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1988-04-12 第112回国会 衆議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十二日(火曜日)     午後三時四十九分開議  出席委員    委員長 稲垣 実男君    理事 高橋 辰夫君 理事 戸井田三郎君    理事 丹羽 雄哉君 理事 野呂 昭彦君    理事 畑 英次郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       相沢 英之君    粟屋 敏信君       伊吹 文明君    今井  勇君       大野  明君    大野 功統君       片岡 武司君    木村 義雄君       北村 直人君    近藤 鉄雄君       佐藤 静雄君    自見庄三郎君       高橋 一郎君    中山 成彬君       堀内 光雄君    三原 朝彦君       箕輪  登君    持永 和見君       伊藤 忠治君    上原 康助君       川俣健二郎君    河野  正君       永井 孝信君    村山 富市君       新井 彬之君    大橋 敏雄君      玉城 栄一君    平石磨作太郎君       吉井 光照君    塚田 延充君       児玉 健次君    中路 雅弘君  出席国務大臣         労 働 大 臣 中村 太郎君  出席政府委員         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 白井晋太郎君         労働省労働基準         局長      野見山眞之君         労働省職業安定         局長      岡部 晃三君         労働省職業能力         開発局長    野崎 和昭君  委員外出席者         水産庁振興部沿         岸課長     本儀  隆君         通商産業省産業         政策局産業構造         課長      松藤 哲夫君         通商産業省産業         政策局企業行動         課長      広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      松田 憲和君         労働省職業安定         局雇用政策課長 廣見 和夫君         労働省職業安定         局業務指導課長 小倉修一郎君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ───────────── 委員の異動 四月十二日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     北村 直人君   大原  亨君     上原 康助君   田邊  誠君     村山 富市君   大橋 敏雄君     玉城 栄一君   田中美智子君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     小沢 辰男君   上原 康助君     大原  亨君   村山 富市君     田邊  誠君   玉城 栄一君     大橋 敏雄君   中路 雅弘君     田中美智子君     ───────────── 四月六日  肢体障害者生活保障等に関する請願戸井田三郎紹介)(第一一九八号)  同(持永和見紹介)(第一一九九号)  同(池端清一紹介)(第一二四八号)  同(河野正紹介)(第一二四九号)  福祉の国庫負担金削減反対等に関する請願岩佐恵美紹介)(第一二〇〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一二〇一号)  同(池端清一紹介)(第一二三一号)  同(岩佐恵美紹介)(第一三五一号)  同(浦井洋紹介)(第一三五二号)  同(工藤晃紹介)(第一三五三号)  同(児玉健次紹介)(第一三五四号)  同(柴田睦夫紹介)(第一三五五号)  同(田中美智子紹介)(第一三五六号)  同(中路雅弘紹介)(第一三五七号)  同(中島武敏紹介)(第一三五八号)  同(村上弘紹介)(第一三五九号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願戸田菊雄紹介)(第一二〇二号)  同(鹿野道彦紹介)(第一二一八号)  同(村山富市紹介)(第一二一九号)  同(坂本三十次君紹介)(第一二四五号)  同(保岡興治紹介)(第一二四六号)  同(浜田卓二郎紹介)(第一二六九号)  同(石井一紹介)(第一三六〇号)  国立腎センター設立に関する請願山本幸雄紹介)(第一二〇三号)  同(河上民雄紹介)(第一三六一号)  国民健康保険法改悪反対に関する請願東中光雄紹介)(第一二〇四号)  同(正森成二君紹介)(第一二〇五号)  同(村上弘紹介)(第一二〇六号)  同(中路雅弘紹介)(第一二七〇号)  同(中島武敏紹介)(第一二七一号)  難病患者などの医療及び生活保障等に関する請願木村義雄紹介)(第一二〇七号)  同(町村信孝紹介)(第一二〇八号)  同外二件(新井彬之君紹介)(第一二二〇号)  同外二件(河野正紹介)(第一二二一号)  同(鹿野道彦紹介)(第一二二二号)  同(塚田延充紹介)(第一二二三号)  同(平石磨作太郎紹介)(第一二二四号)  同外一件(吉井光照紹介)(第一二二五号)  同(高橋一郎紹介)(第一二四七号)  同(児玉健次紹介)(第一二五八号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第一二七二号)  カイロプラクティック等医業類似行為に関する請願鴻池祥肇紹介)(第一二八一号)  同(砂田重民紹介)(第一二八二号)  同(谷洋一紹介)(第一二八三号)  同(戸井田三郎紹介)(第一二八四号)  同(渡海紀三朗紹介)(第一二八五号)  同(松本十郎紹介)(第一二八六号)  保育所制度の充実に関する請願松野幸泰紹介)(第一三五〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号)  駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)      ────◇─────
  2. 稲垣実男

    稲垣委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案並び駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより両案について質疑に入ります。  質議の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  3. 池端清一

    池端委員 まず最初に、最近の雇用失業情勢についてお尋ねをしたいと思うのであります。  日本経済回復基調から拡大基調に向かっている、円高は今や向かい風から追い風に変わった、こういうふうに言われておるわけでありますが、果たしてそうであるかどうか、私は問題なしとしないのでございます。  そこで、労働省に最近の雇用失業情勢がどうであるか、具体的にお尋ねをしたいと思います。
  4. 岡部晃三

    岡部政府委員 最近の雇用失業情勢は、有効求人倍率昭和六十二年一月、〇・六一でございましたが、それを底といたしまして、現在では〇・八八倍に上昇いたしております。雇用者も増加するなど総じて改善傾向がございます。しかしながら、その中でも特定業種地域高齢者につきまして、なお改善におくれが見られるところがあるわけでございます。  まず、業種でございますが、造船あるいは非鉄金属等の構造的な不況業種につきましては、円高の影響も加わりまして業況が悪化したことから、大量の過剰人員が引き続き雇用調整進展となってあらわれているわけでございます。  それから、地域でございますが、不況業種を中核的な産業としております地域北海道九州等に多く見られるわけでございますが、そのような地域におきましては、産業の集積が少ないあるいは雇用機会が不足している地域というふうなところともども求人倍率がなお非常に低い水準で推移しているわけでございます。  高齢者につきましては、依然として求人数が不足いたしておりまして、有効求人倍率が低い水準にある、このような情勢でございます。
  5. 池端清一

    池端委員 ただいまお答えがありましたように、雇用失業情勢は全体としては改善傾向にあるといいましても、完全失業率は二・七%、なお高い状況でございます。第五次雇用対策基本計画の目標は二%でございましたから、これをはるかに上回っておるわけでございます。業種地域年齢階級別に見ればいまだ厳しいものがあると言わなければなりません。また内外情勢やいわゆる構造調整問題等を考慮すれば、中期的には必ずしも安心できる状況ではない、このように私は思うのでありますが、それについて労働省はどのような御見解をお持ちでしょうか。
  6. 岡部晃三

    岡部政府委員 先生指摘のように、失業率は本年二月におきまして二・七%と横ばいで推移しているわけでございます。これは特に特定業種では雇用調整進展をいたしまして、地域によってはなお求人倍率が低い水準で推移しておりまして、高齢者につきましても、先ほど申し上げましたような厳しい状況でございます。加えまして、先生の御指摘のように、今後の構造調整時期における諸問題が出てくるわけでございます。産業構造転換高齢者のさらに増大する傾向あるいはまた女子労働者職場進出等労働力需給構造が大きく変化をいたしまして、需給ミスマッチによって失業が発生しやすくなるおそれが強いと考えております。  これらの展望につきましては、本年一月、雇用政策研究会報告を求めたわけでございますが、その報告におきましては、需給ミスマッチに加えまして、今後はさらに市場開放、構造不況業種問題あるいは地域間格差拡大企業海外進出というふうな問題が加わりまして、失業率を高めるおそれが山積しているという指摘があったところでございます。  このように、今後の構造調整期におきましては、中期的に見まして、なお厳しい状況が続くことが考えられるわけでございますので、情勢を十分に見守りながら万全を期していかなければならないと考えております。
  7. 池端清一

    池端委員 政府は六十二年度、三十万人雇用開発プログラム策定して実行してきたわけでありますが、六十三年度は新たに産業地域高齢者雇用プロジェクト実施しようとしておるわけでございます。この産業地域高齢者雇用プロジェクトの具体的な中身について明らかにしていただきたいと思います。
  8. 岡部晃三

    岡部政府委員 昨年度の三十万人雇用開発プログラムにつきましては、おおむね所期の成果を上げ得たと考えているわけでございます。本年度新たに産業地域高齢者雇用プロジェクト実施しようとしているわけでございますが、その内容といたしましては、まずただいまお願いを申し上げております特定不況業種法改正など、産業雇用対策拡充強化を図りたいということでございます。第二点といたしまして、昨年度から実施をいたしました地域雇用開発助成金等の手段によりますところの総合的な地域雇用開発対策推進、さらにまた高年齢者雇用特別奨励金制度の創設など、高年齢者等雇用機会確保推進、そしてまた言うまでもございませんが、高年齢者等職業転換に要するための職業能力開発推進というふうな総合的な形におきまして、このプロジェクト実施せんとするものでございます。
  9. 池端清一

    池端委員 今日の雇用失業情勢は、先ほども申し上げましたが、現在の第五次雇用対策基本計画策定した当時の情勢とは大きく異なっておる、したがって早急に新たな基本計画策定する必要があるのではないか、私はこのように思うわけでございます。また言うまでもなく、雇用政策失業の後追い的なものであってはならない、政府経済基本計画策定に当たっても、この雇用政策というものは優先させなければならない、こう思うのであります。  したがって、労働大臣は、こうした観点から政府部内で積極的にこの経済基本計画策定に当たっては、このような努力を行うべきだ、このように思うわけでございますが、これについての大臣の所信を承りたいと思います。
  10. 中村太郎

    中村国務大臣 産業構造転換あるいは労働力高齢化企業海外進出、さらにはME化等進展する中におきまして、雇用を取り巻く環境は極めて厳しいものがございます。御指摘のように、五十八年の基本計画策定時とはまさにさま変わりをいたしているわけでございます。こういう変化に的確に対応いたしまして、雇用の安定を図ることが極めて重要な政策課題であると承知いたしておるわけでございます。こうしたことから、中長期的な観点からの雇用対策の基本的な方向づけを図るために、新たに第六次の雇用対策基本計画策定することが必要でございまして、目下雇用審議会において鋭意その御検討を進めていただいておるところでございます。  今後の構造転換におきましては、何といいましても雇用問題の解決が最大の課題でございます。こうした中で雇用政策の果たす役割はますます大きくなると考えますので、現在策定中の経済計画に当たっても、御指摘のように、雇用の安定にとって山積する課題につきまして十分な対処が盛り込まれるよう私も積極的に対処してまいる所存であります。
  11. 池端清一

    池端委員 先ほどお答えがありましたように、全般的に雇用状況改善傾向にある、こういうふうに言えますけれども、業種によってはなお厳しい状況に置かれていると思います。現在特定不況業種として三十四の業種指定をされておりますけれども、これらの業種については、この改正法施行後も、すなわち本年七月一日以降も引き続き指定されるもの、こういうふうに考えておりますけれども、このような理解でよろしゅうございましょうか。
  12. 岡部晃三

    岡部政府委員 現在特定不況業種として政令で指定されているのは三十四業種でございますが、六月末で期限切れになるわけでございます。今回、法改正を期といたしまして全般的な見直しを行いまして、必要なものにつきましては、新たに指定をするということになるわけでございます。もとより従来の経緯あるいはまたその業種実情を十分に調査をいたしまして、その実態を見きわめまして、法の趣旨にのっとって所要の業種指定を行ってまいりたいと考えております。
  13. 池端清一

    池端委員 その点もう少し詳しくお聞きしたいと思うのでありますが、ただいま岡部局長は全般的な見直しを行うということをおっしゃったわけでありますが、確かに現在特定不況業種指定されている業種であっても、内需の拡大により一時的に業況改善している、こういう場合がございます。  例えば、具体的に申し上げますと鉄鋼業でございますが、六十二年度の鉄鋼生産量は当初の予想を上回るものになりました。しかし、円高のもとでの輸入鋼材の増加もある。中長期的に見た場合には、昨年の通産省の基礎素材産業懇談会報告にもあるように、我が国鉄鋼生産規模が今後減少していくことは避けられない、こういうふうに思われるわけでございます。したがって、鉄鋼労働者雇用の安定を図るというためにも、鉄鋼業を引き続き特定不況業種指定すべきである、こういうふうに私は思うわけでございますが、これについての見解を承りたいと思います。
  14. 岡部晃三

    岡部政府委員 鉄鋼業につきましては、御指摘のように、今後の中期的な展望を考えますと、やはり厳しい環境にあるというふうに認識をいたしているところでございます。不況業種法指定でございますが、この法律趣旨にかんがみますと、例えば生産が非常に大きく拡大しているような業種につきましては、指定が難しいというのが一応の原則であろうかと思います。しかしながら、これは法改正に基づきまして、特定不況業種指定につきまして全部見直しを行うわけでございますが、やはりそれぞれの業種実情調査いたしまして、鉄鋼業につきましても、その内容を精査をいたしまして、実態を見きわめた上で十分な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  15. 池端清一

    池端委員 この改正案では、仮に特定不況業種としての指定が受けられなくても、特例事業所として認定されれば、在職者については特定不況業種の場合と同様の援助措置が講じられるというような新たな措置が盛り込まれておりますけれども、この特例事業所というのは、具体的にはどういうものなのか、また具体的にどのような援助措置が講じられるものか、その点について明らかにしてもらいたいと思います。
  16. 廣見和夫

    ○廣見説明員 現在、円高あるいはアジアNICSからの追い上げというようなことを背景にいたしまして、産業構造転換が急速に進展することが見込まれております。こういう状況を踏まえまして、今回の法改正によりまして、こういったような産業構造転換の過程におきます雇用調整進展、あるいはこれに伴う摩擦というものに対処する、そして雇用問題の発生をできるだけ未然に防止するという観点から、新しく特例事業所として認定し、対応する仕組みを設けることとしたわけでございます。  具体的には、特定不況業種指定されておりません業種事業所でございましても、こういったような特定不況業種に準ずる状況にある場合、あるいはまた海外進出をした企業、そういう企業関連下請でその受注が急速に減少するという場合等がございますので、そういうことによって雇用調整が余儀なくされるおそれがある事業所、こういったようなものにつきましては、個別に特例事業所として認定し、適用の対象にしていこう、こういうふうに考えているわけでございます。  また、そういったような認定をいたしました特例事業所につきましては、失業予防を図る、こういう観点から各種の助成をするということでございますが、事業転換による雇用機会確保のための助成、あるいは教育訓練実施助成、あるいは賃金の助成等々の助成を手厚く行っていこう、こういうふうに考えておるところでございます。
  17. 池端清一

    池端委員 重ねてお尋ねをしますが、全般的な見直しを行った結果、仮に特定不況業種指定されなかったとしても、今度の改正案にある特例事業所によって関係労働者雇用の安定に必要な援助措置が講じられる、このように理解してよろしゅうございますか。
  18. 中村太郎

    中村国務大臣 ただいま政府委員から御説明申し上げましたように、特例事業所制度というものは新しい制度でございまして、制度趣旨につきましては御説明したとおりでございます。  説明いたしましたように、要するに不況業種指定されなくても、不況業種と同じような、準ずるような状況にある場合、あるいは特定の事由によりまして、特に雇用調整を余儀なくされる場合には、この制度に基づきまして事業所を認定するわけでございまして、せっかくできた制度でございますので、私どもとしましては、その制度を十分に活用いたしまして、もって労働者雇用の安定を図っていきたい、積極的に活用してまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
  19. 池端清一

    池端委員 我が国の場合は、御案内のように、下請企業が非常に多いわけでございます。不況になると、まず一番先にこの関連下請企業にしわ寄せがいくというのが通例でございます。ある企業特定不況業種事業主になった場合、その関連下請企業が同様に援助を受けられるようにすることは当然でございますけれども、関連下請企業は相当以前から援助が必要な状態に追い込まれている、これが実態ではなかろうかと思うのであります。したがって、こういった関連下請企業実態に応じて弾力的な援助措置が講じられてしかるべきではないか、このように考えますが、これについてはどう思いますか。  また、これらの関連下請企業については、こうした国の援助措置が受けられることについて必ずしもその趣旨が徹底されていない、そういう嫌いがございます。したがって、広報活動申請手続周知方にもっと力を入れるべきではないか、こう思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  20. 岡部晃三

