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1988-05-24 第112回国会 衆議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年五月二十四日(火曜日)     午前九時四十五分開議  出席委員    委員長 吹田  愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 武村 正義君 理事 平林 鴻三君    理事 川俣健二郎君 理事 春田 重昭君    理事 滝沢 幸助君       石破  茂君    園田 博之君       田澤 吉郎君    林  大幹君       平泉  渉君    金子 みつ君       新村 勝雄君    土井たか子君       野坂 浩賢君    遠藤 和良君       斉藤  節君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       安原  正君         環境庁企画調整         局長      森  幸男君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      渡辺  武君  委員外出席者         国土庁土地局土         地利用調整課長 鈴木 克之君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 鶴井 哲夫君         国土庁地方振興         局総務課長   吉原 孝司君         文部省学術国際         局学術課長   岡村  豊君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 松田  朗君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 壽紀君         厚生省生活衛生         局水道環境部地         域計画室長   鈴木  繁君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 近藤 健文君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      関口 洋一君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         林野庁指導部研         究普及課長   眞柴 孝司君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部施設課新幹線         環境対策室長  羽賀  肇君         運輸省港湾局開         発課長     栢原 英郎君         建設省道路局企         画課道路環境対         策室長     加賀田晋成君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ───────────── 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   石破  茂君     熊谷  弘君   新村 勝雄君     安田 修三君 同日  辞任         補欠選任   熊谷  弘君     石破  茂君   安田 修三君     新村 勝雄君 同月二十日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     城地 豊司君   大矢 卓史君     北橋 健治君 同日  辞任         補欠選任   城地 豊司君     新村 勝雄君   北橋 健治君     大矢 卓史君 同月二十七日  辞任         補欠選任   斉藤  節君     薮仲 義彦君   岩佐 恵美君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     斉藤  節君   藤原ひろ子君     岩佐 恵美君 五月十一日  辞任         補欠選任   大矢 卓史君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     大矢 卓史君 同月十八日  辞任         補欠選任   大矢 卓史君     佐々木良作君 同日  辞任         補欠選任   佐々木良作君     大矢 卓史君 同月二十四日  辞任         補欠選任   石破  茂君     赤城 宗徳君   園田 博之君     加藤 紘一君   土井たか子君     野坂 浩賢君 同日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     石破  茂君   加藤 紘一君     園田 博之君   野坂 浩賢君     土井たか子君     ───────────── 四月二十五日  水俣病被害者医療救済に関する請願田中美智子紹介)(第一八二三号)  同(辻第一君紹介)(第一八二四号)  水俣病問題の早期全面解決医療救済に関する請願寺前巖紹介)(第一八二五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一八二六号) 同月二十六日  水俣病被害者医療救済に関する請願江田五月紹介)(第一九四一号)  同外一件(遠藤和良紹介)(第一九八〇号)  同(斉藤節紹介)(第一九八一号) 同月二十八日  水俣病被害者医療救済に関する請願菅直人紹介)(第二二一三号) 五月十日  水俣病被害者医療救済に関する請願外一件(小川国彦紹介)(第二五〇八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二五〇九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二五六七号) 同月十三日  水俣病被害者医療救済に関する請願阿部昭吾紹介)(第二六八二号) 同月十六日  水俣病被害者医療救済に関する請願阿部昭吾紹介)(第二七六一号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 吹田愰

    吹田委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  3. 新村勝雄

    新村委員 私は、東京湾環境保全について質問を申し上げたいと思います。  東京湾の過去の経過及び現状は、日本工業化一つの縮図のような形であると思います。東京湾が今まで開発一辺倒といいますか、開発方向に強力に政策が進められてきたわけでありますが、今や東京過密化東京一極集中という問題が日本政治課題として大きくクローズアップをいたしてまいりまして、東京一極集中から多極分散へという方向政府によってもとられておるわけであります。それとの関連で、東京湾の将来をどうするのか、東京湾の総合的な開発、あるいは開発環境保全をどう調和させていくかという問題は今後の大きな課題になろうかと思います。  そこで、短い時間でありますけれども、いろいろの観点からこの問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、現在の東京湾あるいは東京湾を中心とするその周辺開発については、各省においてそれぞれプロジェクトあるいは構想があるわけでありますが、まず建設省にお伺いをいたします。建設省として東京湾に将来どういう開発構想があるのか、これをまず伺っておきます。
  4. 加賀田晋成

    加賀田説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、建設省の現在進めております東京湾横断道路関係する御質問かと思いますので、横断道路について御説明申し上げます。  東京湾横断道路は、神奈川県川崎市と千葉木更津市を連絡する延長約十五キロ、総事業費一兆一千五百億円の道路計画でございます。本道路につきましては、昭和六十二年度に事業着手しておりまして、昭和七十年度に完成の予定でございます。  構造といたしましては、川崎側約十キロがトンネルでございまして、木更津側約五キロは橋梁でございます。トンネルの換気、それからトンネル橋梁を接続するために必要となる人工島を川崎沖木更津沖に二カ所設置することにしております。そういった形で事業を進めております。  以上でございます。
  5. 新村勝雄

    新村委員 この道路機能というか、これに期待すべき点は、首都圏内交通問題の緩和あるいは首都圏に対するアクセスという意味があろうかと思いますが、同時にまた、この道路をつくることによって東京集中をさせるといういろいろな要素集中をさせるという効果というか、そういう機能もあるのではないかと思うのであります。東京一極集中を排除するあるいは一極集中を分散するという観点からして、この道路の果たす機能はどういうものであるのか、これを伺います。
  6. 加賀田晋成

    加賀田説明員 お答えいたします。  東京湾横断道路の役割でございますが、南関東地域の新しい動脈といたしまして、京浜地域房総地域を直結いたします。それから、湾岸地域相互を連絡いたします。東京都市圏南回りバイパスといった機能も持っております。核都市間相互を連絡する道路の一環ということにもなろうかと思います。東北縦貫自動車道から外郭環状道路を通って木更津に向かって、それから東京湾横断道路を通って横浜から東名に結ぶという意味では、新しい国土軸を形成するといったような機能もあろうかと思います。  以上でございます。
  7. 新村勝雄

    新村委員 それで、この横断道及び横断道に附属する人工島ができるわけでありまして、東京湾の自然を、大きく破壊するとは言いませんけれども、変更することになるわけでございますが、これについてどういう環境アセスが行われているのか、それをまずお伺いいたします。
  8. 栢原英郎

    栢原説明員 お尋ねの人工島につきまして、運輸省では昭和六十一年度より各種の調査を行ってきております。その中で、木更津市沖の沖合人工島につきましては、まず目的といたしましては、荒天時における船泊の避泊地を確保する、さらに今後東京湾必要性が高まると考えられます大水深の岸壁あるいは海洋性レクリエーション基地国際交流施設などを整備することを主なねらいとしておるものであります。規模といたしまして約二百四十ヘクタールの規模を想定しております。もう一カ所、横須賀市沖に同じく二百四十ヘクタール程度人工島を造成し、こちらは高度物流基地商業業務機能居住機能等を導入しようとして調査を進めているところであります。  これらにつきましては、今申し上げましたように、六十一年度から環境問題を含めましてさまざまな観点から調査を進めておりますけれども昭和六十三年度、今年度におきましても、海上交通に与える影響環境面に与える影響、あるいは環境面に係る技術的課題についてより詳細な検討を行うための調査計画しているところであります。今後これらの調査の結果を踏まえて、条件が整い次第計画具体化を図ってまいりたいというふうに考えております。
  9. 新村勝雄

    新村委員 人工島は後で聞こうと思ったのです。今お伺いしたのは、横断道路に関するアセスの問題、それがどういうふうに東京湾の自然に影響を及ぼすのか、それからまた利害関係を有する住民との間の話し合いがどう進んでおるか、これをまず伺いたかったわけです。
  10. 加賀田晋成

    加賀田説明員 東京湾横断道路環境問題につきましては、日本道路公団環境影響評価実施しております。  具体的に申し上げますと、昭和六十一年六月に環境影響評価準備書関係地方公共団体に送付いたしまして、その後、地元説明会、それから知事の意見等の提出をいただきまして、それらの手続を経まして、六十二年七月に環境影響評価としての手続を完了しております。  内容的には、大気水質、騒音、振動、地形、地質、景観、動植物等に及ぼす影響予測評価を行っておりまして、その結果は、東京湾横断道路環境に及ぼす影響は小さく、しかも道路周辺の狭い範囲に限られているというふうにされております。例えば本道路整備に伴いまして、流況とか水質あるいは盤洲干潟地形等についての問題がございましたが、これらのことも道路周辺に限られまして、回帰生物生息環境も相当程度保全されるというふうにされております。
  11. 新村勝雄

    新村委員 これを行うに当たっては、漁業関係との調整が必要ですね。そういう漁業あるいは海上交通の保安ということもありますけれども、まずこの漁業との調整をどうするのか、漁民との調整をどうするのか、その点。
  12. 加賀田晋成

    加賀田説明員 漁業関係につきましては、ただいま地元漁協等との話し合いについたところでございます。今後の話し合いの進展を待つところでございます。  以上でございます。
  13. 新村勝雄

    新村委員 大臣にお伺いしますけれども東京機能分散ということが言われておりますが、東京機能分散をする前に、それを考える前に、東京集中する要素を抑えるということが必要だと思いますね。そういう意味らいって、これからずっと出てくるわけでありますけれども、今東京湾構想されておるいろいろな施策があります。この横断道一つであります。こういう施策が、横断道については東京に対するアクセスの改善という意味があるでしょうけれども、それにしても、それに付随をして人工島ができるあるいはこの横断道によって車が集中するということを考えた場合には、東京にいろいろな要素集中させる効果の方が大きいのではないかという気がするわけです。  東京への集中というのは、土地問題を初めとしてあらゆる行政上の問題を含んでいると思いますけれども、同時に、環境問題がすぐれてこの問題とは関係があるというふうに言えるわけです。大都市への過度の集中がその大都市環境を悪化させるということ、これは論をまたないところでありまして、そういう意味らいって、環境庁のお立場からして、こういう横断道建設あるいは人工島の建設、こういう湾の開発というかあるいは自然の破壊というか、こういう施策環境立場からしてどういうプラス・マイナスがあるのか伺いたいと思います。
  14. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 本来、東京人口集中するということは環境を悪化させる、これは御説のとおりであります。だから、そういうことにならないようにすべきだと政府も考えております。ところが、今の問題はその地元環境、利便ということが出発点になっているように考えますので、事業者がみずから環境アセスを行い環境に悪影響のないように心がけながら事業をすべきであって、それらについては、環境庁相談を受ける場合にはそれらの相談に対応していくということだと思います。ただ、全体としては東京湾を汚さないように、また水もきれいで大気も汚さないようにするという立場がやはり環境庁の根本の立場だと思っておりますので、総量規制等によって汚さないようにするという立場を堅持していきたいと考えております。
  15. 新村勝雄

    新村委員 道路については大臣言われるようにメリットもあるわけであります。東京にいろいろな要素集中させる効果があるわけでありますが、同時に東京に対するアクセスというか首都圏交通を緩和するという作用はあると思うのです。  そこで次の横断道に関連する人工島の問題でありますけれども人工島に至ってはそうは言えないわけですよ。人工島はまさに東京湾開発でありまして、東京圏の内部の矛盾を緩和する要素はほとんどないわけでありまして、開発、しかも東京圏に経済的なあるいは人の集中を促進する、こういう作用があるわけだと思うのですね。  そこで運輸省にお伺いしますけれども人工島をつくる主たるねらい、それからその人工島によってどういう経済的なあるいは人の流れ、新しい流れが生ずるか、これを伺います。
  16. 栢原英郎

    栢原説明員 沖合人工島を東京湾の中で計画するねらいでございますが、第一点は、非常に稠密になっております沿岸部利用をさらに沖合に展開をし、沿岸部の適正な利用を実現しようということが第一のねらいであります。第二点は、そのことによって東京湾海域の適正な利用、広大な面積の中に海洋性レクリエーション基地でありますとかあるいは荒天時の船舶の避泊のための静穏な海域を創造するといったような目的を持っているものであります。
  17. 新村勝雄

    新村委員 今のお答えでは質問に答えてないんです。どういう経済的なあるいは交通流れというものが起こるかということを伺ったわけです。  そこで今の答弁でもわかりますように、これは明らかに新しい投資をし新しい経済活動がそこに起こるわけでありますから東京集中を促進するということになると思います。一方では、今政府では東京機能分散ということが言われ、同時に実行されようとしております。一方では集中を促進するようなことをおやりになるということでは、薬を飲みながら一方では不摂生なことをしているということと同じであって、まことに一貫をしないと思いますね。  そういう意味で、これはまだ後から出てくるわけですが、東京湾の今後の開発については総合的な一つ計画、そして東京湾の自然を保全する、保全をしながら、開発もこれは絶対にやらないというわけにはいかぬでしょうけれども、それと調和のとれた範囲で抑えていく、こういう東京湾に対する総合的な施策が必要だと思うのです。ところが現在は、建設省運輸省厚生省国土庁あるいは環境庁、各省庁縦割りで、めいめい勝手とは言わないけれどもめいめいの構想で湾を開発しようといたしております。これでは環境庁がいかに努力をされてもその努力が報いられないということになると思います。  そこで次の問題でありますが、厚生省もやはり東京湾に対して独自の計画をお持ちであります。これはいわゆるフェニックス計画というものであって、東京湾の適当なところへごみを持っていって埋めてそこを造成しようというような構想であります。厚生省にお伺いしますが、このフェニックス計画についての概略を御説明いただきたい。
  18. 鈴木繁

