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1988-05-10 第112回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 竹中 修一君    理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君    理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君    理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    石川 要三君       内海 英男君    江藤 隆美君       大村 襄治君    河野 洋平君       武部  勤君    宮里 松正君       村井  仁君    谷津 義男君       角屋堅次郎君    野坂 浩賢君       広瀬 秀吉君    井上 和久君       鈴切 康雄君    川端 達夫君       浦井  洋君    柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 小渕 恵三君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房参事官    平野 治生君         総務庁恩給局長 石川 雅嗣君  委員外出席者         外務省条約局法         規課長     西田 恒夫君         大蔵省主計局主         計官      若林 勝三君         参  考  人         (シベリア珪肺         全国連絡協議会         事務局長)   山本 泰夫君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ───────────── 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     武部  勤君   五十嵐広三君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   武部  勤君     武藤 嘉文君   野坂 浩賢君     五十嵐広三君     ───────────── 四月二十八日  スパイ防止法制定に関する請願戸塚進也紹介)(第二〇〇二号)  国家機密法制定反対に関する請願外一件(浦井洋紹介)(第二〇〇三号)  同(金子満広紹介)(第二〇〇四号)  同(経塚幸夫紹介)(第二〇〇五号)  同外二件(児玉健次紹介)(第二〇〇六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇〇七号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇〇八号)  同外一件(瀬長亀次郎紹介)(第二〇〇九号)  同(田中美智子紹介)(第二〇一〇号)  同(辻第一君紹介)(第二〇一一号)  同(寺前巖紹介)(第二〇一二号)  同(野間友一紹介)(第二〇一三号)  同(東中光雄紹介)(第二〇一四号)  同(藤田スミ紹介)(第二〇一五号)  同(正森成二君紹介)(第二〇一六号)  同(村上弘紹介)(第二〇一七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二〇一八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平和祈念事業特別基金等に関する法律案内閣提出第二七号)  被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案角屋堅次郎君外四名提出衆法第二号)      ────◇─────
  2. 竹中修一

    竹中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出平和祈念事業特別基金等に関する法律案及び角屋堅次郎君外四名提出、被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 竹下内閣の大番頭であります官房長官が御出席でありますから、この法案の審議に入る前に、内閣としての態度、考え方をただしておきたいことがあります。  予算委員会やあるいはきのうの決算委員会で問題になりました奥野国土庁長官の靖国問題に関する発言、この問題については、きょう閣議も開かれたと思うのでありますが、踏み込んだ御発言をなさっておることは先刻御承知のことだと思います。今月三日の日中の外相会議で、中国側奥野発言に対して不快感を表明しております。外務大臣が、私も竹下総理中国新聞批判を受けたことは遺憾だと国会答弁をしております、こういうことを説明をして理解を求めた後、この発言が再び行われておるわけでありますが、この発言は、国務大臣であるがゆえにも大きな問題であり、国際的な大問題だというふうに理解しないわけにはいかないと思います。  したがって、内閣を総攬をし、官房長官としては、内閣としては、一体奥野発言をどのように考えておるのか、どのように対処しようとしておるのか、この点をまず明らかにしていただきたい、そう思います。
  4. 小渕恵三

    小渕国務大臣 前回、奥野長官閣議後の記者会見発言されましたことに関しまして、その発言ぶり中国韓国等批判的反応を招く事態になったことにつきましては遺憾の意を表しておるところでございます。  政府といたしましては、言うまでもありませんが、日中共同声明に述べられております過去の歴史に対する認識にいささかの変化もないということを確認をいたしておるところでございます。いろいろ靖国神社をめぐっての御発言ございましたが、政府といたしましては、国際関係を重視しまして、近隣諸国国民感情にも十分適切に配慮していかなければならないという立場で従前も考えてきたところでございますし、今日もそのように考えておるところでございます。  なお、昨日の決算委員会での御発言ぶりにつきましては、新聞紙上等で拝見をいたしたところでございますが、その真意と申しますか、そのことにつきましてはまだ十分掌握をいたしておりませんので、現段階で政府としては、この奥野発言につきまして特段コメントすることを差し控えさしていただきたいと思っておるところでございます。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 コメントを差し控えるということでありますが、新聞等には一問一答が明らかにされております。韓国なり中国なりに遺憾の意を表明されたということはそのとおりでありますが、韓国中国はなぜ反発するかわからぬ、あれは侵略戦争ではなかったんだ、しかし勝者が敗者を裁いたわけだからそういうことになっただけであって、そういう意図は全くなかったんだ。今私が申し上げておるのは新聞を読み上げておるわけですが、今まではあの太平洋戦争侵略戦争であったという規定づけがあるわけでありますから、そういう意味官房長官としては、竹下内閣近隣諸国に与える影響、日中の関係正常化と強化という問題を踏まえて、奥野発言は遺憾であり取り消すべきであるというふうにお考えなのかどうか、もう一度お伺いをして、次に入りたいと思うのです。
  6. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府立場は、いわゆるさきの大戦に関しまして、二度とやってはならない戦争であるという認識、それから侵略戦争であったとの厳しい批判があるということを十分認識していかなければならない。さらに、前内閣におきましても、侵略的事実があったと思うという答弁をいたしておるところでございまして、その線上で政府としては対応しておるところでございます。  実は、昨日の奥野発言の詳細な速記録等をまだ読んでおりませんので、私ども、政府としての基本的な考え方に沿うて発言されておるものと信じておりまするけれども、さらに速記録等を拝見させていただきまして、必要とあらば長官にその真意について承って、政府としての考え方を述べさせていただきたい、こう思っております。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 速記録等をよくお読みになって、竹下内閣としては、今私が申し上げたとおりでありますし、侵略戦争であったという発想で進めておられるわけでありますから、遺憾の意の表明と同時に、奥野長官発言の取り消し、そういうことを当然内閣としては考えるというふうに私は理解をしてもよろしゅうございますか。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 速記録を十分調べさせていただきまして、しかるべき対応をさせていただきたいと存じます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 平和祈念事業特別基金等に関する法律案及び我々野党共同提案によります被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案について質疑をしたいと思うのであります。  まず、一九〇七年に締結されておりますヘーグ条約あるいは捕虜条約というジュネーブ条約、これらの問題をめぐりまして、ジュネーブ条約六十七条の「ザ・セッド・パワー」という言葉内容について、今までは「抑留国」というふうに理解されておりましたが、新たに誤訳であったとして、及び所属国ということになったということは確認してよろしいわけですね。どなたでも結構ですから。
  10. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘ジュネーブ条約六十七条の「セッド・パワー」につきましては、従来の「抑留国」という言葉を変えまして、「当該国」というふうに訂正いたしまして外務省告示を出させていただいた、御高承のとおりでございます。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 「当該国」というのは抑留国及び所属国という意味ですか。所属国ということになりますか。
  12. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  ただいまの翻訳の言葉につきましては、種々の起草の過程あるいは種々事情を慎重に調査検討いたしました結果、「当該国」すなわち「セッド・パワー」というものが、所属国であるのか、あるいはいわゆる抑留国であるのかについては一義的に確定できないという結論に達しましたので、その言語に忠実な形で「当該国」というふうに訳させていただきました。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわかりませんが、「当該国」というのは抑留国及び所属国、いわゆるシベリア抑留された場合はソ連抑留国であり、抑留されておる皆さん所属国日本でありますから、「当該国」とは両者を指すという意味になりますか。
  14. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、シベリア抑留者問題についてこの問題をあえて当てはめますれば、いわゆる抑留国というのはソ連でございましょうし、また所属国日本ということになろうかと思います。  また、ただいまの御指摘の、ではこの「当該国」というものが所属国であり、また抑留国であるのかという御質問でございますが、これにつきましてはその都度のケースによりまして判断せざるを得ないというふうに考えております。したがって、そのケースによりましては所属国の場合もございますし、また抑留国の場合もあろうかというふうに考えております。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 そのときどきによって決めるのだ、ケース・バイ・ケースだというようなことで私はわかりませんが、今次第二次世界大戦の中でシベリア抑留された皆さんが多くある、五十万にも上っておる。その方々たちの場合は、「当該国」であれば「ザ・セッド・パワー」というのは両国を指すのかどうかということを明確にしてもらいたい、具体的に。
  16. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問につきましては、ジュネーブ第三条約でございますが、この件がいわゆるシベリア抑留者皆様の問題に適用あるかどうかという御質問かと思いますが、それにつきましては、従来から政府側より御答弁させていただいておりますように、同条約というものがいわゆるシベリア抑留者皆様の問題に適用があるというふうには必ずしも考えておりません。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 六十七条の問題だけではなしに六十三条なり六十八条、こういうことから考えてまいりますと、捕虜労働賃金というものについては請求権がある、こういうふうに私は思うのですが、そのとおりでしょうか。
  18. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  まず一般慣習法、すなわち第二次世界大戦当時の状況に振り返って考えますれば、その当時でありましても、捕虜皆様に対する労賃あるいは給養の義務というものはその抑留国にあったというふうに考えております。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 あの第二次世界大戦の中で我が国北方にも出兵をしたし南方にも出兵をした。  大蔵省お尋ねをしますけれども、また、私たち野党共同提案による提案理由にもありますように、「南方地域におきましては、抑留国またはそれにかわって日本政府により被抑留者に対し労働報酬が支払われております」、こういうことが明確にされております。南方から捕虜として引き揚げられました皆さんについては、当時証明書等をお持ちになっておる皆さんにすべて日本政府支払いをしておるというふうに理解しておりますが、その点については事実はどのようにありますか、お尋ねをします。
  20. 若林勝三