    岡部政府委員 特定不況業種法におきましては、その対象事業主特定不況業種に属する事業所関連中小下請事業主を含めているところでございます。これら関連中小下請事業主におきましては、親事業所よりも早目にこの構造的不況のあおりを受ける、先生指摘のとおりの実態があると存じます。このような実態を踏まえまして、親事業所特定不況業種指定されるというこのぎりぎりのせっぱ詰まった状態になる前でありましても、関連中小下請事業所から離職を余儀なくされた者につきましては、特例的にその援助措置対象とするというふうな措置を講じてまいったところでございますが、この措置は新法におきましても引き続き存続をいたしたいと考えております。  さらにまた、今回の法改正に伴いまして、単に一次下請だけではなくて、二次下請も新たに法の対象に加えまして、きめ細かい対策を講じる、こういう考え方を打ち出しているところでございます。  それから、PR、周知の点でございますが、これまでも関連下請事業主に対しましては、パンフレットの配付あるいは第一線機関であります公共職業安定所を通じまして制度周知あるいは手続援助等に努めてまいってきたつもりでございますが、今後とも特定不況業種にかかわる施策が十分活用されますように、特定不況業種あるいはまたその親会社、下請全部通じまして周知の徹底を努めてまいりたいと考えているところでございます。
  21. 池端清一

    池端委員 先ほど御答弁もございましたが、北海道では鉄綱造船、炭鉱といった不況業種に依存した地域が多うございます。また農林漁業も今大変厳しい状況に直面をしておるわけでございます。例えば函館室蘭あるいは空知産炭地のように、このような不況業種に依存した地域では、地域全体が疲弊をしている、雇用情勢も厳しい、有効求人倍率は〇・二倍程度、こういう状況でございます。こうした地域については不況業種対策と相まって地域に着目した雇用対策を進めていく必要があるというふうに私は考えますが、労働省は、この地域対策をどのような観点から進めておられるのか、どのような対策を講じておられるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  22. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘地域に着目した雇用対策につきましては、御承知のように、昨年四月一日から施行されました地域雇用開発等促進法に基づきまして、札幌を除くほぼ北海道全域雇用開発促進地域指定しまして、地域労使団体市町村等をメンバーとします地域雇用開発会議を設置するとともに、地域雇用開発助成金を活用する等によりまして、雇用開発を中心とした雇用対策を積極的に推進をしておるところでございます。  さらに、そのうち御指摘函館室蘭空知地域のように、不況業種に依存し、特に厳しい状況に置かれている地域につきましては、特定雇用開発促進地域指定しまして、一つには地域雇用開発助成金支給期間の優遇による雇用開発の一層の促進二つ目雇用調整助成金特定求職者雇用開発助成金の活用による失業予防、再就職の促進等手厚い対策を現在実施をいたしておるところでございます。
  23. 池端清一

    池端委員 この特定不況業種指定の問題でございますが、私はこの特定不況業種指定に当たっては、単に製造業のみではなく、今深刻な状況に直面している、例えば林業等についても検討されてしかるべきではないか、こう思うわけでございます。  ただ、この場合、林業全般ということになればなかなか難しい点もあると思うのでありますが、少なくとも木材製造あるいは木材加工業との見合いで、その前段の工程である立ち木を丸太にする工程、すなわち木材伐出業といったようなものは、当然不況業種として指定対象になってしかるべきではないかと考えるわけでございますが、この点についての御所見を承りたいと思います。
  24. 岡部晃三

    岡部政府委員 御指摘の木材伐出の作業でございますが、これはその業態を見ますと、屋外型産業でございまして、自然条件に左右をされまして、季節的繁閑の度合いが非常に強い作業でございます。したがって、季節的な労働者、臨時的な労働者によってこれが行われているというふうな就業形態にあろうかと思うのでございます。この特定不況業種法は、おおむね常用雇用が脅かされる場合ということをまずは念頭に置いてつくられておるというふうな法律でございます。そういうことで、季節的、臨時的な労働者雇用という場合に本法をどのように当てはめていくかということにつきましては、先生指摘でございますので、早速私どもにおきましても、林野庁その他関係省庁と連絡をとりながら、法の趣旨に沿いまして、その適否について十分に検討を進めてみたいと考えております。
  25. 池端清一

    池端委員 今後検討を進めたいということでありますが、林業雇用実態から、この問題についてはぜひ前向きに御検討賜りたい、私はこのことを強く要望しておきます。  次に、漁業離職者臨時措置法の問題についてお尋ねを申し上げます。  近年、アメリカ及びソ連の対日漁獲の割り当ての削減によりまして、北洋漁業において減船を余儀なくされている、こういう状況でございます。これに対する漁業離職者臨時措置法の適用状況が今日どうなっているか、その実態をお知らせいただきたいと思います。
  26. 廣見和夫

    ○廣見説明員 今先生指摘ございましたように、確かに最近二百海里水域内の漁業規制というものは大変厳しくなってきておりまして、漁業状況は大変厳しいということでございます。こういったような漁業規制の強化によりまして、減船を余儀なくされるという形が出てまいっておりまして、具体的には遠洋底びき網漁業、あるいはカニ、ツブ、エビ漁業、サケ・マス漁業などの北洋漁業に漁業離職者臨時措置法を適用いたしまして、船員保険の失業保険金の延長給付あるいはまた職業転換給付金の支給などによりまして、再就職の促進に努めておるところでございます。  この北洋漁業につきましては、漁業規制が一段と強化されました昭和五十九年以降発給した漁業離職者求職手帳の件数でございますが、約四千件という状況にございます。
  27. 池端清一

    池端委員 現行の漁業離職者臨時措置法では、「特定漁業」としての指定対象は、「一時に相当数の離職者が発生するもの」、こういうふうに規定されておるわけでございます。私は、この法律趣旨からして、また特に雇用情勢の極めて厳しい今日では、たとえ少数の漁業離職者であっても、同様の救済措置を講ずべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、その点についてはどういうお考えでしょうか。  また、この法律の適用に当たっては、関係労働組合等の意見も十分徴すべきだと思うわけでございますが、この点についても御所見を承りたいと思います。
  28. 中村太郎

    中村国務大臣 漁業離職者臨時措置法の運用におきましては、従来から水産庁当局とも十分な連絡をとりながら機動的に対処してまいったわけでございます。これからも、今政府委員からもお答えいたしましたように、さらに国際協定が強化をされまして、厳しい状態を迎えると考えますると、私どもといたしましても、さらに一層関係省庁と連絡をとりながら、きめの細かい、お説のような機動的な運営をしていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。  御指摘になりました関係労働者の団体である組合との連携を十分にとるということでございますが、これも従来から十分話し合いをいたし、御意見を伺っておるわけでございます。このことは今後とも続行してまいりたいというふうに考えております。
  29. 池端清一

    池端委員 最後に、時間短縮の問題について一、二お尋ねをしたいと思うのであります。  御案内のように、改正労働基準法がこの四月一日から施行されました。週法定労働時間が四十八時間から四十六時間に改められたわけでございます。この改正法は、週四十時間労働制への移行時期が法律に明定されていないという不十分な面もございますけれども、同法の施行によって我が国もようやく週四十時間労働制への本格的な移行期に入った、こういうふうに言ってもいいのではないかと思うわけでございます。  そこでこの際、中村労働大臣に確認したいわけでございます。第百九臨時国会における労働基準法改正案の審議において、当時の平井労働大臣は、改正法施行後三年を目途に週四十四時間とする、一九九三年までに週四十時間制に移行できるよう最大限努力する、こういう答弁をされておるわけでございます。このことについて、中村労働大臣も当然その方針を踏襲されて最大限努力されるもの、このように考えますが、そのように確認してよろしゅうございますか。
  30. 中村太郎

    中村国務大臣 労働時間の短縮につきましては、私はかねてから申し上げておりまするように、国民生活の質的な向上、長期的に見た雇用機会確保あるいはまた内需拡大等の面からいいまして、国際協調の観点からも重要な課題であると認識をいたしております。  週法定労働時間は、週四十時間に向けて可及的速やかに段階的に短縮することとなりまして、この四月から週四十六時間とされたところでございますが、今後の移行時期につきましては、御説のように、改正法施行後三年を目途にできるだけ速やかに週四十四時間とし、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに週四十時間制に移行できるよう努力してまいる所存でございまして、仰せになられましたように、前大臣お答えを全くそのとおりに踏襲いたしまして、最大限の努力をする決意には変わりございません。
  31. 池端清一

    池端委員 時間も刻々と迫っておりますので、最後にあと一問だけ時間短縮の問題でお尋ねをします。  今大臣からも御答弁ありましたように、一九九一年に週四十四時間制、そして一九九三年に週四十時間制に移行するためには、ある程度実態を先行させる必要がございます。そのためには、金融部門あるいは公務部門の閉店、閉庁方式による完全週休二日制の推進が必要になってくるわけでございます。政府は、昨年の十月二十三日、土曜閉庁については昭和六十三年度中に導入を図る旨閣議決定をしておるわけでございます。具体的には、来年の一月から政府機関の第二、第四土曜日閉庁実施、また金融機関については、郵便局を含めて来年二月から毎週土曜日閉店を実施する、こういう考えであると聞いているわけでございます。この金融、公務部門の閉店、閉庁方式は長年の懸案でございました。できるだけ早急に実現できるよう労働大臣は積極的に政府部内において働きかけを行っていただきたい、そして早急の実現を図ってもらいたい、このように私は考えますが、これについての労働大臣の御所見を承って質問を終わりたいと思います。
  32. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のように、金融機関につきましては、来年二月を目途に郵便局を含めて閉店による完全週休二日制への移行のための検討が今開始をされているところでございます。また国家公務員につきましても、おっしゃられましたように、土曜閉庁方式を今年度中に導入することを目途に現在政府部内で検討が進められているところでございます。  労働省としましては、今後とも金融機関の完全週休二日制への円滑な移行及び土曜閉庁方式の早期導入に向けまして、関係機関や関係省庁に対しまして積極的な働きかけを行ってまいる所存であります。
  33. 池端清一

    池端委員 終わります。
  34. 稲垣実男

  35. 上原康助

    上原委員 委員長初め関係者の御配慮により質問の機会を得まして敬意を表します。  そこで、極めて短い時間ですので、簡潔にお伺いをいたしますので、ひとつお答えもそのようにお願いをいたします。  最初に駐留軍関係離職者等臨時措置法の延長問題についてお尋ねをいたしますが、今回、労働省初め関係者の御配慮によって、この駐留軍関係離識者等臨時措置法が向こう五カ年延長されるための法改正手続をとったことに深い敬意をまず表したいと思います。  そこで、いろいろ問題ありますけれども、今回この法律をぜひ延長しなければいけなかった背景なり、その御認識についてひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  36. 中村太郎

    中村国務大臣 駐留軍関係におきましては、これまで相当数の離職者の発生を見ており、政府は、駐留軍閥係離職者の再就職の促進につきましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして各種の就職援護措置を講じまして効果を上げてきたところでございます。しかし、離職者が今後においても引き続き発生する見込みでありますし、またその高齢化が進んでおりますため、最近の雇用失業情勢のもとでは円滑な再就職が極めて困難な状況にございます。このような事情を勘案いたしまして、この法律の有効期限をさらに延長することとしたものでございますけれども、延長の期間は、今後長期間における米軍基地の整理縮小の見通しを立てることが極めて困難でございますところから、過去におけるこの法律の有効期限の延長の経緯にならいまして五年間といたしたところでございます。
  37. 上原康助

    上原委員 これまでもそういう事情があったわけでありまして、また今大臣からお答えありましたように、依然として雇用の不安定性というのがある、あるいは場合によっては離職というか解雇を余儀なくされることもあり得る。また一方においては高齢化の問題も進んでいる。そういう米軍基地も、国際情勢なりいろいろな環境というか日米間の状況というか、そういう面でも変化が出てくる。したがって、さらに従来の経緯を踏まえて五年間の延長をしたということですが、私も大体そういう認識をいたしております。  そこで、一時期のように大量解雇とかはこの二、三年発生していないわけですが、しかし、円高・ドル安で昨年も沖縄の米海兵隊の解雇問題等が出て、いまだに正式な解決は見ていない。こういう実態を踏まえると、やはりこの臨時措置法を延長するという手はずをとったのは、私は妥当な方針だと評価をします。  そこで、防衛庁にお尋ねしますが、今後のこの解雇問題等々雇用について変化があり得るのか。円高・ドル安その他で若干問題が出てきている感もしないわけではないわけですが、雇用実態とか、これからの駐留軍の雇用変化等が予想されるのかどうか、この点についてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 山崎博司

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました雇用の見通しでございますが、正直申し上げて大変難しい問題だと思います。  と申しますのは、法律上の雇用主は私ども日本政府でございますけれども、実際の使用者は在日米軍でございます。したがいまして、米国政府の方針によりまして、いつ何どき日本に展開している部隊が本国へ引き揚げるとかあるいは他の地域に展開するといったような潜在的な、要するに職場を失うかもしれないという可能性があるということに加えまして、ただいま先生からお話ございましたように、昨今の円高・ドル安等によりまして、在日米軍の財政状態が大変に苦しくなっております。これが先ほどお話しのような、例えば沖縄の人員整理問題という形にあらわれておるわけでございまして、その意味では必ずしも雇用の見通しは万全だとは言えないと思います。  だからこそ、私どもといたしましては、昨今の円高によりますところの米側の財政的な窮状を緩和する、さらにはそれによりまして雇用の安定を図るということから、従前の労務費の負担に加えまして、昨年の六月から調整手当等の一部負担も実施してきておるわけでございます。また、その措置によりまして相応の効果を上げておる、このように考えております。  ただ、委員も御承知のように、特別協定の締結以降もさらに円高が一層進行する、こういう事情もございますので、本年の一月八日に政府として特別協定を改正して、さらに労務費の負担増を図る、こういう方針を決定したところでございます。  なお、この方針につきましては、本年の一月、瓦防衛庁長官が訪米した際、カールッチ国防長官に伝えておりまして、カールッチ長官からも、今回の日本政府措置を評価すると同時に、もし今回のこのような措置がなければ、相当まとまった規模の人員整理も懸念されたけれども、これが回避できて喜ばしい、こういう趣旨の発言もございます。さらには雇用の安定についても十分配慮したい、こういう発言もございますので、私どもとしては、それなりの明るい見通しを持っているということは申し上げられると思います。  いずれにいたしましても、私どもとしては、できるだけ早期に雇用に影響を及ぼすような情報を把握して、適時適切に対処したい、このように考えております。
  39. 上原康助

    上原委員 そうしますと、見通しは立てにくいけれども、現段階で新たな解雇とかそういうものは発生しない、こういう理解でいいですね。
  40. 山崎博司

    ○山崎政府委員 私ども、在日米軍とは相当頻繁にいろいろな形で話し合いの場を持っておりますけれども、現在のところ、沖縄あるいはその他の地域についても、まとまった規模の人員整理の計画は全く聞いておりません。
  41. 上原康助

    上原委員 ぜひそのような方向で一層の御努力を要望しておきます。  そこで、次は臨時措置法の運用の問題で一点だけお尋ねをしておきますが、時間があればちょっとほかに関連して聞くわけですが、この臨時措置法の最大の目的は、やはり再就職を促進をしていく、できるだけ失業状態というものを短期間にとどめるということだと思うのです。またそうしていくには、やはり再就職の便宜をどう図っていくかというようなこと等もあるわけですが、その運用の面で、特に労働省が今力点を置いている点あるいは配慮をしている点はどういうものか、改善策を含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 岡部晃三

    岡部政府委員 先生申されましたとおり、駐留軍関係離職者につきましては、再就職の促進あるいは自立ということを、早急に道を求めていただくということが力点でございます。  手段といたしましては、駐留軍関係離職者につきましては、三年を限度といたしまして就職促進手当の支給を初めといたします各種援助措置を講じまして、再就職の促進を図っているわけでございます。  やはり高齢化が進みまして、事実、再就職と申しましてもなかなか難しいわけでございます。しかしながら、その意欲を喚起をしていただくあるいはまた積極的な求人開拓を行う、就職指導を強化するというふうなことで、これらの離職者の方々につきまして早期の自立あるいは再就職というものをお世話を申し上げているというのが内容でございます。
  43. 上原康助

