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1988-05-10 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    金子 一義君       北村 直人君    鈴木 恒夫君       高橋 一郎君    谷  洋一君       友納 武人君    中山 利生君       松田 岩夫君    渡辺 省一君       加藤 万吉君    小林 恒人君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       安田 修三君    小谷 輝二君       柴田  弘君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       森田 雄二君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局公         務員部長    芦尾 長司君         消防庁長官   矢野浩一郎君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局研究課長 千葉 真一君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         厚生省年金局年         金課長         兼内閣審議官  松本 省藏君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     小林 恒人君 同日  辞任         補欠選任   小林 恒人君     佐藤 敬治君     ───────────── 四月二十八日  固定資産税都市計画税引き上げ反対に関する請願草野威紹介)(第一九八二号)  留置施設法案廃案に関する請願金子満広紹介)(第二〇一九号)  同(中路雅弘紹介)(第二〇二〇号)  同外一件(矢島恒夫紹介)(第二〇二一号)  同(山田英介紹介)(第二〇二二号)  同(菅直人紹介)(第二一二九号)  同外二件(冬柴鉄三君紹介)(第二一三〇号)  留置施設法案反対に関する請願外一件(石井郁子紹介)(第二〇二三号)  同(浦井洋紹介)(第二〇二四号)  同(経塚幸夫紹介)(第二〇二五号)  同(東中光雄紹介)(第二〇二六号)  同(松本善明紹介)(第二〇二七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二〇二八号) 五月九日  固定資産税都市計画税引き上げ反対に関する請願中沢健次紹介)(第二二七九号)  同(石橋大吉紹介)(第二三〇七号)  同外一件(戸田菊雄紹介)(第二三〇八号) 同月十日  固定資産税都市計画税引き上げ反対に関する請願清水勇紹介)(第二三七六号)  同(日笠勝之紹介)(第二五一七号)  留置施設法案廃案に関する請願安田修三紹介)(第二四四三号)  同(安藤巖紹介)(第二五一〇号)  同(岩佐恵美紹介)(第二五一一号)  同(工藤晃紹介)(第二五一二号)  同(不破哲三紹介)(第二五一三号)  留置施設法案反対に関する請願中路雅弘紹介)(第二五一四号)  同(中島武敏紹介)(第二五一五号)  同(松本善明紹介)(第二五一六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七六号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  3. 安田修三

    安田委員 まず本法案につきまして厚生省の方にひとつお伺いいたします。  前回、本法の改正に当たりまして、その先には国民年金厚生年金、その中に基礎年金制が導入されまして、昭和七十年をめどにいたしました公的年金一元化ということについていろいろと論議をされてまいりました。そして、政府の方では一元化へのプロセス等を詳細に出しながら努力をしていくというようなお話がございました。  さて、今日、公的年金一元化につきましてどのような展望を持っておられるか、これをまずお伺いしたいと思います。
  4. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  公的年金一元化をどのように展望しているかということでございますけれども先生ただいま御指摘がございましたように、先般の年金制度の大改革によりまして基礎年金制度というものが導入されました。したがいまして、いわゆる一階部分につきましては給付負担の両面にわたりまして公平化が図られたということでございます。またさらに、いわゆる二階部分に当たります被用者年金につきましても、共済年金給付水準厚生年金給付水準に将来に向かっては合わせていくという改正がなされまして、給付面につきましても将来に向かっては公平化が図られていくということになったわけでございます。したがいまして、今後の課題と申しますのは、被用者年金についての負担面公平化をどういうふうに図っていくか、これがこれからの課題になってくるのではなかろうかということでございます。  こういう状況を踏まえまして、政府といたしましては、年金問題担当大臣が座長をいたしております公的年金制度に関する関係閣僚懇談会が昨年の九月に開かれまして、昭和七十年を目途といたします公的年金制度一元化に向けまして、来年、昭和六十四年の財政計算という時期に合わせまして地ならしできるものについては地ならしをするということを申し合わせたわけでございまして、これを受けまして現在関係各省庁の局長クラスで構成いたします公的年金制度調整連絡会議というのがございますが、ここにおきまして、七十年を目途にいたしまして六十四年の次期財政計算におきましてどのようなことが地ならしできるのかというようなものについて具体的な検討作業を現在進めているという状況にございます。
  5. 安田修三

    安田委員 そこで松本審議官にもう一点お尋ねしますが、これは来年、六十五年からの財政計算期が参りますので、そこで来年がいよいよ改正するための年になりますが、そうしますと、今懇談会でやっておられる結論は大体いつごろ出るのでしょうか。
  6. 松本省藏

    松本説明員 現在のところ閣僚懇談会結論の時期は具体的に決めているわけではございませんけれども先ほどお答えを申し上げましたとおり、六十四年度というのが厚生年金国民年金あるいはその他の幾つかの共済制度財政計算期に当たるわけでございまして、その時点で地ならしできるものについては地ならしをするという結論を得ていくわけでございますので、それに間に合うような形で答えを出していかなければならないと考えているところでございます。
  7. 安田修三

    安田委員 そこで、今度の年金改定額でございますが、物価スライドをさせているわけであります。そこで、これは法の中に明記されておるわけでございますし、今度の場合は特例政策改定ということになるかと存じます。  さて、恩給の場合は賃金スライドでございます。もともと地方公務員共済賃金スライドであったのでございますけれども前回改正厚生年金等に横並びいたしまして今日のように物価上昇スライドする、こういうことになったわけでありますが、そのためにいろいろと問題がございまして、後ほど触れてまいるわけでございますけれども、とにかく今日では一つ感情面で、恩給の場合は賃金スライドだ、これももともと地方公務員共済物価スライドであったなら別段どうということはないのですけれども地方公務員共済恩給ももともと根っこは一緒でございますから、そこでこれが賃金スライドであったのに物価スライドになったという感情面一つそぐわない。それから、恩給の場合は発射台のベースは低いわけでございますけれども、しかし年金に率の上ではかなり差が出ますので、ことしの場合は差が出てまいりますので、そういう点では何か格差が生ずるような不公平感を持ってくる。こういう点で、これは当然賃金スライド改定すべきでないか。もともと前回改正のときに既にこの議論を行ったわけでありますけれども、改めましてそういう感を強くしているということで、そういう陳情もたくさん来ておるわけでございますが、その点スライド問題についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 共済年金恩給と異なり社会保険方式で運営をされ、また公的年金制度の一環として位置づけられているものでございます。このような観点から、共済年金年金額改定方式についても、昭和六十年の公的年金制度改革において基礎年金制度が導入されたこともあり、これまでの恩給に準じた方式から、基礎年金及び厚生年金年金額改定に準じた物価スライド方式を基本とすることとなったところでございます。今回の改定についても、基礎年金厚生年金と他の公的年金制度における措置に準じ、昭和六十二年の物価上昇率基礎として〇・一%の改定を行うことといたしております。これについては公的年金制度全体の整合性を図る観点から御理解をいただきたいと思います。  なお、恩給改定率共済年金改定率が異なることについては、社会保障制度審議会国家公務員等共済組合審議会及び地方公務員共済組合審議会においても、恩給スライドあり方について公的年金との均衡を考慮すべき旨の答申がなされているところでございます。
  9. 安田修三

    安田委員 そこで、これは年金問題全体にわたることではございますけれども物価スライド賃金スライド、そのときどきの情勢によって多少変わってはまいりますが、今のように物価が落ちついている、そして賃金上昇率はそう高くはないときではございますが、片方にそういう賃金スライドが依然としてあるということになると、やはりその方に横並びしたいということになってまいるわけでございますし、そういう点では一応検討課題として一つ考えておいてもらいたいと思うわけです。  さてそこで、厚生省の方は先ほどお答えの中にも出ておりましたが、六十五年から六十九年までの年金財政計算期、大体自治省の方ではこれについてはどういう準備を考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  10. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいま厚生省の方からもお話がございましたが、六十年の公的年金制度一元化の問題につきましては相当程度給付負担の公平は進んだというふうに考えておるところでございます。こうした成果を踏まえまして、ただいまお話ございましたように、現在、公的年金制度に関する閣僚懇談会の方針を受けまして関係各省局長クラスで構成されております公的年金制度調整連絡会議等において検討が進められておるわけでございますので、これらの検討成果を踏まえまして私どもとしても対処をしてまいりたいというふうに思っております。
  11. 安田修三

    安田委員 そこで厚生省の方にまた戻ってお尋ねいたしますけれども先ほどいろいろなお話がありまして、そこで具体的には、これは国民年金法の中にも明示されておることでございますが、基礎年金の額というものそのものについての見直しということが一点出てくると思うわけであります。妥当であるかどうかこれを検討せい、また見直すということになっておるわけでありますが、それに負担の問題、当然この見直し問題、こう出るわけであります。先ほど内閣審議室の方でございますね、審議官は、今度は負担の方が問題だとおっしゃっておりましたが、そういう点では給付の方にも問題があるわけでありまして、もちろん給付負担見直しということで掛金の見直し、こういうことになるかと思います。そこで当然基礎年金の額の検討ということも私は含まれると思うのですが、どうでしょうか。
  12. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  事前にちょっとお断りをさせていただきたいわけでありますが、先ほどは、公的年金一元化関係につきましては、各制度共通にかかわる問題でございますので、内閣審議官立場お答えをさせていただきました。今度は厚生年金ないしは国民年金の話でございますので、厚生省年金課長立場お答えをさせていただきたいと思います。恐縮でございます。  御指摘お話でございますけれども国民年金、それから厚生年金保険におきましては、少なくとも五年ごとに将来にわたる保険料率負担でございますが、これの再計算を行うということが法律上義務づけられております。したがいまして、これを受けまして財政計算というのをやるわけでございますが、それに合わせまして、従来からその財政計算に合わせて制度見直し自体検討するというのが通例になっております。したがいまして、厚生年金保険並びに国民年金につきましては次の財政計算期は六十四年の四月ということになっておりまして、これに向けて昨年の九月から年金審議会という審議会がございますが、そこで改正内容についての検討をお願いしているところでございます。  御指摘にございました基礎年金水準あり方あるいは負担保険料の再計算というようなものにつきましても、この年金審議会におきまして、一つ高齢者の方々の生活の実態、あるいは年金水準保険料負担とのバランスというようなものについてもいろいろと考慮しながら現在御検討をいただいているところでございますので、この年金審議会の御意見は本年の秋ごろにいただけるだろうと考えております。それを踏まえまして厚生省としても対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  13. 安田修三

    安田委員 それでは、自治省の方はその点どうでありましょうか。
  14. 芦尾長司

    芦尾政府委員 再計算に伴う準備状況といいますか、法案の問題ということにも絡むと思うわけでございますが、地方公務員共済組合長期給付に要する費用の再計算につきましては、法令の規定に基づきまして少なくとも五年ごと自治大臣の定める方法により行うということにされておりまして、次期計算地方公務員共済昭和六十四年十二月が予定をされております。  その再計算結果に基づく新しい財源率につきましては、地方公務員共済組合連合会公立学校共済組合、また警察共済組合、それぞれ定款の変更を行いまして主務大臣の認可を受けるということによって効力が生ずる、こういう仕組みになっておりますので、したがいまして次期計算期についても現行法に基づきまして前回と同様に実施するということにいたしておりますので、再計算に伴う財源率改定のための法案ということにはならないということになるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたように現在一元化に向けてその地ならしできるものは地ならしする、次期財政計算期までにそうするということで関係各省でただいま御答弁もありましたように検討も進められておるわけでございますが、自治省といたしましてはその検討結果等を踏まえまして適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 安田修三

    安田委員 厚生省の方にまたお伺いするのですけれども、今そういう年金審議会でいろいろと検討されている最中でございますから、皆さんの方でもまだどのようなということにまでいかないかと思います。ただ前回議論になったのでございますが、基礎年金財源の見通しからしますと現状のままでというわけにはいかない。そこで、事務当局の方で財源等についてのいろいろな手当て方法という問題について、これは当然考えていかなければならぬわけでありますが、その点について前回もいろいろな議論がございました。いろいろな提起もございました。現状厚生省の方では、年金審議会負担という問題が出ておるわけでありますので、そこでそれらも検討されていくのでございましょうが、ずばり財源問題についてはどういうぐあいに考えておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  16. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、年金審議会次期財政計算に向けまして制度改正を含めて、すなわち基礎年金水準それから保険料負担あり方を含めまして検討いただいているところでございますので、現時点で具体的な内容についてお答えをすることができないわけでございますが、例えば費用負担関連する事項としては、保険料負担が将来どういうふうになっていくのか、あるいは先生指摘のような基礎年金給付費に係る費用負担がどういうふうになっていくのか、それに伴う国庫負担というものがどういうふうにあるべきなのかというようなもろもろの観点についての御検討をお願いしているという状況に現在ございます。
  17. 安田修三

