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1988-05-13 第112回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十三日(金曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       今枝 敬雄君    江口 一雄君       遠藤 武彦君    金子 一義君       熊谷  弘君    笹川  堯君       杉山 憲夫君    鈴木 宗男君       園田 博之君    戸塚 進也君       葉梨 信行君    鳩山由紀夫君       堀之内久男君    村井  仁君       村上誠一郎君    山本 幸雄君       上田 卓三君    沢田  広君       野口 幸一君    早川  勝君       堀  昌雄君    武藤 山治君       橋本 文彦君    日笠 勝之君       森田 景一君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  平沼 赳夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省証券局長 藤田 恒郎君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省銀行局保         険部長     宮本 英利君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   藤波 孝生君     熊谷  弘君   堀之内久男君     鈴木 宗男君   山中 貞則君     園田 博之君 同日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     藤波 孝生君   鈴木 宗男君     堀之内久男君   園田 博之君     山中 貞則君     ───────────── 五月十三日  新型間接税導入反対に関する請願五十嵐広三紹介)(第二五七五号)  同(五十嵐広三紹介)(第二六五四号)  同(五十嵐広三紹介)(第二七〇二号)  同(安井吉典紹介)(第二七〇三号)  新大型間接税導入反対に関する請願森田景一君紹介)(第二五七六号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二六四三号)  同(矢追秀彦紹介)(第二六四四号)  同(関山信之紹介)(第二七〇一号)  大型間接税導入反対に関する請願金子みつ紹介)(第二五七七号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二五七八号)  同(中島武敏紹介)(第二五七九号)  同(岩佐恵美紹介)(第二六四六号)  大型間接税導入反対、大幅な所得減税に関する請願清水勇紹介)(第二五八〇号)  同(馬場昇紹介)(第二五八一号)  大型間接税導入反対に関する請願沢藤礼次郎紹介)(第二六四五号)  新大型間接税導入反対国民本位税制改革に関する請願石井郁子紹介)(第二六四七号)  同(経塚幸夫紹介)(第二六四八号)  同(東中光雄紹介)(第二六四九号)  同(藤田スミ紹介)(第二六五〇号)  同(正森成二君紹介)(第二六五一号)  同(村上弘紹介)(第二六五二号)  大型間接税導入反対等に関する請願外一件(中村正男紹介)(第二六五三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出第七九号)  金融先物取引法案内閣提出第八〇号)      ────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 昨日参考人の方に来ていただきまして、この議題になっております証券取引法改正金融先物法律案について参考人皆さんの御意見をいただきました。おおむね参考人皆さんは私が考えておりますと同じ方向のお答えをいただきましたので、本日は、この昨日の参考人との質疑を踏まえながら、大臣及びその他の皆さん論議を進めたいと思います。  実はちょっと担当者の方の御都合がございますので順序を変更してお尋ねをするのでありますけれども、今度証券取引法改正の中にインサイダー取引の問題が取り上げられました。先般の事件がございましたときに、これまでも既によその国からはどうも日本インサイダー取引についてルーズであるということを私もかねがね聞いておりましたけれども、やはり何か問題が起きませんと端緒がなかなかつかめないということであったのでありますけれども、幸か不幸かそういう問題が発生をいたしました。そこで大蔵省当局としてはこの問題を頭に置きながら新しいインサイダー取引規制処理が今回法案として提案されておるわけでございます。  そこで、インサイダー取引という問題につきましては、確かに、今度法律ができましたら、この法律に定められておることを確実に実行ができなければ、法律はつくったけれども、仏つくって魂入らずということでございましょうか、かえってこれは法律がありながらどうなっているんだというそしりを免れないという問題がございます。  そういう意味で、私は、インサイダー取引の問題につきましては実は幾つかの問題がある、こう考えておりまして、その一つは、企業間の内部における問題がございます。その企業間の内部における問題と申しますのは、証券会社は御承知のように引き受け業務ができますので、この引き受け業務というのと発行会社との関係で、いろいろな情報を受け取りながら、そこの会社が増資をいたしますとか、転換社債とかあるいは社債を発行するとか、いろいろな対応をするのについては引き受け部分が担当するわけでありますから、ここにはそういう企業内部情報はおおむねわからなければ仕事ができない、こういう部分だと思います。ところが、今度はブローカーの方は、もしそれがわかっておってやるのならこれはインサイダー取引、筒抜けで処理がされるということになるのでありますから、当然ここに、最近の外国流の言葉を使いますと、チャイナ・ウオールというのがはっきり立てられなければ、まず内部における問題で処理ができない。一番可能性の高いのは、企業内部におけるインサイダーの問題というのが一番問題が起こる可能性の高い問題である、こう私は認識をしておるわけであります。  内部における問題だけでなくて、後からいろいろ触れるのでありますけれども、そういう問題を調査していくということのために、実はアメリカSECは、この前ルーダー委員長お話をいたしましたときに、六百人の調査員をもって調査をやっておる、こういうお話でございました。  ちょっと最初証券局長、今現在の可能な調査員として大蔵省が配置できるのは何人ですか。
  4. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 現在、インサイダー取り締まりに当たれる者として、予算上の定数または実員等を勘案いたしまして、これを総動員すれば何人かということにつきまして、流通市場課職員が十七名おります。全国証券取引所監理官、これが十一名、そのほか検査官といたしまして、本省の検査課及び財務局の証券検査官、これが百三十八名でございます。合計いたしますと、百六十六名ということになります。
  5. 堀昌雄

    堀委員 実は、これから今のインサイダーの問題を少なくとも法律が定めたようにきちんと執行してまいりますためには、確かに今お話のございました百六十六名というのは決して少ない人数ではないと思いますけれども、私はこの問題というのは最初が肝心だと思うのです。だんだん人数をふやしていってどうこうするという話ではなくて、最初にきちっとルールを決めてシステムができればその問題の処理は非常に簡単にいきますけれども最初にルーズなスタートでいけば、ここらまではいいのだなというような既成事実ができて、言うなればこの法律が空洞化するおそれがあるというのが今の私の考えでございます。  しかし、今国も財政問題では、財政収入が、少し自然増収等ありますけれども、私は今の人員その他をどんどんふやせばいいなどというふうに安易にこの財政問題で考えているわけではございません。ございませんが、これから私が申し上げる提案に沿って考えていただきたいと思いますのは、これは大臣大蔵省だけで調査をすればいい、検査をすればいいという問題ではないと私は考えておりまして、当然証券取引所としての公正取引を担保する責任が証券取引所にございますので、証券取引所が自主的に処理できるだけのスタッフというものを新しい法律の施行に伴って証券取引所考えてもらいたいとまず第一に考えるわけでございます。  第二は、これは単に証券取引所が外部から処理をするだけではなかなか簡単にまいりません。そこで、証券業協会というものが設けられておるわけでございますから、全国証券業協会の中に自主規制をきちんとするための機構をつくってもらって、そこにもスタッフをきちっと配員をしてもらいたい、こういうふうに私は考えているわけでございます。ですから、そういう意味では、まず証券取引所の中にインサイダー取引防止に関する委員会というようなものをつくっていただいて、そこで証券取引所独自として調査機能がある程度持てるようなふうにしてほしいと思っているわけでございます。同時に、証券業協会の中にもインサイダー取引防止委員会というようなものをつくっていただいて、そして証券業協会として実は自主規制の形でそれをコントロールする。ですから、国の検査官取引所調査員、それから証券業協会調査員、こういうものを総合して、アメリカのように六百人とはいかないでありましょうけれども、少なくとも常時動ける人間が三百人ぐらい最初にあってもしかるべきではないだろうか。そうして、その証券業協会は収益が上がって今大変いい時期でございますから、各企業が金を出し合って、そのためのインサイダー取引防止委員会自分たち証券会社人間ではなしに専門的な者を新たに採り、訓練をして、取引所調査にも協力をし、大蔵省調査にも協力ができる、こういう形で、三段階でひとつ調査機構をつくったらどうか、こういう考えなんでございますが、先に事務的な答弁を求めてから、大臣の御答弁をいただくことにいたします。
  6. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 このインサイダー取り締まりにつきまして体制をきちっとするようにという御指摘は、まことにごもっともだと存じます。私どももそういう点につきましてこれからも十分配慮してまいるつもりでございますけれども、まず御指摘のございました証券取引所取り締まり体制でございますが、既に現在、売買審査部、あるいは毎日の株式動きモニターをしておる株式部というところに百七十名余りのスタッフを配置しております。これらの者が毎日の株価の動きを眺めて異常なものがあれば売買審査部の方でさらに細かく調査をするという体制になっておるわけでございます。  それから証券業協会の方は、どちらかと申しますと証券会社の集まり、協会でございますので、毎日の株の動きとかそういうものには関係ございませんけれども、この証券会社自主規制体制、これを指導していくという観点から、現在内部者管理規則というものを私ども協会相談をしながらつくっておりまして、こういうものができますと、この規則を各証券会社がやはり内部規則として制定するように協会を通じて指導してまいりたいというふうに存じております。  したがいまして、私ども考え方としては、まず第一線は証券取引所である、証券取引所が毎日の株式動きモニターをして、そこでちゃんとやってくれる。それからさらに問題があれば大蔵省に上がってまいりまして、この大蔵省の百六十六名の職員を動員して事に当たる。さらに協会の方はこういう自主規制の仕組みというものを実施できるような形で証券会社を指導していく。もちろん、これにつきましては私ども一緒にやっていくつもりでございますけれども、そういう体制を現在考えておるわけでございます。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの法律が成立いたしますと、何が不公正であり何が違法であるかということがはっきりいたすわけでございますから、そのようなことが起こりますことは証券取引所自身信用にかかわることでございます。したがって、取引所としてはおっしゃいますようなことを当然自分信用のためにも努めるべきであると思いますし、またそのようなことが起こりますことは業界自身信用にかかわることでございますから、業界としても当然そういう立場からこの法律が誠実に実施されることについて関心を持つべきものと思います。したがいまして、大変示唆に富んだお話をいただきました。そういうことにしてもらいたいと思います。
  8. 堀昌雄

    堀委員 そこで、今、最初証券局長お答えになりました流通市場課で十七名、検査で十一名、その他で百三十八名ということでありますが、実は、このインサイダー取引の問題というのは高度に頭脳的な問題でございまして、またその情報がどういうルートでどういうふうに行くかというようなことは、これは私は単に市場売買価格の変動だけを見てそれがわかるわけではないと思っているのであります。どうしてもこれには特別の、ある意味でいえば特捜班といいますか、おかしいなと思ったら高度に訓練された人たちをそこに派遣をしまして、そうしてその人たちがしっかり調査をする。これは国の監督権限を持った大蔵省でやる以外には、取引所といえども必ずしも法的権限のもとに動けませんので。  そこで、きょう私が御提案をしたいのは、実は私大蔵委員会に参りましたのが昭和三十五年でありますけれども、そのときに、原純夫主税局長のときでございましたが、こういう論議をいたしました。要するに、今の大企業、例えば富士とか八幡というような大企業、それから小さな中企業、こういうところに対する税務調査密度はどうなっているかという質問をいたしました。要するに、巨大な企業全国に支店があるところに対する実質的な調査日数と中企業程度のところと比べますと、もう何十分の一、何百分の一という密度でしか大企業調査が行われていないということがわかりましたので、私は当時の原主税局長に、少なくともこれはおかしいと思ったら特別の調査班をほうり込んで徹底して調べる、二カ月でも三カ月でも張りついて調べろ、こういう提案をいたしました。そうしてそれに基づいてそういう制度ができまして、その次の年の報告を聞きましたら、この増差額というものは相当大きな増差額が出てきた。こういう事実が、実はもう三十年近く昔でございますが、やった経験がございます。  そこで、私はまず最初に、大蔵省でそういう特別調査班というような専門的なものをまず配置をしてもらって、この人たちアメリカへ送って、SECではどういう調査でどういうことをやっているかということを少なくとも一年ぐらいアメリカ派遣をして徹底して勉強し、彼らと同じように行動をしながらそういう専門的な調査能力を身につけるということをやっていただきたい。  なぜ私がそういうことを言うかといいますと、この前ルーダーさんがおいでになったときに海部議員からお話が出たのでありますけれども日本ではこの調査員が不十分だというのですぐこれを警察に渡したりするようなことをやるのは適当でないのじゃないかと思うというお話海部さんからございました。それについては、御列席の皆さん、全くそうだという御意見でございまして、私もこういう経済調査と一般の司法警察とは必ずしもなじまない。確かに法律違反ですから広義犯罪でありますけれども、少なくとも質の違うものでありますから、専門的知識のない者が調べたってわかりっこないわけでして、そこでこの問題の処理は、司法の手に渡すのではなくて、やはり大蔵省検査官が中心になり、あるいはそれに取引所人たち協力をし、協会人たち協力をしながら、こちら側の手でこのインサイダーの問題の調査処理をしていくということが非常に重要だと考えているのであります。  そこで、そのために実は、現状はこういうことでありましょうが、この周辺のところから寄せてきてできるのならそれでもいいのでありますけれども、ひとつこの際十名ぐらいの特別調査員というものを適当なランクの方を集めて、キャップを置き、その補佐を置き、その十名ぐらいのチームをつくって、それをアメリカへ送って一年間ぐらいしっかりアメリカの実地その他の勉強をして帰ってくるということをやっていただいたらどうだろうか。  それにはやっぱり予算上の配分その他の問題もありますので、きょうはそういう意味主計局次長に入っていただいておりますので、まず担当者の方から、今私の言っておりますこと、大臣お答えいただいておる点もあるのですが、要するに、これは非常に重要なことでして、問題が変になると国際的に日本市場に対する評価が激減するわけでありまして、私たちはやはり日本に公正な取引が行われておるということを国際的に理解をしてもらおうと思うためにはここが非常に大事なポイントでございますので、そういう問題を含めてひとつ篠沢次長の方からお答えをいただきたいと思います。
  9. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 定員問題につきましては、先生つとに御承知のとおり、政府全体として極めて厳しい全体事情の中でかなり厳し目の対処をしてきておるわけでございますが、その中におきましても、折々発生してまいります重要問題に関しまして重点的な配慮というものをどうするかという視点は失わないようにやってきておるつもりでございます。  ただいま私先生からいろいろお話を伺わせていただいておりますけれども、私どもも一義的にこうしよう、ああしようと主導することもなかなか難しい問題でございます。関係局官房等におきましても、実際、監視体制充実ということ自体は、数をふやすのか、それとも全体の工夫の中でやるのか、いろいろあろうかと思いますけれども、いろいろ御検討になられるものだと思いますので、それを受けましてまた予算段階で適切に対処をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  10. 堀昌雄

