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1988-04-13 第112回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十三日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 近江巳記夫君    理事 粟屋 敏信君 理事 加藤 卓二君    理事 片岡 武司君 理事 亀井 善之君    理事 柳沢 伯夫君 理事 関山 信之君    理事 正木 良明君 理事 伊藤 英成君       太田 誠一君    岡島 正之君       川崎 二郎君    北川 石松君       左藤  恵君    山村新治郎君       緒方 克陽君    永井 孝信君       早川  勝君    新井 彬之君       柴田  弘君    辻  第一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 高鳥  修君  出席政府委員         警察庁交通局長 内田 文夫君         総務庁長官官房         審議官     紀 嘉一郎君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       原田 達夫君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         建設大臣官房審         議官      青木 保之君         建設省道路局長 三谷  浩君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      藤田不二男君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       山本 孝之君         文部省体育局学         校保健課長   込山  進君         厚生省健康政策         局指導課長   松村 明仁君         厚生省健康政策         局医事課長   阿部 正俊君         運輸省地域交通         局自動車保障課         長       村上 伸夫君         自治省財政局財         政課長     遠藤 安彦君         消防庁救急救助         課長      蓼沼 朗寿君         特別委員会第一         調査室長    諸岡 昭二君     ───────────── 委員の異動 四月十三日  辞任         補欠選任   新井 彬之君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   柴田  弘君     新井 彬之君     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 近江巳記夫

    近江委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡武司君。
  3. 片岡武司

    片岡(武)委員 現在はちょうど春の全国交通安全運動の真っ最中でございまして、全国各地におきまして大変な御努力をいただいておるわけでございます。そのような期間の中で、先日は四大臣所信表明していただきました。それに対して若干の質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  我が国は、高度経済成長から安定成長へ、そして数々の困難を克服して、今や国民一人当たりの総生産は世界一だと言われるほどになっております。しかし、実感としてこの豊かさを感ずるにはまだまだ課題を残しております。したがって、これからはゆとり潤いのある豊かな生活を求める志向がますます強くなっていくと考えられ、人、物の交流がさらに増大をし、それを担う交通の果たす役割というものはさらに大きくなっていくと考えられます。昨年策定されました四全総におきましても、東京への一極集中を是正して、交流ネットワーク推進による多極分散型国土形成を目指し、基本的課題一つに、安全で質の高い国土環境整備をうたっております。しかしながら、この基本課題を達成するには、国の内外に及ぶ交流体系整備必須条件であり、安全、迅速、快適などの条件を備えた交通体系の確保が必要であります。  ところが、近年における道路交通事故増加大量高速交通下の鉄道、航空等における事故の大規模化など、常に国民生活を脅かしつつあるのがこうした交通に関する事故であります。特に、最近の自動車輸送増大等によって、生活環境の中における交通事故への不安は深刻になりつつあります。昨年の総理府調査によりますと、道路歩行中に交通事故の不安を感ずると答えた方は六六・二%に上り、五十九年の調査に比べて、わずか三年の間に一〇%以上ふえておるわけであります。こうした交通事故への不安を解消することが安全でゆとり潤いのある豊かさが実感できる社会を築くことになると思うわけでありますが、こうした観点に基づきまして若干の質問をさせていただきたいと思うわけであります。  まず最初に、三月九日に当委員会におきまして、四大臣より所信表明していただきました。特に高鳥総務庁長官は、国民交通事故脅威から守り、安全、円滑かつ快適な交通社会を実現することは、国民福祉根幹にかかわる極めて重要な政治課題であると考えていると述べられております。さらに、国民の皆様の御理解と御協力を得ながら、交通事故増勢傾向に歯どめをかけ、減少を図ってまいる所存であると強く述べられました。また、梶山国家公安委員長は、交通事故を防止し、安全な交通社会を築くことは国の基本的な責務であり、人命尊重基本理念とした総合的な交通安全対策を強力に推進してまいりたいと考えておりますと述べられております。  まことに心強い所信表明であったと思うわけでありますが、最近の交通事故による死者の数は実は上昇傾向にあります。昭和四十五年の一万六千七百六十五人まではいきませんが、ここ数年は実は九千人台を突破しておるわけであります。しかも、ことしに入ってからは一月が一五・九%増、二月が九%増、三月が一〇%増と、平均しますと一〇%以上増加いたしております。今年度末には多分一万人を突破するのではないかとさえ考えられておりますが、この際、緊急に具体策を示し、また実行しなければならないと考えますけれども、いま一度両大臣、きょうは国家公安委員長はまだお見えではございませんが、高鳥総務庁長官の御決意のほどをお伺い申し上げます。
  4. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま片岡委員指摘のように、最近の交通事故による死傷者数というのは非常に深刻な事態になっておるわけでありまして、ここのところずっと九千人を突破いたしております。昨日現在の数字で申し上げますと、二千五百九十三人の死者でありまして、二百五十人増加をいたしておりまして、昨年に比べまして一〇・七%の増加というような事態であります。このままに推移をいたしますれば一万人を超えるという非常に懸念せざるを得ない状況にございますので、私どもといたしましては、この際、全力を挙げて交通安全対策推進をしなければならない、このように考えておるところであります。特に、世論調査などの結果を見ますと、歩道整備をもっと図ってほしいというのが四四・一%ございますし、あるいはまた交通取り締まり関係では、スピード違反や無免許運転酔っぱらい運転などをもっと厳しく取り締まれという声が五三・六%というような数字も出ております。  そうした面で、施設整備あるいは交通マナーをきちっとやってもらうとかいろいろな方策を徹底させまして、何とかして私ども目標といたしております昭和六十五年には八千人以下という目標を達成したいというふうに考えているところでございます。緊急に総合的な対策をやれという御指摘につきましては、関係各省庁と十分協議をいたしまして取り進めてまいりたい、このように思っております。
  5. 片岡武司

    片岡(武)委員 ありがとうございます。ぜひ目標に向かって頑張っていただきたいと思うわけでございますが、一つだけお伺いをいたします。  いろいろとお話しいただいたわけでありますが、一部には、予算が少ないのではないかという指摘も実はございます。昭和四十六年に死亡事故のピークを迎えて、その後いろいろと安全施設整備相当予算をつけたわけであります。そして、自動車保有率伸び率の大体二倍ぐらいのペースでこの安全施設整備が行われてまいりました。その結果昭和五十四年には八千四百六十六人まで死亡事故は減少いたしました。大臣は今、六十五年に八千人以下という目標を言われましたけれども、こうした減少した中において、実はそのあたりからだんだんとこの予算がどうも削られているような感じがする、あるいは、ふえてはおりますけれども自動車保有率伸び率に比べて少ないのではないかと言われておりまして、非常にその点を苦慮している方もおみえになるわけであります。現在、自動車一台当たり安全施設に関する予算というものがどれだけあるかちょっとわかりませんですが、平均をいたしますと大体一万五千円ぐらいになるのではないかとさえ言われておるわけであります。いたずらに予算をふやせということは申し上げませんが、要は必要なものについてはしっかりつけていただく。また、信号機等いろいろと問題があるわけでありますが、質の高い改善というものも必要になってくるわけであります。その点につきまして、これは警察庁になりますでしょうか、御見解を伺いたいと思うわけでございますが、よろしくお願いいたします。
  6. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  安全施設整備につきましては逐年努力を重ねてきているところでありますけれども、今お話のありました信号機の問題につきましては、先生指摘のとおりこれからの整備の重点として、ただ信号機の数をふやすということじゃなしに、信号機の性能を向上化することによって円滑を図ることがひいては安全につながっていくということでこれに対応していきたい、こう思っております。
  7. 片岡武司

    片岡(武)委員 ありがとうございます。細かいことを申し上げますとちょっと時間がありませんので、個別にもう一つだけ伺いたいと思います。  これも多分警察庁になると思うわけでありますが、今大都市においては違法駐車というのが非常に問題になっておるわけであります。飛び出し事故が大変多い。その原因は何かといえば、違法駐車によってドライバーからは歩行者をなかなか発見できない、歩行者からは車の距離感というものもなかなか見にくいという面があるわけであります。そこで、昭和六十一年に実は道路交通法改正が行われたわけでありますが、その改正の趣旨というのが都市部における違法駐車取り締まり強化、もう一つパーキングメーターの増設とパーキングチケットの交付であったわけであります。いわゆる片方取り締まり強化を図りながら片方道路駐車ゾーンを広げたというわけでありますが、こうした理由は一体どういうことか、またこの改正によってどういう効果があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
  8. 内田文夫

    内田(文)政府委員 駐車の問題はまさに世界各国大都市の抱える大変大きな問題でございまして、このまま放置すれば都市機能を喪失するのじゃないかということを危惧するわけでございまして、そういった意味でこの駐車対策を考えていかなければならないと思っておるわけであります。  現実駐車問題というものを考えてみますと、例えば東京を見ましても、数年前に調査したところによりましても、瞬間的に違法な駐車というのは十六万台ぐらいある、こう言われておるわけであります。といいますことは、それだけ駐車需要が多いということでございます。それで、それを収容するだけの路外駐車場――本来、駐車というのは道路外駐車することがあるべき姿だと我々も思うわけでありますが、その路外駐車場が十分整備されていないということからこれだけ大量の車が道路にとまっているということになるのだと思うのです。そういった意味で、もちろん取り締まりも必要でありますけれども取り締まりだけでこれをなくすということはなかなか難しい。そこで、やはり需要に見合った秩序立った交通安全ということから駐車というものを考えていくべきじゃないかということで、警察庁方針といたしましては、危険性の高い場所における駐車に対してはこれを厳しく取り締まっていく、道路駐車をさせることによってそれほど道路交通に支障を来さないといいましょうか、そういう場所については極力道路に秩序立った駐車を認めていこうということで実はこの制度を始めたわけでございます。  現在まだ緒についたばかりでございまして、昨年一年間で約五千五百台の駐車スペースが新たにできたというにすぎないわけでございます。これからもこれの整備に努めていきたいと思っておりますが、その効果といたしましては、マスコミ等のあれを見てみましても、大変車流れがよくなったということで好評をいただいているわけでございまして、例えば、埼玉県で路線バスドライバー六十五人を対象にアンケート調査をいたしたところによりますと、約三分の二の方から、違法駐車車両が少なくなってバスの運行がスムーズになったというお答えをいただいているわけでございます。
  9. 片岡武司

    片岡(武)委員 確認をいたしますと、どうしても大都市においては商売上いろいろな理由がありまして駐車スペースがない、したがって道路上へ置かざるを得ないものも出てくる。荷物の積みおろし等があるわけでありますが、また片方ではその駐車がいわゆる車両交通の妨げになっておる、それを何とか解決したいということでこういう対策をとられたわけでありますが、いろいろと検討した結果だと思うわけであります。今のお話だと大変効果があるようなお話もあるわけでありますが、しかし現実としては、やはり道路というものは車が通行するものでありまして駐車するものではない、これはわかり切っておる話であります。  そこで、建設省にちょっとお伺いをいたしますが、これは私の一つ提案でありますけれども、今あるビルに新しく駐車場をつくれなんということはなかなかできるわけではないので、新しく開発するところあるいはビルをつくるところ、こういったものについては商売上必要な駐車スペースを義務づけするような、そういった手だてはございませんでしょうか。
  10. 青木保之

    青木(保)政府委員 現在、駐車場法という法律がございまして、その法律によりますと、いわゆる附置義務条例の規定というものがございます。これによりますと、例えば、駐車場整備地区内また商業地域内あるいは近隣商業地域内におきまして、延べ面積が三千平方メートル以上で条令で定める規模以上の建築物を新築したり、延べ面積当該規模以上の建築物について増築をする、または建築物延べ面積当該規模以上となる増築をしょうとする者に対しましては、条令駐車場設置を義務づけることができるような仕組みができております。
  11. 片岡武司

    片岡(武)委員 一通りの基準があるわけでありますけれども、やはりどうしても横着をする人もいます。となれば、新しくつくるものについては面積を問わずそういったものをしっかりと設置するような方向で検討していただかないと、結局は道路駐車をする。先ほどの法律改正で、これは批判するつもりは全くありませんが、片方で料金を取って駐車を認める、片方では認めないという相反する政策が実はあるわけであります。となれば、これは当然駐車を意図する人から見れば、払う払わぬの問題は二の次でありまして、あそこが認められてここが認められぬという話になってくるわけであります。ましてや子供の皆さん、お子様たちにそれを説明するについても、金を取るからいいとか金を払ってないからいかぬとかという話にこれはなっていくわけでありますから、その点、もう一度抜本的な改革が必要ではないかと思うわけであります。  先ほど言いましたように、もしそこのビルにいろいろなテナントが入るならば、確実に荷物の積みおろしのスペースを確保するだとか、あるいは必ず二台、三台駐車できるスペースを確保するだとか、そういった建築基準法上の義務づけみたいなものも当然必要になってくると思いますし、道路設置する場合にも歩道をはっきりと区別させること、それからやはり駐車スペースをはっきり区別させること、これは土地と金といろいろなものが要りますけれども、そういった方向で考えていただきたいと思うわけでございますが、これは警察庁建設省、両方からちょっとお伺いしたいと思います。
  12. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  道路での駐車の問題というのは、先生のおっしゃるとおり道路に車をとめないということ、これが本来一番理想的な姿であると思うのです。我々も、パーキングメーター等設置してとめるということを必ずしも理想的ないい姿だと思っているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、瞬間的に東京に十六万台の駐車現実にある。それを全部違法だと言って取り締まることが社会的に妥当なのかどうか。今この車社会において、車の動きというものが国の経済社会を支えているものだと思うのです。そういった意味で、確かに路上に駐車することによって車の流れに影響を来すということがあることはやむを得ないと思うのですが、それを最小限にして、秩序立った駐車路外駐車場整備されるまで認めていくということがやはり現実的な対応ではないか、こう考えておる次第でございます。
  13. 青木保之

    青木(保)政府委員 先生おっしゃいますように、駐車場整備は、道路の円滑な交通を確保するためにおきましても非常に重要な問題だと私どもは認識しておるわけでございます。先ほど申しました附置義務条例によります駐車施設は、現在全国で六十万余の台数を収容できるようになっております。特に名古屋市などは、五万台を超える附置義務駐車施設が完備しているわけでございます。私ども、このような附置義務をさらに徹底してやってまいりたいと思いますと同時に、附置義務のついていないいろいろなものもあるわけでございますので、そういったものに対しましてはいろいろな融資の制度、税制の措置等もやっておるわけでございますが、これらの制度もあわせ拡充を次第に図ってまいりまして、駐車場整備を円滑に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 片岡武司

    片岡(武)委員 持ち時間が余りありませんので、このままやりますとちょっと時間がかかりますから飛ばさせていただきますが、いずれにいたしましても、違法駐車については、世論調査でも厳しくやってほしいという声が大変強うございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  いま一つ違法駐車一つだけ提案でありますが、先ほど言いましたように、飛び出し事故原因としてやはり違法駐車があるわけであります。この賠償責任についてであります。事故が起きますと、運転した当事者と飛び出した人、この二つが実は事故原因としてやられるわけでありますが、違法駐車等については全くかかわっていない、今そういう扱いであります。できるかできないか、非常に難しい法律的な問題、いろいろな問題がありますが、事故を起こしたときの違法駐車車両過失責任、こういった方向で、賠償責任があるのではないかという考え方で検討していただくというようなことは無理でございますでしょうか。
  15. 内田文夫

    内田(文)政府委員 違法駐車の直前直後の横断によりまして歩行者が被害に遭うというようなケースが大変ふえてきておるところでございまして、まさに先生指摘のとおりであるわけでありますが、そういった意味では、この違法駐車車両事故にかかわりを持っているということは間違いないところでございます。ただ、この事故責任の問題で、我々といたしましては、そういったケースがあった場合に、その違法駐車車両につきましても駐車違反としてこれの検挙の徹底を図っているところでありますけれども、それ以上の刑事責任の追及というのは、先生言われているようになかなか難しい問題がある。我々もいろいろ検討はいたしておるわけでありますが、大変難しい問題があるわけであります。  それから、事故賠償責任の問題ということになりますと民事上の問題になって、直接警察として関与をするという問題でもございませんので、その実情をちょっと私の方でもつまびらかではないわけでございますけれども、我々としては、違法駐車車両として確実に検挙していくという方針でこれからも臨んでまいりたいと思っております。
  16. 片岡武司

    片岡(武)委員 ありがとうございます。賠償責任までいけば多分相当数の車が駐車しなくなるんじゃないかと思うわけでありますので、ちょっと申し上げた次第であります。  時間もございませんので、最後に高鳥総務庁長官にお伺いをいたします。  長官所信表明の中で、先ほど私も言いましたが、「国民交通事故脅威から守り、安全、円滑かつ快適な交通社会を実現することは、国民福祉根幹にかかわる極めて重要な政治課題である」と表明をされました。私は、この「国民福祉根幹にかかわる」ということに非常に強い感動を実は覚えておるわけであります。  そこで、総理府が昨年十一月に行った調査によりますと、交通対策について何を望むかという項目で、第一位が交通安全対策で六五・二%、第二位が交通円滑化対策で五〇・二%、あとは数字相当落ちるようであります。いわばこの二つが非常に強く希望されておるわけでありますが、総合的な安全対策を強く求めているわけであります。私は、国民福祉という観点から見ても、総合的な交通に関する専門的な研究機関設置が必要ではないかと思うわけであります。  我が国では、運輸省交通安全公害研究所を初めといたしまして、建設省、通産省、科学技術庁、気象庁等にそれぞれ研究所はありますが、総合的な交通問題を考える専門的なものとなりますと実はいささか疑問があります。ヨーロッパをずっと見れば、西ドイツには連邦交通研究所、イギリスには道路交通研究所、フランスには国立の道路研究所など、非常に権威がありまして、政策が実行できるだけの力を持っている、そういった国の研究機関が実はあるわけであります。我が国におきましても自動車との共存がこれから半永久的に続くわけでありますし、車社会でいかに国民の不安をなくしていくか、これが切なる希望であります。したがって、非常に権威のあるナショナルセンター的な政策が実行できるような研究所、総合的な交通問題を研究する研究所、こういったものをぜひつくっていただきたい、しかも総務庁が中心となってつくっていただくわけにはいきませんでしょうか、この辺ひとつお伺いをしたいわけであります。  今、実際に交通事故で亡くなっておみえになる方が平均一万人あるわけであります。正確には九千人台でありますが、約一万人あるわけであります。負傷される方は七十万人を実は超えております。全国各地で、単純に計算いたしましても一時間に一人の方が亡くなっておられます。また四十五秒に一人の方が負傷しておられるわけでありまして、今この交通問題というものに真剣に取り組んでしっかりとした政策を実行しないことには、せっかく経済的に豊かになっても、その豊かさというものの実感がないその一つにはこうした不安というものがあるのではないかと思うわけであります。こうした不安を解消する上においてもこの研究所の創設ということが不可欠なものではないかと思うわけでありますが、その点についてお伺いをしたいと思うわけであります。
  17. 高鳥修

    高鳥国務大臣 交通安全対策推進のためには総合的な研究体制整備が必要であるということにつきましては、私どもも痛感しているところであります。第四次基本計画におきましては、道路交通の安全に関する各関連分野協力による総合的な研究開発を一層推進するため、研究開発に関する総合調整機能の充実、試験研究機関相互連絡協調強化等を行うということにいたしておりまして、独立した研究機関設置ということについてはまだ固まっておらないわけであります。基礎的な面につきましては大学、応用面にあっては民間の試験研究機関との協力にまつということになっておるところであります。  御指摘の総合交通研究所構想につきましては、反面、行政の簡素化、行政改革という問題もあるわけでありますけれども、私どもといたしましては、貴重な御提言として今後研究してまいりたい、このように思います。
  18. 片岡武司

    片岡(武)委員 ありがとうございます。いろいろと難しい問題はあろうかと思うわけでありますが、交通事故そのものを考えますと、法的な規制あるいは道路の構造上の問題、また運転する方あるいは歩行者の方の心理的なものが非常に大きく作用するわけであります。こうしたことを考えますと、やはり短期的な展望、対策あるいは長期的な対策、そういったものを全部総合してやらないと、なかなかこれは一朝一夕に解決できるものではないと思うわけであります。先ほど長官言われましたように行政改革等の問題ということがありますが、私は、行政改革ということを考えれば、なおさらこの研究機関設置というものは絶対に必要ではないかと思うわけであります。できるならば自動車の依存の高い我が名古屋の方につくっていただくのが一番ありがたいわけでありますけれども、この研究機関構想についてもし前向きに御検討いただくならば、その決意をいま一度お聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 高鳥修

    高鳥国務大臣 いろいろな機関で実は今やっていただいておるわけでありまして、科学技術庁あるいは警察庁科学警察研究所、それから総務庁自体もやっておりますし、北海道開発庁でございますとか、あるいは運輸省建設省土木研究所等々それぞれの機関で交通安全に関する研究をしていただいておりまして、それなりの成果は上がっておると思います。しかしながら、ただいま御指摘のございましたことにつきましては、まさに国民全体の福祉にかかわる重要な事項でございますので、今後、私どもといたしまして、また関係各方面と相談をしながら勉強してまいりたいと思います。
  20. 片岡武司

    片岡(武)委員 ありがとうございました。終わります。
  21. 近江巳記夫

    近江委員長 次に、関山信之君。
  22. 関山信之

    ○関山委員 ただいまも豊かな日本における貧しく、かつ不安に満ちた交通安全対策という御主張がございまして、私も全く同感であります。二十世紀は自動車の世紀、こう言われておるわけでございまして、四十四年、四十五年、交通事故死一万六千という数字を踏まえて交通戦争という言葉も使われたわけでありますが、まさに交通事故は現代の戦争でありますし、交通事故死は現代の最大の悲劇だと言っても差し支えないのだろうと思うのであります。  それにしても、ただいまもお話がありましたように、交通事故の発生件数、死亡事故が非常な勢いで増勢を示していることはお互い憂慮にたえないところでございますけれども、先ほども御答弁ございましたが、このまま行くと一万人を超えるのは不可避ではないか、そんな感じがいたしておりまして、まずもって、この見通しの問題についてぜひひとつ長官の御見解をいただきたいと思いますし、なぜこの時期に急増し始めているのかということについての原因などについても、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  23. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先ほどもお答えしたところでございますが、四月十二日現在における死亡者数は二千五百九十三人ということで、二百五十人の増加、一〇・七%の増というのが現況であります。そういうことからいたしますと、今年はどうも一万人を超えるという非常に厳しい状況にあるものと考えられます。  そこで、このような増加をしてきた原因でございますが、一つは、昨年も今年もそうでございましたけれども、多雪地域における雪が比較的少ないことによって、その地域においてかなり数がふえたということがございます。さらにまた、ことし、新車の登録台数が物すごく増加してきております。一般的な景気の回復と申しましょうか、そういうものを反映しているのだろうと思いますけれども、そうしたことからいたしまして、車の数がふえれば事故数もそれに伴ってふえていくというような状況にございます。さらにまた、もう一つ言えることは、いわゆる高齢化社会、年を追って高齢化現象が進んでまいっております。そしてお年寄りの方が事故に遭われる、あるいはお年寄りの方が事故を起こす、そういう率もだんだんふえてきておる。そういうことが増加の一因ではないかというふうに考えられます。
  24. 関山信之