    安田委員 さてそこで、今年秋に年金審議会結論が出る、そこでその結果ということになりますが、当然これは来年通常国会改正のための法案というものが出されなければならぬのじゃなかろうか、こういうことを私は思うのでありますが、そこで、これは通常国会ということになるのでしょうか。
  18. 松本省藏

    松本説明員 お答えいたします。  厚生年金保険あるいは国民年金次期財政計算先ほども申しましたように六十四年四月でございますので、これに伴う法律案につきましては、本年秋ごろまでに年金審議会の御意見をいただきまして、それを受けまして昭和六十四年の次期通常国会、厳密に言いますと今年の十二月に召集される通常国会になろうかと思いますが、その次期通常国会法案提出するということを目途にいたしまして検討作業を進めてまいるという考え方でございます。
  19. 安田修三

    安田委員 自治大臣にお尋ねいたしますけれども、そこで地方共済の場合、これは来年の十二月ということになるわけでありますけれども自治省の方の準備はその点どうなりますか。
  20. 芦尾長司

    芦尾政府委員 先ほどお答え申し上げたわけでございますが、自治省といたしましては今回の次期財政計算につきまして、その財源率改定のためだけであればこれは法案提出の要はないということにはなるわけでございますが、ただ現在公的年金一元化に向けて種々負担給付調整ということで関係各省でもいろいろ御検討いただいておりますから、そういうような結果も含めまして、自治省としてはその御検討の結果を踏まえて適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 安田修三

    安田委員 そこで、私は、財源率計算だけならこれは当然おっしゃるとおり。ただ、例えば附帯決議にこういうことをつけておるわけですよ。これはここでも皆作業をやったわけでありますが、「基礎年金水準費用負担あり方等については、国民年金法附則規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。」要するに共済共済で、もちろんこれは年金担当省庁として厚生省がとにかく柱にならなければならぬということにはなりますが、しかし同時に共済共済でそれぞれの立場検討されながら、厚生省主管省として連絡をとっていくということになるかと私は思うのです。  国民年金法附則第一条の二にはこの検討についてはもちろん書いておりますので、それを引用しながら附帯決議は入れたわけでありますけれども地方共済の方は単に横を見ておるだけではなくして、地方共済自身基礎年金水準等は妥当であるかどうかということは当然内部努力として考えていかなければならぬ。しかし、それはあなたの方が先走るわけにはいかないので、厚生省年金担当省庁との間にそれを持ち寄るということが必要でありまして、私は今の考えは大変不満であります。それはやはり皆さんなりに検討してもらいたいということでありまして、その点どうですか。
  22. 芦尾長司

    芦尾政府委員 御指摘ございましたように、先般の年金制度改革のときに議員修正によりまして附則第一条の二というものも改正が行われたところでございまして、その趣旨を踏まえまして、基礎年金制度を所管しておられる厚生省においても、ただいまもお話がありましたように検討が進められておるものと思っております。私どもといたしましては、共済制度全体の中での、枠内での話だということになりますので、これからの検討との関連におきましても関係省庁との連絡をとりながらこれは検討を進めていかなければならぬと考えております。
  23. 安田修三

    安田委員 次に所得比例年金の分、言うなれば厚生年金部分、これは将来公的年金等一元化される際にはどういう取り扱いになってくるだろう。これもどちらかというと今のいろいろな検討材料の中に当然入っているということになるのでしょうか。それとも、いや、それはそこまでは手をつけない、こういうことなんでしょうか。これは厚生省の方にお尋ねいたします。
  24. 松本省藏

    松本説明員 一元化関連の問題かと承知をいたしたいと思います。  先ほど冒頭にお答え申し上げましたように、政府部内で現在一元化に向けての、特に被用者年金、二階部分負担の不均衡の是正というようなことを中心に一元化作業が進められているわけでございますが、具体的にその二階部分が将来どういうふうな姿になっていくかということにつきましては、各被用者年金制度、その歴史的な経緯とか沿革が非常に異なっておりますので、そう一遍に一つ新しい絵をかくというのもなかなかできない難しい事情にございます。したがいまして、現時点では、先ほど申しましたようにとりあえず中間地点で、六十四年の次期財政計算期被用者年金制度一元化に向けての地ならしができるものについては地ならしをするというものを模索しながら、その結果の推移を見守りながら七十年の一元化の姿というようなものを考えていきたいと考えているところでございます。
  25. 安田修三

    安田委員 さて、次は国鉄共済のことでちょっと。中身は触れませんけれども国鉄共済年金救助のためとして共済すべて統合という話も一説にございましたし、進んでは七十年の年金一元化のときにオール・ジャパン方式、今の竹下総理から大蔵大臣としてそういう言葉も出たこともございました。しかし、共済そのもの統合することはあり得ないと当時の大蔵大臣それから自治大臣もそういう答弁であったわけであります。  さて、今日の現状からして、国鉄共済については六十四年度まで政府の方で国鉄内部努力と合わせて責任を持って処理する、こういうことになっておりますし、将来的には国鉄共済ではオール共済統合ということはあり得ない、こう思っておるのですが、この点、自治省の方でどういうぐあいに考えておられるか。
  26. 梶山静六

    梶山国務大臣 国鉄共済年金昭和六十五年度以降の問題については、昭和六十年十一月の政府統一見解趣旨に沿い、現在、日本鉄道共済年金問題に関する閣僚懇談会において各界の有識者の意見を聞きながら検討が進められているというふうに承知をいたしております。国鉄共済年金問題は極めて大きな問題でございまして、単に共済年金制度だけではなくて、公的年金制度全体のかかわりの中でとらえていく必要があろうかと考えております。  このような観点から検討を進める場合において、自治省としては、国の責任分担を明確にすることが先決であるという地方公務員共済組合審議会答申趣旨を踏まえて対処をしていく必要があろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、自治省としては、今後とも地方公務員共済制度は堅持してまいる方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  27. 安田修三

    安田委員 国鉄職員地方への受け入れ問題に伴う国鉄共済からの積立金移換でございますが、当初昭和六十一年から六十五年まで一万一千五百人が地方の方に採用、受け入れということに計画がなっておった、あの当時はそういう議論でございました。この場合の国鉄共済積立金移換総額は約六十億円、こういう推定になっておったわけでございますが、私の方の手元では、昨年九月末現在で採用人員は六百三十八人、積立金移換額は三億五千万円、こういうことになっておるというように掌握をしております。この数値で正しいのでございましょうか。そして、受け入れ人員はこのとおりで受け入れ額もこのとおり、さらに当初計画が大変大きかったものですから、これからまだ受け入れがあるのかないのか、そこら辺もちょっとあわせてお答え願いたい。
  28. 芦尾長司

    芦尾政府委員 国鉄職員地方公務員への身分の移管でございますが、ただいま先生指摘ございましたように、移管の対象となる組織組合員数は一万一千五百人でございましたが、現実に六十一年度中に移管いたしましたのは御指摘のとおりに六百三十八件、三億五千万程度の移換額があるということになっております。これは今後計画的に移管が進められるということになると思いますが、それに伴います積立金の受け入れということはこれからも順調に行われるべきものであるというふうに思っておりますし、またそうなることというふうに考えております。
  29. 安田修三

    安田委員 そこで、鉄道公安官の場合、これは二千八百八十二名が警察移管ということに当時なっておりました。これが昨年九月末で七百三十六名、十億五千六百七十三万円、こういうことになっておるようでありますが、この方の移管関係も将来どうなるのでしょうか。
  30. 森田雄二

    ○森田(雄)政府委員 今お話がありました七百三十六名はすべて公安官ではございませんで、そのうち七百五名が公安官になっております。その七百五名は六十一年度中の話でございます。六十二年度中に千四百五十八人受け入れておりまして、残余はまだ若干残っておりますが、今後とも受け入れを進めていくということでございます。
  31. 安田修三

    安田委員 そうしますと、六十二年度受け入れ千四百五十八名は今年の九月末に積立金移換ということになるのでしょうか。
  32. 森田雄二

    ○森田(雄)政府委員 六十二年度分につきましては本年の八月末日までに日本鉄道共済組合に請求することとされておりまして、目下積算について作業しておる、こういうことでございます。
  33. 安田修三

    安田委員 それでは、自治省の方にまたお尋ねいたします。  先ほどから出ておりました財源率の再計算関係でございますが、これから皆さん財源率についての計算準備にかかられるわけでありますけれども計算方法が静態的方法になるのか動態的方法へ変わるのかということでございます。計算方法が変わる可能性というのはあるのでしょうか。
  34. 芦尾長司

    芦尾政府委員 昭和五十四年及び昭和五十九年の財政計算に当たりましては、ただいま先生の御指摘ございましたように、その計算時に物価上昇やベースアップなどの経済変動要因を織り込まない、そういういわゆる静態的な方法による措置を講じて計算がなされております。  次回の財政計算でございますが、少なくとも六十四年十二月までには行わなければならないというふうに先ほども御答弁申し上げましたが、その再計算に当たりましては、現行保険料率との接続性でございますとか他制度とのバランスなどを考慮いたしまして保険料率を設定することが望ましいというふうに考えております。その場合、前回と同様に静態的な方法で行うのか、あるいは今申し上げましたような経済的な変動要因、要素というものも織り込んだ動態的な方法で行うのかどうか、こういうことにつきましては、社会保障制度審議会の数理部会の検討状況といったようなことも、それからまた国家公務員共済組合等における次期財政計算の際の動向といったようなものも参酌しながら、これから慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  35. 安田修三

    安田委員 それから、既裁定者の関係でございますが、既裁定者の計算方式前回通年制に変わりましてから足踏み状態させられている人が結構出てまいりました。このスライド停止について当時も大変議論がございまして、それはちょっと酷じゃないかということから、何らかの緩和措置をひとつ考えるべきではないか、こういうことも宿題になっておったわけでございますが、そこら辺は皆さんの方で何か内部的に検討しておられますか、お聞きしたいと思います。
  36. 芦尾長司

    芦尾政府委員 既裁定年金スライド停止の問題でございますが、これは昭和六十年の制度改革におきまして、いわゆる既裁定年金については新制度との均衡を考慮してすべて通年方式による年金額に算定がえを行ったところでございますが、その場合には従前の既得権を尊重する必要があることから、裁定がえ後の年金額が裁定がえ前の従前の年金額を下回る場合には従前の年金額を保障するということにしたところでございまして、これらの場合におきます年金改定につきましては、従前額を保障された年金額には改定措置を適用しないということにしております。  この措置につきましていろいろ御議論があるところは承知いたしておるわけでございますけれども、やはり今後現役の公務員等については、給付水準の適正化を図ってもなお掛金負担が大幅に増加せざるを得ないといったような状況にあること等にかんがみまして、将来にわたり現役と退職者との給付水準のバランス、それからまた給付負担のバランスというものを図ることを考慮したことによるものでありまして、この趣旨を御理解いただきたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 安田修三

