運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1988-03-22 第112回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 吹田  愰君    理事 衛藤征士郎君 理事 小杉  隆君    理事 武村 正義君 理事 平林 鴻三君    理事 川俣健二郎君 理事 春田 重昭君    理事 滝沢 幸助君        園田 博之君    平泉  渉君       金子 みつ君    新村 勝雄君       土井たか子君    遠藤 和良君       斉藤  節君    大矢 卓史君       岩佐 恵美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 堀内 俊夫君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       安原  正君         環境庁企画調整         局長      森  幸男君         環境庁企画調整         局環境保健部長 目黒 克己君         環境庁自然保護         局長      山内 豊徳君         環境庁大気保全         局長      長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      渡辺  武君         通商産業大臣官         房審議官    安藤 勝良君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   山田 晋作君         総務庁行政監察         局監察官    加藤 武久君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   藤原 正弘君         運輸省地域交通         局自動車業務課         長       土井 勝二君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部鉄道施設課長 本多 辰巳君         建設省都市局街         路課長     深水 正元君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         建設省道路局道         路環境対策室長 松浦  仡君         環境委員会調査         室長      川成  昭君     ───────────── 委員の異動 三月二日  辞任         補欠選任    石破  茂君    愛野興一郎君    園田 博之君    田中 龍夫君    中村正三郎君    原田  憲君    岩佐 恵美君    金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     石破  茂君   田中 龍夫君     園田 博之君   原田  憲君     中村正三郎君 同月四日  辞任         補欠選任   金子 満広君     岩佐 恵美君 同月九日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     上原 康助君   大矢 卓史君     吉田 之久君 同日   辞任         補欠選任   上原 康助君     新村 勝雄君   吉田 之久君     大矢 卓史君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)      ────◇─────
  2. 吹田愰

    吹田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より趣旨説明を聴取いたします。堀内環境庁長官。     ─────────────  公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  3. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害補償等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  公害健康被害補償制度につきましては、昨年の制度改正により、ぜんそく等疾病補償対象地域である第一種地域指定を本年三月一日をもってすべて解除し、指定解除前に認定を受けた既被認定者については、従来どおり補償給付支給等を行うとともに、今後は、大気汚染影響による健康被害予防するための健康被害予防事業実施等総合的な環境保健施策を積極的に推進することとしています。  今回の改正は、昨年の制度改正を踏まえ、健康被害予防事業を安定的かつ確実に行い、また、既被認定者に係る補償費用財源を確保するために、所要改正を行うものであります。  次に、法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、政府から公害健康被害補償予防協会に対し出資を行うことであります。  昨年の制度改正を受けて、新たに実施することとなりました健康被害予防事業財源については、公害健康被害補償予防協会基金を設け、その運用益によって賄うこととしております。  この基金については、大気汚染原因者等からの拠出金のほか、政府から出資された金額を充てることとしており、このために必要な規定の整備を行うものであります。  政府出資額は、昭和六十三年度において一億八千百万円とされております。  第二は、自動車重量税からの財源措置を引き続き延長することであります。  補償給付支給等に要する費用のうち二割分については、自動車に係る分として、制度発足以来、自動車重量税収入見込み額の一部に相当する金額を充ててきたところでありますが、この措置昭和六十二年度までの措置とされております。  既被認定者に関しては従来どおり補償を行うこととしているため、補償費用のうち自動車に係る分については、昭和六十七年度までの五カ年間、政府は、引き続き、自動車重量税収入見込み額の一部に相当する金額公害健康被害補償予防協会に対して交付することとするものであります。  この法律案施行期日は、昭和六十三年四月一日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 吹田愰

    吹田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ─────────────
  5. 吹田愰

    吹田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
  6. 金子みつ

    金子(み)委員 私は、この公害健康被害補償法の問題を取り上げるにつきましては非常に複雑な感じを持っております。前国会で一部改正が行われましたが、その行われました時点においては非常にさまざまな問題点をたくさん残して、どちらかと申しますと非常に無理をして法律制定をしてしまったという感じがございます。しかし、いずれにいたしましても、事実といたしましては一部改正が実現されたわけでございまして、今度は事後措置と申しますか、その後の行政を続けるということになっていくわけでございますが、この問題はどっちかと申しますと、何か行政あり方後手に回ったというような感じがするわけなんです。大体こういう問題は、公害被害なんということはいち早く手をつけて、原因を究明して、それの予防にまず手をつけるというのが順当だと思うのですね。そして同時に、被害を受けた、被害をこうむられた方々に対する措置というのをあわせて行うというふうにするのが筋じゃないかと思うのですけれども、今回行われましたのは、十三年もの長い間専ら被害患者が出るのを放置した感じで、手をこまねいてきていたような感じがいたします。ですから、公害健康被害補償法は前国会で一部改正が行われたわけではございましたけれども、もう一度そのことを思い起こしながら今回の改正あり方を検討しなければいけないのじゃないかというふうに思うわけでございます。  申し上げるまでもありませんが、公害健康被害補償法は、大気汚染のひどい地域特定して、そしてそれを指定いたしまして、四十一地域指定して、そこの指定地域内に住んでいらっしゃる方々被害、殊に気管支ぜんそくなどにかかったたくさんの患者さんが出たわけですが、その患者さん達に医療費あるいは障害補償費を支払うという仕組み法律であったわけでございます。それをずっと実現してきたわけでありますが、その費用硫黄酸化物などを排出する公害企業、要するに原因者負担という形で費用を負担させてきた。そして、その制度ができてから十三年たって、認定患者の数は実に九万六千七百人、約十万人にも及ぶという大変に広範囲患者を生じてしまったわけでございますし、その補償費用は年間千四十四億円、この費用もまた大変な費用だと思います。  ですから、そのようなことをしてしまったというのは、確かに私は公害行政と申しますか環境行政ではありますが、そのあり方としては後手だったなというふうにしみじみ思わないではいられないわけなんです。確かに硫黄酸化物を主とする大気汚染というのは数字でもはっきりとわかるほど減少してきたことは事実でございましたけれども患者は決して減らなかったのですね。そのことは事実です。患者は減らないどころかふえていくという大変に不合理な面が実際問題として発生しているわけでございます。ですから、言葉をかえて言えば、数字の上では硫黄酸化物による公害患者の数は減ったけれども大気汚染は言うまでもありませんが、硫黄酸化物だけで汚染されるわけではない。  殊に十三年という長い経過をたどってまいりますと、当初は硫黄酸化物による被害が非常に多かったということは言えるわけですけれども、だんだんその方が手を打ったために少なくなってきて、逆に今度は自動車等から出されるいわゆる窒素酸化物による大気汚染というものがだんだんとふえてきている。その両方が入れ違いのような形になって、それだけではありません、いろいろな浮遊粒子もありますけれども、大きなものはそれなんです。そういう形に変わってきているわけでありますから、それに基づく公害患者というものが新しくできてきているわけですよね。窒素酸化物による被害者患者ができてきているわけなんです。この方の対策がとられてきていない。だから患者は減った、減ったということだけが大きく取りざたされて、そして同じ大気の中にある窒素酸化物による被害者である患者というものが取り上げられてこなかった。ですから大気汚染がすっかりよくなったわけじゃないのに、何か錯覚を起こさせて大気汚染はすっかりよくなった、もうこの公害はなくなったんだというふうな印象を大きく与えながら法律改正の線へ進めてきたんだというふうに勘ぐりたくなるような実態があったというふうに思うわけでございます。  ですから、十三年たった今日ではむしろ自動車排気ガスによる窒素酸化物での被害の方が大きくなってきて、殊に大都市、東京、大阪、名古屋、福岡等大都市を中心にして非常にそれが深刻になってきているということは事実でございます。ですから私は、その地域指定というのが、硫黄酸化物による被害患者だけを対象にした地域であったから指定解除したという言い方になっておりますけれども、同じ地域で同じ住民たちが、今度は硫黄酸化物でなく窒素酸化物被害を受けているんだということも考えなければいけなかったのじゃなかったかなというふうに思うのです。ところがそっちの方は考えないで、専ら硫黄酸化物原因ということだけを考えたから地域指定解除したという結果になったわけですが、この解除をするに当たりましては、非常にたくさんの広い範囲人たち反対意見がございました。その反対を押し切って解除してしまったということなんですけれども、私はこの解除あり方というのは確かに無理があった、今本当にそういうふうに思います。私どもは賛成しなかったのですけれども、そういうことをあえてしてしまったので、これからはそのときの轍を二度と踏まないように、再び過ちを繰り返さないためにどうしたらいいかということに最重点をかけなければいけないというふうに考えます。  もちろん、どういう形でどういうふうに動いていくかということは言い切れませんけれども、そういうことを考えながら今回の改正法律がそれを目的にしているものだと私は解釈をしまして、そしてその対策全力を挙げてもらいたいということをまず考えるわけでございます。そのことについて大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、まずお尋ねしたいと思います。
  7. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今先生指摘いただきましてお話をだんだんに承っておりますと、全く認識として十分御理解をいただいておるということが私にもよくわかります。ただ、硫黄酸化物による大気汚染という問題がほとんど解決されてきたわけでございます。御指摘のように窒素酸化物のものは、ほとんどずっと統計を見ても横ばいでございます。そういう環境の中で、むしろ硫黄酸化物大気汚染はもう七、八年前にほとんどなくなってきておるというような状態でありましたから、長い間この議論があったようでございます。そうして特にこの三年の間、今の公害補償というものが果たして医学的な知見に基づいているかどうかということについての議論が随分行われたようであります。そして昨年に至ってようやくその議論が成熟して、中央公害対策審議会でも、現在の状態では補償制度というものよりも、むしろ積極的に環境をよくする方法あるいは病気になられる方々予防する方法をとるべきではないかというような御意見が多数を占め、中公審においての決定をもとに今度の制度改正に踏み切ったわけでございます。  ただ、昨年いろいろこれについて御議論が行われた。私もその過程について詳細にそれを調べてみました。特に本委員会において附帯条件ということで今後の方法について多くの示唆に富む御意見が出されておるわけでございます。このたび予防協会を置くに当たって新しい対策を講ずるについては、さきの委員会でいろいろ御議論いただいた附帯条件をたくさん取り入れるというかほとんど取り入れて、そしてこの一番もとになる窒素酸化物環境基準を下げるように我々は全力を挙げていきたいと考えておる次第でございます。
  8. 金子みつ

    金子(み)委員 今図らずも長官が、前回法律が制定される時点で決議されました附帯決議のことにお触れになりました。私は今からこの前の――実は附帯決議をどうしてもつけざるを得ないくらいあの法律改正に関しては非常に危惧をしたわけです。ですから、こういう改正をするからにはこういうことをやらなければいかぬぞ、ぜひやってもらいたい、やらなければならないじゃないかという意味を持ちまして、行政に強い要請の意味を込めて附帯決議をつけたわけでございます。その附帯決議について私はきょう少し触れたいと思うわけでございます。  前回、昨年の八月でございますけれども附帯決議が六項目出されました。この六項目附帯決議について一つずつどのように考え、どのように進められ、どのように具体的に運んでこられているのか、あるいはいないのか、そのことについてお尋ねをしたいというふうに考えるわけでございます。附帯決議附帯決議としてつけても一向に実現されないというのがよく言われることですけれども、そのようなことがあっては附帯決議意味がないわけでございます。殊に今回の場合は、あの審議の中で成立をした法案でございましたから附帯決議の持つ重みは非常に重いと思うのです。したがって、この附帯決議がどのように進められてきているかということは非常に強い関心をみんなが持っていると思いますので御説明をいただきたいというふうに思います。  まず第一でございますが、お持ちでない方もあるかもしれませんから読みます。「大気汚染から地域住民の健康を保護するため、新たに発症する慢性閉塞性肺疾患患者に配慮した事業を行うなど健康被害防止事業を効果的に実施すること。」というのがございました。この件に関してなんですけれども健康被害防止事業実施することについてここに掲げてありますような「慢性閉塞性肺疾患患者」と一つ取り上げてあるわけですね。これは重点的な疾病だと思いますけれども、私は、ただこのような特定疾病対策だけをやるのじゃないはずだと思うのです、附帯決議のこの趣旨は。特定疾病対策だけではなくて、もっと広く疫学調査を含むいろいろな調査、後の方で出てまいりますが、あるいは具体的な予防事業などがあると思うのですけれども、幅広く健康被害防止事業をやってもらいたいと思うわけで、これに集中する必要はないということ。  それからもう一つは、政府がそういう方針を出しても、何といっても実際にそれを取り扱うのは自治体でございますから、それぞれの関係している自治体がどういう問題に重点をかけてどうするべきであるかということを考えていると思うのですね。ですから、その関係自治体意見を十分尊重して行うようにということを強く要望したいのです。なぜそんなことを言うかと申しますと、この前の法律が去年、前国会成立をいたします時点で、関係自治体は九〇%、九割までがあの法律改正、四十一地区の全面解除反対したのです。これに非常に強く反対して意見を具申してきています。環境庁は、あらかじめ自治体意見を聞いてやるという姿勢をお示しになったのは結構だったのです。各自治体にその意見を示すようにという要求をお出しになって、各自治体がそれに対して回答と要望とを出したわけですが、それは九割までが反対だったのですね。その九割の反対を押し切って、ネグって、その反対実施をやってしまったという経緯があるわけです。あれは反省しなければいけないと思います。  ですから今回は、予防事業健康被害防止事業実施するについては、環境庁が考えているやり方だけじゃなくて、それぞれの関係自治体意見というものを十分尊重して、そして関係自治体が自分の自治体としては最も有効に、適切にできるという事業をそのそれぞれの自治体実施することによって効果を上げるということをぜひやっていかなければいけないということを考えるものですから、このことを特に強く要求したいと思いますが、いかがでしょうか。そういうふうに新しく考えてほしいのです。
  9. 目黒克己

    目黒政府委員 御指摘の第一項目の点でございますが、この健康被害予防事業につきましては、御承知のように三月一日から事業を始めておりまして、具体的にも四月一日からに備えて準備を進めているところでございます。一部は三月中に既に保健婦研修等は行っているところでございます。これは地方自治体等の御要望もこれあり、保健婦研修というのも行ったところでございますが、また、そのほかにこの予防事業の中で、御指摘の特に慢性閉塞性肺疾患患者対象といたします大都市における気管支ぜんそく等々に関する調査研究、いろいろ科学的な知見が十分でない点についてもこの中で研究してまいりたい、あるいは健康相談事業といったことも進めてまいりたいといったようなものがございます。あるいはまた、医療施設整備するといったようなものもございますが、いずれにいたしましても、これが今先生がおっしゃいましたように、メニューと申しましょうか、私どもができるものはここまでであるという一つメニューをつくっておりまして、そのメニューの中でそれぞれの各地方自治体選択をするといったような形になるわけでございます。先生指摘のように、それぞれの地方自治体におきましては、それぞれの御事情の中で、あるいは状況の中でこれをやりたい、あるいはあれをやりたいというようなことがあるわけでございまして、私どもが提示いたしましたこのメニューの中から御選択をいただくということで、地方自治体の御意見を大幅に酌んでいるものというふうに私ども受けとめているのでございます。  それから、疾患の限定ということについての御要望でもございますけれども、この辺につきましては、先生承知のように、大気汚染健康影響に関する専門委員会答申等におきましても、とにかくこの四疾病に着目するということと、その他のことについては今後の研究だというふうに強くサゼスチョンがあるものでございますので、この辺を含めまして研究ということで予防事業の中で進めてまいることとなろうと思うのでございます。いずれにいたしましても、地方公共団体意見を尊重しながら、このメニュー範囲内で的確に実施するように努力してまいりたいということで今進めておるところでございます。
  10. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりましたが、そのメニューの問題ですが、関係自治体がその中から選択してというお話でございます。そうすると、そのメニューを外れるものはできないということになるわけですね。そうだとすれば、メニューというのは、よほど幅広く大きな網をかぶせたようなメニューでなければ、関係自治体が満足して選べるというような中身にならなくなるんじゃないでしょうか。そのメニュー中身まで今御説明いただくというつもりではございませんけれども自治体が、うちはこのメニューの中からだけではとれない、ほかにもまだあるというようなことが起こった場合にはどうなりますか。
  11. 目黒克己

