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1988-05-11 第112回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十一日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 中村喜四郎君    理事 加藤 卓二君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君 理事 野呂田芳成君    理事 東   力君 理事 中村  茂君    理事 矢追 秀彦君 理事 西村 章三君       榎本 和平君    遠藤 武彦君       金子原二郎君    木村 守男君       北村 直人君    桜井  新君       田村 良平君    武村 正義君       額賀福志郎君    松田 九郎君       松永  光君    村岡 兼造君       小野 信一君    木間  章君       坂上 富男君    三野 優美君       大野  潔君    伏木 和雄君       田中 慶秋君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         建設政務次官  古賀  誠君         建設大臣官房長 牧野  徹君         建設大臣官房総         務審議官    中嶋 計廣君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 木内 啓介君         建設省住宅局長 片山 正夫君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    榊   誠君         内閣総理大臣官         房参事官    中川 良一君         総務庁行政監察         局監察官    松田 隆利君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ───────────── 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     谷垣 禎一君   遠藤 武彦君     森  喜朗君   桜井  新君     木村 義雄君   武村 正義君     渡辺 紘三君   三野 優美君     松前  仰君 同日             辞任         補欠選任   木村 義雄君     桜井  新君   谷垣 禎一君     榎本 和平君   森  喜朗君     遠藤 武彦君   渡辺 紘三君     武村 正義君   松前  仰君     三野 優美君 五月十一日  辞任         補欠選任   橋本龍太郎君     北村 直人君   松永  光君     額賀福志郎君   伊藤 英成君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     橋本龍太郎君   額賀福志郎君     松永  光君   田中 慶秋君     伊藤 英成君     ───────────── 四月二十八日  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願(辻第一君紹介)(第二一〇一号)  土地住宅政策に関する請願安藤巖紹介)(第二一〇二号)  同(石井郁子紹介)(第二一〇三号)  同(岩佐恵美紹介)(第二一〇四号)  同(浦井洋紹介)(第二一〇五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二一〇六号)  同(金子満広紹介)(第二一〇七号)  同(経塚幸夫紹介)(第二一〇八号)  同(工藤晃紹介)(第二一〇九号)  同(児玉健次紹介)(第二一一〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二一一一号)  同(柴田睦夫紹介)(第二一一二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二一一三号)  同(田中美智子紹介)(第二一一四号)  同(辻第一君紹介)(第二一一五号)  同(寺前巖紹介)(第二一一六号)  同(中路雅弘紹介)(第二一一七号)  同(中島武敏紹介)(第二一一八号)  同(野間友一紹介)(第二一一九号)  同(東中光雄紹介)(第二一二〇号)  同(不破哲三紹介)(第二一二一号)  同(藤田スミ紹介)(第二一二二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二一二三号)  同(正森成二君紹介)(第二一二四号)  同(松本善明紹介)(第二一二五号)  同(村上弘紹介)(第二一二六号)  同(矢島恒夫紹介)(第二一二七号)  同(山原健二郎紹介)(第二一二八号)  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願魚住汎英紹介)(第二二一二号) 五月九日  高速道路料金障害者割引内部障害者にも適用に関する請願鴻池祥肇紹介)(第二二七五号)  同(北川正恭紹介)(第二三七五号)  建設労働者等に係る公共事業労務費単価改善引き上げに関する請願大出俊紹介)(第二三七四号) 同月十日  建設労働者等に係る公共事業労務費単価改善引き上げに関する請願市川雄一紹介)(第二四三九号)  同(岩佐恵美紹介)(第二四八九号)  同(浦井洋紹介)(第二四九〇号)  同外一件(大野潔紹介)(第二四九一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二四九二号)  同(金子満広紹介)(第二四九三号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第二四九四号)  同(木内良明紹介)(第二四九五号)  同(工藤晃紹介)(第二四九六号)  同(児玉健次紹介)(第二四九七号)  同(柴田睦夫紹介)(第二四九八号)  同(寺前巖紹介)(第二四九九号)  同(鳥居一雄紹介)(第二五〇〇号)  同(春田重昭紹介)(第二五〇一号)  同(不破哲三紹介)(第二五〇二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第二五〇三号)  同(松本善明紹介)(第二五〇四号)  同外一件(三野優美紹介)(第二五〇五号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五〇六号)  同(山原健二郎紹介)(第二五〇七号)  同外一件(伊藤忠治紹介)(第二五六六号)  建設労働者等に係る公共事業労務費単価改善等に関する請願佐藤祐弘紹介)(第二四四〇号)  東京周辺地区開発に伴う丸の内駅舎復元保存活用に関する請願土井たか子紹介)(第二四八八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二五六二号)  同(不破哲三紹介)(第二五六三号)  同(松本善明紹介)(第二五六四号)  土地住宅政策に関する請願佐藤祐弘紹介)(第二五六五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣提出第六六号)      ────◇─────
  2. 中村喜四郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  3. 坂上富男

    坂上委員 土地区画整理法の一部改正について質問をさせていただきます。  第三者施行制度、それから参加組合員制度、これをいま少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
  4. 木内良明

    木内政府委員 今度の改正でお願いしている三点のうちの二点について先生からお話があったものと理解しております。  第三者施行制度創設でございますけれども、これは区画整理事業施行者の中で、先生承知のように、個人が一人または数人共同して事業ができるというふうなケースがございます。その個人が施行する区画整理事業におきまして、この区画整理事業は大体全体の区画整理事業の箇所でいうと一割を超していますけれども面積では一割弱ぐらいのシェアを占めている事業でございますけれども、そういった事業を、最近の経済情勢社会情勢等から見ましてなお一層推進したいというふうなのがまずねらいでございます。  それを推進するために、個人施行者というのは本来地主さんあるいは借地人方々でございますから、区画整理事業ベテランでない場合が多いわけでございます。したがいまして、そういったベテランでない方々が、例えば住宅都市整備公団とかいうふうなかなり区画整理事業について技術的なノーハウとかいうものを持った者に、個人施行者等全員同意があった場合には事業をかわってやってもらうというふうなことをすれば、事業がさらに進捗するのではないか。しかも、個人の場合には信用の問題、要するにお金の工面の問題でも、区画整理事業を終わってからお金が出てまいりますけれども、当初、発足の当時はなかなかお金がないという問題もございますので、そういったことから、いわゆる事業費を立てかえるような形で第三者が入っていただければ事業が伸びるのではないかという意図で、住宅都市整備公団とかその他民間の場合でも資力信用等を有する第三者がかわって施行者になるという仕組みを創設させていただきたい。ちなみに、先生承知だと思いますけれども、再開発法の方には市街地開発事業につきましては従来から既にあった制度でございまして、区画整理法の方にもこういう制度を新設していただきたいというのが第三者施行制度でございます。  それから、もう一つ参加組合員制度でございますけれども、これは区画整理の中で地権者が一人または数人共同してというのと違いまして、組合をつくって区画整理事業をやる組合施行区画整理事業がございます。これは件数でいいますと区画整理事業の一番多くを占めているものでございまして、面積でも地方公共団体施行区画整理と並び、若干それより少のうございますけれどもかなり区画整理事業の中核をなす事業でございます。こういった事業につきまして、本来組合施行土地所有権または借地権を持っている人々が組合をつくってやるというのが従来のやり方でございまして、そこに、端的に申しますと土地所有者ではない、あるいは借地権者でない第三者最初負担金を出すということで、お金を出すということで組合員の一人に参加させてもらうという制度ができないかということでお願いしたわけでございます。  この参加する組合員につきましてはいろいろ各方面から要望もございましたけれども、今回は住宅都市整備公団とか地域振興整備公団とか住宅供給公社とか、いわゆる公共法人に限定して、そういう方々参加をいただきまして、それで負担金を払うことによりまして事業資金の、立ち上がり資金というふうなものの確保をすると同時に、また技術的なノーハウあるいは事業を終わってからの都市化推進というふうなことの一つの強力な支援材料ということになるのではないかということで、こういった制度創設していただきたいということでございます。もちろん、区画整理組合の一員となるわけでございますので、もともとの地権者の三分の二の同意が当然要るわけでございます、そうでないと組合できませんから。その範囲内においてやろうということでございます。
  5. 坂上富男

    坂上委員 考え方はわかりました。  そこで、第三者あるいは参加組合員資格を取得した、それから第三者が施行することになった、だけれども、これは組合の目的に反する、やめてもらわなければならない、こういう事態が発生する場合がなきにしもあらずだと思うのでありますが、こういう場合の救済方法はどうなんですか。
  6. 木内良明

    木内政府委員 最初第三者施行の方を説明させていただきたいと思いますけれども第三者施行は先ほど申しましたように公共法人ほか民間も入ってまいります。  ところで、先生の御指摘のような心配いろいろあるわけでございますので、第三者施行につきましては資力信用がある者というふうな、法律上一応要件は書いてございます。それを担保するために第三者施行事業認可認可があるわけでございます。これは知事がなさるわけでございますけれども、その際に技術的能力あるいは資力信用があるかどうかということをまず十分にチェックしてまいりたい。それから認可が終わった後、いよいよ事業に入った後も換地計画とかそういう段階で、やはり換地計画につきましては知事等が内容を審査して認可するわけでございますからそういうことはないと思いますけれども第三者自分に特に有利な、手前勝手なような換地計画というふうなものはその段階知事に十分注意していただくということをさせていただきたいと思っているわけでございます。  それから参加組合員につきましては、最初第三者施行につきましてはそういうふうに施行者でございますから、知事認可のときから、事業をずっとやっているとき、またポイントである換地計画のときに知事がずっと目を光らして監督できるという立場にございますから、そういう意味で良好な民間第三者を入れても私は大丈夫だと思うわけでございますが、参加組合員ということになりますと、これは組合員の一人になりますから、悪いことをする人は余りないと思いますけれども、もし自分勝手な人、そういう人がある場合には、施行者となるよりは組合員となった場合にはストレートで知事の監督というのはなかなかしにくい問題がある、組合員の一人となるということになりますと。  そういうふうなことでございますから、少なくとも今回は、参加組合員になり得るものを公共的な性格住宅公団とか地方公社にまず限ったということで、法律安全サイド規定を置かしていただくようにしているということが一つと、それから参加組合員の場合でも当然、第三者施行と似たように、組合設立認可がございます。このときに、その組合設立認可について知事事業計画あるいは定款、そういうふうなものでこれを十分審査できるし、また換地計画の策定に当たっても、同じく知事が一応変な換地になってないか、例えば心ない組合員が入ったことによって自分勝手な換地計画ができてしまうというふうな、均衡を失した換地計画になるようなことがないように知事が目を光らすことができるわけでございますけれども、そもそも参加組合員になれるのが公的団体に限っておりますから、参加組合員の場合でもそういうことはまずまず起こらないと私ども考えている次第でございます。
  7. 坂上富男

    坂上委員 ちょっとお聞きをしておりますと、第三者施行の場合、これは全員同意によってなったわけです。同意撤回ということがあると思うのですが、そうした場合はどの程度資格を失うのか。第三者施行をやってもらったはいいが、どうも我々は自分考えていることと全く意に染まない、やめさせる万法はないか、こういう問題が出てくるわけであります。その根拠になっておりまするのが、いわゆる組合員全員同意ということで皆さん方が絞りをかけてやっておられるわけでございます。でありますが、しかしどうも考えてみると、一部の組合員第三者施行者と結託をいたして他の者に悪いことが行われているというようなことがあった場合は、全員取り消しはできません。  まず取り消し撤回というようなことができるのかどうか。それから撤回取り消しができなくとも、全員同意のもとに第三者が施行しているんだから、一人でも私はあなたに同意したのを取り消しますよ、こういった場合は一体第三者はどういうふうな取り扱いを受けるのか。どうしても第三者というのは相当力のある人です。だから力のある人が力の弱い組合員に非常に権限を乱用されて、入れたはいいが出すのにもうどうにもならなくて困ったという場合が想定できると思います。でありますから、参加組合員の場合は公団公社、そういうところでございますからそれは信頼をして心配ない、こう見ていいんでしょうが、第三者民間の人については私はどうしても不安があるような気がしているわけであります。  これと類似したのが、例えば事業計画をする、事業計画を請け負ってもらう、これは民間の業者に請け負ってもらいますが、契約に違反をすれば解除ということがあると思うのでありますが、今度はこれは第三者施行でございますから絶対権限を持ってやるわけでございますから、これを撤回させるということはなかなか大変だし、いわば土地区画整理組合の命運にもかかわるような事態になるわけでありますが、そういうことがこの法案の中に予測をされて救済規定というのが設けられているのかどうか、そういう点でもひとつもう少し御回答いただきたい、こう思っています。
  8. 木内良明

    木内政府委員 先生指摘のように、私どもとしてはそういった点を一番心配して、慎重にしなければいけないということで留意したことでございます。で、当然第三者施行の場合でも、認可について資力信用等を十分チェックするという形はとりますけれども、なおかつ先生のようなケース考えられるわけでございます。したがいまして、区画整理法上は、要するに一番権利者の問題でございます換地計画をつくる際に、これはまた改めてというのじゃなくて、またその土地所有者全員同意が要るということになっております。したがいまして、区画整理を始めてみた、ところが、換地計画がどうも第三者が勝手にやって、地権者に不利な、あるいは地権者の一部に不利なものになってしまっているという場合に、地権者換地計画同意しないということがある。同意しなかったらどうなるかといいますと、換地計画ができませんから、そこでどうしても同意ができなければやめるか、どうしても同意をとるまでやるかということにならざるを得ないということが一つでございます。  それから、その換地計画が余りにもひどいものであるということの場合には、やはり知事がその換地計画是正命令とかいろいろあろうかと思いますけれども、どうしても言うことを聞かない場合には、知事認可を取り消すということも考えられると思います。そういうようなことのないように指導するのはあれでございますけれども、ぎりぎりの線ではそういうことになろうかと思います。
  9. 坂上富男

    坂上委員 第三者施行について、まあまあ今言われた程度ということになると、若干不安も感ずるわけであります。これは連帯保証、一切の責任を持つという制度行政指導でも何かお考えですか。
  10. 木内良明

    木内政府委員 連帯保証というのは、特に制度としては考えておりません。
  11. 坂上富男

    坂上委員 今指摘したような問題点があるだろうと私は思うのでございますが、いわば第三者施行制度参加組合員制度、これはいろいろな要望があったんだろうと思うのでありますが、どういうような要望があってこうなったのか。それから大体どんなところからこの要望があったのか、これを少しお聞かせいただきましょうか。     〔委員長退席野中(広)委員長代理着席
  12. 木内良明

    木内政府委員 まず公的機関でございますけれども、私ども住宅公団等をもちろん担当しているわけでございますけれども住宅公団等も最近住宅を建てるための用地をいろいろな形で探しているわけでございますけれども、必要なところになかなか取得できないという事情もございまして、そういった第三者施行なり参加組合員という形で土地が得られれば非常にいいということの住宅都市整備公団要望等がございます。それから地域公団も、地方地域開発をする場合に機会があったらそういうふうなものも、参加組合員とか第三者施行もしてまいりたいという要望も承っております。  それから地方公共団体、大体地万公共団体の方を通じてでございますけれども、私ども区画整理事業を遂行していく上で常時地方公共団体方々に必要に応じてお集まり願ったりして事業推進の会合、連絡会等を持っているわけでございますけれども、その際に地方公共団体方々からも、地主さんなんかでやはりふなれな方々は助けてくれる人があればというふうな意向をお持ちであるということも聞いておりますし、また組合施行の場合にも、先ほどもちょっと申しましたように立ち上がり資金というのがなかなか得にくいものでございまして、組合の役員さんあたりが自分個人的借金をせざるを得ないというような形もありますので、だまされるようなことがなければ、立ち上がり資金を先に出してもらえるということがあればこれは非常にありがたい。それから、区画整理が済んだ後も、参加組合員なり第三者施行というのはどうしても市街化のスピードが早うございますから、市街化促進という形あるいは良好な町づくりにも役立つということで、県等を通じましても地元の組合ないし個人方々にもそういったことを要望する声が非常に多いということをお聞きして、何らかの対応をしたいと考えた次第でございます。
  13. 坂上富男

    坂上委員 そういたしますと、第三者施行制度というのを今日までやらなかったのは、今まで何でこうやらなかったのか。ほかの方ではやっておられるということでございますが、特に民間からの要望でも強くあったものかどうなのか。あるいはこの事業進捗率が非常によくないものだから、何としてもそういうようなことによって広げていこうという考えなのか。また、どういうようなことからこういう制度が入ってきたのか、そんな角度からもひとつ御答弁いただきたい、こう思っております。  それから、参加組合員制度同意組合員の三分の二、しかし第三者施行制度全員同意、こういうことになっておりますが、これは差を設けたのはどういうところから来ているのでございますか。
  14. 木内良明

    木内政府委員 お答えさせていただきます。  第三者施行制度参加組合自制度自体、先ほど申し上げましたように要望がありまして、最近にわかに出てきたという問題じゃないし、従来からもそういう点はお話はあったわけでございます。こういった意味で従来からもあったのでございますけれども制度としては創設までに至らなかったというのは、先生承知のように最近、私どもとしましては、臨調の答申、いろいろございまして、それは世の中の動きでございましょうけれども、できるだけ最近の地価への対応ということで良好な宅地供給をふやす努力はすべきであるというふうなことで、少しでも宅地供給の拡大につながるということに努力すべきだという時代的な要請がございます。  それからもう一つ、これはまた別途大きな問題でございますが、区画整理事業というのは大変いい事業だという評価を受けておるわけでございますけれども事業が終わった後の宅地になかなか住宅が建っていかないというふうな御指摘もございます。こういうふうなことの原因はいろいろあって対応もいろいろあるわけでございますけれども、その一つとしまして、こういった公的、あるいは場合によったら民間のデベロッパーを参画させることによりまして、でき上がった土地を誘導的に市街化を、そういったものを先導として市街化促進材料にはならないかというふうなことでございます。  そんなようなことで、時代的に、宅地をできるだけたくさんつくる、区画整理でできた宅地を良好な市街化にできるだけ早く結びつけるという社会的な要請も出てまいっておりますので、従来からありました、要するに地主さん、施行者サイド要請と、私どもが判断しました現下の社会的要請というふうなものが合致してきているのではないかということで、この際新しい制度をつくっていこうかなと考えたわけでございます。  今までなかったのは、例えば再開発事業であった制度区画整理でなかったというのは、区画整理は、これは正確な言い方ではございませんけれども、大ざっぱに言いますと郊外で大規模にやる開発でございます。駅の周辺等中心市街地でやる再開発の場合には、やはりキーテナントみたいなものを探すことがどうしても事業性格上必要だというふうなことで、事業性格あるいは立法の経緯等が違いましてなかったわけでございますけれども、時代の要請区画整理にもそういった方向を導入していきたいということを考えたからでございます。  それからもう一つ第三者施行全員でというのは、施行者個人施行の場合と組合施行の場合と公共団体施行の場合、行政庁施行の場合、それから公団施行の場合とあるわけでございまして、第三者施行の場合は、その中で個人施行第三者にやっていただくということですから、もともと個人施行の方は、第三者施行制度がなくたって個人施行でやる場合は全員同意で終始やるという、そういう制度第三者にやっていただくということですから全員同意にしたわけでございます。それで、組合施行地権者の三分の二でやるという、そういう組合制度の中に参加組合員制度を設けましたので、三分の二以上の同意ということでございます。そういうことになるわけでございます。
  15. 坂上富男

    坂上委員 優良宅地供給ということが大きな目的のようでございます。そうだといたしますと、まず土地区画整理についての年間予算というのは大体どれくらい出ておるのでございますか。そして、これはいわば施行主によってどの程度裏負担しなければならないのか。施行の種別で、予算との関係で負担部分を御説明いただきましょうか。
  16. 木内良明

    木内政府委員 最初の御質問でございますけれども土地区画整理につきましての国の予算でございますが、昭和六十三年度の予算におきましては、要するに事業費ベースで二千五百十一億円、国費で千三百五十一億円でございます。これはちなみに前年度と比べますと一・二倍程度、二割方増ということでございます。  それで、さらにその内訳でございますけれども、国が補助している場合は二つの場合がございます。公共団体等が行う区画整理事業に対しまして、事業費ベースで千九百四十一億円、国費ベースで千四十五億円の補助をしております。それから組合等が行う事業でございますけれども、これについては事業費ベースで五百七十億円、国費で三百六億円というふうな補助をしているわけでございます。補助の伸びは、組合施行の場合には一・二七倍ということで、一般よりちょっと高目になってございます。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕  補助率でございますけれども公共団体とか公団公社等の施行する場合につきましては、国が補助対象事業につきまして十分の五・二五でございますから、五二・五%の補助をしているわけでございます。それで、組合事業を行うものにつきましては二通りございまして、国道または都道府県道を含む場合は公共団体施行と同じように五二・五%の補助になっております。それで、そういう国道または都道府県道を含まない場合は二分の一というふうなことになっております。  その裏はどういうふうになるかと申しますと、公共団体施行の場合には、国の補助金の裏は御自分でと申しますか、当該公共団体が負担するということになります。それから組合の場合には、国が補助した裏は都道府県あるいは市町村、市町村が多いと思いますけれども、市町村が国の補助裏を持つというふうなことになろうかと思います。
  17. 坂上富男

    坂上委員 補助といいますか、参加組合員制度創設した場合は何か特典でもございますか。
  18. 木内良明

    木内政府委員 特にございません。
  19. 坂上富男

    坂上委員 さて、土地区画整理法も場合によっては私権の制限につながる問題でございます。憲法第二十九条はいわば財産権を保障しておるわけでございますが、いずれも第三者施行あるいは参加組合員というものは、所有権なり借地権なり、何らの民法上の権限を持っていないわけでございます。これが入ってくるわけでございまするから、果たしてその権限のない者がこういうふうなことによって入ってこれるんだろうかどうだろうか。契約をするんだからいいんだというだけの理論なのか。いわば所有権の、あるいは権利との関係において、権利のない者が代償さえ払えばいつでも入ってこれるんだというようなことが、いわば私権の制限をするところの土地区画整理事業でございますが、これは一体許されるのかどうなのか、憲法上の立場から御検討でもあったものでございますか、いかがですか。
  20. 木内良明