    安田委員 ただ、これは既裁定者にしますと、自分らで掛金を掛けて、そしてあらかじめ生活設計を持って期待権があったわけですから、それが急ブレーキがかかったわけでございますので、そこで当時もそういう点では財政状態その他から、それに他の公的年金との横並び、いろいろなそういう改革段階ですので、やむを得ずこういうことにはなってきたということにはなるわけでございますが、それだけに当時の自治大臣答弁でも、停止期間を少なくするという考えを一つ持って将来への検討課題にしたいということも実は出ておるわけでございます。もちろんこれははっきりした答弁に出ておるわけでございますので、そういう点ではやはり何らかの緩和措置というのは当然検討されていくべきでないだろうか、私はこう思いますし、ぜひひとつ今度の財政計算期に当たってそういう課題については真剣に取り上げていただきたい、私はこう思います。  さて、さらに所得制限が入ったわけでありますけれども、今年の八月から実施されることになっております。この所得制限もいろいろな見方が出てまいります。他に働いた場合やいろいろなことで実は年金との関係で非常に大きな所得を得るということでは、そういう点の所得制限は従前の場合にもございましたが、しかし今度の場合は大変手厳しくなりました。もちろん、これも厚生年金と横並びと言えばそれまででございますけれども、ただそのために、逆に言うと大変低い人も出てまいりまして、そういう点の救済をどうするのかということも議論になったわけです。  そこで、現職公務員との生活の均衡等考えたときにはひとつそこらあたりももう一遍見直す必要があるのではないか、こういうこともございまして、これはことしの八月からの実施でございますので、そこら辺もひとつ検討してみましょう、こういうことに当時答弁でも出ておったわけですが、さて、皆さんの方でそこらあたりの検討はされてきたのかどうか、お伺いしたいと思います。
  38. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいま御指摘がございましたように、国家公務員共済年金地方公務員共済年金等の各共済年金制度において退職共済年金や障害共済年金の受給者が民間サラリーマン等に再就職をして一定の給与所得を有するというときには、その所得額に応じて年金の額を一部、厚生年金相当分でございますけれども、停止するということになっておるわけでございます。  これでございますが、共済年金が退職や障害で稼得能力を喪失した者に対する所得保障ということを目的として支給されるものであるという趣旨から、給与所得がある場合には、その所得額に応じて年金の一部の停止を行うことにしたわけでございますが、御質問がございましたように、年金の支給停止の適用につきましては国会の附帯決議というものもあるのも十分承知しておりまして、それを尊重いたしまして、退職者と現役公務員との生活水準のバランスが図られるように、具体的な停止率、ちょっと申し上げますと、その者の再就職後の給与所得と共済年金の合算の額が公務員の標準的な給与と均衡がとれるようにそういった率を定めておるところでございます。それからさらに、昭和七十年までの間は、その停止率を割り落としをして徐々に本来の停止率になるような緩和措置も講じておるところでございます。また、昭和六十年の制度改革前から年金を受給されておる方につきましては、制度改革直前の支給額まではこれを保障する、こういった措置も講じておるところでございます。  以上のような配慮を加えた上で、本年八月から所得制限措置を実施するということにいたしてお,りますので、御理解賜りたいと存じます。
  39. 安田修三

    安田委員 従前というよりも改正時と変わっていないようでございますが、これもこういう途中でございますので、制度の抜本改革期ではないものですから将来の課題だと思いますが、念頭に置いてもらいたい、こう思います。  さて次は、併給調整関係でございます。  これも、ひとつ併給調整について検討してもらいたいという注文が前回やはりついておるわけでございます。要するに全部きちっとというのはこれはなかなか難しい問題ではありましょうけれども、それぞれのケースで計算いたしますと、併給調整を受けますと、損するというとおかしいのですが、本来もらえるものが前回の法改正によって大変ダウンしてきた。ダウンしても、高給な者は中くらいになって通常のベースならいいんだけれども、極めて低額という人も確かに中には出てくるわけでございます。さて全体でどれぐらい出るかということは、これはケース、ケースでわかりません。なぜかというと、例えば勤務の短い人が亡くなった、あるいは親御さんは長生きしていらっしゃるがお子さんが勤務短くして亡くなったとかいろいろなケース、ケースですから、金額で想定することはもちろん不可能でございます。ただ、いろいろなケースを、今現在あるケース、あるいは想定されるということになりますと、併給調整によって大変気の毒だな、こういう場合があるわけであります。  そういう点でこれについてもひとつ再検討しないとおもしろくないのではないか、こういうことでいろいろ議論がありまして、附帯決議にはそういうことで出たわけでありますけれども、これも内部的にどういう検討になっているか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  40. 芦尾長司

    芦尾政府委員 併給調整の問題でございますが、これも附帯決議がついておることは十分承知はいたしております。  昭和六十年の制度改革による新しい併給調整の仕組みは、従来行われておりました併給調整をさらに徹底させまして、制度内、制度間を通じて一人一年金を原則とすることにしたものでございますが、これは制度間格差を解消するとともに、年金財政が厳しくなる見通しのもとにおきまして、重複給付等の解消を図る観点から必要な措置であったものと考えておるわけでございます。  ただいま先生から事例も挙げてお話しございましたが、併給調整の具体的な運用に当たりまして、少なくとも一人について最低限支給される額を定めてその額までは複数の年金であっても支給するといったような考え方もあるいはあるのかもしれないということになるわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題は厚生年金や国家公務員共済年金などすべての公的年金制度にわたる問題でございまして、実務的にもなかなか難しい面がございますので、引き続き関係各省庁とも協議しながら検討してまいりたいと考えております。
  41. 安田修三

    安田委員 そこでこの場合は、例えば前回附帯決議でも、いろいろな書き方はあるのでございましょうが、当時それなりにいろいろな知恵を絞って、そしてまた、いろいろな当局の意見も聴取しながら国会としてのいろいろな附帯決議がついているわけでありますが、それぞれの項目はやはり違うわけですね、単に検討してもらいたいとか見直しをしてもらいたいという。ところがこの併給調整の場合は、そういう点ではかなり突っ込んだ議論がございました。その実施過程における問題等をいろいろと見きわめながら再検討してもらいたいということで、具体的なものまで実は突っ込んで意見を述べておったわけでございますので、次の機会まで、その間いろいろな事例が出てくる、これは出てこないとやりにくかった問題で、出てきておりますので、ぜひひとつお願いしたいと思います。  さて次に、前回改正当時四十歳の人の年金について、将来給付が最も低くなるという方も出てくるわけでございます。その見直しについて各省庁調整が当然これから行われるということになるのでしょうか、それとも既に行われてまいりましたのか。いずれにしましても、次の見直しの時点までそれは調整するように努めなさい、こういうことで前回出ておるわけでございますので、その点どうなっておるでしょうか。
  42. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいまお話ございました昭和六十年当時の四十歳の方が一番最低になるということでございますが、一つは退職共済年金給付乗率の経過措置が、厚生年金における老齢厚生年金の経過措置との整合性に配慮いたしまして、六十一年四月一日の年齢に応じまして二十年かけて徐々に千分の十から千分の七・五、御承知のとおりでございますが逓減していく方法をとっておりますために、退職年金自体では昭和六十一年四月一日に四十歳の者の年金額制度完成時の年金額より少なくなるということにはならないわけでございます。そこで、共済年金とそれから基礎年金を合わせた全体の年金水準状況についてモデル計算で見てみますと、夫婦六十五歳、同年齢と見てでございますけれども、六十五歳以上では、その奥さんが国民年金に任意加入していた期間を持っていない、そういう場合には、六十一年四月一日の年齢四十歳の御夫婦の方がボトムとなる、こういうことになりまして、同日現在二十歳の者の制度完成時における水準を下回ることになる、こういうことでございますが、これは共済年金が二十年かけて給付水準を適正化することとしておりますのに対しまして、奥さんの方の基礎年金につきまして満額支給されるのが国民年金に任意加入していた期間を持っている場合を除きまして昭和六十一年四月一日に二十歳の者からでございますので、基礎年金が成熟するのに四十年を必要としておるということから出てきておる問題でございます。したがいまして、基礎年金の問題になる、こういうことでございまして、厚生年金を含め各年金制度すべてに共通することでございますが、基礎年金制度の基本的事項にかかわるものでありまして、関係省庁間で協議を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  43. 安田修三

    安田委員 ぜひひとつ今から事務的に少し馬力をかけてもらいたい。先ほど厚生省松本年金課長さんが、年金審議会は秋には大体来年の準備をやって結論を出すようなお話ございましたが、自治省の所管も地方公務員共済はなかなか大きいわけですから、自治省の方も横を見ているだけではなくして、ひとつぜひその調整について早く関係省庁と積極的に話しかけをしていただきたいと思います。  さて、前回改正前、六十一年四月一日以前の障害者は在職中の障害共済年金の支給がないわけでございますが、新制度の場合はこれも厚生年金並びということで新しく支給ということになりました。しかし、改正前のものは支給がない。実は中に格差というよりも落差でしょうか、こういうふうになってきたわけであります。これはちょっとなかなか感情としてもぴんとこないということになったわけでございまして、その点見直す必要があるんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう。
  44. 芦尾長司

    芦尾政府委員 これは先生よく御承知と存じますが、今回の基礎年金制度は全国民共通の年金制度でございまして、自営者、公務員、民間サラリーマン、主婦などさまざまな方がその被保険者となっております。したがいまして、この制度による障害基礎年金については在職中であるか否かを問わずこれは支給されるということになっております。  これに対しまして共済組合が支給する年金でございますが、これは組合員の退職後の生活を保障することを目的とする給付でございます。したがいまして、現役の間は制度を支える側と考えられまして、また在職中は給与所得があるということから原則として退職共済年金や障害共済年金は支給を停止するということになっておるところでございます。これはもう御承知のとおりでございます。この共済年金の在職停止の原則は昭和六十年度の制度改正前後において変わってはおりません。しかしながら、六十年の制度改正基礎年金制度が導入されましたことから、現在一、二級の障害の場合、在職中であっても障害基礎年金が支給されることになっておるわけでございます。共済年金である障害共済年金や障害年金は支給停止をされる、こうなるわけでございます。このことは国民年金制度共済年金制度の性格の相違によるものであるというふうに御理解いただかざるを得ないということになるわけでございますが、また国家公務員共済年金制度等他の共済年金制度におきましても同様の取り扱いがなされておるところでございます。  なお、障害共済年金、障害年金のいずれにつきましても、在職中給料が一定額以下である場合にはその一部が支給されるということになっておりまして、必要な配慮は加えられておるというふうには考えておるところでございます。
  45. 安田修三

    安田委員 前回改正で、そういう点ではなかなかおもしろい問題がたくさんあるんですね。どちらかというとねじれ現象も多少はあるわけですね。従前、厚生年金には厚生年金のいいところがありました。定額制が入って、そういう点では社会保障の分配的な年金としては大変すぐれたものがありましたし、それから共済の場合にはどちらかというと退職年金ということで厚生年金と違った性格の位置づけがあった。今度併給問題その他でもそれぞれの特徴があってそれぞれいろいろないいもの悪いもの併合しておったんですけれども、どちらかというと厚生年金に横並びしていったという中から、共済厚生年金に横並びしたために従来の不利益なものがよくなったというのならいいんだけれども、不利益なものは不利益なままにして、いいものは厚生年金横並びになったためにかえって悪くなったというのもあるわけですね。私、今部長の答弁を聞いておりまして、そういう点の矛盾を感ずるわけですよ。  ですから、そういう場合に、やはり順次移行していくような何らかの措置がないと、先ほどから言っておったように、あるいはまた今の障害共済年金の場合のように内部的にも矛盾が出てくるということになるわけでありまして、これは次の全体見直し、当然来年はいろいろな議論が巻き起こると思います。財政計算期に向かっては、単に給付負担という問題で従来引かれたコースだけではなくして、将来展望をひっくるめて七十年の一元化に向かってまでいろいろな議論が巻き起こると思うのでございまして、その際に懸案であったいろいろな事項については既に施行されて五年間たった上の見直しということになるわけでありますので、その際にこうした諸問題についてはぜひひとつ再検討していただきたい、こう思います。  さて、公的負担のカット問題でございますが、行革関連特例法による公経済負担分の四分の一カット、これは六十年まで二千九億円、これの運用利息を入れると六十二年度末まで総額二千四百七十億円、こういうことに現在なってまいりました。さて、これもいつもどうするんだという議論が巻き起こるわけであります。一体これはいつもらえるのか、この点はどうでしょうか。
  46. 芦尾長司

    芦尾政府委員 御指摘ございましたように、行革特例法によりまして昭和五十七年度から昭和六十年度まで公的負担の四分の一が減額をされておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題は、国家公務員共済組合に対しまして国が講ずる措置に準じて措置がなされたということになります。そういう意味から、国家公務員共済組合に対して国がこれから措置を講じてくることになるわけでございますので、今後国の状況を見ながら適切に対処してまいりたいと考えております。
  47. 安田修三

