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1988-03-25 第112回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十五日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 吹田  愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 武村 正義君 理事 平林 鴻三君    理事 川俣健二郎君 理事 春田 重昭君    理事 滝沢 幸助君       石破  茂君    齋藤 邦吉君       園田 博之君    中村正三郎君       林  大幹君    平泉  渉君       金子 みつ君    新村 勝雄君       土井たか子君    遠藤 和良君       斉藤  節君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境政務次官  杉元 恒雄君         環境庁長官官房         長       安原  正君         環境庁企画調整         局長      森  幸男君         環境庁企画調整         局環境保健部長 目黒 克己君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      渡辺  武君  委員外出席者         環境庁長官官房         審議官     杉戸 大作君         国土庁長官官房         水資源部水資源         計画課長    加藤  昭君         国土庁地方振興         局総務課長   吉原 孝司君         法務省刑事局参         事官      馬場 義宣君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 大澤  進君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       三本木 徹君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     森本 茂俊君         農林水産省農蚕         園芸局農産課長 清田 安孝君         林野庁業務部経         営企画課長   塚本 隆久君         林野庁業務部業         務第二課長   小林 新一君         通商産業省貿易         局輸入課長   川嶋  温君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    横江 信義君         工業技術院総務         部産業公害研究         調整官     上杉 勝之君         気象庁総務部企         画課長     門脇俊一郎君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     安藤  茂君         建設省河川局河         川計画課長   角田 直行君         建設省河川局開         発課長     山内  彪君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         建設省道路局道         路環境対策室長 松浦  仡君         建設省住宅局建         築指導課長   立石  真君         自治省財政局交         付税課長    小滝 敏之君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ───────────── 委員の異動 三月二十三日  辞任         補欠選任   石破  茂君     小坂善太郎君   大矢 卓史君     佐々木良作君 同日  辞任         補欠選任   小坂善太郎君     石破  茂君   佐々木良作君     大矢 卓史君 同月二十四日  辞任         補欠選任   大矢 卓史君     川端 達夫君 同日  辞任         補欠選任   川端 達夫君     大矢 卓史君     ───────────── 三月二十四日  水俣病被害者医療救済に関する請願岩佐恵美紹介)(第一〇六七号)  同(岩佐恵美紹介)(第一一三六号)  同(金子満広紹介)(第一一三七号)  同外一件(川崎寛治紹介)(第一一三八号)  同(工藤晃紹介)(第一一三九号)  同(児玉健次紹介)(第一一四〇号)  同(佐藤祐弘紹介)(第一一四一号)  同(柴田睦夫紹介)(第一一四二号)  同(瀨長亀次郎紹介)(第一一四三号)  同(中路雅弘紹介)(第一一四四号)  同(中島武敏紹介)(第一一四五号)  同(野間友一紹介)(第一一四六号)  同(不破哲三紹介)(第一一四七号)  同(松本善明紹介)(第一一四八号)  同(矢島恒夫紹介)(第一一四九号)  同(江田五月紹介)(第一一六三号)  同外一件(金子みつ紹介)(第一一六四号)  同外四件(菅直人紹介)(第一一六五号)  同(新盛辰雄紹介)(第一一六六号)  同外一件(村山喜一紹介)(第一一六七号)  アスベストによる環境汚染健康被害未然防止対策に関する請願齋藤邦吉紹介)(第一一二一号)  水俣病問題の早期全面解決医療救済に関する請願安藤巖紹介)(第一一二二号)  同(石井郁子紹介)(第一一二三号)  同(浦井洋紹介)(第一一二四号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一一二五号)  同(経塚幸夫紹介)(第一一二六号)  同(田中美智子紹介)(第一一二七号)  同(辻第一君紹介)(第一一二八号)  同(寺前巖紹介)(第一一二九号)  同(東中光雄紹介)(第一一三〇号)  同(藤田スミ紹介)(第一一三一号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一一三二号)  同(正森成二君紹介)(第一一三三号)  同(村上弘紹介)(第一一三四号)  同(山原健二郎紹介)(第一一三五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  環境保全基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 吹田愰

    吹田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑は、去る二十二日に終了いたしております。  これより討論に入ります。  討論申し出がありますので、これを許します。岩佐恵美君。
  3. 岩佐恵美

    岩佐委員 私は、日本共産党革新共同を代表して、公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対して、反対討論を行うものです。  本法案は、昨年の第百九国会において強行された本法律抜本改悪――第一種公害指定地域全面解除、新たな公害患者認定の打ち切りという大改悪を前提としたものであります。本法案で触れられている健康被害予防事業基金制度についても、指定地域解除と引きかえに導入され、今後患者が減った分だけ補償費相当額を積み立てていくというものです。まさに患者の犠牲の上につくられる制度であります。大気汚染は決してなくなっておらず、患者も次々と発生しています。窒素酸化物指定要件に加えて、第一種指定地域を再指定すべきであります。  本法案具体的内容について見ても、大きな問題があります。法案では、健康被害予防事業基金の一部として、国が資本金を出資することとなっています。昨年の本法審議の際の国会答弁では、基金の五百億円については自動車メーカーを含む公害企業から全額拠出するという合意ができているとされていたにもかかわらず、今になって自動車メーカー百億円のうち半分を国が肩がわりしようというのであります。これは公害についての自動車メーカー責任を免罪するものです。  予防事業内容についても、既存の認定患者はこの事業の対象とされないなど、問題のあるものです。患者団体からは患者健康回復に役立つ事業基金を活用してほしいという強い要求が出されているところです。  最後に、認定患者への補償給付の財源として自動車重量税からの引き当てを延長することについては、自動車メーカー責任を免罪して個々の自動車所有者にその責任を押しつけるものであり、認めるわけにはいかないものです。  以上、本法案反対の理由を述べ、討論を終わります。
  4. 吹田愰

    吹田委員長 これにて討論は終局いたしました。    ─────────────
  5. 吹田愰

    吹田委員長 これより採決に入ります。  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 吹田愰

    吹田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  7. 吹田愰

    吹田委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、衛藤征士郎君、川俣健二郎君、春田重昭君及び滝沢幸助君より、附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。川俣健二郎君。
  8. 川俣健二郎

    川俣委員 私は、ただいま議決されました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につき、自由民主党、日本社会党護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 公害健康被害補償予防協会は、健康被害予防事業の実施に当たり、関係自治体の意見を尊重しつつ、その事業実効性を確保すること。  二 大気汚染影響による健康被害を予防することの重要性にかんがみ、基金の積み上げが確実に行われるよう、大気汚染原因者及び、特に大気汚染原因にかかわりのある者の積極的な協力体制を確立すること。  三 既認定患者認定更新等に際しては、患者保護に欠くことのないよう関係自治体の長に対し、適切な指導を行うこと。    また、既認定患者に対する健康回復のための事業を一層充実すること。  四 主要幹線道路沿道等局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を早急に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。  五 大気汚染現状にかんがみ、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築し、地域住民の健康を観察して、必要に応じ、適切な措置を講ずること。  六 大都市地域における窒素酸化物等による大気汚染については、早急に環境基準の達成を図るため、ディーゼル車大型車を中心とした自動車排ガス等規制を強化するほか、電気自動車メタノール車等の低公害車の普及のための助成、輸送の共同化立体交差化等自動車交通対策等の諸対策を総合的、計画的に推進するとともに、これらの対策に必要な費用負担のあり方についても長期的見地から検討すること。  以上でありますが、その趣旨につきましては、案文中に尽くされておりますので、説明を省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。  以上であります。
  9. 吹田愰

    吹田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 吹田愰

    吹田委員長 起立総員。よって、衛藤征士郎君外三名提出動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、堀内環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。堀内環境庁長官
  11. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたします。     ─────────────
  12. 吹田愰

    吹田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 吹田愰

    吹田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  14. 吹田愰

    吹田委員長 次に、環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。
  15. 小杉隆

    小杉委員 堀内長官は参議院の予算委員会出席があるようですから、初めに環境庁長官に御質問をしたいと思います。  今度の国会には、地球規模環境問題としてフロンガス等特定物質規制あるいは抑制することによるオゾン層保護という問題がクローズアップされまして、法案提出されているわけでありますが、地球規模環境問題、特に炭酸ガスあるいはフレオンガスなどによる温室効果、そういうことによって気候変動という問題が起こっているわけでございます。  最近、人間活動が活発になるにつれまして、大気中に放出された二酸化炭素フレオンガスなどが気候を変動させ、来世紀中ごろには全世界的に気候が著しく温暖化するのではないかというようなことが言われています。近年のアフリカ干ばつとか砂漠化どもその顕著な例だと言われております。こういった地球規模環境問題については大臣所信表明にも触れられておりますが、私は、後ほど詳しく申し上げますが、こういった地球規模環境問題、特に温室効果気候変動についての研究観測調査などの分野で立ちおくれているように思うわけでございます。この温室効果気候変動などに関する会議世界各国で今盛んに行われておりますけれども、そういった面でまだまだこの日本体制というものは不十分であると私は考えますので、この際、環境庁長官のこうした地球的規模環境問題についてどういう心構えで、私は単に世界の後追いではなくて、むしろ経済的に豊かになった日本世界に先駆けて先導的な役割を果たすべきだと考えますけれども、そういった基本的な心構えについて長官から改めてお伺いをしたいと思います。
  16. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 地球規模環境の懸念は、我が国の今日の経済発展からいうと原因者である場合が相当多いわけでございます。先ほど来御指摘をいただいておる問題についても、まさに我が国がその大きな原因をなしておると考えます。二酸化炭素によって地球温度自体変化があるということ、さきにマスコミ等でも取り上げられたことがございます。これはまだ研究されておる最中とはいえ、そういうような変化が起きた時点では取り返しのつかない状態になるのじゃないか。例えば温度が五度上がるということになると、まず海水の高さが変わってくる。国土自体が非常に変化が大きくてどうしようもないという事態になるし、また熱帯林我が国の本土の半分まで毎年砂漠化しておるという状態が現在も続いておるわけでございますから、そういうことになると、地球全体の生態系に大きな変化がくるのじゃないか。  さらに御指摘の、私どもが考えても恐ろしい、地球保護しているオゾン層特定物質によって破壊されつつあるという見解専門家の中で発表されておるという事態に立ち至っておるわけでございますから、今日の我が国としては、世界に信頼を持っていただけるような貢献を積極的にしなければならないと思います。特に、現在私どもも、世界委員会の考え方などを積極的に取り入れるために私自体懇談会を既に発足して、その専門委員会でこの問題の検討をしていただいておるわけでございますので、これらの知的見解を早くいただくことによって対応していきたいと考えておるところでございます。
  17. 小杉隆

    小杉委員 それじゃ大臣、結構です。  それでは、少し具体的な問題に入っていきたいと思いますが、まず、いわゆる温室効果というのはどういうことなのか、そのメカニズムについて大気保全局長から簡潔にお答えいただきたいと思います。
  18. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  温室効果メカニズムというお尋ねでございますが、大気中にございます二酸化炭素水蒸気等気体は、太陽から出されます日射エネルギーをほぼ完全に透過させまして地表太陽からの日射エネルギーが到達するわけでございますが、逆に地表から放射されます熱の形態といたしましては赤外線による放射、赤外線地表から熱を放射するわけでございますが、そういう赤外線二酸化炭素水蒸気等気体が吸収しまして、地表から放出されます熱が宇宙空間に逃げるのを防いでおるということでございます。そのようなことで、この二酸化炭素水蒸気等気体温度上昇させる効果をもたらしているということでございます。この現象は、可視光線を透過するが熱を閉じ込める温室効果に似ているということから温室効果と呼ばれているというぐあいに理解いたしております。
  19. 小杉隆

    小杉委員 温室効果は、今言われたように確かに地表温度を保つという効果、つまり、かつて数万年前は地球上は人類なり生物が住めなかった、それは余りにも冷た過ぎたからであります。それが温室効果によってだんだん適当な暖かさになって、人間その他の生物が生息できるようになった。しかし、今日のように人間人口爆発と言われるようにふえ、また企業活動その他が非常に活発化するにつれまして、その温室効果がむしろ逆作用をもたらすということが懸念されているわけでございます。  そこで、温室効果が余りにも進み過ぎる結果としてどんな影響が出てくるのか、これを二、三挙げていただきたいと思います。
  20. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 お尋ねの点につきましては、一九八五年、昭和六十年十月に国連環境計画あるいは世界気象機関国際学術会議の三つの国際機関が主催いたしましたオーストリアビラハで行われました温室効果に関する会議での報告によりますと、現在の趨勢が続けば、二酸化炭素等温室効果を有する気体濃度上昇によりまして、二〇三〇年代には地球平均気温は現在よりも一・五度ないし四・五度上昇する。この結果、海面が二十センチから百四十センチ上昇するのではないかというようなことが予測されているところでございます。また、雨の降るパターンの変化につきましても、熱帯湿潤地域降水量増加するということが予測されておるところでございます。  以上のような大きな変化は、すべて各種の生態系活動に深く関連いたしておりますので、生態系にも大きな影響を及ぼしまして、動植物の種の構成の変化や分布の変化等が考えられるというようなことが言われているところでございます。
  21. 小杉隆

    小杉委員 きょうお手元に配付した、今答弁にありましたオーストリアビラハでの会議、これは主として研究のための会議でしたけれども、ここに書いてあるようにアフリカ干ばつとか熱帯の洪水、異常気象、暖冬、ニューヨークの大寒波、熱波というような問題が出てきているわけでありますし、これは大変重大な問題だという指摘がなされました。  そして、それを受けましてイタリアのべラギオにおきまして昨年の十一月に、特に気候変動に対応するための政策ということの会議が行われました。一番下に書いてありますように、気候変動影響を及ぼす温室効果を有するガス、例えば炭酸ガスフロンガスといったものの放出の抑制、特に自動車についても触れているわけですけれども、そういう議論が行われた。  二番目に、ダムや堤防の建設など、気候変動に伴って海面上昇するために今やっているものがむだになってしまう、ナンセンスなことになってしまうというようなことの対策。したがって、海岸線の地図、例えば海面が一メートル上がったらどこら辺まで水没してしまうのか、特に日本平野部がほとんど水没してしまうのではないかなどという予測も行われておりますが、こういった面。  三番目に、将来の気候変動に対応するための中長期的なものあるいは短期的なもの、こういったものの政策を行うべきではないか、こういう議論が行われているわけでございます。  そこで、特に私は次にフロンガス温室効果との関係についても触れたいと思うのですが、私が調べたところでは、このフロンガスは現在二酸化炭素の大体百万分の一の濃度がこの地球上にあるということなんですね。ところが、数はそれだけ少なくても、フロンガスというのは二酸化炭素よりも温室効果に及ぼす寄与度からいいますと約一万倍だということですから、実質的には今現在でももう炭酸ガスの百分の一程度の力を持っている。さらにフロンガスがどんどんふえていきますと、炭酸ガスにほとんど匹敵するぐらいの寄与率になってしまう、こういうことが懸念されているわけです。しかも、フロンガスの寿命というのは百年間消滅しないでこの地球上に存在するということですから、我々の世代だけじゃなくて、次の世代、その次の世代、三世代にまでその影響力が及ぶということでありますので、フロンガス温室効果関係というのは余り軽視はできない、むしろフロンガス温室効果というものは非常に大きな関心を持って取り組まなければいけない問題だと私は思いますが、保全局長はどういうふうな見解を持っておられるか。
  22. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 先生の御指摘のとおり、フロンガス炭酸ガスと比べますとそういう温室効果に働く単位当たり寄与が非常に高いということはいろいろなところで指摘されているところでございまして、そういう面ではフロンガスの問題といいますのは人間健康被害の問題でもあるわけでございますが、そういう面での温室効果につきましても非常に関心を持ってやっておるわけでございます。  少し具体的に申し上げますれば、国連環境計画報告によりますれば、温室効果によります地上気温上昇の要因といたしましては、現時点では二酸化炭素効果が約七〇%、フロン等の他の微量気体効果が約三〇%というぐあいに言われているところでございます。今後五十年間につきましては、二酸化炭素増加が見込まれておりますものの、それ以上にフロンその他の微量気体増加が著しく、地上気温上昇への寄与率はそれぞれ五〇%近くなるというぐあいに予測されているところでございます。このように、フロン等微量気体につきまして対策を講じますことは、温室効果の観点からも重要な課題であるという認識を持っているところでございます。
  23. 小杉隆

    小杉委員 そこで、この問題は単に環境庁だけではなくて、気象庁、総理府、文部省、科学技術庁など他省庁にも関連のある問題であります。  資料2として二ページに「気候変動に関する各省庁の対応」というものを列挙しておきました。時間の節約上読み上げませんけれども、全部聞くと時間がかかりますから、気象庁に基本的にこの気候変動なり温室効果に取り組む姿勢、あるいはこういった資料について何かコメントがあればお話しをいただきたいと思います。
  24. 門脇俊一郎

    門脇説明員 お答えいたします。  この資料について直接コメントを申し上げるというのはちょっと御容赦いただきたいと思います。  まず、気象庁といたしましては、昭和六十二年度から岩手県三陸町綾里におきまして炭酸ガス連続観測を開始いたしました。これはWMOが定めました国際的な技術基準に完全に合致しました極めて高精度の観測を行う観測所でございまして、今回の日本観測所世界で第十四番目ということでございます。なお、アジアにおきましては日本のものが唯一のものということでございます。気象庁では、こういった観測を初めといたしまして世界じゅうから気候に関する情報の収集に努めておりまして、これを迅速に関係の方面に提供して、いろいろな施策に役立てていただくということに努力しているわけでございます。  なお、研究につきましては、先生御指摘炭酸ガスは、大気ばかりではなく海洋にも大量に含まれておりまして、将来の気候変動を考える上では、海と空気との間の炭酸ガスのやりとりを正確に把握するということが非常に大事でございます。気象庁ではこの方面の観測、それから研究に努力いたしております。  なお、こういったデータをもとにいたしまして、地球全体の大気がどのようになるか、平均気温がどのように上昇いたしまして、その結果大気の流れがどのようになるか、そういったことを正確に予測するための気候の数値モデルというものの開発に努力している最中でございます。こういったことで努力を続けてまいりたいと思います。
  25. 小杉隆

    小杉委員 次に、三枚目の資料3の方に「気候変動についての世界各国の取り組み」ということが載せてあります。アメリカ、EC、国際機関、この三つに分けてやっておりますが、特にアメリカなどはもう十年前に国家気候計画法というのを制定して、商務省の海洋大気庁を中心に、もう組織もつくってやっております。また、国際機関でも、今課長が言われたWMO、世界気象機関が一九七九年に世界気候計画を採択して、以下の記述してあるようなことをやっているわけでございます。  二ページ目の一番下を見ていただきたいのですけれども、「例えば米国における「二酸化炭素――気候変動問題に係る米国国家プログラムの予算」」というのを各省別に列記してみますとこのようになります。特に、一番下に書いてありますが、一九八六年度の合計金額は二千三百万ドル。一ドル百三十円換算で約二十九億九千万円かけているわけです。ところが、日本気象庁なり総理府、文部省、科学技術庁、環境庁の全研究予算あるいは観測予算を合計いたしましても、私の試算では約七億円程度にしかならないということでは、非常にこれは研究が立ちおくれているのではないか。この間も、先ほど挙げましたオーストリアビラハ会議とかべラギオの会議でも、イタリアのべラギオの会議には正式にちゃんと公費で行ったようですけれどもオーストリアビラハ会議には行きたくても行けない、旅費もない、こういうようなことを聞いておりますが、現在の研究費その他について現状どうなっているのか。だれから答えてもらったらいいのか――では、保全局長からひとつ。
  26. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 先生の資料によりますアメリカの予算額といいますものは、統計があるわけでございますが、その内訳がよくわかっておりませんので、単純に比較できるかどうか疑問なのでございますけれども、先生からお話がございましたように、各省庁でいろいろ調査研究が行われているわけでございまして、この気候変動関係の関連予算の合計は、私どもが把握している限りにおきましても、六十二年度で約七億円程度ということでございます。こういうことでございますけれども、先ほど申し上げましたように、アメリカの予算と単純に比較できるかどうかちょっと疑問に思っておりますので、これから少し勉強するといいますか調べてみたいというぐあいに思っております。
  27. 小杉隆

    小杉委員 今度のオゾン層保護の条約に対する調印も日本世界で十七番目だと言われているわけです。既にアメリカなどではスプレーの使用を十年前から禁止をしているのに、日本はこれからやろうかというような状況ですので、大変立ちおくれているわけです。今またこの温室効果とか気候変動についても立ちおくれることのないように、せっかく気象庁とか文部省とか学術会議とか、いろいろなところでまじめに観測研究も続けられているわけなので、これをもう少し横の連携を密にとりまして、お互いに情報の提供、情報の公開ということをはっきりやって、日本の学問的なレベル、研究レベルというものをもっと引き上げて、むしろ逆に世界に我々の研究結果ではこうだというような地球防衛のための先導的な役割を果たすべきだと思うわけなのですが、そういう面での研究とか観測情報の交換、組織的な、網羅的な日本研究体制というものをつくる必要があるのではないかという点が一点。  それから、国際会議などは頻繁に開かれるわけですけれども会議にも出席できないというようなことではなくて、やはり世界情報をもっと収集し、交換をするためのそういった世界との連携の体制をつくっていくべきだと思うわけですけれども、今の状態ですと日本の優秀な技術者はみんなアメリカや何かに逃げてしまって、頭脳流出というのが起こってまた日本研究レベルがおくれてしまう、こういうことになりかねないわけですが、そういう点について、本当は大臣答弁してもらいたいのですが、政務次官、せっかくですから、一言で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
  28. 杉元恒雄

    杉元政府委員 オゾン層の破壊、二酸化炭素等による地球の温暖化等に見られるように、環境問題は地球的広がりを見せております。こうした問題への取り組みは世界の共通課題となっておるわけであります。我が国としては、地球環境保全の見地から、国内において十分な対策を講じるように努めるとともに、国連環境計画国際機関を通、じた協力や開発途上国に対する環境技術協力を行ってきておるところでございます。国際社会における地位の向上に対応し、我が国地球環境問題に一層積極的に取り組み、国際的な貢献をしていくべきであると考えております。
  29. 小杉隆

    小杉委員 この問題はこの辺にしまして、それでは次に、国立公園、自然保護という問題に移りたいと思います。  最近、リゾート構想、リゾート法も制定されまして、あるいは半島振興法、ふるさと創生というようなことで各地区に開発計画が進んでおります。私の知る範囲でも七十数カ所でこういったリゾート構想があるように伺っておりますが、今具体的にどんなところが一番先行しているのか。そして二番目にどの付近が候補に上るのか、まず概略的に自然保護局長からお答えいただきます。
  30. 山内豊徳

    山内政府委員 ただいまのお尋ねの点は、いわゆるリゾート整備法によるリゾート構想についてだと思いますが、県の実名を挙げますと、南から宮崎県、三重県、福島県、この三県はかなり具体的な形で県がつくります構想が明確になりつつある段階でございます。そのほかに、私の聞いております限りでは、同様に三、四の県がかなり具体的な構想をまとめておられるように聞いております。七十二と先生が御指摘になりましたのは恐らく私どもが存じております新聞報道を通じての計画だと思いますが、そのすべてがいわゆるリゾート整備法によるリゾート構想として持ち上げられるものかどうかは別としまして、私どもが具体的に知っております順番もほぼ今申し上げましたような順序でございます。
  31. 小杉隆

    小杉委員 私はここに今「宮崎・日南海岸リゾート構想」という大変立派なパンフレットを持っておりますし、先日私は宮崎県を訪れまして現場も視察し、知事や市長ともお会いをしていろいろ話を伺いました。それから、三重県のサンベルトゾーン、伊勢、志摩半島を中心とするこの構想についても資料を取り寄せておりますし、また福島県の「会津フレッシュリゾート構想」というのも概要を私見せていただいておりますが、この計画がいずれも民活ということで公共団体と民間と両方でやるわけですけれども、民活ということになりますと採算がとれないとなかなか事業ができないわけですから、どうしても採算のとりやすいゴルフ場なんかが中心になってしまうわけですね。そうすると、もう至るところに、日本列島全部ゴルフ場ができてしまうというようなことも懸念されるわけですけれども、その中にはかなり国立公園、国定公園、あるいは県立公園が入っているわけですね。こういったリゾート構想がどんどん進んでまいりますと必ず国立公園、国定公園、県立公園にかかわってくるわけですけれども、その辺はどのように対応していこうとされているのか、伺いたいと思うのです。
  32. 山内豊徳

    山内政府委員 確かに、このリゾート構想そのものは法律趣旨からも良好な自然環境を利用するという観点があるわけでございますが、ただ、必ずしもすべての構想が国立公園の中、国定公園の中ということではございません。また、これは既に昨年の暮れに六省庁及び環境庁も協議に応じまして決められました整備の基本方針の中で、国立公園、国定公園でも特に重大に保護しているところは特定地域にしないということもお約束済みでございますし、また仮にそれ以外の国立公園の中で重点整備をする場合は公園計画なんかに十分配慮した措置をするという約束になっております。  それから、今確かに民活ではございますが、これは都道府県知事が責任を持って立案するわけでございますから、県庁の中には国立公園を所管する自然保護の担当部局もございます。そういった中で、いわゆる原案の原案ではかなり大幅なものがあったようでございますが、私が存じております限りでは、三県の場合を申し上げますと、かなり県の中での議論を煮詰める段階で国立公園の公園計画の調整などを果たしておられるように聞いております。ただ、全体の方向としては、その他の地域を含めまして十分関心を持ち、また場合によっては御意見を申し上げようと思っておるところでございます。
  33. 小杉隆

