運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-04-20 第112回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君    理事 大島 理森君 理事 太田 誠一君    理事 中川 昭一君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 中村 正男君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       金子 一義君    小泉純一郎君       笹川  堯君    杉山 憲夫君       戸塚 進也君    鳩山由紀夫君       堀之内久男君    村井  仁君       村上誠一郎君    上田 卓三君       沢田  広君    野口 幸一君       早川  勝君    堀  昌雄君       武藤 山治君    橋本 文彦君       日笠 勝之君    森田 景一君       矢追 秀彦君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  平沼 赳夫君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省理財局次         長       藤田 弘志君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省銀行局保         険部長     宮本 英利君         大蔵省国際金融         局次長     岩崎 文哉君         国税庁次長   日向  隆君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    菊地 俊矩君         防衛庁装備局武         器需品課長   大越 康弘君         法務省民事局参         事官      山崎  潮君         法務省入国管理         局警備課長   町田 幸雄君         外務省中近東ア         フリカ局中近東         第二課長    木村 光一君         厚生大臣官房政         策課長     清水 康之君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     野田 哲也君         通商産業省通商         政策局南アジア         東欧課長    作田 頴治君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       横田 捷宏君         気象庁予報部長         期予報課長   嘉味田宗治君         建設省河川局河         川計画課長   岩井 國臣君         建設省道路局有         料道路課長   松延 正義君         自治省財政局財         政課長     遠藤 安彦君         自治省財政局指         導課長     二橋 正弘君         会計検査院事務         総局第一局審議         官       宮尾  明君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案内閣提出第三号)      ────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和六十三年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  3. 沢田広

    沢田委員 どうも激励をいただきまして、それだけ政府の方も真剣にひとつお答えをいただきたいと思います。けさの通告であったために各省庁若干戸惑っておられて、来るのも遅いところもあるようですから若干順不同になるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。  最初に、大臣にまずお伺いをしてまいりますが、いわゆる財政再建をしていく、例えば今年度は非常に税収がよかったわけですね。あるいは相続税も多かったし、あるいは有価証券取引税も増収があったということで、来年の国債償還を六十四年度、六十五年度あるいは三年くらい、六十五年度という約束にこだわらないで、現実的にどの程度ずつ償還は可能になっていくかということについては、大筋でどのようにお考えになっておられますか。大体償還していける分量、どの程度償還でいけるだろうか。収入よりも償還していく支出の方の問題ですけれども、その辺はどうお考えになっておられましょうか。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまのお尋ね国債償還に関するお尋ねでございますので、これは償還期の来ましたものはもとより、国債整理基金特別会計において完全に償還をいたすことは当然でございますが、政府委員からお答え申し上げます。
  5. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 六十四年度、六十五年度は、国債償還額に借換債、新規財源債いろいろあるわけでございますが、ネット償還額は私どもの提出いたしました国債整理基金資金繰り状況仮定計算をもとに算定をいたしますと、六十四年度で二兆三千四百億、それから六十五年度で二兆四千五百億ということになります。
  6. 沢田広

    沢田委員 借入金を含めまして償還額というものは、いわゆる償還財源の中で結果的には去年が十兆、次は十一兆くらいになっておりますが、その他の財源を含めていわゆる償還額というものについては大体どの程度をお考えですか。
  7. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 ただいま申し上げましたのはいわばネット償還額でございまして、国債償還額そのものは六十四年度に十七兆五千四百億、六十五年度は十七兆九千九百億ということになっております。
  8. 沢田広

    沢田委員 これで所期目的は達成できる、所期目的というのは言うならば赤字国債脱却への道、こういうことになると思うのでありますが、可能だというふうに思っておられるわけですか。
  9. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 今の国債償還額等は、既に発行いたしました既発国債償還の問題でございます。六十五年度脱却の話は新規に発行する公債の話でございまして、いわば新規財源債でございます。これにつきましては「財政中期展望」あるいは仮定計算例というものでお示しをしておりますように、なお中期展望によりますと、なお五兆程度の要調整額歳入歳出の不突合が残りますけれども仮定計算例でお示ししましたように一般歳出を極力抑制していけば、六十五年度新規財源債ゼロ、特例債についてゼロという可能性が出てきたと私ども考えておるわけでございます。
  10. 沢田広

    沢田委員 そこなのです。大蔵省だけが声を上げて、やれ財政再建だ、こう言ってみましても、各省庁がそれぞれの分野で努力をしまして五%減だよと言われて、反対だけれどもしようがないという言い方で果たして真の財政再建が可能か。やはり政府が一丸となって、すべての省がみずからのェゴを捨てて、譲れるものを譲ってという形で財政再建をしていくことが、今日本に求められている筋道ではないのかというふうにも思うのです。どうも大蔵大臣は声はかけておりますけれども、各省庁に帰りますと下からの突き上げが強いせいか、さすがの大臣もちょっとそれは、こういうことで逃げ腰になってしまうという傾向が今の財政再建を妨げている。言うならば閣内にある、政府部内にその財政再建を妨げている根本がある、私はそういうふうに思いますが、これはそうですとはお答えにくいでしょうけれども、その障害を除いていかなければならないということはいかがお考えでしょうか。
  11. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、まさに御指摘のとおりであると思っております。仮に昭和六十五年度には新規特例債がゼロになると仮定いたしますと、ただいまのところから一兆五、六千億円の新しい歳入を失っていくわけでございますから、それに伴います歳出はそれだけ抑えていかなければならないということは当然のことでありまして、そのような意味では、従来続けてまいりました一般歳出につきましてのいわゆるシーリングというものは、これはやはり厳しく守っていかないと特例公債をゼロにするということは不可能でございます。  したがいまして、これはただ財政の問題ではありませんで、行財政改革という政府が掲げております大目標に向かって、各省庁とも十分に従来も協力をしていただいておりますけれども協力をお願いしてその結実として特例公債が六十五年度にゼロになり得る、そういう目標を達成いたしたいということでございますから、まさに沢田委員のおっしゃるとおりのことでございます。
  12. 沢田広

    沢田委員 私は、二、三具体的な各省庁問題点を挙げまして、これは六十年度を拾い出したものであります。まだ正式のものが出てないのですが、いろいろありますけれども、例えば電源開発にいたしましても、立地勘定で見て、これは一つずつ挙げると大変なのでありますが四百三十三億、六十年度決算で、これは特別会計だけを全部拾っていますけれども、要すれば不用額を出しているわけです。普通ならば、これは用地買収のためのものなのかもわかりませんが、だとすれば、それは明許繰り越しをするとか、しないとすればそれは引き揚げてしまっていいのじゃないかというふうに、また必要になったときに出せばいいというふうにも思います。あるいはまた電源多様化勘定の方を見ましても、三百六十七億も余らしているということです。細かい答弁は要らないと思いますが、登記関係でも、これは金額は少ないですが、一億七千七百四十万というものを残しています。それから国債整理基金勘定でも、これは返したらいいのじゃないかなという一兆三千億の金額がある。特に、鉱害対策の方で百四十七億丸々残しているのですね。  全体的に考えてみますと、特に石油関係は、これは後で質問もいたしますが、もっとメスを入れていいんじゃないのか。特に、六十二年度予算は百六十三円で予算を組んだわけですね。一ドル百六十三円で見たわけですね。それでやはりこの石油及び石油代替エネルギー勘定で見ますと、千六百四十六億という金額が結果的には余るというふうに、これは挙げていたら切りがない。特に、食管会計在庫勘定で一兆四千億が、これも残っておる。これらも、確かに守るべきものもあるかもしれませんが、やはり財政再建のために一枚着物を脱ぐという立場から見れば、裸で勝負をしていくという気持ちで見ればそういうものが必要だろうと思うのですね。  それからさらに、輸入飼料勘定で、これは農林が来たら後で答えてもらっていいのですが、六億四千百四十二万ぐらいですが、これだけ輸入飼料勘定で残しておる。しかも、業務勘定でも業務執行をやらないで、これも九億以上残しておるということなんであります。家畜勘定、それから果樹保険勘定、それから各勘定別に見まして、特別会計でずっと金が残っているものを見ただけでも、このぐらいは余った分は来年度使うのだということなのかもしれぬが、若干甘さがあるんじゃないのか。もう少しその中の一割でも二割でも削って、それは償還に充てますよという、できない能力のところへ幾ら積み込もうといったってそれは無理なんですから、百の能力のところへ百二十させようといったって無理ならば二十は削ってそれはそこへ回す、あるいはもっと必要なところへ回すというような配慮があってしかるべきではないのか、こういうふうに思います。これはまだ出ていないですね。全部六十年度分の特別会計からだけ拾い出した剰余金なんであります。それはいかがですか。
  13. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 御指摘特別会計にいろいろ繰り越しというか、その年度歳出使い残りというのがあるのは御指摘のとおりだろうと思いますが、それぞれ個別に検討いたしますと、やむを得ない事情があるのだろうというぐあいに私ども考えております。予算編成の過程におきましても、常に一般会計特別会計関係というのは査定の段階でいろいろ議論をしておるわけでございますが、基本的には特別会計と申しますのをわざわざ一般会計と区分しているという理由は、特別会計特定の事業とか特定の資金の運用という、いわば特定歳入をもって特定歳出に充てるということで、一般会計と分離して運用するということで設けられているものでございますから、そこで不用が出てもそれを直ちに一般会計国債償還のために召し上げるというのがなかなか難しい、また必ずしも適当でないというのが現実の姿であると考えております。
  14. 沢田広

    沢田委員 そういう答弁だろうと思うのです。一応組んだ予算政府責任を持つわけでありますから、それが執行できないからといってそれなり理由があるのだろう、別にそれをサボタージュしたということにはならない、これは私もそのとおりだと思います。思いますけれども、だからといって、これを全部使うのが仕事だと思って無理に、我々もなかったわけではありませんが、年度末出張だなんというのが特別にあったりなんかするというのも、昔の慣行の一つみたいになっておりました。いわゆる余らしては後で予算が来るのにもらえないから、こういう感覚も地方になくありませんね。ですから、そういうところを脱皮していくというのが今一つの、これでこのとおり余っているから全部だめだというのじゃないのですね、私が言おうとしているのは。何かその中から一〇%でも何とかそこへ返していく道をつくろうじゃないか、そういう合い言葉をつくって、募金じゃないけれども赤字国債の返還で一〇%そこから持っていこう、そういう思想といいますか、考え方というものをつくれないかどうかということなんです。これはもういいです。  それに公団住宅の例えば滞納金、これは努力しろという一つ意味を含めて一つ挙げればですよ、何も滞納している人が悪いとばかり私言っているわけじゃないのですけれども金額は大した金額ではないかもしれませんが、これで件数が極めて多いのですよ。件数は三千五百件とかそういうふうに多いし、六十一年度で四十三億八千万ですか、それぐらいの金額になっているのですね。ですから、住宅金融公庫利用者の長期の延滞件数を見ても、六十一年で一万七千五百八十三件もあるわけですね。これも努力すれば可能なんじゃないか。この二つぐらい、ちょっとお答えいただけましょうか。
  15. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 住宅公団住宅公庫のそういう滞納と申しましょうか、延滞と申しますか、そういう事例があることは私ども承知しております。それは私どもとしては、できるだけいただくものはいただくという形で徴収に努めてもらうように、しょっちゅう実施官庁並びに公団公庫に申し上げておるわけでございますけれども、その実情を聞いてみますとやはり相当難しい事例がたくさんございまして、なかなか努力が及ばないということでございます。それにつきましては、今後とも鋭意努力をするように、私どもとしても一生懸命努めてまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  16. 沢田広

    沢田委員 大体、それもそういうような形式の答弁だろうとは思っておりました。しかし、それで最善の努力をしている、私はこれは全部悪いものだというふうな物の言い方をしてはいないのです。事情のあることはわかります。しかし、その中に活路を開くのが仕事だと思うのですね。それは当たり前の、水の流れのように順調にそのまま見ているだけなら何も事欠かないのであります。しかし、こういう大変な赤字をしょっているという状況の中で、何とか再建しなければならないと考えたときに、どこから再建の道を見出すかという、そういうさっき言った各省庁の分を申し上げているわけなんです。  これに関連して一つだけ余計なこと、余計なことじゃないんだ、重要なことなんだ。滞納者がいるのですね。住宅金融公庫あたり滞納者がいるのです。念のため言っておきますから、覚えておいてください。これはだんなさんが亡くなったりなんかして、自動車事故で亡くなったりして急に払えなくなる、そうすると滞納が生まれるわけですね。滞納が生まれて五・五%なりの金利通常金利でついていくわけですが、その滞納が生まれた場合に、住宅金融公庫でも金利制限の一番最高の一五%をそれにくっつけることになっているのですよ。これは幾ら何でも、住宅金融公庫というものをつくって、制度をつくってやる以上、それなり理由があるんだと思うのですね。それに一五%のいわゆる延滞金利をつけていくというのは少し過酷ではないのか。それだったら何も公庫をつくってやらなくたって十分できますよ、一五%の金利をつけていくということになれば。だからその一五%の金利は過酷過ぎる。それは覚えておいてください、後で実例を挙げても結構ですが。  一応、そういう状況の中で延滞をされた場合に、その延滞金利が、しかも一年たつとこの利息を全部元金に入れるのですね。この利息を全部元金にほうり込んで、そしてそれからまた新たな五・五%の金利をつけていく。それだったら、滞納しておいて裁判になった方がずっと楽なんです、納める方の側からいえば。黙っていたって五・五%の金利がついていっちゃうんだから、それより滞納しておいて裁判になって、その分は金利はつかない、こういう形の方がいいということにもなってしまう。悪いことをここで教えようとは思いません。だから、そういう幾らかひずみがあるということは、念のためですが覚えておいていただきたいのですが、今言ったことで中身はわかりますか。
  17. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 私、実は住宅公庫を所管しておりまして、不敏ながらそこの実態をよく知りませんので、よく実態調査して勉強させていただきたいと思います。
  18. 沢田広

    沢田委員 こういうのは実例にぶつからないと、うっかり私たちも見過ごしていたことなんでありまして、それではこの制度をつくった意味に反するということです。  順不同になりますが、法務省が来られていますが、今度国会で、皆さんのお力添えもいただきまして国利民福、舌をかみそうな名前ですが、国利民福の会というものは、要すれば国債ネズミ講の、連鎖講の対象になる、こういうことで今度国会を、衆議院では通過をしたわけであります。
  19. 越智通雄

    越智委員長 静粛に願います。
  20. 沢田広

    沢田委員 これを通過をしまして、御本人の言うことは新聞の報道で状況は知っているわけですが、これは当然三十億の損害を国民に与えることもほぼ確実だ。財産を恐らく隠匿するだろうということも想定にかたくない。だから、事前にこれを防止することは、少なくとも道義的に政府責任として存在するのではないか。法律ができ上がりませんから刑法は適用はできないでしょうけれども刑事訴訟法には、こういう間違いのあるときには進んで公務員は告発をしなければならない、これは知っていますか、そういう条項があるのですよ。一般の人はもちろんですが、公務員はこういうことがあった場合には進んで告発しなければならぬ、こういうふうに公務員義務規定として法律上規定されている。  そういう状況の中でこの法案が通って、そして結果的にはそれが隠匿されるであろうということは想像にかたくないわけで、できるだけ国民被害を与えないように措置することが政府責任だ、こういうふうに思いますのであえてこの場所で、もう当然参議院を通過するわけですから、その前にいろいろなところへ財産は隠匿されるだろう。税務署の方でもこんなものは逃さないように、スイスへなんか持っていかれないように、あるいはブラジルに持っていかれないようにちゃんときちんと手を打っておくということが、もう予期されていることですから、豊田商事じゃないけれども後になって金がなかった、一銭もなかった、ごまかされたんだ、しようがないけれども我慢するんだなというような言い方をすることは避けたいという意味で、これは国税庁及び法務の方からこの点の対応についてお聞かせをいただきたい。
  21. 日向隆

    日向政府委員 経済的利益を得た場合、たとえそれが金銭以外のもの、例えば国債でございましても、その経済的利益を時価で評価して収入金額を計算して課税するということは、委員よく御存じのとおりだと思います。  今御指摘になりました国利民福の会の場合におきまして私どもが得ている情報によりますと、これは主として昨年一月ころから活動を始めているということでございますので、これによる経済的利益が所得の形で申告されてくるのはこの六十二年分、最近終わりました確定申告に際してであると考えておりまして、この会員の増加の状況等の資料、情報を十分収集する傍ら、この六十二年分の確定申告状況を十分注意して見ておりまして、必要な場合には実地調査を行い、今委員指摘の問題も踏まえましてこの問題に関連する課税上の問題を適正に処理してまいりたい、かように考えております。
  22. 山崎潮

    山崎説明員 お答え申し上げます。  この会の詳しい内容につきましては、十分私どもも存じてないところではございますが、一般論として申し上げますと、この行為公序良俗違反あるいは不法行為を構成するということでございますと請求権がございますので、一般民事訴訟法の仮差し押さえを被害者の方が申し立てれば財産が保全をされる、こういう構造になっております。
  23. 沢田広

    沢田委員 法律ができればこれは刑法にもなると思いますが、ぜひそういうことで被害者が泣きを見ないように政府十分努力をしていただきたい。これでもう法務省は帰って結構です。  次に防衛庁について、主要な武器の耐用年数、特に戦車駆逐艦それから前のF16等の戦闘機等耐用年数幾らに置いているのか。それから耐用年数になり旧型になったものの取り扱いはどうなのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  24. 大越康弘

    大越説明員 お答え申し上げます。  防衛庁装備品耐用年数につきましては、長い間使ってまいりますとその維持、修理のために相当経費がかかってまいりますので、その経済性の問題とかあるいは航空機等で見られますように安全性の問題とか、そういったことを勘案しまして、それぞれの飛行機につきまして相当の期間がたちましたら調査をいたしまして、それで除籍をしているという状況でございます。  除籍をした場合には、なおまだ部分的には使えるものもございますので、そういうものについては部品取りをしまして別の装備品に使う、残ったものはくず鉄あるいはその他いろいろな処分の仕方がございますけれども、それを売り払いまして国庫に歳入として上げる、こういうことになっております。
  25. 沢田広

    沢田委員 私は、全部の耐用年数表は出せとは言いませんけれども、主なものの耐用年数は表示をしてもらって、今のお話ではそれぞれ一件ごとに調査をして償却処分にしているということに回答が一つありました。それから私は、新型と旧型の場合の取り扱いはどうなるのかという質問もあるわけですから、その点もひとつ加えてお答えいただきたい。
  26. 大越康弘

    大越説明員 お答えいたします。  それぞれの装備品につきまして、それぞれ個々老朽化状況によって違いますけれども、例えば航空機でございますと、私どもが持っておりますF104という戦闘機につきましては、平均しますと大体三千時間くらいでございます。それから護衛艦でございますと、約二十八年くらいでございます。戦車について申し上げますと、前の六一戦車というのは、二十年くらい過ぎまして個々にオーバーホールしたときに相当経費がかかりますので、余り高くかかるようでありますとそれを除籍している、大体二十年過ぎたころからそういうことをやっております。  以上でございます。
  27. 沢田広

    沢田委員 続いてで申しわけありませんが、そういう一覧表は一応公表できるのですか。
  28. 大越康弘

    大越説明員 平均的な数字でございますれば公表いたします。今言いましたように、例えばF104でありますと三千時間とか、FIという新戦闘機がございますが、これは約四千時間でございます。それから潜水艦でございますと、約十六年というふうになっております。
  29. 沢田広

    沢田委員 それでは後でお知らせいただきたいのでありますが、例えばそれの去年の減価償却額の総計はどの程度になっておりますか。
  30. 大越康弘

    大越説明員 減価償却という意味が私もよくわかりませんが、売り払った額ということでございましょうか。私、ちょっと今手元に細かいデータを持ち合わせておりませんので、調べてまたお答えしたいと思います。
  31. 沢田広

    沢田委員 調べて出てこないような気がしたのですが、二十八年もつものもあれば三千時間のものもあり、毎年毎年償却されていっているわけなんですね。使いものにならない部分が発生しているわけです。それの一年間のいわゆる償却額はどの程度になっているのかというのが聞きたかったわけです。だから、もし後で出せるならばそれはやはり出してもらいたい。  それから、後年度に新たに負担をするものは三兆円とも言われておりますが、予算の上でも一兆円とか二兆円とかいろいろ言われておりますが、今あなたの方では、後年度に新しく金銭的に入ってくるものとしてはどの程度考えておられるわけですか。
  32. 大越康弘

    大越説明員 先ほどの最初の質問のうち、例えば六十二年度でもって除籍をしたものがございます。それで、主なものについて、航空機とか艦船あるいは戦車等につきまして、どういうものを何両ぐらい、あるいは何機ぐらい除籍をしたかということがわかります、それを取得した価格というものもわかりますので、その数量と価格を掛ければ、どのくらいの金額のものが六十二年度除籍をしたかということがわかります。ただ、あらゆるものがたくさんございますので、すべてのものを出すということはちょっと難しいかと思います。
  33. 沢田広

    沢田委員 くどいようで悪いのですが、それはそれで後で出してもらいますが、新型と旧型になりまして、例えば通信機械等、情報機関がこれだけ進んでくるわけですな。新しい機械が出た場合、耐用年数を持っていても、当然古い機械は、あなたの方で考える必要に応じての効果が十分多くないと判断されれば、特別償却というものは行うことになりますか。
  34. 大越康弘

    大越説明員 装備品を廃止する場合、先ほど言いましたように経済性の問題、それから安全性の問題がございます。それからもう一つ、性能的に見まして非常に時代おくれになったものについては、性能の高い新しいものに更新をして古いものを廃止するということはあります。
  35. 沢田広

    沢田委員 あなたは慎重に答えているから、また何回も言わなくちゃならなくなるわけですが、時代おくれというのは果たしてどの程度をもって時代おくれと言うのですか。今日まさに技術は日進月歩ですから、例えば、ことし買ったけれども来年また新しいものが出る状況の中で、去年買ったものももう使いものにならないということになり得るのじゃないですか、そういう場合はないですか。
  36. 大越康弘

    大越説明員 これは技術の進歩の度合いでございまして、技術の進歩の発展によりまして、昔の性能から比べますとそれではとても敵に対処できない、それに対処するためには、新たな性能のものが製作できるということになりました場合には、そういうことはあろうかと思います。  例えば、通信機などで、最近はディジタル化と申しまして、ディジタル信号にして暗号をかけるような通信機材が出ておりますけれども、音でありますとアナログで、アナログと申しますとなかなか秘密保全ができないということになりますので、そういった場合には新しい通信方式を通信機材自体に置きかえるということは考えられます。
  37. 沢田広

    沢田委員 だんだんわかってきました。耐用年数というのは、言うならば通常に使用してあり得べき使用期間、よたよたになっても使用期間に入っている年数だと思うのですが、実際の有効年数からいけば、それよりもずっと短縮するのだろうというのが一つ。  それから今言われたように、新しい技術によって失われる、処分をする場合の分をどこがチェックしているのでありますか。あなたの庁ではどこがチェックしているのですか、それから大蔵省関係ではそのチェックはどこでやっているのですか。会計検査院がやっているのですか、それともその適正はどこがチェックしているのですか。
  38. 大越康弘

    大越説明員 これは物によっていろいろな段階がございまして、細かいものでありますと部隊の方に任せるものもございますけれども、大きなものになりますと本庁の方に上がってまいりまして、防衛庁長官が判断をするというものもございます。
  39. 沢田広

    沢田委員 大臣、急に飛んでいって悪いですが、いわゆる文官統制という時代においてもどうしても新しいものへの魅力というものはある。電話でも何でもそうですけれども、いや応なしに古いものが倉庫に眠るという形になって、表向き勘定には載るけれども、実際的にはもう使用に耐えない、こういう形になって損失経費に上がっていく。だから防衛庁も、ひとつ貸借対照表か損益計算書をつくってやれば、特別償却したかどうかもはっきりわかってくるのじゃないかという気もしないでもないですね。このチェック機能を大臣につくってもらいたい。要するに、むだなものを買わないかどうか、それからむだに償却しないかどうか、それから使えるものと使えないものの判断が正しいかどうか、せめてこの程度は、防衛庁だけでなくて、大蔵省もあるいは会計検査院もそうですが、チェック機能をつくってもらいたい。そして、幾らかでも経費を節減できるように、財政再建のために防衛庁協力をしてもらいたい、こういうふうに私は考えるわけです。大臣、その点はいかがですか。会計検査院、来ていればその点もひとつ伺いたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、まことにごもっともなお尋ねだと思います。今お尋ねを伺っておりまして、私も、どういうふうになっているのかと思って政府側の答弁を伺っておったわけでございますが、片方で、日進月歩の世界でございますから、形としては残っておっても、使いものにならない兵器、武器というのは十分にあり得る、これは逆のケースを申し上げるようでございますが、そういうこともございますでしょうし、それからどこまでが物理的な生命で、どこまでが技術的な生命かということの判定とかいろいろな問題が実は必ずあるだろうと思います。まあ昔の軍隊でしたら、大変昔で申しわけございませんが、員数と申しましたですか、数が残っていればそれで間違いなし、そういうことでは恐らく今日はないに違いない、いろいろやっておられるに違いないと思いますが、私はただそれを存じませんので、必ずいろいろきちんとしておられると思いますけれどもお尋ねの趣旨はよくわかって伺っております。
  41. 沢田広

    沢田委員 こういう問題に取り組んだのも初めてかもわかりませんので、これからは文官の力あるいはこういう数理の力あるいは経済の力、そういうものを生かしてこれからの監督行政に遺憾なきを期してもらいたい。防衛庁いいですか。今言われたことはひとつ拳々服膺してもらって、十分対応してこたえられるようにお願いをいたします。  資料でもし出せるものがあったら後でいただきます。これで結構です。  ほかの省申しわけありませんが、だんだん終わらせますが、続いて、簡単な方からいきますけれども、生命保険の問題はきのう若干質問があったようでありますが、私の言うのは、生命保険の総会が開けない今日の状況において、いわゆる各県代表の代理人で総会が開かれて処分が決まっておる。例えば、今度の円高での為替損等の責任などについてもそれほど追及されるという懸念はない。それだけ国民の掛金が据え置かれたり高くなったりするという問題も、言うならば追及される場所がない。そういうことで果たして合理的なものなのかどうか、あるいはこの不当な商行為というものは行われていないかどうか、あるいは、きのうもこれは土地の問題でも出ておりましたが、不動産の購入等において余剰資金というものを相当使用しているのではないか、こういう点なしといたしません。それで一歩進めて、株式会社に変えた方がより公正な運営になり得るのではないか、また資本金といいますか、その資本力においても今や株式会社としても十分にその資格要件を持つものだと思いますし、その監督行政上の意味、あるいは掛金を掛けておられる方々への保護、そういう点を考えますと株式会社に転換するべき時期に至っただろうと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
  42. 宮本英利

    ○宮本(英)政府委員 今のような御意見は、沢田先生のかねてからの御意見であるということで、私どももよく承知いたしておるところでございます。  先生も重々御承知のとおりでございますけれども、生命保険の会社形態というのは、相互会社制度あるいは株式会社制度いずれでもとることができる。現に二十五社のうち十六社が相互会社で、九社が株式ということになっておるわけでございます。しかしながら、保険業法上は、相互会社から株式会社に組織変更を行うことは原則として認められていないわけでございますが、恐らくその立法当時の趣旨といいますのは、株式会社形態にするということについては、やはり保険事業というものの性格が非常に相互扶助的な性格の事業であること、あるいはまたその契約が二十年、三十年という非常に長期契約が中心でありまして、生命保険契約、そういう長い保険契約を全うするためには保険料は若干安全を織り込んで設定しておきまして、結果的に剰余を生じるものを保険料の清算という形で優先的に契約者に還元するという、こういう基本的な仕組みから、やはり非営利法人である相互会社形態の方がよりなじみやすいというふうな観点での立法があったのだろうと思うわけでございます。現に米国なんかにおきましても、昔は株式会社制度ばかりであったのでございますが、大手生命保険のほとんどのものは相互会社形態に変更しておるというのが現状でございます。  仮に、株式会社制度に移った場合のメリット、デメリットみたいなものをある一つ一般論としてあえて想定してみますと、やはり会社の意思決定権というのが現在形式的には保険契約者にあるわけでございますが、これが株式会社に移っていくわけで、どんな人たちが今後株主になっていくかということでそういう保険事業の持つ性格が影響されないかどうか、あるいは現下の株式総会というものが真に民主的に運営されればいいのですが、そういう保証がなお維持できるかどうか、あるいはまた株式会社となれば持ち株比率に応じて議決権が加重されて、相互会社のもとにおけるように一人一議決権というふうな形での原則、そういう原則による会社経営が行われなくなる。そういう意味では、経営者の意図が形式的にも会社から離れてしまうというふうなことになる。さらに、契約者配当というものが現在ございますが、株主が生じますと株主配当というものも必要になってくるわけでございまして、契約者と株主との間で利益の相反というような問題も起こってくる。こういうふうにいろいろな問題も出てくるので、この面につきましては慎重の上にも慎重を期して検討していく必要があるなと。  ただ、相互会社制度の運営が民主的に行われなければならないということはもう先生御指摘のとおりでございまして、でき得れば、非常に生命保険会社にとってふさわしい相互会社形態という形で、今先生が御指摘なすったようなことが実現できないかどうかということを検討いたしておるわけでございます。従来から保険審議会等でも種々検討はしておったのでございますが、金融自由化が進む中で、さらにそれをもっと深く検討していく必要があるのではないかというふうなことも考えまして、近々保険部の方でそういう研究会をつくることを今企図いたしておりまして、学者を中心とする委員の方々にお願いして、向こう一、二年の間そういう相互会社制度を民主的に運営する方途についてじっくり検討していきたい、このように現在考えておる次第でございます。したがいまして、株式会社に移行する必要性というのは、本当にあるのかどうかというふうな感じを率直なところ持っておる次第でございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 趣旨はわかりました。ただ、各県代表一人をもってそれで各組合員の総会は足りるという今のやり方、法律上は加入者全員をもって総会とするとなっているわけでありますから、それを各県の特定の人間だけを集めてそれが総会であるという、言うならば癒着という言葉がいいかどうか、なれ合いという言葉がいいかどうかわかりませんけれども、そういう傾向なしとしないという現状は、これがいいとは言えないと私は思うのです。もし、あなたの説を一部尊重するとしても、それは一定の改革が必要である。加入者は自由に参加できるというような方途を開いていくぐらいのことは必ず保証してもらわなければならない。出たくとも出られないという方式ではこれは鎖国政治になってしまうのでありまして、隠密になってしまうわけですから、これは許されないことだと思うのです。その点は、もしあなたのを一歩了承するとしても、いわゆる開かれた総会、こういうものにまずすることが先決である、こういうふうに思いますので、その点だけひとつお答えをいただきたいと思います。
  44. 宮本英利

    ○宮本(英)政府委員 契約者とその総代との間の関係をもう少し、おっしゃられるように直接的なものにしていくというか、社員の意思が正確に総会に反映するようにしていくという必要性は、先生のおっしゃられるとおり非常に感じておりますので、先ほど申しましたような、そういう第三者による研究会というふうなものをつくりまして、慎重に検討していきたいと思っております。
  45. 沢田広

    沢田委員 次、順不同になりますけれども、建設省関係、ちょっとあちこちにまたがりますが、まとめてお願いをいたしたいと思います。  一つは、この夏の水問題であります。ダムも大変建設されておりますけれども、大変心配される条件で、去年と同じような状況が再現するのではないかという危惧を持っております。これはついでですから気象庁、厚生省、建設省、この夏に対して今から予測しがたい部分もあると思いますが、都民あるいは首都圏等に対して水の不足に悩ませる、こういうことはないかどうか、その点だけひとつお答えをいただきたいし、そういうことはひとつ確認の上でこれからの行政を進めてもらいたい。お答えをいただきたいと思います。
  46. 岩井國臣

    ○岩井説明員 建設省では、従来から長期的視点に立ちまして、計画的に水資源開発の推進を図っておるところでございますけれども、本年の一月に二十一世紀に向けての水資源開発計画を策定いたしまして、さらに長期的な視点から計画的に水資源開発を推進することとしております。  本計画では、昭和七十五年におきます水需給バランスをとろうということで考えておりますが、現時点で申しますと、いわゆる不安定取水というものが残っておることは事実でございます。本年の水状況がどのようになるのか、これからの問題でございますけれども、渇水になりますれば、十分利水関係機関と調整を図りながら渇水対策を進めていきたい。いずれにいたしましても、不安定取水というものが残っておるのは事実でございまして、水資源開発というのは相当時間がかかります。そういうことで、先ほど申し上げましたようなことで計画をつくりまして、昭和七十五年においてはそういった不安定取水を解消するということで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  47. 沢田広

    沢田委員 厚生、気象、続いて……。
  48. 藤原正弘

    ○藤原説明員 厚生省は水道を所管しておりますので、水道の立場からお答えいたします。  この冬は暖冬のため雪が余り降らないということで、夏場の水需給に問題があるというふうな予想もございましたのですが、二、三月に降雪それから降雨、かなりございまして、現在のところダムの貯留量につきましても平年に近い状況でございます。そういう意味で、例年と比べまして特段の水道用水の需給の状況が厳しい状況であるということではないと考えております。  今後の降雨の状況にも十分留意いたしまして、必要な場合に水道の立場から適切な対応をとってまいりたい、このように考えております。
  49. 嘉味田宗治

    ○嘉味田説明員 御説明いたします。  降雨の状況でございますけれども、今後五月から八月にかけましては、これは平年並みか平年より少ないだろう、そして全体としては平年より少ない傾向と予想いたしております。
  50. 沢田広

