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1988-04-25 第112回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十五日(月曜日)     午前九時四十一分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 石川 要三君 理事 大塚 雄司君    理事 西田  司君 理事 野田  毅君    理事 羽田  孜君 理事 井上 普方君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       粟屋 敏信君    井出 正一君       衛藤征士郎君    尾身 幸次君       加藤 六月君    木部 佳昭君       鯨岡 兵輔君    小杉  隆君       近藤 元次君    佐藤 守良君       鈴木 恒夫君    田原  隆君       田村 良平君    谷  洋一君       中川 秀直君    林  大幹君       前田 武志君    若林 正俊君       小野 信一君    加藤 万吉君       菅  直人君    沢田  広君       中村  茂君    草川 昭三君       小谷 輝二君    中村  巖君       森田 景一君    岡田 正勝君       田中 慶秋君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         内閣総理大臣  竹下  登君         自 治 大 臣 梶山 静六君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      中尾 栄一君         国 務 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  増島 俊之君         経済企画庁総合         計画局審議官  宮本 邦男君         国土政務次官  大原 一三君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省理財局次         長       藤田 弘志君         運輸運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         建設省都市局長 木内 啓介君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    高戸 純夫君     ───────────── 委員の異動 四月二十五日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     鈴木 恒夫君   北川 石松君     井出 正一君   椎名 素夫君     尾身 幸次君   野呂田芳成君     前田 武志君   岡田 正勝君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   井出 正一君     北川 石松君   尾身 幸次君     椎名 素夫君   鈴木 恒夫君     金子原二郎君   前田 武志君     野呂田芳成君   田中 慶秋君     岡田 正勝君     ───────────── 本日の会議に付した案件  多極分散型国土形成促進法案内閣提出第七八号)      ────◇─────
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、多極分散型国土形成促進法案を議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  なお、時間が限られておりますので、理事会でお約束の質疑時間を厳守されるようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、きょうは奥野国土庁長官とほとんどやりとりするわけでありますけれども、新聞報道によりますと、あなたが靖国神社公式参拝について発言されたことが相当厳しい内容で報道されております。特に、中国実力者と言われる鄧小平名前をお挙げして、その言動に日本じゅうが振り回されているのは情けない、こういうことが報道されております。そういうものを通じて、特に中国共産党機関紙の人民日報を中心にして、また韓国などにおいても相当報道されております。一つの問題でいろいろ自分考え方を述べることはそれなりきにあると私は思いますけれども、一国の実力者と言われるような人たち固有名詞まで挙げて批判するというのは政治家としてどうか、こういう点を含めて、今長官はその発言についてどういう心境であるか、反省しているか、お答えいただきたいと思います。
  4. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今新聞などで伝えられている問題の経緯は、新聞記者から靖国神社参拝のことにつきましていろいろお尋ねがあったわけでございます。でございますので、こういう機会にざっくばらんに経過を申し上げて、そしてお互いに理解を深め合った方がいいというつもりでお話をいたしました。その際に、中国悪口を言う意思は全くありませんよということも前提に置いて申し上げたわけでございます。  私が一番気になっておりますのは、アジア全体が白色人種植民地になっておった、幸いにして今はそれぞれが、あの大東亜戦争の結果、完全に独立国になってよい時代を迎えている、こう思うわけでございます。しかし、戦争裁判を通じまして、日本だけが侵略国家の烙印を押されている、そのことにつきまして私は常日ごろ残念な感じがしておるわけでございますので、経過はこうだったのですよということを申し上げたわけでございまして、日本侵略国家でなかったというようなことは、私は一言も触れておりません。日本だけが侵略国家だと言われたことは残念でならないのだ、むしろ鎖国から開国に転じたときに、日本の周辺は全部白色人種侵略を受けておったのだという事実を指摘してまいったわけでございます。  そういうことにつきまして、いろいろな外国発言によって、我々がみずからの考えを持たないで振り回されるようなことは望ましくない、こう発言しているわけでございます。  なかなか言葉というものは、的確に伝えてくれればよろしいのでございますけれども、必ずしも的確に伝えられていないな、なぜまた韓国がこういう私の発言についていろいろ言うのだろうかなと疑問に思ったりもしているところでございます。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、長官考え方考え方としてあると思うのです。しかし、公の場で一国の固有名詞まで挙げて言うということは、そういう場合相手に対して非常に不見識な発言ではないか、こういうふうに思うのです。  特に新聞で大きく取り上げられております中国鄧小平氏の名前など、お挙げになったでしょうか。
  6. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 そういうことでもございますので、私はあえて悪口を言う意思はない、こう申し上げたわけでございます。鄧小平氏が日本に対しましてたび重なっていろいろな批判をされております。日本国民が素直にそれを全部受けとめなければならないのかどうかということについては、私は疑問を持っているわけでございます。ちょうど中国では日本の戦前みたいに、天皇ということに触れたら一遍に大変なことになるというような、やはり共産主義の国の実態もあるのかな。私は、日本は自由な国でございますから、相手に対して非礼にわたらない限りはある程度国民としての考え方が出てきてもそれなりに許されるのじゃないかな、こう思っておるわけでございます。国柄の相違というものが、受ける影響に大きな違いがあるのだな、こう思っておるわけでございます。私なりにある程度注意してそこは申し上げたつもりでございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、このごろの発言については全然反省もしていない、こういうふうに理解してもいいわけですか。
  8. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私の意見についていろいろ摩擦を起こしていることについては、よく注意していかなければならないな、こう思っております。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 総理は、この奥野国土庁長官靖国神社公式参拝をめぐる発言、今の私とのやりとり、どういうふうにお考えでしょうか。
  10. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 奥野大臣が今お述べになったとおり、一つ歴史観とでも申しますかそういうことをお述べになり、そしてそういう発言がいわば摩擦を呼んでおることに対しての反省をしておられるということを、私も素直に後ろにおってただいま聞いておったところでございます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 では、本題に入らせていただきたいと思います。  本委員会で審議しております多極分散型国土形成促進法案、これは言われております四全総基本法としての性格を持っているのかどうか、その点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  12. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今まで四回にわたって全国総合開発計画が作成されました。必ずしもそのとおり実現されていない。そうなると何か手法が要るのじゃないかなということから立法になっておるわけでございますので、全国総合開発計画達成のための基本法だ、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、この四全総と、最近よく言われております遷都または分都または展都、いろいろ言われておりますが、国土庁はこの遷都、分都、展都についてはどのような解釈をし、どのような定義を持っておられるか、そしてそれぞれの部門について四全総とのかかわり合いはどのようにとらえているのか、お答えいただきたいと思います。
  14. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 首都機能一括移転の問題は現にいろいろと論議が行われているさなかでございますので、これに対しまして決定的な政府の姿勢は示すべきではない、こう思っておるわけでございます。しかし、四全総にも政府関係機関移転問題が取り上げられておるわけでこざいますので、その線に沿って立案しているわけでございます。  今お話しになりました展部、分都ということになりますと、政府関係機関機能の一部を展開立地させていくのが展都だと考えることができましょうし、またそれを他のところへ分けて立地させていくことが分都だということになるだろうと思うわけでございますので、展都、分都がこの法律の中で取り上げられているんだ、こう御理解いただいたらいいんじゃないだろうかな、こう思っております。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは総理にお伺いいたしますが、総理の「ふるさと創生論」はこの遷都、分都、展都、このどれをとらえて、または念頭に置いて「ふるさと創生論」というものが言われているのでしょうか。
  16. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私が「ふるさと創生論」ということを書きおろしの書物に書きましたことから、その後内閣総理大臣になりますと、えらいものだなと思いますのは、そのことが大変人口に膾炙されるようになる、したがって、それだけに絶えず自粛、自重、自戒をしていなければならぬなという責任もまた感じておるわけでございます。  そもそも私の考え方そのものは、ちょうど今度の提案理由の説明の中に「地域の特性に即した産業文化学術研究交流等に関する特色ある機能を集積」するというような点から、お互い今住んでおるところがふるさとと認識できるように、歴史とか文化とか伝統とか、そういうものを集積したものを、その地域の住民の発想によっていろいろな計画がなされ、それを中央政府等がサポートしていくという形のような概念から、私のこの「ふるさと創生論」というのを言い出したわけでございます。したがって、最初にいわゆる遷都、分都、展都ありきという考え方の中に「ふるさと創生論」というものをつくり上げたということではございません。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに「「東京集中」が日本を滅ぼす」という一冊の本があります。これを書かれた方は八幡和郎さんで、今通産省の大臣官房地方課長補佐をやっている方で、経歴を見ますと、国土庁地方振興局沖縄通商産業部等に勤めた経歴がずっとあるわけです。私はこれをずっと読んでみて、その三分の二ぐらいは私の考えと非常に共通する点がございまして、こういう批判はどうかと思いますけれども、官僚としては思い切った記事を書いたものだな、こういうふうに感じているわけですが、この二、三をおかりして、私の主張とあわせて問題提起をしたいと思うわけであります。  この中で、分散政策をしていく場合「具体的な手段として、一部中央官庁地方移転」、これは私の主張と全く一致しております。それから「地方分権の推進」、これも私と相当共通したところがございます。「民間に対する規制緩和」、その次に「インフラ整備」、その次に「東京都心のオフィスに対する課税」、これも私と相当共通したところがあります。そして、このような提案がされて「四全総でもかなり取り入れられた。しかし、現在論じられているような政策の効果は限定されたものであろう。」後ろの方は官僚が書いた文章ですね、どう見ても。しかし、こういうことを指摘しております。  そこで、順次お聞きしていきたいと思います。  今この法律にも取り入れられておりますけれども、政府機関移転問題、これが一月二十二日に選定された十七省庁の二十機関、それから防衛庁のそれぞれの機関決定されたというふうに言われておりますが、これはこれから作業が進んでいくでしょうけれども、東京圏、それから関東、それから全国、こういうふうに分けて、どのように移転されていくでしょうか。
  18. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一省庁機関移転各省が申し出てくれた機関が今明らかになっているわけでございます。私は元来、昨年にどういう機関移転するんだという方針を決めてもらいたかったのですけれども、なかなか抵抗が強くて方針を決めさせてもらえませんでした。一月二十二日に方針を決めたのですけれども、それも表現の上では妥協妥協を重ねてやっと表に出させていただいただけでございました。しかし、幸いにして党側の強い意見もございまして、四つのカテゴリーに属するものは原則として移転すべきだというふうに決まってまいったものでございますから、閣議でも、表現表現として趣旨はそういうものだということで御了解をいただいているわけでございます。  その中には地方支分部局もあるわけでございまして、地方支分部局は大体において関東地方を管轄している地方支分部局でございますから、関東地方から外へ出ていくわけにはいかないわけでございます。  その他の機関になってまいりますと、殊に試験研究機関などになりますと地方発展に使いたいというようなこともございまして、積極的に自分のところへという希望が非常に多うございます。これらの問題につきましては、今後全体の機関が決まりました暁にそれぞれの機関意見は十分尊重しなければなりませんけれども、相談していかなければならないな、こう思っておるわけでございます。  また、公団の中にも本四架橋公団のようなところは現に本四架橋が始まっておるわけでございますので、その地方移転になることはまず間違いはないだろう、こう思っておるわけでございますけれども、これまた関係地域がたくさんございますので、自分のところへと非常に強く言っておられます。  単に過密を救うだけじゃなしに、やはりそれらの機関を核にして地域活性化を図っていきたい、こういう願いを込めておるわけでございますので、なるたけ各地方分散立地させることができれば望ましいな、こういう希望を持っているわけでございますが、いずれにいたしましても移転機関が決まった暁に、それらの問題について本来の趣旨がどこまで達成できるか、十分相談し合っていきたいなと思っております。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 これをずっと見ますと、今言われましたように関東を所管しているところが非常に多い。しかも東京都区、いわゆる二十三区から出なさい、こういうことが基本になっていますから、これを実施しても、相当遠くの方に全国にばらまくというような状況はほんのわずかなものであって、ほとんどが東京圏または関東圏という範囲にとどまっているのではないか、こういうふうに思います。ここを一つ問題点として私は指摘しておきたいと思います。  そして、これからのスケジュールなどを見せていただきますと、四月末までに集約してこの作業を続けていく、こういうふうになっていたわけでありますけれども、第二次、三次の集約はこのスケジュールに乗って四月中に間に合うのでしょうか。どうなっているのでしょうか。
  20. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 地方支分部局はどこかの業務核都市にできれば集中して移転させたいな、こう考えておるわけであります。業務核都市も、二十三区の中にあります営業所事業所業務をそちらに移してもらって、それらを核にして一つ都市圏整備していきたいな、そのことを通じて職住近接地域社会をあちらこちらにつくっていけば東京一点集中の今の弊害は避けられるのじゃないかな、こう考えておるわけでございますので、それはそれなり意味のあることではないかな、私はこう考えておるところでございます。  なお、移転機関決定は、七月中に閣議決定したいというふうに考えておるわけでございます。事務的には四月を頭に置いてやってくれておったのだろうと思うのでございますけれども、私はできるだけみんなに納得してもらって事を進めたいと思いますので、多少は時間がかかってもじっくり話し合いを詰めたいな、こう思っておるわけでございます。今は四省庁間の話に食い違いが起こらないようにきちっと固めなさいよということを申しておるわけでございまして、若干そこには意見の違いもあったりするわけでございますので時間がかかっておるようでございますれども、意見のそごを来さないようにまず四省庁ばっちり意見を固めた上で、各省にその考え方をお示しして取りまとめにかかろう、こう思っておるところでございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 長官、非常に熱意を持ってやられておられるようですけれども、なかなかそれぞれ聞いてみますと難しい内容も含まれているようであります。  そこで、総理にお伺いいたしますが、政府機関移転という問題は、それぞれ各省庁によって差異はあると思いますけれども、何としてもこの問題を政府が率先してやり抜かなければ、東京一極集中という問題は口で言ってもなかなか難しい問題じゃないかというふうに思うのです。ですから、この問題こそ総理の決断、強い意思で実行をしていただきたい、こういうふうに思いますが、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
  22. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 そもそも一省庁機関地方移転、こういう言葉を使いましたことは、佐藤内閣のときに一省庁一局削減ということを、私は官房長官かなんかしておりました当時ですが、非常にごろのいい言葉だなと思ったことがこざいます。今にして思えばそういうことが私の念頭にあった。したがって、必ずしも適切な言葉ではなかったかもしらぬけれども、そのことは、言葉言葉として進めていかなければならぬ、それが昨年の、また出てきたいわゆる四全総というようなものにも沿うというような考え方に立ちました。  ただ、私自身が十一月の六日に本院で指名を受けたわけでございますが、長い間大蔵大臣をやっておりましたが、概算要求時点政策として顕在化し定着していないものをすぐさま政策軌道に乗っけるというのはいかに難しいかということを私自身も承知しております。したがって、まず方針を決めて、ことしの七月末に概算要求基準を決めて八月に概算要求をしますあの時点というものが私の念頭にあったことは事実でございます。  そのためには、可能な限り、今度は私がそれぞれ総理になってからお会いしました労働組合の方も趣旨は賛成だと、しかし、最終的に出ていくにはいろいろな人的な関係も生じてくるから、そういう配慮もきめ細かにしなければならぬというふうな御注意もいただいておりますので、まずはやはり下から積み上げてきて、しかも今長官言葉にありました四省庁の思想が統一されて、そうしてそれを可能な限りスムーズに閣議決定にまで持ち込んでいきたい、こういう手法をとらざるを得ないなというふうには感じておるところでございます。  したがって、そういう積み上げの努力はいたしますが、やはり最終的な調整、別に私が強いリーダーシップでもって抑えつけようというような思い上がった考えはございませんけれども、最終的な調整についてはみずからがその調整に当たる努力をする決意は持っていなければいかぬということを常日ごろみずからに言い聞かせておるところでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほどの「「東京集中」が日本を滅ぼす」という中に載っております資料を引用させていただきたいと思いますが、東京にあらゆる問題が集中している、それを対全国シェアで見た場合の相当な項目をここに掲げているわけでありますが、三、四点拾ってみますと、東京圏人口昭和六十年には二五%、それから県民総生産は五十七年に三〇・二%、それから卸売販売額は五十七年に四二・三%、株式売買高は五十九年に六二%、情報サービス業売上高は五十九年に六四・八%、学術研究機関数は五十六年に三四・一%、大学学生数は六十一年に四三・七%、外国企業事務所は五十六年に六六・八%、外国銀行事務所は五十六年に八五・二%、なるほどあらゆるものが東京集中してきている。  そして、四全総によりますと、この人口問題についてはある程度触れておりますけれども、やはりこの中身を借用いたしますと、「東京圏人口について、四全総では趨勢値で三五〇〇万、地方分散策が成功したときの目標値で三三〇〇万としているが、意図的に低く抑えられた数字ともいわれている。うっかりすると関東全体ではそう遠くない時期に」、時期というのは四全総で言っている昭和七十五年に「五〇〇〇万くらいになっても不思議でないかもしれないし、その場合、地方経済は完全に破綻するであろうし、東京も内部崩壊しかねない。」こういうふうに言われておりますが、人口問題一つ考えてみても、またあらゆる企業、そのほかの業種を考えてみても、今政府機関移転させるというふうに言っても、東京圏または関東、この範囲分散調整に終わろうというような傾向が非常に強いのじゃないかというふうに私は思うのです。  この法案の中にも出ております業務核都市整備、これは東京圏にそういう核をつくって、そこのところへ持っていこうというのでしょう。だから、これの全体を見た場合に、全国的な分散になり、全国均衡のとれた国土形成が本当にできるだろうか、そういう不安を強く持つわけであります。いろいろやってみたけれども、やはり東京圏整備に終わってしまった、そして少し膨らんで関東にあらゆる産業、あらゆる人口、そういう機関集中してしまった、これでは分散分散と言っても意味がないじゃないか、この点の危惧を強く持つわけですけれども、長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  24. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 まだ敗戦後四十余年しかたっていないわけでございますけれども、その間に第一次産業から第二次産業へ、最近はまた第二次産業から第三次産業へと大きな経済構造の変化を見せておるわけでございます。その間には、民族の大移動と言われるくらいに大きな人口移動もございました。最近ようやく落ちついてきているところでございますけれども、その間に一層経済発展が加速されてきたのじゃないかな、私はこう思います。やはり経済発展だけを考えますと、どうしても集中による効率をねらわざるを得ないのじゃないかな、こう思います。  幸いにして、今や経済も大きな成熟のきわみを迎えたわけでございまして、一人当たりの国民所得も、あるいは円レートのなせるわざかもしれませんけれども、スイスに次いで世界二位だと言われておるわけでございますし、日本の最低の県の一人当たりの所得がイギリスを追い抜いているのではないか、こう言われている時代を迎えているわけでございます。そうなってまいりますと、むしろこの過密を解消させて、地域の均衡ある発展のためにさらに大きな転換を図る時代を迎えているのじゃないかな、こう思っているわけでございまして、それがまた四全総のねらいでもあると思います。  そのためには、やはり交通、通信、情報を整備する、そういう面における格差をなくしていくことが、企業の立地などを移していく場合に必要なことじゃないだろうかな、こう思います。  最近、御承知のように、北関東でありますとか南東北の地域に先端企業がどんどん立地を進めておるわけでございまして、これは一つには東北新幹線ができた、一つには高速道路が開通した、これが大きな力になっているのじゃないかな、私はこう思うわけでございます。今後は情報や通信につきましても格差をなくす努力を一段と尽くしていかなければならない。そして地域の特性を生かして、手づくりの地域発展地域社会を工夫していかなければならない。そしてまた職住近接地域社会活性化を図っていくことができるのじゃないかな、こんな期待を持って法案にも取り組んだつもりでございます。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 私の言わんとしていることはおわかりだと思いますけれども、今の行き方からいくと、やはり東京圏そして関東、そこのところに集約される要素というものが非常に強くあるのじゃないか。言われておりますように、確かに新幹線とか高速道、お互いに便利になるわけですから、地方へも行くでしょうけれども、地方から中央への集中度というものは強くなるわけであります。ですから、その点をどういうふうに全国的に波及させていくか、東京を核にした関東集中ということをどのように全国的に分散していくか、これが大きいポイントではないかということを私は訴えているわけであります。  そこで、民間企業、工場、こういう点についての分散ですけれども、前からいろいろ歴史的な経過がありまして、東京中心の事業所税、これが追い出し税とかいろいろ言われてきた経過があります。  ここに「東京プロブレム」という日本経済新聞社が発行した本がありますが、ちょうどここのところで引用しております。豊蔵元建設省事務次官、先ほど私の部屋へも来まして、今度阪神高速の総裁になるというようなお話を聞いたのですけれども、この人の十五年前の反省というか証言が出ているわけであります。四十七、八年、ちょうど税制改革が行われるというときに、この豊蔵さんが建設省の都市政策課長をやっておられた。そして、高度成長が矛盾を来してきて、東京を初めとするところの大都市でさまざまな社会問題や公害問題、交通事故が多発する、住宅が不足する、そこで、根本的に東京に大企業集中し過ぎているので、追い出し税を創設してこれを国税として、それで得たものを今度は地方整備活性化に使っていこうということで提案した。自治省も同じ発想でそういう案を出してきた。結局自治省案が通って、地方税としてそういう都市税というものがつくられた。そして、地方税でしかも都市税ですから、三十万都市のところまでそれが広がってしまった。ですから、東京にいても三十万都市のところへ行ってもその税金はかかるので、追い出し税という意味はなくなってしまった、非常に残念だ、こういう証言をしているわけであります。  そして六十二年一月ですが、綿貫国土庁長官当時に、私的審議会の国土政策懇談会の座長をやっている加藤一郎さんが富山市で、大都市に立地している企業については特別事業所税というのを国税として、中央の、特に東京都心企業が出ていくような制度を考えた方がいい、こういうことを提案した。これを四全総の中に取り入れようということでいろいろ論議したけれども、国税をそれぞれの地域に課税することは非常に難しい問題だ、こういうことでついに四全総に取り入れることはできなかったという経過があるわけであります。  その当時、ちょうど六十二年の土地問題が非常に強くなってきたときに、建設委員会で私もこの問題を大きく取り上げました。そして、当時の綿貫国土庁長官に質問したところが、東京都となかなか話がつかない、こういうことで、設置したいと思うけれどもなかなか難しい問題だという答弁がありました。確かに、言われておりますようにさまざまな問題がありますけれども、東京にこれだけ集中してしまった、これをどういうふうにしていくかというのは、ただ看板だけや方針を立てただけではなかなか難しいと私は思うのです。ですから、こういう制度を思い切って採用する意思があるかどうか、十分研究していただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。
  26. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 中村さんの御主張、私にはよく理解できるわけでございます。  事業所税をつくりますときにも大変な論議がございました。そのときには、東京一極集中というような事態にはなっておりませんで、おっしゃるとおりに事業所税を追い出し税につくって、それを財源にしてそれぞれの都市の整備を図っていくのだということでございました。そのために人口三十万以上の都市にこれを使うということでございます。どちらかといいますと、都市を都市らしい姿に改造していく、そのための財源に使おうということであったわけでございます。  でございますので、これを今さら東京だけにするわけにもいきませんし、今に至っては、まさに地方財源に、一般化してしまっているのじゃないかなと思うわけでございます。その上にもう一つ追い出し税をつくるということはやはり理屈の上からも難しいな、また東京だけをねらうということになってまいりますと、外国企業なども特にたくさん集中しているわけでございまして、外国企業ということになりますと、八十数%本社は東京にあるのじゃないかなと思っておるわけでございまして、そういう批判もあるわけでございますので、一つ研究課題ではあるけれども、東京過密を防ぐためにすぐに東京追い出し税をつくるんだというようにはなかなか踏み切れないなという感じがいたします。御承知のとおり、東京の既成市街地については工場はつくれませんし、また学校も建てられません。そういうことからそういう方面の比重は非常に少なくなってきておるわけでございまして、学生数につきましても、また企業の出荷額につきましても、全国シェアはずっと減ってきているわけでございますので、なお過密を防ごうということになるのなら、工場を規制するだけじゃなしに事務所まで規制すべきかな、こういう議論になってくるかもしれませんけれども、事業所税を置いたままにしてもう一つ国税の新しい追い出し税をつくるということになりますと、なかなかいろいろな議論が出てくるのじゃないだろうかなと思うわけでございますので、今すぐ私はそういう方向で検討していきたいとお答えしがたいな、こんな感じがしておるわけでございます。
  27. 中村茂