    小杉委員 時間がないので大変あれなんですが、やはりこの問題は国土庁とか林野庁にも相当かかわりがあると思うのです。国土庁、各県が全部競ってこういう構想が出てまいりますと、例えばどこの計画を見ましても、国際会議場とかマリンスポーツ施設とかそういうふうなものを全部競争でつくり始めたら一体どうなってしまうのだろうか。自然というのは一回失われれば再び戻ってこないわけなんで、また林野庁は、国立公園などは九〇%が林野庁の所管だと聞いておりますけれども、その点で基本的なこれからの地方の開発に対する考え方を国土庁と林野庁から一言ずつお答えいただきたいのです。
  34. 吉原孝司

    ○吉原説明員 お答え申し上げます。  リゾート法で目標といたしておりますリゾート地域と通称言っておりますが、いわゆる滞在型で複合型のいろいろな施設を持つ地域と言っております。したがいまして、今御指摘のとおり、いろいろなコンベンションセンターとかゴルフ場とかスキー場とか、一見確かに同じような名前がぞろぞろ出てくるという現象がありまして、私どももそういうことのないように十分これからも指導していきたいと思っております。  同時に、スキー場それ自体をとりましても、それぞれの地域の特性を踏まえたスキー場をつくるようにということで、個性を持ったリゾート地をつくるようにという指導をいたしております。それとあわせまして、当然リゾート地域は良好な自然環境を不可欠の資源といたしておると思っております。したがいまして、自然環境をどううまく守って調和を図っていくかというのは一番重要なことでございまして、今も環境庁局長の方から御答弁がありましたように、事前に県内の環境部局との調整も十分図ってくるようにということを特に指導いたしているような次第でございます。
  35. 小林新一

    ○小林説明員 お答えいたします。  国有林野事業におきましては、森林に対する国民の多様な要請にこたえまして、国有林野の中の自然景観がすぐれた地域や野外スポーツに適した森林空間などを利用して、人と森の触れ合いの場を整備するヒューマン・グリーン・プランを自然環境の保全や地域振興などの観点を踏まえて実施することといたしております。  御指摘のリゾート地域に国有林が含まれるような場合につきましても、ただいま申し上げましたヒューマン・グリーン・プランを活用することといたしております。この場合、国有林野の管理、経営との調整を図ることとしておりますが、森林の残置を図るなど、自然環境の保全につきましても十分配慮することとしておるところでございます。特に、自然公園地域につきましては、この点に意を用いるということでございまして、関係行政機関と十分連絡調整をとりながら自然公園法の規定に基づく所要の手続を経て実施していくものでございます。
  36. 小杉隆

    小杉委員 最後に政務次官にお願いしたいと思いますが、この際、拙速は避けるべきだと思うのです。恐らくみんな急げ急げということでやってくると思いますけれども、やはり二十一世紀を展望した長期的な視点に立って、あるいは全国的な一つの視野に立って、環境庁としてこういうリゾート構想なりあるいは地域開発について自然を守る、自然環境を――もちろん私は利用をストップしろというのではなくて、利用を図ることは必要ですけれども、一度失われたら二度と戻ってこない、こういうものについては拙速ではなくて巧遅でいくべきだと思いますが、基本的な考えを伺いたいと思います。
  37. 杉元恒雄

    杉元政府委員 お答え申し上げます。  環境庁にとりましては極めて重要な、貴重な御意見を拝聴させていただきました。御趣旨に沿いまして十分注意深く今後進んでまいる所存でございます。
  38. 小杉隆

    小杉委員 終わります。
  39. 吹田愰

    吹田委員長 次に、川俣健二郎君。
  40. 川俣健二郎

    川俣委員 鳥鳴き花咲く候になりましたが、委員長の了解を得て巣箱を持ってきました。バードウイークが間もなくやってきますけれども、これは国会周辺に巣箱を架設する計画で、鳥類保護議員懇話会、私は世話人をやっております、これはスポーツ議連とは関係ありませんが。あわせて財団法人日本鳥類保護連盟という名前で、鯨岡先生と河野洋平君の名前でこれをやろうじやないかという呼びかけがありました、別に稲門会の宣伝をするわけじゃないが。これは尾崎記念館の庭園にみんなでやろうじやないか、こういうことです。  なるほど、にんべんに木と書いて休むと読む。やはり安らぎというのは木材からだ。こういうことで、私も十年予算委員会で、学校の三階建ては御法度の建築基準法、そしてたとえ建てても文部省の補助金は三割減、こういう基準法を十年かかって、ようやく昨年同僚議員の御同意を得て建築基準法の大改正になり、今や非常に木造校舎というのはふえてまいりました。やはりこういうのは、都会にいじめ等が非常に激しいというのは、育ち盛りの人間が学校でもコンクリート、帰ってくればガチャンとかぎっ子、これじゃとてもはけ口がない。私ら子供のころは、机に小刀で先生の目を盗みながら穴をあけてビー玉をごろごろ落とした。こういったところで木というものに親しむ必要があるのじゃないか。成金さんがどんなに豪華なコンクリートの邸宅を建てられても、床の間と仏壇だけは木であるということから見ても、やはり木というもの、こういうものが非常に――環境庁が一翼を担っておるのだろうな、これは農林水産省、林野庁だけではない。委員長もちょうど緑の羽をやっておるようですが、だれかやっていないかなと思ったら、まだいるんですね。林野庁でやっていたのが帰ったようですが、もしあれでしたら私持っていますので。  これはにおいの出るしおりです。委員長に了解を得てから皆さんにお願いします。  「不思議な物質「フィトンチッド」」、学のある人方はわかると思うが、フィトンというのは植物、チッドというのは殺す。「植物は自分をおそう虫をおい払ったり、きらいな植物をよせつけないようにするため、フィトンチッドを出します。」というようなことでございます。したがって、私がここで取り上げようとしている問題は、環境庁というのは大変な官庁だなと思って常に同情しておるのでございます。今もリゾートの話を聞いていますと、開発というのは今のままでないという意味でございます。草ぼうぼう、木ぼうぼう生やらかして自然で暮らすという自然人ならいざ知らず、そういう意味で環境庁というのは大変だなと思って同情しておるつもりです。  ところがこの間、おとといですか、「釣り糸は野鳥の敵」という新聞記事が目に入った。「本格的な春の釣りシーズンを控え、野鳥を釣り糸(テグス)公害から守ろうと、「みずもと自然観察クラブ」は来月三日の定例観察会で、いつも会場に使っている都立水元公園内に散乱している釣り糸を拾い集めることになった。」こういうように非常に民間で自然を守ろうという動きがあるわけでございます。ところが、これだけなら民間の任意団体あるいはボランティア活動等々でできるわけですが、官庁となるとなかなかそうはいかない。環境庁というのは結局、自然の保護と開発それから国民のニーズ、鳥を捕獲するという法律環境庁の所管である。そうすると狩猟法、いわゆるハンターですが、これとの関係も出てくるだけに、これは大変だなと思っております。  そこで、例えば林道開発と自然保護というのはあちこちでトラブルが起きます。知床、ムツゴロウさんまで行ったようですが、あるいは青森と秋田の間の青秋林道。林道をつくらなければ奥山は開発できない。それじゃ奥山はぼうぼうにしていいのだろうか、こういうことになる。そうはいかない。やはり切るものは切り、植えるものは植える。かつて屋久杉で切るべきか、二、三千年のものをそのままにしておくべきかという大論争をしたわけですが、やはり環境庁が中に入ってくれた。ところが、このごろ環境庁の顔が見えない。したがって、私も環境委員会の一員になるまで環境庁局長さん方の顔は余り知らなかった。認識が不足でございました。政務次官はもちろん同僚でございますから知っておりましたが。  そこで、環境庁というのは一体人事的にはどうなんだろうか。後で官房長にまとめて伺いますが、各局長さん方は出向なのだろうか、本当に腰かけ的に座っているものなのか、そういったところをまず聞きたいと思います。  私はここにカドミの棒を持ってまいりました。これは九九・九%といってスリーナイン。カッパー、銅の三倍か四倍の高価なものです。これがなかりせば日本の国にテレビはこれだけ普及しなかったという貴金属であります。レアメタルであります。これは亜鉛に付着しています。ところが戦争中に銅をとるために、鉄砲の弾をとるために亜鉛はどんどん捨てておった、したがってそれに付着しておるカドミがやがてカドミ公害につながった、こういうことになります。ところが、私は常にこれをいじっておるというのは、余計なことだが、川俣先生は何となく若々しく見えるが何か秘薬がありますかと言うから、それは進歩しないからだろうと自分で言っておるのですが、これはやはりカドミの棒をなでているからだと思うのであります。というのは、カドミの水を吸った稲はぴんと非常に勢いが強い。銅を吸ったのはくにゃとするということだが、カドミとイタイイタイ病の関連はいまだ医学的には証明されていない。そういう段階で、〇・四ppmは汚染米だ、一ppmは売買できない、食わせてはいけない、こうなっておる。ところが諸外国はそうなっていない。それが公害国会だ、そこで立地公害局があおられて、一ppmは汚染米、〇・四ppmは準汚染米、それっというんで日本の国土というものを客土なり剥土した、この費用は膨大なものです。これはこの次の委員会かその次あたり、時間がいただけたらやりたいが、この件で環境庁はこれにどう対処するか。カドミ米と称する米を毎日のようにまぜて食べているお医者さんがいるということを私はつかんできた。行徳の開業医でございますが、そういうこともあります。環境庁というのはこの辺が大変だなという視点でこれから一つの例を取り上げて、例がなければ取り上げられないわけでございますので、同じ鳥は鳥でもカモの話で恐縮でございますけれども、カモにならないように一生懸命にやっておきます。  そこで、まず「環境庁案内」、私はおととい立派なものをもらっておりますが、局長さん方の御出身というか原籍というか、今出向なものなのか、その辺をちょっと伺いたいのです。
  41. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 私は企画調整局を担当いたしております。私どもの方では環境行政全般の企画調整とかあるいは公害防止計画、環境アセスメント等を担当をいたしておるわけでございますが、私は前任は厚生省でございまして、昨年の十月にこちらの方に参りました。環境庁とのかかわりは、環境庁昭和四十六年七月に発足をいたしましたときに、その環境庁の発足の当時にこちらへ来ていろいろ仕事を担当していたということはございます。今度二回目でございます。
  42. 山内豊徳

    山内政府委員 自然保護局長山内でございます。私は昨年は官房長でいろいろお世話になりましたが、昨年秋から自然保護局を担当しております。役所に入りましたのは厚生省でございますが、決して環境庁を腰かけとは思っておりませんので、よろしくお願いしたいと思います。
  43. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 大気保全局長長谷川でございます。六十一年の六月に厚生省から環境庁の方に参りました。もともとは新潟県の生まれでございまして、保健所に七年ほど働きまして地元の保健所行政をやってまいりまして、その関係で厚生省に入り、それから今環境庁で仕事をやっているということでございます。
  44. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 水質保全局長の渡辺でございます。六十一年六月に環境庁に参りました。農林水産省に採用されて、こちらに参るまでずっと農林水産省にいた者でございます。決して腰かけというような感じでは仕事をいたしておらないつもりでございますので、よろしくお願いいたします。
  45. 川俣健二郎

    川俣委員 意を強くしました。  そこで、自然保護局長に伺いますが、この立派な「案内」によると、「野生生物課 鳥獣保護業務室(仮称)(六十一・七・一設置予定)」これはどういうように理解すればいいのですか。何で仮称か、六十一年に設置していまだに仮称なものなのか、これはいつつくったのか、今は違うのですか、どうですか。
  46. 山内豊徳

    山内政府委員 御案内のようにそれまで実は鳥獣保護課という課でございましたが、設置法の改正によりまして全体を野生生物課という名前に今は変わっております。仮称となっておりますが、現在もそのとおり同じ野生生物課の中に鳥獣保護業務室を発足したわけでございます。その段階ではまだ法案が成立に至ってなかったものですから、法律の制定前ということで正確に書いておりますが、現在の「案内」ではその点は全体が野生生物課でその中に鳥獣保護業務室があるというふうに御理解いただきたいと思います。
  47. 川俣健二郎

    川俣委員 仮称ですか。
  48. 山内豊徳

    山内政府委員 仮称ではございません。その段階では設置法が通ってなかったので仮称としておりますが、現在は鳥獣保護業務室という正式の名称になっております。
  49. 川俣健二郎

    川俣委員 人員とか予算とかをちょっと披露してくれませんか。
  50. 山内豊徳

    山内政府委員 まず人員の方から申し上げますと、野生生物課全体では十六名という体制になっております。そのうちに、今先生のおっしゃいました鳥獣保護業務室が定員上六名となっております。若干部内の応援で人を張りつけておりますが、これは定員で御理解いただきたいと思います。  それから予算につきましては、ちょっと正確な数字を手元に持っておりませんが、野生生物課全体で、鳥獣保護区の関係などで二億五千万余りの予算を所管しておるところでございます。
  51. 川俣健二郎

    川俣委員 それは後で出てきますから。  それで、これだけの組織図はわかりましたが、環境庁の所管している公益法人はどのくらいあるものですか。
  52. 山内豊徳

    山内政府委員 お尋ねの意味は野生生物課の所管する法人という……。
  53. 川俣健二郎

    川俣委員 いや、もしよろしければ環境庁全体。
  54. 山内豊徳

    山内政府委員 ちょっとその点私、全体については正確な資料を手元に持っておりませんが、まず自然保護というようなことを中心に考えますと、自然保護を理念とするいろいろな団体がございます。順不同になってしまいますけれども、自然保護協会といったような自然保護全体を名のるものもございますし、それから先ほど先生がお挙げになりましたような鳥類保護連盟のような形で鳥類に重点を置いた団体もございます。なお、鳥類につきましては野鳥の会という自然保護を理念とする団体もございます。それから、いずれまたお尋ねがあるかと思いますが、野生生物、特に狩猟問題の関係では大日本猟友会、これは大変会員の多い団体でございますが、これも現在では環境庁がお預かりする公益法人でございます。  そのほか、環境庁全体の観点からは、いろいろな情報活動などを理念とします日本環境協会でございますとか、あるいは最近の新しいものでは地球環境財団というような形で新しく認可したような法人もございますが、これはどちらかといいますと純粋の民間的な団体を環境庁が所管し認可したという形でございます。
  55. 川俣健二郎

    川俣委員 あなたもこれは座右の銘のように持っていてください。これによると、あなたの関係に絞りますが、公益法人は四十ある。あなたの直接関係するものは六番から三十三番までですから、大日本猟友会と全日本狩猟倶楽部、日本野鳥の会も所管ですね。いわゆる認可団体ですね。どうですか。
  56. 山内豊徳

    山内政府委員 そのとおりでございます。民法による公益法人として、環境庁が所管しておる団体でございます。
  57. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃその狩猟の免許を持っておる人員は、今のところ一体どのくらいおるのですか。正確に言ってみてくれませんか。何人いますか。
  58. 山内豊徳

    山内政府委員 免許取得者の一番新しい数字を申し上げますと、六十一年の数字で三十一万九千人となっております。
  59. 川俣健二郎

    川俣委員 端数わかりませんか。
  60. 山内豊徳

    山内政府委員 内訳で申しわけありませんが、その三十一万のうちの端数を申し上げますと、いわゆる御案内の乙類による免許交付者が二十八万九千七百名でございます。
  61. 川俣健二郎

    川俣委員 いや、全部でいいよ。
  62. 山内豊徳

    山内政府委員 正確な数字は三十一万九千四百六十六名でございます。
  63. 川俣健二郎

    川俣委員 こういうふうに非常に正確に取り上げられておるし、猟友会も非常に歴史を持っております。しかし、皆さん御承知のように、猟友会は捕獲する方、野鳥の会はどちらかというと保護する方。ところが、これとの関係は、両方ともあなたの方の公益法人。これとの話し合いなどは、おたくが調整をとってやる場合がありますか。回数などその他をちょっと……。
  64. 山内豊徳

    山内政府委員 野鳥の会と猟友会の団体同士のお話し合いを環境庁が仲を取り持ってやったことは、過去私が知っておる限りでは例がございません。ただ、鳥類の保護のための集いのような場では、両方の幹部が一緒になることは間々ございますので、実は私も両方の幹部と同じ場でお会いしながら雑談をしたようなこともございます。  それから、私ちょっと正確に存じ上げておりませんが、県の中では、県の猟友関係の団体と県の野鳥の会の関係者がどういう形で接触をとっておられるか。一例としては、私は両方がテーブルに着いてお話をなさったような実例を聞いておりますが、同じようなことが各県でも行われておるのではないかと理解しております。
  65. 川俣健二郎

    川俣委員 やはりそういうことなんだと思います。というのは、決めつけるわけではないが、環境庁というのは大変な官庁だなと同情するとしょっぱなに言ったのは、捕獲する方と保護する方との団体が同じ公益法人だ。これはその地方地方、地域地域、皆さん経験あると思いますが、開発にしろ、あるいは伐採にしろ、この場合はカモとりの場合ですが、そういった場合にその団体同士は時々会っているのです。それを所管の官庁が中に入っていまだに決められないという問題があるわけです。それを取り上げようとしていますが、そういうものに汗をかこうとしないところにやはり局長というのは、別に新聞とかブラウン管に出てこないからあなたを知らないという意味ではなくて、どうも環境庁というのはかつてのように団体ごとのもめごとに任せておく。切る方の林野庁の長官とムツゴロウの方との間だけで話をして、あなたが全然入ってない。あるいは皆さんが入ってないという嫌いがあるのではないかという意味で、やはりあなたも団体同士はやっているかもしらぬ、あるいは何かのパーティーでは会った、だけれども同じテーブルに集まってこいと言ったことはない。ところがその人方はやっておる。  そこで今取り上げようとするのは、あなたに通告したように猟期の問題です。これは非常に長い間、どういうように地方から挙がってきているかということを後で説明しますが、一体この猟期の変遷というか、一口に言う狩猟法の沿革等々ちょっとお答え願えませんか。
  66. 山内豊徳

    山内政府委員 猟期ということを念頭に置きながら、まず狩猟法の歴史を若干申し上げさせていただきたいと思います。  これは非常に歴史の古い法律でございます。明治六年に当時の太政官布告ということで鳥獣猟規則というのでしょうか、そういう規則ができておりますが、その後、法令の整備が進みまして、少し途中を飛ばして言いますと、明治三十四年にかなり大幅な法律改正がございまして、そのときの法律の名前は狩猟法となっています。このころ、内容的には禁猟区を決めるようなことも始めたようでございますが、実はこの三十四年に猟期を決めまして、かつ、後ほど御指摘あろうかと思いますが、北海道とそれ以外の区分をするというのが三十四年から始まっているようでございます。
  67. 川俣健二郎

    川俣委員 三十四年のはどういう猟期ですか。
  68. 山内豊徳

    山内政府委員 これは北海道とそれ以外の区域で猟期を変えるということを始めております。
  69. 川俣健二郎

    川俣委員 だから具体的に。
  70. 山内豊徳

    山内政府委員 失礼いたしました。  三十四年時点では、北海道が九月十五日から四月十五日まで約七カ月でございます。それ以外の地域は十月十五日から同じように四月十五日までという決め方をしております。  それで法体系全体を申し上げますと、大正七年にほぼ現行法の前身でございます、名前は同じ狩猟法が制定になっております。大きな歴史を申し上げますと、実は戦後、昭和三十八年になりまして、この狩猟法という名前をまず名称からしまして鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律ということで、鳥獣の保護政策の面の強化が図られたようでございます。直近では五十三年にも法改正がございますが、御案内のようにこの間法律全体の所管が、当時の農林省から環境庁発足に伴い環境庁に移されたという大きな流れもございます。
  71. 川俣健二郎

    川俣委員 そうすると、猟期だけに絞りましょう。最初は九月十五日が北海道、用意ドンのドンが九月十五日。それからそのほかは十月十五日ですか、その変遷をちょっと聞かして。
  72. 山内豊徳

    山内政府委員 まず、明治三十四年時点は、北海道が九月十五日から、いわば言葉は悪いかもしれませんが本土が十月十五日から、そのとおりでございます。  その後、経過を申し上げたいと思います。昭和年代になりましてからの経過を御参考までに申し上げておきますと、終戦直後の昭和二十二年では全体をかなり絞っておりまして、北海道でさえ十月一日から一月三十一日までに短縮しております。それ以外の内地につきましては十一月一日からやはり一月三十一日までに絞っております。  ただ、これが昭和二十三年、二十四年ごろ若干延ばす傾向もございまして、昭和五十年ごろの時点で申し上げますと、北海道が十月一日から……
  73. 川俣健二郎

    川俣委員 ちょっと、大体じゃないですよ。担当者出てよ、やって。そんな大体なんということがあるか、法律だもの。はっきり言って、その終戦前のやつ。
  74. 吹田愰

    吹田委員長 しっかりした答弁をしてください。
  75. 山内豊徳

    山内政府委員 それじゃ全部申し上げます。  三十四年時点が今申し上げたとおりでございますが、昭和二十二年では、北海道が十月一日から一月三十一日まで、内地が十一月一日から一月三十一日まででございます。二十三年に北海道を十月一日から二月末までに延ばしております。それから、同じように内地につきましても十一月一日から二月末までに延ばしております。それから、昭和二十四年になりまして北海道を一月末までに縮めておりまして、その段階では本土はそれまでと同じ十一月一日から二月末までのままにしてございます。
  76. 川俣健二郎

    川俣委員 全然違うから、私が言うから担当者、違うなら言ってください。  明治三十四年から昭和二十一年までを申し上げますと、北海道は九月十五日用意ドン、それからその他は十月十五日用意ドン、昭和二十二年、北海道は十月一日用意ドン、それから本土は十一月一日用意ドン、それから五十年で、北海道は十月一日変わらないが、内地というか本土は十一月十五日、ここで改正になったわけですよね。これは間違いないですか。
  77. 山内豊徳

    山内政府委員 今おっしゃった時点はそのとおりでございますが、その間に実は経過がございまして、昭和二十四年から四十九年までの間に二回猟期の改正がございますので私がさっき申し上げたのでございますが、今の点は間違いなくそのとおりでございます。
  78. 川俣健二郎

    川俣委員 猟期じゃなくて用意ドンの話をしているのです。私が言ったのは間違いないですね。そうすると、五十年になっていきなり十一月十五日に十五日間、半月間延ばしたというのはどういう理由ですか。
  79. 山内豊徳

    山内政府委員 つまり、延ばしたということは全体の猟期が短くなったわけでございますが、これは、一つは狩猟鳥獣の保護の観点からとれる期間を短くしたことと、当時の説明によりますと、この時期の農作業との関係でやはり心配が伴うので二週間、十五日ばかり縮めたというふうに聞いております。
  80. 川俣健二郎

    川俣委員 聞いておるという答弁はないでしょう。そんな答弁があるかね。その間とは何ですかね、あなた。三十八年から四十九年までは変わりませんよ。そうじゃないですか。局長、聞いておるとは何ですか。そんな答弁あるかね。
  81. 山内豊徳

    山内政府委員 確かに先生おっしゃいました猟期の初めの点は、おっしゃるように……
  82. 川俣健二郎

    川俣委員 だから用意ドンの話だ。
  83. 山内豊徳

    山内政府委員 私は今猟期と申しましたのは全体の期間を申し上げようとしたので、先ほどのように細かく申し上げようとしたわけでございます。
  84. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ、お言葉を返すよ。昭和三十八年から四十九年までの間に猟期は変わりましたか。
  85. 山内豊徳

    山内政府委員 その間は変わっておりません。
  86. 川俣健二郎

    川俣委員 変わってないでしょう。猟期も変わらないでしょう。まして用意ドンも変わってないのですよ。あなた、何の資料を持っているのかね。だから、担当者に答弁させてくれと私が言っているのだ。どうなんですか、これは。いいじゃないですか、担当者だって。
  87. 山内豊徳

    山内政府委員 恐縮でございますが、確かに昭和三十八年から四十九年までは先生御指摘のようにスタートも終わりも変わっておりませんが、私が先ほど申し上げかけたのは、戦後の昭和二十二年代から三十七年までのことを申し上げようとしたわけでございます。ただ、その間も用意ドンの時期は変わっておりません。
  88. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ、話をもう一遍戻すよ。  昭和五十年になってすとんと本土の方を十一月一日を十五日にした、半月延ばした理由は何ですかと言っているのです。
  89. 山内豊徳

    山内政府委員 端的には、やはり狩猟鳥獣の保護の観点から短くしたということでございます。
  90. 川俣健二郎

    川俣委員 猟期は短くなっていませんよ。これはあなたの方の資料でしょう。そのことじゃないよ。農作業と結びついているのでしょう、私に対する説明は。何を調べてきたのですか。
  91. 山内豊徳