    ○関山委員 交通局長、いかがでございましょうか。同じ問題について警察サイドからの御見解もいただいておきたいと思います。  それからもう一つ、死亡者の伸びが、ことしに入ってからの数字を見ておりますと件数の伸びを非常に大幅に上回っているのです。件数では、大したことがないとは言えないでしょうけれども、三月などはむしろ四・三下がっている。この辺の因果関係、何か説明つくものでしょうか。あわせお答えいただけるとありがたいと思います。
  25. 内田文夫

    内田(文)政府委員 先生おっしゃるとおりに、発生件数だとか負傷者はほぼ横ばいということなのですけれども死者だけが一〇%ふえているというのが現状でございます。  その原因ということでございますけれども一つ大きなものとしては、若者の二輪車の事故だとかお年寄りの歩行者事故が大変ふえているという面があるわけでございますが、全体的に見まして、ただいま総務長官のお答えがございましたように、冬場雪が少なかった、暖かかったということから冬の交通量が減らなかった。殊に二輪車など、平年ですと冬の二輪車事故というのは減るわけでございますけれども、ことしは暖かかったせいか、若者の二輪車がかなり活発に動いていたということもあるのだろうと思います。それから、新車も大変売れていると同時に、トラック業界などに聞きましても、今車が足らないぐらい荷動きが激しいということを聞きますけれども、そういった景気全体の動きといいますか、そういうことでそもそも交通の動きの量がふえているというようなことだと思います。それから、高齢者の死者がふえているということにつきましては、全体の人口のふえ方は少ないのですけれども高齢者がかなり急速に伸びてきている。運転免許を持っている方でも、その中に占める高齢者の人口の率というのは年々かなりの率で上がってきている。そういったようないろいろな総合的な問題がこういった結果になっているのではないかと考えているところでございます。
  26. 関山信之

    ○関山委員 件数と死亡者の因果関係というのは今の御説明でちょっと出ておりました。私も詳しい資料をいただいておりませんから御見解を伺ったわけでありますが、かなり大型の自動車事故がふえているのじゃないかなという懸念がありましたので、これはまたいずれの機会に数字を明らかにしながら議論させていただきます。  そこで長官、私はあえてこの時期、異常な事態というふうにとらえなければいかぬと思うのですが、交通安全基本計画で、先ほども御答弁の中に出てまいりましたように、この十年間第三次、第四次と引き続いて、死亡事故を八千人以下にするという抑止目標を掲げているわけです。その抑止目標は当時のものとしては決して間違いだったと思わないのですけれども、今日ここまで来ますと、一体こういう目標を掲げること自体に意味があるのかというよりは、むしろ実際に実現性のない目標を掲げることは、いわば目標なれをするといいましょうか、対策の焦点を欠くといいましょうか対策の緊張感を失うといいましょうか、私はあえてこの時期、この死亡事故抑止目標というのは修正をする、あるいは修正をしないまでも棚上げをして、当面の緊急目標あるいは緊急対策を明らかにすべき時期にあるのじゃないだろうか、こう思うのです。この点について、これは今簡単にそうですねとも言いにくい問題かもしれませんけれども、そのスタートの心構えが、異常事態に対する異常な決意というものがきちっと示されませんとすべては動かないのじゃないか、こういうふうにも思うものでございますからお尋ねをしておきたい。
  27. 高鳥修

    高鳥国務大臣 交通事故による死亡者数が一番多かったのは、昭和四十五年の一万六千七百六十五人であります。その後、交通安全対策あるいは交通マナー、安全思想の普及徹底等々によりまして死者が減ってまいりまして、昭和五十四年には八千四百六十六人になった。特にがくっと下がりましたのにつきましては、いわゆるオイルショックなどによって車を運転するにも慎重を期したというようなことがあったというふうに考えられます。したがいまして、昨年の実績では九千三百四十七人でありますが、私どもといたしましては、減らせば減らせるのだ、減らせるはずだというふうに考えております。特に、二輪車の乗車中の事故が二五・七%、高齢者の事故が二八・四%、もっとも自動車乗車中というのが三四・一%で一番多いわけでありますけれども、二輪車とか高齢者とか、そういう方にもう少し重点を置いてやればかなり減らせるのではないかというふうにも思いますし、また、交通安全思想の普及徹底によりまして自動車乗車中の事故もさらに減らすことが決して不可能ではないというふうに考えておりますので、当面八千人という目標はやはり何とか掲げて努力をしていきたい。そのために、交通安全施設等の整備充実などについてももっともっと努力をしていかなければならぬ、このように思っているところでありまして、今、もうその目標は棚上げだというわけにはちょっといかないのじゃないかというふうに思っております。
  28. 関山信之

    ○関山委員 私が申し上げているのは、数字そのものの持つ意味を見直すことからしかこの時期の緊急事態に対する対応は始まらないのじゃないかと思うものですから申し上げておりまして、今直ちに長官から基本計画目標数字を変えるという御答弁をいただけるとは思わないのですが、どうですか、せめて、ことしは九千人を切るぐらいなことを緊急目標にされたらいかがでしょうか。
  29. 高鳥修

    高鳥国務大臣 八千人という数字昭和六十五年の数字でございますので、御指摘のようにことし九千人以下に抑える、非常に厳しい状況ではございますが、私どもといたしましては当然そうした努力をしなければならない、このように考えております。
  30. 関山信之

    ○関山委員 先ほどの御答弁の中でも、緊急対策等につきましても各省間協議をしながらと、こういうお話もございましたので、これ以上このことで議論をしてもしようがないと思いますが、ぜひひとつ緊急対策も含めて抑止目標を、これはそれぞれ地域におりてきますと具体的な県警の目標になるわけですから、どこをどうずればどうなるという答えも個別的にはやはりあり得る、対策として出てくる、そういう数字になるものですからお願い申し上げておきたいと思うわけです。  そこで、実は今いろいろとお話もございましたが、確かに交通安全対策というのは総合的に行われなければならない。しかし、ハードの面の整備というのはそれなりにかなり進んできている。そしてまた、これは進めるにしてもまだまだ十分ではない、たくさんやらなければならない。しかし、それは一挙に事態を解決するほどの、予算の枠組みの中でできることでもないということも一方で踏まえながら、私もかつて申し上げたこともあるのですが、安全教育というものについてやはりもう少し本気にならなければいけないのじゃないのかな。つまり、そういうものでなければ、今日の事態交通事故を減らす手だてとしては、ある意味で言えば、ハードの面やあるいは警察の指導取り締まりでもある種の限界があるのじゃないか。例えば、高速交通の時代に入ってきて、高速自動車道というのは、ハードの面からいえばこれほどすばらしい安全施設整備した道路はないわけですね。ないのだけれども、そこで大きな事故が続いているということの問題はまた別な解決を待たなければならない。  日本交通心理学会の会長で、もと科学警察研究所の仕事をされておった宇留野藤雄さんという方の御発言を先般サンデー毎日で読んだのですが、「欧米で行われている安全対策(ハードウエア)は日本ではすべて実施され、車、道路など交通環境はかなりよくなっているのに、しかし、一方でドライバーの安全運転に対する意識がかなり低いのも事実です。交通安全運動を「またか」という目で見る傾向もあります」といったようなことがございます。この面で、先ほど全体的な予算の少なさという問題がありましたが、私も先般の所信のときに資料をいただきまして拝見をいたしましたら、この安全教育の予算というものが、ごくごくわずかではございますけれども交通安全思想の普及というのは百万円減っているのですね。百万円はわずかじゃないかと長官お考えになるかもしれまぜんが、全体の枠が一億七千九百万円ですからね。何はともあれ、減っていること自体にこの面での対策のおくれが象徴されているような気がしてならないわけでございます。  ところで、総務庁の安全教育に関する額は幾らか、あるいはふえたか減ったか御存じでしょうか。そして高齢者の安全教育は、今も高齢者のお話がありましたが、何をどれぐらい予算でやるのか。所信の中でも個別の課題としてお取り上げになっているのですけれども、安全教育の問題についてお答えをいただきたい。
  31. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、交通安全を図っていく上で一人一人の安全意識の高揚ということが極めて大切でありまして、そういう意味で、交通安全教育の重要性は従来からかなりいろいろなところで強調されているところであります。したがいまして、この充実強化を図っていくことが今後の課題ではありますが、御指摘のように、昭和六十二年度予算で約一億八千万円というものが計上されているわけであります。この中で、総務庁関係予算といたしましては千二百万円計上されております。  御指摘の文部省の交通安全教育指導等に係る予算が百万円減額されておるわけでありますが、実はこれは事業内容を減らしたということではございません。これは文部省の学校における交通安全教育を充実するための講習会を開催するための経費でありますが、単価の減によるものでありまして、事業内容そのものは前年同様となっております。  以上であります。
  32. 関山信之

    ○関山委員 いずれにしても一億二千万――あなた、千二百万じゃなくて一億二千万ですね。総務庁の安全教育の予算というのは一人一円でしかないのだ。私は、せっかく我が同県の大臣が実現をいたしましたので、交通安全でここが変わったという意味では、安全教育に少し重点を置いてほしいと思うのです。せっかく大臣との初の質問でございますので、我が新潟県の宣伝をさせてもらいたいと思うのですけれども、ちょっと委員長、お許しいただいて大臣へこの資料を。  実は私、昨日新潟県警に寄りました。今差し上げましたのは、県警の交通部が一昨年の暮れから昨年にかけて出しました二冊のパンフなのです。各県いろいろ知恵を絞っていろいろなことをやっていらっしゃると思うのですが、私、これをきのう汽車の中で、本当にこの二冊のパンフレットを夢中で読み通してしまいました。この第一弾は「おじいちゃん ただいま」という本ですが、これは現場の警察官三十二名がそれぞれの現場での事故の体験を記している。十万部売れたそうですよ。決して文章は上手でもなければ飾りのある文章でもないのですけれども事故の現場の臨場感というものが実に迫力を持って私どもにも迫ってまいりまして、いささか年をとったせいか、ちょっと目頭がというような感じがするぐらいのものでございます。それだけならどうということはないのですけれども、実は、引き続いて第二弾の「高速道路上の幻覚」というパンフレットがことしの三月に出されました。この第二弾の方は、警察という役所としては常識を超えた英断だと言っていいと私は思う。我が県の山田良助交通部長のまさに思い切ったパンフレットだったのではないか。  それはどういうことかといいますと、このパンフレットの「まえがき」のところにも書いてありますけれども、「「事故は、なぜ起きるのだろうか……。」「ルールやマナーを守らない」からだ」「しかし、「ルールやマナーは、なぜ守られなかったのだろうか……」と考えると、余りハッキリしない。」「この冊子は、その「ハッキリ」しない部分、即ち、事故を起こした人々の人間的要因に焦点を当て、真の原因は何であったか……を探ろうとした。」こういう問題意識でございまして、後でお読みいただければいいのですが、二日間連続で長距離運転を強いた運送会社の管理体制の問題でありますとか、あるいは家庭内の不和の問題だとか、他人への気配りや思いやりを失っている自己本位の精神構造、言うところのミーイズムというようなものについてまで立ち至らなければ事故の発生はこれ以上防げないのではないかという問題提起をやっているのです。現場の警察官がそういう判断をしながら物を書くということはなかなか容易でないことだと思うのです。私はすばらしい作業だったと思っています。  総務庁長官、ぜひこれを県警からお買い求めになって全国にひとつ配っていただくぐらいなことをおやりいただきたいものだ、大いに評価し、大いに宣伝し、大いに売っていただきたいと思っているのですけれども、こういう仕事がかなり大事ではないか。これは百円ずつお金を取って売っているのですから、やれば銭がかかる。売る方がただで配るよりもいいと僕は思うのですけれども、そういうことをやることも今の時期は、安全施設の仕事ももちろん大事ですけれども、もっともっとウエートをかけなければならぬと思うのです。その点いかがでしょうか、大臣
  33. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいまこの本をいただいて少し読ませていただいたのですが、本当に何といいましょうか、現場の体験を率直に書きあらわしておられまして、大変すばらしいものだというふうに拝読いたしました。買い上げて配布をする等につきましては、ほかの県警でもやはりいろいろなことをやっておられると思いますので、それらとの兼ね合いもございますが、今後検討させていただきたいと思います。  ただ、この本を読んでくれるような人は問題がないのでありまして、こういう本を読まない人たちの方にむしろ問題があるのではないかというふうに考えます。貴重な資料をいただきましたので、勉強させていただきます。
  34. 関山信之

    ○関山委員 そこで、やはりお金の問題に返っていくのですが、これも非常に難しい問題だとは思いますけれども、実は、交通安全の特交金といういわゆる罰金が各自治体に還元をされておるわけでございます。主務大臣は自治大臣でございますから、これは自治省に聞かなければならないのですが、きょう自治省からもおいでいただいているのです。これは法律上、施設整備というふうに書かれていますから、今ここでどうせいと言っても始まる話じゃないのですけれども、今申し上げたように安全教育の予算というのは非常にないのです。一般財源でやればいいじゃないかという理屈もありますけれども現実問題としてはどこを探してもない。罰金として取ったお金なんですから、施設整備も大事でしょうけれども、そういうソフト面の方にもお金が使えるような配慮が必要じゃないかと思うのです。非常にお答えしにくいでしょうけれども、ここはひとつ御見解をいただいておきたいと思います。
  35. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  御承知のとおり、交通安全対策特別交付金というのは、地方団体が単独で行います道路交通安全施設設置及び管理に要する費用に充てるということで、御指摘いただきましたように法律に書いてあるわけであります。現実にこの道路交通安全施設設置事業全体に対して交付金がどのぐらいの割合を占めているかということを私ども数字をとって調べてみましたところ、設置事業に対して三割前後が交付金を財源として行われているということになっております。そういうことでございますので、法律に書いてございます交通安全施設設置、管理が、地方団体はまだまだ一般財源を継ぎ足しましてかなり行われているというような状況にあるわけでありまして、そういった意味で、交通安全対策特別交付金というのは貴重な財源にはなっているわけですが、十分過ぎるというところまではまだいってないというように私どもは考えております。  しかし、交通安全運動の推進や、御提案がありました交通安全教育といったソフト事業を地方公共団体が行うということも大変必要なことでございますので、私どもとしましては、地方交付税の算定におきまして、都道府県でいえば交通安全運動推進費、あるいは市町村でいいますと交通安全対策費といったようなものを単位費用の中に積算をいたしまして、地方団体がそういうソフト的な事業も行い得るような財源措置をしているということでございますので、御了解を賜りたいと存じます。
  36. 関山信之

    ○関山委員 これはぜひ大臣にお願いしておきたいのですが、そういう説明はわかるんですね。しかし、現実に交付税が入ってまいりますと、この特交金だってそうなんですが、懐に入ってしまえば別に一万円札に色がついているわけではありません。我々、国の財政を見ておりましても地方の財政を見ておりましても、どうしてもハードの方にお金が行きがちなんですね。こういうところに行かないのですよ。ともかく、総務庁だって全国抱えて一億二千万しかないのだから。そういう点では、この交通反則金というものの性格からいって、通常の交通安全対策ベースの上にこの時期上乗せをするぐらいなそういう財源として、新たな対策総務庁長官として関係大臣に申し入れるぐらいのことをおやりになったらいかがかと私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  37. 高鳥修

    高鳥国務大臣 地方自治というのは、私から関山さんに申し上げるまでもなく、中央からとやかくのことを申すよりは、地方自治体がみずからの判断において措置をしていくべきものであります。したがって、地方自治を尊重するという立場からいたしますと、一般財源として交付をされたものについて、それをあっちに使え、こっちに使えというようなことは申しがたい性格のものであるというふうに思いますが、いずれにいたしましても、交通安全思想の普及徹底のためにはもっともっと努力をしなければならないという御主張については同感でございますので、いろいろな方法で徹底をしてまいりたい、このように思います。
  38. 関山信之

    ○関山委員 我が地方自治体の大先輩でいらっしゃいますから生意気な口は聞けませんが、私は、本来こういうのは地方財源にすべき筋合いのものだと思っているのです。地方で罰金を払っているのですから、その地方の交通事故をなくすために、もともと国が取り上げるなんということをしないで地方に戻してやればいいぐらいの性格だと思っているものですから、ひとつ、ぜひそういう機会を探していただきたいと思うのです。  そこで、さっきは新潟県の自慢をしたのですが、昨年、実は死亡事故増加率では新潟県がワーストワンだった。長官も御存じだと思うのです。今、安全教育の問題をずっと申し上げてまいりましたが、なぜ新潟県がワーストワンになったのかということなんです。これは非常に顕著なのは、一つは県外車の関連事故が物すごくふえている。それからもう一つは、一般県道の事故が非常にふえているのですね。これはどういうことかといいますと、つまり高速道路が非常に延びてきて、発達してきて利用度が高まりますと、高速感覚というのが麻痺するというのでしょうか、そのまま一般県道や幹線道路に持ち込まれるというその影響が非常に強いのじゃないかということなのです。  私、申し上げたいのはそこから先の話なのですが、今は安全教育の銭がないという話をしたのですけれども長官御承知のとおり、第四次の基本計画以来、地方の信号機は、すべてとは言いませんが、その大半が県単になったのですね。それで、これは新潟県の例で申し上げますと、五十四年当時二百基、五十五年、百七十基、少し下がって五十八年、百六基、六十年、七十四基、六十一年から始まる第四次に入ってから新設の信号機の数は三十一に落ちているのですよ。昨年は実に二十基しかつかない。私は、一方で信号機が多過ぎるという議論があるのはわからぬわけじゃないのです。しかし、今の事例でも申し上げましたように、幹線道路における事故がふえているということは、今度は逆にハードの面のおくれが非常に影響してきているのじゃないか。これは財源手当ては何もないのですよ。それは、一般的には自治省の方も交付税で見ていますというようなことを言うのだろうけれども、言われても、第四次以降の落ち込み分をどうやって補てんしているのか。これは自治省の方にまず伺いましょう。何か手だてをしているのかどうか、ちょっとお聞かせください。
  39. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  交通安全施設整備につきましては、先生お話しになりましたように、地方交付税の算定上、交通安全施設整備は、これは県分、市町村分の道路橋梁費という費目がございますけれども、その費目の中で算定をいたしておりまして、一般財源措置は交付税を通じて措置をしているという形になろうかと存じます。
  40. 関山信之

    ○関山委員 つまり、第四次でそういう信号機の扱いの変化があって、それ以降特別な措置をしているかということです。
  41. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答えします。  交通安全施設整備計画に基づきまして、交付税上、年々どのぐらいの額が交通安全施設全体として必要になるかということを積算いたしまして、その額が総体として交付税の基準財政需要額に入るように、先ほど申し上げました道路橋梁費の単位費用の積算の基礎に入れているということでございます。
  42. 関山信之

    ○関山委員 これはどこでお答えいただくことになるのかわかりませんけれども、全体としてソフトの面をと言いながら、ハードの面においても、この緊急事態に対応するにはやはりそれなりの手だてというのがなければならないと思うのです。これはたまたま新潟県の例を引きましたが、地方のことしの数字を見ましても、青森とか岩手だとか、かなりふえ方がひどいのです。その辺のところは、第四次の計画の修正あるいは手直しみたいなことを少しお考えになったらいかがかと思うのですが、いかがでしょうか。今申し上げた信号機の数の落ち方というのはちょっと異常でしょう。しかも、各県はまだまだ五十年以前の古い信号機などを持っているところもあり、その更新もやらなければいかぬ。一方では、上の方針があるから人口密集地の管制の整備もやらなければいかぬ、近代化、高度化の作業もしなければいかぬ。板挟みになるわけですね。どこかで考えてやらなければ手当てができないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  43. 内田文夫

    内田(文)政府委員 新潟県の具体的な数字、それだけ落ち込んだことについて私も今関心を持ってお聞きしたわけで、ちょっとその点の調査を私もやっておりませんでしたけれども、新しい今度の五カ年計画ができるとき、先生おっしゃるとおり、信号機の新設というのは都道府県の単独事業ということになったわけでございますが、それに伴いまして、地方交付税の関係で財政的な処置はとっておるわけでございます。実際の安全施設整備につきましては、やはり都道府県それぞれの地域の特性、そうした中で判断をされているのだと思います。だから、県によって信号機が県単になってからふえているところもありますし、今先生お話しのように大幅に減っているところもあるのだと思うのですが、それぞれその地域需要に応じた整備が行われているのだ、こう考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、現在それが十分だと我々も思っているわけではございません。今後ともその整備の充実向上に努力をしてまいりたい、こう思っております。
  44. 関山信之

    ○関山委員 各県の状態をすべてつまびらかにしてのお話じゃございませんから、これまたいずれの機会にきちっとした整理をしていただいてお聞かせいただくことにいたします。いずれにしても、都市型に変化をした交通環境というものを焦点に入れた対策がないと、この時期の交通事故増加を抑える有効な手だてを一つ欠くことになるのじゃないか、こう思いますので、ぜひひとつ具体的に御検討をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  45. 内田文夫

    内田(文)政府委員 検討させていただきます。
  46. 関山信之

    ○関山委員 それでは、問題を変えまして、AT車の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先ごろ、中間報告が発表になりまして、私どももその報告書を手にさせていただいたわけでございますけれども、最初に、報告書の問題に入る前に、前回のAT車の問題のときにも、発生件数の把握が極めて不十分じゃないかということを申し上げました。その後やたらと件数がふえまして、当時百七十八件で議論をいたしておりましたが、その後、今回の報告書の時点では二百六十一件、最終的に昨年、昭和六十二年においては、六十二年だけで四百三十件、トータルをして六百四十二件、あっという間にこういう数字が私らの前に出てきたわけです。一体これはどういうことなのかということとあわせ、事故と苦情というふうになっているのですが、事故、苦情別の内訳はどうか。それから、事故の内訳は死亡事故、その他と分けてどうなのか、報告期間別にはどういうことなのか。それから、この中で「その他」という仕分けがございまして、ここに百二十一件記載されているのですが、「その他」というのは「状況不明」とはまた違ったランクなものですから、一体どういう仕分けなのか、内訳を聞かせていただきたい。
  47. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  まず最初に、AT車の苦情、事故の件数が急激にふえているじゃないか、こういう御指摘でございますが、これにつきましては、御指摘のように当初百七十八件でございましたのが、昭和六十二年十二月末現在におきましては六百四十二件ということになっております。それで、昨年の夏以来新聞等に大きく報道されたというようなことによりまして苦情等の申し立てがふえたのではないかというふうに考えております。  それから件数でございますが、先般の中間報告書に示されました二百六十一件につきまして内容的に申し上げますと、これは昭和五十八年一月から六十二年六月までの間に報告されたものでございまして、これが二百六十一件ありまして、その中で事故に至ったものの件数は、これは物損も含んでおりますが、二百三十件でございます。したがって、残り三十一件は事故がなかった、こういうことでございます。その二百三十件のうち、人身事故に至ったものが四十六件、残り百八十四件が物損事故であった、こういうことでございます。
  48. 関山信之