    若林説明員 お答えいたします。  終戦直後いわゆる外地からの引揚者の帰国の際、GHQの指示によりまして国内通貨秩序の維持ということの必要性から、現金とか外貨さらには証券等国内への流入を当時、制限いたしておりました。所定の制限、これは一般人でございますと千円、将校でございますと五百円、下士官以下では二百円という制限をいたしまして、それを超えては輸入ないし交換を認めなかったということがございます。  ところが、オーストラリア、ニュージーランド及びアメリカ合衆国の管轄区域を除いた東南アジア地区、こういう地区から引き揚げてこられました捕虜方々に対しましては、連合国発行いたしました当該地区通貨表示の現金預かり証というのがございましたが、この場合につきましては限度額を超えて輸入なり交換ということを認めたことがございます。したがいまして、これは日本政府連合国にかわってその支払いを行ったというふうに理解されておるところでございます。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 南方から引き揚げておいでになりました皆さんには労働報酬が支払われておるということは明らかになったわけであります。  日本にもアメリカあるいはイギリス軍人諸君たち捕虜になっておる、それについて日本はどのような対処方法をとったのか、伺っておきたい。
  22. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  当時の日本の当局は、当時の英米を初めとする捕虜の方に対して、当時の一般慣習法でありましたヘーグ国際条約等々の規定にのっとりまして、しかるべき待遇を行ったというふうに承知しております。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、アメリカイギリス捕虜になった日本兵には、終戦当時、我が国に帰ってきたときに日本政府代払いとして立てかえ払いをした、また日本捕虜の取り扱いについてはヘーグ条約なり慣習法に基づいてそれを処理してきた、そして平和条約締結のときに相互計算をした、こういうことになるわけですね。
  24. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  そのように理解しております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、当時は国のために国民のためにそれぞれ力をいたして国が派遣をした、南の方の皆さんについては労働報酬が支払われた、しかし、ソ連については私は一銭も労働報酬は支払われなかったというふうに承知をしておりますが、そのことは事実でありますか。
  26. 西田恒夫

    西田説明員 私からお答えするのが適切かどうかわかりませんが、支払われていないというふうに承知しております。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 同じ日本兵で、南方皆さんには労働報酬が支払われた、北方に行ったシベリア抑留者皆さんには何ら措置がしてなかった、こういう矛盾については日本政府としてはどうお考えでしょうか。
  28. 西田恒夫

    西田説明員 私がお答えするのが適切かどうかわかりませんが、その件につきましては、ソ連において、特にシベリアにおかれましてあのような悲惨な境遇に置かれた方々大変御苦労されたということは、政府としては重々承知しておるところでございます。他方、このような英軍占領下にあった南方作業隊については交付されておりますし、片っ方につきまして、シベリア抑留者については支払われていないという御事情があることも先生の御指摘のとおりであろうかと思います。  しかしながら、この点につきまして外務省からお答えするのは適当でなかろうかと思いますが、結論一般論として言えば、ソ連により抑留された人々及びその御家族に対しては、他地域からの引揚者に対するものに加え、戦傷病者戦没者等援護法あるいは恩給法等により特例の手当てがなされているというふうに承知いたしております。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 今この法案提出をされておるわけでありますが、今回のこの法案というのは、「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」とともに、「戦後強制抑留者の問題については、これらの方々が、戦後、酷寒の地で強制労働に従事させられ、大変御苦労をされたという特殊な事情を考慮して、本邦に帰還された方々に対し、個別に慰労措置を講ずる」ということになっているわけであります。  この慰藉の念というのは、今度慰労品を銀杯三万円ぐらい、紙代は幾らするか知りませんが、このものは言うなれば慰労品であり慰労金であって、通念言えば見舞い金、御苦労でございました、本当に御苦労さまでございましたというお見舞いのことを指すということになりましょうか。
  30. 平野治生

    平野政府委員 お見舞いという言葉が適当かどうか存じませんが、先生が御指摘のとおりに、これは慰労のため、慰藉のためということでございますので、いわゆる補償的なものではないということだけはそのとおりかと思っております。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、慰労のものでありますから、労賃というものとは根本的に性格を異にする。この法案に出されておる慰労品慰労金十万円、このものとは、これは御苦労賃慰労のものだ。  それで、野党が出しておるこの法案、四十七万三千人に対するいわゆる五十万円から百万円を三カ年間で出すという提案について、政府は十分御検討をいただいた上で今度の法案を御提出になったと思いますが、野党共同提案についてはどのようにお考えでしょうか。  特に、官房長官に申し上げておきたいと思うのですが、よくこの野党共同提案に対して、自民党からは自民党のコピーじゃないかという批判、非難もあるようであります。私たちは意として、前に自民党がこの法案を出そう、野党も共同して了解をした、言うなれば全党一致法案である。ただ中身が違いますのは、十年間の国債というのを、高齢者皆さんが多い、今日、また経済大国と言われる日本、こういう状況考えてみてその支払い期間を三年間にしたという経緯はあります。それならば戦後処理という格好になってくるではなかろうかという意味野党共同提案提出をされておる。  これについての御感想を、自民党の幹部としてもあるいは政府官房長官としてもどのように御認識であろうか、こういうふうに思うわけですが、御見解を聞きたい。
  32. 小渕恵三

    小渕国務大臣 野党共同提案となっておりますこの法律案につきましては、私どもも勉強させていただきました。それぞれのお立場でお考えをおまとめをいただきまして所要の手続を経て国会提出をされておられる法案でございますので、この法案につきましては十分拝読させていただきました。  ただ、それぞれのお立場でのお考えがあることでございまして、政府といたしましては、現在提出いたしております法案を与党である自由民主党とも十分相談の上提出をいたしておりますので、現在提出いたしております政府案につきまして御理解をお願いいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 竹中さんに質問するというのはどうかと思うのですけれども……
  34. 竹中修一

    竹中委員長 それはだめです。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 私たちは、自民党を含めて、酷寒の地で御苦労なすった皆さん、その御労苦に報いなければならぬということで提案をしております。私は、理のあるところは我が方にあるというふうに理解をし、これからも力強く進めていかなければならぬというふうに思っているわけであります。  先ほどの南方北方との関係、今参事官お話しになりましたように、今度の十万円というのは慰労金です、補償ではありません、こういうことは明確になったわけですから、捕虜に対する労働賃金というものは、南方派遣諸君たちはもらってきた、北方はそういう証明書がなかったために、発行もなかったのでもらわなかった、これは格差がある、したがって、捕虜になった日本抑留者皆さんは、ソ連に対していわゆる労働賃金請求権がある、こういうふうに私たちは思うわけです。その点についてはいかがでしょうか。
  36. 西田恒夫

    西田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御指摘の件につきましては、日ソ共同宣言におきましてソ連賠償請求権放棄し、また日ソ両国ともにいわゆる戦争請求権放棄していることによってその問題は決着済みというふうに考えております。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 ソ連賠償権放棄した、日本放棄したということを我々もよく承知しております。これですべてが放棄をされたということになる。それなれば、捕虜としてはソ連に対しての労働賃金請求権はある、あるけれども、両国政府間によって、共同宣言によってそれらが一切放棄されたということになれば、日本政府はその労働賃金補償というものを考えてやらなければならないという義務が生じてくるのではないだろうか、私はそう思われてなりません。それについてはどのように官房長官はお考えでしょうか。理屈としてはそうなり得ますぞということだけは申し上げておきたい。
  38. 平野治生