    中村(茂)委員 工場というよりも、特に特別事業所税ですから事務所ですね、これは確かに東京に事務所を置いておけば一番活動しやすいのです。あらゆる機関があるわけです。国のそれぞれ制度もここに集中しているわけなんです。ですから、看板をどんなに掲げたりいろいろしても、これは東京にいた方が活動しやすいわけですから、そこのところを工夫を凝らして何とかできないものか。そうでなければこれは看板倒れですよ。そういう点を含めて、自治大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  28. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに東京集中をするメリットがあるわけですから、その利益を受ける企業は相当な、あるいは排除行為をしたとしても東京集中すると思います。それは特にこれからの三次産業を中心に起こると思いますので、それを阻止する勢力は今の事業所税的な、追い出し税的なものをかけたとしても、そこのオフィスに集まる人はそれだけのリスクというか過重負担を受けてもやるわけでございますから、残念ながらできないと思います。  そして私が特に申し上げているのは、通常、それぞれの土地を持った、東京でなくてもいい企業東京に立地しなければならない企業でなくて東京になくてもいい企業があるはずだ。ここで唐突に一つの事例を申し上げますけれども、言えばおわかりになる恵比寿にビール工場がございました。あそこは十二万平米あるのですが、時価は三千六百億です。これを今の税制のままで買いかえ制度や圧縮記帳の特例を生かしながらも処分をして、そして買いかえでほかに土地を求めるけれども、それが適正な価格で求められたとしても、私の積算によりますと、八十五億の土地を求めれば二千二百二十五億の税金を取られるわけです。三千六百億の資産を二千二百億も税金を取られて出ていくことができるかというと、残念ながらそれは丸裸になるわけですから、東京でなくてもいいのだけれどもむしろ再開発した方がいいということで、そこに再開発のいわばエネルギーがわくわけであります。  ですから、事業所税も確かに追い出し税的な意味はあるかもしれませんけれども、今ある企業をどうして、東京でなくても、よい立地条件であるならば地方に出るかというときには、税の公平、平等を求めることも必要でございますが、政策選択の中で、今東京の過密を防ぐことが大切だというならば、別個なことを考える。ですから、事業所税を全般にかけることもさることながら、私は逆に東京にある相当な土地を持った企業地方に出ていく、そして地方で雇用の場を創設する、こういうことに力点を置かれることをこれから研究していかなければならないと考えております。
  29. 中村茂