    山内政府委員 恐縮でございますが、五十年に改正しましたときは、おっしゃいますように本土は十五日スタートがおくれたわけでございます。おしりが変わっておりませんから、全体は短くなっております。それからついでに申し上げますと、北海道は逆におしりを十五日短くしてどちらも十五日間短くなっております。これは明らかに私の手元でも、五十年の改正の猟期の全体の設定はそうなっております。
  92. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは捕獲数を少なくするために変えたのですか。十一月一日を十一月十五日に用意ドンを落としたのでしょう、こういうように。半月おくれさせたのでしょう。その理由は捕獲を少なくするためですか、それだけですか。私への説明とは随分違うね。
  93. 山内豊徳

    山内政府委員 先ほど申しましたように、捕獲を少なくすることと農作業との関係での安全を見込んでその間を短くしたということでございます。
  94. 川俣健二郎

    川俣委員 やっと出てきた。農作業の安全というのがやっと出てきたよ。それが理由だったのだよ、素直に言うと。猟期を短くすると言うのなら鳥獣を保護するということなんです。それなら理解できるけれども、そうじゃないの、第一目的は。農作業で危ないからという危険度からいったのよ。そういうので半月どんと落とした。もともと十一月一日から東北の方はやれたのだよ。それを十五日、半月延ばしたというのは、農作業で外に農民の人方が出ているだろうから危ないだろうというのが大きな理由ですよ。あのときの法改正を見なさい、趣旨説明を。そういうことですよ。それは違うと言うのなら違うと言ってください。
  95. 山内豊徳

    山内政府委員 御指摘の農作業と関係ありますことはそのとおりでございます。
  96. 川俣健二郎

    川俣委員 農林省来ていますか。――それで、現状は農作業の始まり、最盛期、終わり、こういったところ、大体日にちを追ってくれませんか。
  97. 清田安孝

    ○清田説明員 お答え申し上げます。  稲の収穫時期の農作業といたしましては、コンバインとかバインダーで刈り取る収穫作業と、地域によりましてはその後はざがけなどによりまして天日乾燥したものを脱穀、稲わらを処理する作業がございます。東北地方におきます水稲の収穫時期は地域によって品種の早、中、晩、いろいろ多種変動ございますけれども、概して申し上げますと、収穫作業は九月の中ごろから始まりまして十月十五日前後に終わるのが普通でございます。ピークはやはり十月の前半、初旬、そういうのがピークになってございます。
  98. 川俣健二郎

    川俣委員 大体そうなっているね。これは東北の方からの資料ですが、やはり農作業が早まったというのは機械化したからなんですね。ちょっと参考までに、四十八年ころから三〇%がコンバインだった、コンバイン刈り入れ。ところが六十二年になったら八五・二%がコンバイン、ほとんど手刈りはない。それからバインダー、昭和四十八年ころは五六%、六十二年になったらほとんどない、一四・三%。さらに申し上げます。今度は収穫期、昭和五十一年ころは始まりが十月九日、これは平均値ですよ。それから最盛期は十月十八日、終わりは十月二十九日、結局二十日間かかったわけですね。ところが、六十二年となったら始まりが九月二十八日、最盛期が十月四日、それから終わりが十月十一日、こういうように、これは私がつくったのではなくて、後で見てもらえばいいのですが、こういうものがある。  そこで、今まで青森、岩手、秋田、宮城、山形の、と言ったら何となくサントリーを思い出すのですが、陳情、請願というのを受けておりますか。
  99. 山内豊徳

    山内政府委員 この問題は、ここ数年間いろいろな形での御要請を受けております。私が一番最近いただきました要請では、秋田県の、これは県当局も含めてでございますが、何とか猟期を先生の御指摘にあるような意味で十一月一日から始めることができないかということを昨年の六月の時点で文書でいただいておりますけれども、それまでに実は関係県の猟友会の名前で、あるいは大日本猟友会のお名前で同様の趣旨の陳情をいただいております。それから、今秋田県の例を申し上げましたが、大日本猟友会からは昨年の十月十一日付で、非常に幅広い要請書でございますが、その中に、これはカモについてという意味かと思いますが、五つの県の狩猟期間を十五日間早められないかという要請書を文書でいただいております。
  100. 川俣健二郎

    川俣委員 どうもあなたは腰かけではないと言うけれども身についていないな、カモに限定かもしれませんがという程度では。私は愛鳥懇話会の方の世話人だから、免許を持っているわけではないしハンターに関心があるわけではない、興味はないけれども、百科辞典を見ると、カモというのは「百二十種の鳥の総称。極地を除く全世界に分布する。」「一般に北方系の渡り性の強いカモ類は秋も冬季には何種類かがいっしょになって生活する。」こういう生態を持っているというのが百科辞典にあります。  そこで、津軽海峡冬景色、今度はトンネルができたけれども、津軽海峡が十月一日ドン。津軽海峡の距離は五十キロから六十キロ、それで十一月十五日青森の方が用意ドン。渡り性が強い。十一月十五日ごろはカモは福島あたりなんだ。それが青森から沖縄まで全部猟期が、用意ドンが同じだというのは、あなた不思議に思いませんか。
  101. 山内豊徳

    山内政府委員 先ほど私が大日本猟友会の要望書を申し上げましたのは、文書の上では実はカモだけとは書いてないものですから、私正確に申し上げたつもりでおります。といいますのは、その後猟友会と話し合いましてカモだけということになったわけでございます。  今の点は本質論でございますが、率直に申し上げまして、北海道以外の青森から沖縄までが同じ猟期であることは、カモのような渡り鳥については検討すべき点だろうというふうに私も思っております。
  102. 川俣健二郎

    川俣委員 思っているというのはみんなが言うならいいのだ、あなたが思っているのではだめじゃないですか。  その陳情は一番最初にいつ来ましたか。
  103. 山内豊徳

    山内政府委員 先ほど申しましたように、大日本猟友会の一番新しいものが昨年の十月でございますが、それ以前に昭和五十九年時点でも同様の趣旨の御要請が来ております。
  104. 川俣健二郎

    川俣委員 私の手元にあるのは、五十九年十一月十三日付環境庁長官石本茂殿、こういうようになっております。そしてこれは政務次官、皆さんも、やはり三十一万九千四百六十六人もの陳情となれば、本当に大規模な陳情だなと私も思っておったのですが、これはちゃんと狩猟制度検討特別委員会委員長相馬昭男、こういうことで、第一回では「猟期について」、「猟期の見直し」「渡鳥の猟期」「カモ類の猟期」。それからさらに第二回では「保護区」、「設定」「管理運営」「保護区と農林水産業との調和」、そして「休猟区」の「管理運営」、それから「有害鳥獣駆除」「鳥獣の繁殖」「専門職員等の配置」「鳥獣保護の財源について」、こういうのが非常に学究的というか、調査したものが出ている。これはこちらは一切関与してない。これこそ環境庁が野鳥の会とか関係団体を集めてやるべきだと思うが、みずからやっております。  参考までにこの狩猟制度検討特別委員会のメンバーを紹介します。相馬昭男というのは林政総合研究所専務理事で、元環境庁でしょう。それから小委員会の名簿を申し上げますと、委員長は早稲田大学法学部教授の黒木さん、副委員長は前林業試験場の白井さん。そのメンバーには、県環境保全課、警視庁公安委員会、山階鳥類研究所、神奈川県猟友会、全国農業協同組合中央会農畜産部長、山内さんですか、それから弁護士、大阪府猟友会理事日本野鳥の会常務理事、これは川崎さん、きょうお見えになって傍聴されていると思います。それから大日本猟友会制度委員長、東京都、全国森林組合連合会林政部長。なるほどこういう人方がつくった答申であるから、こういうのを環境庁がやらないで、環境庁というのは何やっているんだろうかと思う。  それで、青森のまさかりの先端から沖縄ですよ、あそこまでが猟期が同じだ。この中には何としてでも三つか四つに区分すべきだということを言うておる、五十八年以降。そしてそれが県知事の名前で出ておる。担当局長がそれにうんともすんともよこさないという理由がわからない。その態度だよ。これは午後の部に大臣が見えてからにしようかと思ったけれども、まずその辺の事実確認をしてください。
  105. 山内豊徳

    山内政府委員 御指摘の点、環境庁自体でこの問題について関係者の納得を得られるような資料を十分持ち得ないでいるということは率直に認めたいと思います。ただ、大日本猟友会も今おっしゃったような委員会を設けて非常に綿密に議論しておられることは私も聞いておりますが、率直に申し上げますと、五十九年時点ではこの問題を東北の七県の問題にすべきかという議論も中であったようでございますけれども、それはいろいろな中での議論もございますし、あるいは指導行政を預かります県の方の意見もあったようでございまして、現段階では、先ほど申し上げました一番新しい御意向では五つの県に絞ってはどうかということでございます。  むしろ基本的なデータの問題もこの問題の重要なポイントでございますが、それを当てはめてどういう県についてこの問題を具体化するかということでは決して私どもは何もやらないで経過したのではなくて、県の行政の立場あるいは県の猟友会の立場もあわせまして意見交換をしながら今日まで来ております。その点がもっときちんとした対応をデータをつけてやってこなかったという御指摘であれば、率直に申し上げまして御指摘を受けたいと思うのでございますが、全く等閑ていたわけではないことだけは御理解いただきたいと思います。
  106. 川俣健二郎

    川俣委員 それはあなた、今の代の局長にばかり言ったって悪いかと思うのですが、かつての課長の佐野さんなんか、今帯広の営林支局長になっているので恐らくくしゃみをしているのではないかと思うが、県知事の判こで長官あてに来たら、今検討中だとかあるいは野鳥の会その他の各種団体との調整をしているとか、こういう正式な令書が来たらやはり出すべきではないだろうかね。私はそう思いますよ。  私がなぜこういうことを言うかというと、話は違うが――委員長、年前中はこれでやめて、あとは長官によく説明して、午後の分は私の持ち時間までしかやりませんからやめますけれども、例えばオゾン層だって、あれなんかどう考えたって政務次官、環境委員会じゃないですか。国際法ですよ。諸外国はみんな環境委員会なんだ、今、外務委員会をやっていますけれども。それを、よって原因とする商工の方でやるというところに、やはり私は環境委員会に籍を置いているだけに、皆さんに何とか元気出せと言ってやるわけではないが、あなたは、的確にしないことを指摘されるとすればというような仮定じゃなくて、全く的確じゃないでしょう、こんなものに返事をしないというのは、それは六人しかいないのだからしようがないとかと言って。時間があれば野鳥の会からの反論の資料もありますよ。この反論の資料も集めて、皆さんはどっちの資料が正しいか共同の場で討議し、共同の場で見に行く、こういう姿勢が必要だと私は言うのですよ。どう思いますか。その一点だけ政務次官にお伺いしてお昼にしましょう。
  107. 杉元恒雄

    杉元政府委員 先生の御意見、十分拝聴いたしまして、私どもよく理解しております。なかなかさっきから、歯切れよく、直ちにお答えするまでにはまいりませんが、どうぞ御理解をいただきまして、ただ、先生の御意見、十分拝聴して尊重して、内部で検討させていただく、こういうことにいたしたいと思います。
  108. 川俣健二郎

    川俣委員 本会議があるようですから、これで午前中の分を終わります。
  109. 吹田愰

    吹田委員長 それでは、午前中はこの程度で休憩いたします。     午前十一時三十三分休憩      ────◇─────     午後二時三十三分開議
  110. 吹田愰

    吹田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行します。新村勝雄君。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣にお伺いいたしますが、まず湖沼の問題でありますけれども、水の重要性は申すまでもございません。生命は水から生まれたと申しまして、我々も水に対しては本能的な郷愁のようなものを持っております。また、自然の景観あるいはすべての生物の生活からしても水は根本であります。ところが、工業化社会の進展に伴いまして、水、特に湖沼、河川もそうでありますが、自然界に存在する水が汚染をされるという事態が進んでおるわけでありまして、これは大変重要な事態だと思います。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕  これについては政府もその重要性を認識されて、さきに湖沼の汚染については湖沼水質保全特別措置法を制定されております。この法律については評価をするものでございますが、その後の状況を見ますと、必ずしも水の汚染が解決をされていないわけでありまして、その解決はむしろ今後にあると思うわけであります。  そこで、水の汚染のうちで特に湖沼の問題、いわゆる閉鎖水域の汚染の問題についてお伺いをしたいわけでありますけれども、まず湖沼、閉鎖水域の汚染という問題についてこれからどう解決をされるのか、大臣の基本的なお考えをまずお聞きします。
  112. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 ただいまお話しの点、今一番水の汚れている問題、河川、湖沼、内海という中で湖沼問題に限って申し上げますと、ほとんど閉鎖性の強いところが汚れておる。その原因はもちろん工場等の排水もあるでしょうけれども、主力は家庭の雑排水が流れ込む。湖はそこから水が余り動かないということですから、汚れることだけは何ぼでもふえてくる、そうしてきれいにはならないというような状態が続くわけであります。  私も実は奈良でございますので、京都から汽車に乗って東京へ出るのですが、時間の余るとき、ちょっと京都駅でコーヒーを飲みに駅の喫茶店へ入ることがあります。普通コーヒーを飲むときに水が出ますけれども、口に当てたら吐き出したくなるような、これは琵琶湖がいかに汚れておるかということでございまして、元の知事さんもおられて、一生懸命にやられた。だから私は、琵琶湖の水ぐらい何とかならぬのか、しかし一番大きな問題だ。それよりも悪いのが先生の御出身の千葉県に手賀沼があって、これがワーストワンだ。琵琶湖よりまだ悪いのですから、これは大変な状態だなと私は思います。  ただ私は、今おっしゃる湖沼の中でも特に問題になるようなところを特別指定して、予算の上で傾斜配分をつけてできるだけ早く水をいわゆる水準まで、水準を皆設けておりますから、それに近づくような努力をしよう、水準は環境庁が設けますけれども環境庁だけじゃなしに関係省庁みんなで一緒になってこの問題を解決しようということで、閣議でも決定になっておるわけでございます。その手法といたしましては、一日も早く湖に流れ込む周辺の下水道を推進していく。だから特に指定した地域については傾斜配分をつけてそれを進めていく、または下水道の計画があるところはいいのですけれども、計画がないような地域、あるいは下水道はやがてやっていかなければならぬわけですけれども、うんと後になるというような地域はいわゆる合併浄化槽というものを有利にしていけるような、厚生省の方で今度予算もずっと五倍くらいに大きくしてそれを進めていく、いろいろな方法で考えていく。  もちろん一番原因者は家庭の主婦の方、いわゆる雑排水を出す方でございますが、例えば油などを使う場合に、使った後でその油をもとのつぼへ返して、ついている油をそのまま蛇口をひねって落とすのと、新聞紙か何かで-遍ふいて水洗いする、それだけで我々の頭の中の単位で言うと、井戸水三百三十杯ぐらい違うというぐらいに水量が問題になってくるわけです。だから、閉鎖性の湖の流れをうまく変えれば、もっと閉鎖性を開放すれば、琵琶湖の場合は非常にしにくいのですけれども、手賀沼なんかの場合だったら利根川の水を引くことによって、この計画を進めるとあのワーストワンは一挙になくなるんじゃないかと思うような方法でやれるんじゃないか。とにかく今指定をして、いわゆる汚染度の基準も設けてみんなでやろうということを考えておる限り、今まで申し上げましたような手法によって一日も早く解決する、これは一番重点としてやるというふうに私は考えております。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣、大変見識をお持ちのようでございますが、その点について後でまた詳しくお伺いします。これからお伺いするのは湖沼一般、閉鎖水域一般でありますけれども、その中で特に代表的な、私の近所にある手賀沼についてお伺いしたいと思うのです。  琵琶湖は日本を代表する湖でありますけれども、千葉県には残念ながら悪い方で日本を代表する湖沼が二つございまして、そのうちでも特に手賀沼はワーストワンだということでございます。こういう状況に対して特別措置法ができたわけでありますが、残念ながら指定湖沼としてここに指定をされております七カ所ですか、そのうちの随一が手賀沼でありまして、次が印旛沼というふうに、千葉県は人口急増地帯であるだけに閉鎖水域の汚染が進行しておるわけであります。そこで、今大臣がおっしゃったようにいろいろと施策をおやりになっておりますけれども、なかなかこれがはかばかしくいかないということであります。  そこで指定水域、指定湖沼、特にこの指定湖沼については、現在及び将来どういう施策をおやりになるのか。今大臣既にお話しになっていらっしゃいますけれども、地元の立場からいいますと、国の施策がなかなかまだるいという点があるわけであります。例えば手賀沼でありますけれども、確かに下水道は間接といいますか直接といいますか、水の汚染の解決の一つの決め手ではあろうと思いますけれども、水そのものをきれいにするという施策と、それから間接的に水を浄化するという二つの方策があると思います。公共下水道はどっちかというと間接的な施策だ、根本的な施策ではあると思いますけれども。それからもう一つは水そのものをどうするのか、あるいは湖沼に沈積をした汚泥をどうするのかというような問題があるわけなのです。ところが、下水道の推進等については国の方でも努力をされておりますが、水そのものの浄化についてはちょっとおくれておる。  そういう点で、実はローカルな問題ということになるかもしれませんが、手賀沼の例について申し上げますと、手賀沼では周辺の市町で連合いたしまして特別会計というか組合ですね、沼の水の浄化の組合をつくって、県と五市二町で特別会計をつくって水そのものの浄化に今努力しておるわけなのです。その一つとしては、アオコというのがありますね。アオコというのが出るのですが、これは特に夏に出ます。アオコを防止するためのホテイアオイという植物がございますが、ホテイアオイを栽培してアオコを防止するということが一つ。それから、アオコの分離のために脱水機、アオコ分離脱水機というのですが、要するに水をこすわけです、それでアオコを取るというようなこと。それから雑排水のモデル地区をつくって、雑排水の対策を地元として単独事業でやっているわけですね。それから流域下水道に対して、極めて少額ではありますけれども地元で負担金を出す、こういうようないわゆる県と地元市町の単独事業で、ささやかではありますけれども対策を進めておるということでありますが、そういうものに対する補助なり助成なり、これがないわけなんです。こういう点についてはいかがでしょうか。
  114. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘の手賀沼につきましては、御承知のように指定湖沼になりまして、昨年ですか、県の方で浄化のための計画をつくりまして、それで内容はいろいろな、ありとあらゆる考えられる施策はほとんど網羅したような格好になっておりますが、各省の御協力を得て実施するということになっております。その中で中心になりますのは、先生の御指摘によりますと間接というお言葉でございましたけれども、下水道の整備がやはり中心だろうと思います。今普及率は湖の周りでは三四・八%ですが、これを四七・九%まで持ち上げるということが中心になっております。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕  ただ御指摘の、湖といいますかそれに流れ込む川といいますか、それを直接浄化する仕事もメニューの中に入っておりまして、御指摘ございましたホテイアオイにつきましても、四万五千平米につきましてホテイアオイを植えまして改修する、そしてアオコにつきましても百トンの改修を行うといったような事業もございます。また、都市排水路といいまして非常に小さな形での排水路でございますけれども、その排水路自身を直接に浄化していくというような施設をつくったり、あるいは川から湖に流れる過程で一時水を休耕田に引き込みまして、そこで迂回させて流すうちに浄化していくというような仕事等もやられることになっております。また、汚泥をしゅんせつするというようなこともありますし、大堀川に礫間浄化施設というのを設けまして浄化するということも考えております。  そのうち国の補助が若干あるものもありますけれども、御指摘のように国の補助がありませんで、地方公共団体といいますか、県の単独補助という形になっておるものが、そのような形の仕事の中では大部分がそうであります。県なんかからも、これを国の補助事業にしてくれないかという御要望等もあるわけでございますが、関係省庁と私たちも御相談申し上げているのでございますけれども、なかなか難しいということであります。  ただ、一歩一歩仕事はそういう意味では進んでおると思いますのは、またこれは例えで申しまして申しわけございませんが、下水道の管ができまして、そして最終処理場ができておる。ところが末端の部分がまだ家庭に連結していないときでも、溝を流れて汚水は家庭から流れてくるわけですが、それをでき上がっている本管に穴をあけまして直接そこへ流し込む。そうしますと、末端にできております処理場はまだ下水道がきれいに整備されてないものですから、能力が余分にあるものですから、サービス的にそれを入れて下水道料金を取らないで処理するというふうなことを建設省では補助事業として、これは初めは補助事業ではなかったのですけれども、補助事業として建設省が始めてくれておるといったようなこともありまして、御要望になかなか即刻はいというわけにはまいりませんけれども、各省いろいろ御相談をしながらできるだけ国の補助にできるようにしていければと私たちは思っておる次第でございます。  長くなりましたが御答弁いたします。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 公共下水道及び面整備ですね、この施策が根本であることはよくわかっているわけです。  ただ、水の浄化というのはいろいろの面から総合的に進める必要があると思うのですね。そういった面で、直接間接という言い方は適当ではないかと思いますけれども、一方では根本的な対策として下水道を整備する、あるいは面整備をする、同時にまた対症療法と言ってはおかしいのですが、水そのものをきれいにするということもやはり必要になってくるのです。そういう面で地元では努力をしているわけなのですが、今のお話では、そういうことが考えられるし有効ではあろうけれども、補助は出せない、難しいということのようであります。こういう施策についても国の方でできる限りの助成をする、あるいは技術的な指導もするということがどうしても必要だと思うのですが、こういうことに対する補助、助成、これができないというのはどういう障害があるのですか。
  116. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 お答えいたします。  国が助成を国のベースでやっていくかどうかということを判断する場合に、私の経験でございまして、すべての省に共通しているかどうかちょっとその点は自信がないわけでございますが、申し上げたいと思うのです。  いろいろな形で新しくいろいろの知恵を働かせて、このようなことをしたちいいんじゃないかということでお考えになっているものが、今御説明るる申し上げましたように手賀沼なんかでも採用されてきているわけです。ところが、それはやはり全国的にそれなりの規模で、そしてしかもそれをやればどのような効果があるというのがある程度きちっとわかってくるというような段階にならなければ、国全体として補助制度に取り組むというのはなかなか難しゅうございます。したがいまして、やはり啓蒙的な意味もあり、そしてまだ規模も小さいというようなものは、まず最初は地方公共団体等で取り組んでみるというのが一般的に申して、ちょっとこれは失礼でございますけれども、私の知っている限りでの普通の助成の仕方ではなかろうかと思っておる次第でございます。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 この沿岸の市町村の下水道の普及率ということですけれども、一番近い沿岸の我孫子市の場合六十五年度でようやく五〇%、これは目標ですからまだ実現はしていないわけです。現在は四二、三%だと思うのです。ですから、この面整備が完成するのはかなり将来ということになります。その間にどんどん汚染は進む、一時よりは若干改善されている面もありますけれども進むわけですね。ですから、下水道が主体ではあるけれども、下水道だけに力を注ぐということではなくて、あらゆる効果のある施策については総合的に進めていく必要があると思います。そういう面で、ホテイアオイの植栽というようなことについては、これは大変ささやかな施策ではありますけれども、そういった点についてもぜひ注目をしていただきたいと思うわけです。それから、分離脱水によるアオコの除去というようなことについてもぜひ注目をいただきたいわけなのですが、今後ともひとつよろしくお願いしたいと思います。  それで、自治省にお伺いいたしますけれども、こういう閉鎖水域、汚染湖沼を有する地域の財政需要が、ほかの地域に比較して余計な財政需要があるわけなんです。沼の浄化のための費用、そういったことについて交付税の算定基礎、単位費用等にこれはカウントされているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  118. 小滝敏之

    ○小滝説明員 地方交付税の算定に当たりましては、湖沼の面積を道府県分、市町村分ともに普通交付税の算定費目のその他の諸費の面積分というものの数値に含めまして基準財政需要額の算定を行っているところでございます。また、道府県分の河川費の測定単位である河川の延長に湖岸の延長の二分の一をやはり数値に含めて算定をいたしているわけですが、これらは一般的な維持管理経費ですとか投資的経費に係る財政需要を算定するもので、直接汚濁防止のための財政需要に着目しておるものではございません。  他方、汚濁防止等のための下水道事業あるいは廃棄物処理施設整備事業等につきましては、地方債及び地方交付税において所要の措置を講じているところでありますし、さらに公害防止対策事業に係ります公害防止事業債につきましては、その元利償還金を普通交付税の基準財政需要額に含めることといたしております。また、六十二年度からは、農業集落排水施設整備事業についても下水道費の算定対象に加えております。  その他の汚濁防止等に要する特殊な財政需要につきましては、個別の地方団体の財政状況等を勘案いたしながら特別交付税の配分におきまして考慮しているところでございます。今後とも当該団体の財政運営に重大な支障が生ずることのないよう、適切な対処をしてまいる所存でございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 今のお話ですと、一般的に水面あるいは河川あるいは湖沼を有する地域には配慮していく、単位費用には入っているということでありますが、いわゆる指定湖沼、特に浄化対策に余計な金を必要とする団体、そういったところへは特別交付税の配慮があるということでありますけれども、現実にはどのくらい配慮されているわけですか。
  120. 小滝敏之

    ○小滝説明員 一般的な湖沼のほかに、特に指定湖沼ということでございますと、地方団体の数、三千数百あるうちの限定された地方団体になってまいりますので、普通交付税ベースというよりは特別交付税の配分における考慮ということでございます。特別交付税におきましては、公害対策という観点から着目いたしまして財政需要を把握いたしているところでございますが、個別の団体において特に指定湖沼分として明示的に幾らという形での明確な算定をいたしているものではございません。御理解賜りたいと思います。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、指定湖沼については特別にはないということですか。
  122. 小滝敏之