    木内政府委員 よく区画整理で減歩をやるというふうなこと、まずこの減歩と憲法二十九条との関係で大分いろいろ以前から問題がありまして、先生承知のように、減歩というのは憲法二十九条に違反しないんだというふうな最高裁の判決も出ておるわけでございますけれども、その理由は、減歩によって直ちに減歩分の土地価額に相当する損失が生ずるわけではなく、憲法二十九条に基づく損失補償請求は許されないというふうな判決があるわけでございます。  そういうふうに減歩は、区画整理をすることによってそれぞれの土地の利用価値の増進が行われる、増進の範囲内で減歩がなされるということでございますから、区画整理法におきまして、減歩によって公共施設を生み出すということと減歩によって事業費の範囲内の保留地をとれるということは区画整理事業の存立にかかわる要件でございますから、当然法の予想していることでございますので、やはり区画整理法でそういう予測したものでございますし、財産権を侵害することでもございませんので、憲法上問題はないという判例になっていると思うわけでございます。  ところで、今度創設します第三者施行というふうなのは、確かに先生おっしゃるように、地権者でも借地権者でもないわけでございますけれども、その方たちに、全員同意によりまして、事業を正規の代表としてかわってやっていただくということでこざいます。そういう方たちが、結果においては事業費を立てかえますけれども、いわゆる個人施行者自分たちだけでやった場合にも、当然その事業費は要るわけでございます。区画街路を真っすぐにしたり環境を整備するため、あるいは敷地を造成するために事業費が要るわけでございます。そういう個人施行者自分たちでやった場合に、事業費を調達するためには、やはり自分たちでやったことによってその地域が値上がりする効用が増したことの効果が出てまいりますので、一部の土地を保留地として生み出しまして、それを事業費の財源に充てるという形をとるわけでございますけれども第三者施行の場合には、事業費を当該施行者が出しますので、結局その事業費見合いのものを得るための保留地となるべき土地施行者がもらうというわけでございますから、区画整理法上保留地がとれるということが許される限り、保留地の範囲内で見返りをいただくということですから、他の地権者の財産権を侵害することにはならないと考えられるわけでございます。  それから組合施行の場合も、本来参加組合員がなければ組合が保留地としてそこを取得して、処分して、事業費財源に充てる。保留地を予定しているところを参加組合員が全部または一部をいただいて、そのかわり負担金を払うという仕組みでございますから、その他の権利者の財産権を侵害することはないというふうに解釈している次第でございます。
  21. 坂上富男

    坂上委員 一応わかりました。  問題は、これは優良宅地供給ということが大きな理由にもなっておるわけでございますが、裏負担といいましょうか、事業者負担というのでございましょうか、これが多過ぎるのではなかろうかということが根本的な理由なんだろうと私は思っておるわけでございます。でありまするから、これが組合員がそう自分の経費を出さなくて推進できるというならば、非常にはかどるのだろうと思うのであります。でありまするから、第三者施行参加組合員制度というのはやや、ちょっとばかり、考え方によってはこそくなんじゃなかろうか。もっと国が負担率を高くさえしてくれればじゃんじゃん進むのだろう、こう実は私は思っておるわけでございまして、どうも第三者施行参加組合員制度によって国が負担するものをできるだけ避けようなどというような考え方があったのでは、これはとんでもないことだろうと私は思っておるわけでございます。  しかも、まかり間違えまして関係のない人が、最初はいい顔をして入ってきて、後はとんでもないオオカミになられたのではこれは大変なことにもなるわけであります。いわばひさしを貸して母屋をとられるという理論にならざるを得ないのではなかろうかということを、私はこの問題で実は大変危惧しているわけです。だから、憲法の問題からも、あらゆる観点からもこの問題は追及されてしかるべき問題だ、こう私は思っているわけでございます。  でありますから、大臣、そのようなことが私はこの問題の中に潜んでいると思っているわけでございますが、結局、土地区画整理の諸君たちに聞いてみると、とにかく国の方で負担をいっぱいしてくれないか、私たちは今説明のような負担部分では本当に大変なんだ、やること自体容易じゃない。容易じゃなかったら、おまえら、第三者に頼めというようなやり方であってはいかぬと私は思っておるわけです。その辺、大臣の御所感をひとつこの程度でお聞きをしておきたいと思います。
  22. 越智伊平

    ○越智国務大臣 決して私権を奪うというふうな考え方ではありません。第三者施行にいたしましても、政府委員から答弁いたしましたように、ノーハウあるいは立ち上がりの資金等々を考慮して、住宅都市整備公団とかあるいは地域公団とか、こういうところあるいはその他優良な業者、こういうことであります。これは知事さんとも十分相談をするように、認可を受けるようにいたしております。決して財産価値を下げるという意味でなしに、先生承知のように、大方の人が区画整理をやりたい、優良な宅地にしたい、こういうふうに思いましても、話がなかなか難しいこともございますし、そういう面でスムーズにいくためにやっておる。  それから、第三者施行の分はそういうことにいたしまして、参加組合員の加入の問題ですが、これは限定をいたしまして、公団とかあるいは公社とか、そういう部類に――間違って難しい人が入って、入るときはうまく言って入って、その後、中でなかなか話が難しいがということになっても大変でございますから、やはりこの区画整理をやるという人は、そこの所有権者、地上権者それから今の優良な法人ですね、法人といいましても公団とか公社とか、こういうところが組合参加してもらって、保留地のところでいろいろ相談をしていく、こういうことで円満に進めようということであります。御心配の向きもあると思いますけれども、決してそういうことにはならないように指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  23. 坂上富男

    坂上委員 時間がありませんのでちょっと急がしていただきます。  総務庁、お見えのようでございますが、「宅地供給に関する行政監察結果報告書」、六十二年九月に発行されておるわけでございます。この中に「宅地開発等指導要綱の行き過ぎ是正」、こういう勧告がなされておるわけであります。御存じのとおり、宅地開発等指導要綱というのは各地万自治体の苦心の作なのですね。いわばめちゃめちゃに業者が宅地開発をして宅地の分譲をする、その結果、何をするかといいますれば、地方自治体が学校をつくらなければならぬ、公園をつくらなければならぬ、こういうような大変なしわ寄せが各地方自治体に参りまして、せつなくなってこの指導要綱というものをつくられまして、この指導要綱が実施できるようなことでなければ開発は許さぬという地万自治体の本当に苦心の作なのですね。本来は国がやるべきことを、地方自治体がそういうようなことによって非常に苦労しながらこの要綱をつくっているわけであります。それを行き過ぎだと言って是正をする勧告が出ているわけであります。  そこで、御存じのとおり、日経でございましたか、この是正勧告が出てから、これはおかしい、こういうふうになっておるわけであります。どうぞ建設省もお聞きをいただきたいのであります。これは、本当に優良宅地供給というような名でもってこうやって乱開発をされた、そのあげくは地方自治体がいわば公共的な施設をつくるのに本当に四苦八苦をしておる。そして、この努力の結晶が私はこの要綱なのだろうと思う。それを勝手に行き過ぎだなどというようなことになることにいささか私はふんまんを感ずるところでございます。確かに、武蔵野市でしたか裁判になって、武蔵野市が負けていることはわかるのですが、これは水道の供給に関する裁判ですから、これはそうとしましても、全体的にこれの是正をしなければならぬということは私はどうしても承服できません。そんなような意味において、どうも建設省もこの是正については賛成だというようなお考えがあるやに聞いているわけでありますが、いかがですか。まず総務庁。
  24. 松田隆利

    松田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、宅地開発等指導要綱は、良好な居住環境の整備、乱開発の防止、それから地万財政負担の軽減というような目的で各地方公共団体において定められております。これが、先生指摘のように、公共公益施設の整備ですとか良好な居住環境の整備を図る上で一定の役割を果たしてきたということは私どもも認めておるところでございます。しかしながら、中には、宅地開発等指導要綱によりまして行き過ぎた行政指導が行われているということでいろいろな御意見がございます。そして、それによりまして宅地開発事業者が過大な負担を抱え、結局宅地供給が先細る、あるいはその結果として、新しい住民が過大な購入額でそれを購入しなければならなくなる、宅地が確保できない、そういうような状況が一方であるわけでございます。そこで、そういうところを背景にいたしまして、政府におきましては総合経済対策等におきまして、やはり行き過ぎた宅地開発等指導要綱の是正はしなければならないだろうということでこれを取り上げまして、全政府的に推進されているところでございます。  建設省それから自治省におかれましても、こういう趣旨を踏まえまして、昭和五十八年八月に、当面明らかに行き過ぎと認められる事項につきましてその改善のための指導方針を通達されております。私どもといたしましては、先生指摘の監察におきまして、その指導がどの程度徹底しているのであろうかということを調査いたしたわけでございます。その調査結果によりますと、その指導通達におきましてやはり行き過ぎだろうと指摘されるようなそういう要綱がかなり見られましたので、建設省及び自治省に対しまして指導をもう少し強化してもらいたいという勧告を申し上げている、そういうことでございます。
  25. 坂上富男

    坂上委員 建設省、いかがですか。簡単でいいです。
  26. 望月薫雄

    ○望月政府委員 行き過ぎ是正についての基本的な構え、今総務庁から御答弁がありましたけれども、私どもも基本的には同じような認識に実は立たしていただいております。  先生おっしゃったように、指導要綱が生まれてきたゆえんあるいはそういったものをつくらざるを得なかった地方団体の実情、こういったことをそれなりによく私ども理解をいたしております。ただ、その結果非常にいわゆる行き過ぎたもの、端的に言うと、技術的に見たときにも細街路を非常に広くとらなければいかぬとか公園の面積も過大にとらなければいかぬとか、あるいは開発に当たっては周辺住民の同意をとってこいとか、言ってしまえば通常我々が考えて合理性があるというものを超えた技術的な内容あるいは手続的な内容、こういったものを含んでいるような指導要綱はやはり行き過ぎのものである。これが結果として、今お話しのように最終需要者である個人に対する宅地価格の高騰ということに結びつく、こういったことを考えますと、我々もやはりこの問題は是正をしていきたいということで、五十八年以来いわゆる行き過ぎ是正ということに努めているところでございます。  くどいようでございますけれども、基本的にこういったものがあること自体を否定するわけじゃございませんが、内容においていささか行き過ぎたもの、非常識なほど強い内容を持っているもの、これについては是正方をお願いしておりますし、今後とも引き続き指導してまいりたい、こんなような構えであります。
  27. 坂上富男

    坂上委員 国が予算をいっぱい落としてくれるならば地方自治体はこんな苦心の作をしてあれすることはないんだろうと思うのですよ。また、市がもうけようと思って、地方自治体がもうけようと思って業者にこういう制限をしているとも考えられないわけだ。いわば乱開発に対する地方自治体のやむを得ない防衛手段がこういう要綱なのだろう、こう私は思っておるわけでございます。  でありまするから、やはり日経新聞でも、これは総務庁あるいは建設省あたりからの、何といいましょうか行政のひずみの部分に当たるので、そしてそのしわ寄せが地方自治体だけに来ているのだ、私はそう思っておるわけでこざいまして、これは是正を勧告しても、資料を見ますとなかなか応じようとしないでしょう。これはやむを得なくやっているからなのだろう、こう思っておるわけです。これはもう一度御再考をいただきたいというふうにも思っております。また、地方自治体とよくお話しになった上で御指導をいただきたいな、こう思っております。  さてそこで、総務庁が来ておられるわけでありますが、総理府も実は来ていただきました。きょうは、総理府の刊行物の広告宣伝について汚職があった、こういうようなことが出ているわけでありますが、簡単にその要領だけ説明してください。
  28. 榊誠

    ○榊説明員 お答えいたします。  本日の報道につきましては、総理府としても率直のところ非常に驚いている状況でございます。マスコミの報道以外のことにつきましては、私どもとして現時点においては全く承知していないものですから、今後の事態の推移と申しますか成り行きについて見守らせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 坂上富男

    坂上委員 もうこれは二月ごろから捜査がやられているのでしょう。こっちは耳に入っているのですよ。きょう、ばんと出てきたわけだ。あなただって知らないと言うわけにいかない。一体広報宣伝の費用はどれぐらいとっているのですか。毎年毎年、倍、倍、倍となっているそうじゃないですか。だものだからこんなような権限を与えてしまって、しかも、政府の広報宣伝を悪用するというとんでもないことが起きてきたわけでございますが、もう一遍、予算の関係から見てどうですか。
  30. 中川良一

    ○中川説明員 お答え申し上げます。  総理府の政府広報関係の予算でありますが、六十三年度予算におきましては総額で百十八億二千七百万円ほど計上いたしております。なお、最近の推移でございますが、五十七年度以降大体前年を若干下回るような傾向で推移をしてきておりまして、六十二年度から六十三年度を比較いたしますと二・三%ほどふえてございますが、その前は毎年二%ないし三%前年度の水準を下回る状況で推移をしてきております。
  31. 坂上富男

    坂上委員 ここに持ってまいりましたのは「TAX」というあなたたちが出しておるものです。これを見てみると、何で二種類同じものを出したのですか。内容はちょっと変わっているのだよ。ちょっとここの一ページだけ変わっている。どういうわけですか、これは。同じものを二度も出したのは。
  32. 中川良一

    ○中川説明員 お答え申し上げます。  ただいま政府にとっての重要課題でございます税制改革につきまして政府としての考え方を国民に理解していただきたいということで、従来からいろいろな方法で広報を行ってきているところでございまして、御指摘のパンフレットもそういう趣旨でなるべくわかりやすいものをつくるということでつくったわけでございますが、最近に至りまして在庫が底をつくと申しますか、現場の方からもう少しつくってほしいという要請もございまして、つくるに当たりまして、時々刻々政府税調におきます審議も推移してきておりますので、なるべく新しい時点の情報に差しかえてつくるということで、今回改めてつくったということでございます。
  33. 坂上富男

    坂上委員 違うところが一ページだけある。「これからの日本にふさわしいのはどんな間接税なのだろうか。いっしょに考えてみようよ。」こう書いてある。これと同じページを見てみると、「いっしょに考えてみたい。これからの日本にふさわしい公平で簡素な新しい消費税。」こう言っている。どっちが正しいのですか、あなたたちの言わんとするところは。こうやって刻々変わっているのかね。
  34. 中川良一

    ○中川説明員 その最初の方につくりましたパンフレットにつきましては、政府の税調がいわゆる素案を示した段階でそれをもとにつくったわけでございまして、その後税調におきまして中間答申が出されたということで、その中間答申の趣旨に沿いましてそれを一番わかりやすい表現で書き改めたということでございまして、基本的に考え方を変えたということではございません。
  35. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと読んでみますが、「日本の、まじめなお父さんの立場から――。」「なんだかいっしょうけんめい働いているお父さんが損してる気がするな。」「どう考えても今の税金はお父さんたちの働きに頼り過ぎてるなあ。」「「やった!課長だ!」と、お父さん大喜び。だけど、ちっとも豊かな感じがしない。なぜかな?」「このままじゃ、お父さんの会社だってタイヘンだ。海外へ逃げ出しそう。」「お父さんや、お父さんの会社の活力を失わせないように、所得税・住民税・法人税の減税を考えよう。」「直接税ばかりに頼ってちゃ、お父さんたちのヤル気はなくなっちゃうゾ!」「間接税も、ちょっと時代おくれ。どうしてゴルフ用品には課税されてテニス用品には課税されないの?」「国際化著しい日本。それなのに、税制が国際化しないのはなぜ?」こういうふうに、結局最後には間接税をやろうじゃないかと書いてある。そしてあげくの果てに汚職されたのじゃ、うちらはたまったものじゃない。これはどう考えているのです。こういうものを悪用して、なった結果が今回の総理府の汚職でしょう。だれか責任ある答弁、総理府として答弁して帰ってください。ひとつどうぞ。
  36. 中川良一

    ○中川説明員 先ほど来の繰り返しになりますが、政府税調におきます素案あるいは中間答申のいわばエキスということをなるべくわかりやすい表現にしようということで、関係の大蔵省あるいは自治省と相談をしながらそのようなものとしてつくったわけでございます。  なお、今回新聞で報道されたことにつきましては、先ほど榊参事官の方からお答えしたとおりでございまして、まだ私どもはその事実関係等について現在コメントする段階にはないということで御容赦いただきたいと存じます。
  37. 坂上富男

    坂上委員 しかも、これは与野党で大変激しい対立のある間接税、消費税と言われるものなんだ。こういうものを宣伝していいか悪いかという問題がある。あげくの果てに使い込まれたのじゃたまったものじゃありませんので、よく官房長官なり総理大臣に申し上げてくださいよ。これはきょうの総理府の行政監察との関係においてもどうも偏りが出てきているのじゃなかろうか。大変心配しております。ひとつきちっと姿勢を正してやっていただかぬと、しばらく政府の宣伝は自粛していただきたい、こう思っておりますから、御苦労さんでございましたが、どうぞお帰りいただいていいです。  さて、最後でありますが、新潟市に鳥屋野潟という非常にどぶ沼があります。その池底が田中金脈の一つだとも言われて今騒ぎになっているわけです。これが今の法案審議の土地区画整理法で何らか解決できないかという動きも数年前からあるわけでございますが、これは建設省は何か御相談に乗っておられますか。
  38. 木内良明

    木内政府委員 鳥屋野潟の整備につきまして、区画整理手法でできないかという検討が地元で行われておることは承知をしております。そういうことの事情は新潟県からお話を聞いております。しかし、区画整理事業で施行するという結論が決まったものではないとお聞きしております。  もしそういうふうなことで区画整理事業をやるという話になりますと、これは多分先生承知の状況から組合施行か何かになろうかと思いますが、そのときには直接の認可権者は知事になるわけでございますけれども、いろいろこういった土地の状況から、低湿地帯が非常に多いというようなことから、区画整理をやるとしますと減歩率をどうするかとか工事費が高くなるとかそういったこともありますし、いろいろな問題があろうかと思います。もしそういうことで県の方である程度の結論に達しまして御相談があれば、私どもも検討してまいりたいと思いますけれども、今のところまだそこまでには至っておりません。
  39. 坂上富男

    坂上委員 最後でございますが、いわば第三者施行制度というものが、今私が指摘したこの問題に非常にやりやすいという形を導入するのじゃなかろうかと思っておりますが、これはいい、悪いは別です。いい、悪いは別ですが、どうですか。
  40. 木内良明

    木内政府委員 これは先ほど申し上げましたように、結論がまだ決まってない段階で申し上げるのは余り適当でないと思いますけれども、今度の改正第三者施行ということとは余り、面積も大変大きいところでございますし、どうかなという感じはいたします。ただ、まだ正確なお話を聞いておりませんので、ちょっと明快なお答えができませんので申しわけございません。(発言する者あり)
  41. 坂上富男

    坂上委員 まだやってもいいよというお話なんでございますけれども、大変あれでございますからもう遠慮させてもらいますが、大臣、鳥屋野潟というのはおわかりだろうと思います。これはもう本当にどぶ沼になりまして、臭気ぷんぷんという状況でございます。しかしながら、この池底というのが田中金脈の一環であるというようなことから地方自治体の方も手を出すのにちゅうちょされておる。今局長が言ったような状況もあったり、こういたしておるわけだ。私はこの改正を見て、第三者施行制度というようなことによって導入されるのかなというような感じもちらっと私の頭の中に実は来ているわけであります。するなとかしろという意見、私は全くないのです。市民の立場からどっちがいいのか、そんなようなことで、ただ田中金脈と言われておるものでございまするから、歴代の知事なり市長なりが手をつけずに今日に実は来たんだろう、こう思っておるわけでございます。そんなような意味からも、この土地区画整理法改正についてどういうふうに利用したらいいのか、ちょっと考えておる。  それから、今言ったように宅地供給、これに名をかりましていわば指導要綱について是正する、こういうことを言われる。しかも、この法律改正というのはいわば優良宅地供給なんだと。しかも一面、指導要綱は行き過ぎである。これはやはり根本的には、私は裏負担の関係が最も大きな問題を解決するのであって、いろいろ皆様方がマイナスシーリング、ことしは何とかプラスアルファになったようでこざいまするけれども、苦悩の象徴なんだろう、こう実は思っておるわけでございまして、今私が全体的な質問を申し上げましたが、ひとつ指導要綱等を中心にいたしまして、建設大臣としての御所感を最後に賜りまして質問を終わらせたい、こう思っております。
  42. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今改正をお願いいたしておりますこの第三者施行とかあるいは組合に加入の問題等々ございますが、お話にございました問題、そのことよりも全国的に、一定の地点を想定して改正案を提出したわけではございません。国全体を考え、優良な宅地を速やかに供給するように有効に土地を利用しよう、こういうことで改正をお願いをいたしておるような次第であります。  それから指導要綱の問題につきましては、やはり一番私どもが基本に考えておりますのは、行き過ぎた指導要綱によって、でき上がった宅地が高くなることを一番心配をいたしております。大きい問題は宅地の値下げということ、特に東京都あるいは三大都市圏、この付近の宅地の値下げ、こういうことを考えておるのであります。そういう観点に立って、行き過ぎをぜひとも是正をしてもらいたい。無理な負担を強いるようなことのないようにしてもらいたい。先生と全く同感なのは、できるだけ公費をたくさん負担しよう、これは私もいつも言っております。できるだけ道路なり公園なり、あるいは担当ではありませんけれども学校なり、とういう当然公費で負担しなければならないものについては公費で負担してやっていこう。要は優良な宅地を安価に供給できる、こういうことで進んでおりますので、ひとつぜひとも御了承をいただき、御協力をいただきたい、かように思う次第であります。
  43. 坂上富男

