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1988-04-14 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十四日(木曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石橋 一弥君    北村 直人君       鈴木 恒夫君    高橋 一郎君       友納 武人君    中山 利生君       松田 岩夫君    加藤 万吉君       佐藤 敬治君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    安田 修三君       小谷 輝二君    柴田  弘君       寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     梶山 静六君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁警備局長 城内 康光君         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治省行政局長 木村  仁君         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         外務省アジア局         北東アジア課長 田中  均君         大蔵省主計局主         計官      水谷 英明君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         気象庁予報部業         務課長     原田  朗君         気象庁観測部管         理課長     山中 陸男君         気象庁海洋気象         部海上気象課長 山本 孝二君         建設省都市局公         園緑地課長   曾田ひさ嗣君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     斉藤健次郎君         建設省道路局地         方道課市町村道         室長      森  寛昭君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   経塚 幸夫君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   岩佐 恵美君     経塚 幸夫君     ───────────── 四月十四日  地方自治に関する請願山原健二郎紹介)(第一三七八号)  留置施設法案の廃案に関する請願金子満広紹介)(第一三七九号)  同(中路雅弘紹介)(第一三八〇号)  同外一件(江田五月紹介)(第一四五三号)  同外一件(加藤万吉紹介)(第一四五四号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一四七八号)  同(工藤晃紹介)(第一四七九号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四八〇号)  同(野間友一紹介)(第一四八一号)  同外一件(中村巖紹介)(第一五一七号)  留置施設法案反対に関する請願経塚幸夫紹介)(第一三八一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一三八二号)  同(野間友一紹介)(第一三八三号)  同(児玉健次紹介)(第一四八二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四八三号)  固定資産評価替え中止に関する請願経塚幸夫紹介)(第一五一六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月十三日  地方財政の充実に関する陳情書外五件(第五号)  固定資産評価替え等に関する陳情書外八件(第六号)  料理飲食等消費税地方公共団体への一部交付等に関する陳情書(第七号)  過疎地域振興のための法的措置に関する陳情書外七件(第八号)  地方自治法改正に関する陳情書外十五件(第九号)  暴力集団排除に関する陳情書(第一〇号)  女性消防団員確保に関する陳情書(第一一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出第三四号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木恒夫君。
  3. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 日ごろから地方自治行政にお取り組みをいただいております梶山大臣に、元田川誠一自治大臣秘書官室でお世話になりました者としましても心から敬意を表すものであります。  若さを失わない方法というのを大臣御存じかどうかわかりませんが、驚きを忘れないことだ、こういうふうに言われております。私もなるべく感覚を新しいままに保ちたいと思いましていろんなことをやっておりまして、本もよく読むようにしておりますが、その中で最近気づいた二つ言葉にちょっと驚きを覚えたのであります。一つは、NHKのディレクターでありました和田勉さんという方が書いていらっしゃるものの中で、これからは神経時代だ。まあ気配りをしないと総理大臣にもなれないような世の中でございますから、神経時代だ。つまり、優しさとか神経の行き届いた行政も必要であろうということを言っている。もう一つ篠田正浩さんという「瀬戸内少年野球団」という例の映画をつくった方ですけれども、これもちょっとびっくりする言葉で、はっとする言葉でございますが、現代日本には魂を見詰める気力がない。昨今の新聞報道殺人事件その他生臭い事件が続いておりますけれども現代日本には魂を見詰める気力がない。これは相当痛烈な現代への指摘であろう、こう思うのです。その二つ言葉に共通しておりますのは、これから先行き日本がどこへ行くか、非常に不安定な時代を迎えつつある。中曽根流で言えば、海図のない航海と政治的には申すのでありましょうが、不安の時代だという時代展望があろうと思うのです。  しかしその一方で、識者が申しておりますことに、日本の国の財政その他は非常にこれから大変なことになるという指摘は、これはもう皆さん御存じのとおりで、一つ御存じ高齢化の問題。これは福祉費もどんどん増大をする、一方で若年労働者の人口がどんどん減る、高齢化に伴ってそういう状態が顕著になる。もう一つ国際化だ。国際化は、昨今のオレンジ・牛肉の問題を初めといたしまして、日本の国内における保護主義の解消が迫られる度合いがふえてくる、こういう国際化環境としてある。もう一つは、高度情報化時代高度産業時代だ。これで日本対応を迫られますのは、科学技術先進国としてのパイオニアと日本を位置づければ、それについての国際的な責任さえ迫られるであろう。つまり高齢化国際化情報化、こういう環境の中で最大の問題として浮かび上がってまいりますのは、国の財政出費増大だ、あるいは地方財政出費増大であろう、こう言われております。つまり、そうしたこれからの時代展望をいたしますと、地方自治財政も非常な危機といいますか、転換期に入る。  そこで、県議会時代から地方財政にお取り組みをいただいてまいりまして、現在も大変な御健闘をいただいております梶山大臣でございますが、そうした国の長期展望に立っての地方自治あり方というものを、改めて基本的に所見をまずお伺いしたいと思います。
  4. 梶山静六

    梶山国務大臣 戦前社会はいざ知らず、戦後四十数年、確かに日本という国は合理化能率化、一元化、単一化、そういう道を経て大変能率の高い行政地方自治においてもそうでございますが、千差万別市町村状態をまずもって平準化をしてきた今日までの努力はすばらしいものだという理解をいたしております。  しかし、本来地方自治というのは、やはり政治行政のいわば基でございまして、民主政治の根幹でもございます。そういうのを考えますと、私は今までやってきた努力は多とするものの、これから本当の意味での地方自治というものは何なのか、それを求めなければならないという気がいたします。ですから、今までの、どちらかというと平準化をし能率化をされた地方自治体にもう一回、ある意味で非能率であってもいいから手づくりの、それぞれの地域特性に合った地方自治体ができ上がることが望ましいという感じがいたします。  今お話にもありましたように、私は四期十五年県会にあって、茨城という古い土地柄を何とか伸ばしてまいろうという努力を、議員として懸命に頑張ってまいってきたつもりであります。しかし、これは大臣としての考えというより私政治家個人考えでございますが、人間というのは残念ながら性はそう善でもないし、性は悪でもないという気がいたします。そして私は、性は惰なるものだという感じがいたしますから、どうしてもやすきにつく習慣がございます。ですから、私たちの今までの努力というのは、戦前、戦中、戦後、それぞれ経済的にもあるいは地域格差でも大きな差があったものを、社会正義というか、公平、平等を求める大きなエネルギーがその間隔を埋めてすばらしい日本をつくり上げてまいったわけであります。それが極端になれば革命になったでありましょうし、それができない国はいつまでたっても、表現が適切であるかどうかわかりませんが、後進国の名に甘んじているところがありますけれども日本はその意味エネルギーが適切に作動したために今日があるわけでありますが、平準化社会というのが果たしていいのかどうなのかということになりますと、人間は私は性は惰なるものだと思いますから、平準化をされてそれぞれが同じ環境に整いますと、惰なる方につきやすいと思います。ですから、個人社会やあるいは行政平準化を求めて絶えず努力をいたしますけれども、ある意味で私はその差をつけること、そしてその差を埋める過程が私は進歩であり、大切な魂のよりどころであるという感じがいたしますから、大変手荒な言い方でございますが、ある意味で私どもは公平、平等な社会は求めるべき社会であって、到達することはむしろ悲しい社会である、そういうことで、むしろあらゆる意味で刺激を、あるいは差というと大変言葉表現が悪いのですが、何物かをお互いに求め合える環境づくりをしながらいきませんと、地方自治も伸びていかないのではないかと思いますから、その意味地方自治体間でそれぞれの価値判断が違い、それぞれの環境の異なりを克服する勇気というか開拓精神というか、そういうものがこれからの地方自治に一番求められる姿ではないかなという私見を持っております。
  5. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 意外に気づかないことでございますけれども、今はJRでございますが、JR新幹線の駅というものが全部画一化された駅でございます。昔の鉄道、国鉄時代に建設された駅舎というものは、それぞれが地方の個性を持って、東京駅を初めとして旅をする者の気持ちを和ませるけれども新幹線の駅はどこへおりたって全く同じパターンの駅舎が並んでいる。あれが二十年、三十年たって旅をする人にどういう感じで受け入れられるかというようなことなども、私たちは気をつけていかなければならない例えば一つの例だと思うのでございます。  そこで、よく言われることでございますけれども、かねて大臣地方分権論者、熱心な分権論者とお伺いしておりますけれどもバスストップの問題がよく言われます。私も横浜過密地帯に住んでおりますので、バスの深夜運行の要請とかあるいはバスストップ移動とかいうものがたびたび新聞で話題になる。しかしバスストップ移動一つも、陸運支局でございますか、あるいはその地方地方運輸局それから運輸省というようなことで、許認可が依然として中央官庁にゆだねられている。大臣国家公安委員長でもいらっしゃいますから、警察も多少安全面関係があるようでございまして、警察の認可も必要というセキュリティーの問題があるようでございますが、しかしこれなども例えば住民から、いや深夜バスがなくなるのでもう三十分延ばしてほしいというような陳情が、住民の声が上がれば、警察といったところで、例えば交番がこれを安全をチェックして役所にその後で届け出をすればバスストップの場所も動かせるとか、あるいは三十分、一時間の深夜バス運行も許可がされるとか、つまりそういう許認可地方委譲どもどんどん進めていくことが、冒頭に申し上げました和田さんのおっしゃる神経時代にふさわしい地方行政あり方につながっていくんじゃないかなどということもちょっと考えておるわけでございますが、大臣地方分権論を改めてここでもう一度お伺いしたいところでございます。
  6. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに中央からの指導というか、特に地方自治体基盤の弱かった時代中央からいろんなものを強いるというと言葉が悪いんですが、強いるあるいは指導をする。それによって日本画一化というか統一化、こういうものを図ってきた時代がございますし、その意味で私は一時期やはり地方に対する不信感、果たして地方自治体が何ができるかという中央優位性があったかと思います。今はしかし地方が育ったという実態は、これは中央省庁といえども十分に認める時代になりましたけれども、依然としてやはり中央権限確保というか縦割り行政の弊害がございますけれども、そういうことで地方分権がなかなか思うに任せないことは事実であります。  ただ、私たちも画一的な地方分権論をひっ提げていいのかどうなのかという気がいたします。あるところは農業県であり、農業市町村であり、あるところは工業であり、ある意味では観光であり、それぞれのよって立つ基盤が違う市町村や県があるわけでありますから、私はある意味でこういう表現がいいかどうかわかりませんが、選択的な分権論、私の市は、私の町は、私の村は、中央にあるこういう権利が、こういう権限が私のところへおろされるならば私の町づくり村づくりはもっと進むはずだ。私のところには残念ながら都市計画などといっても都市計画をすべきところもないから、都市計画権限は要りませんよ、そのかわり農地法権限をちょうだい。都市部農地法権限をもらっても仕方がない、都市計画権限をくださいという、そういう意味での選択的な分権論、こういうものができないものかなという感じがいたしますし、一気に原則的に分権をすることができないとすれば、試みの期間、三年なら三年、五年なら五年委譲をする、委任をする、終わればまた返してもらってもいい。  そういう形での分権論をこれからひっ提げてやるならば、私は今まで日暮れて道遠しというか、随分地方制度審議会やいろんなものから分権論のいわば提言あるいは国会の中での附帯決議決議等もなされておりますが、現実に分権というものは言うべくしてできない問題でございますから、どこに突破口を求めていいのかどうなのか。こういうものをこれから求めながら、ある意味では地方というものはそういうものを与えてもらうのではなくて、場合によっては奪い取るくらいの気迫で中央省庁と交渉しませんと、この分権は言うべくしてできないのではないかなという心配をいたしております。
  7. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 全く同感でございまして、自治省の中で分権がずっと研究され続けておるわけでございますが、できますれば大臣の手でそうした選択的分権論と今おっしゃいましたけれども、これは千差万別でおまとめになるのはなかなか大変でございましょうけれども、少なくとも大臣のおっしゃる行政基本方針ぐらいはぜひ御在任中におまとめをいただきまして、後世それが特色ある地方自治体を育てる、あるいは地方自治体活力を蘇生させるきっかけにしていただきたいと思いますが、具体的な作業を御指示されるおつもりはございませんでしょうか。
  8. 梶山静六

    梶山国務大臣 内部的に勉強会を開いて、これからどうするかという検討を今いたしております。
  9. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 できますれば、梶山構想が具体的な形で公に発表され問題提起をされるように、私からもぜひお願いを申し上げます。  そこで、具体的に当面の問題でございますが、地方交付税の問題、御存じのとおり地方財政硬直化はひどいものがありますが、当面六十三年度、例えば公債費負担が著しい地方団体実態考えて、六十三年度地方財政対策基本をどういうふうに置いていらっしゃるかということからまずお答えをいただきたいと思います。
  10. 津田正

    津田政府委員 六十三年度の地方財政対策、またそれを具体的な数字の姿でお示しいたします地方財政計画というものの策定の基本的な考え方あるいは具体的な内容について申し上げます。  先生も御指摘ございましたように、六十三年度末で地方財政の借金というものは約六十七兆円に達しよう、こういうような非常に厳しい財政環境のもとにございます。そういう意味におきまして、経費全般につきまして節減合理化を図るということを考えつつ、先ほど来大臣との質疑で出ております地方自治精神に沿いまして、地方住民が自主的、積極的に地域実情に即して事業ができる地方単独事業というものにつきまして六十二年度に比べますと一二・六%伸ばす、こういうような配意をいたしまして地方団体の要望にこたえたい、かように考えておるわけでございます。  なお、国の財政事情の厳しさとも関連いたしまして、国民健康保険制度の見直しあるいは国庫補助負担率引き下げ、このような厳しい問題もあったわけでございますが、そのようなものについての地方財政への影響額に対しましてはそれぞれ補てんをすることにいたしまして、地方団体財政運営支障が生じないよう措置をしておるところでございます。  なお、補助金カット等の問題を除きますと、最近におきます経済の好調というものも幸いいたしまして収支が均衡する見込みでございますので、あわせて中長期的な地方財政健全化を図る措置等も織り込んでおるわけでございます。
  11. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 この後、ちょっと選挙制度につきまして議論をさしていただこうと思っておりますので、地方財政問題で二点だけ、これは事務当局で結構でございますが、お答えをいただきたいと思います。  補助負担率引き下げが三年間の暫定だとこうなっておりますが、まず一点は、六十四年度以降の扱いについてどういう基本的な考え方をお持ちかという点。それから、これは事務当局でも結構でございますが、さっきの大臣の御答弁と関連するもので、ふるさとづくり特別事業、これは私はなかなかおもしろい構想で、世間からも注目されている点でございますが、ふるさと財団構想とあわせて自治省基本的な考え方、この二点をとりあえずお伺いをさせていただきたいと思います。
  12. 津田正

    津田政府委員 私から補助率カットの問題につきまして申し上げたいと思いますが、補助率カットは六十年度単年度措置として行われ、六十一年度からは三カ年の暫定措置として行われておるわけでございます。予算措置のものもございますが、その期間法律で三年間の暫定措置、このようになっておるわけでございまして、基本的にその法律で六十三年度で終わるわけでございますので、六十四年度に復元する、このようなことが基本的な考え方でございます。  もちろん、この問題が起こりましたのは国の財政事情等関係もあったわけでございまして、具体的に六十四年度以降は予算編成時までに関係省庁で協議の上定めなければならないと存じますが、私ども自治省といたしましては、各事業の性格あるいは国庫補助負担制度意義等を踏まえて国の責任というものを全うさせる。そして、地方団体財政運営支障がないよう十分の配慮ができるよう検討努力をしてまいるつもりでございます。
  13. 小林実

    小林(実)政府委員 御承知のように、近年東京への一極集中が進みまして、再び地域格差が拡大してきております。この是正は、国土の均衡ある発展はもとよりでございますが、地方自治の健全な発展を図る観点からも極めて重要でございます。御質問ございましたふるさとづくり特別対策事業、それからふるさとづくり財団構想、この二つ構想は、これに対処するために考えたものでございます。  まず、ふるさとづくり特別対策事業でございますけれども地方団体がみずからの企画により単独で行う事業であって、地域特性を生かした魅力あるふるさとづくりと多極分散型国土の形成を図る上で緊要度の高いプロジェクトを積極的に支援しようというものでございます。三年間で六千億というふうに考えておりまして、六十三年度は千五百億を予定をいたしておるわけでございます。  それから、ふるさとづくり財団でございますが、官民一体となった地域の総合的な振興整備を図る必要があるわけでございまして、特別対策事業の方は官の方の仕事に対する措置財団の方は、この事業と相まちまして民の方へ対する対策ということで考えたわけでございます。地方単独融資事業長期低利融資事業民間事業活動に対しまして講じようというものでございます。これによりまして、地方がその実情に即しまして民間活力を活用いたしまして活性化を図れればというふうに考えておるわけでございます。地方主導地域づくりのための措置でございまして、これら構想につきましては関係省庁調整を行いまして円滑に事業ができるようにいたしたいというふうに考えております。
  14. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 あと一点だけ大臣にお伺いをしておきますが、税制改正との絡みでございます。  政府税調の素案が出た段階でございますし、自民党の税調審議もヒアリングが始まった段階でこういう質問をすることは、お答えをされる方も当惑されると思いますけれども、ただ基本的に、税制改正検討が進んでいる中で、地方交付税制度というものをその中でどういうふうに自治省として位置づけて税制改正の論議に参画をされるか、その点だけちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  15. 梶山静六

    梶山国務大臣 御案内のとおり目下政府税調あるいは党税調が懸命な作業を行っている途中でございますから、たたき台的なものが出た程度で、内容についてはまだ承知をいたしておりません。ですから、交付税制度自身はどうかということになりますけれども地方税考えてみますと千差万別市町村状態あるいはその税源の偏在その他がございますから、交付税という制度のもとでやはり地方財源調整をいたしてまいる重要な機能を持つわけでございますので、この交付税制度は今後とも存続、維持、拡大をしていかなければならないという基本的な考え方を持っております。  いずれにしても、税制政正があるとするならば、減税その他の状況を踏まえまして所要の地方財政に欠陥を生じないための財源確保一般税源確保をいたしていかなければなりませんので、重大な関心を持ちながらこの問題に対応をしてまいりたいと思っております。
  16. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 選挙制度についての所見、私も選挙を経験してまいりました者として質問をさせていただきます。  本来選挙というものは、民主主義社会にありましては一番たっとばれるべきものは自由な競争だ。だれもが参加をして、だれもが投票権を持てるというのが、当然のことながら選挙制度基本でございますが、ある学者によれば、日本民主主義はそういった意味では極めて今危機にある。これはどういうことかと申しますと、投票率の低下の問題は見過ごすことができないということでございます。とりわけ私が住まっております横浜などは、衆議院の選挙を見ても五〇%、五五、六%、最近行われました全国的な参議院の補欠選挙を見ましても二〇%前後という低投票率である。これは私は基本は、政治というものに関心国民が持っていないわけではない。関心は極めて深い。ここまで日本教育水準が上がり、あるいは民主主義教育が徹底をして、小学校でさえ生徒会の会長さんを選挙で選ぶという時代でございますから、決して関心は低くはないんだけれども、どうも政治がおもしろくない、選挙に行く気にならないということが投票率の低下につながっている。  それは結果的にどういうことを招くかと考えますと、政治全体の非常な硬直化につながっているように私は思えてなりません。あえてその学者さんは、日本政治参加の質が低過ぎるとまで言われておりますけれども、いずれにしても、本来が自由競争であるべき選挙が極めて硬直状態にある。そこで、その背後には、一つ当面の問題として浮き上がっておりますのが定数是正の問題で、これもなぜ三対一に近いようなものが放置をされているのかというのは、新聞の投書などにしょっちゅう出てくる議論でございまして、これは六十年国調を基本にして改正がなされましたけれども、次の六十五年の国勢調査の結果を待たなくても、現在二・九九倍のこの一票の重みの格差が、もう六十五年の国調のときには三倍を超えることは恐らく火を見るよりも明らかではないか。過去のトレンドから見て、その定数是正、これはすぐれて各党間の話し合いの問題でございまして、政府主導でいくわけもないわけでございますけれども、ただ一つ、そろそろ検討しなければなりませんのは、この格差が広がっていくことはもう目に見えているわけでございますので、それを自動的にと申しますか、ある方程式といいますか、定式といいますか、そういうものを少しフィックスしたものをつくって、格差が余りにも開いたときには自動的にこの是正ができるというようなシステムをそろそろ考えるべき時期ではないかという指摘があるわけでございますが、その辺についてはいかがお考えでございましょうか。
  17. 梶山静六

    梶山国務大臣 選挙は本来自由であるべきですし、形式的には今自由が保たれておりますけれども、なかなか、御指摘のように硬直化という表現がいいのかどうなのかわかりませんが、そういう意味関心が低まっているというか、投票率の低下、その他問題点が多いわけであります。  御指摘の衆議院議員の定数是正についてでございますが、これは衆議院の本会議において昭和六十一年の五月二十一日に決議がなされております。そしてその大きな中身は、六十年国調後速やかに抜本改正の検討をしよう、二人区、六人区の解消をしよう、議員総定数の見直しをしよう、それから選挙区画の見直し、それからさらに過疎過密等地域実情に配慮といいますと、これは私も担当の自治省でございますからいろいろ検討するのですが、この五つの要因を組み合わせていってみますと、何というか、言葉に出さないで言うほかありませんけれども、難しくて、とてもこの五つを一本の方程式にまとめることは、相当な知恵者があれをしませんと難しいのではないのかなという感じがいたします。  いずれにいたしましても、選挙制度基本にかかわることでありますし、いわば議会の根幹でもございますので、各党間でその一番大きなもとだけでもこの絵を解いていただいて、事務的な事業は我々が進めてまいりたいと思いますけれども、少なくとも議会でそういう決議があることでもございますので、各政党間が基本的な問題について、それぞれのよって立つ基盤を考慮に入れながら、議会制度を維持するためにどうするか、こういうものの話し合いが早急にまとめられることを期待をし、その議論を踏まえて自治省としても最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
  18. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 もう一点、選挙運動の問題、規制の問題でございますけれども大臣も篤とごらんになったと思いますが、アメリカの大統領選挙あるいはさきに行われました韓国の大統領選挙、その他諸外国の選挙を見ておりまして、アメリカも投票率の低下で悩んでいることがあるわけでございますけれども、ただ一点、私どもがこれから先選挙国民の、あるいは有権者の関心を引きつけて政治の質を高めていくよすがをつくるという観点に立ちますと、現行公職選挙法の中で規制をされているものの見直しの必要な部分が出てきた。それはテレビの問題でございます。  テレビの活用という問題で、私は毎日新聞の出身でございますけれども、少なくとも選挙戦などについて言いますと、テレビの影響力の方がはるかに大きいわけでございます。政見放送のチャンスをお与えいただいておりますけれども、あの程度のものでは国民関心をさらに高めることはできない。アメリカのように、これはいろいろ問題が、お金のかかる問題と絡んでテレビの番組を買うとか買わないとかという、我々には想像のつかない巨額の金がかかっているとも言われておりますけれども、ただこれからのテレビ時代考えますと、例えば民間放送テレビの番組、もちろんNHKでもいいわけでございますが、候補者同士の公開討論であるとか座談会であるとか、そういうものを定着をさせることによって候補者の質を有権者が見分け得るチャンスをふやしてやる。もう活字時代よりもテレビ時代でございますので、選挙運動放送の規制緩和というものを考えるべき時代に来たと思います。その他規制緩和の面で問題提起をさしていただくものが少しございますが、当面テレビの問題について、選挙行政を預かられます大臣としてどういうふうにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。これは国民政治への関心を呼び戻すという視点から、私はこの問いをさせていただいているわけでございます。
  19. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かにアメリカの選挙等を見ますと、自由闊達というか、ある意味で制限がないというか、反面を見ますと、表現をしていいかどうかわかりませんが、裏腹にお金もかかるであろう、それから公平さや平等さがどうなのかとか、いろんな問題があるかもしれませんが、大変陽気に明るく自由闊達にやっている様子を拝見をするわけですから、国民的な関心が高まることは当然であります。ただ、これをストレートに我が国の選挙に当てはめることが果たしてできるのかどうなのか、この多額の経費をどういうふうに捻出をするものか、あるいは民放をどんなふうな筋書きで呼び込めるものなのか。それぞれの個人の、これがなければできないとかいろんな問題があろうかと思いますので、言うのには大変おもしろいことなのでございますが、現実にアメリカの選挙にしても、あるいはお隣の韓国の選挙にしても、日本と相違った分野も幾つかあるような感じもいたします。  ただ、いずれにしても選挙民、有権者の関心というか、そういうものが高まる方式をどうすれば導入できるかという問題は、絶えず検討していかなければならない問題だというふうに考えております。
  20. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 昔はテレビタレントというのは、好感度調査というのをタレントにやってみると、上位三位ぐらいまではみんな美男子であったわけですね。上原謙とかそういうのが上位にいた。最近は全然違うようでございまして、この好感度タレント、男で言えば「さんま」とか「たけし」とか、つまり美男子じゃないけれどもおもしろい、個性がある、こういうのが上位にランクされるということでございます。これはつまらぬことでございますが、つまり国民の目がテレビのブラウン管を通じて、見てくれではない、つまり本質をそろそろ見抜く力を持っているという時代になってきている証拠だと私は思うのですね。問題は、私どもは都会地の過密の方の選挙区におるからこういうことを申すのかわかりませんけれども、極めて日夜多忙な、例えばサラリーマンの家族などにとりましては、もう瞬間的に政治の知識を吸収する、電車の中で新聞を読んで政治を知る、あるいは夜遅く帰ってちらっと深夜テレビを見て選挙の動向を知るとかという、瞬間で勝負をしてまいりますので、これからの選挙というものを考えますと、何かの形でテレビの活用というものをしないと、政治への関心は深まらないと私は考えておるものでございますから、しつこいようでございますが、事務当局もテレビの活用というものについて少し御検討をいただければと考えております。  以降私が述べますことは、多少偏見と独断が入りますのでいけないことでございますが、国民関心選挙に向かなくなってきたという中で、私は極端に申し上げますと、選挙権は基本的人権でございますから完全に平等に与えられている、投票に行こうが行くまいが、それは自分の勝手、あえて言えばそういうこと。しかし、選ばれる側の権利、つまり被選挙権の権利、これは当然みんな平等に法的には持っておるわけでございます。これは大臣御存じのとおりで、昨今は少なくとも例えば国政レベルの選挙に新人が挑戦をするというのは非常に難しくなってまいりました。私はこんなことを先輩の大臣に向かって申し上げるのは不遜でございますけれども、必ずいつの時代時代を回してきたのは若い力でございまして、これは世の真理だと考えております。  そこで、政治活性化する、あるいは諸外国に例のない発展を遂げたこれからの日本の将来をさらに繁栄へと導くためには、さっき申し上げた政治硬直化というものを打破していかなければならぬ。いや、そんなことを言うけれども、そういう壁を乗り越えて新人は出てくるべきものだと二十九歳で当選をされた大臣なら申されるのかわかりませんが、私もそのくらいの闘志を若者は持つべきだと思いますけれども、しかし、それにしても地盤、看板、かばんと三つ道具がそろわないとなかなか挑戦ができない、これはかなり深刻な事態。ある特別の、あえて特別のと申しますが、ポジションにいる人間だけが政治へ挑戦する。今若い人に非常に優秀な能力を持っている人がふえておることは大臣御存じのとおりで、国際社会でも十分通用し得る能力、資格を持った若者がいっぱいおるわけでございます。例えばそういうことまで申し上げていいのかどうかわかりませんが、松下政経塾に学んでいる学生とか、あるいはそれぞれの大学の大学院で政治を学んでいる連中などというものは、私どもが恥ずかしくなるくらいの力量を持っている。しかし、現実にそういった方々が国政を憂えて選挙に出てくるチャンスがない、余裕がない、アローアンスが許されないというのもまた事実でございまして、これからの時代を担われるホープでもあられます大臣には、こういう政治状態を何とか、新規参入の道を有為な若者に開くべく公選法を少し見直すべきだ。  何をどうしろという具体論は時間がございませんから申し上げませんけれども、せいぜい挑戦をし得る余地をなるべく広げてあげるという意味で、公選法の改正と一部手直しといいますか見直しといいますか、お考えいただけないものかどうかお尋ねを申し上げまして、時間でございますから私質問を終わらせていただきますが、大臣所見をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  21. 梶山静六

    梶山国務大臣 大変難しい御質問で、答えを今探すのになかなか苦慮いたしております。  確かに、新進気鋭の方が国会に新しい息吹を注入することは政治全体の活性化のためにも必要だと思います。しかし、道は閉ざされているわけではございませんし、やはりたたかなければ開かれるわけではございません。そして、それぞれ大学やあるいはその他で優秀な人がおると言いますけれども、そういう極端な、悪い言葉でいうと飼育された者が優秀な者というふうに私は断定をすることはいかがなものかという気もいたします。それぞれの人生の修練を経、苦難を経てこそ初めて私は政治社会で主峰に立ち得る、そういう感じもいたしますので、どの方が優秀であるか、どの方が優秀でないかという基準は国民みずからが選ぶべきことでございます。ただ、どんな方法であれ、数多くの方が挑戦のチャンスを得る、そういうことで利することがあれば、選挙法の改正やその他を通じてこれからも検討してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  22. 鈴木恒夫

    鈴木(恒)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  23. 松本十郎

    松本委員長 中沢健次君。
  24. 中沢健次

    ○中沢委員 前回の委員会では、地方税法問題につきましていろいろ質問をさせていただきました。きょうは引き続き、時間は一時間半いただいておりまして、交付税の問題を中心に幾つかのテーマに絞りまして質問をしたいと思います。  まず最初に、地方財政が非常に状況そのものも厳しい、これは何回かの委員会でも具体的な議論がされておりまして、多くを語る必要がないと思うのです。大臣からいろいろお答えをいただく前に、少しくこの現実の問題について具体的な数字を含めて質問をしてお答えをいただきたいと思います。  一つは、地方財政が極めて硬直化をしておるとよく言われております。それを具体的にあらわす数字といたしましては、先ほども若干のやりとりがございましたけれども地方団体におけるところの借入金の残高がどういう状況なのか、少し過去にさかのぼりまして、五十年度あるいは六十年度、六十三年度、経過的にどういう状況になっているか、これをまず具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 津田正

    津田政府委員 地方団体の借入金残高というものにつきまして、私ども使っておりますのは普通会計債残高、それから公営企業債におきまして普通会計が責任を負うべき部分、そして交付税特別会計借入金、このようなものをあわせたもので判断しておるわけでございます。  具体的な数字を申しますと、五十年度末には十四兆円、六十年度末には五十六兆四千億円程度、六十三年度末には約六十七兆円に達するであろう、このように考えております。
  26. 中沢健次

    ○中沢委員 あわせまして、私は出身が北海道なものですから、いつも北海道のいろんな問題について指摘をしたり答弁をいただいておりますけれども、同じく北海道あるいは管内の二百十二の市町村の借入金の残高がどうなっているか、お聞かせをください。
  27. 津田正

