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1988-04-14 第112回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 塚原 俊平君    理事 小澤  潔君 理事 田名部匡省君    理事 虎島 和夫君 理事 額賀福志郎君    理事 牧野 隆守君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君       江口 一雄君    小川  元君       尾形 智矩君    亀岡 高夫君       久野 忠治君    佐藤 守良君       園田 博之君    谷垣 禎一君       野中 広務君    深谷 隆司君       二田 孝治君    穂積 良行君       宮崎 茂一君    渡辺 紘三君       阿部未喜男君    上田 利正君       早川  勝君    松前  仰君       坂井 弘一君    鳥居 一雄君       阿部 昭吾君    佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 中山 正暉君  出席政府委員         郵政政務次官  白川 勝彦君         郵政大臣官房長 森本 哲夫君         郵政大臣官房審         議官      木下 昌浩君         郵政省簡易保険         局長      相良 兼助君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省放送行政         局長      成川 富彦君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         総合企画室〔総         合企画局長) 中野 正之君         逓信委員会調査         室長      辛島 一治君     ───────────── 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   園田 博之君     江口 一雄君   宮崎 茂一君     小川  元君   伊藤 忠治君     早川  勝君 同日  辞任         補欠選任   江口 一雄君     園田 博之君   小川  元君     宮崎 茂一君   早川  勝君     伊藤 忠治君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法及び電波法の一部を改正する法律案内閣提出第四〇号)  郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出第四三号)      ────◇─────
  2. 塚原俊平

    塚原委員長 これより会議を開きます。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 塚原俊平

    塚原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂井弘一君。
  5. 坂井弘一

    坂井委員 よろしくお願いをいたします。  近年、新しいメディアが次から次から大変目まぐるしく登場してまいりまして、急速な進歩発展を見つつある、そういう状況の中で、放送衛星BS3、これが近く打ち上げが予定をされておるようでございまして、この一チャンネルを使ってハイビジョン実験放送、この準備もまた着々具体化しつつある、こんな状況を踏まえますと、今回の放送法改正は二十五年ぶりの大改正が行われるわけでありますけれども、この現状から将来に向かっての抜本的な改正にはなおいささか遠いのではないか。つまり、現状追認というところにとどまったのではないか、こう見る向きもあるようでございます。なるほど、そう言われてみますと確かに、ニューメディア衛星放送宇宙部分既存地上放送、この関係が一体どうなってくるのだろうか、将来に向かってもう少しこれを明らかにしながら、かつ放送の将来に向かうあり方というものを展望する方向で法制の抜本的なというんでしょうか整備、これにはいささか遠い感じを私も率直に、素人なりに実は持つわけであります。つまり、今回の法改正は将来の放送についての展望はなお明確にはされていない、こういう認識でとらまえて間違いがないものかどうかということについて、まずお伺いをしてまいりたいと思います。
  6. 中山正暉

    中山国務大臣 御指摘のとおりに、ニューメディアというものは大変急展開をいたしております。その中に、昭和二十五年にNHKしかなかったときにできましたこの放送法でございます。民放も百五十社、それからお話しになりましたように衛星から放送を受けて地上ケーブルを引いたもの、そういう画期的なものが広がってきたということでございますし、それからまた、この間私、通信総合研究所というところを視察をさせていただきましたが、壁かけテレビというものの研究がどんどん進んでいるようでございます。パネル方式の、ちょうど絵の額のようなものを研究している姿を見て、まだ輝度が少し少ないようでございますが、近い将来に壁かけテレビができるし、ハイビジョンが壁かけテレビでできれば、狭いウサギ小屋と言われる中に――今までのハイビジョンはかなり大きゅうございます。郵政省の入り口で見ていただきましたらおわかりのように、ここの机を横にしたくらいのものが今のところのハイビジョン受像機のようでございますから、狭い家にはああいうパネル型の壁かけテレビなんかができたらいいな、そんないろいろな発展をどんどんしていくテレビ放送メディア、その中で確かに先生の御指摘のように、今回の改正というのは現状を追認する形で放送法改正が行われているというのが実情であろうと思います。  きのうも御答弁申し上げた中に、ホップ・ステップ・ジャンプと申しますか、将来どんなふうに展開していくかわからないものをお互いがしっかりと現実を見据えながら、まあどっちにしても衛星から送ってきます、三万六千キロの宇宙に上がって、三万六千キロおりてきて我々の目に入るものと、それから地上をはっていくケーブル、これは大地震国だと言われます日本でございますから、地上ケーブルがなくなりましても宇宙から受ける放送で我々がどんな災害時にも情報を受けるという、そういう新しい、災害に強い放送メディアというものに期待を私どもしておりますわけで、今のところケーブルで見えるものとそれから衛星で見えるもの、それを区別して考える必要はないと思っておりますが、そんな意味で今回の放送法改正現状に合わしたもの、昭和四十一年の改正からついえておりますので、急激な展開のように見えますけれども実情に沿いました放送法改正である、かように認識をいたしております。
  7. 坂井弘一

    坂井委員 ハイビジョンも大変速いスピードで普及するんじゃないかなというようにも私は思うわけですけれども、そうなってまいりますと、いろんなメディアがありますが、メディア全体の秩序といいますかこれが大きく変わっていく。変容していくといいますか、ある部分では融合する部分もあるでしょうし、相互の関係性においてそれらが融合しあるいは変容していくという、メディア全体が将来に向かって頭の中で考えると非常にえらいことになるんだろうなという感じが実はいたします。技術革新、これは本当に急速な進歩を遂げておりますし、人によりますと内需拡大とかというようなことで、どうも産業経済的な側面が今度の法改正ではぐっと出て、そしてジャーナリズム、コミュニケーションとか文化面が後退したんじゃないかという悪口もあるようでございますけれども、それはそれとしましても、とにもかくにも大変な勢いでこれからの技術革新、そしてメディア変容ということがなされていくであろう、そうなっていくであろうということが予想されるわけであります。  そういうことになりますと、今大臣お答えいただきましたが、確かに現状においてはこの法改正がまずベター、しかしながらいささか将来を展望しても非常にスピードの速いそういう変容を遂げていくであろうこの放送体系メディア全体の変容に対応する抜本的法改正といいますか、そういうことが必要になるんじゃなかろうか。そうしますと郵政省あるいは大臣の頭の中に近い将来において抜本改正が必要だ、そういう御認識でもって現状を見ておられるのか、いやいや近い将来それはとてもとても無理だよ、かなり状況を見ながら、まああるいは相当先といいますか近い将来ではない、しかしながら抜本的改正はやはり行わなければならぬであろう。どんな御認識といいますか、現状把握と将来に向かっての展望、お考えをお持ちなのか、その辺もちょっとお伺いできればと思います。
  8. 中山正暉

    中山国務大臣 世界的に大変認められておりますこの自由な報道体制をしく日本でございますので、私は放送法改正というのは現状に合わせて、国会の御審議をいただきながら現状に即した改正をしていくぐらいでいいのではないか。余りにもマスコミが背景にあります、マスコミ法と言ってもいいような感じがいたしますものでございますから、余り法律が先行をし過ぎるよりも、コンセンサスを得たところを法律にしていくというような形で、大変進歩の速いものにそれがついていけるかどうかという問題はありますけれども、その辺は、我々行政と立法とのあうんの呼吸で放送法というものはつくり上げていくのがいいのじゃないだろうか、私はそんなふうな認識を持っております。
  9. 坂井弘一

    坂井委員 新しい情報通信分野にほかの企業進出をして、そして新しいサービスを始めようとしておる。見ていて本当に妙味あるほどのかわりばえといいましょうか、大きな変容がこれからなおなされていくのであろうと想定されます。  今大臣から御答弁をちょうだいいたしましたけれども、そうしたメディア全体の変化に対応して、そのときどきの法改正ということも大事であろうと思いますし、かつまた将来に向かっては、今までの既存放送というのは地上ということであって、これから宇宙に向いていくわけでありますので、その関係性を明確にしながら、あるいは総体的にとらまえての抜本的な法改正というようなことになりますと非常に難しい面もあろうかと思います。しかし、放送界全体、それから通信業界部分、それらを中心にしましたいろいろな業界への波及というのが大変大きい分野でありますだけに、法整備の上では常にそうしたことを展望しながら、将来を展望しながら、現状追認だけではなくて一歩先んじたような法律改正によって対応していくことができないものだろうか。また、そうしなければ、目まぐるしく変わるものだから、常に部分的な放送法制改正改正、それも必要なのでしょうけれども、どうも余りにも激しく目まぐるしいだけに実はそんな感じが否めないと思いまして、私はお尋ねを申し上げたような次第でございます。  なお、この衛星放送については、現行の放送法とは別個の法制を設けたらどうかというような意見も一部にはあるようでございますし、そのことについて私がここで自信を持ってかくあるべしというような私の考えを申し上げるだけの勇気もありませんし知識も実はございませんので、むしろ郵政省はどういう腹づもりを持たれているのであろうかな、こんなことを思いながらお尋ねをさせていただきました。  そこで、具体的な今回の法改正の中身に若干触れてお尋ねをしたいと思いますが、あるいはさきの質問者とダブる部分があるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。  改正放送法案の第三条の四第五項、これは放送番組審議機関答申意見概要に関する公表義務ということでございますが、この公表手段方法等省令化規定を今回の改正において行われました。放送番組審議機関の運営は、民放連意見によりますと、あくまでも放送事業者自主性にゆだねられるべきであって、この規定には反対である、こう民放連は言っております。反対であると態度を明確にしているわけでありますけれども、このことに関しましてお考えをひとつ承りたいと思います。
  10. 成川富彦

    成川政府委員 昨日も民放連の方からお話がございましたけれども、決定的に反対ということではないようでございますが、番組審議機関の設置につきましては、放送事業者がみずから設置する内部的な組織でございます。昨今、放送番組質的向上につきましては各方面から問題提起がなされておりまして、我々も国民的な質的向上については課題だというふうに考えているのでございます。  そういう状況でございますけれども番組質的向上というのは、先生もおっしゃいますように、放送法の原則である番組編集自由のもとにおいて放送事業者みずから自律的に図っていくべきものであろうというふうに考えております。その質的向上を図るための機関として放送事業者みずからが設置する番組審議機関が存在するわけでございます。そういうことで放送法にもそのような規定がなされているわけでございます。  ただ、その放送番組審議機関が若干形骸化されているのじゃないかというような一部からの御批判もございます。そういうようなことから、活性化を図るためにどのような手だてを講じたらいいだろうかというような観点から考えましたところ、放送事業者による自律的な番組質的向上を一層促すためには、放送番組審議機関答申とか意見が出た場合にはその概要公表してもらうことによって、一般視聴者にもそれが知られて、それとの結びつきができて、それが国民皆さんといいますか、視聴者皆さんの御意見が反映されることにもなるのじゃないか。そういうことによって番組審議機関活性化されることになると考えまして、あくまでも番組編集の自由は放送事業者にあるわけでございますけれども質的向上を自律してやっていただくことはそのとおりなんですが、それを促す手段として活性化を図ろうということでやったわけでございまして、番組編集の自由についてとやかく、侵すとかなんとかということは毛頭意図しているものではございません。
  11. 坂井弘一

    坂井委員 民放労連もこのことについて次のような見解を表明いたしております。   番組審議会について、局からの独立を指向し、その活性化を図ろうとする点には賛成である。但し書きの「同一地域複数局が一つの番組審議会を作る」規定経済的理由からだけでなく推進されてしかるべきだと考える。しかし今回の規定のみでは言論を統制する「機関」として利用されかねない恐れがある。そこで五点挙げております。  ①審議委員の選出にあたっては各界各層から公平に選び、視聴者公表告知すること。  ②審議会を公開すること。  ③視聴者意見を反映させる仕組みを作ること。  ④局見解公表すること。  ⑤制作者意見も反映させること。 などなど、バックアップする規定が必要ではないか、こういう民放労連見解でございます。  なおまた、民放連中川会長はある座談会ですかにおきまして次のように言われております。これは委員の問題ですね。「見ないで抽象論ばかり言う学識経験者より視聴者代表を入れた方がよい」こういう御意見中川会長は言われているようであります。  そこで、この審議機関の、今の視聴者代表といいますか、入れた方がいいんだ、学識経験者よりもといいますか、抽象論ばかり言う人よりもという前置きがありますが、このことについての御意見をちょっといただきたいのと、それから概要公表するということでございますが、このことについて反対意見もやはりあるようですね。  例えば、審議内容公表といっても、内容公表されると、委員建前論しか言わなくなるのではないか。二つ目、言葉のニュアンスが、果たして概要公表だけで真意が伝わるかどうか。その他、何時間にも及ぶ膨大な審議内容、これは概要ということになりますので、全部が全部公表というわけじゃありませんけれども、そういうことになりますと、なお二点目の真意がどうも伝わらない、そういうことじゃ困る。したがって、この審議内容公表は絵にかいたもちだ、こういう反対論といいますか、があるようですけれども、これについてはどうお考えでしょうか。  審議機関委員選任視聴者代表を入れることと今の点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  12. 成川富彦

    成川政府委員 まず、公表の問題でございますが、番組審議機関の中で自由なやりとりをしていただくことを期待しなければいかぬわけでございますので、議事録などをすべて公表していただこうというようなことは考えておらないわけでございまして、私ども考えておりますのは、審議機関として提出していただいた意見だとか、諮問に応じて答申を出していただくことになるわけですが、その答申概要等公表していただこう、それによって、一般視聴者にもどういうことをやっているかということを御理解いただく場をつくろうじゃないかというようなことで考えているわけでございます。  公表方法は、特段こちらが指定してやるわけじゃなくて、幅広い公表の仕方をして、その中で選択していただこう。例えば、放送事業者それ自身の放送とか新聞とか、その他できるだけ多くの視聴者方々に、国民方々に知っていただけるような方法というような、非常に漠たるといえば漠たることかもしれませんが、その中で選択して公表をしていただこうというようなことを考えているわけでございます。  それから、委員につきましてですが、これは先ほど申し上げましたように、放送事業者の自律的な機関として番組審議機関が設けられておりますので放送事業者選任していただくわけでございますが、番組審議機関一般視聴者代表としての役割が期待されておりますので、放送事業者が自主的な判断によりまして、そういう質的向上、適正、向上を図るための審議機関委員としてふさわしい人を選んでほしいものだと私どもも期待しているところでございます。  それから、今度の改正で、従来は部内委員一般放送事業者といいますか、民放会社の社員でも番組審議機関委員になれるというような形がございまして、これはいろんな経緯がございましてそういう形になってきているわけでございますが、今回は民放事業も安定してきておるし、できるだけ部外方々に率直な御意見を聞かせていただこうじゃないかというような意向もございまして、番組審議機関委員としては部内委員は排除をするといいますか、部内委員審議機関委員になれないように改正させていただいております。  したがいまして、部外方々で構成される審議機関審議していただきまして、答申が出た場合には概要等公表していただくような手だてを講じて活性化を図っていこうということを考えているわけでございます。
  13. 坂井弘一

    坂井委員 番組審議会活性化も大事でしょう。がしかし、この番審活性化以上に大事なのは制作者の質あるいは視聴者の厳しい目といいますか、それによって質的な向上を図る、ここのところが一番大事じゃないかなと私は思います。同時に、そういうことになりますと、放送局みずからのいわゆる自浄作用が働く、こういう自由といいますか、それを基本に置いて考える。何か規制強化という感じを与えることはいかがかなという気が実は感じとしていたします。  最近見ておりますと、お昼の大変な人気番組でした芸能番組と称するもの、これは芸能番組じゃなくて芸能人番組だという見方もあるようですが、つまり芸能界の人々を俎上にのせまして、その結婚から離婚、失跡、出産、プライバシー、スキャンダルに至るまで、とにかく華やかでしたよ。お昼の、これは奥様方が特にごらんになったとかいう話らしいのですけれども、これが十五年ほど続いたらしいですな。ところが、これをやっておる放送局が次から次に、これはやめます、路線転換だ。どうも視聴者にあきられたようですね、これは。俗悪なのか俗悪でないのか、健全なのか不健全なのか、私は、これはやっぱりどうも視聴者判断をする、この目が非常に厳しいし、かつ正確だなという感じが実はいたしておりまして、放送局が、これは人気番組だから、これでもって視聴率を競り合ったわけでしょうね。それが撤退せざるを得ない、これはやっぱり視聴者だと私は思うのです。今、何か報道番組とか生活情報に切りかえる、路線転換をやり出した。  こんなことをあわせ考えてみますと、番審活性化、これは決して否定はいたしません。いたしませんが、ここに力点を置き過ぎるの余り、もう一方における、放送番組をつくる制作者の質の向上とか、視聴者のそういう健全な眼があるという点が後退するというようなことにならないように、ぜひそうした御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから、日本新聞協会が、「今後法律の運用および政省令制定に当たっては、広く民意を反映させる措置をとるとともに、電波監理審議会などの権限を強化し、郵政省による権限行使は、これら審議機関の決定にもとづいて行われるようにすべきである。」電波監理審議会権限強化をしろ、こういう御意見、御主張のようでございますが、これに対して見解を承りたいと思います。     〔委員長退席小澤(潔)委員長代理着席
  14. 成川富彦

    成川政府委員 電波監理審議会につきましては、いろいろと私ども電波放送に関する規律につきまして調査審議していただくと同時に、きのう来お話ございますように、訴願前置といいますか、不服申し立て審議等もいただいておる重要な機関でございます。  今回の改正におきましても、放送基本計画だとか放送用周波数使用計画制定とか変更につきましては電波監理審議会の必要的な諮問事項にするなど、その点につきましては電波監理審議会機能強化といいますか、いろいろと御審議いただく機会を多くするということでは十分配意してきているところでございます。  電波監理審議会は、御案内のとおり両院の同意を得て郵政大臣が任命するということで大変格の高いといいますか、調査審議するにふさわしい学識経験者から構成されている審議会でございまして、私どももその審議会の議決を尊重して、行政をその線に沿って運営してまいっておりまして、審議会は十分その役割を果たしておりますし、今後ともいろいろとお知恵をおかりしながら行政を進めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 坂井弘一

    坂井委員 改正放送法案第九条第三項、NHKのですが、NHKの施設、設備の一般利用とか外部からの委託による放送番組制作業務、この進出を認めるという規定、これは新設かと思います。この業務は必然的に営利活動にならざるを得ないのではないか。ということになりますと、第九条第四項に、公共放送の性格から、当該業務を行うに当たって「営利を目的としてはならない。」という別規定が一方においてある。しかし、一方においてそういう業務活動というものを新しく認めた、これは矛盾するのではないかという批判と、それから仮に営利活動とは言わないまでも、利潤を抑制するということになりますと、同種業務を行う他の民間企業との公正競争が確保できないということになるではないか。民放連では、したがって反対だ、こういう御意見のようでございます。今回の改正ではNHK民放併存体制の堅持ということをうたわれているわけでありますけれどもNHK公共放送規定しながらも、副次収入などで財源の多角化を進めていく、そのことはNHK商業化あるいは民営化を進めることにならないか、公共放送と矛盾するではないか等々の批判見解のようでございます。これについてはどういうふうなお考えでしょうか。
  16. 成川富彦

