○
渡辺(功)
政府委員 大変重要な点の御
指摘でありまして、また実はそこの点が
自治省の税務当局としては一番の課題なんでございます。と申しますのは、やはり
地方税源を充実して、できるだけ
地方税によってその
地域の行政を賄うということにすることが、結局は、先ほど
大臣もお答えいたしましたが、税の行方はその
地域の住民がよく見える、これはすなわち自治という観点からいいましても理想でございますし、また行政の効率性といいますか、そういったものを担保する
意味でも非常に重要だというふうに
考えるからでございます。
しかしながら同時に、ただいま後段御
指摘の点でございますけれ
ども、
全国で相当の数の団体がわずかな
地方税、
地方税の割合が非常に少ない、五%を切るというようなところがかなりあるというようなことも事実でございます。この問題が、実はどういう
税制をしけばできるだけ
市町村を
中心とします地方自治体の
財政需要を賄うために均てん化した
税制となるか、こういうことなんでございますが、これを大局的な見地からいいますというと、それにはまた限度があることも事実でございます。税源といいますものは、結局、
資産、富がどれだけどこにあるかということ、あるいは
所得というものがどこにどれだけ生ずるか。それから流通
関係の税金というのは非常に狭い
範囲の
地方税としてはなじまないことが多いものですから、主として前段の
二つでございます。そうすると、
住民税とか
固定資産税という税金にどの
程度頼れるかというようなことにまた翻っていくわけでございます。
そういう見地で
考えますと、
地方税源の充実というものの、どういうプランといいますか
考え方を持っているかということにつきましては、いわば定性的な
議論としまして、ただいま申し上げましたような地方自治の観点からいいましても、その充実が必要であるということについては申し上げることができるわけでございますけれ
ども、量的にどういう姿に持っていけば理想なのか、じゃそこまでいったらもう後はやらないでいいのかというような
意味のプランといいますか、そういったものは立てがたいわけでございます。結局、地方自治体の
状況によりまして、そういう
状況にかかわらずかなり税収が均てん化するような
税制が仮にできたとしますというと、場合によっては大変過酷な
税制だということになりかねないことになる場合もあるわけでございますから、やはりそこは地方交付
税制度等の財源調整機能ということに頼らざるを得ない、むしろそれが合理的であるということにもなろうかと思います。
簡単にということなのに申しわけないのでございますが、そういった観点からいたしますというと、
地方税源の充実というのはいろいろな手段があると思います。新しい税を
地方税として起こすということもございます。それから国の税を地方に移譲してもらうというのもございます。しかし、その場合は、国と地方と
財政状態がどうかというような
議論だとか、あるいはそういう税源移譲をするなら事務も移譲するのかというような事務配分の問題とかが絡みます。抽象的でなくもっと端的に言いますと、
所得税を
住民税に移譲するというようなことを
一つ考えてみますというと、これはそういう説明からは非常によくわかるとしましても、一面で見ますと、
所得税は大
減税する、
住民税は増税するというような姿に結果としてはなるわけでございますから、そういったことが果たして
地域住民の
合意といいますか、それを得られるだろうかというような、いろんなそういうことがかかわってまいります。
地方税源の充実という観点からいいますと、先ほど来
議論が出ていました
地方税減税の問題も、
大臣からもお答えしましたように、
地方財政の
状況というようなことも
考えますと、全体としての
納税者から見た
負担の
軽減という見地からいえば、
所得税にかなり
減税というものを担いでもらってということになれば、
地方税源の充実ということに結果するということも逆に言えるわけでございます。しかし、余りそれを極端に
考えますと、それじゃ住民の方から見ても
所得税、
住民税を通じました
所得課税の姿がおかしいじゃないかということになってはいけませんので、そういった点では
所得税、
住民税を通じた総合的な観点で
議論を詰めていかなければいけない、こういうことなんでございます。
そういうことでございまして、
地方税源の充実というのは、この基本的な理念としまして、どうしてもそういう方向に常に意を用いていかなければならないことであり、その方法としては、いろいろな方法はあるけれ
ども、限界のある場合もあり、そしてまた、それは
地方税源の充実という点では総論で賛成をいただいても、実際各論ということになれば
問題点の生ずる場合もあり、こういったいろんな要素を総合的に
考えながら、その中で少しずつでもそういう方向に向かってそういう道を歩んでいくといいますか、努力を重ねていく、こういうことしかないというふうに
考えているところでございます。