    目黒政府委員 健康被害予防事業として実施いたしますものの内容は、地方自治体から広範な御意見を私どもいただいたわけでございます。また、そのほかに各関係者の方からもさまざまな御意見を賜ったわけでございまして、そういうものを集約いたしましてこのメニューをつくり上げたのでございます。  また、これはいずれにいたしましてもやはり一つの枠は決めてまいりませんと、各地方公共団体におきましても行政の中で進めていくものでございますので、ある程度の枠はきちっとしたいということで、先ほど来御説明申し上げたような枠の中でやっているのでございます。例えば地域を限定するとか、あるいはそのメニュー実施の中でも具体的なことにつきましてはある程度の要件を定めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  12. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。それでは、二つ目に入ります。  二つ目は、この法改正による予防事業実施することだとかあるいは調査研究を行うことだとかということになりますと、どうしてもそこに出てくる必要なものは、それを行うに必要な裏づけとなる費用の問題、経費の問題ということになるわけでございますが、その費用の問題についてこの前の附帯決議では「大気汚染影響による健康被害予防することの重要性にかんがみ、大気汚染原因者及び大気汚染原因にかかわりのある者に基金への拠出を確実に行わせるよう、中小企業に配慮しつつ、適切な措置を講ずること。」というふうになっておりますが、この件について、この基金仕組みの問題を説明していただけないでしょうか。
  13. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今先生お話がございました健康被害予防事業を行いますための基金の造成につきましては、大気汚染原因者あるいは関連事業者、それから今回法律でお願いを申し上げておりますが、国からの出資というものを含めまして所要の額、これは私どもは五百億円までこの基金の積み立てをいたしてまいりたい、かように考えているわけでございます。  それで、基金に対します企業からの拠出金拠出につきましては、既に経済界との合意も得ておりまして、基金拠出を確実にするための諸準備を現在進めておるところでございまして、六十三年度から確実に拠出が行われるように体制を整えてまいりたい、かように考えております。  それからもう一点、今先生のお読みになった中にございましたが、「中小企業に配慮しつつ、」という言葉がございます。この点につきましては、賦課金の場合に比べましていわゆるすそ切り基準を大幅に引き上げまして、規模の大きいばい煙発生施設等設置者をその拠出対象者にするというふうに要件を定めることで御指摘の事項に対応しているところでございます。
  14. 金子みつ

    金子(み)委員 今御説明いただいたような形で実現させる方針でいらっしゃると思うのですけれども、六十三年四月一日からということでございますね。もう日も幾ばくもございませんけれども、四月一日から計画されているとおりきちっと実施できる見込みはおありになるのですか。
  15. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 健康被害予防事業実施いたします基金の造成というのは、昨年の制度改正趣旨を実現するためにも絶対確保していくことが不可欠な要件であろうと思っております。今先生お話しのようなことで、私ども関係の団体ともいろいろ話を進めてきておるところでございまして、六十三年度からこの基金拠出が円滑に行われますように、各拠出事業者と公害健康被害補償予防協会の間で拠出契約の締結などの準備を今進めているところでございまして、基金は確実に確保されるように私ども努力をしていくつもりでございます。
  16. 金子みつ

    金子(み)委員 そういたしますと、この事業を進めていくに当たっては、今御計画のある基金によって運営されていくというふうに考えていらっしゃるわけですが、基金以外には必要としないわけですね。私が非常に気にしていることは、基金以外にひょっとして地方自治体に負担なんかをさせるようなことが起こってくるんじゃないだろうかという懸念を持つわけですが、そういうことは絶対にないですか。
  17. 目黒克己

    目黒政府委員 地方公共団体の負担につきましては、これができるだけないような形で仕組みをつくっているものでございます。
  18. 金子みつ

    金子(み)委員 今の御答弁はできるだけないような形でということなんですから、絶対ないとは言い切れないということですね。
  19. 目黒克己

    目黒政府委員 このメニューの中の大部分、ほとんどのものについては、御指摘のようにそのような負担がないような形で、十分の十といったような形で支給をいたしておるものでございますが、またそういう公共団体の方からの御要望等よく承りました上である程度の負担のあるものも中にはございます。しかしながら、それにつきましてもそれほど無理ということでございません。ある程度の地方公共団体の御意見の中でそのように配慮をしてまいっているものでございまして、私どもそのような大幅負担のないようにしているのでございます。
  20. 金子みつ

    金子(み)委員 ぜひそうあってほしいですね。地方自治体の超過負担か何かになるようなことになりますと、自治体としては非常に困るだろうと思いますし、そういうことのないようにぜひ進めていただきたいと思います。  それに関連して、事業を進めていく間に、一応先ほど御説明いただいたように基金の計画がありますね。事業の進めぐあいによってその基金計画では間に合わなくなることが起こってくるかもしれないですね。あるいはお金が先にあって、その範囲内でやりなさいということで十分な事業ができないということになるのか。それとも事業はどんどんきちっとやっていく、予防事業はしっかりやっていくということになると、基金が足りなくなった、財源が足りなくなったじゃないかというふうなことになる。地方自治体にこれ以上負担をかけるわけにいかない。ということになると、基金そのものに計算の狂いがあったというふうに考えられないこともありませんが、そういう事態になったときには基金の増額とかなんとかそういうことも考慮に入れていらっしゃるのでしょうか。とにかく事業が円滑に目的どおり運営できるような形にするための十分な基金の用意をしなければならないはずだと思いますが、その辺はどうですか。
  21. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 この基金の規模につきましては、先ほど申しましたように、現在五百億円を目標にこれから積み立てを進めてまいりたいと思っておりますが、それは、この健康被害予防事業を安定的に、かつまた実効あるものとして実施するため年間二十五億円程度の事業費を確保するという前提に立って五百億円の基金を積み立てよう、こういうふうに考えているところでございます。したがいまして、今後そういうような枠を前提といたしまして、先ほど先生お話しのように、地方のニーズ等も踏まえながらこの適正な執行に努めていくということになろうかと思います。
  22. 金子みつ

    金子(み)委員 では、もう一つだけ基金の関係で聞かせてください。五百億というのは先ほどお話がありました。五百億は最終目的ですよね。そうすると、この最終目的の五百億、これは五年間ですか、特に五年間と限らないわけですか。
  23. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先生お話しの期間は積み立てに要する期間かと思いますが、これは前提の置き方によって若干変わるかと思いますが、現在私どもで一応想定しておりますのは六年ないし八年ぐらいかかるのかなというような前提でございます。
  24. 金子みつ

    金子(み)委員 わかりました。  そうすると、六年から八年ぐらいかかって五百億積み上げるということなんですけれども、この五百億の分担の内訳なんてわかりますか。
  25. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 大まかに申し上げまして、ばい煙発生施設等、要するに固定発生源の施設から全体の八割相当、四百億円程度を拠出していただくということを考えております。残りの百億円につきましては、国の出資大気汚染関連事業者からの拠出というようなことで賄っていきたいというのが現在の私どもの考え方でございます。
  26. 金子みつ

    金子(み)委員 今国と、それから関連事業者とおっしゃいましたね。それは何ですか。
  27. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 大気汚染に関連のある事業者ということで、当面六十三年度について申し上げますと自動車メーカーを考えております。
  28. 金子みつ

    金子(み)委員 大体わかったのでございますが、事業が円滑に、しかも効果あるように行われるための後ろ盾になる基金につきましては、どうか十分配慮していただきたいということを強く要望しておきます。  次に進みまして三つ目ですが、三つ目は、既に認定されている患者、既認定患者認定の更新があるわけですね。時々チェックをして更新するわけですが、それに当たって「その保護に欠くことのないよう配慮するとともに、その健康回復のための事業を一層充実すること。」というのがこの前の附帯決議だったのです。このことに関して、こういうことを時々聞かされるのでそういうことのないようにしてもらいたいと思いますのは、更新に際して、純粋に科学的、医学的に第三者の立場できちっとするのが当然でございますから疑いを挟むのはおかしいのですけれども、何か恣意的に患者の更新を決めていくということがあるやに聞くんですね、具体的にどこのだれがとは申しませんけれども。そういうようなことが行われることはもってのほかだと思うのです。何を目的にそういうことをしているのかわかりませんけれども、そういうことが絶対にないように、認定審査会の運営を厳格にするということ、患者の保護第一主義にして認定患者の更新、運営を厳格に行うように、これは自治体に強く政府の方から指示していただきたいということを要求したいのですけれども、それはいかがですか。
  29. 目黒克己

    目黒政府委員 既に認定をされております患者さん方が更新をする場合、この問題につきましては、当然認定をするときと同じように審査会で行うわけでございます。御指摘のように審査会で行うわけでございます。そしてその審査会での決定については当然医学的にかつ公正に行うということで、私ども以前もそのようにいたしておるのでございますし、今後もそのようにいたしてまいりたい、そのように考えているところでございます。  また、御指摘のこの更新をさらに公正にせよということにつきましては、それぞれ各年ごとに地方公共団体の主管部課長会議等々機会がございますたびに私ども申し上げているところでございます。
  30. 金子みつ

    金子(み)委員 ぜひそのように進めてください。  それから次は第四項目、「主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて、必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。」これは大変重要な項目なんですけれども前回の審査のときにも非常に問題になった点でございます。主要幹線道路沿道の局地的汚染という問題は資料が十分じゃなかった、「科学的知見が十分でない現状にかんがみ、」という前提がついておるくらいに、前回議論をいたしました時点では、具体的に言えば、東京都が出してきた資料が必要な小委員会の手元に届かないで、その資料をもとにして報告を出したかったのができなかったという事実がございました。これは大変大きな問題だったわけです。そこで小委員会では留意事項として注意を喚起した報告を出しているわけですね。専門部会はそのことを受けとめてそのようにしていたと思うのですけれども、その問題についてなんです。  その時点ではそういうことだったわけでございますけれども、それを踏まえてそして今回は調査研究をするわけでございますが、「調査研究を積極的に推進するとともに、」となっていますからやるわけなんですけれども、この調査研究をどのように進めているか、具体的な方針は既にできているのかどうか、これから検討をなさるのか、そのことについてまずお尋ねしてみたいと思います。
  31. 目黒克己

    目黒政府委員 この主要幹線道路沿道等の局地的汚染の問題については、先生指摘のとおり、昨年の法律改正のときにもいろいろ議論、御意見のあったところでございます。  それで、どのようにしているかということでございますが、答申では幹線道路沿道等の問題、今の御指摘の東京都のものを含めまして、一応これは取り入れた上での答申というふうに私ども前回はお答え申し上げてきたものでございます。そしてまた、この健康影響調査方法でございますが、どのように今やっているかというお尋ねでございますが、この幹線道路沿道の局地的汚染、これはなかなか科学的には難しい問題が多いのでございます。  今どのような状況にあるかと申しますと、まず調査方法、これが非常に複雑多岐にわたり、しかも決定的な科学的な知見がないということで今準備段階にあるのでございます。具体的に申し上げますと、例えば汚染暴露量の評価の仕方、これ一つにつきましてもどのようにして評価をしていったらいいか、例えば道路から何メートル離れた場合にどのような健康影響が出るのかどうかとか、あるいは大気汚染、これは大気保全局長の方からあるいは補足申し上げるかもしれませんけれども、少なくとも大気が幹線道路のところから何メートル離れたらどのくらいというような科学的な根拠、拡散度等についても、定説的なと申しましょうか調査として使えるようなものがなかなかないというのが一つございまして、それも今やっておるのでございます。  それからさらに二段構えで、しからば何メートルくらいのところでどのようにしたら健康影響をチェックできるのか。前回まで私ども使っておりましたような疫学方法に加えまして、ああいうものではなくて、やはり専門委員会報告等でもございますように新たな方法を考えるべきだということで私ども今やっておりますのは、例えば個人の暴露量を調査いたしますような携帯用のモニターのようなものを体につけまして、そしてそれが一日のうちにどのくらい一人一人の個人に暴露するか。それはその人の生活によっても変わるわけでございますし、屋外にいるとき屋内にいるときあるいは夜、昼というようなことを含めましてこういうものを例えばやっている。そういう基礎的ないろんな研究をいたしておりまして、そのようなものを含めまして今度は科学的な知見をどのようにつくり上げるか、こういう段階でございます。  研究班をつくっておりまして、試験的に六十二年度は横浜市、それから六十三年度はまだはっきりいたしておりませんが、できれば川崎市あたりを予定しながらまず健康人、そういったようなものが一体どういうふうな形でどのような暴露を受けるかというような基礎的な調査を今行っているところでございまして、調査というと非常に結果というふうになりやすいのでございますが、そういうことではございませんで、どういう方法が一番いいかという方法論の検討を行っているところでございます。
  32. 金子みつ

    金子(み)委員 この項目はこの法律がこれから進められていこうとするについて一番重要な項目でして、中心的存在じゃないかと思うのです。ですから、これはもうしっかりとやっていただきたいということを考えております。  そこで今の附帯決議の一番おしまいの方に「必要に応じ、被害救済の方途を検討すること。」という文句が入っているんですね。これは何のことかと申しますと、「必要に応じ」というのは、調査をした結果、状態が再び前回のように指定をしなきゃならないような状態であるということがわかることがあるかもしれない、こういうことですよ。ですから、もしそういう状態調査研究の結果がなった場合には再度指定をするということもあり得るんだということを示唆しているというふうに考えられるわけでございます。これはどうなんでしょうか。
  33. 目黒克己

    目黒政府委員 この研究の結果ができてその後でという御指摘でございますが、この点につきましては、今申し上げましたように、現在この方法論を検討しているところでございます。したがいまして、先生方御承知のように、前国会でも御議論いただきましたように、仕組みとしてはそういう指定をする仕組みというのは当然公健法の形の中で残っておるのでございますが、しかし指定をするかどうかということになりますと、この研究成果が出た時点で、万一そのようなことがあったとしてもその時点で考えてまいりたい、このように思っておるのでございまして、この点につきましてはあくまでも科学的な調査結果、そういうものを待ってから考えてまいりたい、このように思っているところでございます。いずれにいたしましても、そのようなことが万一起こったらということでございます。
  34. 金子みつ

    金子(み)委員 その点を確認したかったのは、前回審議のときに社会党の岩垂議員の質問に対して総理大臣が答弁していらっしゃる。その答弁の中では、「公害に関する調査、モニター等はやはり我々は厳密にこれを行いまして、もし将来万一出た結果等を見まして、そのときに応じて適切な措置をまたとるという余地も十分考えております」、こういうふうに答弁していらっしゃる。  ですから、今お話があったように、研究の結果、その時点で何がどういうことになるかわかりませんが、その時点で問題があったときには、地域指定するのがいいのかどういう方法をとるのがいいのかわかりませんけれども、いずれにしてもそのままにしておかない、特別な対策を立てるんだという意味のことをここでは総理も言っておられるし、総理は端的に地域指定と考えていらしたかどうかは知りません、詳しく聞いておりませんけれども、その時点ではどういう形であれ、特別な措置が考えられなければいけないんだ、その余地は今でも持っているんだという意味ですから、そのように考えていいですね。
  35. 目黒克己

