○梅澤
政府委員 昭和六十二年における
公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
昨年の
我が国経済は、
円高の
進展等により外需の減少が見られましたが、
国内需要が堅調に推移し、鉱
工業生産が増加
傾向にあるなど、
景気は
回復局面から
拡大局面へ向かいつつあります。
経済社会の構造変化については、引き続き、技術革新、情報化が
進展し、また、
経済の国際化が
進展しており、今後、一層変化の度合いを強めていくものと考えられます。
このような中で、
民間活力が十分に発揮されるような
経済環境の
整備を行うことがますます重要になっており、
公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争を
維持、
促進し、
我が国経済の
活力を
維持し、その健全な
発展を図るため、独占
禁止政策の適正な
運営に努めてまいったところであります。
特に昨年は、独占
禁止法違反事件の迅速な審査に努めるとともに、広報活動等により予防行政を
推進いたしました。また、
経済社会の構造変化の過程にあって生じる独占
禁止政策上の諸問題に積極的に取り組んだほか、下請取引を初めとする
中小企業関係の取引の公正化に努めたところであります。
まず、独占
禁止法の運用
状況について申し上げます。
昭和六十二年中に審査いたしました独占
禁止法違反事件は二百十三件であり、同年中に審査を終了した事件は百五十一件であります。このうち、
法律の規定に基づき違反行為の排除等を勧告いたしましたものは六件、法的措置をとるには至りませんでしたが警告を行いましたものは九十三件であります。また、八件のカルテル事件の七十四
事業者に対し、総額四億四百五十六万円の課徴金の納付を命じました。
また、
貿易摩擦問題への対応の一環として、ソーダ灰
輸入制限カルテル事件についての第二次監査、不当な返品、比較広告、並行
輸入の不当阻害に関する考え方の公表、景品提供制限の見直し等を行いました。
次に、届け出受理等に関する業務でありますが、合併及び営業譲り受け等につきましては、
昭和六十二年中に二千二百六十八件の届け出があり、
所要の審査を行いました。
事業者団体につきましては、
昭和六十二年中に成立届等千二百五十八件の届け出がありました。また、
事業者団体の活動に関する事前の相談に対しましては適切な対応を行うとともに、相談事例を取りまとめて公表することにより違反行為の未然防止を図りました。
国際契約等につきましては、
昭和六十二年中に四千六百九十件の届け出があり、不公正な取引方法に該当するおそれのある改良技術に関する制限、競争品の取り扱いの制限等を含むもの百四十七件についてこれを
是正するよう指導いたしました。
独占的状態に対する措置に関する業務といたしましては、独占的状態に関するガイドラインの別表掲載の十九業種について実態の把握及び関係
企業の
動向の監視に努めました。
価格の同調的引き上げに関する報告徴収の業務につきましては、
昭和六十二年中に価格引き上げ理由の報告を求めたものはありませんが、価格の同調的引き上げに関するガイドラインの別表掲載の七十四品目について価格の
動向の監視に努めました。
次に、
経済実態の
調査といたしましては、VAN
事業に関する
調査、
輸入総代理店制度と並行
輸入に関する
調査、生産・出荷集中度
調査等を行いました。また、流通
分野においては、大規模小売業者の仕入れ体制のシステム化に関する
調査、新聞販売等に関する
調査等に基づき、独占
禁止法及び景品表示法上問題のある行為につきまして、
所要の
改善指導を行いました。
政府規制制度及び独占
禁止法適用除外制度につきましては、
我が国経済における民間の
活力を生かし、
経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行いました。
独占
禁止法上の不況カルテルは、鋼船及び舶用ディーゼルエンジンの二品目について認可しました。なお、独占
禁止法の適用除外を受けている共同行為の数は、
昭和六十二年末現在で三百十六件となっておりますが、その大半は、
中小企業関係のものであります。
国際関係の業務といたしましては、OECD等の国際機関における
会議に積極的に参加するとともに、アメリカ、西ドイツ等の独占
禁止当局との間で
意見交換を行うなど、国際的な連携の強化に努めました。
次に、下請法の運用
状況について申し上げます。
下請
事業者の利益の保護を図るため、違反の事実が認められた親
事業者千二百六十社に対し、下請代金の支払い
改善等の措置を講ずるよう指導いたしました。特に下請代金の減額につきましては、減額分を下請
事業者に返還するよう指導するなど、重点的に取り組みました。また、親
事業者及び親
事業者団体に対して下請取引適正化の要請を行うなど下請法の周知徹底を図り、違反行為の未然防止に努めました。
最後に、景品表示法の運用
状況について申し上げます。
まず、同法第三条の規定に基づき、銀行業における景品類の提供を制限する告示を変更し、相互銀行業をその対象に含めました。
昭和六十二年中に
調査いたしました景品表示法違反事件は六千二百九十一件であり、このうち、排除命令を行いましたものは九件、警告により
是正させましたものは千百八十一件であります。都道府県の行いました違反事件の処理件数は、
昭和六十二年一月から九月末までで三千七百九十一件となっております。
また、
事業者が過大な景品提供及び不当表示を自主的に
規制するための公正競争規約につきましては、新たに相互銀行業における景品に関する規約など四件を認定し、
昭和六十二年末現在における公正競争規約の総数は百三十二件となっております。
以上、簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。(拍手)