    ○関山委員 六百四十二についてはわかりませんか。
  49. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 最新のデータでございますが、六百四十二件について申し上げますと、六百四十二件の中で物損を含めまして事故を起こしているものが五百五十件でございます。その五百五十件の中で人身事故に至ったものが九十七件、こういうことでございます。  それからもう一つの、中間報告書の中で「その他」と書いてあるものが六十六件ある、これは何だ、こういう御指摘でございますが、これは、その発生形態が報告の中で明瞭に記載されていないため、具体的に私どもが分類しております振り分け、分類ができなかったものをまとめ上げたものでございます。それで、具体的な「その他」の中身といたしましては、急発進現象が起きておりますけれどもシフト位置が明記されていなかったものが大半を占めております。そのほかといたしましては、単なる急加速のみの記述であったということでどのような走行状態であったかがよくわからなかったもの、あるいは運転開始直後にエンジンが噴き上げた、こういったようなものを一応整理上「その他」ということで処理をしておるところでございます。
  50. 関山信之

    ○関山委員 そうすると、そこに急発進らしきものもかなり入っているということになるわけですね。  それから、警察サイドの方で把握した六十二年のAT車の事故について概略をお聞かぜいただきたいと思うのですが、第一当事者が車である事故のうちのAT車の数、それから、昨年のときは急発進とか急加速とは言いませんで、発進時というふうにおっしゃっていたようですけれども、その辺の仕分けはどういうふうに整理をされておりますか。発進時というふうにしか言えないのであればその数字、急発進と思われると判断できるような状況があればそういう数字。それからこの間に送検をされた件数、六十二年ですね、この間に起訴猶予あるいは不起訴になったものとの区分け、その数字を簡単にひとつお聞かせ願えませんか。
  51. 内田文夫

    内田(文)政府委員 警察庁事故統計といいますか、その中では死亡事故だけについての分析を行っているわけでございますが、今先生おっしゃいましたように、自動車が第一当事者となった死亡事故というのは昨年六千百四十五件あったわけでございますが、このうち、AT車によるものが千九十六件ということで一七・八%でございます。その事故時の行動といいますか、それにつきましては統計上急発進という分類をいたしておりませんで、いわゆる発進時という分類をいたしておりますが、この中で、AT車で発進時の死亡事故というのが十七件ということになっております。  それから、今の十七件と、あと六十二年中にペダルの踏み違えだとか発進磯の問題で扱った件数が、ペダルの踏み違え、発進時ということでちょっと重複しているところもありますが、十二件ということで、そのうち送致が九件。あと三件については現在捜査中などで報告を受けていないのですが、送致したというのは九件報告を受けております。そのうち、起訴されて公判中というのが七件、不起訴が二件、これは被疑者が死亡したということで公判になっていないというのが二件ある、こういうように承知をいたしております。
  52. 関山信之

    ○関山委員 それから、六十一年八月二日に環七で起こした事故で服役中の種市さんという方でしたかね、先般、公明党の草川先生質問書を出されて、これに対する答弁書の中で、提出されている請願書の処理については東京地検で検討中という答弁がございました。警察に聞くのもいかがかと思うのですが、きょうは担当課長を呼んでおりませんので、その後の経過を御承知でしたらちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  53. 内田文夫

    内田(文)政府委員 その後についてちょっと聞いておりませんので、また御連絡させていただきたいと思います。
  54. 関山信之

    ○関山委員 そこで、中間報告に対する評価の問題なんですけれども、中間報告が出されまして各紙一斉に内容を報道いたしておりまして、新聞社等の受けとめにもまたそれぞれ若干のニュアンスの違いはあるのですが、いずれにいたしましても、暴走の可能性が確認をされた、暴走現象が確認できたという受けとめなんですね。この評価について運輸省はどうお考えになりますか。
  55. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のような新聞報道が行われておるわけでございますが、私ども研究所におきまして取りまとめました見解によりますと、この原因究明の試験におきましては実車を用いまして再現試験をした、こういうことでございますが、この現象が普通に走行しておりましてはなかなか再現性がない、こういうことで、試験におきまして異常状態を発生するのが非常に困難な面もありまして、異常状態を設定するに当たりましては、車両構造上、異常を引き起こします可能性のある電子回路等に通常では起こり得ない方法で人為的に故障をさせることによって、そういう装置が故障した場合に回転数が上昇するという現象は確認された、こういうことでございます。
  56. 関山信之

    ○関山委員 その後段の方だけはっきりしてくださればいいのです。通常起こり得ない条件をつくったから起ったということが問題なんじゃなくて、ある前提が置かれれば暴走の可能性がある、こういう暴走の現象が起きた、そのことの確認ができたということは皆さんもお認めになるのでしよう。いかがなんですか。
  57. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 御指摘のとおりでございます。
  58. 関山信之

    ○関山委員 そうしますと、橋本前運輸大臣がこの委員会の席で御答弁になっておりましたけれども、確かにどう考えても誤作動だけでは説明できない事例があるということについては、もちろんこの報告でも、「事故原因が誤操作なのか車両の構造装置などにあるのか特定できないもの百二十九件」、こうお認めになっておるわけですし、加えて、いわば構造上ある前提が置かれれば暴走をする可能性があるということが明らかになった、こういうふうに受けとめておいていいわけですね。ちょっと私、気にかかりますのは、この前、交通安全公害研究所に参りましたときに、この報告書はどういう格好になりそうかということを伺いましたら、清水さんが、問題がある指摘事項はないと思うというようなことを、私の聞き間違いだったらいいのですが、そんな御趣旨の発言があったやに記憶しておりますものですから、改めて、その辺は明らかに問題がある指摘だというふうに受けとめていいですね。
  59. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、私も当時まだ最終的に研究所の方から正確に結果を掌握しておりませんでしたので、そういったようなことを申し上げたかと思いますが、先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、なかなか起きないけれども人為的にやった場合にはそういう現象は起こり得る、こういうことは確認をしたということでございます。
  60. 関山信之

    ○関山委員 そこで、ここら辺はちょっと申し上げておかなければならないのですが、中間報告では、確かに構造上の原因究明といいますか、それは直接的なつながりはまだ未解明の部分があるのですが、少なくとも暴走のメカニズムは明らかになった。しかも、わずか三カ月です。運輸省交通安全公害研究所、これは筑波のものなんかに比べたらいろいろな設備や何かもまだ十分じゃないという感じのところなのですけれども。ですから、私は、メーカーがこういうことぐらいはわからなかったはずはないと思うのです。しかし、五十七年、五十八年当時に事件が起きてから、一貫してメーカーは誤作動であるという前提で問題を処理してきた。そして、運輸省の方もそれを受けてこの間いろいろとやってきたと言うのですけれども、メーカーがわからなかったはずはないじゃないか、ここまで来ますとそういう素朴な疑問がわきます。  では、ある特定の条件が準備されれば暴走が起きるということについて一体どういうような報告を受けていたのか。私は、この点では事故の解明をおくらせてきた運輸省責任というのは問わなければいけないと思うのですけれども、この点の見解はいかがですか。
  61. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  なぜこういう長期にわたってわからなかったかという御指摘でございますが、先ほど来申し上げておりますように、これが非常に再現しにくい。それはなぜかと申しますと、既に何重もの安全装置が施されているわけです。そういうものをくぐり抜けていろいろな条件が重なった場合に起きる、こういうことのようでございまして、それがどういう条件かはまだ定かに私どもも、この報告書でも掌握していないわけでございまして、非常に再現性がなかった、こういう点もその原因にあるのではなかろうかと考えておる次第でございます。
  62. 関山信之

    ○関山委員 再現性にこだわっていれば、これから先いつまでたったって再現性が保証される時点なんかないのです。暴走のメカニズムがはっきりしたということがわずか三カ月間でできたのですから、メーカー側だってこの暴走のメカニズムがわからなかったはずはない、私はこう思うのです。それをいわば放置してきたことの責任を私は問わなければいかぬというふうに思うものですから申し上げておるのですけれども、それはそれでおきましょう。  それにしても、どうでしょうか。これは警察の方にちょっとお伺いしたいのですが、誤操作、誤操作と言われてきたわけです。よくよく考えれば、誤操作というのは二通りあるということになるのです。つまり、今まで言われてきたように、純粋に、発進時にブレーキを踏んでいなければならないというところを間違ってアクセルを踏んで暴発したというケースです。ともかく、AT車の場合クリーピングがあるわけですから、ブレーキを押していなければならない、それを間違っていきなりアクセルを押してしまったというこれは単純なケースです。しかし、異常時のこういう暴発が始まった時点におけるミスというのはまたあり得るわけです。慌ててやる。これは全然状況が違うのですが、こういう問題がいわば交通事故の事件として取り扱われた場合、やはりその扱いは二つ別でしょう。いかがですか。
  63. 内田文夫

    内田(文)政府委員 具体的な場合において異常があって踏み間違えたかどうかというのは、先ほど運輸省の方からも答弁ありましたように、異常の有無の再現というのは難しいものですから断定はなかなか難しいわけですが、理論的に申せば、先生おっしゃるとおりに、初めから明らかに誤操作したのと異常事態があって慌てて誤操作したというのは、いわば情状といいますか、いろいろな面で違ってくる、そういうものだと認識しております。
  64. 関山信之

    ○関山委員 そこで、この前研究所に参りましたときにシフトロックを拝見させていただきました。固有名詞を挙げて失礼ですけれども、日産のときはこんな程度のものかなと思っておりましたが、この間の公害研究所のものはキーインターロックつきシフトロックというのですか、これはほぼ確実に発進時の事故は構造的に防止できると思うのですが、いかがですか。それから、もしそうだとすれば、今申し上げたような前段の誤操作という問題は、少なくとも今まで言ってきたような、誤操作かもしれない、アクセルとブレーキの踏み間違えなどという逃げ口上を与える余地がないいわばシステムだったのじゃないかということを感ずるのです。いかがでしょうか。
  65. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 御指摘のように、このシフトロックの誤操作防止は、スタート時におきます誤操作防止にかなりの役割を果たすものと考えております。
  66. 関山信之

    ○関山委員 かなりというのはどうなんですか。私は、理屈の上から言えば、ブレーキが正常に作動している限り、いわゆる発進時における誤操作というのは完全に防げると思いますが、いかがですか。
  67. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 ほぼそれに近いことであろうと理解しております。
  68. 関山信之

    ○関山委員 そうだとすれば、これは先般トヨタの車につけられることになり、自工会としても全体でつけることに努力するというようなことになっていますが、これは当然保安基準に定めて、型式指定において事前にきちっとやるべき筋合いのものじゃないのでしょうか。そうして、少なくとも誤操作による事故だけはこの際横へ置いてさらに原因究明に進むという措置が当面最も緊急にとられなければならない措置だと思うのですが、いかがでしょう。
  69. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答えいたします。  この装置の効果につきましては、私ども先生の御指摘にほぼ同様な見解を持っておるところでございます。  それで、御提案の保安基準に明定したらどうか、こういう御指摘でございます。  自動車の保安基準の考え方でございますが、これは自動車の安全性の確保並びに公害の防止を図るために設けられておりまして、基本的には、保安上必要とする最低限度の構造、装置及び性能について規制をする、こういう考えになっております。それで、ただいま御議論いただいておりますAT車の誤操作防止のシフトロックなどの装置は、誤操作防止の上でより好ましい装置であるという観点から取りつけられたものでございまして、私どもといたしましては、先ほどの考え方から行きまして保安基準の規定にはなじみにくいものであるというふうに考えております。しかし、この対策は、国産車を対象といたしまして、自動車工業会におきます安全に関する自主基準といたしまして決定いたしておりまして、六十四年中には国内で生産されます乗用車などの新車すべてに装備されることとなっておりまして、実質的には、この自主基準におきまして十分な効果を発揮するものというふうに考えておるところでございます。
  70. 関山信之

    ○関山委員 最低限度の中にこういう機構が入らないということをこの時期に言う神経がわかりませんよ。これだけ問題になって、事故を起こして、人が死んで。  私の質問時間が来ましたのでやめますが、六十四年中に使用中の車両についてはどうしますか。
  71. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 現在使用されている車につきましては、御案内かと思いますが、この装置は大変精度の高いものでございまして、途中の車に装着するためには相当な技術あるいはかなりの改造が要るということで、現実的には非常に難しいのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、この誤操作防止につきましては、ユーザーの方にAT車の正しい使い方につきましてよくお話しいただく、こういった努力自動車メーカーなりにするように、今後十分に指導を図っていきたい、かように考えている次第でございます。
  72. 関山信之

    ○関山委員 時間が来ましたのでもう議論しませんが、私はそのことは納得しません。それは、今申し上げたキーインターロックつきシフトロックというものを見てしまった以上は、交通安全の立場に立てば、それはどうしてもつけなければならないものだというふうに申し上げなければならないことだろうと思いますよ。もし使用中の車であってそれが技術的に困難であれば、完全なキーインーターロックつきシフトロックでないそれにかわるものであっても、これはもう早急に何か手当てをしなければならないのじゃないでしょうか。少なくとも暴走のメカニズムが明らかになった以上は、それがどこにどういう前提条件のもとで起こるかはこれからの解明を待たなければならないわけですけれども、しかも、再現性が非常に困難だという条件の中でその解明を進めていくとすれば、その間、依然としてAT車をめぐるさまざまな事故やトラブルの問題の基本的な解決はできないということになる。いわゆる誤操作には二つの面があるわけですね。単純な誤操作と暴走を起こすような条件に置かれたときのいわばペダルの踏み間違いも、せめてこれがあれば相当部分とめられるということもあるわけですから、ぜひひとつお考えいただきたいことを申し上げて、一応私の質問を終わります。
  73. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、早川勝君。
  74. 早川勝

    ○早川委員 先ほど来のお話の中で、交通安全週間のさなかであり、九千人を超える死傷者が数年続いているということで、深刻な事態だというお話がありましたけれども、それに対しまして、一つの重点課題だということもこれまた共通認識になっております。先ほどもお話がありましたけれども、その中で日本の社会全体を考えたときに、高齢化社会が到来するということは事実でございまして、これは単に交通安全の問題だけじゃなくて、いろいろな分野で新しい発想が求められてくるわけですね。そういうことを考えますと、まず高齢化社会を迎えるに当たって、今死者が非常に多いという問題もありますけれども、これからの十年、十五年を展望したときに交通安全対策という側面からどんな考え方をされているのか、長官伺いたいと思います。
  75. 高鳥修

    高鳥国務大臣 先ほども交通事故激増の一因といたしまして、高齢化社会の到来ということで、それに伴いましてお年寄りの方が被害者にもなれば加害者にもなる、そういうことも一つ原因ではないだろうかということを申し上げたところでございます。手元に警察庁調査をしております資料がございますが、それによりますと、昭和六十年と六十一年を対比した場合に、六十歳以上の死亡者数は五・二%増加しているという数字が挙がっております。それから、高齢者の免許を持っておられる方の数もまた非常にふえているわけでありまして、昭和五十七年と六十年を対比いたしますと、七十歳以上の方が指数で一七五%というふうな増加になっております。したがいまして、昭和六十三年の数字ですと恐らく倍以上になるのではないかというようなことでありまして、やはりお年寄りの方は、何と申しましょうか、どうしてもいろいろな事態に即応する対応能力というものがだんだん衰えてくるわけであります。歩行者にいたしましても、あるいは運転者にいたしましても、どうしてもそういうふうなことになってまいりまして、特に高齢者の死亡事故の特徴といたしましては、被害者の場合には歩行中の方が約半数、それからまた、自転車乗用中の方が五分の一という数字が挙がっております。高齢者の方々の場合には被害者即死者と申しましょうか、死亡事故につながっていっておるという状況にございます。私どもといたしましては、交通安全基本計画にのっとりまして、特に、高齢者の交通安全思想の普及徹底や高齢者の安全通行を確保するための交通環境の整備対策を積極的に進めてまいりたいと存じます。  また、先般、閣議におきましても、お年寄りの方に若葉マークに匹敵するような、シルバーマークと申しますか敬老マークと申しますか、そのようなものをつけていただいたらどうか、これは車の場合でありますけれども、そういうふうな発言もあったわけであります。これにつきましては、調べてみましたところ、幾つかの都道府県警察におきまして既に実施をされておるところもあるようでございますが、私ども総務庁といたしましては、全体として、運転者の側からも、またお年寄りの歩行者等の側からも大いにお年寄りの交通安全を確保するということの啓蒙と申しますか、そういう思想普及のために全国的な規模でのシルバーマークの制定、これは今総理府でやっておるわけでありますが、そういうふうなことも通じまして、国民全体の間に高齢者の交通安全を確保するという運動を大いに盛り上げていきたい、このように思っております。
  76. 早川勝

    ○早川委員 今長官お話の中にもございましたけれども、昨年、六十一年度の交通白書にも「高齢者の免許保有者の将来予測」が載っております。昭和六十一年の場合には、高齢者人口千八百六十万人に対して免許保有者が三百八十一万人、その比率が二〇・四%、これが六十五年になりますと二四・一%ですから四人に一人ということで、五人に一人が四人に一人になる。それから七十年になりますとこれが二八・九、十人のうち三人ぐらいが免許を所有するという状況で、もっと延ばせば恐らくこの比率はもっと高まっていくだろうと思います。そういう状況を考えますと、今答弁されましたようなシルバーマークの問題は、私が調べても既に市でもやっているところがありまして、そのマークは市民から公募してつけさせよう、こういう動きもあります。  それともう一つ、昨年十一月に行われました交通安全に関する世論調査の中で、やはり高齢者対策についてアンケートがされております。二つありまして、一つは免許更新期間の短縮の問題、もう一つは免許更新時における模擬運転なり適性検査についてどう思うか、この二つの問いがあり、それらにそれぞれ回答がされているわけです。この世論調査の結果について長官はどのようにとらえられておりますか。とりわけ、具体的には免許更新期間の短縮の問題と適性検査の問題になりますが、どのように把握されておりますか。
  77. 内田文夫

    内田(文)政府委員 高齢者の人口がふえてきているということで、高齢者のドライバーが大変ふえてきているという現実があるわけで、我々としても、高齢者ドライバーについてのいろいろな安全対策を考えていかなければならない、こう思っておるわけであります。ただ、高齢者なるがゆえに例えば免許の期間を短縮するとかというような問題については、お年をとることによります身体機能だとか運動能力の低下というのは一般的に当然考えられるわけでありますけれども、これはやはり個人差があるわけでございまして、一律に年齢で区切るということはなかなか合理的な線が引けないだろう、こう思うわけであります。そういったことからも、これは現在もやっているわけでありますが、お年寄りの更新時に対しまして我々としては高齢者学級というのを設けて、高齢者の方だけをお集めして高齢者に合った特別のいろいろな講習を行ったり、あるいは、これは強制ではなくて任意で御協力をいただいているわけですが、御希望の方に高齢者の方々の運動、視力、いろいろな面で現在自分の状態がどうなのかということの検査をいろいろ器具を用いまして行いまして、それによりまして、例えば、あなたはこういうところが衰えているから運転をする場合にこういう注意をしなければいけないというふうなアドバイスを与えるということをいたしておりますし、今後ともそれを進めていきたいと思っております。
  78. 早川勝

    ○早川委員 更新期間の短縮等は考えておられないという答弁なんですが、先ほどのシルバーマークの問題について四月五日の閣議で議論されて、新聞等の報道で拝見いたしますと、義務化についてどうかなという議論があったというふうに伺っていますけれども、その点について、これは長官の方にお願いいたします。
  79. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま警察庁の方からもお答えがございましたが、例えば、特に営業車などの場合にシルバーマークなどをつけさせるというようなことをいたしますと、これはお年寄りの運転だから危ないといってお客さんが乗らないとか、そういうふうなことで差別ができるではないかというような意見もございますし、おれは元気なんだから若い者には負けないぞ、そんな差別をするのかねというようなことで、もちろん全体ではないと思いますが、既に実施しているところでも、どうもお年寄りの方にかなり不満があるというお話も承っておるところであります。したがいまして、これはあくまでも敬老の精神で進めなければならないというふうに考えておりまして、現実問題としては非常に大きな問題だろうと思いますので、担当の方とよく協議をしたいと思っております。
  80. 早川勝

    ○早川委員 これは私個人の考え方なんですけれども、いわゆる義務化という問題じゃなくて、また、指導といいましてもどの程度の指導の中身によるかわかりませんけれども、やはり高齢者の自主選択のような形でいいのじゃないかというのが私の考え方です。それは能力が衰えているとかそういう問題じゃなくて、そのマークをつけた車に対するほかの人の今長官言われたようないわば敬老というのですか、少々スピードを緩めて走っていてもいいじゃないか、後続車がそれだけのゆとりを十分持って対応すればいいじゃないかという観点を主にすれば義務化という必要は毛頭ない。それから実質指導といった場合も、義務的な要素の非常に強いようなことはやらない方が望ましいというのが私の考え方です。全体としてはあってもいいという考え方でもあります。  そこで、高齢者対策として、これから確かにそういう社会が訪れるわけですが、それとの絡みでもあるのですけれども歩道橋があるわけなんです。私、見ていますとどうも余り利用されていないですね。あれをわざわざ上っておりてというのが、だれでもそうだと思うのですけれども、余りやりたくない施設だなというふうな感じを持つのです。今の歩道橋のいわば利用状況というのですか、そのあたりについてお聞かせいただきたいと思います。高齢化社会におけるいわば安全施設という観点からで結構ですので、歩道橋というものについて今現在余り芳しい評判を受けていないと私は思っているのですけれども、どのように考えられますか。
  81. 高鳥修

    高鳥国務大臣 もう随分前でありますが、あれは国立でしたかどこかで、歩道橋に反対をする訴訟か何かをやられたことがかつてございました。その訴訟を聞いたときに、本来は人が平らに歩いていた、そこへ車が後から入ってきたのだから、もし人の歩行というものと車の交通がぶつかり合う場合には、これはやはり人の方に優先権がある、だから車が上がったり下がったりすればいいだろうという主張については、私はなるほどなというふうに考えたことがございました。実際、あれだけの階段を上がりおりするということは、足腰の不自由になられたお年寄りの方にとってはかなり大変なことだろうと思うのであります。したがいまして、今後そうした交通安全施設整備をするに当たっては、お年寄りの方の御利用というものを十分配慮しながら進めていかなければならない、そういうふうに私どもは考えております。
  82. 早川勝

    ○早川委員 これは運転者だけじゃなくて、やがて社会全体としても高齢者が四人に一人という社会が訪れるわけですし、一方、そのときに多分車はもっとふえていく社会になるだろう。それで、先ほど来の話のように歩行中に事故が非常に多いというような要素を考えますと、他の面からいうと歩道橋が必要になるのじゃないかという考え方がどうも出てきそうなのですけれども、今の利用状況を考えますと逆にふさわしくないし、とても無理だ、高齢化社会に当たっては必要のないものじゃないかなという感じを持ちますので、ぜひそういう方針で臨んでいただきたいと思います。  それから、先ほど来信号機設置の問題がありましたが、これは実際に車を運転している方の意見でもあるのですけれども、十字路、交差点を渡る手前のところに信号機があって、同時に渡り切った向こう側にもあって、信号機が二基あるということです。交差点の手前のところと向こう側にある。そうすると、二つあるがために、手前の信号が青でスタートをしたら向こう側はもう黄色か赤になるというので、渋滞したときには戸惑ってしまうのだという話も聞くのです。遠くから来るときは手前にあればいいのですけれども、その交差点の直前まで来たときはもう一つでいい、向こうの信号だけ見ておればいいというふうに考えると、手前ではなくて向こう側にあればいいじゃないか、横断していく向こう側に信号機があった方がいいのじゃないかということもちょっと聞くのですけれども、その点は、設置されている側としましてどんな理解をされておりますか。
  83. 内田文夫

