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1988-03-24 第112回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十四日(木曜日)     午前十一時四十六分開議  出席委員    委員長 松本 十郎君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 片岡 武司君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 山下八洲夫君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       金子 一義君    北村 直人君       鈴木 恒夫君    高橋 一郎君       友納 武人君    中山 利生君       松田 岩夫君    渡辺 省一君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       安田 修三君    小谷 輝二君       柴田  弘君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 梶山 静六君  出席政府委員         自治大臣官房総         務審議官    小林  実君         自治大臣官房審         議官      湯浅 利夫君         自治大臣官房審         議官      前川 尚美君         自治省財政局長 津田  正君         自治省税務局長 渡辺  功君  委員外出席者         大蔵大臣官房企         画官      田村 義雄君         厚生省保険局国         民健康保険課長 加納 正弘君         運輸省海上技術         安全局総務課長 野間 耕二君         地方行政委員会         調査室長    大嶋  孝君     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)      ────◇─────
  2. 松本十郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中沢健次君。
  3. 中沢健次

    中沢委員 きょうは私は一時間三十分時間をいただいておりますので、地方税法改正中心にいたしまして、幾つかのテーマに絞りまして質問をさせていただきたいと思います。  まず一番最初に、大臣あるいは担当局長以下関係者十二分に御承知のように、けさの新聞報道あるいは昨晩のテレビの報道がございましたように、政府税調の直税部会が直税の総体的な減税内容について、骨格でありますけれども、まとめの段階に入っている、二十五日の総会で正式に発表がされる、こういう状況一つございます。いま一つは、これまた御承知のように、三月の上旬に六十三年度の減税問題をめぐりまして与野党国対委員長レベル合意がございまして、それを受けた形で与野党政策担当者会合が今日まで続けられている、こういう状況でございます。したがって、状況としてはいろいろ非常に重要な時期にあるということを前提にいたしまして、まず一番最初お尋ねをしたいのは、とりわけ地方税中心にした三野党減税要求政府側としてはどのようにこたえるのか、こういうことに一応テーマを絞りまして幾つお尋ねをしたい、このように考えます。  まず実務的な内容についてお尋ねをいたします。  さき地方税改正、いろいろございました。私も改めて調べてみたのでありますが、さき税制改正でいろいろ控除引き上げがされている。しかしこの中で、特別人的控除の中に障害者控除というのがあるのでありますけれども、これが引き上げになっていない。現状のまま据え置かれている。私の勉強不足であったと思うのでありますが、初めて気がつきました。ほかの控除はほとんど二万円アップしたり、老齢者控除の場合は倍額控除引き上げておりますけれども、この身体障害者控除をなぜ据え置いたのか、そこのところの自治省側見解を具体的にお尋ねしたいと思います。
  4. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 委員指摘のように、障害者控除等につきましては昨年九月の改正において引き上げてはおりません。しかしながら、ほとんどすべての人的控除引き上げられたかというと実はそうではありませんで、基礎的な人的控除引き上げを行った、こういうことでございます。つまり、国民生活水準推移あるいは納税義務者の割合、税率構造等改正による税負担水準変化等を勘案いたしまして、納税義務者全体を通ずる課税最低限引き上げ、それと税率構造改革、この二つ住民税減税骨組みでございまして、それによりまして考えられましたことは、基礎的三控除を二万円引き上げる、こういうことだったわけでございます。したがいまして、委員の御指摘は当然でございまして、そのほかの控除引き上げになったものがありますが、それはいずれもこの基礎的三控除と重なっているような性質のもの、例えば同居している老人の問題であるとか、扶養控除と一緒にそれが連動すべきものというようなものについて措置をしているわけでございます。  障害者控除につきましては、そういう意味におきましては特別な人的控除でございまして、そういったものにつきましては、基礎的三控除引き上げるということによりまして、それらの特別な人的控除については前回はこれを引き上げておらない、こういうことでございます。
  5. 中沢健次

    中沢委員 関連をしまして、確かに今局長のおっしゃるようなことについて、全く理解ができないということではございません。しかし、私の方からあえて言うまでもないと思うのでありますけれども、やはり身体障害者という方は大変なハンディをお持ちでありまして、生活も大変だと思うのですね。これは後ほどもいろいろまた具体的に指摘をしたいと思うのでありますが、六十二年度の税制改正の中では、昨年はそういう理由で見送った。しかし六十三年度について言うと、やはり今の実態から見てここの部分控除額を積極的に引き上げるべきではないか、私はこういう立場に立つわけです。その場合、例えば控除対象人員全国でどのくらいいらっしゃるのか、あるいはその減税に必要な財源がどの程度必要なのか、試算をされていれば具体的な数字をぜひ教えていただきたいと思うのです。
  6. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 障害者控除引き上げの場合にどれくらいの減収額が生ずるであろうか、こういう御質問でございます。仮に二万円を引き上げる、こういうことにいたしました場合の減収額は約二十五億円程度というふうに見込まれております。
  7. 中沢健次

    中沢委員 それでは関連をいたしまして、二つ目の問題についてお尋ねをいたします。  先ほど言いましたように、二十五日、明日、税調総会を開いて、きょうの新聞に出ておりますような内容について恐らく最終的にまとめ上げて発表すると思うのでありますが、政府税調のこれからのスケジュールについても新聞その他で報道がございます。自治省の方はとりわけ地方税税調事務局的なお仕事もされていると思いますので、今後のスケジュールについて、新聞では一応記事になっておりますけれども担当自治省としての一定の判断も含めて、どういうスケジュールで今後政府税調が動くのか、明らかにしていただきたいと思います。
  8. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 政府税調で論議をされております改革案新聞にも出ておりますところは、これはかねてから公聴会を各地でやりまして、そのときに、俗にたたき台と言っておりますけれども素案というものがなくていろいろ意見を言うことはなかなかできないではないかというようなお話もたくさんありました。それではそういう素案をつくってそしてまた意見を聞こう、こういうような考え方素案というものを取り急ぎまとめるということで今税制調査会においては鋭意検討をされておるわけでございます。したがいまして、そうした素案に基づきまして、税制調査会としてはまた意見を聞く機会をつくっていくというようなことになろうかと思います。このことは、既に三月初めに終わりました公聴会の席上でもそういう意見がいろいろ出まして、税制調査会委員方々も、さらに意見を聞くべきだという意見に対しまして肯定的な返事もしているというようなこともございますから、そういった機会を今後持っていくということになろうかと思います。  その後のスケジュールというようなものについては、いろいろな予想が立てられておるようでございますが、税制調査会の中でまだきっちり決まっているものではございません。税制調査会運営実態ということで申し上げますと、運営委員会であるとか基本問題小委員会というようなところで議論もされておりますが、そういった議論の中で、その段階における各方面のいろいろな意見ども踏まえながら運営の仕方を決めていくということになっておりまして、今後の見通しというものはきっちりと決まったものはございませんけれども、とにかく素案をつくり、それによって意見を広く聞くという段階があるということは当然である、そういうことが予想される、こういうふうにお答えを申し上げられると思います。
  9. 中沢健次

    中沢委員 税調の権限を越えて自治省の方から今具体的なスケジュールを明確にできないという立場はわからぬわけじゃございませんが、新聞報道によると、その種のいろいろな作業をやって五月に最終答申をする、こういう報道があるわけですね。私どもとしては、一応そのことを受けとめながらこれからまたいろいろやってみたいと思うわけであります。  いま一つは、これも新聞報道なのでありますが、政府税調減税内容についていろいろございました。全体的なことは申し上げませんが、地方税関係する部分だけ申し上げますと、税率刻みを七段階から四段階に縮小して、つまり簡素化して、そのことによって住民税減税を図るという報道がございます。もう一つは、これは国税関係するのでありますが、例のキャピタルゲイン原則課税、技術的な問題があるのでこれからまたいろいろ検討する、こういう報道でございました。  問題の減税規模でありますが、総体的には四兆円程度になるのではないか。内容としては、国税地方税含めまして、税率を簡素化することによって一兆五千億、相続税が五千億、法人税が一兆五千億、そして先ほどちょっと議論がありました人的控除あるいはキャピタルゲイン非課税廃止等々がプラスアルファになりまして、総体的には四兆円規模になるのではないか、こういう報道があるわけです。このことについて私どもとしては、国民の一人という立場に立ちますと、率直に受けとめた方がいいのではないかと思うのでありますが、そういう受けとめ方について、それは間違いだとかあるいは時期尚早だとかという見解はあろうかと思います。事務局立場で、その辺のお考えというか認識というか、ちょっとお示しをいただきたいと思います。
  10. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 税制調査会におきましては、税制の抜本的な改革、そして所得、消費、資産を通じて均衡のとれた税体系を確立する、こういう見地から鋭意検討していただいておりますので、そうした意味では、抜本的な改革であるという意味で非常に大胆といいますか、また自由な御議論もそこでいただいているというふうに私どもは見ております。そういう中におきまして、ただいま地方税についての御指摘がありましたけれども前回の、抜本的改革として答申をされ、そして廃案になったわけですが、その抜本的改革として提案されました基本的な住民税税率の枠組みは四段階にする。そして最低税率を五%、最高の税率を一五%にする。従来の税率は四・五%から一八%までの十四段階でございましたから、非常にそれを簡素化する、こういう骨組みであったわけでございます。したがいまして、税制調査会会議の中での御議論もそうした基本的な抜本的改革骨組みということを踏まえてその四段階にするとか五%から一五%、こういうふうなことが言われているわけでございます。ただ委員指摘のところは、恐らくそういうところを踏まえて御指摘と思うのでございますが、昨年九月の改正におきまして、六十三年度から約五千億の減税がスタートしまして、六十四年の改正を含めますと六千六百億が六十四年度のレベルになろう。その中において抜本的改革のところで示されました税率のうち五%と七%の税率のところはもう既に抜本的な改革のところとして前回示されましたところができ上がっておるわけでございます。今から新たにたたき台を提示するときに、全体としての住民税税率構造をもう一回広く意見を求めるということで出すならば、五%とか七%のところの税率刻みのところは従来のところよりは少し減税するといいますか、ブラケットを緩和するといいますか、そういう形で提示するということで抜本的改革税率構造の一例というような形のものが出されるということでございます。  それから数字の点でございますが、まだそうした段階での御議論でございますので、数字については私どもは確たる根拠とかそういったものではないと思います。各新聞におきましても、そうした面の専門の記者の方々がいろいろ推測して書かれておりまして、若干の幅はありますけれども、ある程度のところへいっております。私ども相続税とかほかの税のことはよくわかりませんが、所得税住民税を通じての議論の中では、恐らくそうした方々の見方というものがかなり一致しているというところはあるかもしれませんが、当局側からそうした数字基礎にしてどうしたということを申し上げられる段階でないわけでございます。御了解をいただきたいと思います。
  11. 中沢健次

    中沢委員 そこで少し角度を変えましてお尋ねをしたいと思うのです。後ほど大臣の方からも基本的な見解もお示しいただきたいと思うのですが、御承知のように与野党政策担当者会議というのがもう既に三回開かれ、きょうが四回、五回が二十九日で六回が四月一日、こういう日程で精力的に与野党間の会合が続くわけなんであります。実は三党の減税要求についていいますと、総額で二兆九千四百億、時間がありませんから地方税に限って言いますと約三千億、正確には三千三十億になるのでありますが、問題は今の政府税調の動きは一応僕らも横に置いておいたということにいたしましても、政策担当者協議がこれからいよいよ大詰めを迎える、こういうことは現実的にはきちっと受けとめておかなければいけない。これは党の違いがあれ、あるいは政府という行政府立場があれ、その辺はやはり同じような状況認識が必要ではないか、私はそのように考えるわけなんであります。  そのことを前提幾つか具体的にお尋ねをしておきたいと思いますが、実は三千三十億円の地方税減税要求数字的な根拠、あるいは特別人的控除約二百五十億、さらには娯楽施設利用税軽減四百億、そして固定資産税軽減が六百億、つまり地方税は直接の住民税減税が三千三十億でありますけれども、それに付随する内容をずっとトータルすると四千二百五十億円の減税になる。それがいろいろなところにはね返りましで、私ども社会党試算によりますと地方税総体のいわゆる減税、収入で言えば減収になると思うのでありますが、トータルいたしますと一兆二千百三十七億、こういう数字をはじき出しまして、今税制協議会中心にしていろいろ議論をしている最中なわけです。これは正直言いまして私の方の質問通告の中には入っていなかったと思うのでありますが、税制専門家でありますからこういう数字についての正当性についていろいろ判断をお持ちだと思いますので、自治省当局としての、今私がざっと申し上げました内容数字について、およそ正しい、こういう見解をお持ちかどうか、確認のために聞いておきたいと思います。
  12. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 野党共同修正案の中にあります減税要求については私どもも熟読させていただいておりますけれども、例えば住民税減税のところでも税率構造改革というようなことでございましたが、言葉はちょっと正確でないかもしれませんがそういうような表現になっておるものでございますから、ただいま委員指摘のような数字になるのかどうか、ちょっと私ども申し上げかねるわけでございます。例えば個々の問題、例えば課税最低限引き上げるために三控除基礎控除配偶者控除扶養控除を一万円ずつ引き上げたらどれくらいかかるだろうかというようなことになりますと、これは過去からもそのときの税収ベースは応じまして八百億とか九百億ということが言えるだろうというようなことは私どもも大体見当はついておりますから、そういう部分的なところについては見当のつくところもございましたけれども、全体についてはちょっと御指摘のような数字がどういう姿になるか、私も申し上げかねるところでございます。
  13. 中沢健次

    中沢委員 それでは申し上げますと、今局長の方から控除関係についてはおよそ見当がつく、こういうことでございました。要求は、給与所得控除が一万円アップ、トータルすると三百三十億、人的三控除が三万円アップの二千七百億、トータル三千三十億。ただ、私が冒頭障害者のことについて触れたのでありますが、野党要求の中身にはこれが外されております。念のために申し上げますとそういう内容になっている。もう一つ、これは従来からの現実的な矛盾ということで残っているわけなんでありますけれども所得税住民税格差、いわゆる一〇〇対八六だというふうによく言われているわけです。そういうところを少しでも解消するためには、課税最低額をとりわけ住民税について言うと所得税よりも少し引き上げていかなければいけないのではないか。かねてからいろいろな委員会でそういう議論があったと思うのでありますが、そういうことについてまだしかと答弁できないという状況についてはわかりますけれども、そういう問題点があるということについてはいかがでしょうか。
  14. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま御指摘のことでございますと、例えば基礎的三控除を各三万円引き上げると約二千七百億ぐらいではないかというような御指摘は大体そういうことになりそうだ、またきっちり計算してみないといけませんが。それから、給与所得控除を一万円上げるというのはどういう姿でお考えか、今の給与所得控除組み立て方というものとその一万円引き上げということはどう組み合わさるのか、ちょっと判断できませんので、意見をといいますか、その数字について確認することを差し控えさせていただきたいのですが、給与所得控除を適用されている人たちがそれぞれ一万円給与所得控除が、どういうやり方をするかはちょっとわからないのですけれども、それだけ控除が引き上がるということになると、おおよそ御指摘のような数字になるかと思います。  それから課税最低限の問題ですが、この問題はどうするかということにつきましては、これこそまさに税制調査会で今御検討のさなかでございますし、与野党政策担当者間のこれからの協議ということでもございます。そういったものを見守りながら私どもとしても対処をしていかなければいけないと思いますが、今までの議論ということで申し上げますと、委員指摘のように、できるだけ減税ということを幅広い方々に均てん化するというか及ぼすようにするためにも課税最低限引き上げを図るようにすべきである、そのためには三控除引き上げ所得税に近づけるべきである、こういう御議論は確かにございます。それは一つのお考えだと思いますが、同時に私どもはどちらかといいますと課税最低限所得税とどうして同じでなければいけないのかということをかねてから思っております。なぜならば、住民税というのは基礎的な自治団体であります市町村財政をみんなで担ぐということでございますから、そこはできるだけ広い範囲納税者負担を分かち合う、そのかわり地域のそうした負担を賄うものですから、税率構造所得税のように急に上がるということではなくてできるだけフラットに近い形になる。もちろん住民税所得分配の効果を持ちますけれども、それを所得税ほど強く持つべきではない。所得税ほど強く持ちますと、税目体として非常に狭い地域の中で所得分配を完了させますから、非常に矛盾といいますか理に合わない。そういう高額所得者所得分配を行うとすればそれは全国的なべースで行うべきである、こういう議論もございます。そうした考え方によりまして、これは程度問題でございますけれども、より広い範囲方々負担を分かち合っていただくということについても御理解をいただけるのではないか。  したがいまして、必ずしも住民税所得税課税最低限は一〇〇対八六であるとかあるいは一〇〇対八〇であるということで決めて議論をしたことはなかったと思います。その間のどの程度がいいかということは、そのときの経済情勢であるとか生活水準推移だとか、いろいろなそういった要素が絡んでくるものでございますから、そのときに一般的な合意が得られるような水準というものを考えながら、また地方財政状況ども勘案しながら対処をしてきた、こういうことが実態であると思うわけでございます。
  15. 中沢健次

    中沢委員 税のプロといいましょうか玄人から見るとそういう一つ考え方はあると思うのですが、実際庶民感情からいいますと、所得税に比べて地方税に対する重税感というのは、いろいろな調査もやっておりますけれども、強いわけですね。しかも、これは十カ月で住民税を納付する、こういう技術的な問題も当然あると思うのです。ですから、私は所得税と一〇〇%全く同じようにやれという主張はしていない。しかも野党の三党もそういう主張にはなっていないのです。今ある格差をもう少し縮めるようにしたらどうだ、そのためには、先ほど指摘をしましたように課税最低限度額地方税はもう少し手厚くやるべきだ、こういう意見でありますからあえてそのことを申し上げておきたいと思うのです。  いま一点は、キャピタルゲインとの関係でありますが、これはどういう結論が出るかまだまだ明確になっていない。あえて承知の上で、問題点があるということで指摘をしておきたいのでありますけれども、これはひょっとすると地方税が積み残しになる危険性があるのではないか。分離課税か、みなし課税かは別にいたしまして、それは国税だけに影響が出まして地方税は全く関係がない、こういう危険性総合課税にしない限り出るのではないか、私は余り専門家ではありませんけれども、いろいろな人の話を聞きますとそういう問題意識を持ちました。この辺は一つ指摘しておきたいと思います。これについては特別答弁は求めません。  さて、この問題の最後でありますけれども、かねてからいろいろな議論があるのでありますが、住民税年度内減税の問題について少しく具体的にお尋をしたいと思います。  昭和四十九年当時もいろいろ精力的な議論がされたということを聞きました。当時は納税通知書発行件数全国で千九百八十万件。その内訳としては、源泉徴収をしている、つまり特別徴収義務者が五百二十万、個人が一千四百六十万であった。そして年度途中で住民税減税をするということになってくると大変な事務量が必要になる。それに人も予算も必要になってくる。およそ二百から三百億円の事務費がかかるのではないか。結果的に今のような、単純に考えると所得税から見ると一年おくれの住民税減税と、何となく定着した感じを否めないと思うのですね。それで、私は六十一年度の同じような数字について少し調べてみたのでありますが、余り大きく変わってはおりません。例えば、納税通知書を出す件数が二千九十三万件。その内訳特別徴収義務者が五百五十三万、個人が千五百四十万、こういう内容であります。  問題は、四十九年から、今六十三年でありますけれども、この間コンピューターは物すごく発達しているわけですね。もうほとんどの自治体は、一部の町村を別にいたしまして、いろいろな行政事務その他については全部コンピューター化していると言って過言ではない。しかも、ハードの機械も一年一年見違えるように大変な能力アップになっている。ソフトの開発も進んでいる。そうしますと、源泉徴収は十二月の末にやって、そして確定申告は三月の十五日、そういうタイム的なずれは当然埋めようがないと思うのであります。しかし、今私が申し上げましたようなそういう科学技術をフルに活用することによって、自治省さえその気になって本当にやろうと思えば、いい意味で言うと全国の自治体のしりをたたくことによって、所得税の一年度おくれの地方税減税という事態を積極的に打開をすることができるのではないか。もうそろそろそのことを本気になって、真剣になって関係の自治体との話だとか、あるいは専門家を入れてそのことが本当に技術的に可能なのかどうか、単に委員会だとかいろいろなところで議論をしてすれ違いになっている感じが率直にいたしますので、時期としてはもうこの時期をおいてほかにないのではないかと私は考えるのでありますが、事務当局としてはいかがでしょう。
  16. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 委員指摘の点はまことにごもっともでございまして、昨年度、実はこの問題については私どもも非常に神経をすり減らしまして検討を重ねました。決してそのときも、自治省だけでどういう判断をしてそういうお答えをしたとかということではございませんで、地方公共団体の税務担当の管理者といろよりもむしろ実務家の人たちからたくさん意見も聞きあるいは実態も聞き取りまして、そういう判断をせざるを得ないということだったわけでございます。したがいまして、去年のことを御存じと思いますが、最初自治省としても何とか年度途中の減税でもやれないだろうかと思っていた時期があるわけでございます。だんだん、地方団体からの様子をいろいろ聞いてみますと、それは問題が非常に大き過ぎて、問題が大きいというよりむしろ困難じゃないか、こういうことになったわけでございます。  その非常に大きな理由は、今委員の御指摘のとおりでございまして、非常にたくさんの納税義務者に対して、賦課課税でございますから納税通知書を発付するというようなことがあって市町村の事務が大変だということが一つあります。しかし、これは機械化というものがあるんだから、やり直しをすると覚悟すればあとはお金を使えばいいじゃないか、人を使えばいいじゃないかということになればできるではないかということが一つ議論としてはあろうかと思います。しかしながら、同時にこれは市町村だけの問題じゃございませんで、この市町村からの通知書をもらいまして、そしてそれによって給与から天引きをしている。これは所得税と違いまして、源泉徴収じゃありませんで、納税通知書に基づいて給与の中から税額分を引くわけでございますが、この給与支払い者、企業の経理担当者とかあるいはそういう実務家と考えていただいていいわけですが、そういうところに大変な事務量がかかってしまう。特別徴収の事務の処理のため、期間とか手続が大変だ。これは今世の中で税制の簡素化ということが非常に、一時よりもっと強く言われておることは御承知のとおりでございまして、これをあえてするということは、減税がどういうふうに行われるという実態の中身は別としまして、時期の問題以上に重大問題だということがあるわけでございます。この基本的な違いは、結局、所得税源泉徴収制度をとっていて年末調整をやり、申告ということで年度の最後に始末をつける仕掛けになっておりますが、住民税は、課税事務の簡素化の見地からも、その所得税課税資料を基礎としまして年度当初に決着をつける賦課課税である、ここに基本的な違いがあるわけでございます。  そういったような状況考えますと、先般も当委員会で御質疑がありましたけれども、いろいろ考えてみましても、年度途中に減税を行うということは非常に難しいというよりも、かなり困難ではないかというふうに私どもとしては考えざるを得ないわけでございます。いろいろ実務家などの間で研究もすべきではないかというお話につきましては私どもも当然そう思いますし、今後とも住民税課税事務なんかの簡素化も含めまして、いろいろ実務家の意見というものを尊重しながら研究していかなければならないということは事実でございますが、現在そうした判断はほぼ間違いないといいますか、変えられるような有力な材料というのはないのじゃないかというふうに考えているところでございます。
  17. 中沢健次

