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1988-05-12 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十二日(木曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    大村 襄治君       河野 洋平君    宮里 松正君       村井  仁君    森下 元晴君       谷津 義男君    角屋堅次郎君       井上 和久君    鈴切 康雄君       川端 達夫君    浦井  洋君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 瓦   力君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         内閣総理大臣官         房広報室長   宮脇 磊介君         防衛庁参事官  小野寺龍二君         防衛庁参事官  福渡  靖君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  鈴木 輝雄君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君  委員外出席者         科学技術庁科学         技術振興局国際         課長      宮林 正恭君         外務大臣官房審         議官      池田  維君         外務省アジア局         中国課長    阿南 惟茂君         外務省アジア局         南東アジア第二         課長      安藤 裕康君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         外務省経済協力         局政策課長   大島 賢三君         外務省国際連合         局科学課長   日向 精義君         文部省学術国際         局国際学術課長 草原 克豪君         特許庁総務部工         業所有権制度改         正審議室長   山本 庸幸君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 鈴木 光男君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       松田 政雄君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 五月十日  元従軍看護婦に対する慰労給付金に関する請願(大原亨君紹介)(第二四四二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第七号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を求めます。瓦防衛庁長官。     ─────────────  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正内容としております。  まず、防衛庁設置法の一部改正について、御説明いたします。  これは、自衛官の定数を海上自衛隊二百九十五人、航空自衛隊二百二十四人、統合幕僚会議四人、計五百二十三人増加するものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、日米防衛協力推進等のためのものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。  第一に、航空自衛隊の効率的な隊務運営等を図るため、骨幹組織を整備するものであります。すなわち、航空自衛隊飛行教育集団輸送航空団保安管制気象団及び術科教育本部を廃止し、新たに航空支援集団航空教育集団及び航空開発実験集団を置くものであります。  第二に、予備自衛官の員数を陸上自衛隊千人、海上自衛隊三百人、航空自衛隊二百人、計千五百人増加するものであります。これらの増員は、自衛隊予備勢力を確保するためのものであります。  以上が、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 竹中修一

    竹中委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 竹中修一

    竹中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
  6. 田口健二

    田口委員 私は、栗原前長官にかわりまして瓦長官が新しく防衛庁長官に御就任になられましたことを、まずお祝いを申し上げさせていただきます。  瓦長官が就任されましてきょうが最初の御質問ということになりますので、少し基本的な問題について長官の御所見なりをまずお伺いいたしたいと思います。  最近の国際情勢は、この一年余り随分大きな変化があってきたと思います。とりわけ、昨年の十二月八日にレーガンゴルバチョフ米ソ両国首脳によるINF中距離核ミサイル全廃条約署名、これによって初めて核軍縮に一歩踏み出してきた。量的にはわずか数%程度だと言われておりますけれども、このことの意義は大変大きいと思っておりますし、さらには今後戦略核の五〇%削減に向けて米ソ両国首脳が話し合いに入る、こういう状況も生まれてきております。さらには、四月にアフガン和平協定が調印をされまして、いよいよ今月十五日から、八年来に及ぶソ連軍アフガンからの撤退が開始をされる。言うならば、グローバル的に見てまさに緊張緩和方向をたどっていっておるのではないか、このように認識をしておるわけであります。  これらの国際情勢について、まず長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  7. 瓦力

    瓦国務大臣 田口委員お答えをいたします。  ただいま委員指摘のように、米ソ間のINF条約署名が行われた。そしてまた、この経緯を見ますと、多年にわたって米ソ首脳がいろいろな障害を乗り越えて決断をされた経緯、こうしたことを見まして、私も核軍縮第一歩としてこのINF条約署名を歓迎するものでございます。  しかし、今日の国際社会におきましては、核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止、こうしたものによって平和と安定が支えられておるということが冷厳な現実でもあるわけでございます。  私は、国際軍事情勢は依然として厳しいものがある、かように認識しておるものでございますが、ただいま申し上げましたように、INF条約署名、そして戦略核五〇%の削減交渉並びに通常兵器、こうしたものにまで及ぶようなそうした動きに注目しながら、軍縮の方向への道が開かれることを願っておるものでございます。  いずれにいたしましても、今日におきまして、厳しい冷厳な現実があるということもしっかり踏まえておかなければならぬ、かように認識いたしております。
  8. 田口健二

    田口委員 今申し上げました国際情勢緊張緩和方向へ向かっておるというこの事実について、外務省としてはどのように認識され、また、これらの問題について日本外務省として外交的にどのような役割を果たしてこられたのか、この辺についてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 池田維

    池田説明員 先般、アフガニスタン問題に関しまして、ジュネーブの間接交渉が妥結いたしまして合意文書署名されたわけでございますけれども、このことは歓迎すべきことであるというように考えております。もちろん、本件につきましては、今後ソ連軍アフガニスタンからの撤退というものが確実に実施されまして、本問題の包括的、最終的な解決が図られることが重要であると考えておるわけでございます。また、INF条約署名につきましては、ただいま防衛庁長官よりも御説明がございましたとおり、これは西側が結束して対処したたまものでありまして、核軍縮第一歩として歓迎すべきことだと考えております。  しかしながら、重要なことは、米ソ関係を軸といたします東西関係は、基本的には依然として対立関係にあるというのが現実であると思います。したがいまして、長距離核戦力削減交渉も含めまして現在行われております東西間の対話というのは、このような対立存在を前提といたしておりまして、その対立レベルを下げることにあると考えられるわけでございます。同時に、ひいてはいろいろな地域地域紛争解決するということを目的としているものであると考えております。  したがいまして、今後の東西関係の一層の安定化のためには、戦略核兵器交渉その他の軍備管理・軍縮問題、それからアフガニスタン等を含めます地域問題、さらには人権問題といったようなものについても全体的な前進が図られることが必要であると考えておりまして、こういう認識のもとに、我が国としましては西側の一員としての立場から、東西関係の一層の安定化あるいは地域紛争解決等のために努力をしてきたわけでございまして、今後ともその努力を引き続いて行っていきたいと考えているわけでございます。
  10. 田口健二

    田口委員 そこで、防衛庁長官にもう一点お尋ねをしたいのでありますが、現在アメリカでは、よく言われております財政赤字あるいは貿易赤字、この双子赤字ということで大変厳しい状況に置かれておる。そういう中でレーガン大統領軍事費削減するという方向を出されておると聞いておりますが、この辺についての御見解を承りたいと思います。
  11. 小野寺龍二

    小野寺政府委員 アメリカにおきましては、軍事費につきまして、例えばことしの一九八八年それから一九八九年の予算におきまして、数字におきましては横ばいという状況でございまして、実質的には減という状況に確かに至っております。そのためにアメリカ軍事体制の中で幾つかの調整が行われているということは事実でございまして、一部兵力の削減というようなことも実施されているわけでございます。  ただし一方では、アメリカの特に同盟国に対する防衛義務、いわゆるコミットメントについてはアメリカとしてはこれを縮小する意図はないということをいろいろの場ではっきり言っておりますし、昨週開かれましたハワイにおける安全保障に関する事務レベル協議におきましても、アメリカは太平洋についてもそのコミットメントを縮小するつもりはない、予算削減というのはそういうことが行われないような形で進めていきたいということを非常にはっきり申しております。  したがって、調整は行われるけれどもアメリカ体制全体としてはそれができるだけ影響を受けないような形で進めたい、そういう意思を表明しております。
  12. 田口健二

    田口委員 ここで、総理府関係の方の時間の問題がありますので、ちょっと話題を変えさせていただきます。  昨日の夕刊を拝見いたしまして大変びっくりしたわけであります。「総理府室長収賄で逮捕」という大きな見出しが一面に躍っているわけですね。これは公務員汚職ですから、どの汚職がよくてどの汚職が悪いという問題ではもちろんないと思うのでありますが、特に政府広報、いわゆる政府政策なり政治のあり方国民に知らせていく、国民に十分理解していただくということは、これは一般マスコミ報道ももちろんでありますが、民主主義にとって極めて重要な柱の一つだと思うのです。ところが、政府広報を担当しておる責任にある地位の方が政府広報費汚職をする、これはとんでもない話だと思うのです。  総理府としては一体どういう形で政府広報というものを今までやってきたのですか。その仕組みなり、そして今回逮捕された方というのはどういう立場にあってやられたのでしょうか、その辺を少し詳しくお知らせいただきたいと思います。
  13. 本多秀司

    本多政府委員 お答えいたします。  広報関係の前に、この事件につきましては、国民方々を初めいろいろな方々に御迷惑をかけましたことについて、私ども総理府の一職員として深く反省いたしているところでございます。  実はこの事件、昨日朝九時半ごろでございましたか、東京地方検察庁によりまして、先生指摘橋本哲曙管理室長に対する収賄被疑事件につきまして、令状執行の上、関係書類等の差し押さえ、捜索を受けたという事実がございます。  橋本哲曙がその管理室長の前には官房会計課参事官というポストについていた、しかしながら、政府広報の実施と会計立場とはこれは完全に別であるはずでございまして、官房会計課参事官にあった橋本哲曙がそういった新聞報道で伝えられているような収賄事件の容疑に付されるようなことをやれる立場にあるはずがないというふうに私ども信じていたわけであります。  しかしながら、昨日、官房長官から私どもに対しまして、そういうことは絶対あってはいけないことであるということで、四つの点について今後十分検討すべきことが必要であるという指示を受けたところでございまして、例えば、綱紀の粛正はもちろんでございますが、業務の適正な執行を確保するためのチェック体制の見直し、あるいは人事管理の適正な運営等々につきまして指示を受けたところでございます。  早速総理府内業務適正化委員会という委員会を設けまして、きのうから、一体こういう事件がなぜ生じたのか、組織的に欠陥があるはずがないというふうに私ども信じていたわけでありますけれども、現にそういう事態が起きた以上、どこかに私どもが見逃していたいわば弱点があったのではないか、そういうことも踏まえまして、早速きのうからその委員会でこの事件についての私ども立場における究明と申しますか反省と申しますか、開始したところでございます。
  14. 田口健二

    田口委員 今のお答えでは、広報仕事会計課仕事は全く別の問題である、あり得るはずがないことが現実に起こったとか、今あなたは四つのことをいろいろ言われたのですが、そんな抽象的なことを言っても現実に起きているわけです。  会計課参事官の当時、ですからやはり会計課参事官というのは、例えば業者選定であるとかそういう権限を持っておったのでしょう、その辺はどうなんですか。
  15. 本多秀司

    本多政府委員 先ほど広報仕事会計仕事は別であると申し上げましたのは、広報につきましては、一般的に申し上げますと、広告代理店に対しまして政府広報の発注をいたしますときに、いわゆる企画競争を行って、目的とする政府広報に一番合致する作品広報案として採用されるわけでございまして、その限りにおきましては、官房会計課がタッチするといいますか関係する余地は全くないわけでございます。  しかし、その作品政府広報案として採用された後におきましては、先生指摘のとおり、契約の締結あるいは適正な経費の執行等につきましては、官房会計課、特に参事官立場責任が生じてくるわけでございます。その過程で少なくとも新聞報道で伝えられているような不祥事件が現に生じたとするならば、これはどこかに私どもがおろそかにしていた点があったのではないか、これは残念ながら現時点においては究明いたしておりません。早速きのうから始めたところでございますので、何とか二度とこういう不祥事が生じないようなチェック体制の確立は図っていかなければならないと考えているところでございます。
  16. 田口健二

    田口委員 では重ねてお尋ねをいたしますけれども会計課のこの参事官という職務、今あなたが言われたように、業者選定などは広報室の方でやられるけれども、実際のそういう業者に対するいろいろな力というものを参事官というのはやはり持っているわけですね。持っているから金を贈賄側は出しているわけですね。これは否定できないでしょう。それはどうなんでしょうかね。
  17. 本多秀司

    本多政府委員 繰り返すことになるかもしれませんが、昨日東京地検から捜査を受けたばかりのことでございまして、私ども官房会計課参事官としてそういうことがあり得るとは思えないわけでございます。少なくとも組織上はいろいろなチェック体制が整っているはずでございますし、伝えられる新聞報道によりますと、永友会でございましたか永久会でございましたか、何かそういう私的な業者集まりであるというふうに伝えられておりますのでそうであるかもしれませんが、私どもこれは組織として関与したことではないと信じております。  これは橋本哲曙個人がその関係する業者の依頼を受けたのか、あるいは橋本個人が提唱したのか、その辺は事実確認しておりませんが、少なくとも組織的に、総理府という組織でそういった永友会なりあるいは永久会なりを設置したということではございませんので、そういうところから今伝えられておりますような不祥事が起きたとすれば、これは公的な責任はもちろん否定はできません、もちろん公的な面での責任はございますが、そういう私的な集まりの中で生じたものであるとするならば、それは橋本が長期間にわたって官房会計参事官ポストにいたというのが一つの原因ではなかろうか。したがって、これは人事配置といいますか適正な人事管理に何らかの欠陥があったのではないかと私ども考えているところでございます。
  18. 田口健二

    田口委員 時間の関係もありますから、最後にこの問題について申し上げておきたいと思いますが、そうすると、現在まで総理府の場合はそういう人事管理を適切に行っている、あるいは業務上の監察といいますか、そういう制度というものは何もないのですか。
  19. 本多秀司

    本多政府委員 会計仕事は非常に技術的専門的な仕事がかなりのウエートを占めている関係上、比較的長い期間在職をするというのが総理府におきまして過去実態でございました。しかし、最近は普通の公務員の異動のローテーションといいますか、例えば三年なりそういう期間でかえるような人事配置にいたしたところでございます。  しかし、非常に技術的かつ細かい仕事が要求される部署でございますので、全員を一斉にかえるということももちろんできない面もございますので、一応原則的には二年あるいは三年でできるだけ職員配置を考え直さなければならないというふうに考えてはいるものの、多少延びたりすることがどうしても出てくるというのが実情でございます。
  20. 田口健二

    田口委員 それでは時間の関係もありますから、今の問題はこれで終わって、次に移らせていただきます。  防衛庁長官、先ほど私、国際情勢全般について、幾つかの点で御所見もお伺いをいたしたわけでありますが、そういう現状の上に立って、これからの我が国安全保障政策基本といいますか、この点についてどのようにお考えになっておられるか、その基本的な態度というものについてお伺いをいたしたいと思います。
  21. 西廣整輝

    西廣政府委員 先ほど防衛庁長官あるいは外務省の方から国際情勢についてのお話がありましたが、御承知のように、東西の両陣営対立という現状、しかしながら、この東西対立あり方というものは戦後この四十年の間に随分変わってきております。それは事実であります。先ほど先生の御質問にあったように、戦略核SALTII協議、あるいはさらに現在進められている協議、あるいは昨年のINF全廃条約といったような形で、最近また新たな変化が起きつつあります。  こういった東西の対峙という枠組み、これ自身が功罪いろいろございますけれども、ある意味では、その陣営内においてはいわゆる東西間の戦争というのはなかったという役割を果たしておるのも事実であるし、そういったらち外にある第三世界で比較的紛争が多かった、ほとんどそういう地域で起こっていたということもまた事実であります。  その枠組みが逐次変わってきているということは先ほど来お答えしておるとおりであるわけですが、その変わり方というものを我々は十分よく分析しなければいかぬ、そこにまた新たな問題も起きておるというように思うわけであります。  例えば、従来とられておった東西陣営のいわゆる防衛戦略というものは、二次大戦直後を見ますと非常に非対称的なものであったと思います。というのは、例えば西側防衛戦略の主体というのは、戦略核戦力というものの優位、それに依存をして、その抑止力というものに最も重点を置いた戦略をとっておった。一方それに対して東側は、通常戦力の優位、それで対抗するというような形で、クロスした非対称的な防衛戦略というものをとっておった。  それが逐次、先ほど来お話がありますように、戦略核についてもSALTII東西米ソほぼパリティになってきておる。そして、さらにはINF全廃条約ということでそれに次ぐ中距離の核について全廃をしよう、まさにパリティになってしまうということでありますが、ということは、ある意味では、西側が最も頼りにしておったというか、防衛戦略基本に置いておった戦略核戦力というものが既にパリティになってしまった。  そして、INFというもの、これは米ソ地理的条件が違いますので、INFアメリカ本土には届かない、しかしヨーロッパにあるINFソ連には届くということで、戦略核戦力に対する影響力も持っておるわけでありますから、そういう意味INFというのは、ある意味ではそれ自身パリティ、同じ力を持っておるようであっても、ソ連にとっては不利な存在であったわけですから、その部分全廃ということになると、その部分も相殺されてパリティになってしまう、中和されてしまうということになるわけであります。  ということは、残るのは、一番際立つのは、通常戦力の東側優位という姿が非常に際立ってきているというような新たな問題も生じてきているわけであります。  そういう状況下で今後どうするかという問題は、まだこれからの状況を見なければわかりませんが、いずれにしましても、現状ではまだ東西、特に米ソをリーダーとしておる枠組みというものはしっかりしておる、その同盟関係もしっかりしておる。しかも、西側について言えば、先ほど国際参事官からお答え申し上げたように、米側同盟国に対するコミットメント、それを変更する気持ちはさらさらない。さらには、従来同盟国が持っておる任務分担といいますか、例えば日本が東アジアにおいて専守防衛立場で行うべき任務、そういったものについて新たな仕事日本に課そうというようなことはないということを明言をいたしておりますので、そういう状況下で、我々は従来とり続けておった専守防衛というものを基本にした防衛体制、そういったものを直ちに変更するとかそういった必要性はない、そういう必要はない、そういう状況にはないというように認識をいたしております。  しかし、今後の推移というものは我々としても十分強い関心を持って観察し続ける必要はあるし、そして、この東西陣営という枠組み、そういったものの持っておったいい面、平和を維持する点でいい面というものが引き続き存続されるような点については、やはり関心を持ち続けていく必要があるというように考えておる次第であります。
  22. 田口健二

    田口委員 そこで、昨年の八月二十五日に、私は当委員会防衛関係法案審議の中で幾つお尋ねをしたのですが、その中で、防衛局長の方から安全保障に対する基本的な考えとして三つの点を強調されました。一つは外交であって、「近隣諸国との友好協力関係を確立する、そういった外交関係を通じて平和で安定した国際的な環境をつくるための外交的な努力が要るのだ」、こういうことを最初に言っておられるわけです。  そこで、外務省にも来ていただいておりますのでちょっとお尋ねしたいと思うのですが、一つは、中曽根総理あるいは現在の竹下総理になってから非常に変わってきた言い方が一つあると思うのです。それは、昨年十二月の衆議院本会議の中でも竹下総理は、今後とも西側の一員として世界全体の平和と繁栄に積極的に貢献をしていきたい、中曽根さん以来、西側の一員ということが非常に強調されてきておるわけです。私は、いわば資本主義社会、自由主義社会というような言葉もありますけれども、そういう範囲での一員ということだろうというふうには理解をしておるのです。  ただ、やはり日本というのはアジアの一員である、これはもう決して忘れてはならないというふうに思うわけです。歴史的にもそうです。私はみずからが中国で生まれて中国で育ったという経験を持っていますし、たびたび中国や朝鮮民主主義人民共和国などにも訪れて感じるのでありますが、まさに日本の文化のルーツというのは朝鮮半島にあり、あるいは中国大陸にあるということを身をもって感じてきておるわけです。  今回、竹下総理もヨーロッパに行かれましたし、あるいは宇野外務大臣も先般来中国の方に行かれたようであります。竹下総理なりにいろいろな意味で外交的な努力も重ねておられるのだろうというふうに感じておるのでありますが、そうした中で出てきた奥野発言、これはもう全く今まで言ってきた政府の方針にも相反するものであるというふうに私は考えています。特に昨年当委員会でも、日中共同声明十五周年、あるいは今年で条約締結十周年になるのでありますが、特別決議も行っておるわけです。そういう中で出てきた奥野発言。宇野外務大臣は中国に行かれてこの問題についてどういう話をされたのか、まずお聞かせをいただきたいと思っています。
  23. 阿南惟茂

    ○阿南説明員 ただいまの点につきましては、先般宇野外務大臣御訪中の際、日中外相会談におきまして先方の銭其シン外交部長から、日本の大臣の一人が礼儀を欠いた発言をされたという言及がございました。これに対して宇野大臣より、このような発言が中国側の批判的反応を招くという事態になったことは遺憾である、政府としては、日中共同声明の中で述べられている日中間の過去の歴史に対する認識にはいささかの変化もないということを、国会答弁等でこの認識を述べているということを説明されたわけでございます。
  24. 田口健二

    田口委員 外務大臣が中国に行かれてそのようにお話しになった。しかし、御存じのように、九日の決算委員会ではまたこれに輪をかけるような発言を奥野長官はしておるわけですね。一体こういうことでこれからの日中関係というのがうまくいくのだろうか、外務省としてはどう対応されていくお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
  25. 阿南惟茂

    ○阿南説明員 日中関係の対応という点につきましては、日中友好関係の維持発展は一貫して我が外交の主要な柱という認識に立ちまして、日中共同声明、日中平和友好条約、そして友好四原則の基礎の上に立ちまして今後とも中国との友好関係を発展させてまいりたい、かように考えております。
  26. 田口健二

    田口委員 大臣の問題ですからあなたからは余り詳しくは答弁できないだろうと思いますので、この程度にしておきます。  そこで、またちょっと戻りまして、先ほどの防衛局長の昨年の当委員会における答弁を中心に少し詳しくお尋ねをしてみたいと思っているのです。  二番目にあなたは、「国内的なもろもろの政治的、経済的あるいは社会的な安定を図っていくことも大変大事なことだ」、こう言っておられるわけですね。私もそうだと思います。そして三番目に、「我が国みずからが適切な規模の防衛力を持って、そして日米安保体制を基調にしながらいわゆる軍事的な安全を図っていくのだ」、こういうお答えであります。  そこで、いわゆる軍事力の安全保障という問題について、私の質問の中であなたはこう言っているのですよ。私は、日本安全保障を考えていく中で、特に平和というものを考えていく中で、やはり日本国憲法というのが極めて重要な、最も大きな存在である、このことを抜きにしては考えられないというふうに思っているわけでありますが、あなたは、「あるいは憲法というものを除いても、日本の置かれている地理的なあるいは社会的な、経済的な条件というのがあるから、決して日本は軍事大国にはならないのだ」というような言い方をしているのですね。そういうことになりますかね。憲法を外して、日本の置かれている地理的な、経済的なそういう状況の中で日本が軍事大国にならないという保証はありますか。
  27. 西廣整輝

    西廣政府委員 私は、現憲法というのは日本の置かれておる国際的な立場地理的条件、そういったものにマッチしたものであるというふうに考えておる次第なんですが、私が申し上げた趣旨をもう少しかみ砕いて申し上げますと、政治、経済、私必ずしも専門ではございませんが、まず政治的な面を申し上げると、日本の行動に対する国際的な許容度といいますか、それは必ずしもそう大きくはない。  これは、日本自身が極東の島国であって長い間国際社会で活動をしない時期があったということもあるでしょうし、あるいは二次大戦というようなことで日本が中国なりあるいは東南アジアといった方に進出をしたというようなよくない記憶が諸国に残っておる、そういうことも含めまして、日本が何か能動的に動くということについて必ずしも国際的な許容度は高くないという問題が政治的にはあろうと私は思います。  それから、経済的な面を申しますと、御承知のように日本というのは非常に資源の乏しい国でありまして、資源を世界各国から求め、それを加工をして、そして世界各国のマーケットでそれを売りさばくというような形で経済活動をしておるというようにお考えいただいたらいいと思います。つまり、日本は世界各国の中でも際立って海外依存度の高い国であるというように私は考えております。そういう意味で、できるだけ敵を少なくするといいますか、すべての国と自由に貿易関係、経済関係を結んで活動していくということが日本の発展に最も適しておるのではないかというように考えておる次第であります。  最後に、私どもの方の専門の軍事的な問題でありますが、現在の国際社会でいわゆる軍事大国ということになると、最も典型的な例はやはり戦略核戦力というものの保持が一つの前提になろうかと私は思います。  ところでこの戦略核戦力、いわゆる抑止力というものの考え方でありますが、これは防衛力の方の程度の尺度というのが、みずからの被害をどれだけ削減できるか、どれだけ減らすことができるかというのが尺度であるのに対して、抑止力というのは、本来相手方に対してどれだけのダメージを与え得るかという相手に与える被害の程度が抑止力の大小をはかる尺度の基準になろうと私は思うわけです。  ということになりますと、日本のように国土そのものがそう広くない、しかもその余り広くない国土の中で、非常に限られた地域に、限られた平野部に人口も産業も集中をしておるこういう国と、ソ連なりアメリカなりあるいは中国なりといったように、非常に広い国土を持ち、人口、産業、都市、そういったものが分散をしている国というものを比べてみます。そういうものを比べてみますと、例えば日本に対してある国が一発のICBMを持っておる、それに対して日本が一発のICBMを持ったらそれでパリティかということになると、私はそうではないと思います。  というのは、先ほど申したように相手に与えるダメージを考えますと、例えば東京、京浜中心に一発の原爆が落ちるという被害の程度を考えますと、それをソ連のような国に置きかえてみると、三十、四十、あるいはもっとそれ以上のものを持つことによって初めて相手に与える被害の程度というものはパリティになる、こういうふうに考えるべきじゃないかと思います。つまり、日本がその種のいわゆる抑止効果の高い戦略核戦力を持つということは、言うべくしてとても行われない、極めて不経済というかまさに不可能なことであろうと私ども思っております。  そのようなことは、やはり同盟国アメリカ抑止力というものに依存をして、みずからはみずからの被害をできるだけ減殺する、減らすための防衛力というもの、専守防衛に力を注ぐということがしかるべきである。しかも、先ほど来申し上げているように、日本自身がその種抑止力の高い、攻撃性の高い軍事力を持つということが、国際依存度の高い、かつ国際的な許容度の低い日本にとって適切であろうかということを考えますと、そういうことは適当でない。  もろもろ考えまして、日本の置かれた政治的、経済的あるいは軍事技術的な意味で、日本は軍事大国になるというのには極めて適さない国であるということを私は申し上げた次第であります。
  28. 田口健二