    坂上委員 どうもありがとうございました。
  44. 中村喜四郎

    中村委員長 木間章君。
  45. 木間章

    ○木間委員 引き続いて土地区画整理法の一部改正案について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  区画整理法の制定以来今日までの流れを振り返ってみますと、従来の区画整理事業は、災害復興なり戦災復興のために進められてきております。ところが、近年の区画整理事業の手法を見ておりますと、今ほど大臣の方からも幾つかの局面でお述べになったんでございますが、公共用地を生み出すためにとかあるいは優良な宅地供給するために、このように受容されておると言っても言い過ぎではないと思いますが、そのように性格が変わってきておるのが特徴であろうと思います。  若干経過をたどって申し上げてみますと、明治五、六年に東京で大火災がありまして、それを受けて東京市は、東京市区改正事業を本格的に取り組んでおります。これが区画整理事業の始まりだろうと私は思っておりますが、大正十二年の関東大震災、これを受けまして震災復興区画整理事業を取り組んでおります。また第二次大戦後は、全国的に戦災に遭ったわけでございますから戦災復興区画整理事業が取り組まれてきたのであります。  これらを要約いたしますと、大規模な災害で破壊された町を復興させよう、こういうことであったと思いますし、また昭和二十九年に本法が制定されたのでありますが、その第一条の目的にもこのことを明記をしております。「土地区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を」図るんだ、こう実は言っております。当時の国会のやりとりを見てみましても、健全な市街地の造成とは何ぞや。災害を防止すること、交通の安全を確保すること、さらに衛生上良好な環境を整備すること、このように実は議論の中でも明らかになっておるところでありまして、文字どおり制定の精神は、このような市街地をつくることによって公共の福祉の増進を図るんだ、こうなっておるのがこの事業の明記すべき特徴であろう、こう私は判断をするものであります。  ところが、近年各地で行われております区画整理事業は、都市災害から国民の生命財産を守るということよりも、街路事業あるいは公園事業などに必要な公共用地を減歩方式で手に入れるという手法、あるいは住宅不足、宅地不足、それらを解消するために優良な宅地供給の手法にしよう、こういうことになっておるのでありまして、私は極めて残念だと言わざるを得ませんし、宅地をつくろうというのも、昨今の政治状況の中で極めて急を要するものでありますが、それらの手法は別の法立て、たくさんの立法がされておりますから、だから、あえてこの区画整理事業法を利用すると言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、ちょっと違うんじゃなかろうか、こう思えてならぬのでありますけれども、建設省のお考えをまずお聞きしたいと思います。大臣のお考えで結構です。
  46. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先生から区画整理の歴史、それから現状について述べられました。その点には全く同感、同感といいましても、その精神には変わりがない、こう思うのであります。優良な宅地と私が言いますのは、やはり環境がいい、環境がいいということは災害に強い、そうして交通事情あるいは周辺のいわゆる環境、そういうものを含めて同じ考え方であります。  戦後、非常に戦災を受けましたから、当時は好むと好まざるとにかかわらず、その地域は区画整理を含めた都市の形成をしなければならなかった、こういう状況であります。ところが、都市によっては焼け残ったところがかえって近代化されない、道路は狭いしその他の環境も非常に悪い、下水もなかなか通らない、こういうところでございました。でございますから、これをよくしようということで進めてきております。  現在では、何回も言っておりますように、非常にその町がよくなっていく、よくなっていくといいますのは、環境がよくなっていく、道路でも、もう以前の道路では通用しない、例えば消防法でいいましても、今建てかえるということになりますと、道が狭いということでなかなか認可にならない、こういう状況がございます。でございますから、やはり区画整理をやっていただいて、減歩、そしてその分は道路とかそういうことに使わせていただく、そして良好な町づくり、良好な宅地づくり、こういうことを進めていこう、こういうことでございまして、決してそのことによって公園をつくりあるいはいろいろの公共用地を出さそう、こういう考えではございません。第一番には、それは確かに、非常に狭い道でありましたら道路面にはいただいております、小公園等にもいただいておりますけれども、街路整備についてはやはり公共の予算で進めていくようにいたしたい、かように思っておりますので、余り大きい負担を強いるということでなしに、その宅地の価値自体は少し減歩してもよくなる、こういうことで進めていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  47. 木間章

    ○木間委員 大臣は、最終的には開発利益の享受みたいな考え方でおっしゃっておられますけれども、私はなぜあえてこのことを持ち出したかと申し上げますと、土地個人所有権を認めておる現状でございますから、そういう中に法律手法で半ば強制的に減歩をさせられる、そういう制度は、たくさん法律制度がありますけれども、この法律だけが特徴的じゃないだろうか、こう考えるからであります。優良な宅地を造成する事業は他にたくさんありますけれども、しかし、個々人に認められた所有宅地を減歩するというのはこれだけだろうと私は思っておりますから、そういう点で、やはり減歩までお願いをして災害から強い町をつくろう、あるいは衛生上環境のいいものをつくろう、そういう立法の精神があるということを私は特に強調したかったからであります。  ですから、たまたま区画整理の延長上宅地造成が伴ってきたとか、あるいは小公園なり緑地帯なり幹線道路がたまたまそこへ通った、これはあくまで附帯的なものでありまして、私は、やはりそれが第一義的にとらえられますと何をか言わんや、こう申し上げたかったからでありまして、今後区画整理事業をお進めになる場合でも、篤とそのことを留意をしていただかないと間違いを起こすもとになるのじゃなかろうか、こう御指摘を申し上げたいのであります。そのように私たちもこれから臨みますし、建設省、大臣におかれてもお願いをしたいと思います。  次に、今全国各地でたくさんの区画整理事業を進めておられるやにお聞きをいたします。おおよそその件数は千五、六百件じゃないだろうか、こう仄聞もしておるわけでありますが、この事業をお進めになる場合に、着工から完了までおおよそどのような年月を要するものだろうか。そしてまた、千五、六百件もありますから、それぞれ地域の状況も違うでありましょうし、その構成も千差万別であろうと思いますから、かなり長期間かかっておるものもあるだろうと推測するわけでありますが、その現況についてお尋ねをしておきたいと思います。
  48. 木内良明

    木内政府委員 先生からも御指摘がございますように、区画整理事業は、地域も異なるし、事情も異なるし、権利者数も異なるし、いろいろ千差万別でございますけれども、そういうバラエティーに富んでおりますから、平均的な数字が何ほどの意味があるかという問題はありますけれども、統計上、調査上可能な範囲ということで、ちょっと平均的な期間を申し述べさせていただきたいと思います。  便宜上施行者別に申しますと、個人施行の場合、これは認可から換地処分まででございますけれども認可から換地処分に至るまでの期間、これが個人、共同の場合は二・二年でございまして約二年、それから、組合施行の場合は約四年になります。それから、公共団体施行が六・九年、約七年でございます。行政庁施行の場合は八年、公団の場合は四・五年でございます。全部平均しますと四・三年ぐらいになります。  ただこれも、先ほど申しましたように、認可から換地処分までの期間でございますから、当然に、現実に区画整理を始めるということになりますと、先生承知のように、認可に至るまで相当いろいろ事前の準備なり調査なり広報なりかかります。そういったものの期間を含めておりません。それを含めますと、またこれにプラス三年とか二年とかいうふうなことが加わるというふうに御理解願いたいと思います。
  49. 木間章

    ○木間委員 局長、もう一つ、長短あるということもお伺いしたのでありますけれども、一番長いものでどの程度かかっておるのか、ちょっと補足をお願いします。
  50. 木内良明

    木内政府委員 お答え漏れがございまして失礼しました。  現在施行期間が一番長いものは戦災復興の事業でございまして、神戸市で約三十年を経過したものがございます。三宮の戦災復興でございまして、昭和三十三年から施行しておりまして、現在なお施行中でございます。
  51. 木間章

    ○木間委員 昭和三十三年からまだ続いておるということでございまして、特にその中身は戦災復興、こういう区画整理事業のようでございます。昭和二十年八月に終戦を迎えまして、それ以降そういった中で呻吟させられておる国民もおるという現実、これらを見ますと、人生の大半を区画整理の渦の中で過ごしておるということに相なりましょうか。となりますと、よそごとではないような気がするわけでありますが、それらの中で、当然のことながら我が国経済も大きな変化、変革を遂げて今日来ております。そういった経済の波にさらされた局面も多々あったろうと思いますし、十分処置はされておるだろうとは思いますけれども、そういったものに対する手当てなりあるいはその事業の今後の見通しなどについて掌握されておればお答えいただきたいと思います。
  52. 木内良明

    木内政府委員 神戸三宮の当該事業が長期化した理由は、先生もう御承知のようなので簡単に申し上げますけれども、戦災復興でございますので、要するに従前地地積の確定作業といいますか、どこからどこまで、どういうふうにだれが持っておるというような作業に非常に長時間を要したということ。それから、過小宅地、私道等の換地不交付があるわけでこざいますけれども、そういうのに長時間を要した。それから、申告されております借地権が千四百五十件に上りましてその整理がおくれたとか、いろいろあるわけでございます。ただ、事業進捗は六十二年度で九九%終わりまして、六十四年度に換地処分を予定して、終わりに近づいておるところでございます。  こういうことがあったわけでございますけれども、戦災復興のような公共団体施行で実施している大きな事業につきましては、先生承知のように、事業費に充てるためにとるような保留地というものは基本的にはとりませんで、したがいまして、保留地減歩というものは基本的にはないということで地権者の負担をできるだけ軽減している。それから、保留地減歩と別に公共減歩もあるわけでございますけれども、これも基本的には大体一五%ぐらいを限度としてやっているということで、両方合わせまして減歩をそんなに多くはとらないという方向でやっております。したがいまして、地方公共団体、またそれに助成する国の助成金というのはその割にはふえてくるということでございますけれども地方公共団体等の持ち出し等でこれまで事業をやってきたというふうな状態でございます。
  53. 木間章

    ○木間委員 人生の大半をそういった渦の中で過ごす、特に人間社会のことでございますからいろいろの利益を伴う場合あるいは弊害を呼ぶ場合がありましょうから、やはり一日も早い完了、完成を期待するものでありますし、そういった点についても十分御配慮をいただきたいと思っております。  今度の改正案の中身を一読いたしますと、そのポイントは、先ほども議論になりましたが、土地の権利も何も持ってないデベロッパーにお金を出させることによって、それと引きかえに第三者施行制度を採用しよう、こういうことでございます。膨大な資金力を持つデベロッパーでありましょうし、またノーハウもすぐれておるものでありましょうし、さらにこの法改正によって知事認可というお墨つきを出すわけでありますから、そういったお墨つきを手にいたしますと、そのデベロッパーはどういう影響力を区画整理事業に持つだろうか、少なからず懸念されるところであります。区画整理事業に対する請負もそこで行うでありましょうし、また保留地の処分でも有利になる、このように私は判断をいたします。つまり換地や清算といった局面でも強大な発言権を持つのじゃなかろうか、しまいには区画整理事業そのものを引き回すのじゃなかろうか、こういう懸念をするものでありますが、そういったものの規制といいますかチェックといった機能が十分に果たせるかどうか、あるいはそのことを皆さんはどのようにお考えになっておるか、このことをお尋ねしておきたいと思います。
  54. 木内良明

    木内政府委員 先生指摘の懸念が全くないとは言い切れないと思います。したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたように、第三者施行の場合は、民間の方も資力信用を持っている人が入る可能性がございますので、区画整理認可に当たりまして、知事資力信用等を十分調査するというふうなことでまず対応したい。それから、事業が始まった以降におきましては、一番重要な換地計画において、施行者は、最初同意をしていただいた方々にさらに同意を求める、同意がなければできないというふうな仕組みがあると同時に、換地計画認可におきまして、知事がきようなことのないようにまたよく指導するということで十分担保し、間違いのないようにしてまいりたいと考えているわけでございます。  参加組合員につきましては、大勢の組合員の中に入ってくる一組合員でございますから知事が一々監督できないという事情もございますので、そういった心配が若干強いわけでございます。そういうこともありまして、今回の改正は、参加組合員につきましては公的法人に限定させていただいた次第でございます。
  55. 木間章

    ○木間委員 善良なデベロッパーであるか悪質なデベロッパーであるか、これはなかなか物差しは見つからぬと思うのですね。先ほどからも言われておりますが、悪質な業者を排除するためにということのようでございますが、デベロッパーですから資力、技術能力をそれぞれ持っておいででしょうし、問題は信用なんですね。この信用は基準が特にわかりにくいものでございますから、例えばこういううわさが流れておるぞ、それを一々取り上げられるかどうか。ですから、悪質業者を排除するための原則というのはなかなか立てにくいと思うのですけれども、そういった点についてどういうお考えを持っておいでるのか。知事認可のときに十分チェックをする、あるいは事業の流れ、節目節目で指摘をする局面もある、こうおっしゃるのでありますけれども、そこら辺をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  56. 木内良明

    木内政府委員 法律規定はございますけれども、それを具体的に認可段階でチェックする方法というのは、例えば資力については経営が安定しているか、必要な資金の調達が可能かというふうなことで、当該法人の財務諸表その他の資産状況を示す書類をチェックするとかいう方法があろうかと思います。  それから信用につきましては、これは金銭的、社会的信用ということでございまして、銀行の融資実績、当該業者あるいは業者の役員等に例えば宅地建物取引業法違反があったかというふうなこと、脱税等のチェック、そういったものをしてまいりたいと考えているわけでございます。  それから、やはり第三者施行でございますから、単にそういうことでなくて技術的に能力がないといけませんので、業者の過去の事業実績、施行能力、それからさらに具体的に申しますと、土地区画整理士の資格を有する者が置いてあるかどうかというふうなことを含めてチェックをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、知事が後からずっとフォローしていく監督その他につきましても、この法律改正していただければ十分それに対応すべく方向を検討して、通達か何かをして遺憾のないように期したいと考えておる次第でございます。
  57. 木間章

    ○木間委員 しつこいようですけれども、チェック機能は極めて難しいのじゃなかろうか、こう思っております。例えば、いろいろの手続をそれぞれ決められたとおりに踏んできてそういう中へ潜り込むということだってあり得るわけでありますから、そういった点で区画整理事業に入り込まないように、あるいはまたそういった悪徳業者にしてやられないように十分御配慮してやっていただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。     〔委員長退席野中(広)委員長代理着席〕  第三者施行参加組合員資金を持って入ってくるわけでありまして、そして従来の土地権利者その他と同じような権限が付与されるわけでありますが、そこで問題になるのは、例えば保留地等の処分をめぐって有利に働く局面が出るのじゃなかろうか、こう思っております。一般的には保留地は公開入札でされるのでしょうけれども、そこの組合員と同等の資格を持っておるだけに、第三者施行者やあるいは参加組合員はそういった皆さんよりも有利に働くのじゃなかろうか。つまりそこに入ることによって極めて条件のいいところを、しかも金額的にも有利に手に入るとなれば莫大な利益をそこで得るのじゃなかろうか、そういう懸念がされるわけであります。そういった思いで入るとなれば、第三者施行のデベロッパーやあるいは参加組合員は、まあ悪質と言い切れるかどうかわかりませんけれどもやはり問題は残るのじゃなかろうか、こうも思えるわけでありますけれども、そういうことに対する懸念をどう解決されるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  58. 木内良明

    木内政府委員 確かに参加組合員負担金を出して入ってくるわけでございますけれども、これは、もし参加組合員がなければ組合が保留地として取得してそれを処分して事業費に充てる、その保留地見合いのものを参加組合員は、言ってみれば土地の予約売買という形でございます、それは予約売買でございますけれども、その土地の評価、要するに保留地のとり方の問題でございますから、例えば参加組合員が、参加組合員が入らない場合より保留地を余計にとるというふうなことになりますと組合の方の方々がその分損をするということになるわけでございますから、換地計画を公平にするという立場から、いわゆる参加組合員が余計もうけようとすれば他の組合員が損をするということになりますから、通常その組合の議決その他においてそういった不利な状態が起こらないと思いますけれども、そういった不公平なことの起こらないように、なおかつ知事換地処分に当たりましてその公平性が確保されているかどうかということをチェックするわけでございますので、先生心配のようなことが起こらないようにすることが可能ではないかと考えている次第でございます。
  59. 木間章

    ○木間委員 参加組合員なり第三者施行のデベロッパーなりに対して組合員全体が監視をしておりますぞ、だからそこでまず第一義的にチェックはできますぞ、こういうことであろうと思います。ということになりますと、第三者施行で入ろうというデベロッパーのメリットは何なのか、あるいは今度の法改正第三者施行あるいは参加組合員がその事業参加するメリットは何なのか、少し疑問になっていくわけであります。  そこで、本来そういったメリットがなければ地権者がみずからそこで従来どおりの手法で行うでありましょうし、あるいは開発業者はその事業を請け負って、そして成長していくということにもなるわけでありますが、積極的に組合員と同等の資格参加をさせようというためには、やはり何かそこにメリットがなきゃならぬわけでありますが、そのメリットをどのように理解されておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  60. 木内良明

    木内政府委員 第三者施行の場合と参加組合員の場合と、第三者施行者になろうとしておる人あるいは参加組合員になろうとする方、ともども同じような動機あるいはメリットがあろうかと思いますけれども、これはいずれも、今住宅をつくる、開発をするにも格好な用地がなかなか手に入らない場合があるというふうなこともございますので、そういった場合に先買いという形あるいは土地の地上げというようなことをとらずに、お金を出すことによってそれの見合いの土地が確保できるというふうな仕組みは、加入する方についてもそれなりのメリットがあろうかと思いますし、また土地所有者と共同でいい都市づくりができるというふうな形でメリットがあると思っている次第でございます。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 木間章

    ○木間委員 いずれにいたしましても、この制度制度化されますと、こういう第三者施行なり参加組合員区画整理事業にどんどんかかわっていかれるわけであります。先ほどから議論にありますように、直接の組合員あるいは知事認可のときに十分チェック機能を果たすから大丈夫なんだということでありましょうが、法律制度をつくって建設省は後はお任せ、知らないよではいかぬと思うので、そういった点で建設省も十分にこれから監督その他を通じてチェックをしていただきたいと思いますが、建設省自身、地方にお任せではないという決意をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  62. 木内良明

    木内政府委員 先生の御指摘あるいは国会の御議論もございますし、当然、そういった懸念は、予想が全くゼロと言われないわけでございますので、そういうことのないように十分通達なり指導を徹底してまいりたい、継続的にフォローしてまいりたいと考えております。
  63. 木間章

    ○木間委員 いま一つ参加組合員制度民間デベロッパーは参加させない、このように説明ではなされております。しかし、法文では住都公団あるいは地方住宅供給公社などで「政令で定める者」、このように表現はされておりますが、そこには民間のデベロッパーも政令の定めぐあいによっては参加できる分野もあろうと判断をするわけでありますが、説明ではそこまで広めませんよ、こういうことでございますけれども、今後ともその姿勢を貫いていかれるのかどうか、建設省の御決意をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  64. 木内良明

    木内政府委員 結論的に先生のおっしゃるとおりでございますけれども法律では両方政令と書いてありますけれども、詳しくは申しませんが、第三者施行の場合の法律の書き方と、それから参加組合員の場合の法律の書き方はちょっと違っております。  それで、第三者施行の場合には資力信用があるその他の者も、政令で定むるものがと、こう出ておりますけれども参加組合員の方は住宅都市整備公団地域公団その他これに類すると言いますからちょっと書き方も違って、要するに参加組合員の方には資力信用のある民間ということを予想してないという書き方になっているつもりでございます。そういうこともありますし、政令ではそういうことの法律の趣旨を生かしてやっていきたいと思います。もしそういうことで将来ともどもいろいろ社会のニーズ等が変革しまして、その必要性が出た場合にはまたお願いすることはあろうかと思います。
  65. 木間章

    ○木間委員 次に、零細権利者、私は勝手に零細権利者という呼称で申し上げるのでありますけれども、借家人なり借間人の権利がこの区画整理法でどのように保護をされておるのか、少しお尋ねをしておきたいと思うのです。  私もこの法律を少しめくって読んでみたところでありますが、土地についてはかなり細かく規定をしておりますけれども、上物についてはわずかしか取り上げておりません。当然土地を整理するわけでありますから、上物についてもあるいは移転をさせたりあるいは全部または一部の取り壊しも伴うわけでありますけれども、この上物に居住されておる借家人あるいは間借り人、こういった人たちの、つまり零細権利者の保護策が十分働いておるだろうか、結果的には追い出すことになるんじゃなかろうか、こういう懸念もするところでありますが、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  66. 木内良明