    中村(茂)委員 税で、追い出し税にしてもまたは優遇税にしても、どういうふうな仕組みで集中しているのを地方分散していくかということは広範な研究とこれからの対応が私は必要だと思うのです。御研究をお願い申し上げます。  次に、それぞれの知事さんにアンケートをとったのがあるわけですけれども、香川県の平井知事さんに東京へそれぞれの省庁に陳情に年にどのくらい行くかといったら、二十九回行く、延べ日数にして七十五日だ、五日に一日は東京に行っている勘定になる。埼玉県の畑知事さんは日帰りで五十二回行く。東京から最も遠い沖縄の知事さんは年に二十回、五十日東京に行く。これは私が言うまでもありませんが、東京にそれぞれ省庁があり、陳情、補助金をいただきに来る、こういう仕組みだと言っているわけであります。ですから、地方分権ということを口でいろいろ言われておりますが、地方分権をどのようにこれからこの中に組み入れていくかということも非常に重要な課題ではないかと私は思います。  そういう状況の中で、時間がありませんから、その基本的な問題とかそういうもののやりとりを別にして、ここに「昭和六十三年度 国の施策ならびに予算に関する要望」昭和六十二年七月二十三日、全国知事会から陳情書が出されております。それは「行政改革の推進に関する要望」ということですけれども、中身は、「行政事務の再配分と地方の自主制の強化」ということで、事務と財源の再配分を断行してもらいたい、機関委任事務については地方公共団体の行政になじむ事務はすべて地方公共団体の事務として所要の財源措置を講ずるよう求める。今度は大きい項目で、「国の地方に対する関与、規制等の整理」ということで、それぞれ要望が出ております。そう大きく地方分権、分権と言っても一挙にはいかないわけでありますから、せっかく全国知事会というようなところからこういう問題について出ているわけでありますので、特にこの点については積極的な対応を私はお願いしたいと思うわけでありますが、自治大臣からまずお伺いいたしたいと思います。
  30. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御説のとおり、地方自治の充実、国、地方を通ずる行政の簡素効率化、さらには地方活性化国土の均衡ある発展を図るためには、住民に身近な事務は住民に身近なところで処理することができるよう国から地方公共団体への権限の移譲、国の関与、必置規制の整理合理化等をさらに進める必要がございます。また、国と地方公共団体は基本的にはそれぞれの機能と責任を分かち合いつつ、国民福祉の向上のため相協力する関係にあると認識いたしております。今後とも地方制度調査会の答申、地方公共団体の要望等を踏まえ、あらゆる機会をとらえて権限移譲の推進に努力してまいりたいと思います。  さは言うものの、長い間国と地方関係を通じて今のバランスができているわけでありますから、なかなか一挙にこれを変えることはできません。しかし、今一極集中から多極分散型の国土形成が最重要課題として登場しているわけでございますから、この具体的な有効手段としての地方分権を今強力に進める絶好の時期だと思いますので、懸命な努力を払ってまいりたいと思っております。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 総理、今までいろいろ長官または自治大臣とさまざまな問題についてやりとりをしてまいりました。私はまず冒頭から申し上げておりますように、政府機関移転というのは、第一次を見ても、これから第二次、第三次というふうに集約していくわけでしょうけれども、非常に困難性が深い。しかも、やってみたところで大半は東京圏関東、ここのところに若干移転ができるだけだ。そういうことを考えてみた場合に、総理の本当の指導性というものが問われるような気がいたします。  それから、こういうものを実施していく場合に、ただ箱物と人だけ運んでもどうにもならないわけであります。大きく言えば、地方分権というか、それぞれその地域にある程度の自主性を持った行動ができるような体制をつくらなければなりません。それが特に今強調されているというふうに私は思うわけです。やり方はいろいろあると思うのです。地方公共団体に今知事会から出ているような問題をきちっと伝えていくことも必要でしょう。それから各省庁分散し、行った場合に、それぞれのところに、何でも中央へ来なければどうにもならぬということではなしに、そこのところにもある程度の権限を持たせる。それから、それぞれの自治体もありますけれども、それぞれのブロックがあります。そのブロック、まあ東京とか北海道はそれぞれ機関もありますし、そういうところにもある程度権限を持たせていく、そして自主性を尊重していく。次に自主財源をどのように強化していくか、こういう問題は非常に重要な問題だと思うのです。  そういう点を含め、それぞれの問題を挙げてみますと、総理のこれからの決断、指導性、これが今それぞれ出ている問題を左右する非常に大きな課題ではないかというふうに私は思うわけであります。総理のお考え、それから決意、お伺いしたいと思います。
  32. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私は内閣総理大臣に指名していただいて幸せだなと思っておりますのは、四全総というものが既に私が就任前に策定されておった。これは施策を進めていく上の一つの基礎的条件として、私自身にとって大変幸せなことであったなと実は思っておるところでございます。そうしてそれのいわばはしりとでも申しますか、いろいろなことを考えながら、いわゆる多極分散国土形成ということが少なくとも位置づけられはしてきた。そういうことに、たまたま前内閣から今ももちろん継続しております土地問題というものがちょうど複合しまして、そこで国会に自発的に土地問題対策特別委員会というものができて、しかもこの四全総の促進のための基本法ともいうべき今次の法律がこの委員会に付託され審議されてきた。そういう環境は私自身にとって大変恵まれたことであるなというふうな問題意識をまず持っておるところであります。  しかし、今もろもろ御質疑がありましたように、これは一挙にできるものであるとは私自身ももちろん思っておりません。したがって、少なくともそのはしりとしての、今第一次もあろう第二次もあろう第三次もあろうとおっしゃった。が、曲がりなりにもできましたこの基本方針に基づいて、今は第二次とでも申しましょうかそうしたものを少なくとも概算要求時点までには整理整とんをきちんと、やはり各省庁調整ということをお願いをしてやっていかなければならぬ課題だというふうに、まず考えておるところでございます。  そうなると当然のこととして、この問題は、今度はただ、首都が仮にどこにあろうとも、関東ブロックというものは関東のいずれかの地帯に移したがよかろうということが今現実化しておる一つの問題になっておるわけでございますが、それだけでもとより済むものではございませんので、それこそ今おっしゃった、道州制の議論まで進むかどうかは別といたしまして、そういう地域ブロックの問題に対してもそれぞれの青写真というものを、四全総で特徴だけは明記されておりますから、そうしたものに地域の方々の知恵を加えながら、そういうものを形成していかなければならぬというふうに考えております。  それと、今度はそれに伴うところのいわば地方の自主性の尊重ということでございますが、これは私は基本的には一番大事なことであると思っております。しかしながら、そのいわゆる財源調整ということになりますと、税源というものが非常にばらつきの多い今日、自主財源というものにもおのずからの限界はございましょう。したがって、その中の議論ではまた第二交付税的な議論も出て、補助金に対するいろいろな角度の問題も引き続き議論をしていただかなければならぬ問題ではなかろうか。そうして権限移譲の問題につきましても、確かに行政改革は天の声である、こういう雰囲気の中で行革というものが進められ、そうしていわば非常に目に見えやすいところの国鉄とか電電とか専売とか、そういうものが総裁がいなくなって社長になった。こういう進歩はありましたものの、地方への権限移譲ということになりますと、私もいまだしという感じを持っております。  これに対していろいろな困難な問題がありましょうとも、私どもはそれに対してやはり着々と物を進めていかなければならないではなかろうかというふうに思っております。一挙にできるものとは思いませんが、もろもろの意見等、これは誘導税制等々いろいろございます。そしてまた財源配分の問題等も踏まえながら、まさにその基本法ともいうべき今次の法律というものに基づきまして、特に協議機関というようなもので縦割り行政のもろもろの調整も私は幾ばくか前進するのじゃないかという期待感も含めて、これから私なりに、国会のこういう雰囲気は盛り上がってきておるわけでございますから、御協力も得ながら、まさに国民次元の問題としてこの問題を進めていくべきである、このようにみずからにも言い聞かせておるところでございます。
  33. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  34. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、坂井弘一君。
  35. 坂井弘一