    津田政府委員 先ほど申しました地方財政全体の借金の中には、交付税特別会計借入金等加算しておるわけでございますが、これは地方交付税の中に入り込んでおる、こういうようなことで北海道に配られました交付税のどの部分が借入金を財源にしたものか、これは不明でございます。  そういう意味におきまして、普通会計分の北海道の残高を申し上げますと、昭和五十年度末には北海道が千四百二十一億円、これが昭和六十年度末には一兆一千九百四十一億円の公債残高を抱えておるような状況になっております。道内市町村の状況でございますが、昭和五十年度末で三千四百八十三億円であったものが、六十年度末におきましては一兆五千九百六十六億円、約一兆六千億、このような公債残高を抱えるような状況になって、非常に厳しい状況になっております。
  28. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、今お答えをいただきました内容につきまして私なりに少し分析をして事実認識をしておきたいと思いますが、お答えがありましたように、借入金残高について全国の数字と北海道の数字を単純に比較はできないと思います。しかし、傾向としては比較できると思いましてあえてやってみたのでありますが、全国で言いますと、五十年の十四兆を一つのベースにしていきますと、六十年五十六兆、六十三年は六十七兆、五十年に比べて六十三年は四・八倍になっております。一方、北海道の場合は、五十年に比べて六十三年度の数字がないのでありますが、六十年では五・七倍になっている。全国の場合は、参考までに言いますと、五十年と六十年では四・〇倍になっている。つまり私の言いたいことは、全国的にも財政硬直化状況が非常に顕著に進んでいる、中でも全国的にはいろんな格差が非常に広がっている、そういう現実があると思うのです。後でひとつ大臣、そのことも含めてお答えをいただきたいと思いますが、そういう事実認識についてしっかりお持ちをいただきたいと思います。  もう一つお尋ねをいたしますけれども、例の公債費負担比率の実態について、同じく五十年、六十年、六十三年、細かい内容は別にいたしまして、一五%以上のところと二〇%以上のところがどういう比率になっているか、数字をまず全国と北海道に分けて教えていただきたいと思います。
  29. 津田正

    津田政府委員 実は公債費負担比率という調査を行い始めましたのが五十八年度決算からでございまして、残念ながら五十年度の状況がないので年次別の比較というものは出せないわけでございますが、六十年度で見ますと、公債費負担比率が二〇%以上の団体が全国で千三十六団体、全市町村が三千三百団体でございますので三一・四%でございます。  このうち北海道だけを見てまいりますと、二〇%以上の団体が百十五団体、二百十三団体が北海道全団体でございますので五四%を占めておるということで、この面におきましても北海道の状況というのは全国平均よりもなお厳しい状況でございます。
  30. 中沢健次

    ○中沢委員 それで今お答えをいただきましたように、古い年次についてはなかなか正確な数字をつかまえていない、こういうことでございますけれども自治省からのいろいろな過去の資料をずっとひっくり返していきますと、例えば昭和四十九年くらいからの一つの参考になるような数字も出てきておるわけです。そのことを議論いたしますと時間がかかりますので、一応そのことは割愛をいたしますが、今お答えがありましたように、俗にいうところの公債費比率二〇%というのは完全に赤信号だ。一五%以上は要注意、つまり黄色信号であるとよく言われているわけですね。そうしますと、黄色信号のついておりますのは全国で六〇%を超える自治体になる。北海道はこれを入れますと九一%になるわけですね。しかもこの赤信号だけ取り上げてみましても全国で三一%、北海道が五四%、こういうことだと思うのです。  そこで、今局長とやりとりをいたしましたそういう具体的な事実を前提にいたしまして、大臣として、一つ地方財政についての現状認識をどのようにお持ちであるのか。それからもう一つは、きょうも後ほど大蔵省の方からもいろいろ説明をいただく予定になっておりますけれども、どちらかというと大蔵省サイドは、国の財政よりも地方財政は余裕がある、こういう論法でいろいろやってきているわけなんです。自治大臣としてはもちろんそういう立場やそういうお考え方にはなっていないと思いますが、俗にいうところの地方財政余裕論についてどういう見解をお持ちであるか、財政の現状認識とそういう問題についての見解について、まずお答えをいただきたいと思います。
  31. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のように地方財政は大変厳しい状態にございますし、先ほど局長から話がありましたように六十七兆の借入金残高を持っているわけであります。ですから、近年ようやく現制度のもとでの収支は、補助率カットの分を除けば収支が均衡する状態になったものの、多額の借入金残高を持っているわけでありますから、全般にこれからそういうものの税財源健全化のために努力をしなければならない状態だというふうに理解をいたしております。  それから国と地方状態でございますが、私は必ずしも国がよくて地方が悪い、地方がよくて国が悪い、そういう状態が望ましい姿ではない、やはりこれは車の両輪論に立つべきだと思っております。国においても百六十兆の公債残高があるわけでありますから、その観点から見れば大変苦しい状態にありますし、今財政再建をやっているさなかでもございます。そして歳入をそれぞれ国と地方財政という点で分けてみますと、租税収入、これは国税で四十六兆ですか、地方税で三十兆。ただ、地方交付税というのが十兆入ってまいりますから、そこで見ますと、向こうがそれを落としますと、義務経費的に地方交付税が抜けますと、国と地方の比率はやや逆転をいたしまして、地方の方の歳入が多いわけであります。  そこで、私はもう一回もとに戻らなければならないわけでありますが、どれがあるべき行政水準かというのが実はまだ定かに私も理解をいたしておりません。ただ、現在の形でどういうことが望ましい行政水準、行政サービスてあるか、それからはじき出して基準財政需要額を判定をするわけでありますが、このものが出ませんと、私はこれからの歳入論もあるいは中央に向かって言うべき言葉も勢いを持たないのではないかなという気がいたしますので、今私なりに試算をいたしまして、地方財政計画、現行のままでどのぐらいの税収、それから税のアンバランスを直しいわば調整をすべき傾斜配分のできるような交付税、これをどれまで期待をするべきか、こういうものを今回の減税やその他とひっくるめて考えておかなければならない問題だというふうに考えております。  いずれにしても、北海道の指数を見ますと、一人頭の一般財源は多いかもいれませんが、面積割にいたしますと全国最低であることはよく承知をいたしております。そのために北海道のそれぞれの自治体が御苦労をなさっておることもよく承知をいたしておりますので、今後ともそういうもののかさ上げのために努力をしてまいりたいという気持ちでございます。
  32. 中沢健次

    ○中沢委員 北海道出身者にとりましては大変配慮のある御答弁でございまして、かつても特別交付税の配分等につきましても大変な配慮をいただいておりまして、ひとつ引き続きいろいろな問題につきましてぜひまたよろしくお願いをしたいと思います。  今の問題に関連をしてもう一つ大臣の方から見解をぜひお聞かせをいただきたいと思いますが、これも委員会のたびごとにいろいろ議論になっております交付税の税率の引き上げの問題でございます。  既に数字も明らかになっておりまして、六十一年、六十二年、地財計画上の六十三年、財源不足額が具体的に公表される。しかも、そのパーセンテージも明らかになる。そうしますと、条文については一々申し上げませんが、交付税法の六条の三第二項という条文解釈からいきましても、前回の委員会で局長の答弁を聞きましても、明らかにこれはもう理屈抜きで交付税の引き上げをしなければいけない、こういう極限の状態にやっぱりあるのではないかと思います。委員会大臣からもいろいろ答弁がございましたが、重ねてこの問題について大臣の決意を含めての見解、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 梶山静六

    梶山国務大臣 前回もお答えをいたしましたように、補助金カットは特例暫定措置でございまして六十三年度まででございます。ですから、この六十三年度まで確かに委員指摘のように交付税率を、あるいは特定の財源措置をすべき状態であるという認定はされますけれども、これはあくまでも暫定措置でございますから、私は引き続きそういうものが継続されるという前提には立ちません。どうしても六十三年度で補助率のカット分はもとに戻すんだという原則、これがありますと、先ほども申し上げましたように、その部分を除けば収支は均衡するわけでございますから、著しく地方財政が悪化をしているという状態にはない。逆を返せば、それをてこにいたしまして六十四年度以降の補助率カットを取りやめるようにする、そういう決意でございますので、御理解をいただき、御協力をちょうだいしたいと思っております。
  34. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、勢い補助率カット問題について関連をして、これは大蔵省の方にもお答えをいただきたいと思うのでありますが、まず具体的な数字でありますけれども、実質的には六十年から具体的な影響が出ているわけなんでありますが、六十年から六十三年にわたるこの国庫補助負担率カットによりまして具体的にどういう影響額になっているか、まず数字をひとつ示していただきたいと思います。
  35. 津田正

    津田政府委員 国庫補助負担率の引き上げによります地方財政への影響額でございますが、当初ベースで六十年度五千八百億円、六十一年度一兆一千七百億円、六十二年度一兆四千九百七十億円、六十三年度一兆六千五百六十九億円でございまして、合わせますと四兆九千三十九億円に達しております。
  36. 中沢健次

    ○中沢委員 今のお答えいただきました数字は、例の国保の関係の数字を外していると思いますが、それを入れますと四兆九千七百二十九億円、こういう数字になると思うのでありますが、間違いございませんか。
  37. 津田正

    津田政府委員 そのとおりでございます。
  38. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、大蔵省の関係政府委員の方がお見えでございますのでお尋ねをいたします。  これは今度の通常国会が始まりまして、本会議あるいは予算委員会あるいは大蔵委員会、随分議論があったわけでありますが、私がじかに体験をした感想から言いますと、この補助金のカットについて言えば、あくまでも六十三年度までの暫定である、したがって自治省、自治大臣としては当然六十四年度からは復元をする、このように御答弁をされている。しかし一方、大蔵サイドはどちらかというといわゆる玉虫色答弁、歯切れの悪い答弁にずっと終始をしてきたと思うのです。  そこで、まず大蔵省にお尋ねをいたしますが、四月十日付の日本経済新聞一面トップに大変ショッキングな見出しが出ておりまして、「高率補助金の補助率カット六十四年度以降も継続」、大蔵省はそういう方針を固めて四月中にも関係省庁との協議に入る、こういう新聞報道がございました。内容はいろいろ書いてございます。そこで大蔵省にお尋ねをいたしますが、こういう事実があるのかどうなのか。もっと言いますと、大蔵大臣を含めて首脳間でそういう方針を固めたのかどうなのか、まず具体的な事実についてお聞かせください。
  39. 水谷英明

    ○水谷説明員 お答えいたします。  委員今御指摘の事実でございますが、私どもといたしましては、この補助率の問題、特に暫定措置が六十三年度で切れるわけでございますが、この終了後における国庫補助負担率の取り扱いは、影響の非常に大きな問題でもございますので、できる限り速やかに検討したいという考えは持っておるわけでございますが、現段階は、今後の諸情勢の推移や国、地方の役割分担及び財源配分のあり方等を勘案しながら、今後関係省庁とも協議の上適切に対処してまいりたいという基本的な考えでございまして、現段階ではこれ以上に申し上げることはございません。
  40. 中沢健次

    ○中沢委員 一番大事な点が逃げられていると思うんですよ。問題は、その継続をするという方針を大蔵として固めたのかどうなのか、この一点が非常に大事なんです。継続するかしないかということはまだ決めていない、そういうことも含めて各省庁と協議をするということと、あくまでも継続をするという方針を固めて各省庁と協議をするということは、おのずから性格が全く違うわけですよ。はっきりしてください。
  41. 水谷英明

    ○水谷説明員 実は六十一年度の補助率の見直しの際には、補助金問題関係閣僚会議の決定に基づきまして、同検討会の検討結果の趣旨を踏まえて行われたものでございまして、この趣旨を踏まえまして三年間の暫定措置ということになったわけでございますけれども、この補助率の見直しの適用期間を設けることとした趣旨は、今回の補助率の見直しが社会保障を中心に事務事業の見直しを行いつつ行われたものであること、あるいは国と地方財政関係を事情の許す限り極力安定的なものとすることが望ましいと考えられること、他方、国及び地方の役割分担及び費用負担のあり方の見直し等につきましてはそれぞれの財政事情等を踏まえ今後ともさらに検討する必要があるということ等を総合的に勘案して三年間の暫定措置とされたものでございますので、こういう趣旨を踏まえまして、その後の経済情勢等を踏まえてよく御相談するということでございます。
  42. 中沢健次

    ○中沢委員 大事なことですから、くどいようですけれども、私もこの覚書、参考までに全部、前文を含めて持ってきております。今のお答えではなかなか理解できません。国民的なレベル、あるいは私は国会議員ですけれども、そんなに経験を積んでおりませんので、そういう立場から言うとよくわかりません。つまり、日経新聞に出ておりますように、大蔵省が暫定措置ということを承知の上で六十四年度以降も継続をするという方針を決めたのか決めないのか非常に大事だと思うんですよ。そこのところどうなんですか。状況的な話は我々もいろいろ聞いておりますから、多く答弁は要りません。継続をすることを決めたか決めないか、イエスかノーかで答えてください。
  43. 水谷英明

    ○水谷説明員 繰り返しの答弁で恐縮でございますけれども、この補助金の問題につきましては関係するところも非常に大きく、六十一年度のときも、先生御承知のように補助金問題検討会で非常に議論がなされた上、事務事業等の見直しも行った上で、なお暫定措置ということにされた経緯があるわけでございまして、今後の問題につきましては、現段階では関係省庁と今後協議した上適切に対処していくという以上にお答えできないということを御理解いただきたいと思います。
  44. 中沢健次

    ○中沢委員 時間的な制約もありますので、いずれ大蔵大臣がこの委員会にも出席をされまして先輩の議員からも厳しく追及があると思いますので、私としては不本意でありますけれども、大蔵の方の答弁は納得できない、こういうことをもちまして、次に大臣の方から大臣としての——これはいつの委員会でも大臣はこの問題について極めて明確な答弁をされている。つまり、これはあくまでも暫定措置であって六十四年度は復元をする。表現としては今ちょっと忘れましたけれども、適切な表現で力説をされているのでありますが、改めてその決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  45. 梶山静六

    梶山国務大臣 国庫補助負担率引き下げは、国の極めて厳しい財政事情を背景として、補助金問題検討会等における事務事業や費用負担のあり方検討などを経て、六十三年度までの暫定措置として行われているものであるということは御案内のとおりであります。ですから、六十四年度以降の補助負担率の取り扱いについては原則としてはもとの補助負担率に戻すべきものであるというふうに考えておりますが、具体的には六十四年度の予算編成時までに関係省庁で協議の上定められるということになっております。ですから自治省としては、各事業の性格、国庫補助負担制度意義等を踏まえつつ、国としての責任が全うされるよう、また地方財政の健全かつ安定的な財政運営確保が図られるよう検討を進めていくべきだというふうに考えております。  特に、この補助率カットの問題の時代背景を考えますと、大変財政事情の厳しい時代であった。景気の極めて悪い時代というか、税収がそうふえなかった時代、それから貿易摩擦その他でもって財政出動ができない中にもかかわらず内需振興をしなければならないという、この二つの要因があって、事務量の増大事業量の増大その他のために、私はこの補助金カットというのが異例の措置として行われたというふうに理解をいたしております。ですから、今の状況、確かに状況の変化があることは、三年前、四年前と異なっていることも現実でございます。財政規模も膨らみました。いろんな状況も変わりましたから、その新しい要素は当然組み入れなければやってまいれませんけれども、原則としてそういうものが整わなければ一応もとに戻して、それから後、先のことは先のこととしてこれからまた検討に入りたい、かように考えているわけでございます。
  46. 中沢健次

    ○中沢委員 それで大臣は「愛郷無限」という言葉を色紙に書かれているとか、いろいろ聞いております。総額にいたしまして五兆円の大変なさかのぼっての被害を受けているわけでございますから、ぜひひとつ自治体の立場、自治体を守る、自治体の財政をしっかり守っていく、そういう立場を引き続き堅持をしていただいて、とりわけ手ごわい大蔵省相手に十二分に闘っていただいて、結果的に我々が期待をするような結論が出ますように、よろしくお願いをしたいと思います。  さて次の問題に移ってまいりたいと思いますが、歳出削減に伴う後年度への負担繰り延べの問題について、主として大蔵省にお伺いをいたします。これは補助金のカット問題と同じように、いろいろな委員会で既に取り上げられた内容ももちろんございます。  まず、具体的に大蔵省にお尋ねをいたしますが、五十七年度から始まりましたこの種のつけ回しですね。項目別に、五十七年から始まった部分あるいは五十八年から始まった部分、六十年から始まった部分、いろいろありますけれども、私がいただいた資料によりますと全部で八項目あるわけなんですが、この八項目につきまして、現在のトータルの金額がどのようになっているか、ひとつ具体的にお答えをいただきたいと思います。
  47. 水谷英明

    ○水谷説明員 お答えいたします。  先生に御提出いたしました資料で、いわゆる後年度への負担の繰り延べという事項でございます。御指摘のように八項目でございまして、一つずつ申し上げますと、厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等の特例が五十七年から六十三年までで二兆七百三十億円でございます。それから住宅金融公庫利子補給金の一部繰り延べが六千四百六十二億円でございます。国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化が一兆二千七百二十七億円でございます。自賠責特会からの受け入れが二千五百六十億でございますが、これは既にいわゆる返してございますので、三角二千五百六十億と両建てしてございます。それから政管健保の国庫補助の繰り入れ特例が四千二百三十九億円でございます。道路特会の借入金が七千六百九十七億円でございますが、これも返してございますので、三角七千六百九十七億円と両建てしてございます。次に地方財政対策の改革による特会借入金、いわゆる国負担分でございますが、この一般会計負担が五兆八千二百七十八億円でございます。次に地方財政対策に伴う後年度負担、暫定的に加算するものとして今後取り扱いが定められるものを含めますと一兆二千三百十四億円。  以上でございます。
  48. 中沢健次

    ○中沢委員 お答えをいただきました数字を、既に返済済みのものを差し引きますと、トータルをすると十一兆三千五百億円になると思いますが、間違いないかどうか。  それと関連をして、いただいた資料の中に例の国債整理基金への繰り入れの停止、五十七年から国債残高の一・六%停止をされている。この累積が十二兆九千億になると思いますが、数字的には間違いございませんか、お答えをいただきたいと思います。
  49. 水谷英明

    ○水谷説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、これをトータルいたしますと、今申し上げました八項目はネットベースで約十一兆三千億になります。それから国債費の定率繰り入れ等の停止額は、五十七年から六十三年の分を合計いたしてみますと十二兆九千億になります。
  50. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで関連をしてまたお尋ねをしたいと思いますが、これはあくまでも繰り延べの残高という数字はいわゆる元金の数字でございまして、返済する場合は利息を含めて返済をする。こういうことになると思うのです。確かに最近利息は貸付利息も少し下がってきておりますけれども、変動がありますので、なかなか正確には返済計画についての元利合計、数字を明らかにできないかもしれません。そのことを承知の上で、私はあえて試算をやってみました。  例えば厚生年金の関係で言いますと、確かに二兆七百三十億の元金でありますけれども、返済計画そのものもまだ余り明確になっておりませんが、仮に六十四年から十年計画で返済をすると仮定をして元利計算をいたしますと、およそ四兆円に上る。同じような考え方でいろいろやってみますと、住宅金融公庫関係についても五千八百億になる。国年会計に至っては二兆四千億。自賠責は既に返済済みだからゼロ。政管健保が八千億。道路特会もゼロ。そして非常に問題なのは、地財改革によるところの国の持ち分五兆八千二百七十八億でありますが、およそこれは十兆円ぐらいになるのではないか。そして地財対策の繰り延べについても、同じように計算すると三兆五千億余りになるのではないか。そうしますとトータルをすると、今数字が約十一兆三千五百億、こういうことでありますが、私なりにやや客観的に利息を計算をして数字を上乗せをすると、優に十兆円この金額に上積みになるわけです。十一兆が二十一兆になる、大ざっぱに言って。これは参議院の予算委員会だというふうに聞いておりますが、利息の問題は別にいたしまして、元金の問題について、言われるように百五十九兆の国債残高に加えてこの種の後年度負担が二十一兆に上る、こういう答弁はされているわけなんであります。  さて、私の指摘をいたしました利息を含めて、この部分で言うと二十一兆。そして国債費の繰り入れの停止を入れると優にこれは三十四兆円になるのではないか、単純計算するとそのように思うのでありますが、こういう内容について、プロの大蔵省としてはいろんな試算方法はあるのでしょうけれども、極めて客観的な数字を使いながら、およその見当として、今私の申し上げたような数字についてはどういう見解をお持ちでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 水谷英明

    ○水谷説明員 こういったいわゆる後年度への負担繰り延べ分の金利を計算すべきではないかということは、総論として御趣旨のとおりであろうと思うわけでございますが、ただ、今先生からも御指摘がございましたように、例えば一番上の厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等の特例につきましては、今後の繰り入れをどうやって行うか自体が定まっていないわけでございます。それから今後の金利の推移も、どう仮定するかということによって、私ども事務的にはなかなか計算が困難だということでございまして、私どもといたしまして、御指摘の各事項のうち、いわゆる運用収入と申しますか利子と申しますか、一般会計から繰り入れるべきことが法律上明文化されているもの、これは一番目の厚生年金の国庫負担金の繰り入れ等の特例と、三番目の国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化でございますが、これにつきまして、過去に六十三年度までの分につきまして、一定の前提を置きまして試算を行ってみたわけでございます。厚年の繰り入れ特例等につきましては六十三年度までの分で四千九百六十億、それから国民年金の平準化措置の方で、いわゆる利息分と申しますか運用収入相当額で三千七百八十一億円ということで、六十三年度までの分でも相当な金額に上っておるわけでございまして、先生御指摘のような大胆な推計というのは私ども事務的には困難なわけでございますけれども、いずれにしても後年度に大きな負担があるということは事実でございます。  我々、ただいま六十五年度に特例公債依存体質からの脱却ということで財政改革に取り組んでおりますけれども、いわゆる百六十兆円の公債残高のほかにこうした難しい問題がある、厳しい状況にあるということは御指摘のとおりでございます。
  52. 中沢健次

    ○中沢委員 大蔵省としては責任ある立場ですから、私どものようにかなり大ざっぱな数字を前提にしてはじき出した内容について、そのとおりですと歯切れのいいお答えができないことはわからないわけではございません。しかし、基本的にはこの百五十九兆円の国債残高、国の財政再建の大きな課題であることは言うまでもない。加えて、今私の指摘をした、仮に利息を加えると三十四兆円に上る後年度負担、これも当然財政再建の大きな課題になるはずですね。そうすると、責任ある大蔵省としては、今現在としてはなかなか明確な数字が出せないにしても、専門家の立場で言うとそれなりの推計みたいなものはやっていると私は思うのです、元利を含めて返済をするわけでありますから。だから、そこのところは今後の課題も含めてぜひひとつしっかりやっていただきたい。あえて言えば、防衛費の二兆六千億の後年度負担、よく言われておりますけれども、そういう内容などを含めると極めて膨大な後年度の負担になる。つまり国民一人当たりに引き直しをすると、三十四兆円を一応単純に上乗せをいたしますと百九十三兆円の金額になる。国民一人当たりで言うと百六十万にも上るわけでありますから、ぜひひとつ財政再建、こういう問題も含めてしっかりやっていただきたい、このことを指摘をしておきたいと思います。  さて、次の問題に移ってまいります。大蔵省の方は、私の質問は以上で終わりますので、お引き取りをいただいて結構でございます。  それじゃ、地方交付税関係いたします国と地方との貸借関係について、自治省にお尋ねをいたします。  かねてからいろいろなところで、国と地方の貸借関係が複雑過ぎてよくわからない、自治省として一回明確に整理をしてほしい、こういう話がございまして、三つぐらいに区分をして整理をされているわけなんてありますが、あえてお尋ねをいたしますが、国と地方との貸借関係について、三つのグループに分けての数字を明らかにひとつ出していただきたいと思います。
  53. 津田正

    津田政府委員 国と地方財政との貸借関係でございますが、三つということで御指摘ございましたが、ちょっと数字を私並べさせていただきます。  まず、地方交付税法附則第四条第三項の特例措置に関連して法律上加算されるものが五千二百六十九億円でございます。それから、いわゆる暫定加算、経常経費のカット分の残り二分の一の部分、これが八千四百四十億円になります。それから、投資的経費のカット分と過去の覚書に基づく将来の加算約束分が二兆五千七十四億円、こういうような数字になります。これが国から地方としてもらうべき部分、こういうふうに考えております。  一方、地方財政から国に対して返済すべきものでございますが、先ほど来出ております交付税特会の借入金が五兆九千百三十九億円ございます。それから昭和六十年度の補正でしたか、地方交付税総額の特例措置されましたもののうち、昭和六十三年度におきまして一部返したいと考えておりますが、返した後の残額が千百六十五億円ございまして、合わせまして国に対して返さなければならないものが六兆円台になっております。
  54. 中沢健次

    ○中沢委員 内容の数字につきましては資料をいただいておりますので、また別な機会にいろいろ議論をしてみたいと思いますが、関連をいたしまして、今度は地方が国に返さなければいけない五兆九千百三十九億円の問題について少しお尋ねをしたいと思うのです。  今、自治省の方も私と大蔵省のやりとりを聞いておったと思うのでありますが、この五兆九千百三十九億円も実は元金でございまして、利息が入っていないわけですね。利息を入れて返済計画を立てる場合にどういう数字になるのか、およその見当、どのように推測をされるか、お尋ねをしたいと思います。
  55. 津田正

    津田政府委員 五兆九千百三十九億円の交付税特会借入金につきましては、毎年度御承知のとおり交付税から差っ引きまして利息を払っておる状況でございます。ただ、この場合の利息というのは毎年度変動しておりますので、要するに、今後例えば六十六年度に三千五百四十一億円返し、ピーク時で七十三年には七千二百三十二億円返さなければならないというような元本の償還表はございますが、残念ながら利息は毎年変動するというようなことで整理できないような状況でございます。いずれにしましても約六兆円と、それに払います利子負担というものを考えていかなければならないわけでございます。
  56. 中沢健次

    ○中沢委員 念のためにお伺いをいたしますが、そうすると、利息は毎年度の交付税特会で措置をする、こういうことで受けとめて間違いがございませんか。
  57. 津田正

    津田政府委員 本年、六十三年度におきましても、この借入金等の利子分といたしまして二千七百八十億円が交付税総額から差っ引かれて、残ったものが現実に地方団体に配分される、このような姿でございます。
  58. 中沢健次

    ○中沢委員 いずれにしても相当巨額に上る国と地方との貸借関係がある。それから地方から国に返すお金も元金でおよそ六兆円ある。これも地方財政全体にとりましては大きな課題でもございますので、その辺はひとつ今後自治省としても責任ある立場で十分配慮をお願いしたいと思います。  さて、まだ残っているテーマがございますので先に進みたいと思いますが、次に、直轄事業地方負担金問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  最初に、直轄事業地方負担金について、五十六年度以降の直轄、補助分けましてどういう数字になっているか、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 津田正

    津田政府委員 五十六年度におきます直轄事業に係ります地方の負担金は四千四百九十四億円、五十七年度四千八百五億円、五十八年度四千九百三十億円、五十九年度四千九百八十二億円、六十年度が六千七十六億円、六十一年度六千七百五十億円、六十二年度七千八百五十三億円、六十三年度は公共事業の拡大というようなこともございましたので、直轄事業地方負担金は九千四百十四億円に達する、かように考えております。  公共事業、いわゆる地方団体が施行いたします補助事業地方費の推移でございますが、五十六年度が三兆二千四百三十五億円、五十七年度三兆一千五百六十二億円、五十八年度三兆一千八百三十八億円、五十九年度三兆一千四百四十七億円、六十年度三兆四千九百九十六億円、六十一年度三兆四千六百七十八億円、六十二年度が三兆五千六百七十億円、六十三年度が三兆八千四百七十二億円、このような状況になっております。
  60. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、今生数字をずっとお答えをいただきました。数字を聞いて私も直感をするのでありますが、この直轄の地方負担が五十六年度に比べて六十三年度は倍以上ふえている。しかし一方、補助の方でいうと、地方負担は若干の伸びがありますけれどもほぼ横ばい、こういう事実が一つあると思うのです。  それから、もう一つ角度を変えて今の数字をいろいろ展開をしていきますと、例えば五十六年度の直轄の地方負担は事業費のうち約二五%でありました。それが年々もちろんふえてまいりまして、六十年は三〇・八%、六十三年は事業費の三五・二%に膨れ上がっている。同じような立場で分析をしますと、補助事業でいうと、五十六年が五九%、六十年が五五・六%、六十三年が五二・九%、こういう数字になるわけです。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕  そうしますと、これは自治省という専門家集団に限らず、その受け皿の各地方自治体、あるいはそのことをよく承知をしないけれども、それが具体的な事業として住民に大変な影響が出てくると思うのですよ。なぜ直轄事業と補助事業地方負担の差がこれほど出るのか、その理由は幾つかあると思うのでありますが、三つ、四つちょっと挙げてみてくれませんか。
  61. 津田正

    津田政府委員 事業費の中に占めます地方費の割合というものの動きでございますが、端的に申しまして補助負担率のカットという問題がございますので、地方費の負担部分が多い、こういうような状況でございます。  それから、特に公共事業等の配分を私どもなりに大蔵省の査定を見てみますと、やはりこの数年来内需振興というようなことで事業量を伸ばしたい、しかし国費は限られる、そうすると地方費の多い部分と申しますか、要するに補助負担率の低い部分の方に事業をシフトさせて、国の立場からいえば国の資金の有効活用ということで内需要請にこたえる、こういうようなこともあったかと思います。  それから直轄事業の中身におきまして、私どもまた地方団体も非常に神経を使っておるものにつきまして、国の直轄事業の維持管理費に伴う負担金というものの増加も著しい。これはもちろん直轄事業によって整備されました社会資本自体の量の蓄積というものによりまして維持管理費というものもふえてまいるわけでございます。これはもう毎回私どもと大蔵省なり各省との議論の的でございますが、地方団体にある補助事業の維持管理につきましては国費は余り出さないで、国の直轄事業だけはどんどん地方負担をさせるというのはバランスがとれないんじゃないか、こういう議論があるわけでございますが、この維持管理費が最近かなり著増しておるということにつきまして私どもとして十分注意を払ってまいらなければならない、かように考えております。
  62. 中沢健次

    ○中沢委員 今お答えをいただいたわけでありますが、直轄事業と補助事業でいうと、地方負担に非常に大きな開きがある。自治省も現実的な問題でありますからそのことを正しく認められているわけですね。そしてその内容についてもいろいろございました。  なぜそういうふうになっているか。大きくは補助率カットの問題がかなり響いている。しかしこれはなかなか大きな政治問題でありまして、一朝一夕に我々が言うようなことにいかないかもしれない。しかし今お答えがございましたように、例えば維持管理費の問題について言えば、これはやはり自治省としてもう少し地方の立場に立って大蔵や建設と渡り合って、何とか一歩前進ぐらいの成果を六十三年度中に上げていただけないかな。もっと言いますと、直轄事業そのものは大変ふえておりますけれども、自治体の財政的な能力からいって結局は予算を余すという結果になるわけでありますから、そういうことをなくする上でも、今私が申し上げましたように維持管理費の関係についてはもう少し自治省は本腰を入れて各省と渡り合ってはどうか。  それと同じような内容でいうと、やはり事務費についても言えると思うのです。ですから、当面維持管理費と事務費、この二つ自治省としては着目をしていただいて、大蔵や関係各省と本当に汗を流してやり合って、せめてこの部分から具体的な制度の充実ということについて手がけていくべきではないか、あえてそのように思うのでありますが、いかがでしょうか。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 津田正