    田口委員 防衛局長の今言われていることは、聞いていますと、抑止力の高い核戦力、例えばICBMであるとかそういうものを持たなければ軍事大国ではないのだ、こう聞こえてならないのですよ。確かに、言われておるように日本の地理的あるいは経済的な条件というのはかなりよその国とは違ったものを持っておるわけですね。ただ、ではあってもやはり、では戦前の、あの十五年間における戦争というのはなぜ起こってきたのか。戦前と戦後で一番違うのは、やはり今の戦後の平和憲法だと私は思っておるのです。今の経済活動の状況を見ても、どんどん日本の企業が海外に進出していっている、海外投資を行っている、これは考え方によっては、将来海外におけるそういう日本の海外投資、いわば日本の権益を守るという考え方につながっていきかねない問題でもあるのです。戦前でもそうですね。そういう傾向があると思うのです。  だから、日本が軍事大国にはならないと言われるならば、そこには、何よりも日本には平和憲法というものが存在するのだ、このことを前提にして考えないと、たとえ憲法の問題がなくても、日本の地理的あるいは経済的な状況がこうあるから日本は軍事大国にならないのだという論理は成り立っていかないのだと私は思うのです。その辺はどうでしょうか。
  29. 西廣整輝

    西廣政府委員 私は先ほど来申し上げておるように、現憲法というものについての認識といいますか、先ほど来申し上げた私のような考え方からいっても、現憲法というものが、日本のありよう、日本が生存し発展していく上で非常に適しているものであるというような見解に立っておるわけです。  申し上げておりますように、憲法というのは、国の独立というものが維持されて初めてそういったものもあり得る、存在し得るわけでありまして、国の存立そのものが維持できないようなものであってはならないと思っております。  そのためには、国の存立、独立が維持できるだけの条件というものが兼ね備わっていなくてはいけない。ということは、現在の世界の軍事面を中心に申し上げますと、軍事の情勢からいうと、仮に、全く核による脅迫なりおどしというものについて対抗手段がないというようなことでは、独立国としての自主性というものは保ち得ないというふうに現在の軍事技術下で私は考えておるわけであります。それらについては日米安保というものがあり、そういうことでカバーし得るということ、そういうことを踏まえて、もろもろのことを前提として現憲法というものは十分成立し得るし、かつ日本にとって適切なものであるというような考えに立っておるわけであります。
  30. 田口健二

    田口委員 今の問題はまた後ほどやりたいと思いますが、今の防衛局長の答弁はちょっと逆さまだと私は思いますよ。国の独立、存立があって初めて憲法というのがあるのだ、その発想は逆ではないですか。時間の関係もありますから、また改めてこの問題はやります。  そこで、この前の答弁の中でも防衛局長は、抑止力というのと防衛力というのと二つに分けて考えているのです。これが私もよくわからないのですが、専守防衛枠組みについてどのようにお考えになっているか、お聞きをしたいと思うのです。  私も軍事問題というのは素人ですから、なんですけれども、やはり兵器というのは、その一面では防御的な性格も持っておるだろうし、一面では攻撃的な性格も持っておると思うのです。ですから、しばしば国会の中でも論議をされたように、F4ファントムの中の給油装置の取り外しの問題だとか、あるいは爆装の取り外しの問題だとかいろいろなことがこの国会の中でも論議をされている。ですから、そういう点で防衛力と抑止力の違い、あるいは攻撃力と防衛力の違い、この前の国会での論議の中で、防御的な性格であれば航空母艦も持てるというように、たしか瓦長官だったか言われたというように聞いておるのですが、それはどのように理解されるのですか。
  31. 西廣整輝

    西廣政府委員 抑止力と防衛力というものにつきましても、過去、ここ二十年ぐらいの間でございますが、その間に解釈なり定義がかなり変わってきたということは事実であります。もともと防衛力、ディフェンスという言葉とディタランス、抑止力という言葉とは、いわゆる対置される言葉であったというように私どもは理解しております。そういう意味では防衛力はまさに防衛力であり、抑止力は極めて攻撃力という言葉に近い言葉であった。その後、時代が経るに従いまして、いわゆる専守防衛といいますか、防御的な力も抑止効果がそれなりにあるという解釈になってきておる。  そういう点で、抑止力と防衛力というものが全く反対語であって、両者が重なる部分がないというようには私は申し上げません。確かに防衛力を十分持つということは相手が攻撃をちゅうちょすることになるわけでありますから、それなりの抑止効果というものはあると私も考えております。  と同様に、それでは今先生お尋ねの個々の装備なり武器というものについて、明確に、これはもう攻撃専用の武器である、これは防衛専用のものである、いわゆる矛と盾のようにきちっと分かれるかというと、おっしゃるとおり、それぞれの装備というものは防御のために使うこともあろうし、あるいは攻撃のためにそれが使われることもある、そういうように考えるものが大部分と言っていいのではないかと私は思っております。そこで我が国は常々、専守防衛であり他国に攻撃的な脅威を与えるような軍備は持たないということを言っております。  そこで、これは私というよりも政府全体、法制局の解釈でございますが、それではその武器一つをとらえて、一個の武器として憲法上持てないというものがあるかと言われれば、それは明らかに攻撃にしか使えないようなもの、例えばICBMみたいなものとか攻撃型の空母のようなもの、あるいは長距離爆撃機のようなもの、まさにそういったものが典型的なもの、それがたとえ一つのICBMであっても、憲法上持てないいわゆる攻撃的な兵器ではないかというように考えておるわけであります。  一方、それ以外の多くのものは、先ほど私が申し上げたように、あるときは防御に使われ、あるときは攻撃に使われるものであろうと思います。ということは、それらの装備全体なり部隊編成全体としてどういう量にとどまっておるか、どういう態勢にとどまっておるかということを総合的に判断して、初めて、その国としての軍備が防御的なもの、守勢的なものであるのか攻勢的なものであるのかという判断をされるべきものであるというのが我々の考えでございます。
  32. 田口健二

    田口委員 今のお答えの中でも、攻撃型の空母は持てないというようなことをちょっと言われたのです。私は不勉強でわかりませんが、空母には攻撃型と防御型というのがやはりあるのですか、どうなんですか。
  33. 西廣整輝

    西廣政府委員 空母にもいろいろあると思います。一番典型的なものは、例えばエンタープライズとか日本にいるミッドウェーといった形の空母、これらは相当の爆装、爆弾なり対地攻撃ミサイル等を積んだ航空機が離発着でき、そうしてそういったものの航続範囲の中まで空母を持ち込むことによって、それで対地攻撃等もできるという意味で我々は攻撃空母というように考えておるわけです。  一方、例えばヘリ空母というのがございます。ヘリコプターだけしか積んでいない空母というのがあります。ヘリコプターというのは、御承知のようにそのスピード性その他からいいまして、それをもって相手の都市攻撃をするとか、そういったことは非常に困難であります。ヘリ空母というのは通常、対潜ヘリコプターというものを積んで、そして対潜作戦を行う。対潜作戦というのは、潜水艦というものがどちらかというと攻撃型の性格のもので、通常、攻撃してくる潜水艦に対してどう守るかというのが対潜ヘリコプターでございますので、そういったものを積む空母というものが攻撃性の非常に高い空母であるというようには理解できないということで、空母も決して一律ではないというのが我々の考えでございます。
  34. 田口健二

    田口委員 そこで、前回あなたは、「我が国の防衛力というのは個別的自衛権の範囲内でやるんだ」、こういう一つの基準といいますか、これを言っておるわけです。個別的自衛権の範囲というのは一体どういうことなんですか。
  35. 西廣整輝

    西廣政府委員 これは憲法上の問題でございますので、私がお答えするのが適当かどうかは別といたしまして、私の理解している範囲でお答えいたしますと、集団的自衛権と申しますのは、我が国自身が直接攻撃をされていない、日本自身が攻撃の対象となっていない、しかしながら日本と同盟している国、そこが攻撃されている、あるいは日本以外の国が攻撃をされている、その国のために日本自身が武力行使を行うというのを集団的自衛権の行使と言うんだということであるというように理解をいたしております。
  36. 田口健二

    田口委員 続いてあなたは、この防衛力の行使というのは「自衛のために必要な最小限度のことにとどめなくてはいけないということで、相手の国土そのものに壊滅的な打撃を与える」、こういうことではいけないんだというように言っているのですね。この辺はどうなんですか。その壊滅的な打撃ということは言葉どおりであろうと思うのですが、それ以外のものであれば、これはやはり個別的自衛権の中に入るのですか。
  37. 西廣整輝

    西廣政府委員 これは、個別的自衛権あるいは集団的自衛権という範疇ではなくて、防衛力行使、武力行使、日本の自衛力の行使、そういったものについて我々は三つの原則というものを持っております。  それは一つは、この防衛力をもって国を守るために武力行使をせざるを得ない、そういうことが他の手段ではもう達し得ないということが明確でない限り武力行使はしないというのが一つの条件であります。つまり、外交なりそのほかの対応措置によって可能なものについて、そういう他の手段がありながら武力行使によってその問題を解決するということはしないというのが、まず自衛権行使の一つ枠組みであろうと思います。  二番目は、現に相手方から武力による攻撃、そういったものが行われない限り、いわゆるこちらから先制攻撃はしないというのが自衛権行使の第二の条件であるというように私どもは考えておるわけであります。  それから三番目が、仮に相手方から急迫不正の侵害、武力による侵害があった場合に自衛権が行使されるわけでありますが、その行使される限界というものは、あくまで国を守るためにとどまる、国を守る限界にとどまる、それ以上のことをしないというのが自衛権行使の三原則であるというように私どもは考えておりますし、それを常々政府として申し上げておる次第であります。
  38. 田口健二

    田口委員 ちょっと話題を変えまして、「防衛計画の大綱」が策定をされて今日まであるわけでありますが、その中に、いわゆる限定的で小規模な侵略事態に対応できるような云々という考え方があるわけですね。恐らくこれは当時としては、一定のシミュレーションを行って、そういう中で大綱の別表なりができ上がってきたのだろうというふうに思うのですが、その辺はどうなんでしょうか。どういうシミュレーションをやって、現在の大綱、さらにはその別表というものが決められていったのか、その辺の経過をちょっと教えていただきたい。
  39. 西廣整輝

    西廣政府委員 まず、限定的・小規模という言葉の面から申し上げますが、実はこの種言葉が最初に我が国の防衛力整備に使われ出しましたのは、第二次防衛力整備計画、その際に、我が国が整備すべき防衛力は、「通常兵器による局地戦以下の事態」に対応するものであるということが言われました。それが引き続き三次防、四次防という形で使われてまいっております。  ところが、通常兵器による局地戦以下の事態といいましても、これは非常に幅がございます。そこで、その通常兵器による局地戦以下の事態のすべてに対応する能力を持つということは、大綱策定当時の現に維持をしておる防衛力から比べるとかなり天井の高いものである、それをその段階で追求するということは、いろいろな意味で困難が多いだけではなくて、そういう余り高い目標を追求しますと防衛力自身が跛行的になってしまう、あるものはかなりのところへ行くけれども、あるものは非常におくれてしまうというようなことで、防衛力自身にも好ましくない、もろもろのことがありまして、さらにそれを限定しようではないかというのが大綱策定当時の考え方でありました。  そこで出てまいったのが「限定的かつ小規模な」ということになったわけであります。「限定的」と申しますのは、まさに二次防当時から言われておる「通常兵器による」という意味一つはございます。そのほかに「限定的」というものは時間的にもという意味もあります。そう三年も五年も続くというような大戦争、あるいは十分相手方が二年も三年も準備をしてかかってくるというようなものに備えるものではないというような時間的な要素も入っております。さらに言えば、二次防当時の「局地戦以下」と言った際のいわゆる地域的な限定、要するにグローバルウオーではない、ローカルウオーである、そういったものに備えるという意味で、地域的な限定という意味も含めて「限定的な」という言葉を使いました。  その中でさらに「小規模」という、もう一つ枠をしぼめているということでございますが、この「小規模」という点では、例えば我が国周辺の国の軍備を見ますと、ソ連という我が国周辺の一番大きな軍事力を持っている国を見ますと、極東に相当の軍事力というものが配備をされております。現在の日本の防衛力の十倍近い軍事力が配備されておりますが、それならそれがすべて日本を指向しているかというと、そうではない、これは中ソ国境のために構築されている兵力もございますし、対米配備といいますか、アメリカというものを恐らく念頭に置いておるであろう核ミサイルを積んだ潜水艦がいるとか、そういったものもたくさんございます。そういった軍種あるいは装備を見ますと、それなりにこれはどこを向いているなというものがある程度分析をされるわけであります。と同時に、みずからの防衛のため、いわゆる防空戦闘機部隊とかそういったものもございます。  そういったものはそれなりの任務を果たしておるという前提で、なおかつそのままの状況で動かし得る兵力、つまり十分な準備を行わなくても草々の間に例えば日本なら日本の攻撃に使い得る軍事力、その程度の侵略というものが小規模侵略というようにお考えいただきたいと思います。  そういう形で大綱というものができておりますので、先生お尋ねのように、大綱策定当時、まず我々としてはそれぞれの陸海空の部隊につきまして、大綱にも書いてありますように、一応防衛面においては機能的に欠落がない、この機能はあるけれどもこの機能はないということではないものにしたいということが一つ。それからもう一つは、地域的に薄くても一応網をかぶせるものでありたい、つまり北海道は守っておるけれども九州は守っていないとか、そういうことがないようにする、全国的に一応の網をかぶせるということで、全国的にすき間のないものにしたいというのが第二点であります。  そのほか、教育訓練を適切に恒常的に行い得るようにするとか、いろんな平時的な要件。それから時間的にも、例えばレーダーサイト等でありますが、昼はできるけれども夜はできないとか、夏はできるけれども冬はできないということじゃなくて、二十四時間、三百六十五日やり得るようにする。そういう平時の警戒態勢については常時警戒態勢というものがとれるようにするというようなことで、所要の防衛力というものを積み上げてみたわけであります。  一番いい例が、わかりやすい例で申し上げますと、戦闘機部隊でありますけれども日本全国、もちろん例えば南鳥島とかそういうところは無理でございますけれども、一応主要な北海道、本州、四国、九州、それから南西諸島というものを含めて、そこに相手が中高度ぐらいで入ってくる場合に発見をし、国土に相手が到達しないうちにこちらが領空侵犯対処をしておおむね対応できるような態勢にするためには、細長い国でありますのでどうしても全国七カ所くらいで待機をしなければいけない。そうすると、七カ所に航空部隊を置かなくてはいけない。そこで二十四時間待機をする。これは五分待機のもの、三十分待機のものといろいろありますが、待機をさせるためには何機要るか。待機だけしておりますと訓練が全くできませんので、どんどん練度が落ちてまいります。それを二十四時間順番にクルーが待機をし、かつ訓練を整々と行って新陳代謝が行えるようにするためには何個隊要るかというようなことで積み上げたのが、現在の十三飛行隊というものであります。  そこで、それですと平時態勢はよろしいわけですが、先ほど申したような小規模侵攻、そういった際に力があるかないかということは全くわかりませんので、そこで先生質問にありましたシミュレーションというものを行ったわけであります。  防空については、先ほど申し上げたように、周辺諸国が、それぞれの任務というものをある程度現状のまま果たしながら、その中で抽出し得る兵力で日本を攻撃した場合に、先ほど申した平時態勢下で保有しておる防衛力というものを総動員したらどの程度の防衛力が発揮できるかというシミュレーションであります。  簡単に申しますと、このシミュレーションの内容というのは、相手方が攻撃してくる、それに対してこちらが、戦闘機部隊あるいはミサイル部隊、そういったものが防空作戦をやるわけであります。当然彼我に被害が出るわけであります。相手も相当撃墜されますが、こちら側も飛行場もやられ、航空機もやられるし、ミサイルもやられる、そういう形になります。そこで、お互いに痛み分けになるわけですが、シミュレーション上、二回戦をやらせてみる。そうしますと、最初の被害の程度というものによって二回戦は状況が変わってまいります。最初、より被害を受けますと、二度目はもっとひどい被害を受けるという格好になります。  言いかえますと、いわばボクシングで第一ラウンド、第二ラウンドとやるように、第一ラウンドをやりましてダメージを受ける、二度目になるとダメージを受けた方がもっと弱ってくるというような格好でありまして、それが三回戦、四回戦といってもお互いに痛み分けで五分でいけるというのが一つの限界点、それ以上であれば非常によろしいということになろうかと思います。これを私どもはシミュレーションの中で、彼我の被害率が一になる、ローが一というように申しておりますが、そういう状況というようにとらえております。  これを撃墜率に換算しますと、相手方の被害の方に着目しますと撃墜率になるわけですが、ほぼ三〇%近いもの、三〇%程度のものであります。ただ、これは撃墜率だけですと、先ほど申したようにミサイルとかいろいろな問題がありますので、あるいはこちらの地上施設がいろいろやられるということで、必ずしも正確でありませんので、私どもは撃墜率という言葉は使っておりませんが、撃墜率でいえば三〇%程度のものを得られれば、二度目になれば、お互いに痛み分けでまた三〇%ぐらいというようなことでいけるという一つのシミュレーションができるわけです。  そういうシミュレーションをやってみまして、ローが一という、イコールのような状況が維持できるかできないかということをやって、先ほど申した平時における態勢でどこまでやれるかというシミュレーションをやって、それで足りるか足りないかということを検討したわけであります。  潜水艦等についても同様でございまして、潜水艦の場合は、恐らく日本に攻撃をしかけてくる前に相手側の潜水艦というものはもう港から出まして、それぞれの活動海域、いわゆる哨区と申しますが、そこに出ていると思うのです。出て、自分たちが一番有利なところへ展開したところで状況が始まってくるということになります。  それから、彼らの航続時間、海の中におれる時間、働いて、そして海峡を通って帰ってくる、そして次に今度はまた海峡を通って出てくるという潜水艦の行動の一サイクルというものがあります。通常ですと出てきてから帰るまでが一サイクルですが、潜水艦の場合は、先ほど申したようにもう既に戦場になるべきところに配備されておりますから、そこから始まってそこに帰ってくるまでの一サイクル、約二ヵ月間ぐらいだろうと私ども思っておりますけれども、その間にどれだけ我が方は船舶が被害を受け、相手側にどの程度のダメージを与え得るか、撃沈率を稼ぎ得るかというシミュレーションをやりまして、これまたやはり四〇%近いものを持ちませんと、こちらの被害が累増していって、とても我が国が必要とする海上輸送量というものは確保できないということになります。  そこで、その種のシミュレーションをやって、先ほど申したように、護衛艦隊であれば通常の訓練サイクルで四個群は最低欲しい、五個群がベストであるという、サイクルを行うための、軍としての周期訓練を行うための規模なり、あるいはそれぞれの沿岸海域を警備する部隊、艦艇部隊について言えば少なくとも二隻以上のものが常時各沿岸海域にいるというような状況を平時からとりたいという前提に立った防衛力で今のようなシミュレーションをやって、それで十分かどうかというシミュレーションをやったという次第であります。
  40. 田口健二

    田口委員 懇切丁寧に説明をいただきましたけれども、私聞きたいのは、確かに防衛計画大綱が策定をされるときにいろいろなシミュレーションをやられて、そういう装備を含めてこの別表などもつくられていったんだろうと思うのですが、あれからもう十年以上経過しているわけですね。ですから、その辺は一体どうなんですか。刻々変わっていく状況の中でまた別のシミュレーションが行われているのか、あるいは計画大綱策定当時のシミュレーションが現在でもそのまま考え方として使われておるのか、今後また新しいものをやっていこうとされているのか、その辺をちょっとお尋ねをしたいのです。
  41. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問のとおり、大綱策定当時そういうシミュレーションを行いまして、それ以後につきましては、これを毎年行うということは非常に金もかかりますし時間もかかりますので、そういうことはできませんが、例えば現在実施中の中期防、こういったものをつくるに際しまして、まず、現在既に我々が計画してつくることになって予算化されておる防衛力、それが完成した暁に、その当時見通せる周辺諸国の軍事力というものを見まして、当然のことながら大綱の当時と比べますと量が変わったり質が変わったりしております、そういったものを修正をいたしまして、そこで現在の防衛力の能力がどうなっておるかという測定をいたしますと同時に、そこにどういう問題が起きるか、出るかということがございます。  それから、以後五年間に整備する防衛力でございますが、それができてくるのは七年先、八年先になります。その時点で相手方が大体どの程度になるかという見積もりをいたしまして、その中で、先ほど申したようなシミュレーションで、防衛力としてほぼ満足し得るものかどうかというシミュレーションをやる、五年に一回やるというふうにお考えいただければよろしいかと思います。
  42. 田口健二

    田口委員 次に、あなたは計画大綱の問題の中で昨年、「七割、八割といったような形で相当の抵抗力を示せるものであるかどうかということを検証して、現在の「防衛計画の大綱」というものができたわけであります。」こう言っておるのです。これは私はちょっとおかしいと思うのですよ。少なくとも、今るる述べられてきた防衛計画大綱の考え方、やはりこの程度であればあなた方の言うところの日本の自衛力といいますか日本の防衛についてはいいのだ、恐らく国民も、この防衛計画大綱というのが示された、これで政府が言っておるのだから日本の防衛は十分なのだ、こういうふうに普通考えると思うのです。ところが、あなたは七割か八割と言っているのです。  これはどういうことなのかということを私も随分考えてみたのですが、恐らくあなたの頭の中には、よく所要防衛力構想と言われていますが、四次防までの考え方、その頭でいくとこの計画大綱などというのは七割か八割なんだ、そう言っているのではないですか。この七割、八割などという言い方はどうも納得いかないのですが、どうでしょうか。
  43. 西廣整輝

    西廣政府委員 私が申し上げた七、八割というのは、押しなべての数字で恐縮でございますが、決して三次防、四次防までのねらっておった防衛力に対して七、八割という意味ではございません。先ほど申し上げたシミュレーション、本来であれば、防空力であればローが一というものが導き出せる防衛力、それを一〇〇とした場合の七、八〇%という意味で申し上げたわけであります。  それでは、そんなことでは困るではないかとかあるいはそれでは理屈に合わぬではないかという御意見はもちろんあろうかと思います。また、私どもの部内でもそれでは非常に問題ではないかという意見もないわけではございません。  ただ、大綱をつくったときの考え方をもう一回申し上げるようになりますが、まず国際情勢というものについて、大綱にも書かれておりますように、東西陣営の対峙というものが現実にある、しかし、そういうものがある中でマクロ的に平和というものが維持されておる、そして、あの国は自分より弱そうだからといってすぐ襲いかかっていく、いわゆる弱肉強食といいますか、そういう国際情勢下、世界の情勢下にはないのであるという基本的な認識がございます。  さらに加えて言えば、抑止力というものを考えますと、確かに相手に対して同等あるいはそれ以上であればあるほどいいということは当然でございますが、同時に、相手方としてはやはり攻撃して失敗した場合のダメージその他いろいろ考えるわけであります。さらには国際的な世論の抑制とかいろいろな問題がございます。そういう点から、周辺の諸国、日本についての周辺の諸国、ある国に対して日本を侵略したいという気持ちを起こさせないということがまず第一であろうと思いますから、そのためには常に百点でなくてはいけないとは私どもは必ずしも考えていない、また、それで何とか安全が保ち得る国際情勢であるという前提でそのようなことを申し上げたわけでございます。
  44. 田口健二

    田口委員 重ねてお尋ねしますが、私は、七割、八割と言うのだから十割にしろと言っているわけではないのですが、あなた方が言っている自衛のための防衛力を一〇〇とした場合に、まあ七割か八割の抵抗ができる、これが大綱の中身なのだという意味なんですか。
  45. 西廣整輝