    木内政府委員 これは間違ったら申しわけないのですけれども、要するに区画整理法の経緯からいたしまして、引き家移転というのがやはり一番頭にあってできたのではないかと私は思うわけでございます。そういうこともございまして、再開発法等に比べまして確かに借家権についての規定が少のうございます。  先生おっしゃいましたようにそういうことでございますけれども、この区画整理法におきましては組合施行公共団体施行の場合には、事業の開始前に事業計画を二週間公衆の縦覧に供さなければならないということになっておりますけれども、この際に借家権者はこの事業計画について意見があるときは意見書を都道府県知事に提出することができるというふうな規定があるわけでございます。これは法律だけ見ますと、ただ意見書を出すだけかという話になってしまうわけでございますけれども、しかし、実際はこういった意見書が出されますと、やはり施行者は、公営住宅への例えば入居のあっせんだとかあるいは貸し主と借り主との合意の形成を図るとか、そういうような運用を加えてやっているのが実態でございます。  それからまた換地計画においても、換地計画認可の申請の前には二週間公衆の縦覧に供されることになっておりまして、この場合でも借家人は換地計画について意見があるときは意見書を施行者に提出ができるということが法律の条文にはありますけれども、こういった際にも、施行者が例えば公営住宅の入居のあっせん等その他のことで合意形成を図る努力をしているというふうなことでございます。  そのほか法律的な規定としましては、借家人の居住していた家屋が区画整理によって除却された場合には、これは当然のことでございますけれども施行者から所定の損失補償を受けることができるとか、さらには区画整理事業の施行により建物が移転された結果、その建築物の利用が妨げられることに至ったために家賃値下げが相当となった場合には、借家人は引き下げを請求できるというふうな規定がございます。  このほか、法律上の規定はそういうところでございますけれども、先ほど申しましたように、例えば事業の実施に当たりましては、施行者は必要に応じて借家人に再開発住宅のあっせん、公営住宅のあっせん等を含めましてできる限りのことをしているわけでございます。  ある一定地区で、借家人の非常に多いようなところがどういうふうな状態になっているかというふうなことを私どもでフォローしたことがございまして、一例でございますけれども、七百六十人借家人がいる中で市等のあっせん、あるいはそういったこともありまして、そのまま地区内に住宅を借家することになった人が七百六十人のうち四百五十人おりますし、また地区内に再開発住宅をつくりまして、それに入居するようになった人が八十五人いる。それから、地区内ではございませんけれども市営住宅に入居することになった人が三十人いるとかいうふうなことで、七百六十人のうちの二百人ぐらいがこれからまた住宅の面倒を見なければいけないということになっておりますけれども、現在施行中の事業でございますが、既にそういった形で、大方の方々は市の御努力あるいは従前の地主さんの御努力でうまくおさまるというふうな努力も重ねている次第でございます。
  67. 木間章

    ○木間委員 零細権利者を問答無用で追い出さないように、しかもそれらの対応については大家さんとたな子との関係だけで逃げられないように、施行者の立場においても十分御配慮をしてやっていただきたいと思っております。  保留地のことで若干お尋ねをしておきたいと思います。  法文の斜め読みで恐縮でございますけれども公共団体施行の場合には市の議決で施行規程が決められるわけでありますが、この施行規程で保留地処分の方法などを定めることとしております。しかし、個人施行組合施行には保留地処分などの定めがないのでございますが、この点を一つお伺いしておきたいと思います。
  68. 木内良明

    木内政府委員 組合施行土地区画整理の場合には、保留地処分の方法は定款で定める事項にはなっておりませんけれども、総会の議決事項ということになっておりますので、組合の総会でそれを決めるというふうになっているわけでございます。地方公共団体等の場合には、地方公共団体の財産処分の規定適用されませんので一応条例という形になりますけれども、保留地をどういうふうに処分するかというふうな規定を新たに置く、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  69. 木間章

    ○木間委員 初歩的な質問で恐縮でございますけれども、保留地は何のために設けるのか、あるいはその保留地をどのようにしようとするのか、明らかにしていただきたいと思います。
  70. 木内良明

    木内政府委員 保留地は、区画整理を行いますと、釈迦に説法で申しわけございませんけれども、当然公共施設整備をする、宅地の造成もしなければいかぬ、公益的な施設も設置しなければいかぬということで事業費がかさむわけでございますけれども、その事業費に充てるために、他の人に売ってそれで事業費をつくる、充てるために設けるということでございます。
  71. 木間章

    ○木間委員 事業費に充てるんだということで、問題は、保留地の評価をいつの時点で行うのかというのが問題になっていこうと思います。いろいろ説明を聞いておりますと、計画の時点で評価をして決めるんだ、つまり事業に着手する前段でもう評価をある程度しておくんだ、こういうことでございます。そういったことになりますと、事業が完成をしてもその評価が異動しないのかどうか、これは極めて重要な中身を持つだろう、こう考えられますので、この評価の時期といいますか、これはどういう形でされるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  72. 木内良明

    木内政府委員 区画整理事業事業費に充てるために保留地をとるわけでございますから、事業計画の中で、まずおおよそこの程度とればこの事業費に見合うという概算的なものは、目安は当然なければいけない、こういうことでございますけれども、これは当初のもくろみでございまして、おおむねのところでいいのでございますけれども先生の申されました、いつの時点でと申しますと、やはり換地設計において一般の換地とあわせまして、と申しますのは、区画整理事業の工業がおおむね概成したくらいの時点で評価して、換地とあわせて一応評価するということでございます。  私、一応と申しましたのは、しかしそこで評価しても、結局その保留地を処分する際にはやはり通常の近傍類地の相場といいますか、時価といいますか、公示価格と申しますか、そういうものとのバランスが当然ございます。現実の処分はそこの換地設計において評価された評価の金額では必ずしもない、もう少し高く売れる、近傍類地を見たとき、例えば高く売れる場合は高く売ることになろうかと思います。そういった場合には予定していたよりは保留地の処分代金が当然ふえるわけでございますので、これは事業に還元しまして、事業計画を変更しましてもう少しいい事業に、さらにいい事業に変えていくということでございますが、いずれにしましても、保留地というのは事業費を生み出す範囲内で売るということでございますので、そういった操作をするということになろうかと思うわけでございます。
  73. 木間章

    ○木間委員 いよいよ保留地の処分ということになるわけであります。今、局長おっしゃったように事業費を賄う性格のものでございますから、処分金額にいたしましても少しでも高い方がいいというのが人情だろうと思うのです。そうなりますと、いよいよ処分をする場合に競争入札、とりわけ一般競争入札がとられてしかるべきじゃないだろうか、こう判断をいたします。ただ、今日の地価高騰の御時世から考えますと、野放しに一般競争入札がいいのかどうか、これも大変議論の分かれるところでございますが、国鉄赤字を埋めるために遊休地の処分を競争入札でやったら連動してその周辺地価が一挙に値上がりをしたという事実もございます。全国各地でこのような区画整理事業が進められ、しかも、保留地が事業の進展と相まって処分をされていくときにやはり地価高騰を招いちゃこれまたいかぬわけであります。だから、そこら辺の兼ね合いというのは極めて微妙だと思いますけれども、今の現状でどのような方法で処分をされておるのか、またそれに対して建設省はどのような指導をされておるのか、伺っておきたいと思います。
  74. 木内良明

    木内政府委員 保留地処分につきましてはさような問題があろうかと思いますので、公共団体施行あるいは組合施行区画整理につきましては、近傍類地の地価等を参考にした適正な価格で処分しろというふうな指導をしているわけでございます。処分の方法としましては、公開の抽せん方式をとっているのが一般でございます。
  75. 木間章

    ○木間委員 以上で終わるわけでありますけれども、最後に御要望申し上げておきます。  今度の一部改正で、膨大な資金力を持ったデベロッパーがいよいよ組合員と同じような権利を持たせて参加をするわけであります。その中に、先ほどからも申し上げておりますが、悪徳業者がはびこらないように二重、三重のチェックが必要だろうと思いますし、ましてや、区画整理事業そのものを引き回すようなことは断じてあってはならないと思いますし、そういった点で知事などとも十分連携をとっていただいて、建設省においても十分管理監督をしていただくように要望いたしまして、質疑を終わらしていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  76. 中村喜四郎

    中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  77. 中村喜四郎

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。矢追秀彦君。     〔委員長退席野中(広)委員長代理着席
  78. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今回の改正案の土地区画整理につきまして質問をいたします。  まず初めに、全面買収方式の宅地開発は地価上昇のない安定成長期には成立しにくいのに対しまして、この土地区画整理事業は、一つには土地の買収を必要としない、二つには住民の増加とともに都市施設を順次整備していく時間をかけた町づくりである、こういった理由から、安定成長期でも成立する可能性が大きい手法であると私は思っておりますが、この私の考えといいますか土地区画整理事業に対する認識はこう考えてよろしいですか。この点いかがですか。
  79. 木内良明

    木内政府委員 先生指摘のように、区画整理事業は原則として用地買収を必要としないために、地価の高騰などといった経済変動を比較的受けにくい事業ではないかと思うわけでございます。事実、過去長い間事業が行われてまいりましたけれども、施行量あるいはその完工高と申しますか、それが地価の影響でそんなに上下しているということは実態としても余りございませんで、コンスタントに伸びてきているということから見ましても、おっしゃるとおりではないかと思います。  それから同時に、区画整理事業はいわゆる素地を買収することを要しない事業であるために、素地の買いあさりというか買収による素地価格の上昇、いわゆる地価の上昇を引き起こすというおそれも少ない事業ではないかと考えている次第でございます。     〔野中(広)委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 矢追秀彦

    ○矢追委員 地元大阪のことで恐縮でございますが、現在各所において行われておりますが、主なものを申し上げますので、現在までの進捗状況、今後の見通し、また予算面等含めまして御報告をいただきたいと思います。  一つは、難波地区それから長吉瓜破地区、東淀川東部第一地区、茨田北地区、三国駅周辺地区、西梅田地区、この辺が大きいものでございますので、その辺に限ってで結構でございますから、お願いしたいと思います。
  81. 木内良明

    木内政府委員 現在大阪市において御指摘の七地区におきまして土地区画整理事業が実施されておるわけでございまして、昭和六十二年度末における事業費で見た進捗率は、新大阪駅周辺地区が九九%で、もうほとんど終わりでございます。難波地区が八九%、それから長吉瓜破地区が五四%でちょうど半ば過ぎぐらいの感じでございます。東淀川東部第一地区が四五%、茨田北地区が二二%、三国駅周辺地区が一%、西梅田地区が五一%になっております。三国駅、茨田北地区等がこれから最盛期を迎えるという状況でございます。
  82. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この中で、長吉瓜破地区でございますが、今言われたように事業半ばということでございますが、当初は昭和五十二年八月十八日から六十二年三月三十一日、こういうことであったと聞いておりますが、現在半ばということは、今後これが完成するまでには相当の時間がかかるのではないかと考えられます。このおくれといいますか、もちろん途中で事業等の変更があったかと思いますけれども、大体見通しとしていつごろになるのか、またそれを完成させるためのネックといいますか、何がおくれておる原因なのか、その点いかがですか。
  83. 木内良明

    木内政府委員 ただいまのところ六十六年までが施行期間となっております。おくれの原因等につきましてはちょっと調べておりませんので、後ほど答弁させていただきたいと思います。
  84. 矢追秀彦

    ○矢追委員 いろいろとあると思いますが、例えばこの辺は古いところでございますから埋蔵文化財もたくさん出てきておりまして、旧石器時代のものあるいは縄文時代のもの等が出てきておりますし、古墳も多数出てきておるような状況でございまして、古いところは道路にしても何にしても埋蔵文化財というものが一つのおくれの原因になるわけです。だからといって、これを全部破壊してしまうということはやはりまずいわけで、きちんとしなければなりませんけれども、相当こういったものがいろいろな面でおくれになっておりますが、この埋蔵文化財対策というのはもう少し人手をふやすこと等ができないのかどうか、学者の数に限りはあると思いますけれども、これに対して建設省としてはどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
  85. 木内良明

    木内政府委員 これは区画整理だけでなくて全般の問題で言えるかと思いますけれども、お答えにはちょっとなってないかもしれませんけれども区画整理につきましては埋蔵文化財の調査費に補助金は出しております。一般的に埋蔵文化財の調査を早めるということになりますと、先生指摘のように、例えば都道府県あたりで調査人数をふやすとかいうことが長期的に必要ではないかと考える次第でございます。
  86. 矢追秀彦

    ○矢追委員 埋蔵文化財となると文部省あるいは文化庁ということになろうかと思いますので深くはやりませんが、ぜひ区画整理を、今言われたように六十六年ということでございますが、それでも当初より四年おくれる、またそれが果たしてきちんとできるかどうかはまだわからぬわけでございますので、促進をお願いしたい。  それにつきまして国費をふやしてほしいという要望が非常に強いわけでございますが、この点について、一時公共事業が大変抑えられた時期がございましたし、今は少しふえておる状況ですが、今後の日本の財政を展望した場合になかなか厳しいものがあろうかと思いますが、これに対する国の補助率をどうするか、あるいは国費をどうふやしていくか、この点についてはいかがですか。
  87. 木内良明

    木内政府委員 区画整理の補助、確かにいい事業でございますので、できるだけ補助できるものはしたいという方向で毎年補助対象の拡大等の要望要請等に努めておるわけでございますけれども先生承知のように最近の財政事情は大変厳しいものがございますので、新しい補助金あるいは上乗せの補助金というのはなかなかつけていただけない状態にあるわけでございます。そこへさらに、従来三分の二の補助金でございましたけれども、補助金の一括引き下げで現在〇・五二五の補助というふうになっております。私どもとしましては早期に従来どおりの補助率に戻していただきたいという考えを持っている次第でございます。
  88. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、本法案では第三者施行制度及び参加組合員制度創設することになったわけでございますが、宅地供給の促進にどのような効果があると考えておられますか。
  89. 木内良明

    木内政府委員 区画整理全体の中で個人施行の占める割合というのは、施行箇所で一割ちょっとでございますけれども、施行面積では一割弱でございます。そういうふうなことから、例えば第三者施行制度を導入してこれで飛躍的にというわけにはいかないと思いますけれども、新市街地で実施されることが個人施行の場合多いわけでございますので、ことに公民のデベロッパーのノーハウ資金力を導入しましてこれをふやしていくことによりまして、相当の効果は期待しているところでございます。  それから、参加組合員につきましても、やはり組合施行の場合は宅地供給向きの区画整理が多いわけでございますので、ここにも住宅公団等の公的なものを参加させまして、その事業の促進を図るとともに、事業によってもたらされる宅地でございますけれども、それをできるだけ早目に市街化するための一つの先導役というふうなことにしてまいりたいと思っておるわけでございます。  量的にどのくらいということはなかなか推定が難しい問題でございますけれども、両方の制度相まって、できるだけ良好な新しい宅地供給を促進してまいりたいと考えている次第でございます。
  90. 矢追秀彦

    ○矢追委員 過去のデータを見ましても余りふえていない。昭和五十年から六十一年度までのグラフを手元にいただいておるわけですけれども、このところずっとふえていないわけです。また、宅地供給全体が減っておるわけですけれども、その中で同じということは、ちょっとパーセンテージからはふえているということになろうかと思いますけれども、ほとんどこの区画整理では五十五年度からずっと横ばいできて、六十年度、六十一年度と少しまた減っておる、こんな状況でございますが、こういった経緯はどういうふうなことであるのか。飛躍的にはふえないにせよ、今後やはりふやしていかなければならぬわけでございますから、この過去の経緯をどういうふうに見ておられるのか、今後どうふやしていこうとされておるのか、その点いかがですか。
  91. 木内良明

    木内政府委員 先生ただいま御指摘ございましたように、かなり長期で二十年ぐらいとってみますと、確かに、徐々にではございますけれども区画整理の全体の施行面積はふえている傾向にはございますけれども、五十五年ぐらいからずっと見ますと、施行面積でも大体横ばいの感じをとっておるわけでございます。  宅地供給は、先生指摘のように、区画整理事業のものの比率は相対的には上がっているとおっしゃっていただきましたけれども区画整理事業でない宅地開発事業がかなりの落ち込みを見せているわけでございまして、したがいまして、供給シェアで見ますとシェアは高まっている。六十一年度で見ますと、完工高で、ミディアムグロスで一万四百ヘクタールの宅地供給の中で区画整理から三千八百ヘクタール出ているということでございます。かつては、五十年は、例えば全体が一万六千三百ヘクタールの中で四千百ヘクタールが区画整理からということで、シェアは高まっております。全体の落ち込みの中では健闘しているというのは言い過ぎかもしれませんけれども、やっているわけでございまして、いわゆる宅地供給が、大規模の宅地開発が適地がだんだん少なくなったというふうなこと、あるいは宅地供給に対するィンフラ等の整備コストが非常に高くつくというふうなことから、全体としてなかなかできなくなってきている。したがいまして、そういった中で、先ほど最初先生が御質問の、地価とかいろいろそういう面で比較的影響を受けにくい区画整理というもののウエートは高まっているのだと思います。これからもできるだけ、シェアが高まるだけではなくて事業全体を伸ばしていきたいと考えているわけでございまして、その一環でございますけれども、今回の改正もお役に立つのではないかと考えてお願いしている次第でございます。
  92. 矢追秀彦

    ○矢追委員 第三者施行制度につきまして、土地区画整理事業を施行するため必要な資力信用及び技術的能力を有する第三者、このようになっております。第三者というのは住宅都市整備公団も入っておると思いますが、どのようなものが予定されておるのかどうか、そして、余り悪質な業者が来てもらうと困るわけでございますので、そういった第三者を決める場合はどういうチェックがされていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
  93. 木内良明

    木内政府委員 第三者施行の場合の第三者でございますけれどもお話がございましたように、「住宅都市整備公団地域振興整備公団地方住宅供給公社その他土地区画整理事業を施行するため必要な資力信用及び技術的能力を有する者で政令で定めるもの」と書いてございます。  「政令で定めるもの」とは、そういった法律の趣旨を生かして政令を考えますと、まず第一に公益法人が考えられるかと思います。それから、地方公共団体の出資または拠出に係る法人、それから、宅地の造成及び賃貸または譲渡を行うことを主たる目的の一つとしている法人というふうなことを政令に書く予定をしてございます。
  94. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最後に言いました、悪質な業者をどうやってチェックをするか、その点はいかがですか。
  95. 木内良明

    木内政府委員 どうも失礼申し上げました。  これは第三者施行の場合に、地主あるいは借地権者全員同意でございまして、全員同意でございますと同時に、全員同意を得て、それで知事認可を得るわけでございますので、知事認可をする際に、先ほど申しました資力信用技術的能力を十分持っているかどうかというふうなことを十分チェックした上で認可するということで選別してまいりたいと考えている次第でございます。
  96. 矢追秀彦

    ○矢追委員 悪徳業者といっても、何が悪で何が善かということはなかなか難しいと思いますが、特に、技術能力となりますと相当のきちんとしたところとなると思いますので、ある程度は線が引けるんじゃないかと思うのです。今のお話だけだと、知事認可するのだから、その辺でチェックされて大丈夫だということですけれども、そう簡単にもいかぬのじゃないかと思うわけでございまして、そういう意味では、もう少し何かある程度の目安みたいなものが必要かと思うのですが、いかがですか。
  97. 木内良明

    木内政府委員 これから、施行に伴ってどういうものをチェックをしたらいいかという点も通達で御指導してまいりたいと思いますけれども資力信用というのは、それは財務諸表とかいろいろ銀行関係のものとか、そういうふうなことで調べたいと思いますし、そのほか、特に不動産業者である場合は業法関係の違反が過去にあったかどうかとか、そういった点、内容に立ち入ってチェックできるような体制をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  98. 矢追秀彦

    ○矢追委員 それは、政令で決められて都道府県には通達として出されるわけですか。
  99. 木内良明

    木内政府委員 失礼しました。  政令で決めるのは、例えば公益法人とか地方公共団体の出資を受けた者とかという項目で決めるわけでございますけれども、そのほか、あるいは民間の優良な技術的能力を有する者というふうに決めますけれども、それを判定する知事の判断基準、これは統一的でなければいかぬし慎重でなければいかぬということで、そういったものについては通達で、こういった面をチェックしてほしい、というふうにするようにという形で指導してまいりたいと考えている次第でございます。
  100. 矢追秀彦

    ○矢追委員 やはりその点はぜひ厳格にやっていただきたいと思います。せっかく大事な土地をするわけでございますので、お願いしたいと思います。  次に、第三者施行制度を導入して土地区画整理事業を積極的に推進していくことは大変結構なことでございますが、そのための金融、財政等による助成措置の拡充が必要だと思いますが、この改正案ではこの点はどうなっておるのか。それで十分なのかどうか、その点も含めてお伺いをしたいと思います。
  101. 木内良明

    木内政府委員 今回の改正に絡めましては、金融、税制面の助成措置を改めて創設はしておりません。  しかし、現在個人施行土地区画整理事業に係る金融、税制上の措置としましては、金融面では住宅金融公庫の、例えば一定の要件、原則として五ヘクタール以上等の要件を満たすものにつきましては事業個人施行者に対する土地造成費の融資というふうなものがございますし、また税制面では個人施行者に対しまして土地等を譲渡した者に対します譲渡所得の千五百万円の特別控除がございます。それで、第三者施行による土地区画整理事業についてもこういった措置の適用の対象となるものと考えております。  なお、本制度創設によりまして個人施行による事業の一層の推進が望まれるということから、これらの制度の拡充等につきましては今後も検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  102. 矢追秀彦

    ○矢追委員 本法案では都市再開発法と同様に参加組合員制度創設することになっておりますが、この制度創設によりまして新たにどの程度この土地区画整理事業が行われるようになる。このように見込んでおられるのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  103. 木内良明

    木内政府委員 参加組合員制度創設に当たりましては各方面の意見を聞き、例えば地方公共団体は、資金力に欠けたり土地処理のリスクに不安を持つ地権者から組合の設立方策について数多くの相談を受けているというふうな情報を得ております。また、住宅都市整備公団からは本制度を積極的に活用したいという意向も伺っているところでございます。  そういうことで、本制度創設すれば相当程度事業が新たに行われることになると考えられますけれども、これは先ほどの先生の質問にもございましたけれども、端的に何カ所、何へクタールというのはなかなか推定が難しい問題でございます。ただ、私どもが、地方公共団体資金力とかノーハウ不足のために事業化に至らなかった地区というのは、地方公共団体から聞きますと二百地区ぐらい具体にあるわけでございます。  そういうことで、ノーハウ資金力が不足で事業化に至らなかった地区が二百地区ぐらいあるということも事実でございますので、そのうち、地権者同意等が当然必要でございますから全部が動き出すとはとても思われませんけれども、例えば、例えばの話で恐縮でございますけれども、四百地区のうち四分の一ぐらいもし動き出す、百地区ぐらい動き出すと仮定いたしますと、現在年間行われている組合施行の一割程度ぐらい、これは目安として聞いていただきたいと思いますけれども、一割ぐらいは確かにふえるのではないかというような感じがいたします。以上、大ざっぱな推計で申しわけございません。
  104. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この参加組合員制度参加組合員として住宅都市整備公団などの公的機関を対象とされておりますが、この理由は、今言われたような資金力、ノーハウ、そういったものと考えてよろしゅうございますか。また、参加組合員のメリット、これはどういうところにあるか、その点いかがですか。
  105. 木内良明