    安田委員 国の状況を見ながらということ。皆さんも同じ政府部内ですから変わったことを言うわけにはいかないのでございましょうけれども、しかしこれは大臣に期待の大きいところでございまして、早速大蔵省が六日、既に補助金負担率の削減を継続するということをぼんとぶち上げて、あれなんかを見ておると、しかしまあよくもああいうふうにすぱすぱと新聞に出すものだな。あれじゃまるで自治省は頭から泥をばっとかけられたようなものでございます。そして、ぱっとぶち上げてこれから協議をするんだ、こういうことで早々とプロセスをちゃんとやってしまったでしょう。こういうことでございますので、この公的負担の四分の一カット問題でも、いつも何とか対処しますと言っては大蔵大臣が今までの連合審査その他でも逃げ切ってきた。例えばいついつこうしますというものは一向に出てこないのですよ。そこが不思議なんです。例えばこれが仮にうそであっても、あるいはまたそのときにいって崩れてもいい、昭和六十六年度には何とか入れますとか言うならいいのだけれども、これは全然めどのない話になっておるのです。  ですから、こうである以上は、やはり自治省は大蔵に、これは全然会計が違うのですから、地方共済負担分ですから返してもらいたいとはっきり出すべきではないかと私は思うのです。これは大臣、ぜひひとつ一発、こういうことをいつまでもうっちゃっておくんじゃない、やはり十年貸せなら貸せというものを、全然何の当てもなくして、いつも、必ず返しますが国の財政状況を見てというのが大蔵のお話。今公務員部長も大蔵と同じようなお話をやっていらっしゃるわけですが、これは大臣、ぜひひとつ大蔵にきちっとはっきりさせてもらいたい、こう思うわけです。これは後ほど最後に大臣に答弁いただきます。  さてそこで、消防庁の方、消防職員の労働環境の抜本的改善について、人員の策定計画等をやりましょう、これは六十歳年金支給に伴って労働職場の激変を緩和していこう、こういうことから前回お話がございました。一体この関係の方はどういうことになっておるかお尋ねしたいと思います。
  48. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御指摘のように、年金制度改正によりまして司令以下の特定消防職員の年金支給開始年齢が六十歳までに引き上げられる、約十五年かけて引き上げられるということになったわけでございますし、またあわせて昭和六十年三月三十一日からいわゆる定年制が実施されたことに伴いまして、消防職員は大変体力と気力を要する仕事ではございますけれども、こういう状況下になってまいりましたので、六十歳まで消防職員が安全にしかもその仕事に生きがいを持って勤務できるという環境の整備をしなければならない、こういう基本的な考え方を持っております。  この点につきまして、かつて昭和六十年十一月に附帯決議をちょうだいいたしておりますけれども、消防庁といたしましては、消防職員の高齢化対策についてはやはり現場の意見を強く重視しなければならないということから、昭和六十一年六月に全国消防長会と協力いたしまして「消防職員の高齢化に伴う人事管理のあり方について」というものを取りまとめました。この中におきまして、消防職員の体力の錬成であるとか、あるいは特に市町村長部局との人事交流の推進を初めとする高齢化対策について結論を得まして、これを全国の消防長あるいは総務、人事担当課長の研修会を通じて推進に努めるよう指導しておるところでございます。  また一方、消防庁自身といたしましても、消防職員の高齢化対策を総合的に推進するために、一昨年の十月に消防本部の関係者なども含めまして消防職員高齢化対策検討委員会を設置いたしました。この中におきまして一番先に手をつけましたのが、消防装備の軽量化、動力化、安全化、この報告を昨年の九月に出しております。残る問題として人事管理あるいは消防戦術、これについては近く結論を出したい、こう考えておるところでございます。  特に人事管理の問題につきましては、極めて規模の大きい消防本部におきましては、消防の職務についても第一線のいわゆる消火業務のほかに、防災指導業務であるとか、通信業務であるとか、あるいは予防査察業務であるとか、そう体力を必要としないものもございますので、その辺の弾力的配置が可能でございますけれども、小さい規模のところではなかなか難しいわけでございます。そこでやはり市町村長部局との交流というものを、これはかなり長期的な観点から計画的に進めなければならない。そういう観点からこの人事管理の問題につきまして検討を重ねて、近く結論を出そうとしているところでございますが、この中におきまして、この問題についてなかなか適切に対応している消防本部もございますので、そういういわばモデルも含めまして、この人事管理を計画的に行い得るように今後とも強く指導してまいりまして、年金支給開始年齢の引き上げなりあるいは定年制の実施に対応できる体制をとってまいりたい、このように考え、努力をいたしておるところでございます。
  49. 安田修三

    安田委員 時間が来ましたので、先ほどの公的負担のカット問題、それに年金支給と雇用というものは接続していないと生活設計が狂いますので、再三の議論でございますので、ぜひひとつこれをきちっと守っていただきたい。将来、本則六十五歳になっておるものですから、年金が途中で切られて雇用だけが宙に浮くことがないようにということで、この二点大臣に答弁を求めまして終わりたいと思います。大臣、あなた原稿を読まない方がいいですよ。
  50. 梶山静六

    梶山国務大臣 支給開始年齢の問題については、定年制度との関連を含めまして、今後雇用情勢の動向等に十分配慮して検討していかなければならないものであるというふうに考えております。  それから、前半御質問のありました公的負担のカット問題、実は私も経緯を詳しく承知しておりません。ただ、今のお話を聞いておりまして、法律事項でもございますし、それから国家公務員と地方公務員の整合性の問題もございます。いずれにいたしましても、国の事情をもっと確かめ、そして不利益にならないようにこの問題には対処をしてまいりたいと思いますので、暫時勉強の時間をちょうだいしたいと思います。
  51. 安田修三

    安田委員 では、終わります。
  52. 岡島正之

    ○岡島委員長代理 草野威君。
  53. 草野威

    草野委員 十日間にわたる長いゴールデンウイークも終わりまして、久しぶりに委員会が開かれたわけでございます。  この休みの間にも、マスコミやまた国民の間でいわゆる遷都論それから地方分権、こういう問題がさまざまな形で議論をされておりまして、私もそれを伺っておりました。そこで、きょうは法案について伺う前に、この問題につきまして大臣の御所見を承りたいと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いをいたします  現在、東京一極集中が進んでいる中で、いわゆる遷都論が非常に活発になっているわけでございます。今の東京を見ますと、巨大な都市問題、この都市問題とともに機能問題も抱え込んでいるわけでございます。その東京一極集中について、これを議論するときに三つに分けて考えたらどうか。その第一は、今の東京というものは、全世界から、またアジアからいろいろな機能が集中してきている。それから二番目は行政とビジネスの東京一極集中。そして三番目は人口の東京集中。このように大きく三つに分けて考えることができるのじゃないかと私は思います。  さて、これをどうするかという問題でございますけれども、いろいろな考え方があると思いますが、一つの考え方として申し上げたいと思います。その一つは、現在東京に所在する中央政府をどこかに移転する。そして二番目には、中央の省庁の持っておる行政権限を地方に分散をさせる。これは地域のイニシアチブあるいは地方分権という考え方を根底に置いて進めるべきであると思います。三番目は、東京は国際金融都市として発展させるようにする。四番目は、地方の経済の活性化は広域圏を中心にして交通網、通信網また医療、教育等社会システムの整備を進めるようにする。さらに、広域圏相互の交流も図っていかなければならない。それから最後の五番目として、あらゆる機能が集中している東京にもし今大きな地震、災害、こういうものが発生したときには日本じゅうの機能が麻陣をしてしまうだろう、こういうことが予想されるわけでございます。したがって、できるだけ速やかにこれらのことを実施しなければならないというふうに私は考えます。  そこで、大臣の御所見を承りたいわけでございますけれども、このような考え方、首都移転の前提として徹底的な地方分権、また国の関与、規制の削減、こういうものが必要になってくると思います。そこで、具体的にどんな権限をどのような形で地方へ渡したらいいのか、また地方としてはどのようにして受け入れ態勢を整えていったらよいのか、こういう問題について、国と地方自治体の間でもっともっと議論を重ねるべきであろうかと思います。  こういう問題につきまして、多極分散型国土形成という問題についてかつて大臣にお尋ねしたことがございました。そのとき、大臣のいろいろなお話を伺わせていただいたわけでございますけれども、公の問題と民間の問題、このように二つに分けて大臣はお話をされていらっしゃいました。いずれにいたしましても、東京でなくてもいい機能、また東京からこれから分権しようという、また分割しようという機能、こういうものをどうやれば地方に出すことができるか、また地方の方としては、いかに立派な受け皿をつくることができるかということを考えている、こういうお話がございました。民間側の問題につきましてはかなり具体的な御答弁がそのときあったわけでございますけれども、公の問題につきまして私は今お尋ねしましたけれども、こういう問題につきまして大臣は今どのようなお考えを持っていらっしゃいますか、御所見を承りたいと思います。
  54. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変切実で難しい問題でございますが、まず、今回の連休中にも遷都問題あるいは地方分権についてのいろいろな地方の要望や中央の主張、それから補助率カットの問題、いわば自治省をめぐる幾つかの問題が大きくクローズアップされていることは御案内のとおりでございます。  今草野委員が御指摘の遷都問題、これは四全総でも「政治・行政機能と経済機能の相互関係の在り方を含め、国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する。」とされているところでございますし、なお、多極分散型の国土形成のためという大きな流れの中でこれから検討を進められなければなりません。けさの新聞でも、遷都問題の検討が新行革審で取り上げられるというふうに、新聞情報でございますからよくわかりませんが、これも土地需要の抑制という一つの目的を持ってそういうことがなされるというふうに聞いておりますが、私は東京への集中を必ずしも悪だとは考えておりません。むしろ、ある意味では東京にそれだけの集中のメリットがあるから集中をすることでございまして、いつかも東京都知事と話をしたのでございますが、東京都を快適に、住みやすい環境を必ずつくってみせるという地方自治体東京都の意気込みもまた盛んなものがございます。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕  ただ私が、東京の一極集中をやめなければならないというか、一つの大きなあれは、果たして災害に耐えられる東京であるのかどうなのかということを考えますと、野方図に恐怖心をあおるわけではございませんけれども、地震エネルギーの蓄積が間違いなく行われているという学者の定説がございます。こういうものを考えてみますと、あとう限り一日も早く東京の防災という面から、災害対策という面から、東京の機能あるいは住民の移動、こういうものを、あるいはそのときの安全さを確保するためにどれほど空間を確保できるか、こういう問題に政府地方自治体も本気にならなければならないというのが第一点であります。  それから第二点は、東京に集中することは悪ではありません、むしろいいことかもしれませんけれども、それによって東京以外の地域の疲弊があってはいけない。雇用の場や生活の場が、行政水準の維持すらできないような状態になってしまってはいけないというこの二つの観点から、私は、東京の一極集中は弊害がある、こういう観点を持っているわけでございます。ですから、大きく分けて公と民間の二つの分野で多極分散型の国土形成のために一極集中を避けなければならない。その問題で遷都という問題も、これは極めて大きな問題でございます。  ただ、私が考えますことは、何もかも行政機能を移動する、それによって東京の過密というか一極集中を強引にとめればいいという乱暴な論陣を張ればそれでいいのでございますけれども、しかし政治や行政というのは何のためにあるかというと国民のためでございます。国民の不便さを助長するような方向で果たしてやれるのかどうなのか、それからどの程度我慢をすればいいのかどうなのか、こういう問題を考慮に入れないで遷都とか分都とか展都とかという問題を論ずることは、総論賛成であっても各論に至っては残念ながら国民の皆さん方が御不便になる、大変な出費を要する、こういうことになればなかなか言うべくしてできない問題ではないかという気が私はいたします。しかも、民間のエネルギーは集中のメリットを求めて東京に集中をする。確かに東京の場所がいいから集中をするわけでございますので、経済的な効率性や能率性、この問題を否定することは自由社会を否定することにもなりますので、この問題はこの問題として押さえなければならない。  ただ、東京でなければならない機能以外のものがあるはずだ。これは公の分野でも民間の分野でもあるはずでございます。ですから今言われているように、地方分権、いわゆる箱物の移転、機関の移転もさることながら、権限を移譲することによって地方分散ができるのではないかという議論が多うございます。現実そうでございますが、新聞に見られるように省庁の縄張り、縄張りという言葉がいいかどうかわかりませんが、それぞれの長い歴史と経緯を持った今までの仕組みでございますから、一朝一夕にしてこれを変えることはなかなか困難がございます。しかし、何と何を分権すればいいかというと、地方側も象徴的に地方分権と言っておりますが、何と何を欲しいのだ、これが実は地方自治体は千差万別でございます。市街地にあっては都市計画とか、あるいは市街化の進む地域の農地をどうするかという意味で農地問題とか、あるいは本当に専業農家を育てるための農地のあり方であるとか、そういう個々の要望があることは私も承知をいたしておりますので、私がよく申し上げます選択的分権論というのは、いわば地方画一的なものではなくて、それぞれの地域の抱える必要性に応じて分権ができないものかどうか、この問題を自治省にも勉強してくれ、各自治体にも何と何があるかメニューを出してくれということを今呼びかけしているさかなでございます。  なかなか言うべくして進みません。いら立ちを感ずるわけでございますが、長い間地方分権、いわゆる地方自治を育てるという原則論からの分権論と、もう一つ今この一極集中の弊害から多極分散型の国土を形成しなければならないこの緊急性のある問題、この二点から何とか必要な分権を行っていきたい。その必要な分権とは何と何であるか、早くそういうものの結論を見出してそのための努力をしてまいらなければならないと思っております。なかなか言うべくして難しい問題であります。  なお、この機会でございますから申しますが、確かに新聞を読んで私も腹を立てたこともございます。例えば地方分権で、国土庁は自治省おまえもかと、自治省すら分権論に反対であるというふうに書かれているのを見まして、私の今までの自治省の中で当たった感覚の中では、国土庁のつくった多極分散型国土形成法においてもっともっと地方分権を、努力規定、精神規定ではなくて具体的なものを織り込もうという努力自治省がしたことも現実でございますから、ここに新聞記者の方もおいでになりますけれども、新聞記事というのは当てにならないものだなということも、ただ問題指摘は正しいのでございますが、その中の一つ一つについては残念ながらそういうものが精査をされないで書かれているという嫌いもございますので、これは自治省のために弁解をしておきたいと思います。  それから補助率カットの問題でも、先ほども御提言をちょうだいしましたけれども、大蔵省からやり込められるのではないか。しかし考えてみますと、前回補助率の暫定措置を決めたのは法律事項でございますので、四十四の補助をこうやってカットする場合、法律によって決めたものでございますから、暫定期間が終了すれば自動的にこの法律をもう一回延長しない限りできないわけでございますので、地方自治を守る国会議員あるいは地方の関心の高まりを考えるならば、私の考え方と違って全く高まりがなければこれはまた別な問題でございますけれども、こういう問題の一歩前進の解決ができるのではないかという期待を持ちながら大きい壁に向かって挑戦するような思いでこの問題に取り組んでまいりたいと思いますので、御協力のほどをお願いいたし、答弁になったかどうかわかりませんが、お答えにいたしたいと思います。
  55. 草野威

