしょうが、米がまずいというお話でございますが、私が調子に乗ってそれに受け答えして、立法府のそういう施設について何かコメントをしたということになるとこれはいかがなものかな、このごろ非常に慎重になっておりますので、発言は注意しております。  しかし、おまえ食べてどうかと言われれば、まあ少しずつはうまくなってきたんじゃないかな。かつて私は参議院の庶務小委員長、自治会長をやっておったことがございまして、食堂等についても口を挟む立場にございました。衆議院の方も参議院の方もそういう意味での職掌を持たれておる方々がどのように配慮をされるか、委員の方からでも立法府の立場においてそういう方々に言われた方が進みやすいのではないか。私がやったのでは、それじゃ農林省の食堂の米の方がうまいと言うのかというようなことでいきなり言われても困ります。しかし農林省の食堂の米はどうかと言われれば、農林省の食堂の米は前よりは随分おいしくなってきた。他の関係省庁でも食べに来られる方が相当あると聞いております。私も実は大臣室で食事をするときは農林省の食堂の御飯を食べております。
  42. 武田一夫

    武田委員 それじゃ農林省と同じくらいうまい米をいろいろな角度からやらなくてはいけないということで、何かみんなと相談して対応したい、こう思っております。  最後に水産庁にお尋ねします。ソ連漁船の寄港問題についてお尋ねをしたいのですが、私の宮城県の塩釜市は二度目の寄港指定を受けまして、これは当初から反対、反対、絶対だめだと言ったけれども結局は指定港として船が入ってくるようになった。日ソ漁業交渉による利益を受けているということを踏まえてやむを得ないとしても、地元の受ける経済的、精神的、肉体的な苦痛というのは並み大抵じゃない。これに対して国は責任を持ってこたえなければならないと思います。  それで、以下二点につきまして、ひとつ十分なる対応を私はお願いしたいと思うのであります。  まず一点は、今までは三県の中で回ってきたんですが、やはり一道五県、いわゆる受益各港の持ち回り制というのを少なくとも今年の六月までにきちっと示してほしい。でなければ絶対に今後はもう応じない、これが関係者の主張でございます。この点をどういうふうに考えているか。それで、北海道や青森、岩手はなぜ受け入れ不可能なのか、その理由。  二点目は、いろいろなそれにかかわる余分な経費は全額国が持つことは当然至極、この問題をしかとしなければやはり困るわけでありまして、自治体が余分な持ち出しによって苦労している、この現実を踏まえて対処していただきたい。  この二点についてお答えいただきたい、こう思います。
  43. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今年度のソ連の寄港の問題につきましては、いろいろと地元の方々に御迷惑をかけているわけでございますが、来年度以降の扱いにつきましては、来年度の交渉ということもございますけれども、寄港が地元の市民生活にいろいろと与えております影響の大きさということにかんがみまして、先般寄港決定いたしました際にも、大臣から寄港問題取り扱いのルールづくりということにつきまして天下に公表すると同時に、我々に対しましても検討方をお命じになったわけでございます。我々といたしましては、その方向に沿いまして関係県の担当の課長等々も招致いたしまして、現在その寄港問題取り扱いのルールづくりというものについてどういう方向があるかということにつきまして協議をせっかく始めている段階でございます。  それから、なお今お話がございましたように宮城県なりそれからその前に認めました二県、これ以外でもソ連の漁業との関係で受益しているところがある、そういうところもという話でございますけれども、これにつきましては、それぞれの地域につきまして漁港の立地の問題でございますとか交通上の問題でございますとか、あるいは国政全般の問題でございますとかいろいろな問題がございまして、従来といいますか、この五年間は三県ということで取り進めてまいったわけでございます。  それから、ソ連漁船の寄港に伴いますいろいろな経費の負担についてでございますけれども、地元の経費の軽減を図るということから、外国漁船操業対策費というものを、六十三年度で申し上げますと約八千万円計上いたしておりますし、それから、これからソ連漁船の寄港に伴いましてあるいは特別の財政需要というものが地元に生ずるということも考慮されますので、そういう際にはぜひ特別交付税の配分に当たって考慮していただきたいという形で関係省庁に対してこれから働きかけてまいりたいと思っております。  それからさらに、地元からいろいろ寄港にも関連いたしまして、地元の水産の振興のための諸施策、こういうものにつきましても御要望が出ておりますので、できるだけそういうものにつきましては当方において円滑に対応いたしまして、地元対策について万全を期したいというふうに考えている次第でございます。
  44. 武田一夫

    武田委員 その協議の結果というのはいつごろまでに出すつもりですか。
  45. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 これは、実は率直に申し上げまして、今年度の寄港も今年度限りの措置としての外交交渉の結果寄港を認めたということになっておりまして、寄港というものを外交上継続して認めるという形には相なってないわけでございます。しかし、これだけ五年間続いてきているという既成事実がございますので、まさかの場合に備えて何とか協議を進展させたいということで国内の調整のルールづくりというものを志しているわけでございますけれども、いつまでということはなかなか切りがたいわけでございますが、できるだけ早くこういう方向づけというものができた方がそれぞれの関係者の御納得なり御安心というものがいこうかと思いますし、それからルールづくりの後のいろいろな調整というものもあろうかと思いますので、できるだけ早く方向づけだけは完了したいというふうに考えている次第でございます。
  46. 武田一夫

    武田委員 いずれにしましても、これは受け入れる立場の皆さん方の現状を考えると大変なのでございまして、そういうことを考えれば早急に安心した方向を明示してやってほしい、このことを私は強く要望いたしまして質問を終わらしていただきたい。何か五分食い込んだものですから、五分早目に終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  47. 菊池福治郎

    菊池委員長 神田厚君。
  48. 神田厚

    ○神田委員 大臣の所信に対する質問を申し上げたいと思っております。既に予算委員会等で何点かの問題につきましては佐藤大臣考え方をお聞きしておりますが、きょうは問題を絞りまして大臣にいろいろと質問します。  最初に、ただいまの武田議員の質問の中にもありましたように、今農業に携わっている生産農民の皆さん方から、これから先の農業についての展望を持てない、その希望を持てないというような悩みを随所で聞かされるわけであります。やはり日本国といたしまして、農業というものを今後国政の中でどういうふうに位置づけていくのかということが極めて重要な問題だというふうに私は考えておりますが、農林水産大臣のお考えをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  49. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 現在我が国農業は、経営規模拡大の停滞、生産性向上の立ちおくれ、農産物需給の不均衡などの諸問題に直面し、また内外価格差是正農業保護あり方等につき内外から強い関心が寄せられるなど極めて厳しい状況にあることは委員承知のとおりでございます。こういう中にあって先行き展望ということになりますと、二十一世紀へ向け農政の進むべき方向として、もうしょっちゅう言っていることではございますけれども農政審議会から報告をいただいておりますので、農林水産省といたしましてはこの報告を踏まえて、国民食糧国内供給力確保を図りつつ国民の納得し得る価格での安定供給に努めることを基本として、与えられた国土条件等の制約のもとで最大限の生産性向上、これを図るという考え方のもとに構造政策の推進など各般施策を推進してまいりたい。あるいは月並みな答弁であるとお思いかもしれませんけれども、こういうことによって日本食糧政策というものを国民各界各層が理解してくださって、そして供給体制がつくり上げられていく、足らざるところは安定的な輸入、これをつけ加えまして万全を期していかなければならぬ、こう思っております。  そのためには、生産者、流通関係、消費者のニーズ等々いろいろございます。それでまた、こうした場における御議論等も頭の中に置いて進めていかなければならない。生産農家におかれましても、今のままではだめだ、何とかしなければならないという意欲は私自身も感じておりますし、その意欲にこたえる。そしてたまたま世間でよく言われることに、全部ではございませんが、何か豊作になるとそれが罪悪のごとき言い方をされる場合も私どもも耳にすることがあるのでございますけれども、それは間違いである、豊作はいいことである、需給のバランスを図りながら、汗水流してつくったものが、育てられたものが喜んでもらえるという原則だけはっきりしておれば、将来に農業希望がないとかなんとか言われることはないのではないか、そういうことを繰り返し繰り返し申し上げておるところでございます。
  50. 神田厚