    木内政府委員 御質問の前段については全くそのとおりでございます。  それから、参加組合員のメリットは住宅都市整備公団も意向を示しておりますように、また地域公団等からも意向がありますように、ある程度の具体の地域を頭に置きましても、そういうところでぜひ参加組合員として事業をすることによって、それぞれの、例えば住宅都市整備公団だと住宅都市整備公団公団住宅を建てる用地が格好の位置に確保されるというふうなことがございまして、こういう制度は役に立つのでお願いしたいというふうな事情をお伺いしているわけでございます。
  106. 矢追秀彦

    ○矢追委員 組合による事業資金の借り入れまた保留地予定地購入者の資金借り入れにつきまして債務保証制度をつくってはどうか、そういう声も聞こえてきておるわけでございますが、この点についてどうお考えになっておりますか。できたら大臣、局長でも結構です。
  107. 越智伊平

    ○越智国務大臣 区画整理の場合に、資金、大変なのであります。お説のとおりであります。特に組合施行の場合には組合理事等が自分土地を担保に入れて資金を借り入れる、こういう方法が一般的にとられております。でございますから、今のノーハウやあるいは資金量のある者を一緒にやるということの制度であります。  今お尋ねの資金の問題につきましては、保留地といいましても登記の問題等もありますし担保力が非常に弱い。でございますから金融機関から金が借りられない、こういう状況であります。その点については先生お説のとおりでありますが、これはいろいろ問題ございますので今研究をさせております。昨年度からどうすればいいかということで研究しておりますので、研究を待って、担保を含めて金融措置、これを考えていきたい、かように思っておる次第であります。
  108. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、宅地共有化制度によりまして共有化された宅地換地処分後どのように活用されるのが望ましいと考えておられますか。また、そのようにするための具体的な誘導策というのはあるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。
  109. 木内良明

    木内政府委員 今度の共有化制度は一般的な共有化ではございませんで、先生の御承知のとおり公共団体施行区画整理が行われる、その場合に公共団体施行区画整理はかなり市街化の進んでいるところで行われることもございます。そうしますと、既に、宅地の所有区画がかなり小さい、三十坪とか二十坪とか持っている方もおられるし、また区画整理の公共減歩等もどうしてもやらなければいけませんので、減歩等でさらに小さくなると過小な宅地が出てくる。そういった場合に現在どういう手当てをしているかと申しますと、過小宅地対策として一つは増し換地というふうなことで、少し大きな土地所有者のものをちょっといただいてきまして、それで小さな土地所有者の方へ、これ了解要るわけでございますけれども大きくしてやるとか、あるいは保留地を横にとって過小宅地をふやすとか、それからどうしてもそういうことでも地区内に残れない場合は土地を売っていただいて地区外に出てもらうとか、そういう対策をとって非常に苦労されて地方公共団体やっているわけでございます。  そういう場合に、過小宅地対策のメニューの一つとしまして共有化、小さいのが例えば二つ並んでいる場合に共有化という道を開けば地区外に出なくても済む場合が出てくるんじゃないかということも考えまして、共有化制度というのを導入してきたわけでございます。しかし、共有化制度を導入すれば、先生指摘のように、それは区画の適正化を行うわけですから、それは共同で建物を建てるとか、そういったことでできるだけ小さな土地もあわせて利用することによって土地の高度利用が図れるような配慮が当然必要だし、そのために今制度考えているわけでございますから、そういうことを大いに期待しているわけでございます。  そういった場合に、今現在政府としてこの支援措置というのは住宅金融公庫の融資が、中高層の建物――ここも中高層までいくかどうかわかりませんけれども、そういったことがございまして、建設、購入資金の貸し付けがある程度でございまして、完全にそれをそのものずばりで応援する仕組みはございません。しかし、これからそういったケースについてどういう応援ができるのかどうか、今後とも考えてまいりたいと思っている次第でございます。
  110. 矢追秀彦

    ○矢追委員 土地区画整理事業は減歩という形で地権者の費用負担で行われる事業でありますから、宅地開発指導要綱を適用せずに、土地区画整理法での整備水準で都市施設を整備するよう地方自治体に周知徹底をすべきである、こういうふうな声があるわけでございますけれども、この点についてはどうお考えになっておりますか。
  111. 木内良明

    木内政府委員 宅地開発指導要綱につきましては午前中も議論が行われましたのですけれども、やはり地方公共団体サイドから見ますと、急激な都市化、公共施設の良好な開発を誘導するための、ある意味の自衛手段的なところもありますし、それから最小限の環境を保全するための必要性も確かにあろうかと思います。  しかし一方、これが余り厳し過ぎた場合には、宅地開発者、これが公共の場合でも民間の場合でも同じだと思いますけれども、過剰な負担をかけて有効宅地率が低下するという問題も出てまいる。ですから、その辺の行き過ぎということについては、これは是正を建設省としてもやっているわけでございます。  区画整理の場合でございますけれども区画整理はある程度みずからの負担において良好な市街地を造成するための公共施設整備等も行いますし、その一部は補助金等でも出ますけれども、相当部分を自分の負担でそういったものをつくっていくという事業でございますから、特に過大な開発指導要綱をその上にかぶせていただくのは私たちとしては余り望ましくないと考えておるわけでございますけれども、他の開発事業区画整理事業をまた別個に扱うということもなかなか地方公共団体サイドでは難しい問題があろうかと思って統一的に運用がなされているのではないかと思います。いずれにしましても、行き過ぎというのはやはり是正していただくよう、地方公共団体の理解を得てまいりたいと考えている次第でございます。
  112. 矢追秀彦

    ○矢追委員 今言われております行き過ぎ是正のために建設省が関係自治体に通達を出したということを聞いておるわけでございますが、その後この指導要綱の是正を行った自治体はどれぐらいあるのか、それがまたどうやって宅地開発に生かされ改善をされてきたか、その点がわかりましたらお答えいただきたいと思います。
  113. 望月薫雄

    ○望月政府委員 行き過ぎた指導要綱の是正につきましては、基本的には今都市局長から答弁申し上げたような取り組みをさせていただいております。  そういった中で、具体的に昭和五十八年の八月以降、私ども建設省としましても行き過ぎ是正ということについてはいろいろと関係公共団体に指導申し上げ、いろいろと御協力を賜っておるわけでございますが、六十二年の四月現在の数字で申し上げますと、指導要綱を制定している市町村が千百九十九ございます。要綱数で千三百六十四、こういう状態になっておりますが、このうち四百三十四の市町村、要綱数で四百七十四の要綱において是正がなされております。  その是正の具体的な内容としましては、道路あるいは洪水調整池等公共施設の確保に関する部分で大分改善が進んでいる。具体的に申しますならば、道路の幅員を六メートルを超えるような区画街路を求めていたというものを是正していただいたとか、あるいは洪水調整池多目的利用、これを認めるという方向に改善されたものなどが象徴的に見られるところでございます。  ところが一方で周辺住民との調整、具体的に言うと、住民の同意をとっていらっしゃいというふうな内容のものとか、小中学校の学校用地の無償提供、こういったことについてはまだ余り改善が進んでいないという現状にあります。  私どもこういった実態を踏まえまして、最近では個別具体の市町村の要綱について、必要に応じて相談室を持って相談に応ずる、要請をするというようなことも含めていろいろと改善措置をお願い申し上げている次第でございます。あわせて技術的な側面についても指針等を示しまして、さらに一層の適正化ということについての御配慮をお願いしているところでございます。
  114. 矢追秀彦

    ○矢追委員 土地区画整理事業を促進するために、土地区画整理事業権利者として参加する民間開発業者に先行的に土地を譲渡した場合の特別控除制度を設けてはどうか、そういう声もあるわけでございますが、その点についてはいかがお考えですか。
  115. 木内良明

    木内政府委員 御指摘ケースにつきましては、現在既に、主として住宅建設の用に供する目的で行われる場合に限定されますけれども住宅の建設のため、一ヘクタール以上の一団の宅地造成に関する事業であることというような要件を満たす場合に、個人または組合施行区画整理事業のために土地を譲渡した者に対しまして千五百万円の特別控除制度が認められております。これは先生承知のように、特別控除、収用からずっと体系をなして三千万円からずっとあるわけでございますけれども、千五百万円というふうなもの、あるいは三千万円の頭の方から、地価の上昇もこれありまして特別控除の拡充というのは要望が強いわけでございまして、そういった方向で私どももいろいろ検討しているわけでございますけれども、現在は据え置きになっている次第でございます。  したがいまして、こういった特別控除のさらに拡充については、他の並びも配慮しながら、私どもも引き続き検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  116. 矢追秀彦

    ○矢追委員 民間開発業者が業務代行方式により取得した土地区画整理事業の保留地を優良宅地の認定の対象としてはどうか。そうすれば土地譲渡益重課税の対象外になって、消費者にそれだけ割安で土地供給されることになると思いますが、その点についてはいかがお考えですか。
  117. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お話土地譲渡益重課税制度、これは先生も御案内のとおり、法人による投機的な土地取引を抑制しようという目的で設けられたものであるわけでございます。したがって、造成済みの用地に何ら付加価値を加えることなく譲渡する、こういう場合には重課の対象になるというわけでございます。  そこで、今のお話の業務代行の件でございますけれども、業務代行を行う者として一般的に考えられますのは、デベロッパー、建設会社あるいはまたコンサルタントの会社、こういったところが一般的に考えられるわけでございますけれども、このうち大部分を占めるであろうと思われますのは、デベロッパーあるいは建設会社によりますいわゆる業務代行であろうかと思います。こういった場合には造成工事を行うことになるわけでございまして、その工事の対価として土地を取得したという場合には、租特法の関連通達によりましていわゆる優良宅地認定の対象となり法人重課の適用除外とされているということは、現状でもそういう制度ができているわけでございます。ただ、おっしゃったように、この重課制度適用除外を本当に的確に運用するということのために、私ども、この問題は決して軽くないと認識しておる次第でございまして、今後とも引き続き関係の方面に十分周知徹底の指導をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  118. 矢追秀彦

    ○矢追委員 さっきもちょっとお触れになりましたけれども、この特定土地区画整理事業のために土地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除額を大幅に引き上げるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
  119. 木内良明

    木内政府委員 この特定土地区画整理事業という名称でございますけれども先生のお尋ねの趣旨から申しまして租税特別措置法の特定土地区画整理事業かと思われますのでそれでお答えさせていただきますと、これは国とか地方公共団体公団等が実施する土地区画整理事業におきまして、施行者土地を譲渡した場合の譲渡所得税でございます。その場合の特別控除は、昭和四十四年に制度創設されまして、創設時には六百万円の控除でございましたけれども、五十年度に特別控除額が引き上げられまして一千万円、さらに二千万円というところになっております。先ほど申しましたように、この特別控除につきましては引き上げていただきたいという要望もございますけれども、全体とのバランスがございますので、そういうものをとりながらさらに検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  120. 矢追秀彦

    ○矢追委員 土地区画整理事業の施行地区における宅地市街化の状況は現在どうなっておりますか。  それから、この区画整理事業には国、地方公共団体事業費の一部を負担しているのでありますから、区画整理事業の完了した土地市街化を促進するため保有課税を重課したりあるいは住宅の建設義務を課すべきである、こういう意見もありますが、この意見に対してどうお考えになっておりますか。特に、政府はこの市街化の促進のために今後どのような具体策を講じていかれるのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  121. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今のお話の中で、税制あるいは税を軽減する方はいいのですけれども宅地を、給するために余り税を大きく負担さすということになりますと、もとからの区画整理事業そのものを同意しない、こういうことが起こりますので、いろいろ研究はしてみたいと思います。  これは宅地供給も非常に大事でございますけれども、現在の都市環境をよくする、こういう意味も含めておりますので、やはり現在の宅地そのものもよくしていく、また、宅地供給も非常に大事な点でありますけれども、これを余り強く打ち出しますとかえって初めから区画整理同意をしてもらえないということになりますので、そこらのことと両々相まって、ひとつ環境のいい優良宅地宅地といいますのは、現在の宅地もよくするし、さらに供給の面にも協力をしてもらおう、こういう趣旨でありますので御了解をいただきたい、かように思う次第であります。
  122. 木内良明

    木内政府委員 大臣の御答弁の補足で申しわけございませんけれども先生、現在どのくらい存在するかという御質問ございましたので、私の方から答弁させてもらいたいと思います。  区画整理済み地の現状がどうかというので、私どもは三年ないし四年に一回くらい調べておりますけれども、最近の六十二年十一月現在で、区画整理は終わったのでございますが、まだ要するに住宅等が建っていないのがどのくらいあるかと申しますと、面積で二万二千百九十一ヘクタールございます。これは区域内宅地面積が七万五千百五十九ヘクタールありますので、二九・五%がこの時点で区画整理は終わって宅地ができていますけれども、家が建ってないのがそれだけあるということでございます。首都圏では、二万二千に当たるのが五千八百三十二ヘクタールでございます。     〔委員長退席、東家委員長代理着席〕  それで、前回の調査に比べますと、前回は未利用地の面積が区域内宅地面積に占める比率は三五・五%あったわけでございますけれども、今回は二九・五%と若干ビルドアップが前進した形をとっております。ただ、二万二千ヘクタールというのは相当な量でございますので、大臣申し上げましたように、これからこれをどういうふうに早く市街化するかということは常に大きな課題でございまして、これまで私どもいろいろやってまいりましたけれども、なお一層努力してまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、先ほど、御答弁は後ほどということで失礼申し上げましたけれども、長吉瓜破地区につきましては六十一年度に六十六年までに、それまでは六十二年度終了の予定でしたのを四年延長しまして、六十六年に変更させてもらっている次第でございます。  それから、先生指摘のように、多数の文化財が地区内に埋蔵されていたため、当初その発掘調査に相当手間取ったわけでございまして、これが最大のおくれの理由でございまして、現在、事業は順調に進んでおりまして、今後については進捗はさほど問題はなかろうというふうに伺っております。
  123. 矢追秀彦

    ○矢追委員 土地区画整理法第八十九条には、「換地計画において換地を定める場合においては、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならない。」このようにございますが、この土地区画整理制度というのは、土地収用法のように土地を買い取ってしまうのではなくて、換地で持っていた土地対応する別の土地を与えるので、減歩は受けるもののそこに残ることができるわけでありまして、その場合、前から持っていた土地に類似した土地、前の土地の状況に照応した土地を与えるのが換地の原則である、これを照応の原則、このように言うわけでございまして、それがこの八十九条のポイントではなかろうかと思っておりますが、その点について間違いないのかどうか、確認をしたいと思います。
  124. 木内良明

    木内政府委員 先生のおっしゃるとおり、照応の原則は、区画整理換地計画において換地を定める場合における根本原則だと思います。そういう意味で、土地区画整理法の中でも非常に重要なポイントだと認識しております。
  125. 矢追秀彦

    ○矢追委員 本法案では参加組合員制度創設することになっております。すなわち、土地区画整理前にその地域の土地を持っていないデベロッパーに金を出させるのと引きかえに換地または保留地を与えるものでありますが、この従前地のない者もお金さえ出せば換地等を得るということは八十九条の照応の原則を否定したことにつながらないかどうか、その点、この問題はどうハードルを越えておられるのか、クリアされておられるのか、お伺いしたいと思います。
  126. 木内良明

    木内政府委員 先ほど御説明させていただきましたように、区画整理換地において、照応の原則というのは基本的な重要なポイントだと心得ておるわけでございますけれども先生承知のように区画整理事業におきましても、例えば道路等の公共施設用地、こういうのは新しく生み出さなければいけませんし、事業を施行するために保留地というものをとって、それを処分して事業費に充てなければならぬということになっております。したがいまして、その公共用地に当たるものあるいは保留地に当たるものというのは、換地ではなくて、従前の土地がなくて新しくできなければならないものもあるわけでございます。そういうふうな参加組合員制度の場合には、もしこの参加組合員がなければその組合事業費に充てるために保留地として処分するようなところへ、参加組合員があるために、先にお金を出していただいてその保留地見合いのものをいわば先買い的に取得するわけでございまして、これは従前の土地がないわけでございますし、だから照応の原則はそれには該当しないわけでございます。また、その参加組合員制度をとったからといって、従前の参加組合員を入れない場合の土地所有者の権利関係を害するということにはならない。本来参加組合員がなくても保留地としてとったであろうところが参加組合員土地ということになるわけでございますから、その土地の権利を侵害し、あるいは照応の原則を侵害するというふうなことにはならないと考えている次第でございます。
  127. 矢追秀彦

    ○矢追委員 土地区画整理制度では、優良な宅地に衣がえすれば地価が上昇するために、地権者が地価上昇分に見合う土地を出し合って保留地をつくり、これを売って事業資金に充てることになっておるわけです。ところが、この保留地の売却が何年も後になるので、これまでは組合役員が自分土地を担保に資金を借りるケースが多かったわけでございますが、このネックを解消するために、本法案で、先ほどから議論されております参加組合員制度創設されたと思うわけでございます。しかし、この参加組合員制度の導入によりまして先ほど私が申し上げたようなネックの問題が解消されるのかどうか。その点はいかがでございますか。
  128. 木内良明

    木内政府委員 先生指摘のように区画整理組合事業をやるという場合に、区画整理事業は平均でも四年くらいはかかるわけでございますから、立ち上がり資金を保留地処分をしてかち得るということになりますと、それまでに事業費が要るということになりますので、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、例えば組合理事長さんとか理事さんが個人の別の財産を担保にしましてお金を借りてくるというような問題がございまして、それに対しまして債務保証制度創設したらどうかという問題がございます。これが大変頭の痛い問題でございまして、現在地方公共団体もこういったことに対処するために私どもと一緒になって債務保証制度考えておりますけれども、その地域に大変なじみの深い金融機関によって、仮換地が終わっただけで非常に不安定な土地の融資もできるようなことを個別の金融機関と地域が一緒になって考えているとか、そのほかいろいろな、例えば保留地証明書を発行して、施行者が担保保管の便宜供与を積極的に行っているとか、そういうふうなこともございまして、地元の例えば埼玉銀行とか東海銀行等との話し合いもつけまして、そういった担保力の弱い者に対してもできるだけ面倒を見てやろうというふうなこともやっているわけでございますけれども、まだ十分でないので、その債務保証制度等も検討しているわけでございます。  そういうふうな状況でございまして、事業を始めるに当たってかなりの事業費が要りますし、最初資金調達が得にくいということもこれありまして、そういうふうな場合に本制度、例えば住宅都市整備公団最初立ち上がり資金をお貸しするというふうなことになりますればすんなり立ち上がりがいけるということもありまして、そういったものに対して大きく寄与するものと考えているわけでございます。  ただ、お金だけの問題じゃなくて、参加組合員の持っているノーハウあるいは区画整理をやった後の市街化の円滑な促進ということもねらいとしておりますけれども、動機の大きな一つは、やはり立ち上がり資金というものを確保するための一つ制度であるという御認識をしていただいて結構だと思います。むしろ私どもとしては、こういうことによって組合事業が少しでも伸びてもらうことを大いに期待しているわけでございます。
  129. 矢追秀彦

    ○矢追委員 この土地区画整理事業によりまして公共住宅供給されることは大変結構でございますが、その供給される公共賃貸住宅の家賃、この算定はどのようになっておりますか。また、その算定に際して特別な配慮があるのかないのか、その点をお伺いしたいと思います。  なぜこういうことをお伺いするかといいますと、せっかく都市再開発事業土地区画整理事業で公共住宅供給されましても、家賃が非常に高いために当初の入居計画が狂ってきているためであります。例えば、東京の隅田川の河口の工場跡地にニュータウンを建設する大川端・リバーシティ21計画が進められておりますが、これはウオーターフロント再開発の先駆けとして注目をされているわけです。この四月から一部の入居が始まったわけですが、用地内にせっかく新築した区立小学校や中学校の児童生徒数が一向にふえてきていない。既に公団住宅九十戸の入居が始まっているのに転入生は佃島小学校でわずか三人、佃中学校でゼロ、これは公団住宅でも平均家賃が十八万円という高額家賃がたたって子供を持っている若い夫婦が入居できない、これが大きな理由と言われておるわけでございまして、学校側も教室が子供でいっぱいになる日は恐らく来ないでしょうとあきらめておるというふうな声も聞いておるわけであります。文部省では、世帯が一世帯ふえると小学校で〇・四五人、中学校で〇・二二人の児童生徒がふえるという推定値を示して学校建設や運営の基準としておるわけでございます。したがって、この基準に従えば、この四月、佃島小学校は四十人、佃中学校には二十人が転入してくるという理屈になるわけですが、現状は今申し上げたような三人とゼロ、こういうわけでございまして、非常に問題であるわけです。したがって、家賃そのものについてやはり配慮をしていかないといかぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  130. 片山正夫