    中沢委員 さて、この問題について大臣の方から少し見解をちょうだいしたいと思うのでありますが、今まで局長との間でやや技術的な問題も含めてやりとりをやってまいりました。念のために申し上げますと、いずれにしても与野党政策担当者会議というのが四月の一日、第六回目、一応の目安をそこに置いているような話を聞いております。したがって、三野党減税要求について言いますと、文字どおりこれから大きな山場に差しかかってくる、これが一つあると思うのです。内容的には、国対委員長会談のレベルではとにかく二兆九千四百億の野党減税要求はやります、こういう合意が既にあるわけですね。問題は、その内容と財源をどうするかということで今日までずっと担当者会談が続いているわけなのでありますが大臣に聞きたいのは、いずれにしても何らかの結論が出てくる、あるいは政府税調としても結論が出る。一つ国税に負けないように地方税についても要求にしっかりこたえて減税はやる、こういう基本的な見解というのをぜひお聞かせをいただきたいし、そして内容としてはいろいろあるのでありますが、くどいようでありますけれども、やはり身体障害者の皆さんに対する政治的な思いやりというのをその控除の中に生かしていく、こういうひとつ人間味あふれる大臣の御見解を私は希望して、御答弁をお願いしたいと思います。
  18. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 三月八日の与野党国対委員長会談において「社公民三会派の要求する所得税法人税相続税等の減税は実施する。」「その財源については、社公民三会派の要求する「不公平税制等の是正」及び「その他の項目」を含め各党政策担当者協議する。予算成立までに結論を得るものとする。」との合意がなされておることは私もよく承知をいたしております。  今御指摘のとおり、現在、同合意に基づき各党政策担当者間の協議が進められているところでございますので、その推移を見守っていきたいと思います。そして、その合意は政党間の話し合いで決められたものであり、政府としては、その具体的な内容について見解を申し述べる立場にないことを御了解を願いたいと思います。なお、与野党間の協議によって合意が調い、その具体化が図られる場合には、これを尊重してまいりたいと思います。これがいわば与野党間の合意は対する公式な見解でございます。  先ほどからの話のように、政府税調、私は定かな報告も何もちょうだいをしておりませんが、新聞その他でちらほら、例えば四兆円減税というふうに一面に大きく出ていることもございます。ちょうど春先になりまして与野党間の合意があり、あるいは政府税調もそういう方向に向かっていくので、いわば減税という共通の土俵、こういうものが政府の諮問をしている政府税調あるいは国会の中心である与野党間の合意、そういうものが必ずしも手段、方法、金額、時期等についての細かい合意を得ないとしても、大きな方向でそういう流れがあることを承知をし、大変すばらしいことだという理解をいたしております。  ただ、私が心配をいたしますのは、前も申し上げましたとおり、これだけのことをやりまして、不公平税制あるいは今の税の根本的ないろいろなものの見直しは行いながらも、三兆とも四兆とも言われる減税を行い、かつまた、私にとりましては、地方財政を圧迫をしている補助率カットの問題、約一兆七千億になんなんとするものの、筋は違うとはいうものの、果たして原資はどこにあるのかということになりますと、やはり国のあるいは公の歳入の中から賄っていかなければならないということになりますと、まずもって約束事を先に守ってもらわなければならない、その後さらに国民が待望する減税をしてもらわなければならない。その原資になるパイがどういうものであろうかということをひそかに心配をしている一人であります。  ただ、委員指摘の、国税に負けない地方税減税、特に住民税を指しているのでありましょうけれども、私は必ずしもこれにくみしないというか、大きな方向でその心意気はわかるわけでございますけれども、先ほど局長からも答弁がございましたように、国の税は確かに所得の再配分的な機能を持っておりますし、また地方税地方税、特に住民税はその土地に住んでいるというあかしでもございますし、それからやはり税の行方を見るのは身近な者が一番よく見えますから、地方税、これは地方住民がこのお金はどこに使われているということをよく見定めるわけでありますから、住民、国民にはむしろ安心して納税し得る税金ではないかなという一面の考え方もあるわけでございます。国税地方税を通じて国民が受ける利益は、片や私の右半分から取られる税金で、片方は左半分から取られる税金ではございませんから、総合一体になって我の税金からどれだけ減税があるかということでございますから、それぞれの立場を了解をし合いながら、なおかつ私は、皆さん方が絶えず主張をしていただいている地方の自主財源、税財源を確立をしよう、そのことも横目ににらんで、地方税をばしゃっと切れればいいな、後は増税はいたしませんよということで、後で大変な行政サービスを低下をさせるというようなことになってはいかがなものかという実は懸念もございます。  それから、先ほど来お話のありました思いやり、これは当然政治に志す者あるいは行政を行う場合には配意すべき第一の条項だろうと思います。ただ、具体的な問題について私も承知をいたしておりません。ただ、基本的には、思いやりがあってしかるべきだ、こういう思いをいたしております。
  19. 中沢健次

    中沢委員 それでは、別な問題に質問を移していきたいと思います。  今大臣の方から、地方の自主的な財源の確保が大事だ、こういう趣旨のお答えもありました。ちょうど格好なテーマだと思いますので、地方税源の充実という問題に絞りまして、幾つお尋ねをしたいと思います。  自治省の方から、六十一年の全国的な地方の歳入に占める地方税の割合、資料はいただいたわけです。一々申し上げますと時間がかかりますので、私なりは要約をいたしますと、全国で都道府県、市町村、自治体は数でいいますと三千三百二十三ある。その全国内容についてもいろいろ聞いておりますが、とりわけ私は北海道の出身であり、大臣が茨城の出身であり、東京が一極集中問題がいろいろと議論になっておりますので、三つ摘出をいたしまして、資料をまたちょっと見てみました。地方歳入に占める地方税の割合なんでありますけれども、やや想像どおり、東京都が七五%、茨城が三一%、北海道が二〇%、もっと低いところは一二%の島根、高知等がございます。これだけ見ましても、都道府県別あるいは、資料は持っておりますけれども市町村別の大変な格差が現実問題としてある。だから地方交付税というのが有効に働いている、そういうことにはなると思うのでありますが、しかし、この自主財源がどの程度のパーセントを占めるかということが財政的な地方自治の観点からいうと非常に大事だと思うのです。したがって、もう少し地方税の税源の充実ということについて、私は専門家ではありませんから具体的な提起はなかなかできないのでありますけれども専門家自治省として、直ちにということには当然ならないと私は思いますが、今後の中長期にわたるそういう税制改正に向けて少し具体的なプランというのを持っていただきたい。これが一つ。  それからいま一つは、私も資料をいただいてびっくりしたのでありますが、この中で地方歳入中の地方税収が五%未満というのが全国で六十六の団体があるわけです。どういう団体か私も興味がございましたので、いい意味で興味がございましたので、資料もいただきました。これも予想どおりほとんど過疎あるいは離島、こういうところでございます。したがって、こういう実態自治省としては当然正確に把握されていると思いますので、先ほど指摘をいたしましたように、地方税源充実、地方の自主財源の充実、こういう観点で中長期にわたる一つのプラン、こういうものについて現状どういう認識で、あるいはどういう考え方をお持ちか、これからどうしようとするか、簡単で結構でありますが、基本的な見解を少しくお尋ねしたいと思います。
  20. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 大変重要な点の御指摘でありまして、また実はそこの点が自治省の税務当局としては一番の課題なんでございます。と申しますのは、やはり地方税源を充実して、できるだけ地方税によってその地域の行政を賄うということにすることが、結局は、先ほど大臣もお答えいたしましたが、税の行方はその地域の住民がよく見える、これはすなわち自治という観点からいいましても理想でございますし、また行政の効率性といいますか、そういったものを担保する意味でも非常に重要だというふうに考えるからでございます。  しかしながら同時に、ただいま後段御指摘の点でございますけれども全国で相当の数の団体がわずかな地方税地方税の割合が非常に少ない、五%を切るというようなところがかなりあるというようなことも事実でございます。この問題が、実はどういう税制をしけばできるだけ市町村中心とします地方自治体の財政需要を賄うために均てん化した税制となるか、こういうことなんでございますが、これを大局的な見地からいいますというと、それにはまた限度があることも事実でございます。税源といいますものは、結局、資産、富がどれだけどこにあるかということ、あるいは所得というものがどこにどれだけ生ずるか。それから流通関係の税金というのは非常に狭い範囲地方税としてはなじまないことが多いものですから、主として前段の二つでございます。そうすると、住民税とか固定資産税という税金にどの程度頼れるかというようなことにまた翻っていくわけでございます。  そういう見地で考えますと、地方税源の充実というものの、どういうプランといいますか考え方を持っているかということにつきましては、いわば定性的な議論としまして、ただいま申し上げましたような地方自治の観点からいいましても、その充実が必要であるということについては申し上げることができるわけでございますけれども、量的にどういう姿に持っていけば理想なのか、じゃそこまでいったらもう後はやらないでいいのかというような意味のプランといいますか、そういったものは立てがたいわけでございます。結局、地方自治体の状況によりまして、そういう状況にかかわらずかなり税収が均てん化するような税制が仮にできたとしますというと、場合によっては大変過酷な税制だということになりかねないことになる場合もあるわけでございますから、やはりそこは地方交付税制度等の財源調整機能ということに頼らざるを得ない、むしろそれが合理的であるということにもなろうかと思います。  簡単にということなのに申しわけないのでございますが、そういった観点からいたしますというと、地方税源の充実というのはいろいろな手段があると思います。新しい税を地方税として起こすということもございます。それから国の税を地方に移譲してもらうというのもございます。しかし、その場合は、国と地方と財政状態がどうかというような議論だとか、あるいはそういう税源移譲をするなら事務も移譲するのかというような事務配分の問題とかが絡みます。抽象的でなくもっと端的に言いますと、所得税住民税に移譲するというようなことを一つ考えてみますというと、これはそういう説明からは非常によくわかるとしましても、一面で見ますと、所得税は大減税する、住民税は増税するというような姿に結果としてはなるわけでございますから、そういったことが果たして地域住民の合意といいますか、それを得られるだろうかというような、いろんなそういうことがかかわってまいります。  地方税源の充実という観点からいいますと、先ほど来議論が出ていました地方税減税の問題も、大臣からもお答えしましたように、地方財政状況というようなことも考えますと、全体としての納税者から見た負担軽減という見地からいえば、所得税にかなり減税というものを担いでもらってということになれば、地方税源の充実ということに結果するということも逆に言えるわけでございます。しかし、余りそれを極端に考えますと、それじゃ住民の方から見ても所得税住民税を通じました所得課税の姿がおかしいじゃないかということになってはいけませんので、そういった点では所得税住民税を通じた総合的な観点で議論を詰めていかなければいけない、こういうことなんでございます。  そういうことでございまして、地方税源の充実というのは、この基本的な理念としまして、どうしてもそういう方向に常に意を用いていかなければならないことであり、その方法としては、いろいろな方法はあるけれども、限界のある場合もあり、そしてまた、それは地方税源の充実という点では総論で賛成をいただいても、実際各論ということになれば問題点の生ずる場合もあり、こういったいろんな要素を総合的に考えながら、その中で少しずつでもそういう方向に向かってそういう道を歩んでいくといいますか、努力を重ねていく、こういうことしかないというふうに考えているところでございます。
  21. 中沢健次

    中沢委員 自治省専門家から見まして、全国実態が非常に問題がある、こういう認識は持っている、しかしなかなか難しい。確かにそうだとは思いますが、そこのところはやはり専門家でありますから、地方の自主財源を充実する努力をぜひこれからも続けていただきますようにお願いをいたしまして、次の問題に移りたいと思います。  さて、事業税につきましていろいろお尋ねをしたいと思いますが、一つは、いろいろなところで不公平税制の典型であるというふうに言われております社会保険の診療報酬に対する事業税の特例の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  これは昭和二十七年に成立をし、五十四年の法改正がありまして現行制度につながっているというのは改めて紹介をする必要がないと思うのです。問題は、この特例をやっている関係で、六十二年度で国税総体でどの程度税収が減っているのか、あるいは地方税に置き直しをするとどの程度の金額になるのか、まず数字をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 社会保険診療報酬に関する特例でございますが、これは所得税住民税法人税を通じた経費率、段階を設けて経費率を認めておりますけれども、そういう制度。それから、最も議論されておりますのは、ただいま御指摘になりました事業税の社会保険診療報酬に関する実質非課税という制度でございます。これは非課税だというふうに書いてあるわけではございませんけれども、それにかかる経費は経費に算入しない、それによる収入は収入に算入しないという形で実質非課税ということになっております。これは、つくられたときは議員修正でできたことでもありますし、それなりの理由があったと私ども考えているわけでございますが、自来非常に長年を経過いたしておりますから見直しをしたいということで、経過については委員から御指摘がありましたので申し上げません。  この特例につきましての減収見込み額は、六十二年度で私ども推計いたしましたところ、約五百六十五億円ぐらいになるのではないかというふうに見ております。
  23. 中沢健次

    中沢委員 地方税はどうですか。
  24. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいまの五百六十五億円は、地方税の事業税に係る今の実質非課税措置による減収でございます。
  25. 中沢健次

    中沢委員 それで、ぜひ指摘をしておきたいと思うのでありますが、これは今までいろいろなところでいろいろな議論が随分ありました。しかし、依然として不公平税制の典型が全く解消されていない。多くの国民は大変な不満を持っているわけです。今度の政府税調、あるいはこれから本格的に始動をされるのでありましょう自民党の党税調でも、恐らくこの問題についてメスを入れょうという立場でいろいろ議論がされると思うのでありますが、今までの経緯から見ると、いろいろ議論があっても結局ここのところは手がつかない、そして今日まで来ているという実態は現実問題としてだれも否定できないと思うのです。いつまでもこういう状態が続いていきますと、例えば今度の事業税の改正の中で新聞業などの七業種に関する非課税措置がまた延長になっております。私は医師優遇税制と直接関係があるとは言いませんが、やはりこういうものはなかなか手をつけられないので、結果的に新聞業などの七業種についてもまた二年間の延長をせざるを得ないのではないかというふうに憶測をするわけですよ。これは税について若干の知識を持っている方は、一般の国民レベルでも、不公平税制というものに対する同じような率直な批判、不満を持っていると思うのでありますが、この医師優遇税制について、事業税にもかなり絡んでまいりますし、年間で五百六十五億円という大きな金額でもございますので、党税調政府税調ということは別にいたしまして、直接扱っておる自治省としてこれからどういう決意で臨まれるのか、局長ないし大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  26. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま委員指摘のとおりでございまして、まず政府税制調査会においては累次にわたりまして、事業税のこうした実質非課税措置は撤廃すべきである、少なくとも所得税とか住民税にとられているような制度はとるべきである、こういう指摘がされておるところでございます。それから税務当局といたしましては、そうした方向に立って、これまた累次にわたりまして各方面で問題提起を行って、コンセンサスを得ようとして努力をしてきた経緯がございます。  与党の税調でも検討されるであろうという委員の御指摘でございますが、与党の税調の中でもこの議論はございます。しかし、その場合には、この制度の廃止問題については慎重論が非常にたくさん出ております。これは与党の内部の税調での議論だけではありませんで、政府部内でもそうした議論があるということがございまして、なかなか合意が得られないというような状態でございます。それから、そうした状況だけではありませんで、各方面にわたりましてまたいろいろな御議論があります。つまり、この問題は他の事業に見られない医療の特殊性を考慮すべきであるという意見だとか、あるいは老人保健制度の見直しに伴う医療経営の実態の変化を見きわめるべきだとか、医療体制の整備等保険医療にかかわる諸政策との関連において総合的に検討すべきであるという意見等々がございまして、見直しの実現を見るに至らなかったという経緯でございます。  この時例措置につきましては、私どもとしては引き続き従前からの答申の趣旨を踏まえまして、保険医療政策というのは非常に重要な分野でございますが、それとの関連も考慮しながら見直しの実現に努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  27. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 局長答弁のとおり、この見直しの実現に努力をしてまいりたいと思います。
  28. 中沢健次

    中沢委員 今列席の委員の方からも指摘もございましたが、本当にこれは市民感情からいってもそろそろ我慢の限界が来ているのではないか。僕らもいろいろなところを歩いておりますが、個人的には私もお医者さんに何人か友人がおりますけれども、それは別にしまして、やはり不公平税制の典型であるという認識、何とか是正しなければならない、こういう態度でいる限りは、それをぜひ実現をするように強く求めておきたいと思います。  事業税に関連をいたしまして二つ目の問題でございます。  これもかねてからいろいろ議論がありますが、外形標準課税の導入の問題でございます。特に赤字法人がどういう全国実態になっているか、あるいは先ほど私は東京、北海道、茨城、こういうことを申し上げましたが、この辺がどういう実態になっているか、まず自治省の方から数字をお聞かせいただきたいと思います。
  29. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 法人につきましては、課税標準を含めてすべて私ども国税に依存しておりますので、私どもの方から的確に法人の状態を御報告できるかどうかということは危惧するところでございますが、私どもが大蔵省からときどきそうした問題について議論がされていると聞いているところによりますと、たしか法人の五十何%かが赤字法人であると指摘していたというふうに記憶しております。
  30. 中沢健次

    中沢委員 そこで、少し数字を申し上げて事実認識をきちっとしていただきたいと思うのでありますが、五十五年と六十年とを比較した数字でございます。五十五年は、全法人百五十万のうち赤字法人が六十八万で全体の四六%、これが六十年になるとふえまして、全体の五二%が赤字法人、こういう全国状況でございます。あえて東京、北海道、茨城、簡単に申し上げますと、赤字法人は東京は両方とも三四%で横ばい、北海道は四七%から六一%で一四%赤字法人がふえる、茨城は四四%から五二%で八%ふえる、こういう数字があるわけです。  これは御承知のように事業税そのものの一つの仕組みから来るいろいろな問題点でもございますので、従来から主張しておりますように、ぜひひとつ外形標準課税というのを導入をしてもう少し全国的な格差を解消する、こういう努力が必要ではないかと思いますが、その辺の基本的な見解お尋ねをしたいと思います。
  31. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 失礼いたしました。数字につきましては、ただいま私どもも手元に受け取りました数字によりますと、委員が御指摘のとおりでございます。  それで外形標準課税の問題でございますが、これは自治省といたしまして、私ども税務局といたしましても長年の課題として議論税制調査会においてもしていただき、世間の注意を喚起し、そうした問題について合意が得られるならば導入ということが図れないものかということで議論をしてきたところでございます。これは御承知かと思うのでございますが、この議論をやっていた時代には必ずしも赤字法人問題ということではなかったわけでございます。非常に古くから外形標準課税問題はやっております。地方自治体の税としまして、所得を基準とする事業税という形をとっているとどうも安定性に欠けるということもあるではないか、したがってある部分は外形的なものを入れて事業税としての安定性ということも考えるべきじゃないかといういろいろな議論がありまして、そうした検討がされてきたわけでございます。  しかしながら、外形標準課税問題につきましては、それじゃ外形は何かというと、いろいろ議論されている中で出されているものはすべて付加価値なのでございます。それで、消費税としての間接税問題が浮上いたしましたときから、税制調査会答申がそうであるわけでございますが、片や事業税は事業活動というものについて負担を求める税である、片や間接税は消費に関する税であるという違いがあるから基本的には違うとはいうものの、その課税標準はいずれも付加価値であるというようなことになるのであれば、この問題はあわせて検討すべきである、それを重複してやるというようなことになれば納税者の納得がなかなか得られないだろう、こういうような観点からいたしまして、この新しいタイプの間接税の類型、仕組みの具体化に対応して、国、地方を通ずる税財源配分のあり方等の関係にも留意しつつ処理することが適当だという答申がされて今日に至っているわけでございます。したがいまして、この外形標準課税導入の問題は間接税のあり方との関連においてなお検討されますので、今後における税制改革検討課題の一つとして引き続き検討を進める必要があるというふうに考えているところでございます。  なお、赤字法人課税問題に関連いたしましては、法人所得課税である法人税の問題としても議論されておりますけれども、法人所得課税としての法人税でこの問題を解決するのはいかがなものかという議論も片やあります。そうした御議論をされる方の中には、地方税で均等割のような税金も課税しているじゃないか、あるいは固定資産税で償却資産に対する課税ということも行われているではないか、税制全体としてこういった問題についてどう見るかという観点も必要ではないかというような御議論もされております。そうした問題を考えますと、外形標準の本来の議論と、赤字法人問題というものと、新しい間接税問題ということに関連して外形標準課税問題が議論されるということと、いろいろ関連がございまして、そうした関連においていろいろ審議、検討が進められると私ども考えているところでございます。
  32. 中沢健次

    中沢委員 関連していま一つ、これも随分いろいろなところで議論がありますが、分割基準の見直しについてお尋ねをしたいと思います。  一昨日の委員会でこういう資料が配られました。この九十ページと九十一ページに都道府県別の地方税に占める事業税の比率がずっと一覧表で載っております。拾い上げてみたのでありますが、全国を一〇〇といたしますと、また三つ取り上げて恐縮なのでありますが、人口一人当たりの指数ということでは東京都が二六〇、茨城が七〇、北海道が五三。そして単純平均をいたしますと、全国一〇〇%にいたしまして東京都は全体の四分の一、二五%集中、茨城は一・六、北海道が二・五、こういう状況でございます。いろいろなところで東京の一極集中の弊害について議論がされる。このこと一つとりましてもこの数字というのは本当に現実の姿を立証するわけでありまして、これは大変だな、東京に富が集中している。東京出身の国会議員の先生には申しわけないのでありますが、北海道の私の方としては、ひがみ根性じゃございませんが現実的にそういうことを強く感ずるわけでございます。  もちろん今日まで国の段階でも、例えば臨調の第三次答申等々の中でこの是正を早くやれ、こういう答申がある。あるいは資料をいただきましたけれども自治省の方でも研究会が設置をされている。しかし、一昨日の委員会で加藤委員指摘をされましたように、具体的な議論がどうも我々が期待をするように煮詰まっていないのではないか。しかし、ここのところに手をつけませんとますます全国的な矛盾が深化をして、一般論で言えば過疎過密の矛盾が増大をする、こういうことになると思うのです。  事務的な話は御答弁結構でございますが、大臣大臣の在任中、これは地方税源の問題とも関連をするわけですね。ですから、大臣が在任される間はこの問題だけでも現実的に手をつけて、そして政策効果が生まれるようにやる、こういう決意のほどを御答弁いただきたいと思うのです。
  33. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御指摘のように、昭和四十五年に基準を策定をしてそれから大した見直しをいたしておりませんから、世の中、社会経済の情勢に対応できる分割基準とは定めがたいというか矛盾が出ておりますので、私も督励をいたしながら、ぜひ、このものだけくらいはというよりはもっと気負ったことも実際はあるのですが、あえて中沢議員にこのことだけと言われましたから私も安心をしたのですが、このことくらいは方向を見定めたい、こういう気持ちで今叱咜激励をしながら取り組んでいる次第であります。  なお、先ほどの外形標準課税の問題でございますが、これも局長から説明をされましたけれども、重複を排除しなければならないという問題と、もう一つはやはり法人税が高いのかどうなのか、その接際部に赤字が多いのかどうなのか、その辺の見定めもしなければなりませんし、私も党内にあって随分この議論をいたしました。しかし、固定資産税を納め、もろもろの税負担をし、あるいは雇用の場を供給をしている、その結果として若干の赤字がある。大きい企業が何年か赤字を続ければやっていけなくなるわけでありますから、あるいは土地の含み資産だとかなんとかの処分をしながらもやれる場合もございますけれども、えてして赤字法人の場合言われるのは、中小同族的な法人の場合、何とかうまくいろいろな経費を出して節税というかそういうことで赤字になっているのではないか。そのことに対する憤りというか不公平という感じがむしろ先行して、本来の赤字のもの、これに対する議論が実はなされていないという気がいたしますので、私はあえて反論をするわけじゃございませんけれども、それぞれの地域が苦労をしながら助成をし、そして自分のところの雇用の場を確保しようということでございますから、もろもろの事業を行い社会貢献をする、その一部に赤字があったからといって、この赤字に重課させるという形でますますこの赤字をふやしてしまうようなことがあってはいけないという感じがいたします。これは今の税制上の根本問題でもございます。そういうことをお考え願いながら、私も観念的には赤字法人ぐらいはもうちょっと外形課税で何か取れる方法はないかというと、赤字だけ取るのかという今度はあれがありますから、今までの良好な黒字の法人からも取らなければならないという矛盾も出てきますし、税の公平、平等というものから見ますとなかなか問題点がございますので、御勘考を願いたいと思います。
  34. 中沢健次

