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1988-05-12 第112回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十二日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 田並 胤明君 理事 木内 良明君    理事 木下敬之助君       亀岡 高夫君    久野 忠治君       佐藤 守良君    園田 博之君       谷垣 禎一君    渡海紀三朗君       野中 広務君    深谷 隆司君       二田 孝治君    宮崎 茂一君       渡辺 紘三君    伊藤 忠治君       上田 利正君    松前  仰君       阿部 昭吾君    佐藤 祐弘君  出席政府委員         郵政政務次官  白川 勝彦君         郵政大臣官房長 森本 哲夫君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾西 清重君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     河野  正君 同日  辞任         補欠選任   河野  正君     阿部喜男君 同月十二日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     渡海紀三朗君 同日  辞任         補欠選任   渡海紀三朗君     尾形 智矩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ────◇─────
  2. 塚原俊平

    塚原委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 塚原俊平

    塚原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  5. 虎島和夫

    虎島委員 最初に参考人にお伺いをいたします。  まず第一に、五月九日でありますか、新聞報道で、新型間接税に関しNHK放送せずというのが四段抜きで載っておるわけであります。これは放送法の定めにより公表義務があるということでありますが、内容は御承知のことと思いますが、今年の三月NHKが行いました世論調査くらし政治」のうち、間接税導入の是非について、反対が四八%あったという結果が全く放送されていなかった。このことが明らかになったので、公共放送のあり方を定めた放送法四十四条二項で解釈しながら論議を呼んだ、こういうことであります。したがって、このことについてまずお伺いするわけでありますが、この新聞報道指摘は事実であるのかどうか。
  6. 尾西清重

    尾西参考人 お答え申し上げます。  新聞報道の中で書かれてある記事については誤りはございませんが、記事の扱い方あるいは見出しつけ方によって、あたかもNHK報道姿勢が偏っているという印象を与えたことはまことに遺憾である、放送を預かる人間として大変不快に思っております。  今先生の言われた世論調査の結果を放送しなかったという事実につきましてはそのとおりでございますが、私ども編集判断によりまして、これは三月十二、十三の両日にわたって調査をしたものでございまして、それが結果としてまとめられたのは二十三日でございます。ところが、政府税調における素案発表されたのが二十二日でございます。したがいまして、私どもは二十二日の七時、NC9、そして夜の最終ニュースでもこの政府税調素案骨格について詳しく報道したわけでございますし、また新聞各社とも二十三日のトップの記事として扱っております。こういうニュース発表されたその翌日でございますので、もし仮にこの世論調査の結果を発表するとすれば、新しく発表された税調素案に対するリアクションという誤解を与えかねないということから、私どもとしてはこの発表を控えたわけでございます。
  7. 虎島和夫

    虎島委員 二十二日の税調内容報道したというNC9との関係については後でまた承りますが、従来の法に基づく世論調査の結果の公表はどういう形になっておるか、承りたいと思います。つまり、何を使ってやっているとかいろいろあると思うのですが、そのことについて承りたいと思います。
  8. 林乙也

    林参考人 NHKにおいて行っております各種調査につきましては、放送法四十四条二項に基づくいわゆる番組についての公衆要望を知るための調査のほか、各種番組の素材の収集あるいは制作の資料を収集するための調査等もあるわけでございますけれども、それらにつきまして、NHKといたしましてはこれを国民方々に広く公表していくということを考えておりまして、特に四十四条二項に基づく調査とその他の調査については区別した取り扱いはいたしていないところでございます。いずれにいたしましてもこれを広く公表していくという考え方に基づいて行っております。  ただ、その公表方法でございますけれども、これはあくまでもNHKの自主的な業務運営の中にお預けいただいておると考えておりまして、特にこういった調査の結果でございますので、印刷物による公表というものを中心にしながら、またそのときどきの編集判断に基づいて放送においてもこれを適宜取り上げながら公表してまいっておるということでございます。
  9. 虎島和夫

    虎島委員 そうしますと、今回の、あるいは従来もですが、公表の仕方については具体的にはいろいろな仕方がある。そこで、今回新聞報道になったことの公表の仕方については、好ましいか好ましくないかは別として、放送法四十四条二項に定められた条文に違反するものではないという考えを持っていらっしゃるわけですか、この際承っておきたいと思います。つまり法に違反していないかどうかという御認識であります。
  10. 林乙也

    林参考人 私どもといたしましては、放送法に定めるところに違反することはないと考えております。
  11. 虎島和夫

    虎島委員 それでは、先ほどの御答弁によりますと、今回の公表、つまりその他のこととこの税に関する調査結果とを区分して公表していらっしゃるようですね。こういうように理解してよろしゅうございますか。
  12. 林乙也

    林参考人 今回の「くらし政治」につきましての公表の具体的な方法でございますけれども、この処置といたしましては、まず「放送研究調査」という冊子にまとめまして、これを広く配布しておるということでございます。公的な図書館とか研究所とか学会、官公庁、新聞社、民放、調査関係機関出版関係等にもこれを配布いたしております。特にこの中には全項目につきまして、ただいま御指摘間接税関係につきましても全部収録して公表いたしております。  先ほど尾西総局長の方から申し上げましたのは、放送における取り上げ方についての御説明をいたしたところでございます。
  13. 虎島和夫

    虎島委員 その辺はよく理解できました。新聞の方にも放送せずと書いてあるのですね。公表せずじゃなくて放送せず。したがって、公表という形は、まあいろいろ議論はあるにしても、結果的には満たしておるということがこの見出しの中にもにじみ出ておるように私は思うのですね。  ただ、今後の問題でありますが、この種の公表というのが非常に多岐にわたるのですね。放送法によりましても、公衆要望を知るため定期的に調査しなさいということでありますから、いわゆる国民大衆国民皆さん方要望、期待というのはいっぱいあるのですね。したがって非常に膨大な内容になってくる。したがって、公表の仕方についてもやはり検討を要する点があるのじゃないか、こう思うのですね。特に民意に基づいて政治を執行していくあるいはNHK運営するということになれば、もっともっとより広範な、より奥深い調査というのは私は要請されると思うのです。そういう意味では、今申しますようにその調査の仕方、集約の仕方、そしてこれを公表するやり方については、この際、こういう問題を契機に検討されるべきであるというふうに考えますが、いかがでありましょう。
  14. 林乙也

    林参考人 ただいまも御答弁申し上げたところでございますけれどもNHKの行います調査につきましては、四十四条の二項に定める調査とそれからそれ以外の調査があるわけでございますけれども、そのいずれの調査につきましても、それを特に区別せずに広く国民お知らせをいたしていきたいということにつきましては、もう基本的な考え方としては今後とも変わりのないところでございます。  ただ、どのような方法でこれを国民方々お知らせしていくのが望ましいのかということにつきましては、やはり放送に取り上げるには視聴それから映像というような一つのそういったメディアにふさわしい形でのお知らせということも必要で、考えなければならないところでございます。また、調査が多項目にわたるようなこともたくさんあるわけでございますので、そこらあたりを短時間の番組によってお知らせするということも実際問題としてできない。むしろかえって誤解を生じかねないということもあるわけでございます。  また翻って、基本といたしましては、私ども業務活動の中で、運営の中で各種調査をやっていくわけでございますけれども、これはやはり言論報道機関としての自主的な一つ活動のもとにおいてそれを展開していく、その結果が法の定める一つNHKに課せられた責務にも十分こたえていくという形になることが私どもとしては最も望ましいことだというふうに考えておりまして、ただいまの先生の御指摘につきましては、十分念頭に置き、また真剣に考えさせていただきたいというふうに思いますけれども、一方、やはりこれはNHK一つの自主的な業務運営に沿って進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  15. 虎島和夫

    虎島委員 今自主的な業務運営にということだったわけでありますが、やはり報道の自由というのはまさにそこにあると思うのですね。外部からの圧力とか圧迫とか慫慂とかに屈しない、つまりNHKが本来の目的に沿うて自主的に判断をして自主的に放送する、そこにこそ私は放送の自由というのが存在するように思うのです。  ただ、一方国民が知る権利があるわけですね。これとの調和ですね。この調和についてはかなり技術的な問題があるように思うのです。今おっしゃるようにニュースのときにぽっとスポットというか間に挟んで流していくということで非常に誤解を受けるということであれば、解説等を交えながらやる等々の技術的な方法があると思うのですね。したがって、おっしゃるように確かにNHKにはそれなりの法に基づく運営の自由がありますし、義務もあります。このことは自主的な運営ということにかかわってくるわけでありますが、一方での国民の知る権利との調整については、今後とも十分に自由と責任という立場を自覚されまして会の運営に当たっていただきたい、こう思うわけであります。  特に、今からいろいろ社会が複雑になってまいりまして、いろいろな力が加わってくるのです。そのときにこそ、実は裏返せば断固としたNHK自発性自主性というものが尊重されるべきであるというふうに思うわけでありますが、この辺、ひとつ所見を承っておきたいと思います。
  16. 林乙也

    林参考人 今回のケースにつきましての各方面からいただいた指摘、また、ただいまの先生の御指摘につきましては、厳しく私ども受けとめてまいりたいと思います。  繰り返しになりますけれども、私どもの社会的な責任の自覚のもとにおける自主的な業務運営ということについて、そのようなことを基本にして今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  17. 虎島和夫

    虎島委員 政務次官おいででありますので郵政省の御所見を承りますが、ただいま申し上げましたように、事はやはり報道の自由、それから国民の知る権利を充足していくという放送に対する責任と両方かかわってくるように思います。したがって、郵政省としてもこういう問題についてはやはりきちんとした対応を従来私はとってきておるというふうに思うのです。この間も放送法の改正についてもいろいろこの委員会でも意見が出、論議があったところでありますが、それはやはり公正、自由な放送の確保ということに大きな力点があったように思うわけです。そういう点を踏まえまして、今回のこの世論調査の結果の放送に至らなかったことも踏まえまして、郵政省としてNHKに対しながら、あるいは国民に向けて、どのような基本的な姿勢でこのことについて今後対処されるおつもりであるのか、この際、承っておきたいと思うわけであります。
  18. 白川勝彦

    白川政府委員 お答え申し上げます。  今回の世論調査の集計がなされたときに相前後して税制改革についての素案骨格発表される、こういう状況のもとで、誤解を受けるおそれがあるとの判断のもとでニュース放送にはしなかった、こういうことについては、今お話があったとおり、そのように承知をいたしております。  放送番組については、先生御案内のとおり放送法第三条によりまして放送事業者番組編集の自由が保障されているわけでございます。放送事業者がみずからの判断で行うべきものであります。これにつきましては尊重しなければならないと思うわけでございます。NHKが行う諸調査の結果につきましては、ニュースその他の放送番組においてどのような取り扱いを行うかということは、放送法に規定する番組編集の問題でありますので、放送行政立場からは意見を述べることは差し控えるべきである、こう考えておるわけでございます。ただ、一般論として申し上げるならば、NHK放送法の精神に基づきまして公共放送として国民信頼を得ることができるような番組編集制作そして放送を今後とも行うことを強く期待するものであります。今先生から出された御意見、こういうものも、番組編成に当たってNHKとして十分今後の編集制作放送に生かすべきものである、このように考えておるわけでございます。
  19. 虎島和夫

    虎島委員 よく理解できました。  以上で終わります。
  20. 塚原俊平

  21. 田並胤明

    田並委員 きょうは参考人皆さん大変御苦労さまでございます。  私は、いつもNHK予算とか決算のときに申し上げておるのですが、NHKが公正、公平な報道機関として、いかなる圧力にも屈しないで、公共放送としてその使命を達成をして国民信頼に十分こたえてもらう、そのことによって国民皆さんNHKとしてますます発展をするように、このように常々申しているわけであります。今もその気持ちは変わりませんし、今後ともNHKはそういう使命を果たしていただきたい、こういう気持ちでございます。そういう前提に立って、幾つかの点について御質問を申し上げたいと思うのです。  その一つは、今も質疑にございましたように、本年の三月十二日から十三日にかけてNHK実施をした「くらし政治」の世論調査のうち、間接税導入についての賛成反対の結果をテレビ放映をされなかった。これは一部マスコミで報ぜられております。このことは、昨年の十二月に実施をした同様の世論調査の結果はテレビ放映をされたわけであります。間接税についての国民関心というのは、昨年十二月にNHK放映をした時点よりも現時点の方がかなり関心が高まっているはずですね。各マスコミを通して、この間接税の問題については、政府税調動き、あるいは自民党税調の内部の動き、あるいは各野党のその取り組みの動き、これらは一部始終報道されているわけでありますから、昨年の十二月よりも、よりその関心が高まっているというのはNHKも御承知のとおりだと思うのです。ところが、昨年の十二月に世論調査したものは放映をし、本年三月に行った世論調査の結果については放映をされなかった。  先ほど政府税調素案が出る翌日に放映という形が重なるために、政府税調素案に対しての世論調査の結果と誤解を招かれやすい、したがって放映をしなかったのだ、こういうお話でございましたが、それはやり方だと思うのですね。当然、映像だけ流れるのじゃなくて音声も流れるわけでありますから、その中で、これは何月何日に行ったものであって、政府税調素案発表とは何ら関係がありませんというようなことは、これは幾らでも言えるわけでありますから、そういう努力もしないで放映をしなかったということは、残念ながら、何らかの意図NHKにあったのではないかというふうに国民に疑問を持たれてもやむを得ない、このように私は思うのです。  先ほどは、印刷物による公表もあるという話を林専務はされましたが、NHKは波を今幾つ持っているのですか、衛星放送を入れれば映像だけだって三つ持っているでしょう。数多くあると思うのですね、十も波を持っているのですから。それは印刷物公表すればいいのだということになりますと、確かに編集の自由もありますから、編集の自由でやったんだと言うと、我々もNHK編集の自由を侵すつもりはございません。ただ、今虎島先生が言われたように、国民の知る権利というのはじゃ一方どうするのだろうか。少なくもNHKというのは公共放送として国民信頼を得ている、したがって受信料を払っているのですから、公共放送を担保するために。要するに、法律には触れていないかもしれないけれども、私は、国民に知らせるということはマスコミとしての責務であろう、これについて非常に疑問がありますので、まず第一点、基本的な問題としてひとつ考え方をお聞かせを願いたい、このように思います。
  22. 尾西清重