    上原委員 必ずしも三年間滞留するということじゃなくして、再就職を促進をしていくという方に力点を置き、かつそういう環境の整備のために、なお一層の御尽力をこれまたぜひ要望しておきたいと思います。  最後に、沖縄に立地されようとしております職業訓練短期大学校の設置について、労働省の御見解を聞いておきたいと思います。  御承知のように、沖縄の雇用情勢が復帰十六年を経過しているにもかかわらず深刻な状況に推移していることは、たびたび指摘されているところであります。その原因、背景等についても、もうよく御理解をいただいていると思いますので、これを解決をしていく。特に若年失業率が一〇%以上にあるということは深刻な社会問題でありますので、そういう意味でも職業訓練短期大学校の設置を促進をしてもらいたいという県なり関係者の要望は強いわけで、労働省においても御計画をしておられるようでありますが、この職業訓練短期大学校の設置というものは、必ずしも六十六年ということではなくして、前倒しの形でやるべきだと私は思うのです。あるいはまたスクラップ・アンド・ビルドということではなくして、沖縄の失業問題の解決あるいは若年労働者の就職環境促進、整備をしていく観点からぜひやっていただきたいと思いますが、この件に対しての政府の御決意をお伺いいたしたいと存じます。
  44. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 御承知のとおり、現在MEを中心とします技術革新が非常に進んでおりまして、それに対応できる柔軟な技能を持った労働者が強く求められているわけでございます。したがいまして、労働省では、昭和五十三年以来、高等学校を卒業した後二年間MEを中心とする訓練を行います職業訓練短期大学校を全国に計画的に設置してきているところでございます。  沖縄につきましては、ただいま先生お話のございましたように、若年者の失業率が非常に高いということもございまして、この問題に対応するためには職業訓練短期大学校を設置することが極めて有効であるというふうに考えまして、六十三年度予算におきまして、そのための調査費を計上したところでございます。  今後、沖縄県とも協議しつつ、この具体化について進めてまいるわけでございますが、六十三年度におきましては、どういう訓練科を設けるか、定員をどのくらいにするかということについて調査検討を行うことにいたしております。そして六十四年、六十五年と二年かけて施設を建設したい、六十六年四月には開校の運びにしたい、そういうふうに考えているところでございます。
  45. 上原康助

    上原委員 時間が来ましたので終えますが、この件について大臣の方からも所見をお伺いさせていただきたいわけです。  既存の職業訓練校も非常に有効に使われているし、むしろ定員もオーバーしている状況でありますので、今御計画しているものがおくれることなく、むしろそれ以前にでも実現するように、ぜひ特段の御配慮をお願いしたいわけですが、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  46. 中村太郎

    中村国務大臣 御意見、十分わかったわけでございまして、お説の線に沿いまして、できるだけ努力をしてまいりたいと考えております。
  47. 上原康助

    上原委員 ありがとうございました。終えます。
  48. 稲垣実男

  49. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ただいま駐留軍の質問が出ていましたが、私はその前にさかのぼって、特定不況業種云々の法案について若干の質問をします。  業種は、配られましたように三十四業種、これでいいのですね。あなた方がとらえておる、対象となっている労働者が一体どのくらいいるのだろうか。
  50. 廣見和夫

    ○廣見説明員 現在の三十四業種で約六十七万八千人の労働者対象となっているというふうに見ておるところでございます。
  51. 川俣健二郎

    ○川俣委員 二週間くらい前から勉強しているのだけれども、そのときには二時間くらいもらえるのかなと思ったのですが、きょうは四十分だけです。  そこで、私は、大臣がおられるので、一業種事業所という一つの例を申し上げて、鉱山に絞って質問し、それから出稼ぎの有給休暇、せっかくこの委員会で附帯決議をしていただいたものが、どういうように具体化されておるか。三つ目は外人労働者、こういうことで四十分を使いたいと存じます。  先ほど労働省局長が、有効求人倍率も非常に上がってきた、しかし高齢者地域的、業種、こういうように言われたのです。その中に私が感ずるのは、鉱種、地域が一体になって今困っておるのは鉱山ですね、これはもう城下町と言われるくらいですから。したがって、私は質問を読みますから、皆さんも答弁を読んでも結構ですから、時間を稼ぐ意味でお知らせ願いたいのです。  現行の再就職援助等計画の作成、提出は、一カ月以内に三十人以上の離職者が生ずるなど、一定規模以上の雇用調整が生ずる場合に限り義務づけがなされているが、この義務づけの有無別の提出計画件数というのはわかるのだろうか、これが一つ。  それから、中小企業は再就職援助等計画の義務づけにかかわる要件に該当しないことも多い。結果的に法に基づく措置が受けられない場合がある。この点について、若干法をいじる必要があるんじゃないかなと思って皆さんの法案を見たんですが、いかがでしょうか。
  52. 小倉修一郎

    ○小倉説明員 まず、再就職援助等計画についてお答えをいたします。  特定不況業種事業主の作成いたします再就職援助等計画でございますが、これは事業規模の縮小等に伴いまして、当該事業所において常時雇用する労働者について、百人以上の離職者を生ずることとなりました場合及び一カ月の期間内に三十人以上の離職者が生ずるという場合には作成が義務づけられておるわけでございますけれども、それ以外の場合にありましては、安定所長に提出して、その認定を受けることができるということになっているところでございます。  そこで、数字でございますが、昭和六十一年度におきまして、その義務づけの場合の認定件数が二百十七件でございます。それから任意によります場合が一千十六件、このようになっております。
  53. 川俣健二郎

    ○川俣委員 総体的なのは同僚の池端議員がかなり質問していただいたのでわかったのですが、先ほど言いましたように、非鉄金属鉱業というものに絞りたいと存じます。  いわゆる非鉄金属鉱業というのは、大臣御案内のように、産業構造転換プラス円高で、もう大変な事態になっている。参考までに、昭和四十五年、鉱山数が二百四十六、三万三千八百五十一人、専門の鉱業課長も来ておると思いますが、その当時は、東京都以外には鉱山のない県はなかった。大臣も御承知だと思いますが、東京都以外に金属鉱山のない県はなかった。ところが昭和六十年九月には、この鉱山数が五十九になった。従業員数も八千九百五十人、これはほかでもないG5のためです。そして去年の秋になると、三十二鉱山、三千四百三十六人、これは十月現在の正しい数字を役所からもらったわけですが、もう既に、今は代表的な非鉄鉱山といったら北海道の豊羽、秋田の花岡、内の岱、青森の温川、岐阜の神岡、もうそれこそ五本の指しかなくなってしまった、こういう状態であります。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕  そこで、かねがね事務当局にお願いするなり私たち関係議員がお願いするなり、党派を超えて、この非鉄金属鉱山というのは地域全体がだめになるものだから、かなり労働省にはお願いしております。さらにこういう案を出されましたが、雇用創出対策というのを画期的なものがある程度ないだろうか、こういうように思っております。それが一つ。  それから、政府特定不況業種雇用安定法の期限切れを今控えて、それは昭和七十年六月三十日まで七年程度延長するという法案でございますが、非鉄金属産業の適用問題に関連して政府の考え方を聞きたい。というのは、現在この三十四職種の中で主なものを拾ってみると、一つは金・銀鉱業、それから非鉄金属鉱業、タングステン鉱業、銅・鉛・亜鉛製錬・精製業、それからフェロアロイ、いわゆる鉄との合金ですね、フェロアロイ製造業、五つばかり考えられますが、法の延長に関連して自動的に再指定すべきだなと考えておりますが、その辺をどう思いますか。二つだけ聞きたいと思います。
  54. 中村太郎

    中村国務大臣 非鉄金属などの構造的不況に陥っている業種につきましては、特定不況業種法に基づく特定不況業種指定するとともに、これらの不況業種の集積する地域地域雇用開発等促進法に基づく特定雇用開発促進地域等に指定をいたしまして、関係労働者失業予防、再就職の促進等に努めているところでございます。  御承知のとおり、今後我が国経済は、産業構造転換労働力高齢化等が急速に進展する中におきまして、産業地域、年齢間等の労働力需給の不均衡によります種々の雇用問題が発生するおそれがあるわけでございまして、これに的確に対処いたしまして、雇用の安定を図ることが極めて重要な課題であると承知をいたしております。  このため、これまた御承知かと思いますけれども、六十三年度におきましては、特定不況業種法改正等、産業雇用対策拡充強化、二つには地域雇用開発を中心とした総合的地域雇用対策推進、三つ目は高年齢者等雇用機会確保推進、四つ目に円滑な職業転換のため、職業能力の開発の促進内容とする産業地域高齢者雇用プロジェクト推進することによりまして、今後の産業構造転換に即応しました雇用対策を積極的に展開してまいる所存でございます。  さらに、中長期的には、先ほど申し上げましたように、雇用対策の基本的な方向づけを図るために、新経済計画策定と並行しまして、新たに第六次雇用対策基本計画策定することといたしておりまして、目下雇用審議会において鋭意その御検討を進めていただくようお願いをいたしておるところでございます。  なお、不況業種の再指定につきましては、政府委員の方から御説明を申し上げます。
  55. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がもったいないから、その答弁をもらう前に局長からもう一つ伺いたいのですが、今具体的に答弁してくれるそうですが、銅・鉛・亜鉛製錬業の指定は六十三年五月十九日で切れるわけです。時限立法ですから切れるわけです。ところがこの法案は七月一日ですよね。その辺が、ちょっとだから我慢しろと言われても、一遍切れると労働者はどうしてもそこにいつかないというあれがあるものだから、それも答弁に追加してくれませんか。
  56. 岡部晃三

    岡部政府委員 改正法に基づきます業種指定につきましては、当然のことながら、業種実情を十分に調査をいたしまして、実態を見きわめました上で法の趣旨に沿ってこれを指定をしていくということでございます。先生指摘の非鉄金属関係、これから十分に検討に入りたいと思っております。  それから、銅・鉛・亜鉛第一次製錬・精製業でございますが、これは御指摘のとおり、五月十九日までの指定期間となっております。新法による指定は七月一日ということでございますので、それまでの間の空白が生じるではないか、こういう御指摘でございます。ただ、この点につきましては、私ども、関係省庁それから関係業界と密接な連絡を今とっているところでございます。その間に、例えば仮にでございますが、一人の解雇者も出なかったということであれば、これは何ら御懸念が要らないことでございます。今後とも所要の対応につきまして検討を続けてまいりたいと思います。
  57. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ありがとうございました。  それで、問題点の二つ目ですが、ここが私らにとっては大事だと思うので、あえて大臣にも聞いてもらいたいのですが、業種のとらえ方なんですが、一業種事業所といった例は、鉱山にはつきものなんです。例えば兵庫県の明延鉱山、もう閉山してしまいました。ところがそこで掘ったすず鉱を製錬していた生野製錬、原料が来ないものですから、ストップして不況に陥った。そうなると、一業種事業所だから、やはり法律に照らされるものだから、事務当局の皆さんは、これはちょっと、こうなる。  二つ目、新潟県の鉄鉱石を生産している赤谷鉱山というのがあります。たしか新発田から入っていったと思うのですが、赤谷鉱山は鉄鋼不況で鉄鉱石の引き取りストップが明らかな状況なので、特定不況業種指定を働きかけたが、これも一業種事業所ということで断念、こういうことになる。結果的に鉄鉱石生産中止となり、それに伴う離職者は特定不況業種雇用安定法の枠外に置かれた、こういうことなんだ。  同じ金属鉱業で働く労働者でも、鉱種、いわゆる業種ですね。業種の違いによって法の適用が違うという、やはり働く者の方から見れば矛盾を感じておるわけです。したがって、現在の金属鉱業は、その鉱種を問わずに、円高、海外市況の低迷で全体的に構造不況に陥っている。したがって、小分類とか中分類とかというのじゃなくて、やはり弾力的にとらえていただかなければだめなのじゃないか。  もう一つ例を言います。現在、耐火れんが製造業や製鉄業が特定不況業種指定されております。皆さんのおかげで指定してもらいました。ところがその原料を供給しておる耐火粘土鉱業、これが南部の岩手鉱山、どうも東北の熊襲の方に鉱山があるようですが、この耐火粘土鉱業や先ほど申し上げました鉄鉱石鉱山がより深刻な状況にあるのに指定されないという実情もあるので、やはりそこに一業種事業所ということで片づけられないものがあるのではないだろうかな。これが鉱山の労働者からの訴えなんですよ。どう思いますか。
  58. 中村太郎

    中村国務大臣 先生のおっしゃるところ十分理解できるわけでございます。今までのはいわゆる業種指定でございますので、一業種事業所というようなことで、一つのカテゴリーの中に問題があったわけでございますけれども、おっしゃることは十分わかるわけでございまして、こういう非常に厳しくなったことを踏まえまして、さらに本当に真剣に検討してまいりたいと考えております。
  59. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この法案を見て私らも賛否の態度を決めてまいりましたが、ああこれならなと思って積極的に何とか頼みたいが、こういう法案ができようというのにまたこぼれると、これは残念だなと思うだけに、一業種事業所というものでは片づけられないのがメタルマイニングなんだ、こういうことでぜひお願いしたいのでございます。  そこで、せっかくエネ庁の鉱業課長に来てもらっていますから――大臣、日本の金属鉱山というのは、日本でつくっている、したがってコストは全部円ですね。ところが売るのは全部ドルなわけですね。だから、日本の今の金属鉱山が東京都以外に全部あるとさっき言ったけれども、それがもし全部ヨーロッパにありせば今物すごくもうかったということなんです。それでロンドンにLMEというメタルセンターがあるのですが、三十五人のテーブル、これの小型のものですね、三十五人ですから。この五本の指で、一日五分間でメタルの価格が決められるという、相場師に左右されるという宿命的な産業です。  さりとて、では銅は日本は要らないかといえば九五%が輸入であります。例のカドミだって、もしなかりせばテレビも電池も、ひげそり電池もラジオも一切できなかった。ところがカドミなんというのは、今銅が一トン三十万円、カドミの場合は三百万円なんですから。こういうような状態を全部他国に仰いで、日本の鉱山をつぶし、地域経済を破壊し、労働者離職し、そのしりぬぐいを労働者がやらなければならぬ、こういうことでございます。  そこで通産省に伺うのだが、LMEという三十五人の相場師が兜町か日本にあったら、これは随分違ったろうなというのが長年の鉱山界の懸案でございますので、その辺も検討したことがあったかどうかというのが一つ。  それからもう一つは、鉱山というのは、支柱、柱を立てたり、昔のように余り大変な労働条件ではない。地下に入るとシグナルがあったり交通巡査がいたりする鉱山の時代になった。しかしなかなか採掘の方法、それから保坑の方法、支柱の方法などは本に書いてない。これはあなた方は専門だから余り言うとぼろが出るが、物の本に書いてない技術なんですね。したがって、今は円高だからこの鉱山はやめようとふたをする。こうなると、それはどうなるか。それを今度あげるのを字のとおり取り明けといいます。古河鉱山の発祥地の院内銀山、それから三菱の発祥地である尾去沢鉱山、それから三井の発祥地の神岡鉱山、今の日本の近代資本主義というのは、いいか悪いかは別として、全部メタルマイニングです。好況、不況によって閉じたり開いたりということはできない、労働力がいなくなる。  そういうようなことで、秋田県の鉱山専門学校というのは皆さん御存じの年代でしょうが、世界的に国際的な学校でございます。それでこういうような技術、資料、カンテラ一つでも、国際的な資料館みたいなものをどうかという声をよく聞くのです。そういった問題を検討しておるかどうかというのを伺いたいと存じます。これはせっかくだからエネ庁の鉱業課長の方から聞こうかな。
  60. 松田憲和

    ○松田説明員 第一点の金属の取引所の問題でございますが、先生御承知のように、現在国際的にはロンドンのメタルエクスチェンジが国際価格を決めているという状況にあります。この問題について産業界はいろいろと苦々しく思っている点も多々ありますが、金属の国際取引の規範になる価格がLMEにしかないということで、現在それが採用されているわけでございます。  日本に取引所をつくったらどうかという御趣旨の御質問だと思いますが、これについては、今年度、産業界にもそういう検討をした方がいいのじゃないかという声もあり、国際的な非鉄金属の流通に関して広範な検討をしていきたい、その中で取引所の設置の必要性、可能性を勉強したい、そのように考えております。  それから、第二の鉱山に関する資料センターというようなお考えでございますが、これについても、今年度、先生指摘のように、現在鉱山をどんどん閉めているという状態の中で、鉱山の持っております経営資源、例えば人材とか技術、設備というようなものをどういうふうに活用していくかという観点から、その経営資源の活用方策についての検討を行うこととしております。我々としては、今先生の御指摘を踏まえて具体的な方策を出したい、そのように考えております。
  61. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから、これから建て値、円高がどうなるか知りませんが、各所在地の町村長を初め陳情、請願に通産省に上がると思うが、今の鉱業課長はエネ庁の鉱業課長でずばりわかります。ところが通産省に企業行動課という課があります。産業組織政策室というのがあります。企業行動課は労働政策の問題をやるやに伺っておるが、せっかくこういうような法案をつくるのに企業行動課はどういう機能を果たす課なのだろうか。広瀬さんですか。それから産業組織政策室というのは、別にこれは要らないのをつくっているのじゃないだろうけれども、この辺はどうなんですか。これをちょっと簡単に聞かせてください。
  62. 広瀬勝貞

