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1988-04-27 第112回国会 衆議院 商工委員会環境委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月二十七日(水曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   商工委員会    委員長 渡辺 秀央君    理事 甘利  明君 理事 尾身 幸次君    理事 奥田 幹生君 理事 田原  隆君    理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君    理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君       麻生 太郎君    石渡 照久君       小川  元君    古賀 正浩君       佐藤 信二君    島村 宜伸君       玉生 孝久君    中川 秀直君       中山 太郎君    額賀福志郎君       穂積 良行君    牧野 隆守君       粟山  明君    森   清君       小澤 克介君    緒方 克陽君       城地 豊司君    関山 信之君       森本 晃司君    工藤  晃君       藤原ひろ子君   環境委員会    委員長 吹田 愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 平林 鴻三君 理事 川俣健二郎君    理事 春田 重昭君 理事 滝沢 幸助君       園田 博之君    中村正三郎君       金子 みつ君    新村 勝雄君       斉藤  節君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       安原  正君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      渡辺  武君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君         通商産業大臣官         房審議官    野口 昌吾君         通商産業省立地         公害局長    安楽 隆二君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部生活経済課         長       泉  幸伸君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ───────────── 本日の会議に付した案件  特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案内閣提出第五八号)      ────◇─────
  2. 渡辺秀央

    渡辺委員長 これより商工委員会環境委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましてはこれを省略し、お手元に配付いたしてあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  3. 新村勝雄

    新村委員 特定物質規制等によるオゾン層保護に関する法律案関係についてお伺いをいたします。  これは新しく生まれてきた事態に対する対応でありまして、こういうことはこれからもあるいは起こるのではないかという予想がされるわけであります。これは、全世界的な規模で各国協力がなければ本当に成果を上げることができないということであります。  そこでお伺いをいたしますが、この条約あるいは議定書でありますけれども、このオゾン層保護のためのウィーン条約ができたのが昭和六十年の三月ということでありますけれども、今国会で初めて条約及び議定書審議をされまして通過をしたわけでありますが、世界各国に比較をすると、この条約については十七番目ということでありまして、日本政府対応は必ずしも速やかであったとは言えないわけであります。この対応がある程度おくれたことについての事情について、まず伺いたいと思います。
  4. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 オゾン層保護の問題につきまして国際的に議論が行われましたのは国連環境計画、UNEPの場でございます。御指摘のとおり、相当前から議論がスタートしておりまして、その条約が成立した段階がございますけれども、具体的にそれによってどのような規制実施していくかということにつきましては、むしろ議定書にゆだねられていたわけでございます。  私どもといたしまして、そのオゾン問題について前向きに対応するという方針は持っておりましたけれども、その条約に伴います議定書について議論されたのはそれ以後でございまして、御指摘のように、モントリオール議定書は昨年の九月に最終段階を迎えたわけでございますが、この際におきましては、私ども政府といたしましては積極的にこれに対応する、こういう方針でこれに前向きに署名したわけでございます。したがいまして、今国会条約及び議定書の御提案をお願いしておりますので、私どもといたしましては率先してその批准をしていただき、かつまた、その実施のための法律、これは各国より先駆けてお認めいただければ我が国の具体的な姿勢というものが世界に対して示されるのではないか、かように考えておるわけでございますので、よろしくお願いしたいと存じます。
  5. 新村勝雄

    新村委員 今、局長の御説明でありますけれども大臣にお伺いしますが、事情があったにしても、十七番目でありますから十六カ国は既に批准をしておるわけですね。あるいはまた議定書を待っていたというお話でありますけれども、こういう問題については思想、信条を超えて協力をしなければいけない問題でありますから、こういう事態に対しては、今後もこういうことがあるかもしれませんけれども、できるだけ早く政府としては対応されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  6. 田村元

    田村国務大臣 地球環境保全の問題につきましては、日本国際社会の重要な一員でございますから、我が国責任はまことに重大であると存じます。  このオゾン層保護のためのフロン対策は、地球環境保全に関する現下の重要課題一つでございまして、オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の的確かつ円滑な実施を図るために、世界に先駆けて国内立法措置を行うべく今国会においてこの法案の御審議をお願いしておるところでございますが、今おっしゃいましたとおり、国際社会の主要な一員としての自覚は今後ますます発揮していかなければならないと思います。
  7. 新村勝雄

    新村委員 そこで、この条約議定書関係でありますが、条約議定書に対する対応が別々になっておるようでありますが、この二者が一体となって初めて機能し効果を発揮するということですか。それで、今回政府提案をされ、国内法も整備をされるということについては結構なことでございますが、この法律の今後の施行、運用について若干のお伺いをしたいわけであります。  まず、三条関係でありますが「環境庁長官及び通商産業大臣は、」とありますが、この両大臣が基本的な事項公表その他消費量基準限度設定あるいは重要事項の決定、実施をされるわけでありますが、この両大臣は全く同じ資格でおやりになるのか、その責任の所在はどういうことですか。
  8. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘の第三条基本的事項等の策定、公表でございますが、これは両大臣共同作業で策定いたしまして公表する、こういう形になっております。
  9. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、公表の時期は実施と同時に速やかにということでありましょうが、この「議定書第二条1本文、2本文、3本文及び4本文」それらについての「生産量及び消費量基準限度」の設定の時期、それから「オゾン層保護意義に関する知識の普及」、それから「国民の理解及び協力を求めるための施策実施」のための重要事項、こういうことでございますが、これらについての主要な施策内容、概略について伺いたいと思います。
  10. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 この基本的事項につきましては、今後オゾン層保護のためのフロン等規制につきましても、中長期的な今後の展望というものを一般的な方々、特に製造業者ユーザー、それからもうお使いになっている使用者等にお示しをして、フロン等規制に関します円滑な実施を図るということを目的にしているわけでございます。  そのような観点でございますので、この第一号におきましては、今後日本が、先ほどのウィーン条約あるいはモントリオール議定書により守らなければならない今後のフロン等製造の上限の削減展望というものを具体的にお示しするわけでございます。御存じのとおり明年、恐らく七月ぐらいが実施時期になると私ども想定をしておりますが、その段階におきましては、その三年前でございます昭和六十一年の水準を明示し、それ以後、四年後にさらに二割の削減、さらに五年後五割の削減という具体的な数字をお示しいたしまして、生産者ユーザーあるいは一般方々の御理解を得ていくということでございます。  第二号は、これを実施するためにはやはりその意味というものを十分理解していただくと同時に、特に一般方々協力を得なければいけませんので、ここに書いてございますように、オゾン層保護意義を明確に提示いたしまして、一般方々理解及び協力を得るためのいろいろな事項につきまして明示をしてまいりたいということでございます。  三号におきましても、この施策を総合的、体系的に実施しなくてはなりません。すなわち生産規制をやると同時に、一方におきまして回収・再利用技術開発、さらには代替品開発等がございますので、それを総合的、体系的に実施するということを明示いたしまして、各方面協力を確保していきたいと考えております。  この基本的事項公表の時期でございますが、一応私どもといたしましては、この議定書発効の時期を想定しております。議定書発効条件は、十一カ国以上の批准がございまして、それが全世界フロン消費量の三分の二を超えるという時期でございますが、私どもはこれを来年の一月一日と想定しております。その段階公表する、かようになると存じております。
  11. 新村勝雄

    新村委員 議定書については十一カ国、条約については二十カ国ですか、この要件がそろうのは見通しとしてはいつごろになりますか。
  12. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 条約につきましては、先ほど先生お話ございましたように二十カ国以上が批准をするというのが条件でございまして、先ほどございましたように日本が十七カ国目になったと存じますが、それ以外この秋ぐらいまでにヨーロッパを中心に三カ国以上の批准が一応見通されておりますので、年内には間違いなく条約発効すると考えております。議定書につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、来年の一月一日がその発効の一応予想されている日でございます。
  13. 新村勝雄

    新村委員 次に二十二条、二十三条関係で「特定物質使用事業者の努力」それから「排出抑制使用合理化指針公表等」でありますが、これをやる場合に主務大臣がそれぞれの管轄に従ってやるということでありますが、主務大臣というと、通産あるいは環境大臣のほかにある程度大臣の数がふえるわけでしょうね。これはどのくらいになりますか。
  14. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 この二十三条は、フロンを使っている方々使用合理化なり排出抑制を求めていく、その指針を作成することになっておりまして、これに準拠いたしまして指導助言をなさるのは、それぞれの事業所管大臣でございます。例えばフロンを使っておりますのは、洗浄用でございますと半導体とか電子機器あるいはまた精密機械等の部品の方々でございますが、そういう事業者に関しましては、今お話ございましたように通産大臣でございますが、例えばクリーニング業方々がやはり洗浄用フロンを使っておられます。それに関しましては、事業所管大臣であります厚生大臣がこの主務大臣になるというふうに考えておるわけでございます。
  15. 新村勝雄

    新村委員 今のお話では、通産大臣あるいはもちろん環境庁長官、それから厚生大臣、そのほかにも産業関係大臣が関与することになるでしょうね。そうなりますと、大半の大臣関係されるということになりますか。  そうなりますと、主務大臣排出抑制使用合理化等指針をつくって指導助言をするということになりますと、各省ごとに独自の考えでやられる部面もあるでしょうから、いわゆる縦割り行政弊害がそこに出てこないかということが考えられるわけでありますけれども抑制あるいは使用合理化指針等についての全体を統括する指導官庁がなければいけないと思いますが、それはどういうことになりますか。
  16. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 二十三条の第一項をごらんいただきますと、今お話ございました指針、すなわちフロン等特定物質排出抑制または使用合理化を図るための指針ガイドラインでございますが、これは環境庁長官通商産業大臣が定めることになっております。例えば使用合理化でございますと、洗浄剤等でございますと回収・再利用施設設置をしていくとか、あるいはまた冷媒等につきましては代替品の活用を図っていくとか、現状技術水準等に応じましてその使用合理化あるいはまた排出抑制技術につきまして、共通の望ましい処理方法につきまして提示させていただくわけでございまして、それは今御指摘の中にございました横割りガイドラインであると私ども考えております。  それを見ながら、関係省庁それぞれの事業を所管している大臣、例えば先ほどお話にありましたクリーニング業を担当しております厚生大臣が、環境庁長官通商産業大臣が定めました指針をベースにしながら指導助言をしていくということでございますので、ここにおきましてのフロンに対します基本的な排出抑制使用合理化指針環境庁長官通産大臣で作成させていただきたい、それに基づいて各省がそれぞれの事業に対しまして具体的な指導助言をしていく、こういう体制になっておりますので、御心配の点は私どもないと考えております。
  17. 新村勝雄

    新村委員 確かにこの二十三条の一項、二項、三項で、一項では環境庁長官及び通産大臣がこれこれをやるとしておりますが、同時に二項において、主務大臣特定物質を業とする使用者に対し云々とありますね。ですから、基本的には一項で決めるけれども、実際に運用及び細かい点については二項で、指導助言でありますからその原則に基づいてやることはやるのでしょうが、細かい点については指導助言主務大臣がやるということでありますから、その点ではやはり縦割り考え方が出る可能性はありますね。ですから、そういう点についてはそういうことのないようにぜひお願いしたいと思うのですけれども環境庁長官及び通産大臣のお考え伺いたいと思います。
  18. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘の点について、私ども十分注意をしながら関係省庁との横の連絡はとってまいりたいと基本的に考えております。ただ、それぞれの業種技術特性も十分配慮しながら的確な対策も必要でございますので、共通の問題は私ども環境庁長官で決めますけれども、個々の業種特性に応じましたいろいろな対策については、各省責任において実施していただく方がよりきめの細かい対策ができるものと考えて、このような仕組みをつくっているわけでございます。
  19. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 環境庁としては、地球環境を守るという立場から、一緒に話し合う場合もあるしお願いする場合もあるし、また調整をする場合も、問題点によっていろいろございます。ただ、環境保全立場は、私どもはどの省に対しても調整をしていくということになると思います。
  20. 田村元

    田村国務大臣 環境庁長官通産大臣でまず指針を決めるということで、その枠組みからはみ出してもらってはもちろん困りますけれども、その枠組みの中で、その方向づけの中で各主務大臣特性を生かしていくということであれば、むしろ縦割りの悪い面が前面に出ないで、ある意味においてはいい面が出るのではなかろうか。余り環境庁通産省だけで締め上げてしまってもいかがなものであろうかということもございますので、今の基礎産業局環境庁とで相談しております、つまりここの御提案申し上げておりますことで大体よろしかろうかという感じがいたします。
  21. 新村勝雄