    ○片山(正)政府委員 最初に、区画整理事業によりました場合に公共賃貸住宅の家賃の算定方法に違いがあるかというおただしでございますけれども、これは一般の算定方法と違いは全くございません。一般の算定方法をそのまま適用することになります。  次のおただしの大川端の件でございますけれども、都心に住宅プロジェクトを行います場合に、その住宅地区プロジェクトが立地上非常に有効なところにあるというようなこと、あるいは家賃が比較的高目になるというようなことでございまして、その入居階層について見ましたときに、郊外団地と比較いたしまして共働き世帯が多くなるあるいは中高年世帯等の比重が高くなる、こういうようなことから、就学児童等の割合は少なくなる傾向に一般的にまずございます。特にこの大川端地区につきましては、当初六十三年度に六百十戸の計画をしておりましたところ、現在入居に至っておりますのが九十戸ということで、当初の計画に比べまして進捗が若干おくれているということ、それから最初に九十戸入居いたしましたものが賃貸住宅ということで、通常の分譲住宅に比べまして就学児童等の数が一けた違う数字で少ないというようなこともございまして、一方、学校の計画は全体を見まして既に建設されておりますので、そういう点で就学児童等が現在のところ少ないということでございます。しかしながら、都心地域に住宅プロジェクトを進捗いたします場合につきましては、家族向け住宅のニーズが非常に都心には強いということもございますので、家賃にも十分配慮しながら公的住宅供給については努力をしていきたいと考えております。  しかしながら、現行におきましては、特に新規の供給につきましては家賃が高くなるという傾向は、これは避けられない状況でございます。現在、公共賃貸住宅につきまして家賃の算定につきましてはそれぞれ施策別に算定方法がありまして、例えば公営住宅につきましては、建設費に対する補助金あるいは家賃収入に対する補助金、家賃対策に対する補助金等を交付しておりまして、家賃算定に当たりましては当然その補助金は控除いたしまして、減額した形でもって家賃を算定しておりますし、また公団住宅につきましては一般会計から利子補給を行っておりまして、その関連で家賃算定に当たりまして算出の要素に使っております利子の率を四%ないし三・五%という低目に設定しておりまして家賃の減額に資しているわけでございまして、このような制度の的確な運用にまた努めていかなければいけないと考えております。しかし、今後新規に供給するものはますます高くなるということもございますので、そういう家賃対策関連といたしましては、家賃の負担軽減措置を含めまして今後検討していかなければならない課題だと考えております。
  131. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま住宅局長からお答えをいたしましたが、今現象として、この東京都だけでなしにどこの都市でも都市の中心部にどうも若い夫婦が入らない、周辺へ出ていく傾向がございます。これはもうどこの都市も市街地の中心部には子供が非常に少ない、こういう現象になっておることは御承知のとおりであります。でございますから、夜間人口からいいますと都心部が過疎地、こういうことになっている。この対策をいかにするかということが今後の検討課題である、かように思っております。  それから公団家賃の問題ですけれども、これは確かに大川端十七万円が非常に高い、今後できるだけ中堅勤労者向けの住宅に努力をするように指示もしておりますし、今後努めてまいりたい、かように思う次第であります。
  132. 矢追秀彦

    ○矢追委員 家賃が高い、結局元凶はもう言うまでもなく土地問題にあるわけでして、やはりこの問題が一番根っこにあるわけですから、結局これが上がる、固定資産税が上がる、固定資産税が上がった分はまた家賃は上げなきゃいかぬということで、四月二十七日にも都道府県に対して建設省と自治省から固定資産税の評価がえに便乗した値上げはやめるように、こういう通達が出たと聞いておりますが、そういうふうなことが果たしてどれだけ実際問題、効果が出ておるのかどうか非常に疑問でございます。  結局、つまるところ土地対策、これはやはり全力でやらなければいかぬわけで、今大臣言われた、そういう東京にせよ大阪にせよ全国的に中心部に若い夫婦が住まなくなってきたことはもうきょうに始まったわけではなくて相当前から、高度成長が始まりかけたころからぽつぽつ始まって、もう十年ぐらい前から相当顕著に出てきておるわけでございますから、これは本気になって土地問題には――今まで政府もやっておられますし、国会としても委員会もつくりやってきております。ややとまった、とまったと言われておりますが、高値安定ですから、やはり基本的にこの土地問題は本腰を入れてやっていかなければいかぬ、こう思うわけでございますので、その土地問題に対する大臣の見解、これはさっきから何回も聞いておりますけれども、この際もっと何か強力な手を打っていかなければいかぬのじゃないかと思うわけでございまして、その点をお伺いしたいのと、あわせて、最近の内需拡大でかなり景気もよくなってきている点はいいのですが、建築資材の高騰が言われているわけでございまして、需要が〇・二ないし四・八%ぐらい六十二年度に比べて伸びる、こういう見通しでございまして、物によってはH型鋼や小型の棒鋼などが一カ月に三割も上がる、こういうふうなことになりまして、そういったことで、これはちょっと意図的に買い占めがあったんじゃないか、売り惜しみがあったんじゃないか、こう思うわけでございますが、そういうことも含めまして、この建築資材の高騰を抑える対策をやっていただきたい、この二点をお伺いしたいと思います。
  133. 越智伊平

    ○越智国務大臣 第一点の土地の問題でありますが、これは全般的な施策、これをいたさなければならない。でありますから、結局分散をしなければならない。またもう一点は、建設省の直接といたしまして、何といっても宅地供給を多くしていかなければならない。でございますから、あらゆる手法を使って努力をいたしておる次第であります。特に東京都ではもう御承知のように古いマンション等は大変値下がりをしておる。土地も徐々に東京都の中心部は下がっております。まだ大きい下がりはないようでございますけれども確かに下がっているということでございますから、東京、大阪、名古屋、大都市中心に供給をさらに進めてまいりたい、かように思います。これは一手法ではいきませんので、いろいろの方法を通じて努力をしていかなければならない、かように思っております。  それから、資材の問題につきましては、確かに一時鉄鋼、鋼材、木材等が高騰いたしましたが、大体落ちついてきております。でございますから、六十三年度は公共事業中心に切れ目のない徹底した平準化をやろう、こういうことで今努力をいたしております。ちょうど六十二年度は御承知の補正予算、この時分に急に上がりまして大変御迷惑をかけましたが、六十三年度はもう切れ目のない公共事業、これによって民間の方もやっていただくし、平準化していく、そして資材の安定を図っていきたい、かように思っておる次第であります。
  134. 矢追秀彦

    ○矢追委員 次に、景観の問題について二点ばかりお伺いしたいと思います。  この区画整理事業による町並みは画一的である、こういう批判も出ておるわけでございます。この問題どうお考えになるのか。電線の地中化を推進していくべきである、こういう意見もございますが、その点はいかがですか。
  135. 木内良明

    木内政府委員 土地区画整理事業の実施によりまして機能的で良好な市街地が形成されてきていると考えるわけでございますけれども、最近、国民の皆さんの生活環境に対するニーズの高度化、多様化に伴いまして、先生指摘のように画一的で若干おもしろみのない町であるというふうな声も確かにあるようでございます。こういうふうなことに対応するためには、施行者及び地権者の創意工夫によりまして個性ある町づくり推進されなければいけないと思うわけでございますけれども、そのために昭和六十一年五月に、これは私的な諮問機関でございますけれども、都市景観懇談会というふうなところで議論していただきまして提言されたものに従いまして、施行地区の核となる区域を地区の顔として位置づけまして、そこに都市計画制度でございます地区計画とか建築協定等をうまく活用いたしまして、個性ある町づくりの先導的な事例となり得るような事業をしていこう、これをふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業と私たち呼んでおりますけれども、そういったものをやろうということで地域を指定して、できるだけ個性ある町づくり推進しているところでございます。  また、電線の地中化でございますけれども、都市防災の観点からも歩行者の安全の観点からもあるいは都市景観の観点からも、さらにまた道路を利用した情報ネットワークの構築というふうな意味からも、キャブシステム等の整備を推進していくことが重要だと考えております。現に、昭和六十三年度では区画整理と関連しまして九都市で地中化をやっているわけでございまして、これからもできる限りこういった方向で事業推進してまいりたいと考えている次第でございます。
  136. 矢追秀彦

    ○矢追委員 最後になりましたので、関連いたしまして基本的な問題でございますが、土地あるいは都市再開発関係の法律は非常にたくさんあるわけでして、私もちょっと調べてみたのです。  例えば都市計画法、これは一番基本的な法律かと思いますが、もう御案内と思いますけれども、これの第一条の「目的」には、「この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」こうありますし、また今議論になっております土地区画整理法では、「この法律は、土地区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」それから、次の都市再開発法はこう書いてあります。「この法律は、市街地計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。」  目的ですから同じであると言えばそれまででしょうが、大体掲げてある公共の福祉、あるいは国民生活の安定とか、そういううたい文句が相当あるわけです。重立ったものだけでも十数本ありますし、大体五十ぐらいあるのじゃないか、私しっかり勘定したわけじゃありませんけれども、そのように考えられるわけでございます。いろいろ過去の経緯がありますから、こういった法律がたくさんできることはやむを得ない面もあろうかと思いますが、一遍この際きちんと整理をして、都市計画法が一つの基本にあり、それと建築基準法、そういったものをきちんとベースに置いた上で、もう一回総合的な見直しが必要ではないか、私はこのように思うわけでございます。その点について、大臣を含めて政府当局のお考えをお伺いしたいと思います。
  137. 越智伊平

    ○越智国務大臣 具体的には政府委員に答弁させますが、我が国の法律は非常にたくさんあって、率直に言って国民にわかりにくい。これは我が建設省関係だけでなしに、私も大蔵委員長もやった時期がございますが、先生承知のように、税法など毎年改正していって、国民にわかってもらうのには随分時間がかかる、こういう状態であります。でございますから、法体系自体を全般的に検討すべきではないか、かように思う次第であります。  我が建設省、また今御審議をいただいております都市計画法の関連にいたしましても確かにたくさん法律がございまして御迷惑をかけると思いますけれども、それぞれ目的がありまして、全部公共の福祉に貢献する。これは、目的は一緒ですけれども、時代の変化等もこれあり、それぞれ変わってきておりますが、今後政府全体の中でよく検討をし、また建設省内でも検討を進めていくようにいたしたい、かように思う次第であります。
  138. 木内良明

    木内政府委員 基本的には大臣の御答弁のとおりだと思います。  ただ、都市計画関係につきましては、先日も御審議いただきました再開発法並びに建築基準法の改正、それから今度区画整理法ということで出していただきましたけれども、これは先生承知の最近の地価の高騰あるいはそれに対する宅地供給の促進、臨調の答申とか政府の基本方針に沿ってお役に立つ方向での改正ということで、ある程度緊急性を要しますので、できるところを改正をお願いしているというふうな次第でございます。  そういう意味からは、抜本的でないというふうな御批判も若干あろうかと思いますけれども、世の中がこう変わってまいりまして、さらに都市計画のあり方自体もっと抜本的によく練って、先生もおっしゃられました都市計画法、建築基準法を中心とした基本的な体系を構築すべきじゃないかという意識は私どもも持っております。大変難しいことであろうかと思いますけれども、現在、都市計画審議会の方でもあり方委員会をつくりまして、これは抜本的に整理してまいるということになりますとあるいは二、三年かかるかもしれませんが、そういうことで議論をしていただいているわけでございまして、先生の御指摘はよくわかりますので、そういう線で努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  139. 矢追秀彦

    ○矢追委員 考え方としては法三章ということもあるわけですから、大臣も私の意見はお認めをいただくわけでございますが、ぜひ――もちろん私たちは改正にほとんど賛成してきたわけですから、私は決してこれは悪いと言っているわけじゃなくて、今後の問題として新しい時代に対応して、簡素な上に、そして都市の再開発がやりやすくなる、非常に複雑になっておるのを整理する、こういう意味ではぜひ前向きに御検討いただきたいことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
  140. 東家嘉幸

    ○東家委員長代理 田中慶秋君。
  141. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、今回の区画整理法の一部を改正する法律案について、今回の改正とさらに現行法の問題点について質問をしてみたい、こんなふうに思っております。  まず大臣にお聞きしたいのですけれども、今回の区画整理法の一部を改正する法律案というのはどういう趣旨で提案されているのか、基本的なことをお伺いしたいと思います。
  142. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今朝来いろいろ御議論をいただいておりますが、第一点は、区画整理をやります場合には非常にノーハウが必要であります。組合といっても非常に難しい。でございますから、その点、あるいは資金の面。資金の面も先ほどもお答えいたしましたが、土地そのものに区画整理をし保留地をつくるということになりますと、その保留地については担保能力がない。でございますから、今は金融は緩やかでございますけれども資金の面で大変難しい。こういった面で第三者の方に実施を依頼する、あるいはいろいろ問題はあると思いますけれども、善良な法人に入ってもらって一緒の組合員になって、例えば住都公団であるとか住宅供給公社であるとかあるいは地域公団であるとかこういうところに入ってもらって一緒になってやっていただいて、どうせ保留地はいずれにしても売るわけでございますから、売却して資金に充てるわけでございますから、そういうことによって少しでも促進をさせていきたい、こういうことの目的でこの法案を提案したような次第であります。でございますから、区画整理事業そのものを促進さそう、こういうことでみんなでやりやすくしよう、こういう目的でお願いをしておる次第であります。
  143. 田中慶秋

    田中(慶)委員 区画整理組合事業を促進する、要約すればこういう意味だと思います。先般も再開発のときに残念ながら余り時間がなくて大臣の考え方を聞けなかったわけですけれども、私は、まず区画整理組合事業として促進をするために、今度のような改正一つには必要だと思います。しかし、現行法の中で問題点を抽出しながら、そこで今どの問題がネックになっているかということをわきに置いておいて、こういう第三者機関であるとかあるいはまた共有地の問題であるとかこういうことを検討されること自体、別に悪いと言っているわけではないのですけれども、片手落ちのような気がするわけですね。  例えば、私も今回質問をさせていただくのでそれぞれ勉強させていただきましたし、現場にも行ってまいりました。そういう点で幾つかの問題点があるわけであります。きょうは関連があるものですから国土庁長官もという形でお願いしていたのですけれども、きょう何か決算その他のことかどうかわかりませんけれども出ていただけないわけですが、要するに地価を抑制して良質な住宅をできるだけ早く提供することに一つには意味があるのだろう、こんなふうに思っているのです。ところが、今回の事業そのもの、区画整理組合法律の問題を一つとっても幾つかの問題があるわけですね。前々から言われております例えば選択換地制度の導入の問題一つとっても、これも具体的になっていない。むしろ選択換地制度等の問題は少しでも早く今回法律の中で、あるいは指導をする立場でこういうものが導入されても結構だろうし、あるいはまた土地利用の面からしても、例えば用途の変更の問題、飛び換地の問題等についても幾つかの問題点があるわけですけれども、これらの問題について今回議論をされなかった。もし何らかの理由があったら教えていただきたい。
  144. 木内良明

    木内政府委員 ただいま先生の御指摘の選択換地でございますけれども、これは場合によったら申し出換地制度とも言われております。そういうふうなことを導入できないかということ、それから飛び換地といいますか用途の変更ですね、今先生おっしゃられたようなことができないかという方向で、私どもは当初はそういったことも広く検討をしてまいりました。しかし、この区画整理法の成り立ちあるいは区画整理法全体の構成から見ますと、先ほども御質問がございましたけれども照応の原則というふうなことがございまして、確かに財産権を侵害するかどうかということだけでしたら、区画整理事業の成功によっていわゆる効用増、土地価格の上昇というのがある。それで、もと持っていた土地の所有者がたとえ減歩を受けても財産価値は減少しないというふうなことだけで考えますれば、土地所有者の権利、私権を侵害することにはならないのかもしれませんけれども、やはりただそういう財産価値を減らさないというだけでは十分でなくて、土地区画整理事業の持つ公共性あるいは土地減歩をされる方々のそれに対する受忍といいますか痛手というものを考えますと、現在区画整理法を通じて流れております照応の原則というものは仕組みを大幅に変えるというようなことはできないのではないかというふうな議論がありまして、私どもも、そういうことはそうかなということで選択換地まではなかなか進めなかったというのが現状でございます。  ただ、世の中のニーズとしまして、例えば東京あたりで環状二号線をつくろうというような場合でも、区画整理事業とは言わないけれども区画整理方式とか再開発方式とかを使わないと、新たな用地買収をした場合には膨大なお金がかかるというふうなこともございます。そういった世の中のニーズに区画整理という形から何か対応できないかなということで、そういったことも広範に検討してまいったわけでございますけれども、現行制度では法制度的になかなか難しいという問題もございまして、今回は少なくともそういったところまでは考えない。あるいは特別立法という形のものが現行の区画整理法以外に要るのかなというふうな議論もなされたわけでございます。飛び換地、用途の変更その他につきましても、一々詳しくは御説明しませんけれども、私たちが世の中のニーズから受けた、できればということで検討したことは事実でございますけれども、そういうことで今回はことにとどまったという感じでございます。
  145. 田中慶秋

    田中(慶)委員 さっき大臣が言われたように、今度の区画整理組合事業を促進するという問題を基本的に考えるならば、はっきり申し上げて、私が今指摘した問題を避けて通れない状態なんですね。これが大きなネックになっていることも事実なんです。私は、その問題はむしろ今回の一部改正する法案と並行してやるべき筋合いではないか、このように考えているわけです。  その問題は一歩譲ったとしても、それではこの事業を促進するために、今局長が言われているように、例えば減歩率の問題を一つとってもことには幾つかの問題点がありますね。大臣ももう既にこの辺はいろいろな形で言及をされてこられたかと思いますけれども、例えば公共公益用地の問題を一つとっても現実には幾つかの問題点があるわけであります。例えば平米百万円もする土地、そこに公益用地として学校や公園用地、それぞれこの区画整理組合の中から生み出すわけでありますけれども、現実には平米百万円もする土地をせいぜい一万円弱で供出しなければこの認可はおりないわけですね。こういう問題点があるわけです。  そればかりじゃありません。例えば区画整理組合のゾーンの中における公共施設というものはすべてそんな形で負担を強いられているから、この事業が促進できないのです、はっきり申し上げて。さらに最近は遊水地の問題まで出てきておりますね。遊水地は確かに一時的な河川の整備の問題もありますけれども施行者の責任においてこの遊水地もつくらなければいけない、逆に後で管理その他の問題があるからといって、提供するときにおいては管理費をつけて遊水地は出さなければいけない、これでは宅地そのものが高くなるのは当たり前だと思うのです。こういう現状を大臣はどのように認識をされているのか、お伺いをしたいと思うのです。
  146. 越智伊平

    ○越智国務大臣 けさほど来いろいろ議論があったところでありますが、各地方公共団体等の指導要綱もこれあり、この指導要綱を土地区画整理にそのまま適用するかどうかという問題もございますが、私は基本的に、区画整理事業でまず道路、道路は自分の前が広くなるのですから道路、それから小公園、この程度はいいけれども、学校用地までというのは行き過ぎだ。それまで負担させれば結局滅歩を多くしないとできない。でございますから結局区画整理事業そのものができない、こういうふうに認識をいたしております。確かに良好な住宅、環境のいい宅地、これをつくるわけですから、滅歩されても道路が広くなるし、例えば自由に消防車も入りますしするような状態にしていく、環境をよくしていく、こういうことが区画整理である、かように思います。でございますから、先生の言われるように、学校用地まで出せとか、あるいは出しても、買い上げるといっても百万円のところを一万円、極端な話でございますけれども、そんなことまでするようなことではできない、こういうふうに思っております。でございますから、あくまでも区画整理地方公共団体がやろうとあるいは組合でやろうとやはり限度がある、そういう方向で指導をしてまいりたい、かように思っておる次第であります。
  147. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣からそのような力強いお話がありましたけれども、現実をもっと大臣認識をしていただきたいのは、今確かに道路は必要でしょう。しかし道路の幅員を確保しても、下水道管渠から水道の管渠からあるいは舗装から街路灯から信号機まで要求しているのが指導要綱なんですよ。これでは開発といいますか区画整理をするなということと同じじゃないか、私はこんな気がしてならないわけであります。この辺について建設省はどのような指導をされているのかお伺いしたいと思います。
  148. 望月薫雄

