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1988-03-24 第112回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 森下 元晴君    理事 石渡 照久君 理事 木村 守男君    理事 笹山 登生君 理事 野呂 昭彦君    理事 若林 正俊君 理事 井上  泉君    理事 橋本 文彦君       井出 正一君    石破  茂君       内海 英男君    大石 千八君       大島 理森君    加藤 卓二君       佐藤 敬夫君    斉藤斗志二君       桜井  新君    田邉 國男君       武部  勤君    虎島 和夫君       宮崎 茂一君    村井  仁君       持永 和見君    粟山  明君       川崎 寛治君    串原 義直君       沢藤礼次郎君    城地 豊司君       野坂 浩賢君    山下八洲夫君       森本 晃司君    塚田 延充君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 奥野 誠亮君  出席政府委員         国土庁大都市圏         整備局長    北村廣太郎君         国土庁地方振興         局長      森  繁一君         国土庁防災局長 三木 克彦君         農林水産大臣官         房審議官    伊藤 礼史君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      藤田不二男君         科学技術庁研究         開発局企画課防         災科学技術推進         調整官     高木 譲一君         外務省国際連合         局経済課長   野坂 康夫君         文部省高等教育         局学生課長   平川 忠男君         厚生省社会局施         設課長     矢野 朝水君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     遠藤 紀寛君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         運輸省港湾局防         災課長     桜井 正憲君         運輸省航空局管         制保安部長   井上 春夫君         気象庁地震火山         部地震津波監視         課長      窪田  將君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         建設大臣官房技         術調査室長   豊田 高司君         建設省河川局河         川計画課長   角田 直行君         建設省河川局治         水課長     齋藤 尚久君         建設省河川局防         災課長     苗村 滋克君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      岸田  弘君         自治大臣官房参         事官      海老 忠彦君         消防庁防災課長 仁科 英麿君         消防庁救急救助         課長      蓼沼 朗寿君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     塚田 延充君 同日  辞任         補欠選任   塚田 延充君     川端 達夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  昭和六十三年度における災害対策施策等について説明聴取  災害対策に関する件      ────◇─────
  2. 森下元晴

    森下委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和六十三年度における災害対策施策について国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。奥野国土庁長官
  3. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 災害対策に関する私の所信を申し上げます。  我が国は、その自然的条件から、地震台風豪雨豪雪火山噴火などによる災害を受けやすく、また、社会経済環境の変化に伴い災害の態様も複雑、多様化してきております。  このような災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政基本であり、二十一世紀への国土づくりの指針として昨年策定された第四次全国総合開発計画においても、「安全で質の高い国土環境整備」を基本的課題一つとしております。政府といたしましては、従来にも増して防災基本計画に基づき、防災に関する科学技術研究推進災害予防強化国土保全推進、迅速・適切な災害応急対策及び災害復旧の実施などに重点を置いて災害対策推進に努めてまいる所存であります。  昨年は、災害による被害が少ない年でありましたものの、梅雨前線台風第五号、十二号、十九号、千葉県東方沖地震などの災害が発生いたしました。  政府といたしましては、これらの災害に対処するため、関係省庁連絡会議の開催などを通じ、迅速かつ適切な災害応急対策等に努めてきたところでありますが、今後とも、これら災害に係る復旧事業等促進を図ってまいります。  震災対策につきましては、発生が懸念されている東海地震に対処するため、大規模地震対策特別措置法の的確な運用に努めるとともに、引き続き地震対策緊急整備事業促進を図ってまいる所存であります。また、大都市震災対策につきましては、避難地避難路の確保など都市防災性強化に努めることとし、特に、南関東地域等を対象とした広域的な震災応急対策活動体制整備推進していくことといたしております。さらに、立川広域防災基地整備を進めるほか、地域防災拠点となる防災基地整備促進することとしております。  次に、火山対策につきましては、全国活動的な火山に係る防災体制整備促進するほか、特に桜島について降灰対策土石流対策を、伊豆大島について観測監視体制充実避難施設整備等推進してまいります。  近年多大の被害をもたらしている土砂災害につきましては、治山砂防施設整備警戒避難体制整備など総合的な対策推進していくこととしております。  また、災害時における応急対策を迅速かつ円滑に実施するため、引き続き、防災無線網整備など防災情報収集伝達システム充実強化を図るとともに、地域の実情に即した防災訓練を実施してまいります。  さらに、防災情報ライブラリー開発防災マップ整備など、高度情報化社会への進展対応した総合的な防災対策推進を図るとともに、国民防災意識の高揚と防災知識の普及になお一層の努力を傾けてまいる所存であります。  最後に、さきの国連決議に基づき自然災害の軽減を目的として一九九〇年から始まる国際防災旬年に対しまして、我が国といたしまして積極的に取り組んでいくこととしております。  昭和六十三年度においては、これらの災害対策の総合的な推進を図るため、科学技術研究災害予防国土保全災害復旧などに要する経費、総額二兆八百四十七億円余を予算計上いたしております。  以上、災害対策に関する所信を申し述べましたが、今後とも各省庁の緊密な連携のもとに防災対策に万全を期してまいる所存でありますので、よろしくお願いいたします。
  4. 森下元晴

    森下委員長 引き続き、昭和六十三年度における防災関係予算概要につきまして、政府から説明を聴取いたします。三木防災局長
  5. 三木克彦

    三木政府委員 昭和六十三年度における防災関係予算概要につきまして、お手元にお配りいたしました資料に基づきまして御説明を申し上げます。  この資料は、一ページ目は総括表、二ページ目以降は各論になっております。  一ページ目をお開きいただきたいと思います。  関係省庁から提出されました防災関係予算国土庁においてまとめたものでございますが、下から二欄目合計欄につきまして、それぞれの項目をごらんいただきますと、まず、科学技術研究に関しましては三百七億七千四百万円で前年度に比べ〇・二%の増、災害予防に関しましては四千二百九十八億一千六百万円で六・五%の増、また、国土保全といたしましては一兆三千七百五十八億二千八百万円で一八・九%の増、次に、災害復旧でございますが、二千四百八十三億二千六百万円で一・〇%の減となっております。  これらを総計いたしますと、右端、下から二欄目でございますが、括弧書きのいわゆるNTT株活用資金Bタイプの無利子貸付金二千六百億一千三百万円を含めまして二兆八百四十七億四千四百万円で、対前年度比が一三・一%の増になっております。  次のページをお開きいただきたいと思います。  二ページ目は、科学技術研究でございます。  関係省庁におきます各種災害対策に関する科学技術研究費を計上いたしております。ここでは地震予知に関する経費も含まれており、コメ印がついておりますのが地震予知に関する経費でございます。  その主なものを申しますと、首都圏南部における地震活動に関する研究あるいは関東・東海地域における地殻活動に関する研究、こういった科学技術庁研究がございます。おめくりいただきまして三ページ目でございますが、コメ印がついておりますのが、文部省所管では国立大学における地震予知基礎的研究通商産業省地質調査所で行っております地震予知に関する地質学・地球化学的な研究海上保安庁海底地形地質構造の測量、さらにおめくりいただきますと、気象庁におきましては直下型地震予知実用化に関する総合的研究建設省におきましては測地的方法による地殻変動調査等をいたしております。こういった地震予知関係経費が一番下にまとめてございますが、これは後に説明申し上げます七ページに出てまいりますが、気象庁地震観測施設経費を合わせまして五十七億三百万円の予算が計上されております。  これらを含め、各種災害対策に関する関係省庁研究費として合計三百七億七千四百万円が計上されております。  次に、五ページ目をお開きいただきたいと存じますが、災害予防に関する経費でございます。  主なものを申しますと、科学技術庁におきます原子力に関する防災対策に必要な経費、次に国土庁でございますが、災害対策を総合的に推進するための経費中央防災無線網整備に関する経費、大規模地震対策の執行あるいは南関東地域震災応急対策調査、それから豪雪地帯対策推進経費、こういったものが計上されております。  また、文部省でございますが、主なものを申しますと、二番目の公立学校におきます建物の改築補強でございますが、これは東海地震地震防災対策強化地域におきます公立学校の校舎の改築に要する経費で、四十四億円余を計上いたしております。  次に、六ページに参りまして、厚生省関係では社会福祉施設施設整備等、これは老人福祉施設のスプリンクラーの設置等に要する経費でございます。  農林水産省関係では、活動火山周辺地域農林水産業防災施設整備応急復旧用材等としての木材の備蓄に関する経費、それから広域防災基地整備に関する経費等を計上いたしております。  通商産業省関係では、高圧ガス保安あるいは石炭鉱山保安に関する経費原子力発電所保安に関する経費等を計上いたしております。  七ページに参りまして、運輸省関係では、輸送関係施設防災対策に係る経費を計上いたしております。  海上保安庁におきましては、巡視船艇あるいはヘリコプター等を含む航空機、こういったものの整備に関する経費を計上いたしております。  また、気象庁でございますが、気象観測施設等整備あるいは先ほど地震予知に関する経費ということで申し上げましたコメ印のついております地震観測施設整備等に要する経費を計上いたしております。  労働省におきましては、労働災害防止に関する経費を計上いたしております。  八ページ目をお開きいただきます。  建設省におきましては各種経費を計上いたしておりますが、主なものを申し上げますと、道路防災に関する諸経費都市防災化推進、あるいは道路雪害防止対策雪崩対策等経費街路事業避難路整備等を計上いたしておりまして、合計三千五十三億円余となっております。  消防庁でございますが、主なものとしては、消防防災無線整備、さらに九ページに参りまして大震火災対策施設整備あるいは消防施設整備等がございます。  これら災害予防に関する経費として括弧書きNTTBタイプの無利子貸付金二百九十六億千三百万円を含めまして、合計四千二百九十八億千六百万円を計上いたしております。  次に、十ページに参りまして国土保全に関する経費でございます。  主なものを申しますと、農林水産省でございますが、治山事業海岸保全事業農地防災事業等国土保全事業に要する経費を計上いたしておりまして、二千八百五十九億円余となっております。  次に、建設省でございますが、河川事業ダム事業砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業等国土保全経費を計上いたしておりまして、一兆四百二十一億円余となっております。  その他各省庁経費を合わせまして、十一ページ目にございますが、国土保全として括弧書きNTTBタイプの無利子貸付金二千三百四億円を含めまして、合計一兆三千七百五十八億二千八百万円の経費を計上いたしております。  次に、十二ページに参りまして、災害復旧等経費でございます。  大蔵省のところで計上いたしておりますのは、地震保険に関する経費でございます。  次に、文部省でございますが、国公立の学校施設災害復旧に要する経費を計上しており、また厚生省におきましては、災害救助費災害弔慰金災害援護資金等に関する経費を計上いたしております。  また、農林水産省においては、治山施設等公共土木施設あるいは農地農業用施設、林道の災害復旧事業に要する経費並びに農林漁業関係災害補償及び保険等に関する経費を計上いたしております。  さらに、運輸省においては港湾関係建設省においては河川等公共土木施設災害復旧事業に要する経費等を計上いたしております。  これら災害復旧等につきましては、合計二千四百八十三億二千六百万円が計上されております。なお、括弧にございますように、自治省におきましては地方債計画災害復旧事業債として百四十三億円を計上いたしております。  以上、昭和六十三年度における防災関係予算概要につきまして簡単に説明をさせていただきました。
  6. 森下元晴

    森下委員長 以上で説明は終わりました。     ─────────────
  7. 森下元晴

    森下委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
  8. 若林正俊

    若林委員 自由民主党を代表し、ただいま行われました奥野長官所信表明について質問をいたします。  まず、基本的な問題についてお尋ねをいたします。  奥野長官がただいま所信表明の中で述べておられますように、日本列島に襲いかかる災害は、地震台風豪雨豪雪火山噴火などまことに多様であり、さながら災害列島とさえ呼ばれても過言ではありません。そのような日本列島に一億二千万人の国民が生活し、全世界の一割を占める巨大な生産活動が行われていますから、災害から国土を保全し、国民の生命と生活、生産活動を守るということは、まさしく国政基本でなければなりません。  私は、今から六年前まで国土庁の職員として災害対策仕事もさせていただきました。そのころの国土庁は、現在のように防災局がなく、官房部局災害関係省庁調整作業などをしていて大変苦労をいたしました。その後昭和五十九年七月から国土庁防災局が新設され、災害に備える国家の組織体制の確立が図られたのであります。このことは、行政改革の最中でありましたが、大変な英断であったと思います。  この防災局が新設された直後、五十九年九月に長野西部地震があり、その翌年六十年七月には私の地元長野市の善光寺裏地附山で大地すべり災害が発生いたしました。さらにその翌年六十一年には鹿児島県を中心とした豪雨災害、またその年の十一月には伊豆大島噴火災害が発生しました。これら大災害のほかにも、台風豪雪などの災害が数多く発生しましたが、関係省庁対応復旧事業等への取り組みは迅速かつ的確になされており、国土庁災害対策調整官庁としての役割が高く評価されております。私も関係者の一人として大変うれしく思っているのであります。  にもかかわらず、私はここで国土庁長官お願いをしておかなければならないと思います。それは国土庁活動がどうしても発生した災害への対応復旧作業などに重点が置かれるということになっていることであります。発足してなお日も浅いことでもあり、やむを得ない面がありますことは承知いたしているものの、防災に関する科学技術研究開発とか治山治水などの災害防止するための各省庁所管事業について国土庁はもっと指導性を発揮し、予算等についても総合的な調整をするようになってもらいたいと思いますが、奥野長官決意のほどをまずお伺いしておきたいと思います。
  9. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今おっしゃいましたように、我が国は本当に災害を受けやすい自然条件を持った国だと思います。地域地域によりましては忘れたころに災害が来るなどと言われておりますけれども、国全体を見ますと絶えず災害に見舞われておるわけでございますだけに、御指摘のとおり、災害を未然に防止するための体制にもっと積極的な力を注がなければならないじゃないかという意味で、国土庁を叱咤激励していただいたわけでございます。そのとおりだと思います。治山治水等国土保全事業もございましょうし、あるいはまた木造家屋が密集している災害に弱い都市構造をどう変えていくかという問題もあるわけでございます。それらの問題を考えながら、今後さらに努力を続けていきたい、こう思います。
  10. 若林正俊

    若林委員 大臣の方から強い決意のほどが述べられたわけであります。法律上は国土庁は大変大きな権限を持っており、また責任を背負っているわけであります。しかし、長い伝統の中で縦割り行政のもとにおけるお役所の仕事というのは、なかなか総合調整が難しいのであります。このような横での総合調整につきましては、大臣指導力が大変大きな役割を果たされる、大臣の力量にかかっている、このように思うわけでございます。奥野長官のなお一層の力の発揮をお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、治水対策について伺いたいと思います。  昭和六十二年は幸いにして自然災害による被害が比較的少なかったのであります。これは近年における治山治水など防災効果の大きい事業が順調に進んでいるということも大きな理由だと思いますけれども、実は雨が少なかったということに救われている面が多々あるように思います。治山治水の五カ年計画の進みぐあいなどを見ておりましても、とても安心できる状況にないのであります。  長野信濃川水系千曲川の例だけを見ましても、昭和五十七年九月の豪雨で樽川と千曲川合流点付近堤防が決壊をし、多大の被害を出しましたが、その翌年九月の台風ではすぐその近くの千曲川の本川が破堤をいたしまして、再び地元民に大きな被害をもたらしました。いずれも激特事業の適用を受けまして、順調に立派な復旧が進んでおりまして感謝いたしておりますけれども、千曲川の場合、このような危険のある堤防は数え切れないほどあるのでございまして、専門家大変心配をいたしております。また、いまだに堤防のない無堤地区が各地に残っております。  この千曲川直轄改修費について見ますと、昭和五十年代はわずか十四億円台にずっととどまっております。六十年代になりましてようやく十八億円台になったところであります。総体として治水事業費が伸びていない時代でありますから、当局の御努力はわかるわけでありますが、その御努力に敬意を表しつつも、これでは地元住民が一応の安心を得る水準までになるのになお相当の期間を要すると思われるのであります。これには何といっても第七次の治水事業計画事業をできるだけ前倒しに拡大し、各年の治水事業総枠を大きくしなければならないのでありますが、同時に、限られた予算の配分に当たりましては、危険の度合いの高い河川についてもっと傾斜をつけて改修事業促進を図るといったような運用も重要だと思います。このことについて基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  11. 齋藤尚久

    齋藤説明員 お答えいたします。  治山事業推進につきましては、そのときどきの要請を受けましてその推進に鋭意努力してきたところでございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、我が国河川整備の現況は全国的に見まして決して高いと言えるような状態ではございません。例えば流域開発進展等に立ちおくれておるような河川があったり、あるいは堤防がないところがあったりというような河川があるわけでございます。利根川あるいは千曲川というような大河川につきましても、その整備率を申し上げますと、当面の目標であります戦後最大洪水に対しても約六割というようなことでございます。したがいまして、まだまだ整備すべき箇所が多くあることは先生の御指摘のとおりでございます。  したがいまして、治水事業推進するためには、治水事業全体の予算をまず大きくしなければいけないということで我々も努力いたしたいと思います。と同時に、その予算の使い方でございますけれども、背後地重要性あるいは過去に災害を受けたかどうか、あるいは整備が立ちおくれているかどうかというようなところを重点にして治水事業を進めていきたいというふうに考えております。そのほか、災害現実に受けました川につきましては、例えば千曲川のように激特事業その他で改修費にさらに上積みして、その推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  12. 若林正俊

    若林委員 どうもありがとうございました。  そこで、なかなか安心できる水準にまでの改修を確保することが難しい現実の中にあって、政府として実行上大変難しく、またつらいことでありますけれども、そのような浸水あるいは破堤などの危険のある河川流域につきましては、その危険度河川情報などを住民にあらかじめよく知らせておくということは、人命などの被害を軽減することに役立ちますし、また防災についての地域の認識、協力が得られやすい、そういう体制整備もできるのじゃないかと思うのであります。そういう意味で、そういう危険度の高い地域についてできるだけ防災河川情報というものを公開、徹底しておくということについてどのような考えでありましょうか。
  13. 角田直行