    ○広瀬説明員 企業行動課はこういう法案をつくるに当たってどういう役割を果たしているかということでございますが、企業行動課の所掌事務といたしまして、事業の労務に関する事務を総括することということになっておりまして、構造的な不況に陥っている産業についてどういう対策を講ずるかということになりますと、産業政策としてやらなければならぬこともございますが、あわせて労働政策としてもやらなければならぬことがいろいろ出てくるわけでございます。  そこで、労働省さんの方でこういう法案づくりということを御検討いただくに当たって、例えば業種指定というようなことになりますと、生産状況はどうなっているかあるいは稼働率はどうかとかあるいは事業の規模の縮小とかといったようなことはどうなっているかというような産業面からのいろいろチェックのポイントもあるわけでございまして、そういうことに関連しまして、私ども産業を預かる役所といたしましていろいろ労働省さんにお願いをする立場にあるわけでございます。そこで非鉄金属等の問題、個別の問題になりますと、もちろん資源エネルギー庁の方でそれに対応するわけでございますけれども、全体としてこの法案についてどういう産業面からの要請があるかというようなことになりますと、私どものところが総括的にお願いするという立場にあるわけでございます。
  63. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それからもう一つ、産業組織政策室。
  64. 松藤哲夫

    ○松藤説明員 産業組織政策室長が今海外出張中なものですからかわってお答え申し上げますが、産業組織政策室におきましては、産業構造転換円滑化臨時措置法業種対策にかかわる部分を施行しておるところでございまして、今回の労働省法律の関係におきましても、業種対策をどうするかという点で一緒に相談しながらいろいろ対策検討させていただいているところでございます。
  65. 川俣健二郎

    ○川俣委員 言語明瞭、お話の姿勢もなかなかいいのですけれども、頭が悪いせいかわからないので、もう少しこれは時間があったときゆっくり生産状況はエネ庁の鉱業課がわかる、鉱山労働力の推移状況は鉱業課がわかる。それなのに企業行動課があるというところが――ちょっと時間がないので、また日を改めて私の方も勉強します。お許しください。  それから、先ほど申し上げましたように、四月一日から基準法を施行され、先ほど時間短縮は池端君が質問したので、国会の附帯決議にあったように、パートタイム労働者との均衡を考慮して出稼ぎ労働者についても有給休暇が付与されるよう関係業界等への指導を徹底すべきではないかと私は思うのですが、もちろん三カ月以上から六カ月にまたがって働いているのには三日、六カ月以上一年働いたのには六日、こういうのをやろうではないか。出稼ぎというのは季節労働者でございますが、半年田んぼで半年東京、一つの例ですが。ところが何年同じ職場に来てもボーナスが一文あるわけでない、退職金があるわけではない。これではというので失業保険を改めて、だれにでも五十日やろうではないか、こういうふうに、さっき大野君が来ていましたけれども、今から十数年前に雇用保険法というものをつくった際にこの問題をやりました。というのは、失業保険が余っているからというわけではないが、企業が当然払わなければならない、一般の人方は盆暮れあるわけだから、半年働いてうちへ帰る出稼ぎ労働者に賃金以外に何かないかということで、ではまず雇用保険の積み立てから出してやろうじゃないかというので、出稼ぎの人方は六カ月に一万二、三千円の保険料を納めて、十五万円ぐらいのあれを地元でもらう、こういう制度に、この有給休暇も出たと思うのですが、そういう観点から、非常にこういう附帯決議はよかったと思うのでけれども、一体それでは使っている人方がそういうように積極的にやってくれるものなのかあるいは賃金の何割の休暇の手当をもらうよりも、これは有給休暇ですから、残業を含めて飯かみかみ働かなければならない出稼ぎの宿命ですから、そんな有給休暇なんというのは余りありがたくないという動向なものなのか、その辺は労働省はどうつかんでいますか。
  66. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 出稼ぎ労働者に対する有給休暇の付与の問題につきましては、今先生指摘のように、国会におきます審議あるいは附帯決議等を踏まえまして、この四月一日から出稼ぎ労働者に有給休暇を付与するように指導していくということを決めまして、三月中旬に各地方労働基準局を経まして関係事業団体、特に建設業界に対する指導をしていくということにいたしているわけでございまして、この制度は四月一日以降採用される出稼ぎ労働者対象といたしますので、今後これらの有給休暇制度が出稼ぎ労働者に十分活用されるように、さらに指導に努めてまいりたいと考えておるところでございまして、今お話しのような賃金か休暇かという問題につきましては、これは我が国雇用労働者全体に言える問題でございまして、生産性の向上、成果をできるだけ賃金だけではなくて労働時間にも適切に配分していくようにというのが労働時間を短縮していく基本的な考え方でございまして、出稼ぎ労働者についても、従来制度的になかった有給休暇についても努力してまいりたい、かように考えているところでございます。
  67. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ありがとうございました。局長、これは四月からスタートしたばかりですから、飯かみかみ、目の前が銭こで、四月十一日になれば失業保険がついたというので、北へ南へ走る労働者が有給休暇というものをどうとらえているのだろうかというのを私も関心を持って見るので、労働省もそういうような配慮をしながら見ていっていただきたいと存じます。  それから最後に、時間がないので一問だけにします。四問用意したのですけれども、いわゆる外国人の労働者ですが、問題を読んでみます。  外国人労働者を受け入れるかどうかについては、できるだけ早急に結論を出さなければならないと思う。と同時に、この問題の微妙さ、複雑さ、影響の大きさ等を考えれば、早急に結論を出さなければならぬと同時に慎重に検討しなければならない、自分もそう思っています。受け入れ範囲はともかくとして、仮に受け入れるとした場合でも、一定のルールが必要であり、これを守らせるための措置が必要だと思います。そこで皆さんお目にとまったと思いますし、新聞にもかなり書かれましたが、三月二十六日の外国人労働者問題研究会、この報告は一つの有力なたたき台だったと思うが、労働省としては、今後この報告の扱いを含め、外国人労働者の労働問題についてどのように対処していくつもりなのか、法務省との見解の違いをここで聞こうとは私思っていませんし、時間がありませんので、ただこれからどうするつもりだろうかな、こういったところを伺って、二十二分で私は終わらなければならぬからよろしくお願いいたします。
  68. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のように、今まで労働省の内部の研究会といたしまして外国人労働者問題研究会を発足させまして、三カ月ないし四カ月に及ぶ検討をいただきまして、先般三月二十六日に結論が出たわけでございます。私どもは、総体的に申し上げまして、この報告書は極めて貴重な、意義の深い報告書であると承知をいたしておるわけでございます。  簡単に申し上げますると、今までも堅持してまいりました単純労働者は今後とも受け入れないということを基本とする、その上に立って技能、技術者等々を含むある程度の外国人労働者は受け入れるべきではないかというようなことでございますが、その場合にも極めて厳格な規制の中でやるべきであるというようなこと、あるいはまた特に新しい提案の中では、雇用許可制度を採用すべきではないか等々の意見が見られるわけでございます。このことにつきましてはいろいろな御意見も見られるわけでございますし、政府部内におきましても、当然のことながらこの報告書をたたき台にいたしまして、これからの方向づけをしていくための調整をしなければなりません。  第二点は、かねてから申し上げておりますように、この報告書が出た時点で、早い時期に労使双方並びに学識経験者によるところの外国人労働者問題調査会、これを発足をさせまして、そこで十分ひとつ労使及び学識経験者の御議論をいただいて方向づけをお願いをいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、目下その調査会のメンバーの選任についていろいろ協議をいたしておるというのが今の姿でございます。
  69. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ありがとうございました。
  70. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 新井彬之君。
  71. 新井彬之

    新井(彬)委員 労働大臣初め労働省の皆さん、本当に御苦労をなさっておられることに対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。  とにかく今、日本の国は大変な円高・ドル安ということで、大変な経済的な打撃を受けておるわけでございます。そういう中で今後どのようにしてこの日本の経済を立て直すか、こういうことがやはり一番基本になろうかと思うわけでございますけれども、そういう中で今後の雇用対策を考える場合におきまして、短期的には景気浮揚策、中長期的には産業対策との連携が重要であると考えるわけでございます。労働大臣雇用を守る観点から関係大臣に積極的に発言をすべきであると考えておるわけでございますけれども、労働省は通商産業省等関係省庁と協議を行っておられるということをお伺いしておりますが、どのようにやっておられるのか、お伺いをいたす次第でございます。
  72. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のように、労働省の使命というのは、勤労者の皆さんの生活を豊かにすること、同時にまた福祉全般にわたって向上させることというのが使命でございまして、そういう面から考えましても、このことは本質的には労働省だけで成就するわけではありません。産業政策なりあるいは経済運営と相まって、ともども効果を上げることができると思うわけでございます。  その間におきましては、私どもは経済運営、産業政策、十分な御要請も申し上げますと同時に御支援、御協力、両輪のごとく相まってやらなければ所期の成果は上がらないというふうに考えておるわけでございます。とりわけ産業政策等の関係におきましては、従来から通産省ともいろいろ御協議をいただき、また御支援をいただいておるわけでございますが、とりわけ一昨年からは構造調整関連対策協議会を設けまして、定期的に協議を行っておるところでございます。この三月には私自身も協議会に出席させていただきまして、田村通産大臣とも意見を交換したわけでございます。  また一面、雇用失業情勢の厳しい地域における地域活性化、雇用確保のためには、公共事業の果たす役割も極めて大きいわけでございまして、昨年七月及びことしの三月の二回にわたりまして建設大臣との懇談の場を設けまして、雇用失業情勢の厳しい地域への公共事業の重点配分、傾斜配分についても御要請を申し上げ、御理解をいただいたところでございます。  以上のようなことで、関係省庁との緊密な連絡は今後とも続けてまいりたいと考えております。
  73. 新井彬之

    新井(彬)委員 今後の産業政策、産業構造のビジョンについて通商産業省にお尋ねをしたいと思いますが、私の考えといたしましては、我が国はとにかく資源がない国でございますし、また土地も非常に狭い国でございます。したがいまして、農産物を輸出するということは不可能である。したがって、どうしても資源を輸入をして、そして加工いたしまして世界各国にその技術を買っていただくことによって、世界各国も繁栄し、日本も繁栄する、基本的にはこういう貿易立国ということになろうかと思うわけでございます。  そういう中で繊維とかあるいは鉄鋼、造船、いろいろな不況業種が出てまいりましたけれども、今また海外に出ました自動車メーカー、トヨタにしましても日産にしましても、今逆輸入という形になっております。あるいはカゴメソースというような会社も外国へ行かないと、これからの経済が成り立たない。信州味噌でもそういうことで外国に行かなければいけない。ポテトチップスもそうだというようなことで、だんだんと外国に行く。そして逆にNICS等は非常に安い製品を日本に輸出をしている。こういうような状況というものをずっと見渡しますと、当然日本の経済の空洞化というものを招くことになる。そしてそういう外国からの輸入品がどんどん入ってくる。こういう中で一体これからの日本の経済の基本というものはどのようになると通産省は見ているのか、その辺をお伺いをしておきたいと思います。
  74. 松藤哲夫

    ○松藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、昨今の急激な円高・ドル安のもとにおきまして、NICS等からの製品輸入及び我が国製造業の海外投資が相当の勢いで進んでいることは御指摘のとおりでございます。こういった日本の産業構造転換の問題につきましては、私どもといたしましても、一昨年以来産業構造審議会等の場におきましていろいろな勉強を続けてきておりますが、基本的には世界経済の中で、自由貿易体制の中で日本は生きていかなければいけないわけでございまして、御指摘のような問題も一方であると同時に、他方、膨大な黒字を毎年出している状態を何とか一方では改善していかなければいけない。そういうことになりますと、御指摘のような輸入拡大あるいは海外投資、これはこれからも引き続き是認していかなければならないと思いますが、同時に、それによる国内産業のいわゆる空洞化のおそれといいますか、こういう問題にどう対応していかなければいけないかということが当然最大の問題になるわけでございます。  私どもいろいろな勉強をし、またいろいろな展望等もつくっておりますけれども、基本的には製造業分野においてはさらにハイテク化していく、エレクトロニクス、新素材、バイオ、この三つの新しい技術を核にさらに一層ハイテク化していく。そして同時にサービス産業をさらに発展させていく。サービス産業には情報産業あるいはリース産業といったようないわば企業支援型のサービス産業と、それからレジャー、リゾートあるいは健康、福祉といったような個人サービス産業と両方ございますけれども、これらが幸いなことに非常に伸びております。この製造業のハイテク化とサービス産業拡大を軸に御心配の雇用を何とか確保していかなければいけないということを私どもは考えておるわけでございまして、確かに輸入拡大とか海外投資によって、いわば将来日本でそれが行われたならば創出されたであろう雇用機会が若干失われるということはございますが、他方、こういった新しい製造業、ハイテク産業あるいはサービス産業によってマクロ的には十分な雇用機会の創出は可能であるというふうに見ております。  ただ問題は、個別業種あるいは個別企業あるいは地域ごとにミクロ的に見てまいりますと、これは構造調整の波を非常に強く受ける部分が企業なりあるいは地域によってございまして、雇用ミスマッチをミクロ的にどう対応していくかということが非常に大事な問題になってくるわけでございますので、通産省といたしましても、産業構造転換円滑化臨時措置法といったような法律によりまして、地域雇用対策に一生懸命努力しておるところでございます。この点は労働省とも協力し合いながら、この問題がなるべく国民の皆様方に大きな負担にならないような形で努力してまいりたいと存じております。  以上でございます。
  75. 新井彬之

    新井(彬)委員 今も答弁がございましたけれども、地域によりましては本当に大変な状況でございます。今言われたように、ハイテク化とかサービス業とかいろいろありますけれども、なかなか地域によってはそういうことができかねる地域もたくさんあるわけでございまして、そういう地域に対して、中小企業までが今後二〇〇一年に向かってこういうことをやって努力していけばいいのだという方向性というものについては、今まだ非常につかみにくい。したがいまして、今も今後どうなるのでしょうかというような問い合わせは地域によっては大変あるわけでございます。一面で、今度は労働省離職者、失業者の方々に対して一生懸命手当てをされて、今抱きかかえておられるような状況になっておるわけでございますが、やはり何といいましても、安定的な経済運営をやっていただかないとどうしようもないような状況になる。これが一番大事ではないかと思われますので、どうぞ通産省におかれましても、そういう先のビジョンというものを、中小企業の、あるいはミクロ的に見てもみんながわかったというような形でやっていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  今回の改正案では、廃止期限が昭和六十三年六月三十日から昭和七十年六月三十日と七年間延長となっておりますが、この理由についてお伺いいたします。
  76. 岡部晃三

    岡部政府委員 今回の改正は七年間の延長ということでございます。その趣旨ということでございまするが、例えば新前川レポートにおきましては、一九九〇年代前半、すなわち昭和六十年代を構造調整期ととらえているところでございます。今度提案申し上げております法律そのものが産業構造転換、経済構造の転換ということに対応する法律でございます。この法律につきましても、昭和六十年代の対応策ということで御提案を申し上げ、したがいまして、七年間の延長、こういうふうな形をとらせていただいた次第でございます。
  77. 新井彬之

    新井(彬)委員 今回の改正の一つに下請要件の緩和がございます。孫請まで本法の適用を拡大されるということは大変ありがたいことでございますが、その前提として雇用維持等計画の作成、提出がございます。そういうことで、二次下請となると中小企業の中でも零細企業が多くなると思われるわけでございますが、この実態労働省としてはどのように把握をされておるのか、これらの企業がこの雇用維持等計画を作成できると考えておられるのか、お伺いをいたします。
  78. 岡部晃三