    ○望月政府委員 一般的に指導要綱の問題については行き過ぎたものが非常に多く見られるということで、建設省、五十八年以来非常に力強く関係方面に御指導申し上げ、あるいは理解を深めておるというのが今日の姿であります。そういった中で、今先生おっしゃったような具体の事例、確かにあること、私どもまた承知しております。特に区画整理事業と指導要綱の関係でございますが、現在大体千二百くらいの市町村が指導要綱を持っておりますが、その指導要綱の数千三百余り、この千三百余りの指導要綱で区画整理事業は対象にしないというものは実は四分の一くらいでございまして、言いかえれば四分の三のものは区画整理事業であろうと一般的な開発許可の事業であろうと同じように指導要綱を適用する、こういった構えが公共団体の実情でございます。  そういった公共団体の姿でございますが、この指導要綱というものもいつも議論になりますけれども、一応それぞれの経緯があることも事実でございまして、私ども指導要綱すべていけない、こういう姿勢をとることはいかがかと思いますが、中に大変行き過ぎた、今お話しのようなものが見られる、あるいは要綱で明文化されてないけれども、事実上、例えば街路灯の負担なども求めているというようなお話もよく耳にいたします。そういったことからしますと、私どもやっぱり、大臣もしばしばお答えを申し上げておりますように、宅地の低廉化、価格の安定化、こういうことのためには指導要綱行政というものをもっと整理をさしていただきたい、もっともっと望ましい水準に持っていっていただきたい、こういうことで努めているところでございます。  具体的に今先生お話ありましたが、例えば遊水地の問題一つとりましても、遊水地と公園の兼用工作物化、こんなことも大分ここのところ進めております。現在では大体百五十くらいの事例が現実に進められておるということで、技術的な側面では大分御理解を深めてかなりの改善が大都市圏を中心に見られておりますけれども、まだまだもっともっと御努力願わなければいかぬ、こういう気持ちでおります。  そういった中で、これから私ども指摘のことを十分念頭に置いて頑張らしていただきますけれども、ただちょっと一言だけつけ加えさせていただきますと、我々が言っておる行き過ぎというものは、区画整理事業のいわゆる技術基準あるいは開発許可の技術基準、これをいささかでも超えれば行き過ぎだというのはちょっとこれもまた、公共団体の実情いろいろあるわけでございまして、そういった中で即行き過ぎとは言いませんけれども、中身によってかなり行き過ぎのものもまだまだたくさんありますので、これらについてはしっかりと是正方を要請、指導してまいりたいと思っております。
  149. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今私は、何も少しばかりの問題を申し上げているのじゃない、やはり区画整理の全国的なマニュアルというものをちゃんとして、現在の法の不備があるからそんな形になっているんだと私は思うのです。今言ったように、ある機関においては遊休地は公園の一部という形で具体的に換算をしてくれるところもございます。しかし、現実には遊水地というものがそういう形じゃほとんどないわけであります。  例えば、下水道関係の担当の方お見えいただいておれば、この河川改修分担金、公共用地あるいは公益用地を除く全面積に対して平米当たり千四百円を現実に負担かけているんですよ、大臣。これは建設省としてそんな指導をされているのか、この辺もお聞きしたいんです。はっきり申し上げて、これは行き過ぎだと思うのです。河川は河川として河川改修なり河川の管理等々については応分な国からの補助金もあるでしょうし、あるいはそれぞれが具体的に自主的な財源のもとに改修をされると思うのです。ところが自主財源が少ないものですから、こういう形で開発をしようとするとそれだけのお金をかけているのです。この河川改修分担金の千四百円というのはあくまでも関東の平均ですよ、現実にこうなっておるのですから。これはどのように認識をされて、少なくともどう対処されているのか、私はどうも納得いかないわけですね。ですから、先ほど言った一部改正という法律も大切ですけれども、現行法の不備をやはり直していかなければいけない、こんなふうに思うのですけれども、いかがですか。
  150. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お話のように、現在多く見られる要綱の中にいわゆる金銭負担、これを求めている要綱がたくさんございます。お話の中にありましたように河川改修負担金あるいは下水道の負担金、水道関係の負担金などなどというふうな名目があるわけでございますが、こういったものを見てみますると、その必要性あるいは使途、これが必ずしも明確でないというのも問題として指摘されているところでございます。あるいは金額も多いとかあるいはまた施設整備そのものと、要するに物的な行為そのものと合わせてまた分担金も徴収するというような、必ずしも感心できない事例が多々ございます。  私どもこの分担金問題というのはある意味で行き過ぎ是正の一つの大きなテーマと認識しておりまして、そういった意味では自治省ともどもこの経理の明確化、基準の明確化というようなことをかねがね要請、指導しているわけでございますが、今おっしゃったようなことまだまだあろうかと思いますし、あるいは場合によっては下水道などの分担金になりますと、本来は受益者負担の体系の中では、下水道の受益者負担金条例をもってやるならばともかく、そういったあいまいな格好でやることについては、やはり問題があるかもしれないというふうなことも考え合わせますと、いろいろとこの辺については今後とも是正方の指導が必要ではないか、こんなふうに考えておるところでございまして、私ども引き続き、自治省ともども協力して、この辺の是正方、あるべき姿に近づける方向での努力というものをしてまいりたいと考えております。
  151. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今、下水道の問題が出ましたから申し上げるのですけれども、下水道というのは、上水と合わせて料金の中に繰り込まれてそれぞれの下水道料金があるわけでしょう。しかし、下水道の整備分担金というのは、平米当たり大体これも千五、六百円、こういう形です。上水もまた同じなんです。これでは、安い良好な宅地をぽんぽん供給するということを国が国土庁を含めてやっているけれども、現実にこういうことばかりされていたのでは、少なくとも良質な宅地を、あるいは今回の区画整理組合施行分に対する事業推進をする意味でも逆行の立場をとっているんじゃないか、こんなふうに思うのです。この辺について、大臣の見解を改めてお伺いしたいと思います。
  152. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいまの下水道の問題でありますけれども、下水道の施設につきましては、御承知のように国からの補助金、残りについては起債、そしてあとの維持管理につきましては水道料金に含まれてやっておるというのが常識であります。でございますから、その他の負担金をとるということは論外だ、かように認識をいたしております。
  153. 田中慶秋

    田中(慶)委員 論外であっても、現実に今私が指摘したようなものを既にそれぞれ開発の指導要綱という形で行っているわけですから、大臣が行き過ぎだということであるならば、建設省として是正を全国的に行うべきじゃないか、あるいは法の不備な点の整備を行うとか、ある程度のマニュアルをつくって通達を出すべきじゃないか、こんなふうに考えますけれども、いかがですか。
  154. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お話のように、行き過ぎ是正については、五十八年以来私どもも具体に指導をさせていただいております。特に、六十年からは建設省の方にもとの関係のいわゆる相談室を置きまして、端的に言うと、個別、具体に行き過ぎのお話を耳にしたときあるいは我々承知したとき、こういったときには関係県に直ちに連絡をしていろいろと実情を調べ、行き過ぎたものについては個別に指導をお願いする、こういったところまで踏み込んだ是正指導をやっておるところでございまして、我々としては引き続きこの姿勢は強めてまいりますので、この辺の成果をひとつ見守ってもらいたいと思っておる次第でございます。
  155. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今までの努力は了としますけれども、現実に私はこれを調査をさせていただいたのはこの連休を含めて指摘したんですから、六十年以降どうのこうのという問題じゃない、現実の問題としてこういうことがされているわけであります。  ですから、こういう問題をちゃんとしない限り、例えば公園の問題だって、公園緑化について国が五カ年計画を打ち出して促進しているわけでしょう。しかし、この公園緑化事業についても今のような小さいものは――大臣が言われるように、小公園というのはそれは結構ですよね、そばに緑があったりいろんなことで。しかし、小公園を望んでいるんじゃないんです。区画整理組合には必ず大きなものを要求してまいります。そればかりじゃないのですね。例えばこの前驚いたのは、この緑化推進、その中で緑化指導をしているのですよ。そして、将来二十メーターになる木を植えなさい、そこまではいいのですね。ですけれども、平米に三本植えろと言っているのですね。こんなばかなことないでしょう。二十メーターの木を平米に三本植えたらどうなりますか。現実にその木は育たないと思いますね。そして、いろんなことを話している間に、それは枯れることも予想してなんというようなことを現場の人間が平気で、無理難題をこういう形で押しつけている。  やはりこれは行き過ぎだと思いますから、その相談窓口も大変結構だと思います。けれども、それだけではなくして、やはり全国からそれぞれ取り寄せて、現在の指導要綱なり上乗せ基準というものを、私はそういう点で、それぞれ監督官庁として行うべきじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、相談が来てからやったってこれは後追い行政だと思うのですね。ですから、そういう問題について、少なくとも全国から取り寄せて、そういう問題に対する指導というのをやるべきじゃないか。
  156. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先ほどの私の御答弁がいささか誤解を招いたかもしれませんが、言ってこられたらば受けとめるという取り組み姿勢じゃなくて、私ども、おっしゃるような全国的な要綱の実情、その内容をそれぞれ聴取、収集して、分折、点検をしておる次第でございます。そういったこととあわせて、生の、リアルな情報というものもいろいろ見ておかないと、今先生いみじくもおっしゃいましたけれども、無理難題というようなものは、必ずしも要綱で明文化されているものばかりでないものがございます。そういったことも含めて、我々はきめ細かく対応を指導してまいる、こういう姿勢をとっているということを申し上げたつもりでございますので、今後ともそういった姿勢で我々は努めてまいります。
  157. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、こういう問題が現実に――私は今回、一行政機関を調査させていただいたのではないのです。幾つかのところを回ってまいりました。そういうところで今申し上げたような、特に区画整理をやられている現場で一番問題になっているのは遊水地の問題ですね、はっきり申し上げて。遊水地を公園緑地全体の中で産出していただいたならばもっともっと助かりますとはっきりと指摘をされました。そして土かぶりを少なくともニメーターから三メーターすれば、そこを地下方式をとって、現実に公園緑地、スポーツ広場として使えるわけであります。しかし、現実になかなか、それぞれの行政の窓口になってまいりますとそれを了としない、こういうことが幾つかございました。  そういう点で、大臣、こういう問題についてもっともっと具体的な指導をして、今言ったような、全体として緑地、公園に遊水地が算入できるような形のものを強力に進めていただきたい、私はこんなふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  158. 望月薫雄

    ○望月政府委員 おっしゃるとおり、いわゆる行き過ぎの側面というのは非常に多岐にわたっておると我々認識しております。そういった中で最も重視するものの一つに、今おっしゃった遊水地という広大なスペースをとる土地利用上影響の大きい部分、これを他の公園施設等と併用させるということは非常に重要なテーマ、こう私ども認識しております。  そういった中で具体の指導を強めておりますが、先ほど申しましたように、この二つを兼用させるというふうな面での要綱改善は大分進んでおります。そういった中でまだまだいまだしの感もあるわけでございます。そういった実情を踏まえてでございますが、先ほど申しましたように、この二年来でもって百五十からの事業がそういう格好で出てきておるということは、私ども改善の効果と思っておりますし、今後ともその方向はいささかも休みなく進めたい、こう考えておる次第でございます。     〔東家委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 田中慶秋

    田中(慶)委員 これらの一連の問題というのは、もっともっと本旨に基づく事業推進という立場からも、あるいは宅地そのものをより安く、良質なものをつくり上げる上からも、これは今後云々ということじゃなく、法の問題点があるならば法の問題点を整備するとか、指導を強化するとか、こういう形で即やっていただきたい、これは強く要望しておきたいと思います。  そこで次は、これは行政指導で解決する問題といいますか、この問題を通告しておきましたから。  例えば事務手続の簡素化、大臣はかねてから、それは指導してやらなければいけない、こういうことですけれども、今回調べた実態を申し上げましょう。例えば今回の場合、区画整理に関連して、まず最初に、設立認可から着工までについて余りにも事務手続がかかり過ぎているという現実に直面をしてまいりました。そういう中で都市計画を、一つの窓口として開発関係幹事会というものをやりたいのだけれどもという形で相談に行きますと、まずそこのそれぞれの行政の部長クラスが集まって鋭意協議をして、大体それでいいだろうという結論をもらうのに半年ぐらいかかります。次に開発関係事前審査部会というものがあって、これは部長さんの下で課長さんとか実務者のクラスでありますけれども、ここの審査部会で約一年。そして具体的に宅地部会というものが、ある行政機関でありました。これは実際の窓口の係長さんクラス、こういう形で、ここでそれぞれの今言った指導要綱のチェック項目が始まるわけであります。大体一つ区画整理に対して指導される項目が約二百カ所出てまいります。そして延々と二年半ぐらい時間がことでかかっております。そしてその結果、大体それに基づいてオーケーをとったりいろいろなことをしてまいりまして、開発審査会あるいは具体的に了解をとられて初めてこの区画整理組合認可をされて、そして事業がオーケーになる。現実にこれだけ時間がかかっているのです。面積によってはさらに環境アセスがかかってまいります。そして環境アセスが入りますと文化財の問題もかかってまいります。そうすると、環境アセス、文化財だけでも一年から二年、こういう形の問題が出てきているのです。そして文化財についても問題が出てきますと、現実には国も予算化されておりますし、自治体も予算化されております。しかし、予算そのものが少ないために、そんなことをしていたらもっと時間がかかるから、やはり自費負担という形でそれぞれの施行主体が文化財に対する発掘調査についてもいろいろなことを含めて持たれているというのが現実なんですね。そういう点では、やはり国の予算の問題あるいは全体的な行政指導の問題、減歩率の問題等々も含めて発想の転換をことに求めながら、抜本的な対策なり検討が必要じゃないか、私はこんなふうに思うのです。  私が今大体そういう形で申し上げてきたわけですけれども、これらについて大臣はどうお考えでしょうか。
  160. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今いろいろお話がございましたが、その点はそうであろうかなと思います。今のように非常に世の中の変化が激しいときですから、昔と同じような考え方でやっておってはいけない、発想の転換をしなければいけない、いわゆるお役所仕事というのはもうちょっと改めないといけない、こういうふうに率直に私は思います。  そこで私は、世の中の変化が激しい時代であるから早く処理するように、今言われたいろいろ手続の方法はありましょうけれども、これを並行的にやっていくように指導をして、早くやるように指導をいたしておるところであります。  区画整理と違いますけれども土地開発の問題でも非常に民間開発が盛んであった。ところが、銀行の金の貸し出しということを厳しく言ったところが、これが薬が効き過ぎて優良な宅地開発業者の融資にも影響が出て、優良な方々開発がおくれるという現象が起こっておる。こういう現実も二、三私に陳情がございました。そういうことで早くやっていくということ。  それから善良な方と悪い方とを選択してやってもらわないと、これは我が省ももちろんでございますけれども、各省とも、銀行にいたしましてもせっかく話をしてやろうと言っておったものは融資をしていただかないと、やりかけて途中でできないというような現象が起こっておるのも事実であります。こういうことかないように今後指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  161. 田中慶秋

    田中(慶)委員 大臣から、それぞれ指導する、こういう形でお話があったわけであります。これはかねてから大臣の主張でもあったと思います。就任以来、あるいはまた予算委員会でも大臣は随所にそういう答弁をされてきていたわけであります。そういう点では指導官庁の建設省として具体的に、例えば予算委員会からきょうまでの間だって時間がそれだけあるわけでありますが、こういうことを含めてどのような御指導をされてきたのか、お伺いをしたいと思います。
  162. 望月薫雄

    ○望月政府委員 事務手続についていろいろと問題が指摘されて今日まだ一〇〇%改善されていないという点、私ども率直に言って認めざるを得ません。そういった中でございますが、先ほど来出ておりますように、私どもは審査体制の一元化、審査関係の書類の簡素化あるいはまた同じ審査をするのにも事前段階から本審査までの間で各ステージことに望ましい処理期間を示して、それで処理できないときにはちゃんと理由を疎明してやるようにというふうなことを逐次御指導申し上げております。  こういったことは指導は指導として我々常にやっていることでございますが、この問題を通じて感じますことは、基本的に公共団体において住宅地関係の開発についてどういうスタンスをとるか、どういう姿勢で取り組んでいるかということが大変大きな問題として背景にあると思います。一つには事務処理の体制の問題もありますけれども、やはり基本的に大都市圏、特に東京圏ではいわゆる住宅地問題というのは個々の市町村の事情は事情として広域的な受けとめ方も必要である、こういった御認識を深めなければならぬ、これが非常に大きな指導すべきポイントだろうと私どもは思っております。  こういった中で私どもも、つい最近も含めまして、大都市圏中心でございますが、県の開発担当の関係部長あるいは課長会議などをしょっちゅう積み重ねておりますし、特に先般御審議いただき本日成立を見させていただきました大都市圏の優良宅地法、こんなものもその一つの象徴的な部門として、私ども今度運用する段階を通じましても、いわゆる大都市地域での宅地供給の広域的な一体的な取り組みの必要性ということを御理解を深めながら、個別、具体の指導をさらに続けていきたい、こういう構えで臨みたいと考えております。
  163. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間も余りありませんので、大臣、問題は、それぞれ現在の許認可の問題ももっともっと具体的に、区画整理組合なら組合をしようという善良な人、大臣が今言われたそういう善良な人たちがやろうとしているときにはもっと期限を短縮できるようなことを考えないと、今考えたって、これは下手をするともう七年、八年、十年、着工するまでこんな形で、完成するまでそんな形になっていることが現実ですから、そうしますと金利を含めても倍以上のものになるでしょうし、こういう一連のものが私たちのこの首都圏においては現実にそんな形で動いている。ですから、私はいつもこんな悪口を言っているのです。行政が加担をしたり行政指導をちょうだいするたびに物が上がったり、あるいはまた結果として高いものについている。こういうことであってはいけないような気がするわけです。ですから、今回の法の一部を改正する問題も促進するという前提で法案が出ているわけでありますから、これはむしろ現行法の徹底的なチェック及び見直し、そしてまた具体的な一元化の指導というものを強く求められているのだと私は思います。例えば一つの県にしても、神奈川県は横浜と川崎という指定都市が二つあります。そればかりじゃありませんね。この建設行政上、特定行政庁というものがあるわけですから、そうすると全部が、同じ県に住んでいてもみんなやることがばらばらになっている。私は、こういうことであってはいけないような気がしますね。  ですから、もっともっと積極的なこの辺に対する取り組みをぜひやっていただきたいと要望しておきますけれども、大臣の決意を最後にちょうだいして、私の質問を終わりたいと思います。
  164. 越智伊平

    ○越智国務大臣 お説の点につきましては十分指導いたします。法は法といたしまして、幾らいい法律ができましても、この運用をするのは人であります。でございますから、みんなで積極的に、スムーズに、区画整理をやろうというところの許認可の問題を早く、そして完成も早くということで進めるように努力し、指導をしてまいりたい、かように思う次第であります。
  165. 田中慶秋

    田中(慶)委員 終わります。
  166. 中村喜四郎

    中村委員長 辻第一君。
  167. 辻第一

    ○辻(第)委員 今回の改正第三者施行参加組合員制度が新設されようとしているわけでありますが、まず、これらの制度を活用できるものに関して伺います。  法案では、第三者施行制度については、「住宅都市整備公団地域振興整備公団地方住宅供給公社その他土地区画整理事業を施行するため必要な資力信用及び技術的能力を有する者で政令で定めるものに限る。」としています。また参加組合員制度では、「住宅都市整備公団地域振興整備公団地方住宅供給公社その他政令で定める者であって、」としていますね。この政令で定めるものとは、それぞれ具体的にどのように定めることになるのか、また、参加組合員制度では必要な資力信用、技術力云々は関係ないのか、その点をお尋ねいたします。
  168. 木内良明

    木内政府委員 第三者施行において、政令で定めるものとしてただいまのところ考えているのは、公益法人、それから地方公共団体の出資または拠出に係る法人、まあ第三セクター、それから、宅地の造成及び賃貸または譲渡を行うことを主たる目的の一つとする法人等を考えております。  それから、参加組合員制度につきましては資力信用を特に書いてないのは、ただいまのところ、先生法律の書き方から見てもらってもおわかりのように、参加組合員制度については住宅都市整備公団とかそういう公的な法人、公共法人に限定しようと考えておりますので、まあ資力信用はあるということで特に書いてないということでございます。
  169. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうすると、第三者施行制度では民間デベロッパーまで入るわけですね。参加組合員制度ではいわゆる民間デベロッパーは入らないということですか。しかし、それは今のお考えだけであって、将来変わる可能性はあるのですか。その辺のところをひとつ。
  170. 木内良明

    木内政府委員 時代の変化、いろいろ情勢も変わることでございまして、私の立場で将来をお約束するのはおかしいかと思いますけれども、見解を問われれば、変わる可能性はないとは申せないと思います。変わる可能性もあるかもしれません。ただ、その時代の要請対応してまいりたい。ただいまは考えておりません。  ただ、先生もお気づきのように、法律が書き分けてはございますから、もしそういうことで参加組合員の方にも民間デベロッパーを入れるということになれば、当然、私の解釈では、法律改正をお願いする、政令でとことこっと書くというわけにはいかないんじゃないかというふうに考えております。
  171. 辻第一

    ○辻(第)委員 私どもとしては、ぜひ民間デべロッパーは将来にわたってやっていただかないということでやっていただきたいというふうに思います。  それから、第三者施行参加組合員制度は、例えば市街地地区とか郊外の住宅開発とかいうような区画整理の場合とか、どのような区画整理の場合に活用されることを想定しておられるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  172. 木内良明

    木内政府委員 先生承知のように、第三者施行と申しますのは、個人、一人または数人が共同してやる区画整理事業、平均規模で言いますと、ただいまのところ一・七ヘクタール程度でございます。それで、事業費も、平均値でございますけれども、大体二億かそのくらいの感じで、正確ではないのですけれども、大ざっぱな言い方をしますと非常に規模の小さいものでございます。それと同時に、大体行われているのが新市街地が多いわけでございます。ですから、非常に典型的な例を申しますと、新市街地において少数の地権者が共同して行うような宅地開発事業の場合だとお考えいただいたらよろしいかと思います。  ところが、こういった場合に、少数の地権者が共同してやるといっても、区画整理は、面倒くさくてはいけないのですけれども面倒くさい手続がありますし、お金もかかるし、技術のノーハウも要ります。そういうことで、健全な第三者にかわって施行者となっていただければ非常にありがたいという声もございます。  そういうふうなことが背景にございまして、このたび、宅地供給の促進の意味もありましてお願いしているわけでございますので、当然そういったところで、新市街地において、規模は小さいけれども良好な宅地が出てくるということを期待しているわけでございます。
  173. 辻第一

    ○辻(第)委員 小規模で新市街地ということ、大体そういう感じですね。  それでは、参加組合員制度に関して伺いたいと思います。  参加組合員制度はどんな目的で何のために設けられた制度なのかということが一点。それから、参加組合員として参加する者のメリットはどういうことなのか、お尋ねをいたします。
  174. 木内良明