    沢田委員 それぞれ御回答いただいてありがとうございます。  ただ、水問題は、もういわゆる田植えの時期にも入りましたけれども、特に水不足ということに対して、一人一日の使用量が今三百から三百五十リッター、大体アメリカあたりでは一人一日五百リッターということになっているわけですが、それにして計算いたしましても、今日的状況において総ダム貯水量の総量からいっても、極めて憂慮すべき状況にある。特に、去年水不足がありました結果、井戸水を多量に利用しました。そのために関東地区、浦和水脈と呼称されておりますが、浦和水脈等においては、地盤沈下が相当深刻に進んだわけであります。そのことによって今後また起こり得る財政投資というものは極めて大きいのであります。浦和水脈というのは、何も浦和市を通っているという意味ではありません。要すれば、三国山脈の方から関東平野を利根川に沿って流れている浦和水脈を言っているわけでありますが、そういうもので、首都圏にある水脈の大動脈であります。  ですから、そういう意味において、極めてそういう地盤沈下にはね返ってくる問題でもあるし、そのことがまた河川のはんらんにつながり、あるいは家屋の損壊につながり、あるいは堤塘の損壊につながる、こういう連動がありますので、あえてこの問題と関連をして、いわゆる長期的な展望とそれから方針を持たないと、水問題は単に水供給不足という問題だけにとどまるものではない、こういうことを、大蔵大臣と水と関係あるかということになると、水商売だからなるのかなということになりますが、そういうことで改めて御認識をいただきたい。こういう意味で非常に、やはり水を治める者は天下を治める、この格言は今日においても変わっていないということをひとつ御理解いただいて、今の答弁にそのことをつけ加えて次にいきます。  それから建設省、大変細かい問題で悪いのでありますが、私たちが大変苦情も受ける問題でございますので、あえてひとつお答えをいただきたいと思います。これは、大蔵省関係するかもしれませんし、運輸省も関係するかもしれません。  特に北の丸、竹橋の高速道路の渋滞というのは、毎日のように続いているわけです。どこかで議論はされているのでしょうけれども、どこも明快な答えは出てこない。どうやってみても、この堀の中を通ってくる中央高速へ行く分と渋谷へ行く分、あるいは千葉と常磐、それから東関道もあるのでしょうけれども、行く分が一本しかない。  大臣もよく外国へ行くからわかるでしょうが、フランスの人は日本人を笑って、漫談の中に、四本の道が二本になり、二本の道が一本になる、こう言う。世界第一のGNPだなんて言っているけれども、日本の国の高速道路というのはまことに恐ろしい道路だ、四本で走っていたら二本になった、二本になったら一本になった、その次はなくなっちゃう、こういうことを言われたというのであります。まさにそうなんでありまして、この問題は大臣も世界を歩いてきて、こんなところはないんですね。どこに行ったってない、こんなところは。インドだってないですよ。  だからそういう意味において、建設省もそうですが、これは大臣がここで解決だけはとにかく図ってもらいたい。どこの省であろうとなかろうとこれは許しがたい状態である、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  51. 松延正義

    ○松延説明員 お答えいたします。  首都高速道路は昭和三十七年に最初の路線を供用しまして、現在で約二百キロを供用いたしております。  それで一日の利用交通量でございますが、現在、九十五万台というような量に達しておりまして、東京区部における首都高の割合でございますけれども、道路延長は一一%ですが交通量の関係で見てみますと二一・五%ということで、道路延長の割合に比べて非常に御利用していただいている、こういうことが言えるかと思います。  ただし、先生御指摘のように、確かに首都圏の交通が年々また最近増加しておりまして、日常的な渋滞が起こっていることも事実でございまして、特に先生御指摘の都心環状線と放射線との接続区部で非常に渋滞が顕著になっておる。これはどうしてかといいますと、都心環状線が一本しかない。あと計画としては外郭環状等ございますけれども、現在のところ都心環状線が一本しかないため、これに、すべて都心へ集中してくる、こういう状況がございますので、どうしてもここが込んでくるということでございます。  それで、これをやはり基本的に解決しますには、中央環状線という都心から約八キロから九キロぐらいのネットでございますけれども、これを実は今計画をしておりまして、全線が四十六キロございまして、一部二十キロはもう供用しておる。葛飾―江戸川線という路線でございます。それから現在事業中が十七キロ、これは板橋―足立線とかあるいは中央環状新宿線とか、こういった路線でございます。こういった路線をなるたけ早く我々としては全力を挙げてやることが、やはり基本的な対策ではなかろうかというふうに考えてやっております。  ただ、そうはいっても多少時間がかかりますので、緊急的な対策としましては、特に混雑の激しい区間におきまして流出路、流出ランプでございますけれども、例えば四号の赤坂出路、こういったものも計画し、あるいは本線の拡幅等も一部考えております。  そのほかには、やはりソフトな対策としまして、渋滞情報等を的確にもう少し拡充していこうというふうに考えております。
  52. 沢田広

    沢田委員 通る人は情報が欲しいのじゃなくて、通れることが欲しいのだからね。幾ら情報だけ出されても、動かなかったら何にもならない。だから問題は、情報が欲しいのではなくて、通れる条件をつくることなんだから、二十一世紀みたいな話はしないで、当面の急務を解決する、そのくらいは言って帰りなさいよ。
  53. 松延正義

    ○松延説明員 先ほど申し上げましたように、中央環状線を全力を尽くして頑張ってまいりたいと思います。
  54. 沢田広

    沢田委員 それは、そういうことでひとつ進めていただきます。やはりこれも国民負担が大変。それから百円の問題もあるのですけれども、これはきょうは省略させてもらいます。  続いて、農林の方に申しわけないのでありますが、これは年来の主張でもございますから、大臣もぜひひとつこれは御配慮いただきたいと思うのです。  来年から週休二日制になるという一つの論拠からいくのですが、大臣もそうだろうと思うのですが、毎日ゴルフをやっているわけにもいかないだろうし、ゲートボールをやっているわけにもいかないだろうし、都市なんかですとどこにも行き場がないから、大体アンケートをとるとごろごろ寝る、こういう回答ですね。ですから郊外に、私、百坪、こう言っているのですが、そのぐちい、農地法を改正してすべての勤労者、国民が、自分で大根やニンジンやネギや菜っぱやそのくらいのものは、運動のためにも健康のためにもそれから自分の実質賃金の向上のためにも、あるいは菜園といいますか、家族で談合するということも含めて、一緒になって、例えば自動車に一時間乗っていってやってきてもいいと思うのですが、そういう場所を提供していく、こういう政策は必要じゃないか。  いわゆる専業農家だけがすべて農業に従事するのであって、ほかの者は関知しないで食べるだけだというのではなくて、これからの子供さんも含めてやはり生産の喜びというものを与えてやるという、教育上にも必要だ。特に週休二日制になったら、どこへも行き場がないという人が多くなってしまう。そういう意味において、一日は寝るにしても一日は耕して、それはゴルフ場だけがいっぱいになったりゲートボールだけがいっぱいになったってしようがないのですから、そういう生産的な健康法というものが今必要になっている。  農林の答えは、農地法はなかなか変えられませんという回答一辺倒なんです。そんなことをしていたら、じり貧で農業なんてなくなってしまいますよ。ですから、もっと活性化を図らなければいかぬ。そうすれば、国民みんながやれば、もっと安くていいものを、農業専門のプロはプロとしてのものをつくっていくだろうと思うのですね。そういう意味において、どうせナスの一個か二個しかできないようなものを植えるのでしょうけれども、あるいはキュウリも一本か二本しかできないものを植えるのかもしれませんけれども、やはりそういうものが今日本に求められている本質的な、精神的なといいますか、日本人としての精神的な基盤になるのだと私は思っているわけであります。  ですから、農地法の一部を、そういうものに開放できるような道をつくってもらいたい。頑固に自分の領域を守ることだけがすべてではないということを農林も知ってもらいたいのですね。ですから、そういう意味において、ぜひそういう道が開かれるように農林でもしてもらいたい。これもやはり日本の国の生産を、国民の生活状況を上昇させる大きな役割をつくる前提だと私は思うのです。  いい回答が出るかどうかわかりませんが、時間を置いた方がいいだろうと思って少し余計に物を言っているのですが、余りかたくなな返事はしないように、そういう社会になってきているのだということをよく前提に置いてお答えをいただきたい、こう思います。
  55. 野田哲也

    ○野田説明員 お答えいたします。  最近、土に親しむというような気持ちを持っていらっしゃるという方が広くいらっしゃることは事実でございますけれども、その場合に土に親しむにつきまして農地を取得してなさるかどうかということにつきましては、いろいろなやり方があるのではないかと思います。  農地法におきましては、農業の生産性を高めるために、農地が農業に精進する方によって効率的に利用されるということで規制を置いているわけでございまして、その一つとして、取得の経営面積が一定規模以下では農業として成り立たないという観点から、内地では原則五十アール、昔の言葉で言うと五反、これ以下の農地取得というのは認めないということになっておるわけでございます。  またこの面積は、昭和四十五年の法改正においても引き上げられて現在の五十アールになっているところでございますが、農業を効率化していくということが迫られている中で、中核農家への農地利用を非常に集積して規模拡大を進めていかなければならない、こういう農政上の課題があるわけでございます。そういう中で先生のおっしゃるようなニーズにこたえて取得面積の下限を下げるということは、農地に対する小口の需要を大幅にふやしまして、またそういう小口の農地を必要とされる方は、農業採算で農地を取得されるわけではないと思いますので、土地投機を農地に引き込むというようなこともございまして、農地を取得してそういうことにこたえていくということはなかなか難しいかと思います。現実的な対応としては、当面は市民農園というようなこともございますので、とりあえずそういう中で要請にこたえていくのがいいのではないかと考えております。
  56. 沢田広

    沢田委員 だから、今の答えの中で、市民農園という言葉を具体的に立法化する、小作料で小作権を与えるとか、あるいは譲渡してそこに権利が発生するとか、あるいは借地権が発生するとか、そういう農家保護の法律というものは必要になるかと思います。だから、それは五反が果たしていいかどうか、この問題はまた根本的な問題としてありますし、これだけ減反がどんどん進んでいくし、米も輸入されてくるという状況にもなっていますから、この状況は厳しい状況になっているわけですから、あるいは国民が選択をするという状況ですよね。ですから、そういう状況に立ってみたときに、じゃササニシキがよければ全国がそれで統一できればいいですが、必ずしもそうはいかない。品質の差があるということの状況から見れば、私はその対応はより広くして、国民がいざとなったときにも困らない体制をつくるのが、これも国民の自衛手段ですから、そういうこともただ法のために他の者は全然手がつけられないということではしようがないと思うのです。市民農場といったその言葉をどう立法化をして具体化をしていくか、それで現在の農家との法律上の妥協点をどこに求めていくか、こういうことが考えられると思うのですね。  ですから、その辺を三千万の勤労者が、首都圏が多ければ三千三百万くらいでしょうけれども、その人はどこかにそういうものを持っても、私は鶏を飼ってもいいのじゃないかと思うのですが、ちっとも農業が困るということにはならぬだろうと私は思いますので、もう一回ぜひこれは大臣――農林省に任せておいたら、これはだめなんですね。発想が全然変わらぬ。今牛肉で困っているでしょう。そういうものと同じなんですよ。ですから頑迷固陋という格好になる。だから、これだけ輸出でもうけているのですから、輸出でもうけなければこういうことにならないのですよ。もうけているから、結果的には対価を求められるのです。これはギブ・アンド・テイクなんですから、これは嫌だよというわけにはなかなかいかない。これは後で大臣に聞こうと思っていますが、そういうことでぜひそういう妥協的なものでもいいから、一歩前進できるように対応していただきたい、そういうふうにお考え願いたい、こういうことでお願いしておきますが、いかがでしょうか。
  57. 野田哲也

    ○野田説明員 お答えいたします。  私どもとしては、土いじりをして農業に親しみたい、こういう要望といいますか、そういう気持ちが都市住民の中にも広がっているということは存じ上げておりまして、都市と農村の交流とかふるさと情報センターとか、そういう形でいろいろなそういう御要請にこたえようとしているわけでございますけれども、土地の問題につきましては、最近のいろいろな状況もございますし、いたずらに農地に対する農業外の需要ということで農地価格まで高騰するということでは、農業の健全な発展のためにも、また国民経済、国民生活の発展のためにも好ましくないと考えておりますので、なかなか難しい問題だと思っております。
  58. 沢田広

    沢田委員 まだまだ脱却し切れないものがあるようですね。そうすれば、こういう道を開くのですよ。五反であるか何か特定の農家から借りてまず農業に登録をしまして、そしてそれで今度は資金を投じてあっちこっちの農地を借りるなり買うなりして、今度はそれを開放してもとの五反を返せばいいのですよ。だから、やろうと思うばそういうふうにできないことはないのです。しかし、そういうことで自分の城を守ろう守ろうというやり方が今の時代に合わない。それから、あなたの御家庭でもそうだろうけれども、スーパーマーケットの中で包んだ物だけを食べていても、ちっともうまいと思わないでしょう。たまには自分で植えた大根なり菜っぱでもみそ汁にして食べる味というのに、やはり本能的に持っている郷愁が存在するでしょう。そういうものがやはり今私は、週休二日制を迎えて必要な時期だと言っているわけですよ。一日だけだったら、こんなこと言わないかもしれません。だけど、二日休むとなれば、土曜日と日曜日休むとなれば、そういう余暇があっていいじゃないか。家族的に一緒にやるという余暇が必要になってくるのじゃないのか。家族制度を守るためにも、そういうことが必要になっていくだろうと私は思うから提言しているので、もう少し真剣にひとつ展望を持って対応していただきたい。これは、大臣もひとつ真剣に考えてください。これは政治の基本ですよ、農業の問題じゃないのです。政治の基本なんです。ひとつお願いします。
  59. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 きょうは、行政と国民生活との間の大変に有意義な問題をたくさん伺っておると思って私は伺っておるのですが、今のお話なども、農林省にいい答えを出せと言われてもなかなかそれは――確かにおっしゃるように、農業の問題じゃないのだというふうに取り上げられた方がいいのかもしれない。最初にどうも沢田委員が、これは前から言っておられることですが、一時間ぐらいのところで所有というふうにお考えになると、どうしても今の問題は抜け切れない。所有でない場合には、小作であるかとか請負であるかとか、難しい方に入っていくのじゃないだろうかと思います。そうすれば、本当に農業のようなことをしたいというのなら、市民農場のようなことはどうなのかなというふうに思いますし、しかしむしろそれでしたら、所有ということならばセカンドハウスのような方から、それこそこれは農地ではなくて山でもいいわけでございましょうから、自分の小さなものを、開墾といいますか、何坪でもつくったらいいのかもしれない。むしろ、そういう問題として取り上げた方がいいのかなと思ったりいたしておりまして、これは農業の問題ではなくて、これからの国民生活をどういうふうにいわば自然と親しむものにしていくかという、都市生活者にとって非常に大切な問題になっていくだろうと思いますから、私はお話は有意義に伺っております。
  60. 沢田広

    沢田委員 農業はほかにまだあるかもしれませんが、ちょっと違った問題を片をつけていきたいと思います。  これも農林に関係があるのです。結論的に言いますと、大臣財政再建に向こう三年間だけ、ギャンブル収入にかかわります部分は、競馬は競馬の利益、それから自転車は自転車の利益、宝くじは宝くじの利益、モーターボートはモーターボートの利益、こういうことだけで処理されているわけなんです。私は、こういうものが社会的にいいかどうかの基本的な問題は、ことで議論しようとは思いません。ただ、それだけのものがそれぞれの目的に向かって何か、勝手にと言っては悪いですが、いわゆる政府の大きな方向とは違ったところで運営されるという仕組みではなくて、せめてこれはモーターボートでは、税引き前の利益でいきますと二十二億ぐらい、当期の利益十一億ということになっています。それから自転車の方でも、今余りよくないのだと言っているわけでありますけれども、それでも金額としては四百五十九億。それから宝くじでも三千九百十四億、こういう売り上げで収益額が千五百九十五億、こういう形になっております。  競馬会の方もありますが、そういうことで、それぞれのせめて一〇%程度国債償還の方に充ててもらう、向こう三年ぐらいはひとつ協力してもらえないかということが、こういうものをやっていて、罪滅ぼしという言葉はいいかどうかは別問題ですが、やはりそういう意味も含めて、まあ一〇%程度はひとつ拠出金として国債償還に充ててもらう、御協力を願うということは果たして不可能なのかどうか、大臣としても言いにくいのかどうか。そういう収入はそのままにしておかないで、そのぐらいの程度償還の方に、これは地方債でも構いませんが、とにかくそういうものに償還に充ててもらえないかということはいかがなものでしょうか。
  61. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は私、余り詳しくないのでございますけれども、中央競馬会にはたしかお願いをしたこともあると思うのでございます。今の、地方競馬でありますとか競輪でありますとか競艇でありますとか、いろいろございますね、これはやはり売上げの何%とか、利益のどのぐらいとかいうことが直接地方の財源になったり、あるいはいわゆる振興会を通じて、各種のというか、各省庁の事業の実体上の補助金といいますか、あれは何というのでございましょうか、実はそういうふうに使われておって、やはりそれはそれで割にうまく機能しているのではないか、ぼんやりしたことで申しわけありませんが、そういうふうな印象を持っております。  今度は、振興会のあり方とかいうようなことはまた問題があるかもしれませんけれども、全体の仕組みとしては、大変うまく長い間の歴史の中で機能をしてきておるように考えますものですから、まあお話はお話でございますけれども、そこへ私どもの方から少し応援をしてくれと言うのはちょっと気も引けますし、割にうまく運営しておられるので、それはそれなりの社会的な機能を果たしておられるのではないか、私よく存じませんので、漠然とはそう考えております。
  62. 沢田広

    沢田委員 私がこうやって言っていることは、政府財政再建に一生懸命になろうとすれば、いろいろな各省庁も無理をして、何とかそこから一部でもその分に充当してもらうという姿勢を示さなければならないだろう。その中で、私もつたない知恵を生かして、それでこういうものはどうだろうかという提言をしているのです。これ以外にいっぱいあるかもしれません。これは時間の関係でいろいろ全部挙げることはできませんけれども、各省庁で甘えの構造の中に入っているものなしとしないと私は思うのです。だから、やはりそういうものに何とかお力添えをいただいて、早く国民負担をなくしていい仕事ができる態勢をとる、こういうことが必要だと私は思うから今こういうふうに述べているわけです。あれもだめだ、これもだめだでいったら、何にもできっこないのです。だから、そこはやはりそういうものが一歩前進しなくちゃならぬだろう。  大臣も、非常に見識が深いのですから、各省庁にただ任せるだけじゃなくて、何とかこの辺で、こういうものは都合つかないだろうかということを提言しながら――各庁舎をあちこち移動しようとしておることもその一つだと思うのです。これは従業員の人は大変だと思いますよ。しかし、そういうことと同じように、ある程度つらさを感じながら範を示していくことが財政再建の道筋だ、こういうふうに思うので申し上げたということです。  続いて行きますが、今円高差益の還元がいろいろと言われております。牛肉もそう、LPガスもそう、その他のものもそうなんでありますが、三十兆円の円高差益があった、それに対して七兆円ぐらいしか還元されていない。今、私がここで一番申し上げたいことは、第一次オイルショックと第二次オイルショックのときに、日本の経済を回復させるために赤字国債をやむなく発行をしました、そして、日本経済を支えるためにはこの道以外にはないと、政府はそう責任を持って執行したものです、こういうことを再三答弁をなされておりましたですね。それはそのとおりですか。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういうふうに思っております。
  64. 沢田広

    沢田委員 ですから、そうなったらやはり今円高で、あのときはオイルショック、今オイルショックもない。今円高になって、物を買うのも安いし石油も安く買える。そうなったとすれば、当時の赤字の時代のときのものはもう既に円高で還元されてしかるべきじゃないか。円高によってその借金は返済されてしかるべきではないか。そのときのいわゆるオイルショックの状態において、日本の経済を支えるために使われた赤字国債であるとすれば、今日の円高で利益を得ている分で、あるいは国税庁が悪いのかどこが悪いのか別として、円高差益の吸収が悪いのかは別として、それで赤字国債償還されていなければならない。第一次オイルショックで不足した金を赤字国債で賄ったとすれば、今日の円高で得る利益というものは、当然その赤字国債償還に充てられたはずである、理論的にはそういうような感覚を持つわけなんです。ですから、もっとほかの要因が加わりますから絶対値はないかと思いますが、一応そういうことではないのか。じゃないと、どこか財政運営に事なかれ主義が続いたのではないだろうか、あるいは欲をかいてほかの方に利用したのではないか。それ以外に考え万がないですね。大臣、この点はいかがでしょうか。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 第一次オイルショックが起こりましたのは昭和四十八年でございますから、かなり長い年月の間に起こったことについて今、これもしかし非常に興味ある観点からおっしゃっていらっしゃると思うのですが、いろいろなことが考えられます。我が国は、昭和四十八年以来の危機を結果としては非常にうまく乗り切ったということは確かでありますが、もしあのオイルショックというものにこれほどうまく対応いたしませんでしたら、本当は円高にならなくて円安になっておったのだろうと思うのであります。円安になっておりましたら、これはまた変なことを申し上げるようでありますけれども、あのときにいたしました借金の返済はむしろ容易であったと思うのであります。今円高になっておりますから、あのとき借金いたしましたものを、実は非常に値打ちのある円で返済しつつあるということに結果としてはなったと思います。  ですが、今度はまた別の反面は、いや円高になるほどの日本経済の立ち直りといいますか、立派な成果をおさめましたのでそのような百四十兆をしょっておりますけれども、この利払いなり償還なりに少しも不安を感じないというところまで来たわけでございますから、言ってみれば一ドル百三十円の値打ちのある円で、ひょっとしたら一ドル三百円に近いときにした借金を払っているということになっておりまして、それ自身は非常に皮肉なことでありますけれども、しかし、それだけの借金を背負い、返済をし償還をするのに、びくともしないという我が国の経済になった、そういうふうに考えたらいかがかと思っております。
  66. 沢田広

    沢田委員 それは、内面的には一つの理屈かと思うのですが、ただ当時、第一次オイルショック、第二次オイルショックのときに日本経済が大変混乱をして、収拾がつかないような状況のときに内需の拡大を図って、いわゆる設備投資を図りそれから産業構造の転換も進めて、そして今日になった。だから、それになったら赤字国債の原因というもの、借金は、今のこの一応健全な方向に進んだ財政で当然返し得る能力を持っていなければならぬし、返していなければならないというのが、もし日本株式会社であったとすれば当然そうできたはずだと思うのですね。利益が上がっていたと思うのです。それが、なぜ今日できないで続いているのかという私の疑問なので、やる気ならば返せたんじゃないのかというのが素朴な私の質問であります。
  67. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その問題になりますと、また結局、今いわゆる六十年ルールで国債償還をいたしておることの是非ということになってまいると私は思いますので、そういうルールでなくもっともっと償還をしていけばそれだけ毎年の利払いは楽になっていくという、お話の限りではそれは間違いではないと私は思いますけれども、他方で今現に特例公債を発行しておる状況でございますから、やはりもう新しく特例公債を出さなくていいという、そういう状況までまず達しなければならない。それは六十五年度脱却をしたいという目標を達成するということでございますが、そこまでまいりました後、それでもしかし実は建設国債はそれからどうなるのかという問題もございます。それから過去において特別会計等々繰り延べしたりいろいろな対応をして、いわば潜在的に一般会計が背負っておる支払わなければならないものもあるといったようなことから考えますと、六十年ルールをなくして元本そのものをもっと早く償還をしていけるにはまだまだ我が国の経済、財政がそこまでいっていない、そういうふうに申し上げるべきか。確かに利払いが、一般会計国債費が二割もありますことはもう大変につらいことでございますから、これは早く何とかしたいとは思いますけれども、さりとていわゆる繰り上げ償還と申しますか、六十年ルールでもやめてもっと早く償還をしていくのには、やはりもう少し我が国の財政がしっかりしてないといけないことじゃないかと思います。
  68. 沢田広

    沢田委員 ただ、そういう考え方もあるということをひとつ理解していただいて、早期の償還をお願いします。  続いて、タイムトンネルじゃありませんがきのうきょうの問題ですが、ペルシャ湾の情勢と円高という問題で、これは外務省さんに来ていただいておりますのでまず外務省の立場から、あるいは日銀さんの立場もあるだろうと思いますけれども、いわゆる情勢に対する現在の政府の正式なといいますか、正しい認識はどうなのかというのが質問の要旨だと思っていただければいいと思うのです。国民はどう考えたらいいのか、言うならばそういう立場で、ペルシャ湾の情勢と今後の石油に及ぼす影響それから円相場に与える影響、以上三点について外務省、大蔵省からお答えをいただきたいと思います。
  69. 木村光一

    ○木村説明員 お答えいたします。  議員よく御承知のとおり、この地域の国々と我が国との関係というのは第一次石油危機以降非常に飛躍的に緊密になりました。これは貿易面または経済面のみならず政治面におきましても、イラン・イラク紛争の調停または環境づくり等に非常に努力してまいったところでございます。  最近のペルシャ湾の情勢が我が国に及ぼす影響でございますけれども、私ども関係では特に湾岸における船舶の安全航行の問題、それからもう一つはイラン・イラク紛争の平和的解決という面で影響についてお話ししたいと思います。  湾岸の安全航行の面でございますけれども、この点に関しましては、今まで私どもが承知しておる限りにおきましては、従来から官民協議を踏まえまして安全航行対策を実施しているところでございますが、それを踏まえまして、今のところ配船または航行等については従来どおり行われております。  さらに、イラン・イラク紛争関係でございますが、これが一番政治面では大きな影響を及ぼすところでございますけれども、現在国連におきまして、国連事務総長が調停する形でイラン・イラク紛争両当事国と話し合いを行っております。さらに昨今のペルシャ湾情勢の緊迫を踏まえまして、こういう調停の話し合いに大きな拍車がかかるという影響を私どもは期待しております。現在、日本は安全保障理事会のメンバーでございますが、この面におきましてもSGの調停努力を大いにェンカレッジして、日本としての役割を果たしてまいりたいと考えております。  政治面の影響、それから湾岸の安全航行に関する二面に絞ってお答えいたしました。
  70. 岩崎文哉

    ○岩崎(文)政府委員 円レートに対する影響ということで先生から御質問がございましたが、一昨日、米国がイラン油田を攻撃したという報道が流されたときにドルが強く含んだわけでございます。これは、米国が攻撃したにもかかわらず、有事に強いドルということでドルは強くなった、こういう結果になりました。その前に、例の四月十三日にG7コミュニケ発表があり、十四日に米国の二月の貿易収支の発表がありというようなことで、その間いろいろな国際経済情勢の変化がございます。それにつれて、円ドルレートあるいはドルの他通貨に対するレートが動いてはおりますけれども、それぞれの円レートに対する影響というものは、いっときのそれぞれの影響に左右されるということはありませんで、全体的な大きな流れとしてはよい方向に動いておるということで見ております。  当面の円レートに対する影響については、コメントを差し控えさせていただきます。
  71. 沢田広

    沢田委員 この問題は、後で武藤さんもやられるようですから、続いて次の問題に入らせていただきます。  今のに関連するのでありますが、石油の問題で、石油の税金と補助金、石油公団に与えている資金援助、そういうものを考えた場合に、今の備蓄状況等で果たして適正に運営されていると言えるのかどうかという問題、これは米の在庫分が一兆四千七百二十億あるということです。何か石油公団に対する補助金が多過ぎるのじゃないかという一つの見解であります。何とかもう少し税金を安くしてあるいは援助を少なくして、つじつまの合う万法はないのだろうかというふうに考えます。  いずれにしても、百二十何円という石油の値段というのは、オーストラリアとかニュージーランドとかあるいはその他の国々と比較しましても、同じ輸入をしていても片方は六十五円とか七十円ぐらいでやっているわけですから、それから見ると日本の税制なり扱いなり補助なり税金なり、その辺にやはり少しの矛盾がある。細かい数字は時間的に挙げられませんので、一応相対的なものとして、与えるものと国民からとるものとのバランスが適正を欠いているのではないか、こういうふうに思いますが、その点いかがでしょうか。
  72. 横田捷宏

    ○横田説明員 御説明申し上げます。  私どものエネルギー政策の一番重要なものは石油の安定供給ということでございまして、石油公団を中心にいたしまして原油の自主開発の政策、それから、一たん緩急ありました際のための国家備蓄及び民間備蓄の推進、あわせまして強靱な産業体制をつくるということで、政策を進めさせていただいてございます。  予算面につきましての御指摘がございましたけれども、六十二年度あるいは六十三年度予算におきましても、歳出面あるいは使途等を含めまして、合理化、効率化を徹底する、さらには、臨時異例の石油公団政府保証の借り入れも行うということで、厳しい運用をいたしておるところでございます。今後、政策の一層の充実とあわせまして、そういった歳出面の合理化、効率化の努力を引き続き進めてまいりたいと思っております。
  73. 沢田広

    沢田委員 それでは、六十年度でなぜ千五百三十三億も石油安定供給対策費で余らせて、あるいは石油代替エネルギー対策費で百九億も余らせているのか。もし、そういう実情であるとするならば、特にこのときは石油の安いときでもあったと思いますけれども、千六百四十六億も六十年度決算でいわゆる不用額を出す必要性はなかったのじゃないか。もし、あなたの言う説明のとおりであったとすれば、それはもっと使っていたはずじゃないのかというふうにも思いますけれども、どうも言うこととやっていることが合わないのじゃないかという気がするのですが、どうですか。
  74. 横田捷宏

    ○横田説明員 ただいま六十年度決算の詳細な数字を手元に持ってございませんけれども、例えば石油開発の例で申し上げますと、原油の価格等々、あるいは世界の開発の状況に応じて予算の執行面で大きな変動があることは事実でございまして、むしろ増額補正をいただいた時期もあったわけでございます。また、石油政策の中では金利の変動に絡む要素も多いわけでございまして、年度年度の動きにつきましてはそれぞれの事情があろうかと存じます。  先ほどの決算の点につきましては、後ほどまた資料で御説明申し上げたいと思います。
  75. 沢田広

    沢田委員 さらに、財投から石油公団は八百十一億、それから保証債として交付金で千三百四十四億、給付金で五十四億、委託費で九十八億、これだけの金がとにかく出ているわけです。  いずれにしても、私の今述べようとしていることは、その事業の量は確かに大切かもしれぬが、出るものも非常に多い。果たして、それが妥当な整合性を持っておるのかどうかという点に、保証債もこんなに出している、片方は八百十一億も出している、しかも、それで対策費はこれだけ余らせてくる。私もまだ細かく調べていませんけれども、こういうふうになってくるといずれ調べざるを得なくなりますが、調べてもう少しきちんとしたやり方をとれば、国民にもっと奉仕できる体制がとれるのじゃないかと思います。これは答えは要りません。ひとつ大臣、これは大蔵省の中ではどこが担当かわかりませんが、そういう点もやはりチェックして、石油の安定供給、そして国民が安心できる体制をつくってもらいたい、そういうものを目標に健全な方策をとってほしいということを要望して、次へ行きます。  続いて、今度の税制の問題は今までもいろいろと言われておりましたので、簡単に申し上げます。  政府が税制調査会地方公聴会参考資料として、「いっしょに考えませんか。これからの日本とこれからの税。」というのを出されました。これは大臣も一緒に考えましょう。ごらんになりましたか。大臣、これについての見解はどうですか。
  76. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 「いっしょに考えませんか。」というこの方は、いわゆる政府税調の素案をかなり忠実にそのとおり、少しイラストを使ったりして説明しておりまして、もう一つ、またこういうのがあるのでございますけれども、こちらの方は政府として国民にいろいろぜひこういうふうに考えていただけないだろうかというような、いわば多少PR的な感じの部分がございます。こちらの方は、もう少し素案そのものを説明をしているという性格のものというふうに考えております。
  77. 沢田広

    沢田委員 この本は何を言おうとしているのかなということが一つの課題なんですね。だから、税金を取りたい、間接税で取りたいとした場合に、その使い道は何のために必要なのかということをこれで言おうとしているのかなという気もしないでもありませんが、そこがはっきりしないのですね。取る取るという話はするけれども、じゃ何にどれだけ、いつごろ一番必要なものなのかということがわからないのですね。大臣、これはちょっとわかりますか。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは結局、今度の政府税調の素案、直接税、間接税にわたりまして述べられております素案というものは、なぜ今の時期にこういうことが必要だと考えられているのか、そしてそれは直接税、間接税おのおのについてどういうことを提案をしておるのか、また、なぜ今の時点でといったようなことを述べておるものでございまして、また、間接税についてもその類型についての説明もいたしておりますし、将来の高齢化社会に対応する云々、それから今の現実に税金というものがどのように使われておるかといったようなこと、いわば現在の税制改革の問題についての政府税調の考え方について、説明をしているものというふうに考えております。
  79. 沢田広

    沢田委員 例えば七ページを見ますと、昭和九十五年を一番最後の終点として考えている。前の六ページは二〇二〇年を、これはどこで統一しているのか。昭和で言ったり西暦で言ったりしてあります。その上はまた昭和九十五年を目標にして設定してあるわけなんです。それから、七ページに戻りまして申しわけありませんが、七ページは八十五年が最後の年として設計をされておる。それから、その前の五ページに参りますと、海外生産比率が六十八年、六十年、五十七年。税を考えてみませんかというけれども、年じゅう年代が慶応に行ったり明治に行ったり、大正に行ったり昭和に行ったりしながら考えていなければならないといったような案をなぜつくったのかというのが私にはわからない。なぜその年代を書いたのか、一つの年代で統一して、こうなるからこうだという表現はできなかったのか。だから、一番いいところだけ食ったような表を、都合のいい表だけつくったという印象を免れないんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  80. 水野勝