    新村委員 この問題の基本的な性格というか問題は環境の維持にあるわけでありますから、やはり環境庁長官が全体をにらんで、指導的な立場でひとつ御指導いただきたいわけです。それからまた、この生産についてはこれは通産大臣でありますけれども、そういう立場から、やはり生産という面についての管理統制大臣がおやりになるということでありますから、両大臣指導のもとに縦割り行政弊害が出ないように、今大臣おっしゃったように縦割りのいい面が出るように御指導をいただきたいわけであります。  次に、研究の推進でありますが、二十六条関係。現在フロンハロンの二つのグループの物質環境を破壊するということになっておりますので、それに代替する物質、この代替物質研究開発が今喫緊の問題となっていると思いますけれども、これについて二十六条では「国は、特定物質オゾン層に及ぼす影響研究その他オゾン層保護に関する調査研究を推進する」ということになっておりますが、これはどこが中心になって、どういう体制でおやりになりますか。
  22. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 先生指摘のとおり、今後オゾン層保護のためのフロン対策を確実に実施していくための一つの大きなキーポイントは代替品開発だと存じます。現在、世界的にいろいろな形の研究が進められていると私ども理解しておりますが、代替品めどがついている分野は、フロンの用途の中では冷媒用発泡用でございます。  冷媒用は、御存じのとおり例の冷蔵庫、クーラー等で使われているわけでございますが、現在主にフロン11というものが使われております大型空調機器用代替品といたしましてフロン22、これは規制対象外品目でございますが、これを使おうという方向での研究が進められております。ただ、そのためには、やはりいろいろな条件が違いますので機器の設計の変更等がどうしても必要だと聞いておりますが、最近、フロン22を大型空調機器に使うという技術開発されたという報告を聞いております。  また、カーエアコンに使われておりますフロン12、これは非常に幅広く車に乗せられているフロンでございますけれども、この代替品フロン134aという商品でございまして、アメリカの主要企業及び日本民間企業開発が進められておりますけれども、これを実用化するためには、それが問題がないかどうかという毒性試験が必要でございます。これにつきましては、新聞その他でお気づきだったと思いますが、この一月に世界主要化学メーカー十四社が共同毒性試験を今後五年ないし七年かけてやるという計画が進んでいるわけでございますが、それを期待してまいりたいというのが現状でございます。  発泡用でございますけれども、これにつきましては現在、例えば食品包装材にポリスチレンペーパーというのが使われておりますけれども、その発泡剤は三割がフロンで七割がブタンだ、このように聞いております。今後、問題のないブタン使用比率を高めていくというのが直接の対策だと存じますが、さらに、その代替品といたしまして現在有望視されておりますのがフロン123という品目でございます。この品目につきましても、先ほどの世界主要化学メーカー毒性試験対象になっておりまして、今後五年ないし七年かけて毒性試験実施されるという見通しになっておりますが、いずれも現在の見通しでは、最終的には実用化めどがつくのではないか、かような議論が行われております。  エアゾールにつきましては、御存じのとおり私ども日常生活で一番使っておりますけれども、いわゆる例のヘアスプレー等でございますが、現在その代替品として議論されておりますのは、欧米におきましてはLPガスでございます。しかし、これは可燃性であるということで日本では使えないという実情にございます。今後の検討課題だと存じますが、一部に炭酸ガスが使われ始めております。私どもが使いますスプレーの中に、非常に勢いよく出るのに炭酸ガスを使ったスプレーがございますが、今後その方面一つの点だと思います。しかし、霧が粗いとか噴射圧力が長続きしないとか、いろいろな問題があるようでございます。いずれにいたしましても、今後の課題代替品でございます。最大の問題は、洗浄剤に使われておりますフロン113の代替品の適当なものが現在ないということでございます。これにつきましても、今後我々といたしまして技術開発課題考えなくてはならないと思っております。  御指摘の国の責務といたしまして、代替品回収設備等開発という規定がございますが、その具体的な措置といたしまして、当面、私ども通産省といたしましては、先ほどの洗浄剤に使われておりますフロン113の代替品といたしまして、何とかそのいわゆるエタノール、これはアルコールでございますが、これが使えないか。これにつきましては、腐食したり引火したりという問題点が別途ございますけれども、そのようなことを現在スタートさせようとしております。いずれにいたしましても、このような段階でございますので、代替品開発につきまして、国の試験研究機関等技術を活用して、ぜひとも今後いい成果を上げていきたいものだ、かように考えておるわけでございます。
  23. 新村勝雄

    新村委員 次に附則の三条地方税法の一部改正でありますが、これは該当企業に対する税の減免だと思いますが、これはどのくらいの影響が出ますか。地方団体の財政に大きな影響はないと思いますが、大体どのくらいの影響があるのでしょうか。
  24. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 特にフロンユーザーの中には、中小企業の方が非常に多うございます。この方々対策実施していただくということは非常に重要でございまして、特に回収・再利用設備設置普及ということは非常に必要でございます。その点を考慮いたしまして、政府といたしましては、このおっしゃいました規定に基づいて、今国会でお願いいたしました予算、税制の中で御指摘のございました固定資産税の減免等考えておるわけでございますが、具体的な税制上の措置、これは国税の方でございますが、法人税所得税の方につきましては特別償却制度の導入を決定させていただいております。初年度二一%の軽減ということでございます。固定資産税につきましては、課税標準軽減をするという内容になっておりまして、これはどのくらいの税になるかという点につきましては厳密に計算はしておりませんが、今後ユーザー側の実態を見ながらぜひ普及をしていくということに最重点を置きたいというふうに考えておるわけでございます。
  25. 新村勝雄

    新村委員 自治省がいらっしゃいませんので詳しい点はお伺いできませんが、特に措置をするほどの額ではないかとは思いますが、交付税等でもし必要があれば措置をされるように、大臣の方からひとつ自治省連絡をお願いしておきたいと思います。  次に、フロンハロン環境への排出抑制の問題であります。具体的にはやはり洗浄あるいはクーラー、ビルの冷房というようなことがあるわけですが、これらについては再利用それから廃棄の際の処置というようなことを十分考慮してやれば環境放出をしなくて済む、あるいは放出をするにしても、それをできるだけ抑えることができると思いますけれども、そういった措置をどうお考えであるのか、その点ひとつ伺います。
  26. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のように、今後の対策として回収・再利用設備普及というのは非常に重要でございますが、その技術的な内容でまいりますと、お話のように、密閉をして排出抑制していくということが非常に重要でございますし、また、例えば工場内に蒸発して出てきたものを吸着をして回収をしていくということもより必要になってくると思います。  現在、吸着方式によります回収・再利用設備というものが三、四年前から開発されておりまして、その金額は五百万から千五百万円ぐらいの幅のものだと思います。中小企業方々にもぜひこれは導入していただきたいというふうに私ども考えておりまして、先ほどお話がございましたような税制等も活用をしていただきたいと考えておるわけでございますし、さらにまた、より効率の高い回収・再利用設備、これは例えば回収されたフロンが非常に純度が高いということになりますとより再利用が進むわけでございますので、最近そのようなより高純度のフロン回収が可能なような吸着型の回収・再利用設備開発が行われたという報道もございますので、おっしゃったような面でいきますと、そのようなものも私ども期待している機器でございます。
  27. 新村勝雄

    新村委員 それから、これはこういう新しい物質に対する我々の考え方あるいは生活態度の問題になると思いますけれども、科学が進歩して生活そのものが限りなく利便性を増していく、それに伴って新しい物質、新しい技術開発されるわけでありますけれども、それらをフルに利用して生活を豊かにするということも一つでありますけれども、同時にまた、生活態度を変えていくという考え方も必要ではないかと思います。新しい商品なり新しい物質を無批判に、無制限に社会生活の中に取り込んでいくということになると、この問題が示すように科学文明と環境とは常に矛盾する関係にございますから、そういう面で、例えば包装材料、発泡剤は包装材料なんかに使いますね。ですから、包装材料なんかには発泡剤を使わなくても、ほかのものを利用すれば、工夫をすれば済むはずであります。ほかの資材を利用し、工夫をすれば済むし、あるいは全然なくすることはできないにしても、かなりその量を減らすことができるはずであります。それからまたスプレー等についても、これまた全然なくすることは無理でありましょうけれども、これらについても使用の量をかなり減らすことはできるはずであります。またスプレー製造、これは今後指導されるわけでしょうけれども合理化することによってフロンをできるだけ少量で済ませるというようなこともできるはずであります。  ですからそういう形で、こういう新しい材質、資材が開発された場合に、それを無批判に我々の生活に取り入れるのではなくて、これと環境との関係を十分考慮していくという本質的な生活態度の問題、あるいは環境維持と科学文明との矛盾をどう解決するかという問題についても、根本的に考え直す段階ではないかと思いますけれども環境庁長官のお考え伺いたいと思います。
  28. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 御指摘のとおりだと私も思っております。人間がつくり出した問題については人間がその始末をするのが原則だと思います。そういう意味において、今御指摘のように、利便ばかりの追求の中で大きな環境の保全ができないというような問題が予想できることについては、今後とも十分留意をしていかなければならないと考えております。
  29. 新村勝雄

    新村委員 通産大臣にも同じことをお伺いしますけれども通産省は新しい資材、あるいはいわゆる文明の利器を生産されることを指導あるいは監督をされておる立場でありますけれども、そういう文明の利器の開発、あるいはこれを生活に取り入れるという問題についてはこれは結構なことでありますけれども、同時に、それは環境維持とは完全に矛盾するわけでありますから、環境維持と科学文明の進歩をどう調和させるか、矛盾しているこの二つの要素をどう調和させるかということは大臣責任でもあるわけでありますから、そういう点でひとつ今後産業界を指導されて、環境維持を十分に確保しながら文明の利器を開発していくという方向に御指導いただきたいわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  30. 田村元

    田村国務大臣 人類にとりまして一番大切なのは何か、生命と健康だと思います。でございますから、環境保全というものが中心になることは当然のことでございます。文明の利器という言葉をお使いになりました。文明の利器であれば使えばよろしかろうかと思います。文明の凶器であっては使ってはならない。そこいらのけじめというものは当然、専門の学識経験を持っておる環境庁と産業の先端を取り仕切っていく通産省が、もちろんその他の官庁もあるでしょうけれども十分に協議をして、万遺憾なきを期すべきだろうと思っております。
  31. 新村勝雄

    新村委員 時間が参りましたから、最後に一言だけ要望しますけれども、そういう意味でやはり環境の維持、これは大きな意味での地球環境の維持と、それから科学文明あるいは新しい物質の創造あるいは開発、これとをいかに調和させるかということについて、両大臣中心になってそういう専門的な検討の機関を将来おつくりになるべきではないか、あるいはそういう二つの大きな問題を調整することについての何らかの新しい構想なりお考えをこれから確立されるべきではないかと思いますので、その点についても十分御検討いただくように要望して、終わりたいと思います。
  32. 渡辺秀央

    渡辺委員長 次に、金子みつ君。
  33. 金子みつ

    ○金子(み)委員 このたび審議されておりますこのオゾン層保護に関する法律案でございますが、これは申し上げるまでもありませんけれども、一九七四年アメリカのローランド教授の警告から端を発して、そしてこの条約ができ、そしてその条約に基づいて日本ではこの法律案ができる、こういうことになったと思うのでありますけれども、時期的には比較的新しいと申しますか、今から過去十年ないし十五年ぐらいの間に起こった出来事というふうに考えることができると思います。     〔渡辺委員長退席、吹田委員長着席〕 しかし、このドクター・ローランドの警告は世界じゅうを非常に驚かせたと申しますか、思いがけないことであったということで、非常に関心が高まってきていることだと思います。  そこで問題に入りたいと思いますが、このオゾン層保護に関する法律案日本ではオゾン層保護に関するウィーン条約と、そしてそれを受けてつくられたモントリオール議定書に基づいて、日本でも先般この条約批准いたしまして、そしてこれを実現するために国内法をつくらなければならないということで、この国内法をつくるという段階になったと思うのです。それで、この国内法を拝見してみましたら、この法律は大変に複雑な法律であって、そして性格としては産業立法であり、同時に環境立法であるという性格を持っているということがわかるわけなんですが、そこでお尋ねしたいことは、このオゾン層保護というのは宇宙圏の問題ですから、対象としては大変に漠としたものがあるような気がするわけですけれども、結局宇宙層の問題でありますから国際的な協力体制というものが不可欠であって、これが十分いかなかったら目的は達成しないというふうに思うわけです。そういう意味からいいまして、人の健康の保護という立場から考えて、国際的な協力体制というのはどのような体制がとり行われているのかということをわからせていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  34. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 いろいろな化学物質に基づきます環境問題を議論する場といたしまして、私ども主に協力しておりますのは二つ場面がございます。  一つは、国連におきます国連環境計画、いわゆるUNEPという場でございまして、ここで本オゾン層保護問題が議論を重ねられまして、条約及び議定書の原案等が出されてきたわけでございます。これにつきましては、私ども及び環境庁中心になりまして参加いたしまして、その議論の際に積極的にこれに対応してきているわけでございます。  もう一つの国際的な協力の場はOECDでございまして、OECDの中に、例えば化学品に関しましてはケミカルグループというのがございます。ここで、各国でいろいろ試験をしておりますが、例えば毒性試験等をやっておりますが、その辺の情報のデータを交換をいたしまして、問題になる化学物質につきまして各国がそれぞれ相互に監視し合って、問題があればそれに対応していく、こういう仕組みがございます。すなわち、国連とOECD等が国際協力中心の場だと私ども考えているわけでございます。
  35. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういうことになっているように伺いましたが、そのことに関して世界の国々が、アメリカとかスウェーデンあるいはノルウェー、それらの国々がそれぞれの国の中でフロンガスの発生に対する規制だとかあるいは禁止だとか、いろいろな措置を図ってきているわけでございますね。  この間に日本は何をしてきたかということなんですが、日本対応としてはその間に、一九八〇年に初めてですけれども生産投資を増加させないように行政指導を行っているというふうに承知いたしております。それで、その行政指導内容が、どんな形のもので行政指導が行われたのか。例えば禁止したのかあるいは制約をしたのか、そういうようなことがわかりたいと思うのですけれども、その行政指導の中身はどんなものだったのでしょうか、主なものをちょっと教えてください。
  36. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話ございましたように、一九七四年にカリフォルニア大学のローランド教授とモリナ博士が発表いたしました論文が契機となりまして、オゾン層保護問題が国際的な議論の場に登場したわけでございます。その議論の盛り上がりが非常にございますし、御指摘のように各国でもそれぞれの立場での対応策があったわけでございますが、私どもも、これは昭和五十五年でございますが、お話にございましたようにフロン11及びフロン12の製造能力の凍結指導というのをスタートしております。もう一つは、エアゾールメーカーに対しましてエアゾール用のフロン使用削減指導というものも行っているわけでございます。  フロン11及びフロン12の製造能力は、その行政指導実施して以降、当然でございますが能力は凍結されて推移してまいっております。エアゾール用のフロン製造量も、全体のエアゾールそのものの生産量は大変拡大傾向にある中で、それに使われるフロンの量は、ややでございますが減少傾向にあるというのが、その後の推移でございます。
  37. 金子みつ