    内田(文)政府委員 今先生おっしゃいました信号機というのは、一つの交差点の手前と交差点を渡ったところと、こういう意味でございますか。信号の表示が違うことはないと思うのでございますが。それは大きい交差点ですと、確かに見やすくするといいますか、見落としがないように渡った向こう側と両方つけておりますが、これは同じサイクルで動いているはずだと思うのです。したがって、もしちょっと距離があって、その間の距離が比較的短いかもしれませんけれどももう一つ先にさらに交差点があって、それとの信号ということではないかと思うのでございますけれども、車に乗る立場からすると信号機が多いという声を我々もよく聞きますし、逆に子供さんを持つ親ということになると今度は信号機をつけろという声がある、こういうことがあるわけでございます。  いずれにしても、信号機をつけたことによって交通の円滑を阻害するということは最小限にしなければならないということで、これからはいわゆる系統化、殊に今の都市部においては大体管制を進めておるわけでございますが、そういうこともさらに進めて、ある一定の距離を決まった速度で走っていればとまらないで行ける。そういった信号の高度化というものにさらに努めていかなければならないと思っております。
  84. 早川勝

    ○早川委員 二基ある信号機がうまく連動していればそういう事態はないのですけれども、広くて渋滞している場合には起きるという話を聞くのですよ。青だからスタートしたら渋滞していて、向こうへ渡り切る前に信号が変わってしまう、そういう意味です。だから、渋滞しないですっと通り過ぎるぐらいの状況であればそういう事態は起きないわけです。そういう意味です。  それから、安全教育の問題で先ほど来お話ありましたけれども、無事故、無違反の優秀なドライバーに対する表彰制度が行われているということを伺っております。四十七都道府県で行われているということを伺いました。それぞれ各県によって違いはあると思うのですけれども、その表彰制度について何か特徴的な区分、グルーピングというような形で把握されておりますか。
  85. 内田文夫

    内田(文)政府委員 優良運転者の表彰というのは各都道府県で行っておるわけでございます。グルーピングというわけではないのですけれども、大量に表彰しているところと、本当に年間数十人しかいないというところとあります。そうしますと恐らく選考の方法も、多い場合には自主的に申告なさる方とか、そういうものを広くとらえておるのだと思うのですが、少ないところというと、例えば一つの警察署単位でしておるとかなんとかいうことで、安全協会なりが推薦するのか警察署自体が推薦するのか知りませんけれども、そういったような非常に限定したところがある。大きく分けて、グルーピングと言えばそういうものがあるのじゃなかろうかという気がいたします。  それから、先ほどの信号の関係でちょっと補足させていただきますと、一つの交差点の中で渡り切った向こうと途中で変わるということは、我々としてはどうも理解できない、あり得ないことだと思っています。ただ、渋滞していますと、こっちの青で渡っても、ゆっくりゆっくり行っている場合に向こうが赤になってしまうということはあり得るかもしれない。渋滞をしたとか、そういう特殊な状況ではないかと思うのでございますけれども、具体的な事例がありましたら検討させていただきたいと思います。
  86. 早川勝

    ○早川委員 確かに、表彰制度は各県によっていろいろあると思うのです。年間に数十人から数万人。私は愛知県なのですけれども、愛知県だと一万五千人予算化している。それだけ愛知県はワーストワンかツーかという好ましくない、交通事故死に関してはおくれた県じゃないか、そういうことで多いと思うのですけれども、これは多くやった方が効果があるという理解を私はしております。というのは、表彰者が多ければ多いほど自主申告制度をとっておりますね。自主申告制度をとることによって何がいいかといいますと、それこそ自営業者の方だとか、とにかく集団、団体に帰属しない人も自分で申告してくる。愛知県の場合六年、十年、十五年という基準でやっているそうですけれども、表彰者が多ければ自主申告制度がとれるわけですね。そんなことを考えますと、ぜひ一つの統一的なキャンペーンとして考えていただきたい。これは要望にいたします。
  87. 内田文夫

    内田(文)政府委員 優良運転者の表彰につきましては、愛知は今先生おっしゃいましたように六年、十年、十五年ということでやっているわけですが、これは確かに一人でも多くの方を表彰するということは、そういう方々は、例えば五年もらえばさらに十年間無事故でいこうという責任の自覚といいましょうか、そういった交通安全という意味でも大変プラスになるものだ、大変いい制度だということで、我々も各県に勧めてまいりたい。しかし、たくさんやるということになると、それぞれ県の事務処理の問題だとか、また予算の問題とかいろいろあると思うのですが、方向としてはなるたけ多くの方を表彰するような方向で我々も進めてまいりたい、こう思います。
  88. 早川勝

    ○早川委員 次に、実は災害遺児奨学制度について伺いたい。  といいますのは、ことしの運輸大臣所信表明にも入っているわけですけれども、いわゆる自動車事故被害者の救済対策については云々というところで、「交通遺児等に対する援護の充実を図る」と言っておられまして、予算を拝見いたしますと、確かに被害者救済等ということで、自動車損害賠償責任再保険特別会計による補助等で昨年度に比較して四千二百万円の増、トータルで二十二億四千七百万円が今度の予算で計上されております。現在、交通遺児に対しましては育英会があり、それから交通遺児育成基金が設けられておりますが、そういう意味で、もう少し広げたらいいのではないか、そしてまた広げてほしいということで、この災害遺児奨学制度は要求が強いわけです。  そこで、交通遺児育成基金は昭和五十五年に設立されて今日に至っているわけですけれども、この利用状況、そこに加入している人たちが多くないということを伺っているのですが、現状についておわかりになりますか。
  89. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  財団法人交通遺児育英会が行っておるわけでありますが、奨学生数につきましては、本年の一月一日現在で高校生三千七百七十九名、これは高専生を含んでおります。各種学校等で百四十三名、大学生九百五十六名、大学院生十名、計四千八百八十八人でございます。
  90. 早川勝

    ○早川委員 交通遺児育成基金の加入が余り進んでいないという指摘もあるのですけれども、この点についてはいかがですか。
  91. 原田達夫

    ○原田政府委員 現在、この対象となる交通遺児がどのぐらいあるかということははっきりいたしませんけれども、財団法人交通遺児育英会ではかなり活発な広報活動をやっておりまして、その状況下で四千八百八十八人という数字でございますので、ある程度浸透しておるのではなかろうかというふうに考えております。
  92. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、交通遺児に対するそういう修学促進のいろいろな制度は、制度的にもそれなりに完備して利用者もいるということですが、これに対して、災害遺児奨学制度というものは今もってまだ設けられていないわけです。この問題はいわば今通常国会における非常に重要な、野党こぞっての要求になっておりまして、今までの経過を見ますと、竹下自民党総裁の立場でも答弁されておりますし、また予算委員会におきましても、まさに総理大臣としてもいわば前向きの答弁をされてきているわけですが、この問題について、今日の状況についてちょっと説明いただきたいと思います。
  93. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  災害遺児の奨学制度の問題につきましては、従来、文部省を中心に検討してきた経緯がございますが、現在、内閣官房の審議室において、関係省庁連絡会議設置いたしまして総合的な検討が図られております。総務庁といたしましても、関係する範囲で連絡協議に当たっていきたいというふうに考えております。
  94. 早川勝

    ○早川委員 それだけではどうも進歩がないわけで、大変恐縮ですけれどもちょっと時間をいただきまして、この通常国会で、昨年の十二月二十四日に実は党首会談が行われたわけですね。そのときに野党が各党それぞれ要求しております。その中で災害遺児の奨学制度について、新年度、四月一日からですけれども、それに間に合うような形で検討してみたいという回答が最初にありまして、二月一日の予算委員会におきまして、我が党の山口書記長がやはり同じような観点から、四月一日までに奨学制度を実現してほしいということで、竹下総理大臣も趣旨はよくわかったという答弁をされているわけです。その後、私がフォローした限りでは、二月十七日のこれまた衆議院の予算委員会におきまして、公明党の坂口先生がやはり質問をされております。そのときに文部省の答弁は、財源が解決すれば交通遺児育英会で、これは文部省と総務庁の共管の財団法人でありますけれども、そこで対処をしてもいいのだというような答弁をされているわけですね。文部省のサイドからいたしますと、いわば財源だけの問題だというような感じで答弁されております。そして同日、竹下総理大臣も、四月一日までに間に合うようにという要望に対しまして、「間に合うように財源も含めて今内政審議室が中心で鋭意検討をしておるということを申し上げておきます。」というふうに二月十七日の予算委員会で答弁されております。それから一カ月余たちました三月二十三日と三月二十五日の参議院の予算委員会におきまして、四月一日がもう迫っているがというふうな観点質問し、やはり鋭意検討するというような形で答弁いただいているのですね。さらに四月四日、これは衆議院の予算委員会で暫定予算を審議したときだと思いますけれども、そこでやはり議論がありまして、政府として準備は整えている、場合によっては実施時期は四月一日に遡及することもあり得るというような答弁を総理大臣がされているわけです。  この一連の経緯があってもう百日余になる。十二月二十四日をスタートにして今日までの時間を考えますともう四カ月近くになるわけです。この期間におきまして、今原田室長が答弁されましたが、内政審議室ではどんな審議がどんなステップを踏んで進んできていますか、それを伺いたいと思います。
  95. 藤田不二男

    ○藤田説明員 御説明申し上げます。  災害遺児育英制度の問題につきましては、昨年末の党首会談の後、総理の御指示によりまして、私ども内政審議室におきまして検討を開始いたしまして、ただいま先生からいろいろと国会の御論議のお話がございましたけれども、そういうような国会等での御論議を踏まえまして、関係省庁と鋭意検討を進めてきたところでございます。  災害遺児を対象といたします特別の育英制度を設けることにつきましては、例えば病死でございますとか、あるいは失業などでございますとか、そういった他の原因により経済的に進学が困難になった者との均衡もございまして慎重な対応が必要でありますが、いずれにいたしましても、この問題は昨年末の党首会談におきまして示された問題でございますことから、今後さらに政党間の問題として話し合いをしていくこととされたところでございます。したがいまして、今後、政党間で話し合いが行われることになろうと私どもは思っております。そういうことで、私どもといたしましては、政党間で早く結論を出していただくことを期待しておるところでございます。
  96. 早川勝

    ○早川委員 国会審議を踏まえてと抽象的に言われたのですけれども、この問題については、まずとりあえず制度問題と財源問題と二つあると思うのです。それからもう一つは、今も指摘がありました他の事故死あるいは病死等とのバランスの問題がある。整理しますとこの三点ということなのですが、制度問題については、先ほど申し上げた二月十七日の審議の中でも、文部省の方では育英会がやってもいいのだということを答弁されているわけですね。それから財源問題については、要望としましては、このすすめる会のデータによりますと、新年度五千万円あればスタートできるのだというような数字が出ております。この財源をどうして確保するかということなのですが、三月二十三日の参議院の予算委員会では、宮澤大蔵大臣がこういう答弁をされております。これは、党首会談で大蔵大臣は予備費で検討すると答えていて、それをもとにして三月二十三日に、財源をどうするのだということについて質問しているわけですね。これに対して、党首会談でのことはよく覚えている、必要であればいつでも支援する、内政審議室のところで十分調整できると思う、こう答弁されているのです。これが国会審議の中身です。制度的な面においても、財源的な面でもそこまで議論が詰まっているのです。審議を踏まえて対処してきているということなのですけれども、その点を確認させていただいてよろしいですか。
  97. 藤田不二男

    ○藤田説明員 御説明申し上げます。  ただいま申し上げましたように、現在、この問題につきましては政党間において話し合いが行われるという段階になっておりますので、私どもといたしましては、その政党間での話し合いを見守ってまいりたい、このように考えております。よろしくお願いします。
  98. 早川勝

    ○早川委員 そうしますと、確かに、三月二十九日の与野党の政策担当者協議における自民党の回答の中に「災害遺児育英対策について措置するよう努力する。」ということが書いてあるわけなのですが、ということは、これは自民党が示した回答であるわけですから、政党間の協議という場合に、政党間の協議に期待する中身というのはどういう問題ですか。つまり、制度論と財源問題というのは国会審議の中で、今までの経過の中でほぼ明らかになっているわけです。そうすると、政党間の協議の中で何をはっきりさせてほしいと期待されているわけですか。
  99. 藤田不二男

    ○藤田説明員 ただいま先生からお話がございましたように、一つ制度論、一つは財源論、こういうようなことでございますので、そういう二つの点を含みまして今後政党間で話し合いが行われるであろうということを私ども期待しておるわけでございます。
  100. 早川勝

    ○早川委員 そうじゃなくて、政党間の話ということは、党首会談の中でも審議の中でもかなりはっきりしているわけです。制度的には文部省がやってもいい、それから文部省の答弁では、財源があればやるにやぶさかではない。そして、財源については予備費でも措置することができる、大蔵大臣はこう答弁されているわけです。そして大蔵大臣は、いつでも支援する、内政審議室のところで十分調整できると思うと答弁されているのですね。それをまた政党間の話し合いというキャッチボールをやっても始まらないと思うのですけれども、今内政審議室で、一番政党間で文字どおり詰めてはしい、整理してほしいなという問題は何ですか。
  101. 藤田不二男

    ○藤田説明員 御説明申し上げます。  先ほど先生からお話がございましたように、ことしの四月四日の衆議院の予算委員会におきまして総理から、この問題は昨年の党首会談で出された問題でもございますので、総理から政調会長に対しまして、政党間のお話によって結論を出してもらいたいという指示をしたという趣旨の御答弁をされたわけでございます。そういうことで、私どもとしては現段階におきまして、先ほどの繰り返しになりますけれども、これから政党間でのお話し合いがなされるということを期待しておるわけでございます。  その中身につきましては、まさに政党間でお話を願うということになるわけでございますけれども、今先生の御指摘にございましたように財源問題、それから制度論、そういうような問題も当然入ろうかと考えておるわけでございます。
  102. 早川勝

    ○早川委員 そうじゃなくて、ほっておく形じゃなくてきちんと整理すれば、スタートするのに財源的には幾ら要るんだ、五千万円あればいい、予備費でも対処できるよということが国会で答弁されているわけです。それから、どこでそれを処理していくかということについては、文部省と総務庁の共管の財団法人である育英会でもいいのだという答弁をされているわけです。そうすると、もう一度戻ってそこを整理してほしいという必要はないわけですね。仮に政党間での話になったら、同じ問題が内政審議室へ行くのではないですか。何を詰めなければいけないのか項目を出してほしい、こういう設問をされた場合に何を出されますか。
  103. 藤田不二男

    ○藤田説明員 この問題につきましては、現在、自民党の中でどう対応するかということを検討中だというふうに承知しておるところでございます。そういうことで、自民党としてどのように対応されますか、もちろん財源問題もございましょうし、制度論もございましょうしというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この災害遺児育英制度につきましては各党間で出されておるというようなことでございますので、その重みを踏まえまして、私どもも、現在政党間での話し合いがなされるということでございますので、それを見守っておるということでございます。
  104. 早川勝

    ○早川委員 首相答弁は政党間でということを言われているのですが、他方、政府としては準備は整えているということも言われております。しかも、遡及してもいいのだということも言われておりますが、その準備は整えているという中身は、どれくらいまで準備が進んでいるわけですか。あとは具体的に政党間でその結論について、いいですか、いいですよと言うだけですぐスタートできる状況でありますか。
  105. 藤田不二男

    ○藤田説明員 御説明申し上げます。  私どもでは、先ほど申し上げましたようにいろいろと鋭意検討を進めてきたわけでございますけれども、まだ現時点におきましては、こういうものだというような結論をここで申し上げられる段階にはなっておらないということをぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  106. 早川勝

    ○早川委員 よくわからないですね。総理は、準備は整えているという答弁を予算委員会でしているわけですけれども、事務方の方ではまだよくできていないというような答弁です。やはり総理がそう答えている以上、それに基づいて準備はきちんと整えなくてはいけないのではないかと思うのですが、制度面で一番必要なことは、十二月二十四日から始まって今までずっとやってきているということは、既に中学を卒業して高校進学した人たちは期待感を持って進学していると思うのです。これが一年延びるなどということは、その子供たちにとっては非常に厳しい状況に追い込まれることになるわけです。少なくとも、その準備が整っているということは、政党間の話し合いがつけば四月一日から遡及して適用できる、そこまで十分準備できるというふうに考えてよろしいですか。
  107. 藤田不二男

    ○藤田説明員 そのことにつきましては、ことしの四月七日の参議院の予算委員会におきまして、総理からこの問題につきましてのお答えの中で、政策担当者で詰めてもらうことにいたしましたけれども、その話し合いの中で、四月一日にさかのぼって適用するということもあり得るであろうというふうに推察しておるという趣旨の御答弁をしておりますので、私ども、そのように期待しております。
  108. 早川勝

    ○早川委員 四月一日にさかのぼることも可能だということなんですが、それで制度問題については育英会でということで、これは先ほども言いましたように実は文部省と総務庁の共管なんですね。そういうことで、総務庁長官としても今の議論を踏まえまして前向きの答弁をいただけたらと思いますが、いかがですか。
  109. 高鳥修

    高鳥国務大臣 予算委員会におげる総理の御答弁を私も承っておりまして、総理は非常に前向きに何とかしょうという熱意を持っておられるというふうに承知いたしております。率直に申しまして、何をもたもたしているのかなという感じでございますので、私の方からも、ぜひできるだけ早い対応をしていただくように関係方面に申し上げたいと思います。
  110. 早川勝

    ○早川委員 今の長官の答弁で、あとは与野党間でやればすぐにでもスタートできるというふうに理解いたします。  そこで、これは長官へのもう一つのだめ押しでございますけれども、早いという意味は、今国会でやってほしいというお気持ちも含まれているというふうに理解してよろしいですか。
  111. 高鳥修

    高鳥国務大臣 結局、先ほども内政審議室の方からお答えがありましたが、いろいろなケースのバランスのことを一番苦慮しているのではないかと思います。それらの問題についてなおせっかく詰めていただきまして、共管ではありましても私が直接その担当ということではございませんので、十分その辺の事情を詰めてもらうようにいたしたい、このように思います。
  112. 早川勝

    ○早川委員 結論を今国会の早いうちに、もちろん政党間でも出しますけれども、内閣としても、総理が非常に前向きに積極的な答弁をされているというのが今日までの状況でありますので、お互いに実現を図っていただきたいと思います。  最後になりますけれども交通事故に伴う保険金の不正請求防止対策について伺いたいと思います。  なかなか巧妙な保険金詐欺事件が非常に増加している状況でして、昭和六十一年の不正取得金額は約二十億と伺っておりますが、実態を見るとその三倍ではないかという指摘もされております。それに関連しまして、保険会社と警察との間で情報交換を行うということで防犯対策協議会というのがつくられていると伺っておりますが、その設置状況と、その効果のほどについてどんなとらえ方をされているか、お伺いしたいと思います。
  113. 内田文夫

    内田(文)政府委員 最近におきます保険金をめぐります犯罪がふえている、しかもそれが大変巧妙化しているという傾向にかんがみまして、これを防圧して検挙するということを目的といたしまして、各都道府県で、県警と各種の生命保険協会とか損害保険協会と一緒になりまして、防犯対策協議会とか連絡協議会といったものをつくっておるところでありますが、警察といたしましては、この協議会を通じまして関係資料や情報を保険業界に提供することによりまして、保険業界自体がその制度、運用面等の改善を含めまして、保険をめぐりますこの種の犯罪の防止策並びに排除を積極的に行っていただくということを期待いたして、それにいろいろの助言をいたしたりしておるところであります。また、業界の方からは、この種の犯罪のにおいがあるといいましょうか、そういった事案の連絡を受けまして、またそういったいろいろな業界の情報の連絡をいたしまして、この重大、悪質な保険金詐欺事案等の検挙、防圧に当たるための組織としてこれを活用いたしておるところであります。
  114. 早川勝

    ○早川委員 この不正請求防止対策を拝見したわけですけれども、いろいろ施策を講じている中の一つに、「交通事故証明書提出の原則的義務づけ」という項目を読ませてもらいました。同時に、「捜査上の問題点」として、保険請求には必ずしも事故証明書の添付を必要としないという制度になっていて、それがために警察サイドからすると捜査端緒の入手がおくれるという指摘があるわけです。そうしますと、保険会社に対する監督官庁、指導官庁であります大蔵省としては、こういう問題について損保会社に対してどんな形での指導をされているのか、伺いたいと思います。
  115. 山本孝之

    ○山本説明員 お答えいたします。  保険金の不正請求という問題は、保険会社の損益に影響するだけではなくて、ほかの善良な保険契約者に不当な負担を及ぼすということ、あるいは保険制度自体に対する信頼を損ねるというおそれがあるものですから、これをできるだけ排除するというスタンスに立ちまして保険会社を指導しております。  ただいまお話がございました交通事故の場合に交通事故証明書を添付するようにというお話はまさに御指摘のとおりでございまして、五十九年に自賠審でもその旨の答申が出まして、保険金の請求に当たりましては交通事故証明書の添付を励行するようにということで、各保険会社に周知するようにしております。その効果もありまして、最近では、徐々にではございますけれども事故証明書の添付率は上がっておりまして、最新のデータでは八三%が添付されておるという状況でございます。今後とも添付率を上げるように指導してまいりたいと考えております。
  116. 早川勝

    ○早川委員 この不正請求については、何か医師も一体となってというような状況だそうでございますが、これについてはまた次回に改めて質問させていただきたいと思います。  総務庁長官、しつこいようですが、災害遺児の問題については機会がありましたら閣議においても話題に出していただいて、ぜひ実現を図っていただくようお力添えをいただきたいと思います。要望をいたしまして、私の質問を終わります。
  117. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で早川勝君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  118. 近江巳記夫