    津田政府委員 毎年度各省が概算要求を出す際におきまして、私ども地方財政の立場から注文を出しておるわけでございます。先生御指摘のこの直轄事業の負担金、特に維持管理費に対するものにつきましては、昨年もこれを廃止されたいこと、こういうような申し入れをし、さらに直轄事業に係る事務費については、経費の徹底した節減合理化に努め抑制を図るとともに、その比率、充当範囲が補助事業における取り扱いと著しく均衡を欠いているので、その取り扱いを補助事業と同一のものとするよう改善措置を講じられたい、このような申し入れをし、その後予算編成の過程でも関係省にも申し入れておったわけでございますが、まだ改善を見ていない状況でございます。今後におきましても私ども努力してまいりたい、かように考えております。
  64. 中沢健次

    ○中沢委員 今、六十三年度の交付税の議論なのでありますが、いずれにしても現実問題としてはこれからも、とりわけ六十四年度の概算要求あるいは予算の確定に向けて重要な課題だ、そのことをひとつ改めて指摘をして自治省努力をぜひお願いしたいと思います。  さて、次の問題に移りたいと思います。普通交付税の単位費用問題について、いろいろな角度からお尋ねをしたいと思います。  釈迦に説法でありますから、なぜこういう質問をするかということは理由が要らないと思いますけれども、いずれにしても十兆円に上る交付税の積算の基礎としては、一つは単位費用があって、一つはいろいろな補正の問題がある。二本立てで基本的には積算をして、最終的に全国の普通地方交付税の配分が決まっていく仕組みでありますが、かねてから当委員会を中心にいたしましてこの問題についても何回かにわたって指摘があったと思います。私はこの委員会で発言をするのは四回目でありまして、この問題を取り上げるのは初めてでございます。そのことをひとつ自治省の方でも御承知をしていただいて、かつての議論に重複をするかもしれませんが、具体的なお答えをお願いしたいと思います。四つほどに問題を絞りましてお尋ねをしたいと思います。  まず一番最初に、この単位費用では、御承知のように都道府県について百七十万というモデルを設定していろいろな単位費用をつくっていらっしゃる。その中で、都道府県における保健所の問題を一つ取り上げてみたいと思います。  具体的な推移についてまずお聞かせをいただきたいと思いますが、五十五年度、六十二年度、六十三年度の保健所の単位費用の推移について具体的にお示しをいただきたいと思います。
  65. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 お答え申し上げます。  保健所の関係につきましては都道府県分の衛生費で算入するわけでございますが、衛生費の標準団体におきまして保健所の数は、昭和五十五年度において十五カ所、六十二年度におきまして十五カ所、それから六十三年度におきまして十四カ所という形になっております。
  66. 中沢健次

    ○中沢委員 保健所の数についてはお答えいただきましたけれども、一カ所当たりの職員数はいかがでしょうか。
  67. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 一カ所当たりの職員数は、昭和五十五年度で三十五人、それから六十二年度では三十人、六十三年度では三十一人ということになっております。
  68. 中沢健次

    ○中沢委員 今数字を聞きましたけれども、五十五年度から六十二年度までは十五カ所で職員は三十五から三十に減っております。そして昨年度に比べて六十三年度は、数で十五カ所でずっと長い間来たのが十四カ所に一カ所減っているわけです。それと、一カ所減らしたから一人ふやした。しかしトータルでいって、六十二年度は単純に計算して四百五十人、六十三年度は四百三十四人、十六人減るわけですね。これはどういうことに根拠を置いて六十三年度減らしたのか、それをお聞かせください。
  69. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 交付税の標準団体とか標準施設の規模を決める場合には、各省が定めている基準とか全国の実態、それから全国で算入される数がどのくらいあるかというようなことを総合的に考慮して決めていくわけでございますので、絶えず見直しをしていかなければならないわけでございます。  保健所の問題につきましても、全国の保健所の総数とか全国的な職員数の実態というものを踏まえて、標準団体ベースに置きかえていったらどうなるかということを絶えず見直しているわけでございますけれども、六十三年度におきましては、保健所の業務の広域化の進展状況などを踏まえて、標準団体におきます保健所の数を前年度に比べて一カ所減らしております。他方、保健所の一カ所当たりの職員を一人増員することにしたわけでございますが、この数字によって全国的な算入箇所数あるいは算入職員数を計算してまいりますと、ほぼ実態に即応するということになりましたので、そういう形にさせていただいたわけでございます。
  70. 中沢健次

    ○中沢委員 それで、実はこの問題については厚生省は呼んでおりませんが、保健所法の趣旨からいいますと、人口十万人に保健所は一カ所程度という明文規定があるわけですね。そうすると、百七十万のモデルでいうと保健所の数は十七カ所あってしかるべきではないか。理屈の上では当然そういうことになると思うのです。そして今お答えの中では、保健所の実態に照らして六十三年度は一カ所減らしたと言いますけれども、それでは六十二年度の全国の保健所の数、実数、六十三年度の保健所の数、これは実数ではなくて予定数になると思いますが、そういうバックデータみたいなものは自治省の方でもお持ちなのですか。
  71. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 保健所の全国の総数は六十二年度で八百五十カ所でございます。この八百五十カ所を交付税の補正後の数値で割り返してまいりますと、標準団体別で十二カ所ぐらいになるんじゃないかということでございまして、十四カ所というのはまだ少し多いという感じになっております。
  72. 中沢健次

    ○中沢委員 実は、厚生省も呼んで具体的な責任官庁とのやりとりをやれば、より問題点が鮮明になると思うのでありますが、私の調べた範囲で言いますと、全国の保健所というのは最高多くて八百五十五カ所であった、そういう事実が一つある。おっしゃるように現在は八百五十、若干減っている。そういう厚生省の基礎的な数字からいいましても、自治省実態論そのものにも問題があるし、今度保健所を、なぜ昨年まで十五カ所で来て本年一カ所減らしたのか、私は納得できないわけですよ。  なぜ私が保健所問題を取り上げたかというと、俗に言われておりますエイズ問題あるいは地域の総合医療センター問題をいいますと、この保健所問題というのは非常に大事なわけですね。そういう観点で言っているわけでありまして、これは厚生省が来ればいろいろやりとりができるのでありますけれども自治省に改めて聞きたいのは、十五カ所を十四カ所になぜ減らしたのか、技術的に端数を切り捨てたり切り上げたりしたのかどうか、その辺の具体的な内容について改めて聞いておきたいと思います。
  73. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 保健所の総数につきましては、おっしゃるとおり八百五十五の時代もありましたが、六十二年度では八百五十カ所ということでございます。そして、私どもが厚生省当局といろいろと折衝する過程で、最近におきましては保健所行政に加えまして市町村におきます市町村保健センターとかいう行政もかなり充実させていくというような方向も出ておりまして、むしろ都道府県なり大都市に置かれます保健所というものは広域化が進むのではないか、一部広域化もやっているわけでございますが、そういうような方向というものを踏まえまして、都道府県におきます標準団体の保健所の数を減らしたわけでございます。
  74. 中沢健次

    ○中沢委員 この問題だけでやっていきましたら時間がございませんので、きょうのところはこのぐらいにいたしておきたいと思いますが、次に、今度は市町村の単位費用の関係についてお尋ねをしたいと思います。  具体的に、市町村の清掃事業でありますけれども、これも昭和五十五年度、六十二年度、六十三年度、内容としてはごみ収集の車の台数、し尿収集の車の台数、そしてそれに関係する職員の数、どういう推移になっているかお聞かせをいただきたいと思います。
  75. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 まず、ごみの収集車でございますが、台数でございますけれども、五十五年度に二十一台、六十二年度が二十台、六十三年度が二十台でございます。それから、し尿収集車の台数でございますが、五十五年度が十三台、六十二年度が十台、六十三年度が九台でございます。それから、ごみ処理関係職員の数でございますが、五十五年度で七十四人、六十二年度が六十三人、六十三年度では六十四人でございます。それから、し尿処理関係の職員数でございますが、五十五年度が四十一人、六十二年度が三十四人、六十三年度では三十二人、こういうことになっております。
  76. 中沢健次

    ○中沢委員 今、四つに項目を整理をして五十五年以降の実数というか単位費用の数字を聞きました。全部減っているわけですね。改めて指摘をいたしませんが、すべて減少している。その理由はどこにあるのでしょうか。
  77. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 清掃費の関係におきましてこの標準団体の規模が減っている大きな理由は二つあると思うのです。一つは、下水道の普及に伴いましてし尿処理というものがだんだん減ってきているという問題が一つと、それから比較的委託が進んでいるというような問題があろうかと思います。  そこで五十八年度までを見ますと、先ほど申しましたとおり、ごみ収集車は二十一台、し尿収集車が十三台でございましたが、下水の普及に伴いまして五十九年、六十年の両年度でし尿収集車をそれぞれ一台ずつ減らしております。それから、ごみ、し尿の収集業務の一部を民間に委託しているということが実態上もございますが、交付税の単位費用の積算上の委託率と実態とはかなり異なっているということがございましたので、六十二年度にはごみ収集車とし尿収集車それぞれ一台直営から委託に切りかえております。また、六十三年度におきましても、し尿収集車両一台を直営から委託に切りかえる、こういう形にいたしたわけでございます。  また、職員数につきましても減が立ってきておりますけれども、これは職員の配置につきまして五十八年度の実態調査を行いました結果、直営車両の一台当たりの平均収集職員数が三人以下になっている、具体的には二・六人になっているということでございましたので、六十年度から二・六人ということにするということで、五十九年度は激変緩和ということで二・八人、結局五十九年度二・八人、六十年度二・六人という形で積算をし直したものでございます。
  78. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、本来的に言うと清掃事業というのは自治法でも明確なように自治体の固有業務でございまして、本来すべて直営でやるべきだ。ただ、こういう議論をここでやりますと二時間も三時間もかかりますから、別の機会で行いますが、一つだけ、六十年から清掃関係で言うとそれまで一台当たり三人であったのを二・六人にした、これは実態から計算をして二・六人にした、こういうことであります。  そこで、厚生省の関係にお尋ねをいたしますけれども、もちろん自治省にも関係があるのですが、この種の清掃事業について言えば、監督官庁は厚生省、言うまでもないと思います。厚生省も清掃事業についてはいろいろな基準を持っているし、特に清掃のごみ処理関係について言いますと、作業そのものもいろいろ危険が伴う、こういう問題等々もございまして一定のマニュアルをつくっているわけなんです。厚生省に聞きたいのは、今のこの清掃車については単位費用としては二・六人、事の当否は別にして、自治省からお答えがありました。厚生省としてはマニュアルで言うと乗員は何名になっているかお答えをいただきたいと思います。
  79. 藤原正弘

    ○藤原説明員 厚生省としましては、このごみ処理の事故防止の観点からいたしまして「廃棄物処理事業における事故防止対策マニュアル」というものを六十年二月に出しております。この中で圧縮式機械式収集車または天蓋式ダンプ収集車でのごみ収集作業につきましては、「収集作業は二人以上で行う。」こういうふうにしております。これは言いかえますと、運転手を含めますと、ごみ収集車一台当たり三人の乗車体制が事故防止の観点からは望ましいということにしておるところでございます。
  80. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、問題を投げかけておきたいと思います。  自治省の単位費用のとり方、各自治体のそういう実態からいって運転手を含めて二・六にした。そういう算定をした。もっと言えば委託費との関連も出てくると思うのですが、しかし今厚生省の方からございましたように、作業そのものの安全性からいって、マニュアルとしては運転手を入れて三名以上が適当だと明確な答弁があったわけです。そこのところは大変な問題だというふうに私は思いますので、きょうは時間がございませんけれども、この問題についてはまた別な機会にそのことについて指摘をして具体的な見直しを求めたい、このように一応問題点だけ摘出をして申し上げておきたいと思うのです。  そこで、せっかく厚生省の方からおいでをいただきましたので、直接単位費用とは関係がありませんが、清掃問題について、ごく最近私が体験をした内容について質問をさせていただいて、簡単にお答えをいただきたいと思います。  実は、三月二十八日に私、急遽社会党や関係の労働組合の要請を受けまして都下の東村山市に現地調査に行ってまいりました。これは大臣関係する話も後で出てまいりますので大臣も聞いていただきたいのでありますけれども、なぜ調査に入ったか。二つあったわけですね。一つは、あそこのごみ処理工場で身体障害者を長期にわたって雇用している。しかも、それが最低賃金法に違反をする非常に安い賃金で雇っていた。人権上の問題も含めて、これは見逃すわけにいかぬ。もう一つは、前日まで地元で議会が行われておりまして、東村山市からほかの都市にごみが、新聞報道表現によると不法投棄をされていた。この二つについていろいろ私どもとしてはやはり現地に入って調べる必要がある、こういうことで現地に行ってみました。身障者問題については別な機会にまたやりたいと思いますが、新聞報道にございました市外へのごみの処理問題について、余り時間がありませんから、具体的な事実を申し上げて厚生省の当面の対応についての見解を聞いておきたいと思います。  もちろん、直営でやろうが何でやろうが、ごみ収集の処分業者、いわゆる許可業者がいるということは当たり前の話であります。東村山で出たごみを相手側の市の了解を得ない形で捨てている。千葉県の銚子市、それから茨城県の岩井市、ここにも、新聞報道表現でありますが、ごみが不法に投棄をされている、こういう事実がございまして、問題は、その監督官庁の厚生省としては関係の自治体に、あるいは自治体を経由して許可業者に具体的にどういう指導をされているのかということが一つ。  それから、私は北海道の夕張というところでございまして、超過密の東京のいろんな問題については余りよくわかりません。しかし、俗に言われておりますように、超過密都市であればあるほど、ごみ処理問題というのはかねてからいろんな角度で大変な問題が発生している、このように言われておりまして、今の問題でいいますと、いい悪いは別にして、非常に地域も狭くてたくさんの人が住んでごみが出る、自分の市町村地域の中にごみを捨てる場所がない、いや応なしにほかのところに持っていく、こういうケースは今までもあったし、これからも超過密都市の東京あるいは大阪等々では当然出てくると思うのです。  そこで、改めて厚生省から、今度のこの東村山の問題についての行政指導の中身、一般論として超過密都市のこの種の事態の再発防止のためにどういうことを考えていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  81. 藤原正弘

    ○藤原説明員 先生御指摘の事案は、東村山市の許可を受けましたごみの収集運搬業者が、市内発生のごみの一部を千葉県下の銚子市に運搬しまして、その市の許可を受けております別の埋立処分業者に埋立処分を委託をしていたという事案でございます。  この件は、それぞれ許可を得た業者が運搬及び埋立処分をしていたわけではありますが、収集運搬につきましては、ごみを積み込むところの市町村の許可のみならず、ごみを運び込む先の市町村の許可も必要でございます。この面で法律上適正でない面があったと考えられます。また、東村山市におきましても、許可を与えた収集運搬業者の指導が十分ではなかった点があると考えられます。厚生省としましては、この件につきまして既に事実関係を調査いたしまして、適正な処理が行われるよう関係者を指導したところでございます。  また、再発防止のためにどういうことを考えておるかということでございますが、他の地域におきましても一般廃棄物の適正な処理が確保されなければならないわけでございまして、このための対応策を検討いたしておるところでございます。今後、都道府県を通じまして市町村関係者に対する指導をより一層強めてまいりたいと考えております。
  82. 中沢健次

    ○中沢委員 時間があれば、その問題について、背景なんかがいろいろ複雑でありますので指摘をしたいところでありますが、これまた別の機会に行いたいと思います。  そこで戻りまして、また単位費用についてお尋ねをいたします。  持ち時間が大分なくなってまいりましたので、次に市町村の学校給食につきまして、同じように五十五年、六十二年、六十三年、学校給食の場合は小学校費、中学校費別々になっておりますので、児童数、中学校の場合は生徒数、そして給食調理員の数について改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  83. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 小学校費でございますが、標準施設の一小学校の児童数は、昭和五十五年度で八百十人、六十二年度で八百十人、それから六十三年度が七百六十五人でございます。給食調理員数でございますが、五十五年度、六十二年度、六十三年度、いずれも四人でございます。  それから中学校費でございますが、生徒数は、五十五、六十二、六十三、それぞれ六百七十五人で変わっておりません。また給食調理員数につきましても、五十五、六十二、六十三、それぞれ二人ということで変わっておりません。ほかに、中学校の場合には賃金職員を一人積算いたしております。
  84. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、この問題についていいますと、恐らく六十三年度は四十人学級との関連で八百十人が七百六十五人になったと思うのです。問題は、私は文部省の方にいろいろ聞きまして、文部省が調査をしている実態、いわゆる給食調理員の実態はどうか。最近の数字でいうと、八百十人に対比をする数字としては四・八人である、このようにお答えをいただいているわけです。  そこで、今保健所の問題と清掃の問題と学校給食の問題の三つを取り上げました。どなたが聞いていても、どうも自治省の算定手法、設定に矛盾があるのではないか。つまり一面においては実態論に立脚をして、実態がこうだから例えば二・六人の単位費用の計算をする。学校給食の場合は、実態は四・八なんだけれども、しかしこれは四名でやるのだ。矛盾だと思うのですが、どう思いますか。
  85. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 標準団体の規模を設定する場合に、最初にも申し上げましたとおり、いろいろな施設等の各省で決めております基準というものも大いに参考になるわけでございますが、そのほかに、全国の実態あるいは交付税で最終的に算入される全国の総数あるいは総額というものを総合的に勘案して標準団体の規模を決め、これを毎年度見直していくという考え方になっているわけでございます。そういう意味におきまして、片方では実態を見、片方では各省の基準を見るのは矛盾しているのではないかという点でございますが、給食調理員の点を見ましても、この数で、今標準校で見ております四人で全国の数を計算してまいりますと、ほぼ現実の配置総数と合っているということでございまして、仮にこの標準規模のところをふやしてしまいますと、もっと総数が入り過ぎてしまうというような問題もございますので、この辺は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  86. 中沢健次

    ○中沢委員 そこで、この問題について締めくくってみたいと思うのですが、今矛盾ではないというお答えがあったのでありますけれども、私自身は、時間的な問題も含めてこれを全部分析するだけの能力がございません。しかし、今三つ挙げました内容を含めて、恐らく大方の委員の皆さんはちょっとおかしいなという感じをお持ちだと私は思うのですよ。つまり、交付税の構造からいうと単位費用と補正とでいろいろ調整をして全国のトータルを出す。非常に悪意を持って見ますと、基準財政需要額を低くするために、単位費用をあえて個別の問題でいえば低くなるように実態を使ったり基準を使ったり、あるいは具体的に指摘をしておりませんが、各種補正もそういう問題があるのではないか。私は、なければ結構ですが、そういうことがあるのではないかということを何となく、きょうの段階は漠然でありますけれども持っているわけです。しかし、これはそうあっては絶対にならぬと思うのです。ですから、私はもう時間がありませんのできょうの委員会ではこれ以上各論にわたってはやりませんが、ぜひひとつそういうことのないように、仮に実態であれば実態の客観的な説得力、基準の客観的な説得力、それを十二分に添えた単位費用でなければいけないし、そういう説得力がなければ、単位費用もこの際幾つかの問題を含めて見直しをするべきではないか、このことを指摘しておきたいと思います。  それからもう一つ、さきの委員会で私は地方公務員の労働時間の短縮問題を指摘いたしました。完全週休二日制になった場合に、恐らく職場によってはどうしても職員をふやしていかざるを得ない。自治省としてはそういう方針には立っていないことは百も承知で聞いているのでありますが、しかしこれから先の問題として、労働時間の短縮、土曜閉庁ということになってまいりますと、とりわけ現業職場において定数をふやすという必然性が出てくるのではないか、私はそのように考えるわけです。  そうしますと、六十三年度の交付税の単位費用問題でいえば、従来の延長線でずっと来ているわけですけれども、仮に六十三年度中に地方公務員が完全週休二日制に、試行であっても本格であっても実施に行った場合に、その時点で必要に応じて単位費用の見直しが避けて通れないのではないか、そういう印象を私は率直に持つのでありますが、そういう印象についてはいかがでしょうか。
  87. 津田正

    津田政府委員 交付税の基準財政需要額の算定につきまして、単位費用あるいは数値のとり方、補正係数の問題につきましては、私どもなりに実態調査あるいは各省庁の法令その他の基準、そして何よりも算定に当たりましては地方団体の意見を聞きながら毎年制度改正を行ってきておるわけでございまして、今後におきましてもそのようなスタンスでやりたい。先生御心配のように、実態をとったら法令基準に合わないような仕組みにはならないような配慮は必要かと存じます。  それから、完全週休二日制の問題につきましては、私ども今後公務員部と十分連絡して対処してまいりたい、かように考えております。
  88. 中沢健次

    ○中沢委員 それでは時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  89. 松本十郎

    松本委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ────◇─────     午後二時五分開議
  90. 松本十郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小谷輝二君。
  91. 小谷輝二

    ○小谷委員 交付税法について二、三お尋ねをしてまいりたいと思います。  昭和六十三年度の普通交付税、これは道府県分でございますが、これを当初予算分におきまして見るところ、六十二年度の最終普通交付税よりもかなり減額されているわけでございますが、その主な理由をちょっと御説明いただきたいと思います。
  92. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 六十三年度の道府県分の普通交付税は、今計画という形で見込みを立てているわけでございますが、基準財政需要額につきましては、国の予算とかあるいは御提出しております地方財政計画などを踏まえまして、所要の財政需要を見込んだわけでございます。その結果、六十二年度の再算定後の基準財政需要額に対しまして五千九百九十四億円、四・三%の増、これは財源不足団体ベースで申し上げますと五千百五十四億円、四・五%の増と見込んでおります。  他方、基準財政収入額につきましては、最近の景気の動向を反映いたしまして法人関係税の伸びが非常に大きいわけでございます。その関係で、六十二年度の再算定後の基準財政収入額に対しまして一兆九百四十三億円、一三%ぐらいの増が見込まれます。これを財源不足団体ベースで見ますと五千九百十六億円、一〇・八%の増ということになります。  こういう形で、基準財政需要額もかなり見込んだわけでございますが、それ以上に基準財政収入額の方が道府県分の場合には伸びるということがございまして、結果的には普通交付税の額が、これは現段階の見込みでございますが、七百六十一億円、一・三%程度の減になるのではないか、こういう見込みを立てているわけでございます。
  93. 小谷輝二

    ○小谷委員 七百六十一億、約一・三%減額ということに見込まれておるようでございますけれども、今、日本の国策として一番必要とされることは内需の拡大であることは私が申し上げるまでもございませんが、そういう内需の拡大面から見て、この減額で果たして内需の拡大を図ることができるのかどうか。この点はどのように見込んでおられますか。
  94. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 ただいま申し上げましたとおり、基準財政需要額の見積もりにつきましては国の予算あるいは地方財政計画の伸びを見込んで算入しているわけでございまして、その意味では、例えば公共事業の拡大でございますとかあるいは地方単独事業の増額というものを織り込んだ上で基準財政需要額の算定をするつもりでございます。そういう意味におきまして、景気の進行に悪影響を及ぼすというようなことはまずないのではないかと理解いたしております。
  95. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方自治体財政健全化、この目安として今まで公債費の負担比率が常に問題とされてきたわけでございますし、非常に重要な一つの目安としてきたわけでございますけれども、この段階別団体数はどのようになっていますか。
  96. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 六十一年度の決算におきます公債費負担比率を段階別に見てまいりますと、二〇%以上が千八十二団体、それから一五%以上二〇%未満が九百五十団体、一五%未満が千二百六十八団体ということになっておりまして、私どもが危険信号だと言っております二〇%以上の団体が前年度より四十六団体増加いたしまして、全体の約三分の一の団体になっているわけでございます。
  97. 小谷輝二

    ○小谷委員 公債費負担比率が二〇%以上、最もこれは危険信号である、このように指導してこられ、また我々もそのように一つの目安としてきたわけでございますけれども、六十一年度において、府県で三府県から七府県へ倍増しておるわけでありますし、また市町村でも千三十三から千七十五団体へと大幅にふえてきております。その主な理由はどういう理由なのか。また、今後いろいろな制度の成り行き等もあると思いますが、なお今後危険信号と言われるような市町村の公債費率の大幅なふえ方ということが見込まれるのか、それとも財政的に非常に危険だという市町村が減っていくという見通しなのか、この点はいかがですか。
  98. 津田正

    津田政府委員 公債費負担比率が悪化しておる状況は、先ほど来の質疑であるとおりでございます。この原因は、何と申しましても昭和五十年度以来地方財政財源不足に対処するため、他面におきましては内需の振興あるいは住民生活の向上維持というようなことで地方財政需要というものにも対処しなければならない、こういう中で、結局のところは地方債の増発等借金によって地方団体財政運営をやってきた、それが積もり積もった結果がこのような公債費負担比率ということであらわれておるわけでございます。公債費負担比率の上昇につながります地方債は、一面におきまして、小さな団体が例えば学校を建てて、その場合に現在住んでおる住民だけではなくて将来の住民も利用する、そういうような世代間の負担の公平を図るために地方債の活用ということもあるわけでございます。  しかし、御指摘のようにかなり公債費負担比率が悪くなっておるという状況を考えますと、地方債への過度の依存はなるべく避けるべきである、かように考えるわけでございます。今後の地方財政の見通しは必ずしも楽観を許さないわけでございますが、地方債への依存を極力避けるような財政運営あるいは財政対策というものを講じていかなければならない、かように考えております。
  99. 小谷輝二

    ○小谷委員 国保の地方への負担転嫁、また補助率カット等々、これはどう考えても危険信号と言われる財政状況の市町村がかなりふえてくるのではなかろうか、こういうふうに危惧されるわけですが、局長、改めてこの点はいかがですか。
  100. 津田正

    津田政府委員 補助負担率のカットによります地方財政への影響額あるいは国保制度の見直しによります地方財政への影響額というものは、完全補てんするような形でやってはおるものの、しかし大部分がいわば現ナマで処理できるという財政状況では国もございませんので、やはり借金に依存せざるを得ない、こういう状況でございます。その面におきましては私ども大蔵省ときっちり約束しておるわけでございまして、その部分自体は財源補てんされるわけでございますが、一般的な財政運営として過度の地方債への依存というものは避けていかなければならない、かように考えます。
  101. 小谷輝二

    ○小谷委員 きのうあたりの新聞では、大蔵省は、かなり地方財政は豊かである、こういうふうな見解のもとに今後の地方財政に対する見方をしているようでございますが、ここで地方自治体財政健全化について大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  102. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のように地方財政は依然として巨額の借入金残高を抱えておりまして、引き続き極めて厳しい状況に置かれているという認識を持っております。今後その償還にもたえ得るように財政構造の健全化を図っていくためには、行財政の守備範囲の見直し、行財政運営の効率化を図るとともに、地方税地方交付税等の地方一般財源の着実な充実を図っていくことが基本的に必要であると考えております。
  103. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に問題をちょっと変えまして、道府県と市町村税源の配分についてお尋ねをしたいと思います。  市町村財政需要が最近増大している反面、歳入中に占める税収入の割合が低下しているわけでございます。この主な理由はどのように見ておられますか。
  104. 津田正

    津田政府委員 地方団体の中におきましても市町村というのは住民生活に一番密着した団体でございます。そのために、生活環境施設の整備あるいは福祉施策の充実等のために市町村財政需要が増大してまいったと思います。  反面におきまして財源でございますが、特に税を考えてみますと、個人住民税は県と市町村分け合っておるわけでございますが、大きな法人関係につきましては、県には法人事業税があり、市町村には固定資産税があります。法人事業税は、伸長性が高いが、その反面景気の変動に非常に敏感であるわけでございます。一方固定資産税の方は、安定的でございますが法人事業税に比べますと伸長性が少ない。こういうような結果、長期的に見ますと、御指摘のとおり三十五年ごろにはかなり地方税の占める比率も高かったわけでございますが、最近低落傾向にある、こういうような状況でございます。ただ、五十三年度は三〇%まで低下いたしましたが、その後六十一年度には四一・四%と若干上がって改善を見ておるような状況でございます。
  105. 小谷輝二

    ○小谷委員 市町村の税収入の歳入中に占める基幹税目、これは局長御説明のように、固定資産税というのが非常に安定した基幹税目になるわけでございますけれども、この固定資産税の割合が、昭和三十年には四七%、ところが六十一年には三四%に落ち込んでおりますね。基幹税目として市町村財政の安定的な財源であるべき固定資産税が全体の中でかなり落ち込んでいる、この理由はどう考えていますか。
  106. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 固定資産税につきましては、その市町村税収入に占める割合が長期的に見ますと低下してきていることは御指摘のとおりでございます。一方、固定資産税と並びます市町村の基幹税目であります市町村民税、これは個人と法人両方ございますけれども、これを一緒にいたしましてその割合を見ますと、昭和三十年度は三二%でございましたけれども、六十一年度では五〇%ということになっておりまして、固定資産税とちょうど逆の形になっているわけでございます。これは、市町村民税が所得課税でありますことから、その税収が経済の成長に応じて伸びるという性格によるものでございますし、またその間、市町村に対する法人税割につきましては、いろいろ紆余屈折がありましたけれども、その充実を図ってきたということもあります。  一方、固定資産税につきましても、その税収は絶対額としては着実に増加しておるわけでございまして、国民所得との対比などで見れば、三十年ごろと今は大体同じぐらい、パラレルと言っていいぐらいであります。途中段階では少し下がった時代がございますけれども、そういう状態でございます。しかし、固定資産税は非常に多くの納税者に毎年課税されるという税金の性格がございまして、特に四十年代のおしまいごろに、住宅用地及び小規模住宅用地の課税標準の特例措置ということが設けられました。あるいは在来家屋につきましては、この前当委員会でもいろいろ御議論がありましたけれども、在来家屋についての据え置き措置というようなこともございます。そうした負担軽減に配慮していることもございまして、資産価値の増加に連動したものとは必ずしもなってないということがございます。  このような固定資産税とそれから住民税という二つの税金の性格の差によりまして、経済が急速に成長した昭和三十年代後半から四十年代にかけて税収の伸び率に差が生じたということが一つ。それから、ただいま申し上げました四十年代後半に特例措置が講ぜられたというようなことの結果、現在のような状況になっているというふうに理解をしているところでございます。
  107. 小谷輝二