    角田説明員 御説明いたします。  災害防止し、被害を軽減していくために、河川改修を初め国土保全施設整備推進を図ることが基本であるわけでございますが、同時に、先生からただいま御指摘がありましたように、地域の理解と協力を求め、洪水時の警戒避難体制整備をするなどのソフトな対策も極めて重要であると考えておるわけであります。  そこで、建設省といたしましては、一つ昭和五十六年から浸水実績図公表ということを行ってきておりまして、三百六河川になっておるのでありますが、さらにこの一年前、六十二年の三月から東京の隅田川の上流部でありますが、新河岸川で浸水予想区域公表ということに踏み切ったところであります。これに引き続きまして、ほかの河川でもただいま検討に入っておるという状況でございます。  それからもう一つ洪水時の河川情報を迅速また的確に関係水防管理団体等伝達をしたいということもありまして、六十年の十月から河川情報センターをつくりまして、ことしの六月から北陸、東北地区についても情報を流してまいりたい。さらに来年、北海道を考えておりまして、これによりまして全国的に全国網ができ上がるというふうな予定でございます。  よろしくお願いいたします。
  14. 若林正俊

    若林委員 地元のことで恐縮でございますけれども、今の河川情報センターにつきましては、千曲川水系についても早期の実現を要望いたしておくところであります。どうかよろしくお願いをいたします。  次に、土砂災害対策について伺います。  近年、災害による死亡者の数は減ってきておりますが、毎年どこかで地すべり、がけ崩れなど土砂災害によります犠牲者が出ています。五十七年の長崎豪雨、五十八年の島根豪雨に引き続きまして、五十九年の長野県王滝村における長野西部地震被害もほとんどが土石流によるものでありましたし、その翌年の六十年には、私の地元でありますが、長野市の善光寺裏地附山で大規模な地すべり災害がありまして、老人ホームが流され、つぶされて、多数のお年寄りが犠牲になられました。今でも大変申しわけない思いで胸が痛むのであります。このような事態を政府も真剣に受けとめられて、このたび土砂災害対策推進要綱を定められたということは、遅きに過ぎるとの批判もありましょうけれども、まことに結構な措置だと思います。  そこで、この要綱の基本的な考え方とこれからの対策の進め方について、国土庁に伺っておきたいと思います。
  15. 三木克彦

    三木政府委員 ただいま御指摘のように、土砂災害が頻発をいたしており、かつ土砂災害における人命被害が全体の人命被害の過半を占めておるという状況になっておるわけでございます。我が国は傾斜地が多くて、世界的に見ましても浸食が激しいという国土条件がございますが、土砂災害から人命、財産を守ることは、極めて重要な課題であるというふうに受けとめておるわけでございます。  土砂災害対策推進要綱は、このような状況に対処いたしまして関係省庁によります連絡会議における検討並びに学識経験者の検討を踏まえまして、今後取り組むべき基本的な方針を明らかにするとともに、あわせてハード、ソフトの各般にわたる施策政府挙げて総合的に実施していこうということで定めたものでございまして、三月十五日に中央防災会議で決定をいたしたものでございます。  土砂災害基本的な考え方といたしまして、基本的には土砂災害の発生メカニズムの研究開発調査を行うこと、砂防、治山等の国土保全事業により危険箇所をなくすこと、安全な土地利用を誘導すること、この三つが基本でございますが、応急対策といたしましては、住民等に対する危険箇所の周知、観測予報体制整備警戒避難体制整備、こういったことを積極的に推進する、また、災害発生時における迅速、的確なる応急措置、災害復旧対策を実施する、こういうことにあろうかと存じております。これらの基本的な考え方を積極的に推進するために、関係省庁及び関係機関におきまして、要綱に定めました趣旨にのっとりまして整備を進めて推進をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  16. 若林正俊

    若林委員 土砂災害対策は、関係する省庁も大変に広いわけであります。かつまた、その危険箇所も大変に多いということから、その実施に当たりまして、関係省庁を督励をし、その状況国土庁としてもよく把握をした上で積極的な取り組みを要望をしておきます。  そこで、建設省に伺いますけれども、傾斜地の大変に多い我が国土砂災害発生の危険箇所は極めて多いわけでありますが、急傾斜地崩壊対策事業等による整備がなかなか進んでいないのが実情であります。これらの整備状況と今後の見通しについて聞いておきたいと思います。
  17. 岸田弘

    ○岸田説明員 急傾斜地崩壊対策事業整備状況と今後の対応でございます。  先生指摘のとおり、現在我が国の最新の調査によりますと、七万カ所を超えるがけ崩れの危険箇所がございます。同時に、この急傾斜地崩壊対策事業がスタートいたしましたのが四十二年からでございますので、まだ二十年という歴史の新しい事業でございまして、六十二年度末の整備状況も大変低い水準でございまして、大体約一八%というのが現状でございます。  このような現状を踏まえまして、今後の対応についてでございますが、まず、急傾斜地崩壊対策事業計画的に、かつ、強力に推進する必要がございます。したがいまして、去る二月の五日の日に閣議了解をいただきました六十三年度を初年度といたしますところの第二次の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画、この計画に基づきまして、所要の予算枠を確保いたしまして積極的に事業推進してまいりたいというふうに考えております。
  18. 若林正俊

    若林委員 次に、関連いたしまして治山事業について伺いたいと思います。  山村の荒廃、治山事業のおくれが土砂災害頻発の一因でもあると思います。かつては木材の需給が国内で成り立っていたわけでありますが、その時代は、木材価格というのは、国土保全上の負担分も含めまして、バランスのとれた形で形成されていたと思います。ところが、そういう私の経済が公の負担も背負い込んで成り立つような環境が崩れまして、海外から木材が自由に入ってくる、こういうことになってまいりました。その結果、材価が低迷を続けているわけであります。そういう国際化時代に入ったことでありますから、そのこと自身はやむを得ないわけでありますが、長い間山林経営者が背負ってきました国土保全上の公的負担部分を私経済が背負い切れなくなってきている。こういうことを考えますと、山林・林業対策というものについては、大変な公共的負担を今までの私経済にかわって公経済が背負わなければならない、こんなふうに私は思うのであります。このような林業の現状、国土保全の緊急性、こういった観点からしますと治山事業にもっともっと力を入れるべきだ、こう思っております。林野庁の考え方を聞いておきたいと思います。
  19. 岡本敬三

    ○岡本説明員 先生の方から現在の林業の状況につきまして御指摘をいただいたわけでございます。今審議をお願いしております六十三年度の予算につきましても、従来造林事業で進めてまいりました森林の整備につきまして、特に保安林を中心にしまして新しく私経済では手が出しにくくなった部分につきまして、新規の予算をもちまして治山事業でこれを行うというような考え方も取り入れておるところでございます。  治山事業につきましては、御承知のように治山事業五カ年計画によりまして従来も実施をしてきております。現在、昭和六十二年度を初年度といたします第七次の治山事業五カ年計画によりまして、六十六年度までに一兆四千百億円に相当します予算をもちまして荒廃地、荒廃危険地の整備促進することといたしております。特に近年、開発が山地、山ろく部に及びまして非常に危険地区が増加しておりますので、現在の五カ年計画によりましてもそれらを重点に実施をしてまいりたい、このように考えております。
  20. 若林正俊

    若林委員 さらに、土砂災害が発生をした場合、あるいはまたこの土砂災害対策に対するソフトの面について消防庁に伺っておきたいと思います。  土砂災害は突然に発生いたします。また、気づくのがおくれたり、逃げおくれて悲惨な被害となることが多いわけであります。そこで、日ごろ住民にその危険があることを十分認識してもらうとともに、豪雨の際などには早目に警報や避難指示を出しましてそれを迅速に住民伝達することが重要になると思います。  そこで、消防庁に伺うわけでありますけれども、かつて長野市の地すべり災害対策を当委員会で審議した際に、当時の関根消防庁長官は、地域防災計画が十分機能するように全国的な見直しを約束されました。この地域防災計画の見直し、あるいはまた防災無線の整備、早期警戒体制、避難の体制整備について、自治省は地方公共団体に対しその後どのような指導をされたのかを伺っておきたいと思います。
  21. 仁科英麿

    ○仁科説明員 土砂災害発生危険地域に対する防災行政無線の整備あるいは早期警戒体制整備に対する指導の強化、それからまた、地域防災計画の見直しの指導についてのお尋ねでございますが、土砂災害による被害を軽減するためにまず必要なことは、先ほどもお話のございましたように、災害危険箇所を把握しまして、これに対して適切な予防措置を講じていくということでございますけれども、それとあわせまして、こうした危険箇所をあらかじめ住民に周知せしめる、そしてまた具体的に土砂災害発生の危険性が生じましたときには、できるだけ早目に十分な警戒体制をとりまして、必要に応じまして巡視点検を実施しましたり、あるいは状況に応じて遅滞なく避難の勧告、指示あるいは誘導を行うことが必要であるわけでございます。また、これとあわせまして災害に関する情報の収集、伝達を図っていかなければならない。そのためには防災行政無線が極めて重要な役割を果たすわけでございまして、その整備促進あるいは運用体制の確立を図っていくということが極めて重要だということは十分認識しているところでございます。  そうした考えに基づきまして、消防庁といたしましては、先ほどもお話がございました昭和六十年七月の長野市の地附山地すべりあるいはまた六十一年七月の鹿児島市におけるがけ崩れ、こうしたものを踏まえまして、六十一年の九月三日付をもちまして先ほど申し上げましたような考え方につきまして地方公共団体に通知を出しまして指導しているところでございます。それからまた、その後も毎年六月には風水害対策強化の通知を出しておりますけれども、この中にも土砂災害に対する事項を盛り込みまして、そのほか機会あるごとに土砂災害関係につきましても指導を進めてきているところでございまして、特に先ほどお話がございました三月十五日に中央防災会議において土砂災害対策推進要綱が定められましたのを受けまして、改めて地方公共団体においてとるべき措置について精査をいたしまして、同日付をもちまして消防庁長官からも指導通知を出して、一層の指導の強化を図っているところでございます。  なお、地域防災計画の見直しについてでございますが、これは全般的なことになるわけでございますけれども、地域防災計画については災害が発生したときにより実践的なものになっていなければならないということで、昨年の六月三十日付をもちまして見直しについて指導しているところでございます。こういった通知によりまして、今後とも地方公共団体において土砂災害対策についても適切に対処できる体制整備されますように、一層指導を進めていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  22. 若林正俊

    若林委員 地域防災計画の実施の主体は市町村であります。そういう意味住民にわかりやすいような防災マップの作成など、具体的に地域住民がわかりやすい地域防災計画につくりかえていただきまして、その周知徹底を自治省としても今後とも十分図っていただきたいと思います。  次に、地震対策について伺います。  去る三月十八日の明け方、首都圏に大きな地震があり、私も議員宿舎でその余りに大きな揺れ方に驚いて飛び起きたのでありました。震源地は東京都心部の直下、幸い九十キロメートルと深いところでしたので大した被害もありませんでしたが、これがもっと浅いところで発生したとすれば、関東大震災級あるいはそれ以上の被害が出たかもしれないと言われております。東京では直下型の地震はいつ発生しても不思議がない、このように言われておりますけれども、現在の科学技術ではその発生を予測することはできないと聞いております。時限爆弾を抱えているようなものだと言う学者もいるほどであります。  私は先日、かつて大本営を移転しようということで地下ごうを掘った長野県松代にある気象庁地震観測所を視察いたしました。そこに高感度の各種地震計や精密な地殻変動観測測定器などが設置されているわけでありますけれども、そこの大地所長さんから、日本だけでなく世界じゅうの地震観測を行っている模様をつぶさに伺い、大変御苦労されているなということに打たれたわけであります。我が国科学技術は今や世界をリードするまでになってきておりますので、最新の先端技術を投入して地震予知についてはさらに一層の拡充、推進を図るべきだと考えております。  現状はどうなっているか、簡単にひとつ説明をしてください。
  23. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、地震予知につきましては、地震現象の発生場所が地球の最深部であること、多くは発生の間隔が長期間である等の理由により非常に難しい課題であると承知しております。また世界的にも、短期的な予知というのは研究段階にあるというふうに承知しております。しかし、東海地震のようにマグニチュード八クラスの大規模な海溝型巨大地震につきましては、観測、測量の集中強化を行うことにより短期的な予知が可能な段階に至っているというふうに考えております。  これらの状況を踏まえまして、政府といたしましても、現在、測地学審議会の建議しております第五次地震予知計画、また内閣総理大臣が決定しております防災に関する研究開発基本計画に沿いまして、地震予知推進本部を通じまして政府関係機関及び国立大学の緊密な連携強化のもとに地震予知研究、観測を実施しておりまして、今後とも一層その充実強化を図ってまいる所存でございます。
  24. 若林正俊

    若林委員 今御説明がありましたけれども、直下型地震についてはなかなか予知ができないのが現状であります。そこで私は、東京の地震対策についてもっともっと我々は深刻に受けとめ、真剣に取り組まなければならないと思っているのであります。  東京は、申すまでもなく、日本の首都であると同時に、世界の中枢機能を果たす都市でもあります。東京には余りに重要な、そして余りに大量の機能が集中し過ぎているということは、今さら私が申し上げるまでもないことでありまして、第四次全国総合開発計画におきましても、東京に一極集中している諸機能を地方へ、多極分散型の国土形成という観点から機能分散を図らなければならないということを明らかにしています。奥野長官は、その四全総の掲げる目標を実現するために大変な熱意を持たれ、努力されて、この国会に多極分散型国土形成のための法律を御提案になるなど全力を挙げて取り組んでいただいており、心から敬意を表する次第であります。  国民も大きな期待を持ち、また大変な関心を示しておりますが、私がやや気になっておりますことは、このような東京の限界を超えた集積によります問題が、経済の問題とか地方の振興の立ちおくれの問題あるいはまた異常な東京における地価の上昇の問題、こういったようなことでとらえられておりまして、実は危険の観点からの認識が少し少ないのじゃないかと思います。東京で住んでいることの危険性、集中に伴う国家の政治、経済、社会の不安定性、こういったようなことが、国民の皆さん方、とりわけ東京に住み、または東京で事業をしておる人たちに十分認識されていないということにやや不安を持っております。私は、四全総の策定過程におきましても、国家国民の安全を図るという観点から、防災上の視点から東京一極集中を是正する、このことを明らかにしてもらいたいということを強く主張してまいりました。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、私が国土庁にいたときから国土庁は、東京に関東大震災級の地震が発生したときにどの程度の大きな災害被害が発生するか、その被害想定調査を実施してまいっております。これらを踏まえまして、首都東京の震災対策に取り組む大臣決意のほどを改めてお伺いしておきたいと思います。
  25. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 安全対策上の見地から首都東京の問題をもっと重点的に取り上げるべきだという御意見、全く同感でございます。人口、諸機能の分散を図るだけじゃなしに、災害に強い都市をつくるという見地から考えなければならないことはたくさんあるような感じがするわけでございます。早く道路を広げたり緑地をつくったり避難路を確定したりしていかなければならないでしょうし、また、一たん災害が起きました場合に、その被害をできる限り少なくするために平素から講じておかなければならない点も多々あるだろうと思うわけでございます。東京都自身もそういう点をかなり心配されておるようでございます。そういう意味では、震災対策強化地域の指定という問題もあるわけでございますけれども、専門家の意見を聞きながらこれらの問題につきましても積極的に対応していきたい。専門家の意見にまたなければならないと思うわけでございますけれども、専門家の意見を聞きまして必要な対応を怠らないように考えていこう、こう思っております。
  26. 若林正俊

    若林委員 私は、政治家として大変に責任の重い問題だと思います。また、具体的な対策、その実行の見通しが立たないまま余りに不安、動揺を与えてはいけないと思いますけれども、東京に住んでおり、東京で事業をしている人たちがどの程度の危険があるのかということについては、大胆率直に東京の人たちにやはり知らしめておく、そのことが、あるいは人によっては、そんなに危ないならば東京に住まないで、特に地方に安心して住もうというような人も出てくるかもしれません。そんなことも考えながら、危険度についてはやはり周知さしていく必要があるのではないか、隠していてはいけないのじゃないかというふうに思います。  そういう中で、かねて国土庁は、東京に大震災など広域的災害が発生した場合を想定いたしまして、立川に百十五ヘクタールという広大な土地を確保いたしまして防災基地を建設中でございます。ここには、総理官邸その他主要な機能が働かなくなったときに、そこで防災本部、閣議もできるような施設整備を進めております。いろいろ事情、状況をお伺いしようと思いましたけれども、時間がなくなりましたので、一日も早いその完成と、そのようなことまで政府は手当てをしているんだということを周知させていくのは大変有効なことではないかと思うのであります。  さて、先日の東京地震の震度についてであります。  気象庁によれば東京は震度三と発表されましたけれども、私だけではなく、多くの人たち、町の声ももっともっと震度は高いと感じております。このような食い違いがなぜ起こったのか、この食い違いをこのまま放置していいのかといったようなことを私伺う予定でございましたけれども、他の同僚議員も御質問になるようでありますので、その同僚議員への答弁の中で明らかにしていただきたいと思います。  時間がありませんので、やや先を急がしていただきます。  次に、豪雪対策であります。  豪雪地帯の広がりというのは国土の約五二%に及んでおりますし、総人口の一八%がそこに住んでおります。このような豪雪地帯の住民の苦しみは、雪国の人でないと御理解いただけないと思います。  そこで、私は苦労のほどを改めて申し上げる時間がありませんので省略いたしますけれども、この豪雪地帯をふるさととする人たちは、長い間それこそ歯を食いしばって雪に耐え、ふるさとを守り、子供や孫たちのためにふるさとの発展に努力を続けてきました。国土庁は六十年にいわゆる豪雪白書をまとめられました。その取り組みを評価し、敬意を表している次第でありますけれども、この白書の中でも指摘しておりますが、雪国では近年、単に雪に耐えているだけではなくて、雪を克服し、雪を利用して明るい地域づくりをしようという意欲が盛り上がってきております。国もこのような努力に対してもっともっと積極的にこたえてもらいたいと思いますが、国土庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  27. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御指摘のように、豪雪地帯対策特別措置法制定以来二十六年になるわけであります。先ごろ十六年ぶりにこの対策の改定をやらせていただいたわけでございました。その中では克雪、利雪の問題も取り上げられておるわけでございますし、また防災上の見地からも道路交通を確保するという意味で、車道のみならず歩道の除雪の問題やらあるいは流雪溝の面的整備の問題やらあるいは克雪用水の確保の問題なども取り上げられておるわけでございまして、防災の見地からも改定が加えられたわけでございます。
  28. 若林正俊

