運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-04-20 第112回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 小此木彦三郎君    理事 石川 要三君 理事 大塚 雄司君    理事 西田  司君 理事 野田  毅君    理事 羽田  孜君 理事 井上 普方君    理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君       衛藤征士郎君    金子原二郎君       小杉  隆君    近藤 元次君       椎名 素夫君    田村 良平君       谷  洋一君    中川 秀直君       林  大幹君    若林 正俊君       小野 信一君    菅  直人君       沢田  広君    中村  茂君       草川 昭三君    小谷 輝二君       中村  巖君    森田 景一君       塚田 延充君    辻  第一君       中島 武敏君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  荒木  寛君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君  委員外出席者         参  考  人         (茨城県知事) 竹内 藤男君         参  考  人         (関西経済連合         会会長)    宇野  收君         参  考  人         (元内閣法制局         長官)     林  修三君         参  考  人         (東京経済大学         教授)     柴田 徳衛君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    高戸 純夫君     ───────────── 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   岡田 正勝君     塚田 延充君 同日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     岡田 正勝君     ───────────── 本日の会議に付した案件  多極分散型国土形成促進法案内閣提出第七八号)      ────◇─────
  2. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、多極分散型国土形成促進法案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として茨城県知事竹内藤男君、関西経済連合会会長宇野收君、元内閣法制局長官林修三君及び東京経済大学教授柴田徳衛君に御出席を願っております。  この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  なお、御意見は十五分程度に取りまとめてお述べいただき、その後、各委員からの質問にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず竹内参考人にお願いいたします。
  3. 竹内藤男

    竹内参考人 茨城県知事竹内藤男でございます。  この法案の御審議に当たりまして、土地問題についての意見を述べさせていただきます。  今回のような急激な地価高騰に対する土地対策といたしましては、税制の強化、金融対策あるいは不動産取引規制など、土地取引に対する規制措置がいろいろと講じられ、かなり有効に働いていると思いますが、土地問題解決の最も基本的対策は、土地供給を拡大し、需要供給のバランスを図ることであると考えております。その意味で、この法案の第五章の「住宅等供給促進」特に二十七条第二項の住宅宅地開発鉄道を一体的に整備する、この条項は極めて適切であると考えるわけであります。  将来の東京圏住宅需要増に対応するため、茨城県はかなり大規模開発を考えております。四全総首都圏基本計画等によりますと、東京圏人口昭和七十五年には約三百万人増加することになっております。その三分の一の百万人を受け持つ茨城南部地域は、この住宅地需要にこたえるためにも必要でございます。その特に中核の仕事といたしまして、常磐新線早期建設が不可欠であります。  茨城南部地域は、今申し上げましたように百万人の人口受け入れが期待されているわけであります。御承知のとおり、現在十三歳から十六歳のいわゆる第二次ベビーブーム世代昭和七十年代の前半から世帯形成を始め、昭和七十五年には住宅地需要が顕在化するわけでございます。この第二次ベビーブーム世代による住宅地需要の大きな波が昭和七十年代半ばに押し寄せてくるわけでございます。  茨城南部地域は、住宅供給地として非常に有利な条件を備えております。一つ東京の都心から四十キロないし六十キロという至近距離にございます。ここに全体では約四万四千ヘクタールの広大な開発可能地がございます。地価が比較的低廉でありまして、快適な自然環境の中にあります。しかも茨城県は都市計画法の適用をかなり広範にやっておりまして、この県南地域は既に市街化区域市街化調整区域の線引きを終えております。したがって、大部分は現在市街化調整区域という形になっておるわけでございます。しかもその上、最近、これからの宅地開発ということを考えまして、監視区域制度を適用して監視区域にしたわけであります。特に監視区域では、調整区域でもちょっと高い二つぐらいの町村は年六%ぐらい地価が上がっておりますので、従来の各県とは異なりまして、調整区域についても監視区域を適用いたしております。  そういうことで、地価の値上がりを抑えながら、この広範な、今比較的地価の安いところを住宅地として開発することが一つ可能ではないか、このように考えておりますが、鉄道常磐線がいっぱいでございます。日本の国、特に東京通勤線の中で常磐線が一番混雑している線でございます。したがって、運輸政策審議会の答申に基づきまして、ただいま常磐新線建設ということを一生懸命進めようとしているわけでございます。  昨年十月に民間活力活用懇談会というのを当時の金丸副総理のところでつくられまして、そのときにグレーターつくば都市建設構想というものが日本の国の十大民間プロジェクトの中に挙げられてリストに載せていただいたわけでございます。これは、先ほど申しました地域のうち約四千ヘクタールの具体的に開発できる地域をプロットいたしまして、ここに住宅約五万戸、工場研究所八百ヘクタールをつくっていこう、そして筑波にさらに民間研究所その他を誘致いたしまして、日本の国際的な研究開発センター筑波をしていこう、また大規模住宅供給を行っていこう、また工業団地をつくって先端産業を誘致していこう、また業務市街地整備いたしまして東京にある業務機能分散受け入れ先にしていこう、そういうような大計画を、今はまだ構想段階でございますが、持っているわけでありますが、この中心はやはり何といいましても常磐新線早期建設でございます。  常磐新線は、大体現在考えておりますのは、東京から秋葉原、浅草、北千住、八潮市南部、三郷市中央部、流山、柏、守谷そして筑波研究学園都市という距離でございまして、全体で約五十八キロ、でき上がりますと東京—学園間が四十分、こういうことでございます。  これにつきましては、我々といたしまして、一つ鉄道建設のために第三セクターをつくろうということで、ただいま東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、一都三県がそれぞれ出資金を用意しております。六十二年度につくるはずだったのですけれども、ちょっと延びておりまして、お金は六十三年度に繰り越しておりますけれども、持っておりますし、開発銀行から一億円の出資、これも六十二年度の予算で裏づけをされているわけでございますが、まだJRの方が出資をしてくれない、こういうような状況にあるわけでございます。JRとしての不安は、何としてもこれからの鉄道は相当お金がかかります。そこで国からの援助措置といいますか、低利融資その他の援助措置がどういうふうになるかということが非常に大きな問題だということで、ただいま一都三県の副知事とJRの副社長、それから運輸省の審議官、これが寄りまして対策検討委員会等をつくって具体的なものを煮詰めているわけでございますが、国の援助措置をどういうふうにするかということが一番大きな問題であろうか、こういうふうに考えているわけでございます。  もう一つは、東京圏都市構造改編の問題でございまして、東京集中しております機能地方分散するということで業務機能分散ということが特に必要になってきておると思います。工場はかなり分散しておりますし、研究所もある程度分散をしておりますが、他の業務機能がまだ分散していないという状況でございます。官庁の移転も必要でございますが、民間業務機能移転ということが非常に大事になってくるわけでございます。  四全総におきましては、東京から五十キロから六十キロのところに環状で、リング状高速道路をつくりまして、これは首都圏中央連絡道路という高速道路でございますが、これをつくって、そしてここに業務核都市という、いわば衛星都市幾つかつくっていこう、こういう計画でありますが、これをぜひとも進めていくためにも、今回の法律は非常に適切なものではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  筑波は、おかげさまで国の試験研究機関あるいは筑波大学などの大学が立地をし、この四十七の国の試験研究機関があるということが、最先端の技術、頭脳があるということが、さらに民間企業を呼ぶ、こういうような状況になっております。この科学技術集積工業団地を我々の方も用意をいたしまして計画的に受け入れたということもございますが、現在筑波市内で百二十六社、筑波市の周辺で百社、約二百数十社が、この科学技術集積を目指しまして、優良な企業が続々として今立地をいたしているわけでございます。したがいまして、集積集積を生むというようなこともよく言われておりますけれども、まさにその典型ではないか。我々といたしましては、世界の中心になるような研究開発センターにしていきたい、先ほど申し上げたとおりでございます。また、リサーチコアという制度をつくりまして、産官学の研究交流中心になる研究支援センターも既に法人ができまして、今これから建築にかかろうということで進んでいるわけでございます。  以上、土地対策につきまして、土地供給の拡大と東京圏都市構造改編について申し上げましたけれども、このたびの多極分散型国土形成促進法案は、まさに適切な措置であると評価するものでございます。  この法律基本法的な性格を持っております。したがいまして、具体的な施策がこれから必要でございますが、特に、先ほど申し上げましたように宅地開発鉄道新線建設を一体的に推進するための関連する立法措置、それから業務核都市拠点地域整備促進するための具体的な国の予算措置、また国の行政機関等移転計画具体化、こういうことを適切に行っていただくことをお願い申し上げる次第でございます。  この点を要望いたしまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手
  4. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ありがとうございました。  次に、宇野参考人にお願いいたします。
  5. 宇野收