    岡部政府委員 現在特定不況業種指定されております業種のうち、若干拾い上げて私どもも調査をいたしました。二次下請というのはどれくらいの規模であろうかということを調べたわけでございますが、まさしく御指摘のとおり小規模企業が多いわけでございまして、従業員が十人に満たない企業がかなり存在するわけでございます。しかしながら、この雇用維持等計画といいますのは事業所単位でおつくりいただくわけでございます。それぞれの企業にございます従業員のためでございますので、やはり各企業主そのものがみずからこの雇用維持等計画をおつくりいただく、そうして従業員の雇用の維持に一生懸命に当たっていただく、こういう趣旨でございます。  それで、先生指摘のそのような零細企業にそんなしち面倒くさいものがつくれるかということでございますが、これにつきましては、公共職業安定所における相談、周知活動の強化を図りますとともに、関係事業主団体の御協力を得まして、中小企業におきましても十分に対応できるように、私どもとして万全の手配をさせていただきたいというふうに考えております。
  79. 新井彬之

    新井(彬)委員 弱小の零細企業で相談がありましたときは、よく指導されて、ひとつきちっとやっていただきますようにお願いをいたしたいと思います。  公共職業訓練のうち離転職者を対象とした職業転換訓練の内容及びその実績について、どのようになっているかをお伺いいたします。
  80. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 現在労働省におきましては、年間四十万人程度の規模で職業訓練を実施しておりますけれども、このうち離転職者を対象とします職業訓練は約十万人を占めております。特に昭和六十年度におきましては三十万人雇用開発プログラムということで、離職者だけではなくて在職者をも対象にいたしまして、訓練の仕方も、既設の訓練コースに受け入れるほか、特別の訓練コースをつくる、あるいは事業主団体等へ委託をするというような方法で機動的、弾力的に実施に努めてきたところでございます。  その実績でございますけれども、既設の訓練コースで二万一千人、特別コース及び委託訓練で一万七千四百人というのが三十万人雇用開発プログラムの計画の内容でございましたが、実績としまして、既設の訓練コースについてはほぼ九割の訓練生が入校していると承知しております。また特別コース、委託訓練については、本年一月末の状況でございますが、約一万一千人が入校していると承知しております。
  81. 新井彬之

    新井(彬)委員 先ほども通商産業省の方からお話がございましたが、やはり年齢や新しいニーズなどで経済社会の変化に即応した職業訓練でなければならない、このように考えておりますが、そこら辺の配慮はどのようになっておりますか。
  82. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 先生指摘のように、公共職業訓練は常に経済社会の変化に即応したものでなければならないと考えているところでございます。具体的には技術の進展に対応いたしまして、訓練施設あるいは機器等をリースで入れるというようにしながら、ME関連の職業訓練を一つは拡大しております。さらにサービス経済化ということで第三次産業関係の職種の訓練のニーズが高まっておりますので、それを拡充するとか、あるいは高齢者に適した訓練科を増設するというような形で、増加する高齢者に配慮した訓練を行うなど、各種の施策を積極的に講じているところでございます。
  83. 新井彬之

    新井(彬)委員 離職者の救済制度についてお尋ねをいたします。  職業転換給付金の予算と実績を見ますと、就職促進手当は昭和六十年度予算において五十億一千百八十八万円、百三十七万五千百五十八人日となっておりますが、実績は四十二億七千二百三十八万円、百十八万千六百八十八人日。昭和六十一年度においては、予算四十八億七千五百七十九万円、百二十三万八千六百二人日となっておりますが、実績は三十六億五千七百五十一万円、九十三万七千九百八十一人日となっております。これは職業転換給付金等の救済措置がスムーズに行われていないのではないかということもあると思いますが、いかがでございますか。
  84. 岡部晃三

    岡部政府委員 職業転換給付金制度につきましては、特定不況業種離職者あるいは中高年、障害者という方々で就職が困難な失業者の方に対しまして、生活の安定を図りながら就職を促進していただくということでございます。  この実績についてのお尋ねでございますが、やはり景気の変動等の経済情勢の影響を非常に受けるわけでございます。経済状態、景気が非常によくなりましてどんどん就職が進むという場合におきましては、これは不用額が出る、逆にまた景気が悪くて一向に就職が促進されないという場合には不足になってしまうということでございます。そこで当然のことながら役所といたしましては、予算の範囲内でできるだけ仕事をするということで頑張っておるわけでございますので、過不足なく十分にこれを使い切るというのを理想とするわけでございますが、年度によって不用額が立つという場合もあることは御指摘のとおりでございます。先生指摘でございますこの制度の一〇〇%の円滑なる消化、活用につきまして、今後とも配慮してまいりたいと考えております。
  85. 新井彬之

    新井(彬)委員 私は予算が足らないよりこうして余る方がよっぽどいいと思っております。したがいまして、円滑にさえやっていただければ、予算が余ったからといって何も問題はございません。逆に予算がないためにそれができない方がよっぽど問題でございまして、きちっとした計算はなかなかできにくかろうと思いますが、これからも予算は余るぐらいいつもこうして取っておいていただきたい、このように思うわけでございます。  それから特に不況業種におきます中高年齢者や身体障害者はいろいろ厳しい状況にあると考えますが、これらの方々の雇用確保については特に強力にやっていただきたい、このように思っておりますが、いかがでございますか。
  86. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のように、産業構造転換進展する中におきましては、高齢者や障害者の失業情勢は極めて厳しいものがあるわけでございます。これから本格的な高齢化社会の到来あるいは障害者の増加等によりまして、この問題は労働省にとっての大きな政策課題であるというふうに承知をいたしておるわけでございます。  このため、労働省としましては、かねてから公共職業安定所におきまして、その特性に応じたきめの細かい職業相談あるいは職業紹介等を行うとともに、特定求職者雇用開発助成金の活用等によりまして、高齢者や障害者の再就職の促進に努めてきたところでございます。とりわけ六十三年度におきましては、産業地域高齢者雇用プロジェクトを強力に推進することによりまして、高齢者雇用確保と再就職の促進に努めますとともに、障害者につきましても、御承知のように、本年四月から施工されました障害者の雇用促進等に関する法律に基づきまして、その雇用の安定のための施策の一層の充実強化を図っていかなければならないというふうに考えておる次第であります。
  87. 新井彬之

    新井(彬)委員 特定業種雇用安定助成制度について、その内容と利用見込みはどのようになっているか、お尋ねをいたします。
  88. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答え申し上げます。  この法律に基づきます新しい助成制度といたしまして構想しておるものでございますが、具体的には、例えば職業転換訓練を行うあるいは配置転換を行うといったような事業主の方に対しまして、所要の賃金助成を行うというようなこと、あるいはまた事業転換等によりまして雇用機会確保する事業主の方につきまして、その努力を助成するという意味で特別奨励金を出すというようなこと等を予定しておるわけでございます。六十三年度予算案におきましては約百十六億円を計上いたしておるところでございます。
  89. 新井彬之

    新井(彬)委員 この制度もPRや広報活動を十分行うことによってより多くの事業主が利用できるように取り組んでいただきたい、このように思っておるわけでございます。  最後に、相生市の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  これは地域の問題でございますが、相生市というのは、造船不況で非常に厳しい情勢が続いておるわけでございます。御承知のように、雇用状況は、有効求人倍率昭和六十一年三月からずっとありますけれども、六十二年の八月には相生の職安では〇・二三倍、全国平均が〇・七一でございますから大変な状況にあるわけでございますし、雇用保険受給率につきましても、六十二年八月には相生市の職安では一五・三%、全国平均では二・五%、こういう中で相生市では地方自治体、また地方の産業界等がAiOi構想、ブラジル村の建設等自主的な地域活性化の取り組みを行っておるわけでございます。これについては通産省の方からも指導助言をいただいておるわけでございますが、このような地域の自主的な取り組みは、地域での新たな雇用開発という面でも効果的と考えるわけでございますが、労働省地域雇用対策はどのようなことを実施しておるのか、またその実績はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
  90. 中村太郎

    中村国務大臣 相生地域の厳しい状況につきましては十分承知をいたしておるわけでございます。従来から雇用機会が不足し、雇用情勢が厳しい状況にある地域におきましては、昨年四月一日から施行されました地域雇用開発等促進法に基づきまして雇用開発促進地域指定しておるところでございます。これらの地域におきましては、地域の自主的な雇用拡大への取り組みを推進するため、地域労使団体市町村等をメンバーとしまする地域雇用開発会議を設置いたしまして、地域関係者の連携協力を図っていきますとともに、指定地域内で事業所の新増設を行い、雇用拡大する事業主に対しましては、地域雇用開発助成金を活用いたしまして、地域雇用開発を積極的に進めておるところでございます。  さらにそのうち、相生地域のように造船等の不況業種に依存し、特に厳しい状況に置かれている地域につきましては、御承知のとおり、特定雇用開発促進地域指定しまして、地域雇用開発助成金支給期間の優遇等による雇用開発の一層の促進等の手厚い対策実施しておるところでございます。  また、地域雇用開発助成金の活用による雇用開発状況につきましては、六十三年一月末現在で、事業所の設置、整備及びこれに伴う雇い入れ計画が約一万件、これに基づき既に雇い入れられ、受給資格の決定を受けた労働者数は約一万九千に上っておりまして、着実な成果が得られつつあるところでございます。今後とも産業政策等関連施策とも連携を図りつつ地域雇用開発助成金等を最大限活用しまして、地域の自主的な取り組みを促進し、雇用開発に一層努めてまいりまする所存であります。
  91. 新井彬之

    新井(彬)委員 大変いろいろな御指導を賜っておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。本当に相生市におきましても、さっき申しましたように、どうするかということで市長さんあるいは市役所関係、商工会議所、いろいろの方々が本当に真剣に取り組んでおるわけでございまして、今後とも力強い御指導を賜りますようによろしくお願いいたしたいと思います。  終わります。
  92. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 玉城栄一君。
  93. 玉城栄一

    玉城委員 駐留軍関係離職者等臨時措置法並びに漁業離職者臨時措置法延長の問題で質疑をさせていただく機会をお与えいただきましたことに委員長並びに理事委員の皆様方に心から感謝を申し上げます。  それで駐留軍の離職臨時措置法をさらに五年間延長するということについて、先ほどその理由を大臣は、本質的に駐留軍関係従業員の雇用状況は不安定である、いわゆる国際情勢の変動に即応する米国部隊の配備の変更とかアメリカ政府の諸政策の動向によって大きく影響する、したがって駐留軍従業員の雇用状況というのは極めて不安定である、さらに今後も引き続き離職者が予想される、再就職も困難である、こういうことでこの法律をさらに五年間延長される、こういうことで、全くそのとおりだと思います。  政府の御認識は全くそのとおりだと思うのですが、それについて防衛施設庁の山崎さんの先ほどお答えは、非常に楽観的、明るい、その見通しは非常に難しいけれども明るい、そういう感じのお話をしておられたわけでありますけれども、果たしてそのとおりかどうか、私非常に疑問に思うのです。おっしゃっておられましたように、米国の国防予算の三年間の大幅削減、円高・ドル安等、そういうことも踏まえた場合に、我が国に二万一千の駐留軍の従業員がいらっしゃるわけですが、沖縄にその三分の一強、七千五百、それが山崎さんの御認識のような状況で受け取っていいのかどうかですね。さらに私今確認しましたように、大臣の御認識も、今後も引き続き離職者が出ることが予想されるということと何かそぐわないような感じがするのですが、もう一回山崎さんの御認識を承りたいと思います。
  94. 山崎博司

    ○山崎政府委員 先ほど上原委員にもお話し申し上げましたけれども、私ども決して事態を楽観的に見ているという意味合いで申し上げたわけじゃございません。正直申し上げて、昨年六月特別協定を締結いたしまして、従前の負担に加えまして調整手当等八つの手当の一部を負担いたしました。しかし、それとて昨今の厳しい円高状況の中で完全にそのために増加した分をカバーしたという代物じゃございません。さらに加えまして、特別協定締結以降も円高は一向にとどまる勢いを見せておりません。そういうようなことから、この一月には政府としても雇用安定のためにさらに労務費の負担をふやす、こういう方針を決めたわけでございます。それに対しまして、先ほど申し上げましたように、米国の最高責任者でありますカールッチ国防長官も、今回の措置を大変高く評価すると同時に、雇用の安定については十分に配慮します、こういうお約束をいただいておりますので、その意味で、必ずしも私どもとしては一般が見ているような暗い見通しとは限らない、それなりの見通しはあるのじゃないか、こういう趣旨で申し上げたつもりでございます。
  95. 玉城栄一

    玉城委員 重ねて伺いますが、大臣も御存じのとおり、沖縄県の場合は非常に失業率が高いわけですから、しかも在日駐留軍従業員の数も沖縄に三分の一強、七千五百名といるわけですから、そういうことで雇用状況は極めて厳しい、今後もそういうことが予想されるということで、この法律は特に私たちにとってはぜひ延ばしてもらいたい、こういうことなんであります。ところが今山崎さんはそんなに厳しいということではないということなんですが、これは厳しく受けとめるべきが当たり前だ、私はこのように思うわけです。  そこで、きょう大臣にお伺いしたいわけですが、沖縄県も四十七年本土復帰しまして十六年になるわけですが、相変わらず毎年本土の失業率水準の二倍とか三倍近くということで推移してきているわけです。その都度労働省にも伺ってまいりましたけれども、改めて中村大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  96. 中村太郎

    中村国務大臣 駐留軍関係離職者につきましては、御承知のとおり駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして、従来から各般にわたりまして施策を講じてきたわけでございますけれども、今の雇用失業情勢の中ではなかなか厳しいものがあるわけでございます。しかし、私どもとしましては、厳しいことを踏まえながらも、この問題につきましては、今後ともきめの細かな、機動性に富んだ弾力的な運営をしてまいりまして、何としても関係離職者の雇用確保、就職のできるような方途を考えてまいりたいと思います。  なお、沖縄県におきまする厳しい雇用失業情勢につきましては、私どもも毎月有効求人倍率の表を見ながら、沖縄はやはり低いなということは実感として味わっておるわけでございます。最終的にはやはり沖縄県における産業の振興いわゆる産業政策が前提になければならぬと思うのでございます。そういう意味では、関係省庁とのこれからの連絡を密にしながら、私どもの場合では職業相談とかあるいはまた広域の職業紹介等を実施してまいりたいと思っております。  今後におきましても、引き続き強力に推進をいたしますとともに、特に昨年より発足しました御承知の地域雇用開発等促進法に基づきまして、地域雇用開発助成金制度を最大限に活用いたしまして、雇用開発推進等厳しい実情に即した実効のある雇用対策を積極的に推進してまいりたいという決意を新たにいたしておる次第であります。
  97. 玉城栄一

    玉城委員 雇用失業問題というのは、なかなかこれという名案があってこれがスムーズに解決されるということでないことは私もよく承知はしているわけです。これも先ほど御質疑がありましたが、特に沖縄の場合は非常に特徴としまして若年失業率が高いわけですね。ですから、そういう意味で雇用促進事業団が六十三年度に調査費を計上されて、職業訓練短期大学校を沖縄に設置しようということは、前から非常に要望しておったわけですが、しかしそのかわり従来の職業訓練校が転換されて、いわゆる中卒者のそういう訓練機会が狭まっていく。短期大学校ができるのは結構ですけれども、そういう従来の中卒者の訓練の機会が狭まっていくということがあっては、これはまた非常に困る。これまで労働省の方がよく推進して、沖縄の場合失業率が高いから、若年者については県外の就職をどんどん奨励もしてきたわけですけれども、実際やはり若い子でもそういう技能を持っていないということは非常にハンディがあるわけです。そういう意味で、今度労働省が職業訓練短期大学校を設置していただく、それも大いに結構ですが、そのためにまた職業訓練校というもの、それが中卒者の訓練の機会が狭まるということがないようにぜひやっていただきたいという要望なんですが、いかがでしょうか。
  98. 野崎和昭

    ○野崎(和)政府委員 御承知のように、高学歴化ということで全般的には中卒者が減りまして高卒者がふえている、それから技術革新が非常に進むということで、私ども職業訓練も、高等学校卒業者、しかも二年間の高度な訓練という方向に向かっているわけでございまして、そういう意味で雇用促進事業団立の総合高等職業訓練校を職業訓練短期大学校へ順次転換しているわけでございます。しかしながら、そうすることによりまして、中卒対象の養成訓練のニーズに対応できなくなってはいけないということで、この面につきましては、都道府県立の職業訓練校にその分を引き受けていただくということを基本的な方針としているわけでございます。  したがいまして、今回沖縄に沖縄職業訓練短期大学校を設立する場合におきましても、中卒者の訓練ニーズにも十分こたえることができるよう沖縄県とも今後十分協議してまいりたいと思っております。先生の御意見、御趣旨につきましては、そういった際、十分念頭に置いて対応させていただきたいと思っております。
  99. 玉城栄一

