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1988-04-26 第112回国会 衆議院 大蔵委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十六日(火曜日)     午前九時四十三分開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       石破  茂君    今枝 敬雄君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       金子 一義君    小泉純一郎君       笹川  堯君    杉山 憲夫君       戸塚 進也君    鳩山由紀夫君       堀之内久男君    村井  仁君       村上誠一郎君    山本 幸雄君       上田 卓三君    小野 信一君       沢田  広君    野口 幸一君       早川  勝君    武藤 山治君       橋本 文彦君    日笠 勝之君       森田 景一君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  平沼 赳夫君         大蔵大臣官房審         議官      瀧島 義光君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         大蔵省理財局次         長       公文  宏君         大蔵省証券局長 藤田 恒郎君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省銀行局保         険部長     宮本 英利君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局研究課長 千葉 真一君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         外務省国際連合         局経済課長   野坂 康夫君         厚生省保険局企         画課長     羽毛田信吾君         厚生省保険局保         険課長     澤村  宏君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部再就職対策室         長       深谷 憲一君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団共済         事務局長)   長野 倬士君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   笹川  堯君     石破  茂君   堀  昌雄君     小野 信一君 同日  辞任         補欠選任   石破  茂君     笹川  堯君   小野 信一君     堀  昌雄君     ───────────── 四月二十五日  大型間接税導入反対に関する請願矢追秀彦紹介)(第一七六六号)  大型間接税導入反対に関する請願安藤巖紹介)(第一七六七号)  同外一件(岡崎万寿秀紹介)(第一七六八号)  同外一件(児玉健次紹介)(第一七六九号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第一七七〇号)  同外一件(中路雅弘紹介)(第一七七一号)  同外一件(不破哲三紹介)(第一七七二号)  同(藤田スミ紹介)(第一七七三号)  同(松本善明紹介)(第一七七四号)  同外一件(矢島恒夫紹介)(第一七七五号)  同(山原健二郎紹介)(第一七七六号)  新大型間接税導入反対国民本位税制改革に関する請願柴田睦夫紹介)(第一七七七号)  同(田中美智子紹介)(第一七七八号)  同(中路雅弘紹介)(第一七七九号)  同外一件(中島武敏紹介)(第一七八〇号)  同(不破哲三紹介)(第一七八一号)  同(正森成二君紹介)(第一七八二号)  大型間接税導入反対等に関する請願外一件(児玉健次紹介)(第一七八三号)  同(正森成二君紹介)(第一七八四号) 同月二十六日  大型間接税導入反対に関する請願柴田睦夫紹介)(第一九一六号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一九一七号)  同(正森成二君紹介)(第一九一八号)  新大型間接税導入反対国民本位税制改革に関する請願岡崎万寿秀紹介)(第一九一九号)  同(金子満広紹介)(第一九二〇号)  新大型間接税導入反対に関する請願外二件(小渕正義紹介)(第一九五八号)  同(田中慶秋紹介)(第一九五九号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七二号)  昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七三号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出第七九号)  金融先物取引法案内閣提出第八〇号)      ────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  両案について順次趣旨説明を求めます。宮澤大蔵大臣。     ─────────────  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案  昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行は、開発途上国に対する開発援助を促進する上で中心的役割を果たしている機関であります。  先般、世界銀行において、我が国を含む一部の加盟国出資額を増額する総務会決議が成立し、我が国出資シェアは五・一九%から六・六九%に引き上げられることとなりました。政府は、開発途上国社会経済開発における世界銀行役割重要性にかんがみ、同行の活動を積極的に支援するため、この決議に従い、追加出資を行うこととしております。  本法律案内容は、政府同行に対し、十一億七千九百六十万協定ドル範囲内において追加出資を行うことができるよう、所要措置を講ずるものであります。  次に、昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、国家公務員等共済組合法年金につきまして、別途提出しております児童扶養手当法等の一部を改正する法律案による厚生年金及び国民年金改定措置に準じ、その額を改定するため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容について御説明申し上げます。  この法律案におきましては、退職共済年金等国家公務員等共済組合法年金について、昭和六十一年の消費者物価指数に対する昭和六十二年の消費者物価指数比率を基準として、その額を引き上げることとしております。  この年金の額の改定は、昭和六十三年四月分の給付から実施することとしております。  その他所要措置を講ずることとしております。  以上が、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 越智通雄

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 越智通雄

    越智委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団共済事務局長長野倬士君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────
  7. 越智通雄

    越智委員長 これより両案について質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  8. 沢田広

    沢田委員 大臣最初からでありますが、国際通貨基金の増資ということは、今日の日本経済からしてみて、ある意味においてはそれなりの協力をすることは世界平和のためにも経済復興のためにも必要なことである。しかし、これはアメリカ側がこういう状況になりますといろいろ言われてくるわけですが、こういうものをたくさん出すことは我々も了解していくにしても、そのかわりやはり一方の軍事費の方の負担を増大させていくということはある程度自制していく、そういうものがないと、両方とも負担増になっていくという形が生まれてくるわけでありますから、大臣もそれぞれ世界の会議に出ますから、金は出します、しかし武器の調達とか武器の増強ということについてはひとつ遠慮をしてもらいたい、それは我が国の憲法の示すところなんだ、こういうふうに理解を求めていくという姿勢は必要だと思うのです。  今年度も、参考ですが、いつも言うようですが、七四式戦車五十二両、これはどこで使うのかなんて思うぐらいなんです。この前も一回言っているのですが、大臣は、本当にこれは知っているかどうかと言っては悪いですけれども、戦車はどこでどんなときに使うと思っておられますか。大臣、どういうときにこの戦車というのを使うのだと思っておりますか。防衛庁に聞いたってしようがないですから。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 基本的に我が国防衛の考え方は、基盤的防衛力の整備、専守防衛でございますから、したがいまして、ただいま戦車お話がございましたが、我が国がそのような備えを持っているということによって、仮に我が国を敵視する国が容易に我が国の国土を侵攻するということはできないことである、非常な抵抗を覚悟しなければならないということを示す意味におきましてこれらの装備を必要としている、また実際、いざとなりましたらそれはそういう抵抗をしなければならないということでなければ抑止力にならないわけでございますから、そのための訓練もしている、そういうものとして理解をいたしております。
  10. 沢田広

    沢田委員 これだけでも大きな議論があるのですが、特に私が戦車を挙げましたのは、例えば高射砲であるとか対戦車ヘリだとか、いわゆる防御的な立場のもので、専守防衛ですから、本土の中で使うものではない。そういう意味において、戦車はどこへ上がるのか。国内で動くのか。どこで動いて使うということなんだろう。今の大臣の答弁では、国内で動くということを想定しているということですか。首を縦に振っておられますから、返事は、国内で動く。そういうことは沖縄で十分経験していることであるから、もう当然そのことは使わないで済ませるということじゃないでしょうか。そこに残っている女性や子供や家庭や年寄りはどうなってしまうのでしょう。だから、本土で動くということを考えること自身が少し過剰なんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。これは大臣の見解だけでいいです。お互い素人議論ですから。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 我が国戦車が海外に出かけるということは考えられないことでございますから、国内において使われるということを想定しての装備及び訓練であると存じます。その意味合いは、我が国を敵視する国が仮にございまして上陸を企てるようなことがありましたときには、それなり抵抗を覚悟しなければならないという意味での抑止力として働くというふうに考えておるわけでございます。
  12. 沢田広

    沢田委員 これはやりとりはやめますが、対戦車砲とかミサイル砲とか、そういうものをやはり海岸なら海岸に置いて、落下傘で来る場合もありますが、そういう場合でもそれは方法があると思うので、国内戦車をがらがら、あれはおもちゃじゃないのですから、動かすということを考えるということ自身が異常だと私は思います。この狭い東京の中で例えばあれががらがら動く状況を考えてみてください。これは異常ですよ。ですから、それはどんな場合でもそんなことは考えられないと見るべきだと思います。これは私の意見ですからいいです。  年金の問題の質問の通告は大変多いのでございます。要すれば、年金が今日本の非常に大きな課題になっているという認識で挙げたのです。しかし、これは時間的には全部できないだろうと思っています。だから、これはそれぞれ検討していただく課題を通告したというふうにひとつ念頭に置いていただきたいと思って質問していきます。  まず最初に、これは税金の方の関係がございますから、公的年金と称するものの解釈を明らかにしていただきたい。
  13. 松本省藏

    松本説明員 お答え申し上げます。  公的年金と俗に申しますけれども、私ども政府として今公的年金制度一元化というものを一つ政策課題といたしましていろいろな検討を進めているわけでございますが、この場合の公的年金制度と申しますのは、国民年金制度、それから厚生年金保険制度国家公務員等共済組合制度地方公務員等共済組合制度私立学校教職員共済組合制度農林漁業団体職員共済組合制度、この六つの年金制度念頭に置いているわけでございます。
  14. 沢田広

    沢田委員 大蔵省はそれでいいですか。今言われたものを公的年金という解釈でよろしいですか。
  15. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 公的年金と言われるものの非常に厳密な定義というものはないのでございます。ごく通常使われておりますものですから、その場合には、私ども例えば公的年金一元化というようなことでよく言っておりますが、今お答えのありましたような六種の年金普通公的年金と考えております。
  16. 沢田広

    沢田委員 税制の上で公的年金のいわゆる減額調整あるいは併給調整対象になる年金は、これと同じであると解してよろしいですか。
  17. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 税の関係での定義につきましてちょっと正確を期しがたいのでありますが、いずれにいたしましても、併給調整を行うときには法律対象となる年金をそれぞれ明定しておりますものですから、公的年金という言葉であるかどうかということ、その公的年金という言葉解釈併給調整が影響されるというようなことは特にないのではないか、それぞれ対象となる年金を明定しているということで済んでいるのではないか、こんなふうに思っております。
  18. 沢田広

    沢田委員 現在国家公務員でも二百八十万で年金が減額されますね。五百八十万では二分の一に減ってきますね。そうすると、その五百八十万の他の所得には、他の年金も当然含まれてくるということになるわけですね。その場合に、公的年金との対比の問題で、これで時間をとりたくはなかったのですが、そういう解釈で規定づけて、これはそれで確認する方が私の方はいいのですが、それでよろしいのですか。
  19. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 その件の場合には、給与所得で仕切っておりまして、年金を含めておりません。
  20. 沢田広

    沢田委員 では、恩給はその他の収入で、給与所得控除でいくということですか。それから例えば交通遺児年金というようなものもそうなりますか。それから地方議員年金とか国会議員年金とかもその他の勤労所得控除を適用するという解釈ですか。あるいは首長の年金もそういうことになるわけですか。あるいは労災年金もそういうことになるわけでありますか。
  21. 鳥山郁男

    鳥山説明員 恩給についてお答えいたします。  恩給の場合には、恩給年額が百七十万円以上であって恩給外所得年額が七百万円以上の場合に停止の対象となっておりまして、恩給の場合には給与所得に限定をいたしておりません。
  22. 沢田広

    沢田委員 では、後でちょっと打ち合わせしてから。公的年金税法上の解釈は極めて影響するところが大きいから。  それから、今恩給の方でお答えいただきましたが、七百万が限度額制限が生じる。国家公務員は五百八十万で制限が生じる。厚生年金は、これは六十五歳以下でありますが、月収が八万円以上になれば併給制限が生じてくる。そういうふうに、それぞれ他の所得によって起こり得る制限額税法上各種にある。特に、年金においてもこれだけ違いがある。これはやはり一元化をしていく方向に、少なくとも共済恩給文官恩給も入っているのですから、文官恩給と一般の共済年金が金額において差があるということは不合理じゃありませんか。
  23. 鳥山郁男

    鳥山説明員 恩給立場お答えいたします。  先生おっしゃいました併給制限という措置が、今度の新年金改革共済年金をおとりになった、他の被用者年金に再加入した場合の年金制限という意味制限でございますれば、恩給の場合には同じ措置を実はとっていないわけでございます。これは一つには、今回の冒頭御質問ございました公的年金一元化のスケジュールに恩給が入っておりませんためにこういう措置対象とはしなかったわけでございまして、また恩給受給者は非常に高齢化しておりますために他の被用者年金に加入するという事態が極めてレアケースでございまして、かつ、会社に勤めておって相当の所得があったといたしましても、御承知のとおり厚生年金は六十五歳で被保険者資格を喪失いたしますために、ほとんど実益のない制度になってしまうということから、昨年先ほど申し上げたような制度をむしろ強化する方向の改正をいたしたわけでございます。
  24. 沢田広

    沢田委員 これもきょう今すぐ回答を求めるということは避けますが、追い詰めることはやめますが、これも差があることはおかしい。大臣文官恩給共済がそう違った所得制限を受けるということは、これは発生がもともと同じなんですから、大臣も判任官になっていたこともあるんだろうと思うのですが、私もあるのですが、そのときの分に今日こうやって差が生じてくるということはおかしな話なんですね。ですから、やはりこれは統一へ向けてやってもらわなければならぬ。  もう一つ続いて聞きますが、これはやはり恩給共済なんですが、遺族範囲なんであります。自分が死んだときにもらえる遺族範囲は、恩給はどこまでもらえるのですか。
  25. 鳥山郁男

    鳥山説明員 恩給の場合に遺族年金のことを扶助料と申しておりますが、この扶助料支給対象は、配偶者、未成年の子、それから父母、それから成年の子、祖父母成年の子は、重度障害生活費を得る道がないという条件がついております。そこまでが年金対象者でございます。
  26. 沢田広

    沢田委員 共済の方ではどうでありますか。
  27. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 恩給に比べますと、まず配偶者、子、父母、それから孫、祖父母という順でございますので、孫というものが違っておるわけでございます。
  28. 沢田広

    沢田委員 これもやはり統一しなければおかしな話じゃないのか。恩給の方はこうだけれども、共済の方は孫までいくんだ、片っ方は孫にいかないんだというのも文官というスタートからいけばおかしな話だ、そう思いませんか。  今の二つ、所得制限もしかり、それから遺族の受け取っていく範囲、そういうものの順序も違うのですね。そういう点は調整すべきじゃないかと思うのですが、これはいかがですか。政治的な話ですから、大臣に伺います。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 申しわけありませんが、よく私にわかりかねておりまして、なお精査をいたしてみます。
  30. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 先ほどのお話もそうでございましたが、ただいまの遺族の問題につきましても、幾つかの相違点が各制度の沿革的な相違というものに基づいていろいろ生じてきたという点が非常に大きな要素であろうと思っております。合わせていく道がうまく出てくるものかどうか、利害関係もいろいろ錯綜するわけでございますので、今後とも関係省庁間でよく勉強させていただく課題かと心得ております。
  31. 沢田広