    西廣政府委員 実は大綱には若干いろいろな面が付加してありまして、一般にはエクスパンド条項と言われておりますが、状況変化に応じて急速拡充できる部分、そういったものも十分勘案しなさいということがあります。  例えばそれはどういうことかといいますと、戦闘機部隊について言えば、当然戦闘機の数に応じたパイロットがおるわけでございますが、同時に、戦闘機乗りになり得るパイロットというものが管理部門についている分野もあるわけであります。そういう余力があるとすれば、情勢が緊迫した際に、飛行機さえ同盟国からでも買ってくれば少しはすぐふやせられる、そういったことを含めて、常々持ち得る防衛力に緊急的にある程度の弾力性を持たせるという配慮をしておくという部分もございますので、そういったことをもろもろ含めて現在の必ずしも百点とは言えない大綱のレベルでいいではないかということに決まったわけであります。  と同時に、これはあくまで大綱策定当時の国際情勢というものが前提でありますので、そういったものの基本的な枠組みというものが変わってくれば、それに対してやはり政治として別の選択なり決定をしていただかなくてはいかぬということになっておるわけでございます。
  46. 田口健二

    田口委員 それからもう一つ、これは大変重要な問題なんですが、前のあなたの答弁の中で、いわゆる一%枠の問題について、「経済計画等が改定されたにもかかわらず、そのまま置いておかれましたので、逆に歯どめというような意味合いで受け取られる向きが多くなった」「防衛力整備のテンポが一時よりも上がってきたということではなくて、その土台になる分母の方のGNPというものが大綱策定時に比べてはるかに低いレベルにその後変わってきた」ということがこの一%突破の大きな要因になってきているんだ、こう言っているのですよ。  ところが、いろいろ調べてみましても、大綱策定後にも、当時の福田総理ははっきり国会の中でも一%枠というのは防衛力の歯どめなんだということを言明しているのですね。ところがあなたの方は、いや、一%などというのは単なるめどであって、ましてこのGNP、分母がどんどん下がってきているから超えてしまったので、防衛力の整備についてはそんなに急テンポで上がってきているのではないのだ、こういう言い方をしたり、経済計画の改正がなされたときにも全然置いてきぼりになっておるから、こんな言い方をしているのですね。やはりこれはおかしいのではないですか、どうですかその辺は。
  47. 西廣整輝

    西廣政府委員 私は大綱策定当時まさにその衝にありましたので、その当時の事実関係を申し上げておるわけでありますが、大綱策定をして、そのときに一番残った問題としては、一応大綱で防衛力整備の目標はできた、そうすると、これをいつまでにどういうテンポでやるかということがそれだけではわからぬわけであります。  これを一遍にやってしまおうと思いますと膨大な金がかかる、逆に、これが五十年かかろうが百年かかろうがいいということになりますと、いつまでたっても平時から持つべき最小限の防衛力が整備できていないということでは困るというのが我々自身の考えでもありますし、財政当局にとってもその辺が決まっていないと見当がつかないということで出てまいりましたのが、三木内閣当時の一%のいわゆる当面の防衛力整備のめどというものであります。  それをつくる際に、それではどういうことでそれを検討したかと申しますと、正確な名前は忘れましたが、いわゆる五ヵ年間の経済計画というものができておりまして、それによってGNPというものがこのくらい伸びるであろうというものが示されておったわけであります。たしか年率かなりの、十数%に近い伸びの経済計画だったと思いますが、そういったものがありました。  そういったものをまず土台に置きまして、同時に大綱でつくられた防衛力というものを、これは事務的な内部の検討でございますが、十年ぐらいでつくっていくということになるとどのくらいお金が要るだろうかということをマクロ的な計算をいたしまして、年度年度逐次ふやしていくということにしますと一%の枠内で十分できるだろうということでありますが、あくまでこれはそのときにありました大綱とほぼ同時期にできた長期的な経済展望というものを土台にしておりますので、これは不変のものでもないし、五ヵ年しかございませんものですから当面と言わざるを得ないということで、当面のめどということでああいうものができたというように私どもは理解をいたしております。  もちろんそれ以後、実は五年待たずにその経済計画というのは修正されたわけでございますが、修正された段階でもまだ一%でいけるというようなことで、あの閣議決定そのものを直ちに変える必要はないということでそれが引き続き維持されたということは事実でありますし、また、先生の言われるように、つくった当時のそういう前提の中でこれを限度としてやっていこうということを決めたことも事実でございますので、それを歯どめというふうにおっしゃるのはそれまた当然であろうというふうに考えておる次第であります。
  48. 田口健二

    田口委員 あなたがいろいろ言われておりますけれども現実には六十二年度あるいは六十三年度予算において既にGNP比一%枠を超えているわけです。  五十二年十一月に福田総理が答弁をしているのですが、   わが国は、自衛力整備の質的な面におきましてこれは専守防衛である、この考え方を堅持していっておるわけであります。同時に、経費的側面におきましては、これはお話しのようにGNPの一%を超えないという範囲内のもので運営してまいるということを申しておるわけであります。この考え方、つまり、これが防衛費の最大の歯どめでございます。 こう言っているのですね。  そうすると、やはりこの当時の考え方と、現実には六十二年度あるいは六十三年度で一%を超えてしまったわけですが、考え方は変わったのですね。
  49. 西廣整輝

    西廣政府委員 当時の閣議決定にありますように、一%を超えない、正確な言葉は忘れましたが、超えない、いわゆる未満であるのだということで閣議決定されておるわけですから、それが当然的な強い歯どめであるというふうに私どもは考えております。  一方、私の申し上げておるのは、その際にこれまた国会答弁で、当時の防衛庁長官等種々お答えになっておると思いますが、この当面なり当分の間というのはどのくらいだということを何度も聞かれております。その際に、経済計画というものが当然念頭にございましたので、多分当時は三原長官であったと思いますが、三、四年とか、そういう数字をおっしゃっておられると思いますので、決して経済計画なりそういった経済の伸びといったものを無視して、固定的に未来永劫どうするというものではないということを私は申し上げておる次第であります。
  50. 田口健二

    田口委員 これは長官にひとつお尋ねをいたしますけれども、昨年の委員会で当時の栗原長官に私はお尋ねをしたのでありますが、当時いろいろなところで「防衛計画の大綱」の見直し論というのが幾つか出ておりました。  確認の意味お尋ねをいたしたいのですが、ちょっと長くなりますけれども、  私は防衛というものは金がかかると思いますよ。金のかからない防衛なんかないと思う。だからこそ防衛については節度ある使い方をしなければならぬ。私が身を持すること厳にするというのはそういう意味です。本当にこれは大変なことを私はお任せをいただいている。そういうことでございまして、決してどんどん使っていくというのではない、しかし必要なものだけはやらなければならない。その必要なものは何かというと「防衛計画の大綱」で、限定かつ小規模の侵略に対応し得るもの、こういうものが基準でなければならぬと思う。ですから、いささかほかの方と違いまして、「防衛計画の大綱」この水準を維持する、達成することが必要なのだ、 と言って、栗原さんは「防衛計画の大綱」の見直しということについては明らかに否定をされて、大綱をやはり維持していくのだ、こういうことをはっきりあのときに言われたわけですが、瓦長官のお考えはどうでしょうか。
  51. 瓦力

    瓦国務大臣 私に対するお尋ねでございますが、私は、国際情勢等の基本的な変化がない限り大綱の基本的な枠組みというものを見直す必要はない、かように考えておりますし、もとより我が国の防衛、安全につきましては、我が国でなすべきこと、また日米安保体制、このことによって我が国の安全が確保されてまいるわけでございますが、先ほど以来委員と防衛局長質疑を聴取しながら、大綱につきましては、今申し上げましたとおり、大綱の枠組みを守ってまいりたい、変化がない限りこの基本的な枠組みを見直す必要はない、かように考えておるわけでございます。
  52. 田口健二

    田口委員 今長官からお答えをいただいたのでありますが、そこでお尋ねをしたいのは、六十六年以降の中期防衛力整備計画、このあり方についてどのような考え方に立っておられるのか。今私はあえて長官にも大綱の問題をお尋ねし、長官も、国際情勢変化がない限りこの大綱の枠というのは守っていくべきだし、見直す必要はないというふうに言われているわけですね。  ただ、ここ数年来、先ほど私は一%の問題も申し上げましたけれども、防衛庁の考え方は、大綱から逸脱というよりも、大綱そのものを変えていこうとしているんじゃないか、いわゆる四次防の時代まで逆戻りしていく考え方を持っておるんじゃないか、これは私の独断と偏見かもわかりませんが、そういう気がしてならないのです。だから、六十六年以降の中期防衛力整備計画というのは、あくまでも今の大綱の上に立って策定をしていこうというふうにされておるのか、その基本的な考え方をまずお伺いをしたいと思います。
  53. 西廣整輝

    西廣政府委員 六十六年度以降の防衛力整備につきましては、実はこれから安全保障会議あるいは閣議等で十分御検討、御審議をいただいて、どういうものを、どういう基本的な枠組みでつくり、どういう期間のものをつくるか、いろいろなことをお決めいただかなくちゃいかぬ。そのためには、先ほどちょっと申し上げたシミュレーションじゃございませんけれども、現在の防衛力なりあるいは周辺諸国の軍備の動向なり、そういったことについても十分御説明をし、今後このままの防衛力を維持すればいいのか、あるいは周辺諸国のそういう軍備の動向の変化に従って手直しが必要なのか、補強が必要なのかというようなことを含めて十分な御審議をいただかなくちゃならぬということでございます。  ただ、一般論で申し上げますと、先ほど来申し上げておるように、「防衛計画の大綱」というのは限定的・小規模の事態に独力で対応できる程度の力を持つということがまず基本的な水準になっております。そこで、小規模・限定的な侵略というものが決して固定はしていないということは御理解をいただきたいと思うのです。それは、周辺諸国の軍備というものが量的に増減することもございますし、質的にも変化をいたしております。したがって、それによって小規模・限定的な侵略事態というものも変動をしておるし、逐次変わっているということは事実でございます。それに対応するために、我々としても主として質的な装備の改善なりあるいは部隊の合理化、そういったことによって対応していくということで今まで対応しておりますし、今後も対応していきたいというふうに考えております。  そこで、ただいま防衛庁長官お答えになりましたように、我々としては、現状、これはまだ安全保障会議等で御審議いただくわけですが、国際情勢そのものについて大綱を変えなくちゃいけないというような基本的な情勢変化はないんではなかろうかというように考えております。ただ、これは御審議いただいた結果でございますが、そういう状況下である限り、大綱の基本的な物の考え方は変わらないということになります。  あとは、今申し上げたような、受動的ではございますが、周辺の変化というものにどういう手段で対応していくか、あるいは変化がないからこのままでいいかというようなことをこれから研究をし、結論を得ていくということになろうというように考えております。
  54. 田口健二

    田口委員 それでは次に、第十八回日米安保事務レベル協議がさきに行われました。いろいろ新聞等でも報道されているわけですが、特にこの中でアメリカ側から物品・役務相互融通協定ですか、こういうものが提案をされたということでかなり各新聞も大きく報道をされておるわけですが、この中身なり内容についてまずお答えをいただきたいと思います。外務省ですか防衛庁ですか、どちらからでもいいです。
  55. 岡本行夫

    ○岡本説明員 御指摘のとおり、今般の日米安保事務レベル協議の場におきまして、米側から、いわゆるNATO相互支援法に基づきます米国とNATO諸国間の共同訓練の際の相互支援の仕組みについて説明がございました。そして、日本との間でも相互の物品・役務融通協定があることが有用であるという発言がございました。これに対しまして日本側からは、今後このような取り決めがそもそも日米間に存在することが有用であるかどうかという観点から、全く白紙の立場で検討していきたいということを答えております。  内容についてのお尋ねでございますけれども、私どもも米国のNATO相互支援法について細部にわたりまして有権的な解釈を行う立場にはございませんけれども、この法律と申しますのは、米国と相手国との間におきまして兵たん支援でありますとか供給品、役務、そういったものを相互間で提供し合いまして、そしていわば双方の債権と債務を事後的に清算をする、こういった枠組みであると承知しております。
  56. 田口健二

    田口委員 そうすると日本側としては、このアメリカの提案について今後どう対応していくかという対応の仕方はどうなんですか、今後の問題として。
  57. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほども申し上げましたが、私どもといたしましてはまずこの仕組みをよく勉強してみたいということでございます。そもそもこのようなものが日本にとって必要なのかどうか、その白紙の立場からもう一度検討してみたいということで、今後の検討結果がどのような方向になるかということは私どもとしても予断できかねるところでございます。
  58. 田口健二

    田口委員 今の問題について防衛庁はどうなんですか。
  59. 西廣整輝

    西廣政府委員 実は先般のSSCで米側から相互援助といいますか相互支援法について若干説明があったわけでありますが、一つは、説明者が制服の人でありますから法律そのものについてそう詳しくないということで、その法律の内容そのものについて私どもまだ十分理解ができていない点がございます。  もう一つは、米側として共同訓練に際してこの種の協定というものが結ばれることが非常に便利なんではないかという一つの例として、彼らは、例えば訓練のとき、当然米側から、本土なりほかの地域から航空機等が来て訓練をすることがございます。そういったものに対する修理等の部品の提供であるとか油の提供であるとか、そういったことについてよりやりやすくなるのではないかという御意見がありましたが、私の方は、その辺の実態を見まして、今まで共同訓練がさほど支障があるというふうには思っておりませんので、そういったものが果たして必要なのかどうかという実態面の検討をしてみたい。  さらに言えば、例えば今陸上自衛隊の共同訓練等で、米側から大隊規模あるいは連隊規模の部隊が来て訓練をやっております。これが今後さらに大きくなっていく、大きな部隊の共同訓練をやっていくということになりますと、そういう戦闘部隊が来て訓練をするのはやむを得ないというか必要なわけでございますけれども、それらを支援する後方部隊まで来るということになりますとこれは大変な量になりますので、そのために非常に余分の輸送費なりあるいはいろいろな経費がかかるということになれば、その種の部分自衛隊が訓練の間は肩がわりをしてそういう補給業務なり整備業務をやるということも必要なのかなという気がしないではありません。  それらも含めて今後そういった共同訓練等の実態がどうなっていくかということを十分我々として見きわめた上で、ぜひそういうものがあった方がいいとか、まあ何とか今のところ必要なさそうだとか、そういう実態面からのニーズを十分検討してみたい。それで、その結果によって仮にやはりあった方がよろしいということになれば、今度はそれについてそれじゃどの範囲の協定を結ぶかとか国内法上どういう問題があるかとか、いろいろな問題の検討に入っていくという二段ばねになっていくのではないかなと思っております。
  60. 田口健二

    田口委員 今外務省それから防衛庁のお話をちょっと聞いたんですが、若干ニュアンスが違うような感じがするわけですが、実際的に今後この協定等が締結をされていくということになると、担当はどっちになるのですか、外務省ですか防衛庁ですか。
  61. 西廣整輝

    西廣政府委員 協定そのものは当然外務省におやりいただくということになります。協定といいましても、すべての国が同じ協定ということではないのではないかと私は思います。日本として必要なものがなければ協定は結ばないし、あるにしても、こういうものについては必要だということであればその範囲内の協定を結ぶということになりますので、そういう実態的な必要性の有無なり具体的内容については、我々実際に共同訓練を行っているところがまず第一義的には勉強してみなくちゃいかぬということになろうと思います。
  62. 田口健二

    田口委員 それでは、時間も余りなくなりましたので、少し法案の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  このところ三年ぐらい続けて防衛庁の方から自衛官の定数増についての提案がなされてきているわけです。御案内のように、今公務員の場合には行政改革ということで厳しく定員が抑えられておる。こういう中で、ひとり防衛庁のみとは言いませんけれども、三年間にわたって増員要求が提案をされてきている。  今回、自衛官増員を必要とする艦船あるいは航空機、これの取得と、退役と言うのでしょうか一線から外れる、こういう状況というのはどうなっているのですか。
  63. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、航空機、艦艇等の就役、除籍に伴う増減というものが、お願いしております増員の中で相当部分を占めておりますことは事実でございます。  まず、今お尋ねの海について申し上げますと、新たに就役をしてくるということで増員を要するものにつきましては、五十九年に建造に着手しました護衛艦、DDでございますが、これが三隻就役をしてまいります。それから、六十年度に建造に着手しました潜水艦が一隻就役をしてくる。それから、六十一年度に建造に着手しました掃海艇が二隻就役をしてくる。さらに、六十一年度に建造に着手しました訓練支援艦、これが一隻就役してくるというのが艦艇の就役状況であります。  一方、除籍といいますか退役していくものの方が、「まきしお」という潜水艦が一隻除籍になっていく。それから、「たかなみ」と申します護衛艦が一隻除籍をされる。さらに「ちはや」という、これはたしか掃海母艦だったと思いますが、これが除籍になる。そのほか「くまたか」「しらとり」といった船が除籍になってくる。  そういったことで、それらの除籍になるものをマイナスに立て就役してくるものをプラスとして、相殺をしてお願いをしておるという状況でございます。
  64. 田口健二

    田口委員 そういう形で新しく艦船なり航空機がふえてくる、そういう中でプラス・マイナスしてふえていくということになると、これは将来的にどうなんですか。ここ数年間の見通しというのは、どういう見通しを持って増員の問題については考えておられるのですか。
  65. 西廣整輝

    西廣政府委員 この定員の問題についてはいろいろな要素がございまして、単に就役、除籍が機械的に行われるかと申しますと、例えば建造します艦艇につきましても、できるだけ省力化といいますか自動化を図っていくということで、乗組員の数というものは可能な限り減らすということで設計をし建造しておるということで、増員をできるだけ抑制をするというように考えております。  一方、航空機、艦艇、レーダー、その他もろもろございますが、そういったものの中で極めて複雑な構造のものが出てまいって、従来以上にそういった人が要るというものもないではございません。  そういったことも含めて、個々の機材の購入、そういったものに対して人を考えると同時に、一般管理部門も含めて現在おります人員の洗い出しといいますか、仕事の繁閑の度合い、時代の状況によって逐次変わってまいります、そういった中で洗い出して人を抽出をしていくという努力も進めております。  例えば、今回お願いをいたしております隊法の中に航空自衛隊の部隊の改編がありますが、これらは従来、直接防衛庁長官のもとに直轄部隊としてぶら下がっておりました相当多くの後方支援部隊であるとか教育部隊あるいは研究開発に関する部隊、そういったものを統合するということによりまして、大幅に司令部要員といいますか部隊の要員というものを削減するという、主として運用の弾力性をねらうという点もございますが、同時に、それによってできる限りの人間を抽出するというねらいのお願いもいたしております。そういったことを含めて、我々としてはできる限り増員というものが要らないようにしようという努力を続けておるわけであります。  今後の見通しでございますが、大綱の別表にあります数量というものに現在まだ到達してない、下回っておる状況でありますので、この水準に達しまするまでの間はどうしても若干の増員というものをお願いせざるを得ないのではないかというふうに思っておりますが、その水準に達した段階になりますと増員というものはそれなりにずっと減ってくる、いわゆる新規増分というものはございませんので、増員所要は減っていくというように私どもは考えております。
  66. 田口健二

    田口委員 もう一点、毎回予備自衛官増員がかなり大幅に出てきて、今回は千五百名とふえていっているのですが、この役割というのは一体どういうふうに考えているわけですか。  同時に、この前の当委員会の論議などの中にもあったのですが、自衛隊除隊者だけでなくて一般の民間の方からもこの予備自衛官に採用する、こういう話等もしばしば論議があっているのですが、その辺を含めてどうなっておるのか、ひとつお聞きかせをいただきたいと思います。
  67. 西廣整輝

    西廣政府委員 予備自衛官につきましては、大きく分けて三つの使い方といいますか考え方があろうと思います。  一つは、平時から実員を抱えておくのはある意味ではむだになる、むだが多い、そういう部隊があります。例えば、前線に出た場合の補給部隊であるとか野戦病院みたいなものをつくるといったような要員を平時から抱えておるということになりますと、むだになります。そういったものは有事に緊急に編成をしてやるわけでございますが、それの母体になる何人かはそれぞれの部隊から抽出するわけでありますが、やはり実際に部隊を編成することになると、それに予備自衛官を加えて新たな部隊をつくらなければいけないというのが一つございます。  もう一つは、有事になりますと、当然各地域に駐屯しております部隊というものが前線といいますか戦闘地域の方にずっと詰めかけることになります。そうしますと、その残された地域というものがほとんど空き家になってしまうわけでございますが、そこに軽装備の警備部隊というようなものをつくらざるを得ない、そういったものに充当するための予備自衛官というものが必要であります。  第三番目は、戦闘損耗でありますが、当然有事戦闘が行われるようになりますと負傷したりあるいは戦死したりする者が出てくる、そういったものの補充をしなければいけない。  そういったものに充当されるというものの三つ、これらが主要な予備自衛官の行き先であるというようにお考えいただきたいと思います。  もう一点御質問の、予備自衛官制度について一般民間人から採るような話があるがどうかということでございます。  これはまだ検討が終わっておりませんで、現段階ではっきりしたことを申し上げられませんが、現状予備自衛官というのは自衛官を経験した者が退職した、その人たちになっていただく、こういう制度になっております。そういうことでございますので、年々やめる人間の中ということになりますと、当然のことながら一遍に人を採るわけにはまいりませんから毎年のように増員をお願いしておるわけでございますけれども、同時に、どうしても自衛官を勤め上げられた方ということになるとかなり老齢化しているという弱点がございます。それで済むのか済まないのかというのは、先ほど申し上げた予備自衛官の充当先との関係で十分検討しなければいかぬという面がございます。  ただ、それじゃ直ちに自衛官の経験のない人で充てるべきだというふうに結論が飛躍するかと申しますと、そうではなくて、自衛官についても任期制隊員というのが今ございまして、陸自について言えば二年とか海自について言えば三年とか、そういった任期がございますが、より短任期の自衛官をつくるとかいろいろな考え方があろうと思います。そういうことも含めてもう少し総合的に検討いたしたいということで、まだ結論は得られていない状況でございます。
  68. 田口健二

    田口委員 時間が余りなくなりましたので、最後に、先ほど防衛局長もちょっと触れられておったのですが、航空自衛隊組織の改編についてちょっとまとめて質問しますので、まとめてお答えをしていただきたいと思います。  一つは、陸上自衛隊あるいは海上自衛隊よりも最初に航空自衛隊組織改編をしようとする背景というのは一体何なのかということですね。それから、それと同じことになると思うのですが、そのことによってどういうメリットが出てくるのか。それから、組織改編をした場合に、航空自衛隊の空将補以上、将官といいますか、こういうポストは減るのかふえるのか。それから最後に、今回の航空自衛隊組織改編に要する経費は一体どれくらいかかるのか。  このことをひとつまとめてお答えをいただきたいと思います。
  69. 西廣整輝

    西廣政府委員 私、すべてについてお答えできるわけではございませんが、特に前段部分についてお答えをいたしたいと思います。  今回の航空自衛隊骨幹組織の整備改編のねらいは、先ほどちょっと申し上げましたが、三つの分野にわたっております。  一つは、航空輸送であるとか救難、それから保安管制あるいは気象といったような戦闘部隊を直接支援する部隊の組織の改編でございます。これらにつきましては、従来、例えば航空輸送につきましては輸送航空団というものが独立してございました。当然、団司令部以下あって、その下に輸送航空隊というものがぶら下がっているという形で存在しておりました。次に、航空救難団というものにつきましても、航空救難団の下にもろもろの救難機が、今度は数機でございますからそういうものがぶら下がっている。さらに保安管制気象団というものがございまして、それぞれのレーダーサイトなり基地等に保安管制群、気象群というものがあるというような組織になっております。  それを、今回そのうちの輸送航空団保安管制気象団の二つをつぶしまして、航空支援集団というものをそのかわり新たにつくる。その下に先ほどの救難団はそのままつきますが、それ以外の輸送と保安管制については群を直接それにぶら下げてしまうということで、輸送航空団保安管制気象団をなくしてしまうという形になります。  それから、教育部隊について申し上げますと、現在教育部隊は、長官直轄の形で飛行教育集団から始まりまして五つの隊なり学校あるいは本部がございます。これを航空教育集団という形で取りまとめてしまいまして、そして中間的なと申しますか、現在は長官直轄の司令部になっておるものをなくしてしまうというものであります。  三番目は研究開発等の関係でございまして、現在、航空実験団という主として機材、航空機等の装備の方の実験をする団、それから医学実験隊という主としてヒューマンファクターといいますか、人間関係の方のもろもろの実験をする部隊がございますが、これを一緒にしまして航空開発実験集団というものをつくろうということでございます。  そうして、これのねらいというものは、先ほど申したように一つは人員の省力化というものがございます。と同時に、運用面からいきますと、今までそれぞれが独立していることによってその運用なり調整についてある意味ではむだなり手間がかかったものを、一つの集団にまとめることによってその弾力的運用なり融通というものがよりやりやすいようにするというのがねらいであります。それから、開発等につきましては、今までそういうように物と人という面が離れて別個にやっておったものを統合してやれるという点で、よりすぐれたその種開発実験が可能になってくるというものであります。  それから、これに伴って階級がどうなるかということでございますが、基本的には現階級の枠組みの中でやっていくという考え方でございます。
  70. 日吉章