    尾西参考人 先生が冒頭に申されたように、私どもは、不偏不党政治的公正、中立ということがジャーナリズムの当然の立場であると考えておりますし、殊に、受信料から成り立っているNHKとしては、そういうことについて疑いを持たれるということは経営の根幹を揺るがす問題であって、私どもとしては、当然のことながら、あってはならないことだというふうに考えております。  今回のことにつきましては、確かに先生がおっしゃるように、あるいはそういう条件つきといいますかクレジットつき発表する方法もあり得たかもしれません。報道の現場でもそのことは十分に検討したと言っております。しかし、二十二日に政府税調素案発表されて二十三日の放送ということであれば、これは、まことに偶然にそういう重なりになったわけでございますけれども、このタイミングを選んで国民世論調査の結果を発表したということでむしろ意図を疑われるおそれがある、また一般誤解されるおそれがあるという判断をしたわけでございます。  もともとこの調査は、十二月の調査と違いまして、当然のことながらそれまでに政府税調素案が出るであろう、私どもとしては、二月中に恐らく政府税調素案が出るだろう、したがってこの時期を選んでやれば、その素案に対する世論調査の結果というものが得られるというふうに考えてこの時期を設定したものでございますけれども、私どもの予測を超えて長引いて、結果としてこういう、大変偶然でございますけれども奇妙な重なりというものができてしまった、そういう時期に放送することはかえって私ども意図というものを疑われかねない、そこで放送を見合わせたわけでございます。  もちろん、この一回で最大の政治的な課題でございます税制問題を終えるというわけではございません。これからさまざまな形で我々は取材もし、また世論調査もして、それを発表するつもりでおります。
  23. 田並胤明

    田並委員 これからもいろいろと世論調査をしたりあるいは放送するということなんですが、私たちが言っているのは、真実だけを報道してくれ、本当のことだけをと。別に、我々が何か言ったからというのでそれにおもねることもないし、あるいはほかから何か言われたからといっておもねることはないので、そのとおりの報道国民皆さんにしてもらえばいいのですよ。それだけなんですよ。  ところが、今回のNHKのとった措置というのは、重大に考えているかどうかNHKの場合はわかりませんが、私どもにしてみると非常に重大だというふうに思っているのです。例えば放送法の一条の二号には、「放送不偏不党真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」だから、前段がなければ放送表現の自由なんてないわけですから、要するに、NHKみずからが「放送不偏不党真実及び自律」というものをきちっと持ってもらうことによって、ここで言っている「放送による表現の自由」が確保できるんだ、このように定めているわけですね。  ところが今回の問題というのは、十二月に放映して、それはどこかにぐあいがよかったのかもしれません、三月に放映をしようと思ったらちょっとぐあいが悪くなった、ということは、どうも放送が何かに偏っているのではないか、果たして不偏不党なんだろうか、あるいは真実放送しているんだろうか、こういう疑念を持たれることは事実ですよ。それをあえてNHKがやるということになりますと、この放送法の一条の二号に書いてある「放送による表現の自由」をNHKみずから閉じてしまう、こういう結果につながるということを私たちは恐れるわけです。  それともう一つは、放送法の四十四条の三項の中で、まず「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」そして、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」このように決められていますね。ですから、間接税問題というのは意見の分かれているところです、はっきり言って。賛成もあれば反対もある。いろいろな角度から公共放送として論点を明らかにするということは重要なことですよ。だから、十二月に放映をして三月に放映をしないというのは、明らかに偏っているというふうに言わざるを得ないのですね。そうすると、この放送法四十四条三項の中に書かれている放送の原則というものもNHKは今回の場合は侵した疑いがある、こういうふうに言われても仕方がないと思うのです。ですから、公正に国民考え放送に反映しておらなかったのではないか。公共放送としての任務と責任をどのように会長考えているのか。  また、予算決算の際に、常に私たちは、NHKの公正な報道を期待し、国民のためのNHKになってほしいという願いを込めて、あるいは放送文化の向上を図ってもらいたいという意味を込めて、いろいろな附帯決議をやります。この中にも今回の問題に該当するようなものが出ていると思うのですね。ぜひひとつこの附帯決議を尊重していただくということを重ねて会長からも言明してもらいたいし、先ほど申し上げました質問内容について、会長みずからの御答弁をいただきたい、このように思います。
  24. 川原正人

    川原参考人 NHKとしましては、放送法の趣旨あるいはたびたびこの委員会でちょうだいしております附帯決議、これはもちろん十分に尊重すべきものと思っております。その上で、私どもは多くの国民の支持を受け、事業を遂行しているという確信を持っております。  先ほど来の御議論のこともよく承っておりますが、今般の、三月の末に行われました世論調査並びにそれのニュースでの取り扱いにつきましては、あくまでその時点で私ども編集判断に基づいて、ここで大きな誤解を招くことの方がかえって私どもニュース信頼を失うという判断のもとに処置したものでございまして、私どもはこれは妥当な処置であったというふうに考えております。しかし、基本のところで、私ども放送法の趣旨、不偏不党、あるいは表現の自由というものを毫も曲げるつもりはございません。そのことは重々心得まして常に事業運営に当たってまいるつもりでおります。
  25. 田並胤明

    田並委員 それは、会長がここでまさか、あれは公正でなかったというふうには言えないと思うのですね。公正でなかったということになりますと大変な問題になりますから、そういうことは言えないにしても、まず基本的な部分について反省をしてもらわなくちゃいけないと思うのですよ。  先ほど言いましたように、三月の時点というのは間接税論議もかなり高まってきていました。世論もそれなりの関心を持っているし、各マスコミも一斉に世論調査をして出す、こういうことを繰り返し繰り返しやっているわけですね。NHKが発行する冊子か何かで、三千部くらいのものでそれを出したんだから、これでも公表したんだ、そんな開き直った物の言い方でなくて、公共放送使命というものをもう一回原点に戻って考え直してもらう、私はこのことをそういういい機会にしてもらいたいと思うのです。  そこで、ちょっとうがった見方をして申しわけないのですけれども、昨年の三月のNHK予算を審議する際にも、私、尾西理事に聞きました。昨年の三月一日に大型間接税反対で大集会が全国各地で行われたわけですね。それの放映をする時間帯についてお聞きしたのを覚えているのです。というのは、日曜日だったのですが、その日の正午と午後十一時と、たしか二回放映をされたようです。しかし、日曜日の夜、茶の間で一番テレビを見る時間というのは七時台のニュースだったわけです。そのときにはうろ抜いちゃって、十一時のNHKニュース放送する。まあ放送したことは間違いないのですけれども、最も多くの国民皆さんニュースを見る時間帯をうろ抜いたということについて、私は厳しく指摘をしたのを今でも覚えている。  そのときの答弁は、要するに、ゴルバチョフ書記長が新軍縮提案をしたので各界で意見が相当出てきたから、それらを放送する十五分というニュース番組の中ではとても入れられなかった。そのことも重要ですが、当時は大型間接税というのが大変国民関心の高い問題で、世論も大変な盛り上がりを見せていた時期にあえて放映をしなかった。何か今回の問題と相通ずるものがあるのではないか、このように考えているのです。ですから、事この間接税の問題になりますとNHK姿勢は途端に消極的になる、このように国民皆さんから見られても、あるいは私たちから見られても仕方がない問題ではなかったのか。  重ねて言いますが、本当のことだけを放映してもらいたいというふうに考えるのです。NHKというのは社会的な影響力が非常に強いですから、そこで放映をされるニュースだとか報道番組だとか、国民皆さん信頼して見ていますから、それに出てこなければ、十二月に放映したものしか見てなければ、国民の意思というのはそこにあるのかなというふうに誤解を持ちますよ。ということになると、何か意図的にNHKが世論誘導をしているのではないかというふうに見られるおそれもありますので、そういうことのないように十分対応してもらいたいと思いますし、その辺の考え方をぜひお聞かせを願いたい。
  26. 尾西清重

    尾西参考人 昨年、売上税の問題について先生から御指摘があったことは私も承知しておりますし、お答えした記憶もございますが、私どもとしては、国民の最大の関心事である税制問題について腰の引けた考え方は決して持っておりません。例えば前回の御質問につきましても、もし仮に何時の時間帯で放送しなければならないというような要求を私どもが受け入れるということは、私ども編集の自主的な判断を放棄することになりますし、これは、私どもの問題意識あるいは編集判断というものにお任せいただきたいと思います。  それからもう一つ申し上げれば、今回の税制の問題は、最大の政策課題であることはよく承知しておりますし、国民にとってもこれまた最大の関心事だというふうに認識しております。例えば、四月の十日、十七日にNHK特集で、通常四十五分でございますけれども一時間以上の番組を二週にわたって放送して税制の問題を取り上げたことは御承知のとおりでございます。私どもは、これからこの問題についてはいろいろな形で取り上げていくつもりにしておりまして、決して腰の引けたというような考え方は持っておりません。
  27. 田並胤明

    田並委員 それは言葉だけでなくして、国民皆さんが態度でわかるような放送をひとつお願いしたいと思うのです。  そこで、もう時間もなくなりますので申し上げますが、私も、後援者の皆さんが国会見学に来たときによくNHKを見学させてもらいます。大変ありがたいことだと思っています。見学が終わったときに後援者の皆さんに集まってもらって、私は逓信委員会に所属をしているので皆さんにお願いがある、というのは、NHKがかつてのような大本営発表みたいになってしまっては困るので、公共放送としてのNHK使命を達成してもらうための担保の一つとして受信料を払ってもらっているのです、ですから、皆さんが払ってくれている受信料というのは日本の放送文化の向上とあわせて日本の民主主義を守る上にも非常に重要な役割を持っているんだということを理解して、NHKに最大限の協力をしてほしい、こういうあいさつを必ずやらせてもらっています。来年受信料の値上げなんというような話題が既に会長の口からも漏れているようでありますが、私は、こういうことがたび重なりますと、公共放送の担保の一つとしての受信料の意義そのものすら国民皆さんから疑われる危険性があると思うのです。NHKそのものの体質がまさに問われている問題であろう、このように私は思うのです。  それで、これはもう古い話になりますが、例えば「現代」という雑誌の昭和五十七年十一月号に「闇の王国NHKを操る首領(ドン)の正体」ということで、これは大変な雑誌ですからね、この中で、例のロッキードの問題だとか、あるいは当時の三木さんの例の田中金脈の問題について放送されるものがつぶされた。このつぶされた中に、大下英治さんが今の島桂次専務にいろいろと話を聞いてみたところ、あれは当時の会長、副会長に言われておれがあの報道はつぶしたんだ——事実かどうかわかりませんよ。しかし、「現代」で五十七年の十一月号にこれだけ堂々と載っているのですから、そういうようなことが仮に万が一にでもNHKの内部であるとすれば、島さんがそんなことをやっているかどうかわかりませんけれども、きょうも島さんに出てほしいというふうに要請しましたが、会長が出るし、林専務が出るし、尾西さんが出るし、それでいいではないかということですから私も承知をしましたけれども放送局長の上の担当の専務というのは島さんがやられているのでしょう。そういう方が出てこないで、それは川原さんは会長ですから、当然最高の責任者ですから来ていただくのは当たり前でありますが、もっと知りたい中身がいっぱいあるにもかかわらず、島さんの要請をしましたが島さんは出てきてくれない。  私自身は非常に遺憾だと思いますし、これからまた決算とか何かありますので、そういうときには重ねていろいろな問題についてお聞きをしたいこともありますから聞くつもりでおりますが、いずれにしても、今申し上げた経営体質そのものにまで影響しかねないような疑いが持たれる今回の問題として私、受けとめておりますので、いささかなりともそういう疑念が持たれないように……。  しかも、昨年の十一月あたりから、私が持っているだけでもいろいろなマスコミNHKに対しておもしろおかしく書いていますね。集めただけでもこれだけあります。「選択」の昨年の九月号から十一月号まで「「第二の国鉄」に至るNHK」「政治のご機嫌とりに躍起」だとか、ことしの一月五日号の日刊ゲンダイでは「天下のNHKにとどめを刺す この十六項目の疑惑」、本年の「財界」の新年号には「民放化への道を着々と進むNHK商法を裸にする!」、あるいは六十三年三月号の「世界」では「NHK放送衛星への疑問」、二月号の「宝石」では「変貌する「NHK」」、とにかくNHKのことを書くと大変売れるらしいですね、最近は。  要するに、書かれることとこれだけ多くの資料が出されるということは、一つNHK自体に対しての信頼一つなんですね。批判をすることによってNHKに何とかなってほしいという、善意に解釈すればそういうことなんですよ。それだけ国民関心NHKに対して強くある、おかしな方向に行ってもらいたくないというこの関心のあらわれだというふうに私は見るのです。ですから、公共放送を担保するための受信料国民が払い、それによってNHKが公正、公平な報道をする、こういう図式になっているわけですから、これをいささかともゆるがせにしないような放送姿勢というのをNHKはひとつ絶対に守ってほしい、そのことを強く要請をしたいのですが、会長の方の御意見をもう一回聞かせていただきたいと思うのです。
  28. 川原正人