    平野政府委員 お話のとおりに国に補償義務があるかどうかという点につきましては、先ほど外務省から御答弁がございましたとおりに一応ないという考え方に立っているんだろうというふうに思っております。ただ、御承知のようにこの問題、現在裁判と申しますか、そういうことで係争中の問題でもございますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 確かに今裁判で争われておる。私が再三再四申し上げますように、南方で戦ってきた皆さん捕虜になってきた皆さん日本政府代払いをした、それはアメリカイギリス請求権を持つ。しかし、先ほど御答弁があったように、アメリカイギリス軍人日本捕虜になった皆さんに対しては敗戦国であった日本がそれなりの対応をしてきて、平和条約においてそれらが清算をされたということは明らかになった。一方、ソ連抑留をされた皆さんソ連労働の対価を支払っていない、証明書もなかった。しかし請求権はあるんだ、これは世界慣習法だ、常識だ。そうなれば、かわって日本政府南方と同じように立てかえ払いをしてソ連に請求すべきだ、こういうことになります。  ソ連の名誉のためにも日本政府がこういう請求権はありますぞということだけは明確にして、その上で、日ソ共同宣言でそれぞれの賠償請求権というものは放棄をされたわけですから、放棄をするということになると、肩がわりとして日本政府が当然その対応をしなければならぬ、善処しなければならぬということに私は理論上はなるというふうに思うわけであります。  したがって、裁判で争っておるので、それ以上突っ込んで物を言うことは今差し控えたいということでありますが、そのことだけはよく頭の中に入れておいて対処対応すべきであるということを私は強く申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、この法案中身の問題について二、三伺っておきたいと思います。同僚の角屋さんもたくさんの質問があるようでありますから、できるだけ手短に私はお話をしておきたいと思うのであります。  この法案の中には、いわゆる附則の中でも明らかなように、すぐにこのものは公布をされるわけでありまして、「この法律は、公布の日から施行する。」ということは附則の一条に明確にしてあります。そして、二十七条の二項、三章等は六十三年の八月一日から施行するということになっております。第二条では、国債発行の日は六十三年の九月一日ということになっております。もうすぐ来る。きょうはここで採決をして本会議でかける、こういう状況にあるわけでありますから早急にやらなければならぬということになっておるわけであります。  しかし、この基金は業務方法書というものをつくらなければならないことになっておりますね。その業務方法書やその他の関係については、総理府令にその内容指摘すると書いてある。その総理府令を我々はよく読まなければ、この法案ではわかりにくいところがたくさんある。総理府令は、もうすぐ発効するわけですからでき上がっておると思いますが、この委員会にお配りになったらいかがですか。そうすれば審議はもっと進行するのではないか、こういうふうに思う。
  40. 平野治生

    平野政府委員 御指摘のとおり、二十八条に業務方法書のことが書いてございます。この業務方法書内容につきましては、ただいま先生お話がございましたとおりに基金が行う事業の具体的な内容をいろいろ定めていくことになるわけでございますが、ここに書いてございますとおりに、「基金は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」ということになっているわけで、基金でその業務方法書をつくるという形になっているわけでございます。  ところで、今私どものこの法案に対する具体的な準備作業といたしましては、ただいま法案をこの場で御審議をいただいているという状況であるわけでございます。そして、お話もございましたとおりに、この法案を成立次第公布させていただき、そしてまた私どもの考え方では、七月一日には基金を具体的に発足させたい、このような準備を進めているところでございます。  したがいまして、この法案が成立次第、業務方法書内容等につきましても具体的な準備を進めなければいけないということで私ども今検討いたしているところでございまして、まだこの席上でお示しするまでに至っていないというところでございます。
  41. 野坂浩賢

    野坂委員 七月一日には基金が発足をする、それから業務方法書、定款をつくっていかなければならない、定款を変更するときには内閣総理大臣の認可を得なければならない、しかし主務官庁は総理府である、総理府がすべてやる。大体どこでも法律をつくる場合、すべて中身の厚みのあるところは府令や省令で逃げていく。  もう一カ月後には具体的に動くのなら、業務方法書中身については府令で定めるということになっておるならば、こういうことを考えておりますということをやはり明確に出さなければならぬ。そうでなければ、中身業務方法書というものが一番問題じゃないですか、だからお出しになったらどうですか、どういうことをお考えになっておるのかと。もしなければ、ここで明らかにしてもらいたい。
  42. 平野治生

    平野政府委員 ただいま申し上げましたとおりに、まだ総理府令はできておりません。法律も上がっていない段階でございますし、政令もございますし、いろいろあるわけでございます。  具体的な内容といたしましては、業務方法書という言葉だけでも、御承知のとおりに、例えば第二十七条一項というところに関係者の労苦に関する資料の収集、展示とか、調査研究とか出版物その他書いてございます。そういうようなことの具体的なことを書いてもらうことになるんではないだろうかというふうに考えております。あるいは、戦後強制抑留者方々に対する慰労品等の贈呈、こういうことが別章に書いてあるわけでございますけれども、その具体的な方法等についても、事務の具体的な進あ方等についてもそこに書いていただくことになるんではないだろうか。  そういうような、どういうことを定めるという具体的な項目、事項というものを総理府令に定めることになるんではないだろうか、このように考えております。
  43. 野坂浩賢

    野坂委員 この十万円問題の調査あるいは支払いの事務的なことは基金にやらせるということになっているわけです。しかも、国債は九月一日に出るわけですから、まだまだ総理府令ができておらぬというようなことでは本当は困るわけですね。  それで、今お話があった二十七条の一項、二項、三項、この問題については、第一項第五号には「前各号に掲げるもののほか、第三条の目的を達成するために必要な業務を行うこと。」と書いてありますね。しかもこの場合は、「第五号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。」こういうことですね。これはなぜその三項に内閣総理大臣の認可を受けなければならぬ、例えば五号というものは、このほかに何を考えた場合、どういう場合を総理府としては想定され法案が出ておるのか、この中身について。
  44. 平野治生

    平野政府委員 第二十七条第一項の第五号、「前各号に掲げるもののほか、第三条の目的を達成するために必要な業務を行う」、この内容でございますが、この三条の基金の目的は、既に御承知のとおりに「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者の労苦について国民理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行うことを目的とする。」こういうことなのでございます。  そこで、このような目的に合致するような事業として一号、二号、三号というふうに具体的に書いてあるわけでございますが、実は御承知のとおりにこの基金には運営委員会というものが設けられることになっておりまして、その席上で具体的な業務の内容について御審議いただくことになっているわけでございます。そこで私どもが二十七条の一項に各号列記いたしました具体的な業務のほかに、この基金の目的にふさわしいと申しますか、適合する業務というものも出てくるかもしれないというふうに考えましてこの五号を置いたわけでございまして、私ども、今この時点でこういうものが想定されるのではないかというようなところまで申し上げるまでにまだ至っていないというところでございます。
  45. 野坂浩賢

    野坂委員 三項については、何ら認可を受けなくても、しっかりした運営委員を出すわけですからあんまり心配せぬでもいいじゃないか、こういうふうに思うわけですね。何のためにこういうふうな規制をしておるのかということがわかりません。そこでそのことが一点、答弁しなさいよ。  それと、運営委員の選出の方法ですね。これは学識経験者とありますが、いわゆる「基金の業務に関し学識経験を有する者」、普通に学識経験とは言わないで基金の業務に関しての学識経験というのが二十四条の三項にありますね。これについてはどういうことを言っておるのか、その物差し、基準を明らかにしてもらいたい。
  46. 平野治生

    平野政府委員 まず最初の第一点のお尋ねでございますが、この二十七条五号の「前各号に掲げるもののほか、第三条の目的を達成するために必要な業務」、この業務に関しましては内閣総理大臣の認可を受けることになっております。もちろん運営委員会には立派な方をお願いすることになっているわけでございますけれども、この基金の業務そのものが法律で定めるということになっておりまして、御指摘もございましたとおりに、この監督をいたすことになっております総理府、内閣総理大臣というものが責任を持ってこの業務の監督に当たるということになっているわけでございます。したがいまして、もちろん運営委員会等において十分御論議をいただいたことではございますが、その内容につきまして、やはり監督権を持っている内閣総理大臣がきちっと責任を持って対応する、こういうことが必要ではないかというところから、この三項に「第一項第五号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。」このようにいたしたところでございます。  ところで第二点の運営委員会でございます。二十四条の三項でございますが、確かに「委員は、基金の業務に関し学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、理事長が任命する。」こうなっているわけでございます。学識経験者、「この基金の業務に関し」ということでございますから、第三条の目的あるいは第二十七条の基金の業務、こういったことについてのいろいろ学識経験のおありになる方というふうに考えております。もう一度別の言葉で言いかえさせていただきますと、いわゆる戦後処理問題、戦後強制抑留者問題、あるいはいわゆる恩給欠格者問題、あるいは引揚者在外財産、こういったような問題等について学識経験を有する者、こういう人の中から委員を公平に選んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  47. 野坂浩賢

    野坂委員 ちょっと参事官、基金に関して学識経験者ということは、具体的にこの法案の中でシベリア抑留者の問題、恩欠の問題あるいは在外資産の問題、この三団体の推薦をする方々ということになりますか。
  48. 平野治生

    平野政府委員 団体の推薦あるいは団体の代表という意味とはちょっと違うかと思いますけれども、いずれにいたしましても、こういう問題の関係者方々はこの問題について深い見識をお持ちかと思っておりますので、その関係者の中から推薦があった場合には、そういう方も委員にするようにすべきではないか、このように現在考えておるところでございます。
  49. 野坂浩賢