    ○日吉政府委員 航空自衛隊骨幹組織の改編関係予算上の措置はどういうことになるのかということでございますが、施設整備費といたしまして約二億八千万円予定をいたしております。それは、この組織改編の一環といたしまして、浜松南、北基地を統合いたしまして一つの基地としての機能の円滑化を図るということを考えておりますものですから、南北の基地の連絡道路をつくるとかあるいは通信ケーブルをつくる、こういうような経費でございます。
  71. 田口健二

    田口委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  72. 竹中修一

    竹中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ────◇─────     午後一時四十九分開議
  73. 竹中修一

    竹中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  74. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私、最初に、奥野さんが中国のことに関して侵略であるとかないとかいろいろな論議の中で今いろいろと問題になっておる、本委員会におきましても先ほど議論がございましたが、認識としてお伺いしておきたいのです。  防衛庁長官、私はこの日中戦争に関しては、これは侵略でありました侵略行為があった、こういうように私自身個人的に考えておりますけれども、現在の世界の厳しい情勢の中で防衛庁長官としての見解を伺っておきたいのですが、この日中戦争に関しては、侵略行為なりそういった問題に関しての防衛庁長官の御見解を最初に述べていただきたいと思います。
  75. 瓦力

    瓦国務大臣 竹内委員からただいま防衛庁長官、私に対する見解をお尋ねでございますが、五月十一日、参議院本会議におきましての総理の御答弁と見解を一にいたしますので申し上げます。  我が国は、昭和四十七年の日中共同声明の中で述べられているとおり、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省をするとの認識であり、今後ともかかる立場に立ち日中関係に対処してまいりたい。  戦前の我が国の行為について、これが侵略であるという厳しい国際的批判を受けてきていることは事実であり、この事実は政府として十分認識する必要がある。政府としては、かかる事実を踏まえ、平和への決意を新たにするとともに、このようなことを二度と起こさないことを心がけていきたい。  かように総理が述べておられますが、私もその認識を一にいたしますので、ただいま申し述べさせていただきました。
  76. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長官、最初からそんな答弁では、これは今みんな国民が、ちょうど十年前日中平和友好条約ができて、そして十周年、記念すべきときですよね。そういうときに当たって、私何も今の政府の見解、総理のことをもう一度ここで述べてくれって言ってないのです。私は、侵略行為があった、日中戦争というものは侵略だと個人的に考えている。その侵略に対してあなたの見解はどうですかと聞いている。もう一度。
  77. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいまお答えいたしましたが、私はその認識を一にいたしておりますと、こう申し上げて、総理の参議院の御答弁を今述べさせていただいたわけでございます。  私も昭和四十七年の選挙で当選をいたしましたが、日中国交回復がなされたということは、私どもにとりまして大変大きな歴史の転機であり、喜びでもあったわけでございます。  今ほど委員お尋ねのように、過去におきまして中国国民に重大な損害を与えたことにつきましてのその責任を痛感し、深く反省をするという認識に立ちまして、さらに、二度と起こさないよう心がけてまいるということは、平和への決意を新たにするものでありますし、また、我々といたしまして深く反省といいますか、思いをいたしながら、平和国家建設へ、さらに日中両国の進展のために努力してまいりたい、かように考えておるものでございます。
  78. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題に関しては閣内ではどうも不統一のような感じも受けますし、それから、外務省としてこの問題に関してどういうように対処していこうとしておるのか、その見解を、外務省としての見解を伺っておきましょう。
  79. 阿南惟茂

    ○阿南説明員 本件につきましては、五月三日の日中外相会談で中国側の銭其シン外交部長より提起がございまして、日本の大臣の一人が礼儀を欠いた発言をされたという形で言及がございました。これに対しまして宇野外務大臣から、かかる発言が中国側の批判的反応を招くという事態になったことは極めて遺憾である、政府としては日中共同声明前文の中で述べられている日中間の過去の歴史に対する認識にいささかの変化もないという応答をされたわけでございまして、今後とも、中国との関係につきましては日中共同声明、平和友好条約、そして日中友好四原則にのっとって関係発展を促進していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  80. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 去る四月十二日、MDAに基づく日米政府間の交換公文、秘密特許資料移転取り決めを決定いたしました。そしてまた、その実施のための細目取り決め、こういったものが行われました。第三条で、米国が日本に供与する防衛技術のうち、米国内で秘密特許の扱いを受けるものは日本国内で類似の扱いをする、これは第三条でございますけれども、そういうことでございます。  特許という新発明の成果に対して類似の取り扱いなのか、研究者同士の情報交換や基礎的な研究のものまでこの類似の取り扱いとなるのか、この御認識というものはどうなっておるのか、最初に御答弁ください。
  81. 岡本行夫

    ○岡本説明員 ただいま御指摘のように、先般、いわゆる五六年協定に基づきまして、日米間で、米国におきまして秘密に保持されております特許出願について我が国でも類似の取り扱いをする、そのための手続細目が合意されたところでございますが、これはこの五六年協定及びその手続細則に規定されているところを一歩も出るものではございません。  したがいまして、特許に関する取り決めでございまして、御指摘のような研究者の方々の情報交換といったものについての新しい制度ではございません。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度確認しておきますが、特許庁、今回のこの取り決めによって細目改定、それによって今までの日本の特許制度に関しての法改正その他はないということは、本委員会でもまた私が予算委員会におきまして御質問させていただいたときも特許庁長官も御答弁いただきました。  その点の再確認をいたしますが、この秘密特許でこれだけ大騒ぎして細目改定というものを行ったということは、それなりの変化が出てくることはこれはもう当然なんです。今まで約三十年間眠っておったものですよね。それがここでいよいよ細目改定という形でその実施をしていこう、こういうことでございますので、例えば米国が秘密特許だと、こう持ってきたものに関して、日本におきまして民生用の関係で同じようなものが特許出願される、それにおいては今までどおりの形で進んでいきますが、しかし、この秘密が解除になって、そうしていよいよそれが公開されていく、そのときには、先願主義でございますから、最初に秘密特許をかけてきたものが、米国なりあるいは米国の関係者のものが優先されるわけでございますから、それまで民生用として、特許としてあるいは特許出願、実用新案、そういうような形でいろいろとビジネスにまで利用していたものに影響が出てくる。  これはこの前ここで論議を行いました。ここで、ほとんどそれは心配ないという答弁でございました。まずまれだ、何かそれがぶつかった場合には、これはまずまれなことで考える必要ないんじゃないか、こういうように答弁がございましたが、私はまだそこがはっきりしないのですね。なぜかというと、これだけのことを時間をかけて、そして米国は秘密特許制度を持ち込んできたということは、今後そういったぶつかり合うもの、そして今まで実用新案なりあるいは特許出願として公開になってやってきたものまでにいろいろと影響が出てくる、ビジネスにまで影響が出てくる、そういったものになったときに大変な混乱になるのではないか。  そういった面で特許庁としてそういう場合にどう処理するのか、もう一度ここで整理して御答弁いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  83. 山本庸幸

    山本説明員 まず第一に、今回の五六年協定に基づきます米国からのいわゆる協定出願、この法律的な位置づけでございますが、米国におきます秘密解除のときまで公開しないという例外は除きまして、あとはすべて通常の出願と同じでございます。したがいまして、米国の協定出願の方が先願でありますならば米国が先に特許になり、逆に、同じ発明で日本の出願の方が先願であるならば、その日本の出願の方が先に特許になるという関係になるわけでございます。  それで、万が一米国におきます秘密解除が遅延いたしまして、それで後願たる日本人の出願の方が先に特許になるという事態も、それは当然理論的には考えられると思います。そういったときには、特許法上、八十条という措置がございまして、この八十条の措置によりまして、その後願の無効となった日本人の特許権者というものは、そのときに行っております事業の範囲内あるいは事業の実施の準備の範囲内におきまして、いわゆる法定通常実施権を有するということでございますので、例えて言いますならば、その後願の日本人の方が工場生産の準備をしていたり、そういった既存の投資の実績というものがもしあるならば、そういうものはこの八十条によりまして実質上救済されるということで、まず実害ないものと考えております。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題は、五六年協定の実施細目交渉、この再開が一九八六年に始まり、FSX共同開発あるいはSDI共同研究、日米欧宇宙基地共同計画、日米科学技術協力協定などのこの日米の技術移転問題というのが根底にあったわけでございますね。そして、今私が申し上げました、ことし四月のこの防衛目的の特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日米政府間協定及び議定書、その実施細目が決まり、日本の公開主義の特許制度の中に秘密特許制度が、限定されているものの加わった。今、特許庁から御答弁いただいたわけです。  そこで、この問題の論議は、特許庁から、米国の軍事秘密特許の権利を持っている者の権利は日本においても担保される、こういった答弁もございましたし、それから、今回いわゆる五六年協定の実施細目の取り決めによって米国の軍事秘密保護が取り入れられた、こういうわけでございます。  ここで防衛庁にお伺いしておきます。  今までブラックボックスでいろいろと網をかけてきましたが、この秘密特許制度がいよいよ取り入れられていくわけでございますので、このブラックボックスの関係やら、今までのそういった機密、極秘、秘というものがどういうふうになっていくのか、その点もやはり国民がちょっと知りたいことでございますので、ぜひわかりやすく御答弁いただきたいと思います。
  85. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 ただいまの秘密特許問題と、いわゆるブラックボックスと言われております技術そのものの、あるいはそれを化体した設備、機器の開示の問題でございますが、いわゆるブラックボックスと申すものは、アメリカから装備、技術を導入した場合に、その部分は開示したくない、あるいは日本の方でその内容を見てもらいたくない、しかし日本には供与はするという場合に、その部分を公開しない、そういう形になるわけでございます。  それから、秘密特許の問題につきましては、実はその内容につきまして、特許権者としての立場を保護する場合に特許法上の特許を与えるかどうか、保護するかどうかという問題でございます。したがいまして、秘密特許の問題とブラックボックスがなくなるかどうかというのは、基本的には違う面を議論しているわけでございます。  ただ、そうは申しましても、一般的な技術の交流の面から見ますと、技術を開示した場合に、その技術を持っている権利者の権利が特許上保護されるということになりますと、それが特許上の保護がない場合に比べますと比較的開示しやすくなる、こういう形になるのではないかと考えております。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点お伺いしておきますが、防衛庁と日本の企業との間にいろいろと交渉がございますが、その間で、いろいろ今までのいわゆるブラックボックスなりあるいは機密なり極秘なり、マル秘というのですかどうなのか、秘なり、そういったいろいろなものがございましたね、防衛庁と企業との間に。これが今度、アメリカの秘密特許、これが防衛庁にかけられてくる、こうなってきたときには、防衛庁と企業との間のこの関係はどんな影響が出てきますか。
  87. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 防衛庁と企業との間で、特にそれがアメリカからの技術なり設備の導入に係るものにつきましては、防衛秘密保護法というものが現在ございます。したがいまして、その関連で、これは企業だけではなくて防衛庁の職員も同じでございますが、そのアメリカの装備品に関連するものにつきましては、防衛秘密保護法の対象として現在その秘密保護の体系ができておるわけでございます。  一方、この秘密特許の問題につきましては、これは実はそれそのものは、先ほども申し上げましたように特許権をどういう形で与えるか、あるいは特許権をどういう形で保護するかという問題でございまして、直接私どもと企業との関係は出てまいりません。  ただ、防衛庁といたしましては、今回四月十二日に締結いたしました交換公文及び関連の取り決めによりまして、アメリカで秘密に保持されている特許資料を防衛庁が利用できるという形になりました。したがいまして、基本的にはこれは防衛庁だけが利用することになりますが、仮にそれについて民間企業にも開示する方がいい場合、これはそういう場合が出てくるかと思いますが、その場合には、装備品に関係する場合には防衛秘密保護法の対象になりますし、それに全く関係しない場合には、あくまでも防衛庁の秘密の保護の規定の仕方に応じて企業との間では契約を結ぶという形になるかと考えております。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 外務省にお伺いしておきます。  現在交渉中の日米科学技術協力協定の改定交渉ですね。大筋合意であるやに伺っております。そして安保条項が入る、こう伺いましたが、これと今回のこの五六年協定の実施細目取り決めによる米国の軍事秘密保護とは関係があるのかないのか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
  89. 岡本行夫

    ○岡本説明員 今般合意いたしました五六年協定を実施するための手続細目というのは、先ほども申し上げましたとおり、米国において秘密に保持されております特許の出願を日本においても保護するということでございます。  他方、科学技術協定の方は、当然のことながら科学技術分野におきます日米間の協力関係の拡充を目的としたものでございまして、いわゆる秘密特許の問題とは全く別個の問題であり、同協定の中に入っております安全保障条項も秘密特許とは何らかかわりのないものでございます。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日米科学技術協力協定の安保条項も、四月に日米間で書簡を交換した軍事技術の秘密特許移転の取り決めも、米国の技術情報の安全保障という面では米国としてはそういった担保をとりたい、技術安保、米国の技術情報の安全保障だ、こういう考えで、米国におきましてはいろいろな法的根拠をそこで網をかぶせていますね。  そういう中で、科学技術協定の中においても安保条項をわざわざ今取り入れて、そして改定交渉、こういっておるということは、米国の特許法にある秘密特許というものと同じ考え方で進めてきておるのではないか、こういうように私は思うのでございますけれども外務省、これは全然関係ないと見ていいのでしょうか。くどいようですが、ここは大事なところですのでもう一度御答弁ください。
  91. 日向精義

    ○日向説明員 御答弁申し上げます。  まず日米科枝協定でございますが、これは先生御案内のとおり、先般三月下旬にワシントンで日米双方の交渉団間で大筋合意を見たわけでございますが、まだ字句の整理、案文の詰め等を日米間で行っているところでございまして、したがいまして、最終的にテキストが確定したわけではございませんので、その内容について詳細は申し上げられないということをまず御理解いただきたいと思います。  こういう前提での御説明になるかと思いますが、先生関心の情報の取り扱いにつきましては、科技協定におきましては、科技情報の公開の原則、この大切な原則を確認するという形で盛り込んでおりまして、この関連で情報の可能な限り広範な普及が図られるということが確認されているわけでございます。したがいまして、巷間言われております安保条項というのは必ずしも適切ではございませんで、私どもはむしろ情報公開条項と言った方が適切ではないかと考えている次第でございます。  確かに安全保障という字句は用いられているわけでございますが、これは我が国の法制度を何ら変えるものではございませんし、また我が国の国内法の立法、改正が求められているということもございません。
  92. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それではちょっと細かい点でお伺いさせていただきたいと思います。  米国の国家公務員、国の関連研究機関の職員、国から委託されている研究者、こういった者を対象として、国家安全保障に係る情報の取り扱いについて米国にはいろいろな制度がございますが、どのようになっておりますか。具体的にその制度の名前まで挙げて、どういうものであるのか明確にしていただきたいと思います。
  93. 日向精義

    ○日向説明員 先生お尋ねの米国の安全保障に係る諸制度概要についてでございますが、まず冒頭に申し上げておかなくてはならないことは、私どもとしては米国の国内法制についてその詳細を述べる立場にはございませんわけでして、また、国家安全保障に関する情報の取り扱いに関する制度につきましても、その全容についてお答えし得る立場にないわけでございます。しかし、一応私ども把握しておりますところでは、主たる関係法令といたしましては、六六年の情報自由化法、八二年の行政命令第一二三五六号、八五年の産業安全保障保持規則、さらには八五年の国家安全保障規則第一八九号等があると承知しております。この中でも基本となると考えられます八二年の行政命令でございますが、これは国民の知る権利と米国政府安全保障上の必要性との適切な均衡を目指してつくられたものであると承知しております。  内容について私ども把握している限りにおきます概要を申し上げさせていただきますと、まず、八二年四月の行政命令でございますが、これは安全保障情報保護のために秘密指定を三分類して、秘密指定権者、秘密指定の対象となり得る情報あるいは秘密指定期間等について定めていると承知しております。さらに、八五年の産業安全保障保持規則でございますが、これは八二年の行政命令において取り扱われておる三種類の国家秘密に関する情報につきまして、米国人、外国人のアクセスの基準、方法等について規定しているものと承知しておりますが、その具体的内容は承知しておりません。さらに、八四年に国防権限法というのがございますが、これは、秘密指定以外の技術データであっても、国防総省の所有もしくは管理下にある武器、宇宙関係データについては、同省が公開を差しとめる権限を有するという規定があると承知しております。最後に、八五年の国家安全保障会議の国家安全保障規則でございますが、これは連邦政府の支援する基礎研究の成果について、国家安全保障上の要請があった場合には当該研究成果を秘密扱いすることができる旨規定しているというふうに承知しております。  以上でございます。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 おおむねそういうことでございますが、もうちょっと確認しておきます。というのは、まことに恐縮ですが、これからの論議を進める上でどうしても必要でございますので確認しておきます。  先ほど御説明いただきました八五年の産業安全保障保持規則は、産業界、政府契約者に対する機密情報のアクセスやミーティングの方法などを細かく規制したものである、こういうように理解してよろしいでしょうか。  それから、八五年の国家安全保障会議、NSC、この国家安全保障規則一八九号では、連邦政府が人材や施設、補助金などで支援する基礎研究の成果について、国家安全保障上の要請があった場合には機密扱いとすることが定められているやに伺っておりますが、そういうようなことでよろしゅうございましょうか。これは確認だけ。
  95. 日向精義

    ○日向説明員 まず最初の産業関係の規則でございますが、これは私ども詳細承知しておりませんが、おおむね今先生が御指摘ございましたような項目が入っていると承知しております。  他方、八五年の規則でございますが、これにつきましては私ども詳細は承知しておりません。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今後の問題でまた調べていただきたい。私ら専門家でないのに、大体そういうようなことだというように、そういう資料も手に入っておりますが、専門家がそんなことをわからないなんて本当ですか。よく調べていただいて、この問題はまたこの後論議を進めていった中で明らかにしていきたいと思います。  まず、米国の研究者には、秘密特許の結果そのものだけでなく、機密扱いでない科学技術情報の公開に対してさえ制限を加え、学会で発表する研究者へのペンタゴンの干渉、今私が申し上げましたけれども、連邦政府が人材や施設、補助金などで支援する基礎研究に対しての国家安全保障上の要請による機密扱い等が、がっちりとこの米国内法によって定められておるわけでございます。  日本では特許法の改正はない、今も御答弁ございました。米国とはシステムが異なっております。米国内で秘密特許の扱いを受けるものは類似の取り扱いをする、こう言っています。ということは、米国内で秘密特許の取り扱いを受けるものは、類似なんだから、そうすると、研究結果の特許でなく、途中の研究発表あるいは基礎研究などは、日本の研究者、政府関係者等は類似の扱いになるのですか。この点が非常に重要になりますのでお尋ねしておきたい。もしよければ特許庁と外務省、両方御答弁ください。
  97. 岡本行夫

    ○岡本説明員 今回我々が行おうとしております制度、先般既に国会で御承認をいただいております五六年協定に基づく我が国のいわば義務としての米国におきまして秘密に保持されております特許出願について我が国も類似の取り扱いを与えるということは、私どもも極めて厳格に解しておりまして、その協定にのっとって我が国に送達されてきた米国の特許出願、そのうちで秘密保持命令が出ているものだけに限って類似の取り扱いをするということでございます。  我が国におきます特許出願につきましては、先ほど特許庁の方からも御答弁ございましたように、何ら変更をもたらすものではなく、いわんや法改正等の事態は全く想定されてないわけでございます。
  98. 山本庸幸

    山本説明員 この五六年協定の第三条によりますと、確かに御指摘のとおり「類似の取扱を受ける」というふうになっております。しかしながら、その同じ協定の議定書第三項によりますと、「日本政府は、協定第三条の規定に従い、かつ、同条の目的を最大限度まで達成するため、次のことを約束する。」ということになりまして、その内容は二つでございます。  第一は、米国から来る協定出願というものを米国における秘密解除のときまで公開しない。第二が、いわゆる私どもの言葉で言う準協定出願についても同様の措置をとる。したがって、この二つの措置だけをとるということがこの五六年協定の内容でございます。
  99. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では、もう一度確認しておきましょう。  この日米の技術協力、研究等については、これは今申し上げました日米科学技術協力協定、それからまた米戦略防衛構想、SDI研究参加協定、それから五六年協定の実施細目取り決め、宇宙基地協定、原子力協定、さらにはそのずっと前の、五六年の前に基礎になる日米相互防衛援助協定、MDA、一九五四年に締結されたもの、こういったもの等々が日米間にございます。  米国は技術の情報安全保障として、今申し上げました、また今御説明いただきました米国内法に厳しいものとして決まっております。そういったものは日本にはないわけなんです。国内法にはないわけですが、では、米国が、日本との技術協力、研究において、技術の情報安全保障の観点から個別にこういった面は秘密のものに持っていかなければならない、こういうように考えた場合はどういうものが適用されるのですか。今の秘密特許一本でくるのですか、それとも、今個々に私が申し上げました科学技術協力協定あるいはSDI研究参加協定あるいは実施細目、宇宙基地協定、原子力協定等々を申し上げましたが、そういった個々のもので全部網をかぶせてくる、こういうふうに考えていいのですか、それともほかのものがあるのですか。もう一度御答弁ください。
  100. 日向精義

    ○日向説明員 先生の御質問趣旨を必ずしも十分に把握しているかどうか私は自信がないわけでございますけれども、御指摘の日米科技協定、SDI研究参加協定、宇宙基地協定等は、それぞれの分野における日米間の協力を進めるべく既に署名ないし締結されたかあるいは今後署名、締結しようとしているものでございまして、これらについて、米国が米国の技術安全保障という観点から個別の取り決めによって我が国に対して種々網をかぶせるとか制約を課すというわけではない、また、これらによって我が国がそういう種類の制約を受けるというわけでもないと考えているわけでございます。  先生指摘の、それではその米国法がどういうふうに適用されるかという趣旨の御質問かと思いますが、これにつきましてはこういう整理を私どもはしておるわけでございます。すなわち、米国における研究についてはこれは米国の国内法が適用されるのは当然でございまして、同様に、日本における研究については日本の国内法が適用されるわけでございます。したがいまして、日米間の国内法の内容の事情というのは違いがございます。そういう違いというものを前提として各種の協定を締結しているということで御理解いただきたいと思います。
  101. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 科学技術庁、文部省、来ていただいておりますので御答弁いただきたいと思います。あわせて外務省ももう一度コメントがあれば御答弁ください。  日米科学技術協力協定は、もともと宇宙、環境、バイオテクノロジー、そういったものが主体となった五十近くの基礎研究を日米共同で行うのが目的で結ばれた、こう解釈してよろしいでしょうか。  そして、今度の改定交渉で米国側から安保条項を持ち出してきたのは、これはココムの協定で縛りきれなかった面、日本の民生技術に私は網をかぶせるのではないかという危惧を前々から持っておりまして、そして今もその論議を行っておるわけでございますけれども、そういった面で日本の民生関係の技術というものに支障が出てくるような、そういうものに断じてなってはなりませんので、その点の心配はないのか、安保条項が入ってくるということはそういった面がないのか、ひとつ各省庁お答えいただきたいと思います。
  102. 宮林正恭

    ○宮林説明員 お答えいたします。  科技庁といたしましては、日米科学技術協力協定、現在協議中でございますけれども、本件につきましては、情報の取り扱い等について可能な限り広範に普及するということが原則になっているわけでございますので、また、我が国現状の法制度を何ら変えるものではないということは確認されているわけでございますので、日米両国の協力活動に支障を及ばすものとは考えておりません。  現行の科学技術協力協定が民生用の科学技術協力、特に基礎的な分野を目指したものであろう、こういう先生の御指摘があったわけでございますが、私どももそういうふうに理解をしております。
  103. 草原克豪

    ○草原説明員 文部省関係では、現在の協定のもとで、宇宙科学、中性子散乱、組みかえDNA、実験動物等の分野での協力活動を実施しているところであります。  この新しい協定においても、科学技術情報の取り扱いについては、先ほど外務省の方から御答弁ございましたように公開の原則が確認されているわけでありますし、また、安全保障という字句は用いられるとしても、それによって我が国の現行の制度を何ら変えるものではないということでございますので、この協定によって大学等における研究に制約が課せられるということは考えられないところでございます。
  104. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 外務省、ここで整理しておきましょう。  私は、今個々に米国の国内法も挙げて、米国の考え方としては、軍事計画や兵器、国家秘密システムなど直接国家安全保障影響するものだけでなく、安全保障関係のある科学案件、技術案件、経済案件まで含まれていろいろと規制を行っておる。こういったものが日本の学術界におきましても、先般もこの国会に日本学術会議の代表の方も見えて、そしてそういった面の心配も持っておったことは事実でございますね。  そこで、もう一度整理しておきますが、本当にこういった心配はないのか。安保条項は今後の問題ですから公にはできない、こういうように言っておりますが、しかし今この議論をしておっても、それは心配ない心配ないと言うだけ。この安保条項が今改定交渉の一番の中心になっておりますね。そして、もうすぐこの改定交渉は決着がつけられるという段階でございますが、ではその安保条項というのは一体具体的にどういうものが入ってくるのですか。もうちょっと具体的にここで明らかにしていただいて、そして、この安保条項が含まれた科学技術協定の改定締結はいつごろになるのか、その点もあわせて御答弁ください。
  105. 日向精義