    ○小滝説明員 先生の地元の関係市町村からも、指定湖沼に係る特殊な財政需要があるということで特別交付税の要望書等もいただいておりますし、それらを十分勘案いたしまして、個々の地方団体の財政状況というものをあわせ勘案いたしまして、指定湖沼に係る財政需要も織り込んで特別交付税の配分において考慮いたしておるということでございます。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、指定湖沼については特交で考慮するということでいいですか。次に、建設省にお伺いしたいのですが、湖沼対策、水浄化の建設省は主役だと思いますが、この公共下水道、特に下水道の整備が主たる対策になると思いますけれども、指定湖沼について工事費の特別の配分割り増し、こういう施策についてはどの程度、どういう形でおやりになっていますか。
  124. 安藤茂

    安藤説明員 お答え申し上げます。  湖沼の水質汚濁対策としては、さまざまな汚濁原因に対応した総合的な施策を講じていく必要があるわけでございますが、中でも生活排水系の対策といたしましては下水道の役割が極めて重要だということでございます。指定湖沼の水質保全のため、現在、流域下水道八事業、これは十処理区ございますが、これを初めといたしまして六十を超える市町村において下水道事業を進めているところでございます。これらについて建設省としても重点的な予算配分を行ってきたところでございますが、今後ともこれらの湖沼の水質保全のため湖沼水質保全特別措置法に基づく湖沼水質保全計画との整合を図りつつ、流域下水道の、あるいは公共下水道の整備の促進に努めてまいりたいと考えているわけでございます。  具体的には、六十二年度の例で申し上げますと、全国平均の予算の伸び率がございますが、それに対してやはりこういうところは重点的であるということで、数%でございますが伸び率を高く配分しているわけでございます。六十三年度も引き続きそういうことを踏まえて配分作業を行っていきたいというふうに考えております。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 順序が逆になりますけれども、自治省さんにはもう一つお伺いすることがありますので、その点だけお伺いをしてお帰りをいただきたいと思います。  それはやはり交付税の問題ですけれども、飛行場周辺地域、飛行場もやはりその地域にありますと財政需要があるわけですよ。これは飛行場一般でありますけれども、特に一つ例示的に申し上げますと、海上自衛隊の下総基地というのが私の近所にあるのです。これは下総基地に限らないのですが、例示的にそれを申し上げるのですけれども、これは自衛隊の飛行場ですが、この飛行場については、飛行場施設については特別の交付金もありますし、防衛庁としてはいろいろ配慮されていると思いますけれども、そのほかに一般的に地域としてあるいは自治体として財政需要があるわけです。それからまた、飛行場があるために住民がいろいろ迷惑と言うと語弊があるかもしれませんが、迷惑を受けている。そういうことに対してやはり特別の財政需要ということで交付税には当然カウントされていると思いますけれども、どういう形でカウントされていますか。
  126. 小滝敏之

    ○小滝説明員 飛行場所在の市町村等に対しまして、今先生御指摘ございましたとおり、いろいろな国庫補助の措置でございますとかまた防衛施設周辺整備の諸措置がございますが、地方交付税の算定に当たりましては、空港の所在市町村及び隣接の市町村に対しまして航空機騒音対策事業費等の財政需要を普通交付税の基準財政需要額に算定いたしておるところでございます。
  127. 新村勝雄

    ○新村委員 それから、特別交付税についてはいかがですか。
  128. 小滝敏之

    ○小滝説明員 普通交付税の基準財政需要額に算定いたしますとともに、特に防衛施設関係のものにつきましては基地対策関連というようなことで、特別交付税におきましてもその特殊財政需要について十分考慮するということで算定いたしておるところでございます。
  129. 新村勝雄

    ○新村委員 特交というのはどうもつかみにくい財政措置でして、いろいろ財政的にお願いをすると、いやこれは特交で見ますよ、これも特交で見ます、みんな特交で見ますということになるのですが、もらう方、措置をされる方についてはなかなかはっきり把握しがたいわけですね。ですから、一定の基準をつくって、クラスをつくって、このクラスの飛行場についてはこの程度だという、そういう基準はないのですか。つかみ金です
  130. 小滝敏之

    ○小滝説明員 先生、地方団体の首長の御経験も踏まえての御発言だろうと思いますが、さまざまな特殊な財政需要がございますので、ある程度ルール的なものにつきましては、特別交付税の算定省令というものの中に基準を示しておるものもございますが、地域的にかなり偏差がございます。さらに、特別交付税の性格上、個別地方公共団体の財政状況というものをあわせ勘案するということでございますので、御指摘のとおりちょっとわかりにくいという点もないわけではございませんが、十分個々の地方団体の御要望等もお聞きをいたし、それらの需要を考慮しつつ個々の地方団体の財政運営上支障がないように配慮しておるところでございます。
  131. 新村勝雄

    ○新村委員 飛行場周辺地域というのは、騒音それから交通問題もありますし、いろいろの面で財政需要あるいはまた金に換算のできない影響があるわけですから、そういった点を十分留意をされて適切に配慮されるように特にお願いしておきます。自治省さんは以上で結構です。  もとに戻りまして、特別配分数%をやっておるということでありますけれども、指定湖沼というのは、湖沼のうちでも特に汚染がひどいところを重点的に指定をして、重点的にその改善を図るという趣旨でありましょうから、ここについては重点的に、あるいは超重点的にひとつ下水道の予算の配分等を願いたいと思うのですね。先ほど申し上げたように、手賀沼を例にとってみましても、その一番関係の深い市の面整備が六十五年でようやく五〇%、これは目標ですから、目標どおりいくかどうかわかりません。現在は四〇%程度だと思います。こういう状態ですと百年河清を待つ――百年はかからないでしょうけれども、なかなか進まないということでありますから、もう少し傾斜配分をお願いできないかということでありますが、いかがですか。
  132. 安藤茂

    安藤説明員 六十三年度予算の配分作業は現在やっているところでございますが、これは先生おっしゃいましたように指定湖沼につきましてはやはり非常に重要だと私どもも考えておりますので、何%という数字を今申し上げられませんが、できる限り重点配分をしたいというように考えております。
  133. 新村勝雄

    ○新村委員 それで、この工事について地元ではいろいろ疑問があるわけなんですが、先ほど大臣がおっしゃったように、閉鎖水域というのは閉鎖されているから汚染するわけですね。ですから、この閉鎖水域を流動水域というのか、ほかの流れの一環にしていけばこれは違うわけです。手賀沼の工事の場合にも、実は地元ではいわゆる沼導水にした方がいいのではないかという議論があったわけです。こういうふうに手賀沼があれば利根川がすぐ流れておりますから、利根川から水を入れて、一方から出していく。  たまたま北千葉導水事業というのがありまして、利根川の水を江戸川に導水して、その水が東京都の皆さんの飲料水になる、こういう目的のために利根川の水を江戸川に移す工事を今やっているのです。その移す途中へ手賀沼を入れたらいいのじゃないか。利根川の水を手賀沼に入れて手賀沼を流して、その手賀沼の西側から江戸川につないでいくことにする沼導水の形にした方がいいのではないかという議論が地元では現在でもあるわけですが、それがどういうわけか沼導水ではなくて、沼とは別のところへ管渠を敷設をしてそこへ水を通すということに建設省はしたわけです。これらはなぜそうなったのかそこらがはっきりしないのですけれども、御説明願えますか。
  134. 山内彪

    山内説明員 お答えいたします。  今先生おっしゃいました北千葉導水事業は、手賀沼及び坂川周辺の内水排除と手賀沼、坂川の水質浄化、それに首都圏への都市用水の供給等を目的といたしました流況調整河川事業でございます。今先生おっしゃいました浄化用水の件でございますが、おっしゃるとおり利根川側からの導水路で坂川を経て江戸川に結ぶわけですが、その途中の手賀沼の上流においてポンプで手賀沼に水を入れるという計画で進めております。
  135. 新村勝雄

    ○新村委員 手賀沼の沿岸に管渠をつくって導水するのでしょう。そうじゃなくて手賀沼の中へ利根川の水を入れて、それで手賀沼の西側の、手賀沼というのは細長い沼ですから、反対側から江戸川の方へ導水すべきだという議論が地元ではあったわけです。それを希望したことがあります。それが採用されなかった理由は何であるかということです。
  136. 山内彪

    山内説明員 お答えいたします。  手賀沼の水は、通常の状態であれば利根川の方に流れてまいります。したがいまして、最下流で入れるわけではなくて、今の段階は手賀沼の上流端のところで、その管渠のところからポンプアップして入れれば自然にその水が利根川側の方に流れていく、そういうことで手賀沼の上流側に入れることにしているわけでございます。
  137. 新村勝雄

    ○新村委員 ちょっと話がかみ合わないのですが、手賀沼そのものを北千葉導水の一部にする、こういう構想があったわけです。ところがそうじゃなくて、今は手賀沼には関係なしに管渠を敷設して導水するわけでしょう。その途中から少し手賀沼に入れて浄化をしようということですから手賀沼を通ることにはならないわけです。手賀沼に若干注水をするということです。そういうことではなかなか、もう何十年とあそこに汚泥が沈積をされておりますから、まあその汚泥を流して東京に持っていくということではおかしいですけれども、そうではなくて、沼全体をなるべく早く浄化するためにはそこを北千葉の水路の一部にしてしまった方がいいのではないかという議論があったのですけれども、それはどうかということなのです。
  138. 山内彪

    山内説明員 先生のおっしゃられることは、恐らく手賀沼に入れて、手賀沼から直接ポンプアップして首都圏に水を持っていけばいいのではないかということかと思いますが、これは工法的にも非常に難しいことと、一度沼に入れてさらに沼から所定のポンプで導水するということは、水質の問題その他いろいろございまして、我々としては、手賀沼の上流端から入れることによって、下水道の整備と相まって十分浄化の事業が達成される、これは多目的事業でございますので、そういうことで判断したわけでございます。
  139. 新村勝雄

    ○新村委員 時間が参りましたので、この問題についてはまだ了解できませんけれども、続いて別の機会にお願いします。
  140. 吹田愰

    吹田委員長 次に、川俣健二郎君。
  141. 川俣健二郎

    川俣委員 大臣、午前中は大臣の離席を承知の上で質問に入ったわけですが、時節柄バードウイークの話など、釣り糸公害、さらには委員長の了解を得て、巣箱それからカドミウムの棒まで持ち出して、汗を流して御理解を得ようとしましたが、問題は、環境庁というのは自然の保護と開発と両方見なければならぬ。さらに、鳥獣の保護と狩猟という問題等で、なかなかしっくりしない問題に中に入って調整をとるというところに、環境庁にはほかの官庁にはない大変な御努力があるのだと私は思っています。  そこで、時間が三十分近くありますけれども、私はこの二問で、ちょっと打ち合わせもしましたので、ここに確認をしておきたいと思いますが、いずれにいたしましても、知事の名前で来た公文書を、しかも問い合わせに近い要望が何回も来ているわけです、それに何らかの返事を出さないという態度はよくないのじゃないかということなんで、これに対して、まず一点、局長から確認をしておきたいと思います。
  142. 山内豊徳

    山内政府委員 午前中申し上げましたように、知事からの公式の御要望書をいただきながら回答していなかった点はそのとおりでございます。六月の秋田県知事からの御要望には早急に回答申し上げることをお約束いたします。
  143. 川俣健二郎

    川俣委員 最後に大臣に伺いますが、午前中、委員長以下みんな聞いてくれましたが、北海道は十月一日から猟期開始、津軽海峡を渡った途端に十一月十五日、四十五日後だ。さらに十一月十五日は沖縄まで一緒だ。渡り鳥のカモをとらせまいということであればまた別の方法があるのです。それから、余り区分を分けると、趣味でないハンターの専門家が、渡り鳥と同時に同じように渡って歩くハンターが出てくるので、この辺は十分に観念が必要だろうと思うが、そういったものも工夫して、私が午前中やったことを大臣は担当事務局から聞いておられると思いますので、最後にその一問を伺って、あと私の残余の時間は、警察庁や労働省などおいでくださっておりまするけれども、お許しいただきます。では大臣、最後にお願いします。
  144. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 過去に経緯があったようですし、午前中私は予算委員会へ出ておって、すぐに内容も十分聞かしていただきました。ことしの狩猟期前に結論を出せるように努力いたします。
  145. 川俣健二郎

    川俣委員 ありがとうございました。
  146. 吹田愰

    吹田委員長 次に、春田重昭君。
  147. 春田重昭

    春田委員 質問する前に答弁者の方にお願いいたしますが、限られた時間でございますので、ひとつ簡潔にお願いしたい。  大気汚染の主たる原因でございます二酸化窒素、N02でありますが、これを、現在環境基準の達成率を全国平均とそれから総量規制を行っております東京、大阪、神奈川の三地域に分けてお示しをいただきたいと思います。
  148. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 お答え申し上げます。  六十一年度におきます成績で、一般環境大気測定局につきましては、環境基準でございます九八%値が〇・〇六ppmを超えておる局数は全体のうちの二・六%、三十四局でございます。それから自動車ガス測定局につきましては、同じように環境基準が未達成の局の割合が全国のうちでは七十局、二四・八%でございます。  この中で、いわゆる先生お話ございました東京、大阪、神奈川等三規制地域について申し上げますと、一般環境大気測定局におきましては、六十一年、九十八局のうちの二十九局が未達成ということでございます。それから自動車ガス測定局につきましては、六十八局中五十二局が未達成という状況でございます。
  149. 春田重昭

    春田委員 環境庁は二酸化窒素、N02の環境基準昭和五十三年の七月、それまでの基準でございました〇・〇二ppmを〇・〇四から〇・〇六ppmのゾーン、またはそれ以下に大きく緩和した、約二倍緩和したわけでございます。そのかわり環境基準は、七年以内でございますから昭和六十年までには必ず達成いたしますと公言したわけでございます。しかし、今局長から御説明があったように、自動車排気ガスの測定局におきましては全国平均で七五・二%しか達成してない。東京、大阪、神奈川におきましては二三・五%しか達成してない、こういう状況でございます。環境庁昭和五十三年の七月、告示をしておりますけれども、この責任をどう反省しているのか、お聞きしたいと思います。
  150. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、五十三年の時点で、当時の科学的知見に基づきまして環境基準を改定いたしたわけでございます。そのときに、達成期間を原則として七年以内ということで、今お話がございましたように告示にもそれを明定して出しておるわけでございますが、現在の段階におきましても依然として未達成の地域も残されているところでございまして、これらの地域につきましてはいろいろな対策等を講じてまいっておるわけでございますけれども、なかなか環境基準の未達成の問題が残っておるわけでございます。  私どもはできるだけ速やかに環境基準の達成を図ることを考えておるところでございまして、そのための対策といたしましては、自動車一台ごとの排出ガス規制の強化なり、あるいは交通量の抑制、分散等の交通対策あるいは固定発生源対策といいますものを三本の柱に据えまして、各種対策をいろいろ講じてまいっておるところでございます。
  151. 春田重昭

    春田委員 環境庁がいろいろな対策をおやりになっておるのは認めますが、これはいつまでに達成するのですか。
  152. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 環境基準達成の見通しに関するお尋ねでございますが、御案内のとおり環境庁におきましてもこの窒素酸化物に関しまして将来予測展望というものをやってまいりましたのが、六十年の十二月に公表いたしました「大都市地域における窒素酸化物対策の中期展望」という形で予測を行ったところでございます。この中身につきましては先生御案内のことでございますけれども、六十三年度におきましても達成がなかなか難しいということで報告いたしているところでございます。  最近の交通公害防止計画あるいは公害防止計画策定の段階におきまして、例えば東京都におきましては各種の規制等の効果によりまして、六十五年におきましては一般測定局では一局を除く都内全局で、また自動車ガス測定局においても約五割の測定局で環境基準を達成することが見込まれているというようなことが公害防止計画の中でも東京都の方でも予測をいたしているところでございます。  これ以外にも窒素酸化物対策につきましては、先般発表いたしました京浜あるいは阪神地域を対象にいたしました大都市自動車交通対策等計画を取りまとめたところでございまして、この中におきましても、非常に粗い計算でございますけれども将来予測をいたしまして、東京都におきまして大体東京都が予測しておりますような形での結果になるのじゃなかろうかという見通しをやっておるわけでございます。  こんなことで現在いろいろな対策を講じておるところによりますれば、六十五年度には東京都においては一般測定局は一局、自排局においては五割の測定局が未達成でございますけれども、現在よりもかなりよい結果が得られるというぐあいに予測いたしているところでございます。今後とも、従前からやってまいりました対策にあわせまして新しい対策等も織り込みながらいろいろな対策を講じてまいって、できるだけ速やかに環境基準の達成を図ってまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  153. 春田重昭

    春田委員 ただいま局長からお話があったように、東京都の公害防止計画でも、昭和六十五年では一般の測定局ではほぼ達成だけれども自動車排気測定局では半分しか達成しない。局長は五〇%もと言っていますが、私から言わせれば五〇%しか達成していない、こういうことでございまして、神奈川、大阪でも大体同じ状況だろうと思います。  したがって、環境庁としては可及的速やかに達成したいということで、昭和五十三年のときは七年以内にやると言って、それが実現できなかったものですから、最近ははっきりと達成年月をおっしゃっていないわけですよ。しかし私は、やはり環境庁としては達成期限をある程度明示して、そしてそれに全力を挙げて努力していく、対応していく。これがない限りはどうもやはり、一生懸命やっておられますけれども、手ぬるい面がありますし、対応が遅い面もある。そういった面で、環境基準達成の一つの期限の明示を環境庁としてはやはりやるべきであると私は思うわけでございますが、長官、どんなお考えですか。
  154. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 結論から言うたら、先生御指摘のとおりだと思います。  ただ、今の日本の経済の進み万が思うよりも激し過ぎるのじゃないか、もう少し人間の体というものを考えて、適当に考える全体の動きがないといけないのじゃないか。恐らく私はなってすぐだから言うことが言いわけにならないけれども、ことし車が二百万台ふえておるのですね。だから、個々の排気ガスについては、これはうんと抑制を計画的にやっておるから当然その基準には達するだろうと言うとっても、後から二百万台もふえる。恐らくだれも予想できなかったのじゃないかというような事態が起きてくる。我が国の経済の発展のテンポ――悪かったら環境庁だというだけで済むわけじゃないので、これは国民みんなで何とかしてもう少し進み方について適当にやっていかないと、命あっての物種だねという気にならないといかぬのじゃないか。  だから私は結論的に一番先に申しました。もう先生がおっしゃるとおりです。だから我々は努力するしかしょうがないのです。そういう状態でございます。
  155. 春田重昭

    春田委員 その努力するために明示をして、全力を挙げろ、こう言っておるのですよ。明示をしないからなまぬるいのですよ。  時間ないので、そこで、大気汚染という公害が大変心配されている道路建設が実は計画されております。長官は関西でございますし、奈良でございますからよく御存じのとおり、第二京阪道路というのが実は計画されております。総延長二十九・七キロ、高速道路、専用道路と一般道を併用した道路が大阪から京都にかけて計画されております。本日は、この大阪府域約十七・六キロの道路建設についてお伺いしたい。この件につきましては、一昨年の六十一年三月七日の分科会で質問をしたわけでございますが、今一番大事な時点に差しかかってきておりますので、私は再度質問したいと思います。  建設省がおいでになっておりますが、昨年九月八日にこの道路計面の変更案が関係自治体に出されました。そこで、関係地方自治体の反応を建設省はどう受けとめておるか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  156. 堀泰晴

    ○堀説明員 説明いたします。  先生からお話がありましたように、大阪府下につきまして既に四十四年に都市計画決定があったわけでございますが、その後の土地事情の変化等がございましたので、車線数の変更であるとかあるいは環境施設帯を織り込んだ計画案をつくりまして、大阪府に間に立っていただきまして、昨年の九月に関係の自治体に大阪府の方から提示をさせていただいております。現在、各自治体において検討をしていただいておりますので、できるだけ速やかにこの計画案を都市計画決定させていただきたい、こんなふうに考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  157. 春田重昭

    春田委員 私の質問をどう聞いているのですか。関係地方自治体の感触はどうなのかと伺ったのです。――今後のスケジュールについて、その手順についてお管えいただきたいと思います。
  158. 堀泰晴

    ○堀説明員 お答えいたします。  説明いたしましたように、各自治体に案をお示しをしておりますので、現在、各自治体におきましては対策協議会等をつくりまして検討をいただいております。この検討をできるだけ速やかにしていただきまして都市計画決定に持ち込みたいと考えております。できるだけ早く、この道路の重要性にかんがみまして都市計画決定を進めたいと考えております。
  159. 春田重昭

    春田委員 関係する地方自治体や地方の地元の自治会等では、この道路建設に伴う公害問題、さらに都市景観の問題、都市機能の分断の問題等さまざまな問題が生じますので、これに対処するため審議会、委員会、協議会、対策委員会等それぞれ設置しているわけでございます。国としては、各種の要請がございますが、こういったいわゆる委員会、審議会、対策協議会等については親切丁寧、そして十分なる対応をして拙速は避けてほしい、私はこう要望しますが、どうでしょうか。
  160. 堀泰晴

    ○堀説明員 お答えいたします。  先生おっしゃられますように、各自治体で検討いただいております。私ども提示いたしました案は環境対策等も十分配慮した案でございますので、十分環境保全が図れるものと考えておりますが、さらに自治体のそういう協議会等での御意見も賜りながら環境対策の万全を期していきたいと考えております。
  161. 春田重昭

    春田委員 地元説明会は関係自治体については当然行うと思いますが、一番問題なのは住民、いわゆる町会とか自治会とか、こういった方々への地元説明会は行うのですか。
  162. 堀泰晴

    ○堀説明員 御説明申し上げましたように、現在は自治体を通じて進めさせていただいております。その後、自治体との了解が調うと当然都市計画決定の手続を具体的に進めることになりますので、そういった中で地元の方々ともよく計画について説明をいたしまして理解を得るようにしていきたいと考えております。
  163. 春田重昭

    春田委員 要するに、自治会にも地元説明会は行うと考えていいのですね。
  164. 堀泰晴

    ○堀説明員 計画をよく地元に説明して理解を得るようにしていきたいと思っております。
  165. 春田重昭

    春田委員 次に、環境影響評価でございますが、これはいかなる手法で行うのですか。
  166. 堀泰晴

    ○堀説明員 先ほどお話し申し上げましたように、四十四年の都市計画決定の後、現在変更計画を作成中というかつくったわけでございます。この都市計画変更の中で環境影響評価を実施していくことになるかと思っております。
  167. 春田重昭

    春田委員 環境庁はこの道路建設に伴う環境影響評価につきまして意見を求められております
  168. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 この案件については現在の段階では求められておりません。
  169. 春田重昭

    春田委員 建設省はこういった大規模な道路建設につきまして環境庁に意見を求める必要があると私は思いますが、どうでしょうか。
  170. 堀泰晴

    ○堀説明員 この第二京阪道路の環境影響評価は都市計画の手続の中で実施するものでございます。そういうことでございますので、特に環境庁の御意見をいただくということにはならないのではないかと考えております。
  171. 春田重昭

    春田委員 長官にお伺いしますけれども、これは内閣全体の問題として、環境アセスにつきましては閣議で事業主体、事業主務官庁が行う、そして意見を求められたなら環境庁がそれに意見を述べる、こうなっておりますけれども、一定規模以上の事業につきましては、意見を求められたらいわゆるアセスをやるというような受け身じゃなくて、もっと前向きに取り組んでやるべきじゃないか。例えば外国の例で、フランスも原則として日本と同じような状況でございますが、特に環境庁としてこれはやはり環境アセスが必要だなと思うようなそういった事業につきましては、みずからの発意に基づき特定の環境影響評価について検討する、そしてこの結果許認可等に係る主務大臣に対して意見を述べることができる、こういった前向きの環境アセスをやっておる国もあるわけでございまして、我が国環境の問題では先進国ですから、そういった面で、今までは言われてやっていくんだけれども、今後の姿勢として、また大規模な公害が起こりそうなそういった事業については環境庁が言われなくともみずからやっていく、こういった姿勢が大事じゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  172. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今先生御指摘のこと、よくわかります。ただ政府の行政手続からいうと、もう先生御存じのとおりでございますので、先ほど一国の課長が申し上げたとおりでございます。だから、そういう場合でもと言われると、これは行政の仕組みの問題になってきますので、私がここで答えられる問題ではございませんので、御了承を得たいと思います。
  173. 春田重昭

    春田委員 聞くところによりますと、堀内長官はこの環境問題については本当に閣議等でもずばずばと御意見をおっしゃる長官であると聞いておるわけでございますので、従来から環境庁はそういう姿勢ですからその姿勢を守っていきますというようなそんな受け身じゃなくして、やはり長官の時代に、小杉先生のけさの質問にもあったように、全国でいろいろな計画があるでしょう、そういった面でも環境庁が乗り出していかなかったら環境が守れませんよ、自然が守れませんよ。強く要望しておきます。  そこで、建設省にお伺いしますけれども、この環境アセスは建設省独自でやるわけですね。これについては地元からも、公平、公正を期すために地元のそういった専門家も入れるべきである、こういった意見もございますが、どうでしょうか。
  174. 堀泰晴

