○辻(第)
委員 大臣、もう結構でございます。どうぞ。
今少し農業の問題に入ったわけでございますが、本当に
集中を是正し
分散を進めていく、そして過密過疎を解消していく、この上で決定的に重要なのはやはり産業
政策ではないか。いろいろ
国土政策として御努力いただいておりますけれども、一番大事なのは産業
政策ではないか、このように考えるものでございます。
昭和五十九年十一月の
国土庁の「四全総長期展望作業中間とりまとめ」というのがございますが、この中に「一九六〇年代の大都市
集中」というところがあるわけでございます。少し読んでみますと、「
集中と
分散のこれまでの動向を振り返り、その要因を明らかにすることにしよう。戦後の高度経済成長期には、とりわけ一九六〇年代前半を中心に、大都市圏への人口の大量
集中が生じた。軽工業から重化学工業へと産業構造が大きく転換し、鉄鋼、電気機械、化学等の成長産業を軸に高度成長が達成される過程で、工業集積の高い大都市圏と第一次産業比率が依然として大きなウエイトを占めていた地方圏との間の所得格差が拡大し、生産性の低い農村地域から需要の旺盛な大都市地域へ大量の若年労働力が移動したのであった。この結果、人口・諸
機能の地域的偏在が強まり、過密・過疎問題が深刻化するに至った。」一九六〇年代はこう言っているのです。一九七〇年代は「地域間の所得格差が縮小し始めるとともに、大都市圏への転入超過も減少の
方向に転じ」た。八〇年代は「ここ数年わずかながら三大都市圏への転入超過が生じている点が注目される。」こう言っているわけです。それで、「大都市圏では技術力の蓄積や市場への近接性を背景に、加工組立型を中心とした高付加価値型の生産
機能が多く
立地している。」ところが「地方圏では素材型を中心に比較的付加価値の低い生産
機能がなお高い比率を占めている」、こういう差が「重厚長大から軽薄短小への産業構造転換のもとで、大都市を擁する地域に有利に作用し、最近、所得格差がやや拡大している一因ともなっている」、こういうふうに言っているのですね。
さらに、これは経済審議会地域・産業部会報告というのが昭和六十三年四月五日、ごく最近出ているのですが、「地域の活性化の必要性」というところがあるのですが、これは「国際的な産業構造の調整は、農業やいわゆる重厚長大産業の相対的縮小と都市型産業の伸張をもたらすので、
東京圏(一都三県)への
一極集中とその他の地域経済の停滞を強めるおそれがある。すなわち、
東京圏では金融等をはじめとする経済活動、情報等の各種
機能、人口の
集中が続く可能性が高い。」そして、先ほど私ちょっと触れたのですが、「今後の人口の社会増が昭和五十五―六十年の趨勢で続くと仮定すると、全国の昭和六十―七十五年までの人口増加数約一千万人の半分が
東京圏での増加となると予想される。」こういうふうに言っているわけでございます。
こういうふうに、いわゆる産業
政策、経済
政策、そこから来る産業、経済の構造、それが一番大きな大都市
集中、そして過疎過密という状況を引き起こすということでございますので、しかも今は殊に円高でございますね。貿易摩擦の問題、そういう状況の中から海外で生産をする、あるいは工場を海外へ持っていく、こういう問題、あるいは合理化、工場閉鎖の問題、いわゆる産業空洞化というような状況が出てまいりました。いわゆる前川リポートと申しましょうか、国際的な産業構造調整
政策ということがやられる。この前も申しましたように、北海道を初め九州、北東北とか沖縄あたりは深刻な状況ですね。農業が大変だ、漁業も大変だ、石炭ももうどうにもならない。そして造船でありますとか機械でありますとか鉄鋼でありますとか、深刻な事態を迎えています。こういうところは特別でありますが、それでなくても釜石でありますとか燕市でありますとか広島の因島市でありますとか、こういういわゆる企業城下町というところは深刻な事態を迎えているということですね。
こう見てまいりますと、
東京は国際都市であり、情報都市であり、金融都市であるということでありますが、もう他の地方では深刻な事態を迎えている、こういうことですね。だから、私は、ここのところにメスを入れない限り根本的な解決の道はないのではないか。今の国際的な産業構造調整
政策を改めて、本当に大企業本位から
国民本位の地場産業や地域の産業あるいは中小企業を大切にする、そしてつり合いのとれた経済と申しましょうか、食糧や資源エネルギーを民主的に立て直す、こういうことを含めた産業構造の転換、産業
政策、経済
政策の転換こそが求められているのではないか。この視点で十分御対応いただきたいというふうに思うのですが、いかがでございますか。