    宇野参考人 関経連会長をいたしております宇野でございます。  まず私は、地方におりまして非常に感ずることでありますが、最近の東京一極集中というものはとまらないということでございます。これは、とまらないのは当然でありまして、情報化国際化が進んでいく中で、効率を追っかければだんだん一極に集中するというのは当然でございますから、このとまらない効率を追っかけていく流れの中で、一方、この裏側に出てくる幾つかの弊害をどうするかというところがこの法律の問題の根底にあるのではないかと思います。  私ども思いますのは、現在の一極集中効率化の進む反面の弊害というものは、一つ地価高騰であるとかあるいは家が買えないというような、とにかくアメニティーが非常に破壊されておるという問題でございます。  もう一つは、大地震その他があったときの防災の対策が打てないではないかという問題でございます。  もう一つは、地方東京圏との格差がますます開いていくという、この問題でございます。  あとは、このままでいったら日本文化がみんな東京並み文化になってしまうという、文化画一性という問題であろうと思うのでございます。  こういう、一方で効率を追っかけていって進めれば進めるほど、一方で大きな非効率といいますか、弊害が起こっておるという二律背反する中で一体どうするのかということが、実はこの首都圏機能分散するという問題と理解しておりますので、これは大変容易なことではないと私は思います。幸いにしてこういう問題については全国総合計画というものがありまして、今まで何遍かこのことは指摘されておりますけれども、率直に言いまして、過去三遍ありました全総というものの、特に第三全総定住圏構想というものは非常に立派な思想がうたわれておりますけれども現実はその思想とは裏腹の方向へどんどん進んだということを考えますと、ここで第四全総の多極分散型の国土形成というものを裏づけるための手続あるいは多極分散というのは一体何であるのかということが法律で明示されたという意味で、今度の法案が出ますことは私ども大変歓迎をいたしますし、ぜひこの法案を通していただきたいというふうに思います。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、この問題は、幾つかの従来の制度の上で、そして今の国際的な情報化国際化流れの中で一極集中が進んでおる、集中しておるというこの非常に大きな流れをどこかでとめるわけでありますから、法律の中へ盛り込まれる問題というものは大変難しい問題をはらんでおるということも事実でございます。そういう点で、私は基本的には、今までは個別の法律でもって全総の対応をしてこられたのが、四全総段階になって総合的な法案をつくって対応されるという姿勢に対しては賛意を表しますけれども幾つかの問題点を感ずるわけでございます。  私は、四つばかり締めくくって申し上げたいと思います。  その一つは、やはり現在の行政組織あるいは行政仕組みの枠の中でひとつ何とか多極分散型をつくりたい、そういう範囲を出ていない。これは、現実から考えればなかなか難しいことだから踏み込めないということがあろうかと思いますが、いささかどうも物足りないというものがございます。やはりもう少し抜本的にこの問題に踏み込む、そこのところまで踏み込んでいただきたいいということでございます。  例えば関経連では、昭和三十年から始まりまして過去三十年間、地方行政のあり方について幾つかの検討を重ねてまいりました。その一つは、地方行政組織区域をもっと広域化して対応すべきではないかという広域行政制度でございます。  もう一つは、やはり地方権限を移譲すると言うけれども、その権限の受け皿というものを地方にどうしてつくったらいいかという問題でございます。これは、私ども地方庁という名前で考えてまいりました。つまり、地方を大きな広域行政にするという意味での道州制と、そして、地方権限を大きく渡すという意味での地方庁構想というものに、やはりこの際踏み込んでいきませんと、先ほどからの非常に大きな地方分散をやろうという場合には、なかなか仕組みができていかないのではないかということについての問題点を感ずる次第でございます。最近遷都の問題が非常に出ておりまして、どこがいいかということがあったり、何かいろいろな言葉の間違いがあったりいたしておりますけれども言葉の間違いは別として、私はやはり機能地方に分けるという意味での見えざる遷都、どこに都を移すということよりも、機能を渡すということによる遷都というものが幾つかあるはずだ、それが一つ広域行政区域の問題であり、一つ地方庁問題であるというふうに思っておりますので、そういう問題に踏み込んだ問題を今度の促進法にお考えいただきたいというのが一つでございます。  もう一つは、先ほどお話が出ました業務核都市構想でございますが、これは関東圏分散を図るという一つ応急措置として理解をいたします。しかしながら、これは一たび間違えますと東京に一点集中したのが関東圏にさらにさらに大きく集中をするということであって、先ほど申しました地方関東圏との格差というのはますます開くのではないかということに対する懸念をいたします。したがって、この問題についてもどこかで応急措置であるという配慮をしていただく必要があるのではないかというのが第二の問題でございます。  第三番目の問題は、この法案を通じて民活ということが何遍か述べられております。これはもう私どもも非常によく理解をいたしますが、一言で申しますと、民活というのは実は成立いたしますのは関東圏であると思います。関東圏にはそれだけの経済力がありますから民活ができると思います。しかしながら、地方には民活は不可能であると思います。その間におります関西圏なり、あるいは名古屋圏は、民活ができるかできないかという間におるのではないかと思うのでありますが、したがって、民活というものを地方に持っていくということについては非常に無理がある。だから、地方に対する振興はすべからく公共の投資あるいは政府援助ということをベースにすべきであるというふうに私は思うわけでございます。  最後の問題は、実は今度の促進法案が非常に総合的な法案であるという意味で私どもは評価いたしますが、従来からある個別的な地方振興ないしは個別的な振興に絡む法律との関係は一体どうなるのかという問題でございます。  極めて具体的に申しますと、関西圏あるいは名古屋圏というのは、言うなれば東京が一階とすれば地方が二階であって、関西圏名古屋圏は中二階ぐらいのところではないかと思うのでありますが、そういうところを総合的に開発しようといたしますときに、従来から例えば関西で申しますと近畿地区整備法というのがございます。名古屋の場合でも旧名古屋市というのは特別扱いになっておる。そういう場合に、関西圏とか中部圏とかというのを開発する場合はこの促進法との関連において、地域整備促進というものとの関連はどうなるのかというところについての少し総合的な埋め合わせというのが要るのではないかというふうに感じます。  以上、四つばかりの問題点を感ずる次第でございますが、いずれにしましても、この四全総促進するためにこういう形での総合法ができるということにつきましては、私ども大変賛成であるということでございます。  以上でございます。(拍手
  6. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ありがとうございました。  次に、林参考人にお願いいたします。
  7. 林修三

    林参考人 林修二でございます。  私は過去において法制の問題にずっと携わってきた経歴がございます。そういう見地から、この法案についての若干の意見を申し上げたいと存じます。  この法案を見ますと、第一条の「目的」の規定でございますが、目的として「人口及び行政経済文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能分散を図り、地方振興開発大都市地域の秩序ある整備促進し、並びに住宅等供給地域間の交流促進することにより、人口及びこれらの機能が特定の地域に過度に集中することなくその全域にわたり適正に配置され、それぞれの地域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土」、つまり多極分散型国土形成促進する。これによって「住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会実現に寄与する」、これが目的規定としてうたわれております。  つまり、こういう全国総合開発計画、これは過去において三次までございまして、今第四次のいわゆる四全総実施段階に入っておるわけでございますが、多極分散型国土形成とその促進ということはまさにこの四全総計画目標としているところでございます。この法案は、この四全総計画実現に向かってそれを促進するための手だてを法案として盛り込もうという意図であろうと思います。過去においてこういう全国総合開発計画実施に関しての法律がつくられた、総体的な促進に関する法律がつくられたということは今までなかったようでございますが、そういう意味で、この法案四全総目標としている多極分散型国土形成あるいはその促進ということを目的としてその法律をつくるということは、一つの新しい、ある意味では画期的な試みで、この意図は非常に評価すべきものだろうというふうに私は思うわけでございます。  この法案構成を見ますと、まず第一章の「総則」は別といたしまして、第二章で「国の行政機関等移転等」、第三章で「地方振興開発」、第四章で「大都市地域の秩序ある整備」、第五章で「住宅等供給促進」、第六章で「地域間の交流促進」、それから第七章は「雑則」でございますが、そういう構成になっております。  この内容から申しますと、この法案は、その具体的な内容を見てまいりますと、国の行政機関等分散と申しますか移転促進、それから振興拠点地域開発整備、それから大都市地域、特に東京圏だと思いますが、業務核都市整備に係るもの、そういうものについてのいわゆる措置規定と申しますか政府あるいは地方公共団体措置すべき事項についてのいろいろの規定を置いていると同時に、国の各機関あるいは地方公共団体努力義務規定、この二つが大体その内容として含まれておるように思います。すなわち、この法案は、一方においては実施法であると同時に基本法的な、つまり多極分散型国土形成促進に関する基本法である、そういう地位と構成を持っているように思います。  それで、国土政策地価問題等関連で総合的に緊急の対策を必要とすると同時に、国の各機関あるいは地方団体が一体となってその政策を遂行しなければ実現できない問題でございますので、この法案措置法的な部分努力義務規定基本法的な部分と両方をあわせて持っていることは適切な内容であろうというふうに思うわけでございます。  今後は、この法案につきましては国の行政機関は当然のことでございますが、各地方公共団体がこの法案の考え方に即して各種の既存施策の的確な運用あるいは必要な法制整備する、あるいは施策を推進するというようなことでこの法律目的を達成していくように希望いたしたいと思います。特に、この法案はいわゆる基本法的な性格を持っておりまして、これに基づいていろいろな実施法的なものが当然に予定されているように思います。この法案目的を達成するためにはそういういろいろな実施法的なものが整備される必要があろうかと思いますが、こういうことについての今後の政府なり国会における施策の、あるいは法案立法等についての御尽力を期待したいと思うわけです。そういうことがあって初めて、この法案は有効な効果を上げ得るのじゃないかというような気がいたします。  そこで、この法律で第一に行政機関移転のことが第二章でうたわれておりますが、今地価問題等関連いたしまして首都機能分散ということがしきりに言われております。これは、地価問題だけの問題ではございませんで、やはり、国土の均衡ある発展のためには、今の東京圏に過度に集中しておるいろんな機能を各地域に適切に分散することが非常に必要なことであろうと思うわけでございまして、その意味で、行政機関あるいは特殊法人の今後の地方への分散、あるいは新しいものを東京の、少なくとも二十三区には余りつくらないという方針を決めていることは非常に適切なことであろうというふうに思います。  それから、この法案が第三章、第四章で地域振興の問題あるいは大都市圏内における業務核都市整備、これについてのいろんな措置規定とか努力義務規定を置いておりますが、この点の特色は、従来のテクノポリスの法律とかあるいはリゾート地域開発法律と若干違いまして、地域の特性を生かして、地方が創意工夫を持ってこの地域振興計画を立ててそれを実施していくというように配慮されている点が特色であろうと思います。これは、今後の地域開発についてはやはり地方の創意工夫を生かして、それぞれの特色ある地域においてこういう地域振興なり業務核都市整備をやっていくということは非常に必要なことであろうと思います。そういう意味において、この法案のそういう構成は、私は適切なものではないかというふうに思っております。  それから、地価問題だけの問題から申しましても、地価問題においてはいろんな施策が必要でございますが、基本的に必要なのは、やはり需給のバランスということだろうと思います。それについては、需要分散、これは行政機関とか特殊法人とかその他の首都機能地方分散することによって需要分散する、東京圏における需要分散するということはそういうことによって図られるべきだと思いますが、同時に、一方で良質の住宅宅地供給促進ということが非常に大事なことであろうというふうに思います。この法案住宅宅地供給促進について一章設けておることは非常に適切なことであろうというふうに思うわけでございます。ぜひ、こういう施策の推進を今後図っていくことが必要であろうと思います。  それから、あとこの法案は、地域間の交流促進ということで、高速交通施設とかあるいは高度の情報通信施設の整備をして、全国を四全総が目指しておる一日交通圏と申しますか、そういうものの実現に向かっての施策をやるべきことを書いておりますが、これも極めて必要なことであり、適切なことを決めたものだろうというふうに思います。  あと雑則は、いろんな権限の調整等の規定を置いておりますが、この法案実施については、もう一遍繰り返しますが、各行政機関あるいは地方団体が過去のいろいろないきさつにこだわることなくて、一致協力してこの法案に盛られたような施策を推進していくことが必要であろうと思います。それについては、権限地方に移譲することも必要でございますし、各省庁の権限の調整というようなことも必要であろうと思いますが、そういうことについての努力義務的な、あるいは措置規定がいろいろ入っておりますが、こういうのも適切なものであろうと思います。  結論として申しますと、この法案は——地価問題一つをとりましても、多極分散型国土形成促進というのは非常に大切なことだろうと思います。国土政策の将来を見ても、この一極集中的な国土を多極分散型国土につくりかえていくということは非常に適切なことで、こういうためにこの法案が用意されたことは非常に適切だと思いまして、ぜひともこの法案が成立いたしまして、同時にこの法案が予定しておりますいろんな実施施策が今後これに追加されて実施されていくことを期待いたしたいと思います。  以上、この法案についての私の意見を申し上げました。ありがとうございました。(拍手
  8. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ありがとうございました。  次に、柴田参考人にお願いいたします。
  9. 柴田徳衛