    草野委員 非常に懇切な御答弁をいただきまして感謝いたします。今の御答弁を伺っておりまして、一、二申し上げたいと思います。  地方分権につきまして、この中身の問題につきまして、今までもいろいろと伺ってまいりました。この地方分権の中身をこれからどのように進めていくかという議論が国と地方の間でもっと高まるように、どうかぜひとも自治大臣としてお骨折りをいただきたい、これが一つです。  それから、東京一極集中も悪くない、こういうお話もある意味でおっしゃいました。そのことなのですけれども、東京一極集中の問題について、地震の問題等もありますけれども、都市問題と東京に集中している機能の問題、これはきちっと分けて議論をすべきじゃないかな、このように思います。  それからもう一点は、東京一極集中するために地方がだんだんと疲弊してきている、こういうようなお話がちらっとありました。これは逆じゃないかと思うのです。東京が栄えたから地方が疲弊したというよりも、地方が疲弊してそして何もすることがなくなったから東京へどんどん人が集まってきた。国鉄問題でも炭鉱でもいろいろな製鉄所でも皆そうですけれども地方で仕事がなくなってしまったから何となく東京へ人がだんだん集まってきた、こういうような考え方もあるのではないかと思います。  それからもう一つ、例の省庁の移転の問題でございますけれども、これもけさの新聞等を読んでおりますと、なかなかどうもうまくいかない。一体これでこの先どうなってしまうのかな、こういうふうに思いました。総理が音頭をとった問題で、これがもしうまくいかないとなると竹下総理が本当に大変なことになるのじゃないのかな、私はこういう感じがいたしますけれども、大臣としてはこの問題をどのように見ていらっしゃいますか。
  56. 梶山静六

    梶山国務大臣 一省庁一機関といういわば象徴的な文言でこの問題が発足したことは御案内のとおりであります。総理もよく述べられているように、佐藤総理時代でございましたか、一省庁一局削減という問題を提起された、いわばそれをスライドして一省庁一機関という文言にしたわけでありますが、必ずしも一省庁一機関というだけではなくて、どんな機関でも何か考えて知恵を出しなさいという意味での一省庁一機関というふうに理解をいただきたいと思うわけであります。  しかし、あえて国民に不便を強要しながらやれるかどうかという問題になりますと、なかなか問題があるということを私は先ほど前半申し上げたわけでございますけれども、今第一弾としてやれるものは、東京になくてもいい機能でしかも地方を担うもの、よく奥野国務大臣が言われるそのカテゴリーに属するもの、この問題を第一弾に出すわけでございます。しかし本来は政治、行政の機能をほかに移すことがスムーズにできるのかどうなのか、その問題を離れて部局のただ単なる移転だけで済むのかどうなのかという問題になりますと、残念ながら現実の手法としてはやむを得ないかもしれませんが、一部門を移すことによって、やがてその大きな運動が巻き起こる一つのきっかけにしたい、そういうことで竹下総理が提唱されているというふうに理解しておりますし、東京になくてもいいというか東京になくても済む機能は早く東京から分散をさせることによって少なくとも一助たり得る手法をとりたい、こういう考えでございますので、これからもこの問題の推進に閣僚の一人として当たってまいりたいというふうに考えております。
  57. 草野威

    草野委員 大臣のお考えはよくわかりました。いろいろなことをおっしゃいましたけれども、恐らくこの問題につきまして大臣は余り積極的ではない、こういうふうに思いましたけれども、ともかく閣僚の一員として頑張ってください。  それでは、次の問題に移りたいと思います。  自治省の発表でございますけれども、七日に実態調査の結果といたしまして、地方公務員メンタルヘルス研究会の調査結果が発表されております。これによりますと、現在地方自治体の各職場におきまして九〇%に上る職場で深刻な心の不健康、心の病といいますか、そういうものを抱えている職員がいらっしゃる。大変これはショッキングな調査結果が発表になっております。これによりますと、例えば心身症などを含めた広義の心の病というものだけではなくて、何という病名か、病名が決まらないで欠勤や遅刻を繰り返している、また酒を飲んでいろいろ問題を起こす病的な飲酒だとか、それから上司や同僚とけんかをしたり対立を繰り返す、こういう職場に不適応な職員、こういう人たちが全国の自治体の九割の職場にいる、こういうような調査結果が発表されているわけでございまして、私もこれを読みまして非常に驚きました。そのいわゆる心の病といいますか、不健康者、この人たちの年齢等を見てみますと、これから課長以上の管理職に昇進をしようという、その前の中年非管理職層に比較的多い、こういうようなことも調査結果として発表になっているわけでございます。地方自治体において中間職の中にあって非常に重要な立場にある人たちだと思います。こういう人たちがこのような心の病を持っている、そしてまた日常市民、住民との接触も非常に多い、大変これは憂うべきことではなかろうかと私は思います。  それで、お尋ねしたいことは、自治省でもつかんでおられるかどうかわかりませんけれども、全国の自治体の中でこういうような方々、職員は大体推定どのぐらいいらっしゃるのか、また原因についてはどういうことを考えておられるのか、また今後の対策としてどういうようなことをこれからやろうとされているのか、そこら辺のところをあわせてお尋ねをしたいと思います。
  58. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答え申し上げます。  今回、先生指摘のように、地方公務員メンタルヘルス研究会から地方公務員のメンタルヘルスの現状と問題点に関する調査報告書が出されたところでございまして、お話にもございましたように、その調査した団体の九割の中にそういう該当者がおるという報告が出ておるわけでございます。  私どもがこういう調査をいたしましたのは、現代のような社会経済環境、非常に急激かつ複雑に変化する時代にありまして、メンタルヘルスといいますか心の健康といいますか、この問題、社会的にも非常に重要になってきておりまして、地方公共団体におきましてもこの問題への取り組みというものが大変重要になるというふうに思ったこと、また民間にもそういったような調査もなされておるといったようなこともございまして、私どもといたしましてもこういう研究に取り組んだわけでございます。  今お話がございましたけれども、全体でどのぐらいおるかというのはまだちょっとよく把握できていないわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども今回の調査を見てみますと、こういう心の不健康者に対する担当部門の関与の仕方、アプローチの仕方ということが非常に難しいといったようなこと、それから専門家とかスタッフというものがなかなかいないといったようなこと、それからまたそういうメンタルヘルスに対する重要性というものへの職員の方々の認識というものも少し涵養していかなければならぬのではないかなといったようなことが挙げられるわけでございますが、いずれにいたしましても、こういう社会環境の急激な変化の中での人間性というものを確立していく、こういうことになるわけでございますが、この研究会の報告でも、職員のメンタルヘルスに対する認識を高めていく必要がある、また管理監督者等による予防、また早期発見、早期対応ということも必要だ、さらには精神面の健康管理体制の整備というものが今後の検討課題ということで挙げられておるわけでございますので、私どもといたしましても、その重要性にかんがみまして引き続きこの研究会を開催いたしまして、具体的なその対策につきましてこれからさらに研究をお願いいたしまして、またその成果地方団体に伝えていきたいというふうに考えておるところでございます。
  59. 草野威

    草野委員 では次に共済年金改定問題についてお尋ねをしたいと思います。  この共済年金の六十三年度の改定につきまして、今回は〇・一%という改定でございますけれども、これはどういう理由でこういうふうになったのかお尋ねをしたいわけでございます。昭和六十二年度、昨年の場合は老人や障害者等に対して適切な配慮をするという観点から年金額の実質的な価値を維持する、そのために六十一年の物価上昇率の〇・六%を基準として特例として年金改定を行った、こういうことですね。昨年の場合の例からいくと、高齢者や障害者等の生活水準を維持するという観点から〇・六%の改定だったのですけれども、ことしは〇・一%の改定、こういうことなんですが、果たしてこういうことでその生活水準を維持することができるのかどうか、生活水準を維持するに値するものかどうか、この点はいかがでしょうか。
  60. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいま御質問ございましたように、今回の改定の理由も昨年と同じ考え方に立つものでございまして、お年寄りや障害者に対して適切な配慮をするという観点から、その年金額の実質的な価値を維持するということで改定を行ったわけでございますが、今回も昨年と同様、基礎年金厚生年金、それから国家公務員共済年金と同じ立場で六十二年の物価上昇率を基準として改定を行おうとしておるところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  61. 草野威

    草野委員 この地共済の一人当たりの平均の年金額、これは六十一年度末で百九十八万三千八百六十四円、これで間違いありませんね。そうすると、今回〇・一%改定したとしても年間でどれくらい上がるか、一年間でわずか千九百八十三円しか上がらないわけですね。月額に直すとわずか百六十五円しか上がらぬ。間違いないでしょう。百六十五円というのは大臣、たばこ一個買えないわけです。これで年金改定した、そしてこれは高齢者、障害者等の生活水準を維持するんだ、ちょっとこれはどうも、そうですかと素直に言えないですね。六十二年度の物価水準、これは六十一年と比較して〇・一%ということですね。だけれども、六十二年度の物価動向、消費者物価動向、これは〇・五%ですよね。最近ごく低いと言われたベースアップでも三・六%、七千九百八十八円、こういうふうになっているわけですね。そういう中で今回のこの〇・一%の改定というのは果たして生活水準を維持するに値するものかどうか、私はその点非常に疑問に感じるわけです。  それからもう一つは、国民の生活水準賃金等を考慮に入れた政策改定、これは五年ごとに行われるわけですね。五年ごと財源率の再計算のときまでこれはもう絶対に行わない、そういうことなのでしょうか。
  62. 芦尾長司

    芦尾政府委員 ただいまお話ございましたが、法律上は、消費者物価変動率が五%を超える場合にはその比率を基準として政令で改定を行う、自動改定が行われるということになっているわけでございます。しかし、今回〇・一%でございますから昨年に引き続きまして五%を下回ったわけでございますが、先ほども申し上げましたような趣旨改定を行ったということで御理解をいただきたいわけでございます。そして物価上昇率でございますけれども、六十二年の一—三月が低かったといったようなこともあるわけでございまして、そういうことで〇・一%になっておるわけでございます。  そこで私どもといたしましては、この今回の改定につきましては地共法七十四条の二の規定特例ということで改定を行おうとするものでございます。ただいまお話ございましたように、次期計算時にまた全体としての見直しはしていかなければならないということになろうかと思うわけでございます。
  63. 草野威