    ○堀説明員 環境アセスメントについて、まだこれからでございますので、今先生の御指摘のことについてはまだ私どもの方では伺っておりません。今後よく現地の方で環境アセスメントについて対応していきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  175. 春田重昭

    春田委員 ここに建設省の近畿地方建設局が出した資料がございます。この資料によりますと、公害問題で一番心配な大気汚染それから騒音、振動、いずれもクリアできるとなっております。しかしその資料をつぶさに調べてみますと、例えば二酸化窒素の排出量は〇・〇五ppm、先ほど質問したように〇・〇四から〇・〇六ppmのゾーンの中に一応入っておりますけれども、いわゆる環境基準を守れるかどうか非常に際どいところにある。その〇・〇五を算出するためにはどんな計算をしたのかといえば、いろいろな難しい算式があるみたいでございますが、分母に車の交通量が出てくるわけですね。その交通量の台数の見方によって〇・〇五ppmが多くなったり少なくなったりなる。建設省の計算では一日の交通量が、専用部においては六万五千から八万四千台、一般部で七千から五万五千台と想定しております。ところが、これと並行している国道一号線がございますが、これが大体七万台です。  第二京阪道路というのは、御存じのとおり、名神高速道路、近畿自動車道、そして将来関西新空港ができ上がる、関西学研都市ができ上がる、六十五年には花と緑の万博がある、こういったいろいろなことを考えれば、人口増そしていろいろな社会増があって、これは関西随一の巨大道路になっていく。そういったことを想定して最高八万四千台として計算しているのかどうか非常に疑問である。地元ではそんな台数ではない、二十万台ぐらい通るのじゃなかろうかと心配しております。もし八万四千台以上、十万台、二十万台になったら、完全にこれは〇・〇五じゃなくして環境基準をオーバーすることは間違いない。環境基準に合わせるためにあえてそういった交通台数にしたのじゃなかろうかという疑問がわいておりますが、どうですか。
  176. 堀泰晴

    ○堀説明員 先生御指摘の交通量のことでございますけれども、私ども道路の計画をする場合に交通量の予測を行うわけでございます。これは将来の地域の経済の活動であるとかあるいは人口の推計、あるいは道路の将来の計画等を含めて推計をしておりますので、意図的に減らすとかそういうことはいたしておりません。
  177. 春田重昭

    春田委員 過去の道路建設建設省が出してきた交通量というのは、供用された後になってみれば全部数字が違うのです。だから当初質問したように東京、大阪そして神奈川等では、今ではわずか二三・五%しか沿道周辺では達成していないのです。ところが、この道路は関西一のマンモス道路になってしまうんですよ。昭和六十五年でも五〇%しか達成しないでいってしまうのじゃないですか。本当に自信ありますか。もし達成しなかったらどうするのですか。その責任はどうするのですか。
  178. 堀泰晴

    ○堀説明員 第二京阪道路でございますけれども、確かに規模の大きな道路でございますが、冒頭に私申し上げましたように二十メーターの環境施設帯を設けるなど、従来にない環境に配慮した道路を考えているところでございます。確かに予測のことでございますから合わなかったときにどうするかという問題があるわけでございますが、私どもはこの数字で十分妥当であるというふうに考えております。
  179. 春田重昭

    春田委員 これは環境庁、もう予告済みのとおり基準達成は無理です、断定はできないけれども。そういう点でひとつ環境庁も大いに関心を持って、きょうは時間がございませんのでこれ以上できませんけれども、注目していただきたいと思うのです。  また騒音にしても、一応遮音壁で何とかクリアしています。遮音壁がなかったら完全にオーバーしているのですよ、植樹帯なんかやっていますけれども。しかし、一般道路では遮音壁だって土地の関係で制限されるわけです。お店屋さんがあったら遮音壁もできないわけですよ。こういった騒音でも果たしてクリアできるかどうかは心配な面があります。  いずれにいたしましても、ちょょと時間がございませんので最後に結論をこちらで言いたいと思うのですが、そういったことで地元住民としては、住宅に近い部分はトンネル方式かいわゆるふたかけ掘り割り方式を提案しているわけです。地下水の関係とか鉄軌道の関係等で非常に難しいと地建等ではおっしゃっておりますけれども、青函トンネルだってできているじゃないですか。またいわゆる掘り割り方式にしても、東京都の練馬区におきましては、そういった掘り割り方式でやってそしてふたをかけてその上は公園にするという計画もされているわけです。こういった状況から私は地元自治体の要望等には十分にこたえていただきたい。公害の面においてもいわゆる都市景観の面から見てもまた都市機能の分断等においても、これをクリアしようと思ったらトンネル方式かふたかけの掘り割り方式以外にないわけでございますので、そういった地元の要望、意見等も今後十分検討をしていただきたい。建設省の御意見をいただきたいと思います。
  180. 堀泰晴

    ○堀説明員 地元の意見等については今後十分検討させていただきたいと思っておりますが、今先生御指摘のトンネル化につきましては、先生御案内のように当該箇所で天野川というような河川がございます。それから鉄道等もございまして、そういったものをくぐるということは非常に難しいのではないかと考えております。また、そういうものを橋で渡りましてその後枚方丘陵にトンネルをつくるということになりますと、逆にまた地域分断等のこともございまして別の問題を起こすというようなことがございます。そういったことで、私どもといたしましては高架構造でもって十分環境対策ができると考えておりますが、今後ともまた地元の御意見をよく伺いまして計画を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  181. 春田重昭

    春田委員 最後になりますけれども、私は道路の社会的有用性を頭から否定するものではありませんけれども、この第二京阪道路が建設されることによりまして二酸化窒素また騒音、振動によるぜんそく等の疾病等の増加、睡眠妨害、精神的な苦痛、こういったことを考えたとき、私は沿道住民の生活環境を第一義として道路行政を行わなければならないのではなかろうかと思っているわけでございます。したがって、関係地方自治体や地元住民の納得いく合意を得て施策を進めるべきであるということを私は特に申し上げまして、最後にこの問題につきましての長官の御所見をいただいて、終わりたいと思っております。
  182. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今の議論を聞いておりまして、現在の行政の仕組みの中では建設省は私どもに意見を聞くことができる道は開かれておるわけでございます。また、私が閣議で建設大臣を含めてこの話を強調することもできるし、閣議の記録に残すこともできるし、また、今度の第十次計画には私はもう発言をしておりまして、建設大臣はそのとおりに承知いたしましたということを言っておられて、それが記録にとどまっておるんですから、恐らく建設省はその趣旨に沿ってやってくれるものと信じます。
  183. 吹田愰

    吹田委員長 次に、遠藤和良君。
  184. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 戦艦大和それから青函トンネル、伊勢湾干拓事業を何か昭和の三大ばか査定と言うようでございますが、私はそういう不見識なことを言わないのでありまして、それは何か大蔵省の主計官がそう言ったようでございます。  最近ちまたではもう一つあるんじゃないか。それは竹下首相のおひざ元でございます島根県それから鳥取県にまたがる中海・宍道湖の干拓淡水化事業がそれではないか。総事業費が九百九十億円でございますが、既に二十数年過ぎまして七百億円使っているわけでございます。今池元でも、淡水化に伴う湖沼の汚れが心配になりまして、ここにはヤマトシジミというおいしいシジミがありましたり、それから宍道湖七珍というすばらしい味覚のお魚がいるようでございますけれども、そういうのが淡水化を行いますと全部死んでしまうのではないか。またこの事業は、そもそも始まった昭和三十八年でございますけれども、このときは農地がたくさん必要な時代であった。昭和の国引きとも言われるこういう事業が始まった。しかし、減反政策が行われている現在の社会的な状況の中で果たしてこの事業の意義というのは今あるのかどうか、もう一遍再確認をする時期が来ているのではないか、このような声がほうはいとして今起こっているわけでございます。  そこで私どもは、公明党といたしましても一昨日現地に調査団を派遣いたしまして、私もその一員といたしまして行ってまいりました。そして現地を視察さしていただいたり、あるいは現地でいろいろな住民の代表の方々の御意見も賜りまして、昨日でございますが竹下総理、それから農林水産大臣、そして環境庁長官に申し入れを行ったわけでございます。申し入れの詳細については割愛をいたしますけれども、我が党の認識は五つ。一つは、この事業はもう既にその事業目的を失っているのではないか。いろいろな農業を取り巻く社会的状況の変化等もございまして、目的を失っている事業である。さらに、仮に農地として利用されるとしても採算性が大変心配である。あるいは、この淡水化に対しては地元住民の八割ぐらいの方々が反対をしている。淡水化によって宍道湖・中海の著しい水質の悪化、自然生態系変化が避けられない。また第四に、淡水化によって得るものより失うものの方が経済的にも大きい。あるいは、本事業が水八千万トンを得るために七・五億トンの水を全部淡水化するという大変不合理な事業である。周辺河川からの水の確保などによってこの不合理を是正すべきではないのか。このような認識のもとに限定的淡水化を含め淡水化は中止すべきである。あるいは、干拓地の利用についても、農地利用分を減少させまして、公共用地であるとか住宅用地など多目的な土地の利用を考えるべきである。あるいは、干拓地の水の確保につきましては、周辺の河川からの流入が四十億トンあるようでございますが、その河川の水であるとか伏流水であるとか地下水の利用を考えていくべきではないのか等の申し入れをいたしました。  そこで、この事業は国営事業でございまして農林水産省が所管をしておりますものですから、まず最初に農林水産省に私どものこの申し入れに対してどのように受けとめ、対処されるのか、その基本的な御姿勢を伺いたいと思います。
  185. 森本茂俊

    ○森本説明員 中海干拓事業は、鳥取、島根両県の関係者の強い要望を受けまして、干拓地の造成と宍道湖・中海の淡水化による干拓地及び周辺耕地に対するかんがい用水の安定的確保を目的として進めてきたものであります。本事業着工後の事情の変化に対応して計画内容の見直しを行ってきましたが、一つとしては、経営規模が小さく平たんな農用地に乏しい当地域において、干拓地を活用して高生産性農業を可能とすること、二つ目といたしまして、周辺農地等にかんがい用水を安定的に供給するという意義を持っているというふうに考えております。  本事業につきましては、促進を要望する声があるわけでございまして、またその一方で、先生御指摘のように宍道湖・中海の水質悪化を懸念する声もあることは十分承知しております。このような事情を踏まえまして、昨年九月に本格淡水化の検討に資する目的で水質、魚介類等に極力大きな影響を与えないよう配慮しつつ限定的淡水化試行を行うよう、そういう案を両県に提示いたしまして、現在県の方で総合的に検討を願っているところでございます。今後も両県の考え方を十分聞きまして慎重に取り進めてまいりたいと考えておるわけでございます。  昨日、公明党の方から申し入れを賜りまして、一つの貴重な御意見として承っておきたいと考えております。
  186. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 事業の経過等は私どもも承知しておるわけでございますが、今の時点でどう考えるのかということが、まさに政治判断が問われているときではないかと思うわけでございます。  今のお話では、何か限定淡水化試行に対する県の御報告を待っておる、こういうことのようでございますが、そういうことですか。
  187. 森本茂俊

    ○森本説明員 やはり住民の声あるいは市町村の声を統合的に勘案した県としての知事さんの御意見を賜って、それを承って慎重に検討していきたい、こういうことでございます。
  188. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 その意見の出る時期というのは大体三月三十一日ごろまでにという気持ちで待っていらっしゃるようでございますが、そうですか。
  189. 森本茂俊

    ○森本説明員 予算委員会でも大臣答弁しておりますように、私ども県にお願いしておりますのは、年度末までに何らかの返事をいただきたいということでお願いしておるわけでございます。
  190. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 きょうは二十五日ですね。ですから、もうあと一週間ないわけですけれども。  現地に参りましていろいろ事情をお聞きしましたところ、周辺市町村等のいろいろな御意向等もこれあり、三月三十一日はかなり厳しいのではないかと私は認識をしております。  何で厳しいのかと申し上げますと、一つは、これは私の主観が入っているかもわかりませんけれども、淡水化と干拓ということを今もなお農水省の中では一体のものとして認識をしておるのではないか。したがって、もっと違うメニューを考えたり、淡水化は断念をするが干拓地は大いに利用しよう、こういうふうな周辺の皆さんの気持ちは大変に強いものがあるわけでございますけれども、そういうふうなお答えを出すとどうも農水省に嫌われるのではないか、こういうふうな御心配をしている向きがあるのではないかと思うのでございます。中には、水源税の論議がありましたときに、水源税に賛成ということを申し上げますと、途端に農水省の補助金をカットされた、こういうふうなものがございまして、淡水化反対というふうな意見を明確にいたしますと何か報復措置をとられるのではないか、こういうものが政治的に働きまして御返事が遅くなっているのではないか、このように理解をするところでございますが、そういう認識がありませんか。
  191. 森本茂俊

    ○森本説明員 先ほどお答えを申し上げましたとおり、この問題には二つの御意見があるわけでございまして、この地域の振興のために県全体として総合的な判断をお願いしている段階でございます。  先ほど先生から御指摘ございましたように、何か農林省が無言の圧力のようなものをかけているということはあり得ないと考えております。あり得ません。そういうふうにとられることもないと考えておりまして、そうとられる方が少しでもおられれば、非常に心外だと考えております。
  192. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうしますと、地元でお考えになることはあくまでも自主的に、県民の利益あるいは市町村民の利益を最優先をして、白紙でフリーで考えてオーケー。ということは、必ずしも淡水化を前提としないいろいろなメニュー、考え方というものも自由に考えてよいということですか。
  193. 森本茂俊

    ○森本説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、この地域の振興のためにどういうふうにすればいいかという総合的な御判断の上、御返答いただきたいと考えておるわけでございます。
  194. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 重ねて伺いますけれども、それでは農林水産省といたしましては、今もなお干拓と淡水化はあくまで一体のものであると、当初目的どおりのお考えなんでしょうか。
  195. 森本茂俊

    ○森本説明員 干拓地をつくりますと、農地でございますから水は必要不可欠でございまして、水のない農地というのは余り価値がないわけでございますので、やはり干拓と淡水化は一体のものと考えております。
  196. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ほかの方法で水があればいいわけですね、いかがですか。
  197. 森本茂俊

    ○森本説明員 ほかの方法で水を確保できるかどうかということを農林省といたしましてもいろいろ調査したわけでございますが、やはり淡水化によって水を確保するのが一番ベストと申しますか、ほかの方法では必要な十分な量の、しかも水質も十分な量が確保できないという結論に達しております。
  198. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は地元に参りまして、農林水産省の第一線で活躍していただいておる皆さんとも話をいたしました。しかし、農林水産省の第一線の皆さんは大変熱心でございまして、この淡水化なくして我々の事業はあり得ない、強固に考えていらっしゃる、かたくななまでに真剣に考えていらっしゃる。淡水化を前提にしない事業の推進というものは、とても想像だにできないというふうな感じでございまして、これでは地元の皆さんとますます気持ちが乖離していくばかりではないか、このように考えるわけでございまして、ぜひ今の時期に大きい見直しをやるべきであるし、淡水化を断念した場合には具体的に今の干拓地をどう利用すればいいのか、こういうことも一つのパターンとして農林水産省の中でも十分な研究を行う時期に来ているのではないか。  そしてまた、その研究を自由にやってください、皆さんどうぞ、そしてどれが一番国のためにも県のためにもいい事業の着地点になるのか御相談いたしましょう、こういうような少し幅の広い大きな態度で農林水産省はこの問題の解決を図るべきではないか、まさにそういった意味で農林水産省の度量が問われている問題ではないかな、このように考えます。  今の淡水化と干拓を一体とするという考え方をもう少し柔軟にして分離してもいい、いろんな処方せんを考えましょう、こういう態度に出ませんか、どうですか。
  199. 森本茂俊

    ○森本説明員 先ほどから申し上げましたとおり、今県で検討していただいている段階でございます。したがいまして、県からの御返事をいただきましてその対応について考えていきたいと考えております。
  200. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 だから県の考える前に、そういう考え方もいいですから御自由に考えてくださいよと、度量を広げてあげれば県も考えやすいわけですよ。それを農林水産省は今も淡水化と干拓は一体である、こういう考え方のもとにお答えをちょうだいしたいと言うものですから、白紙で考えてくれというんじゃないわけでしょう。ここのところを言っているわけです。どうなんですか。
  201. 森本茂俊

    ○森本説明員 淡水化につきまして先ほども申しましたとおり、水質を懸念されている声があることはもう十分知っているわけでございます。わかっているわけでございますが、一方でやはり水を欲しいという声もあるわけでございます。したがいまして農林省といたしましては、昨年九月に限定的試行という案を出したわけでございます。  その案は、本格淡水化の検討に資する目的でやるものでございまして、しかもそのやり方といたしまして、水質及び魚介類等に極力大きな影響を与えないように配意しつつ行うという計画になっておるわけでございまして、それについて、もう三月三十一日、わずかでございますので、今県で御検討いただいている段階でございますので、それを待たしていただきたいと考えております。
  202. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは時間のむだでございますので、建設省にもきょう来ていただいておりますが、時間がないので割愛します。済みません。  環境庁、この問題につきましてこの事業に具体的にはどうかかわってきたのか、そして大事な事業でございますものですから環境庁としても、手続上いろいろ介入できない部分はあるかもわかりませんけれども、何かアクションを起こす時期が来ているのではないかと思うわけでございます。そのアクションの一つとしてできれば環境庁長官、現地を調査されてはいかがかな、私はこのように思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  203. 渡辺武

    ○渡辺(武)政府委員 長官の現地視察等につきましては長官からお答えをいただきたいと思いますけれども、その前の、まずこの事業につきましての環境庁とのかかわり合い、それからアクションを起こしてはどうかという二点について御答弁申し上げたいと思います。  まず、かかわりでございますが、先生も先ほど御指摘になられましたように、この事業環境庁ができる前から始まっております。今始まる事業につきましては法手続がありましていろいろ意見を聞かれるわけでもある事業規模のものだと思いますけれども、残念ながらその機会は与えられませんでした。ただそうはいうものの、最近だけ取り上げましても、例えば農林水産省で五十九年にいわゆる中間報告というのをおまとめになったときとか、あるいはそれを受けて県の方で助言者会議ということで見解をまとめられたときとか、あるいは昨年限定的淡水化試行を農林水産省が提案されたときとか、あるいはそれを受けて県の委員会で意見をまとめられたとき、こういう節々ではそのような資料を私たちいただいております。ただし、これらに関しまして正式に意見をというようなことで求められたことはありません。  ただ、この事業につきましては今申し上げたとおりでございますけれども、湖沼は一般的に閉鎖性が高いものですから汚濁しやすいという状況にあります。宍道湖・中海も例外でありませんで、水質環境基準が設定してありますけれども、これを達成しておりません。また、富栄養化という問題が湖沼にはありますが、その典型でございます、象徴でありますアオコも発生しておるということで、この両湖につきましての水質の状況の推移とかいうことにつきましては私たち非常に重大なといいますか大きな関心を従来から抱いておるわけでございます。湖沼法を制定してこのような湖沼につきましてはきれいにしていくというルールができておりますけれども、この湖につきましてもそのような指定をしていただきたいというような動きがあるようでありまして、事前に私たち今県と御相談し、御指導申し上げているということでございまして、水質の推移等々については重大な関心を持っている次第でございます。  それから第二点の、この事業が大きな曲がり角、そして今アクションを、こうせっかくの御指摘でございますけれども、先ほど農水省の方からも御説明ございましたように、今どのように受けとめていくかということを地元全体として態度を決定することになっております。要するにこのような仕事、第一に基本とすべきは地元の意向ではないかというように存ずる次第でございますが、それがごく近い将来に出てくるということが予定されておることもありまして、私たちといたしましてもそのまとまりぐあいを見守ってまいりたいというように考えておる次第でございます。
  204. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 段々の話を聞かせてもらいながら、公明党の議員の方が素早く反応されてこの問題の調査をされたことについて非常に敬意を払いたいと思います。  実は、私は、昨年現地へ行ってきたのです。それはこういう状態というよりも、新聞でいろいろ出ておったものだから、あの辺へ行く用事があったのでずっと見てまいりました。まさか環境庁長官になるとは思っておりませんでしたからそのつもりでは見なかったのですけれども、ただ、今おっしゃる話よくわかるのです。じっと考えていると、日本じゅう、北海道から沖縄まで環境庁みんな関係あるし、何か問題が起きると環境庁関係あるからいろいろ私どもに聞いていただくというのは、非常に、環境庁何かやればやれそうだという期待を込めて聞いていただいているのだからその点は私も感謝をしているのですけれども、実はやはり行政の立場からいうと、行政の仕組みがございますので、農林省のやっている仕事に環境庁長官が何かコメントするというようなことはやはり適当でないと思います。そういう中で、この問題を環境庁アクションを起こせ、こう言われると非常に難しい問題があると思います。特に、現地を見るという限り、国会議員だけで私も行けるのだったらこれは素早く行ってもいいのですけれども環境庁長官として行くとやはりそれなりの意味を持ったあるいは準備をしたという段階でないと行けない、非常に不自由なものでございます。  そういう意味で、私も個人的には行きたいという気持ちを持っているし、あの中海・宍道湖に非常に懸念も抱いておるのですけれども、この問題はもう少し様子を見、また環境庁としてアクションを起こすあるいは何か考えなければならぬということも含めてそういう段階へ来れば私も決断したいというふうに考えております。
  205. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今お話のございましたいわゆる湖沼法による指定湖沼とするというのは一つの環境庁のアクションだと私は考えるわけでございますが、長官の今の気持ち、大事に受けとめたいと思います。ぜひ時期を見ましてこの問題が解決するようにお働きになっていただきたいということを要望したいと思います。  それで、実は、私きょうはゴリラの話をしたくて来たのでありますが、この間予算委員会で青い目の人形とゴリラとをやりまして、ゴリラの続きでございますけれども、ちょっと時間がないものですから短くやります。いわゆるスペインから来たゴリラ二頭でございますけれども、その後具体的にどうなりましたでしょうか。
  206. 川嶋温

    ○川嶋説明員 お答えいたします。  先日予算委員会大臣がお答えしたところでございますけれども、その後私どもといたしましては引き続いてスペイン側に対して最終的な態度を、どういうものであったのかということについて問い合わせをいたしました。その結果、今週になりまして、スペイン側といたしましては、正規の獣医が養殖を証明したものであってこれに基づいて行った輸出許可には問題はないと考えているということが外交ルートを通じまして確認をされたところでございます。
  207. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうしますと、いわゆるトラフィック等で調査した事実と随分違うわけでございますけれども、スペインの国内問題ですから、調査日本の国が行うということはできない、これは私はよくわかるわけでございますが、将来いろいろな自然保護団体等あるいはワシントン条約の締結国会議等でこのスペイン政府に対する非難決議が行われる可能性が十分にある、そういう国と日本がこういう関係にあるということは余り好ましくないのではないかと思いますけれども、このゴリラの処置等を含めまして、その辺を今後の問題としてどのように通産省としてはお考えになりますか。
  208. 川嶋温

    ○川嶋説明員 私どもも全く同じ気持ちでございまして、条約の手続上の制度といたしましては、私ども今回の確認によって国内法上も条約上も体制上は正しく輸入されたものということが確認されたと思っておりますけれども、御指摘のように自然保護団体あるいは一部報道等々での経緯がございますので、今後いろいろな国際的な場で問題が起こるおそれがないとは思っておりませんので、そういう問題のないようにまず関係省庁で相談をし、さらに場合によってはワシントン条約事務局等とも相談をいたしまして、日本の立場を明らかにして処理をしていきたいと思っております。
  209. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 このゴリラ二頭の前にもスペインから同じ業者によってゴリラが入っています。一九八二年十一月に一頭、二十二キロ、雌。これは釧路市の動物園に搬入されましたが、急性腎不全により尿毒症で死亡しています。あるいは一九八五年七月に一頭輸入されておりまして、これは雌ですが、現在も愛媛県立とべ動物園におりまして同園で飼育中ということでございます。これは両方とも正規の輸出許可証が出ていると思いますけれども、スペインで飼育繁殖に成功しているのはバルセロナ動物園だけでございまして、ここの動物園で生まれたゴリラは一切商業ルートに乗っていないということが実は明らかなんです。それが何で輸出許可証がついているのか、大変不思議なわけです。こういう問題についてどう思いますか。
  210. 川嶋温

    ○川嶋説明員 私どもといたしましては、条約の運用の問題でございまして、国際間の取引にかかわる条約でございますので、それぞれの加盟各国が条約に基づいた責任、義務を果していくことによって条約が成り立っていくというふうに考えております。  スペインからの御指摘のとおりの輸入があったわけでございますけれども、いずれもスペインから正規の輸出の許可が出ているという手続はとられているわけでございまして、私どもといたしましては、スペインの管理当局の正式な書類というものを信頼せざるを得ないということでございます。しかも、私どもといたしましては、最近時点では、書類の真意について直接輸出管理当局にテレックス等で確認をいたしまして、その書類が正しいものであるということを重ねて確認した上で輸入を認めているような念を入れた手続をして附属書Ⅰのものについてはやっているところでございまして、制度といたしましてはこういう問題が起こることは非常に不幸なことでございますので、一層慎重にやってまいりたいと思っております。
  211. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 時間が参りましたので、最後に要望だけ申し上げたいと思います。  形の上では手続が十分とられている、だから日本政府としては責任がないということにはならないと思うのです。ワシントン条約に違反しているということは国際的にも非難されるわけでございまして、形式は整っているからそれでいいんだというのではなくて、やはり実態を見きわめていくというところまで管理のシステムをきちっとつくっていくべきである、このことを最後に要望したいと思いますが、いかがですか。
  212. 川嶋温