    鈴木(繁)説明員 お答えいたします。  首都圏では人口、産業が高度に集中しておりますことから、廃棄物埋立処分場の確保、こういうものは非常に重要な課題となってきております。現在使用中の主要な埋立処分場につきましては、昭和七十年ごろまでには廃棄物の受け入れが限界に達するであろうと見込まれております。  そこで、昭和七十年代におきます首都圏廃棄物処分場を確保するためには、今先生お話のございましたフェニックス計画実施が必要と考えまして、昨年四月に東京湾フェニックス計画基本構想運輸省と共同で取りまとめました。構想が対象とする地域都心からおおむね四十キロメートルの範囲内として、受け入れる廃棄物の量は昭和七十一年度から十年間で約一億一千万立方メートルと見込んでおります。また、埋立処分場規模につきましては全体で五百から六百ヘクタール程度と想定いたしまして、仮にこれを二地区に分散するといったような場合には、それぞれ二、三百ヘクタール程度になろうかと見込んでおります。なお、実施に当たりましては、廃棄物の輸送あるいは埋め立てに際しまして十分環境保全上の措置を講ずるといったことを考えていきたいと思っております。
  19. 新村勝雄

    新村委員 このフェニックス計画、七十一年から十年間に一億一千万立方メートルということでありますが、その場所をどの辺にどういう形で進められるのですか。
  20. 鈴木繁

    鈴木(繁)説明員 私ども運輸省で作成しました構想では、東京港、横浜港、川崎港、千葉港、これらの四つの港湾の中から、関係者がっくります広域臨海環境整備センターにおいて十分調査をして決めていただくというような構想としております。
  21. 新村勝雄

    新村委員 そうすると、まだ場所は決まってないようでありますけれども環境庁としてはこれは重大な関心をお持ちだと思います。湾内を埋め立てる、それも主として廃棄物で埋めるわけでありますから大きな問題だと思いますけれども環境庁としてはこのフェニックス計画についてどういう対応をされておるわけですか。
  22. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 現在の時点では、この東京湾フェニックス計画につきましては、先ほど厚生省の方からもお話がございましたけれどもまだ検討をしている段階ということでございますので、これが具体化してくる中では、当然これまた埋め立てということを伴うようなことになると思いますし、そういう段階では環境庁としての、やはり環境保全に及ぼす影響等についても御意見を申し上げてまいりたい、こう思っております。
  23. 新村勝雄

    新村委員 まだ具体的なものではないとおっしゃいますが、そうするとこれが出てきた場合に環境庁としてはどういう点にどういう配慮をし、そこにどういう注文をつけ、どういう形で調整をし、協力をしていくのかということですね。
  24. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 具体的なこちらからの注文につきましては、厚生省等からの具体的な中身を見せていただいた段階で私どもとして意見を申し述べることになろうかと思いますけれども東京湾水質汚濁に及ぼす影響というものが最も基本的なものになろうかと思います。
  25. 新村勝雄

    新村委員 次に国土庁にお伺いしますが、これは国土庁自体ではなくて東京都が東京湾に対して大きなプロジェクト予定を持っておられるということでありますけれども、その概要について伺いたいと思います。
  26. 鶴井哲夫

    鶴井説明員 東京臨海部の副都心地区それから豊洲晴海地区などの東京臨海部開発につきまして、国土庁など関係省庁東京都により構成されます東京臨海部開発推進協議会というところで、東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設整備等に関する基本方針を今年の三月十八日に取りまとめたところでございますが、今先生からお話ございましたこの計画整合性をとりながら、東京都におきまして本年の三月二十九日に臨海部の副都心につきましては臨海部都心開発基本計画、それから豊洲晴海につきましては豊洲晴海開発基本方針を策定したところでございます。  これらの計画によりますと、臨海部都心につきましては就業人口十一万人程度居住人口六万人程度晴海豊洲地区につきましては就業人口六万から八万人程度、それから居住人口が五万から七万人程度と見込んでおりまして、業務機能居住機能、文化、レクリエーション機能などを総合的に整備すること、道路その他広域的な根幹施設を初めといたします基盤施設整備を図っていく、こういうような内容になってございます。
  27. 新村勝雄

    新村委員 今問題になっております東京一極集中を分散する、そして調和のとれた国土をつくる、この所管省国土庁ですか。――そうしますと国土庁にお伺いしますけれども、一方では各省庁各機関を分散すると言いながら、一方ではそういう大規模開発をこれからやろうというその明らかな矛盾、これをどうするのですか。それらについて全く理解ができないし、一方では集中排除、一方では集中促進、これについての御説明をいただきたい。
  28. 鶴井哲夫

    鶴井説明員 国土の均衡ある発展を図りますためには、東京圏への一極集中を排除いたしまして多極多圏域型の国土を形成することが重要と考えておりますが、東京圏におきましても土地の高騰の問題とか住宅問題とか、それから世界都市機能に対します都市整備とかいった要請がございますので、そういうことのために東京圏におきましても土地供給策推進あるいは住宅の供給業務床供給などが必要でございまして、そういう要請にこたえるために東京臨海部開発あるいは都心の再開発などが必要だというふうに考えておるところでございます。
  29. 新村勝雄

    新村委員 答弁にはならないようでございます。  大臣にお伺いしますけれども、やはり東京の問題を考える場合には、現在の東京を再生させるという観点が必要だと思います。それと同時に、東京湾の自然を保護する、保全をするという観点が両立しなければいけないと思うのです。そういう点で考えてまいりますと、東京湾に今たくさんのプロジェクトが考えられておる。こういう状況はまさに政府政策の不統一を、失礼ながら示すのではないかと思います。今まで各省庁から御説明があったプロジェクトのほかに、横浜市においてあるいは川崎市においてあるいは羽田沖埋め立て、それから今の副都心の問題、そうして千葉県側には市川の二期埋め立て富津沖埋め立て、こういう計画があるわけです。そうしますと、東京湾の自然を一方では破壊をし、そうして一方では一極集中を修正し分散をしていくという大義名分があるにもかかわらず、一方ではここに集中を促進するような施策が次々にとられている。こういう問題ですが、この施策の不統一といいますか矛盾、これについてはぜひ政府においても根本的な再検討をお願いしたいと思うわけであります。  そこで大臣には、環境庁長官としての立場からこういう現状なり計画なりについてどうお考えでございますか。
  30. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 首都圏における東京湾というのは、もうかけがえのない空間であるし大事にしなければならない自然環境であるという認識をしております。したがって、ここで行われるあらゆる事業はその主体者が当然精密なアセスを行うべきであり、また、そのアセスについて私ども相談があれば我々としては常に対応できる準備をしております。環境庁としては、この空間の空気をきれいにする、またこの空間の水をきれいにするということで、総量規制をもって対応するということが現状でございます。
  31. 新村勝雄

    新村委員 そうしますと、こういう大計画、大プロジェクトがメジロ押しでありますけれども、こういう状況の中で現在の東京湾がどういう状況にあるのか、またどういう傾向をたどりつつあるのかということであります。  この東京湾については周りから河川が流れ込む。その河川の水も大変汚染をされておるわけでありまして、普通ならば、一定の限度までならば、水が流れ込むことによって、ある程度の汚染があっても浅海域で微生物の分解作用によって流入水が浄化をされるということが言われております。しかし、既に現状はこの限界を超えておるわけでありまして、海水中の植物プランクトンの増殖による赤潮、青潮等がしばしば発生をしておるわけであります。そういう状態で既に湾の環境容量を現在超えておるというふうに言われておるわけであります。それらの現状認識はいかがですか。
  32. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 東京湾環境の現状についてのお尋ねでございますが、これは水質の問題、自然の問題、それから沿岸部大気の問題と大きく三つに分かれるかと思います。  それで東京湾水質につきましては、長期的に見れば改善をしてきておりますけれども、近年はほぼ横ばいというような状況でございまして、COD、化学的酸素要求量というもので水質環境基準の達成率というものを見てみますと六三%というようなことで、依然として低い状況でございます。それから、今先生お話にございましたように、赤潮や青潮の発生というようなものも見られる状況でございます。  それから、自然の面でございますが、かつては湾奥部、湾の奥の部分に広く存在して、海水の浄化や魚介類あるいは水鳥などの生息の場として重要な役割を果たしてまいりました自然海浜であるとか、あるいは藻場あるいは干潟というものにつきましても、埋立事業の進展などに伴いまして急速に減少をしてきているというような状況でございます。  それから、東京湾臨海部大気汚染の状況でございますが、これは二酸化硫黄及び一酸化炭素につきましては環境基準に照らして良好な状況が続いていると言えるかと思いますが、例えば東京特別区などにおきます二酸化窒素の環境基準の達成率というものを見てみますと六五%程度であるというようなことで、二酸化窒素等の改善ははかばかしくない状況にある、大体大まかに申しましてそんなようなことかと思います。
  33. 新村勝雄

    新村委員 東京湾がいわゆる自浄作用の限度を超えておると言われております。横ばいであるというお話ですけれども、こういう大きなたくさんのプロジェクトが今後進行した場合には急速に悪化するということが考えられるわけでありまして、そういう点の配慮がどうなっておるのか。それから、水中生物については既にかなり減っておるという今のお話でありますけれども、そういう大変憂うべき傾向、これを今後どうするのかということがあります。  それから、大気汚染の問題については今お話もありましたが、同時に、東京湾が極度に狭くなる、あるいは東京湾がこういうことがこのまま進めば、時間でありますから終わりますけれども、気象の変化も当然起こってくるわけです。東京の現在の都心部に対する気象の変化、こういうことも考えなければいけないという状況でありますので、この開発についてはぜひ総合的な政策を確立されて、自然と開発調和をした形での施策を進めていただきたいということを大臣に特にお願いをして、終わりたいと思います。
  34. 吹田愰

  35. 野坂浩賢

    野坂委員 きょう私は食糧の安全問題についてお尋ねをしたいと思っております。  今の日本農業の実態というのは、十品目や牛肉、オレンジの市場開放や輸入自由化等の問題をめぐって大きく揺らいでおりますが、その中で消費者の動向というのは、総理府の調査によっても明らかなように、日本で生産される食糧を食したい、この願望が七〇%以上にもなっておるという今日の状況であります。その中で特に注目をされることは、消費者の皆さんは安全な食糧を食卓へというのが一番の願いであるわけであります。そこで、この消費者のニーズにこたえていくために現在の食糧は安全であるかどうか、こういう点を解明するために私は淡路島におけるモンキーセンターを訪ねてみたわけでありますが、たくさんのニホンザルのうちに奇形猿が多くおるということを確認したわけであります。環境庁はこの事実をよく御存じかどうかをまず一番初めに聞いて、その内容についてただしていきたい、こういうふうに思います。
  36. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のような事実があるということはよく認識をしているつもりでございます。ただ、その実態等についてつまびらかに把握をしているということはございません。そのような状態でございます。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 このニホンザルの四肢の奇形、いわゆる手足の奇形というのは、堀内さんも見ていただきたいと思いますが、猿がこういう格好です。(写真を示す)手と足はほとんどない。人間で言えばサリドマイド児と同じ格好のが非常に多くおるというのが実情でありますが、五十三年から五十五年まで、ニホンザルの先天性四肢異常の実態調査及びその原因に関する調査が行われたという事実があります。この事実について、環境庁はその報告書をお読みになったことがあるかどうか。  その次に、文部省としては研究費を出しておられるわけですから、その成果を集約されておるかどうか、その集約があればお話をいただきたい。
  38. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  このニホンザルの奇形の原因が何であるかということにつきまして、遺伝要因説あるいは環境要因説等々、あるいはそれらの複合された結果じゃないかというような説があるようでございまして、そのようなことを解明いたしますために、昭和五十三年から五十八年にかけまして文部省の科学研究費補助金というものがさる団体に交付されまして、この原因究明の調査が行われたということは存じておりますし、その報告書につきましても私たち読ませていただいております。その結果といたしましては、私たちの理解でございますけれども、いろいろ研究をしたわけではありますけれども、原因は明らかにはならなかったという結果になっておるように承知している次第でございます。
  39. 岡村豊

    ○岡村説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、ニホンザルの奇形発生についての研究に対しまして、昭和五十三年度から昭和五十五年度、三カ年の研究に対しまして科学研究費補助金、これは研究者の申請に基づいて出す、そして学術審議会で専門的な観点から御審査いただいて出す補助金でございますが、これを出しております。それから五十六年度から五十八年度も出しております。したがって、これについては二度にわたり出しているところでございます。  なお、その研究成果につきましては冊子となって国会図書館に入っているわけでございまして、ただいま手元に持ち合わせがございませんので、内容については御勘弁いただきたいと思います。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 回答いただいたとおりのように承知をしております。このえづけの開始と奇形の出現という関連性は、臥牛山とか河内とか高崎山とか志賀とか淡路島とかずっと出されておりますが、ニホンザルのえづけを開始した二年後ないし三年後に奇形猿が発生をしておるということは御承知でしょうか。
  41. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 先生おっしゃいますように、えづけをいたしますと、そのえづけ後数年で奇形の発生があるというような事実があるということは私たち承知をいたしております。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 今も局長からお話がありましたが、その原因はいまだ定かでない、こういうことが一点ですね、確認されることは。したがって、遺伝性であるのか環境性であるのか、言うなれば内因性を持つものか外因性なのかということであります。そこで、五十三年から五十六年の調査等を詳しく読んでみますと、いわゆる奇形猿の雄と奇形猿の雌とを交配というか交尾させると、イコール奇形猿が生まれるというのが常識のようでありますけれども、ほとんどないですね。したがって、この研究書によりますと、遺伝説というものは概略否定された、言うなれば内因性ではなくして外因性によるものだということが有力な研究課題になっておる、こういうふうに理解しないわけにはいかぬと思うわけであります。したがって、外因性ということになると、環境でありますからどこに問題があるかということになってくるわけであります。  その猿が食しておるものは一体何か、えづけは一体何かといって探求してみますと、それは輸入小麦と輸入大豆であるというところに問題があるというふうに思われてならぬわけであります。そういたしますと、輸入食糧の小麦というのはパンやうどんにもかわって人間も食しておるわけでありますから、輸入小麦の検査というものに十分な体制がとられておるかどうかということが一つの疑問点として出されます。それについてどのような対応をしておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  43. 松田朗