    草野委員 そういう御説明はそれはそれなりに理解できないわけじゃないのですけれども高齢者、障害者、こういう人たちにとって年金に頼る比率というのは非常に多いわけですね。しかも預貯金の利子収入に対してどうしても依存せざるを得ない、こういう状況だろうと思うのですね。しかし最近の金利は御存じのようにどんどん安くなっている。しかもマル優も四月から廃止になって金利に対しても今度は税金がかかってくる。また、つい先日審議を終わったばかりですが、固定資産税も平均して約一〇%は上がっているわけですね。そういうことをずっと見た場合、この共済組合法の目的にありますけれども地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する」という趣旨からすれば、やはり政策改定もあわせて行うべきじゃないかな、このように思いますがいかがでしょうか。  それからもう一つは、まあ大体答えはわかっていますけれども政策改定の余地があり得るとするためには具体的にはどの程度の賃金改定があればいいのか、その基準はどうなっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  64. 芦尾長司

    芦尾政府委員 今回の改定でございますが、先ほど申し上げましたように自動改定規定の率には至らないわけでございますけれども厚生年金国民年金と同様の取り扱いということで、〇・一%でありましても実質的な価値を減らさないという配慮から今回の改定を行ったということで御理解をいただきたいわけでございます。  それから後段の御質問でございますけれども、一条の二で書かれておる規定につきまして、具体的に何%であればどうということにはならないのではなかろうかと思います。
  65. 草野威

    草野委員 次に、恩給関係についてお伺いをしたいと思います。  まず、今回の恩給改定率が一・二五%になっておりますけれども、その根拠はどういうことでしょうか。
  66. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 恩給のベースアップにつきましては、過去長年にわたりまして公務員給与の改善率に準拠して行ってまいったわけでございます。しかしながら、先般の公的年金改革によりまして各公的年金物価スライドで統一されたということから、恩給につきましてもこれとのバランスという点から見直す点はなかろうかということで検討をいたしたわけでございますが、恩給は国家補償を基本とする制度でございまして性格がまず公的年金とは違う、さらに実態面におきましてもいろいろ特殊性がございますので、恩給改定公的年金と全く同じにするわけにはまいらない、しかしできるだけのバランスをとるようにしようということから、恩給スライドの基本原則を書きました恩給法二条ノ二という規定趣旨に基づきまして、公務員給与あるいは物価その他の諸事情を総合勘案して改定率を決めていくという方法昭和六十二年度からとるようにいたしたわけでございます。  六十三年度、本年度も同じような考え方に基づきまして、公務員給与の改定率が昨年本俸改定率で一・四六%でございました。また昨年末の予算編成時点におきます六十二年の暦年の物価上昇率が見通しで〇・二%でございました、これは確定値は〇・一になりましたが。そのような諸事情を総合勘案いたしました結果、一・二五%の改定をやらしていただいた、こういう経緯でございます。
  67. 草野威

    草野委員 今のお話の中で総合勘案方式、こういうようなお話でございました。それはそれなりに理解はいたしますけれども、この一・二五%と小数点二けたまで出ているわけですね。そういうものを伺いますと、やはり何か一定のルールというものがあるのじゃないかなというふうに思うのですけれども、そこら辺のいわゆる基準というのですか、これがいま一つはっきりしないような感じがするのですね。そこら辺のところをもう一回ひとつ御説明をいただけたらと思います。  それからもう一点、老後の所得保障、これは年金の機能面でございますけれども、これは恩給もそれから公的年金も共通するところでございますね。そういうところから見ると、恩給スライドあり方についてやはりこれは見直しをすべきじゃないかな、こういうような感じもするわけでございますが、この二点をあわせてお答えをいただきたいと思います。
  68. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 改定率算出のいわゆる算式でございますが、これは定着した方式というものはまだ見出しておりません。本年、先ほど申し上げたように二回目のこの方式でございますので、私どもももう少しこの方式を積み重ねることによりまして恩給改定のあるべき姿というものが見出し得るのではなかろうか、正直このように考えておるところでございます。  それから第二の、恩給の機能という点から見まして、確かに老後の所得保障という機能面に着目いたしますと公的年金と共通した一面はあるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり恩給は国家補償という性格の年金制度、これはいわば国の損失補償と申しますか、損害賠償と申しますか、そういう性格の機能を持っておりますために、やはり公的年金の場合と全く同じスライドあり方が適当かどうかということにつきましては非常にいろいろな議論があるわけでございます。私どもも、今後ともそのようないろいろな御意見を踏まえながら勉強を続けていくつもりではございますが、現段階におきましては、この総合勘案という方式を今後も続けてまいりたいと思っているところでございます。
  69. 草野威

    草野委員 もう時間がありませんので、最後に大臣にこの問題でお尋ねをしたいと思います。  今総務庁の方から御答弁いただきましたけれども、国家補償という性格からいえば年金と比べて改定率に格差があるのもやむを得ぬじゃないか、こういうような趣旨の御答弁だったのですけれども、現在恩給共済年金改定率を見てみますと、六十二年は恩給が二・〇%、年金が〇・六%、ことしは恩給の方が一・二五%で年金が〇・一%です。この二年間で両者の間でどのくらい開きがあるか、どのくらいの格差があるかというと、この二年間で二・五五%の格差が出てしまうのですね。  そこで、僕がただこれはけしからぬと言っているのではしようがないのですけれども審議会できちっとした答申が出ているわけですね。ことしの二月三日、それからことしの二月八日、地方公務員共済組合審議会社会保障制度審議会答申、両方出ておりますけれども恩給スライドあり方として「恩給改定率共済年金改定率との間に格差が生ずることは問題であり、」とはっきり言っておりますよね。だから、やはりこれは何らかのルールといいますか見直しが必要ではないか、このように思うのですけれども、最後に大臣からこの点についての御答弁をいただきたいと思います。
  70. 梶山静六

    梶山国務大臣 先ほど安田委員にもお答えをいたしましたように、共済年金恩給と異なり社会保険方式で運営をされ、また公的年金制度の一環として位置づけられているものでございます。このような観点から、共済年金額の改定方式についても、昭和六十年の公的年金制度改革において基礎年金制度が導入されたこともあり、これまでの恩給に準じた方式から基礎年金及び厚生年金年金額改定に準じた物価スライド方式を基本とすることになったところでございます。今回の改正についても、基礎年金厚生年金等他の公的年金制度における措置に準じ、昭和六十二年の物価上昇率を基準として〇・一%の改定を行うこととしております。これについては公的年金制度全体の整合性を図る観点から御理解を願いたいと思います。  なお、恩給改定率共済年金改定率が異なることについては、社会保障制度審議会国家公務員等共済組合審議会及び地方公務員共済組合審議会においても恩給スライドあり方について公的年金との均衡を考慮すべき旨の答申がなされていることでございますので、どうかひとつ御理解をいただきたいのは、今下がることは現実いいことではございませんけれども、何とか恩給の方がこちらに歩み寄ってもらうこれからの方向がむしろ示唆をされているわけでございますので、御理解をちょうだいをしたいと思います。
  71. 草野威

    草野委員 努力をしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  72. 松本十郎

    松本委員長 岡田正勝君。
  73. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まず第一に、公的年金制度につきましては、御承知のとおり、昭和五十九年二月二十四日の閣議決定及び先般の長寿社会大綱において、昭和七十年を目途としてその一元化を行うという政府の方針が決定されております。その一環として昭和六十年の一連の年金制度改革が行われたわけでありますが、今後本格的な高齢化社会の到来を控えまして、公的年金一元化について、各党からも御質問がございましたけれども、改めて、自治省はどのような見解を持っていらっしゃるか、御説明を願いたいと思います。
  74. 梶山静六

    梶山国務大臣 昭和六十年には地方公務員共済組合制度を含む各公的年金制度において基礎年金の導入等かなり徹底した制度改正が行われており、自治省としては、これにより所期の一元化の目的、言いかえれば給付負担公平化は相当程度達せられたものと考えております。  昭和六十一年度以降には、この改革成果を踏まえ、公的年金制度一元化に向けてさらに制度調整を進めることとしており、現在、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会等において検討を進めているところでございます。検討に当たりましては、昭和七十年に公的年金一元化するという政府の方針を再確認するとともに、一元化に向けての課題、手順等を明らかにしながら、昭和六十四年度の次期財政計算時に地ならしできるものは地ならしをするということを申し合わせておる次第であります。  一元化の意味については、統合と言わず一元化と言っているところでもあり、制度の沿革の違いなども重要な問題として認識しなければならないところから、自治省としては一元化の過程において地方公務員共済組合制度は堅持し得るという方向で対処したいと考えておる次第でございます。
  75. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 公的年金一元化を進めていくためには、公立学校共済組合及び警察共済組合が早急に地方公務員共済組合連合会に加入する必要があると考えるのであります。両共済組合の連合会への加入の問題は一体どのようになっておりますか。両組合が連合会へ加入しないという理由は一体何でありますか。
  76. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答えします。  昭和五十九年に地方公務員共済組合連合会を設立いたしました際に、すべての地方公務員共済組合が加入することが望ましいが、さしあたり制度や構成員に特性のある警察共済組合公立学校共済組合以外の八十九共済組合によりまして連合会を組織したものでございます。自治省といたしましては、この連合会が設立された趣旨からいいましても、両共済組合もできるだけ早期にこの連合会へ加入していただくことが望ましいというふうに考えております。さきの昭和六十年の制度改革の際にもその旨関係省庁等に申し入れを行ったところでございますが、この時点で両共済組合の加入を見るには至らなかったという状況になっております。  しかし、六十年十二月、第百三回国会の地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に関する審議の際に、当時の文部大臣からは、公立学校共済組合も連合会に加入する必要があり、精力的に関係者を説得して、協議をして、連合会加入に向けて努力をしていきたいという旨の御答弁がございました。また、警察共済組合につきましても、警察庁としては早期に加入することが望ましいと考えておるので今後とも関係機関との協議を尽くしてまいりたいということで、定性的には両組合も加入したいという御意向は表明されておるわけでございます。  両共済組合につきましては、これらの趣旨に沿って連合会への早期加入に向けて鋭意関係者の協議検討が進められておるというふうに思うわけでございますが、自治省といたしましても、文部省、警察庁との間で引き続き協議を行っておるところでございまして、できる限り速やかに加入が実現するように今後とも努力してまいりたいというふうに存じております。
  77. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大変努力をなさっていらっしゃる。それから、加入したい、加入することが望ましい、大体意見が一致しておるのでありますが、この行方ですね、見通しはどんなものですか。
  78. 芦尾長司

    芦尾政府委員 今私ども協議を重ねておるわけでございますが、一つのポイントといたしましては、やはり次期財政計算期までにこの問題を解決していかなければならないのではないかなというふうに考えておるところでございまして、それが一つのポイントになるのではなかろうかなという……(岡田(正)委員「年度で言うてください」と呼ぶ)六十四年の十二月でございます。
  79. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先ほど御質問があったことでございますけれども、当局からそれを確認する回答がありませんでしたので、再度質問をいたしておきたいと思いますが、今回の改正の対象となる年金受給者の数、それから一人当たりの平均増加額、それから改定を行うことによりまして増加する全体の費用、これは幾らになりますか。
  80. 芦尾長司

    芦尾政府委員 今回の年金改定の対象となりますのは、昭和六十二年度末までに発生した年金の受給権者百二十一万七千人でございますが、そのうち昭和六十年の地方公務員共済年金制度改正前に支給を受けていた年金額を保障されておられる方、いわゆる従前額保障の適用を受けておられる方でございますが、この方が五十三万五千人程度見込まれておりますので、実際に年金額が増加することになる者はおよそ六十八万二千人余と見ております。また、一人当たりの平均増加額は約一千八百円程度になるものと見込んでおります。  また、この改定により増加する給付額でございますが、従前額保障の適用を受ける者以外の方々の年金額の総額ということになりますが、これが一兆一千二百六十二億円ということになりますので、その〇・一%増加ということで、平年度ベースではおよそ十一億三千万円ほどになるのではなかろうかと見込んでおります。
  81. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方公務員共済組合法第七十四条の二におきまして、消費者物価指数が五%を超えて変動した場合には年金額改定することとされております。今回、消費者物価指数の対前年度上昇率が〇・一%であっても年金改定を行うということであるならば、地方公務員共済組合法のこの本則を改めるべきではないか、すなわち本則の五%そのものを変えるべきではないかと私は考えるのでありますが、いかがでございますか。
  82. 芦尾長司