    沢田委員 レクチャーのときもそうでしたけれども、問題がたくさん挙げてありますから、しかしこの程度は、だれも気がつかないでそのまま推移するというのではおかしい話でありまして、やはりそろえるということ、それからもう一つは、今日の核家族化の中において果たしてこれが有効な範囲かどうかということも改めて考える必要があると思うのです。  この間も生活保護の問題で若干触れましたが、ほかの親兄弟は大変お金持ちである。しかし、ある一人だけが、お嫁になんか行って、だんなさんに亡くなられると生活保護対象になってくる。そういうような場合に、生活保護は、これは税金ですが、十分支給される。いわゆる民法でいう扶養義務というものはある意味においては無視されてしまって、それだけが単独で歩いていく。しかし、こういう年金の場合の相続権というもの、あるいは普通の相続でいう範囲内というものから見ると、それは平等の権利を保有していく。これも社会のひずみの一つなんですね、大臣。  一方では扶養義務というのが、民法で決まっている扶養義務があるのですが、それは果たさない。果たせないのか、果たさないのか。それで生活保護生活保護で独立独歩している。しかしこういう年金遺族範囲遺族範囲で当然その中に対象に入ってくる。あるいはまた相続の場合も当然その対象に入ってくる。そういうことについて、やはり社会のひずみの一つですね。制度はなっているけれども実際は別な方向に動いているということなんでありまして、これも、大臣も、新しい問題なのかもしれない、国全体のことを考えているからこんな細かいことはおれは知っちゃいないというのかもわかりませんけれども、やはりそれが、こういうものの不公正をなくすことが私は政治だと思うのです。だれが悪いとかかれが悪いとかいうのではなくて、そういう不公正をどうやってなくしていくかということが我々の積み重ねていく一歩だと思うのです。ですから、恩給共済でこういうずれがあります。そういうずれはなくしていくべきでしょう。その方向に向かって大臣はやはり頑張っていかなければならぬ立場にある、私はそう思いますが、大臣はいかがですか。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変大事な問題だと伺っておるのでございますけれども、非常に専門的な問題でもありますので、正直申しまして、十分私にわかりかねる点もございます。しかし、おっしゃいますようなそういう変化が世の中に生まれておることも確かでありますが、他方でまた一つ制度から既得権を生じておるということも確かでありますから、その辺のことをなおよく検討させていただかなければならないと思います。
  33. 沢田広

    沢田委員 では、これはまた来年も同じようにこの法案に幸い見参することができれば、改めてまたそのときにはお答えをいただきたいと思っております。意味は深長でしたが、そういう意味で。  続いて、恩給は一・二五今回スライドしたんですよ。それで、共済は昔は賃金スライドであったのです。ところが六十一年の年金統一化のときに物価スライドに足をそろえたわけです。恩給の方は依然として賃金スライドで、何と共済年金よりも十二・五倍という、比率にしてみたら大変なものだ。去年は若干調整されたのです。  ここでこの前、去年申し上げたときには、恩給の方もやはりバランスをとらなければいかぬかというふうにお答えいただいたわけです。ところが今回も、文官も含めてなんですが、同じ人間で、文官で例をとれば、同じ職場にいた人間が、片方は〇・一しか上がらなくて、片方は一・二五上がるというのは、軍人だなんということで物を言うとまたおかしくなるから、同じ文官同士で考えたら、これは極めて不平等きわまるものなんですね。大臣の仲間にも文官でもらっている人がいるでしょう。文官でもらっている人は一・二五なんです。このごろやめた人は〇・一しか上がらないのです。それは少なくども平等ではないでしょう。同じ大蔵省の仲間で、昔やめた人は、文官恩給をもらってやめた人は一・二五今度上がるのだよ、ところが、六十年でも五十八年でもやめた人は〇・一しか上がらないのだよ、こういう不合理を直そうとする気がないというのはどう考えてもおかしいですね。言うならば、赤を黒と言って言い逃れようというのと同じなんです。  例えば隣に住んでいたとしたら、うちの父ちゃん一・二五上がったけれども、うちのおじいちゃんは〇・一なんだ、こういうことになる。宿舎にはいないでしょうから、出てしまっているから並べるのにもあれだけれども、同じに住宅なんか買った場合はそういうことはあり得るわけです。そういうことでいって、大臣、どう思いますか。国というのはおかしなところだな、うちの父ちゃん大蔵省で一生懸命頑張ってきたけれども〇・一しか上がらない、隣の人はふらふらやっていたけれども一・二五上がる、これはどういうわけかな。家族にどう説得したらいいでしょう。大臣、ひとつ説得してみてくれませんか。
  34. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 公的年金制度間のバランスに関連しました恩給制度の見直しということでは、御承知のとおりではございますが、政府として鋭意検討してまいったつもりでございます。  御承知のとおり、恩給は、六十二年度予算の段階から、公務員給与そのままのスライドではなく、総合勘案した方式ということで、また、六十三年度はもとの給与基準というものに戻したいという関係者の強いお話もございましたけれども、私どもといたしましては、これを少なくとも総合勘案ということはしてもらわなければ困るということで、関係者でよく話をしまして、その結果として、御承知のとおり公務員給与でございますと一・四六という数字になるかと思いますが、これが一・二五%というスライド率に抑制をされておるということはあるわけでございます。  そういう状態でございますが、いずれにいたしましても、恩給と申しますのは、もう先生つとに御承知のとおり、国家補償的な性格を有するという制度でもございますし、どうも公的年金のように相互扶助の精神に基づきまして保険数理の原則で運営されるというものとやや性格を基本的に異にする部分があるということは御理解賜らなければならないのではないか。  それからまた、恩給の場合、だからどうだというふうに言っていいかどうか難しいのでございますけれども、対象とされる方々がすべて既裁定者でございまして、新規参入者がまだ出てこない。一方、公務員の共済につきましては、これから永遠の将来にわたりまして現役公務員との給付、負担バランスを考えながら制度として維持していかなければならない、その辺のところの調整を御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  35. 沢田広

    沢田委員 今の話、奥さんが聞いて、何を言っているのだかさっぱりわからないだろうと思うのですね。うちのおじいちゃんは一・二五上がって隣のうちは〇・一だよという説明になっていないのです。それをわかりやすく言えるということが政治には必要じゃないですか。何だかわけのわからない、調整はするのだとかなんだとか言っているけれども、結果的に文官恩給で来たと仮定すれば同じなんですよ。軍人とかなんとか考えれば話は別ですが、これは回答は要らないです。要らないですが、あなたを責めてもどうにもなりそうもなさそうだけれども、とにかくこういうことで答弁ができない状態、いわゆる世間が納得しない状態というものだけは是正しなければならぬものでしょう。それはいろいろ意見があります。いろいろな意見があるけれども、とにかくそういうバランスの崩れているものを直さなければならぬということだけは必要なことだということをわかってもらいたいですね。しようがないのだとかなんとか言いわけを言わなければ説明がつかないということでは、どうにもならないと思うのです。  これはもうこれ以上詰めてもだめでしょうが、総理府の方も、文官恩給も含んでいるわけですから、恩給の方も同じように歩調をそろえられる方向で努力をしてもらうということはいかがでしょうか。これは両方からお答えをいただいて、今の差はどういうふうにもならないとしても、幾らかずつでも努力していく、そういうことについて御回答いただいて、次に進みたいと思います。
  36. 鳥山郁男

    鳥山説明員 経緯は先ほど大蔵省の方からお答えいただいたとおりでございます。ただ、この問題につきましてはいろいろな御意見がございますので、私どももそれを謙虚に受けとめまして今後とも引き続き勉強を続けてまいりたいと思っております。
  37. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 共済年金を含みます年金につきましては、全体として物価スライドで現行の価値を維持していく、これは大方針としてできましたものですから、これはひとつしっかりと守り、かつ維持をして、いい年金制度をつくっていかなければならないと思います。  恩給の方に主として問題が出てくるかと思いますが、先ほど申しましたように、二年間続けまして総合勘案方式ということで懸命の抑制努力、何とかバランスをとる努力というような気持ちでやってまいったわけでございますが、今後ともまた努力を続けさせていただきたいと思います。
  38. 沢田広

    沢田委員 続いて、短期の問題に、タンキと言ってもこれは気が短くなったという意味ではないですよ、共済の短期の方で若干お伺いしておきます。  要すれば今のままで不満なんですが、今いわゆる普通の健保、政府管掌のものもありますが、現在、民間の厚生の健保と共済の健保とは上限が違うわけですね。厚生は幾らですか。
  39. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 民間の健康保険におきましては、標準報酬の上限は七十一万円でございます。それから、国共済の方におきます短期の標準報酬の上限は四十七万円ということになっております。
  40. 沢田広

    沢田委員 これもおかしくないですか。片方は七十一万円が上限にされていて、片っ方は四十七万円、これはやはり給料の高いものが楽をするということになるのでしょうが、足して二で割ってもいいが、とにかくバランスをとらなければならぬ課題だということはおわかりいただけますか。
  41. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 実は、国共済制度は、その中に長期給付と短期給付を両方あわせて行う総合的な保険制度だということでやってまいったものでございますから、従来から長期給付と短期給付の掛金の基準というものを同じレベルに設定をしてまいったわけでございます。このため、六十一年に共済年金の方の制度改革を行いました際にも、総合保険としての性格から長期給付と短期給付の掛金基準となります標準報酬を統一をしておくことが適当ではないかと考えたわけでございました。それから事務処理も大変簡便になるということも考えたわけでございます。そこで、長期、短期とも、厚生年金と同様の標準報酬の等級及び金額、四十七万というところに合わせたというのが経緯でございました。  特に、国共済の場合、六十一年四月の制度改正で新たにこの標準報酬制度を導入したばかりでございましたので、かつ、それが非常に大幅な改正でございましたので、しばらくの間制度の複雑化を避けて新制度の定着化を図りたいということを考えておるわけでございます。  しかし、短期は短期ということで民間と公務員というものを比較いたしました場合に、標準報酬の上限について先生御指摘のようにそこに差があるのはおかしいのではないかという点につきましては、確かにそれは一つの御意見であろうかと思います。今後十分研究していかなければならない課題であるという認識は持っております。
  42. 沢田広

    沢田委員 これも一度に上げると驚いてしまうし大変になってしまいますから、やはりある程度の経過年数を踏みながらきちっと線をそろえるということの必要性はあるだろう、私はこういうふうに思います。  それからもう一つは、今特別健保組合も含めて五千八百ぐらいあるのでありますが、非常に財政事情が問題になっている。これもやはり掛金率が上昇していっている。この現状についてまず簡単に厚生省の方から、これをどういう状況と認識しているか、お答えいただきたいと思います。
  43. 澤村宏

    ○澤村説明員 現在健康保険組合は約千八百ございますが、その平均的な保険料率は八一パーミル、約八%程度、そういうものになっております。
  44. 沢田広

    沢田委員 共済の方はいかがでしょうか。
  45. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 現在国共済関係ではその特別健保組合というのは持っておりません。
  46. 沢田広

    沢田委員 いやいや、私が言っているのは財政事情を聞いたわけですが、これはまた何かの次の機会に答えてください。  続いて、JRの年金は、先般堀先生からもお話があったということでありますから、きょうも実は清算事業団も含めてこの問題にどう取り組んでいくかということについていろいろ聞きたいと思ったわけでありますが、幾つかの問題でお答えをいただきたいと思います。  JRのことについて私もいろいろ勉強させてもらいました。今国鉄共済の分は、いい悪いは別として、掛金が八・四九五。大臣、これはちょっと耳を傾けていてもらいたいのですが、成熟度が一七二、二人で一人、一・七で一人、こういうことでありますが、八・四九五、将来は掛金は上がっていくということにはなっている。一二・四五ぐらいにまでは、これは大体八十二、三年ぐらいの年度にはそうなるという計算は一応されているわけでありますが、現在のこの八・四九五というのは極めて高い水準だと思うのですが、ほかは一番低いところと比較しますと五・一、どこだとは言いませんが、五・一というのが一番低いのですね。五・一と八・四九五という、毎月、毎月これだけ違ってくるということは、私は掛金率の水準よりも格差の方がより問題だと思うのですね。あるところに住んでいる人は五・一で掛金が済んでいる。あるところに行っている人は八・四九五納めなければならぬ。この格差が問題だと思うのですね。  ですから、この点はある程度、最小限度、議員の定数じゃありませんけれども、やはり最小限度を超えるようなことがあってはならぬというふうに思うのですね。これは、議員の定数みたいに二・九だなんてこんな比率はどうでも適用できるとは思いませんけれども、とにかくいずれにしてもそういう性格のものだ。余り格差があって、とにかく十万円で片方は八千四百九十五円納めるのですよ。十万円で片方は五千百円ですよ。これだけの差が出てくるわけですね、十万円で。平均給与三十万円と仮定すれば、その三倍になるわけですから、これは簡単にわかるわけで、片方は二万五千円納めるわけです。これは長期だけですよ。そういうことになりますと、やはりこのバランスをとるということは必要じゃないかと思うのです。  これは、ほかの担当の回答よりも、大臣が、こういう事実はやはり、専門じゃないからといってまた逃げられちゃったのでは困る。だから厚生大臣来いと言っているのだ、担当大臣なんだから。それを来ないでしらばくれているなんというのは、大体これはよくないと思うのだ。体質的によくない。大臣から注意しておいてくださいよ、これは。
  47. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 各年金を通して見ますと、先生御指摘のとおり掛金率に相当差が出てきておる。そういうことの中で、各年金がそれぞれの状況を踏まえながら年金制度の維持発展に懸命に努力していると思うのでございますが、かなり差があるということも事実でございます。  いずれにいたしましても、これから先の年金というものを考えますときに、先般年金制度の大改革でこの給付面のいわば一元化という形でかなりの思い切った調整が進んだわけでございますが、今後七十年の年金一元化というのは主として負担面の一元化という性格を持つのだというふうに言われておりますので、そういったことの中でこの負担面の開差というものをどういうふうに考えたらいいかということを大きな課題一つとして考えていかざるを得ないと考えております。
  48. 沢田広

    沢田委員 非常に迫力のない答弁なんですね。委員長もそう思われるでしょう。同じ大蔵省におられて。極めてはっきりしないんですね。これはこうなんですと自信を持った回答というのが返ってこない。じくじくじくじく、入梅に入ったみたいではどうにもならない。  それで、資金の運用でお答えをいただきます。私学共済とか地方公務員共済等ではいろいろ資料を出してもらいましたが、大体運用されていますが、JRはどの程度、どういうふうに貸し付けが行われておりますか。
  49. 長野倬士

    長野参考人 運用と申されますと恐らく積立金の運用かと存じますが、現在積立金が年間の給付金額の半年分以下という非常に低い水準にまで落ち込んだわけでございますが、その中で、約三千億弱の積立金の中で八百億程度を職員の住宅貸し付け等へ回しておるという形でございまして、最近積立金が減少しておりますし将来の不安もございますので、職員の福祉のための住宅貸し付け等は極力抑える形で推移しておる次第でございます。
  50. 沢田広

    沢田委員 これは私学の方は割合財政的にいいわけでありますが、一応考えてみると、これは比率だけ言っておきますと、一番多いのがやはり住宅貸し付けなんですね。金利は五・二六ぐらいでいっているわけです。これは幾らか下がったからだ。そのとき以外は一般貸し付けになっていますね。  それから年金福祉事業団の関係でいきますと、やはり住宅資金がほとんどで、六十一年度でいっても一兆一千百三十五億というものが住宅貸し付けであるわけですね。年金担保も九百五十四億ぐらいありますが、あとは福祉施設整備資金、こういう形になっていますね。  それから地方公務員共済状況をいきますと、四兆五千億が残っておりまして、これは共済連合会の加入組合でいくと二兆四千百二十三億、こういうことで、これは住宅貸し付けは千二百万円まで貸していますが、五・七六で動いていますね。  こういう貸し付けも、やはり、ある程度部分的な変化はそれぞれ需要等が違うのでしょうけれども、JRなどは借りられないために住宅金融公庫を利用しているという形が多いわけでありますが、こういう形のものをやはり一元化をしていくという方向に考えられないかどうか、この点が一つ課題だと思うのですね。ある組合のものの有利さ、これからはそういうものがだんだんなくなっていく時期に来たんじゃないか。だからやはり均一化していくという方向がとられなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、今すぐにこうだとは言いません。しかし、そういうものにある程度近づけていくという努力が必要だと私は思います。これはもうほかの者に聞いてもしようがないと思いますが、大臣がツルの一声でこういうものは少し調整しろと言えばそれで調整されるわけですから、ひとつ大臣から、資金の貸し付けその他については、経理状況もあるでしょうけれども、なるべく一元化をしていくように相談してみよ、こういうことでお答えいただけませんか。
  51. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、おっしゃることは先ほどからごもっともだと伺っているわけですが、七十年という時期を目標に置いてやっておりますのは、ただ号令をかけたらできるという種類のことではありませんので、やはり給付の方はほぼそろってきたとして、先ほどから御指摘のように負担は非常に違っておるということは、おのおのがいわば貧富の差があるというのは変な言葉でございますけれども、余裕があるところとないところとあって、それが今沢田委員のおっしゃるような貸し付けの状況にもあらわれておるということでございますから、やはり全体としての一元化という目標に向かって徐々にそういうことを調整していくということであろうかと存じます。
  52. 沢田広