    ○水野政府委員 決して都合のいいところを食ったということではございませんが、一番端的によく議論されますのは高齢化社会への対応ということで、これがそれぞれの年度、お示しの七十五年、八十五年、九十五年、九十五年が高齢化のピークと言われておる、そうした点を抜き出して御説明を申し上げているような数字になっておるわけでございます。もちろん一つの年次、例えば二十一世紀に向けてということでございますから、昭和七十五年ということで統一してお示しをするということも考えられないことではございませんが、それぞれの問題につきましてそれぞれの推移がございますので、あるいは御指摘のようにややふぞろいな点もあろうかと思われますけれども、それぞれのポイントに合わせた年次をとらしていただいたところでございます。
  81. 沢田広

    沢田委員 きょうはここで結論が出るというつもりではないと思いますが、結果的には一%と言い三%と言い、例えば間接税五%と言い、どう言おうと、じゃ九十五年のときには一五%になるかもしれぬぞ、あるいは二〇二〇年のときには二〇%になるかもしれぬぞ、結果に言いかえてみればそういうことなんです。しかし、その後はまた上がるのですよ。そのときが一番ピークになるかもしれませんが、その後はまた下がってくるわけです。それをやはりある程度標準化したものであらわさないと、一番つらいときだけを象徴すると、必ずしもそれが積み立てて――まあ、この方の関係は積立金でやっていくわけですから、そのとき賦課方式をとるというなら、確かにこの表は一番ピークのときはこれだけになります、その次の年は幾らか下がりますということになるわけですから、これから考えていく税制のときには、プラスもある、マイナスもあるでしょうけれども、やはりいつの時点の日本の経済、日本の産業構造あるいは日本の人口動態、こういうものを考えて統一的な見解を出すということは、説得をするときに極めて必要な条件ですね。  ですから、都合の悪いところと言っては悪いですが、何か自分であちこち食い散らかして、結果的には何だかわからないけれども金がかかるから取るぞという式の説明というのは、やはり説得力がないのではないかと思う。これでは、おれは四十だけれどもせがれが三十九になったらなんという話をしているのと同じです。自分だって年をとっていくわけですから、そういうときに、部分的なものだけの特徴を取り上げて税を議論するということは適正なものではない。これが全然だめだとは言いません。それぞれ貴重な資料だと私も思いますよ。しかし、相応性について言えば、それは極めて不平等なものを集めたということになる。ですから、これから提案されるものの説明の材料にこれがならないのですよ。じゃ、九十五年のときには何が必要なんですか、二〇二〇年のときには何が必要なんですか、やはりそう書かなくては一緒にならないですね。大臣、そう思いませんか。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のことはよくわかりました。やはり二〇〇〇年とか二〇一〇年とかというのが、我が国の高齢化社会が非常に難しくなる時期だという意識があるものでございますから、そういうことを中心に書いておるのでございますけれども、それならそのときに財政がどうなるのだろうかというようなことはなかなか書けないものでございますから書いておらないといったような、意図的にではなく、いろいろそういう点もございますので、おっしゃっている点はよく反省をいたします。
  83. 沢田広

    沢田委員 それで一つは、今度の税制の問題もいろいろな方々から述べられたと思いますから多くを申し述べませんけれども、そういう説明というものを私たちは必要にしますね。それから、いつの時点にどれだけ必要になるのか、そういうものをきちんと出して、だからこれだけのものが必要なんですと、そういうものは逃げてはいけないと思うのですね、うそを言ってはいけないのと同じことですから。何の税で取るかは別です。取り方もまた別です。しかし、この時点にはこれだけの財源が必要ですというふうな表現、そのかわり次の年に安くなるということも加えることが、何か多いときだけ、被害が一番大きいときだけを主張してやるのだという印象を与えることは避けた方がいい、こういうふうに、これは提言だけしておきます。  続いて、あと残された時間もあれですが、行政改革の今後についてであります。  私は、今までいろいろなことを述べてきましたが、財政再建をしていくためにはあらゆる分野からの御協力を仰がなければならぬ、あるいは国会議員も協力しなければいかぬのだろうと思います。ある県の応援に行きましたけれども、ここのふくそうしている交通事情と比べて、向こうは一時間たったけれども五、六台しか会わなかった高速道路もありました。そういうふうなところもなきにしもあらず。ですから、そういう意味においての行政改革は、やはり促進をしてもらわなければならないというふうに思います。それが一つ、これは要望で終わらせていきます。  それからもう一つは、借金容認論というのがある。今、四百兆から五百兆ぐらいの預金、個人預金でいくと一世帯八百万ぐらいですか、世帯でいけば八百十六万ぐらい。その中から、今政府の持っているものが百六十兆ぐらい、地方が持っているものが六十兆ちょっと、それから国鉄が持っている分が三十兆、これは合わせて百兆としても二百六十兆、そのほか細かいのを入れましてその程度。すると、国民の貯金の方は、政府に預けてある金全部合わせてみれば六百兆以上あるでしょうね。そうなると、六百万円の定期預金を持っていて二百万円の借金をしているんだったら問題ないじゃないか、いわゆる言うなら健全なんじゃないかという論をする人もあるんですが、大臣はそういう説に対してどういうふうにお考えになりますか。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は今大蔵大臣でございますので、殊に国も借金をしておりますから、借金をするのはなかなかそれ自身意味があることもあるというようなことは、余り申してはならぬ立場であろうと思います。  いずれにしても、しかし通貨を安定させておくということが、どちらの立場から見ても非常に大事なことではないかというふうに、そのことだけは強く感じております。
  85. 沢田広

    沢田委員 これは、じゃほかの、例えば何々政調会長さんあたりならどういうふうな言い方を言っても構わないという式になるのですか。これは、大蔵大臣だから言いにくいから言わないということだけになるんですか。ほかの大臣とか政調会長さんみたいな人ならば、そういう容認論も吐くのは当たり前かもしれぬ、こういう意味ですか。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 例えば、企業が設備投資をするときに借り入れをするということ、あるいは個人でも住宅ローンを借りるとか、あるいは若い人はもっとクレジットカードというようなことでございますから、そういうこと自身はそれなり意味を持っておると私は思いますし、国の場合におきましても、場合によりましては社会資本整備をするために建設国債を出すというようなことは、一概に批判せらるべきことではないといったような要素がいろいろあるということは、実は思っておるわけでございます。思っておるわけですが、そのことをまず第一に申し上げるべきものなのか、いや、それよりもやはりなるべくならば自分の蓄積で家計にいたしましても何にしましてもやるべき、それが本則であるということをまず申し上げるべきなのか、そこのところはなかなか難しいところだというような意味合いにおきまして、先ほどのような御答弁をいたしました。
  87. 沢田広

    沢田委員 大蔵大臣の立場としてということ以外に、副総理大臣ですから、政府を拘束するような、そういう説は今とるべきではないと私は思いますね。やはり、たとえそれがある一定のものに利益を与えようと、赤字国債をなくすために全力を注ぐという基本方針というものを、仮にも、どこかからでもそういうものの説が出るということは、十分に注意をしてほしいというふうに思います。  最後になりましたけれども、地方と中央とのバランスの問題であります。いわゆる日本の国の地方財政というものは極めて弱いというふうに言われておりますし、三割自治とまで言われてきているわけですから、やはりある程度補助金行政というものから脱却できるような体制を逐次つくっていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。ぜひこれは、もし御答弁いただければ、自治省としては地方財政の健全化とそれから地方自治の自立という立場から見て、弱い県と強い県、それからシビルミニマムは何か、それからナショナルミニマムは何か、その上に立っての地方交付税がどうあるべきか、こういうものをもう一回、これは惰性から脱して検討するべきものではないのかというふうに思います。それぞれ、そういう立場でひとつお答えをいただきたいと思います。
  88. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  私どもの立場から申し上げますと、先生御存じのとおり、今例えば税の配分にいたしましても、仕事という観点から物を見させていただきますと、最終的には地方団体が全体の仕事の七割ぐらいをしている。税それから交付税などを通じて、あるいは補助金ですね、それを通じて最終的に地方団体が税の七割ぐらいを使っているということになっていると思います。そういう意味で、地方団体が住民に身近なところに位置して、身近な行政をして、国民の福祉の向上のために行政をしているということを、まず御理解をいただきたいと思うわけであります。
  89. 沢田広

    沢田委員 あと二つだけで終わります。  一つは会計検査院に、繰越不用額のいわゆるチェックについて一応お願いをしておきたい、こう思いますが、よろしいですか。
  90. 宮尾明

    ○宮尾会計検査院説明員 ただいま繰越不用額の件で先生、御指示ございましたのですけれども、我々、不用額、繰越額がどういう原因で発生したかということを、個々事情については今までも検査しているわけでございますが、財政再建というような立場から、なお一層今後十分検査していきたい、かように思っております。
  91. 沢田広

    沢田委員 あと地方自治体の方にお願いしますが、前にもお願いしたのですが、どこか特例のところでも結構ですが、十カ所ぐらいで損益計算書それから貸借対照表、市町村団体における貸借対照表をつくってみてもらえないか、五月三十一日でも結構ですが、できれば三月三十一日現在で。複式簿記への転換は可能かどうか、その点二点、ひとつお答えいただけませんか。
  92. 二橋正弘

    ○二橋説明員 地方公共団体の財務会計に企業会計的な手法を導入できないかということにつきましては、私ども六十一年度、六十二年度と、そういうための研究会を設けて研究をいたしております。その過程で、二十四の市町村につきまして、試み的に企業会計でいいます貸借対照表に当たるようなものを作成してみております。その研究成果、一応六十二年度でまとめておりますので、そういう成果をこれから活用していきたいというふうに思っております。
  93. 沢田広

    沢田委員 関係各省も大変多く、関係者、大変お時間をとらせお持たせをしたりして、御迷惑をかけました。  大臣初め皆さん方にも御協力――相続税とそれから土地融資の規制については、さらに強めてもらうということを言い忘れていましたから、銀行局の方、この点は、土地の値上がりを抑えるための土地規制、それから相続税のことは、これはまた別の機会にします。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。     〔委員長退席、中川(昭)委員長代理着席〕
  94. 中川昭一

    ○中川(昭)委員長代理 橋本文彦君。
  95. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大臣、一昨日竹下総理がいわゆる与野党国対委員長会談での取り決め、合意事項、これに関連しましてあくまでも野党の要求する昭和六十三年度の減税は税制の抜本改革の一環として行わなければできない、それから戻し税方式ではだめなんだ、さらに今国会の会期中に減税の法案の処理を最大限努力するというこの項目についても、これは不可能であるというような発言がございましたけれども、副総理としての大臣の御意見をまずお伺いいたします。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題につきましては、四月十二日に与野党の国会対策委員長会談の合意がございまして、「六十三年度の減税については、野党三会派の要求する規模の所得税等は、これを実施する。」となっております。私どもといたしましては、六十三年度の所得税等の減税規模の問題については、各党国対委員長間でお決めになったとおり、今後与野党間で協議されるものと承知をいたしております。
  97. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大臣聞いていなかった。竹下総理の一昨日の発言についての所見を求めたのです。お願いします。
  98. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は、ただいま申し上げましたような所見を持っております。
  99. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大蔵省の方で、今国会中に減税処理のための法案の準備に取りかかっておりますか。
  100. 水野勝

    ○水野政府委員 この国会におきましては、税制改革の法案をお持ちするということで、税制調査会にも鋭意審議を願ってございます。今国会提出予定法案の中では、検討中ということで登録をさせていただいておるところでございまして、そうした方向に基づきまして税制調査会の御審議が進捗いたすのを目下注視しているところでございます。
  101. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 この昭和六十三年度の減税のための法案の処理、これは税調の意見を聞かなければできないのでしょうか。あくまでも国対委員長会談では、各党の政策担当者のレベルで煮詰めるとなっておりますけれども、必然的に大蔵省の方ではその準備をしていなければならないのではないか、こう思うわけなんですが、現況はまだしていない、こうとっていいわけですな。
  102. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいま申し上げたのは、私ども抜本的な税制改革ということで内閣総理大臣から諮問を去年の十一月に受けておりまして、それによりますところの抜本改革作業を進めてまいっておるということでございます。ただいま御指摘の六十三年度減税につきましての与野党でのお話し合い、これはこれで政党間のお話として進められてまいるものと思いますので、そうしたものがまとまればもちろん政府・与党一体でございますので、そうしたものは踏まえまして誠実に対処するということになろうかと思うわけでございます。
  103. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 政党間でまとまればというのではなくて、いわゆる担当局としての大蔵省としてはそれなりの準備はしているのかどうかを聞いているわけです。
  104. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいま大臣から申し述べました四月十二日の「これを実施する。」という合意につきましても、これに基づきましてお話し合いがされるということを承っておるわけでございます。そうしたものをあくまで私どもとしては受けて、御指示によって作業をするということでございますので、それとは無関係にこの問題について私どもが何らかの具体的な段取り、作業をつけるということは、ちょっと難しいところでございます。
  105. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 しかし、現実には大蔵省、こういう政党間の問題にいたしましても、背景ではあくまでも財政当局として大蔵省はこうあるべきであるというようなことを常々言っておられるでしょう。大蔵省の意向を無視してはできないわけでございますので、少なくとも与野党国対委員長会談の合意事項として、今国会に六十三年度減税のための法案の処理をするという以上、財政当局としてはそれなりの準備をしていかなければならないのじゃないか、それをまだまだ全然してないような口ぶりなものですから、今ちょっと声を荒げておりますけれども、そういった次第でございます。  大臣、今国会、あくまでも大蔵省の予想どおりのペースですべてが進んでおる、そう思うのです。まさに大臣の心境は今桜花らんまん、新緑が燃えるようなこの季節、まさにぴったりの心境じゃないかと思うのです。     〔中川(昭)委員長代理退席、大島委員長代理着席〕  本来ならば、税制の抜本改革と申しまして、この国会にいわゆる新型間接税を出すべきだったかもしれない。しかし、あえて今国会中に大型間接税を出せば当然予算委員会等で紛糾して、また予算そのものの成立も危ぶまれるという見解から、六十三年度の減税については緊急かつ必要的な税制改革しかないというミニ税制改革を行いました、前回のあの租税特別措置でございますけれども。そして、いよいよこの国会が終わりに近づきましたけれども、きょうの新聞によりますと、二十八日には税調の方でも中間取りまとめという形でもって、大型間接税の全貌がだんだん明らかになってくる。いよいよ法案づくりもピッチが上がってきて、今国会に提出するかしないかという段階まで来ているようでございます。一昨日の竹下総理の記者会見では、今国会にその新型間接税の法案を提出するかどうかはヨーロッパ訪問後国内情勢等を見て検討したい、こういう発言がございました。大臣は、どういう見解を持っておりますでしょうか。
  106. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この四月十二日の与野党国対委員長合意に至りますまでに、橋本委員が御承知のように大変に長い経緯がございますので、したがいまして私どもは、今後与野党間での御協議を注視しているということを政府委員から申し上げておるわけでございます。  政府といたしまして、政府税制調査会でただいま御指摘の問題は長いこと御検討を願い、素案も出していただいて公聴会もやっていただいているということでございますが、これは前回国会で廃案になりましたような経緯がございますので、慎重の上にも慎重に世論の赴くところに聞かなければならないということで時間をかけております。したがいまして、税制改正案件につきましては、今国会に法案提出、不提出につきましては、懸案中のものとして議院運営委員会に御報告をしてあるというような状況でございまして、ただいまの段階におきまして政府税調がどの程度に最終的なものをおまとめいただけるものか。  またもう一つ、これは私ども党内の問題でございますが、党にも税制調査会がございますので、党内の議論もそこからまた始まると、今もう既に審議はしておりますけれども、党内の議論もいたしてまいらなければならない、こういったようなことから、できるだけ早く提出をして御審議を仰ぎたいと思いつつ、なお今日現在、この会期中に間違いなく御提出ができるかどうかということについて、明確に申し上げ得ない検討中の事項であるというふうに申し上げました状況は、今日も変わっておりません。
  107. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 きょうは財確法の審議でございますのでいろいろ質問を想定したのですけれども、一昨日ほとんど出尽くしてしまいました。それで、いわゆる税の収入が当初の見込みより非常に伸びておるということでもって、昨年の赤字国債の許容限度額を一兆二千億円ぐらい残して発行を差し控えるというような新聞報道がございました。その点、昨年の財確法の審議で許容された金額、どのくらい減る予定でございますか。
  108. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昭和六十二年度の確定的な租税収入は六月になりませんとわかりませんので、比較的収入状況は順調であるというふうな感じがいたしますものですから、予定しております特例債のうち、かなりの部分を出納整理期間の終了まで発行を差し控えておる、その金額は一兆一千二百億円でございます。
  109. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 過日、参考人の方が来られまして、こういう税の自然増があるという状況、したがって昭和六十五年度赤字国債依存体質脱却というけれども、うまくすれば昭和六十三年度にも脱却できるのじゃないかというような御意見があったように聞いておるわけなんですけれども、このまま税の伸びが順調であれば、今回予定しております三兆円を超す特例債を発行しないでも六十三年度乗り切ることができるのじゃないかという可能性があるやなしや、いかがでしょうか。
  110. 水野勝

    ○水野政府委員 御指摘のように、現在の税収動向を見ますと順調でございます。六十二年度の税収を見ますと、二月末の税収までが判明いたしておりまして、累計額としては九・一%の伸びになってございますが、補正後予算額の伸びとしては二・九ポイントでございます。ただ、現在までの進捗は七割五分というところでございまして、まだ四分の一残っておる。この四分の一の中に確定申告の収納分、それから三月決算法人の五月納付分、こういう二つの大きな山があるわけでございますので、現時点としては順調でございますが、年度を通して六十二年度どうなるかということにつきましてはまだ予断を許さないところでございます。  それが六十二年度の税収でございまして、六十三年度の税収と申しますのは、先般予算とともに御提案して国会に御報告しているところでございますが、五月までが大体旧年度の税収と見ていいところでございますので、六月から始まる。これは全くこれからの問題でございます。六十二年度自体がまだ確定的に申し上げるだけの段階にない。その上六十三年度につきましては、これはまだ全くのこれからの問題でございます。私ども、六十二年度の上に経済見通し等を用いまして適切なものとして見積もってお出ししておる、それが現時点におきましては政府としての六十三年度の税収でございますと申し上げるほかはないわけでございます。
  111. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 慎重の上にも慎重を期して、過大評価は一切しないという方式ですか。  いずれにしても、特例公債の発行、昨年度分一兆一千二百億円発行を差し控えることができたという単純な数字を見ましても、六十三年度の三兆円、これも相当発行しないでも済むのじゃなかろうかと大胆な予測をしておるわけでございます。まず、これに異論ございますか。
  112. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 今主税局長からお答えを申し上げましたように、六十二年度の自然増収の帰趨も明らかでない。ましてや六十三年度の自然増収がどうなるかというのは、今の段階で申し上げれば、私どもといたしましては予算で計上しておる税収額ということになるわけでございます。片や、財政の支出は四月から出ていくわけでございまして、そのためにはお願いしております三兆一千億の発行権限を一刻も早くいただいて、年度間を通じて平準的に発行していくということも必要でございます。したがいまして、私どもといたしましては、この財確法に計上しております特例公債の発行額につきまして、一刻も早く権限をいただきたいと考えておるわけでございます。
  113. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 昭和六十五年度特例公債の依存体質脱却、何とか可能性があるようであるという状況でございますね。だけれども、その背景とすれば、いわゆる定率繰り入れの停止であるとか後年度負担であるとか等々のいろいろな操作をしておる。その中で、数字の上では特例公債を発行しなくても済むようになるのじゃないかということでありますけれども、本当に財政の上から見れば健全ではない、異常な事態である、こう思うわけです。  この特例公債につきましても、償還のルールが建設国債と同じような形で決められておる。これを建設国債の返還とは異にして、赤字国債の場合には早期に返すべきじゃないか、こう思うのです。具体的に言えば、一家の家計で、毎年毎年サラ金からたくさんの金を借りて何とか生きていける、しかしその家計が、やっとサラ金から金は借りなくても済むようになったけれども、依然としてサラ金に対する利息は払っていかなければならないという状況があれば、生活は大変厳しいわけでございますね。そんなわけで、表現は悪いかもしらぬけれども、サラ金からの利息の件も早期に脱却しなければいけないのじゃないか。そして本来残っている、建物を建てた場合ならばそのローンがありますから、そのローンの支払いはやむを得ないので払っていく、そういう状況に一刻も早くしなければいけないのじゃないかと思うのです。そういうサラ金の借金も、住宅を建てたローンの支払いと同じようにのんびりと二十年支払いだとか、この場合はもっと長いのですけれども、そんな感覚では、国と家計を比べるのは間違いかもしれませんけれども極めて不健全である、そういうふうに国民の目からは見えるわけです。特例公債の早期返還ということについては、大蔵省はどういう考えを持っておられますでしょうか。
  114. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 御指摘のように、本来経常経費は経常収入をもって賄うべきである。特例公債は、財政法四条に認められている建設公債のさらに例外をなすという形で、毎年度財源確保法律案によって権限をいただいている。そういう意味で私どもも、特例公債は一刻も早く償還をしなければならぬと考えておるわけでございます。ただ、現在の財政状況が依然として厳しい状況にあるということでございますので、例えば借換債というものを橋本先生の御意見によれば発行しないで、十年発行償還期限の来たものをすべて返すということになるわけでございますけれども、その場合で申しますと、例えば六十四年度で申しますと、特例債償還に見合う借換債が五兆四千億ぐらいあるわけでございます。したがいまして現金償還をするということになりますと、その五兆四千億の財源を見つけてこなければならぬということでございまして、そうなると必然的に別途赤字公債をその分だけ出さなければならぬということでございますので、新規赤字公債を発行している財政の現状では、特例公債についても借換債を発行せざるを得ないという状況にあるということでございまして、私どもも六十五年度新規特例公債の発行がゼロになる事態になった暁には、できるだけ早く特例公債償還する財政体質をつくり上げていかなければならぬというぐあいに考えておるわけでございます。
  115. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 主計局次長から今そういう御答弁がございましたけれども一つの設計図というかデッサンというのは今描いているのですか。観念的にはこうしなければならないというのはよくわかるのですけれども、ある程度の展望あるいは目標の設定等々は今考えておられるのですか。
  116. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 そういう展望を切り開くためには片方で歳出がどうなるか、そういう見通しを的確に立てなければなりません。片方で歳入がどうなるかということについてもいろいろな計算をしなければならないわけでございますが、諸外国でもそうでございますけれども財政中期展望」でお示ししましたように、私どもが開発している手法としては、現行の制度を将来に投影してその財政負担がどうなるかということを計算をいたしましても、推計方法の限度は約三年程度というのが現行の姿でございます。したがいまして、六十五年度赤字公債を何よりもまず脱却するということに私どもとしては当面全力を挙げるということで、財政運営を行っていかざるを得ないという実情にあることを御理解いただきたいと思います。
  117. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 きのう、たしか大臣答弁の中で、いわゆる財政の展望というか経済の情勢分析というものは五年間ぐらいしか見られない。今、主計局次長の話ですと三年ぐらいしか先が読めない、こういう話がございました。  ところが、この税制の抜本改革に関連いたしまして、あくまでも高齢化社会の長期展望というものをしなければならぬという議論がございまして、三月十日に大蔵省と厚生省がそういう展望、数値を発表いたしました。ところがこれを見ますと、要するに長期的な展望というのは名ばかりで、現在の状況が変わらないとするならばという前提のもとに単純に算出したものであって、必ずしも遠い二〇二〇年とかそういうところまでは到底正確に示しているものではない、こう思うのです。まして、ただいまの主計局次長の話で五年とか三年しか先が読めないというのであれば、今から三十年、四十年後の世界までは到底予測できないと思うのです。  にもかかわらず、大蔵省と厚生省がつくりました非常な立派なタイトルでございますね。「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」、こういう資料が出されました。しかしこの資料は、非常に委員会でも議論になったと思いますけれども、よくわからないわけですけれども、負担が大変厳しくなるぞということだけ示しておる。したがって、その背景には、高齢化社会に対応するためには大型間接税の導入は必至のものであり、必然的なものであるというような感じを受ける、そういう資料でございます。しかし、今言ったように、こういう経済、財政の見通しというものは五年とか三年しか見られないんだという中で、三十年先あるいは四十年先まで見通したこういう資料、一体何ほどの力を持ってくるのか、その辺を率直にお尋ねいたしたいと思います。まず大臣から。
  118. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは御承知かと存じますけれども、衆議院の予算委員会で御審議の最中に、高齢化社会といっても一体どういう姿を考えているのかわからぬではないかというお話がございまして、昨日かも私が申し上げましたように、政府の経済計画はそんな先まではとても見られないものでございますから、そのときの負担であるとか給付であるとかいうことも仮定で物を考えるしかないわけでございます、国民の選択の問題でもございますから。したがって、そのときにどういう社会保険なり租税なりの負担になるかということも一種の仮定計算をするしか仕方がない、それもまたGNPがどのぐらい成長をするかということを一つか二つ想定をしてみた上での計算なら、いわば機械的にやってごらんに入れますといって申し上げたのがこの資料でございます。
  119. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大蔵省と厚生省の出したいわゆる試算というべきですか、この試算については大臣みずからもコメントを出しておりまして、この試算に触れられていない点まで含めて、高齢化のピーク時である二〇二〇年を指していわゆる国民負担率が五〇%を超える、そういうような談話を発表したように思うのです。いかがでしょうか。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が申し上げましたのは、昭和七十五年度には多分五ポイントぐらい、八十五年には十ポイント近く、社会保険と租税との区別は一応わかりませんけれども、合わせましてそういう感じではないかということは申しました。
  121. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 これは新聞記事で恐縮なんですが、三月十一日の毎日新聞なんですが、こうあります。宮澤大蔵大臣の談話として「昭和八十五年度国民負担率は四六・五%になる。」その上、「三十二年後の二〇二〇年度昭和九十五年度)には五〇%を超える、と推計。」される。したがって、現行税制を継続すれば、給与所得者の源泉徴収税が国民負担に占める割合は現在の四・二%から、八十五年度には三倍になるというようなことを言っておるようですが、したがって「所得税の比重を下げ、課税ベースの広い間接税を導入する必要性を示唆した。」こんなような記事があるのです。  今、大臣答弁は、あくまでも仮定の数字であって機械的に算出したものだと言った上ですから、その上でそういうふうに厳しい具体的な数字で四六・五%になるとか二〇二〇年には五〇%を超えるだろうということは、この試算からすれば言えないのではなかろうか、ちょっと言い過ぎではなかろうか、こう思うのです。
  122. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは記録に残りますので申し上げておきますけれども昭和八十五年度には十ポイントぐらい上がるのではないかということは申しました。現在三六・六でございますから、今のようなお話でそんなに違っていないのですが、その次のことは私は申しておりません。それは誤りでございます。  それから、給与分が租税負担率の中で今四・八こぎいますけれども、これが昭和八十五年には一〇とか一三とか、今のままですと、そのまま機械計算すればそうなるということは申しました。
  123. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 要するに、与えられた資料を前提にして単純に機械計算をすればそうなりますよというコメントはどこにも入っていないから、国民からすると、いや大変だ、あらあら一挙に三倍にもふえるのだ、これは大変だということになるわけですね。だから、これは新聞報道ですから、あくまでも仮定の話でございますけれどもということは言えないけれども、そういう前提を強く言わないと国民の方では大変な迷惑をこうむる、こう思うのです。  大臣、恐怖アピールという言葉を知っていますか。要するに、何々をしないとこうなりますよというようなおどかし、恫喝なんですね。例えば、原子力発電を認めないと甲子園の高校野球が見られなくなりますぞとか、何々をしないと大変なことになりますよというようなコマーシャルを恐怖アピールと言うらしいのです。人を不安にして、大変だ、何とかしなければならぬというふうにさせるアピールですね。それからもう一つ、反対のものは、今こういう問題が起きている、みんなでどうしようかということを話し合う、考える、議論する、そういうコマーシャル、二つある。そのどちらをとるかは自由でございますけれども、最近とかく政府の広報は恐怖アピールが多いのじゃないか、こう思うのです。  きのう、私どもの矢追委員が追及いたしました「タックスナウ」というこのパンフレットも、まさにその恐怖アピールの一環でございます。ちょっと読んでみましょうか。「なんだかいっしょうけんめい働いているお父さんが損してる気がするな。」働いていると損しているな、働くのやめようかななんということを言っている。「このままじゃ、お父さんの会社だってタイヘンだ。海外へ逃げ出しそう。」自分の会社が海外へ行っちゃう、どうするのだ、またまた単身赴任だ、どうするのだ。「直接税ばかりに頼ってちゃ、お父さんたちのヤル気はなくなっちゃうゾ!」なんという、いろいろな形でもって恐怖アピールが姿をあらわしております。一生懸命まじめに議論をしようじゃないかという姿勢は、一つもこのパンフレットにはないような気がするわけでございます。二千五百万プラス税調の素案をパンフレットにした「いっしょに考えませんか。これからの日本とこれからの税。」というもう一つのパンフレット、合計五千万円。私は、この「タックスナウ」を「タックスノー」と読みたい。  ところで、総理府の広報室にお尋ねをしたいのですが、昨年度のいわゆる売上税、これを何としても導入するためにどの程度の広報予算を費やしたか。今次、政府が予想しております新型間接税については、既に五千万円が支出された。昨年度廃案になった売上税では幾ら使ったでしょうか。
  124. 菊地俊矩

    ○菊池説明員 昨年度の税制改革に関連いたしまして、テレビとか雑誌、新聞、いろいろな媒体を使って私ども広報をさせていただいたわけでございます。その具体的な金額でございますけれども、私ども政府広報をやるに際しましては、税だけではございませんで、有機的に媒体を使いながら、かつ扱うテーマもいろいろなものをやっているということで、具体的な金額はちょっとお出しするのは困難ということでございます。例えば同じ政府刊行物の中でも、百ページの政府刊行物の中でその半分を税関係の広報に充て、それ以外のページについては別のものをやる、こういうことでやっておりますので、私どもとしてちょっと数字を申し上げることは難しいので御了承いただきたいと思います。
  125. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 総理府の広報予算というのは、昨年度が百十五億六千四百万円、六十三年度予算案では百十八億二千七百万円ですね。政府全体では二百三十六億ですね。大変な予算が総理府にはある。大蔵省は随分少ないですね。だけれども、このうち、売上税に関しては出ないとおっしゃいましたけれども、決算もあります。そういうことに全然拘束されないで、単純に、こんなふうに出しましたで通るのですか。私が問題にしているのは、要するにみんなで、来るべき高齢化社会大変なんだ、あるべき姿はこうなんだ、したがって、こういう社会が実現するのだからこういう資本投下もしなければならない、また現実にこういう負担もしなければならない、だからみんなで考えようという形で、それで政府国民に大いに議論を展開してもらう、あるいは実情をよく知ってもらうという意味で広報するのだったら、それはいいのですよ。だけれども、売上税みたいな、国論を二分したみたいなあの問題について、売上税をしなければだめなんですという宣伝をしたわけです。  今回もこのパンフレット、大型間接税をしなければだめなんです、直接税だけではだめなんです、こうなっているわけです。直接税の中に不公平がある、不公正があるとはどこにも書いてないのです。直接税に偏り過ぎています、だから間接税も広く採用しましょう、そうすればお父さんたちの税金も安くなりますよ――うそですよ、うそです。昨年度の売上税では中堅サラリーマンはかえって増税になります、七百五十万円以下の年収ではかえって負担が大きくなります、これは学者グループが言っているじゃないですか。今回も、まだまだ新型間接税の姿かたちもあらわれていないと言うとおかしいですが、まだまだ姿かたちがぼやっとしてきてない段階でございます。数字も出ていません。数字も出ていないそういう段階で、新型間接税を導入すれば中堅サラリーマンの所得関係は楽になる、不公平感は除去できるなんてなぜ言えるのですか。そういうことに早々と五千万円を使っている。けしからぬ、こう思うのです。したがって、それをきちっとするために昨年度の売上税に関する費用を出しなさいと言っているわけです。概算でいいのですよ。
  126. 菊地俊矩

    ○菊池説明員 申しわけございませんけれども、私ども、残念ながら数字を出すわけにはいかないわけでございます。お話がございましたように、六十二年度百十五億の予算でやっておりまして、その中で、テレビ番組では四百億、出版関係では五百六十億ということで、そういう媒体ごとといいますか、そういう意味での整理はしてございますが、そういう事柄におきましての区分けというのはやっていないわけでございます。  ちょっと数字を一けた間違いました。四十億と五十六億でございます。
  127. 大島理森

    ○大島委員長代理 しっかりと言ってください。
  128. 菊地俊矩

    ○菊池説明員 それから、本年のパンフレットでございますけれども、現在税制調査会におきまして議論がされているところでございまして、そこから出された素案でございます。議論の材料として提出されたものでございますので、我々としてもこれを広く国民の方に知っていただき、議論していただきたいということで、政府広報としてやることが大事だというふうに考えて実施いたしたところでございます。
  129. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 このパンフレットは、あくまでも税調の素案なんです。たたき台なんです。これをあたかも確定したような形でパンフレットにする。この間、いわゆる二類型三方式ということも本会議質問いたしましたけれども、そのうち三方式のいわゆる取引高税はどうも弱いようだ、要するに流れが極めて流動的である、どうなるかわからないという状況の中で、なぜ素案をこのような確定した立派なパンフレットにする必要があったのでしょうか。むしろ、税調ではこういうことを考えているけれども国民の間ではこういう反対がありますと、なぜ反対意見を明記しないのですか。それが政府のやることでしょうかということなんです。国論がすべて現在の直接税だけではもう絶対に不公正、不公平は除去できない、したがって薄く広くという間接税を導入するしかないんだ、そういう状況になったらそれは結構です。今そうではないのです。間接税導入けしからぬ、まして大型間接税けしからぬという声の中で、何ゆえに多額な費用をかけてやっているのか。それはまだいい。私が聞いているのは、昨年度の売上税を言っている。幾らかけたか。まず出していただかないと困るのです。  ではこうしましょうか、いわゆる新型間接税に関して、これから幾ら金を使う予定でいるのですか。
  130. 菊地俊矩