    ○金子(み)委員 次にお尋ねしたいと思いますのは、日本も締約国の義務として果たさなければならないことが幾つかあると思うのですけれども、この締約国の義務というのが、観測とか研究とかあるいは科学的評価など、そういったいろいろな活動や協力をするようにということが要求されてきていますけれども日本の場合は従来フロンなどの大量消費国だというふうに言われておりますし、同時にまた日本は経済大国だという立場もありまして、この締約国の義務としてのあり方、責任というか義務を果たすという点について、どんな計画が進められておるのかということを聞かしていただきたいと思いますが、これは通産省、同時にまた環境庁の方からも聞かしていただきたいと思います。
  38. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のように、条約におきましては締約国の義務といたしまして、オゾン層の観測あるいは調査研究等が書かれております。  観測等につきましては後刻環境庁から御説明をさせていただきますが、今後その代替品開発あるいは回収処理技術技術開発等につきましては、私ども今後国の試験研究機関あるいは民間に対します試験研究費の補助、さらには税制上の措置等によりましてぜひ促進をしてまいらなくてはいけないと考えておりますし、特にこの法律の中にその責務規定というのを置かしていただきまして、具体的な措置といたしましては、財政上の措置といたしまして先ほどの税制面での措置、さらにはまた金融面につきましても、特に開発銀行の特別金融でございますが、やはり回収処理技術の新しいものにつきましての助成というものも考えておるわけでございます。  技術開発の点につきましては、特に現在考えておりますのはフロン113、これは洗浄用に使われているものでございますが、この代替品というのが世界的に今いいもののめどがついておりません。私どもエタノール、これはアルコールでございますが、アルコールというのは伝統的な商品でございますけれども、これを再びこのようなものに活用できないものであろうかということを昨今考えておりまして、二千万等の経費を投入いたしまして現在フロン113の代替品としての可能性につきまして研究したいと思っておりますが、このような例に見ますように、今後技術開発につきましては我々の責務でございますので、最大の努力をしなくてはいけないテーマだと考えております。
  39. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  法律の中におきましても二十五条、二十六条におきまして、オゾン層の観測なりあるいは研究の推進ということを明文化いたしたわけでございますけれども環境庁といたしましては、六十三年から国立公害研究所におきまして特別研究ということで、成層圏オゾン層の変動にかかわる精緻な予測モデルの開発、あるいは植物等への紫外線影響の解明等、本問題にかかわります総合的な調査研究を開始することといたしておるところでございます。  また、オゾン層の的確な状況把握を行う観点からは、最新鋭のオゾンレーザーレーダーを設置いたしまして、精緻なオゾンの高度分布の観測を開始いたしますとともに、大気中のフロン濃度の推移の監視を実施いたしたいというぐあいに考えておるところでございます。また、気象庁におきますオゾン層の観測、あるいはただいま通産省の方から御説明がございましたような排出抑制設備あるいは代替品開発等、そういう面での開発研究等も、各省ともども協力いたしまして調査研究を進めてまいるということで進めてまいりたいと思っているわけでございます。  環境庁といたしましては、こうした調査研究成果を踏まえまして、四年ごとに行われております規制の見直しに適切に対処してまいりたい、そして国際的な場でも十分積極的に貢献してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  40. 金子みつ

    ○金子(み)委員 今の問題で、二つのお役所の仕事の仕方というのは、何か特別に連携をとってやっていらっしゃるわけですか、それともそれぞれ全然別個に動いておられるのですか。
  41. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私ども常に緊密な連絡をとっておりますし、かねてから先ほど御説明いたしました国連環境計面、この条約あるいはまた議定書審議されているところでございますし、今後その実施のためにいろいろな問題につきましても議論されるわけでございますし、今長谷川局長から御説明いたしましたとおり四年ごとに見直し作業等も行われますが、いずれも環境庁と一緒に共同して十分な連絡をとりながらやるという考え方で対応しております。
  42. 金子みつ

    ○金子(み)委員 当然のことだと思うのですけれども、なぜそんなことをお尋ねしたかと申しますと、今回のことでなく、これを指して申し上げるわけではありませんけれども、過去に幾つか例があるわけなんですが、幾つかの省庁が共同一つのことをやる。共同所管の法律というのはそうたくさんあるとは思えませんけれども法律以外の行政の上ででも幾つかの省庁が連携してやるということが過去にもございましたが、そういう場合にどうもうまくいかないのですね。どういうことか、それぞれ役所の、省庁の考え方があることはわかっておりますけれども、何か日本の性格かもしれませんが、協力して仕事をするとか共同して仕事をするとかということは、日本の人というのは余り上手じゃないのですね。ですから、自分が自分がの方が先に出てしまって、エゴとまで言わなくてもそういう性格があるというふうに思われますので、それが大変心配になるわけでございます。この問題は人の命にかかわる非常に深刻な問題でございますし、重大な問題でありますだけに、よく心得ていていただいていると思いますけれども、その辺を格段に意識しながら、強調しながら成果が上がるように努力をしていただきたいというふうにお願いをしておきたい、要請しておきたいというふうに思うわけでございます。  それから、通産省の方にもう一つお尋ねしたいと思いますことは、フロンなどについての回収や再利用システムの開発などで、その使用合理化に資する設備の開発として、日本は大変に成果を上げてきておられるというふうに伺っております。世界の模範になるような対応機器技術開発したというふうにも聞いているわけでございますけれども、大変にうまく実績を示しておられる日本の具体的な中身はどのようなものだったのでしょうか、それを教えていただきたい。
  43. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 世界各国と比較した場合に、日本フロンの用途の大きな特色は、洗浄用の用途が非常に多いということでございます。これは、日本の産業構造が非常に関係しておると思いますが、電子工業、精密機械等々の産業が非常に発達しているという関係がございますわけでございまして、そのような洗浄用の用途が広いという面からいきますと、フロンの使い方といたしましてほかと違った対策が必要であるというふうに考えております。ほかの例えば冷媒だとかあるいはスプレーとか、これは気化してしまいますが、洗浄用は基本は液体でございまして、装置の中で気化をするという面がございますので、これをいかに回収をしていくかというのがポイントでございます。今、我が国世界の中でやや進んでいるのではないかという御指摘は、まさにその洗浄用としての使い方が多いという面からきた特色だと存じますけれども、私どもこれをより対策としては進めなくてはならないと考えております。  洗浄用フロン回収・再利用設備につきましては、いろいろな方法がございますが、最近は気化したものを活性炭によりまして回収していくという方法がまず一般的でございますが、これは三、四年前から開発されたものでございます。徐々に普及していると存じますけれども、ことしに入りまして、新聞で発表されましてお気づきだと思いますが、同じような吸着方式によります回収・再利用設備といたしましてより進んだものが発表されております。これは、活性炭ではなくてある種の油を使うようでございますが、それを使いますと、回収しましたフロンの純度が非常に高いという特色がございます。そういう面からまいりますと、性能面でいきますといわば画期的と言われるような面もあるようでございますので、この辺がこの夏ないし秋に一般に市場に出てくるというように聞いておりますので、そのようなものをより普及してこの洗浄分野におきます回収・再利用というものをより進めていかなくてはいけない、かように考えているわけでございます。
  44. 金子みつ

    ○金子(み)委員 もう一つ質問させていただきたいと思います。  それは、環境庁通産省と両方が共同でなさっているのか、別々になさっていらっしゃるのか、その辺の技法はわかりませんけれどもフロンなどの排出抑制及び使用合理化を図るために計画されているガイドラインがありますね。指針という言葉を使っていらっしゃいますけれども、このガイドラインですが、まだ今作成中なのだろうと思いますけれども、どんなことを考えてどんなふうなものを入れようと考えておられるのか、ポイントだけでいいですけれども二、三わからせていただきたいと思うことと、ガイドラインは一体いつまでに仕上げるという見込みになっているのか。法律実施される以前にガイドラインができていなければいけないわけですよね。ですから、そういう点から考えていつ、どこまでになさろうとしていらっしゃるのか、それを聞かせてください。
  45. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘法律案の二十三条にございます「排出抑制使用合理化指針」は、環境庁長官通産大臣共同作業でつくらしていただくというふうに考えております。  指針の具体的内容でございますが、使用合理化技術という点につきましては、現在ございますいろいろな代替品、先ほどちょっと触れましたけれども発泡剤では例えばブタンというのがございますけれども、そのようなものを積極的に導入していくとか、前の質問にございましたような洗浄工程にございます回収・再利用設備というものを積極的に導入していくとか、それぞれの使用の形態あるいはフロンの種類に応じました使用合理化の方向というものをお示しをしていくということになるかと存じます。排出抑制につきましても、これは環境庁でいろいろお考えいただくと思いますが、密閉をしていくとか、先ほど申しました吸着をしていくとか、いろいろな技術面での特色をいかに使っていくかということが中心になろうかと思いますが、その面を一応考えておるわけでございます。そのより具体的な作業といたしましては、私どもの方は化学品審議会の中で、そのような関係の専門家をお招きいたしまして技術的な観点からいろいろ御議論もいただき、今後に役立つよい指針をつくりたいと考えております。  指針の発表の時期は、確かに御指摘のとおり規制実施予定日は来年の七月でございますが、その前に公表して関係ユーザーにその御努力をお願いするということは特に必要でございます。まさに御指摘のとおりでございます。したがいまして、この法律におきましては指針に関する規定の施行期日を、先般この国会批准いただきましたオゾン層保護に関しますウィーン条約発効日というふうにこの附則で決めております。この発効日は、先ほどちょっと御紹介したことがあると思いますが、二十カ国が批准をいたしますと発効するわけでございまして、現在十七カ国でございますので、この秋には恐らく二十カ国に達するだろうと存じます。遅くとも年内には条約発効すると想定しておりますので、その段階指針を発表してユーザーのためにしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  46. 金子みつ

    ○金子(み)委員 最後になりますが、これは通産大臣に聞かせていただきたいことでございますから、よろしくお願いします。  議定書に定められた基準というのがございます。この基準に基づいてフロンなどの生産量消費量規制考えることになるわけですけれども、いろいろ考えていらっしゃると思いますが、伺いますところによると、生産量を減らすことになっていますね。二〇%減らしたり五〇%減らしたりということになりますが、五〇%を減らすというのは今から十年間かけて減らすことにはなるわけですけれども、かなりきついことになるというふうに伺っておりますが、そのことに対して、それでもやらなければならないことですからやるわけなのですが、それに対応する体制というものは十分あるのかないのか、それに対する御決意を聞かせていただきたいわけです。かなりお金もかかることだろうと思いますし、どの程度に決意をしてこれを実現させようとしていらっしゃるか、大臣から聞かしていただきたい。
  47. 田村元