    柴田参考人 柴田徳衛でございます。  ふるさとと申しますと美しい自然に囲まれた豊かな伝統、文化の場、これをすぐ想像されます。ところが、戦後、考えてみますと、貧しい後進国日本が一刻も早く先進国に追いつくよう、そして経済の高度成長、これに懸命に努めて、確かにハイテクの大工場や本社のインテリジェントビル、これらが輝かしく建設されまして、世界からも金持ち国と言われるようになりましたけれども先ほどのふるさと、こういう私たちのイメージというものが現在いろいろ荒廃し、過疎地帯が広がっている。機能集中している東京も、周辺の居住区というものには過密、住宅難、交通難、こういうことが広がっていていろいろ国民生活に困難が来ている。こういう状況では、せっかくいろいろ施設が世界最高水準に発展しても次の本当の日本国民の活力が出てくるだろうか、こういうことが憂えられるわけでございます。そういう意味で、今回の法案が出されまして、特にその第一条で「住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会実現」ということがうたわれておりますので、私、こうしたところをぜひこの次の日本の発展のために実現させていただきたい、こういう気が強くするわけでございます。  以下、章を追って私の感想といいますか、願いを言わせていただきたいと思いますけれども、第二章、分散、これをうたっておりまして、「国の行政機関等移転等」、こういう章になっております。現在言われております司法、立法まで含めた首都の全体的な移転、いわゆる遷都、これは当面困難かもしれませんし、また、行政機関でも一つの省の一つの局のどの課を外へ移すか、地方へ移すかとなると、今いろいろ案は進められているそうですけれども、いろいろ困難があるかもしれません。しかし、政府の同じ局の同じ課の仕事の中でも、東京の二十三区、都心になくても済む、むしろ地方に移した方が能率が上がる、こういう面もいろいろあるのではないかと思われます。  例が適切でないかもしれませんけれども、例えば大蔵省の主計局、主計官の方とか主査の方、これは折衝で大変お忙しくて本省で頑張っていただかなければならないかもしれませんけれども、データの整理、計数整理、資料の保管こういうようなたくさんの作業というものは、現在ファクシミリとかテレビつきの電話とかビデオテックスとかいろいろの技術開発されておるようでございますので、それらがありますれば主計局の中になくても、極端に言えば北海道か沖縄にその場所はあっても作業というものがむしろ能率よくいく、こういう面もあるのではないだろうか。同じく、大会社の本社でも重役室あるいは受付というものは丸の内かあるいは大手町にどうしてもなければならないかもしれませんけれども、計数調査、法人税の計算等々の多くの仕事というものは、オンラインでつなげば環境のよい地方に置いてもかなり済むという面があるのではないか。  実は私、ニューヨークのマンハッタン、ウォール街辺の本社を幾つか回って見たのでございますけれども、どうも印象として東京の本社より床面積が狭くて済んでいる。経済の活動は大変大きい機能をしているけれども狭い。いろいろ聞いてみますと、先ほど言いました下働きといいましょうか、純事務的なことはバックオフィスあるいはサポーティングオフィスと申しまして、ネブラスカとかテキサスとかとんでもない遠くでオンラインでつなげて瞬時にしている、こういう状況が出てきておりますので、これなどひとつ、日本東京あるいは大都市の事務機能というのでも将来の検討材料ではないだろうか。  ただ、こうしたことを日本で進めますには、本法案の第六章の高速交通、通信体系の整備、これをぜひ図っていただきたいと思います。特に二十九条にせっかく、「経費の低廉化に配慮しつつ」という字句が出てまいりますけれども、私先月まで外国にいたせいか、日本の電話、郵便、高速道路料金は国際的に見てどうも相当高いのではないだろうか。この辺もこれを機会にいろいろ検討していただいて、この辺の便宜、低廉化を図る。そうしますと、先ほど言いましたいわゆるバックオフィスといいましょうか、機能分散が現在の状況でもかなり進められるのではないだろうか。  それから続きまして、この法の第五条、民間施設の移転促進という項で、教育文化施設の移転も取り上げられておりますけれども、私思いますのに、オペラ、バレエ、交響楽団、古典劇、こういうものは経営上かなり規模が大きくて、普通ですとよほど人口の多い、経済力の多い大都市にないと経営が成り立たない。国民の文化的要求が高まってまいりますと、そういういろいろ文化、芸術の施設のあるところへまた全国から人が集まってくる、大都市がますます大きくなるという面もあると思いますので、これらは文化政策として、幸いここまで日本経済力も強くなりましたので、相当の文化援助、資金援助をしながら、例えば大変伝統、歴史、芸術の豊かな京都とか金沢、仙台、こういったような都市にそうした中心を移して、文化の拠点都市といいましょうか、こういうものを育てていただけると大変また幸いなのではないだろうか。  それから国立大学がまだ二十三区内に十前後あるような気がいたしますけれども、これらが東京の二十三区になければ教育、研究がどうしても進められないならばもちろん仕方がございませんけれども、その辺がどうだろうか。この辺の検討も期待したいと思います。  第三章の地方への権限の委任努力というところでございまして、これは私は明治以来の中央集権的な形を、ここで発想を大きく転換して真の地方自治というものを強化して、前の章の分散の成果を実際に上げていただきたいという気がするわけであります。  具体的には地方自主財源の強化ということになると存じます。税金論議で間接税をめぐって今大変論議が行われているようでございますし、それ自身大変貴重なことでございますけれども、同時に国税と地方税の再配分もこの機にいろいろ再検討をしていただいて第三章の中身を充実していただきたい。よく地方税を強化するとその税収入が大都市に偏ってますます地域格差が大きくなる、こんな論議がございますし、現状ではそういう面が確かにあると存じますけれども、例えば所得税の課税所得の低い部分、税率の低い部分地方税とし、その高い部分、累進課税の高まる部分は国税とする、もしこんな工夫が可能だとすれば、地方税収の地域格差はかなり緩和されるのではないだろうか。  それから次に補助金でございますけれども、いわゆるひもつき補助金は、強化された地方税源という方にできるだけ移していくなり、あるいは地方交付税の方へ繰り込む、こういう方向でひもつき補助金をできるだけ減らしていく。  それから地方債でありますけれども、本法案の第十八条で起債の特例などいろいろ御苦心の跡が見られまして、今地方自治法の第二百五十条で、当分の間国による地方債起債の許可が必要という句がございまして、許可制というものが厳としてあるわけでございますけれども、考えますと、私はこの「当分の間」と申しますのは、後進国、貧乏国日本が資金不足に苦しんでいる間はいろいろ国の規制が必要だと思いますけれども、現在は状況が大きく変わっているのではないか、この辺は自由化してそれぞれの地方が創意工夫でいろいろな仕事ができる、そして地方自治というものをぜひ進めて、その面での中央というものができるだけ身軽になっていくという方向を、この第三章を通じて出していただきたい。  それから、第四章の大都市整備でございますけれども、今東京都心部から湾岸にかけていろいろビッグプロジェクトというものがメジロ押しで、何兆円計画というのがメジロ押しでございますけれども、これも、これが進んだ場合に地価騰貴が一層進んで市民生活が困難になるのではないか、災害は大丈夫だろうか、そんな心配が、私はされるのでございます。  最近、これは海外で聞いたので聞き違いだとおわびしますけれども、地下の相当深い部分公共用と考えてそこは地下鉄を自由に通してどうだろうか、こんな案があるといううわさを聞きました。もしそうした案があるとすれば、同じ考えを今度は地面の上に持ってきて、土地の私有権というものは都心部では地上の例えば二階までとか十メートルまで、それはまさに私有権の対象であるが、それから上の部分は公有である、こういう考え方はいかがかと思うのでございます。東京の都心部では、例えば千代田区、港区にあるビル、それ以上高いビルを建てたいという場合は都庁とか千代田区役所、港区役所、こういうところに相談して、まず地域の住民が必要とする住宅とか保育園、図書館、老人の施設、こういうものをその上五階、十階、二十階、こういうぐあいにつくります。そうすると、それぞれ建設の許可が出て高層ビルが建っていく、こういう考え方はいかがでしょう。それからまた、それがない既存のビルが都心にあるわけでございますけれども、そういったところからは公共用地を使っているとみなして、相当の負担金なり特別都市計画税といいましょうかを徴収して、それを都市の生活環境のいろいろ公的な施設に使っていく、こういう考え方などもあり得るのではないでしょうか。現在、地価が高いから公的施設ができない、これは事実現状はそうなっておりますけれども、公的施設をそういうぐあいにつくる力がない、つくれない、だからして地価がどんどんとめどなく高くなってしまっている、こういう面もあるのではないだろうか。  それから、固定資産税、都市計画税、第十四条にたまたま不均一課税、こんな句が出てまいりますし、現在もいろいろ制度は進んでおるようでございますけれども、個人の居住用の部分というものはごく低い税率にしておく、けれども名寄せをして、相当の高い固定資産になってきたというような場合には税率を高額にしていく累進的な税率、これも考えられないだろうかどうだろうかということをひとつ御議論の材料にしていただければ幸いでございますし、こういった方向で、現在坪一億円とかいうようないろいろの地価の姿というものが少しでも変えられれば、本章第五章にある住宅供給、市街地の高度利用、これにも通じていただけるのではないだろうか。  また、高層ビルの上の方に市民が住む、それがいい悪いは別にして、もしそうなって下のオフィスに通うとなれば、現在の交通難というものもかなり姿が変わり得るのではないだろうか。さきに東京湾沿いにハイテクを駆使した兆円単位のビッグプロジェクトがメジロ押しという案があると聞きましたけれども、私はまず当面、それよりもむしろ過密化した大都市の居住環境の改善、そこに住む人々が本当に生活しやすいふるさとづくり、これをぜひ進めていただきたい。高齢者、赤ん坊を連れたお母さんにとって、例えば四階建て、五階建ての中層アパートの階段、それから駅や横断橋の階段、これらは一つの例でございますけれども、大変困難を与えるのではないか。そういうようなところにエレベーター、エスカレーター、車いすや乳母車で通れるいわゆる緩い傾斜のスロープ、こういうものをつくるだけでも、東京全体として、あるいは日本の大都市全体としまして大変な内需拡大になるのではないか。市民全体も住みやすくなるし、それのみならず膨大な内需拡大というものができるのではないか、住宅事情が少しでもよくなれば、それだけまた内需がうんと拡大していくのではないかと思うわけでございます。  私に与えられた時間が大体来たようでございますけれども、全体としまして、戦後ここまで突き進んできました中央集権的な経済成長、発展、これで確かに大きな成果を上げてきたわけでございますけれども、ここで発想を転換して、二十一世紀に向けて先ほどのふるさとづくりと申しましょうか、活力のある二十一世紀の次の世代づくり、高齢者を大事にしながら次の世代をつくっていく、そういう都市づくり、地域づくり、この辺を目指しながら、この法案の趣旨、第一条でいろいろありますけれども、いろいろ発想の転換を図りながら新しい芽を出していただき、新しい日本の発展のめどをいろいろ探っていただき、国会の先生方、この場でいろいろまた討論をしていただくことを国民の一人としてぜひお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手
  10. 小此木彦三郎

    小此木委員長 ありがとうございました。  これにて各参考人の御意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  11. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、参考人に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。
  12. 小杉隆

    ○小杉委員 発言された方から順番に質問したいと思います。  まず竹内知事さんに伺いますが、先ほど茨城県の可能性についてるるお話があったわけですが、今度の法案一つの目玉として業務核都市というのがありまして、それの一つ茨城県の土浦・筑波研究学園都市も入っているわけであります。これの発想は、東京都心部に集中しがちな業務機能などをできるだけ東京圏関東圏全域で受けとめていこう、こういう発想だと思うのです。今常磐新線のお話もありましたし、また高速道路もできまして東京から一時間以内と大変立地条件もよくなったし、また筑波万博で名前も非常に浸透しているということで、今二百数十社が進出しているということで非常に可能性を秘めていると思うのですが、これまでの筑波研究学園都市の実績ですね、成功であったか、問題点はなかったか、あるいはこれから業務核都市として発展していく面で何か問題点等があるかどうか。先ほどは、新線の建設とか宅地供給の点の御要望がありましたけれども、それ以外に何かそういった点があればひとつお知らせいただきたいと思います。
  13. 竹内藤男

    竹内参考人 業務核都市構想は、東京にある業務機能分散させる、分散先としては、余り遠いところでは行かないだろうから、大体東京から五、六十キロぐらいのところ、交通の便利なところに移していこう、こういうような発想だと思います。先ほども申し上げましたように、工場とかあるいは研究所とか、そういうものは分散しているわけでありますけれども先ほど柴田教授もおっしゃいましたような事務機能といいますか、業務機能といいますか、そういうものがなかなか分散できない、そこで新しくこういう法律をつくって業務核都市整備していこう、こういうことだろうと思うわけでございます。  筑波について申し上げますと、あれは国の計画として官庁移転計画と、片一方におきまして科学技術庁の共同研究を促進しよう、そういう二つ目的から筑波にできたわけでありますけれども、当初は何せ役所ばかりの町で、極端に言えば税金も上がらぬし地元雇用もない、こういうことでございますので、何とかして民間企業に入ってもらう。やはり科学技術集積科学技術を呼ぶといいますか、そういうような連関性がありまして、先ほど申し上げたような形になっているわけでございます。したがって、業務核都市につきましては、我々もほかの地域で現在区画整理事業その他で土地の確保を一生懸命やっておりますから、そこへこの法律によりまして業務機能移転を強力にやっていただければだんだんそこが育っていくのではないかと思います。  日本の場合、これは私の私見でございますが、大阪で万博をやりましたあそこの大きな住宅団地、あの住宅団地の中心部というのは業務機能が入っておりますね。それから、住宅団地をつくっていくと交通がよくなる、交通がよくなると真ん中のあんこの部分業務機能が入っていく、そういうようなやり方もあるのじゃないだろうか。茨城県のものはそういうふうにしたいと思って、住宅業務機能の複合都市をつくっていこう、そういうような考え方をしているわけでございます。
  14. 小杉隆