    ○菊池説明員 これからの広報でございますけれども、現在税制調査会で審議されておるわけでございまして、我々としても大蔵省と連携をとりながら必要な広報はやっていくということで、具体的な計画、こういうふうにするというのは現在持っておりません。
  131. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 政府の広報室というものは主体性がないんですね。行政改革するべきですね。政府広報室は要らないということになりますね。すべて担当局の大蔵省はこうする、大蔵省の中に広報室をつくればよろしいと言わざるを得ないようになってしまうわけです。もっと総理府として哲学を持ってもらいたい。
  132. 菊地俊矩

    ○菊池説明員 私ども総理府広報室におきましては、税に限りませず例えば行政改革ですとかエイズですとか、各般にわたるいろいろな政府の施策につきまして、正確な情報をできるだけ早期にお伝えしたいということで進めておるわけでございます。年度当初、各省庁から毎年度の広報をどんなことを考えているかということをとりまして、またそれを毎月調整をとりながら、私どもとしてその月々にやる必要があると考えた広報を実施しているところであります。税制改革も、その一環として広報をやらせていただいております。
  133. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大臣も昨日、これは私も監修した手前よく知っております、そういう答弁がございました。これを見ますと、まさにサラリーマンを対象にしてのパンフレットでございます。自営業者ではございません。また大企業でもございません。あくまでも中堅サラリーマンが写っている。なぜ大臣は、この新型間接税導入の趣旨のパンフレットにサラリーマンを使ったのか、その真意をお聞かせ願いたい。
  134. 水野勝

    ○水野政府委員 これは御指摘のように、あくまで税制調査会が素案を出されたまさにたたき台でございまして、それにつきまして広く納税者の方々から御批判、お考えをいただくということが目的であったわけでございます。このパンフレットの最後の六ページぐらいは、まさにその素案そのものを御提示されておるわけでございまして、今のサラリーマンのお話、間接税の話、これらはすべてこの素案の中の部分を解説したものでございまして、まさに素案自体のPRであろうかと思うわけでございます。その素案をごらんいただきましても、出てまいりますのは、この十年間本格的な税制改正がほとんど行われていない、それによりましてサラリーマンの給与所得に税が偏ってきておるというところから始まっておるところでございますので、そこの中心的な課題として取り上げられておりますサラリーマンの税金につきまして御説明をする、そういうところからサラリーマンが中心のパンフレットになっておるということでございます。  もう一つ黄色のパンフレットで、これはどちらかというと計数的なものというか、そうしたものを中心にまさに字句どおりの解説的なものでございますが、こちらの方はそうした考え方の柱になっておりますサラリーマンに焦点を当てて御説明をさせていただいているということでございます。
  135. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大臣は、このパンフレットができる段階で、いわゆる素案を説明する上であえてサラリーマンを登場させるという企画についてどういうふうに思いましたか。要するに、書いてあることは確かに素案なんですよ。しかし、パンフレットというのはイメージが大事なんですね。なぜサラリーマンをここに使ったのかということなんですよ、聞きたいのは。  というのは、納税者の九割はサラリーマンと言われております。その九割のサラリーマンが現在の税制には不公平であるという実感を持っている。そのサラリーマンが本当に求めているのは、何も間接税導入じゃないと思う。むしろ所得税、直接税の中でどうしてこんなに不公平があるんだ。例えばみなし法人、その問題もあるし、いろいろな問題がある。そのことはどこにも一切触れていない。だから、これだけ見ると、直接税、つまり所得税の中ではもうどうにもこうにも改善の余地がないのだ、だから間接税しかないのだというふうに思ってしまうわけですよ。そのやり方が実にけしからぬと言っているわけです。そうじゃなくて、直接税の中にもこんなに不公平があるのです。それをまず直しましょうというのがこのPRでしょう。いろいろな不公平があるでしょう。それをやった上で、全部終わった、だけれども高齢化に対応できなくなりそうだ、どうしようかというのならわかるんですよ。そういうことを前提にしまして、何ゆえに直接税の是正を希望しているサラリーマンをあえてこのパンフレットに使ったのか、その真意をお聞かせ願いたいと言っているのです、大臣
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ごらんいただいたのならばおわかりいただいていると思いますが、十二ページにちゃんとそういうことは書いてあります。「株や資産への課税をちゃんとしてくれないと汗水たらして働くのがバカらしい」、素案の中にはキャピタルゲイン、医師優遇課税、公平な課税の実現云々を言っておりますということが書いてございますでしょう。このページでございます。  それで、サラリーマンを選びましたのは、先ほども橋本委員が言われましたように、いわばこれが納税者の一番大きな層である、代表的なといいますか、平均的な国民の持っておるイメージ、それはやはりサラリーマンではないかということでございます。
  137. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 今大臣が示しました「株や資産への課税をちゃんとしてくれないと汗水たらして働くのがバカらしいと、お父さんは不満です。」ここですね。ここで要するに不公平税制のことが書いてある、こういうわけですな。これは株や資産じゃないですか。所得税の見直しじゃないじゃないですか。現行の所得税がどれほど不公平があるか、どこにも書いていない。しかし、現実に大蔵省の見解では、株、キャピタルゲインについては非常に難しいというようなことも言っておられる。いわゆる資産、これは何言っているかわかりませんけれども、いわゆる土地に対する資産ということだったらばこれはとても手をつけられない、こう言っておる。これは、ただ単なる観念論にしかすぎないじゃないですか。株や資産への課税をちゃんとしますとは書いていない。「ちゃんとしてくれないと」と言っている。こういうふうに、あ、してくれるんだなという感じのするような、こういうパンフレットはけしからぬ、こう思っているわけです。  要するに、サラリーマンを使ったという理由は、私はこう思うのです。所得税について九割の納税者であるサラリーマンが大変不満を持っておる、そのサラリーマンの不満を解消するためにあえてサラリーマンを主人公にしたパンフレットである、そういうふうに意図的な、作為的な、恫喝的なパンフレットである、したがって、この新型間接税は実にけしからぬ、そういうことを言いたいわけでございます。もう、やめましょう。  ところで、厚生省を呼んでいますので、先ほどの試算についてお尋ねします。  昭和七十五年、昭和八十五年までの推計値が出ております。これによると、大変国民負担率が高くなる、そういうデータでございます。しかも、二〇二〇年には負担率が五〇%を超える。しかし、臨調では五〇%を超えてはいけないと言っておられる。厚生省はどう考えておられますか。
  138. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  先般、三月十日に国会に出しました資料については、先ほど大蔵大臣がお述べになったような性格のものとして出させていただいているわけでございますけれども国民所得の伸びなどに一定の仮定を置きまして、過去の医療費の実績の伸びなどを勘案しながら、自然体として将来の姿を推計したというものでございます。  国民負担率の将来の問題につきましては、むしろ私どもよりも全体としては大蔵省の方がお答えになるのが適当かと思いますけれども一般歳出の大宗をなしております社会保障を中心として考えてみますと、社会保障の給付の水準とこの国民の負担というものは、どうしても裏腹をなすものであろうというふうに考えているわけでございます。したがって、受益と負担のバランスを考えながらそのときどきの国民的な選択が行われる事項であって、あらかじめ負担率の限界はどのくらいであるというふうなことは考えるべきではないというふうに思っておりますが、ただ参考までに申し上げますならば、臨調の答申等においては国民負担率を現在のヨーロッパ諸国の水準、いわゆる西ドイツやイギリスなどは五三%、四%台かと思いますが、そういうものよりもかなり低い水準にとどめることが適当ではないかという指摘がなされていることも十分知っているところでございます。高齢化のピークが昭和九十五年ごろ、二〇二〇年ごろになると見込まれておりますので、やはりこの負担のピークというものもこれから三十数年後あたりが一つの山場ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  139. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 厚生省に聞きます。  この試算は、年金については現在受給が六十歳ですね。ところが、議論の中では、年金の受給開始は六十五歳にすべきである、さらに高齢化が進展して働く人が多くなる、六十五歳ではまだ現役である、七十歳から年金を支給するという議論もありますね。そういうことは全部踏まえて、入っておりますか。
  140. 清水康之

    ○清水説明員 その年金の問題については、担当の数理課長が来ておりますので、数理課長の方からお答えさせていただきます。
  141. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  この試算におきましては、現行法ということをもとにおいて推計しておりますので、六十五歳という支給開始を前提にした推計ではございません。ただし、五十九年におきまして各公的年金、財政再計算を行っております。その際、厚生年金におきましても財政再計算を行っておりまして、参考といたしまして六十五歳支給というものを取り上げておりますけれども、その際、昭和七十三年から三年に一歳ずつ引き上げまして、八十五年に六十五歳になるという一つの仮定を置きまして、そうしたならば保険料率がどのくらい安くなるかということの試算はしたのがございます。  その試算によりますと、六十歳のままで試算をしたといたしますと、運用利回り七%、賃金の上昇率五%、物価の上昇率三%という当初の仮定によりますと、最終的には昭和百年程度で保険料率が二八・九%になると推定されているわけでございますけれども、今のような前提で六十五歳を仮定いたしますと、同じ年度におきまして二三・九%ということで、約五%の保険料率が下がるということの試算がございます。
  142. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 確認します。この試算には六十五歳は入っておりませんね。
  143. 坪野剛司

    ○坪野説明員 入っておりません。
  144. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 したがって、年金受給開始六十五歳ということを前提にすれば、このデータは大分変わってくる、単純に言えば。そう言えますな。
  145. 坪野剛司

    ○坪野説明員 現行法では六十五歳問題についての法律規定はございませんけれども、仮に六十五歳を今のような前提におきまして試算をいたしますと、今先生おっしゃるように負担が減ることは事実でございます。
  146. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 大臣、G7、お疲れさまでした。アメリカの経済が大分縮小してまいりまして、その見返りとして、我が国にいわゆるアジアNICSの製品が集中豪雨型に入ってきているわけでございます。何かG7でもアジアNICSの通貨調整問題があったと聞いておりますけれども、具体的にはどういうふうになったのですか、金額は。わかりますか。
  147. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 G7で議論になりました一つは、アジアNICSの通貨調整が不十分である、それから自由化体制も不十分であるということなんでございますが、通貨調整は、大体プラザから勘定いたしまして、台湾の場合四〇%ぐらいでございます。それから韓国の場合一八%ぐらいでございますか、韓国の場合は調整が最近になっておくれてなされておりますものですから、それだけ批判がちょっと余計ある。台湾の場合はかなり早くやっておりますし、調整率も高いのでございますが、これはまた黒字幅、外貨準備が非常に大きいということで、いろいろ議論になったということでございます。
  148. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 要するに、日本のように円高というのがありましたね。そういう関係でもってアジアNICSについても、もう少しそれぞれの国の価値を高めるという、そういう議論があったのですか。
  149. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 どちらかといえば、そういう批判を持っている国がございます。
  150. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 時間がありませんけれども、通産省来ていると思うのですけれども、この数年でアジアNICS製品が我が国になだれ込んできた。それに対して、我が国の産業としてはどういうような考えを持っておるのでしょうか。
  151. 作田頴治

    ○作田説明員 御説明いたします。  アジアNICSからの輸入、先生が御指摘のとおり、最近かなり一部の製品においてふえているものもございます。したがいまして、また一部国内産業と競合しているものもあるとは考えられますが、現在までのところ、総じて我が国市場におきますそのシェア等は低いことがございまして、我が国国内産業に大きな影響を及ぼしているというふうには、我々今のところ考えていないわけでございます。  以上でございます。
  152. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 将来見通しは。
  153. 作田頴治

    ○作田説明員 現段階におきまして将来の見通しは大変難しゅうございますけれども、傾向としては、これらの国からの輸入が今後ともふえてくる、こういった見通しを持っております。
  154. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 終わります。
  155. 大島理森

    ○大島委員長代理 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時一分休憩      ────◇─────     午後二時開議
  156. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武藤山治君。
  157. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 宮澤大蔵大臣、過般大変忙しい中アメリカにおいでいただきまして、御苦労さんでございました。  帰ってきてからの出来事でありますが、ホルムズ海峡でアメリカ軍がイランの石油基地を攻撃し、さらにフリゲート艦を攻撃をしたというような新聞報道がありまして、これは通貨にも影響があるかなと心配したのでありますが、一円程度の変動で、大したことは通貨面にはまだあらわれておりません。レーガン政府は、日本政府やヨーロッパ先進国にも友好国に通告をしてあの行動をとった、こういう新聞報道でありますが、副総理としてアメリカのとった戦火を交えたこういう事態、これを好ましかったか、これはちょっと考え物と感じているか、さらにこれが長期化しなければいいのでありますが、長期化しないという保証を、アメリカは友好国家にそういう姿勢を示しているのかどうか。  副総理としては、いろいろ金融、経済以外の問題も、日本の経営の立場上関心をお持ちだと思うのでありますが、このアメリカが戦火を交えた問題について、レーガン政府から日本政府に対する連絡などを含めて判断をすると、今私が申し上げた長期化するのかしないのか、そんなに世界経済全体に悪影響を及ぼすようなことにはならないと見ていいのか、その辺差し支えのない範囲内でちょっと所見を伺いたいと思います。
  158. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 率直に申しまして、私は事情を詳しく存じておるわけではございませんので、私の立場でかれこれ申し上げることは少のうございます。ただ、我が国の考え方は、官房長官が昨日談話を出しておられるようでございますし、また必要があれば外務大臣等から他の機会に、武藤委員におかれましてお聞きをいただくことが適当であって、私は事情を十分存じませんので、申し上げることは御遠慮させていただきたいと存じます。  なお、我が国にはこのことにつきましては、通報が行われておったというふうに承知をいたしております。
  159. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 閣議あるいは総理、副総理、官房長官、外務大臣くらいの重要閣僚で、こういう重大な出来事のときには直ちに対応し、情勢を判断する会議というのは持たないのですか。
  160. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 制度としてあるわけではございませんが、今回の場合には恐らく官房長官あるいは総理におかれて、特にそのような政府あるいは党首脳者間の討議を必要とする事態ではないと判断をせられたのではないかとそんたくをいたしております。
  161. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それでは、大蔵大臣質問するのはちょっと筋違いだと思いますが、どうもNHKのニュース解説や焦点などを見ておりますと、イラクとアメリカ軍はかなりいろいろ連絡をとってやったなという感じがするのですね、報道を聞いたりテレビを見ている限り。直ちにイラク側が攻勢に出て、ついに一つの町をまた奪還した。かなりイラク側を支援する意味ではあのアメリカの態度は効果があるんだな、こういう感じがしてならない。そうなると、ますますイランとイラクの戦争というのは拡大をされ、深入りしちゃって、アメリカはかつてベトナムで一回ああいう失敗をしているのですから、相当用心しないと大変なことになっていくなという心配も一方あるのですよ。結局、絶対イラクが勝利を占めるまでこの戦争が終わらぬというような形にまでなっていって、片方に加担をしてしまうと、日本の場合はなかなか難しいなという感じもするわけですね。その辺副総理、どんなお感じですか。
  162. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申しましたような事情で私は詳しい事情を存じませんし、また、そういうことについてこのような公の機会に発言をすべき立場にもございませんで、いろいろ憶測はいたしておりますけれども、御遠慮させていただきたいと思います。
  163. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣がそうおっしゃるんじゃ、これ以上この問題をやっても仕方ない。  アメリカは、このホルムズ海峡問題で石油の輸送が困難になってくると石油の値段が上がる。アメリカのスポットは十八ドルちょっと超えたようですね。急に十八・五ドルぐらいに上がっちゃっておりますね。アメリカ国内の石油産出が、価格が上がった方が有利だという考え方もあるようです。けれども、日本などはそうなるとまた困るのですね。それでなくてもマネーサプライが前年比一一・何%というようなことで、日本の国内の金融政策も大変注意しなければならぬような状況もこれあり、ここで石油の値段がまた上がるということになってきたときには日本に与える影響もかなり大きいですね。それは大きい影響があるということは認識できますね、大臣
  164. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ああいう状況でございますから、先のことを的確に予測することは難しいのかもしれませんけれども、アメリカ市場、その他世界市場でございますか、等における石油の値上がりの状況を見ておりますと、非常に今後事態が深刻化するという見通しよりは、決して事態を易しく考えておるわけではございませんけれども、非常に長く深刻な事態が続くという予測でない考え方の方が石油価格に反映しているのではないか。もっと易しい言葉で言えば、大変なことになると思えばもっとかなりの急騰がある、しかし、先を見通して、まあこの程度の価格変動でございますと、余り事態を深刻には考えていないというのが一般の受け取られ方ではないかと存じます。我が国にとりましては、もとより石油価格が大きく上昇いたしますことは大変に困難な事態をもたらすわけでございますけれども、ただいま程度でございますとそのような事態ではないということではなかろうかと存じます。
  165. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 きょうは財確法の審議の日程でありますから、お金の問題、日本の財政の原点にもう一回戻ってきょうは少し数字を明らかにしていただきたい、こう思うわけでありますが、まず国の借金から先に質問をしてみたいと思います。その次は地方自治団体の借金、さらに国債以外にいろいろ旧国鉄の債務で国民がやがて負担をしなければならないもの、いろいろな借金があると思いますが、きょうは素人にもわかるように、借金という言葉でくくってお尋ねをしてみたいと思います。  まず、国の借金は現在幾らあり、六十三年度末で幾らになりそうか、これからひとつ数字を明らかにしてください。
  166. 足立和基

    ○足立政府委員 六十三年度末の新規国債国債残高といたしましては、六十三年度予算におきまして百五十九兆百四十九億円と見込んでございます。なお、このほか若干の新規国債以外の交付公債等ございますので、国債全体といたしましては百六十一兆三千二百八十一億円というぐあいに見込んでございます。
  167. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 百六十一兆三千二百八十一億円の国債累積債務、これの一年間の金利幾らになりますか。
  168. 足立和基

    ○足立政府委員 現在の百五十九兆円につきましての国債金利につきましては、いろいろ発行時期によりまして異なってございますが、現在の国債残高を加重平均して申しますと、六・五七%に現在なるわけでございます。
  169. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 幾らになるのですか。
  170. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 六十三年度予算で計上いたしております国債利子等でございますが、十兆七百九十一億円となります。
  171. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国債の借金、大体今説明があったとおりでありますが、それ以外に国が払わねばならない借金は幾らありますか。例えば、旧国鉄の清算事業団に引き継がれた債務二十五兆六千億のうち、国民負担で払わねばならぬ金額幾らになりますか。
  172. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 現在の試算によりますと、十三兆八千億ということになっております。
  173. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これの金利幾らになりますか。
  174. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 ちょっと今計算をさせます。しばらくお待ちいただきたいと思います。
  175. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 次に、それでは今まで政府財政窮乏窮乏ということで、後年度への負担の繰り延べをしたものがたくさんありますね。後年度への負担の繰り延べをして、政府が借りているという形になるわけです。これも政府が返さねばならぬのですが、これは幾らありますか。
  176. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 先ほどの国鉄の債務の利払い費でございますが、一兆一千億でございます。  それから、国の債務につきましていろいろな数字がございますけれども申し上げますと、後年の国庫負担金の繰り入れ等というものの繰り延べ額が二兆七百三十億円、それから住宅公庫の利子補給金の一部繰り延べの累計額が五千百六十四億円、国民年金の国庫負担の繰り入れの平準化措置に基づくものが一兆二千七百二十七億円、それから財確法でもお願いしておりますけれども、政管健保の国庫補助の繰り入れ特例が累計で四千二百三十九億円、これを合計いたしますと四兆二千八百六十億円となります。そのほかに実は地方財政対策、昭和五十九年にやりました改革によりまして、特別会計の借入金の国負担分を一般会計負担に繰りかえておりまして、これが五兆八千二百七十八億円でございます。それに地方財政対策に伴う後年度負担一兆二千三百十四億円を加えますと、十一兆三千四百五十二億円という数字が一応お答え申し上げられると思います。
  177. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 国債の累積残以外に、これから後年度への負担ということで政府が本来返さねばならない金額十一兆三千四百五十二億円、これは本当に繰り入れするのですか、やがて返しますか。
  178. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 これは、それぞれの繰り延べの事項ごとに実は法律の定め方が異なっております。申し上げますと、住宅公庫の一部繰り延べ、それから国民年金の平準化法に基づく繰り入れの戻し、これにつきましては法律に明定がされております。それから、地方財政の特会借り入れの一般会計負担分五兆八千二百七十八億円、これにつきましても法律上明定をされておりますし、地方財政対策への後年度負担一兆二千三百十四億円のうちいわゆる暫定加算というものを除きました部分は、法律償還が明定されておるわけでございます。  償還が明定されておりませんのは、今申し上げた事項以外の後年の国庫負担の繰り入れ等二兆七百三十億円でございますが、これにつきましては、その運用益を含め、いずれ将来において国が償還をするということが決まっておりますけれども、その具体的な償還金額等は法律上明定されておりません。それから、政管健保の国庫補助の繰り入れ特例につきましても、これは政管健保が短期保険であり、毎年度の医療費の支払いを順調に行うという意味で、長期計算に基づく会計ではございませんという性格から、これにつきましても償還についての具体的定めはないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、地万財政対策のいわば暫定加算の分を含めまして、いずれも国の負担と申しますか、一般会計で何らかの負担を負っているという意味では同じものだと考えておるわけでございます。
  179. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、これは繰り延べておる分はやがて必ず繰り入れする、返す、こう認識してよろしいな。
  180. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 基本的に一般会計の負担になっておりますけれども、どういうぐあいの償還を将来していくか、あるいはどういう繰り戻しをするかについて決まっていないものもあるという意味では二つの性格に分けられると思いますが、いずれにせよ、一般会計の負担において将来適切な措置を講じなければならぬという点では同じだというぐあいに考えておるわけでございます。
  181. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣、この十一兆三千四百五十二億円は、今説明がありましたように一応政府の借りなんですね、返さなければならぬですね。これをどういう年次計画でどう返すか。赤字国債の分だけは、六十五年度までにゼロにしようということでもうはっきりしておるのですが、あとのものはみんなぼやっとしていて、国民には全然わからないですね。こういう借金がいっぱいあるということも、今度の税金の説明書にも何にも書いていないですね。そういう点で、私は、きょうは借金総ざらえというのを今ちょっとやってみようと思って質問しているわけですが、これ以外に国債費の定率繰り入れ等の停止額もありますね。これも財政取り扱い上は当然、一般会計で使ってしまったのだから、そういうものも繰り入れをするのだろうなと思っておるのですが、ここはどうするのですか。
  182. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 定率繰り入れの停止は、毎年財確法でお願いをしておるわけでございます。その総計は約十三兆円弱になっておりますけれども、この額は他の借入金とやや性格を異にしております。いわば国債の六十年償還ということで毎年六十分の一ずつお返しする、実際には十年債の場合に六分の一を現金償還するという国債償還ルールはきちんと守っておりまして、国債整理基金においてそういう償還をきちんとやっておって、国債管理政策については支障がないということで実は定率繰り入れを停止しておるものですから、今後将来にわたって国債をお約束したことできちんと返していくということは当然やらなければならないわけですが、今まで停止した額をそのまま将来また戻していくという必要はないというぐあいに私ども考えております。
  183. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、この十二兆九千六百五十三億円の定率繰り入れ停止額は返さなくてもいい、これは国民の負担にはならない、一応これは消える、こういうことですね。  それ以外の国の借金、借入金で、将来国民が何らかの形で負担をしなければならない借金というのはまだほかにもありますか。
  184. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 今、国鉄の清算事業団が持っている債務についても御指摘がございましたので、そのほかに特に申し上げるようなものはないと考えております。  なお、実は特別会計で借入金が種々あるわけでございますが、これにつきましては、特別会計の性格上特定歳入特定の支出を賄うということで、いずれもその借金は各特別会計の負担で償還をしていくという建前になっておりますので、この分は一般会計の負担にはならないというぐあいに考えておるわけでございます。
  185. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、借入金の会計別特会の合計を見ると、二十八兆一千四百七十八億円、これが大蔵省から私に報告した借入金負担会計別内訳表ですね。じゃ、この二十八兆一千四百七十八億円については、今後一般会計から支出しなくともこの会計で全部できる、特別国有財産とか国立学校、厚生保険、国有林野事業、国営土地改良事業、こういうのは皆目前でこういう借入金は返せるのですね、間違いなく。
  186. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 御提出しました資料に基づきまして、二十八兆一千四百七十八億、六十三年度末で借入金ございますが、そのうち一般会計分が十兆九千二百九十一億円ございます。それは先ほど来御説明しておりますような交付税譲与税特別会計分としての五兆八千億とか、清算事業団分に内訳が含まれておりますけれども、日本国有鉄道分の五兆五百九十九億円とか、これらは一般会計の債務でございますので、きちんと償還をしなければならない。それで、特別会計の分が十七兆二千百八十七億円ございますが、この分につきましては、それぞれ各特別会計において何らかの形で償還をしていくという建前になっておりますので、直に一般会計負担にはならないというぐあいに考えておるわけでございます。
  187. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大体、借金の額がだんだんわかってきました。  大蔵大臣、地方自治体の借金、大蔵大臣としてどのくらいあると思いますか、概略で。記憶ありませんか。
  188. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 六十七兆というようなことぐらいだそうでございます。
  189. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 正確に答えてください。
  190. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答えを申し上げます。  地方財政の借入金でございますが、六十三年度末の見込みにおきまして、個々の地方団体が地方債を起こして借り入れた分、これは普通会計債の分でございますが、約四十九兆五千億ございます。それに、交付税の特別会計で借り入れました部分が約五兆九千億ございます。それから、地方団体の場合には公営企業の地方債、これの残高のうち普通会計が負担しなければならない分がございますので、それが約十一兆六千億ほどございますので、これらを合わせますと大体六十七兆円ということで、先ほど大蔵大臣が御答弁になった数字になるわけでございます。  ただ、実は償還時期がはっきりしておりませんのでこの中に入れてございませんが、昭和六十年度の補正対策で交付税の総額が足りないということで特例措置をした部分がございまして、その部分で今後返していかなければならない分が約千二百億ほど残っておりますので、この金額も返すべき額として私ども認識いたしております。  以上でございます。
  191. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大蔵大臣の答案は花丸でございました。大体六十七兆円ちょっとですね。  さて、今まで数字をお答えいただいた総合計、何らかの形で国民が負担をして払わねばならない借金の総合計、地万と国と合わせて幾らになりますか。
  192. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 今御議論をいただきました数字を合計いたしますと、二百五十六兆円余ということになろうかと思います。
  193. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 結局、国や地方自治団体の借金というのは国民の借金なんですね。国民が払わねばならないのですね。政府が払うわけじゃない。政府・自民党がみんなで拠出して払ってやろうなんというわけにこれはいかないのですね、こんなでかい金額。またNTTの株を売ったり、これからたばこ会社の株を売ったり……(「JRもある」と呼ぶ者あり)JRの株を売ったり――JRはだめなんだ。あれは清算事業団に入っちゃうんだよ、こっちに入ってこないんだよ。あなたは国鉄出身だからよう知っているはずだ。そういうのを大蔵省としては概略、そういう民活方針でいろいろやって、株の収入がどのくらいすべてトータルすると予想できると見ているのでしょうか。
  194. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 具体的にお答え申し上げるような計数は持ち合わせておりませんで、今確定的にある程度の見通しを持っておりますのはNTT株の売却収入だけでございます。
  195. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 NTTの株の売却、これもどうもブラックマンデー以降第二回目の大蔵省が売却をした二百五十五万に到達しない状況にこれあり、大蔵省としては、NTT株は前回の売り出し価格を割っている状況でも三回目の売却をするという方針ですか、それとも状況をよく眺めて、二度目より価格がちょっと頭を出さなければ、三回目の売却は難しいなという状況判断をしているのでしょうか。それは理財局長、どうなのですか。
  196. 足立和基

    ○足立政府委員 六十三年度予算におきましては、NTTの売却価格を予算編成時の一月前の平均価格二百四十七万円ということを基礎にいたしまして、安全率を八〇%掛けまして、百九十五万株処分ということで予算計上をいたしておるわけでございまして、具体的に六十三年度いつ売却するかということについては、まだ現在具体的な考えを持っておるわけではございません。したがいまして、第三次売却につきましてのNTTの価格というものは、私どもが何か予見を持って考えているわけではなく、その売却時における市場の価格に従う。したがいまして、その二百五十五万円を基準にしてどうこうという考え方は、現在持っておらないわけでございます。もとより、NTTの売却につきまして中央審の答申をいただいてございまして、それは証券・金融市場の動向に十分配慮して時期とか規模の決定を行う必要があるということでございますので、そういった一般的な金融市場、証券市場の動向というものは当然考慮に入れて、具体的な実施時期あるいは規模を考えていかなければいかぬということはおっしゃるとおりでございます。
  197. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 予算の予想価格では、一株二百四十九万、百九十万株、これは幾らになるのですか、一応予算の見込みでは。
  198. 足立和基

    ○足立政府委員 当初予算におきましては、百九十五万株の二百四十七万円掛ける八〇%で、三兆八千五百三十二億円予定いたしてございます。
  199. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大臣、今の数字が明らかになったことをお聞きいただいて、二百五十六兆円、金利だけでもこれは大変ですね。地方自治体の方のさっきの総合計、借金の金利、年間、国の方のさっきのあの数字の総利子、幾らぐらいになりますか。地方自治団体から先に聞きますか。
  200. 遠藤安彦

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  地方債の元利償還でございますが、地方財政計画で計上いたしております部分が約六兆一千億ほどでございます。とれは元金も含んでおりますので、ちょっと利子分だけ別記できませんが、両方含めて六十三年度では六兆一千億を返さなければいけない、こういうことになっております。それから、交付税特別会計の借入金の利子の支払いが二千七百八十億でございまして、これは本年度の国税三税の三二%から差し引いてお支払いする、こういう形になっております。
  201. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 国債の利子等が、先ほど申しましたように十兆円でございます。そのほか特別会計の借入金、これは国民負担になるかどうかは別でございますが、借入金の利子が一兆五千ということでございますので、十一兆五千、それに先ほどの清算事業団の分を仮に含めますと、あれが一兆一千でございますから、それまで入れるといたしますと十二兆六千くらいになろうかと思います。
  202. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 毎年十一兆、さらに地方自治団体の借金の利息、これは大変な事態ですね。地方自治団体が六兆一千億円、金利だけで全部で約十八兆、これはなかなか大変な国民の負担であります。――それは地万自治団体のほんのわずかなんだ、元金が入っているのは。ほとんど利息なんだよ。一応、資料は全部ここにあるんだけれども、なるべく向こうにしゃべらせて議事録に、そうしないと議事録を読んでおもしろくないのですよ。素人が読んでわからないのですよ、こっちがみんなしゃべったのでは。なるべく議事録に一回借金総ざらえというので、きちっと記録をしておきたいのですよ。  それで、今の二百五十六兆、日本全部の地方自治体と国の借金、これはアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、主な先進国と比較して過大なのか適正規模なのか。この程度は日本の経済のキャパシティーからいって当然なんだと考えるのか、その辺ひとつ大臣の見解どうでしょうか。――まだ待てよ、ちょっと大臣がどの程度常識的に知識があるかを聞いているのだから。大臣が、それは参った、君やれ、こう言ったらしゃべればいいんだよ、君に聞くときは君にちゃんと指示するから。
  203. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず、GNPのおのおのの比率で申せば、我が国の場合にはちょうどGNPの半分くらい、四十何%から五〇%くらいのところかと思いますが、アメリカでは四割ちょっと切っておるそうであります。イギリスは我が国とほぼ同じくらい、西ドイツが二〇%、フランスが一一%でございましょうか、GNPからいいますとそういうふうなそうでございますので、我が国の場合、GNP比率は確かに先進国の中では一番高い方に属するかと存じます。
  204. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 理財局長、理財局じゃないのか、やはり主計局かな。アメリカがGNPの四〇%という場合と日本の五〇%という場合、アメリカの資源力や領土の広さ、日本の二十五倍もある、そういうのを勘案すると、アメリカの財政赤字国債累積残高というものは日本と比較した場合は、アメリカの方が軽いと見ていいのか、日本の方はちょっと重いなという判断になるのか、その辺はどうでしょうか。
  205. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 大変難しい御質問でございます。確かに資源とかそういうものを見ますと、アメリカの方に力があるというぐあいにも見れましょうし、今後の経済の成長率というようなフローベースで申しますと、我が国にもかなりの余力があるということなものですから、GNP比率というものの率を素直にとってそれを見ても、日本の方がアメリカよりかなり高いという事実を厳粛に受けとめるべきじゃないかなというぐあいに、私ども考えておるわけでございます。
  206. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この借金二百五十六兆、人口一人頭に計算したら、日本の国民一人の借金額、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツと比較したらどうなのでしょう、人口比で見た場合。
  207. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 比較のために本年一月の為替レートで円換算をしたのですが、人口一人当たりを見ますと、日本が約百二十七万円、アメリカが七十九万円、イギリスが六十八万円、フランスが十九万円、西ドイツが五十万円ということになっております。
  208. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 人口一人頭にすると、日本の借金が一番大きいですな。これは地方分も入って二百五十六兆円の計算ですね。
  209. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 諸外国との比較という意味で、先ほど来申し上げておりますのは長期の国の政府債務残高でございます。二百五十六兆円べースで申しますと、今の百二十七万円の数字が二百十一万円ということになります。
  210. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 大変な赤字ですね。自民党政府は、これを何とか処理しようという考えは持っているのでしょうね。  そこで、赤字公債をあと二年後にゼロにはできる、この見通しは立ちましたね。これはまた株の大暴落でもあって、経済が沈滞をし大混乱が起これば別ですが、今のような経済状態が二年続くという前提に立てば、赤字公債発行ゼロは六十五年度確実にできるなという見通しを私は持っておりますが、いかがですか。
  211. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国内の経済運営のよろしきを得て、願わくは国際的に予測しないような出来事が起こりませんようにと希望しつつ、何とかこれは達成をいたしたいと考えております。
  212. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 赤字公債発行は二年後に一応ゼロにできる、もう特例法などというのは毎年国会に出さなくてもいい。六法全書を見ると、毎年決めた特例法がずっと年次別にくっついているのですから、特例じゃないですよね。ずっと続いているのだから、通常化してしまっている。これがどうやら原則に戻れそうだ。  そこで、戻った後の問題、今度は何を手がけるか、どの借金から減らしていくのか。建設国債を減らしていく方を優先するのか、それとも先ほど次長がお答えになった政府が後年度への負担の繰り延べをしている分から先に手をつけるのが賢明なのか、それとも建設国債をその後五年か七年間でゼロにしようという方向に行った方が賢明なのか。どの借金から先に減らしていくかという計画は、一体大蔵省はどんなぐあいに今検討しておるのかね。
  213. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 実は「財政中期展望」でもお示ししましたように六十五年脱却そのものが大変なことでございまして、今後二年間懸命に歳出カットしていかなければならぬということでございまして、私どもは当面まず六十五年の脱却のために全力を挙げたいということでございます。その後の六十六年度以降につきましては、一つは建設公債は公共事業費を対象とするものである、片や今申しました繰り延べ措置の解消というものは、いわば赤字公債、今特例公債として御審議いただいている公債の発行対象の経費であるということでございますので、そこらについてまだ確たる青写真を持っていないというのが現状でございます。
  214. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これは大蔵大臣に注文申し上げたいのでありますが、二年後に赤字公債ゼロにできた、その次に何から手がけるかということをできるだけ早くとにかく省内で意思統一をしていただいて当大蔵委員会に報告できるように約束をしていただきたいのですが、いかがですか。
  215. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは大変大事な問題であると思っております。六十五年度脱却可能性が大分高くなってまいりましたについて、現実の事態としてその後をどうするかということは、確かに考えなければなりませんし、また場合によりましては審議会等の御意見も聞く必要があるかもしれないと思っておりまして、それらの運びにつきましてある段階から省内で検討しなければならないと考えております。
  216. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 理財局長、国債が百五十兆も出て商品化されて市場に流通しておる。こういう商品化されている現状を見ると、学者によっては、日本の個人貯金は五百七十兆も持っておるのだし、金はだぶついているのだし、国が借りてくれなかったら使い道がない、国債なんか心配することないぞと言う学者もおりますね。しかし、国の健全財政という手法がもし正しいとするなら、こんなに市場に出すのは好ましくないという議論もできると思うのですが、大蔵省はどの程度の証券の流通規模が適切だと考えているのですか。
  217. 足立和基