    川原参考人 私どもが、受信料によってこの公共放送が支えられている、その視聴者を裏切ってはいけないということは、これは全くそのとおりだと思っております。私どもがこれだけ事業自主性を守り、あるいは番組編集自主性を守れているのは、受信料という制度があればこそだと思っております。そしてまた、NHKはこういう制度に甘えることなく、また、時代の変化に対応してどんどん変革していかなければならない。十年一日のごとく、同じことを同じようにやっていたのでは、NHKはまた視聴者から見捨てられることは間違いありませんし、むしろ時代の先取りをして変革していかなければならぬと思っております。  ただ、どんな制度でも企業でも、中を変革するときは必ずいろいろなきしみが出てまいります。過去のありようになれた人間の不満もありましょうし、外部から見て一部の変革がまたそれに対する反発を招くことも当然あるわけなんです。私は、変革をするためには、そのような一部のきしみといいますか、これを恐れていてはとても変革はできないと思って今自己の変革を進めているわけでございます。  それから、確かに御指摘のようにいろいろな活字メディアを通じてNHKに対する、先ほどおもしろおかしくというような御表現もありましたけれども、私どもから見ても、全くおもしろおかしく表現する、まことに不快な記事がはんらんしております。私どもは、私どもニュース判断編集判断が常に一〇〇%正しいとは思っておりません。それは前回の委員会でも、たしか国会の審議の模様につきまして、私自身もニュースの扱いがあのときは妥当でなかったということを率直に申し上げております。常に間違っていないとは申しませんけれども、私ども判断に対しまして全く誤解というか偏見というか、それこそある種の先入主を持って誇大に報道したり、必要以上のスペースを割いたり、見出しをつけたり、そういうことが余りに多い。このことは私は、やはり今のマスメディア、これは私自身も含めて常に反省していかなければいけないことだ。御指摘のとおり、私ども自身の番組ニュースの配列とか時間の割り振り、これも私ども自身も大いに反省しなければいけない点は多々あると思いますけれども、ただ、活字メディアの中には余りにも事実をゆがめ、風聞に基づいて、しかも、私どもの役員の氏名まで挙げて誹謗に類するようなことを書くのが余りにも多いということについて、私はまことに不快の念を持っております。ただしかし、私どもはそういうことに惑わされないで、やはりみずからの道を堂々と歩むべきだ、そういうふうに考えております。
  29. 田並胤明

    田並委員 それでは私、終わりますが、再びこのようなことで委員会が開かれて、NHKを呼んでいろいろ聞くというような機会のなくなるように私は心から願っていますし、今の会長の御発言の中にも、活字メディアを通していろいろ言われていることについて不快の念を持っていることは、それは会長考え方で結構でしょうが、ただ、その中にも真実が幾つかあるということについて私たち指摘をせざるを得ないと思いますし、それらのことは謙虚に、NHKのこれからの体質の変革なりあるいはこれからの公共放送としての使命を達成するための一つ姿勢として大いに参考にすべきものもある、このように思いますので、一概に会長の開き直りのような発言についてはなかなか容認ができない、こういうことだけ申し上げて、私の発言を終わります。  ありがとうございました。
  30. 塚原俊平

    塚原委員長 伊藤忠治君。
  31. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今の会長の御答弁なんですが、いささかそれははみ出しているのじゃないかと私は思うのです。例えば、今ニュース番組が非常に人気がありまして、民放を含めましてどの放送局もこれは大きな番組として報道されているわけですが、民放のニュースキャスターが解説をされる、その表現も含めてなんですけれども、やはり世論に非常に人気がありますよ、正直申し上げて。会長の今の発言を拡大をしていきますと、何かそういうやり方にまで言及されているように私は思うのですけれども、そうじゃないと思うのですよ。  例えば、見方はいろいろあります、一つの事実をとらえて報道する場合に。しかし、やはり切り込んで、事実を踏まえてそれに対して一定のコメントをキャスターがつけられているわけでして、それが視聴率を上げていることも事実ですよ。だから、同じニュース番組でも、NHKの言うならば一つ姿勢というのですかスタンスに対して、これは視聴率が答えを出すのですけれども、やはり一定の感想なり意見というのは持っていると思いますよ。ですから、余りかさに着たような物の言い方というのはやめられた方がいいと思うのです。NHKだけが放送じゃありませんからね、これは。NHKだけが放送機関として独占しているなら別ですけれども、選ぶ自由は視聴者にもあるわけですからね。どの番組を見ようが、それはやはり選択の自由は許されているわけですから、そういう中でどういうふうに公共放送としての使命というもの、役割というものを全うしていくかということを基本に据えて事業に携わっていただかなければいけない、私はこう思っているわけでございます。  それで、お聞きをしますけれどもNHK世論調査は法的に義務づけられているとお考えなのか、いやそうではないとお考えなのか、その辺についてひとつNHKの御答弁をいただきたいと思います。
  32. 林乙也

    林参考人 放送法の四十四条におきまして「国内放送放送番組編集等」についての定めがございます。その第一項におきまして「豊かで、かつ、よい放送番組放送することによって公衆要望を満たすとともに文化水準の向上に寄与するように、最大の努力を払うこと。」等の定めを受けまして、「協会は、公衆要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」というように定められておるところでございます。  この趣旨でございますけれども、この点につきましては、一項を受けましての放送番組についての公衆要望を知るための調査というように私どもとしては考えておりまして、今回実施いたしております、問題になっております「くらし政治」というものにつきましては、むしろNHK放送につきましての素材あるいは資料を得ることを目的としたものの調査であるというように考えております。  ただ、先ほども申し上げたところでございますが、私どもとしましては四十四条に基づく調査と四十四条以外の調査につきまして特に区別をいたしておるものではございませんで、こういった調査につきましては広く国民お知らせすべきであるといいますか、公表すべきであるということを基本的に考えておりまして、そういったことの中でこの四十四条につきましての責務も果たし得ているというように考えておるところでございます。
  33. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 昨年の十二月にやられました世論調査の結果は、間接税の導入の賛否を聞かれているわけですが、その結果は放送されていまして、今回三月中旬に調査をされました同じ間接税の部分に関する賛否の結果だけが抜き取られて放送されていないわけですね。これは片手落ちであると思われるか、どうですか。
  34. 尾西清重

    尾西参考人 私どもはそのときどきの編集判断に基づいて調査の結果をいろいろな形で発表し、あるいは場合によっては発表しないということを決めておりますが、特にニュースにつきましてはそのニュース性あるいは情報性というものを勘案して、これが万々誤解を受けることのないような考え方をとっておりますので、私は片手落ちとは思っておりません。
  35. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 公表されました十二月のアンケート調査の賛否の結果は「賛成」「やむをえない」の数字が多くて、今回放送されなかったこの賛否の結果は導入反対の方が多かった。しかもそれは政府税調素案公表をされるその直後、タイミングがそこに合うというのでやられなかったというのもこれは背景の事実でございますが、だれが考えても片手落ちであると思うのが常識的だと思うのですが、そうは思われませんか。
  36. 尾西清重

    尾西参考人 昨年十二月の調査は、内閣がかわりまして、その前に売上税が廃案になったということから、税に対する一般の認識というようなものを広げて設問をし、回答をしてもらったわけでございます。同じ状況のもとで調査をするということは余り意味がありません。そこで私どもとしては、二月の段階で当然のことながら新型間接税に関する政府税調素案が出るであろう、そういうものが出た段階で改めて調査をしてその結果を発表したいというふうに考えたわけでございます。ところが、それが予測より延びて三月二十二日に発表されるというような結果になったわけでございまして、私どもとしてはそういう編集判断をせざるを得なかったということでございます。
  37. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 こういうことですか。税調の改革素案が出されたことに、タイミングがそうなったものですから非常に困ったという判断なんですか。そうではなくて、そのことは関係なしに当初から今回のアンケート結果はその部分だけ除いているわけですよ。全部やってないのだったならば説得性があります。もう一つの言い分があると思いますけれども、その項目だけは除いているわけですよ。ほかの結果は放送されたのでしょう。  ですから私が聞きたいのは、当初の方針でも、その部分だけは発表しない、どんな政治情勢あるいは政府のそういう動きがあろうがなかろうが、そのことは全然関係なく放送はしないということで来たのか、その時点になってこれはやばいと思ってやめられたのか、どちらなんですか。
  38. 尾西清重

    尾西参考人 ただいまお答え申し上げたように、私どもとしては新型間接税素案というものが発表された段階でそれに対する国民世論の調査をしたいという考え方を持っておりました。ところが、我々の予測を超えて延びたのです。そしてそれが極めて偶然のことながら二十二日、我々の調査の結果の集約、集計が二十三日ということになったものですから、その段階で編集判断によってそれを放送しないことに決めた、こういうことでございます。
  39. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 全然説得性のない答弁ですね。それはちょっと常識で考えたっておかしいわけでして、むしろそれだったらもう一度やればいいじゃないですか。素案が出ているのですから早速調査をやられたらいいのです。しかも、NHKは四十四条だけに基づいて調査をやるのではなくて、いろいろな業務上の必要性から、調査というのは広い判断でやるということも今お答えになっているわけですから、やられたらいいじゃないですか。そしてやったことについてはそのまま報道されればいいじゃないですか。たまたまタイミングは合っていたって、誤解を生じるといかぬという配慮が必要であるならば、きちっとそのことを前提に断って放送されるというのが筋じゃないですか。
  40. 尾西清重

    尾西参考人 三月の調査は、先ほど林参考人が申し上げましたように「くらし政治」という包括的な調査でございまして、税制だけに関する調査ではございませんでした。例えば土地問題とか貿易摩擦とか、あるいは政治に対する国民関心についてさまざまな角度から四十問に及ぶ設問をしているわけでございまして、先生の言われるように、あるいはこの調査政府税調素案発表されるまで待つこともできたではないかという考え方もあったと思うのです。ところが、一回調査というものを予定しますと、どんなに急いでも三週間以上前に調査の延期というものを決めないと、計画というものはなかなか変えられないわけでございます。したがって、我々としてはその予定された十二、十三日の両日にやったわけでございます。  次に、それでは特に税制問題について新しく調査をやればいいではないかというお話でございますが、私どもはそのつもりでおります。     〔委員長退席、小澤(潔)委員長代理着席〕
  41. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私は今後のことに重点を置いて聞いているんじゃないんですよ。そのことに余り口を突っ込むことは、それこそNHK報道自主性ですか編集権ですか、それに事前に口を突っ込むことになりますからね。そういうことは私たちも厳に慎まなければいかぬと思うのです。それこそNHKの主体性で、主体的な判断でやられるのが正しいと思っています。  結果について私たちは言っているのです。事実に基づいて、結果について一定のコメントを申し上げているわけですからね。だから、その項目だけを除いて放映放送がされているわけでしょう。なぜそれだけ除いたのかということが、世間の常識から考えたってこれは合点がいかぬ。それはやはり政府の——政府といえば権力ですからね、それに対する配慮ではないのか、NHKもそういう態度というのがもうこのようにやはり出てきているのか、そういう態度がもうここまで顕著になってきたのかというふうに見る人は多いですよ、正直言って。それが合点がいかない。常識でなるほどというふうに説明をしていただかないと、私たちとしてはこれはやはり姿勢は偏向しているんじゃないですか、このように判断せざるを得ないと思いますね。どうですか。     〔小澤(潔)委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 尾西清重

    尾西参考人 そのことだけを除いて発表したというふうに先生おっしゃっておりますけれども、そのニュース編集判断先ほど来申し上げているとおりでございまして、決して政府あるいは税調あるいは与党、そういう政治的なパワーに対して我々が遠慮をするとか、そういうつもりはございません。  例えば昨年でも、昨年の二月にちょうど売上税の問題が大きな政治課題あるいは国民関心事であったときに、これは六六%の反対があったわけでございますけれども、そのことはそのまま放送しております。ですから、決してそういう自主規制というような形で放送を見合わせたというようなことはないということの一つの理由として申し上げております。
  43. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私、何度も言うようですが、放送事業者というのはNHKだけじゃないのですよ。民放だってやっておるのですな。民放だって世論調査の結果は適宜報道している場合だってありますよ。新聞社はやはり紙面でもってアンケート調査というのはやっているのですよ。それが時の政府なり、あるいはこれは政党それぞれ考え方が違いますから、ある調査をやったその結果が、ある政党には有利な結果が出る場合だってありますし、そうでない政党はううんと言うような結果が出る場合だってありますが、そのことを僕らは言っているんじゃないですよ。その調査をやって、民意の動向が今日現在はこういうところにあるというのを、正しく事実を報道するというのが、これがやはりジャーナリズムの基本じゃないですか。それが生命線だと思うのですよ。世論調査というのはそこにやはり意味があるわけでしょう。  それで、視聴者にしたって読者にしたって自分にはそれだけの体制はございません。世の中がどのように動いているのかという世論の動向を知るということはそのすべがないのですよ。知る権利を持っているけれども、なかなかそれは自分ひとりでアンケートを世間一般にやることはできないでしょう。それはやはり報道機関新聞も当然そうです、そういうメディアを通じてつまり知る権利を自分が満たすことができるわけです。世の中がどのように動いているかということをより正しく判断することができるんじゃないですか。そういう判断をある意味では直接間接を問わず与えていく役割というのが、私は公共放送機関というのは特に重責を担っていく、こう思っているわけですね。そこに世論調査のポイントを私は据えて見ているわけです。極めてこれは重大ですよね。  NHKだけが、言うならば今回は期せずしてこういう十二月の調査と今回の調査が、何か全然片手落ちのような格好で抜き取られてしまってやられなかったということは説得性を持ちませんし、それだったらNHK世論調査というのは信用ができぬということになるじゃないですか、明るみにこのように事実が出てしまって。  実際、答弁を聞いておってもなかなか納得できるような答弁を聞けないというのでは、NHK世論調査というのはちょっとまゆつばものだ、あれは信用ならぬというふうに見る場合だってあるじゃないですか、皆さん。そう思いませんか。それでまた、時期が悪い、素案が出てきて、これはちょっと控えるというようなことをやってしまいますと、次にどんな数字が出ても私たちまゆつばで見ますよ。それだったらもう新聞調査にしておくか民放の調査を信用しておくか、こうなる。これはやはり信頼度ですよ。調査結果をどのように報道するかということは、その放送事業者にとっては信頼をかけた、これは非常に重要な命なんです。だからその信頼を失ってしまったら、どんないいことを言ったってやはり割引して聞くのじゃないですか。ドラマのことを言っているのじゃないのです。事実の報道を私たちは問題にしているのですからね。どうですか。  だから、何かおれのところは間違っていないとかどうだこうだと、余り肩を張ったような、胸を張ったような言い方はなさらぬ方がいいんじゃないですか。今後のことについて私は余り言っているのじゃありません。結果について、やられなかったものは、時期が少しおくれておりますけれども、ずれましたけれども、その部分はもう一遍報道されてはどうですか。その点どうですか。
  44. 尾西清重