    ○坂井委員 本題に入ります前に、奥野長官は先ほど、日本だけが侵略国家と言われるのは当たっていない、こういう御発言でございました。そのことは、日本もやはり侵略国家には違いない。中国それから韓国も大変な大きな反発があるようでございまして、人民日報あるいは北京日報、それから韓国におきましては韓国日報等々、いずれも、日本侵略国家ではないという奥野長官発言であった、そのことに対して大変大きな驚きと怒りを感ずる、こういうようなことでございます。  そうでございますれば、日本の過去のあの忌まわしい軍国主義者による侵略戦争というものが、日本侵略国家であったと烙印を押され、またそのことを日本としても大きな反省としている。日本国民中国を初めアジア近隣諸国に多大の御迷惑をおかけした、そこから出発しているわけだと私は思うわけであります。  したがって、先ほど長官がおっしゃられたような、我が国は侵略国家である、これはもう率直に――そこのところが侵略国家ではない、侵略を否定されたんだ、こう受け取られたとするならば、これはもう少し長官の真意を伝えて弁明すると申しますか、御迷惑をかけたというならばかけたということで率直に、そういう何らかのこの発言に対します収拾として対応されるお考えはございませんか。弁明されたらいかがかと思いますが……。
  36. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 百三十年前までは鎖国をして外国との交通も禁止しておったわけでございました。開国してみれば周辺は白色人種植民地になっておったわけでございました。にもかかわらず、敗戦の際に日本だけが悪者扱いになったわけでございまして、そういう時代であったのじゃないかな、こう思っているわけでございます。  私は、日本が近隣諸国に大変な迷惑をかけてきたということは常に言っていることでございますし、そのことはみんなは十分に理解していることじゃないかと思うのでございます。ただ、白色人種自分たちのことを棚上げにして、日本だけが特別な国であったような指摘がされているということは自虐の精神に侵され過ぎているじゃないか、こういう気持ちがあるものでございますので、私はその当時の状況を申したわけでございます。そのときにある通信社が新華社に連絡しようというような話があった。どういうような連絡をされたのか知りませんけれども、私はその辺の中身にも問題があるのかなと思ったりしているわけでございまして、私は何ら釈明をしなければならないということはない。どういう反響が出てくるか知りませんけれども、それに応じて私はだんだんと明らかにしていけばいいのじゃないか。私が進んで今ここで何かをしなければならないというふうには思っておりません。また何かをしますと、またそれが、そのとおり伝えられる日本であればよろしいのでございますけれども、私は必ずしもそうなっていない日本のマスコミ世界の一部に大変不満を持っている一人でございます。
  37. 坂井弘一

    ○坂井委員 この問題は余り私は深入りして議論するつもりはございません。ただ、他国のことはいざ知らず、我が国がかつて侵略をしたという歴史上の厳然たる事実、これを踏んまえて、中国を初めアジア近隣諸国に対して物議を醸すような御発言はひとつ慎んでいただきたい、そのことだけは申し上げておきたいと思います。  本題に入りますが、なぜ東京集中なのか。私は、その根本原因の一つは一口で言いまして地方分権ができなかったからではないか。今、首都圏集中型の発展日本がずっと遂げてきたわけですが、どうもこのことは中央集権それから独占化あるいは画一化、こういう弊害をもたらしてきたこともこれまた事実ですね。このことは、考えますと日本の社会のあり方といいますか、大変深いところでかかわり合っていると思うのですが、東京一極集中、中央集権から地方分権へ是正を行う、改革を行うためには、やはり相当の決意と戦略がなければこれはなかなかにして難しい問題だろうと思います。  そこで、総理に冒頭お伺いしたいと思いますが、多極分散のためには国が持っています行政権それから財政権、これを大胆にかつ大幅に地方に移譲する必要があると私は思いますが、今までも地方分権が言われながらなかなかに進まなかったと思います。これは一体その理由は何なのか。あわせて、総理は今後どのように取り組まれるのか、その方針と御決意をまず承りたいと思います。
  38. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 まず、先ほども申し上げましたが、私が総理大臣に就任した折、四全総というのができておったというのは私にとって大変幸せだったな、こう思っております。その上に国会において特別委員会が自主的にできて、それをサポートする環境が熟しておる、これも大変に幸せであったというふうに思っております。  そこで、なぜ東京中心かということについて私なりに考えてみますと、明治二十三年七月一日が総選挙が行われた最初の年でございます。そのときを見てみますと、東京が、約でございますが、定かには覚えておりませんが、約百八十万、新潟が百八十万で、三万人ぐらい新潟県が多いわけでございます。そういうような状態であった。すなわち、明治二十三年というのは、国会もできましたが、ある意味においては中央集権の始まりだったかな、こういう歴史的印象を、印象でございますけれども、私は持ってきております。その後だんだん人口の変化が生じてまいりましたが、しかし、そのときは地方東京との一人当たり所得格差というのが大体九分の一とか、あるいは愛知県でも三分の一ぐらいでございましたか、そんなような開きがあったのが、ある意味において中央集権的なものによってそれが均等化されてきたということがあったのではないかなと思います。  ところが、それが今の時代に、まさに今度は行政権限だけでなく産業機能その他も全部集中しましたために弊害が起きてきて、そうして戦後のいわゆる地方自治というものからして地方分散ということが始まったが、現実的にはそれが定着はしていない。いわば格差の是正等には幾ばくか役に立っていることは事実でございますけれども。したがって、私は、今度出た多極分散というものがまさにこれからの一つの哲学であり、そうすればそこで最も力を持たなければならぬのは地方自治じゃないか。そうすると、力を持つということになりますと、おっしゃいますとおり権限の移譲と財源の配分と、いわばこの二つに尽きるとでも言えるのかな、こういう感じがしておるところでございます。  したがって、権限移譲の問題は、臨調答申、行革審等からして、いろいろ指摘されていくのを着実にまず実行していかなくちゃならぬ。いわゆる財源問題につきますと、今度は税源というものが非常に偏っておるところに問題があるので、これはまさに国会の問題としていろいろ議論していかなければならぬ課題だろうな、しかし税制改革等において地方税の充実ということがまた考えられておることは私も承知しておりますけれども、よく言われます地方制度審議会でございますか、そうした意見等も十分に議論しながら、国会の意見等議論しながら、税源配分というのは非常に難しい問題でございますが、これは避けて通れない課題だと考えます。少し話が長くなりました。
  39. 坂井弘一