    成川政府委員 我が国の放送界NHK民放併存体制で今日まで発展しております。NHKは、御承知のとおり国民全体に基盤を置きます公共放送でございまして、受信料という特殊な負担金によりまして経営が成り立っているわけでございます。一方民放の方は、自由濶達な私企業として、コマーシャルといいますか広告料、広告を主体として経営が成り立っているところでございまして、おのおのその特徴を発揮して今日までこのように発展してまいったというふうに考えております。NHK営利目的を禁じておりますのは、こうした併存体制の趣旨から、NHKが私企業と同様の利益を上げることを目的として業務を行うということはこの趣旨にもとるのじゃないかというようなことでこのような規定があるわけでございます。  ただ、一方今度の改正によりまして、いろいろなノーハウあるいは蓄積されたものを国民に還元すると同時に、副次収入を得るというような改正案を提出させていただいておりますが、NHKが行う業務でも、特定の者のみの利益となる場合にはその者から適正な対価をいただくということは、他の受信者との公平という観点からも許されることじゃないか、このことは直接、営利目的の禁止に反するものじゃないというふうに考えております。  それと、今回の法改正によってお願いしておりますNHKに新たに業務として認めていただきたいというものにつきましては、収入の規模も大変限られたものでございます。御承知のとおりNHKが長い間蓄積しております番組づくりのノーハウを公共的な機関から依頼されたときに使うとか、あるいはホール等関連施設につきまして、あいているときに使っていただくような方策を考えるわけでございまして、そういうことからいたしますと収入の規模もおのずと非常に限られたものにならざるを得ないわけでございます。  さらに、この業務を実施するに当たりましては郵政大臣の認可が必要ということにしております。私ども認可の際には、公共放送として余り逸脱するようなことのないように、公共放送としてふさわしいものであるというような観点、あるいは民間といたずらに競合することのないようにしなければいかぬというような観点から認可をしていきたいというふうに思っております。したがって、NHKが巨大化しあるいは商業化して民業を圧迫するというようなことは到底考えられないというふうに考えております。     〔小澤(潔)委員長代理退席、田名部委員長代理着席〕  私どもは、副次収入によってどれくらいのものがNHKの収入として上げられるようになるかということで、NHK等からも話を聞いてみますと、数年たって数十億程度が精いっぱい、三千六百億ぐらいの現在の予算規模に比べましてもごく微々たるものでございまして、それが民放を圧迫する大きな要因となるとは考えられないのじゃないかというふうに判断しております。
  17. 坂井弘一

    坂井委員 金額も微々たるものだという御答弁でございますが、そういう心配はないのでしょう。このNHK副次収入というのが、今の受信料の集金努力がいささか減退をして、受信料制度そのものの崩壊にまでつながってしまうおそれはないのかというような指摘も一部にあるようですね。ですから、そういう点の配慮も当然大事だと思いますし、あるいは副次収入といいましても形が非常に変わっていくのじゃないかな、私はそんな気が実はするわけであります。劇場なんか使って、それでハイビジョンの映像がそこで上映されるというようなことになってきますと、これはいろいろな形が非常に多角的に、想像のできない分野にまで進出をしてしまう、そういうことになるとまさに商業化民営化あるいは巨大化といいますか、そういう点の警戒心であろうと思いますので、そうしたところの行方もやはり注目はしなければいかぬことかなと思います。  そこで実は、衛星放送の有料、これは一体いつから有料になるのか、幾らぐらいになるのかさっぱりわからぬ。新しいアンテナ、チューナーは十万円前後ですかね、あれを買って、ざっと五十万世帯はもう超えたのですかね。有料に踏み切る一つのめど、時期は、百万世帯ぐらいになればというような話が一時あって、果たして百万世帯になったならば有料になるのかな、なるとすればそれは時期的なめどがそこにあって、じゃ一体幾らぐらいだろうかな、何もわからないままに十万円からの買い物をするということもこれまた奇妙な話だと思うのです。  ただ、そのことと、それからその次に今度はハイビジョンが来るわけですね。ソウル・オリンピック、これも実験放送でやろうというのでしょう。大臣はこの間、大阪の花の万博、あれもやりたいな、少し早めると言う。そうなれば本当にありがたいなと実は私、思いました。  この間も機会がありましてハイビジョンをちょっと見ました。もう本当にすばらしいですね。ですから、あれは全国的に急速に広まるだろうと僕は思うのです。金額の問題もありますけれどもね。だけれども、そうなると、今衛星放送でお金を払ったならば次のハイビジョンはそのまま有料で移行できるのか、つまりこれは要らないのか、それとも別建てにするのかあるいは若干上積みするのか。それから今度は民放衛星が始まりますね。これは有料とコマーシャルと併存でいこう、こういうことですね。そうすると、この関係は一体どうなるのか。NHK衛星が有料で、その次のハイビョンがどういう形になるのか、これはもちろん有料でしょう。一方における民放衛星、また有料。そうすると、料金体系といいますか、これが将来展望としてどういうことになるのか全くわからないわけですが、アウトラインをお教えいただきたい。
  18. 成川富彦

    成川政府委員 衛星放送で現在独自放送をやっておりますが、この趣旨は衛星放送の普及促進を図るということでやっているわけで、その形態といたしましては試験放送ということでやっておりますので、現在は受信契約の対象外でございまして、有料という形ではないわけでございます。  本放送への移行の時期でございますが、受信機の普及状況とか視聴者の要望とかBS3への継続性といったものを十分見きわめた上で、なおかつNHKの意向等も踏まえて検討していかなければならないと考えております。今試験放送でやっているものですから番組制作などについても安くできているわけでございますが、本放送になりますとかなり番組制作費等がかさばることにもなるわけでございまして、いずれその受信料を検討しなければならない時期が来るかと思いますが、まずはNHKの経営の一層の効率化、経費の節減によってやっていっていただきたいということで、私どもも今度のNHKの予算の関係での郵政大臣意見ということで申し述べさせていただいているところでございます。  将来どういう受信料にするかといった問題につきましては、状況に応じて受信料体系全般の中で検討すべき形でございまして、どのような料金を取るかということはNHK自身もまだ確たる御意見もないようでございますし、私どももそれにつきましては今後の検討課題と考えているところでございます。  受信機の普及状況が一つの目安にはなるわけでございましょうが、これも一概に何台になったから本放送しなければいかぬというものではございませんし、将来の発展というような推移も見なければいかぬわけでございます。過去の例といたしまして、カラー契約ということでカラー受信料が取られるようになったときの普及台数を見ますと、百七十万台ということが経験としてございます。しかし、百七十万とか百万とかいうことは、数字としてそうなったら必ず本放送になって料金をいただくということになるとかいうことではございません。そういうことは一つの要素になるのでしょうけれども、それとか視聴者の要望、番組制作費にもう少し金をかけて中身を充実してほしい、魅力ある番組を安定的、継続的にしてほしいという視聴者の強いニーズというものも一つの要素になりましょうし、それから後継機への、BS3への継続性、信頼性、安定性というものも見きわめなければいかぬことでございますので、それらを総合的に勘案して受信料体系全体の中で検討していかなければならないと思っております。  それからハイビジョンでございますが、ハイビジョン先生も今お話がございましたように技術開発の段階でございまして、まだそう見通しが立っているわけでございません。今実験でやっておりますが、受信機の台数もまだ非常に少ないわけでございますし、価格の面でもモニター一台五百万もするという状況でございますので、これがどのようなことになっていくか。技術開発で大変皆さん方に御努力いただきまして低廉化あるいは軽量化、先ほど大臣からお話がございましたように壁かけテレビ型の開発だとかいろいろなことをやっていただいているわけでございますが、あくまでもまだ実験段階でございます。そういうことから、NHK受信料をどうするかあるいは民放の経営財源をどうするかという問題につきましては、技術開発の動向だとか受信機の低廉化の方向だとか不確定要素が非常に多いものですから、現時点においてそのあり方を述べることは非常に難しいわけでございます。御答弁になりませんが、もう少し先の話じゃないかと私ども考えているところでございます。  それから、NHK衛星放送の料金というものは受信料体系全体の中でどうなるかわかりませんが、固まった場合に民放衛星有料放送との関係はどうかということでございますが、衛星放送の料金というのは、昨日来お話し申し上げておりますように加入者との契約を結んでいただいて、スクランブルをかけた放送をデコーダーでかぎ情報によって解いていただいてもとの番組を見ていただくという形でやるわけでございまして、言ってみれば番組視聴の対価でございます。  有料放送の料金の取り方につきましてはいろいろな取り方があるわけでございますけれども、いずれにしても対価として取っていただくわけですが、NHK受信料というものは特殊な負担金として国民全体からいただくというような性格のものでございまして、有料放送のように対価性のあるものではございません。これを見たから幾らもらうとか見ないから払わないとかいうことではございませんで、NHKテレビが見える受信機を設置していただいた方には契約を結んでいただかなければいかぬ、契約を結んだ場合には料金を払っていただくということで、国民全体から受信料という形でお支払いいただきまして、それを経営財源としてNHK事業運営をさせていただいているということでございますので、その辺は截然と区別がついているということは言えるかと思います。     〔田名部委員長代理退席、虎島委員長代理着席
  19. 坂井弘一

    坂井委員 なかなか大変な問題かと思います。しかし、変容が大変激しくかつスピードが速いような感じが実はいたしますものですから……。  それと、メディアの特性がもう地上衛星は全く違うわけですね。ですから、メディアの特性に応じた番組地上衛星で色合いをどう変えるか、これも難しい問題でしょう。これはNHKもそうでしょうし、当然衛星民放JSBも同じでしょう、これは各局でいろいろお考えになることでしょうが、この関係性は料金体系においてもいろいろ出てくるのでしょうね。一方において広告収入も併存するという形になっておるわけですから大変複雑な関係になろうかと思いますが、この辺は十分御研究いただきまして、何はともあれ視聴者の立場に立ったそういう観点から御検討いただければとお願い申し上げたいと存じます。  なお、時間になりましたので最後に一言お聞きいたしますが、放送大学、これは前の国会の可決の際に附帯条項がありまして、できるだけ早く全国に普及させるということでございますが、現状はどうなっておりますか、見通し等も含めまして簡潔に御答弁をちょうだいいたしまして、終わりたいと思います。
  20. 成川富彦

    成川政府委員 放送大学学園につきましては関東エリアを中心として現在放送を実施していただいているところでございまして、今後の問題につきましては、文部省当局あるいは放送大学学園自体ともいろいろと意思疎通を図りながら考えていきたいということで、現在連絡会などもつくりながらいろいろ御意見も聞かせていただいているような状況でございます。
  21. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  22. 虎島和夫

    ○虎島委員長代理 佐藤祐弘君。
  23. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 最初にお聞きしておきたいと思いますのは、今回の法改正の土台づくりをした放送政策懇談会の報告、それからそれに基づいた郵政省の作業、これは当初というか昨年秋ごろまでは、ニューメディア時代に対応した放送法の見直しということでかなり抜本的なものになると伝えられておりました。たしか十一月ごろまでそういうことだったと思うのですが、しかし、提案されたものは、きのう、きょうやりとりがありましたように、いわば現状の追認というのですか、NHK民放併存体制法制への反映とか若干の規制緩和措置あるいは有料放送問題というふうに、改正の範囲が大幅に狭まったという印象を持たれておるわけです。どうしてそう変わったのか、その間に何があったのか、その点をお聞きしたいのです。
  24. 成川富彦

    成川政府委員 先生からお話がございましたように、今回の法改正は、昭和二十五年に制定された、NHKの中波しかなかった当時の法律を今日の発展状況に合わせて直そうということ、それと一部有料放送制度の導入あるいは規制緩和ということを中身としているわけでございまして、将来に向けて基盤づくりができたのじゃないかというふうに思っております。放送政策懇談会で多岐にわたる御意見を聞かしていただきましたのですが、そのうちの大部分につきましては今回の法改正に取り入れさせていただいております。今日の放送発展状況に合わせて直さなければならない部分を早急に直さなきゃいかぬというのは私ども認識でございまして、そういう観点から今度の法改正案を提案させていただいたわけでございます。  ニューメディアというか二十一世紀を見通して法改正考えたらどうかというような御意見等もあったわけでございますが、いろいろと技術革新が非常に激しい時代でございまして、放送関係ニューメディアの技術開発関係も急ピッチで進みつつあるわけでございます。そういうことが現時点において確実に見通せるかといいますと、まだまだ揺籃期の部分もございますし、また技術開発が見通せない部分もかなりございます。それから国民のニーズ等が那辺にあるかというようなことでも確実につかめているような状況ではございませんものですから、今後技術革新状況、技術開発の状況等も踏まえて適時適切に法改正をしていけば、基盤づくりができれば、その上で随時やっていけば対応できるんじゃないかという観点で今回のような法改正を提案さしていただいたような次第でございます。
  25. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 数年後にはまた、数年と言いませんがね、二、三年後にはハイビジョンの問題もありますし、また必要になってくるというような感じもしておりますが、当初言われていた範囲とは狭まったとはいいましても、この改正案にはいろいろ大事な問題点、それが含まれているというふうに思います。  第一番目には放送局の免許を初めとしました放送行政のあり方の問題、とりわけ郵政大臣への権限の集中の問題です。放送は言うまでもなく言論報道機関でありますし、ジャーナリズムとしての発展の問題、国民の知る権利や国民の要望にこたえていくという上で大きな責任を持っていると思うのです。そういう点で私は、やはり非常に大事な問題は、言論、表現の自由の確保ということが非常に重要な問題だというふうに考えております。ところが、現行の制度、現行の放送法では大臣免許を初めとした権限が非常に集中しているわけです。そういうことに対しまして、かねがね言論の自由を保障する観点から放送行政というのは他の行政と違って独立性が必要だ、政府から独立した行政委員会をつくるべきだという主張が広範にありますし、私もその点が非常に重要だと考えておりまして、ですから放送法改正に当たっては当然そこが検討されなきゃならぬというふうに考えてきたわけであります。  こういう意見はいろいろありますが、一つだけ最初に御紹介したいと思いますのは、代表的な例として一九六二年に法律によって設置された臨時放送関係法制調査会、いわゆる臨放調の答申であります。六四年の九月に出された答申では、放送行政の公正中立と一貫性を確保するというものとして放送行政に関する委員会の設置、これを提言している。その役目としましては詳しく展開されているわけですが、要するに大臣権限でとか郵政省の省令その他などで行われているような放送用周波数の使用に関する計画その他、そういうものは独立の放送行政に関する委員会で議決をしていく、「郵政大臣は、本委員会の議決に基づいてのみ、その権限を行使しうる」、こうしたわけです。これが法律によって決められた臨放調の答申の一つの大事なポイントだったというふうに私は思っております。また、こうした意見はそのときにあったというだけではなくて、現在も関係者でありますとか専門家を含めて広くあるわけです。今回の改正案をつくる過程で、こういう意見、議論についてはどのように検討されたか、その点をお聞きしたいと思います。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 成川富彦

    成川政府委員 臨放調の答申等も一部勉強の材料として勉強させていただきましたことは事実でございますが、結論から申し上げますと、電波監理審議会という制度がございまして、それにいろいろと諮問いたしましてその議決を尊重してやっていくという今の形、行政運営の仕方というものに特段問題はないんじゃないかという結論に達しまして、枠組みを変更すべき必要性はないと判断したところでございます。電波法放送法制定当初は合議制の機関でございます電波監理委員会のもとで放送を含む電波行政を行ってきたところでございますが、それが責任体制が明確になってないんじゃないかというような趣旨等から独任制の行政機関に変わったわけでございます。独任制の行政機関では郵政大臣の所掌するところに変わってきたわけでございます。  そういう従来の経緯等も踏まえて考えてみますと、現在のやり方、電波放送行政は、内閣の一体的な責任のもとにその一員である郵政大臣の所掌のもとで、重要事項につきましては、先ほど来申し上げましたように電波監理審議会、両院の同意を得て任命されております委員で構成されております電波監理審議会にお諮りして、それの議決を尊重してこれを行うということで適正な行政の執行を確保してきておりますし、今日の放送発展してきた状況も、このような責任ある体制でやってきたことがこのような今日の発展に結びついているのではないかというふうに私ども判断しておりまして、したがいまして、この枠組みを変更する必要はないという結論に達して、このような法案を提出させていただいた次第でございます。
  27. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 電波監理委員会、戦後つくられましたね。昭和二十五年についても触れてお話がありましたが、流れで言いますと、電波監理委員会が二十五年につくられて、その後二年ぐらいでこれはなくなるわけですが、電波監理審議会に変わるという経過で来たわけですね。しかし、先ほど紹介しました臨放調の討論というのは、その経過を踏まえてむしろ電波監理審議会ではだめなんだ。もっと原点に立つといいますか、戦前の反省の上に立って言論、表現の自由の確保、言論統制を排するというような理念から独立行政委員会としての電波監理委員会がつくられたわけですね、そういう歴史的な経過を踏まえて臨放調は答申をしたんだと思うのですね。ですから今おっしゃったようなことでこれは済まない問題だというふうに私は考えております。今申し上げた点はどういう判断ですか。
  28. 成川富彦

    成川政府委員 そういう経過があったということは私ども承知しております。臨放調の答申があったというような事実は承知しておりますが、その後の状況等を私ども踏まえて考えてみますと、現在のような姿といいますか、電波行政につきましては、内閣の一員である郵政大臣の所掌のもとで電波監理審議会という権威のあるといいますか格の高いといいますか、実質的に御論議いただくようなところに諮問して、その議決を尊重して行政運営をするという今日の姿が放送行政にとってはいいんじゃないかという結論に達しておりまして、今回のような提案をさせていただいたような次第でございます。
  29. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 肝心な点がやはり不十分にしか議論されていないと言わざるを得ないと私は思うのですね。電波監理審議会の議決を尊重して措置をしなければならないというのと、委員会の議決に基づいてのみ大臣がやらなきゃならぬというのでは天と地の違いがあると思うのです。  こういうふうに提起をされているわけですね。「委員会は、」放送行政に関する委員会ですが、「広く放送行政に関し、郵政大臣諮問を受けることはもちろん、また、進んで郵政大臣に対し勧告を行なうことができるものとする。」非常に積極的なものとして、時の政府なりそういうものによって左右されない、一貫性のあるものとしての理念がこれにははっきりあるわけですね。そういう点で、やはり私は、この考え方は引き続き重要であるということを申し上げたいと思います。  NHK、来ていただいていますね。NHKにお聞きしたいのですが、NHKもその臨放調の当時、我妻栄東大名誉教授さんらに委嘱した放送法制研究会というのをつくられて、独自にいろいろ検討されたわけですね。それで、さきの臨放調に対する意見でも、「独立規制委員会としての放送委員会の設置」の問題を提起されておられます。この理由は幾つか挙げられておりますが、放送における公正の確保という問題でありますとか言論、表現の自由の保障、こういう点で、やはり独立規制委員会としての放送委員会が必要だという意見具申をなさったわけであります。  今回の放送法改正案の作成過程で郵政省からNHKもヒアリングを受けたというふうに聞いておりますけれどもNHKが提起されたのは、主に業務範囲の見直しといいますか、拡大というのですか、そういうことが中心で、かつて主張されておったような放送委員会の主張はされなかったというふうにも聞いているのですが、されたのかどうか。されなかったとしたら、なぜ今回は提起をしなかったのか、この点について。
  30. 林乙也

    ○林参考人 今回の放送法改正に当たりまして、郵政省の方からのNHK意見についてのお尋ねがございまして、NHKの方からも要望を提出いたした次第でございます。  その内容といたしましては、まず何よりも、現在の放送法が持っておりますところの言論、報道にかかわる法律としての特殊性、すなわち、放送基本原則と放送番組編集の自由の堅持、公共放送、民間放送併存体制の維持、自主自律を基本とした公共放送事業の運営の確保というような点についても、郵政省の方に御要望申し上げたところでございます。この点につきましては、今回の改正放送法におきましても引き続いて確保されておるというように私ども考えておる次第でございます。  お尋ね放送行政機構についてでございますけれども先生の方から従前の経緯につきましては御指摘がございました。そのとおりでございますが、今回の放送政策懇談会の報告書におきましても、電波監理審議会につきまして、独任制の行政機構のもとにおいて、従前の電波監理委員会が有していた合議制のメリットを極力維持すべく設置されたものであるというような中で、運営につきましての二、三の要望事項は指摘しながらも、電波監理審議会の現在の放送行政機構については大体これを是認しておられるというふうに私どもは受けとめておる次第でございまして、私どもといたしましても、放送行政機構につきましては、独任制の郵政大臣と合議制の電波監理審議会を一体としたあり方というものが社会に定着しておるという状況を踏まえまして、むしろこれを維持すべきとの観点から、特段の意見を申し述べることはいたしませんでした。
  31. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、かつて主張されたような考え方、この基本は持っているのだけれども、今回の法改正では提起をされなかったということなのか、以前主張されておったような考え方そのものも後退させたということなのか、どちらなんでしょうか。
  32. 林乙也