    ○日向説明員 先生指摘の学術会議の諸先生方の御心配等私どもも十分承知しておりまして、研究の自由等の諸原則が大切であるということは十分認識して、そういうことを踏まえて対米交渉に臨んだわけでございまして、今度新しくできます協定内容は、諸先生方の御心配になるようなことが盛り込まれることはないということははっきりと申し上げておきたいと思います。  今先生から、それでは具体的にいわゆる安保条項の内容を明らかにせいというお話でございましたが、冒頭申し上げましたように、まだ協定の最終テキストは確定しているわけではございませんので、これを具体的に、こういう文言であるということを明らかにすることは差し控えさしていただきたいわけでございます。  繰り返し申し上げるようで恐縮でございますけれども、何はもとより大切な情報公開の大原則ということを確認いたしておるわけでございまして、その文脈において安全保障という字句は確かに用いられてはおりますけれども、それは我が国の法制度を変えるというような趣旨で用いられているわけではないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。一言で申し上げれば、現行協定どおりの状況がそこにあるという御理解でよろしいかと思います。
  106. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そうすると、改定じゃないと見ていいのですか。
  107. 日向精義

    ○日向説明員 先生、改定という言葉が正確に協定内容を反映しているかどうかということだと思いますが、私どもの理解といたしましては、現行協定は非常に簡単な、いわばアンブレラ・フレームワークという感じの一般原則を盛り込んだような協定でございまして、これを踏まえまして、新協定は、今後の日米の科技協力を拡充さしていく上に必要な諸原則を、より具体的、より詳細に盛り込んだという御理解でお願いしたいと思います。
  108. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 現在はデュアルユース時代であり、民生用技術とハイテク軍事兵器等兵器化に見られるように、両面に用いられる。そういう中で、現在非核通常戦力重視の流れの中で、ますますこのデュアルユース、いわゆる軍事、民生両面に使えるような、そういう面で科学技術協力はどんどん進んでいくでしょう。それから、民間レベルで行われる共同研究、また、日米共同生産あるいは技術移転契約等に、今私が危惧を抱いておるような米国の安全保障の観点から秘密保護条項というものを、これは何も安保条項じゃないという御指摘も今ございましたし、基本的にはそう変わりないものなんだという御指摘がございましたが、さればなおさらのこと、今後米国としてこの秘密保護条項というものを迫ってくる。  今の交渉が延び延びになっているのは、何も変わりないのにそんな延び延びになるわけはないのですよ。いろいろと延び延びになっておるのは恐らくそういった面があると思いますが、両面で今後迫ってくるのではないか、それから現在もそういう押しつけがあるのではないか、その心配がございますが、御答弁下さい。
  109. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私、先生のおっしゃることを正確に理解していなかったらお許しいただきたいのでございますが、仮に、我が国の企業等が米国と行います共同開発、共同研究といったものに防衛技術としての性格を与えられ、あるいは防衛技術等が絡んでくるからということで、米国から何か網をかぶせられるような形でその使用について制約がかかるのではないかというお尋ねでございますとすれば、これは米国の全く考えておるところではございません。  例えばSDI研究などを考えていただければわかると思うのでございますが、SDIというのは、米国の資金を利用いたしまして我が国の企業等が研究開発に参加することがあるわけでございます。そして、契約のベースでそういった研究プロジェクトに参加した企業等が保秘義務を負うことがある、これは当然のことでございます。ただ、その企業が独自に持っております技術、その企業がみずから開発いたしましたノーハウ、こういったものには全く米国の制約がかからない仕組みになってございます。  事はほかの各種プロジェクトについても同様と存じます。米国と我が国との間で共同開発等を行う、あるいは米国から技術の移転を受けるといった仕組みには、MDAのもとの諸取り決めを初めといたしましていろいろな形が考えられるわけでございますが、これらはあくまでもその実態的な必要性に応じてのみ限定的な形で我が国が保秘義務を負うことになっている、これが民間企業の一般的な研究開発活動に及んでいくということはあり得ないところであると存じております。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先般、私は三月一日の予算委員会におきまして御質問させていただきまして、有馬政府委員から御答弁いただいた中にございますが、一九五四年に結ばれたMDA、日米相互防衛援助協定、この事務局に数年前まで勤めておった、それから在日米大使館に勤めていた軍事アナリストでございますグレッグ・ルービンシュタインの論文を私は予算委員会で提示いたしまして、そしてその中にあるGSOMIAというのはどういうものなのかということを有馬局長にお伺いしたところ、このように答弁しています。   GSOMIAと申しますのは、ゼネラル・セキュリティー・オブ・ミリタリー・インフォメーション・アグリーメントという取り決めの略だそうでございますから、これをどのように訳すかと申しますと、実態を存じませんのできちっとした日本語になるかどうかわかりませんけれども、軍事情報についての一般的な保護にかかわる取り決めとでも申すのではないかと思います。 こういうことで、このGSOMIAに関しては知らない。しかし、例えばいわゆるスパイ防止法がなければGSOMIAが必要だ、そういう考え方が米国の考えなんだということをこのルービンシュタインは論文で述べております。  そこでお伺いしておきますけれども、この一般軍事情報安全保障協定というのは一体どんなものなんですか。
  111. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米国がNATO諸国との間で軍事情報の秘密保全に関する一般保護の取り決め、正確な日本語訳かどうかわかりませんが、GSOMIAと呼ばれる種類の協定を締結している事実は私どもも承知しております。ただし、その内容は公開されておりませんで、私どもとしてつまびらかにしておらないところでございます。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、内容はともかくとして、米国との間に軍事情報保全に関する一般協定、または交換公文を締結あるいは取り交わしている国の名前と締結年月日を挙げていただきたいと思います。
  113. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私どもで大体把握しておりますところでは、米国がそのような秘密保全に関する一般取り決めを締結している国といたしましては、フランスが七七年九月、デンマークが八一年二月、ルクセンブルグが八一年九月、スウェーデンが八一年十二月、イスラエルが八二年十二月、スペインが八四年十一月と承知しておりますが、先ほども申し上げましたとおりに、何分米国が第三国との間で締結してございます取り決めでございますので、私どもとして詳細に締結の態様、年月日等を当然に承知しているものではございません。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこまで述べたのですから、西ドイツ、イタリア、ノルウェーも述べてください。
  115. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米国が先進国、おおむねNATOの国でございますけれども、このような国と結んでおります協定にはさまざまな種類のものがございます。先ほどはいわゆるGSOMIAということで私申し上げたわけでございますが、NATOの諸国間には、多数国間の協定の形で特許出願の対象となる防衛関連の発明秘密保護に関するような協定もございます。そのように非常に範囲を広げて考えますと、先ほど先生がおっしゃられた国々も含めまして、大体十二カ国の諸国と米国が類似の協定を結んでいるものと承知しております。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その中のルクセンブルグ、フランスそれからイスラエル、今きちっと年月まで申していただきましたので、その三つに関して、この一般協定もしくは交換公文、その内容はどうなっているのか報告してください。
  117. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほど年月まで申し上げましたのは、先生からのお尋ねがあるということで、私ども昨夜徹夜で米国の条約集をずっと調べまして、そのタイトルだけは調べ得たものでございます。そういうことでございますので、先ほどと同じ御答弁になりますけれども内容については私どもとしては一切知り得る立場にないし、存じておらない点、御了承いただきたいと思います。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 どうもその辺が、この科学技術協定の安保条項なりあるいは秘密特許制度なりということで、米国としての考え方というものは今の私の論議の中ではっきりしているのですよ。何もそんな、第三国のものですから手に入らないと。この国会図書館にあるのですよ。調べさせてもらいました。こんなのが一番の専門家がわからないわけがない。何を考えているんですか、これは。もしここでうそを言っているとしたならば大問題だな。  そこで、委員長にお断り申し上げまして、そのルクセンブルグ、フランス、イスラエルの交換条文の原本、もちろんコピーでございますが、そのものをお渡しさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  119. 竹中修一

    竹中委員長 各員に配付ですか。――安保課長、受け取ってください。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、ABCにわかりやすく分けておきました。Aがルクセンブルグとの取り決め、先ほど御答弁いただいた一九八一年九月十七日、GSOMIAで取り決めをされたものですね。それからBがフランス、一九七七年九月七日、交換公文としての取り交わしです。そしてCがイスラエル、一九八二年十二月十日、交換公文として。以上、A、B、Cでございます。  手元に行きましたか、課長
  121. 竹中修一

    竹中委員長 渡しました。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 よろしいですか。(岡本説明員「はい」と呼ぶ)  それでは課長、もう日本の官僚は最もエリートでございますし、よくおわかりだと思いますので、このA、ルクセンブルグの私が線を引っ張った部分だけ、大体で結構でございますが、ここで翻訳しながら御説明いただけませんでしょうか、そこに詳しく書いてございますので。
  123. 竹中修一

    竹中委員長 速記をちょっととめて。     〔速記中止〕
  124. 竹中修一

    竹中委員長 速記を始めて。  岡本安保課長
  125. 岡本行夫

    ○岡本説明員 実は、私も今初めてこれを拝見するわけでございます。私ども認識は、これは公開されておらない文書ということで、入手できないものと存じておったわけでございますけれども、これがもし公開されているのであれば、そこは私どもとしておわびしなければならない点と思います。  今お尋ねの、翻訳して意味説明せよとの御要望でございますけれども、実はこれは第三国間の取り決めでございまして、私どもとしては全く有権的に解釈する立場にはない。翻訳というのも、字句の微妙な表現がございまして、どのような言葉を用いるかによって協定の中身を解釈するような場面にたびたびなってくるわけでございまして、私としては、この場では、御要望に沿いまして翻訳をして中を御説明するということは、甚だ心もとないものでございますから、差し控えさせていただきたいと思います。
  126. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そういう御答弁が返るだろうと思いまして、ここに、私も翻訳技術は余りよくわかりませんけれども、いろいろ苦心して、昨日それを翻訳させてもらいました。それをではお手元にお渡しいたしたいと思います。よろしいでしょうか。
  127. 竹中修一

    竹中委員長 はい、どうぞ。
  128. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 何も機密でも極秘でも秘でもございません、国会図書館にあるのですから。調べてください。  そこで、線を引っ張ったところをこういうように訳してみました。もし、これはおかしいのじゃないかというようなことがございましたら、課長あるいは関係者からいただければありがたいと思います。  〔ルクセンブルグ/防衛:軍事情報保障〕  一九八一、九、一七 ルクセンブルグにて協定調印  一九八一、九、一七 発効    米国及びルクセンブルグ大公国における軍事情報の一般保障に関する協定   米国政府及びルクセンブルグ大公国政府は、以下の諸点に関して合意した。  1、直接、間接に両国政府間で交換されるすべての秘密軍事情報は、次の原則に基づいて保護される。   a、受け入れ国政府は、受け渡し国政府の承認を得ることなしに、情報を第三国政府ないしいかなる第三者に対しても渡してはならない。   b、受け入れ国政府は、受け渡し国政府と同様の保護水準の情報保護を与えるものとする。   c、受け入れ国政府は、供与時の目的を超えて情報を利用してはならない。    及び   d、受け入れ国政府は、情報に関連する特許、著作物、トレード・シークレット等の私的権利を尊重する。  2、秘密軍事情報及びマテリアルは、政府間ベース及びこれにアクセスするためのセキュリテイ・クリアランスを受けた人物のみに移転されるものとする。  3、この協定の目的に照らして秘密軍事情報は、受け渡し国政府安全保障に関連し、かつ適応可能な国内法及び規制に対応して、公的軍事情報ないしマテリアルが、許可されていない開示に対して保護を要し、これを専有する安保当局が秘密と指定するようなものである。このことは、文書、口頭、ないし視覚を含めていかなる形態においても、いかなる秘密情報を含むものである。マテリアルとは、ドキュメント、製品、ないし、情報が記録され、化体されているような物体でもある。マテリアルは、その物的性格に係わらず、すべてのものを含み、またドキュメント、文書、ハードウェア、機器、機械、装置、デバイス、モデル、写真、レコード、複製品、ノート、スケッチ、計画、プロトタイプ、設計、コンフィギュレーション、地図および手紙に限定されることなく、さらに他の製品、物体、ないし情報が派生するアイテムを含むものである。 こういうように訳しましたが、何か致命的な間違いとかそういうものがございましたら、御指摘いただければありがたいと思います。
  129. 竹中修一

    竹中委員長 答弁の前に竹内君にちょっと申し上げます。  先ほど来の経緯がございまして、政府側も即答しかねると思いますので、ちょっと理事さん方にお集まりをいただいて、本件に関して御協議をいただきたいと思います。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  130. 竹中修一

    竹中委員長 速記を起こして。  ただいま竹内勝彦君の質問に関連し、「米国及びルクセンブルグ大公国における軍事情報の一般保障に関する協定」につきましては、竹内勝彦君に本件を一時保留をしていただいて、次に進んでいただきたいと思います。  竹内勝彦君。
  131. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まことに急なことで申しわけございませんでした。とにかく私どもの方も昨夜、そんなに時間はかかりませんでした、これを翻訳してみるのに。ですから、賢明なる外務省の皆さんですから、そんなに時間はかからないと思いますので、それでは次回の本委員会の冒頭でやらせていただくということで了承したいと思いますが、委員長、それでよろしいでしょうか。
  132. 竹中修一

    竹中委員長 はい、承知しました。
  133. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 委員長の御配慮、まことにありがとうございます。  もう一度念のために、これが機密なり極秘の二国間のものを何か暴露したというようなことにとられたら関係者の皆さんもいろいろと影響があるだろうと思いますので、もう一度、この面でそういうことはないということをここで述べさせてもらいます。  まず、Aを見てください。Aの一番下に「TIAS 一〇二七〇」、これは国会図書館の番号でございますから、この番号を言うてもらうとこれがすぐ出てきます。それからBは「TIAS 八九一四」、Cは「TIAS 一〇六一七」でございますので、念のためそれを申し上げておきます。外務省、よろしいでしょうか。
  134. 岡本行夫

    ○岡本説明員 ただいまいただきましたこの紙につきまして、先生がおっしゃられた番号は確認いたしました。
  135. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、次にこれをやらせてもらうということでいいのですが、英語の原文はこのとおりでございますので、ここに何か今見て間違いがあるというような、これは何か故意にどこか第三者が入れたようなものじゃないかというような心配がないかどうか、そういった面ももう一度、くどいようで恐縮ですが、二国間のことで重要なことでございますので、迷惑がかかっちゃいけませんので、その点も確認しておきたいと思います。
  136. 竹中修一

    竹中委員長 安保課長、返事できるかどうか考えて返事してください。
  137. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先般来御答弁申し上げておりますことと同じでございますが、私ども、第三国間のこのような文書につきましては内容に立ち入ってコメントする立場にはございませんし、またその能力もございませんので、その点御容赦いただきたいと思います。  ただ、一つだけつけ加えさせていただきたいのは、米国としては軍事情報をNATOの諸国に移転するわけでございますから、一般的に申せば、当然いろいろな秘密保護のための措置をこのようなGSOMIAと呼ばれます協定によって講じているところ、これは当然でございます。ただ、我が国は、これも今まで国会で何度も御答弁申し上げておりますように、このような種類の協定を米国との間で結ぶつもりは全くないわけでございます。
  138. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私はそんなことを聞いているんじゃなくて、おおむねこのものに、これは原文でございますから、それを翻訳したのが私どもの方でございますから、これは何かそういった面におきましても、こちらとしても間違いはないと思いますが、これを今ここで論議するということは、これは私どもが翻訳したものでございますから問題があるということで、委員長からの御提案で私も了承したんですが、原文の方は、これは何も私どもがこのように書いたものでも何でもないわけでございますので、この原文の方に何か間違いなりあるいは何かおかしいなと思うようなものがあれば、それはちょっと言っておいてもらった方がいいのじゃないでしょうか、それとも、ないならないということで御答弁いただきたい、こう言っているんです。そうじゃないと、また私は読み上げなきゃならぬので、それに時間を余りかけても御苦労ですから、よろしくお願いします。
  139. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほどの委員長の御指示もございまして、私ども当事国に対して、このような協定が公開されているものかどうかの照会を行うつもりでございます。そして、首尾よく当事国からその協定の写しが、当事国が正しいものとして私どもに渡してくれることができましたならば、初めて、その私どもが入手いたしました資料と今いただきましたこの資料を突き合わせまして、果たしてその間に乖離があるのかどうか、これが当事国自体が認めております真正なGSOMIAであるかどうかということをコメントし得るわけでございまして、この点、御理解をいただきたいと思います。
  140. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それはちょっと話が違うな。今の委員長の提案は、いきなりこれを出されたので、これを翻訳するのはちょっと今差し控えなければいけない、ましてや第三国のことであるということで――このペーパーに関して私は言っているんです。あなたが向こうから、第三国から、ルクセンブルグなり米国から取り寄せてから、そしてそれを正しいものであるかどうかということを照らし合わせてから翻訳せよと私は言っているんじゃないんです。このペーパーでいいんです。このペーパーを翻訳するに当たって――したがって何か次の委員会で、冒頭でということで御配慮いただいたわけでございますから、取り寄せるとなったら次の委員会で本当にこの問題ができるんですか。それはなかなか難しいんじゃないですか。そんなすりかえに持っていかないで、この問題だけで、このペーパーに関してと言っているんですから、もう一度くどいようですが、お願いします。
  141. 竹中修一

    竹中委員長 竹内勝彦君に申し上げます。  それも含んで、ひとつ次回に保留していただきたいと思います。
  142. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ちょっと納得できない、そんな非常にいいかげんな答弁では。もしも、第三国のことで、原文を国に問い合わしたが、ルクセンブルグなり米国に問い合わしたが、そのものが手に入りませんでした、したがってこの論議はできませんという、そういったことになりかねない。これは承服できません。
  143. 竹中修一

    竹中委員長 委員長責任において、次回、論議ができるようにさしていただきたいと思います。
  144. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は委員長質問しているんじゃないので、委員長、それ間違えないで。何も委員長のことを追及しているんじゃないんだから。委員長、本当にありがとうございます、御苦労で。  外務省、これはこういう公な場での大事な論議でございますから、そういうようにすりかえちゃいかぬ。はっきりと、じゃ次回の委員会の冒頭で、この問題をちゃんと翻訳もし、そしてこの論議をさせていただきますということを外務省はお約束できるでしょうか。
  145. 岡本行夫

    ○岡本説明員 二点あるわけでございます。  今御提出していただきました資料が真に米国と例えばルクセンブルグの間のGSOMIAのコピーであるかどうか、これは私どもとしては、首尾よくそのものを当事国政府から取り寄せて突合した上でなければ判断できない、こう申し上げたわけでございます。  もう一つの問題は、翻訳についてでございます。これは先ほどの委員長の御指示もございまして、当委員会の御審議を促進することをお手伝いするために、本日先生がお出しになりました紙に対します仮訳として、これは私ども努力させていただきたい、こういうことでございます。
  146. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ですから、このペーパーに関して私は番号まで、しかも、これは国会図書館の番号で、一枚目のみに打ってあるものではないのです。二枚目も三枚目も全部このように打ってあるわけです。その点は国会図書館で調べていただければすぐわかることだから、このように言っておるわけです。そしてなおかつ、このペーパーに関して、このように言っておるわけですから、このペーパーに関しての答弁をよろしくお願いしたい。  そこで、このペーパーに関して、この文章、原文ですね、これに何か間違いがあるのでしょうか。
  147. 竹中修一

    竹中委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十二分休憩      ────◇─────     午後三時三十九分開議
  148. 竹中修一

    竹中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  149. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、私、要望しておることはそういうことで、外務省の言われるように、これは留保いたします。したがいまして、先ほど委員長が言われたように、ぜひ次回の本委員会の冒頭で答弁していただきたいと思いますが、もう一度それを確認しておきます。  まず、ルクセンブルグの方だけで結構でございますから、全文訳していただくのと、それからGSOMIAに関しての論議を私は今までずっとやってきましたけれども、それに対しての外務省としての御見解、政府としての御見解を述べていただくということでよろしいでしょうか。
  150. 岡本行夫

    ○岡本説明員 そうさせていただきます。
  151. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 御配慮、大変ありがとうございます。  私も昨夜これを徹夜でやってきた関係もございまして、ぜひ――そんな難しい文章ではございませんから、これはエリート中のエリートが私は同時通訳をやってくれるのだろうと思って期待していたのですけれども、本当に次回にそれじゃ、お忙しいお立場でございますのでその点こちらも譲歩させていただいたわけでございますから。  ただ、国民の側から見て一言苦情を申し上げておきます、申しわけないけれども。  これだけの重要な問題、私は今も論議の中で言いましたが、三月一日の予算委員会で有馬局長にこの問題を取り上げています。知りません、見たことも聞いたこともありません、こう答えている。そして、本委員会におきましても、この秘密特許に絡んでは、何かその根っこになるものがあるぞということで、同じく私はこの問題を取り上げた。ですから、本日これで三回目なんです。  なぜこれだけ私がこだわるかというと、根っこは、もうこれだけ包括的なもので持ってこなかったなら、アメリカとしては――今の御答弁を聞いておれば、全然関係ありません、影響ございません。しかも改定交渉も、安保条項というようなことを言っているけれども、言葉がおかしいんだというような安易な受けとめ方をしている。そんな甘いものじゃない、学者やいろいろな国民の人たちがそのように心配しておる、私も心配しておる、そういうように何回も言ってきておるのにかかわらず、知らないで交渉が進んでおる。知らないで、秘密特許も、それから科学技術協定の安保条項、改定交渉も今進んでいる。もうじき発表になる。知らないでそれが進むわけがない。そんなことだれが信用しますか。  したがって、一ルクセンブルグのことだけならば、そんなことは関係ないことです、他国のことですと言われるだろうと思ったから、今述べていただいた。あなたが述べたんだ。フランスもデンマークもルクセンブルグもイスラエルもスウェーデン、そのほかも、NATO諸国、述べたんだ。外務省安全保障課からこの資料を提出していただいたんだ。ということは、GSOMIAは今世界に、ずっと根本となって、米国はこの問題を持ってきておる。  したがって、この問題はこれで終わりますけれども、ここでもう一度、国民の代表として安保課長に申し上げておきますけれども、本当に知らなかったならばこれは怠慢です。何をやっているんですか。私は昨夜徹夜してでも、こんな大変な問題だからということであなたに質問通告しました、何かあるでしょうと。ありません、外務省はありませんと言う。そんなものは他国のことで、ありませんと言っているから、私は昨夜徹夜してこれを調べてきたんだ。もう一度、本当に知っていないのか。もし知っていなかったならば怠慢だ。それから、知っていて知らないふりをしていたら、これはまたどう言ったらいいのかわからぬけれども、とにかくこの問題を終わるに当たってあなたの現在の感想を述べなさい。
  152. 岡本行夫

    ○岡本説明員 御指摘の文書が公開されたものでありましたならば、私どもも入手の努力が足りなかった、こういうことでございます。  先生が感想を求めてくださいましたので一言だけ申し上げますと、米国と我が国との関係は独自のものでございます。米国が第三国と結んでいる取り決めや約束によって何ら影響を受けるものではございません。私どもが外交を進めていくに当たりまして、我が国の国内の世論の御理解をいただきながら、我が国の法制の範囲内で、この問題でございますれば科学技術の自由な発展ということを目指す、そのような立場で私ども独自に米国と交渉していること、この点はぜひとも御理解いただきたいと思います。
  153. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 よろしくお願いします。  それでは次に移ります。  そこで、日米軍事技術協力あるいは共同研究、こういったときの情報や研究の取り扱いに、米国の軍事情報保全に関して何かほかに明文化したもの、あるいは口頭の約束なり、そういうものがあるんでしょうか。これは大事なことですから、外務省と防衛庁にも聞いておきます。
  154. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米国からの防衛に関する技術の導入につきましては、MDAが御承知のとおりあるわけでございまして、MDA協定の第三条に基づきまして私ども秘密保持の措置をとることになっているわけでございます。また、そのMDA協定のもとで行われます種々の技術移転は、それぞれのケースに応じまして必要な措置がとられていく、こういうことでございます。
  155. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 日米間の防衛に関する装備なり技術に関しましては、今外務省の方から答弁がありましたとおり、MDAに基づいて個々の問題として処理しております。ただ、一般的な案件といたしましては、先ほど申し上げましたように、防衛装備に関しアメリカから導入するものにつきましては防衛秘密保護法で一般的な保護をしておる、こういう状況でございます。
  156. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 防衛庁が民間会社に秘密の問題で取り扱わせるときには何か取り決めがあるのでしょうか。
  157. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 特別な取り決めはございません。個々の契約に基づいて委託契約をする場合、あるいはその他装備に関して民間と契約する場合には、必要に応じてその契約の中で規定することはございますが、それ以外に一般的に規制する法体系といいますか、システムは持っておりません。
  158. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは次の問題に移らしていただきます。  第十八回の日米安保事務レベル協議が五月三日からハワイのホノルルで三日間にわたって開かれたやに伺っております。ここでいろいろと出てきた中で、本委員会で先ほども国際情勢やらいろいろなものの答弁がございました。したがいまして、できるだけ重複は避けますが、先ほども論議になっておった相互物品・役務融通協定の締結が提案されたとございますけれども日本側としてはどういうような対応になっていくのか、今後のプロセス、考え方、もう一度御答弁ください。
  159. 岡本行夫