    沢田委員 続いてJRの場合を例にとりますと、今度国鉄再建ということで急激な人員減をやったわけですね。これは人為的というか、必然的というか、いろいろ解釈はあるだろうと思います。しかし、こういうふうに急激に会社が再建されるような場合に起こり得る現象の一つなんですね。円高でどうにもならない、せめて人間を三分の一に減らして企業を何とか守っていこうという場合に大変な退職者が出る、あるいは炭鉱の閉山のような場合にやはり退職者を出さなければならない、こういうのは異常事態だと思うのですね。ですから、少なくとも国鉄に起こった、四十六万いたものが二十二万に減らされた、その二十二万がまた逆に言えば年金受給者となって支出の方に回っていく、こういう状況というのは、やはり突然異変、政治的な異変の一つだというふうに言えると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはそういうことに例えられると思います。
  54. 沢田広

    沢田委員 そうすると、これは戦後ばかりじゃなく戦前から日本の動脈として働いてきたわけでありますから、いろいろな年金の古さというものも持っているわけですね。ですから、その都度追加費用等では御配慮はいただいてきたものの、そういう一つの歴史的なものといわゆる宿命的なもの、こういうものが混在している分については、ある相当部分国が負担をしていってもいいのではないか。全然見て見ないふりして、それは組合だから労使折半なんだよということだけでは割り切れないものがあるのではないか。やはりこれは突然異変としての条件というものを考えなければならぬのではないか。それは政府においてもある程度考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに解釈をいたします。全部とかなんとかということの部分は別です。しかし、そういうものの要素を政府として感じてもらわなければならないのじゃないかと思いますが、大臣はいかがお考えでしょう。。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 六十五年度以降になりますと、前にも申し上げたと思いますが、収支減で三千億という毎年オーダーのものになってまいることが試算をされておりまして、これは容易な問題でないというふうに考えておりますことは御指摘のとおりであります。  そこで、過般、この問題を検討いたしますために閣僚懇談会が設けられておるわけでございますが、私もその構成者の一員でございますが、なお広く各界の有識者にお集まりをいただいてこの問題を討議していただくことが有用であると考えましたので、鉄道共済年金問題懇談会をつくりまして、既に御検討願っておりますが、本年秋ごろまでをめどに御意見を取りまとめていただきたい。それを踏まえまして政府としてはその後の対策を考えてまいりたい。問題が非常に大きくかつ難しゅうございますので、慎重にそういう検討をいたしておるところでございます。したがいまして、それがどういう形をとるかについて今予断を申し上げるようなことは避けたいと思いますが、いずれにいたしましても、昭和六十五年度以降支払いの維持ができるような措置をいたさなければならないということは、既に国会に対しまして申し上げたとおりでございます。
  56. 沢田広

    沢田委員 どういう処方をとられるかは別として、いろいろな中身は別として、せめて六十五年度以降も、既裁定年金受給者、すなわち既にもらっている人たちに対し、不安を与えたり、おびえたり、ノイローゼになったり、自殺をしたりというような事態は起こさぬように、少なくとも政府として対応はしていく、こういうふうに理解してよろしいですか。
  57. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのように考えまして、その具体策をただいま申し上げましたように懇談会にもお願いをし、やがて政府自身の問題としても考えなければならないと思っております。
  58. 沢田広

    沢田委員 JRの清算事業団は、今土地は売るな売るなということでとめられてしまっているわけですね。これは土地の高騰を防ぐということで、金は欲しいわ売ってはいかぬわ、フグは食いたしあたりたくはなしといったような状況に今追い詰められてしまって、三十三兆、とにかく赤字は埋めなくてはならぬということになるわけですが、これは待ってくれるというつもりか。この場合はしようがない、三年たってどうしても土地対策で売れないとすれば、もう国債でもって将来その土地を有効に生かしていくという形で考えていくという以外に道はなかろう。それとも三年以内に何としても売るとなれば、これは首都を売らなければどうにも金は出ませんね、東京を売らなくちゃ。東京を売るのは待ってくれ、こういうわけですね。総裁の公邸まで待ってくれ、こう言っているわけです。そういうことになると金は入らない。入らなければ金利だけが生まれていく。一兆一千億ずつの金利だけがつくられていく。これは三年たったら大変なことです。  そうなると、どこが最後にしりぬぐいをするのか。売ってはいけない、金は入れろと言ったって、そうはいかない。空気を売ったってどうにもならない。それはだめだよ、こう言っている。そうなると、その金利だけでつぶれてしまう。だから、大臣も非常に難しい答弁かもわかりませんが、土地は売るな、金は欲しい、ではどうしたらいいんだということなんです。借金はどんどんふえてくる。これはJRが解決すべきものですか。そうじゃないでしょう。やはりJRは、自分は売って早く政府に借金を返したいという気持ちでいるわけですからね。東京駅は残せ、総裁公邸は売ってはいけない、いや、そこの操車場も待っただ、こういうことで羽交い締めになっちゃってどうにも動きがつかない。振ったって金も出ない。出てくるのは線路だけだ、同じ金でも。あとは出てこない。  そういう状況で、ではその分は政府がやはり責任を持つ、面倒を見るということ以外にないんじゃないですか。その土地をどう有効に利用するかは後で考えたらいいんだろうと思うのですね。多極分散型の法案も通ったときですから、やはりそういうものを有効な一つのものと考えていって、政府がそのかわりに買って返していく、こういう方法はできると思うのですね。アバウトな話ですけれども、大臣、大体どっちの方向に行くつもりなんですか。どうしてもこの三年の間に解決させようということですか。それとも、しようがないから少しは延ばしていって、政府で肩がわりして片をつけていく、こういう考え方、どっちを今お考えになっていますか。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まことに御指摘のように頭の痛い問題になってまいっておるわけでございますが、事業団において当初考えられましたような計画、土地を処分していくということは、その後の土地価格に、大都会、殊に東京を中心に生じました問題によりましてある種の制約が加わってまいったということはどうも認めざるを得ないことでございます。そういう中で、しかし、またそういう地方ばかりでもございませんし、それからまた、こういう状況そのものも時間とともに幾らかずつは変化していくということもあるであろうと思います。事業団でも審議会等々でいろいろ御苦労願っておるのだと思いますが、まだ時間もございますから、そういう中でさあどうしていくかということをやはり事態の推移とともに考えてまいらなければならない。今それを先走りまして、三年という期限の中でさあどうするこうすると申しますよりは、こういう状況の中で事業団にもベストを尽くしていただくというふうに申し上げるしか、ただいまとしては申し上げようがない頭の痛い問題でございます。
  60. 沢田広

    沢田委員 頭の痛い問題だということはわかるのですが、我々は政治家なものですから、大臣という職を持っていると答えにくい面があるのはその立場になれば私もわかりますが、しかし、やはり国民に対してある一定の方向を示しながら、売ってはいけないぞ、金は入らない、借金はどんどんふえていく、これをどうするんだということに答えなくちゃならない。それから、JRはJRとして年金やその他の大変な問題も抱えている、これにも何か考えなければいけない。そしてまた一方は財政再建も抱えておる。こういう状況の中で、何とはなしに雨ごいみたいな格好で、何とかいつか雲が来て雨が降ってくれるだろう、こういう式の発想で物を言って国民が理解してくれるかというと、それは無理だというふうに私は言わざるを得ないのですね。  だから、そうなると、やはりある程度はこういう方法の処方で最悪の場合は考えますよということを与えませんと、希望がなくなっちゃうのですね。どうなんだろう、野たれ死になのか、どこかでお握りはもらえるのかと、こういうことになってしまうのですね。ですから、それは大臣としては政治的な発言をするのは困難かもしれぬが、何とかしなければならないということだけはわかってもらえるだろうと思うのですね。何とかしなければならぬ、だからそれに対して不安を与えないということが一つ、それから、今言った三つの条件を満たしながら対応をしていく、こういうこと以外に今は答えられないだろうとは思いますが、ただ雨ごい、拝んでいるという状況ではこれは済まされないんじゃないかという気がしますね。やはり手をつけていかなければいかぬことだと思うのです。その点はもういいですから、首を縦に振っているようですから、それは御理解いただいたということで次へ行きます。  続いて、今二十万人急にふえたわけですが、この二十万人の中には若年支給の人もいる。だから、二十万人ふえるけれども、毎年減っていくだろう、六十五歳になるまでの分が幾らかずつ減っていくだろうと思うのですね。六十五歳が六十歳ということになるかわかりませんけれども、だんだん減っていくんだろうと思う。  そうすると、大体どのぐらいの年齢の人がどのぐらいいるのですか。例えば五十五歳は何名、五十六歳は何名というふうに言っていった場合に、どういう比率になりますか、おっしゃってください。
  61. 長野倬士

    長野参考人 お答え申し上げます。  私どもの年金受給者の年齢構成で申し上げますと、国鉄で大量に職員が入りましたのは、ちょうど戦争中に出征をいたしまして、その後埋め補充をして、その後復員してきたあるいは満鉄の引き揚げを受け入れた、そういう世代でございまして、その世代がちようど昭和五十二年から十年間にかけて二十万人、年間平均ベースで二万人ずつ退職いたしました。この諸君が、ちょうど現在五十六、七歳から六十六、七歳にかけての世代が約二十万人ということで、非常に高い比率の職員がその間にいるわけでございます。年齢構成上はそれ以外は大体その三分の一以下の数でございますので、その十年間が非常に突出して多いという特色があるわけでございます。
  62. 沢田広

    沢田委員 私はこういう試算をしてみたのです。二十万人急にあふれました。若年支給ですから、金額を一応二百二十万と想定しますと、百二十万は基礎年金になります。そうすると、百万円ということになりますと二千億の金額が負担になっていくということになるわけです。それは初年度なんですね。その次の年度は、一年ごとに上へ上がっていくわけですから、そのときは十七万人に減ります。十七万人に減れば、これが百万円で千七百億です。三年目は十四万人になりますから千四百億、四年目は十万人になりますから一千億です。五年目はせいぜい七万人ぐらいになりますから七百億になる。これはいわゆる政府が緊急措置を講じて山を閉山したと同じような、山を閉山というのは苦痛が痛いというのと同じになりますから、閉山したということで、山を消しますが、閉山したときのように、要すればこれは異常事態で発生した不時の支出である。言うなら貸倒引当金に当たるような金額なんですね。ですから、この部分は、割合は別として、やはり追加費用の対象として考えていかなければならぬ異常の部分じゃないのか。これは毎年減っていくわけですよね。これも大臣は専門じゃないと言うけれども、おぼろげながらその理屈はわかってもらえるだろうと思うのですが、いかがですか。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 理屈はわかっております。
  64. 沢田広

    沢田委員 もう一つは、JRは操車場というのがあったのです。ハンプと言ってましたが、車を空で動かしていって、飛び乗って、ブレーキをかけてとめるのであります。その後いろいろ機械ができたのですが、これは飛び乗っていってやるので、滑っておっこちる率が高いのです。事故率でいくと、一般民間は千分の五から四ぐらいですね、障害率は。ところがJRは千分の百二十五という比率なんです。だからJRには障害者が足がないのや手がないのやいっぱいいるわけですよ。これはハンプばかりじゃありませんけれども、そういう人がたくさんいるわけです。障害率が一番高かったわけです。今日のような安全施設ができてなかった。  時間の関係で簡単にしますが、千分の五と千分の百二十五という比率なんですよ。五から見たら実に二十倍、それだけの障害率があったわけです。そういう歴史の中に生まれた障害者が今まだ生きてちゃんといるのですよ。それで政府は三十一年までは一応追加費用でそういうものを考えてきたわけです。しかし、結果的には通年方式になりましたから、その後そういう人たちの金額のふえた分、あるいはそれ以後の障害者の分、これは追加費用で払われてないのです。ですから、これは二割はやはり一般民間と同じぐらいと見なくちゃならぬでしょうから、全部丸々というわけにはいかぬでしょうが、せめて八割は追加費用で政府が面倒を見てくれなければならぬ筋合いのものじゃないか、障害率の高い部分は。これはそういうふうに言えると私は思うのです。これも、大臣、おぼろげながらそんなにけがが多かったのかなということを思い起こしながら、ひとつ。専門でなければ、どうぞ担当者で結構ですよ。
  65. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 なおよく勉強させていただきたいと思いますが、身体障害を負われた方の分につきましては、たしか国鉄時代から労務災害的な方の給付で対処しておりまして、共済では対処するのがなかなか難しい状態になっているのではないかと理解をしていたのでございますが。
  66. 沢田広

    沢田委員 共済事務局長、答えてください。
  67. 長野倬士

    長野参考人 先ほどの公務障害につきましては、六十一年四月の改革の以前の段階におきましては、これは事業主である国鉄が負担しておりましたので、年金共済負担にはなっていないわけでございます。それ以後は一般の障害という扱いになっております。
  68. 沢田広

    沢田委員 そのはね返りをカバーしてもらうという方向で、これもどこかの負担になるのでしょうが、お願いをしたいと思うのです。  それからもう一つは、一番あと言われているのは、若年支給がけしからぬ、こういう論なんです。五十五歳からもらっていくのはおまえのところはけしからぬ。しかし、これは、今言ったような線路などの保守なんかの人というのは雨、あらしの中ぬれながらやっているわけです。これはほかにもあるではないか、こういう論はありますが、しかしそういうような状況で重労働だということで今日の制度が生まれたわけです。あのつるはしでやる労働をやっていたわけですから。機械じゃなかった時代ですから。その人が今十一万人いるのですよ。今度やめた人の中で若年でもらっている人が。もう重労働で耐えられないからということでいるのです。この人の分が大体八百億総体でかかるわけです。これもちゃんと四%減率をしまして、基礎年金分を引いて、二百万円の中から百二十万と四%、七十二万円の分なんですから、その分を引いて、それも半分くらいはせめて追加費用で見ても差し支えない金額ではないか、こういうふうに思うのですよ。これは勉強会になってしまって、レクチャーになってしまったのですが、大臣、これもおぼろげながらそういう状況の中で考えなければならぬ要素だなということは御理解いただけるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 詳しいことがなかなかわからないのでございますが、いろいろ難しい問題があるということは承りながらわかりつつございます。
  70. 沢田広