    野坂委員 言うなれば、範囲から考えると、シベリア抑留の問題については会が二つありますね。そういうことから一つ一つ指を折ってみると、大体そこから推薦をされる方々、あるいは水上達三さんが座長の懇談会がありましたね、そういうところの範囲に限られてくるなというふうに感じますけれども、それについてはそういうふうに進めていただくものだという理解をしておればいいんでしょうか。
  50. 平野治生

    平野政府委員 繰り返しになりますが、団体の推薦ということになりますと、代表ということになりますとちょっとあれかと思いますが、いずれにしてもそういう方々の中からふさわしい人を選ぶということが一つあるかと思います。それから、お話として、前回の戦後処理問題懇談会の委員方々と申しますかそのメンバーの方々、そういう方々から入るかというお尋ねになりますと、まだそこまでは決まっておりませんが、いずれにしてもそういう方々、そういう学識経験のある方々の範囲内から選ぶという点についてはお話のとおりかと思っております。
  51. 野坂浩賢

    野坂委員 理事長なり理事、監事、非常勤理事、あるいは職員が十六名、全体で二十名で運営するわけですね。そうですね。うなずいておられますからそのとおり確認しておきますが、そうすると、この中では現職の公務員はそういうところになれないということになっていますね、役員になれぬでも運営委員等にはなれるのかなれぬのか。あるいはそれぞれの会長で国会議員というのがおりますね、国会議員というのは除外するのか入れるのか、その辺は、役人の場合はだめと書いてありますが、国会議員というのは準公務員ですけれども、特別職でありますが、それについてはどうお考えでありますか。
  52. 平野治生

    平野政府委員 まず最初にお尋ねの職員の方でございますが、この職員の中に現職公務員はだめかという点でございますが、兼務とかそういうことはもちろんだめでございますけれども、こういった法人、法律に基づく認可法人的なものにつきましては、この法人だけではございませんが、形の上だけを申し上げますと、一たん公務員を退職いたしましてこういう法人に出向と申しますかそういう形で出ることも可能な例が多うございます。  この基金につきましても、人の数を非常に少なくし、かつこの業務を適正にかつ能率よくやるためには、やはり現職の人で手なれた人も行く必要があるのではないかというようなことも考えておりまして、現実の問題としては、現職の者が一たん退職した形でこういう基金に出向するということも職員としてはまず第一に考えております。  ただ、役員に現職者が出向するということ、これは常識的には普通はあり得ないというふうに思っております。したがいまして、運営委員会は、さらにこの基金を公正に行っていくために設ける、この基金の重要な事項を審議するところでございますから、現職者が行くということはまず考えておりません。  それから、ただいまお話がございました国会議員はどうかということでございますが、これはこれからの課題かと思っておりますけれども、今の段階では、私、国会議員の方々に運営委員になっていただくということは考えていないというのが正直なところでございます。
  53. 野坂浩賢

    野坂委員 今、国会議員は運営委員にはなってもらわない、役員には、やめた人はなるけれども現職はならないということがはっきりしたわけです。そういう意味で、だれが見ても公平に運営委員というものは選出されておるな、だれが見てもですよ、そういう意味で、やはり公平に選出をしてもらわなければならぬと思うわけですが、だれが見ても公平に選出されたなという運営委員会をおつくりになるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  54. 平野治生

    平野政府委員 もとよりこの基金が公正に運営できるように、運営委員会委員方々にはそういう方々に御就任いただきたい、このように考えております。
  55. 野坂浩賢

    野坂委員 今年度の出資額というのは十億円でしたか、その他いろいろな調査等で五億円等が補助金として出ておる、五億百万円ですか。  この出資額は、政府が増額してこの五年度以内に二百億円にする、こういうことになっておりますね。そうすると、六十三年度が十億円で、残された百九十億円をあと四年度でやる。少なくとも大体平均して五十億円毎年積み重ねるということになりますか。あなたの頭の中では、五年度よりもできるだけ早くというのが言うなれば常識でしょうから、どのような累計で出資額を五年度以内に二百億円にするということをお考えになっておるのか、その構想があったらお聞かせをいただきたい。
  56. 平野治生

    平野政府委員 この基金の当初の出資額は、おっしゃったとおり十億円でございます。そしてまた、附則の三条でございますが、六十三年度から五年度を目途として、政府から出資された金額が二百億円となるまで、基金に出資ということが法律にも明記されておるわけでございます。  したがいまして、私ども、六十四年度以降のこの出資額の決定に当たっては、当然のことながら、この五年度を目途に二百億円にするということを念頭に置きながら行っているわけでございますけれども、予算そのものは言ってみれば毎年度毎年度決めていくという形になっておるわけでございますから、その辺のことをにらみながら来年度の予算編成に当たってまいりたい、要求してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  57. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたから多くを申し上げませんが、シベリア抑留者の問題については、慰労品は四十七万三千人ですか、慰労金は何名分になりますか。言うなれば、慰労金でありますから、私どもはいわゆる補償ではないというふうな前提でありますから、恩給の問題あるいは年金の問題、そういうものと絡み合わせないで、全体的に慰労金であれば出すべきだというのが常識だと思っておるわけです。これについての見解をひとつ。  例えば在外資産の問題もあります。これについては、一度払った、またもう一遍あった、したがって、これらの問題は続くであろうと思いますし、恩欠の問題についても、三年以下は打ち切りでありますが、一時恩給というものが出る、たった一万五千百円ですけれども、そういう手続は面倒だからといってほとんどの、ほとんどといいますか相当の数の皆さん方が、手続をして、もらっていない、したがって今後これらも問題は続くであろう、戦後処理は終わっていないというふうに認識せざるを得ないと思いますが、あなたのお考えを聞きたいと思います。これは官房長官がいいと思うのですが、長官は後から御答弁になっても結構です。
  58. 平野治生

    平野政府委員 お話しのとおりに、いわゆるシベリアから我が国にお帰りになった抑留者方々はおおむね四十七万人でございます。その四十七万人の方々にはその御遺族も含めまして慰労品を贈呈する、差し上げるということになっておりますが、慰労金の方は、これもお話にありましたとおりに、いわゆる恩給等の受給者は除くということで、私どもの推定ではおおむね二十八万人というふうに考えております。  それを除いた理由ということになるわけでございますけれども、御承知のように、恩給を計算するに当たりましてはシベリア抑留された期間も算入されて計算されているということで、国としての気持ちは一応出ているというところから、私ども、この十万円のいわゆる慰労のための金、慰労金につきましては対象から外したというような経緯があるわけでございます。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 私は前段の質疑の中で慰労金慰労品の性格についてただした。それは補償でもなしに、酷寒の地で御苦労なすったその慰労であるということでありますから、恩給の問題とか年金の問題とはかかわりありませんということは明確になっておる。それが、慰労品で四十七万三千人、片っ方は二十八万人で、そういう金がつくところは落としていくというのは首尾一貫しないということを私は指摘しておきたい、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。  業務方法書をこれからつくるわけでありますが、五号の中で、例えば運営委員会皆さんが二百億円の利子を中心にしていろいろと運営をするという場合、改めて個人の補償をする、これもいわゆるその人たちのためにやるということだってあり得るだろうと思いますね。したがって、そういう意味で借入金という項があるのだろうと私は思っておるわけです。それらについても十分この趣旨に、慰藉の念の事業の一つだというふうに我々は認識をするわけでありますが、それについてはどうお考えでありましょうか。
  60. 平野治生

    平野政府委員 この基金そのものの目的は、先ほども申しましたとおりに、関係者の御労苦に対する慰藉の念を示す事業を行うということでございますので、補償ということになりますとこの基金の対象ではないのじゃないだろうか、このように考えております。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、いわゆる慰藉の念というのは補償ではない、あくまでも事業というものを推進をしていく、慰藉の念の事業、よくわかりませんが、そういうことだと。  私は、個人個人の問題、この間の参考人の皆さん方も、個人に対する補償というものに意欲的である、そのことがなければ戦後政治の総決算ということはなりませんぞというのが一致した見解であった。しかし、これで終わったといっても、在外資産の問題、恩欠の問題も次々と出てくる。それらを含めて、今後もこれらの問題は継続的に議論する必要がある、こういうふうに私どもは思うわけであります。したがって、恩欠者の問題あるいは戦後強制抑留者に対する措置の問題、これらについては引き続き検討すべきだということを私は強く指摘をしておきたいと思うわけであります。  特にシベリア抑留者皆さんは、南方北方の違い、請求権はあるけれども日ソ共同宣言ですべて放棄されたということになれば、責務は日本政府にある、この補償措置は当然考えていかなければならぬということが理論上も明確になったということを私は指摘しないわけにはいかぬだろうと思うのであります。  今後、そういう意味で十分これらについては検討されるように、委員長竹中修一君にも要望して、この質問を終わりたい、こういうふうに思います。どうもありがとうございました。     ─────────────
  62. 竹中修一

    竹中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人としてシベリア珪肺全国連絡協議会事務局長山本泰夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 竹中修一

    竹中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、参考人に申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。  御意見の聴取は質疑応答の形で行います。  なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て御発言願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承願います。     ─────────────
  64. 竹中修一