    ○林参考人 放送事業が言論、報道にかかわる事業でありますところから、その編集の自主性基本的に守らなければならない点については、今回の要望についてもNHKから郵政省に提出いたしたところでございます。したがいまして、基本的な言論、報道機関にかかわる法制度としての継続すべき事項については要望いたしまして、考え方そのものについては従前と変わっていないつもりでございます。  ただ、その具体的なありようとしての放送行政機構につきましては、二十七年来の実績の中で十分社会的にも定着しておるということで、その点を評価いたしまして、これについては、むしろこれを維持すべきであろうというように考えた次第でございます。
  33. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 郵政省にお聞きをします。  今の問題の関連でありますけれども、先ほどこの問題での局長のお考えはお聞きしました。放送政策懇談会なんですが、その報告書にはこの問題が出てこないのですね。臨放調で議論した経過があったこととか、その提起された放送委員会の問題、これは触れられていないわけです。放政懇の報告書では、「放送行政組織について」という項で電波監理審議会などには触れているわけですが、独立行政委員会問題には触れていないということなんです。  私はこの前の委員会で、この放送政策懇談会の討議の模様について知らせてほしいということも要望したのですが、それは一切出せないということなんですね。これ自体、私はいまだに不当なことだというように思っているのですが……。ですから、そういう資料が出ませんから、放送政策懇談会でその問題を討論したのかどうかさえわからないのですね。  そこでお聞きしたいのですが、そういう問題は放送政策懇談会で議論はしたのかどうか、その上で報告には出さないという結論になったのか、こういう問題についてどういうふうに議論して結果的に排除したということになるのかどうか、そのあたりをお聞きしたい。
  34. 成川富彦

    成川政府委員 先生の今のお話にもございましたように、放送政策懇談会の報告書の中には、独立行政委員会に関する記述は全然ございません。  懇談会の中で議論が行われたのかどうかということですが、特段の議論はなかったというふうに聞いております。
  35. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 特段の議論はなかったとしますと、それはそれで私は大変問題だなというふうに改めて思うのですね。なぜこれほど重要な問題が議論もされないのか。これは日本で議論があっただけではなくて、外国でもかねがねいろいろな議論があるところなんですね。この放送局の免許の問題、言論の自由との関係でどうあるべきかという問題はあるところです。  例えば外国の例を見ましても、放送局の免許権限が政府に集中しているというのは、まさにサミット参加国の中でも日本とイギリスだけなんですね、政府に権限が集中しているというところは。郵政省からも資料をいただきましたけれども、アメリカの場合は有名なFCCでありますし、フランスはコミュニケーションと自由のための委員会、カナダその他にもそれぞれ独立性を持った機関が設けられておるということであります。もちろん国の事情は違いますし、経過も違いますから単純には言えませんけれども、そういうのも参考にして考えましても、それと日本国内での議論ですね、広範な意見、やはり私は正面に据えて議論すべき問題だというふうに考えるのですね。  今回の法改正の議論の中で、放送政策懇でもさしたる論議はなかったというお話でございましたが、どうも私としては解せないという感じがむしろするのですね。何か避けたのかというような感じですね。むしろそういうことは余り議論せずに、チャンネルプランの問題もそうでありますし、その他の問題を含めて郵政省権限強化といいますか、そういう方向へ走っているのではないかという印象を強く持つのですが、いかがでしょう。
  36. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど申し上げましたように、電波行政は、内閣の一員であります郵政大臣が内閣の一体的な責任のもとにやるべきであるということ、その重要事項につきましては、電波監理審議会にお諮りして、その議決を尊重して行政運営をするという形が望ましいということで今日に来ているわけでございます。放送政策懇談会の方で御議論がなかったというのも、そういうような状況を踏まえ――それは推測になりますのでわかりませんが、そんなことではないだろうかというふうに私ども推測をしております。  それから、権限を強化するのではないかというようなお話でございますが、先ほど来いろいろとお話が出ておりますように、今回の法改正は、放送発展状況に合わせて、その現状に合わせて法律構成を改める、あるいは部分的に規制緩和等をする、有料放送制度を導入する、近く予定されております有料放送制度の導入といったようなことでございまして、郵政大臣権限を強化している点はないわけでございます。言ってみれば、現状に合わせてチャンネルプラン等を法律的に根拠を明確にするためにするとかいうような手だてを講じてきているところでございます。
  37. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 具体的な法案に関連してお聞きをしていきますが、今権限強化じゃないんだという話があったが、私はそうは思わないのですね。  放送普及基本計画の問題ですね、第二条の二、「郵政大臣は、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする。」これは法律では初めて明定されるということになってきたわけです。そういう意味では、私は法律的な強化だというふうに思っております。  それに続きます二の二の2ですが、放送普及基本計画に示される基本的な事項について、「放送国民に最大限に普及させるための指針、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための指針」云々とあるわけです。これはいわゆるマスメディアの集中排除の原則、考え方にもかかわる問題だと思うのですが、これだけではよくわからないのですね。具体的にどういうことを書くのかという点をまずお聞きします。
  38. 成川富彦

    成川政府委員 放送基本計画の指針と基本的事項の内容につきましてのお尋ねだというふうに理解いたしまして、御答弁をさしていただきたいと思いますが、「放送国民に最大限に普及させるための指針、」いろいろな指針があるわけですが、「放送国民に最大限に普及させるための指針」、といたしましては、NHKとそれから民放放送の全国的な普及の目標、具体的に申し上げますと、例えば民放テレビ全国最低四波化等、放送の普及に関する事項を放送基本計画の中に盛り込みたい、現在やっている姿をその放送基本計画の中に盛り込んでいきたいということでございます。現時点における放送基本計画の中身でございますが、現時点におけるといいますか、法律改正された時点で放送基本計画をつくるわけですが、そのときに盛り込むべき内容としてはそんなことを考えております。  それから、「放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするための指針」というのは、先生おっしゃいましたようにマスメディアの集中排除の基本的なものでございまして、その中身としては、マスメディアの集中排除の基本的な考え方を書きたいというふうに思っております。  それから、「その他放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項」としては、放送の地域密着性の確保等をあらわしたいというふうに思っております。  それから、マスメディアの集中排除原則を盛り込むとしたらどういう内容にするのかというようなお尋ねもあったかと思いますが、これにつきましては、マスメディアの集中排除の基本的な考え方は、現在もチャンネルプラン等をやる際にいろいろと考えてやっておるわけでございますが、その中身と大体同様でございます。表現の仕方はこのとおりにするかどうかわかりませんが、例えば複数局支配の原則的禁止、それから三事業支配の原則的禁止ですね、これはもう既に現在でもそのような形で取り組んできているわけでございますが、そのようなことをその中身、その表現ずばりじゃなくて、このような基本的な考え方を決めていきたい、基本計画の中で定める方向で検討していきたいというふうに考えております。
  39. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の問題、最後に言われた問題が一つちょっと今後の大事な問題になっていくと私は思うのですね。といいますのは、きのうの議論でもやりとりがありましたが、全国民放四波化を推進していく、その際に、もう一方マスメディアの集中排除の原則という大原則がある。それと、何といいますか矛盾――矛盾がもともとあるわけではないのですが、実際に四波化を進めていく場合に、この集中排除原則を緩和してでもということが具体的には出てくるのじゃないかという懸念があるわけですね。放送政策懇の報告の中でも、いろいろ一社二波方式とか支店方式とか中継局方式とかというようなことにも触れられておるわけですが、そのあたりをめぐってはどういうふうに考えておられますか。
  40. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、放送基本計画の中には全国的な普及を考えていかなければならぬという基本的な考え方が一つございまして、もう一つ集中排除の原則という基本的な考え方を盛り込むということで取り組んでいるところでございます。現時点において考えておりますのは、全国最低テレビ四波化、それからFMの全国普及の目標達成につきましては、基本的には従来の考え方で臨むこととしておりますけれども、ただ経営上の問題、経済上の問題とかいろいろな面でなかなか簡単ではないところも出てきていることは事実でございます。今のところはまあまあ今のやり方でやれるのじゃないかと思いますが、今後の状況考えてみますと、そういうケースも考えられないではないわけでございます。  それで、放送政策懇談会の中でも、そのような状態になったときには従来のようなやり方ではなくて若干緩和した新しい考え方を導入すべきじゃないかという、今、先生お話しのございました一社二波方式、相互乗り入れとかいろいろな提案がなされているわけでございますが、それも、全国普及しよう、全国四波化しようという観点からしますと実現する上でやりやすい方策であることは事実でございます。しかしながら、先ほど来話がございますように、放送政策上のもう一つの重要な理念でございます集中排除原則との関係考えなければいかぬわけでございまして、視聴者の利便、視聴者の強いニーズといいますか、それと集中排除原則をどうやって調和させていくかというのが大きな問題になってくるのじゃないかと思うのですが、これにつきましてはいろいろ知恵を絞っておるといいますか、段階的に考究して取り組んでいかなければならぬというふうに思っております。  この調和点をどうやって見出していくか、大変難しい問題かもしれませんが、今後将来にわたってその調和点をいかにして見出していくかということを考究していかなければいかぬというふうに考える次第でございます。
  41. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私はそこが極めて重要だと思うのです。そういう基本計画、それは郵政大臣が決めるのだ、やっていくのだということで、その中身について理念的には触れられているわけでありますけれども、実際にどういうふうにやるか、基本的な事項ですね。マスメディアの集中排除の原則を守っていくのか緩和するのかというのは大問題なわけですよ。どういう場合に緩和するのかとか、その点について調和を図って考えていきますというだけでは、結局この委員会では基本的な事項が十分提示されないであとはお任せということになるわけですね。私は、この点は非常に大串な問題だというふうに考えているのです。  ですから、少なくとも基本的な考え方についてははっきりさせていくということでありませんと、結局は郵政省のフリーハンドといいますか、郵政大臣のフリーハンドということになってしまうわけです。事は具体的に進行していくわけですから、四波化は推進しようということでしょう、そういうときに、経営上の問題、いろいろな問題があって排除原則と衝突が起きる、そのときはどうするか郵政省に任せろということになってしまうのです。そういうことは重要な原則的な問題ですからあってはならぬと私は思うのです。その点はどういうふうに考えていますか。任せろということですか。
  42. 成川富彦

    成川政府委員 昨日来お話が出ておりますように、放送普及基本計画につきましては電波監理審議会諮問いたしまして、電波監理審議会から答申といいますか議決をいただいて、それを尊重して行政運営をしていこうということで考えているわけでございまして、電波監理審議会としてはそれを受けた場合にはいろいろと聴聞というような場も設ける場合もあるわけでしょうし、それは電波監理審議会判断でございますが、そういう場になった場合には公開でございますので、いろいろな方の御意見、利害関係者の御意見等も出てまいりますでしょうし、それらの結論を踏まえて私ども行政をしていきたいということでございます。  それで、現在のやり方は先ほど来申し上げたように基本的には従来の考え方で臨みたいということでございますが、先ほど来話が出ておりますように経営的に非常に難しいところもあり得るわけでございまして、それらにつきましては視聴者といいますか国民の強いニーズにもこたえていかなければならないわけでございますので、一方において集中排除原則という基本的な考え方も維持しつつ調和点を見出していきたいということで取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  43. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これ以上の答弁にはならないようなので次に進みたいと思いますが、マスコミの集中排除の原則というのは非常に大事なんですね。国民の知る権利ともかかわりますし、放送国民が参加する権利といいますか、そういうものともかかわるわけでして、これは極めて重要なもので、行政サイドで安易に変えていくというようなことがあってはならぬということを申し上げておきたいと思います。  そこで、国民に最大限普及させるための指針ということで、これは結局放送系の数の目標などを決めていくわけですね。具体的に各県単位に決めていくということになるわけですが、私もいろいろな県で大変要望が強いということも承知しておるわけです。ですから、そういう場合に基本になるのは国民視聴者のニーズといいますか要望といいますか、そういうものが計画をつくっていく大前提にならなければならぬと思いますが、その点はどう考えていますか。
  44. 成川富彦

    成川政府委員 放送基本計画の中に「放送対象地域ごとの放送系の数の目標」というようなことも盛り込むわけでございますが、この策定に当たりましては、郵政大臣放送に関する需要だとか地域の諸事情等を勘案するとともに、電波監理審議会諮問しなければならないわけでございます。一般的にはいろいろと、陳情というのは語弊があるかもしれませんが、視聴者のニーズ、国民のニーズというものは行政をやっていく上では必要なことでございますので、取り組んでやっていかなきゃならぬと思っております。  さらに、電波監理審議会諮問するということになるわけですが、放送基本計画の策定だとか変更をする際にはかけなきゃいかぬということになっておりますので、電波審議会の方としては、諮問を受けたときには、必要とあれば聴聞を行うことができることとなっております。聴聞は御承知のとおり公開で行われるわけでございます。このようないろいろな面を通じまして国民視聴者のニーズだとか放送事業関係者の意向というものは放送普及基本計画に反映していくことができるんじゃないかと考えております。
  45. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 電波監理審議会の聴聞のお話もありましたが、私は、むしろもっと積極的に国民意見を聞いていく、あるいはチャンネルがかかわるわけですから、放送事業者とかそこで働いている労働者の意見とかも当然聞いてしかるべきだと思っておりまして、そういう点ではむしろ積極的に公聴会などを開いていくのが望ましいのじゃないかと思いますが、どうですか。
  46. 成川富彦

    成川政府委員 一般的には行政需要に応じて行政をやっていくという観点から、先ほど来の、その地域における放送に関する需要だとか地域の諸事情等を勘案して私ども放送基本計画をつくっていくわけでございます。そういう従来のやり方で今日まで来ているわけですが、枠組みとしては、特段それによって支障が生じているというようなこともございませんし、先ほど来申し上げておりますように、聴聞だとかいろいろな場面で国民皆さん方の御意見は吸収といいますか把握することができるというふうに考えておりますので、公聴会というような新たな制度を設ける必要はないのじゃないかというふうに私ども考えております。
  47. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は公聴会などを進んでやって民主的な姿勢を示すべきだというふうに思っております。  次に、有料放送について聞きます。  有料放送につきまして、改正案では料金を含む契約約款の大臣認可制をとっておるわけです。しかも、郵政大臣が約款の変更を命じることもできるとなっておりますね。大臣権限が非常に強くなっていると思うのです。放送事業者の経営に対してどうしてこのような強い権限を持とうとするのか。私はやはり言論の自由との関係でも好ましくないと思いますし、そういうことはやめるべきだというふうに考えるのですが、どう考えていますか。
  48. 成川富彦

    成川政府委員 まず認可制とした理由から申し上げますが、今回の放送法改正によって当面導入がなされるものとして想定しておりますものとしては、衛星放送による有料放送考えられるわけであります。一社による独占状態がかなりの期間続くのではないかというふうに考えられます。このように有料放送というのは有限希少な公共の電波を使用するものでございまして、自由な参入が許されない分野でございます。次々と衛星放送をやりたいといってもそう波があるわけではございませんで、自由な参入ができない分野でございます。  一方、有料放送の役務提供というのは、広範かつ多数の公衆を対象とするために、あらかじめ定型化された付合契約といいますか契約約款に従って一律的に契約がなされることになるわけでございます。またさらに有料放送衛星放送というのは、公共の電波を広範囲にわたりまして継続的に使用して、テレビ、大体すべてそうですが、一般家庭のお茶の間に直接飛び込んでくるというようなことで、言論、報道等の関係からいきましても、社会的な影響力が非常に強い大きな放送サービスを提供するものでございます。  そういった両者の兼ね合いから考えますと、受信者の利益の保護を図るためにはあらかじめ役務の提供条件、契約約款の中身につきまして適正を図る必要があります。役務の提供条件の適正を確保する必要があるのではないかという観点から、今回認可制という形で提案させていただいたような次第でございます。  二点目の変更の方でございますが、認可された当時は料金等が合理的であったといたしましても、その後物価の変動等も考えられないではないわけでございます。大幅な変動があったり受信者が大量にふえてきたにもかかわらず相変わらず従来のままというようなことでは、受信者の利益が阻害されることにもなりかねないわけでございます。社会的、経済的諸事情の変動によって著しく不適当となった場合には直してもらわなければいかぬわけですが、その場合、良心的に、自主的に有料放送事業者が契約約款の変更認可の申請をしてきてくれればいいのですが、そうならなかった場合、申請を怠った場合、そのまま放置しておっては受信者の利益は十分保護されないのではないかということでございます。そういう意味合いから、法律的な担保の措置として、受信者の利益を保護するために、公正中立な立場から提供条件の変更の申請をしたらどうだというようなことで求めていきたいということが、今回の変更の認可申請をするように命令するという条項を設けた理由でございます。
  49. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の答弁でも、要するに郵政省の支配力をきちっと確保したいというようなことでしかないと私は思うのですね。それは確かに衛星放送ではJSB一波といいますが、見る側からいいますと衛星放送にはNHKもあるわけですね。二波あります。独占というふうに言われたが、見る側からいえば別に独占でもないのですよ。地上波との選択でも見るわけですから。高ければ視聴者の方は契約しなければいいわけですから。別に全世帯に押しつけられるというものではもともとないわけです。そういう点でも論拠がはっきりしていないというふうに思うのです。  それともう一つの問題は、当面は衛星放送だというふうに言っておられますが、それはここには書かれていないんですね。そうしますと、将来地上波でのペイテレビなんということが出てくる可能性も、これはいい悪いは別にしましてあるわけです。そうしますと、この法律はそういうものも規制し得るということになっていくのじゃないですか。そのあたりはどう考えていますか。
  50. 成川富彦

    成川政府委員 今回の有料放送制度の導入につきましては、先ほど来いろいろと申し上げておりますように、近くBS3を使って放送が予定されておる民間衛星放送を念頭に置いて導入を図っているところでございます。先生おっしゃるように法の規定上は地上でもできることは事実でございます。しかしながら、現実に地上において有料放送の導入を認めるかどうかについては今後慎重に検討する必要があるのではないかというふうに考えておりまして、改正法が成立いたしましても、直ちに地上において認めるということは現時点においては考えておりません。
  51. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題でもやはり郵政省郵政大臣権限強化であるという点を指摘して、次に進みたいと思います。  NHKの経営委員の選出の問題で郵政省にお聞きをするわけです。経営委員放送法によって定められておるわけでありますが、経営委員選任に当たってどのような基準で、またどこで選任を進めておられるか、この点をまずお願いします。
  52. 森本哲夫

    ○森本政府委員 NHKの経営委員の人選につきましては、先生ただいま御指摘のとおり放送法の十六条で基準が定められておるわけでございまして、それによりますれば、「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」こういう仕組みになっておるわけでございます。選出に当たりましてはさらにまた法におきまして、できるだけ各般の分野から人選が行われるようにという趣旨から、分野について教育、文化、科学、産業、いろいろな分野について公平に選出される、あるいは地域的にも偏らないようにという趣旨から、全国を幾つかの地区に分けて、そしてその地区を通じて選ばれるように、こういう基本線がございますので、この線に沿って内閣総理大臣選任をしておる、そして国会の同意をお願いしておる、こういう仕組みになっておる次第でございます。
  53. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 現在の経営委員につきましてそれぞれどの分野代表しているか、簡単に説明してください。
  54. 森本哲夫