    ○小谷委員 固定資産税は市町村財政を支える安定した税ということでございますし、その基幹税目である固定資産税の割合が低下するということは、ひいては市町村財政が不安定になるということに通じるのではないかというふうな点があるわけでございます。今後この固定資産税が占める割合というのが幾分なりとも変わってくるのか、その見通しはいかがですか。
  108. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 固定資産税の市町村税総額に占める割合の低下はただいま申し上げましたとおりでございますが、これは市町村民税のシェアが上がってきたということとの裏腹でございます。したがいまして、この固定資産税に係る割合が低下したということをもって直ちに市町村財政運営が不安定になるということは必ずしも言えないと思いますけれども、固定資産税というのは何といいましても非常に安定性に富む、しかも市町村の税としては非常にふさわしい税金であるということからいたしますと、そこのところはよく考えていかなければいけないという課題であろうと思います。  今回の評価がえによって状況が変わるのかということにつきましては、六十三年度の状況は現段階ではまだ確たることは申し上げられないわけでございますが、地方財政計画による収入見込み額によりますと、固定資産税の市町村税総額に占める割合は三五%と見込まれておりまして、六十一年度決算の三四%と比べて若干その割合は上昇するものというふうに見ております。固定資産税は、税源の普遍性や税収の安定性に富む市町村の基幹税目といたしまして今後とも市町村財政において果たす役割は重要であると考えておりますが、固定資産税の市町村税総額に占める割合というのは御指摘のとおり長期的には低下傾向にあります。昭和六十一年十月の税制調査会の抜本答申におきましてもこの点に触れられまして、評価の均衡化、適正化を通じて中長期的には充実を図るということで御指摘をされているところでございます。今後ともそうした方向で努力をしていくべきもの、こういうふうに考えているところでございます。
  109. 小谷輝二

    ○小谷委員 市町村の税収入の伸び率、これは府県と比べまして極めて低いわけです。伸び率が低い状況にあります。特に大都市における財政需要というのは最近増高の途にあるわけでございますけれども、この税源配分が不十分ではないかと言われているわけでございます。特に政令都市の中でも川崎市、大阪市を除く大都市はすべて地方交付税の交付団体ということになっている状況から見て、市町村や大都市の自主財源、これを根本的に見直す必要があるのではないか、こういう意見もあるのですが、この点はいかがですか。
  110. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 地方税収入を昭和三十年度と昭和六十一年度で比較いたしますと、県につきましては七十・一倍ぐらいになっております。市町村は六十・二倍でございまして、若干市町村の方が低いわけでございまして、御指摘のとおりでございます。  市町村税源につきましては、これまでも都市的な税源を充実することによりまして、特に大都市の財政需要に応ずるような税収の伸びが図られるような、そういう姿を念頭に置きつつ、例えば事業所税の創設であるとかその税率の引き上げ、あるいは法人住民税の均等割あるいは法人税割の税率の引き上げ、こういったこと、あるいは都市計画税の制限税率を引き上げるというようなこと、あるいは地方道路譲与税の市町村に対する譲与割合の引き上げというようなことを行ってきたわけでございます。こういうことによりまして都市の財政需要の増大等の状況に対処してきたところでございます。  そうした税収の動向を見ますと、市町村全体として見ますと税収の伸びが余りよくないわけですが、大都市におきましては割合に、相対的にはいいように思います。しかしながら御指摘のことは、大都市における行政需要がさらにもっと大きな伸びを示すというようなこともございます。そういったこともありまして十分に対処し切れていないではないか、こういうことになるわけでございます。今後とも市町村税源の充実につきましては一層の努力を傾けていかなければいけない、こういう課題であると考えております。  これはしかし、地方財政制度全般のあり方とも関連する税源配分ということになる問題でございます。地方制度調査会あるいは税制調査会等のいろいろ御審議もいただきながら税源の充実ということに、そういう方向に努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  111. 小谷輝二

    ○小谷委員 三十年間の伸び率が府県では七十・一倍、また市町村では六十・二倍、こう差が出てきておるわけです。特に市町村の歳入総額中に占める税収入の割合を団体別で見たときに、これは統計が出ておりますけれども、一〇%以下という極めて貧弱な団体数が全体の一五%、四百九十七団体ですね。二〇%以下というのが千四百八十九団体、全体の四五・五%。このような実態から見てみまして、基礎的な自治体である市町村、この税源が余りにも貧弱な状況にあるので、地方活性化等はこれでは望めないのではないかと憂えるわけでございますけれども市町村財源の充実を根本的に考え、さらに税制改革の緊急な課題として論議すべきではないか、こう思うわけですが、大臣、この点いかがですか。
  112. 梶山静六

    梶山国務大臣 全国三千を超える市町村の中には、御指摘のようにその団体の産業経済構造から歳入に占める地方税収の割合が極めて小さい団体もあり、このような団体については税制上の仕組みによって対処すること自体が難しい場合もあることは御案内のとおりであります。このような団体に対しては、地方交付税制度等によりその財政運営支障の生じないようにしているところでございます。活力ある地域社会を築き上げるには、地方税源等の自主財源の充実が不可欠であると考えておりますが、その規模や地域経済構造等の異なる三千余の市町村が置かれている現況はさまざまであることから、地方税源の充実とあわせて地方交付税制度等による財源確保が何よりも必要であると考えられます。これは地方財政全般のあり方とも関連をする問題でありますので、税制調査会あるいは地方制度調査会等の御審議を煩わしつつ地方税財源の充実に努めてまいりたいと考えております。
  113. 小谷輝二

    ○小谷委員 法人所得税をちょっと見てみましても、都市におけるところの企業活動、人口の流動等によるところの都市施設の整備、生活環境の改善等、これにかなり莫大な投資が必要とされております。これは都市型自治体の財政上の大きな負担となっているわけでございますが、それにもかかわらず、法人所得課税、これは市町村の配分割合が八・三%という低い率ですね。この配分割合はこれでいいのか。どうもこれは見直す必要があるのではないか、こう思うわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  114. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 都市税財源充実につきましては、地方税制度及び地方交付税制度を通じまして従来から努力を重ねてきたところでございますが、御指摘市町村民税法人税割についても、都市税源の充実を図るという観点から、過去数回にわたって税率の引き上げを行ってきた経緯がございます。国、地方団体及び地方団体相互間におけるこの法人所得課税の配分のあり方ということにつきましては、税収の安定性等地方団体の性格に適した税源構成のあり方、それから国、都道府県、市町村行政事務の配分とも関連する問題でございますので、これらを勘案しながら総合的な見地から検討すべきものである、こういうふうに考えております。  なお、市町村は、住民に最も身近な行政主体として日常生活に不可欠なサービスを安定的に提供する、そういう基礎的自治団体でございます。そういう役割を持っておりますから、私どもといたしましては、やはり市町村税は普遍性とか安定性に富んだ税が望ましいと考えているわけでございます。法人は地方税の税目の中では伸長性についてはなかなか魅力がありますが、先ほど財政局長からも御答弁申し上げましたように、一たんぐあいが悪くなりますと急にまた税収が落ちる。市町村の税としてふさわしい税という意味では、そこの点にどうも若干欠点があるということはあるわけでございます。こうした観点から、都市でありましても、景気変動による影響の大きい法人所得課税のウエートを高めていくということについては、おのずから限界はあるというふうに考えております。
  115. 小谷輝二

    ○小谷委員 最近の企業の欠損法人、この割合はどのようになっていますか。
  116. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 欠損法人、いわゆる赤字法人ということにつきましては、私どもは国税の調査で了解しているところでございますが、昭和五十九年度及び昭和六十年度はそれぞれ五五・四%ということになっております。六十一年度は五四・三%となっていると承知しております。
  117. 小谷輝二

    ○小谷委員 欠損法人が全体で五四%から五五%ということですから、半分以上。また資本金十億以上の大企業、これが二五%。四社に一社、これが欠損法人ということで、これらの欠損法人の負担する地方税のうちの法人関係税、これはどうなのですか。均等割だけですか。
  118. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 地方税全体として見ますとほかの税を負担しておりますが、ただいま委員指摘の法人関係税と普通言っております税では、住民税の均等割の課税でございます。
  119. 小谷輝二

    ○小谷委員 欠損法人といえども、大企業である以上企業活動が行われておるわけでありまして、道路、港湾を初めとして、それぞれ自治体から巨額なサービスを受けているわけでございますが、税負担が少ない。これでは税負担の公平とは言えないのではないか、ここらはもう少し適正化を図るべきではないか、こういう意見がかなりあるわけですが、いかがですか。
  120. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 御指摘のような御意見が強くあることは私ども承知いたしております。この問題は、実は国税、地方税を通じて赤字法人というものに対する課税のあり方はどうあるべきか、こういう問題提起がされている、こういうふうに考えます。ただいま申し上げましたように、法人関係税ということでいきますと均等割の課税ということでございますから、赤字法人もやはり公共サービスを享受している以上もっと負担をしてもいいのじゃないか、こういう御議論があるわけでございます。そういったような問題意識もありまして、応益的関係に立脚する税金として均等割というようなものはあるわけですから、昭和五十九年にもそういう意味でその引き上げを図ったというようなこともございます。  また、赤字法人の場合でございましても、法人関係税としてはそういうことでございますが、固定資産税であるとか自動車税であるとか、あるいは事業所税とか、そういう事業活動に係る税金というのはほかに負担していることもございますが、いずれにいたしましても、ただいまお話しのような議論は、法人税の世界で課税するとすれば一体それはどういうふうになるのか。いやそうでないとすれば、均等割のような地方税の世界で議論すべきことなのか、あるいはもっと別な方法があるのか。そうした方法を考えた場合、既存の税目との調節といいますか、理論的なすり合わせのようなものはどうなるのか。こういったような議論がいろいろあるわけでございまして、国税、地方税を通じまして幅広い観点から検討が進められるべきである、こう考えております。税制調査会におきましてもいろいろ御議論がございますので、そういったことを踏まえて、どう対処していくか研究すべき課題である、こう考えております。
  121. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、消費流通課税についてちょっとお尋ねします。  地方税収総額中に占める消費流通課税の割合については、府県と市町村の割合はどんな配分になっておるのか、まずこれを説明していただきたいと思います。
  122. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 昭和六十一年度の地方税収総額に占める消資流通課税の割合ということで見てみますと、道府県税ではどんなものがそういうグループにあるかといいますと、道府県たばこ消費税、娯楽施設利用税、料理飲食等消費税、それから不動産取得税、こういう税金がございまして、これらは一三・九%ということになっております。市町村で見ますと、市町村たばこ消費税、電気税、ガス税、木材引取税、こういう税金がございまして、これは八・〇%でございます。地方税全体でこれを見ますと一〇・六%、こういうことになります。  なお、消費流通課税よりも少し幅広く見まして、特定財源であります自動車取得税であるとか軽油引取税、あるいは入湯税といったような税目を加えました間接税等という区分けをしておりますが、その比率で見ますと、道府県では二三・二%、市町村では八・二%、地方税全体では一四・六%、こういう比率を占めております。
  123. 小谷輝二

    ○小谷委員 消費流通課税というのはいろいろな税目があるわけでございますけれども、この割合が、今も発表がありましたように、道府県では二三・二%、市町村が八・二%、こういう割合になっておるわけでございますが、一つ一つ性格がおのずから違う税目でございますので一律に述べることは難しいと思いますけれども、そのうちの特に料理飲食等消費税、これは消費者といいますか納税者には最も近い段階で課税されておるわけでございます。したがって、現在はすべて府県税ということになっておるわけでございますが、これを何%か府県から市町村へ配分する方法は考えられないのか、こう思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  124. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 市町村に対する消費流通課税のシェアが低いということは御指摘のとおりなんでございますが、消費流通課税の性格からいいまして、また我が国のように地方団体地域としては非常に狭い地域に限られて存在しておる、アメリカの州のように非常に大きな、いわば国と言ってもいいような大きさを持っているという場合と違いまして、そういう状況を見ますと、消費流通課税についてそれぞれ独立の姿で地方税として仕組んでいくということについては、おのずから限界があるということは一つあるわけでございます。  そこで、現実にある消費流通課税のうちの料理飲食等消費税についての御指摘がございました。市町村におきます観光関係施設等に関連する財政需要の増高ということがございまして、その財源の一部として料理飲食等消費税の一部を市町村に移すべきだという御意見、これは私どもも承っているところでございます。しかしながら、仮に市町村に移譲するとした場合に、市町村というものの状態考えますと、そうした観光関係施設を有している団体、そうでない団体ということもございます。かなり税源が偏在している、そういう性質のものでございます。また、現在の地方税は県と市町村がそれぞれ独立税を課することを原則とする、そういう基本的な仕組みを持っております。それにつきましてそれぞれその幾らかというものを移譲していくということになりますと、現行の地方税制のあり方にも関連する問題でございます。それと同時に、県と市町村を通ずる税源配分そのものの問題でもございますから、総合的な見地からしますと、かなりこれは慎重に検討する必要があるということで考えていかなければいけない。現在のところ私どもは、どうもいろいろな面から見まして、そういった措置をとることは適切でないというふうに考えております。  なお、市町村に対する財源措置あり方につきましては、特定の道府県税の移譲といった個々の税目ごとに考えていくということではなくて、地方税財政全体の枠組みの中で総合的に考えて、そして基礎的自治団体である市町村に対して、しかも普遍的な、均てん化した税というものはできるだけそういう市町村に付与する、そういう観点から検討していくべきものではないかなというふうに考えているところでございます。
  125. 小谷輝二

    ○小谷委員 確かに全体的に考えるべき点であって、個々の税目別にということになれば面倒でもあるし、またバランス的にかなり税収の上がるところと上がらないところとの差ができるのではないかということですが、特に観光地等におきましては、市町村関係施設の整備とか汚物の処理とか清掃とか、これはかなり財政需要が大きいわけでございます。したがって一部市町村に交付したらという意見がかなりあるわけであります。  特に例としてゴルフ場、これは娯楽施設利用税。これはそのゴルフ場周辺の道路の維持管理、補修等に市町村がかなり負担があるということで、一応府県が徴収をして二分の一が市町村に交付されておるということでございます。このような例から見ましても、料理飲食等消費税市町村への交付を考えてもいいんじゃないか、こう思うわけですが、この点いかがですか。
  126. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 ゴルフ場所在の市町村に対して現在娯楽施設利用税交付金、二分の一が交付されております。ゴルフ場所在市町村におきましては、ゴルフ場の存在によって非常に大きな土地がその市町村の中にそれで占められてしまう。それによって土地の利用ということが制約されてきているというようなことがあるわけでございます。それにもかかわらず、ゴルフ場が市町村財政等に貢献することは少ないということもございまして、また御指摘のように、ゴルフ場所在市町村はゴルフ場の周辺の道路だとかあるいは排水だとか、そういったような部分についてもいろいろ財政上の負担を負うというようなことがございます。そういった特殊な事情によるものでございまして、料理飲食等消費税につきましても、清掃事業というような御指摘がございましたけれども、やはり基本的な事情はかなり違うのではないかというふうに判断しているのが私どもの判断でございます。
  127. 小谷輝二

    ○小谷委員 特別とん税についてお尋ねします。  現在国が徴収しているわけでございますが、全額これは開港所在市町村へ譲与されているものでございます。ちょっと見てみますと、これが長い間そのまま据え置きされているようでありますが、いつから据え置きされておりますか。またその長い間据え置きされておる何か特別な理由があるのですか。これはどうですか。
  128. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 特別とん譲与税は、国が徴収しております特別とん税の収入額の全額を開港所在市町村に譲与するというものでございます。三十九年以来据え置かれております。これまでこういう定額で課税されている税金の見直しという観点から、特別とん税の税率についても地方税源充実の見地から見直してもらいたいというようなこともございまして、種々検討を行ってきたところでございます。ただ、特別とん税の税率というのは特別とん税の税率で独立しておりませんで、創設以来これとあわせて徴収されるとん税の税率と一定の比率で維持されてきたという経緯がございます。したがって、とん税の税率というものを動かせるかどうかということにも関連いたします。  それからもう一つ、三十九年以来の状況の中で、特別とん税の創設の際に外国貿易船舶に対する固定資産税の課税との調整を行うことになりまして、前回特別とん税の税率を引き上げた際には、これにかかる固定資産税を非課税とした、こういう経緯がございます。その後、固定資産税につきましては課税標準の特例措置の見直しを行いまして変更いたしまして、現在では一部課税になっている。つまり外国貿易船に対するとん税、固定資産税の負担ということを、そういう意味で全体として見るならば、実はその後見直しを行っているということもあるわけでございます。  それから、そういう意味で負担ということになれば、入港料の段階的引き上げが行われているというようなことが一つある。それからもう一つ、その後におきますところの海運業界におきます総体的な税負担の状況というようなものもあわせて検討する必要があったということ等から、税率が据え置かれてきたわけでございます。今後ともこういう定額の税率のものにつきましては、こういった事情もよく考慮しなければなりませんが、引き続き検討してまいりたい、こう考えているところでございます。
  129. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは三十九年からずっと据え置きなんですが、この税はほとんど国が徴収して所在市町村に全部譲与されるものですが、トン二十円ですね。これが三十九年からですから、大方二十四、五年そのまま、税率もそのままということですね。これはいろいろ外国船等の問題もあろうかと思いますし海運業の実情等もあろうかと思いますけれども、見直すべきではないか。港湾施設整備に要するそれぞれの市町村の費用もかなりかかっておるわけでありますし、これは緊急な課題としてさらに検討を加えるべきではないか、こう思うわけですが、これは大臣いかがですか。
  130. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 とん税とあわせて特別とん税の税率問題というのは私どももそういう問題提起をしたこともございます。ただ先ほど申し上げましたように、外航船舶に対して非課税から特例率ではありますけれども課税に移したということは、結局これまた固定資産税の問題でございますから、その市町村にそういう税金が入っていくという形になったわけでございまして、そういったこともあわせて考えますと、この年はちょうど五十年でございますから、三十二年に創設した、三十九年に今の二十円にした、それ以来据え置きということは、そこの点はそうでございますけれども、途中でそういう意味では税負担全体としては見直しということが行われたと考えてもいいのじゃないか、こう思っております。しかし、私どもは機会をとらえてこういった問題については今後検討してまいりたい、こう考えております。
  131. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは建設省お見えになっていますか。建設省にもかかわる問題でございますが、大都市における道路整備事業費の占める目的財源比率が、国、道府県が四九・三%、市町村が二〇%、極めて低い状況にあるわけですけれども、特に市町村道というのは生活関連道路として整備水準が現在非常におくれておる。ここで目的財源の配分割合をちょっと検討すべきではないか、こういう意見がかなり強いわけですが、これは建設省いかがですか。
  132. 森寛昭

    ○森説明員 道路目的税の地方費分の割合が市町村道については県道等に比べて低い、こういうことでございます。  その配分につきましては自治省の所管でございますのでこちらで申すわけではございませんが、我々としましては、市町村事業は非常に重要でございますので、今年度から始まります第十次五カ年計画においてもいろいろ生活道路の整備につきまして重点的に整備することにしております。そういう中で、補助事業を強化するということで市町村の負担を軽減する、こういうふうに考えておるところでございます。
  133. 小谷輝二

    ○小谷委員 では次に国庫補助負担金について二、三質問をいたします。  要するに超過負担、これは当委員会におきましてもいろいろ論議されてきたところでございますが、昭和六十三年度の国庫補助負担金の補助基準はどのように改善されたのか、御説明いただきたい。
  134. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 国庫補助事業におきます超過負担の問題は、かねてから国、地方財政秩序を乱すものだということでこれの是正方を強く主張しているわけでございますが、従来から大蔵省、自治省、それから関係省庁によって共同調査を行いまして、その結果に基づいて超過負担を解消するということをしているわけでございます。  六十三年度予算におきましては、六十二年度に調査を実施いたしました保健衛生施設等の整備補助金、これは具体的には市町村保健センターでございますが、こういうものにつきまして補助単価の改善を実情に即して行っております。このほか公立学校の施設整備事業費の補助金などの施設整備の補助金について、面積基準の改善でございますとかあるいは補助対象範囲の拡大というものを講じまして超過負担の解消に努めたわけでございまして、改善総額は事業費ベースで八十七億円、国費ベースで三十一億円ということになっております。
  135. 小谷輝二

    ○小谷委員 国庫補助事業における補助基本額の実態と見合わないために、かなりの超過負担が地方財政の圧迫の大きな原因になっておることは申すまでもございません。特に政令指定都市だけでも、六十二年度で超過負担額が主な国庫支出金対象事業だけでも七百七十七億円という金額に達しておるわけでございますが、補助基準単価を実態に即して引き上げるべきではないか。この点について今後も努力を続けられることを強く求めておきます。  特にこれだけはというのが下水道の整備、都市公園の整備、これは都市における生活環境改善の決め手ともいうべき事業でありますけれども、また特にこの整備は急を要する事業でもございます。そこで、これの実質補助率、第六次下水道整備五カ年計画の指定都市分で六十一年度から六十五年度の分ですけれども、これはどのようになっておりますか、建設省。
  136. 斉藤健次郎

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおりかと思いますけれども、下水道事業につきましては、国が補助の対象にする部分と地方単独事業を実施していただくという部分に分かれているわけでございますが、その国の補助の対象になる部分につきまして補助率が決まっている、こういう仕組みになっております。公共下水道で申しますと、処理場が三分の二、管渠が十分の六といった数字でございますが、これにつきましては他の公共事業と同じように昭和六十年度から一律かつ暫定的に引き下げというものが行われているところでございまして、先ほどの数字の十分の六というものは現在二分の一、それから三分の二のものが十分の五・二五、こういう数字になっております。六十三年度もこの補助率で行われているということでございます。  補助対象の部分に対します補助率は今申し上げた数字で国費の配分が行われております。したがいまして、実質補助率といったような概念では私どもとらえてはおりませんけれども、恐らく先生のお尋ねの件は下水道全体に対してどのくらい国費が行っているか、こういったことではないかと思いますが、そういう考えで仮に六十三年度の予算といったものを計算してみますと、下水道全体では三六%、公共下水道では三一%、政令指定都市の公共下水道事業だけに限ってみますとおよそ二二%、こういった数字になっております。
  137. 小谷輝二

    ○小谷委員 公園整備はどうなっていますか。これは第四次都市公園整備五カ年計画の指定都市分ですね。
  138. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  先生御指摘の第四次都市公園等整備五カ年計画につきましては、昭和六十一年度から六十五年度までの五カ年間に調整費五千七百億円を除きまして事業費二兆五千四百億円をもって整備をするということになっております。その内訳につきましては、国がその整備に要する費用を負担しまた補助する一般公共事業費が一兆三千億円でございまして、その他地方単独事業費が一兆二千四百億円というふうになっているわけでございます。一般公共事業費に対します国庫補助率につきましては、用地費が三分の一、施設費が二分の一となっているわけでございます。  それで、先生御指摘の実質補助率という表現が適切であるかどうかという問題はございますが、昭和六十三年度当初予算での地方単独事業費を含めた全体の総事業費に対します国費の充当率ということを見てまいりますと二一・三%ということになっているわけでございます。また、御指摘の政令指定都市につきましては、同じく昭和六十三年度の当初予算で見てまいりますと、地方単独事業費を含めました総事業費に占める国費の割合はおおむね一九・六%になっているところでございます。
  139. 小谷輝二

    ○小谷委員 この下水道整備事業の中での終末処理場の法定補助率が三分の二、六六・六%、これが実質補助率は今も説明がありまして二二・三%。六六・六%が実質は二二・三%ということでありますし、公園の施設法定補助率は二分の一、五〇%が、実質補助率は今の説明と違いますが一五・六%、これはカットされる以前の通常の補助率の場合です。これは政令指定都市から出された資料でありますけれども、このように本来は六六・六%の補助率でなければならないのが二二・三%ですね。それから本来五〇%の補助率でなければならないのが一五・六%、こういう状況であります。したがって、生活環境改善にかかわる下水道とかまた公園整備の補助採択の枠の拡大も必要でありますけれども、さらに実質補助率の引き上げ、これは検討すべきではないか、指定都市並びに地方自治体のこういう強い要望があるわけでございますが、この点について建設省、公園さらに下水道担当の方、どう考えておられますか。
  140. 斉藤健次郎

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  先ほどちょっと説明が不十分だったかと思いますけれども、下水道事業につきましては、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、国の補助対象になる部分と地方単独でやっていただくという部分がございまして、その補助対象の部分については先生御指摘の数字で補助金を配分しているということでございます。その国の補助の対象になります範囲の拡大をお尋ねでございますが、これにつきましては第六次下水道整備五カ年計画の初年度でございます昭和六十一年度に一般都市並びに町村に対しましてその範囲の拡大を図ってきたところでございまして、私ども努力をしているというところでございます。  しかしながら、我が国の下水道の普及状況が欧米先進諸国に比べまして著しくまだ立ちおくれているというような状況にかんがみまして、当面は事業量の拡大に重点を置いてとにかく現在補助対象になっている部分の整備を促進してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  141. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  今の下水道と同じようなものでございまして、公園事業費の補助につきましても一般公共事業費につきましては用地費が三分の一で施設が二分の一、先生の御指摘のとおり五〇%ということになっているわけでございますが、地方単独事業費というのが別にございますので、それを合わせますと実質の国費率が下がる、こういうことになっているわけでございます。  それで、先生御指摘のとおり公園の整備というのは非常に緊急の課題でございますので、私どもは四次都市公園等整備五カ年計画に基づきまして鋭意努力しているところでございます。昭和六十三年度の都市公園等整備事業費につきましても、対前年度で国費で二五%増という大幅な事業費の確保を図っているところでございます。また事業費の拡大につきましては、昭和六十一年度より財政投融資資金の投入によりまして防災緑地緊急整備事業をやっておりますし、昭和六十二年度からはNTT資金の活用を図るなどいたしまして事業量の拡大に努めているところでございます。我が国の都市公園の整備水準がまだ低いことにかんがみまして、私どもといたしましては当面は事業量の拡大に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  142. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、基準財政需要額の件についてお尋ねいたしますが、大都市圏というのは中核都市としてますます高密度の人口集中また経済活動の集積等、財政需要が膨大になっているわけでありますが、特に政令指定都市は特有の昼間と夜との人口の格差というのが大きいわけであります。六十年の国調で見ましても、政令指定都市の中で川崎市と横浜市は逆で、夜間人口よりも昼間人口の方が少ない、こういうことになっております。これは東京都のベッドタウンということであろうかと思いますが、特に著しいのが大阪市の場合であります。これは夜間人口より昼間の人口の方がおおむね百十万人、一つの政令指定都市の人口がそのまま昼の間は流入する、夜は一斉に引き揚げる、こういうふうに国勢調査では出ております。したがって四一%の人の流入が昼行われる、こういうことになるわけでございますが、この昼夜の人口の流動の点を、交付税の算定の基本となる夜間人口で昼間の人口の需要というものをどこまで捕捉できるか、これは重要な問題でございます。昼間の人口に対する財政需要はかなり大幅な需要が存在するわけでございます。その点についてまず自治省の方はどんな考え方、またどんな措置を講じておられるのか、お聞かせください。
  143. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 大都市におきます昼間流入人口に対する財政需要という問題は非常に大きな問題でございますので、私どもといたしましては、この要素につきましては、普通態容補正におきましてこの財政需要を算定するようにしているわけでございます。  この普通態容補正におきましては、全市町村を一定の都市化の度合いをあらわす種地に区分するわけでございます。その種地の評点をする際に、種地の指標になるものが人口集中地区人口、それから経済構造、宅地の平均価格、それから今問題になっております昼間流入人口、この四つの要素を基礎にして評点をいたしまして種地を決めるわけでございます。そして種地の高いところには財政需要が多いということで財政需要額を積み増しをする、こういう措置をとっておるわけでございますが、御指摘の昼間流入人口につきましては、前回の種地区分の改定、これは昭和五十八年にやりましたけれども、この際に昼間流入人口の配点基準を大幅に引き上げました。これによって昼間流入人口の多いところは種地が高くなるような仕組みをまずつくったわけでございます。それでなおかつ、この態客補正係数におきまして、そういう種地の高いところにつきましては多額の財政需要額が算入できるように、そういう係数をつくりまして基準財政需要額を算入するということにいたしております。  特にこの流入人口の関係財政需要が高いと見られる消防費でございますとか、あるいは道路橋梁費でございますとか、清掃費、下水道費、その他の諸費、こういう費目におきまして高い係数を適用いたしまして財政需要を的確に反映できるようにしてまいる、こういうことをやっておるわけでございます。
  144. 小谷輝二

    ○小谷委員 六十一年度ですか、交付税の算定において、人口に係る投資的経費の中に昼間人口というものの割り増しが行われた。これは画期的なことでありまして、非常に前進的、また実情に即応した考えであるということで評価されたわけでありますけれども、これは投資的経費ということで、経常経費分についてはまだ何ら考慮されていない点がある。したがってこれも投資的経費に準ずるような、同様な配慮をすべきではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  145. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 御指摘のように、昼間流入人口の増大に伴う投資的経費につきましては、かねがね先生からも御意見をいただきまして、昭和六十一年度から財政需要を的確に算定するために、その他の諸費の投資補正二というものを設けまして算定するようにしたわけでございます。  ただ、経常経費につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この普通態客補正係数というものを基礎にいたしまして基準財政需要額を算入するという措置を講じておりまして、この中で昼間流入人口の要素というものをかなり高く評価しているということもございますので、これにさらに別の形で割り増し補正を適用するということになりますと、どうも二重になるのじゃないだろうかというような問題もございまして、この点につきましてはまだ慎重に検討する必要があるのじゃないか、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  146. 小谷輝二

    ○小谷委員 余り時間がないので重要な点だけに絞って申し上げておきますけれども、同じく基準財政需要額の中で公安委員会所管の交通安全施設について、これは道府県内すべて、その府県の公安委員会所管の信号機、交通安全施設の維持管理はやっておるわけでございますが、この信号機の数によるところの率、これを考慮した補正係数というものが含まれておりませんので、政令都市を抱えた府県は、政令都市内の信号機の管理運営費はどこにも、基準財政需要額には含まれておりませんね。これはどういうことなんですか。
  147. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 政令指定都市区域内の国府県道につきましては、御指摘のとおり都道府県にかわりまして指定都市が管理をしているということでございまして、交付税上におきましても都道府県分の測定単位の数値はすべて政令指定都市の方に移して、都道府県の方の分から割り落として政令指定都市の分に割り増しをするという措置を講じているわけでございます。この関係で、御指摘のように、政令指定都市区域内の公安委員会が設置した信号機、交通安全施設の維持管理費などにつきましては、都道府県分の方から落ちてしまって、むしろ政令指定都市の方にこれがカウントされてしまっている、こういうような状態に今なっているわけでございます。ですから、トータルといたしましてはこの維持管理費はすべて見ているわけでございますけれども、政令都市を包括している府県につきましてはその分が確かにカウントされていないという状態になっている、逆に政令指定都市の方はその分がカウントされてしまっているというようなことになっておりますので、この辺の調整は確かに必要ではないかというふうに私ども考えております。  ただ御指摘の、信号機の数によって補正するかどうかという点につきましては、現在信号機の客観的な設置基準も必ずしも明確でないということもございますので、その他の補正で何か的確に算定することができるかどうかということについて検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
  148. 小谷輝二