    ○松田説明員 お答えいたします。  輸入食品のうち、特に輸入小麦の残留農薬の検査の状態についてでございます。小麦の残留農薬基準につきましては、現在基準が定められている項目は、BHC、DDT、パラチオン、ディルドリン、エンドリン、臭素、この六つでございます。最近はこのほかにもマラチオンだとかフェニトロチオンについても輸出国で使用されるというような情報がございますので、これについての検査を指示しているところでございます。現在までの検査実績でございますが、過去五年間の実績によりますと、現在定められております基準値を超えたものはございませんでした。  以上でございます。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 保健課長はそのように御答弁ですが、「日本の食料問題」というテレビがありまして、その中で「奇形猿は訴える」というのを三回にわたってシリーズで流しましたね。その中で、環境庁の職員の中では、えづけに問題があればえさをやらなければいい、こう言っていますね。厚生省のお役人さんは、二人の担当員しかいないのでそういう検査はなかなかできません、こう言っておりますね。そういう状況で、今は基準値を超えてないということですけれども、解剖の結果は、アメリカから出された小麦にはマラチオンが四・五九ppmありますね。オーストラリアからはスミチオンが六・四一とマラチオンは三・六四Ppmが出ておる。これは基準以上ではないですか。現実に出ておるわけです。
  45. 松田朗

    ○松田説明員 お答えいたします。  現在マラチオン、フェニトロチオンにつきましては国内に基準値はございませんが、マラチオンについては八ppm、フェニトロチオンについては一〇ppmというWHO等での基準値がございます。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、それが蓄積をされるということになれば大変だ、これが一つの大きな原因ではなかろうかということが指摘されるわけですが、どのようにお考えでしょうか。どなたでも結構です。
  47. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  解剖の結果、猿の臓器の中に農薬が残留していたというようなことは、先ほど私の方で申し上げました文部省の補助金をいただいての研究の結果にも出ておるようでございます。  ただ、御承知のように、輸入食品に係る部分につきましては厚生省からお答えになったとおりでございますが、国内の農薬について若干申し上げますと、国内では御承知のように農薬は農林水産大臣の登録を受けなければなりません。その登録に当たりまして環境庁といたしまして、その農薬が世の中に出ました場合に、人の健康にどのような問題があるであろうか、あるいは環境汚染上どのようなことになるであろうかということを登録の前にしっかりと審査をさせていただく権能を持たせていただいているのですが、それに基づきまして審査をいたしまして、十分安全サイドに立った基準値をつくりまして、登録保留基準というのでございますが、それに基づかなければ農林水産大臣は登録をしないという取り扱いになっておりますので、少なくとも国内で流通しております農薬につきましては、猿を含めて問題が出ることはないと信じておるわけでございます。  文部省の補助金をいただいた調査の中にありましたディルドリンあるいはヘプタクロールという農薬が高く残留していたという結果があるようでございますけれども、御承知のようにこの農薬、かつては使われておりましたけれども、四十八年以降国内での販売は禁止されておるわけでございまして、今申し上げましたような状態が日本の農薬についての状況であるというように御理解いただければありがたいと思います。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 研究報告書の中にこういうことが書いてあります。「この奇形の発生が餌づけ群で多く発生率も高いこと、それらの大部分の群れでは餌づけ時には奇形個体は見られなかったのに餌づけ後に多発したこと、」こういうことがあるわけであります。何にもないということになればその奇形猿は生まれないだろう、しかも遺伝ではないということになっておる、環境だということが重点だ。ということになれば、えづけが一番問題じゃないのかということに究極なるだろうと私は思うのですね。それについては一体どうかということが一点。  文部省にお尋ねしますけれども、五十三年から五十五年まで研究をして、五十六年から五十八年までやってまだ原因が究明されておりませんということを今環境庁局長お話しになった。これは申請がなければ補助金を出すというものじゃなしに、人間のためにも関連があるとして、これらについては、厚生省でも文部省でもいいですから、積極的にぜひこれをつぶさに検討してもらう必要があるのではなかろうかと私は思いますが、いかがでしょうかということが二点目。  三点目は、最近のこの書類等を読んでみますと、昭和五十五年ですか、ありますけれども、この十年間に人間の奇形児というものが約五〇%ふえておるということが指摘されております。そして先天性の異常障害児は二八五%も多くなっておるということが出ておるわけでありますが、こういう実態から見て関連があるではなかろうかというふうに私どもは心配するわけです。これについてどのような御見解をお持ちか伺いたいと思います。
  49. 岡村豊

    ○岡村説明員 文部省の関係では科学研究費の関係の御質問がございましたので、それについてお答え申し上げます。  御承知のように、科学研究費は学術研究に対して出されるわけでございますが、御案内のとおり学術研究というのは研究者の自発的な意思に基づいて行われるものでございまして、国がこういう研究をやれという性格のものではないわけでございます。文部省の所管します学術研究はそういうものでございます。したがいまして、科学研究費もその目的、性格からして、申請に基づいて出すということが大原則になっております。研究計画がおありでしたら御申請いただく、そして学術審議会で十分専門的な観点から審査をしていただく、こういうことになろうかと思います。
  50. 内山壽紀

    ○内山説明員 先生の御質問の、厚生省といたしましては人の健康を守るという立場から、猿の奇形問題が人間の健康に害を与える危険があるかどうかにつきましては文部省とか、あるいは農林水産省でやられております残留農薬研究所の研究等につきまして大変関心を寄せているということで、そういうような成果については、どういう結果が出るかということについては今後ともよく見守っていきたいという立場でございます。
  51. 近藤健文

    ○近藤説明員 母子保健の立場から御説明申し上げたいと思います。  人の場合、先天異常等がふえているかどうかということについては学会等で過去いろいろ論争があったというように聞いておりますけれども、私ども、全国的に先天異常がふえたかどうかということについての統一したデータを持っているわけではございませんが、その学会等の御意見を聞いておりますと、特に近年先天異常等が多発しているというようなことは産婦人科あるいは小児科の先生方から聞いていないところでございます。また結果として、先天異常がふえたとすれば、当然のことながら乳児の死亡、新生児の死亡等がふえてもいいと思うわけでございますけれども、現在我が国においては乳児死亡が、六十二年の推計でございますけれども、出生千対四・九と世界で最も低いというデータが記録されておりまして、そういうようなデータから見て、先天異常が多発しているということは考えられないところでございます。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 ここには、朝日新聞の五十五年八月二日付ですけれども、「とくに増加率では、先天異常や、異常分娩による障害者数が十年前の二八五%と、一挙に三倍近くに達したのが目立つ。」こういうことが書いてあるわけであります。したがってそれをピークにして下がったのかどうかというのは後で文書で御回答いただいてもいいと思いますが、新聞にはそのように出ておるということであります。  私は、猿の問題だけではなしに、人間に関連があるのではなかろうか、輸入食糧は問題だというところに焦点を絞るわけでありますから、これからお尋ねをするのは、文部省としては申請に基づいて補助金を出すんだ、積極的にやらないんだ、厚生省としては十分各省庁とも連絡をとって対応したい、こういうお話であります。したがって、いわゆる遺伝性というものはだんだん否定をされてきて、外因性というものが中心でありますぞということに絞られつつありますので、この際六年間もやってわからなかったならば、局長お話しになったように、まだ原因が解明されていない、もしこの解明がされて、同じ物を食っておるから人間にも影響があるぞということになるだろうと私は思います。そういうことになればさらに深く掘り下げてその原因を究明する必要があるだろうと思いますが、主管される堀内環境庁長官はこの状況を見て原因を私は追求してほしい。それは猿にも影響があるだろうけれども、人間にも影響があるかもしらぬ。そういう意味でこの原因究明をやるべきだと考えておるわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  53. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今先生のいろいろな研究された内容をだんだんに聞かせてもらっておったわけでございますが、大変問題がいろいろな点にあろうと思います。ただ、懸念というものをほうっておいて大事に至る例は今までたくさんあるわけであります。したがって私は早く医学的な知見を欲しいと今思っておるわけでございますけれども、それがすぐにやられないならば、得られるように努力すべきだと思いますし、今先生御指摘のように、私どもとしては関係省庁と、ある程度まで研究されたものがあるわけでございますから、続けて検討できるようにしたいと考えます。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 ありがとうございました。今環境庁長官は、その実態を踏まえてさらに原因の追求をするために各省庁と話し合って期待にこたえてやるということでございますので、これはありがたいと思っております。  委員長にこの際お願いしておきたいと思いますが、厚生省としては、出生児がそう多く奇形児は生まれていないというふうにおっしゃいましたけれども、私が持つデータでは相当数に上りつつある。試算されておるもの、そういうものから推定をし、推計をいたしますと相当伸びておるのじゃなかろうか。それはやはり食品公害に問題がある、環境に問題がある。したがって、お話をするよりも、やはり現地を見てもらうことが一番大切だろうと思うのです。賢明な委員長は、理事会等でお諮りをいただきまして、一度環境庁なり委員会で現地を御視察いただいて、目で見て実態把握をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  55. 吹田愰

    吹田委員長 また理事諸君と御協議をすることで御了解いただきたいと思います。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 善処方をお願いしておきたいと思います。  長官、研究も継続的に行うというふうに考えてよろしゅうございますか。
  57. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今おっしゃるとおりで、懸念はあくまで継続的に医学的知見を得るように努めなければならないと考えます。環境庁はそういうふうにしたいと思います。
  58. 野坂浩賢

    野坂委員 もう時間が余りありませんから多くを申し上げませんが、私の住まいをしておりますところに――今農水大臣は、外の問題では牛肉、オレンジの問題が一番頭が痛い、国内問題では中海・宍道湖の淡水化問題が頭が痛い、こういうふうにおっしゃっておるわけでありまして、非常に干拓、淡水化をめぐっていろいろな動きがあるわけであります。  その干拓の一面に、水鳥が参りまして生息をしておるという彦名干拓地区があります。これにつきましては、アメリカのコハクチョウも参りますし、ソ連のハクチョウも参っておりますし、カルガモその他の水鳥がたくさん集まっておるわけであります。御承知のようにハクチョウというのは、遠浅になりまして、大体首を突っ込むところは七十センチから七十三センチぐらいの遠浅でなければならぬ。いろいろな動きがありますが、あの中海というところは全部が保護地区、禁猟区になっておるわけであります。冬になってやってくるわけでありますが、この水鳥問題について自然そのものでやっていく。干拓と水鳥という関係が非常に深いわけでありますから、自然のままで残すのか干拓を進めるのかというところに一番の焦点が向けられるわけでございますけれども環境庁としては何回か歴代の環境庁長官も御視察いただいておるわけでありますが、あの水鳥の状況を見て、水鳥の生息といいますかそういうものをどのように進めていく、あるいは干拓をしたこれからの問題として農畜産物にかかわる問題も出てくるわけでありまして、どのようにすべきとお考えでしょうか。十分質問の趣旨を事前に伝えていない関係もありますが、従来からの問題でありますのでこの際承っておきたい、こういうふうに思います。
  59. 山内豊徳

    ○山内政府委員 先生の御指摘の点は、現在中海全体は国設鳥獣保護区になっておりますが、それをさらに具体的に、こういった鳥の渡来に役立つように彦名地区において、できれば水鳥公園と申しますか、そういったものをつくってはどうかという地元の強い御要望があることを踏まえての御質問だと思います。  私どもは、実は四十九年以来国の鳥獣保護区として中海全体を保護しておりますので、基本的な点では、コハクチョウの渡来の南限に当たるのでございましょうか、そういった意味では日本の自然のハクチョウの渡来地としては保全していると思うのでございますが、さらに今申しましたようにそれに上乗せと申しますか、もっと具体的に水鳥公園をつくってはどうかという声は、何人かの大臣経験の方も現地をごらんいただいて賛成をしておられるところでございます。  ただ、実情は先生も御存じかと思いますが、干拓地の一部をそういった水鳥公園に残すためには、予定されていた農地をそれだけ減らさなければいけないという点もございます。それからもう一つは、これは地元の方の言い分をそのまま伝えるだけで恐縮でございますが、やはり余りにもたくさんの鳥が渡来すると農作物にも被害が出るのではないかという声もございまして、私の立場で正直申しますと、環境庁としてこうすべきだ、ああすべきだとか地元に指示的に言うわけにいかないような状況にあるわけでございます。とはいいますものの、県当局もあるいは地元の米子市当局も、何かそういった声を生かせる道はないかということで、議会での議論を踏まえて調整を続けていらっしゃると聞いておりますので、私どもは先ほど申しましたような意味での、基本的にはできればそういうものがあれば好ましいという立場で何とか調整が果たせるように努力をしたいと考えているのが実情でございます。
  60. 野坂浩賢

    野坂委員 非常に慎重に御答弁をいただいたわけですが、例えば三十町歩干拓面積を減らすということになりますと、あるいは水鳥を生息させるために、渡来させるためにそれを切るということになりますと、農水省の方がそのことでおいでになっておるかどうかわかりませんが、その削った分は余り地元に負担をかけるということは今の地方財政の上から非常に無理だと私は思うのですね。  そういう意味で、やる場合も地元の負担のないままに自然公園だという格好でやり得ることができるかどうか。その辺は環境庁の見解をお聞きしたいし、もし農水省がそのことで言及をしてやる、ニホンザルのことはおいでになっておるだろうと思いますが、そのことでは答弁ができなければ答弁を要求することはできぬだろうと思いますけれども、今の問題は、しなければならぬけれども財政措置という意味では負担のないままにすることができるのかどうか。環境庁としては十分地元の意向も尊重してということでありますから、地元は金を出さないでやるのならということになるだろうと思うのですね。そういう措置ができるものかどうか、環境庁としてお考えの御答弁をいただければ非常にありがたい、こういうふうに思うのです。
  61. 山内豊徳