    目黒政府委員 前回の総理の御答弁にありましたとおりに私ども受けとめているところでございます。
  36. 金子みつ

    金子(み)委員 では、その次です。  「複合大気汚染による健康影響について、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築し、地域住民の健康を観察して、必要に応じ、適切な措置を講ずること。」というのが、五番目の項目でございますが、ここでお尋ねしたいのは、「サーベイランス・システムを早急に構築し、」というのがあるのですが、サーベイランス・システムを早急に構築されているんでしょうか。
  37. 目黒克己

    目黒政府委員 このサーベイランス・システムと申しますのは、地域の人々の健康状態大気汚染の関係を継続的に監視するためのシステムでございますが、六十二年度からその構築を行うための研究を始めたところでございます。  先ほど御説明申し上げました沿道の問題と全く同じように、この点につきましても科学的知見が不十分でありますために、健康データの収集とか、あるいは解析の方法とか、あるいはそういう手法をどのようにしていったらいいかという開発のための試験的な調査あるいは研究といったものを今行っているところでございまして、今後こうした調査の結果に基づいて実施可能な部分から具体的に考えてまいりたい、このように思っているところでございます。
  38. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは最後の項目になりますが、第六項目です。  「大都市地域における窒素酸化物等による大気汚染については、早急に環境基準の達成を図るため、ディーゼル車・大型車を中心とした自動車排ガス等の規制を強化するとともに、輸送の共同化、立体交差化等の自動車交通対策、電気自動車・メタノール車等の低公害車の普及のための助成等の諸対策を総合的、計画的に推進すること。」という項目が最後の項目としてつくられていたわけであります。  この項目に関して、大変具体的にこれから進めることが示されているわけでありますけれども、この点につきましてはこの前、朝日新聞に出ていました。環境庁の中に設置されている「窒素酸化物低減のための大都市自動車交通対策等計画策定推進検討会」と、大変長い名前の検討会が設置されておるようでございますが、この検討会が中間報告のようなものを新聞に発表しておられたのを拝見いたしました。この検討会が主として担当される部分じゃないかなと、私はこの新聞発表を読んだときに思ったのですけれども、多分ここら辺が中心になってなさることなんだろうと思うのですけれども、この問題はできるだけ早急に、具体的に実施していただきたいと思うわけです。  そのことと、それからおしまい、一番最後のところに「普及のための助成等の諸対策を総合的、計画的に推進すること。」この点をもう少し具体的に知りたい。例えば、国だとか地方自治体などがどういうかかわり合いをこの点について持つのかというようなことが出てくるんじゃないかと思うのです。そこら辺の計画の御説明をちょっとしていただきたいと思います。
  39. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先生のお尋ねの件でございますけれども、まず全般的に自動車に係ります排出ガス規制につきましては、御案内のとおり、六十三年度から六十五年度までの間に大型ディーゼルトラック、ライトバン等の窒素酸化物の大幅削減を実施するために、六十二年一月に告示を改正したところでございます。  なお、現在中公審におきましては、ディーゼル車に係ります窒素酸化物の一層の低減等について検討をお願いいたしておるところでございまして、六十四年半ばを目途に答申をいただけるようにお願いをいたしておるところでございます。この答申をいただきましたら、次のステップにおきます規制の強化を図ってまいりたいというぐあいに考えております。  それから、二番目の自動車交通対策等でございますけれども先生から今お話ございましたように、先般この委員会におきましての中間の取りまとめを行ったところでございまして、この結果を発表いたしたところでございます。この委員会におきましては、発表いたしました結果につきましては引き続きフォローアップをやりまして、この計画が現実の形として実際の場に適用されますようにフォローアップをして、監視といいますか、追跡調査をやってまいりたいというぐあいに思っております。特に先生お尋ねございました最後の点でございますけれども、低公害車の普及等のための助成等の諸対策の件でございます。これにつきましては、六十二年度から、私ども予算におきまして、それぞれの地方公共団体におきまして、この低公害車、電気自動車あるいはメタノール車につきましての走行実験をやっていただいております。そういう面でのPRといいますか、それぞれの電気自動車あるいはメタノール車につきましての、実際にその車の特性に応じました分野におきます使用につきましての実施をお願いいたしておるところでございますし、さらに、これからの問題でございますけれども地方公共団体からの要望がございますれば、先ほど御説明ございました基金等によりまして助成等を講じてまいって、そういう面での低公害車の普及についてはさらに促進をしてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  40. 金子みつ

    金子(み)委員 そのこと自体はわかりましたが、今まだ途中でしょうけれども、この検討会の今検討なさっているポイントとかあるいは目標とか、ちょっとお知らせくださいませんか。新聞に発表された中間報告、これを読めば、これで十分ですか。
  41. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 私ども、これを俗に大都市計画という言い方をしておりますけれども、この大都市計画の推進によりまして、窒素酸化物排出量の削減効果につきましていろいろ試算いたしたところでございます。  それによりますと、新聞にも出ておりますけれども、六十年度の自動車からの排出量と比較いたしまして、六十五年度におきましては、自動車排出ガス規制の効果と合わせまして、京浜地域につきましては一四・七%から一九・五%、阪神地域につきましては一二・三%から一六・五%の低減が見込まれるということでございます。これは自動車交通対策をいろいろ講じることによりまして、自動車単体の排ガス規制の効果と合わせますと、この程度の割合で自動車からの排出ガスの量が減るであろうということでございます。そのためにはいろいろな対策等があるわけでございまして、このための物流、人流、交通流対策ということにつきましてのいろいろなおまとめをいただいたということでございます。  そういうことで、私ども、これらの対策をこれから関係省庁あるいは自治体と一緒になりまして進めてまいりたい。そのために、この委員会におきましては引き続きこの計画にございますものについてのフォローアップをやりまして、この計画がうまく動くように、あるいはこの計画をうまく動かすためにはさらに細部にわたっての検討等も必要であるわけでございますので、そういう面での検討も進めるということで、この対策が実際に現実の姿におきまして動けるような形のものについてこれからフォローアップあるいは検討を続けてまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。
  42. 金子みつ

    金子(み)委員 いずれゆっくり説明を聞かせていただきたいと思いますけれども、私ども素人なりに考えて、いろいろな計画をお進めになったということがわかるのですが、低公害車などの普及というのは一応わかりますよね。ただ、お金がかかるだろうなというふうに思いますね。その金はどうするのだろうな、企業に任せっきりでいいのかなと思ったりもいたします。それに対する助成か何かあるのかなと思ったりいたします。  それから物を運ぶ場合の物流対策、これは何とかいけそうだが、人流対策というのは難しいでしょうね。自家用車をやめなさい、バスと電車にしなさい、こういうことですが、それはそうだろうと思うのですけれども、果たしてそれがどの程度可能なのかということは非常に難しい。交通流対策というのはまた新しいバイパスなんかつくったりするというのでいいのか、その結果また別の公害が出てくるのじゃないだろうかと思ったりもいたしますから、わからないわけじゃないのですが、何かこれはばらばらにやったのでは余り意味がないのじゃないかなと思います。もう少し検討を加えてということですが、いつからお始めになったか知りませんが、この検討会、どれくらいの目標で、いつまでには結論を出すと考えていらっしゃるのか、あるいは延々と研究を続けていらっしゃるのか、その辺のことが市民としては不安でございます。何か計画していらして、いい計画が進められているということはわかるのだけれども、そのことがいつ実現されるのかということがなかなか見えないわけですね。そこら辺は見えるようになるのでしょうか。
  43. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 この計画につきましては、六十一年度から二カ年かけまして、関係の自治体あるいは学識経験者と専門家の方も加えてこの検討会で現在まで検討をやってまいったところでございます。先生のお尋ねにございますように物流、人流あるいは交通流、いろいろな対策がそれぞれあって、それらは計画的にはいろいろあるわけでございますが、それを実効あらしめるためにはどうしたらよろしいかということについての検討も今までお願いしてまいりましたし、そういう検討の結果をまとめた形でこの間発表したわけでございます。それについては、この計画をつくりますもとに関係省庁なり自治体が入っておるわけでございますから、そういう面ではかなり実効性のあるものというぐあいに私ども思っておりますし、これからもフォローアップという形でやってまいりたいと思っております。  ただ、先生がおっしゃられますように、人流対策ということで、車をやめてバスあるいは鉄道を利用するということは理屈の上で非常にわかりやすいわけでございますけれども、実際問題なかなか難しいだろうというのは今御指摘のとおりであろうと思います。各自治体等におきましては、現在も新しい公共輸送機関についての計画等もございますので、そういう面の促進を図っていただく、あるいはできるだけマイカーをやめてそういう公的な公共輸送機関を使っていただくための周知徹底、PRについても私ども努力していかなければならないだろうと思います。  それから、あと低公害車の問題につきましては、御指摘のございましたように関係の業界、団体等にも低公害車の現在の進歩のレベルについて十分説明いたしまして、そのレベルに応じた形での使われ方についての関係業界に対する話し合いということもやりまして、そういう面での普及も図ってまいらなければならないということで、これからそういう面での細かな動きというものについて私どもいろいろまたやってまいりたいと思っておるところでございます。
  44. 金子みつ

    金子(み)委員 いろいろありがとうございました。最後になりましたが、長官にひとつ御要請を申し上げて、御意見を承って終わりたいと思います。  言うまでもないことですが、公害行政というものはそれが大気の場合でも、あるいは水、食品、薬剤いろいろ公害の材料がございますが、いずれの場合であっても人間の健康と直接に関係する非常に重要な問題ですね。被害をこうむるのは必ず人間、生命である、そういうことを考えますと、公害行政というものは常に被害者の立場に立って物を考えなければいけない、被害者ができたために公害行政が存在するわけなんですから、その被害者人たちの立場を考えて行政実施、実現されていかなければならないと考えるわけでございます。  なぜそのようなことを申し上げるかといいますと、前回改正の場合は、被害者のことを考えてやってきたじゃないかとおっしゃるだろうと思いますけれども、最終段階でやはり被害者のためだけではなかったんだということもわかるわけですね。企業のためだったということもわかるわけです。これは大変に残念だったと思います。ですから、今後は絶対そういうことのないように、今度は被害者ができるということは目標に置いておりません、被害者をつくらないための予防対策重点を入れるわけですが、そういうことが二度と繰り返されることのないように、公害行政については重点の置きどころをしっかり考えてやっていただきたいということを御要請したいと思いますが、いかがでございますか。
  45. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先生の御質問を先ほど来ずっと承っておりまして、私がさきに申し上げましたように、この問題は昨年非常にいろいろな議論が行われてきただけに附帯条件に本当にきめ細かく指摘され、また示唆に富むことがございます。したがって、今先生がそれをもとにいろいろ御質問なさいました。先生お話は、行政の立場をちゃんとわかり切って御質問なさっているだけに、私はだんだんに承りながら、私自体が役所に向かってこうしろ、ああしろと言わなければならぬ問題が幾多あると感じておったのでございます。  また、最後に御指摘があったように、人間の健康を守る環境にしなければならぬのだ、それが人間だけじゃなしに、すべての生物の生存の基盤であるのだという認識に立って今後行政を進めていく決意を私は新たにしたところでございます。
  46. 金子みつ

    金子(み)委員 終わります。ありがとうございました。
  47. 吹田愰

  48. 新村勝雄

    新村委員 最初に大臣にお伺いいたします。  戦後の復興期、それに続く高度成長の時期にたまたま大規模な公害という問題が起こりまして、近代工業社会に対する深刻な疑問が国民によって投げかけられたわけであります。既に先輩議員から質問がありましたように十万人に近い健康被害者が出ておる。こういう事態に対して行政も努力をされ一定の成果はあったと思いますけれども、新しい事態に対応するという名のもと指定地域解除されて、それにかわる施策は進められるわけでありますが、公害行政が現実の事態とは必ずしも一致をしない形で新しい段階に入るわけであります。  こういう事態に対して大臣は、過去の工業化の中で起こったこういう不測の事態、それに対する反省、それからそういった経過を踏まえて新しい行政をこれから展開されるわけでありますけれども、それに対する決意、今までの反省と決意についてまず伺いたいと思います。
  49. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私も環境庁長官に就任してからの任期は浅うございますけれども、いろいろなことを聞きながら、調べながら一番環境が変わったのは何かということを考えてみますと、現在の環境を悪くしたのは結局石油を大量に使ったためじゃなかったか、石油公害に尽きる、高度成長以後に起きた環境を悪くしたほとんどがそういうことに尽きないかなという感じを実は抱いております。  特に、十年ほど前、福田内閣の成立ごろに第二次オイルショックがございまして、そのときに石油有限説というものが相当流れたことがございます。あと三十年すれば石油はなくなるんだということが、十年ほど前いろいろ議論がありました。だから、石油は余り使えないんだ、ぜいたくに使ってはいけないんだという空気が国民すべてに、あるいは企業も含めてすべてにあったものですから、石油を使わないようにしようということを非常に深刻に受けとめました。だから、いろいろなところで石油のむだ遣いに対する反省がいろいろ考えられた。そしてあの時期、石油の使用量がぐっと減ってまいりました。これが結局新しい時代を迎えたんじゃないか。  ところが、それと逆に非常に都市化の傾向が顕著になってまいりました。いろいろなことを研究されながら、例えば、今私たちが一番誇りに思いながらまた一番迷惑しておるのはガソリンを使っておる乗用車でございますが、十二年ほど前の排気ガスを見ますと、もとよりマスキー法等の影響もあったのでしょうけれども、現在、一割ぐらいに排気ガスが抑制をされておる。ところが、実際はNOxの現状は横ばいである。一年に二百万台も自動車がふえ、大都市に入ってくるわけだからまるでイタチごっこじゃないかというような状態をこうして眺めてまいりますと、ここへ来て十年前と逆の環境になってきた。言いかえると、円高である、石油を安く買うことができる、簡単に大量の石油を使えるという社会環境に現在なっております。こういう中で、私どもはよほど決意を新たにしないと、またぞろ大気を汚す、あるいは私たちのあのきれいな水を汚す、こういうことになっていくんじゃないか。  だから私は、今こそ一番大事なときじゃないか、抑制にいろいろな努力をしてきたけれども、大きな流れの中では、円高で石油は自在に入るという環境こそ、これからもっと大きな被害というものが予想できるんじゃないか、だから、環境に対して細心の注意を払っていかなければならないときが今だというような認識で対処していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  50. 新村勝雄