    ○小谷委員 だから、今までの補正係数の概念で判断をするから今のような説明でありますが、政令都市内におけるところの公安委員会所管の交通安全施設はすべて府県の需要額なんです。府県の予算でやっているわけです。それが政令指定都市に入っておるということではおかしいじゃないですか。したがって、それを捕捉するにはどうすればいいかといえば、少なくとも交通安全施設の中での主たるものである交通の信号機数の率を補正の係数の中に入れれば一番適当じゃないですか。そうでないと政令都市を抱えている府県、特に神奈川県は政令都市を二つ抱えているし、福岡県、ここらは公安委員会所管の交通安全施設に対する需要額にかなり大きな差ができていますよ。この点御存じですか。したがって、これを捕捉するのにはまず信号機が一番適切ではなかろうか。これは要するに新設ということになりますね。信号機数率による補正係数を新設する、こういう考え方でやるべきではないかと思うのです。今道路の面積とか距離とか、そういうものでやっている。信号機というのはかなり費用がかかるものであって、しかも何十キロ行ったって交通の信号機の全然ない道路だってあるわけです。ところによれば公安委員会所管の交通安全施設が全然ないところだってあるわけです。一キロの間に十何本安全施設が立っているところもある。したがって、要するに道路でなしに信号機を基準にした係数というものを考慮しないと不公平になるのじゃないか、こう言っているわけですよ。どうですか。
  149. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 本来、公安委員会の設置した信号機の維持管理費は都道府県分の財政需要額に算入すべきところを、補正係数の関係で政令指定都市の方にカウントされているということでございますから、その政令指定都市の中に算入されている分をもとの都道府県の方に戻してやれば、一応計算上は成り立ち得るのじゃないかというような気が私はするわけでございます。信号機の数が多いか少ないかという点は確かに一つの指標ではあるかと思いますけれども、まず現在政令指定都市の中に入っている公安委員会分の財政需要額を減額して、その分を包括府県の都道府県分の方に算定がえしてやるという形をとれば、当面この財政需要額を算入することができるのではないかという気がするわけでございます。  なお、この点につきましては十分また検討いたしまして、実態に合うような財政需要額の算入に努めてまいりたいと思います。
  150. 小谷輝二

    ○小谷委員 最後に交付税の問題について大臣考え方をお聞きしておきたいのですが、交付税の算定というのは地方にとりましては大変なことでありまして、算定基準の高い低いによって交付税が決まるわけですから非常に関心の高いところであり、最も公正な、しかもみんなが納得のいく説得力のある係数で補正をしなければならぬ、こういうことでございます。したがって、財政需要を的確に把握した、実態に即した算定、これについて各市町村からそれなりの事情をつけた要望とか申し込みというのがかなり行っているはずであります。我々のところにもかなり来ているわけですから、ここを一遍整理して、皆が納得のいく、しかも最も公平な交付税の算出というものをやっていただきたい、こう思うのですが、大臣どうですか。
  151. 梶山静六

    梶山国務大臣 普通交付税の算定は、国会における御審議はもとより、地方六団体の推薦を得た地方財政審議会の委員の方々の意見を伺い、また毎年地方団体の御意見等を事前にお聞きをしながら行っているところでございます。  今後とも御指摘のような点につきまして、地方団体実態を踏まえ的確な財政需要の算定を行うように督励をしてまいりたいと存じます。
  152. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察にちょっとお尋ねしたいと思います。  日本赤軍の問題でございます。きょう昼のニュースによりますと、アメリカのニュージャージー州で日本赤軍の菊村憂が鉄パイプ爆弾を所持しておったということで逮捕されたという報道がございましたが、現在海外での日本赤軍の活動状況はどうなっているのか、どのくらいの人数が掌握されておるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  153. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  日本赤軍は、現在レバノンのべカー高原を本拠としておりまして、メンバーは重信房子をリーダーに二十数名から成っているというふうに見ております。彼らは、ヨーロッパ、アジアを初め世界各地に足を延ばして活動しているものと承知しております。
  154. 小谷輝二

    ○小谷委員 過日、日本赤軍の丸岡修が逮捕されて、さらに連続企業爆破事件で昨年三月に死刑の判決確定をされております大道寺将司の奪還作戦として、在外公館とか海外進出の日本企業の役員等をねらって誘拐作戦に出るのではなかろうかということが懸念される、このように言われておるわけでございますが、日本赤軍の動向について、要するに奪還作戦のような面からどのような状況になっているのか、何か情報があるのか、お聞かせください。
  155. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えします。  日本赤軍は、これまでも獄中の日本赤軍メンバー等を奪還する目的で、ハーグ事件、クアラルンプール事件、さらにダッカ事件を引き起こしております。また、昨年十一月には丸岡修を逮捕したわけでございますが、この丸岡修の逮捕につきまして、丸岡同志の逮捕を許さないと題する声明を発しております。その中で、日本赤軍はこれまでもそうしてきたように、この逮捕の責任を必ずとらせるだろうということを主張しておりまして、丸岡修等の奪還等に向けて何らかの作戦行動に出る企図を有しているものと私ども考えております。  警察といたしましては、この種不法事犯の未然防止を図るために、情報収集に努めるとともに、ICPOを通じて手配を徹底するなど、諸対策を推進しているところであります。
  156. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、薬物事犯につきまして、特に覚せい剤の検挙件数、検挙人員、また押収量が最近急激にふえている、このように聞いておりますがこの実情はどうか。  また、特に覚せい剤の押収量というのが四年連続して史上最高の記録を更新しておる、このように報道されております。例えば六十二年は五十九年の三倍、六十年、六十一年の二倍、こういうふうにかなり大量の押収があるわけでありますけれども、これは捜査当局の警察努力のたまものと言えると思います。それだけ大量の覚せい剤が市中に出回っておるのかどうなのか、ここらも非常に心配なところでありますが、この点はいかがですか。
  157. 漆間英治

    ○漆間政府委員 覚せい剤事犯の検挙状況でありますけれども、昭和二十九年をピークに、一たん激減をいたしまして、ほぼ根絶状況になりました。しかしながら、四十五年ごろから再び増加をしまして、麻薬関係事犯もまたふえつつあるというのが最近の状況でございます。  全国の警察による検挙の状況を申し上げますと、六十二年中の覚せい剤事犯の検挙が三万八百三十件、二万六百四十三人ということでありまして、五十六年以降毎年二万人を超える検挙人員を見ております。押収量も六百二十キロということで、四年連続して史上最高の記録を更新中ということでありまして、この数は十年前に比べて約十倍という状況でございます。  ところで、どうしてこんなにふえているのかという御質問でございましたが、警察の取り締まりももとより努力いたしておりますけれども基本的には密輸量そのものがふえておるというように私ども見ております。その理由といたしまして、第一に密輸の大規模化が挙げられます。従来は、運び人が二キログラムぐらいのものを体につけまして密輸入するという形が多かったわけでありますが、最近は大型のコンテナに隠匿しまして一挙に百四十キログラムというような大量の数を運んでおりますし、あるいは離島伝いに船を使いまして数百キログラム単位で密輸入しているという形態が見られておりますので、そういう密輸形態が変化したことが大量の流入につながり、押収につながっていると私どもは判断いたします。
  158. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察庁は、本年四月から薬物対策課を新設して取り締まりの強化を図るということでございますが、この薬物対策にかかわる地方警察官、これは五百七十名が必要と言われておったわけでございます。この警察官の確保はできたんですか。
  159. 漆間英治

    ○漆間政府委員 薬物事犯取り締まりのための第一線の警察官は、そのときの薬物情勢に即応しながら体制固めに努力してまいったところでございます。しかし、最近の薬物事犯が一層国際化しまして捜査が困難の度を加えているところでございますので、今後ともその増強に努める必要があるというように考えております。  当面は、現有の取り締まり要員の力を最大限有効に発揮するように個々の捜査員の能力の向上に努めるほかに、全国関係部門が連携して対応してまいりたいというように考えております。
  160. 小谷輝二

    ○小谷委員 韓国、台湾から密輸ルートは多いようでありますが、韓国とは麻薬・覚せい剤関係連絡会議が開催されて、その成果で韓国ルートが激減した、このように言われておるわけでございます。その成果のほどはどうなのか。また台湾も多いようでありますが、台湾とはどんな対応をしているのか。この点はいかがですか。
  161. 漆間英治

    ○漆間政府委員 昭和五十六年前後に覚せい剤の七、八割が韓国から入ってくるという状況がございまして、五十六年七月にICPO韓国に対しまして二国間の協議の開催を申し入れました。また、外務省を通じても同様の申し入れを行いました。その結果、昭和五十七年七月にソウルで第一回の麻薬・覚せい剤関係日韓連絡会議が開催されまして、これには警察庁から保安課長、薬物対策室長が出席をいたしました。この会議で韓国側は覚せい剤問題の重要性について認識を深めますとともに、今後の緊密な情報交換の窓口を設定していただきまして、実りの多い会議であったというふうに感じております。その結果、韓国関係の輸出ルートによるものが減少したことは御承知のとおりであります。  一方、台湾はどうかと申しますと、四十七年の国交断絶以来、台湾当局との間で公式会議等は一切開催してございません。しかし、ICPOルートが開かれておりますので、必要の場合にはこのルートを通じて連絡を行っておるという状況でございます。
  162. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察庁は、今回の大韓航空機事件について、金賢姫に事情の再聴取をした。それに基づいて、この教育に当たった李恩恵という身元を、これが拉致された日本人ではないかという確証のもとにその後捜査が続けられておるわけでございますが、この捜査の経過はどうなっておりますか。
  163. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  現在も李恩恵を割り出すための捜査を続行中でございます。身元に関する情報は非常に限られていることとか、あるいは何せ古い話、約十年も前のことでございますので、そういった意味での身元の割り出しについてなかなか苦労しておるという段階でございますが、国民の御協力を得て、さらにまた捜査を続けてまいりたいというふうに考えております。
  164. 小谷輝二

    ○小谷委員 これがもし拉致された日本人で、かくかくこういう人であるということが仮に判明したときにどうするか。これは仮定の段階ということになろうかと思いますけれども、それを前提にして捜査をしなければならぬと思うわけですが、これは外務省を通じて朝鮮民主主義人民共和国に対して身柄の返還を要請するのかどうか、ここらはいかがですか。
  165. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  李恩恵なる人物が日本人であって、拉致された疑いが持たれるところでありますけれども、何せ本人の人定とかあるいは拉致の状況などについて未解明でございますので、まだ今のところ何とも御質問のようなことにお答えするような段階まで至っていないということでございます。
  166. 小谷輝二

    ○小谷委員 仮定の段階ですから答えにくいと思いますが、外務省お見えになっていますか。これは国民関心の非常に深いところでもありますし、しかも国際的な問題として、近隣の韓国並びに北朝鮮等の諸問題でございますので聞いておきたいと思うのです。  外務省として、国交のない朝鮮民主主義人民共和国に対して、もし身柄がこれは拉致されたかくかくしかじかの日本人であるということがわかったときに、返還要求をすることができる状況にあるのかどうか。外務省、どうですか。
  167. 田中均

    ○田中説明員 お答えを申し上げます。  委員指摘の件につきましては、今警察庁の方から御答弁ございましたように捜査中ということでございますので、現段階で云々するという段階には至っていないということでございます。  他方、本件は外務省といたしましても非常に重大な関心を持って見守っておりまして、状況に応じて最善の努力を尽くして対応をしてまいるというふうに御理解をいただきたいと考える次第でございます。
  168. 小谷輝二

    ○小谷委員 理解しようにも理解しようのない返事で困るわけです。特に今回の大韓航空機事件について、偽造の日本のパスポートが使われたということでありますけれども、このパスポートは返還を求めたのですか。これはいかがですか。
  169. 田中均

    ○田中説明員 全体の本件事件の捜査という関係がございまして、政府から係官を派遣して偽造旅券については検証を行ったということでございます。
  170. 小谷輝二

    ○小谷委員 この偽造のパスポート行使ということで警察は取り調べをするのですか。
  171. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  バーレーン等における偽造旅券の行使の事実につきましては、現在外交チャンネルを通じましてそういった関係の、例えば入国管理に当たった者とかそういった者から必要な調書をとるなど証拠固めを現在やりつつある段階でございます。  それから、そのことについての品物、旅券でございますが、当該旅券は今韓国にあるわけでございます。このことにつきましては、御承知のように金賢姫が韓国において拘束されておるわけでございまして、その事犯を解明するために欠くこと得ざる物件であるということで韓国側においてそれを持っておるわけでございます。先ほども外務省から答弁いたしましたように、そのものについての必要な捜査は着々と行っておるという段階でございます。
  172. 小谷輝二

    ○小谷委員 時間が来ましたから終わります。
  173. 松本十郎

    松本委員長 安田修三君。
  174. 安田修三

    ○安田委員 それでは初めにお尋ねいたしますが、六十三年度の地方財政計画では、地方税が前年度に比べて九・四%増、地方交付税が七・五%増、地方債が一二・二%増。そして、この地方債の中に特定資金公共事業債が含まれておるわけでありますが、これを除くと前年度に比べて地方債は三・八%の減、こういう点が歳入では特徴になっております。そこで、ことしは財政的に改善されたぞというムードが自治省の中にあるようでございます。  しかし特定資金公共事業債は、償還に当たって国が国庫補助金を支出して、実質的に地方の負担が生じないように将来なるとはいいましても、現時点ではやはり借金は借金であります。中には、それは将来どちらか貧乏した方が負担しなければならぬ、あるいは地方財政が豊かになったとすれば国の方から来ないかもしれないぞといううわさが立つ面もございますが、これは国の方でこういう制度をつくったのですから、確実に国の方から支出されるものと私は思います。ただ問題は、借金は借金だ、そういう点で地方財政を見るときに、このことを考慮して厳しく見ておく必要があるのではなかろうか。そういう点をまず一つ所感をお伺いしたいと思います。
  175. 津田正

    津田政府委員 本年度の地方財政計画、また地方債計画の中身につきましては先生御指摘のとおりでございます。  まず特定資金公共事業債の性格でございますが、先生御承知のとおり大蔵大臣はいろいろな方面でこれは補助金の前渡しです、こういうことを言っておりますので、その償還時に補助金をくれないというようなことは私どもあり得ないと思いますし、もちろんそういうような事態のないよう私どもなりの努力もしてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、特定資金公共事業債の性格いかんの議論があるといたしましても、何と申しましても現在の地方財政は六十六兆九千六百七十七億、こういうような巨額な借金を抱えておる、この深刻な事態というものは十分認識しながら、地方団体財政運営指導し、また必要な財政措置をとってまいりたい、私どもはかように考えております。
  176. 安田修三

    ○安田委員 以前の委員会の議論、それから午前中の委員会における質疑を通じての大臣答弁等を聞いておりまして、この六十三年度で期限切れとなる国庫補助負担率引き下げられているものの復元問題でありますが、気合いはかかっておるのでありますけれども、中身がいま一つどうもわかりにくい。大臣も首相の大変な支え役でございますので、そこらあたりのちょっとわかりにくいところが、やはり相通じるところがあるのかもしれませんけれども、とにかくわかりにくい。そこで私は、それをいろいろ推測していくと、あるいは復元という建前だけは通して、あるいは場合によったら一般財源化ということもあり得るんじゃなかろうかなという憶測も出てきたりするわけであります。国保問題でもそういう点では、自治省の建前は通したけれども、原則的には厚生省にまた向こうの建前をひとつとられておるということがございますので、そこらあたりやはりきちっと、決着はすべてがもとどおりに一遍復元する、それからの勝負。それからどういうぐあいに見直すかということは別にして、そういう一遍きっちりしたものをしてもらわないと、これはあやふやになってしまうという危険性もあります。そういう点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  177. 梶山静六

    梶山国務大臣 御指摘のように六十三年度までの暫定措置でございますから、もろもろの状況がよい方向に進めばいいのでございますけれども、よい方向に進めなくとも最小限度原則としてもとに返る、そういうことを建前にして、この六十四年度の予算編成までに何とか形をとりたい。そして先生あるいは御指摘のようにその後さらにいい環境にいくならば一般財源化とかそういう問題があるかもしれませんが、そういうことに籍口して問題がうやむやになることを恐れるわけでございますから、うまくいかない限りは原則もとに戻る、これを建前にしてこれからも交渉に当たってまいりたいと思っております。
  178. 安田修三

    ○安田委員 そこで、今年度はふるさとづくり特別対策事業地方単独事業の中に入ってまいりました。それで、地方単独事業をふやしてその財源地方債に求めていくということは、これは地方財政健全化という観点からは、今もそういう金はいろいろ入っておりますけれども、だんだんこういうぐあいにあっちに揺れこっちに揺れしながらふやしていくことは、さて財政運営上どうだろうかという見方を持つわけでありますが、その点当局はどう考えておられますか。
  179. 津田正

    津田政府委員 本年度の地方財政計画あるいは地方債計画におきまして、ふるさとづくり特別対策事業の実施等を織り込んでおるわけでございます。私どもとしては、現在の多極型国土の形成と東京一極集中の防止というような観点、いよいよ地方の振興ということが必要ではないか、かように思うわけでございます。そういう意味におきまして、限られた財源の中で、端的に申しまして一般財源、税収等がふえてはおるものの十分な状況ではございません。そういう意味におきましては、地方債の活用ということも図ってまいらなければならないわけでございます。  ふるさとづくり特別対策事業等につきましては、交付税措置ということも考えておるわけでございますが、これは反面将来の交付税の中で最優先としてそれに充てるというようなこと、結局的には地方の一般財源の今後の確保ということが最大の使命かと思います。現在の地域振興の要請と地方財政の厳しい状況というものを念頭に置きながら適切な財政措置をやってまいりたい、このような考え方でございます。
  180. 安田修三

    ○安田委員 そこで、私の指摘するのは、それだったらもっと一般財源で初めから確保するような措置を国がやるべきでないかという点を実は指摘しておるわけでありまして、これは後からも触れますけれども、何でも金さえ一応用意してあれば借金であろうが何だろうがいいではないかというような感じは私はいただけないじゃないか。国が苦しいからといえばそれまでですが、その点が地方交付税率の問題等、従来もいろいろな議論がされていますし、根拠がまた議論されているわけでありますけれども、裏から見ますと、こういう点にいろいろ財政運営上の矛盾点が出ておるのではないか。ですから、お金を措置するということは当然でありますけれども、ただ、お金の質の問題、これをここらあたりできっちりしていかないと困るのではないか、こういう点をお聞きしておるので、局長はどうでしょうか。
  181. 津田正

    津田政府委員 まさしく昭和五十年代からの地方財政財源不足というような状況に見舞われ、しかし地方財政住民生活に一番密着した行政でございますので、これは何としても必要額は確保しなければいけない、しかし一般財源がないということで、地方債その他の借入金の活用をしてやってまいったわけでございます。その結果が先ほど申しましたような膨大な借金を抱えておるような事態ということは十分認識しておるわけでございますが、反面におきまして地方行政がそういうふうに住民生活に密着して、これに穴をあけるわけにはいかない、このような観点で努力したことについても御理解をいただきたいと思います。
  182. 安田修三

    ○安田委員 そこで、ふるさとづくり特別対策事業は、地方の企画を自治省が選定する、その際、各有識者の意見を聞くということにされるようでございます。さて、この自治省の選定とは、事業の性格に見合った基準を示すことかどうか、この点お伺いします。
  183. 小林実

    小林(実)政府委員 お答えをいたします。  ふるさとづくり特別対策事業は、地域振興整備を図るためのプロジェクトを地方団体がみずからの企画により計画的かつ単独事業で行うものにつきまして支援、助成しようとするものでございます。  その前提といたしまして、都道府県または政令指定都市に基本計画を策定することをお願いしているわけでございます。このプロジェクトの選定に当たりましては、役所だけでやるのはいかがなものかということで、基本計画に登載されましたプロジェクトが本制度の創設の趣旨に即しているかどうか、有識者の意見も聞きながら、また必要があれば必要な助言、指導をしてまいりたい、こういうことでございます。  総枠から来る制約、三年間で六千億という制約はあるわけでございますが、それ以外に、自治省がこの事業内容につきまして個別の基準を示すとか、そういう考えはございません。あくまでも地方団体の企画、知恵を尊重し、それを支援するという立場で運営してまいりたいというふうに考えております。
  184. 安田修三

    ○安田委員 余り枠をつけるというのはもちろんおもしろくございません。問題は、皆さんが選定するという、そこらはちょっと気にかかる。単に文字は二つですけれども、何かどこかのいろいろな企画のコンクールの中で選定するような感じを受けるので、そうしますと自治省好みというか、よく紅白歌合戦の歌手でもNHK好み、アナウンサーでNHK好みと言われるように、自治省好みの企画というものがあるのかないのか。というのは、これは八省庁のいろいろな話し合いでこのような一つのプロジェクトをやるということになったということでございますが、そういう点で、そこらあたり今度の場合のふるさとづくりというのは、いろいろ皆さんの草案を見ましたが、いま一つ何かぴりっとしない感じを受けます。それはこれから皆さんが具体化する中に示されるのだろうと思います。事業内容も出ております。出ておりますが、例えば道路をつくることから公園をつくることからイベントから範囲は広いです。広いが、一体何をねらいとするのかということがいま一つぴんとこないわけです。ですから選定される場合に、ふさわしいものという、そのふさわしいという基準は一体どういうことを考えておられるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思うのです。
  185. 小林実

    小林(実)政府委員 我々も地方で仕事をいたしまして、今までの大方の仕事は補助事業というのが中心でございまして、そこでいろいろな基準が示されて、それに即して企画をするということにならされているわけでございます。今回のこの事業につきまして、私ども事業の例示もいたしましたが、大臣からこういう例示をするのは好ましくない、まさしく地方団体の自由な発想を尊重しなければいけない、おかしいじゃないかという御指摘も受けておりまして、その点が逆に基準がなくて何をつくったらいいのかわからぬということにもなるのかと思いますが、私どもといたしましてはとにかく何でもいいからやりたいものを書いてきてくれというぐらいの気持ちでおります。先ほども申し上げましたように総枠がありますけれども、その中で地方団体基本計画をつくられます。府県におきましても、ある程度の優先順位というのは出てくるのだろうと思います。それらを尊重してまいりたいと考えておるわけでございます。
  186. 安田修三

    ○安田委員 全国で百件程度、事業費は三十億円以上、三カ年で完成するプロジェクト、こういう構想であるということが書いてありますが、さて、このごろでは用地取得、附帯工事など合わせましても、地方のようなところでも一つやると何十億という費用がかかります。長大橋一つかけますとこれでもう何十億、こうなってしまうわけであります。大臣を先頭に鳴り物入りでふるさとづくりこうおっしゃったのでございますから、鳴り物が入った以上は踊らなければうそでございます。つくってみたらミニチュアの庭をつくったようなものと言われては、いかにこれをふるさとづくりのガイドにしようと思ってもちょっといただけない、こうなるのではなかろうかと思うのです。  役所の仕事というのは、私思うのですが、例えば厚生省も福祉のまちづくり、こう言いまして年間一千万円ずつ地方の都市に補助金を出して三カ年ほどやる。目の見えない人のブロックをずっと敷いたり、あるいは鳥の鳴き声の信号機をつけたり、それからそういうことでライオンズクラブその他から寄附を受けたりやるけれども、それが何カ年か過ぎますと後は地方も消えるし国からも音さたがない、見たらどこにも福祉の町はない、初めのPRだけが残ったけれども、それも人のうわさも何十日かたつと消えますのでというようなことが間々あるわけです。  今度の場合は、私たちは余り感じませんが、皆さんではかなり各省庁と大騒ぎもやられたようでありまして、大臣も大変奮闘されたようなことも新聞にも報道されておりますけれども、さてそれである以上は、人から見てもなるほど、やはりというもの、私たちはふるさとを持っておるつもりでありますけれども、持たない人も結構おるのでしょう。今さらふるさとづくりという話が出る以上は、本当に実の入ったものが各地でできるような、それだけスケールの壮大なものが想定されなければおもしろくないのじゃないか。そうしますと、先ほど事業量も出ましたが、百件程度というとそれに限定されますけれども、さて、一事業で例えばおれのところは二千億ほどの仕事をしたい。それは大き過ぎてだめじゃないか、六千億しかないのにそんな全体の三分の一ほど使うような事業じゃしょうないじゃないか、こうなってしまいます。さて、皆さんはどの程度の事業の大きさのものまでだったらうんと言うのだろうか。まあ下はわかりますよ、三十億円程度。こういう点をちょっと聞かしていただきたいと思うのです。
  187. 小林実

    小林(実)政府委員 事業の規模につきましてのお尋ねでございます。  今回の事業につきましては、複数の事業から成るプロジェクト単位でとらえたいというふうに考えておるわけでございます。その上限につきましては特に設けてはおりませんけれども、先ほども言いましたように三年間で六千億ということでございまして、単純に四十七都道府県で割りますと百二十億から百三十億、こういうことになってくるわけでございます。従来やってきております単独事業に比較いたしますと、緊急度が高くかつ規模も大きいものが多いのではないかというふうに考えています。しかし小さなものでもワサビのきいたものも出てくるだろう、こういうふうに考えております。
  188. 安田修三

    ○安田委員 皆さん御存じのように厚生省の三世代世帯にわたる鳴り物入りの厚生年金の施設ですね。あれでも最低五十億、そして全部きれいに完成すると、あれは初めの発想されたときにもう約百億と言われたので、今じゃ随分かかるために十幾つかでプロジェクトを打ち切りましたけれども、あの程度でそういうものです。田舎の都市でも公園の取得費だけでもう二十億、三十億大体かかっている。それは決して町の中じゃございませんよ。御存じのように、今度は箱物はないけれども、病院日一つつくっても一ベッド三千万円かかる時代なんです。だから、どうも鳴り物入りにしてはちょっとスケールが小さいので、さてどこか田舎に公園でもひとつ、まあ公園も入っているけれども、どういうものを持ってくるのか。  皆さんの地域政策課で毎年度地域でのいろいろな単独事業についての調査がなされている。これは確かに一億、二億という細かいものが随分ありますが、それは限られたものでございまして、最近地方御存じのようにいろいろな文化施設あるいは運動公園やカルチャーパークのようなもの、あるいは郷土の村づくりみたいなもの、そういうものが継続事業で皆さんの起債をいただきながら営々としてやっておりますが、その事業費たるやなかなか大変な事業費になっております。したがって、どうも今度のふるさとづくりという鳴り物入りにしては、それからまた梶山大臣という非常に力のある大臣をいただいた自治省にしては、ちょっとスケールが小さいのじゃないかと思うのでございます。  しかしお金の問題でございますので、今おっしゃった程度からしますと、まあ百数十億程度、上限はないけれどもその程度ということを承りました。金の量は皆さんでは大体決めていらっしゃるのでそれ以上は出ないのだろうと思いますが、できたらこういうものはもっと継続性を見て、そしてやるのならもうちょっとスケールの大きいものをさらに考えていただくということが必要ではないのか。私自治省からいただいた資料を見ますと、いろいろなこの種の事業は小さいもので各省庁で全部で百二十幾つか私数えたのですが、あれも正確な数え方ではございません。たくさん各省庁にまたがっております。今度の場合は、そういう点で各省庁に所管事項のまたがるものを皆さんで調整されてまとめ上げた一つ事業でございますので、そういう点でやるのならもう少し大きいものを、こういう見方を持つのでございますが、どうでございましょう。
  189. 小林実

    小林(実)政府委員 今回の事業につきましては昨年末出てきた話でございまして、地方団体におきましても期間がございませんで、今知恵をひねっておるというところだろうと思います。地方から出てきました内容を見まして、本当にこれでは足りないということであれば、それはそのときにまた考えさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。
  190. 安田修三

    ○安田委員 そこで、これはこれ以上触れるわけじゃございませんが、一つ申し上げておきたいのですけれども、要するに今そこで審議官の正直なお話が、去年出したので地方団体の方も急にと、そうなんですね。別に皆さんが急に思いついてやったわけじゃないけれども、しかし思いつきで何かぽっとプロジェクトが出て、さあ早く企画を持ってこいというようなことでは、私はやはりちょっと計画性に欠けるし、それから四十七都道府県あって、金を使って走る場合に、こういう急ぎ方というのはバラック建てみたいな感じがするわけです。諸外国の場合は、一番皆さんよく御存じのように、長年、何十年かけて一つのものをつくっていくわけですから、まあバルセロナのあの教会のように二百年かけてつくるというような、あんな長いことをまねする必要はないですが、金をかけた以上は、せめて将来にやはりいいものをつくったと、そういう永続性、それから本当にふるさとづくりとおっしゃるなら名が残るようなものを、そしてそれが地域へ飛び込んでいくというものをつくるということが必要じゃないか。そういう計画性というものを私は皆さんの方に求めたいと思うわけです。  ですから、二年なら二年、こういうものをやるよ、さてどうかという知恵を集めて、そしてきっちり事業内容やその他を大体おおよそこんなものかと思って出しながら、そしてプランを出させていくということが必要だったんじゃないだろうか。何か急に、竹下総理が生まれて「ふるさと創生論」が出ているから、さて早く乗っからなければならぬというような、バラック建てみたいな感じを受けるのはいただけないと私は思うわけです。しかし、せっかく皆さんやっているので、うまくいくようにひとつやっていただきたいと思います。急に動かしたという点で、そういうつけ焼き刃でないようにさらにひとつ練っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  さて、ふるさとづくり特別対策事業債、それから過疎債、地域改善対策債、こういう地方債の場合に、過疎債等は必要でございますが、こういう地方債をふやしていった場合に、経常収支の比率だけが上昇してくる。経常収支の比率が上昇すれば、皆さんの方では地方財政は極めて悪化した、こういうことになってくるわけでありまして、余り好ましいということにはなってまいりません。そこで私はさきに言ったように、ふるさとづくり特別対策事業というような場合に、いわゆる地方債でない一般財源措置するという姿勢が必要じゃないか、こう言ったのはそこにあるわけでありまして、こういう点についての考えをお聞きしたいと思います。
  191. 津田正

    津田政府委員 先ほども申しましたように、公債依存というのも当然のことながら限度がある話でございまして、私どもとしては、今後とも地方税源の充実あるいは地方交付税の安定的確保ということも図ってまいらなければならない。あるいは民間活力、なかなか地方では難しいわけでございますが、何とか地方におきましても民間活力というような手法がうまく出るような手だてというものも考えておるわけでございます。いずれにしましても厳しい財政事情の中でございますので、各種施策の優先順位につきまして厳しい選択を行いまして、経費の徹底した節減合理化事業の重点化、計画化というものが必要と考えております。
  192. 安田修三

    ○安田委員 さて、さらに地方債のうちの一般事業債それから公園緑地債、これらは元利償還金が交付税の基準財政需要額に算入されません。したがって、これらの事業を今のようなやり方でということは、皆さんの方では政府の内需拡大の意向を受けてとにかくふやしてくれということで地方財政計画上もふやしていっておられるわけでありますが、さて、これらがふえていけば公債費比率が上昇して結果的には地方財政が悪化という数字になってまいります。そういう点では、これまた余り都合のいいことにはなってまいりません。そういう点で、この点もどうでしょう。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  193. 津田正