    ○山内政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、実は問題点はむしろ農地面積が減るということ、それから一般にハクチョウその他がふえることによる農業上の被害というふうに私受けとめておりましたが、あるいは先生今御指摘なさいましたように、実はそこに基本的に地元自治体としての負担の問題のあることについてはちょっと私は不勉強で存じておりませんでした。そのことも含めまして、先ほど申しましたように、やはり何と申しましてもこれは地元での御調整なりお考えをくみ上げなければいかぬ問題でございますので、少し調整をさせていただきたいと思います。  ただ、自然保護関係の団体が言っておられる公園といいますのは、別にそんなにそれ自身お金をかけてつくる公園であるよりも、先生も先ほどおっしゃいましたように干潟の部分をある程度残すというようなことでもできる話だと思いますので、私は率直な感想を申し上げさせていただきますと、余り財政問題ではないんじゃないだろうか、もう少し利害の調整のような面がてこずっているところではないだろうかと理解しておりますので、そのこともあわせて地元の事情をもう少し私自身で調整といいますか調べてみたいと思います。
  62. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が参りましたので、農水省の方はおいでですか。――それでは指定答弁しておりましたけれども、それはニホンザル問題ですから、御答弁はなかなか難しかろうと思いますので、環境庁としてはそれぞれ財政負担の問題あるいは鳥類による被害の問題、そういうことについても十分精査をしていただきまして、地元がどのような傾向を持つかということと、環境庁なり農水省が十分それに対して対応できるかどうか。私たちの今までの質問に対しては、地元の意向でどのようにでもさせてやるというようなことを伺っておるわけですけれども、何分にも被害問題と、そしておっしゃるように私どもはやはり自然的な公園ということの方が望ましいではなかろうかというふうに考えておるわけであります。そういうことを踏まえて指導なり対処、善処をしていただきますように、もしやるとしても地元に財政負担のかからないような方向で御検討いただくように要望して、これで私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。  どうもありがとうございました。
  63. 吹田愰

  64. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私は、今問題になっております瀬戸大橋の騒音問題に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。  四月十日に四国と本州を結びます瀬戸大橋が開通をいたしまして大変喜んでいるわけでございますが、厄介な問題が今起きているわけでございます。いわゆる騒音が予想された以上のものがある、地元の住民の皆さんが大変困惑し、政府に強い善処を求めているわけでございます。  この間、二十一日でございますか、小渕官房長官が高松に参りまして記者会見をしておりまして、この瀬戸大橋の騒音問題について行政サイドでも積極的に対応していきたい、このように述べまして、政府としても解決に向けて前向きに取り組んでいく、こういうふうな決意を表明されたわけでございますが、環境問題の最高責任者でございます環境庁長官は、この瀬戸大橋の騒音問題につきましてどのような御認識を持っていらっしゃるか、まずお聞きしたいと思います。
  65. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 新聞またテレビ等でも見ておりますので、問題点は十分承知しております。本来全然そういうことがなかった村の人たちに新しい事業ができたわけで、そういうことが起きるという感覚もなかっただろうと思いますから、どんな音でも夜になると騒がしくて眠れないという状況は当然起きると思います。だから、これは大変な問題だなというふうに認識をしております。
  66. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 環境庁は、この本四架橋、瀬戸大橋の着手に当たりまして環境アセスメントをしているわけでございますが、事実関係を申し上げますと、昭和五十二年の十一月十九日に本四公団から環境影響評価案が公表されまして、五十三年の三月二十七日、環境庁長官から意見書が提出をされました。この意見書を踏まえまして五十三年の五月四日に本四公団は環境影響評価書を公表しているわけでございます。  そこで、この評価書の中でいわゆる騒音の問題につきましては努力目標として、陸上部は七十五ホン以下、海峡部は八十ホン以下というものが出てきたわけでございますが、残念ながら現時点では達成されていないという状況にあるわけですね。この経過を見ておりますと、環境庁長官意見というものが結果的には無視されたと申しますか達成されていないという格好になっているわけでございまして、環境庁はもうちょっと怒らなければいかぬのじゃないかな、このように思うわけでございますが、その辺の認識はいかがですか。
  67. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今先生御指摘の環境庁からの意見書の中には、たしか努めることというような書き方になっているわけでございますが、これは単に環境庁意見の実現に努めるということだけではなくて、やはりその実現に最大限努力をしていただくというようなことで私ども考えているわけでございますし、公団側におかれてもそういう方向でこれまで努力をしてきていただいているというふうに思ってはおります。ただ、私どもの申し上げた十年後に今先生お話しの五ホン引き下げるという意見につきましてはぜひ実現をしていただくようにこれからも期待したいし、また要望してまいりたいと思います。
  68. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今お話がありましたけれども努力はされたのでしょうね。それは評価してもいいと思うのですが、結果的には努力目標というものが達成できておらないという現実にあるわけでございますので、国会もあしたで終わりまして休会に入るわけでございますが、できればこれは早い機会に環境庁の方から、長官みずからあるいは係の方がいらっしゃるのも結構でございますけれども、一回現地に行って実情というものを調査する、お聞きする必要があるのではないか、このように考えるところでございますが、いかがでございますか。
  69. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  瀬戸大橋におきます騒音等の問題につきましては、私ども地元、県、市あるいは公団等からいろいろ連絡をとりながら情報を得ているところでございます。そういうことで現在、地元におきます協議の状況あるいはこれから公団等が対応します騒音対策の状況といいますのは大体つぶさに承知いたしておるわけでありますので、そういう面で特に問題はないというぐあいに理解いたしております。
  70. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 問題はないというのは東京から見ていると問題はないかもわかりませんけれども、現地では大変な騒ぎだ。本当に大変な怒りといいますか、そういうものが込み上げてくるような状態でございます。その問題はないというのは大変問題があるわけでございまして、私は、環境庁というのはあくまで住民の側に立つ環境庁であってもらいたい、こういう認識から、長官並びに関係の方々が何とか住民の皆さんの声をお聞きになったりあるいは直接騒音の実態というものを見聞されることを強く望みたいと思いますが、いかがですか。
  71. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 表現が適切でなくて申しわけございません。問題がないと言いました意味は、私どもとしましては現地からいろいろな情報を聞いておりますので、そういう面で特に私どもがみずから行って現場を見るといいますか、行かなくても状況は全部わかっておりますという意味で、特別調査に行かなければわからないという話ではなくて、そういう意味では私言葉の使い方が悪かったのでございますけれども、十分承知いたしておりますという意味で、先生御指摘のように現地に行かなければならないということではございませんという意味で表現を申し上げたつもりでございます。誤解を招きまして大変失礼いたしました。
  72. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 長官、官房長官のお話というのは、官房長官というのはいわゆる内閣の番頭と言われているわけでございますが、環境の問題を最大限主管いたします環境庁長官といたしましては、具体的な行動を起こして官房長官の発言を裏づけていく必要があるのではないか、政府はこの騒音問題については積極的に取り組んでいるのである、この姿を見せるべきではないかと私は思うのです。いかがですか。
  73. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私は、この問題は本来当事者間で速やかに解決する問題だというふうに思います。ただ、私ども努力さえすればそこまで持ってこられるというふうにアセスを行ったわけでございますから、この点については本四公団なりあるいはJRに対して、私どもがさきに行った環境アセスをそのままできるように努力することには懸命にしたいと思っております。
  74. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 運輸省にお聞きしますが、住民の皆さんは具体的にはJRの列車の速度を低下させてもらいたい、あるいは深夜走行を停止させてもらいたい、あるいは移転の補償を行ってもらいたい、あるいは個別に防音対策を講じてもらいたい等の要求を公団あるいはJRにしているようでございますが、運輸省は基本的にどういう対処をしますか。
  75. 羽賀肇

    ○羽賀説明員 先生御指摘のとおり、この問題につきましても、運輸省といたしましても十分真剣に受けとめておるところでございます。ただ、本四連絡橋そのものは、地域の発展のために巨額の投資を行って建設してまいったものでございまして、基本的には施設の持つそれを最大限に発揮するということが原則だろうかと存じます。ただいまのところ、走行します列車は、設計時は大体百二十キロまでは走れるのでございますが、現在は百キロを切る程度で運行されておりまして、この運行自体は特別な運行をしているわけではないというわけでございます。そういう意味で、このような貴重な架橋という施設の使用方をある意味で制約してしまうということは、むしろ問題ではないかというふうに考えておるところでございます。したがいまして、運輸省といたしましては、この騒音対策のために列車のスピードをダウンさせるというようなことは基本的には適切ではないのじゃないかというふうに考えておるところでございます。  そのために、本来の施設による騒音防止対策に最大限の努力をするよう本四連絡橋公団を指導してまいったところでございまして、これまでに実施してまいりました防音壁、レールの両側に防音壁を設置、その内側に吸音材を設置して、あるいはけたになるべく揺れないように制振材を張りつける、こういった施策をやってまいったわけでございますが、こういった施策に加えまして、今後の対策として、橋梁の強度を再検討したところ、鉄げたの下面の遮音板、下に遮音板があるのでございますが、その内側にさらに吸音材を設置するという方法がとれることが判明いたしました。そのためにこの対策を今後実施することとしているところでございます。これによりまして、本四公団が努力目標としております八十ホンが達成できるよう私どもとして期待しているところでございます。  さらに、これによっても八十ホンが残念ながら達成できないような場合を想定した場合にも、やはり基本的にはさらに施設上の対策をあらゆる角度から検討してまいるということで、広く検討する旨、私ども本四公団より聞いておるところでございます。  また一方で、深夜におきます列車運転の中止の要請というものがございますけれども、私ども、列車の持つ使命からしまして中止は不可能としましても、ダイヤ上何らかの修正が可能かどうかさらに検討をJR四国会社において行うというふうに聞いておるところでございます。
  76. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 直ちにやれることと少し時間をかけなければできないことと二つあると思うのですが、今の吸音材の設置ですが、これは時期は明言できますか、いつまでにできるということを。
  77. 羽賀肇

    ○羽賀説明員 ただいま申し上げました今後とる策として、下面に吸音材を張るということでございます。実は、張る材料が非常に新製品というふうに聞いております。そのために入手に若干時間がかかるというふうに聞いております。この場で着手時期はちょっと申し上げられないのでございますが、できるだけ早く着手しまして、やはり施工には何カ月かかかるというふうに本四公団からは聞いておるわけでございます。
  78. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 列車の減速はできないというその事情は私もよく承知をするわけでございますが、きのう、実は私、現地に行ってきたのです。それで回ってきたのですが、岡山と茶屋町の間がいまだに単線になっておりまして、妹尾という駅が間にあるのですが、そこで相手が来るのを随分ゆっくり待っているわけです。この茶屋町と岡山の間が複線になれば、ここの区間を速くすることによって橋の部分の速度を遅くすることができるのではないかと考えるわけですが、この岡山―茶屋町間の複線化を騒音解消のためにももっと急ぐべきではないか、私はこのように考えるわけですが、この計画はありますか。
  79. 羽賀肇

    ○羽賀説明員 ただいま先生から御指摘のJR西日本の宇野線でございますが、そのうちの岡山―茶屋町間は確かに単線でございます。先生おっしゃるとおり、ここが複線化されますれば、本四架橋の環境対策以外にも、いろいろな面で有効活用するという観点からは非常に効果があるものと考えられます。  それで、この区間につきましては、実はここの架橋が開業するときに、複線はできませんでしたけれども、各構内の分岐器、ポイントを新しいもの、性能のいいものにかえまして、この区間でスピードアップを図れるようにやったわけでございます。しかしながら、岡山―茶屋町間約十五キロございますけれども、この複線化工事になりますと、岡山駅の構内改良工事、これは非常に大変でございますし、全体として相当な投資規模になると想定されます。これからこういった鉄道施設の設備投資につきましては、輸送需要の動向とか投資採算性等を十分勘案した上で、基本的に各JR会社の経営判断によって行われるべきと考えておりますけれども、この投資規模がかなり大きいということもございまして、JR西日本としては、現在のところではまだ複線化の計画は持っていないというふうに聞いておるところでございます。
  80. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 あの橋ができまして、上の道路の方は希望する台数よりも若干少な目のようでございます。一日二万台希望して一万台ぐらいしか走らないようですが、JRの方は大変好調でございまして、乗車率が大体一三〇%、多いのでは一八〇%、船の時代から比べると輸送量は三倍にふえているようでございます。ですから、これは採算性というのは十分に補えるのではないか。今までどおり輸送量が少ないときのままの状態で単線がありますと、今後非常に問題が起こってくるのではないか。本数もふえておりますし、運ぶ人の数もふえているわけですから、強力にここの部分の複線化を進めていかないと重大な事故の起こる危険性もある、このように認識するわけでございまして、早急にこの複線化の検討をする、そして早く複線化の時期が明示できるように努力してもらいたい、このように思いますが、運輸省、いかがですか。
  81. 羽賀肇

    ○羽賀説明員 やはりJR会社としましてもまだ発足したばかりでございまして、これだけの大きな投資をする決断がつかない点があるかと思います。ただ、先生おっしゃるとおり、将来に向けてはかなり重要な線区だということは十分認識しております。
  82. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間が参りましたのでこれで終了いたしますが、ぜひこの茶屋町―岡山間の複線化の問題、騒音問題と絡めまして、閣議の席でも長官に発言をいただければ大変に幸甚に思います。希望だけ申し上げまして、質問を終了します。
  83. 吹田愰