    中沢委員 だんだん時間が迫ってまいりましたので、もう少し議論したいのでありますが、次の問題に移りたいと思います。  固定資産税につきましてお尋ねをしたいと思います。  これは予算委員会でありますとかいろいろな委員会でも、かねてから東京を中心にした大都市の異常な地価の高騰問題について議論がありました。簡単に指摘をし、お答えをいただきたいと思うのでありますが、これは我が社会党の方でつくりましたパンフレットなのでありますけれども、その内容一つだけまず紹介をしておきたいと思います。  間違いなく事実だと思うのでありますが、一年間で東京の商業地、平均して四八・二%土地が値上がりしている。一〇〇%以上の上昇のところも数カ所あるということが紹介されております。今度のこの固定資産の評価がえというのは、三年ごとの評価でありますから、過去にさかのぼって三年間同じように異常に上昇しているとは思いませんけれども、ところによっては三年間で二倍も三倍も、もっとひどいところでは何十倍も、こういう異常な土地の高騰であることは現実に存在すると思うのです。そうなりますと、今度はこの固定資産税の評価がえをやるのでありますけれども、私は基本的に評価がえをやるなとは言いません。評価がえをやったにしても一定の地域を限定し、現行の固定資産税以上は取らないという措置ができないか、これが一つ。  関連して、今の制度で小規模住宅用地、二百平米以下、これは四分の一の特例があるわけですね。これは庶民といいましょうか、この種の小規模な住宅に住んでいる、あるいはそこで商売をされている方にとっていうと、かなり税制的な配慮ということで結構だと思うのでありますが、この際、特定の地域について税額を据え置いたらどうだということが基本なのであります。仮にそれがなかなか困難であれば、次善の策として、この種の小規模住宅用地についていうと、全面的に評価がえをするけれども税額は引き上げないという特例を、特特例でしょうか、やってはいかがかということを強く指摘しておきたいのです。  それと関連いたしまして、税法とは直接関連がないのでありますけれども、最辺は年金のベースアップというのは非常に少ない。六十三年度では〇・一%の予算しか組んでいない。したがって、年金受給者でいうと年金生活について現状でも将来でも大変な不安を持っている。しかも、マル優がこの四月から原則廃止になる。六十五歳以上は別でありますが、そういうことなどを考えますと、年金者に限ってこの際特別なこの種の税制の優遇措置を考えてはどうか。  この三つを指摘したいと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
  35. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず固定資産税でございますが、一定の地域を限って負担を上げないあるいは評価がえをしない、あるいは評価がえをしても税負担を上げないというようなことはどうかということでございますが、何度も申し上げているようでございますけれども固定資産税資産価値に応じてその物、物税として土地あるいは建物あるいは償却資産というものに着目して課税をしている税金でございます。また、毎年毎年の税金として市町村に納めていただく税金でございますので、一定の地域を限って上げないということになりますと、そういう資産価値に応じて負担をしていただくということからいえば、その地域以外の方から見れば大変不公平な税制ということになりかねないということもございます。そういう税の本来的な意味、税としての固定資産税の本質論、いろいろな点から考えましても、あるいは地方税として市町村税源という観点からいいましても、そうした考え方はとれないところでございます。  また、その次善の策として小規模住宅用地については据え置きをしてはどうかということでございますが、固定資産税につきましては、既に御承知のとおり、今回評価がえに際しましては税負担の緩和をするための負担調整措置の段階をきめ細かくしまして実施させていただきたいということもお願いしているわけでございますし、小規模住宅用地については現在でも相当な緩和をしておりまして、その減収額は小規模住宅用地だけで一兆円、住宅用地も含めますと一兆二、三千億円という減額になっているわけでございます。そうした姿を考えますと、事業用地と住宅用地との差ということからいいましても、これは外国の、私ども知り得る限りでは不動産課税の中でも大変な差でございまして、これ以上そういう意味での差をつけるあるいは据え置くというようなことは、固定資産税の性格にかんがみまして適当ではないのではないかと私どもといたしましては考えるわけでございます。  次に、年金受給者の点につきましては、おっしゃっておりますことは気持ちとしてはまことによくわかるのでございますが、これも固定資産税については固定資産というものに着目して負担をお願いするわけでございます。年金受給者であって収入が余りふえないとかなんとかというような部分というのは人的な部分でございまして、そういう人税としての側面でそれに対応するというような税とは違いがあるのではないか。したがいまして、人的要素に着目しまして異なる税負担固定資産税に求めますと、これまた現実課題としまして非常に不公平なことになるのではないか。しかし、例えば地方税法の中でも、貧困によって生活のために公私の扶助を受けているあるいはその他特別の事情があるということで、市町村の条例の定めるところによって固定資産税を減免するというような規定もございます。こういったような措置によって対応することの方が地域住民全体としての納得というのは得やすいのではないだろうかと思われますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  36. 中沢健次

    中沢委員 あえて反論いたしませんが、普通の状態であれば今の制度で結構だと思うのですよ。しかし、これは全く大変な、国際的にも例を見ないような異常な土地の高騰である。政治的な判断として、緊急避難措置としてやるべきである。資産課税であるということは十分承知の上で指摘をしたつもりでありますから、最後のところで局長から話のあった、いろいろ柔軟に対応できる根拠もないわけじゃない、こういうところなんかがありますから、これからもぜひ配慮をお願いしたいと思います。  さて、時間がなくなってまいりましたが、最後の問題、国保の問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、厚生省から担当の課長がお見えでございますので厚生省にお尋ねをいたしますが、今度の国保の制度改正内容の説明を受けますと時間がかかりますので、内容の説明は結構でございます。  制度改正のねらいがどこにあるのか、これが一点。二つ目には、国保会計の現状がどうなっているか。つまり、全国的に見て一般会計からの繰り入れが多額に上っているわけでありまして、その実態がどうなっているか。三番目に、国保料ないしは国保税の現状がどうなっているか。簡単に御紹介いただきたいと思います。
  37. 加納正弘

    ○加納説明員 お答え申し上げます。  今回の国保改革のねらいでございますが、国保問題懇談会の報告等を踏まえまして、低所得者問題あるいは医療費の地域差問題など国保の不安定要因となっている構造的な問題につきまして国、地方が共同して取り組む仕組みをつくる、そのことによって国保制度の安定化を図りたい、こういうねらいでございます。  それから、国保財政の現状につきまして、繰り入れがどうなっておるかというお尋ねでございますが、市町村の一般会計からの繰入額は、昭和五十五年度千百十二億円、昭和六十年度千七百六十一億円、昭和六十一年度二千二百六十七億円、こういう数字になっております。  また、都道府県からの補助でございますが、五十五年度四百三十億円、六十年度三百七十五億円、六十一年度三百七十億円、こういった現状でございます。  それから国保税の状況でございます。一世帯当たりの年額といたしまして全国平均で見ますと、五十五年度八万二千百円、六十年度十一万二千六百円、六十一年度十二万四千七百円、こういうふうになっております。  また、最高、最低について御参考までに申し上げますと、最高の方は、五十五年度北海道の南茅部町十八万二千二百円、六十年度北海道の湧別町二十二万八千八百円、六十一年度北海道の南茅部町二十六万二千五百円となっております。それから一世帯当たりの年額の最低の方でございますが、五十五年度沖縄県の渡名喜村一万六千二百円、六十年度鹿児島県の十島村二万四千六百円、六十一年度同じく鹿児島県の十島村でございますが、二万二千五百円、こういう数字になっております。
  38. 中沢健次

    中沢委員 今お答えをいただいたわけなのですけれども、特に国保会計の現状からいうと、五十五年度を一〇〇にいたしますと、六十年度では一五四%に増大をしている。一年たった六十一年度は二〇四に増大をしている。急速に一般会計からの繰り入れがふえている。これは姿としては異常だ。  同時に、世帯が負担をいたします国保料ないし国保税の関係で言いますと、最高、最低を紹介をしていただきましたが、最高が、どうも残念ながら北海道ばかりであれなのでありますが、最低に比べると十二倍の開きがあるわけですね。これは例えば政管健保あるいは公務員の共済の短期経理、いろいろな健康保険の制度が分立をしているのでありますが、こんなに格差がある制度はまずどこにもない。それだけに国保という制度の矛盾がこういうところにも出ているのではないか、私はそのことを指摘をしておきたいと思うのです。  同時に、制度改正のねらいについてお答えがあったのでありますが、時間がありませんからかなり割愛をいたしますけれども、いずれにしてもそのねらいはねらいとして一応横に置いておいて、私どもなりにいろいろ分析をいたしますと、結果的にはいろいろやりくりをして既に数字が整理をされて出されておりますが、国が国保に対する国庫の負担金の引き下げで四百五十億、つまり社会保障費をそれだけ削減をした。そのかわりに地方へその辺の負担を転嫁いたしまして、都道府県と市町村で六百九十億負担増になる。加入者に対する直接的な利益は二百四十億にすぎない。数字的にはこういうことになると思うのです。  したがって、私どもとしては今度の国保の制度改正については容認ができない。一昨日加藤委員指摘をいたしましたように、これは委員会の問題でありますが、関係委員会との連合審査を改めて求めておきたいと思います。  最後に自治省お尋ねをいたします。  この六百九十億の財政措置、今までもいろいろ言われておりますが、特に交付税の五百五十億、そして不交付団体については調整債が行くのだ。この調整債の内容からいって、本当に財源対策として完全に措置されたというふうに私は理解ができないのでありますが、その辺の見解を聞かせていただきたい。  それから、六十五年度以降については、これは制度そのものの一元化問題等々があるので今日白紙の状態だ、こういう答弁でありますけれども、そうは言っても一元化問題というのは、事はそう簡単に右から左には進まない。今までもいろいろな議論があって、まだ現状にとどまっているわけであります。したがって、少なくとも六十五年度仮に一元化ができない場合、六十五年度以降も同じような自治省としての財政措置をするという決意があるとは思うのでありますが、その辺についてもひとり、想定問答になるかもしれませんけれどもお聞かせをいただきたい、このように考えます。
  39. 津田正

    ○津田政府委員 今回の国保制度の見直しに伴います地方負担の増加額は、六十三年度で六百九十億円でございます。地方交付税の特例加算五百五十億と地方債の増発百四十億で対処するわけでございます。  具体的な財源措置のやと方としましては、六百九十億の全体の額を交付税の財政需要額に立てます。そういう意味におきまして、交付団体、不交付団体押しなべて基準財政需要額はその分だけ膨れる、こういうようなことでございます。そういたしますと、交付団体につきましてはまさしく現ナマの交付税で行くわけでございますが、不交付団体におきましては、いわば財源超過額がそれだけへこむというような形でございます。財政調整の考え方からすればそれでもよろしいわけですが、現実の財政運営としましては、不交付団体はいわゆる財源超過額部分というものを完全に余しておるわけではございませんで、実際の財政運営はそれぞれその地域の行政需要に対応している。そうすると、国保の負担部分だけやはり財政運営が苦しくなる、こういう事態が予想されるわけでございます。その意味におきまして調整債百四十億円を用意いたしまして、これは具体的には建設事業投資財源として充てるわけでございますが、結果的には回り回って一般財源百四十億円ばかり国保の見直しに伴う財源として使えるということでございます。  このような措置が不交付団体に不利ではないかということでございますが、基本的に申せば、現在の財政需要からいたしまして、交付団体には完全にいたしますが、不交付団体には若干の御迷惑をおかけしなければならない。ただし、もしその調整債の元利償還に当たって、これも交付税で計算いたしますが、その分がふえて不交付団体から交付団体になれば、これは交付税が行く。もし現実にそのような事態があれば交付税制度が機能する、こういうような考え方でございます。  それから六十五年度以降の見通しの問題でございます。一つは、一元化の問題を抱えておるわけでございまして、政府統一して答弁しておりますのは、一元化の時期は六十年代後半のできるだけ早い時期、こういうような政府の方針でございます。一元化問題、なかなか難しい問題でございますがそういうような問題を抱えておる。それから老人医療費拠出金の加入者按分率が六十五年には一〇〇%になる、こういうような事態も出てまいります。  それから、先ほど来出ておりました、基本的に地域におきます保険料格差、これの原因は、医療費自体が地域的にかなりばらつきが見られる、こういうことと、もう一つは、保険料を負担していただきます被保険者の所得水準というものが地域的に差がある、そういうようなものから起こっておるわけでございますが、今回保険料軽減分につきまして公費負担する、このような考え方は、やはりある程度の幅は国保の性格上出るかと思いますが、保険料格差というものをだんだんならしていくためにも保険料軽減補助制度というものの運用において考えてまいりたい、このような趣旨でございます。
  40. 中沢健次