    ○川嶋説明員 私どもといたしましては、非常に我が国がこういう動物に対する需要があるという実態がございますし、国際的な面でも非常に厳しいものがございますので、慎重にやっていかなければいけないと思っておりますけれども、なかなか件数も多うございますし、相手国の中に入ってまで調べるということは事務的にとてもできない点もございますので限りがございますが、引き続いて慎重にやっていきたいと思っております。
  213. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  214. 吹田愰

    吹田委員長 次に、斉藤節君。
  215. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 まず最初に、環境庁長官所信表明について、それに関連する問題で御質問申し上げたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  長官所信表明の中の十三ページでありますけれども、「地球環境の保全に積極的に取り組みます。」ということで「中でも、フロンガスによる成層圏オゾン層の破壊問題」云々、オゾン層保護のために「政府として所要の法律案を今国会提出することといたしております。」ということでございます。この法律案は、新聞報道によりますと、フロンガスの生産面にのみ力点が置かれていることから通産省が主管庁として法案作成に当たっているように言われておりますけれどもフロンガスの生産量を減ずるというだけではなくて、私はフロンガス環境中における動態調査をやる必要があるのではないか、特に高層環境の保全という面から非常に重要に思うわけであります。環境庁がこの法案提出の主管庁になるべきではないかな、こんなふうに思うわけでありますが、長官はどのようにお考えになっておられるのか、御所見を承りたいということ。  それから、昨日、参議院の予算委員会におきまして私ども公明党の高桑議員が、このフロンガスの国際的なグローバルな意味からの観測という点からフロンガス観測衛星をやるべきではないかということで長官に御提案申し上げたということであります。また同時に、昨日の日本経済新聞の夕刊に「地球環境衛星で監視 政府、各国に協力呼びかけ」ということで、この記事をちょっと見てみますと、地球環境衛星監視ということでこの構想を「国際プロジェクトとして推進するよう各国に提唱する。」ということや「近く関係省庁で組織する地球環境に関する連絡会を設置、ここで計画を詰めてNASA(米航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機関)に協力を呼びかける。」そういう記事が出ておるわけでありますけれども、これは私は確かにすばらしいことだなと思うわけです。地球上からフロンガス状態観測するということは狭い範囲しか観測できませんので、そういう点で衛星などを使って上から操作しますと非常に幅広くフロンガス影響がわかるのではないか、いわゆるオゾン層がどうなっているかわかるのではないかと思うのですが、こういったことを実際に実現するのであれば地球環境を守る上において大変すばらしいことである、こんなふうに思いますので、その辺あわせて御所見を承れればと思います。
  216. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 三つにわたっての問題でございましたので、一つ一つ答えていきたいと思います。  まず、オゾン層が破壊されているというのは、今日もう世界の定説のようでございます。これは、ただその不安だけならいいけれども、現実のものとなればもう遅いと思います。そういう意味からいうと、もし具体的に現実化するともう手の施しようがないというのが先生もよく御存じのとおりの状態。それが特定物質ではっきりと、フロンとかハロンとかこれはいろいろ種類があるようでございますけれども、そういう種類のものでございますが、このフロンガスというのはいろいろなところで使われておる。特に我が国では十七万トンあるいは二十万トンぐらいつくっているのじゃないかと想像できるのですけれども、そのようにたくさんつくって、私どもの生活の中では随分役立ち過ぎておると言ってもいい、ある人は今世紀最大の発見だろうとまで言うておるわけでございますから、私たちの生活の中にも入り過ぎておる。こういうものが地球オゾン層を破壊する原因になっておるということになれば、これは本当に大変な問題でございます。その前にも、フロンのかわりの物質は今までに出たのですけれども、大概有害であるということから、フロンが発見されたときには、この物質によって、これは全然害がないのだ、空気中にもいっぱい、ここにもあるのだろうと思いますけれども、そういうものは何の害もないということですけれども、これが大気圏へ出て紫外線に当たると初めて分解してオゾン層を破壊するというようなことが今言われておるわけです。  そういうことで、さきに、最初ウィーンに、このオゾン層を何とか保護しようじゃないかと世界じゅうの人が集まった。続いてモントリオールで、今度はこれを実際に破壊しておる物質、今申しますフロン、ハロンといった物質をこれから生産を抑制していこうということで議定書ができたわけです。そういうことだから、国際的にも私どもが大いに、生産国でもあるのだから足並みをそろえてこの条約をやっていこうということになったわけです。  ところが、実際この現実のモントリオール議定書によると、いわゆる特定物質、このフロン、ハロンといった物質の生産規制をするということになるので、それで通産省の方が、この権利義務を監督している機関だからということで、今度は通産省の問題になったのです。しかし、内容は、今御懸念いただいておる、これは中央公害対策審議会でいわゆるオゾンをどう守るかという基本的な立場に立って環境庁は答申をいただいて、だからこの法案にもそれが盛り込んであります。ただ、国際条約だけじゃなしに、そのほかに外へ出ないようにするとかあるいは合理的に何回も使うとかいうようなことも、やっておるのはこれは日本だけだと思うのですが、今度の皆さん方に御審議いただく案件ではそういうものも盛り込んだ。  さらに、御指摘のように観測しないと、状態はわからぬのですから、我が国でも観測するということで、世界最新のいわゆるオゾン・レーザーレーダーによって観測する。ちょうどこの月末ごろに私ども環境庁の国立公害研究所で全部の器械がそろうわけでございまして、四月の終わりごろからこれの観測を開始できると思います。観測だけじゃなしに調査もやる、そして研究もやるということも今度の法案に盛り込んで、私どもこの間御可決いただきました内容の中には、人員配置とかそれに対する予算も皆さん方に御理解を得たところでございます。だから、私は環境立法だと言って、また、これが議定書の批准をしていただくことになると思いますが、それができると世界の国々にも相当評価していただける、こういうふうに思っております。これが第一点でございます。  第二点の方で、高桑先生が御指摘になったわけでございますが、今申し上げましたことで大体尽きておるのではないかと思います。  第三点の日経の問題は、これは私どもロマンとして、今そういうことも一つ問題点だなというとらえ方をしておりまして、私ども、ぼつぼつとそういうことの準備を考えてみようというような、もう初歩的な、今うちの内部はそういうところでございますので、あの記事とはちょっと関係ないと御理解いただいた方がいいのじゃないかと思います。  以上でございます。
  217. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 時間がありませんので簡潔に御答弁のほどをお願いしたいと思いますけれども、これはやはり大事な問題でありますので、特に環境庁が力を入れられて観測衛星の問題を大いに進められるかと思うわけでありますが、よろしくお願いしたいと思います。  これに関連しましてさらに質問申し上げるわけでありますけれども、六十三年度の環境庁の予算の中にいわゆる化学物質環境安全性総点検調査費というのがありますけれども、この予算の説明として、環境中における化学物質の分解性あるいは難分解性等、そういった安全性についての総点検調査費、このように注釈があるわけですけれども、この中にフロンガスが入っているのかどうか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。
  218. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  フロンガス関係の予算としては、一つは国立公害研究所の方で研究費の予算の計上をいたしておりますし、それから私どもの方でいわゆるフロンガス等微量物質についての大気中におきます挙動といいますか、濃度調査をやるということで予算計上をいたしているところでございますけれども、先生のお話の今の研究費の中には含まれていないというぐあいに理解しております。
  219. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 入ってないということであります。  では、フロンというのは、先ほども大臣が御答弁になっておられましたけれども、非常に安定なものであって、上空に上がって紫外線の影響を受けて分解し、いわゆるラジカルができて、それがいわゆるオゾンと反応しまして壊れるんだという定説でございますけれども、化学物質としては大変安全な安定なものだと思います。ハロンというのもあります。ハロンというのは、弗素と炭化水素がくっついたやつがフロンで、ほかの塩素とくっついたやつがメタン系炭化水素、そういった塩化物ですけれども、これらを総称してハロゲン化合物ということでハロンというわけであります。いずれにしてもこれらは非常に安定なハロン化合物でございます。そういうものが一体予算の項目としてどこで研究とか何かに使われるのか、この辺を教えていただきたいと思うわけでございます。
  220. 長谷川慧重

    長谷川(慧)政府委員 先般衆議院で予算案の審議をお願いしたわけでございますけれども、六十三年度政府予算の中におきましては、未規制大気汚染物質総合対策費の中でフロンガス等成層圏オゾン層微量ガス監視調査費という予算が一つ計上してございます。それから国公研の特別研究ということで、成層圏オゾン層の変動とその環境影響に関する基礎的研究ということで予算を計上いたしたところでございます。
  221. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういう予算としてやられているわけでありますけれども、それは単なる調査費というか研究費だけですね。ほかの省庁の予算も見たのでありますけれどもフロンガスと銘打って出されておるものがないわけでありまして、やはりもう少しフロンガスについては力を入れて研究すべきではないかな、あるいは実際にやるべきではないかな、そんなふうに思っているわけです。これは一応要望でございます。いずれにしましても、そういうフロンガスの問題につきましては国を挙げてやっていただきたいということを御要望申し上げまして、次の項目に入らせていただきたいと思います。次は、食品添加物でございまして、厚生省の方に御質問申し上げたいと思っております。これは、食品添加物が本格的に見直されるといったことで昨年の一月からいろいろやっておられるのだと思いますけれども、どのような項目、どういったことについてまずやられるのかなということを御質問申し上げたいと思うのです。  私の個人的な考えでありますけれども、現在許可されております三百四十七種類の食品添加物というのは、いろいろ項目を見ていきますと、これは本当に安全なのかなと旨をかしげたくなるようなものがかなりあるわけです。ここに「食品添加物マニュアル」があるわけでありますけれども、これの中をちょっと見ていきますと、例えばプロピレングリコールのエステル、これは非イオン界面活性剤、いわゆる洗剤でありますが、こういうものも許可になっておりますし、またそのほかに、余り具体的なものを挙げるつもりはなかったのですけれども、例えば小麦粉の処理剤としてここにペンゾイルパーオキサイドだとかクローリンジオキサイドあるいはポタシアムブロメート、こういったものが許可になっているわけであります。特に臭素酸カリウム、ポタシアムブロメートは私は大変危険じゃないかなと思っているのです。そういうような意味で、見直しがやられるということですので内心大変うれしく思っていたのですけれども、本当のところを教えていただきたいと思います。
  222. 大澤進

    ○大澤説明員 今先生御指摘の点でございますが、確かに食品添加物の見直し作業については私どもも予算を要求し六十二年度からスタートしています。この事業そのものは添加物の広い意味での見直しの一環になりますが、添加物のうちの有用性の見直しということで実は始めたわけでございます。  食品における食品添加物はもちろん大変広く使われているのですが、これまで添加物そのものにつきましては、指定なり使用の際には、もちろん安全性を中心として私ども評価なり指定をしてきたわけでございます。それにつきましては、最近の科学知見に基づいた見直しというか再評価を長年やってきておりますが、それはそれで大事で今後とも続けていくわけでございますけれども、近年非常に加工食品がふえてきたり種類が多くなった、あるいは食生活も欧米化といいますか、伝統的な食生活から、各国でふだんとっておられる食品も非常に入ってきている、こんなことで安全性評価事業というのはもちろん今後も続けていきます。そのほかに、加工技術の改善なり変化ということによって添加物そのものの必要性なり有用性が変わってきているのではないか、こういうぐあいに私ども見まして、果たしてその有用性がどうなっているかということについて詳細な調査を行う必要があるのではないか、個々の添加物について、特に有用性について検討すべきものについて、効果とか適切な使用量というものを把握し、今後それらの使用基準の見直し等を検討していこう、こういうことで基本的に六十二年度からスタートした事業でございます。
  223. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 有用性のことで見直しをやるのであれば、それはそれなりにまた意味があるわけでありますけれども、巷間聞かれるところによりますと、欧米において許可になっている食品添加物の中でまだ我が国では許可になっていないものがあるわけでありますが、そういった輸入食品がどんどんふえるにつれて、日本でまだ認めていないような食品添加物が使われたようなものを輸入するためにやるのではないか、例えば五十品目のものについて何か見直しをやるのではないかというような話も聞かれるわけですが、そういうことはないわけですね。
  224. 大澤進

    ○大澤説明員 確かに先生の今御指摘のようなお話がいろいろ巷間伝わっていることも私ども承知しておりますが、具体的にこれとこれについて指定なり検討すべきだという申し入れ等はいまだ外国からはないわけでございます。ただ、そういううわさといいますかお話は私どもも承知しているところでございます。
  225. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もう時間がありませんので、食品添加物についてはまた別のところで詳しくいろいろ討議させていただきたいと思います。  次は放射能汚染食品について伺います。  成田税関など検疫所あたりでいろいろ食品を検査しておられるようでありますけれども、これはいわゆる放射能汚染食品として、一応三百七十べクレルを基準として、それ以下なら大丈夫、それ以上のものはオミットするというようなことでありますけれども、ガンマ線測定をされておるわけですから余り計数効率を考える必要はないかもしれませんが、計数の上にちょっとずさんなところがあるのではないか、そんなふうな気もしますので、その辺はいかがでございますか。
  226. 大澤進

    ○大澤説明員 ソ連の原発事故以来食品なり環境が汚染されて、食品につきましては、放射性の物質が地上に降下して、直接食物とか食物を食べた家畜等についても汚染されたわけです。そういうものが、当然当該地域のみならず貿易が盛んで世界じゅうに輸出されたりしているという状況にあるわけでございます。私どももそういう事故が起こって以来、食品の安全の確保からいろいろな監視なりチェック体制をとってきたわけでございます。  今特に暫定基準について御指摘があったわけでございますけれども、これにつきましては、もちろん放射線とか放射線医学の関係あるいは食品衛生の関係専門家にそれぞれお願いいたしまして、検討会を設けまして、日本として対応すべき方策なり基準を設定していただいたわけであります。その際どういうことがポイントとして検討されたかというと、もちろん今回の事故による放射性降下物の各種の割合とか実態、それから食品を通してくるわけでございますから、日本人がどれだけその食品を食べているか、その中で特に輸入食品の摂取量なり割合ということも勘案しながら、もちろん御承知だと思いますが、国際放射線防護委員会でいろいろな職業なり一般大衆に対してどこのレベルまで許容し得るかというガイドラインを出しておられますが、それらのガイドラインを基礎にしまして、日本に輸入された食品が仮に汚染されていたとしても、そのガイドラインを十分下回るように、そういう考えで三百七十べクレル以下というのが出てきたのですが、その際、今御心配のいろいろな核種が入っているのです。ストロンチウムとかルテニウムとかセシウム、これらをすべて考慮した上で具体的に特定のものを測定していかなければならない、こういう現場の実態があるわけですね。そこで、測定の方法として、セシウム134と137を放射能濃度の指標として使いまして基準を決め、測定をしている、繰り返しますが、その他の核種も含めた上で計算値に入れて基準を決める、こういうことでやっております。
  227. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今御答弁いただきましたように、セシウム137と134を指標として三百七十べクレルが出てきたと言われますけれども、セシウム134は核分裂生成物にはないのですね。ですからセシウム137だけが問題になると私は思うのです。それと、あとストロンチウム90の半減期が十九・九年です。そういう点で両方ともガンマ線の強いものを出しますので、これに目をつけましても、三百七十べクレルというのは一万マイクロマイクロキュリーですよね。セシウム137ですと半減期は三十年ですね。三十年たって初めて五千マイクロマイクロキュリーになるわけで、だんだん減ってはいきますけれども、大変長い間これは存在するわけですね。しかも、これは体内に入りますと非常に問題ですし、それから先ほど計測の仕方でおっしゃっておられましたけれども、これは肉があったり乳製品があったり植物があったりして全部いろいろ違うわけですね。ですから非常にかさばるものもありますし、計測の仕方がいろいろ違ってくるのじゃないか、そんなふうに思うわけです。三百七十べクレルというのは安全なのかどうか心配なのですけれども、その辺はっきりさせていただきたいと思います。
  228. 大澤進

    ○大澤説明員 確かに放射能の問題でございますからいろいろな方から御指摘なり御批判なり心配な点についてこれまでも指摘があったわけでございます。先生も御専門で十分おわかりかと思いますが、私どももそういう心配もこれあり、いろいろな点から検討したわけでございます。特に半減期の長いストロンチウムとかセシウム、それらももちろん考慮しました。ただ、今回の事故による放射性降下物そのものにつきましては、日本のみならずほかの国もいろいろ調査しておりますが、日本においてこの一年ないし一年半ぐらいの過去の輸入の実態から、どのくらいこれらの核種ごとに食品が汚染されているか、まざっているか、こういうことも当然調べております。そうすると、やはりセシウム134及び137が一番多いわけであります。ストロンチウムというのは比較的少ない、もちろんルテニウムも少ない、こういう実態でございました。もちろんそういう実態を考慮に入れて、ただ測定の際には、先ほど申しましたようにセシウム134と137をプラスしたものによって指標にして使ったわけです。その際にひっくり返してストロンチウム90も計算式に入れて、仮にその残りが全部ストロンチウムであったとしても、これの基準は放射線防護委員会のあれを満たす、こういう計算をして三百七十にセットされた。それから御承知かと思いますが、ほかの欧米諸国につきましても、基準というのは一般的に日本と大きな差はない。大体似たような基準を採用しているということになります。今後ともこの安全は大事でございますので、監視体制の充実には努めてまいりたいと思います。
  229. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もう時間になりましたのでこれでやめさせていただきますけれども、いずれにしましてもこれはまた別な場所でいろいろと詳しくディスカッションさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  230. 吹田愰

    吹田委員長 次に、滝沢幸助君。
  231. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、御苦労さま、大臣初め政府の皆さん、御苦労さんです。  さて、環境庁というものができまして、これはどうも各省庁の連絡のようなお仕事が多いものですからなかなか強権発動ができないところに悩みがあろうと思いますが、先ほども小杉先生に触れていただいた模様でありますが、リゾート構想というのがそちらこちらから大変期待されているわけであります。私、会津の地区なものでありますから殊のほか関心の高いところでありますが、このリゾート構想、六省庁がいろいろと連絡をとりながら各地域の要望を御指導いただいて進めていただくというのはまことに結構なことであります。これは何か総合保養地域整備法に基づくというのだそうでありますが、この指定についての今までの経過と今後の見通しのようなこと、さっきもお話しいただいたのでしょうけれども、もう一度おっしゃってちょうだいできればありがたいと思います。
  232. 吉原孝司

    ○吉原説明員 去年の六月にリゾート法が成立をいたしまして、そして十月にそれに基づきまして基本方針をつくったわけでございます。したがいまして、それ以来、それぞれのリゾート整備を希望する都道府県におかれましてはいわゆるその準備作業を始めたわけでありますが、私どもは、法律に基づきます基本構想をつくる前に、その準備作業として基礎調査というものをやっていただきたいということでお願いをしてまいりました。したがいまして、基本方針ができてからそれぞれの都道府県では基礎調査をお始めになったわけでありますが、十二月にその第一号が出ました。三重県あるいは宮崎県さらには福島県というような格好で出てきたわけであります。それ以来今まで八県が出てきているわけでありますが、そのうち、その三県につきましては、これまで二回にわたりまして六省庁で合同のヒアリングを行い、そしてそれぞれの意見交換をした上で、大体この程度の内容をベースに基本構想をつくっていただいていいのではないかという結論を得まして、つい先ごろ三県に対しましては、今までの議論をベースに基本構想の作成を一遍してみてくださいというような連絡を申し上げたところでございます。
  233. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、このリゾート構想なるものの中で一番大事でかつ忘れられがちになるのが環境庁の立場における環境の保全と整備、保護という積極的な面ではないか、私はこう思うものですから、環境庁がこれにつきましてどうかひとつリーダーシップをとってちょうだいしたい、こういうことで実は取り上げているわけでありますが、環境庁としてこのリゾート構想の中でどのような知恵を持たれるか、かつ、政府環境問題をこの全体の構想の中でどのような比重で見ておられるのか、そうしたことについて環境庁の姿勢といいますか決意をお伺いしたいと思います。
  234. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今国土庁の担当課長が申しましたように、具体的には何か三つぐらいもう出ておるようでございます。宮崎の場合は国定公園だけれども、福島あるいは伊勢の問題は国立公園が入っておるわけなんです。もちろん、こういうリゾート構想から言うと、そういう大自然を背景にした構想が行われて当然だと私は認識しておるのですけれども、さりとて国立公園を勝手に動かすということはもう絶対できないことで、法律でもあるのだし、また審議会もあるのだから、国立公園の計画も持っておるわけですから、それと背馳したことは恐らくできないだろうと思うのです。それらのことを十分理解してもらってリゾート構想を進めていただかないと、成るようになってからストップがかかるという事態にもなりかねないので、私どももかえって気を使って、そういうものが出てきた場合には事前にうんと調査して、守るべき点は守ってもらうという作業をわかるようにしながら協力していきたいというふうに考えておりますが、基本になるのは、守らなければならないところはどんなにしても守りますよということが基本になっておるとお考えいただいたらいいのではないかと思います。
  235. 滝沢幸助

    滝沢委員 自然が人間をつくったのか、少なくとも人間が自然をつくったのではないのであります。そこの中で人間がいろいろとこれを利用して、生かしていただくのでありますが、どうも戦後の歴史は自然破壊の歴史ではないのか。もしも日本の文化が自然を破壊するという上に立っての歴史であるならば、前途は非常に寂しいものだろうと私は思うのであります。リゾート構想というものが、今大臣がおっしゃった守るべき自然というか環境を絶対に守るということであるのは結構であります。むしろ私はさらに一歩先んじて、リゾート構想を進めることによってその地域の自然がはぐくまれる、形成される、生成されるようなものにお願いしたいと思うものですから申し上げているわけであります。  しかし、計画というものは、一たん許認可を受けて現地で進めていく上にいろいろと変更があることは当然であります。こういう総合的かつ長期にわたるものについては、よりそうしたことが多いわけでありますが、そのときに各省庁が、仮にこの道路はこういうふうにつけかえたいと言えば建設省がそれはようござんしょうということになってきますと、さきの志が実行されないことになります。そういう意味でややもすれば環境庁は積極的に分担を持たないという面もありまして、環境が破壊されやすい、それを見て歯ぎしりをするという場面が今後ないかどうかということを案じているわけでありますが、このような面についての対処はいかがなさいますか。
  236. 山内豊徳

    山内政府委員 先ほど国土庁から御説明ございましたように、このリゾート構想にはまず基本方針という大方針がございます。これも実は六省庁が中心におつくりになったのでございますが、環境庁長官が協議を受けてオーケーを出した基本方針でございます。それから各県がおつくりになる基本構想は、実は六省庁で承認をなさるわけでございますが、その際に法律環境庁長官に協議をしなければ承認ができないという仕組みになっております。先生のお尋ねの点は、初めはそうであっても実施の過程でどうだろうかという点かと思いますが、先生の御指摘のようなことで、各県がつくった基本構想がもし変更になる場合は、当然法律上は予定されていますが、六省庁の承認が必要になりまして、その際は個別にそのたびごとに環境庁長官が協議を受ける仕組みになっております。  なお、そのような構想全体のものでなくても、個別の案件については、特に今大臣が申しました国立公園、あるいは場合によっては国定公園の中における道路なり建物の問題がございますれば、これはむしろ私どもの方の自然公園法の規定により、私どもが許可するなり変更を認める手続を組み込んでいるところでございます。
  237. 滝沢幸助

    滝沢委員 いろいろと意見もありますが、時間が少のうございますから……。  そこで、地獄のさたも金次第、何をするにもまず先立つものというと金だというのが社会的な認識でありますが、本当はそうじゃない。先立つものは志とか決意とかいうものでなくてはならぬのであります。しかし、昔から先立つものと言えば金だということでありますが、これはその許認可の中に各地域がそれぞれ実行するというときに、最近窮地に追い込まれやすい市町村の財政をややもすればさらに苦しめるものであることを恐れるわけでありますが、ないしはこれは第三セクターというようなものも考えられるものかどうか、そこら辺のところはいかがでございますか。
  238. 吉原孝司

    ○吉原説明員 総合保養地域整備法は基本的には民活法の一つだと私ども認識をいたしておりまして、いかに民間活力をリゾート整備に応用していくか、あるいは導入していくかという知恵比べのようなものだと思います。当然それに伴いまして、受け入れ側としていろいろ公共事業等を行わなければならないことは言うまでもございませんが、ただ基本的には事業の優先配分という中でそれを消化していただきたい。特に最近いろいろな地方団体が大変関心をお持ちになっているわけでございますが、リゾートというのは大変時間をかけてじっくりと整備するものだということでぜひ深い認識をいただきたいと思っております。
  239. 滝沢幸助

