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1988-05-13 第112回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月十三日(金曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 野中 英二君    理事 魚住 汎英君 理事 近藤 元次君    理事 杉山 憲夫君 理事 鈴木 宗男君    理事 谷津 義男君 理事 渡部 行雄君    理事 草川 昭三君       天野 光晴君    岡島 正之君       小川 国彦君    新村 勝雄君       小川新一郎君    古川 雅司君       大矢 卓史君    野間 友一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議官    本多 秀司君         内閣総理大臣官         房会計課長   河原崎守彦君         内閣総理大臣官         房広報室長   宮脇 磊介君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         運輸政務次官  久間 章生君         運輸大臣官房長 棚橋  泰君         運輸大臣官房会         計課長     黒野 匡彦君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省国際運輸・         観光局長    中村  徹君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省貨物流通         局長      中島 眞二君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         運輸省航空局長 林  淳司君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁長官 山田 隆英君         気象庁長官   菊池 幸雄君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     太田 利邦君         防衛庁教育訓練         局教育課長   草津 辰夫君         防衛庁人事局人         事第一課長   三井 康有君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      岩本  毅君         建設省都市局都         市計画課長   近藤 茂夫君         自治省財政局調         整室長     嶋津  昭君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      杉浦 喬也君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      杉田 昌久君         参  考  人         (日本鉄道         清算事業団理         事)      前田喜代治君         参  考  人         (新幹線鉄道保         有機構理事長) 石月 昭二君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  萩原  浩君         参  考  人         (財団法人鉄道         総合技術研究所         専務理事)   渡邊 偕年君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   永井  浩君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  秋富 公正君         参  考  人         (日本海事協会         会長)     内田  守君         参  考  人         (特定船舶製造         業安定事業協会         理事長)    野口  節君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ───────────── 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     鯨岡 兵輔君 同日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     岡島 正之君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和六十年度一般会計歳入歳出決算  昭和六十年度特別会計歳入歳出決算  昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和六十年度政府関係機関決算書  昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ────◇─────
  2. 野中英二

    野中委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君、同理事杉田昌久君、前田喜代治君、新幹線鉄道保有機構理事長石月昭二君、本州四国連絡橋公団理事萩原浩君、財団法人鉄道総合技術研究所専務理事渡邊偕年君日本鉄道建設公団総裁永井浩君、新東京国際空港公団総裁秋富公正君、日本海事協会会長内田守君、特定船舶製造業安定事業協会理事長野口節君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 野中英二

    野中委員長 次に、運輸大臣概要説明会計検査院検査概要説明日本国有鉄道当局資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野中英二

    野中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────    昭和六十年度決算概要説明書                   運輸省  昭和六十年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額四十九億二千六百四十六万円余に対し、収納済歳入額は五十三億二千四百二十一万円余であり、差引き三億九千七百七十五万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆三千百六十億一千二百三万円余に対し、支出済歳出額は一兆二千八百四十九億六千七百六十四万円余でありまして、その差額三百十億四千四百三十九万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は二百七十七億九千七十九万円余であり、不用となりました額は三十二億五千三百五十九万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は一兆六千七百二億一千四十一万円余であり、支出済歳出額は四千六百二十九億七百万円余でありまして、差引き一兆二千七十三億三百四十万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は三千六百一億五千十九万円余であり、支出済歳出額は三千五百六十八億二千五百十九万円余でありまして、差引き三十三億二千四百九十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百億四千九百六十六万円余であり、支出済歳出額は三百二億八千九百七十九万円余でありまして、差引き九十七億五千九百八十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は二千八百五十六億九千四十六万円余であり、支出済歳出額は二千四百二十八億七千三百三十九万円余でありまして、差引き四百二十八億一千七百六万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度歳入に繰り入れました。  以下部門別重点施策について、御説明申し上げます。  まず、日本国有鉄道関係について申し上げます。  第一に、日本国有鉄道に対し、日本国有鉄道財政再建利子補給金として、三千四百五十六億七千百九十九万円余、日本国有鉄道工事費補助金として一千三百五十三億三千二百万円、日本国有鉄道地方交通線特別交付金として六百九十八億二千九百万円、日本国有鉄道特別施設運営費補助金として五十四億七千四百万円、日本国有鉄道合理化促進特別交付金として十億五千万円、日本国有鉄道特別施設整備費補助金として三十六億八千七十一万円余、日本国有鉄道特別退職手当補給金として三百四億八千二百万円、日本国有鉄道防災事業費補助として六十七億九千四百六十一万円余、日本国有鉄道整備新幹線建設調査費補助金として十五億五百七十二万円余、磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金として三億九百五十五万円を支出いたしました。これによりまして、過去債務、設備投資等による利子負担及び地方交通線運営費負担軽減大都市通勤通学輸送改善公害防止安全確保防災対策等のための諸設備整備特定地方交通線対策並びに整備新幹線調査等推進を図りました。  第二に、日本鉄道建設公団に対し、日本鉄道建設公団工事費補助金として百六十四億三千百七十七万円余、日本鉄道建設公団整備新幹線建設調査費補助金として十三億六千六百五十六万円余、日本鉄道建設公団補給金として六百五億六千四百二十二万円余を支出いたしました。これによりまして、国鉄新線及び地方鉄道新線建設並びに整備新幹線調査等推進を図るとともに、日本国有鉄道への貸付線及び地方鉄道業者への譲渡線資本費負担軽減を図りました。  第三に、本州四国連絡橋公団に対し、本州四国連絡橋公団工事費補助金として二十億八千三百八万円余を交付いたしました。これによりまして、本州四国連絡鉄道に係る工事及び調査等を実施いたしました。  第四に、日本国有鉄道地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、白糖町ほか十事業者に対し一億二千四百八十三万円余、日本国有鉄道地方交通線転換地方鉄道等運営費補助金として、弘南鉄道株式会社及び神岡鉄道株式会社に対し一千三百二十七万円余を交付いたしました。これによりまして、日本国有鉄道特定地方交通線代替輸送確保いたしました。  次に、海運関係について申し上げます。  外航船舶整備対策のため、昭和五十四年度から五十六年度の間に締結した外航船舶建造融資利子補給契約に基づき、外航船舶建造融資利子補給金として、日本開発銀行及び日本興業銀行ほか二十九行の一般金融機関に対し六十八億二千百七十五万円余を支出いたしました。  次に、観光関係について申し上げます。  第一に、国際観光振興会に対し、国際観光事業費補助金として十九億九千八百七十七万円余を交付いたしました。これによりまして、海外観光宣伝事業充実等国際観光振興会業務拡充強化を図りました。  第二に、観光レクリェーション地区施設整備費補助金として、北海道ほか十三県に対し二億八千五百万円を交付いたしました。これによりまして、国民の観光レクリェーション活動の場を確保し、あわせて地域振興に資するための観光レクリェーション施設整備促進いたしました。  次に、地域交通関係について申し上げます。  第一に、地下高速鉄道建設費補助金として、東京都ほか一県八市に対し四百六十億五千二百四十七万円余を交付いたしました。これによりまして、帝都高速度交通営団ほか九事業者による地下高速鉄道網整備促進いたしました。  第二に、ニュータウン鉄道建設費補助金として、大阪府、神戸市及び住宅・都市整備公団に対し六億五千五百二十七万円余を交付いたしました。これによりまして、泉北ニュータウン西神ニュータウン及び千葉ニュータウンにおける鉄道整備促進いたしました。  第三に、都市バス整備費補助金として、名古屋市、大阪市及び奈良交通株式会社ほか六社に対し二億七千八百五十五万円余を交付いたしました。これによりまして、都市におけるバス輸送サービス改善のための施設整備等促進を図りました。  第四に、地方鉄道軌道整備費補助金として、能勢電鉄株式会社ほか三十一社に対し八億八千六百二十八万円余を交付いたしました。これによりまして、中小民鉄維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  第五に、踏切保安設備整備費補助金として、島原鉄道株式会社ほか二十九社に対し二億九千五十七万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故防止を図りました。  第六に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し九十八億一千二百八万円余を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  第七に、離島航路補助金として、百二十九航路を経営する百二十四事業者に対し三十二億五千四百八十六万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路輸送力確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、貨物流通関係について申し上げます。  貨物流通対策推進するため八百九十二万円余を支出いたしました。これによりまして、国際航空貨物の流動の変化に対する総合的な対応策に関する調査を行いました。  次に、船舶及び船員関係について申し上げます。  第一に、特定船舶製造業安定事業協会に対する補給金として十二億九千万円を交付いたしました。これによりまして、造船業過剰施設の処理に伴う業務の円滑な推進を図りました。  第二に、最近における船員雇用情勢にかんがみ、雇用の安定及び拡大に資するための所要対策を講ずるとともに、船員制度近代化推進するために海技大学校の操船訓練装置整備を行うこととして四億一千百八万円余を支出いたしました。これによりまして、船員雇用促進対策及び船員の再教育推進を図りました。  次に、港湾関係について申し上げます。  第一に、第六次港湾整備五か年計画最終年度として、港湾整備特別会計において三千五百六十八億二千五百十九万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては三千二百九十四億六百四万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百十二港、十三航路及び六海域工事を、港湾改修補助事業として七百三十七港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業港湾公害防止対策補助事業港湾環境整備補助事業及び港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。  また、特定港湾施設工事勘定においては二百七十四億一千九百十五万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として十港、鉄鋼港湾施設工事として一港、物資別専門埠頭港湾施設工事として五港の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、今後の港湾取扱貨物量増加に対処するとともに、貨物輸送合理化エネルギー情勢への対応地域振興のための基盤施設整備船舶航行等の安全の確保地域防災推進港湾及び海洋環境改善等を図りました。  第二に、第三次海岸事業五か年計画最終年度として二百八十八億七千四十七万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業海岸補助事業四百二十五海岸海岸環境整備補助事業として四十二海岸公有地造成護岸等整備補助事業として五海岸工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等整備促進いたしました。  第三に、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として三十七億八千六百三十七万円余を支出し、直轄事業八か所、補助事業三百四か所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸災害復旧促進いたしました。  次に、航空関係について申し上げます。  第四次空港整備五か年計画最終年度として、空港整備特別会計において二千四百二十八億七千三百三十九万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、第一に、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として四十九億三千九百六十七万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港の着工のために必要な事業等を実施いたしました。  第二に、東京国際空港沖合展開事業推進するほか国内空港整備を図るため八百十二億七千三百万円余を支出いたしました。これによりまして、東京大阪国際空港及び福岡空港ほか六十二空港整備等を実施いたしました。  第三に、新東京国際空港公団に対する政府出資として三十二億円を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港整備推進いたしました。  第四に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため四百九十七億一千七百八万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場周辺における民家、教育施設等防音工事及び移転補償等並びにテレビ受信障害対策に対し必要な助成措置を講ずるとともに、空港周辺整備機構による代替地造成事業等促進を図りました。  以上によりまして、航空輸送力増強等に対処するとともに、航空の安全の確保環境整備推進いたしました。  次に、海上保安関係について申し上げます。  第一に、北西太平洋海域等における船舶航行安全体制を確立するとともに、広大な海域における我が国の権益を確保することを目的として、広域的哨戒体制等整備推進するため八十九億八千八百四十九万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船建造及び航空機整備並びに海洋情報システム等整備を行うとともに、新たに巡視船二隻の代替建造に着手いたしました。  第二に、新海洋秩序時代における海洋調査重要性にかんがみその充実強化を図るため十億一千三百十四万円余を支出いたしました。これによりまして、「海の基本図」の整備海洋測地推進大陸棚画定等調査及び海洋データセンター拡充等を図るとともに、中型測量船代替建造に着手いたしました。  第三に、航路標識整備を図るため九十億一千五百四十六万円余を支出いたしました。これによりまして、灯台等光波標識四十五基、マイクロ波標識局三局及び海上交通情報機構一群の整備並びに既存航路標識改良改修を行いました。  次に、気象関係について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等強化を図るため二十七億八百八十七万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務推進地域気象観測網気象レーダー観測業務及び静止気象衛星資料受信業務等整備を行いました。  第二に、地震津波対策及び火山対策強化を図るため七億四百七万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設整備等を行いました。  第三に、海洋並びに海上気象観測体制整備するため三億一千三百九十一万円余を支出いたしました。これによりまして、海洋気象観測船の代船建造に着手いたしました。  このほか、昭和六十一年にカナダのヴァンクーヴァー市において開催される国際交通博覧会に参加するため、一般会計において三億六千四百四十六万円余を支出するとともに、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計においてもそれぞれ一億四千四百五十万円を支出いたしました。これによりまして、政府出展準備等を行いました。  最後に、昭和六十年度予算の執行につきまして、会計検査院から是正改善処置要求を受けた事項がありましたことは、誠に遺憾であります。  処置要求を受けた事項につきましては、実態を把握し所要改善を行う所存であります。  以上をもちまして、昭和六十年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    昭和六十年度決算運輸省についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、意見を表示し又は処置要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件であります。  まず、意見を表示し又は処置要求した事項について御説明いたします。  これは、防波堤等築造工事における上部コンクリート工等積算に関するものであります。  運輸省におきましては、港湾整備事業等補助事業として港湾施設及び海岸保全施設建設等工事を実施する地方公共団体に対し毎年度多額国庫補助金を交付しておりますが、これら工事のうち防波堤等上部に無筋コンクリート構造物陸上において施工する上部コンクリート工等積算当たり、一部事業主体では、比較的小規模なものが多い構造物を対象とし多様な施工条件にも対応できるよう建設省等が定めた土木工事標準歩掛等参考にして工事費積算しておりました。しかしながら、本件のような陸上施工上部コンクリート工等は、構造物も単純な形状で、一施工箇所当たりコンクリート打設量も比較的多く、施工現場も集中していることから、このような工事施工実態に基づいて運輸省が定めた港湾工事積算基準参考とすべきであると認められましたので、工事規模等施工条件実情を把握のうえ、実情に応じた積算を行うよう各事業主体に対する指導の徹底を図り、もつて国庫補助金の節減を図るよう是正改善処置要求いたしたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について御説明いたします。  これは、空気調和設備保守業務に関するものであります。  運輸省東京航空局管内の七空港出張所におきましては、一般庁舎用空気調和設備保守業務を請負に付していますが、近年の空気調和設備の品質、性能の向上等を考慮いたしますと、契約の際、仕様で定めた一日当たり保守業務時間や年間の保守業務期間は過大であり、ひいては保守費が不経済なつていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省東京航空局では、仕様を改めて一日当たり保守業務時間を短くするなどの処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     …………………………………    昭和六十年度決算日本国有鉄道についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項六件であります。  検査報告番号八〇号は、プレストレストコンクリート単純けたの製作架設工事の施行に当たり工場製作費積算が適切でなかつたため、契約額が割高になつたものであります。  これは、積算要領によれば、工場間接費は直接労務費だけに工場間接費率を乗じて算出することになつているのに、誤つて、工場間接費を既に見込んである合板型枠製作労務費にまで工場間接費率を乗じて算出したため、契約額が割高になったものであります。  また、検査報告番号八一号は、特別高圧ケーブル増設工事の施行に当たり、既設ケーブル移設費の積算が適切でなかつたため、契約額が割高になつたものであります。  これは、積算に当たつて、既設ケーブルがダクト等内の中央底部に近い位置に埋設され、温度変化により蛇行していると想定し、ケーブルを一条増設する際に、これを移設するものとしてその工事費を見込んで算定していたものであります。しかし、本件のように幅が広いダクトやトラフ内にケーブルを一条敷設する場合は、将来の増設等を考慮してケーブルを片側に寄せて施工するものであり、また、既設ケーブルは温度変化による伸縮を抑えるため砂中に埋設されていて蛇行はほとんどないことから既設ケーブル移設費は積算の要がなかつたものであり、このため契約額が割高になつたものであります。現に、施工に当たつては、既設ケーブルを移設した事実も見受けられなかつたものであります。  また、検査報告番号八二号は、新幹線電車のリネンサプライ業務費の積算当たり、年間予定列車本数の算出を誤つたため、支払額が過大になつたものであります。  これは、新幹線総局で、東京駅等において東海道・山陽新幹線電車に使用するもたれカバー、ひじカバー等の提供及びこれらの運搬、取付け、取外し等の整備作業を請負により行わせるものでありますが、これら整備作業の範囲及び列車編成の種類により分けた作業種類別の一列車当たり単価の算定に当たり、本来、運行の実績及び列車ダイヤに基づき算出した年間予定列車本数によるべきところ、誤つて、これより少ないコンピューターの計算機能を確認するために用いた仮データにより積算を行つてしまつたため、支払額が過大になつたものであります。  また、検査報告番号八三号から八五号までの三件は、職員の不正行為による損害を生じたものであります。  八三号は、静岡鉄道管理局原駅の営業係員が定期乗車券等を発売した際に、関係帳票に事実と異なる記載をして実際の発売金額との差額百八十九万二千四百三十円を領得したものであります。八四号は、大阪鉄道管理局京都駅の営業係員五名が使用済みの乗車券を改ざんし払戻し請求があつたかのように装い、五百一万七千九百円を領得したものであります。八五号は、広島鉄道管理局広島駅の営業係員が印刷発行機を不正に操作して乗車券類を発行し、その代金又は払戻金二百二十万三千五百円を領得したものであります。  なお、上記三件の損害額については、いずれも全額が不正行為者から返納されております。  以上をもつて概要説明を終わります。     …………………………………    昭和六十年度日本国有鉄道決算概要  昭和六十年度日本国有鉄道決算につきまして、只今、運輸大臣から予算の区分にもとづく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条にもとづく財務諸表により、経営成績の概要を補足して御説明申し上げます。  日本国有鉄道の計理につきましては、昭和五十一年度から「一般勘定」と「特定債務整理特別勘定」の二つに区分して計理いたしております。  まず、一般勘定につきましては、営業収入は、旅客収入二兆九千四百二十二億三千八百八十八万円、貨物収入千八百五十七億九百三十九万円、雑収入千八百二十六億三千七百六十四万円、助成金受入二千四百二十一億六千七百万円、合計三兆五千五百二十七億五千二百九十一万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金、地方交通線特別交付金、地方バス路線運営費補助金、大都市交通施設運営費補助金、合理化促進特別交付金及び特別退職手当補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入千九百十八億二千五百二十三万円、率にいたしまして七%の増加、貨物収入百二十七億六千二百十一万円、率にいたしまして六%の減少、雑収入二百八十八億三千八百八十六万円、率にいたしまして十九%の増加、助成金受入四百四十九億三千七百五十八万円、率にいたしまして十六%の減少、合計千六百二十九億六千四百四十万円、率にいたしまして五%の増加となっております。  旅客収入の増加は主として昭和六十年四月及び九月に実施いたしました運賃改定並びに新幹線の輸送量の増加によるものであります。  輸送量につきましては、旅客輸送量二千億九千五百三十八万人キロ、貨物輸送量二百二十億九千二百六十三万トンキロとそれぞれ前年度に比べますと旅客は二%の増加、貸物は五%の減少となりました。  営業経費は、極力合理化推進並びに経費の節約に努めてまいりましたが、退職手当及び利子の増加がありました結果、営業経費の合計は五兆五千七百二十八億三千九百五十二万円と前年度に比べまして七%の増加となりました。  営業経費の内訳は、人件費二兆三千二十三億九千七百二十三万円、動力費二千九十五億六千九百九十六万円、修繕費七千九百六十二億六千二百五十九万円、業務費四千七十六億九千九百十四万円、租税及び公課四百七十七億九千五百五十三万円、営業費計三兆七千六百三十七億二千四百四十五万円、利子及び債務取扱諸費一兆二千百九十八億九千六万円、減価償却費四千六百二十四億四千十一万円、固定資産除却費二百八十五億六千五百四十三万円、繰延資産償却費九百八十二億千九百四十七万円、資本経費計一兆八千九十一億千五百七万円、合計五兆五千七百二十八億三千九百五十二万円であります。  以上の結果、営業成績は、営業損失二兆二百億八千六百六十一万円、営業外利益千七百二十三億七百十万円、純損失一兆八千四百七十七億七千九百五十一万円となりました。  なお、昭和五十三年度から純損失について退職手当の異常支出相当額を特定退職手当純損失、その他を一般純損失として整理いたしておりますが、これによれば、一般純損失一兆八百五十六億九千八百七十一万円、特定退職手当純損失七千六百二十億八千八十万円であります。  このため、繰越欠損金は前年度から繰り越された欠損金六兆九千五百三十二億九千四百九十一万円とあわせて八兆八千十億七千四百四十二万円となりました。  次に設備投資の概要を御説明申し上げます。  昭和六十年度は、輸送設備の維持更新、経営の体質改善輸送力整備並びに新幹線建設の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は五千六百九十四億九千七百三十三万円となりました。  なお、昭和六十年度設備投資額の事項別内訳は、輸送設備の維持更新二千八百三十九億二千百七十二万円、経営の体質改善五百五十九億七千七百二十四万円、輸送力整備千三百九十四億四千百十二万円、新幹線建設二百五十二億三千四百二十八万円、建設関連利子六百四十九億二千二百九十七万円、合計五千六百九十四億九千七百三十三万円であります。  これらの設備資金等のために、あらたに外部資金の調達を行いました結果、長期負債の増加額は、資金運用部等からの借入金一兆三百五十四億五百万円、鉄道債券発行額一兆七千三百五十六億四千九百十万円、合計二兆七千七百十億五千四百十万円であります。一方、長期負債の償還に伴う減少額は一兆三百四十九億二千百四十一万円でありまして、この結果、長期負債は前年度に比べて一兆七千三百六十一億三千二百六十九万円増加し、昭和六十年度末において十八兆二千四百八億八千五百七十六万円となりました。  なお、工事費の一部補助として受け入れた特別施設整備費補助金三十六億八千七十二万円、防災事業費補助六十七億九千四百六十二万円、整備新幹線建設調査費補助金十五億五百七十二万円、磁気浮上方式鉄道技術開発費補助金三億九百五十五万円は、その他負債に計上いたしております。  次に、特別勘定につきまして御説明申し上げます。  昭和五十九年度末の特別勘定の長期負債残高は、特定長期借入金五兆五百九十九億二百万円、財政再建借入金二千六百二十二億四千七百万円、合計五兆三千二百二十一億四千九百万円でありますが、このうち、財政再建借入金二十億五千九百万円を償還いたしました結果、昭和六十年度末長期負債残高は、特定長期借入金五兆五百九十九億二百万円、財政再建借入金二千六百一億八千八百万円、合計五兆三千二百億九千万円となりました。  また、特定長期借入金に係る利子につきましては三千四百五十六億七千二百万円でありますが、この利子は同額の財政再建利子補給金の受け入れにより支出いたしております。  最後に、昭和六十年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項六件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に堪えないところでありまして今後、さらに予算の効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。     ─────────────
  6. 野中英二

    野中委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡島正之君。
  7. 岡島正之

    岡島委員 限られた時間でありますので、成田空港問題に絞って幾つか御質問を申し上げます。  成田空港は、この五月二十日に、五十三年の開港以来十周年を迎えるわけでありますけれども、関係者の努力によってここまで参ったわけであります。成田空港は、今旅客数におきましては世界第八位の実績を持っておりますし、また国際線の航空貨物の取り扱いでは、ニューヨークのケネディ空港を抜いて世界第一位となってきたわけであります。この十年間で利用客は延べ一億人を超えたわけでありまして、名実ともに日本の表玄関としての大きな役割を果たしてきております。日本における成田空港のシェアは、今着陸回数では六七%、旅客数では六五%、貨物量では八〇%となっております。昭和四十一年の七月に閣議決定をして建設が決定して二十有余年経過したわけでありますけれども、この間多くの関係者の苦難の中に開港から今日まで参ったわけであります。西暦二〇〇〇年、昭和七十五年には国際旅客数で約二倍の年間二千六百万人、貨物で百六十万トンが予測されているわけでありますけれども、しかしその成田空港も現在四千メーターの滑走路が一本であります。一日二百六十便の離発着が行われておりますけれども、これは世界の主要空港の中でも例を見ない状態であり、極めて残念であり、片肺空港だ、あるいはまた欠陥空港だ、こういうことが言われておるわけでございますけれども、開港十年を迎えましたこれから、解決をしなければならない多くの課題が山積をしておるわけであります。具体的なことは後で若干伺いますけれども、用地買収の問題あるいはまた二期工事の問題など大変だろうと私は思います。  そこで、ひとつ運輸省にお伺いをし、きちっとしておきたいことは、これからの成田空港の完全化の早期実現に向かってどのように取り組まれていくか、きちっとした基本的な姿勢というものを私はお示しをいただきたい。また、空港公団あるいはまた空港公団に対する指導あるいはまた地元の協力を得る体制、いろいろな問題があるわけでございますけれども、要は運輸省自体のしっかりとした姿勢がこれからの成田問題にとっては一番大事だろうと私は思いますので、その点についてのお考えを明確にお示しを願いたいと思います。
  8. 久間章生

    ○久間政府委員 先生今おっしゃられましたように、今度の五月二十日をもって十周年を迎えるわけでございまして、これまで関係者の努力によって順調に発展してきたことは私どもも大変喜ばしい限りでございます。  しかしながら、今御指摘がございましたように、最近の利用状況を見ておりますと、先生滑走路についておっしゃられましたけれども、滑走路の処理能力も限界に近づいておりますし、また我が国に対する外国からの乗り入れ等の希望もたくさん、三十数カ国からあっておるわけでございます。さらにはまた、成田空港のビル自体も非常に手狭になっている状況からいきましても、一日も早く完全空港化をしなければならない時期に来ておるわけでございます。幸い、地元の地方公共団体、議会等からも、この空港の早期完成については決議をいただいておりまして、非常に地元の協力機運も今盛り上がっているところでございます。したがって、運輸省としましても、責任を持って空港公団を指導するとともに関係機関との調整を図り、また地元の協力も得ながら未買収農家等との話し合いを推進して、この建設工事を鋭意推進して、一刻も早く完全空港化を図っていきたいと思っておるところでございます。  非常に、先生方の目から見て手ぬるいじゃないかというおしかりもあろうかと思いますけれども、運輸省としても今後とも責任を持ってそのような態度で推進していきたいと思っておりますので、どうぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  9. 岡島正之

    岡島委員 ある時期、成田空港におきましては、空港公団というのはうそつきの代名詞なんということを言われまして、要は地元のいろいろな意味の不信感があったわけでありますけれども、そういうものをきれいに払拭して開港までこぎつけてきたわけでございますから、これからさらに完全化に向かって鋭意努力をしていただきますことを特にお願いをしておきます。  それから二番目には、羽田空港の拡張の問題に関しての成田の問題についてお伺いをいたします。  今、国内路線の増大あるいはまた航空機の騒音問題等で、羽田の沖合展開の問題が進められております。一期が六十三年、二期が六十七年、三期が七十年、こう聞いておりますけれども、またこの計画がなされますと、羽田空港国際空港へのカムバックをするのではないか、復活するのではないかというような話があり、同時にそれによって成田空港が貨物の専用空港になっていく、実はそんな声が前にあったわけであります。このことにつきましては、既に過去に議論がされまして決着がついていると私は思いますけれども、しかし今、地元の千葉県におきましてはそういう声も若干あるわけでございますから、この機会に羽田、成田の運用計画についての基本的な問題について、これまたこの機会に明確にお示しをいただきたい、こう思います。
  10. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 お答え申し上げます。  羽田空港の沖合展開計画でございますが、これは国内線の航空需要の増加に対処いたしますとともに、航空機騒音問題の解決を図ろうという趣旨で始めたものでございます。したがいまして、本計画の完成後、空港の処理能力は増加いたしますけれども、その時点で予想されます首都圏における航空需要を勘案いたしますと、今後とも基本的には羽田空港は国内線用として使っていく、成田空港は国際線用としてこれを使っていくというはっきりした使用区分をもって今後ともやっていきたいと考えているわけでございます。  今後とも国際航空需要はかなり増加していくと考えておりますので、そういう意味で国際空港としての成田空港重要性は変わりはないと考えております。
  11. 岡島正之

    岡島委員 明快に御答弁をいただきましてありがとうございました。  何といいましても、先ほど申し上げましたが、成田空港の一連の今日までの中にはいろいろな意味の不信感があるわけでございまして、そういうものが羽田の沖合展開によってそういう話題を投げかけたわけでございますから、そういうことのないようにひとつしっかりお取り組みをいただきたいと思います。  次に、若干具体的にお伺いをしてまいりますけれども、さきのゴールデンウイークにおきましては成田空港で利用客が二十三万人を突破したと言われておりました。ターミナルは通勤電車のようだった、そんな報道さえされたわけでございますけれども、まず、最近の利用の状況等についてお話をいただきたいと思います。特に現有の施設でこれからの航空需要に対応でき得るのかどうか、少なくとも今の状態の中でどうなのか、そんなことをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいまの御質問でございますが、最近、円高によります海外旅行等の増大といったようなことを背景にいたしまして航空需要の伸びが非常に著しいわけでございまして、成田空港につきましては昭和六十二年度の取扱旅客数が千五百五万人ということで、対前年比二二%増という著しい増加になっております。  また、ただいま先生御指摘のように本年のゴールデンウイークの期間、十日間でございますが、その間の出国旅客数は二十三万人ということで、対前年同期比といたしまして五一%増という非常驚異的な伸びを示しておるということでございます。発着回数も、多い日には一日当たり、これはことしの五月八日の実績でございますが、三百二十四回に達するということで非常な混雑を生じておるということでございまして、現在の四千メーター滑走路一本あるいは現在のターミナルビルというものでは到底対処できない、ほぼ限界に近づいておるというのが実態であるということでございます。
  13. 岡島正之

    岡島委員 国際的な航空需要の増大という今の状態の中で、今、成田空港には外国から三十四カ国、会社数で四十三社が乗り入れ利用しているわけであります。聞くところによりますと、現在さらに各外国からの申し入れが多い、こういうことを聞いておりますけれども、今、実際問題としてどの程度のそういう希望があるのか、その点をお聞かせをいただくと同時に、今もお話がございましたが、これからそれらに対しての受け入れ態勢、もちろん完全化が大事でございますけれども、今の状態の中で果たして可能かどうか、そういう点についてお伺いをいたします。
  14. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいまの御質問でございますが、現在成田空港には三十四カ国、四十三社の航空会社が乗り入れをいたしております。それからさらに三十九カ国からそのほかに乗り入れの希望が出されておるというのが現状でございます。現在の成田の状況は、先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、大変な混雑状況でございますので、基本的にはこの三十九カ国の希望を満たすことは非常に困難というのが現在の実態でございます。
  15. 岡島正之