    堀委員 当然人事の問題は官房でございましょうから官房その他との打ち合わせをしていただく必要があるのですが、一番肝心なのは、証券局長、あなたのところはこういうことをやるからこういうような人員でこういうふうにしてほしいと、私が言ったように少なくとも十名をアメリカへ送るのにはこれまた予算が要るわけでもありますし、ですから、私は、やはりほかのところにいろいろやるためには、隗より始めよです。  私この間から、竹下総理が言っておる地方分散について、新聞を見ていると、大蔵省が一番抵抗しておる。隗より始めよと言うて、ここが、やらなきゃいかぬところが抵抗しておるのじゃどうもこれはまずいな、竹下さんも大蔵大臣を五年もやっていてもう一つコントロールがきかないのかなと新聞見ながら思うのでありますけれども、これと同じで、ひとつ証券局でまず隗より始めよできちんとしたものをやることが、私は取引所なりあるいは協会における自主規制に影響をもたらす、こういう認識でございます。  何といいますか、来年度予算の話でありますから、これからきちっと各局とも相談をして、少なくとも私が今提案をしているように、私の提案しておることは日本証券取引というものの公正に対する信頼性の確保でございますから、これはもう私は本日議題になりますものの中で最も重要な案件だと思いますので、まず最初証券局長の御答弁をいただいて、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  11. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 ただいま御指摘のございました点につきましては、私どももかねてから十分配意しておりまして、既に証券局検査課の中に五名ほどの人員をもちまして特別機動班というのをつくりまして機動的な検査ができるような体制はつくっております。それからまた、職員SEC派遣につきましても、SEC仕組みその他やり方を勉強するという意味で既に一名かつて送ったことがございまして、その者のつくりました報告書その他を私ども非常に参考にしておるところでございます。これら既にレールは一応敷いておると私ども思っておりますので、これらをできるだけ充実、活用していくような体制をつくるべく私どもとしては最大限の努力を払ってまいりたいというふうに思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 おっしゃいますように、今までやっていなかったことをここで新しく始めるわけでございますから、どういうスタンダードでやるかということは、確かに最初が大事だとおっしゃるのは私はそのとおりであると思います。将来のことを考えますと、やはり最初のところで非常に高いスタンダードで始めるということは大切なことでございますので、いろいろ省内でも工夫をいたしまして、おっしゃいますような目的に沿いますように考えさせていただきます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 ここで、実は昨日東証の理事長も来ていただいていたのでありますけれども、たくさんの参考人の前で余り竹内さんにいろいろなことを申し上げるのもいかがかと思って、きょうこれをまとめて伺うことにしておるのでありますが、まず証券取引の公正な取引ということについて、この前大蔵委員会皆さん一緒証券取引所視察に参りました。そうして、その視察に参りましたときに非常に興味のある問題がございましたのは、NTTの株の紙でありますけれども、私ども板寄せと言っておるのですが、そこにどこどこの何株というのを書いたのを出すポストがございます。そのポストをこう上から見ておりますと、かなり群がっているのですが、そこへ突然非常に体の大きいやつがやってきまして、この連中の後ろからばあっとこう手を出して、板寄せのところへ手を出して先へこうやっているわけです。  株式取引というのは、時間優先価格優先というのが取引の原則でございまして、体力によって時間優先を崩すようなことをやっておるという非近代的なやり方、私は取引所の人に、あれはフェアでないじゃないですかと言いましたら、いや、先生、このごろは競争が激しくて、証券会社ではバスケットボールの選手を証券取引所職員にしているのがありましてと言うのですね。私はとんでもない話だと。少なくとも時間優先価格優先という中では、そういうやり方というものが不公正な取引であることは間違いないのです。だから私は、一列に並べるように取引所の中にさくを設けて、あそこへうわっと群がったってだめだ、要するに順番に入っていけるようにして、群がっていって後ろから行ってやるようなことはとりあえずポストのある限りやめさせていただきたい、こう思っているわけであります。当然のことです。これが第一点です。  もう一つ問題がありますのは、これは意見が多少分かれるところでありますけれども、御承知のようにいろいろとこうやって場で手を振ってやっておるわけです。私は、この前も大証の山内さんと話しているときに、山内さん、あれは早くやめましょう。あれはどういうことかというと、あれはインサイダー取引一つの具体的な例だというのです。大手がどの株を幾ら売るかというのはあの場にいればすぐわかるわけです。そうすると、中小は、ああ、これがこれだけ買った、次はこう買ったというのがわかれば、それにディーラーでぱあっと、要するにちょうちんをつけるというのですけれども、これに乗っかっちゃいますと、ほかの人間にわからない情報なんですけれども、その場の中でそういう情報を見てそれに対応ができる、まさにこれはインサイダー取引だ、こういって山内さんに言いましたら、いや、先生先生お話は厳密に言えばそうかもしれませんが、証券界の関係者に言わせるとあれは場の地合いというものがあれで成り立つので、先生おっしゃるように全部コンピューターというのはなかなか難しいですという話なんです。  しかし、これは、この前シューマーやガーンが来ましたときに私取引所へ参りまして調査をしたときに、竹内理事長に話をしたのは、今二百五十あるポストをともかく百減らして百五十のポストにする。その百分で、二十二でございましたかな、この間新たに正会員のポストを設けるということであったわけですが、私が竹内さんに言ったのは、理事長、これはまだ次から次に来ますよ、どうせ二十四時間取引になって夜通し手を振らせねばいけないでしょう、だからそんなことでなしに、結局もう機械化をする、そうすれば、さっき申し上げた時間優先価格優先というのは、きっちり百万分の一秒でも合うわけでありますから、そういうことで、機械化を早くする方が公正にもなるし、新しい会員の問題についても対応がしやすいのじゃないですかという話を私がしましたら、竹内理事長は、いや、お話はわかりますが、関係者がたくさんいることでそう簡単でもございませんというお話でしたけれども、私は非常に問題のあるところだと思うのです。  そうなる前にも、ともかくも、今の体の大きいやつが人をかき分けていって、ラグビーやバスケットをあそこでやっているわけじゃないのでありますから、そこのところはきちっと、あれは公開して見えるのですから、別に私がしょっちゅう行かなくてもだれかを派遣して見せておれば、おかしいじゃないか。上から写真を撮ればいいのですからね。ですから、ひとつ証券局長、これは公正取引を確保するために何らかの対応をとっていただきたいと思いますが、どうですか。
  14. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 この証券取引所におきます取引やり方と申しますか、これはもう御承知のように長年の伝統と慣行というものに従ってでき上がっておるものでございます。と同時に、新しい機械化の波と申しますか、こういったものも押し寄せてまいりまして、現在、その辺についていろいろと東京証券取引所としても、試行錯誤というとちょっとオーバーかもしれませんけれども、繰り返しておるような状況であろうかと思います。  御指摘の場立ちの背の高い者が有利ではないかという点は、そのことだけを取り上げてみますとまことにごもっともな御指摘だと思いますけれども、そうかといって、全部整列させてやるということになりますと、またかえって非常に時間がかかるというようなこともございます。一、二例外はあるかもしれませんけれども、今のやり方ということで時間優先価格優先という大原則は守られているのではないかというふうに存じますけれども、御指摘の点、また東証の方とも、業務やり方の問題でございますので、よく相談をしてみたいというふうに存じております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 これは、私は昭和三十五年に大蔵委員会に来て、取引所も随分何回も行って見ておるわけですけれども、言っても結局改善されないのですよ。それはどうして改善されないかというと、それなりに要するにあそこの中では力関係が作用しておりまして、必ずしも公正な時間優先価格優先になってない。私は内部の人からよく聞いているから知っているわけですよ。内部にもいろいろ意見があるのですけれども、どうもなかなかできないというのが現状なんですね。私がここで公式に取り上げておるということは、一回や二回見たからやっているわけじゃないのでありまして、昭和三十五年に大蔵委員会に来てから証券の問題については私は一番関係を深く調べておるわけでありますけれども、一向に直らない。それできょうはこれを具体的に取り上げておるのでありまして、ひとつそれはもう少し姿勢を強くして取引所側に要請をしていただきたいと思うのです。  もう一つ、この間総理がイギリスへ行かれまして、そうしてサッチャー首相との間でお話が出たと新聞が伝えております。昨日もそれに触れたのでありますけれども。バークレー・デズートという会社とジェームス・ケーペルという会社日本証券会社としてあるようでございます。ところが、この前のいろいろな関係では、日本では今実績主義というので、日本に子会社をつくりましても、その実績が大きくなければ、実績の大きいのから順にいくというようなことをどうもやっているようでございますね。そうすると、実績主義となると、能力のある大きいところが後から来ても、能力のない小さいのが前からやっていれば実績がたくさんあるわけですからね。そこで、このバークレーにしても今のケーペルにしても、イギリスでは非常に大きな有力な証券会社ですが、日本に出てくるタイミングが少しおくれた。ほかのものは先に来ていた。そこで実績主義でこの前外れた。こういうことになっているようです。  ですから、イギリス国内からすると、イギリスで一番能力のあるものが排除されてそうでないのが入っているというのはおかしいじゃないかというのがイギリス側の認識だと私は思うのですね。それで今度、事もあろうに竹下総理にサッチャーさんみずからこの二社を何とかしてくださいよという話が出て、総理がどういうふうに答弁されたのかわかりませんが、パーソナルコミットメントがあったというふうに向こう側は受けとめておる、こういうことのようであります。竹内理事長に伺いましたら、いや、先生、新しいのがまだ動いてないのにその次また手を挙げられても困りますよ、こういう話でございました。  私は、実は証券取引法改正のときから問題にしておるのでありますけれども、その問題について昭和五十九年五月九日に当大蔵委員会で振替決済制度の法律案の審議の際に問題を提起しておりますので、関係皆さんにこの会議録をちょっと一回お読みをいただきたいのであります。大体私免許制の問題をやりましたときに、現在ああいうふうになっておりますような業務別免許にしようというのが私の提案の根拠でございまして、今の証券取引法改正はそのとおりになっております。一号、二号、三号、四号免許というふうに区別をいたしました。そうして区別をしてライセンスを与える段階になりまして正会員と非会員の問題が出てまいりました。  証券会社業務を営むためには証券業の免許が要る。御承知のように、この免許は、アンダーライターの免許というのは能力に応じて与えなければなりませんからだれでもいきませんけれども、ブローカーの免許は当然あるわけでございます。一号免許がブローカーの免許でございます。この最も重要な証券取引に関する部分について国の免許がおりた企業が、その主要な取引について取引の手数料に格差があるというのはおかしいというのが当時の私の法律をつくるときの認識でございます。ですから、私はそのときに、少なくとも甲種免許、乙種免許というように免許に二とおりつくるというのならまだわかるけれども、一とおりの免許で縛っておいて取引手数料が差があるというのは、これはもう独禁法違反でもあるし憲法十四条に違反する不公正な取引だ。こういう考えで当時の松井、加治木両氏にこの問題は何とかしなければだめだと言ったのですけれども、なかなかそうはいかなかった。ここでもこう聞いているのでありますけれども、金融機関その他でライセンスを受けた者が同じライセンスの中で取引上差があるものなんというのはないのです。日本ではこれだけなんです。証券取引法だけなんです。  そこで、私はそのときから、要するに証券取引所というものを公益法人の取引所にして、いろいろな会員その他の問題は、平和不動産の株とかなんとか、それは既得権は既得権としていいけれども証券取引所を公益法人にしようじゃないかというのを四十年当時の証取法改正の中で随分加治木さんや松井局長とやったのですが、このお二人は、先生、この免許制をやるだけでも私たちはもう心身すり減らしてやってきたので、それはちょっと待ってください、とても我々はもうこれ以上ようやりません、ついては森永さんに東証の理事長になっていただきます、そうして公益の理事をふやしますから、とりあえずこれで一服入れてくれという話でそのままになってきたのでありますが、実は時間がたってここへ来て、五十九年に振替決済の問題をやりましたときに具体的に提起をしているのです。  ここでこの間ある委員の方がお話しになっていました。今日本に八つの取引所がある。東京、大阪、名古屋まではまあまあともかくとして、あとの五つの取引所は、実はこの中に書いてありますけれども、要するに四社が手数料を払ったようなことで維持されているという格好になっている。私はそれを、日本証券取引所というものをどんとつくって、そうして東京フロア、大阪フロア。歴史的にあるところをつぶしたりすることはなかなか困難だというのは、私は神戸の証券取引所を大阪に合併させるという話をやって人事問題で大変ごたごたいたしました。もう経験がありますから、それは移すとかなんとかは難しいが、これを日本証券取引所のフロアとして、東京もフロアだけれども大阪もフロア、名古屋もフロア、要するに新潟も札幌もフロアという格好で一つに集約をした公益法人の取引所にしたらどうでしょうか、そうして個々の会員はいずれもそういう意味では公益法人の取引所のメンバーになれるということにして、少なくとも証券業のライセンスを受けた者はいずれもこの公益法人の取引所においては公正、平等な処理が受けられるようにしようじゃないかというのが私のかねての構想なんでありますけれども、実はなかなかうまくいっていません。  今度のバークレーの話が出て私はつくづく思いますけれども、東証だけの問題というようなことでなくて、今や日本取引というのは、大阪もありますけれども、その他の地域は自分のところの地場で取引が成立するような問題というのはほとんどないわけでありますから、やはりこれは先を見て合理的なシステムを考えなければいかぬ。きのう理事長と立ち話でその話をしておりまして、それは堀さんのお話はわかるけれどもまあ五、六年かかるでしょうねとおっしゃいますから、五、六年かかっていいというのです。だって、私はここで五十九年に問題提起をしても、今四年かかっているのですけれども、まだ何も行われていないのですから。きょうはひとつはっきりと、そういうものを研究してやっていかないと、これは日本市場が大きくなれば外国からもっとどんどん会員にしろという要求は次々出てくると思うのです。  この前私はシューマー議員と会いましたときに、ちょうどたまたまワシントンで日経新聞に大体こういう会社が入るらしいというのが出たのを大須さんにお願いして英文にしてもらったものをシューマーに渡したら、彼が大変喜んで、いやあ堀さんありがとう、特にここが一つ問題があるのですが、銀行系証券会社が入ってないのはよかった、こういうことを言っているのですね。これは私からしたら、彼がどこかの何か大変代理人のように言われているというのについて、彼は僕はそうじゃないなんて最初に私に言っておきながらそういうことを言うわけですから、語るに落ちたなと思うのでありますけれども、しかしこれから日本に来ている銀行系証券会社もどんどん手を挙げてくると思うのですね。これもそう簡単にいかない。なぜかというと、それだけ東京市場というものの比重が高くなっているわけですから、そういうこれまでの会員の仕組みというのは既得権で残しておいてもいいですが、今の取引その他についての問題は、先を見越してもう少しオープンで参加のできるシステムにしていかなければ、これは国際的に非常に問題が起きてくる。  時間がかかるのは承知しています。大体CPの問題だって、私五十六年の銀行法の附帯決議に入れて、できたのが去年でしたか、六十二年だから、六年かかっていますね。例の短期国債だって五年ぐらいはかかっている。これから今度は国債資金特別会計をどうしてもやっていただこうと思っていますが、これだってできたって六年以上かかるので、五、六年かかるのは私も覚悟しておりますけれども、やはりスタートをしてそういう方向の処理をしなければこの対外的なライセンスの摩擦問題というのはもう次々出てくる、こう思いますのでこれは大変政治的な問題でございますので、大臣からその方向でひとつ検討を始めさせるという御答弁をいただきたいのです。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今おっしゃいました中でかなり具体的なこともいろいろ言っておられますので、それを包括してということになりますと影響が大き過ぎるかもしれませんが、今堀委員の言われましたようなことは、確かにいろいろな意味である。大きく物事は変わっておりますから、本当に世界の一番大きなマーケットになろうという我が国でございますから、そういうことはやはりそういう観点から将来を展望して考えなければならないということは、私はおっしゃるとおりであろうと思います。
  17. 堀昌雄