    若林委員 近くというよりもあすと伺っておりますけれども、豪雪地帯対策基本計画が閣議決定をされるということで大変期待をいたしております。いろいろこのことについてお伺いをしたいと思っておりましたけれども、もう時間が参りましたので、要望だけさせておいていただきたいと思います。  豪雪地帯の対策は、いろいろきめ細かく幅広く必要でありますけれども、とりわけ道路整備基本だと私は思います。豪雪地帯におきます道路整備は、やはり積雪時を前提といたしまして、その道路の幅員あるいは避難の場所の整備などそれらを十分に果たしていく必要があると思います。  それからもう一つ、最近大変力を入れていただいて評価いたしておりますけれども、雪害に対する試験研究というのが他と比べて大変に立ちおくれていたように思います。治山や治水あるいは消防などの調査に比べまして国の取り組みがおくれていたというふうに私は感じております。近年これらの試験研究につきまして、例えば新潟の長岡の国立研究所を拡充するなどいろいろ努力をいただいておりますことを評価しながら、なお一層の拡充をお願いをいたします。  そして、もう時間が参りましたので、御要望だけ申し上げさせていただきたいと思います。消防団の活性化の問題であります。  ことしは自治体消防が発足して四十年目に当たります。先日皇太子殿下、同妃殿下の御光臨をいただいて、全国から消防関係者が参集をして盛大に記念式典が行われました。さて、この四十年間の間、消防本部あるいは消防署による常備消防は目覚ましい拡充発展を見ておりまして、大変頼もしく、またうれしいことでありますけれども、他方で、消防団の方を見ますと、その人員は二百八万人から百一万人と半減をし、団員も大変高齢化しております。社会構造の変化から見てやむを得ない面もあるわけでありますけれども、消防団が果たしております地域の安全確保における役割を考えてみますと、このままこれを放置しておくわけにはいかないと思います。サラリーマンがふえておりますが、サラリーマンの消防団活動への参加について関係企業の協力体制整備するとか、あるいは婦人の消防団員としての参加の促進でありますとか、消防団員に対する団員手当や出動手当の見直しなど、消防団活動の活性化を図るために消防庁の方も六十三年度から消防団活性化対策を実施するということが今審議中の予算の中に入っているわけでありますけれども、現場において大変危険を、あるいはまたみずからの生活を制約しながらも努力しております消防団の活動に対して、どうかこれが活性化できるようにぜひともお願いをいたしたいと思います。  そして、事柄は国際的な話になりますけれども、長官が所信表明の中で申されておりました国際防災旬年推進の問題でございます。  大変おくれた国々の自然災害によります被害は目を覆うばかりでございます。そういうときに、二十世紀最後の十年間、日本国も主要な提案国となりまして国連におきまして先ごろ決議が行われましたこの国際防災旬年推進について、大臣は大変な熱意を示しておられます。まことに壮大な構想でありまして、世界の中の日本としてその指導的立場と責任を果たすには大変ふさわしいテーマだろうと思います。政府を挙げましてこの問題に積極的に取り組んでいっていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
  29. 森下元晴

    森下委員長 野坂浩賢君。
  30. 野坂浩賢

    野坂委員 国土庁長官所信表明演説に基づきまして、それに伴う質疑を行っていきたい、こう思っております。  今長官は、防災に関する科学技術研究推進災害予防あるいは国土保全推進、迅速適切な災害応急対策及び災害復旧の実施、これを冒頭に強調されたわけであります。最後に締めとして、今後とも各省庁の緊密な連携のもとに防災対策に万全を期するのだ、こういう決意で締めくくっていただいたわけであります。まさにそのとおりだと感じておりますが、私が聞きたいのは、最後に、さきの国連決議に基づいて自然災害の軽減を目的として一九九〇年から始まる国際防災旬年に対して我が国としては積極的に取り組む、こういうことを言われておるわけですね。この決議に基づく国際防災旬年に対して積極的に取り組むという中身について、何か具体的にお考えになっておることがあるのか、最初の科学技術その他の関係もありますが、特にこれを抽出して強調しておられる中身、具体的な問題があれば、この際お聞きしておきたい。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御承知のように、国際防災旬年は一九九〇年から始まるわけでございます。九十何カ国の提案によって全会一致で国連総会で決まったわけでございますが、日本もその提案国の一つであるばかりでなしに災害の非常に多い国でございますだけに、災害先進国、適当な言葉であるのかどうか知りませんけれども、災害先進国と言われておるわけでございますので、特にそういう場合には指導的な役割を果たさなければならないと思っておるわけでございます。  さしあたりは、関係省庁の連絡会議国土庁が世話役で進めておるようでございますけれども、さらに適当な時期を見ましてしっかりした組織を国の方針として決めていかなければならない、その中でもろもろの問題を決定させていただこう、こう思っている段階でございます。
  32. 野坂浩賢

    野坂委員 今の長官の決意というのは、防災に徹して災害のない日本国をつくるための積極的な努力をする、一言で言えばこういうことでございますね。
  33. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 防災の問題もございましょうし、災害が起こってからの対応の仕方もありましょうし、広い立場でとらえてしかるべきではないだろうかな、こう思っております。
  34. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりましたが、先ほど若林さんが同僚議員という話がありましたから、この際、地震の問題についてお聞きをしておきたい。  この間、三月十八日の五時三十四分、東京都においてマグニチュード六・〇の地震が発生した。三木さん、これ、震度四、三、二、一とあると御報告がありました。これは体感であると書いてあります。震度一の場合は立っておる者は余り感じない、寝ておると感じるという話が理事会でもありましたが、我々は常識的に見て、震度四というのは強震で、震度三は弱震、震度二とか一とかいうのは微震だ、こういうふうにも聞いておるわけですけれども、震度三というのは弱震でしょうか。それとも一、二、三、四は、常識的に日本語で言うと、強震、弱震、微震という格好で言うとどういうことになるでしょう。
  35. 三木克彦

    三木政府委員 気象庁で震度階級というものを定めておるようでございます。それによりますと、ただいま仰せの震度三というのは弱震でございます。震度四が中震、震度二は軽震、震度一は微震、こういうふうに分けておるようでございます。震度三でございますが、ここに書いてございます説明によりますと、「家屋がゆれ、戸障子がガタガタと鳴動し、電燈のようなつり下げ物は相当ゆれ、器内の水面の動くのがわかる程度の地震」、こういうふうな理解をいたしておるようでございます。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 これで論争する気はありませんが、強震、弱震、軽震、微震、こういうことになっておるのです。日本の国民は、弱震というよりやや強震という方が体感として当たっておる、実感として感じておる。国土庁関係者は弱震の考え方でしょうけれども、大衆はそういうふうに考えておるのじゃなかろうかと思いますので、科学的な分析もありましょうが、体感でこれは日本語で使う場合は、その方がむしろ地震に対する人間の対応策としてはいいのではないだろうかというふうに私は思いました。そういう意味で御検討をいただいておきたいというふうに思うわけであります。それ以上のことは申し上げませんから、検討をお願いをしたいと思っております。  私は、今長官がお話しになりました十九号台風の問題について、その体験を通して具体的にそれぞれ各省庁にお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  去年の十月に十九号が我が郷土である鳥取県を直撃しました。その際には、電話で建設省なり農水省等に連絡をいたしますと、直ちに対応した。そして、すぐに検査の班がおいでになりますし、査定班もおいでになって適応した対策ができ上がったというふうに私は敬意を表しておるわけであります。心から感謝を申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。  それで、今も再度の災害は招かないようにするという話もあったわけでありますし、長官の所信表明に述べられたわけですが、災害が起きた、当該年度に大体何割、昔は当該年度には五割、その次は三割、その次は二割という格好で災害は終了するということでありますが、奥野長官の就任以来かもしれませんが、非常に早くなったという感じがしますね。現在は、災害が起きると八割は当該年度にやって、次は一割、その次が一割というふうに見えるわけでありますが、今ごろはこれからの災害復旧対策はどういう率でおやりになるわけでありましょうか。これは所管官庁と連絡をしておられるわけですから、国土庁からでも結構ですし、建設省、農水省からでも結構です。なるべく合理的にお答えをいただきますように、お願いいたします。
  37. 苗村滋克

    ○苗村説明員 災害復旧につきましては、人心の安定等を考えまして早期に復旧することがぜひとも必要と考えまして、我々防災関係者地域住民のことを思いまして、できるだけの当年度の災害復旧に努めているところでございます。
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 ぼやけたような答弁をしないで。あなたの答弁を聞くと、当該年度で一〇〇%やるというふうに受け取れるのですよ。最大の努力をすることはわかっておるのですが、大体何割ぐらいはやります、来年度は何割ぐらいやります、完全に仕上げるのは何年後ですというふうに明確にしてもらいたいし、農林省も答えても結構ですから、なるべく簡単にお願いします。
  39. 苗村滋克

    ○苗村説明員 先生が最初におっしゃいましたように、直轄事業については二カ年、補助事業については三カ年でやっておりますが、最近は当年度にほぼ八五%、二年度でほぼ一〇〇%近い九七、八%までいっておりまして、三カ年で一〇〇%完了することにしております。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。ありがとうございました。農林省。
  41. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 農林水産省関係につきましても、ほぼ建設省のお答えと同様の復旧で努めてやっております。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 今度の我が県の災害復旧については、六十二年度が八二・三%ですね、来年度は一〇%、大体今苗村さんがおっしゃったとおりですね。農水省には非常に御厄介になっておりますが、これは一年度が六四%になっていますね。二年度が三五・三%なんですが、それではちょっと少ないですね。元気を出してできるだけ速やかにやるようにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  43. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 農業災害の場合、公共の施設だけじゃなくて非常にいろいろな施設がございまして、時期的な発生の状況もございまして、やむを得ず若干低い場合もございますが、極力早急に復旧するように努めていきたいと思っております。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 私は文句を言っておるわけじゃないのです。感謝をしておるということは冒頭に言っておりますから。しかしおっしゃったのが、八五%と一〇%だとおっしゃったものですから、ちょっと数字合わせをしたわけでありまして、積極的にやっていただきたい、こういうことを要望しておきたいと思うわけであります。  そこで、せっかく農水省に立っていただきましたから。  長官もお話しになったように、災害は再び同一箇所では起きない、そういう対策をつくっていかなければならぬ、こういうふうに思います。そして経済効果も考えていかなければならぬ。経済効果があって、再び再度災害はない、そういう体制にしなければならぬ。  例えば、私のところは二十世紀ナシの樹園がたくさんあります。農地が少なくて山地が多い。急傾斜も多い。したがって、果樹園等はテラス方式でテラスのように出てつくられておる。それがこのごろは、松くい虫等がついて松が枯れておる、地盤が緩んでおる、そういうところから一気に水が落ちてそれをつぶしてしまった。隣の方ではなだらかな、急傾斜とは言えませんが、傾斜しておる樹園地は何の被害もない。それを見て、将来の経済効果から見てやはりその方がいいだろう。そういう意味で、再び災害が起きないように、すぐ省庁というのは原形復旧型というのを強く進めてくるが、しかし将来の災害防止する、こういう意味で経済の効果と再度災害防止、この意味を含めて、なだらかに上の方を土を落として傾斜地にしていくということになれば、将来の生産性の向上にも災害防止にもなる、こういうふうに考えておるわけですが、かたくなに原形復旧ではなしに、適応した災害関連対策というものをやる必要があるなということを、私は歩いてみてみずから痛感をしておるわけでありますが、それについてはどのようにお考えでありましょうか、伺います。
  45. 伊藤礼史

    ○伊藤(礼)政府委員 農地、農業用の施設災害復旧事業におきましては、被災状況に応じまして、先生おっしゃるとおり、原形復旧を原則といたしまして、その施設等の持つ従前の効用を回復するということで事業に取り組んでいるわけでございます。しかしながら、農地等の流失あるいは崩壊が甚だしくて、原形に復旧することが大変難しいあるいは不適当だと考えられる場合におきましては、現地の被災状況、経済性等を考慮いたしまして、従前の効用を回復できるような工法で復旧に当たるということにしておるわけでございます。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 原形に復旧してもさらに災害がある、したがって、原形復旧することは難しいというよりも今審議官がお話しになったようにそれは不適当だ、将来から見て不適当であり生産性を上げ経済効率を高めていくという意味では、私は十分に対応する措置をとっていただきたい。この点についてはしっかりと確認をしておいた方がいいと思いますが、経済性、効率性というものを考えて、災害復旧は再度の災害を出さないという前提でその作業を進めた方がいいと思いますが、そのとおりであるというふうに考えてよろしいか。イエスかノーかだけで結構です。
  47. 伊藤礼史

    ○伊藤(礼)政府委員 先生の御趣旨に沿った形で対応するのがよろしいかと存じます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、関連をして建設省の方にもお尋ねをしたいと思います。  今までは、災害が出て、洪水が出てまいりますと、田舎の方は幅三メーターとか四メーターという橋があるわけですが、それが一気に流される。そうすると、その橋を復旧するためには、地域住民は、このごろは近代化をしてきて、これでは狭い、もっと広げてくれということになりますね。町村や県よりも非常に物わかりのいいエリートの中央官庁の皆さんは、なかなかよく理解してくださる、その四メーターの橋を六メーターにするという場合は、のみ込んだと。激甚地の災害で八割なら八割、九〇なら九〇という、あれは積算でやってまいりますから八八から九二、九七までありますけれども、その分の原形復旧分は九割で見る、もう二メーター分は改良で見る、こういうことでまぜ合わせをして大体八六%の補助率でやる、こういうことになるわけでありますが、将来の安全と便利、災害防止という意味で、災害のときに改良する場合はもう少し考えた方がいいのではなかろうかなというふうに私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  49. 苗村滋克

    ○苗村説明員 災害の単災と改良事業でございますが、単災につきましては原形復旧を原則としておりまして、従来から、原形復旧が著しく困難な場合また不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設整備しているところでございます。特に激甚な箇所につきましては、先生がおっしゃいましたように、再度災害防止するために災害関連事業等で対処しているところでございますが、これも積極的に今後ともやってまいるつもりでございますが、単災と関連事業とは補助率が違いますのでそういうことになっておりますし、これにつきましてはこういう制度で建設省としては実施してまいっております。
  50. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたのおっしゃったことを要約すると、原形復旧を原則とする。しかし改良した方がいいのですね。三メーター道路を、トラックの通らぬような橋を、原形復旧では三メーターだが、むしろあなた方が指導して六メーターにしたらどうかと、この程度の指導性がなければ政府官庁の役人とは言えないと私は思います。だから、六メーターにしなさい、したがって災害は十分見ますが、今の場合は関連で二分の一なんだから、それについてもこの際自治省等と折衝して起債その他については十分配慮するから、そのような方向の方が現状に合うし将来性があるのではなかろうかという指導をすべきだ、私はそう思うのでありますが、建設省課長さんではなしに、各関係省庁と連絡を密にしてその指導性を発揮すると言われておる国土庁長官に、私の見解は間違いなのかどうか、はっきりお答えをいただきたい。
  51. 三木克彦

    三木政府委員 災害復旧に当たりまして、受けました被害を原形で復旧するか、それともこれを機会に従来からいろいろ問題のあった地域におきまして改良的な部分を進めていくか、これは常に検討している課題でございます。各省庁におきましても、いろいろ苦悩がありながら、その改良的なところをどのくらいふやしていくかということで検討されているところだと思います。河川で申しますと、普通の治水事業の中にも災害を契機として行います激特事業のようなものもございまして、従来の計画的な整備災害復旧を機縁としてどの程度改良を進めていくかという点についてはいろいろ検討もしているようでございまして、政府全体としても災害復旧を契機に改良が進むように考えていくのが適当だろうと思っておりますけれども、その辺につきましては、ただいま仰せられましたようにいろいろな課題があるわけでございまして、その課題を踏まえていろいろと推進について進めていく、こういうことではないかと思っております。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 建設省に伺います。  今三木さんの方から、国土庁の方からお話がありましたが、その災害一つの起点として将来の発展と改良ということは真剣に考えていかなきゃならぬ、積極的に取り組んでいきたい、こういう決意に似た御答弁がありました。したがって、今の段階では、災害があった場合に改良を含めてやる、やった方がいい、こう言って地域住民が要望したら、原形復旧にこだわらないで今の補助率の間で積極的に取り組む、こういうふうに考えてよろしゅうございますか、お尋ねをいたします。
  53. 苗村滋克

    ○苗村説明員 先生のおっしゃること、承知いたしました。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。それで結構です。  それから、先ほどもお話がありましたけれども、急傾斜の崩壊対策でありますね、建設省ですか。急傾斜の崩壊対策というのは、我が県でも危険地域として指定しておるところが二千百六十カ所ある。これが大分いかれましたね。しかし、指定されていないところもいかれた、崩れた、崩壊した。危険地域というのは従来から危険とされておりますから、それについての補助率というか、それは国がほとんど面倒を見ていただけますか、指定地域は。いかがですか。
  55. 岸田弘