    ○小杉委員 それでは、宇野会長にお伺いします。  昔は東京と大阪、二極構造とよく言われていたのですけれども、どうも万博以来、人口をとってもその他の経済指標をとりましても、関西圏が少しずつ地盤沈下しているのではないかといううわさが出ているわけですけれども、この原因は一体何なんだろうか。経済の総元締めである宇野さんから率直なところを聞かしていただきたいと思うのです。  それから、大阪というのは東京と並んで一つの吸収力とか集積の魅力は十分あると思うし、また最近関西新空港とか関西文化学術研究都市のような大プロジェクトが進行しておりますし、それから従来の伝統的な経済の力というものがあるわけですから、十分復権の可能性があるし、また大阪が活性化する、関西が活性化することによって隣接の中国圏、北陸圏、四国圏あるいは九州の地域まで活性化させる一つの先導的な役割を持ち得ると思うわけです。今度の四全総あるいは多極分散法案の方向で、ぜひそういう方向へ持っていっていただきたいと私は思うわけです。ただ、そのためには、法律案の中に言っているように、単に文化とか学術とかいうことだけではそれだけの吸引力は生まれないのではないか。やはりもっと産業とかあるいは国際的な機関とかあるいは金融とか、そういった面を強化していく必要があると思うのですが、これからの関西圏はそういった意味で基本的にどういう方向に向かうべきなのか、その辺をちょっと伺っておきたいと思います。
  15. 宇野收

    宇野参考人 今幾つかの問題を御質問いただいたわけでございますが、最初に、なぜ関西が万博以来それだけ地盤が、どんどん東京格差がついたかという問題でございますが、私感じますのは、東京が、中央集権国家として日本が発展したわけでありますから、古く歴史を顧みますと、明治維新以来権力も権威も全部東京に集まったわけです。御承知のとおり、それまでは、江戸時代は政治は江戸にありまして、経済は大阪にありまして、そして権威の天皇は京都におられたという三都構造でございました。それではいけない。ですから、権威と権力は全部東京に集めることによって近代国家をしようということでありましたが、それに沿って今日の発展を、幾つか戦争もございましたけれども、したということだと思いますが、最近特に問題になっている大阪から見ての東京集中というのは、世界が情報化国際化、あるいは金融の国際化というような問題がどんどん出まして、ここ数年間のところが大変な東京集中だと思うのです。先ほど茨城県の知事さんがおっしゃいましたように、東京に集まっているのは管理機能あるいは金融機能、そういうものが集まって今東京集中が非常な勢いになっておるということだと思います。したがいまして、これをどう変えていくのかということについて、やはり関西だけで栄えるということではなくて全国うまくやろうといたしますと、関西の場で見ますと、さっきお話がございましたように、空港のプロジェクトといい学研のプロジェクトといい、要するにこれは何かといえば、空港というのは情報の出入り口である、二十四時間世界に向かって国際的な情報の出入り口ができる。学研都市は筑波の方でもおやりになっておりますが、関西の学研都市というのは人文科学、社会科学も入れた学研都市をつくろうというわけでありますから、情報の発信源であります。したがって、情報が出て情報の出入り口ができるという意味一つの柱ができると思いますけれども、それだけでは十分ではないと思う。  したがって、経済的に見ますと、この空港と学研の二つのプロジェクト以外に、大阪湾周辺において大きなベイエリア構想というものを考えまして——きょうの委員長はみなとみらい21をおやりになっておられるわけでございますが、あの周辺は、兵庫県といわず大阪府といわず和歌山県といわず、徳島県、香川県も入れたあの地域全体の開発計画というものを進めるべきであるということで今やっておりますが、そういうことを通じまして、関西圏の地盤を上げるということが日本全体の国土のためにいい。そういう面から見ますと、業務核都市構想というのが今度の法案に盛り込まれておりますけれども業務核都市構想というのがただ関東圏だけに限っておっていいのであるか。これはやはり少なくとも名古屋圏も入れ、大阪圏も入れたその辺にもこの構想を入れるべきではないかというふうに私は思います。  たまたま私は関西の学研都市の建設にかかわってまいりまして、その建設の手順は、まず基本方針が総理大臣で決められて、そして基本構想が決められて建設計画が決められて、その間に協議会がありましてというような手順を踏んでおりますが、まさにこれと同じようなことがこの法案に盛られておるわけでありますから、ぜひそういうことを関西あるいは中部圏でまずやって、それをやった結果、また地方へ広げていくというような手順が要るのではないかというふうに考えます。  以上でございます。
  16. 小杉隆

    ○小杉委員 それでは林修三先生にお願いします。  法律の専門家としてぜひ伺っておきたいのは、憲法二十九条では、財産権の不可侵ということと同時に、財産権の公共の福祉との適合とか、正当な補償のもとに私有財産の公共利用ということをうたっておりますけれども先ほど柴田先生のお話にもありましたように、地上——柴田先生の地上二階までというのはちょっと極端だと思うのですけれども、確かに地下に関しては土地臨調なんかでも、土地利用における公共の福祉優先ということでかなり議論が行われているようですけれども土地に関して、先生は現行制度以上に踏み込んで行う分野というか部分というのはどんなことが考えられるか、地下権も含めて、もしお考えがあったら聞かせていただきたいと思います。
  17. 林修三

    林参考人 お答えいたします。  今小杉先生から御質問がございましたが、憲法は御承知のとおり二十九条第一項で、財産権は不可侵である、二項で、ただしその財産権の内容公共の福祉に適合するように法律で決められるということを書いております。第三項は、そういう内容法律で決められた私有財産は正当な補償のもとに公共のために使える、この三つを書いておるわけでございます。それでこの憲法の趣旨は、やはり私有財産権というのは保障するんだけれども、フランス革命当時に言われたようないわゆる絶対的な権利というものではないんだ。その後の十九世紀、二十世紀でヨーロッパとかどこかでいろいろ経験を積んで発展してきました学説で、つまり財産権の内容については、公共の福祉による制約と申しますか、要するに公共の福祉ということがかぶってきて、その範囲で財産権の内容は認められる、そういう認められた財産権は憲法で保障される、そういう考え方だと思うわけでございます。  それで、所有権に限って申しますと、今おっしゃいました所有権が地上、地下どこまで及ぶかという問題でございますが、これはフランス革命当時の所有権絶対の思想から申しますと、天上、地下どこまでもいくんだというような考え方があったわけでございます。しかし、今はそういう考え方は一般にはないと思います。今大体学者で考えられておりますのは、要するに管理可能性のあるところまでということが普通言われておるわけです。地上、地下とも大体そういう考え方でございます。  地上をとってみれば、自分の所有地の上を飛行機が飛んでも、そんなものは飛んではいかぬなどということは言えないことは当然でございます。したがって、どこまでのものを管理可能な範囲と見るかということが今の考え、地下についても同様な考え方があるわけです。先ほど柴田参考人から、地上の所有権なり財産権の及ぶ範囲を制限できないかというようなお話がございましたが、これはそう簡単な問題じゃないと思います。現在既に百メートル以上の建物が相当できつつあるわけで、また現在の技術でいえば、相当地上に高層建築物を建てる技術もあるわけでございます。そういうものができる範囲のこの私権を制限するということは、なかなか難しいことだろうというふうに思います。しかし、先ほども申しましたように、天上はるかのところまで所有権が及ぶというような考え方はもちろんとり得ないわけで、それはおのずから合理的な限度があるということだろうと思います。  地下についても、実は原則は同じことだと思います。地下の利用が現在相当技術的には進んでおるわけでございますが、それでもずっと深いところまではそう簡単な利用は、普通の地上の土地の所有権を持っている者が、あるいはほかの権利を持っている者が地下をどこまでも利用できるというようなものではないわけで、やはりおのずから限界があると思うのであります。そういう深いところについては、一々そこにトンネルを掘る、今問題になっておりますのは、例えば大深度地下鉄なんというのが問題になっておりまして、非常に深いところに地下鉄のトンネルを掘っていく、あるいは道路についても同じような問題があろうかと思いますが、そういうものを非常に深いところに掘っていくについては、地上の土地の権利者がそこまでの権利を及ぼすということは、今の民法なら民法の解釈上もできるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。おのずからそこには限界があるだろうということでございます。これは例えば、地下の鉱物を国有とするということが鉱業法にございますが、これは地下に鉱物が埋蔵されている場合にその鉱物は国有だという考え方できているわけでございますが、それではなくて、今の地下の利用権の制限は、やはりそこまで、合理的には利用できないところまで地上の所有権なりその他の権利を及ぼす必要はない、おのずから合理的な制限があるべきだという考え方だと思います。  それで、今現実に問題にされているのは地下の問題でございますが、地下について今運輸省とか建設省で研究して、地下鉄なり道路をどこまで掘れるかということ、これは法務省も当然に一役買って研究しているようでございます。私が今関係しております地価問題の検討委員会でも議論していることは事実でございます。まだ十分な結論が出ているわけじゃございませんけれども、今申しましたように、合理的に利用できる範囲を超えた地下までは地上の所有権は及ばないと考えていいのじゃないかという考え方があるわけで、それはどこら辺が限界か、これはやはり地層の強度とか軟弱度とかそういうものとも関連して考えなければいけないだろうと思います。例えば非常に強固な地盤、今の高層建築物を建てたり、あるいは高速道路のような鉄道のような構造物をつくる場合には、それを支えるためには相当地下まで掘りませんとこれを支えられません。そういう地盤の軟弱なところは、東京の周辺で申しますと例えば荒川の周辺、あるいは昔利根川の流れました旧中川とか古利根川の地域、これは足立区あたりのところから千葉県に渡ったところでございます。それから東京都の二十三区でいえば、溜池の周辺みたいな、過去において池であった、あるいは海であった、そういうところは非常に地盤が軟弱でございまして、こういうところに相当の構造物をつくるにはやはり地下五十メートルぐらいまでは、あるいは五、六十メートルまでのくいを入れないと支えることはできないわけです。そういうところではやはりその程度は地上の権利者が利用可能なところで、学術的にも今利用可能であるわけで、そういうところまではやはり簡単な制限はできない。それより深いところならば、つまり東京でいえば関東ローム層とかあるいはいわゆる砂利層で強固な地盤になっているところの中までは地上の権利を及ぼさないでいいんじゃないか、そういうような考え方があるわけで、現在それを中心にして研究されております。これは法律をつくるにしても、地下を掘る者が地下何メートルまでは地上の権利者にあいさつなくて掘れるんだということは数量的にはなかなかあらわしにくいことだろうと思いますが、抽象的には今申しましたような管理可能な限界を超えるものについてはそういうような考え方はとれるのだろうと思います。それから、それより限度のもう少し浅いところについて、現在地役権を設定するとか、いわゆる地下権と申しますか、地上権的なものを設定して実は利用しているわけでございますが、そういうものでない別な方式を考えるか、そういうことも場合によっては考えられる限度もあるかと思いますが、そういうことは今関係省でも、あるいはこれから研究をされるんじゃないかと思います。私の関係しております地価問題の検討委員会はそういう深いところまでの法律的な議論はちょっと詰めるような委員会でもございませんから、抽象的なことの程度を書いていくようなことになるのじゃないかというふうに思っております。  それから、ちょっと答弁が長くなりますが、一般的な私権制限というものがよく言われますが、これは今の憲法二十九条二項から申せば、公共の福祉に適合するように法律で財産権の内容は決められるわけでございます。何が公共の福祉上必要かということとの関連で、合理的な範囲でならば私権の制限はできる。抽象的に申せばそういうことで、具体的にはいろいろなことが考えられますけれども、現在、土地収用法でも都市計画法でもあるいは都市再開発法でも、いろいろな法律がございまして、今の土地の利用に関しては相当幅の広い私権制限が実は法律上は行われております。それがうまくいかないというのは、実際の運用上いろいろな問題があるわけで、むしろ法律規定そのものよりは運用上の問題が実は大部分だと私は思っております。したがって、新しく私権制限の規定を入れなきゃならないという問題はそうたくさんはないんじゃないか。今の大深度地下鉄なんかの問題のような、地下権の、地下の利用なんかの場合は一つの問題かもわかりません。しかし、これは私権の制限というよりは、むしろ所有権はそこまで及ばないんだというふうに考えていい問題だろうというふうに思っておりますが、私権の制限となりますと、土地は主として所有よりは利用に重点を置くべきだ。利用者の利益を優先するような、あるいは利用計画を確保するようなために所有権の行使について若干制限を加える、そういうようなことが、まあ今でもこれはある程度法律はありますけれども、足りない点は、若干補充してもいい点は考えていけばあり得るかというふうに思っております。  抽象的な答弁で恐縮でございますが、一応そんなことでございます。
  18. 小杉隆