    津田政府委員 一般事業債等につきましては直接交付税の需要に算入されない、こういうことでございますが、私ども、マクロの地方財政計画におきます公債費の算入におきましてはこのような部分も的確に織り込んでまいりたい、そういうことによって地方財政計画を通じて全体の地方歳入を確保してまいりたい、かように考えておるわけでございます。もちろんこのような一般事業につきましても低利、長期、安定的な資金の配分に努める等、個々の団体の財政事情というものにつきまして十分配慮して、公債費負担の上昇というものが過度にならないよう注意してまいりたいと思います。
  194. 安田修三

    ○安田委員 財政局長は今、マクロの面で織り込みたいというお話でしたが、一般事業債、公園緑地債は、マクロの面でもこれは見ていないんじゃないですか。
  195. 津田正

    津田政府委員 地方財政計画に計上された部分につきましては、このように交付税の個別の措置がないものにつきましても、その公債費につきましては地方財政計画に計上しまして全体の地方財源確保に努めております。
  196. 安田修三

    ○安田委員 そこで、特別単独事業費というのが実はあるわけですが、この中の臨時地方道整備事業五千百八十億円、それから臨時高等学校事業五百九十億円、臨時河川等整備事業一千三百二十億円、こういうのが計上されておるわけであります。このうち臨時地方道整備事業、これの地方債が六千二百五十億円ということで、実は臨時地方道整備事業との間に数字の差があります。これは地方道整備の臨時交付金、この関係の裏負担分との差というようなことてありますが、これはちょっと中身を聞かせていただきたいと思います。
  197. 津田正

    津田政府委員 地方債計画の臨時地方道整備事業債、六十三年度の計上額が六千二百五十億円でございます。このような起債枠を設定いたしましたのは、地方財政計画の特別単独事業、このうちの臨時地方道整備事業費五千百八十億円と、それから長期計画事業費中の地方道路整備臨時交付金事業関連分、ここに千七百九十億円ございまして、事業量としましては合計額が六千九百七十億円、これの九〇%の充当率ということで計算したわけでございます。若干複雑になってございますが、地方道路整備臨時交付金事業分というのは国の道路五カ年計画等の中にも算入されているということで、純粋単独の臨時地方道よりも長期計画事業費の中が適当であろう。若干これをつくったときの経緯が実はございましたが、性格としましては道路五カ年等の考え方から長期計画事業費にも算入しておる、こういう状況でございます。
  198. 安田修三

    ○安田委員 そこで、これは本来は地方単独事業として上げるのが妥当なんでしょうか。どうなんでしょう。
  199. 津田正

    津田政府委員 地方道路整備臨時交付金事業、これ自体の性格をめぐりまして、大蔵省、自治省との協議におきましてはこれは地方単独事業だ、こういうような意義づけ、ですから補助率とかそういうものがない、こういうような話も実はあったわけでございますが、結果的には建設省におきましてやはり事業確保というような観点から、交付金事業に当たった部分に対応するある程度の地方単独事業もやってほしい、こういうような要請があったわけでございます。その場合に地方債をつけるのかつけないのかという問題がございまして、私どもとしては本来的に交付金事業そのものが地方単独事業だから裏の地方負担はないはずだということでございましたが、建設省のそのような方針、そして現実に市町村長さんなどが困られたわけでございますので、私どももその部分につきまして臨時地方道整備事業債というもので財源措置考えておるわけでございます。
  200. 安田修三

    ○安田委員 それから昨年度許可された財源対策債の償還費、これは河川費及び港湾費の事業費補正からの振りかえ分は八〇%が公債費方式で算入されております。そして単位費用からの振りかえ分は事業費方式六〇%、公債費方式二〇%の併用、こういうことになっておるそうでございますが、これはことしもずっと持続されていくわけですね。
  201. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 財源対策債の元利償還金に対する交付税措置につきましては、五十八年度から今御指摘のような算入方式に変えたわけでございます。六十二年度発行の財対債につきましても同様の措置を講ずる予定で考えているわけでございます。
  202. 安田修三

    ○安田委員 それから調整債の償還費はどういうぐあいになっていますか。
  203. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 調整債の元利償還金につきましても、標準事業費から単位費用に算入する方式、それからいわゆる公債費方式とを併用するという考え方で、前年度と同じようなやり方でやっていきたいと思っております。
  204. 安田修三

    ○安田委員 率はどうなりますか。
  205. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 その結果、公債方式によって算入されるのが七五・二%、それから標準事業費方式により一八・六%、合わせまして九三・八%の交付税措置が行われるということになります。
  206. 安田修三

    ○安田委員 さてそこで財政のコントロールですけれども財源対策債の償還の算入の仕方は先ほどのお話のとおり、それから調整債の元利償還費の算入の仕方は今お話のあったとおり。以前は財源対策債の場合に発行額を基準として算入されたときもあったわけでありますが、今はこういうぐあいに事業費補正からの振りかえで公債費方式、こういうことになっております。  さて、これでどちらかというと皆さんの方では、これが一つ地方財政のコントロールの道具というか、一応コントロールされていたのでしょう。例えば事業費の全額方式ですと、債券の発行額を基準としてきますと地方の方では事業をどんどんやるということで、それをやめて事業費補正ということになったのでしょう。それから地方の方にしますと、起債充当率が高ければ建設事業を当然多くやる。これは後の借金をどうするかということよりも、現にお金をやると言っているからということで仕事をやるし、また皆さんの方も、起債充当率を高めたり低めたりというのはお金の都合ということもあるし、あるいはまた事業地方にやってもらうというようなことで、例えば公共事業等やらなければならぬというような時期には盛んに充当率を高めるとかというようなことになってコントロールしていらっしゃるということになってまいります。起債の充当率というのは、そういう点で私たちはコントロールと見るのですが、皆さんの方ではどうでしょうか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  207. 津田正

    津田政府委員 起債の充当率自体毎年のように変わっておるわけでございます。正直申しまして財源不足の事態のために、そして内需拡大というような要請がございますと、充当率を高めてやる。しかし私ども、やはり将来の財政負担になることでもございますので、財政が許す限りはまた充当率を下げる、こういうように切り抜けてきておるわけでございます。地方団体の側にしますと、一定の充当率というのは数年間決まっておればやりやすいという声も実は聞くわけでございますが、反面におきましてこれだけの借金を抱えておる状況でございますので、できるときがあればその充当率を下げて、新しい借金の発生を防ぎたいということも私ども財源措置考え方でございます。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  208. 安田修三

    ○安田委員 それはわかりますよ。金のあるときには充当率を下げて、手持ちの金でやりなさい。しかし問題は、皆さんの国の施策によって、もちろん地方日本の国の中の自治体ですから、国の施策に準じてやるという一面があるのは当然でございますが、国の施策に振り回され過ぎるというようなことになるのは地方自治体運営上好ましくない。そういう点では地方自治体が自主、創意に基づいてみずから運営していく、そういうものをつくっていかなければならない。ところが、今のこういうやり方ですと、先ほど言ったように財源対策債あるいは調整債といろいろ出た場合にも、この元利償還費の算入の仕方でも、やはり何かそのときどきによって地方財政コントロールに使われるような格好にもなっているように見えるし、それから起債充当率そのものもそういうぐあいになっているように見える。そうしますと、地方団体財政運営上の計画性を著しく弱めることにならないだろうか。今局長が地方団体からも安定的にそういう充当率を一定してもらえばという要望があるとおっしゃいましたが、確かにそういう点で起債充当率の水準を引き上げて一定のものに、もちろんそこできちっと固定せいとまで言いませんが、仮に言えば七〇%ライン前後であるとかというような、ある程度の目安にしたラインを一つ持って安定させていく。そうした方が地方団体そのものも財政運営上の計画性を持ちながらやっていくという点では好ましい姿でいくのじゃないだろうか、こう思うわけです。そういう点どうでしょう。
  209. 津田正

    津田政府委員 基本的に地方団体社会資本の整備のあり方というのは、住民ニーズに即しまして計画的に生活環境施設を整備していくということでございまして、景気対策基本はやはり国がやるべきものでございます。しかし、こういうような国際情勢の中で内需振興等図らなければならない、またそういうようなことをやらないと景気が後退して地域の産業、地域経済というものが落ち込んでしまうという場合には協力するという立場でございますが、地方団体としましてもそのような事業量の拡大というものはやっていただきたいと思います。もちろんその場合におきましても、起債の許可に当たりまして、どういう道路を何メーターやらなければいかぬとか、何メーターではいかぬということではなくて、地方団体の自主性、創意というものを生かした事業内容ということでやっていただきたい、かように思います。いずれにしましても、私ども、そのような国全体の経済政策の一環として起債を使ってまで地方団体事業をやっていただいておるということでございますので、その元利償還につきましては私ども責任も重大、このように考えておる次第でございます。
  210. 安田修三

    ○安田委員 そこで、今いみじくも地方団体の方でそういう企画を持ってという意味の、道路の延長幾らということまで国の方でやらないというお話がありました。ところが、今言った起債充当率、それからいろいろな元利償還費の算入、こういう問題とあわせてさらに、先ほどのふるさとづくり特別対策事業費の例等から見て、例えばあの場合でも、皆さんにすれば、今度は確かに全体の七五%を地方債で見て、さらに事業費の一〇%は先に見てしまう、そういうことでは、うまくいけば国から半分以上お金がいただける事業になりますから、地方団体からすれば大変ありがたいということになるのでしょうが、それだけに事業が特定化されてしまいますから、地方交付税は一般財源として地方がどのように使おうと本来は勝手な金であるけれども、しかしあらかじめ地方交付税そのものが特定財源のように固定されてしまう、これは好ましい姿ではない。そういう点では、今局長のおっしゃった言葉はまことにいい言葉ではございますけれども、事実自治省のやっておる今の交付税事業の進め方というのは、財源そのものを補助金か特定財源のようにだんだん縛りつけていく。地方交付税というのは地方自治体固有の一般財源だと言いながら、だんだん枠づけされてフリーに使うという部分が少なくなっておるという傾向になっておるのではないだろうか。これは好ましくない。ですから、私はそういう点は皆さんの方でもう少し知恵の絞りようがあるのではないかと思うのですが、どうでしょう。
  211. 津田正

    津田政府委員 事業の進捗を促進するためには、ある程度事業費補正方式とかというような方式は有効な手段と考えております。補助金と違いまして、先ほど申しましたように事業内容を私ども細かく議論するわけではございませんで、趣旨はまさしく地域の創意工夫を生かした事業をやっていただきたい、かように思うわけでございます。そして何よりも交付税のことでございますから、これは地方団体共有の財源、このように心得えております。  地方団体が、そういうような事業費補正をやるにしても、ほかの団体でも納得するような事業内容、ふるさと特別事業の選定におきましてもそのような観点で私どもはやらなければならない、かように考えております。先ほど総務審議官から選定方法等も申し上げたわけでございますが、むしろそういうような選定をいたしまして、ほかの団体でも十分参考になるような事業から先行させていくのだ、このような考え方でございます。
  212. 安田修三

    ○安田委員 大臣自治省の方はお金を地方に出すからいいじゃないか。もちろん建前は、局長はもう非常に通の方でございますから、ちゃんと腹の中ではまた別の考えもあるのだろうと思うのですが、とにかく地方団体は金が欲しい、自治省は金を確保すればいいじゃないか、こういうことになるのでしょうが、しかしお聞きのように、地方一つ出してもそこで返済等についてきちっと枠づけされておりますので、事業一つ起こして将来交付税措置をする、こう言えば、初めにその事業そのものが特定されて、そしてそれにつれて交付税が入ってくる。マクロで見るのは別としまして、そういう特定化された事業のために交付税が使われるのがだんだんふえてくる。これは地方団体にとって好ましいことではないということになってまいります。そういう点で、大臣の方も地方団体が自由に使えるお金の量、それから今質の問題を言うておったわけですが、ぜひひとつ今後とも十分考えてやっていただきたい、こう思うわけです。  さて、そこでもう一つ、防災及び防災などのための気象観測関係経費、まあきちっとしたものはないのではないかと思うのですが、防災はもちろんあると思いますけれども、これは交付税でどういうところに入っておるかをちょっと。
  213. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 防災対策経費につきましては、まず消防防災関係経費は、道府県分につきましてはその他の諸費、市町村分については消防費で措置しております。そのほかに水防経費につきまして、道府県分は河川費それから市町村分につきましてはその他の諸費において算入いたしております。
  214. 安田修三

    ○安田委員 そこで、気象庁の方に少しお伺いいたします。  御存じのように最近は豪雨ですとか豪雪ですとか、昔からあったのだと思いますが、私らより年のいった、それこそ古老に聞きますと昔はこういうことはなかったというお話でございまして、またいろいろな学術書等読んでみますと、やはりそういう局地的なものが最近特に多いような感を私たちは受けるわけでございますが、もちろん専門家でないのでわかりません。あるいはまた山が切り崩されたりいろいろなことで水を涵養するところが少なくなったために、かなりの降雨量があったときに河川がはんらんするということもたくさん出ております。特に集中豪雨あるいは豪雪と言われる現象については、局地的に、同じ狭い県内であっても東が降って西が降らない、あるいは一つの川を境にして雪が降ったり降らなかったりという不思議な現象が最近たくさん出ておるようでありまして、いまだに解明できないものが多いようでございます。そのために各自治体自身も現在、例えば雨量の場合には自動ロボット雨量計をつけていち早く観測して防災に努める、そしてそのために防災無線その他を配置するというようなことをやったり、あるいは所管省庁がみずからの所管する河川、道路等のためにそういうことをやったりということが行われております。  そこで、今交付税にどのように盛り込まれたか、こう聞いたのですが、防災関係以外は自治体等は恐らく単独事業でそれぞれの機器等を買いながら備えておるのだろうと思いますが、交付税まで将来行くようなところまでまだ話題としては出ていない、こう思っておるわけでございます。  さて、私全国的な数字も持っておるわけでございますが、身近なところで私の県内の状況を中心にして、これは全国共通のことでございますけれども、わかりやすくしてお尋ねいたします。  まず気象レーダー、これを各地に細かくつけた方が気象観測に正確を期するというような点が言えるかと思うのであります。現在の気象レーダーは観測レンジが三百キロメーターでありまして、私の県からしますと、近県では新潟県の弥彦山、福井県の東尋坊及び愛知県の名古屋に設置されておりますけれども、富山県内は一応この観測領域内には入っておりますけれども、富山県というのは御存じのように三方山に囲まれております。そして背景には御存じのように三千三メーターを頂点にした三千メーター級の山がびょうぶのように立っておるところでございまして、今ごろ能登半島近くから見ますと海に三千メーターのびょうぶのような白い山が浮かんでおる、こういう光景でございます。したがいまして、あそこには日本海の対馬暖流から吹き上げた蒸気が全部シベリア方面から来る冷たい寒気に会って、それが沿岸からわずか数十キロしかない三千メーター級の山に阻まれて豪雪になる、あるいは集中豪雨になるという変わった気象条件を持っておるところでございます。  高い山があるために、低い雨雲、おおよそ三千メーター以下のものはレーダーには映らないそうであります。このため、霧雨など低い雨雲や冬季の雪雲等はレーダーによって確認することはほとんどできないそうでございます。したがって、大きいのは必要ないですが、百キロメーター程度の小規模レーダーが設置されておれば、こうした低い雲の観測が可能となります。能登半島上空はいつも皆さんテレビ、ラジオで御存じのように、輪島上空に零下四十度の寒気団がおるとかいうような、どこの団体さんがおるかと思ったら、輪島上空にいつもおるからああいう和倉温泉なんか寒うて行けぬと言って、石川県の方はどうもイメージが下がる、こう言ったそうでございますが、とにかくあそこが観測点のようでございまして、いつもそういう話が出ます。そういう周辺でございますので、レーダーがあれば、富山県内はもちろんあの周辺、あるいは富山空港の飛行機の就航率の改善、降雪あるいは降雨情報、これは梅雨のとき等に有効な手段になると思うわけでありますが、その点気象庁の方にはそういう考えというものはさらさらないものかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  215. 山中陸男

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の富山県の気象レーダーの観測についてですけれども、御指摘のように富山県は福井の東尋坊の気象レーダー、それから新潟の弥彦山のレーダー、これの探知の範囲に一応入ってございます。それで私ども考えておりますのは、このレーダーだけではありませんで、この二つのレーダー、それとアメダスのデータというのがありますけれども、これらを組み合わせてレーダー・アメダス合成図というものをつくってございます。また、最近始めたのでございますけれども、降水三時間予報のために降水三時間予測図というものもつくってございます。これは予測するものでございますけれども、そのようなものを富山地方気象台の方に配信しまして、これらの資料を使いまして富山県の局地的な降水状況を把握することができると考えてございます。  それから、先生御指摘の低い、例えば雪のときの雪雲でしょうか、そういうものにつきましても災害をもたらすようなものはかなりの高さがございます。山岳部の方にかかりましても把握することが可能と考えております。幸いにも雪雲の場合は海の方から押し寄せてきますから、十分その災害状況等も把握することができると考えております。
  216. 安田修三

    ○安田委員 雨雲が把握できる、海の方から来るからわかる。海の方から来るのは来るんだけれども、低い雨雲はレーダーに映らないと言うのですが、どうなんでしょう。専門の方は山に囲まれて映らないと言っているんです。私も実はレーダーの写真を持っているんですが、確かに私が素人目に見ても、東尋坊、それから弥彦山からやったのでは、映っておるのを見まして、映らないというのをなるほどと納得するわけですが、どうなんでしょうか、おたく専門ですから、映るということは確実に言えるのですか。
  217. 山中陸男

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  災害を起こすあるいは雪が非常にたくさん降るというものに限ってみますと、非常に低いということはなくて、ある程度の高度を持っております。そういうことで、レーダーの映りが多少悪いときにはアメダスの方で補正して使うということは技術的に確立しておりまして、これらを使いますと十分把握することができると考えてございます。
  218. 安田修三

    ○安田委員 そこで、アメダスということを今言っておる。確かに、近年アメダスの資料というのは利用者の要望の中でも大変大きい比重を占めておるようでございます。そこで皆さんの方では、現在気象の四要素というのでしょうか、気温、雨量、風向風速、それに日照を観測していらっしゃる。そして組み立てされて、そしてアメダスの資料、こういうことになっていくのでしょうが、そこで例えば私の県内では今言った四要素の観測地点が九カ所、雨量だけ観測している地点が五カ所、それから積雪深計が四カ所でございます。  本来、地域気象観測は、これは皆さんの方では二十一キロメーター間隔、雨は十七キロメーターだそうでありますが、そういう格子に設置されておるのだそうでありますが、夏季の例えば雷雨性の降水現象というような場合、これは冬でもそうですが、この間も同じ富山市内のようなところで雪の降っているところと降らないところと出るわけでありますけれども、直径四、五キロメートルの小さい雨雲、雷雨の雲といいましょうかあるいは雪の雲といいましょうか、そういうのが一時間に、雨の場合は数十ミリの降水量をもたらす、雪の場合ですと何センチというのをもたらすという場合があって、現在のこの格子間隔では見逃すおそれが多いんだそうです。これはどうなんでしょう、こういう小さいすごい雲が綱の目の中に入ってわからないというようなことがあって、集中豪雨あるいは局地的な何かという気象条件が出ることなんでしょうか、そこらあたりは私もわかりませんが、そういう点で、今おっしゃった観測そのものが十分になるような観測所の整備というものがなされておるかといいますと、先ほどの観測地点からしますと十分でないのじゃないか。とすれば、資料そのものが既に砂上楼閣で、きちっとしたものになっていないのじゃないか、私はこう思うのですが、どうでしょう。
  219. 山中陸男

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のアメダスの観測網のネットワークの距離的なものなのですけれども、確かに先生御指摘の四、五キロとかいう雷雨があることは事実でございます。アメダスのネットワークというのはそれより粗いのでございますけれども、気象庁の方ではアメダスだけでなくてレーダー、このレーダーというのは面的に雨量がはかれます。ただ量的に多少粗っぽいところがありまして、定量的に多少弱いところがありますけれども、それをアメダスの定量的に強いところでアメダス地点で補正しまして、面的に非常に密な観測ができるように、レーダーとアメダスと組み合わせて利用するようにしてございます。そういうことで、いわゆる集中豪雨をもたらすような降水現象の監視、これについてはできるものと考えております。
  220. 安田修三

    ○安田委員 そこであなたと食い違うのは、アメダスでそういうぐあいに組み立てて出される、それとレーダーとおっしゃる。そこで、レーダーの場合にこういう三千メーター級の山が周囲を包んでおるために、三千メーター以下の低い雲はレーダーに映らない、気象観測の専門の人たちは映らない、こう言っているという。映らないものと今の気象の各四要素、これと組み合わせて合成されても、ゼロはあくまでゼロですから。どうなのでしょう。きちっとしたものが出るわけないでしょう。要するに、それにはもう少しそれを見渡せる立体的なものが付加されなければ、きちっとしたものは出ないのじゃないですか。だから私とあなたの食い違いはそこにあるのですよ。片方はレーダーは映らない。だから私さっき聞いたのだ、レーダーは映るとあなたは言えるのかと。現に映らないと言っているから私はこう言っているのです。それからまた、そうであれば気象観測は正確になっておるだろうと私は思うのです。ところが、そうはならない現象が起きているから私は聞いておるわけですが、どうなのでしょう。
  221. 山中陸男

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げたと思いますけれども、集中豪雨雪を起こすような雲というのはかなり高い高度を持っております。そういうことで、先生御指摘の三千メーター以下とかそういう面は非常にまれなことで、普通は非常に高い雲になっております。そういうことで、アメダスの観測点を設けましたのは集中豪雨雪の監視というのが主目的でございまして、集中豪雨を起こすようなものは相当高い雲ですから、十分監視がいくものと思ってございます。
  222. 安田修三

    ○安田委員 とにかくあなたの話を聞いておると、例えば富山飛行場なんかは上空五百メーターから真っ黒な雲があって飛行機がおりないというのは、あれは高い雲なのですかね。ちょっと課長さん、真っ黒な雲が五百メーターから立ち込めて、そのために飛行機がおりない。大抵そうなのですよ。高い雲の場合は、みんな日本海から雲間をくぐって入ってくるのですけれども、集中豪雨のときの雨雲というのはみんな低い真っ黒な雲なのですが、それは高い雲ですかね。ちょっと勉強のために聞かせてください。あなた、日本海方面に赴任したことがあるのでしょう。あの真っ黒な雲は東京では見られませんよ。
  223. 山中陸男

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  あの雲は確かに雲底が非常に黒く不気味な感じがするわけでございますけれども、あれは下から見た場合の底の方でございまして、上にずっと積み上がっているわけでございますね。レーダーとかで見るのはその上の方まで見えるわけなんです。そういうことで、確かに下は不気味で、その雲底というものは非常に低いのですけれども、雲自体は非常に高く盛り上がっておるものでございます。
  224. 安田修三

    ○安田委員 それから、現在気象衛星の受画装置というのは東京管区気象台内では新潟、名古屋、東京に設置されておりまして、府県気象台へはファックスによって三時間ごとに送信されておるそうであります。きのうもちょっと気象庁にいろいろ聞きましたが、さっきのアメダスとレーダーとの合成のお話もありましたが、実は気象衛星の受画装置というものがあれば便利なのじゃないだろうか。ファックスはモノクロで送られてくるわけでありますから、通常の衛星画像とは大きく異なるということがあります。また、三時間ごとに観測時より四十分おくれで送信されておるわけです。新潟等では、小規模気象衛星利用局がつくられておりまして、毎時資料が入手できるそうでありますけれども、府県の気象台ではこれを常時利用はできません。そこで、これは価格にして大体一千万円程度、それからパソコンを使ったミニのものになりますと百五十万円程度のものだそうでありますが、こういうものが組み合わされると、予報精度の向上ということで非常に正確さが出てくる。先ほど言ったような雲の高さ低さ、雲の量、こういうものが気象衛星からはかなり正確に、はっきり観測されるそうであります。そういう点で、この設置について皆さんの方ではお考えはないでしょうか。
  225. 原田朗

    ○原田説明員 お答えいたします。  富山地方気象台に対しましては、気象庁本庁から静止気象衛星資料に基づきまして、ファクシミリによって雲画像情報を一日八回、これは三時間置きになりますが配信しております。これは今先生が指摘になったことでございます。さらに気象庁本庁からは、静止気象衛星資料受信装置を利用して得られます雲の資料等の情報を含めまして、予報、それから警報に関する適切な指示報等を伝達しております。  なお、静止気象衛星の一層の有効利用につきましては、今後とも種々技術的に検討してまいりたいと思っております。
  226. 安田修三

    ○安田委員 有効利用はわかるのですが、そういう気象衛星の受画装置というものを皆さんの方で将来的にもつけるというプランはないのでしょうか。
  227. 原田朗

    ○原田説明員 それにつきましては、今いろいろな技術的なことを検討している段階でございます。
  228. 安田修三

    ○安田委員 そこで実は、県内に測候所が一カ所あります。これは昔から、私たちも小学生ごろには必ず遠足で、遠足というよりも列車に乗って見に行かされたところでございますが、今、夜間閉鎖を行っております。御存じのようにみんな外洋性内湾に直面しておりまして、富山沿岸の港は伏木富山港として特定重要港湾に昇格になっております。それから漁業も盛んでございます。そういう点で、いろいろな気象予報ということについては敏感なところもございます。実は測候所は夜間閉鎖されておるわけでありますが、夜間の宿直を置きながら予報なり観測業務ができるということにならないか、この点をお聞きしたいと思います。
  229. 原田朗

    ○原田説明員 お答えいたします。  近年、予報業務におきまして使用しております資料が量、質とも多量かつ高度となっておりまして、これらの資料を近代的な通信網によりまして地方気象台、これは富山県では富山地方気象台でありますが、そこに我々配信しております。また近年は気象の予報技術が進展してまいりましたので、これらを勘案いたしますと、県内の気象の監視、予報事項の作成に関しましては、昼夜とも地方気象台におきまして県内全域の気象状況を的確に把握しまして対応することが最も効果的であろうと考えております。
  230. 安田修三

    ○安田委員 皆さんの方では何かサービスが向上したようなことを今のようにおっしゃっておるのですけれども、確かに気象情報というのは、以前に中曽根総理が気象について何か一言おっしゃったことがあったと思うのです、正確にやれと。大変いろいろな観測機器等が入って正確にはなっておるのでしょうが、いろいろな点で手抜きになっていることがまた我々素人目に見てもあるのではないか。測候所でいろいろやっていたことが今では夜間閉鎖されて、そういう点では人間が機械を補う、そうした面が抜けておる。あるいはまた問い合わせがあっても、人がいないからそこの方では直接答えられないという手抜きがあるのじゃないか。  私は別にこれは気象庁を所管する委員会でありませんから予算面に触れませんが、大した金もかからないのにどうしてこんなことをけちっておるのかなと思って予算を見たら、ことしは六十六億ですか気象庁予算が減っておるのです。気象庁予算が、全部でそんなにでかい予算でもないところなんですが、たった四百六十八億八千九百五十九万の予算の中で六十六億減っている。その中に新しく、終わった船舶建造費用が要らなくなったとか減ったとか、あるいはひまわりの関係で要らないような部分が恐らくそうなんだろうと思うのですが、減ったとかというのがありますけれども、一般観測予報業務の関係で随分減っておるというのは、恐らく私はこう締められて減ったのかなと思うのですけれども、これはここで聞く答えじゃございませんが、いずれにしても、どうも世の中がだんだん進んでいるときに気象関係の方が機材その他でそんなに進んでいるようには、予算面、それから今の私がお聞きしたこういう関係からすると思えない。皆さんに言ってもこれはしようがない話で、いずれは運輸委員会かあるいは予算の分科会でお話ししなければならぬことではありますけれども、とにかくどうも見れば見るほど納得のいかぬことが多い。そういう点で今言った気象衛星受画装置ということも、こういういろいろ組み合わせることによって複合させることによって観測が正確になる。皆さんの方では、先ほども説明があった、いろいろなことをやっておるのだ。それについては私は多とします。気象関係の仕事というのは御苦労が大変多くて、人の見えないことでありながら御苦労の多い仕事でありますから、大変多としますが、内部的にももう少し積極的にお金も予算面も確保して、そして住民なり国民の期待にこたえられるような、これは全くサービスだけの仕事でございますからぜひやってもらいたい。やらないものだから都道府県やその他が自衛手段を講じて、今にこれは自治省の方にも交付税を織り込んでくれという事態がだんだん来るんじゃないかと思うのですよ、自衛手段を持ちますので。そういう点で気象庁にしっかりしてもらわなければならないと私は思います。  さて、もう一点お聞きしたいのは、波浪計であります。きのう気象庁の方にお伺いしましたら、全国十一カ所波浪計があるうち日本海沿岸は四カ所だそうです。富山県から一番近いのは山形県の温海と京都府の舞鶴に設置してあるわけでありますが、もちろん気象台から海が見えません。現在海上で何メートル波がありますか、こう言われても推定値以外は出ないそうてあります。きのうも海上予報の場合の波浪の場合はどうかということについていろいろ聞きましたが、富山湾というあの大きい湾は外洋性内湾でございます。あそこに、よりまわり波というのがあって、私たちの身長の二倍ほどもある大きい防波堤もこの波に遭ってぶち壊れて、海岸保全事業をやっている箇所は何カ所もありますし、つい数年といっても私の記憶ですと既に六年前でしょうか、なれた漁師が漁港の魚津市という蜃気楼が出るそこの補助港のところで、灯台のすぐ目の前で実は船がひっくり返って数名の犠牲者が出たことがございます。なれた人でさえこのよりまわり波というのに遭いますと怖いことになります。しかも観測のし得ない波ということで、きょうも魚津の人たちが来ておったときにこの話をしましたら、あれだけは急に起きてのうと、富山言葉で言うとこういうことになりますが、こういうことで、学術的には佐渡方面からの波が何か富山湾で三角波に合成されるとかいろいろなことが研究されているようでありますが、こういうのはどうしても今の一般的な波浪の観測では観測でき得ない。そういう点では、やはりこういうところには波浪計の設置ということが必要なんじゃないか。痛ましい犠牲者がそのたびに出ておるということもあるわけでございまして、ひとつ皆さんの方で、これも恐らく皆さんは必要ないとおっしゃるでしょうが、どうでしょうか、検討ということはないのでしょうか。
  231. 山本孝二

    ○山本説明員 お答えいたします。  先生御指摘の沿岸波浪計でございますが、これは私どもが行っております沿岸波浪予報業務というものの中で、外洋から伝わってくるうねりなどを把握するためのものでございまして、全国の沿岸のそれも外洋に面しました代表地点に設置してございます。これらのデータを使いまして私どもは気象の数値モデルというものを動かしているわけでございますが、約七十五キロメートル間隔で海上の風のデータを計算いたします。その計算をもとに電子計算機を使いまして詳細な波の分布の推移を予測するわけでございますが、これが沿岸波浪予報業務と称するものでございます。私どもといたしましては、今後ともこの電子計算機を使います波浪モデルの改良を行うことによって、沿岸波浪予報業務の改善に鋭意努力していきたいと思っております。  なお、先生御指摘のよりまわり波でございますが、これはごく遠方から伝わってくる非常に長い波長のものが収れんするということでございますが、私どもの波浪モデルの中ではこの長い波長のうねりの効果は現在考慮されてございまして、できるだけこの問題についても技術開発をさらに一層進めていきたい、こういうふうに考えてございます。
  232. 安田修三