  84. 斉藤節

    斉藤(節)委員 私は、今まで同僚委員などがやっておりました質問の総括みたいな話を最初させていただきます。  まず、私はかねてから我が国の環境行政について考えてきたのでありますが、このことについて申し上げ、御所見をいただければと存ずる次第でございます。  それは、私なりの解釈を申し上げますならば、長官と環境庁の次官を初めとするスタッフの方々と、委員長を中心とする事務、調査室の方々を含む本委員会のメンバー、これだけの陣容で我が国の自然を保護していくということでありますが、もちろん、厚生省、通産省、建設省その他関係省庁においても、また地方自治体においても、環境保全のための行政を行う部局、また対策を行う部局はあるわけであります。しかし、何と申しましてもさきに述べました陣容が我が国の環境行政の衝に当たっていることは間違いないと思うわけでございます。それゆえに、私は、政策決定に当たっては慎重の上にも慎重を期した審議を尽くさねばならないと思うわけであります。  もちろん、申すまでもなく、このようなことはどこの省庁でも同じことでありますが、またどこの委員会でも同じことでありますが、私は特にこのように申し上げますのは、政策の決定いかんによっては、将来の子々孫々から大変な恨みを買うことになるのは私たちじゃないかと思うからであります。それゆえ、私たちは未来の人々の利益代表でありまして、目先の利益代表ではないということに徹すべきではないかと思うわけでございます。  一万分の一度の違いでも、宇宙的距離になりますと大変な方向の違いになるように、政策におきましても、一万分の一度の政策決定の違いが将来においてどれほどの違いを生ずるか、はかり知れないのであります。  もし将来、現在の私たちが想像できないほどに我が国の環境が、否、地球環境が悪化していたとすれば、未来の人々は、あの当時の環境委員会がしっかりやっていてくれたなら今日このような環境にはなっていなかったはずだ、そのように言って、当時の私たちを恨み、また悲しむのじゃないかな、そんなように思うわけでございます。それゆえ、環境行政は他の行政とは異なると思うわけでございます。したがいまして、私たちは党派に偏することなく、またある種の利益団体の代弁をすることなく、客観的に審議をすべきであると思うわけでございます。そのためには、現時点で個人があるいは社会が保有している知識や経験、それに最新の科学的データを結集して、将来的に最善であると予測、評価される政策を選択していかなければならないと思うわけでございます。  しかし、このような選択を行う場合にも使う情報には多分に不確実な要素を含んでいるのでありますから、パーフェクト選択とは言えないわけであります。ある政策決定を行う場合、あらかじめ、その政策実施したと仮定して得られるプラス面とマイナス面を点数化いたしまして、その総合計点が一番高い場合の政策を選択すべきであると思うわけであります。もちろん、その場合のプラス面とマイナス面の情報を選択する場合に、恣意的な配慮があってはならないということは申すまでもないことであります。例えば、そのときの経済、政治情勢などの都合のいい情報の選択であってはならないのであります。このように政策の意思決定を行う場合、用いる情報の選択が難しいことと同時に、使った情報自身にも、さきに述べましたように不確実性を含んでおりますので、それをどれだけカバーしていけるかということにも問題があるわけであります。そのためにはプラス面とマイナス面の得点予測をできるだけ系統的に、いわゆるシステマチックに行った上で合理的な政策を実行していくべきだと思うのであります。このような合理的な政策を実行するための手段としてアメリカなどでは、既に、コスト・アンド・ベネフィット・アナリシス、いわゆる費用と便益の分析が行われているわけであります。また、リスクアセスメント、こういった手法が行われているわけでありますけれども、このことは大変重要なことであると私は思っているわけであります。  ここにいい例としてバチルス・チューリンゲンシスという生物農薬があるわけですが、これはことしの五月十五日の新聞でありますけれども、「生物農薬から下痢毒素」ということで、これは、農水省がいわゆる生物農薬として青虫とかその他いろいろの、白菜あるいはキャベツなどにつく虫を殺す、そういう農薬でありますけれども、実は同じ菌を、厚生省では食中毒菌として指定しているのですね。農水省と厚生省、同じ国でありながら政策が全く反対である。これはとりもなおさずリスクアセスメントが十分行われてなかったからだと私は思うわけであります。特に先ほど、当時の経済あるいは政治に、そういった状況に支配されることなく、恣意的なそういうデータをとってはならぬと私は申し上げましたけれども、これは明らかに農水省は、欧米では安全だ、だからいいのじゃないかと強く主張したのですね。それに対して厚生省は、余り好ましい状況じゃないということを表明しているわけです。と言いながら押し切られてしまった格好で、これが生物農薬として使われている。それが結局、下痢毒素をつくり出す菌だったということがわかって今非常に問題になっているわけでありますけれども、このように、リスクアセスメントをしっかりやっておけばこういったような問題は起こらないというふうに私は思うわけでございます。  また、オゾン問題について申し上げますと、このたびのオゾン層破壊物質として問題になりましたフロンとかハロン、こういったようなものについては、いち早くアメリカにおいて使用削減あるいは禁止という措置をとり、また国際的にも条約とか議定書といったような形で締結することになったわけでありますけれども、それは、リスクアセスメントなどの手法により、将来オゾン層破壊によってこうむる地球的な規模における環境への影響を予測したためであったわけであります。すなわち、現在それを防ぐために費やす経済的負担よりも、対策を講じないために起こると予測される地球環境破壊から受ける損害の方がはるかに比較にならないほど巨額である、そういう予測から、このたびこのような措置がとられて、先日の商工委員会でも法案が通ったわけでありますけれども、このようにいわゆるリスクアセスメントがしっかりしておればこういう政策をしっかり決めていけるわけであります。  これと同じようなことを、乾電池、これについてリスクアセスメント手法を導入して将来安全政策をとるべきではないかということをここで問題にしたいわけでございます。  乾電池の場合、フロンの場合と非常に異なりますのは、幸か不幸か、私は不幸の方が大きいと思うのでありますけれども、土壌汚染とか水質汚濁または汚染については、その性格上、大体その国自体の問題である場合がほとんどでありまして、国際的問題になりにくいものだと私は思うわけであります。ヨーロッパの国々の場合のように陸続きの国境を持っているようなそういうところは二国間問題あるいは三国間問題ぐらいになるかもしれませんけれども、大きな国際問題にまで発展するという問題ではないと思うわけでございます。でありますから、フロンのように国際条約とか議定書などというところまで発展しないものであろうと私は思うわけであります。  それでなくても我が国の行政は、諸外国で十分問題になってからでないと実行に移されないなどの慎重を期していくという姿勢であるとも言われておりますとおり、我が国独自の問題ともなれば外圧もないことでありますからなおさら動きにくいのが現実じゃなかろうかと思うわけでございます。  しかし、私は、ここで強調しておきたいのは、リスクアセスメントがしっかり確立されていたならば、水俣病あるいは四日市ぜんそく、イタイイタイ病問題などのように多くの痛ましい人命と巨額の経済的負担をしないで済んだのではないか、そういうふうに思うわけであります。すなわち、コスト・アンド・ベネフィット・アナリシスがしっかり行われていれば、工場排水あるいは鉱山廃棄物あるいは工場排煙などの処理を十分に行われたと思うのであります。もちろん、当時としては、そのような予測を与え得る十分な科学的データが不足していたと言えるでありましょう。しかし、私は、これらの歴史的事実を踏まえて今後の問題に対処すべきであることを強調しているのであります。  ここで私は、国際的反面教師とも言えるような状態になりましたものを例として挙げますと、一つは、先ほど申し上げました水俣湾の有機水銀汚染、水俣病でございます。二つ目は、四日市石油コンビナートによる大気汚染、ぜんそくであります。それから、富山県神通川流域のカドミウム鉱毒、いわゆるイタイイタイ病であります。それから四番目は、アメリカ、カリフォルニア州シリコンバレーにおけるハロゲン化炭化水素による地下水の汚染。それから五番目は、アメリカのスリーマイルアイランドで起きました原発事故でございます。これは加圧式の原子炉でございます。それから六番目は、ソ連のチェルノブイリ原発事故、これは黒鉛炉であります。黒鉛炉というのは、アメリカの炉とソ連の炉は全然性質が違います。やり方も違うわけであります。ですからここで挙げたわけでありますが、こういったようなものはほかにもまだあると思いますけれども、これらの事件が、我が国を初め諸外国においても、その轍を踏まないようにということで、現在、対策を十分講じようといった動きがあるというわけであります。  このようなことをいろいろ私は申し上げましたけれども、この次の質問に入る前に大臣にここで、私のこういった意見に対してどのような御所見を持たれておるのか。また、我が国においても、先ほどいろいろ、同僚委員野坂委員からニホンザルの問題も出ました。あれもリスクアセスメントをしっかりやっておれば問題がなかったし、それから、今同僚委員遠藤委員から話がありました騒音の問題も、しっかりとコストとベネフィットの分析をやっておけば、このぐらいの費用をかけても十分便益はあるんだというようなことがわかればよかったわけでありますけれども、あんな問題が今起きているということでございますが、そういったリスクアセスメントを今後我が国としてしっかり確立すべきであるという私の主張でありますけれども、それに対しましての御所見、それから、もしおやりになるのでありましたら、どのような手順でおやりになろうとされるのか、その辺などもお聞きしたいと思いまして、御所見を賜りたいのであります。
  85. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今、先生お話を聞いていると、非常に専門的でもありますし、環境庁長官の所見をそのまま教えていただいておるような感じで聞いておりました。まさに御指摘のとおりでございます。私どもは、科学的知見、医学的知見に基づいて政策を決定をしなければならないと考えておりますし、もちろん、懸念が出た場合には速やかにそれの対応をしていかなければならないと考えております。  ただ、今先生のお触れにならなかった問題で一つの懸念は、人口問題という問題があるんじゃないか。ちょうど今戊辰の年だと言われておりますけれども、百二十年前、我が国の人口が三千万であった、これが百二十年の間に一億二千万以上になったという問題に対する今後起きる環境懸念というもの、世界人口が昨年五十億を突破したという、かつて我々地球人として、あるいは日本人として経験のしていない環境になっておるわけでございますから、そういう意味らいうと、自然環境と人類の人口問題とに当然大きな問題が起きつつあるんじゃないかなというようなことを、懸念の一つに私は考えておるのでございます。  今おっしゃるいろいろな問題は、全く同じ考えに立っておりますので、どうか今後よろしく御指導をいただきたいと思います。
  86. 斉藤節

    斉藤(節)委員 では、具体的な問題に入らせていただきますけれども、先ほども申し上げましたように、乾電池問題でございます。  まず最初の質問でありますけれども厚生省昭和六十年七月二十四日付で各都道府県に対し、「処理が困難な廃棄物対策について」と題しまして、乾電池についての安全宣言とも言える通達を出されたわけでございます。ここに資料がありますが、これをいろいろ読ませていただいたわけでありますけれども、これはどのような科学的根拠に基づいて安全であるという宣言をされたのか、既にいろいろ御答弁されておると思いますけれども、改めてまたここでお伺い申し上げたいと思うわけでございます。
  87. 藤原正弘

    藤原説明員 使用済みの乾電池対策につきましては、生活環境審議会の廃棄物処理部会適正処理専門委員会の報告が昭和六十年七月に出ておりますが、この報告をもとに、厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長名で各都道府県一般廃棄物処理行政担当部局長あてに、昭和六十年七月二十四日付で通知をしているところでございます。  この専門委員会報告では、一般廃棄物中に含有される使用済み乾電池は、他のごみと合わせて処理しても、生活環境保全上特に問題となる状況にはないとしております。  この専門委員会報告の根拠でございますが、廃棄物処理施設周辺等の水銀にかかわる大気の実態、それから水質の状況、土壌環境の状況、こういう実態把握を行いまして、その結果を、大気につきましてはWHOのガイドライン値、これは十五マイクログラム・パー・立方メーターということになっておりますが、このガイドライン値、それから水質につきましては、水質環境基準値、これは〇・〇〇〇五ミリグラム・パー・リッターということになっておりますが、この値を評価基準として評価したわけでございます。土壌につきましてはこういうふうな基準は定められていないわけでありますが、自然環境における値をもとにいたしまして評価したわけであります。そういう評価をしてきました結果、問題がないレベルであったというようなことでありまして、以上のようなことから、前述のような結論を専門委員会は出しておるということでございます。  しかしながら、専門委員会報告でも指摘しておりますけれども、より快適かつ安全な生活環境を求める社会的ニーズの高まりに対応するため、関係者の講ずべき措置としまして幾つか指摘しておりますが、一つは、乾電池中の水銀含有量の低減化等の推進であります。それから、使用済みアルカリ乾電池等の広域的な回収・処理の実施、水銀等の排出に関するモニタリングの強化、こういうことを指摘いたしております。  これらの措置につきましては、既に関係方面で努力がなされておりまして、実効が上がってきておるところでございます。こういう措置を今後とも進めてまいりたい、このように考えております。
  88. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今の御答弁では、安全面から大丈夫だということでの御措置のように思われるわけでありますけれども、確かに、現時点においてはそういうデータしかないのかもしれません。  現在我が国が使用しております乾電池の数でありますけれども、これは膨大な数でございまして、そういったものがいわゆる一般ごみと同じように処理した場合、処理場に集まったものはそれでいいとしましても、一般のところで土壌中にもぐり込んだようなものなどは、長い長い年月にどのような挙動をするかわからぬと思うわけであります。  乾電池というのは、申すまでもなくいわゆる水銀だけではなくてマンガンもありますし、それから亜鉛もあるわけでございます。マンガンも、十分これは今までの例からいろいろ鉱毒として病気になっているという問題もありますし、亜鉛もこれは人体になくてはならない元素でありますけれども、しかし、過剰にとったのでは中毒を起こすわけでありまして、やはりもし大変な量の乾電池が日本国じゅうにばらまかれたとしますと、これがやがて大変な問題になるだろう、そんなふうに思うわけでございます。そういう点で、やはりここで、先ほども最初に述べましたようないわゆる費用と便益分析ですね、これを行う必要があるのじゃないかと私は思うわけでございます。今ここで全部回収して処理することの費用と、それから、一般ごみと同じに全部処理して土壌中にまいてしまってもいい、将来において日本じゅうがこういう重金属に汚染されても大した問題じゃないのだという、そういうリスクといいますか危険性、そういったものとを勘案しまして、どちらが今現在とるべき政策かということを決めるべきじゃないかと思うのですが、その辺いかがですか。
  89. 藤原正弘