    ○岸田説明員 急傾斜地崩壊対策事業の採択の問題でございますけれども、危険箇所たくさんございますが、その中で国の補助対象となりますのは、がけの高さが十メートル以上、人家十戸以上でございます。補助率は二分の一でございます。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 そうですかね。災害があったわけですから、農用地なり建設省関係は、ほとんど九二%から激甚地の指定を受ければ九七%、これは積算がありますが、そういうことになるわけですね。地域の指定をされておるところと同じような規模で急傾斜地が崩壊をした場合、崩れ落ちた場合は同じような取り扱いをしていただけるものかいただけないものか、その辺はいかがですか。
  57. 岸田弘

    ○岸田説明員 急傾斜地の災害の問題でございますが、既に急傾斜地の施設のある場合は、公共土木施設災害復旧事業でおっしゃるような高率の補助率で対応することになっておりますが、自然の急傾斜地が豪雨によって崩壊した場合は、災害関連緊急事業と申しますものがございます。これは先ほど説明いたしましたような二分の一の補助率で単年度で実施するという制度でございます。
  58. 野坂浩賢

    野坂委員 今度の場合は、十九号台風は奥地災害でございまして、山崩れが随分ひどかった。指定地域でなくても、現実に我々は指定を誤った、指定すべきところを指定していなかった、こういうことだって言い得るだろうと思うのです。家の裏山が一部落が崩れた、名前は言いませんけれども、後から言ってもいいですが、答弁がよければこれで終わりますけれども、山が崩れて落ちてきた。それについては災害として大体八〇%見る。四千万円ぐらいの費用がかかるということになりますと、この場合国が大体八〇%、あとは県はトンネルで町村が見る、本人負担が一〇%から一五%ということになると、三軒程度で六百万程度補償しなきゃならぬ。今の農村の実態から見て、やるかやらないかということを考えなきゃならぬ。私はそういう点については国が指導しながら本人負担を思い切って軽減をしていかなければ、崩れ落ちたままの姿で残っていく可能性があるのではなかろうかということを心痛をしております。余りそっけないことは言わないで、奥野国土庁長官は情けのある、思いやりのある政治家だというふうにも聞いておりますし、その下にいらっしゃる関係省庁の皆さん、この実態を具体的に見て、激甚地の指定をしておるわけですから、それらに対する対応をぜひ行ってもらわなきゃならぬ。それはあるいは県や自治省やそういうところと折衝してもらわなきゃならぬと思うわけでありますが、その点についてはどのような対応をすべきか教えていただきたい。お願いしたいと思います。
  59. 岸田弘

    ○岸田説明員 災害発生の場合の急傾斜地崩壊対策事業の地元の負担金と申しますかそういうものにつきましては、通常の場合が一〇%から二〇%でございますが、災害の場合には現在それを五%まで緩和いたしておるところでございます。さらに、この五%についてもいろいろ市町村側からも陳情等を聞いてございます。関係方面と折衝を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  60. 野坂浩賢

    野坂委員 私は頭が悪いものですから、何でもきちんとしてもらわなければいかぬ。関係省庁及び県と折衝して本人の負担が軽減できるようにいたします、こういうことですね。一言でやってもらえばいい。
  61. 岸田弘

    ○岸田説明員 そういう方向で進めてまいりたいと思っております。
  62. 野坂浩賢

    野坂委員 大変いい答弁をいただきました。  そこで、災害の場合は国から査定に参りますと、ずっと見て災害が三十万円以下の場合、これらはなかなか対象になりにくい。しかし農水省は、勇断をもって十九号台風については全部激甚地指定にしてある。お話をいただきまして全県激甚地指定であります。しかし、山の奥の方から中心に水が流れたものですから、山周辺の田畑は全部土砂が流入しております。今もって私は、山陰線を通るたびに、その土砂が田んぼの上に流れ出ておるのを見て、私の責任のように胸が痛みます。農家の皆さんは茫然自失をしております。泥を外に出していかなければならぬ。この三十万円の金額について、これは災害の対象になるのかならないのかということが一つと、なるということだけれども、この点については自治省が起債を認めて特別交付税をかさ上げをしていただいたわけでありますから、これで措置すれば本人の負担はなくてもいいのか。伝え聞くところによりますと、その起債等で七二%は見てもらえるけれども二八%は本人負担だよという話があるときのうも上京団の皆さんが言っておりました。三〇万円掛ける三〇%というのは、皆さんではそのぐらいは大したことないじゃないかというふうにおっしゃるけれども、九万円であります。なぜ私はそれに固執をするかといいますと、今農業の情勢というのは異常なほど厳しい。きょうも乳価を三・六%も下げるし、昨日は肉も、豚肉等には九・九%も下げてきた。借金はふえる、基盤整備事業の負担金も払わなければならぬ、稲はみんなだめなんだ、こういう状況のときに、借金増加の状況の中でこの災害をみずからでやれといっても容易ではなかろう。私有地といっても国土庁長官が受け持っておる国土なんだ。だからそれらの点については、この三十万以下の問題についても十分対応できて本人の負担はほとんどないというふうにも農林省等からも承っておりますが、そのとおりでありましょうか。間違っておればここで御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  63. 海老忠彦

    ○海老説明員 一カ所の工事費用が少額であるために地方団体が単独で対応するというケースの財政措置について、御説明申し上げます。  地方団体が単独で実施する公共土木等の小規模の災害復旧事業につきましては、一カ所の工事費が都道府県及び指定都市にありましては二十万円以上、市町村にあっては十万円以上の事業が単独災害復旧事業債で措置をされることになっておりまして、この地方債につきましては、地方公共団体の財政力に応じて元利償還費の二八・五%ないし五七%が普通交付税で措置をされることとなっているところでございます。さらに、激甚災害の場合に、小規模の災害復旧事業につきましては、いわゆる激特法に基づきまして小災害特例債が措置されることとなっておるわけでございます。このうち例えば公共土木施設災害債につきましては、都道府県、指定都市にあっては一カ所の工事費用が四十万円以上六十万円未満、一般市町村にあっては一カ所の工事費用が十五万円以上三十万円未満の事業について措置をされることとなっております。この地方債につきましては、地方公共団体の財政力に応じて元利償還費の六六・七%ないし九五・二%が普通交付税により措置をされることとなっておるわけでございます。  また、災害を受けました地方団体におきましては、災害応急対策あるいは災害復旧事業を初めといたしまして多くの財政負担が生じまして、国庫補助金あるいは地方債による措置を勘案してもなお地方団体の負担が多額になるものと見込まれるところでございますので、特別交付税の配分におきまして災害対策事業あるいは災害復旧事業災害関連事業等に要する経費について実情を調査の上、被害状況あるいは財政状況等を勘案して、当該団体の財政運営上支障が生じないような措置を講じておるところでございます。  以上でございます。
  64. 野坂浩賢

    野坂委員 よくわかりました。集約すると、指定都市の場合は四十万円以上、市町村の場合は十五万円以上の災害があった場合は、こういう災害地域においてはいわゆる特例債も認めます。普通交付税で六六%処理します。足らざるところは特別交付税で処理する。ということになれば、起債を設けてそれは年度ごとに普通交付税で返してもらうわけですから、そうすると本人の受益者の負担というものはありません、端的に言うとそういうことになりますね。
  65. 海老忠彦

    ○海老説明員 私が御説明申し上げましたのは、そういう地方団体の一般財源をも含めた措置として我が省が対応いたしておるものについて御説明申し上げたところでございます。それぞれの事業についての個々の負担の問題については、私どもとしては直接絡んでおらないということで御理解いただきたいと思います。
  66. 野坂浩賢

    野坂委員 課長さん、私は追及する意味はないですよ。自治省としては地方自治体の財政力に応じなければならぬという状態があるわけですね。したがって、現実に大きな災害が出た、それは特例債を認めてやるよ、特交も上げてもらったんだ、感謝しております。だから、それらのものについては地方自治体が困らないようにするのはもちろんだけれども、地方自治体はその災害対応するわけですから、例えば三十万円という一つ災害規模の問題については、十五万円以上の方々はみんな救えますよ、ずっと詰めていくとこういうことになるのじゃありませんか、そうでしょう。あなたが答弁したことを集約して私が言うとそのとおりになるのですよ。お答えください。
  67. 海老忠彦

    ○海老説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、以上のような財政措置を踏まえて当該団体において個々の方の負担の問題は適切に御決定いただけるものと理解いたしているところでございます。
  68. 野坂浩賢

    野坂委員 それ以上追及してもあれでしょう。言うなれば、個々のことは都道府県がやりなさい、大枠進めていくということだけれども、内容的には今私が申し上げたとおりだろうと思っております。  質疑時間が終了するから早くやめろと言っておりますけれども、厚生省がおいでになっておるだろうと思うのですが、災害のときの立ち上がり資金、いわゆる援護資金というのがあります。これは当初貸付限度額は百八十万円であった。家財が三分の一以上の損害があった場合は六十万円、住居の全壊があった場合は百二十万円だ、こういうふうに言われておったのですが、厚生省がこれは実態に合わぬ、六十一年十二月に政令改正されて、百八十万円を二百五十万円に引き上げられた。最低は六十万円を百万円にした。こういうまことに結構な施策がとられたことについて、余り褒められたことのない厚生省に今回は敬意を表しておく次第であります。  そこで、先ほど申し上げましたように農業は非常に厳しい状況である。その中で天災融資法は、今は二百万円。私は昭和五十一年の衆議院の農林水産委員会で、当時八十万円でありました、余りにも少ないじゃないかということを議論をして法改正をしてもらって今日の二百万円に引き上げた、段階はありますけれども。今の厚生省でも、立ち上がり資金は二百五十万出す。激甚地で田んぼを失って茫然自失をしておる農業者に対して三%以内というものは一つの魅力でありますから、私は、これに対する貸付限度額の引き上げというものを考えていく事態が来ておる、したがって天災融資法の場合の二百万円をあるいは三百万円に、激甚地の災害法に伴っては個人の場合が二百五十万円が限度でありますが、少なくとも同じように三百万円、その程度引き上げてやるのが現情勢下に適応する措置ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、それに対する答弁といいますと課長さんはなかなか容易ではなかろうと思います。奥野長官は聞いておっていただいたと思いますので、私の意見についてできるだけ努力関係省庁としてもらいたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
  69. 伊藤礼史

    ○伊藤(礼)政府委員 先生おっしゃいました天災融資法の貸付限度でございますが、この天災融資法に基づきます天災資金は、被害を受けました農林漁業者の農作物等の再生産のために必要な経営資金という観点で限度を設けているわけでございます。施設でございますとかあるいは生活の資金でございますとか、そういうのはまた別に農林漁業金融公庫資金等で対応ができるわけでございます。そのような農作物の再生産のために必要な肥料代でございますとか農薬代でございますとか、こういう現金の経費を賄う額という観点で見ますと、二百万円というのはほぼそれで対応ができるというふうに我々は考えておるわけでございます。
  70. 野坂浩賢

    野坂委員 二百万円で対応のできない資料をあなたの前に提出をしてさらに討論をしていきたい、こういうふうに考えておりますが、時間がありませんので、それはもう時間切れになりましたので申し上げませんが、最後に長官にお願いをしておきたい。  災害対策というのは、まず予防が大切である。起きた場合は直ちに復旧し、将来にわたって再度の災害がないという方向というものを明らかにしていく必要がある。今農業をめぐる情勢、山林をめぐる情勢は、確かに山が荒れて災害が起きる可能性が増大をしておるという実態、あるいは農業を見ましても、ダムは今二十一億トンの保有水量を持ちますけれども、田んぼの場合は約五十四億トンと我々は承知をしております。金額に直せば膨大なものでありますから、それによって国土の保全がある、飲料水の確保もある、日本の国民の生命を維持しておる大きな原動力である、こういうことでありますから、今の農業政策の中で次々とつぶされていく、そして荒れていく山や田んぼ、こういうものを守っていくためにも、災害については十分の対応と将来の経済性、効率性、そして国土の保全という意味で十分な災害対策をやっていただきますように心から国土庁長官、実力者の奥野さんにお願いをして、十分対応していただきたいと思いますが、最後に長官のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  71. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今の御意見、全く同感でございます。
  72. 野坂浩賢

    野坂委員 終わります。
  73. 森下元晴

    森下委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十六分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  74. 森下元晴

    森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。橋本文彦君。
  75. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 三月十八日の地震につきまして、新聞報道では深度が九十キロ、それからマグニチュード六・一というふうに各紙で報道されておりましたけれども、きょう三木防災局長から示されました書類によりますと、深さが九十九キロメートル、マグニチュードが六・〇と多少違っておりますけれども、これはどうしてこう違っているのでしょうか。
  76. 三木克彦

    三木政府委員 先ほど理事会で御説明申し上げましたのは、気象庁におかれて精査した結果をまとめたものでございます。本日最後の精査した発表ということで気象庁から発表になる予定のものを申し上げたわけでございます。
  77. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 昭和六十二年度版なんですが、防災白書を見ますと、「東海地域と並んで観測強化地域に指定されている南関東地域については、いわゆる直下型地震を含めて地震予知のための観測・研究推進している。」九十八ページでございますけれども、こういう箇所がございます。ところが、いわゆる直下型地震については予知不可能であるというふうに言われておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  78. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在の地震予知の技術レベルでは、東海地震のような海溝型の巨大地震、大規模地震、マグニチュード八クラスの地震につきましては発生機構等わかっておりますので、予知が可能だと考えられておりますが、直下型地震につきましては、マグニチュードが七クラスあるいはそれ以下でございまして小規模であるということ、発生機構が十分解明されていないということで、困難であるというふうに考えております。
  79. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 気象庁さんの方では困難であると言われておりますけれども、国土庁がつくっております防災白書によりますと、「直下型地震を含めて地震予知のための観測・研究推進している。」とありますので、これを見ますと、直下型地震であっても予知が可能であるというふうに見えるわけです。それで今お尋ねしたのです。
  80. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘ございました直下型の地震予知につきまして、気象庁の方の答弁にもございましたように、マグニチュード八クラスにつきましては、観測、測量の集中強化により短期的予知が可能と考えられておりますけれども、いわゆる直下型地震につきましては、一般にマグニチュード七クラスより小規模のものでございまして、現在のところ予知は極めて困難でございます。しかし、今後マグニチュード七クラス以下の地震についても予知を可能としていくことが極めて重要な課題であるというふうに承知しております。したがいまして、地震予知に係る関係省庁におきましては、地震予知推進本部等の場を通じて緊密な連携をとりつつ所要の研究を進めてございまして、例えば昭和六十二年度からは、科学技術振興調整費を用いることによりまして、関係省庁が連携協力し、マグニチュード七クラスの内陸地震の予知に関する研究ということで、研究を開始したところでございます。
  81. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 直下型という言葉が随分新聞報道で使われまして、一つ地震の類型となっておりますけれども、学問的には、どうやら内陸における地震と呼ぶそうですね。直下型といっても、今お話しのようにマグニチュードが六以下の場合が多い。したがって、災害としての被害が少ないであろう、そういう認識のもとに直下型については余り熱心に研究をしないという理解なのですか。
  82. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  地震予知に関する研究につきましては、測地学審議会の地震予知推進計画に基づいてやっておるわけでございますけれども、その中におきましても、マグニチュード七クラスというのは現段階ですぐ実現ということまではまだいっておりませんで、まず我々の研究の段階としましてマグニチュード八クラスを確立し、さらにマグニチュード七クラス、要するにエネルギーで申しますと三十分の一の大きさのものについても漸次取りかかっていこうというふうに考えております。
  83. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 被害の程度とマグニチュードが必ずしも比例はしておりませんね。深度も問題になってくる。たまたま今回の三月十八日の東京の地震は深さが九十九キロメートル、大変深いということでもって被害が少なかったというふうに言われております。もしこれが深度が十キロあるいは二十キロという浅い地点で発生した場合には予想もつかないような大被害になったであろう、このようにも言われております。その点はいかがでしょうか。
  84. 津村建四朗

    ○津村説明員 先生指摘のとおり、マグニチュード六クラス、これは七に近い六クラスでありますが、その程度の地震でありましても、深さが浅い場合には、しかも被害を受ける都市直下で起こりました場合には、大きな被害が予想されるわけでございます。例えば、これは七を少し超えておりますけれども、終戦前後に起こりました鳥取地震あるいは福井地震では、何千名という死者を出すような被害を受けております。
  85. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 予知できない直下型地震でありましても、大変な被害が出ることは容易に想定できるわけでございます。新聞の記事で恐縮なんですけれども、過去東京におきまして安政二年、死者を一万人出したと言われる江戸地震、これはマグニチュード六・九であったようです。同じく直下型地震としては、明治二十七年六月二十日、東京湾北部地震と言われておりますが、これはマグニチュード七・五、これは深さが書いておらないのですけれども、もしこれと同じような地震が発生したとしたならば、現在の東京ではどの程度の被害が予想されますか。
  86. 三木克彦