    ○森本政府委員 お尋ねの趣旨はそれぞれの委員の方がどの分野代表しておるかという趣旨でございます。といたしますれば、(佐藤(祐)委員分野別の人数で結構です」と呼ぶ)人数でございますか、それならばまとめて分野として申し上げますが、一律に現在の委員がどの分野代表しているかということを具体的に特定することは非常に難しい問題もあるかと思いますが、あえてこれを分類いたしますならば、文化四名、教育、科学一名、行政が一名、産業が六名というふうに分類ができるかと存じます。     〔委員長退席、牧野委員長代理着席
  55. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 選任に当たっては各分野が公平に代表されるようにということになっておるわけですが、どうも現在の姿は十二人のうちの半数が産業界代表であるということで、大変私は偏っていると思うのですね。それに反しまして、例えば科学、教育というのは結局一人の方ですね。元東北大教授の前田さん一人が教育と科学を兼ねておるというような選出になっておるのですね。  私はこういう選任は改めるべきだというふうに考えているわけです。文化の代表四人と言われましたが、それも中身を見ますと新聞社の方が三人ということになっておるわけですね。もちろん新聞社というのは非常に大きな文化的な意味合いを持っていることはわかりますが、三人の大手の新聞社の代表が入っているから日本の文化が代表できたというものではなかろうと思いますし、この文化の四人というのの中でも何か偏りがあるのではないかというふうに思うのですが、その点どうですか。
  56. 森本哲夫

    ○森本政府委員 現在の委員の人選についての、分野の問題についての御指摘がございました。放送法にも規定いたしておりますように、各分野からということは書いてございますが、できるだけそれは公平に各分野から選出するあるいは選出するべく考慮するということが放送法規定でございますが、必ずしもこれは各分野委員の構成が分野別に同数でなければならぬということを意味しているわけではないと考えておる次第でございます。要は、いろいろな分野から選出されました代表の声が、重要な役割になっております経営委員会全体の運営が均衡のとれた形で運営されるように、こういうことを配慮したものと考えております。  なお、一口に産業界と申しましても、ただいまお話がございましたけれども、現在の委員の分布は、産業の中でも農業あるいは薬品あるいは公益事業あるいは金属その他、各方面にわたっておるわけでございまして、私どもとしては特段に偏った形になっていないというふうに理解をいたしておるところでございます。
  57. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 各分野同数でなければならぬとか、そういうことを言っているわけでは毛頭ないので、しかし実態から見て偏っているのじゃないかということを指摘しているわけです。  例えば、文化といいましても、それは映画、演劇もあればいろいろなジャンルがあるわけですね。それからスポーツというのも放送上も大変なウエートを占めているわけですよ。そういう代表する委員もいない。  これは大臣にお聞きしたいのですが、婦人の比率も大変少ないですね。今お一人じゃなかったですか。この前、竹下総理は婦人は衆議院議員に向かないというようなことを言いまして、大変ひんしゅくを買ったわけですが、まさか郵政省が経営委員に婦人は向かないと考えているのではないと思うのですけれども、もっとそういうことも含めて経営委員会の構成、現状でいいんだというのではなくて、見直してみる必要があると思うのですが、大臣どう思いますか。
  58. 中山正暉

    中山国務大臣 私のおふくろも元婦人議員でございまして、昔は我が党にも山下春江、近藤鶴代、戦後二回目の選挙でございましたか、三十五名ぐらい婦人議員が出たことがありました。今共産党さんの方に偏っているような感じがありますので、大いに御婦人、特に人口構成では御婦人の方が多いわけでございます。坂井先生の御質問の中にも、昼のテレビを見ていらっしゃる方々には御婦人の方々が多い、そういうことを考えましても、婦人の方々の御活躍、今経営委員の中には一人でございます。男女別を言うわけではありませんが、女性の進出、これからまた委員の交代のときなんかにはいろいろ御配慮をいただくことが必要なんじゃないかということを思います。
  59. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この経営委員は国会に同意を求めるということになっておるわけですが、その同意の求め方の問題でちょっとお伺いしたいのですが、政府から提案されてくるのはごく簡単な経歴書ですね。私はやはりそれだけではなくて、NHKの経営委員ですから、放送の問題、言論問題についてどういう見解や抱負を持っておられるかというようなことが提示されるのが望ましいのではないかと考えているわけです。  そこで、一番最近国会に対して同意を求められた二人の方がおられます。弁護士の佐藤欣子さんと木本さんですね。このお二人のNHK放送現状に関する御意見、どういうものをお持ちか、説明していただきたいと思います。
  60. 森本哲夫

    ○森本政府委員 先ほども申し上げましたとおり、経営委員選任の基準については法律で「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者」、こういうことで、かつ、なお両院の同意を得る、こういうことでございますので、それぞれの方がどういう御見解をお持ちかということを確定した上で、そして国会の同意を求めている仕組みにはなっていないと考えておるところでございます。
  61. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大変おかしいと思うのですね。やはりそれぞれの委員会にふさわしい人を選ぶというわけですから、当然放送とかジャーナリズムとかいうことについても一定の見識なり見解を持つことが必要ですし、そのあたりまでそれは当然選任判断基準に置かれるべきだというふうに私は思うのですね。それがまた途中で――例えば佐藤欣子さんの場合、個人名を挙げて失礼なんですが、当初の郵政省案が途中でひっくり返った経過があるというようなことも聞いておるわけですね。弁護士さんでありながら国家機密法の推進論者だというふうに、弁護士界の中では非常に際立った方といいますか、そういう方があえて選任されているというあたりにも私は大変疑問を感じているわけですが、時間も参りましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思うのです。  私たちが経営委員の名簿を審査しますね。国会で同意、反対とか賛成とかするわけですが、今申し上げましたようなことで、その方が本当に放送、言論、ジャーナリズムにかかわる経営委員として、一般的な事業経営ではないわけですから、ふさわしいかどうかということを吟味する上では、やはりそういう問題についての見解なりそういうものも国会に示していただく、私はこれは大臣の決断があれば大変いいのじゃないかと思うのです。例えばこの逓信委員会にそういう方においでいただいていろいろ質疑をするというふうなこともあっていいんじゃないかというふうにも考えるのですが、そういう本当にふさわしい方が各分野から選ばれる、さっきの女性代表も含めてですが、方向で改善を図っていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 中山正暉

    中山国務大臣 今佐藤欣子先生の個人名が出ましたのですが、御婦人として、元検事であり、それから今弁護士をやっておられますが、御主人が東大の教授でもいらっしゃる大変すばらしい御夫妻だと私は思っておりまして、昨年、天皇陛下をお迎えしての沖縄国体の前に沖縄県民大会がありましたときに私もお招きをいただいたのですが、偶然御一緒しましたのが佐藤欣子先生であったわけでございまして、六千人ぐらい集まったコンベンションホールでのお話もそのときに伺わせていただいたのですが、大変御立派な方だと、ふだんからではございますが、なお一層尊敬の念を私持ったわけでございます。  今、NHKの経営委員というものはいろいろ自主的な公共放送としての経営に当たられる方々でございますので、御資格としては先生御承知のように、「禁こ以上の刑に処せられた者」はなれないとか、それから「国家公務員として懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者」もなれない。「国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であって非常勤のものを除く。)」そういうもの以外の国家公務員はなれない。それから「政党の役員(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)」一年前に政党の役員であった者も入れませんし、それから五つ目の条件としては、「放送用の送信機若しくは放送受信用の受信機の製造業者若しくは販売業者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わずこれと同等以上の職権若しくは支配力を有する者を含む。以下この条中同じ。)若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者(任命の日以前一年間においてこれらに該当した者を含む。)」それから六番目には「放送事業者若しくは新聞社、通信社その他ニュース若しくは情報の頒布を業とする事業者又はこれらの事業者が法人であるときはその役員若しくは職員若しくはその法人の議決権の十分の一以上を有する者」、これもなれない。それから七番目に「前二号に掲げる事業者の団体の役員」もなれない。「委員の任命については、五人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。」というふうに書いてありまして、今の制度が大変知恵のある制度であって、国会との関係もさることながら、公共放送として独立的な機能を果たしていただいていることを評価をいたしております。
  63. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今いろいろ禁止規定の御説明がありました。それに反しない人は五千万もおると思うのですね。だからいかにふさわしく選ぶかという問題でありまして、ぜひ改善の方向を進めていただきたいということを申し上げて、終わります。
  64. 牧野隆守

    ○牧野委員長代理 木内良明君。
  65. 木内良明

    ○木内委員 昭和二十五年本法制定以来、大変長い期間を経て今回の改正という段取りになってきているわけでありまして、言ってみれば新しい情報化社会に即応できる法体制を確立するため、骨組みの部分からあるいは法の根本的な理念の部分からの抜本改正というものが行われなければならない今次状況にある、こう思います。すなわち、地上波と衛星波との関係あるいは通信と放送の融合の時代というものが既に入り口に入ったわけでありますから、こうした新しい時代の展開に即応する法律抜本改正があってしかるべきであるし、むしろ遅きに失した感を私は強くするわけであります。  したがって、今通常国会における一連の政府提案の法律案の中でも本法の位置づけというものは大変重要視をされているというゆえんもここにございますし、その意味から本委員会における審議も他の法案と比較しまして、二日間にわたって慎重な審議をしているという状況がここにあるのであります。その意味からも本委員会における政府答弁あるいは大臣答弁というものは今後のこの本法を土台にした行政運営の中で非常に大きな意味を持つものでありますから、それぞれの答弁の中で責任ある姿勢をお示しになって、きのう、きょうと質疑に臨んでいただいている、このように考えるわけであります。     〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、昨日以来の審議を終日私は委員席におりまして聞いておりまして、残念ながら答弁のぶれというものを感じないわけにはまいりません。すなわち、現状追認の形であるこの改正案、これではならない。通信と放送の融合時代に対応できる抜本改正というものが可及的速やかに行われなければならない、政府の方針はいかがかという趣旨の質疑は複数の本委員委員によって行われてまいりました。時に必要に応じてあるいは適時適切にといった答弁が行われておりましたが、昨日の松前委員の質疑の際、私が平素尊敬もし、またその見識に高い評価をさせていただいております中山郵政大臣から大変に刮目すべき、またさすが英邁な大臣の御答弁だなという感を深くする発言に接したわけであります。  私は正確を期するため昨日の会議録のもとになる原稿を早速起こしていただきまして、手元に持っております。途中からでございますけれども、  この全く日本型の放送を見ておりますと大変危なっかしい感じもいたしますけれども国民の良識の中で育ってきた、何と申しますか、自主的な規制がそれぞれいろいろな問題を指摘されている中にだんだん目覚めてきている事態が見えるような気が私はするわけでございまして、その点で将来多くの問題を残していると私は思いますけれども、国会で与野党の皆様方から御監視をいただきながら番組内容をよくし、そしてまた、いろいろと放送メディアを改良していくための電波審議会とかそれから経営委員会の問題でこれからまたいろいろと御示唆をいただく、 この後が重要でありますけれども、  常に大抜本改正と言われるものに向かって、理想の放送法をどうつくるかということに向かって我々も研さんをしてまいりたい、 同僚委員の質疑に対しまして、いわば隔靴掻痒の感の多かった昨日夕刻に至るまでの答弁の中で、まことに国民の意を体した、あるいは的確に問題の核心をつき、将来の展望を示された答弁として私は高く評価をしたわけであります。この文言において極めて重要なのは「常に」ということ、もう一つは、抜本改正という単純な文言ではないこと、「大抜本改正と言われるものに向かって、」と極めて明確、これ以上明確なものはないと言われる答弁をされたのでありました。その大臣の御見識に私は重ねて評価を申し上げたい、こう思います。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕  しかるに、本日十時から行われました審議に対しまして、これが残念なことに同じ大臣の答弁かと思われるような後退の発言に終始をしてしまっている。すなわち、我が党の坂井委員の申し上げた背景を踏まえた上で抜本改正に言及された際、大臣は、現状に即した改正でいいのではないか、こう後退をしておられる。これは一体いかなる事情と心境の変化によるものか。歴史は夜つくられるとはいうものの、昨日の夕刻、そしてけさに至るこの数時間の間に省内の調整が行われたのか、あるいはまたいろいろな御相談があったのか、それは私の立場では知る由もありませんけれども、少なくとも放送行政局長の答弁、何度も繰り返され、この問題について掘り下げられた議論があり、そのいわば昨日の審議を収れんする形での大臣答弁が先ほど申し上げた内容であったわけであります。  昨日の郵政大臣の答弁、これは国会の審議でございますので、当然今なお生きておると私は思いますし、「常に大抜本改正と言われるものに向かって、」というこの御決意は変わらないものである、こう判断をするわけでございますが、申し上げる点をよくお踏まえいただいて、再び英邁な御答弁を大臣からいただきたい、こう思います。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 中山正暉

    中山国務大臣 大変お褒めいただくお言葉が派手でございますので、この後はどうなるのかなと思って心配をしておりましたら案の定でございました。  実は私は別に変わったことを言ったわけではないと思います。きょうの坂井先生に御答弁申し上げましたのは、今回の改正はこの程度のことでいいのではないでしょうか、しかし、お互いこれからもできる限りこの国会の場にいたいと思っておりますものでございますから、特に日本情報を世界に明るく公開することによって世界の平和を保っていくという使命があると思います。その意味で、私は、マスコミと接点のあります我が郵政省がたくさんのチャンネル、先般、八日の日に奈良県の生駒でのCATVの開局式に行きましたら、画面二十四、音声十七チャンネルという大変新しいCATVのチャンネル数を見ましても、また双方向で、そのとき実験もいたしましたが、ある質問を出して、そしてそのテレビで問いますと、それがテレビの画面にすぐ出てくる。これは民主主義の象徴的なものでございますねということを、そのときに双方向テレビの中でその向こう側にいる本霊さんという方と、それから田谷さんというボランティアをやった御婦人の方でございましたが、その方々とそういう話を、会場でそういうやりとりをやってくれということで、私そのときにそう申したわけでございます。  民主主義の意見がすぐにぱっとテレビに出てくる。これはこれからの民主主義に大変役に立つようでもあり、また、世論を誘導するようなことがありましたらこれまた大変危険なものになる、もろ刃の剣であるという感じかいたしましたので、私は、いろいろな意味を含めて、いろいろな知恵が出てきたときには理想に向かって法改正をすることになるでしょうというのがきのう申し上げたことでございます。  しかし一方、法律がなくてみんながそうだと思っているものがいっぱいあります。東京が首都だという法律はありません。遷都論が起こる理由もそこだという気がいたしますが。それから、日曜日が休みだという法律もありません。だからこそ、土曜日は閉庁にしましょう、来年の二月から郵便局休みましょうなどと言わなければならないのは、これは日曜日が休みだという法律があればいいのでございます。土曜日が全部休みだという法律をつくるわけにもいきませんから、土曜閉庁、ひとつできるだけ休みましょうという話ができてくるのは、法律にしなくて、みんなでそうだなと思っていることが多い国ほど私はいい国だと思っております。  ですからその意味で、放送法先生方が御不満を持たれる点は、それはみんながそうだと思っている良識というもので運営していくのがこの放送法を運営していく郵政省の心である。答弁が揺れているというお話がありましたが、それは国民の良識、担当者、事業者の良識にゆだねているという部分が揺れているように見える部分だと思いますので、これは決して揺れておりませんので、ひとつその辺は先生方にお見守りをいただくことが、将来に対するいろいろな法律の知恵をずっと盛り上げていくこと――外国では慣習法で憲法もない国があります。長い歴史の中でそれを積み上げた法律、どこで何をやるのだということを見るのが法律になっている国もあるわけでございますから、何でもかんでも法律規定をするという国は余り良識の高い国ではない。むしろ良識をみんなが心で認め合うことが理想ではないか、こんなふうに思います。
  67. 木内良明

    ○木内委員 私は郵政大臣と質疑を行うのがみずからの職務ということで真剣に臨むわけでありますけれども、大変楽しみにしておりまして、事例の引用も大変適切かと思います。おっしゃる点、部分的によくわかります。今回のこの問題に対しましても、いわば良識にゆだねるべきである、また、この良識が集大成され、より多くの合意が得られるという形が望ましい、民主主義の恐らく根底部分に関する御言及であった、こう思うわけであります。したがいまして、答弁がぶれているのではない、これは郵政省の心である、その良識の、いわば郵政省のトップにある郵政大臣が、一々引用いたしますけれども、「常に大抜本改正と言われるものに向かって、理想の放送法をどうつくるかということに向かって」お進みになる、これはいわば郵政省の心を象徴的に代表しておっしゃったこと、こう受けとめてよろしゅうございますね。
  68. 中山正暉

    中山国務大臣 私がいつまでこの席におりますかわかりませんけれども、だから長いレンジを私が申し上げることも大変僭越かと思います、越権でもあるかと思いますが、日本人の心というのは後に続くを信ずというものでございまして、そういう意味で、後に続くを信じて自分の職責をこの席にあります間全うしてまいりたいと思いますし、自分自身としては、先ほど申しましたような民主主義の根底を支えるマスメディアというものの怖さ、それから日本人は一過性でございます。わあっと右へ振ったり左へ振ったりする。私は六百年の幕府政治の影響ではないかと思っておりますが、「赤信号みんなで渡れば怖くない」なんという言葉が堂々と出てくるような国でございますので、そういう日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識なんていろいろな言葉をここで並べれば、放送とかメディアがいかに怖いものであり、また有望なものであるか、その辺はどうするかというのが私は政治課題だと思います。これは与野党を通じての政治課題である、こう思いますので、日本が世界の平和に貢献をするためには我々はそういう面での貢献しかできないのではないか、そんな自分の政治家としての理想を申し上げたような結果が先生から御指摘をいただくようなことになったのかと思っておりますが、信念としてはそういうふうな感覚で物を申し上げております。
  69. 木内良明

    ○木内委員 政治家の、いわば理想としてのお話であった。これは人として生まれ、世のため、人のために貢献をしたり、その一つの形として、選良としての議員の立場があり、またある程度まで上り詰めた大臣のお立場がある。言ってみれば、これは行政の指針に直接つながるものであろうし、そのお立場にある大臣の今のステータスといいますか、ポジションというものを踏まえられた上での御答弁であろう、こう思います。  そこで、放送行政局長にお聞きをするわけでありますけれども、その都度の改正ということではないわけであります。あくまでも抜本改正を目指して今後、この放送法改正というものはいわば入り口に立ったところであり、大抜本改正に向けてこれからの歩みを運ばれるということになるのでありまして、その点の確認を、今度は放送行政局長お尋ねをいたします。
  70. 成川富彦

    成川政府委員 昨日来、たびたび御答弁させていただいておりますように、今回の改正は、放送発展した現状に合わせてやらないとなかなか行政がうまくいかないような事態が到来したものですから、そういう観点からいろいろとその改正考えまして提案させていただいたような次第でございます。部分的には規制緩和だとか有料放送等々導入しているわけでございますが、今後の技術の発展の動向等を考えますと、放送関係につきましてもニューメディア等々いろんなものが出てくることも考えられないわけではございません。先ほど来お話ございますように、通信と放送との境界領域的な分野というものも、いろいろと新しいものとして出てくる可能性も秘めているわけでございますので、今後は、従来のように放送法を固定したままという状況ではなくて、常に新たな観点で見直していくということが必要かというふうに思います。  そういった意味合いにおきまして、昨日来、必要の都度、適時適切にということを申し上げさせていただいているわけでございますが、理想に向けて常に私ども行政は携わっていくべきでございますので、常に理想に向けて状況の変化等に対応できるように努力していかなければいかぬというふうに考えております。
  71. 木内良明