    新村委員 近代工業社会に対する反省と警戒、これは大臣、十分お考えだと思いますけれども、例えば、石油を使い過ぎるから、あるいはまた石油の非常事態に対して、一つの安全対策として原子力を使おうという発想があったと思います。ところが、その原子力そのものがまた大変な代物でありまして、決してこれは安心して使える代物ではないというようなことで、基本的に近代文明あるいは工業化社会というものは、自然環境維持、したがってそれは人間の幸せを基本的に規定するものだと思いますけれども、これと根本的に矛盾をする性格を持っておるわけですね。ですから、その状況を常に踏まえていただいて、行政当局はこの矛盾をいかに最小限にとどめるかということに御尽力をいただきたいわけですね。  それと、後でもまたお伺いしますけれども、例えば公共事業実施につきましても、あるいはまたごみ処理の問題につきましても、やはり同じような宿命を持っておるわけでありまして、人間の生活が高度になればなるほど、環境汚染する要因がますますふえていくということでありますから、行政のこれから一層の御努力と、その問題についての根本的な認識がないといけないのではないかと思います。  それともう一つ大臣にお伺いした後段の点がありますけれども、新しい状況、新しい公害行政をこれから進められるわけですね。今までの、地域指定して、そして患者認定して、その患者を治療していくという体制から、今度はそれをやめたわけですから、それをやめて新しい構想のもと公害行政を進めるという、そういう新しい段階に対する御決意はいかがでしょうか。
  51. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先生の御認識と私も全く同じ認識に立っておるわけでございますが、これは継続的に常に努力することが必要だと思います。  これは先ほど来役所の側も言っておるのですけれども、その言い方が何かアクセントがないものだから、皆さん方は十分聞いていただいていないように思うのですけれども、例えば、今石油というものに一つ限定して考えますと、一番最初起きた被害というのは重油から出た。電力会社が電気をつくるのに重油をやった、それで硫黄酸化物被害が出てきたというような大きな流れがあったと思うのです。その次に出てくるのは、ガソリンとかあるいは軽油とかいう、いわゆる乗用車とかディーゼル車によって、今NOxと言われている大気汚染が出ておる。大まかな流れを私なりに把握した場合、そう思うのです。  ところが、ガソリンの排気抑制というものは今世界一の水準にあるんじゃないか。そういうことから言うと、軽油を使っておるいわゆるディーゼル車というような面がまだ、このガソリンを使う自動車の抑制のことを思うと、統計を眺めておりますと、ちょうど十二、三年前と比べて、一方は一割ぐらいに抑制されているのに対して、ディーゼル車は四三%とか五〇%とかそのぐらいの抑制比率にある。これは値段の問題もあるし、また法的な背景も、税制面のいろいろなものが複雑に絡み合っているようでございますけれども、これはまだ抑制できるんじゃないか。だから、今五割前後の抑制率をもうちょっと下げるということに重点を置いたならば、大気汚染環境基準を、今上がったり下がったり、風が吹いたから今度はよかったとか、風が吹かなかったから余りうまくいかなかったとかいうような、つまらぬ弁明をしなければならぬことがなくなって、それに対して環境基準を下げることができるんじゃないか。そういう一つ一つを今私たちはやっていく時期じゃないか。こういうことで、来年度からディーゼル車の抑制を非常に重点に置いて、三年間で抑制しよう、最低限一五%あるいは二五%ぐらい下げることができると、私どもが今一番心配しているこの大気汚染、特に、車の集中する大都市圏において環境が非常によくなるんじゃないか。そういうことも我々は精いっぱいやっていかなければならない。  そのほか、先ほど金子先生にいろいろ役所の方から説明しておりましたような、交通体系とか新しい都市をつくる場合にグリーンベルトを十分とるとかいうような、環境庁だけで先ほど申し上げましたことはできるけれども環境庁だけでできない、政府挙げてしなければならない問題点について、環境庁長官が積極的に発言をもっと前へ出てやるべきじゃないか、こういうことで、実は今度の予算でも、私は閣議で特に発言しておるのです。下水道を重点にあげい、公園をとれ、あるいは新しい道路計画、五カ年計画のときも、特に道路のつくる方については環境を十分配慮してほしいという正式な発言を閣議でしておるので、今後もそういう態度はより積極的に努めてまいりまして、いわゆる政府全体の事業を全体の環境を重視した手法でやれるように努力していきたいと考えておるところであります。
  52. 新村勝雄

    新村委員 環境の悪化については一時よりは改善されたと思います。その御努力は評価するわけですけれども、まだ全体として空気の汚染、NOxの被害等については横ばいあるいは漸増しておりますね、ある部分については。特に、幹線道路の特定の場所等については悪化をしているという事実がありますので、決してこれは安心のできない状態だと思います。一層の御努力をいただきたいと思います。  そこで、昨年の法律改正に伴う附帯決議については既に先輩議員から質問がありましたけれども、重複しないようにそれらの確保についてお伺いしたいわけです。  一つは、今後の公害行政の方向として、地域住民の健康を保護するため特に自治体の協力を得て進めるということを言われています。確かに自治体の協力がなければ本当の公害行政はできないと思います。そういう点から自治体の任務はますます重くなるわけですが、それについて注意しなければいけないのは、何といっても自治体に対する超過負担を絶対に生じさせないということが必要だと思います。  自治体というのは住民に直結をいたしておりまして、実際の被害を受けた住民からいろいろ日常訴えられる、これに対してその事態に即応した対応をしなければならない立場にございます。したがって、福祉の問題にしても公害問題にしても、まず自治体がそういう問題を引き受けて、それに対する対応を第一線でいろいろ考えてきたわけですね。そういう点で、今まではどちらかというと公害問題とかあるいは福祉の問題等については、まず自治体がいろいろと試行錯誤をしながら具体的な政策を考え、これを実施してきた。それを国がいろいろ判断をされて国の政策に取り入れてきたという経過があるわけであります。  ところが、今回は、国が今までやってきた一連の体系を廃止して新しい体系になっていくということでありますけれども、実際の地域における事態は必ずしも今までの状態が完全に解消したわけではないと思います。新しい患者認定しないとはいっても、新しい患者が今までよりは少数ではあっても出るかもしれない。しれないけれども、それを国は救済することはできないという一線を引いたわけであります。そうすると、その一線からこぼれるというと語弊がありますけれども、適用を受けられない住民が出た場合には何といっても第一線の行政を担当する自治体が処理せざるを得ない、こういうことになるのですね。  そういう第一線の要求に対応するために既にある一定の数の自治体は、新患者が出た場合には自治体の責任において救済をしよう、医療費の助成をしよう、こういうことを考えておるようであります。そうなりますと、まず自治体は第一線の問題については先進的に施策を考えていかなければいけないという任務があるわけです。まず自治体が先進的に政策を推進していく、それを国が後追いするというと失礼ですけれども、後追いするという事態があるわけですね。そうして一方では、国が今までやってきたことを事態が変わった、あるいは状況が改善されたという名のもとに今までの施策をやめて新しい施策に移ると、その時点行政の救済を受けられなかった人たちが出た場合には、これは自治体がしりぬぐいというと適当ではないかもしれませんけれども自治体が後の始末をしなければいけない、こういうことが必ず出てくるわけであります。これは自治体行政の特性からして必ずそういう事態が起こる。  ということになりますと、今も申し上げたように指定地域を廃止して新患者をもう認定しないということになると、実際に少数であっても出た場合には自治体がこれの面倒を見なければいけない、こういうことになるわけでありまして、必然的に自治体の超過負担というか、国が政策を変更したことによって自治体が肩がわりをしなければならないという部分が出てくるわけでして、そういう点について十分配慮をしていただきたい。あるいは、できればそういう自治体に対する財政的な救済というか援助というか、そういったことは考えられないのかどうか。
  53. 目黒克己

    目黒政府委員 御指摘地方自治体の問題でございますが、まず第一点は、健康被害予防事業につきましては、予防的な対応ということで新たに起こるかもしれないいろいろな患者さんについてあるいは住民全体について、これまでの個別な補償ということでは合理的でないという法律改正趣旨から、地域全体の予防という形へ変えていくというこの前の法改正のときの私どもの考え方があったわけでございます。  それで、御指摘予防事業も含めまして地方自治体の負担あるいはどうかということでございますが、健康被害予防事業自体につきましては、私どもメニュー範囲内で地方自治体の御要望に沿って行うものでございまして、これは特に地方自治体の負担がないようにという考え方で、私ども先ほどお答え申し上げたとおりに組んでいるわけでございます。しかしながら、御指摘の点は今度の制度改正に関連をいたしまして、新たな制度あるいは従来の制度をやめたりあるいは限定的にしたりと地方公共団体の中でいろいろな制度をつくっているものについて、そういうものについて私どもの方で、国の方で助成をするかどうか、このような形ということで考えますれば、今回の制度改正趣旨に基づきまして、大気汚染原因患者が出た、こういうようないわゆる補償というような考え方でもし地方公共団体がいろいろなことをおやりになるということについては望ましくない、こういうふうに私ども考えているのでございます。  ただし、これは大前提がございまして、もう先生承知のとおり、地方自治の本旨に基づきましてそれぞれ地方自治体の御判断でそれはなさるべきもの、このように考えているのでございます。したがいまして、新たな幾つかの地方自治体におきまして、主として患者医療費の自己負担分を救済するというようなことについてある程度の制度をおつくりになったところがあるということについては私ども聞いておるわけでございますが、これらにつきましてはいずれも先ほど申し上げましたけれども地方自治体がそれぞれの独自の御判断に基づきまして、大気汚染の補償という考え方ではなくて、むしろ福祉的なお考えでなされているというように私ども受けとめているところでございまして、そのような形のものにつきまして、特に私ども助成をするというようなことは考えてないのでございます。  ただ、先生誤解ないように申し添えますと、あくまでも予防事業範囲内のものにつきましては、私ども地方公共団体の御要望に沿うべく仕組みをつくっているところでございます。したがいまして、地方自治体の超過負担というものはないような形のものを組んでいるというように先ほど御説明申し上げたところでございます。
  54. 新村勝雄

    新村委員 この政策の変更はあるいは一つの試行錯誤であるかもしれませんね。将来の展開がどうなるかということは絶対に正確な予測はできないわけですから。  そういう状況の中で地方自治体が住民の要望なりあるいはその地域の実態なりに即して、それに対応する政策をとるということは、とらざるを得ないわけであります。したがって、それに対しては十分の理解を示していただきたいということと、それから今後の運営の中でそういう実態については十分調査をされて、新しい政策の中にそれを完全に包摂することができればそれでいいのですけれども、そうじゃなくてその地域の特殊の事情として自治体が施策を進めなければいけないという事態があるかもしれません。そういう場合には十分の理解を示していただくし、またこの政策の変更等も行っていかなければいけないと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  55. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先生もう十分知りながらおっしゃっておるので非常に答えにくいのですが、結局補償制度というものは被害者あれば加害者あるということの延長線にあるわけですが、これが科学的知見、いわゆる医学的知見によって、それはそういうことをはっきり言えないということで今度の法改正になったわけでございますので、その延長線でやられることはやはり好ましくないという立場をとらざるを得ませんので、そういうことに対して何とか面倒を見るというのは非常に困難なことになるように思いますし、またそれはできないと言い切っていいんじゃないかと思います。  ただ、現状が、先ほど来、先生もう十分御承知でおっしゃってこういう話が出ておるわけですから、そういう環境――灰色なんだから決定的なこと言えないわけですから、いろいろな問題、各自治体に出てくると思います。そういう問題についてはどういうふうに扱ったらいいかということは今後とも慎重に考えていかなきゃならぬというふうに考えます。
  56. 新村勝雄

    新村委員 ですから、これ知っていて質問しているんじゃなくて、わからないから質問するわけですよ。それとこの制度自体が大きな試行錯誤の一環ですよね。ですから、こういう新しい制度に基づいてすべて問題を処理し、解決を図っていくという、これは意図ではありましょうけれども、なかなかそういかない面が必ず出てくるのですよ。ですから、そういう点では十分弾力性を持って運用をこれから図っていただきたいということを特にお願いをしたいと思います。  次に、NOx低減の交通対策、既にこれは先輩のお話が、質問がありましたけれども、重複しないようにお伺いします。  電気自動車、メタノール自動車の普及というようなことが言われておりますけれども、これがどういう現状であり、どういう見通しを持ち得るのか。それからエンジンの性能改善、直噴式を副室式にするというようなこともありますけれども、こういった点についての技術的な点あるいは現状、将来の展望について伺います。
  57. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  電気自動車等につきましては、現在私どもの方で低公害車の普及の検討会というのを設けまして、現在の先生お尋ねの技術のレベルあるいは今後の発展の可能性、またそのための普及の方策というような問題について、現在検討会におきまして検討していただいております。できるだけ早くそのおまとめをいただきたいというぐあいに思っておるところでございます。  私が承知しております範囲内でお答えさせていただきたいと思っておりますけれども、現在の電気自動車につきましては、一番の問題はやはり走行距離の問題である。一回の充電によりまして走行距離が、夏の期間ですと百キロぐらい、冬場になりますと四十とか五十というぐあいに、非常に短い距離になるということで、一回当たりの充電の走行距離が非常に不十分であるといいますか、短い。それから、あとコストの問題等もあるわけでございます。  そういう面で、一番の技術開発を要するものはいわゆる電池の開発であるというぐあいのところで、電池メーカーさんあるいは関係のところでいろいろな研究等を進めておるというぐあいに聞いておるところでございます。  それからメタノールにつきましては、いわゆるメタノール自動車から出されます排ガスの問題があるというぐあいに聞いております。例えばメタノールが、冬期間でございますとそれが動き始めのときにおきましては未燃のメタノールを排出される、あるいは悪い排ガス等も出るというようなところがなかなか解決がつかない。そのために触媒等もあるわけでございますが、そういう面での触媒の持続力がどのくらいの期間もつのかというような問題等もございまして、メタノールもすぐに実用化というのが非常に難しいということで、電気自動車あるいはメタノール自動車それぞれ高NOx対策あるいは騒音対策にかなり有効なものではございますけれども、なかなか技術的なところで問題があるということのように聞いておるところでございます。  しかしながら、そういう問題はありますけれども、それぞれの車の現在持っておる特性に応じまして、例えば電気自動車でございますれば一定の距離、一定の範囲内を走るような、例えばごみの収集というような分野で使えるのではなかろうかというようなことでの検討、あるいはそういう面での自治体におきます実際の試行というものが行われておるわけでございます。  そういう面で、それぞれの持つ車の未発達な分野もあるわけでございますけれども、現在のレベル、能力に応じまして、その適性に合った形での活用、使用といいますものについては、私どもも関係の業界あるいは関係の自治体とも話をしながら進めてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  58. 新村勝雄

    新村委員 次に、四番の主要幹線道路沿道の局地的汚染、これに関連をするわけでありますけれども、これは本当に局地的な問題になりますけれども、公共事業実施について実は大変な疑問を持っておるわけであります。  というのは、今建設省では東京外環道路の完成を急いでおられるようであります。その一環として、実はこれは地域的な問題になりますけれども、千葉県市川市の市街地の真ん中を貫通して高速道路をつくるという計画があるわけですね。この問題は既に十数年も前から宿題になっておりまして、千葉県知事以下市長、市議会、住民一体となって、これは大変な無謀な工事であって、ぜひ再考願いたい、こういうお願いをしておったわけでありますけれども、国の方では依然としてその計画を変えようとしないわけであります。もしこれができた場合は新しい、特に大気汚染公害大都市の真ん中に導入するという結果にもなります。建設省では一応環境基準は守るとは言っておりますけれども環境基準を守るという問題ではなくて、新しい公害を導入するという点からいって、これは大変な問題であろうと思うのです。今、市川市は四十四、五万の人口でありますけれども、なぜその真ん中を貫通するようなそういう無暴な、しかも地域環境を根本から覆すような計画をされるのかということです。これは非常に疑問があるわけでありますけれども、建設省おいでになっておりますか、まずその点を伺いたいと思います。
  59. 堀泰晴