    ○神田委員 一昔前の農民というのは、米をつくる場合も誇りを持って米をつくった、自信を持って米づくりに励んだ。ところが、現在は、ただいま大臣からお話もございましたように、何か後ろめたいような気持ちで米づくりをしなければならない、こんなふうな状況であるわけであります。私は、やはりそういうところに非常に問題があるというふうに考えておりますが、大臣御答弁のように、外国とのいろいろな関係の中で、国際化というふうな状況もございますし、自由化というような国際的な圧力もあるわけでありますが、そういう中で日本農業を守るという基本姿勢を明確にしていただかなければならないと思っております。  私は、現在のアメリカ等々が要求をしております市場開放の要求というのは極めて不当な部分が多く、さらに理不尽だというふうに思っております。それは、今回眞木経済局長に御苦労いただいて、訪米をしいろいろと話し合いを進めたようでありますが不調に終わっている、あるいはさきにこの農林水産委員会理事等々がアメリカに行きまして通商代表部のスミス次席等々と話し合いをしたけれども、彼らの態度は我々に対しましてまさに極めて不遜であります。今度の自民党のいわゆる議員団の皆さん方も、向こうに行ってそれを大変如実に感じてこられたという新聞報道でありますけれども、やはりこの問題のとらえ方に日本政府の甘さがある。もちろん農林水産省も風当たりが強いのでありますけれども、認識におきましていささか米国考え方と違う感じ方があるのではないか、こういうふうに思っております。  と申しますのは、私は向こうへ行っていろいろジャーナリストやその他の多くの政府の高官や議会関係者と会いましたけれども、彼らの中の主流は、これは日米の経済戦争だ、こういう認識を持っております。相手が経済戦争だ、経済戦争だというような認識を持っているのに対しまして、我が国政府はそれに対して平時の構えで応戦をしているというところに、私はこの問題のらちが明かないところがあると思っております。眞木経済局長が行って、初めに自由化ありきだ、この自由化の問題についての明確な回答がなければ交渉のテーブルにも着かないというような発言は、これはまさに言ってみますれば、そういう考え方から推論していけば宣戦布告であります。宣戦布告であるという認識を日本政府は持たなければならないと思っております。  ですから、大臣先ほど答弁したように、私は特に大臣に要望したいのは、この時期においては従来の交渉のやり方でこの問題に対応してもらちが明かない、したがって、テーブルに着くような条件が整わなければ大臣が訪米しない、あるいは訪米できないというような考え方であってはこの問題は解決しないし、日本政府はさらに追い込まれて譲歩を迫られるだけだと私は思っております。ですから交渉を打開するためにも、農林水産大臣が一回行ってそれで問題が解決するというような従来の交渉のやり方を変えて、何回でも訪米して、大臣がだめならば総理大臣が訪米をして話をつけてくるぐらいの気構えでなければ、この市場開放問題は日本にとっていい解決の方向にはならないと私は思っております。  そこで、大臣の方でもいろいろ従来の交渉がありますからなかなか決断ができないのでありましょうけれども、私は、今言ったような意味において大臣は早期に訪米をして、そしてトップ会談を繰り返しながらこの市場開放問題について日本政府の国の毅然とした意思を示すべきだ、このように考えておりますが、御答弁をいただきたいと思います。
  51. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今お話の中に、日米経済戦争であるという認識、これに立って物事を進めないとそう甘いものではないぞ、こういうお話でございます。であるから、何回でも行ってぶち当たれ、こういうお説でございます。  私はアメリカが、農産物だけではなくて、先般の東芝の問題にいたしましても、いろいろな部分日本側の対応に不満、不満を超えていら立ちを感じておる。しかし同時に、それを私ども自体が、農産物の問題一つ考えましても、ガットの法理上の言葉を引用してテーブルに着こう、両国首脳の例示をした牛肉、かんきつの問題に触れ、そして、テーブルに着いて話し合おうということでやってきているのを、それを否定しようとはしていないようでございますけれども、一向にテーブルづくりに応じてこない。そして一定の要件を掲げて、なおかつまたこの間は代償云々という話がございましたから、私自身にもいら立ちはありますが、忍んで忍んで、こらえてこらえておる状況でございます。余りにも理不尽なことが出てくるとするならば、その真意を確かめなければわからないけれども、言われるとおりのことであればはなはだ不愉快なことである、こういうことを予算委員会でも答弁をいたしました。  もちろんこの場におけるやりとりも、予算委員会におけるやりとりも逐一アメリカにもすぐ伝わる、こういう今日の国際化時代でございます。私自身は私の言った言葉に責任を持たなければなりません。そして、経済戦争と言われるようなことに私がまた、それ、向こうがそういう態度であるから我々も戦争だと言ったのでは、このテーブルづくりをすることをまた阻害する結果になる。でありますから、あくまでも平和的に話を進めるというスタンスは崩してはならぬ、粘り強く交渉に当たる、こういうことでございまして、委員おっしゃるように、従来のものとは違うよというその意味の中には、過去における量をふやせ、減らせという議論ではなくて、自由化をどうするかという話の議論でもございますので、私自身は慎重に慎重に構えておる、こういうことでございまして、その責任ある行動というものは、今日現在、じっと眺めておることも責任ある行動だと私は思っておるわけでございます。
  52. 神田厚

    ○神田委員 大臣のそういう姿勢も私はわからないわけではありませんが、別に経済戦争に応酬をしろということではありませんけれども、向こうがそのぐらいの認識で、そのぐらいの決意でいわゆる日本国の市場開放を要求して、最終的には日本国の市場アメリカが占有するというような戦略的な考え方のもとに行動に出ているものについて、小手先ではもう問題の解決ができない、やはり大臣がみずから誠意を持ってアメリカに行って我が国の立場を明確に説明していかなければならない、私はこういうふうに思っているのです。  引用なさいましたが、東芝問題、古くは半導体、さらに近くは水産、捕鯨問題、そしてもっと近い問題では公共事業の参入問題でアメリカの言っていることは、もうことごとく我々にとりましては、何を目的にどうしてこういう理不尽な行為に出るのか、これは推察すればいろいろありますけれども、全くわからない。言ってみればレーガン政権の一つの、例えば農業問題にしてみれば、レーガン農政の失敗を、日本をたたくことによって国内農業の目を日本に向けさせている、みずからの責任逃れをしている、選挙を前にそういうふうなことをしているとうがった見方をせざるを得ないような状況だというふうに感じられます。今この市場自由化問題が黒船の来襲と比較されるようなことがよくあるようであります。当時大変日本の国が開国を要求されて、非常に理不尽な要求をのまざるを得ないような状況とまさに似てきております。  この間ちょっと、たまたま福沢諭吉の「学問のすすめ」を読んでみますと、「天は人の上に人を造らず」という、これは人間の平等、人権宣言でもございます。それと同時に、その本の中で福沢諭吉翁は国家間の平等についても同じように説いております。つまり、我々は理があるならばアフリカの、これはその当時のことでありますから黒人奴隷ですね。その人たちの言うことにも耳を傾けなければならない。しかし道に背いているのであれば、イギリス、アメリカの艦隊、その当時はイギリスの方が先であります。イギリス、アメリカの艦隊に向かって、国民一人残らず恥辱を受ければ死ぬ覚悟で戦っていかなければならない、こういうことを言っております。私は今の日本政府に求められているのは、武力でどうだこうだということではなくて、やはり日本の国の本当に独立と安全を守るという意味からいいましても、特にこの市場開放問題の中で食糧問題についてはそれくらいの気持ちで対応していかなければならないんだ。この食糧問題、農業問題できちんと対応できれば、いろいろと波及をしている自由化の問題についてもっときちんと日本国として対応ができるんだ、こんなふうに考えております。したがって私は、大臣は非常に慎重でありますけれども大臣みずからが訪米をして事の打開に当たるように改めて強く要望したいと思っております。
  53. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 訪米することについて私がちゅうちょしておるというふうに受け取られたのでは私の真意が伝わっていないと思います。外交交渉でございますから、私の言葉一つ一つ、自分自身で言い聞かせながら、特にアメリカ側にどう反応して、その結果についてどう結びつくであろうかという予測も頭の中に置きながらということになると慎重な発言になるわけでございます。慎重もいいけれども決断せよというお話でございますが、私は異常な決意を持って今日の事態を見詰めておるということでございます。
  54. 神田厚

    ○神田委員 眞木経済局長お尋ねをしますが、非常に難交渉であったというふうに聞いております。しかし今後のいわゆる交渉の段取りといいますか、それはどのような形で進めるつもりでありますか。
  55. 眞木秀郎