    近江委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  119. 柴田弘

    柴田(弘)委員 私、交通安全の施設整備の問題についてまず御質問したいと思います。  私も二年前、当委員会に所属をいたしておりました。交通安全の重要性につきましていろいろと御質問申し上げ、あるいは御要望申し上げてきたわけでありますが、昭和六十一年の二月から三月まで、私は、第四次五カ年計画の策定に当たっては当委員会で再三指摘をしてまいりました。安全施設整備がなければ交通事故による被害はふえ続けるとも言っていたところであります。残念ながら、第四次五カ年計画の特定事業は調整費込みで千三百五十億円となっておりまして、第三次五カ年計画の千九百億円に対して七一%の規模でスタートせざるを得なかったわけでありますが、やはり交通事故死者は、シートベルトなどの多くの有効な施策を警察庁の方でいろいろ講じたにもかかわらず九千人を大きく上回っております。ことしなどはこの調子でいけば一万人を突破するのではないか、とてもとても八千人というこの事故抑止目標というものを達成できるめどは立っていない、このように思います。  そこで、まず第一にお伺いしたいのは、第四次五カ年計画の特定事業の進捗率であります。予定どおり進んでいるかどうかということであります。  それから第二点は、たとえ一〇〇%計画どおり進んだといたしましても、私は、指摘してまいりましたように計画規模にまず問題がある、このように思っております。たしか第四次五カ年計画が発足しましたときには、三年後に見直しを行いなさい、こういうように私は提言をいたしまして、当時の小沢国家公安委員長も、見直すとはっきりおっしゃいました。つまり、警察庁が当初要求をしておりました二千億を目指して見直すべきだ、このように私は申し上げたはずであります。そこで、本年がいよいよその見直しの時期に当たるわけでございますので、警察庁としては積極的な対応をしていくべきだと思いますがどうかという問題。そしてこれについて、あわせて総務庁長官の御見解もこの際お伺いをしておきたいわけであります。
  120. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  六十一年度から始まりました四次五カ年計画の中の特定事業についてでございますけれども、六十二年度までで累計四百五十億ということで、これは計画と対比いたしまして一〇七・九%という進捗率になっておるわけであります。また、本年度の当初予算においては百九十六億計上されておりまして、この三カ年分を合わせますと六百四十六億ということで、計画対比でちょうど一〇〇%という進捗率になるわけでございます。  それから、計画の見直しというお話なのでございますけれども、閣議決定に当たりまして、社会経済の動向、財政事情を勘案して三年後に計画の見直しを検討するということになってちょうど三年目になるわけでございます。交通安全施設交通事故防止に極めて有効なものであるということは間違いないわけでございまして、現在の交通情勢が大変厳しいということを関係方面に御認識をいただきまして、我々としては今後ともその予算化にできるだけ努力してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  121. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま委員指摘のように、交通事故の現況は極めて厳しい状況にありまして、私どもといたしましてはもっと積極的な対応をしなければならない、このように考えております。  第一次の特定交通安全施設整備五カ年計画の場合には一〇四・一、それから第二次の計画のときには一〇二・〇というふうに目標を確保したわけでありますが、第三次計画では八六にとどまったということでありまして、国家の財政事情が非常に厳しいということもありましたでしょうけれども、これは非常に残念な数字だというふうに思います。現在の状況で申しますと、公安委員会分については五カ年計画を完全達成するためにはなお四六%ぐらいの伸びが必要である、あるいはまた道路管理者分については二六%ぐらいの伸びが必要であるということでありまして、現計画を達成するにつきましてもなおかなりの努力をしなければならない、そういう数字だというふうに考えております。  交通事故、特に死者が非常に多いという現況にかんがみまして、ただいま三年後見直しということについてお触れになりましたが、非常事態宣言というか、そういうふうなことをせざるを得ないようなことになりますれば、調整費の問題についても何らかの対応を要求していかなければならないのではないか、このように考えておりますが、何はともあれ、当面、整備五カ年計画の完全達成ということに向かってもっと積極的な努力をしなければならぬ、このように思っております。
  122. 柴田弘

    柴田(弘)委員 いずれにいたしましても、当時の国家公安委員長である小沢自治大臣が、三年後には二千億を目指して必ず予算を達成いたします、こういうふうに二年前に御答弁になっておりますから、どうかひとつ総務庁長官も御尽力をいただきますように、そして警察庁の方も、先ほど答弁がありましたように今後積極的な予算獲得に臨んでいただきたいと要望しておきますから、よろしくお願いいたします。  続いて、私は、交通事故をなくしていく、事故死をなくしていくにはやはり道路整備というものが必要である、こう思います。そこで、きょうは建設省の方から三谷道路局長がお見えになっておりますので、何点かお聞きをしてまいりたいと思います。  第一点は、六十三年度を初年度とする第十次道路整備五カ年計画は、総投資額五十三兆円というふうに聞いておるが、これは間違いないかどうか。  第二点は、既に飽和状態に達しております東名・名神高速道路と機能分担する第二東名・名神自動車道、神戸――東京間四百五十キロでありますが、この建設問題でございます。今回新たに国の第十次五カ年計画にこれは追加されたわけでありますけれども、六十三年度からの第十次計画において基本計画の策定、つまりルート選定を含む調査を実施し、早急に建設を図るべきであると考えますが、今後の建設のスケジュールについてお尋ねをしたい、このように思います。
  123. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。第一点の道路整備五カ年計画、第十次でございますが、これは昭和六十三年度を初年度といたしまして、先般、この五カ年計画のもとになります道路整備緊急措置法の改正をお願いいたしまして、三月三十一日、公布されております。したがいまして、今後閣議決定をしていただきまして、五十三兆円、これは調整費がございますが、完全達成に向かって進めさせていただきたい、こういうふうに考えております。  それで、その一環といたしましての第二東名あるいは名神のお尋ねでございます。今先生指摘のとおり、第二東名それから名神は大変重要な道路といたしまして、平均交通量は約六万台、それから輸送量も対国内分担率で、私どもトンキロとよく言っておりますが、貨物八・五%、あるいは旅客の方でも一・六%ということで大変大きなウエートを有しております。しかし、一方、大変な使われ方をしておりますので、混雑区間が非常に大きなシェアを占めておりまして、全延長の八五%というようなことでございます。したがいまして、こういうような現在の東名・名神道路の混雑緩和を図るということで第二東名・名神という構想が出てまいったわけでございます。  この我が国の輸送の大動脈を形成いたします延長約四百五十キロの第二東名・名神高速道路は、昨年定まりました高規格幹線道路網計画におきまして、国土開発幹線自動車道として位置づけられたわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました昭和六十三年度からの第十次五カ年計画におきまして現在調査を進めておりますが、緊急に整備を要する区間から所定の手続を経て事業に着手してまいりたい、かように考えております。
  124. 柴田弘

    柴田(弘)委員 続きまして、伊勢湾岸道路についてお尋ねします。この問題も、私は本委員会においてたびたび質問をしてまいりました。国土庁の四全総でも早期建設がうたわれております。  第一点は、名港中央大橋と東大橋、つまり、名古屋環状二号線海上部約五キロ区間の整備促進について、六十三年度予算では七十億で推進をし、昭和七十年代の初めに完成するということであるがどうかということ。  二点目は、伊勢湾岸道路の西部区間、四日市までの十九キロ及び東部区間、豊田までの二十キロの早期事業化についてでありますが、六十三年度中に都市計画決定の手続を終え、六十四年度のできるだけ早い時期に工事着手すべきであると考えますが、どうか。また、この伊勢湾岸道路は一部供用を開始されております。西大橋というところでありますが、六十三年度では名古屋港部分の建設を推進する上で、名古屋市緑区と愛知県東海市区間で約三十億円で用地買収をするということであるが、事実かどうか。この二点を簡潔で結構ですからお伺いしたいと思います。
  125. 三谷浩

    ○三谷政府委員 伊勢湾岸道路でございますが、愛知県の豊田市から三重県の四日市市に至ります延長約五十キロの幹線道路でございます。このうち、名港西大橋及びその関連区間三キロについては六十年の三月に供用しております。今御指摘の名港中央大橋それから名港東大橋を含む海上部区間五キロでございますが、これについては六十二年度から事業化をいたしました。六十三年度には、これは中身が一般有料道路とそれからその前後の普通の国道として整備をしておりますが、両方で七十億、うち、昭和六十三年度の一般有料分が四十億円でございます。今鋭意事業を進めておりまして、七十年代初めの供用を目指して鋭意整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  そこで、前後の区間、つまり、五十キロのうちの今の供用あるいは工事中の区間を除きました区間でございますが、まず西部区間、これは十九キロございます。愛知県の飛島村から弥富町の五・四キロの区間がこの二月二十二日に都市計画決定がなされました。それで、この残りの区間が十四キロございます。それから東部の区間が二十二キロございますが、これについても早期に都市計画決定が得られるよう今努力をしております。  それから最後の、いわゆる一般部の直轄事業としての内容の御質問がございましたが、伊勢湾岸道路のうち、名古屋市の緑区から東海市の新宝町の間、これは五・四キロございますが、この区間については名古屋環状二号線との重複区間として事業を進めております。一般部につきましては直轄事業として事業を進めておりまして、昭和六十三年度には、事業費三十億円により用地買収の促進に努めていきたいというふうに考えております。
  126. 柴田弘

    柴田(弘)委員 どうか早期に残った分の都市計画決定をして、事業化の推進を図っていただきたいと思います。  それで、次の問題は、第二東名・名神自動車道と伊勢湾岸道路を結んで、道路網を一体のネットワークとして有機的に組み合わせて機能的に整備をしていくべきだと私は思いますが、将来、この第二東名・名神自動車道と伊勢湾岸道路を結節して、結んで、そして一体的な交通のネットワークとしてとらえていく考え方はあるのかどうか。また、この二つ道路を結ぶ位置、いわゆる結節点の決定でありますが、これは地元の愛知県等の意見もよく聞いて行っていただきたいと思いますが、この辺のお考えはいかがでしょうか。簡潔にお答えいただきたい。
  127. 三谷浩

    ○三谷政府委員 先ほど申し上げましたように、第二東名は今いろいろ検討しております。それから、伊勢湾岸道路も約五十キロの幹線道路ということでございます。第二東名・名神が国幹道の予定路線として追加されたわけでございますし、また、伊勢湾岸道路の広域幹線道路としての性格を、踏まえまして、この区間を第二東名・名神の一部として活用することにつきまして、愛知、三重両県とも調整を図りながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  128. 柴田弘

    柴田(弘)委員 そうすると、結ぶというふうに考えていいですか。
  129. 三谷浩

    ○三谷政府委員 今申し上げましたように、これは両県ともいろいろ関係がございますので、現在調整中でございます。
  130. 柴田弘

    柴田(弘)委員 調整中ということは、愛知県と三重県が反対すればこれはできないということなのかどうか。どうですか。
  131. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えします。  今は、反対をしているとかそういう具体的なことはございませんが、先般予算が通りましたので、五カ年計画の発足を待ちまして、これは両県とも大変関係がございますので、いろいろ調整をして検討を進めてまいりたい、こういうことでございます。これからのことでございます。
  132. 柴田弘

    柴田(弘)委員 だから、両県との調整がきちっと終われば有機的な一体的な道路として機能するように結節する、結びますね、そう理解していいですね。
  133. 三谷浩

    ○三谷政府委員 御趣旨はよくわかっておるつもりでございますが、相手の御意見もよく聞いていかなければなりませんので、その結果がまとまればそういうことになろうかと思いますし、まだ検討しておりますので、若干時間が要ると思います。
  134. 柴田弘

    柴田(弘)委員 わかりました。調整を早急に進めていただいて、結ぶべきだと私は思います。要望しておきます。  それから、東海環状自動車道であります。これについては私も昭和五十八年に当時の建設大臣質問をいたしたわけでありますが、六十三年度は、東海環状自動車道百六十キロについて愛知、岐阜、三重の三県に拠点を設定して八億五千万の予算で測量を始め、都市計画の手続を進めて、第十次五カ年計画の中で都市計画を決定して一日も早く工事に着手すべきであると思うが、どうでしょう。
  135. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  東海環状は、名古屋を中心にいたしまして半径三十ないし四十キロ、延長約百六十キロの環状道路になっております。この道路につきましても、昨年の高規格幹線道路網計画策定のときに、一般国道の自動車専用道路として整備をする路線ということで位置づけられました。昭和五十九年度から大規模事業計画調査を進めておりますが、昭和六十一年度からはさらに重点区間を三県で設定をいたしまして、調査の一層の推進を図っております。この重点区間につきましては調査推進いたしまして、昭和六十三年度からの第十次道路整備五カ年計画期間中に都市計画決定を行った上で事業化について検討してまいりたいというふうに考えております。その他の区間につきましても、高規格幹線道路としての調査推進していく考えでございます。
  136. 柴田弘

    柴田(弘)委員 続いて、まとめて御質問します。  一つは、東海北陸自動車道でありますが、これは、高速自動車道建設費全国分九千八百億円の予算が六十三年度計上されております。そこで、一宮市から岐阜県笠松町に至る十二・三キロの整備促進、これは地元の協力を得て早期に行っていくべきだと思いますがどうかという問題。  そして、二つ目は近畿自動車道名古屋亀山線でございますが、名古屋西ジャンクションから名古屋インターチェンジ間二十八・三キロの整備促進を第十次五カ年計画で完成すべきではないか、このように考えておりますが、いかがでしょうか。簡潔にお答えをいただきたい。
  137. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、第一点目の東海北陸道の一宮―笠松間でございます。東海北陸道は、一宮から小矢部まで延長百七十五キロございますが、そのうち、各務原インターチェンジから美濃インターチェンジ間十九キロにつきまして既に供用しております。そこで、名神高速道路の一宮ジャンクションから岐阜の各務原インターチェンジ、この間が今御指摘の十二・三キロでございますが、それにつきましては設計協議及び一部工事を行っているわけでございまして、地元の協力を得ながら、第十次道路整備五カ年計画期間内、昭和六十七年度までの供用を目途に鋭意事業を進めておるところでございます。  それから、二点目の近畿自動車道名古屋亀山線の名古屋西インターチェンジから名古屋インターチェンジ間の整備でございますが、この区間につきましては、名古屋環状二号線の専用部にのっておりまして、そういうことで整備を進めております。このうち、清洲東インターから名古屋西インターの間の九キロについては、つい先日の三月二十三日に供用いたしました。引き続きます名古屋インターチェンジから清洲東インターチェンジの間、これは十九キロございますが、この区間につきましても、まず清洲東インターチェンジから勝川のインターチェンジ間九キロを六十五年度に、それから勝川のインターチェンジから名古屋のインターチェンジ十キロの間を第十次道路整備五カ年計画期間内、つまり六十七年度までに供用を図るべく鋭意事業を進めてまいっているところでございます。
  138. 柴田弘

    柴田(弘)委員 続いて申しわけございませんが、名古屋環状二号線についてずっと言っていきます。この建設費は、六十三年度は五百十億円が高速道路分、一般道路分を含めて予算化されております。もちろん、国土庁の四全総でもその整備促進をうたわれているわけであります。  それで、一つは、一般国道二十三号飛島村地内から一般国道百五十三号の間四十・二キロの一層の整備促進二つ目は、一般国道百五十三号から一般国道二十三号名古屋市緑区地内の間十一・四キロの用地取得の促進、三つ目は、伊勢湾岸道路との重複区間である一般国道二十三号名古屋市緑区地内から一般国道二百四十七号間四・三キロの用地の早期取得と一般部の早期整備、今御答弁をいただいた部分もありますが、改めてこの三点について御答弁をいただきたいと思います。
  139. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず最初の、一般国道二十三号から一般国道百五十三号の間の整備のことでございますが、名古屋環状二号線は、名古屋市に集中します放射幹線道路を相互に連絡するということで、延長六十六キロの環状道路の構想でございます。一般部につきましては、六十二年度末までに伊勢湾津道路から国道一号線の間八・四キロメートル、それから国道二十二号線から国道十九号線の間八・九キロメートル等約二十五キロを供用しております。  それから、二十三号線から百五十三号線の間につきましては、第十次道路整備五カ年計画期間内に国道一号線、これは名古屋市の中川区でございますが、そこから名古屋西インターチェンジ間二・二キロ、それから上社から国道百五十三号間三・九キロなどの供用を図るべく鋭意事業を進めることとしております。  さらに、国道百五十三号線から国道二十三号線及び伊勢湾岸道路との重複区間であります国道二十三号線から国道二百四十七号線の間については、今後とも用地買収を促進して早期整備に努めてまいりたいと考えております。
  140. 柴田弘

    柴田(弘)委員 建設省に対する質問はあと一問で終わります。  一般国道四十一号線、これは名古屋空港へ至るアクセスでございますが、名濃バイパスとも言われております。これは直轄国道事業費として、建設省全国分として一兆一千十五億五千三百万円を予算化しております。この何%かがこれに割り当てられると思いますが、一つは一般国道三百二号、これは名古屋環状二号線がありますね、ここから名神高速道路小牧インターチェンジまでの拡幅事業の促進、用地買収はどうなっておるのか、あるいはまた十次五カ年計画で完成させることができるのかどうかという問題をお聞きしたい。  いま一つは、専用高架道路建設のための調査実施でございますが、この十次五カ年計画で調査していくことができるのかどうか、この辺をお伺いしたい。  最後には、名古屋高速道路について事業費が二百二十億円確保されております。簡潔で結構でございますが、具体的に高速二号線あるいは分岐三号線をやるのかどうか、その辺をあわせて御説明いただきたいと思います。
  141. 三谷浩

    ○三谷政府委員 まず、国道四十一号線でございますが、国道三百二号から小牧の北尾張中央道に至ります八・七キロの区間、これは名古屋市側から拡幅事業を行っております。現在までに国道三百二号線から県道の春日井稲沢線、これは名古屋空港へ接続する道路でございますが、この間一・七キロを八車線ということで整備を済ませました。引き続きまして、第十次道路整備五カ年計画期間内に東名高速道路付近の北尾張中央道、これは国道百五十五号のバイパスでございまして、この区間は七キロございますが、この整備を図りたいというふうに考えております。  それから、そこの道路に専用的な高架道路建設のための調査をいかがか、こういう御質問でございますが、十次の五カ年計画におきましても、大都市圏におきます高速交通の都市中心部への連続性の確保あるいは都市圏の一体化を図る観点からの大都市圏におきます自動車専用道路網の構想というものを取りまとめております。名古屋都市圏におきましても、名古屋市から小牧市を経て美濃加茂市方面への自動車専用道路である名濃道路、こういうような路線の構想も位置づけられております。したがいまして、この道路につきましては、一般国道四十一号線の整備の進捗あるいは交通需要の動向を勘案しながら路線、構造等の調査推進する必要があるというふうに考えておりますので、中部地方建設局やそれから関係各機関とも調整をいたしまして、調査に着手すべく検討をしてまいりたいというふうに考えております。  さらに、名古屋高速道路でございます。名古屋高速道路は、昭和六十三年度に事業費二百二十億円をもって継続五路線の事業を推進しております。特に、高速名古屋新宝線山王―新洲崎間あるいは高速分岐三号線東別院―山王間おのおの一キロ、一・二キロでございますが、これらを完成させまして、この四月二十六日に供用をしたいというふうに考えております。さらに、高速二号の楠―萩野通二・二キロの年度内の完成を図りたいというふうに考えております。
  142. 柴田弘

    柴田(弘)委員 警察庁あるいは総務庁長官でも結構ですが、御答弁をいただきたいと思います。  先ほども申しましたように、交通事故による死者は一向に減っておりません。一九八〇年を基準にして現在を見ますと、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、こうした先進国では減少しているわけですが、我が国だけがふえているわけであります。今年に入ってからは一段とふえておるわけでございますね。三月末現在で犠牲者は二千二百八十一人で、昨年に比べて二二%ふえておる。しかも、三十の都道府県では前年以上であります。このペースで進めば年間一万人の大台を超えてしまう。とても九千人では済まない。八千人という抑止目標なんか達成できるはずがない。折しも今、春の交通安全運動が行われているわけでございますが、この対策がマンネリズムになっていないかどうかということをこの機会に当局としては真剣に検討をしていただかなければならない、私はこのように思っております。そして、最近の死亡事故を見てまいりますと、目立つのは若い人のバイク事故、それから高齢者の方たちの歩行中の事故です。やはりここに焦点を当てた新たな交通安全対策というものが行われなければならないと私は思います。  今、第一番目に予算質問をいたしましたが、交通安全対策予算は十年前に比べて、建設省の分も含めると約二倍になっております。ところが、事故死者の方は横ばいか増勢傾向にある。一体どうしたのだろう、こういうふうに思います。だから、安全対策効果というものを今ここで科学的に検証し、改廃をするなど、いろいろな手を、打って交通事故死撲滅に邁進をしていかなければならないと思いますが、六十三年度あるいはそれ以降何かお考えになっているのかどうか。警察庁でも結構ですし、総務庁長官でも結構です。御答弁をいただきたいと思います。
  143. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  最近、この六年間連続して九千人を超えている。ことしは、昨日現在ですが、二百五十人プラスになっているという大変厳しい現状にあるわけでございます。その原因については、ことしの冬が大変暖かくて雪が少なかったとか、あるいは最近新車が大変売れたりいたしておりますけれども、そういうことで交通量が大変ふえているというような問題だとか、いろいろ要素はあると思うのでございますが、大変厳しい問題であると我々は受けとめておるわけです。  今先生言われましたように、これを分析いたしまして、これから重点的に力を入れていかなければいけないのが高齢者の対策と二輪車の対策だろう、こういうことでございまして、既に昨年の十一月十六日に、二輪車及び歩行者を重点といたしました事故防止対策推進ということを通達しておりますし、また本年の一月十六日には、二輪車事故防止に関する緊急対策を各都道府県警察に通達いたしたところでございます。現在の増加情勢を抑えていくためにはこの二つに最大の力を割いていかなければならないということでこれを最重点に置いて、さらにシートベルトの着用の定着化といった諸対策を強力に推進してまいりたい、そして何とかこの増加傾向に歯どめをかけたいということで今後とも努力してまいりたいと思います。
  144. 柴田弘

    柴田(弘)委員 先ほど申しましたように、第四次五カ年計画というのは、交通安全対策とともに交通の円滑化も目標にしていたと私は思います。そこで、高速道路における渋滞を何とかしなければならぬ、あるいはまた一般道路の込みぐあいがどうか。現在の状態を見てみますと、要するに、高速道路と一般道路との交通管制システムというのは違うわけでありますね。だから、これを相互に渋滞の情報を交換し合って車をスムーズに流すシステムの開発に乗り出すべきじゃないか、このように思います。とにかく高速道路は高速道路のいわゆる主体者がそれをやっていますし、それから一般道路は警察ということで違っておりますので、双方をひとつ結んで、交通管制システムの一元化といいますか総合化といいますか、それを目指すべきである、こういうように考えておりますが、そういったお考えはございますでしょうか。
  145. 内田文夫

    内田(文)政府委員 今先生おっしゃいましたとおり、現在、一般道路の情報につきましては、それぞれの都道府県警察の交通管制センターで管理をしていると申しますか、そこで集めているわけでございます。また高速道路上の情報につきましては、道路公団とか首都高速道路公団とか、そういったところの管制室において収集しておるということでございまして、それぞれが収集した情報をドライ八丁に提供するという処置をとっているところでございますが、最近の交通渋滞が一層激化してきている中におきまして、やはり相互に情報を交換して、下にいても高速道路の情報がわかる、上にいても下の道路の情報がわかる、そういった情報を的確にドライバーに提供するということが緊急な課題だろう、こういう認識に立って、現在、そういう方向でこのシステムを接続すべく話を進めているところでございます。
  146. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間があと五分を過ぎました。最後に一問聞いて終わります。  建設省にお聞きしたいと思いますが、高速自動車道のインターチェンジ新設の問題です。各県それぞれ地元において、輸送交通やリゾート開発の拠点として地域振興の起爆剤にしたいと沿道の自治体が名のりを上げておるということですね。日本道路公団の調査によりましても、現在までに申請件数は百六件ある。建設省としてはこうした需要に対応するために、今年度から、地元が約半分を負担する、四七・五%だということでありますが、残りは二十年間に無利子で返還すればよい開発インターチェンジ制度というものを創設して建設を促進するということが言われておりますが、これは事実かどうか、簡潔に御説明をいただきたいと思います。それによって私の質問を終わりますから、よろしくお願いいたします。
  147. 三谷浩