    岡島委員 今もお話がございましたが、そういう各国からの希望もあり、そしてまたますます需要が増大していくわけでありますから、これからさらに大変だろうと思いますけれども、それに対応していくためには現有の施設だけでは到底できないわけでありますので、その中で一日も早く完全空港建設が望まれているわけであります。国際社会に貢献する日本の顔であると私は思いますから、そういう意味におきましては日本の国の威信にかけても早期に完成をしていかなければならない、私はこう思うわけであります。  幸い、国、運輸省計画をした第五次の空港整備五カ年計画では昭和六十五年度までに成田空港の概成をうたっておるわけでありますが、これがためには、具体的に一番大事なのは問題になっております第二期工事建設促進だろうと思います。  そこで、第二期工事の現在までの進捗状況、さらにまたこれからの見通し、そういうものについてお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 新東京国際空港につきましては、早期完全空港化に向けて現在所要工事を進めておるところでございます。具体的には、一昨年の秋に将来のエプロン地区におきまして本格的な造成工事に着手をいたしまして、それ以来B滑走路あるいはC滑走路地区におきましても工事区域を拡大いたしまして、現在買収済みの用地のほぼ全域で工事を行っておるところでございます。六十三年度におきましては建設事業費六百四十六億円を計上いたしまして、これをもって第二旅客ターミナルビルの整備、構内道路、駐車場の整備、滑走路等基本施設整備といったような工事を進めていくことにいたしておりまして、早期完全空港化に向けて、六十五年度概成という目標に向けて一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  17. 岡島正之

    岡島委員 六十五年度概成に向かって努力するということでございますから、もちろんそうでありましょうけれども、その中で一番大事なのが何といっても用地買収の問題だろうと私は思います。今空港公団の用地内には八戸の農業を営みながら生活をしている方々がおられます。もちろんこれは反対の方であろうと思いますけれども、この方々とは一期工事の反省に立ってあくまで話し合いを基調にしてやっていくという姿勢をこれまでとられてきたわけであります。そのことが私も一番大事だろうと思いますけれども、特にその八戸の反対の農家の方々に対するこれまでの対策、あるいはまたそれについてのこれからの見通しというものについてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  18. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 敷地内農家八戸でございますが、その未買収地の取得につきましては、千葉県それから成田市等地方公共団体の御協力も得て精力的な話し合いを行うことによりまして、地権者の御理解を得べく全力を傾注しているというのが現在の実態でございます。それからまた用地提供者の移転後の生活再建のために、営農を希望される方には代替地を確保する、また転職を希望される方に対しましては再就職先の確保に努めるといったような対策を講ずるという方針でございまして、今後ともこの八戸の農家の用地買収につきまして誠意を持って話し合いを進めてまいりたいというふうに考えております。
  19. 岡島正之

    岡島委員 代替地の問題等含めて十分な手当てはしておるということでございますけれども、何といってもここまで来たかなり困難な問題でありますから、ひとつさらに積極的に取り組んでいただきたいと思います。  同時に、用地買収のもう一つの問題は、例の一坪用地の問題であります。  この一坪の問題につきましては従来からいろいろなことが言われてまいりましたけれども、ある時期華やかな反対闘争のまさに象徴のようなことを言われて、一坪運動に名前を出したことが英雄のように言われた時期が実はあったわけでございます。私はその当時一番考えましたのは、当時この一坪運動の中に政治家の名前がかなりあったわけであります。そのころ私は千葉の県議会におりましたけれども、政治家の責任としてもしこのまま開港にこぎつけた場合にその政治家の人たちは一体どうするのか、そんな心配すら実はしたわけであります。  今の一坪運動の実態と、もう一つはその当時名前を出された政治家の方々、ある政党の委員長の名前も出ていたわけでありますから、そういう方々が今日どういう状況になっておられるのか、この辺についてひとつお話を伺いたいと思います。
  20. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 一坪運動共有地でございますが、現在、空港予定地内に約一・四ヘクタール存在してございます。一坪共有者は昭和四十五年当時約千二百人でございましたが、その後その持ち分買収を進めました結果、一時その共有者が四百人程度に減少いたしました。しかし空港反対派によりまして昭和五十八年四月からいわゆる再共有化運動というのが始められまして、昭和六十年十月には千三百七十七名という数になったわけでございます。その後共有者の持ち分取得を鋭意努力して行いました結果、昭和六十三年三月末現在で千二百十九名というのが現在の実態でございます。一坪運動の共有地につきましては、現在でもその持ち分買収を鋭意進めてきておりまして、今後とも買収に極力努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、ただいま御質問の現在の一坪運動共有地につきまして、国会議員あるいは県会議員といった政治家の方々については現在全くございません。
  21. 岡島正之

    岡島委員 全体的には千二百有余名、もちろんこれについても話し合いが基調でありましょうけれども、これもまたかなり難しいわけであります。質問ということじゃありませんけれども、まず一つには八戸の反対農家との話し合い、これは十分にしなければなりませんが、同時に千二百名の一坪の地主の皆さんには、これはもう話し合いといってもかなり難しいだろうと思いますから、これについては抜本的な対策を講じてほしい、こんなことを要望しておきます。  それから、政治家の名前が今現在既に解決したというお話でございますけれども、解決したからいいというわけではないと私は思います。なぜかといいますと、あの当時そのことがマスコミにも取り上げられ、極めて華やかな存在であったわけでございますけれども、少なくとも取り消したとすれば空港賛成に回ったのかな、そんな考えもいたします。いずれにしてもその辺の経過、後で結構でございますから、いつ、だれが、どうしたという、その辺の資料をひとつ御提出を願いたいと思います。  それから次に、成田の空港アクセスの問題についてひとつお伺いをいたします。  世界の空港は今どこへ行っても都心とのアクセスの利便さが求められておりますけれども、成田空港は基本計画をつくってまいりましたときにこの問題が余り頭の中になかったわけでございますから、この辺が実は今日の成田の一つの欠陥になっていると私は思います。そこで、先般、二年か三年前でしたか、運輸政策審議会が答申を出されまして、それに従ってこれからの成田の空港アクセスをやる、そういうことを決定されたわけでありますけれども、その点についてどのようにお考えか。特にこの空港アクセスにつきましては地元の千葉県の関係する自治体と十分に討議がなされてきたわけでありますから、そういう意向を尊重しながら取り組んでいただかなければならないと思いますので、これについてのお考えをお示し願いたいと思います。
  22. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のような成田空港と都心とを結ぶ鉄道アクセスの整備につきましては、五十三年ごろからいろいろ検討されてきたところでございますが、運輸省としてはいわゆるA、B、Cの三ルート案のうちB案を推進するということを決定し、その後地元関係者を初めとする方々の協力を得てその実現のための検討が行われてきたところでございます。先生御指摘のように、千葉県あるいは地元関係市町村というところとも随時協議をしておるところでございます。  ただ、このBルートにつきましては、千葉ニュータウンの印旛松虫から空港間の建設の問題、北総開発鉄道の京成高砂―新鎌ケ谷間の二期工事の遅延の問題、あるいは千葉ニュータウン計画が三十四万人の計画人口から十七万六千人に縮小するというような厳しい状況がございます。運輸省といたしましては、このBルートを構成する鉄道のうち計画が具体化されておる北総の二期工事につきまして、かなりおくれてまいっておりますが、六十六年春に完成させるということに現在全力を注いでおるところでございまして、今後ともB案の実現について、先生御指摘のような地元の方々との協議ももちろん含めまして鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  23. 岡島正之

    岡島委員 成田空港へ参りますと、あの地下に三千億投資した空港駅がそのままになっております。その辺が今空港アクセスの一番の象徴的な出来事だろうと私は思いますけれども、それを考えましても、早く完全な交通体系をつくっていただきますことを強くお願いしておく次第であります。  次に、新東京国際空港周辺整備のための特例措置、いわゆる成田財特について運輸省と自治省にお伺いをいたしておきます。  成田財特の適用によってこれまで周辺地域の整備が完全にされてきたわけでありますけれども、四十五年の三月に制定され、五十四年の三月に十年間の延長をされたわけであります。もう来年の三月には期限が切れるわけでありますけれども、まだ成田用水、河川改修等も含め残されておる事業も若干あるようでございますから、そういうものを含めながら、さらにこの延長が必要だろう、そのことがこれからの地元対策にも大事だと思いますので、まず運輸省としてはどのようにお考えであるのか。  そしてまた自治省にお伺いいたしますのは、自治省としては成田財特法の期限延長をさらにされる意向があるのか、また、その中で自治省が各省の調整を図って地元の意向を十分にくみ上げながらやってほしい、こんなことをお願い申し上げる次第ですが、御見解をお伺いしたいと思います。
  24. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 いわゆる成田財特法につきましては、成田空港周辺地域におきます道路あるいは河川といった公共的施設計画的な整備促進するということで、補助率のかさ上げ等を内容として制定されたものでございまして、成田空港建設促進に対する地元の協力体制に従来から大きく寄与してきております。したがいまして、同法は来年の三月三十一日で期限が切れることになっておりますけれども、成田用水事業等につきましては期限内に完了しないという見込みでございますので、運輸省といたしましても、地元の協力のもとに本格工事促進するという観点から、期限延長について自治省等関係省庁と協議の上対応してまいりたいと考えております。
  25. 嶋津昭

    ○嶋津説明員 自治省でございます。  成田財特法を所管しているわけでございますが、今運輸省からお答えがございましたように、今年度末において二回目の期限切れという事態を迎えるわけでございます。今までこの財特法が空港整備促進あるいは地域整備のために大きな役割を果たしてきたと私ども考えております。ただ、二十年目に至りましても成田用水事業を初め残事業が相当量残っているということにつきましては、私ども非常に残念だと考えているわけでございます。今後空港整備の動向等、今までここでお話をお聞きいたしましたようなことも含め、まず地元千葉県の御意見もよくお聞きしまして、延長問題について運輸省を初め関係省庁と十分協議をいたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
  26. 岡島正之

    岡島委員 時間がもうありませんので、最後に成田の空港警備の問題について幾つか御質問を申し上げます。  成田空港の反対闘争を掲げて極左暴力集団が過激な行動をしております。特にこのごろでは空港関係の個人の家の放火とかあるいはまた爆弾とか、いろいろなことを頻繁にやっておるわけでございまして、警察当局空港警備隊等を配置して万全の体制をそれぞれ築いておられるわけでございますけれども、今までを考えましても、もう警察官の犠牲者が五名を含めて十一名の方々が亡くなっておられるというような、そんな悲惨な状況もあるわけでございますので、空港警備というのは大事だろうと思います。そういう中で、極左暴力集団の今の動向をどうとらえておられるのか、これがまず一つ。  それからもう一つは、これから空港整備され完全空港になっていくわけでありますから、あるいはまた工事が進むわけでありますから、今の空港本体の警備にさらに加えてそういう面の警備がなされていくわけであります。そういう中で、千五百人の空港警備隊を中心とする、千葉県警を中心とした今の体制で果たして万全だろうかという心配も一つはあります。そういう点についての警察当局のお考えをお示し願いたいと思います。なおまた、完成されました後の警備についてはこれまたどうなのかという心配もありますから、ひとつこれについてもお聞かせをいただきたいと思います。  なお、これは質問ではありませんけれども、私は空港警備隊の千五百人の若い隊員の皆さんが本当に熱心に、原っぱの中で苦労しながらいろいろとやっておられる状態を現地で何回か見たわけでありますけれども、やはり空港警備隊の若い警察官の待遇改善などという大きなことは言いませんけれども、少なくとも連中が一生懸命頑張っている、それに対して警察当局はもっともっと十分な優遇措置を考えてほしい、そんなことも強く感ずるわけであります。何回か行くうちに非常に環境整備もされておりますけれども、若い隊員の皆さんがそういう形で報われていくような方向をしっかりおつくりいただきますことを要望としてお願いをしておく次第でございます。御答弁をいただいて、以上で私の質問を終わります。
  27. 太田利邦

    ○太田説明員 まず、最近の成田空港をめぐる極左暴力集団の動向でありますが、極左暴力集団は成田空港本体のみならず関連した施設、工事業者等に対して爆発物による、あるいは時限式可燃物等によるゲリラ事件を繰り返しておりまして、本年に入っても一月十八日に中核派が成田空港に対し爆発物を発射した事件や、三月十七日には革労協狭間派が爆弾を使ってパイプラインの保安設備室に対するゲリラ事件を引き起こすなど、極左暴力集団は工事の本格化に危機感を一層強めております。こうした中で、この五月二十二日に成田現地で集会デモに取り組む予定であります。これをめぐって既に四月二十五日、成田空港関連の警備会社営業所の駐車場に駐車中の車両に時限式可燃物による放火事件を引き起こすということも発生させておりまして、成田空港関連のゲリラ事件を引き続き引き起こすおそれがあります。このように成田空港をめぐる極左暴力集団の動向は極めて厳しいものがあると理解いたしております。  これに対する警備措置でありますけれども、現在成田空港は千葉県警察の警備部隊を中心に警戒警備を実施し、その万全を期しているところであります。成田空港の今後の工事にかかわる警備は、現に運用されている空港の安全を図りながら、同時に広範な工事区域にかかわる警備を実施しなければならず、かつてない長期かつ困難な大規模警備になると考えております。警察といたしましては、警備に対する国民の理解と協力を得つつ、現に運用されております部分の警備を十分に行いながら、今後の工事が平穏裏に推移し、有効適切な警備実施が行えるよう引き続き関係機関に各種警備環境整備等を要望しながら、千葉県警察を中心に全国警察が一体となって警備の万全を期する方針であります。  なお、成田空港完成後の警備対策でありますけれども、現在、情勢に応じ全国警察から応援を得て警戒警備を実施しておりますけれども、空港完成後は従来のおおむね二倍の地域を守ることとなり、千葉県警察の警備体制のあり方が重要な課題となりますので、今後、体制、装備、資機材等の整備について検討してまいりたいと考えております。  以上であります。
  28. 岡島正之

    岡島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  29. 野中英二

    野中委員長 渡部行雄君。
  30. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最初に、新幹線の騒音問題についてお伺いいたしますが、去る五月十日に環境庁が東北・上越両新幹線沿線の騒音公害調査結果を発表したわけであります。それによりますと、環境庁告示の騒音環境基準を達成したのは、路線から二十五メートル地点で全地域のわずか一六%にすぎないと言われております。また、五十メートル地点では三二%であるということでございますが、環境庁は経過措置として昭和六十年度までどこでも七十五ホン以下に抑えるという中間目標値を定めていたわけですが、それさえも達成できないというのは一体どういう理由に基づくものか、その実態を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  東北・上越新幹線の騒音問題につきましては、両新幹線が大宮開業をしましてから五年がたちまして、先生ただいま御指摘環境基準に言う達成目標期間が昨年の六月及び十一月と、それぞれ開業の月が違っておりますのでそういうときになるわけでございますけれども、そのときの段階で環境庁から沿線の騒音測定結果が公表されました。測定結果を見ますと、沿線の軌道中心から十二・五メーターというところと二十五メーター、その辺のところの平均値の問題といたしましては、東北が七十四・八、上越が七十四・一となっておりまして、七十五ホンを一応切る水準というところまでは達しているわけでございます。その公表の中にもございますが、二年前にも環境庁が測定なさったその測定の結果よりは一、二ホン改善されているというところがございまして、改善の跡が見られるということは、これまでのいろいろな対策の成果が一応は出ているのでございますが、ただいまの先生の御指摘のように環境基準の達成率がいまだ低いということは事実でございますので、この辺につきましてはさらに一層の対策を進めてまいるように私どもとしましてもJR東日本を指導してまいりたいと思っております。  その騒音対策の今までの経緯でございますけれども、東海道新幹線とか山陽新幹線、それから小山に試験線がございますが、その試験線などで騒音の低減効果の確認されました施策を積極的に導入しているわけでございますが、例えばパンタグラフを改良するとか、それから逆L字型の防音壁、そういうものを設置するとか、それから鉄げたをできるだけ使わない、そういうこととか、実施可能な騒音低減策を総合的に実施してきたわけでございます。  それで、開業後におきましても、レールを削正――削正という言葉を使っておりますが、要するに、簡単に言いますと磨くということのようでございますが、レールを削って磨く、レールを削正するための車がございまして、レール削正車を使ってレールの表面の削正を行ったり、それから、去年の四月からは御存じのとおりJR東日本になったわけでございますけれども、高性能のレール削正車を購入いたしまして、それでレールの削正の深度化というのでしょうか、磨き上げていくということを一生懸命努力してきたわけでございます。  それで、今後の対策につきましては、今の環境庁の御指摘を受けまして、私どもの方としても東日本に対して必要な指示を行いまして、吸音板の問題とか逆L字型の防音壁をつけるとか、必要なことを今後とも進めてまいりたいと考えております。
  32. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、きょうは新幹線保有機構の方を参考人として呼んでおりますが、今お話しの問題は、これは新幹線の構造上の問題からきておるのか、それとも技術上の問題なのか。何かこれから対策を講ずると言われますが、具体的にはどういう対策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  33. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 今簡単に二つほどの例示を申し上げましたが、吸音板をさらにつけていくとか、逆L字型の防音壁を設置していくとかと申し上げましたが、そのほかに、パンタグラフの音を少なくするために、十二両編成ですとパンタグラフを半分にするということをやっていくとか、それから先ほども申し上げましたが、レールを磨く、レール削正を高性能の車を入れてさらに深度化をしていくとか、そういうような対策をそれぞれ、ドラスチックにばあんと音が減るというわけではございませんけれども、それを総合的にやっていくということが必要ではないかと思っております。  それで、音源対策の問題につきましては、現在までの技術水準で考えられることは、そのようなことを総合的に使っていくということだと思いますが、引き続き技術開発の促進そういったようなことも行ってまいりたいと考えております。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕
  34. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それで、今後基準達成はいつごろまでにできますか。また、これは住民との関係ではどういう問題が出されておるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  35. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 基準達成がいつごろになるかという点でございますが、ただいま環境庁の方から七十五ホン対策を六十五年度までに達成することを努力するようにという趣旨の文書をいただいておりますけれども、まずはその音源対策につきまして最大限努力いたしたい、かように考えております。
  36. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 七十五ホンを六十五年度というふうに環境庁では若干緩めたようでございますが、これは勝手に役所が緩めることで問題解決するのではなくて、被害を受けている住民の側に立てば、七十五ホンになったから今度はそれでいいのだということにはならないわけで、これはやはり沿線住民の立場で考えてもらわなければならぬと思うのですよ。そういう点ではこれをどういうふうに考えておられますか、その辺についてお伺いします。  きょうは新幹線保有機構の方は来ていないのですか。これはあなた、どこで答えるのですか、全部運輸省に答えさせて。
  37. 石月昭二

    石月参考人 新幹線鉄道保有機構は、新幹線鉄道保有機構法によりまして、維持管理の問題は行わないということになっておりますので、この問題につきましては、私ども直接に申し上げる問題はございません。
  38. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 おかしな話で、私の質問とりに来たときに、この問題は運輸省でなく新幹線保有機構が担当する、実際にはそれをJRに委託してあるが、しかしそのくらいは保有機構の方でお答えする、こういう話だったのに、今度は全然関係ないみたいな話ならば、最初から呼ぶ必要はなかったわけで、どうもきょうは御苦労さまでございました。  それでは次に移りますが、――これは丹羽さん、どうなんです、今言ったことについてのお答えは。
  39. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの新幹線の騒音対策の問題につきましては、基本的にはJR東日本が担当していくという形になるということでございます。したがいまして、今までの答弁に関しましては私の方が答弁してきたわけでございますけれども、御質問いただくときのいきさつにつきましては、ちょっと私、内容を存じていないわけでございますけれども、何かその辺の手違いがございましたらおわび申し上げたいと思います。
  40. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それでは次に移りますが、これは今同じような問題が本州四国連絡橋についても出ておるわけでございます。これも実際にできてみれば大変な騒音で、沿線住民から物すごい苦情が出ておると聞いております。この問題について、この苦情の実態と今後どのように対処されていくのか、その辺について、また、克服する自信があるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  41. 萩原浩

    萩原参考人 先生御指摘のように、去る四月十日に開通いたしました瀬戸大橋につきましては、主として列車騒音の問題で地元の方々から苦情をいただいております。列車騒音につきましては、つり橋部というものにつきましていろいろな対策が非常にやりにくいということで、いろいろ検討させていただきまして、環境保全目標としては八十五ホンというものを設定させていただいておりますが、この八十五ホンは達成をしております。しかし、その前に五ホン程度軽減することを努力するという努力目標がございまして、この努力目標が一部地域で達成されないことによりまして、地元の方々から非常に苦情をいただいております。  苦情の内容といたしましては、たくさんございますけれども、まず一番に、橋梁への防音対策をさらに強化するように、それから二番目として、それが困難な場合には家の防音工事あるいは家屋移転の受音点対策をやってもらえないか、あるいは三番目といたしまして、土地評価の低下に伴う補償はできないか、四番目といたしまして、橋梁のすぐ下がちょうど仕事場となる船だまりになっておりますが、この船だまりでまた音を評価しないとまずいのではないか、このような御要望をいただいております。さらに、私どもとは直接あれではございませんが、本四公団でもひとつこれに協力しろということで、五番目といたしまして、列車のスピードダウンの問題であるとか、六番目に、夜間の列車の運行の休止、停止といいますか、そういう御要望をいただいております。  私どもといたしましては、この建設当たりまして、環境保全目標の達成はもとより、その努力目標も達成するように、現在まで開発されました技術をすべて活用いたしまして、何とかこの努力目標は達成できるのではないかと考えておりました。また、試験運行のときもほぼこれが達成されておりましたので、何とか達成できるのではないかと思っておりましたが、先ほど申し上げました四月十日の供用開始後、騒音の測定をいたしましたところ、一部地域におきましてこの努力目標を突破している、こういう御指摘がございました。現在、この対策につきまして鋭意検討を進めております。当時ではまだ技術開発が進められておらなかったいろいろな対策がとれないかということについて、今鋭意検討をいたしているところでございまして、できるだけ早くこの努力目標を達成できるように懸命の努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  42. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 私が不審に思うのは、騒音というのは、その持っておる鉄道なら鉄道が最小限度どこまでしかできないといういわゆる構造上の問題から物差しをつくるのではなくて、その沿線に住んでいる住民の立場から、人間として普通に生活ができる限度としてどの程度の騒音までは我慢できるか、そういう立場で物差しをつくるべきだと思うのです。新幹線には七十ホンを基準にしておいて、今度ここの本四架橋では八十ホンまではいい、こういう理屈にはならないと思うのですが、その点、住民の立場に立って考えた場合はどうでしょうか。
  43. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま本四公団の方から御説明がありましたように、この本四架橋の鉄道の問題につきましては、基本的に鉄道輸送でその地域にいろいろな利便を与えるという問題がございまして、そういうことと今の騒音の発生とのすり合わせの話ではないかと思っておりますが、その辺の問題といたしましては、まずは本四公団が地元の方々と工事を始めるに際しましての協定がございまして、ただいま御説明しましたような八十五ホンの問題とか、さらに完成するまでの努力目標という形でそれを五ホン下げることができないかというような内容のお話し合いがあったとお聞きしております。そういうところで、地元の方々との一応の話し合いの上に立った今の状態ではないかと考えております。
  44. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 それではきょうの参考人の方々、どうも大変ありがとうございました。これで関係の質問は終わります。  次に、東武鉄道、野岩鉄道、会津鉄道、それからJR只見線というふうに、幾つもつながっているいわゆる浅草から会津若松駅までの路線について、それに関係する問題についてお伺いいたします。  この野岩線が完成してから乗客はどのくらいふえておりますか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  45. 熊代健

    熊代政府委員 正確な資料を手元にちょっと持ってきておりませんが、東武鉄道が野岩鉄道と接続いたしまして、奥会津といいますか奥只見といいますか、あの地域がある意味で、関東、特に東京地域の人たちの観光の対象として非常に魅力があるということもございまして、当初予想しておりましたより野岩鉄道が非常に好成績である。それから、合わせまして、東武鉄道の直通のお客さんも相当程度あるというふうな実績が上がっているというふうに理解しております。
  46. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大変失礼しましたけれども、ちょっと一つ、新幹線の保有機構に対しての質問を取り落としましたので、またもとに戻らせていただきます。  それは、今の新幹線が東京駅と上野駅間が結ばれていないために、本当の意味で新幹線の役割というのは相当減殺されていると私は思うわけです。そこで、既にもう計画どおりに進めておられれば今ごろは開業されているはずなんですが、それが途中で一時ストップを食いまして、今なお開通していないような状況にあるわけです。これについて、その進捗状況とこれからいつごろ開業できるのか、その見通しについてお願いいたします。
  47. 石月昭二

    石月参考人 東京―上野間の建設工事につきましては、昨年の国鉄の改革に伴いまして、私ども新幹線鉄道保有機構が引き継いで建設を行うことになっておりまして、六十二年度から建設工事を東日本鉄道旅客株式会社の方に委託いたしまして建設を進めているところでございます。  東京―上野間の工事と申しますのは、わずかに三・六キロメーターの非常に短いところでございますけれども、申し上げるまでもなく東京のど真ん中でございまして、地価の非常に高いところで、買収を要する面積はわずかに一万六百平米しかございませんが、関係者が四百三十人もいるというようなことで、用地買収が大変難航しております。     〔魚住委員長代理退席、委員長着席〕 今まで関係者の方々が大変努力をいたしまして、現在までのところ用地の取得は、面積にいたしまして九千九百平米、残すはわずかに七百平米にまで追い詰めてまいったわけでございます。率にいたしまして九三%でございます。工事の方の着工率は約六割に達しておりますけれども、いずれにいたしましても、用地の取得が完成のためのかなめでございます。私どもといたしましては、東日本鉄道の方に委託しておりますので、関係者の方々を督励いたしまして、何といたしましても目標であるところの六十四年度の完成のために努力をいたしたいと考えている次第でございます。
  48. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、ちょうど大臣もおいでになられたから、東京というのは特別に地価が上がって、今大きな政治問題になっているわけですが、この用地買収について非常に難航した場合は、政府主導でどういうふうな対策を立てられるか、その辺についてお伺いします。――つまり、資金の制限とかそういうことが最近強く言われているわけですから、そういう政治的な背景をもってどういうふうな御指導をされるのか。
  49. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今ここで正確には申し上げられませんけれども、御指摘のようにこれはつながるかつながらないかで非常に公共の利便に大きな影響があるわけでございますから、この用地の買収につきましては、難航すれば公共の利益というものを踏まえて収用というような形で事を進めなくてはならないのかもしれません。それに至る前に、できるだけ話し合いで用地を取得したいと思っておりますけれども、結果いかんによってはそこまで考えなくてはならないではないかという気がしないでもございません。
  50. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはできれば、ぜひ話し合いで解決していただくようお願いしますとともに、早急に開業できるように御努力をお願いいたします。どうもありがとうございました。  次に、先ほどの野岩鉄道に関する問題等について引き続き御質問いたしますが、この浅草―会津若松間の路線は高原駅までは電化されておりまして、高原駅と会津若松駅の間は電化されていないわけです。ですから、どうしてもこの高原駅を通過する際には乗りかえをしなければならないわけです。この乗りかえがまた時間がかかって、非常に連絡が悪くて、これが嫌で皆乗りたくとも乗らないんです。それで、この高原駅から以北電化をすれば、これは今の二倍どころか三倍以上、私は乗客がふえるじゃないか。いずれにせよ、この鉄道運送によって営業を営むには、もうけが多いほどいいわけですから、そのもうけを多くするための当然の投資としてこの電化が必ず必要になっているわけです。これについてのひとつお考え方をお願いいたします。
  51. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、会津鉄道は、国鉄時代に特定地方交通線ということで第三セクターでつくられた鉄道でございまして、会津高原駅で野岩鉄道会津鬼怒川線と連絡しているわけでございますが、いわゆる野岩線は複線電化ということでやってきたものでございます。したがいまして、会津線との直通運転につきましては、開業当初からディーゼルで直通ができないかというようなことも検討したようでございますが、いろいろな面、要員でありますとか、保安のシステムが違うとかあるいは車両の高さ等々もございまして、ディーゼルによる直通運転は断念せざるを得ないということで行われてきております。したがいまして、非常に望ましいこととしては、会津線全線が電化されることが望ましいのでございますが、当面会津田島まで十五・四キロ、ここは割合平たんでトンネルもない。田島から西若松まではトンネルがかなりございまして、トンネルあるいは橋梁の改良を必要とするということで、数百億のお金がかかるという関係にございます。会津田島までの十五・四キロにつきましては、会社あるいは県としてもぜひ早急に電化したいということで計画が検討されておると聞いておりますし、我々としても積極的にそれを促進するという観点で協力してまいりたいと思っておるところでございます。
  52. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは今、月にどのくらい乗客がありますか。ここを通る乗客の数は。会津鉄道だけでも結構ですから。
  53. 熊代健

    熊代政府委員 まことに恐縮ですが、手元に現時点の資料を持ってきておりませんので、後ほど正確な数字をお届けしたいと思います。  会津鬼怒川線につきましては、昨年時点で乗車人員が、二十万人とかあるいは十万人と月によってかなり変動がございますが、相当の量が運ばれておる。会津鉄道線の現状については、今手元に資料がございませんので、後ほど正確な資料をお届けしたいと思います。
  54. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 当時国鉄として残るためには、あれは一日当たりだったか月当たりだったかわかりませんが、二千人の基準がありましたね。その基準を今はるかに上回っていると思うのです。ですから、私はそういう点では国にも責任があると思うのですよ。これを第三セクターに譲って譲りっ放しということはないので、あのときは細田運輸大臣でありましたが、ここは特殊な地域だから特別に考えるという答弁をしているのですが、今まで待っておってもその特別がないのです。だから、その特別ということで、私はやはりこの辺で電化の見通しをはっきりさせていただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。
  55. 熊代健