    ○眞木政府委員 この十五日、十六日に訪米をいたしまして、USTRスミス次席代表ほか関係省庁の者と会いまして、改めて先月に引き続き交渉のテーブルに着くように強く要請をしたところでございますけれども、その結果につきましては委員も言及なさいましたように、米側がその自由化時期の明示ということでなければ交渉に入るわけにはいかないという強い態度に終始し、さらにはまた、アメリカ側の基本的立場として四月一日から自由化すべしということを言いつつ、もし日本側においてその自由化の時期——明示をするということの仮定に立ってでございますけれども、長い期間を要するようであれば代償の問題も出てくるといったような非常に強い姿勢で終始をしたわけでございます。そういう意味で、非常に情勢は厳しいものがあると受けとめております。先月訪米をいたしました際には、この三月三十一日の期限が切れた場合にはガット提訴という話もしておったわけでございます。  そういうことで、残された日数は非常に限られておるわけでございますが、その間在米の大使館等々を通じましてのいろいろな連絡等々あらゆる情勢の把握を踏まえて、この残された期間にどういうことができるか、今鋭意努力をしておるところでございます。最後まで先ほど大臣の申し上げた方針に従って努力をしてまいりたいということでございます。これは官側の話ではございませんけれども農業団体も近くその責任者が訪米をするというようなことも聞いておりますし、あらゆる面での努力が今最後の限られた期間の中でございますけれども続けられるということであろうかと思っております。
  56. 神田厚

    ○神田委員 私は農林省が非常に頑張っておるのはよくわかっておりまして、理解もしておるのです。そこで、閣内のこの問題に対する考え方がどういうふうになっているのか。つまり外務省あたりの考え方は、農林省などの行き方とまたかなりニュアンスの違う対応をしているというところに非常に問題があると思っているのです。ですから農林省としましては、外務省あるいは通産省等々との間でこの市場開放問題についてもっと綿密に連携をとりながら交渉問題についての進め方を研究してもらいたい、これをしっかりとやってもらいたいということを要望したいというように思っております。  次に、自由化と多少関連がありますが、輸入食品の安全性の問題、特に輸入農産物の安全性の問題について二、三質問をしたいと思っております。  これは日本農業新聞が二月の十九日に記事にしたものでありますけれども、いわゆる輸入農産物の安全性、その中で収穫後に使用される農薬、ポストハーベスト・アプリケーションの実態報告が明らかにされました。これによりますと、米国の残留許容値は日本に比べ大幅に甘く、また米国からの輸入農産物に農薬が残留されていれば我が国の食品衛生法違反の疑いがあることが明らかになってきております。このため、この報告書の中では、現行の残留農薬基準の拡充整備を強く求めておりますけれども、この点について農林省及び厚生省はどういう認識をお持ちでありますか。
  57. 吉國隆

    吉國政府委員 ポストハーベストの農薬問題について、農林水産省は農薬取締法を所管しておる立場でどう考えるかというお尋ねだと思いますが、農薬取締法の対象となります農薬の中には収穫物に対するものも含まれるわけでございます。現にポストハーベスト用に用いられます薫蒸剤等について農薬として登録をされているものがあるわけでございまして、こういった薬剤の申請があれば、私どもは厳正な検査の上で問題のないものについて登録をするということになっているわけでございます。  ただ、農薬取締法は国内で使用されます農薬についての規制でございまして、外国での薬剤使用の結果としてやってまいります輸入食品の安全性の問題、これは基本的には食品衛生行政として厚生省の所管にかかわる問題であると考えているところでございますが、いずれにいたしましても食品の安全性ということは非常に重要な問題でございますので、私ども農薬行政の観点から、この点でどのような対応ができるかという点については厚生省とも御相談をしながらなおよく研究してまいりたいと思っております。
  58. 内山壽紀

    ○内山説明員 お答えいたします。  農薬のポストハーベストという形態の使用方法は現在国際的に広く認められておりますが、我が国ではほとんど農薬取締法で認められていない状況にございます。ポストハーベストとしての使用を含め残留農薬につきましては、国際機関であるFAO及びWHOにおいて残留基準値が示されておりまして、米国を含め諸外国では、この国際基準値を参考としつつそれぞれの基準が設定されていると理解しております。我が国の食品衛生法に基づく残留農薬基準につきましては、これまでも計画的に実態調査、安全性情報の収集に努めてきたところでありますが、輸入農産物等の増大を踏まえ、今後ともFAO、WHO等の国際動向を把握しつつ基準の設定について作業を進めていきたいというふうに考えております。
  59. 神田厚

    ○神田委員 これは、全国農協中央会が日本子孫基金という団体に研究委託を行ったものの結果でありますが、今幾つか問題点が出ております。ただいま答弁に触れられた部分もございますが、そこで明らかになりましたのは、「米国のポストハーベストは五十八品目。その内、十五品目は日本では天然物や食品添加物とされている。残り四十三品目が農薬で、四十三品目のどれかの農薬が残留していれば、その輸入農産物は食品衛生法違反の疑いがある。しかし、行政はEDB(二臭化エチレン)を除く四十二品目にまったく対応していない。米国のポストハーベスト残留許容値は日本に比べ大幅に甘い」基準になっている。幾つか例がたくさん出ております。日本で五ppmというのがアメリカでは一〇〇PPm、こんなふうな二十倍の数値が出ているというような大変な状況もあります。これは、今まで対応できてないということについて、今後輸入農産物が非常に多くなる状況の中でこのまま放置しますとこれは非常に大きい問題になるはずでありますから、どのような形でいつごろまでにこれらの問題について検討を進めるのか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  60. 内山壽紀

    ○内山説明員 ポストハーベストの農薬使用につきましては、今後農薬取締法による使用方法の規制と、それから食品衛生法による残留農薬基準の整備を図っていくことが重要と考えておりまして、関係省庁の協力を得ながらその基準の整備に努めていきたいという考えでございます。
  61. 神田厚

    ○神田委員 これは既に何回も例がある問題でありまして、幾つかの実例があって、それに対しましても厚生省等は対応してない、こういう問題点の指摘もされております。一つは、実例を申し上げますと、日本農業新聞の一九八三年五月二十日によりますと、米国から輸入されている冷凍ジャガイモ加工品にクロロプロファム、IPCが検出されたことがある。一九八〇年二月の「食品衛生学雑誌」によると、輸入小麦から殺虫剤のマラチオンとフェニトロチオンが検出されたということがある。スミチオンのことですね。あるいは輸入かんきつ類に食品添加物として指定されているOPP、TBZが東京都立衛生研究所の研究では発がん性及び催奇形性があることが確認されている。これらについてどういうふうな対応をなさいましたか。
  62. 内山壽紀

    ○内山説明員 今先生御指摘の具体的なものについての我が国の取り扱いについて御説明さしていただきますと、クロロプロファムは我が国では除草剤としての使用が認められておりますが、米国ではジャガイモの発芽防止のためにポストハーベスト使用が認められているものというように理解しております。それからマラチオン、フェニトロチオンにつきましても我が国では穀類等に使用が認められておりますが、諸外国では小麦にポストハーベストの使用が認められている例がございます。それからOPP等のものにつきましては、日本においてはかんきつ類などの防カビ剤として使用が認められております食品添加物でございまして、これらは多くの諸外国では農薬のポストハーベストとして使用が認められているという状況になっております。
  63. 神田厚

    ○神田委員 ですから、それに対して、こういう検出されたものについてどういう対応をなさったかという質問をしたわけですが、恐らく答弁ができないんだと思うのですね。対応していない。ですから、ただいま関係省庁とも検討をするということでありますから、ひとつ農林省も主体的に、この問題についてどうしても法の整備が必要だ、現行法では十分に対応できない、新しい法制が必要である、こういうふうに私は考えておりますが、その点について農林省としてはどういうふうに考えておりますか。
  64. 吉國隆

    吉國政府委員 農薬として国内で使用されるものについての規制は、先ほど申し上げましたように安全性を検査いたしまして、必要な登録基準等を定めまして、またそれに則した使用方法を求めていく、こういった考え方でやっているわけでございます。  御指摘の食品衛生法上の残留基準というものをどう整備していくかという問題は厚生省の所管に属する問題でございますが、私ども農薬行政の立場から、必要な情報の提供等御協力できる点はもちろんのこと、可能な対応については厚生省ともよく相談をしてまいりたいと考えておりますが、ただいまお話しの立法措置という問題につきましては、なおよく研究してみる必要があろうかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 神田厚