    ○安田委員 大変縮まっている気象庁予算でございますが、富山湾の近くに直接この波浪が計測できるような、波浪計の場合は金がかかるようでございます、先ほどのレーダーの場合と違って、受画装置と違ってちょっと金がかかるようでございますけれども、ぜひまたひとつ皆さんの方でそういうことを検討していただきたいと思います。  さて、最後に自治省の方にあとの時間だけで一つお聞きしておきますが、情報公開が自治体の方が先導的に先にやったようなことになりました。そこで、それと逆に今度は情報公開が盛んになればプライバシー保護の問題、私も党のその関係ではプライバシー保護法の基本法と、それから電子計算機の処理についての保護について実は法案の準備に当たりまして、一昨年法案を出した後国会が解散になって、これはもちろん廃案になって、それからは出しておりません。そういう経過がございまして、実は今政府の方で進めておられますプライバシー保護については大変関心を持っておる一員でございます。聞くところによりますと、今月末総務庁の方では国会に提出したいということで鋭意作業を進め、それから所管大臣もヨーロッパの方に視察をされるということで詰めを急いでいらっしゃるようであります。法案の内容については、先般新聞等にも既に出ておりますし、私たちも入手しておりますが、これからまだいろいろと各省庁間の詰めが残っておるというお話を聞いております。  きょうは要らざることを余計聞きませんが、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案という名称で一応今発表されておりますが、その第二十五条に「地方公共団体の責務」というのが出ております。個人情報の電子計算機処理を行う場合には「地方公共団体は、この法律で定める国の施策に準じて施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」とあります。そこで、地方公共団体、都道府県で二十八、市区町村で九十一、百十九の都道府県、市町村が情報公開の条例制定等既に行うかあるいはこれはちょっと、条例だけだったでしょうか、とにかくこういうぐあいに先行しております。これにはいろいろと不十分なものあるいは進んだもの、いろいろなものがございますが、いずれにしても今度地方公共団体はこの「国の施策に準じて施策を策定し、」ということで枠組みをはめられるということになってまいるわけであります。そのためにこれは地方公共団体の中にいろいろな、例えば進んだ内容を持っているところにすれば迷惑だということになるでしょうし、いろいろと問題が出るのではないか。我々の望ましいのは、地方公共団体との関係については、もちろん国は規定は必要だと思いますが、地方公共団体が自主的にいろいろな情報を公開し、そして個人情報についての保護を行っている、そういう点についてはやはり尊重してやるということが必要であると思うわけです。  そういう点で私は、自治省は総務庁との間にここらあたりの地方自治体とのかかわりについては、大臣お得意の力をひとつ発揮して、これはぱしっと言ってもらわなければならぬ。そしてやるのならやはりいい法律をつくってもらう。こういうことで、私は梶山大臣なるがゆえに特にこれは要望をしていかなければならぬ。そういう点できょうは目の覚めるような答弁が出るだろう、こう思っておるわけでありますが、そこまでいかぬという話を先に聞いておりますけれども自治省大臣のお考えをひとつ聞いておきたいと思います。
  233. 小林実

    小林(実)政府委員 個人情報に関しまして地方団体が既にやっておりますので、その状況等につきましても前もって説明をさせていただきたいと思います。  個人情報の保護につきましては、主として電子計算機処理に関するものを中心といたしまして多くの地方団体で条例を設定いたしております。ことしの一月一日現在で三百八十九の市町村、特別区、それから四つの一部事務組合で条例を定めておるわけでございます。  個人情報の保護につきましては、私どももその必要性を認めております。考え方といたしましては、やはり地方団体におきます個人情報の保護対策というのは、基本的には各地方公共団体がそれぞれの実情を考慮して自主的に決めるべきもの、こういうふうに考えておるわけでございます。国の方で今法案協議をいたしております。この法案につきましては現在協議中でございまして、ここでどうなるということも申し上げられないわけでございますけれども地方団体が現在やっておる施策に支障が生ずることがあってはならないということを基本といたしております。
  234. 安田修三

    ○安田委員 そこで、最後にちょっと大臣にこの件についてお聞きしておきたい。それで終わります。
  235. 梶山静六

    梶山国務大臣 確かに情報が公開されることによって世の中が進むという利点がございますけれども、その反面、個人のプライバシーをどう保護するかという問題は大変難しい問題でありますし、また大切な問題でもございます。両々相まって国と地方の施策がうまくいきますように、これからも調整に努めてまいりたいと思っております。
  236. 安田修三

    ○安田委員 要するに、先ほど審議官がおっしゃったように、地方自治体が都合の悪いような、支障を生ずることのないように、そんな意味だったか、ちょっとあれですが、とにかく大臣その点をひとつ十分念頭に入れてやっていただきたいと私は思います。  では、以上で終わります。
  237. 松本十郎

    松本委員長 岡田正勝君。
  238. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、これは日程外ですけれども、きのうの夕刊を見て、それからテレビの九時のニュースを見まして、それできょうここへ来まして、どなたかがおっしゃるのではないかなと思いまして遠慮しておりまして、警察庁にも発言通告も何もしておらぬのです。幸い大臣国家公安委員長でもありますので、御感想を承らねばならぬと思うような事件がきのうありました。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕  簡単な事件ですけれども、きのうの朝九時過ぎに、千葉県の市川市で、千葉興業銀行の行徳支店の開店直後に黒ヘルメットで黒ジャンパーの男が侵入いたしまして、カウンター越しに女子行員に短銃を突きつけて、持参した袋を下げてこの中へ五千万円入れると言っておどかして、どんといきなり天井に向かって撃ったそうです。そしてこのときにこの銀行の押田さんという支店の次長さんが、四十六歳の人でありますけれども、偽装した五百万円の束、一番上と一番下だけ本物を入れてあとは全部うそのだったそうです、にせ札。これはこういうこともあろうかと思ってかねがね用意をしておいた、こういう発表でした。それからまた、その後けさぐらいになって聞いてみると、いやあれは実は行員に札束の勘定をさせるために訓練用に置いてあったんだとも言うので、まあどっちが本当かわかりません。だが、新聞報道ときのうの晩までのテレビの報道では、さすがに千葉興業銀行というのは用意がいい、いつ強盗が入ってもにせ札をつかますことができるように、五百万円の札束でも二万円しか損しないようにしてある、すばらしい銀行だというのです。新聞にもそういうような書き方をし、テレビもそういう言い方をしておるのです。被害も非常に少なかった、すばらしいものだ。それで念のため他の銀行に、おたくの銀行でもそういうことをしていらっしゃいますかと聞いた。これは大分まゆつばものの返事でしょうけれども、いえいえ私どもは一切そういうものは用意しておりません、全部新品であります、本物です、ほかの銀行はこう言ったので、千葉興業銀行だけが用意しておった、すごいものだといって千葉興業銀行をえらい褒めたたえておりました。  そのことをテレビで見たり新聞で見たりした犯人というのは、持って帰ってあけた途端にじだんだ踏んで悔しがっただろうと思いますが、恐らく犯人は歯ぎしりして悔しがったことでありましょうなんというような解説までついているのですね。そこへもっていって受付に出ておった二十二の女の子、四十六の支店の次長という人がうわっと大写しになるのですね。それを見まして私ははっと思ったのです。報道の自由というのは当然理解しますよ。報道の自由というのは理解いたしますけれども、はてさてここまでいっていいのかな。こんなことをして、ひょっとして犯人が悔しまぎれに、おのれこのやろうというので今度仕返しを考えるのじゃないか。しかも相手は拳銃を持っているわけですからね。そういうことを私はひょっと胸に思いまして、けさ来て同室の議員諸公に、あなたはどう思ったか、こう聞きましたら、そのテレビを見た議員さんたちはみんな私と同じように、あら何か変なことが起こらなければいいがなという心配を例外なしにしていらっしゃいました。私だけじゃなかったようであります。  そこで、当局とされましては、こういう報道が出た以上、抜かりはないと思うのですけれども、あしたの朝新聞を見たら次長が転がっておったとか、そのお嬢さんが誘拐されておったとかいうようなことがあってはいけませんので、その次長や担当の女子行員やその銀行に対する保護ですね。その保護というのは直ちにぱっと万全の手配をしいてあるものと期待をしておるのでありますが、この事件新聞に実に丁寧に出ています。それからテレビに出た。これもまた、歯ぎしりして悔しがっておることでしょうなんというようなことを言って、これで怒らなかったらあんたあほやと言わんばかりの報道ですから、何かありそうな気がするのですよ。そういう心配をしておる国民がおるのでありますが、国家公安委員長としては本件についてどのような感想をお持ちになられるか、ちょっと言ってみてください。
  239. 梶山静六

    梶山国務大臣 岡田委員の方が国家公安委員長よりはるかに情報が早うございまして、私は昨夜遅かったせいと、けさは朝飯も食べずに飛び出るぐらいの時間に出てまいりまして、残念ながら新聞もテレビも承知をいたしておりません。まことに不明の至りでございます。  ただ、お聞きをいたしますと、その千葉興業銀行の押田次長さん、まさに自衛のための準備がよくできていたその知恵には感心をいたしますけれども、確かにそういう報道がなされますと、いわゆるやくざの社会じゃございませんけれども、お礼参りというか何らかの報復あるべしという予感もいたします。もしも岡田委員に承諾を得られるならば、後ろに警察庁差し回しの秘書官がおりますから、恐らく万全の措置はとられておると思っておりますが、念のため今から国家公安委員会を通じまして警察庁にそういうものの保護を伝達するように命じておきたいと思います。
  240. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。本当に気持ちのいい御答弁をいただきまして感謝しております。まさにこれが打てば響くという答えですね。本当にありがたいと思います。人情大臣といいますか、直ちに手配をする、もう扉をあけて出ていきますものね。これはうれしいものですよ。こんなのが本当に打てば響くということです。すべての政治がかくありたいと思います。ぜひひとつよろしくお願いをいたします。  さて、余りいい御返事をいただきましたので、できるだけ私の方もお返しをしなければなりませんから、大臣も連日お疲れでございます、委員各位もお疲れでありますので、時間を縮めるサービスをさせていただきたいと思いますから、答弁の方も誠意を持ってひとつお答えをいただきたいと思います。これからはおもしろくないやつであります。  第一問は、これは意地の悪い質問ですよ。大臣地方自治の本来のあり方から見られまして、地方財政制度はいかにあるべきだとお考えでございましょうか。
  241. 梶山静六

    梶山国務大臣 これからの地方自治においては、社会経済情勢の変化に対応して地域社会活性化住民福祉の増進を図るため、地域特性を生かした個性豊かな地域づくりが求められており、地方公共団体が自主的、自立的に、自立性を持ってその役割を十分果たしていくことができるよう地方分権基本とすることがまず重要になっていると考えております。  また、地方財政は巨額の借入金残高を抱え、極めて厳しい状況に置かれており、今後その償還にもたえ得るように財政構造健全化を図っていくためには、行財政の守備範囲の見直し、行財政運営の効率化等により地方歳出の節減合理化を図るとともに、地方税地方交付税等の地方一般財源の着実な充実を図っていくことが基本的に必要であると考えております。  このように地方自治行政をめぐる環境は極めて厳しいものがありますが、地方自治行政民主政治の根幹をなすものであり、内政の基盤をなすものであるという認識に立って、地方自治行政の進展のために一層努力を続けてまいりたいと思います。
  242. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さすが大臣地方のことに大変詳しい。地方のことを常に憂えてこられた政治歴から見ましても、実に百点満点の、何にも言うことがないお答えでございまして、本当にありがとうございました。私も同感であります。  次の質問でありますが、地方自治あり方からすれば、地方の自主財源が十分に保障され、地方団体の歳出が住民の選択と負担のシステムによって営まれるのが理想であります。この理想から見まして、地方団体の自主財源である地方税の収入が歳入の三〇%未満の団体が、実に二千二百八団体と全体の六六%にも及ぶという実態をどのように評価をされていらっしゃるでしょうか。これは当局でも結構です。
  243. 津田正

    津田政府委員 先生御指摘のように、地方自治の原点でございます地方税収入が極めて限られている団体が非常に多いというような実情でございます。このことは、もとより地域の経済格差というものに起因するわけでございますが、そのことはまた同時に、そういうような税源の乏しい地域に対して必要な施策、必要な財源を交付するということも重要な意義を持っておるわけでございます。それがひいてはそのような地域税源培養にもつながり、税源がふえていくということになるのではないか。私どもとしましては、そういう意味地方団体共通の財源でございます地方交付税制度というようなものを活用いたしまして財政調整にも努め、そしてそのような税源の乏しい団体も十分な行政ができ、さらに税源が培養できるような施策を行ってまいらなければならない、かように考えております。
  244. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 特に税源が最も豊かであるはずの政令指定都市が、川崎市、それから大阪市を除きまして、すべて地方交付税の交付団体である、このことを大臣はどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  245. 梶山静六

    梶山国務大臣 指定都市は地方団体の中では相対的に見て税源は豊かでございます。その税収は交付税の算定上、基準財政収入額に反映されることとなっております。他方、指定都市においては国県道の管理事務や民生、福祉関係の事務など特別の権限を付与されているため財政需要も多く、また大都市特有の高度な行政サービスを求められるため、交付税の算定に当たって基準財政需要額にそれらの経費を的確に算入することとしておるところでございます。  こうした基準財政需要額と収入額の算定方式を通じて、結果として御指摘のとおりほとんどの指定都市が財源不足団体として交付税の交付を受けることとなっているのでありますが、このような仕組みによって財政運営支障が生じないよう財源が保障されることになっており、格別の問題はないというふうに私は考えております。ただ、でき得べくんば、指定都市の大半が交付税に依存しない程度の状況になる方がより好ましいと考えており、今後とも地方税源の拡充のために努力を払ってまいりたいと思っております。
  246. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣は、地方団体の自主財源が乏しくて、ほとんどの地方団体地方交付税の交付団体となっている現状を招いておるその原因、それはどこにあるというふうにお考えでございましょうか。
  247. 梶山静六

    梶山国務大臣 地方交付税制度は、税源地域的に偏在をしているため、税源の乏しい地方団体に対して、ひとしく合理的かつ妥当な水準で自主的に行政の執行ができるようにする財源調整制度でございます。ほとんどの団体が地方交付税の交付団体となっているとの御指摘でございますけれども、これは税源の偏在により、その行政執行の経費を十分に賄い得るだけの自主財源確保できる地方団体が少ないためであり、それだからこそ地方交付税による財源調整の機能が必要となっているものと考えられます。
  248. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方団体の自主財源が乏しいことの基本的な原因の一つは、国に偏った税源配分の現状にあると私は考えるのでありますが、いかがでございますか。
  249. 津田正

    津田政府委員 国と地方団体とは、その処理する事務の量に応じて税額を分かち合う、こういうことが基本であるわけでございます。しかし現状は、経済の地域的格差のために、地方団体のうち一定の財政力のある団体に財政需要額に見合う税源を与えるといたしましても、もともと経済力のない団体には税源が与えられない、こういうような結果になっておるわけでございまして、地方交付税財政調整機能というもの、もちろん基幹でございます地方税の充実はもとよりでございますが、地方交付税制度というものも十分機能を果たしてまいらなければならない、かように考えております。
  250. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはもう私の方から説明する必要もありません。時間を食うばかりですから説明は避けておきますが、俗に言う、私が今質問しました中の一つに、いわゆる自主財源が乏しいということの中の一つの原因は、やはり国に偏った税源配分、ざっくばらんに言いますと、地方の方は税金は三割、しかし仕事は七割、国の方は税金は七割、仕事は三割、こういうことでありますから、全く地方というのはお金を持たないで仕事だけはやらされるという感じでありまして、本当に貧乏暇なしだなという感じがするのです。その国と地方との税源配分というものに非常に大きな原因があるのではないかと私は思っておるのでありますが、楽な気持ちで言うてください。
  251. 津田正

    津田政府委員 地域的な経済格差が相当ひどい。また今後産業構造のいわゆるソフト化だとかサービス化あるいは国際化というような情勢の中におきまして、他方、地方の方は高齢化というのが全国平均以上に進行するおそれがございますので、経済的な地域格差という問題が一つ基本にございます。そのために交付税制度を活用しなければならないということでございます。  あと問題は、国と地方との事務のやり方、財源配分のやり方としまして、補助金を通じての国から地方への財源付与というのがあるわけでございます。これにつきましては、補助金行政につきましても、もちろん国全体の立場からとしての施策を遂行しなければならないという大きな意義、あるいは地域間に整合のとれた社会資本の整備、こういうような意味があるわけでございますが、反面におきまして、地域実情に沿わない事業がやられたりあるいは補助金待ちとかそういうような事業、ひいては地方団体がいわば無責任な、国の補助基準に従ってやったんだからというようなことで実態にそぐわない施設までつくるという点、資金効率という点からも問題があるのではないか。この点につきましても、一般財源化の場合に、全部税なのかそれともやはり地方交付税も加えてなのか、この点は問題があるわけでございますが、そういう補助金という関係での国と地方との事務事業あるいは財源の見直しということも大きな課題ではないか、かように考えております。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕
  252. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今、私は自説に固執するのではありませんけれども、国に偏った税源配分、これが一つの大きな基本的な原因であるという信念をいまだに変えておらぬのであります。大体が形式配分でいったら、六十三年度の場合でも国税の割合というのは六三%、地方税の割合というのは三七%、それが実質配分、いわゆる交付税等、それから譲与税、そういうものを繰り込んでいきますと、この比率が、国の場合が六三%が四七・六%になり、そして地方税の三七%という分が五二・四%になってくる。結果的にはこういう実質配分になるわけです。その実質配分になってくるまでの経過というものは、大臣、これはちょっと言葉が過ぎるかもわかりませんが、地方の自治団体としては、ならぬ堪忍するが堪忍といいますか、とにかく七重のひざを八重に折ってまで、お願いしますお願いしますと補助金を頼みに来なければいかぬ、こういう背景があるのですよ。  私は恨みつらみがあるのでありますが、大臣も恐らく同じ気持ちじゃないかと思いますけれども、国は補助率のカットをやってきましたね。五割を超える補助率のカットをやっていった。その結果がどうなったかというと、御承知のように六十年で五千八百億、六十一年で一兆一千七百億、六十二年で一兆四千九百七十億、そして六十三年が一兆六千五百六十九億。六十年から六十三年まで合算してみますと四兆九千三十九億という状態で、五兆円からのカットを食っているわけですね。これはもう本当に、税金は三割しか取らしてもらえないわ、そして足らざるは大体フィフティー・フィフティーに交付税地方譲与税で埋めるわ、そして今度は仕事をやろうとすれば補助金がなければできませんから、頼みに来いやというので頼みに行く。その分でも、今まで出しておった補助率はカットするよといって補助金はどんどん落とされていく。六十三年度のごときは一兆六千五百六十九億ですから、でっかいものですよ。地方の立場に立っておる私ども言葉から言うたら、これだけの屈辱を忍びつつ地方自治体政治をやっているのですよ。これがしゃくにさわる。私が冒頭にお尋ねしたときに大臣が、地方自治体の自主自立化、これこそ望ましい。みんながそう思っておるのでありますけれども地方の自主自立化、はていずこにありや、どこにもありゃせぬではないかという感じがして、腹が立って腹が立ってならぬのです。だけれども、これは局長さんの立場じゃ言いにくいこともありましょうから答弁を求めないことにいたしますけれども、その声だけは聞いておいてください。  次の質問でありますが、政府は抜本的税制改革に名をかりて新型間接税の導入を図ろうといたしております。それで、抜本的な税制改革という以上、国と地方との税源配分の見直しというものは最も重要な課題になってくるのじゃないのでしょうか。政府の税制調査会への諮問においてこのことを一言も触れておらぬというのは、一体どういうわけでございますか。
  253. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 国と地方税源配分の問題は、実は六十一年十月の例の抜本答申に先駆けて税制調査会の中で議論がございました。しかしその場合も、問題は納税者と広い意味の政府、つまり国と地方団体、この間の税負担はいかにあるべきか、そういう点に焦点があったわけであって、実は国と地方税源をどう取り合うかという議論ではなかったわけでございます。同時に、そのときにその議論を始めれば、税制調査会の中で国と地方の事務配分をどうするかという到底処理し切れないような大問題に取り組むことになって、いつになっても答申ができないだろうというような議論もございました。  そこで、その答申の中にはこういうふうに言われております。「国・地方の行財政制度全体に係る問題は直接の審議対象を超える面があるところから、税源配分の問題については、抜本的見直しの枠組みの中で、税収の変動によつて国及び地方団体財政運営基本的に影響を与えることのないよう配慮しつつ処理することが適当である」ということであったわけでございます。これはどういう背景があるかといいますと、税制調査会の中にも地方公共団体富裕論というのもございました。それはよくある御議論ですから、御承知いただいていると思うのですが、そういうことを議論しておったのではいけない。そこで、今回の抜本的見直しの枠組みの中では、税収の変動によって地方団体財政に影響を及ぼすようなことは差し控えて、つまりレベニュー・ニュートラルと言ったのはこれでございます、そういう答申であったわけでございます。  そういういきさつからいきますと、今回の税制改革ということにつきましても、結局納税者と、国と地方団体あわせました広い意味の政府、その間でどういうふうに租税負担をしていただくようになるのかという点が中心課題でございまして、内閣総理大臣の諮問でもただいま委員指摘のようなことでございまして、内容は申し上げませんけれども、国と地方税源配分というようなことには触れていないわけでございます。  しかし、税源配分の問題自体は、結局所得税でどれだけの減税をするか、住民税でどれだけの減税をするかというような議論になるわけでございますので、具体的にはそういうところで御審議があって決定がされていくということになるものである、こういうふうに考えております。
  254. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ちょっと横道にそれて恐縮でありますが、きのうも私は社労との連合審査、国保の問題のときに、自治省、大蔵省という大きな名前を書いてパンフレットを三十万部から配布しておるのを質問をしたのであります。ああいうパンフレットが出ておる以上、大蔵省と同格で自治省が大きくかかわり合っておるということだけは、もう逃げ場がないと思いますね。  あれそのものは何を書いてあるのかといったら、いわゆる抜本税制改革を行うに当たって最も大事なのは何かといったら、もう新型間接税の導入しかないですよ、財源確保は。こういうようなところに最後は結んできておるのですよ。そうすると、抜本税制改革というのは、先ほどおっしゃいましたようにいわゆる所得税とか法人税とか地方住民税とか相続税とか、そういう関係だけでしょうか。税と名前のつく問題で、御承知のとおり地方が取っておる税金の大きさ、国が取っておる税金の大きさ、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、取る段階において六三%と三七%の税金を取っておるわけですね。日本の国で言う税金というものが一〇〇あるとしたら、そのうちの三割七分は地方税なんですよ。そうしたら抜本税制改革というのは、国に関係する六三%だけなのか。今住民税の方がちょっとありますからね。だから全然三七%に食い込んでおらぬとは言いませんよ。言いませんが、ほとんど大部分の税制改革論議というのは、地方税というものはほっぽらかしにしておいて、いわゆる国税の方だけに集中しておるのではないかな、こんなことでいいんだろうかという感じがするのです。  それで、私が何でこんなことを言うかといったら、これは自治省を相手にしての話だから言うておるのですよ。大蔵省だったら私、言い方が違うのですよ。だけれども、ここは自治省を相手にしてのお話ですから、その地方の、いわゆる日本国全体の税金の三割七分を握る自治省の立場において、この税制抜本改革にどんなかかわり合いを持っておるのだろうかというのが不思議でかなわぬのですよ。余り問い詰めてもいけませんから後からゆとりがあったらお答えください、次の問題に関係がありますので。  一方、政府の税制調査会の諮問においては、「経済の活性化配意しつつ、長寿・福祉社会をより確実なものとして維持していくためには、」「安定的な税体系を構築することとし、」と述べておるのでありますが、経済の活性化のためには地域経済の活性化ということが不可欠ではないのですか。地域の経済の活性化というのが不可欠の要件でしょう。そして、長寿・福祉社会を実りあるものにするためにはということは、住民が日ごろ身近に接する地方行政国民健康保険だってそのとおりです。医科大学の学生を募集するのも国、お医者さんの認定をするのも国、病院を幾つ設置するかは県、ベッド数を幾らにするかは県、そして銭こを払うのだけは市町村、こうなっておる。それで市町村は金を何百億と支出をしながら、いわゆる店に並んでおる品物には一切文句をつけられない。レセプトの審査もできないというようなことで、金だけを出すのが市町村団体、こういうことになっておるのでありますが、この長寿・福祉社会を実りあるものにするためには、住民が日ごろ身近に接しておる地方行政の役割が極めて重要でしょう。国に関係ないとは言いませんが、まことに重要じゃありませんか。  かかる政府の諮問の意図からすれば、地方税源の充実こそ強調されるべきであったと思うのでありますが、自治省は政府の抜本的改革に対してどのような対策をしてこられたのか、これを聞きたいのです。何にもしてなければしてませんでしたと言ってください。
  255. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 自治省といたしまして地方税財源という観点からいえば、昨年春に提示いたしました抜本改革でも一つお答えをしていると思います。つまり、何度も繰り返して申し上げるようなことになっては恐縮なんでございますが、結局、今回の抜本改革というのは、国と地方税源を取り合うということで始めた抜本改革じゃないわけでございます。ピープル、つまり納税者と政府の間でどういう負担をしていただけるだろうか、そしてその将来の姿を考えると、国とか地方とかということは、結局両方相まって国民の福祉を維持していく、そういう団体でございますから、そういう形で維持していくためには、一体このまま所得課税に負担を負ってもらうという形だけでいいのだろうか。所得課税というのは、とりもなおさず所得税と住民税でございますから、所得税と住民税をどういうふうに軽減していったらいいのか。所得税だけ軽減して住民税を軽減しないという仕方もいけないだろうけれども、さりとて余り住民税だけ軽減しておけば、それは地方税源充実ということと相反します。ですから、そこらあたりはやはり調和とかバランスが必要じゃないか。  一方、消費流通関係の税金というものを確保するとすれば、一体それはどういう姿で確保できるだろうか。それを本当に簡素、しかも納税者の立場から見ても簡素という形でそれをつくっていくとすれば、国と地方の重複課税のようなものはやはり適切ではないのではないか。いろいろな議論が税制調査会でされておるわけで、そしてそういう中でもって議論が煮詰められる。したがいまして、この間の議論につきましては、国と地方というのはそういう意味では税金の大きさこそ三七%ですから地方は少ないのですけれども、質的には全く同じ立場で議論に参画し、私どもも心配をし骨を折っているというのが現状でございます。  ただいま申し上げましたようなことでございますから、必ずしも税源という形で配分されるかどうかということは別にいたしまして、決着がつくときにおきましては、税財源全体の姿といたしましては地方というものの姿をどういうふうに位置づけていくか、この辺は、委員が御指摘のように身近な地方自治を育てていくということが最も重要な事柄でございますから、そこはしっかり踏まえて対処していきたいと考えているところでございます。
  256. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは確認をいたしておきますが、内閣総理大臣竹下登という名前をもちまして税制調査会会長あてに出しております諮問書、これ以外には諮問をしておらぬわけです。その諮問書というのはまことに簡単でありまして、全部で七行しかありません。その七行の中の主要なところというのは、今私が申し上げた、経済の活性化に配慮、長寿社会をより確実なものとして維持、そして所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系、こういうことになっておるのですね。それでこの抜本的な答申をしていただきたい、それでさらにはっきり言っておるのは、所得、法人、資産及び消費課税等について望ましい税制のあり方を答申してもらいたい、こうなっておる。そうすると、この所得、法人、資産、消費課税、この四つの中に地方財政地方税制としてはどんなひっかかりがありますか。
  257. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 まず所得でございますが、これは個人の所得課税をここでは意味していると思います。これは所得税と住民税をどういう組み合わせによって負担軽減をしていくか、むしろここは負担軽減ということが一つあります。  それから法人というところは、経済の活性化ということにも関連いたします。これは、かつては法人の問題というのは何か地方団体にとっては全く縁遠いことのように思われた時代もありますけれども、現在はそうではありません。結局地方地域の企業が組合をつくって、あるいは相連合して海外に出ていってしまう。そのために職場も少なくなるというような事態でございますから、これは国のせいだと言って、地方はこの法人課税の軽減ということについて何も責任も負わなければ真剣に考える立場にないという立場ではないと思います。やはりそこは共通でございます。  それから資産でございますが、これは固定資産、私どもとしては固定資産税の問題があります。それから、ここでいう資産には資産所得課税もあると思います。例えばキャピタルゲイン課税のような問題もあると思いますが、地方税におきましては固定資産課税ということがあります。これは本日も当委員会において御議論がありました。固定資産税充実ということは必要ではないか、そうでなければ安定的な地方財源が図られないではないか、こういう議論は税制調査会でもしていただいております。しかし逆に、固定資産税は高いから凍結しろという御議論もあります。ですから、そういう両方の御議論を闘わせていただきながらどういう結論が出るか、こういうことでございます。  消費課税の問題は、消費というものが非常に広範にわたってくる。そうするとどうしても消費という段階に負担を求めなければ、将来の税負担というものからいえば結局所得にまた負担がかかる状態になる、こういう基本問題でございます。消費課税の問題については、前回売上税のときにありましたように、やはり全体として国、地方を通じた税制としてとらえるならば、あるいは売上税の場合は国税としての売上税をつくり、それに対する売上譲与税というような形で、あるいは交付税の対象にするというような形で受けました。ほかにもいろいろな考え方があると思いますが、そういった議論がされるわけでございまして、これも共通の課題を含んでおります。
  258. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次に進ませてもらいます。  国が地方に対して税源配分を考える第一の前提は、国庫補助金制度の根本的な見直しであります。国が補助金交付によって地方を守り育てるというのは今日ではもはや時代おくれでありまして、国と地方が共同の責任において教育とか公共事業とかの事業を遂行しなければならないものは別として、国庫補助金は大幅に整理合理化して、それに応じて地方の自主財源を強化すべきではないかと私は思うのであります。これは、これからの論議というのは地方の自主財源を強化していく方向を何とかしてとれないかという願いを込めての質問でありますから、そのおつもりでお答えください。
  259. 津田正

    津田政府委員 国庫補助金、特に奨励的補助金等の整理合理化については、自治省としても地方制度調査会の答申等を踏まえまして、地方行政の自主性、自立性の向上、それからひいてはこれは国、地方を通ずる行財政運営の簡素化にもつながる問題ではないか。そういうような観点から、事務事業の廃止縮減を行うとともに、本来地域実情に即して地域住民の自主的判断によって行うべき事務事業財源地方一般財源に切りかえるべきではないか、このような考え方を持っておりまして、今後とも引き続き関係省庁に対して強く要請してまいりたいと考えております。
  260. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 自治省といたしましては、地方各団体からいろいろな意見や要望をお受けになる立場にございます。自治省としては、今お答えがありましたように国庫補助金の整理合理化のためのいろいろなお考えがあろうと思いますが、その具体案をまとめて各省庁に提示をし、その実現を期すべきではないかと思うのでありますが、自治省としてはこのような努力を行ってまいられましたか。  念のために申し上げておきますが、自治体が不満としております奨励的財政援助的ないわゆる補助金というものは、大まかに計算しますと約二兆三千億円に及んでおります。これに対してどういう御努力をなさっていらっしゃるか教えてください。
  261. 津田正