    熊代政府委員 会津鉄道につきましては、たしか二次線の選定だったと思いますので、平均乗車密度が四千人未満という線ではなかったかと思います。(渡部(行)委員「いや、その前なんですよ、二千人のときです」と呼ぶ)  いずれにいたしましても、基本的に特定地方交通線というのは原価的に見てバスに転換した方が適当だということで選定されておったわけでございますが、会津線につきましては、先生御指摘のように野岩線とつながるというようなこともございまして、地元からも第三セクターに移行する前に何とか電化ができないかということで種々検討されたわけですが、特定地方交通線の転換のシステムの中で当時の国鉄対策としての電化を国が持つということはどうしてもできないということの結論になったわけでございまして、先ほど私御説明いたしましたように、第三セクターになりまして後、電源開発等の基本も含めまして、何とかとりあえず会津田島まで電化しよう、こういうふうになった経緯だと承知しております。我々としては、今の計画では六十五年度中に田島まで電化したいということのようですので、積極的に協力してまいりたいと思っている次第でございます。
  56. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはひとつ田島までとりあえずやっていただいて、その後また引き続き積極的にお願いしたいと思います。  次に移りますが、運輸省が去る十日米国の大手航空宅配業者であるフェデラル・エクスプレス社に対して成田空港乗り入れを許可された問題についてでございますが、これは最初、昭和六十年四月に行われた日米航空協定の暫定合意の解釈の仕方にいろいろ問題があり、運輸省とフェデラル社の対立があったと聞いておりますけれども、この問題については解消されたのかどうか、これが第一点。  そして第二点は、この乗り入れによって日本の国内の業者あるいはその他に対する影響等についてはどのように考えておられるのか、この点についてお伺いします。
  57. 中村徹

    中村(徹)政府委員 御質問の第一点についてお答え申し上げます。  フェデラル・エクスプレスにつきましては、六十年の暫定合意に基づきまして申請が出てまいりまして、五月十日付でこれに対して許可を行ったわけでございます。新聞報道によりますと、この暫定合意の解釈をめぐって米国側と日本側で解釈の違いがあるということをフェデラル・エクスプレスが発表いたしているようでございますが、私どもには公式には何らそういった点についての申し入れはございません。ただ、言ってまいりましたのは、五月十三日から運航を開始するという予定になっておったが、本日でございますけれども、それはどうもできなくなった、理由等については言ってきていないというのが現状でございます。新聞報道によります先方の主張につきましては、私ども先方がいかなる理由に基づいているのかはっきりいたしておりませんけれども、いずれにいたしましても六十年の暫定合意に基づいてフェデラル・エクスプレスは運航を行うもの、このように思っておるわけでございます。
  58. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 このフェデラル社の飛行機はきょう成田空港に入る予定だそうですが、その問題はどうなりましたか。
  59. 中村徹

    中村(徹)政府委員 ただいま申し上げましたように、五月十三日からの運航は難しくなったということを連絡してまいったわけでございますので、きょうは恐らく入ってこないと思います。
  60. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 何か影響ありますか。
  61. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 第二点目の国内の事業者に対する影響でございますが、このフェデラルが運ぶことになっております貨物はいわゆる小口貨物でございまして、そういう意味におきまして国内の事業者と競合する面は、いわゆる国際宅配便と言われている小口貨物の事業でございまして、これは利用航空運送事業者がこれを行っております。  そこで、どういう影響があるだろうということでございますが、このフェデラル社の自社専用機の運航によりまして低コストで宅配サービスが実施されるという可能性は十分あるわけでございますし、特にアメリカ側においては非常に行き届いたサービス網もございますので、かなりの競争力があることは考えられるわけでございます。  具体的に我が国においてどういうサービスを提供するかということは現段階で必ずしも明確でございませんけれども、やはり日本の国際宅配便事業者にはかなりの影響が生ずることは十分予測されるわけでございまして、これに対応いたしまして、例えば日本通運におきまして最近このフェデラルの乗り入れに対応した形での国際宅配便についてより現状にマッチしたような運賃を設定するということで、五月九日付でそういう運賃を認可いたしておりまして、十六日から実施するとか、そのほか幾つかの対応策がとられているところでございます。いずれにしましても、いい意味での競争が行われまして的確なサービスが提供されるということは望ましいものであるというふうに考えております。
  62. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはこれからの話にもなりますから、今後の推移を見守りながらまた機会を見てやりたいと思います。  最後に、今盛んに海外経済協力の問題が国際問題になって、しかも日本のあり方にも大分批判があるようでございます。そこで私は提案をしたいと思うのですが、今までのような援助方式ではなくて、どうして海外援助が必要かというのは、結局先進国と途上国の格差が余りに大きいからそういうことが必要になっているので、この格差をだんだん縮めていくためには何から手をつけていったらいいのか。それは今日日本がこのように近代化するに至った経路を振り返ってみれば明らかなように、まず交通網の整備というのが私は具体的に一番大事だろうと思うのです。  そういう点で、これからはただ二国間の話し合いだけでなしに、多国間の話し合いというか国連段階での話し合いにこれを引き上げていって、そして世界全体の交通網の整備をどう考えていったらいいか。それには日本とかフランスとか西ドイツとかいう先端技術を持っておる国が現物と技術を結びつけて援助していくあるいは分担しながらそういう交通網を確立していく、そういう中で今度はそれぞれの具体的な分担が決まれば二国間で話し合ってこの問題を進めていく、こういうことが今後必要となるんじゃなかろうか、またそうすべきであると思いますが、大臣、その点はいかがでしょうか。
  63. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 これは一種の文明論の問題でありまして大変難しい問題だと思いますが、外国に対する対外援助を何からするかということの優先順位は向こうが一方的に決めるものでもないと思いますが、私たちが押しつけるわけにはいかないと思います。いずれにしろ、御指摘のように交通手段、交通機関というものを援助として供与するということは、文明の促進のための非常に有効な手段だと思いますし、有効な援助になり得ると私は思います。  ただ、日本近代化というものが交通手段だけでなされたかというと、その前に日本人の教育といいましょうか文化の水準の高さというのが絶対的にあったわけでありまして、そういうことになれば学校の方が先だということになるかもしれませんし、これは一種の文明論で大変難しい問題だと思いますが、交通手段というものを供与してあげるということは、確かに一つの大きな刺激になると思います。
  64. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、最後に外務省からの御答弁あるいは考え方をお聞きして、終わりたいと思います。
  65. 英正道

    ○英政府委員 大臣から文明論というお話で、まさにそういう面が非常にございます。  時間もございませんので簡単に申し上げますと、大きく分けて二つの考え方があるように思います。  一つは、やはり援助というのは最も貧しい国の最も貧しい層に向けられるべきであるという、いわゆるベーシック・ヒューマン・ニーズという、食糧増産であるとか衛生であるとか教育であるとかいうものに向けるべきであるという考え方、これが一つの考え方。  もう一つは、援助というのは、途上国の開発を促進するために経済社会基盤を強化して、その上に途上国の努力で経済発展が行われるという考え方。  どちらかというと、第二の考え方で出発して第一の考え方へ移ってきている。日本の援助はむしろ第二の考え方、つまりまさに渡部委員が御指摘のような交通網の整備等を含む経済社会インフラというものを強化することによって途上国の発展が行われるという考え方でやってきている国でございます。そのことが国際的に見ますと若干誤解を生んでいるという気味すらございます。日本の無償援助の中の約二割、有償資金協力の三割というものが御指摘の交通網の整備を含む交通分野への協力でございます。これはほかの国の援助の分野別の配分から見ますと著しく高いものでございまして、むしろ輸出促進をやっているんじゃないか。こういうことを行いますと建設業の仕事になるとか機関車の売り込みになるとか、国際的にかなり競争の激しい分野でもございます。そういうような面もあってバランスをとっていかなければならないわけでございますけれども、現在の日本政府の考え方というのは、先ほど大臣の御答弁がございましたように、相手国のニーズというものがあるけれども、相手国のニーズだけではない、我々の考え方というものも持って、それとすり合わせながら進めていくんだという考え方の中で、どちらかというと社会経済基盤の強化という点にウエートをむしろ置いてきていると思います。今後ともそういう考え方でやっていきたいというふうに考えております。
  66. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。
  67. 野中英二

    野中委員長 新村勝雄君。
  68. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に、会計検査院の「主管局長説明」がございますが、その中に旧国鉄の運営についての指摘がありまして、違反または不当と認めるものが六件。その中の最初の八〇、八一、八二号は、積算あるいは算出について過大な見積もりがあって契約額が割高になっている、こういう指摘なわけですけれども、ああいう厳しい経営の中で国鉄さんがいずれも割高な積算あるいは支払いをしたということで指摘を受けているということは、本当に緊張してああいう状況を克服するために努力をされているのかどうかということを疑わざるを得ないことにもなるわけであります。  それからまた、次の三つの件については領得、これは横領ということと同じだと思うのです。  こういう指摘があるわけでありますが、こういうことについて大臣はどういう印象をお持ちですか。
  69. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 大変申しわけありませんが、お声がちょっと小さいのでよく聞き取れませんでした。済みません。
  70. 新村勝雄

    ○新村委員 会計検査院指摘の中に六件ありますけれども、そのうちの前の三件はいずれも支払い額が過大であるという指摘があるわけです。ですから、ああいう厳しい状況の中で国鉄さんの支払いが少ないのならまだわかりますけれども、過大な支払いをして検査院の指摘を受けるということは、本当にあの状況を克服するために努力をされているその努力が足りないのではないかという印象を受けるわけでありますけれども、大臣はいかがお考えか。
  71. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 大臣の答弁の前に、今先生の御指摘の問題につきまして、私は今手元に資料を持っておらないわけでございますけれども、一般に国鉄時代のいろいろな支払いの過大あるいは積算の過大といったような問題につきまして御指摘を受けたことと承っております。国鉄時代の話ではございますけれども、多数のそういう件数の中の問題として若干問題のある扱いが出たのではないかと思います。この辺の問題につきましては、民営化したJRにつきましては、今後そのような問題ができるだけなくなるようにということを会社自身は、民間会社でございますので、そういう方向で大変努力をしているということを聞いておりますので、今後の問題としては相当事態は改善されていく話になると考えております。
  72. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 国鉄時代にはいろいろな点で放漫、ずさんな事例がございまして、御指摘の点もまたその一つだと思いますし、せっかく民営化されまして再出発したJRでそういうことがあってはならないと思いますし、またないように指導していきたいと思います。
  73. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  次に、国鉄がJRになったわけでありますけれども、JR及びこれは民鉄についてもお願いしたいわけでありますが、輸送力の増強の問題です。今東京の地価の高騰が大問題になっておりまして、遷都、分都なんという議論も起こっておりまずけれども、交通問題、いわゆる東京に対するあるいは大都市に対するアクセスの問題が解決あるいは改善されれば首都機能の回復ということも大幅に改善されるはずであります。ですから、一極集中の議論をすることも必要でありますけれども、その前にやるべきことがたくさんあるわけであります。その一つの重要な問題が大都市、特に東京に対するアクセスの問題をどう解決をするかということかと思います。  そこで、これには二つの問題がありまして、一つは新線の建設でありますけれども、もう一つは現在の鉄道、現在の路線を使って輸送力の増強ができるその可能性がまだ大幅に残されているというふうに我々は見ておるわけであります。これは専門家の意見等も聞いた結果であります。そこで東京の過密あるいは地価問題とも関連しますけれども、東京に対するアクセスを改善する、そのために新線建設と同時に現在の路線のままで輸送力を増強する、この方法を考えるべきではないかと思うのです。  そこでお伺いをいたしますけれども、要するに現在の路線を利用してもっとダイヤの合理化を図るということが必要だと思うのです。現在のラッシュは七時半から八時半、大体そこだと思いますけれども、この時間帯で常磐線及び中央線は何分ヘッドであるのか伺います。
  74. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  常磐線のラッシュ時は三分三十秒ヘッド、それから中央線は一分五十九秒ヘッドということになっております。
  75. 新村勝雄

    ○新村委員 そこでお伺いをいたしますが、常磐線の問題については、前にも大臣にお願いをいたしておりますが、常磐線の方向、東京の東側は従来鉄道に大変恵まれない地域であります。あの地域を今地域的に考えてみますと、都心から三十キロ圏の中に宅地適地がたくさんあるわけでありますが、例えばこれを都心の地価暴騰と関連して考えてみますと、都心の地価がほとんど狂乱と言われているくらいに暴騰しておりますが、都心から三十キロ圏に坪三十万以下あるいは三十万程度の土地がたくさんあいておるわけです。しかしそれが東京に対するアクセスが悪いために利用されないということでありますが、これがもし東京の東側、主として東側でありますが、常磐線の沿線が開発をされれば、それらが利用される、アクセスがよくなれば宅地にもなるし開発ができるわけであります。開発が進めば、アクセスがよくなれば若干地価は上がるでありましょうが、それと相対的に都心の地価は必ずこれは下がるはずであります、供給が相当にふえるわけでありますから。そういう意味からいっても東京周辺の未開発地帯、特に東京の東側、常磐線の沿線の開発ということが東京周辺の調和ある開発のためにもぜひ必要ではないかと思うのでありますが、東側の開発のためにはいわゆる第二常磐線の建設が必要でありますけれども、これについては後でお願いしますが、まだ相当の時間を要すると思います。  そこで、まず考えられるのは現在の路線のままで輸送力を増強するということが考えられるわけであります。常磐線が現在三分三十秒ヘッド、中央線が一分五十九秒ヘッドでありますが、中央線についても常磐線についても運転の技術的な面を改善すればまだまだこのヘッドを縮めることができるというふうに言われております。  そこで、鉄道技術研究所からおいでになっておりますね。――お伺いをいたしますが、日本の国鉄は世界一の技術水準を誇っていらっしゃるわけですね。いわゆる閉塞方式、現在の閉塞方式というのは固定閉塞方式だと思いますが、この閉塞方式を変えることによって飛躍的に運転回数をふやすことができるというふうに言われております。今研究をされておって、既に研究は完成をされているというふうに我々は聞いておるわけでありますけれども、いわゆる移動閉塞方式にすればこの運転回数を飛躍的にふやすことができると聞いておりますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  76. 渡邊偕年

    渡邊参考人 お答えいたします。  移動閉塞と申しますのは、現在一般の鉄道で使われております安全を確保する方式は、線路をあるブロックに切りまして、その一つのブロックに列車が一列車ずつ入る、そうすれば衝突がない、そういう保安方式になっているわけでありますが、そのブロックの境目といいますかこの境目をある程度自由に移動させることによって多くの列車を入れようということを移動閉塞と申しております。  この移動閉塞の方法にはいろいろございますけれども、我々鉄道総合技術研究所がやっておりますのは、そのレールにある電流を流しまして、その電流の流れておるレールの上にある列車が乗りますとその電流の電圧とか電流が変わります。それを後の列車がその変化を察知して、そして前の列車と自分の間の距離を予測いたしましてそれをある範囲まで縮めていく、こういう研究をやっております。  この研究は約三年くらい前から始めておりまして、現在はレールから電流を検知する検知の機能ですか、この検知ができませんと事故になりますので、これが一番重要な部分でございます。この検知の精度といいますかこういったものをやっておる。それにコンピューターの中に今その資料を蓄積して分析しておる、いわゆる基礎研究の段階であります。  これが完成いたしますと、その後これを運転士にどのようにして知らせるかとかあるいは検知しない場合の異常の場合にどういう措置をとるかということを研究しなければなりません。さらに、今度はこれは旅客の安全に関しますので、複数の列車を線区に入れて、そしてその間で、実際の線路でいろいろなチェックをしてみるということに入っていこうかと思います。  この方法は日本独特の方法でありまして、世界に先駆けて現在取り組んでおりますが、やはりそういう基礎的な研究の段階にまだあると思います。しかし、これ以外に無線を使った方法とかあるいは電線を線路に交差させて置いてやる方法とかいろいろな方法がございます。現在無線を使った方法はフランスあるいはカナダなんかで、これは少し中長期的な研究規模でございますが、やっております。当研究所もことしぐらいからそれに取りかかったということでございます。  もし我々がやっておる方法が成功いたしますと、先ほどの常磐線あるいは中央線でそれを適用した場合、中央線の場合は約三十秒ぐらい、常磐線の場合は約一分ぐらいの時隔の短縮が可能になると思います。しかし、これはあくまでも移動閉塞というシステムだけの話でありまして、例えば行き着いてターミナルで折り返すところの設備といいますと、この設備の増強が伴わないと全体としての間隔が縮まらないということでございますから、移動閉塞のシステムプラスほかのものと総合してその価値を判断しなければいけない、そのように考えております。  以上でございます。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 我々が聞いておる情報によりますと、日本の技術は、電流を流す方式ですか、その点についてはほぼ完成の域に達しているというふうに聞いておるのですけれども、まだそこまではいかないのですか。それから、それを含めて実際にそれを運用して確信が持てるという段階になるにはこれはいつごろまでかかりますか。
  78. 渡邊偕年

    渡邊参考人 非常に難しい御質問でございまして、人によって予想が違います。これはやはり鉄道総合技術研究所単独でできる部分と、それからその後半になりますと実際の鉄道を運営しております鉄道会社の人たちと一緒になってやる部分とございます。したがいまして、理想としては数年、二、三年でやりたいという希望はございますが、見方を変えますと五年はかかるのではないかとか、そういう意見が現在行われておるわけでございまして、明確に何年でできるということは申し上げかねる状況でございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村委員 仮にこの技術が完成をすれば今おっしゃったように一分ヘッドは十分可能だ、三十秒でも可能だということのようでありますけれども、そうしますと現在の輸送力が倍加するわけです。ラッシュ時の常磐線は先ほどのお話しのように今三分三十秒ヘッドですから、そうしますと単純に考えれば三倍、四倍の列車が動かせるということでありますから、単純な計算ですけれども倍加あるいは三倍加になりまして、何倍になるかはとにかくとして輸送力が飛躍的に増強されるということですね。しかもそれは現在の線路をそのまま利用して、そこで附帯設備が必要でしょうけれども、新線の建設よりこれははるかに、全く比較にならないほど安上がりで輸送力が増強されるということでありますから、ぜひこれは一日も早くその技術を完成させて実施をしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  80. 渡邊偕年

    渡邊参考人 少し誤解がございますが、今常磐線で一分と申しましたのは、現在よりも一分程度減るという意味でございます。中央線の場合も三十秒と申しましたのは、現在のものよりも三十秒程度減るという意味で、三十秒になる、一分になるという意味ではございません。しかし、おっしゃるようにそれだけ減ればそれだけ輸送力がふえるということは間違いございません。首都圏の混雑緩和というのは鉄道として非常に大事なことでございますので、我々総合技術研究所といたしましても鋭意努力をして研究開発を進めてまいりたいと思います。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 専門的なことについて対抗する知識は私にはありませんけれども、専門家の情報によりますと、ほかの設備をすればあらゆるところで一分ヘッドは十分可能だということも聞いておりますので、とにかく一分ヘッドであっても一分三十秒ヘッドであっても現在に比べたら飛躍的に輸送力がふえるわけでありますから、大臣ぜひひとつ、そういうすばらしい方法があるわけですから、これを一日も早く実現するように御努力いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  82. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 おっしゃいますように東京近郊の通勤線の混雑というのは大変な問題でございまして、常磐新線の構想などもございますけれども、いささか百年河清を待つ感がなきにしもあらずですが、私たち世界に誇るべき技術を持っているわけでありまして、先生御指摘のようにこれを活用することで何とか窮地を脱することができないかと私も熱願しております。  技術屋さんはそれなりに頑張っていると思いますけれども、ひとつ総研の方にも督励というと失礼になるのですけれども、私の方からも大いに応援いたしまして、新しい技術によって現況が少しでも好転し打開されればと思っておりますので、その努力を運輸省なりにまたするつもりでございます。
  83. 新村勝雄

    ○新村委員 これは大臣もいかにあの地域の人たち、通勤者あるいは通学者が日夜苦労をされているかということはおわかりだと思います。それをぜひ御認識の上で、鉄道技研には十分必要な予算等も配当をいただきまして研究を進めていただきますようにお願いしたいと思います。  この移動閉塞式についての質問はこれで終わります。  あと車両の問題とかありますけれども、鉄道技研さん、ほかの方でお答えできればお帰りいただいて結構でございます。  次に、これまた輸送力の増強の問題ですが、車両の問題があるわけです。車両の問題で、車両の設計あるいは構造の改善によって輸送力増強ができるはずでありまして、二階建てにするという構想が最近示されておるようであります。私、多分この委員会でやったと思いますけれども、二階建てにしてはどうかという提案をしばらく前にしたことがございますが、その後の検討の状況はいかがでしょうか。
  84. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 二階建て車両の問題でございますけれども、通勤のための車両につきましてそれを二階建てにするということにつきましては、旅客の乗降に時間がかかるとかそういったような問題がございますものですから、JR各社はその問題については特に今検討しているとかいう状態ではございません。長距離旅客の問題につきましては別でございますけれども、とりあえず今の現状はそんなことでございます。
  85. 新村勝雄

    ○新村委員 それからもう一つ別の問題ですが、車両の構造をもっと長くする、幅については限度があると思いますから、もっと長くするということ、この問題はいかがでしょうか。既に新幹線の車両は常磐線あるいは中央線を走っている車両よりははるかに長いわけです。新幹線並みの長さにできないのかということです、箱の構造ですが。
  86. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 新幹線は先生の御指摘のとおり長い車両を使っていると思いますが、そういうことを前提に設計してある線形でございますので、ホームとかそれに関するものもそういう形になっていると思います。ただ、都市内の通勤線の問題につきましては、ホームにつきましても湾曲している部分があるとかそういったような関係がございますものですから、その車両の長さそのものにつきましては単純にそう長くできない、そういう事情があると考えております。
  87. 新村勝雄

    ○新村委員 それについてもひとつ検討をいただきたいわけです。  それからもう一つは増結という方法がありますね。この増結については、常磐線ばかり言って恐縮なんですが、常磐線については従来から、とにかく日本一の混雑でありますから、それを解決するために増結ということについても当局にお願いしてきたわけです。それで当局の御努力によって最近快速線の十五両化が実現したわけですけれども、十五両化についても実は最初にお願いしたときは十五両化は不可能だというお話だったわけですけれども、やってみればできるわけですよ。ですから、この十五両化に満足しないで、さらに十六、十七というふうにもっと長くできないのか、その限度はどの辺であるのかということですが、新幹線については全長が約四百メートルですか。ですから、常磐線に限らず通勤線の電車の長さを四百メートル程度まで延ばせないかということでありますけれども、いかがでしょうか。
  88. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 常磐線の十五両化の問題につきましては、先生御指摘のとおり昨年の十二月から快速電車に限りまして十五両化をいたしております。これで相当輸送力が増強されたということはもちろん当然のことでございますけれども、これ以上の長大化というのでしょうか、そういう問題につきましてはホームの長さの問題とか駅構内のいろいろな配線を大改良しなければならない問題とかそういったようなことがございますものですから、今のところ相当難しい話だというふうに考えております。
  89. 新村勝雄

    ○新村委員 難しいとおっしゃらずに、どういうふうにしたらそれができるのか、あるいは技術的に絶対に不可能なのか、その辺のところがはっきりしないわけです。最初に十五両化をお願いしたときも十五両化はだめですよ、無理ですよ、こういうお話であったわけですけれども、やってみればできるということですから、長さの限度、四百メートルにはできないのか、あるいは四百五十ぐらいまではできるのか、その辺は努力と御熱意によってはできるのじゃないでしょうか。その限度はどうなんでしょうか。
  90. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、ホームの延伸とかそういったような話につきましては大規模な投資が必要になってくるというような問題がございます。常磐線の輸送力増強を今後行うということに関しましては、そういう長大化の話ではなくて混雑緩和対策の問題としては先ほどの話にも若干関連するかもしれませんが、運転時隔の短縮というようなことを信号設備や何かの改良によって行うような方向で物事を今検討しておるところでございます。
  91. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、先ほどのいわゆる移動閉塞方式の技術の完成によってそれをやっていく、こういうことに戻ってきたようでありますけれども、そういうふうに理解してよろしいんですか。
  92. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 移動閉塞方式の問題につきましては先ほど鉄道総研の方の御説明があったとおりでございまして、現在開発中というのでしょうか、基礎的な研究をしているという段階でございますから、そういう意味では実用化が直ちに見込まれる事態ではないというところでございまして、私が今申し上げましたのはそこまでのことではございませんで、現在のいろいろな信号設備や何かにつきましての改良を行える範囲で行って時隔短縮をしていく、そういうことを考えたいということでございます。
  93. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、いわゆるヘッドを短縮するということですね。この常磐線の例で現在三分三十秒ヘッド、現在の設備、技術でこれをどこまで短縮できますか。
  94. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまそういう運転時隔の短縮による増発ということを検討している段階でございますので、どのくらいになるか、また、それがいつごろの段階になるかというところまでの話として進んでいるわけではございません。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 別に言質をとるわけではありませんけれども、それはどの辺ということはわかるでしょう。それがわからなかったら今運転できないでしょう。ですから現在の路線で現在の設備、あるいはその設備改善、もちろん改善する必要があるでしょうけれども、改善してどの程度までヘッドを詰めることができるかということ、これは何分何秒と正確に言ってもらわなくてもいいですけれども、大体どの程度ということはわかるでしょう。
  96. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 今検討の目安として、目標としているというのでしょうか、それは二十四本の本数が一時間に入るというようなことを考えているというように伺っております。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 一時間に二十四本ですね。そうするとこれはラッシュ、例えば七時半から八時半までにそれだけ入れるということを予定しておりますか。そうだとすると、現状に比較をしてどのくらい輸送力の増強になりますか。
  98. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 今私申し上げましたように、そういうラッシュ一時間帯での二十四本を目指しているというところでございます。
  99. 新村勝雄

    ○新村委員 それを目指して努力をされておる……。
  100. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 現在一時間帯十七本でございますから、その十七本が二十四本になるというところでございます。
  101. 新村勝雄

    ○新村委員 十七が二十四になるということですから、その割合で完全に増強されるということですね。これは沿線にとっては大変福音だと思います。それは大体の見通しとしてはいつごろから実施をされるかですね。
  102. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほどから申し上げておりますように、その点につきましてはちょっとまだ不透明でございます。
  103. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣、やはりこの問題もお金の問題に帰着するかと思いますけれども、そういう構想が今既におありでありますから、その構想を実際に実現するために一日も早くと申し上げたいのですが、一日も早く実現をするために資金の手当て、予算の手当て等をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  104. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 要は技術の問題でございますけれども、技術の開発がもし予算ということで停滞しているなら、これはもう断固として予算をつけてその技術の開発を促進しなくてはならないと思います。整備新幹線云々とありますけれども、都会の通勤線の混雑というのはまさに非人間的なものでありまして、その整備云々の予算に比べれば本当にわずかなもので技術は進むはずでございますから、金で済むことでしたらできるだけの予算をつけて、一刻も早くこの技術が開発されるように運輸省としてはバックアップしたいと思います。
  105. 新村勝雄