    三木政府委員 地震予知につきまして観測を強化いたしまして、科学技術庁及び気象庁で、科学技術庁の方はむしろ研究開発が中心でございます。また、気象庁の方は予知、予報の実務を中心に御研究なさっておるわけでございます。  ただいま先生が仰せになりましたそれぞれの地震につきましても、その地震動のあり方、実態、それと被害関係につきましては、東京の市街地の状況等にもよっていろいろ変わってくると思いますけれども、その辺の解析についてはまだこれからの問題になっております。必ずしもこの程度の地震がどの震源の深さで起きた場合にどういう被災になるかというところまで、まだ十分に解析していないというのが実情でございます。
  87. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 地震学者は、地震というものは同じところに繰り返し起こるものだというふうに言っております。そういうわけで、東京というのは地震に見舞われる可能性が非常に大きい。確かに、東海地震のように近い将来発生が予測されるいわゆるプレート型地震と違いまして、直下型ですからいつ来るかわかりませんけれども、今言ったようなお話では、防災対策としては大変お粗末なんですね。こういう地震の場合にはこういう被害が出るであろう、どこに発生した場合にはどうなるかということをこれから解析しようというのでは、防災計画がなきに等しいと思うのです。少なくともかつての安政二年の地震あるいは明治二十七年の地震、これが起きた場合には現在の東京としてはどうなるんだろう、どの程度の死者が出るんだろうかという予測のプランもないのでしょうか。  例えば、東京都内には首都高速が張りめぐらされております。いつでも渋滞しております。その首都高がパニックになれば、それだけでも大変な死者が予想される。現在の首都高につきましても、地震の場合に避難する道もないようですし、またそれが一瞬にして壊れるかどうかわかりませんけれども、壊れた場合にどうなっていくのか、そんなことをいろいろ想定して、どの程度の死者が出るのだろうか、したがってどういう防災体制を組まなければいけないのだろうか、それをどこまで考えているのだろうかと思ってお聞きしているわけなんです。全くないのですか。
  88. 三木克彦

    三木政府委員 南関東を含みます一都三県では、それぞれの都県で地域防災計画を策定いたしております。この地域防災計画の策定に当たりましては、特に震災関係を重視いたしまして、震災における被害想定を行い、その対策を立てておる。それぞれ地域防災計画に生かされ、かつ防災訓練もそれに基づいて行われている状況でございます。この場合に被害の想定規模をどうしているかということでございますが、一番大きな地震であると言われておりますマグニチュード七・九の関東大震災を想定いたしまして、それぞれ地震想定を行っておるわけでございます。したがいまして、どこの地域に起こり得るどの程度の深さのどのような直下型地震それぞれについて被害想定を行うところまでいっていないという意味で先ほど申し上げましたが、最大規模の地震についてはそれなりにきちっとした想定を行い、その対策が行われておるという実情でございます。  なお、首都高速につきまして地震時にどういう対応になるかということでございますが、現在の発災時におきます自動車関係震災対策といたしましては、交通規制関係で指導をいたしておるわけでございますが、車をとめて左側に寄せ、キーを差したまま運転者は自分で避難をするというのが原則になっております。ただ、首都高速の場合は将来緊急の応援路として使う可能性もございますし、できるだけあけたいということから、できれば高速道路から出ていただくということも考えておるわけでございまして、対策としては非常に難しい側面を持っておりますけれども、それぞれ検討いたし、実際に計画の中に規定をされているということでございます。
  89. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 局長に参考までにお尋ねしておきます。  最大規模の関東大震災並みの地震が現在東京で起きた場合には、どの程度の死者が出ると考えておるわけですか。
  90. 三木克彦

    三木政府委員 被害想定につきましては、いろいろな条件を設定いたしまして、非常に厳しい設定のもとにやっているわけでございますが、先ほど申し上げましたただいま公表されております地域防災計画のもとになっておりますそれぞれの被害想定がございますが、避難の非常に難しい方が、一都三県合わせてそれぞれ単純に足しますと六万人から七万人程度、こういうふうに見られております。
  91. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 地震といいますと、停電であるとかガスの漏出とか、いわゆる生活の基盤そのものに被害が出ることは当然でございますけれども、最近土砂の液化現象というのがありますね。そして、ビルが傾いたり倒壊したりする現象。この間の千葉県の地震にも一部液化現象が見られたように聞いておりますけれども、東京都の場合には液化現象ということも考えられるわけですか。
  92. 三木克彦

    三木政府委員 液状化現象は、地震の震動を受けましたときに土と水との関係が変化いたしまして、その関係で土砂が沈んだり水が噴出したりする現象でございます。したがいまして、地形、土質と地震動の関係におきましては起こりやすいところがかなりあるわけでございまして、そういう意味では臨海部に多いわけではございますが、東京都内でも起こる可能性は十分にございます。
  93. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 現在の超高層ビルは、そういう地盤の液化現象等にも対応して建てられているわけですか。
  94. 三木克彦

    三木政府委員 ただいま申し上げましたように、液状化現象は非常に個々具体の場所における具体的な状況でございますので、対策が難しいわけでございますが、ただいま仰せの大規模な建築物や公共性の高い建築物につきましては、支持地盤との関係を重視いたしましてそれに届くような形で設定をいたしておりますので、設計上十分な配慮が行われているというふうに考えております。
  95. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 次に、いわゆる震度の問題なんですけれども、これは森下委員長も大変興味を持っているようでございまして、東京瓦斯はこの間の震度五、こういうふうに思っているわけですね。東京瓦斯の観測装置では震度五であった。ところが、気象庁の方では都内の震度あるいは神奈川の震度は三である、こういうふうに震度が違うわけでございまして、どうしてこんなに違ってくるのか。人体で感ずる震度とそれから計測した数値の震度と、器械による場合にはどういう場所に設置されているかによっても違ってくると思いますけれども、いずれにしても前の大きな地震の場合にも、地域の人たちは今の地震こんなに大きかったじゃないかと言っても、気象庁の方は低いということはよく指摘されております。  気象庁にお伺いしたいのですけれども、気象庁がとっている震度というものは、そもそも百年以来いわゆる人体による観測を続けているわけですね。近時、そういう震度がおかしいではないか、違うのではないかという声を受けたせいかもしれませんけれども、機械化していこう、そういう動きがあるように伺っております。これはどうなんでしょうか。
  96. 窪田將

    ○窪田説明員 お答えいたします。  気象庁では現在、気象庁震度階級に基づき各気象官署において震度を観測し、発表しております。震度は万国共通に体感によって観測されているものでありますが、気象庁では震度観測の客観化を目指して、昭和六十年三月、震度観測検討委員会を設置し、世界に先がけて震度の計測化について検討してまいりました。ことしの二月ですが、報告を受け取ったところであります。今後はこの報告の趣旨に沿って震度の計測化に向けて努力してまいりたいと存じております。
  97. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 現在、いわゆる高感度震度計というのがございますね。これは東京都内の周辺に三カ所しか置いていない。岩槻、府中それから千葉県の下総。この高感度地震計というものは、震度というものには関係ないのですか。震度をあらわす器械とは無関係である、そう理解してよろしいわけですか。
  98. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  現在、科学技術庁は、国立防災科学技術センターにおきまして、首都圏に三千メートルクラスの深層観測井を三カ所整備し、微小地震の観測、研究を実施しているところでございます。ここに置いて観測しています地震計は、いわゆる微小地震を観測するということで、震度という人体の観測というのとは直接関係は持っておりません。
  99. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 今の高感度地震計、これは要するに小さな地震をとらえるのだ、その目的は恐らく予知のためだと思うのですけれども、正確に言えば深井戸観測施設ですか、深さ三千メートルぐらいに埋め込む。しかも、その一カ所埋め込むのに一基三十億円ぐらいする。三カ所埋めただけでも約百億程度の金がかかるというふうに聞いておりますけれども、これは間違いございませんね。こういうような大変な投資をして小さな地震の震度を図ってきて、それが果たして大きな災害の予知に機能するのかどうか。しかも、その置く場所が限られているという状況です。どこに置いてもいいわけではない。要するに周りに人家の少ないところ、しかも振動のないところ、非常に制約された中で置かなければいけない。そうでなければ、超感度ですから、地震の波がほかの人為的な、人工的な振動によって影響を受けてしまう、こうおっしゃるのですけれども、果たしてそういうような超感度を使ってどういうことが期待できるのか。我々素人にはちょっとわからないのです。そこをわかったというような答弁をお願いいたします。
  100. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  これらの三千メートルクラスの深層観測井で観測しております微小地震を解析する結果、例えば深井戸が設置されております地域におきますプレートの潜り込み構造、要するに地震というものは、岩盤同士がぶつかり合って、その摩擦、あつれきでいろいろひずみが生じ、それが解放されるときが地震として現象が発生するものでございますので、その辺の発生ぐあいをこの微小地震計で観測することによって、潜り込み構造を知ることがまず可能になると考えられます。それから、そういったデータを積み重ねた結果、関東、東海地域の統一的なテクトニクスモデルを構築するとかいった、そういう新しい理論をつくっていく上で非常に有効に活用されているというふうに考えております。
  101. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 観測計一基の値段は。
  102. 高木譲一

    ○高木説明員 昔設置した昭和四十年代では、たしか十億円以下でできたというふうに考えておりますけれども、最近その辺の様子をちょっと業者なんかに聞いてみました感じですと、二十ないし三十億かかるというふうに聞いております。
  103. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 科学技術庁さんの方では、このたった三つしかない深井戸観測施設を使いまして、そして岩盤と岩盤の潜り合いというのですか重なり合いというものを研究するんだ、そしてその研究の対象は東海地震と南関東に押し広げていって、そこに統一的なものを見出していこうというふうに聞こえたのですけれども、現在のいわゆる東海地震の問題と南関東の場合では峻別されておりますね。要するに、観測強化地域は間違いないけれども、南関東は地震災害対策特別地域にはなっていない。南関東についても災害特別地域に指定すべきであるという声もあるわけです。そういうことに資するための研究かと思うのですけれども、そこまではちょっと見過ぎですか。  いずれにしましても、そういう地震計が三カ所設置されておる。三カ所設置されておるけれども、それによってわかるのは海溝型の地震なのか直下型の地震なのか、どちらの方に重きがあるわけですか。
  104. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げましたようにプレートの潜り込み構造が次第に解明されているということでございますので、地震全体はそういう地殻のひずみの解放という形で、それが地震という現象につながるということでございますので、マグニチュード八クラスだけがこれでわかるということよりは、次第にメカニズムが解明されることにより、だんだん小規模のものにも有効にデータの活用が図られていくというふうに考えております。
  105. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 重ねてお尋ねしますけれども、わずか三カ所で、そういうような大変な大きな理論をつくるのに機能できますか。
  106. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  この深井戸につきましては、一応三カ所ということで今運用されてございまして、これは理論的には三カ所あれば震源の決定とかそういったものには一通り役に立つということで、三カ所設置しておるものでございます。もちろん、データとしては多ければ多いほどいいというようには考えておりますけれども、深井戸というのは三つ掘ったというのが初めてのケースでございますので、そのデータをどういうふうに活用していくかといったことも含めまして、まだ試験的に現在理論構築とかそういったものにどうフィードバックしていくかということを研究しておる状態でございます。
  107. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 私がなぜこれを質問しましたかといいますと、設置されておる場所なんですよ。岩槻、府中それから下総、強いて言えば、東海地震には全く関係のない場所ですね。いわゆる東海地震を想定しての研究なのか、あるいは東海地震とは逆の南関東に対する地震のための研究なのか、どちらにウエートがあるのかよくわからないのです。お話聞いていると、東海地震にも南関東地震にもどちらにも適用できるようなことを言っておりますけれども、果たしてこの場所で東海地震までわかるのかどうか。もしこれが東海地震までわかるとすれば、北海道の地震までも理論的に可能になってしまうような気がするのですね。だから、少なくともこの場所からすると、南関東の地震だろうと思うのです。その点、いかがですか。
  108. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  観測対象の主たる地域としては、南関東というふうに御理解いただいて結構だと思います。
  109. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 南関東は結構なんですけれども、いよいよ本題に入ります。一番心配しているのは、今最初に言ったように、現在の東京で避難体制も避難通路も避難場所もまだ確立できていない、また情報伝達もうまくいっていない、こういう現状の中で地震が起きますと大変な被害が起きる。今三木防災局長は、七万人くらいは死ぬであろう、こう言いましたけれども、この東京ということを考えて、この超感度地震測定地を置くのであればもっと違う場所に置くべきではなかったのかと思うのです。それはおまえ素人だから何もわかっていないと言われればそれまでですけれども、もっと東京に焦点を当てて考えるべきじゃないのかと思うわけです。何回も言いますけれども、地震は同じところに起きる、地震学者はそう言っております。そういう意味で、確かに試験研究の段階かもしれませんけれども、少なくとも明確な焦点をどこに置くのか、その辺が不明確だからきょう聞いているわけでございます。重ねてお願いいたします。
  110. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  先ほども申し上げましたように、三千メートルクラスの深井戸を掘って微小地震を観測するというのは我が国でも初めての試みでございまして、そういった意味で、現在データをどうやってそういう理論構築それから地震の予知に役立てていこうかというふうに研究している状態でございます。  それで、地点の選定につきましては、一応理論的には、三地点観測データが得られれば、そういう微小地震であっても位置決定とかそういった観測に役立てることができるということで、現在、府中、岩槻、下総の三カ所を選定したものでございまして、もちろん理論的にもっといい場所があったのではないかという御指摘でございましたら、それは可能性としてはございますけれども、現段階で我々は一応この三地点で観測したデータを使っていい成果を上げようということで、観測試験を続けているわけでございます。
  111. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 さらにその観測地点をふやすという計画はおありですか。
  112. 高木譲一

    ○高木説明員 御説明申し上げます。  現段階で明確な計画として観測地点をふやすということは決めておりませんけれども、それは今後どういう研究の成果が出てくるかによっていろいろ検討する余地があるのではないかというふうに考えております。
  113. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 震度の問題からとんでもない方にいってしまいましたけれども、午前中も野坂先生からお話がありました。軽震とか弱震とか、そういう表現がわかりにくい。要するに震度五については極めて強い地震、四の場合には強い地震、弱震と言われている三につきましてはやや強い地震というような表現に変えるべきではなかろうか、そういうような提案がございましたけれども、我々がわかりやすい表現として、今言ったような表現を考える余地はあるんですか。
  114. 窪田將

    ○窪田説明員 お答えいたします。  震度の表現についてでありますけれども、現在、気象庁ではゼロを含めて八階級の震度を用いております。それぞれ微震、軽震、弱震等であります。今先生がおっしゃる例えば強い地震とか弱い地震とか、そういう表現では地震の大きさ、つまりマグニチュードを表現する言葉になってしまう、そういうこともありまして、現在、地震とは使わずに単に弱震、これはつまり弱い揺れという意味を持っております。弱い地震という意味ではなくて、弱い揺れ。つまり震度はその場所による揺れを表現しているものでありますから、この表現について変更する、そういう考えは気象庁では現在持っておりません。
  115. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 庶民の感覚からしまして、今の地震が弱震だというのは非常に納得しないということだけなんですよ。もう少しわかりやすい表現に改めたらどうか、そういう声を聞くものですから言ったわけなんで、余りかたくなに改める気持ちはありませんと言われますと身もふたもないのですけれども、これは我々が納得できるような表現を考えていただきたいという要望でございます。  長官、先ほどの所信表明も拝見いたしました。この中に、特に東海地震につきましては発生が懸念されております。したがって、「大規模地震対策特別措置法の的確な運用に努める」、こういう言葉がございます。そして、さらにその後、「大都市震災対策につきましては、避難地避難路の確保など都市防災性強化に努めることとし、」としまして、「特に、南関東地域等を対象とした広域的な震災応急対策活動体制整備推進していく」、こうなっております。南関東の中には当然東京も含まれます。ところが、前回の地震では、東京都の中にいろいろな災害の広報システムもございますけれども、その災害システムが機能したのはわずか三区しかないと聞いております。世田谷区、目黒区、北区、この三区が地震がありましたという形でいったけれども、あとのところは全然何もならなかった。それをよく調べてみますと、それぞれの自治体が全部対応が違うし、また設置されている器械も違うようでございます。同じ東京都といってもいろいろなシステムが行われている。これでは東京都としての一貫した防災システムはできているのだろうかと心配になりまして、あるところではこんなこと心配ない、ここは大変だ、そういうばらつきがあったのでは困るのではないかと思うのです。特に南関東地域、なかんずく東京を統一的なもので縛っていくと言ってはおかしいのですけれども、とにかく何か起こればすぐ物が動くような一つの基準というものができていないように思うのです。先ほど局長にも聞きましたけれども、防災体制につきましてはまだまだ想定すらもしていない、これから一生懸命研究してそれを考えてみようという答弁でございまして、非常にお先真っ暗だという気がいたしました。  長官、この間の地震を踏まえて、たまたま今回は深さが九十キロの地点にあった、だから救われたのであって、これが深度十、二十であったら目を覆うような惨状になったことは間違いないのです。現在では避難路とか避難地域というものが確立されていないように思います。また情報の手段もお粗末のような気がします。大臣、この件についてどのように考えておりますでしょうか。
  116. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 午前中に若林さんからも同じ種類の御指摘をいただいたわけでございました。各県でも被害予測、いろいろやっておるわけでございます。殊にこの間かなりな激震があったものでございますから、震災応急対策活動システム、どう織り込むかという問題もあったりするわけでございます。それについてはやはり震災のおそれがあるかどうか、先ほど来予知の問題もいろいろあったわけでございますけれども、その問題をまず専門家に聞いてみなければいけないのではないか、こう思っておるわけでございまして、専門家にその問題についての御検討をいただいて、それを受けてあるいは南関東地域につきまして震災対策強化地域の指定をしなければならないのかどうか。するということになりますと、同時に公共団体だけではなしに民間においてもそういう対応の工夫を平素からしておくということになってくるわけでございます。それらの問題をあわせまして、今、専門家会議の意見をひとつ早く伺って、ある程度の結論を得るようにしてほしいということを事務当局には言っているわけでございます。
  117. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 時間がなくなりました。質問をたくさん用意したのですけれども、最後に一点だけ。  交通遺児につきましては育英制度がほぼ確立されてまいりました。ところが、災害遺児育英制度につきましては、我が党の矢野委員長も声を大きくして言っているのですが、なかなか実現のめどが立っていないようでございます。  本年の二月一日の予算委員会で竹下総理は、四月一日からということを念頭に置きながら要請に従う形で鋭意検討を進めていくというふうな答弁がございました。その後、この災害遺児育英制度はどうなっておりますでしょうか。
  118. 藤田不二男