    ○堀説明員 お答えいたします。  先生指摘の東京外郭環状線でございますけれども、東京外郭環状線は東京の十五キロ圏を取り巻く環状線でございまして、この地域にとって欠くことのできない幹線道路でございます。都心に入ってくる交通を適切に分散し、また、都心に起終点を持たない交通を迂回させるというような機能を持つほか、地域の交通の利便性の向上であるとか下水道等の都市施設を収容するというような機能を有する道路でございまして、首都圏の体系的な道路の確立にとって必要不可欠な道路であるというふうに考えております。  先生指摘のように、この市川市地域におけるルート問題については千葉県知事からいろいろと再検討等の指摘もありまして、その後いろいろ検討の結果、先般関東地方建設局長から、ただいま私どもの考えておるルート構造についてお示しをし、現在検討をいただいておるわけでございます。環境問題についても十分構造の配慮をいたしまして万全を期してまいっていきたいと思っておりますので、今後とも地元の理解を得て事業の推進に当たっていきたいと考えております。
  60. 新村勝雄

    新村委員 環境影響評価、特に排ガスの予測、それから環境に与える影響、これについては全く住民の納得を得られるものではないわけですよ。そういう点について、環境に対する、特にNOxの問題等についてもう少し詳しく伺いたいと思います。
  61. 堀泰晴

    ○堀説明員 ただいま御質問ありました環境対策についてでございますけれども環境影響評価については今後実施することといたしたいと思っております。ただ、私ども考えております道路構造につきましては掘り割り構造といたしまして、専用車線は掘り割りの中に収容する、それから、広い幅の植樹帯を設置いたしまして十分な環境保全空間を確保するというようなことを考えておりますので、環境基準は十分守られ得るものと私ども考えておりますが、さらに環境影響評価の結果を踏まえまして、必要に応じ適切な保全対策を講じてまいりたい、こう考えておりますので、よろしく御理解をいただきたいと思っております。
  62. 新村勝雄

    新村委員 今のお話によりますと、今後影響評価を実施したい、環境基準は守られるであろうということでありまして、全く心もとないわけですよ。  それで、こういう公共事業を行う場合、それは国民全部の、あるいは広域的な観点から行われる場合には全体の利益のために一部が犠牲になることはやむを得ないという論理が建設省にはあると思いますね、あるいは政府にもあると思います。しかし、そういうことだけでは済まない問題だと思います。  そこで、この公共事業環境維持の問題、あるいは全体の利益のために一部を犠牲にしていいのかどうかという個と全体との問題、これはいわゆる行政哲学の問題にもなろうと思いますけれども、そういった点について大臣はどうお考えですか。
  63. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 政府が決めておる環境アセスメントに対する手順がいろいろございます。例えば、建設省の一国の課長が今言っておるように、建設省自体がそれをやらなければならないというような内容もあれば、先生今御指摘のように、その付近全体ということになれば千葉県自体がそれを条例によってしなければならぬものがある。また、環境庁自体がそれをするような手順もいろいろございます。だから、それはケース・バイ・ケースによってその手順が決まっておりますから、それが、どこがやって不安定だ、環境庁がやる場合だったら安全だけれども建設省がやる場合は非常に不安だとかいうようなことは全くないのであって、やはり一番大事なことは、環境を保全するという立場で考えるわけでございますから、その手順に従うてやっていただくということで環境は守られていくというふうに考えております。
  64. 新村勝雄

    新村委員 いや、その手順がはっきりしないし、逆の場合もあるし、例えばこの工事にしても確かに国家的な事業としては必要でしょうけれども、例えば、市川の地点においてどの程度環境影響があるかというようなことが全くわからない段階で、わからないような状態で設計をし、住民に提示をし、どうだというのはおかしいのではないか。これは少なくとも、環境評価についてはできる限り万全を尽くして評価をして、こういう状況だからどうかということであればまだ話になりますけれども、今後実施をしたい、環境は守られるであろう、あろうですね、これでは住民はとても評価というか、この問題に対して対処のしようがないと思うのですね。そういう点での、環境庁がおやりになる、あるいは建設省がおやりになる、どっちがやっても同じだということではなくて、公共事業の推進をする場合、一定のプロジェクトを推進する場合の環境影響評価を行う手順、あるいは仕事を進める上の手順、これがちょっと逆のような気がするわけです。それはいかがでしょうか。
  65. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先ほど来先生指摘の市川の問題でございますが、先ほど建設省の方からもお話しございましたようなことで、現在建設省で種々御検討されているところでありまして、私どもの方で現在その手順の問題等について詳しくは承知しておりませんけれども、ただ、環境庁といたしましては、これから建設省の方とも十分連絡をとりまして、環境影響の評価等によりまして公害の防止であるとか自然環境の保全というものは確保されるように環境庁としても努力してまいりたい、こう思っております。
  66. 新村勝雄

    新村委員 そうすると、まず設計ができた場合に環境影響評価を提出してもらって、環境庁はそれが十分でない場合にはストップをかける、こういうシステムにはなっていないのですか。
  67. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 この作業の過程でまた建設省の方とも十分連絡をとって、どんなふうに対応していったらいいのか、私どもとしても十分検討してまいりたいと思います。
  68. 新村勝雄

    新村委員 だから、それはストップをかけることができないのか、ストップをかけるのが原則ではないのかと思うのです、本当にその環境を維持するということであれば。そういうルールはできていないのか、あるいはそういうルールをつくる必要を認めないのかですね。
  69. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 申しわけございませんが、この具体的なケースにつきまして私は詳しく承知しておりませんので、また建設省の方と十分連絡をとりまして、繰り返すようでございますけれども、遺憾のないように対応したいと思います。
  70. 新村勝雄

    新村委員 事態を注意深く見守ってまいりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、これはごみの問題になりますけれども、六十二年六月に総務庁は厚生省に対してごみ処理についての基本的な問題の何点かについて勧告をされておるんですね。これはいずれも極めて適切な勧告であって、この勧告を完全に守れば環境の悪化はかなり防止をされるというふうに思いますが、遺憾ながら現状はこの勧告の線からはかなり遠いということです。  そこで、この勧告の内容は幾つかありますが、そのうち主要な点の幾つかについてお伺いをいたしたいと思います。  一つは、最終処理場の問題です。これは焼却をするにしても、あるいはそのまま投棄をするにしても、いずれにしても最終処理場は絶対に必要なわけです。例えば焼却のできないもの、そういったものについても最終処理場は必要だ。あるいは焼却のできるものについても、その灰の処理は必要なわけでありますから、残湾の処理は必要でありますから、いずれにしても最終処理場は必要なわけであります。ところが、この最終処理場の運営について大変遺憾な点がございます。特に東京圏におきましては、今東京では最終処理場、夢の島にも若干行っていますか、東京の大部分の最終処理場が実は千葉県に集中をしておる、こういう事態がございまして、千葉県では大変困っているわけであります。  そこで、この最終処理場の問題について、基本的には埋め立て以外にはないということで埋め立てをされておるわけでありますが、その埋め立ての運用が必ずしもうまくいっていないということです。まず、この最終処理場における埋め立ての状況等について今当局ではどういうふうに認識をされておりますか。
  71. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  廃棄物の最終処理場の問題でございますが、先生指摘のように東京圏で発生します廃棄物のかなりの部分が東京都外に持ち出されておるというような実態がございます。五十九年の状況で調べてみますと二百三十八万トンの廃棄物のうち百九十一万トン、したがいまして、約八〇%が都外で処分されております。また建設廃棄物に関しましては、都内で処分されますのは一八%で、残りはそれ以外に出ております。例えば千葉県に持ち出されるのが三七%を占めておるというような状況を把握いたしております。  この廃棄物の問題といたしましては、建設残土と廃材とが混在されて運搬されるというふうな問題、また許可業者が許可を取らずに営業しておるといったような問題等がございますが、これらは総務庁の勧告にも指摘されておるとおりでございまして、その点の是正策につきまして、現在私どもの方では研究会を設けたり、また生活環境審議会の中に専門委員会を設けておりますが、これらで現在対応策を検討いたしておるところでございます。
  72. 新村勝雄

    新村委員 この処理ですけれども、処理の実態が必ずしも合理的にいっていないようでありまして、総務庁の勧告によりましても許可を得ていない無許可の業者への委託が相当程度ある。無許可業者への委託を繰り返している者等処分基準を遵守していないものが一四%を占めている、また法令に違反をした廃棄物処理をしている事業者が少なくない、こういうふうに指摘をしておりますが、総務庁いらっしゃいますね、総務庁、こういう勧告をされたその調査の実態あるいは状況等について伺いたいと思います。
  73. 加藤武久

    ○加藤説明員 先生指摘の産業廃棄物の処理の状況でございますけれども、私ども調査対象十四都道府県について事業者に対する立入検査等の結果を見ますと、事業者の中には産業廃棄物を不法に投棄しまして近隣住民に被害を与えている者、また無許可業者への委託を繰り返している者等処分基準を遵守していない者が先生指摘のとおり一四%を占めるなど、法令に違反し、産業廃棄物の処理を適正に行っていない事業者がかなり見られたということでございます。
  74. 新村勝雄

    新村委員 こういう事態に対して厚生省の監督の責任が問われると思うのですが、それに対してどう対処されますか。
  75. 藤原正弘

    ○藤原説明員 お答えいたします。  廃棄物処理法の第十二条第四項で、排出事業者は委託基準に従いまして産業廃棄物の処理を委託しなければならないというふうに規定されておるわけでございます。したがいまして、収集運搬業者に処分まで委託するということになりますと、排出事業者は委託基準違反になりますし、収集運搬業者は無許可営業ということで廃棄物処理法により罰せられることになるわけでございます。そういう法律の規定がございますので、今後このような事案に対しましては、排出事業者に対する指導を徹底するとともに、処理業者に対する行政処分を厳しく運用するなど不適正処理の防止に努めていきたいというふうに考えております。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕  なお、この処理業者の資質の向上とか体制の強化の点も重要でございますので、これの方策につきましては、先ほども答弁いたしましたように現在生活環境審議会の産業廃棄物専門委員会で検討をいたしておりまして、近く報告が出る予定になっておりますので、この結果をもらいましたらそれに基づいて所要の対応策を講じてまいりたい、このように考えております。
  76. 新村勝雄

    新村委員 東京のごみ、これはどこかで処理をしなければいけませんし、東京の皆さん方を責める気持ちは全くないわけでありまして、これをどういうふうな合理的なルートをつくり、どういうふうな最終的な処分をするかについての体制がまだ確立していないわけですね。廃掃法という法律がありましてうまくいくことにはなっているのですけれども、実際にはうまくいってないわけです。残土の中に有害物が含まれている。残土ということで許可をとって埋め立てをするのですけれども、その残土に名をかりて有害物をどんどんそこへ産業廃棄物や何かも入れていく、こういうことに対して県としてもこれを一々見張っていることもできませんし、なかなか難しいわけですね。ですから、そういう点についてどういうふうに最終処分までのルートを合理的に進めるかということは非常に難しいと思うのです。  その中で最も重要なのは、何といっても、事業者の責任あるいは工事の施工者の責任、これを明確にすることがまず第一だと思うのです。ところが実際には、処理場へ持ってくる末端の業者に何と言っても、頼まれたのだからわかりません、私は運搬だけを、あるいは投棄だけを頼まれたので前のことはわかりませんと言うだけであって、まことに取り締まりには困惑をしておるということを聞いておるわけです。まず事業の施行者あるいは製造業者の責任、これを明確にするということがごみ処理、廃棄物行政では基本だと思うのですが、この点について現在まだ大変甘いと言わざるを得ないと思います。  ですから、東京なりなんなりで地下鉄工事をやっておる、あるいは残土を排出する工事をやっておるその業者が、最終の処理場で安全に処理がされるまでの過程を、事業者が責任を持って監視し処理するという体制ができないと、いつになっても解決をしないと思います。それからまた製造業者にしても、自分のつくったものについては、それが各消費者の手に渡り目的を達して廃棄される、その廃棄される後まで責任を持つぐらいの体制をこれからつくっていかなければいけないのではないかと思います。廃棄をするときに廃棄が難しい、あるいは害を及ぼすような結果になるものについては、つくらないか、仮にどうしてもつくらなければならないとすれば用済みになったものを業者が責任を持って回収するというぐらいまでこれは考えていかなければいけないのではないかと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  77. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私が答えるのは適当でないかもわかりません。ただ、私が昔自治体の首長をしておったものですからそういうことで言うならば、これは自治体に責任があるわけなんですね。だから、自治体が自分の力でそれをやればこういう問題は起きてこないので、それをしていないからこういう問題が起きてくる。業者に頼むとかいうこと自体おかしい話だと私は思います。ただこの基本、ここで厚生省だってそれについて責任があるわけじゃなしに、自治体に基本的に責任がある問題だとお考えいただいたらいいのではないか。ただ、環境庁長官としての立場は、廃棄されたところでその地域汚染されるような問題が起きた場合に対する対処が私どものお答えしなければならない範囲になる。それだけに、行政上いろいろ入り組んでおりますので、むしろ自治省をここへお呼びになってこの問題の根本をお聞きになる方が、ある意味から言うたら対処しやすいのではないかなというような感じでございます。
  78. 新村勝雄

    新村委員 時間が参りましたのであと一分だけいただきたいと思いますが、実は湖沼の汚染について今大変心配されております。実は千葉県の手賀沼というのがワーストワンです。全国一悪いのです。歴代の長官は、水質汚染の認識を新たにしていただくという面から、いつも手賀沼あるいは印旛沼を御視察いただいておりますが、現大臣はまだお見えにならないようでありますから、ぜひおいでいただいて認識を深めていただきたいと思います。  終わります。
  79. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 春田重昭君。
  80. 春田重昭

    ○春田委員 公健法の法案の中身に入る前に、大臣に若干御質問したいと思います。  堀内長官環境庁長官になられて初めての委員会でございます。堀内長官環境問題に対しましてどんなお考えを持っておられるのか、環境問題に御関心のある方たちは非常に注目しておるわけでございます。私も環境問題についてさらに向上するように期待する一人として、長官、まず現在の環境行政について、環境庁はよくやっている、まあまあよくやっている、いや非常に反省するところがたくさんある、この三点から考えてどうお考えなのか、さらに、長官として、いわゆる将来の環境行政はこうあるべきである、こんなこともしていきたい、そういう抱負と申しますか、それもあれば、限られた時間でございますので簡潔にお答えいただきたいと思います。
  81. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 非常に大きな問題で、簡潔にと言われてもそういう整理もしていないのですが、ただ、いい環境にしておくということは人間にとって非常に大事なことであるばかりでなしに、いわゆる動植物の生存にもかかわる基本的な問題であろうと思います。だから、いい環境を残していくということが私どもの一番大事なことじゃないかという認識をしております。  ところが非常に残念なことに、現状を見ますと、特に大都市圏でございますが、大都市圏では空気が汚れておる、川も汚れておる、あるいは湖も汚れておる、内海も汚れておる、閉鎖的な水域についてはほとんど汚れておるのが現状でございます。こういう問題を一日も早く解決しなければならないということが一番大きな問題ではなかろうか。しかも、これの計画を一つ一つ綿密に検討しますと、気の遠くなるような、なかなか一遍にいかない問題ばかりでございますので、根気よく、行政のスタンスできちっと、小さいことでもやれることはやっていくという態度が常になければならないと考えております。  特にそのほかに、科学技術が非常に進んでまいりますと、私どもが現在予測しないような恐ろしい問題が背後にあるのじゃないかということについて、常に精細な調査を続けなければならない、またその対応に常に注意しなければならないと思います。またさらに、私ども、地球規模においての環境問題というのが、最近フロンガスの問題から大きく皆さん方は関心をお持ちでございますけれども、今まで、酸性雨の問題があり、また熱帯雨林の問題があり、今のフロンというような問題になってくると、もう気の遠くなるようなあるいは恐ろしい問題も控えております。こういう意味において、私どもがそれの原因者であるという自覚を持って地球規模の環境の保全のために全力を挙げていかなければならないと考えているところでございます。
  82. 春田重昭