    藤原説明員 先生の御質問に的確にお答えできるかどうかわかりませんが、私どもでとっております施策は、先ほども答弁いたしましたように、乾電池の処理につきましては一般の廃棄物と一緒に処理をいたしましても特段問題はないというふうな結論が得られておりますので、したがいまして、リスクという点ではそういう問題がないということであります。  しかしながら、先ほども答弁いたしましたように、なお快適でかつ安全な生活環境方向に持っていかなければいけないということは先生御指摘のとおりでございまして、そのために幾つかの施策を並行して実施いたしておるわけであります。一つは、乾電池中の水銀含有量の低減化であります。これは乾電池の製造メーカーの方が主体でやっていただいておるわけでございますが、昭和六十二年九月に当初のレベルよりは六分の一のレベルにまでアルカリ乾電池中の水銀含有量を落としたというふうなことでありまして、そういう対策が実施されておりますし、もう一方では、分別して乾電池を集め、そして、それを適切な場所で処理をするといういわゆる広域的な乾電池の処理の体制、こういうのを厚生省で進めておりまして、その施策も進んでおるということでございます。いずれにしましても、そういういろいろな方策を並行的に実施して、この問題につきましては問題のないように対処していきたい、こういうように考えておるわけであります。
  90. 斉藤節

    斉藤(節)委員 今御答弁ありましたように、アルカリ電池の方は確かに六分の一に水銀量が減りました。減っていますけれども、まだその影響は、この六十三年の後半からでないとそういった商品が出回ってこないということで、いまだに古い電池が使われているわけであります。それから、六分の一に減ったのは、今申しましたようにアルカリ電池でありますけれども、しかし、マンガン電池にもかなりの水銀を使っているわけです。亜鉛と反応物質との間に水銀メッキをしているわけですね。そうすると長もちするわけでありますから、マンガン電池にもかなりの水銀量が使われております。実際に、通産省からもらったデータでありますけれども、マンガン乾電池には六十一年は二・二六トンの水銀を使っているのですね。これは国内流通分だけです。それから、六十二年は二・九五トンで、約三トンの水銀が使われておる。しかも、この電池は十五億本とか十五億八千万本とか、マンガン乾電池だけでもそのぐらいの大変な量のものであるわけです。そういうことから考えまして、こういったものはアルカリ電池はもちろん水銀量が減っても、こちらの方は減っていないわけでありますから、しかも需要が非常に伸びているということから、大変問題になると私は思うわけでございます。  そこで、時間もなくなりましたので環境庁さんの方に御質問申し上げますけれども、このように一般ごみと同じように処理してもいいということになったわけでありますが、例えば先日、本委員会で視察いたしました夢の島でありますけれども東京都の中央防波堤埋立処分場におけるごみ排水処理場に入ってくる処理原水、いわゆる浸出水というものであります。これを分析していただければ、いわゆる堆積されたごみの中における乾電池の腐食あるいは浸出、そういったいわゆる化学的反応、いろいろなものがありますけれども、そういったところから出てくる反応の状況がわかるのじゃないかなと私は思うわけでございます。そういうことで私は東京都の方に問い合わせましたところ、この原水は直接処理場に入って、そして沈殿法でもって処理して、下水道に流しても危なくないような状況でこれを下水処理場の方に流しているので、一次処理しているから安全なものとしてやっているけれども、その原水は分析してないんだというのですね。  そこで、私は環境庁さんにお願いでありますけれども、これをぜひ一度分析していただいて、このいわゆる浸出水、この原水の中における重金属のイオンがどうなっておるのか、その辺をやっていただきたいということと、それから、やはりこのような乾電池処理をしていいということになったわけでありますから、いわゆる土壌中あるいは河川水中のこういう重金属イオンの濃度をもっと厳しくここでチェックしていっていただきたい。これはお願いでありますけれども、私はぜひそれをやっていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  91. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  廃棄物処理場から出る水につきましても、私たち、環境へ水が出る限りは排水基準をクリアしてなければならないという規制をかけておりますので、今御指摘ございました中央防波堤の外側の処分場、この間視察していただいたわけでございますけれども、そこから出る水につきましてもそれは守られておるわけでございます。先生おっしゃいますのは、その水が処理場へ行く前にもう一遍見ておかなければならないじゃないか、こういう……
  92. 斉藤節

    斉藤(節)委員 ちょっと質問意味が違います。中断して申しわけないですけれども、そうじゃなくて、そういう第一次水の浸出水を分析することによってその中での状況がわかるから、一般ごみと同じようにどこかいろいろなところで埋められているわけですから、その挙動がこれをチェックすることによってわかるのじゃないでしょうかということなんです。ですから、こっちをやってみていただけないですかということです。
  93. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 わかりました。  そういうことで規制はされておるわけでございます。ただ、先生の御指摘をちょっと取り違えましたが、その中での水も調べることは、そこに入っておりますいろいろな有機物質、重金属等がどのような挙動をしておるかということを調べて、それは最終の処分に当たります基準を考えるような場合に非常に有意義なことだというようにも私たちは考えております。そのようなことで私たち、最終の処分を考えます場合にも、関係省庁らいろいろ御連絡をとってできる限りそのような知見も活用させていただきたいというように思っております。  それから第二点でございますけれども、先ほど申しましたようにモニタリングをやって、水銀につきましてもいつも公共用水域の調査をやっております。事が水銀というようなことでございますので、今後ともこのモニタリングにつきましては精度を上げる等十分に対応できるようなことに努めまして、環境汚染の未然防止には万全を期してまいりたいというように考えておる次第でございます。  どうも失礼いたしました。
  94. 斉藤節

    斉藤(節)委員 時間になりましたので、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  95. 吹田愰

    吹田委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ────◇─────     午後一時二十九分開議
  96. 吹田愰

    吹田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。滝沢幸助君。
  97. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。大臣、御苦労さまです。  いよいよこの国会もあしたで終了ということでありますが、最後の質問ということだろうと存じまして、環境庁長官には環境問題だけではなくていわば日本政治の全般という次元に立って、しかも総理大臣の総理大臣だというような襟度を持って大答弁を、大答弁などという言葉は余りありませんな、ひとつお願いしたいと存じます。  実は、午前中もるると東京湾の埋立工事の話、一極集中排除の話がございましたが、大体よく長官がおっしゃる人類的課題としての、宇宙的規模としての環境問題というふうにこれを理解しまするときに、私はこれは一省庁ないしはまた一政府立場に立って物を考えることでは解決しないことというふうに思うわけでありまして、願わくはひとつ長官には、いろいろ行政組織上の制約もありましょうし、何といっても長い明治政府以来のしきたりによりましてやりにくい点は多々あるでありましょうが、先ほど私が申し上げました、かねがねまた長官がおっしゃっているとおり、全人類的規模ないしは宇宙的立場に立っての大きな次元で関係省庁を鞭撻して、我々が二十世紀の終末におきましてそれこそアダム、イブ以来の受け継いできました文化の礎を失うということのないようにお願いをしたい。先ほど申し上げましたわけでありますが、総理大臣以上の襟度を持って、この日本こそが全世界の、また全人類の自然を守るんだという御決意をひとつ御披瀝を願いたいと思います。
  98. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 滝沢先生、もう人生の達人でございますからとても足元まで及びませんけれども、しかし、今世界的に見ても昨年度五十億を突破したというような歴史的な人類の増加事態になっております。我が国においても例外ではありません。ただ、私たちの国から見ると非常に幸いしているなと思うのは、可住地面積が我が国の中で二一・数%しかないわけで、あとは使えない山とかそういうところでございますので、例えばドイツと比較しても、ドイツは可住地面積が六四%だ、あと三六%を森林を大切に残そうと一生懸命にしておる、その半分まで酸性雨で枯れておるというような現況と比較しますと、まことに我が国においては自然環境に恵まれたところだ、せっかくこうして恵まれたんだからより大切にして長くこの自然環境を子孫に残していかなければならないという思いでいっぱいでございます。むしろ、環境白書も出しましたけれども、地球環境規模という面から見ると私たちの責務というのはもっと大きいんじゃないか。だから、そういう意味において全地球の人類を守っていくという見地に相当な役割を果たす立場におるというような考えで今後進めていきたいと考えております。
  99. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 まことに御見識、またその御努力に敬意を表し、御苦労さまであると申し上げます。  ところで、吉田絃二郎の本なんというのを読んだのは、やはり一口に古い、こう言われる年でありますが、お互いにそういう青年時代を持ったと思いますが、私は国会図書館から借りてきまして盛んに最近読んでおりましたら、たびたび出てきますのが、西洋の詩人が言ったというんでありますな。神は農村をつくり、農村だったか村落だったか知りませんけれども、悪魔が都会をつくったというんだそうであります。そうしますると、今日の文化はまさに悪魔がつくった都会で悪魔のしわざをいわば競っているということであります。そこへいきますと、実は今おっしゃいましたように日本というのはこの狭い国土に一億数千万の人々がひしめき合っているんでありますが、しかし一面からいうとおっしゃるようにまだまだ自然が残っている率は案外多いということであります。ところが、その日本の中で我が東北地方は、白河以北一山三文。原敬がそれを逆にもじって一山と申したそうでありますけれども、一山三文。今、少し物価指数も上がっておりますから三文ではないと思いますが、それにしましても、ある人に言わせればこれは熊襲の子孫だ、いや熊襲ではなくて夷だとかいろいろと言っておりますが、しかし、日本人であることは間違いありません。  ところが私の会津なんというのは、その一山三文のまたこれは十山三文、富山県に別にけちをつけているわけではありませんが、十山三文なんですね。ところが、そこの中で実はフレッシュリゾート構想というものをやろう、そして自然を大いに生かしながらそこで人々が幸せに暮らせる、お客さんもお迎えできるということをしようというわけでありまして、関係省庁に対して近々中に実施構想を提出をする、そして関係省庁の協議を急いでいただきまして六月の認可を見込んで頑張っているというのが会津各市町村の構えであり、また福島県の計画なのであります。  そこで、いろいろと承りますと、この構想の中に国立公園磐梯朝日というものが入っておりまして、これが環境庁の直接の所管としての審査を受けるということだそうでありますが、このことについての経過、そして将来への見通しというようなもの、これはあの方部の出身の議員が政党政派を超えて関心を持っているところでありまして、きょうは国土庁からも見えていただいておりますが、両省庁からひとつその間の消息を承りたい、こう思います。
  100. 吉原孝司

    ○吉原説明員 福島県のリゾート構想は、今も先生の方からのお話にもございましたように、会津フレッシュリゾート構想、こういう名称で呼ばれております。簡単に概要を御報告をさせていただきますと、面積が十七万八千ヘクタールということであります。会津若松それから田島町、あるいは郡山の一部も含めまして二市五町一村という対象市町村を対象に裏磐梯のデコ平というような地区を含めて九の重点整備地区を設定するというような地域構成になっております。  この特色といたしましては、主な事業主体として当然のことながら大手の民間会社も参加をいたしておるわけでございますが、同時に地元の市町村と民間会社が共同で第三セクターをつくるというような格好の事業主体が多数出ているという意味で特色があろうかと思います。  それからもう一つ構想の特徴としましては、当然のことながらこの地域は山岳高原型の地域でございまして、そういう地形利用しての一大スキーリゾートをつくりたいということが基本的なコンセプトになっておりますが、同時に、猪苗代湖の周辺を使いましてレークサイドリゾートというようなものも組み合わせましてオールシーズン型のリゾートをつくりたいというようなことで取り組んでいるものであります。  私ども、そういう構想につきまして、これまで県と関係省庁との間で構想の考え方でありますとかあるいは構想の熟度につきまして検討を重ねてまいりました。後ほど自然環境の自然公園との関係環境庁の方からお答えがあろうかと存じますが、そういう中でことしの三月に内容的にはおおむね妥当であるというような六省庁判断に達しまして、県の方にこれをベースに基本構想の作成に入っていただいて結構でございますというようなことを申したわけであります。それを受けまして現在、県では基本構想の作成を進めておりまして、文字どおりこれからは法律手続になるわけでありますが、いわゆるリゾート法に基づきます基本構想の承認申請手続が近くあるというように思っております。
  101. 山内豊徳

    ○山内政府委員 今国土庁の方からお話ございましたように、まだ私ども関係省庁としての環境庁には公式の御協議をいただいた段階ではございませんが、実は今お話がありましたような内容につきまして特に福島県の国立公園、自然公園担当部局の方から実情をある程度聞いておりまして、九つと言われました重点整備地区の中の一つにつきましては、現に国立公園の区域内に特定施設をつくるという内容でございますから、どうしても今までの公園計画には含まれていない施設になるものですから、現在国立公園の計画の変更のための手続を準備しております。と申しますのも、この磐梯朝日国立公園はちょうど四年前、五十九年度に全体的な点検を行ったのでございますが、そろそろこのあたりにつきましても、最近の諸事情を勘案して点検をしなければならないという時期でもございましたから、全体の公園計画の見直しもあわせて、今資料その他を県当局からもいただいておるところでございます。できますれば公園計画上の手続につきましては六月の早い時期にでもある程度結論が出せるようにと思っておりますが、実はこれは国立公園との問題だけではなくて、こうした大規模なリゾート構想につきましては、例えば水質保全上問題はないだろうかとか、あるいは交通上の問題はないかという点についても幅広い環境庁としての御意見も差し上げなければいかぬ点もあろうかと思いますので、今私は主として国立公園との関係におけることを申し上げましたが、なおそれを含めまして環境庁としての御意見を、公式の御協議をいただき次第お返事を申し上げるという段階になっておるところでございます。
  102. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 御苦労さまです。今月中にも正式ないわば承認申請の書類を提出する運びであるというふうに聞いておりますが、そういうことですか。これは国土庁の方。
  103. 吉原孝司