    津田政府委員 先ほどのような基本考え方に沿いまして、零細な補助金それから地方に同化定着している事務事業に対する補助金等については廃止して一般財源化する、こういうようなことも一部進めてまいっております。  さらに補助金というもの、もちろんこれは国の政策として必要なものもあるわけでございますが、類似の目的を有する補助金等についてはその統合メニュー化を図っていただく、このようなことで進んで、一部には実現を見ております。しかし、まだ必ずしも十分ではございませんで、今後地方団体の御意見等も十分承りながら国庫補助金の整理合理化ということに努めてまいりたいと思います。
  262. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今お答えになりました中で、いわゆる零細なものあるいは同化定着したようなものは廃止をして一般財源化をしたいと努力をしておる、こういうお話であります。そこで、同じようなものですが、ちょっと逆になる話ですけれども、国庫補助金の中でも特に問題が多いのは、少額補助の割合に申請手続だけが面倒で、陳情などに莫大な費用を必要とするいわゆる奨励的財政援助的補助金であります。政策的にいえば、少なくとも十年以上も経過したら、これは定着しているかあるいは定着していないか、これらの補助金の中で十年たっても定着をしていないというようなものは、これもまた政策的な意義がなくなったのではないかというふうに考えております。だから、そういうものは政策的な意義がなくなったからというので廃止してもいいんじゃないのか、こういう点について大臣からかあるいは当局側からお答えをいただきたいと思いますが、念のために、十年以上経過をいたしましたこの種の補助金は、六十一年度ベースしか計算しておりませんが、約八千三百億円ぐらいになるのではないかと思いますが、いかが思われますか。
  263. 津田正

    津田政府委員 例えば一律十年で切るということは、やはりこれは実情に即さないんじゃないか、その政策的意義あるいは経済社会の変化等に対応した補助金、負担金の所期の目的というのは達成されるかどうか、そういう観点で吟味しなければならないのではないか、かように考えるわけでございます。そういう意味におきましては、十年とはいわず毎年その効果等につきましては改めて検討していくべきもの、かように考えております。  特に零細な補助金につきましては、交付等に間接コストというのが非常にかかる。何のための財政援助というものなのかわからないわけでございますから、そのようなものにつきましては、今後とも積極的に廃止、あるいは新しいものはなるべくつくらせないようにしなければならない、かように考えております。
  264. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今まで質問をいたしました最後の三つほどを集約してみますと、局長さんの今のお答えでは、十年とかそんなことで切るべきではない。ごもっともです。むしろ政策の意義と目的を達しておるかおらないかということを見きわめていくことが大事である、年数には関係ない、むしろ毎年やっていくべきだ。なかなか積極的な御意見で、ここまではいいのです、上できですよ。だがそのもう一つ前に説明をされました零細化したもの、いわゆるもう定着化したもの、こういうものは廃止して一般財源化すればいいではないかというふうに努力をしております、こう言ってお答えになりました。さて、この一般財源化というのはどういう方法でやろうと思っていらっしゃいますか。これは日程外です。
  265. 津田正

    津田政府委員 零細な補助金を廃止いたしますと、いわゆる地方財政計画上国庫補助負担金というものが減ってくる。それに対してその事業がもしなくなれば結構ですが、やはり事務事業としては必要だということであれば歳出は落ちない。そういたしますと、地方財源が不足をしてまいる。これにつきましては地方交付税等におきましての措置、いわゆる地方財政計画におきます収支のバランスをとりまして地方財政運営支障がないようにしなければならない、かように考えております。  なお、零細補助金の基準につきましては、実は五十三年度、五十四年度ごろには都道府県、政令指定都市で三百万円未満は切る、それ以上は残るということでございましたが、現在ではそれが千五百万円という基準でございまして、これが高いか低いかは議論はあるかと思いますが、そういうような零細補助金の基準等も設けまして整備しておるような状況でございます。
  266. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、今の一般財源化という問題につきましては、巧みに用心をしていらっしゃるのでしょうが、地方交付税をもってこれを充当する、これは一番やすいですね、一番けががないのですね。だが自主財源を強化するということについては全然頭の隅にもないですか。どこかの総理大臣が言ったね、頭の隅にもないと。どうですか。
  267. 津田正

    津田政府委員 もちろん自主財源としての地方税というものをどうするか。その場合に国税と地方税の配分をどうするか。ただしかし、その前提にさらに先ほど来税務局長が言っておりますようにガバメントとピープルとの負担関係、こういうものがございますし、各地域の経済力というものも考えなければならない。私はそういう、税を考えないということではなくて、もちろんそれで考えますが、やはり交付税という問題も含めて考えなければならないことと思っております。
  268. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これからは意地悪をするのじゃないですから、気分を悪くせぬで答えてください。決して言質をとろうなんという、そんな根性はありませんから。そこで、自主財源の問題についてこれからずっと一貫してある一つ考えを仮定に置いてお話をいたしますので、お答えをください。決して私は言質をとるなんということはしません。本当に楽な気持ちで、花見でもするような気持ちでひとつ答えてください。  国庫補助金の整理合理化、これはやらなければいかぬ。やることによって地方への財源配分を行ったとして、次はこれを地方税に振り分けていくのか、あるいは地方交付税に振り分けていくのかという問題であります。私ども民社党は、第二交付税的なものを設けて財源確保をせよ、こう言っておるのであります。この問題についてはどっちがいいと思いますか。答えたくなかったら嫌だと言ってください。
  269. 津田正

    津田政府委員 それは両方適切に組み合わせるべきものだと考えます。
  270. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 うまいですね。やはり局長ですね。地方財源の強化を図るとしたら、これは民社党の考えじゃないですよ、こういう意見を持っておる人もあるというので、一つ考え方としてこれから申し上げるのでありますが、地方財源を強化するとするならば、地方税、なかんずく個人住民税の充実により多く振り向けるべきではないかというような実にどぎつい御意見がありますが、いかがでございますか。
  271. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 今委員指摘の、個人住民税によって地方税源の充実を図るべきであるという御議論は、大変貴重な御議論だと私は思います。といいますのは、この問題は、結局今までの状況を考えますと、やはり税源として所得にかかる税というのは非常に重要な税源であるし、また伸長性も安定性も兼ね備えた税であるということからでございます。したがいまして、地域社会の費用を分かち合うという見地から、ただいま御指摘のような考え方は確かに傾聴すべき一つ考え方であると思います。  しかしながら、同時に現在ただいまの状況を考えますと、所得課税にどうも我が国の税制は偏っているのではないかという議論がされている最中でございます。この場合の所得課税というのは、所得税と住民税を通じて全体としてどういう負担であるべきかという意味で言われているのであって、所得税はうんと減税するけれども住民税は増税していいという議論をいただいているわけではないのでございます。しかしながら、ただいま前段申し上げましたようなことから考えますと、両方調和をとって軽減を図る場合にも、何がしか所得税により多く減税を担いでいただくといいますか、そういうようなことがあれば結果するところ納税者の減税は厳然として全体としてあるわけでございますから、そして所得税と住民税の間では結果するところ地方税源の充実ということに帰するということもあります。ですから、その辺は結局調和の問題でございまして、これは余りどぎつくいけば、どうも所得税は大変立派な減税をやったけれども住民税は余りやらない、あるいはかえって増税したじゃないかというような議論になってもまたいけない問題だというふうにも思います。  そういうような意味からいいますと、現在やはり所得課税に偏っている我が国税制の問題を安定的な税体系に置き直すにはどうすればいいかという議論の中で、結局個人住民税の減税問題も含めて審議をいただいておりますので、そうした御議論の中から個人住民税のあり方についても結論を得たい、こう考えておるところでございます。
  272. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 俄然用心をされましたね。これからの質問はどうしましょうか、もうちょっといってみましょうか。今用心をされて扉を閉じておるようですが、もうちょっとたたいてみます。  地方税の基幹的税目である個人住民税の地域的な偏在度というのは一体どうなっておりますか。
  273. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 偏在度を一般的にいう指標というものもありませんが、個人住民税の地域的偏在度というものを、今ここで人口一人当たりの税額について全国平均を一〇〇とした場合、各都道府県別にどうなっているかということで見たいと思います。  六十一年度決算によりますと、高い団体は、例えば東京の指数で言いますと全国平均一〇〇でございますから、一七一、神奈川県一四五、以下愛知、千葉、大阪というようなところが高い。低い方は、沖縄県は指数四九、鹿児島、宮崎、秋田、青森というようなところが低い。それから市町村の類型別、都市の類型別で見ますと、やはり大都市が一番高くて指数が一四三、市が一〇一で大体これが平均でございます。町村が六二というようなことで低位にある、こういうような状況にあります。  ただ、これは非常に個人住民税に偏在度があるようにあるいはおとりになるかもしれませんが、地方税全体の中で見ますと個人住民税は特に偏在度の大きい税金ではありませんで、大体中庸でございます。やはり法人住民税あるいは法人事業税のような税金の方がはるかに偏在度は大きいわけでございます。
  274. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今お答えがありましたような個人住民税の地域間の偏在ですね。これは人口数や企業の数というような要因を除きまして、個人住民税の累進税率構造というものが影響しておるのではないかという意見がありますが、いかがですか。
  275. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 個人住民税の税率構造はいわゆる超過累進税率でございます。これは、より所得の高い人にはより割合の高い負担を求める、それが公平だという見地から負担能力の上昇にふさわしい負担を求める、こういうことだろうと思います。これによりまして、考え方として所得水準の高い地域と低い地域の税収の差がその比例的な姿よりも少し大きくなるではないか。これは理論的な姿としてはそうなると思います。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども個人住民税は特に偏在度が大きいと言って議論をするほどの大きな偏在度がございません。したがって、偏在度が高い税として私どもその問題を意識して考えるということにはなっておりません。
  276. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 地方税における負担割合、負担分任の精神といいますか応益性を考慮いたしましたときに、個人住民税については思い切って単一税率化を図って、税における所得再配分の機能は国税における所得税にそれを期待するといった大改革を検討すべきではないか、これは自治省、大蔵省がお出しになりました税金は会費でありますというような考え方ですな。地方税というのは会費だ。所得で累進的に税金を納めていただくのは国の所得税だ、地方住民税というものは会費だ、こういうような考え方はどうかという意見がありますが、いかがですか。
  277. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 地方税におきます負担分任の精神ということからの御指摘がありまして、しかも地方団体の税金というのは、税は基本は負担能力に着目して納めていただくものでございますけれども、どちらかといえば国税と対比いたしますと応益性ということが地方税の非常な特色だと言っていいと思います。そういったことを考えますと、委員が御指摘のような考え方がございます。ただ、この所得再分配の機能というものは、所得課税である限りは住民税におきましてもやはり持つべきであると考えておりますので、単一税率化を図るということはいかがなものか、こうは考えております。  しかしながら、昨年の春、答申に基づいて政府案として提出いたしました抜本改革の姿におきましても、住民税は県と市町村合わせまして四段階の税率にしよう。その改正以前、つまり百九国会の改正以前の段階では、市町村民税と道府県民税合わせまして全部で十四段階、四・五%から一八%までの十四段階の税率構造を持っていたわけですが、昨年春の政府案におきましては五%から一五%までの四段階にする、こういうことであったわけでございます。そういう趣旨はただいま委員の御指摘のような方向でございますが、しかし前段申し上げましたように、さりとて単一税率化を図るということは、所得再分配機能というのはやはり住民税も持っておるべきだし、それから何よりもやはり地方税としての住民税充実ということを考えますと、全く伸長性とかそういったものを住民税からなくしてしまう、もちろん単一税率でも全部の所得が上がっていけば比例的には上がっていくわけでございますけれども、そういう部分というものも考えていかなければいけない。そこはやはり、どういうところあたりがその調和だと言われるとちょっと困るのでございますけれども、結局その調和の問題だろうと思います。
  278. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは言質をとるつもりは全然ありませんから、そのつもりで楽に答えてくださいよ。  そうすると、今のお答えでは、やはり負担能力そして応益性、こういう両面を考えていかなければならぬのであって、単一税率化、いわゆる会費ですよというような考え方というのはとることはできないであろう、こういうお答えだったと思いますが、そのとおりですか。
  279. 渡辺功

    ○渡辺(功)政府委員 単一税率化をしなければ会費ではないとは言えないと思います。といいますのは、単一税率化いたしましても、それは比例税率でありますから、所得が倍になれば倍になる、そういうことだろうと思います。つまり、じゃ会費というのはどういう姿で納めるかと言えば、それ相応に負担能力に応じて高い割合の費用を出してもやはり会費である。しかし会費だというからには広い範囲の人ですね。大体メンバーはみんな何がしか納める。これは均等割あたりに一番そういう性質が出ているわけですが、所得割でもありますから、できるだけ広い範囲の納税義務者に地方団体、とりわけ市町村財政を支えていただきたい、これが一つあります。そういう意味での会費でございまして、したがいまして会費としての性格をそれで否定しているということではございません。
  280. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、あと四つ用意をしておったのでありますが、余りこういうのをしつこくやっていますと何か別に意図があるのじゃないかと疑われそうでありますから、この辺でやめておきます。  次に、ごろっと話が変わりますが、現在首都機能の一極集中地方における大都市集中の現象の進行に伴い、東京都を初めとする数団体と他の団体との財政力の格差が拡大する傾向にありますが、これら団体が地方交付税の不交付団体である場合、現在はどのような財政調整の方法を講じていらっしゃいますか。
  281. 津田正

    津田政府委員 基本的には交付税の不交付団体ということで地方交付税がいかないということはもちろんのことでございますが、実は国庫補助負担金の世界の中におきましても、文部省の義務教育費国庫負担金等につきましては、交付団体は実額で計算されてそれの二分の一ということでございますが、不交付団体につきましては給与費及び退職手当等は定額としておりまして、その影響額というのが六百億ぐらいになっておるのではないかと思います。  そのほかの問題としまして、公立学校施設整備費補助金につきまして、交付団体の補助率は三分の一でございますが、これを七分の二に抑制しておる。これは予算補助であったかと思います。そういう予算補助の中では、交付団体と不交付団体の場合におきまして補助率を変える、あるいは補助対象としない、こういうようなものが若干あります。ただ、これは金額的にはそれほど大きなものではございませんで、一番大きいのは義務教育の関係でございます。
  282. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国庫補助負担金により財政調整を行うというのは、地方団体の政策が国の政策により左右されるという意味であって、地方自治の立場からすれば好ましくないのではないでしょうか。自治省はこれをどのように考えて、どう対処してこられましたか。
  283. 津田正

    津田政府委員 例えば先ほど申しました義務教育を考えますと、これは国と地方で小中学校というものを義務教育でやろうということでございます。ですから、それがたまたま東京都の小学校は財政力があるから国の責任は少ないのだというのは筋としてはおかしい。したがいまして、このような国庫負担金というものにつきましては本来財政力によって差をつけるべきものではない、かように考えております。  しかし、若干申し上げますと、義務教育負担金については経過がございまして、シャウプ勧告のときに、それまでは国庫負担金であったものをいわゆる交付税、当時は平衡交付金でございますが、平衡交付金の中で処理する。ですから東京都は行かなくなった。ところがその後義務教育負担金というものはそういう交付税なり一般財源の世界ではなくて、やはり国庫負担金として独立させるべきであるという議論がありまして、平衡交付金あるいは地方交付税の世界からまた負担金に戻ってしまった。その際に、平衡交付金時代東京都はもらってなかったのだから負担金に戻ってもまともに出す必要はないのじゃないかという議論がございまして、先ほどのような一定額のカットがされた、実はこういうような経緯を経ておる問題でございます。しかし、基本的な考え方は、やはり国庫負担金というのは事務事業についての国と地方との責任分担であるべきであって、財政力によって差をつけるべきものではない、かように考えております。
  284. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。地方税の充実強化を図る場合最大のネックとなってきたのは、地方団体間における財政力格差が拡大するという問題であります。地方交付税による財政調整が不交付団体に及ばないという限界がある以上、地方団体の固有財源の中で地方交付税に加えて新たな財政調整制度考えられるべきではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  285. 津田正

    津田政府委員 現在の地方交付税の配分におきましては、先般来も御議論が出ておるかと思いますが、例えば人口一人当たりでやると島根県の地方税プラス交付税の方が恐らく愛知県とか兵庫県よりも多い。実はこのぐらい地方交付税は傾斜配分をしておるわけでございます。しかしながら、端的に言って東京都は地方税だけでもダントツでございます。それでは、東京都等の不交付団体まで含めた財政調整をやるかということにつきましては、地方自治基盤でございます地方税をどのように考えるか、これは慎重を要する問題ではないか、かように考えます。
  286. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、今のお答えでありますが、これもだんだん難しくなってきますけれども地方交付税の不交付団体から一定の比率に基づいて財源の拠出を求めて、それを財政力の乏しい団体に交付するといういわゆる逆交付税制度というものの導入を検討されるべきときではないのかということを質問したいのです。  私が聞いておるのでは、東京都においては財政調整交付金制度というものを行っていらっしやる。そして、これは対象として固定資産税、都市計画税を一定割合を超えた部分についてはそれを集めて他へ配分するというようなやり方をしていらっしゃると聞いておるのでありますが、国として、自治省として、逆交付税制度といいますか、財源の豊かなところからある程度のものをちょうだいして財政力の乏しいところに分けてさしあげる、ただ単に不交付団体に指定するというのではなくて、取り過ぎと言ってはおかしいのですが、まことにうらやましいほどがばっと税金が入ってくるような団体からはある程度以上のものはちょうだいして、足らざるところに今の交付税にプラスそれをオンするというような制度考えるべきではないかなという意見がありますが、いかがですか。
  287. 津田正

    津田政府委員 端的に言えば、東京で取りました地方税を北海道であるとか九州の地方団体に回す、こういうことになるわけでございます。そこがまさしく地方税の性格をどう考えるか。やはり地方税というものは、地域住民がみずから属する地方団体財政基盤は自分たち責任で税負担をするのだ、こういうことが必要でございますし、また反面におきましては、地方団体サイドにおいても自分のところの徴税努力あるいは税源培養の意欲というものを考えておるわけでございまして、取ってもこれが別の団体へ行くのだということは、やはり地方税の本質としては考えなければならない問題ではないかと思うわけです。  東京都の場合には確かに水平的な特別区間の財政調整制度というものがあるわけでございます。これは二十三区が地方団体としての性格づけ自体いろいろな議論があるわけでございますが、東京都と二十三区一体で行政をやっておるというようなこと、事務配分等でも特例が認められておるわけでございます。それからもう一つ住民の意識としましても、例えば文京区に住んでいる方々が練馬区の方々に自分たちの納めた税金を回すということはそれほど抵抗がないのではないか。二十三区というのは、それぞれの区がありながらも一体的な考え方住民の方々も持っているのではないか。それが東京都の税金を北海道なり九州に回すというところまではちょっとまだ飛躍があるのではないか、かように考えておるわけであります。
  288. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まことに残念ですね。同じ日本人なんですがね。ただ、東京東京で地の利を得ている。だから一極集中だ何だと言って騒がれるほど土地の値段はハンカチ一枚で何千万円というような状況になる。そんなことは沖縄じゃ考えられませんしね。それから広島県でも考えられません。本当にお江戸はいいなあと思いますよ。ただ、いいなで済まされるのだろうかという気持ちがするのです。だから東京二十三区の中でさえ、東京東京と言ってもお江戸は広うござんす、昔は木戸があって関所があって、ここから先は本当の江戸だというところの木戸は随分東京都内にありますね。昔は江戸の郊外であったところまでが全部二十三区に入っているわけです。それが同じ東京人だからいいじゃないかということで、東京都内のことだからというので財政調整金をお互いに振り分けている。これは実にすばらしいことですね。それと同じことがどうして日本でできぬのだろうか。なぜ日本人にできないのだろうか。貧乏人は貧乏県で我慢しておれというようなことが、さてさていつまで通るのかなという気がいたしますよ。だから、これはぜひ宿題としてお考えを願っておきたいと思います。  それから次に、大臣、さきの衆議院の本会議におきまして我が党の北橋議員が、いわゆる逆交付税といいますか、今私が言った、東京都内じゃやっておるじゃございませんかということを言いましたときに、大臣の揚げ足を取るのではありませんけれども、本会議でこの趣旨の、逆交付税構想を避けて通れないと思うがどうかと言って問いましたら、大臣は、地方の自主的な行財政努力を妨げるというような趣旨の答弁をされたように思うのです、私の勘違いかもわかりませんが。それは地方交付税における基準財政収入額算定に当たっての基準税率あるいは留保財源ですね、二割とか二五%という留保財源の場合にはある程度当てはまるにいたしましても、逆交付税の場合にはこれに当てはまらないんじゃないかなと私は思うのでありますが、質問意味わかりますか。
  289. 梶山静六

    梶山国務大臣 精細には質問意味がわからないと言われるかもしれませんけれども、多分本会議で申し上げたことは、先ほど局長から申し上げたように、逆交付税的な手法をとりますと、徴税努力あるいは税源培養あるいは納税意欲、こういうものが、自分の土地だから、自分の自治体だからという名のもとに行われているわけでございますから、そういう意欲を低下をさせる、そういうことは地方の自主的な行財政努力を妨げるという表現になったというふうに御理解を願いたいと思いますし、これも私個人の意見でございますが、東京でやっていることがなぜできないかということになりますが、大きく考えれば、むしろそういう調整をするならば、それならばもう地方税を全部やめて国税一本にして全部地方に配分をすればいいという暴論も成り立つわけでございますし、むしろ東京においてもこの特別区的な制度が果たしていいのかどうなのか。もうちょっと東京の、全般二十三区とは言わないけれども、本当のところ政令指定都市的なものでかちっとやって全部が一体に動かなければ、それは教育の問題でも上下水道の問題でもありとあらゆるものが、そういうものが独自性を持ったらばむしろ弊害が起きる、だからこういう問題を考えた方がいいではないかという都民の意見も私はいただいたことがございます。むしろ、東京行政の集中している四区か五区か、これを一つの特別市にしてDC論をぶったらどうか、そういうことすらあるわけでありますから、この東京都の中で財源調整をお互いにやるということは、東京の一体性、むしろ特別区があることがいいのかどうかとすら言われることもこれありますので、これと日本全部を一緒に考えるほどなかなか人間の頭の飛躍ができないという感じがいたします。
  290. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、質問内容をがらっと変えさせていただきます。  今度の改正の中で、基準財政需要額の算定の方法について、「地域産業の育成、地域経済の活性化の促進等地域振興に要する経費の財源措置する」こういうふうになっておるのであります、単位費用の関係で。これは一体具体的にはどういうことですか。
  291. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 昭和六十三年度におきましては、地方団体地域産業の育成とかあるいは地域経済の活性化の促進などのために使う財政需要に対しまして交付税措置を大幅に拡充することにしております。具体的には、例えば道府県分の商工行政費におきまして、産業導入基本構想の策定経費でございますとか、あるいは企業誘致などの産業導入対策などの経費でございますとか、あるいは地場産業の振興対策の経費でございますとか、それから観光振興対策だとか、こういうようなソフト経費といいますか、こういうものを基準財政需要額に算入したいとしております。また労働費などにおきましても、総合的な地域雇用対策経費というものを算入するというようなことで、それぞれの地方自治体地域振興のために単独で行う施策ができやすいように基準財政需要額に新たに算入したものもございますし、今まで入れたものに増額をするというようなことをしているわけでございます。また投資的経費につきましても、内需振興のための単独事業の大幅な拡大というようなこともやっているわけでございます。
  292. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に、同じくこの単位費用の算定の改正の中で「国際化への対応」というのがありますね。あれは何ですか。
  293. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 最近、地方団体におきましても国際交流がいろいろと活発に行われているわけでございまして、この地域レベルの国際交流をさらに促進しようという観点からいろいろな施策が今行われているわけでございます。  例えば語学指導などを行う外国青年の招致事業、これは昨年からやっておりますが、こういう経費を今後また拡充していくというようなこと。六十二年度からやったわけでございますけれども、これらの経費につきましても、外国青年の招致人員を、昨年は八人でございましたがこれを十三人にする、これは標準団体ベースでございます。それから、新しく姉妹都市の提携のための国際親善に要する経費、こういうものを経費として算入するというような形で、地域で国際親善、国際交流ができやすいようなそういう経費の算入をしたわけでございます。
  294. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今回の単位費用の改正の中で私が非常に喜んでおりますのは今質問した二つでありまして、「地域産業の育成、地域経済の活性化の促進等地域振興に要する経費の財源措置すること」それから「地域社会における国際化への対応に要する経費の財源措置すること」、実にすばらしいと思うのですよ。すばらしいが、全交付税の中でここで何%ぐらいを占めそうになりますか。やってみなければわからぬですか。
  295. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地域振興のための経費というものをどこまで拾うかという問題がございますけれども、ソフト経費ということで先ほど申し上げました例えば産業導入の基本構想の策定経費でございますとかあるいは地場産業の振興というような経費は、都道府県の段階で今回増額したものは約五十億でございます。あるいは試験研究のための、バイオテクノロジーの研究とかあるいは新素材の先端技術の研究というようなもので約百億円増額をするというようなこと。ソフト経費でございますから、全体としては基準財政需要額は何兆円という経費でございますから、何%というようなそういう額ではございませんけれども、ソフト経費としてはかなり充実した額ではないかというように考えているわけでございます。
  296. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、今二つ質問をしたら、割と具体的にまじめにお答えになりましたよね。だから、まじめにお答えになった以上は、もう時間がないから簡単に言いますがということで、これこれで合わせて例えば二百億円は確実にふえるはずでありますとか、あるいは一けた違って二千億円はふえるはずでありますとか、何とか言ってちょうだいよ。加算される分でいいよ。予定だから狂ったって構わないんだよ。言うてみなさい。
  297. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地域産業の関係につきましては、道府県分と市町村分を合わせまして約二百億ぐらいの需要額を今回積み増したというふうに御理解いただきたいと思います。  それから国際親善につきましては、前年度が約三十三億円でございましたものを今回六十三億円に増額をいたしております。
  298. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のような答弁が出るとよくわかる。ああいうのが一番すっきりしておる。  そこで、最後になりますが、非常に心配しておることを申し上げます。  今回の御提案の中に、NTT株の売却益活用の公共事業における地方団体財源措置、これは一体どうなっておるのか。国の負担部分は当面地方債で措置する、その償還のときに国から補助金を、一体どういう形でそれは返却されることになるのだろうか。  そしていま一つ心配なのは、その国の負担部分にかかわる地方債の返還が始まった時点において国から補助金が交付されるわけでありますけれども、それは償還時点の公共事業財源に繰り込んでしまうということがひょっとして起きるのじゃないか。そうすると、それだけの部分、事業が圧縮されてしまうのではないかという心配をしておるのでありますが、そんな心配は全く不要でありますか。
  299. 津田正

    津田政府委員 NTT資金の活用の問題でございますが、御承知のとおり補助金の前渡しということでNTT資金を貸してくれるということでございます。補助金の前渡しということでございますから、そのNTT資金、借りた金を返すときには、当然のことながら国から補助負担金が交付される、このように理解しております。  それで、後段の御質問でございますが、国全体としてそのNTT資金の償還のために従来やっていた公共事業財源をそこに持ち込む、そうすると残ったものが少なくなるじゃないかという御懸念でございますが、これは私どもちょっと返答しようがございませんで、これは国の全体の財政政策の中で公共事業量をどう確保するかという話かと思います。しかし、前段のNTT資金を活用して地方団体事業をやらせたものについて、その元利償還について補助負担金をもらう、これは必ずやってもらわなければならない問題だと思います。
  300. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 一番最後に大臣のお気持ちを承っておきたいと思います。  今回の問題で私が非常に心配しているのは、NTTの資金の活用等も結構でありますが、しかしながら今結構結構と喜んでいるだけ、事業を拡大できたというて喜んでいるだけ、後になったらあのときよう騒いで飲んで食べたが今その借りを返さにゃいけぬのかというときが来たら大変だと思うのですね。そういうことがないように、ひとつ十分な御配慮をお願いをしておきたいと思うのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  301. 梶山静六

    梶山国務大臣 先のことを心配すると切りがございませんけれども、確かにNTTの活用は補助金の前渡し、しかしそれを埋めるときには、これまた地方財源のどこに充当さるべきものを充てられるから結果としてなくなるのではないかという懸念をすることは当然でございます。そういうもろもろのことを考えましても、やはり今やることは有効な手だてでございますから、後は野となれ山となれということじゃございませんが、後の対策を十二分に講ずるならばできると思います。  それと同様の心配が、これは全く違うわけでありますが、減税減税と言っていると、その原資であるべき余裕の財源というか、そういうものが何か別な方向で、それが今一番私の小さい胸を痛めているところだと言っているのは、これによって、質は違うけれども中身はどうも似てくるようなことで、補助金カットの復元がなかなか難しくなるのではないかなというような心配も実はするわけでございますので、御協力のほどを願いたいと思います。
  302. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは最後にお願いだけしておきますが、大臣が大型間接税に触れられましたので、あれ、何も岡田は言わなんだよというのじゃ議事録の関係上ちょっとまずいので、申し上げておきます。  当面二、三年間は、六十二年度でさえ補正予算を含めて、そんなもの全部使っちゃってもなお残りが三月三十一日現在で二兆三千六百億円あるということが概算でわかっております。四月二十日の概算決定の時分になりますと恐らく二兆五千億円近くになっておると思います。六月になればそれに少し足し前がされる程度ではないか。ということになりますと、今の一兆二千五百億プラス政策減税を入れて一兆五千百五十億というような所得税の減税と政策減税ぐらいはもうちょろいものでございまして、自然増収の半分。自然増収というのは本来税金を取り過ぎたのですから、取り過ぎた税金は国民にお返しをする、これが当然の建前でありまして、財源については六十三年は心配ない。  六十四年はどうなるか。六十四年はまたまた五兆円のNTTの株の売り上げがございますし、今の状況でいけば、アメリカは大統領選挙が済むまで絶対に景気が悪くなるはずがありません、これは共和党が政権を投げ出すのと一緒ですから。だから絶対アメリカの景気も悪くならない、すなわち世界の景気も悪くなりませんので、自然増収がまたぞろ六十二年と同じ約六兆円近く上がってくる予定でありますので、二、三年間ゆっくりと考えればいいのでありまして、減税をまず先行、そしてその後で行政改革をやり、不要なものを省いていって、不公平税制をなくして、その上で銭こが足らぬという場合に初めてみんなで知恵を出し合うというのが一番望ましいと思います。快男児梶山大臣の腹の方もひとつそういうふうに、内々決めておいていただきたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  303. 松本十郎

    松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  304. 松本十郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会