    堀委員 ひとつ事務当局側も、今のような御答弁をいただきましたから、本気で検討を始め、それは何も大蔵省だけでやれることではありませんから、東京証券取引所なり各所の取引所関係者あるいは証券業協会皆さん、みんなと相談していただかなければいけませんけれども、何にもしないで済まないところへ来ている、私はこう思っておりますので、ひとつ真剣な検討を開始していただきたいということだけを特に要望いたしておきます。  そこで、その次は、先物の問題について少し議論させていただきたいと思います。  今度の金融先物の答申の中には、参加をする者が自己取引をする者と取り次ぎの業務をする者と二通りに実は述べられておりまして、取り次ぎをする業者だけでなくて自己取引をする業者もこの金融先物取引に参加ができる、こういうふうになっているのであります。そこで、答申の中にも出ていると思うのでありますが、機関投資家の問題にも触れておるのであります。中にも書かれていますが、こういう取引というのはできるだけ厚みがあって広い参加者による取引というものが望ましいというのは当然のことでありますので、そのためには日本における最も資金を持っておる機関投資家である生命保険の問題を当然考えていかなければいかぬ、私はこう考えているわけであります。  平澤銀行局長の方から、法律の解釈としては、生命保険会社は参加できる。自己取引として参加できる。能力もあるしすべて整っている。問題は、法制上の整備としての保険業法との関係、その他の細かいことは私も調べておりませんが、これはできるだけ速やかに生命保険が金融先物取引に参加のできる道を開いてもらいたい、こう思うのでありますが、銀行局長答弁を求めます。
  18. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今委員がおっしゃいましたように、市場の厚みを持たせることは非常に重要なことでございますので、そういう中でこの問題も検討していきたいと考えております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 検討していきたいという話はわかるのでありますけれども、大体めどとしてどうなりますか。これからスタートして市場もいろいろとできることですから、そんなに二カ月、三カ月の話とは思っておりません。ですから、東京なり大阪なりに金融先物取引所ができてそれが動き出す。動き出すときにはこの人たちが参加できるようにしてほしいというのが私の気持ちなのです。今あなたも厚みがあることは大事だとおっしゃるので、最も資金を持っておるそしてまた運用をやっておる機関投資家がヘッジをすることも大変重要ですから、大体そこらをめどに検討を進めていただく、こういうことでしょうか。もう一回御答弁をいただきたい。
  20. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 まだ法案を御審議していただいているときでございますので、具体的にということはなかなか我々としてもきついことになるわけでございますが、おっしゃいますようにできるだけ早くそういう方向で広げていくということは大変重要なことだというふうに考えております。
  21. 堀昌雄

    堀委員 その次は、金融機関が二号免許で取り次ぎができるようになるというのが今度のあれでありますが、そうなりますと、ここで二号免許を受けた金融機関は片方でブローカーの仕事をやりながら片方でディーラーもやる。そしてそういう金融機関は当該関係企業その他に対する融資もしておるということになりますと、これは利益相反の問題が必然的に起きてくる可能性がある、私はこう考えているのです。その点についてはどういう対応をされるのか、だれが答弁した方がいいのかわからないけれども答弁してください。
  22. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 御存じのように、今世界的に金融の自由化、国際化が急速に進んでいるわけでございますが、そういう中での大きな方向としましては、証券化とかいろいろございますが、ユニバーサル化という方向に進んでおるわけでございます。そうしますと、今各国の金融当局が一番悩み始めておりますのが、まさに委員がおっしゃいましたユニバーサル化していくとおのずからそこで利益相反の問題が起こってくる、これをどのように解決しつつそれを進めていくかというところに立ち至ってきているわけでございます。例えば証券と金融との問題はまさにそういう問題がございます。それから、今委員がおっしゃいましたような分野におきましてもそういう問題があるわけでございます。  そこで、考え方といたしましては、一つは、専門家相手に行う業務は、相手も専門家であって十分自己責任をわきまえて大きな量で取引をするから、いわゆるホールセールの分野におきましてはそういうユニバーサル化というのを進めていく方がいいのじゃないか。ただし、リテールの分野においては、これは知識のない人たちがいろいろ勧誘を受けて投機に走るというおそれも非常にあるので、この部分についてはいろいろ規制をしながらやっていく方がいいのではないかという考え方も出ているわけです。さらに子会社方式とか持ち株会社方式とかいろいろな方式を各国が今模索しつつ答えも出してきているわけでございます。  したがいまして、この先物の問題につきましても、金融機関が先物関係で現物もあわせてやるという場合の利益相反の問題については、我々としても非常に大きな問題であると考えております。したがって、本委員会でも御答弁申し上げましたように、先物取引に参加できる人たち、それにつきましては、額において証拠金率その他非常に高くいたしまして零細な者が参加できないようにするとか、業者も非常に厳格な基準で参加させるとか、いろいろな規制を行うことによって今の利益相反の問題もできるだけ解消するような方向で考えていくということでございます。そういう中で行政としても対応してまいりたいと思います。
  23. 堀昌雄