    藤田説明員 御説明申し上げます。  この問題につきましては、昨年末の党首会談の後、総理の御指示によりまして内政審議室において検討を開始したわけでございます。災害遺児を対象といたします特別の育英制度を設けることにつきましては、例えば父母の病死でありますとか失業でありますとか、そういった他の原因によりまして経済的に進学が困難になった者との均衡ということもございまして、慎重な対応が必要であると考えております。しかしながら、この問題につきましては、現在、国会における御論議等を踏まえまして関係省庁と鋭意検討を進めているところでございます。
  119. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 竹下総理は、四月一日をめどにという発言があったのですが、その点いかがですか。
  120. 藤田不二男

    藤田説明員 御説明申し上げます。  竹下総理がことしの三月十一日の参議院の予算委員会で社会党の久保議員に対しまして、「四月一日という意味がいわゆる新学期の進学ということを念頭に置いてという考え方であろうと思っておりまして、したがって」「そういうことを念頭に置いて検討をしておる」という御答弁がございました。私どもも、そういうことでこれを念頭に置きまして一生懸命努力していることでございます。
  121. 橋本文彦

    ○橋本(文)委員 確かに四月から新学期が始まります。本当にそういう災害遺児に対しまして胸弾ませる、希望が持てるような育英制度の実現をぜひとも希望いたしまして、質問を終わります。
  122. 森下元晴

  123. 塚田延充

    塚田委員 今後二十一世紀に向けまして、高齢化、情報化、都市化が進んでまいりますと、災害に強い安全な国土づくりの要請はますます強まってくるはずでございます。このためには、第四次全国総合開発計画に盛られました安全で質の高い国土環境整備を急ぐ必要があると考えます。  そこで、この四全総におきます災害対策の位置づけ、そしてその具体策についてどのように対処していかれるのか、基本的な問題につきまして国土庁長官の見解をお伺いします。
  124. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 今お述べいただきましたように、四全総を策定いたしますときに三つの基本課題を定めておるわけでございます。その中で特に、安全で質の高い国土環境整備を示しておるわけでございます。また、そういう意味から過密を解消していかなければならない。東京一極集中の是正あるいは大都市からの機能分散というようなことも、そういう意味合いを込めているわけでございます。同時に、地域地域におきまして創意工夫を尽くしながら活力のある地域社会をつくる、そのために交通、情報・通信環境を整備していく、これもまた安全で質の高い国土環境整備していくためには必要なことだと考えておるわけでございまして、通信連絡、情報連絡あるいは交通の高速化、いろいろな大事な問題もあるわけでございまして、今後も安全ということを国土づくり基本に据えていかなければならない、こう思っているところでございます。
  125. 塚田延充

    塚田委員 先ほどから当委員会におきます審議は、ほとんどが地震ということに集中しているようでございます。それは、それだけもしもの場合の地震被害の甚大さを心配するからでございまして、特に東京という意味において質問が集中しておったと思いますが、私もそのような観点から、大規模地震に関連して幾つかの質問を集中させてみたいと思っております。  まず、昨年十二月、これは千葉東方沖地震でございますが、実は私自身も、警察には報告しておりませんが、被害を受けました。宿舎におきましてコップが五つほど全部割れてしまったという被害でございます。そして去る三月十八日、これはかなりびっくりするほどの大きな地震でございました。これについては、感じた大きさと気象庁の発表の震度にちょっと常識的に差があったので、これはおかしいなというようなことで、先ほどから各委員から、気象庁の震度の発表について一考も二考も要するのじゃないか、常識に近づけるべきじゃなかろうかという指摘がされたとおりでございます。  その中には、いわゆる軽震とか弱震とかいうような呼び方について、誤解を与えるからそれを変えろというような指摘もあったようでございます。私としては、震度三、四、五、六とかいうようなものについては、呼び方のいかんを問わず、かなりの方々が常識的に理解をできるようになっておる。となると、この問題の本質というのは、一般的には五ぐらいあったんじゃないかというのが三だというから、はてなということで誤解を生ずると思いますので、特にいわゆる震度の数字の出し方について、今までの各委員からの指摘に基づいて、気象庁の方としてはぜひ納得のいく、庶民の常識に合うものを出していただきたいと思っております。  さて、この東京は、申し上げたとおり、千葉東方地震それから直下型地震、そして常々言われております東海地震という、言うなれば三つの脅威を受けているわけでございますから、その三つのいずれかが東京に発生する確率というのはかなり高まっているというふうに考えざるを得ないわけでございます。とすれば、まず間違いなく、かなり近い将来において関東大震災のごとき大規模地震、これはマグニチュードが幾つになるかは別としても、起きるものと当然想定して、国土庁としては防災計画をつくっておかなければいけないと思います。  そこでお伺いいたしますけれども、東京において関東大震災並みの大規模な地震が生じた場合、その被害の想定、地域的にどのような事故が起きるのか、死者がどのくらい出るのか、そのような調査といいましょうか、研究がどこまで進んでいるか、御回答いただきたいと思います。
  126. 三木克彦

    三木政府委員 南関東地域につきましては、先生指摘のように、関東大震災並みの地震、それから直下型地震、それから東海地震の影響、いろいろ考えられるわけでございます。これらの震災対策につきましては、既に南関東地域を構成します一都三県におきまして、それぞれ個別に被害予測を行いまして、それぞれ地域防災計画に生かすという形で策定をいたしているところでございます。また、政府の指定行政機関あるいは指定いたしております公益的機関、こういったものにおきましてもそれぞれ防災計画を立てる、震災対策を盛り込んだ防災計画を実施するべく努力をしているところでございます。  先生仰せのとおり、東京は我が国の政治、経済、文化の中心でございまして、もし南関東地域におきまして関東大震災並みの地震が起きました場合には、その激甚な被害が予想されるわけでございます。国におきましても、単にそれぞれの地方公共団体の問題と言っているわけにはいかないという認識を持っておるわけでございます。こういった点から、広域的かつ総合的な防災対策につきまして国の関係機関としても検討して、防災対策に生かしていく必要があるという認識でございまして、一都三県にかかわります防災対策のあり方について検討いたしているところでございます。その検討を広域的な震災応急対策活動システムと称しておりますが、各都県で被害予測は行っておられますけれども、広域的な観点から見たらどうかというような予備的な勉強もいたしております。現在この応急対策活動システムにつきましては、情報管理それから救護、医療、輸送といったような広域的な対策を検討しているわけでございまして、被害想定を踏まえたこういった対策を、早急に結論を得まして実施を図るべきであるというふうに考えております。
  127. 塚田延充

    塚田委員 確かに国土庁としては、一都三県いろいろ情報をとりながら、それを取りまとめる作業をしているようでございますけれども、これについては一刻も早く国土庁としてまとめ上げたものを公表して、それを首都圏の住民にはっきりと公表しておいた方が、いざという場合にはパニックを防ぐ意味においてもよろしいのじゃないかと思います。これは余りにも大きな被害予測を出しますと、誇大宣伝といいましょうか被害妄想になってはいけないという心配もあるかもしれませんけれども、事人命などに関するものでございますから、私は、包み隠さずはっきり周知徹底せしめた方がいいと思うのです。  これを都民とか何かの立場でいきますと、意外と周知徹底していないのじゃないかと私は危惧しているものでございます。例えば高速道路においてそのような事故が起きた場合、先ほどの説明によりますと、キーをつけたまま車を寄せて云々というようなことがございますけれども、ほとんどのドライバーはそういうことを知らない。それから、各地に回りますと、確かに、この地域の避難場所はどこでございますとかいうような立て看板を間々見受けますけれども、各家庭そのもの、もしくは児童、こういうものにとってはそういう具体的なことについてよく知ってないのじゃないかという面もございます。  そういうことで、二つに分けて回答をお願いしたいのですけれども、いわゆる被害予測についてきちんとしたものを早くまとめて、まとまったものを即刻公表すべきであるということについて、どのようなスケジュールで、またそのように公表するのかしないのかということが一点。  二点目としては、いわゆる国民に対する教育啓蒙、それから事前の行動に対する指針と申しましょうか、具体的な防災及びそのときの対応方法、これについて学校教育を通じたり、また区役所など地域に密着した地方公共団体を通じてもっともっと指導すべきだと思いますが、それを監督指導する国土庁としてどのように考えておるのか、見解をお示しいただきたいと思います。
  128. 三木克彦

    三木政府委員 第一点でございますが、震災応急対策活動システム、現在鋭意検討中でございます。これに関連します被害想定は、このシステム検討の一環として行っているものでございます。したがいまして、システムの検討が終わりました段階でなるべく早く公表いたし、それぞれの先ほど申し上げました一都三県で持っておられます被害予測その他の対策とすり合わせをいたしまして、実際に効果がございますのはやはり周知し、かつ防災訓練を実施するということに尽きると思いますので、その点につきまして、ただいま仰せのとおり急いで作業を進めていきたいと考えております。  二番目の問題でございますが、確かに、先ほど申し上げました車の処理にいたしましても、平素の避難活動にいたしましても、日常生活の中で完全に生きているかと申しますと、もう非常に忘れられている面が多いわけでございまして、憂慮にたえないところでございます。しかし、公共団体の対策としてはそれぞれ鋭意実施しているわけでございまして、例えば車の処理にいたしますと、これは警視庁におきまして、交通規制の関係からいろいろと免許処理の段階等でPRをしていただいておるわけでございます。また、不十分かもしれませんが、地方公共団体はそれぞれの先端の実際に行政を実施しているところで、避難路避難地整備については周知公表を図っているというふうに考えられますが、仰せのとおり、十分とは言えない点もございます。国土庁としても、それらの点につきまして関係省庁を通じましてお願いをし、誤りのないように的確に処理したいというふうに考えております。
  129. 塚田延充

    塚田委員 昨年十二月の千葉東方沖地震の件でございますが、その被害状況がどうなっているのか、確認のため簡単に御説明いただきたいのですが、その中で特に私どもにとって注目を浴びておりますのは、その強さとか被害そのものというよりも、意外なところで噴砂現象が起きているということについて注目されているわけでございますが、その辺を踏まえて千葉東方沖地震についての状況について御説明いただきたいと思います。
  130. 三木克彦

    三木政府委員 昨年十二月十七日に発生いたしました千葉県東方沖地震でございますが、銚子、千葉、勝浦では震度五、東京、横浜などでは震度四というものでございます。非常に広い範囲で有感地震が観測されておりますが、被害の方は死者二名、負傷者百六十一名、住家の全壊、半壊合わせて百十八棟、一部損壊に至りますと七万三千棟に至っております。施設等の被害は約百十億円というふうに報告されております。  この地震は、首都近郊において発生した強い地震でございますが、人的被害それから住家、ライフライン関係被害が多方面にわたって発生しておりますが、地震の規模に比べますと被害は比較的少なかったという認識を持っております。  現象面といたしましては、先ほど仰せのとおり、液状化、がけ崩れといった特異な現象が見られるわけでございますが、特に液状化現象につきましては、東京湾、九十九里沿岸などにおきまして相当広範囲にわたりまして発生しておりまして、注目すべき現象であるというふうに考えております。
  131. 塚田延充

    塚田委員 液状化現象につきましては、新潟地震のときにもその報告を受けているわけでございますが、特に脚光を浴びましたのがこの千葉東方沖地震で、心配されておったことが実証されたような形になったわけでございます。  この液状化現象がいかに恐ろしいものであるか。それは、高層ビルなどにおきましては岩盤まできちんとパイルを打ち込んでやっておるから、建築構造物そのものは耐震ということで倒れない。しかしながら、足元のところがどろどろになってしまえば、地下埋設物などがずたずたになってしまう危険性があるわけでございます。この前の千葉沖地震におきましてはそこまでいかなかったけれども、関東大震災並みのものがあった場合には、この恐ろしい液状化現象が東京など至るところでもし起きた場合には、建物は残ったとしても、いわゆる社会経済活動上の動脈と申しましょうか、人体でいえば血管がやられる、神経がやられると同じような、大変な被害をもたらすものと恐れられているわけでございます。  そこで、国土庁にお伺いいたしますけれども、この液状化現象について、これを特別な見方で今の防災計画などに織り込んでおられるのかどうか。そして、まだその辺はやっていないとすれば、今後この液状化現象というものに特別に光を当てて、その面からの対策を講ずるべきと考えますけれども、その辺についていかがお考えでしょうか。
  132. 三木克彦

    三木政府委員 液状化現象につきましては、御指摘のとおり新潟地震を契機にいたしまして、道路、港湾、建築等の各行政分野におきましてそれぞれ個別に調査研究を行って、かなり対策も講じられているわけでございます。私どもの関係では、今回の千葉県東方沖地震によりまして、千葉県を中心にいたしまして先ほど申し上げましたように広域的に液状化現象が発生しているということでございますので、本年度の災害対策総合推進調整費を緊急につけまして、液状化現象実態調査を実施しております。  基本的な考え方といたしましては、液状化現象というのは非常に発生しやすい地域をあらかじめ特定しにくい、それから有効な対策を全般的に行うことは困難である、個別の区域における状況を把握してそれぞれ個別に対策を実施しなければならないという非常に難しい点もあるわけでございます。しかしながら、このような東方沖地震の状態から見まして非常に緊急を要する問題でございますので、実態調査の結果も踏まえまして、関係省庁と御相談しながら、対策はいかにあるべきかという点を検討してまいりたいと考えております。
  133. 塚田延充

    塚田委員 建設省にお尋ねいたしますけれども、この液状化現象について建設技術上どのようにとらえられており、これを今後の都市計画及び防災面などを含めて建設省としてはどのように対応し、もしくは建設業界などを指導しようと考えておるのか、その辺の状況について建設省の御認識と対策をお伺いしたいと思います。
  134. 豊田高司

    ○豊田説明員 お答えいたします。  建設省におきましては、昭和三十九年の新潟地震で認識されました地震時の噴砂現象というものにつきましては、その被害が大変大きいということで、研究対策は重要な課題であるという認識をしております。従来より、建設省研究機関であります土木研究所それから建築研究所、国土地理院、こういった三機関を中心といたしまして、新潟地震の実態調査から手始めに、昨年十二月の千葉県東方沖地震を含めまして継続して調査研究を実施しております。  研究は、まず液状化の実態調査から入りまして、液状化の判定方法それから液状化の発生しやすい地盤条件はどういったものかといったこと、それから地盤の改良方法等を含めまして液状化被害の軽減策等について継続して研究開発をしておるところでございます。  これらの研究の成果は、既に道路橋の示方書、これは耐震設計編というところでございますが、こういった示方書にも反映されておりますし、また、建築基準法令におきましても、地盤の液状化対策関係します諸規定等に反映されているところでございます。  こういった研究につきましては、今後とも引き続き調査研究を実施していく予定にしております。
  135. 塚田延充

    塚田委員 先ほどの国土庁防災局長の御答弁によりますと、この噴砂現象について起きやすい場所、地盤の特徴などいわゆる特定しがたい面がまだあるんだという御答弁だったように私は受け取ったのですけれども、今の建設省の方の回答によりますと、かなり研究が進んでおって、起きやすい地盤状況については特定できるようなところまで来ているのじゃないかと私は受けとめさせていただいたわけでございますが、その辺について三木防災局長はどのようにお感じになりますか。
  136. 三木克彦

    三木政府委員 ただいま建設省の方からお答えがあったわけでございますが、一般論といたしまして、私が申し上げまして非常に難しい点もございます。しかし、重要な公共施設の管理を所管しておられます建設省におかれましては、かなり突っ込んだ研究をなさっておるということでございますので、その点については大変結構なことだと思っております。しかし、建築やその他の分野を含めまして一般的にどうかと申しますと、まだ私が申し上げましたような点が残念ながら残っているのではないかという点を懸念しているわけでございます。
  137. 塚田延充

    塚田委員 先般の千葉東方沖地震で、まさかと思った東京の内陸部においても液状化現象が、程度の差はあれ、かなり起きたということが伝えられております。そして、これは学術的にも、そういう起きやすい地盤と申しましょうか、もしくは歴史的な経過、埋め立てがどうだったとかいうようなことから、推測がかなりの程度に可能じゃないかと私は思うのです。そういう意味から、先ほど申し上げたように、これからいわゆる地下埋設の動脈がやられる危険性もある。それから、要するに安心して住んでいる一般民間家屋が新潟地震のようにやられてしまう危険性もある。そういう意味から、首都圏における液状化現象が起きやすい地域のマップなどをつくって、その地域に対して注意を喚起する。同時に、それに基づいて特別な地方公共団体としての対策を講ずる。そして、住民に対してもそれなりの準備をしてもらう。そして、新しくそこに建築などする場合には、建設業界においてもその地域については十分なる対策を講じた上で建設に取り組むとかいうように、噴砂現象危険地域マップみたいなものをつくることはできないでしょうか。
  138. 三木克彦

    三木政府委員 東京都は、比較的液状化現象の起こりやすい区域を抱えておるわけでございます。そういった意味で、先ほど申し上げました東京都の地域防災計画の中には、いわゆる液状化が起こりやすい地域は図面で表示してございます。ただ、これは非常に細かいところまで行き届いておりませんで、非常に大まかな図面でございます。したがいまして、個別の先ほどの御指摘の民間の木造建築までそこでうまく行政的な指導ができるかというところについては若干問題はございますが、一応はマップでお示しができておると思っております。
  139. 塚田延充

    塚田委員 それにつきましては、単に国土庁が内々にマップをつくって、内々に持っておって云々ではなくて、やはり地域を管理しております地方公共団体にはっきりとそれをおろしていって知らしめておくこと、及びそこを通じてさらに住民の方もその危険性について、怖がらせるだけでは困りますけれども、実態は認識していただくということが混乱を避けるために必要じゃないかと思いますので、その辺につきまして今後さらに突っ込んだ御検討、それから実施をお願いしたいと思います。  さて、東京湾岸部の開発につきましていろいろ取りざたされております。これは、東京における経済的なオフィス需要などのキャパシティーが完全にパンクした、そういう意味において供給を広げようというような発想であるとか、もしくは大胆な計画で、都心そのものを人工島みたいな形でもって持っていこうじゃないかとか、いろいろな計画がメジロ押しのようにマスコミなどを通じて承知しております。これにつきまして国土庁といたしましては、官民合わせてどのような計画が出ているのか、そして、その中ではどのプランが具体化されつつある、もしくはされることが確実視されているのか、その辺、把握している範囲内で御報告いただきたいと思います。
  140. 北村廣太郎