    玉城委員 これは労働省の方にこの法案でもう一回確認をしておきたいわけですが、いわゆる駐留軍離職者の臨時措置法というものは、そういう雇用情勢が厳しいということで五年間延長する。我が国は米国が駐留しているから、米国の基地がある限りそこの関係従業員の雇用問題というのは常につきまとうわけですね。ですから、あと五年延長しようということは、なぜ五年なのかということに疑問を持ちますと、では五年で我が国の米軍基地の問題というものは解消するのか、いわゆるそれに伴う従業員の雇用問題というのは解消するのかという疑問が出てくるわけですけれども、なぜ五年なのか。例えば五年延長した、しかしその時点でさらにまたいろいろな基地従業員の雇用問題、厳しい情勢が出てくるというのであれば、またこの法律の延長ということもその時点で考えられるという意味なのか。その辺を明らかにしていただきたいですね。
  100. 岡部晃三

    岡部政府委員 御推察のとおり、この駐留軍離職者の発生状況が今後どのようになっていくかということは見通しが困難なわけでございます。そこでなぜ五年かということでございますが、これはやはり従来の経緯を踏まえているわけでございまして、五年間でずっと延長してきたというふうな過去のこの法律の取り扱いから五年としたものでございます。今後必要に応じさらに再延長があるのかということにつきましては、それは従来の経緯からいたしますれば、そのような方向の検討がもとより行われるであろうというふうに私ども考えております。
  101. 玉城栄一

    玉城委員 防衛施設庁の方、結構でございます。  次に、漁業離職者臨時措置法でお伺いしたいと思います。  この漁業離職者臨時措置法もさらに延長するということですが、この法律は「国際協定締結等に伴う」となっているわけですね。恐らくこの法律趣旨は、二百海里問題でのいわゆる減船とかということ、当然そのように私も理解しておるわけですが、私は沖縄なものですから、国際協定の締結ということになりますと、日米安保条約、それに伴う地位協定、そういうことも国際協定ですから、そういう国際協定に伴って米軍に提供した水域・海域で漁業制限、規制がなされて、いわゆる漁業離職者が出てもいるし、今後も出てくる可能性もあるわけですね。ですから、私としては、当然この法律に日米安保条約並びに地位協定という国際協定も含まれるものと理解しておるわけですが、それでよろしいのかどうか。いかがでしょうか。
  102. 岡部晃三

    岡部政府委員 漁業離職者臨時措置法につきましては、従来、漁業協定の締結等に伴いまして減船を余儀なくされた場合の制度といたしまして発足、運営されてきたことは御承知のとおりでございます。  今御質問の、日米安全保障条約等に基づくところの、例えば演習海域の設定その他によるところの漁業の操業制限というふうな事態が生じた場合において、減船を余儀なくされた場合は一体対象になるのか、こういうお尋ねでございますが、このような場合につきましては、私ども、そのような事態につきまして関係省庁と十分協議して、対応を検討いたしてまいりたいと考えております。
  103. 玉城栄一

    玉城委員 ぜひ御検討していただきたいと思います。  それから、この機会に水産庁の方にぜひ伺っておきたいわけでありますが、この法律にも関係するわけですけれども、近年、カツオとかマグロ、回遊魚、これの集魚効果が大きいということで、いわゆるパヤオ漁業、浮き魚礁を沖合に設置して、それを利用した漁業が盛んに各地で行われている。これは南西諸島海域とか九州西海域とか本州の太平洋沖合であるとかにいわゆる浮き魚礁を設置して、回遊魚の集魚効果が極めて大きいというので、そういうことがこの二、三年盛んになってきておるわけです。ところが浮き魚礁の設置の問題、それから設置した後、その浮き魚礁を利用するという段階で、いわゆる地元の漁業者と県外の漁業船との間に大きなトラブル、紛争がこの二、三年続発しているわけですね。これは私が言わなくても水産庁はよく御存じのとおりですが、一触即発という状況です。そういう紛争の漁業調整という問題について、水産庁としてこれまでどういう行政指導をしてきたのか、あるいはこれからどういう行政指導をされようとするのか、お伺いします。
  104. 本儀隆

    ○本儀説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、いわゆるパヤオ、浮き魚礁でございますが、なかなか集魚効果がございまして、特に沖縄県においては沿岸漁業者の経営の安定に非常に役に立っていると考えております。近年盛んになってきておるわけですが、ただ問題は、沖縄の場合におきましても二十海里、三十海里という相当沖合にまでこのパヤオを設置してございます。そのあたりの海域というのは、宮崎県あたりを中心とする近海のカツオの一本釣り、こういった漁船が従来から操業していたということがございまして、そういうことから漁場利用をめぐっての紛争が昭和六十年ぐらいから生じ始めております。  本来、こういう問題は当事者同士の話し合いで何らかのルールができれば一番いいわけでございますが、なかなか問題の根も深うございまして、昭和六十二年、つまり昨年の三月ぐらいから、私ども水産庁といたしましても両者の間に入っておりまして、調整に努めてきておるわけでございます。残念ながらまだルール化がきちっとするところまでいっておりませんが、私どもとしては、チャンスを見計らい、タイミングを見計らいながら、早急にこの問題の調整に入りたい、さらに進めたい、こう考えているところでございます。
  105. 玉城栄一

    玉城委員 この問題でさらにお伺いしますけれども、早急に調整に入りたいということですが、これまでもこういうトラブル発生も既にしているわけです。ですから、一体水産庁は何をやっているのかという不満の声も当然あるわけです。それでさっきあなたがおっしゃいましたとおり、このパヤオ漁業というものが集魚効果が大きいということで全国的に展開されていくという見通しにあるわけです。ですから、その秩序といいますかルールというものを早く水産庁がおつくりにならないと、関係漁業者間でトラブルばかり起きていろいろな事件が起きかねないという事態に来ているわけです。  それで御存じのとおり、水産関係の四つの団体の方でも制度化についていろいろな提案があります。ちょっとそれを皆さん方よく御存じですが、申し上げておきますと、一つは漁業問題研究会の「造成漁場の適切な利用管理の推進」、二つ目は全魚連の「水産業の基本問題に関する検討中間報告」、これは浮き魚礁の制度化の問題についての提言、三番目に「全国海区漁業調整委員会連合会 要望書」という形で「浮魚礁利用の漁業調整について」という提言、四番目に「働く者の漁業白書 水産研究会」ということで浮き魚礁の問題についての問題提起、いわゆるルールづくり、制度化を早くすべきではないかという趣旨、御存じのとおりですが、そこで法整備も含めてパヤオ漁業の秩序確立のために、制度化について水産庁はどういう検討をしておられるのか、お伺いをいたします。
  106. 本儀隆

    ○本儀説明員 今各方向からの御意見その他、先生指摘のとおりでございまして、パヤオの設置につきましては、一方では漁場を広く占拠してしまうという性格がございますので、その設置の場所等についての調整がまず必要でございます。それから他方、沿岸漁業者等が、一基百万とか百五十万とかいうお金がかかるわけでございますが、そういうことをして設置したパヤオについて、設置した人の優先権といいますか、そういったものをどうやって守るかといったような問題が中にあるわけでございます。これにつきましては、先生指摘の各団体の提言等も参考にしながら、また双方、設置をする人あるいは従来からそこで漁業をやっていた人、こういった方々の御意見も十分聞きながらこれについての考え方をまとめていくというふうに思っております。
  107. 玉城栄一

    玉城委員 これは水産庁に強くお願いしておきたいのですが、皆さん方悠長に構えていらっしゃいますが、もう紛争はこれまでずっと発生してきているわけです。ですから、何らかのルール、秩序を早くつくってあげないと、絶えず漁業関係者同士トラブルが起きているということで、感情的な問題にまでも発展してきているわけです。それで、その制度化については確かにこれから検討されるのでしょうから、法律問題までということになるといろいろ手間暇もかかるでしょう。しかし、その間に現に紛争が起きている同士についてはどうされるのですか。それまでほうっておくわけにはいかないのじゃないでしょうか。
  108. 本儀隆

    ○本儀説明員 先ほども申し上げましたとおり、昨年の三月以来双方の間に水産庁も立って話し合いを進めるということをやってきております。また先生御承知のとおり、ついせんだって、四月二日でございますか。沿岸漁業者と宮崎のカツオ・マグロ船とで紛争が起きました。私どもとしては話し合いを進めるという観点から双方に働きかけをしてまいったわけでございますが、残念ながらああいう事件が起きたわけで、今ちょっとそのタイミングを見計らっております。いずれにせよ、早急に調整に乗り出すつもりでございます。  また現に、海上のことでございますので、再びああいうトラブルが起きることはまずいわけで、これは双方にトラブルの発生だけは防ぐようにということで我々としてもお願いしております。また県の方でも漁業取締船の派遣等をやっております。また私どもの方も、私どもの水産庁の漁業取締船を当該海域に派遣することとしております。
  109. 玉城栄一

    玉城委員 水産庁御自身もそういう漁船監視船を派遣されるという今のお話ですが、ぜひそういうトラブルが再発しないように手を打っていただきたいと同時に、もう一つ、これはお話がありました民間協定といいますか、協定まで文書化して、とにかくお互いに紳士的にこれは守ろう、その制度化がされるまでの間そういうものをぜひきちっとやっていただきたいわけです。でないと、これは大変な感情問題に発展しかねないということで大変憂慮しているわけでありますので、水産庁の行政指導をひとつよろしくお願いしまして私、質問を終わります。
  110. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 田中慶秋君。
  111. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今回の特定不況業種関係労働者雇用安定法の問題について、私は民社党の立場で質問をさせていただきたいと思います。  雇用情勢は、全般的に見ればベースアップの状態やらあるいはまた今日の経済動向を見ても改善の方向を示しているわけでありますけれども、業種別に見てみますと、改善のおくれが目立っているところがあるわけであります。特にそういう点では業種間の格差がむしろ拡大されている。従来まで日本の基幹産業と言われておりました鉄鋼、造船あるいはまた繊維、自動車、電機、こういうのが基幹産業の御三家と言われてきたわけでありますけれども、現実には鉄鋼、造船、石炭など現在の特定不況業種指定されている業種、これらに対しての雇用状況をどのように認識されているか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  112. 岡部晃三

    岡部政府委員 最近の雇用失業情勢につきましては、有効求人倍率が上昇するというふうなことで、雇用者も大幅に増加を見ているわけで、総じて改善をしているわけでございます。しかしながら、円高の影響あるいは産業構造転換の過程におきまして、特定業種における雇用情勢には依然として厳しさが見られるところでございます。  今御指摘のございました、例えば造船におきましては二〇%の設備廃棄が実施されまして、これに伴って既に多数の離職者が発生をしております。今後も引き続き離職者が予想されるところでございます。また鉄鋼業につきましては、大手高炉メーカーで四万人以上の雇用調整を行う方針が打ち出されておりまして、これにつきましては労使でいろいろと検討されているようでございますが、関連下請企業も含めまして大幅な雇用調整というものを私ども懸念をいたしているところでございます。さらに石炭でございますが、これは閉山等による離職者が相次いでおるわけでございまして、今後とも生産体制の集約化に伴う人員削減が極めて懸念される、こういった状況でございます。
  113. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、今後について考えてみても、円高等を背景に我が国の経済は国際協調型経済構造へと転換を図っていくことが大きな課題になっているわけであります。その過程において雇用調整実施など雇用問題が生じる、こんなふうに考えているわけであります。これらについて、この問題に具体的にどのように対処しようとされているのか、労働行政として大臣見解をお伺いしたいと思います。
  114. 中村太郎

    中村国務大臣 御指摘のとおり、今後の我が国経済におきましては、産業構造転換労働力高齢化等が急速に進展する中で産業地域、年齢間等の労働力需給の不均衡によります種々の雇用問題が発生するおそれがあるわけでございます。これに的確に対応しまして、雇用の安定を図ることが極めて重要な政策課題であると承知をいたしております。  このため、御承知のとおり、昭和六十三年度においては、特定不況業種法改正、それから産業雇用対策の拡充・強化、さらに地域雇用開発を中心とした総合的地域雇用対策推進高齢者等の雇用機会確保推進、円滑な職業転換のための職業能力開発促進等内容としまする産業地域高齢者雇用プロジェクト推進することによりまして、今後の構造転換に即応した雇用対策を積極的に展開してまいる所存であります。  さらに、中長期的な観点からの雇用対策の基本的な方向づけを図るため、新経済計画策定と並行しまして、新たに第六次雇用対策基本計画を作成することといたしておりまして、現在、雇用審議会において鋭意その検討をお願いをしているところでございます。
  115. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、実は我が国の労働市場というものが今日の経済構造調整の中で大きな変化をしようとしているわけであります。これに対応すべき雇用政策の役割というのは今後さらに重要であろう、こんなふうに認識しているわけであります。今般の特定不況業種法改正は、こうした変化にどのように対応しているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  116. 岡部晃三

    岡部政府委員 御指摘のように、我が国経済は、円高あるいは対外貿易摩擦というものを背景に内需主導型の産業構造への転換を図ることが国民的な課題になっているわけでございます。その過程におきましては、産業・職業間の労働力需給ミスマッチ拡大雇用調整の増加等々各種の雇用問題が発生するおそれがあるわけでございまして、御指摘のとおり、こうした転換の過程におきまして、雇用の面で影響を受けます労働者につきまして雇用の安定を図るというのが基本的な姿勢でございます。  そこで、労働省といたしましては、当面するこの不況業種雇用安定のための対策、さらに進めまして中長期的な観点から、産業構造転換に伴う雇用問題に適切に対処するということで、この特定不況業種法、これが今回期限が切れるわけでございますが、まずもってこれを七年間延長いたしますとともに、特例事業所制度の創設など対象拡大をいたしまして、さらにまた事業転換によって積極的に雇用機会確保しようという事業主に対しましては助成制度を充実するというふうな対策を各種盛り込みまして、この改正を御提案申し上げている次第でございます。
  117. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大変具体的な説明をいただいたわけであります。そこで今回の特定不況業種法改正においては、今後の産業構造転換にも対応した対策の充実強化が図られることが、特に鉄鋼、造船など厳しい状況の中にある業種について引き続き今回の改正法に基づき、特定不況業種指定や新設の特例事業所への指定などの対策が講じられていると思いますけれども、これについて大臣、どうでしょうか。
  118. 中村太郎

    中村国務大臣 改正法に基づく特定不況業種指定につきましては、各業種実情調査しまして、その実態を見きわめた上で、法の趣旨に沿って十分に検討を進めてまいりたいと考えております。  また、今回の改正法案におきましては、特定不況業種指定されていない業種事業所であっても、雇用の調整を余儀なくされるおそれがある一定の事業所につきましては、特例事業所として個別に認定し得る制度を設けることとしておりますので、この趣旨を十分に生かすべく積極的な活用を図ることによりまして、関係労働者雇用の安定に万全を期するよう努力してまいりたいと考えております。
  119. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そういう点では、今回の法改正というのは、この特定不況業種の該当のところでは大変期待をされていると思います。しかし局長、実はこういう特定不況業種のところで過去にも離職者が出たわけでありますけれども、その離職者を雇い入れるときに、それぞれの助成金とかあるいはまたこの離職対策の一環として中小企業の人たちがそれぞれ雇い入れをした経過があるわけです。これらについて基準監督署その他のところで所定の手続をしないために、その助成を受けられなかった経緯もあるわけであります。  これは回答は必要ありませんけれども、そういうことも、せっかく法律をつくるという場合においては考慮に入れてやっていただかないと、せっかく法をつくっても仏つくって魂入れずという結果になります。そういう点では、これらの問題、せっかく皆さんの方が前向きにやられているわけでありますから、多少届け出の時期がおくれたり、いろいろなことを含めても、弾力的な措置が必要であろう、こんなふうに思っております。この辺は実はきょう通告をしておりませんが、現実に私は何回かこういう問題について経験をしております。せっかく不況業種の人たちを好意的に雇い入れをする、そうすると、基準監督署にたまたま届けてなかったという形で、それぞれこの法の精神に基づく助成とかいろいろな形のものが受けられない、こういうことが現実にあるわけですから、こういうことのないように、この法の整備と合わせて、労働省も既にそういう幾つかの問題点を経験されておりますから、それらの問題について十二分に配慮することを、これは要望しておきます。  そこで、不況業種における雇用問題とは別に、最近の急激な円高進展を背景に、企業海外進出が急激に増加し、これに伴う雇用問題がクローズアップされております。この問題については、雇用問題政策会議においても提言をされておるようでありますけれども、労働省としてこれらの問題をどのように考えられているのか。特に、この問題は、先般も日米の貿易摩擦の問題、農産物の問題等々において、ガット提訴の条件の中でいろいろなことを指摘をされました。しかし、アメリカでもう既に日本の企業の中で働いている人たちが約三百万人ともいわれており、この前レーガン大統領が、そういう形だから日本に対する報復措置はそんなにしちゃいかぬというふうな見解を出されているわけです。三百万の逆を言うならば、日本の労働者がそれだけ減っている、こういう結果になりますね。ですから、こういう点についてどのように認識をされているのか、具体的に私申し上げましたけれども、お伺いをしたいと思います。
  120. 岡部晃三