    堀委員 実は、昨年ブラックマンデーの後で、しばらくいたしましてから、コンチネンタル・イリノイの子会社がシカゴのオプションで大変な赤字を出しまして、それをコンチネンタル・イリノイが補てんをするという事態が起きました。これをアメリカの下院の銀行委員長のセント・ジャーメインさんが指摘をして、こういう問題が起こるから今のグラス・スティーガル法の問題というのは慎重にやらなければいけないのだというのを新聞記事として見たわけでありますけれども、きのうでありますか、当委員会で子会社問題の話が出ております。  確かに、今のように、アメリカで子会社をつくっていても、その子会社が大きな赤字ができると親会社がそこから金を持っていくというなら、結果的には親会社がやったと同じようなことになるので、余り子会社をつくっている意味がないのだなという感じがするのでありますけれども、先物もさることながら、このオプション取引というのはやや一方的な取引になっている感じがありますので、これは対応の仕方によってはかなり大きな損失を招く可能性がある。私は、それがブラックマンデーのときのオプション取引所におけるコンチネンタル・イリノイの子会社の問題になっている、こういう感じがするのであります。  ですから、今これは法律ができてから現実にどういうふうになっていくかというのは、これから関係皆さんがいろいろ相談をし、大蔵省皆さんとも相談しながら試行錯誤を繰り返しながらでき上がっていくものだ、こう思うのでありますけれども、やはりいろいろな先例がある点については十分配意をしていただいて、そういう利益相反などの問題が起きないような仕組みといいますか、なかなか道義的にやろうなんという話では経済行為というのはそれをすぐ突破しますので、経済的にやはり何らかの仕組みを考えてそういうことが未然に防げる対応をしておくということが大変重要だ、私はこう考えておるのでありまして、今後の問題でありますけれども、ひとつそういう点について十分検討しておいていただきたいと思います。  それから、今、法律の問題に関係してやっておりますので、私どもこの金融先物法は賛成法案で処置をさせていただこう、こう思っておりますので、賛成法案となりますと、これは私どもはかなり厳しく条文の処理をさせていただかなきゃならぬ、こういうふうに考えて一項、一項読んでまいりました。そういたしますと、法案の第七十九条のところに一つ問題があるということに私は気がつきました。  金融先物取引法案第七十九条第一項の許可の取り消し要件を見ますと、第五号に、「金融先物取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。」こう書かれているのであります。著しく不当な行為についてその情状が特に重いときという限定をつけるのは、これは不当というのはある程度幅があることでありましょうから、その幅の中で「情状が特に重いとき。」軽いときと重いときがある、これはもう十分理解できるのでありますが、いやしくも金融先物取引業に関し不正な行為を行った場合というのも、実は「その情状が特に重いとき。」というところへひっかかる法文になっているということで、少なくとも限定なしに不正な行為を行った者は許可の取り消しが行われるようにすべきではないだろうか。  そもそも金融先物取引というのはスペキュレーションの側面を有する取引でありまして、悪質業者がいろいろ悪知恵を絞って投資家をだまそうとすることが想定されるのであります。大体先物取引に投機とヘッジが両立しておるというのは当然なことでありまして、投機そのものが良質な投機ならば何ら問題がない。投機がないところにヘッジその他の機能は起きませんから。しかし、日本の実情を見てまいりますと、次から次から、豊田商法から始まって、ともかくいろんな善良な市民をだまして何とか不当にあるいは違法にその資金を巻き上げるというようなのが随分ありますので、そこで悪質業者はいろいろ悪知恵を絞って投資家をだまそうということが想定されるのであります。そのような業者がこの条文を見ると、金融先物取引業に関し不正な行為を行ってもその情状が軽ければ取り消し処分を受けることはないというふうに考え、かえってそのような不正行為を助長することになってしまうのではないか、こういうふうにこの法文を見て私は感じるのであります。  百歩譲って、この条文をこのままにするのであれば、金融先物取引業に関し不正な行為をした場合という部分は、取り消し事由に該当するものと解釈することを政府がここでひとつ明らかにしてもらって、悪質業者のそのような行為を未然に防がなければ、何が起こるかわからない。こういうふうに、私はこの七十九条第一項の五号のここの部分、「金融先物取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、」不正において情状が特に重いとき、または著しく不当な行為をした場合において、両方にかかるので、ここはひとつ今私が申し上げたように、金融先物取引業に関し不正な行為をした場合には取り消し事由に該当するものと解釈するということをここで明らかにしてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  24. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 まず、今御審議願っております金融先物取引法案におきましては、委託者の保護を図りますために受託業者を許可制にする、それから金融先物取引において起こりやすい不正行為、不当行為を想定いたしまして、これを防ぐために、契約締結前の書面の交付、あるいはのみ行為の禁止、それから各種禁止行為の列挙等の業務規制を設けているわけでございます。それからさらに、これらの規制を担保するために、銀行法と同様に、業務改善命令等を出し得る等の監督規定がまず置かれているわけでございます。  そこで、今申し上げましたこれらの業務規制や命令に違反した場合にどうなるかということでございますが、それは、先ほど委員も御指摘になっておられましたように、法案の中の第七十九条第一項というのがあるわけでございます。そこに取り消し事由があるわけでございます。その第三号というのがございまして、先ほどは五号でございますが、ここにもいわば予想される不正行為、不当行為は取り消し事由に該当するようになっております。そして五号の方は、これら以外の現時点では具体的内容を予想しにくい不正行為、不当行為に対応するために設けられた、こういう仕組みに法案がなっているわけでございます。  そこで、本法案が成立いたしました場合には、今申し上げましたこれらを運用するに当たりましては、新たに金融先物取引業に関し不正行為に該当する行為が予想される場合には、片方で第七十四条第七号によって省令指定というのがございますから、そこで違法行為として第七十九条第一項第三号の取り消し事由に該当することとなるよう省令で措置するということが可能であるわけでございます。したがって、そういう方向でここで措置するということにいたしたいと存じております。そこで、第七十九条第一項第五号の不正行為に該当する行為につきましては、したがって、委託者保護に関係のない他法令の手続規定違反のような場合を除いた取り消し事由に該当するものとして厳正に対処するということにいたしたいと存じますので、したがって先生の御指摘の御趣旨に沿って対処することが可能であると考えておる次第でございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 大変細かいことを申しておるのでありますけれども、これは新しい法律でありますから、その新しい法律の中にどこかに少しでも抜け穴があれば、これは税も同じなんですけれども、とにかく追っかけごっこで、脱税されないように法律を変えるとまたほかのところをあれしてやってくるというのが、どこでもそうでしょうが、どうも我が国ではそういうことが大変よく行われるので、いささかなりとも法案の中に瑕疵のないようなきちっとした形でそういう不正行為を防止する、どこから来ても不正はできませんよということにしておくことは大変重要だと考えまして、ちょっとここを確認をさせていただいた次第でございます。  そこで今度は、昨日もやりましたのでありますけれども、実は両方の答申を拝見しますと、いずれもヘッジの会計についての問題が答申をされているのであります。そうして、昨日もちょっと読み上げたのでありますけれども、証取審の方の答申では、「会計処理の問題等」というところで、   米国では、一九八四年に先物取引一般に係る会計処理基準が設定され、先物市場における売買について一定の基準を満たす場合には、これをヘッジ取引と認定したうえで、現物取引の損益と期間対応させて計上することが認められている。これに対し、我が国では、このような会計処理は認められておらず、決済時に損益を認識する原則となっている。このような取扱いは、現物評価の在り方と密接に関連するものであり、また、先物取引全般に係わる問題でもあるので、先物取引やオプション取引の我が国における定着状況を踏まえつつ、今後、その在り方を検討していくことが望まれる。 こういうふうに証取審では答申しているのです。これは金融先物の答申にも入っているわけでありまして、私は、これは今後の問題の処理としては、こういう処理がされていないと、それを回避するためには取引量を拡大してカバーをしようということが現実に起こってくる。そういう実際に必要でない取引を行わせるのではなくて、法令の処置によって、今ここに書いてありますような適切な処理が行われれば非常に取引はスムーズになる、こういうふうに私は考えておるわけであります。  たしか証券局企業会計審議会というのがありますね。ちょっと古いことで私は中身ははっきり記憶がないのでありますけれども、田中角榮大蔵大臣のときに会計準則の問題を取り上げまして、大臣ひとつ大蔵省でできることですから三カ月ぐらいでこの会計準則を改めてもらえませんかと田中大蔵大臣にボールを投げましたら、わかりましたとおっしゃって、三月以内でぼんと会計準則が変わったのです。公認会計士の方々にこんな例は過去になかったと言っていただいたのですが、それはまさに田中大蔵大臣の決断です。要するに必要なことはぴしゃっといこうという決断によって処理されたという記憶が私は今日もあるわけです。田中大蔵大臣については、数々の問題がございまして、私は大変すばらしい大蔵大臣であったという認識でございますけれども、ひとつこれも、まだ本体が動いておりませんから、これから実は実際の問題が出てくる。先ほど銀行局長が申しましたように、まだ法案の審議中で成立しておりませんからという話ですが、これは成立します。我が党賛成法案にしておりますので成立をしますので、そういう前提に立って、ひとつ先に証券局長の方から答弁していただいて、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  26. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 ちょっと技術的な問題でございますので、私の方から、もう既に委員十分御承知と思いますけれども、若干御説明させていただきます。  ヘッジ会計の問題というのは非常に難しい技術的な問題を多々含んでおるわけでございます。例えば、収益の実現の時期をどういうふうに見るかにつきましても、米国ではこの実現主義の考え方は比較的弾力的に考えておりまして、収益の金額がある程度予測可能であれば収益に計上してもよろしいということになっております。一方、日本の会計原則は実現主義を非常に厳格に解釈しておりまして、金額が確定することは当然のことながら、資金的な裏づけを要する、要するに金が入ってこなければだめだというぐらいな非常に厳しい考え方をとっておるわけでございます。この実現主義の考え方というのは会計原則の基本にかかわる問題でございまして、とても三カ月とかそこらでできる問題ではないわけでございます。  ただ、御指摘ございましたように、先物取引日本に導入されますと、米国でも行っておりますようなヘッジ会計を導入すべきだという議論は当然ございます。したがいまして、私どもも今から十分勉強しておく必要があると存じておりまして、勉強会のようなものを今つくりまして、まず先物取引の仕組みというのはどういうふうになっているのか、企業はこれを一体どういうふうに会計処理するのか、その辺の実態関係を十分勉強しておこうと考えておるわけでございます。今御指摘ございました企業会計審議会で議論するにいたしましても、そういう実態関係がはっきりいたしませんと何とも議論のしようもないということでございますので、今私どもはそれに備えて準備をしておる段階であるというふうにお考えいただきたいと思います。
  27. 堀昌雄

    堀委員 大臣、今お聞きいただきましたように、私も三カ月というのは一つの例示をしただけでありまして、ただこういうことはここでどんどんやるということになりませんと、またこれは五年も六年もかかったのでは、せっかく先物取引やってもうまくいかないという問題も起きますので、今証券局の方で早速検討をして取りかかるということであります。  法律というものと経済との関係でございますけれども大臣法律が先にあって経済があるのじゃないのでございますよね。経済があって、それをうまくコントロールし調整するために法律があるんで、主体の置き方が問題だと思っているのですよ。認識の基本ですね。ですから、要するに、確かに企業会計原則では実現主義がそうだ。それはそうだと思うのです。しかし、それに当てはまらないような取引が新たに出てくるのであって、過去に企業会計原則をつくったときに予想していないようなものが出てきたら、それは当然それの現状に合わせて法律を動かすのが当たり前で、法律の方に現実をはめ込もうなんていう話は当経済担当委員会としては考えられないことでございますので、そういう基本認識を踏まえてひとつ最も望ましく、ただそうだからといってしり抜けにしてルーズにやれということを言っているわけじゃないのでありますから、少なくとも皆さん方がここへ参加するところというのは、いわゆる向こうのローカルズのようなものでなし、きちんとしたものを参加させると言っている以上、いいかげんなことを会計で処理すれば、これはまたディスクロージャーの問題の中で問題になってくるわけでありますので、システムとしてかなりきちんとしたものができているわけでありますから弾力的に考えたい、こう思うのでありますが、ひとつ大臣の御答弁をいただきたい。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 やはり将来はどうもそういうことになりそうな気がいたします。もう既に研究も御依頼もしてあるようでございますけれども、よく研究をいたしておきます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 次に、昨日もやっておるのでありますけれども、これも認識上の問題でありますが、税の問題がございます。今世界で金融先物について課税をしておるところは実は一つもないのでございます。そこで、主税局の方は昨年の九月二十六日に税制改正を行って、そこで現状で何かいろいろな税金を取る仕組みがあるようでございます。しかし、昨年は私も、御承知のマル優問題の最中だったものですから、余り細かいことを見ないでこれはそのまま行ってしまったのでありますけれども、今や大臣、一番重要なのは、特に国際資本市場の問題については国際的にイコールフッティングであるということはどうしても避けて通れない問題だ、こう考えているのであります。  きのうもちょっと読みましたが、関係皆さん聞いていられるのですけれども、昨年の八月二十四日に、「金融財政事情」というのが、「一九九〇年の東京市場を展望する」、こういう会をやっておりまして、そこへ行天財務官が出ておられます。大臣にお聞きいただいていませんから、ちょっとここでもう一回読み上げますと、   しかし当然のことながら、ただ手をこまぬいているだけで、東京が立派な国際市場として発展できるわけではない。やはり、立派な国際市場というものにはいくつもの大事な資格、あるいは資質が必要である。東京市場の今後の発展にあたっては、そういう国際市場としての資格を育てていく努力が、ますます必要になってくる。   その資格としては、四つあるのではないか。第一は、これからの国際市場でいちばん大事なことであるマーケットとしての公正さの確保である。具体的にいえば、市場参加者がいかなる国籍の人であろうと同等の競争条件を与えられ、同じ立場で商売ができる、そういう意味での公正なマーケットであるかどうかということである。   レベル・プレイング・フィールドという言葉があるが、これは文字どおり平らな球技場ということである。フットボールにしても、もし球場が傾いていればボールは片方へ流れていく。両チームの競争条件は平等ではなくなる。したがって、本当に平らな球場をつくらなければいけない。 これを昨日も読み上げたのでございますが、要するに、世界の国際金融市場、先物はどこも税金を取っていない。それは金額はわずかかもしれませんけれども日本だけが先物取引で税金を取る、取引所税と言われますか取引税を取るということでは、これは今のレベル・プレイングにならない。要するに、日本だけが高いのですか低いのですかどっちかで、よそに比べてアンバランスな状態になっていく。そうすると競争条件が非常に変わるということになりますし、先物というのは大変大量な資金が動く問題でございますので、私は、どうしてもこれは国際化という問題が最も今求められているときでありますし、大臣にも設立の最初のクォータリーにお言葉を書いていただきましたけれども、私は国際金融経済研究所をやって今ずっと仕事を続けておるわけでありますが、ここで一番問題になるのが、どうも日本の場合には税制問題がいろいろひっかかっております。  御承知のように、これをつくる経緯というのは、マルフォードの短期国債の源泉徴収を何としてもやめてくれという話が発端になりましてやっているのでありますが、CPにつきましても今は手形累増性のスタンプがついているというようなことでございます。これで私は今源泉徴収の方はやめてほしいということを強く要請し、山中税制調査会長にもお話しをし、皆さんにも御協力をいただいているわけでありますが、CPについては、手形のスタンプが、昭和三十三年でありましたか、それまでは定額だったのです。それが今の逓増式に変わっておるわけでございまして、もとへ返すという意味で二百円の定額にするなら大したことはありませんし、手形とCPというのが大口のものが優遇されて小口が優遇されないというのはこれは不公平でございますので、手形はすべて二百円の定額にしたらどうかとか、こういうのを提案しているのでありますけれども、ぜひ大臣、今の金融先物は諸外国と同じように課税しないという原則でやってほしい。  それは、さっきと同じ基本認識の問題がございます。というのは、オフショアも今地方税を取っているものですからこれもまずいのでありますし、それからBAも御承知のようにスタンプがございます。何しろスタンプがあるか税がくっついているかで、日本における新しい取引関係の問題は全部そうなっているのでありまして、それは入り口で税金を取るのか、結果的に収益が上がった後で要するに法人税として出口で取るのかという、入り口で取るか出口で取るかという税に対する基本認識の問題だと私は考えているのであります。  ですから、たとえこの取引所税が幾らか入るかもしれませんが、それを撤廃してよりたくさんの取引が行われれば法人の収入はふえるわけでありますから、法人税として必ず税金が取れるわけでありまして、ここで取らなかったらどこかへ行ってしまうという性格の品物ではございません。ですから、そういう意味では国際金融関係の問題は入り口で取るのじゃなくて出口で取ろうという、要するに税に対する基本的な認識をひとつ改めてほしい、こう考えております。  主税局長答弁してもらいますとどうせろくな答弁が出ないから答弁を求めません。ひとつ大臣からの御答弁だけをいただきたいと思います。これは政治的な問題でございますので。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は堀委員が長年御主張なさっておられますことを私も存じ上げておりますし、また主税局長がどういうふうに答弁を申し上げてきたかも私も知っておるわけでございます。  恐らく税というものはだれも好まないものでございますから、主税局長の立場から言えば、担税力のあるところは何とか説明ができればこれは課税をさせてもらわないとなかなか国の歳入というものは賄えない、そういう気持ちが課税当局にあるのは当然でありますので、私はそれが悪いという感じを持ってはおりません。それから、もっと突っ込んで言えば、この取引所税というものが金融先物取引の場合に外国にないということについて、その国の課税当局がどういうふうに感じておるのか、実はないのが当然だと感じておるのか、機会があれば取りたいと感じておるのか、その辺のところはまたはっきりわからないようなところもございます。恐らく各国の主税局長の人がどっちかといえば取れれば取りたいと考えているのは、職業上私は無理がないと思うのでございます。  そういったようなことがこれにはございまして、と申してもやはり国際化の波はなかなか速く大きゅうございますし、その辺のところは主税局も外国のことを考えたり世の中の動きを見たりいろいろ考えているだろうと私は思いますので、問題を提起なすっていらっしゃることはよく知っております、それからコマーシャルペーパーについても存じておりますといったようなこと、結局私どもの中で省内だれも堀委員の御主張はよくわかっておって、そしてそれはむげに退けていいとはだれも思っておらないのでございますけれども、いろいろ議論していきましてこういうようなことで今やらせていただいておるのでございますから、また省内でいろいろ検討させていただきたい、こういうことでここはひとつお許しをいただいておきたい。これは決して逃げ口上で申すわけではございません。
  31. 堀昌雄