    ○新村委員 これは申し上げるまでもないのですけれども、政治の要諦はやはり何が先かということですよね。何が先かということを判断して、何が先かということを判断したらそれを遅滞なくやっていくというのが政治の要諦だと思います。だからそういう意味からいって今交通政策あるいは鉄道政策の上で何が一番大切かというと、やはり大都市間の通勤通学の対策ですよ。これ以外に緊急なものはほかにないと思いますよ。あるにしても、それよりは緊急なものはないと思います。だからそういう意味でぜひ大臣の御努力をいただきたいわけであります。  先ほどの御答弁は、十七から二十四にするということは移動閉塞の問題ではないんですよね。移動閉塞ではなくて現在の技術で、現在の設備で、あるいは路線で工夫すればできる、こういうことでしょう。こういうことですから、これは移動閉塞の問題じゃないのですよ。技術の問題じゃないのですよ。やればできるのです。やればできることを一日も早くやっていただきたい。
  106. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま私が申し上げた信号保安装置の改良というような関係の問題につきましては、ポイントのいろいろな実験とか、まだそういう技術開発の問題が残されているというふうに聞いております。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから大臣、これは技術の問題ではなくて、例えばポイントのつけかえであるとか、そういう極めて軽微な附帯施設の問題だと思います。ですから金はそうかからないですよ。金は幾らもかからない。あとは当局の工夫と熱意、決断、これだけだと思います。ですから大臣、ひとつその点はよく検討なさって、これはすぐにできることなんですよ。すぐにできることですから、ぜひそういうふうに御配慮をいただきたいと思います。
  108. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今総括審議官も申しましたけれども、いささか技術に絡むこともあるようでございますから、これはそれを開発し切らなければならぬと思いますが、いずれにしろそれを含めて努力をすればできることがあれば努力をするのは当然でございますし、すべき工夫を挙げていたしまして十七本が二十四本になるような努力を鋭意するつもりでございます。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひお願いしたいと思います。  それから混雑緩和、輸送力増強のもう一つの方向、これは基本的な問題でありますけれども、新線の建設ということがありますね。この新線の建設についてもしばしばお願いいたしておりますが、いわゆる第二常磐の問題であります。この問題については、繰り返しますけれども、今まで鉄道に恵まれない、あるいは文化においても恵まれない、経済でも恵まれない、あらゆる面で恵まれない東京の東側の開発のためにどうしても必要な施策だと思います。そういう点で運輸政策審議会でも答申を出しておりますが、これは答申を出しっ放し、その後全く動いていないという状況であります。  この前の予算の分科会のときの大臣の答弁によりますと、これを推進するために、主としてこの問題を解決するために新しい立法を考えたい、そして沿線の宅地開発とあわせて一体のものとして進めたい、こういう御答弁もあったわけでありますけれども、その後のこの問題についての進捗状況はいかがでしょうか。
  110. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来議論になっておりました常磐線の混雑緩和という問題以外に、御指摘のような良質な宅地の存する地域の開発を含めて、常磐新線というのは東京圏の交通体系の中でも非常に重要な線だということで、御指摘の六十年の運政審答申におきまして特に重要な路線として位置づけられておるわけでございます。同線につきましては東京都を初め一都三県にまたがる路線でございまして、筑波研究学園都市までを考えてみますと多額の建設資金が要る、あるいは長期間の工期を要する。したがいまして、その整備当たりましては資金調達の方法あるいは具体的な整備方策、開発利益の還元といったような問題さらにはこれに絡みまして国としてどういう助成ができるかといったような問題がございます。  それで、この運政審の答申をいただきまして、運輸省としまして研究会、当時はまだ国鉄がJRになっておりませんで、したがって当時の国鉄を除外した範囲で検討会で関係地方公共団体と一緒になって検討をしておったわけですが、現在はJR東日本ができましたので、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県の地方公共団体、それから東日本旅客鉄道株式会社及び運輸省と常磐新線整備検討委員会というものを設けまして、細かい点を含めまして幹事会等は月に一、二回といったようなことで詰めを進めております。運輸省といたしましては、この検討を促進しまして、その結果等を踏まえて同線の実現化を図っていきたいと考えておるわけです。  もう一つ御指摘の宅地開発と新線建設をあわせて整合性を持ったものとして進めるべきだということは、四全総の多極分散、あるいは東京一極集中を是正するといったような意味、あるいは宅地政策といったような観点から当然非常に重要なことだということでございます。この点につきましては四全総の推進の特別立法が行われておりますが、そこでも指摘されておることでございまして、運輸省といたしましては現時点で、特に関係の深い建設省ととりあえず細かい詰めといいますか議論を進めておるところでございます。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひひとつ推進をしたいと思います。  それからもう一つ、これは安全対策の問題でありますけれども、一つお願いしたいのです。というのは、安全対策、これは車の構造に関しての安全対策でありますけれども、国電の、特に酷電ですね、コク電というのは残酷の酷の酷電ですよ。ここに使用されている車、この安全対策が必ずしもよくいっていない。  その一つは、車を入ると入ったところが三あるいは四平方メートルくらいあいていますね。それで両方に分かれて、分かれたところに座席があるということでありますが、入ったところの空地といいますか空間があります。そこがラッシュ時にはいっぱいになります。そのいっぱいになったそこに立っている人たちは、どこもつかまるところがないのですよ。それで発車、停車のときは揺さぶられるわけですよ。集団になって揺さぶられるわけです。私の知っているあるおばあちゃんですけれども、そこに立っていて揺さぶられて倒れたのですよ。どこもつかまるところがないから倒れる場合もある。それで、けがをしたという例があります。  そういうふうに、通勤のときには座っている人はむしろ例外であって、すべての人が立っている。すべての人が立っていて、しかも混雑率が三〇〇%ということになりますと、もう全く文字どおり立錐の余地がない、いっぱいになる。そういう状況の中で車が発進、停止するわけですから、一緒に揺さぶられる。そのときにどこもつかまるところがないということになると大変困るのですよ。  前には、あれは何年式というのですか、真ん中に鉄棒があったのがあります。ところが最近はその鉄棒をとってしまっていますね。あるいは上のつり革にしても、つり革を一部ふやした型式もありますけれども、その部分にはないのです。その部分に立っている人はどこにもつかまるところがないという極めて不安定な状態で、しかも立錐の余地がない状態であるということですから、そこに立っている人も、そこだけじゃありませんけれども、車のどこにいてもどこかにつかまれるような安全装置が必要ですね。つり革であってもいいしあるいは鉄棒であってもいい。鉄棒を上に縦横に渡してもいいですよ、頭よりちょっと高いくらいのところで届くところへ。それをぜひ考えてもらいたいですね。  これについては私は前にもここで提案したことがあるのですが、聞き流されてしまったのですが、これは絶対必要ですよ。これが非常に困っています。ですから、要するに一言で申し上げれば、電車に乗っていてどこに立っていても、どこかに必ずつかまることのできる施設をぜひつくってもらいたいと思いますが。
  112. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの先生の御指摘の問題につきましては、普通鉄道構造規則という規則がございまして、そこで立席との関係におきましてのつり革の設置とかそういったような義務づけがされておるわけでございます。  ただ、それは立席との関係でございますので、各線ごとのいろいろな輸送実態によっての混雑度がいろいろ違うと思いますので、そういう実態に応じた、先生のおっしゃるようなつり革の設置みたいなことを含めました方向でいろいろつかまるところができるようなことを、JRの東日本を初め各社に対しましての適切な指導を今後してまいりたいと考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 通勤電車にはこれは絶対必要ですから、ぜひお願いしたいと思います。  最後にお伺いしますけれども、新聞報道によりますと総理府、ここで大変残念な事態が起こったということが報道されております。これが起こったのは総理府ですね。総理府、ここには内閣総理大臣竹下登、内閣官房長官、ずっとありまして、これは内閣総理大臣のまさにひざ元なのですね。そこでこういう汚職が起こっておるということで、これは国民に対しても大変遺憾な事態だと思います。  報道によりますと、この人が、退職される前には管理室長という職だったわけですが、この問題を起こしたときには参事官という職だったようですね。それで、会計課長がいて、その下に参事官、その下に総括補佐が一人いて、その下に数人の補佐、補佐の下に数人の係長、係長の下に数人の係員がいる、こういう組織のようであります。こういう組織の中の一つのポストを占めておった人がなぜ金額においても決して少なくないああいうかなり大規模な過ちを犯したのかということについては、これはもちろんその人に不心得があったわけでありましょうけれども、組織に問題がないのかどうかということがあるわけであります。  それからもう一つは、こういうことを決定する場合に、合議制になっていないのかどうか、一人で決定をするのかどうかという疑問が一つあります。それからもう一つは、これは大体ほとんど全部随契で行われたというふうに伝えられております。随契というのは会計法からいっても全くの例外であって、原則的にはこれは競争が原則でありますから、そういう原則を破ってなぜほとんど全部随契でやられたのかということが問題。それからもう一つの問題は、この人は同じ分野に三十数年ずっといて、それで係員から係長、補佐あるいは参事官というふうにずっと累進してこられたということでありますけれども、全く同じ分野に三十数年在職していたということが一つの問題。この三つの問題があると思うのです。  もう時間がありませんけれども、この三つの問題についてお答えをいただきたいということと、この問題はやはり組織の問題あるいは人事の問題それから監督の問題等があると思います。それについて、こういった問題が今後再発しないための官僚機構全体にわたっての再検討が必要ではないか、あるいは人事についても運営の再検討が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  114. 本多秀司

    ○本多政府委員 お答えいたします。  今先生御指摘のとおり、私ども総理府の一職員といたしまして、このような収賄被疑事件が起きましたということを本当に心から国民に対して申しわけなく思っている次第でございます。  今先生の御質問、四、五点ございましたが、私の方からは契約関係以外の点についてお答え申し上げたいと思います。契約関係については、後ほど総理府官房の会計課長からお答えさせていただきたいと思うわけであります。  一つは人事管理の問題だと思います。人事管理につきまして、総理府は従来から十分意を用いてまいったつもりでございまして、例えば職場における信頼関係の確保であるとか成績を中心にした人事運用の推進であるとか職員の能力開発、こういった点に努めてきたところでございます。特に配置転換につきましては意を用いてまいりまして、例えば職務によって比較的長期にわたって在職することの方が技術あるいは能力を向上させる上でより効果的であるという面もございますが、そういうことではございますが、しかし、適正な人事配置という観点から二年あるいは三年程度で配置転換を行うこととしてきたところでございます。今後とももちろん適正な人事管理、人事配置に配意しつつ必要な見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。  それから、合議制の問題がございました。御指摘のとおり、広報関係につきましては総理府広報室という一つの部局がございますし、それから、その広報室で広報の計画が決まり、内容が決まり、媒体が決まった後で会計の方で契約事務等が行われるわけでございますから、その両部局の合議といいますか、チェックといいますか、そういう体制が保たれてきたことは事実でございます。しかし、にもかかわらず、このような事件が起きました以上、私ども、再度そういったチェック体制の見直しということにも十分意を配していきたいと思っております。事実、一昨日、官房長官から私どもに対しまして再発防止体制の強化ということから幾つかの指示がございまして、その指示の一つが適正な職務の執行を確保するためのチェック体制を再度見直すべきであるという御指摘もいただいておりますので、私ども、早速そういった観点から再発防止につきましての対応を検討しているところでございます。  それからもう一点が、三十年以上勤続していた、そこに一つの問題があるのではないかという御指摘でございますが、これは先ほど申しましたように、人事管理の観点から、最近ではそういった長い期間同一ポストにおるということは避けている状況でございますが、例えば二十年代に入ったような方々については当時はまだ一部残っていたことは御指摘のとおりでございます。  以上のほか、契約関係については会計課長の方から申し上げます。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 時間ですから、あとの答弁は文書でいただきます。  終わります。
  116. 野中英二

    野中委員長 小川国彦君。
  117. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、最初に運輸大臣にお伺いしたいのでございますが、空港公団それから鉄道建設公団、国鉄清算事業団、こういうものに対して大臣はどういう監督指揮権を持っておられるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  118. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 各組織にかかわります各法律によってうたわれました権限を持っております。
  119. 小川国彦

    小川(国)委員 そうすると、各諸法規に基づいて監督指揮する権限を持っている、こういうことでございますか。
  120. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そのとおりです。
  121. 小川国彦

    小川(国)委員 そこで、私は、運輸大臣の監督指揮下にある鉄建公団並びに国鉄清算事業団の旧国鉄の成田空港駅それから成田新幹線における九百四十一億円という大変な費用を使ってつくられた駅ないし施設が昨年の四月一日の中止のために九百四十一億円という膨大な国損を与えている、こういう現状について改めて運輸大臣の見解を求めたいというふうに思うのです。  これは、運輸大臣の監督指揮下にある鉄道建設公団が百二十三億円の経費をかけて成田空港駅というものをつくられた。さらに、四百二十四億円という経費をかけて成田空港駅から八・七キロメートルのところまで路盤工事を行った。ところが、現状は、大臣もしばしば空港を利用されて現地でごらんになったこともあろうか、あるいはお話をお聞きになったと思うのでありますが、現在成田空港駅というのは地下一階、二階の計四万平米の面積がありますが、ポンペイ廃墟の跡ではございませんけれども、全く利用されないままに放置されてきている。それから、空港駅から成田市土屋というところに至る約八・七キロメートルの鉄道路盤というのはずっと田園地帯を高架でつくられておりまして、そして成田市土屋という地先で工事中止のままその残骸をさらしている。これは周辺の住民から見ても、一体この工事は何のために行われたのであろうか、新幹線といいながら、用地買収のめども工事全体のめども全くないのにこういう工事を行ってきて残骸をさらしたままになっている、こういうふうに東京まで全く用地買収の見通しも工事の見通しもないまま駅をつくり、そしてまた新幹線工事を行って九百四十一億円という国損を与えている、こういう事態は運輸省として重大な責任を有する問題だ、こういうふうに思うわけでございますが、現職の運輸大臣としてこの点についての責任をどういうふうにお感じになるか、伺いたいと思います。
  122. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 成田につながる新幹線の挫折はいろいろ理由がございますけれども、現実にああいう形でとんざしておるわけでありまして、また非常に国費をむだに費やしたという形になっております。これに対しては運輸省も非常に大きな責任を感じておりますが、しかしともかく今ありますあの路盤を含めてこれを何らかの形で積極的に活用しなければならないとも思っております。いずれにしろ、今成田は世界有数の非常にアクセスの劣悪な空港でありまして、世界に恥をさらしていると言っても過言ではない。利用される方々は非常に不便をかこっていらっしゃるわけでありまして、一刻も早くこの不便というものを解消する努力をしなければならないと痛感しております。そのためにその方策の一つとしても、現在あります、あの眠っております駅並びに土屋まで来ております路盤というものを何らかの形で活用できないかということを今検討しておりますし、これをできるだけ早く結論を得るように督励しております。
  123. 小川国彦

    小川(国)委員 鉄建公団の総裁がお見えになっていると思いますが、現在まで十数年にわたってこの工事を進めてきた当事者として、こうした今日の挫折、中止という事態についてどういう責任をお感じになっておりますか。
  124. 永井浩

    永井参考人 ただいま御指摘のございました成田新幹線でございますけれども、これは四十六年に政府の方で基本計画あるいは整備計画を御決定になりまして、これに基づきまして私ども実施計画の認可申請をして、四十九年から工事を始めたわけでございます。  御指摘のように、空港駅及び土屋までの路線につきまして主として路盤工事を中心に工事をしたわけでございますが、その後の社会情勢の変化等によりまして五十八年から工事を凍結したものでございます。非常に地域住民の方の反対等がございまして、私どもとしては難しい情勢ということで工事を凍結したわけでございまして、その点まことに残念なことだ、このように考えております。
  125. 小川国彦

    小川(国)委員 大変うまい口実を反対運動にかぶせているわけでございますが、私ども現地でよく知り抜いているわけですが、この新幹線の問題について、これは地域の住民のためのいろいろな利便もつくる道路である、交通である、こういうことからこの問題についての直接的な反対運動は私の知る限りではなかった、こういうふうに思うわけです。私自身も成田のさまざまな運動に携わってきたけれども、このことについては申し上げたこともなかった。しかし、ずっとこの経過を見ると運輸省の責任が極めて重大だと思うのは、まず空港の地下駅をつくるときに、駅をつくるからにはその駅から列車が発進してどこまで行くかという目標というものがあって駅がつくられるのに、路線の用地買収も東京までの間が十年かかってわずか八キロでございます。そういうような状況の中でまず駅をつくってしまった。しかも膨大な金をかけている。それから今度は、用地買収を行っているわけでございますが、この用地買収に当たりましても、用地買収をしただけならまだしも、田んぼの途中まで高架をつくってそのまま、最初の駅もないわけですよ。では一体、どこまでを目標としてあの工事はお始めになったかということを伺いたいのです。
  126. 永井浩

    永井参考人 この成田新幹線は東京―成田空港間六十五キロの路線でございまして、主として成田空港のアクセスということで計画が立てられたものでございます。  それで、まず空港工事との関連もございまして空港駅の工事に第一番目に着手した、それから引き続きまして成田市の土屋付近までの工事を進めてまいった、こういうことでございます。したがいまして、あくまでもこれは東京までの空港のアクセスを主とした目的として建設を始めたものでございます。
  127. 小川国彦

    小川(国)委員 成田空港駅分が百二十三億円ですね。それから、成田空港から八キロまでのところで約六十億の用地買収をしているわけです。しかもこの鉄道は――では少なくもこの工事にかかるのには、例えば今千葉の北総鉄道というのがございますが、用地買収のされないところはともかくとして、されたところの駅なら駅をつないでその間の住民の利便に供せられる、一時間の距離があれば三十分のところは鉄道を動かせるからそこは工事をやるということはわかるわけなのですよ。ところが、東京から成田まで恐らく五十キロから百キロあると思いますが、その間のわずか八キロしか用地買収ができなくて、その先のどこまで駅をつくる、どこまで鉄道を敷けるという計画もないのに三百六十四億もかけてただ空中のケーブル線ではないけれども高架の工事だけをやったというのは、これは運輸省も国鉄も鉄建公団も極めて無責任にやってきたというふうに私は思うのです。私どもは、しばしばこういう問題がどうなっているのかということで、運輸省や鉄建公団の方々に再三議会の部屋に来ていただいて説明を求めました。そのときには、在来線で旧国鉄成田駅につなぐとかあるいは北総鉄道の民営鉄道とつないでこれを活用するあるいは新幹線として完成する、その三案があるのだ、必ずそれとつなげるのだからこのやっている用地買収に加えて三百六十四億の工事はむだになりませんということを皆さん説明されてきたわけです。現にそのことについては国会の中でも再三質疑が行われているわけです。  私ずっと歴代のどの運輸大臣からこの工事が始まったかを調べてみますと、昭和四十七年の新谷寅三郎大臣のときに始まりまして、約十一億の工事、同じく徳永正利大臣のときにその十一億の工事が続き、江藤智運輸大臣のときで四十八年三十五億、木村睦男運輸大臣のときに四十九年に三十五億、石田博英運輸大臣のときに五十年に五十六億、田村元運輸大臣のときに五十一年に三十億、福永健司運輸大臣のときに五十二年に五十五億、五十三年森山欽司運輸大臣のときに七十一億、五十四年地崎宇三郎運輸大臣のときに八十一億、塩川正十郎運輸大臣のときに五十五年に七十二億、五十六年小坂徳三郎運輸大臣にときに五十四億、五十七年長谷川峻運輸大臣のときに四十億、それから五十八年細田吉藏運輸大臣のときに三億ということで、これら運輸大臣のもとで。  それから今度は、そのときの鉄建公団の総裁をずっと見ますと、昭和四十五年以降は篠原武司、川島廣守、仁杉巖、内田隆滋、永井浩という鉄建公団の総裁と、それから磯崎叡国鉄総裁、藤井松太郎総裁、高木文雄総裁、仁杉巖総裁、杉浦喬也総裁、こういう歴代の大臣や鉄建公団総裁、国鉄総裁、副総裁その他執行部、おられると思うのですが、そういう方のときにこういう何十億の工事を無理無理進めてきた、そういう点では、この歴代の運輸大臣と鉄建公団なり国鉄総裁なりは重大な責任があると思うのですね。これは、今の運輸大臣もやめたら責任ないということじゃないと思うのですね。  今の在職中にあなたがおやりになったことは、あなたが政治家として活躍されている限りは私はその責任はあると思うのですね。そうすると、このうち亡くなった大臣は、まさか責任を問うといってももう物故された方も何名か大臣でおられるようですが、自民党の現職として活躍されておられる方、あるいはまたおやめになった方もそれぞれ相当な地位についていらっしゃるのですよ。だから、そういう方々は一体どういう責任をおとりになるのか、これは大臣として一つの政治のルールとして、一千億近い国損を与えてもやめてしまえば責任はないということなのか、そういうところの責任というのはどういうふうにおとりになられるのか、伺いたいと思うのです。
  128. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 運輸大臣は歴代かわってまいりましたけれども、自民党政権は続いておるわけでございまして、私たち、永続している政権としての責任は、その時点時点で担当の大臣が管轄部門について果たさなければならないと思っております。私が現職としてしなくてはならないその責任の履行というのは、御指摘のように、それだけの国費を投じてあそこに眠っているあの施設というものをいかに早く活用するかということのめどをつけるということだと思います。先般も役所でそのことを指示いたしまして、各部門でそれぞれ言い分がありまして、長い長い歴史がありますとは申しますが、しかしその間、国民は非常に不便をかこっているわけでありまして、そろそろある決断をして、二次、三次の方法もあるかもしれませんけれども、ともかくそれをまず活用し、東京に列車のアクセスがつながって、多くの方々があの飛行場というものをより有効に利用されるという利便というものに供する必要があると思いますし、そのための決断をしなければならないと思っております。
  129. 小川国彦

    小川(国)委員 参考に、国会でどれだけこの問題が議論されてきたか、私は全部議事録を調べてみたのです。衆議院だけで十三回この問題が取り上げられているのです。それで、五十四年二月十五日には衆議院の運輸委員会で森山運輸大臣に佐野進議員、五十四年五月二十九日には森山運輸大臣に浜田議員、五十四年六月一日には斉藤正男議員から山上政府委員、森山運輸大臣、同じく五十四年六月一日には太田一夫議員から山上政府委員に、五十五年四月には水野清議員から山地政府委員に、これは今日航の社長さんになっているそうです。五十九年四月二十日には森田景一議員から山本長政府委員に、五十九年八月一日には同じく森田景一議員から服部政府委員に、六十一年十月二十二日には国鉄改革委員会で柴田弘議員から林政府委員に、五十四年二月十九日には予算委員会で吉浦忠治議員から森山国務大臣に、五十四年三月一日には予算委員会で柴田睦夫議員から松本操政府委員に、五十六年二月二十八日に草野威議員から高木元国鉄総裁であった説明員、塩川国務大臣に、五十八年三月五日には予算委員会で吉浦忠治議員から永光政府委員に、六十一年二月八日には予算委員会で多賀谷議員から棚橋泰政府委員に、こういう質疑がある。この中で議論されている中身を見ると、ともかくあそこを活用せよということ、どうなるんだという懸念を終始一貫国会の中で十三回も指摘されているのです。新幹線がむだになるんじゃないか、国鉄駅がどうなるんだ、新幹線の見通しはあるのか、あるいは在来線とつなげるのか、A、B、C三案とどことつなげて生かすのか、あるいは京成駅が空港の中心部からわずか二、三キロのところで駅をとめられて、そしてあそこをバス輸送している、京成線をつなげたらどうか、そういう質疑が繰り返し繰り返しなされている。その都度、今名前を挙げた大臣や政府委員は、何とかする、何とかする、こう言ってきているのですね。それで結局A、B、C三案のルートを決めるとか、あるいは国鉄と京成と両方の乗り入れをさせるなんて都合のいいことをおっしゃった大臣もいるのですね。現職で、現在いらっしゃる方で。そういう議事録を全部振り返ってみますと、今、大臣が決断するとおっしゃったことも、やはりいつか繰り返してここでこういうふうに名前を挙げて、石原大臣もやはりこう言ったけれども、その決断はやはりだめであったということがあってはならないと私は思うのです。  これは、今答弁された方は運輸省の官房長になっている方もいるし、空港施設の社長になっている方も、航空局長も、事務次官も、日航の社長も、みんな現職でいらっしゃる、営団地下鉄の総裁になっている人もいるのですよね。本当は一千億の国損を与えた責任はこういう大臣やこういう人たちが現職でいるときにはペナルティーでも出して、国民におわびでもしてもらわなければ、九百四十一億という国損をかけてあれだけの空港の地下駅と路盤を遊ばせているわけですから、この責任というものはやはり運輸省挙げて解決しなければならぬ。たまたま現職になった石原大臣、ひとつこれらの総ざらいをして、この辺で国民におわびのあかしをどう立てるのか、運輸省を督励して一日も早くこれをどう生かすのか、その辺のところをもう一度勇気ある決断を御答弁願いたい。
  130. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 実は私、先日ある空中写真を見ました。そしてまた改めて認識を新たにした点もございまして、今ここで具体的に申しませんけれども、私のある腹案を事務局に諮りまして、一部の抵抗といってはあれですが、異論もございますけれども、結局私はそれが一番いい方法じゃないかと思って話をしたのですが、私もそれほどまだ実力者でもございませんので、河野一郎さんぐらいになりますともっと乱暴なことをやったかもわかりませんが、ともかく在任中といっても期限がございますけれども、いずれにしろあの路盤が利用されまして、利用者が成田から都心へ車、つまり列車に乗って行き来ができるような、そういう新しい現実というものをできるだけ早く到来させるつもりでございます。
  131. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、そうしたことでこの国損が国損で終わることのないように、自民党内閣の責任として残ることのないように、それは大臣の決断ある処理をお願いしたいというふうに思います。  それから次に、成田空港に免税店というのがございます。海外旅行者の利便のために免税店が設けられているわけであります。そこに二社、営業しているわけでありますが、第一位の日本空港ビルは、昭和五十三年の開港当初は九十三億円程度の売り上げであったわけですが、六十一年には百五十一億四千七百万円という膨大な売り上げに伸びているわけです。ところが、この売り上げに対して納めている構内営業料は、その一五%の二十一億円という額にしか過ぎないわけであります。このため、免税店を経営しているこの空港ビルというのは年々業績を上げてまいりまして、昭和六十一年度の営業報告書でも総売上高は四百七億円、当期利益は十九億三千万円という好成績を上げているわけです。ちなみにこの会社の貸借対照表によりますと、昭和六十二年三月三十一日現在の剰余金は百四十八億九千万円に及んでいるわけです。しかもその役員給与を見ましても、社長が千九百五十六万、副社長が千八百六十六万、専務が千六百九十九万、常務が千六百九十二万と、いずれも高給与を取っております。しかも運輸省から天下った人が大半を占めているわけであります。現職の事務次官の年収でも一千九百万と言われるわけでありますが、ここを退職して天下っていった人がこんなに高い給与を取るということは、先ほどのここの剰余金実態とにらみましても大変な高収益を上げているということがわかるわけであります。しかも最近五年間に退職した人の退職金等も伺ってみますと、五十八年に百五十一カ月、約十二年勤めて退職した人が五千百三十五万円の退職金。同じく五十八年に百二十一カ月、約十年勤めて退職した人が五千四百六十万円。それから昭和六十年に約五年間勤めて退職した人が、六十五カ月の在任期間で元海上保安庁長官をなすった方。その前の前の方は広島の陸運局長をなすった方。この五年で退職した人が一千六百二十五万という退職金を取っているわけです。単なる民間企業の中で収益を上げて高い給与や高い退職金を払っている。しかも長年公務員として勤めて、公務員として一応相当額の退職金をもらって、最後の方の場合なんかわずか五年で一千六百二十五万、一般の企業で一生勤めてももらえないような退職金を五年で得る。これはこの会社が大変な高収益を上げている。  それじゃ、その高収益を上げている理由は何だと考えてみると、それは国の施設を使って行う営業で巨大な利益があるからだと思うわけです。外国の主要空港の免税店の経営状況を見ますと、総売り上げに対して、イギリスのヒースロー空港では大体五〇%、フランスのドゴール空港では四五%という構内営業料を取っているわけです。ところが、現状の成田空港の場合には一五%ということでございますから、どんどん利益が膨れ上がっていく、こういう形になっているわけです。韓国の場合などはこれは公営でやっていますし、本来なら公営でやれば百五十億余という利益はそのまま国の収益になっていくものではないか、その半分近くは利益になってくるのではないかと思うわけでありますが、こういうふうに民間にやらせて、もうけほうだいのことをやらせている。しかも公共の施設を使ってこういう膨大な利益を上げさせているということはどこかで是正されなければならないのではないかと思うのですが、今の私の話を聞いて、運輸大臣としてこの点どういうふうにお感じになるか、御見解を承りたいと思います。
  132. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そういう種類の営業は、ごく限られた一部の会社に利益が偏るようなことがあってはならないと思っております。私の知己でありますある会社が羽田で実は最初に免税の業務を始めたそうですけれども、だんだんはじき出されてしまって今非常に不利な条件にあるというようなことを陳情してまいりました。それは是か非か、事実が正しいかどうかまだわかりませんが、いずれにしろ大きな力というものがそういう競争を不当に阻害するようなことになってはならないと思っております。
  133. 小川国彦

    小川(国)委員 おっしゃるとおりでございまして、外国ではこれを入札でやっているわけです。例えば空港公団なら公団が免税店のスペースを提供する、そのスペースで免税品の取り扱いをしたいという希望業者があって、自分は何%の構内営業料を払いますということで、高い料率を入れたところで落礼させてその業者にやらせる。営業期間も三年なり五年なりでまた入札をやって変える、こういうやり方をしているわけです。しかも、その中の高いものは四〇%や五〇%の料率を納めている。  こういう実態から考えますと、私は、成田空港における免税店の運営も、今一五%という料率でやっておりますが、これをもっと三〇%なり五〇%に上げるならば、これは当然公団の収入になる、あるいは国庫収入にすることも可能でありまして、そういう国民が全体として使っている場所で上がってくる利益、しかも公共の施設の上で上がる利益というものは国庫に納付されていくという形をとるのが最も望ましい姿じゃないかと思うのですが、いかがでございましょう。
  134. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、現在成田空港におきまして二つの免税売店業者があるわけでございますが、これは経緯がいろいろございまして、現在の成田空港ができる前に羽田空港で免税売店をやっていたということから、国際線が成田に移るということで引き続き成田において同じ業者がこれをやってきた、こういう経緯があるわけでございます。  これから新しく第二ターミナルをつくるわけでございますが、そういたしますと、航空旅客の増に応じて免税売店というものがさらに増設されていくことは当然予想されるわけでございまして、その際、空港公団におきまして旅客の利便とか公平という観点を十分踏まえて事業者を選定していくということが必要であろうかと思っております。
  135. 小川国彦

    小川(国)委員 今現在の料率について検討を加えるお考えはないのですか。今申し上げたように、イギリスでもフランスでも売り上げの四〇%から五〇%を国庫に納付させているというのです。ところが、成田空港の場合は一五%だ、しかも会社の事業内容を見ても免税ショップの異常な売り上げですね。これがかなり大きな収入になっているというふうに考えますと、やはりこの辺は国が国の機関を通じて特定の業者に膨大な利益を与えているということは好ましいことではないのじゃないかと思うのです。この点を是正していくというお考えは持てないものかどうか。
  136. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 免税売店に限りませず、今空港のビルでいわゆるテナントとして営業を行っている者からはその売上高に応じて適切な料率での使用料を設置管理者が、成田の場合ですと空港公団でございますが、徴収していくということは当然のことでございまして、その利益の上がる度合いに応じて適切な使用料を設定していくということは、これはその都度営業状況を見ながら十分検討し、あるいは見直しが必要であれば見直しをしていくということにすべきではなかろうかと思いますので、そのような方向で今後空港公団とも十分話をしてまいりたいと思っております。
  137. 小川国彦