    芦尾政府委員 昭和六十年の法改正で、地方公務員共済年金年金額改定につきましては、消費者物価の変動率が五%を超える場合に、その変動に応じた比率を基準として政令で改定を行うという自動改定規定が置かれたところでございまして、御承知のとおりでございますが、国民年金厚生年金及び他の共済年金と取り扱いを同様にいたしておるというところでございます。この考え方は、消費者物価の変動率が五%を超えて動いた場合に改定措置を講じなければならないというものでございまして、五%以下の場合には諸般の事情を総合的に考慮して判断するということになるわけでございます。今回は、年金の実質的な価値を維持する、そしてお年寄り、障害者の方々に対する適切な配慮をする、そういう観点から、国民年金厚生年金等他の制度の取り扱いをも参酌した上で、これらの制度と同様の改定を行おうとするものでございます。  そこで、御指摘の五%という基準でございますけれども、これは昭和四十八年に厚生年金保険において物価スライド制が導入された際から設けられておるものでございますが、その水準につきましてはいろいろ御議論もあるやに聞いております。昭和六十年の公的年金制度全体の改革において、すべての公的年金制度について共通の基準とされたものでございますが、なおこの基準のあり方につきましては、今後における物価の動向や年金改定措置等を踏まえながら、他の公的年金制度との関係も勘案しつつ検討してまいりたいというふうに存じております。
  83. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 昭和六十年の年金制度改革の際、地方行政委員会附帯決議におきまして、恩給制度についても公的年金制度改正を踏まえて検討を加えることとされております。今回、恩給については給与スライドに基づき一・二五%の改定を行うこととされておりますが、地方公務員共済年金制度との間のバランスがとれていない、これは先ほど御質問がございましたが、アンバランスがある。この恩給に関するその後の検討状況は一体どうなっておるか。総務庁、お答えください。
  84. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 公的年金改革関連いたします恩給見直しにつきましては、当委員会附帯決議、その他臨調答申等からも御指摘を受けておりまして、私どもも真剣に検討をいたしたわけでございますが、先ほども申し上げたとおり恩給は国家補償的性格の年金制度でございまして、相互扶助の精神に基づきまして保険数理の原則によって運営される公的年金とは、その基本的な性格が違うという点がまず第一点でございます。  それから第二点が、恩給は全員既裁定者でございまして、今後新規参入ということがない制度であるという特殊性がございます。さらに、その受給者二百八万四千人中、百九十七万二千人が軍人恩給あるいはその遺族の恩給でございまして、約九五%をその軍人恩給が占めておるわけでございます。さらに平均年齢も七十二歳、文官の恩給で見ますとこれは八十歳でございます。このように非常に高齢化いたした年金制度でございます。  そのような特殊性を考えますと、このたび公的年金でおとりになったような抜本的な仕組みの変更ということは適当ではないんじゃなかろうか。しかし、その機能面に着目いたしました場合に、公的年金と共通する面もあるので、年金価値維持の方法につきまして何か検討すべき余地はなかろうかということで検討いたしたわけでございますが、その結果、従来の給与スライドというものを公務員給与あるいは物価等の諸事情の変動を総合勘案するという方式に切りかえまして、六十二年度から実施しておるというのが現状でございます。
  85. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは一つ注文をつけておきますが、今の恩給共済年金とのアンバランスですね、これは何度お聞きしましても、国家補償的な性格がある、それから今のような社会保険制度の運用に基づいて行う年金とはちょっと性格が違うというようなことについて、ある程度うなずけないことはないのでありますけれども、これを全面的に了承できるような状況ではないと思います。したがって、今後この問題についてはひとつ十分真剣な検討をされて、アンバランスができるだけ縮まるように努力をしていただきたいと私は念じておるのでありますが、大臣いかがでございますか。
  86. 梶山静六

    梶山国務大臣 懸命に検討を重ねながら、このアンバランスの解消に努めてまいりたいと考えております。
  87. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 共済年金の職域年金相当部分水準については、去る六十年十一月の大蔵委員会において、人事院の意見等を踏まえ一両年に検討を行って結論を出すと当時の竹下大蔵大臣答弁されているのであります。  そこでお尋ねするのでありますが、その後の検討状況はどうなっているのでありましょうか、人事院。
  88. 千葉真一

    ○千葉説明員 国家公務員の共済年金の職域相当部分水準等あり方につきまして、基礎資料を得るため、民間企業におきます企業年金制度の実態、退職公務員の生活実態、諸外国における年金制度等について調査を行うなど必要な調査研究を行っており、現在集計、分析等を進めているところでございます。
  89. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さて、それでは民間の企業年金状況はいかがなっておりますか。
  90. 千葉真一

    ○千葉説明員 民間企業年金につきましては、その制度及び実額についてその実態を把握するため調査を実施し、現在その結果を集計、分析中であり、確定数字は持ち合わせてございませんが、企業規模百人以上の企業では六十一年春の時点で五〇%少々、六十二年春の時点ではほぼ六〇%の企業が企業年金制度を導入しております。また、厚生省等の調査で見ても企業年金の普及状況は増加傾向にございます。  さらに、企業年金の将来につきましては、企業の責任者は企業年金制度をより充実させたいと考えており、企業年金の導入企業が毎年ふえ続けていること等考え合わせますと、現時点では経過的な時点と受けとめるべきであり、いまだ流動的な状況にあるのではないか、かように考えております。
  91. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の企業年金のことでだめ押しをしておきたいと思います。  集計、分析中であるということでありますから、ほどなくその調査の結果が出るのであろうと思いますが、いつごろ出ると考えていいのでしょうか。
  92. 千葉真一

    ○千葉説明員 民間におきます企業年金制度は、非常にいろいろな種類がございます。また、その内容も非常に複雑な制度になっております。一応、各企業の協力を得まして調査そのものは終了しておりますが、その集計等につきましてはなお時間をいただきたい。クロス集計等大変でございますので、いつごろ集計できるかということは、もうすこしお時間をいただきたいと思います。
  93. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次の法案が出るまでにはどうですか。いわゆる六十四年、六十五年にかけて次の法案を、年金改正の問題が当然問題になってくるでしょう。
  94. 千葉真一

    ○千葉説明員 本件につきましては、さきの内閣委員会で御審議いただきまして、その際に、人事院の調査、いわゆる企業年金等の普及状況等の調査研究につきましては非常に慎重を期すべきであるというような附帯決議をお受けしております。そのような国会の御議論等も踏まえまして、企業年金そのものが非常に流動的な状況にあるということも踏まえまして、時期等につきましては遺漏なきを期したい、こう思っておる次第でございます。
  95. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に、先ほど検討状況の御説明がありました中に、諸外国のというのがございました。そこで、諸外国の公務員の年金状況を調べることが一つの目標になっておりますけれども、それはどうなりましたか。
  96. 千葉真一

    ○千葉説明員 諸外国におきます公的年金制度、それから公務員の退職年金制度等の実態を把握するため十五カ国につきまして通信調査を行い、さらにその中の主要国につきましては実地調査及び追加通信調査を行うなど、より詳細な調査を実施し、現在その結果を取りまとめ中でございます。
  97. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今三つの問題について、当時の竹下大蔵大臣答弁された一両年中に検討するということについての問題点のお答えがございました。  さて、その結論をお出しになる約束の時期というのは、六十年十一月から勘定いたしますと、一両年ということは六十二年の十一月でございまして、もう既に昔のことでございます。今は昭和六十三年と相なっておりますが、約束の時期が過ぎておるということは明確であります。いつごろこの結論をお出しになりますか。
  98. 千葉真一

    ○千葉説明員 共済年金の職域相当部分あり方検討につきましては、民間の企業年金がかなり流動的な状況にあることから、その動向につきましても十分考慮するとともに、さきの衆議院内閣委員会において附帯決議がなされていることもあり、国会における御議論をも踏まえまして、その時期等につきましては遺漏なきを期したい、かように考えておる次第でございます。
  99. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれで質問を終わらせていただきますが、ともあれ公務員の皆さん方の共済年金改定が、これは厚生年金もそうでありますけれども恩給の方で一・二五%、そしてこの公務員共済等を含めましてその他は皆〇・一%、まことに開きが大きいな、十二倍違うのですからね。余りにもアンバランスがひど過ぎてお気の毒だなということを痛切に感じておるのであります。  大臣、このことについて、私どもが何かしらぬ、えこひいきと言ってはおかしゅうございますけれども、国家補償という性格がありますからそういう言葉は使えませんけれども、大変なアンバランス、十二倍も違う。こんなことをいつまでもほっておいてはならぬぞというので、この審議について非常にもやもやした気分で審議に参加しておりますので、そのことについて大臣の感想を最後に伺って、終わりたいと思います。
  100. 梶山静六

    梶山国務大臣 それぞれのよって立つ経緯があり、論拠があることとは思っておりますけれども、いずれにしても、私もさほど大きな差があることは望ましい姿とは思っておりませんので、先ほどお答えをしたように十分検討してまいりたいと考えております。
  101. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  102. 松本十郎

  103. 経塚幸夫

    経塚委員 最初に年金額の引き上げ問題についてお尋ねをしたいと思っております。  これは先ほども御質問がございましたけれども高齢者、障害者の生活の実態を考えてとおっしゃいますけれども、一カ月百円玉二つにもならぬ、百円玉一つとあとは十円玉で勘定しなければならぬというようなことで、これはどうも合点がいかぬですね。私は前回、昨年の〇・六%のときもお尋ねをしたのですが、地方公務員共済組合法一条の二「年金である給付の額は、国民の生活水準賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。」なぜこれが適用されないのか。  恩給の引き上げ率が一・二五%、人勧一・四七%、民間賃金が三・六%。大臣は先ほどの御答弁で、恩給がこっちに近づいてくれればと言ったけれども、これはあきまへん。それやったら下げるということになりまんのやから、恩給は。御答弁なさっているように、国家責任というものは明確にされておるわけですから性格が違う、こういう御答弁もあったわけでありますが、向こうを下げてこっちへ近づきなはれというのは、それは逆説だと思うのですよ。だから生活水準賃金、そういうものの実態を踏まえということならば、これは当然一条の二が適用されなければならぬのですが、これは死文化しているのですか。死文化されたのですか。修正でわざわざ「賃金」と入れたわけでしょう。死文化しているのか生きているのか、その点はどうなのですか。     〔委員長退席、片岡(武)委員長代理着席〕
  104. 芦尾長司

    芦尾政府委員 改定率の問題でございますが、共済法第一条の二によりまして、国民の生活水準賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には改定の措置が講じられなければならないとされておるわけでございますが、これにつきましては少なくとも五年に一度の財政計算ということもあるわけでございますから、そのときに厚生年金や他の共済年金等の取り扱いも見ながら、それらの諸事情を総合的に勘案いたしまして、その基本となります平均給料月額の再評価について検討をしていく、そうすることによってこの一条の二にこたえるというふうに考えておるわけでございます。
  105. 経塚幸夫

    経塚委員 そうすると、その一条の二の適用は再計算のとき、五年に一回初めて適用される、こう解釈してよろしいのですか。
  106. 芦尾長司

    芦尾政府委員 毎年の改定につきましては、御承知のように地共法の第七十四条の二の規定、五%を超えた場合の自動改定規定があるわけでございまして、今回の場合はその自動改定規定には当たらないけれどもやはりその実質価値を維持したいということで、消費者物価上昇率は〇・一%でございましたけれども、これを基準といたしまして政策的に改定を行おうとするものでございます。     〔片岡(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 経塚幸夫

    経塚委員 一条の二は五年に一回、それはどこに書いてあるのですか。
  108. 芦尾長司

    芦尾政府委員 少なくとも五年に一回改定するというふうになっております。
  109. 経塚幸夫

    経塚委員 いや、どこに書いてまんねと聞いておる。
  110. 芦尾長司

    芦尾政府委員 失礼いたしました。  私どもとしては、財源率を再計算するというのが少なくとも五年に一回ということになっておるわけでございまして、一条の二が五年に一回ということではございませんが、財源率の再計算を少なくとも五年に一回することによってこの一条の二にこたえていこうというふうに考えているわけでございます。
  111. 経塚幸夫