    田村国務大臣 体制とおっしゃいましたので、ちょっと私のお答えがあるいは的外れになるかもしれませんが、体制ということ、私、対応というふうに受けとめさせていただきました。体制というと組織とか人間とかという、それはまた今後のことにいたしまして、何と申しましても、人間の生命を守ることは一番大切でございます。特にこの問題につきましては、局所的な問題ではございません。地球の問題でございます。でございますから、十分の上にも十分を期して国際協調の実を上げ、環境庁とも十分連携の上で、環境庁の意見もまた十分に聞きながら、万遺憾なきを期してまいる所存でございます。
  48. 金子みつ

    ○金子(み)委員 環境庁長官から一言お願いいたします。
  49. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 現在の状況から、先生御心配いただくのはよく理解できるのですが、環境庁としては中公審の答申を一つガイドラインとして、私どものしなければならない仕事は中公審答申どおりやっていく、そのほかの問題については、調整しなければならない省との間の調整もあればお願いをしなければならない立場もございますので、御理解を得たいと思います。
  50. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ありがとうございました。終わります。
  51. 吹田愰

    ○吹田委員長 関連質問の申し出があります。これを許します。川俣健二郎君。
  52. 川俣健二郎

    ○川俣委員 せっかくのオゾンの法案の連合審査の貴重な時間帯でございますが、我が党はこれで終わるのですけれども、残り時間の十分をおかりし、委員長に了解いただきましたので、緊急な質問をするいい機会だなと思って、私もメモをとっているわけではございませんので、皆さんも緊急ですからメモを読むなんということではなくて、極めて常日ごろの行政の考え方を伺いたいと存ずる問題でございます。  というのは、両大臣なり同僚の議員の皆さんにもお目にとまったと思うのですが、きのうの夕刻のニュースからけさの朝刊にかけてほとんどの新聞が大きく社会面に取り上げている例のシアンの問題ですね。各新聞が取り上げておりますのでどの新聞という特定はありませんが、埼玉県狭山市新狭山のヂーゼル機器、本社東京、板垣征夫さんという方が社長だそうですが、その狭山工場から大量の猛毒のシアン化ナトリウムを含んだメッキ液が入間川を経て荒川に流れ込んだ事故、二十六日午後七時。ところが、これが水道法の水質基準では、シアンなどの有毒物質を含んではいけないとされておる。さらに、私が気にしておるのは、五十六年にもこういう事故があった。しかし、上流からいまだ出どころ不明のシアンが流れ出てきた、これは一体どうなっていたのであろうかというようなことから、きょうは警察庁や建設省の方も来ていただいております。水と人間生活ですから、工場等入り組んでおる複雑な日本の都会の事故でございますし、しかも食料は三度三度ということがあるけれども、水というのは絶えず人間生活に必要である。しかも、工場用水は県の水に全面依存しているため、サッポロビール、田辺製薬、七市内の計百四十七社はこれから全部水をとっているわけですね、飲むビールを初め。県営と都営の二カ所の三浄水場、浦和などの二十市町で影響をこうむる、こういう事故でございますので、ちょっと伺っておきたいと思います。  まず第一番目に、会社側から報告があったのだろうか。どこの官庁になるのかわかりませんので、警察庁、環境庁通産省、建設省、こう来ていただいておる中で、どなたでも結構です。全くなかったのじゃないのかなというような感じがします、新聞によると。なぜわかったかというと、川魚が大量に浮いてきたんだということからわかった。むしろそれからその原因が、川魚が浮かんだのでニュース的なものからわかったのか、その辺をちょっと聞きたいのです。
  53. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 お答え申し上げます。  二十五日、先生おっしゃいますように、埼玉県にございますヂーゼル機器株式会社狭山工場でメッキの液が流れ出て、そのうち……
  54. 吹田愰

    ○吹田委員長 政府委員に申し上げますが、時間が非常に制約されておりますから、そのつもりで。
  55. 渡辺武

    渡辺(武)政府委員 わかりました。  メッキの液が流れ出たわけでございますが、流れ出たのは大体十三時二十分ごろと言われております。会社から報告がありましたのは、直接には西部環境理事務所という県の環境部局の出先でございますが、そこに対しまして十四時〇五分に報告があったわけでございまして、私たちには、その後県から報告をいただきました。  以上でございます。
  56. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、時間がないと委員長おっしゃるので、私は聞きたいことだけちょっと言いますと、警察当局が水質汚濁防止法違反で現在工場を捜査中だ。しかし、工場は動いているのだろうかということです。  それから、環境庁長官もおられますが、堀内さん、環境行政としてこれは特に調査すべきじゃないのだろうか。さっき吹田環境委員長も、これは我々も何か調査すべきじゃないのだろうかなということを言われたのを、私もそう思いますのでその辺と、それから会社側に、同じようなことのないようにとりあえずやはり操業停止してかかるべきではないか。何か交代時にバルブを閉めるのを忘れた、それが原因だそうですが、その辺を伺っておきます。どうですか、どなたでも結構です。
  57. 泉幸伸

    ○泉説明員 御指摘のように、埼玉県警察におきまして、昨日から本日にかけまして現在関係箇所の捜索、検証を行っております。  工場の稼働状況については詳細承知しておりませんが、検証及び捜索に差し支えない範囲においては通常どおりの運転が行われるだろうと推測いたしますが、事実は確認しておりません。
  58. 川俣健二郎

    ○川俣委員 何しろ緊急なことですから……。
  59. 吹田愰

    ○吹田委員長 川俣君に申し上げますが、時間がありませんからこれで終わってください。
  60. 川俣健二郎

    ○川俣委員 はい、これ一問で終わります。せっかく通産大臣もおられますから、こういったような事故は今後もあろうかと思います。したがって、関係官庁との連絡的なもの、水にかかわる、川にかかわる、生活の水にかかわるものはさっと緊急にやれるような体制をつくるべきではないのだろうかと私は思うのです。大臣は、せっかくの大大臣だし右大臣なんで、その辺をいかに考えますか、大臣から……。
  61. 田村元

    田村国務大臣 これからも起ころうかという話でございます。これは起こられてはたまらぬわけでありますけれども、こういうことが起こらないように我々は厳しい対応をしなければならぬと思います。今おっしゃったようなことは、率直に言って当然考えなければならぬことだと思います。今、警察が調べております。環境庁環境庁なりに調べております。通産省も、私が指示をしまして係員を現地に派遣しております。ヂーゼル機器に対して、今厳しい調査をしております。そういうことでございますので、とりあえずの問題を今やりますが、改めて一度事務方のハイレベルで相談をさせたい。ということは、水だけではありませんから、大気からいろいろなことがございますから、一遍事務方同士でよく相談をさせてみたいと思います。
  62. 川俣健二郎

    ○川俣委員 わかりました。終わります。
  63. 吹田愰

    ○吹田委員長 春田重昭君。
  64. 春田重昭

    ○春田委員 質問の前に、環境庁並びに通産省にお願いいたしますが、限られた時間でございますので、ひとつ答弁は簡潔によろしくお願いしたいと思います。  フロンオゾン層を破壊し、その結果人間の健康並びに生態系、気象等に悪影響を及ぼすと言われておりますが、その因果関係につきまして科学的に証明されているのかどうか、まず環境庁の方から御見解をお伺いしたいと思います。
  65. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答え申し上げます。  フロンガスによります成層圏オゾン層の破壊の問題の科学的な因果関係についてのお尋ねでございますが、いろいろな経緯等がございますけれども、時間の関係もございますので省略させていただきますけれども、結論的に申し上げますと、環境庁におきましても昭和六十二年の二月に、我が国のこの分野の第一線の専門家から成ります成層圏オゾン層保護に関する検討会といいますものを設けまして、従来いろいろな形で発表されておりました各種の文献等も調査しまして、詳細に検討いたしまして、既存の科学的知見の整理、評価を行ってきたところでございます。昨年の五月にその検討会から出された報告におきましても、成層圏オゾン層現状認識としては、将来のオゾン層の破壊の予測につきましてはさらに精緻な研究が必要とされるものの、フロンガスによりますオゾン層の破壊の機構につきましては内外の専門学者の間に異論は認められない。我が国の学者といたしましても、そういうオゾン層の破壊の機構につきましては世界の学者と同様に異論はないということでございまして、フロンガスによりまして成層圏オゾン層の破壊がされることが定性的には共通理解というぐあいに受けとめておるところでございます。
  66. 春田重昭

    ○春田委員 定量的ではないとしても、定性的にはそういったフロンオゾン層を破壊することは学者の間では認識されているということでございます。  さらに、オゾンの破壊には、その他炭酸ガスやメタンガス、窒素酸化物、また超音速の旅客機なども影響があるのではなかろうかと言われておりますが、この点どうでしょうか。
  67. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 先生お尋ねのございました窒素酸化物あるいはメタン、二酸化炭素等の物質につきましては、御指摘のようにオゾン層への影響について、それぞれオゾン量の増量に寄与するものあるいは減少に寄与するものと両方あるわけでございますが、オゾン層の将来予測につきましては、これらの物質の大気中の濃度の推移も考慮する必要があるわけでございまして、そういうことで国際的な予測のモデルもつくられて予測されているところでございます。  モントリオール議定書を策定する際の作業部会でも、これらのことにつきましていろいろ検討されたわけでございますが、その時点におきましてオゾン層の将来予測の数値モデルによる計算におきましては、これらのフロンあるいはただいま申し上げました各種の物質をもとにいたしまして、規制の対象にすべき物質あるいは規制の程度等が合意されたものというぐあいに理解いたしているわけでございます。今後とも、フロン等規制対象物質に加えまして窒素酸化物やメタン、二酸化炭素等の物質が関与いたします大気オゾンの反応のメカニズムのさらなる解明や濃度の推移を観測することによりまして、大気オゾンのより精緻な将来予測を行っていきたいというぐあいに考えているところでございます。また、先生お話のございましたSSTの問題につきましては、アメリカ等におきましても十分検討いたしましたところ、これにつきましては大きな影響はないというぐあいに評価いたしているというように聞いているところでございます。
  68. 春田重昭

    ○春田委員 通産省にもお伺いしたいと思いますが、公害資源研究所ではフロンとオゾンの因果関係、破壊の因果関係については疑問を持っているかのごとき報道がされておりますけれども、どんなお考えですか。
  69. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私どもお聞きしております公害資源研究所の研究によりますと、フロンが、現在議論されておりますのは成層圏でございますけれども、対流圏の中で何らかの分解が行われる可能性があるのではないか、こういう議論研究対象になっているやに聞いております。新聞紙上にやや確定的な報道がなされたやに記憶しておりますけれども、現段階におきまして明確に結論が出るという形にはなってなく、残された研究課題が依然としてある、こういうふうに聞いております。
  70. 春田重昭

    ○春田委員 環境庁は、このフロンの調査にかかったのはいつごろからなんですか。
  71. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 環境庁におきましてフロンの対流圏での分解の可能性や航空機を利用しました上層大気の測定等の調査研究フロン問題に関する文献調査といいますのを行いましたのは五十三年度からでございます。特に六十二年二月には、先ほど申し上げましたように、このフロンあるいは成層圏の問題等各方面の専門家から成ります成層圏オゾン層保護に関する検討会というものを設置いたしまして、この分野におきます科学知見を体系的に整理、評価し、今後の対策のあり方についての検討を行ってまいったところでございます。また、オゾン層の的確な状況把握を行う観点から最新鋭のオゾンレーザーレーダーを設置いたしまして、これからオゾンの高度分布の観測を開始するということで、今後成層圏のオゾンあるいはまた大気中のフロンの濃度の推移の監視もやってまいりたいと考えているところでございます。
  72. 春田重昭

    ○春田委員 資料等の収集等は相当前からやっていたようでございますが、本格的な調査にかかったのは今お話があったように昨年の二月ということで、大変遅いわけです。ウィーン条約がありますが、既に十六カ国が加盟しております。これは六十年の三月に採択されております。しかし我が国は、御案内のとおり加盟はしていない。米国や加盟国に非難され、やっとこの国会批准する腹となってきているわけでございます。米国では、このフロンとオゾンの因果関係につきましては十数年前から、昭和四十九年ですか、科学的にこの調査研究を行ってまいりまして、その結果エアゾール等のフロン使用禁止も、また凍結も行っているわけです。そういった面で我が国としての対応が非常に遅いという点で、加盟国からの批判等もあるわけでございます。先進国の日本として面目ないと思わないですか、長官。
  73. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私の認識も、今先生の御指摘のとおりでございます。ただ、議論が成熟した段階での対応は、現在非常に早く進んでおるという状況だと思っております。
  74. 春田重昭