    ○足立政府委員 今武藤先生言われましたように、現在大変に大きな個人の金融資産の増が毎年毎年ございまして、一番最近の六十一年度で申しますと、一年間で約四十七兆円個人の金融資産が増加してございます。そういうことを反映いたしまして国債の売買は公社債市場において非常に大きなウエートを占めてございまして、短期の国債まで含めますと公社債市場の約九割強を占めておる。長期、中期の国債だけを見ましても、最近毎月二百兆円を超えるような売買がなされておるわけでございます。  そういう国債の消化という観点から考えますと、現在このような非常に好調な金融資産の増に支えられまして順調な消化がなされてございますので、そういう観点から眺めて国債はそれほど心配することはないという考え方をとる方もおられるわけでございますが、私どもは、そういう国債の消化という観点からでなく、国の借金でございますから、新規国債の発行ということは国の財政状況をできるだけ健全化するという観点でできるだけ最小限に抑えるべきである。そういう意味からいたしますと、国債の流通市場において一体どのくらいか適正かということはにわかには申し上げられない。できるだけ抑えるという方向で対処すべきでないかと考えております。
  218. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 その点では理財局長の見解と私一致いたします。  そこで宮澤さん、健全財政というのは一体どういう財政を構想したらいいのか。財政再建という言葉がはやってしまって健全財政という言葉はなくなってしまったような格好ですが、大臣の認識している健全財政というのは、どういう姿が健全財政だと御認識ですか。
  219. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昔は入るをはかって出るを制すということを申しました。それは古い言葉でありますけれども、今入るというのは多分借金ということではなく税収を中心に言っておることだと思いますので、そういうことが基本の考え方であろうというふうに思っております。
  220. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それじゃ大臣答弁にならないじゃないですか。出るをはかって入るを制すというのは、僕ら学生時代に教わった財政学の基本理論。入るをはかるのは家計ですね。家計の方が入るをはかって出るを制するじゃないですか、収入がこれしかないと限定されて。財政は、歳出をできるだけ削って削って少なくして、国民から取る税金は少なくしようという発想なんでしょう。ところが、最近になると出るをはかって入るを制するということがほとんど行われなくなってしまって、どんどん借金借金でやってしまったわけですね。本当は税できちっと均衡をとるべきなんでしょうね。  財政法第二条四項、「歳入とは、一会計年度における一切の収入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。」この場合に、借金を余り予定しないで、こういう財政法の規定があって、単年度主義、一年間の収入は一年間の支出、一年間の支出は一年間の健全な税で賄うというのが健全財政の本則なんでしょうね。原則なんでしょうね。ただし、例外として建設国債とか公債、借金をしてもいいという規定もありますから、どうしても足りぬときは仕方ないにしても、健全財政の精神は、やはり単年度主義で常に均衡を保つ、しかも借金で保つのじゃなくて税で国民にきちっと負担をしてもらうというのが健全財政なんだと私は思うのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  221. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私がさっき「入る」と申し上げました意味は、借金でなくて租税でということであろうかと思いましたので、基本的に武藤委員の言われますことと私も同じように思っています。
  222. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そこで、六十五年度赤字公債がゼロにできたと仮定をして、六十六年度から健全財政を目指してあるいは均衡財政を目指してやっていく場合に、この借金をどうやって年次的な計画で減らしていくか、これがこれからは大問題になってくるわけですね。特例公債でない方の話題が今度はまた大問題になってくる。  仮に赤字公債がゼロになった段階の、地方債はちょっと除いて、国債だけを計算してみると、少しずつは減りますが、百五十九兆プラスあと二年間の赤字公債がまだふえます。一兆二、三千億ずつまだ二年間はある。さらに、建設国債が五兆幾らですか、これがまたオンされますね。建設国債をいつまでオンしていくかによってまた計算が違ってくるわけでありますが、私の仮定は、昭和六十六年から五年間で建設国債をゼロにする。六十六年度以降年一兆ずつ減らしていく。したがって、今からだと七年後にゼロにした場合を前提にして計算をすると、まず元が百七十兆ちょっと超えるぐらいなところになるのかな。  それを今の法律は六十年間で返す。六十年間できれいにする。今の定率繰り入れの法律からいっても、六十年間で返すと計算をすると、一年幾ら返すことになるのか、そういう計算をちょっと答えてみてくれますか。どのくらい返せば六十年間できれいになるか。
  223. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 お示しの前提でいきますと、七十年度でございますか、たしか百七十兆程度になります。これを六十年間で返していくということになりますと、毎年約二兆八千億ずつ返していけば六十年で返せるということになろうかと思います。
  224. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 さらに、これは元金だけの話で、今度は利息がどのくらいになるか。百七十兆の元金利息を六十年間、年々減額されていきますけれども、逓減しますが、この利息がどのくらいになると思いますか。
  225. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 利払い費というのは、実は金利をどう見るかということで大きく左右されておりますけれども、先ほど理財局長が御答弁になりましたように、仮に六・五%程度ということで計算をいたします。百七十兆円の残高を六十年で均等に償還する、毎年二兆八千穂ずつ残高を減らすということで計算をしますと、当初十年間の利払いの合計額が約百兆という数字になります。
  226. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 十年間で百兆利息を払わなければならない。大変な金額ですね。もう国民にはぶっ倒れちゃうほどの大きな金額で、利息だけでいかに財政を圧迫をし健全財政を乱しているかということがありありとわかるのですね。  ですから、こういうことを本気で解決をしようとした場合に、何をしなければならぬか。もちろん歳出のカットは徹底してやらなければいけません。出る方は徹底的にチェックして節約をしなければいけませんが、これも限度があります。丸裸にしてしまうわけにはいかないのですから、今までも随分補助金や何かぶった切ってやったようでありますが、菜種の油と手ぬぐいは絞れば絞るほど水が出るなどというほどもうそんなに絞れないような状況になっているような気がするのです。もうほんのわずかしかできないだろう。公務員の数などを見たって、日本は先進国と比較したら人口比からいっても少ない国ですから、そういうのを見ると、行政改革でぎゅうぎゅう締める締めるといったって私は限界が近づいているなという感じがするのです。  そういうことを本気でこれから考えていくと、大蔵省の書いたこれを見ると、そういう財政の逼迫状況とか借金がこれだけありますよということを一行も書いてない。一言も書いてない。これは自民党政府のやることだから、我々が批判をするだけで、おまえら政権をとってないで何を言うかと言われればそれまででありますが、しかしこういう中にそういう実態が一行も書いてないというのは一体どういう認識なのか。  そこで、大蔵大臣お尋ねしますが、今新間接税、新消費税というようなものをやろうと政府考えているのですね。その場合に、この消費税は減税財源だけの金額考えているのか、減税額よりも上回る金額を新間接税でいただこうとしているのか、そこはどうなんでしょうか。
  227. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御引用になりましたその「いっしょに考えませんか。これからの税。」の中で財政のことを余り述べておりませんのは、理由がございまして、このたび政府が税の抜本改正を考えておりますのは、それによって財政収入を余計にしようということが主たる考え方ではない。むしろ歳入としては減税増税ニュートラルであって差し支えないという考えに基づいておりまして、税そのものは、これはくどくなりますので簡単に申し上げますが、直間比率であるとか、直接税が非常に重いとか、間接税がもう個別間接税では無理になってきた、かたがた高齢化社会になりますといったようなことが基本の発想でございますので、これで財源を調達するのだということを主として考えておりません。したがいまして、そのことをここの中で申し述べますと、国民がごらんになって何か増税のための税制改正かと思われる、誤解をされてもいけないということで、そういうことについて実は述べておりません。  ただしかし、武藤委員の言われるように、仮に今百七十兆でピークアウトいたしましても、事態は大変な事態でございますから、それは別途やはり国民にいろいろな方法でわかっていただきたい、これは別途やはり政府としてはお知らせするべきことであろうというふうに考えておるには相違ございません。
  228. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうなると、その別途というところが今度また問題になるのです。そうすると、衣の下にちらついているのです。要するに、今回は減税のために広く薄く税率はほんのわずかでいただきますよ。しかし、先ほどから私がずっと質問した答えの中に出てきたように、財政はこんな状態でとても健全化になりません、もう基本法はできたのですから、今度は税率を上げますよ、税率を上げてこの財政困難を埋めていきますよということにどうもつながりそうだ。絶対つながらぬとここで約束できますか。
  229. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう意味で私は別途と申し上げたのではございませんので、財政の現状というものは国民に知っておいていただきたいということなのでございますが、私思いますのに、先ほど百七十兆なら百七十兆でそれ以上はふえない、ピークアウトするという事態に対して、私どもはやはり経済運営を順調にやっていきますと毎年何がしかの成長があるわけでございます。そういたしますと、増税という意味でなくて自然増収というものは自然考えられますし、それからGNPも大きくなってまいりますので、その段階で百七十兆も相対的にはしたがって小さくなっていく。毎年十兆円の利払いがあるとおっしゃいましてそのとおりだと思いますけれども、その十兆円の利払いというのは、確かに今の一般会計で二割でございますから非常に大きな負担、それも一般会計が自然な成長をしていくことによってその十兆円というものの負担が相対的には軽くなっていく。通貨価値が安くなることは絶対にいけないと思いますのでそういう形でなく、日本経済が自然に大きくなっていく中でもし累増ということがとまりさえすればこれは解決の方法がある、こういうふうに私は申し上げたいので、そのために増税をするというようなことを申したのではございません。
  230. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いやそうは申してないのでしょう。申していると言っていないのです。ただ、その発言は、衣の下にちらついていると言うのです。  しかし、今大蔵大臣がおっしゃるように、経済がどんどん成長して税収がどんどんふえてこの財政問題自体が解消できるためには、私の計算では年率七%以上の実質成長がなかったらできないのです。これはインフレーションです。結局、今の宮澤論は、論争すると、インフレを期待して税収がふえるという結論にいかざるを得ない。きょうはもうちょうど一時間でできませんけれども、第一IMFの経済成長率の見通しから言ったって日本は八九年は三・八%、米国二・七、西ドイツ一・七、フランス一・七という経済成長見通しなんですね。世界で日本が一番高くても三・八なんです。三・八の経済成長程度では、とてもこの財政自体が健全財政になる方向に税収がふえるなどという数字にならない。また、それ以上成長、内需拡大を無理やり人為的にやったらインフレーションですよ。もうマネーサプライが前年比一一・二も伸びているときに、今の大臣答弁はいただけない。しかし、きょうはもう時間がないからこれで終わりますけれども、そういうインフレ期待的な経済成長率による増収策というのは、私は財政学上からも許すべきでないと思います。認識だけ申し上げて、ちょうど私の割り当て時間が終わりました。  手を挙げているけれども、あなたの答弁は聞こうとしていない。もうよろしいです。
  231. 越智通雄

    越智委員長 次に、矢島恒夫君。
  232. 矢島恒夫

    矢島委員 まず、財政再建の問題でお尋ねいたします。
  233. 越智通雄

    越智委員長 御静粛に願います。
  234. 矢島恒夫

    矢島委員 既に各委員からいろいろと財政再建問題等については質問がなされているわけですけれども、主要先進国の財政再建目標の到達状況ということでお聞きしたいのです。  アメリカは財政収支均衡法によりまして一九九三年公債依存を脱却という目標を掲げました。西ドイツでも目標が強化されていると聞いておりますが、これらの目標に対して現在どういう状況にあるかという点をお伺いしたい。
  235. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 主要諸国について申し上げますと、それぞれ、五十年代の半ば以降、財政赤字の削減、公共支出の抑制といった共通の目標に向けて取り組んでおるわけでございます。  アメリカにつきましては、ただいま御指摘がありましたように、いわゆる新しいグラム・ラドマン法の目指す九三年度財政赤字解消ということで努力が行われておりまして、現在審議中でございますけれども、八九年度予算案でも、財政赤字をこの法律目標としております千三百六十億ドル以内におさめるということで今議会で審議が行われているというぐあいに伺っております。  西ドイツにつきましては、歳出抑制の目標を中期的に二・五%以下に抑えるということで緊縮財政のスタンスを堅持しておりまして、先ほど来答弁しておりますようにかなり健全財政の姿になっておるわけでございます。  イギリスにつきましては、公共支出の抑制を図るということが基本でございますが、PSBRといいまして国と地方、公的企業の借入所要額の圧縮を図るという財政目標のもとに、八七年度は非常に経済がよかったということもございまして、PSBRが黒字約三十億ポンドになったということが新聞には出ておりましたけれども、非常に健全化が進んでいるということでございます。  フランスにつきましては、八九年度までに公債費を除く財政赤字を解消するという目標のもとで歳出削減等が着実に進められておりまして、公債依存度は八六年度一三・六%が八八年度には一〇・五%に下がっているということでそういう目標が達成可能な見込みということで、各国とも健全財政への道を着実に歩んでいるというのが現状でございます。
  236. 矢島恒夫

    矢島委員 それぞれ努力している状況がありますけれども、いずれにいたしましても、アメリカにしても西ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、こういう国々を見ましても、一九七五年以降累積債務額というのは急増しているわけです。アメリカはこの間約四倍以上になりましたか、一万八千百三十三億ドルという額にも達している。フランスはこの間に九倍になりました。一万二百七十億フランという状況にある。なぜそういうような状況になったかと言えば、いろいろな要因はあるとしても、共通して言える部分が、一つは軍事費の増加、それから赤字国債という名の借金が借金を生んで、つまりそれ自体が膨張していくわけですから、財政赤字そのものがこの原因であると言えるのではないかと思うわけです。  各国の軍事費といわゆる公債費の合計額が歳出にどれくらいの比率を持っているかというのをちょっと調べてみたのですが、アメリカが公債と軍事費合わせたのが歳出の四一・三%、それから西ドイツ三一%、イギリスが二六%、こういうような額になっているわけです。我が国の状況を同じような比較から調べてみますと、国債残高でいきますと現在百五十九兆円ですか、約七倍に膨れている。それから、軍事費プラス公債費の歳出に占める比率というのを見ますと二六・七%、七年前と比べてみますと一一ポイント増となっている。私が言いたいのは、とても平時の財政運営とは言えない。まさに準戦時財政というような状況にあるのではないか。この点、大臣、いかがでしょうか。
  237. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 諸外国の公債費と軍事費を調べた資料、手元に持ち合わせておりませんが、我が国について申し上げますと、公債費は確かに歳出の二割を超えておるという状態で、歳出の足を引っ張っておるわけでございますが、防衛関係費は六十三年度で三兆七千億ということでございまして、一般会計の総額五十六兆六千億という規模から比べるとウエートは非常に低い。したがって、私ども財政がいわば軍事費を抱えたインフレ、今何とおっしゃったかちょっとあれでございますが、そういう意味で軍事費に押しつぶされている予算というぐあいには全く考えておりません。
  238. 矢島恒夫

    矢島委員 各国のいろいろな状況の中で、軍事費の増加、それから財政赤字そのものが今日のような累積債務額を急増させているという点を調べるために、そのようにどのくらいの割合を持っているかを調べてみたわけです。  そういう中で、日本の現状につきまして、六十五年目標に対しましてはそれぞれお答えがございました。同時に、この目標を達成した時点においても極めて厳しい状況にあるというのが先ほどの御答弁にもございました。私自身も、この状況というのが、税の増収あるいはNTT株の売却益、力強い二人の助っ人という表現もございましたけれども、そういう状況にある中で目標達成可能という状況が生まれてきたと思うわけです。しかし、残念ながら、この税の増収だとかNTT株の売却益というのは言うなればあぶく銭のようなものであって、これに依存している実態というのは極めて脆弱なものだと言わざるを得ません。  例えば、NTTの株売却は、六十五年度分売却で大体底がつきます。それから、その他地方自治体や特別会計に繰り延べた金額、先ほど来お話があるとおり、大変な額になってきている。ですから、六十五年度末におきましても、例えば赤字国債発行はゼロという目標を達成したとしても、百六十八兆円残高がある。いただきました資料によりますと、七十六年には二百兆円を超える、こう計算されているわけです。こういう厳しい情勢がさらに続く中におきましては、六十五年以降の一つ目標というのが非常に重要になってくるし、その内容というのが重要になってくる。これも先ほど御答弁があったわけですけれども、どういう内容でどういう目標を掲げていくか、その後のことについてはこれからだ、こういうお話でございました。私、やはりこういう問題についてはできるだけ早く取り組む必要がある、先のことといってももう二年後には六十五年になるわけですから、少なくとも今年度じゅうにはそういうことに対する検討を始めなければならないんじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  239. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、省内あるいは審議会等も必要があれば御意見も伺いながら考えなければならない時期がだんだん近づいておると思っております。
  240. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、助っ人の一人であるところのNTT株売却益の問題をちょっとお聞きしたいのですが、昭和六十年国債整理基金特会法の改正によりまして、これを国の負債である国債償還財源に充てることを決めたわけです。ところが、昨年百九国会で、これを放棄しまして、民活事業などに無利子融資するということを決めました。大企業奉仕の財源づくりだということで我々は反対したわけです。こういうやり方というのは財政再建をおくらせるものだという点を指摘しながら、容認できない、そういう態度をとったわけですけれども、六十二年補正で、民活分として五百八十億、それから地方自治体分といたしまして四千億、無利子融資ということで補正予算が組まれたわけですけれども、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプと三つのタイプがございますが、その利用状況についてお答えいただきたい。
  241. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 いわゆるNTT、A型事業及びB型事業というのは、いずれにせよ通常の公共事業について導入したわけでございまして、事業主体が極めて多数に上っておりますので、まだ決算が確定しておりません。したがって集計はできておりません。  ただ、一般的に申し上げますと、先日御答弁申し上げたことでございますけれども、NTTのA型事業、これは実験的な段階であるということもありまして、補正計上が八十三億円にとどまっているわけでございますが、これにつきましては、新たなタイプの公共事業だということで、適当な事業箇所の選定とか、償還を確実にしなければなりませんのでいわばそういう償還可能性とか、地方公共団体との調整等がいろいろございまして、対象事業の選定はおおむね終わっているわけでございますけれども、支出が翌年度にずれ込むというケースはあろうかと思います。  いわゆるB型事業につきましては、三千九百十七億円計上したわけでございますが、この事業は通常の公共事業と同じということでございまして、これについては通常の公共事業と同じ程度の消化はできるだろうというぐあいに考えております。  それからCタイプは、全く新しい民活事業について仕組んだものでございますけれども、これは非常に制度としては意義がございまして、いろいろ活発なプロジェクト計画がなされているわけでございますけれども、何しろ新しい制度である、それから第三セクターをつくるのに時間がかかるというようなことがございまして、まだいわゆる実質の出た金は約五十億でございます。したがって残額は繰り越すわけでございますけれども、これは地方の活性化に非常に資する有意義な制度であったというぐあいに私ども考えておるわけでございます。
  242. 矢島恒夫

    矢島委員 Cタイプの民活タイプ、実際には五十億ですか、五百三十億使い残しがある。なぜそうなったかということについては、どうもはっきりしない面があるのですが、さらにこのCタイプですけれども、今年度は新たに一千億円ということで、使い残しと合わせますと一千五百億円以上、例えば船舶整備公団法の一部を改正するということで、この無利子融資をやっていこうという法案が出されました。これまでこういう船舶整備公団というようなところが、いわゆる中小零細海運事業者が船舶を建造したり改造する、こういう際に適用されていたところの共有船方式、これを新たに大手海運業者あるいは海運事業とは関係のない不動産業にまで道を開こうというようなものでありますし、また森林開発公団法の一部も改正されて、これも同様無利子融資の可能な形をつくった、これで千五百億円、これらの見通しはいかがですか。
  243. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 六十二年度中の五百八十億につきましては、制度発足が非常に急であったということで時間がたってない、それから制度の内容の周知のためにまず時間がかかる、それから第三セクターとして事業主体をつくっていただくということで時間がかかるということで、確かに少なかったわけでございます。そのほか、これはそれぞれ民活法とかリゾート法によって特定施設の認定とかあるいは地域の認定といった法定手続が要るものですから非常に時間を要するということで目標に達しなかったわけでございますけれども、六十三年度につきましては、今開銀等で実際に審査に入っておりまして、そういうプロジェクトがいよいよ具体化していくというめどがつきつつあるということ、それから、今御指摘がありましたように、いろいろな意味で貸し付け事業を、対象事業を拡充したということがございまして、私どもとしては六十三年度以降円滑な貸し付けが行われるというぐあいに考えておるわけでございます。
  244. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほど来論議されておりますように、引き続き厳しい財政状況の中で、六十年のときに決定したいわゆるNTT株の売却益の赤字国債償還、こういうことが極めて重要なことだということを申し上げておいて、次に、国民負担率の問題であります。  これも先ほど御質問がありましたが、大蔵省が提出した資料で、国民負担率は脱負担と社会保障負担合わせまして三六・六%。同時に、その見通しというところの文章ですが、「国民負担率の水準の長期的な方向については、今後、高齢化社会への移行、国際的責任の増大等により、ある程度上昇するものと考えられるが、その上昇は極力抑制するよう努める。」こうなっております。昨年は「ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめる」とありまして、昨年の資料と表現が違っている。つまり、上限の部分について、昨年は言及していたわけですけれども、ことしはこの表現ですとかなり後退している。つまり、やがては欧州並みの五〇%を考えているというような表現に受け取れるのですが、そういうことですか。
  245. 水野勝

    ○水野政府委員 御指摘のように、去年のものとことしのものにつきましては若干そこに表現の違いはございますが、そこにつきましては特段の考え方の変化があるわけではございませんで、今後におきましても負担の上昇は極力抑制をしてまいることは基本的には同じでございまして、二つの考え方、御指摘の並べて申されたそれにつきましては、同じ考え方であると申し上げてよろしいかと思います。
  246. 矢島恒夫

    矢島委員 これは朝日新聞ですけれども、  「ある程度上昇」の度合いについて「基本的考え方」は試算していないが、やがて西欧並みの五〇%に近づくことになる。というのは脱負担率は十年前の五十三年度に比べ四・九ポイント上昇し、今後も似たようなベースで上昇すると見られるからだ。また社会保障負担の割合もこの十年間で二・六ポイント高まり、厚生省の推計では昭和八十五年度国民所得の一五・五―一七・五%にのぼると見られる。 この問題については先ほどもるる議論されたところでございますけれども、この新聞の内容についてはどういうふうにお考えですか。
  247. 水野勝

    ○水野政府委員 私ども、その新聞で特段のことは申し上げたことはございません。  現在が二五・五、これは確かに昭和五十年代に入りまして、特例公債の発行下におきまして、本格的な税制改正と申しますか、減税と申しますか、そういったことはその前の三十年代、四十年代に比べると少なかったわけでございます。やはり三十年代、四十年代、かなりな高度成長のもとで自然増収が割合多く生ずる、これを減税に向けてきたというのが三十年代、四十年代でございますが、特例公債発行下におきましてはそうしたことはほとんど行われていない、これがそうした負担率の変化にあらわれてきておることではないかと思うわけでございます。しかも、それが給与所得者の負担に偏ってくる傾向がある、それが一つの今回の税制改革の問題意識でございます。しかし、今回の税制改革がこれをさらに引き上げていこうというようなことを目指しているものではない、これは先般の税制調査会の素案でも申し述べられているところでございます。
  248. 矢島恒夫

    矢島委員 政管健保もまたまた引き続いて六百五十億円削減、十割給付を九割給付にして黒字だということですけれども、十割給付に戻したところでその財政影響というのはさほど大きな額ではないと私思うのですが、こういう福祉を、いわゆる先進国病などと呼んで自助自立の日本型福祉論、低福祉高負担、臨調路線の日本型福祉というような言葉もありますけれども、こういう状況は変えなければならないと思うのです。  同時に、今ちょっとお話がありましたように、サラリーマン層への負担の増加、あるいはこれは税金、所得税問題でもこのことがちょくちょく言われている。増税なしの財政再建というのがあったわけですが、昨年売上税導入ということでこれは失敗した。今後の財政状況から見まして、いわゆる社会福祉にかかるいろいろな費用、もちろん高齢化社会の問題、それから現状における財政危機的な状況、こういうことからどうもいわゆる新型間接税という論議がいろいろとされているわけです。  それで、抜本的税制改革ということについてお聞きしたいわけなんですけれども、まずその前に私ちょっとお伺いしておきたいのは、四月十二日の合意事項、自社公民四党で我が党を除いて協議して行ったわけですが、マスコミの報道等を見ましても大変わかりにくい状況があるわけです。そこで、大臣はどう受け取られているかということをお伺いしたいのです。というのは、減税が決まればそれを執行する責任があるのは大臣でございますし、そういう意味でお聞きするわけですけれども、第一の問題は、社会、公明、民社三党が、二兆九千四百億円でしたか、六十三年度減税を要求していたわけですが、この減税をやらなければならない、こういうふうに受けとめられているのか、それとも、その後の推移につきましては密室で行われておりますので十分にはわかりませんけれども、この要求を下げたというようなことも言われております。一兆五千億円程度の減税というようなふうに聞いておりますが、そう受けとめられているのか、どちらなのか。  第二点は、実施時期の問題ですけれども、六十三年度に実施する考えであるのか。つまりは減税を先行される、そうすると今会期に処理するおつもりなのか、それとも抜本的改正のとき、つまりいわゆる新型間接税の導入、これを決めた上でのことなのかどうかということ。  第三点といたしましては、その財源については新型間接税も含めてお考えになっているのか、この三つの点についてひとつ明確に御答弁いただきたいと思います。
  249. 水野勝

    ○水野政府委員 六十三年度予算の審議に関連いたしまして、与野党でいろいろ御協議がなされ、何回か国対委員長会談なり政策担当者なりで協議及び合意がなされているということは、私どもその都度承知をいたしておるところでございます。  ただ、これは、先ほどの四月十二日の合意と言われるものにおきましても、この野党三会派の要求する規模の所得税等はこれを実施するとございますが、それのまた財源、規模等については引き続き協議がなされるというふうにお聞きしているわけでございますので、私どもとしては、政府としては、与党、野党が協議される、協議が調えばそれが政府の方におりてまいろうかと思うわけでございまして、専らその御協議の様子を注視しておるところでございます。  第二点につきましては、実施時期、これも結局はその協議の中で恐らくそうしたものが具体的に調えば出てくるものであろうかと思われますので、これがどういう時期、どういう年度に関連するものであるか、そこら辺につきましても、御協議の結果によりまして、私どもそれをいただいて処理をするということになろうかと思うわけでございます。  その点は第三点の御指摘の事項につきましても同じでございまして、減税の規模とともにその財源も御協議がなされるというふうにお聞きしているところでございます。
  250. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれも協議されているのでということでお答えいただけないわけですけれども、いずれにしろ、政党間の協議であっても、減税問題となりますと大蔵大臣考えを無視して決められないと思いますし、また仮に無視したとしても、大蔵大臣は執行の責任があるから関係なしでは済まされないわけですね。  けさの新聞報道でございますが、総理は十八日の内閣記者との懇談で、六十三年度減税と税制の抜本改革を切り離すことは困難、こういうことを言っていらっしゃるのですが、大臣、このことはお聞きになっていますか。
  251. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは報道でけさ読みましたのですが、直接には総理大臣からお話を伺っておりません。
  252. 矢島恒夫

    矢島委員 基本的には大臣もこの総理大臣と同じ考え方だ、このように理解してよろしいですか。     〔委員長退席、中川(昭)委員長代理着席〕
  253. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこは先ほど政府委員も申し上げましたことでございますが、四月十二日にあのような与野党国対委員長会談合意というものがございまして、これで今後与野党間で御協議があるというふうに私どもは了解をしておりますので、御協議に先立ちましてあれこれ申し上げることはいかがなものかなというのが私の気持ちでございます。
  254. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにしろはっきりしないわけです。まあ御協議中ということになるわけですけれども、こういうわかりにくさというのが国会の正規の機関外で行われておるということ、あるいはまた、新聞にも報道されましたが、玉虫色の合意ということで文書が出されましたが、当事者しかわからない、こういうようなことが国民の政治不信を助長するものであるということはマスコミも批判しているところです。いずれにしろこういう密室協議は議会制民主主義とのかかわりからいっても重大な問題があるわけですから、国会を形骸化するというような事態のないよう直ちにやめるべきだということを申し上げておいて、政府税調の素案による減税試案というものが発表されました。減税なら何でもよいというわけにいかないわけで、どの層にどういう減税が行われるかが問題だと思うのです。総理も大蔵大臣も、サラリーマン、特に中堅サラリーマンに不公平感がある、そこを中心に減税するように言っておられるわけですが、この新型間接税の増税分差し引きで中堅サラリーマンに対する減税を行う、こういうことになるわけですか。
  255. 水野勝

    ○水野政府委員 先般まとめられました素案におきましては、個人所得税の軽減、相続税の軽減、合理化、それから望ましい消費税制度の確立、国際的視点に立った法人税制の確立、こうした主な点が取り上げられておるわけでございます。  その所得税の負担軽減におきましては、サラリーマン世帯の負担の増加状況に配意し、その重税感、不公平感に対処するという観点から、「昨年の減税に引き続き税負担の一層の軽減・合理化を進める。」とあるわけでございまして、具体的には、税率につきましてこういう改正案が一例として考えられるというようなことを挙げておられます。それから、人的控除の点では、これは先般の抜本改革案にはなかった点でございますが、中低所得者層の所得税の負担の軽減を図るといった見地から控除についても見直しを行うとございますが、これはどのような形でどのような規模で控除の引き上げを行うかという点までは素案としては述べておられません。したがいまして、中低所得者層の負担の軽減とはございますが、どの階層にどの程度の具体的な金額をもって減税になるかというところは、まだこの素案の段階でははっきりしておらないところでございます。
  256. 矢島恒夫

    矢島委員 新型間接税導入によるところの増税分、それからこの素案に出されているところの内容が極めて明確でない部分がございますけれども、減税分、これを各分位別に計算して、いろいろ仮定を設けなければなりませんけれども、その結果を全国税の労働組合が発表したのですね。資料としてお渡しすればいいのですが、時間がございませんでしたので、ちょっと説明いたしますと、こういうような試算内容になっているんです。  それぞれ仮定を置かなければなりませんので、その仮定の部分もあわせて御紹介しておきますと、年間収入十分位階級別によるところの政府税調素案の増税と減税の比較ということで、所得税は人的控除を七万円アップして四十万円として標準世帯で四人家族として百六十万円、それから住民税も人的控除を五万円アップして計算する。実際素案よりも減税を少し厚くしているのではないかと思いますけれども、一方、間接税の方につきましては税率は五%として計算してみました。これも保険、医療費とか教育費とかあるいは酒類、たばこ、こういうのは対象から外して、食料品につきましても二分の一課税としている。これで計算してみますと、夫婦と子供二人の標準世帯で年収が第八分位七百万を超す部分まではいずれも増税になってきている。第九分位八百三十三万円のクラスになってやっと減税があらわれてくる。こういう結果が出てくるわけなのです。つまり、九〇%近くのサラリーマンというものは差し引き減税にはならないという結果が出ているのですが、こういうことについてどうお考えですか。
  257. 水野勝