    中沢委員 時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。
  41. 松本十郎

    松本委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ────◇─────     午後二時一分開議
  42. 松本十郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山下八洲夫君
  43. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 梶山大臣になりまして初めての質問をさせていただくわけでございますが、私も、自治大臣は梶山大臣を迎えて大変心強く思っておる次第でございます。特にそういう意味では、全国三千三百の地方団体の皆さんも大変心強く、また大きな期待をしているのではないか、そのようにも一方では私は考えております。きっとその考えは間違いでないだろう。特に、就任早々に地方団体の皆さん方が大変喜ばれるような激しい、きれいなストレートと言ってもいいと思うわけでございますが、それを打ち込みまして、それだけに私も感激した一人でございます。  そういう中から最初に二、三点大臣お尋ねしたいわけでございますが、大臣も自治大臣として生涯名の残るような前向きの御答弁をいただきたいなというふうに思う次第でございます。  それで最初お尋ねしたいのは事業税の非課税問題でございますが、特にその中でも、きっと同僚議員の方からも質問があったかと思いますが、今回地方税法の中で私自身が不可思議に思っておりますのは、なぜ新聞事業等七業種にかかわるこの非課税の特例措置の問題が二年間延期をされたのか、またなぜそのようなことをしないといけないのか、そのことがどうしても私自身理解できないわけでございます。特に、この新聞事業等の七事業につきましては、地方行政委員会で本当に長い間いろいろな議論が過去にもなされ、ようやく三年前でございますが田川自治大臣のときにこれが日の目を見たわけでございます。それだけに地方団体の皆さん方も大変喜んでいると思うわけでございますが、これが二年間延期をされてしまったこの理由をしかと御答弁いただきたいと思うわけでございます。
  44. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 昭和六十年度の税制改正において、昭和二十年代後半に設けられた新聞業、放送業、出版業等マスコミ七事業の非課税措置は廃止されたところでありますが、これは非課税措置創設から既に三十年以上が経過し、創設時に比べ社会的経済的環境が著しく変化しており、この変化に即応して他の課税対象事業との均衡を図り税負担の公平を図るという見地から行われたものであります。  この廃止に当たっては、これらの事業が三十年余の長期間にわたり非課税とされてきた経緯にかんがみ、その税負担激変緩和を図るため三年間の経過措置が設けられたところであり、期限の到来をもってフル課税に移行すべきところであったが、事業者の税負担状況、経営状況等につき総合的な検討の結果、特に二年間に限りこの経過措置を延長したところでございます。  お尋ねの件については次のとおりでございます。新聞業、出版業、放送業等七事業については、長期間にわたって非課税措置を前提とした経営体質が続いており、全額課税に円滑に移行するにはなお猶予期間が必要と判断されたことであります。
  45. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 その最後のところが一番わからないのですけれども、何の必要を生じたのですか。それと同時に、ついでに財政当局の方にもお尋ねしておきたいと思いますが、六十一年度ベースで計算しますと百八十七億円の税収減となるというふうに見てよろしいでしょうか。
  46. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 御指摘のとおりの税収減でございます。  新聞、出版、放送等七事業について非課税措置を前提とした経営体質が続いてきたということは、言葉はそのとおりでございます。もう非常に長い期間にわたってこうした事業は非課税事業としての存続をしてきたということで、三年間の猶予期間をいただいてフル課税に持っていくということでいったわけでございますが、その点がなお猶予期間が必要だということが判断されたということでございます。これについてはいろいろな議論がされましたけれども新聞業、放送業等につきましては、ここ数年間広告費の伸びが鈍化するというような経営環境が厳しくなってきているというようなこと、あるいはこれらの事業について今後の税負担状況や経営状況を見きわめるための期間が必要だという判断もございました。さらにこの個人事業者については現時点では、これはもう初めからわかっていたではないかということになればそうなんでございますが、一年分の課税実績しかないわけでございます。今後の事業税負担状況や経営状況というものも見る必要があるという判断もございます。この延長を予定しております二年の間におきまして全額課税にたえ得るように経営体質の改善に努めて、円滑なフル課税への移行に必要な備えができるように期待をしているところでございます。
  47. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私も言いづらいことをはっきり申し上げたいと思うわけでございますが、きょうはたまたまマスコミの方も大変少ないわけですけれども、あそこにいらっしゃるかなと思って見ておるわけでございますが、ざっくばらんに言いましてマスコミ業界というのは大体一等地のすばらしいところにできていまして、ここにいらっしゃるいろいろなマスコミの皆さんも、大部分のサラリーマンの皆さんよりいい収入を得て立派に事業を経営しているわけです。そして長年の議論の中でようやくフル課税を見通して三年間激変緩和ということでスタートしたわけでございます。そういうところからいきますと、今広告費の伸び等が悪くて経営状況がちょっと悪い、そのような状況というのは何ら見えないと思うわけです。それ以外に何か本音のところがあると思うのです。そこをぜひ大臣の方は御答弁いただきたいと思うのです。
  48. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 議論はただいま申し上げましたようなことが行われたわけでございます。  もう一つちなみに申し上げますと、ここのところは将来問題にもかかわるので余り私どもとしては取り上げないという態度でございますけれども、事業税の新聞等七事業の非課税措置が見直されましたときの税調答申に、後段でございますけれども、「その整理合理化を検討するに当たっては、これらの事業がもつ社会的公益的役割等にも十分配慮すべきである。」というくだりがあるのでございます。この議論もいろいろされたことは事実でございます。しかし私どもは、この議論になりますと、じゃあ猶予期間とかあるいは経過措置とかということではないではないかということを考えまして、この議論には余り入り込まないということで、前段のような議論が繰り返されまして延長をした、こういうことでございます。
  49. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 また後ほどこれに関連して戻りますので、ここは留保しておきたいと思いますが、いずれにしましても、ここまで来たわけでございますから、もうどんなことがあっても再延長はしないということを後ほど大臣から御答弁いただきたいと思うわけでございます。  それに関連しまして、もう一つは社会保険診療報酬の非課税の問題でございます。これにつきましても長年いろいろな同僚議員の皆さん方からも議論があり、そういう中で私たちも、この社会保険診療報酬も大きな不公平税制一つではないか、そのようにとらえているわけです。特に、現行の特例措置の概要につきましてはきっとお話があったと思いますので省かせていただきたいと思いますが、特例措置の創設経緯といいますと、昭和二十七年六月十一日、参議院において議員提案により、医業及び歯科医業については保険医としての保険収入を課税標準から除外するという趣旨の修正案が可決をされ、同月の二十一日、衆議院においても可決成立し、今日に至っているわけでございます。そして、減収見込み額が六十二年度ベースで五百六十五億円、こういう数字になろうかと思います。それからもう一つは、所得税法人税における現行特例措置が、二千五百万円以下が七二%、三千万円以下が七〇%あるいは四千万円以下の分が六二%等々あるわけでございます。これも大変な優遇をされているわけです。それこそ私が冒頭申し上げましたとおり大臣はぜひお願いしたいのは、せっかく自治大臣に来ていただき、全国の皆さんが大変期待をしているわけでございますから、せめてこれにつきましては自治大臣がぐっと前向きの答弁をしていただいて、いよいよ、激変緩和の特例措置は置いても構いませんので、ぜひ実行する、そういう方針を出していただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  50. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今お述べになられましたような経緯を経てこの特例措置がとられたわけでございますけれども、最近の時代の変遷等にかんがみ、税制調査会やその他からもこの改善というか廃止の問題が何遍か答申をされているわけであります。率直に右か左かという割り切り方ができる問題ではございません。右か左か割り切ることができればとうに割り切っているわけでございますけれども、その間のいろいろな経過措置やその他もございますので、そういうものを勘案をしながらも、なおかつこの見直しの実現のためにこれからも懸命な努力を払ってまいります。
  51. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そうなんですが、その気持ちもよくわかりますし、また理解もさせていただきたいと思うわけでございますが、昭和二十七年でございますから、それからしますと、今昭和六十三年ですか、もう三十数年、そのように経過しているのですね。当時の日本と今の日本と経済的にも全然環境は変わってきているわけでございます。そういうことを考えてきますと、このような戦後のどさくさのときに、言葉がちょっと悪ければ取り消しますが、そのような時期のものをいまだにそれほど深い意味もなく引っ張っておくというのは私はどうも理解できないわけです。といいますのは、これも先ほど言いましたように、五百六十五億円の減収見込み額が見られるわけなんですね。再度この問題について前向きの答弁をいただきたいと思うのです。そうしますと歴史に残る自治大臣になると思うのです。ぜひお願いしたいと思います。
  52. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は医者に何人か友達もございますし、また医業あるいは歯科医業の置かれている立場、大半の方が医は仁術ということで懸命な努力を払っているわけでございますから、一般の事業と同じに判断をすべきかどうか、あるいは今の置かれている医療制度その他もろもろの状況考えてどうであるかという勉強を深くいたしておりません。ただ百歩譲って、今御指摘になったように三十数年間という一つの長い経緯があるわけでございますから、言葉を悪く言えば一つの既得権益、これをいかに打ち破るかということでございますから、幾たびか今努力をしているわけでございますが、もう一息、一馬力かければ何とかなろうかという感じもいたしますし、それから医業や歯科医業が置かれている立場、これもただ単に一般の商売人という観点を離れて、むしろ期待すべきは医は仁術なりというその方向で、仁術を行う者にいわゆる算術を行う者より以上の保護を加えることが本来はあってしかるべきだ。ただ残念ながら私たちがこういうことを言うのは、医が算術になり過ぎているからこういうことが実は言われるのではないかなということも考えあわせながら努力をしてまいりたいと思います。
  53. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 私にもごく近いところの親戚に二人医者がおりまして、そのうちの一人は外科医をやっているわけですね。たまたま一緒になりましたときに、私も冗談を言ったことがあるわけです。大体医者というのは高過ぎるよと外科の医者に話したわけです。そうしますと、向こうの反論は、何言っている、安いと言ったのですね。自動車を見てみろ、壊れたってすぐ大変な修理代を取られるじゃないか、何を言っている、車は壊れたってほっておけばいいんだ、体が壊れた場合はすぐ行かなければいかぬのだ、それからすれば大変なことなのだというような笑い話のやりとりをした記憶を今大臣の答弁の中で思い起こしたわけでございますが、いずれにしましてもマスコミと社会保険診療報酬、これを合わせますと大体七百五十二億円くらいのものが実行すれば税収として出てくるわけです。ここはちょっと保留しておきたいと思います。  そこで、地方たばこ消費税、いよいよ三回目の延長を行おうというのがこの地方税の中にしっかりと入っているわけです。そのために大臣もあるいは政府の皆さんも、どんなことがあっても年度内、三月三十一日までに成立をさせろというのがここにあろうかと思うわけですね、もう一つの理由は。それは早いにこしたことはないと思うわけでございますが、それも私は大きな理由の一つとしてあると思うわけです。これだけいろいろ悩みながら、これの税収が地方たばこ消費税の方だけ見ますと一千二百億円であるわけです。そうしますと、七百五十二億円というのも決して見過ごすような小さな数字ではないのですよ、このバランスから考えていきましても。五割強、六割くらいになるのですか、実行することによってそれくらいの比重を占める大きな経常的な税収として入るわけでございますから、見過ごすわけにいかないと思うわけです。その辺は別にしまして、このたばこ消費税につきましても、財政が苦しいから一千二百億円の税収をなかなかあきらめることができない、だからまた延長するんだという理由が私は一つはあると思うのですが、それ以外にどのような理由があるのでしょうか。
  54. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まさにこれは国庫補助負担率の引き下げに伴う地方財政対策の一環としてやむを得ずというか、たばこをお吸いになる方には大変申しわけない負担をしてもらうわけでありますが、六十三年三月三十一日までの税率等特例措置として講じられたところでありますが、この国庫補助負担率の引き下げは三年間の暫定措置ということもございまして、六十三年度もまたこの影響が生ずることでありますので、現在税制調査会において税制全般の望ましいあり方等について審議をしているところでございますが、国及び地方のたばこ消費税についても今後その一環として検討なされることでありましょうけれども、この国庫補助負担率の引き下げに伴う緊急退避的な措置ということでもう一年たばこを吸う方にお願いを申し上げまして、この一年憎らしいとお思いになるかもしれませんが、これも国庫補助負担率引き下げに伴うことで、国の財政やあるいは地方の財政を救っているということで御寛容のほどをお願い申し上げる次第であります。
  55. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そういたしますと、六十四年の三月三十一日までは延長するけれども、それ以後、昭和六十四年度につきましては税負担を引き下げてもとに戻す、そのように理解してよろしいのですね。
  56. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 今大臣からお答えした中にもございますけれども、これは税制全般の望ましいあり方として審議をされているのでとりあえず一年間延長をする、こういうことで御答弁申し上げたとおりでございます。つまり、消費にかかわる税制がどうあるべきかということが今全般的な議論がされていることは御承知のとおりでございます。その中におきまして酒とかたばことかの負担のあり方というものもあわせて検討されます。したがいまして、その中におきまして国たばこ消費税それから地方たばこ消費税両方を全体として総合的にどうするかという判断がされましてその位置づけがされる、こういうふうに考えておるところでございまして、この問題についてどういう税負担になるか、この部分は下げるのかそうでないのかというようなことを現段階で私ども予測したり決める、あるいは考え方を述べるというような段階になっておりませんので、御了承賜りたいと思います。
  57. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ただいま三点を中心にそれぞれお尋ねさせていただいたわけでございますが、余りこれに時間を使っておりますと、あとができなくなりますので先を急ぎたいと思いますけれども、この三点につきましては私の申し上げたようなことも十分に御理解いただきまして、善処方を心からお願いする次第でございます。  それでは次に移らせていただきたいと思うわけでございますが、非課税等特別措置の整理合理化の問題について若干伺わせていただきたいと思います。  昭和五十年に入ってからも毎年国会の附帯決議となっているのに、地方税法では百八十項目にも上っているわけです。なかなかこの問題についても解決をしないわけでございますが、これだけ毎年国会の附帯決議をしておるのに、この国会の附帯決議とは何だろう、あるいは軽視しているのではないだろうか、このような気もするわけでございます。期限のないもの、あるいはあるもの、新設拡充されたもの、その効果、減収など、その実態については当然国民にも公表すべきだと思うわけでございます。それと同時に、その整理合理化についてはどのような計画を持っているのか、明らかにしていただきたいと思うわけです。
  58. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 地方税におきます非課税等特別措置につきましては、主として租税負担軽減を通じまして一定の政策目的に誘導するために設けられたものでございますけれども、個々の政策目的と税負担の公平の原則の調和を図るということが必要でございまして、ただいま委員指摘のとおりでございます。したがいまして、そういう政策税制を立てるときにはそれぞれ理由があるわけなのでございますが、しかし、その後の社会経済情勢推移に応じまして、その既得権化あるいは慢性化というものを排除するために常に見直しを行わなければならない。附帯決議においてもそうした点を指摘されておりますけれども、私どもはそういう趣旨であるというふうに受けとめまして努力をしておるところでございます。  六十三年度の改正に当たりましても、税制調査会あるいは第二次臨時行政調査会の答申の趣旨に沿いまして、非課税等特別措置の新設拡充については税務当局としてはできるだけ厳しい態度で対処をいたしております。しかし同時に、反面、政策目的が薄れたものにつきましては、あるいはその政策目的に照らして効果が少ないというようなものにつきましては、これを廃止あるいは縮減するというようなことに努力をし、整理合理化に努めてきたところでございます。  六十三年度の今回の税制改正におきましては、十八件の廃止または縮減と、電気税の非課税品目一品目を含んでおりますが、それを行うことにいたしておるところでございます。しかし、新しい非課税等特別措置の新設もあるものですから、項目数あるいは項の数で勘定しているわけでございますが、百九十とか二百とかという項目ということになっていることは御指摘のとおりでございます。私どもはそうしたものにつきましては、前段申し上げましたようにすべてが不合理なものである、あるいは不要であるとは考えておりませんけれども、常に見直しに努めていくという姿勢で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 ですから、その整理合理化が余りにものんびりしているのではないかと思うわけです。きょうでなくても結構ですから、ぜひ一度短期計画なのか長期計画なのか、やはり一定の計画を立てない限りいつまでたっても一緒だと思うわけです。だからぜひ計画を立てていただきたいと思うわけですが、その辺いかがでしょうか。
  60. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 非課税等特別措置は一定の政策目的に沿うものとしてそれをつくっているということでございます。したがいまして、それを縮減する計画ということでこれに対処するというわけにはいかないと思います。むしろそうではなくて、常にそれを見直すという姿勢で間断なく毎年度の税制改正に当たって対処していく、こういうことが肝要じゃないか。そういう点について、ただいま委員指摘のようなお話も、私どもそれに力を得まして見直しに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  61. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 いずれにしましても、政策目的であろうと政策税制であろうと、それはおっしゃるとおりだと思うわけです。だけれども、この中にもカビの生えかけたようなのが随分あると思うのです。それは見る人によって若干違うでしょうけれども、あると思うのです。ですから、できればそういうものをきちっと一覧を出していただいてそれを大いに議論する、それは大変いいことですから、ぜひ要望しておきたいと思います。  と申しますのは、私は、各業界は各省庁を通じまして概算要求の時期に合わせて租税特別措置等について大蔵省あるいは自治省にいろいろと要求していると思うわけです。それは一種の補助金というふうに理解もできると思うわけですね。その要求実態がどうなっているのか、あるいは新設、拡大、縮小、廃止など、これについても一定の基準で審査をされて行っていると思うわけですが、この審査基準というようなものは明らかにすることはできないのですか。
  62. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 具体的なことに関しては局長から御答弁を申し上げると思いますけれども、粗特必ずしも悪ならずという考えに実は立ってもらいたいのです。公平、平等ということはいいことなのでございますけれども、例えば政策手段として住宅取得を促進するとか、あるいは中小企業だとか弱いと言われる農林水産業だとか、こういう問題がございますから、ある意味で、原則は公平、平等が原則でございますが、その時代、そのときの環境に従った誘導政策あるいは政策税制というのはあってしかるべきだ。ですから、それが惰性に流れないようにしなければならない。その政策目的が貫徹できれば、あるいはその手段がよかったか悪かったかということもひっくるめて検討しなければならないので、私はむしろこの税制によって誘導することは補助金やその他よりもいいんだという気がするのです。  それは、補助金とかそういうものは税金で取って、どちらかというと、これまた後ろにしかられる人がいますが、行政というのはそれほど能率的なものじゃございません、一〇〇の金を取って一〇〇ストレートに生きるような手段ではございませんから。税をこちらを取らないということは一〇〇のものが一〇〇そのままストレートに民間に返るわけでございますから行政効率からいうと高いものである、そういうこともあります。さりとてそれが平等を崩してはなりませんけれども、そのときそのときの誘導策である、そしてそういうものが目的の方向に達すればそれなりにいいのだ。議論を聞いておわかりのように、固定資産税を居住用はもうちょっと少なくしろ、これも一種の租特でございます。ですからマイナスの租特も実はあるのです。例えば企業でいうと交際費課税、交際費には課税しているのです。大企業には交際費を認めておりません。本来商法上、会計法上からいいますと、これは全額経費であります。これを私はよく逆租特と言うのですが、逆に、本来経費であるべきものを経費として否認をする、こういう分野もあるのでございますので、その意味では租特はプラスもマイナスもある、そしてそのときそのときの誘導策、政策目的に従ってとらえるべきものであるので、一概にこれがあることがいいか悪いかという議論より、目的が薄れない、惰性化をしない、そして既得権益化をしないという見直しを絶えず進めていくことが原則だと思いますので、そのことだけ申し上げ、あとは政府委員から答弁をさせます。
  63. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 基準はどういうことでやるのかということでございますが、一般的な抽象的な画一的な基準はこうしたものにはありません。政策税制というものは、委員指摘のとおりそれぞれの価値判断というものに多くかかわっているわけでございます。それじゃ要求する側の価値判断に応じて税務当局は常に租税特別措置、非課税等特別措置をつくるかといえば、租税の本質は、私どものお預かりしている分では地方公共団体の財政需要を賄うための財源を確保するというのが本筋でございますから、そういう何らかの誘導策といいましても、そういう価値判断の違いのままにそれを特別措置として入れていく、こういうことではございません。  それじゃどういう議論がされるかというと、やはりそれが国全体の公共的な公益的な意思として適切なものであるかどうかということがまず第一にございます。例えばその一つの非常に典型的、はっきりしたメルクマールというものは、そういったものが立法されて、立法の一つの意思として、国家の意思として結実していく、その中にあるいは福祉対策であったりあるいは地域振興対策であったりいろいろなものが入ってきます。そうすると税制もそれに対してバックアップする。国税もするし地方税もする。こういうことになりますと、それに対してある程度の特例措置が講ぜられる。その場合もバランスが大切でございます。国がどの程度の措置を国税でやる、あるいは過去における同種のものについてどの程度の措置がされている、そういったことを考えながらやっていきませんと、また不公平問題もある。また政策税制でございますから必要にして最小限といいますか、誘導策としてそれなりの効果を発揮する程度のものをつくらなければならないけれども、またそれにとどめる、こういった判断基準もございます。  そうした基準といいますか、考え方に基づいて特例措置を講ずる、こういうことになっているわけでございますが、そうした措置を講じてその効果が発揮されて効用が果たされれば、カビの生えたものがあるじゃないかというお話のとおりでございまして、そうしたものに対しては廃止縮小の方向に向けて、今度は私どもが積極的に関係当局に対して働きかけまして整理を進める、こういうふうなことでやっておるわけでございます。
  64. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 もう一つは、こんなことはどう間違ってもないと思うわけでございますが、何となく力の強いところは残るけれども力の弱いところは残らない、そういうことだけはどんなことがあっても排除をしてもらいたいと思うわけでございます。  それに関連するわけでございますが、非課税等特別措置は、国税のもの、そして地方税へのはね返り、地方税独自のものと区分して、その税目ごとにその減収額あるいは行政効果等について租税支出として国、地方の予算に計上すべきではないか。計上するということは納税者理解と協力がますます得られると思うわけでございます。そのようにしていくべきではないかと思うわけでございます。たくさんあるわけですね。非課税あるいは免税、引当金、準備金、特別償却、割り増し償却、税額控除あるいは所得控除、圧縮記帳、益金不算入、軽減税率、みなし課税、源泉分離など特別措置の項目がこんなにあるわけですね。もっとあると思うわけでございますが、こういうことは今言いましたように国民理解あるいは納税者理解を得るためにもやはり明らかにしていく。そのためにはせっかく立派な地方財政白書があるわけでございますし、このようなものへ一方では明らかにしていただく、このことも大変重要なことではないか。もし地方財政白書に発表することができなければそれに準ずるような配慮等をもって行うべきではないか、そのように私は思うわけでございますが、いかがなものでしょうか。
  65. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 御指摘の、そういうことを通じましてこの問題についていろいろな議論を巻き起こす、それによって特別措置の整理合理化も推進される、こういう御趣旨と思いますが、そこにつきましては私どもも同感のところがあるわけでございます。ただ、その方法自体は、非課税等特別措置の実態につきましてどういうことをやっているかといいますと、現在でも国会には御審議のための資料としてその状況について提出するとかそういうことをいたしておりますし、あるいはまた税制改正に当たりましては非課税等特別措置を含めましてその内容報道機関に発表する、あるいはレクチャーもするということもやっております。今回の、六十三年度の地方税制改正につきましても、私ども提出いたしました黄色い表紙の資料の中にもありますけれども、先ほどの御指摘にもあるように項目は整理したものもあれば新設したものもあるのですが、金額の点などを見ていただきますとプラス・マイナスそう大きな数字ではないわけでございます。そういった内容につきましても新聞等についても申し上げているところでございます。  なお、そうしたものがどういう効果があるかというようなことも含めてどこかにはっきりさせるというようなことになりますと、先ほど申し上げましたように、租税特別措置とかあるいは非課税等特別措置というものにつきましては多分にそれぞれの価値判断にわたるものがあるわけでございます。ある方にとってはこれは非常に立派な政策税制だ、あるいはどうしてもなければならぬものだというふうにおっしゃるわけでございますが、ある方から見るとまるでそれは必要がないという話になるわけでございます。そういうようなものでございますから、どういう措置があるかということは既に明らかになっているわけでございますが、それが当局から見てどういう効果があるかという価値判断を加えた姿でこれを集計するとかあるいはグルーピングをするとかということは非常に困難なことだというふうなことも御理解をいただきたい事柄であるわけでございます。
  66. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 なかなか期待する答弁がいただけないわけでございますが、この点につきましても国民がより一層理解できるような方向へ進んでいく、このことだけは常にお持ちいただきたいと思うわけでございます。  次へ移りたいと思います。法人税等のはね返りを遮断し、法人関係税の優遇措置を是正すべき問題に関連しましてお尋ねしていきたいと思います。  個人住民税所得割では、昭和二十九年度より県分で所得税額の五%、市町村分で第一課税方式二〇%、法人税制は法人税額の五%であったわけでございます。これが昭和三十七年度より、所得割は所得税額を課税標準とすることをやめ、独自の課税標準を設け、負担分任を徹底したわけでございます。これでいきますと、年収八百万円の標準世帯で見ますと、三十七年以降の現在の市民税でいきますと約五十一万円であるわけです。それが二十九年当時の旧方式にいたしますと十九万円で済みまして、三十二万円の減税となるのです。  それで、法人税割の課税の方ですけれども、これにつきましては昭和二十六年以来法人税額とされ、法人事業税も、事業年度の所得は各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額で、地方税法または政令で定める以外は法人税の例によって算出がされているわけでございます。このために法人税における課税標準の算定にかかわる優遇特別措置についてそのまま地方税にはね返りまして、一般個人負担で法人住民税軽減を図っていることになるわけですね。私はこれはちょっとおかしいと思うのですが、どのように考えているのか、あるいは見直すべき時期は来ているんではないか、このようなふうにも私は思うわけですが、その辺は自治省当局、いかがでしょうか。
  67. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 法人関係税につきましては、御指摘のとおり法人税割はまさに名前のとおりでございます、法人税課税標準とする。それから事業税につきまして、法人事業税につきましては、所得につきましては法人所得ということを基本としています。若干例外的に収入金課税というのがございます。これがあるために国の措置が原則的には地方にはね返るではないか、こういう御議論でございます。  法人につきましてそうした仕組みをとっている一番の理由といいますのは、法人所得というものをとらまえるとすれば、これは二重三重のいろいろなつかまえ方というのはやはりないわけでございます。企業としての経理というものからいたしますというと、それは一つに出てくるということはそういうわけでございます。御承知のとおりと思いますけれども、法人に対する負担のあり方というものはいろいろな議論がありますけれども個人のように垂直的公平というような自然人になじむような議論はないのでございます。したがいまして、一定の率でもってその所得に対して負担を求める、こういうことになるわけでございます。そうだといたしますと、法人税割のようなものはまさに国税の計算の例でいいのではないか。  そこで問題は、特例措置がはね返るという問題ですが、地方税といいましても、これはやはり国の中の一つ部分をなしております。国全体としてそれが本当に公益のためになるというものにつきまして、これを必ずしも排除するということが常に適切だというわけにはまいりません。むしろ排除しないで、それは共通の課題として担っていくことの方が素直であるということの方が圧倒的に多いんだろうというふうに考えております。  それで、この事業税につきましては別の議論がありまして、事業税というのは事業活動と地域の地方団体との応益関係というものを具現するということでいくならば外形的な要素を課税標準に入れるべきだ、こういう議論は別の観点からあるわけでございます。この別の観点からする議論につきましては、もう何度も議論がされておりますように、私どもとしては長い間その方向が何とか実現できないかということでいろいろ各方面の御議論をいただいてきた、こういうことであるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この法人税割につきましては現在の制度を基本とするということで差し支えないと思っております。事業税につきましては、収入の安定性、応益性の見地から、なお外形標準課税問題も含めて税制調査会の御審議を煩わしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  68. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 個人住民税の方は、先ほど言いましたように二十九年より始まって、あるいは三十七年度に改正されているわけですね。その点、法人税割の課税は二十六年以来このまま、時代がどう推移しようと同じように進んでいる。そうやってみると、個人住民税の方が割を食っているのですね。そういたしますと、極端な言い方をすれば、企業優遇であって本当の国民不遇という状況も裏返してみれば言えるのじゃないですか。ですから、私は今申し上げているのは、これの一番大事なポイントというのは、これから質問の中で出てくるわけですけれども、このように見直すものがたくさんあると思うのですね。こういう見直しを本当にやらないといけないと思うわけです。そうしないと、ますますいろいろなところで不平等感が起きてくる。起こしていないつもりでも自然発生的に起きてくるという状況になってくるわけでございますから、ぜひその辺についても直していっていただきたいというふうに思うわけでございます。  次へ移りたいと思いますが、地方税の独立税主義と公益原則の立場から見ましても、自主的かつ客観的な法人の課税標準を設けるべきではないか、このように思うわけです。  さっきもちらっと出たわけでございますが、例えば電気、ガス、保険事業については事業税の課税標準は売上額の一定額とされ、技術海外取引所得控除では法人住民税では認めていない。これは地方税法の七十二条の十九でなっているわけでございますが、法人事業税の課税標準については所得と売り上げなどを併用し得ることになっておる。そういうことで、昭和四十九年に千葉県が石油企業に売上額による事業税を独自に課税しようとしたわけでございます。これは、法律上ではできるわけですけれども、何が理由で取りやめたのか、どうもこれも理解できないわけですね。何か天の方から圧力があったのじゃないかなという危惧を私はしておるわけでございますが、このような問題もあるわけでございます。では、この昭和四十九年に千葉県が石油企業に売上額による事業税を課税しようとしたことがあるという事実だけは御承知でしょうか。
  69. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 千葉県の問題については私、そういった事実も含めまして今ちょっと記憶の中にないのでございますが、調べさせていただきたいと思います。
  70. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 時間がありませんので、この辺のことはちょっと飛ばしていきたいと思いますが、先ほどから触れておりますように、このようにいろいろと問題がありますので、ぜひ大臣もお聞き取りいただきまして、全体的にも善処方をお願いしたいと思います。  一つだけ、先ほど私のところの中沢委員お尋ねしたと思うわけでございますが、法人事業税の外形課税について若干尋ねさしていただきたいと思います。  そもそもこの外形課税につきましては、営業税であったのが、昭和二十五年シャウプ勧告によりまして事業税を付加価値税とされたわけですね。そして二十九年に現在のものとなったのではないか。そしてその後、三十九年に政府税調によりまして外形課税答申が出されて以来、何度も今日までこの答申が出されていると思うわけです。十六次地方制度調査会、これは昭和五十年七月二十三日に初めて答申がなされ、昭和五十二年には全国の知事会の独自の条例案が出されていった。国会でも五十年以来毎年の附帯決議で外形課税導入が出されているわけです。政府は、どうも一般消費税あるいは売上税との関連でなかなか前へ進もうとしていないのじゃないかなという気がしてならぬのですが、事業税はもともと物税として企業の費用要素であって、売上税あるいはまた間接税とは異なると私は思うわけです。なぜこれについても外形課税を導入しようとしないのか、ぜひお聞かせいただきたいと思うわけです。
  71. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 事業税におきます外形標準課税導入の問題と消費税としての間接税の問題とは性質上も別のものだというふうに委員指摘のとおり思います。このことは実は税制調査会答申にもございます。累次にわたり税制調査会答申が外形標準課税問題について指摘してきたというお話はそのとおりなんでございますが、実はただいま私が申し上げました税制調査会答申あたりから税制調査会答申が違ってきておりまして、そういうふうに違うものではあるけれども、その課税標準となるものはやはり同じ付加価値である。そうすると、同じ付加価値を課税標準とする税が並行的に行われるということについて納税者の納得が得られるかどうかということもある。したがって、この外形標準課税導入問題は新しいタイプの間接税の検討とあわせて検討すべきである、こういうような議論税制調査会答申となりました。それ以降、今度は一貫して税制調査会検討の結果はそうした状況にあるわけでございます。  しかしながら、法人事業税の外形標準の問題につきましては、やはり本来の事業税の性格からいえば議論として残っていると私ども考えるわけでありますし、また税制調査会もそこのところはそういう問題があるということを前提としながら、その間接税の問題とあわせて検討していく必要がある、こう言っているわけでございますので、私どもは、今後の税制調査会検討の中の一環といたしましてその問題についても議論はしていただけるものと考えているところでございます。
  72. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 付加価値を私は否定するわけではないわけですが、例えば資本金の額あるいは投資額、売上高、こういうものもあるわけですね。今のお話を聞いていると、どうも付加価値で間接税とある程度類似しているような状況があるからというお話であったと承るわけでございますが、今申し上げましたように、資本金の額やら投資額、そういうものもあるわけですね。それで私は外形課税の導入を当然すべきだと思うのは、これは国税庁の会社標本調査結果、昭和六十一年分の表によると、例えば資本金が五百万円未満の会社は六〇・九%が赤字法人なんですね。五百万円以上一千万円未満が半分の五〇・七%、一千万円以上一億円未満が三八・四%、だんだん減ってくるわけでございますが、一億円以上十億円未満三二・一%、十億円以上の資本金で二四・九%。それをトータルしますと、法人の数が九十二万三千九百八十九で五四・三%、半分の法人は赤字なんですよ。だけれども、実際、一千万円のところは別にしましても、一億円以上の資本金のところでも三割から赤字なんですね。相当な資産を初めとしていろいろなものがあるわけですよ。赤字であったって立派に経営しているのですね。不思議なんですよ。我々給料取りは、赤字になれば借金をして、借金が雪だるまになれば倒産するのですけれども、うまくできているのですね。そういうことを一つ考えてみても、私は外形課税というのは導入すべきではないかと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  73. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 本日の当委員会でも午前中にその点につきまして御質問といいますか、ございました。この事業税の外形標準課税導入の問題は、本来は赤字法人課税問題以前からあった問題だと思います。したがいまして、それはどういうことかといえば、結局、地方の安定的な税源として考えるならば、全部所得を標準とするということではなくて、外形的なものもそれに組み合わせていくことによって、より事業税として適切なものになるのではないかということではないかと思います。  しかし、最近のこの赤字法人の状況委員指摘のとおりでございまして、そうしたことからこの外形標準課税問題についての御議論があることも私ども承知いたしております。ただ、そういう点からいいますと、赤字法人課税問題は法人税そのものの議論の中でも現在税制調査会でもされています。しかしながら、この法人所得課税の中で赤字法人課税考えることは大変矛盾ではないかという議論もございますし、また御議論される方の中にはそういう企業に対しても例えば固定資産税というようなものがちゃんとかかってくる、特に企業の場合を考えますと、償却資産に対する固定資産税というのは事業用資産しかかかりませんから、そういう意味負担がある、あるいは法人税割の均等割も課税されているというような御議論もされたりいたしております。  私ども考えますのに、今の外形標準課税問題はそこのところを少し分けて理論的に考えておかなければいけないのじゃないだろうか。赤字法人課税問題ということでいくとするならば、本来の外形標準導入問題と少し違う観点がまたそこに入ってくるのかもしれない。入ってもいいじゃないか、それもあわせて考えていくべきじゃないかという立場もあると思いますが、そこのところは理論的といいますか、問題の立て方としては少し区分けして考えていかなければならないのじゃないかと考えているところでございます。
  74. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 そこは少し区分けをして考えるのでありますならば、同じように売上税とか大型間接税とかそういうところとも区分けをして考えていただきたいと思います。  時間がなくなりますので、先へ進めさせていただきたいと思いますが、これも午前中議論が若干あったように伺っているわけでございますが、これは大臣にもちょっと御答弁いただきたいと思うわけでございますが、地方税におきましても東京一極集中化の傾向がどんどん出てきているんではないか。それはどうしても一つは、大企業等における別会社あるいは子会社あるいは孫会社あるいは独立企業化政策によります所得の本社移転が著しい結果ではないかな、そのような気もするわけでございます。特に本店など、極端な言い方をしますと、すべて東京集中化に伴う税源の集中化が出てきているんではないか、これをある程度是正しないといけないんではないかな、そのように私は思うわけでございます。  特に六十三年度の予算で法人二税、事業税と住民税の伸び率の高い県と低い県を若干見てみたわけです。高い都県では東京都が三九・二%増、その次に続きまして千葉県が三六・六%、大臣のところもすばらしい郷土をお持ちいただきまして三番目についていまして三二・一%です。そして低い県でございますけれども、福井県が三・九%増、愛媛県が五・八%増、鹿児島県が八・九%増、このようになっているわけでございます。  まだ法人事業税及び住民税の収支の推移が六十一年度までしか出ておりませんのでちょっとデータ的には古いわけでございますが、これで法人事業税あるいは法人住民税の合算で申し上げたいと思います。六十一年度で見ていきますと全国ベストファイブは、東京が一兆七千二百六十九億二千六百万円、全国を一〇〇としますと二五・四、四分の一を法人事業税と法人住民税で確保しているわけです。二位になりますとぐっと下がりまして、ぐっとでもないですかね、大阪になりますが七千四百十億円強、三番目が愛知県で五千五百七十四億円強、四番目が神奈川県で四千百六十九億円強、五番目が兵庫県でございまして二千四百六十三億円強。せっかくでございますから大臣のところを申し上げますと、ぐっと落ちまして一千八十九億円強というふうになっておるわけです。  今度はワーストファイブを見ていきますと、全部言いませんけれども、鳥取県がワーストワン、島根県がワーストツー、高知県がワーストスリー、沖縄がワーストフォーとなっているわけでございますが、鳥取でいいますと実に百八十四億円強なんですね。島根県が二百十八億円強なんです。高知県で二百三十億円強なんですよ。東京と比べますともう天と地というのか月とスッポン、このような状況にもなっているわけでございます。  これはやはり地方税関係からもそろそろ東京一極集中化ということは深刻に考えないといけないんじゃないか、そのように思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  75. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 委員指摘のとおり、一極集中が最近急速に深まっていることはいろいろなデータを見ましても御承知のとおりであります。  今お示しを願いましたように、例えば地方税のシェアが、東京は昭和三十五年には多分二二、三%であったのが、税収はふえてまいりましたけれども地方の産業進出とかそういうものが活発になりまして、五十五年の統計を見ますと東京の税収は全国シェアの約一七%。ですから、その二十年間に五%程度東京の税収のシェアは下がったわけであります。それが必ずしも都道府県の力をあらわすものではございませんが、ここ二年ほど急速に高まりまして、二十年で五%下がったシェアが、この半分をこの二年間で東京は税収を戻しております。ですから、このままいけばあと一、二年たてば二十年前のシェアと同じになることはもう火を見るより明らかでございますから、やはり税収はそのときのいわば産業活動や機能の集中をあらわすものだということを考えますと、一極集中が深刻化をしているということがわかるわけであります。  ですから、税というものを見ましても、再配分の機能がなければなりませんし、特に御指摘の分割基準、これも先ほどお答えをいたしましたけれども、督促をしながら何とか今の時代に合ったような見方をしなければならない。  それから、企業やその他が子会社を別会社にするとか、いろいろな問題がございますから、どうしても昭和四十五年度程度に見られたいわゆる分割基準の見直しのあの基準では到底現状についていけない、こういうことも考えるわけであります。しかし、さはいうものの東京都の税収がふえることは決して悪いことではございません。そのシェアがふえることがむしろ地方が相対的に下がっているということでありますから問題があるわけでございます。一義的にはやはり平準化ができるための、いわば傾斜配分のできる地方交付税のような制度が確立をされて、それぞれのトータルで物を考えることができる、あるいは補助金や助成金その他の総トータルの事業費というか、国と地方のその地域に投入される全部の公的な資金量の比率によって考えられるべきと思いますけれども、いずれにしても東京都に地方税収の大半が集中をしてくるということは大変いかがなものかと思いますので、まず税の中でどれが均質な平均的な税であるかというのは大変議論のあるところでございますし、三千三百の地方自治団体にあまねく公平、平等な地方財源が果たしてあるかどうか、税源があるかということも検討しなければなりませんが、そういうものを考え合わせて、委員が今言わんとしている法人事業税の分割基準の見直し、あるいはもろもろの別会社や子会社あるいは連結決算の問題、技術的にはなかなか難しい問題がございますが、いずれにしても地方と東京が余りにも乖離しないような手段をこれから考えていかなければならないと思っております。
  76. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 確かに連結決算、それによっての状況もある程度はあると思うわけです。そこで私は、親会社とかあるいは子会社、孫会社あるいは別会社については国内の移転価格税制をとっていったらどうだろう。アメリカではとっているわけですね。この移転価格税制昭和六十一年度税制改革で設けられているわけですね、国際間では。そのねらいは、関連企業者、いわゆる親会社と子会社間の取引で移転価格操作による所得移転が行われて税収減が生じた場合、独立企業間価格により行われたものとして所得計算をするものである。米国では国内、国外を問わず適用しているが国際間取引が一般であるということで、確かに国際間ではされているわけです。  これを今申し上げましたとおり国内間で行うことも私は大変いいんじゃないか。そうすれば、ある面では先ほど申し上げました地方税においての東京一極集中化の排除も行えるのではないかと思うわけでございますが、大臣、いかがでしょうか。その前にちょっと大蔵省、どうですか。
  77. 田村義雄