    岡部政府委員 最近における企業海外進出、これは円高進展等を背景といたしまして、まさしく急激な増加を見ておるわけでございます。今後においてもまさしくこの傾向は加速されるのではないかというおそれを私ども持っているわけでございます。現在のところ、いわゆる海外生産比率と申しますか、外国に出ていって行う生産額、それと日本国内での生産額との比率でございますが、これはまだ四%台でございまして、我が国雇用機会に対するそれほどの直接的な大きなダメージというところには立ち至ってはいないというふうに一応分析をしておったところでございます。  昨年十一月に出されました雇用問題政策会議における提言、これは五つの点がございまして、重立ったところは、やはり企業において労働者をほうり出すのではなくて、雇用を維持、確保する努力をすること、それから企業間移動等を通じた雇用開発を行う、あるいは能力開発あるいは労使間の協議システムの確立というふうな提言でございますが、これをぜひひとつ労使間におきまして十分に徹底をしてやっていただきたい、こういう対応をしているところでございます。  しかしながら、さらにもう一段踏み込んで、最近のこの急激なさらに加速された状況を見ますると、今後もう一度この問題につきましては早急な取り組みが必要かな、そういうふうな新たな決意もまたしているところでございます。
  121. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これからの増大する海外進出企業、ドーナツ現象とかいろいろなことが言われているわけですから、私たちはこの雇用対策という問題には政府としては特別に対策を講ずる必要があろうと思いますし、労働省として啓蒙とかいろいろな形でこれらの対策をもっとする必要があろうと思いますので、この辺についての考え方を、今若干触れられましたけれども、重ねてお伺いしたいと思います。
  122. 岡部晃三

    岡部政府委員 この問題につきましては、基本的に将来動向をさらにまた分析をして研究を続けたいと考えております。さらにまた雇用問題政策会議におきまして、さらなる御議論をいただくということも一つであろうかと思います。  とりあえず、今回御提案申し上げておる法律との関係で申しますれば、そのようなことで、海外進出で空洞化した結果、そこに関連する下請企業などが困難な状況に立ち至る、そこで大量の離職者が出るというふうな事態を予想いたしまして、特例事業所というような指定方式も含めて考えておるところでございます。このような制度につきましても、ひとつ積極的な活用を図ってまいりたいと考えております。
  123. 田中慶秋

    田中(慶)委員 次に、駐留軍従業員の雇用の問題ですが、昨年沖縄米海兵隊のクラブ従業員の大量解雇問題が見られたわけであります。これは最近の円高・ドル安を背景にして一層不安定な雇用状態に置かれているのが現状だと思います。一方、従業員の高齢化に伴って離職後の再就職は一層困難になっている状況であろうと思います。したがって、離職者を出さないように駐留軍の従業員の雇用確保を図ることがまず何よりも重要な課題だろうと私どもは考えております。この雇用の見通しを事前に把握しながら、仮に人員整理等を余儀なくされた場合においても、離職対策あるいはまた離職者を最小限に食いとめるよう努力はされていらっしゃると思いますけれども、これらの問題についてどのように努力をされているのか、お伺いしたいと思います。
  124. 山崎博司

    ○山崎政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、駐留軍従業員の使用者が米軍でありますために、潜在的に雇用が不安定だということに加えまして、昨今の円高雇用の安定に陰に陽に影響を及ぼしているということは否定できないことだと思います。  と同時に、先生おっしゃいましたように、そういった臨措法の適用が起こらないように、要するに、その前に人員整理を出さないようにするということはまさに御指摘のとおりでございます。現にこの問題について言いますと、労働基準法の上では三十日前の予告になってございますが、私ども、このようなことがある場合には、少なくとも九十日前には通知をいただきまして、実際の発効日までるる交渉を重ねて、その間には、例えば希望退職者を募るとかあるいは米軍部内での配置転換を図るとかということで極力圧縮するという努力を進めておるところでございます。
  125. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、駐留軍従業員の皆さんは、雇用主が日本ではなく米軍ということで、そういう点では大変不安感があろうかと思います。私も何回か経験があるわけですけれども、解雇通告というのは非常に時間がなさ過ぎますね。こういう点では、今の時代ですから、三カ月というようなことではなくて、やはりもっと事前に、少なくとも一年、それぞれの計画をされるように、お互いにコミュニケーションができていれば、そのぐらいの全体的な計画は年度の予算の中でできるわけですから、今後そういう問題を含めて努力していただきたい、これは要望しておきます。  そこで、実は漁業離職者の問題も今回の一つの法案でありますが、我が国の漁業を取り巻く状況は、国際的に二百海里体制の定着に伴い、沿岸国の二百海里水域内における漁業資源はそれぞれの国の漁業振興に役立てるため、漁獲割り当て高を削減する等もう既に漁業規制が一層強化をされております。このような厳しい中で、漁業離職者の発生が見込まれる、あるいは今回の漁業離職者臨時措置法ですか、この問題についても積極的な運用をして、漁業離職者に対する雇用の安定に最大限の努力を払うべきであろう、こんなふうに考えております。  今回の延長に当たっては、労働大臣は新たなる決意を持って臨まれていらっしゃると思いますけれども、この辺はいかがでしょう。
  126. 中村太郎

    中村国務大臣 お説のように、アメリカ、ソ連二百海里水域内での漁業割り当てが削減をされまして、これからも漁業規制は厳しいときを迎えるのではないかということを私ども懸念をいたしておるわけでございます。それだけにまた漁業離職者が多発するのではないかと憂慮もいたしておるわけでございます。私どもとしましては、この法の延長を機会に、いよいよ思いを新たにいたしまして、関係当局、水産庁等とも十分に協議をいたしまして、漁業離職者雇用の安定、生活の安定にこれからも最大限の努力を遂げる所存でございます。
  127. 田中慶秋

    田中(慶)委員 我が国はどちらかというと魚を余計食べる民族性があるわけであります。しかし、漁業その他の問題、栽培漁業とかあらゆる問題で、近代化されてみたりあるいは二百海里の問題があってみたり、いろいろなことで現実には漁業離職者が非常に多くなられている、それはやはり食べられないからだということも聞いておりますが、こういう問題を含めてきめの細かい形の政策が望まれていると思いますので、こういうこともぜひ配慮して、全体的な環境の中でこのことを含めてせっかくの法律の精神が生かされるように努力していただきたい、要望しておきます。  さて、ちょうど今労働界は賃金改定時期でございます。昨年秋連合が発足し、そしてことしの賃上げ闘争は、四月の集中回答が現実に出て、もう既に一つの山を越えたように思われているわけであります。ところが三月二十九日労働省が発表された六十二年度賃金構造基本統計調査によれば、六十二年度の男子製造業労働者の月額平均賃金、対前年度の伸び率はわずか一・八%であるわけであります。現在のこれらの状況を踏まえて、少なくとも過去におけるベースアップあるいはまた伸び率を考えたときに最低だと言われてまいりました。今回は景気等の問題も拡大し、昨年よりも一%強の回答、有額回答が出ておるわけであります。しかし、私たちはかねてからベースアップも日本の経済を支える大きな柱である、そして内需拡大、今貿易摩擦で悩んでおりますから、内需拡大を誘導する経済政策の転換を重要視して、この経済成長の成果配分を賃金の中に入れるべきだ、こんなふうに思っております。ところが最近の分配率はずっと下がっているわけでありまして、これらに対して労働大臣どのように認識されておられるのか、この辺についてお考えをお伺いしたいと思います。
  128. 白井晋太郎

    ○白井(晋)政府委員 お答えいたします。  今先生指摘のように、勤労者の福祉の向上、生活の質の向上のみならず、我が国が現在内外から要請されております内需主導による持続的な均衡のとれた経済成長の達成のためにも、経済成長の成果が賃金等に適切に配分されることが重要であると我々も認識いたしております。  先ほど指摘ございましたように、七日、八日を山場としまして、各産別企業におきまして回答がなされてきているわけでございますが、現在金属労協傘下組合、全電通、私鉄大手を初め多くの組合の回答を見ますと、まず鉄鋼、造船等では昨年ゼロであったものが、ベアの回答が回復されておりますし、全体ではおおむね今おっしゃいましたように、〇・八から一・〇ポイント昨年に比べて高い査定、回答が行われております。今後、これから交渉が行われ、あるいは大詰めに向かっている産業企業も多く残っておりますので、全体の賃金水準が具体的にどういう見通しになるかということはまだはっきりしない段階でございますが、先ほども申し上げましたとおり、それぞれの産業企業におきまして、労使の真摯な話し合いの上で経済成長の成果が適切に賃金等に配分されるように期待しているところでございます。
  129. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、経団連の皆さんも、賃金は円高によって世界一高くなったのだから、こんな発言が随所に見られるわけであります。そのことは賃金抑制につながる傾向が出ていようかと私は思います。どうかそういう点で、全般的に労働分配率は下がっていることは事実でありますから、機会あるごとに皆さんも日経連初め経営者団体の皆さん方に、これからの産業構造転換を支えるのも、賃金がそれだけ購買力を増すことになるわけでありますから、四千五百万の勤労所得者の皆さんが少しでも豊かになることによって、日本のこれからの経済基盤も内需拡大に大きく転換されるわけでありますので、こういう点も含めてそれぞれの皆さん方の立場で、こういう問題について関係各省、指導できるようなところについてはそういう話をしてやっていただきたい、これは要望しておきます。  時間がありませんので、最後に防衛庁に思いやり予算の関連、基地対策問題でお伺いをしたいと思います。  基地周辺の環境整備にかかわる経費、すなわち道路あるいは街路灯、こういう点の整備。大変難しい要素はあるにしても、例えばそこに幹線道路が通っているならば、歩道をつけたり街路灯をつけて安全に走行できるようなことをすべきであろう、こんなふうに思うのです。ところがそういう問題になってきますと、それは基地の問題、基地の周辺だからとかいろいろな形で、あるわけです。  私が住んでいる横浜市の戸塚区と泉区の境にあります深谷通信隊、そこの道路は県道に認定をされております。基地の真ん中を通っておりますけれども、県道に認定をされております。しかし、そこでは車歩道の区別が何もない。長年要望しております。街路灯もない。真っ暗なところがあります。交通事故による死亡者も今日までもう既に四人ほど出ております。そればかりではありません。十数年前に高校生の年末のアルバイトで誘拐といいますか殺された事件もあるわけです。また逆に死体がいまだに見つからない、そこでおりたということはわかりますけれども、行方不明の事件もあるわけです。今私が申し上げたようなことは、安全対策、基地周辺対策として横浜市からの要望もある、地元からも要望がある。もっと具体的にこういう問題について実施すべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  130. 山崎博司

    ○山崎政府委員 ただいまの御質問については、突然のお尋ねでございまして、担当部長がこの席に参っておりませんので、後日改めて御答弁の機会をいただくか、あるいは……
  131. 田中慶秋

    田中(慶)委員 冗談じゃない。通告していますでしょう、これははっきりと。思いやり予算の関連で基地対策費、基地周辺の環境整備についてなお拡充を図るべきであり、問題について具体的にきょう質問をします、防衛施設庁にちゃんと通告してありますよ。
  132. 山崎博司

    ○山崎政府委員 その点私は承知しておりませんでしたので、事情を調べたいと思います。
  133. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたけれども、通告をしたものが今のような形で言われることは不見識ですよ。まして今申し上げたような具体的な例示をして、歩道であるとか街路灯であるとかという安全対策、犠牲者も出ているところなのだから、通告があるとかないということじゃなく、こういう問題をちゃんと明確に指摘をした以上、調べて云々というよりは、基本的な考え方を示されてしかるべきじゃないですか。
  134. 山崎博司

    ○山崎政府委員 ただいまの質問については担当の部長から御答弁申し上げるのが適当と思いますので、私から何分の御返答は差し控えたいと思いす。
  135. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、時間が参りました。今担当の部長、後日説明をするということでありますが、委員会の説明と個人的に説明を聞いても全然違うわけであります。ここの回答というものはあくまでも公式でありますから、その辺をちゃんと委員長の采配で、それぞれの回答、よき回答を期待しております。  以上で終わります。
  136. 畑英次郎

    ○畑委員長代理 児玉健次
  137. 児玉健次

    児玉委員 特定不況業種に関連した法案について、私から質問いたします。時間が非常に制約されておりますから、私は手短に聞きますので、ぜひ簡潔にお答えいただきたいと思います。  今回の改正案下請企業も法といいますか、この制度対象となる。そこで改正案で言う雇用維持等に関する計画。従来は、第一のケースとして百人以上の離職者または出向者を出す規模の縮小、第二のケースとして一カ月以内に三十人以上の離職者を生ずる規模の縮小、この場合事業主が再就職援助等計画を作成する、こういうふうになっておりましたが、今度下請企業対象にするということになると、こういった規模では実情に合わないと思うのですが、この点について労働省検討の必要があると思うので、お答えいただきたいと思います。
  138. 廣見和夫

    ○廣見説明員 雇用維持等計画を出していただく義務の範囲の問題でございますが、確かに現在のところは再就職援助等計画ということで、今先生からお話のございましたような範囲の離職を発生させる場合に計画を義務的につくっていただくということになっております。これにつきましては、新しい法改正のもとで対象義務の範囲を拡大すべきではないかという観点から私どもとすれば検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  139. 児玉健次

    児玉委員 その検討実情に合ったように進めていただきたいということを重ねて述べておきます。  二つ目の問題ですが、兵庫県の相生市の石川島播磨重工業、ここでかなり大規模な合理化が行われて、既に一年以上経過しました。この間の雇用の維持、それがどうなっているのか少し調べてみましたら、下請関連企業労働者に限定して私は申しますが、下請関係労働者の中で求職を申し込んだ方々が三百二十一名です。この中で昨年十月までの再就職はわずか四十二名、求職を申し込んだ方々の一三%にとどまります。この事例からしても、大企業の合理化によって下請企業が規模縮小を余儀なくされる、下請企業だけでは下請関連労働者の再就職を見つける力がない、そういうケースが非常に多いわけですが、この際、大企業下請関係労働者雇用維持について大企業の責任を明らかにしていく、このことが今必要になっていると思うのですが、お答えをいただきたいと思います。
  140. 岡部晃三

    岡部政府委員 お尋ね下請企業において離職者が出る、それは大企業の事業の関連が多いから、例えば本法の適用においても、雇用維持等計画は大企業の責務でつくらせてはどうかというような趣旨であろうと拝察するわけでございます。  しかしながら、雇用維持等計画というのは、企業主が自分のところの労働者について責任を持ち、それについて雇用の維持継続その他を考えていくということでございますので、やはりそれぞれの雇用契約に立ちまする企業主がこの雇用維持等計画を作成することが一番妥当であるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、この雇用維持等計画の作成等につきましては、もとよりこれは親企業などがその作成について親切に相談を受けるということは望ましいことであると考えておりますが、やはり作成義務そのものは、個々の企業主、下請企業主であるのが妥当であろうかと存ずる次第でございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 児玉健次

    児玉委員 ただいまのお答えなんですが、大企業がある規模の縮小をする、そのこととの関連で下請関連企業が余儀なく規模の縮小をせざるを得ない。私は雇用維持等に関する計画をだれがつくるかということを聞いているんじゃないのですよ。大企業の規模縮小によって関連下請企業労働者がその職場から追い出された、追い出された下請労働者の再就職、雇用の維持については、今局長もおっしゃったけれども、親企業に重要な責任があるので、そこを明らかにしていくように一歩を進めるべきではないのかということをお聞かせいただきたいのです。計画をだれがつくるかという問題ではありません。
  142. 岡部晃三