    ○吉原説明員 今の手続の進行状況を見ますと、特段の事情がなければ今週中には基本構想の承認申請があるというように思っております。
  104. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 今週中にも申請があったとするならば、それがいわば国土庁から関係省庁に、したがって公園という立場にとっては環境庁にという、合議というのでしょうか協議というのでしょうか、ございましょう。そうしたときにことしの五月、六月中に自然環境保全審議会の中の自然公園部会が開かれるというのでありますが、しかし一つ会議を招集するのには事務手続としても十日や一週間要するであろうと思うし、これが開催された日に許可が出るというわけにもいかぬでありましょうが、結論的に、事務作業的にも逆算してみたときに、六月中の許可というものは可能であるか、それは可能として地元が期待していいかどうかということでありますが、いかがなものでございましょうか。
  105. 吉原孝司

    ○吉原説明員 ただいまも御答弁申し上げましたように、私ども特に手続上大きな支障さえ出なければ何とか今週中にでも基本構想の正式な承認申請があるというように申し上げたわけでありますが、とは申しましても現にまだないわけでございますし、それから現に出てきた後におきましても、今環境庁の方からも御答弁ございましたが、環境庁を初め多数の関係行政機関の長と協議をするということが法律上の義務事項になっておるわけでございます。今環境庁の御答弁がありましたように、環境庁の中におきましてもいろいろな観点から検討を要するというようにお答えになりましたとおり、他の省庁におきましてもいろいろな観点から御検討いただけるものと思います。特にこのリゾート関係基本構想承認につきましては、御承知のとおり今回が初めてのケースでございまして、そういう意味では私ども予期しないいろいろな問題も起こるやもしれないわけでございまして、そういう意味で時期的にいつごろができるかということは大変申しにくい状況にございます。ただ、基本的な姿勢といたしましては、当然のことでございますが、関係行政機関の御理解と御協力を得て、一日でも早く承認をできるように努力をしたいと思っております。
  106. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 環境庁の自然保護局長さん、つまり場合によっては六月中に審議会が開けないということもあるものか。しかし、七月にずれ込むということは、このリゾート構想のためにそういうことがあり得るのか。つまりは、この審議会は時期的に五、六月に開くべくして開くことであるか、あるいはそういうお客さんが見えるならばお客さんが見えられるまでお待ちするという性質なものか。つまりは、このことだけでなくてたくさん議案を抱えておるならば、ある議案がおくれても開かれるということがありましょうし、その辺の平仄はいかがですか。
  107. 山内豊徳

    ○山内政府委員 御指摘のように、実は自然環境保全審議会の関係部会は年二回程度開くことが慣例になっておりまして、通例でございますと六月中旬には大体今年度の一回目を開くつもりで我々はいろいろな準備をしてきたところでございます。その案件としましては、実はリゾート法にかかわる案件だけでなくて、ほかの案件もございまして、そちらの方は私ども一応大体六月中に審議会が開かれても審議をお願いできる材料は調ったつもりでおりますし、それからまた今お話のございました福島県下の公園計画の変更につきましても、おおむね現時点で県からいただいた資料で審議会に御相談できる状況になっております。  ただ、これは実はこの席で申し上げさせていただきたいのは、私どもそういった公園計画の変更で審議会を開きますときにも、従来からのいろいろなお約束で、別の意味関係省庁に私どもが御相談をして審議会に諮るというルールもございます。実はそちらの御協議が、率直に申し上げますと、まだきょう現在完全にクリアされておりません。ただ、いずれにしましても、今先生が六月中の開催が無理で七月になるかというようなことも含めて御懸念のようでございますが、私どもの今の判断としては、これは正式にリゾートの協議をいただいた上で、そこに我々が予期しない内容があったりしては困るのでございますが、そうでもない限り六月中旬までには審議会を開けるという見通しを私ども持っております。ただそれは、くどいようでございますが、公園法上の問題はそれで仮に基本的な了解を得られたとしても、ほかの県での環境影響上の御意見などについてなお調整を要することもございますので、私は端的に、自然環境保全審議会の公園部会の開催については、遅くとも六月中旬には開けるように大体見通しを持っているということをこの席で申し上げさせていただきたいと思います。
  108. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 審議会が終わりまして、さらに事務的な処理の時間が常識としては必要だというふうに思うのでありますが、環境庁の方がこの自然環境保全審議会でオーケーということになりましたときに、全体の関係省庁とのすべての議が終わって、一つの許可、裁定といいますか決裁といいますかが得られるまでには通常どの程度の時間を要するでありましょうか。これは国土庁さん。
  109. 吉原孝司

    ○吉原説明員 先ほども申し上げましたけれども、実は初めてのケースでございまして、大体これくらいあればいけるだろうというような目安を実はまだ持っておるわけではございません。関係省庁に協議をいたしまして、いずれも異議なしという御回答をいただいた後、正式に承認のための決裁を起こすわけでございます。決裁をとりますと、当然大臣まで決裁をいただくわけでございまして、そのときの御都合で一日二日延びることも当然ありますでしょうし、そういう意味でこれまでテクノなんかの手続に照らしましても結構時間がかかっているのが状況でございますので、やはり二週間ぐらいはかかる予定をしなければいけないのではないかと思っております。
  110. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そうしますと、細かいのでありますが、中旬、仮に十五日に審議会を環境庁で持っていただきますると、それを受けて国土庁が各省庁に最後の合い議をいたしまして、いわゆる許可という決裁に至るまでに十四、五日ということになりますと、仮に十五日に審議会が開かれて、月末ということになりますわな。つまり、時間もないのでありますが、福島県の県民としてないしは県政の立場におきまして、進めておりまする作業の結論は、この週中にも書類が正式に提出されれば六月末日までには許可に至るというふうに、通常、常識的にはないしは事務的には理解してよろしいですか。
  111. 吉原孝司

    ○吉原説明員 今環境庁の方からも御答弁ありましたように、環境庁の方では、環境庁に対する協議の回答を出すのに、環境庁の内部において必要な自然環境保全審議会等への諮問等の問題が六月中ごろというようなことの御答弁でございました。当然、それを受けてさらに環境庁として内部的にいろいろ御検討があるかもしれませんので、直ちにあるかどうか、そのあたりは環境庁内部の事務処理のされ方の問題と思います。私ども、それに単に関係省庁環境庁だけでございませんで、幾つかの関係省庁を対象に協議をお願いしなければいけないと思っておりまして、そういう意味で、環境庁だけが最後になるという保証はございませんので、何ともそのあたりの、まだ今の段階での予見は大変立てづらいというふうに思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  112. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 時期的にはこれ以上なかなかと思いますが、しかし、いろいろと承っておりますと、許可に必要な条件は、ほぼこれは事前の協議の中で満たしているというふうに思いまするし、ひとつ、より速い速度で仕事を進めていただきまして、いわば今福島県は時あたかも県知事の交代期になっておりまして、そのようなこともいろいろと新県政での課題となると存じますので、十分にひとつ県民的期待にこたえてちょうだいしたい。今の議論の中で、六月いっぱいの許可ということが大体常識というふうに理解させていただきます。  そこで長官、先ほどから申し上げておりますとおり、いろいろと環境行政に課せられた課題の多い時代でありますが、人類の文化が今のような状況で今の方向にのみ進んでいくとは限りません。今後いろいろの変遷があろうと存じますが、いずれにしましても、人間が自然の王様ではなくて、自然が人類をも含めた、いわば動物をはぐくんでいるということでありまするので、自然の保護のために、しかも経済大国というので先進国というのであれば、いわゆる環境先進国、環境においては世界の責任を日本が負う、安全保障はアメリカが負う、ソビエトが負う、あるいはどうこうと言っておりますけれども、自然環境については日本が責任を負うというようなことで、ひとつ大きな御決意と御方針を持って臨んでいかれますよう御要望申し上げたいと存じます。  大変、委員長ありがとうございました。大臣、どうもありがとうございました。
  113. 吹田愰

  114. 岩佐恵美

    岩佐委員 最初に、生物農薬の安全性の問題について質問をいたしたいと思います。  最近行われました食品衛生学会で、生物農薬として使用されているバチルス・チューリンゲンシス菌、略してBT菌、これが食中毒菌と同じ毒素を生成すると指摘をされ、新聞でも大きく報道されました。この食中毒菌というのはバチルス・セレウス菌と言って、厚生省が食中毒菌として指定をしています。どういう菌でどのような食中毒を起こすのか、最近のセレウス菌による食中毒の件数、どんな食べ物によって起こったのか、またセレウス菌とBT菌の関係について簡単に厚生省から説明をしていただきたいと思います。
  115. 松田朗

    ○松田説明員 お答えいたします。  まずセレウス菌とはどういうものかということでございますが、この菌は土壌あるいは水等の自然界に広く分布している、我々、グラム陽性菌と言っておりますが、染色によってグラム陽性を示す、また空気中の酸素を好み、芽胞をつくる、こういう菌でございます。これに高濃度に汚染された食品を口にいたしますと、嘔吐、吐いたり下痢を起こしたりする、こういうものを主症状とした食中毒となるわけでございまして、最近の、直近の六十二年の食中毒の我が国の発生件数を見ますと、総数で八百四十ぐらいございますが、その中で、原因がわかりまして、セレウス菌と判明したものは十五件ぐらいございます。  原因食品はどういうものかということにつきましてはまだ集計中でございますので、これらの件につきましては、六十一年の統計で申しますと、六十一年は、セレウス菌による事件は十件でございましたけれども、そのうちチャーハンによるものが四件、ドライカレー、シューマイ、ピラフ、てんぷらあるいはカニの酢の物、お握り、そういうものがそれぞれ一件ずつ、計十件という状況でございます。  それから最後の御質問の、セレウス菌とチューリンゲンシス菌との差異につきましては、セレウス菌の方とバチルス・チューリンゲンシス、両方非常に似通っております。いろいろの専門家の御意見によりますと、両者の唯一の違いといいますか、判別するものは、細胞内にたんぱく質の結晶を形成するか否かが非常に特徴的な違いである、こういうようなことで、その他以外の生化学的な性状、例えばどういうものを分解するかとかといういろいろな性質につきましては非常に似通っている、こういうことでございます。
  116. 岩佐恵美

    岩佐委員 このセレウス菌というのは非常に熱に強いわけですね。今説明があったように、チャーハンだとかあるいはピラフだとか、高熱でつくった料理でもやはり時間を置いて食べると中毒を起こす、そういう厄介なものであります。このセレウス菌と同類のBT菌、これが生物農薬として使用されていて、これがセレウス菌の下痢毒素と同じものをつくり出す、これが今回の研究報告で明らかにされた中身であります。二十七株のBT菌のうち二十五株、つまり九三%が下痢毒素をつくり、このうち八株、三〇%については量的にも食中毒患者からとったセレウス菌と同程度の毒素をつくり出した、こういうふうに報告をされているわけであります。  このバチルス・チューリンゲンシス菌というのは、いわゆるセレウス菌との違いというのは、さっき説明があったように、ガの幼虫だとか蚕なんかにも非常に影響がある。蚕の場合には卒倒病というのを起こす、こういうようなことで、だから農水省が農薬として使うというようになったわけでありますが、この農薬はいつごろから登録になったのか、それから、死菌、生菌があるようですが、それぞれ内訳、それからどういう対象植物に使っているのか、それから数量について簡単に農水省から説明をいただきたいと思います。
  117. 関口洋一

    ○関口説明員 御説明させていただきます。  先生ただいまおっしゃいましたように、BT剤には死菌と生菌がございます。死菌につきましては昭和五十六年三月、生菌につきましては昭和五十七年二月にそれぞれ登録がおろされております。  出荷量につきましては、死菌につきましては五十八農薬年度以降、時限的に申しますと五十七年十月以降でございますが、生菌につきましては六十農薬年度以降の出荷でございます。最近の量で申しますと、六十一農薬年度でございますが、死菌が三十四トン、生菌が十トンを出荷されているという状況でございます。  それから、適用作物でございますが、生菌、死菌ともにアブラナ科野菜、リンゴ、茶、桜、プラタナスに登録がございますほかに、死菌の方につきましてはストック、椿に適用がございます。いずれもチョウとかガ、そういった鱗翅目の害虫の防除薬というふうにされております。
  118. 岩佐恵美

    岩佐委員 下痢毒素をつくる菌をキャベツとか大根、こういう生で食べるようなものに使うということは大問題だと思います。登録の際に、厚生省からは直接口に入るような作物には使わないようにというふうな意見がついたと聞いています。ところが、農水省が告示した登録事項では、今説明があったようにアブラナ科野菜、茶というのが入っているわけであります。いろいろ聞いてみると食べ物には生きた菌は使わないよう業界が自粛しているというようなことでありますけれども、結局自粛はしているけれども禁止ということではありませんから、生で食べるキャベツや大根にも使われるという状況があっておかしくない、そういうことなわけであります。こういう実態を放置をすべきじゃないと思います。キャベツ、大根、これについてはきちんと禁止をするという措置をとるべきだと思いますが、農水省の見解を伺いたいと思います。
  119. 関口洋一

    ○関口説明員 先日の食品衛生学会におきましてセレウス菌毒素の検出法につきまして報告があった。その中でBT菌がセレウス菌の検定薬に対して同じような反応を示すというふうな発表があったことについては十分私どもも承知しているつもりでございます。一方、BT菌につきましては元来野外に普遍的に存在する微生物でございます。欧米におきましては古くから広範な作物に使用されているという実績がございます。その結果、それで事故が起きたというふうなことはないというふうに聞いております。我が国におきましても、先ほど先生がおっしゃったように、養蚕との関係もありまして使用について慎重に指導してきたというところでありますけれども、現在までのところ先生御指摘のような事故があったというふうな報告はないわけでございます。しかしながら、御指摘の問題は安全性といった極めて重要な問題でもございます。今後とも広く知見の集積に努めて厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  120. 岩佐恵美