    ○田村説明員 ただいま先生の御質問の移転価格税制昭和六十一年度の税制改正で創設されまして、およそ今先生がおっしゃったような趣旨で設けられたものでございますが、一般的に例えば大企業が子会社を設立して税金逃れをしているというようなことを考えてまいりますと、今の法人税法の建前でございますと、企業が同一法人内で、例えば事業部門を分割したり支店をつくっていく、あるいは子会社形態にするというようなことで分けてそれぞれ税負担を変えるというのは問題であるということで、できるだけ極力中立的であるべきであるという原則に立ちまして、法人税率というのはただいま一定比例税率であるわけでございます。四二%と一本でございますから、例えば各州によって、あるいは各県によって法人税率が極端に違うという場合には、子会社の方に利益を移して、安い税率の方にたくさん利益をためるように操作するのは十分考えられるところでございますが、現行の法人税制で比例税率一本ということから考えれば、子会社形態にした方が法人税法上かえって有利であるということは必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。
  78. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 全体的な法人税制からの議論は、ただいま大蔵省の方からのお話のとおりであります。  私どもも、御指摘のように親会社と子会社において合算課税をして税額を算定するということにつきましては、法人格の異なるものについて他の法人の納税義務を負わせるということになると、各方面にわたってどんな問題点があるか、よほど検討してみなければならない、そういう問題じゃないかというふうにも思われますし、合算課税対象の法人は一体どういう範囲になるのか、恣意的に範囲を決めるわけにいきませんから、何かきちっとした決め方がなければいけない、あるいは法人の経理と全く異なる方法で所得の計算をやっていくということが妥当であろうか、納税者の事務負担がふえていくということもどう考えるのだろうかというようないろいろな問題があります。  移転価格税制の問題は、たまたま今回起きてきた問題は、米国との関係では国内で還付が生じましたからその点が非常に印象が強いわけなんですけれども、逆にあの問題は、もし安値で輸出されておるということになれば、逆にこちら側で法人税についても徴収が起きるかもわからない。そうすれば、地方税についてもさらに法人税割あるいは事業税を徴収するというようなことにもなるわけでございまして、つまりあれは非常に中立的な、ニュートラルな制度であるというふうにお考えをいただくのが適切ではないだろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、これは企業のそういう経営形態とかそういったものの変化というもの、そしてまたそれに対して対応ができるかどうかというようなこともよく考えながらじっくり研究してみないと、何とも直ちにそうしたお考えがいいとかいけないとかいうようなことをちょっと申し上げかねるような、そういう広範な問題じゃないだろうかというふうに思うわけでございます。
  79. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 大蔵省、今の答弁を聞いておりまして、親会社あるいは子会社あるいは孫会社、法人税の場合はどこに一極に集めようと一緒なんですよね、一本なんですから。住民税は違うのですね。そうしますと住民税は、極端な言い方をすれば、みんな子会社その他をつくって赤字にして、みんな一極に集めればいいのですからね。それがあると思うのです。そこに法人税と法人事業税なんかとの違いが出てくるわけなんです。だから、国内と国外という関係じゃなくて、国内だけが、例えば私の岐阜県と東京と法人税は違うのですか。一緒でしょう。そうすれば、この一極集中化というのは、ある程度地方税関係では排除していくことができるというふうに私は思うのですよ。その辺は大蔵省はどうなんですか。
  80. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私も、実は山下委員と同じような感覚を持ちまして、ちょうどアメリカとの自動車問題、初めはアメリカはダンピング問題で調査に入って、結果としては日本に不当に利益が集中をしたということで移転価格税制の対象になって、相当な金額を持ち出されたわけでありますけれども、これを地方税の中でうまく配分ができないものかということで私も頭をひねってみましたけれども、今大蔵省の答弁にもありますとおり、国内税制は一本でございますから、どこで税の申告をしようと全く同じでございます。故意に一極集中、本店集中をしなければならないという理由は見当たらないと私は思います。  ただ、今私が検討を特に急がしているこの分割基準、こういうものと少し何かスライドする方法がないものかどうか。これは全く私個人のいわば助平根性というか地方に傾斜配分を何らかできないかということで考えているのですが、なかなか話をしてみますと、頭の中では考えられるのですが、ずっと行ってしまうと霧の中へ入りまして、具体的に税の公平、平等だとか企業間の事務分量だとかいろんなことを考えますと、日本の国内一本の税制でいっているわけでありますから、故意に右から左へ移すという制度はないと思います。  日本とアメリカならば、これは当然やればそれなりのあれがあるわけですけれども、それも発見をされればだめということでございますが、国内でございますから、残念ながら日本の国で地方をそれぞれ独立国家と同じようにみなして税制がそれぞれ違うのなら別でございますが、一本化である以上、理論的にはそういうことはあり得ないのではないかなという感じがいたします。
  81. 田村義雄

    ○田村説明員 ただいま自治大臣から御答弁あるいは税務局長からも御答弁がありましたけれども、大体そのようなことに尽きているのではないかと思います。  例えば、今日本でも商法におきまして連結財務諸表というのをまだ制度化するに至っておりませんし、確かに証券取引法の体系におきまして有価証券報告書の添付書類として連結したものを出しなさいというようなことがございますけれども、基本的にはまだ連結決算というものが少なくとも税制上は制度化されておりませんものですから、いろいろ広い範囲から連結決算というものをどのように考えるかというのは大きな問題であろうと思っております。  例えば親会社と子会社、これは子会社ということで法人形態を異にいたしますと、もう別法人でございますから、通常それが親子一緒になっておりましたら、同じ法人でございましたら、例えば損益通算なんかでも、先生もまさにおっしゃったようにいろいろ都合ができる、操作できるような面もございますが、別法人という形になったら、これは全く別な形になるわけでございます。そのような基本的な違いがありますし、法人税率というのは累進税率とか何かになっている。あるいは地域地域によって税率が異なっている場合にはともかくとして、今の国税の面から見てでございますけれども、なかなかそのようなことは考えられないのではないかというふうに申し上げたつもりでございます。
  82. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 それは親会社、子会社、それぞれ法人で言えば法人が独立していれば別会社であることは全くそのとおりなんですね。だけれども、中身的には同族会社といいますか、全く一緒だ。そこの会社の利益を全部吸い上げようと思ったら吸い上げることができる。このような状況は、今さら申し上げなくてもたくさんあるわけですね。  ですから私は、国内でも移転価格税制をとっていったらどうだろう。地方と言っちゃ申しわけないですけれども、とにかくそういう周辺の系列会社、そういうものには全部結局赤字決算させてしまう。会社は大変立派である、あるいは工場は立派であるけれども、中身は赤字である。何年たってもびくともしないで、それでも正々堂々と企業活動しておる。そういう会社は全国いっぱいありますよ。そういうことを考えていきますと、例えば今でも従業員割あるいは店舗割、償却資産割などがあるわけですね。そういうのを加味しながら移転価格税制を導入することもできると思うのですね、そういうものをいろいろと加味しながらこれから研究すれば。私は、ぜひ導入に向かっての検討をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  83. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 にわかに即断ができませんけれども、確かに委員言われるとおり、別会社、子会社を形成して一〇〇%出資しますと、子会社に利益を出して親会社が赤字になるという類例が、私はあるかないかわかりませんけれども、大体下ほど搾取をされるという言葉がいいかどうかわかりませんが、なるたけしわ寄せは下にやってきますから、赤字になるかならないかは別として利益の大半を親会社が吸収するという場合は多うございます。しかしそれをどう判断し、適正に直す方法があるのかどうなのか。これは残念ながら会社が別でございますし、発注と受注の関係で幾ら幾らということでやっておるわけでございますから、不当に安くすれば公取が介入をして、急速に値段を下げればどうこうというようなことがございますけれども、それにしても正式な、法律的に別会社になっておりますと、その発注と受注の関係の価格関係をどうこうすることが果たしてできるのかどうなのか、これは残念ながら私の知恵を超える問題でございますから、まず法人事業税の分割基準、これを何とか早くやってみたいなということもありますし、これを突破口にしてさらに新しい展望が開ければという感じを個人としては持っております。
  84. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 それでは、もうこの問題はこの辺でおきまして、先ほどちょっと大臣も何か触れられましたので、若干私もせっかくですから触れてみたいと思うわけでございます。  それこそ、トヨタ、日産につきまして、昭和五十一年度分までさかのぼり、法人税八百億円、地方税四百億円の還付が行われたわけでございますが、両社の米国子会社を通じて日本の税収が結局米国に納税をされたわけです。今後、円高傾向あるいはダンピング監視の点から、例えば電機関係あるいはハイテク関係、そういうものにも続々波及してくることがあるのではないか、そのような心配をするわけでございます。  大蔵省の方にお尋ねをしたいと思うわけでございますが、これは国際税務研究会が出しております「国際税務」の一月号、年頭所感で、国税庁国際業務室長川田剛さんがこのようなことを書いていらっしゃるのですね。「我が国の移転価格税制が本格的執行に入る本年以降においては、我が国サイドで更正を行うケースもふえてくるものと思われる。従って、納税者サイドとしてもこの分野に関する知識は、今後さらに必要になってくるものと思われる。」云々、このようなことが年頭所感で書かれているわけです。  そうしますと、この問題も、もう一つ新たな日米間といいますか国際間といいますか、一つ間違いますと新たな摩擦が起きてくると思いますし、同時にこれは地方税にも大きく影響するわけですね。多分ほかの委員からも質問があったかもわかりませんが、例えば今回にいたしましても、たしか地方税で四百億円だったですね、それぐらい還付をされているわけです。地方税というのは基盤が弱いですから、うんと古いのまで一遍にいきなり還付ということになってきますと、地方行政というのは、こういうものが次から次へ出てきますと、本当に大変なことになってくると思うのです。その辺につきまして、日本の場合は余りにも過去へさかのぼっている。諸外国等見てみましても随分緩やかだと私は思うのです、例えば西ドイツなんか二年で打ち切りですから。そういうような状況にもなっていると思うのですが、そういう点で、見直しやら今後の見通しというのはどうなんですか。
  85. 田村義雄

    ○田村説明員 移転価格税制、先生御承知のように、ある法人が国外の関連者との間で、通常考えられる取引価格よりも著しく低価あるいは高価によって利益を操作する、それに対応してそれは通常の取引価格としてみなすということによってきちっとした税負担をお願いする、これは昭和六十一年度の税制改正でございます。まだスタートしたばかりでございますけれども、確かに先生おっしゃいますように、非常に抽象的な答弁になりまして恐縮でございますが、人とか物とか金とか、これだけ国際化している状況でございますから、一つ一つは今まさにおっしゃられた国税庁の業務、国際業務室でやっていることではございますけれども、国際税務といいましょうか、そこら辺に対して、もっと国税庁としても十分これから調査の重点を置いていこうというようなことも聞いておるものでございますから、いろいろなケースは出てこようかと思いますし、事例もいろいろふえてこようかと思います。  ただ基本的には、移転価格税制というのは、相手国との租税条約上で、相手国もそのように対応したらやはりこちらもそれに対して対応的な調整をとらなきゃいけないという仕組みになっておりますので、今後もまさに一つ一つのケース・バイ・ケースでございますが、ハイテク企業とか、今先生がいろいろな事例をおっしゃいましたけれども、そのような事例が出てくるかもしれないと思います。
  86. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 特に日本の場合は先端技術というものが進んでいるわけでございますし、そういう意味では、それこそ今申し上げましたとおり、ハイテク産業を中心にこういう問題が起きてきますと国際問題にもなりますし、同時に、そういうことでどんどん還付されますと、地方税中心にしまして地方行政にも大変不利益をこうむってまいりますので、この制度自身がいけないというのではなくて、日本の場合は余りにも過去へさかのぼって還付できる、このような状況もございますので、諸外国等いろいろと研究していただきまして、その辺につきましても正していく。そのことはぜひ大蔵省もやっていただきたいと思いますし、自治省といたしましても、地方自治に大きくかかわってくる問題でございますので、ぜひ大臣中心に大蔵省へ働きかけていただきたいと思うわけでございます。大臣いかがでしょうか。
  87. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 この問題が生じまして、実はそういう懸念があるかと思って、各市町村の還付状況を一回調査いたしました。幸いに大きな影響を与えないで済むということでもございますので、それなりの対策は講ずるように命じておきましたけれども、これからはそういう問題がときどき起ころうかとも思います。しかし、これは私の私見でございますけれども、通常ですと、向こうの方が法人税率が多少形式的には安いわけでございますから、向こうへ逆に利益を留保されればどうなるのか、果たして日本がそいつを請求できるかどうかという問題がございますけれども、幸いにというか、これも勘ぐりでございますが、日本の企業はまだ愛国心が強いので、国内に利益を留保したためにアメリカから請求をされたんではないか、せめてその辺を救いにいたしております。
  88. 山下八洲夫

    ○山下(八)委員 今神奈川県、痛い、百億というような声が後ろから出てきましたけれども、当然私もそういう意味では大変痛いと思うわけです。  あと一分ぐらいあるんですか。新しいのへ入りますと長くなりますので、以上をもちまして終わらせていただきたいと思います。
  89. 松本十郎