    竹中委員長 関連して、角屋堅次郎君。
  65. 角屋堅次郎

    角屋委員 私は、同僚の野坂委員質問に引き続きまして、本委員会に案件として提案されております政府提案平和祈念事業特別基金等に関する法律案、それと同時に、社会、公明、民社三党の共同提案によりまして、いわゆるシベリア抑留者等に対する対策として被抑留者等に対する特別給付金支給に関する法律案、こういうものを御提案申し上げまして、審議開始以来、与野党委員各位によって非常に真剣な戦後処理問題の議論が行われてまいったわけでございます。  たまたま私も社会、公明、民社三党提案提出の責任がありますけれども、よんどころない日程等のために十分職責を果たし得なかったことについてはおわびを申し上げたいと思うわけでございます。それにもかかわりませず、質疑の終わりに当たって委員長並びに各党理事の御配慮によって質問の機会を与えていただいたことに、心から感謝を申し上げたいと思うわけでございます。  きょうは、質疑を終わった後、採決等が行われて、本日の本会議に緊急上程されるということでございますから、したがって、持ち時間の範囲内で終わって、本会議緊急上程に支障の起こらぬように配慮しなければならぬということで御質問をいたしてまいりたいと思います。  この際、私の方から委員長の方に御要請を申し上げておりました山本泰夫さんをシベリアけい肺の関係の参考人として御招致をいただきましたが、同伴をしておられますシベリアけい肺の関係の岩田副会長を含めて、けい肺息者であるためにほとんど入退院を繰り返しておられまして、最近も御両氏とも入院をされておられて、ようやく回復をされた。しかし、山本さんの場合、酸素吸入を毎日続けなければならぬといったような悪条件の中で御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  最初に、小渕官房長官の方にお伺いをいたしたいわけでございますが、一つは、野坂委員からも取り上げましたが、奥野発言にかかわる問題であります。  官房長官の御答弁によりますれば、きのうの決算委員会におきます奥野さんの御答弁内容についてはまだ詳細承知をしていない、それらの内容も見ながら、場合によっては奥野国務大臣真意を聴取して、政府としてのしかるべき対応考えたいという、極めて慎重な御発言であります。  しかし、かつての藤尾文部大臣の御発言に関連をいたしまして、中曽根総理は藤尾文部大臣罷免という事態に至りましたのは、やはり日本が国際外交を進める場合に、対アメリカ関係というのは外交の基軸として大変重要であるということについては私どもも十分認識しますけれども、同時に、日本はアジアの一員である、したがって、中国あるいは韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国あるいは東南アジアの諸国と日本との関係について、安定的な友好関係というものに十分配慮して外交を展開していかなければならぬということは当然のことでございまして、そういう点から見ますと、前回の奥野発言について中国韓国等から厳しい御批判があった。重ねて昨日も、私がかつて委員長をやっておりました決算委員会において、みずからの政治信念と申しますか、それを再び表明されたというふうに受けとめておるわけであります。  元来、私どもも含めて、政治家がみずからの政治信念に基づいて発言をすることは当然許されておると思うのであります。しかし、内閣の重要な国務大臣の職責の位置に置かれておるという場令は、これは対外的には日本政府の重要な発言として影響を与えるわけでありまして、その点では、一政治家としてのみずからの政治信条あるいは政治信念というものと、内閣国務大臣として対外的に、しかも国権の最高機関である国会で御発言をされるというときには、やはりおのずからそこに自粛と制約が伴うものであるというふうに理解をいたすわけでありまして、昨日の奥野国務大臣発言は、そういう意味でその発言の責任が問われなければならぬ事態を迎えておるというふうに思うわけであります。  野坂さんに御答弁になりましたけれども、我々としては、やはりその責任はきちっと追及をして、しかるべき適切な措置をとらなければならぬという判断を持つわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
  66. 小渕恵三

    小渕国務大臣 経済的にも政治的にも昨今我が国の力は極めて増大しておるわけでございます。それだけに世界各国から指弾を受けない対応をしていかなければならないことは言うまでもないことでございます。ために、内閣といたしましても、その政治の責任の重さを考えれば、国際関係について十分配慮しながらそれぞれ発言をいたしていくことは至極当然のことだというふうに考えております。  そこで、御指摘のありました奥野発言につきましては、先ほど野坂委員にも御答弁申し上げさせていただきましたが、その内容の詳細につきまして十分承知をいたしておりませんが、新聞紙上のみ拝見いたしますと、内閣の閣僚としてのお立場での御発言か、あるいはまた一政治家として発言を求められて御答弁されておったか否かにつきましても実は詳細承知をいたしておりませんので、先ほど申し上げましたように、速記録等十分拝見させていただいた上で、改めて必要とあらば長官真意も拝聴させていただいて対処いたしたいと思っております。  申し上げましたように、政府といたしましては、特に中国、対外的なアジアの諸外国に関しまして、過ぐる大戦についての認識につきましての発言につきましては十分注意を払わなければならぬところでございまして、先ほど申し上げましたが、二度としてはならない戦争であったという認識、それから侵略戦争であったとの厳しい批判があるということを十分認識いたしていくこと、それから、前総理が御答弁されておりますが、侵略的事実があったと思うという発言、こうしたものが責任ある立場で前内閣以来あるわけでございますので、その延長線上で竹下内閣としては対処いたしておるところでございますので、この基本的方針に基づいてそれぞれ大臣は心得て御発言されておるものと信じておりますが、改めて速記録等を調べさせていただいて対処させていただきたいと思います。
  67. 角屋堅次郎

    角屋委員 大東亜戦争の歴史観とかそういった問題に対する自分の政治的な認識という問題は、それぞれによってやはり異なるということは私は十分あり得ると思うのであります。  事実、私の場合で考えましても、大東亜戦争の最初からフィリピンに従軍いたしましたし、一たん帰りましたらすぐ召集になって、中支の昔で言います中隊長として戦争体験を持っておるわけであり、最後は本土決戦部隊で長崎の原爆の惨禍を受けて、五島の現地中隊長の任務を帯びて、そこで戦争の終わりを迎えた。当時、若かりし時分の私どもは、日本は大変な事態である、第一線に立つ者としては、どうしても身を捨てて国難を打開していかなければならぬという、私自身もそういう心情でやったわけであります。  しかし、顧みて、戦後、大東亜戦争に対する歴史観をどう考えるかということになりますと、我が国がベトナム戦争に対してどういう見解をとるか、あるいはソ連のアフガン侵入に対してどういう見解をとるかという場合は、やはり大東亜戦争の歴史観も含めて、国際的に客観的な立場でとらまえていくという姿勢が、戦後の国際国家として生きていく日本の場合もやはり全体の共通認識として必要であるという考え方を私は持っておるわけでありまして、そういう点で、やはり今回の奥野発言というのは、国務大臣として御発言されるのはまことに不適切である。したがって、同時に、その国務大臣としての発言の責任はやはり追及されなければならぬということを重ねて申し上げておきたいと思うのであります。  次に、いわゆるシベリア抑留者に対する対策の問題あるいは恩給欠格者に対する対策の問題あるいはまた在外財産の問題、これは戦後処理問題懇談会、当初総務長官の私的諮問機関それから官房長官の私的諮問機関に変わられて、そこからの報告が出された。当時、私と同じ選挙区の藤波さんが官房長官時代に報告をいただいて、それらをある意味では基本にしながら、また与党のいろいろな御意見等も十分判断をしながら今回の政府提案になったものと理解をしておるわけであります。  戦後四十数年を経て今日の時点で政府が出されました法案、これは与党の質問を皮切りにして、野党側もそれぞれ必要に応じて全国抑留者補償協議会会長の斎藤六郎さんを初め恩欠の関係あるいは在外財産の関係、それぞれの先生方が参考人をお許し願って、真剣な議論が行われてきたわけであります。  私が本日シベリアけい肺の関係の参考人をお呼びしましたのは、長い間シベリアけい肺で呻吟をしておられる方々の救済問題ということに真剣に取り組んでおられる副会長の岩田さんや山本事務局長さん等の寝食を忘れた献身的な活動に心を打たれて、昨年五月十四日の時点で、本委員会でいわゆる戦後処理問題、そういう中で当時の後藤田官房長官にいろいろなことをお尋ねし、また当時の山下総務庁長官に対してシベリアけい肺の問題で、当時の品川恩給局長の御答弁も含めて善処を迫ったという経緯があるわけであります。  この問題については、山本参考人からも御意見を聞いてまいりたいと思うわけであります。山本参考人の場合は、健康状態もございますので、質問のいろいろな組み立て方からいきますと大変難しいのでありますけれども、最初に、緊張しておられるといけませんのでお尋ねをして、そして、それに対する該当の恩給局長等の御答弁をいただきながら、全体としての戦後処理問題というのは官房長官を中心に議論を進めたい、こう考えております。  まず、参考人として本日おいでいただきました山本参考人にお尋ねをいたしたいのでありますけれども、きのうちょっと私の部屋の方に参られまして、どういうふうに先生お尋ねでしょうかというようなことでいろいろお話がございました。階段の上りおりにも非常に苦労されて私の部屋に来られたりしたわけであります。  最初に、シベリアけい肺の問題というのは、シベリアソ連軍によって強制連行されて、そして収容所に入れられて、極寒の地の中で炭鉱労働等に従事をする、これはわずか二、三年で、とにかくその後十年あるいは十数年後に非常に苦吟するようなシベリアけい肺で今日もなお苦労されておるという事態にあるわけであります。そういった山本さん、岩田さんの方で抑留者団体等があります。しかし、シベリアけい肺の問題についてはシベリアけい肺プロパーの問題として真剣にやらなければ問題の救済はできない、そういう立場から進めてこられたと思うのでありまして、それらの点について、まず山本参考人の方からお答えを願いたいと思います。
  68. 山本泰夫