    堀委員 大体今の問題は、国権の最高機関が税法も決めるわけでございますので、私は政府だけにどうしてくださいということを申し上げるわけではないのでありますけれども政府も、少なくとも与野党を含めて国会の方がこうしようと言っているときは、やはり素直に、要するに国会における与野党合意というものは尊重していただかなければ困る、こういうふうに思うのでございます。特に税の問題というのは、総理も大蔵大臣もおっしゃっているように、国民の理解と納得が得られなければならないものなのでございますね。だから、国民の理解と納得を得るということは、与野党が合意するかどうかというところが一番はっきりすることではないのか。一億からの国民の意見が一人ずつ聞けるわけではありません。しかし、私たちは少なくとも国民を代表して憲法に基づき私どもの職務を執行するわけでございますので、そういう国民を代表する与野党の専門家がここで集まって合意をしているものについては政府も十分配意をするという御答弁だけはちょっとひとつここでいただいておきたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今のことを伺いますと、恐らく主税局の立場としては、堀委員に対しましても野党に対しましても与党に対しましても、何とかそうならないようにと一生懸命説得をし努力をいたすに違いないと思いますが、それにいたしましても、しかし与野党合意が成りましたら、それは国会の御意思と考えるべきものであります。
  33. 堀昌雄

    堀委員 それでは最後に、実は一月二十九日に、まだ法律案も出ないのに、金融先物取引所を大阪にという問題を提起させていただきました。そうして、大臣からも、四全総にも書かれておるし検討の課題だろうというふうな御答弁をいただいたわけであります。  そこで、いろいろと見ておりますが、現実問題として行天さんが大変いいことを言っていらっしゃるので、ちょっとここでもう一遍読みますと、   第二番目には、市場が効率的な、エフィシェントな市場でなければならない。エフィシェントであるという意味は、その市場がもっているいろいろなハードウェア、ソフトウェアがほかの市場と比べて十分に整備されており、そこで仕事をする場合に最高度の効率性が確保されうるということである。そういったハードウェア、ソフトウェアが合理的なコストで手に入る条件をつくっていく必要が、とりわけ東京の場合は大切である。  要するに、ハードウェア、ソフトウェアが合理的なコストで手に入るかどうかというのは非常に大きな問題だと指摘されている。   そのなかには、もちろんオフィスのスペース、家賃、賃金といった問題も入ってくると思うが、いずれにしてもハード、ソフトの両面で、だれがみても、エフィシェントな商売ができるということが非常に大事な点だろう。 これも大変行天さんの指摘は、的確な指摘をしておられると私は思うのであります。  そこで、東京は御承知のように地価も高いし、事務所の家賃も高いし大変ですけれども、大阪は確かに多少は上がっておりますけれども、そういう意味ではコストは随分違います。関西経済連合会、一生懸命私もそういうことで問題提起しておりますので、御努力をいただいておるようでありますが、先生、東京と大阪を比べますと、コストはこんなに違いますよと言って私に説明をされますから、ああなるほどそうですかということで、まさにコストの問題については、今、行天さんが指摘されたのと同じような形になっております。  ここでどうこう申すのではありませんが、やはり私は、市場が競争的な条件があるということは大変重要だと考えておりまして、その点は私、長く宮澤大蔵大臣といろいろな形で御一緒に仕事をさせていただいている中で、完全に私と大臣が一致しておりますのは、市場経済競争原理という点においては、完全に私は大臣認識が同じだと考えております。  そういう立場からしますと、やはり金融制度調査会の方の答申にも競争が必要だということが書かれておりまして、この先物についてそういうことを配意すべきだということが書かれておりますことでもあるので、この点に十分配意していただいて、いろいろな点で競争条件が確保されるような意味からも、一つの大阪の問題、特に私は最近、大阪の問題で感じておりますのは、この間、大臣がワシントンへお出かけになって、G7か何かの会合がございまして、その後で新聞に出たのに、ベーカーさんがかねてからバスケット方式というものを盛んに言っておられて、そういう方向で多少考えるということになったのか、新聞ではややそういう感触の報道がされておりますが、この間、新聞を見ますと、マルフォード次官補がこのバスケットの中に金を一〇%か一五%入れろと言っておるわけですね。  私は、アメリカがなぜそういうことを言っているか、もう時間がありませんから申しませんけれども、その背景には為替を単一に考えるのではなくて、為替をひとつそういう物価その他の問題とリンクした格好で見ようではないかという考え方が向こうにあるのではないか。そうすると、先物問題というのを単に金融の先物で為替の取引というだけではなくて、私はやはり統一した総合的な取引所にして、その中に今のバスケットに入れてくるであろう金にしろ、いろいろなものがそこで統一的に先物取引等が行われる中で、実は今の為替の問題というものも密接な連携を持つ将来像があるのではないか、こういう感じもいたしますので、そういう問題を含めて、ひとつ大臣の御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 四全総に述べられておりますことも国の大切な政策の考え方でございます。各省を拘束する考え方であると存じますし、また、大阪の持っておる歴史的な背景、それから現在的な意味堀委員が何度も御指摘になり、私もよく存じております。  そこで、取引所をどういうところに免許するかということにつきましては、数についても地域についても別に法律上の制約があるわけではございません。したがって、今後どういうところから申請が出てくるかというようなことを全般的に総合して勘案しなければならない問題だと思いますが、おっしゃいますように、そのときに有効な競争が行われるということは、大変大事な要件の一つであると私は思うのでございますが、それにつきまして、有効に競争が行われるか、あるいは非常に力が違って、競争が事実上行われるはずのものが行われないかといったようなあたりの見通しが一つ大事なことでございますので、その辺のこともまた考えながら勘案してまいりたいと思います。
  35. 堀昌雄

    堀委員 終わります。
  36. 越智通雄

    越智委員長 次に、宮地正介君。
  37. 宮地正介

    ○宮地委員 今回の証取法の一部改正案並びに金融先物取引法案の問題につきまして、まず大蔵省にお伺いしたいのですが、この法案が分離されて今回提案をされた、むしろ考え方によっては一本化して提案することはできなかったのか、この点についてはどのような検討がなされたのか、お伺いをしたいと思います。
  38. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今回の法案につきましては、証券取引審議会、金融制度調査会、さらに外国為替等審議会のおのおのの審議会で議論していただきまして、最終的には報告書をそれぞれ出していただいたわけでございます。その報告書の中では、今委員がおっしゃっておられますように、世界各国の先物市場は統一的に行われるところが多い、したがって、そういう方向で考えるのも一つ考え方であろうという御意見も非常に強かったわけでございますが、他方そうはいっても、特にブラックマンデー以降、現物市場と先物市場との関連を十分考えていく必要があるのではないかという意見もまた出てきておりまして、諸外国においてもその辺、特にアメリカにおきましてはいろいろその後調査等も行われているのは、御存じのとおりであるわけでございます。  したがいまして、先ほどの審議会等の報告におきましても、方向性としてはそういう方向がいいという意見が、特に金融制度調査会、外為審等強かったわけでございますけれども法案といたしましては、先ほど言っておられますように、とりあえず二つに分けて二つの市場をつくる、そういうことで法案をお出ししているわけでございます。その場合、特に証券の方は、既に国債の先物取引証券取引所でやっております。そういうことも十分踏まえながら、法案が出てきているということでございます。  ただ、大蔵省の三局でいろいろ議論いたしまして、その際に三つの局での合意という通称三局合意というのがございますが、その最後のところに書かれておりますのが、「今後の我が国先物市場の推移、内外の金融情勢等を勘案し、また、海外における先物市場等の動向に適切に対応し我が国先物市場の国際性を高めるとの観点から、金融先物取引所の開設後二年を経過した時点で見直しを行い、要すれば法律改正を含めた措置を講ずる。」というふうになっておりますので、この方針等を頭に置きながら、今後とも常にこの問題については取り組んでいきたいと考えている次第でございます。
  39. 宮地正介

    ○宮地委員 国際的な一つの流れとして、既にアメリカなどにおいては一本化されて行われておる。日本においては、二年後に見直しをするという前提の中で二本立てで出発をする。このことが、これからの国際化の金融市場の流れの中で、また日本が大きくニューヨーク、ロンドン、東京という、国際金融市場の重要なキーポイントの位置づけになっているこうした状況下の中において、果たしてベターな選択であったのか、やはり将来のことを考えていくならば、いろいろ難しい銀行あるいは証券の垣根の問題はあるにせよ、勇断をもって大蔵省はこの際一本化の方向に努力をすべきではなかったのかな、こんな感じもするわけでございますが、この二年後の見直し、これはどういうような環境、状況というものが醸し出されたときに見直しをすると考えておられるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  40. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 現在、世界的にいろいろ金融の流れあるいは金融構造について大きな変化が起こっております。今から二年前を振り返ってみますと、当時考えられなかったようなことがいろいろ起こってきて、かつまた当時いろいろな人たちが激しく議論し、なかなか解決つかなかった問題も、二年後には答えがそれぞれ出ているほど過去においても変化が激しかった。したがいまして、今後二年を展望いたしましても、そういう意味ではそういう変化は非常に激しいことが予想されます。  先ほど申し上げましたように、各国ともこういう問題を含めまして、今いろいろ模索しながら制度改革等を行っております段階でございます。したがって、現段階で具体的にこういう状況になるだろうということは、なかなか見通しがたい点もあるわけでございますが、今後二年間の変化は十分に注視しながら、そういう中で一番先物市場を利用する人たちのニーズに適合する、かつまた国際的に通用する、さらに効率的な市場、そういうものはどういうものかということを求めて、答えを出していくということになろうかと考えている次第でございます。
  41. 宮地正介