    尾西参考人 決して肩を張っているつもりもございませんけれども、私どもとしては、その時点における編集判断として、それが世の中に与える誤解を避けるために正しい判断であったというふうに考えております。
  45. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 今の答弁は非常に遺憾だと私は思います。それはNHK一つの常識なんでしょうけれども、世間一般には通用しないと私は思います。私は断言してはばかりませんね。この一連の事実を、言うならば全体に、世論にわかってもらう、世間にわかってもらって、皆さんの言われるのが本当に正しい常識なのか、私たちが疑問点としてお聞きをしている私たち立場判断の方が常識的なのか、これはやはり世間の判断を仰ぐよりありません。開き直ったような、そういう言い方というのはどうかと思いますよ。  もう一度聞きますけれども、ですから、とにかく報道されなかったその部分は、調査結果はちゃんと雑誌にもあるのですからね。ほかの部分はやったのですから、その部分を今後放送される番組の中で放映されるということについては検討する用意はありませんか。会長、どうでしょう。
  46. 林乙也

    林参考人 ただいま事実の経過につきまして尾西参考人からお話をいたしたとおりでございますが、決して結果が出ての判断、配慮とか、そういうふうなことではございませんで、当初の計画といたしましては政府税調の答申が出た段階で、それについての国民の世論というものを調査したいということで進んでまいったわけでございますけれども政府税調の審議のスケジュールが大幅に延びまして、結果的に政府税調の答申が出る前の、いわば従来の状況のもとにおける間接税という、そういったものについての世論ということの集約にならざるを得なかった。ところが政府税調の答申が出た段階と集約の段階というのが非常に近接した段階で、むしろ政府税調の答申の方が先に出たというところで集約ということになったわけでございまして、結局は世論といいますか国民の意向を求めるべき間接税のいわば概念といいますか、意見を求めるべき対象というものについての変化がある中で、これを放送において取り上げるということになりますと誤解を生じかねないということの中でニュース編集判断があったということと考えております。
  47. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 最後に。NHKは今回のこの扱いについて自分のなさったことの重大さに気づいていないと思います。そこに一番大きな問題を感じますね。  私の部屋にも受信料を徴収して回られる業務の方から随分電話がかかっております。彼らの声をお伝えしますけれども受信料をなかなか払ってくれない、本当に汗をかいて昼も夜も戸別訪問で回られるわけです。説得もされるわけです。ところが今回のこの問題が相当全体をにぎわして、皆知るところとなりました。反発が強くて、もらいに行っても、もうNHKは払えない、本当のことを言わないんだからおれは払わぬぞという人がどんどんふえてきているという電話を私いただいていますよ。そういう御苦労がこれからどんどん広がっていくと思います。そのことは、その事実というのは、NHKに対する信頼度がそこでやっぱりうんと薄れていく、それの大きな契機を今回この事件はつくっていると思います。私は事件だと思いますよ。つくっているのですよ。  ですからぜひとも反省してほしいと思いますのは、NHKというのは伝統と歴史、もちろんございます。組織も大きいです。官僚組織だってやっぱりあるでしょう。しかし、NHKの常識で判断をすればまあまあ大したことない、自分のところの判断でやってそれがいけるという感じかもしれませんけれども、これはやっぱり自分のやられたことの重大さに気づいてみえない、その点をひとつしっかり踏まえていただかないと、ここでお互いに議論をやって平行線になったってこれはしようがないことです。そうではなくて、そのツケはNHKの今後の受信料なり視聴率なり、そういうものにはね返ってくるんだということだけを私は申し上げまして、終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  48. 塚原俊平

    塚原委員長 木内良明君。
  49. 木内良明

    ○木内委員 間接税に関するNHK世論調査、昨年賛成四六%の調査結果が公表され、本年における三月の反対四八%という調査結果が放送されなかったという問題、私は民主主義の極めて重大な危機であるという認識のもとにこの質疑を行うつもりでおります。  昭和二十五年の放送法の審議、会議録を当たったのを初め、四十一年の改正等々、この四十四条の取り扱い、あるいは公共放送としてのNHK世論調査に関する公表のあり方等、つぶさに見てまいりましたが、我が国の国会でこの件について突っ込んだ議論が行われた形跡を大きく認めることが私はできませんでした。この放送事業における世論調査のあり方というものに大きなエポックメーキングな質疑というものが本日行われなければならない、こういう気持ちでおります。  もとより私は、放送事業者としてのNHKの自主的な運営、自主的な編集判断というものを最大限に尊重し、これは守らなければならない、こう思う者でありますけれども、しかしながら、今回のような、いわば一方にくみし、一方のサイドに立ったと判断されてもやむを得ないような事態が今後断じて起こらないためにも、くさびをともどもに打ち込み、確認をいたしておきたい、こういう気持ちでおります。ともすればこうした議論というものは心情論に陥りがちでありますけれども、やはり公共放送としてのNHK運営放送法に基づき、やはり国民総意のもとに決められた法律をその依拠といたしまして今日までの運営が行われているわけであります。経緯については他の委員から既に質疑があり、確認を行われているところでありまして、三月になぜこの反対意見の多数についての公表が行われなかったか、税調発表とタブる、誤解を与えないためにという判断が行われたという説明がありましたので、あえてお聞きはいたしません。  まず林参考人に簡単に御答弁をいただきます。  先ほど虎島委員質問に対しまして、各種世論調査、これは四十四条二項に基づくもののほかいろいろありますけれども、区別して取り扱いはしていない、いずれも区別せず広く国民に伝えるようにしている、こういう御発言があったやに記憶しておりますけれども、そういう発言をなさったかどうかお聞きします。それだけで結構です。
  50. 林乙也

    林参考人 そのようにお答えいたしました。
  51. 木内良明

    ○木内委員 林参考人にお聞きします。  四十四条二項「協会は、公衆要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」こうあります。したがって区別して取り扱いはしていない、いずれも区別せず広く国民に伝えるということをおっしゃっておりますので、いわば他の世論調査も、NHKの行う世論調査についてはこの四十四条二項のように公表を原則とするということでございますね。
  52. 林乙也

    林参考人 基本において公表することを原則と考えております。ただし、選挙関係調査だとか、あるいは調査項目の中で試行的な形で今後の調査につなげるような、そういったことについては公表しないこともあり得ますけれども、私ども世論調査につきましては基本において国民公表していくということを基本考えております。
  53. 木内良明

    ○木内委員 NHK世論調査にはいわば視聴率調査、意向調査あるいは「くらし政治」に関する調査等々あるわけでございますけれども、今の答弁は、原則として公表される、こういうことでございますね。——結構です、それは。今のとおりで。したがいまして、四十四条二項の条文の精神を体して原則として世論調査公表をするということだと判断をいたします。  聞くところによりますと「くらし政治」の世論調査というものは、九条の一項二号「放送及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行うこと。」この条文に基づいて行っている調査であるという判断も一部にあったようでございますけれども、昨日までの見解とそれから本日の答弁を聞いておりまして、その辺の見解には変化があったように見受けられます。したがいまして確認をいたしますけれども、この「くらし政治」あるいは意向調査、視聴率調査、この三調査につきましては九条の一項二号に基づかないということでよろしゅうございますね。
  54. 林乙也

    林参考人 まず「くらし政治」の調査でございますけれども、この調査ニュース番組編集上必要な素材、資料を得ることを目的とする調査でございまして、いわば放送制作ニュース編集そのものとの一環のもとにおける調査というように考えております。したがって、これを九条一項二号の特に調査というようには考えておりません。
  55. 木内良明

    ○木内委員 九条一項二号の条文に基づかないということがはっきりいたしましたので、次に参ります。  この四十四条二項に基づく調査であるかどうかお聞きいたします。
  56. 林乙也

    林参考人 四十四条におきましては、その第一項におきまして放送につきましての編集等についての基本的な考え方を示し、それを受けまして「協会は、公衆要望を知るため、定期的に、科学的な世論調査を行い、且つ、その結果を公表しなければならない。」というように規定されておるところでございまして、この規定は、放送番組に対する国民要望というようなことの調査というふうに理解しております。  今回の調査につきましては、ただいま申しましたように、ニュース等の番組編集上必要な素材、資料を得ること等を目的としたものであるというふうに考えております。
  57. 木内良明

    ○木内委員 一昨々日の衆議院の決算委員会で、郵政省放送行政局の團業務課長がこういう答弁をされています。この問題が取り上げられました際に、「NHKのこういう関係調査というのは」、これは今回の「くらし政治」の調査です。「毎年いろいろ行っておりまして、例えば全国の視聴率の調査であるとか国民世論調査、全国放送意向調査、そういうことを年に数回やるということにしておりまして、例年やっております。この趣旨は、先ほど先生も御指摘ありましたし、放送法の趣旨のとおり豊かでよい番組をつくっていくというために実施するものでございます。」こういう答弁になっております。「豊かでよい番組をつくっていくというために」というのは、四十四条の一項「豊かで、かつ、よい放送番組放送することによつて」云々、この位置づけがあり、そしてまた三項で「協会は、国内放送放送番組編集に当つては、左の各号の定めるところによらなければならない。」として、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」などうたわれておりまして、この条文を受けて團業務課長は、「放送法の趣旨のとおり豊かでよい番組をつくっていくというために実施するものでございます。」この答弁からして、これは四十四条二項を受けての世論調査である、こう断定ができると思います。  こういう答弁がありました。放送行政局長の御見解を承ります。
  58. 成川富彦

    ○成川政府委員 大体先ほどNHK参考人の方から御答弁なされているとおりでございまして、團業務課長が一昨々日の決算委員会ですか、ちょっと忘れましたけれども、御答弁させていただいたのはちょっと言葉足らずの点がございまして、趣旨が誤解されているようでしたら私、改めて訂正させていただきたいと思いますが、放送法第四十四条第二項の世論調査というのは、豊かで、かつ、よい放送番組放送するため国民各般の要望を把握して、その調査結果をNHK放送番組編集に反映させることを目的として行っていることは先生指摘のとおりでございます。このほかに、先ほどNHK参考人の方から御発言がございましたように、放送法第九条に従いまして、放送番組の素材に活用すること等を目的といたしましていろいろな世論調査あるいは取材活動等を行っているところでございます。取材活動の一環として世論調査も行われているというところでございます。
  59. 木内良明

    ○木内委員 私が今条文に基づいて申し上げているのは、この四十四条の二項にありますように「その結果を公表しなければならない。」という、国民の知る権利に対してこの条文があるわけであり、また、その三項にありますように「政治的に公平であること。」が必要であり、「報道は事実をまげないですること。」というふうになっている。さらに、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」ということであれば、いわば調査の結果というものは包み隠さず、それこそ国民の前に公表をして、そして、要らぬ誤解や何かというのは国民の側の判断の問題であって、事実をありのままに公開をし、判断をし、ゆだねられるのは国民そのものじゃありませんか。だから私は、NHKのこの種の世論調査というものは放送法に基づいて公表をされなければいけないものである、こういうふうに申し上げているわけであります。したがって、四十四条二項に言うこの世論調査公表規定にこれは違反するのではないか、こういうふうに断ぜざるを得ません。  同時に、公表をするということであれば、この四十四条三項にあるように政治的に公平であり、放送行政局長にお聞きしますが、さらにその四にあるように「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これはそのとおりですね。
  60. 成川富彦

    ○成川政府委員 放送法四十四条三項には先生指摘のような趣旨のことが書かれておりまして、これは放送事業者に、NHKにももちろん守っていただかなければならない規定でございます。
  61. 木内良明

    ○木内委員 したがって、今回のような間接税、いわゆる国民政治課題、議論が大きく分かれ、また重大な関心国民各位が持っておられる状況の中で、この「意見が対立している問題」とあえて申し上げるならば、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする必要がある。そのためにも、いわば調査の結果というものは、この三項にもあるように、事実を曲げずに公表すべきではないのか。これが一点。  それから調査結果の公表ということ。先ほど各種世論調査があるけれども区別して取り扱ってはいない、区別して取り扱っていないどころかいわば公表を原則とするという発言も林参考人からありました。にもかかわらず、これをテレビ報道をしなかった、放送しなかったということは重大な法律違反である、このように私は申し上げます。  委員長、ここでお願いがあります。資料がありますので、配付を御許可いただきたいのですが。
  62. 塚原俊平