    ○水野政府委員 先ほど申し上げましたように、素案におきましては、国税の所得税につきましても地方税の住民税につきましても、控除の点につきましては具体的な提案がなされていないわけでございますので、分位別等あるいは階層別等につきまして負担の変化等については現時点では何とも推計なり試算のしようがないところでこざいます。
  258. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにいたしましても、試算のしようがない状況の中でどんどん新大型間接税の内容が突っ走っているというような状況も一方にはあるということ、これは重大問題だということ。同時に、中堅サラリーマンが本当に減税になるのかどうかというのは極めて心配していることなのですから、きちんとした計算をした上でこういうふうな形で減税になるのだということをお示しいただきたい、このことを要求しておきまして、次の質問に入りたいと思います。租税という財源確保に日夜努力しているのが税務職員ということでございますので、税務職員の問題についてお伺いしたいと思います。  毎年、税務職員の待遇のことにつきましては、当委員会でも附帯決議等がされておりますし、正森議員も質問されておりますし、税務行政を正して税務行政に携わる人々が意欲を持って仕事ができるように、これは日向国税庁次長の言葉をかりますと、「職員一人一人が今日に意欲を持ち、あすに希望を持って仕事に取り組むことができるよう、」そういう立場で私は質問をしたいと思います。  去る三月一日、正森委員が八級ポストの昇任問題について質問をされました。八級ポストに昇任しないと昇格もできない。そうなると経済的には大変な不利益を受けるわけだと思うのです。私、ことに、四谷税務署に勤めておられる上席徴収官の田所源二さん、十一期生でございますが、この方の状況を四谷税務署における期別の平均号俸によって調べてみました。そうしますと、この田所さんという方は七の十九でございます。そうしますと、金額的には調整手当等も含めまして四十二万八千百二十円。大体これに見合う八級ポストの人ということになりますと、十年も差が出てくる。十一期生で同じ採用年度で八の二十一という方がいるわけですが、この人との一年間の差というのを調べてみますと、何と百万円以上の損失になっていく。この場合、八の十二以上の人すべてにおくれをとることになっていますから、つまり、八の十二の人といいますと昭和三十五年採用の人ですか、給料の損失でいいますと約十年間分の不利益を受けているわけです。この田所さんという方は大変まじめで仕事も一生懸命やっておられる万、こう聞いております。それが、この人が全国税労働組合に加入しているということ以外に差別を受ける理由はない、こういうふうに言っていらっしゃるわけですけれども、全国税労働組合員であるがゆえにこういう経済的な不利益というものを与えるというのは余りにも度が過ぎた労務政策ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  259. 日向隆

    日向政府委員 ただいま委員が御指摘になりました個別の問題につきましては、私事実関係を承知しておりませんので言うことは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、これはもう御案内のように国公法上のいろいろな規定がございまして、例えば百八条の二の第三項に、「職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。」という規定もございますし、また、同法第百八条の七で、「職員は、職員団体の構成員であること、これを結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと、又はその職員団体における正当な行為をしたことのために不利益な取扱いを受けない。」ということになっておりますので、私どもといたしまして、これらの規定に反しまして、職員団体の加入の有無、所属組合のいかん及びその職員団体における正当な行為に対して、これに介入したり、規制したり、不利益な取り扱いをする等は一切行っていないところでございまして、また、今後もこれを行う考えは全くありません。  したがいまして、そういうことからいたしますと、御指摘になりました職員の任用に当たりましても、私がかねて申し上げておりますように、職員一人一人が今日に意欲を持ち、あすに希望を持って仕事に取り組み、行政効率を最大限に発揮できるよう、常に職員一人一人の適性、能力、勤務成績等を総合勘案して適正、公平に人事を行っているところでございますし、また、具体的に御指摘がございました例の七級、八級の問題、この間には、御案内と思いますけれども、俸給の特別調整額、これは人事院規則に言う第五種以上の支給対象ポストということになりますが、これの任用についてということでございますが、これについてさらに申し上げましても、この意味におきますポストは、現在税務署におきましては特別国税調査官、特別国税徴収官、統括国税調査官、統括国税徴収官等でございまして、これらのポストへの任用に当たりましては、繰り返して恐縮ですが、職員一人一人の適性、能力及び勤務成績等を的確に把握いたしまして、これらを総合勘案してそれぞれの官職に最もふさわしい人を選択するということにしております。  なお、申し上げましたけれども、人事に当たりましては、その適正、公平が確保され、万が一にも見落としがないよう絶えず見直しを行っているところでございまして、今後ともこの線に沿いましてできるだけの努力をしてまいりたい、こう思っております。     〔中川(昭)委員長代理退席、委員長着席〕
  260. 矢島恒夫

    矢島委員 答弁にあったように、差別はしていないと、また八級ポストの昇任問題につきましても、今までのお答えと同じようなお答えが返ってきたわけです。常に適正な見直しを行って十分やっていきたい、こういう答弁をされるわけですけれども、現実にはなかなか是正されずに同じようなことが毎年残ってくるわけなんですが、これはなぜですか。
  261. 日向隆

    日向政府委員 私どもといたしましては、今私が申し上げましたように、職員一人一人の適性、能力、勤務成績等を総合勘案してそれぞれの官職に最もふさわしい人を選択し、これを任用しているということでございまして、それ以上のことは本席で申し上げようはございません。
  262. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、その理由として、先ほど来いろいろともっともらしいことを言っておりますけれども考え方の根本、基本に、全国税労働組合を敵視する考え方があるのではないか、こう思うわけです。国税庁は全国税労働組合を敵視するような労務政策を根幹に据えているのではないか。いかがですか。
  263. 日向隆

    日向政府委員 再三繰り返すようで恐縮でございますが、私どもといたしましては、国公法に基づき、組合加入の有無、組合所属の有無、組合において正当な活動をしたこと等について、介入、規制及び不利益な取り扱い等は一切行っておりませんし、今後もこれを行うことはない、かように考えております。
  264. 矢島恒夫

    矢島委員 もちろんイエスと言ったら大変な問題になりますので、否定されました。しかし、私はここに全国税労働組合を敵視するところの根拠があるわけです。  そこで質問するわけなんでございますが、昭和四十七年二月三日から四日にかけて関東信越国税局では全管署長及び副署長会議が開かれたと思いますけれども、この点は御確認いただけますか。
  265. 日向隆

    日向政府委員 今、委員は、たしか昭和四十七年二月三日、四日とおっしゃいましたですか。おっしゃいましたことは何分にも古いことでございますので、会議資料等が現存しておりません。これは御案内と思いますが、文書管理規程等は、おおむね会議資料等は三年の保存期間で保存しておりますので、約十五年以上経過しました現時点におきましてこういった資料は現存しておりませんので、私ども、お話につきましては、関東信越国税局発行の広報紙「旬報」というものがありますが、これについて調べましたところ、昭和四十七年二月一日付「旬報」に、昭和四十七年二月三日から四日にかけまして全管署長・副署長会議の開催予定の記事がございまして、さらに同年二月十一日付の「旬報」に当該会議が局で開催された旨の記事が掲載されております。
  266. 矢島恒夫

    矢島委員 その会議でこういうことが報告されているわけです。   全国税の組織拡大運動について、別添文書を熟読のこと。匿名組合員が専門官から新入職員に至るまで幅広くいるので注意せよ。総務課長会議でよく説明しておいたが、全国税は不当労働行為を摘発しており、また、マル生反対闘争など客観条件もあってむつかしい情勢にある。したがって、一日一全国税に入ってしまうと、なかなか手が出しにくくなるので、そうなる前に手だてを尽くすことが非常に重要である。私前もって調べておいていただきたいということだったのですが、ただ、実際にそのときの会議があったということは確かでございます。この問題についてはどういうふうに考えますか。
  267. 日向隆

    日向政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたのはその会議の内容だと思いますが、これにつきましては、私先ほど申し上げましたように、文書管理規程が保存期限が三年ということになっておりますので、その会議関係資料は現存していないという報告を関東信越国税局の方から受けておりまして、現時点で私どもといたしまして今御指摘になりましたような会議の内容であるかどうかを確認しようがないということを御理解いただきたいと思います。
  268. 矢島恒夫

    矢島委員 私がこういう文章を創作できるわけがないわけで、事実そういうことがその会議の中で伝えられているわけです。  そこでもう一つ、同じ昭和四十七年ですか、三月二十一日には、埼玉、群馬、これは熊谷市で行われました。同じ日に栃木、茨城ブロックの署長が下館に集まりました。三月二十三日には長野と新潟、これのブロック別署長・副署長会議が持たれました。このことは事実でしょうか。
  269. 日向隆

    日向政府委員 先ほど私が申し上げました関東信越国税局の発行いたします「旬報」、広報紙でございますが、これによりますと、昭和四十七年三月一日付「旬報」でございますが、四十七年三月二十一日及び二十三日にブロック別署長・副署長会議の開催予定の記事が掲載されておるというところでございます。
  270. 矢島恒夫

    矢島委員 その内容については御存じでしょうか。
  271. 日向隆

    日向政府委員 先ほど四十七年三月二日から四日にかけての署長・副署長会議会議内容について私が申し上げましたとおりでございまして、これについても私どもといたしましては現時点でその内容を確認することはできないところでございます。
  272. 矢島恒夫

    矢島委員 こういうことがそこで言われているわけなんです。   (税大普通料卒業生の)着任日と署への配置については、局は○月○日の午前中に、関信国税本部に連絡する。署は同日の午後、関信国税の支部長に連絡をすること。また、念のためその四日後には、関信国税支部の青年部長にも連絡されたい。全国税にたいしては、それからさらに三日後に発表すること。以上のことは、極秘扱いとする。なお、全国税は不当労働行為を摘発しているので、絶対に洩れないよう慎重に配慮し、対処すること こういうことがその中で言われているわけなんです。今古いことなので何分にもその内容はわからない、こういうことですけれども昭和四十七年七月二十八日、新税務署長及び副署長会議というのが局の九階の第三会議室で持たれていると思いますが、それは事実ですか。
  273. 日向隆

    日向政府委員 今御指摘になりました昭和四十七年七月二十八日の新税務署長及び副署長会議については、私どもいろいろと検討いたしましたが、確認しておりません。ただ、察しますに、七月のこの時期は国税の職場の異動期直後でございますので、そのような時期に新任の署長及び副署長をメンバーとする会議を持つことは十分予想されるところであります。
  274. 矢島恒夫

    矢島委員 私ここにその七月二十九日で極秘の判が押してあるのがありますので、これを次長にちょっとお渡ししたいと思いますが、よろしいですか。
  275. 越智通雄

    越智委員長 結構です。
  276. 矢島恒夫

    矢島委員 中身はこちらにありまして、実はそれはそういう会議が招集されたという事実をあらわし、会議の日程やそのほかすべて決まっているわけです。その中でこういうようなことが伝えられているのです。   特殊職員((注)全国税組合員のこと)から組合用務その他の理由で年次休暇の承認申請が出されたときは、すみやかに総務課長まで決裁をうけるよう、統括官に対し指導する必要がある。なお、組合用務等で休暇の申請があったときは、すみやかに県庁所在地署へ連絡することとし、また、県庁所在地署は県下分をまとめて、その状況を局総務第二係へ連絡されたい   最近、若い職員が全国税に加入しているが、これは全国税が過激化することであり、万難を排して防止せよ   署長は全国税と全国税に近い職員の身上を常に把握するよう、情報網をはりめぐらせ   全管で百七名の未加入者がいるが、その中には青年が九名のほか、要注意職員もふくまれているので、注意せよ   国税会議は健全な職員団体であることを理解し、育成せよ。役員を選出する際は人望のある者、リーダーシップを持つ者を選ぶこと。ただし、慣れ合いと見られると若い職員に悪影響がでるのでそのやり万には注意せよ   組合問題については、社会問題化するおそれがあるので、秘密の保持にくれぐれも注意せよ 以上、私が実際に持っているこの中身の方に書かれているわけなんですね。こういうようなことについてどうお考えですか。
  277. 日向隆

    日向政府委員 今委員から私に渡されましたこの会議書類は、私はここで初めて拝見いたしましたものでございますし、御指摘になりましたような内容につきましても今ここで初めてお聞きしたところでございますので、それについて私から意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、これらの資料は、私が承っているところによりますと、既に全国税労働組合から私どもの事務方の方に提示されているようでございまして、現在私どもといたしましては現地の関東信越国税局にその事実関係について調査を指示しているところでございます。さらに本席におきまして委員の御指摘がありましたので、その事実関係について一層関東信越国税局で調査するよう指示をしたいと思っております。
  278. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひきちんと調べていただきたいと思うのです。古いことでなかなかという点もあろうかと思います。文書を焼却されている部分というのがあるかもしれません。しかし、残っている文書があるかもしれません。それからまた当時その会議に出席された方もいらっしゃると思うのです。ぜひそういうような調査をしていただきたい。なぜ私がこういう古いことを今ごろ持ち出してと言われるかもしれませんが、実はこういう問題が今日までずっと引き続いてあるわけなんです。ですから、今日まで継続されている問題だ、こういう意味で私は質問しているわけなんです。ですから、その調査された結果について、こういうような調査をした結果こういうふうな内容でしたということをぜひ私に知らせていただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
  279. 日向隆

    日向政府委員 できるだけの努力をいたしまして、その結果については委員に御説明に上がりたいと思います。
  280. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひそういうことと同時に、先ほど来いわゆる差別とかそういうものは行ってないということですが、意識的ではなく無意識的な部分でそういうのが出てくるというような事態については、これはもうそうだとしても直ちに是正されるべきことであると思うのです。そういう点についてはいかがですか。
  281. 日向隆

    日向政府委員 今御指摘の問題についての基本的な考え方については、私再三この席で申し上げたところでございます。
  282. 矢島恒夫

    矢島委員 税務署に働いている人たちが次長の言うように希望を持って働くことができるようにすること、こういうことがやはり職場の能率を上げることでもあるし、同時に職場の雰囲気というものをよくしていくことだと思うのです。  そこで大蔵大臣、今までずっと私は次長と話し合って質疑してきたのですが、全体を通して、こういう事態というのは確かに望ましい状況じゃないわけなんです。ぜひひとついろいろな面でこの実情をおつかみいただいて、是正すべきは是正するということが必要かと思うのですが、この点についていかがでございますか。
  283. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府委員からお答えいたしましたように、努力をいたしたいと思います。
  284. 矢島恒夫

    矢島委員 あと私は政府税調の公聴会の問題でお聞きしようと思ったのですが、時間が非常に切迫してきて極めて中途半端な質問になる可能性があります。同時に、実は私、政府税調の公聴会の内容につきましては、前の本委員会で第一次の公聴会の内容等について質問したわけであります。例えば女性の比率だとかあるいはまたそこに出席する者の賛成、反対だとか、こういうことでお伺いしたわけですが、今回の公聴会においても私自身は余り改善されてないと思う点があるし、同時に、その中でどういう点が是正されたかというような点やあるいはそこに出席した参考人の発言内容だとかそういうものもぜひおまとめいただいて、私後ほどお聞きに上がりたいと思いますので、よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  285. 越智通雄

    越智委員長 次に、玉置一弥君。
  286. 玉置一弥

    ○玉置委員 朝からずっと委員会でございますから大臣もお疲れだと思いますけれども、適当に抜けていただいて結構ですから。  財確法の審議になりますといつも思いますのは、中長期的な財政運営並びに歳入の計画性のなさといいますか、これをつくづく思うわけでございます。例えば、最近はなくなりましたけれども、いわゆる納付金。納付金なんかでも財確法としては非常にウエートの大きい問題でございまして、納付金がなくなった部分で財確法そのものが赤字国債を主体にした特例法案を出してくるというような形にだんだん絞られてきたわけでございます。その中でも、今回は国保の特会でございますか、そちらからの繰り入れ等の話もございますし、そういう問題等を含めていきますと、何となく毎年毎年違った問題がこの財確法によって提起をされる、こういう感じを受けるわけでございます。  まず最初に、中長期的な観点から見ての財政運営、これは先日参考人の方々をお招きをいたしまして我々がその方々にお聞きしたわけでございますが、歳出歳入ともに考え方が明確になっていないというのが学者の先生方の意見というか感じでございました。将来を見通してめり張りをつけていかなければいけない、こういうことでございますが、六十三年度予算あるいは今回の財確法を見てもどういうことがポイントになっているのか非常に難しい話で、本来予算委員会でやらなければいけない話でございますが、まずその辺についての疑問を大蔵大臣かあるいは斎藤さんの方でお答えをいただきたいと思います。
  287. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 今度の六十三年度予算の特徴と申しますか、それは何よりもまず、好調な税収にも支えられているわけでございますけれども公債金を一兆六千六百億円減額できた。なかんずく特例公債を一兆八千三百億ということで、昨年お出ししました中期展望の予想以上に減額ができたということが第一点であろうかと思います。  もう一つの大きな特徴は、昨年の臨時国会で法案を適していただきましたNTTの活用によりまして一兆三千億の公共投資の振興ができた。それによって内需の息長い継続が可能な予算がつくれた。  大きく申しますとその二点であろうかと思います。その他国保改革とかいろいろなことをやりましたけれども、大きな特徴というのはその二点ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  288. 玉置一弥

    ○玉置委員 今の話は確かに数字的にはあらわれてきているわけでございますが、内需拡大というのも、強いて言えば、貿易摩擦問題から日本側に対する諸外国の強い指摘がありまして、要するに輸出を減らすというのはとても無理だから、その分逆に言えば輸入を拡大をしていこう、こういうことでございまして、本来であれば輸入がどういうふうに変わってきたかという話を聞きたいのですけれども、そういうことではなくて、逆に一つの流れをずっと追っていきたいと思います。  そういうことの一つのめり張りでございますが、確かに予算的には内需拡大の予算を組まれているというような感じがするわけでございますけれども、例えば歳入の主眼点というのは何だろう。先ほどからずっと論議が出ております財政再建、これと内需拡大のための資金手当てというか、そういうところにあるかと思いますけれども、それでよろしゅうございますか。
  289. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 内需拡大というのは、確かにおっしゃいますように外国からのそういう要請も強いわけでございますけれども、我が国自身の社会資本というのは御承知のように非常に貧弱でございますので、それを充実しなければならないという本来的な我が国自身の持っている要請があると考えるのでありますが、それに具体的な財源を持ちつつ第一歩をしるしたということ。  それで、輸出は確かにまだ多く減ったという感じではございませんが、今までのような非常な増勢はとまったということは確かでございますし、輸入は数量的にはふえておるということ、殊に製品輸入が非常に大きくなっているということは大事なことであると思います。  財源的には、先ほど政府委員が申し上げましたように、国債依存率がかなり下がったということ、そして税収が比較的好調でもあり、またNTTの収入もあるというようなことから、歳入の方の形もまあまあよくなっておるということが申し上げられるかと思います。
  290. 玉置一弥

    ○玉置委員 輸出、輸入、いわゆる貿易収支あるいは資本収支等の改善というのがあるわけでございますけれども一つの時流、時流というと変でございますが、経済が拡大をしていきますといろいろな国々との関連が非常に深まってくる、また規模拡大が起こりますと諸外国に対する日本の国際的な責任というのが発生をしてくる、こういうことでございまして、一般的には国際化という一つの流れ、これが今盛んにいろいろな方面で言われておりまして、そういう面で見ていきますと、例えば日本の税制あるいは金融界あるいは社会通念、そういうものがすべて世界で通用する方向に行かなければならない、こういう感じがするわけでございます。  私たちが海外旅行へ行きまして向こうで思いますのは、日本の常識はあくまでも日本の常識であるというような感じがするわけです。例えば、外国の方といろいろ話をしておりまして、特に文化の違いが大きいほどに我々が本来こう考えるべきじゃないかと思ったのと全然違う方向に行くということもよくあるわけでございまして、そういうふうな文化の違いあるいは言葉の違い、そして常識の違いというものがこれから一つの障害となっていろいろな分野で対立をするということにもなると思いますが、逆に、国際的な経済分野、あるいは各企業がいろいろな市場に出かけていきまして今まで日本が取引をしてきてここまで伸びてきたわけでございますが、これはむしろ今まで外国における日本の経済活動が相手に合わせてきたということになるわけです。ところが、最近は逆に日本に投資をしていこうという動きもございますし、またその逆で、日本から外国に対する投資をもっとふやしていこう、こういう方向でもあるわけで、そういう面で見ていきますと、国際化に合ったいわゆる経済の体質あるいは税制の体質、制度の改善あるいは市場づくりといいますか、こういうようなものをやっていかなければいけないと思います。  日本がなかなか製品輸入、大臣はふえてきたというお話を今申されましたけれども、私はこの前の質問のときに総代理店制度という話を申し上げました。日本の輸入、特にEC関係の製品でございますが、総代理店制度をとっておりまして、これが公取から指摘をされるほどに大変強固なものでありまして、そのためにこの円高で輸入価格が低下したにもかかわらず価格の低下がさほど見られない、こういうふうな現象であります。一つは、日本人の嗜好としていわゆるブランド志向というのがございまして、イギリスの何とかという製品あるいはフランスの何とかという製品、これはともかく高いから買うのだ、こういうのがあるわけです。そういう面があるのですけれども一般的に見て、流通過程の問題があるだろう。これはつくづく感じます。  しかし、我々大蔵委員会の分野として考えるならば、一つは各企業が国際間で競争していくために条件整備をしていかなければいけないのじゃないかというふうに思うわけでございまして、そういう面から見て、これからの法人に対するいろいろな税制度あるいは引当金、準備金等々、こういうようなものがどういう方向に行かなければいけないのだろうかという疑問といいますか、我々も一緒に考えていかなければいけないと思いますけれども、そういう疑問が出てくるわけです。これについて、大蔵省政府当局としてこの国際化を迎えて各企業が特に税制関係でどういう方向に行くか非常に注目をしているところでございますから、まずその方向についてお答えをいただきたいと思います。
  291. 水野勝

    ○水野政府委員 法人課税と申しますか、企業課税のあり方につきましては、先般の税制調査会の素案におきましても、今御指摘の「国際的視点に立った法人税制の確立」という表題で取りまとめをしておられるところでございまして、最近、諸外国、特に日本と非常に経済的な関係の密接なアメリカにおきましてまずそうでございますけれども、法人税率を急速に下げてきている。イギリスもそうでございます。そうした中にありまして、我が国がなお国税、地方税合わせまして五一%という負担率でお願いをしています。こうしたことが今後国際的な観点から見て問題がないか、これは課税ベースの拡大を図りながら税率の引き下げを行っていくことが適当ではないかと述べられているところでございます。ただ、この場合におきましては、一方におきましてもろもろの引当金等々の課税ベースの拡大という観点も同時に見直しを行っていく必要があると指摘されているところでございます。  もう一つ、国際的な観点という問題の一つとして、外国税額控除あるいはタックスヘーブンといった問題がございます。これは両面あるわけでございまして、ますます経済が国際化してまいりますと、こうした外国税額控除制度等につきましても整備、完備してやる必要があるわけでございます。一方、また非常に国際化してまいりますと、その的確な取引及びこれに基づきますところの所得の把握ということがかなり困難になる部面もできてきております。国際化のために円滑に税制が寄与することができるようにするとともに、また、国際的交流の程度が進むことによりまして、税制によって円滑な行政が阻害されることのないようには考えなくてはいかぬ、この両面から国際化という観点につきまして考えているところでございます。
  292. 玉置一弥

    ○玉置委員 外国税額控除の問題は、商社等のいろいろな利益移動といいますか、そういうのが問題になって、より具体的なことをやっていこうということで数年来やっているわけでございますけれども、それはそれとして、例えば二通りあると思うのです。日本の企業が海外の市場に出向いていって、いろいろな国で子会社をつくり、そういうところで利益を上げていくという場合と、外国法人が日本に来て、国内で事業を行って、それに伴う法人税を払っていく場合、こういう場合があると思います。  今回は、特に内国法人、日本の国内の企業が海外進出をしている場合あるいは投資をした場合ということを前提にお話を申し上げたいと思いますけれども、まず法人税率の引き下げが今四〇・五から今度三七・五になるというふうに、たしか政府原案というか政府税調でもそうでございますし、自民税調で論議されているのもそうでございますし、こういうことが出てまいります。私たちが、まず法人としての分野、それと個人の分野、減税でもいろいろあるわけでございまして、そういう論議をしていくときに、例えば法人税減税をやったときにその財源はどこから手当てをするのだろうな、こういう疑問があります。まずそれについてお聞きしたい。  というのは、昨年の売上税のときに、売上税のために減税をやりましょう、こういう話がございました。その減税の中身の中に、どういう計算か知りませんけれども、一人当たり減税額を提示をされました中に法人税減税というのが入っておりまして、これが個人に帰属する、こういうふうに尾崎さんの理論でございますが出ておりました。そういう観点からいくと、法人税減税は、あくまでも法人税の今の税体系の中でいろいろ工夫をして見直しをして出てくるというものではなく、広く全般から集めてくるものかなというような感じがするわけですが、個人という立場から見ますと我々の所得税減税がなされるわけです。それをより大きく見せるために、法人税の減税分を逆にかぶる。かぶるというのは変ですけれども、上乗せされる。逆に言えば、個人減税、要するに属人、人にまつわる減税というものが、分ければもっとできるのではないか、そういう感じがするわけです。だから、まずこの基本的な考え方について大蔵省当局はどういうふうにお考えになっているか、お聞きします。
  293. 水野勝

    ○水野政府委員 現在の税制調査会の検討は、所得税、法人税、相続税、消費課税それぞれにつきましてあるべき方向を見据えて検討いただいているわけでございます。全体として、ここの部分は減税になる、その部分の減税はこの部分の増収でもって補うとか、そういうところには直接的にはまだ参ってないわけでございまして、それぞれの税目につきまして軽減あるいは合理化を図るということでございます。  法人税について申し上げれば、ただいまも申し上げましたように、税率水準としては、国際的視点に立って、地方税を含めた実効税率が五割を下回る水準になるようにする。そういたしますと、具体的には、基本税率、現在四二%でございますが、これを三七・五%まで段階的に引き下げていくというふうに打ち出されてございます。ただ、その場合におきまして、先ほども申し上げましたように、課税ベースの拡大を図りつつ税率水準の引き下げを図ると書いてございます。こうしたことから、課税ベースの拡大を図る。それによりまして税収面では増収も図り得るわけでございますが、ただ、その増収分でもってそれで減税をするとか、その範囲にとどめるとか、ネット減税にするとか、そこらの点につきましては端的に申し上げてまだ詰めた議論はなされていない。  それぞれの課税ベース一つ一つの問題のある部分は見直しを進めていく。それは恐らく増収につながるだろうと思いますけれども、一方、例えば少額減価償却資産の限度額、これを引き上げていく。こういったものの見直しでございますと減収になる部分もございます。こうした課税ベースの見直しは見直しとして行う。一方、税率水準としては三七・五という基本税率に持っていく。そうすると実効税率は五割を下回るということになる。ここらあたりまでの定性的な議論が現時点までの御審議の内容のようでございまして、それが財源的に法人の中でどうなるか、ここらにつきましてはまだ明確な方向は出ていないわけでございます。  また、個人分につきましては、これはほとんど基本的には税率を緩和する、控除も上げたらどうかということでございます。もちろん、キャピタルゲインとかその他の問題につきまして、負担公平の確保からこの見直しを行うということはございまして、そういった点は恐らく増収につながる。その増収と個人所得課税の減税との金額的な入り繰り関係はどうするかというところまでは来ておらないわけでございます。御指摘のように、先回の抜本改革におきましては、売上税と利子課税で増収を図る、それと見合う範囲におきまして個人の所得課税と法人課税の負担軽減を図った。そこは全体として見合っておったわけでございます。そうした中におきまして、今御指摘のような軽減内容の個人への帰着といったような問題もいろいろ御議論をいただいたところでございますが、今回まだそこまでは行っていないというのが実情でございます。
  294. 玉置一弥

    ○玉置委員 いつ聞いてもなかなか主税局というのは先の方向というのはわからないみたいでございまして、政府税調、自民税調等を踏み越えてなかなか仕事をしないような感じがするんですけれども、やはり一番専門家でございますから、いろいろな場面を考えて、長期的な一つの方向といいますか、ある程度あると思いますけれども、やはりそういうものを何となく出していくというのが必要じゃないかと思います。  法人税の関係でございますが、今お話がありましたように、実効税率が、日本は五一%強ということで高い。他の国、例えばアメリカが四〇%ちょっと、英国が三五、西ドイツ五六、フランス四二、こういうふうな関係になっておりまして、いずれもこれからの国際化を迎えて少なくとも競争できるレベルに変えていかなければならない。今までは、どちらかといいますと、企業の体質強化、いわゆる昔もよくありましたように資本自由化等を踏まえて経営体質を強化していこうとか、あるいは製品の自由化、そういうふうなものに対しても競争力をつけていこう、こういう面でのいろいろな諸手当てといいますか、なされてきたわけです。そういう面から考えていきますと、今企業体力はかなりついて、利益率からいくと低いですけれども、体力そのものは結構あると思います。  そういう面でこれから対応していこうと思えば、やはり一つは国際化で、日本が海外投資をする機運が非常にあります。そうなりますと、一番困るのはだれだというと、今その企業で働いている人たち、あるいはその企業から仕事をもらっているいわゆる下請と呼ばれている人たちということになるわけでございますし、また金融機関等におきましても金利差等で海外から借りられるという場合も出てくるだろうし、そういうふうに考えていきますと、今までの方向と違ったことを考えていかなければいけない。  なぜ海外に流出をするのかというのは、一つは、先ほどのお話で輸出がこれで頭打ちになるだろう、これは逆に言えば、相手の国に入り込まないと企業としての活動を増幅することはできない、こういうことになるわけです。それを見ていさますと、拡大している分にはいいわけでございますが、今ある部分を削ってでも海外に持っていく、これは明らかに短期間の利益追求になるかと思いますが、例えば税制の違いとか手数料の違いとか、こういうようなもので海外に流出をする。例えば、この間もちょっと出ておりましたけれども、先日証券の視察に行かせていただきました。そういう中で、昔はたしかニューヨークとかロンドン、その辺と手数料が違ったわけでございますが、競争関係でございまして、かなり接近をした、しかしまだ日本が高い、こういうように言われておりますと、本来日本で株式あるいは社債を発行するという手続が海外に流出をする、こういうことになるわけです。税制でも同じ面があるわけです。そういう面で考えていきますと、少なくとも外国の税制度に合わせるか、あるいは税率だけで逃げるかというようなことになるかと思いますが、そういう面で考えていくと、これからどういう方向に行くのだろうな、こういうふうに思うわけです。それについて大蔵当局あるいは大蔵大臣のお考えをお示しいただきたい。
  295. 水野勝

    ○水野政府委員 まずは先ほど御指摘の税率を下げていくということではないかと思うわけでございます。三十年代、四十年代の高度成長期には企業体質の強化ということからいろいろ減税も行われましたが、四十年代後半からは、所得税減税の財源のためとか財政再建のためとかで、むしろ税率は何回かにわたって引き上げられてまいったところでございます。一万、ちょうどアメリカ、イギリス、フランス等は急速に税率を下げてまいっております。したがいまして、ここの段階におきましても、まず税率水準五割台を切るようなところまで持っていって、これによりまして最小限度国際的な観点から企業の競争力に問題が生ずることのないようにしてまいるのがまず第一番目ではないかと思うわけでございます。  あとは、今の御指摘のもろもろの企業の国際的な進出、こうしたものにつきまして税制がどの程度お手伝いできるか、一方、それによって税制が混乱させられることのないようにするにはどうするか、そうした問題が出てまいる。ただいまお話しの海外投資、これにつきましてどの程度これは税制としてもお手伝いをしていっていいのかどうか。それは余りお手伝いすると今のお話の雇用に響くのかもしれない、そこらはなかなか難しい問題でございます。海外投資損失準備金は前年度末で期限は参ったわけでございますが、これは拡充すべしという御意見もございましたが、いろいろな観点から、とにかく今回は二年間だけ単純に延長さしていただいた。しかし、これは今後なおいろいろ検討すべき問題が出てくるだろうと思います。
  296. 玉置一弥