    ○神田委員 大臣ちょっと席を外しておりましたときに、輸入農産物の安全性の問題について質問いたしました。ポストハーベスト、収穫後に農薬を使う、これはアメリカや先進国でかなり多いのでありますが、日本の方ではそういうことが余りないものですから、法律的な問題も含めて行政の対応が抜け穴だらけだというふうなことの指摘が研究機関から出されております。したがって、この輸入農産物の安全性の問題について、厚生省あるいは環境庁等との協議のもとに少なくとも法の整備まで持っていかなければならない問題だと私は思っております。この安全性の確保の問題について農林省もひとつ主体的に取り扱っていただきたい、こういうふうに要望申し上げているところでありますが、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  66. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 この間、予算委員会でも食糧の安全性という問題について問われました。安全でないものは食糧と言わない、こういう言い方を私したわけでございますけれども、事ほどさように安全対策というのは重要でございますし、今、委員おっしゃるように法の整備までということになりますと、私は、それはそうだとか、いやそこまでやらなくていいということを答えられるほどの見識をただいま現在持っておりません。しかし、農林水産省といたしましては、専門である厚生省と連絡をとりながら、これから特に国際化が進むにつれて食糧の安全性の問題というのはいよいよ重大になってまいりますから、そういう意味で真剣に検討をするということにいたしたいと思います。
  67. 神田厚

    ○神田委員 それでは、林業問題について大臣並びに林野庁長官お尋ねをしたいと思っております。  四全総では、森林林業を第三の柱として都市と山村の交流、こういう問題を提案しております。我が国の社会経済の発展にとりまして森林の公益的機能の発揮、林産物の安定的供給は極めて重要な問題であり、森林林業・林産業の活性化は現下の緊急課題であるというふうに考えております。林野行政を預かる林野庁として、森林林業をどのように位置づけ、林野施策の中でどう取り組むのかを伺いたいと思います。  さらに、我が国の人工林は千五十万ヘクタールに達しておりまして、二十一世紀には国産材時代の到来を林野庁は予定しております。そのためには、その間における山づくりの手入れが必要であるわけでありますが、具体的な取り組みをどのように考えているのか。  さらに関連しまして、地域林業振興を進める上で、森林組合の体質強化は極めて重要で緊急な課題であります。昨年森林組合法の改正を行ったところでありますが、その後の具体的な対策はどうなっているのか、この三点についてお伺いをします。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今委員おっしゃる基本的な我が方の姿勢についてだけ簡潔に申し上げておきたいと思います。残余は林野庁長官に答弁をさせます。  森林は木材の供給のみならず、国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能を有しており、林業の活性化に通ずる森林の健全な育成は国政上の重要な課題であると認識をいたしております。また四全総についても触れられましたが、その目的とする国土の均衡ある発展を図る上からも森林林業振興は必要欠くべからざるものである、こういう認識をしておるのでございます。このため農林水産省といたしましては、木材需要拡大、造林、林道等林業生産基盤の整備等各般施策を一層推進するとともに、森林の総合的利用を促進し、山村の振興に資するよう努めていく考え方でございます。国民各界各層に山、森、川、この一連の機能というものを十分認識をさせる努力をしなければならぬ、かように思っております。
  69. 松田堯

    松田(堯)政府委員 国産材時代の到来が見通されているところでございますが、このため、昨年森林資源に関する基本計画を改定いたしまして、複層林の造成あるいは育成天然林施業の推進等、これからの全体的な森林政策の見直しを進めたところでございます。  また、間伐につきましての御指摘があったわけでございますが、現在、人工林が一千万ヘクタールできつつあるわけでございますが、その約八五%が間伐を必要とする状況になっております。五十六年度以降間伐総合対策等を進めているところでございますが、成果は上がっておりますもののまだ十分ではございません。今後とも作業道等の基盤の整備あるいは集団的、組織的に間伐を推進する、さらにはコストダウンのための機械の開発、改良を進める、こういったような施策を総合的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  さらに、森林組合の関係についての御質問があったわけでございますが、昨年本委員会におきましても御審議を賜りまして森林組合制度の改正を行ったところでございます。森林組合の事業範囲の拡大あるいは合併等によります組織経営基盤の強化等について推進を図ることにいたしておるところでございます。その制度の改正目的を達成させるために、森林組合系統と森林所有者あるいは地域林業関係者等との連携協調を図ることなどによりまして、森林組合の新規事業への積極的な取り組みを推進しているところでございます。  六十三年度におきましても、国民の多様なニーズに対応した森林整備のモデルづくりをねらいといたします信託の森等の整備推進事業、あるいは森林組合を中心にいたしまして地域の協業化、共同化を進めまして、地域材の産地化形成を図るためのモデル事業を実施することといたしております。今後ともこのような施策の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
  70. 神田厚

    ○神田委員 林業労働者も同じように大変後継者難というような状況でございますが、それらについての対策とかいろいろお伺いをしたい面がございますが、時間も来ておりますので、最後に、小中学校の教科書からあるいは指導要領から林業の項目が抜けている、これらの問題について、やはり国土を守るという意味では、学校教育の中で林業の問題を少し考えさせた方がいいのではないかというようなことが進められており、文部省でも検討を進めている、これについて林野庁としては今後どのように取り組んでいくのか。  さらに、六十一年十二月の昭和六十二年度の税制改正大綱において方向づけをされて、六十二年十一月の関係省庁及び関係者間で合意を見た森林整備基金の目的、内容、その効果等々について、簡単で結構でございますから御答弁いただきます。
  71. 松田堯

    松田(堯)政府委員 委員御指摘のように、小学校の社会科の教科書から林業に関する記述が五十五年度になくなっております。私どもとしてはこれは非常に大きな問題だと考えておりますので、その後文部省に学習指導要領にその復活を申し入れているところでございます。これを受けまして文部省では小学校の指導書、これは学習指導要領の解説書に相当するわけでございますが、これに林業に関する記述を入れていただいております。ことしの秋学習指導要領の改訂が行われるというように聞いておりますので、引き続き文部省等に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、森林整備基金の関係についてでございますが、森林に対する国民のニーズが非常に多様化しておりますので、その整備につきまして国民の参画を求めて森林基金の整備を進めよう、このように考えているところでございまして、その使途につきましては、森林の整備利用等に関する調査研究あるいは普及啓発等の事業を行うことといたしたいと考えております。なるべく早い機会にこの基金の造成を図りたい、このように考えております。
  72. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  73. 菊池福治郎

  74. 山原健二郎

    ○山原委員 問題一つだけに絞ってお尋ねをいたします。  ハウス栽培用電力料金の問題ですが、これに対しまして農家の間に相当大きな不満が広がっています。昨年の十二月にこの委員会で私は次のように問題を提起しまして農水省の見解を伺ったのですが、それは、一つは、農業用かんがい排水などの電力は農事用電力料金が認められているのに、ハウス栽培用電力には適用されず、高い低圧電力料金を徴収されている。二つ、ハウスで加温に電力を使用する期間は冬場の四カ月程度でございまして、電気未使用の八カ月間も毎月基本料金の半額を徴収されている。三つ目が、ハウス栽培用電力が冬場の夜間という電力需要の底となるときに使用されていることに着目をし、料金引き下げで需要拡大を図ることは、電力業界で大きな課題となっている負荷平準化の促進にも大いに役立つ、こういうふうに理由を申しました。  これに対しまして農蚕園芸局長は、通産省にも働きかけていきたい、努力をすると御答弁をされました。しかし残念ながら、ことし一月一日実施に移された電力料金改定では是正されるに至らなかったわけですが、この間の経緯につきまして、努力をしていただいておりますが、簡単に御報告を願いたいのであります。
  75. 吉國隆

    吉國政府委員 ただいま先生お話しのように、ハウス栽培用の電力料金につきまして要請があるわけでございまして、私ども、先般先生からのお尋ねがありました際に申し述べましたように、この問題については料金改定の都度いろいろと通産省にも働きかけを行ってまいっておるところでございます。昨年の料金改定時期、昨年の十二月でございますけれども、その際にもいろいろと働きかけをいたしたわけでございますが、お話ございましたように、昨年の料金改定では、この問題については残念ながら前向きの措置がとられなかったという状況にございます。今先生お触れになりましたように、季節的あるいは時間帯的な問題ということも頭の中に置きながら、今後も通産省に働きかけをしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 山原健二郎