    塚原委員長 どうぞ。
  63. 木内良明

    ○木内委員 今お配りしたのは、本日、放送博物館から持ってまいりました資料であります。表題のように、「NHK世論調査」。開いていただきますとわかります。「世論調査——皆さんのご意見放送に!」こういうタイトルがある。下をごらんいただきますと、「NHKでは、科学的な方法世論調査を定期的に行っています。」これはまさに四十四条二項の「定期的に、科学的な世論調査を行い、」云々という文言をそのまま引用をしております。よろしゅうございますか。イラスト入りで、調査の企画に始まって、この世論調査の仕組みがるる述べられている。調査相手を決め、全体を代表するよう選ぶ、調査員への説明、調査実施、集計、分析、調査結果、放送となっている。いいですか。加えて、最後のページで、このパンフレットに言うところの「最近の主な世論調査のテーマ」。左の行の上から六段目「くらし政治一九八五・九」、同じく、同じ行の下から二段目「くらし政治一九八六・三」、同じく右の行の下から二段目「くらし政治」、暮らしと政治もこの世論調査で扱われる範疇に当然皆さん入れておられる。  ところが、参考人先ほど答弁世論調査の結果はこの小冊子、印刷物を中心に行っている、これは言っていることと違うじゃありませんか。もう一回中を開いてください。世論調査の仕組み、最後はこれは放送によって公表されるといううたわれ方をしているじゃありませんか。にもかかわらず、なぜ印刷物が中心なんですか。あるいは、国民にはこういうパンフレットを配布しておきながら、わずか二千部か三千部の小冊子で公表したとする。また先ほどは、林参考人でしたか尾西参考人でしたか、林参考人だったと思うが、メディアにふさわしい形で公表をするとあなたはおっしゃったじゃありませんか。まさに放送事業者としてのメディアにふさわしい形は放送であるでしょう。その形として、放送によって公表するとこのパンフレットに出ているじゃありませんか。なぜやらないのですか、それを。重大な違反じゃないですか、林参考人
  64. 林乙也

    林参考人 先ほど来から申し上げておりますように、私どもは、各種世論調査等につきまして、四十四条に定めるもの、それ以外のものも含めまして公表してまいることを基本といたしております。  ただ、その公表方法につきましては、私ども業務運営の中で自主的に、その調査内容公表すべきメディアとか、どういうふうな形で行うのがふさわしいかということで公表してまいってきておりますし、今後ともそのように努めてまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、ここに書いてございますパンフレットについて申しますならば、このパンフレットの趣旨が私、今直ちにお答えしかねる点はございますけれども、この調査結果というのを放送の面でも反映していくといいますか、そういうような趣旨かとも思われまして、これを直ちにそのまま放送するということをここで書いておるものではなかろうというふうに考えております。
  65. 木内良明

    ○木内委員 林参考人、それは答弁になっていないと私思いますよ。先ほども同僚委員質問で、NHK世論調査に対する信頼感の言及がありました。いわば、本当に国民一人一人が専門知識もなく、ただNHK信頼を持ち、いかなる業態によってNHK運営され、世論調査を行っているのかという率直な感懐を持ってNHKの施設に行く。このパンフレットがある。そうか、世論調査というのは放送によって我々のところに来るのか、データなり結果というものが放送されるのか、こういう判断をするパンフレットじゃありませんか、これは。今にわかに御答弁できないと言うけれども、これはあなた方のNHKが発行しているパンフレットですよ。それは無責任だ。
  66. 林乙也

    林参考人 このパンフレットの後段にもございますように、「人々の意見が国の政治に反映されているか」というようなことで、いわば、何と申しますか、一つの反映の姿として調査結果から放送につなげていくというようなことと私は見ておるものでございます。
  67. 木内良明

    ○木内委員 私が申し上げているのは、「放送」と、はっきり出ているじゃありませんか。この放送をもって公表にしているのでしょう、これは。どうなのですか。
  68. 林乙也

    林参考人 放送することは公表に値しないと申し上げているのではございません。放送することも含めて公表してまいるわけでございますけれども放送することのみをもって公表であるというふうには私ども考えておらないところでございます。
  69. 木内良明

    ○木内委員 私は、今、筋違いの答弁であるけれども答弁内容については理解いたします。すなわち公表のあり方は、記者会見で資料を配布する、あるいは関係官庁、関係団体等に配布をする、また印刷物として小冊子にこれを記事として掲載をする、さらにまた放送メディアにふさわしい形として放送を行う、これはいろいろな形があると思います。しかしながら、まず放送ということが原則になっているこのパンフレットの存在は、国民誤解を与えているんじゃありませんか、それじゃ。  それからもう一つは、二、三千部の小冊子と全国ネットによるニュース報道映像による放送というのは格段の相違があるじゃありませんか。何も今さら、時間がありませんから、もとへ戻るつもりはありません。いわば議論の分かれる問題についてはありのままを公表し、そこで国民判断を仰ぐ、これが大事なんであって、その意味からすれば、この「放送」というパンフレットは誤っている。そうじゃありませんか。少なくとも誤解を与えるんじゃありませんか。  私、さっき、川原会長答弁を聞いておりまして大変に御見識のある方だなと思ったのは、どなたかが開き直った答弁を繰り返すのかという趣旨の発言をされたときに、そういうつもりではなくて、必ずしも我々の行うことが間違いないとは言えないけれどもと、こういう、まさに御自分を見詰められて、今後NHK運営のあり方については正すべきは正し、反省すべきは反省しつつ進んでいこうじゃないかという御決意の吐露があったと、それは拝聴しました。  にもかかわらず、林参考人、あなた、今の私の質疑に対して失礼じゃありませんか、それは。「放送」と明確にうたっているじゃないですか。ここまで言っていながらなぜあの重大な問題についての報道がなされなかったのか。問題を分離しますけれども、この点だけまず認めてください。誤解を与えるパンフレットじゃありませんか。
  70. 林乙也

    林参考人 パンフレットについてだけ申しますならば、この「調査結果」から矢印でつながっております「放送」というのは、調査結果を放送に反映させていくという趣旨で示されておるというふうに考えるものでございますけれども、直ちにこういった、何といいますか、表現が正しかったかどうなのかということにつきまして申しますならば、工夫の余地はあったのではなかろうかというふうには考えております。
  71. 木内良明

    ○木内委員 今のは重大な間違いです。林参考人調査結果を放送に反映するために、その意味でこの「放送」というのは入っておると言うのですね、あなた。  では、これの左側を読んでください。「その結果は放送を通じて広く一般公表するとともに、」「とともに、」ですよ、「貴重なご意見として放送の向上に役立てる。」後段はわかりますよ。「その結果は放送を通じて広く一般公表する」、こういう表現をしていて、何でこの「放送」の部分がただ絵の放送に反映されるという意味なんだとあなたは言い切るのですか。——これは審議できないよ、これじゃ。だれが見たって明らかじゃないですか。
  72. 林乙也

    林参考人 ただいま申しましたように、放送法四十四条に基づく調査と四十四条に基づかない調査も含めまして、私ども国民に対しまして公表していくことを基本考えておるところでございまして、その調査内容につきまして、放送にふさわしいものは放送を通じ、また他のメディアにふさわしいものにつきましては他のメディアに基づきまして公表していくということでございます。映像メディアということになりますならば、調査の結果の公表方法といいますか、そういったことにつきましても、やはりそれにふさわしい方法というものを考えなければならないわけでございますけれども、私どもの行っております世論調査と申しますものは、御案内のように非常に多岐にわたっておりますし、むしろそれを印刷物というような形で端的にお示しした方が誤りなきを期し得るということからしましても、やはり出版メディア等による公表というものが中心にならざるを得ないのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  73. 木内良明

    ○木内委員 同じ答弁の繰り返しでして、私は、会長の御感懐とは違うことをおっしゃっているんじゃないかと思いますよ。  私は、何もこのパンフレットのとおりにやれとは言っていませんよ、おっしゃっていることはよくわかるのですから。公表の仕方というのは放送だけではありません。放送メディアの特性を生かした形としては放送もあり、申し上げたような、さっきの幾つかのタイプがあるわけです。これはいいわけですよ。ただ、このパンフレット自体、恐らくさっき言われた四十四条二項に基づく世論調査も含めて原則公表するという御答弁があり、そしてこのパンフレット、恐らくそれをなぞらえているんだろうけれども、少なくとも「放送を通じて広く一般公表する」とうたうこと自体、それはもうどんな論理の組み立てをしたって、これは間違いじゃありませんか、それじゃ。もし仮にこれを見た方が、あの十二月の世論調査結果をごらんになり、三月の世論調査結果をごらんになれば、放送を通じて、伝えられるところのこの世論調査結果というものはすべてあまねく、このパンフレットのとおり公表されているんだなと判断するじゃありませんか。ここに民主主義を破壊する陥穽がある。だから私はこのパンフレットのことで強く申し上げるわけであります。  「その結果は放送を通じて広く一般公表する」という文言は、さらに修正の必要があるんじゃないですか。——大変恐縮ですが、尾西参考人林参考人のお立場もこれあり、答弁をお変えにならないようですけれども、素直に、常識的に判断して、私の言っていることは間違ってないと思うんだ、これは。尾西参考人から、ちょっと畑が違うけれども率直な感想をお聞かせいただけませんか、先ほど川原会長の御答弁も踏まえてですね。
  74. 尾西清重

    尾西参考人 私どもは、先ほど会長が申し上げましたように常に一〇〇%正しいことをやっているというふうには思っておりません。これまでの逓信委員会においてのさまざまな発言を通じても、私どもは非のあるところは認め、それを今後の我々の業務に生かしていきたいというふうに考えておりまして、そのパンフレットが絶対無二のものではないというふうに私は考えております。
  75. 木内良明

    ○木内委員 よくそこまでの御答弁をなさったという気持ちでおりますし、このパンフレットの扱い、それから公表のあり方については、今の御答弁を踏まえ、今後ぜひ御検討をいただくということにこの問題はしたいと思います。  そこで、放送法四十四条二項の規定。原則毎年二回、全国千八百人を対象で行う「くらし政治」の世論調査。何回も申し上げておりますけれども、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」というふうになっております。まさに今回問題になっております三月の放送については明らかにすべきだったのではないか、この三項に触れるのではないか、こう思いますけれども、いかがですか。
  76. 林乙也

    林参考人 私どもは、公共放送としての社会的責任、すなわち法の要請するところのNHK放送番組編集及びその他の調査につきましての取り扱いというものにつきまして、放送法に定めるところに従って、それに沿うよう運営していかなければならないことは当然でございます。しかし、一方におきまして、NHK言論報道機関でございまして、やはりNHK業務運営と申しますものは、自主的な運営基本に基づいて行っていかなければならないところでございます。私どもといたしましては、十分社会的な責任の自覚のもとにNHKの自主的な業務運営によって行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  77. 木内良明

    ○木内委員 同じ問題について川原会長から率直な御見解を承りたいと思います。  あわせて、先ほど答弁をあえていただかなかったわけでありますけれども世論調査公表の形につきましては、このパンフレットにもしっかりと明記されておりますように、また今の答弁にもあったように、放送のメディアにふさわしい形での公表ということになれば放送ということになると思います。あえて、時間の関係で詳しくは触れませんけれども、何度も申し上げたこの二、三千部の小冊子に比較をいたしまして、いわばテレビのメディアを通じての公表というものは、国民の情報を得る形としては格段の差があるというのも事実でございますし、あくまでも、より多くの国民に的確に、事実を曲げずに報道されるということが、これは望ましい当然のことでございますので、今後この公表について、今日までに指摘された点等についての感懐を含めながら、御答弁をいただきたいと思います。
  78. 川原正人

    川原参考人 最初に、この間の三月のときの世論調査の扱いが四十四条の三項に違反しているのではないかという御質問については、私は率直に、これは違反しておりませんというふうに申し上げます。それは、先ほど来の繰り返しになりますけれども、そのときのニュース判断において誤解を与えてはいけないという判断は、その日のそのときの判断としては妥当であったというふうに私は思っております。  ただ、全般としまして、およそいろいろな意見の対立している問題はいろいろな角度から取り上げる、あるいは政治的に公平でなければならぬ、事実は曲げないで報道する、これはそのとおりでございますし、まして間接税の問題等これだけ大きな国民的な話題になっておる問題については、そのとおりに私どもはやっていかなければいけないと思います。過去においてもいろいろな形で討論会とか、あるいは先ほど尾西も申しましたように、四月の上旬には長時間にわたって二晩を費やしてこの問題も取り上げましたし、そういう格好で今後ともやってまいりたいと思っております。  それから、世論調査公表につきましては、確かに法律では公表のありようまでは規定しておりません。それから、私ども放送事業者でございますから、ありようは規定されておりませんけれども、原則的にはやはり放送を通じて視聴者の方にいろいろなことを接触すべきこと、これは大原則だと思っております。  ただ、世論調査の中にはいろいろ複雑なものがございますし、それから御承知のとおり国民生活時間調査というものは膨大なものでございまして、これを全部放送でやるということが不可能なものもございますので、これはいろいろな印刷物等のメディアも使わしていただきたいというふうに考えます。それから、物によりますと、調査はいたしましたけれどもその内容公表することがはばかられるものも正直ございます。先ほど申しました選挙のこともございますし、あるいは視聴率調査等の中では、民放の視聴率調査も正直言って全部調査結果としては出てまいります。しかし、これを公表することは、また民放界の事業に要らざる影響を与えるおそれもありますので、こういうもの等は差し控えさせていただく場合もございます。  その点は、我々今までの世論調査公表の中でいろいろ検討もし、試行錯誤もあり、今やっていることが完璧だとは毛頭思っておりません。今後ともいろいろな各方面の御意見をちょうだいし、本日の委員会意見等も十分参考にさせていただきまして、私どものいろいろな判断のときに慎重にそれは考えさせていただきたいというふうに思っております。
  79. 木内良明