    ○春田委員 経済一流、環境二流と言われないように、ひとつ今後、環境日本としてしっかり取り組んでいただきたいと思います。  さらに、このフロンが対流圏から成層圏へ届く、これは大体何年ぐらいかかると言われているのですか。また、現在オゾン層を破壊しているフロンが何年前に放出されたものであるか、こういう点で環境庁にお伺いしたいと思います。
  75. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 大気中に放出されましたフロンガスは化学的に非常に安定した物質でございまして、対流圏におきましては分解しにくく、長期間対流圏にとどまりまして次々に成層圏の方へ流れていく、そしてオゾン層を破壊するというぐあいに言われているところでございまして、その影響は七十年から百年間に及ぶというぐあいに言われているところでございます。しかしながら、アメリカの環境保護局の報告書によりますれば、モントリオール議定書、ただいま国会で御審議いただいておりますこの議定書に沿った規制世界的に実施されますれば、オゾン全量の減少率は最高二%以内におさまるというぐあいに予測されているところでございまして、今すぐにモントリオール議定書に沿いました措置がとられるならば、今までに大気中に放出されましたフロン、過去に大気中に放出されましたフロンによる影響をも考慮いたしましても、今後それほどの大きなオゾン層の減少はないというぐあいに予測されているところでございます。そのようなことで、このモントリオール議定書に従いました国際的な約束につきましての批准等にかかわります審議、あるいはそれに基づきます国内法を策定いたしまして対処してまいりたいというぐあいに考えておるところでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
  76. 春田重昭

    ○春田委員 ある説によりますと、大体フロンは十年ないし十五年かかって成層圏へ届くと言われています。仮に十四、五年前のフロンが現在のオゾン層を破壊しているとすれば、最近の伸び率は一〇%前後でございますから、今後オゾン層はもっと破壊されていくのではなかろうかと心配するわけです。最近のNASAの報告では、南半球に加えて北半球も破壊されている、しかもその速度というのは、来年の規制のときにオゾンの減少率が大体二%ぐらいと予測したと聞いております。今、局長からもお話がございましたけれども、最近の報告ではひどいところで大体三%の減少率もある、平均で二・五%ということも聞いておるわけでございます。こういったことで、一応議定書では一九九八年までに一九八六年の生産、消費を五〇%削減する、こうなっておりますけれども、そういった減少率が非常に高くなってきている、速度を速めているという点からいって、国際的に決めた削減量で果たしてオゾンの保護を図るに十分と思えるか、こういった疑問もあるわけでございます。  そこで、一九九〇年には、一応計画を立てましたが、またオゾンの再評価もするやに聞いているわけでございます。そういった段階で、これからのいろいろな科学的な調査研究等も必要であろうと思いますが、その時点でもっとオゾン層が破壊されているとすれば、我が日本としては積極的にそういった、いわゆる十年後には五〇%になっておりますがもっと速度を速めて、また削減率も高めていく必要があるのじゃないか、そういった発言を日本としては積極的にやるべきではないかと思いますけれども、これは環境庁通産省からお伺いしたいと思います。
  77. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今御指摘のようでございます十年、十五年ぐらいのものもあれば、百年かかるというようなものもあるようでございますから、なかなか将来にわたっての見通しというものは大変だと思います。しかし御指摘のように、一九九〇年が私は一つの山場になるというふうに考えております。その段階で、非常に事態が緊迫するようなデータが出てくるということになりましたら、その段階では私どもは非常決意をしなければならないと考えております。
  78. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国際社会の重要な一員であります我が国といたしましては、このかけがえのない地球を守るために、率先して国際的な貢献を果たしていかなければならないと思います。  このたび、条約それから議定書を受けまして、この法案を率直に世界に先駆けて御提案を申し上げたと言ってもいいのかもしれませんが、ぜひ国会でこの法案の成立をお願い申し上げたいということで御審議願っておるのも、こういう認識のあらわれでございます。今後、国際的な規制水準の見直しに関する締約国会議等に積極的に参加するということ等、日本オゾン層保護問題に関して世界に率先して行動をすべきである、このように考えております。
  79. 春田重昭

    ○春田委員 そこで提案するわけでございますが、オゾン層の破壊状況を広域的にしかも科学的に監視するために、私は我が国として人工衛星を打ち上げたらどうかと思いますが、環境庁長官どうですか。
  80. 安原正

    ○安原政府委員 先生指摘オゾン層の観測の問題でございますが、環境庁といたしましても、観測体制の整備を積極的に進めていくことが必要であると考えております。そういう意味からも、現在御審議いただいております法案の第二十五条に「観測及び監視」の規定を置かせていただいているわけでございます。具体的には、従来から気象庁の方で気象観測の一環としてオゾン層の観測が行われておりますので、それに加えまして環境庁といたしましても独自に観測できる体制をつくるということで、国立公害研究所にオゾンレーザーレーダーを設置することにいたしておるわけでございまして、実は本日から稼働の予定でございまして、来る六月から正式の観測が開始する手はずになっているわけでございます。  それは地上からの観測でございますが、人工衛星を打ち上げての広域的な観測をやってはどうかというのが今先生の御指摘でございますが、これにつきましては、確かに米国の方で現在NASAあるいはNOAAがやっているというやに聞いております。我が国独自でそういう観測を行うということにつきましては、今ちょっと触れましたように外国でもさまざまな観測の計画や構想があるやに聞いておりますので、それとの整合性をどう考えるかという問題があろうかと思います。それから、新たに観測を行う技術的な可能性もよく調べてみる必要があろうかと思います。必要性あるいは財源の見通し等いろいろ検討すべき問題が多いわけでございまして、せっかくの御提案でございますので、今後の検討課題にさせていただきたいと考えております。
  81. 春田重昭

    ○春田委員 いろいろな問題があろうと思いますが、少なくとも現在のオゾンの問題に関しましては、現在までは米国主導であると言っても決して言い過ぎではないと思うのです。米国のデータに依存した我が国にとりまして、やはり独自の人工衛星を打ち上げれば国益にも十分資するし、国際社会の貢献にもつながると私は思うわけでございます。そういった意味で、これは環境庁だけの問題ではなくして内閣全体の問題であろうと思います。通産大臣は内閣のいわゆる柱でございますし中心でございますので、そういった予算取りにつきましてもどうかひとつ環境庁と連携をとりながら御支援をいただきたいと思いますので、何か一言。
  82. 田村元

    田村国務大臣 今、環境庁局長からの答弁、私も一緒に聞いておりました。この問題は全宇宙的な問題でもありましょうし、またいろいろな問題も抱えておる。しかしながら、せっかくの御提言だからこれを今後の検討課題としたい、役人が今後の検討課題としたいという答弁をあえてするというのは、勇気あることなんです。大変勇気ある発言なんです、これは率直に言いまして。でございますから、私も環境庁のこの発言を素直に受けとめておきたいと思います。
  83. 春田重昭

    ○春田委員 ただいまの田村通産大臣の勇気ある発言が勇気ある行動につながり、そして実現するように願うものであります。  そこで、若干通産省の方にお伺いしたいと思いますが、我が国が遵守すべきフロン生産量消費量というのが決まっておるわけです。そこで、二点についてお伺いいたしますが、一つは、今回規制するフロン品目は五種類であります。規制に当たっては品目別、用途別に行うのか。第二点は、製造メーカーが五社あると聞いておりますが、その割り当ては何を基準として行うのか。この二点について、簡潔にお願いしたいと思います。
  84. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 第一点の品目別、用途別の割り当てみたいなことを行うかという点でございますが、この法案を出させていただく際に、化学品審議会という場におきまして学識経験者の御議論をいただいたわけでございますが、その際の非常に重要なポイントは、段階的な規制が円滑に進むということを考える場合に、やはり柔軟な対応というのは非常に重要ではないか。すなわち、技術の変化あるいは需要構造の変化、そういうものに対しまして柔軟に対応できるということは必要で、仮にやや硬直的な仕組みをつくってしまいますと、技術的な対応というのがなかなか難しくなる可能性もある、かような議論が主流を占めまして、やはりまとめて数量は決めて、品目別、用途別には決めずにむしろ市場にゆだねるということがより有効な方向になるのではないか、かような考え方が基本になっております。ただ、段階的に削減されていく段階におきましては、やはり過渡的な状況というのが考えられます。特定のフロンに対します需給が特に逼迫いたしましたり、一部流通上の問題が生じまして特定のフロンの入手が困難になったりというような過渡的な問題に対しましては、これは機動的に行政指導対応したい、かように考えておるわけでございます。  それから、メーカーに対します割り当ての基準でございますが、これにつきましても先ほどの化学品審議会におきまして御議論いただきまして、やはり負担の公平性、事業の継続性、安定供給の確保という点を考慮して、製造業者とかあるいはまた輸入業者の製造実績、製造能力、輸入実績、さらには全体的な製造の動向、輸出入動向というものを勘案して決めるべきである、このように答申いただいておりますので、その点を十分配慮してまいりたいし、さらにつけ加えれば、価格の問題につきましても十分配慮しなくてはならない、かように考えておるわけでございます。
  85. 春田重昭

    ○春田委員 フロンユーザー企業は約三万三千社と言われております。規制に当たりまして各業界の意見を聴取したのか、聴取したのならばその結果どういう要望が出てきたのか、簡潔にまとめて御答弁いただきたいと思います。
  86. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 先ほど御紹介いたしました化学品審議会の審議の場には、今お話ございましたユーザー、これは各方面にわたっております。エアゾールの関係あるいはまた発泡剤関係洗浄剤関係、非常に各方面にわたっておりますユーザーの各関係者の代表の方にも参加していただいておりまして、十分御意見を伺いました。  その結果といたしまして今回の法案を提案させていただいておりますけれども、最初の御質問の際に最後に申し上げましたように、やはり一番問題となりますのは、規制が徐々に強化をされていく際に、過渡的な措置として特定分野にしわが寄るのではないか、その辺を非常に心配をしております。この点につきましては、あらかじめ私どもも十分配慮しなくてはならないと考えておりまして、最初からいろいろ御説明しております、例えば回収・再利用技術普及とかあるいは代替品普及とか、その辺をにらみながら各業種別に問題がないように十分事前の見通しを立て、必要があれば行政指導をしていくということで対応したいと考えておるわけでございます。
  87. 春田重昭

    ○春田委員 総量規制だけで行いますと特定のフロンに偏るおそれがあるわけでありまして、その結果、需給のバランスが崩れまして価格の高騰や供給不足が起こり、そして結果的に消費者や力の弱い業者にしわ寄せが行く。こういう点は十分配慮する、注意するという御答弁でございます。  そこで、私が特に心配しているのはフロン113です。代替品開発状況によりますけれども、先ほど伺いますと11、12は今毒性試験にかかっているから大体見通しは先にあろうかと思いますが、113につきましては、代替品については見通しはかなり暗いと思います。ところが113につきましては、IC産業やクリーニング業界等の洗浄用としてフロン全体の約五〇%が利用されているわけですね。しかも、IC産業というのは年々需要が高まっている。半導体ではアメリカが不足している、こういった声も聞いているわけでございます。そういった点で、この洗浄用が半導体の方に、IC産業の洗浄剤の方に流れていった場合、これは回収・再利用なんかやっていくみたいでございますけれども、どうしても需要が伸びていきますから、十年後には半分になりますから、そういった反比例の現象が起こることを考えればかなり洗浄用が逼迫してくるのじゃないか、その結果、ドライクリーニング業界に影響を与えていくんではないか、こういった心配をするわけでございますが、この点心配ないですか。
  88. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のとおり、フロン113につきましては現在のところ有望な代替品がございません。しかも、その洗浄用の需要が拡大をしているという点につきましても御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後の段階規制の強化を円滑に進めるための非常に重要なポイントは、このフロン113対策をどうやるかということだと存じます。もちろん、中長期的には代替品開発を進める。私どもも、アルコール等をこの洗浄用にまた復活していくということも技術開発をやろうとしておりますが、当面の最大の対策回収・再利用設備の導入でございます。回収・再利用設備にはいろんなタイプがございますけれども、私どもといたしましては例の排出抑制使用合理化指針の中で、特に洗浄用につきまして回収・再利用設備の導入というものを重点にしたいと考えておりまして、そのような形で、現実におっしゃいましたようなある特定分野にしわが寄らないということに特に配慮したいと思っております。  実は、クリーニング業につきましてもおっしゃるような問題がございますが、半導体とか精密機械の部品業というのもすべて中小企業でございます。皆さん、いろんな小さな規模で洗浄をやっておられますので、やはり同じようにその問題点があるわけでございますので、私どもといたしましては、今申し上げましたような回収・再利用設備の積極的な導入による節減という形でこのフロン113問題はぜひ乗り越えなくちゃならない、かように考えておるわけでございますし、具体的な問題が起こった場合には、当然でございますが機動的な行政指導という形で対応してまいりたいと考えております。
  89. 春田重昭