    ○山原委員 通産省の方にこの問題についてお聞きしたいのですが、農業用かんがい排水については農事用電力を認めております。農業には水と同時に光熱が不可欠であることを考えれば、ハウス用電力も当然農事用と認めるべきではないかという考えがあるわけです。  昨年通産省に要請したときのことですが、公益事業部長の説明をお聞きいたしました。それによりますと、何十年も前はクーラーなどなく、夏場に電力消費が落ちる一方で、水力発電を中心に電力供給力が高まった、こういう中で、夏場の電力需要拡大に役立てる意図で、夏場に使われるかんがい用電力を農事用とした、こういう経過が述べられたわけでございます。そういうことになりますと、今電力消費の底となる冬場の夜間の需要拡大のためにもハウス用電力を農事用として認めるべきではないかというふうに思うことが一つでございます。  しかも、今回の電力料全体系の改定で、負荷平準化促進のためとして、大口需要家を対象とする季節別時間帯別料金制度を導入されました。大口需要には大幅な原価割れサービスをするのに、農家に対する不当に高い料金徴収制度を残すことはいかがなものか。これは是正すべきではないか。これでは電気事業法第十九条が定める公平の原則にも逆行するのではないかというふうに考えられます。ハウス栽培用電力料金について、農事用電力の適用あるいは負荷平準化促進対策などの観点から引き下げ措置をとるよう通産省に強く要請をいたしたいのでございますが、現在どういうお考えを持っておるか、お伺いしたいのです。
  77. 清川佑二

    ○清川説明員 お答え申し上げます。  ハウス栽培用の電力、これに農事用電力を適用するという問題でございますが、先生お話しのとおり、かつて夏でございますが、相当以前には、我が国の電力の需給構造は水力発電が中心でございましたから、非常に夏場に、放水期に電力がたくさん出る、片や需要は冬に多かった、こういう状態でございまして、当時こういった電力の活用をねらいといたしまして、かんがい用の電力、これについて農事用電力というのが設定されたわけでございます。そういうわけで、農事用電力というもの自身は相当割安になっているわけでございます。しかしながら、現在、最近になりますと水力というのはほとんど中心としての重要な地位を失ってきておりまして、どちらかといいますと、火主水従とか言われるように、火力あるいは原子力が中心となってきておりまして、需要の変化、それから原価の変化、こういった問題もございますから、農事用電力そのものについて、これをどうするかということが一つ大きな問題になっております。  ただ、ことしの改定につきましては、需要家に値上がりとなるという影響などを考慮いたしまして、今回の改定時にはそのまま存続するというような状態でございまして、この適用範囲の拡大は好ましくないと考えているわけでございます。なお、その場合に、では冬は不需要期だからもっと安くなるはずではないかというお話がそこにあったわけでございますが、御指摘のとおりでございまして、現在電力につきましては季節の変化を取り入れまして、夏にほかの期間よりも一割高い、逆に言いますと、夏以外の他の期間には一割安い、こういったような格好で需要がそれなりに評価される仕組みとなっているわけでございます。季節別料金と申しております。  第二点の、季節別時間帯別料金、これを大口電力に導入したという経緯でございますが、ちょっと御説明をさせていただきますと、やはり電力事業のコストの低減ということを考えますと、電力設備の効率的な運用というのが重要な課題でございますから、これの負荷の平準化が非常に重要である、こういう観点で、昨年春、電気事業審議会から答申をいただいたわけでございます。  その際の答申の考え方として、夏からその他の季節あるいは昼間から夜間へ需要を移行するということ、こういったことが適切である、そういうことをもたらすような料金制度というのが適切であるというお話があると同時に、計量器、メーターでございますが、そういったコストの問題、あるいは先ほど申し上げましたように、需要が移行して平準化されるであろうかという問題、そういった問題がございますので、まず当面、大口の産業用の需要から導入をいたしまして、その実績を踏まえつつ順次制度の適用を拡大していくのが適切であるというような答申をいただきました。本年一月はこれにのっとりまして料金改定を行いまして、季節別時間帯別料金制度というものを試行的に採用したわけでございまして、当面この試行的導入の大口産業用の季節別料金の実績を見てまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  78. 山原健二郎

    ○山原委員 複雑な問題のあることもわからぬではありませんけれども、例えばことしは四国電力の場合、いわゆる出力調整テストをやりましたね。あの伊方原発の場合ですが、随分大きな問題になりまして、全国的な反対運動も起こるというような状態もあります。そういう点から考えましても、この問題は当然前向きに考えてよろしいのではないかというふうに思います。  また、お聞きしますと、一たん決めたら五年間は変えることができないというようなことも聞くわけでございますが、これでは農家にとっては不満が積もる一方です。農水省の方は随分努力もしていただいておりますが、私はこの問題は決して小さい問題ではないと思っております。日本農業割高論というものがありますが、農民がどれだけ努力しましても解決しないところがあるのですね。それは生産費の半分以上を占めると言われる資材費、機械費あるいは光熱費など、こういう価格については農民は何ともできない状態。みずからの経営についての努力は必死でやっているのだけれども、農民自身ではどうにもできない部分については、あらゆる努力を払って、料金を下げる努力をする必要がある。特に今日の自由化の問題を含めまして、あるいは米の減反問題を含めまして転作が迫られておる、そういう情勢の中でこれは大きな問題としてぜひ農水省も取り組んでいただきたいと思いますが、最後に大臣の御見解を伺って、質問を終わりたいと思いますが、いかがですか。
  79. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 ハウス栽培用電力料金のことについての御質問でございますが、今私、通産省の意見も拝聴しておりました。多少物には順序があるというようなふうにも聞こえましたし、順次いろいろまた考えていかなければならぬというふうにも実は聞こえたのでございますが、農事用電力の優遇措置の拡充ということについては今後とも努力をしてまいりたい、かように思っております。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  81. 菊池福治郎

    菊池委員長 藤田スミ君。
  82. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は米の流通改善大綱についてお伺いをしていきたいと思います。  食糧庁は、米の流通競争条件を一層導入するという名目で流通改善大綱を発表されました。それを実施に移していこうとしているわけであります。今回の流通改善大綱を見ますと、小売業者制度について、主として店頭で小袋詰め精米を販売する形態の店舗の新規参入、それから自動販売機の店頭以外での設置、さらに許可要件の緩和などを行おうとしているわけです。この大綱が実施されれば、スーパーやコンビニエンスストア、さらに例えば異業種のガソリンスタンドなどが参入をして、お米屋さんの経営を一気に悪化させることが予想されるわけです。  この問題では、もう大臣もお聞きだと思いますが、全国のお米屋さんが、こんなことをされては米屋はつぶれてしまうんだと反対運動を行っているところです。私も大阪でお米屋さんと懇談会を持ちましていろいろ話をお伺いしてきましたけれども、これ以上競争が激しくなったら米屋として立ち行かなくなるという不安感、危機感が非常に強いわけで、この大綱の実施は困るという厳しい意見でありました。政府は業界の了解がとれたから実施をすると言っておられるわけですが、多くのお米屋さんはとても了解なんかしておりませんよ。政府としてこの間のいきさつ、またお米屋さんの意見等についてどう認識していらっしゃるのか、どう対応しようとしているのか、まず明らかにしていただきたいのであります。
  83. 甕滋

    ○甕政府委員 米の流通につきましては、市場メカニズムを一層導入いたしまして、消費者ニーズも多様化しておりますし、需給事情対応した効率的な米流通を実現することが必要だというふうに考えております。このため、昨年十一月に米流通研究会の報告をまとめていただいたわけでございますが、それに基づきまして集荷、販売の両面にわたる改善をいろいろ進めていこう、小売業についての改善もその一環として行っていこうというものでございます。  ただいま先生からお話がございましたように、小売業の団体がいろいろ意見を持っておる、反対もあるということでございましたが、業界自身が納得をされましてこのラインで進めていただき、実効を上げていただくことが大事なことでございます。もともと業界の関係者も含めました学識経験者の参集を得まして先ほど申し上げました米流通研究会も取りまとめをしていただいたわけでございまして、その中には業界関係者の御意見も反映されておるところでございますけれども、さらに、いざ実行の段になりましてもろもろ生じてまいります問題等につきまして、小売業者等関係者の御意見がございますので、それはまた十分聞きながら決定をしてまいりたいと考えておるところでございます。  また、今後の具体的な改善措置の実施に当たりましては、小売業者等の関係者も含めまして十分意思疎通を図りながら具体的成果が上がるように、そしてまた国民の理解が得られますように努めてまいりたいと考えております。
  84. 藤田スミ