    ○木内委員 時間もなくなってまいりましたが、二点、会長にお聞きします。  さっき私ちょっと触れました、世論調査の結果であれ何であれ、いわば情報というものは国民に率直に伝えて、その判断国民にゆだねるべきであるという考え方を私は持っております。やはり世論調査公表についてはこの基本は踏まえるべきであると思いますが、この点について会長の御見解を承りたい。  それから、もう一つ要望でございます。十二月調査賛成反対かという報道の仕方はしておられませんでした。あえて言えば条件つき賛成が何%、こういうデータの発表でありました。この設問の仕方でありますが、「一、直接税と間接税の比率を見直すために、なるべく早く導入すべきだ」「二、導入はやむをえないが、国民大多数の合意がえられるよう、時間をかけて検討すべきだ」「三、高齢化社会を考えると、福祉を目的とする税金なら導入してもよい」、まさにこれは世論誘導とみなされてもしようがないような設問の仕方。この合計をもって条件つき賛成である、こう発表しているのですね。これは大体普通の人が見たら、「高齢化社会を考えると、福祉を目的とする税金なら導入してもよい」「導入はやむをえないが、国民大多数の合意がえられるよう、時間をかけて検討すべきだ」、こういう回答を条件つき賛成として発表される、条件つきだろうが何だろうが、賛成がこれだけいるのかということになっちゃうじゃありませんか。こういう設問の仕方には検討をいただく余地があるのではないか。  ちなみに三月行われました調査、これは極めて単純なのです。「新型間接税の導入に賛成ですか。それとも、反対ですか。」「賛成」一八・二%、「反対」四八・二%、「どちらともいえない」、この方が極めてすっきりしていますね。  この設問の仕方等については、自主的な編集判断等の問題もありますので、あえて突っ込んだことは申し上げませんけれども、この点にさらに細心の配慮をしていただくように要望して、以上二点。  最後に、本日のこの審議をお聞きいただいた政務次官から、政治家としての率直な御決意、政務次官としての見解をお述べいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 川原正人

    川原参考人 第一の事実に関すること、これは率直にデータを示して、判断は視聴者あるいは国民にゆだねるべきである、私も基本はそう思います。それが原則だろうと思います。  それから、もう一つ世論調査のいろいろな設問の仕方、これは大変難しい問題だと思います。私どもはまだ検討の余地があると思っております。特に税金の問題等についてはどのような設問が一番国民の本当の気持ちが伺えるのか、これは今までのいろいろな設問はもっともっと私どもみずから研究していかなければならないと考えております。
  81. 白川勝彦

    白川政府委員 木内先生はもちろんでございますが、今まで諸先生方の御意見を拝聴しておりまして、どういう事実、ニュースとして報道すべきものはいっぱいあるわけでございますが、それをどう選択するかということそれ自体がまず大変大きな問題であろうと思います。同時に、どう報道するかもまた同じように、これだけの民主主義社会でございますから、意見が分かれ価値観が多様化している中でこれもまた難しい問題であるわけでございます。これらに対して一つの準則というものはなかなか設けにくいということで、放送法は、放送事業者の自主的判断にゆだねる、その自主的判断に対しては国民各界各層からいろいろなリアクションがあるだろう、それをまた参考にして自主的判断というものをさらに万全なものにしていってもらいたい、こういうことが放送法基本的精神であろうと思うわけでございます。  ただ、自主的判断と申しましても放送法は何も触れてないわけでなくて、先生指摘のように幾つかの点について法律上も書いてございますし、またこれを受けて、あるいはこれとは関係なく、また放送機関の間でいろいろとコードをつくっておられるようでございます。そういうものに基づいていろいろ自主的な制作判断をされるわけでございますが、そのことに関して、例えば今回の問題に関してもいろいろ御批判がございましたように、多分どの決断をしてもまた別のリアクションがあるということだろうと思います。そういうことを含めて放送事業者一般にそういうことが課せられているわけでございますが、その中でも特に私は、NHKの場合はほかの放送事業者よりさらに強い公共性というものが求められていると思うわけでございます。  そんな意味で、国民の御要望あるいは批判というものに謙虚に耳を傾けながら、公共放送としての国民信頼にたえ得るような編集制作、そして放送をしてもらうことを郵政省としては強く期待するものでございます。  以上でございます。
  82. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  83. 塚原俊平

  84. 木下敬之助

    ○木下委員 皆さんからそれぞれ御質問されて相当話の中身も煮詰まっておりますから、基本的な問題等もこれまでの答弁等を踏まえながら私の質問を申し上げたいと思います。  今回の問題で幾つも問題がありますが、私がこれを機会にぜひとも知りたいことは、一体NHKというのはどのくらい世論調査をやって、それを一体どういう形で全体としては公表してきておるのか、この全体像がぜひ知りたいと思います。一体今までどのくらいのものが調査されて、それがテレビ等では何%報道され、また雑誌だけで済ましたものはどのくらい、今回は準備もないし、膨大でしょうけれども、こういうことをぜひ教えていただきたいと思います。  私は、普通であれば、今回問題となっておるこの「くらし政治」の調査は全部公表、しかもテレビで言っているものと思っておりました。この一つだけが意図的に取り除かれたというふうに思っておりましたら、案外、「くらし政治」で三十六の設問があったり、大きく分けると八つの項目ぐらいの設問があったとすると、そのうちの一つだけしか結局はテレビでの報道はされてない、こういうことも聞いております。そうなると、先ほど木内先生の御質問にありましたように、放送法との関係で、NHKというのは放送法四十四条二項に基づいたものとそうじゃないものをどちらも同じように扱っている、これは考えようによっては混同している。どちらもが公表をできるだけしたいと思っているところはいいのですけれども、一緒にまぜたばかりに、しなければならぬというところもあいまいになって、明確になっていないのじゃないかということを非常に強く感じました。ですから、この機会に、これは過去は一体どんなふうにしていたのかということを数字で、これこそ統計として見せていただきたいと思います。これはどうですか。  委員長、私はこういうことをまず最初にお願いしたいのですが、何か委員長の方も御助言いただけませんか、ぜひ見たいということで。
  85. 塚原俊平

    塚原委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  86. 塚原俊平

    塚原委員長 速記を開始してください。  一応、後日理事会で決めさせていただきます。  木下君。
  87. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは質問に入りたいと思います。  これが結局何らかの判断によって——普通ならばテレビでするはずだ。ましてや十二月のときに、この大事な間接税の問題でいろいろな複雑な設問の仕方をしながらその結果を一まとめにして賛成四六、こういう公表をしながら、それとまた正反対の、今最も国民も知りたい、国会審議をやっている私どもも知りたいこの調査の結果、反対四八をやらなかった。これは相当大きな判断のもとになされなければならないことであったろうと思います。相当大きな原因がなければ当然テレビ報道されてしかるべきだった、このように思います。  それで、なぜされなかったかという理由が、私いろいろな意見を聞いていまして、大きく三つくらいあると思うのです。その一つに、誤解が生じるから、こういうことを言われております。この誤解も、現実に判断したのは経済部の部長さんがされたということで、その御本人が来て聞けるといいのですけれども、きょうはもっと上の方が来られて判断するということですが、お二人の意見がちょっと違うように思うのです。  この誤解というのは、税調発表した二十二日と二十三日がくっついてきて中身が誤解されると悪いから報道しなかった、こんなふうに現場の方は言っているようですが、どうもさっきのことからいうと、こんなところに発表すると意図誤解されるからしなかった、こういう御発言もあったのです。これは全然違うのですよ。最初に言われた、もし混同されるという心配があったからやめたという現場のことなら、これの方が本心であるならば、こんなものは放送のテクニックで何ぼでも誤解されないように言えばよかったのです。しかし、それが意図があると誤解されるからやめたとなると、これはまた全然別の次元で、一体NHKがそんなことができるのか、NHK報道姿勢というのは意図誤解されると思ったらやめるのか、これは大変な問題なんです。この二つ、どっちが正しいのですか、現場で現実にこれが放送されなかった理由はどっちなんですか。
  88. 尾西清重

    尾西参考人 お答え申し上げます。  現場の経済部長が二時間ぐらいにわたって取材に来た記者にお話をした、それがその行の中にまとめられているわけでありまして、その誤解というものについて編集判断の根拠となったことを詳しく説明したわけでございます。その中にそういうことがあるということでございます。つまり、これは完全に混同されるということと、我々はこの質問項目の中で「この新型間接税」についてどう思いますか、「この」というのは一体なんだ、その時点では「この」というのはないわけでございますから、そういう意味誤解を与えるということです。
  89. 木下敬之助

    ○木下委員 誤解を与えるということが、私は二つ聞いて、ここで放送してしまうと意図が疑われるというふうにあなた方はさっき言われたじゃないですか。これは重ねて質問すると、意図が疑われるからやめたのか、この問題自体がこの時期にやると一般視聴者には誤解されやすいことだからやめたのか、どっちなのかと聞いておるのです。
  90. 尾西清重

    尾西参考人 別に圧力云々というようなことは全くございませんで、私ども誤解されるということを懸念してやめたわけでございます。その誤解の中にはいろいろなことがあるわけでございますけれども、こういう時期にタイミングをとって放送することがかえって逆に大きな誤解を与えるということでございます。
  91. 木下敬之助

    ○木下委員 どうもそんなふうに言われると、現場の方はこれはこの中身そのものが誤解をされるというのと、この時期にすると誤解されるというのはどうもおかしいのですよ。あなたのその考え方からいうと、この時期に放送をやめたらこんなにみんな問題になっておるでしょう。これは私は誤解じゃなくて理解だと思っていますけれどもね。誤解という言葉は使いませんけれども、あなたにしてみればそれも誤解なんでしょう、さっきの答弁から見ると。あっちすればこう誤解される、こっちすればこう誤解されるという判断の中でどっちかをとったのかというこれは大問題なんですよ。  これは時間がないから詰めにくいですけれども、そうでなくて、現場の方の話は、これは短いから、全部は読んでいませんよ、御本人が来て話を聞けばわかりやすいのですけれども、もう一遍やり直さなければならないのかな。ともかくこの方は誤解を招く、混同されないように——混同されないようにと言うのならばいろいろ注釈をテレビで何度も言えばいいじゃないですか。現実に生の数字を発表している「放送研究調査」の方、これの方には別に、誤解とか時期とかそんな心配してやめるくらいならいっぱい書いたらいいじゃないですか。  だから二つ問題を言って、私はある意味では現場の人の意見一つ意見であるけれども、あなたの言われるこの時期にということで言えば、やめるも問題、やめないも問題、どっちも誤解されるとしたときのその選択は報道関係はしないというのを原則にしないと、生のままでするからどちらからも批判されないのだ、こういう報道姿勢になるべきだと思います。だからこれは全然理由にならない。  それから二つ目に、意図と違う調査となったから、こういうことを言われていますね。政府税調のが出た、その結果を見たいと思ってもともとやったと。それでそれをやめようと思ったり変更しようとすれば二、三週間かかるみたいなことですね。これもちょっとおかしいのですね。そういう判断ならば、じゃあ一体、上がってきて二十三日にはこの現場の、ディレクターという言葉はあれかもしれませんけれども、山香さん、この部長さんはそのときに、この時期になったからしちゃいけないと判断しているのでしょう。ところが現実には意図と違うからやめたというなら、もうとっくの昔に、意図と違う時期にしているのだから。調査を、このパンフレット持っていったかどうかわからないけれども、聞いている時点からこれは意図と違うものだから公表も何もならないものを調査して回っていることになるじゃないですか。一体これはどっちだったのですか。いいかげんな答弁しないでくださいよね。知らないことは知らないと言って、現場の人に聞いたとおり言ってくださいよ。
  92. 尾西清重

    尾西参考人 政府税調素案は二月中に出るものという判断で一応三月十二、十三の日にちを設定したわけでございます。それが私どもの予測よりも著しくおくれたということ、単純なことでございます。
  93. 木下敬之助

    ○木下委員 だからどういうことなんですか。今私が聞いているところには何にも答えていない。これを放送しないと判断したのは、もう最初に調査するときから意味のない調査だと思って調査しておるのか、それとも二十三日に、二十二日に出た、日にちが重なっているからやめたのか、どっちなんですか。(発言する者あり)それは言わないのですよ。だから私は理由を……。
  94. 尾西清重

    尾西参考人 反対が多い……(木下委員「それは僕の質問じゃないんだから、やじに先に答えては困るよ」と呼ぶ)申しわけありません。  先生のおっしゃるように、場合によってはこの調査そのものをおくらせるべきであったというふうに私は考えております。
  95. 木下敬之助

    ○木下委員 しかし、現場の方はそのときに判断しているじゃないですか。これは全然理由が違うじゃないですか。おたくの機関というのは調査やらその公表についてこんなにいいかげんなの。今のように言うと、現場の人が数字を見て誤解されるから判断したんだと言われてもしようがないじゃないですか。もう一遍はっきり答えてください。
  96. 尾西清重

    尾西参考人 「くらし政治」の世論調査は、必ずしも税制の問題に対してだけ世論の動向を問うというものではありません。例えば政治に対する関心、あるいは土地問題あるいは貿易摩擦の問題、いろいろな項目にわたっておりまして、私どもとしてはそのタイミングというものが必ずしもすべての項目にわたってずれているというふうには考えなかったわけでございまして、そのとおり実行したわけでございます。
  97. 木下敬之助

    ○木下委員 私は、テレビで本来ならばするはずだった、前回はしているんだから、今度もするはずなのにしなかった、これは大変重要なことだったんだからそれなりの判断理由があるだろう、その判断理由を、我々はこの数字を見てやったと思っているわけですよ。しかし、あなたたちは理由としてこういう理由だ、こういう理由だと挙げているから、その理由がそれぞれ矛盾しているじゃないかと一つずつ言っているのじゃないですか。その二番目の理由で、意図と違う調査だったからというのも理由になっている。それでは意図と違うから最初から報道しないということを考えて決まっておったのか、それとも現場で決めたのか。現場の方はその二十三日に判断したように言っているじゃないですか。あなたの方でいくといつ判断したのかがわからない。あなたはもともとこの調査意図と違うものだからやらなくても当たり前だみたいなことを言うけれども、それならそれで最初からやらないと決めてすればいいことで、出てきたものを見て判断したのか、どっちかと聞いておるのです。この問題を、事実を聞いているのだから。
  98. 尾西清重