    ○春田委員 長官の現状認識はそれでいいとしても、環境庁がそれにこたえる環境行政をやっているかどうかということをお聞きしたいのです。どうでしょうか。
  83. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 まず第一に、現在一番の問題は、大都市圏におけるところの空気の汚れであります。それに続いて河川、湖沼、内海の汚れであります。これについて環境庁は一番重点の仕事としてやってきておるところでございますが、ようやく硫黄酸化物汚染を克服することができたけれども、現在NOxの汚染は横ばい状態、昨年なんかはかえって悪くなっておるというような事情を認識しております。したがって、このNOxの汚れで一番我々が注意しなければならないのは、いわゆる軽油による排気抑制、言いかえるとディーゼル車の排気抑制をまずすることが私どもの当面の仕事の一番大事なことじゃないかということで、三カ年計画をもってこれと取り組んでまいります。  次に、いわゆる河川の汚れでございますけれども、これは環境庁だけでやっていくということはとてもできる問題じゃありませんので、政府挙げて下水道の整備事業を推進する、そういうことを後押ししていく。あるいは家庭雑排水が主たる原因になっておりますから、これらのいわゆる合併槽をつくるということの推進を厚生省等と協議してやっていくというようなことで努めてまいります。  また、地球規模の問題でございますけれども、私どもはいわゆる硫黄酸化物によるところの公害を克服したわけでございますから、これらによっていわゆる酸性雨というものが起きてくることでいろいろ先進国からも私どもにどういうふうにやるかということを聞かれておりますので、こういうことの資料を出して、酸性雨がヨーロッパでいろいろ起きておるあるいはカナダで起きる、こういう問題について私どもの資料を出して協力してやっていく。  あるいは熱帯雨林の問題でございますけれども、これもその四七%は私どもが輸入する材木でございます。ただ現状は、ここは世界でも半分の動植物、鳥類等の生息地でございますから、この環境は非常に大事にしなければならぬと言いながら、現在日本の国土の半分ぐらいの十一万ヘクタールぐらいが砂漠化しておるというような状態でございますから、この点を十分認識する。しかしながら、その実際の原因は、その土地の人々の薪炭料に使うために起きる原因が八割というような統計が出ておるわけでございますので、我々はUNEP等を通じて具体的にこれらの対策に協力していこうということでございます。  また、フロンガスによるオゾン層の破壊については、ことし私らの筑波の研究所でレーザーレーダーによって、世界最新鋭の機械で測定して、これを情報交換していわゆるオゾン層の状態を国民に知らしていくという仕事、それらの調査を進めるということ。また、今度皆さん方に御審議いただくいわゆるオゾン層を破壊する有害な物質を規制する法律について一日も早く成立させていただいて、これらに貢献していきたいという考えでございます。
  84. 春田重昭

    ○春田委員 長官のお考えなり抱負なり、それはそれなりに私は正しいと思うのですが、必ずしもそうした環境行政が今日行われているかといったら、対応は非常に甘いし遅いし、各省庁の顔色をうかがいながらやっておるように私は思えてならない。環境白書にも、三十年代、四十年代のかつての公害は終わった、そう載っているように、何かいわゆる公害はなくなったような印象を環境庁そのものが持っているんじゃなかろうかという心配をしているわけです。  ところで、今国会は百五十日間の通常国会でございますが、環境庁が出された案件、法案は一本だけでございます。これはどう思いますか。
  85. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今御指摘状態、私もマスコミ等から同じように言われております。ただ、私は自分が閣僚になって言うわけじゃございませんけれども、閣議でもたびたび環境問題について建設大臣要望したり農林大臣要望したり運輸大臣要望したり、これは積極的にしておるのです。また、本当は各省とも、これは皆さん方のおかげだと思うのですけれども環境庁はどう言うだろうということをもうみんな気にしておるというのがむしろ常態でございます。しかし、それでいいというのじゃなしに、ますます各省庁が我々が言う前に、まず環境というものが人間の生存の基盤だという認識を皆持ってもらって事業を進めてもらうというふうになってもらいたいし、どんなことでもちょっとやる場合には環境庁と相談するという態度を堅持してもらいたいというような気持ちだし、現在そういうふうになりつつあるように私としては思っておるわけでございます。  しかし、皆さん方から御指摘あった面も、非常に大きいから御指摘いただいたと思いますので、今後委員の皆さん方の御支援を受けて、私もその気持ちで頑張っていきたい、こういうふうに考えております。
  86. 春田重昭

    ○春田委員 環境庁長官だけを責めるわけじゃないのですけれども、内閣全体の問題だと思うのですが、環境に対する考え方が非常に内閣全体としては後退してきているように思えてならないわけですね。  オゾンの問題につきましても、今お話がございましたように、いわゆるオゾンを破壊するその一つの物質がフロンガスでございまして、あくまでもオゾンが主体なんですから、これは当然通産と共管になりますけれども、メーンは私は当然このフロンガスのいわゆる生産、消費を規制するのは環境庁がやるべきである、こう思うのですよ。それが逆にとられてしまったというのは、やはりそこら辺の力関係があるんじゃないか。長官は一生懸命閣議で主張されたかもしれないけれども、結果として通産に持っていかれる、こういった点でも私は環境長官がもうちょっと頑張っていただきたいし、内閣全体が環境庁に対する認識を新たにしていただきたい、こう思うわけでございます。  リゾート法というのがございます。これにしてもいわゆるメーンは国土庁で、主務官庁は六省庁ですね。御存じのとおりです。このリゾート法案が昨年成立いたしまして、これからも全国規模でいろんなところでいわゆる開発が行われようとしている。そうすると、そこに当然自然公園がある。そのいわゆる開発と利用という問題で環境庁も大きく関与してくるわけです。ところが、このリゾート法の開発につきましてはいわゆる協議する一つの省庁にすぎない。いわばわき役になっているのですね。こういった点からしても、当然環境庁がメーンの主務官庁になって当たり前のところの取り扱いで環境庁がわき役になっていること自体、私は非常に残念に思えてならないわけですよ。  こういったことで、過去十年間、いろいろ環境庁が法案を出した内容を調べてみますとわずか六本でございます。環境庁設置法の一部改正、これはいわゆる水俣にセンターができるのを改正した法案、それから鳥獣の保護法、そして湖沼水質の保全法、公害防止事業団法の一部改正、そして野生動植物を守る法、公害健康被害補償法の一部改正、あとは公健法の一部単純延長だけでございまして、実質的な中身の法案は過去十年間で六本だけ。今国会では単純延長、まあ基金が入りますけれども長官がおっしゃっているように、地球的規模の環境の問題というのは、地上問題、海底問題、また私たちの身近な家庭問題まで非常に分野が広いのです。やろうと思ったらもう本当にたくさんあると思うのですよ。先端技術のハイテクの問題も、いわゆる廃棄物の問題もあります。そういった本当に今急がれるものも、まだまだこういった形で環境庁が法案として出されてこないというのは非常に残念でならない。そして、出されるところは大気汚染のこういったNOxの問題等で公健法が全面改正される。後退じゃないですか。だから今患者団体並びに環境に非常に関心がある方たちは堀内長官の一挙手一投足に物すごく注目しているわけですよ。後退しているのをぐっと押し戻して、そして本当に日本の環境、緑を守っていく、そういった環境庁になっていただきたいという声が非常に高まっているわけです。経済優先より環境を守るべきである、こういう声に、そういった時期に長官が御就任なされたということで、非常にその使命は大事だと私は思うのです。そういったことで、閣議でいろんな提案はするけれども結果が出なければ何もならないわけですから、それが通るようにひとつ強い決意で頑張っていただきたい、こう私は思うわけです。これは本来ならば全部、長官だけの責任ではないから局長さん一人一人の御意見を聞きたいのだけれども、時間がございませんから長官からまとめて環境庁全体としての決意といいますか、今後環境庁が歩むべき使命といいますか、これをお答えいただきたいと思うのです。
  87. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私も本当は先生おっしゃっているように思うのです。ただ、行政というものの立場に立てば、庁というのは総理府の中にあるわけなんで、総監督の立場にあるわけです。だから、ほかの省でやれることは皆省でする、例えば今のフロンガスの規制等、これは皆さん方から大変御心配いただいた。私もこれについては非常に考えました。しかし、実際それを規制するというのはもともと通産省があるわけなんだから、通産省でさせたらいいじゃないか。だから庁はその上に立って、例えば将来冷蔵庫の破砕問題なんか出てきた場合、厚生省がやらなければならぬでしょう。あるいは条約やる場合は外務省でやるのだから、上に立って考えなければ庁としての役割は果たせないんだなということに、私は言いわけじゃなしに思いをいたしておるわけです。例えば今の予算面からいっても、提案している予算は減っているじゃないか、こう言われたらそれまでだ。しかしながら、私どもが関係する各省庁の予算は一兆二千数百億、非常にふえておるんです。二〇%ふえておるんですね、今度の場合。また事実、最終の二十五日だったか七日だったかちょっと忘れましたが、大臣折衝で大蔵大臣と折衝をやったときに、私は自分の言う、きょう提案しております一億八千百万円ですかの基金の問題が新規予算だったから、それだけだったんですけれども、非常に時間が切迫しておる中でそのほかに特に発言を求めまして、そうしてこれだけ川が汚れたんではどうにもならぬじゃないか、早くやるためにはもう下水道にうんと予算をつけてほしい、そういうことによってこの河川の汚れを解決したいということを言ったり、あるいは大都市圏が狭い道路、二童、三重の構造ではこれはNOxがいつまでたっても環境基準から下回ることができないじゃないか、だから思い切ってやるときにはグリーンベルトをとれ、またできるだけ都市には公園が有利にやれるようにやってほしいというような異例の発言をした。しかし、それも私は非常に感激したのは、大蔵大臣の予算説明のときに私が主張したことをそのまま入れてあるんですよ。だから、そういう意味から言うと、環境庁がやはり大きな意味で、総監督の意味で役割を果たしていっているし、今後もまたそういうことで政府全体の行政を進めるべきだというふうに考えるわけでございます。
  88. 春田重昭

    ○春田委員 しかし、現実はリゾート法にしてもフロンガスの規制にしても環境庁がわき役になっているわけですから、そういった点で、環境庁は単なる関係省庁の調整役でなくして、事環境のことに関してはメーンとして頑張っていただきたい、あえてそういうふうに言わせていただきたい、こう思います。  それでは公健法の中身を質問させていただきます。  昨年全面改正で四十一指定地域の新規患者はすべて三月一日から救済されなくなってきたわけです。この法案が成立したのは国会では九月十八日だと思いますが、法案成立後、三月一日までの申請期間に新規患者がどれだけ出されたのか、環境庁としては把握されてますか。
  89. 目黒克己

    目黒政府委員 指定地域解除直前の認定申請者数の推移でございますが、現在私どもが確認をしております申請者の数は昭和六十二年の十一月末までのものでございます。これによりますれば、大まかに申しますと申請者数は六十二年の四月から十一月までは例年並みの推移できているのでございます。しかしながら、その後の申請者の数は増加をしておるというふうに聞いておりまして、現在、申請を締め切りました六十三年二月末までの速報値を集計中でございます。  なお、実数を申し上げますと、六十二年四月が七百六十二、五月が七百二、六月が八百五十二、七月が七百七十九、八月が六百四十八、九月が千百七十一、十月が千三百六十四、十一月が千三百十四、以上の数字で申請者数の推移が来ているところでございます。
  90. 春田重昭

    ○春田委員 ある雑誌の報告によりますと、ことしの二月だけで約八千名のいわゆる新規患者の申請がなされた。これは昨年二月の七百六十人と比較した場合十倍以上になっているのですね。この数字が正しいかどうか、その雑誌の報告ではそうなっておりますので、もしそれが正しいとしたら、環境庁はこれをどうお受け取りになりますか。
  91. 目黒克己

    目黒政府委員 私どもこのおおよその数字、まだ正確にはつかんでおりませんけれども先生指摘のような年総数にいたしまして十倍というようには聞いてはおらないのでございまして、月当たりということではなくて、六十二年度全体という形で申し上げますとそれほど多くないんじゃないか、十倍ということはないというふうに私どもは受けとめております。いずれにいたしましても、大量の、駆け込みと称して各地方公共団体が注目している数字でございますけれども、これから後補償給付のための申請が行われなくなるという状況のもとである程度申請の増加があるということは、当然私ども予想しておった範囲内のことでございます。また、期限につきましては、国会附帯決議等ございましたので、私ども周知徹底を図るべく努力をいたした結果でもございます。  なお、私どもこれについてどう考えるかということにつきましては、ぜんそく等患者大気汚染以外の原因であっても発病するということで、こうした申請者がいるからといって現在の大気汚染ぜんそく等の主たる原因とは考えられないし、また答申の趣旨からいっても、今回の地域指定解除ということについては合理的で妥当であるというように私ども今の改正制度に従って続けていく、むしろ予防事業に徹してまいりたい、このように考えているところでございます。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 春田重昭

    ○春田委員 当然予防事業も必要でございますけれども、現実これだけの患者の方が申請されているということは見落としてはならないと私は思うのです。附帯決議にも書いているとおり、これら患者の方たちが更新する場合も十分その辺は救済するようにしていただきたい、こう思っておるわけでございます。  こういった状況といいますか、実態にかんがみて、地方自治体では独自の条例等をつくりまして患者救済をお図りになっておられますけれども環境庁としてはこれを把握されていますか、また、どう認識されておりますか。いわゆる独自条例につきまして環境庁としては推進していくのか、それとも歯どめをかけていくのか、それとも静観していくのか、どんなお気持ちでございますか。
  93. 目黒克己

    目黒政府委員 私ども現在把握しておりますのは、地方公共団体等が新たに独自の制度を新設あるいは従来やっていたものをやめるといったような、両方あるわけでございますが、両方ひっくるめまして新設が五つ程度ではないだろうか、それから、廃止が三つといったようなことで考えております。それで、これらの地方公共団体、それ以外にも以前から持っておりました独自の制度については継続いたしておるところもある、こういうように把握をいたしております。  それで、これに対してどういうふうに私どもが考えておるかという御質問でございますが、今回の制度改正趣旨にのっとりまして、私ども、この地方の独自の制度というものを制定するあるいは改正するということについてはあくまでも地方公共団体の判断の問題だ、まずこのように考えておるのでございまして、環境庁が具体的に何らかのこれらの制度についてどうこうということについては考えてないのでございます。  いずれにいたしましても、もしこれらの新たに設ける制度が、地方独自の制度というものが現在の大気汚染原因として個人に対して補償するということであれば、これはもう合理的でないという、先ほど来申し上げました改正趣旨にのっとって望ましくない、私どもこのように考えているのでございます。  先ほど申し上げましたあの幾つかの新しく新設されたところ、これは主として医療費の自己負担分を補助するといった形のものがあるというふうに聞いておりますけれども、これにつきましては、あくまでも福祉的なものというふうに私どもは理解しているのでございます。いずれにいたしましても、昨年度の御議論いただきました法改正趣旨にのっとって私ども考えてまいりたい、このように思っているところでございます。
  94. 春田重昭