    小川(国)委員 現状の事態について、やはり百五十一億というのは売り上げとして――日本空港ビルの払っている構内営業料があの中にある物販店、飲食店百何店かを全部合わせた構内営業料よりも高いのです。それでなおかつ利益の中から見ると低いわけです。いかにあそこの免税売店が成田空港の巨大な利権の中心になっているかという感じがするわけです。しかもその社長さん以下が全部運輸省の高級官僚が天下った人がなって、しかも現職の運輸次官と同じような給与、ボーナスも大変なものを払って、しかも内部で大変な剰余金をため込んであの周辺にどんどん土地を買う、そういうことをやらせておくというのは、私は国の行政としてけじめがつかないのではないかと思うのです。それは直せるのですから。運輸省空港公団が営業料率を変えるということでそこから適正な国庫収入を上げることができるのですよ。  ヨーロッパではヒースロー、フランクフルト、ドゴール、アメリカのケネディ、ワシントン、サンフランシスコ、ロサンゼルス、アンカレジ、どこを見てもみんな業者の選定は入札でやっているのです。従来羽田空港でこういう経過があったからそのまま成田でやらせたなんという形じゃないのです。みんな契約期間は二年間から五年間、それで今言ったように高い料率を国に払います、国庫にたくさんのお金を納めますという業者から入札で選定してやっている。非常に明朗なんです。民主的、明快なんです。それを見ると、あなた、航空局長さんもいずれ天下りしてここの社長になるためにこのままにしておきたいんだというふうな、私はそうは思いたくないのですけれども、このままにしておくとそういうことになるのじゃないかという感じを持つわけなんですよ。やはりこういうところは正すべきは正した方がいいのじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
  138. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在成田で空港ビルディング株式会社が免税売店を経営しているわけでございますけれども、これも過去の経緯を見ますと、開港当初はたばこについては六%、それからその他の免税品については一〇%という料率であったわけでございますが、その後売り上げの増という状況あるいは収益状況に応じまして五十五年に一回見直しをし、現在一五%という料率になっておるわけでございます。現在、国際線旅客が非常にふえておりまして、そういう意味で免税売店の収入もふえてきておるということだろうと思いますけれども、一方において円高差益の還元ということで値段を下げることもやっておるようでございますし、そういうことを兼ね合わせながら、収益状況というものを公団の方で十分把握をされまして適切な料率を設定していただくということが、今後検討の必要があろうかと思うわけでございまして、あくまで収益の状況あるいは売り上げの状況を十分把握をし分析していただいて適切な料率を設定していただくということを、空港公団の方に十分指導してまいりたいと思っております。
  139. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣、いかがでしょうか。羽田での、本来外国ならそういう競争に参加できる人まではじき出されているというような独占的な状況が、成田に続いてきている。しかも、それが外国の諸例を見ると国庫納付率というものが非常に高くなっている。四〇%、五〇%だ。しかも、二、三年ごとに入札で業者をかえるというようなことまできちっとやっている。それを、ある特定の業者に一五%でずっとやらせて高収益を上げさせて、そしてやっているというやり方、これはやはり大臣の適切な御指導というのはあってしかるべきじゃないか、私はこう思うのでございますが、いかがでございますか。
  140. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 追加の質問だったものですから私は詳しく調べてまいりませんでしたが、いずれにしろ、運輸省はテンミリオン計画ということで、言ってみれば成田の利用者を倍増しようという計画を持っているわけでございます、成田に限りませんけれども。そういう行政の眼目にのっとって、一部の限られた業者が大きな利益を上げるというのは決して開かれた形とは言えないと私は思います。御指摘の点、いろいろ参考にさせていただきまして、周りの方々、国民が納得できるような形をとるように努力したいと思います。
  141. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣の積極的な答弁を評価して、ぜひそういう方向での御努力を願いたいと思います。  それから、最後に空港公団の総裁にお伺いしたいのでございますが、昭和六十三年三月十日現在で空港公団が騒音対策用地として買い上げた土地が約四百五十六ヘクタールあるわけです。このうち百四十七ヘクタールが地元の成田市や農業団体、その他ゴルフ場用地に貸し付けられているということでございますが、それぞれ市や農業団体等の場合には、私どもそれなりの理由というものがうなずけるわけであります。  ただ、この騒音用地の土地利用というのは、地域住民にとって非常に重大な関心があるわけです。というのは、成田空港の千百ヘクタールの用地の大半というのは相当な樹木が植えられておりまして、北総台地の水源林、涵養林としての役割を果たしていたわけです。その樹木の大半が空港のために伐採し尽くされたわけですから、やはりこれにかわるものとして、この騒音用地には水源林、涵養林としての植樹、緑化が非常に重要な問題になってくるのではないか。  周辺の市町村はこの涵養林から地下水が培養されてきたという恩恵を受けているわけで、それだけに、この騒音地域がいたずらな開発やなにかによって利用されるのではなくて、やはりできるだけ木を植える、そういうことの中で防音林とか環境緑化とか水源林の涵養、そういう役割を果たすべきではないか、こういうふうに考えているわけです。その点に対して、総裁の御意見をお伺いします。
  142. 秋富公正

    秋富参考人 私も先生の御意見と全く同様でございまして、現在成田空港はグリーンポートと称しておりますが、今後もできるだけ緑を保存してまいりたい。そして同時に、かつては桜の名所でございましたが、その桜の木も少なくなっておりますので、ことし開港十年でございますが、こういったことを機会に桜も植樹をしてまいりたいと思っておりますし、私はできるだけ今後も緑を残していくことに努めてまいる所存でございます。
  143. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、今後どういう貸し付けが行われていくかわかりませんが、いずれにせよ今お話のあった植樹ということを最大の眼目にしていただきたいと思うわけです。  特に、成田空港のあるところは台地になっておりまして、周辺の低いところは皆、地下水というのは、今まで空港のある一千百ヘクタールに木が植えられていて、そしてその地下水が周辺の市町村の井戸水なり飲料水になっているわけですね。その一千百ヘクタールのああいう樹木が一切失われたという状況になった。例えば地下水というのは一年に一メートルだ。百年たたなければ百メートル下の地下水はとれない。しかし、今の社会生活の中では百メートル、百五十メートルの地下水がどんどんくみ上げられて、飲料水に使わなければならないという状況になっているわけです。そういうことを考えると、成田空港周辺における騒音地域として住民対策として買い上げた土地は、やはり植樹によって周辺の人たちに今後五十年、百年たっても地下水が供給できるような役割を考えていってもらいたい、こう私は考えるわけで、重ねてその点を要望いたしたいと思います。
  144. 秋富公正

    秋富参考人 現在、約四分の一の百五ヘクタールは農業用地にお貸ししているわけでございますが、それ以外にも、御指摘のようにレクリエーションセンター、子供の遊園地あるいは公共廃棄物の施設等に御利用いただいております。今の植樹という問題につきましても、私は、地元の関係市町村の方々と十分に相談し、またそのお考えも承りながら、今後も積極的に植樹には努めてまいる決意でございます。
  145. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  146. 野中英二

    野中委員長 この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ────◇─────     午後二時十九分開議
  147. 近藤元次

    近藤(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を代行いたしたいと思います。  質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 自衛隊操縦士並びに海上自衛隊、陸上自衛隊はそういうのがありますかどうかわかりませんが、操縦士の問題について二、三お尋ねします。  大臣ももう御承知のとおり、太平洋戦争のときには特攻隊の若い人たちがわずか十二時間か二十時間の操縦訓練で突っ込んでいったという話もあることでございますが、現在の複雑な航空技術の中の飛行操縦というものは大変な勉強をしなければできないことだし、また軍事に携わる者でも民間に携わる者でもこれは非常な勉強をしなければ到底その任にこたえられないことは我々もよく承知をしているところでございますが、この定期航空会社、要するに大手の航空会社における操縦士の養成計画というものは運輸省では一体どのようにキャッチし、指導し、その養成に向かってきちっとした計画に従った充足を行っているのでしょうか。
  149. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 定期航空会社におきましては、現在約三千四百人の操縦士が所属をいたしておりますが、操縦士の定年退職者が徐々に増加をいたしております。約十年後には年間百名程度あるいはそれ以上に達するものと予測されております。一方またそういう状況に加えまして、現在新しい航空政策を展開いたしておりますので、その関係で操縦士の需要が増加をしておるというのが現状でございます。  今後の需給関係の見通しでございますけれども、今後毎年二百人ないし二百五十人程度の新たな操縦士の養成といいますか供給が必要になってくると見込んでおります。その供給計画でございますが、一つには航空大学校がございまして、ここにおきましては定期航空会社の主力となるべき操縦士の要員を安定的に供給しておりまして、その規模は毎年百人程度でございます。したがいまして、航空大学校の卒業生だけでは必要数を充足できないという状況になっておりまして、不足する部分につきましては定期航空会社の自社養成を中心に今後供給していくということでございますが、一方また、自衛隊の業務に支障のない範囲内におきまして自衛隊操縦士の採用、いわゆる割愛といったことによりまして必要数を充足していくという計画を持っておりまして、その方向で進めておるところでございます。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 運輸省と防衛庁が取り交わしておりますところの「自衛隊操縦士の割愛について」という覚書は何のために出されたのですか。
  151. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま申し上げましたように、昭和六十年代に入りまして定期航空会社におきまして操縦士の定年退職者の増加あるいは新しい航空政策による需要増、そういうことによりまして先ほど申しましたような供給が必要になってきているわけでございますが、その供給源の一つといたしまして自衛隊操縦士の割愛制度の再開、過去において行っておりましたが、一時中止をいたしておりまして、その再開を強く要望するという状況に至ったものでございます。そのようなことで、そういう状況を踏まえまして、今後計画的かつ円滑な、いわゆる秩序ある自衛隊操縦士の割愛というものが実施をされますように、昨年の十一月に防衛庁と運輸省の間で取り決めをした次第でございます。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 防衛庁は来ていますか。――防衛庁は、自衛隊操縦士がF15に乗るまでに要する費用というものは幾らかかるのですか。
  153. 草津辰夫

    ○草津説明員 お答えいたします。  防衛庁におきましては、それぞれのパイロットのソースとしましては、航空学生のほか防衛大学校あるいは一般大学を卒業しました学生の一部を対象に行っております。また、このパイロットは、先生御存じのように各機種によって異なりますので、今先生が御質問されましたF15の場合で、かつ航空学生出身者を例にとって申し上げますと、航空学生採用後約五カ年二カ月の教育を行いまして、それに要する人件費等の諸経費は約四億四千八百万でございます。     〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 運輸省にちょっとお尋ねしますが、ダグラスまたはボーイング747とか今就航している旅客機に正操縦士としてなるまでには大体費用はどれくらいかかるのですか。年限はどれくらいかかるのですか。
  155. 中村資朗

    中村(資)政府委員 お答えいたします。  期間の方でございますけれども、ほぼ十五年で機長になるわけでございます。  費用の方は、まさに給料ということも含めまして今手元にございませんが、事業用操縦士を取るまでの間、これは航空大学校を卒業するまででございますが、その費用だけは今手元にございまして、約三千六百万くらいだろうと思っております。
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、F15の戦闘機を乗りこなすまでに約六年、約四億四、五千万の経費が一人のパイロットにかかるわけです。それで、民間の正操縦士になるまでに約十五年、副操縦士になるまでに約十年近くかかる。その間に相当の費用がかかるわけですが、どうしてこういった覚書を交換しなければならないかというと、今御説明があったように定年退職者が出てきて充足がきかない。昔の戦闘機のように滞空時間が四十時間から百時間未満で敵の艦船に体当たりする神風特攻隊ならいざ知らず、現在は今言ったように五年も十年も十五年もかかるということになると大変な日数と費用がかかっているわけです。その航空自衛隊から民間が引き抜くということになるとこれは大変なことになりますので、今御説明があったように覚書を交換して割愛制度というものをとり出したのでございますが、一番多いときで、昭和四十七、八年ですか、年間六十五人くらい割愛している。大ざっぱに言っても大体三百億から三百四、五十億の金が負担された人たちが民間に入っていくわけです。こういった問題がどんどん進んでいきますと日本の防衛問題それから民間の航空行政といったものにいろいろ弊害が出てくると思いますが、まず大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  157. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 現在の高性能の戦闘機のパイロットというのは本当に高度の技術者だと思いますし、それを養成するために大変なお金を費やし時間も費やしておるわけでございますが、一方民間の航空会社のパイロットが非常に足りなくなって、引き抜かれるというのでしょうか、割愛するというのでしょうか、そういう現象が起こっているようでございます。私も現に、実は自衛隊のあるパイロットの就職を頼まれましたが、この覚書にひっかかりましてある時間たたなければだめだということでした。その人はシミュレーターの教官をしているようでありますが、聞きますと、飛行機野郎というのでしょうか、本当に飛行機に乗りたくて自衛隊に入ったけれども、三十そこそこで管理職にされて飛ぶに飛べないという不満もパイロットたちにあるように聞いております。  いずれにしろ、国防のために大変な費用をかけて育てたパイロットが非常に簡単に民間に流出してしまうというのは本当に国家的な損失でございますし、何らかの措置を講じて国防の方に万全の体制を講ずる必要はあると思います。また一方民間のパイロットに粗雑な人がなられても困るわけでありまして、大変特殊技能者であるために難しい問題だと思いますが、それぞれの観点からこれは考えていかなければならない問題だと思っております。
  158. 小川新一郎

    小川(新)委員 防衛庁、聞いていたですね。今、三十歳前後で飛ぶに飛べない飛行機野郎ということですが、三十歳前後でもう第一線の戦闘機に乗れないのですか。一体どれくらいのところまでそういった戦闘的な立場の職務についていらっしゃるのですか。
  159. 三井康有

    ○三井説明員 お答えいたします。  先生よく御案内のように、防衛庁の自衛隊のパイロットと申しますのは一般の定期航空会社のパイロットと違う非常に特殊な任務を持っておるわけでございます。これは一言で申しますと、有事に防衛行動に従事するというのが本来の任務でございますから、例えば航空自衛隊の要撃戦闘機のパイロット、あるいは対地攻撃機のパイロット、あるいは海上自衛隊の対潜哨戒機のパイロット、いろいろ任務はあるわけでございますが、いずれも有事に活動するというのが本来の任務でございまして、戦技を身につけておらなければならないわけでございます。  そういたしますと、要撃戦闘機のパイロットなどを例にとって申しますと、相手がやってくるときに相手の弾を回避しながら宙返りだとかきりもみをやりながら回避し、そして適宜に我が方の機関砲を撃つとか、ミサイルを発射するとかというようなこと、すなわち、言葉は悪いかもしれませんが、弾の飛んでくるところで命のやりとりをするというのが自衛隊のパイロットなわけでございます。  したがいまして、こういう激しい任務に従事するためにはどうしても中年以降になりますと体がついていかない。これは何歳ぐらいかということでございますが、非常に個人差もございますし、それからどういう機種の飛行機に乗っているかということにもよるわけでございますけれども、ごく一般的に申しますと、三十歳代の後半ぐらいになりますとなかなかきつくなってくる。特に四十歳も過ぎてきますと非常に困難が伴うというのが現実でございまして、こういった方々はそういう年齢に達しますとやむを得ず地上におりまして、いわばデスクワークといったようなものにつくことになるわけでございます。そういった範囲の中から適任者を選びまして割愛として差し上げるということに今回したわけでございます。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 私たち素人が考えると、第一線の要撃戦闘機や多目的戦闘機、防衛戦闘機をこなすのは大変であっても、そのほかまだそれ以下の、ハードでない機種もあるわけですね。こういう方へ回してあげればいいとかという問題も出てくるわけです。  そうしますと、そういった一番優秀な、一番金のかかった最新の戦闘機乗りは三十歳を超えるともうハードでついていけないからこれは民間の方へ、給料のいい方へ差し上げる、これが要するに覚書の趣旨だと思うのですが、それはそういうふうな状態になっていればいいのですが、そういうふうになっていないところに問題が出てくるわけでございます。  今、引き抜きの問題には二つありまして、中小の航空会社が大手の航空会社にパイロットを引き抜かれる場合、それから大手の航空会社が自衛隊とか海上保安庁から優秀なパイロットを引き抜く場合と二つあるわけなんです。そうすると、中小の小さいところの会社は大手の方から高額の所得で誘いがかかるとそっちに行ってしまうという例もあるわけです。そこで、非常にたらい回しでぐるぐるそういった慢性的な人的不足という問題によって日本の防衛に影響が出てくるということであれば、これは大変なことだと思うのですが、その点の措置は十二分に講ぜられるのですか。
  161. 三井康有

    ○三井説明員 お答えいたします。  もし無秩序に自衛隊のパイロットの民間への流出ということを認めるのでございますと、これは防衛庁にとりましても任務遂行上問題が出てくるわけでございますが、まさにそのために割愛を制度化いたしまして、計画的かつ円滑に実施するということが今回の覚書の核心をなしておるわけでございまして、具体的には割愛対象者の年齢で制限をつけますとかあるいは人数につきましても年間十五名程度を限度とするといったようなことを決めておるわけでございます。  したがいまして、この覚書を守りながら割愛が運用されていくといたしますと、防衛庁といたしましても実害は生じない、かように考えておるところでございます。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう三十五歳、三十歳後半から大変だということを見込んで充足計画を立てたのではまことに遺憾だと思うのですね。防衛庁出身のパイロットが全部の大体二〇%を超えております。それから「その他」という中に海上保安庁とか何か入っているはずであります。それからその内訳の中で防衛庁関係者のあっせんによってパイロットが就職した場合、そういったいろいろな内訳がございますが、航空大学及び自社養成でできたパイロットというものは全体、百人のうち五十人、あとの五十人が今言ったような状況の中で就航している、これは間違いないですか、大ざっぱに言って。
  163. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 昭和六十一年度末におきます操縦士の出身別の割合でございますが、航空大学校は三二%、それから自社養成が二六%でございますので、合わせまして五八%が航空大学校出身者あるいは自社養成、残りの四二%がその他の出身者ということになります。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 その、その他の中にいろいろと問題を含んできたわけですが、大臣この対策は一〇〇%とはいかないまでも、今言った五八%の比率を七〇から八〇に引き上げることは可能なんですか。
  165. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 航空大学校は定員がございまして、年間大体百人程度ということでございますが、残りが自社養成ということに相なります。  航空会社としては自分の経営上の問題としてパイロットの需給関係を見ながら自社養成を進めていくということが当然必要なわけでございますけれども、先ほども申し上げましたようにやはり一人前のパイロットにするには相当の長年月を要するわけでございます。そういうことを考えますと、現在の急増という状態に今すぐ、先ほどの割合を上げといくということはなかなか大変ではなかろうかという感じがいたしておりまして、徐々に自社養成のウエートを高めていく必要はあろうかと思いますが、今直ちには難しいかなという感じでございます。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 海上保安庁の引き抜きの問題については、運輸省は民間航空会社との覚書等々をつくることはないですか。
  167. 山田隆英

    ○山田(隆)政府委員 海上保安庁としては今航空機を、ヘリコプター含めまして約六十一機ほど持っておりまして、それに要する乗員が百二十八名ほどおります。  このソースといたしましては、海上保安大学校あるいは海上保安学校卒業生を防衛庁に委託いたしまして養成をしておるわけでございますが、特に最近五十九年以降約十四名の者が退職をしております。その内訳を見てみますと、民間会社に移行したのが四名、警察関係が四名、その他六名となっておりまして、私どもといたしましては、今後航空機を増強していく上でこういう退職というのは必ずしも好ましくないということで、民間航空会社及び警察の方へは引き抜きを自粛していただきたいということを文書で申し入れております。
  168. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、お聞きのとおりの実態でございますので、国防の面からまた運輸行政の面から、相互に連携、お互いの立場がございますから、国費のむだにならないよう、また事故も起こさないような対処をしていただくために御決意をお願いいたします。
  169. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 航空機の需要というのはこれからますますふえていくわけでございまして、自衛隊も含めてパイロットの需要の数もふえるわけでございます。国防を含めまして、また運輸行政も含めまして国民の期待に沿えるような人員の配備を担保できるような努力をしていこうと思います。
  170. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、埼玉県内で今起きております新幹線を建設するときに当時の国鉄と埼玉県及び関係市町村との間に合意を見ました要するに公害発生のための環境エリア、空間地帯を設けた問題の土地がございますが、この土地の取得費が当時のお金で五百七、八十億もかかっております。  ところが、新幹線を通すことに反対であった埼玉県及び地方自治体は、その環境地帯の土地を無償で貸してもらいたい。会計検査院や元国鉄は、多額の金を使って取得した土地を、幾ら何でもただで関係自治体に貸すわけにはいかない。関係自治体では、ただで貸してもらえるということを条件にして新幹線通過に協力した、こういうことで、いろいろとトラブルが起きていたわけですが、通勤新線が同じように新幹線と併用してできる立場上、速やかにこの問題解決のために駅前広場とか設備のために必要な土地に対しては取得いたしました。  その例について、東北新幹線建設に伴い取得した用地のその地域の処分問題の今後のあり方はどういうふうにしていくのですか。このままになっているのですか。これをひとつお願いします。
  171. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生御指摘の東北新幹線の周辺の土地の問題でございますが、若干経緯を御説明いたしますと、東北新幹線の建設に関しまして、埼玉県と、それから大宮市、浦和市、与野市、戸田市、そういう関係の四市から国鉄に対しまして、将来都市施設の設定を計画しているので、工事用道路の外側に一定幅の用地を本線用地等とあわせて取得するという要請がありまして、国鉄はその要請された用地を自己の費用で先行取得したということでございます。  それで、その際費用負担の問題が当然問題になるわけでございます。地方自治体の要請の中では別途協議する、こういうお話になっておりまして、それから国鉄側の方は、地方自治体の御要請を了承するに当たりまして、用地は有償で譲渡するということで処理したいということを関係自治体に通知いたしました。そういうことで用地の取得が行われたわけでございます。  その後、その譲渡に関する協議が関係者間で行われておりまして、ただいま先生御指摘の埼京線開業の駅前広場の関係のための譲渡ということがございましたが、それ以外のところにつきましては、現在までの段階では具体的な進展を見るに至ってないわけでございます。  それで、御存じのとおり昨年の四月一日に国鉄改革が行われたわけでございまして、今までの国鉄が行っていたこの問題につきましての処理は、新幹線保有機構が設立されましたので、そちらが引き継いで行っております。したがいまして、現在は新幹線保有機構と地元の関係の地方公共団体との間で協議を進めているということでございますが、先生の御指摘のようないろいろな問題がございまして、現在のところいまだ具体的な進展を見るに至ってないという状況でございますが、これにつきましては、関係者でできるだけ協議を詰めていただきたい、こんなふうに考えております。
  172. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、これは何らかの介入をして、もう何度も何度もやって、うまくいかないのですね、両者の言い分が。要するにお金が絡んでいますから、自治体はそんな多額の金は払えない。ところが、国鉄側は、金を出してもらわなければだめだ。都市施設をつくるにしても、格好のいいことを言っているけれども、みんなそれぞれ安くただで、こういうことなんです。どっちというわけにいかないでしょうけれども、会計検査院も見ていることですから。大臣、何らかいい手を打ちますか。どうするのですか。知事選ももう始まることですし、はっきりしてもらわないと困ってしまうのですね。
  173. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今総括審議官がお話ししましたように、関係者の間で話し合いが進んでいるわけでございます。これが大変おくれているのは残念でございますが、いずれにしろ運輸省としては、やはり投下資本が回収できるような価格で譲渡されるべきだと思っております。
  174. 小川新一郎

    小川(新)委員 どうも大臣らしくない歯切れの悪い、私は石原先生はそんな人じゃないと思ってきょうは質問を楽しんでいたんだけれども。そんなことを言っていますと、リニアモーターカーも埼玉県には通らないと理解してもいいのですか。どうなんです、このリニアモーターカーも。大宮―成田間、知事が一生懸命推進してきましたけれども、これもあなたの構想の中には入ってないのですか。  それからもう一つ。もう時間がないから申しますが、地下鉄七号線、岩淵まで来ました。埼玉県にはいつ入れてくれるのですか、これも問題になっている。  もう時間はあと四分ちょっと切りました。頭のいいところで整理してお答えいただきたいと思います。
  175. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 リニアにつきましては、距離と地形が非常に事を左右するわけでありまして、大宮―成田間、それはできれば結構でありますけれども、距離もちょっと今の技術では変電所を要するようなことでございまして、これは新規に実験をしませんと実現いたしません。そういう点で、よく苦心しております札幌―千歳間とはまたちょっと違った状況だと思います。  それから、地下鉄については担当の局長がお返事いたします。
  176. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘の地下鉄の東京七号線の浦和市東部への延伸につきましては、六十年の運政審答申によりまして整備すべき路線とされておるわけです。先生御指摘のように、現在岩淵町―駒込間六・八キロ工事中でございますし、それから駒込以南目黒間、十四・二キロになりますが、これは現在工事施行認可を得て着工すべく鋭意準備を進めている段階で、これは七十年度ぐらいが目標になろうかと思います。  御指摘のような埼玉県への七号線の延伸問題につきましては、地元の御要望が非常に強いということも我々十分承知しております。ただ、こういう地下鉄等の整備につきまして、我々としては採算性の問題と、それから地下鉄補助という格好で財政的な補助を行っておりますが、これの財政的な制約の問題こういった面がございますので、計画的に着実に進めるということで対応せざるを得ない状況でございます。  したがいまして、営団の、主としてこれから七号線が中心になりますが、七号線の工事の進捗状況とあわせまして埼玉県への延伸部分について、具体化のための検討を進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  177. 小川新一郎

    小川(新)委員 その具体化の問題は、ことしじゅう具体的に、それこそ具体化を具体的にやるのはいつですか。
  178. 熊代健

    熊代政府委員 今申し上げましたように、実はこの岩淵町以北の埼玉県につきまして、かなり地上に出る部分ができます。純粋な地下鉄でないというような問題もございまして、建設主体をどうしたのが早くできるのかといった問題。それから先ほどは触れませんでしたが、営団地下鉄については民営化を五年以内に図るというテーマがございます。  したがいまして、設備投資の規模、それが営団の採算に及ぼす影響といったものも考慮しなければなりませんので、先生言われるようにことしじゅうにどうこうというふうにはちょっとまいらない面があるわけですが、我々としては、長期的な営団を中心とした東京圏におきます地下鉄の整備、これは先生御承知かと思いますが、北東部に八号線、十一号線、十号線といった、ルートとしては分かれていますが一つの系統、それから十三号線という池袋から南下する系統といったような問題もございまして、これらとの関係等も考えてまいる必要がございますので、鋭意できるだけ方針の決定を急ぎたいとは思いますが、年内とかいうようなお約束はちょっと勘弁していただきたいと思います。
  179. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間が来ましたのでこれでやめますが、大臣、お聞きのとおり、非常に歯切れが悪い。いまだに営団にするか何かの採算制の問題も決定していない。そのために我々わあわあ言われるのですが、こういうような答弁をいただいたことをまた答弁しなければならぬという残念至極な話でございますので、これからもひとつ鋭意頑張っていただきたいと思います。  そこで、これでもう終わりですが、荒川の川を利用して水上交通をやろう、埼玉県の秋ケ瀬から隅田川に出るまでの間を、通勤快速船というわけにはいきませんが、通勤水上船とか荷物を運ぶとか、こういう計画を埼玉県から運輸省は聞いておりますか。
  180. 熊代健

    熊代政府委員 お答えいたします。  直接こういう構想を持ってこうやるからという形では聞いておりませんが、新聞といいますか、当方の「トランスポート」といったようなものに載ったこともございますし、それから埼玉県の交通政策課から、そういった調査を進めているということは事柄として存じ上げております。
  181. 小川新一郎

    小川(新)委員 これで終わりますが、大臣ひとつ推進方を御努力願うことをお願いします。いかがでしょうか。
  182. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 東京周辺の交通網、非常に不便を来して皆様に御迷惑をかけておりますけれども、新しい地下鉄を敷くとか常磐新線とか、百年河清を待つみたいな話でありまして、その場しのぎというわけではございませんけれども、川を利用するということ、もし有効にそれが推進されれば一つの活路だと思います。現にヨーロッパの大都市などではそういうものを活用している市もございますし、ひとつ研究してみたいと思います。
  183. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  184. 野中英二

    野中委員長 草川昭三君。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 草川でございます。  まず、きょうは、今日非常に問題になっておりますところの日米農作物交渉、大変大きな話題になっておりますけれども、当然のことながら、我が国といたしましては、輸入をしたところの農作物がスムーズに日本の流通機構に乗り、我々の台所に入り、内需刺激をする、こういう方向が好ましいわけでございますけれども、ただいまから申し上げる、実は今東京の港にいますところのグレープフルーツを積載した船が、約二カ月近くグレープフルーツを荷揚げできないまま港にいる、こういう問題。事実上の目に見えないところの関税障壁、ちょっと大げさになりますけれども、この問題を取り上げてみたいと思うわけであります。実は、この件については、昨日物価問題特別委員会で、詳しいことは申し上げておりませんけれども、経済企画庁長官に、国民生活に非常に影響があるじゃないかというようなことも申し上げ、大変前向きな答弁も得ておるという前提の上で問題提起をしてみたいと思うのです。  今、東京湾に一隻のグレープフルーツの運送船、セキ・レックスという船がいるわけであります。これは二十四万ケースのフロリダ産のグレープフルーツを満載して東京港に入港をしたわけでございますが、これが四月の二十四日であります。ところが、いまだにその積み荷の陸揚げができずに沖で待機をしておるという状況にあります。これはもう既に三週間を過ぎるわけでありますけれども、この船はパナマ運河を四月の五日に通過をしておりますから、はるばる東京港に到着をする日数と同じ日数をかけて東京湾で沖待ちをしている。当然のことながら、その積んでいるグレープフルーツというのは鮮度が落ちていくことになるわけでありますし、もたもたするわけですから、陸揚げをして薫蒸をし、市場そして我々の台所へ来る間に相当なハンディがつくわけですから、値段も下がるのではないか、こう思うわけでございますけれども、異常事態ではないだろうかと思うのですが、こういう事実を承知しておみえになるかどうか、まず事実関係だけお伺いをしたいと思います。
  186. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘の事実については、私どもも承知をいたしております。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 そこで問題は、東京の港が非常に小さい、あるいは岸壁が少ない、あるいは荷揚げの労働力が少ない、薫蒸する倉庫が少ない、だから後から来る船も同様に沖待ちをするというならば、一つの理屈としてわかるわけです。だとするならば、もっとほかの手を基本的に考えようじゃないか、港湾設備を拡充しようじゃないか、こういう方法になると思うのですが、問題は、後から来たところの船が割り込んでくるわけです。これは、私どもがいろいろと申し上げるまでもなく、港のルール、港湾運送業には先着順というきちっとしたルールがあるわけでありますけれども、どう考えてもおかしいじゃないかということを今から申し上げてみたいと思うわけです。  後から来た船が揚がったという実例を申し上げますと、フォーチュン・リーファーという船が四月三十日に入っております。それから、カネシマ丸というのが五月六日に入っております。ペギー・ドウというのが五月十日に入ってきておるわけでございますけれども、それらの船の内容を申し上げますと、フォーチュン・リーファーというのは四月三十日に入港したということを申し上げましたが、五月三日には荷揚げを終わっておるわけです。カネシマ丸も、五月六日に入港し、七日には荷揚げをしている。さらに、五月十日に入港しましたところのぺギー・ドウという船は二十三万ケースという大量のグレープフルーツでございますけれども、十二日に終わっている。さらに、五月十三日に入港したサンベルト・デキシーという船も翌日には二十一万ケースの荷揚げが済む、こういう内容になっておるわけです。  これは局長より運輸大臣に私はお伺いしたいわけでありますけれども、同じようなフロリダ産のグレープフルーツを積載した船舶が京浜間の港、東京あるいは川崎、横浜、こういうところへ到着をしても、一方は直ちに荷揚げが行われ、ほかは三週間とか一カ月近く待機をする事態というのは明らかに異常ではないだろうかと思うのですが、その点についての大臣の見解をお伺いしたい、こう思います。
  188. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 詳細をつまびらかにいたしませんけれども、これは明らかに異常だと思います。
  189. 草川昭三

    ○草川委員 今大臣から明確に異常だとおっしゃられたわけでございますけれども、一体このようなことは過去あったのかないのか、あるいは他の、例えば神戸、大阪、それらの地域でもこのようなことが最近たまたま行われているのかどうか、お伺いをしたい、こう思います。
  190. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 私ども、これまで東京なり横浜の港において、あるいはほかの港において、こういうことがあったということは聞いておりません。
  191. 草川昭三