    ○宮地委員 金融先物取引法案につきましては、これは金融の自由化とか国際化の進展を背景として、金融取引にかかわる各種のリスクが増大し、こうしたリスクを回避したいとする要請が高まっております云々と、非常に国際化という問題を重視されて法案をつくられております。ところが、証券取引法の一部改正案を見ますと、この提案理由の説明の頭のところに「政府は、最近の証券市場の現状等にかんがみ、証券先物市場の整備、企業内容開示制度の見直し、内部取引規制の整備等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。」いわゆる国際化とか金融の自由化とか、特にインサイダー規制に対する欧米各国の立法化による国際的な取り締まり強化、こういうものが非常に強く出てきておりまして、むしろ日本インサイダー規制についてはある意味では大変に野方図の状態にあるではないか、こうした外圧といいますか欧米各国の批判というものが強まってきております。そうしたインサイダー規制に対する国際化の対応というものが十分に反映して、あるいは国内的にはタテホ事件などの問題が出されて、今回のこうした証取法の改正という状況になってきたのではないか。なぜこの提案理由の最初に、そうした国際的な動向、国際化に対応するということが一言も入っていないのか、まことに不可思議でございますが、この点、証券局長どういうことになっておるのですか。
  42. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 提案理由は非常に簡潔にということで記載いたしました関係上、若干そういう趣旨が漏れておったかもしれませんけれども法案提出の理由等におきましては、我が国証券市場の自由化、国際化の進展等に対応して、いろいろと証券取引の公正化をますます図っていかなければいけないという趣旨のことを申し上げているつもりでございまして、私どももまさに国際化ということを最も念頭に置きまして、今回の証取法に基づきます証券市場の整備を図るということで対応してきているわけでございます。
  43. 宮地正介

    ○宮地委員 そうであったら、たとえ簡単としてもそこはポイントの一つなんだから、大臣提案理由説明の中に国際化という三文字が入ってないということは、やはり口ではそう言っても軽率であったと思うのですね。私が先ほど申し上げましたような欧米の各国におけるインサイダー規制取り締まり強化という立法化の動き、また国内的なタテホ事件などによるそうしたものが引き金になって、今回の証取審を中心としたスピード審議によって今国会に提案をされてきた、私はこういうふうに受けとめておるわけです。皆さんもそういう認識を持っているわけなんですから、素直にきちっと大臣提案理由説明の中には、この金融先物取引法案と同じように歩調を合わせて提案理由をすべきではなかったのか。ここにやはり同じ大蔵省部内でも、そういうことはないにせよ、証券局と銀行局のちょっとした厳しい縄張り争いのようなものも感じざるを得ない、垣根を感じざるを得ない。こういうものが今度は銀行業界とか証券業界とか民間に反映していくわけでございますので、そこにお二人並んでいるわけでございますから、今後はそういう点についてもきちっとすきを与えないようにぜひ御要望をしておきたい、こう思うわけでございます。  そこで、このインサイダー取引の問題につきまして証券業界自主規制の案を今固めつつある、このように伺っておるわけでございますが、この点について証券局長はどういうふうに把握をされておりますか。
  44. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 インサイダー取引に関しましては、証券業界のいわゆる未然防止のための業務体制の整備と申しますか、こういったものが極めて重要であろうというふうに思います。そういう観点から私どもも、これまでもいろいろと証券業界の方に未然防止のための規則をつくってもらっておったわけでございますけれども、この際いろいろな規則を一本化いたしまして、内部取引管理規則というものをつくって各社共通な体制をつくってもらおうではないかということで、今相談をいたしております。  その内容につきましてはつぶさに申し上げるまでもないと思いますが、基本的な考え方といたしましては二つございまして、一つは、これまでもやってまいりましたけれども内部取引の管理カード、いわゆる内部者に該当する会社の役員その他の者のカードをつくりまして、その取引証券会社が一々モニターをいたしまして、必要な場合にはその取引の動機、そういったものも照会をするというふうなことを図る、これがまず第一でございます。  それからもう一つは、いわゆるチャイニーズ・ウオールと申しておりますけれども証券会社企業社債の発行、増資その他の引受業務をいたしますので、企業関係情報が比較的入りやすいわけでございますが、その企業関係情報を有するような引受部門のセクション、それからさらに実際に顧客との取引に当たっております営業部門のセクション、この間で情報が流れないようにするという仕組みをつくります。これは具体的には非常に細かくなりますので省略いたしますけれども、そういうチャイニーズ・ウオールの整備を図る、この二本立てを基本とした規則、これを今つくってもらうべく相談を進めておるところでございます。
  45. 宮地正介

    ○宮地委員 証券界の自主規制というのは、インサイダー取引の中においても非常に大事な問題である。特に顧客の注文の拒否、こうした問題についても今お話ございましたようにチャイニーズ・ウオール、こうした問題からして、多分に今までは顧客に対しての拒否というものが非常に甘かったのではないか。これは、やはりおのずと証券業界の基本的な姿勢もあるわけでございますが、また一方では、大手の証券業界また二百数十社もある中小の証券業界もあるわけで、この証券界の競争というものもまた大変熾烈なわけですね。その競争という問題と自主規制という問題、これはある意味では裏腹の関係にあるわけで、難しい相反する立場にあるわけです。まさに大蔵省がこの点についてはきちっと毅然たる行政指導、またそれなりの運営、対応、こういうものをやっていかなくてはならない、こう思うわけでございますが、この自主規制と証券界の内部的なそういう競争の問題、こうしたものに対してはどういう今後の対応を考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
  46. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 確かに御指摘のように、証券業界は非常に競争の激しい社会でございます。しかし、幾ら競争が激しいからと申しましても、免許業種でございます証券会社といたしまして、不正な取引につきましてはこれをできるだけ防止するように、そういう体制をつくり上げていくというのはこれまた当然のことでございまして、競争が幾ら激しいからといってそういうものを無視してもいいということにはならないかと思います。  ただ、今申し上げましたように、自主規制だけということになりますと若干御懸念の点もあろうかと思いますので、私ども現在考えておりますのは、いわゆる証券会社取引の健全性を要求しております健全性省令というのがございますけれども、その省令を改正いたしまして、まず証券会社の先ほど申し上げましたチャイニーズ・ウオール等の整備が不十分な場合には、それに対しまして改善命令を出せることにいたしたいと思っておりますし、それから今御指摘のございました顧客の内部取引ではないかと思われるような取引についてこれを受託する行為、これも受託を禁止するというところまで参りたいというふうに思っております。そうなりますと、証券会社自主規制は単なる自主規制にとどまりませんで、法令に裏づけられた規制ということになるわけでございますから、仮にそういう事実が発生いたしますと、証券会社の行為が法令違反ということになるわけでございます。そのくらいの覚悟でもって私どもは当たる所存でおります。
  47. 宮地正介

    ○宮地委員 この委員会でも同僚委員から再三いろいろ出ておりましたが、特に証取法五十八条、これについては「証券取引においては重要な事実を開示すべき義務を定めているのである。なお、インサイダーは絶対に取引をしてはならないというのではない。取引をするのであれば事前に情報を公表すべきであるということであって、取引をしないならば公表する必要はない。」こういうような考え方といいますか解釈といいますか、こうしたものがこの運用について非常に甘さといいますか、あいまいさがあった。「アメリカでは一九六〇年代にも証券市場全般にわたる大がかりな調査が行なわれた。最近では昨年十月の大暴落の後にSECはじめCFTC(商品先物取引委員会)、議会、それに大統領が直接任命した委員会による暴落の原因調査が行なわれた。膨大なデータを処理した詳細な調査報告書が発表されている。」この辺ですね、アメリカ日本の場合を比べまして、果たして今回の証取法一部改正案で大丈夫なのかな。いろいろ悪徳商法というのは、またそうしたものをやるような悪というのは大変知恵があるのですね。また、法の網の抜け穴というのを非常に巧妙に見つけ出すのです。果たして今回の改正で、このインサイダー規制というものは本当に大丈夫なのか、これは国民の率直な偽らざる心配だと私は思うのです。  そういうことで、先ほども取り締まり体制の問題とか人員の問題とか、いろいろと御質問もあったわけですが、率直に言って、アメリカあたりは大統領が直接任命した委員会による暴落の原因調査などを行う、ブラックマンデーというのは六十年に一回くらい来るようですけれども、そのくらい大変シビアに取り締まりをやっておるわけです。日本は、そういう面では一歩前進ということで評価はできますけれども大蔵省としては相当シビアな姿勢を持っていないと、甘さが残ると必ずまた次の大きな問題が出てくる可能性が十分にある。言葉の悪い人は、この証取法一部改正はやってもざる法じゃないか、こんな意見を言う人も国民の間にはいるわけです、専門家の間にもいるわけです。そういう点について大蔵省が、体制の問題、取り締まりの問題、やるからにはきちっとそれなりのものをつくっていかなくてはならないのではないか、こう私は思っておるわけでございますが、証券局長、その点について自信おありですか。
  48. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 日本アメリカとの比較でいろいろと物を考えてまいりますと、確かにアメリカにおきましては、インサイダー取り締まりにつきまして日本よりもかなり進んでおるところがあろうかと思います。ただ、日本も今回この法整備をしていただきますと、かなりアメリカのものに近い制度ができ上がるのではないかと私は存じます。  よく一般に、日本の今回の法規制はしり抜けではないかと言われますけれども、具体的にどういう点を指すのかと申しますと、私は二点あるのではないかと思います。まず第一点は、こういう法律規制をつくっても取り締まり体制が不十分なのではないか、ただいま御指摘ございましたけれどもSECのように大きな機構はないじゃないか、したがって、取り締まり体制が不十分ではないかという御指摘。それからもう一つは、この法案の内容そのものが、アメリカで取り締まっている内部取引の範囲に比べて狭いのではないかという二点であろうかと思います。  第一の点につきましては既に御答弁申し上げましたけれども、私どもも現在の職員のできるだけ効率的な運用を図るとともに、いろいろとこれからも執務体制の整備等を図ってまいりたいと思います。と同時に、日本では、アメリカでは余り見られない未然防止ということに非常に重点を置いて、証券会社取引所一体となった未然防止体制というものをつくり上げていきたい、こういったものを十分活用して、さらにそれから出てきた違法行為というものを、行政側が司法当局と連絡を密にしながら取り締まっていくという考え方で対応いたしますと、私は、一〇〇%米国に匹敵するものができるということを申し上げるほどの自信はまだございませんけれども、かなりそれに匹敵するものはつくり上げていけるのではないかというふうに思っております。  それから、法律のカバーする範囲でございますけれどもアメリカでは御承知のように法律の規定が非常に抽象的、広範囲でございまして、これを判例で補っていくという形でインサイダー取引の具体的な内容が定まっていっております。日本の場合には、そういうことではかえって取引をするときにいかなるものがインサイダー取引になるのかという認識がなかなか難しいという観点から、法律内部者の範囲、それからインサイダー取引に該当いたします取引の形態、こういったものを原則として列挙することにいたしました。したがいまして、アメリカに比べて若干漏れているものがあるのではないかという御指摘があろうかと思いますけれども、私どもこの法案をつくっております段階で、たまたま米国のSECと定期協議がございまして、この法案の内容を説明いたしましたところ、この法案で米国がカバーしているものの九八%、それ以上のものがカバーできるのではないかというふうにSECの方からも評価をいただいた。別に、評価をいただいたからいいとは申しませんけれども、判断をいただいているわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、取り締まり体制あるいはこの法案のカバーいたします範囲、いずれの面におきましても米国とほぼ匹敵するものができ上がった、後はこれをどういうふうに運用していくかということにかかっていると思いますが、私ども全力を挙げてこの適正な運用に努めてまいる所存でございます。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
  49. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵省は、そうは言ってもやはりSECと違って、手足を持っていないという弱さがあるわけですね。そうなればおのずから、東京証券取引所の竹内理事長みずからおっしゃっているように、会員組織の取引所がやれる限界はある、取引所はやはり限界がある、結局証券会社内部チェックに頼らざるを得ない。私は、今後こうした問題について運用していく中において、やはり大蔵省SECのような手足を持っていないという弱みは、これはどうしようもないと思うのですね。ただ、法律があります、いろいろ政省令で決めて運用していきます。しかし、最後は証券取引所あるいは、後ほど銀行局長にちょっとお伺いしたいと思っておりますが、先ほどのチャイニーズ・ウオールについても、これは証券業界もそうですが、むしろ日本の場合は実態から見れば、銀行のチャイニーズ・ウオールというものの重要性というのは非常に大きいわけです。  どうですか、今後、この法律改正されて運用していって、やはり日本の場合はインサイダー取引規制というものは取り締まり等になかなか難しさがあるな、やはりSECのような第三者機関をつくる必要があるな、こういうような状況が醸し出されてくるということが十分考えられるわけですが、まず証券局長に、そうした第三者機関を状況と環境の変化においては今後設立をしていくというお考え大蔵省にあるのか全くないのか、この辺についてのお考えを。それから銀行局長、今お名前を出しましたので、本当の意味のチャイニーズ・ウオール、この強化をしなければならないのは、阪神相互の例を挙げるまでもなく銀行にもあると私は思います。この点については、銀行局長にお伺いをしておきたいと思います。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 SECに匹敵するような第三者機関をつくる必要があるのかという御指摘でございますけれども、先ほどから御説明申し上げておりますように、証券会社の未然防止体制あるいは取引所の未然防止体制、それと行政側の運用ということを一体として対応いたしますと、私どもとしてはかなりこの取り締まりに対して実効を上げ得るものだというふうに思っております。  具体的に申し上げますと、例えば証券会社で、まず取引所で異常な株価の変動がありますと、直ちにその理由を調査いたします。その過程では、どういう人が取引をしているのかということも上がってくるわけでございまして、また、その調査の内容は行政にも報告されるわけでございます。したがいまして、行政と取引所及び証券会社が一体となった取り締まり体制というものは、市場での取引全般をかなりモニターできる仕組みになりますので、私どもといたしましては、今の仕組みで十分取り締まり体制の実を上げていけるものだというふうに思っております。
  51. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 金融機関が融資等行っておりまして、その中からもろもろの情報を得ていわゆるインサイダーとして利益を得るということは、やはり公共的な機関として問題があろうかと存ずるわけであります。しかし、その点につきましては、現在御審議願っております証券取引法改正案のインサイダー、まさに今議論しておられるところでございますが、その規定によって今後十分そういうものをチェックすることが可能になろうかと存じますので、証券局等とも十分連絡をとりながら、いわゆる投資家保護のために行政的な施策を進めてまいりたいと考えております。
  52. 宮地正介