    尾西参考人 二十二日に政府税調素案発表があって、二十三日に世論調査の結果が集計されたわけです。したがってニュース編集判断というものは、その日その時点時点判断するものでございまして、その新聞記事にもございます山香経済部長が判断したわけでございます。
  99. 木下敬之助

    ○木下委員 だから、その人の判断はそのときの時点判断したんだから、これは意図と違う調査だったからかどうか、そういうことで判断しているのじゃないと思いますよ。私は、今ニュース判断と言われて、最終的にいずれにしてもニュース判断だということで、これは確かにニュースに何を取り上げるかどうかはニュース判断だと思います。先ほどから聞いておりますように、放送法四十四条二項に基づくものとそうじゃないものも皆一緒にやって、しかも全部がニュース判断みたいなものでされているところに問題があるんだと思いますね。だから、この四十四条に基づいて忠実にこれだけのものをやるというものが決まってないから最後にニュース判断みたいなものになってわけがわからなくなってしまう。結局何が原因でなったのか、その日のニュース判断編集権の問題みたいなことで、これはやはり本来NHK調査公表というものに国民が期待をしているものと逸脱していると思います。私はその点を少し聞いてみたいと思います。  これは郵政省の方にお伺いしたいと思うのですが、公表方法、いろいろある。しかし、印刷会社とか雑誌社に公表義務づけておるわけじゃないのですから、テレビ放送局に公表義務づけておる、四十四条二項の中で。放送でするというのは当たり前のことじゃないですか、どうでしょうか。この点は、郵政省はどう思いますか。
  100. 成川富彦

    ○成川政府委員 放送法四十四条第二項で世論調査の結果の公表について定めているわけでございますが、その方法だとか時期だとか内容、例えばすべて漏れなく発表するとか概要にするとかいうようなこと等につきましては法律上何ら特定されていないわけでございまして、NHK自身の自主的な判断にゆだねられているものでございます。放送法の御審議のときにもいろいろと公表の問題、議論あったわけですが、公表の仕方あるいは内容等につきましては特定はされていないわけでございまして、繰り返しますけれどもNHKの自主的な判断にゆだねられているというふうに私ども考えております。
  101. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは郵政省、四十四条に基づくものとそうでないものも皆一緒に全部やっているのですが、これはやはりきちっと四十四条二項に基づいてこれだけのものはやって、それだけはきちっとこういう形で放送しております、こういうものが要るんじゃないか、どうですか。
  102. 成川富彦

    ○成川政府委員 放送番組に関する公衆要望を把握するために科学的な世論調査をやっていただいているわけでございますけれども、それにつきましての公表につきましては、今申し上げましたように、公表方法あるいは内容、時期等につきましてはNHKの自主的な判断にゆだねられているわけでございまして、公表の仕方につきましてはいろいろとあり得ると思いますが、自主的にその中身に応じて適切な方法でやっていただきたいというふうに私ども考えております。
  103. 木下敬之助

    ○木下委員 もう一度聞きますけれども、私は、先ほど言った、ニュース判断でやったりやらなかったりしている、方法が変わったりする、ここに問題があると思っているのです。この四十四条二項に基づくものは、もう調査をする段階から、この調査をしたらその結果はこういう方法公表するんだと決められたもので、数字を見て変わったり、時期が変わったからしたりしなかったりするものじゃないと思うのですよ。しかしニュースの方は、それはニュース価値があったりなかったりいろいろあるでしょう。だから、混同しているところに今回の問題の大きな原因があると思います。この四十四条二項に基づいては、最小限これだけのものはやって、これはこういう公表の仕方をするんだときちっと決めた調査があって、それをやるのがこの四十四条の二項だろうと思うのです。  それ以外にもいろいろな必要なものがあるとすれば、調査の協力をいただくときから、それはそれでNHKが資料にして、それの公表の仕方はすべてNHKが裁量でやっておりますと言いながら調査したらいいじゃないですか、みんな国民は一生懸命協力するのに。先ほど木内先生の出された資料、これを見れば、みんな放送されるものだと思って膨大な調査をやっているわけでしょう。その調査のほんの一部だけをこのとおりにして、一生懸命協力させておいて、これは協力してきた人たちに対する大変な裏切り行為だとも思います。国民に対するNHK信頼と同時に、協力してきた人に対しても大変な裏切りであると思いますが、どうですか。
  104. 川原正人

    川原参考人 法律の規定あるいは定めのことでございますので、私が答弁するのは多少筋は違うかもしれませんが、私は、原則論、一般論一つお願いしたいことは、やはり放送事業というものは、あくまで企業の自主性番組編集自主性は大事にしていただきたい。法律でもってその細部をこれ以上縛ることは私どもとしてはいささか耐えがたいことでございますし、また、法律でもって細かく規定をすれば、これは当然のこととして、行政機関はその責任を果たすためにその中身、執行についていろいろと発言をしてくるのは当然でございます。私どもは、そこはやはり、これ以上法律でもって私ども事業を細部にわたって規定する、あるいは行政機関がそこに対して発言をしてくるという場面はなるべく少なくしていただきたい。  もちろん私どもが、さりとて先ほど来の御質問のように、すべて完璧にやっているかといえば、その点については、我々は大いに反省しなければならぬことは多々あると思っております。したがいまして、この法律の趣旨あるいはこの委員会における御発言の趣旨は十分に踏まえまして、私ども事業自主性といいますか、番組編集自主性の中で、さらにいろいろなことはより改善してまいりたいと思っております。その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
  105. 木下敬之助

    ○木下委員 会長さん、この四十四条のことについて、こうしなければならぬということをもっと法律で細かく決めて、NHKにこうさせようと私どもは思っているのじゃないのです。NHKが自主的に、この四十四条二項に基づいてこれだけのことをこういう形でするんだということをみずから決めることを求めておるのです。とるときは、いかにもそれに基づいて全部公表するようなとり方をしながら、それを一体どう公表するかという段では、みんな一緒くたにして、全部がニュースの裁量権みたいなものに入れてしまっている。これはやはり、その裁量権の膨らまし過ぎだと思うのですね。きちっと明確にこの四十四条で決められているのですから、この決められているものに対しては、NHKは忠実にこれだけのことはしておりますということを明確にされたらどうですか。  私は、この問題が提起された機会にそんなふうにしていただいて、とにかくこの世論調査とその公表というものは、結果を見てから公表するかしないかを決めてもらってはいけないのですね。だから、時期がずれたのならずれたで、ずれたというのがわかった時点で、これはもう無効、不必要な数字なんだということを明快にしておく、こうしさえすれば問題は起こらない。何か、この世論調査と、それをどう公表するのか、またそのニュースとしてのやり方とをどうルールづけるかというものがNHKの中にできていないと私は思います。ぜひこの機会に、一体調査をどう公表するのかという基本姿勢と——これはNHKが決めたのでございますから、それが国民の期待と余りにもかけ離れておれば、法律の解釈はどうであろうと私どもはここで論議いたしますから、我々は国民の代表として国民気持ちを申し上げますから、それを聞いて、またNHKの中で自主的にこんなふうにやろうということを決めていただいたらいいのだと思います。ぜひ検討されることを期待いたしたいと思います。どうですか。
  106. 林乙也

    林参考人 先ほどから申し上げておりますように、私どもが行います世論調査等につきまして、その結果を広く国民にもお知らせしてまいりたいという基本姿勢については、今後とも変わらない形でやってまいりたいと考えております。  ただ、大変御理解いただきたいのは、私どもが行います調査と申しますのは非常に多岐にわたり、多項目にわたり、しかも視聴覚のメディアにその発表の形式がなじむかどうかというようなこともございます。そこらあたりにつきましては、先生の今の御指摘につきましても厳しく受けとめ、十分今後とも改善すべき点は改善してまいりたいというふうに考えるものでございますが、どうかそこらあたりは、会長も申しましたように、私どもが今後業務運営を適切に行っていく上での自主的な姿にひとつお預けいただきたいというふうに考えるものであります。
  107. 木下敬之助

    ○木下委員 自主的にやって結構だと思いますが、もう一度重ねて申し上げておきます。  ニュースで取り上げるか取り上げないかというものと、この世論調査公表するかしないか、公表テレビでするかしないかというのはまた別だと思うのですね。お伺いしたら、テレビ一つ世論調査公表のための枠時間帯みたいなものを持って公表せずに、これまでもニュースの中で取り上げてきていると言われるので、私は雑誌にそのありのままを出したのと同じように、やはり時々はありのままを出す枠があっていいんじゃないか。その中ですごくニュース性のあるものがあったら、あるときはそれをニュースで取り上げ、あるときはニュース性がないと思い、もしくはそれをニュースで取り上げることは誤解を招くとその時点で思えば、それはニュースの選択ということでしない、こういうルールになっておれば、おのずと、NHKの自主的裁量でする部分と四十四条二項に基づいてやるものとは明確なものが出てくる、私はこのように思います。全部報道しろとは申しません。細かい数字なんかは、やはりある意味ではこういう雑誌等でする方が適切なものもあろうかと思いますので、その辺も考えていただきたいと思います。  大体時間が参りましたが、一番最後に、会長先ほどから、NHKが間違うこともあれば全部が正しいとは思っていないと思いますが、今回こういう中で、いろいろな内部の指揮命令系統みたいなもの、そしてこの世論調査は、上の一部では、もう時期がずれたから、本来の意図と違う時期に行われているなあと思いながら、二、三週間前だからだめだとやっている。ところが、現場で調査している人たちは、これに基づいて、本人もてっきり放送されるものと思ってやっている。こういうふうな調査そのものが協力しがいのあるものであるかどうかというところにまでこの問題が来ておりますので、間違っていなかったというその判断の瞬間だけを取り上げれば、ニュース性という問題でもうゆだねますけれども、全体として大変改善すべき余地といろいろな問題点が提起されたということを踏まえて、一言御答弁をいただきたいと思います。
  108. 川原正人

    川原参考人 世論調査の全般のあり方につきましては、確かに私どもも、今回だけでなくてかねがね、設問の項目とか時期とかあるいは扱い方については部内で議論を続けておりましたし、それから組織の面でも、実際に番組放送いたします放送総局とそれとは、その総局長の指揮下にはありますけれども世論調査所というのがまた別組織である。そのことの是非等も含めまして、なお私ども、研究すべきことは多々あると思っております。いろいろな御指摘はありがたく受けとめたいと思っております。
  109. 木下敬之助

    ○木下委員 最後に政務次官、御感想がございましたらお話しいただきたいと思います。
  110. 白川勝彦

    白川政府委員 きょうの先生方の御質問あるいは木下先生のいろいろな御意見、特に四十四条二項の世論調査について、僕は非常に一つの見識だと拝聴いたしました。むしろNHKの場合、今までそれ以外の世論調査を含めて公表するというような形でやってきたために、その辺がかえってこのような誤解を受けたのではないかという御指摘は、本当に見識のある御意見だと私自身拝聴いたしました。  最後に、繰り返すことになりますけれども、どのような素材を選びどのように報道するかというのは、しかも放送の場合は瞬時瞬時に判断をしなければならないという点で、本当に御苦労があろうかと思います。しかし、その御苦労は御苦労として、放送事業者としてやらなければならないので、それに対するいろいろな国民意見や批判や反応というのは、単に声として出てくるだけではなくて、民間放送事業者は民間放送事業者NHKNHKという形で、いろいろな形で最後は出てくるわけでございますので、そういうことにならないように不断に努力をしていただきたいと強く期待するものでございます。
  111. 木下敬之助

    ○木下委員 質問を終わります。
  112. 塚原俊平

  113. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 きょうの質疑は非常に重大だというふうに感じて私お聞きしてまいりました。NHKに対する国民信頼といいますか、今度の事件で起きている不信感がさらに広がるのか、信頼回復の方向へ行くのかということにかかわる重大な質疑だというふうに思っております。  今、もういろいろな角度から質疑がございましたので、できるだけダブらないようにお聞きしたいと思いますが、新型間接税について反対が四八・二%という世論調査の結果を意図的に放送しなかった、その理由は、政府税調素案に対する意見だと誤解をされるのを恐れたからだという答弁でありました。正規の委員会なので事実関係をちょっと正しておきたいと思うのですが、素案が決定されたのは二十五日ですね、発表は二十六日付の各紙の朝刊。二十二日に発表されましたのは政府税調間接税特別部会の意見なんです。それが二十三日の朝刊各紙に報道されましたが、それはまだ素案と銘打ったものではないのです。その事実関係は明らかにしておきたい。  いずれにいたしましても、答弁では、そういうものに対する意見だと誤解されるおそれを避けるために放送しなかったというわけですが、これについても質疑がありましたように、これは税調の部会案に対する調査ではないんだということを断って放送することはできるわけですね。ある意味ではこれはジャーナリズムの常識に属することだろうと私は思います。事実、尾西参考人でしたか、そういう方法での発表もあり得たかもしれないというふうに言っておられるわけです。しかし、あり得たのにそれをやらなかったというところに非常に国民は疑問を持っているわけですね。やはり調査の結果が政府に対して都合が悪いといいますか、反対が四八・二%と大変多い数字で、これをこのまま放送したのではまずいんじゃないかという政治的な配慮、そういうことから放送を抑えたのではないかという感じを多くの視聴者が持っていると思うわけですが、その点はどう考えていますか。
  114. 尾西清重