    ○玉置委員 各種引当金、準備金等がございまして、これで今までいろいろな調整をしてきたわけですね。これもいろいろ問題点が含まれております。  貸倒引当金、退職給与引当金、賞与引当金、製品保証、いろいろございます。この中で、特に我々今回減税の財源としての論議の中で、あるいは法人税減税の中での論議、これをなるべく法人税の中で探そうということでやってきたのでございますが、例えば貸倒引当金は従来からいろいろ論議がございまして、ふやせという業界と減らせという業界、まあ減らせは余りないのですけれども、減らしたいという大蔵省の方といろいろあったわけでございます。実際に法定繰入率と実績がどうなっているか、これは委員会でも再三話が出ておりますけれども、全般に言うと、法定繰入率の半分が実績ということで二分の一程度しか積まれていないというのがございます。こういう面で、我々も積み増し率を減らせ減らせというお話を申し上げて、これで法人税減税の財源をある程度確保しよう、こういうことを言ったわけでございます。そういう一つの方向ですね。確かに業種によって違うわけですね。安定した業種と不安定な業種とございまして、サラ金なんか見ても、貸し倒れ率三%くらいですか、そのくらいであればいいというのが実際はもっと〇・何%低かったとかいろいろあります。そういうように見ていきますと、卸売あるいは小売、この辺と割賦販売が一番やはり貸し倒れ率を高く見ている、ところが実際積んでいるのは半分以下ということでございまして、この辺の実績に合わせた修正というのをやらなければいけないというのが一つ。  それから逆に今度ふやす方でございますが、この間も銀行でしたか、銀行の方もいろいろ今融資がございまして、特に累積債務問題というのがあります。累積債務問題等を踏まえて考えていきますと、日本の今抱えております累積債務というのは相当金額になると思いますけれども、これが六十二年九月末現在で、民間金融機関の中長期海外貸付残高というのがございまして、二千億ドルという数字になっています。アメリカが大体今の累積債務の三六%くらい、日本が一五くらい、ィギリスが一〇%くらいということらしいのですけれども、これは多分取れないのですね。取れないやつを償却しなきゃいけない、要するに損金で落とさなきゃいけない、こういう問題がございます。  そういう中から話が出てまいりましたのは、海外投資等損失準備金というのがございます。こういうところが非常に積み増し率も低いですし、また仕向け地というか、相手先ですね、それが非常に不安定なところに限られてきたということがございまして、その仕向け地、どうもこれは自動車の業界用語でございまして、相手先が非常に拡大をされておりまして、もう今は昔と全然違うのだ、こういうお話もよく聞くわけでございまして、そういう面からいきますと、相手を、全地域とするかどうかは知りませんが、もっと拡大をするということと、少なくともこれからの投資等あるいは今の累積債務等を考えていきますと、積み増しをしなければいけないという問題があります。それが二つ目。  それから三つ目。退職給与引当金、これをどうするかというのは毎回問題になります。なぜ問題になるかといいますと、小さい法人については非常にウエートの高い問題であるということが一つ。それから、大きいところは逆に言えば内部留保の非常に大きな財源になっているということでございまして、私たちが一時期よく聞きましたのは、退職給与引当金という項目がありながら企業が倒産をすると何もなかったというのがよくあるわけです。だから、よく我々言っておりますのは、第三機関に保全を委託するということであれば、退職給与引当金というのは幾ら積んでも結構です、こういう話を申し上げるのですけれども、企業の側としては資金がありながら手が出せないということでこれまた大変だろうということでございますので、少なくとも二分の一なり三分の一を保全するというようなことでやるとかいろいろなことを考えていただきたい、こういうことをいろいろ申し上げております。  そういう面で考えていきますと、今あります現在の準備金あるいは引当金、こういう問題をやはりこの際法人税改正とともに見直していかなければいけないんではないか、こういうふうに思いますが、今申し上げました私の意見に対する答えも含めてお答えをいただきたいと思います。
  297. 水野勝

    ○水野政府委員 引当金につきまして実態に応じて見直しをしてまいるということは、おっしゃるとおりでございます。  貸倒引当金につきましては、先ほど委員、現在大体実績の倍くらいの法定率かというお話でございましたが、大体実績と法定率とは三対一くらいかなという感じではございます。しかし、貸倒引当金はこの十年来何回か引き下げをしてまいりまして、場合によっては前回の引き下げの効果がまだ完全に出ていないといった事態もございます。余り続けて引き下げてまいりますと企業体質にも影響いたしますので、ここは、そうしたことも考えながら、しかし実態と余り乖離のないようなふうに持ってまいるということで、常々注視してまいる必要があるわけでございます。  それに関連しましての海外累積債務の問題がございますが、これは諸外国の例を見ましても、こうしたものは、引き当てによりまして対処するという方法とともに、個別に税務当局と金融機関との話し合いによりまして償却をしてまいる、日本流に言えば償却特別勘定に繰り入れて損金に立てる、こういうふうな具体的な対処方法で対処をしてまいる。海外投資損失準備金としても一%のものは現在対処はしておるところではございますが、こうしたものはこうしたものとして具体的な問題は個別的な対処にお任せするのがいいのかなという感じでございます。  それから、退職給与引当金は、まさに御指摘のような大問題でございまして、本来はこれは別に、退職されたとき、倒産であれ個別的な退職であれ、その退職金を確保しておくということではございませんで、税制上としては、その方が現実に勤務された時点で退職金債務も発生しておるとすれば、その方が現実に勤務された時に応じて退職給与引当金に少しずつ繰り入れていく、これが費用収益対応の原則にかなう、そういう会計原則上の問題として出てまいっておるわけですから、本来は倒産したときに何ら金がないから役立たないということは税制上の議論としては出てこないはずでございますが、そこは現実論でございまして、退職給与引当金と申しますのは、実際には十兆円くらいの引当金の中でも一番大きいもので、御指摘のように大企業では相当な内部留保になっている。これはまさに現実に、では倒産したって、それは別に税制上の制度はそれを具体的に横にとっておいてある制度じゃございませんから、そういうふうな御批判があっても税制上の制度としては本来仕方がないことでございます。しかし、現実論としてはおかしいという議論があることは従来から承知いたしておるところでございます。  かたがた、だんだん退職金も年金化してまいる。それならば年金制度に対応するものとして外部拠出にいたしまして、外部拠出にすればこれはもう損金に算入できることは当然でございますから、非常に規模の大きな退職給与引当金を中長期的にはそういう方向にだんだん組みかえていくというのが姿ではないかということが一昨年の抜本答申でも述べられているところでございます。しかし、これはまた現実論になってまいると、まさに今もお話のございましたように、それが外部拠出ですとその企業の自由にならない。今まではそれが一つの運転資金なりなんなりとして使えたものが使えなくなる。それからまた、何となく従業員の方からも、かなりな規模の退職給与引当金があると、自分たちの退職金がかなり守られている、確保されているような実感もある。それを、退職給与引当金というものを外部拠出的なものに縮減していくというと、そこに何とも言えない、何か退職金がそれによって引きずられて縮減していくような感じも与えるようでございますから、これはなかなか両面から複雑な点がございます。しかし、大きな方向は、将来は年金制度への移行とあわせて外部拠出的なものに組みかえていくというのが大きな方向ではないかなと感じておるところでございます。
  298. 玉置一弥

    ○玉置委員 そのときそのときの一つの流れがございまして、特にこれから税制改正等で大きく変動するわけでございますから、その機会に従来のものについても見直しをする。これは、財源確保ということじゃなくて、企業のあり方、この辺を中心に見ていただきたい、かように思います。  それでは国債の問題に移りたいと思いますが、現行の国債の発行残高が非常に高額になってまいりまして、百五十九兆円ということになります。建設国債というのは先で生きているからいいじゃないかということで意外と我々も余り深く見てなかったわけでございますが、いつの間にか建設国債の発行残高も九十兆円ということで、赤字国債より非常に多い金額になってまいりました。  こういうことから見ていきますと、先ほどもお話がございましたけれども、いつごろですか、残高が二百兆円を超えますね。仮定計算で一応いきますと、二百兆円を超えるのは七十六年ですか、七十六年で発行残高が二百兆円を超えます。そのときの利払いだけで十一兆七千億円、その当時で推定をして、要償還額というものが二十三兆八千億円、二十三兆八千億円の前にピークがありまして二十六兆五千億円、こういうふうになってまいっております。これはよほど腹をくくって対処していかなければ、本当に償還できるのかな。今までは利払いは赤字国債である程度借りかえで逃げた部分もございますけれども、今度は借換債も減らしていかないと、赤字国債は十年のつもりで出したものが六十年ということになってまいりますと後世に大変な負担を残すことになります。  そういう面で考えていきますと、長期的にどういう方針でもってこの償還をしていくのかというのは非常に不安を感じるわけでございますが、まず基本的に、長期的にどういう方針を固めて実行されていくのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  299. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 お答えするときに四条債と特例債に分けて御説明をした方がいいと思います。  四条債につきましては、先進各国にはない我が国独自の制度でございますが、減債制度というのがございまして、六十年償還ルールということで確立をされた制度がある。したがいまして、四条債につきましては、この六十年償還ルールできちんと償還をしていくというのが基本的な筋道ではないかというぐあいに私ども考えておるわけでございます。  特例債につきましては、現在の財政事情から、四条債に合わせた六十年償還ルールというものでお願いしておるわけでございますけれども財政状況がよくなれば一刻も早く残高をできるだけ減すための償還をしていくというのが当面私どもが持っている基本的な考え方でございます。
  300. 玉置一弥

    ○玉置委員 この両方がふえていきますと、例えば六十三年で要償還額が十六兆六千億、利払いが十兆といたしますと、二十七兆ぐらいが公債のために払われていることになります。これがさらに膨らんでまいりましてピークが三十八兆円ぐらいになる、こういうことになるわけです。  我々が心配いたしますのは、先ほどもお話がございましたように、それじゃ歳出面の見直しというのがまだどの程度できるのかな。というのは、毎年毎年自然増、当然増がありまして、その制度的な見直しもやらなければいけませんし、あるいは歳出カットというのもやはりやっていかなければならないというふうに思うのでございますが、もう本当に行政改革というのは限度かなというような気もするわけですね。中曽根さんがやっていて、後、竹下さんになって行政改革を余り言ってくれないのでちょっとあれですけれども、中曽根さんもどちらかというと口が先行した方でございますから、効果としては本当に行政改革と呼べるものかどうかという疑問はありますけれども、少なくともそういう機運は出ていたわけです。ですから、今後行政改革としてのウエートは低下をすると思いますけれども、少なくとも幾らか稼いでいかなければならぬ。それでなければ、これからよほどの税収面での増加がなければ、当然増あるいは自然増の経費に追いついていかないのではないかという心配がございまして、そういう中で果たしてこの償還が無事できるのかということがあるわけです。そういう面でお聞きをしたわけでございまして、その辺をどういうふうに見ているかというのは、これはなかなか難しいですね。  この前も二〇〇〇年の数字はなかなか出ないという水野さんのお話もございましたが、出ないものは余り聞きませんけれども一つは、やはり方針が明らかでないから我々だって非常に不安を持つということでございまして、何度も申し上げますけれども、中長期的な方針というのは修正は幾らでも、幾らでもいいというのは変ですけれども一つの指針としてお示しをいただきたい、こう思います。  それで、今のお話でございますが、いわゆる四条債と特例債特例債のうち借換債が今三〇%ぐらいになってきたと思いますが、その辺はどうですか。
  301. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 特例債のお話について申し上げますと、例えば六十三年で申しますと、特例債の要償還額は三兆四千億でございます。そのうち借換債として発行いたしますのが二兆八千百億ということで、特例債ネット償還額は五千九百億、これは現金償還でございます。そういうぐあいになっております。  それで、六十四年度についてその数字を念のために申し上げますと、六十四年は特例債償還額が非常に多くございまして、六兆五千四百億でございますが、借換債もそれに見合ってふえまして五兆四千億ということで、ネット償還額は一兆一千四百億というようなことになっておりまして、いずれも十年が来ますとその約六分の一を現金償還をする。これはいわば六十年償還ルールの反射みたいな話でございますが、六分の一はネット償還をして、残りの六分の五は借りかえるというようなことになっておるわけでございます。  それから、六十五年に脱却した後の財政は筋道が非常に難しいという話はそのとおりなんでございますが、先ほどお答えをしようと思っておりましたが、非常に技術的な話でございますけれども特例債を今三兆一千五百億出しておるわけでございます。そうしますと、これを六十五年にゼロにするためには毎年一兆五千七百億程度縮めていかなければならぬということは、いわば歳入がそれだけ減っていくということでございます。それが六十五年度にゼロになりますと、ゼロにいたした暁には、今後毎年一兆五千七、八百億減らさなければいけないという圧力がなくなりますので、財源的には機械的な計算によりましても一兆五千七、八百億程度のいわば余裕ができるということがございますので、六十五年度脱却が可能になりますとその分だけ財源的に余裕ができるということが技術的にあるということだけを先ほどちょっと申し上げようと思っていたわけです。  そういうこともございますので、もちろん六十五年度も当然ですが、六十五年度以降も当然のことながら私ども歳出削減に懸命な努力を続けるわけでございますけれども、そういう意味財源的には多少の余裕が出てくるということをちょっと申し上げたいと思います。
  302. 玉置一弥

    ○玉置委員 借換債でございますけれども、本来、特例債というのは、借換債ということじゃなくて、十年以内というものを指す、こういうことでやってまいりました。私たちがそんな無理しないで借換債にしたらいいじゃないかということを言っているときはやらないという話だったのですけれども、急に態度が変わりまして借換債に変わった。途端に、今のお話にございましたように、借りかえの方が償還よりも多いのですね。こういう事態になってきているということでございまして、十年の特例債という意味がなくなってしまっていると思いますが、いかがでございますか。
  303. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 その意味では、御指摘のように四条公債特例公債も発行するときにはいずれも六十年償還あるいは十年国債として出しておりますので、経済的な意味におきましては四条債、特例債について全く差異がないということで、流通市場でも同じような扱いを受けておるということでございます。
  304. 玉置一弥

    ○玉置委員 国債も金融の商品になるわけです。そういう面で見るとゼロにすると金融界は非常に困ると思いますが、少なくとも二百兆というか、まだそんなに出してない、百五十九兆ですけれども、これを全額返還するということでなくて、どの程度まで減れば――これはいろいろな見方があると思います。そのときの歳出に対するパーセントなり、GNPに対するパーセントなり、そういうのがありますけれども、それから見てどの程度になれば健全財政と言えるのか。先ほどの質問に似たような質問でございますけれども、健全財政とは何か。さっき出ました国債に絡めて。国債残高がどの程度であれば健全か、その辺お聞きしたいと思います。
  305. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 これはお答えするのが大変に難しい質問でございまして、私どもの今の目標は、実は六十五年度新規特例債はゼロにしたいということ、いわばそれを目標に懸命に努力を続けているということでございまして、脱却できた暁に、それでは今度は四条債をどの程度発行するか。それはゼロになるのは確かに財政法の基本原則でございますけれども、それをどの程度発行するかというのは、まさにそのときの日本の置かれている経済状況ないしは財政状況によるものだと思っておりまして、一義的に決めるのは実はなかなか難しいのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。  ただ、現在のように国債残高が非常に膨れてまいりますと、その利払い費だけで約二割という状況でございますので、なるべく残高をふやさずに、できれば残高を落としたいという希望は常に持っているというのが現在の状況でございます。
  306. 玉置一弥

    ○玉置委員 そういう面で見ていきますと、四条債についてもある程度制限をしていく。制限されていますけれども、むしろ減額をしていくということをもっと早く手をつけていかなければいけないと思います。  本当は各社会資本別耐用年数というのを調べようと思ってやったのですけれども、ちょっときょう間に合わなくて、例えば道路でも、高速道路、高架道路ですね、あるいはいわゆる土盛りの道路、市街化道路、こういうのがございます。あるいは河川ですね。一級河川等いろいろございますけれども、河川、都市下水、河川についております樋門、そういうものをずっと見ていきまして、あるいは鉄橋でもいいですし、見ていきますと、私たちが小さいころといいますか、斎藤さんよりもむしろ宮澤大臣のころの比較が一番いいと思いますが、昔あった橋が今あるかというと余りないのです。交通量が変わって、時代が変わってきたというのがあるわけですけれども。それからもう一つは道路ですが、道路は、最近は、つくるのと、あと補修に時間をかける。補修にお金をかければ非常に長もちするという話がございます。  そういうのから見ていきますと、果たして今つくったインフラ、社会資本のためにお金を投じているわけでございますが、それが六十年後に償還をするころに果たして役に立っているかどうかという問題、機能的な面ですね。それから、それまでに何回追加費用をそこに積み重ねないとそれが機能を発揮しないかということを考えていきますと、六十年償還で将来にも役に立つ社会資本であるというふうな見方は私は間違いだというふうに思いまして、六十年償還ではなくてむしろ三十年か四十年ぐらいで、いわゆる一世代あるいは次の世代の一部で償還をしてしまわないと、逆に後世に大変な負担を残すと思うわけでございますが、いかがでございますか。
  307. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 この六十年というのは、我が国独自の減債制度をつくる際に相当ないろいろ議論をいたしまして、土地という公共投資の対象、これは実は無限大にあるというようなものをどう見るかとか、いろいろなことで積み上げ計算をして一応六十年ということで決めた数字であるわけでございます。確かに橋などはどんどん変わっております。これは、当時木造橋であったものが、時代の要請に合わないということで、耐用年数の有無にかかわらずコンクリート橋にしたというようなこともございます。それから、道路は確かに御指摘のように補修の程度によって非常に長もちするという議論もありまして、私どもとしては、四条債につきましての六十年の償還というのは、土地の問題もございますし、今のところこれで何とか後世代に資産を残しつつ償還をしていくというルールから見て適当ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  308. 玉置一弥

    ○玉置委員 そういう面で見ていきますと、確かに社会保障関係とか見ていますと、これから税金を払う人たちが減ってきて給付を受ける側が非常にふえてくる、こういうような状況でございます。その税金を払う人たちが減るということは税額が非常に膨大なものになってくるということでございまして、その辺を考慮してやっていかないと非常に困るのではないか。こういうことで、私たちの年代も多少ひっかかりますが、その次の年代に特にかかってくるわけで、ぜひ長期的な観点でそういうことをお考えいただきたいと思います。  時間があと二、三分しかございませんのでやめますが、一言、主税局長――大蔵大臣に聞きましょうか。大蔵大臣、実は先般の政策担当者会議のときに渡辺政調会長とともにいろいろ論議をして、自民税調あるいは大蔵省等でまだ論議というか結論を出されていなかったキャピタルゲイン課税について、原則課税とする、こういう話で一応話し合いができたのです。それをそれぞれが持ち帰って党内でいろいろ論議をしていくのですけれども、まずそのキャピタルゲイン課税について、原則課税とするということで我々自社公民、共産はおられませんでしたけれども、そこの中で話ができました。これについて大蔵大臣として、あるいは大蔵省としてどういう取り組みをされてまいりますか、その辺についてお聞きしたいと思います。
  309. 水野勝

    ○水野政府委員 現在政府税制調査会で検討が詰めて行われているところでございます。先般の素案におきましては、キャピタルゲイン課税につきましては、「現行の原則非課税制度を改め、」「適正な脱負担を求めることとする。」とされてございます。これが三月二十五日の素案でございますが、その後この点につきましては何回か審議が行われておりまして、その過程におきまして、大体原則課税に移行するとした場合に課税方式としては四つぐらい考えられる、総合課税、申告分離課税、源泉分離課税、源泉分離選択課税、こうした四つぐらいの具体的な課税万式が具体的に検討してまいりますと考えられるというところまでいろいろ議論されておりまして、こうした中から最終的にどのような方式が最後の案として出てくるか、現在恐らく最後の詰めの段階ではないかと思っております。
  310. 玉置一弥

    ○玉置委員 さっきも申し上げましたけれども政府税調、自民税調があるから大蔵省は何もしないのかというような、今の答弁を聞いていますとそんな感じがするわけです。だから、税務当局としてやはりもっと自信を持って発言をしていただきたいと思います。特に水野さんになってから非常に消極的な発言が多いので、今後もぜひ積極的に発言をしていただきたいと思います。  終わります。どうもありがとうございました。
  311. 越智通雄

    越智委員長 次に、森田景一君。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕
  312. 森田景一

    ○森田(景)委員 どうも大変御苦労さまでございます。  私は、質疑に入ります前に、一言大蔵大臣に苦言を申し上げておきたいと思うのでございます。  といいますのは、政府税調は二類型三方式の税制改革素案というのを発表したわけでございます。その素案の発表を見ますと、竹下総理が予見を与えずと言って大変すばらしいのが出てくるのじゃないかと思っておりましたが、そう言ったにもかかわらず、今までに出尽くした内容の方式が素案として発表になったわけでございます。この一つは、大平元総理のときに断念しました一般消費税、もう一つは、中曽根総理のときに断念をせざるを得なかった売上税、もう一つは、かつて実施されたけれども短い期間のうちに廃止になったという取引高税、こういう三つの方式でございました。それはそれとしまして、政府税調が発表したことですから、そのことについては私はどうこうということは申し上げるつもりはございません、今の段階では。我々の立場としては、あくまでも政府が出してきた段階でいろいろ論議をしたい、こう思っております。  だけれども、私が苦言を申し上げたいと言いましたのは、この素案が発表になりましてから各新聞紙上にいろいろな報道がされまして、例えば新型間接税の税率は一%であるとか、それから増減税規模八兆円だなんて、あるいは新型間接税の簡易課税制は売上高五億円以下だとか、そのほかにもたくさん記事がありました。こういう記事が出ているわけでございます。内容を見ますと、大蔵省の方針は固まっている、大蔵省の見解がまとまった、こういう記事になっているのですね。  私は、かつて、いろいろと大蔵省関係、昨年でしたか、記事が出ることを宮澤大蔵大臣はどう思うのだということをお尋ねしたことがあるわけです。そのときに、私が申し上げているのではなくていろいろと新聞社が取材してやっているのでしょう、こういうことだったのです。だけど、こういうことは私は非常に不謹慎だと思うのですね。というのは、政府税調が素案を発表して、素案に基づいてこういう形にすればこうなりますよと政府税調が発表してくるなら構わないわけです。しかも、今政府税調は、公聴会といいますか、そういうものを全国で開いて、もう終わったのでしょうか、いよいよまとめの段階に入ってきている、こういうことなのですね。それが、またどっちみちそんなことを言うと宮澤大蔵大臣は、いや、私はそんなこと関知しておりません、こう言うに違いないのですけれども、やはり大蔵省が先走って、それで我々のいわゆる大型間接税論議、これに対して逆なでをするようなこういうやり方は慎むべきである、私はこう思うのです。そのことを最初に大蔵大臣に申し上げておきたい、こういうふうに私は考えているわけでございます。私はまだ大型間接税の論議に入ろうと思っておりませんから、苦言だけ呈しておきます。  それから問題なのは、きょうも午前中話題になりましたけれども、四月十八日に内閣記者会の懇談というのが竹下総理を囲んであったのだそうでございます。その発言というのが新聞に報道されておりまして、私も、四月十九日付だったと思いますが、新聞を拝見しました。この中に「六十三年度減税について」という項目がありまして、「戻し税はいいことではない。」中略しまして、「理論的には恒久減税につながるものでないといけない。自然増収を減税に充てるとの話もあるが、自然増収の規模は六月終わりごろに分かる。それも、税収に余裕があるときは、赤字国債を発行しないのがルールであり、増収があったからといって、予算書に(税収が)プラスされるわけではない。(六十三年度減税は)税理論からすれば、恒久的図柄の中に位置づけるべきだ。」こういう内容でございました。これは、減税の法案は税制抜本改正法案の一部として提出したい、こういう意思表示であるというふうに新聞は報道しているわけです。  で、けさも大臣答弁されましたけれども、三月三十日の与野党国対委員長会談がありました。御存じのところでございますが、ここで合意しました確認事項の一つは、六十三年度減税のための法案は今会期中に処理するように最大限努力をするということでございました。まだ一遍も努力をしていないのです。その努力をしてないうちに総理がこの口頭の約束をほごにするようなそういう発言をするということは、これはまさに背信行為ではないか、こう私は思うのです。そういうことで、きょうは総理ここへ見えておりませんけれども、副総理として、そういうことは慎むべきであるということをぜひ副総理の立場から宮澤大臣は総理大臣に進言をしていただきたいと思うのです。そうでないと、これから無用の混乱がまた起こることが予想されると思います。今までも、政府・自民党の閣僚の中には、大変発言に穏当を欠く発言もときどきありました。そのことが国会で問題になり、いろいろと混乱した事例もあるわけでございますから、少なくとも総理としてそういうことは慎むべきであるということをぜひ宮澤副総理からお伝えいただきたい、こういうことを御忠告申し上げまして、これは答弁要りません。弁明したければされても結構でございますけれども、これはぜひ伝えていただきたいということを最初に申し上げて、質問に入りたいと思うわけでございます。  それで、私は時間の配分が非常に下手なものですから、今までも、いろいろと質問したいことがたくさんあったのを途中で断念せざるを得ない、こういうことがありましたので、本日は、財確法の審議でございますが、財確法は最後にやらせていただこうと思っております。  最初はデノミのことについてお伺いしたいと思うわけでございます。  けさも、また先ほども、いろいろと予算の単位等につきまして、丸がたくさんついているものですから読み違えがしょっちゅうあるわけでございます。実は、私の地元の商工会議所の会合にある政務次官が見えられました。断っておきますが、これは大蔵の政務次官じゃございません。そのときに御立派な演説をなさっておられました。その話の中で、皆さん一兆円というお金はどのぐらいのものか御存じですかという話がありました。私もまだ一兆円持ったことがありませんから、東京の造幣局でまだ日銀に入る前の積み重ねたのは一回見せていただきましたが、わかりません。その政務次官は、毎日百万円ずつ使って何と二百七十年かかるのです、こういうお話をなさったのですね。それで、私もそんなものか、大変だな、こう思っていたのですが、大蔵大臣、これは正しいのでしょうか。
  313. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 二千七百年かかります。
  314. 森田景一

    ○森田(景)委員 さすがは大蔵大臣です。二千七百年かかるのですね。私もそのときに、二百七十年、これも大変だなと思ったのですけれども、その後ずっと計算してみましたら、いや、けたを一つ間違えているのじゃないか。家へ帰りましてからちゃんと鉛筆を持って計算をしましたら、二千七百年かかるのですね。ことしが皇紀二千六百四十八年だそうです。ですから、神武以来ずっと毎日百万円ずつ使ってまだ使い切れない、これが一兆円という金額ですね。とてもとてもそんなに生きていられませんけれども。利子なしでございます。利子を使っていけばずっと元が減らないということになるわけでございます。  なぜ私がこんなことを申し上げたかといいますと、商工会議所の会合に出てくるような政務次官ですから数字には強い方なんですね。本来強い方なんです。その数字に強い方でも丸を一つ間違える、こういう時代になってきておるのであります。  それで、実はこういう「二〇〇一年の東京資本市場」という本があります。これは去年出た本でございまして、大和証券経済研究所編という本でございます。この本を見ますと、百九十四ページから五ページに出ておるのでございますけれども、「二〇〇一年の東京資本市場はどうなっているのだろうか。」ということで表が出てございまして、まず、東京証券取引所の株式時価総額は一九八七年末四百五十兆円から二〇〇一年には一京円になる、こういう予測が出ております。それから、債券発行残高は一九八七年末二百九十兆円から七百兆円、債券売買高は六千五百兆円から十京円へ十五倍増となるというのですね。それから、金融先物・オプション取引では二十京円に達しよう、こういう予測でございました。この京というのは、森田員一の景じゃないのです。東京の京でございます。森田日がない京でございます。何だかさみしい話でございますが、京でございます。この一京というのは一の後にゼロが幾つぐらいつくと思いますか。
  315. 足立和基

    ○足立政府委員 数字のことでございますのであれですが、たしかゼロが十六ほどつくのだと思います。
  316. 森田景一

    ○森田(景)委員 大したものでございます。十六つくのだそうですね。一億円の一億倍だそうです。もうそうなると、けたのとるのを勘定するのは大変ですね。そういうことでございまして、ですから、この際デノミを実施したらどうだろうかなというのが私の意見なんです。  ちょうどきのうのドルが一ドル百二十四円たったと思います。これは、呼称の単位を幾らに下げるかというのはいろいろ技術的に問題があると思うのですけれども、百分の一にしますと一ドルが一円三十銭前後、こういうことになりまして、アメリカの財政経済をいろいろと刺激するといいますか警告する立場からいけば非常に有効であろう、こう言う学識経験者の方々もいらっしゃるわけですね。ただ、宮澤大蔵大臣もまだはっきり言いませんけれども、ことしの秋あたり大型間接税を持ってきて何とかそれを通そうということで頭がいっぱいで、デノミまではとてもやっていられないということじゃないかと思うのですが、時期としてはデノミをやっていい時期になっているのではないかと思うのですけれども、デノミを実施する条件というものはどんな条件が整ったとき実施できるものでしょうか。
  317. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は私はデノミということを現実の政治の課題として考えたことがございませんものですから、したがいまして、どういう条件があればこれが可能であるか、好ましいかということを考えたことがございません。事務当局の諸君であるいは勉強しておる人がいるかもしれませんが、役所としてもそういうことを検討したことはないであろうと思っております。
  318. 森田景一

    ○森田(景)委員 先ほどたしか十六つきますと名答弁をなさった足立理財局長ですか、デノミの関係はそこの担当じゃないのですか。どこですか。
  319. 足立和基

    ○足立政府委員 担当と申しますのは余り正確でないかもしれませんが、もし実施する、研究、検討するということになれば理財局の所掌であるということになろうかと思いますけれども、今大臣が御答弁されましたように、私ども現在デノミの実施ということを全く考えておりませんし、それについての検討を実はいたしたことはございません。ただ、御質問がございますので、どういうようなことが必要かなということを私ども事務当局は一応考えました。  まず、いろいろな問題点があろうかなと思っておりますが、一つ国民の受けとめ方でございます。デノミというものに対しての正しい理解、認識あるいは実施についての前向きな考え方等が浸透することが必要であろう。あるいはまた大きくは経済社会環境の適否というものが当然ございましょう。そういうことを考えていかなければならない。それからさらに、最近におきましては、コンピューターの導入等に伴いましてけたを変えていくというようなことについての実施に伴います技術的な諸問題というものもかなり大きな問題として考えざるを得ない。これは、仮に現実に実施するといたしますと、その技術的な諸問題を解決するのにかなりの費用を企業が負担しなければならないという現実の問題もございまして、等々総合的に考えますと、私どもとても実施する環境にはないのではないかと実は考えております。
  320. 森田景一

    ○森田(景)委員 検討したことはないとおっしゃいますけれども、これは福田内閣の時代に検討したことがあるそうですね。検討した資料は大蔵省の金庫の中にちゃんと入っているそうですね。御存じありませんか。
  321. 足立和基

    ○足立政府委員 私もそういう話は聞いたことはございますが、そもそも金庫がどこにあるのか、ましてや金庫の中にはどういうものがあるのかということは全然承知いたしておりません。
  322. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣大蔵省の幹部の方がどこの金庫に何が入っているか全部はそうわからないにしても、かつての総理大臣が検討したものが金庫に入っているということならば、大蔵大臣、一遍きちんと金庫を探して、それで、あったら目を通しておいたらどうですか。
  323. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先輩が研究されたことがございましたらそれは私は見るのにやぶさかではございませんけれども、一番思いますことの一つは、デノミというのはこれでもって損をしたり得をしたりする人はいないんだという、極端な表現でございますけれども、町名変更みたいなものだということを国民にまずよくわかっていただきませんと、もう、すぐ、デノミでだれが得をするとか、雑誌などは直ちに大きな見出しになったりいたします。そういうものとして受け取られると、どうも研究することすら実は問題があるという感じを持ちますものですから、金庫にありますかどうか、それは一度そういう研究がございましたら探してもみますけれども、私はそういう気持ちでおるわけでございます。
  324. 森田景一

    ○森田(景)委員 これは後で財確でも問題にしようと思ったのですけれども、やはり大蔵大臣は一年や二年で交代するのはよくないと私は思うのですね。早く交代してしまうから責任を持っていろいろな問題の処理をしなくなってしまう。総理大臣も同じなんですね。ここでそんなことを言っていいか悪いかわかりませんけれども、アメリカの大統領は六年あるわけです。二期やれば十二年ですね。日本でいえば参議院議員と同じですね。(「八年」と呼ぶ者あり)八年間ある。日本では、大蔵大臣は、早ければ一年ぐらい、長くても三年か四年。この間では自分で泥をかぶるような仕事は余りなさらないのじゃないかと思うのです。  私も過去の歴史を少し調べさせてもらいましたけれども、やはり福田元総理大臣なんかも、大蔵大臣当時は建設国債の発行にも反対していたという時期もあったようでございます。大蔵大臣になって、総理大臣から、発行しろ、あるいは財界からも、発行しろ、こうやられるとぐるっと態度を百八十度転換して国債発行に踏み切ったなんという歴史もあるようでございます。  だから、宮澤大蔵大臣も、私もこの前のときは総理大臣になるんじゃないかと期待していたわけでございますが、残念ながら総理大臣にはなりませんでした。だけれども、日本の財政を握っているのは大蔵省ですから、もう総理大臣をおやりになろうなんという気持ちは起こさないで、大蔵大臣を五、六年やろう、そのぐらいの決意を持って、総理大臣がだれになるか知りませんけれども、私は大蔵大臣をやっていくからそのかわり財政のことは任せてくれ、このぐらいしないと本当のいい財政ができないですよ。そういう担保があれば、デノミも必要なら私もやりましょう。ところが、デノミというのは確かに経済効果でいえば二兆円か三兆円ぐらいの波及効果があるようです。だけれども、それに伴う費用というのが一兆円ぐらいかかるということでプラス・マイナスの面があるようでございますけれども、どうもそういうところで思い切ったことができない。私もいつ大蔵大臣をやめるかわからないというのじゃいい仕事ができるわけがないと私は思うのですよ。では大蔵大臣がかわるならだれが後をやるかというと、大蔵省の皆さん方がやる、こういうことになってくると思うのです。やはり大臣がいる、総理大臣がいるということになるとそれも思うに任せない、こういうところに矛盾があると私はしみじみ感じているわけでございます。大臣の個人的なことをいろいろあげつらうつもりはありませんけれども、気持ちとしてはそんな気持ちを持っておるのです。宮澤大蔵大臣財政のことについては非常に一生懸命取り組んでいらっしゃる、私はこう思っていますから、あえて難しいことについても取り組んでいただきたいなと思うのです。  今先進諸国で為替対ドル三けた以上というのはどこなんでしょうか。
  325. 足立和基

    ○足立政府委員 我が国が三けたでございますが、それを除きますと、イタリアが四けた。イタリアだけでございます。
  326. 森田景一

    ○森田(景)委員 イタリアはことしデノミを決めて来年実施すると聞いておりますけれども、それはそのとおりですか。
  327. 足立和基

    ○足立政府委員 イタリアでございますけれども、確かに本年の二月六日にデノミ法案がゴリア内閣によりまして閣議決定されまして、国会に提出されたことは事実でございます。しかし、御承知のように、ゴリア内閣は予算成立に伴いまして総辞職をいたしまして、今度は四月十四日にデミタ内閣が成立をいたしました。したがいまして、これからこのデノミ法案というものがどういう帰趨をたどるのかということは、現在のところまだ不透明でございます。
  328. 森田景一