    ○草川委員 だとすると、今回の場合は全く異常ですね。そこで、私どももこれはおかしいじゃないかというのでいろいろと調べてみますと、このセキ・レックス号は待たされたあげく五月十日になりましてようやく六万ケースの荷揚げが認められたわけです。ところが、全部荷揚げをしていただければいいのですけれども、残りの貨物についてはさらに二口に分けようではないか、十九日ごろまでかかるのではないか、こういうことになっておるわけで、今答弁がありましたようにこれはまさしく異常な状況になっております。  ところで、港湾運送事業法の第十五条というのを見てみると、「港湾運送事業者は、特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的取扱をしてはならない。」という内容になっておりますね。ところが、この京浜地区の薫蒸倉庫業者、薫蒸というのは虫を殺す蒸しぶろと言うと言葉は悪いのですが、要するに密閉をして薬品を散布して輸入の際に虫を殺すという意味でございますが、そういう倉庫が必要でございますので、それらの倉庫業者というのが五つあるのですね。東京貿易埠頭株式会社、東洋埠頭株式会社、日通あるいは東京海運、そのほかに上組でございますか、五つの埠頭会社が五社会というのを構成してグレープフルーツを含む青果物の薫蒸、その後の保管業務を一手に引き受けているというように聞いておるわけであります。この五つの埠頭会社というのですか、いろいろな仕事をする会社は、当然のことながら港湾運送事業法第十五条の趣旨にのっとって公平に薫蒸並びにその後の保管業務を引き受けなければならないと思うのでございますが、その点はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。
  192. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘のとおり、東京、横浜の港におきますこういう青果物の扱いは五つの埠頭がございます。東京の場合は有明埠頭、晴海埠頭、品川埠頭、川崎の埠頭、それから横浜の出田町の埠頭、それぞれに分かれておりまして、それぞれ今御指摘のような事業者が薫蒸施設を所有しまして、そして陸揚げされた貨物につきまして薫蒸を行い、ある程度の上屋保管を行う、あるいは場合によっては倉庫保管を行うという実態がございます。  そして、ただいまお挙げになりました事業者の中で、問題は東京貿易埠頭という会社でございますけれども、これだけはいわゆる港湾運送事業法の免許を受けた港湾運送事業者ではございません。それで、この東京貿易埠頭株式会社は具体的には有明埠頭で薫蒸を行っておるわけでございますが、そこにおきます船からの陸揚げという港湾運送事業に該当いたします行為そのものは大東運輸という別の港湾運送事業者が行っているところでございます。
  193. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、その大東運輸というのは、俗に言うと親会社でしょう。その点はどうですか。
  194. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 資本的な関係はあるようでございますけれども、いわゆる荷主の方からの立場を代行する立場のものが東京貿易埠頭でありまして、この依頼を受けまして陸揚げ行為を担当するのが大東運輸であるというふうに理解しております。
  195. 草川昭三

    ○草川委員 今おかしなことを言われましたが、私どもの調査では、東京貿易埠頭株式会社というのは東京都港区芝浦二の一の十三の大東運輸内にあるということになっていますね、登記は。それは御存じですか。
  196. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 その登記まで調べておりません。
  197. 草川昭三

    ○草川委員 私が資料請求を運輸省に行って三日目ぐらいになりまして、運輸省の方から大変調査がおくれたという答弁がありました。その理由は、今局長が答弁されたように、この会社は実はいわゆる港湾運送事業法の関係ではないから、こういうお話があったのです。今の答弁の中にもあるように、この京浜間は五つの会社がそれぞれグループを組んで、いつどこの荷主から注文された船が入ってくるか、それをどこの薫蒸倉庫に入れるかというのは五つの会社が振り分けをして相談をしておるわけです。だから、この会社でなくても、五つの会社があるわけですから、他の四つの会社に聞けば私どもの調査はすぐわかるわけです。別に運輸省が直接調べなくても、昔でいう関東海運局が調べればすぐわかる話なんです。だから私は、運輸省は現場のことを非常に知らないと思うのでございますけれども、その点はどうですか。
  198. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 私どもの方も関東運輸局を通じて事実関係については承知をいたしておりまして、今お話しのように五社が具体的な青果物の取り扱いにつきまして関東青果物取扱埠頭会というのを構成いたしております。そうして、グレープフルーツとかバナナ等の輸入が行われた場合、輸入業者が個々の港湾運送事業者に対して陸揚げそのものを直接依頼するということは当然一般に行われているわけでありますけれども、スポット物的なものはかなりこの埠頭会を通じて取り扱いの手配を依頼するという実態がございます。そうして、この埠頭会に取り扱いを依頼された場合には、五社のうち日程なり倉庫などの都合のつくものが自主的に引き受けを行っていくということによって調整が行われているのは事実でございます。  そこで、この問題になっておりますセキ・レックスの荷揚げにつきましては、輸入業者であるジャパン・プロデュースグループからグレープフルーツのシーズン前に本船十隻の取り扱いをこの埠頭会に依頼してきたわけであります。そこで、この埠頭会のメンバーである東洋埠頭それから日本通運それから東京貿易埠頭が取り扱うということで合意いたしまして、四隻目までは東洋埠頭と日本通運が既に陸揚げを行っております。これらは免許を受けた港湾運送事業者であるわけですけれども、五隻目のこのセキ・レックスにつきましては、五社の間の話し合いの結果、東京貿易埠頭の順番であるというふうに関係者は考えていたようでございます。  ところが、このセキ・レックスが入港する直前になって東京貿易埠頭は取り扱いを断ってきたという事実がございました。その段階におきましては、全体が大変込んでおりまして、港湾運送事業者である日通あるいは東洋埠頭という会社の方でも扱えないというようなことからして今日のような状況になった、こういう事実関係を私どもは掌握しております。
  199. 草川昭三

    ○草川委員 今その理由らしきものの答弁がありましたが、事実は昨年、六十二年の秋でございますか、正確に言いますと六十二年の十月十三日に五つのグループ、すなわち五社会に、荷主側は今申し上げたような合計十隻の配船計画を出し、今答弁があった五つの話が出ましたけれども、それでしかじかかくかくのこういう日程だよ、了解ということを言っているのですよ。レクのときにはおたくの方の担当官は、何かそういうことを言ってきたらしいのですが、それは聞いただけですよというような説明をしておりましたが、それは違うと私はそのときにも言ったのです。  この十月の十三日に既に了解を得ておるにもかかわらず、今のお話だと日通から東京貿易に窓口が変わったために混乱が起きたというのですが、では今度は農水省の方にも聞いてみましょう、薫蒸関係は農水省ですから。  実質的に五社会と裏表になりますけれども、社団法人日本青果物輸入安全推進協会というのがあるのです。ここへ四月の二十八日にフロリダ・グレープフルーツ積載本船セキ・レックスの荷揚げについて何とかしてくれ、こんな二十日間も我々は足踏みさせられては積み荷の評価が下がってしまう、困るという陳情をしているわけですよ。こういう事実に対して薫蒸業者の元締めになるところの青果物輸入安全推進協会が実際的に交通整理をやるわけですよ、今のことも含めまして。これはどういうような報告が農水省の方に行っていますか、お答えを願いたいと思うのです。
  200. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答えいたします。  先生御指摘の輸入青果物の消毒施設の問題でございますけれども、これにつきましては技術上の基準に合致しているものの使用を私どもは認めておるわけでございます。このような施設において消毒が実施されるということを前提にいたしまして、輸入者の作成したいろいろな計画を私どもが承認するという仕組みになっております。したがいまして、どういった処理施設を利用するかということについては輸入者自身が決定すべき性格のものだというふうに理解しております。  なお、先ほどお話のありました社団法人日本青果物輸入安全推進協会は青果物の輸入者による団体でございます。植物検疫に関係いたしました港頭倉庫に付設されております消毒処理施設の効率的な使用の観点からの問題につきましては、基本的には同協会の会員、先ほど先生がおっしゃられた輸入業者もその会員の一員であるというふうに承知しておりますけれども、同協会の会員の間において話し合いが行われることが適当であるというふうにかねがね考えておりまして、今回の問題については既に話し合いが持たれたというふうに聞いております。
  201. 草川昭三

    ○草川委員 その話し合いが持たれた結果、一カ月近い順番待ちになっているわけですよ。だから、こういう話をもしアメリカの人が聞いたらどうなるんでしょうね。せっかく日本に輸出をした、日本が輸入をしてくれた、たくさん日本の国民の方々に台所で食べてもらえるだろうと思って向こうは輸出をするわけです。ところが、港で何か順番待ちで割り込みがあったり、今のようなお話じゃないけれども、農水省の方は、薫蒸だから関係はない、もうそれは一義的には輸入業者だ、そのとおりかもわかりません。順番もあなたたち業者で相談しなさい、うちへそんな話を持ち込まれても困る、こういうような答弁ですが、日本の農政全体の立場からおたくたちも考えてもらいたいと私は思うのですよ、あるいは港湾行政も考えてもらいたいと思うのです。これだけ農林大臣が向こうへ行って汗をかいて、棺おけ用意するから行ってこいと言われて行っているのでしょう。もう少し農水省の方も真剣な答弁をしてもらいたいと思うのですよ。余り農林大臣の足を引っ張るような答弁をしてもらいたくない、私はこう思うのです。  同じことを私は運輸省にも申し上げたいわけですが、たまたま今五つの会社の中で、港湾運送事業法第十六条の関係になるわけですけれども、東京貿易埠頭というのは免許を得てないという答弁だったでしょう。その会社が現実にはその中で五社会という会をつくっていろいろな陸揚げの問題、自分みずからが荷揚げをしないにしても、薫蒸倉庫というのを持っているわけですから、とにかく一緒に相談に乗っているわけですよ。だから、そういうことから考えると、その港湾運送事業法から外れた業者が五つの会社の中にいていいのかどうか、それを相談していいのかどうか、基本的な問題が出てくると私は思うのですが、その点はどうでしょう。
  202. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 先ほどのお話の中に、日通が引き受けた上でそれをまた東京貿易埠頭に移したというお話がありましたけれども、それはそういうことじゃございませんで、先ほど私が御答弁申し上げたような経緯でございます。  そこで、この埠頭会に薫蒸施設を保有する者が自主的に集まって荷主代行的業務を行っているわけでありますけれども、そういう自主的な集まりに対して港湾運送事業の免許を受けない者を参加させないということは難しいと思います。先ほど申し上げましたように、実際の陸揚げの行為は港湾運送事業者であります大東運輸が行っているわけでありまして、大東運輸については当然港湾運送事業法の適用もございまして、差別的取り扱いについての禁止の規定は適用になるわけであります。  その青果物についての取り扱いは、先ほども申し上げましたように、この埠頭会を通さなければいけないというものではございませんで、輸入業者が個々の事業者に対して直接陸揚げそのものは依頼してくるという場合も多いわけであります。しかしながら、ただいま御指摘のとおり、一たん引き受けると言っておきながら直前になって順番を変えて、引き受けると約束したものを実施しないということについては私どもも異常だと思いますし、運輸省としても港湾運送事業者ではございませんので直接の監督関係にはございませんけれども、ただいま御指摘のようにほかの四社は港湾運送事業者でもございますし、全体の運営が適切に行われるように私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  203. 草川昭三

    ○草川委員 それは、局長の方も大臣の方も異常だ、こうおっしゃっていますから、余り次から次へという言い方はしませんけれども、明らかに港湾運送事業法第十四条の「名義利用の禁止」にも当たるのではないかあるいは十五条には「差別取扱等の禁止」というのが明確に書かれています。あるいは「港湾運送の引受義務」、今もお話がありましたが、第十五条の二に原則的に拒絶してはならないということになっておる。そういうことがなぜ行われるかというと、今さら申し上げるまでもありませんけれども、公共的な性格というのがあるわけですよ。私が今から港湾業者をやりますよ、荷物を陸揚げしてあげますよと言ったってこれはだめなのですね。そのかわりにライセンスが与えられているから公平なということの保障がされておるわけですよ。そして、大切なのは、公平であると同時にやり方が公正でなければいけないと思うのですよ。しかも、具体的に客観的に見るならば、透明性というものがなければならないと思うのです。透明性、わかりやすいことだ。特に我々が見てもわかりやすいあるいは外国から見てもわかりやすい。なぜ私だけが一カ月近く足踏みをしなければいけないのか。こういう場合の損害というのは一体だれが負担をするのでしょう。それはどういうことになるのですか。紛議になるのですか、裁判でなければ解決しないのですか、客観的に見てどのようにお考えになられますか。
  204. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 それについての損害賠償の関係は契約関係とかいうことが具体的にどうなっているかとかあるいは東京貿易埠頭の引き受けをするという約束がどういう形において行われているかとかいうことについて詳細な検討が必要だと思います。私ども運輸省の立場において今具体的にどういう損害賠償責任のあり方になるあるいは請求ができるとかいうような材料は持ち合わせておりません。
  205. 草川昭三

    ○草川委員 ではこれは大臣に聞きましょう。  今先走ったことを余り質問してもあれですから、問題は、大臣今異常だという御答弁をされた、そのとおりですね。局長の方もそうだ。では早急に改善要求をするとか、関係業者を呼んで、おい何とかしてやれよ、おかしいじゃないか、こういうような措置はとられておるのかあるいは今後とられるのか、お伺いしたいと思います。
  206. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 私どもの方あるいは関東運輸局の方におきましても、既に日通を初めとする港湾運送事業者に対してどういう事情だったのかというようなことを聞いたりはいたしておりますし、何とか早く是正措置がとられるようにという観点での指導は行っております。また、東京貿易埠頭に対しても、なぜこういうことになったのだということを聞いたりいたしております。それに対して東京貿易埠頭の方は、ただ単に営業政策上の理由であるということだけしか答えておらない状況であります。  そこで、埠頭会としてこの事態を放置しているわけではございませんで、その後も免許を受けた港湾運送事業者等が努力をいたしまして、五月十日に日通が晴海埠頭において六万一千ケースを処理する、また十四日には七万ケースを川崎の東洋埠頭において、それから五月十七日には四万ケースを問題の東京貿易埠頭が有明埠頭において処理をするというような調整が進められているところでございます。
  207. 草川昭三

    ○草川委員 今ちょっと気になる答弁があったのですけれども、東京貿易埠頭株式会社は営業政策でこういうことになりましたよという回答をしたと言っていますけれども、それを黙って運輸省は聞いておみえになりますか。それは港湾運送事業法で言うならば下請、本来は資本系列は親会社になるのですけれども、大東運輸が運ぶから問題はない、だから、それを逆手にとって、運輸省の指導に従わないということを今言ったと同じだと思うのですよ、営業政策だからというのは、順番待ちを認めないわけですから。もし今後そういう順番というのですか、横から入ってくる、割り込んでくることを認めるということが既成事実になったら、これからは強い者勝ちですよ。  私はなぜそういうことを言うかというと、実は、その背景を私ども調べてみたら、グレープフルーツは大体今七五%がアメリカから来るのですけれども、主として、この十一月から翌年の六月にラッシュになるわけですが、三つのグループがあるのです。BCグループというのは、ドールだとか住商、三菱商事、藤井商事、これは一番大きい大手ですね。二番目にグローバル・グループ、東京青果貿易とか極東フルーツとか全日空商事、兼松江商。それで、三番目にこのJPCグループという今のひっかかっているグループがいるわけです。これはどうしても小さいグループなんですよ、扱いの量からいっても。そうすると、先ほども港湾運送事業法で、量の大小で差別をしてはいけないよとわざわざ法律で書いてあるのを、営業政策だと言って断る。営業政策というのは、もうかる大量のものを優先するということでしょう。割り込みを認めるということですよ。それを黙って聞いていて、運輸省は本当にこれからの港湾行政をできますか。これは局長の答弁でなくて、大臣からぴしっとした答弁を得て、私はこれは終わりますから、時間で、この問題に余りかかるわけにいきませんから、大臣から答えてください。
  208. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 ちょっと今緊急の連絡がありまして、一時中座しまして、肝心のところを聞き漏らしたかもしれませんが、御指摘のとおり、確かに鋭い御指摘だと思いますけれども、不公平、不公正がないようにという建前ではありながら営業上の理由ということでは、まことに相矛盾した話でありまして、これが前例になっては絶対にいけないと思います。さらに事実関係を調査いたしまして、今後こういうことが起こり得ないような措置を確実に講じたいと思います。
  209. 草川昭三

    ○草川委員 せっかく今大臣があれだけ立派な答弁をされているのですから、局長の方も、現場の方も今の大臣の答弁をきちっと守ってくださいよ。あれだけ歯切れのいい答弁をしているのだから……(中島(眞)政府委員「放置してないです」と呼ぶ)放置していない、それは放置していたら大変ですよ。当たり前ですよ、放置していないということは。ここでやりとりしておってもあれですから、一応これは終わりまして、今の大臣の答弁を非常に立派な答弁と評価をして、とにかく現場では早急な対応を立ててください。そうでないと、これは国際的にも影響する、私はこう思います。  以上で、このグレープフルーツ問題は終わって、きょうは日本海事協会に来ていただいておりますので、海事協会関係の質問に移りたいと思います。  これは前提として、きょうは海事協会の会長さんお見えになっておられますが、お忙しい中、本当に御苦労さんでございますが、海事協会というのは造船とは切っても切り離せない存在だと思いますし、海事協会がこれは立派な船ですよ、A、B、Cランクで認定しますよと言えば、荷主も日本海事協会が認めてくれたんだから安心してこの船に荷物を積もうではないか、保険屋さんも海事協会がAと言った以上はもう安い保険料でいいですよという、日本海事協会というのは財団法人の中でも非常に特別な権威のある存在だと私は思います。海事協会の会長というよりは、本来は総裁といってもいいくらいの立場の組織が海事協会だと私は思うのです。私はもともと造船屋ですから、現場で働いておりましたから、日本海事協会の権威というのを私の体で覚えてきたのですが、ここ最近、おかしなことが起きておるわけです。  例えば昭和五十八年七月のことでございますが、これは五十八年の七月というよりも、正確な日付はあれでございますが、鋼船規則等の検査要領集に耐氷構造に関する規定が新しくつくられたようですね。その新しくつくられた規定に応じて船主は造船所に船を発注しました。これは私は、素人というよりも現場の体験からわかりやすく表現をしますと、カナダの非常に氷が張っている湖に船を浮かべて荷物を運びたい、ですから耐氷構造という船をつくりたいわけですね。早く言えば、氷ががっつんがっつんぶつかってきますから、その氷をはねのけるしっかりとした船をやろう。ところが、その船のグレードを決める内容というのが、日本海事協会は昔からの規定はあるのでございますが、今日の新しい技術革新に対応する中ではその規定というのはないものですから、どうもつくったらしいのですね。これは後で答弁願いたい。  それと同時期に船主が船をつくった。ところが、つくった船を浮かべてカナダで運航してみたら欠陥になってしまった。鉄板が縮んだのかどうか知りませんけれども、氷が当たったために大きな損害を受けた、ぼこぼこになってしまったという事実を、たまたま私はある地方の現場で働いている方と懇談をしておるときに、おもしろい船がありましたよというような話を聞いたものですから、造船屋の出身ですから、一体どうなんだろうと聞いてみたら、そういうことでございますが、その事実はどうでしょう、お伺いします。
  210. 間野忠

    ○間野政府委員 ただいま先生御指摘になりました、海事協会から耐氷構造の階級をもらいましてカナダの海域で運航しております船に損傷が起きた、この件につきまして船主さん、それからその船を用船しました用船者、それから造船所の間で今おっしゃいました損害につきまして紛争が起こりまして、この三者間でいろいろ協議がなされておるということでございます。それに関連いたしまして、この船舶に対しまして船級登録検査を行い、かつ耐氷構造の船級を与えた海事協会に対しましても本件に関する照会が来ておりまして、その写しを私どももいただいておりますので、こういう事実があったということは一応承知しております。  その照会の内容でございますが、先生おっしゃったことと関連するかと思いますが、日本海事協会が問題の船舶について行った船級登録検査及び手続が適正であったかどうかという内容の照会であったというふうに理解しております。
  211. 草川昭三

    ○草川委員 今事実について運輸省の方からお認めになったわけですが、日本でこの船、いわゆる耐氷構造、氷がぶつかっても安心ですよという船は今回初めてではなかったか、多分三隻ではなかったかと思うのですが、その点は事実かどうか、お伺いします。
  212. 間野忠

    ○間野政府委員 恐らく今回、同型船も含めまして三隻ございますが、これが耐氷構造のAというクラスでは初めてのものだと思います。
  213. 草川昭三

    ○草川委員 それで海事協会にお伺いしますが、こういう新しい規則をつくったのは、偶然かどうかは別ですけれども、今まで初めての船が三隻できたわけですから、その建造するということがどこか頭の中の意識にあって、この耐氷構造の新しい運営規則というのですか、要領というのですか、マニュアルをつくったのではないかどうか、お伺いしたいと思います。
  214. 内田守

    内田参考人 お答えいたします。  私たちの鋼船規則にございます耐氷構造というのは、前から鋼船規則の上ではあったわけでございます。ただ、今具体的に議題に上っておりますカナダ海域につきましては、カナダ政府が各主要の船級協会で、例えば今具体的なお話ですと、Aクラスというところでございますけれども、これは海事協会だとAクラスの規則であるぞよと、ABだとこういう規則であるぞよと、ロイドだとこういう規則であるよと横並びに標準を示しまして、それはいずれもその海域における期間、区域を航行していいんだよというふうにランクづけしておるわけでございます。今先生おっしゃいましたように、耐氷構造の規則は前にできておったわけでございますけれども、そういう各船級協会の規則を我々としても横目に見ながら、かつは新しい技術の進歩に対してどういうふうにしたらいいかということをかねがね検討しておったわけでございます。  それで、検査要領、先ほどから何遍も出ておりますけれども、検査要領という私どもの方の基準がございまして、これは鋼船規則に基づいて私どもが検査を実施する際のいわば運用の取り扱いについての指針を与える検査要領というものがございます。この検査要領を、今おっしゃいました制定改廃に当たりしては、私どもの技術委員会と理事会の承認を必要とし、またそれを鋼船規則と同じように関係者に印刷、発表しておるわけでございます。それが、今申しました三隻の船が、その新しく定めました検査要領に基づいて検査を実施したということでございます。
  215. 草川昭三

    ○草川委員 そういう経過でしょう。そういう実施要領、検査要領に従って船をつくったわけですから、当然その船は立派でなければいかぬわけでしょう。荷物を運んで、カナダの冷たい、氷のある港を通過したら、立派に荷物を運んで帰ってこなければいかぬのですけれども、先ほど局長から答弁があったように、大損というのですか、鉄板がぼこぼこになってしまったわけです。それほど能力の低い日本海事協会ですか。日本海事協会のエンジニアというのは、恐らくカナダでどういうようなことが起きるというのはみんな頭の中にあるはずですよ。なぜもっとグレードの高い検査要領というものをつくらなかったのか。従来のNKならNKの検査のスタンダードというのですか、標準からいくとするならば、今度できた船はとても、アイスA、B、Cと、幾つあるかわかりませんが、いわゆる耐氷性というのですか、そういうものの力はA、B、Cのうちにも入りませんぞ、ランク以外だよというような評価がエンジニアの間にはあるのですね。だけれども、NKが決めたんだからこれでいい、だからこれで船をつくりなさい、つくったら案の定ぼこぼこになってしまったわけです。だから私はNKの責任は大きいと思うのですよ、NKを信頼して船会社は船を注文する、それで造船所は設計するわけですから。あるいは造船所の方々とNKの技術陣が話し合いをして、おい、これでいいじゃないか、これで一遍やってみようやという程度で済んだものかどうか。  たまたまこれは発注したオーナーが中小企業だからこれで済んでいますけれども、大手だったらとっくの昔に大騒動でしょうね。過去、こういうようなトラブルがあったんじゃないですか。検査官と特殊な方々とのいろいろな、私は不正事件とは言いませんけれども、明らかに客観的に言うならば、今回の、今答弁になったNKの基準というのは私は非常に重大な損害を国民に与えた、船会社に与えた、関係者の信頼を失墜したことになると思うのですが、その点はどうお考えになられますか。
  216. 内田守

    内田参考人 お答えいたします。  今申し上げました氷の海域検査要領でございますけれども、その検査要領の中身は、「当該海域を管轄する政府」、この場合カナダ政府でございますが、その「管轄する政府が同等と認める他の船級協会の規定に適合すれば、本会のクラスにも適合するものとみなすことができる。」という要領でございます。これは、具体的に申しますと、カナダ政府が、先ほど申しましたように自国海域を航行する船舶についての耐氷構造を、ABならどうだ、NKならどうだというふうに横並びにカテゴリーを設けまして、そしてそのカテゴリーに入っておる各船級協会の耐氷構造のクラスは同等であるよ、同等の扱いをするよというようなことから、今申しました私どものこの検査要領に基づいて検査を行ったわけでございます。
  217. 草川昭三

    ○草川委員 これは大臣、ちょっと聞いてください。大臣として我慢のならぬ答弁をしているのですよ。大臣は非常に我が国意識の強い方だと思うのですが、今の基準を、その判断をカナダ政府に任せようと言っているのですよ。だから、カナダ政府にすべてお任せした日本海事協会検査機構というのですか、マニュアルというものができたのですね。私はこれは同等性判断を他国の政府に任せてしまっていいのかどうか、率直な疑問があるのです。日本海事協会は自発的な判断ではなくて自動的に受け入れるような、そういう文言になっていると思うのですが、これは監督官庁の運輸省にこういう通知が行くのでしょう。勝手に日本海事協会がやるわけじゃないでしょう。運輸省としても、監督権限があるんだから、もう少ししっかりしてくださいよ。局長、どうですか、局長は造船屋だからおわかりだと思うので……。
  218. 間野忠

    ○間野政府委員 耐氷構造につきましては、従来は一般的な耐氷構造というものを各船級協会がルールとしてつくっておったということでございまして、特に各国政府が、この海域を航行するものはこういった構造でなければならないというのを船級協会以外に決めた例は余りなかったと思うのです。その時代には各船級協会、一般的な耐氷構造というものの規定を持っておりまして、それは荷主さんと船主さんとが相互に相談したあげく、この耐氷構造を選ぼうということでやっておったのだと思います。それが、その後最初に出たのはバルト海沿岸のフィンランドあたりだと思うのですが、この辺の関係国政府がバルト海沿岸を航行する船の耐氷構造はこうでなければならぬというような見解を出しまして、結局その海域を航行する船舶はその海域を管轄する国の政府の命令には従わなければなりませんから、結局各船級協会とも一般の耐氷構造ルールとは別にバルト海向けの耐氷構造というのをつくったという事実が一つあるわけでございます。  その後、今度はカナダ政府が、カナダの北の方の海域に行く船についても一つの規則をつくった、これは入れる時期はいつであるとか、期間的な制限があればこういったクラスでいいとか、いろいろカテゴリー別に分けてあるわけでありますが、その中で期間を限って入れるような耐氷構造というのは例えばNKのアイスクラスAであるとか、例えばABのクラス何であるとかいうようなものを幾つか列挙したわけでありまして、それに該当するものはカナダの水域に行く以上はカナダ政府の定めたカテゴリーに合格するものであれば一応同等のものとして認めようという運用をいたしたのだと思います。  ただ、先ほど別件で先生が透明性ということをおっしゃっておりましたけれども、確かに若干わかりにくい面はあったかと思います。そういった意味でバルト海向けの耐氷構造というものがはっきりした形で出ておる以上、まだ若干の時間はかかるかもしれませんけれども、各船級協会横並びのカナダのカナダ領北極海とでも言うのでしょうか、そちら向けの耐氷構造はかくあるべきという明快なルールがある方が望ましいのではなかろうかという気はいたします。
  219. 草川昭三

    ○草川委員 いろいろと難しい議論になりますから、もう一回議論を引き戻して、結果として大損、ぼこぼこになった船をつくったわけです。船主はこれ以上の迷惑はないと思いますね。あるいはカナダ政府にしてみれば、うちのスタンダードを適用する同等性、同じだ同じだと言うけれども、日本の造船技術というものはこんなものなのか、こういうことになるわけです。造船屋の連中だって腹立つでしょう、海事協会が要らぬことを言わなければ、もっとグレードの高い船をつくるわけですから。そしてカナダの何とかという港が十分通航できるような船なら船殻重量、鋼材重量二百トン違うというのですね、もし直すとするならば。じゃ新たに二百トンの鋼材をつぎ込んでやり直したら、その分だけ重くなるわけですから、荷物積めないでしょう。もうあらゆるところまで大きな影響力を与えるわけですから、これは歴史的な大チョンボですよ、日本海事協会。  私は海事協会を非難するつもりはありません、何回か申し上げますけれども大変な権威のある組織ですから。しかし、今度海事協会は造船再編成ということから岡山支部に新しい建物をつくるでしょう。それはそれでいいのですよ、どんどんやっていただいていいのですけれども、新しい建物をつくるのに三億九千万ですか、四億近い金を投入して土地を買いましたね。不動産鑑定士は何名頼まれましたか。
  220. 内田守

    内田参考人 独立した不動産鑑定士ではなくて、従来取引のある信託銀行に調査、仲介を依頼いたしました。
  221. 草川昭三

    ○草川委員 きょうはせっかくのことでございますので会計検査院に来ていただいておりますから、検査院にお伺いをします。  通常国なり何かの場合、あるいは事業団でもいいのでございますが、自分たちが使う土地を購入する、当然のことながら予算を立てなければいけませんし慎重な評価も必要だと思うのですが、どのような形でやっておみえになるのか、国の場合はどうか、お伺いをしたいと思うのです。
  222. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  国、それから先生おっしゃるように関係団体、私ども検査を担当しておる団体がいろいろ多いわけでございますけれども、規定等に照らしてお答えしませんと正確には申し上げられませんが、一つではなくて複数の鑑定価格をとっているケースが多いのではないか、このように思っております。
  223. 草川昭三

    ○草川委員 今会計検査院の方から、これは運輸省よく聞いておっていただきたいのですが、当然のことながら複数の鑑定をとって、それで慎重に土地の購入等をするわけですよ。建物でも同じだと思うのです。日本海事協会も場面によっては国以上の権威なんですよ。まあ国以上の権威というのはちょっと言葉は悪いのですけれども、技術的な意味では日本の国を代表するものなんです、海事協会、NKというのは。あるいは英国の場合はロイドでしょう、アメリカの場合はAB。もうその言葉だけで保険屋なり荷主なり一般の人は信用するわけです。だから、そういう権威のある機関が新しい事務所をつくられる、これは造船再編成の立場からやられるのは当然ですけれども、四億近い金を投入される場合に複数の鑑定を特段とってない、信託銀行を通じてやっておるということですが、それは監督上問題があると思うのです。どうですか。
  224. 間野忠