    ○三谷政府委員 お答えいたします。  追加インターチェンジの要望は全国から百カ所以上ございまして、これらの要望にこたえていくのはなかなか難しうございます。そこで、追加インターの整備を促進する方法といたしまして、昨年、NTT株の売却益を活用した開発インター方式というものを創設いたしまして、この開発インターチェンジ方式も積極的に活用して、インターチェンジ設置の要望にこたえていくということを検討しているところでございます。
  148. 柴田弘

    柴田(弘)委員 時間はあと三分ほどありますが、これで終わります。どうもありがとうございました。
  149. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、新井彬之君。
  150. 新井彬之

    新井(彬)委員 総務庁長官総務庁の方々、警察庁の方々、各省の方々、本当に御苦労さまでございます。  この交通問題というのはもう本当に全国民にわたる問題でございまして、役所でいえばほとんどの省庁が絡む、こういうことで、どこかが特別なことをやったから事故が減るというようなことではなかろうと思います。そういうわけで総務庁としては、各省庁取りまとめましてそういう原因なりを分析して、みんなで協力をして交通事故を減らしていかなければいけない、こういう立場で頑張っておられると思うのでございますが、先ほども話がありましたように、昭和五十七年以降連続して九千人を突破して、ことしの一月から三月までは対前年比で一三%も増加をしている。この調子でまいりますと、総務庁交通安全対策室の推計によると一万人を突破して一万五百六十二人になるのではないか、このように報じられておるわけでございます。総務庁長官所信表明の中で、交通事故脅威から国民を守ることが重要な政治課題である、こういうふうに述べておられるわけでございますが、この交通事故増勢傾向に歯どめをかける施策、また大臣の決意をお聞かせ願いたいと思います。
  151. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいま新井委員から御指摘がございましたように、今年の交通事故の発生状況は極めて深刻なものがあります。このような状態になりましたことの一つ原因は、やはり昨年と今年と続きます冬期間の多雪地域におきましての交通事情というものが、雪が比較的少なかったためにそういう地域で事故増加をしたということが一月ないし三月の傾向であったと思われます。さらに、いわゆる景気動向のためだと思いますけれども、その後非常に新車の売れ行きが多い、登録台数が非常にふえておるということでありまして、車全体がふえてまいりますれば、それだけ交通事故の発生率も高まっていく可能性があるわけであります。さらにまた、高齢化社会を迎えましてお年寄りの方が事故に遭われる、あるいは事故を起こすという率も非常にふえておるところであります。昭和四十五年に一万六千七百六十五人の死者があったのをピークにいたしまして、その後オイルショックなどによりましてできるだけ車を使うことを自粛するとか、あるいは燃費を節約するような走り方をするとか、いろいろなことによりまして昭和五十四年まで逐次減少したところでありますが、昭和五十四年の八千四百六十六人をボトムにいたしまして再度上昇傾向に転じてきておるというのが今日の状況であります。  私どもといたしましては、何としても昭和六十五年死者八千人以下ということを目標にいたしまして、現在進めております交通安全のいろいろな計画を着実に推進をして国民の皆様方を交通事故から守りたい、こういう気持ちで一生懸命取り組んでおるところであります。ちなみに、きのう現在のところでは三月までよりは若干伸び率が下がりまして、死者数で二千五百九十三人、昨年に比べまして二百五十人、一〇・七%の増ということであります。いずれにいたしましても、このままでまいりますれば一万人を突破するということは避けられないという状況でありますので、私どもといたしましては、交通安全施設整備と質的な向上、さらにまた、交通安全教育の充実等各般の施策を積極的に推進をしてまいりたいと思いますし、さらに緊急的な対策が必要かどうかということも今後検討してまいりたい、このように思っております。
  152. 新井彬之

    新井(彬)委員 事故を防止することと、それからもう一つ事故に遭った場合に救済をどのようにするかということがあるわけでございますが、不幸にして交通事故の被害者となった場合は、被害者に対する援護として、総務庁所管の交通事故紛争処理センターがあるわけでございます。これはもう大変役に立っておりまして、被害者、加害者ともに非常に公平な立場でやっていただいている。しかし、事故を起こして予約して一カ月以上待たされる。事故も大変多いわけでございますのでそんなに急にはできないというようなことがあろうかと思いますが、また被害者、加害者との裁定書作成には相当な期間がかかる。これは両者の言い分がありますから、受け付けてもらってそれをやっているという段階ではいいとは思いますが、とにかく予約して一カ月以上かかる、これではちょっと待っておられないということで、こういう中でいろいろまたごたごたしたような問題が起こると聞いております。この交通事故紛争処理センターの現状は今どのようになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  153. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  現在、交通事故紛争処理センターが交通事故の相談業務を行っておるわけでありますが、これは最近増加しておりまして、昭和五十七年に八千五百五十二件であったものが昭和六十一年には一万一千六百五十三件というようなことで、大変にふえております。しかも、この中身を見ますと、相談内容が非常に深まっておると申しますか、五十七年には示談成立件数が九百十七件であったものが六十一年には千六百七十一ということで、大変相談のしがいのある内容となっておるわけであります。一方、この体制を強化することが大変難しい、嘱託弁護士等の増員も非常に難しいというようなことから、御指摘のように、中には相談を持ちかけてから一カ月もお待ちいただくというふうなこともあるように聞いております。迅速な被害者援護の見地からはいろいろと問題もありますので、現在、地方公共団体が設置しております交通事故相談所等との連携といいますか、機能的な分担というようなことも考えながら、できるだけ早い相談ができるように検討してまいりたいというふうに考えております。
  154. 新井彬之

    新井(彬)委員 交通事故によります社会的、経済的な損失は、日本交通政策研究会の試算によりますと、昭和五十七年の時点で年間三・三兆円、現在では年間四兆円に達すると見込まれているということが言われているわけでございますが、とにかく事故が起こりまして実際問題どのようにしたらいいのか、加害者も被害者もわからない方というのはたくさんいらっしゃるわけでございますね。保険会社も参ります。いろいろなところで相談をします。しかし、両者とも何か知恵があるようなないような人が後ろにつきまして、もっと補償は取れる、いや、補償は取れないというようなことから始まって話し合いというものがなかなかつきにくい。しかし、ここへ参りますと非常に公平でございまして、判例から何から全部教えていただけますし、これは無理である、これはもう裁判しなさい、こういうことでございますので、弁護士さんとの関係とかいろいろ大変なことがあろうかと思いますが、そういう連携を密にしまして、とにかくこういうところへ行けばいいんだというようなことをもう少しPRしていただくと非常にありがたいなということが現実にはあるわけでございます。そういうことで、その辺をひとつお願いしておきたいと思います。  次に、高速道路におきます救急業務の推進についてお伺いをしたいと思います。  昨年の道路交通事故による死者数は九千三百四十七人でございますが、これを厚生省統計で見ますと、三〇%以上多い一万三千人近い方が亡くなっていらっしゃる。しかし、救急医療体制の整備を図ることによりまして死亡者数を大きく減らすことができるだろうという調査結果も出ておるわけでございます。  交通事故による被害を最小限に食いとめるためには、事故現場に居合わせた人々が迅速な応急手当を施すことも必要でありますが、いっときも早く救急病院へ収容することが必要であります。しかし、渋滞した道路において、特に高速道路内においては現場に到着するまでに相当な時間を要するわけでございますし、助かる命も失われる結果となったり、重篤な状態に陥ったりするケースが多く見受けられるわけでございます。  日本交通科学協議会が研究を行った「救急医療システムにヘリコプターを導入する実用研究」という小冊子を私はきょう持ってきておるわけでございます。これは、岡山県にある川崎医大の救命救急センターに救護用専用ヘリコプターを一カ月間常駐させて、交通事故、急病、その他重症救急患者について、ヘリコプターで医療を施しながら搬送するという実用研究でございます。この研究結果を見てもわかりますように多くの人命が救われているわけでございますが、救急医療にヘリコプターを導入することについて、見解をお伺いしたいと思います。
  155. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  交通事故から人命を守るために、あるいはその被害を軽減するために早期救急が大切であることは御指摘のとおりでございまして、このため、現在、救急業務につきまして、当庁、消防庁、厚生省など七省庁で交通事故に係る救急救護等関係省庁連絡会議設置いたして、各省庁間の連絡を密にしておるところであります。  御指摘のヘリコプター救急につきましては、昨年、交通科学協議会が岡山で行ったところでありまして、これにつきましては、当庁初め四省庁で後援する形で支援をしたわけであります。総務庁といたしましては、関係省庁等の検討状況を踏まえまして、ヘリコプターによる救急業務が交通事故に係る総合的な救急救護対策の一環として実施されますように連絡調整を図ってまいりたいと考えております。また、救急体制を充実強化いたしますことは、交通事故に限らず一般傷病に対する救命効率の向上にもつながるものでありまして、今後とも、総務庁として必要な措置について検討してまいりたいと考えております。
  156. 新井彬之

    新井(彬)委員 これは西ドイツやほかの国でもそうでございますが、西ドイツでは、「半径三十五キロメートルの救急基地を全国に三十五基地設定し、事故や急病人がどこで発生しても「十二分後」に現場に到着できる。基地は病院内に作られ、パイロット・救急隊員・医師が三人一組となって常時待機。費用は保険によってカバーされ、市民は搬送費用をいっさい払わなくてよい。」スイスでは、「国土のほとんどが十三か所のヘリコプター基地でカバーされ、山岳救助を含めた救急活動を展開。」フランスでは、「全土にバランスよく配置されている軍警察のヘリコプターを救急医療に利用。とくにグルノーブル、リヨン等で積極的。」アメリカでは、「州・市・病院単位で運営するヘリコプター基地が全土に約五十。とくに東部の救急網は充実している。全国組織はまだない。」ということになっている。そして、ヘリコプターによる救急というのは死亡率の低下のほかにも多くの効果を生むことが一九八五年に西ドイツで発表されております。「①死亡率の低下 交通事故死亡の八〇%は二十分以内に起こるが、初期治療を十分以内に行なうと死亡率は五〇%に低下、②治療期間の短縮 ICU(集中治療室)の患者の半数が治療期間を平均七日間短縮、③完全治ゆ率を二二%から七二%に改善、④開放性骨折から発生する細菌感染は、救急車で一二・五%だが、これを三・五%に減少。これらの医学的効果は、社会・経済的にみれば、逸失利益の大幅な低減につながる。」このように出ているわけでございます。  今回、総務庁を初め国土庁、厚生省、自治省、消防庁が後援をいたしまして、また警察庁、防衛庁、運輸省協力しているこの実用研究につきまして報告書が出ておるわけでございますが、「今後の問題点」として「わが国の救急医療体制は県もしくは市町村単位に行われており、県境を越えた広域の救急医療体制は不十分である。しかし今回のようなヘリコプターを用いた救急医療体制を考える場合には、県境を越えた広域の救急医療体制が必要であり、このためには、国が中心となって広域の救急医療システムの確立に努力していかなければならない。また高度の医療能力を有する病院は、県内外を問わず、ヘリコプターによる患者の受け入れができるような体制を作らなければならない。」こういう問題点が出ております。このことについてはどのようにお考えになっておるか、これをひとつお答えください。
  157. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  西ドイツでは全国三十五基地が整備されまして、これが西ドイツ全体をカバーしておるというようなことでございまして、かなり広域的な体制がとられているわけでありますが、日本につきましては、先ほど御指摘のあったような問題を含んでおるわけであります。ヘリコプター救急をやります場合には広域的な体制が何よりも前提になるわけでありまして、そこらあたりの問題を含めまして、関係省庁と協議をしながら問題解決に向かって努力をしたいというふうに考えております。
  158. 新井彬之

    新井(彬)委員 そのほかの問題点としては、使用ヘリコプターに関しましても、消防、警察、海上保安庁、自衛隊などのヘリコプターでも十分に活用ができる、そういうものを今後どうしたらいいかということとか、ヘリポートに関しましても、やはりなかなかおりるところがないわけでございますので、そういうところの整備というものも考えなければいけない。あるいはヘリコプターの離発着に関しましても、緊急時には航空法上の許可がなくても離発着ができるようになっているわけでございますけれども、それも何か実際問題としてやるときには事前申請とかそういうものもきちっとやらなければいけないのですが、そういうような手続を簡単にしなければいけないとか、現実的にもう大分研究が進んでいられるわけでございます。現在、日本でも二十機ぐらいはそういう状況でいろいろなところで活躍をされておるようでございますが、何とかこういうヘリコプターによる救急体制をとっていただいて、少しでも死者が少なくなるように、そしてまた後遺症も非常に違うようでございますので、積極的に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。一応厚生省の方には通告してありますので、高度の医療機能を有する病院は、ヘリコプターによる患者受け入れができるようにヘリポート等の体制をつくることということに対して厚生省はどのように考えておるか、お伺いいたします。
  159. 松村明仁

    ○松村説明員 救命救急センターを設置しております病院で、その敷地内にヘリコプターの離着陸が可能な広場とか屋上などを有している施設も現在幾つかございます。これらは、今御指摘のように必ずしもヘリポートとしての許可は受けておりませんが、緊急的な必要から実際にはヘリコプターによる患者受け入れを行っている場合もございます。このように、ヘリコプターを利用いたしました救急医療活動につきましては、状況によって大変有効な場合がございます。私どもといたしましても、ヘリコプターによります救急患者の受け入れ態勢の整備につきましては、今後とも検討してまいりたいと考えております。
  160. 新井彬之

    新井(彬)委員 消防、警察、海上保安庁、自衛隊などのヘリコプターを積極的に使用できるようなシステムをつくっていただきたい、これについては自治省はいかがでございますか。
  161. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 ヘリコプターによります救急患者の搬送でございますけれども、離島を有する都道府県等におきましては自衛隊のヘリコプターを利用するシステムを現在持っておりますし、また消防のヘリコプターも、広域的な応援で有効に活用されているところでございます。消防庁といたしましては、ヘリコプターが離島や僻地からの愚者の輸送、あるいは交通渋滞等によりまして長時間を要する患者の搬送に極めて有効であるということでございますので、今後、積極的に救急業務にヘリコプターの利用を考えていくということにしております。このため、本年二月、消防審議会に消防におけるヘリコプターの活用とその整備のあり方についてということを諮問いたしまして、救急患者搬送網のヘリコプター利用を含めまして審議をお願いしているところでございます。今後、この審議会の答申を踏まえまして、救急患者のヘリコプターの利用システムを確立していきたい、そういうふうに考えております。
  162. 新井彬之

    新井(彬)委員 航空法による事前許可をとらなくても、救急医療用ヘリコプターであるならばどこでも離発着できるようにするために積極的に取り組んでいただきたい。運輸省、いかがでございますか。
  163. 中村資朗

    ○中村(資)政府委員 お答えします。  警察とか消防機関等のヘリコプターでございますけれども、これが捜索とか救助活動のために飛行場以外の場所へ離着陸をすることにつきましては、御承知のとおり、航空法第八十一条の二の規定によりまして、運輸大臣の許可を要しないということになっておるわけでございます。一方、民間のヘリコプターでございますけれども、これに関しましては、一般的には緊急輸送を迅速に行うということのために、あらかじめ離着陸の可能な場所を事前に選定調査をいたしまして、安全に運航できることを確認した上で、一定の期限を付しまして包括的に許可をしておくというのが通例になっております。また、今おっしゃいましたように、このような事前の包括許可を得ていないような予定をしていない場所に緊急に使用する必要が生じた場合には、やはり運航の安全を確保するということが大変大事なことでございますので、この確認を行った上で許可を行うということが必要になってまいりますけれども、これらのケースにつきましては、従来から手続の簡素化あるいは迅速化を図ってきておるところでございます。
  164. 新井彬之

    新井(彬)委員 次に、交通安全対策基本法に基づく計画実施に伴う財政措置についてお伺いいたします。  交通安全思想の普及に伴う財政措置についてであります。道路歩道信号機等交通安全施設は長年にわたりまして整備され、交通事故の減少や死傷者の減少にその効果は大なるものがあったと思いますが、ここに来て交通事故上昇傾向に転じてきております。このことは、もはや施設整備によって交通事故に歯どめをかけるというだけではなかなか困難な状況になってきているのではないか。そこで、交通安全思想の普及や交通安全教育の充実が非常に重要な役割を持つ時代になってきております。しかし、この交通安全思想の普及等に要する経費は、国の予算において約一億八千万円が計上されているだけで、ほとんどは地方の負担によっているのが現状でございます。この際、交通安全対策特別交付金の配分に当たっては、その重要性を認識して財政措置を講ずべきであると考えるが、自治省はいかがでございますか。
  165. 遠藤安彦

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  交通安全対策特別交付金でございますが、これは先生御存じのとおり、地方団体が単独で行います道路交通安全施設設置及び管理に要する費用に充てるということのために配分をされておるものであります。ただ、現実の姿を見てまいりますと、私どもが集めております六十一年度の地方団体の決算におきましては、交通安全対策特別交付金の対象になります事業費全体のうちにこの交付金が占める比率というのが三割程度、例年大体三割のところを前後しておるわけでございまして、現在の時点では、いわゆるハードな対象事業の整備を促進するための財源として非常に貴重なわけでありますが、決して十分であるというような状況にはないわけでございます。この交付金の使途をソフト事業にまで広げたらどうかという御提案でございますけれども、今のような状況でございますので、なかなかそういうところまで拡大し得る状況にはないということを御理解いただきたいと思います。  ただ、御指摘交通安全思想の普及、それから交通安全教育などの事業に要する経費は、これは非常に必要な事業でございますので、現在は地方交付税の算定、具体的に申し上げますと、例えば県で申し上げますと交通安全運動推進費だとか、あるいは市町村では交通安全対策費といったような費目を地方交付税の単位費用の算定の基礎に入れまして積算をして所要の財源措置を講じているということでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
  166. 新井彬之

    新井(彬)委員 施設整備は当然やっていただかなければならない問題でございますけれども交通事故なんかに遭ういろいろな事例を見ますと、ちょっとわき見運転をしたとか一たん停車のところをちょっと間違って行ってしまったとか、そういうちょっとしたことが大きな事故につながっている。こういうわけですから、とにかく外へ出たときには緊張してきちっとしておかないと事故が起こる可能性があるわけでございまして、とにかくみんながきょうは事故を起こさないよということを決意してきちっとしていれば大分事故は減る要素があろうかと思います。春の交通安全週間等を見ましても、大体こういうことをやっているんだ、言ってみれば、決意をするというよりも何かお祭り的なことになって流されておるようなところがあるわけでございますので、先ほど申しましたように、全部が加害者であり全部が被害者であるという立場に立つわけでございまして、どのように徹底したらいいのかということでございますので、その広報活動につきましてもいろいろと考えていただかなければならないと思うわけでございます。  とにかく市町村からはいろいろの要望が出ております。「「交通安全対策基本法」に基づく交通安全施策の実施を図るための財政負担は増加の一途をたどっておりますので、当該計画の実施にあたっては次の事項に十分御配慮を賜りたい。」「1 交通安全思想の普及及び交通安全教育に要する経費の財政的措置を講じられたい。」「2 総務庁が推奨されている幼児交通安全クラブの育成及び老人交通安全クラブの活動にかかる経費の助成措置を講じられたい。」こういう要望はどこの市町村からもかなり出ていると思います。したがいまして、内容もよく検討して、どれが一番効果的かということをやってもらわなければいけないと思います。ただチラシをもらってもちょっと見てさっと捨ててしまうというようなことでは費用の割に効果が少ないということになろうかと思いますが、その点、実際をよく見ていただきたい、このように御要望申し上げておきます。  次に、自転車駐車場設置に対する助成率の引き上げについてでございます。  全国の駅周辺における放置自転車数は、昭和五十六年の約百万台をピークとして減少傾向にありますが、六十年調査時になお約八十三万台の放置自転車があるわけです。放置自転車及びミニバイクの整理、撤去を図ることと自転車駐車場整備は重要な課題となっておりますが、自転車駐車場設置には、用地の高騰もあり、地方自治体の財政負担は過大なものとなってきておるわけでございます。国の助成措置をさらに強化して地方負担を軽減していただきたい、こういうことでこれもよく要望がございますが、建設省としてはどのようにお考えでございますか。
  167. 青木保之

    青木(保)政府委員 建設省におきましては、放置自転車対策の一環といたしまして、昭和五十三年度から街路事業の一環といたしまして助成制度を設けまして、自転車駐車場整備推進してきているところでございますけれども先生おっしゃいますように、近年におきます地価の高騰によりまして、特に駅の周辺におきます自転車駐車場用地の確保に係る事業費が増大しておるわけでございます。したがいまして、国の助成措置の強化という御要望が出てまいるわけでございますけれども、国の補助率等につきましては、いろいろな補助の体系の中で制度化されておるものでございますので、現段階で自転車駐車場のみに着目して補助の強化を行うということは残念ながら困難であるというふうに考えるわけでございます。  しかし、自転車駐車場整備は進めていかなければなりませんので、用地高騰対策といたしましては、駅前広場でございますとか鉄道の高架下でございますとか、立体化を図る、用地費の節減を図るなどいろいろな工夫を図った上で整備を促進してまいりたいというふうに考えております。
  168. 新井彬之

    新井(彬)委員 これも大体日本全国同じような要望が出ておると思いますが、一つは、「自転車駐車場設置に要する経費は、用地買収費まで含むと膨大な額となり、市町の財政を著しく圧迫することになるので、助成制度の見直しと助成率の引上げを図られたい。」二つ目、「放置自転車の整理、撤去等については、一応の手順は示されているが、現実に即さないので、特に、道路交通法道路法について適用根拠を具体的に示していただきたい。また、所有者不明の自転車については、容易に処分できるよう改善されたい。」三番、「鉄道事業者等、大量輸送交通機関は、自社の駅に集中する自転車等の駐車場を自己負担により確保するよう要請されたい。」こういうような要望でございます。  それから、私もこれを見てそうかなと思ったのですが、これは新聞の投書でございますけれども、   最近、新聞紙上で、問題になっている自転車など路上における放置物に対して法的規制を求める記事を読みました。物余りの一現象かとも思われますが、駅前でも自転車等の放置物が目に余る状態になっています。   今では廃品回収業者も引き取ってくれません。スーパーの自転車売り場でも古い自転車を下取りしてくれません。そのため、駅や空き地に乗り捨てているのでしょうか。私の近所でも私道や敷地内に放置され困っています。警察にお願いしても管轄外らしく解決できません。また、区役所にお願いしても同様です。   警察の方に一方的にこちらで処分してしまうと言ったら、「それはいけません」とのこと。私たち地域の人間としては困ってしまいます。   こういう地域の迷惑を解決してくれるのが行政の仕事ではないかと思います。一日も早く解決方法をお願いしたいと思っているのは私一人ではないでしょう。 こういうような現状だそうでございまして、放置自転車の撤去あるいは自転車駐車場設置することは非常に大事でございます。現状の中で、いろいろ現実的に法的な問題で困っている方もいらっしゃるということで、今後こういうこともよく検討していただきたい、このように思うわけでございます。  次に、二輪車の事故防止対策についてお伺いしますが、とにかく二輪車の事故が非常にふえておりますし、特に十六歳から十九歳までの若者の死者数は七百二十七人、全年齢層のほぼ半数を占めているわけでございます。こういう中で青少年に対する事故防止対策として、高等学校における三ない運動が昨年の全国高等学校PTA連合会で再確認されたわけでございますけれども、これについて警察庁、文部省はどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。
  169. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  昨年の八月に、全国高等学校PTA連合会で三ない運動が再確認されたということは承知しているところであります。しかし、交通安全というのは、単に車から遠ざけるといいましょうか、運転させないということで解決する問題ではなくて、交通社会人を育成するために、車社会の一員となるこれらの高校生等に対しまして交通安全教育を積極的に進めていくということが望ましいものと考えているところであります。
  170. 込山進