    沢田委員 わかりつつあるのだからひとつわかってもらいたいのですが。  それから、JRは、東日本、西日本、東海、これは大体黒字のようですね。税引き後の配当があるわけです。株をいつ出すつもりかわかりませんけれども。きょうは清算事業団を呼ぶのと東日本の社長さんに来てもらおうと思ったのですが、そのいわゆる税引き後の利益をどう処分するのかということなんです。これは大株主である大蔵大臣一人っきりいないのですから、大蔵大臣が株主なんですから、その税引き後の利益をどう使うかということが問題になるのです。その中から何割かはこの赤字の共済に、今まで苦労してきて働いてきた利益ですから、皆取ったのではこれからの意欲がなくなってしまいますから、その税引き後の二、三割は要すれば共済へ振り込んでもいいのではないか、そういうふうに思いますが、大臣はいかがですか。
  71. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、先ほども申しましたように、閣僚懇談会を設け、さらには学識経験者でことしの秋ごろまでにはどういうふうな考え方をすべきかを御答申を願おうと思っている今の段階でございますので、大変に具体的なお話になりますので、私から申し上げることは差し控えるべきではないかと存じます。
  72. 沢田広

    沢田委員 時間がどんどん迫ってきましたから、続いて、職域年金がないのですが、もし黒字になったとすれば、これは株主さんのお答えをいただくわけですが、職域年金という上積みのものが普通の年金の上に国家公務員にはついているのですよ。ところが、JRは今のところおまえのところは赤字だからだめだ、こうけっぱられてしまったわけです。そこで、株主さんとしての立場から、黒字になったならJRの分にも職域年金は足していいのではないか、そういうことは常識的に生まれてくると思うのですが、それはいかがでしょうか。
  73. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 まず一点、技術的な点でございますが、広い意味の国としてまだJR各社の株を所有しておるわけでございますが、実際の株は清算事業団が株主という形になっておったように思います。  それから、ただいま先生からいろいろ御提言ございました点につきまして、やはり今後の有識者懇でいろいろ長期的に考えていただきながら、政府としてさらに具体的にいろいろ考える必要がある問題かと思いますが、当面は、この三千億の基礎的な赤字をどうするかということに本当にしんから頭を痛めておる状態でございまして、職域年金部分をどう構成してあげられるだろうかというところには率直に申しましてなかなか思い至らないというほどの状況であるということを御理解賜りたいと思います。
  74. 沢田広

    沢田委員 経営的にあれがないですね。もし黒字になったらば、賞与がふえるか、手当がふえるか、あるいは福祉施設が増強されるか、それだけ職員に還元していくというのは当然の原理なのです。ですから、一般公務員はサービス産業でなかなか評価はしにくいだろうけれどもちゃんとついていっているのですから、それだけ黒字が出るとすれば、JRであるか大蔵であるか株主がどっちであるにせよ、それにこたえてある程度、来年やめる人もいるかもしれないのですから、その人に例えば〇・三であろうと、あるいは一であろうと二であろうと、二・五までいかなくとも、せめてその程度のものを前進していくということが当然商法として考えられなければならぬはずだと思うのです。  それが、今検討中です。赤字だから、その赤字分持ってこようというのですか、全部。全部持ってくるという話は僕はしなかった。税引き後の利益の何割かは共済へ充てなければならないだろうと私は申し上げた。しかし、その何割かは職員に還元しなければならぬのだろうと思うのです。それを、考えますなどというのでは、全然勉強もしてない。もうかったらそれに還元するという原則は、歩合は別として、原則としてそういうものがなければ、意欲がわいてこないでしょう。ことしも働いたけれども、結果的にゼロだったといったら、だれが一生懸命働きますか。またもとの国鉄になってしまいますよ。そんな発想は、来年からでも幾らかでも職域年金はつけていきます、そういうことが少なくとも言えなければおかしいと思うのです。これは両方で答えてください。大蔵と、清算事業団も。ただ清算事業団は首を切るばかりが能じゃない。与えるものは与えなければならない。
  75. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 鉄道共済の現状につきましては、国家公務員、それからその親戚筋になりますたばこ、電電等を含めまして、現段階いろいろ応援をしたりしておる状況でございます。そういう中で何とかJRの基礎的な年金というものを維持していきたいということでいわば苦闘しておるような状況だと思っておるものでございますから、職域年金がぜいたくであるとか何かそういうつもりは全くないのでございますけれども、なかなかその構成問題まで入っていける段階にまだなってない、私どもの認識はまだその程度の段階にとどまっているわけでございます。
  76. 長野倬士

    長野参考人 私ども日本鉄道共済組合は、国家公務員等共済組合法に基づく給付の事務を行っているわけでありまして、将来の給付が非常に不安なので解決策について各方面にお願いをしておる立場でございますので、具体的にそういう各方面の御決定に従い処理をするしかないというふうに考えておる次第でございます。
  77. 沢田広

    沢田委員 運輸省はどうですか。
  78. 深谷憲一

    ○深谷説明員 お答え申し上げます。  先ほど来いろいろ御答弁ございましたように、JR各社の収支状況、取り扱い収入を見る限りにおきましては一応好調と我々も理解しておりますが、その結果生じます利益につきまして共済年金制度等に充てるという点につきましては、先ほども御答弁ございましたように、現在いろいろ有識者の方々に御議論いただいておる最中でございますし、また、職域年金制度の部分についても御指摘ございましたけれども、先ほども御答弁ございましたように、運輸省といたしましても、制度官庁でございます大蔵省の御答弁と同様な認識を現在はしておるという状況でございます。
  79. 沢田広

    沢田委員 運輸省もこれも全くあれだね。やはりそれは四百六十億、五百億近いものを他の組合から受けているわけですから、返せと言うのなら返す方法も一つだから、それは返すこともあるでしょう。そのかわり、今言ったように職域年金に芽を出すということも必要なことだ。共済組合に金を出すことも必要なことだ。やはりそれぞれパーセンテージは別として、その要素を満足させていくという方向が答えられないなんというのは情けないですよ。じゃ、どうするのです、結果的にその後は。何に使うのですか、はっきり言ってみなさい。だれでもいいです。言えもしないで何がだめです、何がだめですといって、だめだということだったら何も要らない。給料払うために置いておく必要ないんだよ。もし利益があったら、じゃ、どういうふうにしたいかという方針ぐらい持たなくてどうするのだ。余り情けなさ過ぎる、大臣。不勉強もきわまる。全然見通しがない。もう時間が少ないですから仕方がないと思います。  最後に人事院。人事院はどういうふうに考えていますか。スライド問題とあわせて答えてください。
  80. 千葉真一

    ○千葉説明員 人事院は、国鉄問題につきましては所管外でございますので、職域年金のあり方ということでよろしゅうございましょうか。
  81. 沢田広

    沢田委員 そういうことです。
  82. 千葉真一

    ○千葉説明員 共済年金の職域年金相当部分の水準等のあり方につきましては、現在基礎的資料を得るため、民間企業における企業年金制度の実態、退職公務員の生活実態、諸外国におきまする公務員を含めた年金制度等につきまして調査を行うなど必要な調査研究を行い、検討を進めているところでございます。特に、職域年金部分のあり方の検討の際に重要な資料となる民間の企業年金の動向を見ますと、近年従業員の高齢化、長期勤続者の増加、定年の延長等を背景に、企業年金制度を導入する企業が増加しつつあり、またその内容も今後充実されるものと考えられます。  このような状況を踏まえ、厚生省など関係機関におかれましても、民間企業年金の普及を図るなど必要な検討が進められております。したがいまして民間企業年金は、現在かなり流動的な状況にあるというふうに思っております。さらに、さきの衆議院の内閣委員会におきまして附帯決議もなされておりますし、この趣旨をも踏まえ、今後慎重に本問題の検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  83. 沢田広

    沢田委員 人事院にあとお答えいただきたかったことは、恩給はいわゆる賃金スライドをやっている。こっちの共済年金は、六十一年の改正で逆に物価スライドに引き下げられた。それは人事院として、他の民間の企業その他の問題を含めて、恩給だけが賃金スライドであることの是非というものを含めてお答えいただこうと思ったのですが、今後御検討ください。  今現在、年金の資格者は二十から始まっていますね。もう時間がないですから、厚生省、とにかく答えてください。
  84. 松本省藏

    松本説明員 お答えを申し上げます。  新しい国民年金制度、基礎年金制度でございますが、これは二十になりますと、この年金制度に加入をしていただくという形になってございます。ただし、一般の民間サラリーマンの方々を対象といたします厚生年金保険制度におきましては、例えば十八で会社に入ったというような場合には、その企業に勤めた時点から被保険者になるということになっております。
  85. 沢田広

    沢田委員 実は、その他の年金制度の問題ということで、十項目ぐらい挙げてあるのです。これは、きょうはもうこれで時間がなくなりましたから終わります。ただ、こういう男女差の問題、掛金率の一元化の問題、軍歴加算の処理、それから共稼ぎでもらう年金の問題、奥さんの年金、警察定年の問題あるいは厚生年金のボーナスのいわゆる標準報酬不算入の問題等々の問題もございます。引き続きそれぞれ御検討いただいて、大臣もひとつ、年金もこれから日本の政治の大きな柱ですよ、財政再建と匹敵する問題でありますから、ぜひ国民が安心をして労働にあるいは老後に不安を感じないように対応していただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。
  86. 越智通雄

    越智委員長 次に、森田景一君。
  87. 森田景一

    ○森田(景)委員 最初に、共済年金関係につきましてお尋ねいたします。  国民年金、基礎年金、あるいは共済年金厚生年金、こういう公的年金、それから恩給、こういった年金恩給制度は、それぞれの発足した経緯とかあるいは沿革、こういうものがそれぞれ違っておりますので、支給される金額も違った形になって現在あるわけでございます。しかし、どの年金制度も、ともに老後の生活安定ということを目指していることには変わりがないはずだと思うのですね。そういう点で今回の政府の改正案を見ますと、共済年金は物価にスライドして〇・一%上げる、ところが恩給は一・二五%上げる、こういう案でございまして、もう既にこの恩給法の改正については成立しているわけでございます。  どうして恩給は一・二五であるのか、その辺の経緯について、まずこれは総務庁からおいでいただいていると思いますので、御説明をお願いしたいと思います。
  88. 鳥山郁男

    鳥山説明員 恩給改定につきましては、昭和四十八年以来、公務員給与の改定にスライドするという方式で参ったわけでございますが、先般の公的年金改革に関連いたしまして恩給改定のあり方について検討を加えました結果、公的年金はすべて物価で統一されておりますけれども、恩給の場合には基本的に国家補償的性格を持っておる、あるいはその他実態面におきましてもいろいろな特質があるというところから、公的年金とぴったり合わせていくというのはなかなか適当ではなかろう、しかしできるだけその間のバランスをとっていこうじゃないかということで、私どものスライドの基本規定でございます二条ノ二という規定、これをひとつ忠実になぞっていこうということから、いわゆる総合勘案という方式を六十二年度から導入させていただいたわけでございます。  本年度も同じような考え方で、公務員給与本俸改善率一・四六%、昨年末における六十二年の物価の見通し〇・二%等々を総合的に勘案いたしまして、一・二五%の改定をやらせていただいた次第でございます。
  89. 森田景一

    ○森田(景)委員 状況につきましてはよくわかります。私は決して、恩給が一・二五%アップになったことが悪いという認識ではありません。一・二五、あるいはもっとアップしてもいいのじゃないかというふうに思っているくらいでございますが、きょうは共済年金でございますので、恩給関係は以上で終わります。ありがとうございました。  恩給の方が一・二五%、既に成立しております。ところが、共済年金を含めまして公的年金制度は〇・一%、これが物価スライドであるということなわけですね。原則的には物価が五%以上アップした場合には自動的にスライドされる、こういう仕組みになっているわけでございます。その〇・一%に対して、私非常に疑問を持つわけでございます。一体、〇・一%アップしてどれだけの効果があるのだろうかというふうに率直に考えているわけでございますが、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  90. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 大臣お答えになられます前に、私から答弁申し上げます。  いろいろな観点から、本年度のように物価水準が非常に低位におさまった場合の問題につきまして議論をしたわけでございますが、年金の実質価値の維持がきちっとしていける客観条件にある場合にはそれを確保していくのが最も適切ではないだろうかということで、物価が〇・一%、予算をつくりましたときには〇・二%程度と見込んでつくったわけでございますが、実際その後、一月下旬でございましたか、〇・一%ということに決まったわけでございますが、この程度の低レベルでありましてもそれが可能な客観条件にある場合には、やはり実質価値の維持に努力をしておくということを決めたわけでございます。  なお、今回のスライドが実施されます効果といたしまして、平均的な被用者年金の受給者の場合には、年額で約二千二百円の改定ということになるわけでございます。
  91. 森田景一

    ○森田(景)委員 年間二千二百円、これは平均でございますね。月にしますと二百円に届かないわけです。二百円に届かないということは、たばこ一箱も買えない。二百円というのもありますけれども、普通我々は二百二十円から四十円くらいのを吸っておりますから、そういうたばこは買えない。昔、あめ玉年金というのがありましたね。御存じだと思います。あめ玉年金よりもひどいアップじゃないかと思うのですけれども、大臣の率直な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 物価上昇がその程度で済んだということでございますから、五%には無論はるかに及ばないところで、どうすべきかということは一つの政策判断でございましたが、しかし年金というものを志向しておりますのですから、その実質価値というものは一%でも減損することは問題であろう。できないときはやむを得ませんけれども、何とかやれるときにはきちんとしておいた方がいいのではないかという判断でございます。
  93. 森田景一

    ○森田(景)委員 恩給年金制度の仕組みが違うわけでございますから、こういう形で恩給が一・二五、年金が〇・一ということになったのは、法律がそうなっているのですからやむを得ないのだと思いますけれども、この際、公的年金についても恩給と同じように、公務員の給与スライドに合わせて支給額を上げていくというふうに改正していったらいいんじゃないか、私はこう思うのです。恩給は公務員の給与所得にスライドなんです。共済年金も同じようにすれば、片一方が一・二五、片一方が〇・一、こういう不公平は起こらないと思うのです。  よく宮澤大蔵大臣は、不公平、不公平、こんなお話が出るわけでございます。先般も、私は財確法の審議のときに大学生の教育費控除のことを申し上げましたら、それは不公平になると思います、こう言っておりましたね。だけれども、後で新聞を見ましたら、当日、政府税調の方では教育費控除は実施すると報道されているわけでございまして、どうも大臣は余り慎重過ぎるのかどうか。それは後の論議にしまして、いずれにしても、公平を確保すると言いながら、こういうことになると不公平でもそのまま放置しておく、こういうところにどうも私は矛盾を感じるのですけれども、大臣は感じませんか。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 恩給の方が一・二五であることにつきましては、ちょっと理屈になるかもしれませんが、恩給というのは国家補償的な性格を持っておって、年金と違いまして保険数理とは違った面を持っておるということ、あるいは既裁定者がみんなであるということ、いろいろなことから、ここには一つ既得権の問題が当然のことながら現実にはあったわけでございますけれども、それで恩給の方をむしろ総合勘案ということでいわば結果としては下げた、現実にはこういういきさつでございますから、その点ではむしろ森田委員の言われるのとは反対の方向と申しますか、恩給の方を下げてきたということが現実ではないかと思いますので、逆ではないように私どもは思うわけでございます。  それからなお、先般教育減税につきましてお尋ねがございまして、今仰せになりましたような答弁を私申し上げました。ちょうどその同じ日に、政府税制調査会におきましてああいう議論が行われておることを私はまことに存じませんで、知っておりましたら、そういうことを御紹介して御答弁を申し上げるべきだったかと思いまして、大変に至らないことをいたしたと思っております。ただ、政府税調の一部にそういう議論があるということは事実でございますが、これは私後で知ったことでございますが、そうかといって教育減税といったようなことを一つの項目に立てて実施すべきかどうかということにつきましては、なお政府税調の内部にいろいろ議論があって、必ずしも一致した意見ではないということであったそうでございます。  いずれにいたしましても、しかし、せんだってお尋ねのときに政府税調内の議論を私存じませんで、御紹介をいたしませんでしたことは、大変に至らなかったと思っております。
  95. 森田景一