    ○山本参考人 本日は、私を参考人としてお呼びいただき、シベリア抑留の後遺症であるシベリアけい肺の問題につきまして申し上げる機会を与えていただきました角屋先生並びに内閣委員会の諸先生方の温かい御配慮に、心からお礼を申し上げます。  シベリアけい肺につきましては当委員会でも取り上げられましたので御承知のことと思いますが、罹病の原因というのは、私たちシベリア抑留されて、鉱山あるいは炭鉱において強制労働、粉じん作業によって石の粉じんを肺内に吸入して、それが復員後十年あるいは二十年という経過をたどって発病した呼吸器障害を起こす病気であります。  通常、じん肺は十年以上この粉じん作業に従事して、さらに十年以上経過して初めてレントゲン写真の所見あるいは自覚症状にあらわれて発病するというのが医学の通説であったようでございますが、私たちの場合は、短い人で六カ月、一年、長い人でも三年、こういう作業期間でも、その後粉じんを吸入しなくても、十年、二十年という年月を経過して初めて症状にあらわれて、現在呼吸器障害を起こしているのがシベリアけい肺の実態でございます。  このシベリアけい肺につきましては、発見学者と言われる鹿児島大学名誉教授の縄田先生がこのシベリアけい肺の問題に昭和二十七年から取り組んでおられまして、八十五歳の年齢にもかかわらず今なおかくしゃくとして患者の救済運動を続けておられます。しかし、先生お一人の御努力では到底手に負えないということで、昭和四十五年四月に国に患者の救済の上申書を提出した経過がございます。このときに毎日新聞で取り上げていただいたものですから相当数の患者が発見され、私たちもそれを契機に、今までの結核といういわれなき病名が実はシベリアけい肺であったということの自分の体験と症状をもとに、戦友方にこのことを広め、芋づる式に自然発生的にでき上がったのが現在のシベリア珪肺全国連絡協議会という患者の団体であります。
  69. 角屋堅次郎

    角屋委員 きのう山本さんが私の部屋に来られたときに、山本さん自身の数年前のレントゲン写真、御入院されたときのレントゲン写真それから退院時のレントゲン写真を見せていただいたのです。そうしますと、一方はきちっとレントゲン写真で写っているのですけれども、一方は薄くなって心臓があるのかどうかわからないという状態の写真なんです。今御答弁願っておりますと、一見健康体のようにあるいは見受けられるかもしれませんけれども、実際は、シベリアけい肺の関係の影響を受けて、レントゲン写真ではもういかに悪条件に健康が置かれておるかというのは非常に明らかなんですね。答弁の中でそういうレントゲン写真も見せてと言ったのだけれども、私の方でそういう点は申し上げるからということにいたしたわけであります。  これは、私が昨年委員会で取り上げたときに、当時の品川恩給局長の御答弁でも、あるいは山下総務庁長官の場合は、委員先生方御記憶のように、私は佐賀で炭鉱の関係があるので、じん肺やけい肺の問題についてはいろいろ患者の実態を知っておる、そういった点で、シベリアけい肺の問題についてもこれから誠意を持ってやっていかなければならぬという温かい御答弁をいただいた経過もあるわけであります。  私が取り上げた以降、いろいろな問題で宿題が団体としても多いわけでありますが、そういったことで当たってこられて、一部では前進があるかもしれませんけれども、なかなか全体としては前進ができないといったような、山本さんや岩田さんがやっておられたそういう最近時の運動の中で、なかなかこういう点がいかないとかいったような問題について、御意見があればお述べをいただきたいと思います。
  70. 山本泰夫

    ○山本参考人 じん肺のうち、けい肺というのは代表的なものであると言われております。国内企業の患者さんはじん肺法が適用されております。これには医学的に証明された合併症、こういうものも補償の対象として認められております。ところが、シベリアけい肺の場合は恩給法で補償されておりまして、なぜか医学的に証明された合併症が恩給法では補償の対象から除外されておるというのが現状であります。  先ほど角屋先生お話のように、昨年の内閣委員会でこの問題を取り上げていただいたときに、恩給局長あるいは総務庁長官から御答弁をいただきました。私たちは御理解のある温かい御答弁と、これを本当に喜んだものであります。しかしながら、若干の進展はありましたが、その後の恩給の裁定通知を見ますと、肝心な合併症がなぜかシベリアけい肺だけはまだまだ認められておらないというのが実態であります。  そこで、私たちは、もう時間の余裕もございません。政府にお願いしたいことは、せめて法の平等、患者保護のじん肺法にある医学的に証明されている合併症、これを国内企業のじん肺患者に限らず、シベリアけい肺の患者にも同じ病気であるから認めていただいて、我々の補償に温かい対応を示していただきたい、こういうのが私たちの要望でございます。そこで、恩給局長の答弁にあるように、個別にそれぞれの専門医の御意見を十分に聞いて適正に対処してまいるということを今後ぜひやっていただきたいということを切に要望するものであります。  それで、一言申し上げますが、私たちは、私を含めて多くのシベリアけい肺の患者の人間が、診断の当初はほとんど肺結核と診断されておりました。これは医学の発展上やむを得ないことであろうかと思います。ほとんどの人がレントゲン写真で粟粒結核とされて治療しておりました。しかし、元来結核ではありませんから、結核の治療をやってもレントゲンは好転しません。年とともに影がふえるばかりです。中には大陰影で結核の手術をした方がいいということで手術をされた人が何人もおります。ちょうど昭和四十八年に、私も結核で長いこと治療しておりましたが、結核ではなくて、けい肺だということが縄田先生によって証明されて、それから患者同士が患者の発見に努めて現在までやっておりましたが、ほとんどの人が結核と誤診されておる。しかし、私は誤診という言葉は余り使いたくありません。その当時の医学の知識からいえばやむを得ないことだろうと思います。  それで、最近に至りましてもこの裁定が非常に軽い裁定である、これはけい肺の専門の先生が我々を診た場合に非常に疑問を持たれております。なぜこういう合併症が認められないのか、シベリアけい肺になぜじん肺裁判が起きないのかということも言われたこともあります。しかし、私はこれは医学の知識ということでやむを得ないことでしょうということで我々は陳情を重ねてまいりました。ところがなかなか思わしくありませんので、私たちの願いであります国会請願が去年採択されて、角屋先生に取り上げていただいて現在に至ったようなわけでございます。  以上申し上げましたが、このたび戦後処理の問題として平和祈念事業に関する法案提出、これには私たちは心から感謝をいたしております。どうかこの中にシベリアけい肺の問題も温かい対応を取り入れていただきたい、このようにお願いいたしまして、終わらせていただきます。
  71. 角屋堅次郎

    角屋委員 「最近十年間シベリア珪肺死亡者一覧表(昭和六十二年九月現在)」ということで、亡くなられた方々の一覧表を資料として委員各位にも配っていただくことを委員長のお許しを得たわけでございます。  この状況を見てまいりますと、それぞれ恩給法の適用を受けた方もございますが、なかなか障害といいますかそういう認定が進まずに、「請求準備中に」ということで相当数亡くなっておられるわけであります。そういう点では、随分苦労しながら病床に呻吟をして亡くなられた方々の姿をこの資料の中でも示しておると思います。  私は、昨年の五月にシベリアけい肺の問題を取り上げたときに、山本さんのところにたくさん来ておる患者の便りの中から、一人の方の、まさにシベリアけい肺でもう本当に苦労しておられる、酸素吸入にも金がかかるし、酸素吸入をやらなければ息が続かないといったお便りの一端を私は私の質問の中で述べたのでありますが、その方は間もなく亡くなっておられるわけでありまして、山本さんはその御葬儀にも行かれて、先生、あの方は亡くなりましたわというお話がございました。山下総務庁長官も当時の品川恩給局長も、シベリアけい肺の患者というのは大変重い患者があって、そういうことも十分考えながらというふうに言われた実態というのがやはりあるわけであります。  そこで、恩給局長の方に、これは直接の責任を持っておりますので、特に私が昨年五月に取り上げたときに、個別に専門医の意見を聞きながらというふうな前向きの姿勢でやろうとした。しかし、現実には若干前進はあったけれども、なかなか隘路があって問題が進まないという山本参考人からのお話がございました。この際、石川恩給局長の方から、特に私が昨年取り上げた以降、この団体とも協議しながらどういうふうに進めてきたのか、あるいはこれから積極的な改善策を含めてどう対応しようとするのかという点について、御答弁を願いたいと思います。
  72. 石川雅嗣