    ○藤田委員 業界も含めて米流通研究会で検討したのだということですが、米屋さんに言わせますと、この研究会に米業界から参加しているのは本当にたった一人ですか、ほとんど我々の意見は反映されていないということであります。  そこで次に、今米屋さんの置かれている状況というものについて、これは本当に厳しい状況にあるというふうに言わざるを得ません。第一に、食糧庁はやみ米の事実上追認という形で縁故米、贈答米というのを認めていますね。しかし、今や宅急便の発展と北陸自動車道などの完成で、この縁故米や贈答米が米屋の営業を脅かすまでに広がってきているわけです。大阪などでは県人会の名簿を使って縁故米、贈答米の形で米が出回っているというふうに言われています。このような事態について食糧庁はどういうふうに認識しておられるのか、また、どう実効ある取り締まりをするのか明らかにしていただきたいわけです。
  85. 甕滋

    ○甕政府委員 お話のございました縁故米につきましては、これは生産者がその家族、親戚、友人、知人等の縁故者に対して無償で譲り渡す場合のお米をいうわけでございます。また贈答米につきましては、どなたかが米を購入しまして第三者に贈答用、宣伝用等として無償で譲り渡す場合をいうものでございまして、これ自体は適法に行われておるものでございます。  五十九年以降の連続の豊作によりましてこれが増加していると見られるわけでございますけれども、今申し上げましたように非営利的な譲渡行為である、あるいはまた出来秋等特定の期間に集中して行われているということもございまして、その数はおのずから限られたものであるというふうに考えております。ただ、縁故米、贈答米に名をかりまして不正規流通が行われるということになりますと、米の流通秩序を維持する上で支障を生ずることになりますので、都道府県、食糧事務所、米穀関係業界等に対しましてこれらについての情報の収集把握に努めますとともに、事実を確認した場合には直ちに中止指導を行うといった指導の徹底を図ってきているところでございます。
  86. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、やはり認識が甘いなというふうに今のお話を聞いても思うわけですが、そうすると、事実が食糧庁の手に入ったときには調査をするということはお約束していただけますね。事実が食糧庁あるいは食糧事務所に情報として入った場合には、調査をして早速に取り組んでいただくということですね。
  87. 甕滋

    ○甕政府委員 これまでもそういった不正な形での有償譲渡行為と申しますか、こういったことがありました場合には事前にいろいろ、例えば米穀販売業者等が新聞広告、折り込みチラシ、パンフレット等を出しているというケースがございますので、そういったものを収集する、また市町村や米穀販売業者等に対しての情報提供の依頼も行うというような形でその把握にまず努めまして、現実にそういった情報が端緒になりまして、指導を加えることによって、今後このような行為はしないという旨の確約をとっている事例も多いわけでございまして、ただいまお話しのように、具体的な事例がはっきりいたしました場合には、私どもとして的確な指導を図りたいと考えております。
  88. 藤田スミ

    ○藤田委員 さらに大阪では正規米業者と同じ数のやみ業者がおりまして、これが正規の米屋さんの経営を大きく圧迫しているわけです。さらに一般の米屋なのに、いわば正規の米屋さんなのに、卸業者と同じように米の卸をしている中間卸という公然たる組織、近穀会なんというようなことで呼ばれる組織があるわけです。私は今手元に五十八年次のやみ業者と六十年次の中間卸の名簿を持っています。この名簿は食糧庁にも食糧事務所にも届けられているはずであります。調査をいたしましたのは小売業者の会であります。五十九年のやみ業者は今日ではもう倍加しているわけです。このようなやみ業者を野放しにしておいて、競争条件の一層の導入だとか活性化だとか言われても、まじめにやっている米屋さんはもう死ねということなのかというふうに怒っておられるのは当然のことであります。事実、仙台でもみずから命を絶つというような米屋さんが出ております。やみ業者の対策を具体的に、実効的にどういうふうに進めるおつもりなのか、またそのことが真っ先にやるべきことじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  89. 甕滋

    ○甕政府委員 やみ業者と、いわゆる中間卸といわれている業者に関係する御質問かと思います。  米の集荷、販売の両面にわたりまして適正な流通が行われるように業者活動についてこれまでも指導監督を行ってまいります一方、不正規流通を行う者に対しましては、都道府県とも密接な連絡をとりながら中止指導を行ってきております。これが比較的スムーズに行われる場合もございますし、またなかなか手間暇のかかるケースもございます。粘り強く中止指導を行うと同時に、特に悪質な者に対しては厳正な姿勢で対処をしてまいりたいと考えております。  なお、食糧管理制度の円滑な運営を図るためには集荷、販売段階における業者活動の活発化、商活動の活性化を通じまして、消費者ニーズに合った流通を実現していく必要がございますので、流通改善といった観点からは、そういった一方におきます既存業者の活性化と、また他方におきまして不正規業者に対する中止指導、これをあわせて今後とも進めてまいる必要があると考えております。
  90. 藤田スミ

    ○藤田委員 大阪府の米穀小売商業組合の森田誠一専務理事はこう言っているんです。「行政も警察もヤミ屋に甘すぎる。四七年に小売店側の反対を押し切って、ヤミ屋だった中卸しに小売りの許可を与え、ヤミ屋を事実上公認してしまった ヤミ業者として玄米を扱っているうちは、正直いって小売りをしても、それほど問題はなかったが、小売りの許可を手にして積極的に白米を流し始めたら、資金力・組織力からみても、一般の小売店ではとても太刀打ちができない。いわば、一本釣りの協定が守られている漁場で、底曳き網の使用を認めたようなものだ」そして、こう言います。「消費者も、ここまで無許可の店舗がふえると、全然抵抗感がなくなって、許可を受けた店で買うようにPRしても、いっこうに効き目がない。米を売っている所が米屋という感覚になってしまった」、こういうふうに言っているんです。我々は、食糧庁にも食糧事務所にも足で調査を尽くした名簿を届けているが、平然と彼らは商売をやっている、そして倍加していっている。一体原因はどこにあると思われますか。もう一度答えてください。
  91. 甕滋

    ○甕政府委員 いわゆるやみ業者に対しますこれまでの中止指導、これは五十七年の法改正以降昨年の調査時点までの状況でございますけれども、卸売業者、小売業者合わせまして約一万八千軒につきまして中止指導を行ってきております。その中で中止したもの、または中止の予定があるもの、可能性のあるものを合わせまして一万七千軒、約九五%のものがそういうことで成果を上げているわけでございますけれども、中にはなかなか中止指導を聞き入れない、いわば確信犯的にこれを行っているという方もごく少数あるということがございまして、そういった業者に対しましてまた厳しい態度での指導を粘り強く続けるという実態でございます。  また、今後の体制としまして、先般も通達を改めて発出いたしまして、こういった四年連続の豊作という事態のもとで需給事情が大幅に緩和しておりますし、また六十三年度においては米需給均衡化緊急対策を実施していくといったような事情等を背景に不正規流通の防止の一層の徹底を図るという趣旨で、中止指導についても改めて指導を行ったところでございます。  また、先ほど中間卸のお話がございましたのでつけ加えますと、これは大阪におきましていわゆる中間卸と言われているものでございまして、正規の小売業者であるけれども、ほかの比較的規模の零細な小売業者からの委託を受けて、卸売業者からの米の買い受け代行あるいは玄米の搗精を行っている業者であると理解をしております。一部の大型小売業者のこういった営業行為が直ちに食管法に違反するものではもちろんございませんけれども、ほかの小売業者へ卸販売しているといった実態があるというふうに、卸売業の業務に該当する行為を行うとなりますと食管法に抵触をするということでございますから、そういったことがないように巡回指導等を通じて指導を行ってきているところでございます。
  92. 藤田スミ

    ○藤田委員 これは大阪だけが問題になっているのと違うのです。東京も問題になっているのです。私は随分食糧庁の認識というのは小売組合なんかの言われる、米屋さんなんかが言われていることとかみ合わない、こう思うのです。そういうことを言っているから幾らでもやみ業者がはびこって、そして正直者がばかを見る、こういうことになるのじゃありませんか。したがって、私は全く何もしていないなんて言いませんけれども、しかし、あなたがそういうふうに認識をしているとしたらそれはもう認識違いも甚だしいですよ。そんなことを一遍小売の組合の皆さんの前で言ってごらんなさい。いいかげんにせよと言ってどなられますよ。そんな認識で幾ら通達を出したって、それは一向におかげがなくて相変わらずはびこっていく、そして、正規の米屋さんが正規の米屋さんであるがゆえに古米の引き受けなども多くなったりして困難ばかりが出てくる、こういうことになるというふうに思うのです。その上にむち打つような今回の流通改善大綱です。  そういうふうに考えますと、今回の問題は、まさに小売業者の皆さんが、よくわかった、食糧庁は本気になってやみの取り締まりをやってくれているというふうな声が返ってくるまで大綱は実施するべきではないというふうに考えますが、大臣決意のほどを聞かせてください。
  93. 甕滋