    ○小杉委員 ちょっと時間が来てしまいましたので、最後に柴田先生にお伺いできなくて大変残念なんですが、大変ユニークな議論を聞きまして、いろいろ質問したかったのですが、それはまた改めて機会を見てお願いします。ありがとうございました。
  19. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、菅直人君。
  20. 菅直人

    ○菅委員 きょうは、参考人の皆さんに大変貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございます。  それでは、私は柴田先生からお願いをしたいのですが、先生は東京都にも籍を置かれたことがありますし、ある意味では地方財政を含めた専門家でいらっしゃいますが、私はこの法律、この間の審議なんかを聞いたり、あるいは私自身も質疑に立ったりしまして、何かこれで東京の問題が本当に解決をするのだろうか、何か逆に、ちょっと皮肉に言いますと、問題の焦点が大都市問題というところからややそれてしまったのではないだろうかという感じがするわけです。といいますのは、確かに分散というのはもちろん大都市問題ではあるわけですが、四全総の中身を見ても、先ほどのどなたかの話の中にもありましたが、二十一世紀までに東京圏人口は三千万から三千三百万になる。つまり減るわけではなくて相変わらずふえるのだと。じゃ、その三千三百万の人間が果たしてこの計画で快適な都市生活が営めることになるのだろうか、何か一つ大きなといいましょうか、基本的な大都市政策が抜け落ちているのではないかなという感じがするわけですけれども、そういったことも含めて、先生の東京都におられた御経験も含めて、これで大都市問題、東京における例えばサラリーマンが適正な負担で住宅を取得できるとか公園がもうちょっとふえるとか、そういうことが可能になるのか、あるいはもしなるとすれば、どういうところをより気をつけなければいけないのか、そのあたりの御見解を伺えればと思います。
  21. 柴田徳衛

    柴田参考人 大変大きい御質問をいただきまして、私は意見を十五分間の間に述べさせていただいたのでございますけれども、世界から見ますと、これだけ経済力は積んだ、技術も世界最先端にある大変勤勉な国民がいる、これだけの力を合わせれば、よい大都市づくり、東京づくりというものができないはずはない、こう私はその点では楽観論というか、大いに期待している者でございます。  じゃ、なぜできないか。一つは、これは恐らく小杉委員も御質問になりたかったところではないかと思いますけれども土地所有というものが絶対私権である。例えばイギリスへ参りますと、土地は女王様のものであって国民はそれから一定期間拝借しているものである。あるいはパリへ行きますと、土地というものは、先ほど申しましたけれども地方都市ですと一階半、パリですと二階までが自分のもので、これは自由にできる。それから上は公のものである。公からもう一回許可を得て、あるいは賦課金をたくさん払ってそれから上を使わせていただく、こういうような考え方。そして全体の都市づくりをうまく進めていこう、こういうことでございますので、そういう面。そして地方自治、地方財源の充実。それぞれの地域東京ですと東京の都民、それぞれの区民が自分たちの町づくりをしていこう、こういう動きというものが出れば相当のことができるのではないか。そして一つの大きな高層ビルができますと、上下水道、交通、あらゆる面に大変な社会的な負担をかけるわけでございますので、そういうものを、先ほど言いましたような二階以上あるいは三階以上というところでは相当の賦課金をつくっていただく。あるいはそういうところに、周りの市民の必要ないろいろの福祉施設というものが高層ビルの中に入っていく。そうしますと、都市の姿はかなり違うのではないだろうか。現在、こういう場で申しますと大変恐縮なんでございますけれども、ここの委員の諸先生、政府委員の方々、それから私たち参考人、すべてこれ男性なんでございますけれども、女性の目から見た都市づくり、例えば高層ビルの二十階というようなところに保育所がある。そして子供を連れてそこへ預けながら十五階か三十階かのオフィスで働く、帰りにまた子供を連れていく。あるいはうちに抱えているお年寄りをそういうところにある老人ホームへ連れていって昼間女性が働く、こういうような都市づくりがもし進みますとまた大分違った都市づくりができるのではないだろうか。  時間もございませんので細かいことをいろいろ申しませんけれども、発想の転換をすれば随分よい東京の都市づくりというものも可能ではないか。またそれをしない限り、次の東京に年寄りがふえて元気な子供が育たない。地方、農村から東京へ元気な若者が来る勢いも今非常に弱まっている。そうしますと二十一世紀の活力ある日本経済の原動力というものが現状のままではできないのではないだろうか、それを転換してぜひそういう原動力、活力のある大都市づくり、地方づくりというものを進めていただきたい、こういうことでございます。時間が不足で大変申しわけありません。
  22. 菅直人

    ○菅委員 どうもありがとうございました。  次に、竹内知事にお伺いをしたいのですが、先ほど将来の非常に前向きな話を大分聞かせていただいたのですが、ある意味では我が国で大規模な新しい都市をつくるという実験とでもいいましょうか、筑波学園都市というのは一番大きな実験が現在も進行中というふうに理解をしているわけです。私も何度か学園都市に出かけて知人なんかにも話を聞くのですけれども、最近といいましょうか、ある時期から周辺の地価もかなり上がって、例えば二十代で研究都市で仕事をしていてそろそろ自分のうちでも持とうかという三十代、四十代になっても住宅取得もそう簡単ではないというふうなことも聞いておりまして、予定どおりと言えるのか、あるいは聞くところによると予定ほど人口が張りついていないというふうな話も聞きまして、本来ならああいう大規模開発をする場合に国土利用計画法の規制区域などをかぶせる、あるいは最近監視区域ということ、先ほど知事も話をされておりましたが、そういうことも含めて住宅取得も可能なようにしていればもっとよかったのかな。過去のことは過去のこととしても、これから新しい開発をする場合の、ある意味では最も参考になるプランが筑波学園都市だと思いますので、そういう過去のいわば状況あるいはこういう問題点があるということも、できれば率直なところをお聞かせいただいて参考にさせていただければと思います。
  23. 竹内藤男

    竹内参考人 ただいま菅委員の御指摘は、我々もまさにそのとおりだと思っておるわけでございます。これからの筑波学園都市の一番大きな問題は、住宅問題の解決ということにあるだろうと思っております。  御承知のように、最初は役所、研究所と大学、これはどちらも国立ですから、役所が移転をするということで公務員住宅はきっちりつくったわけです。しかも移転先だということで東京にいるよりも一室ふやす、研究室をふやすという形で公務員住宅ができたわけです。ですから、その人たちが住宅に困っているわけではないわけでございます。  それから、人口が予定どおり進んでいないというのも事実でございまして、あそこは十万人の入れ物ができているわけですけれども、学園都市の中に研究学園地区という計画的に開発をした地区、そこには十万人の人口の、これは道路から下水道から水道から電気から全部十万人すぽっと入れる、下水道は一〇〇%整備、そういう町ができているわけですが、実際には四万何千人しか入っていない。したがって、当初の基幹人口プラス付加人口という計画でいったのですが、付加人口が思うように集まらないということで、我々はそれを補完するために、今民間企業を入れております。民間企業を入れて人口をふやしていこう、こういうふうに考えているわけですけれども、確かに公務員の方も十年、二十年たちますと、そろそろ退職になってくる。研究者の方もぜひここに住みたい、そういうような方の住宅政策がおくれているといえばおくれているわけでありますし、また新しく入った企業住宅もおくれているわけでございます。  したがって、地価の問題も出ましたが、値上がりしているのは、区画整理事業でやりまして、そして民間が持っている、つまり地主さんが持っている土地が暴騰しているわけでありまして、それ以外の土地先ほど言いましたように市街化調整区域でありますから、開発ができない地域ということで抑えられている。したがって、ここは地価も上がってない。ですから、ここで何とか住宅公団なんかにも働いてもらって、これからも計画的な住宅地開発をしていく必要があるだろう。特に学者が多いところですから、東京のような住宅じゃなくて少しゆったりとした住宅、外国人も呼べるような、そして真ん中にはセンターがあって、ホテルもあればレストランもある、そういうような計画を具体的に現在進めております。それ以外にも住宅地建設というのはやっていかなければならないだろうということで、そういう方面にこれから力を入れていきたいと考えております。
  24. 菅直人

    ○菅委員 今のお話を聞きましても、地主さんの土地が暴騰しているというのですか、民間土地というふうに言われましたが、これが東京圏を含めてすべての状況の中にあると思うのですが、筑波の場合はまだそういう意味では公的土地が確保されておられるようですので、ぜひいいモデルをつくっていただきたいと思います。  それでは宇野参考人にお尋ねをしたいのですが、先ほど冒頭に、東京一極集中はとまらないだろうということをいわば頭に振られてからその裏側の問題等を指摘されたわけですが、いわゆる多極分散というこの法律なんですけれども、本当に多極化というものが可能なんだろうかという、法律のねらいはねらいとして、実際の経済なり国際社会の動きの中における日本が、多極化というものがどこまで可能なのか、そのことをもう少し参考人の立場からお話しいただけたらと思います。
  25. 宇野收

    宇野参考人 ただいま菅先生から御指摘がございましたが、私は、結論から申しますと可能であるというように思います。  ただ、経済行動だけを見ますと、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、世の中はひたすら効率を追いかけますから、どんどん東京集中するということがあるわけでございます。したがって、これを可能にするためには幾つかの仕組みが要ると思います。  その仕組みが、先ほど私が申し上げましたような百十年以上続いた地方行政のあり方というものをこの際ぜひ検討する必要がある。つまり広域の地方行政というものを置きまして、現在の経済活動がもっとしやすいような仕組みをつくる必要があるということが一つでございます。  もう一つは、権限、許認可というものをできるだけ簡素化するということが、これは当然規制緩和の問題で出ておりますけれども、それにしても何らかの大きな国の組織をやる以上は、権限あるいは許認可というのがあるわけですが、それをできるだけ地方へ移すということが必要だと思うのです。ちなみに今度の法案では「雑則」の中で権限の委任ということが書いてございます。またそれだけ以上にちょっと踏み込むことができなかったのかと思うのでございますが、ここで思い切った権限の移譲という問題を地方に渡すということが、可能にするための仕組みだと私は思っております。  なお、そういうものの仕組みができました場合にどうして可能なのかということから申しますと、例えば私のおります関西圏を申しますと、アジアに向かっての経済活動というのは非常に長い歴史と、今でも非常に密着した関係がございます。そういう意味で、私が先ほどちょっと触れました大阪湾のベイエリア構想なんというものはアジアに向かっての大きな貿易、交易あるいは文化交流というふうなものができる一つの地盤づくりになるわけでございますから、先ほどありました空港あるいは学研都市と相並んで、そういうものが大きな地域の活性化につながってくる。このことは同じようなことが実は名古屋圏にもあるわけでございます。したがって、地域地域で何か少し仕組みを変えていったらできますということであろうと思います。  ただし、この場合に、仕組みを変えることによって、やはり東京一極集中することによる非常なメリットがどこかでデメリットになっていることも事実でありますが、それはあえて含んでも、この際やるべきであろうと私は思っております。結論から申しますと可能であります、しかしそのためには仕組みをやはりいじらなければなりませんということでございます。
  26. 菅直人