    ○木内委員 適時適切もこれあり、さらにまた大臣の答弁、それから今の理想という大変現実味を帯びた抜本改正に向けての作業がこれから始まるであろう、こう受けとめていきたいと思います。大臣はうなずいておられる。きのうも大臣答弁のとき、何かあれですよ、局長の大変緊張されたお顔が印象的でしてね。これは明確であります。やはり目指すべきは抜本改正、こういうふうに受けとめてまいります。  ついては、現在予定どおりにまいりますと、本日の午後、本法の採決に当たって附帯決議が付されるわけであります。現在協議中でありまして、ほぼ大宗の意見として合意を見ているものが手元に資料としてございますが、採決されたわけではありませんが、これは議会制民主主義のルールからいってコンクリートされたものとして、私は今受けとめております。  この第三項に、「今後、高度情報社会における国民のニーズの多様化、高度化が一層推進することを受けて、国民各層の意向を踏まえて新たな放送制度のあり方について見直しを含め検討を進めること。」この後に続かないのです、この文言は。さっきも全部すり合わせしましたが、改行するのです、ここで。「なお、必要の都度、適時適切に対処すること。」と、こうなっておりまして、明確にセパレートされている附帯決議の案文であります。すなわち、「新たな放送制度のあり方について見直しを含め検討を進めること。」これは見直しを含めるという文言にお感じになられるように、抜本改正を含む、こう判断をしております。  御異議があればおっしゃっていただきたいし、御異議がなければ、そうした解釈として進んでまいりたい。よろしゅうございますね。
  72. 成川富彦

    成川政府委員 今先生からお伺いいたしました附帯決議の原案といいますか、の線に沿って私どもやっていきたいというように思っております。
  73. 木内良明

    ○木内委員 今附帯決議の線に沿って私どもやっていきたいということでありまして、これは附帯決議の、私なりあるいは委員の間で確認をされた意味、解釈を私が受けざらとしていただいてこれを申し上げたということでありまして、それをこの線に沿ってやっていかれるということでありますから、抜本改正を含むということに当然帰結する、こういうことであります。御異議ありませんかと申し上げたらそういう答弁でありますので、そのとおりになろうか、こういうふうに思います。  それでは次の問題でありますけれども、この改正案の中で番組審議会の新しい形態についての改正部分があります。番組質的向上の問題については、放送政策懇談会の報告書が放送事業者に対し番組審議会活性化などの期待を表明しているという形式をとっているわけでありますけれども、今回の法改正を具体的にこういう形で打ち出された理由についてまずお尋ねをします。
  74. 成川富彦

    成川政府委員 番組質的向上の問題につきましてはいろいろな方から御議論があるわけでございまして、また最近でも、私ども放送法改正に関連いたしまして、諸団体から御意見も聞かせていただいたわけでございますが、その中でも質的向上につきましての御意見がかなりございました。そういうことから、質的向上につきましては国民的な課題と認識しているわけでございます。  現在の番組審議機関の活動状況を見てみますと、会社といいますか、民放によってはかなり積極的にやっているところもございますが、押しなべていいますと、それほど活発ではない、活性化していないというような状況も見受けられるわけでございます。質的向上を図るためにはまず何よりも放送事業者自身の自律によるべきだというふうに思うわけでございますが、その自律を促す手段として、内部機関である放送事業者が設置する番組審議機関活性化していくということがこの際必要ではないか。それが一般視聴者との結びつきを強くして、一般視聴者国民意見というものが番組向上に反映されていくのじゃないかというような観点から、今回のような提案をさせていただいたような次第でございます。
  75. 木内良明

    ○木内委員 随分一足飛びに審議機関の新しい形を提案されることになっているわけでありますけれども、いわば放送の公共性あるいは事業者における自主的判断を尊重するという点から考えますと、規制といったような形はできるだけこれをなくして自主的判断に任せた方がよいという意見が大宗を占めておるわけでありまして、現行法の中で番組審議会活性化を図ることは実際不可能なのかどうか、いかなる努力をされてきたのか、この点はどうですか。
  76. 成川富彦

    成川政府委員 私どもも、要望というような形で、番組審議機関あるいは放送事業者に対しまして活性化について何点かお願いといいますか、要望をしてきたところでございますが、その後の状況を見ておりましてもまだまだ十分でないところも若干見受けられるわけでございます。番組審議機関の開催回数一つを例にとりましても、かなり向上してきた分野も見受けられるわけでございますが、ただ一般視聴者との結びつき等々の観点からいたしますと、公表の仕方が、例えば番組基準にいたしましても、社屋に掲示しているだけであるとかいうようなところもかなり見受けられたりいたします。そういうことからいたしますと、国民民放会社の社屋に出向いていって番組基準を見るというようなこともなかなか考えられないわけでございますので、そういう点からも、そのような公表制度というものを番組基準についてもつくると同時に、番組審議機関答申概要とか意見概要等国民皆さんに知っていただくということが今後の質的向上に結びついていくのじゃないかというようなことから、今回のような提案をさせていただいたような次第でございます。
  77. 木内良明

    ○木内委員 特に民放における番組審議機関のいわば構成の問題でありますけれども委員七人以上で組織され、委嘱について若干の規定を設けているという状態、そのほかの運営については放送事業者自主性に任せている。今回の改正法では、部内委員制を廃止して、委員は外部学識経験者に限ることとしているわけであります。  そこで、聞くところによると、部内者を外す、学識経験者に主なメンバーを委嘱するということでありますけれども、きのうの答弁の中でこの審議機関のあり方に触れて、一般視聴者の声が反映されることを期待していると局長答弁されていますね。この一般視聴者とは一体どういう方々を指すのかという問題であります。その前に学識経験者とはということもお聞きしたかったのでありますけれども、社会通念として学識経験者は私にもイメージできます。それから一般視聴者ということでありますけれども、例えばごくごく一般的な家庭の奥様方、主婦の方は一般の視聴者ですね。あるいは市井の一般の方々も全部入ると思います。局長のきのうの答弁は一般視聴者の声が反映されることを期待しているということでありますから、こうした方々までひっくるめて構成メンバーとして期待をされておるということで受けとめておる、そのとおりですね。
  78. 成川富彦

    成川政府委員 私が申し上げた趣旨は、番組審議機関答申などした場合に、その概要を省令で定める方法によって公表していただくということを今回の提案でお願いしているわけです。そういたしますと、一般視聴者公表されたものを見ることによって関心を持って、自分の御意見なりなんなりを番組審議機関に言うとか放送事業者に言うというケースもあるでしょうし、そういうことによって一般視聴者の声が反映される道ができるのじゃないか、番組質的向上に反映されていくことになるのじゃないかということでございます。  番組審議機関委員選任につきましては、一般放送事業者の自由といいますか自主性にゆだねられておりまして、私どもとしてはできるだけ一般視聴者代表されるような委員選任していただけるように期待をしておりますし、学識経験者といいますか、番組の質的な向上について関心の強い、また、それについて良識ある方々委員として選任されるように、一般放送事業者に対しましては要望といいますか期待をしているわけでございます。一般視聴者の声が反映されるように、その委員選任に当たってはそういう観点からやっていただきたいということでございますけれども、先ほど私が申し上げたのは、放送番組審議機関意見概要とか答申概要公表することによって一般視聴者がそれについて関心を持っていただいて、それで番組審議機関と一般の視聴者との結びつきができて、それがさらには質的向上につながっていくのじゃないか、三段論法か四段論法かわかりませんが、そういうふうなステップの話を申し上げたところでございます。
  79. 木内良明

    ○木内委員 今の答弁の前段部分で、一般視聴者代表選任されることを期待している、こういう答弁がありましたね。一般視聴者代表、これはさっき私が申し上げた分野方々が当然含まれるであろう、一般視聴者代表ということでありますから。これが一点。それからもう一つ、今局長の答弁でありましたのは、他方、一般視聴者意見が反映されるような形として番組審議機関概要公表が行われ、これに接し、一般の視聴者が関心を持ち、そして環境的に番組の質的な向上が行われることが望ましいという、恐らくこの二点ではなかろうかと思うのです。したがいまして、一般視聴者代表選任されることがよいという今の御答弁でありますので、必ずしも学者であるとか専門分野代表ということではなく、例えばお子さんを持つお母さん方あるいは教育関係の、特に現場といいますかPTAの関係、こうした方々も当然含まれる。あくまでもこれは放送事業者の自主的判断に任せられるところでありますけれども、今の局長の答弁を私は強いて理解しようとすればそういう意味にも受け取れる、こう思いますが、どうですか。
  80. 成川富彦

    成川政府委員 審議機関国民である一般視聴者代表としての役割を私ども期待しているわけでございますので、そういうことからいたしますと、一般視聴者のそのような声が代表されるものになるように委員の構成がなってくれるのが一番望ましいわけでございます。  ただ、放送事業者の自主的な判断によって委員選任はやっていただいているものですから、その選任に際しましては、放送番組の適正、向上を図るために設ける審議機関委員としてふさわしい人材を選任していただけるように配意していただきたいというふうに期待するわけで、私どもの方がこれというような言い方をするわけにいかない。放送事業者自主性にあくまでもゆだねて自律的にやっていただきたいということを期待しているところでございます。
  81. 木内良明

    ○木内委員 放送事業者自主性、自主的判断にゆだねるというのは私も全く同感であります。しかし、そうした放送事業者が法の運用の段階で、国会でいかなる審議が行われたか、また条文のあるいは番組審議機関における議論として、望ましい形として行政当局からの答弁もあった。こうしたことはやはり現場の審議機関活性化あるいは実施面で大きな影響を持つものでありますし、私がるる申し上げたことに対する局長の答弁から、また後ほど会議録も整理いたしますけれども、相当に幅広い国民皆さん各層からあるいは一般の視聴者、いわゆる一般の方々の参加もあってよろしいのではないか、望ましいのだというニュアンスにお聞きしましたので、これは大変重要なところであろう、このように思います。構成メンバーについての私の疑問は以上にさせていただきます。  それから、申し上げたように、放送番組向上というものはやはり放送事業者が自主的に行うべきものであると考えますけれども、この改正案で審議機関の機能の活用、意見答申概要公表が定められている。こうした規定が入ることで放送番組の編集に対して公権力の介入につながるのではないかといった声もあり、また懸念もあるのであります。特に、公表方法郵政省令で定めることとされているわけでありますけれども、この省令はおおむねどんな項目的な柱になりますか。
  82. 成川富彦

    成川政府委員 番組審議機関答申が出た場合にはその概要、あるいはまとまった意見が出た場合にはその概要公表していただくわけですが、その公表の仕方につきまして私ども現在考えておりますのは、普通の放送事業者放送あるいは新聞その他、できるだけ多くの一般視聴者が見得るような方法ということで、非常に幅広い中で選択を一般放送事業者に任せるという形で考えております。
  83. 木内良明

    ○木内委員 そうすると、局長、この省令の中身は公表の形だけですか。
  84. 成川富彦

    成川政府委員 中身につきましては先ほど来お話し申し上げているように一般放送事業者の自律というか自主性にゆだねることでございまして、私ども全然介入する気はございません。公表の仕方につきましては郵政省令で定めさせていただきたいと考えております。
  85. 木内良明

    ○木内委員 ですから、郵政省の省令の中には公表の仕方だけが盛り込まれるのですか。
  86. 成川富彦

    成川政府委員 おっしゃるとおりでございます。公表の仕方だけを決めさせていただきます。
  87. 木内良明

    ○木内委員 それから、審議機関意見あるいは答申概要について発表が行われるという昨日来の答弁がありました。そこまでは概念的にわかるのですけれども、イメージとしてもうひとつ……。  例えばいわゆる低俗番組としてよく世論の中で話題にされるような番組があるわけですね。あるいは一貫したそうした流れというものも今の状況の中でややもするとある。例えば特定の放送事業者における特定の番組なりそうした番組制作の基本理念といったものについても当然審議機関では論及されると思うのですけれども、こうした具体性を持った概要公表ということをイメージしてもよろしいのですか。
  88. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来繰り返しておりますように一般放送事業者自主性によってやっていただくということでございます。番組審議機関意見としていろいろなことをまとめた場合にはそういうことになるわけですが、あくまでも番組審議機関自身が決めるべきことでございまして、私どもは、このようなことをせよとかしてほしいというようなことは中身に入るものですから、それについては言わないということになります。だから、番組審議機関がこの番組についてどうのこうのということを意見としてまとめ、それを放送事業者に言うといった場合にはその概要について公表していただくことになるということでございます。番組審議機関がやりとりするというような議事録的なものを私ども公表として求めているわけではございませんで、そういたしますと自由な論議も行われないということにもなりかねないものですから、それについては求めてはおりません。最終的に番組審議機関としてこのような意見一般放送事業者というか民放会社に対して言おうじゃないかといった場合に、その中身の概要公表していただくようにして、一般視聴者にも公表の中を知れるようにしていただきたいということを期待しているわけでございます。
  89. 木内良明

    ○木内委員 もうひとつまだイメージがわいてこないのです。放送事業者の自主的判断、これはよくわかるし同感だし、まさにそのとおりでなければいかぬわけですよ。ただ、国民の立場から見まして、どういう形で審議機関審議の中身がわかるのだろうか、接することができるのだろうかという率直な疑問はあるでしょう。だから、議事録や何かを公表、私はそれはきのうからの質疑を聞いてよくわかっているのです。国民の立場から見て、どういう形で質的向上に向けて番組審議機関国民の声、一般視聴者の声を吸い上げてくれて、そしてどういう議論の過程をたどっているのかというコンクリートされたものは、これは事業者の自主的判断なのですから、タイプとして恐らく当然ないと思います。しかし、どんなイメージでこれが出てくるのかという率直な思いはあると思うのです。ただ概要公表では、イメージがわきますか、局長
  90. 成川富彦

    成川政府委員 なかなかイメージがわかないというお話でございますが、過去の番組審議機関の経験からいたしますと、いろいろな審議機関がございまして、活動はしているわけですが若干形骸化しているというような批判を受けるところもないわけではございません。実質的にかなりの番組を取り上げて、意見として放送事業者に対して申し上げて、放送事業者がそれを受けて措置をしたというような例もございます。そういったことから、私ども番組審議機関の活用をできるだけしていただきたいというふうに一般放送事業者に期待しているところでございます。  そういうことになりますと、具体的な中身といたしましては、過去においても既にやっているところもございますが、番組審議機関委員の名前を公表していただくとか、あるいは資料の提供等を積極的にやってもらって番組審議機関審議しやすくしていただくような環境づくりをしてほしいということを今一般放送事業者に期待しているわけでございます。そうなりますと、具体的な番組等も論議いただきまして、それについていろいろと御意見番組審議機関としてまとまれば一般放送事業者に出されるわけでございまして、その概要公表されることになるのじゃないか、先生のおっしゃるような趣旨に近いものになるのじゃないかと感じております。
  91. 木内良明

    ○木内委員 私の申し上げる趣旨に近いようなものになるというところだけはっきりわかりましたので、期待をしてその自主的運営を拝見させていただきたい、こういう気持ちであります。  きょうはNHKにも来ていただいております。時間の関係で絞り込んでお聞きしますので、簡潔に御答弁をお願いします。  今回の法改正に当たって事業範囲の拡大ということがありました。先般の六十三年度NHK予算の審議の際にも私は申し上げたのでありますけれども、いわば四年ごとに受信料の改定が行われてきた、これに整合性を持たせ中長期的な総合計画の策定を行うべきである。また、これに対して再三本委員会でもその旨の答弁があり、来年度の事業計画、予算案の提出、御報告のときにはこれが用意されるということの答弁があったわけであります。  そこでお聞きするわけでありますけれども事業範囲の拡大に伴って当然収入の増加ということが見込めるわけでありますが、作業としてもう既に入っておられると思います申し上げた中長期計画へ、この事業範囲の拡大による収入増、この織り込みがまず行われるかどうか。  それから、二点目は、土地の信託方式によって新たな事業というものが法律が通りますと可能になってくる。既に愛知県名古屋の放送会館の準備が進んでいるようでございますけれども、これはこの法律の趣旨に沿って既に早期に着手されてこられたのか、あるいはまたその進捗はいかになっているのか。さらにまた、申し上げた事業範囲の拡大の一角をなすものとしてどのような形態、例えばテナントのあり方、さらにまた地域社会の融合あるいはテナントの業種、こういったものまで既にはっきりしておられる部分があったら御報告をいただきたい、こう思います。
  92. 林乙也

    ○林参考人 今後、協会として取り組むべき中長期計画の点についてでございますけれども、現在副次収入は、六十三年度予算におきまして二十八億三千万円と、事業収入全体のわずかに〇・八%に相当する程度でございます。協会といたしましては、今回の法改正の趣旨を受けまして、今後副次収入の増加について積極的に取り組み、一般受信者の負担をできるだけ軽減したいということで取り組んでまいりたいというように考えておる次第でございますが、一方におきましてやはり公共放送としての節度を十分踏まえながらそれを展開していかなければならないというように考えておる次第でございます。  したがいまして、いわば飛躍的にこれを伸ばしていくというようなことにはなかなか見通しは得られないというように考えられるわけでございますけれども、私どものいわゆる努力目標としての気持ちを申し上げますならば、今後五年間で少なくとも副次収入を倍増程度にはさせていきたいというふうに考えておりまして、これらの点も含めまして中長期計画の中に織り込んでまいりたいというふうに考えております。  それから、名古屋の放送会館の改築についてでございますけれども、この計画は、信託方式というような形ではございませんで、一般的な土地の管理処分権の範囲の中での業務考えておるわけでございます。すなわち、老朽化しております名古屋の放送会館の整備につきまして、経費、用地問題などの点を含めましてかねてから慎重に検討してまいったところでございますが、一方愛知県の新文化会館建設計画、名古屋市の栄公園地区総合整備計画というような計画もございまして、地元の地域の要請におこたえしながら、都心部の限られた非常に得がたい一等地を最大限度に高度利用して協会財政の負担の軽減を図ってまいりたいということで、余剰容積の活用ということに着眼いたしまして進めておる計画でございます。  この点につきましては、各方面からの提案競技を求めまして、昨年十二月に基本協定を締結いたしまして、目下具体的な実施の設計を進めておるところでございます。その上で契約関係については金額も含めて確保いたすことになっておりますので、いましばらく時間が必要かというふうに考えております。  余剰容積の活用という点では、建物についてはNHK放送設備のために必要な部分、専有面積の部分とそれから提案事業者の方の専有する部分というものが、いわば共同建設的に建物を建てていくということになるわけでございます。大体現在のところNHKの専有面積は建物の約二七%、それから提携事業体の専有面積が七三%を占めるというようなことが考えられておるわけでございます。当然その提携事業体の専有面積にはオフィスゾーンとして一般のテナントが入ることになるわけでございますけれども、この点につきましても、NHK放送センターである性格を踏まえまして、それにふさわしいテナントというものを期待し、基本協定の中にもそこらあたりを織り込んでおるところでございます。
  93. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  94. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ────◇─────     午後二時四分開議
  95. 塚原俊平

    塚原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田利正君。
  96. 上田利正

    ○上田(利)委員 午前中にいろいろと放送関係に関しまして御意見がございました。もう私がやらなくてもいいような状態も出ておりますし、とりわけ午前中の最後の木内委員の質問に対しましては、大臣以下非常に明快な御答弁をいただいておりまして、これ以上申し上げることもないほどでございますが、実は与えられた時間、三十分でございますけれども、一つ、二つお尋ねをしたい、こう思うわけでございます。  その第一は、午前中からもございましたように、この放送法抜本改正について、こういうことでその方向が明確になりました。そういう中で実は今回の法の改正が出ておるわけでございますけれども郵政省におかれましては、放送懇などを設置をいたしまして、二年間いろいろな意見聴取をなされてこられたようでございますし、さらに、関係団体からの意見も聴取をされたようでございます。この放送懇、郵政大臣の私的諮問機関という形のようでございますけれども、この中に放送関係でつくっております労働組合、日放労並びに民放労連放送懇のメンバーとして入っておったかどうなのか、今後の抜本改正にも関連をしますので、まずそれをお尋ねをしておきたい、こう思うわけです。
  97. 成川富彦