    岩佐委員 環境庁として環境汚染をする危険のある農薬については登録保留基準を決めるあるいは使用規制をしたりする、そういうことができるわけであります。しかし、このBT剤については対象としていません。一九八六年から五カ年計画で生物農薬についての安全性評価方法の研究をしているということでありますけれども、現在日本で使われている生物農薬はこのBT剤ぐらいしかないわけであります。そのBT剤が今回のような問題を起こしているわけですから、五年間のうちに研究するからそれまで待てというわけにもいきませんし、それから先ほどから議論になっているように、いろいろと外国で使っているからいいのだというふうな説と、そうじゃなくて、やはりこれはセレウス菌と非常に同じものだし、同じ下痢毒素をつくり出すのだということで危険なんだ、厚生省はだから生で食べるようなキャベツだとか大根なんかに使うなという見解があるわけでありますから、今回の問題というのは緊急に対応すべき重要問題だと思います。大臣として、緊急問題でありますのでしかるべく、今厳正に対処していくと農水省の課長答弁がありましたけれども、農水大臣にもこのことについては緊急に対応するということで努力をいただきたいと思います。
  121. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  BT剤といいますのは、今もお話ありましたように、化学合成農薬と違いましてもともと自然界にいる微生物を利用した農薬でありますので、天敵利用みたいなものでございますから環境への影響は少ない農薬ということで世界的に注目されておって、諸外国でも既に農薬として実用に供されている、こういうものでございます。しかしながら、使途の健康への影響という点に関しましては、これまでのいろいろな方々の検討結果を見ましても、この安全性という面についてまだ明らかになっていない点が多くあるわけでございまして、先ほど農林省からも御答弁ございましたように、食用作物へ使う場合はできるだけ差し控えるようにという指導を農林省でされておるという状況であります。  先生御指摘のように、私たちは登録保留基準の設定という義務があるわけでございまして、そのために安全評価についていろいろ知見の集積に努めているわけでございますけれども先生御指摘のような緊急性もあるということでございまして、私たちといたしましても従来に増してこのような面での知見の集積に努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  122. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、環境庁は先日第三回自然環境保全調査の一環として全国の河川についての調査結果を発表されました。これによりますと、河川に人工的に手が加えられて自然な河川が失われているということであります。  今回サケ、アユなどの魚が川をさかのぼれるかどうかという調査で、多くの川でダムやせきなどの工作物があって魚が上れない。全国の一級河川百十三のうち、一番上まで行けるのはたった十三河川しかなかった。魚道がないと魚が通れない、そういう工作物が全国で千四百六十、そのうち八百七十三、つまり六〇%ぐらいは魚道がないか、あってもまた機能していない、そういうところであります。  例えば、私の地元の多摩川ではアユが上れるのは狛江のあたりで、河口から二十三キロの地点まで。調査延長が百十六キロでありますから、そのわずか一九・八%のところまでしか上れません。サケだったら恐らく十四キロの地点でストップしてしまうだろう。今多摩川では河口から三十キロないし四十キロも上流の日野市だとか昭島市、こういうところでサケの稚魚の放流運動というのを行っています。サケが帰ってこれるようなきれいな川をつくろうということで市民が主体になってやっているわけでありますけれども、こういう住民の願いが込められた運動も、サケが上って戻ってこようと思ってもこれないという状況にあるわけです。  知床半島でもかなりの川に堰堤がありましてサケやマスが上れない。シマフクロウも、これも三十羽ぐらいしか残っていないと言われているもので、非常に大事にしなければならない、そういう対象ですけれども、そういうシマフクロウだとかあるいはヒグマがえさがなくなって人里近くまでおりてこなければならない状況が生まれているわけであります。水産資源保護法二十二条でも、川に工作物をつくるときには魚の上るのを妨げないようにするように、こういうことが決められているわけであります。環境庁としてせっかく力の入った調査をされたわけですから、この調査を有効的に利用されるというようなことが大事だと思います。その点、環境庁の姿勢を伺っておきたいと思います。
  123. 山内豊徳

    ○山内政府委員 過般発表させていただきました河川調査の内容は御指摘のとおりでございます。ただ率直に申し上げまして、こういった調査を公表することの意味合いでございますが、もちろんこれは関係省庁にも送付しておりまして、それぞれの行政で生かしていただこうという趣旨でございますが、同時に、地元の川だけでなくて、全国的な状況はどうなっているか、またそれはどう変わっているかということを知っていただくことによって、ある意味では政策的な大きな判断の材料にしてもらいたいということでございます。ただ御指摘のように、何キロまではさかのぼるべきであるというような、一般的な河川の自然道なりのあり方について環境庁自身が具体的にガイドラインを設けるわけにはいかない性格がございますので、今御指摘のあった点も、意を踏まえながら、生かせるものは生かせるということで関係省庁にもなお連絡をとっていきたいと思います。
  124. 岩佐恵美

    岩佐委員 同時に、大事なことは川をきれいにするということだと思いますが、八王子の浅川地区で婦人のグループの皆さんが三年前から木炭で川を浄化する、そういう取り組みをしておられます。このグループの実験場所は南浅川に流れ込む小さな川で、上流は暗渠になっていて約千人の家庭からの排水が集まってきています。この地域は下水がないから汚水は皆この川にたれ流しで、かなり汚れていて、においもひどい、近くの民家の方は夏に窓をあけられない、そういう状況でありました。ここに約百二十キロの木炭を金網のネットに詰めて置いたところ、何カ月かすると臭気がほとんどなくなった、次の年の夏には久しく途絶えていた蛍が舞うのが見られるようになったということです。この取り組みは新聞でも大きく報道され、全国から見学者もたくさん来られる。特に東北地方などは田んぼの浄化だとかそういうところにも使いたいということで来られておるようですけれども、世田谷区とか日野市など自治体のレベルでも同じような取り組みを始めるところも出てきています。こうした運動に参加された住民の方々の中では、自分たちの川を自分たちの手で守らなければならない、そういうことで環境保全についての自覚が育ってきていて、こういう取り組みは非常にいいということであります。  しかし、実際にこのグループの方々の間では、においはとれても水質浄化という点ではまだ工夫が必要なんじゃないかとか、あるいはどうやったら効果が上がるのか、専門家ではないからわからないことが多い、つまりどういう川にはどのくらいの木炭を入れたらいいのかとか、あるいは木炭がどういう性質であったらいいのかとか、いろいろな細かい研究がまだまだ必要だということで、こうした問題について住民だとかあるいは自治体だけの努力に任せるのではなくて、政府としても位置づけをしていく必要があるんじゃないかと思っておりましたところ、林野庁としてこの問題について研究を始めたというふうに伺いましたので、この場でその研究の経過、内容について、あるいは今後について御説明をいただきたいと思います。
  125. 眞柴孝司

    眞柴説明員 木炭は従来から井戸水などのろ過に使われるなど、水の浄化機能があることが知られております。昭和六十一年度に発足をいたしました木材炭化成分多用途利用技術研究組合という組合におきましても、木炭を使いました水質浄化の方法の開発にも取り組んでいるところでございます。しかし、木炭の汚濁物質の除去率や浄化方法など、木炭が有します浄化機能の定量的な特性などにつきましては十分明らかになっていない面がございます。そこで林業試験場におきましては、水質浄化に有効に作用する木炭の構造、性質及び木炭に生息いたします微生物の機能を明らかにするため、六十三年度から木炭の物性と生物活性化機能に関する試験研究というのを実施することにいたしております。
  126. 岩佐恵美

    岩佐委員 こうしたことにつきまして環境庁としても積極的に後押しをしていっていただきたい。そういうことで、きょうそういうグループの方々も来ておられますので、せっかくですから大臣の決意を一言お聞かせいただきたいと思います。
  127. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今先生お話をだんだんに承っておりまして、私の幼時、少年時代を思い出しておりました。私の方でも地下水はあくがあって、真っ赤でございましたけれども、それを大きなたるに炭とか灰とか入れて浄化して飲んで育ったわけでございます。今河川の汚れ、それはもっと大規模でございますけれども、そういう問題が起きておることを新聞で知って、非常にいいことだなと思います。  問題は、自然保護というのは洋の東西を問わずやはり起きておると思います。農村社会においてもそういう環境整備を村の者がやっておるとか、あるいは今の新しい町でも下水の掃除を町内会が出てやっているとか、いろいろなことが起きております。また、ナショナルトラストというのが原点で欧米はそういう運動が起きたわけでございます。結局行政もいろいろなところを力を入れても、一番本質は町の人が、そこに住んでいる人が環境をよくするという気持ちの方が大事であろうと思います。それが時には失敗することもあるし、あるいは思っているような効果の上がらないときがあっても、それが積み重なっていって、そういうことがより幅広くなることによって、また後の人たちが継ぐことによって私たちの環境をよくすることができる、また地球規模についてもそういうことを考えることができる。だから私は今の話は環境をよくする原点に当たるものだと思いますので、その方々に心から敬意を表したいと思います。
  128. 岩佐恵美

    岩佐委員 きょう、理事会で御了解をいただいたのですが、「新奥多摩キャンピングビレッジ構想」についてちょっと資料をお示しさせていただきたいと思います。  この問題ですけれども、八王子市の上川町というところに坂沢川という川があります。この谷合いの山林約六・五ヘクタールがことし二月に売買をされました。国土利用計画法に基づく届け出がされていると思いますが、国土庁、簡単に説明してください。
  129. 鈴木克之

    鈴木(克)説明員 御指摘の土地取引でございますが、過般東京都知事に対しまして、売買の前に国土利用計画法に基づき届け出が出されておるわけでございます。
  130. 岩佐恵美

    岩佐委員 この業者が地元にこういう「ビレッジ構想」という資料を配っているわけでありますけれども、それによりますと、「千丈の谷の谷底を適当な高さに埋めながら」、こういうところがあるわけであります。ここは深いところでは百メーターぐらいある谷を恐らく土砂で埋め立ててしまうだろうということでありまして、全部埋めたら二百万から三百万立米の土砂が入ると推定されるわけであります。この地域は五年ほど前に産業廃棄物の処理場がつくられそうになって、大問題となりました。住民はもちろん八王子市とか五日市町も挙げて反対して、私も国会で取り上げまして、当時の梶木又三環境庁長官調査を約束をされ、そしてその産業廃棄物の捨て場としてはこれは中止になったわけであります。今度は産廃ではないのですが、土砂で埋め立てよう、そういうことであります。  そこで、五年前に質問したときに林野庁は、この地域については保安林の整備計画の対象として指定のため調査を進めている、そういうお話でありましたけれども、その点についてその後どうなったのか、簡単に経過を説明してください。
  131. 岡本敬三

    ○岡本説明員 当該の森林につきましては、御指摘のとおり第三期の保安林整備計画におきまして、水源涵養保安林の指定計画とされたところでございます。五十七年から五十八年に現地の調査をいたしまして、森林所有者の理解を得るように努めたわけでございますけれども、同意が得られませんことから現状は普通森林となってございます。
  132. 岩佐恵美

    岩佐委員 地権者は産業廃棄物の処理場として土地を売ろうとしていたわけですから、同意をするわけがないのですね。水資源を確保するという点で保安林指定をするという対象地域であって、大変重要なところだと思います。地質的にも五日市断層という大きな断層が走っていて、崩れやすい地域であります。この地域に隣接してすぐ下流は砂防地域に指定をされ、砂防ダムもできているところです。ここを土砂で埋め立てて上に施設をつくる、これは防災上からも大問題であります。  さらに重大なことは、この地域は都立の秋川丘陵自然公園の中にあって、近くには今熊山という昔から信仰の山として有名な山があってハイキングに来る方が多いし、野鳥の宝庫とも言われて、環境庁が行った第二回自然環境保全調査の際の貴重な動植物の分布図、ここにありますけれども、これを見ましてもモリアオガエルの生息地だとかそれからモミ、イヌブナの原生林がある、つまりAという一級の自然が残されている地域なわけです。特に谷には金剛の滝という名所があって、東京都が昨年から公園整備事業を行って橋や指導標も整備をして非常にいいハイキングコースになっているわけです。今回八王子は、この土砂で埋め立てるという計画がわかったものですから、その土地を業者に売らないで自分の方に売ってくれというような要求もしている。ところがそれを振り切ってこういう計画を進めようとしているわけであります。  自然公園法では、御存じのように、都道府県立自然公園に関して環境庁長官は必要な報告を求める、そして助言または勧告をすることができる、こういうふうになっているわけであります。前回それで環境庁長官が動かれたというふうに承知をいたしておりますけれども、今度も産業廃棄物ではないけれども、いわゆる一般の土砂という名目でやはりこういう自然が、貴重な自然が残されたそういう地域が破壊をされようとしている。重大な事態であります。環境庁としてこの問題については厳正に対処をされたい。そのことを求めたいと思います。
  133. 山内豊徳

    ○山内政府委員 御指摘の場所は、五十八年の過般の梶木長官の御答弁にございましたように、都立自然公園、条例に基づく公園の普通地域であるということでございます。確かに自然公園法には必要な助言をするという規定もございますが、こういった個別的なケースについて自然公園法を振りかざすかどうかは別としまして、連絡ということではそういった指摘がございましたことは東京都の自然公園部局にも伝えたいと考えております。
  134. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣からも一言お願いしたいと思います。
  135. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 御指摘、十分承りました。
  136. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。      ────◇─────
  137. 吹田愰

    吹田委員長 この際、御報告申し上げます。  今国会、本委員会に付託されました請願は、水俣病被害者医療救済に関する請願外六十二件でございます。各請願の取り扱いにつきましては、理事会で協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、そのように御了承願います。  なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、高山植物の譲渡等の規制に関する法制度の創設に関する陳情書一件であります。念のため御報告申し上げます。      ────◇─────
  138. 吹田愰

    吹田委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。  第百九回国会、馬場昇君外二名提出の水俣病問題総合調査法案 並びに  環境保全基本施策に関する件  公害の防止に関する件  自然環境の保護及び整備に関する件  快適環境の創造に関する件  公害健康被害救済に関する件  公害紛争の処理に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 吹田愰

    吹田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、期間及び派遣地等その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 吹田愰

    吹田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十六分散会