    ○森田(景)委員 では、イタリアもまだ決まってないから、もう一人友達がいるからそう慌てなくてもいい、そういう感じじゃないかと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、一京という時代になってきますと、ここで問題になるのが通貨です。今一番大きな金額の通貨は一万円でございますね。そうすると、やはり五万円なり十万円なりの通貨を発行しなければならないのじゃないかという問題にぶつかってくるんですね。これはどうですか、宮澤大蔵大臣。こういうことも考えなければならない時代になっているのじゃないですか。
  329. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これも事務当局の諸君はなかなかよく考えておりまして、仮にそういう決定をいたせば、現実にその上位の通貨が発行されるまでにかなりの年月を要することでございますので、昨年でございましたか、一昨年でございましたか、私にどう考えるかということを事務当局が申しますので、私としては今一万円より上位の紙幣を発行する必要はないと思うということを申しまして、したがいまして、そのような準備等々は一切行われておりません。
  330. 森田景一

    ○森田(景)委員 それでも早晩考えなければならない時代が来るだろうということは予測されるわけでございますので、さっき申し上げましたように、宮澤大蔵大臣の時代になるのか、次の時代になるのかわからない、こんな状況でございますが、いずれにしても経済の運営でございます、金融の運営でございますから、十分ひとつ対応を考えておいていただきたいと思うのでございます。  それで、これも新聞の記事なんでございますけれども、経済審議会国民生活部会というのがあるそうでございまして、この報告に「二〇××年、ある家族の生活物語」という附属資料をつけたんだそうですね。部会報告が目指す社会をわかりやすくするために経済企画庁の若手職員が小説風に描いたものだそうです。これは、住宅の心配もなく、休日もたっぷりあり、経済摩擦もないバラ色の世界となっているというんですね。ちょっとこれは本題から外れるのですけれども、読んでみますから聞いていてください。   主人公は東京からリニアモーターカーで一時間の都市にある大手電機メーカーソフトウエア工場の工場長(五四)一家。   工場長は火、木曜は午前十時まで水泳を楽しんでから出勤。職住接近で通勤地獄もない。夏休みは一カ月近くあり、春、秋にも長期休暇がとれる。定年制はないが、年金がもらえるようになったら悠々自適の生活を楽しむ考えだ。   妻(五一)は、市民教養講座の友人と買い物、テニス、音楽、映画を楽しむ毎日。   牛肉も安くなり、おいしい米も手に入る。家にはテレビ電話があり、長距離電話をかけても電話代が安くて負担にならない。   「東京一極集中」は死語になり、若い人でも手軽にマンションが手に入る。長女(二四)は地元に誘致した国際超伝導大学院大学に通う。卒業論文に取り組み、研究者としての将来に夢をはぐくむ。   こんな調子で明るい未来が描かれ、最後に「本当にいい世の中になったもんだ」。 と結んであるというのですね。経済企画庁の若い方がつくったのだそうです。どう感じられますか。
  331. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただし、日本のことではないとかなんとか書いてございませんか、後に。
  332. 森田景一

    ○森田(景)委員 書いてございません。
  333. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そうですか。
  334. 森田景一

    ○森田(景)委員 どうも、大蔵大臣がそんなことを発言するようじゃ、いろいろな今までやってきておる政策がみんなうそだ、こうなるわけですね。
  335. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 恐らく、これから我が国の社会資本の整備をしていきますと、技術革新と相まちまして、そういう社会というのもそんなに遠くない時期に実現していくのではないか。大変に書き方がいいところばかり書いてございますので、やや事実でないように見えますけれども、それはそれでいろいろまた問題はあるのでございましょうが、それにあるような諸要素というのは、そんなに遠くない時代にできていくのではないかと私は思います。
  336. 森田景一

    ○森田(景)委員 我々政治家としては、こういう社会をつくるために努力する、こういうことだと思うのです。  ただ、新聞の記事で、その後がおもしろいのですね。   物語の中で、確実に実現しそうな個所がある。   「老後は厚生年金のほか企業年金や個人年金でそう不自由なくやっていける」、「収入の方はまあまあだが、税金とか保険料とかがかなりかかってね」のくだりだ。厚生年金だけでは暮らせない老後と国民の負担が高まることを示している。バラにはやはりとげがある。 こう結んであるわけです。  これはちょっと弾みの話でございますけれども、実は、こういう社会をつくるためにいろいろとみんな努力をしているわけでこざいますが、サラリーマンにとりましては在職中に大きな三つの出費の時期があるというふうに言われているというのですね。どういう時期か、大蔵大臣、お答えいただけますか。
  337. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三つというのは、どれを選ぶか、いろいろあるのだろうと思いますが、やはり一番きついときは、子供が義務教育を終えまして上の学校に行く、そのもろもろの教育費、あるいは住宅のローンを返済するといったような負担のかかる時期ですから、ちょうど四十前くらい、三十五からその辺のところが普通一番つらい時期だというふうに私は考えておりますけれども
  338. 森田景一

    ○森田(景)委員 いろいろ突然の質問ばかりで恐縮でございます。  普通の場合は、一つはマイホームの費用、二つは子供の教育費、三つが夫婦の老後の費用、このようにサラリーマンにとりましては大きな出費の時期が順々に発生する、こういうふうに言われているというのです。  きょう私は大蔵大臣にお願いしたいと思っておりますのは、子供の教育費についてでございます。教育の問題は文教の方でという考え万もあるかもしれませんが、私はそういう立場ではなくて、子供を扶養する親が非常に出費のかさむ時期、これが大変な時期があるわけでございます。今三つ申し上げましたけれども、特に子供の教育の費用が大変だということは、この税制のパンフレットで、いろいろ問題になりましたけれども、この政府税調の三つの素案の中に図が書いてあります。  この図を見ますと、赤い線が支出でございますね。ブルーが収入、破線が収入マイナス支出となっておりまして、支出の赤い線を見ますと、平均五十歳前ぐらいでございますが長子大学、五十過ぎた時分の第二子大学、平均子供さん大体二人というのが標準世帯になっているわけですが、この時期が非常に出費がかさむ時期になっておるわけでございますね。そういうことで大変な掛かりがかかっているわけです。  だから、今までにも大学の費用はどのぐらいかかるかという問題がいろいろと論議されているわけでございまして、私は率直に申し上げまして、大学に子供さんを通わしているこの時期にせめて親の負担を軽くする。大体平均して大学四年でしょう。医学部が六年なんというのもありますけれども、短大も二年というのもありますが、大学に通っている期間、扶養控除金額を引き上げたらどうだろう、そんなふうに私は考えているわけです。  いろいろと大臣も御存じでしょう。この間もこの委員会で、すごい学生マンションが出ているなんという話もあったと思いますけれども、新聞なんかを見ますと、バス、トイレつきで管理費を含めて五万九千円なんというマンションが建っているというこんな記事もあります。平均して私立大学の納付金というのが百万円時代だそうですね。それから、生活費がどのくらいかかるかといいますと、これは文部省の調査でございますが、昼間、四年制の大学生が一年間に使う学費、生活費の合計金額が平均百四十二万だそうです。東京都内で下宿やアパートにいる大学生の経費は、国立で百五十万五千五百円、私立になると百九十六万八千八百円、ほぼ二百万円の支出がかかる。親にとりましては、何とか子供を立派に育てて社会に貢献させたいということでいろいろ努力しているわけでございます。  いろいろと優雅な生活をしているとか、こういう高級マンションに入っているとかありますけれども、それは一部の学生でございまして、大部分の学生は大変厳しい生活の中から親の仕送りを受け、しかも、足りない分については、自分でアルバイトをして稼ぐとかあるいは奨学金を借りるとか、こういういろいろな努力をしながら大学へ行っている実情にあるわけですね。  そんなことで、私考えてみたのですけれども、いろいろ控除の種類があるわけですけれども、この控除の種類の中で扶養控除ですね、扶養親族、原則として三十三万円となっていますけれども、これを百万円に引き上げたらどうだろうか、四年間。それから、勤労学生控除、二十五万になっていますけれども、これも百万ぐらいに引き上げたらどうだろうか、こんなふうに私考えたのですが、こういう控除というのは大蔵省がいろいろとやるわけでございますから、文部省と相談するとかなんとかじゃなくして、そういう現実に合った、大変な状況考えて、控除を改める。四年間ですね。一生じゃないのです。四年間だけでも控除を引き上げてあげたらどうだろうか、こう思うのでございますが、大蔵大臣、所見をお伺いしたいと思います。
  339. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはなかなか深刻な問題でもありますし、重要な問題でもあると思うのでございますけれども、何分にも、ある程度これは有効だと思われるほどの控除を考えるといたしますと、そういう人々とそれからそのような子弟を持っていない人々とのいわば均衡感というのでございましょうか、そういうことをどうするのかという問題がございますし、さらに申せば、義務教育だけでもう社会で働いている人々も他方にいるわけで、この諸君は自分で勤労所得税を納めている諸君であるということになりますから、そういう人々との関係はどうなるのか、いろいろその辺に、大事な問題であるだけにいろいろな要素が入っておりまして、いわばそれは一種の教育費に対する控除という形の補助でございますから、それでありましたらそれだけのことは歳出の面で何かできることがあればした方がよろしいのか、いろいろ公平ということなど考えますと、なかなか問題が多いように私ども思います。問題が非常に重要であることは気がついておりますけれども、それだけにどうも容易になかなか議論の尽きないところでございます。
  340. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣おっしゃるとおり、確かに高校の進学率が九四、五%、大学の進学率が三四、五%だったかと思いますね。そういうことを踏まえて大臣おっしゃっているのだと思います。  しかし、そういうことを言ってまいりますと、じゃ国立大学と私立大学はどうなんだとか、あるいは私立大学にも補助金を出しているじゃないかとか、いろんな論議もあるわけです。そういうのをやはり、我々も次の世代の人材を立派に育てていこうという、これは我々個人の家庭でもそうですけれども、国家としても当然そういうことを考えなければならないわけですね。極端に言えば大学は無料にしろなんというそういう話もあるくらいでございますから。だけれどもそこまでは日本の経済の中ではできない。それならば、一番大変な時期、大体五十歳前後、年齢で区切るわけにいきませんが、要するに子供さんが大学に進学している時期については考えてあげましょう、立派な人材を、後継者を育成してくださいということで、こういうことが大事じゃないかと思いますね。大蔵大臣だって沖縄のアメリカの基地の働いている人たちに対しても思いやり予算というのをたくさんつけたじゃないですか。どうですか。あれだって厳密に言えば不公平だということになるのじゃないですか。そういうことはあるのですから、大所高所に立ってやはり考えていく必要もあるのじゃないだろうか、こう思います。  きょうは提言でございますから、ここでできるとかできないとかいう即答はそれは無理なことでございますので、大蔵大臣としてもどうかひとつ在任期間中に、ずっと大蔵大臣をやっていただければ私もなるべくなら大蔵委員会でずっとやりながらやらしてもらいたいと思いますが、ぜひ在任期間中にそういう方向の検討もお願いしておきたいと思うわけでございます。
  341. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大切な問題についての御発言でございますので、よくまた関係者で検討いたします。
  342. 森田景一

    ○森田(景)委員 次の問題に移りますけれども、今外国人の労働者の問題がいろいろと社会問題になっておりますね。  海外業務が拡大されてまいりまして、商社とかあるいは銀行で外国人の定期採用が計画される、外国人労働者が日本で働くケースがふえてきていることは事実でございます。  一方では、建設作業などの単純労働といいますか、あるいはジャパゆきさんと呼ばれるいわゆる風俗営業での不法就労に関する摘発事件、これも急増しているわけでございまして、最近私のところに電話がかかってまいりました。テレビで外国人の労働者が農家で働いているのを放映されたのを見ました、私のところも使ってみたいのですけれどもどこへ申し込んだらいいんでしょうか、こういう問い合わせだったわけです。私は、おかしいな、こう思いましたので、いろいろ調べましたら、そのテレビは要するに不法労働者の実態を放映したんだそうでございます。そういうことを問い合わせてきた方に返事をしてあげたわけであります。それから非常に私も関心を深くしまして、いろいろと注目をしているわけでございます。  不法就労、不法労働ということでございますから、これの取り締まりもしているわけでございます。この間、この間といってもちょっと前になりますが、二月の末の新聞記事ですね。「不法就労外国人を摘発出動」、こういう写真入りの大きな記事がありました。いろいろとこの不法就労問題について調べておりますと、大変気の毒だなという面もあるわけでございます。  昨年一年間で、この不法労働、これは法務省の方ですか、摘発をしているようでございますけれども、一体実情はどんなものであるかということをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  343. 町田幸雄

    ○町田説明員 森田委員質問、不法就労者の実態ということでございますが、それにつきましては、不法就労者全体の実態を正確に示す資料、これはまだないわけでございますが、法務省の入国管理局で推計いたしましたところでは、昭和六十年末現在、我が国の不法就労者数は合計五万人ぐらいというぐあいに思われております。その数自体はほかの先進諸国に比べますとさほど大きいとは言えないと思いますが、ただ、その不法就労者の増加率が非常に高いということで、私ども非常に重要な問題というぐあいに考えております。  その全体の実態を示す一番いい統計上のものといたしまして、昭和六十二年中に摘発しました不法就労者の実情を御説明すれば一番おわかりいただけるのではないかと思いますので、そういう意味で御説明しますと、昭和六十二年中に摘発した不法就労者の数は一万一千三百七人が総数でございます。そして、その国籍別にまず御説明しますと、フィリピン、タイ、中国、これは台湾がほとんどでございますが、そういう順序になっております。フィリピンが総数に占める比率が七一%と非常に高い数字でございます。二番目がタイでございまして、全体で九%、三番目が中国で四%ということでございます。  それから、性別から御説明しますと、従来は女性が大半を占めておりましたが、昭和六十年ごろからフィリピン、パキスタン、バングラデシュを中心とする男性が急増しております。性別の構成比を御説明しますと、昭和五十九年では全体で男性は七%しかおりませんでしたが、六十二年には三八%を占めるに至っております。  それから、次に稼働内容について御説明しますと、まず男性でございますが、土木作業員が千八百六十二人、これは全体の四三・四%に当たります。それから部品製造等の工員をやっていた者が千三十六人、これが全体の二四・二%。それから雑役夫が五百十五人で一二%でございます。それから、その他、多岐にわたるものでございますが、いずれも単純な作業を内容といたしております。それから、今申しました土木作業員と工員の合計数が二千八百九十八名でございまして、男性全体の六七%に当たっております。昭和六十年にはその比率が四六%でございましたから、その比率がふえているなというぐあいに感じております。  それから、次に女性について御説明しますと、女性にありましては、ホステスが六千七十六人、これは全体の八六・六%、次にストリッパーが二百五十九人で三・七%、それから売春婦が二百三名おりまして全体の二・九%でございまして、これら三種類を合計しますと、六千五百三十八人で全体の九三・二%を占めております。したがいまして、女性の大半が風俗営業関係で稼働しているということがうかがわれます。  それから、次に稼働期間について御説明しますと、六カ月以上一年未満の者が三千八百六十八人で三四・二%で最も多い。次いで一年以上が三千八十三人、これが二七・三%でございます。それから三カ月以上六カ月未満が二千二百三十九人で一九・八%になっておりまして、今御説明しましたように、比較的短期間で、一年以内の者が七三%を占めております。  次に、これらの者が得ている賃金について御説明しますと、本邦滞在中に得た報酬総額、これは本人の申告によるものでございますので正確ではないかもしれませんが、これは稼働期間を問わずですが、十万円以上五十万円未満の者が三千八百二十七人で三三・九%と最も多く、次いで五十万円以上百万円未満が二千八百四十七人、二五・二%となっております。  以上のような状況でございます。
  344. 森田景一

    ○森田(景)委員 ありがとうございました。  なぜ大蔵委員会でこの外国人の不法就労を問題にしたかといいますと、今御説明がありましたけれども、不法就労でも、雇った方は本人から所得税を徴収して税務署に納めなければならないんだそうですね。この関係のことは大蔵省が担当でございますから、これはどうしてそうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
  345. 日向隆

    日向政府委員 委員も御存じと思いますが、所得税の課税関係におきましては、その所得が合法的な手段で稼得されたか非合法な手段で稼得されたかを問わず、現実に収入を得ている場合には、これは所得の種類でございますが、雑所得、事業所得または今御指摘になりました給与所得等の収入金額として課税されるということになっております。したがって、外国人で、今るる御説明ございましたが、観光ビザ等で入国して就労して収入を得た場合、またはあらかじめ定められた滞留期間を超えて就労して収入を得た場合におきましても、それぞれ所得税の所得種類における収入金額として課税されるということになっております。  今委員が御指摘になりましたが、入国した外国人が居住者であるという場合は非常に少のうございまして、不法就労者は大体が非居住者であるというふうに考えられますので、この場合には国内源泉所得についてのみ課税されるということになっております。したがいまして、我が国で発生した事業所得については申告により課税されますし、また給与所得等につきましては二〇%で源泉徴収をされるということになっております。
  346. 森田景一

    ○森田(景)委員 そういうことなんですね。要するに、不法就労だけれども、働いたら二〇%の源泉徴収をしなければならない。  私の知っている人からのこれもやはり相談でございまして、観光ビザで入ってきた外国人の若い青年が、一軒一軒工場を歩いて、使ってくださいませんか、使ってくださいませんかとたまたま来たというのです。うちへも来たので、ちょうど必要なんで雇いたいと思うけれども、よく新聞に不法就労、不法就労と出ているもんで、雇って大丈夫なんだろうかどうだろうか、こういう相談があったのです。雇った場合には税金はどうしたらいいでしょうかと所轄の税務署に聞いたら、今お答えいただきましたように、二〇%の源泉徴収をすれば一応処罰の対象にはならない、こう言われたのですね。とにかく人手不足なんですね。特に部分によって人手不足の職種がありまして、ではうちでも雇って、二〇%を税務署に払えば、不法就労というけれども、一応ほかに処罰の対象にならないのでしょうね、こういうことなんです。これはどこで管理するのですか。法務省ですか。大蔵省ですか。要するに、不法就労者を雇ったということについて、これは処罰の対象になるのかならないのか。
  347. 町田幸雄

    ○町田説明員 お答えいたします。  税金の関係につきましてはともかく、もし入管法違反の共犯、そういったようなことになれば、これはまた処罰の対象になる場合もあるかもしれない。そういう場合はまれかもしれませんが、そういうこともあり得るということでございます。
  348. 森田景一

    ○森田(景)委員 そういう件で処罰した事例というのはあるのですか。
  349. 町田幸雄

    ○町田説明員 お答えいたします。  それは雇用主が要するに入管法違反を犯させている、あるいはそれに手助けをしている、そういうようなことが認められるような、いわば例外的といいましょうか、そういう悪質な場合については処罰の対象になるというのが正確なところでございまして、森田委員が先ほど例示されましたように、たまたま訪ねてきて雇ったというだけでは入管法違反はなかなか成立しないのではないかなという感じを持っております。
  350. 森田景一

    ○森田(景)委員 それで、法務省の方でも外国人労働者の受け入れ緩和で次期の通常国会に改正法案を出す方針だということが十六日の新聞で報道されておりました。内容についてはここでは申し上げませんけれども、ただ不法就労に対する規制というのは、これはもう禁止するのだ、罰則もつくるのだ、こういう方針があるようなんです。確かに、ヨーロッパの事例なんかもいろいろと勉強させていただきますと、ヨーロッパは大変な状態になっているのですね。だから、それと同じことが日本に起こっては、これも日本でも将来、それでなくても高齢化社会で大変だと言っていることですから、それはそれで考えなければなりませんけれども、一方でそういう不法就労だと決めつけながら所得税は取っていくというやり方は、これもいかがなものかなと私は思うのです。  先ほどもいろいろ報告がありましたけれども、短い人もいる。一年を超える人もいる。ですから、例えば半年なら半年という期間を区切って労働者の入国を認めて、そして人数の制限も考えなければならないかもしれませんけれども、その人たちはきちんと働いたら本国へ帰ってもらう。こっちに住みついてしまうとこれはいろいろまた問題が起こるようでございますから。そういうことを盛り込んで考えてあげるべきではないだろうかなと私は思うのです。そうすれば、雇う方もきちんとした給料で雇う、低賃金ということもない、そういうことになってくると思うのです。  たまたま中村正三郎先生から一番新しいニュースを提供いただきまして、きょうの朝日新聞の夕刊でございますが、「ジャパゆきさん 孤独の病死」こういうのがありまして、今お借りしたものですから中を読んでおりませんけれども、だんだんジャパゆきさんもふえている、こういう見出しでございます。そういうことでございますので、これからいろいろと改正案の詰めを行うのだと思いますが、十分検討していただいた方がよろしいのじゃないか、こう思うのですね。そういうこともひとつ副総理でございますからぜひアドバイスをしていただいて、いろいろと摩擦の起こらないようなそういう解決のいい方法を考えていただきたいと思うわけでございます。  それで、最後になってしまいましたけれども、財確法についてお尋ねしたいと思います。  この財確法は、もう御説明ありましたように、要するに、六十三年度における特例公債の発行三兆一千五百十億円、六十三年度における国債費の定率繰り入れ等の停止二兆五千三十六億円、政府管掌健康保険の国庫補助の減額六百五十億円、こういう内容の法案でございます。私は、これも非常に疑問に思っておりますのは、赤字国債を発行しようというわけですね。それで、するということについてはもう予算書の中で書き込んでありまして、金額もはっきり明示されて既に成立しているわけです。その成立した後で赤字国債の発行や定率繰り入れの停止とかというこういう審議をするのはどうもおかしいなという感じが私はあるのです。  例え方はうまくないかもしれませんけれども、親の許さぬ結婚をした夫婦が子供を産んだ。子供が生まれちゃった。それで、お乳欲しがるあの子がかわいいという歌がありますけれども、今お乳を欲しがっているわけでしょう。例えは余りうまくないかもしれませんけどね。それで、これはお乳をどうしてもやらなければならない。こういうことになるわけですね、結論からいうと。私はそんなふうに思うのですが、大臣、どう思われますか。
  351. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは国会で成立をさせていただきますいわば予算というものとその予算を可能ならしめるためのいろいろな法律との関連ということに申せば尽きることでございますけれども政府としては、いわば両方が整合した形で、予算でこの歳入を計上し、法律でもってその権限を国会からお与えいただくことをお願いをしておるということで、両方が一緒に成立をするということはこれはむしろ偶然のことでございますから、いずれかが早くいずれかか遅くということはどうしても避けられないことではないかと思います。もちろん、予算歳入が計上されておりましても、この法律が成立いたしませんときはその予算はその部分は執行ができなくなるということは当然のことでございますので、そういう意味国会におきまして法律をもってその権限をお認めいただきたいということをお願いをいたしておるということでございます。
  352. 森田景一

    ○森田(景)委員 大変難しい問題は、要するに、今大臣お話しになりましたように、赤ちゃんが正常に生まれて母乳で育てるというならいいわけですけれども、生まれたのは生まれた、親の方がお乳が出なかったのですね。だからどうしてもミルクをやらなければならない。それが、こういう状況、ミルクをここで断つか断たないかという大変なことになっているわけでございますけれども、そういうことですから、これは毎回こういうケースで来ているのかもしれませんけれども予算が成立するときには少なくとも財確法案も、赤ちゃんが生まれると同時に母乳を飲ませてあげられるような、そういう状況で法案は処理されていくのが正しい行き方じゃないのだろうかなと私は思っているわけでございます。そうすると、審議をとめたのはだれだなどということにまたなりかねないのですけれども、それは決して私ども野党ではありませんで、誠実な回答をしなかった政府・自民党にあるということでございますので、その点はよく御理解いただきたいと思うわけでございます。  それで、こういうことはもう既に何回も言い尽くされているのだろうと思いますけれども国債の発行については財政法四条で規定されておるわけです。財政法四条には特例公債の発行というのは認められていないわけですね。それが特例公債を発行しようということになると、これは財政法の精神を本当に踏みにじっているものだ。今までもいろいろと論議されてきたようでございます。このことについて大蔵大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
  353. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 財政法は、戦後時間のたたない時期につくられましたので、相当時間がたっておりますが、これがつくられましたときには、戦争というものについてのお互いの反省もあり、また戦敗国であった点もございます。結局、戦争中に国債がいわば自由といいますか無制限に発行できるということが日本が戦争に入った大きな原因であるという反省が我々の中にもございましたし、また占領者もそういうふうに考えたと思われますが、そういう雰囲気の中でできました。したがって、赤字財政ということはやってはならないという考え方が財政法を貫いておるのではないかと存じます。  その後いろいろ変化がございまして、我が国もこれだけの国になり、世界の変動をいろいろに受けるようになり、そして結局特例公債も出さざるを得ないという財政事情になったわけでございます。したがって、それはその都度文字どおり特例として国会のお許しを受けておる。何と申しますか、先ほどから申し上げておりますけれども、こういう特例公債のような発行はなるべく早い時期にやめてしまいたいというふうに考えるにつきましては、財政法の原則を動かしていただくよりは特例ということでその都度お認めを願っておいて、そしてできるだけ早くいわば原則に返る、そういう考え万の方がよろしいのじゃないかと思っておるわけでございます。
  354. 森田景一

    ○森田(景)委員 宮澤大蔵大臣の御意見は本当にそのとおりだと思うのですね。この赤字国債を発行してきたのは宮澤大蔵大臣責任じゃなかったのですね。ずっと前にやった人が悪いのですね。引き継いでいるわけです。それを努力して赤字国債の発行をゼロにしようという、そして財政法本来の姿に戻していこう、こういう姿勢は御立派だと私は思うのです。ただ、特例法というのですから、この特例というのはそうしょっちゅうあったのじゃ特例にならないのですね。ところが、私はずっと法律を見てまいりましたら、特例がずっと続いているのです。一体この赤字国債発行してから特例法を何回やりましたか。
  355. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 十三回であろうかと思います。
  356. 森田景一

    ○森田(景)委員 十三回ということは、これは常識では特例とは言えないのじゃないですかね。どうも特例ということに私はひっかかるわけです。ここでそれを言ってもしようがありませんけれども、本当に考え方としては、十三回、しかもときどきやっているのなら、間を五年とか六年とか置いてやっているなら、それも特例だと言ってもそうかと言えますけれども、毎年やっていて特例だというのはどうか。これは通例ですね。私非常にそういう矛盾を感じているわけでございまして、このことで大蔵大臣を責めるつもりはありませんけれども、しかしそういう考え方、あと二年で赤字国債脱却という見通しで頑張っていらっしゃるわけですから、ぜひ――でも、来年もその次も、来年一回ぐらいで特例は済むのですか、二年脱却というのは。もう一回。あと二回。どうですか。
  357. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもの願いは、あと一回お願いをすればそれでなくなるというふうに目標としては考えておるわけでございます。
  358. 森田景一

    ○森田(景)委員 ぜひひとつ、あと一回で済めばもう一遍だけ嫌みを聞けば済むことでございますから、頑張っていただきたい。  それはそれとしまして、赤字国債は麻薬だ、こう言われているのだそうですね。そういうことを聞いたことありませんか。
  359. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 よく聞きます。
  360. 森田景一

    ○森田(景)委員 本当に、私も前にたばこの問題をこちらでやりまして、たばこは麻薬じゃありませんけれどもなかなか習慣性が強い嗜好品だということで、やめられないとかやめられるとかいろいろなことがあるわけでございますけれども、麻薬というのはそれよりももっとひどいのですね。確かに麻薬という認識で大蔵大臣は、一日も早くこの麻薬をなくしていこう、こういう努力をなさっているのだというふうに理解していいんじゃないかと思うのですけれども、それはそう理解していいですか。
  361. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これはやはり癖になりやすいものでございますから、何とかしてできるだけ早くやめなければならぬと思っておるわけでございます。
  362. 森田景一

    ○森田(景)委員 癖になりやすいから早くやめたいと、癖になりやすいのじゃなくて、もう癖になっちゃっているんですよね。十三回も特例法をやってきたんですから、癖になっちゃっている。これをやめるというのは大変な努力でございまして、本当にそう思います。だから、あと一回で本当にこれが脱却できるということになれば、まあそれだけで問題が済むわけじゃないですね、済むわけじゃないのですけれども、この赤字公債脱却という大きな目標が達成できるということは、日本の財政にとっては非常に大きな希望がもたらされることだろうと思います。  そういうことで努力をまたお願いするわけでございますけれども、しかし、六十五年赤字国債発行ゼロ、こういうことになりましても、国債の残高は、ちょっとメモが悪いかもしれませんが、六十三年末ですか、百六十八兆円になる、こういうことでございますか。
  363. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 六十五年末で百六十八兆でございます。  それから、先ほど十三回と申しましたけれども、数字に弱いもので申しわけございません、十四回でございます。
  364. 森田景一

    ○森田(景)委員 だから最初に申し上げましたように、やはり数が多くなると間違いやすくなってくるのですよ。  六十五年末に百六十八兆円。これは国債残高ですけれども、そのほかに借入金ですか、借金がありまして、合わせて二百兆ぐらいになるのですね。この数字はどうですか。
  365. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 二百兆と申される数字は、六十五年末でございますか。六十五年末の国債残高は百六十八兆でございますけれども、そのほかにどういう借入金をおっしゃっておられるのか、ちょっと判断できないところでございますが、どんなものをお考えになっておられるわけでございましょうか。
  366. 森田景一

    ○森田(景)委員 いろいろあるのですね。例えば負担の繰り延べというのがあるわけですね。これは資料ありますか。お持ちでしたら、ひとつ、項目別に幾らあるか、お知らせいただきたいのです。
  367. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 いろいろな繰り延べ措置がございまして、先ほど武藤先生のときの御議論がございましたけれども、一応参議院の予算委員会で主計局長が申し上げました数字を合計いたしますと、約十一兆三千四百五十二億という数字がございます。それを仮に百六十八兆に足しますと百八十兆ぐらいになろうかということでございます。
  368. 森田景一

    ○森田(景)委員 それから国債費の定率繰り入れの停止というのがありますね。これは五十七年から停止されているわけでございますが、六十三年までに幾らになりますか。
  369. 斎藤次郎

    斎藤(次)政府委員 この分は十二兆九千六百五十三億になりますけれども、この分は、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもとしてはこれを将来返さなければいけないという債務とは心得ていないわけでございます。
  370. 森田景一

    ○森田(景)委員 いずれにしてもそういうことでございまして、さらにまた、赤字国債はゼロにする努力をしていらっしゃるが、四条国債というのはこれからもずっと発行していくつもりなんでしょう。
  371. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はそこらのところを今後どういうふうに考えるかということでございます。国債でございますから利払いを生じますことはもう四条国債でも同じことでございますが、そのときにおいて社会資本の整備等々から四条国債を発行してもなおすべきことが我が国としてあるのか、あるいは、国債国債であることに相違はございませんから、将来の社会資本なりなんなりの整備を多少犠牲にしても、もうそういうことはしない方がいいというふうに考えるのか、その辺は、そのときにおける我が国の国民の選択と申しますか、我が国のニーズと申しますか、そういったようなこと、財政にももちろん関係いたしますが、ほかの条件は同質といたしました場合には、やはりそういう選択の問題になるのではないかと思っております。
  372. 森田景一

    ○森田(景)委員 政府の試算を拝見しましても、やはりこれからも国債はふえていくという計算でございますし、それに伴いまして、利払い費、いわゆる国債費もかなり長期間にわたって大変な金額を払っていかなければいけない。  とにかく国の予算というのは大きいものですから、国民の感覚でいうとよくわからないわけです。我々も国民の立場でわかりやすくやってみますと、例えばことしの予算を見ますと、我々の月給が四十七万八千円だ。一カ月の支出が約五十六万七千円。要するに、五十六兆六千九百九十七億円が予算金額ですから、それを我々の生活で感じてみますと支出は五十六万七千円になる、こういう計算になると思うのですね。その公債費、これが本年度は八兆八千四百十億ですから、これは家計でいけば赤字部分。収入はしたがって四十七万八千円、こういうことになると思うのですね。収入は四十七万八千円なのに、支払い、支出は五十六万七千円やらなければならない、だから家計の赤字は八万八千円になる、計算上こういう感じになると思うのですね。そのほかに二百万のサラ金を抱えておる、こういう感じになるのだと思うのですね。  我々の家庭がこんな状態だったら本当に大変なんですね。国も大変は大変ですけれども。わかりやすく言いますとそんな状況ですから、これを立て直しするというのは本当に容易なことじゃない。したがって、大蔵省の方も、じゃ大型間接税を導入すればすぐ解決するなんていう短絡的な発想じゃなくて、我が党の橋本委員も言っておりましたように、やはり国民の納得できるように、直直の不公平を是正して国民の理解を求め、そして、ではどうしたらいいかともに考えていこう、こういう姿勢で、そういう問題があってなお足りないときはこうしましょうというコンセンサスを得るように努力しましょうというのが我々の主張なわけなんです。  先ほどから申し上げましたように、賢明な宮澤大蔵大臣でございますからそういうことをよく御存じだと思いますので、その辺の事情を十分お考えいただいて、短兵急な、また前回の二の舞になるような混乱を起こさないような、そういう行動をしていただきたいと思います。そして、その上でこの財政再建という大変難しい、大変困難な問題の解決のために努力をしていただきたいと思うわけでございます。  若干時間がございますが、大変時間も遅くなりましたので、以上で質問を終わります。
  373. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 次回は、来る二十二日金曜日午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十五分散会