    成川政府委員 ただいま先生から御指摘ございました放送政策懇談会でございますが、幅広く御意見を伺いたいというような観点から、いろいろな方にといいますか、有識者に御参加いただいているわけですが、その中には民放NHK関係者も入っておりまして、御参加いただきましていろいろと御意見を聞かせていただいたわけでございます。したがいまして、その報告書の中身には、NHKとかあるいは民間放送の御意見も反映されているものと認識しております。  先生直接お尋ねの件にお答えしますと、日放労とか民放労連はこの放送政策懇談会には参加しておりません。ただ、民放会社あるいはNHK代表する方々に参画していただきまして、御意見を聞かせていただいているような次第でございます。
  98. 上田利正

    ○上田(利)委員 今の放送行政局長の御答弁を聞いておりまして、放送事業者意見はお聞きになっておるようでございますけれども、そこに働く従業員の意見というもの、とりわけ、民主的な運営を行っております労働組合の意見を聞かない。しかも、NHK公共放送でございます。そういう中で、その公共放送を支えております日放労の意見が聴取をされていない。さらに、民放各社に働く労働者でつくっておりますいわゆる日本民放労連、民間の放送の労働組合の連合会の意見すらも聴取をしていないという。なぜ意見聴取ができなかったのか、この放送政策懇談会の中に入れることができなかったのか。やはり労働組合はどうもなじまないという考え方に立っているのかどうなのか。この点を含めてもう一度明確な御答弁、今後の抜本的な改正の問題もあるから、詰めて聞いているわけでございます。明確にお答えを願いたいと思うわけです。
  99. 成川富彦

    成川政府委員 ただいま御答弁申し上げたとおり、幅広く有識者の方々に御意見を聞かしていただこうということで、先ほど申し上げましたように民放界あるいはNHKから参画していただきまして、御意見を聞かしていただいたわけです。しかし、幅広くといっても懇談会には御参加いただける人数に限りがございます。そういうような観点から絞らざるを得ないわけですが、放送事業者、先ほど申し上げました民放とかNHKからも参画していただいておりますので、それによって放送のあり方ということについての御意見は十分お聞かせいただけるのじゃないかというふうに判断しているところでございます。
  100. 上田利正

    ○上田(利)委員 国民意見を取り入れて今日の民主的な放送事業が行われているわけでございまして、そういう中から考えますと、局長が幅広く幅広くと申しますけれども放送懇の意見聴取をした、あるいは放送懇のメンバーは横におきましても、今回意見を聴取した関係団体あるいは視聴者は何団体でございますか。それをまずお尋ねいたしたいと思います。
  101. 成川富彦

    成川政府委員 具体的な団体の名称も申し上げながら御答弁させていただきますと、日本民間放送連盟、日本新聞協会日本放送協会放送技術開発協議会、全国知事会、主婦連合会、日本PTA全国協議会、全国放送教育研究会連盟、民間放送教育協会、全日本テレビ番組製作社連盟、日本テレビコマーシャル制作社連盟、日本CATV連盟、日本広告主協会、日本広告業協会の十四団体でございます。これらの団体からいろいろと貴重な御意見を聞かせていただきまして、これを法案作成の際に参考にさせていただいた次第でございます。
  102. 上田利正

    ○上田(利)委員 先ほどから多くの意見を聴取ということでございました。今、意見聴取をした団体をそれぞれ御答弁していただいたわけですけれども、十四団体、そのうち全国知事会とPTA連合会、さらには主婦連、これがどちらかといいますと直接放送関係のない団体だと思うのでございます。あとはそれぞれ放送事業関係する団体、十一であるわけです。しかも、放送懇のメンバーにも日放労や民放労連が入っていない。意見聴取の中にも、今言った十四の中には日放労や民放労連も入っていない。これはどういうことなんでございましょうか。もっと幅広くということになれば、働く労働者の立場も聞かなければならないし、とりわけ放送を受ける側、いわゆる視聴者と申しますか国民、こういう国民の声を聞くというその内容は非常に少ないではないですか。  全国知事会は地方自治との関係でございます。PTA連合会は、まあそういう意味では視聴者代表し、あるいは国民代表しているかもしれませんが、これは学校教育その他に係る問題が中心だろうと思うわけです。主婦連は主婦の立場ということになろうかと思いますけれども、やはり国民のための放送、こういう立場に立つならば、この法改正に当たってはもっともっと多くの国民の声を聞くべきではないかと思うのでございます。今後の問題もございます。  しかも労働者の代表が入っていない。放送事業関係する企業側は入っておりますけれども、労働者の代表の団体の意見が全然聴取されていないということは、放送懇のメンバーにもならなかったと同時に重要な問題だと思うわけでございます。これらについて明確にそのお考えを示していただきたいと思うわけです。
  103. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来の答弁を繰り返すことになるかもしれませんが、放送事業者ということで御参加いただいておりますので、放送関係に関する御意見等につきましては、私どもは十分そしゃくさせていただいたというふうに考えております。  それから、視聴者代表するという観点から申し上げますと、先生も先ほど御指摘ありましたように全国知事会とかPTA全国協議会とか主婦連とかいうような方々にも御参画いただきまして、その方々からも有益な御意見、例えば番組質的向上等につきましての御意見等も承っておりまして、これは今回の法改正にも内容として反映させていただいているような次第でございまして、私どもとしては精いっぱい御意見を聞かしていただいたというふうに考えております。
  104. 上田利正

    ○上田(利)委員 そこでもう一つお尋ねいたしますけれども、この法改正に当たりましてそれぞれ意見聴取をされました。私自身としては十分な幅広い意見聴取ではあり得なかった、こう思うわけでございますけれども意見聴取を行った中でいろいろと法改正にこれを生かしたものもあると思うのでございますが、まず意見聴取はどういう形で行われたのか。それぞれの団体に個別に会って長い時間をかけて聴取したのか、あるいは何かアンケートみたいなものを出してざわざわっと聴取したのか。どういう方法意見聴取をしたのかということが一つ。もう一つは、意見聴取をしたものをどのように今回の法改正に生かしているのか。この二点をお答え願いたいと存じます。
  105. 成川富彦

    成川政府委員 書面でいただいたケースもございますし、個別に来ていただいて時間をかけてお話を聞かせていただいたものもございます。今手元にその分類といいますか区分は持っておりませんが、そういういろいろな形でやっておるわけです。かなり時間をかけてお聞かせいただいたというふうなケースがあるわけでございます。  それから、意見を聞きましてそれをどのように法律に反映させたかということでございますが、その中身について申し上げますと、NHK民放併存体制については堅持すべきであるというような御意見がかなりございました。それからチャンネルプラン策定根拠の明確化につきましても御賛同をおおむねいただいているということでございます。それから放送局の免許の有効期間の延長をしてほしいというような御意見、それから放送番組の中身についていろいろと問題があるので質的向上について図っていくべきじゃないかというような御意見もございました。これも今回の法改正の中身として反映させていただいている点だと思います。それから放送番組に関する一律的な規律の見直し、放送番組につきまして現在一律的な規律がなされているわけでございますが、これにつきましてメディア特性に応じて規律を見直すべきではないかというような御意見等が多かったわけでございます。それらを今回の法律改正には反映させていただいているような次第でございます。
  106. 上田利正

    ○上田(利)委員 今御答弁いただいて、まだまだ十分でないというふうに私自身は感じておるわけでございますけれども、時間の関係もございます。今後放送法抜本改正に向けてさまざまな対応をしなければならないと思うわけでございますが、その際、幅広く意見を聞いていくという立場の中で、やはり関係労働界を代表して日放労と民放労連、これを入れていただきたいと思います。ひとつこの確認をとっておきたいと思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。
  107. 成川富彦

    成川政府委員 今直ちにそのような調査会なり懇談会なりを設置して抜本的に取り組むという考え方はございません。先ほど来先生方からもいろいろとお話がございまして、常に理想を追って検討を続けていかなきゃいかぬという点、私どもも同感でございます。常に新たな観点で見直していかなきゃいかぬというふうには考えておりますが、それと同時に、この法改正によって将来にわたる基盤づくりをしていただけるものというふうに考えておりますので、それに従いまして必要があれば随時、適時適切に改正すべき分野もあると思いますので、それにつきましてもあわせて考えていきたいというふうに思っております。  したがいまして、それらにつきましては、大がかりなものをつくるかどうかというようなことにつきましては将来の問題でございますので、先生の御意見は御意見として承らせていただきますが、ここで将来にわたることにつきましては私、責任を持って御回答申し上げるわけにいかないわけでございます。
  108. 上田利正

    ○上田(利)委員 今後どのように抜本的に改正するかということは午前中の論議で尽くされておりますから、私は、改正が行われるとするならば、言うならば広く国民意見を聞いていくという基本方針があるわけでございますから、その中に関係の労働者の団体として日放労と民放労連は入れてほしい、そういう方向で確認をし、明確にしておきたい、こう思っておるわけでございますけれども、これは入れれば何か不都合があるのでございましょうか、もう一度お尋ねをいたしておきます。
  109. 成川富彦

    成川政府委員 現在といいますか、先ほど来設けておりました放送政策懇談会につきましては放送事業者に参画していただいておりますので、放送関係のことはそれによって十分意見を集約といいますか拝聴できるというふうに考えておりまして、今後の問題につきましては、現時点におきましてそのような調査会だとか懇談会を直ちにつくるというような考え方はございません。したがいまして、将来の問題として先生の御意見は御意見として受けとめさせていただきまして今後の参考にさせていただきますが、ここでお約束するというわけにはまいりません。
  110. 上田利正

    ○上田(利)委員 今後意見聴取等を行う場合については、その放送事業に携わる労働者の代表、日放労や民放労連を入れるように、この際、強く要望をしておきます。  次に、もう時間がございませんから法改正の中身は触れられませんが、今回の改正は再三言われておりますようにおおむね現状追認というような形の中で法改正が行われてきております。したがって、急速な情報化社会を迎えておる今日の我が国の状況の中ではこれは現状にそぐわない、こういう考え方は私も今までの委員と同じ考え方でありますけれども、今回の改正の中で改正案の二条の二でございますが、放送普及基本計画が定められております。この改正案の二条の二、放送の計画的な普及、健全な発達についての基本事項はすべて郵政大臣にゆだねられておる、こういう形になっております。そういう中では、国会の持つ権限行政当局に大幅にゆだねてしまったというふうなことがうかがわれるわけでございますけれども、これにより今後番組内容行政当局の恣意によって左右されるのではないかということが懸念をされておりまして、放送事業者にとりましてもそういうふうな懸念が出てきておるわけでございますけれども、これらの懸念に対してどのような見解をお持ちか、明確にお答えを願いたい、こう思うわけでございます。
  111. 成川富彦

    成川政府委員 放送普及基本計画は、現行チャンネルプランで実施しておりますものを、法律的な根拠といいますか、根拠をより明らかにしてもらいたいというような御要望等も放送政策懇談会なんかにも出ておりますし、また、先ほど来お話し申し上げておりますように関係者団体から御意見を聞かせていただく場合にもそのようなことが言われておりまして、それをより明確化するためにこのような改正案を提案させていただいたような次第でございまして、郵政大臣の持つ権限につきましては今回の改正によって何ら変更があるわけではございません。  それと、番組内容につきまして行政当局が恣意に介入するんじゃないかというような御懸念があるというお話でございますが、この放送普及基本計画というのは、置局に関してどのような置局をしていくか、普及を図っていくかというような点、また集中排除の原則の問題とかいうようなものを盛り込んでいくということを考えておりまして、番組の中身について行政が介入するというようなことは考えられません。そのような法案になっているわけでございます。
  112. 上田利正

    ○上田(利)委員 番組内容等には行政が介入することはない、こうおっしゃいました。この点は明確に確認をしておきたいと思います。  そこで、時間がございませんけれども、この改正法案全体を見まして、許認可事項それから省令で定める、こういうことが今まで以上に多くなってきております。従来から、憲法で保障された表現、言論の自由に照らして、放送事業者自主性を尊重する立場から行政府としては規制はなるべく緩和することが望ましいという方向が示されておりました。それが、今回見ましても全体的に九つか十ぐらい許認可あるいは省令で定める、こういうことが出ておるわけでございます。これは今までのそういう緩和するという方向から見ますと、逆にふえているわけでございまして、逆行しておると思うのでございますが、その点どのようにお考えになるか、お尋ねをいたします。
  113. 成川富彦

    成川政府委員 先ほど来お話しございましたように、今回の法改正は、放送メディアがかなり多様化、高度化してまいりましたし、放送事業者の数も民放百五十社というように大変多くなってまいりまして、その現状にふさわしい法構成になってないんじゃないかという観点から、手直しをするといいますか法改正をさせていただくということで提案させていただいたわけでございます。それと、若干違う点と申し上げますと、番組規律の一律的適用を緩和するというような規律緩和も含んでおります。それと有料放送制度も入っているわけでございます。  先ほど申し上げましたように、チャンネルプラン、現行郵政大臣がやっているわけですが、それを放送普及基本計画に、根拠をより明確にするという形で二条の二に入れさせていただくような形にしているわけでございます。それを法技術的に書きあらわすとなりますと省令というようなことで書きあらわさざるを得ないということで、省令というものも新たに出てきておりますが、これにつきましても現在チャンネルプランでやっている中身をそのままあらわすというような考え方でございまして、特にこれによって規制を強化するとかいうようなことではございません。  それから、番組審議機関答申概要あるいは意見概要につきまして公表する手だてを講ずるということでございますが、これも公表方法をちょっと細かく法律にまで規定するのはどうかというような観点から、幅広く、午前中に御答弁させていただきましたように、ある程度幅を持たせた中で選択をしていただくというようなことで省令を設けるということでございまして、これによって規律を強化するというようなことにはならないんじゃないかというふうに私ども考えております。
  114. 上田利正

    ○上田(利)委員 省令であるとか許認可事項はできるだけ少なくし、緩和をしていくという、規制を緩和をするという、こういう方向をとるように強く要請をしておきます。  最後になりましたけれども、今の関連で、省令要綱などはもうでき上がっておるわけでございますか。実は審議するに当たりましても、そういう省令で定める、こうなっておって、その省令がどういう省令になるのかということになりますと、私どもがこの国会におきまして審議をしようにも審議のしようがないわけでございまして、したがいまして省令要綱などについてはもう出ておるのかどうなのか、出ておれば直ちにいただきたい、こう思うわけでございますけれども、どのようになっていますか。
  115. 成川富彦

    成川政府委員 端的に申し上げますと、省令の要綱のようなものは現時点においてはまだできておりません。答弁の中でこのような考え方だということで、先ほど来申し上げておりますように、公表方法としては例えば新聞、その放送事業者放送またはできるだけ多くの視聴者方々公表内容が知り得るような方法というようなことで、漠たる言い方をさせていただいているわけですが、そのような中身を条文に整理して、十月一日にこの法律、通していただきますと施行させていただくわけですが、それまでに準備をして具体的な内容について詰めていきたいと思います。  内容につきましては、先ほど来御答弁申し上げております、例えば番組審議機関概要公表のように、大体こんなことで考えていきたいというような中身にはなっておりますが、省令という固まった形にはまだなっておらない実情にございます。
  116. 上田利正

    ○上田(利)委員 法律が施行される前に省令が恐らくでき上がる、案が出てくると思うわけでございますけれども、本委員会におきましても、一応要綱が出ましたら、出た段階でひとつこれを見せていただきたい、こう思うわけでございまして、要望をしておきたいと思います。  最後になりますけれども、この放送法、午前中からの論議もございました。私自身としても抜本改正については大賛成でございます。当然抜本的に早期に行うべきだ、こう思うわけでございます。このことを強く主張いたしまして、終わります。
  117. 塚原俊平

    塚原委員長 阿部昭吾君。
  118. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今度の放送法改正案について、放送の健全な発達を図る、放送の計画的普及を目的とする制度、それから放送番組審議機関に関する規定整備NHKが行う業務等に関する規定、有料放送に関する規定放送局の免許に関する規定などを整備する、これが今度の改正案、こうおっしゃっておるわけであります。  私は昨日も機構法のときに、またNHKの決算、予算の審議等々の際にも申し上げたのでありますが、これからハイビジョンや何かもだんだん広がっていく。いろんな、三局から四局体制といったようなぐあいに我が国の放送というもの、電波というものの持つ役割というのは非常に大きいというところに今度の放送法改正ということになった、こう思っておるわけであります。  そこで一つは、NHK審議の際に、NHKの最大の運営の中心、つかさどっておるのが経営委員会である。したがって、経営委員会の御議論というものが国会や国民の前にちゃんとわかるようにした方がいい。我々日本の国会が何をやっておるかということは、国民から見るとわからぬところもあるというのは国対の方の関係らしいのですが、我が国会審議の方は常々全部、いろんな政治の動きというのは非常にあからさまに国民の目の前にさらされてきたというところに日本の民主政治というものの進歩発展があった、私はこういう認識をしておるわけであります。したがって、NHKの経営委員会の御議論というのも国民の前にできるだけはっきりわかるようにした方がいい、こう申しましたら、川原会長はそのようにしたい、こう申されたのであります。ただ、委員皆さんの一々の発言の、国会の議事録のようなものにして出すことがどうかということについては、発言する方のいろんなおもんぱかり等もあるでありましょうから、そこは若干、こういうニュアンスで、ともかくできるだけ外に公開するように考えるべきである、こういう意味の御発言があって、なるほど情報の先端を行くNHK会長だな、こういう認識を持ったのであります。  そこで、きのうも私は申しておるのでありますが、例えば電波監理審議会、この中の御議論も公開したらどうかと申し上げましたら、きのう局長はどうも余り積極的でない意味の発言があったのであります。しかし流れはやはりそういう方向にあるのじゃないかと私は思うのであります。そこで、電波監理審議会の御論議の中身を公開するということについて、外に出すということに対して、もう一度郵政省の立場からの見解、これを簡明直截にひとつお聞かせを願いたい。
  119. 成川富彦

    成川政府委員 電波監理審議会につきましてはきのうも御答弁させていただいたかと思いますが、できる限り開かれたものとするために、審議終了後電波監理審議会の会長が記者会見をやるということにしていただいておりまして、その際にはどういう審議であったかという審議概要をお話ししていただくということをしております。それから答申が出た場合には、答申内容などを新聞記者会見でお話をしていただくということでやってきております。  それから、議事録的なものにつきましては電波監理審議会御自身が判断することでございまして、委員の自由な発言を確保するというような観点からであると思いますが、電波監理審議会自身が非公開ということにしておりまして、それらにつきましては公開をしていないところでございます。これは電波監理審議会の御判断によるものでございまして、私どもがとやかく言うことはできないというふうに思っております。
  120. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 きょうの質問をやるに当たって、私は専門家じゃございませんので、郵政省の頭のいい皆さんから随分いろいろなヒアリングを受けてきたのであります。それによりますと、この問題は私の同僚の田英夫さんが参議院で二年前に随分質疑を交わされまして、最終的には参議院の逓信委員会の理事会で委員長さんがいろいろ取り仕切った、こういう経緯もあるようであります。  そこで問題は、昭和二十七年の年に電波監理審議会のそれは非公開とするということを決められたというんですね。昭和二十七年というとこれはまだ日本が占領から独立をして全く間もなくのころであります。マスメディアの態様というのもまるきり大きく変わってまいりました。いわば情報の最も先端を行くのがこの放送だと私は思っているわけであります。そこで、二十七年の年に非公開とするということを審議会皆さんが決められたというのでありますが、あれから相当長い年月がたって、放送の置かれておる客観的な立場というものも全く変わった。したがって、この放送に対して国民の理解と期待、そういうものが全部大きく結集できるようになるためには、やっぱり電波というものの最高のいろいろな御議論というのは国民の前にできるだけはっきりさせられていくということが放送事業の今後のために大変重要なことではないのか、私はそう思っておるわけであります、これは議論になりますけれども。  そこでこの電波監理審議会、いろいろな審議会というものがあるわけですけれども、この審議会の事務当局はどこでやっていらっしゃいますか。
  121. 成川富彦