    石川(雅)政府委員 シベリアけい肺の患者さん方がいろいろ御若労されているということは私どもも十分承知いたしているわけでございまして、まことにお気の毒だというふうに存じているわけでございます。  シベリアけい肺の問題につきましては、これまでも私どもの恩給審査の中では、それぞれ医学の専門家であります顧問医の先生方と十分打ち合わせをしながら、いろいろ患者さんから出していただいております資料等に基づきまして御相談申し上げて判断をさせていただいているわけでございます。先ほどお話がございました縄田先生もまた私どもの顧問医の先生お話をしていただく機会もつくりまして、そうしたことでもって専門家同士でのお話し合いもいたしていただくというようなこともしながら、現在シベリアけい肺の問題に私どもも取り組んでいるわけでございます。  ただ、先ほど参考人の山本さんからのお話もございましたように、この問題、初期の症状といたしましては大変結核と似ているというようなこともあるようでございまして、また、エックス線に出てまいりました所見とそれからそのほかのさまざまな検査との結果というのが肺結核のようには必ずしも相関が高く出てこないというようなケースもあるようでございまして、これの判断には非常に難しい問題があるというふうに伺っているわけでございます。  私どもはそういったことを踏まえまして、先ほど申し上げましたように専門家の先生方と十分御相談をしながら恩給の診断に当たっているわけでございまして、今後ともそうしたことでもって適切な対応をいたしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  73. 角屋堅次郎

    角屋委員 シベリアけい肺の問題はさらに、大切な問題でありますので参考人にもあるいは恩給局長にもお尋ねしたい点がございますけれども、戦後処理問題全体に対して質問する関係もございますので、後ほど小渕官房長官の方にはこの問題も含めた関連のことはお尋ねいたしますけれども、山本参考人、どうもありがとうございました。そのまま席におられても結構でありますし、また退席されて御休養をとられても結構であります。  そこで、戦後処理問題、いわゆるシベリア抑留者対策、恩給欠格者対策あるいは在外財産対策といった問題が戦後処理問題懇談会では三つの重要なテーマになったわけでありますが、必ずしも戦後処理問題というのはこれだけですべてであるというふうには議員の先生方も理解してないと思うのであります。  事実本委員会の審議の冒頭に佐藤信二先生から、戦時中の国内におきます爆撃で亡くなられた方々、そういう問題の方々に対して、基金の発足を契機にその活動の中に取り入れてそしてひとつやってもらいたいというお訴えがございました。それに対して政府も前向きな御答弁があったわけでございますけれども、私はたまたま元東大教授衞藤瀋吉さんがお書きになった佐藤栄作元総理の「日本宰相列伝 佐藤栄作」というのを既に読んでおりましたわけですが、それの中で、佐藤元総理は大阪鉄道局長をやっておられて、奥さんや佐藤先生は東京におられてアメリカの爆撃で本当に九死に一生を得るような体験をみずからして、結局東京の家が焼かれたということで局長舎の方に移って、大阪も爆撃でやられておったんだけれども、局長舎だけはたまたま残っておったというような記述が出ておるわけであります。したがって、みずからの体験に基づいて戦後処理問題の中では、爆撃によって亡くなられた方々というのも政府の基金の発足ということを契幾にしてやってもらいたいというのは、まさにみずからの体験から当然のことだと思うのであります。  そういう意味からいきますと、戦後処理問題は、広島、長崎の原爆のいわゆる患者といった問題はそれなりの措置はとられておりますけれども、本来、被爆者援護法という我々が要求しておる基本的な要請の立場からいいますと、まだそこへいかないというのも、これもやはり戦後処理問題の三つの問題以外の重要な問題でありましょう。  また、後ほど時間があれば取り上げたいというふうに考えておりますし既に本委員会でも取り上げてまいりました中国残留日本人孤児問題、これは、特に私は学校を出てから旧満州に参りまして、根本さんやあるいは三原さんと同じ満州の大同学院で学んだ関係もあり、そして、開拓政策の一環として開拓総局というところで活動したということで、私はたまたま軍務が多かったものでありますから、敗戦のときにはいわゆる本土決戦部隊でちょうど帰るさなかでありましたが、中国残留日本人孤児問題というのは、旧満州との関連もありまして私にとっては身につまされる問題であります。こういった問題も、せっかく祖国でこれから生きたいというふうに言って来られた方々が来てよかったというふうな対応策というものは、逐次前進はしておりますけれども、さらに強化していくということもやはり重要な問題であろうというふうに思うわけであります。  そこで、そういうことを前提にしながら、この政府案でいきますと「戦後強制抑留者」という言葉を使っておりますし、我々の法案からいきますれば「被抑留者等」という言葉を使っておりますけれども、いずれにしても、こういったいわゆるシベリア抑留者問題ということについて少しく私からも触れたいと思うわけでございます。  野坂委員も触れられましたし、既にこれまでの審議の中で各党の委員がお触れになったこととも関連をいたしますが、何といっても、政府案の、今回の強制抑留者に対する対策としてやる具体的な十万円の慰労金あるいは慰労品といったような問題については、金額の面からいっても対象者の面からいっても、殊にシベリアで亡くなられた方々を除くという考え方、これは、政府委員答弁をさせますといろいろかくかくしかじかというようなことを説明するわけでありますけれども、しかし、第百九国会並びに今度の国会を通じて、台湾人元日本兵問題、それを与野党満場一致で処理をした、そのときには、亡くなられた方あるいは非常に重度の患者の方というのに対して二百万のお金を差し上げようということであります。  もちろん日本の場合は、恩給法とかいろいろな戦後とってまいりました諸措置等の関係説明はするのでありましょうけれども、私は、我が党が考えておりますように、年金恩給の該当者であるとかないとかにかかわらず、あるいはシベリアで亡くなられた方、本邦に帰還をされて現在生存してやっておられる方、帰られてから亡くなられた方、そういう方々に全体としてやはり慰労金支給すべきものであるというふうに思うのでありまして、事実、与党でつくっております議員連盟のことしに入りましてからの決議を見ますと、このシベリア抑留の問題については恩給適用者を含めて六十四年度予算では実現するようにやっていくというのを、まず冒頭の第一項でうたっているわけであります。  そういう点から見ても、この政府提案というのは、戦後処理問題の全体をやっていくという基盤としては従来の対策から一歩進んだものだというふうに私は評価いたしますけれども、野坂委員も触れられ他の委員も触れられましたように、個別の内容に入ってまいりますと、やはりこれから法の改正をやったりいろいろなことで改善をしていかなきゃならぬ問題が随分含まれておるというふうに思うのでありまして、そういう点では、政府のこの提案シベリア抑留等に関して言っても第一歩であるという認識をしておりますが、小渕官房長官、いかがでございましょうか。
  74. 小渕恵三

    小渕国務大臣 内閣委員先生方は、本問題につきましても、過去の経緯につきまして熟知していることであることは承知をいたしております。  お話にありましたように、自民党の議員連盟の決議の中にも盛られておることも承知をいたしておりますが、そうしたもろもろの経過を踏まえながら、政府といたしましては、与党でございます自民党と十分協議の上、現在提出いたしております法案を取りまとめたことでございますので、この法律案につきましてぜひ御理解をいただき、この法律が党との合意において提出に至っておりますので、政府といたしましてはこの法律をぜひ御通過させていただきたいとお願いいたす次第でございます。
  75. 角屋堅次郎