    ○坂井委員 総理、お答えいただきましたが、まさにこれは国会の問題として、国会の権限、責任において進めなきゃならぬ大変大きな事柄、問題だろうと思います。日本ほど集権的行政体制というのですか、こういう体制の国というのはちょっと外国には例を見ない。歴史的な背景までさかのぼるつもりはないのですが、どうも徳川幕藩体制以来、日本の社会風土、そういうところにずっと根差してきたものが今日の中央集権的な、またこのことが東京一極集中というものを形づくってきたのじゃないかなと思いますが、今日の時代というのは地方分権地方の発想、地方の創意工夫、地方の活力、こういうものを引き出していく個性化の時代といいますか、東京一極集中、中央集権によって画一化されたものを、規格品――規格品の大量生産時代、あれは高度成長の時代だっただろうと思うのですが、これはよかれあしかれ中央集権が非常に大きな役割を果たしたのだろうと私は思いますね。ただ、今はちょっと違いますよね。多品種少量生産の時代だとかこんなことを言われますけれども、どうしても地方分権、これを進めなければ新しい時代に対応できない、社会風土、社会体制、社会のあり方、その根っこにかかわる非常に大きな問題だろうと実は私は認識をしておるわけでございます。  総理、お答えいただきましたけれども、確かに国の権限、許認可事項だって一万件近い、その根拠になる法律が二百二十一もある。中にはバスの停留所を変更するのも中央へお伺いを立てなければいかぬ、民生委員の委嘱もそうであります、犬の登録等々、こんなものがなぜ許認可事項なのか。地方でどうしてできないのか。もっと地方を信頼して、あるいは責任を持っていただいてきちんとやってくださいと言えばできることまでが許認可事項だといって、中央が頑とこれを持っている。そして相も変わらずとにかく陳情合戦、これは現代の参勤交代、それで東京東京へ。この体制が続く限り、これはいよいよ新しい時代に我が国は逆行しましてどうしょうもないことになってしまう。その一つのあらわれが今言う東京一極集中であり、やはり多極分散という方向に向かわざるを得ないというせっぱ詰まったところで出てきたのが今度の多極分散国土形成促進法であろう、実は私はそう見ているわけであります。  したがって、一極集中打開のためには大胆かつ大幅な地方に対する行財政権限移譲だ。そこのところが徐々に小手先で部分的にやっても今までの手法ではもう行き詰まったのではないかな、こんな気が実はいたします。これはまさに国会の問題だな。そこでこれを本気にやろうと思えば、例えば国会に行財政権限を地方に移譲するための特別委員会みたいなもの、これはなじむのかなじまないのかどうかわかりませんが、あるいは首都機能等の移転に関する特別委員会、国会の権限、責任において思い切ってここで議論をして大胆に進める、この手法しかないのかな、こんなことを思うのですけれども、総理、私今申しましたような考えに対しまして、総理のお考えをひとつお聞かせいただければと思います。
  40. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 私も政治家ではございますが、国会で指名された行政府の責任者ということでは国会に対する発言はその域を出てはならぬということを私も幼少のころから教わっておりますので、おのずから限界があることをお許しをいただくといたしますならば、私の感想を申し述べさせていただきますならば、この土地対策特別委員会というのができた、そうしてその中の議論等を私も拝見させていただいておると、今坂井さんがおっしゃったようなことを国会でいろいろお考えいただいておるのではないかな、こういう印象を持ってお話等を伺わせていただいておるというのが素直な私の感じでございます。
  41. 坂井弘一

    ○坂井委員 隗より始めよということもありますし、あるいは国権の最高機関としてのこの国会の意思というものが、今私が提起いたしました中央集権から地方分権へ、こういう新しい時代の方向を形づくっていく、実現を期していく責任ある立場というのは国会だろう、まさに総理の御認識どおりと私も自覚をいたします。ただ、なかなかにしてこれは進まないということもこれまた事実なんです。  奥野長官、昨年私はこのことに触れましてお尋ねしましたところ、長官から次のような御答弁をちょうだいいたしまして実は私非常に感激、感動いたしました。長官の御答弁はこのようになっています。「国会がまず率先して移転していけば、あとはついてくると思います。同時にまた、戦後、民主化だ地方分権だと言っていましたけれども、最近の模様を見ていますと、中央集権にだんだん来ていると思います。私もやはり、多極分散型の国土総合開発を言う以上は、権限の運用の面においても地方分権の方向に切りかえていかなければならないな、こんな考え方も持っているわけでございます。」まことに的確な御答弁をちょうだいいたしました。  そこで、国会あるいは中央省庁移転について、総理、これまた御感想で結構でございますが、私はやはり国会が移転していくのが一番早いのかなと、ハードの線と中央の中枢管理機構、なかんずくその中の国会、この機能東京から外に出る、そうするとついてくると長官おっしゃる、全くそうだと思う。これは国会の求心力というのは大変大きい。行政も、あるいは経済文化、すべてが国会を中心に集まってきていることは日本のまさに特殊なこういう体制、仕組みでありますので、国会が外に出ていけばみんなついてくるだろう、全くそうだと思うのです。国会が外へ出ていったらどうかな、国会移転に関する特別委員会ぐらいはっきり表題をうたって、そんな委員会ぐらいできないかな、そうすればまだるっこいことはなしでどんどん議論はかみ合いながら前向いて進むのではないかな、こんな気すらするのです。また、そういうことを決めれば東京の地価は下がると思いますよ。それが一つ。  それから、では来年か、これは無理でしょうね。二十年か三十年先だ。かなり将来にその移転のめどを置くということにすればいかがでしょう。そうすればできるのではないのかなという気が実は私はしておるのですけれども、総理の御感想を承りたいと思います。
  42. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 感想と言っていただきましたので、行政府の長がそれを考えておると言えばこれはあるいは独断専行のそしりを免れないであろう。しかし、一つの見識として私どもは十分承らしていただいたということに尽きるのじゃないかなと思います。
  43. 坂井弘一

    ○坂井委員 報道によりますと新行革審の土地対策委員会の答申が六月に出るようでございます。その中で国会、裁判所の移転、再配置の検討を期待する、こういうことで記述されるのではないかという報道があるのですが、これが出れば、これは私が今申し上げたこと、また長官がまさに国会の移転ということをおっしゃったことと一にする答申と思うのですが、これは大体どんな方向に行っているのでしょうか。
  44. 増島俊之

    ○増島政府委員 行革審におきましては土地問題の特別の委員会を設けまして今検討しておりますが、その審議につきまして大体五月の末ぐらいになりまして、そして本審議会にそれを報告するという段取りになっております。  首都機能移転につきましては「当面の地価等土地対策に関する答申」がございますが、その中で、緊急の事項以外に中長期的といいますか、より本格的に検討すべき問題としまして、「首都機能、都市・産業機能分散等」につきましてはさらに検討するということで、そういう事項についていろいろな御審議をそれを含めてされているということは事実でございますが、内容につきましては、まさに審議の途上でこざいますので、まことに恐縮でございますが、現段階においては申し上げることはできないということでございます。
  45. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 最初、実は土地対策を政府の審議会で、どこでやってもらおうかと私も悩みました。それで、各種の規制がございますから、そういう規制を緩和するという方向からすれば行革審に取っかかりがあるではないかということでお願いをして、しかも、余り気にしないでかなり踏み込んだ議論をしていただいて結構だというふうな気持ちもお伝えをしたわけです。  そこで、行革審でいろいろ議論が行われ、それで、中長期にわたって検討をすべきことというようなことが記述され、それも含めて今議論をしていただいておるわけでございますが、ただ、行革審そのものの持つ権限からすると、そこまでは、検討課題としては触れることができても、こういうことをすべきであるということは、恐らくちょっと、若干遠慮されるのかな、私のこれも印象でございます。
  46. 坂井弘一

    ○坂井委員 私もそのような印象を実は持つわけです。ただ、国会の移転まで検討することを期待するというところまで仮に検討されているとすれば、これは相当思い切った国会に対する御注文だな、国会みずからが決めるべき事項に対してそこまで来てるかな、そういう意味で実は評価をしたい、私はそう思っているわけでございます。  論点をもう一遍整理いたしますと、私の言いたいのは、地方分権、国の行財政権限を思い切って地方に移譲する、これはソフトの遷都。もう一方において、この国会を初め、中央、東京に集まりました中枢管理機能首都機能、これを一括して移転するという、これはいわゆるハードの遷都。それから国会の移転というハードの遷都、これが現実性があるのかな。しかし、それに先立ってやらなければならぬことは、やはり地方に対する分権、これをどこまで進めることができるか、これがより大事だろう。少なくともこれを一体のものとしてとらえて遷都論を行いませんと、ただ機能分散だけでは多極分散国土形成はおよそ無理だろう。私は実はそんな気がしながらお尋ねをしているわけでございます。  長官にお尋ねいたします。  一省庁機関移転計画、これは総理が御発案になりまして、何でも移転対象機関が約百機関ぐらい挙がっているそうでございますが、移転先はどこだろうかというのが、実は私は非常に関心を持ちましてじっと見させていただいておるのですけれども、どうもまだはっきりしない。どうやらちらちら耳に入ってくるのは、聞こえてくるのは首都圏の中というのですか周辺に移転をして、言うなれば首都圏内の移動というようなことで、いわゆる一省庁機関地方移転地方へ、東京圏外へ出るというのがどうも少ないような、そんなことを聞くわけでございます。その辺はどうなんでしょうか。  それと、それでは言うなれば展都みたいなものでして、ますます東京圏、首都圏の圏域を拡大をするということに相なりまして、人も物も金もなおまた東京集中、今の首都圏の拡大ということになってしまうのではないか、こういう危惧を実は持つわけでございます。本当に一省庁機関移転と言うならば、思い切ってうんと遠い外へ出る、出させるというような方向で作業を進められますか、いかがでしょうかということでございます。
  47. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 多極分散型の国土をつくる場合に、政府関係機関もその一つの役割を果たしてもらおうとは思っているわけでございますけれども、これだけが特効薬ではこざいませんのでこれだけで多極分散型の国土ができるとはもちろん思っておりませんし、坂井さんもそういう意味でおっしゃっていないことは百も承知しているわけでございます。  やはり基本国土基盤を整備する、交通、通信、情報、どの地域にあってもそう格差がないというような社会をつくっていくことが根本ではないだろうかな、こう思っておるわけでございます。幸いにして青函トンネルができましたり瀬戸大橋ができましたりして四つの島が交通で結ばれるようになったわけでございますけれども、四全総には全国一日交通圏ということをうたい上げておるわけでございまして、主要な都市から主要な都市へ行くのには一日で往復できるんだというような状態に持っていこう、こういうことでございますので、したがいまして、高速交通機関の体系も整えていかなければならないのではないかな、こう思います。高規格幹線道路の一万四千キロメーターは既に閣議決定されているわけでございますけれども、リニアモーターカーをどうするんだとか、空港をどうしていくんだとか、コミューター空港でありますとか、ヘリコプターの基地をどうするのかといったような問題もあるわけでございまして、いろいろな問題を抱えている上に、これまでは地方発展につきましても、中央の方からこういう方針でやれば中央が応援しますよという姿勢でございました。新産都市の建設も工特の法律も、あるいはテクノポリスの法律もみんなそうでございました。今度はそうではなしに、地域地域で知恵を出しなさいよ、その特性をどう生かしたらいいかということを考えなさいよ、そして創意工夫を尽くして努力をしてくれるならば国もお手伝いしますよ、そのためには促進協議会をつくって、知事さんばかりでなしに関係各省の人も集めて早急にそれが達成するような協力をしますよ。言いかえれば、規格的な、統一的な地域発展ではなくて手づくりの地域発展、そういうところへいけるような、日本経済力も充実してきたということにもなるのではないかなと思うのでございますけれども、いろいろな手法を合わせまして多極分散型の国土をつくりたい、こういうような考え方で進んでおるところでございます。
  48. 坂井弘一