    成川政府委員 官房にあります審議会室というところがございまして、そこが事務局をやっておるというふうに承知しております。
  122. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣は非常に開明なリーダーシップを持っておられるわけで、私ども大きな期待をしているのでありますけれども電波監理審議会のような重要な、今後の日本放送というものに非常に大きな役割を持っていらっしゃる、ここの御論議はやっぱり国民の前に、ちょうど我々国会の論議がそのまま国民の目の前に、批判もあるいは声援も含めてさらしてきたということが、私は何度も申し上げるように、民主政治の基本にあったなということになると、今の電波監理審議会の御審議も、昭和二十七年のときに非公開とするということにされたそうでありますけれども、今お伺いすると内容郵政省の方には相当いろいろなものが出されておる。しかし二十七年の非公開とするということがあるのでそのままずっと続いておる。私は、ここまで放送というものの大きな役目からいって、この場合はもっと新しいあり方をすべき時期ではないかと思うのでありまして、大臣の方からそのような意味でのリーダーシップあるお考えをお聞きできればありがたい。
  123. 中山正暉

    中山国務大臣 いろいろな審議会がございますが、NHKの経営委員会にいたしましても、先生の今御指摘電波審議会、そういう審議会委員先生方自身のいろいろな遠慮のない御発言というのは、やはりある種非公開の部分もあって仕方がないんじゃないかなという感覚もありますし、アメリカでもフリーダム・インフォメーション・アクトでございましたか、情報公開法というのを持ちまして、ほとんどの情報を二十五年たったら公開をするというふうな、二十五年という時間を置いていろいろな機密を公開する原則を持っておるようでございます。日本でも情報公開というような問題がよく論議をされますが、そういう意味では審議会で御議論なすったもの、遠慮なしに御議論いただいた結果は、公開して差し支えない部分は記者会見などで外へ出てくるわけでございますので、その意味では自主的な御判断にお任せする以外にはない。この間の予算審議NHKの六十三年度予算を御審議いただきました際にもNHKの川原会長もおっしゃっておられましたが、公開をする原則というのは大変有意義でありますけれども、私どもからそれに対してとやこう言う権限がございませんので、審議会先生方の自主的な御判断で最後は御決定いただく以外にはないのではないかと思います。
  124. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 例えば私のいただいた資料によりますと、電波監理審議会で最近二年間の間に八十七件のうち七十五件は諮問されたその日のうちに答申される、即日答申。その前の二年間は百二件のうち七十七件が即日の答申であったということです。簡単なものと難しいものといろいろあるんだろうと思いますけれども、実際上はこの審議会の中というのは――いろんな審議会があるわけでありますけれども、米価審議会など、ああいう今非常に難しい局面に立っておる審議会、利害もいろいろ入り組んでおって、政党政派もいろいろで議論のやかましい審議会でさえ、実際、資料は全部公開なんですよ。電波監理審議会はメンバーは五人ですか。五人くらいでやるとどうしても仲よしクラブになるものじゃないかという気もするのです。今度も国会の承認人事案件でありますが、この電波監理審議会の御論議を公開することに反対するような委員皆さんでどうしてマスメディアの最も急先端を行く重要な部分をやっていかれるか。国民の合意がなければ放送事業にしても何にしてもうまくいかぬのだろうと私は思うのであります。  そういう意味では、郵政大臣が私どもの方でとやこう言うわけにいかぬとおっしゃるのでありますれば、国会の中でそういう強い議論があるということを、そういう論議というのは努めて国民の前にさらす、そのことがやはり放送事業というものを大きく発展させることになるであろう、私はこう思っておるわけでありますが、ぜひひとつ一歩進めたお考えを期待したい、こう思っておるわけであります。  同じ性格でありますが、今のNHKの経営委員会というのは会議録はつくっていらっしゃるんですか。
  125. 林乙也

    ○林参考人 経営委員会の審議に当たりましては特に一問一答のような会議録の作成まではいたしておりませんが、経営委員会が任務といたしております議決事項等につきましては、その事項及び決定された中身については記録にとどめて整理をいたしております。
  126. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この会議録は経営委員会の中に置いておくものであって、どこにも一切出さないという性格のものですか。
  127. 林乙也

    ○林参考人 経営委員会の運営につきましては、経営委員長がおかかわりになりますことと申してもよろしいかと思いますけれども、どのような形で運営をしていくかというようなことで経営委員会自体でいろいろ御討議になるわけでございますが、現在の時点におきまして、経営委員会といたしましては、いわゆる自由な意見の交換の中で、できるだけ全員一致を原則として協会の重要な事項について意思を決定し、これを執行部に執行せしめることにしたいということから、どうしても自由で活発な議論に制約を受けることにならないよう公開よりもやはり現在のやり方、すなわち非公開といいますか、それを前提にして運営していった方がよろしかろうというように経営委員会がお考えになっておられると私ども承っております。
  128. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 ちょっと後ろへ戻ったのですね。この前、川原会長さんは、できる限り公開する、こういう意味の御発言を、私、速記録を読んでみますと御答弁なさっておるのですが、公開しないというのが経営委員会の立場ですと、会長の御発言とはこれは違うのですか。
  129. 林乙也

    ○林参考人 経営委員会の審議内容等につきまして、できるだけ国民方々にも御理解いただく必要があるという点については会長がお答えを申し上げたとおりでございます。  現在の状況についてただいまお話を申し上げたわけでございますけれども、経営委員会で議決を見ました事項と申しますのはすべて協会の執行部にそれを移していくということになるわけでございまして、議決された中身について外部に説明していく際に、会長あるいは協会の担当者から一般に新聞記者クラブその他にも御説明を申し上げているということでございます。  また、経営委員会におきましては必要に応じまして、例えば視聴者会議などにも御出席いただく中で、できるだけそういった一般視聴者の御意向の吸収というようなことも時に応じて行っておられるわけでございまして、経営委員会の活動状況というものについてできるだけ国民方々に御理解いただきたいという趣旨については会長の申したとおりでございます。
  130. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 郵政省は、例えばNHKの経営委員会のいろいろな協議の内容というものの報告を受けておるのですか、受けておらぬのですか。
  131. 成川富彦

    成川政府委員 先ほどNHKの方から御答弁ありましたように、速記的な議事録は私ども提出は受けておりません。何か先ほどの御答弁ですとつくっていないというようなお話でございますが、委員会の経過、どういう議事があってどういう議決になったというようなものは参考として提出を受けております。
  132. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これから例えばハイビジョン関係あるいはまた衛星放送関係、場合によると公共放送としてのNHKは料金の問題などもどうするかといったような、視聴者国民からとってみれば非常に深いかかわりのある問題もいずれ直面してくる問題になるのだろうと思うのであります。  私が申し上げますのは、そういう中で民間放送NHKはやはり違う、国民の、視聴者の理解と協力の上にNHKというのは基本的には成り立つ。そういう面からいいますと、NHKを今後どのようにやっていくかということの基本的な方針を定めるところの経営委員会の中身というのは、やはり国民の目の前にはっきり訴えるものは訴える、協力を求めるところは求める。NHKの中身を本当にどうやろうとしておるかということを全部は知らせないで協力を求めようということでは、本当の意味の発展は難しいのじゃないかという懸念を私は持つわけであります。  そこで、この経営委員会の御議論というものが国民にできるだけ正確に伝わるようなことがぜひ必要である。せめて現段階では、郵政省に報告されておるもの、この程度のものは国会を通じてでも国民の前にわかるようにしていくということではないかと思うのですが、大臣はどうでしょうか。
  133. 成川富彦

    成川政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、会議録というか議事録みたいなものはつくっていないというような答弁が先ほどNHKからございました。私どももつくってないものは受け取りようがないわけで、提出を受けておりません。私ども受け取っておりますのは、委員会の経過を記したものを参考として受け取っているわけでございますが、それを私どもが勝手に公開するというわけにはまいりません。先ほど来お話し申し上げておりますように、最終的には経営委員会の判断によるものでございますので、経営委員会がいいということであれば私どもは別にあれなんですが、経営委員会が従来から活発な御議論、自由な御議論を確保するという観点から非公開ということでやっているようでございますので、これにつきましても経営委員会の了解を得られれば公開するにやぶさかではございませんが、まだそういう経営委員会の御意思も確認しておりませんし、聞いておりませんので、差し控えさせていただきます。
  134. 中山正暉

    中山国務大臣 局長から申し上げましたとおりでございますが、そのためにも非公開でお任せをして、公共放送、自主放送をやっていただくという意味が、経営委員会の委員を御指名申し上げるときに両院議員の先生方に御承認をいただいて、任期中にはお任せをいたしますので、どうぞひとつ国家国民のためによろしくお願いしますという委任をしている形であろうと思いますから、その経営委員皆さんがお決めくださいましたら公開をされてもよろしゅうございましょうが、皆さんの御意見がそうでない場合には、先ほどから答弁を重ねておりますが、今のところいたし方ないという感じで受け取っております。
  135. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これ以上申し上げませんけれども、問題は、さっきから申し上げておりますように、今後国民の協力をさらに求めねばならぬところがたくさん出てくるわけであります。そうすると、もっと本当の中身というものを国民の目の前にさらして、NHKはこの現状からこのようにいくのだ、だから国民は協力してくれ、こうならなければいかぬというのが私の物の考え方なんであります。  したがって、この経営委員会というのは、大臣の方の今のお話ですと、その皆さんが中身のことは余り知らせたくない、非公開でいきたいと言うなら何ともやるべき手がないというものでもなかろうと私は思うのです。例えば川原会長のように、ああいう御意見さえちゃんと委員会に来て申しておられるわけでありますから、やはりこれからの将来を考えると、国民の目の前にできるだけ多くのものを情報公開していく、そして国民の協力を求める、こういう立場に立つべきであると思いますので、今の局長の答弁も大臣の答弁も、この間の川原さんの答弁よりもずっとはるかに後退したという感じがするので、まことに遺憾千万に思います。  そこで、時間がございませんので最後にお尋ねをいたしたいのは、NHKの経営の問題もある、それからNHKが取り組んでおるハイビジョンの問題もある、そういう意味で、本来NHK公共放送である、営利を目途とすることはやらない、これがNHKの原則でありました。しかし、だんだんそうも言っておれないようなことが最近のNHK事業計画の中、あるいは将来の見通しの中には出てくるように思われる。このことについても、NHKの予算審議の際にお尋ねをいたしましたら、節度をちゃんとしていきます、営利を目途とするということにならない節度をちゃんとしたいと言っておりましたが、あのときは時間がなくて、節度というのは、民放公共放送NHKの、そこの紙一重の限界はどこなのかということまで、私は明快にお聞きできませんでした。その節度というのは一体どの辺のところになっていくのか、お聞かせいただきたい。
  136. 林乙也

    ○林参考人 情報の流通が非常にマルチメディア化といいますか、非常に複雑多様になっております現在の放送をめぐる環境の中で、端的に、これによって節度を保ち、これによって節度が逸脱するというように的確に御説明するのは非常に難しいわけでございますけれども、今回改正放送法の中で織り込まれております九条三項の業務につきましても、法文の中で明確に、本来のNHK業務の運行に支障のない限度において、あるいは大臣の認可を得てというような形ではっきり規定されておるわけでございますし、本来NHKの予算、事業計画につきましては、国会の御審議、御承認を得て成立するものでございますので、当然そういった中におきましてもいろいろ御指摘をいただくことに相なるわけでございます。  私どもといたしましては、受信料を基礎に運営いたしておりますNHK公共放送のありようについて、国民皆さん方からいろいろ御疑念を持たれることのないように運営していくということが何よりも基本だというふうに考えておりますが、一つ一つの業務について、この範囲についてはこうというように、端的に申し上げることは非常に難しい次第でございます。
  137. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 この間の委員会の際に、節度というものをきちっとしたいということでありますが、節度というのは、今のようになると、一体節度というのは随分幅があるんだなという感じがしますね。きょうは時間がございませんのでそこを全部お聞きするわけにはまいりません。恐らく、そこまでの答弁の準備もないんじゃないかと思うのであります。  したがって、私がこの前言いましたように、NHKがある、関連会社がある、関連会社のまた孫会社ができていくというように、どんどん広がっていかざるを得ないと思うのです、今の状況を見ると。そうすると、実際上はNHKと民業との間の、営利を目途としないというNHKの立場とコマーシャルによって成り立っていく民業との関係の限界はどこなのかというのは、やはりこれは大変難しい問題になってきている。したがって、私は、きょうでなくて結構ですから、一体どのあたりがどのようになっていくのかということを、一遍ぜひひとつ御論議をしてお聞かせを願いたい、このことを希望いたしまして、私の質問を終わります。
  138. 塚原俊平

    塚原委員長 尾形智矩君。
  139. 尾形智矩

    ○尾形委員 質問も最後になりますと、各委員が各分野からそれぞれの立場で質問を申し上げる、そういう面から重複する面が出てくるかもわかりません。また、出席しておりましても居眠り等をしておりましたので聞き漏らした点が多々あろうかと思いますので、そういう面で重複等がございましたらあしからずお許しをいただきたいと思っておるところでございます。  今回の放送法及び電波法の一部を改正する法律案でございますが、私は、主要な部分は三つあるというふうに考えておるわけでございます。その第一が規制の緩和でございます。すなわちNHK業務の拡大、そして民放の免許期間の延長、それから番組規律の緩和であるというふうに考えておるわけでございます。二番目は、衛星放送を目的とした有料放送制度の新設であると考えておりますし、それから三番目に、番組内容の質の向上のために各放送局にあります番組審議会活性化させることであるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  現行法がNHK法と言われておりますくらいNHKを中心にしておるのに対しまして、民放ニューメディアを含めた放送全体を対象にするように整理がされておりますし、さらにまた、今後の主流になるだろうと言われております衛星放送ハイビジョンにも力点を置くなど、この改正は努力の跡が見える改正案だというふうに評価をいたしておるところでございます。  さて、そういうことで、民放の件でございますが、民放は、その存立基盤は言うまでもなく広告料収入でございます。この広告料というパイは無限に拡大するものではございませんで、大局的には有限、そして固定的なものであるわけであります。このパイをネットワークを中心とする民放各社が分捕り合戦をしておるというのが現状であろうと思います。例えば昭和六十一年の我が国の総広告料は、電通の調査によりますと、三兆五百十五億円だというふうに言われております。民放全社が今百三十六社あるようでございますが、この百三十六社の営業収入はこの全体の広告収入の約三分の一、一兆四千百八十八億円だというふうに言われておるわけでございます。成長率を考えてみましても、プラス・マイナス数%が収入基盤と言ってもよい状況でございます。パイの分け前を多くするためにはどうしても視聴率の高さを売り物にして営業作戦を演ずることになるわけでございます。一%の視聴率を稼ぐために現場のディレクターそれからスタッフが血みどろの努力を続けておるというのが今の現状ではなかろうかと思っておるわけでございます。  そこで、問題は、過当競争をめぐるこの努力が番組の質の向上につながっているかというと、私は、現状は必ずしもそういうふうになっていないのではないかと言わざるを得ないわけでございます。グレシャムの法則は、よく知られておりますように「悪貨は良貨を駆逐する」というものでございますが、この法則は放送現状にも当てはまるのではないかというふうに考えるわけでございます。視聴率を稼ぐ、すなわち広告料稼ぎというのは、番組の質の向上、それから内容の豊かさを高めて視聴者に感動を与えるものを制作するのではなくて、むしろこれとは反対に、これでもか、これでもかと言わんばかりに、エロ、グロ、ナンセンスを売り込むことにほかならないように見受けられる面もあるわけでございます。スリラーそれからサスペンス、時代劇物でもむやみに暴力を振るったり、血を流したり、人を殺したり、性犯罪意識を高揚させる番組が多いように見受けられるわけでございます。報道番組というべき「アフタヌーンショー」でさえも、先ごろ問題になりましたように、つっぱり、いじめ、暴力など、青少年男女を使ってやらせて、それを絵にするというような事件もありましたことは御承知のとおりでございます。文芸作品や内容豊かなものは低視聴率、非営業的ゆえを持って遠ざけられつつあるという傾向もあるのではなかろうかと思っておるわけでございます。  そこで、お尋ねをいたしたいのは、今回の放送法及び電波法改正では、規制緩和が番組編成のあしき現状に拍車をかけるのではないかという懸念があるわけでございますが、そういう点についてどういうふうにお考えになっておるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  140. 成川富彦

    成川政府委員 規制緩和のお話でございますが、現行放送法ではすべての放送メディアにつきまして一律に放送番組につきましての規律を課しているところでございます。今日、メディアも大変多様化してまいりましたし、放送の量的な増加も見られるわけでございまして、すべて一律に番組規律を課すのが適当かどうか、検討しなければならない時期に来ているのではないかというふうに思います。例えて申しますと、FMとか文字多重とか音声多重とか、新しいメディアが次々と出てまいりまして、そのサービスも非常に多様化しているわけでございます。そういうことから検討してまいりまして、結果的にはメディア特性に応じて番組規律を適用する、いわば番組規律を緩和した方がいいのではないかという結論に達しまして今回のような法案を提出させていただいたような次第でございます。その結果、この法案が成立いたした後でございますが、それらのメディア特性に応じた適正な規律が確保されまして、その特性を生かした番組が各放送事業体から提供されることによって、むしろ番組の高揚が一層発揮されることになるのではないかというふうに私どもは期待しておるわけでございます。  それから番組の中身でございますが、今回の改正では、番組審議機関活性化ということで、部内委員の廃止だとか、番組審議機関答申概要あるいは意見概要等につきまして公表していただきまして、一般視聴者にも知り得る状態にし、また、視聴者の声が番組質的向上に、間接的でございますけれども反映できるような形にするというようなことで、質的な向上を図ることを考えておりまして、それらによって番組も質的な向上を期待できるのではないかというふうに私ども考えているところでございます。
  141. 尾形智矩

    ○尾形委員 日本民間放送連盟の放送基準によりますと「民間放送は、公共の福祉、文化の向上、産業と経済の繁栄に役立ち、平和な社会の実現に寄与することを使命とする。」「民主主義の精神にしたがい、基本的人権と世論を尊び、言論おょび表現の自由をまもり、法と秩序を尊重して社会の信頼にこたえる。」というふうに総論で規定をいたしておるわけであります。そして、各論に入りますと、人権について、そしてまた法と政治について、さらにまた報道の責任について、児童及び青少年への配慮についてというようなことを含めて細かく規定をされておりまして、いろいろな配慮がなされておりますことは御案内のとおりでございます。  しかしながら現実は逆に、皮肉な言い方で大変恐縮でございますが、この基準に反したものをつくっておれば人気番組となって、そして視聴率を稼ぐことができるというような状況にあると言っても過言ではないのではなかろうか。この基準と逆にいくようなものをつくっておりさえすれば人気が上がってくるのだとさえ言われておるわけでございまして、大変皮肉な現象であろうと思うのです。  このような状態の中で、民放の免許期限の安易な延長にはむしろ問題があるのではなかろうかというふうに思うわけでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  142. 成川富彦