    松本委員長 柴田弘君。
  90. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 きょうは、地方税改革をめぐって、いろいろと大臣の御所見を伺っていきたいと思うわけでありますが、その前に二点、簡潔でよろしゅうございますから、大臣の御見解をお伺いしていきたいと思います。  一つは、地方自治法の八条には、都市になる条件といたしまして、第一番目に「人口五万以上を有すること。」このようになっておりますね。しかし、現実には、五万人どころか三万人を割ってしまっている市が五十四もあります。さかのぼること二十三年前の昭和四十年には、これが二十七市であったわけでありますが、今日五十四にふえた。これは全国市長会が二月に発表いたしました「都市人口の概況」によるわけであります。増加している市はどんどんと増加していく。例えば関東、近畿、東海といった地域にある都市は人口が増加をしている。一方、北海道、四国、中国といったところは減少都市が多い、減少傾向が継続をしてますます過疎化が進展をしている、これは大臣もよく御承知であります。  北海道も御案内のように炭鉱が一つずつ閉鎖をされまして、例えば夕張市におきましては、かつて最盛期には十一万人の人口を数えた中都市であったわけでありますが、二十四あった炭鉱がたった一つになりまして、現在二万七千人と最盛期の四分の一まで減ってしまったわけであります。 あるいは全国で一番人口の少ない都市というのは、御案内かもしれませんがやはり北海道にございまして歌志内というところです。一万人を大きく割り込んでいるわけです。ところが、市制施行以前の昭和二十三年には四万六千人を超えていたのです。これはやはり炭鉱なんです。つまりこうした企業の構造変化と申しますか、これは炭鉱ばかりではありませんで、造船あるいは鉄鋼といった、かつての中心として栄えてきた都市がいわゆる構造改革というか産業革命というか、そういうことで人口がだんだん減ってきて過疎化に拍車をかけているというのが今の現実であります。市の担当者あるいはその地域を代表する市会議員等々にいろいろお聞きをいたしますと、確かに金も必要であるが金だけではない、やはり一番大事なのは企業誘致であり、そこへ何とか雇用の場を提供してもらいたい、これが各自治体関係者の一様の声であります。  そこでお尋ねいたしますが、竹下総理は「ふるさと創生論」、まさしくそういう地盤沈下をしていく市を活性化させ救済していくというのは竹下内閣の「ふるさと創生論」の原点でなければならぬ、こういうふうに私は考えているわけでありますが、その辺どうお考えになっているでしょうか。
  91. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 柴田委員指摘のとおり、私は、地方問題はいわば良好な雇用をどう確保するか、あるいは発展させるかという問題にある意味で尽きるという感じがいたします。私も地方議員の経験者でございますが、そういうことから考えますと、経済的な条件と申しますか立地条件の変化、あるいはそれぞれの盛衰を経ながら産業構造が変化をいたしておりまして、それに対応できるようにしなければならないわけでございます。ですから、竹下総理の言う「ふるさと創生」、まさに物的な意味だけではなくて精神的な問題を含むわけでございますが、それぞれの地域がみずからの自主的な判断や努力によってみずからが立とうという気組みができ上がることと、それを助長する中央の政策、地方の施策が相まって実はこの問題を達成することができるという気がいたします。  今象徴的に申されました北海道のいろいろな状況は私もよく拝見をいたしておりますし、心を痛めている一人でございますが、そういう意味で、平板的な言葉でございますが、多極分散型の国土形成に懸命な努力を払って、期待にこたえてまいりたいと思います。
  92. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、今日まで自治省地域経済対策といたしまして、昭和五十三年から特定不況地域振興のための総合対策を行ってまいりました。そして五十六年度から地域経済振興対策も実施をしております。そして五十九年度からスタートいたしました地域経済活性化対策は、昭和六十三年度で約半分の事業が終了することになっておるわけであります。新聞報道等あるいはまた仄聞するところによりますと、先ほど大臣がおっしゃいましたように、国土の分散化推進のために昭和六十四年度よりスタートさせ、ハイテク化、サービス・ソフト化や産業構造の転換に対応した総合的な中長期の地域経済対策というものを実施しよう、こういうお考えであるやにもお聞きをいたしておりますが、果たしてこういう対策によって、先ほど私が指摘いたしましたいわゆる竹下「ふるさと創生論」に基づくそういった人口減少地の市が活性化をしていくか。町村もあると思いますが、そういったことを目指したものでなければならない対策だと思いますが、この辺の中身とその具体化といったものについて、この際お尋ねをしていきたいわけであります。いかがでしょうか。
  93. 小林実

    ○小林(実)政府委員 お答え申し上げます。  現在私ども、経済を活性化させまして地域の安定的な経済基盤を確立し、多極分散型国土の形成を促進することが極めて重要であるというふうに考えております。御指摘のとおり、自治省といたしましては五十九年度から地域経済活性化対策を行ってまいりまして、全体といたしましては九十六地域、八百何がしの市町村を対象にいたしまして毎年仕事をしてまいりました。これは五カ年の計画でございまして、第一次指定分が六十三年度で事業が終わるわけでございます。今御指摘いただきましたような各地域における経済活動の停滞とか雇用の悪化がございますので、民間の実務担当者とか有識者の方に集まっていただきましていろいろ御意見を拝聴いたしたいと思っております。その中でこのポスト経済活性化対策、何ができるか、具体的に御意見も拝聴し、でき得る限りの対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  94. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで御意見を聞くということはいいわけでありますが、問題なのはそういったいわゆる構造不況、鉄鋼なり石炭なり造船なりという産業を抱える地が再び新しい企業の誘致等々によって活性化できるのかどうか。私は何度も申しますが、それが大臣、竹下「ふるさと創生論」の原点ではないでしょうか。五十三年度から今までいろいろな地域の経済対策をやってまいりました。こういう結果を見てまいりますと、多少のプラスになっているところもあるかもしれませんが、すべてを救えと言う方が無理かもしれませんが、こういった不況地域が本当に活性化されるのか、蘇生化されるのか、よみがえるのか、創生されるのか、本当に私は今心配もし疑問に感じております。大臣、一言決意と見解を伺わせていただきたいと思います。
  95. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに委員指摘のとおり、全国津々浦々に今までと同じような二次産業を中心とした産業活動が活発になるかならないか、これは率直に言って大変疑問でございます。急速、大幅な円高に連動いたしまして、日本のいわば重厚長大の二次産業が衰退をしてきたことは御案内のとおりであります。ここ懸命な努力のおかげで一時的には持ち直しているという環境がございますが、やはりハードの面よりはソフト、そして二次産業よりは三次産業という大きな流れをつくつていることは現実でございます。ですから、これからの地域活性化の大きな方式は必ずしも二次産業中心ということではないと思います。  そういうものに対応できるものにするためには、ただ単に企業誘致という問題だけででき上がる問題ではございませんので、先ほども総理の言葉を引用いたしましたけれども、それぞれの地域がみずから立つという気概で、私の土地は農業で生きていくんだ、私の土地は流通で生きていくんだ、私の土地はリゾートで生きていくんだというそれぞれが選択をし合いながら、それに対して自治省や各省庁、中央は懸命な努力をバックアップをすることによって、それぞれの地域に合った活性化が進められることを期待をし努力をしてまいらなければならないと思っております。
  96. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 おっしゃるとおりですね。ただ、国だけの支援を待つのではなく、まず地方自治体がそういった気にならなければならない、これは私は当然だと思います。それと国の支援とが両々相まって「ふるさと創生論しというのは生きてくる、このように私は思います。  そこで続いての質問に入りますが、ふるさとづくり財団の問題でございます。私ども公明党といたしましては、まだこれがいいのか悪いのか、各部会の御意見関係部会の御意見等々もありまして、正直なところまとまっておりません。だが、私個人としては大賛成であります。ぜひひとつ「ふるさと創生」のためにこうした施策というものを実行していただきたい、私はこのように考えて、そういう観点に立ってこれから質問をしたい、こう思います。  マスコミ等の報道するところによりますと四月発足を断念したとありますが、それは事実かどうか。断念をしたとすればそれはいかなる理由によるものか。第三点は、大蔵省はあくまで白紙撤回を迫っております。実はこの質問をするにつきましては、私も大蔵省の担当課長と話しました。以前大蔵委員会におりまして、その担当課長は竹下元大蔵大臣の秘書官をしていた方でありまして、よく知っているわけなのです。それで、この委員会に来てやりますよと言ったら、まあひとつ御勘弁をということなものですから呼びませんでしたけれども、私はとにかく賛成なのです。今後、白紙撤回を迫っている大蔵省とどのように調整していかれるかということが問題であります。この三点、ひとつお聞かせをいただきたい。
  97. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 個人的にしろ激励をちょうだいしましてありがとうございます。  ふるさと財団につきましては、自治省において構想の素案を示したところでございますが、この構想につきましては実は地方公共団体の大きな期待をちょうだいをいたしております。確認したわけではございませんけれども、すべての都道府県が当初予算でこの財団に対する出捐金の予算を計上する方向だというふうに聞いております。ただ、この構想については、ただいまお話がございましたように関係省庁の強力な反対意見も踏まえて、それぞれの御意見があることは承知をいたしておりますので、地方の熱意と意向を反映させつつ必要な調整を図りながら、今後ともこの実現に不退転の意思で努力をしてまいりたいという気持ちでございます。  ただ私が申し上げるのは、私はふるさと財団をつくることが終局の目的ではなくて、先ほどのどうすれば「ふるさと創生」あるいは多極分散型の国土形成ができるかというところで、自治体側あるいは自治省側としてできるのは受け皿の形成である。ですから、今回も予算に要求をいたしておりますように、ふるさと対策の特別事業、こういうものを行いながら今回の多極分散にこたえていきたい。それから、もうちょっと民間やその他に金融やあるいはそれぞれの民間の意向を集約できるような財団ができればさらに大きな受け皿ができる。それからもう一つ、私は私的に申し上げているのでございますが、いかに中央の公が一省庁一機関あるいはこれからもっと遷都や分都をひっくるめて大きなエネルギーを尽くすとしても、やはり日本の中心を占めるものは民間のエネルギーであります。ですから、民間の東京に集中しようとするエネルギーもありますが、東京に来なくてもいいあるいは東京でなくてもいいという機能や産業をいかに地方に分散をするか、こういうものも何とか税制やその他の施策をめぐって行っていって、中央からいわば出ていく活力と受け皿というこの両々が相まってできるわけでございます。  例えばこのふるさと財団、梶山思い切ってどことけんかをやってもやれということがございますが、他省庁との関係を十二分に調整いたしませんと、自治省我ひとり行くということだけで本当に地域住民の願う「ふるさと創生」ができるかどうか大変疑問もございますので、恐れおののきながらも不退転の意思でこれから頑張ってまいりたいと思います。
  98. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 愛すべき梶山自治大臣ですからそれでオーケーとしたいのですが、今大臣一言大変気になることをおっしゃった。ふるさと財団をつくることが目的ではないんだと大臣おっしゃった。税制あるいは他の諸施策でいわゆる多極分散を図っていく、大要そのような御答弁がありました。不退転ということを最後におっしゃいましたが、随分それは矛盾しているのです。他の省庁とも調整を図って不退転の決意でやる、これならわかるわけです。それから、聞くところによりますと自治体は、今大臣もおっしゃったようにそれぞれ五千万程度出資金を予算計上しているのです。これができないようになったら地方自治体が一番迷惑をこうむるわけでしょう。大きな府県あるいは都市においてはもう当初予算は皆上がっていますよ。私知りませんでしたけれども、我が党の小谷先生のお話だと大阪もつけておるらしい、愛知県もつけておる、こういうわけです。いつも愛知のことばかり言うとあれなものですから、私知りませんでしたがね。これがもし、大蔵省があくまで白紙撤回だ、大臣も今これはつくるのが目的じゃないとおっしゃった。これがつくれないとすると一体地方自治体はどうしたらいいのですか。どうですか。
  99. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私の言葉が足りなかったのか、あるいはもろもろのことを心配して控え目にし過ぎたのかは別といたしまして、私が必ずしも終局の目的でないという意味で申し上げたのは、この手段方法によらなくとも本当の意味で多極分散、「ふるさと創生」ができるならばあえてこれにこだわりはしない。それはなぜかといいますと、自治省自治省という名の中央官庁です。ですから自治省の意向でつくるものではありません。むしろ地方自治体が盛り上がるような意欲のもとにできるものでありますから、私自治大臣としてこれをつくろうとかつくるまいとかということに必ずしもこだわらない、そういう意味で申し上げておりまして、これは必ずつくるのだと言いますと、意地になって縦割り行政の中で反対もあろうかと思います。梶山静六が旗を巻いているゆえんのものもそこらにありますし、不退転の意思と言ったのも必ずその辺のところは何らかの形でつくり上げてみたい、必ずしも自治省が言ったあるいは地方自治体が言っている形で一〇〇%でき上がらなくとも、大きい方向で実効としてそれが完成できるならば私は調整に応ずる、そういう姿勢を申し上げました。果たしてこういうことを申し上げてよかったのかどうかはわかりませんが、柴田委員から糾弾をされましたのであえてお答えを申し上げました。     〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕
  100. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 糾弾をしておるわけじゃなくてお聞きをしているわけですよ。大臣の答弁はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、もうだんだんわからなくなった。何遍も言っておりますが、不退転の決意でやっていきます、調整してやっていきます、地方自治体には決して迷惑かけません、こうあらねばならないのです。それが今何ですか、地方自治体に迷惑かけませんかと言ったら、地方からわき起こってくる問題だなんていって。中央官庁だ、そんな中央集権的な考え方で、三千三百有余ある地方自治体の一番の責任者で、しかも竹下内閣の「ふるさと創生論」を実行して「ふるさと創生」にかける自治大臣の答弁であるとは私は思えませんよ。私は再度撤回を求めたいと思います。
  101. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大蔵省もおるようですから、大蔵省にぜひ聞こえるように申し上げたいと思います。  白紙撤回するような思いでもう一回大蔵省も私たちの話の土俵に乗ってもらいたいという思いを込めて、必ずしもこれを固執いたしません、ですから話し合いに乗ってくださいという表現をこの地行の場を通じて大蔵省やその他の省庁にサウンドをいたしているわけでございますので、御賢察を願いたいと思います。
  102. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 こんなことばかりやっているとあれですから、私は賛成する各点について申し上げます。これは大臣でなくても、津田さんからでもいいですから、そう思うならそう思うというふうに答弁してください。イエスかノーかでいいです。  私は、この財団は、今まで政府が行ってきた、対象を第三セクターに限定したり事業の種類や内容を各省庁がきつく縛ったりするものではなく、あくまでも地方自治体の独自の発想を自由に生かせるものであるというように認識しております。ですから、実行すべきなのですよ、自治体の自主性ということで。だから、何回も言いますけれども、自治体を混乱させていたずらに淡い幻想を抱かせるようなことは、大臣、おやめいただきたいと思います。  第二点は、自治体もいろいろあります。三千三百有余ありますが、地方の時代と言われて政策面でかなりの力をつけてきたと私は思いますよ。     〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕 だから、中央の政策金融に乗っていると全国各地で同じような施設ができるだけで、自治体側の創意工夫をもっともっと信頼していい時代ではないかというふうに私は思います。自治体の側からも、地域活性化のために民間企業に県単独でも融資せざるを得ない、だが単独では小規模になるので財団は大歓迎。大蔵省は直接関係ないかもわからないけれども、よく聞いておいてくださいよ。自治省でも大蔵省でも、どこでもいいから、そんな中央官庁の縄張り争いをするのではなくて、その道を開いていただきたいという待望論が多い。これも僕は事実だと思います。  第三点は、私は自治省を褒めるわけではありませんが、自治省以外の他省庁は地域振興にかける地方の切実さ、私が一番初めに言いましたそういうものがわかっていないのじゃないかと思います。でありますから、NTTの無利子融資を受ける第三セクターをつくらなければならないので自治体の負担が重くなるのに加え、事業の内容も各省庁の方針に従わなければならないので地方の自由な発想が生かされない。交付税、地方債の活用範囲をただ広げるだけなのですから、これは自治省判断でできるのじゃないですか。  この間も大蔵省にレクチャーを受けましたら、あのNTTの無利子のA、B、Cタイプ、Bタイプは地方公共団体ですね。これはほとんど補正予算の金額が消化されている。ところがAタイプ、Cタイプ、例えばCタイプだったと思いますが、五百八十億円予算をつけたのですが、九月四日が施行なのですが、半年たった現在でも一体どの事業にこれを使うのだということがまだ大蔵省でも決まっておりませんというお話だった。二週間くらい前の話なのですよ。だから、これは自治省独自の判断でできる、やるべきだと私は思います。  最後に申し上げたいのは、これは大蔵省所管でありますが、やっと開発銀行が総裁の私的諮問機関をつくって新しい地域開発金融のあり方を検討しよう、こういうことになった。今までは東京中心でハード面の設備投資の融資が主体だったが、地方重視に切りかえた。そういった今日までの政府の金融、各省庁の政策金融というものも後手後手に回ったものを、そのすきをつく形で今回のこの自治省のふるさとづくり財団というのが浮上してきた、こういうことだと思います。でありますから、大蔵省がたるんでいるとかどうというのではなくて、自治大臣、私が言いたいのは、「ふるさと創生」をやるために、過疎化対策のために、あるいは不況地域の活性化のために、自治省中心になって、各省庁の縄張り争いではなくて、地方は待っているのですから、何らかの形でこういった財団というものをつくって地方を救済し活性化していくべきだ、こう思います。いかがでしょうか。
  103. 津田正