    ○岡本説明員 第十八回の安保事務レベル協議におきまして、米側から、いわゆるNATOの相互支援法に基づきます米国とNATOの諸国間の共同訓練の際の相互支援の枠組みについて説明がございました。そして、日本との間でもこのような物品・役務融通協定があれば非常に有用であるというような発言がございました。  私どもといたしましては、今後防衛庁と御相談しながら、そもそもこのような種類の取り決めが米国との間で真に必要であるか、有用であるかという点をまず検討さしていただきたいと思っておるところでございます。米側に対しても、全く白紙の立場で勉強をしたいという回答をした次第でございます。
  160. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 米国はNATO諸国との間でNATO相互支援法に基づいてこの物品や役務の相互支援を行ってきたわけですが、昭和六十一年に同法を改正して、NATO以外の同盟国にも適用できることにし、日本、韓国、エジプト、イスラエルを対象にこの協定の締結を目指しておると聞いております。  この相互物品・役務融通協定というのは一体どういうものですか。もう一度国民にわかりやすくここで明らかにしておいてください。
  161. 岡本行夫

    ○岡本説明員 一言で申し上げますと、平時の一般訓練などを対象にいたしまして、例えば日米間でございますれば、双方で物品、例えば部品でございますとか燃料でございますとか、こういったものでございますが、及び役務を相互にいわば貸し借りいたしまして、そして双方の債権債務を事後的に清算するための取り決めというふうに御理解いただきたいと思います。
  162. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 NATOにおいてはこの種の協定は有事も平時も行われておるのですか。
  163. 岡本行夫

    ○岡本説明員 NATOの相互支援法と申しますのは米国の国内法でございますので、これまた私どもとして有権的に解釈できない点はお許しいただきたいと思いますが、私どもがざっと見ます限りは、NATO諸国等と結んでおるもの、米国のNATO相互支援法というものは、平時及び有事のいずれについても適用可能なものとして想定されていると考えております。  ただ、私どもの場合には、先ほど申し上げましたけれども米側が相互物品・役務協定というものを我が国と結びます際、これは基本的には共同訓練の円滑かつ効果的な実施を行うため等のものでございまして、基本的に平時の適用が想定されているものと理解しております。
  164. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日本では、日本の武器輸出三原則からしますと、米国が求めておる相互物品・役務融通協定はできるのですか。その点の心配がございます。  この協定の締結は、有事来援、有事法制に関連する、あるいは受け入れ国支援、HNS協定の締結への第一歩ともなりかねないと私は思います。  まず、HNS協定というのはどういうものかお伺いしておきたいと思います。
  165. 岡本行夫

    ○岡本説明員 HNS、接受国支援と称しておりますけれどもお尋ねの点は、普通私どもがWHNSと呼んでおります有事の際の接受国支援の取り決めのことかと存じます。  これは、戦時あるいは危機に際しまして、いかに接受国が来援する例えば米国の部隊に対して支援を行い、便宜供与を行えるかというための協定と理解しております。
  166. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、防衛庁長官、大分長い時間聞いてばかりいただいて恐縮でございます。長官のお考えを御答弁いただければありがたいと思います。  まず、日本の武器輸出三原則といったものにかんがみ、この協定の締結というのは有事来援あるいは有事法制に関連するものであり、HNS協定締結への第一歩ともなりかねないし、したがって、この相互物品・役務融通協定の締結に関して、例えば武器弾薬の適用はどうなるのか、あるいは役務というのはどうなのかというようなことの御見解も含めて、そして、この全般に関しての防衛庁としての御見解、防衛庁長官としての所見を同時に述べていただいて、この問題は終わりたいと思います。
  167. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいまこの協定とWHNS等の性格の違いについては外務省の方からお答えがありましたけれども基本的に有事の問題ということになりますと、本融通協定等の場合と違いまして、例えばある四半期ごとにお互いに貸し借りを照らし合わせて清算をするとかその融通の程度に限度額を設けてやるといったようなこととは違って、国の安危にかかわる事態でございますので、ともかくその防衛を全うしなければ、国がつぶれてしまっておれば金を返してもらってもしようがない、あるいは相手にも払えなくなってしまうということでございますので、性格的に非常に違ってくるものになるだろうというように私どもは思っております。したがって、この融通協定というものが戦時につながるというふうにはどうも考えられない。  もちろんNATO法の方は両方想定したような書き方がしてありますので、それに基づく有事の場合と平時の場合は別途の支援の仕方なり清算の仕方なりというものがあるのではないかというように私どもは想像はいたしておりますけれども、まだ実態を十分勉強いたしておらないということであります。  したがいまして、今回米側から提案があったのは、平時における共同訓練等にこの種アメリカの支援、NATO法に基づく融通協定というものがより役立つのではないか、こういう提案でございますので、私どもその内容をまだ十分勉強しておりませんので、その内容を聞くと同時に、実態面として現在のままでは共同訓練等に支障を来すようなことになるのかどうか、そしてこの種協定が結ばれればそれが解消されるのかどうかというような点を十分検討いたしたいというように考えております。
  168. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長官所見を……。
  169. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま政府委員が御答弁申し上げましたとおり、ホスト・ネーション・サポートと今度提案がなされた融通協定とは違うわけでございますので、今ほど防衛局長の答弁がありましたとおり理解をいたしております。
  170. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、総理府に若干のことをお伺いしておきたいと思います。  先般来より問題になっております大臣官房の管理室長に関しての収賄容疑でございますけれども、こういうような問題が起きるというその体質、その中に根本的ないろいろな問題があるのではないか。そういう中で、官房長官も記者会見で述べておりますけれども国民が最も信頼している政府広報というところに大事な税金を広報予算としてつぎ込んでいるわけですから、これは本当に国民のためになるようにやっていただきたい。今いろいろと言われておる中で、ぜひひとつ賢明なる措置をお願いしたいと思いますので、まず綱紀粛正ということは今後どうしていくのか、総理府、その対応を答弁してください。
  171. 本多秀司

    本多政府委員 御指摘のとおり、今回、昨日でございましたか、東京地方検察庁から橋本哲曙管理室長に対する収賄容疑につきまして、捜査、差し押さえ等がございました。総理府といたしましてまことに残念であり、かつ遺憾に感じているところでございます。  綱紀粛正という観点からでございますが、官房長官から私どもに対しまして早々と御指示がございまして、私ども早速昨日、この事件を知った後、一つは、業務の適正な執行を確保していくためのいわば部内における委員会業務適正化委員会なるものを設置したのが第一点でございます。第二点が、やはり業務の適正な執行を確保するためのチェック体制をもう一度この機会に見直すべきではなかろうかということで、そのチェック体制についての見直し作業を今後具体的に進めていくというのが第二点でございます。それから、いわゆる綱紀粛正につきましては、全職員に対しまして通達等を通じて趣旨を徹底していきたい、これが第三点でございます。第四番目が人事管理の適正な見直し、そしてその運用、これをより一層図っていく必要があるのじゃないかという観点から対応してまいりたい。官房長官から指示をいただいたところでございますので、私どもこの四点につきまして具体的な措置を今検討中というところでございます。
  172. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 じゃもう一問、これで終わらせていただきます。  とにかく同じ部署で長い間取り扱っておる、そういう中で腐敗が生まれる。だから、今の人事管理といいますか、そういう中で――今回のこの担当というものはどれくらいやってきたのですか。担当として五年も十年もやってきているのですか。それから、今後はどうするのか、その期間ですね。  それからイメージ、今後健全なあり方としてどうやっていくという、そういう意味も含めてこの政府広報予算の総見直しをするべきではないか、こういうふうに思いますが、そういった面も含めて御答弁をいただければありがたいと思います。
  173. 本多秀司

    本多政府委員 橋本哲曙管理室長は、実は管理室長の前に総理府官房会計課参事官ポストを約六年間やっておりました。御指摘のとおり、大変長い期間官房会計課における参事官というポストに従事していたということは否定できないわけでございまして、そこに私ども総理府内におきましての適切な人事管理に欠けているところがあったのではないかという反省もしているところでございます。  先生御承知のとおり、会計事務、経理事務には非常に技術的かつ専門的な側面がございますので、どうしてもその培った知識を活用しなければならないということから在職期間が長期にわたる傾向がございますが、私どもできるだけそういうことをなくしつつ業務の適正な運用を図っていきたいということで、先ほど申しました人事管理の適正な見直し、運用を今後行っていきたいというのが一つでございます。  それから広報関係予算の見直しという御指摘でございますが、私ども早速六十三年度におきますその執行あり方、それから今後の広報の、例えば広報業者選定あり方等につきましても、御指摘のとおり見直しつつ改善してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  174. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  175. 竹中修一

    竹中委員長 川端達夫君。
  176. 川端達夫

    ○川端委員 長官、どうも御苦労さまでございます。よろしくお願いします。  私は、日本の防衛問題、特にアメリカとの関係についてを中心に、基本的な部分をお聞きをしたいと思っております。  日本の防衛あるいは安全保障を考えるときに、強力なパートナーでありますアメリカという国の状態というものを無視するわけにはもちろんいかないし、その政府の考え方、議会あるいは世論も含めての流れというものが、我が国の防衛上の政策に非常に影響してくるというふうに思っております。そういう意味で、特に最近のアメリカ自身の防衛あるいは軍事力の負担というものについての考え方が、昔に比べてというか、長いレンジで見ればどんどん変化してきているというふうに考えるわけですけれども政府としては、アメリカの防衛あるいは軍事力負担というものに関してどのように分析され、あるいは認識をされているのか、お伺いしたいと思います。
  177. 小野寺龍二

    小野寺政府委員 米国の国防予算につきましては、昨年十一月の大統領と米議会との間の合意に基づきまして、前年度比実質減という形で一九八八-八九会計年度の防衛予算が修正されて提出されてきたわけでございます。また同時に、アメリカ国内におきまして、ポール・ケネディ氏の有名な著書から、アメリカはオーバーコミットメント、少しコミットメントを広げ過ぎたのではないかという批判が出ていることも事実でございます。  しかしながら、けさほど当委員会で私も申し上げましたとおり、現在のところ、アメリカとしては予算削減というものを対外コミットメントを減らさない形で何とか処理しようという努力を続けております。現に、わずかでございますけれども削減されている兵力というものは、どちらかと申しますとアメリカの国内にある兵力で、ヨーロッパないし極東に前進配備されている兵力については影響を及ぼさないというような形で処理されていると見られます。  それから、アメリカの中で確かに同盟国との負担の公平とか分担というような議論が非常に盛んに行われております。ただし、これも決して新しいことではございませんで、基本的には、レーガン政権が発足いたしましたときにワインバーガー国防長官が上院の外交委員会で、米国として単独で世界全般にわたる利益を守るということは不可能であって、レーガン政権としては、米国の同盟諸国との関係を強力に保ち、すべてのパートナーとの間で安全保障の負担の公正な分担を慫慂していく決意を固めている、そういう発言を行っているわけでございます。したがって、そういうふうにアメリカ単独ではなくて、同盟諸国とともに共同の防衛を分担していくという考え方はこれまた変わってないと思います。  ただし、御承知のとおりの防衛予算の頭打ち状態、さらには双子の赤字というような中で、アメリカひとりというか、むしろ同盟諸国により多くの負担を求めようという機運が、世論、それから議会の議論の中から出てきているということ、これもまた事実でございます。  現在のところアメリカ政府としては、先ほど来申しておりますとおり、肩がわりという思想はございません。あくまでアメリカはやるべきことをやり、その上でまた同盟諸国は世界の安全と平和のためにさらに貢献してくれという姿勢でございます。  しかし、アメリカはこれから選挙に向かいまして政権が交代するわけでございますし、それから、先ほど申し上げましたような世論、それから議会における圧力が今後さらに強まるという可能性も排除されないわけでございます。したがって、我々としてもこういうアメリカの動きについては十分注意を持って見ていかなければいけないと考えております。
  178. 川端達夫

    ○川端委員 今おっしゃいましたように、総論的に自由主義陣営の安全をおのおのの責任において、アメリカももちろん中心になってでありますが、守っていくということ自体の論議は昔から言われてきたと思いますが、現実アメリカの経済が双子の赤字と言われるように非常に厳しくなってきている、あるいは、そういう状況の中では現実問題として応分に負担をしていってほしい、そして、アメリカ自身の財政負担は減らしたいという流れはこれからも強くなると思います。  今おっしゃいました部分で言いますと、レーガン政権発足のときにもそういう議論があった。しかし、レーガン大統領の出現というのは、強いアメリカというものを標榜されて、再び強いアメリカにしようというふうな形で出てきたにもかかわらず、そのレーガン政権でさえ軍備費の縮小に追い込まれざるを得ないという経済的な背景というものを見過ごすことはできないと考えるのですが、そういう中で、特に日本アメリカがそういう環境にある。軍備費も減らしていかざるを得ないであろう、それから大統領選挙を経てはなおさらその傾向は強くなる。今言葉としては肩がわりを求めるものではないと言われますけれども現実にいろいろな形で日本に対してのアメリカの、要求とまでは言いませんが希望というものが出てくるのじゃないか。そういう日米間での、全体的に言えば、世界の自由主義陣営の安全を確保するための負担というものの中で、日本にも応分の負担をより以上、求めてくる。  そういう求め方に二つの側面があると思います。一つは、防衛力自体を強化する。そういう部分でいえば、最近の流れでいわゆるシーレーン防衛構想、それから中期防の着実な達成というふうな期待は非常に強かったと思いますし、日本政府もそれには着実にこたえてきているという評価をアメリカはしていると思います。逆に、防衛力自体でアメリカが分担している部分日本に肩がわりしろという議論は、むしろそれはそうあるべきでないという、軍事大国になってはいけないという日本の考え方、あるいはアメリカ自身もそれを理解するということで承認されていると思うのです。  そういう中で最近特に強くなってきているのが、経済的な負担という部分での、それがただ単に一般的な経済的という意味じゃなくて、防衛あるいは安全保障という観点から経済的な負担を日本に強く望むという姿勢が顕著にあらわれてきていると感じるわけです。いろいろな背景でそうではないとおっしゃるかもしれませんが、先般の地位協定の特別協定の改定などはそういう面のあらわれでもあるのじゃないかと思うのです。こういうふうな米国の日本に対する、負担に対する期待というのですか、そういうふうな流れというものをどのように承知あるいは認識をされているか、お伺いしたいと思います。
  179. 西廣整輝

    西廣政府委員 先生が御指摘になりましたように、アメリカの力、これは経済力も軍事力も含めての話でございますが、それが例えば米ソ間で、あるいはまた同盟国との関係につきましても相対的に下がってきておるということは否めない事実だと思います。  したがいまして、アメリカ役割アメリカ自身が果たそうとしている役割それ自身からアメリカが逃げ出そうとしているというふうに私ども全く思っておりませんし、引き続き従来と同じような自由世界のリーダーとしての役割アメリカが果たそうとしておるという点については一点も疑いがないわけでありますが、さはさりながら、今申し上げたように、相対的な力が下がってきておるということで、実際にでき得ることということについてはそれなりの限界が、天井が下がってきておるという面があることは、これまた否めないと思います。  そこで、今先生は防衛の問題と経済の問題を切り離して、経済問題が急にクローズアップされてきておるのではないかというような御見解でありましたけれども、私はこの両者に同様な面があるというように考えざるを得ないと思っております。  まず、私ども防衛庁が担当しております防衛の面から申し上げますと、従来から同盟国に対してのコミットメントというものは全然変わってないわけでありますが、それでは実際にアメリカ日本支援のためになし得ることということになると、現在のグローバルな東西のバランスというものを維持し、その中で日本に対してどこまでやってやれるかということになると、確かにアメリカの余力というものは非常に小さくなってきているということだろうと思うのです。  例えば、かつてベトナム戦争当時、ベトナムというアメリカ同盟国に対して、地上兵力だけでも五十万近い者が支援をしたという状況がありましたけれども、現在日本あるいはいろいろな地域で何か起きたときに、果たしてアメリカがそれだけの動員をして支援できる地域がどれだけあるだろうかということを考えますと、なかなかそういうことができる力というものはなくなってきているということで、それぞれの同盟国がみずからの国の防衛のためにやらなくてはならない分野というものは、同じ防衛という役割の中でありますけれども、より多くなってきているということは疑いのない事実であろうと思います。  と同様に、広い意味地域の安定なりということに役立つ経済援助その他につきましても、アメリカ自身がよその同盟国にあるものをやらして、その分だけ自分が楽をしようというような考えを持っておるとはさらさら思いませんが、いろいろなところでその種所要といいますか、必要性がふえてきている、そういったものに対してアメリカが従来より以上のものをやり得る能力ということになると、これまたほとんど限界に近づいている、やはり相対的に力の上がってきている、経済力の上がってきている同盟国というものがその分野についても応分の支援なり貢献をしなくちゃいけないという状況に変わってきているということではないかと思っております。
  180. 川端達夫

    ○川端委員 おっしゃるように、私も、防衛に関してアメリカは、自分のことはできるだけ自分でやりなさい、それから、自由主義陣営安全保障を考えるときに、能力に応じてできるところがおのおの分担をしてやってほしいというふうな基本的なスタンスを持ってきていると思うのですが、そういう中で、日米間において、特に能力に応じてという部分で、日本の経済力が非常に大きくなった、だから応分の負担をもっとすべきであるというふうな基調が非常に強くなってきていると感じます。  そういう中で、ちょっとおさらいになるのですが、経済的なそういう負担という部分で、今の部分にぴったりフィットするのかどうかはいろいろ議論のあるところですが、先般衆議院では、通過をいたしました地位協定の改定において、労務費の特別協定における当該経費の五〇%限度というのを一〇〇%限度にするというふうに改定をされました。一般世論の懸念として、これをどんどんエスカレートしていくんではないだろうか、アメリカの今言ういわゆる経済的な負担という部分では、おのおのができるかい性で負担をしてほしいという中の一つではないだろうか。そして、五〇%が一〇〇%になった。しからば、特別協定を変えるということで、駐留米軍の日本人労務者給与というものの基本部分にまで日本に負担を望んでくるのではないだろうかというふうな懸念が非常にあるわけですけれども、技術的な問題としてお伺いしたいのは、特別協定を変えるという手法で基本給の負担にまで及ぼすことができるのかどうか、お伺いしたい。
  181. 岡本行夫

    ○岡本説明員 今般の労務費特別協定の改正は、あくまでも暫定的、時限的かつ特例的なものでございます。と申しますのは、最近の経済情勢の変化に伴いまして米側の台所の事情が非常に厳しくなった。そこで、私どもといたしましては、このような状況のもとで日本人の従業員の方々の雇用の安定を図るためにもあのような措置をとったわけでございます。したがいまして、御指摘基本給ということも含めまして私どもは今般とりました以外の措置をとることは全く検討しておらないところでございます。
  182. 川端達夫

    ○川端委員 私が聞いたのは、地位協定の特別協定を変えることで基本給の負担をすることが技術的にできるのかどうか、理論的にできるのかどうかということをお伺いしたのが一点。  それから、質問したのはその点なんですが、いわゆる理由として、急激な円高による経済環境のために特例的に今回行ったというふうにおっしゃるわけですけれども、しからば、例えば近い将来円高というものが安定をすれば幸いなんですが、そういう安定をしていく期間であればもうこういうことは起こり得ないというふうに断言ができるのかどうか。と申しますのは、一連のいろいろな日米間の協議、これは政府との公式な協議も含めて、地位協定の問題というのは、前段申し上げましたようなアメリカからの期待という部分は、やはり能力に応じて負担をするというふうな考え方の一環としても当然位置づけられる問題ではないかというふうに考えるのですが、その点も含めていかがでしょうか。
  183. 岡本行夫

    ○岡本説明員 基本給を我が方が負担することが今度のような特別協定方式で可能かというお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、私ども基本給の負担ということは考えておらないわけでございます。あくまでも今回とりました措置だけでございます。地位協定との関係、特別協定方式等々基本給を負担するために必要な法律的な手当てというのは、これは極めて複雑なものもあると思います。したがいまして、私どもはその点の検討は仮定の問題でございますので一切検討しておらない、したがってただいまここでお答えできないということでございます。  それから、在日米軍の経費を我が方が無制限に負担していくんではないかという御懸念でございますけれども、これは厳しい条件、財政的な事情でございますとか社会経済的な影響、あるいは当然安保条約の目的達成のためにそれが真に必要なものかどうかということを精査しつつ国会の御承認を得ながらやっておりますので、その点の御懸念は当たらないのではないかと私ども考えておる次第でございます。
  184. 川端達夫

    ○川端委員 個々の労務費の負担という部分ということだけにとらわれた問題じゃなくて、背景として、アメリカのそういう自国の経済事情も含めての問題というもの、それから自由主義陣営を全体で守っていくという応分の負担というものがある限りは、いろいろな形で駐留米軍の日本人労働者の問題に絡めても労務費負担の問題が出てくると思います。そういう意味で、いやそういうことは起こり得ないから考えたこともないということではなくて、基本的な原則というものあるいは限度というものを明確にしていかれるべきだと思います。  少し観点を変えまして、同じようにアメリカから日本に対する応分の負担というふうな観点から御質問をしたいのですが、フィリピンの米軍基地がありますね、この部分我が国安全保障にとってどのような役割を果たしているというふうに御認識なのか、お伺いしたいと思います。
  185. 岡本行夫

    ○岡本説明員 御承知のとおり、我が国の平和と安全と申しますものは、我が国の防衛力そして日米安保体制、この二つによって維持されてきておるわけでございます。その関連で、極東、ひいてはより広い国際の平和と安定が保たれていることが必要であることは言をまちません。私どもといたしましては、近くの国でもございますし、在比米軍基地の問題は、単にフィリピンのみならず、アジア・太平洋地域全体の安全保障にとりまして重要な問題と受けとめております。したがいまして、私どもも大きな関心を持ってこれを見守っている次第でございます。
  186. 川端達夫

    ○川端委員 そういう重要な役割を果たしているフィリピンの米軍基地なんですけれども、そういうふうなものに関連をして、アメリカ及びフィリピンから、日本の対フィリピン援助について、新聞報道によるといろいろな要求といいますか希望といいますかそういうふうなものが出されているやに伺っているのですが、特に四月にアメリカのシグール国務次官補が来日をされた、それから四月十七日にフィリピンのマングラプス外務大臣が来日された、おのおの総理ないしは外務大臣、関係閣僚にお出会いなされたようですが、この会談の中身も含めて、アメリカ及びフィリピンから日本の対比援助についての要求といいますか希望というふうな部分に関連して、お伺いをしたいと思います。
  187. 安藤裕康

    ○安藤説明員 ただいま先生の方からお話のございましたフィリピンに対する援助の問題でございますが、先般アメリカのシグール国務次官補が訪日されました際に、アメリカとしてはフィリピンのアキノ政権支援の強化のために対比支援についての国際的努力の可能性について検討中であるというお話はありましたけれども、それ以上この構想につきましてまだその後も具体的な提案はアメリカの方からは伺ってないわけでございます。  それから、フィリピンからのお話でございますが、マングラプス外務長官が四月中旬に訪日されたわけでございますが、その際には、日本側との間で今後の経済協力の方向についていろいろお話はいたしましたけれども、まだそこでシグール次官補がおっしゃったような具体的な話について話し合いが行われたということはございません。
  188. 川端達夫

    ○川端委員 先ほどフィリピンの基地というものの日本安全保障の中での重要な位置づけに対しての御答弁がありました。それから、相次いで米比の政府の要人が日本に来られた。援助の具体的な中身は別にしてそういう会談がなされた。  その背景に、アメリカとしては、日本安全保障にも非常に重要なかかわりを持っている、重要な役割を果たしている米軍基地が、フィリピンから借地をしている部分の費用を非常にたくさん払っている、あるいはフィリピンの国内においては、世論として、いわゆる米軍基地問題ということに関して、シーレーン、オイルの通り道を我々が守っている、日本の経済にとって重要な部分を、あるいは防衛にとって重要な役割をフィリピンが果たしているのだからということで、もう少したくさん援助してくれてもいいのではないだろうか、あるいはしてほしいというふうな、米比ともに安全保障の観点から日本に対する対比援助の増額といいますか強化を求める、そういう背景があるというのは、認識としては正しいのでしょうか。
  189. 岡本行夫

    ○岡本説明員 日米安保体制は、我が国の安全のみならず極東の平和と安全をも目的とした仕組みでございます。したがいまして、両国とも安全保障上の見地からフィリピンの安定化というものに大きな関心を有しているのは先ほど申し上げたとおりでございます。  そのために日本が何をやるかという点でございますけれども、日米安保体制の運用というものは、あくまでも両国間の役割分担に基づいて行われております。したがいまして、私ども日本がやることになっているのは自衛力の整備、そしてそのほか、つとに先生御存じの防衛政策を種々とっているわけでございます。フィリピンにございますアメリカ軍の基地を日本が肩がわりしてお金を払うというようなことは、もちろん安保体制日本に要求するところではございません。それでは我が国の経済協力の仕組みでこのようなことをやれるかと申しますと、これはまた当然我が方の経済協力の政策にはなじまない話でございまして、困難であると考えているわけでございます。
  190. 川端達夫