    滝沢委員 第三セクターなんていうのは使うのかどうかというようなことは……。
  240. 吉原孝司

    ○吉原説明員 失礼しました。特に第三セクター等でいろいろ公共性を加味しながら整備をしていくというのも大変有効な万策の一つと考えております。
  241. 滝沢幸助

    滝沢委員 そこで、会津フレッシュリゾートなんて、これは何か名前ばかりすばらしいみたいな話でありまして、政府は構想というときは随分とこういう横文字の新しいものを好んで、何とかいう法律ということになりますと、何に関する何々何々などというわけのわからない日本語をぐるぐる繰り返しているようであります。いつか朝日新聞の指摘がありました。それはそれとしまして、尾瀬沼というものが何といっても会津、新潟ないしは群馬各県にわたって欠くべからざる大自然の根源であります。しかし、リゾート構想そのものには、面積が大きくなるものだから入っていないようでありますが、それにしましても会津の立場からいうなれば、この尾瀬沼、そして尾瀬から流れまする只見川あるいはまた阿賀野川の水系というものをなしにしては、会津の自然、会津の歴史、会津の生活は考えられないということでありますが、片や首都圏の生活用水のためにということで、流域を変更してこれを東京に持ってこようという論もございます。そこら辺の兼ね合いが非常に大事なことであり、また関心の深い一つの政治の命題ともなっているわけでありますが、これは、リゾート構想を進めていく立場と尾瀬の水域を守る、特に新潟、福島県としては尾瀬の分水を断固として拒否するということになっておりますが、この間の接点はどうなりますか。
  242. 加藤昭

    ○加藤説明員 お答え申します。  長期的に見た関東圏における水需給の見通しといたしましては、昨年の十月に国土庁が全国総合水資源計画をオーソライズしたわけでございますが、昭和五十八年現在年間百六十一億トンの水を使っているわけでございますが、昭和七十五年には年間それに三十五億トン増加いたしまして、おおむね年間百九十六億トンという数字になるものと想定しております。この需要に対しまして、資金の確保、水源地域対策等の課題を積極的に解決いたしまして、関東域内で現在建設中及び新規のダム等の水資源開発を進めることによりまして、おおむね昭和七十五年においては従来の計画基準に基づきまして水需給のバランスはとれるものと考えておりまして、これらの事業をまず促進するということが緊急であるというふうに考えている次第でございます。
  243. 滝沢幸助

    滝沢委員 時間がありませんからこれで終わりますが、今後水が余計に首都圏で要るというのは間違っております。それは今の開発、今の都市計画がそのまま進んでいく、片や政府は遷都とも言われるいわゆる一極集中を排除しようと言っているわけでありますから、東京の人口さえ少なくすれば水はもうあり余るということでありますから、この間について政府の最高の立場における一つの判断が望まれるというふうに思います。ひとつこういう点も研究してほしいと思います。  委員長、どうもありがとうございました。政府委員の皆さん、御苦労さまでした。
  244. 吹田愰

  245. 大矢卓史

    大矢委員 大臣も大変お疲れだと思いますけれども、私、時間も余りございませんので簡潔にお答え願いたいと思います。  私は公害の中で、最も行政の中で行われなければならないものは、やはり人間の生命と健康を守ることだと思います。それにつきまして、戦後の三大公害訴訟、四日市、また水俣、カネミ訴訟、こういうような訴訟があると思いますけれども、このカネミ訴訟の中でのPCBの人体に及ぼす害というものについて、まず、どのように認識しておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
  246. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私は、環境庁がそのためにできた、言いかえると環境庁の原点でもあり出発点でもあるという認識でおります。
  247. 大矢卓史

    大矢委員 そこで、このPCBにつきましては、三つのPCBに対する問題の処置の仕方があるようでありますけれども、それをお答え願いたいと思います。
  248. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、PCBには廃液状態になりましたPCBの原液と、それから旧ノーカーボン紙と申しますそういう形態のもの、それからもう一つは電気PCBと申しておりますトランス、コンデンサーに使われておりますPCB、その三つのPCBのものがございまして、それが順次廃棄処分されつつあるのでございますが、その原液のPCBにつきまして、これは環境庁も焼却実験などに関与いたしまして、現在その適正な処理に向かって進んでおるところでございます。  それからノーカーボン紙、これはこれまで洋上焼却などの話もございましたが、まだ適切な処理についてはちょっと方法が確立されておりません。  それから電気的なPCBでございますトランス、コンデンサー、それにつきましては、これは通産省の方で、電気絶縁物処理協会というのがございますが、そこで通産省の指導によりましてその適正な処理につきまして、現在検討を進めておるところでございます。  環境庁といたしましては、この業を所管いたします、適切な処理、処分につきましては、これは通産省、厚生省、その両省が行っておりまして、私どもは総合的な立場からそれを適正な処分につきましての調整を行う、そのような立場で関与いたしております。
  249. 大矢卓史

    大矢委員 今の三つの中で言われておりますように、通産省と厚生省が関与いたしております電気のコンデンサーまたトランス等についてお伺いをいたしたいのでありますが、これは四十八年の八月十五日の電気事業法の改正によりましてこのPCB入りのコンデンサーを新たに使用することができなくなった。それによって、それ以来十四年間、大体これの耐用年数が二十年だと言われておりまして、その二十年の間にこのPCB入りのコンデンサーを回収する。この回収をしたものが現在どのようになっておるのか、それについて厚生省並びに通産省が、どの程度生産をされておって、どの程度使用されておって、どの程度回収をして、それがどのような形で保管をされ、今後処理されようとしておるのかということをお伺をいたしたいと思います。
  250. 横江信義

    ○横江説明員 お答えいたします。  PCB入りのコンデンサー、トランスは昭和六十二年の三月末現在におきまして、まずコンデンサーにつきましては全国に三十四万二千台ございます。そのうち使用中のものは二十八万九千台、それから残りが保管中でございまして五万三千台。それからトランスにつきましては全国に三万七千台ございまして、現在使用中のものは三万五千台、保管中のものが二千台ということでございまして、これが、広く一般の事業者が現在所有しておりまして、今申し上げましたように、使用または保管をしているという状況でございます。
  251. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま通産省の方からその使用量並びに保管量につきましては御説明あったわけでございますが、私ども厚生省の立場では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律という法律を所管している立場で、これらの適正な処理がなされるまでの間、適正に排出事業者等において保管されなければならないというふうに考えておりまして、そのための適正保管について現在都道府県知事が法律に基づいて指導しております。私ども、必要に応じて都道府県等からの御相談に応じているというような状況でございます。
  252. 大矢卓史

    大矢委員 これはコンデンサーとトランスですけれども、この今の台数というのはPCBが入っておるものですか、いないものですか。
  253. 横江信義

    ○横江説明員 ただいま私が申し上げました数字はすべてPCBが入っているものでございます。
  254. 大矢卓史

    大矢委員 これは、コンデンサーは大体の耐用年数が二十年だと言われて、十四年たっておって、今使用中のものが二十八万九千台であり、保管中のものが五万三千台だということになるのですか。そうするとこの後の、使用が禁止になりましたその以前から、これは一体現実にどういう年月の統計なんですか。
  255. 横江信義

    ○横江説明員 先生冒頭お話がございましたように、PCB入りのコンデンサー、トランスの生産というのは昭和四十八年以降行われておりません。それで、これらのトランス、コンデンサーは、今全国に十三万六千事業所ございますけれども、そこで現在使われているかあるいは保管されているという意味で先ほど数字を申し上げたものでございまして、そういう意味では、四十八年から十四年ぐらいたっておりますからそれぐらいは既に経過をしているということでございます。  それから、耐用年数は、実際的な意味での耐用年数ということで考えますと、やはりトランスあるいはコンデンサーの具体的なでき方、構造あるいは使用の条件あるいは保管の条件、そういった環境条件等が変わりますと一概には言えないと思いますが、いわゆる税制上の税務処理、減価償却費をはじくときの基準となります大蔵省が定めました省令によりますと、十五年から二十二年ということになっております。
  256. 大矢卓史

    大矢委員 最長二十二年といたしましても、これは業者に聞きますとやはり二十年ぐらいのものだろう。それでどんどんつけかえをしていくわけであります。ですが、この統計によりますと、一応は二十八万九千で五万三千が今保管をいたしておるといたしますと、あとここ六、七年で二十三万六千台ほどが出てくるわけであります。  それの保管の状況でありますけれども、電気業者が工事をいたして新しいのをつけかえをいたしますと、それをやはり引き取っていかなければならぬ。大きな電力会社ですと自分のところへちゃんと保管をいたしますし、またそれをやっておる大きな企業もあるかもわかりませんけれども、普通の工場等で使っている場合にはそれを引き取らなければならぬ。引き取る業者がたまたまもうどうにもならないということで、それが大阪でございますけれども、一つの事業所でもって四百個ほどのコンデンサーがたまっておる。それが大変な場所をとりますから、自分の工場の中ではそれを置いておけない。そこで、どこかに敷地を買ってそこへ保管をしておる。そう言いますと非常にいい言葉でありますけれども、野積みの形で保管をしておる。それが時期が来ておりますから、いつ何どき事故によって、碍子等が破損されますとこの中に液が閉じ込めてありますから噴出するわけであります。そして流出をしていく、そういう状態です。私も電気科を出ておりますけれども、余り勉強しなかったのでこういうものがわからなかったのでありますけれども、普通に言うコンデンサーでありますとかトランスはどういうものかわかるわけであります。  ということで、私も現場を見てまいりました。現場を見た中での、上に碍子がございます。碍子は壊れましても安定したところに置いておればこれが漏れないんだと私は思っておりましたところが、今言いましたように、碍子が壊れましたら噴出するわけであります。だから、ここに碍子がございますね。こういうものがちょっとこれでやると、ここでばっと噴出してしまうわけです。PCBが流れ落ちるわけであります。長官おっしゃいましたように、このために環境庁ができたというぐらいに大変な人体に害を及ぼす。また、これが下水等に流れ出て湾に行きますと、外国では外洋のシャチ等がPCBの高汚染にさらされておるとか、また淡路島の猿に奇形児ができたとか、そういう動物の間はまだいい。これはこれなりに一つの話題でいいですけれども、私どもはそういう大きな危険にさらされて、それが十四年間野積みになったままでほったらかされてあるわけです。それも、だんだん量がふえてくると立ち退いてくれということで、まじめな業者はまだそれを保管をしておるわけでありますけれども、その保管をし切れなくなったところはいつの間にかどこかへそれがなくなっていくわけです。それを今数字の上ではつかんでいらっしゃいますけれども、一つの事件でタイプライターがどこから出たかということなら徹底的に警察は追及していきますけれども、今おっしゃるように、ただそういうことであるであろうというだけのことで、どこに何があって、どこでどういう処置をして、どういうことでだれが保管をしているかということはわからないわけであります。  そして、それにはPCB入りだということでレッテルを張らなければならぬということになっています。なっているけれども、現実には、それを張ったものを置いておくと近所の方から文句が出て置いておけないからということで、やはりはがしています。それで、役所が来たときだけ張ってまた保管しておりますよということで、確かに通産局もまた大阪府も大阪市もこれに対して調査はいたしております、あるということは認めておる。しかし、これが幾らあってどうだという全体的な流れというのは全然どこもつかんでおらないわけであります。だから、それがこれからまだ――今、半田市でもっていろいろなことをやっていただいておるようでありますけれども、この液なら液、この四百個を持っておる業者はドラム缶に三十本、原液を抜いたものを持っておるわけです。そして、抜いた後のトランスにいたしましても、汚染されておるものですからこれはどうしようもないわけです。それがこの間も神戸の港から韓国の方へ輸出されるというようなことで、これまた問題になって調査をされております。このように鉄くずで輸出が図られたというようなことも言われておるわけであります。これについてもなかなか実態がつかめない。一生懸命自分で保管をしている業者というのはまだまじめな方なんだ。まじめだから悩んでおるわけだ。それを何とか――これは大臣がおっしゃるいわゆる加害者がおって被害者がおってということですけれども、これのトランスをつくったまたコンデンサーをつくったところが当然これを回収をして保管をすべきではないか。そして、これが適切に処理されるまでそうやっていくべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょう。
  257. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 最初環境庁の方からお答え申し上げますが、PCBを含みます廃コンデンサーあるいは廃トランスなどにつきましては、先ほどもどもの方から御説明申し上げましたように、通商産業省と厚生省の指導で排出事業者において厳重に保管されるということになっておるわけでございまして、仮に今先生お話のように不適切な保管の実態があるということでありますれば、環境保全の観点からいろいろ問題があるのではないか、かように考えております。
  258. 大矢卓史

    大矢委員 その排出業者というのは通産省は一体どういうふうにお考えですか。
  259. 横江信義

    ○横江説明員 PCB入りの電気機器が使用済みとなった場合には、ここで産業廃棄物になるわけでございまして、この産業廃棄物につきましては、先ほど厚生省の方から御答弁ありましたように、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づいてその事業者が保管するという体系になっております。もちろん、電気機器メーカー自身もその事業活動に伴い生じました産業廃棄物については保管するということになっておりましてそうやっておりますけれども、今先生お話しのように、このPCBの処理の問題を片づけるためには、やはりまず第一にその処理技術を確立し、その後産業廃棄物の処理が商業的といいますか、実際に行われる体制が早くできなければいけないということでございまして、私どもとしましては、この問題の重要性にかんがみまして、電気機器メーカーの有する、電気機器メーカーはPCBを扱っておりますので、PCBの使用電気機器に関する技術的知見というのがたくさんございます、これを活用すべきだということでございまして、その処理の推進に項献することが重要であるという認識でこれらメーカー等が昭和四十八年に現在の電気絶縁物処理協会を設立いたしまして、その協会が現在処理技術の確立に向けて一生懸命努力を続けているというところでございます。
  260. 大矢卓史

    大矢委員 処理については一生懸命やっていただいているということはわかるのですけれども、現実にこの五万三千台というのはどこに保管されているのですか。
  261. 横江信義

    ○横江説明員 先ほど私が申しましたコンデンサー三十四万二千台、それからトランス三万七千台、それが使用中、保管中というふうに数字を申し上げましたが、これが広く全国に、例えばビルディングの中であるとか、あるいは工場の中であるとか、事業所の数で申しますと、十三万六千事業所に分かれて使用あるいは保管をされているという実態でございます。
  262. 大矢卓史

    大矢委員 保管されているというだけで実際にどこにあるかわからないというように、先ほど私申しましたように、まじめな業者はやはり自分で引き揚げて保管をしておりますけれども、そのほかに、やはり工場なんかがつぶされるようなときに、また建物をつぶすときに一緒になってその中に埋めてしまうというような業者もおるように聞いておるわけであります。関西電力の関係では大体一万社ぐらいの電気工事社がありまして、その中でこういうものを扱っているのは百社ほどのあれで、特にこれの取りかえができるのは三十社ほどだと言われております。しかし、その一社で四十台、またドラム缶三十本というものを抱えて、これからまた工事をやればやるほどどんどんふえてくるわけです。そこの工場に行っても、それは全部積んであって、どれがどれやらわからない。PCB入りがどれやら、そうでないのがどれやらわからない。そこへ、これがPCBの入っておったトランスですよという紙をしていると、近所の人から文句を聞くからそんなことはとてもできない。野積みなら野積みでやっておる。それは、悩んでいるのはまだまじめな業者だ。それ以外の人はどこへやってしまったかわからない。そういう非常に人体に影響のあるもので、これのために環境庁ができたということぐらいの認識があるなら、これの追跡調査を一体どこまでしていかれるのか。このまま、もうしようがない、それがどこかに漏れて、ほうるものはほうってもしようがないということで、なるようになるわ。また半田市でできるようになったらみんな持ってくるだろうから、そのときにどうにかしたらいいのだということになるのかどうか。そこら今通産省ではこうなっておりますよというだけのことで、それから後のことについては厚生省だという考え方があろうし、厚生省はどうお考えでございますか。
  263. 三本木徹

    ○三本木説明員 ただいま先生御指摘いただきましたように、この問題の基本的な解決は、やはり処理の体制を早くつくる。あるいは処理施設を早くつくるということではないかと思っております。  私どもは、通産省の方で今進められております処理体制の整備のためのプロジェクトがありますが、それに対してできる範囲で、私どももその一部なりなんなりを全面的に協力していきたいなと思っておりますし、また一方、それができるまでの間はやはりこれはどうしても保管せざるを得ないわけでございます。その保管もやはり適正に保管しなければならない。これは廃棄物処理法に保管の基準というのがございます。その基準に合致するように保管していただかなければならない。それもやはり事業者が保管をするというのが最も適当だろうと思っておりますし、またそういった保管が適正に行われるためには、現に使用されているものと、それが使用済みで廃棄物となっているのかどうか、ここのところの区別をはっきりつける必要が実はあるわけでございますが、実は私どもの方は残念ながら、使用済みであるか、あるいは使用中のものであるかの判断がつきかねておりますので、それが判断がつくならば、はっきりとどこにどうあるかというのがわかりますので、都道府県知事が厳重な立入検査あるいは適正な管理を指導するというようなことが可能になるというふうに思っております。ひとえに処理の体制の整備を早急に進めていくことが必要ではないかというふうに考えております。
  264. 大矢卓史

    大矢委員 私は関西の事情はわかっておりますけれども説明を聞いている段階では、東京では一件もないようなことを言っておりますが、いかがですか。やはりこれを回収している業者があるのでしょう。
  265. 三本木徹

    ○三本木説明員 東京といいましょうか、関西以外のところでそのPCBを電気工事業者が商慣習上下取りしているというようなケースは私ども承知しておらないわけでございますが、全くゼロかと言われると、ゼロではないのではないかというふうに思いますが、正確にはちょっと私ども把握できておりません。
  266. 大矢卓史

    大矢委員 工事をして、使用済みになったらどうしているのですか。今まで使っていた人がみんな保管しているのですか。例えばJRでも、電気機関車の下にコンデンサーがついていますね。ああいうようなものはJRはJRでやっているか知らぬけれども、そこら実際にだれが責任を持ってそういう所在を明らかにしておるのか。そうであろうというだけのことで、大阪の業者に聞いたら、日本国じゅう全部それをやっているという。それをやらぬことには、それを持って帰らないことには工事ができないわけです。そこはそこでちゃんと保管してもらえるというシステムになっていないわけです。ただそれは関西だけだというけれども、関西だけではないというのです。それは実際に当たって現状をまず把握してもらわないと、せっかくしっかりした処理の方法ができても、そのときには既に全部流れてしまって何もないというようになってしまう。まじめな人だけがこのようにして持たないといかぬと思って、それでもなおかつ現実には野積みになっておるということです。それはほったらかしておるのではなしに、やはり通産局も来ているのです。大阪市も来て、見ているのです。それは、まだあるから見に来てくれというから見に来るわけです、調査に来るわけです。だけれども、ほかの工事業者はどこに、今まで三十四万が設置されて、それが五万三千ですか取り払われて、今の二十八万九千がどこにあるのかということをまずつかんでもらわなければならない。そしてそれが今後どういう経路で動くか。今までの五万何ぼがどこでどう保管されているのかということをやらないと、そのうちに、何かみんなかなわぬから、なくなっていく、そして韓国へ韓国へ輸出されていくというようなばかなことができてくるわけです。そこらをまずやはり、大臣大臣の方はいつでも一生懸命やろうと思っても、それが通産省であり、厚生省であり、調整すると言いながら、実際にどこもやっておらない。こういう状態をどうしていかれるのか。まず現状を把握していただいて、そしてそれをおのおの持っていなさいと言っても、一体どこが持っているのですか。結局今まで使っていたところが持つのが当たり前なのですか、それとも工事をするところが引き取らなければならぬのか。引き取るといっても、小さな工場ですからそんなにたくさん置けないわけであります。それを、どこかに置くところをつくるとか、まず保管をすることを考えていただいて、それを掌握して、それから後処理をしていく。処理は処理で当然今一生懸命やっていただいておりますから、やってもらわなければなりませんけれども、一体どうしたらいいのかということをお伺いいたしたい。
  267. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今先生お話にございましたように、PCBの廃コンデンサー等の保管処理対策、これは先ほどから御答弁申し上げておりますように、通産省なり厚生省でそれぞれ推進をしてきておられるわけでございますが、私ども環境庁の立場でも環境保全に関する事務を総合調整するというような役目があるわけでございますので、今の両省庁と今後十分連絡をとって対処していくことが必要であろう、そういうことを通して先生御心配のようなPCBによる環境汚染の未然防止というようなことはさらに徹底をさしていきたい、こう考えております。  現に、ただいまの電気器貝ではございませんが、PCBのうちの液状のものにつきましては、現在、環境保全上十分な対応を前提とした処理の具体化がいろいろ図られておるわけでございますが、こういうコンデンサー等に含まれているPCB処理につきましても順次適切に処理されるということのために、私どもこれからさらにその関係省庁とも十分連絡をとってやっていきたい、かように思います。
  268. 大矢卓史

    大矢委員 連絡をとって――初めから今まで全然答弁が変わらぬのですけれども、やってないとは言ってないわけです。しかし、はっきり言って店先では何にもできてないのです。現状を把握していないわけです。それをこれから把握していただくのにはどうしたらいいのか。いかにも東京は全部できているように言っていますけれども、今のような状態で、東京は地震の多いところですから、今回収しているものだけでなしに、今使っているものでもいつ破損するかわからないわけです。こんなちゃちなものですから、碍子ですから、それは地震でもし亀裂が起きたらいつ何どき噴出するかわからぬわけです。今それは密閉しているから使ってもいいということになっていますけれども、そういうものも含めて果たしてこれから東京都も安全なのかどうかということになってくると、やはり非常に問題がある。  ですから、つくったところはわかっているわけです、何年に何台つくってどこへ納めたか、わかっているわけですから、そこが今どういう状態になっているのか、そこがもしそれを変えておったらどの業者へ変えて、それはどこへどう保管しているのか、そこまで全部追跡調査をしていただくのは一体どこがやるのか。やってもらっていると思うけれども、現実に今聞いたって、通産省なり通産局なり、また大阪府、大阪市、その関係の自治体で調査をしているところもあるかもわかりませんけれども、全体的なものをだれもつかんでおらないし、また、行ってもそれがどうなっているか、実際の問題はわからないわけです。  それについてこれからどうしようとしておられるのか、今の答えだけでは、このままの形でこれが野放しになっていてもいいというなら別でありますけれども、こういうもののために環境庁ができたというなら、もう少しきめの細かい、少なくとも今あるものだけでも全部追跡調査をして、それのありかを調べていただきたい。そして、今やっておる半田市等のところでどういう形で処理していくのか、また、PCBの使った後のコンデンサーの殻をどう処理するのか、そこらも含めて、これは今の話ではとてもじゃないが長官、どうにもならぬことなので、長官として非常に責任感の重い、正義感の強い方でありますから、これをどういうふうにして実際に実行して、これを業者自身が、まじめな業者が困っているわけです、まじめでなかったらそんなものはどこかへほってしまったらいいわけです、そんなものはわからないわけです、どこからも言ってきはしないのだから
  269. 吹田愰

    吹田委員長 大矢君に申し上げますが、時間ですから。
  270. 大矢卓史

    大矢委員 そういうことでございますので、大臣、最後にそのことをお願いいたしたい。
  271. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今話をずっと聞いておりまして、私は腹が立ってしょうがないような気持ちでいっぱいでございます。  これはもう常識的に言って、物を流通さしている監督官庁は通産省だから通産省内で処理できるはずなんです。今の追跡調査なんか通産省がやるのは当たり前のことだと私は聞きながら思った。また、廃棄物を処分するというのだったらこれは厚生省がやる。それを野ざらしにされて、それが漏れて土壌が汚染したら環境庁だ、こんなことでは話にならぬと私は今の話を聞きながら思っております。  だから、これは今先生が、こうして大きな問題としてここで議題にされたからには、先ほども何回も申し上げておりますように、行政の仕組みがあって、私はおまえのところが悪いのだということは言えない立場におりますから、通産省も厚生省も環境庁も皆ここで聞いておるのですから、責任あるところの責任ある処置が望ましい。  ただ、私が今まで頭の中にあるのは高砂で処理しています、カネミ処理の問題の処理。これが今実験は私の方もかかわってやりましたけれども、高度千百度ですかこういう高温では完全にこれを焼却できるというような実験データは出ておって、今実際にやるかやらぬかで、まあやるのですけれども、その間何回か人為的な事故が起きてやかましい問題になっておるのですけれども、これが成功すれば処理の道が開かれるのじゃないか。これは聞きながら、しかし何とかしなければならぬという気持ちを持っておりますので、私どもの行政範囲でできることは一遍協議してみたいと思っております。
  272. 大矢卓史

    大矢委員 終わります。
  273. 吹田愰

    吹田委員長 大矢君に御注意しますが、今後、物品の提示につきましては必ず委員長の許可をとっていただきたいと思います。また、危険が伴うような行為は厳に慎んでもらいたい、こういうことを申し上げておきます。  次に、岩佐恵美君。
  274. 岩佐恵美