    ○津田政府委員 この構想は素案でございまして、地方団体が自主的に共同でつくる、こういうような性格を持っておるわけでございますが、その構想の発端と申しますのは、地域の意欲あるいは地域の必要性、地域の可能性というものに即した事業がやれる、こういうことをねらっておるわけでございます。それから、何と申しましても、民間の資金と事業というものを地域に誘導する一つの大きな手がかりになるのではないかと考えております。  今先生おっしゃられた中に、交付税なり地方債の措置で自治省だけでできるじゃないか、さっさとやれというようなお話もございますが、地域の振興というものは、もちろん地域の意欲だけではなくて国の施策とも相まってできるのではないかと思います。そういう意味におきまして、国のいろいろな政策金融がございます。これを邪魔するとか排除するということではございませんで、その活用と今回の構想の活用相まって地域の振興に役立ってもらいたい。そういう意味におきまして、現在のところ各省とも意見があるわけでございまして、その意見を十分調整して、地方団体がよりやりやすい地域振興が図られるよう努力してまいりたいと思います。
  104. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後に要望しておきます。  大蔵省でも自治省でもどこでもいいですから、とにかく地方が待望しているこのふるさと財団、地方からの声を待つのではなくて、それも大事かもしれませんが、やはり中央省庁から地方がやりやすいように対応していただきたい、これを要望して、時間が半分になってしまいましたが、税制問題をやりたいと思います。  まず最初に、自治大臣お尋ねをいたします。  戦後四十数年たちまして、社会が大きく変化いたしました。東京の一極集中もそうでしょう。あるいはまた高齢化社会、情報化社会、国際化社会、いろいろと社会が変化してまいりました。そこで「ふるさと創生」、こういうことでございますが、多極分散の新しい対策が迫られていると思います。  そこで、私がお伺いしたいのは、こうした認識に立って望ましい地方税のあり方というのは一体どうなのだ、あるいは地方税改革はどうあるべきか。「ふるさと創生」のために自治省が、大臣が目指している政策体系としての税制の全体像、これを不公平税制の是正を含めまして具体的にお聞きしたい、このように思いますが、いかがですか。
  105. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 近年、産業構造の変化、情報化、国際化などにより東京への一極集中が強まっていることは、先ほど来お話しのとおりでございます。  竹下総理の「ふるさと創生」は、地域の資源を生かした個性ある地域づくりを推進するとともに各地域がその特性に応じて機能を分担する多極分散型国土の形成を進めることによって、東京一極集中の是正を図ろうとするものであります。このためには税制改正を初め、各種の施策を講じていく必要があると考えております。  なお、今国会に提出予定の多極分散型国土形成促進法においては、特別償却、特別土地保有税、特別事業所税などの特例措置を講じようとする具体的なことが盛り込まれております。
  106. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 その多極分散の法案は国土庁の提案ですよね。大臣、その中で特別土地保有税の適正化、その他一、二点おっしゃいましたが、それだけで抜本的な税制改革と言えるのですか。竹下内閣の「ふるさと創生論」を実現していくためには地方税をどう改革していくべきか、ただ小手先の改革だけではいけませんよということを私は申し上げたいわけなんです。その辺、自治大臣として抜本的な税制改革というものをどう進められるのか、再度お聞きしたいと思います。
  107. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大変難しい御質問で お答えが当を得るかどうかわかりませんけれども与野党間でいわば減税合意をされまして、四月の初旬に向けて今減税案の具体的な作業が進んでいるところでございます。そしてまた、政府税調新聞等にもちらほら素案というかそういうものがサウンドをされている状態でございますから、減税の大きな流れが定着しつつあることは現実でございます。その内容をよく見定めませんと、地方のいわば財源確保、税制をどうするかという問題でございますが、今お話しになっているのは、いずれにしても減税問題でございます。住民税においても今大幅な減税をしろという意向があるわけでございますから、その面だけを考えますと、地方に住む方々減税が多くなればそれだけ住民は豊かになるということも成り立つわけでありますが、それにはそれなりにまた地方自治体は行政サービスを必要といたしますから、それなりの財源を持たなければなりません。ですから、この減税に見合う、そして地方がこれから本当に振興するためにはどういう普遍的なあるいは重点的な税目を持ち得るか。それからもう一つは、国税との見合いで行われる地方交付税、これがいわば傾斜配分というか凹凸是正の機能を持っているわけでございますから、これによって日本の国土が均衡ある発展をするように仕組んでまいらなければならない。  具体的な税目については私は残念ながらまだ構想を持っておりません。しかし、これから減税が行われ、その減税を今度はどうして普遍的なもので補っていくか、あるいは国税のスライドである地方交付税というものをどう組み合わせていくか、そしてその地方交付税を、今の算定基準はもちろん原則でございますけれども、特に多極分散型の国土形成に何らかの修正を加える必要があるかどうか、特に特別交付税的なもので加味をすべきものがあるかどうか、こういうものを考えあわせながら、この多極分散の方式を考えてまいりたいという気持ちでございます。
  108. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 具体的にお聞きしますが、参議院の地方行政委員会で我が党の片上委員質問に対して、自治大臣は、多極分散型国土形成のための措置について私案があるそうですね。一極集中を排除するために東京から工場が地方移転をした場合、その促進をするために譲渡益に対する課税軽減する、こういうことでございます。もう既にこの私案は、竹下総理や大蔵大臣やあるいは奥野国土庁長官にも示して、理解を得られたのかどうかわかりませんが示してみえる。そこで私がお尋ねしたいのは、この私案の内容は一体どういう内容であるか、ひとつお聞きしたい。そして、この私案があるとすれば、これは大臣、私案に終わらせずに、国の政策として多極分散型国土形成の中で具体化していくべきではないか。そのスケジュール、手法、いつやるのか、具体的にお伺いをしたいわけであります。
  109. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 東京への一極集中を是正をし、多極分散型の国土形成をするためには、東京圏に集中している都市機能や産業機能を地方に分散する必要があることは御案内のとおりであります。  このためには産業政策や地域政策等広範にわたる施策を総合的に講ずる必要があるが、特に生産機能や試験研究機能のように必ずしも東京圏において立地をする必要のないものについては、積極的な分散を図る必要があると思います。ですから、東京圏にある事務所や工場等、事業所が地方移転をする場合、現在の税制においても圧縮記帳や買いかえ制度等がございますけれども、これは必ずしも十分なものとは思えません。ですから、全く私見ではございますけれども、御指摘のとおり、あるいは譲渡課税をひっくるめてさらに誘導策を強化する必要がある。ですから、例えば東京の土地を売って、資産を売って地方に進出をしようという大決心をする企業や団体があったとするならば、これには多少地方進出準備金という制度でも、あるいは譲渡益課税に対する税の特別減免とかこういうものを併用することによって、私が先ほど申し上げました地方の受け皿、特別対策事業や今御指摘をちょうだいしたふるさと財団、こういう地元の受け入れ体勢と、それからもう一つは東京から思い切ってそういう企業が出ていける措置と両々相まってそういうものが可能になるのではないかなという気持ちで、そういう私案を持論として前々から私は展開をいたしております。お目にとめていただいて幸せでございますし、これを何とか国の政策として取り上げてもらいたい、そういうことで個人的には各大臣や党の機関の方々あるいは野党の方にもお話を申し上げていることがございます。  しかし、残念ながら大きい流れになることができませんが、これにとにかく懲りずに不退転の意思で、これこそは一生懸命に取り組んで、大体後ろに下がるのは嫌いな方でありますから、猪突猛進型でございますから、何とかこういうものを総合的に三つか四つ組み合わせる。一つでは私はうまくいかないと思うのです。そういうものができ上がることによって何とかこの多極分散型、「ふるさと創生」の心意気に報いていきたい、そういう気持ちでいっぱいであります。
  110. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私案も結構ですけれども、私案に終わらせないで、これをどう実現していくかということですね。いろいろ関係者の方にも各党にもお話をしているということですが、今のところ私案なんですね。こういったものをお持ちになっている以上、今のふるさと財団でも一緒なんですが、猪突猛進という言葉がありましたが、その言葉はともかくとして、やはり相手を説得をしつつ納得をさせ、そして一極集中をなくしていく、地方の活性化を図っていく。だから、ただ新聞だけ見ておりますと、これは私案でなくてできるんだろう、こういうような淡い希望を国民に抱かせる、あるいは地方自治体に抱かせる。先日もマスコミが報道しておりましたが、私の見間違いかもしれませんが、品川にある三菱金属が移転をしていこう、こんなようなこともテレビで報道しておりました。これはこういう点でぴったりじゃないですか。だから、どんどん地域活性化のために、一極集中排除のために、私案に終わらせずに、国の政策としてやっていただきますことを要望しておきますから、よろしくお願いします。
  111. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は冷静にこの問題を考えているわけでございまして、税の公平、平等というのも確かに大切な側面でございます。しかし、その税の公平、平等を求める余り一極集中が深刻化をし、地方が疲弊をする結果が生まれてしまいますと、これは税の公平、平等のために社会があるのか国家があるのか地方があるのかということにもなってしまうわけであります。ですから、先ほど税制の問題で租特の問題が出ましたけれども、まさにこれは政策税制、誘導税制でありますから、どちらに政策的な重みがあるのか。私は各大臣にもあるいは党の領袖にもそれぞれ申し上げているのは、どちらを選択すればいいのか。私個人は誘導政策を選択すべきだと思うのですが、これは皆さん方のそれぞれ個人的な意向で成り立つものではございませんから、そういうもので申し上げますならば、私は政治的な選択は、公平、平等も当然大切であるけれども、一時期理路整然として間違ってほかへ行ってしまっては大変だ。今のままでいくと税の公平、平等のために理路整然と間違った方向へ行ってしまうのではないかという心配をするわけでありますから、稚拙な考え方でございますが、そういうものをぶつけ合いながらやっております。  ただ、竹下内閣誕生し間もないことでございます。緊急の東京の土地の高騰対策、そして今政府・与党としては懸命に、早く補正予算を組まないでこの予算を通したい。その後どうするかという問題でございますので、今その機会の来ることを虎視たんたんとしてねらいながら、一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
  112. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 簡単に聞きます。  三月八日の予算修正をめぐる与野党合意、これは二点あるのですが、とにかく私ども野党要求する減税実現のために財源論議に大型間接税を絡ませない、こういった合意であると私ども認識をし確信をいたしております。この与野党合意が、今三回目あるいは四回目の会合を重ねて各党の政策担当責任者が苦労をいたしているわけでありますが、きちっと決まった場合、これは予算成立までという一定の期限があるわけでありますが、自治大臣としては、恐らく住民税減税もこの中に盛り込まれるということですが、これを尊重し、遵守し、実施するお考えがあるのかどうか。いかがですか。
  113. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まず冒頭、先ほどの答弁の中で補正予算を避けると言ったことは、暫定予算の意味でございますので、御修正を願いたいと思います。  与野党協議の問題でございますけれども、いずれにいたしましても与野党間の協議によって合意が調い、その具体化が図られる場合にはこれを尊重してまいりたいと思います。
  114. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 尊重するということは実施する、こういうことですね。
  115. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 政党政治でございますから、与野党間が完全に合意して自民党が合意をすることを政府が反対をするということは、恐らく整合性からいってないと思います。
  116. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 尊重するということは実施するということですねと、こういうことを言っているのです。
  117. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 与野党間が完全に合意をすれば実行する。実行いたします。
  118. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 ちゃんと初めからそういうふうに答弁していただきたい。  そこで、今与野党間で議論されています、あるいはまた政府税調等でもいろいろと議論されておりますが、有価証券の譲渡益の原則課税の問題ですね。それで昨日の政府税調議論等きょうのマスコミ報道等にもあったわけでありますが、要するに原則課税というものは一致をしている。ところが、その方法論というのが一つ問題である。  そこで、例えばみなし一律分離課税、こういうのがあります。私ども納税者番号制度をきちっと導入して、そしてきちっと所得捕捉をし、そして総合課税をせよというのが我が党の主張でありますが、百歩譲ってみなし一律分離課税というものを認めるとします。これは認めていませんが、まあ認めるとします。こういった場合に、ある政府税調委員の話だと、みなしですから利益が一〇%、一割あったとみなす。それに二〇%の税率をかける、こういうことですね。私が申し上げたいのは、この四月から新マル優になります。御承知のように利子に課税がされます。二〇%です。うち五%は地方税として地方に還元されております。それと同じような趣旨で、もしキャピタルゲインの原則課税がなされた場合には、例えば二〇%の場合は五%、三〇%の場合は一〇%というふうに地方税源の充実のために大蔵省と話し合うべきである、私はこういうように考えますが、いかがでしょう。
  119. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 基本的に私どもは利子課税のときにも地方税、独立税としてこれを創設したいということで対処してきたわけでございますので、基本的な気持ちといいますか姿勢は同じでございます。  ただ、午前中もそういう御指摘があったのでございますが、キャピタルゲイン課税の問題は、ただいま委員指摘のように、納税者番号というようなものをやりましてもそれだけではだめなわけで、所得を完全に把握するということは、結局それぞれの有価証券の取得価格自体を把握することが必要になってくるとかいろいろな問題がありまして、恐らくこれからいろいろな議論がされると思います。課税方式等につきましても今後税制調査会において具体的な検討が進められると思いますので、私どもはその税制調査会検討に即しまして適切に対応してまいりたいと思いますが、かつての利子課税のときにも、地方税としては総合課税が到来するまでなかなか課税ができないという状態があったというようなこともございますので、今後いろいろな状態が生ずるだろう、こういうことは私ども、自分たちの考えの中にはあるわけでございます。
  120. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これはどういうことをおっしゃったのですか、あなたの答弁。
  121. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 利子課税のときもそうでございましたけれども、私どもの姿勢は御理解をいただけるとおりでございます。しかしながら、この問題については、今後課税方式をめぐって、あるいはこのキャピタルゲインというものの例えば存在する税源の状況というようなこともあるかもわかりません。いろいろな問題が税制調査会の中で議論されると思います。そこで、私どもはそういった議論に即応しながら対処していきたいと思いますが、いろいろな課題があるだろうということは十分予想をされるところでございまして、委員が御指摘のように、必ず二〇%なら五%を課税するねという、そういう御質問に対しましては直ちにお答えしがたいということを申し上げたわけでございます。
  122. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それは、その方法論をめぐって税制調査会でいろいろあるでしょうね。だけれども考え方としては、地方財源充実のために利子課税と同じように地方税として還元してもらうようなことを自治省としては考えているかどうか、こういうようなことですよ。方法論というのは先の話なんです。頭の中にあるのかどうかということなんです。くどいようですが……
  123. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 かつて利子課税につきましても、地方税としてはなかなか課税できないという状態のときにおきましても、私どもとしてはそれを何とか課税したいという姿勢で参ったわけでございます。そうした地方税源に対する私どもの姿勢は全く変わっておりません。
  124. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 だから私の考えと一緒だと、こう理解してもよろしゅうございますな。
  125. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 姿勢につきましては全くそうでありますけれども、問題は非常に難しいだろうということを申し上げているわけでございます。
  126. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 姿勢が一緒ならいいですよ。方法論はまた後で考えましょう。  それで、大臣お戻りになりましたが、住民税減税ですね。これは先般も御質問いたしたわけでありますが、とにかく住民負担軽減、消費増大による内需拡大等を考慮して個人住民税の大幅な減税を実施すべきである、私はこのように考えております。時間がありますればと思うのですが、あと十分ということですので、私は、政府が、これは自治大臣も含めて本気になって六十三年度もこの減税の上積みをしていこう、一つは自然増収、一つは不公平税制の是正等々によってやっていこうと本気になって予算編成をしたならば少なくとも三千億円前後の住民税減税はできた、こういうふうに思います。時間があれば後でいろいろ言います。  切り離して質問をいたしますが、まず抜本改革における住民税減税については大臣としてはどうお考えになっておりますか。
  127. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先ほども申し述べましたように与野党間の減税合意事項が成り立っておりますし、それから内閣が昨年末に諮問をいたしました政府税調においてもそれぞれ、詳しくは報告を受けておりませんが、新聞報道によれば与野党間の合意以上のあるいは減税幅ということも今紙上をにぎわしているわけでございます。大きな意味減税の流れは定着をしてまいったというふうに感じております。  ですから、国税であるか地方税であるかは別として、住民の受ける、国民の受ける利益、こういうものを推しはかりますと、どちらが大きい方がいいか、どちらが少ない方がいいか、あるいはその比率はどうかという問題があろうかと思いますが、いずれにしても税制調査会その他の検討を踏まえて大幅な減税がされることが望ましいと考えております。
  128. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこでちょっと戻りまして、六十三年度の単年度の減税上積みという問題についていろいろお伺いをしたいわけであります。  一つは、六十二年度の地方税の増収見込みであります。昭和六十二年度の地方税の自然増収、これはさきの予算委員会におきまして、道府県民税の場合、地方財政計画を一兆数千億上回る見込みという御説明がありました。その後の景気上昇も反映して自然増収額はさらに増加しているものと思われます。わかれば市町村民税も含めまして六十二年度の地方税の対地方財政計画の自然増収額は幾ら見込むことができるかお尋ねをしたい。  それから、第二次補正後の地方税の自然増収でありますが、国税は二兆円とも言われております。地方税は、お聞きすれば、まだわかりませんよ、こうおっしゃるかもしれませんが、少なくとも昨日の国会答弁で経済企画庁の長官も六十三年度は三・八%いわゆる実質経済成長率が維持される、今年度は四%近い、こういう答弁もあったようでありますが、今後とも景気上昇が続いていく場合には相当な自然増収額が出てくるであろう、私はこのように思います。その辺のきちっとした数字を出せと言っても無理かもしれませんが、感覚的にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  129. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 今年度の地方税収入見込みにつきましては、確定的なことはもちろん申し上げる段階ではございませんけれども、これまでの税収動向からいたしまして、地方財政計画額であります二十四兆二千二百二十九億円を二兆円程度上回る二十六兆二千億程度になるのではないかというふうに見込んでおります。  なお、その後ますます状況がいいのであるからという委員の御指摘でございますが、私ども委員会で約二千億ではないかと申し上げたのは昨年の十二月の県税の徴収実績から申し上げたのですが、一月では若干下がっております。下がっておりますが、私がそのとき申し上げました約二千億程度ではないかというところあたりは余り変わらないのではないか、そう申し上げてよろしいんではないか、そう見込んでいると申し上げられるのではないか、こういうことでございます。  なお、地方財政計画額につきましては、地方税の修正は第二次補正というようなことで行っておりませんので、ただいまの二千億程度というのは地方財政計画額に対する増収の見込み額そのものでございます。
  130. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、第二点に私が申し上げたいのは、基準財政収入額の再算定による財源留保という問題であります。これは私、さきの補正のときにも申しましたが、地方交付税改正案で交付税特別会計借入金二千三百四億円をわざわざ繰り上げ返済することになった。これをやめることにして基準財政収入額を再算定をしたならば、これをそのまま六十三年度の財源として使える。だから私どもが言う適切な地方財政対策というものを行っていくべきであったと私は思います。  それから第三番目は、六十三年度の地方財政対策の不適性、これを指摘したいわけでありますが、この交付税の六十年度の特例措置額のうちの一部の二百三十億についてもこれは返済をされたわけなんですね。この特例措置額は、六十年度の国の財政見通しの誤りによる交付税の補てんのためのものだから、本来国に返済する必要のないものでありますし、仮に返済するとしても法律上六十年度以降に返済することになっていて、明確な期限の定めがありません。だから六十三年度返済の必要はない、このように私は思っております。  それから第四点は、国税の問題でありますが、とにかく相当な決算剰余金が出る。先ほど申しましたように二兆円くらい。その結果国税三税の決算剰余による交付税の精算増も相当な額が見込まれるのじゃないか。ちなみに六十一年度はこの精算増は五千七百五十四億円でありました。国税の当初の予算は前年度に比べて二・九%の伸びであったが、六十三年一月末の実績は、国税は九・一%の増になっているわけであります。  それから第五点目は、そういうことでありますから、六十三年度の国税についてもいわゆる発射台が高くなるわけでありますから、やはり国税三税の増加ということによって交付税の追加も可能だ。こうした事情は地方税も同様であって、発射台が上がったことにより六十三年度の地方税収入というのは地方財政計画の見込み額を相当上回る、このように考えております。つまり、財源の余裕ができてくるわけでありまして、単純計算をいたしますと、五千億から一兆円程度の財源は決して不可能ではない。やる気があれば、この自然増収、先ほど来申し上げておりますキャピタルゲイン課税の不公平税制の是正、こういうことによって六十三年度は三千億程度減税というものは十分可能である、こういう確信を私は持っております。  時間が参りましたので、最後に大臣の御答弁をお聞きして終わりたいと思います。
  131. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 その前にちょっと訂正をさせていただきます。先ほど六十二年度税収の増収見込み額を申し上げましたときに、二十四兆二千二百二十九億円を約二千億上回ると言い間違えたようでございます。二兆円上回る二十六兆二千億円くらいになる、こういうことでございます。
  132. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 せっかくの御意見でございますが、六十三年度の地方税税収見込みについては今後の経済動向を見きわめる必要があり、現段階で自然増収を見込むことは困難であり、また減税の財源としては恒久財源を充てるべきであることから、明年度さらに減税することについては慎重に対応しなければならないというふうに考えます。
  133. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りましたからこれでやめますが、やる気があればできたということを私は重ねて御指摘をしたい。それと、与野党税制協議を見守って、そこでもしきちっと合意されれば実施する、こういう御答弁もいただきましたので、残余の質問につきましては、また機会を改めてすることにいたしまして、持ち時間が参りましたのでこれで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  134. 松本十郎

    松本委員長 草野威君。
  135. 草野威

    ○草野委員 運輸省においでをいただいておりますので、初めにお尋ねをしたいと思います。  東京都の六市競艇事業組合、江戸川競艇事件、こういう事件を最近惹起いたしまして報道されております。この組合の幹部で参事をやっている人が、昭和五十七年から五十八年にかけまして不正を行いまして約二千二百万円もの金を横領した、現在取り調べ中、こういうことでございます。この事件につきましてお尋ねをしたいわけでございます。  いずれにいたしましても、全国の競艇ファンといいますか、大変な不信感をかき立てているわけでございますし、また公営ギャンブルに対する国民の信頼も失った。十分な反省から徹底した調査をぜひとも行っていただきたい。そういうことで、まず運輸省の方から、この事件の現在までの調査状況等についてお尋ねをしたいと思います。
  136. 野間耕二

    ○野間説明員 江戸川競艇場に関しまして二月末に事件が発覚したのでございますけれども報道によりますれば、本件につきましては、舟券の発売が締め切られてレースが始まってから、当時事務局次長でありました萩原次長が担当者に中央集計装置のコンピューターを操作させて当たり券の発行枚数をまずふやすようにデータを訂正させ、さらば予備の発券機からそこでふやしました当たり券を追加して発行していたということであります。さらに警察当局におきましては、今月の十二日、六市組合の萩原参事を業務上横領の疑いで逮捕したというふうに聞いております。  具体的な犯罪事実につきましては、現在捜査当局が捜査を行っておりますので、そちらの判断を待つ必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
  137. 草野威

    ○草野委員 私も新聞報道で見ただけでございますけれども、信じられないような事件なんですね。私も見たことないからよくわかりませんけれども、例えば競艇の券のその発売した状況をたしかすぐ表示ができるようになっているのが普通だと思います。これは競艇でも競馬でも競輪でも大体皆同じだと思いますけれども。そういう券の発売状況すらきちっとお客さんの方に見せてなかった、こういうような状況だったらしいですね。非常にずさんだったと思うのです。  それから、この事件が起きましてから、運輸省の方からこの組合に対しまして改善策というものを提出するように求めた、こういうことを伺っておりますけれども、その状況はその後どうなっておりますか。
  138. 野間耕二

    ○野間説明員 運輸省は、事件が発覚いたしました直後の二月二十七日に六市組合に対しまして、今回のような不祥事の再発を防止するために対応策をまとめて報告しろということで求めていたわけでございますが、三月十四日に同組合から報告書が提出されました。しかしながら、運輸省としてその報告書の内容検討したところ、具体性に乏しく十分な対策であるとは認められないという判断をいたしまして、六市組合に対しまして現在追加報告を求めているところであります。  なお、運輸省といたしましては、再発防止のためには、不正防止を図るための人事交流の活発化といったものを含めた組合内の管理体制あるいはチェック体制といったものを確立する必要があると思いますし、ただいま先生がおっしゃいましたように、競走場において発券の締め切り後発売票数の確定をして、発走からレース結果が確定するまで継続してこれを表示するといったようなことが最低限必要ではなかろうかと考えているわけであります。
  139. 草野威

    ○草野委員 大臣、東京都の六市競艇事業組合は自治省の指定団体なんですね。それで、今運輸省から報告のありましたようにこういう事故を起こしまして、その改善策を出すように命じられたのです。出すことは出したのですけれども内容が非常に抽象的なんですね。こういう問題を起こしながら、きちっとした具体的な改善策を出さないのです。しかも三月末で期限が切れるわけですよ。恐らくこれは間に合わない。こういうような団体は大臣も指定を取り消した方がいいと思うのですよ。  もう一つは、問題を起こした、もう名前が出ましたから言いますけれども萩原参事、この人は四年前にも三百万円の使い込みをやっているわけですよ。使い込みをやりながら現在まで幹部としての地位にずっととどまってきているわけです。こういうずさんな人事なんです。だからもうこういう汚職事件は起こるべくして起きているわけです。これはやはり自治省としても再発防止のためにきちっとした指導をしていただきたいと思いますし、公営ギャンブル、いい悪いの問題は別にいたしまして、ともかく大勢の国民人たちが、公共団体が運営する公正さ、また地方財政へ寄与するそういう公益性から行っていると思うのです。したがって自治省としても、地方公共団体を指導する上からも、また地方公務員の綱紀粛正といった点からも、今後しっかりと指導していただきたいし、この問題にも決着をつけていただきたい、この点を大臣にお願いをしたいと思います。
  140. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 このような不祥事件が起きましたことは大変残念なことでございます。地方公共団体が行うこの種のものについて信頼感がなければやっていけないわけでございますから。どうしてこういうことが起きたかもろもろのことを考えてみますと、まずは綱紀がたるんでいる点、それから技術的にもそういうことが可能であったということ、これは大変残念なことでございますので、一日も早く具体的な改善がされ、信頼が回復されることを願うのみであります。
  141. 草野威

    ○草野委員 では、次に固定資産税の問題について若干お伺いしたいと思います。運輸省の方、どうもありがとうございました。  初めにお尋ねしたいことは、いよいよ来月、四月十一日から三十日までことしの固定資産課税台帳の縦覧が始まる、こういうことを伺っております。ことしはこのように地価の上昇ということでかなりいろいろな問題も出てくるような感じがしてならないわけでございます。三年前の状況を見てみますと、三年前ですら全国的にいろいろとございました。例えば富山県の場合には、固定資産の評価をめぐりまして、近隣市町村に比べて評価額が高過ぎる、こういうような問題が出まして、固定資産の評価審査委員会に申し立てましたけれども却下をされまして裁判に持ち込まれまして、最終的には市側と和解が成立をした、こういうような事件もございました。また、奈良県におきましては、これは同じ市内で土地の評価額の決め方に不公平な点がある、こういうことから不服審査を申し立てた、こういうような事件がございまして、これはやはり裁判の結果、大阪高裁では住民側が勝訴いたしましたけれども、現在は最高裁で争っておる、こういうような事件もございました。今私二つの事例を申し上げましたけれども、この初めの方の事例につきましては、これは固定資産の評価額につきまして近隣の市町村との間にギャップがある。それから後の方の事例は、同じ市内に住んで同じような宅地に住んでいてもギャップがある、こういう問題を私は今申し上げたわけでございます。  そういう中でことしこれから行われるわけでございますけれども、東京、大阪、大都市の場合にはさまざまな問題が予想されるわけでございます。例えば東京では、台帳を市民が縦覧してそれから固定資産評価マップをつくろう、そしてそれを持ち寄って、いろいろ問題があったらそれをもとにして審査委員会に不服を申し立てよう、こういうような動きもあるやに聞いております。また、やはりこれは東京でございますけれども、こういうような話も出ております。幾ら地価が上がっても自分は売る予定がない。その売る予定のない住宅地に対して、価格が上がったからといって評価額を上げるというのは一体どういうことかというような苦情も出ているようでございます。そういうことで、ことしはこの固定資産税の評価額をめぐりましてさまざまな問題が予想されるわけでございます。  そこで、初めに局長にお伺いしたいことは、この固定資産税の評価の方法につきまして、現在どういうような形で評価を行っているのか、まずその点をお尋ねしたいと思います。
  142. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 固定資産税のうち、御指摘の点は恐らく土地の評価の問題ではないかと思います。  土地の評価につきましては売買実例価額に基づいて評定する、こういう基本的な方式でございます。しかしその場合に、法律には時価と書いてありますが、それは固定資産評価基準によりますと、不正常な要素を除いたいわば正常なる価格というものを求める、こういうことでございます。売買実例価額あるいは売買実例価額がない場合には精通者価格、もちろんその参考といいますか、その精通者価格と同じような位置づけで公示価格、そういった価格を収集いたしまして、その間の均衡をとるようにいたしまして、同時に不正常要素を排除して正常なる時価を求める、こういうような方式によりまして土地の評価を行っているわけでございます。
  143. 草野威

    ○草野委員 現在我が国におきまして三つの評価方法が行われているわけですね。このことにつきまして昨日、新行革審の、いわゆる土地臨調と言われておりますけれども、土地対策検討委員会、ここがこういう点を明らかにしております。それは、現在の地価公示、相続税路線価、それから固定資産税評価、こういうふうに三つは分かれている公的土地評価制度、これを見直すように政府に求める方針を固めた、こういうようなことが発表になっているわけでございます。  確かに、ここにありますように現在この三つの方法がございますけれども、この内容を見ますと、それぞれ公示価格の場合は「正常な価格」、こういうふうに言われておりますし、路線価の場合は「時価」と言われておりますし、そしてまた自治省固定資産税の評価は「適正な時価」、どれも同じような表現で言われておりまして、受ける国民の方はどれが一体本当の正しい時価なのか全然見当がつかないわけでございます。また、この内容一つ一つ見てみましても、公示価格は実際の時価に一番近寄っている、路線価の方は公示価格の約七割くらいであると言われておりますし、また固定資産税の評価は公示価格の二割から三割程度、こういうようなことも言われておるわけでございまして、実際何が何やらさっぱりわからない。そういうことで、今回土地臨調が、現在この三つに分かれている評価方法について見直しを政府に求めてきた、こういうようなことがきょうの新聞でも明らかになっているわけでございます。  そこでお尋ねしたい点は、この三つの評価方法について、やはりこれを一つにまとめる方向で今後は検討すべきではないか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  144. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 地価公示価格及び地価調査価格は、その目的が一般土地取引におきます指標として示されるものでございます。それに対しまして相続税評価額あるいは固定資産税評価額は、ともに税負担基礎となる課税標準としての価格を求める、こういう目的を有しておりまして、また、その中でも相続税は、相続があった際一回限り課税されるものでございまして、それは場合によってはその土地を処分して払うということも予想される、そういう前提としての評価といいますか、性質を持った相続税の評価でございます。これに対しまして固定資産税は毎年課税されるということでございまして、これらの間にはそれぞれ制度の目的や性格において相違がありまして、この基本的な相違にかんがみますと、それぞれの目的や性格に適合した価格が求められて、その結果としてこれらの間に差が生ずることもやむを得ないということが考えられます。  これを一元化するということは大変困難であるというふうに考えるところでございますが、ただいまも御指摘がありますように、臨調におきましてもいろいろこの問題につきまして、各評価額の間の関連性といいますか、あるいはそのつながりといいますか、そういったようなものも含めて、どういうふうな検討がされ得るか、そこら辺は十分検討すべきではないかというふうな御趣旨とも受け取れます。ともあれ、固定資産税の評価のあり方につきましては今後とも研究をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  145. 草野威