    ○川端委員 そういう御答弁に当然公式にはなるわけですが、間違いなくアメリカあるいはフィリピンとして、背景にそういう要因がある、それは全く否定はできないというふうに考えております。  そういう中で、ダイレクトに在比米軍基地の費用を維持するための援助を我が国が出すとかいうことはできないと思いますし、すべきでもないと思いますが、アメリカの経済あるいは安全保障、軍事力というものの大きな流れの考え方の中では、日本がフィリピンに対して今まで以上に援助をしていくべき環境にあると考えるわけですけれども、使途を限定しないで無償の援助をフィリピンにするということは、制度上可能なんでしょうか。
  191. 大島賢三

    ○大島説明員 御質問趣旨は、我が国として、使途を定めないでぽんと現金を供与して、どうぞ御自由にお使いください、こういう援助をやっているか、可能であるか、こういうことでございますが、我が国の援助の場合には、開発途上国の経済社会開発の発展、こういうことを目的としまして、施設を供与したり資機材を供与するあるいは役務を調達する、こういった諸目的のために必要な援助を行っているものであります。したがいまして、使途を限定してやっておるということでございますので、一般的に申しまして使途を限定しない形での援助ということはやっておりません。
  192. 川端達夫

    ○川端委員 これも新聞情報なんですが、五月九日の読売新聞で、ワシントン・ポスト紙が米政府、議会筋の話として、要約すると、対比援助をアメリカあるいは日本、ヨーロッパを中心として、いわゆる昔で言うマーシャル・プラン的な、五年間で総額百億ドルの規模で日本、西ドイツ等々が加盟をして基金というか援助をする、使い道はそこで考える、こういうふうな構想を提起しているわけですけれども政府としてこれに対して何か承知をしておられるのかどうか。
  193. 安藤裕康

    ○安藤説明員 先生指摘新聞報道の点でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、先般シグール国務次官補が訪日いたしました際に私ども伺ったお話は、米国としてはアキノ大統領の率いるフィリピン支援の強化のために何か国際的な努力の可能性を探求していきたいというお話は伺ったわけでございますが、新聞報道にございますようなお話は、その後もアメリカ政府の方からは私ども一切伺った事実はございません。
  194. 川端達夫

    ○川端委員 先ほど使途を限定しない援助はできないという御答弁がありましたけれども、こういう形のものというのはどちらに属するように分類されるのでしょうか。
  195. 大島賢三

    ○大島説明員 ただいまの御質問は、新聞報道にございましたような数字あるいはその内容に関連してのことだと思いますけれども、ただいま御答弁申し上げましたように、具体的にアメリカがフィリピン援助との関係で何を考えておるかということは聞いてないわけでございますけれども、使途を定めない形での援助ということはやっておりませんし、困難であるということでございますので、我が国が現在あるいは過去フィリピンに対して行っておりますものは経済社会開発の発展のためのものでございまして、そういった観点から今後とも対応していくことになると思います。
  196. 川端達夫

    ○川端委員 これは仮定の話ではなかなか御答弁は難しいと思うのですが、この前シグール氏が来られたときには具体的なお話はなかったということなので無理かもしれませんが、一応考えているこういうふうなプラン、このフィリピンのこれをどうするかということではなくて、こういう形で援助をする、そういう国際的な枠組みをつくってやるということ自体は、制度的にあるいは国内法的に可能であるのかということをお伺いしたいと思います。
  197. 大島賢三

    ○大島説明員 援助国の間で特定の国に対します援助のあり方あるいはその量等の問題につきましていろいろ協議をしながらやっていくという慣行、これはございます。アジアで申しますと、例えばインドネシアに対して援助を行っている主要国プラス世界銀行でございますとかアジア開発銀行でございますとか、こういった関係機関等が集まりまして援助国協議をやって、必要な調整あるいは誓約を行って実行していく、こういうことは行われております。  それからフィリピンにつきましても、世界銀行が音頭をとる形である種の協議を二年に一度ぐらいの割合でやって、そこでいろいろ意見交換をする、こういうことはございますので、これからもフィリピンに対しまして援助を、何らかのそういった多数国間による話し合いを経て必要な調整協議あるいは意見交換をやりつつ実行していく、こういうことは可能でございますし、現在既に幾つかのケースがございます。
  198. 川端達夫

    ○川端委員 五月三日から五日に日米安保事務レベル協議が行われたわけですけれども、ここでの議論といいますか中身、あるいは合意されたこと等々について御報告をお願いしたいと思います。
  199. 西廣整輝

    西廣政府委員 お尋ねのように、この三日から三日間にわたりまして安保事務レベル協議米側日本側の外務省、防衛庁が出まして行ったわけでございます。  初日は主として国際情勢関係の討議でございまして、米側の方からヨーロッパを除く世界地域、アジアは日本側が担当して情勢を述べ合いましたので、そういった地域のいろいろな問題なり特徴点をお話しになり、日本側から主としてアジア地域状況ということで、国際情勢が話し合われたわけであります。それぞれ担当は違っておりましたが、それぞれの認識についてお互いの認識というものには大きなずれはなかったということであります。その後、ソ連の軍事力全般についての状況というものについてのブリーフィングがございました。  二日目に入りまして、今度は米側の方からアジア地域の軍事情勢というものの説明があり、引き続き日米の防衛協力の状況、これはガイドラインに基づきまして日米間で各種の研究をやっておる、あるいは共同訓練をやっておりますが、そういったことについての過去一年数カ月間の実績等の報告が行われたわけであります。さらに、その最後に、先ほど来本委員会でも論議のありましたNATO相互支援法に基づく共同訓練等の際の融通協定の話についての説明米側からあったというのが二日目の状況であります。  それから三日目には、まず、日本側の方から日本側のここ一年間の防衛努力現状及び将来への展望といったような話をし、さらに駐留軍支援の問題、例えば労務費の負担の問題とかそういった問題、あるいは駐留支援に絡んでいろいろ事業を行っておりますが、それらの見通し等について話をしたということでございます。
  200. 川端達夫

    ○川端委員 冒頭からずっと、アメリカが自由主義陣営安全保障の分担という部分で、先ほど局長お答えになりましたけれども、防衛力の整備に関しては自国でできることは可能な限り自分のところでやりなさい、それから、自由主義全体の安全保障の確保のためにやる部分は能力に応じておのおの分担できるところはしてほしいというふうな大きな流れがあるのではないかということだったのですが、そういう中で、新聞によりますと、この席上で「アーミテージ米国防次官補らは、現在の中期防衛力整備計画の完全実施を念押ししつつ、米国の国防費の実質削減が続いていることを挙げ、アジア・太平洋地域の平和と安定のために、日本が経済援助を強化する必要性を繰り返した。」というふうにあるのですけれども、そうなんでしょうか。
  201. 西廣整輝

    西廣政府委員 ただいま先生お尋ねのいわゆるバードンシェアリングに関連した問題につきましては、米側としては大きく分けると四つの問題を言ったのではないかというふうに私は思っております。  その一つは、日本の防衛努力に関する問題であります。この件につきましては、米側としては、これまた本日委員会で私いろいろ申し上げておりますが、日本が従来果たしてきた任務分担役割、そういったものについてその変更を求めるようなことは全く考えていない、従来と同じような、いわゆる専守防衛と一言で言えば言えるような役割、そういったものをやってくれればいいというように考えておる。しかしながら、日本周辺の軍事力、なかんずくソ連の軍事力というものは引き続き増大を続けており、かつ、質的にも向上しつつある、そういった状況を踏まえて防衛努力というものは十分やってほしい。これは、現在の日本が実施しつつあります中期計画についての完全実施はもちろんでありますし、それ以後についても引き続き努力を続けてほしいというような期待が述べられておったというように考えております。  それから第二番目は、駐留支援の問題であります。駐留支援については、日本側の例えば最近行っております労務費のより一層の負担、そういった問題について向こうから感謝の意が表せられましたし、そういった駐留支援について日本側に大いにお願いしたいという意味のことがありました。  それから三番目は、これは私どものといいますよりも外務省の御所掌になろうかと思いますが、もろもろの国際的な平和維持活動、そういったものへ積極的に日本も参加をし貢献をしてほしいということであります。それは例えば国連の平和維持軍であるとかペルシャ湾における航行の安全対策、そういったものを含めての話だと思いますが、その種国際的な平和維持、安定のための諸活動に積極的な参加をしてほしいということ。  そして四番目に、いわゆる広い意味のその地域の安定に役立つ、例えば経済援助、ODAといったものについても日本がより力を入れていただきたいという、四点あったというように考えております。
  202. 川端達夫

    ○川端委員 そういう意味では、今もお触れになりましたけれども、いわゆる駐留経費の問題も、今回にとどまらず将来にわたって日本の負担というものをアメリカとしては強く期待をしているということは、先ほどそうでないんだというような御答弁がありましたけれども、やはり違うと思うのですね。それから、経済援助の問題が日米安保事務レベル協議で出てくる、いわゆる安全保障の観点から経済援助の問題が提起されるということは、やはりアメリカが自由主義陣営安全保障という観点から考えている部分の負担という位置づけで、日本に対しても応分の役割を果たすべきだという観点に立っているということをあらわしているんだというふうに思います。  そういう流れ自体は、冒頭お伺いしましたけれども、繰り返しになりますけれども、そういう流れでアメリカはこれからも日本に対して、いろいろな形で、私は先ほど駐留米軍の問題それからフィリピンの基地問題を例にとりましたけれどもアメリカとしては、基本的には日本に対してそういう流れであるということ自体の御認識は、それでよろしいのでしょうか。
  203. 岡本行夫

    ○岡本説明員 第一番目に、在日米軍経費のお話でございますけれども、これは米側として日本に引き続きよろしくお願いしますということでございまして、必ずしも新しい負担区分の拡大をしてくれとかそういう具体的な話ではない、あくまでも一般的な期待感が表明されたということでございます。  それから、もう一つの経済協力でございますけれども、SSCの場におきましては、広く太平洋・アジア地域の安定の問題が議論されました。  ただ、バードンシェアリングと申しますのには二つの意味がございまして、私ども、あくまでも防衛面でのバードンシェアリングという観点からは日米間の役割分担というような話をしておるわけでございます。経済協力の話も、もちろん日本が米国とともに国際社会の発展に幅広く協力するという観点から話はしましたけれども、これは、例えば戦略援助というような言葉が言われておりますけれども安全保障と直接結びついた形の経済協力ということではなくて、あくまでもそれは日本が経済協力の政策、原則にのっとりましてやっていくことである。そのような形で、先ほど来西廣局長が御答弁なさっておられますように、日本として米国とともに幅広く国際社会の安定に貢献していく、このような認識でございます。
  204. 川端達夫

    ○川端委員 先ほどから議論が出ていますけれども、例の物品・役務融通協定の件について、繰り返しになって恐縮なんですが、どういう姿勢で臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。
  205. 西廣整輝

    西廣政府委員 本件につきましては米側の方から、この種NATO支援法というものがあり、これが日本その他の地域、国にも適用し得るようになったので、今後の共同訓練等に役立つと思うがという提案がございました。これについて、協定の話でございますので外務省側の方から、その種協定といいますか、を結ぶあるいはそういうことを考えることが日米間にとっても非常に有用な問題であるかどうか、そういったことを含めてひとつ御提案があったので検討してみようということだけで終わっておるわけであります。したがって、まだ具体的な詰め等これは行っておるわけではございません。  我々としては、まずそのNATO支援法なり、あるいはそれに基づいてどの種協定が行われておるかわかりませんが、知り得る限りそういったものをまず強勉してみたい、そして、どういったことが可能であり、やられておるのかということも十分まず知ることが前提であります。  しかる後、そういったものを念頭に置きながら、自衛隊と米軍で共同訓練等逐次行っておるわけでございますが、それを行うについて、現在のままで十分今後とも問題ないということであるのか、あるいはその種のものができればより効率的な訓練あるいはより進歩した訓練ができるということなのかどうか、その必要性の大小について十分検討いたしたい。  そして、そういう日米間の、主として制服レベルでありますが、そういうことでどうしてもそういうものがあった方がよさそうだということになった段階で、初めて外務省なり、それから、物品の融通ということになりますから、これは物品管理法等を管理しておられる大蔵省等とも非常に関係のある問題だろうと思います。そういうところと十分相談をして、なおかつこれはやるべきである、極めて有用であるということになれば何らかの措置をとるし、そこまでやる必要はないということになればそこで終わるというようなことになるのではないかと思いますが、いずれにしましてもこれから研究してみたいということで、このような作業を進める、あるいは検討を進めるという具体的なスケジュールはまだ持っておりません。
  206. 川端達夫

    ○川端委員 そうすると、今まではどういう根拠といいますか、例えば共同演習をしていてオイルが足らなくなった、あるいは米兵が風邪を引いた、そのときに日本人の医者が診てはいけないというふうな問題があったやに聞いているのですけれども、今まではそういう協定なしでどういう形で行っておられたのでしょうか。
  207. 西廣整輝

    西廣政府委員 現在、幾つかの根拠で幾つかのことが行われているわけでございます。例えば洋上において相互が訓練しておる、そういうときに、我が方なら我が方は給油艦を持っておる、しかし米側は持っていなくてたまたま訓練の最中に油切れになりそうになったというときに、給油をしてやるということがございます。  それらはどういうことでできるのかということでございますが、これは必ずしも日米安保条約下にある米軍に対してできるというわけではございませんで、例えば漁船等が油切れになった場合でもできるのだと思いますけれども、現在物品管理法というのがございまして、その中に「無償貸付」という条項がございます。これは、そういった事態に油なら油を無償でともかく貸してやる、そして、若干の手数料、要するに油の調達に要した手数料というものをつけて返してもらうわけですが、そういう制度がございます。それを利用してやっておるというようなこともございます。  そのほか自衛隊法なりあるいは防衛庁設置法の中に、例えば自衛隊が管理しております飛行場に飛来をして、あるいは、不時着とは言いませんが何らかのことでおりてきて、その飛行機は給油手段を持っておりませんのでそれに対しては給油してやることができるというような規定がございます。  さらには、現行協定の中でその附属書G項というのに現物協定というような取り決めがございまして、自衛隊基地の中にあるごく小さな米軍部隊、部隊といいますか個人なりに対して現物として机を貸してやる、あるいは光熱水料等を見てやる、あるいは役務を提供するといったようなことができる法文がございます。  そういったもので、現物的に提供するといったような幾つかのその種の根拠になる法律なり規定がございますので、それに基づいてやっておるというのが実情であります。
  208. 川端達夫

    ○川端委員 ということは、今重大な支障を来しているということではないというふうに理解をしたのですが、ただ、伺っておりますと、何かいろいろな条文をつまみ食いして、本来それのためにできているのでない部分を適用しているような印象も受けました。  そういう意味では、先ほどの御答弁ではそういうことを総合的に検討していって、あれば便利であるという観点に立てば締結する方向であるというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  209. 西廣整輝

    西廣政府委員 実は、その辺について私どもまだ勉強不足でございまして、わからない点が多いわけでございます。  先ほどもちょっと例として申し上げたと思いますが、現在共同訓練で来ておる米側の部隊等は、多くの場合在日米軍が中心でありますし、ほかの地域から飛来する航空機等についていえば、それらはほぼ同じ機種のものが多い、あるいは日本が持っていない機種のものが多いということで、在日米軍と同じ機種であったりあるいは日本自身が持っていない機種であったりということで、整備等について日本が支援できない種類のものが多いものですから、余りそういった点に支障を感ずるといいますか、日本自身が支援できる範囲がなかったという点もあります。  それから、陸上部隊について言えば、訓練のために日本に参ります部隊の規模というのが非常に小そうございましたので、それ自身が使う油であるとか、あるいは修理の必要性とか、そういったものが少なくて済んでおったわけでございますけれども、これからそういった、例えば陸上部隊等の訓練のために来日する部隊の規模が大きくなる、あるいは訓練期間が長くなっていくというようなことがありますと、いろいろな問題といいますか、現行法で果たして処理できるのかどうか、あるいは米側自身の力でやれるのかどうか、やろうとすれば大変な大部隊を持ってこなければいけない、補給部隊等持ってこなければいけないことになるのかどうか、そういったことを十分検討いたして、なおどうしても要るであろうということになれば、防衛庁としてはひとつその方向で検討していただきたいというお願いをするということになろうかと思います。
  210. 川端達夫

    ○川端委員 時間があと少しになってしまいましたので、要点だけをお伺いしますので簡潔にお願いしたいと思います。  四月の末にアメリカの国防総省が一九八八年版「ソ連の軍事力」というものを発表されたのは御承知だと思いますが、その中で日本に対する部分、「第七章 地域バランス」というところの一部に米ソ全面戦争の際のことの記述がありまして、ソ連は有事に際して、日本海への出入口確保のために限定的な対日強襲上陸作戦を試みるおそれがあるという分析をしているわけですけれども、これに対してどのように評価をされているのか、お伺いしたいと思います。
  211. 小野寺龍二

    小野寺政府委員 一九八八年版の「ソ連の軍事力」と申しますのは、従来と違いまして地域バランスの分析をいろいろ行っているのが特徴でございます。その地域バランスの中で、これはアジア、極東に限ったことではなくて、欧州をも含めて、世界各地において例えばグローバル戦争が起こったときにどういう事態になるかというようないろいろなことを想定いたしております。  その想定の一環として、極東については、ただいま委員指摘のとおり、ソ連が限定的な水陸両様作戦の実施を試みる可能性があるということを書いてあるわけでございます。これはあくまで総体的なソ連の軍事力及び地域における軍事力を評価するための一つの例として仮定を置いて行った、そういう記述である。ですから、そういう場合にソ連としてあり得る選択肢である、そういう分析をしたということではないかというふうに解釈いたしております。
  212. 川端達夫

    ○川端委員 この中ではあり得る選択肢が二つしかない、その中の一つが上陸するということを指摘をしているわけでありまして、いろいろ百も二百もある中に一つ、そういうこともひょっとしたらあるかもしれないという分析ではないというふうに思っております。そういう意味で、二つしかないうちの一つとして挙げられてあるというふうに理解をしているのですけれども、時間もあれですから、もっともだと思われるのか、そんなことはとんでもないことだと思われているのか、どうなんでしょうか。
  213. 西廣整輝

    西廣政府委員 二つのうちの一つというふうに申し上げるのはやはり問題があろうかと思います。私ども、やはりシナリオといいますか状態は千差万別である。  たまたま今回の「ソ連の軍事力」に書かれておりましたのは、ヨーロッパでまず何か戦乱が起きているというような状況、それが波及して日本側でといいますか東アジアで何が起きるかというシナリオが書かれておるわけでございますが、そのシナリオ自体の蓋然性がそれでは高いかというと、少なくとも過去、戦後四十年間の状況を見ましても、そういったところでまず戦乱が起きるということは逆に言えば非常に少ない、レアケースである。そうでなくて、一番多いのは第三世界であり、第三世界に次いで多いのは、やはりこの地域を仮に攻撃しても世界戦争なり核戦争まで発展しないであろうと思われる地域における紛争なり戦争の方がより生起する公算が高いというふうに思っておりますけれども、そういうことから考えますれば、今回書かれておるシナリオというのはやはり一つの例であるというふうにお考えいただいた方がいいと私は思っております。
  214. 川端達夫

    ○川端委員 最後にしたいと思いますが、本当は中期防、六十六年以降に関してのお考えをお伺いしたかったのですが、今の話と中期防に関連をして、二月二十九日の読売新聞に、「六十六年以降の次期防衛力整備計画では、防衛力整備の重点を「陸」に移し、陸上自衛隊が新たに「前方対処・早期撃破」戦略を採用する方針を固めている」ということ、しかもその部分としては「「北海道有事」を想定し、極東ソ連軍の予想侵攻地点」云々ということを「検討していることが、同庁の極秘資料によって明らかになった。」こういうふうに書いてあるのですが、本当なんでしょうか。
  215. 西廣整輝

    西廣政府委員 現在の中期防に続く中期計画につきましては、私どもとしては、防衛力整備というものを効率的かつ計画的に整々と行っていくためにはその種のものが必要であるということは考えております。しかし、政府としてその種中期の次期計画をつくるかどうかを含めまして、つくる場合にどういう枠組みの中でつくるかということも含めて今後御論議をいただかなければならない問題であるというように考えております。  一方、防衛庁の中で、例えば洋上防空体制であるとか陸上防衛態勢であるとか、それぞれについていろいろな研究会がございまして研究はいたしております。そういう中で、いろいろな意見もあろうかと思いますが、一般論として申し上げまして、従来の防衛力整備というものの中心はやはり防空及び海上交通の保護というものにどちらかといえば重点が志向されておったということは事実であります。  その点、陸上防衛について言えば、昭和三十五年、六年当時にできた陸上自衛隊の編成という基本的な枠組みはそのままにして一部の装備等の手直しをしているということで、諸外国の軍備の動向からすれば比較的おくれている分野が多いということは事実でございますけれども、だからといって、陸が中心になって海空の問題が今度は次等の問題になるというようなことは全く考えておりません。
  216. 川端達夫

    ○川端委員 終わります。どうもありがとうございました。
  217. 竹中修一

    竹中委員長 浦井洋君。
  218. 浦井洋

    ○浦井委員 まず最初に、今審議されております防衛二法の改正案について二、三質問をしたいわけであります。  いろいろありますけれども改正案の一つの大きな柱に航空自衛隊の骨格組織を抜本的に改編するということが盛り込まれておる。これは一九五四年に航空自衛隊が創設されて以来の最大の組織改編だとも言われておる。去年の九月十日の朝雲新聞によりますと、「八四年に空幕防衛課内にプロジェクトチームが編成されて、約二年間の検討作業の結果、「骨幹組織の整備」計画が作成され、防衛庁の昭和六十三年度の業務計画にも反映された」、こういうふうにあるわけなんです。こういう経過を経て今度の防衛二法のいわゆる改正案というものが出されてきたというふうに私は思うわけなんです。  瓦防衛庁長官にまずお伺いをしたいのですが、この朝雲新聞によると、わざわざプロジェクトチームを編成して、しかも整備計画まで作成して航空自衛隊の骨格組織を抜本的に改編する理由というのは一体何なんですか。また、これによって一体何をしよう、どういう意図があるわけなんですか。
  219. 西廣整輝

    西廣政府委員 今回、航空自衛隊の改編について改正案をお願いいたしておりますが、抜本的改正というふうに言えるかどうか、これは見方の問題であろうと思います。  今回の改正の主要部分というのは、いわゆる戦闘部隊を除いた部隊の部分であるということをまず御理解いただきたいと思います。したがって、その内容というのは作戦を支援する部隊ということで非常に種々雑多なものがある、あるいは教育関係の部隊ということでこれまたいろいろある、さらには研究開発、そういったものが入っているということで、内容的には、作戦なら作戦のためだけということではございませんで、いろいろな分野の部隊なり機関が入っておるということで、多くのことについてその改編の利害得失をいろいろな面から眺めなくてはいけないということで、恐らく航空自衛隊、航空幕僚監部の中でそれらの専門家が集まってチームをつくって勉強したのだろうというふうに考えております。
  220. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいま防衛局長が答弁いたしましたとおりでございます。
  221. 浦井洋

    ○浦井委員 西廣さん、今改編の中身を少々言われたのですが、要するに空自の組織を五つの機能集団に再編成して、特に運用支援体制を整備強化する、こういうことですね。これは具体的にはもう少しつけ加えていただくとどういうことになりますか。
  222. 西廣整輝

    西廣政府委員 現在、長官直轄の部隊で戦闘支援部隊ということになりますと、輸送航空団、航空救難団、保安管制気象団という三つの団がございます。このそれぞれが防衛庁長官に直轄した部隊として存在をいたしまして、それが航空総隊といいます作戦部隊、それらを支援しておるわけであります。  つまり、例えば航空総隊の中の戦闘機部隊であるとかナイキの部隊であるとか、そういった戦闘部隊のもろもろの航空輸送に関しては輸送航空団がそれぞれ支援をする。さらに航空救難団というものがございまして、航空総隊の戦闘部隊が所在しておりますそれぞれの航空基地の救難活動は、その航空救難団が一括してそれぞれの基地に救難機を派遣して支援をしておる。さらに保安管制気象団と申しますのは、航空管制関係の気象情報を流してやるとか、そういった地域気象なり航空管制関係のもろもろの情報等についてそこが一括して握っており、各基地にその出先機関があって、それを統制しておるという状況になっておるわけでございます。  この三つの団それぞれが長官直轄部隊としてぶら下がっているということではなくて、これを航空支援集団ということにまとめてしまって、それぞれの団の司令部というものはなくしてしまう。特に輸送航空団保安管制気象団の団というものは消してしまって、航空支援集団というものが輸送航空隊なり管制、気象群なりを直接指揮するという格好で、そこで支援をまとめてやらせる。こういう形で組織の合理化を図る、そのことによって運用の円滑化を図り、かつまた人の省力化も図っていきたい、こういうのがねらいになっておるわけであります。
  223. 浦井洋