    ○坂井委員 東京に来れば何でもあるんですね。ですから、人はやはり集まりますよ。魅力がなければ地方には人は来ません。道路交通網を整備すれば、そうしたらお金みたいなもので金利は高きに流れる、水は低いんだけれども、道路だって一緒で、道路がつけば魅力がある高い方へ、田舎から都会へ、都会から東京へ、どうもこういう流れになってきている。だから、これを食いとめるといいますか交流をさせる。それにはやはり地方にも魅力のあるものがなければ、東京に対応するようなものがなければ、画一的な同じようなものを幾らまねをして地方につくっても、今それでは魅力にならぬですね。東京には場があります、舞台があります、面としての広がりがある。何でもある、ごった煮。地方は、部分的にとらまえてみたって点ですよ。そういうところは若者にはおもしろさがない、魅力がない。ですから、美術館ができた、体育館ができた、いろいろな箱物はできるんだけれども、どうもやはり東京の方がいいですね。  そこで、総理、これは御感想として、例えばパンダを見たかったらば東北のある町に行けばパンダがある、コアラを見たければ四国かどこかの町に行けばそこにコアラがある、二つ三つはない、これは物の考え方です。東京には東京ディズニーランド、東京ドームもありますから、やはり東京に来なければいかぬですね。あるいはイベントだってそうでしょう。長官、今度奈良ではシルクロード博、これは大変結構な催しだと思います。何かそういう独創的なもの、他に二つとない、同じようなものをまねるのではなくて、日本全国のあちこちにいろいろなものを置く、あるいはいろいろな催し物を多様に分散して考える、これも多極分散国土形成への大事な一つ手法だろう、私はこんな気がしておるのですけれども、ひとつ御感想なりお考えなり御方針なり承って終わりたいと思います。
  49. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今おっしゃったことに私ことごとく賛成でございます。  確かに先ほど奥野長官からのお答えにもありましたように、例えば私自身の国会における経験を振り返りましても、新産都市だ、あるいは地域立法では過疎、一番新しいところは半島振興なんというのもありますが、言ってみれば中央で規格をつくりましてこれに合致するような計画をどうか持っていらっしゃい、こんな感じでございました。これからは地方歴史とか文化とか伝統だとかそういうものに基づいた特色あるものを地方から持ってきて、さあ今度は協議会等をつくって、どのようにして国がそれにサポートしてさしあげることができるだろうか、こういうふうに変化する。そうすると、今おっしゃいましたような美術館の例もありましたが、美術館は最近各地方の美術館が、ピカソならあそこにあるぞ、大観ならあそこだぞ、かなり特徴が出てまいりました。今イベントとしての博覧会というのがことしでも一、二、三、県で四つやっておりますが、非常に計画的に各地方で特色のある博覧会等をおやりになるようになった。これらは地方の活力の芽を出す一つのきっかけにはなるんじゃないかという期待を私も持っておりますので、いずれにせよ、その地方考え出したものに我々がどのような形で協力できるか。規格品をつくって、この中で適応するものがあれば持っていらっしゃいという考えはさようなら、地方考えの積み上げよこんにちは、こういう考えで進んでみたい。感想めいたことばかり申し上げましたが、以上がお答えというよりも私の感想とさせていただきます。
  50. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。ありがとうございました。
  51. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、田中慶秋君。
  52. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今回の多極分散国土形成法の問題について、基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。  今回の東京圏内での分散策を図ることを前提として先ほど来論議をされておりますけれども、地方の権限移譲、財源というものが大きなウエートをなすものだ、こんなふうに思っております。そこで、これは総理及び国土庁長官にお伺いしたいわけでありますけれども、基本的に具体的な移譲策といいますか、そういうものがあってこれが促進されるのではないかと思うのですけれども、権限の移譲についても財源問題についても明確でない、こういうことになってきますと、せっかくお骨折りをしてつくられた今回の法案も大変期待薄になるんじゃないか、こういうことが今言われているわけでありますので、具体策を明確にしていただきたい、こんなふうに思います。
  53. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 それぞれの地域がそれぞれの特性を生かして地域発展を図っていくというためにはできる限り権限を地域に持たせますことが、責任を持って地域発展に尽くすことができると思います。でございますだけに、多極分散考えるなら地方分権がまず取り上げる課題だと思います。この法律をつくるに当たりましてそれが一番大事なことであることは、私は百も承知しております。しかし、それをやろうとすると二年、三年はかかるよ、こう申してまいりました。とても間に合わない。したがって、それにかわる手法をいろいろなところでこの法律の中に取り上げているわけでございます。  今も坂井さんの質問の中で答えましたように、これからは地方の方がまずアイデアを出してもらって、こういう地域発展を図っていきたいんだ、例えば福岡と熊本の境に九州アジアランド構想、アジア地域とは一番近いところだし、かつてもそういう拠点でもあったんだから、そういう国際交流を中心にした地域発展考えたいなと思っておられるようでございます。あるいはまた、東北は東北大学などを中心にしてかなり進んだ研究もあるようでございまして、東北インテリジェントコスモスというような構想も持っておられるようであります。まず地方の方で発想してもらおうじゃないか。それを中央の方が必要に応じて促進協議会をつくって知事さんにも入ってもらう、各省の責任者にも入ってもらう、そこで早急に結論を出してあげようじゃないか、だからそういう手法を通じて地方分権の実質を上げていきたいという考え方をとっておるわけでございます。一例を申し上げたわけでございます。  同時に、財源の問題も、先ほど来総理がお答えされておりましたように、今の社会保険料負担を含めまして国民総所得の三五%前後、さらに引き上げて地方に財源を付与するということはとても今の状態でおっしゃっていない、こう思うわけでございます。同時にまた、国の財政もかなり逼迫しておるわけでございますから、国の財源を取り上げて地方に回せという御意見でもないのではないかな、こう思うわけでございます。そういたしますと、その財源を地方の望ましい方向に適正に使っていくということになるのじゃないかな、こう考えるわけでございます。  そういう意味におきまして、現在国土庁というのは国土総合行政を調整していくその推進機関でございますけれども、この法律ができますと、この法律を根拠にして積極的に公共事業への配分などにつきましても地方の意向に即して物を言っていくことができやすくなるのではないだろうかな、そういうことを通じて地方財源の面についても配慮していくことができるのではないかな、これもまた一例でございますけれども、そういうことで実をとっていこう、こういう考え方でこの法律を苦心したわけでございます。わずかな期間につくり上げたわけでございますけれども、その割合にはまとめることができたのではないかなと私なりには思っておるところでございます。
  54. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それでは具体的に総理にお伺いしたいと思います。  今地方分権の話がそれぞれ、先ほどの論議でも明らかになりましたし、長官の話でもなりました。しかし今度の法案の中でも、例えば業務核都市づくりの中で、その整備を図るためには内閣総理大臣業務核都市基本方針を策定し云々という形になっております。ここには地方意見を聞くということを全然うたっておりません。そしてなおかつ、今地方分権が本当に論じられるのであれば、その方針の中に、地方意見を明確に反映し、とか地方意見を聞く、そういうことを明らかにすべきだろうと思います。あるいは我が党でかねてから財源問題で主張していたように、今の補助金を見ていただければわかるとおり、補助金のためにいろいろな形で御苦労をされておる。私たちはメニュー方式ではなく一括方式、すなわち第二交付税的な要素を含めて、こういうことも過去に何回か総理にもただしてまいりました。発想の転換はもう既にこの時点から図るべきではないかということを私たちは申し上げているわけであります。今回のこの業務核都市づくりについても、そういう問題についても明らかになっていないところに一部骨抜きではないかといろいろなことを言われておるわけでございますので、この辺について総理の見解をお伺いしたいと思います。
  55. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 基本的には今国土庁長官からお答えがありましたように、要するに、これから地方の知恵を吸い上げて、どのようにして協議会等をつくりながらこれが進みやすいように公共事業の傾斜配分等も加えて調整機能を発揮していく、その基本法である。  そこで具体的な問題として業務核都市基本方針の策定の問題についても御言及になりましたが、この問題は東京圏における大都市問題の解決を図り、良好な居住環境を確保するため、諸機能東京都区部への過度の集中を是正し、これらの機能の適正配置を図るという広域行政の観点から、国がまず業務核都市基本方針を定めるものとしたところでございますが、この基本方針は概括的な基準にとどまるものであって、個別具体の都市の整備の構想については各都県が作成することとなっておりますので、地方公共団体の自主性を十分にこれには生かしていくという基本考え方で臨まなければならない。  しかし、基本的にはそれ以上に、いわば財源移譲の問題もあるじゃないか、そのとおりであります。第二交付税構想というのは、これは古くて新しい問題という、あるいは古い問題にかなりなったかもしれぬ、しかし今でも新しい問題として続いておるわけでございますが、我々として整理整とんをして、これは検討に値すべき問題ですが、今度はいろいろな補助行政の、いいところもまたあるわけです、それとの調和というのが難しくて、今日まで答弁はまるで定食を差し上げるように検討すべき課題であるというように限界をそこに置いておったわけでありますが、この第二交付税あるいは第二交付税的とでも申しましょうか、こういうことについての補助金行政のあり方についての検討を続けることは当然のことであろうというふうに私も考えております。
  56. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしてもこの第二交付税の問題も地方分権一つであろう、こんなふうに私は考えておるわけであります。  そこで、具体的に国土庁長官にお伺いしたいのは、例えばせっかく今回の行政機関地方移転された後、これに対する跡地利用計画というものが明確でない。例えば跡地利用計画、そこには社会的な公共施設をつくるとか公園であるとか文化施設であるとかイベントホールであるとかあるいは高層住宅をつくるんだとか、こういう形でこの辺を明確にしておく必要があるであろう、こんなふうに思っております。移転された後、また何かの目的でそれが地価の高騰を招いたのではいけませんので、その辺も明らかにする必要があるんじゃないか、この辺について明快な答弁をいただきたいと思います。
  57. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 跡地の利用につきましては、今田中さんがお述べになりましたようなことを私たちも十分に配慮していかなければならないことだと思っております。いずれ移転政府関係機関が固まりました段階で、その問題を取り上げようと思っております。もちろん地価の高騰にさらに拍車をかけるようなことは当然慎んでいくことは言うまでもないことだと思っております。
  58. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしてもこの辺を明らかにすることで今回の法案もより具体性が強化されるのであろう、こんなふうに思っておりますので、この辺を指摘しておきたいと思います。  経企庁長官が来ていただいておりますのでお伺いしたいわけでありますが、四全総は大体一千兆円という形でスタートされております。昭和七十五年、こういうことですね。これは大変評価されております。しかし、今回の多極分散の問題にしてもあるいはまた四全総にしても、財源問題がさっきから論じられておりますね。そういう点では国の経済の見通しというのは欠くべからざる今度の大きな柱になってくるんだろうと思います。  そういう点では、この一千兆円の昭和七十五年の経済見通しというものは非常に立てにくいかもわかりませんけれども、今せいぜい五年計画しか立っていないわけでありますから、しかしこれだけの大きなプロジェクトを組んで将来に行くにはやはり財源というものを明確にしなければいけないということも、総理国土庁長官も明確にしているわけであります。しかし、そういう点においては経済の見通しも当然七十五年までおぼろげながらであっても明確にする必要があるだろう、官民一体となってこの行事は進めなければいけない問題でありますから、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  59. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 田中先生にお答えさしていただきます。  見通しとして昭和七十五年でございますか、二〇〇〇年ということになりますから。これは御案内のとおり、私もたった今そこから駆けつけてきたのでございますけれども、経済審議会が向こう五カ年の、名称はどうなるかわかりませんけれども、今ずっと担当してやっておる次第でございます。したがいまして、きちっとした委員のお答えになり得ないことは残念だと思いますけれども、ただ、今般、四月十四日だと思いますが、発表いたしました企画・公共部会、この中でも相当な論議が展開されておるわけでございます。  御案内のとおりに計画期間中の経済運営におきましては、まず対外不均衡を是正しようじゃないか、それから規制の緩和もしようじゃないか、あるいは国民生活に実質的に結びつく、暮らしの豊かさを味わえるような経済にしようじゃないか、これは根幹として考えておるわけでございます。そこで、思い切った構造調整を図りまして、そしてまた内需主導型の推進というものが何といっても先生御指摘のとおりに大事だと思うのでございます。  そこで、こうした構造調整の推進という意味におきまして、計画期間中は、内需に近年すばらしい高まりを見せておる、これを続けようではないかということから、実質経済成長率は大体四カ四分の一%と見ておるわけでございます。したがって、前よりは一%強ということになりましょうか。しかし、さはさりながら、外需をマイナスの寄与度に持っていくという観点から、現在の段階では三カ四分の三というOECD方式を取り入れてそういう形の表現考えているというのが実情でございますけれども、限りなく内需を拡大し、そして国民生活の豊かさ、世界への貢献度というものも含めて考えていく、しかし、その中において外需というものはやはり世界への貢献路線に沿ってマイナス寄与度に考えていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  60. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても今回の多極分散型の国土づくりもこれからの内需拡大に大きな貢献をされると思いますので、その辺をひとつ含んでやっていただきたいと思います。  そこで、実はこれは運輸大臣に質問しようと思っていたわけですけれども、きょうは参議院の決算ということで、基本的には総理にお伺いしたいと思います。  実は今回の多極分散の問題も、行政の分散なり地方振興開発あるいは交通問題、さらには大都市整備という大きな四つの柱になっているわけでありますけれども、交通網の問題、すなわちここで、例えば今回のように業務核都市づくりの整備ということを考えたときに、道路とか鉄道とか飛行場、交通、航空問題が非常に大きな関心を持たれるところであります。  そこで、実は神奈川というのは、委員長も神奈川ですけれども、人口が七百五十万、そしてまた京浜の産業地帯である。リニアモーターカーを一つとっても、東京に拠点を置くといってももう既に非常に難しい状態でありますから、神奈川に持っていった方がいいのではないか、あるいは東北新幹線も上越新幹線も横浜の貨物線を利用すれば現実に横浜まで持ってこられる、あるいは横浜の海岸を埋め立てすれば飛行場もできるであろう、そんなことをすれば新しい拠点なり新しい都市づくり、核ができるのではないか、こんな例えばの例を用いながら一つの例題として申し上げたわけであります。もう東京の交通状態はまさしくマンネリ化された交通渋滞という形で、これに幾ら巨額のお金を投資したところで直らぬと思います。ですから、新しい発想のもとにそんなことをやられたらどうだろう、こんな考え方を持っているのですけれども、突然でありますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  61. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 先にちょっと私からお答えをさせていただきたいと思います。  国際的な都市が東京だけだということになりますと、世界のいろいろな機関東京に殺到、集中いたします。やはりそれは避けなければならないじゃないか、横浜・川崎も東京にかわり得る国際的な機能を持った町にしたい、こう考えておるわけでございまして、そういう意味合いから、先ごろ国際会議場も横浜のみなとみらい21につくることに決めたわけでございます。横浜市長も、地方自治大学を港北ニュータウンに持ってこいとかいろいろなことを言っておられるわけでございますし、また、湾岸道路あるいは第二湾岸道路はまだ構想でございますけれども、そういう問題もありますし、また、鉄道の問題にいたしましても、横浜市交通局の三号線の問題もあるわけでございまして、やはり一つ都市圏形成して、そしてまた国際的な機能を果たし得る地域社会にしていかなければならない、そういうことで今後私たちとしては努力をしていきたいな、こう思っているところでございます。
  62. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 「ふるさと創生」の原点からいいましても、言ってみればあのみなとみらい計画なんというのはそれの一つのひな形だと私は思っております。したがって、今おっしゃいました道路、鉄道あるいは飛行場等々の問題も、やはりそういう一つの積み上げの中から出てくるものであろうし、それに対して政府として大いに関心を持つというのは当然のことじゃなかろうかというふうに考えます。
  63. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたので最後にさせていただきます。  実は、今回の国土法案も大変期待をされておりましたし、スタートの時点でいろいろな形で国土庁努力というものは私ども敬意を表したいと思います。しかし、国土庁が生い立ち、四十九年、すなわち狂乱地価という形の中で、列島改造論の中で生まれたわけであります。今回、国土庁がせっかくこの法案をつくるのに御苦労されたのですけれども、もう既に骨抜きにされたようなことも言われておりますし、また私ども、それぞれ当初から考えてみますとそういう懸念も持たれるわけであります。  そういうことを考えてみますと、先ほど総理は、行革は天の声、こんな形で言われたわけであります。そういうことでは国土庁の本来の目的を達成する意味においては、極端なことを言って国土庁の采配の問題について検討すべきか、もう一つは逆に、本来の調整機能を十二分に果たす意味でより充実するか問われている、今回の法案意味においても、相当国土庁に対する期待と、もう一度采配の問題をあわせて考えられるべき問題であろう、その考え方について総理にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  64. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 国土庁の持つ調整機能というのが、いろいろな曲折を経ながらもこの法律の作成というものに結果として実を結んだものじゃないか。したがって、いろいろな御批判を絶えず受けながらも、なおこの総合調整機能の強化という方向でこれから進んでまいりたい。御激励を賜りましたこと、ありがとうございました。
  65. 田中慶秋