    ○春田委員 IC産業は三万三千社のユーザーの中で三万一千社ある。三万一千のうちほとんどが回収・再利用設備ができるわけじゃございませんから、当然排出抑制は全部ができないし、合理化もできないわけでございますから、そういった面で、需要が伸びているこの洗浄用としてクリーニング業界にはひとつ十分な配慮をいただきたい、こう思っているわけでございます。  時間がございませんので次へ飛びますけれどもフロン11と12の毒性試験を今やっておりますが、実用化段階は何年ぐらいと見ているんですか。
  90. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン11及びフロン12の有力な代替品としてフロン123及びフロン134aというのが話題に上っておりますし、これは日本のメーカーも参加しておりますけれども、海外のメーカーもその開発を積極的にやっております。新聞紙上に出ましたのでお気づきだと思いますが、本年の一月に世界主要化学メーカー十四社が集まりまして、このフロン123及び134aの毒性試験をやることになっております。五年ないし七年かかる、こういう発表がございますので、私ども、その五年ないし七年後にこれが市場に出てくるということを期待しているわけでございます。
  91. 春田重昭

    ○春田委員 欧米ではヘアスプレーにLPGを使用しているということを伺っているわけでございますが、我が国はそうした動きがあるのですか。
  92. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 実はエアゾール製品につきましては、高圧ガス取締法で、例えば使用方法の表示義務とかいろいろ規制をしておりますけれども、特に人体用のエアゾールの噴射剤につきましては、可燃性ガスを用いてはならないということにしております。それで、その結果といたしましてLPGは十数%にとどまって、残りはフロン使用されているというのが人体用エアゾール製品の実態でございますが、実はこれができましたのが昭和四十一年でございまして、二十年もたっておりましてこの間、技術革新等で品質が向上するとか事故が減少するとか、あるいは先進各国における規制との整合性の問題とかいうこともあります。それからまた、もちろん今回フロン規制の問題というのは、環境変化もございます。いろいろなことを考えまして、二十年もたっておりますので、この基準のあり方につきまして全体的に見直す必要があるということで実は検討を開始しておりまして、具体的には専門機関である高圧ガス保安協会の方に依頼して検討を開始したところでございます。したがって、その検討の結果を待ちまして、どうするか対処を考えていきたいというのが現状でございます。
  93. 春田重昭

    ○春田委員 LPGを使用する場合は高圧ガス取締法の見直しが必要になってくるわけでございますが、今検討委員会にかけているということでございます。いわゆる代替品開発は五年から七年かかるということでございますので、LPGを利用すればすぐ利用ができるわけでございます。そういった点で、今検討委員会にかけているということでございますが、通産省としてはこの可能性は強いと期待しているのですか。
  94. 安楽隆二

    ○安楽政府委員 この問題はあくまでも保安の問題でございますから、危険がなければもちろん問題ないわけでございますけれども、危険があればやはり問題であるということで、私どもは保安の立場から、白紙というかニュートラルの立場で検討したいと考えております。
  95. 春田重昭

    ○春田委員 環境庁にお伺いいたしますけれどもスプレーに関しまして、フロン使用していない商品にはエコマークを表示してはどうか。既に西ドイツでは十数年前から実施している、四十七品目二千商品にマークを表示していると伺っているわけでございます。我が国としても、こういったフロンガスとオゾン層の因果関係等が非常に問題視されているときでありますだけに、こういったマークをつけていったらどうかと思いますけれども、どうでしょうか。
  96. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 先生お話にございました西ドイツにおきましては、フロン使用しないスプレーを初めといたしまして環境保全型の商品に環境マーク、いわゆるエコマークをつけて推奨をいたしておるということでございます。我が国におきましても、環境にとりましてよりよい商品を推奨する方策を講ずることによりまして、消費生活に起因する環境問題に対処しようという考え方のもとに、現在各界の専門家の方々にその方策のあり方につきましての検討を進めていただいているところでございます。  この検討の一環として実施いたしました環境モニターのアンケートによりますと、フロン使用しないスプレーに対する関心が極めて高いという結果を得ているところでございます。今日、環境にとりましてよりよい商品を推奨する等、社会経済活動そのものを環境保全型に誘導する観点からも多角的な政策手法が求められているところでございまして、先生の御指摘の点も、その一環といたしまして十分な検討を加えてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  97. 春田重昭

    ○春田委員 フロン113につきましては、先ほど局長からも御答弁がありましたように、排出抑制環境庁、また回収・再利用につきまして通産省においていろいろお考えになっているみたいでございますが、そのガイドラインというのは大体いつごろ国会の方に提出する段階になりますか。
  98. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 排出抑制及び使用合理化に関します指針公表の時期でございますが、この法律の附則によりますと、条約発効日をもって施行をされる、こういうふうに規定しております。オゾン層保護に関します条約発効日は、二十カ国の批准があって発効するということになっておりまして、現在日本批准いたしますと十七カ国でございましてあと三カ国必要でございますが、私ども見通しによりますとこの秋には批准になる、こういうことであろうと存じます。したがいまして、年内にはこの指針に関する規定は施行されるということでございますので、私どもそれを目標に指針の作成を環境庁とともにやるという考えでございます。
  99. 春田重昭

    ○春田委員 少なくとも私は、こういったオゾン層を守るフロン規制国会に提出されたわけでございますから、そういった指針ガイドラインも同時に国会へ出すのが筋ではなかろうかと言っておきます。  そこで、年内に間に合うように現在検討中である、こういうことでございますが、環境庁にお伺いいたしますけれども、具体的な文案等は現在詰めていると思いますが、排出抑制につきましては現在環境庁としてはどのように考えているのか、口頭でもいいですからお答えいただきたいと思います。
  100. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 排出抑制使用合理化内容といたしましては、例えば排出抑制の点から申し上げますと、例えば洗浄剤ということでフロン使用しております事業者等において講ずべき密閉なりあるいは吸着、凝縮あるいは回収・再利用などの措置を示す予定を考えているところでございます。そのようなことを考えておりまして、現在環境庁におきましては、オゾン層保護に関する検討会の中に排出抑制破壊技術等分科会といいますものを設けまして、その中の専門家の先生方の御意見を伺いながら、ガイドライン内容につきましての検討を進めている段階にございます。
  101. 春田重昭

    ○春田委員 残された時間が四分間でございますので、まとめて質問いたしますのでお答えいただきたいと思います。  通産省にお伺いいたしますけれども回収・再利用の設備につきまして、現在既に普及している台数がどれぐらいあるのか。そして、今回の法案によって国でかなり思い切った融資をやろうとしているわけでございますが、法案成立後どれくらいの普及をしたいと考えているのか。そしてその普及費用、設備費用というのは大体どれくらいかかるのか。中小企業にとってそれが負担にならないのか。三万一千社あるわけでございますけれども、その三万一千社が全部設備をするわけじゃございませんので、全企業がやらなかった場合、十年後の一九九八年には五〇%になりますけれども、その規制スケジュールに支障を来さないかどうか。何点かまとめて質問いたしましたけれども、お答えいただきたいと思います。
  102. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 回収・再利用設備につきましてはいろいろな形がございます。例えば洗浄設備そのものが密閉式になっておりまして冷却機能を持っている、こういうのが洗浄の主流だと存じます。これにつきましては、大手のメーカーでも、例えば三分の一はそういうものにしている企業、あるいはまだ十分の一のもの等々がございます。もう一つございますのは、今度気化いたしましたものを吸着いたしまして回収するもの、これは活性炭等で吸着して回収するものと、最近開発される油によって回収するものと両方あるようでございますが、今の活性炭によりまして吸着いたしまして回収するものにつきましては三、四年前から出ておりまして、これまでのメーカーサイドから得ました情報でございますと、おおむね千台程度が市場に出ている、かように私ども聞いております。それから、より純度の高いフロン回収できます油によって吸着するもの、これにつきましてはこの夏ないし秋から市場に出るわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては洗浄段階におきます回収・再利用設備、先ほどの洗浄そのものの段階で処理するものと気化いたしましたものを吸収するもの、いずれをもぜひ一般的に普及したいと思っておりますが、例えば先ほどの従来出回っております活性炭を利用したものは五百万円ないし千五百万円、それくらいの価格帯でございます。したがいまして、御質問の中にございましたように、中小企業等にとりますと相当の負担になり得るわけでございますので、私どもその辺も考慮しながら、御説明の中にございましたけれども税制上の措置というものを考えておるわけでございます。固定資産税の減免あるいはまた法人税所得税、特に特別償却制度の導入というものをしているわけでございます。  今後の規制段階でどの程度見通しているかということでございますが、私ども来年の規制をスタートする段階、これは六十一年の水準に抑えるわけでございますが、実態的に見ますと約三割削減を必要とすると考えております。これは、具体的には今申し上げましたような回収・再利用設備の導入が主流でございますが、同時に、例えば他の代替品、既存の代替品がございます。発泡剤といたしましてブタン、あるいはまた冷媒等につきましてはフロン22というのがございますが、それの普及を図るということに加えまして、今申し上げました回収・再利用設備につきまして、主な企業につきましてはそれをぜひ普及していく、さらに次の段階ではそれを中小企業まで広めていくというような形で、それぞれの規制の強化される段階対応していきたい。長期的な展望を持ちながら、技術的なあるいは経済的な応援をしながらぜひそれは実現をしたい、かように考えておるわけでございます。
  103. 春田重昭

    ○春田委員 終わりたいと思いますが、最後に長官に御決意をお伺いしたいと思います。  先ほどから言っているとおり、フロンガスの規制につきましては、我が国は一歩おくれたわけでございます。しかし、まだまだアジアの中ではそういった加盟、批准をしていない国がたくさんございます。中国、韓国、そういった国々に呼びかけまして、我が国なりにまたアジアの近隣諸国で東京会議なりシンポジウム等開いて、従来の汚名を挽回して日本が大きく環境面でリードしていくといった姿勢を見せていただければありがたいと思っているわけでございますが、長官の御決意をいただきたいと思います。
  104. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 御指摘のように、原因の生産国、有力な生産国でもございますので、それだけの責務を当然果たしていくべきだと考えております。
  105. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  106. 吹田愰

    ○吹田委員長 春田君の質問は終了しました。  滝沢幸助君。
  107. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。両大臣初め政府の皆さん、御苦労さまです。  連合審査ということでお伺いするわけでありますが、今回のオゾン層保護法とも言われるべき法の提案につきましては、原則我々はこれを評価するものでございます。  そこで、初めに通産大臣にお伺いをいたしますが、今日までややもすれば我が国はこのようなことに消極的であるとの国際的非難もないわけではありませんでした。今後におけるこのような面での政府の姿勢といいますか、それをひとつ承りたいと存じます。  時間が非常に限られておりますのでひっくるめていろいろとお伺いしまするけれども、今度の法律等を通じまして、オゾン層の破壊とフロンガスとの因果関係というものを国はどのように認識しておられるか。さらには、日本が今後このようなことに消極的であるという先ほども申し上げましたような批判に耐えるためにも、今後国際社会においてどのような立場をとられるものであるかというような点を、取りまとめてひとつお伺いをいたしたいと存じます。
  108. 田村元