    ○北村政府委員 東京湾岸の開発計画につきましては、計画段階にあるものあるいは実施途中にあるものあるいは単なる構想にとどまるものと、十数プランについてのいろいろな構想があるわけでございます。その中でただいま進行中のもの等を御報告いたしますと、東京におきましては、今年三月十八日に、東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設整備等に関する基本方針が、私ども国土庁、それから通産省、運輸省、郵政省、建設省及び東京都から成ります東京臨海部開発推進協議会で決定されたところでございます。その対象区域は、東京湾の東京都区域内の十三号埋立地、十号地、有明、豊洲・晴海地区等でございます。そのほか進行中のプロジェクトといたしましては、横浜市のみなとみらい21計画、それから千葉県における幕張副都心計画等があるわけでございます。  その他構想中のものといたしましては、東京湾の埋め立てにかかわるものとしては、東京湾の相当部分を埋め立てる人工島構想とか、そのほか国際交流ゾーンあるいは東京湾マリネット構想とか、さまざまな計画がただいま構想としては打ち上げられておる段階でございます。
  141. 塚田延充

    塚田委員 この東京湾岸部の開発計画というのは、俗にウオーターフロントと言われておりますので、いずれにせよ埋め立て的なことになると思います。そうなりますと、所管としては運輸省港湾局の所管部分が非常に大きな分野を占めてくると思います。  そこで、運輸省にお伺いしますけれども、防災の面からこれらのウオーターフロント開発計画に対してどのように対処していこうとしているのか。すなわち、防災面での指導のあり方でございます。これは、先ほどから話しております埋立地ゆえに起きやすいであろう噴砂現象であるとか、または地震による高波被害に対して、今のうちに、いわゆる計画段階からそのような防災面のことを考えて指導していく必要があろうかと思いますけれども、その辺につきまして、みずからの事業計画及びほかの官民計画であっても結構ですから、どのように対応していこうとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  142. 桜井正憲

    桜井説明員 お答え申し上げます。  防災の面では、地震対応と、それから津波、高潮という海からの現象の両面の対応があるかと思います。  前段の地震につきましては、先ほどから国土庁建設省の方で御答弁いただいておりますけれども、埋立地が多いいわゆる港湾地区でございますので、特に液状化の問題というのはかなり多く発生する地区でございます。古くは新潟地震六年ほど前には日本海中部地震という中でかなり港湾地帯に大きな被害が発生しておりまして、そういった中で液状化対策の必要性については十分認識しております。そこで私どもといたしましては、かねてより各地震の被災状況調査しまして、私どもの研究機関でございます港湾技術研究所を中心にいたしまして技術的な検討を進めております。その成果といたしまして、地盤の液状化の判定方法あるいは液状化対策工法につきましての知見もかなり詰まってまいりまして、そういったものによりまして既存の施設につきまして点検作業をするように、あるいは必要に応じて液状化の発生のおそれのあるものについては順次対策工事をするようにということで地方公共団体等を指導してございます。  それから、二つ目の津波、高潮の問題でございますが、例えば東京湾につきましては、一通りの津波、高潮対策につきましては終わっておりますが、先ほどの液状化対応あるいは地盤沈下による護岸の天端の低減、そういったものをカバーするということから、現在第四次海岸事業五カ年計画に基づきまして、湾内各港におきまして堤防の改良あるいは水門の改良といったような既成市街地を守る整備を進めております。ただ、先ほど御指摘ありましたように、東京湾岸部におきます新しいプロジェクト、これまでの既成市街地の外側に新たな町ができてくるということがありまして、そういったような地区におきます防護計画につきましては、開発計画との整合に配慮しながら保全対策に万全を期するということを考えておりまして、所要の施設整備を図るべく調査検討を進めております。こういった調査検討の成果を踏まえまして、海岸管理者でございます湾内の地方自治体に対しまして指導しているというのが現状でございます。
  143. 塚田延充

    塚田委員 現在、東京、首都圏が余りにも過密化し過ぎてしまったということで、首都機能をほかへ持っていこうじゃないかとかまたは分散させようじゃないかということが、竹下総理の意向もございまして、奥野長官を指揮官としていろいろと策を練られて、いよいよ実行段階に入っていくものと思われます。これにつきましては、あくまでも過密対策ということでございますけれども、何回も指摘されておりますように、この首都が危ない、大事故が起き得るのだという防災面からも、そういう首都機能の移転もしくは分散ということを国土庁としては考えていかなければいけないと思います。  そこでお伺いいたしますのは、そういう災害有事に備えて立川に防災基地というものを築いていこうという計画だそうでございますけれども、この立川基地の計画概要、そして、ずばりそこには第二の官邸機能みたいなもの、いわゆる永田町、霞が関機能までも含めておるのか、それとも災害が起きたときの救助活動の単なる基地なのか、この辺について御説明いただきたいと思います。
  144. 三木克彦

    三木政府委員 立川の広域防災基地でございますが、昭和五十四年の国有財産中央審議会の答申、それから五十八年の中央防災会議決定を受けて建設を行っているものでございます。ここでは、災害対策本部の予備施設、それから警察、防災関係施設、医療施設、食糧備蓄施設などを配して、南関東地域に広域的な災害が発生した場合におけるヘリコプター等を活用した災害応急対策の総合的拠点となることを目標といたしております。昭和六十三年度におきましては、既に災害対策本部の予備施設が概成をいたします。お話しのように、予備施設の機能と災害の基地と両方の性格をあわせ持った広域基地でございます。
  145. 塚田延充

    塚田委員 ただいまの御説明では、どちらかというと災害発生の際の救助のための基地のような感じが強いと思います。  そこで、私が国土庁長官お願いしておきたいのは、災害有事の場合のシャドーキャピタルと申しましょうか、もしくは第二官邸もしくは第二永田町のようなところをどこかにつくっておかないと、単に災害のみならず、海外との関係とかいうこともあって大変なことになってしまうのではないか。今までの調査研究の段階ではこの国会地域については建物も地盤も何とかもつのではないかと言われておるけれども、万一ここが壊滅状況になったときに国家機能としてどうするのかということから、第二キャピタル、いわゆる副首都みたいなものを小規模であっていいからつくっておく必要があるのではないか。これにつきましては、首都の過密対策とか遷都とかいう見地ではなくて、長官としての個人的見解でも結構でございますから、そういうような副首都の構想についてどうお考えなのか、個人的見解をお聞かせいただきたいと思います。
  146. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 首都機能の移転に関する論議の中には、おっしゃっているような論議も重都論としてあるわけでございます。立川の方は、おっしゃいますように、単なる中央防災会議の議場にするというようなことにとどまるわけでございます。さしあたりは、政府関係機関、首都機能の一括移転の場合にもついていく必要のないようなものは、この際全部二十三区の外に出ていくようにしようではないか。しかし、首都機能の一括移転の問題とか重都論などになってまいりますと、国民の間にもう少し論議が熟してまいりませんと、政府としてどうする方がいいのだというような結論めいた考え方は差し控えた方がいいのではないか、こう思っております。十分に将来とも研究課題にさせていただきたいと思います。
  147. 塚田延充

    塚田委員 最後に、河川改修、治水について一問だけお尋ねしておきます。  茨城県の那珂川は一昨年の台風十号によって大変な被害を受けましたけれども、これについての河川改修状況はいかがなっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  148. 齋藤尚久

    齋藤説明員 御説明いたします。那珂川につきましては、六十一年八月の台風及びその後の温帯低気圧によります記録的な豪雨によりまして大きな災害を受けたわけでございます。  そこで、建設省といたしましては、那珂川につきまして直ちに災害復旧工事にかかったわけでございます。この事業費は約二十九億円でございまして、現在鋭意進めておるところでございます。と同時に、万代橋というのがございますが、その左右岸上下流にわたりまして直轄の河川激甚災害対策特別緊急事業というものに採択いたしまして、総事業費約六十億円をもってこれまでに用地買収その他の事業を進めておるわけでございます。それとまたあわせまして、一般の改修といいますか、通常の河川改修区間も含めまして、JRの常磐線の鉄橋がございますが、そこから上流約十五キロ区間にわたりまして都市計画の決定をしていただきまして、必要な用地をただいま鋭意買収中というところでございます。  今後の見通しでございますが、一般の改修につきましては重点的に予算を配分して改修に努めたいと思っておりますが、いわゆる激特事業につきましては六十五年までに計画の区間を完成させるようにということで、ただいま努力しておるところでございます。
  149. 塚田延充

    塚田委員 終わります。
  150. 森下元晴

    森下委員長 藤田スミ君。
  151. 藤田スミ

    藤田委員 私は、まず最初に災害遺児育英制度の創設についてお伺いをいたします。  私は、昨年五月も当委員会でこの問題を取り上げさせていただきました。あえて災害特別委員会国土庁長官にこの問題をただしていきたいと思いますのは、改めて言うまでもありませんが、自然災害で犠牲になった遺児たちの実態が余りにも悲痛なものであり、そしてその要求は余りにも切実であるからであります。突然父母を奪われた、あるいは父親を奪われた、言ってみれば十分災害対策がとられていなかった中での犠牲であるとすれば、これは人災であり、その救済は政治にありと私は思っています。そして、国土庁長官はそういう場の大臣でありますから、ぜひともこの問題に取り組んでいただきたい。しかも、これは自民党の公約であることだということを最初に申し上げておきたいと思います。  この災害遺児育英運動、五年前から交通遺児を中心にして始まってまいりました。今日その募金は二億二千万円になっていると言われています。その間、交通遺児たちを中心にして運動の輪がどんどん広がり、何十万の学生がボランティアに参加をし、善意ある二百万人以上の人々がその募金に応じてお金を出し、二億二千万円という額に上ったわけであります。今この災害遺児育英会の人たち、運動する会の人たちは、五百人を対象に月二万五千円、そして三年間、つまり三十六カ月で四億五千万になり、そうすればこの募金を基礎に、あしながおじさんなどのさらなる善意を得て、そして国の三分の一の補助によってもう実際にできる、こういうことで胸をときめかせております。  まして、六十一年二月、中曽根総理は文部省を中心に各省庁で協議をさせると極めて前向きの答弁をされました。そして、御承知だと思いますが、去る二月一日、御要請に沿う形で鋭意検討を進めてまいりたいと言われたのは竹下総理であります。その後も予算委員会でこの問題が取り上げられまして、四月一日に間に合うようにという、こういう委員からの質問に対して、さらに総理は財源も含めて鋭意検討している、こういうことでいよいよもう四月一日を前にして希望の灯がともる、そういうことで高校進学の子供たち、その家族はゴーのサインが出るのを待ちかねているところであります。  きょうは、そういう意味でこの運動に参加をしていらっしゃる学生さんがたくさんこの場にも傍聴に来ておられますが、まず最初に文部省にお伺いをいたします。  二十日の読売新聞で、「災害遺児育英制度創設せず」、こういう報道が出されました。私はびっくりしましたが、こういうことなんでしょうか。
  152. 平川忠男

    ○平川説明員 三月二十日付の新聞には、災害遺児育英制度の創設問題についての記事が出てございました。この問題については現在内閣内政審議室を中心に検討中でございまして、文部省としても、文部省の所掌の範囲でどのような対応が可能なのか、現在検討しているところでございます。
  153. 藤田スミ

    藤田委員 文部省で検討しているということがこういうことなんでしょうか。もう一度はっきりお答えください。それじゃ、文部省の所掌の中で検討されていることが「「育英会」拡充で対応」、こういうことなんでしょうか。
  154. 平川忠男

    ○平川説明員 文部省といたしましては、いわゆる災害遺児について特別の奨学制度を創設すること、これは困難であると考えております。ただ、これまでの経緯、国会での論議等踏まえまして、文部省の所掌の範囲で一体どのような対応が考えられるか、どのような措置を講ずることが可能なのか、いろんな角度から検討を行っているという現状でございます。
  155. 藤田スミ

    藤田委員 災害遺児育英制度の創設は困難だと考えるというのは、これは随分これまでの言われてきたことと違うじゃありませんか。それから、育英会を拡充で対応、育英制度は創設せずというのは、それじゃ文部省の今の考えだということですか。もう一度はっきり言ってください。
  156. 平川忠男

    ○平川説明員 国が実施いたします育英奨学事業といたしましては、一般的、包括的な制度でございます日本育英会の育英奨学事業がございます。これはかねてから、成績優秀であって、単に災害だけでなくていろんな事由から経済的に進学が困難となった学生生徒に対して援助措置を設けているところでございます。したがいまして、文部省といたしましては、災害による遺児だけを対象とする特別の奨学制度を設けることにつきましては、他の原因、例えば親の病死でございますとか失業でございますとか離婚等、災害以外の原因によって進学が困難になった者につきましても、均衡上考えざるを得ない立場にございます。そういった点から文部省として特別の措置をとることは困難であるということを申し上げているわけでございます。
  157. 藤田スミ

    藤田委員 文部省としては困難であるというような考え方はいつ出てきたんですか。随分違うじゃありませんか。昨年五月のときにも文部省としては、先ほど均衡論のことを言われましたが、均衡、バランスの問題があるが、そうではあるがやらざるを得ないということで、交通遺児育英会の皆さんとも話し合いをするということでその後話し合いを進められ、そして話が前へ進んでいったんじゃありませんか。そんな答弁で私、進めないのですよ。  この育英会というのは、これでとても災害遺児が救済されるというようなことにはなりませんよ。あなたは一体災害遺児の生活の実態がどういうものであるかということを承知しておられるのかどうかという、その原点まで私は疑問を抱きます。災害遺児の子供たちは、まさに母子家庭の子供たちは、教育投資時代と言われる受験競争の中で劣勢に追いやられているのです。かぎっ子、兄弟の面倒を見、バイトをし、そして塾にも行かしてもらえず、欲しい参考書も買えない、これがこの子供たちの実態じゃありませんか。  だから、日本育英会というのは、あくまでも学業成績の基準を下げる、全くなくするということではなしにあくまでも下げるという範疇です。そこでは救えないから、多くの人たちが日本育英会の拡充ではなく災害遺児の育英会を創設せよということを言ってきたのではありませんか。またこういうふうなバランス論を言い出したら、まさに二十年前に交通遺児の育英制度を創設するときにも当時の床次国務大臣はバランス論をやはり言われている。そのときのバランス論は何だったですか。自然災害の遺児の子供たちとのバランスが崩れるということで、交通遺児災害の救済の問題について最初は抵抗されていました。  そしてこの間、阿部高等局長は、制度的には交通遺児育英会の制度の中で、この事業の一環としてやるという方向で考えたい、これが関係者の要望だが、制度的には可能なわけでございます、制度的には可能だが、具体的問題は財源問題が解決しないといけないので、そこがネックになっているのだ、そして内政審議室が中心に鋭意検討しているんだ、こういうふうに言っているのです。育英会でやるということは、国会の議論されてきたこととはまるで違いますし、ましてできない、困難だと考えるなどということはまるで違います。制度的に可能、あとは財源の問題、この答弁を変えるつもりなんですか。ついせんだってのことです。
  158. 平川忠男

    ○平川説明員 先ほどの先生の御質問は、新聞記事との関連で、日本育英会の制度の拡充で対応するのかという御質問でございましたので、そのことについては文部省内で対応できる措置を現在検討中とお答えしたわけでございます。  それから、先日阿部局長からお答え申し上げましたのは、交通遺児育英会は民間の方々が中心になって設立されている財団法人でございます。文部省といたしましては、所管している財団法人から、正規の手続等を経てその寄附行為等の変更の認可申請があれば、前向きに検討することは可能である。ただしこの問題については、交通遺児育英会が国庫補助が前提であるというふうに申しておりますので、そのこととのセットで考えなければ難しいというふうにお答え申し上げたところでございます。
  159. 藤田スミ

    藤田委員 よくわかりました。そうすると、文部省としては育英会を広げるということで考えているけれども、災害遺児育英会の創設についても制度的に可能であって、財源問題等もこれあり、目下そういうことで内政審議室で検討している。ラインがようやくそこへ入ったと思うのですが、そういうことですね。
  160. 平川忠男

    ○平川説明員 この問題については、財源問題等を含めまして、内閣内政審議室を中心に現在検討されております。
  161. 藤田スミ

    藤田委員 大臣にお伺いします。  前回、綿貫長官の御答弁でもこう言われたのです。これは自民党の選挙公約でもあり、日本育英会のほかにこうした民間からの奨学制度を検討するということで、災害遺児育英制度の創設を検討するという御答弁をいただいております。  何遍も言いますが、何十万のボランティアが、二百万人以上の善意の人々から二億二千万円のお金を集めた。このお金はボランティアの皆さん、交通遺児の会の皆さんの涙ぐましい御努力はそうなんですが、その背景に何があったか。一つは自民党なども公約に掲げられ、それから国会では中曽根総理も竹下総理も次々に積極的な答弁をされた。そして、各政党もまさに超党派で、この問題については、災害遺児育英制度を設けるべきだということで、大変御熱心な取り組みが始まっている。こういうことで世の中は、ああ、これなら善意が善意として生きていくということで募金の呼びかけに応じたと思うのです。ところが、日本育英会というさっきの文部省の制度の中ということになってしまいましたら、二億二千万円のお金の持っていくところもなくなるわけです。そうすると、せっかくの国民の善意の二億二千万円はどうなるのかというような話になっていくわけです。  文部大臣も経験されておられる大臣でございます。どうかぜひこの場で、内閣の一員として、また自然災害に直接大変かかわりのある大臣として、総理の答弁、四月一日までに実行しよう、そのために鋭意検討も重ねていくというこの積極的な答弁が確実に実行されるように努力をしていただきたい、そのことで大臣決意をお伺いいたします。
  162. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 午前中にも橋本さんから災害遺児育英資金の質問がございまして、内政審議室の方から鋭意検討を重ねているところだという御報告がございました。予算委員会でこの問題が出ておりまして、私も聞いておりましたから、どう決まったのだろうかなと思っておって、なお検討中という話なものでございますから、早く決めてほしいものだなと願っておったところでございます。
  163. 藤田スミ