    ○込山説明員 お答えいたします。  二輪車の運転に関するいわゆる三ない運動という規制措置は、いわゆるPTAの連合会が決議したものでございますが、それを受けまして各高等学校あるいは教育委員会におきまして、生徒の悲惨な交通事故を未然に防ぐために運転免許の取得あるいは二輪車の運転等を制限するものでありまして、これは地域におきます現実的な対応の一つとして実施されているものと理解しております。  なお、このような規制的な指導を行っているかどうかにかかわらず、高等学校においては、生徒みずからが交通社会の一員としての責任を自覚してよき社会人として必要な資質を身につけることを目指し、交通安全教育の一層の充実に努めるようこれからも指導してまいりたいと思っております。
  171. 新井彬之

    新井(彬)委員 時間も参りましたのでこれで終わりにしますけれども、この前も、春の交通安全週間で都内の小学校に委員会として視察をさせていただいたわけでございますが、小学校の子供さん方の本もできておりますし、低学年、中学年、高学年ということで、交通安全運動を一生懸命学校で教えておりました。中学校も多分そうだと思いますけれども、高等学校に参りますと、やはり次に大学の進学というようなことがございまして、どうも切れているんじゃないかと思われる節がございます。もちろん高校生は、酔っぱらい運転はだめです、無免許もだめです、スピード違反いけません、こういうしちゃいけないということはみんな知っているわけでございますが、とにかく自動車の免許を取っている高校生の方々がわりかた多いわけでございます。乗る乗らないは別にしまして、とにかく免許を取っておられる方がたくさんいらっしゃるわけでございますので、やはり交通というのはそれこそ三つ、四つの子供さんからお年寄りに至るまで、社会で活動するためにはどうしても信号も守らなければいけませんし、交通法規はよく心得ておかなければいけない。あるいは社会人になりますと免許を取って自動車に乗られるわけでございますので、学校での交通安全教育が途中で欠落するというのは余りよくないなという感じがするわけでございます。したがいまして、三ない運動の免許を取らない、乗らない、買わない、これが確かに一番無難だと思います。当てられるだけでございますので、学校としては絶対問題もないし何でもないと思いますが、やはりこういうこともいろいろなやり方がありますので考えていかなければいけないなと思うわけでございます。  あと、参考的なことをきょう申し上げようと思いましたけれども、時間が参りましたので、今後、この二輪車の事故防止についてまたいろいろとお聞かせ願いたいと思います。  以上で質問を終わります。
  172. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で新井彬之君の質疑は終わりました。  次に、辻第一君。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 きょうは、伊藤議員の御協力をいただいて先にやらせていただくことになりました。お礼を申し上げる次第であります。  交通事故増加傾向にあるというのが現状でございます。警察庁がまとめられている交通事故発生状況によりましても、二月末現在で前年同月比二千九百六十九件発生件数が増加し、死者も百六十三人、一二・五%増となっております。そこで、三月はどうなのか、四月十日ごろまでどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。このまま推移をすれば、死者を八千人以下に抑えるという交通安全基本計画目標の達成どころか、昨年の死者数九千三百四十七人さえ超える事態になるのではないか、このような心配をするわけでございます。最近の交通事故の傾向といいましょうか、どういうところに事故がふえているのか、そういうことも含めてお答えをいただきたいと思います。
  174. 内田文夫

    内田(文)政府委員 お答えいたします。  最近の交通事故、三月末の数字ということでございまして、三月末では、発生件数、負傷者数はほとんど前年度横ばいということでございますが、死者数が二千二百八十一人ということで、昨年と比べて二百四十一人の増、率で一一・八%ということになります。昨日現在までですと、死者が二千五百九十三人ということでプラス二百五十人、一〇・七%の増という数字になっておるところでございまして、死者だけが異常にふえているというのが一つの大きな特徴でございます。  状態別とかそういうことでございましたが、自動車に乗っている者とか二輪車乗車中あるいは歩行者歩行中ともにふえているわけでございまして、特に特徴的には、若い十六歳から十九歳までの年代の二輪車乗車中の事故が大変ふえている、お年寄りの場合は歩行者事故がふえている、こういうことが一つの特徴でございます。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 今、春の交通安全運動が行われておるわけでございますが、今後、現在の交通事故増加の傾向を減少へ転換し、交通事故を防止して交通事故死者減少を図る対策はどのようにされるのか、総務庁にお尋ねをいたします。
  176. 原田達夫

    ○原田政府委員 お答えいたします。  去る六日から春の交通安全運動が実施されておるわけでありますが、安全運動期間に入りまして、昨日までに百七十一名の方が亡くなられました。これは前回の春の運動に比べましてプラス三ということで、依然として厳しい状況でございます。  そこで、現在、国民一人一人に交通安全意識を普及し安全思想の高揚を図る、そして正しい交通ルールと交通マナーの実践を翌慣づけるということをねらいといたしまして、まず、一つは子供と高齢者の事故防止、二つ目には二輪車の交通事故防止、特に若年運転者による無謀運転の追放、三番目には正しい方法によるシートベルト、ヘルメット着用の徹底というようなことを重点といたしまして、先ほど御説明がありました最近の事故の特徴であります子供と高齢者の事故増加、二輪車の事故増加、それから自動車乗車中の事故増加というものに対応した対策を講じておるところであります。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、交差点の問題でお尋ねをしたいと思うのですが、交通事故死者の四〇%を超えるものが交差点と交差点の近くで起こっているということでありまして、交差点での交通事故死者の減少を図ることは交通事故死者全体の減少にとっても重要な課題である、このように考えるわけでございます。  そこで、交差点問題についてお尋ねをするわけでありますが、我が党は、昨年来、交差点における事故の問題を取り上げてまいりました。この中で政府は、内閣としても重視しているなどと答弁をされてきました。交差点事故対策がこの間どう前進したのか、また予算がどう変化したのか、具体的に講じられた措置は何なのか、まず伺いたいと思います。
  178. 内田文夫

    内田(文)政府委員 交差点では車両や人が交差をするということから、人と車との事故あるいは車相互間の事故というものが多発しているわけでございまして、先生指摘のとおり、昨年の件数を見ましても、交差点とその周辺というものを含めまして死亡事故が三千八百十五件発生いたしておりまして、これは全体の四二・五%という数字になっているわけであります。そういった意味で、このような特徴を踏まえまして、やはり事故対策として交差点の交通事故を抑えるということに重点を置いた施策を講じなければならないということで、次のような対策を立てているところでございます。  交通規制という面では、信号機整備、それから住宅地域だとか学校周辺等を対象にいたしました交通弱者の保護等を図るための生活ゾーンの規制の推進などを実施いたしております。それから運転者対策といたしましては、指定自動車教習所等におきます交差点の通行に関する安全教育というものを重点的に実施しておりますし、そのほか、更新時講習だとか処分者講習においてもそういった点に重点を置いた講習を行っているところでありますし、指導取り締まり面におきましても、街頭配置の警察官による歩行者の保護誘導だとか、右左折違反車両の取り締まり等を進めているところでございます。安全施設整備等の必要性は十分認識しておるところでございまして、厳しい財政事情のもとでありますけれども、本年度、六十三年度も予算において必要な措置をとっておるところであります。ただ、例えば国の特定事業がことし百九十六億円でございますが、これは交差点とそうでないところを分けるということが非常に難しいわけでございまして、ちょっとその分離ができないということでございます。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 安心して渡れる交差点をめざしてという住民運動が熱心に行われている東京多摩市で、市が千五百万円の予算交通調査を実施されまして、その中の歩行者アンケート調査の結果が七日までに明らかになりました。それを見てまいりますと、市内の交通量の多い三カ所の交差点で三百二十五人から聞き取り調査をされております。このうち、新大栗橋交差点での調査、これは調査数が百八人ですが、これによると、危険な目に遭った経験があると答えた人が四十五人、四一・七%と最も高く、うち二十八人がその原因として右折、左折車がとまってくれないためというのを挙げています。さらに、安全にするための必要な対策、これは複数の回答でありますが、歩行者信号を長くするが六三%、歩道橋が三四%、地下道が二二%、立体交差が二二%など人と車の分離を求める人が目立っておるのでございます。また、桜ケ丘第二交差点の調査では、危険な目に遭った人のうち九三%が車がとまってくれないというように答えているわけでございます。これを見ましても、交差点事故防止など、この問題への取り組みが依然として重要であるということを示しております。今後、交差点の安全対策を本当に十分進めていただきたいというふうに思うわけでございます。  先ほど来少し御答弁があったわけでありますが、昨年十二月、我が党の国会議員団が申し入れをしたわけでありまして、安心して渡れる交差点にするため、スクランブル方式や横断中の歩行者と右折、左折車の分断などの採用で交差点内における車と人の完全分離を図る、こういうことにひとつ十分御対応いただきたい。また、お年寄り、子供、障害者などが青信号なら安心して横断できるように特別の対策をとっていただきたいということであります。私も奈良で何カ所かの交差点の実態調査に加わったのですが、やはり青信号の時間が、本当に我々でもそんなにゆとりがないぐらいですね。ですから、お年寄りだとか障害者ですともう本当に時間が短い、十分渡り切れないというようなところがやはりありますね。もちろん、交通渋滞との関連もあるので非常に難しいことがあろうかと思いますけれども、やはり人命尊重を一番に置いてひとつやっていただきたいというふうに思います。  それから、交差点での交通事故を防止するため、立体横断施設、立体交差構造あるいはまた交差点構造の改良その他の安全対策もぜひ十分やっていただきたい。また、第四次の交通安全施設整備五カ年計画を見直し、交通安全施設整備関係予算の増額をさらに進めていただき、特に青信号での横断歩行者事故根絶対策に重点を置いていただきたい、こういうことを重ねて要望したいと思います。警察庁の御所見を伺いたいと思います。
  180. 内田文夫

    内田(文)政府委員 交差点における安全対策ということで、先生おっしゃるように歩行者と車を完全に分離する、これが一番理想的な形であるわけでございます。しかし、現実的にハード面の問題がいろいろございましてなかなか分離ができない。そうした中で最も安全な方法を我々いろいろ苦労して生み出しているわけでございますけれども、スクランブル交差点とかそういう形で、今度はハード面というのではなしに運用面で完全に分離するという方法も確かにあるわけでございまして、一部の交差点ではやっているわけでございます。ただ、やはり交通量、車の数とか人の数を総合的に考えてやらないと、車が長時間とまってかえって渋滞するということになると、また車が周辺の細街路に入っていくとか、信号の変わり目あたりで無理して車が出るというような問題もあるわけでございまして、そこにはある程度そういったものとのバランスも考えてやらなければならない問題もあるのではなかろうかと思っているわけでございます。  従来から我々、そういった信号機整備だけじゃなしに、悪質、危険な違反の取り締まりだとか歩行者、自転車の保護活動、それから運転者に対します正しい右左折方法等の指導を行ってきているわけでありまして、これからも、関係機関とも協力をいたしましてそういうものを積極的に進めてまいりたい、こう思っております。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 ことしの春の交通安全運動の課題一つに、先ほど子供とお年寄りということでお話がございましたが、お年寄りの問題がございます。これまた先ほど申しましたように、交差点でもお年寄り、子供あるいは障害者が安心して渡れるだけの青信号の時間の確保などの措置が必要である、こういうふうに考えるわけでございます。  さて、お年寄り対策です。私、一昨年の十二月にも当委員会で高齢者対策についてお尋ねをいたしましたが、そのときに同僚の議員からもそういうようなお尋ねがあった中で、警察庁においてもいろいろ検討が進められているというようなことでございました。そのいろいろ検討をされている検討の進捗状況はどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  182. 内田文夫

    内田(文)政府委員 高齢者対策といたしましては、高齢者の問題は歩行者である高齢者が事故に遭う、むしろ被害に遭われるということと、それから最近高齢者のドライバーがふえておりまして、その高齢者ドライバー事故というこの両方の問題があるわけでございますが、歩行者という面におきましては、老人家庭の巡回指導の徹底だとかあるいは老人クラブといったところへの働きかけ、そういう場でのいろいろな安全指導だとか、そういった中で、高齢者の特性だとか事故の実態等を踏まえて安全指導をいろいろ進めてきておるところでございます。それからドライバーの問題といたしましては、これは全国で行っているわけでございますけれども、運転免許の更新時に高齢運転者だけの一つのクラスをつくって、その中で高齢運転者の特性等を特に留意していただきたいというふうなことの指導を行っております。  それから、これは任意でございまして極力御協力をいただいておるわけでございますけれども、高齢者の方にはいろいろな科学的機器を用いまして、運動能力とかそういうものがどのぐらい落ちているかというようなことの検査をいたしておりまして、別にこれによって免許取り消しということではなしに、こういうところが劣っているから運転するときはこういうところに気をつけなければいかぬというような具体的な指導を大いにするということに努めてきているところでございます。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりお年寄り、殊に歩行者のお年寄りの事故が非常にふえておるということであります。これからどんどんと高齢化社会を迎えていくということでありますので、高齢者対策というのは非常に大事なことではないのか、このように考えます。  私は、この春の交通安全運動の視察に参加させていただいて、豊島区の清和小学校の交通安全対策あるいは交通安全教育というのを見せていただきました。子供さんへの教育を婦人警察官が実に見事に、本当に子供を引きつけてきちっとポイントを教えられているのを見て感銘を受けたわけであります。お年寄りはああいうふうにはなかなかいかぬと思いますし、またお年寄りがそんなにたくさんうまくお集まりになるというような機会はなかなか難しかろうと思うのですけれども、何とかやはりああいう方法で――子供たちは婦人警官のお話を本当に楽しく聞いて、そしてその中で飛び出しが危ないということをちゃんと覚えていくのですね。お年寄りも警察の交通安全の話を聞きに行けば楽しいというようにそんなうまいこといかぬと思いますけれども、ああいう子供さんにやられるような方法で何かもっと考えてもらえたらなというのがこの間行ってきた私の実感なんですね。警察庁においても種々検討が進められているということでありますが、先ほどの御答弁では、おととしの十二月から余り進展していないのではないか、やっておられるとは思うのですが、まあ、どっちかといったら、難しさも含めてそういう印象を受けたわけでございます。どうかひとつ一層知恵を出して、本当にお年寄りの安全を守る教育というのはなかなか難しいかもわかりませんけれども、啓蒙、教育の面でも一層の御努力をいただきたい、こういうふうに思います。  それで、先ほど高齢者ドライバーお話があったようですが、高齢者ドライバーへの対策についてもう一度おっしゃっていただけませんか。
  184. 内田文夫

    内田(文)政府委員 高齢者ドライバーにつきましては、免許の更新というのは高齢者に限らず全部三年に一遍行っておりますが、この際に、高齢者の方だけにお集まり願い一つのクラスをつくって、そこで高齢者に合ったお話をするということで、これは全国的に数年前から進めておりまして、一番遅かったのは実は沖縄なのでございますが、沖縄もことしの四月から始まるようになりまして、全国でそういう制度が全部完備をいたしました。  それから、もう一つは先ほど申しました任意でございますけれども、四種類ぐらいの器材を入れまして判断能力とかいろいろな能力のテストをいたしまして、例えばこういう点が前回のときと比べて大分劣っているから特に右折のときに気をつけなければいけませんよというような、そういう具体的な指導をやるということをこれも各県で進めておるわけでございます。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 私、先ほどは失礼なことを申しました。大変いろいろ御努力をいただいているということでございますが、お年寄りの交通安全対策に一層御努力をいただきたい、重ねてお願いをいたします。  次に、スキー場の事故問題についてお尋ねをいたします。  ことしのスキーシーズンも終わったわけでございますが、ことしはスキー場における雪上車やスノーモービル事故がマスコミをにぎわせました。その状況を簡単に御説明をいただきたい。
  186. 内田文夫

    内田(文)政府委員 スキー場におきますこの種の事故は、ことしに入りまして二月に新潟県と北海道においてそれぞれ一件、合わせて二件、十一名の方が負傷したという事案がございます。  それから、二月十四日の事故の概要でございますが、スノーモービルが故障して、点検後エンジンをかけたところ、そのまま人が乗る前に暴走してしまって八人のスキーヤーがけがをしたという事案でございます。二月二十九日の北海道の事故は、運転手がエンジンをかけたままスノーモービルを離れたら、突然またこれも無人で走っていって三人のスキーヤーが負傷したという事案でございます。あと、スキー場以外の事故としては本年二件、北海道、秋田県でそれぞれ発生していると承知しております。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 スキー場の事故としてはそれ以外に索道関係のものもあるわけでございますが、この雪上車やスノーモービルなどの事故の場合は、スキー場の中は当然道路ではないわけでありますから、道路交通法の対象ではないということですね。しかし、多くの人々が集まっているスキー場ですし、またほとんどがスキーに熱中しているわけでありますから、その中での車両運行はそれに対応した安全管理が必要だというふうに考えるわけでございます。  そこで、警察庁運輸省では、この問題で安全対策をスキー場に指導するようそれぞれの地方機関に通知をされたというふうに聞いておりますが、どのようなことを決め、どのように指導されたのか、またスキー場側の対応はどうなのか、お尋ねをいたします。
  188. 内田文夫

    内田(文)政府委員 先ほど申しましたように、二月に二件、新潟、北海道で連続して発生したということがありましたものですから、この種の事故の続発を防止するという観点から各都道府県に通知をいたしたわけでございますが、中身をごく大ざっぱにと申しますか、大綱だけ申しますと、雪上車の安全な運行を管理する責任者をきちっと指定をして雪上車の運行を管理させなさい、それから、雪上車の運行は先生言われたように確かに道交法の適用はないわけで、免許は要らないということになるわけでございますが、安全運行に関する知識だとか本来運転できる技能を持った者に行わせるようにいたしなさい、それから、雪上車の運行に当たりましては事前点検をしっかりやるように、それからこの雪上車の運転は、スキー客がいない時間帯またはいないような場所で原則として行うようにいたしなさい、いわゆるお客さんと分離するようにいたしなさい、こういった指導をするようにという通達をいたしたわけでございまして、スキー場の管理者におきましても、これを受けて事故防止対策に現在取り組んでいるということを承知しております。
  189. 清水達夫

    ○清水(達夫政府委員 お答え申し上げます。  運輸省といたしましても、スキー場におきます雪上車の事故の防止を図るために、索道事業者の団体でございます財団法人日本綱索交通協会を通じまして、雪上車を有しております事業者に対しまして、雪上車の運行の安全確保並びに点検整備の確実な実施について所要の措置を講じ、雪上車の取り扱いに関しまして万全を期するよう通達をいたしたところでございます。それで、その後、具体的にはこの通達を受けまして各地のスキー場におきましては、雪上車メーカーの協力も得まして、スノーモービル等の整備状況の緊急の点検を実施いたしました。また、従来から安全運転講習会というものも実施いたしておりまして、その内容の充実を図る、こういうことで安全確保の徹底を図ったところでございます。私どもといたしまして、今後ともこういう事故のないよう、雪上車のメーカー、スキー場設置管理者及び関係団体等に対しまして雪上車の事故防止に万全を期していきたい、かように考えております。
  190. 辻第一

    ○辻(第)委員 警察庁とか運輸省では今対応をとっていただいておるようでございますが、スキー場に関係するのは、スポーツという点では文部省、また索道は運輸省設置に関しては場所によっては林野庁なども関係しておられるわけであります。関係省庁一体となって安全対策強化を図っていただきたい、こう思うわけでありますが、ぜひやっていただきたいとお願いをいたします。  最後に、総務庁長官に御所見をお聞きいたしたいのでありますが、こういうふうに、ことしは交通事故死亡者がふえているという非常に憂慮すべき状況でございます。総務庁としても本当に十分な御対応をいただきたい、このように要望するわけでありますが、長官の御所見を伺いたいと思います。
  191. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいまの御質問の過程においても明らかにされておりますように、ことしは交通事故による死亡者が、このままで推移すれば一万人を超えるというようなことが予測されるような厳しい状態にございます。したがいまして、交通安全施設整備あるいは安全運転のためのいろいろなPR等を通じまして、何とかハードな面、ソフトな面、両面あわせまして交通事故の激増を防止したい、さらにまた、そのために今進めております交通安全に対する基本的な計画については、これを一〇〇%消化するということで努力をしていきたい、このように考えております。  そして、先ほども御意見がございまして、昭和六十五年に八千人以下という死亡者数を目標にしているのはどうも実情に合わないではないかというような御指摘もございましたけれども、私どもといたしましては、かつて、オイルショック後交通事故全体がかなり減少し、死亡事故も減少したという実績もございますし、世界各国の様子を見ましても、それぞれに努力をして減らしておるところでございますので、我が国でもやればできないことはない、このように思いまして、やはり交通事故にはそれぞれの地域、地域に一つの非常に特性みたいなものがございますので、そうしたことを各都道府県において的確に把握をしていただいて努力をしていただくということが必要ではないだろうか、このように考えておるところでございます。  なお、スキーの問題につきましてお触れがございましたので……。実は私、今大臣をいたしておりますのでいたしておりませんが、ついこの間まで、全日本スキー安全対策協議会の会長をいたしておりました。このスキー安全対策協議会というのは、ただ単にスキーヤーの安全対策だけではなくて、今のスノーモービルだとか雪上車だとかあるいはリフトでありますとか、そういうものをすべて含めまして安全対策を講じていこうという、スキー場関係すべてを網羅した団体でございます。そういうところを通じまして、実は、先ほど警察庁なり運輸省なりから御発表のあったようなこと等についても完全に実施するように申し合わせをさせておるところでございます。なお今後とも関心を持って取り組んでまいりたい、このように思います。
  192. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間が来ましたので終わります。
  193. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤英成君。
  194. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 交通事故による医療費支払いの適正化のための診療報酬基準案の作成についてお伺いをしたいと思います。この問題は、私はこの委員会でも何度も取り上げてきた問題でありますが、改めてまたお伺いしたいのです。  まず、去る二月二十九日の予算委員会で、厚生省も自賠責審議会の委員に加わるべきではないかということを質問いたしました。その後、関係者の意見等もお伺いいたしましたけれども、その後どのようなアクションがとられているのか。また三月八日に三省協議会も開かれたとは聞いておりますけれども、大蔵省は、厚生省に対して委員に加わるように要請しているのかどうか、まずお伺いをいたします。
  195. 山本孝之