    経塚委員 そやから、それはそっちの勝手な解釈だがな。一条の二の適用は五年に一回財源率の再計算のときに適用すると書いてあれば別ですが、どこにも書いてありませんがな。それで、財源率の再計算のときにこれを適用——適用というのもおかしいですね、五年に一回とは書いておらぬわけですから。それを考慮に入れてという範囲のことでしょう。だから、一条の二を適用いたしますとあなたの方も断言はできないわけでしょう。何も法文上はないわけですし、そちらの解釈でそういうふうに思っているわけですから。  そこで大臣、ちょっとお尋ねをいたしますが、五年に一回と言ったらどないなるのですか。六十歳の人は六十五歳だ、六十五歳の人は七十歳だ、七十歳の人は七十五歳だ、これは言わぬでもわかっておりますけれども、年をとるほど単位がだんだん狭まってきますよ。十年一昔というのはまだ若いうちのことだ。もう六十から六十五になり、七十になれば、十年単位では計算できぬようになります。十年が五年になり、三年になり、ああ三年間よう生きたな、こうなってきます。それが一年になり、それでもう八十歳、九十歳になったら  一日単位だ、あした生きられるかどうかというような。そういうものが五年に一回というたらどないなりまんね。これは期待権あるいは権利の剥奪になりますよ。遺族年金で、それは五年に一回の財源率計算のときに見直しをされて渡りますじゃないかと言うけれども、それはあくまでも遺族だがな。五年に一回のサイクルだったら、これは期待権を剥奪されることになりますよ。その点はいかがお考えですか。ましてや法令にも明文化されておらない、勝手な解釈ということなんですからね。やはり一条の二を私は正々堂々と公正に適用すべきだと思いますが、その点はいかがですか。
  112. 芦尾長司

    芦尾政府委員 御質問でございますけれども、私どもといたしましては、年々の消費者物価上昇率というものを十分に勘案して、五%を超えるに至らないけれども、これは年金の実質的な価値を維持するという観点で政策的に改正を行おうとしておる、そういうことでこたえていきたいというふうに考え、これはまた公的年金制度全体の問題としてそういう対応をしていくということで、地方公務員共済制度につきましてもそういうふうにしていきたいということで、今回もそういう措置を講ずるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  113. 経塚幸夫

    経塚委員 大臣、物を言いませんのか。それは僕が何回も言っていますように、幾ら財源率の再計算を五年に一回やりますと言ったところで、それは筋が通らぬのですよ。一条の二の適用が大原則なんですよ。あと消費者物価の問題とか云々とかいうのは特例的なことであって、大原則は一条の二のはずなんですよ。これは当然やるべきなんですよ。その点について後でまた大臣に対する質問もありますから、それと関連して、そのとき大臣ひとつ答えてほしいと思う。  それで、次にお尋ねいたしますが、従前額保障者ですが、これは六十三年三月三十一日現在で地公共済、それから連合会関係、それぞれ率にして何%ぐらいになりますか。それから、昨年の率はどれぐらいですか。
  114. 芦尾長司

    芦尾政府委員 従前額の保障者でございますけれども、今回の改定において、改定後の年金に比べ既に支給されている年金が高い者で、いわゆる従前額保障該当者は、地方公務員共済組合の連合会ベースで二十一万一千人、それから地方公務員共済組合、これは公立学校、警察も含めるわけでございますが、全体で五十三万五千人と見込んでおります。  それから、年金受給者全体に対する割合は、それぞれ三二・一%、四四・〇%ということになっております。これを前年で見てみますと、前年は地共連で二九・五%、三二・一%に対して二九・五%でございます。全体では四四%に対しまして前年が四一%、そういうことでございます。
  115. 経塚幸夫

    経塚委員 これはどういうことでふえていっているのですか。今回の改定でもその恩典に浴さない人が、連合会関係では二九%が三二%とふえているのでしょう。池公共済関係では四一%が四四%とふえているのでしょう。これはどういうわけでふえているのか。  それから、来年、再来年とこれは減っていくのかふえていくのか、その点はどうなんですか。
  116. 芦尾長司

    芦尾政府委員 昨年に比べまして従前額の保障者がふえておる原因でございますけれども、新規の年金裁定者が昭和六十二年度には推定で約八万人ぐらいふえるということでございますが、これらの者のうちでいわゆるみなし従前額保障の適用を受けておる者の数が多い。一方で、昨年の従前額保障を受けている者で失権した者、また今回の年金改定率が〇・一%であることによりまして従前額保障を受けることがなくなる者、それに比べましてその方が多かった、そういうことで増加しておるというふうに見ております。  今後の状況でございますけれども、これは従前額保障をされておる方々の通年ルールに基づきました計算がどこで追いついていくかということになるわけでございまして、今後の年金改定率等とも関連がございまして、ちょっと私の方で今ここでどうだということは申し上げられないと思います。
  117. 経塚幸夫

    経塚委員 結局は引き上げ額が低いということもこれは当然関連していると私は解釈しているのです。  それで大臣、わずか〇・六とか〇・一%とかいう本当にスズメの涙どころかノミの涙ぐらいです。これの引き上げの対象にもならないという人の数が、今説明がありましたように地公共済全体では去年の四一%からことしは四四%ですから、これはふえている。来年はまたふえるだろうと恐らく予測されるのですよ。四割を超しておるのです。これは今回私どもへも陳情がありましたし、抜本改正のときには停止すべきではないという陳情もるる行われた。それで先ほどこの点は大臣明確な御答弁がなかったので再度私はこれをお尋ねしたいのですが、六十年十一月二十一日の古屋自治大臣の御答弁会議録によりますとこう言っているのですよ。「この停止の期間もできるだけ少なくするように考えていくべきであるという考え方は私もしておりますので、将来の問題として私も十分検討させていただきます。」こう答えておる。もうそれは検討の対象には一たん改正した以上はなりませんよとおっしゃってないのです。期間は短縮すべきだ、同感だ、それで将来検討させていただきます。将来という以上は、五十年先も将来なら百年先も将来、しかし二年、三年先も将来ということになるわけでありますが、当時の古屋自治大臣の御答弁は生きているのですか、それともこれはなしということですか。
  118. 芦尾長司

    芦尾政府委員 当時そういう御答弁もしておると存じますが、いずれにいたしましても、その後の年金率の改定等の状況等にもよりまして、今現在ではなかなかこの従前額保障につきましてスライドを講じていくというのは年金制度全体にも関係する問題でございますので難しい問題であるということで、この趣旨は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  119. 経塚幸夫

    経塚委員 いやいや、難しい問題でありますと言ったって古屋自治大臣のときには検討しますよと言って答えています。それですから、いや答えておるけれども検討しないということなのか、答えておりますから検討いたします、こういうことなのか、どっちなんですか。自治大臣に関する御答弁について私はお尋ねしておるのですから、そこは大臣いかがですか。
  120. 梶山静六

    梶山国務大臣 残念ながら不勉強で前の経緯をよく承知いたしておりません。やはり指摘をされれば勉強しなければなりませんから、今後検討してまいりたいと考えております。
  121. 経塚幸夫

    経塚委員 不勉強で前の自治大臣答弁は見ておらぬと言われれば、それは不勉強だなということしか言いようがないということになります。しかし、全体の年金受給者の中で停止されておる人が一割とか、それでかなり高額な人だとかいうような場合は別ですけれども、四四%、しかも去年よりふえてきている状況ですから、少なくともどの程度の年金受給者、それで全体の受給者の何割ぐらい、そしていつをめどに、期間をどれだけ短縮をするのかというようなことについては、これは改正後経過をしてきて今日そういう事実がはっきりしてきておるわけですから、めどを立てるべきだと私は思うのですよ、それは全く将来のことであって関知しないというような姿勢じゃなしに。これを強く要望しておきます。  最後に、退職者の再就職対策についてお尋ねしたいのです。  年金額の引き上げがことしに至ってはわずか〇〇・六とか〇・一、そこへもってきて四四%もの人がもう停止をされておるというような状況のもとで、再就職問題は極めて深刻な問題になってきておる、こういうふうに考えております。  これはいろいろと自治省の側でも外郭団体などで調査されたことと思いますが、地方公務員の退職準備プログラムに関する調査研究、これは六十一年七月現在、自治研修協会の資料を見せていただきましたが、これによりますと、退職に際して感ずる不安は何か、これはトップが健康で五一%、それから再就職が五〇%、他の問題より群を抜いているのです。当局による再就職のための能力開発援助の必要性については六九%が必要だと見ているのです。それから定年退職後も働きたいか働きたくないかというのに対して、働きたくないと答えたのがわずか二二%です。働きたいというのが七三%です。これは、六十年定年制が実施されまして以降、六十じゃまだまだこれからという人もたくさんおるのですよ。だから七三%も働きたいという要望を出された。ところが実際に再就職できたのは三一%でしょう。七三%退職後も働きたいと言っておりますが、再就職できたのは三一%です。  それで再就職の率を見ましても、一番高いのは警察官で六六・二%、最高なんです。消防はお気の毒に率が三九・一%です。そして技能労務職は三一・一%、低いのです。だから私は、この際自治省としても、六十歳定年制を実施された以降こういう希望がうんと高まってきておりますから、東京都などはプログラムをつくって渡しておるそうでありますが、このプログラムの実施状況も全国の自治体の二八%です、調査対象の中で。これは二八%しか実施されておらない。だから、プログラムの問題を含めて再就職対策など自治省も方針を立てて地方公共団体を指導すべきものだと考えておりますが、その点をひとつお答えをいただきたいと思っております。
  122. 芦尾長司

    芦尾政府委員 本格的な高齢化社会を迎える中で職員が安んじて公務に専念できる環境をつくる、そういう見地から、退職後もやはり長い人生があるわけでありますから、その在職中において職員が退職後の生活に円滑に移行できるように地方公共団体としてもこれから配慮していくということが非常に望ましいと思いますし、また重要になってくると思います。  その職員の退職後の再就職については、事柄の性質上、基本的には職員がまず取り組むべき問題ではあろうかとも思いますが、さきに述べましたような見地から、各地方団体におきましてもその職員の再就職を援助するといいますか、資格を取得したりする、またそういう情報も提供する、それからまた実情に応じた再就職というもののあっせんも行っていくといったようなことも含めまして、いずれにいたしましても職員に対する退職後の生きがい対策といいますか、そういうものも含めた退職準備のためのプログラムというのはこれから非常に重要になってくるだろうと思っております。私どもも研究を重ねていきたいと思います。また、そうした成果もこれから地方団体に紹介していきたいというふうに思っておるところでございます。
  123. 経塚幸夫

    経塚委員 最後に、大臣いかがですか、地方公共団体に対する指導の問題を含めて。
  124. 梶山静六

    梶山国務大臣 再就職の問題については十分に検討して、老後の心配がないようにさせなければならないと思いますし、もう一つは、委員お考えを願いたいのは、再就職というのは一つは日本人の特性である、働きバチという言葉がいいかどうかわかりませんが、そういう勤労意欲、それからもう一つは所得やストックが足りないというこの二面があろうかと思います。ヨーロッパその他を見ますと、大体定年後はもう働きたくない、旅行をしたい、老後を楽しみたい、余生をゆっくり歩きたい、こういう願望があるわけでございますから、そういうものも両々にらみながら、ただ戦後三、四十年でストックゼロの国が今日まで来たわけでありますから、フローの面での所得は我々高まりましたけれども、残念ながら個人も社会もストックが足りないわけであります。ですからそういう意味で、まだ余暇を十分に生かす体制になっていない。こういうことをあれこれ考えながら、両面相まって、いわゆる定年退職後が快適な生活と使命感に燃えた人生が送れるようにこれから指導してまいりたいと考えております。
  125. 経塚幸夫

    経塚委員 時間が参りましたので、終わります。
  126. 松本十郎

    松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  127. 松本十郎

    松本委員長 この際、先刻の理事会において協議をいたしましたとおり、本案に対する修正案を委員長から提出いたします。     ─────────────  昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  128. 松本十郎

    松本委員長 本修正案は委員各位に配付されているとおりでありますが、その要点を申し上げますと、政府原案では「昭和六十三年四月一日」と定められております施行期日につきまして、既にその日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めることとするものであります。  以上が修正案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。     ─────────────
  129. 松本十郎

    松本委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、委員長提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. 松本十郎

    松本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 松本十郎

    松本委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  133. 松本十郎

    松本委員長 次回は、来る十三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十二分散会