    角屋委員 これはちょっと余分のことでありますけれども、昨年、社会、公明、民社で協議をいたしまして、先ほど御質問されました野坂さんの場合は法案作成で大変御協力をいただいて、第百九国会に我々の側のいわゆるシベリア抑留者に対する法案を出したわけでありますが、あのときには、台湾人元日本兵法案、満場一致で処理する法案とちょうどぶつかった時期でございましたけれども、我々の方の議員提案提案理由説明が、二時間か三時間ぐらい、認める、認めぬでもめたという、これはおかしな話でありますけれども、そういうことがございました。これはもう済んだことであります。  しかし、考えてみますと、一昨年の十二月の政府・与党の合意、それから昨年の予算をつくるときの十二月の政府・与党のいわゆる合意事項というのを見ますと、シベリア抑留については、一昨年の場合は、帰ってきて恩給適用を受けていない人の二十万人に対して十万円差し上げようということだったわけですね。その後に、我々が昨年の九月の点で提案理由説明をようやくさせてもらったのですけれども、昨年の十二月の時点では、小渕官房長官政府の責任で、大蔵大臣、幹事長等との合意のあれによりますと、いわゆる恩給適用以外の本邦に帰還した生存者となっておったのを、もう少しあれして「帰還者」ということで、帰還者だから、帰ってきて亡くなった人も含めて適用するというように変わって、今御説明もございましたように、二十万から二十八万四千というところでこの法案が出てきておるわけであります。  我々が法案を出しました当時には、与党の皆様方の中にも、そういうふうな提案をされると身の置きどころに苦しむというようなことを私自身にも言われた方がありますが、それが昨年の十二月のときに、帰って亡くなった人もさらに含めた今回の提案になるという点では、もちろん政府・与党がどういうふうに関係団体の要望にこたえていくかという全員の努力というものも基本にあったと私は思いますし、こういうことを言うと官房長官は喜ぶかもしれませんが、中曽根さんから竹下さんにかわって、竹下さんは気配り、目配りと言われて、そういう心配りがプラスになったのかどうか、それはよく内情はわかりませんけれども、これはいいことだと思います。  それで、先ほど言いましたように、与党の議員連盟も来年度予算要求では恩給適用者にもこれを要求していこうと言っているわけでありますから、今、小渕官房長官答弁される場合は、これで与党がまとまっておりますのでと言いますけれども、今後の問題としては、やはりそういうことにも前向きに対応する姿勢は基本的に必要である。与野党の協議で法改正は立法府としてできるわけでありますけれども、今後の問題としては、政府として国会におけるそういう意見については十分政治的判断をしながら対応していくということは必要であると思いますが、いかがですか。
  76. 小渕恵三

    小渕国務大臣 繰り返しての答弁になりますが、現在提出しております法案は、現時点におきまして与党との合意において成案を得たものでございますので、何とぞよろしくお願いいたしたいと思っております。もとより政府国会においてお認めいただいて組織いたしておるものでございますので、国会の御意思につきましては十分これを拝聴することはもとよりのことだというふうに存じております。
  77. 角屋堅次郎

    角屋委員 今度の政府提案の一番の欠陥は、やはり恩給欠格者に対する個別措置が欠けておる点だと思うのですね。恩給欠格者の該当が非常に多いわけですから、そういう人に対して、今度の国会で直ちに政府・与党が改正に応じてくれて、それでやれれば一番いいと私は思うのでありますけれども、それはなかなか難しいということです。  私も長年の経験で、かつて漁業災害補償法を政府から提案があり、私の名前で社会党から漁業災害補償法の対案を出したとき、当時の農林水産委員会に設置された漁業災害補償法案審査小委員会の長谷川小委員長、あるいは亡くなられましたけれども筆頭理事の仮谷さんと何回かの会談を通じて、本文の二点の改正と、同時に、政府の保険事業というのが政府法案の中に入っていない、共済事業、再共済事業は入っておったけれども、政府の保険事業がない、三本の柱がきちっとしなければ漁業災害補償法としての体制がつくれない、そういうこともございまして、最後の段階で、我々の法案にある政府の保険事業という問題について附則検討条項を入れた。附帯決議では両三年、こう言ったのですが、参議院では一両年。政府は二年のうちにこのことをきちっとやっていただいて、附則検討条項は消えた、そういう経験を持っておるわけであります。  そこで、私は、恩欠者の個別補償というふうな問題等については、今後検討を加え適切な措置を講ずるものとするということを附則検討条項で入れて、附帯決議でそれを必ずやるように注文をつける、そうすればこれをやらない限りは条文が消えていかないわけですから政府としても政治的に責任を負う、このやり方をということで、竹中委員長や与野党理事皆様にもいかがであろうかということを言って、田口理事の方からもそうやってやってもらったわけです。  経過は別にして、恩欠者に対する個別補償の問題について、金額がどうなるかということは国の財政全体の問題もありましょうけれども、ちゃんとした措置をすることがやはり必要である、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点については小渕官房長官、いかがですか。
  78. 小渕恵三

    小渕国務大臣 本件もしばしば御答弁を申し上げさせていただいておりますが、恩欠者問題につきましての重要性は十分承知をいたしており、またそのためにこの法律案もお願いいたしておるところでございます。  本問題につきましては、平和祈念事業特別基金内に設けられます運営委員会におきまして事業のあり方等について協議されることになっておりますので、その推移を見守ってまいりたい、このように考えております。
  79. 角屋堅次郎

    角屋委員 シベリアけい肺の問題で参考人の意見を聞きながら恩給局長からの御答弁もいただいたわけでありますが、これから法案が成立した場合の基金の活動の中で、シベリアけい肺の関係の患者の調査あるいは救済という問題も、これは私が今お尋ねで申し上げておるのじゃなしに、自民党の議連の項目の中にも、シベリア抑留者の後遺症というふうなもので呻吟しておる方々の調査や救済というのは基金の活動の中でやるべきだということが、これはシベリアけい肺とは書いてありませんが、同じ趣旨で、当然これはシベリア抑留者であったわけです。たまたま炭鉱その他のあれでシベリアけい肺の患者になっておるわけですが、これはやはり基金の活動の中でそれらを含めてやられるというお考えだと思うのですが、いかがですか。
  80. 平野治生

    平野政府委員 再三御答弁申し上げておりますとおりに、基金の具体的な事業の内容は運営委員会で御協議されるということになるわけでございますが、ただいま御指摘がございましたいわゆるシベリアけい肺というような問題、御承知のように基金は、法律にも書いてございますとおりに、いわゆるシベリア抑留者等の「関係者の労苦について国民理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」、このことを目的といたしておるわけでございます。  この目的からいたしますと、ただいまお話がございましたいわゆるシベリアけい肺の問題というのは、言ってみれば傷病そのものに関する個別的な問題ではないかというふうに考えておりますので、直接基金の目的に該当するかという点になりますと少し難しいのではないかなというふうに思っておるところでございます。
  81. 角屋堅次郎

    角屋委員 もう時間が参りまして、本会議の緊急上程の関係もありますから、あとは要望ということで一言申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。  我々は、政府提案は戦後処理問題のこれからの対応としては一歩前進の法案である、しかし幾多の宿題を抱えた法案である、今後個別の問題については改善をしていかなければならぬ、こういうふうに受けとめておるわけであります。  同時に、これから総理任命の理事長、監事、あるいは総理大臣のお認めをいただいて理事長自身が任命していく運営委員等の問題、とかくこういう人事というのは公正を欠くような批判を受けるような人事が出かねないのであります。先ほども野坂委員からお話がありましたし、各党の委員からもこの問題については触れられた経緯がございますけれども、理事長は、だれが見ても公平で、この業務遂行のためにはふさわしい人である、かつての政府税調の、私の郷里出身の東大名誉教授の東畑先生のような方が選ばれる。運営委員も、関係団体の推薦の者も含み、また戦後処理問題懇談会で苦労されてそしておまとめになった方、この報告の内容には批判はありますけれども、そういう中からも適当な人を入れるというふうなことで、これから基金の活動をやるのにふさわしい、実態もよく知った、ダイナミックな活動ができる、そういう人選を十分配慮してやっていただきたいということを希望申し上げておきたいと思います。  同時に、冒頭の方で触れました中国残留日本人孤児の問題は、政府も逐次対応の改善をしてきておりますけれども、ことしは百名の中国からの帰国を受け入れるプログラムが中国からも認めていただきましたが、いわゆる帰ってまいりまして定着されたことについても、サブセンターを五カ所つくったりして逐次改善してきておりますけれども、さらに、日本に帰ってきてよかった、そういう体制をぜひ確立してもらいたいということを強く要請いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  82. 竹中修一

    竹中委員長 内閣提出平和祈念事業特別基金等に関する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     ─────────────
  83. 竹中修一

    竹中委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  平和祈念事業特別基金等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 竹中修一

    竹中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  85. 竹中修一

    竹中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、近岡理一郎君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。和田一仁君。
  86. 和田一仁

    ○和田委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の各派共同提案に係る附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     平和祈念事業特別基金等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。  一 運営委員会委員の任命に当たっては、公正に行われるよう配慮すること。  一 運営委員会から政府に対し提言があった場合には、これを尊重すること。  一 法第二十七条第三項の業務の認可については、速やかにこれを行うこと。  一 慰労金支給を受ける権利の認定については、受給者の高齢化等の実情にかんがみ、速やかにこれを行うこと。  一 戦後強制抑留者に対する措置について、引き続き検討を行うこと。  一 恩給欠格者に対する慰労の個別的措置については、引き続き検討を加えた上、速やかに実施するよう努めること。  本案の趣旨につきましては、当委員会における質疑を通じて既に明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  87. 竹中修一

    竹中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  88. 竹中修一

    竹中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。小渕内閣官房長官
  89. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては十分検討いたしてまいりたいと存じます。     ─────────────
  90. 竹中修一

    竹中委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 竹中修一

    竹中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  92. 竹中修一

    竹中委員長 次回は、来る十二日木曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四分散会