    ○浦井委員 要するに、防衛庁の出された図表の説明西廣さんされたわけなんですが、そこに書いてありますように、この改編によって、平時においては部隊の効率的な運営を図り、有事においては戦闘作戦部隊である航空総隊が最大限の戦闘力を発揮できるようにする。そのために、それを支援する補給、輸送などの部隊組織を整備強化する、こういうふうにまとめて言えるわけですね。
  224. 西廣整輝

    西廣政府委員 例えば航空輸送支援ということを考えますと、平時におきましては比較的輸送所要というものは平準化し、それぞれの部隊で恒常的な輸送所要というものが出てくるわけでございます。有事になりますとそれががらっと状況が変わってくる、しかも実際の航空輸送の要望というものは非常に多くのものが出てくると思います。したがって、それに対して全体の中でどういう優先順位でどう配分していくかというようなことは、より広い立場でそれを眺めていくということになります。そういう意味では、私は運用においてより効率的かつ弾力的な運用が可能になってくるのではないかと考えておる次第でございます。
  225. 浦井洋

    ○浦井委員 航空自衛隊というのは、今Fl5戦闘機であるとかCl30輸送機を導入したり、あるいはFSX計画の推進であるとか新しいバッジシステムの整備などを進めている、そして、このことによって防空能力とか対艦攻撃能力あるいは空中輸送能力の一層の強化を図っている。これに応じて今度の組織再編ということになるわけですから、有事即応態勢をますます強化するものだと思うのです。ですから私はこういう増強計画には断固として反対だということをまずはっきりと申し上げておきたいと思うのです。  今度のいわゆる改正案の中には、そのほかにも予備自衛官の大幅増員を初めとして海空の自衛官やあるいは統合幕僚会議の要員増など、議論をすればするほど非常に重大な問題を含んでおると思うわけですが、これらの問題はじっくりと後日引き続き質問をすることといたしまして、次の質問に移らせていただきます。  運輸省来ておられますか。――まず、簡単に聞きますけれども、空港整備法に基づく第三種空港の管理運営の権限というのは県にあると私は思うのですけれども、そういうことでよろしいですか。
  226. 鈴木光男

    鈴木説明員 第三種空港の管理運営は、当該空港の設置者でございます地方公共団体が行うということになってございます。
  227. 浦井洋

    ○浦井委員 その管理運営権の中にいわゆる空港の一時使用の認否、認めるか否か、こういうことも含まれるわけですから、当然これは地方公共団体にあるわけですね。
  228. 鈴木光男

    鈴木説明員 第三種空港といいますのは公共用飛行場というふうに位置づけられておりまして、基本的にはどのような飛行機であろうとも、特に他の航空機の利用との調整等の事情がない限りは使用を認めるというのが法的な建前でございまして、利用を拒否するというのは基本的にはできないことでございますが、利用についての調整の権限は設置管理者たる地方公共団体が行うということでございます。
  229. 浦井洋

    ○浦井委員 要するに管理運営権は地方自治体にあるということを確認したいのですが、それでよろしいですね。
  230. 鈴木光男

    鈴木説明員 管理運営は地方公共団体が行うということでございます。
  231. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで運輸省にお聞きしたいのですが、沖縄県の南西諸島の下地島空港あるいは宮古空港に近年緊急事態でもないのに米軍機が相次いで飛来しておる。特に昨年の十一月から十二月にかけては週三回も大挙飛来しておるということで、下地島空港の属する伊良部町の町議会では、私ここに持ってきておりますけれども、「下地島空港の設置目的や安全訓練及び定期便運送の円滑な運行を確保する上で好ましくない。」ということで、抗議する意見書を昨年の十二月八日に採択をして、これは外務省にも行っているだろうし運輸省にも行っているだろうというふうに思っておるわけです。これは確認できますね。
  232. 鈴木光男

    鈴木説明員 昨年の十二月に伊良部町から運輸省あてに下地島空港への米軍機の飛来をやめさせてほしいという意見書が出されております。
  233. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、沖縄県の調査によりますと、下地島空港の米軍機の使用状況は、八二年に二回で航空機の数は二機、それから八三年から八五年までは一回もなしで、八六年に一挙に三回十一機、八七年、去年は十回で五十四機、八八年は、ことしですが、二月末までで既に三回で十七機ということで、これは合計いたしますと十八回で機数にして八十四機となっておる。  こういう中で、いわゆる緊急事態ということですから、エンジンのトラブルであるとかあるいは修理をしなければならぬとかあるいは急病人が出たとか、こういうことの発生によって下地島空港を使用したのは何回で、その機数は何機になっておるのか。
  234. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米軍機の運用に関するお尋ねでございますので私の方から御答弁させていただきますが、御承知のとおり、米軍機は日米間の地位協定の第五条に基づきまして、施設、区域として提供されていない我が国の一般の飛行場についてもこれを使用する権利が認められております。下地島空港もこの規定に基づきまして米側が出入りしているわけでございます。  もちろん、私どもといたしましては、本来米軍機による我が国の一般飛行場の使用は必要やむを得ない限度にとどめるべきであるという考えを有しておりまして、米側にもその旨を申し入れ、米側も理解しているところでございます。したがいまして、今お挙げになりました米軍の下地島の使用は、給油等の最小限の必要性に基づいて行われているものと存じます。
  235. 浦井洋

    ○浦井委員 私が尋ねているのは、エンジントラブルであるとか修理とかあるいは急病人が出たような緊急事態が一体何回で、何機なのかということを聞いているわけなんです。その肝心なところを教えてもらいたい。
  236. 松田政雄

    ○松田説明員 お答えいたします。  昭和五十七年から昭和六十三年二月までの間に米軍機が緊急状態ということで着陸した回数は二回で、二機と承知しております。
  237. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、外務省が言われたような給油というようなことは緊急ではないわけですよ。そこは安保課長よくわかっておりますか。  そこで、先ほど示した意見書ですけれども、ここでも言われておるのですが、この下地島空港というのは、航空安全確保のためにジェット機の訓練飛行場が必要であるということで、その国の政策に協力する形で開港されたのです。  それで、空港の設置目的あるいは建設経過から見ても、沖縄県などは、軍用機を使用させないために運輸省にいろいろ覚書や照会文を往復させて、そして結果、運輸省としては開港時に、一九七八年の七月ですけれども運営方針は設置者たる沖縄県が決める問題であるという回答を出しておるわけです。さらに、先ほど申し上げたように、設置者である沖縄県もたびたび米軍機の使用の自粛を申し入れておるし、こういうように現地の伊良部町の町議会でも抗議する意見書を出しておられるわけなんです。  だから、政府がこういうような要請、申し入れをどういうふうに受けとめて、もう既に安保課長はその一端を言われたですけれども、米軍にどういうような要請をしておるのか、この点をお答え願いたい。
  238. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先生御承知のように、この問題はたびたび国会の御論議でも取り上げられてきているところでございまして、私どもの方からは、給油の場合も含めました緊急着陸、離陸ということで今までも御説明しておるところでございます。  先ほどの陳情書、私どもも拝受しております。私ども基本的な考え方は、先ほど申し上げましたとおり、不要不急のものはやらない、必要最小限の場合に限った米軍機の使用ということでございますので、当然地元のこの御意向も米軍側に伝えつつ、私どもとしては米側が必要のない使用を行わないよう、これはかねがねから申し入れているところでございます。
  239. 浦井洋

    ○浦井委員 運輸省どうですか。
  240. 鈴木光男

    鈴木説明員 米軍機の民間空港の使用につきましては、地位協定の五条に基づきまして公用の目的で出入することができるということになっておりますので、これを断ることは基本的にはできないのではないかと思っております。  ただ、民間機の訓練あるいは民間機の運航に支障が生じないように所要の調整連絡を行うということを運輸省としては努力しているところでございます。
  241. 浦井洋

    ○浦井委員 運輸省、姿勢悪いですよ。私、さっきも言いましたけれども、安保課長が言われた給油というのは緊急事態の行為なんですか。給油が緊急事態ということになれば、南西諸島の第三種空港に幾らでも米軍機が飛来しますよ。どうですか。こういう政府の態度、外務省もあるいは運輸省にしても、せっかく町議会で抗議する意見書を出されておる、沖縄県からもたびたび自粛の要請がある、であるのに、先ほど数を申し上げたように米軍機の飛来はますますふえ続けておる。政府が毅然として米軍に対して自粛の要請をしていないわけなんです。必要最小限は仕方がないのだということを前提にして話を進めておる。ここに問題があると私は思う。これは極めて重大な問題だと思う。  そこで、運輸省にお聞きしたいと思うのですけれども、民間機が使用しておる周波数は主にVHFなんですか、それともUHFなんですか。
  242. 松田政雄

    ○松田説明員 一般的に民間機が使用いたしております周波数はVHFでございます。
  243. 浦井洋

    ○浦井委員 下地島空港というのは、緊急事態以外に、通常の交信というのはVHFしか使っていない空港なんでしょうね。どうですか。
  244. 松田政雄

    ○松田説明員 御指摘のとおりでございます。
  245. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、けさ方から運輸省にも外務省にも確認をしておるのだけれども、こういうケースがある。  下地島空港で昨年十二月二十日に起こったことなんですけれども、米軍のCl30が横田から飛んできて、一方フィリピンのクラーク基地から飛んできた四機のOVl0に給油して、OVl0はそのまま嘉手納に向かい、Cl30はまた横田に帰ったということがあったわけなんです。このときOVl0はUHFしか積んでおらない。そうですね。だからUHFの緊急用周波数を使用して進入してきた。そこで、それを受けた空港側もあわてて空港の規制を実施したということなんですよね。  これは、OVl0がUHFを使用してこの空港に進入したということは確かですね。
  246. 松田政雄

    ○松田説明員 当日飛来した米軍機のうち、一部が二百四十三・〇メガヘルツという緊急用周波数を使用したことは事実でございます。
  247. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうふうに、私が確認したように、下地島空港というのは機能自身がUHFを使用する軍用機を受け入れるようになっていないのでしょう。運輸省どうですか。
  248. 鈴木光男

    鈴木説明員 空港の機能といたしましては、軍用機か民間機かということには特にかかわらずに、その航空機の性能等に応じて、物理的に受け入れることができるもの、できないものがあろうかと思います。
  249. 浦井洋

    ○浦井委員 歯切れが悪いのですけれども、要するにUHFを使って突然来られると、下地島空港というのは受け入れるのに大変なんですよね。そのことは確認できるでしょう。運輸省どうですか。
  250. 松田政雄

    ○松田説明員 下地島空港につきましては、本来的に民間機の訓練ということで、VHFを主体に管制用機器を整備したというふうに考えられるかと思います。
  251. 浦井洋

    ○浦井委員 それでいいのですよ。下地島空港というのはVHFを使用しておる民間機に使用させるということでいいわけですよね。これが機能、ファンクションの問題です。  今度は、私はうちの方で資料を調べたのですけれども、実態を申し上げますと、実態からいっても米軍機の使用はやめさせるべきだというふうに思うのです。  意見書にも出ておりますけれども、この下地島空港は民間ジェット機の訓練飛行場という性格を持っておる。だからJALやANAがそれぞれ六時間ずつ、合計十二時間使用しておる。それで、この下地島空港の使用時間というのは朝の七時三十分から夜の二十時三十分までの十三時間ということですから、民間機の訓練飛行場ということで、ほぼもう目いっぱい使われておる。  そこで、空港周辺で民間機がタッチ・アンド・ゴーの訓練をやっておるわけですね。このタッチ・アンド・ゴーの訓練では、一周するのに六分かかる。それで管制官は、その間、離発着の管制をしなければならぬ。だから四機が同時にそういうふうにやると、大体一分三十秒の間に離発着の管制をしなければならぬ。だから現場の管制官の話では、もう四機が限界であるということですよ。  そこへもってきて、こういう状況の中で、事前に米軍機の飛来が知らされているわけなんでしょうけれども、その飛行計画がおくれて突然飛来するということになると、これはもう大変なことになるわけです。長官、よく聞いておいてくださいよ。だから管制官の負担は一層重くなるわ、民間機の離発着訓練はおくれるわ、あるいは航空安全にとっても非常に大事な事態になるということなんですよ。こういう実態があるわけです。  だから、私は断固として、これは政府として下地島空港に再々来ている米軍機の飛来を中止するように要請すべきではないかと思うのです。どうですか。
  252. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほど申し上げましたとおり、地位協定第五条というのは、有事の際の我が国の防衛に携わる米軍のために、安保条約六条のもとで取り決められている協定でございます。  これに基づきまして米側は、下地島空港も含めまして民間の空港への離発着の権利というものを持っておるわけでございます。ただ、空港によりまして民間航空便の非常に多いところ等いろいろございますし、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、これは必要最小限の使用に限るということを米側に申し入れております。そして、そういうものである限りは、私どもとしては米軍機の使用は協定にのっとって認めなければならないものと考えております。  ただ、これはもちろんそのために米軍機が何をやってもいいということではなくて、その飛行場の事情に応じまして所要の調整が離発着に際して図られるべきことは当然のことと存じております。
  253. 浦井洋

    ○浦井委員 そういう姿勢だからいかぬのですよ。安保課長は、給油も緊急事態だ、こういうことになると、すべて緊急事態になるわけなんですよね。実際は、米軍機の使用というのは、いわゆるその緊急事態によるものではなしに、あなたがいみじくも言われたように、給油するためにあらかじめ空港を使うということを前提にして飛んできておるわけでしょう。  これで一つの問題点は、安保条約、地位協定と言われますけれども、地位協定に基づいた提供空港と、こういう公共の第三種空港との区別がつかぬわけだ。何ら変わらぬということになってしまうのですか。どうです。
  254. 岡本行夫

    ○岡本説明員 先ほど来申し上げております給油の話は、昭和五十六年の外務委員会におきましても、当時の北米局長が御説明しておりますように、米軍機に必要最小限の給油が行われない場合、不測の事態を招来するおそれもある、かような認識に基づいているものでございます。  私どもは、先ほど来申し上げておりますとおり、米側に対しましては、不要不急のものをやめるということ、これは米側も十分認識しているところでございます。施設、区域で本来行うべきことが適当であるようなことを施設、区域外で行ってはならないこと、これはもちろんでございますけれども、そのような観点から考えましても、下地島の現在の米軍機の使用というのは必要やむを得ざる行為ではないかと考えておるわけでございます。
  255. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、そういうことであれば、民間空港を米軍の給油基地としてその使用をコンスタントに恒常化するものだというふうに言われても仕方がないわけでしょう。それは、不要不急はやめるとか、飛来回数が少ないとか、常時使用していないとかいうような言い方はあるだろうと思うのですけれども、しかし、給油が緊急だということを認めて、そして民間空港を米軍機が使用するということを既成事実化する一つの手だてになるのじゃないですかね。民間空港の米軍の軍事使用を恒常化しようとしている、こういうふうに思われても仕方がないじゃないですか。もうそれ以上答えは出ませんか。
  256. 岡本行夫

    ○岡本説明員 繰り返しの御答弁で恐縮でございますけれども、まさに必要な場合には我が国の民間空港をも米軍機に使用させる、そしてそのことが我が国の安全と平和を維持するよすがとなっている、それが米軍の効率的な活動を保障するものである、このような考え方に立って地位協定というものができておりまして、国会の御承認もいただきまして日米間に存在しておるわけでございます。  私ども、周辺の住民の方々の利益との調和とか民間の航空交通との調整、そのような調整は当然に必要なものと思っておりまして、米軍機が民間空港を使用する影響は最小限にしなければならないものと思っておりますが、この下地島、先ほど来御指摘のような使用の形態であれば、これは地位協定上問題ないものとみなすという私どもの理解でございます。
  257. 浦井洋

    ○浦井委員 運輸省に尋ねても、外務省がおられるとこれ以上の答えは出ないだろうと私は思うのですけれども、こういうようなことでずるずるとやっていけば、先ほども指摘しましたように、民間空港が米軍の軍事使用目的のためにそれが恒常化するということになってしまうということを私は警告を発しておきたいと思うわけなのです。  そこで、今度は正式に安保課長に聞きますけれども、南西諸島の第三種空港の場合には、聞くところによると、米軍機の飛来については、外務省は事前の運航計画の段階で県と調整することになっておるというふうに聞いておるわけなのですが、どういうような経過で、どういうような理由で、こういう県と調整するのがいつごろから行われておるのか、それをお聞きしたいと思うのです。  それから、こういうような手続を行っておるのは、フィリピンであるとか韓国というようないわゆる第三国からの入国空港になっているからそういう手続をしておるのか、そのほかにもこういうような空港があるのかということを一括してお聞きしたいと思う。
  258. 岡本行夫

    ○岡本説明員 通常、米軍機が我が国の民間空港を使用いたします場合は、管制当局にフライトプランを提出することになっております。  南西諸島の場合には、これに加えまして、ただいま先生指摘のように、外務省としては事前に地元へ御通報するということをせいぜい心がけているわけでございます。これは、ただいま御指摘のような米軍人軍属、家族の入国の場として使われるという理由も一つございますけれども、先ほど来お尋ねのような状況にかんがみまして、すなわち、私どもも地元の御意向を踏まえまして、できるだけ前広に所要の調整が図られることを希望いたしまして、私どもとして事前に通告申し上げているところでございます。  いつからこの制度が始まったかということにつきましては、ただいま手持ちの資料にございませんので、後刻お知らせしたいと思います。  それから、南西諸島以外の空港について外務省が事前に地元の方に飛行の通告をしているかというお尋ねでございますれば、ほかにはございません。
  259. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、いみじくも外務省安保課長も言われておるように、外務省が県と米軍との間に入って調整しておるということは今言われたとおりですね。そのことは県の立場を尊重しておる、県の管理運営権を認めておる、こういうことになるわけでしょう、運輸省は冒頭に言われたですけれども。だから、私はそれはそれでよいと思うのです。県の管理運営権を尊重するというふうに理解していいわけですね。
  260. 岡本行夫

    ○岡本説明員 これは空港に限りませず、海の港の場合でもそうでございますが、当然空港ないし港湾の管理権を有する管理者というものは存在するわけでございます。  私が先ほど来申し上げておりますのは、そのような管理権の存在を前提としつつ、しかし、地位協定第五条によりまして、米軍機及び米軍艦船の一般空港、港へのアクセスが認められているということでございます。
  261. 浦井洋

    ○浦井委員 同じ質問をひとつ運輸省にしたいと思うのですが、答えていただきたいと思います。
  262. 鈴木光男

    鈴木説明員 先ほど冒頭にお答えいたしましたとおり、第三種空港の管理運営はその空港を設置する地方公共団体が行っておるということでございます。
  263. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、仮定の問題であるけれども、結論からいえば、知事がノーと言えば米軍機は入れないわけだし、イエスと言えば入れる、こういうアローアンスがあるわけでしょう。どうですか。
  264. 岡本行夫

    ○岡本説明員 お尋ねの点は、御承知のとおり米軍の艦船の入港についてもしばしば問題となるわけでございますが、空港ないし港湾の管理者が、その管理権に基づきまして、事実上いかなる艦船であろうと航空機であろうとその場所の利用を妨げることは物理的には可能なわけでございます。  ただ、国といたしましては、地方の公共団体に対しまして、安保条約及び地位協定のもとの米軍の権利がある以上、これは国の米軍に対するアクセスを認めるという日米間の国際約束でございますから、これに従って管理権を行使していただくことを私どもとしては前提としておるわけでございます。
  265. 浦井洋

    ○浦井委員 外務省の態度はけしからぬですよ。港湾にしてもあるいは第三種空港にしても、管理運営権はちゃんと地方自治体にある。これがあるのに、それをできるだけ管理運営権でノーと言わないように実際上指導しておる。だから、せっかくある地方自治体の設置者の管理運営権を、そういう外務省の態度は、空文化するし形骸化を図る非常にけしからぬ態度だというふうに私は思うわけです。  だから、これは安保課長に今ここで言えと言っても同じような答えが返ってくるかもわかりませんけれども、こういう立場からいけば、米軍機の使用についても、政府として管理者の使用のイエス、ノーを含めた管理運営権を尊重するということがどうして言えないわけですか。
  266. 岡本行夫

    ○岡本説明員 これは立場調整ということでございましょうけれども、片や港湾管理者なりないし空港管理者のお立場からする利害というものが存在し、こなた日米安保条約によりまして確保されております日本安全保障に関する利害があるわけでございます。その両者の利害が住民の方々に極力影響を与えないような形でなければならないことは当然でございますが、調整を図っていきたい、かように私どもは地位協定の運用に携わっているものでございます。  したがいまして、先ほど来の下地島の使用につきましては、幸い地元との調整も確保されておりますし、米軍機の使用というのは、日米安保条約の利益、日本安全保障という大きな立場から見まして何とか地元の方々の御理解を得たい、かように考えておる次第でございます。
  267. 浦井洋

    ○浦井委員 地元の方々の理解を得たいと言われても、伊良部町の町議会はこういうふうに抗議する意見書を出されておるわけでしょう。先ほどから私はるる申し上げておるように、機能の上でもUHFを備えた飛行機を受ける態勢にない、それから使用実態の上からいうても、これはもう民間機であるべきだというふうに私は申し上げておるわけなんです。だから、それを素直に認めて、そして三種空港の設置者であり管理者である県の立場を尊重するということをなぜ言えないのですか。簡単なことでしょう。
  268. 岡本行夫

    ○岡本説明員 たびたびの繰り返しで恐縮でございますけれども、私ども、地元の方々の御意向はいかなる安保条約の運用の案件に当たっても十分踏まえなければいけない、これは肝に銘じているところでございます。したがいまして、町議会の方の抗議書も私どもは謹んでお受けした後米側に伝達し、かりそめにも下地島の使用というものが不要不急のものを含んだような形態にならないように強く申し上げているところでございます。米側もそこは十分理解しているものと私どもは考えております。  ただ、もう一つ、先ほど来同じことを申し上げますけれども、地位協定の運用上問題がない使用の形態であれば、私どもとしてはこれを安保条約の効果的な運用という見地から引き続き維持していかなければならないという考えでございます。
  269. 浦井洋

    ○浦井委員 私は難しいことを言うているわけではないのです。政府として管理者の使用の認否を含めた管理運営権を尊重するようにするということをここで答えてもらったらいいわけです。
  270. 岡本行夫

    ○岡本説明員 私どもは、空港のあるいは港の管理者の管理権をじゅうりんするような形で安保条約の運用をいたしたことはないつもりでございます。したがいまして、私どもはもちろんのこと、米側も当然そのようなことを配慮しつつ安保条約の運用に当たっているものでございまして、この点、私ども今後とも地元の方々あるいは空港の管理者の方々と話し合っていくつもりでございますけれども、何とぞひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  271. 浦井洋

    ○浦井委員 地元の方々の御意向をじゅうりんするようなことはしたことはないのだ。じゅうりんしないということは尊重するということなんですね。そこまで詰めたら酷ですか。
  272. 岡本行夫

    ○岡本説明員 我が国には百三十カ所以上の場所に米軍に対して提供されておる施設、区域が存在するわけでございます。もちろん非常に狭隘な国土でございます。人口稠密地域にある施設、区域も多うございます。したがいまして、基地問題と申しますのは常に存在するわけでございます。私どもも場合場合によって非常に苦しい調整の任に当たりながら、一つ一つの案件について粘り強く地元の方の御理解をいただいてきている、このような態度でございます。  下地島にいたしましても、私どもは地元の方々の利益を一切顧慮せずに安保条約の運用だけを強制するつもりはございませんし、これは円滑な米軍の駐留を実現するために十分な配慮をしなければならないということで、米側とも常々話し合っているところでございます。  したがいまして、私ども決して米軍のすべての要求をそのままよしとしているわけではなくて、先ほど来申し上げておるような利益の調整というものを図りながら地位協定を運用しているものと信じております。
  273. 浦井洋

    ○浦井委員 そこが政府の本質なんですよ。尊重するというところが言えないわけなんです。地元の御意向をそんたくして、地元の御意向をじゅうりんするようなことは決してないというところまでしかよう言わぬわけなんですね。そこに私は今の政府の限界があると思うのです。  もう時間が来ましたから終わりますけれども、沖縄県には沖縄県空港の設置及び管理に関する条例があって、これにも今論議したようなことがきちんと書かれておるわけなんです。これは地方自治法にのっとってつくられた条例なんです。地方自治というのは憲法の民主的平和的条項の五原則の一つで、そこで地方自治が確立されておるわけでしょう。これを尊重しないで日本政府だと言えますか。  だから私は、下地島の空港に米軍機が飛来することについて、地元の要求を受けて、政府が一日も早く米軍に対して飛来をやめるように強く要求することを私からも要求をして、質問を終わりたいと思います。  以上であります。
  274. 竹中修一

    竹中委員長 次回は、来る十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会