    田村国務大臣 先ほど来申しておりますように、国際社会の重要な一員である日本でございます。このかけがえのない地球を守るために、率先して国際的貢献を果たす必要がございます。条約それから議定書を受けました本法案を世界に先駆けて成立させるべく、今国会において御審議をいただくこととしたものでございます。さらに、今後我が国としては、代替品開発オゾン層に関する科学的な知見といいますか、それの集積に努めますとともに、これらの成果を踏まえながら国際的な規制水準の見直しに関する締約国会議に積極的な姿勢で参加するなど、オゾン層保護問題に対して率先して取り組んでまいる所存でございます。  なお、具体的なことに関しましては関係局長から答弁をいたさせます。
  109. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変積極的な御答弁に敬意を表します。  大臣、私の時間の範囲はあと大臣を煩わしませんから、御用があったらどうぞもう退出してください。環境庁長官も、最後に一言お伺いするだけですから、どうぞひとつ。  それで、今のような御答弁を承れば了解できることではございますが、今回の提案通産省的見地に立ったところの規制ということに力点が置かれたのか、あるいは環境庁的見解に立ったところのオゾン層保護という立場に力点が置かれたものか、これはいかがなものでございましょうか。そうして、そういう精神は法の文言の中に表現されておりますかどうかお伺いいたしますけれども、御答弁は両省どなたでも結構でございます。
  110. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 現在のオゾン層の減少というのは、南極の上空におけるオゾンホールと言われておるところの現象はもう科学的に立証されております。その他の問題については、大部分の科学者は、フロンによってオゾン層が破壊されているということが成熟した定見だと私は考えております。そういう意味において、中公審の答申をそのままこの法案に実際具現すべく、環境庁としては努力をしてまいりました。また事実、この法案によってオゾン層保護を国際的にも責任を持って果たせるものと考えております。
  111. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 明確なる御答弁に敬意を表します。  そこで、やや具体的になりますが、スプレー、冷蔵庫、クリーニングなどフロンを用いているものは、現在我が国の国民生活に深くかかわっているわけでございます。これを規制することは、法によってこれはそう難しいことではありません。しかし要すれば、これを使っていただく消費者、国民の皆さんがどの程度にこれに対する理解があるか。つまり、すべての物は危険なわけであります。火そのものは危険なわけであります。しかし、その火の使い方については十分に生活の中に周知徹底しているということでありますから、問題は、使用する側の知識と対応とによってこれが危険なものになるかどうかということがあるわけでありますから、消費者の教育、啓蒙というようなこと、あるいはまたその協力をいかに求めるかということであろうと存じまして、その点の対策を承りたいと存じます。必ずしも長官でなくても結構です。     〔吹田委員長退席、尾身委員長代理着席〕
  112. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 御指摘のとおりでございます。昨年度、この問題についてはほとんど国民の関心がございませんでした。ところが、予算委員会が始まって国会審議をされた段階から今日まで約百カ日の間に、中学生までこの問題を言うぐらいに国民的関心が高まってきたと認識をしております。したがって、これからは国民的課題である、人類の課題であるという立場を踏まえて、私たちは啓蒙に特段の努力をしなければならないと考えております。
  113. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変積極的な御答弁で結構であります。どうか今後ともそのようなことで、勇気を持ってひとつ国民に対する啓蒙、教育、宣伝にこれ努めてちょうだいしたいと存じます。これが本当に徹底するならば、後で申し上げる大気のことをも含めて、これがよろしきを得るならば問題は半減するであろうと存ずるものですから、一応申し上げておるわけでございます。  通産省をも含めてのお話になりまするけれども、私はこれの抑制規制はさっき申し上げたとおりそう難しいことではない、法律に書くことは簡単であります。ただ、問題はお客さんがこれを必要としているわけでありますから、ここに需給のギャップが生じるであろうというふうに存じます。特に、先端産業の置かれている現状と将来はいかがなものであるか。あるいはまた、国民生活に非常に深い関連のある品物がいろいろな立場生産されているわけであります。そうした業界の問題がここに一つ残りますから、これをいかに国が対策していくかということは大事なことでございます。そういう点につきましてひとつおっしゃっていただきたい。この生産製造規制、そして使用の制限あるいはまた排出規制のことをも含めて、通産の御見解。
  114. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 お話のように、今後フロン規制を徐々に強化していくわけでございますので、生産者協力、特にユーザー側協力さらには一般消費者の協力ということは非常に重要でございます。  御指摘の中にございましたユーザー側協力をどういう形で得るかという点は非常に重要でございまして、それぞれの今後の需要動向はもちろんのこと、各ユーザーが持っております代替品が何であるか、さらにはその回収・再利用技術があるかないか、それぞれの業種あるいはその品目による特性を十分つかまえながら指導していかなくてはならない、かように考えておるわけでございまして、この法律の基本的考え方は、一方で製造数量、輸入数量を厳しく規制していきながら、一方におきまして需要家側にガイドラインを示しまして、今申し上げましたような代替品の導入あるいはまた回収・再利用の設備の導入というものを円滑に進めていくというような、二本立ての手を考えているわけでございます。後者のユーザー側の問題につきましては、いわゆる指針というものを定めまして、その指針の中で、今申し上げましたような点を細かく書くわけでございますが、それをより促進するために、税制上の措置等によりましてそれを支援していくという形をとっているわけでございます。  今後の規制の強化の段階で具体的に問題が起こる可能性がありますが、やはり一部によります買い占めの問題だとか、あるいは特定商品につきまして入手が困難になったりとか、いわゆる過渡的な問題の可能性はもちろん予測されます。これにつきましては、事前に十分なる手を打っていくということは非常に重要でございますし、同時に、具体的な問題が起こった場合には、私どもが機動的に行政指導していくというような形を考えておるわけでございます。
  115. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変結構な話でありますが、要するに抽象論ですが、生産規制する、一方、輸入輸出の問題がございます。輸入と輸出は大体すっとんとんみたいなことですよね。そうなれば、生産をしっかり規制抑制していけばいいことになります。また、考え方によっては、もしも国民生活を相当原始的なものに返すことができるならば、これらの問題はまずまずなくなるわけであります。しかし、それは国民の今日置かれている状況からいうと困難でございましょう。  そこで、今細かしいことは後で規則なりつくられるというのでありますが、そうした作業の中に、生産者や消費者が発言して協力するような体制があるものかどうか。一方的に省が、関係省庁等の協力はあるにしてもつくられるものだろうか、ここら辺に課題があろうと思うのですが、これはいかがなものになりますか。
  116. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 生産者あるいはまた需要家あるいは消費者の意見をどういう形で吸収しているかということだと存じますが、私どもこの法律提案するに際しましては、私どもの方は化学品審議会、環境庁の方は別途の審議会を持っておられますが、その場におきまして関係者の意見を十分聞いております。私どもの化学品審議会の中には、生産者はもちろんのこと、各需要業界それぞれの代表者も入っていただきまして、今後の規制実施するに際してどのような問題が予測されるかということにつきまして、十分御議論をいただいているわけでございます。  さらに今後、先ほど御説明いたしました排出抑制使用合理化指針というものを定めるに際しましても、需要業界あるいはまた消費者の方あるいは第三者の学者の方等々につきましても十分御意見を聞きながら、実態に即したきめの細かい指導というものに遺憾なきを期すようなことを今考えておるわけでございます。
  117. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 時間がありませんから問答してもなにでありますが、どうかその点よろしきを得て、生産する側と使う側と役所、この三位一体の協力関係が十分できますように御配慮をお願いしたいと存じます。  そこで、これを規制してそのようなものは使わぬということになりまするときに、しからば代替品はいかがなものか、こうなるわけでございます。これは語れば長きことになりまするから飛びますけれども代替品はどのようなものに対してどのようなものが想定され、しかもそれは生産可能であるかどうか。逆に言うならば、これにかわるべきものを開発、発明、生産することができるかどうか、それはいつまでにできるかということになるわけであります。  ここで私は、やや他事に触れるのでありますが、大体、我が国は国家の一つの目的といいますか方針、国是なんという言葉が例の核三原則について言われておりまするけれども、抽象的なものにはそれは平和何々と言いますが、問題は、いついつまでにこれこれのものを開発しなさい、発明しなさい、つくりなさいという学界に対する、あるいはまた産業界に対する指導援助の手だてが、よその国に比して少ないのではないか。かつて日本がアメリカに対して絹製品を売らぬと言ったときに、アメリカの御婦人が靴下も履けぬことになって、とにかくアメリカの婦人の方から戦は御免という声になるというふうに期待したのでありましたが、アメリカ政府はアメリカの学界に対して、絹にかわるべきものをつくりなさいと強力に指導した結果ナイロンが発明されまして、それが結局は我が国の絹業界の命をとる結果になるわけでありますけれども、およそ全体主義の国は当然でございますが、しかし民主主義の国といえども、国民全体の幸せのために学問の世界、産業の世界がこれに協力することは当然であり、それを誘導することは政治の責任でございましょう。  そのような意味で私は、今回のことについても代替品を――もとのものよりもだめなものではだめですよ、これは結局用いられないことになりまするから。よりもっといいものが、しかも無害なものが発明されないはずがない、人知の至るところ不可能なるものなしでございますから。そういうことで、これは先ほど申し上げたように日本の国の今日の状況が、何せ国家目的、国の理想、計画に対して学問の世界、産業の世界協力する体制がない、これが大きな国家的課題でありますが。このいわゆるフロンというような、これに対しての対策いかんというお伺いでございますが、いかがなものでしょうか。
  118. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 フロン代替品につきましてでございますが、既存の代替品というのもございます。これはフロンの22というのでございまして、これは主に今後空調用の冷媒に使われる可能性がございます。さらにはブタン、これは発泡剤に使われるようなものがございます。すなわち既存の代替品普及していく、それが一つ。  それから、新規の代替品開発するということが第二点でございます。この辺につきましては、現在世界的に有望視されているのが二品目ございまして、これがフロン123及びフロン134aでございます。これは、日本の有力メーカーはもちろんのこと、欧米のメーカーも開発をしております。これにつきましては、毒性試験というのがその実用化のために必要でございますので、現在世界の十四社が集まりまして、総額約十億円をかけまして毒性試験実施しようとしております。これがかかりますのが五年ないし七年ということでございますので、新規の代替品として特に有望なこの二品目が今後私どもの目の前に登場するのは、五年ないし七年以降ということだと存じます。  さらに大きな問題は、フロン113の代替品があるかないかということでございまして、現在有望視されるものはございません。しかし私どもといたしましては、既存の物質でございますけれども、アルコールというものをこのフロン113の代替品として使えないものかということにつきまして、ことしから研究をスタートしているところでございます。  最後に、研究開発の目標という問題につきましてでございますが、一般論でございますが、例えば私ども通産省の大型プロジェクト、次世代プロジェクト等がございます。これらにつきましては、七年とか十年という計画設定して開発するという仕組みがございます。これはおっしゃったような趣旨にやや合うのではないかと思っておりますが、ただ現在のところ、代替品開発につきましてそのようなプロジェクトに登場するものはございません。さらに技術研究を重ねた上で、そのようなめどがつくものがあれば、もちろん今後そういう国のプロジェクトの一つ考えるということもあり得るかと存じます。
  119. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 いろいろと言いたいことはありますが、厚生省から見えていただいておりますので国民生活、特に国民の健康にかかわることという意味で、今回のことについて厚生省が果たされる役割、あるいはまた今後に対処される姿勢をお伺いしたいと思います。
  120. 藤原正弘

    藤原説明員 お答えいたします。  厚生省は廃棄物処理を所管いたしておりますので、その観点で御答弁さしていただきたいと思います。  個々の家庭から、要らなくなって廃棄物として冷蔵庫やクーラー排出されることがございます。それの処理をする清掃事業の過程におきましてフロン回収するということは、実際問題としましては非常に困難であるというふうに考えております。しかしながら、フロン排出抑制対策につきましては、現在、関係省庁におきましてフロン生産規制等措置をとられておると承知しておるところでございます。このような措置によりまして対策が進むことを期待しておりますが、今後、廃棄物の処理におきましても特段の措置を講ずる必要が生じ、当省にその旨協議がされました場合には、廃棄物処理を所管する立場から適切な措置を検討してまいりたいと考えております。
  121. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 最後に、両大臣から簡単に所信表明があれば結構なんですが、私が申し上げたいことは、今開発が五年ないし七年かかって代替品をとおっしゃった。今現に生産され、使われているもので代替品をとおっしゃった。これがだめだから今のようなことになったのでしょう。つまり、今使われている代替品は期待に十分こたえない、だからこのような状況になったわけですから、新しいものを開発しなくちゃなりません。それが五年ないし七年というのは、自然にそうなっていくのです。原爆も、結局あれはアメリカが日本に落とすまでに間に合うようにつくらせたのだ。私が申し上げたいことは、国が指導力を発揮し、経済的援助をしてでも、いついつまでに何々をつくりなさいと。がんの薬もそのとおりです。何でもそうですよね。そういうものが今日の日本体制の中にないということを私は案じているわけです。だから、局長サイドのお話ではちょっとやはり……。  本当は総理大臣に聞く必要があるわけですが、いらっしゃらないので、両大臣にごく簡単に所信の表明を願いたい。特にこれから我が国国際社会において大きな使命を果たしていく、特にこのオゾンの問題あるいは地球が温暖化していく問題、あるいはまた酸性雨というような、いろいろとございまして、地球的規模において環境問題が人類の課題となってきまするときだけに申し上げているわけで、両大臣からひとつ簡単に決意のほどをおっしゃっていただければありがたいと思います。
  122. 田村元

    田村国務大臣 滝沢さん、今実は私の持論と同じことを言っていただいたので、私も大変愉快に思っておるのですが、私の持論は、例えばがんの克服に年間一千億を入れる、各省庁からまんべんなく何%を取り上げる、恐らく反対する者がいないと思うのですよ。それよりも道路が大事だ、米が大事だと言う者はいないと思うのです。ですから、やはりそういう点では学問的な研究開発ということ、特に科学の面においては私はやはり政府が慫慂すべきものと思います。ただ、それが大学あるいは官公立あるいは私立にしても、資金の潤沢でない研究機関と、それから資金を非常に潤沢に持っておる民間企業というものは、おのずから分けて考えなければならぬと思いますけれども、全く同感でございます。
  123. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 フロンガスというのは、今世紀最大の発見の物質だと言われております。しかし、このために人類の生存の問題にかかわるような大問題になってきておることが、もう今日では一つの定見となりつつございます。私は、そういう中にあって、人間が生み出したものは人間が始末をするんだという原則に立ってこの問題に対処しなければならないと考えております。
  124. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 両大臣より所信表明をいただきまして敬意を表します。さらに御健闘いただきまして、国民的ないしは人類的期待にこたえていただきますようにお願いし、御苦労さまと申し上げて、発言を終わります。
  125. 尾身幸次