    岩佐委員 最初に、知床の国有林の伐採問題について伺いたいと思います。  昨年四月、林野庁は、住民や自然保護団体の反対を押し切って強引にAブロックの伐採を行いました。私は、伐採前の一昨年の十月、そして伐採後の昨年六月と二回にわたって現地を視察しました。最初に行ったとき、林野庁は、過熟木、老齢木を切ると説明をしていましたけれども、行ってみると、テープを巻いてある切る印がついている木は非常に立派なミズナラの木などが随分多かったわけであります。こんないい木を切ってしまっていいのかと驚いたわけですが、その後林野庁は切る本数を若干減らしたとか、集中的に切って森に穴があくようなことがないようにした、こう説明をしておりましたけれども、実際、伐採をした跡へ行ってみると本当にひどい、無残な状態でした。  四十メートル四方くらいのところで、これは現に切り株を全部数えたので証拠もあるわけですが、二十本もの木がまとめて切られていたり、一本の木を切るために周りの木を支障木だとしてみんな切ってしまっている。ですから、そこは穴がぽっかりあいてしまっている、そういう地域になっているわけです。それから、途中まで切ってみたら中が腐っていたということでそのまま放置している。中には立ち木に途中までのこぎりの歯を入れてそのままにしているというものもあったわけであります。要するに、お金になりそうな木だけ選んでそしてヘリコプターでさあっと運んで、あとはもうほったらかしというような実態でした。  知床の国有林は原生的な自然を残しています。シマフクロウなど貴重な生物もいると言われています。こういう森林は自然のままに残すべきだというふうに思っていますけれども、まず林野庁に、Bブロック、Cブロックについて今後どういう方針なのか伺いたいと思います。
  275. 塚本隆久

    ○塚本説明員 知床国有林のB、Cブロックの今後の取り扱いについてでございますが、これにつきましては、昨年五月から始めております動物等に関する調査の結果、それから地元斜里町の意向、さらには昨年十月、林野庁に設置をいたしました林業と自然保護に関する検討委員会の意見、こういったものを総合的に勘案をいたしまして、この委員会が終了する本年秋以降に今後の取り扱いについて明らかにしてまいりたいと考えております。
  276. 岩佐恵美

    岩佐委員 地元斜里町では、昨年の選挙で御存じのように伐採反対の町長が当選をしています。それから林野庁長官の私的諮問機関、林業と自然保護に関する検討委員会、ここでは二月の二十四日の会合で、伐採は慎重にすべきだという意見が大勢を占めた、そして実質的な伐採断念を求める方針を固めた、そういうふうに新聞に報道されているわけであります。だとすれば、もうこれは切ることはできないというふうに思います。日本弁護士連合会も昨年十月に、知床の伐採計画の全面中止、これを求める意見書も出しているわけであります。  知床の国有林、さらに伺いますが、生物遺伝資源保存林の候補地にも上がっている、こういうふうに承知をしているわけでありますけれども、この生物遺伝資源保存林、これはどういう計画なのか、簡単に林野庁、説明してください。
  277. 塚本隆久

    ○塚本説明員 今後バイオテクノロジー等の先端技術の開発を進める上で、その基盤となります遺伝資源の保存を図っていくということは極めて重要なことであると考えております。このため、林野庁といたしましても、国有林野を活用いたしまして、原生的な森林を千ヘクタール以上の規模で、そこに生息する動物等も含めまして保存することといたしまして、生物遺伝資源保存林を設定することといたしたものでございます。現在、学識経験者等による委員会において知床国有林を含む二十八の候補地の選定等について審議をいただいておるところでございまして、今後この委員会の意見を踏まえながら、六十三年度中にこれらの設定を進めてまいりたいと考えております。
  278. 岩佐恵美

    岩佐委員 林野庁も、木を切るばかりじゃなくて植物、動物含めてこういう自然の資源を保存するための施策をするということは非常に結構なことだというふうに思っているわけでありますけれども、シマフクロウの場合に、ねぐらとなる何かかなり大きなミズナラの木じゃないと穴が――かなりシマフクロウというのは大きいのですね。大きいのは一メーターぐらいのものがいるのだそうです。何かシマフクロウがいるのを後ろから見ると人間がいるみたいに見える、そういうような感じだそうですけれども、ですからねぐらとなる木は非常に大きいものが必要だ。それからシマフクロウは木だけあったらいいというわけじゃなくて、食べ物がないといけません。その場合に、サケが上がってくる川をちゃんと確保してあげないと、えさがないとまたそこで暮らすこともできないということで、最近の河川のいろんなつくり方というのが、これが人工ふ化場で、下の方でみんなとめてしまってなかなかサケが上に上がれないようなそういう格好でつくってあるということで、これもまた大変大きなネックになっているようでありますけれども、こうした問題を含めて、原生的な知床のような重要な自然を残すということで、環境庁長官もかわられたわけでございますので、改めて長官の決意をお伺いしたいと思います。
  279. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 人間の文化というのか、文明というものは森から起こったと言う歴史学者がおられます。またその文明が滅んだ後は砂漠になっている、こういうような話を聞きます。まさにそのとおりだと思います。だから、自然の原生林、特に国立公園というものはわずか二十八しかないんだから大切にすべきだと思うし、ここで心なしか何かの作業をやると自然生態系が崩れる危険、今御指摘のようにあると思います。だから、そういうときには十分注意の上にも注意をすべきだと考えております。
  280. 岩佐恵美

    岩佐委員 次に、東京町田市でテニス場つきクラブハウスが違法につくられた問題について伺いたいと思います。  太陽物産という会社がつくったテニスクラブのハウス建設に関連して、市当局から東京地検八王子支部に告発が出されております。この事件について、概要、ちょっと説明していただき、またこの事件は早急に処理をすべきだと思います。その状況等について、法務省来ていただいております、説明をいただきたいと思います。
  281. 馬場義宣

    ○馬場説明員 お尋ねの事件につきましては、東京地検八王子支部におきまして本年二月二十三日、建築基準法違反ということで町田市長からの告発を受理し、現在、鋭意捜査中ということでございます。  告発の内容でございますが、建築の確認申請義務違反、都知事への届け出義務違反、第一種住居専用地域内における法定外建築物の建築、それから工事停止命令に対する違反、使用禁止命令に違反、大体この内容になっております。  以上でございます。
  282. 岩佐恵美

    岩佐委員 このテニスクラブは大林組と東急世紀建設という二社が工事を請け負っています。昨年の秋に完成をして十一月には落成式までやったわけですけれども、今説明があったように第一種住専地域でありますからクラブハウスはとても建てられない、そういう地域、それを無届けで建築をして、市が工事停止命令を出して、職員が現場に行きますとその職員に暴力を振るうというようなひどい状態であります。  この工事を請け負った大林組は大臣認可の業者です。しかもその大林芳郎社長は、昨年七月末まで建築審議会の委員を務められておられたと承知をいたしております。そういう意味では建設省の責任は重大だと私は思います。建設省の指導責任はどうなっているのか伺いたいと思います。
  283. 立石真

    ○立石説明員 お答えいたします。  まず本件につきましては、建築基準法第九条の三の規定によりまして、この違反建築物とされている本件の設計者等について建設省の方に先日報告が出てきております。  本件につきましては、ただし町田市が使用禁止命令を出し、あるいはまた告発をする等の措置を講ずる一方で、先ほどの第一種住居専用地域における用途制限の例外許可を求める、そういうような行為等も行っておりまして、まだ事実関係を十分に把握できていない段階でございますので、現在詳細を調査中でございまして、その結果を待って対処してまいりたいと思います。  また、お尋ねの株式会社大林組の社長の大林芳郎氏は、御指摘のとおり六十二年六月まで六年間、建築審議会の委員を務めておりました。
  284. 岩佐恵美

    岩佐委員 このテニスクラブなんですけれども、テニスクラブというと一般庶民のテニス熱が最近ありますからそういうものかと思われるかもしれませんけれども、ここは実はそうじゃなくて、会員権一千万円、年齢制限が四十歳以上、人も何か三百五十人、ヘリポートがありまして、ヘリコプターで人を運ぶというような、そういうちょっと庶民にとっては高ねの花という、そういうテニスクラブでございます。  いずれにしても、今こういう三多摩地域は貴重な緑が残っている、そういう住環境のところに、無届けで違法の建築が行われるというようなことが野放しになったらこれは大変な状態だというふうに思います。  ここで環境庁長官に、こういうことが起こらないようにやはりきちっと対応していただきたいというふうに思いますので、基本姿勢を伺っておきたいと思います。
  285. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 その実情、ちょっと把握しておりませんのでわからぬ。先生がおっしゃるんだから相当大規模なものじゃないかなと想像するのですが、これは環境庁としての問題かなと今ちょっと疑問に思っております。政府の仕組みがありまして、いわゆるつかさつかさというのがあるので、それはどこか必ず監督をしているところ、省庁があるわけなんですね。今おっしゃっているのを聞いていると、私の感じでは、どこか省がそういう問題と取り組む責任を持っていると思います。そういう意味で、環境庁としてはちょっとコメントするのは適当でないような気がします。
  286. 岩佐恵美

    岩佐委員 そういうつかさつかさで先ほどから議論になっているところですけれども、やはり環境庁が緑を守るということで積極的に役割を果たしてもらいたいという希望があるわけですね。そういう点での基本姿勢を伺ったわけですけれども、次の問題に行かせていただきたいと思います。  圏央道計画について質問します。  ことしの一月二十四日、八王子の市長選挙の投票がございました。圏央道が最大の争点となり、圏央道建設反対の候補者がこの選挙のわずか一カ月前に立候補されて四四・五%の票を得られたということでありますから、住民の反対の意思がかなり強いということが示されたと思います。当選された現在の市長も、開票の翌日に、選挙中は市民に圏央道のことを理論的に説明することが難しかった、こういうふうにも語っているわけです。ところが、建設省は、市長選の結果でゴーのサインが出た、住民の反対があってもどうしてもやるんだという構えでいるわけであります。しかし、ゴーのサインが出たと果たして言えるのか。現市長に投票された方は、全有権者の二七%です。反対候補に投票された方が二二%。そういう意味で言うと、これはどうもゴーのサインが出たというほど圧倒的な勝利でも何でもないというふうに思います。  今アセスの見解書、これに対する住民の説明会が各地で持たれているわけですけれども、国や東京都の説明が非常に不十分だということで住民の皆さんの不信あるいは不満が高まっていて、新聞報道では明け方になったとか、幾つかの会場では夜を徹して説明会が非常に紛糾するという事態が生じています。こういうのを見ると、一見何か住民のエゴイズムでそうなっているとかあるいは住民の過激な行動なんじゃないかと思われるかもしれません。私は、そうではないんだということをきょういろいろとお話をしたい、お話というか皆さんの御意見を伺いながらその点を明らかにしていきたいというふうに思っています。  例えば、評価書案の段階で非常にデータがずさんだったということを、当委員会で一昨年私は取り上げました。その一つに植物を挙げたわけですけれども、今回の見解書では陸上植物が千二百七十七種類明記されているわけですが、そのうち五百五十一種類が追加され、訂正をされているというような状態であります。これ一つ見ても、評価書案が、いかにちゃんとやってなかったかということがわかると思います。  あと、先ほど同僚委員が交通量問題を指摘されました。私もあれは、本当に建設省、責任取り切れるんですかということに対してあの答弁ではだれも納得をしないというふうに思います。今まで計画段階でいろいろ交通量を出していて、それが当てはまったためしがないわけですから。計画のアセスの段階ではいつも交通量というのは過小に見積もられる、そしてまことしやかに環境は守られるんだということがいつも言われるわけであります。今回、それに大気汚染とか地質とか、あるいは残土処理とか動植物、水の問題、そういうたくさんの問題にまともに見解書が答えていないというふうに私たちは判断をいたしております。  具体的に伺いますけれども大気汚染の植物への影響について環境庁の「大気汚染の植物影響に係る環境影響評価マニュアル(案)」という文献、これを利用しているわけですけれども環境庁、この文献について簡単に説明してください。
  287. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今先生お話のございましたこの報告書は、昭和五十五年度に環境庁日本公衆衛生協会というところに委託をして行った調査報告書でございます。この報告書は、大気汚染による植物影響に係る既存の文献情報紹介するという形で取りまとめたものでございまして、環境庁から当時各都道府県にも参考資料として配付いたしたものでございます。
  288. 岩佐恵美

    岩佐委員 つまりこの資料は、環境庁として環境評価の物差しを示したものではない、単に内外の学者の研究紹介したというだけのものであるということです。  この見解書の引用部分なんですが、これは五十六年三月に出されたものだというふうに承知をしていますが、資料の日付が十二月になっているんです。ですから、これは本文からじゃなくて十二月に出された概要から孫引きをしたんじゃないか、だから引用の文献の中で研究者の名前が落ちているんじゃないかというふうに思いますけれども建設省に伺いますが、この見解書ではなぜ本文じゃなくて概要を引用されたのか、その点御説明をいただきたいと思います。
  289. 松浦仡

    ○松浦説明員 お答えをいたします。  建設省におきまして環境影響評価を行いますときに、特に植物に対する大気汚染物質の影響というものについて評価の基準が今成っていないということがございます。そういったことで、先ほど環境庁の方からお答えございましたように、環境庁がまとめられました大気汚染の植物影響に係る既存の文献を紹介したという形でマニュアル案ができておりましたので、これを引用させていただいたわけです。ただ、このときに環境庁の方から直接出されましたものと雑誌に掲載されたものと両方ありまして、ちょっと私どもが意見書に対する見解書に記述するときに間違って記載したという点がございます。これにつきましては最終の評価書の段階で正しい表現に訂正させていただきたいというように考えております。
  290. 岩佐恵美

    岩佐委員 要するに、これは環境影響評価書の物差しだということで見解書で引用するということになると、これはもう読む人を欺くことになるわけですね。もし建設省が故意に概要を引用したとしたら大変な問題だと思うのですね。それに、個々の名前が、この文献はだれだれのものであると本文にちゃんと当たれば書いてあるわけですから、そのことがわかりますから、本文に当たっていないとしたらこれまた随分建設省のやり方というのはずさんだ、どっちに転んでも大変な問題だと私たちは思っています。本当にこれは許しがたい問題だと思います。  それからもう一つ、裏高尾の谷間の大気汚染についての見解のところで、工業技術院発行の「公害」という学術誌の北林興二氏の論文の名前を挙げているわけですが、この論文は主に外国の谷間での拡散実験について幾つか紹介をして、そのうちの三つについて具体的に評価を加えています。一つは最大幅四キロメートルの谷。もう一つは谷幅約五キロ、もう一つは幅五キロから八キロの谷だというふうに承知をいたしておりますけれども、通産省、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  291. 上杉勝之

    ○上杉説明員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘のように、本報告書の性格としましては、谷幅が四キロから八キロの複雑地形を対象としまして、大気拡散予測、これと、それの理論値と実測値を比較検討した文献を収集したというのがこの本報告書の性格でございます。  報告書の結論といたしましては、谷幅、谷の浅い、いわゆる緩やかな複雑地形の場合には実測値というものは理論値よりも低目に出ている。ただ、谷幅が深くなったような複雑地形の場合には、汚染濃度大気の状況によって非常に大きく左右されるので注意しなければいけないというのが結論でございます。したがって、これは学術的な一般的な理論値と実測値とを比較したということでございまして、具体的な地域への適用についてはまたより詳細な方法が必要かと思っております。
  292. 岩佐恵美

    岩佐委員 要するに、谷といっても、今説明があったように幅が四キロから八キロぐらいの広いところなんですね。ところが圏央道が通る裏高尾の谷というのは、これはもう峰から峰まで広いところをとったって一キロちょっとしかないわけですね。そういう点では、狭いところでは数百メートルしかないわけですから、全然違う地形のところのものを物差しとして持ってきて、そして安全だと幾ら言われたって、これはもう説明にならない。だから住民のサイドは、これはどうなっているんだということで紛糾をするわけです。  見解書に対して反対、批判の意見書が二万通近く出されているわけです。これはもう具体的にいろいろなことを細かに、水についてはこうだとか、交通量はこうだとか、大気汚染についてはこうだとかというような、そういう意見書が出されているわけですけれども、実は青梅の市長が賛成の意見書を出されています。この青梅の市長の賛成の意見書の中で、騒音問題、低周波空気振動の問題、トンネル出口付近の環境問題、農業問題、この四点について「市民の関心が高いので配慮し」「生活環境の保全には万全を期されたい」、こう言っているわけであります。これはもう賛成の市長でもこういう心配をしておられる。結局、見解書がそういう形だからだということが言えるわけであります。  次に、残土問題について伺います。  圏央道建設で出る土砂の量、これはどのぐらいになるでしょうか、そしてその処理はどうされるのでしょうか、建設省に伺います。
  293. 堀泰晴

    ○堀説明員 お答えいたします。  現在圏央道で事業化をしておる区間、四十・一キロございますが、そのうち埼玉県側、これは十九・八キロございますが、大体盛り土が主体の構造でございますので、残土の発生というのはございません。東京側、二十・三キロございますが、ここで約四百万立方メートルぐらいの発生土量がございまして、このうち約二百万立方メートルは埼玉県側あるいは東京都側の盛り土の材料として使う予定をしております。したがって、残土量といたしましては残りの約二百万立方メートルというものを想定をしております。  これをどうするんだということでございますけれども、これにつきましてはできるだけ活用するということがまずはございまして、具体的には骨材であるとか路床材料として活用をしてまいりたいというふうに考えております。また、その他周辺地域の事業に活用するということも考えております。どうしても発生する残土につきましては、いろいろな関係機関と十分な調整を図って適切に対処してまいりたいと思っております。
  294. 岩佐恵美

    岩佐委員 二百万立米の残土が残るわけですね。  実は、中央高速道路の工事の際、裏高尾では大量の残土が出て、小仏川の源流それから小下沢の入り口付近に捨てられたままになっているのですね。私も見にいきましたけれども、残土が山になっている。それが多少移動しているというようなこともあるわけであります。そういう危険ということもありますし、それから自然公園の景観の点でも裏高尾のそこに積み上げられたものというのは非常によくないのです。谷のところを木が崩れ落ちて、そして土砂がざあっと流れ込んでいるみたいな、裏へ回ると本当に無残な状態になっているわけであります。  この間私はある不動産会社の方とお話をしてびっくりしたのですけれども、青梅市のこの不動産会社は山林を二百二十ヘクタール買って所有をしておられます。ここは市街化調整区域で、後でちょっと地図を示させていただきたいと思いますが、国立公園地域にほぼ隣接する地域でありますけれども、市は現在宅地開発防止地域ということに指定をしている地域です。ですから、ここは二百二十ヘクタールあっても住宅建築にははすぐには使えないということでありました。地元でも、では一体何に使うのかと、大分大きな話題になっているようでありますけれども、私が伺ったところでは圏央道で出る残土の処理場にと――かなり谷がいっぱいあって、それで、別にお墓をつくろうかというようなこともある。つまり、何か深山の趣があって、霊場のような、そういう雰囲気なのでお墓にしたい、そういう希望もあるのだというようなこともありましたけれども、圏央道で出る残土の処理場にと、そういう話が具体的に来ているということが話されていました。  もしこういう谷、しかも国立公園のすぐ隣接地ですから、こういう谷にこのような圏央道の土砂が埋められるということになったら、もう水系はめちゃめちゃになっちゃう、あるいはそこら辺の緑も破壊をされる、自然が破壊をされるということで重大問題だと思います。その点、環境庁長官に御所見を伺い、適切な処置をしていただきたいと思います。  見ていただいた方が話がわかっていいので、ちょっと地図を。――今お話をしているところはアルファベットのNです。
  295. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今この地図を拝見しまして、国立公園のすぐ横のNという今お示しになったところ、これは無指定地域でございますので、私どもとしてはこれについてコメントする立場にございません。ただ、環境庁としてコメントできなくても、これは担当する役所が必ずあるのですから、そこが適正な処理をすべきだと思います。
  296. 岩佐恵美

    岩佐委員 前に梶木又三環境庁長官に私、実は三多摩の地域の坂沢という、ここはやはり谷の部分ですが、沢があって、谷になっていて、あれは十ヘクタールのところで、そこに産業廃棄物を捨てるというような話があって、これは質問の中で絶対だめだということでお話をして大分頑張っていただきまして、いまだにここは産廃の捨て場にはなっていないということもありますので、その点参考までに御紹介させておいていただきたいと思います。  次に、圏央道計画が発表された一九八四年から八六年までの三年間に国土利用法に基づく市街化調整区域内の五千平米以上の土地売買の事前届け出、これは青梅市で約五百九十ヘクタール、八王子市で約五百五十六ヘクタールにもなっているわけであります。八王子市では八四年の届け出が前年の十一倍、青梅市では八五年が前年比九・五倍です。圏央道計画が土地買収に弾みをつけていることは明らかであります。青梅市では今お配りした資料のとおり上位十社で八百五十ヘクタールもの土地を買い占めているわけで、これは市の総面積の八・二%、市街化調整区域面積の一〇・二%に当たります。現在圏央道のルート周辺には買い占め地、開発計画、これはずっとABCDで示してわかりやすいようにちょっと斜線でお示しをしましたけれども、このように大変たくさんの開発計画があるわけです。八王子から青梅まででプラン段階のものを含めて五十あるという話です。その中には用途不明のものもあるし、事前届け出面積が不明確で市当局が問題にしているものも二十件ばかりある。先ほどの町田のクラブハウスの件ではありませんけれども、今非常にこの弾地域の自然環境、緑が危険だと言うことがあるわけです。圏央道計画が進められる地域は見ていただいてもおわかりいただけるように国立公園それから国定公園、都立自然公園があります。緑の保全とか先ほどの水資源確保、こういう点では非常に重要な地域であります。  八王子市は高尾山があるのでちょっと緑が多いように思われているようですけれども、市街化区域や人口集中地域での緑被率というのは二三・四%しかないということです。緑被率が二〇%を切るとお年寄りや子供に健康被害が出る、こういう指摘もございます。八王子市は盆地で大気が滞留しやすくて大気汚染が起こりやすい、これは市の公害白書でも指摘をいたしております。ですから、現在都条例に基づく公害認定患者は千六百人、八王子の場合二十三区並みなのですね。浮遊粒子状物質が環境基準を達成していない、そういう状態があるからこういう被害が出ているわけであります。そういう意味で、圏央道そのものによる高尾山の緑の破壊とか住環境の破壊とかそういうこともありますけれども、この道路建設でこの地域全体が買い占められてまた乱開発をされる、こういう意味では多摩地域は二重三重に被害を受けるということになるわけであります。  最初に長官、決意を申し述べられて、私は大変心強く思ったわけでありますけれども、こういう問題についてぜひ環境庁長官として適切に厳正に対応をしていっていただきたい、このことをお願いをしたいと思います。
  297. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 自然を守るという大きな意味から先生御指摘いただいておるのはよくわかります。ただ、この圏央道の場合も、環境庁としての役割というものが非常に微妙なものでございまして、御承知のように建設省が事業主体になるし、また環境アセスは都がするという体系の中に、そして私どもがタッチできるというのは、建設大臣が都のアセスを受けて、もし環境庁にこれは重要だと思って聞かれる場合は私どもはその意見を述べることができるけれども、聞かれない場合私どもで、おい建設大臣いかぬじゃないかという立場がないというのが今の手順でございます。だから、自治体の方で、都もあるいは青梅市かそこら辺の町も乱開発されるとその地域がだめになるのですから、各自治体がそれらを防ぐ手だてはあるはずであります。だから、各手だてのできるいわゆる権限を持ったところが環境を保全することがより大事だという立場になっていただきたいと私は願うのみであります。
  298. 岩佐恵美

    岩佐委員 環境庁というのは、国の機関で環境を守るという意味で非常に大事な役割を果たされているし、それから全国各自治体あるいは国民から非常に大きな期待を持って注目をされている、そういう機関だというふうに私は理解をいたしております。ですから、現在の仕組みの中で、あれこれ挙げればいろいろ問題はあると思います。ですけれども、今この東京の都心やら周辺を見ていただいても緑がどんどん壊されていっている。今三多摩地域にそれが残されている。その残された緑が非常に危機に瀕しているというふうに言わざるを得ない状況というのがあるわけですね。  特に高尾山については、年間二百五十万の方々が登られるのです。六百メートルの高さなのだけれども、千メートル以上でなければ見られないようなブナの木が今かなり残っている。そういう意味では東京のこんな近くでは珍しいくらい自然が残されている。そういうすばらしいところなわけです。長官、実際に見ていただけるとおわかりいただけると思うのです。私は好きでよく行きます。障害者、お年寄りがこの山によく登るのです、小学生はもちろんのことですけれども。そして先ほど議論のあった公害患者のサマーキャンプ、このサマーキャンプなども高尾山とかあるいは三多摩地域の秋川とか、そういう地域で行われているわけですね。ですから、長官にぜひそういう大きな立場で緑を守る、環境を守るのだという決意、余り関係ないところでは長官のすばらしいロマン、御決意は伺ったのですけれども、こういう具体的な問題でも対応していただきたい。特に、前からの地元の皆さんの念願なのです、環境庁長官にぜひ現地に来ていただきたい、見ていただきたい。これはいろいろな立場はあるでしょうけれども、しかし見に来ていただけると思うのですね。その点をぜひ長官に御検討いただきたいということをお願いしたいと思います。
  299. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 自然公園については守ります、これは直接私ども責任を持っておることですから。周辺環境については各自治体が当然守るべきだと私は心から願っております。現地へ行ける機会があればありがたいと思っております。
  300. 岩佐恵美

    岩佐委員 終わります。
  301. 吹田愰

    吹田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十九分散会