    ○宮地委員 証取法の一部改正ですが、日本企業内部情報についてはむしろ、資本の状態からしますと、非常に自己資本率の少ない企業であり、銀行、証券というものが大株主の企業がやはり大変に多いわけですから、おのずから銀行、証券、そこにはそれなりのホットな内部情報が集まる、そうした仕組みに日本企業の実態というものがあるわけですから、証券業界のみならず銀行においてもこの問題については相当シビアに、チャイニーズ・ウオール問題についてはぜひ銀行局長も、銀行業界に対してはそれなりのきちっとした措置をしていただきたい、私はこのように強く要望しておきます。そうしたものがやはり国際的にも、日本インサイダー規制が甘い、インサイダー取引には非常に天国である、こういうようなことが言われないような——この法律の成立と同時に大蔵省は御努力をいただき、先進国としてのフェアな、国際社会の中で生きていく日本一つの毅然たる対応というものをぜひお願いをしたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  大臣がちょっと予定よりもおくれておりますので、質問があちこち非常に飛ぶ感じでありますけれども、御容赦いただきたいと思います。  最初に、先ほどもちょっと話が出ておりましたが、日本と英国の金融摩擦問題についてちょっとお伺いしておきたいと思います。  「野村証券、大和証券のロンドン現地法人は英国債のマーケットメーカーの業務を今月以降始める予定でいたが、英政府当局から「待った」がかかり、スタートが大幅に遅れる見通しとなった。英政府は、東京証券取引所の会員権を英国の証券会社二社に開放するようかねて要求しており、早期解決を促すために、圧力をかけたもの、とみられている。」こういうようなことが報道されておりますが、これについては大蔵省としてはどのように受けとめておられるのか、また今後こうした問題についてどう対応されるのか、お伺いしておきたいと思います。
  53. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 御承知のように、英国での国債につきましての流通市場におきます取り扱いは、基本的にはイングランド銀行から認可を受けたプライマリーディーラーがマーケットメークを行うという形で進められておりまして、日本からも野村証券と大和証券がイングランド銀行からの認可を既に受けておるわけでございます。ただ、具体的に業務を開始いたします場合には、イングランド銀行からの業務の開始の指示というものがあるようでございます。これを現在まだもらっていないということから、いろいろと新聞等で報道されたわけでございます。しかし私どもとしては、必ずしも英国当局がこの日英間のいろいろな問題と絡み合わせて、相互主義的な考え方からこの業務の開始をおくらせておるというふうには考えてはおりません。したがって私どもといたしましては、できるだけ早くその業務開始の指示が得られるように、英国側といろいろと話し合ってまいりたいというふうに思っております。
  54. 宮地正介

    ○宮地委員 これについては、特に竹下総理がサッチャー首相とお会いしたときに個人的に関心を持って対処する、このようにお答えになった。これは大蔵大臣としてもこの問題、日英金融摩擦の問題でございますが、このまま放置しておくわけにいかぬと思うし、恐らくトロントでまたサッチャーさんと総理がお会いするときに、どうなりましたかぐらい言われるんじゃないかな。これはある程度時間的制約も出てくるんじゃないか。トロントあたりまでに、大蔵省としてもしっかりこれを固めておく必要があると思うのですね。この点どうでしょうか。証券局長から答弁して、大臣にわかりやすく……。
  55. 藤田恒郎

    藤田(恒)政府委員 東証の会員権の問題につきましては、総理訪英の際に英国の首相の方から、英国系証券会社二社について早期に会員になれるようにしてほしいという要望がございまして、それに対して総理の方から、個人的な関心を持って検討してまいりますというふうにお答えになったというふうに聞いております。したがいまして、必ずしも明確に約束をされたというふうには私ども理解をしていないわけでございますけれども、具体的に現在この東証の会員権の問題につきましては、この二十三日に新たに二十二社の証券会社が会員として入ってくるということでございます。また、新しく会員を迎えるということになりますと、かなり時間をかけていろいろと検討をしなければいけない問題も多々あろうかと思いますので、私どもはこれからの検討課題の一つだという認識を持っておりますけれども、早急にこの問題について何かできることと言われますと、かなり限界があるのではないかというふうに思っております。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この話は、イギリスの総理大臣日本の総理大臣に言われた話でございますから、英国政府としての関心があるということであろうと思うのでございますが、そうだといたしますと、実はこの五月の二十何日から新しく会員になる、この決定を東証がいたしましたのは、昨年のたしか十一月か、ごくごく最近のことでございます。その中で、イギリスからたしか六社申請がありましたうちその四社が選ばれたという、ごく最近のことでございますので、その間の経緯をイギリス政府の東京の出先である英国大使館が知らないはずはないと、正直を言いまして私は思うのでございます。それほど大きな問題であれば、そのときに別段そういう話も東証に対してもなかったようでございますし、どうもその辺が、前の決定が非常に前でございますともう事情がいろいろとございますけれども、ついこの間のことでございますので、どうも十分その間の事情が本国といいますか届いていなかったのか、私、多少その辺をどういうことであろうかという気持ちも持っております。  いずれにしてもこれはクラブのことでございますから、そもそも政府がクラブにあれこれできないということは、こういう制度の発祥の地のイギリスの方にはよくおわかりのはずだということも申したい気持ちがあります。しかし、申すことは申しまして、さてそれでそうかといって何かできることがあるかどうか、考えられるだけ考えてみなければならないとは思っております。
  57. 宮地正介

    ○宮地委員 わかりました。この点はトップ会談の話題になっているぐらいですから、イギリスとしても非常に重要視しているのではないか。国際的に非常に大事な時期だけに、大蔵省としてもぜひ正確な情報をキャッチいたしまして、的確な対処をお願いしたいと思います。  次に、最近、外国の証券会社あるいは外国の銀行による日本国債の引き受けシェア、これは現在外国勢のシェアについては十年物国債で大体二・五%ぐらい、しかしこれについてアメリカを中心に、日本の国債の引き受けにつきまして外国勢が差別されているのではないか、こういう不満が大変強まっているようでございまして、シェアの調整によって金融摩擦を鎮静化する、これも一つのねらいであろうと思いますが、大蔵省としてこの日本の国債に対する外国のシェア、現在の二・五%を引き上げるというお考えをお持ちなのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  58. 足立和基

    ○足立政府委員 外国金融機関のシ団内のシェアにつきましては昨年四月引き上げを行いまして、先生おっしゃいましたとおり現在では固定シェアとして約二・五%になってございますが、昨年の十一月から十年物国債につきまして引受額入札制度というものを導入いたしました結果、これは現在までに十年物について既に七回実施をいたしてございますが、これは主として外国金融機関の市場アクセスを拡大していこうという趣旨からこの制度がとられたわけでございまして、この七回の実績の平均を見ますと、外国証券会社のシェアが四・〇六%と四%を若干超えておる、外銀のシェアが一・二八%ということの実績が出てございまして、これを足しますと五・三%を超えるような、今の先生おっしゃいました固定シェアの二・五%の倍以上の実績が既に外国のシェアの実績としてあらわれてきておる、まず実情がそういうことでございます。  しかしながら、それでもアメリカサイドからは、さらに一層の拡大ということを求められているということも事実でございまして、先月行われました日米の円ドル委員会におきましてもそのような話が出てまいりました。私どもは、国内の金融機関と外国の金融機関との間で何ら差別をするという気持ちはないわけでございまして、アメリカ証券会社あるいは銀行の我が国におきますプレゼンス、実力といいますか活動状況といいますか、そういうものに見合ったシェアは十分確保していかなければならないと考えておりますし、そういう観点から、一体どのようなシェアが外国金融機関の活動状況に見合ったシェアとしてふさわしいのかということを十分考えていこう、そういうような資料がございましたらアメリカ側からも出していただきたい、こういうことでこれからも実績等十分踏まえて、シェアの拡大等の方向で検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  59. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、アメリカを中心にした諸外国、特に私はアメリカだと思いますが、この不満という背景はどういうふうに分析されているのでしょう。
  60. 足立和基

    ○足立政府委員 先生おっしゃいますように、外国と申しましてもアメリカでございますが、アメリカは御承知のように競争入札制度というものを国債の消化についてとってございます。それに対しまして、我が国におきましては十年物についてシ団制度というものをとっておる、これがやはり基本的には問題となってございます。  アメリカの方は、やはり競争入札ということで十分実力を発揮したいという基本的な考え方がございますが、これにつきましては私どもアメリカ日本予算制度を初めとする制度の相違というものを十分説明いたしてございますし、またどの国におきましても、国債の安定かつ確実な消化というものはそれぞれ担保しなければならない。この担保の仕方というものが我が国におきましてはシ団制度であり、アメリカにおきましては例えばプライマリーディーラー制度であり、イギリスにおきましては中央銀行の引き受けでありというような制度がそれぞれあるわけでございまして、その点につきましての基本的な考え方というものは、アメリカサイドにおきましても、我が国の立場というものは十分理解をしてもらっておるわけでございます。そういうようなことで、競争入札ということができないならば、先ほど申しましたように、自分らが十分我が国において活動できるというそれだけのシェアを実際与えてほしい、こういうような見解の相違かと思います。
  61. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしたアメリカ証券会社や銀行に対する努力というものの啓蒙ももちろん大事ですが、国内のシンジケート団とシェア拡大のこうしたアメリカの不満、こういうものについて何らかの措置の交渉をする考えはあるかどうか、この点について確認しておきたいと思います。
  62. 足立和基

    ○足立政府委員 先ほど申しましたように、従来中期国債それから超長期である二十物については、既に完全な競争入札を実施いたしてございます。そういうようなものの実績は既に出てきてございますが、国債の中心である十年物についてシ団制度を維持してございますので、彼らの不満があるわけでございますので、その辺の状況を十分見ながら、必要があれば私どもシ団ともそのシェアの改定については十分話をしていきたいと考えております。
  63. 宮地正介

    ○宮地委員 この十年物国債の固定シェア約二・五、このシ団方式に対しての不満だと私も思います。しかし、この不満をそのまま放置しておきますと、その火がまたあちこちに飛び火するわけでございますので、この点についても十二分に慎重な上に、また国際的な動向というものを大局的に見て、大蔵省としても過ちのないようぜひとも的確な御判断をお願いしたい、このことは御要望しておきたいと思います。  時間も限られておりますので、大臣に何点かお伺いをしたいと思います。  税制改革の問題に絡みまして、最近竹下総理またその周辺からいろいろ聞こえてくることは、具体的に竹下総理は六日にミュンヘンで同行記者団との懇談をされまして、この税制改革問題について用意ドン、スタートは一緒だ、実施は当然違ってくるだろう、こういう御発言をしたのです。これは、いわゆる減税と抜本税制改革法案処理はこの秋に先行させても、新型間接税の実施は先延ばしをする、こういうお考えをお述べになったというのがどうもその本意のようなんです。そうしますと、今度は竹下総理の後見人と言われておりました金丸前副総理は、四月の二十二日に大阪においてこういう講演をしているのです。「国民が支払うのは、三、四年先でもいい。それなら、そのころに(導入を)決めればいいじゃないか、といわれるかもしれないが、そうはいかない。」だから決めるのは秋だ、導入は三、四年先だ、こんな発言をしておるのです。こういうことが最近永田町かいわいでいろいろと流布をされてきている。大蔵大臣、これを容認いたしますか。
  64. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金丸さんのお話は別といたしまして、竹下総理大臣が言われたと伝えられるところについて考えますと、私どもとしては、いわゆる減税というものを六十三年度でございますか、それはやはり全体の税制改革の全貌を確定いたしまして、その一環として考えるならばそれは考えられないことではないというふうに思っておるわけでございますが、財源等々にもよることでございます。税制改革全般の中で、これは例えばおっしゃいますように消費税のようなものは新税でございますし、あるいは相続税のように国会の御議論をいろいろ承っておりますと、相続財産が土地など既に相当上がっておる、それはもう過ぎ去った時点において相当上がっておるではないかというような御指摘もございまして、そうしますとこれは何かその点を考えなければならぬかといったように、税の一つ一つにつきましてみんなが一度に施行をスタートするということは、現実的でない部分が私はあろうと思います。その間後先があるということは、これはおのずからあり得ることだ、そういうふうに総理大臣は言われたものと考えております。
  65. 宮地正介