    ○春田委員 各地方自治体がやっているのは静観している、こういう立場であろうと思うのです。その独自の救済保護というのは行政区によって若干相違しますけれども、今おっしゃったように、医療費のいわゆる自己負担分を公費で助成するのが大方のいわゆる助成保護であろうと思うのです。公健法によって支給されていたのは医療費の補助や弔慰金等があったわけでございますが、これは支給されないわけでございますから、こういった地方自治体が独自で救済する方たちと公健法によって救済されている患者との間には当然格差が生ずるわけでございます。  そこで、今回の公害健康被害補償予防協会が行う中で地方公共団体等の助成でございますね、二十五億のうち約半分が地方公共団体の助成措置でございますから。そういったいわゆる助成措置の中で地方自治体が今やむにやまれずそういった独自の救済制度をとっているわけですから、何らかの形でこういった地方自治体に助成といいますか、目黒さんはあくまでも福祉だとおっしゃったからそういった助成は非常に難しいという御答弁があるかもしれません。地方自治体はあくまでも患者の救済である、協会は予防である、そういった点で相違がございますからだめですと言うかもしれない。しかし何回も言うように、やむにやまれずといいますか、やらざるを得ない、そういった形で地方自治体は救済制度を持っているわけですから、地方自治体の助成の中に二十五億の半分があるわけですから、何らかの形で助成なりタイアップした事業ができないものか、地方自治体にそういった配慮ができないものか、どうでしょう
  95. 目黒克己

    目黒政府委員 先ほど御説明がちょっと足りなかったわけでございますが、現在主として医療費の自己負担分の補助という形のものについての御質問かと思います。  例えば東京都が今やっておりますものあるいは大阪市等が行っておりますものを挙げてみますと、これはぜんそくの子供さん方に対してその医療費の差額をしているのでございます。これは指定地域を東京都の場合には二十三区のみならず八丈島から小笠原あるいは多摩に至るまで全地域にわたって補助をしておられるわけでございます。私どもこれにつきましては、むしろ児童対策の中のかなり福祉的なものというように受けとめておるわけでございます。  また、大阪市等のものについても、その他のものもいずれも大体そういうような形で母子衛生的な観点あるいは福祉的な観点からのものというようにとらえておりますし、また私どもそれらに対して、地方自治体の御判断でございますので、御判断は御判断として私ども伺っておるわけでございますけれども、受けとめるわけでございますけれども、助成についてはやはり予防事業範囲内で、ぜひ予防事業の方に重点を置いていっていただきたい、このように考えているところでございます。
  96. 春田重昭

    ○春田委員 しかし、何回も言うように、そういった地方自治体はどうしても現在のNOxが、特に沿道住民のこういったNO太と健康調査というのはまだはっきりわかっていないわけですから、そういった中ではやらざるを得ないのですよ。そんな簡単に、それは福祉でやりなさい、今回の公健法の改正はあくまでもそういった事業に使われません、そんな冷たく言わないで、今回の協会ができた、基金ができたというのは患者のためのそういった協会であり基金なんでしょう。そういった面で、やはり患者のために使う基金であっていただきたいし協会の事業であっていただきたいと思うのです。長官、どう思いますか。
  97. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先生の大阪におられておっしゃる気持ちは痛いほど私も思いますし、私が先生とかわっておっても、本当に困った問題だなという気持ち、言わざるを得ぬお気持ちもよくわかります。ただ、我々行政的な立場におるわけでございますので、補償問題というものは、被害者が出る、加害者が出る、これで補償問題が成立するわけでございますが、加害者の方がいわゆるクロと言い切れなかった、言い切れないというのが今度の法改正につながったと思います。そういう意味で、一たび法律ができ上がりますと、この法律の精神に合うことなら別として、法律の精神の流れにないことは私は到底できないことだと思います。  ただ、地方自治体がその状態を調和させるためにやっていくということは、補償制度ではなしに福祉政策ということ以外には無理ではないか。これは各自治体状態において我々がとやかく言うべきことでないと思いますが、ここはやはりはっきりとしておかなければならぬ。  ただ、先生のおっしゃっているのは、予防協会がやるのだから同じことではないかと言われるけれども、私どもの観点は、個人に対してするのではないのだ、みんなに対して、全体に対してこれは行うものだという行政上の面だけははっきりしておかなければ将来問題が残ると思いますので、非常に残念でございますけれども、この点ははっきり申し上げておきたいと思います。
  98. 春田重昭

    ○春田委員 しかし、環境庁は毎年大都市のいわゆる主管の局長会議の中で沿道住民の健康調査をやってほしいと繰り返し繰り返し言われながら一向にやってないではないですか。ある調査によると、やはりNOxの濃度の高いところほどいわゆるぜんそく等疾病患者等がふえている、そういった数字が出ているのですよ。そういった対応もしないままで、今回の法改正でそういった形になったからだめです、そんな冷たい行政仕組みじゃなくして、地方自治体にそういった助成をするような制度になっているわけですから、その中で私はやはり知恵を働かせてそういった助成等も考えていただきたい、こう思うのですよ。この三大都市、東京、大阪、神奈川等の沿道のいわゆる大気汚染の濃度というのは長官も御存じのとおり――全国平均では大体七五%は環境基準を達成していますよ。しかしこの三大都市については二四%しか達成してないじゃないですか。むしろこの七五%でも悪くなっていっていますよ。そういった実態の中で、こういった患者の方たちが現実にこれだけ――先ほど局長は駆け込むなんておっしゃったけれども、駆け込むじゃないですよ、それだけの患者がおるんだから。それは、私は現実を踏まえた行政をやっていくのが血の通った環境庁行政じゃないかと思うのです。  時間がございませんので、先にいかせていただきます。  ところで、今回の基金ですが、基金の規模は六十三年度は大体どのくらいなのか、将来どれくらいに持っていくのか、この辺をちょっと御説明いただきたいと思います。
  99. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今先生お話しの健康被害予防基金につきましては、最終的には五百億円まで積み立てるということを目標にいたしまして、これから六ないし八年間くらいをかけまして積み立てていくということでございます。とりあえず六十三年度につきましてはおおむね二十億円弱くらいの拠出額になろうかと思っております。
  100. 春田重昭

    ○春田委員 その拠出する内訳、これは大体どんな割合になりますか。
  101. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 拠出につきましては、全体の拠出額の中の八割相当分につきましては固定発生源と申しましょうか、いわゆる大気汚染原因をつくっておる施設を設置している事業者から拠出をしていただくというような考え方でおります。そういたしますとあと二割残るわけでございますが、この二割につきましては国の方からの出資関連事業者、六十三年度につきましては自動車メーカーを考えておりますけれども、そういうところの拠出で賄っていくということでございます。六十三年度につきましては、そういうようなことで確実に拠出及び国からの出資ということが行われるものというふうに私ども考えております。
  102. 春田重昭

    ○春田委員 残りの二割の国と自動車関連業界との割合はどうなんですか。
  103. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 六十三年度について申し上げますと、今度の改正法案の中にもございますけれども、国の出資額は一億八千百万円というものを予定をいたしておりますけれども、六十三年度におきます自動車メーカー、関連事業者でございますが、その拠出も国と同額ということになっております。
  104. 春田重昭

    ○春田委員 局長は六十三年度を特に強調されておりますが、六十四年度以降の自動車業界の拠出金はどうなっているのですか。
  105. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 六十四年度以降におきましても、先ほど申しましたように二割相当額、と申しますと五百億にいたしますと百億円に相当いたしますが、その百億円は国の出資額とそれから自動車メーカー等の関連事業者拠出で賄っていくということになるわけでございますが、国の出資額につきましては、先生承知のようにこれは毎年の予算編成の段階で決められるというようなことでございますので、そういう国の予算編成の段階で、毎年度で決められた段階であわせて関連事業者の方の負担分も固めて、あわせて先ほど来申し上げておりますこの百億円分の積み立てを確保していきたいと考えております。
  106. 春田重昭

    ○春田委員 基本的には、国と自動車関連業界というのは大体フィフティー・フィフティー、いわゆる五割・五割と考えてもいいのですか。
  107. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、まず、六十三年度につきましてはまさに同額でございます。  それで、この全体について申し上げますと、国の出資額及び先ほどの自動車メーカー等の関連事業者の負担割合というのは六十三年度のそういう額というものがめどになって決められていくであろうというふうに私どもは考えております。
  108. 春田重昭

    ○春田委員 どうも奥歯に物が挟まったような答弁でございまして、私の聞くところによると、六十三年度はいやいやというか渋々といいますか、自動車業界は一億八千万拠出しよう、六十四年度以降については改めて協議しよう、こういうことらしいですね。この企業との契約というのは契約書を交わしてやっていくわけでありますけれども、従来の補償金についてはそういった契約書を交わして当然とらえていく。また、これは法的な拘束がありますからとらえていくけれども基金に出すいわゆる拠出金につきましては、これは改めてまた契約を交わしていくわけでございますけれども、例えば事業等が相当赤字になってきたとか、そういった諸事情によって拒否者が出てくる場合もある。ところが法的な拘束力がない、強制力もない、こうなった場合に、いわゆる完全な五百億の積み立てができないのではないかという考え方もありますし、特に自動車業界がそういった難色を示しているやに伺っているわけでございます。果たして環境庁が考えている五百億の基金というのは構想どおりできるかどうか、特に自動車業界にあってはそういった懸念があるわけでございますけれども、国民の中には、今はSOxは減ってきたんだけれどもNOxは非常に問題があるんだ、むしろ自動車業界の方が負担すべきじゃないかという声が主流になってきているんですよ。そういった自動車業界が出資金も出さない、渋っている、こうなればおかしいじゃないですか。この基金構想は根底から崩れるじゃないですか。そこはいかがですか。
  109. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 まず、固定発生源に係ります拠出事業者につきましては、確実な拠出を確保するということでこの事業者と公害健康被害補償予防協会との間で拠出に関する契約を締結していただきまして、契約に基づいて拠出金拠出いただくということになっております。この契約締結の手続につきましては、私ども一応三月末日をもって契約の締結日とするということを目指しまして現在その手続を進めているところでございます。各事業者におきましても、昨年の制度改正及びこの基金への拠出趣旨というものを十分理解されまして契約を締結をしていただけるものと私ども考えております。  それから、先生お話のございました自動車メーカーについてでございますが、自動車メーカーにつきましては、これは私ども自動車工業会の方と十分話をして、こういう基本的な線については了解をしてもらっているところでございます。この自動車工業会に参加しております自動車メーカー、これは企業数もたしか十三であったと思いますが、かなり限定されておりますし、これまでの話し合いで自動車工業会がその拠出額を確実に取りまとめて補償予防協会拠出を行うというようなことにしておりますので、私どもこの自動車分につきましても確実にこの拠出額が確保できるというふうに考えているところでございます。
  110. 春田重昭

    ○春田委員 そうしたら、六十年度以降につきましても、先ほど局長は大体七年ぐらいで五百億積み立てができるとおっしゃったでしょう。要するに、七年で積み立てができるということは自動車業界もそれだけ――五百億の一割ですから五十億が確保されなかったら五百億の構想はなくなってしまうわけですから、今年度だけはそういった形で契約はできたけれども、来年度についてはそれを基本として再交渉していきたい、こうおっしゃっているわけですから、これは極めて不安定でございますし、心配です。将来のことにつきましても、そういった約束がきちっと自動車工業会からとれないのですか。
  111. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今お話しのようなことでございますが、自動車工業会におきましても、この拠出につきましては基本的に私どものこの積み立ての構想というものを理解し、これに協力をすると申しておるところでございますので、この辺につきましては、先生今御指摘のような心配のないよう、私どもとしてはきちっとまた向こうとも話をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  112. 春田重昭

    ○春田委員 時間がなくなりましたので最後に長官、沿道の局地汚染につきましては、これは科学的知見が十分でない現状にかんがみて今後調査研究を行うとなっております。その結果によっては、さきの国会では中曽根前総理は公健法の再見直しもする、十分にしますとおっしゃっているのです。この点を確認しておきたいと思います、間違いないか。
  113. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 前総理大臣からの話でございますから、現在の政府もそれを当然引き継いでいっておるわけで、現在の政府がそれを引き継ぐ限り、環境庁長官はその政府の一員でございますから、前総理大臣の発言はそのまま生きておると考えていただいて結構でございます。
  114. 春田重昭

    ○春田委員 終わります。
  115. 吹田愰

    吹田委員長 春田君の質疑はこの程度で終わりまして、この際、休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ────◇─────     午後四時三分開議
  116. 吹田愰

    吹田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤節君。
  117. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、早速質問させていただきます。  昨年の法改正のときに被害者団体の大反対運動がありましたわけで、また政府としましてもこれまで毎年約九千名近く、昨年は八千名でしたか、そういう患者に対して公害患者として認定してきたわけでありますけれども、その後まだそんなにたっていないわけであります。法が改正されましてから、患者団体から何か特別な申し入れとかなんかあったのかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  118. 目黒克己