    ○間野政府委員 先生も御承知かと思いますが、造船不況対策で撤退する造船所の跡地を買い上げたりしておりまして、私が不動産取引について若干でも知識を持っているのはその方面だけでありますけれども、この特定船舶製造業安定事業協会の場合には大体三社、複数の鑑定士を通常使用するというふうにいたしております。
  225. 草川昭三

    ○草川委員 大変失礼ですが、参考人運輸省のOBで一生懸命やっておみえになったわけですから、そういうことは十分承知の上だと思うのです。それで、せっかくおいで願ったところで非常に言いにくいことを言いますけれども、日本舶用品検定協会の方の会長もやっておみえになるわけです。日本舶用品検定協会というのはすべての船舶に対して、例えば無線機一台載せても窓枠一つくっつけても検定料というのは取るわけですよ。検査料を取るわけです。年間五億円の金がどんどん入ってくるわけです。海事協会とは別な意味での協会でございますが、公私混同が非常に激しいという情報が山ほど私の方に来ております。  きょうはもう時間がございませんので、最近のNKについても日本舶用品検定協会のあり方についてもおかしいという意見が多いのですが、その中の一つ、年間五億円くらい扱う検定協会に経理課長が今不在だというのですけれども、その不在の理由は何でしょうか、あるいは経理を一体だれが現実に扱っておみえになるのか、念のためにお伺いをしたいと思います。
  226. 間野忠

    ○間野政府委員 おっしゃいましたように、舶用品検定協会は現在経理課長が空席になっております。ただ、定年を迎えまして嘱託に退きましたが、一応それでも常勤顧問という肩書で協会に残ってもらっておるわけですけれども、この方に経理事務取扱の発令を行っておりまして、その方が経理責任者として直接経理事務を処理しておりますし、随時公認会計士の指導も受けておると聞いておりますので、特段の支障もなく業務は遂行されておるとは思います。しかし確かに御指摘ありましたように専任の経理課長というのがおるのが当然の正常な姿であると思いますので、今後できる限り早期に専任の経理課長を置くように指導してまいりたいというふうに考えます。
  227. 草川昭三

    ○草川委員 最後になりますけれども、今、不在の本当の理由は前任者が退職したということでございますが、私どもが聞いておる範囲内では空席の方が非常にやりやすいというような、そういう運営がなされているのではないかと言われるくらいの非常に強い不信感が実は出ておるのです。  それで、舶用品検定協会では毎年創立記念日をやられると思うのでございますけれども、どのような創立記念日の式典をやられるのか。あるいは記念品等を、記念品というよりは粗品だと思うのですが、それは職員だけに配られるのか。これは将来非常に重要な問題になりますので、念のためにお伺いしておきたいと思うのです。
  228. 内田守

    内田参考人 お答えいたします。  例えば五周年とか十周年というのは特別なあれがありますけれども、通常の創立記念日は、事務所におきまして職員と役員OB、在職者が集まって式典と申しますか、そういうことをやります。それで、記念品というのは、細かいつまらぬ話になりますけれども、原則的には紅白のおまんじゅうを皆さんにお配りするという程度であります。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 いよいよ最後になりますが、実は昨年国税が調査に入りましたね。それは御存じですね。時間が来ましたので終わりますが、国税が調査をしたときのおたくの協会の事務局のあり方、どういう対応をしたかというのは私のところにかなり具体的に資料が入っております。それは大変不愉快なことです。それから信用を失墜する内容であります。私も国会で発言をする以上は責任がありますから、私なりに調査をいたしました。私が責任を持って、そういう事実の一部があった、すべてではありませんけれども。私が責任を持った発言でございます。そして実はきのうもレクチャーのときにも申し上げましたが、もし我々が本当にこの問題を話をしますとNKの方もHKの方も大変な、これは世界じゅうの物笑いになるような事実まで出ております。そこらの週刊誌であろうと写真雑誌であろうと大変喜ぶような話が山積をしておるのです。それで会長の同級生の方々にも私はお会いをしました。数少ない造船屋の代表の中で恥ずかしい、そこまでおっしゃられる方がおみえになるわけです。  私は普通の議員と違ってたまたま造船所の現場で働いてきた。だから、その造船所の現場で働いてきたときにNKの権威というものはすばらしいものだ、世界的なものだという、その誇りを傷つけないようにという立場から私は発言をしておるということを十分承知をしていただいて、大変若輩ではございますし、先輩ではございますけれども、肝に銘じていただきたい。そして本当にNKなりHKに反省がなければ、私どもの得た資料は全部公開します。それだけを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  230. 野中英二

    野中委員長 大矢卓史君。
  231. 大矢卓史

    ○大矢委員 民社党の大矢卓史でございます。  まず、運輸省全般の行政につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、運輸省は非常に許認可の多い省庁だとお聞きをいたしております。いろいろな指摘を受けながら改善をされたと思いますけれども、どのぐらいの許認可の数があり、どのぐらい改善をされて、現在どのようになっておるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  232. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 臨時行政調査会あるいは行革審の指摘事項の中でトラックに関しましては、臨調においては拡大事業区域の設定など五項目、行革審においては宅配便、引越便の標準約款の設定、トラックの事業区分の見直しなど十九項目が指摘されております。これらのうち、行革審の答申で中期課題として指摘されておりますトラックの事業区分の見直しの一項目を除きましてすべて実施済みでございます。
  233. 熊代健

    熊代政府委員 旅客関係について私の方から答えさせていただきます。  バス、タクシー関係に関しましては、臨調の時代においてバス停留所の位置の変更の認可の見直しが指摘されまして、これは直ちに改善をしております。原則届け出ということに直したわけでございます。それから行革審におきましては、貸し切りバスの事業区域の拡大あるいは観光ルート別タクシー運賃の設定、タクシーの運賃適用区域の見直し、乗り合いタクシーの導入、許認可申請にかかわる手続の簡素化等三十項目が指摘されておりますが、これらにつきまして六十二年度中にすべて措置済みでございます。
  234. 大矢卓史

    ○大矢委員 従来から二千二百ほどの許認可事務があると聞いておりますけれども、現在どのような状態になっておりますか。
  235. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 大体先生御指摘のような件数でございますが、その後若干ふえたり減ったりはいたしておりますけれども、新しい需要に見合うものと、簡素合理化したものというようなことで、ただいまちょっと正確な数字を持っておりませんが、大きな変動はないというふうに理解しております。
  236. 大矢卓史

    ○大矢委員 何か整理されて千九百ほどに減ったということを聞いておりますが、今の御答弁ですと減ったりふえたりで依然として二千二百あるということでございますか。
  237. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 ちょっとただいま件数を持っておりませんけれども、若干減少いたしておるのは先生御指摘のとおりでございますけれども、若干ふえているものもございます。正確な数字は後刻調べて御返答申し上げます。
  238. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは臨調、行革審で指摘をされるまでもなく、常に時代の流れとともにそういう行政の簡素化をしていかなければならぬと思います。そういうことで、当然全体の数についてはどこかでそれを掌握していらっしゃらないと、どれだけ許認可の数があるかわからないというような、膨大なところであればあるほど果たして現状に即しておるのかどうか、真剣に内部で検討してもらう必要があるのではないか。それでなくとも非常に許認可の多い省庁だと言われておるわけでありますから、もちろんすべてが安全ということにかかってまいりますから大変重要なお仕事であると思いますが、それにいたしましてもやめるところはやめ、またどうしても強化していくところはしていくというふうになると思います。今個々に御答弁を願いましたけれども、道路運送法の中のトラック、この事業区分の見直しにつきましてはいかがなっておりましょうか。
  239. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 トラックの事業区分につきましては、先ほど申し上げましたように行革審の指摘事項にあるわけでございます。ここで具体的に問題にされておりますのは、短距離の路線事業と区域の場合の積み合わせ事業というのがございますけれども、これは許可を受ければそういうことができるわけですが、実態的に差がないじゃないか、したがってその区分をどう考えるかということが一つ。それからもう一つは、一般事業の中で限定事業というのがございまして、業務の範囲なり荷主を限定した免許というのがかなり行われております。一方、特定事業というのがございまして、これは特定の荷主の需要だけに応ずるという事業形態で許可制ということになっておりますけれども、限定事業の中には荷主限定というのがございますので、その間の取り扱いについて必ずしも一貫性がないじゃないかということを念頭に置いた点での指摘でございます。そこでこれについては中期課題ということになっておりまして、臨時行革審との間の理解でも答申後三年ないし五年の間に措置すべき事項ということにされております。  私どもは、直接的には今申し上げた二点の検討でございますけれども、やはり今日の時代に合った事業区分はいかにあるべきかということまで掘り下げて検討すべきであるということから、答申後今日までいろいろとデータの整備等を行ってまいってきたところでありますが、いよいよ本格的に方針を打ち出すべく、現在運輸政策審議会において審議をお願いしているところでございます。
  240. 大矢卓史

    ○大矢委員 行革審の答申があってちょうど三年から五年の間にという条件つきなので、ようやく三年たって運輸政策審議会の方に諮問をされたというようなことなんですけれども、毎日毎日いろいろな違法行為が行われております。これは現実にどの地点でどういうとらまえ方をするか非常に難しい行政ではあると思います。しかしながら、法律のある限りにおいて法律で取り締まっていかなければなりませんし、罰していかなければなりませんし、またその法律が実情に即さないということでございますと当然法の改正をしなければならぬと思います。そのために、指摘されるまでもなく一日も早くその体系を整えていくべきだ。何かたまたま今回運輸政策審議会にトラックの方の諮問をされたようでございますが、どのような内容でいつごろをめどにされるのか、それらの点についてもお答えを願いたいと思います。
  241. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 先ほど申し上げましたように、行革審の指摘されたほかの項目についてはすべて実施しているわけでございまして、残っております今の点につきましてはいろいろと関係するところが多い、それから免許制度等の基本にかかわるものでございますので、必要な審議のデータ等を集めるために今日まで準備してきたところでございます。  そこで、御質問の運輸政策審議会に対する諮問といいますか、直接諮問という形はとっておりませんで、御審議をお願いしているわけでありますが、考え方といたしましては、最近の物流のニーズというものが非常に高度化、多様化してまいってきております。そういう輸送需要の中で、直接利用者と接する機会の多いトラック事業につきまして、このように変化しました物流ニーズに即応できる事業活動が行えるような、そういう環境整備する必要があるということから、トラック事業の望ましいあり方を実現するための環境整備方策という観点で御審議をお願いしているところでありまして、この環境整備方策の一環として当然規制の見直しというようなものが重要な位置を占めてくるわけでございます。個々におきましては、直接には地域課題として提起されておりますトラック事業区分の見直しということを中心にいたしますけれども、現在一般事業については路線と区域という分け方にしておりますけれども、詰め合わせ運送が非常に発達しておる、あるいは路線事業についても宅配便を中心にして非常な変貌を遂げておりますので、そういうものを踏まえて、どういう規制のあり方にすべきか、こういうことで御審議をいただいているところであります。  目標といたしましては、本年の秋ぐらいにできれば中間の報告をいただきまして、規制の問題を中心にしてお取りまとめをいただく。そしてまた、残った課題につきましてはさらに引き続き御審議をいただきまして、年内にも御結論をいただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  242. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 大変失礼いたしました。先ほど先生の御質問の許認可数でございますが、六十年の十二月末で二千十七件、六十二年の四月初めで千九百十七件でございます。先生の御指摘のございました二千二百件というのは五十五年の十二月末でございます。大変失礼を申し上げました。
  243. 大矢卓史

    ○大矢委員 秋までに答申を受けたいということでございますけれども、道路運送法そのもの、それは皆さん方の方が専門家でございますけれども、四十年前にできました法律、そのころの、初めの考え方は、流通物を輸送する場合でもまたは人を輸送する場合でも、同じように一本の法律で成り立っているわけであり、それが非常な交通網の流れの変わりから、物流についてはこういう形で諮問をし、審議をしていただいて、答申をいただいて、成案を得たい。そして、成案を得ますと当然法律の改正ということになって、次の通常国会には必ず提案をしてこられるでありましょうし、そういうことでなければ三年ないし五年というこの臨調の精神にそぐわないわけであります。ですから、当然されるでございましょうけれども、しかし今申しましたように、物と人間とを運ぶ法律が一つになっておるということが、果たしてこのままの形でいいのであろうか、根本的に、抜本的にこの道路運送法というものの見直しをして二つの法律へこれを改正していくことが当然ではなかろうか、このように思いますけれども、大臣いかがでございますか。
  244. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今局長が答弁いたしましたように審議会で御審議いただいておるわけでございますけれども、あくまでもその結論を踏まえてではございますが、おっしゃいますように四十年たちまして、その間の社会の変化、それに伴った運送というものの機能の変化、本質的な変化も多分にございます。そういうものを踏まえまして、やはり抜本的な法的な改正というものが必要なんではないかと私は思いますけれども、あくまでも審議会の答申を踏まえて、そしてその上で思い切った措置を講じていきたいと思っております。
  245. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣にお願いをいたしたいのは、物流関係ではそういう秋に答申が出てまいると思いますけれども、バスでございますとかタクシー、これらの人を運ぶこの法律がやはり依然として一本の中にあるということは非常に不自然だと思う。大臣、非常に前進的なお考えをお持ちでございますので、大臣のその考えの中から、こういう法律を一本にしておくことはおかしい、今後これを提案する場合には二つの体系の完全な法律でもって今後この交通戦争の社会に対応していくというふうにすべきだと思います。再度お願いいたします。
  246. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 今せっかく御審議中でございますので、私がここでみだりに発言しまして余計な予見を与えることは慎みたいと思いますが、いずれにしろ四十年たったわけでございますから、思い切った改正が必要ではないかと思っております。
  247. 大矢卓史

    ○大矢委員 今大臣御答弁いただきましたように、ただいま審議をされておる最中のようでございますので、一日も早くその成案が出まして、そして決断を持って、流通だけでなくしてバス、タクシー、人を運びますものも一緒になってこれが法案として出てくるように御努力を願う、またしていただけるものと確信をして、次に移らしていただきたいと思います。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕  そこで、タクシーの問題でございますけれども、現在の道路運送法の中で争われております裁判について現在どのようなことになっておりますか、御説明を願いたいと思います。
  248. 熊代健

    熊代政府委員 先生御指摘の事案はいわゆるエムケイ訴訟の問題だと思いますが、一審で残念ながら国の敗訴という形になりまして、現在控訴審で審理が行われておりまして、間もなく最終的な公判、その後判決を迎えるということになろうと思います。
  249. 大矢卓史

    ○大矢委員 事実関係はそういうことなんでしょうけれども、どういう形で国が争い、今後国としてはどういう形で対応していくのか、そのことも含めてお答えを願いたいと思います。
  250. 熊代健

    熊代政府委員 この裁判は実は五十八年に、その前に運賃改定で値上げしたものにつきましてエムケイからもとに復したいという値下げ訴訟が、二年ぐらい経過した時点だったのですが出されたわけでございます。これに対しまして、当時の大阪陸運局が却下をした。それに対する行政訴訟になっているわけでございます。  この観点で争われておりましたのは、一つは個別審査。タクシーのような区域で事業を行う場合に、各社ごとの個別の原価計算によってやるべきか、我々運輸行政が従前やってきておりますような同一地域同一運賃、同種サービスについては、タクシーの場合同一地域同一運賃、コストの均衡といいますか平準化が行われるという観点からそういう査定方式をとっていることについて、一つは、その同一地域同一運賃という原則が道路運送法の解釈あるいは道路運送法に基づく行政方針として妥当かどうかという点と、もう一点は、個別審査でその具体的な却下処分が正当であるかどうかという二点だったと思います。  これにつきまして、我々としては、その個別に審査した場合でも値下げは適当でないという結論に至ったわけですが、それ以上に、こういう二重運賃、三重運賃、ひいては多重運賃というような形になるのは、タクシー事業の実態あるいは利用者との関係、そういったものから考えて不適切である、したがいまして、同種サービスに対する同一地域同一運賃というものは、タクシーの運賃制度としては行政方針として今後ともそれを維持していくべきだということで対応してまいったわけでございます。残念ながら、第一審におきましてはその同一地域同一運賃という考え方が道路運送法の解釈として違法であるというような観点の判断をいただいたわけでございまして、これに対しまして、我々としてはそれは間違っているということで、法務局と一緒になりまして現在控訴審で争っておるということでございます。  なお、エムケイタクシーというのは、特異な従業員の給与体系、いわゆるエムケイ方式と言われるような賃金体系をとっておる実態についても、我々としてはかなり問題があって好ましくないものだということも同時に主張しておるところでございます。
  251. 大矢卓史

    ○大矢委員 今お聞きをいたしましたけれども、大臣、おわかりになりますか。私、聞いておりましてもやはりちょっとわかりにくいところがございます。と申しますのは、同一地域同一運賃、同一サービスということが好ましいから従来からそのような形でやってきた、そのもの自体が否定をされたのか、それとも道路運送法にこれの規定がないから否定をされたのか。何か今のお話を聞いておりますとそのこと自体が違法なんだということのように聞こえますし、そこらをもっとはっきり、だれもがわかるような形でおっしゃっていただかないと、どこがどうなんだということが非常に説得力がないと思います。  運賃を決めます場合に、やはり業界でございますから、業界の秩序というものは守らなければなりません。特にそこに働く人たちの生活、労働条件、これを守っていくことによって初めて安全というものが保たれるわけであります。そして、利用者の至便からいたしましてどういう形がいいのか。一つ一つ会社の内容が違う、もちろん資本も違いますしすべて違います。条件が違うところが、その単価計算を全部いたしまして、全部違うということで一台一台の車が全部違う料金であることが、果たして利用者に至便なのかどうか。これらも含めてもっとやはり、今まで持ってこられました同一地域同一運賃そして同一サービスということが非常にいいのだということであるなら、それがどこが違法に問われたのか。そういうことが法律に書いていないからいけないというなら、先ほど申しましたようにこの機会に法律を改正してでもそれを織り込んでいって、あなた方は今日までやってこられたことを正しいと言うならこれを守っていくべきだ、このように思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
  252. 熊代健

    熊代政府委員 説明がおわかりにくかった点があるようですので説明をさせていただきますと、運賃は、申請に基づいて適正な原価を償い、適正な利潤を含めたものとして認可をするという格好になっておるわけでございます。今回の訴訟は、値下げの認可申請の却下処分を取り消せという行政訴訟でございます。したがいまして、その理由としては幾つでもあるわけでございますが、先ほど申し上げた個別の原価計算に従ってやった場合の問題と、それから、先生御指摘のように法律がないからということではございませんで、タクシーにつきまして、その運賃は基本的に画一的な運賃といいますか固定的な運賃として、適正な原価を償うものとして、運輸大臣、権限は現在は地方の運輸局長に委任されておりますが、それの認可を受けなければならぬということになっておるわけです。  それで、今申しましたのは、タクシー事業の特殊性からいきまして、労働実態、あるいは利用者の需要が多いとき、あるいは時間、天候等によって需要が非常に波動する。そういった中で安全で快適性の高いタクシーサービスというものを安定的に供給するには、近似性を持つコスト計算に立って一つの運賃を同一地域に適用するのが法解釈としても正しい、こういうことで今までずっと行われてきております。我々として、タクシーの適正な運営を図っていく、利用者に利便を提供するという観点から、それが一番望ましいということで行ってきたわけでございますが、たまたまエムケイという問題におきまして取り消しの訴訟が一審において国側の敗訴になった。そして我々としては、その訴訟技術的なことも含めまして納得がいかない、我々の主張をよく理解してほしいという観点から控訴いたしておるところでございます。したがいまして、繰り返すようですが、先生おっしゃるように法律がないからということじゃございませんで、法律の解釈として一審裁判所の考え方と法務省ないし我々運輸省との考え方のギャップが一つある、こういうことでございます。
  253. 大矢卓史

    ○大矢委員 今のお話でございますと、法律的には十分だというように聞こえるのですけれども、私が知り得ました知識によりますと、同一地域同一運賃というものが明記されておらない、そのために、今までは省の裁量事項として長い間行政経験で積み上げてきたそのことそのものが今回の裁判で違法性を問われたと私は解釈をいたしております。しかし、今まで積み重ねてこられました行政そのものは正しい行為であったろうと私は思います。このことがもし崩れたといたしますと、今局長おっしゃいましたように、一つの会社において、非常に過酷な労働条件、これによって初めて成り立つような賃金体系、これが労働者に押しつけられますと、私自身も二種免許を持っておりますけれども、それでなくても運転者の方は毎日毎日が交通戦争にさらされて、そして長い人生の間で命をすり減らして働いていらっしゃる。そういう中で果たして――今のままの労働条件よりももっといい労働条件で働いていただかなければ、これから激化をいたします交通状態に対処できない、そのように私も考えております。  そういうことでございますので、やはり何と申しましても利用者が納得する条件でなければならぬと思います。料金が違ったり、いろいろな計算方法で料金を払ったりするような時代もございましたけれども、利用者にわかりやすい、そしてサービスの行き届いた安全な運送をしていただきたい。そのためには、運輸省当局は今までからの方法を自信を持って今後も進めていかれるのか。物流だけでなくてバスもタクシーも、人を運ぶそういう法律そのものをもっと法体系をしっかりしたものにして、二つの法律でもってやっていきたいということを先ほどから申し上げているわけであります。再度大臣の御所見を承りたいと思います。
  254. 熊代健

    熊代政府委員 ただいま先生御指摘の、人の輸送の関係につきまして、運賃につきまして同一地域同一運賃を法定する、こういうことでございますが、御指摘のように道路運送法は、貨物と旅客と、道路上を自動車という輸送手段でということで共通性を持つという観点からつくられたものだと思いますが、その中でバス、タクシー等々すべて含めた格好で、バスの中にも路線バス、貸し切りバスとあるわけですが、同じような条文で規定をしておるわけです。したがいまして、同一地域同一運賃につきましてこれを法的に担保するということになりますと、かなり問題もございます。我々としましては、さきの衆議院の運輸委員会でも御指摘があったのですが、このエムケイ訴訟でも万一敗訴するといったようなことになった場合にどうするのかということの御指摘に対しまして、我々として法的な面も含めて検討をしていきたいというふうな答弁をさせていただいたところでございます。
  255. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の局長の御答弁でございますと、もし敗訴したなら、従来の皆さん方の行政が正しいというふうに法律を変えていくということに解釈をさせてもらってよろしゅうございますか。大臣に最後にお願いします。
  256. 熊代健

    熊代政府委員 敗訴したらということをちょっと触れたのですが、同一地域同一運賃を法的に担保いたすとしますと、アメリカ等の都市で行われていますような公示運賃制度といったようなことを採用せざるを得ないかと思います。申請主義である限りにおきまして、申請が出てこなければ運賃の統一というのは不可能でございます。したがいまして、そういう公示制度をとってまでそういうことをやる必要があるかという問題がもう一つございますので、それらを慎重に検討する必要がある、こういう意味で申し上げたのでございます。
  257. 大矢卓史

    ○大矢委員 大臣、何か私聞いておって非常にわからないのですけれども、運輸省が従来とってこられた方針というのが、利用者にとっても、また、働く人たちにとっても、業を営む人たちにとっても非常に最良の方針なんだということで、運輸省がとってこられた。ところが、裁判いかんによっては全然違うことも考えなければならぬ。それもまた、果たしてそれがいいのかどうかもわからないというような非常にあいまいな、自信のないことでおっしゃっておられる。そういうことでは今までの運輸行政に対して私どもはどう信頼をおいていいのかわからない。従来のやってこられましたことそのものを否定するような考え方もあろうかと思います。そうでなしに、やはり従来以上に、働く人たちなり利用者の至便なり、そして経営基盤の安定、それらも考えながらこれからの運輸行政を考えていただきたいと思いますが、大臣、最後にお願いいたします。
  258. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 あくまでも運輸省の行政方針としましては、同一地域同一運賃というものを堅持していくつもりでございます。これはお客、利用者の利便、なかんずく、つまり安全ということを大眼目として踏まえてのことでございますが、今のエムケイタクシーの裁判がどういう帰着を見るかわかりませんけれども、もしその結果によって何かの新しい事態が生じて、そこで運輸省が、お客並びに運転者の安全というものを踏まえての同一地域同一運賃という指針に支障を来すようなことがあってはなりませんし、また、そのときには、それを維持する何らかの施策というものを講じなくてはならないと思います。
  259. 大矢卓史

    ○大矢委員 その問題は以上で終わらしていただきます。  国鉄の清算事業団の方、いらっしゃいますか。――清算事業団、これは十年間を目標にですか、どの程度の目標で清算事業を終わる予定でございますか。
  260. 杉浦喬也

    杉浦参考人 二つ仕事がございまして、一つは職員の雇用問題でございます。これは法律で三年間の時限立法でございますので、三年以内にすべて職員の雇用を達成する、こういうことが目標になっております。  もう一つの大きな問題は、長期債務の返済ということでありますが、長期債務は債務の性質によりまして最高三十年に及ぶものがございます。したがって、完全に返済を終了するには三十年かかるということではございますが、その前にその原資といたしまして土地の処分というものをやっていくということが必要でございますが、この土地の処分をどのくらいの時限でやるかということでございまして、一応十年間をめどに土地の処分を考えていこうというのが今までの法案審議におきまする政府側の答弁でございますが、私どもやはりそうした目標でやっていきたいと思っております。
  261. 大矢卓史

    ○大矢委員 建設省、来ていらっしゃいますか。――それではお伺いいたしますけれども、大阪の湊町が建設省の方で、どのような清算事業団の湊町の土地計画になっておりますか。
  262. 近藤茂夫

    近藤説明員 今先生御指摘の湊町の跡地の件でございますけれども、現在、市はその委員会を開きまして、そしてその委員会の答申を踏まえまして、湊町総合整備計画という案を策定した段階でございます。これは、湊町の国鉄ヤード跡地を含む約十八ヘクタールの土地につきまして、非常に利便性の高い交通結節点であるという立地特性を生かしまして、交通センター等の総合的な町づくりをする、そして大阪市の拠点としようという計画でございまして、現在、最後の詰めの段階にあるというふうに聞いております。
  263. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは運輸省の方はいかがでございますか。
  264. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  湊町の問題につきましては、現在清算事業団用地を中心といたしまして、清算事業団の中に資産処分審議会というのがございまして、そこでそこの土地利用をどのように図っていくかということにつきまして昨年の九月に諮問をいたしまして、現在資産処分審議会の中で御審議をいただいておるという段階でございます。
  265. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは清算事業団の土地でございますけれども、計画を立てるのは建設省で立てていらっしゃるようでありますし、また、大阪市等も入って、そこを関西国際空港の一つの拠点として利用していこうという大きな計画があるようでありますけれども、やはりそれに間に合わないといけないと私は思います。せっかくそういう事業をやられるのでございますから、やはり運輸省建設省とが同じようないろいろな考えがあると思いますけれども、一日も早くそういうものをすり合わせて所期の目的を完全に達するように、清算事業団の事業が円滑にいくように私どもは願っておる次第でありますけれども、その点支障のないように、各これは建設省だ、これは運輸省だということでなしに、清算事業団は清算事業団としてこの土地の解決ができ、そして地元大阪では、これまたこれが運輸省の関係の関西新空港の関連事業として一日も早く完成するように願いたいと思いますけれども、これについて大臣、最大限の努力を払っていただきたいと思います。いかがでございますか。
  266. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 おっしゃるとおり、最大限の努力をいたします。
  267. 大矢卓史

    ○大矢委員 結構でございます。  それでは、次に総理府関係の汚職につきましてお尋ねをいたしたいのでございますけれども、これは運輸省関係の広報を扱っておる関係とこれの関係はどのようになりますか、まずお答えを願いたいと思います。
  268. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 いわゆる政府広報というものにつきましては、運輸省だけでございませんで、各省から毎月総理府に対しまして広報要望項目というものを提出いたします。その中から総理府で毎月の広報項目というものを選定していただきまして広報計画というものができるわけでございます。この計画に盛り込まれました項目につきましては、総理府においてその項目を担当する事業者を一社選定されまして、担当省庁にはその事業者と広報の内容について調整を行うようにという指示がございます。運輸省は、このような指示がございますと、それに基づきまして広報の内容についてその事業者と調整作業を行う、こういう手順になっております。
  269. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、各省庁ともそういう広報については総理府の方で決まった業者が参りまして打ち合わせをするということで、それの選択権はないと解釈してよろしゅうございますね。
  270. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 そのとおりでございます。
  271. 大矢卓史

    ○大矢委員 そういたしますと、総理府にお聞きをいたしたいのですけれども、この発注の権限はどちらにあるのでございますか。
  272. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 契約の権限は総理府の方にございます。
  273. 大矢卓史

    ○大矢委員 この問題で逮捕されました橋本某という方の権限とはどのような関係になるのですか。
  274. 河原崎守彦

    ○河原崎政府委員 契約の権限でございますが、御案内のように国の支出の原因となる契約というものは支出負担行為担当官というものがすることになっておりまして、前管理室長はその支出負担行為担当官をかつて務めておったということでございます。なお、広報契約等いろいろな契約がございますが、中身につきましてはそれぞれの原局と申しますかそういうところで詰めてまいりまして、それについて会計課支出負担行為の担当官が会計法上の観点から適格性をも判断するといいますか審査するといいますか、そういうことをして契約いたしております。
  275. 宮脇磊介

    ○宮脇政府委員 広報室サイドでやっております事柄につきまして若干補足させていただきたいと思います。  政府広報に活用しようといたします媒体の担当業者の選定でございますけれども、これにつきましては、広報室の方で原則的に企画競争という形で行うことといたしております。例えば新聞雑誌等の取り扱い代理店でございますとかテレビスポットの取り扱い代理店等につきましては、年度の当初に企画競争を行いまして、その成果を加味して当該業者を選定することにいたしております。その個々のテレビならテレビの番組、新聞の広告につきましては、それぞれ会計課の方で契約を行う形になります。また、媒体の特殊性からいたしまして、契約の相手方が特定されているものにつきましては随意契約をせざるを得ないものがございます。これにつきましては、会計課の方で契約をするというような形になります。そういうような仕事の流れになります。
  276. 大矢卓史