    ○草野委員 この点は十分にこれからも検討していただきたいと思います。  このうち、相続税の路線価の方は公表されているわけでございますけれども固定資産税の方は本人しか課税台帳の縦覧とか異議の申し立てができない、このようになっているわけですね。この問題でございますけれども、昨年も実は固定資産税の台帳の縦覧ということでお尋ねをいたしました。第三者、例えば借地人とか借家人、こういう方たちも固定資産税台帳を縦覧するようにすることができないか、こういうようなことでお尋ねをいたしましたけれども、現在は難しい,たしかこういうような御答弁であったわけでございます。確かに、最近のような地価急騰の中で評価がえが行われているわけでございますけれども、やはり固定資産税が上がる、それに伴って地代家賃も当然上がってくることは予想されるわけでございますし、それだけではなくて、やはり便乗値上げということも予想をされるわけでございます。こういう便乗値上げを防止するためにも、借地や借家人の人たちは土地や家屋の評価額を正しく知ることも非常に大事なことじゃないかな、このように思うわけでございます。  そこでお尋ねしたいわけでございますけれども地方税法の第四百十五条の一項「固定資産課税台帳の縦覧」というところに「関係者の縦覧に供しなければならない。」という一項がございますが、この「関係者」というところに借地人や借家人が含まれるのか含まれないのか、この点をひとつお尋ねしたいと思います。
  146. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 固定資産課税台帳は固定資産税を賦課するための基本的な帳簿でございます。そして、そういう趣旨で市町村は備えられる、こういうことでございます。土地登記簿や建物登記簿は公示のためのそういう性質を持ったものでございます。それで、固定資産課税台帳は土地登記簿や建物登記簿に登記されている事項のほかに固定資産の価格あるいは課税上の事項が登録されている、こういうことになるわけでございます。  このように固定資産課税台帳には個々の固定資産につきまして評価額等が明示されておりまして、これを借地人や借家人など第三者が縦覧するということになりますと、納税者の意思に反しましてその財産上の秘密を市町村が漏らすということになりますものですから、納税者本人の委任を受けた者等以外の者に対して固定資産課税台帳を縦覧させることはできないものと考えておるところでございます。  しかし、市町村が、ただいま御指摘がありました借地人や借家人から相談を受ける、あるいはそういう人たち立場というものがどうであるかということについては、これはまた当然御指摘のような面があるわけでございまして、相談を受けた場合には、その参考となりますように当該地域におきます平均的な評価上昇率あるいはそれに伴う税負担の増加の程度を説明するなど、実情に応じた相談を行いますように市町村には指導しているところでございます。こうしたことによりまして、個人の財産上の秘密を漏らすということではなくて、一般的なそういう借地人、借家人の方々に対する固定資産税の動向といいますか評価の動向といいますか、そういったものもおわかりいただけるような方法で対処してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  147. 草野威

    ○草野委員 先ほどの臨調の答申の中にも、具体的に非公開の固定資産税評価を公表し云々と、こういう項目があるわけですね。したがって、そういう方向にやはり進みつつあるのではないかと思うのですね。ぜひともこれはひとつ今後も検討していただきたいと思うのです。  そこで、今のお話でございますけれども、確かに第三者にむやみやたらに台帳を縦覧させるということはいろいろ問題があろうかと思いますが、例えば公的機関の証明書、そういうところの証明書を持参した者については縦覧をさせる、こういうことはあってもいいのじゃないかな、こういうことをぜひひとつ検討していただいて本年から実施をしていただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。
  148. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 公的機関の証明書というものをどういうことを想定しておられるかわかりませんが、この人はどこどこの借家人であるという証明というのを公的機関で証明するということ自体もなかなか難しいと思いますけれども、仮にそういう証明があったといたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、これは課税のための台帳であることとあわせて、この「関係者」という言葉を解釈いたしますと、やはり納税者あるいは納税者の代理人であるとか、そういった立場にある者というふうに読むということが相当であろうというふうに考えるわけでございまして、その趣旨とされますところの借地人あるいは借家人の立場に立っての相談ということは、先ほど後段申し上げましたように、その地域における平均的な評価上昇率だとか税負担状況というものをその方方にお示しして、そしてその参考に供するあるいは納得いただく材料としていただく、こういうようなことが適切ではないか、そういうことで市町村を指導してまいりたい、こう考えているところでございます。
  149. 草野威

    ○草野委員 これは臨調の趣旨からいいましても、ぜひともそういう方向でひとつ検討をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、この固定資産台帳のことでございますけれども、普通台帳を見ても、評価額、それはそのものはわかりますけれども、どうしてそういう額になったのか、こういうことは一般の人たちが見ても恐らく大概の人はわからないと思うのですね。住民税だとかほかの税金だったら、自分の収入は幾らだから幾らになるということはすぐ出てくるからわかるわけでございます。固定資産税の方は、この評価額は常に一方的に決められてしまうわけですね。全然わからないわけです。この基礎になるものは、個別に役所の方に伺っても恐らく教えてはくれないと思います。これは非常におかしいと思うのですね。これは幾ら評価額が時価より安いんだ、こう言ったってそれは通らないと思います。したがって、こういうことだと税制の基本である公正、こういうことを害することになるのではないかな、こういうふうに私は思います。したがって、住民の方から台帳についてそういう要求があった場合には、市町村は評価額の算出方法について教えてあげる、このようなことがあってもいいのじゃないかな、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。
  150. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま委員指摘のとおりでございまして、そうした住民の声というものが、台帳の縦覧のときも近隣の評価額というものも見せてもらいたいということなのだろうと思います。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、それぞれその隣の人はどうだというのは、やはりその人の個人の財産上の秘密に属するものですから開示できないというのが現在の制度でございますが、それではやはり自分の評価というものはどういう水準にあるのかわからないといぅことでございます。そこで私どもは、その場合にはその納税者当人の評価の基礎となった近くの基準地または標準地の路線価、そういったものをお示ししてそしてそれによってその方が判断できるように、そういう便宜を図るべきだということでこれもまたそういう指導をしております。この辺は十分に市町村に徹底していないということであるならば一層今後とも指導を強化して徹底してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  151. 草野威

    ○草野委員 実情は徹底されておりませんので、ぜひともひとつ徹底方をお願いしたいと思います。  それから、先ほど評価方法についてお話ございましたけれども、大体すべての土地は売買実勢価格をもとにして一律に評価する、こういうような意味のお話がございました。確かに現行法では財産税だから当然だと思いますけれども、ただ売る予定がなくとも地価が上がった場合には高い税額を払わなければならない。一方値上がりを期待している、例えば法人の人たちですね、こういう人たちにはこれは非常に結構なことなのですけれども、やはり固定資産税の性格をいろいろ考えた場合に、その使用目的だとか、それから使用の実態だとかそういうものに応じた評価方法も考えられるのではないかな、このように思うのです。例えば農地です。農地は使用目的や使用実態に応じて課税されるわけでございまして、一般の小規模の宅地についても同様な評価方法があってもいいのじゃないかな、こういう検討をされたらいかがでしょうか。
  152. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま御論議になっているのは固定資産税でも土地の問題でございますが、御指摘にありましたように土地についての評価というものは売買実勢価格による、その農地というものが農地として売買されるということがその農地としての課税前提でございます。そういうことからいいますと、その農地としての評価額というものがそこで出てくる、こういうことなのでございます。  住宅のお話がありましたが、住宅につきましては、小規模住宅用地、これを四分の一にする、四分の三は軽減するということでございますから、そういう課税標準の特例で対応をいたしております。したがいまして、そういう対応もしているんだから、もうそこは乗り越えたんだから、さらにもう少し行けるのではないかという議論になりますと、そこはやはり固定資産税の持っております性格から考えますと、事業用の資産は小規模住宅用地のいわば四倍の負担をしているわけでございまして、そうした状況というものをこれ以上差が広がっていくということは、資産課税としての性格から見まして適当ではないのではないか。この四分の一の特例というのは当面維持をしていくということが必要だと思いますけれども、そういう状況格差というものはやはり維持をしていかなければいけないのではないか、それ以上の差は設けるべきではないというふうに考えているところでございます。  なお、そうした中におきまして、固定資産税につきまして、売る目的がないのに上がっていって大変だ、こういう特に住まっておられる方々議論があることはよく承知しております。しかしこれもまた、人いろいろな見方がございまして、そういう家に住んでおられる方、借家に住んでいる人、それから同じように広い住宅でも田舎の住宅に住んでいる人と東京の資産価値の高いところに住んでおられる方々、そういう方々の間におきますところの負担の公平論ということになりますと、おのずからそこにはそれに応じた負担ということがあってしかるべきではないか。こういうことを考えますと、固定資産税の側面からはそうした資産価値に応じた負担をお願いするというのが筋ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 では次に、法人に対する固定資産税の問題についてお尋ねしたいと思います。  これは昨年の九月、国土庁が発表をしておりますが、昭和六十一年度土地取引動向等特別詳細調査、こういうものが公表されております。これを見ますと、昭和六十一年度の調査でございますが、東京都心の十一区、土地取引が全部で二万一千四百八十六件行われております。このうち法人の取引が一万二千九百九十二件ということで、六〇・五%、六割が法人の取引であったわけでございます。また、この中で二回以上転売した取引、いわゆる土地転がしといいますか、二回以上転売した件数は三千四百十四件ございます。このうち法人が取引したのは二千九百九十九件、八七・七%、こういうような数字が出ております。二回以上転売、ほとんどは土地転がしと言われているわけでございますけれども、そのうち法人が八七・七と、九割近いものが法人によって取引が行われているわけでございます。この数字から見ただけでも、いわゆる金余り現象を背景にして、土地転がしによる利益を見込んだ東京全域にわたる地上げや投機的な取引を行った結果というものが想像をされるわけでございます。  そこでお尋ねしたいわけでございますが、法人の場合はどちらかといいますと、土地を買っても、借金して土地を買えばその金利は大体経費として節税になる、それから固定資産税の場合は、これも経費として、税額のアップの影響は非常に少ない、こういうことになろうかと思います。また、土地の値上がりによる含み資産というものは、所得課税ではこれは把握はされませんけれども固定資産税の強化によって捕捉されることは可能だと思います。そこで申し上げたいことは、この固定資産税について法人と個人と分離をしたらどうか。分離をして、法人に対しては時価で評価をする、また負担調整措置は行わない、以上のような措置をぜひともひとつ検討してみたらどうか。税目をはっきり分けてやれば、これは違う取り扱いも可能ではないかな、私はこのように思うわけでございます。  いろいろな財源論も先ほどから行われておりますけれども、例えば固定資産税、六十三年度の予算を見ますと、土地は約二兆一千億円になっているわけでございます。正確には改正法による収入見込み額は二兆一千三百七十二億円、このようになっております。これを法人と個人に分けて見てみますと、これは昭和六十一年度の実績からの推計でございますけれども個人が五七%、法人が四三%納めている計算になります。それから見ますと、この二兆一千億円のうち法人が約九千億円ということになるわけでございます。先ほどの固定資産税の評価額が公示価格の約四分の一ということになりますと、これの四倍したものが固定資産税、これは大変膨大な額になるわけでございます。これをそっくり固定資産税として徴収することは到底無理なことでございますが、何らかの方法を検討しながら、法人に対する固定資産税の時価評価、こういうことを検討したらいかがでしょうか。提案でございます。
  154. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 法人についての土地の固定資産税についていろいろ御検討になって御提案でございます。  そうした綿密な御検討にもかかわらず、固定資産税の一般論をまた申し上げなければならないわけなのでございますが、固定資産税というものはやはり住民の生活環境を維持向上する施策を行っている市町村の基幹的な税金である、こういう基本的な性質と、それから資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目いたしまして、その資産を所有することに担税力を見出して資産価値に応じて課税される物税として構成される、こういうものでございますから、このような固定資産税の性格にかんがみますと、資産の所有者がどういう人であるか、その場合は個人であるか法人であるかということも含みますが、それによりまして評価や税負担に差を設け、法人に特別の税負担を求めるということは適当ではないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。  ただ、委員の御指摘のような点は若干現在の制度の中でも、先ほども申し上げましたように住宅用地について、小規模住宅用地は四分の一の課税標準の特例というようなことをやっておりますので、そうしたことを加味いたしますと、実際の固定資産税の評価ベースでの個人、法人の割合よりは、先ほど御指摘個人、法人の割合ははるかに法人に偏っておりまして、そういう意味におきましては四分の一の小規模住宅用地の特例という、そういう課税標準の特例を通じまして実質的にはかなり法人の方にシフトして負担を求めている、これは事実でございますが、基本的な考え方は、固定資産税を分解して法人固定資産税あるいは個人固定資産税というような構成にはなるべきものではないというふうに考えております。
  155. 草野威

    ○草野委員 今四分の一の特例措置、軽減措置、こういうお話がございました。この特例措置はたしか昭和四十年代の列島改造ブーム、このときも地価が非常に高騰いたしまして、このとき対処するためにこういうような措置がとられた、このようなことを私も聞いております。そういうことであるならば、あの当時と比べますと現在は狂乱地価、こういうような表現も決して私はオーバーな言い方ではないのじゃなかろうかと思います。そういう意味では、この四分の一という軽減措置は恐らく六分の一ぐらいにしてもいいのではないかな、このように思います。御検討ください。  それからもう一点は、二百平米を超えるものについては二分の一という特例が現在ございます。これについては現在青天井になっているわけですね。これについても一定の限度を設けて、そのかわりにその分を小規模宅地の方の軽減分に充てるようなことは考えるべきじゃないでしょうか。
  156. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 まず現在の二分の一、四分の一の特例ができた時代を考えてみますというと、それにさかのぼる評価がえの状態を想起していただきたいわけですが、三十九年の評価がえは実に六・三倍なんですね。今度は一六%、基準地でございます。当時の、三十九年の評価がえは六・三倍、四十五年の評価がえは二・四倍、それから四十八年は一・八倍ですから約二倍。こういうような状態のときの置かれた状況と今回置かれているような評価がえの状況とは全く違うというふうに私ども考えます。したがいまして、土地に対する固定資産税負担の姿というものは、結局全体として固定資産税市町村の租税負担のうちどれだけのものを求めていくのが適当なのか、あるいは固定資産税のうちでも土地にかかわる税金としてどういうふうにあるべきかというような、そういう基本論があるのだろうと思うのです。そういう観点から私どもは、国民所得対比でどうなっているかとか、諸外国と比べてどうか、これは必ずしも決め手にはなりませんが、あるいは市町村税収に占める割合はどうかというようなことも考えながら、また税制調査会もそういった点を見ながらいろいろ御答申、御審議をいただいておるという状況でございます。  それから第二番目にお話がありました二分の一の特例の方でございますが、これは上物であります家屋の、住宅の床面積の十倍までということになっております。これは、東京に住んでいる人間、私どもも首都圏に住んでいる人間の一人でございますが、しかし日本国じゅう見渡しますと、地方は住んでおられる方々立場というものを相当考えてみなければならないわけでございます。そうした地域におきましては、それこそ土地の資産価値というものはそう大きくない。しかし、伝統的にかなり大きな土地の上に床面積だけは大きな農家が建っているというような問題があります。そうした点にも対処いたしまして二分の一の特例ができているわけでございまして、その辺はバランスをとってそういう措置をしたという経緯がございます。そういう点もお考えを賜りたいと考えておるところでございます。
  157. 草野威

    ○草野委員 先日の委員会のときに地価の動向につきまして大臣お尋ねをいたしました。大臣は今後長期低落傾向が続くように努力をしたい、こういうような御答弁がございました。  今月発表になりました国土庁の地価動向調査というのがございます。首都圏の四都県の監視区域内、これは昨年の十月一日から本年の一月一日までの三カ月間の調査結果でございます。これによりますと東京はマイナス〇・八%になっております。神奈川が一・五%、埼玉が〇・六%、千葉が四・九%。この数字を見る限りようやく鎮静化の方向、こういう表現でも間違ってはいないのじゃないかな、このように思います。ただ、本年実施される評価がえは、調査時点が昭和六十一年七月一日であったわけでございますので、それ以降の地価の上昇は反映されていない。それ以降の一年間は平均して約二倍上がっているわけでございます。そんなところから考えまして、確かにこのまま下落するのか、高値安定になるのか、また上がるのか、見当はつきませんけれども、恐らく今後急激な下落がない限り次回の昭和六十六年度の評価がえのときには税額のかなりの上昇が予想されるわけでございます。そのときには恐らく相当な混乱が起きるのではないか、こういうことは私も考えているわけでございます。したがって、この固定資産税についてはやはり見直しをすべきじゃないかな、このように思いますが、この点について大臣お尋ねをしたいわけでございます。  固定資産税の税の性格とか、土地の供給や地価との関係、また評価のあり方や負担調整、法人課税、いろいろな問題がたくさんあると思います。今回のような異常な上昇の中でいろいろな問題が今クローズアップされてきていると思うのです。それにもかからず、今回の改正案では従来のやり方がそのまま踏襲されているわけですね。オーバーな言い方をすれば、明治以来のやり方がずっと踏襲されてきて全然改正されていない。やはりここら辺で抜本的な固定資産税税制改革に取り組むべきじゃないかな、このように思いますが、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  158. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 これから特に都市部の地価が長期低落傾向にあることを期待するわけでございますが、確かに今年度の見直しはそれほど、それほどと言うと大変言葉が過ぎるかもしれませんけれども、昨年のことを考えますとことしの見直しはさほどでないという表現がいいかどうかわかりませんが、そういうことでありますけれども、三年後はこの状態が続けば特に都市部において大変混乱が起きるという感じもいたします。  ただ、固定資産税の性格、こういうものを踏まえ、それからもう一つ全国ベースで考えなければならない問題ですから、都市の地価が高騰して地方の地価が例えば極端なことを言って下落をしているのに、都市部だけにそういうことを行うことができるのかどうなのか、あるいは地方をどういうふうに取り扱うのかという一つの公平性の問題があろうかという気もいたします。ですから、都市部の特に中心部、商業地域において時価が相当高騰をするならば、必ずしも時価スライド方式ではございませんのでその辺のことも考えなければなりませんし、三年はあっという間に過ぎてしまいますから検討を重ねていかなければならない問題であるというふうに認識をしております。
  159. 草野威

    ○草野委員 では最後に、市街化区域内の農地に対する宅地並み課税の問題について一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  今回の地方税法改正案を見ますと、特に農地の宅地並み課税については負担調整を除きましてほとんど改正がない、大体そのように思うわけでございます。大都市圏の宅地供給対策といたしまして、宅地並み課税の強化ということを例えば日経連におきましても不動産協会におきましても国土庁におきましても主張しているわけでございます。また前川リポートを読みましても土地対策の重要性というものを具体的に指摘しているわけでございます。いずれの主張を見ましても、宅地並み課税が原則となるように運用を図るべきだ、こういうことを主張しているわけでございます。そういう中で今回の改正案を見ますと、ほとんど改正に手がつけられていない、こういうような状態でございます。  そこでお尋ねしたいことは、五十七年は認定した長期営農継続農地につきまして、五年後の市町村の確認作業でその約二割が要件に該当しなくなったということで認定が取り消されたわけでございます。二割というとかなり大きいわけですね。これはどういう理由で取り消されたのか、また理由別の面積がわかればお答えをいただきたいと思います。
  160. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 市町村から私ども調査しておりますのは、ただいま御指摘がありましたような件数ということでとっております。理由は、法律で長期営農継続農地として認定されるための要件といたしまして、その要件に合致するものとして農地課税審議会の議を経て市町村長が認定するわけですが、それに欠けるようなことになった場合に認定取り消しということになるわけです。認定取り消しになりますと、徴収猶予していた宅地並み課税との差額の税額をさかのぼって徴収する、しかも加算金をつけて納めてもらう、こういう仕組みになっているわけでございます。  それで、取り消し件数というのはかなり多いわけでございまして、ただいま御指摘のとおりですが、約二万件ぐらい取り消しになっているはずですが、その半分ぐらいは徴収猶予制度によりさかのぼって徴収されるということなしに、そのまま認定が取り消されるということになっております。それはどういう場合かといいますと、例えば本人が死亡した場合とか、土地収用で土地が収用されたために農業が継続できなかったときとか、幾つか要件があります。そういう場合だけは別といたしまして、それ以外は大概宅地にして売ってしまうとか自分で宅地化して使うということでございますから、その場合は徴収猶予していた税額を遡及して徴収する、こういう仕組みになっているわけでございます。
  161. 草野威

    ○草野委員 この五年間で二割取り消しになったのは非常に大きい。これを毎年チェックするようになればもっと大きくなってしまうと思いますが、この割合から考えてみると五年後の見直しというのはどうかな、少し長過ぎるのではないか、もっと短縮をすべきではないかというふうに思うのです。今農地課税審議会のお話が出ました。この審議会で当初は調査、審議ということをやるわけでございますけれども、五年目の確認の際にはやらないわけです。これは地方税法改正して、五年目の認定のときにもこの審議会が調査、審議をおやりになるようなことを検討したらどうかな、このように思いますので、この点についてひとつ御検討いただきたいと思います。  答弁はまとめていただいて結構でございますが、先ほどから申し上げましたように、この明治以来の固定資産税制はぜひともこれを機に抜本的な改革を御検討いただきたい、このことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  162. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま御指摘の、毎年見直せばそれだけ実効が上がるではないかという点についてはそのとおりでございまして、実は昨年、通達による指導を強化いたしまして、毎年見直しを実施するようにという指導を改めてしたところでございます。それから農地課税審議会も今までは書類の審査ということが主でございましたけれども、どうも営農継続ということについては、本当にまじめにやっている農家と税金を安くするために形ばかりやっている農家との不公平論が一番だと思うのでございます。そうするとこれは、具体的な状況を本当にそこで精通している人がしっかり見ていただくということが一番大切なところでございまして、農地課税審議会の委員さん方にもできるだけ現地を見ていただきたいということで、これも機能の充実強化を図るように指導強化をしたい、こういうことでお願いをしているところでございます。なお一層そうした指導を強めたい、こう考えます。
  163. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  164. 松本十郎

    松本委員長 次回は、明二十五日金曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会