    ○菅委員 もうちょっと補足的に宇野参考人にお聞きしたいのですが、仕組みを変更すれば可能であるということで、先ほど地方庁とか道州制のことをおっしゃいましたが、例えばこの法案を見ていると、本当に分散あるいは地方分権化なのか、最後のところには大臣の承認とかという言葉が入って、いろいろ地方の自主性を認めるのだと言いつつ、最後のところは調整機能はこちらでやりますという、非常に何か本当に分散なのか、相変わらずかなりのひもつきなのかという気がこの法案自体もするわけです。例えば権限の移譲とか地方庁というときに、具体的な例でもいいですけれども、こういう財源はこうしてほしいとか、こういう権限は今こうなっているけれども、こういうものは例えばこういう形があるのじゃないかとか、仕組みの変更というより、もう少し具体的に何かイメージがありましたら示唆をいただければと思うのですが。
  27. 宇野收

    宇野参考人 もう少し具体的に申しますと、余り具体的に言いますとまた地価が暴騰するということもあろうかと思いますが、そういうことでなくて私は思いますが、まず区域の問題は、現在の四十七府県というのは百十年続いておるわけですから、もっと大きな、日本を五つか六つか、あるいはもっと簡単に言ったら二つくらいの大きな区域にするというくらいの発想が要る。したがって、その長官は私は公選にしたらいいと思う。これは官によってじゃなくて地方公選でやるべきだと思う。したがって、その長官は国務大臣クラスであるべきだというふうなこともございますが、もう一つ、今御指摘のありました財源はどうするのかという問題でございますけれども、これは私は各地区別にずっと経済力をある程度プロットしておりますが、今回問題になっております例えば間接税がどういう方向にいくのかわかりませんけれども、そういう問題も地方税として考えたらどうですかという踏み込んだことも考えまして、地方が何でもかんでも中央から交付金をもらう、あるいは補助金をもらうというような形にならないような仕組みをある程度考えるというふうなこともやったらいかがかというふうに思います。ちょっと不十分でございましたが、そんなところです。
  28. 菅直人

    ○菅委員 それでは、林参考人一つだけ。  先ほど、この法律基本法性格があるというふうにおっしゃいまして、実施法との関連ということを考えなきゃいけないということなんですが、他の参考人からも、関西圏あるいは東京圏も含めていろいろな法律が出て、もう既にあるわけですね。そういうものとこの法律ができたときのいわば整合性なり関連性というものは法律立法上どういう形で考えればいいのか。つまり、ある程度この法律に沿って他の法律をスクラップ・アンド・ビルドか何かしていくというふうに考えるのか、単に並列的に存在すると考えるのか、そのあたりの基本法と、既にある関連法あるいはこれからつくるべき実施に直接関連した法律の関係というのはどういうふうに考えればいいのですか。
  29. 林修三

    林参考人 この法律は基本的なものと申しましたけれども、要するにこれは基本法的な面は、先ほどもちょっと申しましたが、国の行政機関あるいは地方公共団体努力義務的な規定をいろいろと入れておるわけでございまして、こういうことについてこういうことに努めなければならないというようなことで基本的な方針を書いておる。具体的にはそれをいかに実施していくかということで、これは既存の法律実施していく面もございましょうし、あるいは新しく法律をつくる。まあ一つの例で言えば、先ほどもちょっと竹内知事からもお話があったかと思いますが、世間によく出ておりますが、例えば常磐新線なんかについて何か法律をつくるというような動きがあるようでございます。そういう問題も一つ、ほかにもあるかと思いますが、そういう問題もございます。  結局、既存の法律を運用し、これを実現するために新しい法律をつくるということでございますが、それをいかにしてやっていくかというのは、結局実施官庁はある意味では中央の官庁であり、あるいは地方公共団体の知事なりあるいは市町村長だろうと思います。そういうものをいかに円滑に実施していくかは、結局各省庁の権限調整に触れてくる点がいろいろあるわけで、これはぜひともそういう各省庁が過去の権限にこだわらずに協力してやっていくということが必要だろうと思います。その仕組みについては、この法律の中でも若干書いておるわけでございます。  それから、例えば地域振興についてもあるいは業務核都市整備につきましても、地方的にいろいろな国の機関とか地方団体が一緒になった協議機関的なものをつくって、そこで協力していく結果に基づいてお互いがお互いの権限を行使して実現する、そういう仕組みだろうと思います。これは具体的に実質的にこれこれについてはここまでやるというようなことは、この法律でない別の法律で、今おっしゃいましたいろいろな既存の法律もございますし、新しく予定されておる法律もありましょうが、そういう法律でおのずから権限を行使する主務大臣なりあるいは知事なりが決まるわけでございます。そういうものを整合的にやっていく仕組みをこの法律案ではいろいろ書き入れている、あるいは努力義務も書いている、あるいは協議会的な方式を書いている、私はそういうふうに思っておるわけでございます。
  30. 菅直人

    ○菅委員 あと多少時間がありますので、もう一度柴田参考人に、先ほどの議論の最後のところで不均一課税のことをちょっとおっしゃったわけですが、最近興味ある税制の議論の一つに、連合とかあるいはリクルートの社長なんかから、大都市圏に国税としての保有税をある程度の面積以上所有している人に一%かけたらどうかというような議論が一部出ているわけです。実はこの委員会でも東京都の都市計画税の二百平米以下、以上という問題で、不均一課税がいいの悪いのという議論が大分あるわけですが、先ほど先生のおっしゃっていた個人用の住居については低率で、それ以上については累進的にということも含めて、土地税制のそういう考え方について見解を聞かせていただければと思います。
  31. 柴田徳衛

    柴田参考人 現在、国税、都市計画税いろいろのところで交錯しておるようでございますけれども、私はやはり土地というものが現在までは税率一律だったわけでございますし、それから名寄せができないときには累進課税というものが大変不公平になるかと思いますけれども、現在のいわゆるコンピューター技術をもってすれば全国的な名寄せというものがかなり可能ではないだろうか。そして不動産の非常に高い価値のものを多く持っている方というものは、それだけ地域にもいろいろ経済的に負担をかけているはずなので率を多くしてみる、他方、生活用にわずかの不動産で生活している方、特にお年寄り、こういう方にはできるだけ率を少なくする、こういう方向というものを考えていいのではないか。そして、特に都心部の非常な値打ちの高いところに大規模な不動産というものを所有している主体に対してはかなりの税負担を地方税として考えていいのではないか。そして今までですと、税法の技術からいってもいろいろ困難が多かったわけですけれども、これだけいろいろ電子機器も発達したときはそういう問題を検討していいのではないだろうか。ちょっとここで言うのは早過ぎるのかもしれませんけれども、現在台湾でいろいろそういう都市計画の上での工夫が進んでいると聞きましたので、いろいろ参考になるという話を聞いたのでございますけれども、それらの研究も私自身進めてみたいと思っておるところでございます。
  32. 菅直人

    ○菅委員 どうも本当にありがとうございました。
  33. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、坂井弘一君。
  34. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変どうもありがとうございます。四人の参考人の先生方に一言ずつお願いしたいと思います。  なぜ東京集中なのかということを考えますと、私は、根本原因といいますか最大原因は地方分権ができなかったからだ、こう申し上げたいわけなんです。首都圏集中型の発展が、中央集権化、独占化、画一化、こういった大変大きな弊害をもたらしてきたことも事実でありますし、同時にまた、どんどん東京に人が集まる。そうするとそのことがさらに増幅され、なおまた加速されていく。これを断ち切って、本当に多極分散型の国土、分権型の国土をつくり上げるためには、相当な決意と戦略がなければなかなか容易ではないと思います。  その場合に、冒頭申しました思い切って国の行財政権限地方に移譲、分権する、これができるかできないか、私はここにかかっているだろうというぐらいに思いまして、そこで四人の先生方それぞれ、地方分権という視点は大事だというお説のようでございました。そこで、本格的に地方分権をやる、その場合の具体的な手順、手法、どうすれば可能なのだろうか。地方分権の言葉はありますけれども、なかなかそれが現実のものにならない。宇野参考人からは道州制の問題、確かに受け皿としてはそれは一つの方法だろうと思います。ただ、ではそれを実現させる、可能にするための何か手法を、例えば行財政権限配分委員会でありますとか、国の許認可行政に対しましてこれを整理する何かの機関でありますとか、そういうものをつくったらどうかというようなこともあるようでございますけれども、可能にする具体的な手順、手法、何が一番よろしいのだろうかということについて、簡単にひとつお願いできればと思います。
  35. 宇野收

    宇野参考人 ただいま坂井先生からお話ございましたこと、私どももこうは言っていますけれども、具体的にどうしたらいいのかということについて大変悩んでおるわけでございますが、一つ考えられますのは、国会の中でこの問題についての特別委員会をひとつつくっていただく、そして先生方の非常な御審議をいただくということを私どもは期待しております。なお、当面、与党でおられる自民党の方にお願いしたいのは、この問題についての関係閣僚会議をやっていただきたいということもひとつできればお願いをいたしたいと思います。  しかしながら、あとはこれは世論を盛り上げる以外にはないと私は思っておりますので、私ども経済団体の、地方には全部で六つか七つございますけれども、そういう人たちと、遷都もいいけれども遷都というのは都をどこへ具体的に移すということでなくて、機能をどう分けるかという問題の方が本当は大事なんだ、だから皆さん受け皿としてどういうことを考えていますかということを話を重ねていきたいと思います。申すまでもございませんが、この問題については外圧はございません。アメリカからこの問題は出てこないです。したがって、私たちが内圧を上げる以外にはないと思っておるわけでございます。  以上でございます。
  36. 柴田徳衛

    柴田参考人 私、先ほど言わせていただきましたけれども、御質問の地方分権の手順といいましょうか具体的方法でございますが、私はぜひ一番手短というか具体的に進めていただきたいのは、地方財政の自主財源の充実でございます。地方税というものをできるだけ充実させて、現在国税、地方税は地方税の方が約半分近く少ないわけでございますけれども、これをできるだけ転換を図る、これが第一点。そして地方のそれぞれの自治体の税源をふやす。  それから二番目に、補助金をできるだけ廃止の方向に持っていく。すると、それだけ地方への支配のひもというものは減る。地域格差があり、地方税が自治体によって税収が多い、少ないというのがございましょうから、それがある間は地方交付税というものでもってその差を埋める、そして地方の自主財源をできるだけ充実させる、これが第二点。  それから、先ほど申しましたけれども地方債の発行が現在まで戦後延々と、当分の間というのが既に三十年以上国の規制下にある、許可の中にある。今日は状況が大きく変わりましたので、いわゆる人気取りでむちゃくちゃに出す、これには一定の枠をつける必要があると思いますけれども、その一定の枠内では、金融機関なりなんなりとそれぞれの自治体が相対で自由に金利やその他の条件を話し合う、そして地方の創意工夫で自分たちの仕事が相当自由にできる、こういうようなめどを金、資金の面で出していただき、地方もそれを背景にしていろいろな行政の実力を上げていただく、こういう方向をぜひこれから出していただきたい、こういうことでございます。
  37. 坂井弘一