    ○尾身委員長代理 岩佐恵美君。
  126. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 モントリオール議定書で決められた削減のテンポですけれども、緩やか過ぎるという批判がございます。そこで伺いたいのですが、規制対象のフロンについて、フロン開発されました一九三〇年代から五十年たっているわけでございますけれども、全世界でつくられましたフロンの量、そして大気中に放出された量、それについてどれだけか、通産省からお答えいただきたいと思います。
  127. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 UNEP、国連環境計画に出されました資料によりますと、一九八五年の今回の規制対象フロン放出量は八十七万五千トンでございますが、その数字をさらに過去にさかのぼりながら総合計してみますと、推測の計算でございますが、おおむね千五百万トン程度になるのではないかというふうに計算されます。
  128. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在、年間約百万トン生産をされているわけでありますけれども議定書削減のテンポを守ったといたしまして、二十一世紀を迎えるまで、つまりことし一九八八年から二〇〇〇年末までの十三年間、その間にフロンがどれだけ生産をされますでしょうか。
  129. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 今後の規制段階、二〇%削減さらに五〇%削減が行われました段階におきます世界生産数量は五十万トンでございますが、それまでの十三年間の合計数字は、ちょっと後で計算をさせていただきたいと存じますけれども、おおむね一千万トン弱ぐらいでございましょうか、それぐらいになるかと存じます。
  130. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 これまで一千五百万トン生産をされてきて、そしてその一部が成層圏に届いている、そういう状態で南極のオゾンホールなどが大問題になっているわけでございます。それなのに、二十一世紀までにあと一千万トン生産される、こういうことでありますから、十分な規制ではないというふうに言われているわけでございます。  議定書では、一九九〇年にはテンポについて再度見直す、こういうことになっているわけでございますけれども世界の一割を生産をしております日本といたしまして、議定書水準をぎりぎり守ればいいんだ、そういうことでは当然ないと思います。見直しに向けて厳しい姿勢で取り組まれるべきであると思いますけれども通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  131. 田村元

    田村国務大臣 この問題は、先ほど来申し上げておりますように地球全体の問題でございますから、これはもう一役所がどうの、あるいは企業がどうのというようなことに基礎を置いて物を考えておったら大変なことになります。でございますから、国際的な規制基準の見直しとかいろいろな場においては、日本も積極的に参加していって、そして率先して世界の重要な一員であるということの実を示さなければならない、このように思います。
  132. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 議定書では、最終目標はオゾン層を破壊する物質放出をなくす、つまり放出をゼロにすることだというふうに言っているわけです。こういう基本姿勢に立ちまして、研究などを含めまして積極的に対応していくべきだというふうに思いますが、環境大臣の御所見を伺いたいと思います。
  133. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 議定書の中で言われておるのは、このままで三%ずつフロン生産が上がっていくというようになれば約一〇%ぐらいのオゾン影響が出てくるだろう、それで、議定書のとおりに各国協力すれば二%ぐらいの影響にとどまるだろうということだと私は考えております。したがって、私どもとしては、それ以上の影響を出さないように懸命の努力をしなければならないと思います。
  134. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 生産段階での規制によって削減をしていくことはもちろん重要ですけれどもフロン使用する事業者段階フロン排出させない、そういう対策をとっていくことが重要であると思います。この点について、環境庁として特にここを強調したいというような点があれば伺っておきたいと思います。
  135. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  フロンの問題につきましては、生産規制とあわせまして排出抑制使用合理化を行うことが非常に大切なことであるというぐあいに思うわけでございます。そういう面で、このフロン排出抑制使用合理化を行うことによりまして、それはフロン使用量を削減し大気中の放出を抑えるということになるわけでございまして、この法律におきましても、生産規制と並ぶ重要な対策ということで位置づけをしているというぐあいに私ども認識いたしておりまして、御審議をお願いいたしておるところでございます。  この排出抑制使用合理化内容でございますけれども、例えば洗浄剤としましてフロン使用しております事業者におきましては、その使用に当たりましては機器の密閉なりあるいは吸着、凝縮、回収・再利用などの措置を示す指針をつくりまして、この指針に基づきまして排出抑制なり使用合理化について事業者もやっていただきたいというぐあいに考えているところでございます。
  136. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 つくる方での規制とそれから排出規制、これは両方きちんとやっていくことが重要であると思います。  その排出の点でありますけれども政府指導をされていかれるということですけれども、例えばその回収・再利用について、今までの論議の中で、洗浄用フロン113については技術開発が一定進んでいるということですけれども、例えば軟質ウレタンの発泡用とかあるいは冷蔵庫、クーラー用のフロン、これについてはどういうふうにしていくのか。特に家庭用の冷蔵庫の場合、中のフロンは一台当たり五百グラムだということでありますから、金額にして大体百円から二百円ぐらいでしょうか、そういう金額ですから、これを再利用しても採算が合わないのじゃないかということで、ほっておけば業者がきちんと対応しない、そういう危険があります。通産省として、これをどういうふうに積極的にやっていかれるのか、伺いたいと思います。
  137. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 御指摘のように、一つ発泡段階におきます回収・再利用、これは非常に重要な課題でございまして、私どもその技術研究課題一つにしております。発泡作業をやる際に蒸発しているものをいかに回収するか、これは吸着という技術だと思いますけれども、その点は今後ぜひ努力したいと思っております。  それから、おっしゃいました冷蔵庫とかクーラーの問題、これは今後の課題でございます。ビル用の冷房に使っております冷媒につきましては、これは量が多うございますので抜き取るという作業を現実にしているわけでございますので、それを自動車用のクーラー等につきましてどういう形でやっていくかということは今後の課題でありますし、非常に台数は多いし、どこでやるか、どういう技術でやるか、いろいろ問題がございますが、やるという方向で今後いろいろ議論、検討をさせていただきたいと思っております。
  138. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 法案では、フロンガスを破壊した分について生産量に上積みをすることができることになっております。フロンの破壊については、オゾン層に対する破壊作用をなくすこと、また人体や地上の環境にとって有害な物質放出しないこと、この二点が重要であります。破壊の技術についてはどこまで開発が進んでいるのかということでございます。技術指針については先ほどお話がありましたけれども、いろいろその細かい指針づくりについては年内ということですが、こういう破壊の技術指針については一体どういうふうに、いつまでやられるのか。  それから、その破壊量の確認なんですけれども、どのような仕組みで行うのか。つまり、その破壊をした分を水増しをするということになりますと、その生産規制自体がざるになってしまうわけですから、そういう点をきちっと押さえていかなければいけないと思います。今その生産業者は五、六社ですから、生産段階ではきちっと押さえられると思いますけれども、破壊をすることになったら、破壊をする方々というのはかなりの数に上るわけです。そういう点どうやってチェックをしていかれるのか、もう少し具体的にその辺も伺いたいと思います。
  139. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 破壊の方法につきましては、私ども法律では省令で定めることになっておりますが、実は国際的にはまだ決定されておりません。今後、締約国会議におきましてそれが決められることになっております。その際に恐らく議論されますのは、例えば破壊の方法の一つといたしまして焼却というものを考えた場合に、もちろん焼却というのはフロンが分解されることは事実でございますが、焼却の設備いかんによりましては焼却前に蒸発してしまうというような問題すら予想されますので、今後恐らく破壊の方法が議論される場合には、破壊の設備とか方法につきまして厳密な議論が行われるかと存じます。私どもはそれに従って対応したいと考えております。  さらにもう一つ、破壊の方法といたしまして、そのような焼却というような副次的な問題が起こらない方法といたしまして、例えば還元方法を用いてほかの物質にしてしまう、これは非常に安全な方法でございます。現在、技術的に議論されている方法はございます。ただ、その方法に使われます化学薬品、これはナトリウム等でございますが、大変高価なものでございますので、やや経済的な問題があるようでございます。いずれにいたしましても、破壊につきましての技術的な方途は国際会議で議論されますが、私ども今申し上げましたような問題のない破壊の方法の技術開発ということは、今後の課題だと思っております。  それから、破壊そのものの確認が実際上厳格に行われるか否かという点でございますが、私どもは、破壊の方法が決まってからの問題ではございますが、恐らく破壊の設備そのものを正確に把握するということは非常に重要なことになるだろうと思いますので、方法の一つとしては、そういう設備の届け出をいただく、かつまた現実に破壊されたかどうかの確認につきましては書面審査さらには立入検査も実施したいと考えておりまして、当然でございますが、そのようなものを拒否いたしますと破壊の確認は行われません。したがって生産の上積みがない、こういうことに最終的になりますので、そのような方法によって厳格な破壊の確認が確保できるものと考えております。
  140. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今、消費者の間でもフロンについては大変関心が高まってきております。欧米ではもう既にヘアスプレー使用禁止をしているわけですけれども日本でも化粧品のスプレーフロン使用していない商品も出てきております。     〔尾身委員長代理退席、渡辺委員長着席〕  地婦連がつくっておられる「ちふれ」化粧品は一九八一年、フロン日本で大きな問題になったときにいち早くやめてしまって、ポンプ式にしているということであります。きょうは委員長の御了解をいただいて幾つか商品を持ってきておりますけれども、例えば今フロンを使っていないポンプ式というのがこれです。これでもかなり、十分こういう感じで出るわけです。だから、私たちはこれで十分不便ではないのじゃないかと思っています。特に、こういうスプレータイプは、ぱっとあれすると全部大気に拡散してしまってとらえどころがないものでございます。これは、消費者が参加をしていってなくしていけるという意味では、非常に具体的なアプローチだと思っています。  例えば、これは炭酸ガスを使っているものです。それから、これはフロンLPガス使用しているものですけれども、ちょっと大臣に見ていただきましょう。大臣、老眼鏡をかけておられますでしょうか。(田村国務大臣「かけないで見えます」と呼ぶ)ガスの何を使っているかというのはよく見えますか。(田村国務大臣「見えます」と呼ぶ)そうですか、私はちょっと見にくいのですけれども、不燃性とか難燃性についてはかなり大きく表示をされております。しかし、ガスの使用の量については表示がちょっと小さいと思います、すべての商品を見ていただけばおわかりいただけると思うのですけれども。  私は、今消費者が参加をしていくという意味では、フロンを使っているものについてはフロン使用していますよというマークをつける必要があるのじゃないかと思います。例えばウレタンとか発泡スチロールの建材、それから畳床あるいはハンバーガーの容器、モデルガンのガス、思いがけないところにフロンは使われております。こういうことをきちんと消費者に知らせていく必要があると思うのです。ですから、製品の一覧リストをきちんと通産省でそろえられ、そして消費者にはフロンを使っているんだと目につくようにして、お互いにやめていきましょうというふうにすれば、つくる方も競争しないで、これはみんなでやめれば怖くないのだということで、やめる方向が確立をされていくと思うのです。その点、通産省のお考え伺いたいと思います。
  141. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 正直申しまして、けさ私が使いましたのはこれでございます。これは炭酸ガスのものでございます。そのように、認識すればそういうものを使えるようになることは御指摘のとおりでございますけれども、ただやはり霧が粗いとかすぐなくなってしまう、いろいろな問題点がございまして、使いでからいきますとフロンとは差があるという面がございます。しかし、おっしゃる点は私どもよくわかっておりますので、代替品普及ということにつきましては私どももぜひ努力したいと考えております。特に、現在発泡剤等にはブタンも使いますので、そういうものを大いに普及したいと考えておりますし、今のスプレーでも炭酸ガスのがございます。確かに、そういう意味代替品普及は非常に重要でございますし、この法律実施段階におきましても基本的な消費者の啓蒙普及というものを考えておりますので、その一環の議論だと私ども考えております。  それから、特に御提案ございました表示の問題につきましては、一つの御提案でございますので、関係業界とも連絡をとりながら検討してまいりたいと考えております。
  142. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 大臣、告示の見直しも含めて今やっておられるようでありますので、消費者対策という点についてもぜひ積極的に、生産段階での規制とあわせてやっていただきたいと思います。  その点、大臣の御所見をいただいて、また環境庁長官にも、消費者に対する啓蒙啓発は大変重要であります。先ほどの環境庁独自の研究も大事ですけれども、一九九〇年見直しに向けて日本としてできるだけ率先してやるという立場をつくり出すのも環境庁の大きな役割だろうと思います。その点について、両大臣から御所見を伺いたいと思います。
  143. 田村元

    田村国務大臣 十分鈴木局長等に指示をいたしまして、よく検討するように、実効性ある検討をするようにということを申しつけておきます。
  144. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 非常に貴重な御提案だと受けとめます。こういうことが広まっていくことによって、私たちの生活に大きな影響を及ぼすことなく、しかも目的が達成できることが一番いいのではないかと考えております。ありがとうございます。
  145. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 終わります。
  146. 渡辺秀央

    渡辺委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後零時九分散会