    木内政府委員 参加組合員制度とは、これは区画整理組合の中に参加するということでございますから、組合施行区画整理参加するということになります。組合制度区画整理は、先ほども申しました個人施行よりは通常はかなり大きい。しかし公共団体施行ほどは、大きかったり事業費が多くなったりはしない方が多いわけでございますが、これは一般論でございまして、郊外あたりではかなり大規模にやっているところもございます。ですから、もっとより大きな、地権者の多い、宅地供給量としても多い場合が多いわけでございます。  ところが、そういったかなり本格的な区画整理になるわけでございますけれども、そういうことをやる場合に、先生承知のように区画整理事業というのは、道路をつくったり、公共施設を整備しまして、それで従前より良好な宅地をつくって換地をしていく、こういうことでございますけれども、どうしても当面その事業費、道路をつくる事業とか宅地を造成する事業事業費が要ります。ところが、一般に事業費をどうやって出すかと申しますと、それは最後に区画整理ででき上がったところを、公共減歩した残りのところで事業費の範囲内で保留地減歩というものをとりまして、その保留地減歩が一つ事業費財源というふうで、当然道路等の補助金等もありますけれども、独自の財源として保留地処分の代金が財源になります。そうしますと、事業を始めるときに資金が相当要るのにできてくるのは区画整理組合がする場合でも大体三年や四年はかかるわけでございます。そうすると、その後でないと代金は入ってこない。ところが、立ち上がりの資金調達というのはではどうするかというと、組合の役員の方々自分個人財産を抵当に入れて融資を受けたりするというようなかなり無理がある。それから、区画整理の途中では仮換地段階とかが完全に終わるまでは登記ができないという問題がございます。そうしますと、土地を担保にお金が借りられないという問題もございます。そういった問題がございまして、どうしても資金が初めの段階で要る。こういうところに初めから良質な資金ができてくれれば大変ありがたいという要望がございます。  それともう一つは、この参加組合員住宅都市整備公団とか地域公団とか区画整理のかなりベテランでございますそういった方々の技術力を応用したいというふうなことがございますし、またできた土地を早く市街化するということも時代の要請でございます。そういったことからも、こういう方々参加していただくことがいいということで、組合サイドからもこれはメリットがございます。  それから、入る方の参加組合員のメリットは、住宅公団等でも公団住宅をつくる上で、あるいは土地を手に入れることがなかなか難しくなっている時代、そういうときに組合区画整理の中で生み出した土地、これはもし参加組合員がなければ保留地となるような土地でございますけれども、そこを負担金を出してあらかじめ取得するということになれば、用地手当ての見通し、計画もできやすいというふうなこともございまして、参加する方にも相当なメリットがあるのじゃないか。時代の要請としましては、やはり区画整理事業は今市街化区域内の大体四分の一ぐらいのところが区画整理済み地で生み出しているわけでございまして相当貢献しているし、宅地供給が必要とされる現下の情勢のもとに良好な宅地供給するということからすれば、事業の促進という意味でも社会的にメリットがあるのじゃないかというふうなことでお願いしている次第でございます。
  175. 辻第一

    ○辻(第)委員 法案では、参加組合員になろうとする者は負担金、分担金を納めることになっております。その性格は、端的に申しまして土地代なのかそれとも何なのかということですが、どうですか。
  176. 木内良明

    木内政府委員 区画整理には、法律にいろいろ出てまいりますけれども、分担金、負担金、賦課金という三種類のものが出てまいっております。  まず最初負担金と申しますのは、参加組合員最初お金組合に出して、それで参加組合員がなければ保留地になるだろうという土地を先にそこを予約するような形、ですから後で保留地を買うのに見合う金を先に出すという形をとって出すのが負担金でございます。これは法律の四十条の二に相当する。  それから分担金というのは、参加組合員組合員でございますから、もともと土地所有者とか借地人、本来の組合員でございますね、本来の組合員区画整理事業をやるためにいわゆる組合の運営費、運営費といいますか事業をやるために組合員お金を出す、それを、本来の方々が出すのを賦課金と申していまして、それに見合う参加組合員が出すお金を分担金、こういうふうに称しているわけでございます。
  177. 辻第一

    ○辻(第)委員 結局のところ、参加組合員がそれまでの組合員土地を買うということ、買収する、詰めて言えばそういうことなんでしょうかね、そういう側面が非常に強いと思うのです。  そこで負担金あるいは分担金ですが、組合の会計上の処理はどうなるのか。事業費に充当され、保留地がそれだけ減少するのか、それとも別に組合員に還元されるのか、いろいろあると思うのですが、どのように処理をされるのか、お尋ねをいたします。
  178. 木内良明

    木内政府委員 この負担金というのは、先生のおっしゃるように先に買うということに該当すると思います。そうすると、くどいようで申しわけございませんけれども、もう一遍申しますと、要するに組合事業をやって、その事業費を保留地で賄うのが普通。保留地は、例えば住宅都市整備公団に売るかもしれません、売る場合もかなりあるわけです。地方公共団体に売るかもしれませんし、民間のデベロッパーに売るかもしれません。ところが、参加組合員はその代金を先に支払っておいて後から土地を買うということですから、もともと保留地として事業費を生み出すであろう土地を先に先に買っておく。法律上は保留地を買うわけじゃないのです。保留地でもないし換地でもない土地になりますけれども、中身としてはそういうことでございます。したがいまして、ほかの組合員に迷惑をかけたり迷惑料をお支払いするという筋合いのものじゃないというように考えております。
  179. 辻第一

    ○辻(第)委員 今最初にお尋ねしました会計上の処理ということではどういうふうになるのでしょうか。何か私はわからぬのですけれども
  180. 木内良明

    木内政府委員 失礼しました。会計上の処理は、組合資金計画上、収入金として計上されます。
  181. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、土地の扱いですが、参加組合員はもともと土地を保有していないですね。ですから、その後参加組合員が取得する土地というのは当然換地ではないわけですね。それから、保留地を決める前に参加組合員土地を取得するということが決まるということになるのですか。ですから保留地の処分でもないのですね。換地でもないし保留地の処分でもない。そういうことになりますと、どのような位置づけの土地になるのかということでありますが、御答弁いただきたい。
  182. 木内良明

    木内政府委員 結論から申しますと、法律的には先生のおっしゃるように換地でもなければ保留地でもございません。ただ、実質的には、先ほどから申してございますように、参加組合員がなければ保留地に当たるところを取得するということでございます。ただ、それじゃ何も書いてないのじゃないかということではなくて、組合最初組合の設立の認可をいただくときには事業計画組合の定款を定めます。その定款の中に参加組合員に与えるべき宅地のおおよその位置とおおよその地積を書きます。それがおおよそでなくなるのは換地計画において書かれるときに明快になるわけでございますから、勝手に書かれるものでも何でもないし、もちろん定款というのは組合員みんなが決めて、しかも知事が了解するもので、換地計画もみんなで決めまして知事の了解をとっていますから、勝手やたらに決められるという筋合いのものではないということで御了解願いたいと思います。
  183. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、参加組合員に与える土地面積はどうして決まるのかということですが、組合が自由に決められるのか。また建設省の考え方として、一定の基準とか目安とか歯どめというのがあるのかどうか、どのようになるのか、お尋ねいたします。
  184. 木内良明

    木内政府委員 これは、基本的にはその保留地見合いのものを考えるわけでございますから、保留地と申しますのは先生承知のように、その組合事業費に見合うものを捻出するためのもので出しますから、大体これだけの事業をやろうと計画した段階にはそれの事業費見合いでどのくらいの保留地が要るかということが概略計画が立つわけでございます。ですから、ある程度当初から、事業をやる際に見込みがなければいかぬ。正確なものではないのですけれども、そういったある程度見込みを持った上で組合というものが事実上はできてくるはずでございます。  そこで、組合認可を申請する前に参加組合員が取得することとなる宅地のおおむねの位置、地積等は一般の組合員土地所有者とか借地権者と当該参加組合員とが十分協議してそれを定めまして、それを組合の定款の案に記載して、それで御承知のように地権者の三分の二の同意を得なければいかぬわけです。まずそれでそういうことをして地権者の三分の二の同意を得る、同意を得た上でさらに都道府県知事認可を受けて決定されるということでございます。  そういうことでおおむねの位置、地積が決まりますけれども、正確には先ほど申しましたように換地計画においてぴしゃっと定まる。換地計画を待たないと、その隣接地との境界とかいういろいろな細かいのがございませんから、おおむねのものが正確には換地計画で決まる。ところが、換地計画でそういうふうに決まったところのその土地の法的性格というのは、従前の土地があるわけではないのですからこれは換地ではございません。公共施設用地でもございません。保留地ではなくて、この場合は保留地となるべき土地でございますけれども負担金に見合って参加組合員に与えられる土地というふうな性格づけになるわけでございます。
  185. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、いわゆる既成市街地、これにかかわる土地区画整理事業の問題でちょっとお尋ねをしたいと思います。  大体区画整理は合理的な事業だ、非常に公共性の高いものだ、こういうふうに一般的に非常に言われる、喧伝をされる、こういうことなんです。ところが、小さい面積を所有しておられる方あるいは借地をしておられる方あるいはその上に建物を建設をし現に居住しておられるあるいは商売をやっておられる、こういう多くの住民の建物を移転することになりますし、土地換地することになります。また当然、減歩と称して土地が縮小される、こういう事業になるわけですね。郊外地開発型の区画整理といいましょうか、そういうものと違って既成市街地のは、土地所有者土地を売却して上昇した土地価格を実際に取得するという場合は本来少ないですね。極めて少ない、例外的なことだと思うのですね。したがって、減歩ということは、当然のことでありますが土地が減るということですね。それにお住まいになっている人は庭も減るだろうし、あるいは住宅の一部、そういうところがなくなっていくということにもなろうかと思うのですね。それから営業、商売をなさっている方についてはまたいろいろ間口が狭くなるとか、いろいろな問題が出てくる。居住という点でいえば居住水準の切り下げになりますね。それから営業をしている方については営業権といいましょうか、そういうものが非常に不利益をこうむるということになりますね。  また、その土地区画整理によって土地が上がるということ、だから減歩をしてもいわゆる経済的には不利益にならないという、そういう考え方があるようでありますが、しかし実際はその土地が上がれば固定資産税がふえて大変だとか、最近でいえば相続税の問題もあろうかと思います。まあこれは土地区画整理と余り関係ないかもわかりませんけれども。そういう経費増になってくるのですね。  結局そういう生活をしていく、営業をしていく、そういう上でいろいろ不利益が生じてきますね。ところが一方では利便性が増すとか、いろいろ言われるわけでありますが、しかしその内容は、やはり非常に幅の広い道路がつくられる、広幅員の道路がつくられる、あるいは駅前広場がつくられる、こういういわゆる根幹施設が主な目的になっているというところが多いんじゃないでしょうか。そういうことになってまいりますと、いろいろ先ほど申しましたような方にとっては大変な内容になっていますね。それからまた、幹線道路が住宅地なんかの真ん中を通るというケースもありますね。こういうことになりますと、もちろんそれは公害をまき散らすことになりますし、あるいは交通安全の面でも危険な問題が起こってきますし、またその地域が分断されるといいますか、そういう状況も起こりますね。  そういういろいろなマイナスの面もあるということでありますので、こういう考え方から見れば合理的でない。合理的だ合理的だ、公共性だ公共性だ、よくなるんだよくなるんだというふうに言われるのでありますが、そうでない側面があるわけですね。こういう問題、私は十分留意をしてやっていただきたい、考え方の中に十分そのことを入れて事を進められたい、こういうふうに思うのですが、建設省の考え方いかがですか。
  186. 木内良明

    木内政府委員 先生最後におっしゃいました零細地権者等いろいろ留意しろとおっしゃることは、私はそのとおりだと思います。ただ、先生おっしゃるようにデメリットが多い事業だとは全然思っておりません。  それは例えば零細地権者に例をとってまいりますと、これはどこでどういう事業が行われるかにもよりますけれども、例えばごく町中で土地の規模が非常に小さなようなところで行われるというふうな場合には、従前の土地に比べて施行後の宅地の総価額が余り値上がりしない、既成市街化しているようなところは。そういうところでは無理やり保留地減歩等は出さないし、あるいは公共減歩も一定の線に抑えるとかいうふうにして減歩を非常に少なくする。場合によっては公共施設整備に基本的な道路等が入る場合には減価補償金というふうなものを出しまして、それであらかじめ道路用地になるようなところを任意に先買いしておきまして減歩側に役立てるというふうなことで、小規模の土地を持っている人がずっと大勢いるようなところで、そういった方々に大変不利になるような状況を非常に緩和する手続もとっております。  それから零細地権者に対しましては、公共団体施行の場合は過小宅地対策というのをやっておりまして、例えば百平米以下の宅地、しかも滅歩が場合によってかかってさらに小さくなるような場合には、大きく土地を持っている人の分をそこの人につけ加えて増し換地というふうなことを考えたり、その他いろいろ過小対策もやっているわけでございます。  それから借家人あるいは借家で商売している方々につきましても、法律上は契約の解除とかそれから補償とかそういう基本的な規定はございますけれども、現実に施行する段に当たりましては、施行者あるいは地方公共団体が一緒になりまして住まいのあっせんとかいろいろなことをやっておりまして、決して中におられる地権者、小地主が非常に惨めな思いをするということは、まずまずほとんどない。結果において良好な市街地の形成に寄与するというふうなことになるのではないかと考えておりますので、御了解願いたいと思います。
  187. 辻第一

    ○辻(第)委員 私はそこまで言われるとちょっとまた反論したいわけでありますが、時間がありませんので私の言うたことをよくまた後で玩味していただきたいと強く要望しておきます。  それで、参加組合員に与える土地の位置はどうして決めるのか、参加組合員土地を与えるため他の組合員土地の位置などが不利になることはないのか、照応原則との関係はどうなのか、お尋ねいたします。
  188. 木内良明

    木内政府委員 参加組合員が取得することになる宅地のおおむねの位置、地積等は、一般地権者参加組合員との協議によりまして決まりまして、これを定款の案に記載して、地権者の三分の二以上の同意を得るということでございます。また、参加組合員が取得する宅地の位置、地積は換地計画において正確に定められ、換地処分により確定するわけでございます。参加組合員が取得する宅地参加組合員制度がなければ保留地となるべき土地でありますので、参加組合員制度創設されたことによりまして、一般の地権者が不利益、減歩が多くなるというようなことはないと考えます。また、参加組合員が取得する宅地には従前地がないのでそれ自体には照応の原則は働かないが、一般地権者に対しては従来どおり照応の原則が適用されるということになります。
  189. 辻第一

    ○辻(第)委員 組合員に公共用地等に充てるための減歩がかかる。参加組合員に対してはどのような扱いになるのか。滅歩相当分をお金で支払うという考え方なのか、いかがですか。
  190. 木内良明

    木内政府委員 参加組合員の取得する土地は、要するに保留地となるような土地を先に買うわけでございますので、結局滅歩というのは、従来の土地所有者区画整理土地が減る割合を言うわけでございますので、当然減歩の対象にはならないということでございます。
  191. 辻第一

    ○辻(第)委員 単に施行業者であるのか、あるいは区画整理施行者であるか、これは大きな違いがありますね。区画整理事業の場合のその事業費の捻出は保留地の売却によっていたわけですね。ところが、今回の制度の場合もその点では変わりはないのか。また、第三者である施行者のメリットはどこにあるのか、どういうことでしょう。
  192. 木内良明

    木内政府委員 先生おっしゃいましたように、いわゆる工事を施行するという施行業者と事業を施行する施行者、これは大きな違いがございます。事実、工事を請け負って施行するということでなくて個人施行事業主体になるわけでございますから、大いに違いがございます。  それから、個人施行の場合、保留地処分金を事業費に充てている例が多いわけでございますけれども第三者施行の場合にも、従来の個人施行の場合と同様でございますけれども第三者施行者がいわゆる開発者等である場合には、保留地に見合う事業費を支出して、その保留地をみずから取得する例も多いものと想定されます。  そういうことで、第三者施行者のメリットとしましては、保留地を取得することにより地権者と共同で住宅開発、都市開発ができる、用地の確保ができるということ、それから、みずからの豊富な経験、ノーハウを生かして施行機会を拡大できる、それから、施行者としての法的地位を取得することになりますので、知事からの技術的な援助等も受けることができる、それから、各種公共施設の管理者との協議をみずから行うことができますので、効率的な事業執行が可能になるというようなメリットがあろうかと思います。
  193. 辻第一

    ○辻(第)委員 区画整理事業というのは、住民の側から見てみますと、突然天から降ってくるような感じで聞いたというようなことなのですね。計画をその地域住民へ説明をし、住民の意見の反映が不十分だという問題がずっと指摘をされているのですね。本当に住民に早く十分な説明をする、また十分に意見を聞く、そして住民の要求を十分反映する、このことが非常に大事だと思うのです。  それで、その事業の説明や意見の聴取というのは大体どのような時点で行われているのか、お尋ねをしたいと思います。
  194. 木内良明

    木内政府委員 区画整理の手順から概略御説明申し上げた方がよろしいかと思います。  区画整理の手順は、典型的な形では、市街地整備基本計画というふうなものを各市ごとに持っていますけれども、それで区画整理予定地区の選定をまず行います。続いて基本構想を作成し、それから基本計画を作成します。その後で施行地区、いわゆる区画整理をやろうとする地区の都市計画決定を行います。それから、その都市計画決定が済んだ後、施行規程または定款あるいは事業計画等の作成を行います。それでその後、事業計画のうち設計の概要、組合の設立等の認可、告示という手続をとって事業に着手されるということでございます。  こういった段階で、この手続の中で施行区域、いわゆる区画整理の対象となる区域の都市計画を決定する場合は、これは都市計画でございますから一般の都市計画の案が公衆の縦覧に供されまして、これに対し住民及び利害関係者が意見書を提出することができることになっております。  それから事業計画の決定、公共団体施行の場合は事業計画を決めるわけでございますけれども、また組合の場合は組合設立認可があるわけでございますけれども、そういったときに事業計画案の縦覧がございます。これにつきましても同じく利害関係者等の意見が言える機会があるわけでございます。  以上の二つの場合が着手前でこざいますけれども事業が行われた後でも、換地計画認可に当たりましてはその換地計画が縦覧されて意見が述べられる。  以上でございますけれども、なおかつ実態は、法律で定められた以上に住民への周知徹底が行われておりまして、基本構想、基本計画事業計画の策定、それぞれの段階で、計画の熟度に応じて、必要に応じて施行者または公共団体が適宜住民への説明会、意向聴取等を行っているのが普通でございますけれども、もし徹底してないということになればそういう手続のやり方がもっと足りないということになろうかと思いますので、そういうことになればそういった手続をさらに十分やるように指導してまいりたいと思います。
  195. 辻第一

    ○辻(第)委員 今非常に、説明であるとか事情の聴取であるとか、いろいろ努力をされていただいているということを聞くわけでありますが、実態としてはいろいろ問題があるところが多いですね、私どもが聞いてまいりますと。だからそういう点で、できるだけ早い時期に、いろいろプロセスがありますが、そのプロセスを早い時期から十分説明をし、意見を聞いていただいてやっていただきたいということを重ねて要望したいと思うのです。  もう少し申しますと、例えば事業計画決定前などになりますと、まだ案が固まっていないから説明ができないとかしにくいとか、こういうことになりますね。それから、国との協議でありますとか承認以前に説明を聞かないと、結局いろいろ要求を出しても事実上もう手直しがきかぬ、ゴーをしてしまってからいろいろ言うてもなかなか意見を聞いていただけないということになるのですね。それで、説明し、意見は言わすけれども、結局は理解、協力をということですね。あとは、言えば押しつけるというようなことになるのですね。だから、早い時期から説明をし、意見を聴取していただきたいということをお願いをいたします。一言。
  196. 木内良明

    木内政府委員 先生お話ありましたように、事前にはよく説明するようにさらに徹底してまいりたいと思います。  それから、事業の実施中においても、例えば換地計画の前に仮換地がありますけれども、仮換地の際にも、法律にはありませんが縦覧をやるというようなことで周知徹底を図っておりますし、今後ともそうしてまいりたいと思っております。
  197. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ずっといろいろ御意見を聞いておりますが、黙って座っておったらこのことを認めたことになりますので、一言だけ申し上げておきたいと思います。  いろいろお話がございましたけれども、その地域の大方の方の御同意を得ないと、無理に押しつけてやるということではありません。また、そのことではできない。地域の全般な方が反対するようなことをやるわけではございません。地域の大方の方が同意をいただく、こういうことが前提であります。  また、その後も、皆さんそれぞれ所有権なり地上権なりを持っておる方でありますから、その方々が反対するようなことが進んでいくということではございません。みんなで、できるだけ立派な環境の市街化区域をつくりますし、また優良な宅地を、今持っておる方も非常によくなるし、またその他の土地もよくなるような方法で進めていきたい、こう思いますから、無理に先生のおっしゃるように、何も上から押しつけてこれをやろうということではありません。もう根本的にその地域の方の御同意がなければできない事業でありますから、そういうことでやってまいります。御心配なく、ひとつ御同意をいただきたい、かように思う次第でございます。
  198. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ心配があるのですが、もう時間がありませんから終わります。  以上、質問してまいりましたが、この土地区画整理法で新たに設けられた三つの制度は、民間活力の活用による、いわゆる民活再開発推進の流れに沿ったものであり、民間デベロッパーが事業の一切を土地所有者にかわって行うことで保留地の取得が可能な第三者施行、事実上の土地売買ともいえる参加組合員制度、立体換地との関係が考えられる宅地の共有化など、デベロッパー主導の土地区画整理の拡大、土地区画整理が利潤追求の道具となることにつながるものであります。  我が党はこうした土地区画整理法に反対の立場であることを申し上げて、質問を終わります。
  199. 中村喜四郎

    中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  200. 中村喜四郎

    中村委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  土地区画整理法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  202. 中村喜四郎

    中村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、加藤卓二君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。加藤卓二君。
  203. 加藤卓二

    ○加藤(卓)委員 ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきまして、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のことでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることにいたします。     土地区画整理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 健全な住宅市街地を造成し、宅地供給を促進するため、土地区画整理事業をなお一層推進するとともに、土地区画整理事業終了後の未利用地についてその有効利用の促進に努めること。  二 宅地について所有権又は借地権を有する者の同意を得た者が個人施行者として土地区画整理事業を施行する場合においては、悪質な不動産業者等が施行者となることのないよう十分な指導を行い、地権者の保護に努めること。  三 参加組合員制度の運用に当たっては、参加組合員が有する町づくりの知識・経験等を十分活用することにより、良好な市街地が形成されるよう努めること。  四 小規模な宅地について宅地地積の適正化を行う必要がある場合には、宅地の共有化制度を活用してその推進を図るとともに、共有化後の宅地については適切な土地利用の促進に努めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  204. 中村喜四郎

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 中村喜四郎

    中村委員長 起立多数。よって、加藤卓二君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。越智建設大臣。
  206. 越智伊平

    ○越智国務大臣 土地区画整理法の一部を改正する法律案につきましては、御審議をお願いして以来、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存であります。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。     ─────────────
  207. 中村喜四郎

    中村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中村喜四郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  209. 中村喜四郎

    中村委員長 次回は、来る十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十七分散会