    ○森田(景)委員 きょうは教育減税のことじゃありませんので、私も後で新聞で知ったわけでございますが、大臣としては、そういう先見性をお持ちになっていらっしゃった方がいいんじゃないかという意味で申し上げたわけでございます。  それで、先ほどお話がありましたように、今回〇・一%のアップ、こういうことになったのかどうかわかりませんけれども、法律はそうなっていないんです。そうですね。
  96. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 法律の、共済法の基本は五%で自動スライドするという条項が一つございます。それから、今回提案申し上げております法律では、〇・一とか〇・二という数字は書いてございません。ここは政令で決めさせていただくということになっております。
  97. 森田景一

    ○森田(景)委員 御答弁のあったとおりでございまして、政令の方で〇・一か〇・二かというのは決めるわけですね。これは政令で〇・一と決めたのですか。
  98. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 御提案申し上げております法案の条文自体が、物価上昇率を基準として政令で定めるということになっておりますものですから、物価上昇率が前年〇・一%ということできちっと公表されておりますので、これによりたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 森田景一

    ○森田(景)委員 よりたいと思いますということで、決めているというわけではないのですね。  それで、実は当初大蔵原案のときは〇・二%で計算したのです。それは大臣御存じでしょう。したがって、大蔵原案のときに〇・二%で予算を計上し、これは閣議決定されて本年度の予算案として出されてきたわけです。これは間違いありませんか。
  100. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 予算編成をいたしましたときには、まだ最終的に前年の物価上昇率というものが出ていないわけでございますので、それまでのトレンドとか若干の推計を交えまして最も最終的に決定されるであろうものの近似値というつもりで、〇・二%という分を予算計上したわけでございます。このようなやり方は、毎年そういうことにしておるわけでございます。最終的な改定率は、毎年必ず物価上昇率そのものでやらせていただいているわけでございます。
  101. 森田景一

    ○森田(景)委員 とにかく、〇・二%のアップという計算で予算はもう既に成立しております。去年は、たしか〇・六%のアップだったと思うのです。そういうことから考えますと、おととし〇・六、去年が〇・七、差が〇・一だ、こういう計算のようですけれども、〇・一というのは、いかにも先ほどお聞きしましたようにあめ玉年金にも劣る金額だ、このように私は理解するわけでございます。したがって、政令で決めるということでございますから、せっかく予算に計上され、その予算も成立していることでございますので、政令は大蔵大臣がお決めになるんでしょう。政令で〇・一ではなくて〇・二としてもいいし——いいしというよりも、〇・二に政令で決めたらどうですか。この辺いかがでしょう。
  102. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 従来から、最終的に出てまいりました物価上昇率というものを大切にしておるわけでございますし、すべて公的年金全体を通じまして統一的な方針でそのように決定をしておるという状況でございます。
  103. 森田景一

    ○森田(景)委員 ですから、これはそっちこっちでやっているわけですね。農水省の方でもやっている、自治省の方でもやっている、大蔵でもやっている。そうすると向こうの方は、私、法律は勉強しておりませんけれども、皆政令で決めるようになっているのではないですか。どうなんでしょう。
  104. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 各公的年金を通じまして、書き方は皆同じことになっておると思います。つまり、政令で行うということになっておると思います。
  105. 森田景一

    ○森田(景)委員 ですから、政令はこれから決めるはずですね。これからなんです。一応方針として物価上昇率が〇・一%だから〇・一%ということで、ずっとほかにもみんな書いてきているわけです。それは法律で決まったわけじゃないですね、法案が通っても。これから政令で決めるのです。だから、何も大蔵だけが〇・二にしろというのじゃなくて、共済年金じゃなくて、政令で各農業共済年金ですか農協年金ですか、あるいは地方公務員の年金だとかそういうのはこれから政令で決めればいいのであって、〇・一というのはいかにもひどい。だから、当初〇・二で予算を組んだから、今回、どっちみち特例なんですから、原則は五%というのがあるのですから、〇・一じゃひど過ぎませんか、〇・二にしましょう、みんな大蔵大臣が中心になって決めればできることじゃないですか。
  106. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政令で決めるというのは、いわば決め方の法形式を言っているわけでございますが、むろん御承知のように、政令でどう決めてもいいという裁量を法律から与えられておるわけではありませんで、物価上昇率を基準としてということでございますから、おのずからそれはそういう形で決まってくる。むしろ〇・一という非常にわずかな率でございますが、年金の価値を維持するためによく財政当局もやったなといってお褒めをいただけるかというようなことではないかと思います。
  107. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣も大した自信でございますね。決して私は、大蔵大臣が〇・一%乗せたことを決断なさったと褒めるわけにはいかないですね、あめ玉年金より悪いのですから。  いずれにしても、法律の方だってこうでしょう。第三条「共済法による年金である給付については、昭和六十一年の年平均の物価指数に対する昭和六十二年の年平均の物価指数の比率を基準として、」こうなっているのですね。基準ですから、この物価上昇率で決めろということじゃないのでしょう。それを基準にして決めるというのでしょう。さっきの恩給だってそうでしょう。国家公務員の給与のアップを基準として決める、基準となっているのですね。だから、それからいけば一・二五というのもおかしいのですが、これを一・二五にしたわけですから、これはどうも共済年金の方にいろいろと遠慮をしてそう決まったというふうな話も聞いておりますけれども、だからそういう一・二五というのは、基準としてですから、〇・一と〇・二、これは予算に組んでないと言うなら私もそんな無理なことはお話ししません。予算に組んであって、もうその予算は既に成立して、ことしはそれで執行していいことになっているのです。だから、ことしは〇・二になさったらどうですか。これは大臣の決断でできることだと思うのです、政令ですから。もう一遍、決断のほどをお述べいただきたい。
  108. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 予算といたしましては、その当時の状況から〇・二ということで計上いたしたわけでございますけれども、現実には〇・一というのが物価上昇率であったということで、これは仰せもわからないわけではございませんけれども、こういう財政状況のもとで財政をお預かりする者といたしましては、予算には計上してございますが、なお〇・一でこれは法律の定めるところに従って間違いのないということであれば、幾らかでも予算は節約をして実施をさせていただきたいというふうに考えております。
  109. 森田景一

    ○森田(景)委員 この問題ばかりやっているわけにはいきませんけれども、そういう状況大臣もよく御理解いただけたと思うのです。そういう論議を踏まえて、ひとつこれから十分な検討をお願いしておきたいと思います。  先ほども、国鉄共済お話がございました。国鉄共済は大変な難しい事態に陥っているわけでございますが、ただこれが昭和六十四年度までは一応何とか現体制を維持することで、昭和六十年の十一月二十八日に国鉄共済年金についての政府統一見解というのが出されたわけでございます。その統一見解では、「なお、昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。」こういうことになっているんですね。昭和六十五年度といいますと、もう再来年になるわけです。それまでに措置するということになると、法律的にいろいろ措置するならば、遅くとも来年の通常国会にはこの関連した法案が出てこないと、六十五年に間に合わないのじゃないかと私は思うのです。どうでしょうか、大臣
  110. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は厚生大臣年金担当大臣を幹事役にしまして、閣僚で実は会議をつくりまして協議を既に何回かいたしておるわけでございますが、問題が非常に大きいこと、それから及ぼすところも広範である可能性もあるということから、各方面の有識者にお願いをいたしまして、この問題についての懇談会を実はつくらしていただきました。そして、既に何回か御会合願って検討していただいておりますが、私どもとしては、ことしの秋ぐらいまでには懇談会としての結論をお願いをいたしたいと思っておるところでございます。その結論いかんにもよることでございますが、かなりあちこちにいろいろ及ぼすところの大きい結論をいただく可能性もございますものですから、結論をちょうだいしました上で、またいろいろ最終的にどういう形にするかを考えていかねばなりませんで、確かに余り時間はございません。秋に懇談会の結論を得まして、できるだけ急ぎまして作業をいたしたいと思っております。
  111. 森田景一

    ○森田(景)委員 これは、直接大蔵大臣の所管じゃないわけですね。けれども、やはり共済という問題が絡んできますから、大蔵省としても大きな力を注いでいかなければいけない問題だと思うのです。特に宮澤大蔵大臣は、公平、公平ということを非常に重要視していらっしゃいますから、私も何度も申し上げるのですけれども、かつての政府の機関であった、例えばJRとか、あるいは日本たばこ産業であるとか、あるいはNTTであるとか、こういったところが民営にならなければ、国家公務員としてみんな同じような立場年金の受給の資格が得られたはずだ、それがいろいろ分割された結果、それぞれの企業において格差がもうできているわけですね。幸い、JRについても東日本と西日本でしたか、これはことしは黒字の見込みであるというような報道がありましたけれども、たばこなんかも、非常に先行き心配な企業じゃないだろうかなと私も心配しているわけですね。NTTは大変な株の評価があったりして、大変将来有望の企業であるというふうに評価されているわけでございます。  そういうことでございますから、少なくとも共済については政府としてきちんとした対応をしなければいけない、政府として取り組まなければならない問題でございますから、そのためにはどうかひとつ副総理として十分に、この秋ごろまでに結論ですか、成案ですか、得たいということでございますから、そうしないと来年の通常国会に間に合わないわけですね。ぜひひとつ、間に合うような方向で取りまとめをなさっていただきたい、このように御要望申し上げておきたいと思います。  それから、去る三月の十日に大蔵省、厚生省から「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」、こういう資料が予算委員会に提出されました。私、いろいろと担当の方にお聞きしましたら、これは厚生、大蔵となっているけれども、実際は厚生省で取りまとめたもので、大蔵省の方は余り関知していなかったようなお話でございました。そのことをここで云々はいたしません。そしてまた、この内容については議論しますと大変時間がかかりますから、この問題は触れませんが、少なくとも国民年金厚生年金も二十一世紀を展望したいろいろな試算を出しているわけでございます。これはもう公表されているんですが、共済年金の方についてはそういう資料を公表なさらないのですね。これは一体どうしたことなんですか。少なくとも二十一世紀を展望して、将来年金が大変だ、高齢化社会だ、こう言っているときに、共済年金はそういう資料を公表なさらない。どうもこの辺に私は疑問を感ずるのでございます。資料はおありだと思いますので、この際どういう将来展望をお持ちなのか、御説明をいただきたいと思います。
  112. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 前回共済年金制度の大改正をいたしましたときに、実は一般国家公務員に関する試算を一ついたしたわけでございます。これによりますと、保険料率を今後五年ごとに二%、二〇パーミルでございますが、つまり二%ずつ引き上げまして昭和百年に二九六パーミル、二九・六%までいきます場合に、その過程におきまして、昭和八十年代半ばから九十年代半ばにかけまして単年度収支差が赤字になるわけでございますが、赤字転落の時期があるわけでございますが、その後持ち直しまして、先ほど申し上げましたような数字でございますと、昭和百年度までは収支はほぼ均衡するというふうに予測されております。それから保険料率の二九六パーミル、二九・六%と申しますのは、現行の一一四パーミル、一一・四%の三倍程度ということになるわけでございます。  先生御承知のとおりでございますが、厚生年金が大きな制度改革をいたしました段階で一つの予測をしておりますが、厚生年金が五年ごとに一八パーミル、一・八%ずつ上げていくという一つの筋道を描いておりますが、職域相当部分を勘案しましてそれの一割増しとして五年ごとに二〇パーミルずつ、二%ずつ上げるというような試算をした経緯がございます。
  113. 森田景一

    ○森田(景)委員 ただいまの御説明で、昭和九十年、九十五年の時期に収入と支出を見ると支出が多くなる時期があるけれども、全体的には均衡がとれている、これが国家公務員共済の一応試算ということになっておるわけでございますね。ただ、私の方で拝見しましたのは、確かに単年度収支ではマイナスの時期もありますけれども、積立金というのはかなり残っているのですね。この積立金は減らないのですよ。別に減った方がいいというのじゃないのです。減らない方が安定していていいのです。国家公務員共済では積立金というのは六十一年度で三兆七千億、これが八十年になりますと十一兆になります。八十五年には十二兆になりまして、九十年、九十五年では若干減りますが、百年には十一兆五千億、こういう状況でございます。国家公務員共済というのは非常に安定しておるのだな、こういう印象を持つわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  114. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 実は積立金を持って運用していくわけでございます、今詳しい数字は申し上げませんでしたが。将来にわたる収入支出、そこから一時的には赤字の時代が出るかもしれない云々ということを申しましたが、そこには当然収入と支出というものを前提として考えておるわけでございまして、この収入の中に積立金の運用益というものが入っていく構造になっておるわけでございます。余資を持って何かぜいたくな運用をして楽しむというようなことでこの積立金を持つという状態では、決してないということでございます。  それから、六十一年に三兆七千億、三兆台の積立金が昭和九十年、百年に十兆、十一兆ぐらいになるではないか、相当積立金の額が大きいとおっしゃるわけでございますが、実は、現在の積立金三兆七千億と申しますのは毎年の給付額の四、五年分に当たるわけでございますが、昭和九十年、百年ということになりますと、この十兆、十一兆という積立金は大きいようでございますが、その年の給付額に対しまして一年分ちょっとというような状況になるのでございます。ですから、これから先行きの年金制度というものは厳しい道でございまして、特に余裕のある道であるとか、決して安心はできないというふうに御理解を賜りたいと思います。
  115. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間の関係で先へ進みますが、公的年金制度の改革ということは、昭和五十九年二月二十四日の閣議決定があるわけでございます。前の方の段はもう既に終わっておりますから、最後のところを申し上げますと「昭和六十一年度以降においては、以上の措置を踏まえ、給付と負担の両面において制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」こういう閣議決定があるわけでございます。これは主管が厚生省かどうかわかりませんけれども、いずれにしても共済年金は大蔵で持っておるわけでございますから、当然この一元化についての努力がなされているのだと思います。これは、昭和七十年目途ということでありますが、七十年には完了させるということでございますね。その作業は進んでいるのでしょうか。
  116. 篠沢恭助

    篠沢政府委員 ただいまおっしゃいましたとおり、七十年目途に完了させるという五十九年二月の閣議決定がございますが、昨年九月に年金問題担当大臣、これは実際は厚生大臣がしておられるわけでございますが、年金問題担当大臣を座長とする公的年金制度に関する関係閣僚懇談会を開催いたしまして、この七十年を目途とする一元化に向けて、その前に昭和六十四年に各年金を通じます財政再計算期が参ります。つまり、制度の見直し、掛金の見直しというような時期でございますが、この時期において地ならしできるものは地ならしをしようということを申し合わせたところでございます。  これまで年金改革をいたしました結果といたしまして、国民年金の基礎年金の創設というものを中心としまして給付面の公平化が図られてきたわけでございますが、今後は負担面の公平化を図っていくことが課題であるという認識でございます。それで、この負担面の公平化のための具体策を含めまして、この一元化の地ならし、一元化を踏まえたその前の地ならしというものにつきまして、年金担当大臣を中心に行ってまいります検討作業の進展を今後とも鋭意期してまいりたいと考えております。
  117. 森田景一