    ○甕政府委員 小売業者の団体の皆さんとはこれまでも十分話し合いを進めてきておりまして、その中におきましては認定の要件の問題、あるいは今後の精米を中心とする新規店舗の展開の問題、こういったいろいろ問題がございまして、また不正親流通米の取り締まり等についてもいろいろな御意見があったわけでございます。  そういった話し合いの中で私どもも現状並びに今後の対策等も十分御説明し意見交換をいたしまして、だんだんその辺の御理解も深めていただいてきていると思います。基本的なラインで御納得をいただきまして、先ほど申し上げましたように米の流通改善、これは全体の食管制度の運営改善の中におきましてぜひ実行していかなければならない事柄かと思いますので、大方の御理解を得て円滑な実施に心がけてまいりたいと思っております。
  94. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣にお願いしたいのです。
  95. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 今食糧庁長官から申し上げましたように、流通の改善に関して米屋さんの問題をいろいろ言われたわけでありますけれども、やはり大方の理解を仰ぐまではそうはしょってはならぬ、大方の理解を仰ぐために一生懸命に今努力をしておる、こういうことでございますので、そういう丁寧な運びをすべきだなと思っております。
  96. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は不正規流通の取り締まりについて大臣決意をお伺いしたのですが、後ほどで結構でございますからあわせて御答弁をお願いしておきたいと思います。  私はこの流通改善大綱について基本的な点に触れていきたいと思います。  この流通大綱が出される一年前に、経団連が米をめぐる問題についての報告という文章を発表しているのです。この中身を見ますと、今回の流通改善大綱の骨組みがここに示されているのです。そして、流通規制は米の消費量の減少を招く一因となった、こういうふうに言っております。この点については非常に基本的におかしい。現在、消費者は今の米屋さんの配置、米屋さんの販売状況について何も特別に不便を感じているわけではありません。まして米屋さんの競争を激しくしてほしいなどと消費者は望んだ覚えもありません。消費者は良質な米が安く安定的に供給されればいいと考えているわけです。しかも、それが本来食管法の趣旨ではありませんか。食糧庁は経団連と同じ見解なんでしょうか。また、今回の措置で本当に米の消費がふえると思っていらっしゃるのでしょうか。
  97. 甕滋

    ○甕政府委員 今回、流通改善に対します私どもの方針を固めてきておりますのは、先ほど申し上げましたように、昨年の米流通研究会の御報告を尊重しましてその方向づけを行っておるものでございます。さらに申しますと、一昨年十一月の農政審の答申の中におきまして今後の米流通についての御提言があり、その流れをくみまして方針を決定してきているところでございます。  農政審の中で述べられておりますのは、消費者の米の需要が多様化してきておりますので、それに弾力的に対応していく必要がある、また、そのためには民間流通の長所を持っております自主流通米をさらに拡大していく必要がある、さらには許可制ないしは指定制のもとで流通業界が米の流通に携わっておりますけれども、そういった特定されたルートにおきます商活動の活発化、流通の活性化を通じて消費者ニーズに合った米の流れ方を実現していく必要がある、こういう基本的な考え方があるわけでございまして、その趣旨は必ずしも——経団連をお引きになってお話のございましたものとどういうふうに一致するのか一致しないのか、私どもの念頭にありますものを申し上げますと、経団連の御提言の線でこれを私どもがまとめ、全く同じ考え方でそれをやっているのかと言われますと、決してそういうものではない。先ほど来るる申し上げましたように、農政審答申から米流通研究会の流れに沿ってこれを実現していきたいというものでございます。
  98. 藤田スミ

    ○藤田委員 消費者のニーズなんというようなことがこのごろしょっちゅう言われるわけですが、私は消費地大阪におりまして消費者運動をずっとやってきましたので、安易に消費者消費者と言われると逆に憤りを感ずるわけです。消費者のニーズというもので今回のこの大綱を見た場合に、そこには消費者のニーズなんというものはまさに看板にしかすぎない、そして米屋さんをますます窮地に追いやる、なじみの米屋さんが店を閉めるということに逆に消費者が胸を痛めていることを申し上げておきましょう。  あなた方は、米消費がこの流通改善大綱で拡大するなんというようなことを、本当に説得力を持って言えないのではありませんか。そして結局業界内の競争が激しくなって弱肉強食、零細な米屋さんがつぶされていくということになっていくのじゃないでしょうか。今回の大綱でも営業区域の拡大が盛り込まれておりますが、これによって資本力のある米屋さんが、例えば流通研の報告にあるように、移動販売だとかカタログ販売などで営業範囲を一気に広げて、逆にそのために零細な米屋さんの営業が困難になる、このことだけは非常にはっきりと予想できると思うのです。この問題について政府としてどう対応されるおつもりなんですか。時間がありませんので、できるだけ簡単にしてください。
  99. 甕滋

    ○甕政府委員 小売業者の営業区域の問題でございますけれども、これは現在は市町村の区域ということになっております。許可制のもとにこれが過度な規制になっているのではないか、こういう御議論もあるところでございまして、より一層活発な商活動を促進していくという立場に立ちますと、これは大小を問わずすべての小売業者を対象に、業界全体の活性化に資することをねらいとしてこれを行っていこうとしているものでございます。この場合、もともと米が国民が日常必要とする主食であるということに加えまして、重量がかさむといった特性もあるわけでございまして、一般的には最寄り店で購入する形態というのが多い、配達販売の場合も五キロを超えるものは少ないというようなこともございますし、今回そういう規制の緩和によりまして一部大型店だけが弱肉強食と申しますか、有利になるというふうにも必ずしも言えないのではないか、そこは全体の活性化の中で頑張っていっていただきたいと考えております。
  100. 藤田スミ

    ○藤田委員 活性化の中で頑張っていけと言ったって、牛乳屋さんの歴史、御存じでしょう。牛乳屋さんがつぶれていったあの経緯を見てみても、米屋がこれからどうなるかということははっきりしているんじゃないかというふうに思うのです。大臣、このことは非常に深刻な問題です。しかも経団連は、米の現物取引市場、正米市場の創設までうたっているわけですが、食管制度の廃止も主張しています。この流通改善大綱はこの正米市場の一里塚になるんじゃないか、こういうふうに言われておりますが、この正米市場についてどういう御見解をお持ちですか。
  101. 甕滋

    ○甕政府委員 経団連が正米市場について提言をしているないし検討しているというお話がございましたけれども、そんな新聞報道があったことは私も承知しておりますけれども内容については承知をしておりません。現在そういった米の適正な価格形成、特に自主流通米等におきます価格形成を的確に市場実勢や需給事情を反映した形で行っていくといった検討は米流通研究会でもございますけれども、それは今お話のございました経団連が云々と伝えられております正米市場とは関係がございません。
  102. 藤田スミ

    ○藤田委員 これまで政府は食管法の間接統制化、あるいは部分管理化を政府自身が進めてきた、私はそんなふうに考えています。一九六九年の自主流通米の制度の導入で米流通の国家一元管理制が掘り崩されました。そしてこの自主流通米はもう既にウルチ米流通量の五〇%近くまで来ており、このため政府による米の直接管理機能が著しく縮小してきているわけです。政府は今回の大綱で三年ないし五年後の主食用ウルチ米に占める自主流通米の比率をおおむね六割程度にすると言いますが、ますますそうなるとこうした方向を強めていくことになるわけです。農政審の答申でも、米の需給価格の安定に必要な数量を政府による操作米として自主流通米に比重を置いた米流通の仕組みの実現、こういうふうに述べておりますが、これは明らかに米の部分管理または間接統制への移行を念頭に置いているところであります。  また経団連のことを言ったら否定されるでしょうが、経団連は昨年の一月二十七日に発表した「米問題に関する提言」で、五年以内に部分管理に移行すること、こういうふうに言っておりまして、財界と政府が一体となって行き着くところは米の部分管理、米流通の完全自由化ということになるんじゃないか、こういうふうな心配をするのは当然のことであります。もしそうでないというなら、具体的な見通しをお示しいただきたいと思います。また農政審の小委員会で食管問題の審議をしているようですが、その内容についても簡単にお示しください。
  103. 甕滋