    田中(慶)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  66. 小此木彦三郎

    小此木委員長 中島武敏君。
  67. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、大変時間も限られておりますので、幾つかの問題を総理に端的にお尋ねいたしたいと思っております。  三全総は、大都市に対する集中抑制、それから分散、再配置の積極的促進を打ち出したわけですけれども、結局効果を上げなかった。それで四全総東京一極集中を是正して多極分散型の国土形成する、こういうふうに言わざるを得なくなったわけであります。ところが、その四全総にもこの多極分散国土形成法案にも集中を規制する具体策というのがないのです。  それで総理に端的に伺いたいのは、どういうふうにこの集中を規制しようという策をお持ちなのか、この点を伺いたいと思うのです。
  68. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 ちょっと私から先にお答えさせていただきます。  やはり東京から事務所、事業所もできる限り出ていってもらう必要がある。そのために受け皿として業務核都市整備していこう。それに対しては税制問題などについて優遇策をとろうとしているわけでございますが、それ以上に、政府機関みずから二十三区の外に出ていけるものは出ていくようにしようじゃないか、こうしているわけでございます。  同時にまた、地方地方においてもそれぞれ工夫を尽くしていただいてそこが発展の拠点になるような努力をしていこうじゃないか。そういうことを考えてまいりますと、国土の均衡ある発展を図ることが集中を排除する根本になるだろうと考えるわけでございます。そのためには何といっても国土基盤を整備していかなければならない。ということになると、交通、通信、情報の体系を整備していくということだと思うのでございまして、そういう点についても特段の規定を設けておるわけでございます。公共事業費の配分などにつきましてはそういうことを考え努力していかなければならないと思いますので、この法律を基礎にいたしまして、国土庁が持っております国土総合開発事業調整費などが一層役に立っていくのじゃないだろうかな、こう考えているところでございます。
  69. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 確かに三全総への反省というものが四全総になかったとは申しません。御指摘もそれなりに私は正しいと思っております。そこで四全総というものができた。具体的には、まず環境から整備していこう。いわゆる国土の均衡ある発展ということは、環境から整備することによって結果として一極集中が排除されていく、しかし当面のホットな問題としては業務核都市等において東京都区部内からの分散というものも図っていこう。こういう長期的な環境の整備と当面の措置と両々相まって進めるべき課題である、このように考えております。
  70. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今長官総理からお答えがあった。環境を整備するとかあるいは業務核都市をつくって税制優遇で誘導する、いろいろおっしゃるのですけれども、これも端的に申し上げるのですが、いろいろそういう措置をとっても実際には東京に対する集中を規制する特別な措置をとらない限りは東京に対する集中というのはとまらないのじゃないか、私はこう思うのです。  それはほかでもないのですけれども、四全総の素案では、集中を規制する上で必要なものとして都市計画制度の活用、東京都心に立地する事業所に対して東京都心部という我が国最大の集積利益を享受するという事実に着目した特別な負担を義務づけるいわば特別事務所税の導入、それから事務所に対する許可制の導入、こういった具体策を挙げていたのですけれども、これがみんな四全総では消えてしまったのです。わずかに四全総で残りましたのは、「東京中心部等に立地する事務所の費用負担の在り方も含め幅広い観点から、適切な措置を検討する。」こうあるのですけれども、安藤太郎国土審会長はこの点にクレームをつけて、これにまたストップをかけてしまった、こういう御存じのような事態です。財界に押されていては東京への集中というのはなかなか規制できない。  そこで四全総とのかかわりでお尋ねしたいのですけれども、四全総では東京を国際的な情報・金融都市、こういう位置づけをしている。これに勢いを得て三菱地所が御存じのような丸の内再開発計画を発表いたしました。これは、指定容積率を世界にまだ例のない二〇〇〇%にする、サンシャインビルクラスのオフィス群を約六十棟建設する、それで丸の内周辺のオフィス人口を現在の二十七万人から四十七万人へと二十万人ふやすとんでもない計画、こういうものを発表したのです。私は、これは東京集中する最たる計画じゃないかと考えております。この点で、総理はこういう計画をお認めになりますか。集中を是正しようと考えている総理は、どうでございますか。
  71. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 その問題は、まさに構想が新聞に出ておったようなことは私も聞いておりますが、具体的な中身はつまびらかにしておりません。ただ、この国際金融都市という問題につきましては、私が大蔵大臣のときに、実は金融の国際化、自由化というのは急速度に進んできたわけであります。したがって、その問題についてのこういう波及の仕方が出てこようということをどれだけ意識したかと言われれば、やはり限界があったな、そこまで深刻に考えなかったのじゃないかなという反省も実はしておりますが、国際金融都市としてのあり方というのにはいろいろな構想はあり得るだろう。しかし、その構想について私が中身をつまびらかにしておりませんので、どういうふうに対応するかということを今お答えをする準備はございません。
  72. 中島武敏