    ○坂井委員 小さい政府、大きい地方といいますか、そういう方向にこれからの行財政改革というのは本格的に行財政権限配分の見直しということを——これはある意味ではソフトの遷都だろうと思う。ハード面だけで考えても、とても多極分散型の国土形成なんかできようはずがないかなという実は半分あきらめにも近いような気持ちを持つわけでございます。従来の全総計画も、地方定住といいますか、あるいは東京一極集中弊害というのを常に述べながら、何とか地方圏というところに目を向けよう、そして定住ということをねらってきたのだけれども、そうならなかったという現実があるわけでありますので、今先生方の御意見ちょうだいしました、確かに地方の自主財源の強化、許認可行政等を本気になって抜本的に改めることができないか。改廃ですね。現代の参勤交代だと思います。これならば東京集中というのはこの流れをとめることができないと言われた宇野参考人の御意見、私は全くそうだと思います。私の意見を申し上げたかったわけであります。  時間がございませんので、林参考人にひとつお願いしたいのですが、そうは言っても、四全総という長期計画法律案としたという今回の多極分散型国土形成促進法案なるものは、一面では確かに基本法である。同時にもう一面では実施法的な性格を持たした。これだけの長期計画法律としてまとめるということは、法制上これはなかなか難しい作業であったのだろうと思います。そこで惜しむらくは、実施面についてはなかなか十分この法案の中では表現できなかったのではないか。したがって、林参考人先ほど意見の中で、これから実施面、実施法の面でなお整備する必要があるであろう、こういう御意見のようでございました。  そこで、どういう点を今後整備していけばよろしいのか。今、林参考人のお考えの中で、ここらのところをもう少しこういうふうに具体的に実施法整備したらどうだろうかというお考えをひとつお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
  38. 林修三

    林参考人 実はなかなか難しい御質問でございまして、私も行政の実務についてそれほど詳しく知っているわけでもございませんので、的確なお答えができるかどうか心もとない点もあるわけでございますが、この法律案は、今申しましたように多極分散型国土形成についての計画的な面をいろいろ書いておるわけであります。それで、いろいろな地域振興計画にしましても、あるいは業務核都市整備にいたしましても、そういうものについての計画を樹立する手順等についてはある程度具体的に書いておるわけでございます。しかし、そういう計画が決まった後いかにこれを実施するか、これはそれぞれの法律でいろいろな法律が現在たくさんございます。そういうことで、あるいは主務大臣がそれを実行する、あるいは府県知事なり市町村長が実行するというような手はずになるのだろうと思いますが、そういうものについて既存の法律で実行できる点もいろいろあるかと思います。しかし、それが足りない面については実施法をつくっていかなければならない、そういうことだと思うのでございます。  例えば住宅関係にしろ、都市計画にしろ、あるいは地域開発にしろ、いろいろな法律が現在ございます。そういうものが必ずしも十分に動いていない点もあるわけでございますが、こういうものをいかにして動かすかということは、これは法律規定の足りない面もないわけじゃございませんが、実際は運用に当たる各省なり、あるいは府県あたりの意気込みということが本当は大事なんだろうというふうな気がいたします。例えば都市計画法実施にしろ、あるいは都市再開発法の実施にしろ、あるいはいろいろな用地の取得についての土地収用法の適用にしろ、法律規定では大体ある程度は備わっている、しかし実施がなかなかうまくいかないという点は、運用面にいろいろな問題があるんだろうという気がいたします。大部分はそういうことで、運用面に気をつけていけば、この計画で決まったところを各省庁なりあるいは知事なり市町村長が本気になって実施していけばうまくいくんじゃないか、これは楽観的な見方かもしれませんが、そう思います。  ただ、この法律でいろいろ考えておりますので、なお具体的に実施面で法律が要る面が幾つかあるのじゃないか。先ほど一つ例を申しましたけれども、例えば新しい業務核都市というものをつくるとか、あるいは近郊に優良な住宅地帯をつくるためには鉄道新線が要るとか、あるいは道路が要るというような場合に、それを、従来の鉄道なら鉄道つまり昔は国鉄は鉄道だけをつくるというようなことですと、鉄道をつくったのはいいけれども、その近隣に例えば住宅地をつくるについては民間のデベロッパーがやるわけで、鉄道の新線の建設には非常に膨大な金がかかるけれども鉄道建設に当たる国鉄自身には何も近傍の土地の価格が上がったことによるメリットは出てこない、そのために費用だけ非常にかかってなかなか難しい。そういう意味鉄道土地開発とを一体化するような仕組みの事業ができるようにJR線なんかについてやったらいいじゃないかという議論があるわけであります。そういうのはひとつ新しい法律が要るのかというようなところがございます。そういう面で、あるいは交通網の整備とか情報通信網の整備なんかについても今の既存の法律では足りない面もあろうか、そういう点があるのじゃないかというふうな気がいたすわけでございます。  それから、実はこの法律の中には権限地方団体に委任する、あるいは地方機関に委任することがいろいろ書いてございます。これは実際にはいろいろな実施をやるについては地方団体権限を委任するというようなことも必要だろうと思いますが、この地方公共団体に対する権限委任が今までしきりに言われていながらなかなか行われない。その原因は何かというと、一つは、これは中央の役所の立場でいうと、機関委任事務についての委任をしたのはいいけれども実施の保証がないというような面があるわけであります。これは現在地方自治法の改正案が出ておりまして、例の職務執行命令訴訟の問題についての改正案が出ておりますが、あれも一つの考えだと思いますが、いろいろ御議論もあるようでございますが、特に、例えば今の国の事務を機関委任事務として地方に移譲する、あるいは現在機関委任事務のものを団体委任に直す、そういうものについてその実施を保証するような仕組みがないと中央官庁もなかなか委任をやらない。そういう点、これはやはり地方自治法の面にいろいろ問題があると思います。そういうところの規定整備も必要じゃないか。まともなお答えになったかどうか、そういうことが考えられるかと思います。
  39. 坂井弘一

    ○坂井委員 ありがとうございました。
  40. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、塚田延充君。
  41. 塚田延充

    塚田委員 本日は、参考人の皆様方におかれましては公私ともに御多忙の中を貴重な意見をこのような席でお述べいただきまして、大変ありがとうございました。  それでは、順不同でございますけれども、質問させていただきます。  まず柴田参考人にお伺いしたいわけでございますが、国の機関をある程度地方分散しようということで、竹下内閣におきましても一省庁一機関を推進しようということでございますが、本体を置いたまま部分移転しても、いわゆる人間の心理的な問題もあって、結局は単身赴任者のみをふやしていくことになりやしないか、この辺のことを、いわゆる学者の立場から、感想で結構ですからお述べいただけたらと思います。
  42. 柴田徳衛

    柴田参考人 一省庁一機関といいますと、今おっしゃられたような問題が起こるかと思いますけれども、私は先ほど申しましたように、省庁の一つの局、一つの課の中でも、課そっくりが移るのではなしに、課の中のどうしても折衝等々でなければならないのはやむを得ないけれども、その中に計算とか書類の整理とか、雑務といいましょうか、というと失礼になるのですけれども機能をサポートするような仕事がたくさんあるのではないか。こういうものはかなり地方に移して、かわりに通信で即刻オンラインでつなげていく。課長の質問なり命令が、場所はたまたま遠くにあっても、すぐお互いの通信はできる。これは今後の通信技術の発達で相当可能ではないだろうか。そして、それぞれの行った先でほかのものがないとそれは孤立した形になるでございましょうけれども先ほど申しましたように、それぞれの行った先に相当の教育機関が、また東京からそっちに出ている、あるいは文化の、芸術のいろいろな機関がそちらに出ている。そこで近代的な、快適な生活が十分できる、こういうめどというものは現在の形でも相当研究できるのではないだろうか。そして中央政府全体としまして相当の機能が縮小されて、人数が縮小されて中央に残る、こういうことが出るのではないか。それに先ほどからもいろいろ出ております許認可事務の地方移転、両方合わせますと、事実上の遷都と申しますより都市機能がずっと中央が少なくて済む、こういう方向が出るのではないか。かつ移った方もそれぞれの地域で快適な、健康な環境で家族の生活をしていただく、こういうめどが出し得るのではないか、またそういう方向が考えられるのではないか、こういうことでございます。
  43. 塚田延充

    塚田委員 確かに先生の御意見というのは、もう実態そのものは地方に移して、窓口機能みたいなものだけは東京なり大阪なりでいいんじゃないか、こういうお考え方だと受けとめさせていただきます。  それでは宇野参考人にお伺いいたしますが、今の柴田参考人のいわゆるサポーティングオフィスとかバックオフィスというような考え方、これを経営の立場でそういうことができるのかどうか、もしそのようにするとすれば、そのための技術的な条件もしくは社会的、行政的な条件はどう整備すればいいのか、御意見を賜りたいと思います。
  44. 宇野收

    宇野参考人 これは私は可能だと思います。アメリカでもやはりそういう形のサポーティングオフィスのようなものができておりますが、そのためには、先ほどもお話が出ておりますが、コミュニケーションのシステム、通信でありますが、通信以外に交通体系の整備というふうな問題ができてきますと、これは可能だと思います。しかし、冒頭に先生おっしゃったように、単身赴任という問題と多少関連があると思うのですけれども、単身赴任をしなければならぬような国土づくりというのはそもそもこの促進法の中にないはずです。四全総の中にもないはずなんです。やはり豊かな地方の独創性のある町づくりということでありますし、もっと具体的に言いますと、子供の教育というものがそこへ行って大丈夫かという問題なんかもございますので、そういう意味でのアクセスの整備、インフラの整備というものは十分考えなければならない。  そうなってまいりますと、国土全体について多極分散型というのは果たしてすぐにできるのかということになると、これは難しい。したがって、順序としてしやすいところというのがおのずからあるのではないでしょうか。私は地域のことを言っているんじゃないのですけれども、例えば関西圏とか名古屋圏というのは比較的やりやすいところだから、そこをまずやって、その次に地方と、だんだん順を追わないといけないのじゃないかというふうに思います。多少ポイントが外れているかもしれませんが、そういうことでございます。
  45. 塚田延充

    塚田委員 東京への一極集中を避けるためには、やはり地方振興、これによって初めて産業であれ人口であれ移動が可能じゃないかと思います。そうした場合、今まで各委員から指摘されておりましたのは、地方への権限委譲の問題、これが不十分だし、これがポイントになるぞというように受けとめられる質疑が行われたわけでございます。  そこで竹内参考人にお伺いいたしますが、竹内参考人の場合は、知事さんとして、現に首長さんとしてその衝に当たっておられます。この地方への権限委譲に関連して、首長さんとしての御意見を御開陳いただけたらと思います。
  46. 竹内藤男

    竹内参考人 お答え申し上げます。  確かに知事として仕事をしていく場合に、各省に相談しなければならないことがかなりございます。余り例を挙げると差しさわりがありますから何省とは申し上げませんけれども、わずかな補助金をくれて人間を縛ったり、いろんなことがございまして、その辺は是正していただけばいいんじゃないか、こう思うわけでございます。先ほどもお話ございましたが、やはり一つ一つ洗い出して、これを地方へ移していく、これは残しておくという作業をやってもらわなければいかぬのじゃないかと思うのですね。  確かに林さんが言われたように、地方に対する信頼感がない、地方に預けると何をするかわからない。それもあるのです。それもあるのですが、県の場合は大体地方に預けてもらっても大丈夫じゃないか。そういうことで一つ一つ洗って、やはりできるだけ権限地方に移す。それから補助金なんかも、大きなものはしようがありませんが、小さい補助金はメニュー方式にしてもらうとか、最近進んでおります。そういうふうにしてやっていただければ、もうちょっと自主的な判断、裁量でやれるような部門が出てくるのではないか、こういうふうに思います。
  47. 塚田延充