    ○甕政府委員 自主流通米を拡大していこうという方針につきましては先ほども触れましたけれども、民間流通の長所を生かした自主流通米を現行制度のもとで拡大していくという方針でございます。いわゆる部分管理方式というのが、具体的な内容は必ずしも一義的でございませんけれども政府の管理する数量を流通の一部分にとどめてそれ以外の米は自由流通だというような方式だと理解いたしました場合には、これで果たして米の需給価格の安定が的確に達せられるものかどうか問題点が多いように思います。経団連にもお触れになりましたけれども、そういった部分管理論に対しては、私どもそういう問題点を感じております。  それから農政審での審議状況でございますが、昨年二月以降小委員会を設けていただきまして検討を願っておりますが、これまでのところ、米管理の変遷、米流通の現状を踏まえまして、米の生産、流通、消費にかかわる中長期的な課題と米管理のあり方といったものをめぐりまして、幅広い観点から論議を進めていただいておるところでございます。
  104. 藤田スミ

    ○藤田委員 もうこれで最後にします。  大臣先ほど御答弁をいただくべきところを御答弁いただいておりません。不正規流通の業者の問題です。私は、これは食糧庁が大阪の小売組合の皆さんから五十九年と六十年にちゃんと足で調べた名簿を受け取っていらっしゃるはずですので改めて渡すこともないと思いますが、本当に汗と涙で歩いたようなこの名簿なんです。ぜひ、これをもう一度お渡ししますので、調査をしていただきたい。米屋さんはもう嫌になったと言ってその後の調査をやめておられますが、先ほど長官の御答弁のあったような状態とはおよそ認識がずれ過ぎておりますので、もう一度大臣からこの不正規の業者の取り締まりの問題について大臣決意のほどを聞かせていただきたいと思います。  米は我が国農業生産において基幹的な位置にあり、生産者にとっては重要な農産物であることは言うまでもありませんけれども消費者にとってもこれは主食として重要な位置にある。幾ら米をだんだん食べなくなったといっても、やはり米は非常に消費者にとって大事な生活の中の柱であります。そういう点で、消費者の良質米志向を米流通の自由化の根拠とされているようです。先ほどからも消費者のニーズということをしきりに繰り返されますが、私は、米の流通の自由化それ自体が、今日まで食管会計なども大幅に削減させていく、そういう役割を果たしてきたんじゃないか、そして米の流通の各段階に競争条件を導入するということによって、経団連が非常に熱心なお取り組みを示しておられるように、これは大手の流通業者の利潤追求の場として拡大されていくんじゃないかというふうにも考えています。あくまでもこれは小売業者の意見をうんと聞いていただいて、納得のいくまで小売店と話し合いをしていただきたいというふうに考えますが、最後にこうした問題について大臣の御決意を聞かせていただいて終わります。
  105. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 先ほど来私に名指しがございましたが、私がしゃべると時間をかけてもいかぬと思って、わかりやすく食糧庁長官が答えた方がいいと思ってじっとしておりました。  最後におまえ一言言えということでございますが、先ほどのやみ業者に対する取り締まり、不正規流通、これについてどうするのかということでございますけれども、米の集荷、販売の両面にわたって適正な流通が行われるよう、ひとつ業者活動についてさらにさらに指導監督をいたしてまいりたい、こう思っております。不正規流通を行う者に対しましては、都道府県とも密接な連絡をとりつつ厳正な姿勢をもって対処してまいりたい、このことははっきり申し上げておきたいと思います。  なおまた、大阪でのことについてもいろいろお話がございましたけれども、大阪府とそれから我が方の出先、食糧事務所と随時話し合いをしながら、お米屋さんに不満の残らないような形で丁寧に運んでいるという姿勢はひとつお認めをいただきたい。  なお、消費者ニーズ、おまえら言う資格がないではないか、こういう厳しいお諭しでございますが、御意見は御意見として拝聴いたしました。
  106. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  107. 菊池福治郎

    菊池委員長 これにて農林水産大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。      ────◇─────
  108. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、内閣提出漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の両案件を議題とし、審査に入ります。  順次趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。     ─────────────  漁港法の一部を改正する法律案漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  109. 佐藤隆

    佐藤国務大臣 漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。  漁港の整備につきましては、昭和二十五年の漁港法の制定以来、水産業の発達を図り、国民生活の安定と国民経済の発展に寄与するという観点から、同法に基づき積極的に推進してきたところであります。  しかしながら、近年、水産業を取り巻く情勢は大きく変化しており、増養殖技術の発達等を背景に、増養殖漁業が著しい進展をみせ、特に養殖漁業は漁業生産金額の二割近くを占めるに至っております。また、国民の食生活の嗜好の変化等に伴い、鮮度の高い魚介類を速やかに消費地へ輸送することが求められております。このような漁港をめぐる諸情勢の著しい変化に伴い、漁業根拠地としての漁港に求められる役割高度化、多様化してきております。  このような状況を踏まえ、その機能が十全に発揮されるよう、漁港の整備を一層推進することとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、漁港施設のうち機能施設について、必要な施設の追加等を行うことであります。  すなわち、新たに、水産種苗生産施設等の増殖及び養殖用施設、漁船の破砕その他の処理を行う廃船処理施設及び広場、植裁、休憩所等の漁港環境整備施設を追加することとしております。このほか、輸送施設の対象に駐車場及びヘリポートを加えるとともに、漁船漁具保全施設、補給施設等についても、対象施設の追加等を行うこととしております。  第二に、漁港の整備を推進するため、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入に基づく国の無利子貸付制度のうち収益回収型の資金を活用することであります。  すなわち、国は、水産業協同組合に対し、漁港施設等の整備に要する資金を無利子で貸し付けることができることとしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び主な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  引き続き御説明を申し上げます。  漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、その提案の理由及び主な内容を御説明申し上げます。  漁港につきましては、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点であるという重要性にかんがみ、漁港法に基づき、漁港整備計画を定め、国会の承認を受けて、計画的に漁港施設の整備を図っているところであります。  現行の漁港整備計画は、昭和五十七年第九十六回国会において承認を受けたものでありますが、本年度をもって計画期間が終了するため、最近における水産業をめぐる情勢の変化に即応するよう、その全部を変更し、国会の承認を求めることとした次第であります。  次に、本件の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。  今回の漁港整備計画は、漁業と漁港施設の現状を基礎とし、我が国周辺水域の有効利用等による漁業生産の確保、流通機構の改善、水産加工業の振興、漁港の安全性及び快適性の確保並びに活力ある漁村の形成の観点に立って策定いたしました。  計画内容といたしましては、沿岸漁業及び増養殖漁業の振興上重要な漁港、沖合漁業の根拠地として重要な漁港、遠洋漁業の根拠地として重要な漁港並びに漁場の開発又は漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれその整備を図ることとしております。  整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ、漁港施設の不足度の高いもの、事業効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択いたしました。その結果、昭和六十三年度以降六年間に、四百九十港の漁港について漁港修築事業を実施することとしております。漁港修築事業の内容といたしましては、それぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設、漁港施設用地等を整備することとしております。  なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、妥当であるとの趣旨の答申を得ております。  以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  110. 菊池福治郎

    菊池委員長 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について補足説明を聴取いたします。田中水産庁長官
  111. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、現行の漁港整備計画の実施状況を見ますと、計画当初に予定しました総事業費一兆二千億円のうち、昭和六十二年度までに実施済みの事業費は八千九百五十三億円で、その進捗率は約七五%となっております。  次に、変更後の漁港整備計画に基づいて整備を進めることとしております四百九十港の種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が百四十九港、第二種漁港が百七十九港、第三種漁港が七十七港、特定第三種漁港が十一港、第四種漁港が七十四港となっております。これらの漁港を、昭和六十三年度以降六年間に、総事業費一兆三千百億円をもって、漁港修築事業により整備することといたしております。  また、現行の漁港整備計画に定められております整備漁港と、変更後の漁港整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行の漁港整備計画から引き続き変更後の漁港整備計画に採択されるものは三百三十九港、新規に採択されるものは百五十一港となっております。  変更後の漁港整備計画に採択されなかったその他の漁港につきましても、必要に応じ、漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。  なお、漁港修築事業に漁港改修事業、漁港局部改良事業を合わせた六年間の総事業費は、調整費等を含め二兆四千百億円となっております。  以上をもちまして、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の提案理由の補足説明を終わります。
  112. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で両案件の趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十九分散会