    ○森田(景)委員 この年金一元化というのは大変な作業であると思いますので、六十四年度に一応検討して、さらに最終的に七十年目標にしていく、こういうことだと思います。ひとつこれも積極的に、この当初の目標が達成できるように準備努力をお願いしておきたいと思います。  時間がなくなってしまいましたので、年金関係で最後、個人年金あるいは生命保険の年金の掛金の控除についてお話ししてみたいと思うのです。  個人年金、生命保険のいわゆる年金があります。大臣もよく言っておられますように、高齢化社会に向かって国民一人一人がそれぞれ自助努力をしなければいけない、そういうことをよく聞くわけでございます。自助努力、やはり本人が努力しなければこの二十一世紀の高齢化社会は暮らしよい生活ができない、一面、高齢化社会がバラ色であるような表現がある一方、年金では生活ができないという脅迫みたいな言葉があるわけでございまして、しかも最近の新聞の広告などを見ますと、高齢化社会は個人年金をもう今からやっておかないと生活できませんみたいな、極端にいいますとそういう広告すら出ているわけでございます。  それはそれとしまして、端的に申し上げますけれども、今そういう個人年金あるいは生命保険の年金に掛金を掛けますと、年末に所得税で控除があるのですこれは大臣、御存じでしょうね。幾らですか。
  118. 瀧島義光

    ○瀧島政府委員 お答えいたします。  生命保険料控除のことについてのお尋ねと思います。これは限度額が五万円でございます。そのほか、個人年金保険料につきましては、別枠で五千円の上積み措置が講じられております。
  119. 森田景一

    ○森田(景)委員 要するに五万五千円は控除されるのです。これは四十九年以来五万円で据え置かれているのです。その当時から比べますと、物価は二倍以上になっています。そんな状況でいつまでも五万円で据え置きというのも、随分ひどいのじゃないだろうかなと私は思うのですね。だから、この生命保険料控除の五万円はもっとアップすべきじゃないだろうか。物価スライド、スライドと言われているわけでございますから、スライドして二倍なら二倍ぐらいにするとか、こういう配慮があってしかるべきじゃないかと思うのです。それから、個人年金の方は五千円なんですよ。掛金を掛けましても五千円。これも五千円というのは、老後の自助努力といって一生懸命努力させるのに、もう少し配慮していいのじゃないか、こう思うのです。  端的に申し上げます。もう細かいことはやりません。  この生命保険料の控除、年末の控除五万円の引き上げと、それから個人年金の掛金の五千円というのを、控除の五千円を引き上げる、この点については大臣どう思われますか。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 生命保険料控除のことでございますけれども、沿革的にはやはり生命保険、その点では損保も同じかもしれませんが、そういうものを奨励するという意図が控除にあったというふうに言われておるわけでございますが、現在もう国民の中に非常に広く生命保険制度が普及をいたしましたので、政府税制調査会等々におきましては、むしろ生命保険料控除というものを今までどおり存続すべきか否かという議論があるというふうに伺っております。これは五万円でございますから、かなり大きな控除でございますので、むしろそういうことがあるのならば、それは一般的な控除に振りかえるべきではないかということとも関連をするのだと思いますけれども、特に生命保険料控除として銘打ってあることが、もう今これだけ普及いたしますと、入り用かどうかという御議論がかなり広くある。もちろん、当該業界は当然に存続すべきである、少なくともそういうことであることには違いありませんが、そういう御議論もあるようでございますので、今それを拡充するというようなことがいいのかどうかということについては、私はいろいろ議論があるのではないかと存じます。
  121. 森田景一

    ○森田(景)委員 議論はいろいろあると思うのです。しかし、先ほど申し上げましたように、もう日本の二十一世紀は高齢者社会だ。年金の問題等につきましても、あるいは今度の、お出しになるかどうか知りませんけれども、税制改革というか抜本改革というのですか、それだって二十一世紀がどうのこうのということをおっしゃっているわけです。そういう中で、本当に老後の生活が保障されるというのなら控除の対象にしなくてもいいかもしれませんけれども、今の年金制度、七十年に統一されてどんなふうになるかこれはわかりませんけれども、いずれにしても、今の公的年金制度では老後の生活は安心できないというのが国民一般の認識ですね。そのために自助努力をしなさい、厚生省なんかいつも言っているのです、自助努力、自助努力といって。自助努力させるためには、やはりこういうところで大蔵省としてバックアップして、本来なら、公的年金というのですから国で生活できる最低保障はすべきであるけれども、いろいろな都合でそれが思うようにいきません、やはりお一人お一人も考えてください、そのためには税制においてもこのように配慮いたしますというのが、これが本当の行き方だと私は思うのですよ。そう思いませんが。  だから、そういう立場に立つならば、せめて今我々ができることは生命保険かあるいは郵便年金か、そういうところで将来を備えるのが一般的な国民の行き方です。とても株を売買して財テクでもうけるなどということは、一般の国民の立場じゃありません。一般のささやかな人たちがそういう生命保険とか郵便年金だとか、こういうことで将来の老後の備えをしていらっしゃるわけですから、政府としてはそういう方々は大きく援助申し上げましょう、こういう姿勢をとることが大事じゃありませんか。もう一遍ひとつお答えいただきたい。
  122. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは将来、遠い将来ですが、先々の課税の問題ともいろいろ関連をいたすのだろうと思いますので、よく総合的に検討をさせていただきます。
  123. 森田景一

    ○森田(景)委員 それで、あと時間が幾らもなくなってしまいましたけれども、世銀の問題で一つだけお聞きしておきます。  要するに、日本も世銀を通じて世界の発展途上国に対する開発援助をしている、こういうことで、今回も一・五%アップして増資をするということのようでございますが、問題は、日本の世銀に対する発言が非常に消極的だという話を聞いているわけです。やはり世銀の職員の人たちは、アメリカがどんどんいろいろなことで積極的に発言するものですから、職員は一生懸命アメリカの言うことは聞くけれども、日本の言うことは余り聞かない、我関せずみたいな状況だという。私も、世銀に行ったことがないものですからよくわからないのですが、そういう話を聞いているのです。これは一つはやはり、日本は世銀にお金は出すけれども、余り積極的な発言をしないということがあるのじゃないか、こう思うのです。  それから世銀の職員、これが、日本から行っている職員が少ないのじゃないかと思うのです。  この二つだけ、ひとつ答えていただきたいのです。
  124. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、世銀における我が国の発言の問題でございます。これは発言権という形では、今回お願いしております一・五%のシェアアップというのは、これはまた大きな支えになるわけでございますが、ただ発言権の箱が大きいというだけではだめなわけでございまして、実際問題といたしまして、我が国のこの世銀の実際の活動についてのいろいろな意見ということは、もはや世界銀行の中では無視できなくなっております。これは単に発言権の問題だけではなくて、例の三百億ドルの資金還流等もそうでございますが、我が国世界銀行への資金協力という問題は、やはりそういうことを通じても、また日本はこの問題についてどういう意見だろうかということを必ず聞かないと、進みにくいという雰囲気がだんだん強くなってきておりまして、またそういう中で、私ども森田委員御指摘のような姿勢を一層強める必要があると、日々痛感しているところでございます。  それから第二に職員の問題でございますが、これは私どもも大変問題意識を持っておりまして、人的な世界銀行への協力といいますか、その職員の増加、特に意思決定に重要な影響のあるポストへの増加ということは、非常にウエートを置いて考えております。日本から職員が行く場合に、日本が終身雇用制であることの問題とか、子弟の教育の問題とか、あるいは円高のために向こうの給与が非常に低くなっているというようないろいろな障害がございますが、先ほどの御発言を我々への励ましの言葉と受け取りまして、一層努力をしてまいりたいと思っております。
  125. 森田景一