    岡部政府委員 そのある業種不況に見舞われ、全体が不況になっていったというふうな場合におきまして、これはおっしゃるようなケース、親企業生産規模を縮小し、それに伴って下請企業もその中での仕事がなくなる、こういう状態であろうかと思うのでございます。この法律そのものも実はそういう場合に備える一つの手だてでございまして、その場合におきましては、親企業においても解雇を余儀なくされる、下請企業においても離職というものの発生を余儀なくされる。それぞれの企業主がそれぞれの立場でこの関連労働者雇用維持に全力を尽くしてもらう、こういう精神でこの法律をつくっている、こういうことでございます。
  143. 児玉健次

    児玉委員 時間の関係もありますから、労働大臣、ここはよくお踏まえいただきたいのですが、下請企業が規模を縮小することによって大企業がその波及効果で規模縮小を余儀なくされる、甚だしい場合は企業が閉鎖する、こういう場合は今日の日本の経済状況ではないのです。大企業、親企業が縮小したとき、もうほとんど直線的に下請企業にその累が及ぶのですから、だから今度の法も私たちは一歩前進だと見ています、下請企業を法の対象に加えたという意味では。しかし、親企業の規模縮小によって生み出された下請関連企業労働者雇用については、親企業も一歩踏み込んだ責任を負うべきだ、こう思っているので、この点については大臣のお考えを一言お聞きしたいと思います。
  144. 岡部晃三

    岡部政府委員 先ほどお答え申し上げた次第でございまするが、そのような極めて不幸な状況に立ち至った企業におきまして、第一次的な責務は、これはやはり企業主そのものが全力を尽くしてこれに対処しなければならない。これは大企業におきましても中小企業におきましても、その立場は同じであろうかと思うのでございます。
  145. 児玉健次

    児玉委員 では、今の問題の重要性は強く指摘しておいて、次の問題に移ります。出向の問題です。  鉄鋼高炉六社について昭和五十八年から昭和六十一年までの間に、私たちが調査したところによれば、出向した労働者が六万六千百三十人に及んでいます。最近、会社が行ってきたある業務をそっくりそのまま別会社にして、これまでと同じ場所で、同じ労働者、同じスタッフが働く、制服も変わらない、こういうケースが随分あります。鉄鋼大手では一カ月に一社ぐらい別会社ができる、こう言われるぐらいです。  今述べたようなケースの出向については、今度改正されるこの法案でどのように扱われることになるのか、この点をお尋ねします。
  146. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答え申し上げます。  事業主が再就職あるいは雇用の維持努力の一環といたしまして出向をさせるといった場合に、助成金の対象とするというのが原則的な考え方でございます。したがいまして、個別的に要件は見ていかなければならないわけでございますが、大きな企業が仮に子会社をつくって、そこに出向させるということが生じた場合、それが先ほどからお話も出ておりますような雇用維持等計画の中に位置づけられたものでございます場合は、原則的には助成対象として考え得るのではなかろうか、このように考えております。
  147. 児玉健次

    児玉委員 それとの関連で一つ具体的な事例についてお尋ねしたいと思います。  先日、私は岩手県の釜石市に新日鉄の釜石製鉄所の高炉の休止計画の関連で行ってまいりました。新日鉄の関連企業に太平工業という企業があります。御存じのように、高炉による製鉄業が特定不況業種指定されたのは昨年の七月一日です。その前の日、昨年の六月三十日に、新日鉄と深い関連のある太平工業において八十一名の労働者が自己都合または下請の一つである太陸産業という企業への転籍という理由で退職をしております。高炉による製鉄業が不況業種指定された七月一日以降であれば、企業の事業縮小、操業短縮等による退職について職業転換給付金制度等、現行法の適用対象になると思うのですが、この点はどうでしょうか。イエスかノーかでお答えいただきたい。
  148. 廣見和夫

    ○廣見説明員 確かに先生指摘のとおり、太平工業釜石支店におきましては、昨年の六月三十日付で八十数名の退職があったというふうに私ども承知いたしております。それで七月一日から高炉による製鉄業の指定があったわけでございます。ただ、こういったような離職に至るまでの実際上の手続は、その前から生じておったかと存じますし、六月三十日付でなったということも、日付とすればそういう状況になっていたということでございます。このため、これらの者につきましては、特定不況業種法に基づく援助措置対象ということにはならなかったということで措置されておるわけでございます。
  149. 児玉健次

    児玉委員 実際に何人かの労働者から私は直接に訴えられたのですが、それは新日鉄の高炉はもう少しで休止になる、そうなったらこの下請も必要なくなるから、六月三十日、自己都合ということで君がやめるのなら退職金の若干の上積みをする、そう言って五十歳前後の人たちを多数退職誘導または強要する事態を私は現実に見てきたのです。そこでなぜそんなことになるのか、どうしてもこれは私は納得がいかない。労働者の不利益な状態は放置できないと思いますので、労働省として今私が取り上げた件について調査して報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
  150. 岡部晃三

    岡部政府委員 本件、自己都合退職というふうに私ども聞いているわけでございますが、地元の関係機関を通じまして、事業主あるいは離職者からさらに詳しい事情を聞くことにいたしたいと思います。
  151. 児玉健次

    児玉委員 じゃ時間ですから、最後に今度の改正案、これは国の貴重な予算の中から雇用維持、失業防止のための助成金を出していく。そうである以上、雇用の維持、失業予防という点で、実際上の効果がどうしても必要だと考えるのです。そういった観点からすれば、この制度の適用を受ける以上、企業は規模の縮小や解雇について何らかの社会的規制、さらに一歩進んで法的な規制を受けるように進める必要があると思うのですが、この点については、最後に大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  152. 岡部晃三

    岡部政府委員 解雇制限法というふうな立法が必要ではないか、突き詰めればそういうお尋ねであろうかと思うのでございます。しかしながら、従来から御答弁申し上げておりますのは、解雇というのは、本来、具体的な事情に応じまして労使当事者の話し合いにゆだねることが適当な問題であるということで、一般的にこれを規制するような立法は適当ではないというお答えを申し上げてきているところでございます。したがいまして、このような雇用調整が多くなった昨今ではございますが、この事態につきましても、やはり十分に労使間でお話し合いをなさいまして、納得のいく解決が行われるように期待を申し上げている次第でございます。
  153. 児玉健次

    児玉委員 雇用の維持とか失業予防と言う以上、私が先ほど述べたような解雇の規制まで進まなければ、これは実効が上がらない。再度強調して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  154. 稲垣実男

  155. 中路雅弘

    中路委員 時間が限られていますので、私は駐留軍の離職臨時措置法の関連でお聞きをしたいと思います。  駐留軍関係の従業員が不安定な雇用状態に置かれて、また今後も引き続き離職者の発生が見込まれる、また駐留軍関係離職者には中高年齢者が多いわけですから、再就職の機会も大変困難であるということを考えますと、今回の五年間の延長は当然のことだと思うのですが、この臨時措置法に基づく援護措置の一つであります就職促進手当の問題についてだけ私はお聞きしたいと思います。  アメリカ海軍の横須賀基地に長年にわたって働いてこられた駐留軍離職者の方々から、多くの署名を添えて訴えをいただいているわけですが、その主なものは、六カ月間が一番多いのですけれども、一律に支給カットがされている問題です。私も地元の職安に参りまして、この事情をお聞きしましたけれども、このカットの根拠として、昭和六十二年一月十九日付で出されています職業安定局の業務指導課長名で各都道府県の労働主管部長にあてた通知が挙げられています。御存じのように、この末尾に、特に二年六ケ月以内の期間において再就職及び自立のための指導を積極的に行われたい、とあるわけです。法は受給期間が最長三年あるわけですけれども、これは制度を変えたのではなくて、二年六カ月での協力をお願いしたいという趣旨の通達だと思いますが、通達の趣旨はそういうことであるのか。またこうした通達を出された理由について一言お聞きをしたい。
  156. 小倉修一郎

    ○小倉説明員 お答えいたします。  駐留軍関係離職者につきましては、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づきまして、三年を限度として就職促進手当の支給を初め各種の援護措置を講じながら再就職の促進を図っているところでございます。しかしながら、先生も御指摘ございましたけれども、駐留軍関係離職者の高齢化等に伴いまして、自立あるいは就職する方々の割合が低下するという傾向が見られておりますところから、駐留軍関係離職者に対しまして積極的な求人開拓、就職指導の強化等の措置を講じますとともに、就職指導票の失効日の一年前におきまして、おそくとも離職後二年六カ月までにおける就職あるいは自立を目標とした就職活動計画というものを個別的に提出を求めまして、これに基づいて綿密な就職指導を進めているところでございます。それは先ほど指摘のございました業務指導課長内簡におきます、遅くとも二年六カ月を経過するまでの間における再就職または自立について指導を徹底するようお願いするということで、今申し上げましたように、この就職促進手当といいますのは、あくまで就職を促進するための手当でございます。したがいまして、この手当をもらっている人はより積極的に就職活動もしなければならぬ、安定所もより綿密な相談をし、一日も早く再就職をしていただかなければならぬ、そういう意味で、離職後三年間丸々手当をもらってしまうという形ではなくて、雇用保険の失業給付が切れる時期にできれば就職をお願いしたい、そしてできれば離職後二年以内にお願いしたい、二年たってもまだできない人は二年六カ月くらいで個別的に自立の計画、就職の計画を立てていただきたい、こういう趣旨でこの業務指導課長名の文書も出した次第でございます。
  157. 中路雅弘

    中路委員 もともと就職促進手当ですから、今おっしゃった趣旨でやられているわけですね。本人もまた職安もそういう形で努力をされているのですけれども、私が今お聞きしていますのは、そういう意味で行政指導を徹底してほしいという趣旨のものだと思うのですね、法は三年ということが制度ですから。しかし、実際に下部へ参りますと、二年半でこの手当が事実上カットされるといいますか、就職指導票が、グリーン手帳が取り上げられる。これは横須賀の駐留軍関係離職者三十名から直接どういう経過でこの手帳が取り上げられたかという報告を私いただいているのですが、共通しているのは、お金が出ないから、このグリーン手帳を持っていてもどうしようもない、手帳を預からせてくれ、手帳を渡さないという形で、二年六カ月たつと手帳が事実上全部取り上げられる、そしてカットされるという状態が起きているわけです。法に定められている支給カットの対象というのは、受給資格に欠ける者、認定の取り消しの条文があると思うのですけれども、こういう人たちが支給されない。不支給の処分の決定をしたのなら、その理由、根拠ははっきりしなくてはならないと思うのです。紹介された職業を正当な理由なく断ったとかあるいは所長の指示に従わないとか、そういうことがあったのかと私はいろいろ聞きましたけれども、全くそうじゃないのですね。高齢者であって、紹介されたところへ行ってもそれはなかなか決まらない。正当に就職指導も受けているというわけですが、再就職するまで、こうした就職指導を正当に受けている人たちには、法からいえば当然手当の受給権があると思いますが、これはいかがですか。
  158. 小倉修一郎

    ○小倉説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、離職後二年たった方々には個別に少なくとも二年六カ月以内に就職あるいは自立するような計画を出していただきまして、そして綿密な就職指導を行ったわけでございまして、この指導の結果、相当数の離職者の方々が再就職あるいは自立をされていると私ども伺っているわけでございます。したがいまして、そういう形で就職促進手当とはどういうものかということを十分よく理解していただいて、そして御本人が再就職あるいは自分で目立するということで職業安定所の方へグリーン手帳をお預けになったというふうに私どもは伺っているわけでございまして、そういった方々につきましては、それ以後就職指導を受けておられないわけでございますので、当然これは就職促進手当の支給は受けておられないということになるわけでございます。
  159. 中路雅弘

    中路委員 例えば、私持っていますけれども、職安がつくった就職指導日程表、これは就職指導日も全部書いてあるわけです、いつ来なさいと。それを全部斜線を引いて、あとの六カ月は削るのです。これはちょっと遠くで見えないかもしれませんけれども、一例ですが、全部職安が斜線を引いて切って――本人が出ないのじゃないですよ。手帳を取り上げて返さないで、そしてみずから書いた指導日も、あとの分は全部斜線を引いて削ってしまっているものですから行けないのは当然じゃないですか。本人がもうあと来ないからカットしたのだ、そうじゃないのです。だから、私の聞いているのは、当然の正当なあれで就職指導をこうして受けている場合に、法の趣旨からいって受給権はあるだろうということを言っているのです。
  160. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 業務指導課長からお答え申し上げておりますように、就職促進手当の本旨にのっとりまして、一日も早く就職していただく、そういう観点から離職後二年六カ月までにおける就職自立を目標に個人個人に再就職活動計画をつくっていただきまして、その提出を受け、それに基づいて綿密な就職指導を行っているということでございます。したがいまして、本人の提出されました計画に基づきまして、御本人の納得のいくような十分な指導をし、そのような措置をとっているということでございます。
  161. 中路雅弘

    中路委員 そうなっていないから私は質問しているわけですよ。法の十条の二に「離職の日の翌日から起算して三年を経過したときは、その効力を失う。」とありますね。法にそう書いてあるわけです。「三年を経過したときは、その効力を失う。」それまでは当然効力があるわけですね。特別みずから返上したとか取り消し処分を受けたとか、そうでない場合は当然その効力を持っているわけですね。受給権はあるわけですね。再度このことをお聞きしたい。
  162. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 ただいま先生指摘のように、駐留軍関係離職者等臨時措置法の十条の二の第四項に、駐留軍離職者としての認定は、離職の日の翌日から起算して三年を経過したときに失効する旨の規定がございます。したがいまして、その間必要な就職指導をしてまいるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、この手当の本旨にのっとりまして、早期の再就職を進めていく、そのために求職者本人、また安定所も十分な努力を重ねていくということでございます。そういう観点から、この手当の支給は、別な条文にございますが、就職指導を受けたその日数に応じて支給することに相なっておるわけでございますからして、自立就職、そうしたことによりあるいは納得して指導票を預けられた以降につきましては手当は支給されないということになっております。
  163. 中路雅弘

    中路委員 時間ですから、いろいろ実例を挙げるのはできないわけですけれども、今おっしゃったように納得してやっていないのです。そういう実情だから私はあえて質問しているわけなんで、時間も来ていますから、私が取り上げました、少なくともこの横須賀の関係の離職者の今の実態について、事実はどうかということについて改めて調査をしていただいて、皆さんがきょう答弁されていることと違う実態であれば、それは是正していただきたい、最後にこれをお願いしたい。いかがですか。
  164. 岡部晃三

    岡部政府委員 ただいまのところ、私といたしましては、課長あるいは審議官から御答弁申し上げたことに尽きるわけでございますが、お尋ねでございますので、状況をさらに調べてみたいと存じます。
  165. 中路雅弘

    中路委員 実情調査するというお話ですから、これで質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  166. 稲垣実男

    稲垣委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  167. 稲垣実男

    稲垣委員長 これより両案を討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 稲垣実男

    稲垣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  169. 稲垣実男

    稲垣委員長 この際、本案に対し、高橋辰夫君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨の説明を求めます。池端清一君。
  170. 池端清一

    池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 本法の趣旨が最大限に生かされるよう、特定不況業種等の指定に当たっては、業種実情に即応して機動的に行うこと。  二 特定不況業種関連下請中小企業については、関係労働者雇用の安定を図る見地から、本法に基づく援護措置が適切に活用されるよう広報、相談、指導等につき、特段の努力をすること。  三 失業予防のための新たな助成及び援助については、これらの施策の円滑かつ効果的な活用に努めること。  四 公共職業訓練施設の充実強化、民間各種職業訓練施設の活用等に努めるとともに、事業主に対する委託訓練の積極的活用を図る等実情に即応した職業訓練体制の充実強化を図ること。  五 中高年齢者の再就職が極めて困難である実情にかんがみ、雇用延長、能力再開発等特段の配慮措置を講ずること。  六 円高の定着、企業海外進出の増加等今後も引き続き予想される内外の経済事情の著しい変化に対処し、雇用の維持、拡大を図るため、新たな雇用対策基本計画策定を進める等、総合的な雇用対策の展開に努めること。  七 本法の実効ある運営を確保するため、行政の実施体制を充実強化すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  171. 稲垣実男

    稲垣委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  高橋辰夫君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 稲垣実男

    稲垣委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中村労働大臣
  173. 中村太郎

    中村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしまして、その御趣旨を尊重いたし努力する所存でございます。     ─────────────
  174. 稲垣実男

    稲垣委員長 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 稲垣実男

    稲垣委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 稲垣実男

    稲垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  177. 稲垣実男

    稲垣委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の内閣提出国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 稲垣実男

    稲垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会は明十三日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十五分散会