    藤田委員 ぜひ閣議の中でも積極的に大臣の方からもう一度後押しをしていただくということをお約束してくださいますか。
  164. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 防災を担当している国土庁でございますので、機会がございますればそのような立場で物は言いたいと思います。
  165. 藤田スミ

    藤田委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  けさほど来の大臣所信の中でも触れておられますし、各委員もまた取り上げられました国際防災旬年についてお伺いをいたします。  国土庁の六十三年度予算を見ましても、国際災害軽減運動推進として四百万円予算がつけられておりますが、これは国際防災旬年の取り組みを指しているのかなというふうに思いましたけれども、国際防災旬年について、これまでの経緯、対応につき明らかにしていただきたいわけです。要点だけ簡単で結構でございます。
  166. 三木克彦

    三木政府委員 国際防災旬年に関する経過でございますが、今世紀最後の十年間に世界の自然災害を大幅に軽減しようという国際的運動でございまして、一九八七年の国連総会におきまして、我が国を初めとする九十三カ国により共同提案され、全会一致で決議されたものでございます。  これからの進め方といたしましては、国連のサイドでは、事務総長の指示のもとに、国際的にどういう運動をしていくかということを検討する予定でございます。  国内の方でございますが、そういった動きに対応いたしまして、いずれは国内の委員会を設置するということが必要でございます。この関係につきましては、国土庁防災局が窓口になりまして各方面と連絡をとっておりますが、単に政府だけでなく、学界におかれてもこの運動については深い関心を持ち活動されているわけでございまして、今後国際防災旬年懇談会を通じまして、日本の国で何をやるかということについて検討いたしたい、こういうことでございます。先ほど仰せられました四百万円は、こういった意味での調整を行うための事務経費でございます。
  167. 藤田スミ

    藤田委員 実は、私は昨年の六月、衆議院の海外防災制度調査に参加をいたしました。ヨーロッパに参りましたけれども、国際地震センター、世界気象機関及びUNDRO、国連災害救済調整官事務所ですが、そういう機関も訪問をし、調査をしてまいりました。UNDROのエサフィ調整官が、日本は災害の経験が多い国で、また技術的にも進んでいる、こういうふうに言われまして、日本との協力に大変意欲的だったことが印象に深く残っているわけであります。したがって、国際防災旬年といった取り組みは大変意義が深く、日本は積極的な役割を果たしていくべきだ、私はそのように考えております。  そこで、まず最初に外務省にお伺いいたしますが、そのUNDROへの我が国の拠出金は六十二年で十五万ドルというふうに聞いております。しかし、昨年の国際緊急援助会議でも資金不足だ、機能強化のためにはもっと資金を拠出してもらわなければいけないというような議論がしきりにされているわけでありますが、日本はもっと拠出金をふやすべきではないか。このことを含めて、国際防災旬年に対する外務省としてのお取り組みも聞かせていただきたいわけです。
  168. 野坂康夫

    野坂説明員 UNDROでございますけれども、一九八六年まで五万ドル拠出しておりましたけれども、今度今年度から十五万ドルに引き上げたところでございます。いずれにしましても、UNDROの災害救済の調整に果たします重要性というのは十分認識をしておりまして、今後ともできる限りの協力をしていきたいというふうに考えております。  それから、先生が御指摘になりました本件旬年でございますけれども、先ほど国土庁の方で御説明がありましたように、昨年の総会で決議が出たわけでございますけれども、我が国も共同提案国ということで積極的に支持を得るよう努力いたしまして、最終的には全会一致で採択されたということになっております。それで、今後の活動は、事務総長の報告を受けまして、ことしの総会それから来年の総会で決まっていくわけでございますけれども、私どもとしましても、この分野での日本の貢献というのはかなりできるのではないかというふうに考えておりまして、今後とも積極的に推進してまいりたいと思っております。
  169. 藤田スミ

    藤田委員 この旬年に関する国連決議では、特に途上国の防災対策への国際協力というのがうたわれているわけですが、先ほどの御説明にもありましたように、各国政府も国内委員会をつくって災害の軽減に取り組むべきだということも入っております。私も、すべての国がその条件にふさわしく防災対策を向上させることが非常に大事だ、それは国際協力というけれどもその前提にあるものだというふうに思っていますし、海外に参りましたときにもいろいろ回りましたけれども、結局それこそ大臣のおっしゃったような自然災害天国と呼びたくなるような——天国じゃないですね、自然災害日本ですか、とにかく非常に多い国の中ではそういうものを一つ一つ日本が真剣に防災対策に取り組んでいくことが、これは物すごく世界じゅうに貢献することになるんだなということをつくづくそのときも思いました。  そこで、国内対策なんですが、私は、質問をすると長くなりますから、一気にその手だてがどうなっているかということを少し見ていきたいと思うのです。戦後最大洪水に対する大河川整備率は八六年までで五七%、それから時間雨量五十ミリに対する中小河川整備率都市河川で四八%、農山村では二〇%、土石流の危険渓流は七万四百三十四渓流で整備率は一六%、地すべり危険箇所は、建設省分で一万二百八十八カ所に対し整備率は一六%、農水省管轄で八千七百五十五カ所に対し四十数%、急傾斜地の崩壊危険箇所は六万二千五百七十カ所で十数%。ところが一方、雪崩の対策などは、年次計画ももちろんありません。そして、政府治山治水五カ年計画は昨年から始まったわけですが、その七次計画は、その前の六次計画に比べて治山で六百億円削減して一兆四千百億円、治水で二千五百億円削減して八兆円というふうに後退をしているわけです。それから、地震火山の観測で見ましても、問題になっていますが、地震計のない気象庁の測候所が全国で三十四あり、千葉測候所では水槽にピンポン玉を浮かべて、あの千葉沖地震もこの前の東京直下型地震もこれで様子を見るというようなありさまで、全国に活火山が六十から七十ありますが、そのうち地震計を置いているのは十八しかない。こういうようなことで、一遍に言うてしまいましたのでちょっとあれですが、大臣はこうした現状をどういうふうに見られますか。
  170. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 計画を立てながら、着実に前進してはいるわけでございますけれども、御指摘いただきましたように整備率の非常に低いものもあったりするわけでございました。こういうものについてはさらに一段力を入れていかなければならないな、こう思っているところでございます。これまでは財政再建がおもしになっておったと思うのでございますけれども、幸いにして六十三年度の公共事業は全体的に二〇%ぐらいふやせたわけでございますので、今後もこういう問題についてはさらに一段と力を入れてほしいものだなという気持ちで伺っておりました。
  171. 藤田スミ

    藤田委員 私は、この旬年をステップにこうした事業を前進させるために、それこそ国内計画を立てて積極的に取り組んでいくべきだし、そういう国際旬年になるように進めていただきたい。国連でもIDNR計画というのでしょうか、そういう計画が策定されるように取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  172. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 各部門部門で長期計画をつくるようになってきておりますので、この姿はなお前進を続けていくものと期待いたしております。
  173. 藤田スミ

    藤田委員 もう一つ国内計画の問題で、今回改定されます豪雪基本計画の中に、生活環境施設等の整備として屋根の雪おろしなどの除雪活動について触れておりまして、社会福祉等の生活に密着した各分野における克雪対策充実を図る、こういうふうにされているわけです。これは豪雪だけではないな、社会福祉施設の安全対策だとか災害弱者への対策だとか、これは国土庁も力を入れておられ、こういう本まで出しておられるのですが、そういう分野についてもぜひともこの防災旬年で、大臣は現行の計画推進するということですが、しかしけじめをつけてこういう細かいところまで含めた計画というものをしっかりつくっていただきたいというふうに思うわけです。
  174. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 豪雪地帯対策特別措置法に基づきまして豪雪地帯の対策計画的に進めていっているわけでございまして、今御指摘になりました克雪住宅も、これを開発し奨励していくということで今回取り入れられたわけでございます。まだ緒についてばかりでございますけれども、これからもさらに一層努力していくべき問題だと思います。  特に、日本の場合には隣近所が助け合って雪おろしにもひとつ力を入れていこうじゃないかというよい風習もあるわけでございますので、そういう習慣も大事にしながら、克雪住宅を開発し、普及させていくということに努力をしていきたいものだと思います。
  175. 藤田スミ

    藤田委員 この問題に関連をして、一つだけきょう厚生省の方にお願いをしておりますので、お伺いいたします。  この委員会に何度も請願で出されているのが、地震の場合における重度障害者の避難体制確立等に関する請願というのがありまして、これは保留になっているのですが、この中の二のところに、寒冷地に住む脊椎損傷者の住宅の屋根雪おろしの援助というのが求められているわけです。  重度障害者とか老人世帯でもそうなんですが、自力で除雪できない世帯に対して、五十九年豪雪において厚生省が雪おろし作業員を非常勤の家庭奉仕員、ホームヘルパーとみなすという措置をとられて、各県に指示をしたことがあると聞いておりますが、これは事実なんでしょうか。そして、今後も必要な場合のホームヘルパー制度の活用について一定の運用方法を定め、各県に徹底しておくことが必要だと私は考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  176. 矢野朝水

    ○矢野説明員 五十九年にそういった通知を出したわけでございます。それから、その後におきましても、老人世帯あるいは身体障害者の方のところとか母子世帯、こういったところにつきましては、必要に応じまして今おっしゃったような形でホームヘルパー制度を活用いたしまして、雪おろしをやっておるということでございまして、こういった考え方を今後とも引き続き実施してまいりたいと考えております。
  177. 藤田スミ

    藤田委員 最後に、国際防災旬年の問題でお伺いをしておきます。  先ほど申しました衆議院の海外防災調査関係書記官から、予知や防災のための貴重なデータや仕事あるいは国際協力が戦争によってたびたび中断をされてきた、こういうことを私たちは聞かされました。私はスイスに参りまして、スイスの幾つかの住宅の核シェルターも見せていただきました。そういう中で、今度の調査の印象はと聞かれたら、やはり最大の災害は戦争だ、そして、最も最悪の最大の災害は核戦争だというふうな結論になったわけであります。私の結論です。  核戦争こそ最大の災害だという点については、昨年十月に来日されたIDNR提唱者の全米科学アカデミー、プレス博士、この方が講演の中でやはり、最悪の災害すなわち核戦争のおそれをなくすために、地球規模のゴールに向かって、科学者、技術者は真剣に取り組まなければならないと、同様の訴えをされているわけであります。  私は、今こそ最大最悪の災害をなくすために核兵器を廃絶する、まして核を経験している世界でたった一つの被爆国の日本として、核兵器の廃絶を世界に向かって呼びかけ、そして、国際旬年をこうした面でも、科学者が言われるように、重要なもう一つの柱として積極的に取り組むべきではないか、こういうふうに考えています。世界の科学者や技術者の決意に劣らない防災担当の大臣としての御決意をお伺いしたいわけです。
  178. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私は、国の独立、安全を維持していく、これが政治の最大の責任だと思っておるわけでございます。そのためには、あらゆる工夫、努力を尽くしていかなければならないと思います。  同時に、核兵器の脅威を述べられました。日本は唯一の被爆国として、核問題については特に厳しい姿勢をとり続けてきているわけでございます。世界を見ました場合には、通常戦力にすぐれているところもございますし、それに太刀打ちできないから、やむを得ず核戦力を持っているところもあろうと思うのでございます。  いずれにいたしましても、核兵器がもたらす被害には惨たんたるものがあるわけでございますので、そういうことが起こらないようにしなければなりません。しかし結論は、いかにして平和と独立を保持していくかということに帰着するのではないかと思うわけでございまして、私も同じように積極的にこれからも努力を続けていきたいと思います。
  179. 藤田スミ

    藤田委員 この問題で大臣とここで議論をしようというふうには思っておりませんが、しかし、米ソのINF条約に基づく核軍縮条約、これも国際世論の大きな成果だというふうに思うわけです。したがって、今地球上に存在するその百分の一の爆発でも地球は破壊されてしまう、生物が全部死滅してしまうというような科学者の警告もある中で、今こそ我が国が、核兵器廃絶こそ世界政治の最も緊急を要する課題であり、最重要課題だということを、国際防災旬年を迎えて一層積極的にその立場で働くべきだということだけ申し上げておきたいと思います。  時間がなくなりましたが、RCC問題について最後に二、三点だけお伺いいたします。  八五年の日航機墜落事故において奇跡的と言われた四名の生存者があったことなどから、事故の際の救難体制のあり方が大きな問題となり、我が党は一貫して国会で取り上げ、申し入れなども行ってきました。もちろん、事故を起こさないということが基本ですが、命にかかわる救難体制を真剣に充実させることが、事故による犠牲を最低限に抑えていくという点で非常に重要なことであります。  ところで、航空機の捜索救難のためにRCC及び関係機関との情報連絡体制協力体制消防庁も加えて新しい体制とする、そのための現在の運輸省海上保安庁、警察庁、防衛庁などの四者協定を見直し、新協定を締結することをお約束いただいたのはもう二年前のことであります。その後、もうちょっともうちょっとというふうに聞きながら今日に至っておりますが、一体、これはいつ新体制になるのか、お聞かせください。
  180. 井上春夫

    井上説明員 お答え申し上げます。  行方不明になりました民間航空機の捜索救難につきましては、国際民間航空条約に基づきまして関係省庁で協定を結びまして、運輸省の東京空港事務所に常設のRCC捜索救難調整本部を置きまして、捜索救難に当たっておるということになっておるわけでございます。  今先生御質問の関係省庁につきましては、従来、運輸省、防衛庁、警察庁、そして海上保安庁の四省庁がこの協定を結んで当たっておったわけでございますけれども、昭和六十年八月の日航機事故を教訓にいたしまして関係省庁で話し合いをいたしました結果、消防庁にも新たにこの協定にお加わりいただいて、ともに捜索救難活動に当たっていただくということで話し合いをしておりまして、その結果、昨年の七月にこの合意ができ上がりました。それを踏まえまして、施設的には消防庁との間にも専用の直通回線を設けましたし、昨年の八月に実施をいたしました合同訓練にも、消防庁に加わっていただきまして訓練を施したという形になっています。  なお、協定を書きかえまして消防庁もその協定の中に書き加えるという点につきましては、若干調整がおくれておりまして、まだそのような形になっておりませんけれども、これについては、四月中には協定書の書きかえも完了するという手はずになっておるところでございます。
  181. 藤田スミ

    藤田委員 四月中なんということじゃなしに、本当にこれは即刻やるべきなんですよ。それこそもう合意が七月にできていて、なぜ新協定が締結できないのですか。こんな納得のできない話はありません。そして結局、これがきちっとでき上がらないと、幾ら合意ができても、その合意が生きないのですよ。そういう点で消防庁はどう考えておられるのか、そしてそれによってどういうような役割を果たすことになるのかということと、もう一度運輸省に、極めて早く行っていただきたいということを私は最後にお伺いしておきたいのです。  もう一つ、RCC体制の問題では、専任要員の問題ですが、これは運輸省資料を見ましても、年間百三十三件寄せられた情報があるということで、常時専任者が一人という配置は非常に不十分じゃないかというふうに思うわけです。そういう点では、やはりこれは救助という人命尊重の観点から、ぜひとも人員をふやして体制強化していただきたい。この二点運輸省にお伺いをして、もうすぐ終わります。
  182. 井上春夫

    井上説明員 協定書の書きかえにつきましては、六十年八月の日航機事故の教訓を踏まえて、いろいろ書き直す点があるのではないかということで、時間をかけながらいろいろ検討しておったわけでございます。消防庁を書き加えることについてはもう合意ができましたので、その段階で特段問題はなかったわけでございますけれども、そういういろいろな見直しをこの際やる必要があるかどうかということについて広範に検討しておりました関係上、その協定書の修正がおくれたということでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、訓練、それから所要の施設等も消防庁との間にもうきちっとできておりまして、実態上は問題がないという形になっておるわけでございます。  それから、要員の配置でございますけれども、これも日航機の事故の後四名の専門の要員を配置いたしまして、二十四時間勤務で事態の対応に当たっております。ただ、その四名だけではなくて、航空管制情報官というのが羽田空港には四十四名配置されておりまして、この四十四名が、ほかの業務をやりながら、こういう行方不明の捜索救難活動が必要な場合には総力を挙げて当たるということになっておりますので、一応対応可能な形になっておりますけれども、今後さらに回を重ねて訓練も実施をすることになっておりますので、そういう訓練の過程の中でいろいろまずい点を見つけ出しまして、そういうことを踏まえて要員の充実あるいは施設の増強等を今後とも図ってまいりたい、かように考えております。
  183. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 お答えいたします。  RCCの加盟につきましては、運輸省の方から御答弁がありましたように、既に昨年八月以来実質的にはRCCに参加していると考えております。しかし、名実ともにその仲間に加わりたいと思っておりますので、四月中には協定を調印したいと考えております。
  184. 藤田スミ

    藤田委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、大臣、このRCCの体制強化消防庁はもう仲間入りしたい。これも世の中が何と言っているかといったら、何か縄張り争いみたいなことを言われたりするわけです。せっかく事実上の合意ができて、事実上中身として実態があるなんて言ったって、やはり正式に仲間入りをすることが消防庁の願いですので、これはぜひ応援をしていただいて、こんなメンツの問題などないように進めていただきますようにお願いをいたします。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  185. 森下元晴

    森下委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十五分散会