    塚田委員 竹内参考人の陳述によりますと、茨城県は多極分散一つの極としてかなり重要な役を引き受けてもいいんだ、その準備もあるし可能性もある、そして特に筑波研究学園都市としての経験もある、このような御説明を興味深く聞かせていただきました。  そこで、これらの件に関連して二、三御質問申し上げたいわけです。  まず、首都圏のこれからの人口増加予定三百万のうち百万人を引き受けてもいいんだということですが、そのためにはやはり高速交通網の問題が生ずるわけでございまして、これは常磐新線ということで言及されております。そこで、常磐新線のみでは百万都市ぐらいになったら足りないんじゃないかという気がしますけれども、いかがなものか。  それから次に、やはり今の常磐新線の実質的な計画みたいなものは茨城県の入り口までしか来ていないわけですね。筑波研究学園都市のあたりまで北進することが可能かどうか、これは特に守谷以北になりますと、電化問題、すなわち直流電化ができないということが大きなネックになりやしないか、この辺をやはり国土庁レベルで解決しなければいけないと考えますが、その件についての御見解。  そして、これは三番目になりましょうか、そういうことも含めて筑波研究学園都市をもって東京の言うなれば副首都、第二首都的な機能茨城県としては充実させる用意があるのかどうか、それについて徹底的に手を挙げて取り組んでいかれるかどうか、その場合の問題点は何か、この辺を包括的に御意見を賜りたいと思います。
  48. 竹内藤男

    竹内参考人 百万人受け入れるためには常磐新線だけでは足りないかもしれません。県南と言っておりますけれども、正確に言うと県南・県西地域でございまして、県西地域の場合には、場合によれば今の東北新幹線に駅をもう一つつくってもらってそれの周辺の地域開発ということも必要になってくるのじゃないか、こういうふうに思います。  それから、守谷までは実線で研究学園都市までは点線でございますから、研究学園都市まで行くのかということでありますが、これは我々としては、ぜひ学園都市まで延ばしてもらいたいということで運動しているわけでございます。その場合の地磁気観測所の影響でございますが、今まで気象庁と詰めた段階では、短い周波のものについては移転が可能だということでございますので、これが移転できれば大体筑波までは大丈夫だ、こういうふうなことになっておりますので、それを何とか鉄道事業者とも相談しながら移転をさせていきたい。  それから、第二首都というのは、我々はそこまで余り考えているわけじゃございませんが、先ほど言いましたように、機能的に考えればいろんな首都の機能が来てもらうということは東京のためにいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  49. 塚田延充

    塚田委員 茨城とか栃木、群馬、この辺から東京に入ってくる場合、やはり高速道路網でございますけれども、確かに自動車専用道路は非常に整備されましたけれども東京そのものに入るとほとんど動きがとれなくなってしまうというようなことで、竹内参考人など大変苦しんでいると思いますけれども、他県から東京を批判するとかいろいろ御意見を述べるのは難しいかと思いますけれども、やはり首都圏にある知事として、東京高速道路についてどのような御意見をお持ちか、一言お願いいたします。
  50. 竹内藤男

    竹内参考人 道路公団の管理している道路の方はスムーズに来るわけですが、首都高速道路公団の箱崎が込むものですから、あれが最大のネックです。ただ、東北道が首都高につながりまして大変心配したのですけれども、湾岸の方に行く道路ができたものですから、前と同じような状況でございますが、箱崎というのがネックでございます。したがって湾岸道路からもう一本、東京といいますか、陸地の方に行く道路をつくる計画を今進めているようでございますが、あれを進めてもらえばかなり違うのじゃないかと思います。
  51. 塚田延充

    塚田委員 終わります。ありがとうございました。
  52. 小此木彦三郎

    小此木委員長 次に、辻第一君。
  53. 辻第一

    ○辻(第)委員 参考人の皆さん、本日はお忙しいところありがとうございます。また、貴重な意見を拝聴いたしましてありがとうございました。私に与えられた時間は非常に短うございますので、お尋ねすることも十分意を尽くせないという面もあると思います。どうかひとつお答えも簡明にお願いをしたいというふうに思います。  まず最初に柴田参考人にお尋ねをいたしますが、参考人は最後の方で、中央集権的な経済政策からの転換、こういうことがございました。私ども端的に申しまして、東京圏集中、これは四全総でも多極分散と言っているのですが、実際は東京改造計画に最大の力点を置いているのではないか。国際都市、金融・情報都市東京ということでございます。もう御存じのように、臨海部を中心としたメジロ押しというような大型のプロジェクトであります。これはどのように申されても一極集中を本当に強めるものだと私は言わざるを得ないのでございます。そして一方、前川リポートというような国際的な産業構造調整政策というようなことで、農業が、林業が、石炭が、あるいはいろいろな造船その他が大変な状況を来しておる、こういうことでございます。私は東京一極集中、ここのところに、本当に一番根本的な原因にメスを入れぬ限り、なかなか解決をせぬのではないか、どうも今の四全総やなには実際はそこのところにメスを入れないでそれを助長し、あとは対症的な療法になっているのではないか、こういうふうに思うのです。私は、四全総に代表される政策を根本的に転換をする、また今の産業構造調整政策を転換して東京集中を真に規制する有効な政策を実行すること、また地方経済が本当に振興し、地域ごとの居住環境を改善する、こういうふうな本当につり合いのとれた国土政策に転換をしない限り解決はしない、こういうふうに私どもは考えるわけでございますが、柴田参考人の御見解を伺いたいと思います。
  54. 柴田徳衛

    柴田参考人 青函トンネル、本四架橋、こういうような世界でも驚くビッグプロジェクトがこの一月の間に続いてきた、そしてこの勢いで次々と、今度は東京の都心部から東京湾岸にかけてビッグプロジェクトが進んでいくようでございますけれども、私はそれだけの大変な資金というものを内需拡大に使う場合に、将来の日本を考えますと、東京の一千万ですか、あるいはそれ以上の市民生活の身近な改善、これの方にぜひこの資金というものを使っていただかないと、二十一世紀の東京日本経済というものは大変困難が出てくるのではないだろうか。都民の二割以上は、二十一世紀に入る、もうあと十年二十年たちますと大変な高齢化社会に入っていくわけでございますけれども、その方々が現在の東京の駅の階段、中層四階建て、五階建ての都営住宅、こういうところで大変困難が起こってくるのではないだろうか。また同じく赤ちゃんを連れた母親、これが子供を元気に育てようとすると、現在の東京の都市設計、大変困難が出てくるのではないだろうか。そこで、日本の活力というものが次の世代といいましょうか、あと十年二十年たつとこの東京の中でつくれなくなってしまうのではないだろうか。そういう方面での対策というものをぜひここから、大変身近なところで技術は大変簡単かもしれませんけれども、スロープをつけるとか、階段をつけるとか、そこに手すりをつけるとか、エレベーターやエスカレーターをつける等々で、大変身近なところで技術的には余りに簡単なことかもしれませんけれども、今言いましたような市民生活の健康な発展、これを考えますと、二十一世紀の活力、大変大事なのではないだろうか。そしてそこに相当の資金を投入すれば大変な派生した内需というものもでき、日本経済の活性化にもそのまま役立つのではないだろうか、こういうことでございます。
  55. 辻第一

    ○辻(第)委員 大企業優先の産業経済政策よりも本当に国民生活に密着をした政策をというふうに理解をさせていただきたいと思います。  時間がありませんので、次に宇野参考人にお尋ねをいたします。  参考人は、東京一極集中はとまらぬ、こういうふうに申されました。これを改善をすることは容易なことではない、こういうふうにも申されたわけでございます。この東京一極集中の最大の原因はどういうことなのか、先ほどちょっと聞いたのですが、もう一度簡明にお答えいただきたいと思います。
  56. 宇野收

    宇野参考人 一極集中の最大の原因は、やはり先ほど申し上げましたように日本が中央集権国家として一つの大きな実績を上げてきたというバックと、最近になって国際的な大きな金融の流れ、そして情報化流れというのが一極に集中することによって効率が出るということがバックになっておるというふうに理解をいたしております。  ただ私、ちょっと言葉が足らなかったかもしれませんが、したがって東京一極集中はとまらないです。とまらないですけれども、とめないでおいたら大変な弊害が出るということでございますから、これをとめなければならない。しかし、とめるときには痛みがある。痛みがあってもとめなければならない。そういうところで今のこの法案を御審議願っていると思いますので、ぜひひとついろいろ御検討いただきたいのですが、私としましては、これはやはり地方の分権、そして地方への大きな区画のつくり方というふうな問題を、ひとつ優先して仕組みを変えていきますならば、これは地方の発展というのは可能であるというふうに考えております。  以上でございます。
  57. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一言宇野参考人にお尋ねいたします。  業務核都市構想というのは、私どもも昨年の委員会で、あれは東京都心部の一極集中東京圏一極集中に変えるものではないのか、東京圏一極集中というのは、これはますますひどくなっていく、この一番大きな問題を解決することになるのかというようなことを私も申し上げたのでありますが、宇野参考人はこれは応急措置だというふうにおっしゃいました。私と本当に同じことをおっしゃいますなと思って聞いておったわけでありますが、結局こういうことでは地方東京圏格差が開く、こういうふうにもおっしゃったわけでございます。この業務核都市というのは、全体として今度のこういうことに見られますような、今度の法案四全総法案で、本当に多極分散型といいましょうか東京一極集中を是正をし、地方を本当に振興させていくことができるのか、その辺の今度の法案なんかのお感じ、一言おっしゃっていただきたいと思います。
  58. 宇野收

    宇野参考人 業務核都市構想というものは、私はこれは一つの方法としてはいい方法だと思います。ただ、関東圏の中でだけ業務核都市構想をつくるということが進みますと、先ほど私が申し上げましたように、関東圏全体がまた大きく浮かび上がって地方との格差がどんどん開くという懸念をいたしております。したがって、これはある過渡期の措置であるという理解をいたしたい。もしこの構想を広げるならば、関西圏名古屋圏にもこの構想を広げるべきであるというふうに考えるということでございます。
  59. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、私どもは本当につり合いのとれた国土をつくっていくということになりますと、国土政策あるいは産業政策あるいは都市政策地方振興政策、こういうものを本当に転換をしない限り解決をしないというふうに考えているわけでございます。それと同時に、先ほど来お話がありました、私ども地方行財政の全面的拡充ということがなければ解決をしないというふうに考えているわけでございます。先ほど柴田参考人も、いわゆる地方行財政の拡充の問題、また宇野参考人も、私どもとちょっと観点が違うのですがそういうお話がございました。  竹内参考人に最後にお尋ねをするわけでございますが、現職の知事とされまして、今の三割自治という状況、中央集権的な状況、そういう状況の中で地方行財政の全面的拡充ということが本当に大切だ、それなくしてはつり合いのとれた国土はできない、地方振興はない、このように思うのですが、一言御答弁いただきたいと思います。
  60. 竹内藤男

    竹内参考人 おっしゃるように地方財政はなかなか大変でございまして、その上に国の財政が大変なものですから、時々地方の財源を国の方に持っていかれてしまう、そういうようなこともあるわけでございますが、今我々は、国会でおつくりになる法律それから国が確保した予算、これは一つの武器だから、我々頭で考えたことを最大限に活用して、そして地方のためにやっていこう、こういうような考え方で進めておるわけでございますが、委員の御指摘のように地方行財政の充実ということは非常に大事なことだ、そういう方向にぜひとも向いてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。
  61. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  62. 小此木彦三郎

    小此木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散