    ○中島(武)委員 国土庁長官は、この問題について見解ありますか。
  73. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今総理からお答えになりましたように、一つの構想として打ち上げられたわけでございます。いろいろな考え方が出ることは、その間によりよい方向を見出すことができて、それ自身を否定する必要はないじゃないかな、こう思います。  それでは、それが実現可能かということになりますと、これはやはりいろいろな論議が出てくると思います。容積率も二〇〇〇%ということを言っておられますし、あるいはまた上水道や下水道やその他の問題についてそれだけの容積の拡大ができるだろうかとか、いろいろな問題があるだろうと思います。  いずれにいたしましても、そういう一つの構想でございますので、その構想の出ることを私は否定をしないで、いろいろな構想を歓迎しながらよりよいものを求めていく、自由な中に発展を求めていきたいな、こんな気持ちでおるわけでございます。
  74. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、いろいろな構想が発表されることは悪いと言っているのじゃないのです。しかし、こういうのがどんどん吹き上げられる。これはなぜかというと、一つは先ほど総理に申し上げた東京の位置づけというような問題もあります。  同時に、四全総にしろ今度の多極分散国土形成法案、これにしろ、東京への集中を是正するということは言っているのですけれども、では、東京への集中を規制するのはどうするのかというのは、先ほどから明らかなとおり、これはないのです。それで、集中を呼び込むような構想がいろいろ吹き上げられてくるのです。だから私は、政府としてはこういうのに対してやはりきちんとした態度をとるというのが必要じゃないかと思うのですね。  それから、これは先ほど長官が言われたことですけれども、業務核都市をつくっていくという話ですね。これも結局東京都心業務核都市に拡大するものではないのだろうか。  それからまた、最近は臨海部副都心、それから豊洲、晴海の東京臨海部開発、実はこれをやりますと、就業人口だけでも現在この地域は九千人で、その分を差し引きましても新たに十六万人から十八万人ふえるという計画になるのです。自動車交通も三十二万台新たにふえる。三十二万台といいますと、交通量が大変大きいので有名な一つでありますあの環七の四倍です。それくらいの自動車交通量もふえる。結局都市問題は発生してくる、交通はパンクしてしまう。  それから、この計画は都心と一体になったビジネスゾーンをつくっていくということでありますから、私はこういうことを考えますと、こういう副都心計画とかあるいは業務核都市計画というのは、結局のところ東京都心をその地域に拡大をしていくという、いわば、分散というのではなくて、東京集中東京圏に拡大をしたということにすぎないのではないかと思うのですが、どうでございますか。
  75. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 いつかもお答えをしたのですけれども、東京考えます場合にまず肥大化を防止しなければならない。そのために、既に工業等の立地制限はございまして、工場はつくれない、大学はつくれない。そのためにそういうシェアはかなり低くなってきているわけでございます。同時に、大地震でも起こったら大変な混乱になるわけでございますので、やはり再開発も進めていかなければならない。同時に、世界の企業日本集中してくる、いろいろな機能がどんどん高度化してくるわけでございますので、インテリジェントビルを幾つも建ててくる、あるいは宇宙衛星との間の通信も楽にできるようにそういう設備も整えていかなければならない、やはりいろいろな要素があるわけでございます。  その結果が集中を招くのではないかとおっしゃるわけでございますけれども、よい土地ができたから東京に来るのではないのであって、金融センターらしい機能を果たす、情報を確保する、そのためにはやはり東京だということになるわけでございますので、そういうような東京にかわる地域を大阪も持ったらいいじゃないか、そのためには大阪に国際空港をつくります、株式市場などにつきましても先物五〇を先に始めるとか、魅力ある地域にしようじゃないかということで大変工夫しておられるようでございます。関西学研都市にいたしましても、政府主導じゃなくて地域がまず案をつくっていくんだ、それに政府が協力しよう、大変いい空気が出てきているわけでございます。名古屋もそういう地域になっていくでしょうし、そうなってきますと、東京ばかりに集中するわけじゃなくなるのではないか。  今、東京でも、しかも東京の一点集中になっているものでございますから、先ほどもおっしゃいましたようにもう自動車で道路はあふれてしまうわけでございますし、鉄道は乗り残しをしていくわけでございます。これからはそういう時代ではなくなって、人のおるところへ企業を持っていかなければとても企業の成功は図れないな、変わっていくのだろうと私は思うのでございます。よい地域社会地方地方につくっていくことによって、そこに企業立地が始まるのじゃないだろうかな、企業の好きなように人を動かせるものではない、一時間も二時間も満員電車に詰め込まれて東京の都心に通ってきて、何が何でも企業の利益が上がればいいのだ、それを生きがいに感ずるような時代がいつまでも続いていくのだろうか、こう考えますと、私は必ずしもおっしゃったことには賛意を表しがたいのでございます。何が東京集中させているかという原点をもうちょっと考えていただきますと、高度な機能を持った地域社会をつくることが東京一極集中に拍車をかけるのだということにはならないのではないか、それはそれで必要ではないか、こういう御理解をいただきたいものだな、私はこう思っておるところでございます。
  76. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いろいろ申し上げたいことはあるのですけれども、ちょっと時間の制約もありますのでこの問題の最後に、ちょっと総理にこれも端的に伺いたいのですが、政府機関を二十三区外に移転させるということを先ほども言われましたし、この法案でうたわれているのですけれども、集中規制の名のもとに移転をさせますと移転跡地がオフィスビルに利用される、集中がさらに増すということになりかねないおそれがあります。  それで、総理に端的に伺いますけれども、跡地は民間へは払い下げない、自治体に随意契約で払い下げる、それから公園だとか公共用地にして東京の過密解消とか環境改善に役立てる、払い下げの条件は筑波都市と同様に優遇措置をとる、こういうふうにすべきだと考えますけれども、いかがですか。
  77. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今の御指摘は十分念頭に置かせていただきます。  土地問題が出まして、今、例えば国公有地あるいは国鉄跡地等を暫時ストップしておる、これでは基本的な政策ではない。そうした国公有地の払い下げ問題を含め、総合的に考えなければなりませんが、いわば今の二十三区から出た問題の跡地につきましては、基本的な考えを整理しながら、十分公共の用に立ち得ることを考えながら対応をしていくべきものであるというふうに考えております。
  78. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう時間も間もなく迫ってきておりますので、最後に伺いたいのは、奥野長官が靖国神社に参拝されて、そして記者会見をされた。いろいろなことを言われた。公務員の資格でいかなる神社にも参拝してはならないといったような占領軍の亡霊に振り回されてはならない、こういうふうに言われたとか、あるいは日本は天皇を中心に団結している、神話教育をきちんとやれ、こういうふうに言ったとか報道されておるわけであります。これは事実なのかどうか。  そしてまた、長官発言したことに対して非常に批判が高まっているのですけれども、取り消す気持ちはないのかということ。  それから最後に、総理に、奥野長官発言についてどういう見解を持っていらっしゃるかということをお尋ねしたいと思います。
  79. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 記者の方が、靖国神社にあなたは公的な身分で参拝したのか、私的な身分で参拝したのか、公式参拝か、私的参拝かというお尋ねがあったのでございます。  そういうことを言い始めたのは敗戦の昭和二十年十二月の神道指令に発しているのですよと、私は素直な気持ちで参拝したのであって、公的な身分だとか私的な身分だとか、自分の身分を考えたことはありませんよと、その神道指令の中には、公務員は、国家公務員であれ地方公務員であれ、いかなる神社にも公務員の身分で参拝してはならない、こう書かれたのですよと、それから始まったのですよと、こう申し上げたわけでございました。  それはやはり占領軍としては神道排除をねらったのですよと、やはり我々は地域地域に氏神様を持っておる、それはその地域の大先祖を祭っているのですよと、さらにその頂点にあるのは天皇家だと、日本は祖先崇拝、神道を通じて団結を守っている、この団結を破壊させようと。当時の占領軍の政策基本に書かれておったのは、日本を再びアメリカの脅威となるような存在にしてはならない、これが占領政策基本に書かれておったことなんですよ、そういうところにあったんですよと。しかし米ソ対決が始まってからアメリカの姿勢はがらっと変わったんだから、昭和二十六年、占領中ですよ、内閣総理大臣吉田茂さんは、靖国神社に内閣総理大臣吉田茂と記名して参拝されているのですよ、こんなことを申し上げたわけでございまして、同時に、神道排除をねらったわけでございますから、神道にかかわりあるような記事は教科書から全部抹殺しろと命令を下したのですよと、そしてその結果は、神話や伝説も教科書から消えていったのですよ、こういうことも申し上げたわけでございました。  その当時の経過を私は御理解いただこうと思って客観的に申し上げたわけでございます。
  80. 竹下登

    竹下内閣総理大臣 今奥野大臣からお答えになったとおり、いわば歴史的な経過を御説明になったというふうに承知しております。
  81. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  82. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  多極分散型国土形成促進法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  83. 小此木彦三郎

    小此木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  84. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 ただいま議決いたしました法律案に対し、西田司君外三名から、四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。西田司君。
  85. 西田司

    ○西田委員 ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     多極分散型国土形成促進法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 地域の特性を生かした地域づくりを進め、多様性のある国土形成を促進するため、地域の行財政基盤を強化する必要がある。このため国は更に権限の地方公共団体への委譲を推進し、地方財源の確保に努めること。  二 地価の高騰が国民の住生活の向上と社会資本の整備等社会、経済発展に重大な支障を及ぼしている現状にかんがみ、地価高騰抑制措置として、国土利用計画法の機動的運用、不動産業界等に対する強力な指導を引き続き行うとともに、良好な住宅、宅地の供給を促進し、国土の均衡ある発展に資するため、地価の安定に更に努力すること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願いをいたします。
  86. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 小此木彦三郎

    小此木委員長 起立総員。よって、西田司君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、奥野国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野国務大臣
  88. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 多極分散型国土形成促進法案につきましては、本委員会において熱心な御審議の上、ただいま議決され、深く感謝申し上げます。  審議中におきます委員各位の御意見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨は十分に体してまいる所存でございます。  本法案の審議に対し、委員長初め委員各位から賜りました御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表してごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  89. 小此木彦三郎

    小此木委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 小此木彦三郎

    小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  91. 小此木彦三郎

    小此木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十七分散