    ○森田(景)委員 格段の努力をお願いいたしまして、質問を終わります。
  126. 越智通雄

    越智委員長 次に、安倍基雄君。
  127. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この年金のスライドの話は毎年あるのでございまして、この法案そのものに対しては余り反対すべきことはないのです。今まである程度議論が出たかと思いますけれども、私どもの永末副委員長質問に対して「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」という資料を出していただいてやっておるわけでございますけれども、この中で一番問題になるのは、結局医療費がどんどんと伸びていくということかと思います。これは、特に老人医療ではある程度やむを得ない、高齢化社会がどんどん進展する以上仕方がないのですけれども、私ども前回の民社党の大会においても、私は政策担当の部会に出ておりましたが、医療費が非常に、乱診乱療と言ってはあれかもしれませんけれども、検査づけ、薬づけという要素が随分ある。それをどうやって抑え込んでいくか。これをほっておくと、もちろん良心的な人もいましょうけれども、どのくらい伸びるかわからないという声が随分強くて、そのチェック体制が不十分なんじゃないかという話もありました。  この点、年金ともに大事なのはやはり老人医療、医療費の問題でございますから、厚生省はどういった医療費の伸びというか、もちろん生命は大事でございますし、健康の管理は大事でございますけれども、これを見ますと、本当に二一〇〇年には老人医療費が三十五、六兆円になるんじゃないか、国民医療費が八十八兆円、四一%が老人医療費じゃないかということさえ言われているわけですね。この辺どういうぐあいに考えてくのか。これはもちろん、老人を粗末にしていいという意味では毛頭ございませんけれども、その辺についての厚生省の考え方をお聞きしたいと思います。
  128. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生今御指摘のございましたように、今後高齢化社会を迎えまして医療費が非常に高騰をしてくるというのが、今後の一つの大きな課題でございます。その中には老人がふえるというような、ある程度どうしてもやむを得ざる事情もございますけれども、やはり国民の医療費というものを国民経済負担し得る範囲に持っていかないと大変なことになるという点、御指摘のとおりでございます。したがいまして厚生省としても、医療費をいかに適正化をしていくかということにつきましては、今後の重要な課題だというふうに考えておりまして、今進めております考え方を御説明させていただきますと、まずいわゆるレセプト点検審査でございますね。あるいは保険医療機関に対する指導監査の問題、あるいは診療報酬における合理化の問題、あるいは薬価基準の改定等における適正化の問題、こういった対策を逐次実施してきております。  それに加えまして、そういったいわば医療の外見をやる対策だけでは、基本的な解決が図れてこないということもございます。基本的には、医療費の増高をもたらすような医療のメカニズムに総合的な取り組みが要るであろうということで、高齢化あるいは疾病構造の変化ということに対応した良質な医療をいかに効率的に供給するかというシステムづくりに取り組まなければならないというふうに考えております。  そういったた観点から、昨年厚生省内に国民医療総合対策本部というものを設けまして、そこから今中間報告を出しておるわけでございますが、その中にうたっておりますように、老人医療のあり方の問題でございますとか、あるいは長期入院等が問題になっておりますが、こういったことを踏まえて今後いかに在宅医療というものを推進していくか、あるいはそのもともとの医療供給体制というものが過剰になりますと、そこから来る医療費高騰要因ということがあり得るわけでございますから、そういった意味で医療計画の推進等、あるいは病床過剰地域における病床の規制を進めるといったことで医療供給体制を適正なものにしていくというようなこと、さらには、ひいては医師の検診のあり方等も見直していこうというようなことをいたしております。こういった医療の構造に立ち入るような施策を今後逐次実施していくということで、今後医療費適正化に努めてまいりたいというような考え方で今後進めてまいる所存でございます。
  129. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 甚だ抽象的なお答えですが、手前みそじゃないけれども、寝たきり老人控除ということが行われましたが、実はあの口火を切ったのは私なんですね。というのは、結局在宅の人間については全額子供が負担していく。ところが特別養護老人ホームについては、一人当て大体月二十万の要するに国の負担がある。ところが、在宅と特別養護老人ホームに入っている比率を見ると、特別養護老人ホームは十万だし在宅は三十万、当時でございましたけれども、三十万人をほっておいて、十万人にそれだけの要するに国庫負担をやるのか、それなら在宅をもう少し見なければいけないじゃないかということを言い出したのは、実は私なんです。それを公明党さんが取り上げて公明党さんの提案として、野党共同提案になったわけでございますけれども、別にこれは、取り上げていただいたことで非常にありがたいと思っておりますから、これはコマーシャルで、いずれにしましても、今、いろいろ考えるとおっしゃっているけれども、どうも抽象的なんですね。  この前のときに、レセプトの審査を基本的にはお医者さんがやる、これは技術的にお医者さんでなくてはわからない要素があるのですけれども、私は、本当に必要な医療を老人に対して行うのは当然だと思います。それが検査づけ、薬づけになりはしないかという点について、レセプトの審査なんかについてお医者さんが、そう言っては悪いけれども、その地区における医師会の有力者がやるというような話にして、もう少しレセプトの審査について、ある程度専門知識を持ってきた人間であれば、もっとその辺のシステムを考え直すべきじゃないかという意見も実はこの間の党大会で出てきたのですけれども、この辺はどうでございますか。お医者さんが全部手前みそでやるのではなくて、確かにいわば技術的なことですから、医者でなくてはわからないという要素もあるかもしれませんけれども、逆にお医者さんがレセプトの審査を全部やってしまっているということに対して、本当にちゃんと審査しているんだろうかというような意見もあり得る。その辺をもうちょっと客観的なというか、改善の余地はないかというような議論も党の中の議論として出てきましたけれども、その点、どうお考えですか。
  130. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生今レセプトの審査の問題についてお取り上げをいただきましたけれども、現在この審査はいわゆる地域保険であります国保の場合には国保連合会、それから被用者保険の場合には支払基金というところで審査をいたしておるわけでございますけれども、そこのメンバーにつきましては、診療担当者を代表する者、それから支払い側でございます保険者を代表する者、それから公益を代表する者の三者構成ということでその公正を期するようにいたしておりまして、その人選に当たりましては、知事が委嘱をするということになるわけでございますけれども、厳正公平を期待し得る最適任者だけを委嘱していただくこと、それから専門的に高度の技能を有し、担当者の信頼を期待し得る最適任者を委嘱するということで、公正を確保するようにかねて来指導もいたしてきているところでございます。  それから加えまして、今いわゆるお医者さんといいますか、専門的な方だけの審査ではなくてというお話も若干ございましたけれども、あるいはお答えは食い違うかもしれませんが、そういう点につきましては事務的な点検という意味での審査体制の充実につきましても、毎年充実を図ってきております。  また、これは支払基金だけではなしに、さらに保険者に返りましたときの審査の問題等もございます。こういった点では、例えば国民健康保険における市町村のそういった審査体制の充実等につきましても、逐年予算の増額等もお願いをいたしまして整備を図ってきているということで、こういう審査体制の充実につきましては、まだまだ不十分だというおしかりは受けるかもしれませんけれども、私どもとしても重点事項として推進を図っておるということでございます。
  131. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 委員会でどうのこうの、具体的な審査というのはもっと技術的なあれでやっているわけで、支払い者側あるいは三者構成による委員会なんというのは、出てきたものをひょっと、うんと言うぐらいのもので、本当に個別的に審査しているのはむしろ大体医者が中心だと私は聞いています。もちろん、事務的にはもっと事務職員がやっていると思いますけれども、最終的には事務職員のやつを医者がチェックするというぐあいに私は聞いておりますが、今の三者の合同委員会なんというのは、これは大まかなことを見るだけでございますからね。この点、これから、一説によるとそういったベテランのチェックする人間にもう少し資格を与えたらいいじゃないかという議論もありますけれども、この点いかがでございますか。
  132. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 個別に実際に審査をする人に、医師以外にもそういった資格制度のようなものを考えていってはどうかという御提言でございますが、事柄が、医科の場合でございますと医療にかかわることでございますし、また、そういった医学的知識に基づく審査でございませんと、その審査自身に対する信頼と申しますか、そういった問題も出てまいりますので、そこらあたりはなかなか難しいところであろうと思いますが、先生御提言でございます資格審査の問題、今直ちにそれを導入するというようなことについてはなかなか難しい面もあろうと思いますが、いずれにいたしましても、いわゆる専門審査のみならずそういった事務的審査についての充実ということについても、今後さらに努力をしてまいらなければならない、こんなふうに考えております。
  133. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、お医者さんが公正だと思うけれども、医者がやるということは何か薬づけ、検査づけを是認するような格好になるのじゃないかという疑いも持たれるわけですから、この辺はもう少し審査体制の検討ということを考えていただきたいと思います。  二番目に、今国保の問題があれになっておりますけれども、基本的には国保の場合に、確かに本人負担二分の一、国の負担二分の一ということでございますけれども、どんどんといわば支出の方もふえてくる。それでその支払い額の二分の一を国が負担しても、結果的には本人から取れなくて地方公共団体が負担するという要素が非常にふえてきている。これが、いわゆる国保の問題でございますけれどもね。この点、確かに通常の事業主と本人が負担するのと違って、市町村が負担するというか、現実的には市町村の負担になるということで、これは地区によって非常に格差が出つつあるわけですね。この辺は、ちょっとこれは考えるべき点ではないかな。この辺について、大きな問題でございますけれども、確かに小さな範囲内でやった方が今の医療費のチェックなんかもできるという要素がありますけれども、本来二分の一負担が国と個人という話になっても、現実問題としては、市町村によって負担の非常に重くなってきているところと軽くて済むところと、格差が非常に大きくなってきているという話を聞いております。この点については、やはり基本的に考え直さなければいかぬじゃないかという気が私はするのですけれども、この点はいかがでございますか。
  134. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  今先生お話しのように、それぞれ市町村ごとにおける、今のお話趣旨からいうと財政力格差が一番最たるものだろうと思いますが、国保における財政力の格差というものが非常に生じてきている、そのことに関連をして、経営主体というようなことをも含めて再検討すべきときではないか、こういう御趣旨だろうと思います。  今回国保改正ということで、今私ども政府としてお願いをいたしております改正も、そういう意味における市町村ごとの国保運営の格差というもの、確かにございます。こういったものを生じております要因の中には幾つかあるわけでございますけれども、その大きなものの一つに低所得者を抱えておるという要因がございます。それから、さらに先ほど来の御議論との関係で言えば、医療費に大きな地域格差があるという問題がございます。こういった問題について、この際、国、地方を挙げててこ入れをしようということで取り組もうというのが今回の改正案でございます。そういう意味では、先生の御指摘のいわば医療保険における市町村ごとの格差というものに対して、何がしかやはりこの際——何がしかではない、大いにでございます、大いに貢献をしようということであれしていますのが今回の改正案でございます。  そういうことで、今回の改正案を出しておるということが、一つ先生のお話に対する答えの方向ということになろうと思いますが、さらに今お立ち入りでございました経営主体の問題につきましても、基本的な問題として言うならば確かに今の国保制度、先生御指摘の問題以外にも過疎化等によりまして、非常に小規模化をしているということでなかなか経営が難しいというような問題もございますし、どうしても三千三百の市町村に分かれているという保険者でございますから、そういったばらつきが生じがちであるということからいえば、やはりその経営規模といいますか、保険集団としてはもっと大きい方がいいのではないかという御議論、一方においてあると思います。しかしながら、現在の市町村国保、市町村といういわば最先端の地方自治体ということで、そういった共同体の上に成り立って、みんなの保険ということで、そういう意味での医療費適正化の面でもあるいは保険料徴収の面でも、そういう市町村単位であるがゆえに目が届いているという側面もまたこれは否定し得ないと思います。そういったことから、直ちにこの経営主体をどうこうするということについてはなかなか難しいところだと思いますけれども、しかし、今後の国保制度の長期的な安定ということを考えました場合に、経営主体のあり方をどうするかということは一つ課題であることは、そのように私どもも受けとめております。
  135. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ですから私も、今の改善に一歩踏み出しているということは知っておりますよ、既に私も触れておりますが。医療費をチェックする意味でもあるいは医療費の格差を考慮する上でも、事業主体を市町村ということも一つのメリットはあるのですけれども、ただ反面、こういった市町村を事業主体と考えるということそのものと、それから国民健康保険の場合にはやはり低所得者というか、というのが多い。両面からいって、これは私はもう少し基本的に考え直さなくてはいけない話ではないかなと思います。  これは大蔵大臣に聞いているわけじゃないのですけれども、大蔵大臣の御感想があればお答え願いたいと思います。
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま厚生省の方から御説明がありましたように、やはりいわゆる所得の低い低所得者というものがたくさんおられるということ、それは市町村に一般会計の大きな負担になるわけでございますが、あるいはまた地域で医療に相当の格差があるということも現実でございましょうと思います。そういう現実の中で、負担を小さくしようというつもりはもちろんないわけでございますけれども、やはり都道府県も中へ入ってもらって全体の運営に参画をしてもらって、結局そういう意味では市町村が非常な財政の負担をしております、それを緩和をしてまいりたいというふうに全体として考えておりまして、方向としてはひとつこの改正は実現をさせていただきたいと私も考えております。
  137. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間も少なくなりましたから次の問題、今度の世銀への出資、それそのものは悪いことはないのですけれども、これは一説によると、出した分が、相当の部分が中南米の方に行っている。だから悪口を言う人は、アメリカが中南米にいろいろ焦げつき債権を持っておる、そのしりぬぐいと言っては変ですけれども、世銀の場合には世銀の分についてはちゃんと回収されているようでございますけれども、中南米に対するアメリカの負担のいわば肩がわりではないかということを言う人もいるわけですね。これは実際上世銀の貸し出しの先を見ますと、やはり中南米が圧倒的に多いわけで、肩がわりもいいけれども、どうも中南米に対するアメリカ負担の肩がわりというのが、この世銀の今度の法案のいわば裏にあるのじゃないかというぐあいにも言われております。それはいかがでございますか。
  138. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 世界銀行の地域別の融資を大観して申し上げますと、大体三分の一強が中南米、三分の一がアジア、残りが三分の一、こういうことでございます。中南米の問題、これは今アメリカからの、例えば銀行部門からの貸し付けが非常に多いので、そのしりぬぐいではないかというお話でございますが、第一のアメリカの銀行に次いで、日本の銀行は第二番目にここに貸し付けているわけでございます。しかしながら、世銀がこれをしりぬぐいをするとかなんとかということではなくて、私は、中南米の債務累積の問題というのはこの増資云々の問題とは別に、やはり世界経済にとって一番大きな問題だろうと思いますし、これに対してどう対処していくかということは最大の課題一つであると思います。その意味におきまして、世銀がこの問題に積極的に役割を果たしていくということは大変大事なことだと私は思いますし、またそういった意味において、この中南米だけではないわけですけれども、世銀に対する協力ということは、できるだけ力を入れていくべき問題ではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
  139. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは、この前ちょっとお聞きしかけた話で今回の質問に出してないのですけれども、こうやっていろいろ日本が貢献をしている、額としては大したことないかもしれませんけれども。今度日米のいわば農産物で大分自由化、三年以内にどうのこうのというのが出てきていますけれども、これはこの前の財確法の審議のときに大臣に、結局そういうことでまた相当国内で手当てをしなくちゃいけないだろうという話をいたしましたですね。そしたら、それはまた農林省からいろいろ話があれば、それなりに対応せざるを得ないだろうということをちょっと言われましたようです。今回の自由化交渉、相当ピッチが上げられる、早くなるという面で、やはり相当の額の国内手当てを要するのではないかなという気がいたしますけれども、この辺は具体的にどのくらいということはまだわからないと思いますが、大臣、この間のお話だと、またそれなりに対応せざるを得ないだろうというお話をされました。これは農産物の一つのあれでございますけれども。  こういう一面において、世銀そのものの出資額なんて、それほど大したことないと言えば大したことないのでございますけれども。ODAの問題、国際的にどんどん貢献するのもいいのですが、その反面、自由化問題でいわば押しまくられてと言っては変ですが、農業問題につきましても、私この前ちらっと言いましたけれども、もちろん消費者のことも考えながら、ある程度自由化は必要かな、しかし、スピードの問題である。スピードの問題であると同時に国内負担の問題が大分あるよ。この辺を十分考えないと、我々が一生懸命補助金を切ったり行革を進めても、新しい補助金がどんどん出ていくよということをしきりと私が強調したことを大臣も覚えていらっしゃいますか。  今度、本当に現実問題として自由化問題が強く登場してきた。その際に、それなり国内の転換のために、ある程度経費の要ることはやむを得ぬと私は思いますけれども、ただ、それが昔の補助金を切ってまた新しい補助金をどんどんつくり出すんじゃ、財政再建なんてやっていけないじゃないかということを強調したつもりでございますけれども、この農産物の自由化問題に対応して、大臣はやはりある程度相当額の国内的な措置をやらざるを得ないというお考えでいらっしゃいますか。
  140. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまの段階は、農水大臣が再度アメリカに交渉に行かれるということであるわけですが、国内で自由化やむなしと、その上で交渉してこいということにはなっておりませんで、そこまで事態は至っておらないわけでございますから、私が今ここで余り具体的に申し上げることは交渉の邪魔になってはいかぬと思っておりますが、仮に事態が決着をいたしましたときに、ある程度の国内の調整措置、財政負担が必要であるということになりますれば、それはまた農林大臣からそれにつきましてお話があるであろうと思いますので、その上で検討をしなければならないと考えております。
  141. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは半ば突然の質問ですけれども、前回の質問の延長でございますから、持ち時間がなくなりましたから、これで切り上げます。
  142. 越智通雄

    越智委員長 次に、正森成二君。
  143. 正森成二

    ○正森委員 私は、いわゆる世銀法案について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に伺いたいと思いますが、このごろはアメリカもそうですけれども、主として開発途上国について問題を絞るなら、その累積債務、これが大変な額になっておりますが、これらが生じた原因についてはどういうように認識しておられますか。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
  144. 内海孚

    ○内海(孚)政府委員 ただいまの正森委員の御質問に一言でお答えするのはなかなか難しいのですが、第一には、開発途上国の側で積極的な国内開発計画をかなり進めました結果、財政赤字あるいは輸入の急増がもたらされたということ、それから第二番目には、第二次オイルショックの後、先進国の経済がある程度沈滞化いたしまして、開発途上国の輸出が伸び悩んだということ、それから第三には、開発途上国の主要輸出品である一次産品価格が低迷したということ、それからさらに、一九八〇年代になりまして金利が非常に高くなって負担が大きくなったということ、恐らくこれらの要因が複合的に重なり合ったものというふうに考えております。
  145. 正森成二

    ○正森委員 現象的な面から数点について整理なさったのですけれども、それはそれで妥当していると思いますが、しかしその底を貫く原因といいますか、本当の現段階における累積債務の急増はどこに問題があるだろうかというように考えますと、言ってみれば哲学的な部分が今の答弁には不足しているのですね。  それで、我々なりに見ますと、これは特にオイルショック以後のことですけれども、オイルショックというのは御承知のように石油価格が一挙に四倍からにはね上がるということで、OECD、先進工業国は非常な負担を負うことになったわけで、それがOPEC諸国に流れたわけです。それを何とか取り返さなければ先進工業国としてはやっていけないということで、例えばイランに代表されるようなハイ・アブソーブド・カントリーというのですか、よくわかりませんが、そういうように国内で非常な工業化をやるというところは、どんどん西側諸国の工業製品、設備を買うというところで資金を取り戻す。ところが、必ずしもそういうぐあいに使わない諸国がありまして、それは短期資金として西側諸国の民間銀行に貸し付ける。それが長期資金として発展途上国等に回されて、そしてそれを原資として西側諸国の品物をどんどん買ってもらうという格好で、西側諸国から取り上げられたと言ったらおかしいですけれども、OPEC諸国に行きましたお金が還流するというシステムがオイルショック以降つくられたわけですね。  ところが、こういうぐあいにして有効需要をつくり出したのですけれども、それが先進工業国のためには販路拡大で非常によかったのですけれども、一方途上国側は、これは急激に工業化をやったりあるいは工業製品を買うということのために、一九八二年以降急速に債務問題が起こってまいりまして、デット・サービス・レシオというのですか、債務の輸出との割合ですね、これは二〇%を超えると非常に危険だと言われているそうですけれども、それが二〇%を軽く超える。あるいはアフリカなんかでは三〇%を超え、五〇%を超えている国さえあるというような危機的な状況になりまして、特に一九八二年の後半にメキシコが返済不能になるということになりまして、民間銀行が主に累積債務の六〇%台ぐらいを占めておったのですが、警戒心から急速に貸し出しを抑制するというようなことになりましたので、もちろんその間のレーガノミックスによるドル高、金利高誘導というような面での金利の負担がございまして、スプレッドというのですか、特に割り増し金利を設定する、高金利の上に割り増し金利を途上国に負わせるというようなことが起こって、今の問題が非常に深刻になってきたというように我々は考えております。  私どもだけでなしに、例えばいろいろ書物を読みましても、そういう趣旨の見地を持っておられるところは相当多いと思うのですね。そうしますと、累積債務問題というのは、ただに債務国といいますか発展途上国の責任にだけ帰せられるべきものではなしに、OECD諸国といいますか債権国側にも、大いに責任の一端を分かち合わなければならないものがあるのではないかという議論がございますし、この点については中南米八カ国が会議を開いたときにも、ガルシア大統領なども債務問題では債権国側にも共同責任があるとかそういう発言がなされておりますことは御承知のとおりであります。こういう点について、宮澤大蔵大臣はいかがお考えになりますか。
  146. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今言われましたことは、叙述としては私はそういうことはやはりあったというふうに考えております。つまり、思い返してみますと、石油危機が起こりました後できました言葉に、もともと発展途上国という言葉はございましたが、非産油発展途上国という言葉がお互いに覚えております。産油発展途上国は金持ちになるからいいが、非産油発展途上国はどうするかということで、もう一つそのときにリサイクルという言葉ができまして、今正森委員の言われるようなリサイクルを一生懸命やった。これは、先進工業国が物を売り込もうと思ってやったと私は思わないのでございますが、非産油発展途上国を何とかして救わなければいけないということでリサイクルをした、そういうことが結果としては今おっしゃいましたようなところになったのだろうということは、私も事実そういうことがあったというふうに考えます。
  147. 正森成二

    ○正森委員 外務省来ておりますか。多分外務省の答弁の範囲だと思いますが、今大蔵省の国金局長も四つほど挙げた原因の一つに言いましたように、一次産品が実質価格が非常に低下あるいは低迷しておる、これは世銀の世界開発報告でも明確に指摘されているところでございます。これに関連して一次産品基金をつくるという話がありましたことは、これは外務省もよく御承知のとおりですね。そして、これは途上国は十年越しに要求しているのですけれども、御承知のとおり発効要件が、批准国が九十カ国以上であるとか、基金総額七億五千万ドルのうち義務的拠出金四億七千万ドル、三分の二以上の拠出を批准国が約束すること等とか、こういう点がありますために発効が随分長い間おくれておるということになっております。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕  それが、私も不案内でありますが、去年の夏ごろからソ連も参加いたしまして、それに続いて東欧の社会主義国も同調するならば三分の二が超えるとか、しかし、それにもかかわらず一番難点になっておりますのは、最大のシェアを持っておるアメリカが一次産品基金を出すのを渋っておるというような点があったという経緯がございますが、その経緯と現在どうなっているかということについて、御報告願いたいと思います。
  148. 野坂康夫