    尾西参考人 先生、今素案発表されたのは二十五日だというお話でございましたが、素案骨格とは若干違っているかもしれませんけれども、我々はそれを素案とか骨格とかと呼んでいるわけですが、二十二日に骨格発表されて、既に私ども放送では二十二日の七時からそれを伝えております。ここに持ってきておりますが、新聞各紙もみんな二十三日に大体の骨格発表しております。その事実関係について私ども考え方を申し上げました。  それから、今度の問題について私ども報道姿勢が疑われた、またそういう反響も私どものところへ寄せられておりまして、私どもとしては大変遺憾に思っております。
  115. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題について最初の新聞報道があったのは八日ですが、それ以降NHKに多くの電話がかかってきているというふうに聞いております。これまでに何通かかったか、また、主な内容はどんなものか答えてください。
  116. 尾西清重

    尾西参考人 全国を集計いたしまして大体四百二十件余り来ております。八日の早朝から電話による問い合わせあるいは反響といったようなものが入ってまいりましたが、だんだん減ってまいりまして、今はほとんどございません。  主な中身は、記事が事実であるかどうか、ニュース政府寄りならば存在理由がないぞというような声、それからNHK報道姿勢を問う、それから記事の論旨は納得できない、あるいは今後のNHK姿勢を見守る、信頼回復のために努力せよといったような反響が寄せられております。
  117. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、視聴者の皆さんは非常に鋭く事態を見ていると思うのですね。今紹介がありましたが、NHKニュース政府寄りならNHKの存在理由はなくなると端的に指摘している意見が多いわけです。また、今後のNHK姿勢を見守る、これは明らかに、今回とった措置が偏ったものだという批判の表明だというふうに思うのです。従来から、NHKは、政府や与党に都合の悪いことは事実であっても放送しないといいますか放送を手かげんする、そういうことがあるのじゃないかという指摘がかなり行われてきました。  きょうはもう詳しく事例は挙げませんけれども、一九七六年に、当時の会長が田中角榮氏の私宅を公用車で訪問したときも大問題になりました。会長責任問題というようなこともありましたし、あるいはその後一九八一年でしたか、ロッキード事件の五周年企画で、三木元首相のインタビュー全面カット事件というときにも、NHK不偏不党性といいますか、それをめぐっての議論が随分ありました。当時、川原会長も陣頭に立ってその処理に当たられたといういきさつなども承知しておりますけれども、私は、今回の問題はそういう危惧を一層広げたというふうに言わざるを得ないと思うのです。  会長先ほどからの答弁で、あの時点での判断は妥当であったということを言っておられるわけですが、私はそうは思いません。世論調査の結果は国民に返す責任があるわけですから、やはりその上に立って、必要な注釈をつけて報道すべきだったというふうに思います。それをしなかったのはやはりNHK姿勢に問題があると私は思いますが、なおかつ会長の御判断、御答弁に立ったとしても、それ以降の国民の反応あるいはきょうの委員会質疑、こういうものを聞かれて、改めてどういうふうに考えられるか。あのときの判断はよかったんだ、妥当だったということだけで済まない問題にこれは発展してきているわけですね。そのことについてはどう考えていますか。
  118. 川原正人

    川原参考人 私も後になっていろいろ報告を聞いているわけでございますけれども、その時点における責任者の判断は、それはそれなりに妥当なものであったと私は今でも思っております。それから、その後におけるいろいろな事態の展開については、それは私もいろいろな考えを持っております。特に本日の委員会での御審議につきましては、私どもはそれなりに重く受けとめております。  ただ、私どもとしましては、そういう判断についての世の中の受け取り方あるいは一部の機関、マスメディアの報道の仕方については、そういうふうな扱いになるべき問題なのかどうか、これは私どもは若干の別の考え方を持っております。そして同時に、やはりこれは私ども含めてでございますけれどもマスコミといいますかマスメディアに従事する者が一つのことを取り上げる場合に、その取り上げる取り上げ方、あるいは、私どもテレビで言えば時間量の配分であるとか配列であるとか、そういうことがこれは大変な影響を視聴者、国民に与えるものであるということを別な意味で私は大変反省をしております。つまり、マスコミが本当に事柄の事実あるいはそのときの重みというものを正確にやはり伝えなければいけない。これは私どもを含めて、いろいろな活字メディアも含めて、あるいは民放さんの番組を含めて、私ども常に感じているのですけれども、我々マスコミ活動なり発表というものが大変な影響を国民方々に与える。それは自分自身のことに触れてきた場合には、全然これは別の考え方があるのですけれども、それをも含めて私どもがやはり将来のこと、自分自身の仕事を含めて大いに反省しなければいけない点があるというふうに思っております。
  119. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ジャーナリズムといいますか、言論機関にとって大事な問題にも関連して答弁がありましたが、私は、やはり何といっても大事なのは、放送法にもその観点は入っておるわけですが、不当な介入、とりわけ権力による不当な介入、これに屈服しない——戦前の苦い経験もあるわけです、特にNHKは大本営発表をそのまま流したという。だから戦後のNHKの再スタートのときには真剣な議論もあったわけですね。やはり民主主義を守るんだ、権力の不当な介入は排除するんだという点で、きらめくような議論もあったのですよ。それが基本になって今のNHKはあると思うのですね。しかし、どうも、そういう不当な介入の事実はわかりませんが、それを懸念しての自己規制というか、それが今回の対応にあらわれたのではないかという懸念が持たれているわけです。  例えば、けさの新聞にも投書がありました。「国民あざむくNHKの態度」という中で、先日のあのやり方は、「国民を欺き、民主主義に挑戦する重大な問題であることを、NHKは理解しているのであろうか。」「税調素案公表時期と重なり誤解を招くとしているが、それは奇弁としか思えない。むしろ、政府に気兼ねし、自己規制したと見るのが自然に思える。」そういう指摘があるわけです。また、先日の朝日の夕刊のコラムでしたが、「素粒子」で、「自戒をこめて物申す、御用テレビになるなかれ。間接税反対の民の声を、NHK放送せず。」という辛らつな指摘も行われております。  そういう意味で、今回の事態は相当深刻な事態だというふうに考えていただかなきゃならぬと私は思うのですね。あのときのあの時点判断がどうであったかというだけのことではないのですね。というのも、十二月に賛成多数、賛成が四六%という報道NHKがしたわけですね。それ自体についても私は大変疑問を持っております。先ほど若干質問がありましたが、設問も非常に誘導的でありますし、集計の仕方もこれは統計の原則に反していると思うのですね。  新型間接税が「福祉を目的とする税金なら導入してもよい」という設問で、あたかもイコールであるかのような設問を立てて、その一四・八%も加えて四六%と集計するというやり方ですね。これはNHK局内でも議論があったんだというように私聞いておりますが、当然だろうと思うのですね。これで大変な誤報、誤解国民にまず与えているわけです、去年の十二月に。到底そういう国民の傾向ではないということは、もう一般の感覚からいってはっきりしていると思うのですね。各紙のその前後の世論調査でも反対が多数です。大体四〇%前後から六〇%近い、六〇%以上というような世論調査の結果も出ておるわけですね。そういう、国民にまさに誤解を与えるような報道を昨年十二月にはやっておいて、それが今回NHK調査としても、NHK自身の調査で正されたといいますか、という結果がこれは出たわけです。十二月のあの条件つき賛成が四六%というのが、本当に国民の声を反映したものではないということを示したものでもあると思うのですね、三月調査は。  三月調査というのは、設問は非常に単純明快ですから、はっきりと国民意見が出ているわけです。それを報道しない。これは明らかに作為と感じるのが自然じゃないですか。この点をどうNHKとして正していくのか、国民の間に今広がっているそういう不信ですね、それが今問われているのだと思うのですね。経済部の部長がどうこうというだけの話ではないと思うのです。そのあたりについてどう考えていますか。
  120. 尾西清重

    尾西参考人 十二月時点調査につきましては、一体いかなる間接税であるのか、その具体的な案が全く示されない段階でございましたので、私どもとしてはふだんと若干設問が違う、かなり広範囲にわたる国民の税に対する考え方というものを吸収しようという形で設問をし、また意見を求めたわけでございます。昨年の二月に行いました調査では、既にその段階で売上税というものがはっきり提示されていたわけでございますから、したがって、単純に賛成反対かというような設問になったわけでございます。その設問の仕方の違いというものはそういう理由によるものでございまして、それをどういうふうに伝えるか、条件つき賛成というふうに福祉税をとるかとらないかということについてはあるいは議論があるかもしれませんけれども、私どもとしては、その素案骨格も、新型間接税が何たるかもわからない段階で、国民一般的な税に対する考え方を吸収しようとしてやったものでございます。  それから、先生が冒頭に申された不当な介入あるいはそれを恐れての自主規制、そういったことは絶対にありません。
  121. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 実態がそれを裏切っているわけです、今の答弁では。  きょうは大変時間が短くて、もう終わりになってまいりましたので、一つ確認をしておきたいのですが、三月の調査で「新型間接税を導入しようとするならば、国会を解散して国民に信を問うべきだという意見があります。これについて、あなたはそう思いますか。それとも、そうは思いませんか。」こういう設問がありました。これについての結果と、これは放送しなかったように思いますが、なぜ放送しなかったのか。
  122. 尾西清重

    尾西参考人 その集計についてはちょっと今調べておりますが、三月二十五日のニュースで税金に対する一般的な考え方については、先ほど来話題になっております四八%の反対というのは伝えておりませんが、税金について不満があると答えた人は全体の八六%に上ったということをニュースで伝えております。
  123. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 質問に答えてください。そのことを聞いているんじゃないのです。きょうはその世論調査をめぐっての質疑ですから当然持ってきておられるわけでしょう、その五月の青いの、これを。  では、時間がないからこちらから言います。その中に、問十一「新型間接税を導入しようとするならば、国会を解散して国民に信を問うべきだという意見があります。これについて、あなたはそう思いますか。それとも、そうは思いませんか。」これですよ。わかりませんか。
  124. 尾西清重

    尾西参考人 「新型間接税を導入しようとするならば、国会を解散して国民に信を問うべきだという意見があります。これについて、あなたはそう思いますか。それとも、そうは思いませんか。」「そう思う」四二・四%、「そうは思わない」三三・一%、「わからない、無回答」二四・五%でございます。(佐藤(祐)委員放送したかどうか」と呼ぶ)先ほど申し上げましたように、税一般に対する国民考え方放送しておりますが、この数字については私が今つまびらかにすることはできません。
  125. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 残念ながら時間になったので終わりますが、会長、本当にきょうの質疑、真剣に考えていただかないと大変な事態だというふうに私は思います。いろいろ弁解的答弁がありました。そういう点も非常にこそくだと私は率直に言いたいですね。  例えば公表の仕方についても、途中の答弁では尾西参考人印刷物が中心だみたいなことを言ってみたり、それは後ほどの会長答弁で修正されました。NHKだから結果を放送公表するのは当然ですよ。そんなイロハのことまで何かごまかそうとするようなきょうの答弁姿勢というのは重大だと私は思うのです。こういうことでは国民の不信は広がる一方だ。この前の議論でも言いましたが、国民の知る権利、これをもっと重視しなければならぬですね。世論調査国民の協力を得てやっているわけでしょう。それをネグってそのままにしておくという手がありますか。その日にちょうど間接税特別部会の意見発表された、かち合ってまずい。素案がその二日後です。じゃ、その後時期を見て何らかの形で公表する責任があるのじゃないですか、これは。  去年まるで違った結果を公表したままになっておるわけですよ。だから国民の間では、NHK調査では国民の多数は賛成か、四六%も賛成かというのだけが残っているわけですよ。これは異常なことですよ。だから、やはりそれを是正する手だてを早急にとるべきだと私は思うのです。この三月の調査の数字では今の時点で不十分だと思われるなら改めて調査をするとか、それは当然考えられることだというふうに思います。その点どうですか、お聞きします。
  126. 尾西清重

    尾西参考人 先生の御質問が予定になかったものですから先ほどつまびらかにしないと申し上げたのですが、新型間接税について、これを実施しようとするならば衆議院を解散して国民に信を問うべきだという意見があるがどうかという尋ねに対して、「そう思う」と答えた人は四二・四%、「そうは思わない」という人は三三・一%、「わからない」と答えた人は二四・五%というふうに答えて、放送しております。  それから、私どものこの「くらし政治」に関する調査はこれきりで終わるものではございませんし、もちろん税制の問題は政治的な大きな課題であると同時に国民的な大関心事でございますので、今後とも調査については研究していきたいと思っております。
  127. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どうも、一般的な意見じゃなくて——じゃ会長に最後にお尋ねします。  今回これだけ大問題になりました。問題点はもういろいろ議論されて明らかになったわけです。ともかく客観的な事実として残っているのは、NHKは四六%が条件つき賛成という報道国民にしたままになってきておる。事実は逆に反対が四八・二%、多いということが三月時点調査でも明らかになった。そのことは伝えないままできている。これを公共放送として正さなきゃならぬ、これをどう正していこうと考えておられるかをお聞きしたい、具体的に。
  128. 川原正人

    川原参考人 繰り返しますけれども、私は、その時点でのニュース責任者の判断は、それはそれで妥当なものであったというふうに思っております。しかし、今放送局長も申しましたように、間接税に関する問題は今後の私ども国民生活にとって非常に大きな影響を与える問題だと思っておりますし、このことについては私どもは、常にあらゆる角度から議論国民の間で沸き起こるようにいろいろな形での番組考え、また報道も続けたいと思っておりますし、必要な場合にはさらに調査も続けていきたいと思っております。ただし、この問題については、事が重大であるだけにその調査の扱い等についてはさらにいろいろな角度から研究をさせたいというふうに思っております。
  129. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 NHK報道にはいろいろいい番組もあることは私も承知をしております。しかし、とりわけ政治的にホットな問題について避けておる。この間、国家機密法の問題もほとんどやってない。そういうことから、やはりそういう問題でどうも政府・与党に対して迎合的な姿勢があるのじゃないかというのが重大な国民的疑惑なんです。これをぜひとも正す方向で改善をしていただきたいということを申し上げて、終わります。
  130. 塚原俊平

    塚原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会