    成川政府委員 現在、放送局の免許の有効期間は三年となっておりますが、この三年となっている理由といたしましては、民間放送が二十七年でございますか二十八年、ちょっと定かではありませんが、放送を開始した当初は、電波利用の全く新しい分野でございましたということ、それから、制度を参考にいたしました米国におきましても、放送局の免許の有効期間が三年とされていたということ等、電波法制定当時の事情によるものでございます。  今日におきましては、先ほど来たびたびお話をしておりますように、NHKに加えまして放送大学学園も登場しておりますし、民放も百五十社というような多くの数に達しているような状況でございます。放送は茶の間に飛び込んでくるというようなことで社会的な影響力が強いだけじゃなくて、国民生活にも不可欠な情報提供手段として発展定着してきております。比較的安定した経営状態にもなっておりますし、また比較的安定的に電波の利用状況も定着しているのじゃないかというふうに考えております。米国におきましても既に有効期間をテレビ局につきましては五年、ラジオ局は七年にもしているというような状況になっております。そういうことで、米国を初めほかの外国を調べてみましても、三年を超える期間を採用しているところが多いというようなことから、放送局につきましても一般の無線局並みの有効期間に延長することが適当ではないかというようなことで今回の法改正案を提出させていただいたような次第でございます。  なお、免許有効期間中に放送事業者事業計画を変更したというような場合には計画の変更届を出すように義務として課しておりますし、それから周波数や放送区域を変更する場合には事前に許可を必要とするというようなことなど、事業活動については平常から所要のチェックを行っておりますし、今後とも引き続きそういうチェックをしていくということにしておりますので、仮に放送局の免許の有効期間を延長したといたしましても特段それによって支障が出るというようなことはないのじゃないかというふうに考えております。
  143. 尾形智矩

    ○尾形委員 ニュース報道につきましては人権擁護の配慮に欠けていると思われる点が多々見受けられると思います。これまでは芸能人や運動選手等は有名だからという理由で、また政治家は公人だからという理由で、マスコミは言いたいほうだいのことを言ったり書いたりしてもよいというような風潮が見られたわけでございます。こういった切り捨て御免といったような姿勢も見直すべき時期に来ているのではないかというふうに考えるのでございます。言論、報道の自由というのは今や完全に保障されておりまして、一大権力となっていると言っても過言でないような状況にあると思われます。カメラやペンさえ持っておれば正義の味方と言わんばかりに人の私生活にまで土足のまま踏み込んでくる。その実、多くの低俗なのぞき趣味を満足させるのがせいぜいであると言っても過言ではないのではなかろうかと思います。しかも、すべて容疑がなかったり人違いであったり事実誤認であったりするケースが往々にしてあるわけでございます。事前に大々的に報道をして、事後の訂正やおわびを言うのは無視されるか通り一遍の寡少なものになっておるという場合が非常に多いわけでございます。自分たちが偏見、独断、予断、先入観を持って誤想誘導的報道をするや、報道そのものの内容が例え誤りでも、自分たちが正しいという思い上がりでその報道を事実としてまた資料として反復して報道するという姿勢が往々にして見られる場合があるわけであります。  技術革新そしてマスコミの発達、日常生活の著しい近代化、多様化、さらに価値観とか関心の多様化で膨大な量のニュースが分刻み、秒刻みで流れている現状でございますから、マスコミもすべて真偽のほどを確かめて報道するというのは無理な場面もあろうかと思うわけであります。しかしながら、人間のすることだからミスもあろう、だからといってミスは構わないというわけにはいかないわけでございます。マスコミの公共性、広範性、影響力を考えてみますと、慎重の上にも慎重な配慮が必要だということだと思います。  番組審議の機能を強化してまいりましても、具体的権限がなくて単なる答申機関にすぎないということになりますれば効果は期待できないのではないかと思います。もちろん言論、思想、報道の自由は民主主義社会の基本でございます。過剰な無秩序的報道は、言論報道機関が自分で理想を汚し、自分で墓穴を掘っているような気がしてならない場面が多々あるわけでございます。私は、こういう考え方のもとに次のことについてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず、報道ミス、特に人権侵害等に関しましては罰則を設ける必要があるのではないかということであります。例えば免許取り消し等の罰則でございます。この点についての考え方をお聞きいたしたいと思います。  次に、ニュースの誤報は速やかに取り消しまた訂正するということでございますが、放送法では、放送以後二週間以内に訂正放送の要求があった場合は、調査して判明した日から二日以内に訂正または取り消すということになっておるわけでございますが、これは短過ぎるのではないかと感じます。この点についての御見解をお願いいたしたいと思います。  現在はビデオ録画が普及しておりますし、また事実によっては捜査機関等の判定によって訂正を求める場合もあるわけであります。その時点で、新しいニュースとして報道するだけでなく、古い部分の訂正、取り消しもすべきだと考えるわけですが、いかがでございましょうか。この点についての御答弁をお願いいたします。
  144. 成川富彦

    成川政府委員 放送事業者が真実でない放送をいたしまして権利の侵害をしたような場合には、放送法第四条一項の規定先生御案内のとおり訂正放送等をしなければならないことになっているわけでございます。放送事業者がこの規定に違反した場合につきましては、放送法の五十六条で当該放送事業者は罰金刑に処せられることになっておりますし、また電波法七十五条の規定によりまして、違反した場合には免許取り消し処分に処せられることになっているわけでございまして、必要な制度的な措置などは施されているのではないかと考えております。  それから、訂正または取り消しの請求し得る期間が放送のあった日から二週間以内になっているのは短いのじゃないかというお話でございますが、無線による放送は、有線もそうかもしれませんが、特に一過性的な性格を持っておりますし、長い時間が経過した後から真実が何かということを発見しようとしてもなかなか難しいというような観点から、長い間訂正放送の請求をなし得ることは好ましくないのじゃないかというような配慮から、現在放送のあった日から二週間以内としているところでございます。  二週間たったら絶対訂正放送ができないかということでございますが、これにつきましては、請求があった場合においてやるかどうかというのは放送事業者の編集の自由に属する問題でございますので、当該放送事業者判断して訂正放送すべきだと考えたらやるでしょうし、そうでないと考えた場合にはやらないというケースもあるわけです。いずれにいたしましても、二週間経過した後は放送事業者判断放送番組編集の自由にゆだねられる部分でございますので、放送事業者みずからが判断すべきものだと考えます。
  145. 尾形智矩

    ○尾形委員 いろいろ細かく質問いたしたいわけでございますが、時間がないわけでございますのでまたの機会にいろいろ議論をさせていただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、一方的な報道で大変苦しんでおる立場の人もたくさんいるということでありまして、そういう人たちをどういうふうに救済していくかということは大変大事なことではなかろうかと思うわけであります。人権侵害に対する取り組みを基本に置いて放送考えていかなければいけないのではないかと思っておるわけでございまして、その点について十分御配慮をお願いしておきたい、かように思います。  最後でございますが、今度の放送法ではNHKの経営の安定のために副業を認めることになっておるわけでございます。これもいろいろ考え方がありまして経営を安定してということが前両に出てきたことと思うので、それも意図するところは十分わかるわけでございますが、これが民業圧迫にならないかどうかというふうな点が危惧されるわけでございます。  民放関係者の意見を聞きますと、NHKが片や受信料をもらってまた片一方で制作、貸しスタジオなどの副業を始めましたら民放は太刀打ちができない、そういう意見もあるわけでございます。NHKが分割・民営化でもなったといたしましたら民放各社は深刻な経営危機にさらされるというふうな意見もあるわけでございます。  仮定の話としてお伺いしておきたいのですが、NHK民放化した場合、市場独占率と申しましょうか、これらの点について試算をしたことがあるかどうかということをまずお伺いしまして、もしあったらどのくらいの独占率になるのかということをお知らせいただきたいと思いますし、なかったならば、一回そういうことも試算をしてみて民放の圧迫度をひとつ明示していただきたいと考えておるわけでございます。NHKそれから民放共存の道、これは求めていかなければいけないことでございますが、そういうものを真剣に考えていく面からいたしましてもこのことは必要であると思いますし、また放送法の趣旨を生かすためにも必要であると考えておるわけでございますが、その点についてのお答えをお願いいたしたいと思います。
  146. 成川富彦

    成川政府委員 第一点の第九条第三項を設けましてNHKがスタジオをお貸しするというようなことについて、民業圧迫になるんじゃないかというようなお尋ねの件でございますが、我が国の放送体制は、先ほど来お話がございましたように、公共放送であるNHK民放との併存体制ということでやってきておるわけです。NHKはやはり受信料に経営財源を依存せざるを得ないといいますか、大部分受信料で賄うという形は、今回の副次収入を得るというような道をつけても変わらないわけでございます。  NHKの本来の目的を達成するための業務の遂行に支障のない範囲内において、従来から蓄積されておりますノーハウを使って番組を受託を受けたときにはつくるとか、あるいは現在保有しております施設、スタジオ等につきまして、あいている時間につきましてお貸しをしていただくというような、賃貸させていただくというようなことを考えているわけでございまして、このような限られた範囲内でございますものですから、収入の規模も大変小さいわけでございまして、数年間たって数十億円程度にしかならないんじゃないかというふうにNHK自身も試算しておりますし、私どももその程度じゃないかというような認識をしているわけでございます。  さらに、そのような業務を始める際には郵政大臣の認可に係らしめておりまして、その際どういうような基準といいますか観点から認可するかということを申し上げますと、公共放送として行うにふさわしいというものでなければならないというふうに思っております。それから、民間といたずらに競合するようなものでないかどうかということを認可の際にはチェックしていきたいというふうに考えております。このようなことからしますと、民業を圧迫するというような事態にはとてもつながらない話ではないか、つながらないというふうに考えているところでございます。  それから先ほど、試算についてやったことがあるかというようなお話でございますが、試算につきましては、現在といいますか、やったことはございません。我が国の放送は、先ほど来申し上げておりますように受信料に依存しております、受信料収入によって賄っております公共放送たるNHKと広告料収入に依存しております自由な私企業としての民放との併存体制で切磋琢磨しながら今日の発展にまで至っているわけでございまして、今後ともこの併存体制は堅持すべきものというふうに認識しております。  それからさらに、試算したことがなければ市場独占度等も試算して考えてみたらどうかというようなお話でございますが、試算の前提として置く条件が、例えば経営財源、広告放送受信料というような違いもございますし、どれを基準にして市場独占度といいますかを計算していいのかというようなこともわかりかねますし、いろいろと前提条件によって結果が左右されることにもなりかねませんものですから、そのような試算は難しいのじゃないかというふうに申し上げざるを得ませんことを御了解いただきたいというふうに思います。
  147. 尾形智矩

    ○尾形委員 これも時間がございませんのでまたの機会にいろいろ意見を述べさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、NHK民放というのは共存の道を探りながら切磋琢磨して努力していかなければいけないということだろうと思うのです。そういう中で、今局長が答弁がございましたこともよく理解ができるわけでありますが、だんだん肥大化して民放を圧迫するということのないように十分配慮していかなければならないということでありまして、受信料を中心として運営されておるNHK、そしてまた広告料を中心として運営をされております民放、個々のそれぞれの持ち分を十分堅持しながら発展をさせていかなければいけないと思います。  NHKが子会社をつくって、そしてまたその孫会社をつくってというような形になってまいりますと、直接NHK関係ないというようなことで理解ができても、その下の方がだんだん民放を侵してくるというような面も出てこないとも限らないわけでありまして、そういう面も危惧されるわけでありますので、十分配慮をしていただきまして、NHK民放がともに発展をしていくように大臣初め御努力をいただきますことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  148. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて質疑は終局いたしました。     ─────────────
  149. 塚原俊平

    塚原委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
  150. 額賀福志郎

    ○額賀委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表するものであります。  昭和二十五年の放送法制定以降、放送発展、多様化は著しく、事業主体をとってみましても、NHKに加えて、民放は、今日、百五十社にも及んでおります。  今回の改正案は、このような放送発展、多様化した実態にふさわしい法体制にしようということでありまして、また、放送政策懇談会の報告を基本的に踏まえたものとなっております。  法律案内容を見ますと、まず、放送普及基本計画には、郵政大臣は、放送国民に最大限に普及させるための指針など、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項、放送対象地域等を定めることとしております。  また、電波法においては、その基本計画で定める放送系の数の目標の達成のため、放送用周波数使用計画を定めることとしております。  これらは、有限希少な電波を使用する放送の最大限の普及が円滑にかつ計画的に達成されるためには、極めて妥当な措置であると考えます。  次に、放送番組について申し上げますが、今日、放送メディアが多様化し、放送番組の規律を一律的に適用することが適当と認められない状況が生じていることから、NHK民放テレビ及びNHKの中波放送、超短波放送を除き、番組相互間の調和の義務づけを行わないこととするとともに、放送番組質的向上が強く要望されている状況にかんがみ、番組審議機関活性化を図るため、審議機関答申し、または意見を述べたときは、その概要公表することを義務づけること等の措置を講じております。  NHKにつきましては、NHK民放併存体制下におけるNHKの目的をより明確にするとともに、NHK公共放送として蓄積したノーハウの社会還元を図り、あわせて副次収入など経営財源の多角化を行うことができるよう、NHK業務範囲を見直すこと等所要の改正を行っております。  また、民放に対する有料放送の導入につきましては、契約約款について郵政大臣の認可を受けること等所要の措置を講じております。これは、発展拡大する放送事業を経営的に支える新たな財源を確保する道を開くとともに、多様化する国民のニーズにこたえようとするものであり、まことに時宜に通した措置であると考えます。  放送局の免許の有効期間につきましては、現在三年でありますが、これを五年を超えない範囲内において郵政省令で定めることとするものであり、今日の放送事業発展、定着の状況等を勘案したものと考えます。  最後に、将来、技術開発の進展等に伴い、衛星放送を初めとするニューメディア地上放送を初めとする既存メディアとの競合、調和等についても検討が求められるようになることは確実であり、これらの問題に対しても、行政当局の適切な対応を期待するものであります。  本案の審議において、各委員より、放送行政を初め広範多岐にわたる質疑が行われましたが、これらの質疑は、政府及び放送事業者に対して有意義な示唆も含んでいるのでありまして、今後の放送界発展のためにも正しく反映されていくよう考慮されることを強く望みたいと思います。  我が党は、今回の改正案は、以上の理由から極めて適正なものであると申し上げ、私の賛成討論といたします。
  151. 塚原俊平

  152. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部改正案に反対の討論を行います。  この法案に反対する第一の理由は、改正案が、言論機関である放送局への政府・郵政大臣権限法律的に強化するものだからであります。  本来、放送に関する法律は、憲法が定める言論、表現の自由を保障し、権力による介入を排除するものでなければなりません。一九五〇年の現行法制定時にも、戦前の言論統制の反省にも立って、放送における言論、表現の自由を保障するため、放送行政の政府からの独立性をどう確保するかが重要な焦点でありました。  その後、状況発展に応じての放送法部分的な改正が重ねられてきましたが、放送のあり方をめぐっての議論の根本には、常に放送行政の独立の問題がありました。  一九六二年には、臨時放送関係法制調査会、いわゆる臨放調が郵政省のもとに設置されましたが、その答申書でも、放送に関する委員会の設置が提言され、放送局への免許、放送用周波数の使用に関する計画など、放送行政基本的事項に関して、「郵政大臣は、本委員会の議決に基づいてのみ、その権限を行使しうる」としたのであります。このとき、NHK放送に関する独立行政機関の設置を提案し、民間放送連盟は放送行政の民主化と合理化を主張したのであります。すなわち、放送行政の政府からの独立と民主化の必要性が広範な意見として表明されたのであります。  今回の放送法改正に当たっても、民間放送連盟及び新聞協会は、ともに電波監理審議会権限の強化を主張し、「郵政大臣は、同審議会の議決に基づいてのみ権限を行使しうるものとすべきである」という見解を発表しています。  しかるに、今回の改正案は、こうした意見を反映していないばかりか、放送普及基本計画の決定を初め、郵政大臣権限法律的に強化するもので、明らかに逆行と言わなければなりません。  しかも、委員審議の中で明らかになったように、放送普及基本計画として定められる全国の放送系ごとの数の目標、いわゆる全国民放四波化や、マスメディアの集中排除原則など、放送をめぐる重要事項の決定が郵政大臣権限にゆだねられているなど、今後の放送行政の重要な部分郵政省のフリーハンドになっているのであります。  改正案に反対する第二の理由は、有料放送に対する郵政大臣権限の問題です。  改正案では、契約約款の郵政大臣認可に加え、郵政大臣が料金変更の命令すら出せるようになっており、本来、できる限り自由が保障されるべき放送事業に対して、このような権限を政府・郵政省が握ることに反対するものであります。  今回の改正作業の進め方にも問題があったことも指摘しなければなりません。  言論法である放送法改正に当たっては、言論、表現の自由と国民の知る権利を保障する立場から、広く国民各層の意見が十分反映されるように行われなければなりません。ところが、今回の改正作業では、放送政策懇談会の会議概要も明らかにされず、郵政省が出した資料さえ国会への提出を拒むという遺憾な事態でありました。  最後に、私は、免許を初めとした放送行政の政府からの独立、国民放送への参加、アクセス権の保障など、放送制度の民主化、そのための国民的な合意づくりに基づく放送法改正を主張し、今回提出の放送法及び電波法の一部改正案に対する反対の討論といたします。
  153. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  154. 塚原俊平

    塚原委員長 これより採決に入ります。  放送法及び電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 塚原俊平

    塚原委員長 起立多数。よって、本案は可決すべきものと決しました。     ─────────────
  156. 塚原俊平

    塚原委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対しまして、田名部匡省君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。田並胤明君
  157. 田並胤明

    ○田並委員 ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の各項に留意して、その実施に努めるべきである。  一 放送普及基本計画の策定に当たっては、広く国民の意向を踏まえるとともに、放送の多様性、地域性、集中排除の理念の確保に十分配意し、放送の計画的な普及発達に資するような内容のものとすること。  一 放送法の施行に当たっては、国民の意向を十分反映するとともに、放送事業者放送番組編集の自由を最大限に尊重すること。  一 今後、高度情報社会における国民のニーズの多様化、高度化が一層推進することを受けて、国民の意向を踏まえて新たな放送制度のあり方について見直しを含め検討を進めること。    なお、必要の都度、適時適切に対処すること。  一 放送の有する社会的機能の重要性にかんがみ、放送の地域間格差の早期是正及び難視聴の解消を図り、放送の普及の推進に一層努めること。  一 日本放送協会業務の拡大に当たっては、その公共的性格に十分配意すること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。  以上であります。
  158. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 塚原俊平

    塚原委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、中山郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山郵政大臣
  160. 中山正暉

    中山国務大臣 慎重なる御審議をいただきまして、ただいま放送法及び電波法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対し厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じまして承りました御意見につきましては、今後放送行政を運営していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。  また、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を十分に尊重いたしてまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  161. 塚原俊平

    塚原委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 塚原俊平

    塚原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  163. 塚原俊平

    塚原委員長 次に、郵便年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より趣旨の説明を求めます。中山郵政大臣。     ─────────────  郵便年金法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  164. 中山正暉

    中山国務大臣 郵便年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における年金需要の動向にかんがみまして、郵便年金の加入者の利便の向上を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。  第一は、郵便年金契約の加入申し込み時に掛金を一時に払い込むことができることとするものであります。  第二は、掛金を一時に払い込み郵便年金契約に加入した場合、その効力が発生した日から年金の支払いをすることができることとするものであります。  このほか、郵便年金契約が掛金払い込み猶予期間の経過により失効した場合、一定の条件のもとに、その復活の申し込みをすることができることとすることを内容といたしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  165. 塚原俊平

    塚原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十九分散会