    ○野坂説明員 お答え申し上げます。  一次産品共通基金を設立する協定の発効でございますけれども、先ほど先生が御指摘になりましたように九十カ国以上の国が批准し、かつ直接資本拠出の達成率が六六・六七%以上、三分の二以上ということになっております。  現在のところでございますけれども、九十九カ国が既に批准しておりまして、後者の方の直接拠出資本の達成率でございますけれども、現在六六・〇〇%ということになっております。したがいまして、あと〇・六七%達成すれば発効するということでございます。最低の国は〇・二一%持っておりますので、あと数カ国が批准すれば発効するという状況でございます。  それからアメリカでございますけれども、確かに直接拠出資本の割合でいきますとかなり大きなシェアを占めておりますけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカが参加しなくても数カ国が参加すれば発効するという状況になっております。
  149. 正森成二

    ○正森委員 今御説明がありましたように、去年の七月まではまだソ連が参加しておりませんでしたので、数%持っておりますので大分差があったのですが、それが加盟したために六六・六七に対して六六、もうほんの少しということになっているのですね。しかし、一番責任があると言ったらおかしいですけれども、先進工業国であるアメリカが前から渋って出さないということのために発効が随分長きにわたっておくれているということになっているのです。もちろん、一次産品の共通基金が発効されたら万事うまくいくというような、そんな単純なものではありませんけれども、しかし、一次産品価格が低迷して、一九八六年などは史上最低になっておるというような状況のときに、しかも累積債務について、オイルショック以来いろいろなリサイクルルートを通じて工業製品が販路を獲得して、一定の経済復興に役立ったというような点から考えますと、一次産品基金に対してかくも長い間棚上げしておるという国の責任は非常に大きいと思うのです。  我が国はこういう点について、「米国の説得に努めるべきだ。」というのは、これは東京新聞の八七年八月十一日の社説であります。こういう点も考えますと、我が国としても応分の外交上の発言あるいは影響力の行使ということをやる必要があるのじゃないですか。
  150. 野坂康夫

    ○野坂説明員 お答え申し上げます。  アメリカは、一次産品共通基金を設立する協定に参加しないということを既に決めておると承知しておりまして、過去に働きかけたことはございますけれども、今は、アメリカに働きかけてその効果があるかということに関しましてはどうかなというふうに考えております。いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、〇・六七%の直接資本拠出達成率を満たせば発効するわけでございまして、数カ国が批准して参加してくれれば、そのうち発効するのではないかというふうに考えております。
  151. 正森成二

    ○正森委員 今、外務省から答弁がありましたけれども、アメリカは非常に虫がいいのですね。国際機関の場合に、いろいろ出資したり金を出すのは財政上の問題があるから嫌だ、しかしそれには発言権を持って、今度の法案でも外務委員会にも出ましたけれども、自分のシェアが減るのですね。そうすると、今まで協定改定のための拒否権といいますか、八〇%だったのを八五%にして、自分のシェアが二〇%あっても事実上拒否権を求めることができるようにする。しかも、減った分の相当部分は日本に負わせるという虫のいいことをやるのですね。だから、その国際機関に金を出すのが嫌なら口も出さなきゃいいのだけれども口だけは出す。そして、より自分の言うことを聞かせやすい二国間協議を、あるいは二国間援助を優先させるというのがアメリカのやり方で、大蔵大臣、御答弁いただかないでお聞きいただくだけで結構なんですけれども、やはりこういうやり方は、すこぶる大国エゴといいますか、好ましくないやり方であるというように言わなきゃならないですね。  その次に、IMFにはコンディショナリティー、融資附帯条件というのがありますね。これは国金局長の答弁かもしれませんけれども、これは非常に深刻な問題で、金は貸してやるがこういう融資条件をのまなきゃだめだということで、後進国に一定の条件を突きつけるわけです。例えば、これはニューズウイークの一九八七年七月二日に載っております論文ですけれども、ザンビアなどではこの条件を遂行しようとしたために実質賃金が六割も低下して、とうとうカウンダ大統領はIMFが後押しする経済改革計画を放棄した。IMFはどういうことをやったかといいますと、食料補助金に大なたを振るって官僚機構を縮小して首を切れということをやりまして、そのためにこの論文によりますと、「ザンビアでは、カウンダ大統領が食料品への補助金の大幅削減を打ち出すや暴動で十五人が死亡。ストが相次ぎ政治生命の危険を察した大統領は、改革案を含む予算をほぼ全面的に放棄した。」というように書かれているわけであります。  それだけでなしに、いろいろなところでこれが言われておりますね。後でお聞きしますが、宮澤大蔵大臣もブラジルの蔵相と昨年お会いになりましたね。そのときにIMFと話し合いをして話をつけることが先決だというようなことをおっしゃったのですが、そのIMFのコンディショナリティー、具体的には経済調整プログラムということになるわけですが、国金局長もよく御存じでしょう。例えば、普通は公共支出の削減、増税、公共部門の借り入れ制限などによる財政均衡化対策のほかに、物価や金利統制の撤廃をせよとか、賃金の引き下げをせよとか、為替相場の弾力化とか輸入規制の漸次撤廃、こういうことをやって国内総生産に対する財政赤字比率、インフレ率、貿易収支に関する短期的な目標値の達成を求めるというのが通常のやり方であります。  例えば、ブラジル政府に対して融資附帯条件として与えられた経済調整プログラムは、私の持っております本によりますと、一九八二年の貿易収支の赤字が百六十三億ドルだったのを翌年の八三年にはこれを一挙に六十億ドルにまで削減しろ、あるいは経常収支の赤字をGDPの二%に改善せよ、インフレ率を八二年は九八%であったのを七〇%に低下させろ、財政赤字が八二年にはGDPの六・五%であったのを三・五%に削減せよ、これは半減ですね。あるいは輸出促進のために為替レートの調整率を毎月のインフレ率プラス一%に加速せよ、こういう条件をつけているわけであります。仮に、アメリカも今四千億ドルからの累積債務を持っておりますが、これに似たような条件を突きつけられたらアメリカ経済がもつでありましょうか。アメリカでさえやっていけないようなことを、借金で借金で困っている途上国に押しつけるということをやっているのですね。  ところが、こういうIMFのやり方に対して、ここにございますが、宮澤大蔵大臣は、ブラジルのフナロというのですか、ちょっと読みにくい名前ですが、フナロ蔵相が去年の三月の九日、十日ごろお見えになったときに、ここに記事がありますが、宮澤大蔵大臣は「ブラジルの債務問題はブラジルだけでなく、我々の問題でもある」、これはなかなかいい御発言ですけれども、その後が悪いですな。「ブラジルが非公式でもIMFと協議した上でないと日本を含めた債権国が動くことは難しいとの考えを示した。」これは後で中曽根総理も大体そういうことのようですね。それに対して、ブラジルのフナロ蔵相はどう言ったかといえば、「国際通貨基金経済調整政策で」、スタンドバイ・プログラムという言葉を使われたそうですね、「協議しないというのはブラジル政府部内の完全なコンセンサスだ。」こういうように言った上で、「IMF調整策は債権国に利点となっても債務国のためにはならない。」ということを言っているのです。ほかにもまだいろいろありますが、長いから引用いたしませんが、そういうように言っているのですね。  そのほかはここに資料があって、時間があれですから読みませんけれども、例えばペルーもこういう点では随分つらい国ですね。ペルーのアラン・ガルシア大統額というのが第八回の非同盟諸国首脳会議で演説しておりますが、その演説の中では、なかなか名文句だと思いますが、こう言っているのです。   したがって、第三世界全体にとってと同様、ペルーにとっても、岐路は明白である——債務か民主主義か、債務か主権か、債務か生命か。   こうして、他の諸国と力を合わせることがわれわれの課題となるのである。世界の利子率を実質的に下げ、債務の条件の公式を改めさせ、われわれの原料の価格を回復させ、通貨体制を民主化するために、われわれの力を統一することである。団結、そしてただ統一のみが、われわれの非同盟の具体的なあかしとならなければならない。 こう言っております。これは決して、毎々言うようですが共産党が言っているのじゃないのですね。ペルーの大統領が言っている言葉なんです。  こういう点について、私どもはこの法案には遺憾ながら賛成することができませんけれども、それはこういう前提の上でのアメリカの肩がわりの増資というのは、決して第三世界のためにも発展途上国のためにもならないというように考えるからでございます。時間が、本会議の前でやめなければなりませんので、ほかにいろいろ聞きたいことがありますがやめさせていただきますが、宮澤大蔵大臣なりあるいは国金局長が何かおっしゃられることがあればお伺いして、終わらせていただきます。
  152. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結局この問題は、大変に平たく申しますと、企業が倒産をしそうなときに銀行に融資をしてくれ、いや融資をするのにはいろいろ条件があるというような話は世の中によくございます。そのときに、どっちの言っていることが実際どこまで正しいのかというのは難しい問題でございますけれども、今御引用になりました一番極端な例は、債務か独立かというような形に持ってこられますと、これはもう銀行は全く出る幕がないわけでございまして、そのぐらいならつぶしてください、煮ても焼いてもどうとかというような話になれば、これはなかなかどうも話のしようがないといったような種類のことに、実は、ちょっと悪うございますが、去年のフナロというブラジルの大蔵大臣がそういう立場をとられた。それは、IMFの言っていることがなかなか過酷だということなんでございましょう。確かに銀行屋さんは、いわんや今度は企業じゃない国でございますから、国民がいるわけでございますから、銀行屋さんだけのことで国なんかわかるものかと言われれば、それはそうだそうだということにどうしてもなりますね。しかし、それをフナロさん、いつまでもおっしゃっていたのではどうもなりませんから、日本もお助けしたいので、ある程度賃金を抑制されるとか財政赤字を減らされるとかそういうことは——IMFというのは一切自分の国の敵だとおっしゃったって、どうもならぬじゃありませんかということを私は申し上げたわけでございましたが、結局お聞き入れがなくてどうなったかといいますと、いろいろ二転三転いたしましたが、今のノブレガさんという大蔵大臣は、これはIMFと相談しなければいかぬなという立場になられたので、IMFの方も、確かに銀行屋が言うようなことばかり言っておったのではいけないというのは私は本当だと思います。それは本当だと思いますが、そんな話は一切聞かないのだ、債務か独立かと言われてしまいますと、我々としては助けようがないといった種類の問題だと思います。
  153. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  154. 越智通雄

    越智委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  155. 越智通雄

    越智委員長 これより国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。正森成二君。
  156. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっております国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  世銀はIMFとともに、アメリカの戦後世界支配体制の有力な武器として機能してきました。レーガン政権は、アメリカにとってでき得る限り低いコストで国際機関が西側経済社会の広範な利益に貢献し続けることを保証するとして、世銀等への出資の削減を図りつつ影響力は保持し続ける政策を進めております。今回の我が国の増資は、このようなレーガン政権の政策に沿って、アメリカの出資減のほとんどを我が国が肩がわりするものであり、同時に、一層の海外進出のため国際機関での我が国の発言力強化を求める独占資本の要求に沿う措置であります。  今回、アメリカの出資減によって投票権シェアも減少し、世銀協定改正についてのアメリカの事実上の拒否権が失われる事態に当たって、世銀協定を改正してまでこの拒否権を維持したことはアメリカ主導・先進国本位の世銀の現状を象徴的に示しています。  IMFと世銀は、発展途上国の累積債務について、債務繰り延べの条件として輸入の削減や賃金の凍結などの改革を債務国に押しつけ、その結果国民所得の激減や失業の急増などの深刻な事態を招いています。これは、世銀等が債務国の経済と国民生活を犠牲にして、先進国の独占資本と銀行への債務支払いを促進していることにほかなりません。その根源には、さきに述べたようなアメリカ主導・先進国本位の世銀の機構と運営があることを指摘せざるを得ません。  発展途上国の要求に沿って、当該国の主権を尊重し経済発展と国民生活向上に資する国際的援助を行うことは、先進国の当然の責務であります。そのためにも、先進国の政府や独占資本がみずからの政治的・経済的利益追求の道具として二国間援助や国際援助機関を利用し、これを通じて発展途上国を収奪するという国際援助のあり方を根本的に改めなければなりません。世銀等の国際援助機関の非民主的な機構と運営の根本的是正もその重要な一環であります。この意味で我が党は本法案に反対することを表明し、私の討論を終わります。
  157. 越智通雄

    越智委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  158. 越智通雄

    越智委員長 これより採決に入ります。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 越智通雄

    越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  160. 越智通雄

    越智委員長 次に、昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  本案に対し、中村正三郎君外四名から、自由民主党提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。中川昭一君。     ─────────────  昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  161. 中川昭一

    ○中川(昭)委員 ただいま議題となりました昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、この法律の施行期日は、原案では「昭和六十三年四月一日」と定められておりますが、既にその期日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めることとするものであります。  以上が、本修正案の提案趣旨及びその内容であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  162. 越智通雄

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  163. 越智通雄

    越智委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに昭和六十二年度における国家公務員等共済組合法年金の額の改定特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、中村正三郎君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 越智通雄

    越智委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  165. 越智通雄

    越智委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 越智通雄

    越智委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  167. 越智通雄

    越智委員長 次に、内閣提出証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案の両案を議題といたします。  両案について順次趣旨説明を求めます。宮澤大蔵大臣。     ─────────────  証券取引法の一部を改正する法律案  金融先物取引法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  168. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近の証券市場の現状等にかんがみ、証券先物市場の整備、企業内容開示制度の見直し、内部者取引規制の整備等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、証券先物市場の整備であります。  有価証券取引に係る価格変動リスク回避の要請にこたえるとともに、今後とも我が国証券市場が国際市場としての機能を発揮し得るようにするため、有価証券指数等先物取引を初めとする証券先物取引を導入することとし、その取引を証券取引所において行うとともに、有価証券の売買取引に係る投資家保護の規定を適用する等の措置を講ずることとしております。  第二は、企業内容開示制度の見直しであります。  有価証券発行市場の健全な発展のための基盤整備を図る観点から、発行開示制度を簡素化と充実の両面から見直すこととし、発行登録制度の導入、担保つき普通社債についての発行開示の義務づけ等の措置を講ずることとしております。  第三は、内部者取引規制の整備であります。  証券市場の公正性と健全性に対する投資家の信頼を一層確保するため、有価証券の発行会社の役員等が、その職務に関し内部情報を知った場合等において、その公開前に当該有価証券の取引をしてはならないこととし、この違反に対して刑事罰を科することとしております。また、会社の役員及び主要株主による自社株等の売買の報告義務を設ける等の措置を講ずることとしております。  以上のほか、証券会社の営業年度を変更する等所要措置の改正を行うこととしております。  次に、金融先物取引法案につきまして御説明申し上げます。  先ほど、証券先物市場の整備について申し上げましたが、金融市場におきましても、近年の金融の自由化、国際化の進展を背景として、金融取引に係る各種のリスクが増大し、こうしたリスクを回避したいとする要請が高まっております。このような要請に適切に対応するとともに、今後とも我が国金融市場が国際市場としての役割を果たしていくためには、金融先物市場の整備等を図ることが不可欠となっている状況にあります。  このような状況を踏まえ、国民経済の適切な運営及び金融先物取引等の委託者の保護を図るため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、金融先物取引所の制度の整備であります。  金融先物取引所は、会員組織の法人とするとともに、その設立には大蔵大臣の免許を要することとしております。また、金融先物取引所の会員等について所要の規定を設けることとしております。  第二は、金融先物取引等の受託業についての規制であります。  委託者保護の観点から、金融先物取引等の受託業を営むには、大蔵大臣の許可を要することとするとともに、その受託業者に対し、受託契約締結前の書面交付義務、不当な勧誘行為の禁止等必要な行為規制を定めることとしております。  以上が、証券取引法の一部を改正する法律案及び金融先物取引法案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  169. 越智通雄

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時一分散会