    ○山本説明員 お答え申し上げます。  今議員から御指摘ございましたように、去る二月二十九日の衆議院予算委員会におきまして、現在の自賠責審議会に厚生省の方が入っておらないのはどうかという趣旨の御質問がございまして、それに対しまして私どもの保険部長の方から、自賠責審議会の会長あるいはその他委員の方々にも御趣旨をお伝えし、また厚生省の方ともよく相談してまいりたいという答弁をしたところでございます。  これを受けまして、自賠審の審議会長と御相談した上で、三月八日に三省協議会を、これは大蔵省の保険二課長運輸省、厚生省担当課長で構成していますが、開催いたしまして、国会での議論を御紹介するとともに、厚生省に対しまして、ぜひ臨時委員として審議会に御参加いただくよう熱心に御依頼申し上げております。これに対しまして、厚生省の方は持ち帰って御検討いただくというふうになっております。
  196. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 厚生省にお伺いをいたしますけれども、私は、当然委員として加わるべきではないかと思うわけであります。今大蔵省の方からも要請をしている旨お話がありましたけれども、いかがですか。
  197. 阿部正俊

    ○阿部説明員 ただいまの件でございますが、予算委員会でも伊藤先生の御質問に対しまして、基本的に厚生省の立場といいましょうか、考え方を御説明申し上げたところでございます。私どもとしては、基本的には当自賠責保険という保険制度の所管庁ではございませんし、行政的な意味で三省協議の場を通じていろいろな意味でのできる限りの御協力にやぶさかではございませんけれども、正式に審議会の委員という形で参加するようなことは、現在の段階では行政庁としての妥当な判断と考えませんし、現在の時点では、委員として行政庁のしかるべき担当職員を出すことは考えていないということを言わざるを得ません。そういった視点から、まだ現在のところ大蔵省さんから要請を受けて検討中ということになっておりますけれども、基本的にそういう立場を変えることは無理なのではないかと考えております。
  198. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今回のこの問題は、いわゆる医療費という問題について、そしてその料率をどうしょうかという問題になるわけです。そういう意味で考えたときには、私は、厚生省として当然関与すべきであろうというふうに思うのです。実は厚生省設置法を見てみましても、その第五条には「医療の指導及び監督を行う」というようなこともありますし、いわゆる医療行政については厚生省が当然責任を負ってやるべきである、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  199. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げたいと思います。  医療行政全体についての行政庁として私どもが存在しておるわけでございますので、できるだけの協力をしていくということは当然でございます。ただ、先生ぜひ御理解をちょうだいしたいと思うのでございますが、当自賠責保険制度の基本的に医療とのかかわり方といいますのは、あくまでも加害者が被害者に与えた損害をお金として賠償していく、その責任を保険するという制度でございます。その辺はちょうちょう申し上げるまでもないと思うのでございますが、そうしまして現在の医療とのかかわり方は、医療の受療というのはいわば契約でございますので、被害者が医療機関との話し合いによって受療したときのそのかかった経費について保険の方に請求していくというスタイルでございますね。そうしますと、現在の自賠責保険制度では、基本的にまず医療とのかかわり方としては、かかるか、かからないか、どれぐらいの経費でやってくれるかということについては医療機関と患者さんとの契約によるというふうなことを前提にしているわけでございます。別言しますと、いわゆる自由診療というものを前提にしておりますので、そういう制度の中における厚生省のかかわり方というのはやはり限界があるというふうに言わざるを得ないと考えております。その根っこの制度の立て方そのものをどうするかという議論はあり得るのだと思いますし、それについてどうするかという議論はまた別なのでございますが、そういう枠の中でのかかわり方というのは、いかに医療に対して責任を持っている私どもといたしましても一つの限界があると言わざるを得ない。そういう立場に立てば、今回の自賠責保険のいわゆる診療報酬の算定基準と通称されておりますけれども、そういったことについて、自由診療を前提にする限り、そこに権限のある行政庁として直接的にかかわっていくというのは、私は、現在の制度では限界があると言わざるを得ないと判断しておるところでございます。
  200. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のような発想というか考え方が、この問題に対してある意味では非常に消極的というのでしょうか、厚生省のそんな活動になっているというふうに思うのです。それがまた、ひょっとしたらこの医療費の報酬基準案をつくることがおくれている要因なのかもしれぬなとさえ思うのです。先回、今課長のおっしゃったような感じの答弁を厚生大臣予算委員会でされました。そういう状況を見ていて宮澤大蔵大臣は、これは大蔵大臣としてでしょうか、あるいは副総理としての立場でしょうか、やはり問題だなと。厚生省と大蔵省のそれぞれの言い分を予算委員会の席で聞いていて、これは問題だと。したがって、閣僚間で協議もしなければならぬということになったと思うのです。私はそういう意味で、今の課長お話を聞いていますと、やはり事と次第によってはそもそもの枠組みを変えなければいけないかもしれないなということさえ思います。それはいわば私の印象からすれば、厚生省の無責任さがそうさせるのかなというぐらいのことを思います。  これはまた機会を改めて論議もしたいと思いますが、三月二十四日の社会労働委員会で、保険局長はこの診療報酬基準作成について、保険診療の専門の立場から、医師会に決定する権限はない、また医師会がそういう協定料金をつくると独禁法に触れるおそれがあるということを言われておりますけれども、大蔵省はこの問題についていかが考えますか。
  201. 山本孝之

    ○山本説明員 自賠責保険に係ります診療報酬基準案の作成につきましては、御承知のように、昭和五十九年十二月の自賠審の答申でうたわれておるわけでございます。ここではまず、自算会及び損保協会において、医師会の協力を得つつ診療報酬基準案を作成すること、それから、その上で今度は各地区の医師会に徹底を図り、最終的にはそれが全国的に浸透し、定着化した段階で策定基準としての制度化を図るというような、かなり多段階的な構想を審議会の答申では述べておるわけでございます。これを受けまして、損害保険協会、それから自算会と医師会の間で協議を進められたわけでございますが、独禁法上の問題につきまして、私どもといたしましても、この診療報酬基準案が独禁法上問題を生じないようにスムーズに実施できるようにするために、公正取引委員会と随時協議を行っている最中でございます。具体的な診療報酬基準案の中身とかやり方が決まっていないものですから最終的な協議ではございませんが、問題が生じないようにという観点から、公正取引委員会の御協力を得て検討を進めているという状況でございます。
  202. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この独禁法の問題についても、またほかの機会に公正取引委員会からも意見を聞きながら論議をして中身を詰めていきたいと私としては思っております。  それから総務庁長官、突然で申しわけないのですが、実はこの診療報酬基準案作成の問題は、昭和四十四年の自賠責審議会の答申以来何度も、医療費適正化のために診療報酬基準案をつくらなければならぬということでやってきたわけですが、今日に至ってもまだ実現の状況にない。診療報酬基準案なるものをつくるニーズを考えられて、損保業界と医師会との間で約三十回にわたる会合を重ねて、診療報酬基準案をつくるために議論もしたりしてきております。しかし、進んでいる部分もありますが、今日に至ってもまだ合意に達していないという状況の中で考えたときに、厚生省もそのメンバーに入って進めるべきではないかという話であるわけであります。先ほど言われたように、大蔵省としては臨時委員として厚生省に入っていただきたいという話をしております。それに対して先ほどの厚生省の課長の答弁でございました。総務庁長官として、あるいは国務大臣としてそういうのを見ておられていかが考えられますか。突然で申しわけないのですが、先回は、先ほど申し上げたように宮澤大蔵大臣は、あるいは副総理としてかもしれませんが、やはりこれはいかぬなという話をされたわけですね。あのときから一歩も進んでおらぬ。この問題を進めるために本当にどういうふうにすべきかという意味での前向きな態度はなかなか見られぬなというふうに私は思うのです。突然で申しわけないのですが、いかがですか。
  203. 高鳥修

    高鳥国務大臣 ただいまの問題については、いろいろ問題があることは承知しておりますが、しかしどうも専門的な知識を持ち合わせませんので、私の方から、それは厚生省が入るべきであるとか入るべきでないとかいうことをどうも申し上げかねるわけでございます。今後勉強してみたいと思います。
  204. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 よろしくお願いいたします。これは先ほど申し上げたように、本当に長いことその必要性について言われてきて、そしてそれが今日まで実現をされていない。私はこういうふうに考えますと、例えばいろいろな審議会が答申をする、何度も答申をする、それに対して結局は実現されていかない、こういうのは政治なり行政に対する不信感を増していくだけです。そういう意味でぜひよろしくお願いをいたします。  次に、累積運用益の活用の問題でございます。  やや古くなりますけれども、六十一年十二月にこの交通安全特別委員会で、当時の地域交通局長は私の質問に対して、「契約年度ごとに出てまいります保険収支の赤字額について、それぞれ自賠特会及び保険会社の累積運用益を取り崩して充当する」こういうふうに答弁をされております。六十一年決算では損保分約二百六十六億円の赤字補てんをいたしましたが、これは契約の年度でいきますと何年度の分に当たるでしょうか。
  205. 山本孝之

    ○山本説明員 六十一年度決算の赤字は、契約年度ベースでいいますと五十七年度に対応するわけでございます。
  206. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 特会分の方は補てんをしておりませんが、これはどういう理由ですか。
  207. 村上伸夫

    ○村上説明員 お答え申し上げます。  五十七年度の契約年度は六十一年度決算でございますが、自賠特会におきましてはそれまでの収支残、累積の黒字というものがありまして、その結果、六十一年度においては運用益から赤字補てんをする必要がなかった、こういうことでございます。
  208. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 昭和五十九年の自賠責審議会の答申では、五十九年度末の累積運用益六千五百七十億円の全額を、昭和六十年契約年度から昭和六十四契約年度までの五年間にわたる保険収支の改善に充当し、保険料率の引き上げ幅の圧縮に活用するのが適当だとしておりまずけれども、現在予想されております収支状況からいたしますと、単年度の赤字をすべて補てんしていっても約四千億円弱の余りが出てまいります。これはどのように活用するつもりでありますか。
  209. 山本孝之

    ○山本説明員 議員御指摘のように、五十九年の自賠審答申では、五十九年度末の累積運用益の合計額全額を昭和六十契約年度から昭和六十四契約年度までの五年間にわたる保険収支の改善に充当し、保険料率の引き上げ幅の圧縮に活用するというふうに提言されておるわけでございまして、当時の料率検証の際にまさにこの金額を当て込みまして、当初御提案いたしました保険料の上げ幅を相当に圧縮いたしまして三〇%以下にしたというふうに記憶しております。  なお、実際この累積運用益がどのように使われているかというのは、実は、契約年度と決算とで先ほど申しましたように約五年程度のずれがございます。そして現在、六十一年度の決算では、損保会社分で二百九十億の赤字分の補てんを使っておりますが、六十二年度以降の決算ではどうなるか、今のところではまだはっきりした数字というものはつかめてないわけでございます。答申の趣旨に合いますように、今後は、契約年度から五年程度たちまして、決算が締まった段階で赤字が出ればそれに充当していくということで基本的に対応していきたいと考えているわけでございます。
  210. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の状況で見てみますと、この運用益がどんどん大きくなってくるというふうに私は思うのです。それで、そもそもこの運用益が累積していくことについてどういうふうに考えるべきなのかなと思うわけであります。今、毎年損保、特会合わせて一千億ぐらいの運用益が発生するわけですね。保険料収入が約九千億ぐらいでありますから、そういうように考えると膨大な運用益がたまってくるというような状況になっていくわけであります。例えば運用益が一千億円ぐらいと考えても、今ここから交通事故対策活用分等を差し引いても、少なくとも毎年六百億円ぐらいは積み立てられているということになると思うのですね。この分はそもそも収支に充当していくべき性格のものではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  211. 山本孝之

    ○山本説明員 六十年度以降で見ますと、損保会社、自賠責特会合計いたしますと、六十年度で約七百六十億円、それから六十一年度で七百九十六億円程度の運用益のネットの増がございます。この運用益をどういうふうに活用するかということにつきましては、今議員の御提案がございましたように、運用益もある程度カウントした上で保険料率を決めるという考え方もあり得るとは思います。しかしながら、これまで私ども保険当局としてとってまいりました考え方としては、保険金の支払いは保険料収入で基本的に賄う、そして、まず保険料が入ってまいりましてかなりおくれてから保険金の支払いが出ますので、その間に滞留する資金が出てまいりまして、その運用益が先ほど申し上げましたような数字で出てくるわけでございますが、この運用益というのは、基本的には保険金支払いが生じたような場合に備えて収支改善のために充当する、リザーブとして補充するというのが適当ではないかというふうに思っているわけでございます。  と申しますのは、保険というのは、事故が起こりまして非常にお金が必要になる、あるいは何か補てんをしなくてはいけないという必要性に迫られたときに対応するものでございますので、万が一にも保険金の支払いに不自由するという事態があってはならないわけでございまして、特に、自賠責保険の場合には被害者救済という要素もあるわけでございます。それとまた、運用益と申しますのは、以前と比べて日本の金融市場全体が非常に自由化いたしまして、また国際化いたしまして、金利水準がそのときどきによってフラクチュエートするわけでございまして、余りそれを当て込みますのはかなり不健全じゃないかなという感じがするわけでございます。  なお、話が少し飛びますが、数年前にアメリカの保険市場におきまして保険危機と言われる異常な事態が出まして、保険料が非常に急騰したり、あるいは保険会社が保険引き受けを断るといったような事態が出たわけでございますが、そのときの原因一つが、先に入ってきます保険料を運用して得られます運用収益を当て込んで保険料をディスカウントするというようなアンダーライティングの仕方が横行したことが原因ではないかと言われておりまして、こういう外国の実例などを見ましても、基本的には、運用益というのは健全性の考え方から異常な事態に備えてリザーブしておくのが適切じゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  212. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の個々の説明についてまたそれぞれあるといたしましても、ざっと見ても、しかし本当に七百億、八百億ぐらいのそんな金額が必要なのかなというふうに思うのですね。いわば、現在の自動車ユーザーが将来のユーザーの分まで保険料負担をするようなシステムになっているんじゃないのか。もしそうだとすると非常におかしいんじゃないか。だからもうちょっと留保分を少なくして、それこそ余ったら金額を下げるし、足らなければ上げるというようなことをもうちょっと運用益を含めてフレキシブルに、弾力的にやることを考えた方がいいんじゃないだろうかと思うのですね。そういう意味で、運用益を含めた収支全体で見るべきじゃないか、こういうふうに思うのです。  ちなみに、例えば簡単に計算をしてみて、五十九年末の累積運用益六千五百七十四億円を全額収支の改善に充当するといたしますと、詳細は省略いたしますけれども、ざっと八%ぐらい今の料率の引き下げができるのじゃないか。あるいは六十一年末の累積運用益七千七百九十三億円と、六十二年から六十四年度末の運用益を毎年六百億円ぐらいと考えても、その三年間で千八百億円、合計して九千六百億円ぐらいを例えば全額収支の改善に充当するとしますと、単純に計算すれば一四%ぐらい料率の引き下げが可能になってしまうのですね。そういう意味で、この制度のいわゆるノープロフィット・ノーロスの原則からしますと、累積運用益はどの辺が適正かは別にしても、非常に多くなるというのは極めて問題だ。今はちょうどそういうことを考える時期なんじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  213. 山本孝之

    ○山本説明員 毎年滞留いたします資金からの果実を当て込みまして保険料率を算定するという方式は現在はとっていないわけでございまして、私どもも、外国の例などから考えましても、現在の方式を維持するのが適当ではないかという感じを持っております。ただ、保険料率につきまして今議員おっしゃるように余り固定的に考えるということじゃなくて、やはり毎年の収支の状況を見て適切に考えていくということが必要であろうと思っております。そういう趣旨で、五十九年の自賠審答申を受けまして、毎年自賠責審議会を開きまして、そのときどきの一番新しいデータでの損害保険の収支の状況をお諮りして、現在の保険料でいいだろうかということを定期的にチェックするというようなシステムを導入しているわけでございます。そういう意味で、今後とも機動的、弾力的に対応していくことが必要であろうというふうに考えております。
  214. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先回の保険料率のアップのときは、純保険料引き上げ率の計算根拠として、五五%の増加要因に対して累積運用益活用分として二一%の引き下げ要因を減じて、最終的に三四%の引き上げとしたわけですね。そのときに、累積運用益六千五百七十億円は五年間で使い切る計算であったと私は思うのです。これが今どうも非常に余りそうだという状況になるわけですが、これは大蔵省にいたしましても、あるいは関係省庁あるいは損保業界、さらには医師等も含めてと考えた方がいいと思いますが、それぞれが大変な改善努力をされたと思いますし、それは評価をいたします。しかし結果的に見ると、料率をアップし過ぎたのかなというふうに思いますが、いかがですか。
  215. 山本孝之

    ○山本説明員 六十年四月から二九%保険料率を引き上げたわけでございますが、その際におきましても、その時点で入手し得るデータをすべて活用いたしまして、合理的と思われる方法で推計して対応したわけでございます。しかし、その後五十九年の保険審議会の答申で、医療費支払いの適正化ですとか後遺障害認定の適正化、あるいはその他の対策を講じなさいという御指摘もございまして、また委員からもたびたび、いろいろな機会におきましてこういう改善策を着実に実施するようにという激励もございまして、これを受けまして、損害保険会社あるいは自算会といった関係者が努力をした結果がこういうふうに改善されてきたというふうに考えておる次第でございます。
  216. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話はこういう努力をしてこうなったということなのですが、こういう努力があったとすればこれほど上げなくてよかったなという感想をお持ちですか。
  217. 山本孝之

    ○山本説明員 六十年の引き上げの際には、決してサバを読むような感じで料率を上げたわけではないといいますか、その時点で最善の努力をした結果だと思います。その後さらに支出の方につきまして先ほど申し上げましたような改善努力をした結果であるというふうに御理解賜れば幸いだと思います。
  218. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先回の料率アップのときに車種別の損害率は是正されたと思いますが、この単種別の損害率の現状はどういうふうになっておりますか。
  219. 山本孝之

    ○山本説明員 六十年四月に料率を引き上げましたが、その直前数年間の保険の収支状況を申し上げますと、例えば営業用自動車の場合には保険料収入一〇〇に対しまして支払いの方が約一七〇程度であるとか、あるいは自家用自動車は一三〇程度というようなばらつきがありまして、その中で平均的に上げたわけでございますが、その際に、引き上げ幅が大幅となるような車種につきましては、契約者の保険料負担の急激な増加を緩和するというような趣旨のために、例えば営業用自動車につきましては三〇%弱程度の引き上げ幅でとどめたわけでございます。その後各般の保険金支払いの適正化の努力もございまして、引き上げ幅を圧縮いたしました車種も含めまして、各車種とも損害率は相当改善しているのではないかというふうに考えている次第でございます。
  220. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 現状のデータはあるのですか。
  221. 山本孝之

    ○山本説明員 例えば、一番激変緩和措置をいたしました営業用自動車について見ますと、大体一〇ポイント程度改善しております。(伊藤(英)委員「それぞれはありますか、営業車から自家用車」と呼ぶ)代表例で申し上げますと、乗用車もほぼ一〇ポイント程度改善いたしまして、九五、六というふうに聞いております。
  222. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の話は、例えば営業用乗用車とか自家用乗用車、営業用貨物車等々ありまして、軽自動車、小型二輪、原付、こうなっていますが、当時の値上げ前の状況が先回の料率アップで、私が単純に計算をしますと、例えば営業用乗用車は一二六%になります。それから自家用乗用車は一〇二%ぐらい、営業用貨物ですと九九%、自家用貨物車は九八%これに対して軽自動車になりますと一四一%、小型二輪ですと一四五%、原付ですと一七七%、そのぐらいの損害率になると思うのですが、それはざっとそんな感じでしょうかね。
  223. 山本孝之

    ○山本説明員 保険料率引き上げとあわせまして保険金額の支払い限度額の改定を行いましたのでその影響が少し入っておりますが、営業用乗用車につきましては、それまで料率を引き上げるまでの収支率が約一七〇ぐらいございまして、その後保険料率を改定いたしますとともに限度額を引き上げますと約一四〇弱の想定だったように聞いておりますが、それが現在ですと一二五、六の程度まで改善しておるというふうに聞いております。
  224. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先回は、それぞれの車種間で大きなばらつきがある、格差がある、それについて本来ですとばっと結果が同じようになるようにすればいいのだけれども、なかなかそうもいかないというので、いわば激変緩和措置というような形でなっていると思うのですね。しかし、本来こういうものは公平、合理的に決めなければならぬ問題であるわけなんで、そういうふうに考えたときには、やはり今後この保険料率あるいは車種別損害率の是正を図っていかなければいかぬというふうに思いますけれども、どうですか。
  225. 山本孝之

    ○山本説明員 将来、保険料率を改定する際には、今おっしゃられたような六十年四月の料率引き上げ時の経緯といったものも含めて、その時点でいろいろな要素を総合勘案して適切に対応したいというように考えております。
  226. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間がほとんどありませんので、最後にお伺いしたいのですが、六十一年六月の特別会計の管理運営に関する行政監察に、「自賠責再保険事業の見直し」といたしまして、「保険会社等は政府再保険部分を除いた保険責任のすべてをプール又は再再共済することにより危険の平準化を図っていること、」「三十年近い長い経験から保険料率算定データが整備されたことにより、適時適切に保険料率を変更することが可能となったことから現在では国による危険負担の必要性は低下している。」として、「将来の課題として、」再保険事業の「実施体制を含め事業運営の在り方について検討する必要がある。」というふうに勧告をしております。私も、この実施体制も含めた事業運営のあり方は考え直す時期かなというように思うわけでありますが、この検討状況並びにそれについての考え方をお伺いをして、質問を終わります。
  227. 村上伸夫

    ○村上説明員 先生指摘のように、六十一年六月の総務庁の勧告におきまして自賠責の再保険について触れられております。私どもといたしましては、この勧告も踏まえまして、自賠責の業務体制で現在我々にとってもあるいは保険会社にとっても一番業務量がかかっているものはやはり契約関係のボルドロの関係であろうということで、その後保険会社ともいろいろお話し合いいたしまして、この事務を簡素化していこうということで、先般、関係の省令を改正いたしまして、従来紙で提出していただきました支払い明細書を磁気テープをもって報告していただくことも可とするといったような改正を行ったわけでございます。運輸省といたしましては、今御指摘がありましたように、この審査事務の合理化、簡素化ということについては今後とも努めていきたい、こういうふうに思っております。
  228. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の話はほんの一部の答弁だと私は思っていますけれども、今後またこの問題に取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。  時間が参りましたので、本日はこれで終了いたします。ありがとうございました。
  229. 近江巳記夫

    近江委員長 以上で伊藤英成君の質疑は終わりました。  次回は、来る二十日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十分散会