    ○宮地委員 ずばりお伺いしますが、大蔵大臣は新型間接税の導入については、法案処理は秋、実施は二、三年先、それでよろしいのですか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 金丸さんの言われましたことは、私、論評いたすつもりはありません。ですから、今宮地委員の言われたところまでは、私は申し上げかねるところでございます。
  67. 宮地正介

    ○宮地委員 竹下総理も、徐々にでございますがその辺の本音を言い始めておるわけですから、ぜひ大蔵大臣も意思の疎通を図って、その点の本音の部分は確認をし合っておいた方がいいのではないか、こんな感じがいたします。  もう一つお伺いしておきますが、六十二年度の赤字国債、この四—六月の出納整理期間に繰り延べておるもの一兆一千二百億円、これは自然増収の状況もほぼ見えてまいりました。大蔵大臣、これは発行は見送る方針をお固めになりましたか。
  68. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、いつぞやも申し上げたかと思いますが、五月の三十一日という日一日に非常に大きな税収が入ってまいります。昨年でございますと、法人税だけでこの日に四兆八千億円一日で入りました。それは法人税全体の三十何%に該当いたします。そういうふうに、非常にこれから先の時点で税収の大きな部分が入ってくる、入ってこないという問題がございますものですから、これは隠しておりますのではございませんで、どれだけ自然増があるかということについての的確な見当は申し上げかねておるということでございます。  そこで、仮定の問題でございますが、相当大きな自然増収があったということになりますと、まずその三二%は三税につきまして地方に戻さなければなりませんので、その残りが国に残る。その場合にその限度におきまして、やはり特例公債は発行をしないことが本当であろう、考え方としてはしてはならないというふうに、財政法等々の精神は読むべきであろうと考えておりますので、そういう状況になりましたら減額をいたしたいと考えております。
  69. 宮地正介

    ○宮地委員 この減額措置は間違いなく実行されるであろう、私はこう思います。しかし、その減額に自然増収を回しましても、さらに決算剰余金というものが六十三年度に回せる可能性が出てきております。この辺について、若干その金額にも差があると思いますが、仮に第二次補正後にかたく見て二兆円の自然増収が出たとしても、普通二兆五千億くらい、こう言われておりますが、二兆円といたしましても決算剰余金は約二、三千億程度六十三年度に回せる。これについての運営、これはどういうふうにお考えになるでしょうか、決算剰余金が出た場合に。
  70. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 決算剰余金が出た場合には、財政法上の規定によりますと、その二分の一を下らざる額を翌々年度までに国債整理基金特会に繰り入れるべしということになっておりますので、その規定に従いますと二分の一は国債整理基金特会に繰り入れる、残りの二分の一は翌年度までに歳入に繰り入れて一般財源として使用するということでございますが、その場合にも片方で特例公債を発行している場合には、第一義的には私どもといたしましては、特例公債の減額に充てるべきだというぐあいに考えておるわけでございます。
  71. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで私は、野党からの要求もしてまいりました内職の課税最低限、これはやはり現在のパートの皆さんと同じように九十万円までアップすべきではないか。当然ことしの分から実施できるわけでございますし、減税規模としては二百億円あればできるわけでございまして、財源的にも今申し上げたように十分足りるわけでございますので、この内職の課税最低限年九十万円までのアップについては大蔵省としてはぜひ実行していただきたい、こう思いますが、主税局長、この点については大蔵省としてはどういうふうに今検討されておりますか。
  72. 水野勝

    ○水野政府委員 三月三十日の与野党の政策担当者会議におきまして、野党三会派要求の政策減税については、内職所得者の課税の改善を行うというふうに合意がなされているというふうにお聞きしているところでございます。今後これが具体的にどのように詰めていかれるのか、その状況を私どもといたしましては注視しておるところでございまして、今この場でコメント申し上げる立場にはないわけでございますが、こうした対処の方向についてはいろんな方法があり得るわけでございますし、このように与野党のさらなる詰めをも注視してまいりつつ、私どもとしても、それが具体化されたときに応じましていろいろ勉強はいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、今後の合意の動向につきまして注視してまいり、それが具体化されたときには誠実に対処してまいるべきことであると考えておるところでございます。
  73. 宮地正介

    ○宮地委員 今検討されているということでございますが、これがもしゴーというふうになった場合、主税局長、所得税法の改正でいくのか、あるいは国税庁の実務レベルで経費率を見直していくのか、いろいろやり方あると思うのですが、ゴーされた場合、その辺具体的にどういうことが検討されるか、その辺のことについてちょっと御説明いただきたいと思います。
  74. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいまも申し上げましたいろんな対処の方法があるというところでございまして、まさに今委員指摘のような態様があるわけでございます。ただ、これは先ほども申し上げましたように、具体的にどのような合意がなされるかによりまして私どもへの御指示も違ってまいるかと思いますので、やはりここはなお与野党におきますところの御検討を注視してまいる、それで委員指摘のようないろんな方法を頭に置いて勉強はしておくということではないかと思うわけでございます。
  75. 宮地正介

    ○宮地委員 大体、今私が申したような方法が常識的には考えられますので、あとは引き上げが九十万円までになるのかどうかによって具体的に検討されると思いますが、この分あたりは大蔵大臣、与野党合意の問題等云々もありますが、財源もあるわけですし、また諸般の現在の経済状況を見たときに、内職者の特にお母様方の御主人に仕えている家計のやりくりの御苦労に対しては配慮すべきではないか、こんな感じがしておりますが、ぜひ大臣の率直な御所見を伺っておきたいと思います。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 与野党でいろいろ御相談のようでございますので、そのお答えが出ましたら、ひとつそういうふうにさせていただかなければならないかなと思っております。
  77. 宮地正介

    ○宮地委員 それでは時間も参りましたので、最後に一問だけお伺いをしておきたいと思います。  特に最近、アジアNICSの通貨調整の問題が非常に大きな政治課題としてクローズアップされてきているわけです。韓国とかシンガポール、台湾、香港のアジアNICS対米貿易黒字、これもアメリカの商務省の統計によりましても八六年には三百八億ドル、前年比二四%増、八七年、昨年も三百七十七億ドル、前年比二二%増、こういう状況になってまいりまして、四月のIMFの暫定委員会でもテーマになったようでありますし、恐らくトロント・サミットでもこうした問題に対して日本に対応をいろいろ迫られてくる可能性がある。こうした状況は日本にとっても非常に関心の強い問題でありまして、アメリカあたりでは強硬姿勢に出てくれば通貨の切り上げとかこんなことも考え得るわけですが、他山の石として、これを放置しておくわけにいかぬと思うわけで、こうしたアジアNICSの通貨調整問題等にどう日本として今後対処していくか、その対応、またこうした現在の動きというものをどういうふうに政府としては受けとめておるのか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  78. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいま宮地委員指摘のNICSの問題でございますが、第一の認識といたしまして、NICSの経済が世界で大変重要になってきているということはございます。それから第二に、それに比べると輸入規制というような問題、あるいは今御指摘のように為替が必ずしも実勢を反映していないという問題が指摘されております。それから第三に、いろいろな債務累積国に比べましてNICSは一生懸命自分で努力をしてきてその繁栄を招いているという点は、それなりに評価されるべきだという考え方もあるわけでございまして、そういったことを総合いたしまして、またNICSの中でもいろいろ千差万別でございますけれども、一般的に申し上げると、通貨等も含めてより重要な役割を世界経済において果たすことを自覚してもらいたいし、またそれが期待されているという雰囲気の中でいろいろ話し合いが行われているということでございます。
  79. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣最後に、IMF暫定委員会にテーマとして出たようですが、この点についてはどういうように認識されておるか、お伺いしておきたいと思います。
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのNICSの話につきまして、これはいわゆるG7では前から問題にしておりまして、それに対して私は、基本的にはとにかくラテンアメリカの国々が累積債務をたくさん出して、我々がそれをどうしようかとこうやって思案をしているときに、これらの国々が自分でちゃんと自立をして立派にやっているということをまず認めなければ、問題の正しい処理にはならないということをずっと続けて言ってまいりまして、その点は先般四月十三日の共同声明の中で出ておるわけでございます。  しかし、確かに問題はございますが、その前に申しますと、例えば韓国なんかはかなり大きな累積債務を持っておるわけでございますから、ラテンアメリカの国に、働け、債務を返せと言っているのに韓国に逆のことを言うのは理屈に合わないことでございますから、ということはみんなもわかってまいりまして、それはそうとして、それはわかったが、これらの国々もだんだんいわば大人の国になってくるので、貿易の自由化にしても通貨の問題にしてもやはりもう少し考えてもらわなければならぬなという、それはそうだ。それはそれらの国々もそういう前提でならば考えなければならぬなというふうになってきていると私は思いますし、我が国からもそういう立場で問題をこういう国々に投げかけておる、またそうすべきだろうと思っておるわけです。
  81. 宮地正介

    ○宮地委員 終わります。
  82. 越智通雄

    越智委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  83. 越智通雄

    越智委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。正森成二君。
  84. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、金融先物取引法案証券取引法一部改正案の両案に対して反対の討論を行います。  まず、両案のうち、金融先物、証券先物についてであります。新たに取引される先物商品は株価指数とかそのオプションなど、現実経済と大きくかけ離れた架空の商品であり、しかもその取引は差金決済で行われ、少額の証拠金で巨額の金を動かすことができる、極めて投機的な市場であります。政府は、リスクヘッジの必要性を強調していますが、純粋のヘッジなどはあり得ず、投機とヘッジは混然一体であります。  我が国の大企業は近年財テク、マネーゲームに狂奔していますが、先物市場の開設は一層この傾向を助長し、銀行、証券会社はますます肥大の一途をたどることは明らかです。とりわけ、大衆の預金を預かる金融機関が先物取引に乗り出すことは、大衆預金の安全や信用秩序の維持の観点から大きな問題をはらむものであります。  第二に、証取法の一部改正案のうち、企業内容開示制度の見直しの部分についてであります。企業内容開示制度は証券取引法の大きな柱をなしており、投資家の投資判断のためだけでなく、広く国民が企業行動を監視し、その社会的責任を果たさせるためにも重要な制度であります。本法案は、簡素化の名目で発行開示制度を形骸化し、基本的に継続開示制度のみにしていこうとするものであります。しかし、現行制度は両開示制度ともまだ極めて不十分なものであり、その充実強化こそ求められているのであり、これを大企業の機動的な資金調達を容易にするためという理由で後退させる本法案には賛成できません。  第三に、証取法改正案のうち、インサイダー取引規制に関する部分についてであります。インサイダー取引は、一部会社関係者による一般株主を犠牲にした不正行為であり、諸外国でも厳しく規制が加えられているものであります。ところが、我が国においては、インサイダー取引がまかり通り、それが不正であるという認識すら極めて希薄であったと言って差し支えないのであります。この点で本法案は、インサイダー取引に係る法律要件を初めて明確に規定し、違反者に刑事罰を科すことにし、あわせて未然防止のための規定を整備するものであり、不十分な点もありますが賛成できるものであります。  以上のことから、両案について我が党は、金融先物取引法については反対、証券取引法一部改正案については、インサイダー取引規制関係は賛成であるが、その他の点で反対であるので、全体としては反対の態度をとるものであります。  以上で討論を終わります。
  85. 越智通雄

    越智委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  86. 越智通雄

    越智委員長 これより両案について順次採決に入ります。  まず、証券取引法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 越智通雄

    越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、金融先物取引法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  88. 越智通雄

    越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  89. 越智通雄

    越智委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、太田誠一君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。太田誠一君。
  90. 太田誠一

    ○太田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。    証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 金融・証券先物取引等の導入に当たっては、特に一般の委託者の保護に万全を期することとし、この正確な知識・情報の提供に努めるとともに、過度の投機的取引、不正な手段を用いた勧誘又は営業が行われることのないよう指導・監督を行うこと。  一 金融・証券先物取引等の導入に当たっては、我が国が国際的な金融・証券市場としての役割を果たしていくことを踏まえ、適切な条件のもとに取引が行われるようその国際性に十分配意するとともに、取引が公正かつ円滑に行われるよう配意すること。  一 証券先物取引等については、先般の株価下落の経験等を踏まえ、現物価格の安定に資するものとなるよう、現物市場との整合的な管理・運営に努めること。  一 内部取引規制に当たっては、行政当局、証券取引所関係者において未然防止体制の整備に万全を期すること。  一 内部取引規制に当たっては、その規制の範囲が具体的かつ明確になるよう配意すること。  一 今回の企業内容開示制度の改善を機に、我が国発行市場の活性化を図るため、発行市場改革を一層推進すること。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
  91. 越智通雄

    越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  92. 越智通雄

    越智委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。     ─────────────
  94. 越智通雄

    越智委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  96. 越智通雄

    越智委員長 次回は、来る十八日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十一分散会