    ○大矢委員 この代理店を決めますときにもコンペをやって決める、それから雑媒体を決めますときにもそちらの方で決める、ただ、その橋本某なる者は会計の方で果たして適格であるかどうかということで支払いをするだけで決める権限がないのだ。その人が容疑でもって逮捕されたということになりますと、私は非常に一見おかしな感じもするわけであります。そしてまた私いろいろな資料をいただいておりますけれども、これらの問題につきましては、特に雑媒体につきましてはここしかないような感じで処理をされてきました。そしてまた従来の代理店のこの広告の扱いにつきましても、前年度と同じような形でずっと引き継がれてきた。これらにつきましても、やはりもっと専門的な知識で十二分にこのことを行っていく、そういうことで初めてそれらの方々が陥らなければならぬような状態をつくらないでやっていけるのではないか。そういうことをこれからも十二分に留意をしていただいて、その担当は担当で自分の責任において十二分に仕事を果たしていただく。そういうことでなければ、どこかでだれかが、関係のない、権限のない人が汚職でもって逮捕されるというようなことになりますと、それだけで済むのかどうかという一抹の心配もするわけでありますから、今後ともこのようなととが繰り返されないように、ただ単にこういう仕事だけではなくしてあらゆる仕事にあろうかと思いますので、十二分に御注意を願って二度とこのようなことがないようにやっていただきたいということを希望いたしまして、終わらせていただきます。
  277. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 野間友一君。
  278. 野間友一

    ○野間委員 最初にJR東日本の輸送業務の安全性についてお伺いをしたいと思います。  過日、京浜東北線で大井町から運転士が血を吐きながら田町の駅まで運転をして、そこで下車してJRの新宿総合病院に運ばれ入院しました。非常に悲惨な事件でありますが、その事件の中身と病名、あるいはJR側としてどういう教訓を得たのか、運輸省に対して報告義務がありますから受けておるはずですので、その点について説明をしていただきたいと思います。
  279. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生御指摘の件につきまして簡単に申し上げますと、ことしの四月三日の十二時四十五分ごろ、京浜東北線の大船発の南浦和行きの快速電車の運転士が大井町駅付近から気分が悪くなって、その事実が品川駅で下車した旅客の方から駅員に通報されたことから、この駅員は直ちに同駅の助役に連絡いたしましたが、助役が東京圏運行本部指令に連絡をしております間にその当該列車が発車いたしましたので、指令は品川と田町の駅の間でその運転士と無線で交信をいたしましたところ、その運転士から運転を交代してほしいという連絡を受けたわけでございます。それで次の田町駅で交代させることとしました。それで東京圏運行本部の指令は、交代の運転士が到着するまでに時間がかかるということを考慮いたしまして、その列車を田町駅で打ち切ったということでございます。  それで、先生の御質問の中の病名の話につきましては、今手持ちがございませんけれども、JR東日本としましては、こういう運転士の体の調子の問題につきまして、できるだけ点呼のときとか事前にそういう事態を発見できるように、また運転士の方も自分でそういうことにつきましては当然御注意いただくように、その辺のところを従来も考えておりますが、今後ともしっかり努めていきたいというようなことを考えておるところでございます。
  280. 野間友一

    ○野間委員 中身について大変隠したことがあると思うのです。一つは病名です。これはきのう私の部屋に来てもらって運輸省の人にも話を聞いたのですが、はっきり言っておりましたよ。静脈瘤吐血。私も診断書を持っておりますが、そんなことでうそを言わないでください、どうですか。
  281. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 私、積極的に違うことを申し上げたのではございませんで、お答え申し上げている段階で手元に資料がございませんと申し上げたのですが、今当方の職員のところから入ってきたメモで、これはJR総合病院の診断結果だと思いますが、食道静脈瘤吐血ということで五月末に退院予定、こういう話で今資料をいただきました。
  282. 野間友一

    ○野間委員 大変な病気で、血を吐きながら走っておったということですね。  それから、事故の概要について審議官言いましたけれども、かなり欠落した部分がありますよ。例えば大井町の駅ですが、私もこの事件について責任を持って調査したのです。まず、大井町の駅でホームより数メートルオーバーランした。同時に、中学生のお客さん、ここでおりましたが、この中学生の客が、運転士が血を吐いて倒れたと駅員に通報したわけですね。これは今の概況の中には全然欠落しております。駅員が乗客主任に連絡して、主任が東京圏運行本部に電話で連絡する、これがまず第一であります。  二つ目は品川の駅ですけれども、ずっと品川まで来たわけですけれども、品川駅の場内、これは青信号でありましたけれども、そこでとまったわけですよね。これは例の自動制御装置、運転席でハンドルとかに触れておりませんととまる。居眠りとかを防止するためにやっておりますよ。だからとまったわけですね。それからさらに進行して、品川の駅ではホームを四十メートルばかりオーバーランしているわけですね。これは運輸省では三十メートルというふうに理解しているときのうも言いましたけれども、四十メートルであります。これは違いはともかくとして、そういう事態。しかも、客から、運転士は立ったまま眠っているような状態で運転しておる、これが駅員通報、それで駅員が助役に、そして助役が運転指令に電話する。その部分についてはあなたも今事故内容について述べたわけですけれども、それで電車を発車させたわけですね。さらに専用電話、これは今言われたとおりであります。これは田町までの進行中ですね。  それからもう一つ、田町の駅ですけれども、ホームに停車する。そこでJRは打ち切りの判断をする。客をおろす。ところが、このNという運転士ですが、こんなに重病であるにもかかわらず、客をおろしてから中線まで、引き込み線までずっと自分で運転をする、そして血だらけになってはだしで客車の中を通行しておりてJRの病院にまで運ばれる、こういう一つの経過があるわけです。相当欠落しておるのですけれども、今申し上げたこういう事実については御存じですか、どうですか。
  283. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生のお話を私なりに手元の資料と突き合わせておりまして、先生のお話にも若干欠落した部分がございますので、補足させていただきたいと思いす。  まず第一の大井町駅でのオーバーランの話でございますが、この問題につきましては私どももJR東日本に聞いているわけでございますが、東日本会社の調査では、そのような該当する事実はないということを私どもに伝えてきております。  それから、先ほど先生おっしゃいました品川駅ホームでのオーバーランの話、これは三十メートルということで聞いております。  それから、田町駅の問題でございますが、運転士は田町駅で吐血後気分がよくなったということで、駅員が添乗してくれれば運転は継続可能であるということを本人が申し出たわけでございますが、指令の方は、それは田町で打ち切るということを決定いたしました。さらに、その運転士の方はその電車を中線、真ん中の線でございますが、そこに移すのは十分可能であるからということを熱心に申し出ましたので、駅員が添乗してそこまでその電車を動かして本線から出した、こういう事実と聞いております。
  284. 野間友一

    ○野間委員 これは本当に大事な点が欠落しているわけですね。今のあなたの話によると、大井町駅、ここでもう血を吐いて倒れておったという点が全く欠落しておるわけです。私は、実際だれが見ておったのか、現場の目撃者の名前も全部わかっておりますが、今のこの場ではそのことについては、必要であればともかくとして、名前は差し控えますけれども、これは事実なのですね。  この一連の経過から見まして、私は、旅客の安全と運転士の生命、健康の問題で看過することのできないたくさんの問題があると思うのです。  一つは今申し上げた大井町での問題ですが、中学生が見つけておるわけですよ。血を吐いて倒れているということを駅員に連絡しておるのですよ。東京圏の運行本部に主任が連絡したそうです。これも確認しております。それが報告がないというのはおかしいですね。ここでは、ラッシュ以外にはホーム要員がおりません。ホーム要員がおればこういう事態が容易に発見できたわけです。時間は十二時四十五分ごろです。昼間です。ですから、ホーム要員がおったら直ちに手当て、適切な措置ができたと思いますし、そのときにできなくても品川の駅、次の駅で適切な措置ができておったはずであります。  それから、品川駅の問題ですが、これは駅構内、ホームにかかる前に自動制御がかかって一たんとまった、青でありながらとまったという事実。それから、ホームをオーバーランした。それから、客が通報する。これは通報したわけですね。  それから、これは概況の中であなた認めましたけれども、現場で適切な措置をしないままに運転指令に連絡をした、こういうことだけしかやっていないわけですね。これまたおかしな話で、本人に病状とかそういうのを現認して適切な措置をするのでなくて、要するに客から連絡を受けて運転指令に電話をかけた。発車するのは当たり前ですよ。そういうようなことを放置したままでやった、こういう事実も私は看過することができないと思うのです。  それから、田町の駅もそうです。この運転士さんは非常に気丈夫で、なおかつ本当に職務に忠実な方で、血を吐きながら運転した。大変だったと思うのです。大変立派な方だったと思うのです。少なくとも現場でいろいろな経緯の中で、田町に着けば直ちにその人を運転席からおろすというのは当然の措置これはイロハですね。しかも、中線までずっと運転をやらされておる。運転席は血みどろで、背中も泥だらけというのが現認した人の話であります。  さらに、JR総合病院まで駅から運んでおるわけですね。人間が口から血を吐くというのは大変なことなのです。静脈瘤吐血というのは大変重い病気です。今まだ入院されていますよね。そういう場合には最寄りの総合病院に適切に運んでいくというのがイロハだと思うんですね。こういう点で考えますと、大井町から品川、田町それから引き込み線、それから最終、病院に入院されるというまでには幾つか問題があると私は思うのです。こういうことがそうであるとするならば、私は先ほど申し上げたように人命軽視あるいは健康の問題、安全の問題、さまざまな問題があると思うのですね。仮に運輸省は知らなかったとすればこれは大変なことで、事故隠しと言わざるを得ないと思うのですが、こういう事実であるとするならば、やはりこの中から教訓をつかんでいく、リアルに事実の報告を受けて教訓をつかんでいくということが大事だと思うのですね。今申し上げたようなことが事実であるとするならば、これはやはりやり方というか、一連の経過の中で問題があったと私は思うのですが、審議官いかがですか。
  285. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず、私どもへの報告につきましては、その事故の当日の翌日に報告を受けております。  ただいまの事故の内容の問題につきましては、大井町の駅、品川の駅、田町の駅、それぞれの取り扱いにつきまして私どもが会社から報告を受けている話と、先生の御指摘と若干食い違う部分があるわけでございますけれども、総合的に見まして、JR東日本としてもできるだけ早い連絡を指令との関係で行っております。それから、田町での、本人は気丈にもそれからさらに運転を続けるというような申し出があったそうでございますけれども、その辺につきましても、客観的に判断して、そこで運転を中止しているとか、当時のできる限りのことはやっているんではないかと考えております。
  286. 野間友一

    ○野間委員 私は運転士の問題について言っておるのじゃないのです。運転士は大変立派に最後まで忠実に自分の職務を守ったわけですよ。ただ、大井町からの一連の経過を見ますと、これは幸い大きな事故に至らなくて済んだわけですけれども、事前にもっと適切な手を打つべきであった、打たないままに来たというところに教訓を得なければならない、こういうわけですよ。いかがですか。
  287. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 まず一番最初に、先ほど報告を受けた日にちのことをちょっと言い間違えましたので、四月二十七日にその報告を受けております。  それで、その事故の取り扱いにつきましては、結局その事故の発生の情報をどの時点で得るかという話について両方の話がございまして、運転士の方からの自己申告の話もございましょうし、それから客観的に外側からの連絡の体制もございまょうし、外側の方の連絡の体制は、私どもの会社から聞いた話では品川駅でございますので、品川駅の話としての指令の連絡というような話を私は申し上げたわけでございます。なお、運転士の関係の方は、結局は品川とその次の駅の間の無線連絡で行われたということではないかと思いますので、基本的には先ほど私が申し上げたような感じで受けとめております。
  288. 野間友一

    ○野間委員 今私の認識と一致したところでも問題があると思うのは、品川の駅で、乗客から駅員を介してそういう通報を受けた助役さんが、その現場を現認するのではなくて、本人にいろいろ話を聞くのでなくて、それを放置したままで、運転指令に電話をかけただけなんですよ。これもあなたの話にもありましたよね。ここだって私はおかしいと思うのですよ。  これは運輸大臣、突然こんなこと、状況について申し上げても御理解いただけないと思いますけれども、こういう一連の行為について、私はやはり安全軽視ということはあると思うのですね。どういうふうにお感じになったのか、その感じ方をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  289. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私も初めて詳細聞きましたけれども、これはやはりゆゆしき問題だと思います。私自身が乗客で乗っていたら大変不安ですし、まして二回もオーバーランし、一回は信号がないのに青でとまった、これはちょっと考えられないぐらい恐ろしい話だと思いますし、めったにある出来事ではございませんけれども、万々々が一に備えてのやはり何らかの対策をする。まして、その運転士は非常に責任感の強い方でありますけれども、しかし、血を吐きながら二つ駅を運転していったことは必ずしも美談でない、いつでもそういう方には職場を離れていただき、場合によっては電車をとめるというふうな措置をすべきだと私は思います。  これからの教訓を大いに得まして、慎重過ぎるぐらい慎重にでもそういうケースに備える一つの手だてというものをこれから考えていきたいと思います。
  290. 野間友一

    ○野間委員 今大臣から適切なコメントがございました。最近こういう、これは運転士さんの問題ではありませんけれども、東京圏では人命にかかわる事件とかけがが非常にふえておりますね。これはいろいろ調べたものを私持っておりますので、幾つか挙げます。  三月二十日、新宿駅で、これは夜二十三時ごろのようですが、ふらふらした男女が第五ホームの上に転倒したけれども、危うく難を免れた。これはホーム要員が終日二人立っておりましたけれども、最近合理化で夜十時以降は一人にしたばかりでそういう事故があったということ。これは四月一日以降はもとの要員体制に戻したそうですけれども、こういう事故があります。  それから、電車とホームの間に巻き込まれて死亡された、これは三月三十日、市ケ谷の駅であります。これも私、事故の中身について申し上げて、運輸省からも概況については書いたものをいただいておりますから、時間の関係で多くは申し上げませんけれども、これも事故の状況を調べてみますと、電車の先頭車両の前から二つ目のドアの近くで、これは昼ごろですが、電車に寄りかかって顔色がとても悪かった人がおりまして、専門学校の生徒ですが、電車が発車すると同時に倒れるようにホームと電車の間に巻き込まれた、こういう事故で亡くなったわけですね。  それから三月三十一日、これは駒込の駅ですけれども、階段でつまづいて転落して、そしてホームから落ちて電車が来た。これはレールとレールの間に狭まったために奇跡的に助かったそうですけれども、大変なショックを受けたというふうに目撃者は言っておりました。  それから四月三日、これは今申し上げたものです。  それから四月七日、飯田橋の駅で線路に転落して足首を切断した。これもいろいろ状況を調べてみますと、これは三十四歳の男性ですが、ちょうどふらふらとして落ちた地点が、もともと合理化前はホーム要員が立っておった。位置からすればそういうところですけれども、結局削減のために助かる命も助からなかったということを駅の人も言っておりました。  それから四月十七日、五反田駅、これは停車中連結部に転落して手の指を切断した。三本を切断したそうです。  こういうのが幾つか私たちの調査でも出ておりますけれども、最近こういう人身事故が非常に多く発生しておるわけですね。しかも、この特徴としては、ホーム要員の削減等々がこういう痛ましい事故の原因としてクローズアップされておると思うのです。ですから、そういう点で、やはり必要なところにはきちっとホーム要員を従前どおり置くということで、特に東京圏というのは非常に乗降客が多いわけですから、合理をして売り子ばかりをふやすのじゃなくて、本当に安全を第一に考えれば、この点再度点検して、こういうことを二度と起こさないという姿勢を体制的にも示すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  291. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 交通機関の一番大事な点は、やはり安全の確保ということだと考えております。そういう意味では、先生のその認識と私ども全く一致しておるわけでございますけれども、具体的な安全の確保の仕方に関しまして、必ずしもホーム要員という人力ばかりに頼らないで、ほかの形でも安全が確保できればそれも一つのやり方ではないかと考えております。  それで、ただいま御指摘の具体的な事故の中の一、二の例につきまして、私どももこれは事故の翌日に報告を受けておるわけでございますが、その関連の駅につきましては、ホーム要員の問題のほかに、列車の出発時の安全確認をするための工業テレビの設置だとか、自動放送をして電車の扉の開閉を旅客に知らせるものとか、ホームの方に列車を非常停止できる装置といったようなものを設置しておくとか、それからホーム要員の問題につきましても、ラッシュ時には特にホーム要員を増強しておくとかいった措置を、今先生御指摘の中の一、二の駅につきましては具体的にやっております。そういう形で安全が確保できるということであれば、それは何もホーム要員だけということに頼らなくてもいいのではないかと考えております。
  292. 野間友一

    ○野間委員 ホーム要員だけというふうに私は言ったはずはありません。ホーム要員が欠落しておって、助かる命が助からなかったというケースもたくさんあるということを指摘しておるわけです。  だから、それも含めて、もしあなたが削減したって大丈夫だと言われるなら、今幾つか例を挙げましたけれども、こういうものは起ころうはずがないわけですね、不可抗力というか、どうにもならぬ痛ましい事故もあるかもわかりませんけれども。しかし、可能な限り命は救済するというのは当然の任務ですから、こういう人身事故が非常にふえておる中で、やはりきちっともう一遍どうしたら防止できるのかということを見直すべきじゃないかというように私は思うわけであります。  運輸大臣、これは政治的にどういうふうにお考えなのか、この点一言お聞かせいただきたいと思います。
  293. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 大臣の答弁の前に若干私の方から細かいことを申し上げますけれども、私も安全の確保といいますか、人命を救えるとか、そういうけがをされる前の段階で防止できるということが一番いいことだと思いますし、そういう意味で今後ともJR東日本には一層の御努力をいただきたい、こう思っておりますが、全体の傾向といたしましての事故件数の私どもが今持っておる比較では、前年と比較しまして、民営化された後のJRの事故件数は、現在のところ減っているというのが現状でございます。減っていると申しましてもゼロにはもちろんなっておりませんけれども、できる限りこの件数を減らしていくという方向で、さらに一層JR東日本に努力していただくように指導してまいりたいと思っております。
  294. 野間友一

    ○野間委員 大臣の御答弁の前に、今あなたは全然違うことを言ったので言っておかなければいかぬと思いますが、東京圏の運行本部がつくりました昭和六十二年上半期の運転事故・運転阻害発生件数、これを見ますと、六十二年度の上期が千七百六十件、これは運輸省からもらった数字があります。前の年のを持ってこいと言っても持ってこなかったのですけれども、前年は千四百六十件ですね。ですから、三百件東京圏内で発生事故件数がふえておるわけですね。それから責任事故件数、これも同じところの資料によりますと、本年が五百二十一件、前年の累計が三百二十九件、百九十二件もふえているわけですね。ですから、民営化後このようにして事故が随分とふえております。  JR東海と並んでJR東日本も昨年の十二月十四日に非常事態宣言をしたでしょう、事故を撲滅するということで、大変に事故がふえておるということで。いかがですか。
  295. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生御指摘の六十二年のJR東日本の数値に関しまして、その比較対照となる六十一年度のその数値自身は私ども存じておりませんので、その六十一年度を考えてみますと、国鉄時代でございますから、全般的な、全国的な統計になっているものの中からどうやって拾うかという問題があるんじゃないかと思いますが、それにつきましてはちょっと私もコメントできる立場にございません。  先ほど私が申し上げましたのは、運輸省の法律に基づきます報告規則に基づきまして報告を受けていますその件数によりまして鉄道運転事故件数比較というものができるわけでございますが、その鉄道運転事故件数は、六十一年が千三十五件に対しまして、六十二年度は九百二十六件、したがってマイナスの百九件、こういうことになっております。そういうことで申し上げたわけでございます。  それから、先生の御指摘の中に非常事態宣言のお話がございましたが、私どもの方も非常事態宣言という話自身を、どういうような経緯で宣言をされたかということを会社の方に確かめたわけでございますが、それにつきましてはたしか三カ所でそのような宣言を行っているというふうに伺っておりますが、その箇所は、JR東日本施設電気部、それからJR東海の新幹線東京第二運転所、それからJR西日本の明石電車区、その三カ所のようでございますが、これらはいずれも現場の職員に対しまして、例えば年末年始の安全輸送の時期の直前のような段階で、現場の職員に対して注意を喚起するためにわざわざ大げさな言葉を用いたわけでございまして、深い意味はないというように会社は説明いたしております。
  296. 野間友一

    ○野間委員 どうも何か少なく少なく、そういうトーンで物を言うというのは私はけしからぬと思うのですよ。数字持ってこいと言ったって持ってこなかったですよ、国鉄時代は。保安課のつくったものがあるんですよ。ちゃんと数字は出ているのですよ。六十二年の上期は、運輸省持ってこいと言ったのとこれはちょうど合っているのですよ。だから、あなた自身も、運輸省自身も事故隠ししておるというふうにしかとれない。事故はふえておるのですよ。東京圏だけ言いますとふえておるのですよ。発生事故件数が三百件ふえていますよ。責任事故件数は百九十二件ふえていますよ。私は、率直にこういう事実を認めて、その上でどうして事故をなくしていくかという教訓を引き出すというのならば、やはり事実を真実としてとらえるという姿勢がなければだめだと思うのです。ふえておるのですよ。いかがですか、一言。
  297. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、私が御説明申し上げておりますのは、私どもが報告を受ける法令に基づく報告の件数の話でございます。先生のお手持ちの方の数字につきましては、私の方としては申し上げる立場にございませんけれども、今私が申し上げました鉄道運転事故件数は、六十二年度はまだ速報値ということでございますので、確定値が出るまでにはもう少し時間がかかりますし、確定値の段階で若干その数値の変更ということはあるかと思います。そんな意味で、私どもの先生に御説明した者がそこのところの数値がないがごとく申したんだとすれば、申しわけないと思います。
  298. 野間友一

    ○野間委員 時間をとってしようがないのですけれども、六十二年上期、持ってこいと言ったら、本当にトータルの数字だけ持ってきた。これは幸か不幸か合っているわけです。ところが、前年のものは持ってこないわけですよ。これはあるはずなんです、私でも持っているわけですから。現にふえておるのですよ。だから非常事態宣言を出す。あなたは軽く軽く考えるけれども、そういうようなことでは安全を保てませんよ。私はそういう姿勢そのものが問題だと思うのですよ。大臣いかがですか。
  299. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私もJRになってから事故は相対的に減っていると聞かされておりましたのですけれども、それは別にしまして、先ほど御指摘の、大井町から結果として田町まで運転士が血を吐きながら走ったというような出来事は、それが引き金になって乗客全体に大変な迷惑をかける可能性がございますけれども、JRになって人員も合理化しまして、ホーム要員も前より減ったということで起こってくる事故は、会社の経営の姿勢もありますし、しかし人命は大切でございますから、後はほかの手で、工業用テレビその他で、とにかく技術的に補うなどしてそういう事故をできるだけ減らしたいとは思います。  ただ、駅というのは日本に限らずどこでも、走ってくる電車が出入りするわけでありますから、決して安全なところではないわけです。お客さん御自身にも気をつけていただきたいと思うのです。酔っぱらってホームのへりを歩く人も今でも随分見かけますし、体のぐあいが悪いならばやはり自分が気をつけて電車に乗っていただきませんと、いつあるかわからぬそういう事故にまで、JRの職員全体がいつも神経びりびり張りめぐらせて対処するわけにもいきません。ただ、JRとしては、新生JRの名にかけてそういう事故をできるだけ少なく食いとめるように、十全の努力をするようこれからも指導してまいるつもりでございます。
  300. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、これはこの程度にして、あとはまた十分調査した上で改めてただしたいと思います。  JRのついでに一つ。JR西日本の紀勢本線の新大阪乗り入れの計画ですね。これはいつをめどに、どのダイヤから走らせるのか、どういうダイヤを組むのか。それから工費が幾らであるのか。どういうルートをたどるのか。この点、コンパクトにお答えいただきたいと思ます。
  301. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま先生の御質問の計画は、西日本旅客会社で新幹線の新大阪駅と紀勢方面の利用客の利便性を高めるために、現在、天王寺駅発着の特急くろしお号を新大阪駅まで乗り入れさせようという計画でございます。それでその計画はいろいろのことがございますが、まずは天王寺駅の改良の問題がございます。それでその駅を改良して阪和線と大阪環状線を直通させる。それから西九条駅を改良いたしまして、梅田の貨物線と接続させまして、それで新大阪駅の乗り入れを可能にする、こういうことになると思います。それで完成いたしますと、特急くろしお号の七往復程度が新大阪駅発着、そういうこととなる計画となっております。  工事の進捗状況でございますけれども、ただいま申し上げました中の、西九条駅の改良の問題につきましては本年四月に完成いたしまして、現在天王寺駅の改良工事のための用地買収を行っておりまして、これは六十五年春の完成を目途に工事を行う、こういうようなことで考えられておるところでございます。  それで先生の御質問の中の……
  302. 野間友一

    ○野間委員 いいです。それだけでいいです。  それじゃ六十五年の春のダイヤ改正に間に合うように確実にぜひやっていただきたい。一言だけ。
  303. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど申し上げた時点を目標にやっておりますので、できるだけそれが計画どおりに進められるように指導してまいりたいと思っております。
  304. 野間友一

    ○野間委員 これは私ももう二十数年いろいろ運動をやってきまして、国会でも何回か取り上げたわけですけれども、本当に和歌山県民全部が願っている問題ですから、ひとつ実現方、よろしくお願いしておきたいと思います。  あとの残り時間、気象事業の整備充実の問題についてお聞きしたいと思います。  これは事前にレクいたしましていろいろ申し上げておるわけですが、ことしの三月二十三日に和歌山県議会が全会派一致で、和歌山地方気象台、それから潮岬測候所の施設等の整備拡充措置を講じてほしいという要望をしております。気象情報は今我々住民だけではなくて、社会、経済全般にわたって非常に重要な役割を果たしております。こういうものについて拡充整備するのは当然だと思いますが、まずその点について一言お伺いしておきたいと思います。
  305. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 気象事業の整備拡充に関しましては県議会等各方面から要望があるわけでございますけれども、これにつきましては、気象庁の重点施策を考える中でその内容をよく吟味し、技術進歩など諸般の事情を勘案しながら総合的に検討してまいりたい、このように考えております。
  306. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので続けて言いますが、聞きましたら、「ひまわり」の受画装置が大体二百五十万くらい、アメダスの宅内装置、SB21はリース料が月々三万四千円くらい、回線使用料が三万八千円くらい、合わせて七万二千円。それから波浪計の要望も出ていますね。波浪計は二・五キロから三・五キロ沖合で水深五十メートルのところに設置した場合に、本体が千八百万円くらい、それから地上施設が電話回線使用料等も含めまして四千万円、一基六千万円くらいでできるというふうになっておりますが、これが事実かどうかということが一つ。  それから、昨年ですか、天気相談所を名古屋の地方気象台にということを要望したけれども、これは予算上落ちたというふうに聞きますが、順次やるべきじゃないかということが一つ。  波浪計についていいますと、気象庁は日本周辺に十一カ所持っておりますが、運輸技術審議会ではもっとふやすというように出ていますね。具体的に私がお願いしたいのは、太平洋、石廊崎から室戸沖までないわけですから、この間に、ぜひ潮岬の沖合に波浪計を設置してほしい、これも切実な要望であります。時間がありませんから、その理由については御承知だろうと思いますし、詳しく言いません。  潮岬測候所ですが、これはどこでもそうですが、測候所が非常に軽視されて、今あたかも観測点のような扱いをされている、これはけしからぬというのも県民の感じであります。  予算について言いますと、六十三年度が気象庁全体で五百五十六億円ですか、前年比でマイナス六十六億円、ずっと減っておるわけですね。大事な点が減らされておる。ですから新規の枠も十億円くらいしかないというふうに私も聞いておるわけですけれども、さまざまなこういう問題について、非常に重要なものでありますから、充実という点からぜひ努力をされたい。今幾つか言いましたけれども、答弁をいただきたいと思います。
  307. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 例えば静止気象衛星画像受画装置の値段でございますけれども、一応今まで整備したところにつきましては、一カ所で大体九百万というような値段でございます。それから、アメダスの宅内装置などは一応五十五万ということでございまして、これは初度経費が十五万で、年間の借料が四十万というようなことになっておりますし、また、波浪計は七千五百万円程度ということでございます。  それから六十三年度予算と六十二年度を比べますと、六十三年度は約六十億減っておるというお話でございますけれども、これは、昭和六十二年度は内需拡大、対外貿易の不均衡の是正というようなことを目的にしまして七月に補正予算が組まれております。この補正予算のために、六十三年度と六十二年度を比べますと六十三年度は六十億少なくなっているということでございまして、六十二年度の当初予算と六十三年度予算を比べてみますと、六十三年度は一億二千万ほど増となっているということでございます。  それから天気相談所の話でございますけれども、これにつきましては、例えば名古屋でございますと観測課とか予報課で天気相談業務をやっておりまして、いろいろな外部からの問い合わせに対応しております。それから各地台におきましても、防災業務課、それから技術課でもってそういう対応をしておりますし、そのほか、御案内のように、一七七、自動電話応答装置がございまして、これによりましてもいろいろと天気の状況が聞けるわけでございます。ただ最近は新しいメディアが発達してきておりますので、今後気象情報の提供サービスということにつきましては、そういう新しいメディアというものを考えながら総合的に検討していかなければならない問題であると考えております。  それから波浪計は、これは御案内と思いますけれども、全国の沿岸の外洋に面したところに幾つかの代表点がございまして、そこに設置しております。これは外洋から伝わってくるうねりなどを把握するためでございまして、気象庁ではこれらのデータとそれから気象数値モデルによりまして算出された約七十五キロメートル間隔の海上風のデータを使いまして、電子計算機により詳細な波浪の分布、現在どうなっているかという詳細な分布、それからそれがどういうように変わっていくかという予測、それを実施しております。これが沿岸波浪予報業務というわけでございますけれども、今後沿岸波浪予報業務改善当たりましては電子計算機によります波浪モデルの改善を行う、これが最も効果的であると考えているわけでございまして、今後はその方向で努力していく、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  308. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ大臣にお願いしたいのです。  先ほどから申し上げておりますように、気象情報というのは最近の経済、社会あるいは個人にとっても非常に大事な問題だと思うのです。何回も国会で論議されておりますけれども予算が非常に少ない。ぜひ予算をうんとふやすように御努力いただきたい。一言答弁をいただいて終わりたいと思います。
  309. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 気象予報の精度というのは本当に時代の一つの新しいニーズでございまして、これにこたえるために予算の面でも努力いたしますので、また委員の方々もひとつ存分に応援願いたいと思います。
  310. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  311. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 次回は、来る十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会