    目黒政府委員 さきの改正以後、約半年たっているわけでございますが、法改正以後、患者団体とは何回かお話をする機会があったのでございます。  例えば昨年の十月でございますが、患者団体から次のような用紙が私どもに寄せられておるわけでございます。まず第一は、指定地域解除を機に公害環境行政が後退しないよう大気汚染公害対策認定患者の健康回復等いっそう改善拡充すること、それから二は、既存認定患者に対し従前認められてきた公害健康被害補償法上の一切の諸権利については、指定地域解除後も従前どおり保障すること、三は公害指定地域解除実施にあたっては、実施までの間に自治体および地域社会に充分配慮するとともに、未救済患者の申請が促進されるよう必要な措置を講ずること等の内容要望が出ていたわけでございます。  また、法施行直前の二月二十九日には公害指定地域全面解除実施を撤回せよとの抗議文を私どもは受け取っているところでございます。  以上が大体患者団体からの申し入れの主な点でございます。
  119. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今お聞きしたようなそういう反対の決議その他があったようでありますけれども、やはり法改正されてしまえばもうそんなに反対とかなんか余りならないというのであっては困るんじゃないかなと私は思うのですね。  と申しますのは、やはりこの法案は、昨年の最後のときの中曽根総理に対する私の質問にもありましたように、もしまた環境が悪化したような場合には見直しするんだということまで言っておられるわけでありますから、やはり毎年八千名からの患者が出ていたわけでありますので、さらにさらにこの法案というものをよくよく見守っていかなければならないのじゃないか、そんなふうに私は考えているわけであります。と申しますのは、その後も大気汚染の状況変化というのはそれほどないじゃないか、そんなような感じも持っているからでございます。  そこでお尋ねいたしますけれども、最近の大都市圏における大気汚染状況をお聞かせ願えればと思うわけでありますけれども、まず窒素酸化物の濃度はどうなっているのか、改善されてきているというような話もありますけれども、その辺はどうなっているのか。また浮遊粒子状物質はどうなっているのか。また光化学オキシダントなどどんなふうになっておるのか、その辺をお聞かせ願えればと思うわけでございます。
  120. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  大都市圏におきますNO2なりSPMあるいは光化学オキシダントの現在の濃度はどうなっておるかというお尋ねでございますが、大都市圏におきます大気汚染の状況のうちに、先生からお話ございました二酸化窒素あるいは浮遊粒子状物質につきましては、長期的に見ますれば改善または横ばいという基本的な傾向にあるというぐあいに思うわけでございますが、六十一年度の測定結果におきましては、前年度、六十年度に比べまして若干悪化しておるという状況にございます。  例えば東京、大阪におきます昭和六十一年度の測定結果を見ますと、二酸化窒素につきましては、東京都の総量規制地域におきまして環境基準を達成した測定局は、一般大気測定局で二十三局中十六局、自動車排ガス測定局におきましては二十八局中六局でございます。それからまた大阪市等の地域におきましては、一般大気測定局で四十五局中三十九局、それから自動車排ガス測定局におきましては二十三局中八局ということでございます。いずれも前年に比べましてやや悪くなっている状況にございます。  それから浮遊粒子状物質につきましても、前年度に比べますと若干悪化しているところでございますが、光化学オキシダントにつきましては、〇・一二ppm、いわゆる注意報レベルでございますけれども、それ以上の濃度が出現した一局当たりの平均日数で見ますと、前年度に比べますと若干よくなっておるという状況でございます。
  121. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今お聞きしたようなとおりでございますけれども、例えばオキシダントあたりは〇・一一ppmといったようなことで、これ以下はいわゆる分析の限界としていかないのかどうか。本当にまだこれが、つまりゼロならゼロというようなことまでいくのかどうか、その辺はどうでございます。
  122. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 光化学オキシダントに関するお尋ねでございますが、光化学オキシダントにつきましては、五十七年度から継続して測定を実施しております測定局、九百五十六局におきますいわゆる注意報レベルでございます〇・一二ppm以上の濃度が出現した一局当たりの平均日数の推移で今まで経過を見ているわけでございますが、これを見ますれば、前年と比べれば若干よくなっておるということでございます。  なお、全般的なお尋ねでございますが、この光化学オキシダントにつきましては、いわゆる昼間の一時間値がどうなっておるか、それを把握いたしまして、そして前年との対比におきましては一局当たりの一日平均の時間数で割っているわけでございますが、全体で見ました場合におきましては、いわゆる光化学オキシダントがゼロの場合、それから〇・一ppm未満の場合あるいは〇・一から一・〇未満というぐあいにいろいろな形での表をつくって分析しているわけでございます。  いずれにいたしましても、全体的な推移を見ますと、昭和六十一年度におきましては前年から比べますと若干よくなっておるということでございます。
  123. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 オキシダントはそういうことだと思いますが、NOx、それから浮遊粒子状物質などは余り改善されてきていない、そんなふうに私は思っているわけでありますけれども、結局今の対策ではこれ以上よくならないのじゃないか、そんなふうに感じているわけでございます。  私は、昨年八月十八日の本委員会におきまして、今日のような大気汚染対策では一向に改善されないので抜本的に取り組みをしてはどうかということで、そこで、環境庁が主体となって各関係省庁と協力し合って交通対策、道路対策あるいは物流機構の見直しなどをやって、国全体のいわゆる大気汚染対策というものを考えてみてはどうかということを御提案申し上げたわけでございます。そうしましたらこれに対して、ここに昨年の議事録があるわけでございますけれども、当時の加藤局長がこのような御答弁をされているわけです。「この公害防止計画というのは、もうほとんどの省庁の大臣を含めたところで論議されることになっておりますし、そのキャップは内閣総理大臣、取りまとめ役は環境庁長官、事務方は私ども、こうなっておるのでございまして、この中にもその精神は組み込まれておると言うべきでございますが、」云々、こうなっているのです。そして、ちょっと略しまして、「今後も政府全体で取り組むべきようなテーマにつきまして、関係省庁においても積極的な施策が講じられるよう引き続き働きかけていきたいと思っております。」こう述べられまして、「例えば物流対策、つまり物流施設の適正配置による乗り入れ交通量の抑制、あるいはバイパスとおっしゃいましたが、環境保全に配慮したバイパスの整備あるいは交差点構造の改良とか、これは警察当局との御協力になりますが、交通管制の高度化等による交通の分散円滑化、さらには緑地帯の設置等による沿道土地利用の適正化などなど、並べますと、先生指摘になったところから敷衍してまいりますと」云々、こうなっているのですね。そして最後には、「地域の実情、特性に応じて公害防止計画を策定する際に積極的に盛り込んでいただくよう、これは総理大臣から都道府県知事に策定を指示するものでございますので、」「サゼスチョンあるいは協力しながら進めてまいりたいと思います。」というようなことでお述べになられたわけでありますけれども、それが、ちょうど十七日、窒素酸化物低減のための大都市自動車交通対策等計画についてという大変すばらしい計画案がここに出てきて、私は大変うれしく思ったわけであります。  しかも、これが昨年の八月でありますけれども、ちょうどそれより約一年前の六十一年九月からこのようなことが行われていたということを聞きまして、やはり先手、先手と打っていかなければならない政府であるのでよくやっているな、そんな感じを私は受けたわけでありますが、これが実現すれば、しかもここには六十五年度までにこういういろいろ達成する目標として述べられているわけでありますけれども、これは達成されれば大変な朗報であろう、私はそんなふうに考えているわけでございます。しかし、この計画は、この計画の中にもありますように、関係省庁として警察庁、建設省、運輸省、通産省、こういった各省の協力が得られていてこういう計画ができたわけでありますけれども、それがなお一層強力な協力関係が得られなければ不可能になるわけであります。ですからそういう点で、実際にこの計画を大いに進めていっていただくためにはさらにそういう協力は必要だということであろうかと私は思うわけであります。  そこで、きょうはこの関係各省庁の方々においでいただいておりますので、おいでいただきました方々に質問申し上げたいと思うわけでございます。質問を終わりましたらその方々はお帰りになって結構でございます。  まず最初に警察庁の方に御質問申し上げたいと思いますけれども、この計画の中に述べてありますように、都心部への大型貨物車等の乗り入れを抑制するため通行禁止規制を引き続き実施するとともに、窒素酸化物の高濃度地区を重点に運行自粛や代替ルートへの迂回の呼びかけ等を行う、また、渋滞の解消を図るため違法駐車の取り締まりの徹底など総合的な駐車対策を推進する、こういうようなことを述べられているわけでありますけれども、この違法駐車の取り締まりと今後の対策ですね、どのような見通しを持っておられるのか、その辺お述べいただきたいと思います。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  124. 山田晋作

    ○山田説明員 警察庁に対しまして、駐車対策についてお尋ねでございますが、実は、都市における駐車対策の問題は大変難しい問題でございまして、先進諸国でも抜本的な対策がなかなかないと大変悩んでおります。我が国におきましても、私ども警察庁といたしましては、かねてより路上の走行スペースをできるだけ確保するという意味から、特に都心部におきましては全面駐車禁止をし、それに伴いまして駐車違反の取り締まりを鋭意推進しておるというところでございます。全国で年間約二百五十万件弱の駐停車違反の取り締まりをいたしております。  しかしながら、現下の自動車交通の状況を見ますと、自動車保有台数がどんどんふえておりまして、十年前と比較しましても五割以上ふえているのが実態でございます。また、自動車の使われ方というのが産業、経済、国民生活にとりましてますます密着なものになってもう離しがたいものになってございます。ところが、車というのはもともと走るものでございますが、とまるところもまた当然必要でございます。ところが実態としまして、走るところは道路はできますが、とまるところの駐車スペースがなかなか確保できない。それで、車をとめるのはやはり路上じゃなくて道路外にとめるべきものでありますけれども、そういった路外の駐車スペースがなかなかとれないというふうなことから結局路上にとめる、それが違法駐車、迷惑駐車の増加になって幹線道路までどんどんはみ出していく、こういうことでございます。     〔衛藤委員長代理退席、委員長着席〕  警察といたしましては、このような路上駐車の実態、それと私どもの体制にも限りがございますので、そういったことを踏まえまして、主として幹線道路を中心に交差点とかその前後の区間におきまして、特に交通のネックになるようなところでの違反取り締まりに重点を志向して行っております。迷惑性、危険性の高い駐車を中心に取り締まりをしてまいりましたが、これからもやってまいりたいと思います。  それと同時に、駐車は本来路外でやるべきものでありますけれども、業務上やむを得ずとまらなければならないこともあります。そのためには道路上にとめなければならないということもありますので、時間を限って短時間だけでもとめさせるという方法を講じまして、一昨年道路交通法を改正いただきましたので、昨年四月から時間制限駐車区間というのを設けまして、パーキングメーターのようなものを設置して、とめる場合はそこにとめていただく、そのかわりその周辺の違法駐車はどんどん取り締まります、こういった施策も講じてまいったわけでございます。こういったことで駐車秩序の整序化ということを図ってまいりたいと思っております。  ただ、この駐車問題につきましては警察だけでございませんで、やはり駐車スペースを確保して駐車場をつくる、管理する、それから駐車需要を発生させる物流の問題にも絡んでくるといったような多くの関係機関がございますので、そういった関係機関、団体とも十分連絡をとりまして駐車問題に本格的に取り組んでいきたい、努力してまいりたい、かように考えております。
  125. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その辺、ひとつよろしくお願い申し上げまして、次に、建設省さんにお尋ねいたします。  まず交通流対策、人流対策にもなると思うのですけれども、ここにありますように「交差点及び踏切における渋滞の解消を図るため、交差点の立体交差化、鉄道の連続立体交差化等を行う。」ということになっておりますけれども、これはバイパス等も整備するということですが、かなり財源的にも問題になると思いますし、進捗状況並びにその財源対策どもちょっとお聞きしたいと思います。
  126. 深水正元

    ○深水説明員 連続立体交差あるいは立体交差の進捗状況等につきまして御説明いたします。  環境庁の発表されました窒素酸化物低減のための大都市自動車交通対策等計画によりますと、京浜地域におきましては、道路と道路の立体交差化が八カ所、道路と鉄道の立体交差化が十カ所、連続立体交差化が八カ所。そして阪神地域におきましては、道路と道路の立体交差化が三カ所、道路と鉄道の立体交差化が五カ所、連続立体交差化が十八カ所を推進することとされておりますが、建設省におきましても、交通渋滞の主な原因となっております幹線道路相互の交差点、鉄道踏切等の立体交差化を促進し、都市交通の円滑化を図る都市対策緊急事業重点施策の一つとして実施しておるところでございます。今後ともこれらの事業の積極的な整備促進を図ってまいる所存でございます。
  127. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 時間もありませんので、財源などどういう対策をされるのかということをお聞きしたかったのですけれども、次に移らせていただきます。  次は、運輸省の方にお伺いしますけれども、この計画を実現させるには運輸省としてどんな計画をお持ちになっておられるのか。ここにありますように、例えば「鉄道の新線建設、複々線化、バスの運行システムの改善、専用レーンの整備等」ということなんですけれども、それはどういうふうになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  128. 本多辰巳

    ○本多説明員 まず、お尋ねの中で、新線建設についてお話をしたいと思います。  今回の環境庁の計画によりますと、京浜地区で九路線、阪神地区で六路線、合わせて十五路線の新線がおおむね六十五年度までに開業を図るということになっておるわけでございますが、これらの路線につきましては既に工事に入っておるわけでございまして、現在の予定で参りますと、六十五年にはほぼ完成をするという状況になっております。  ただ、一部用地の取得がまだ済んでないものもございます。そういったものにつきましては、今後の進みようによっては若干あるいは六十五年度までにできないこともあり得ますけれども、今後とも運輸省としてはこの辺の早期完成に向けて指導をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
  129. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、最後に通産省の方にお伺いします。通産省さんの方には、物流の問題と低公害車の問題があるわけですけれども、低公害車の方だけちょっとお尋ねしたいと思います。  午前中も質問があったようでありますけれども、「電気自動車及びメタノール自動車の率先的な導入を図るとともに、最新規制適合車への代替や副室式ディーゼル自動車の利用の促進を図る。」というようにありますが、まずこの低公害車への移行というのはどんなふうになっておるのか。また今ディーゼルは直噴式になっておりますけれども、それを副室式のそういうのにするとどうなるのか。今一番問題になるのは、ディーゼルでも軽油をたいて直接に噴射しているトラックあるいはバス、そういったものが一番激しいのではないかなと思うのですが、特にまた不完全燃焼もこの式では多い、そんなふうに私は思います。炭化水素も不完全燃焼で出てくる、そういうものも出ているようですし、その辺の対策はどんなになっているか、お聞きしたいと思います。
  130. 安藤勝良

    ○安藤政府委員 お答えいたします。  通産省といたしましても、この低公害車の開発普及につきましては重要な課題と受けとめ、今日までいろいろな角度から努力してまいりました。御案内のように電気自動車につきましては、昭和四十六年から工業技術院の大型プロジェクトで取り組みまして精力的に開発に向けて努力してまいったわけでございますが、現状の電池につきましては、走行距離あるいはスピード、そういった面で限界があるものですから、現在限定的に使われているというのが実情でございます。  また、最近非常に話題になっておりますメタノール自動車につきましては、昭和六十年度から積極的に取り組んでおりまして、現在、いわゆるエンジンの始動性の問題あるいは安全性の問題その他経済的ないろいろな問題、こういった問題について積極的に研究を進めておりまして、昭和六十三年度からはいわゆるガソリンタイプの自動車についての走行テストを開始し、かつまたディーゼルタイプについては昭和六十五年度から走行テストを開始し、その普及に向けて努力してまいりたい、こう考えておるわけでございます。  それから、二点目のいわゆる最新規制適合車への代替問題あるいはディーゼル車の副室式化の問題につきましてお答えしたいと思います。  我々、現在までこのディーゼル車対策につきましてはいろいろな規制を通じて自動車業界を指導してまいったわけでございます。御案内のようにその結果、相当この面での低減効果はあったかと我々は評価しておりますが、なおあわせまして、もう既に目標が決まっております六十三年、四年、五年、これの排ガス規制強化に向けて、現在この完全クリアに向けて業界を指導しているわけでございます。またこういったものができてくるということになりますと、その早期導入のための税制等の問題で一般国民を含めたユーザーを指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。またこれらの対策についてさらにいろいろな面から抜本的に技術開発を進めていこうということで、実は昭和六十一年度に新燃焼システム研究所というのを、これは基盤技術研究促進センターの出資によって行われておる研究所でございますが、ここでいわゆるディーゼルエンジンの排ガス中のNOxを低減するための対策、そういった面に積極的に取り組もうということで今早速六十一年度から着手しておるわけでございます。例を申し上げますと、燃焼技術、噴射技術ですね、それから新しい触媒の開発といった面でさらに一層の対策が進むように前向きにこういった研究にも取り組んでおるわけでございます。  以上でございます。
  131. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もう時間がなくなりましたので環境庁さんの方にいわゆるこの法案につきましてちょっとお尋ね申し上げますけれども、今回の法改正でちょっと心配な点があるわけでありますけれども、お尋ねしたいと思います。  まずその一つは、この事業に対しての拠出企業との契約に基づくものであり強制力はないということでございまして、したがって、契約違反だとか拠出拒否等の場合はどのように対応されるのか、この基金は確実に積み上がるのかどうか、特に自動車メーカーからの拠出は国と折半というようにまとまったのかどうかその辺もお聞き申し上げたいと思います。
  132. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 まず、拠出契約の締結についてでございますけれども拠出事業者と公害健康被害補償予防協会との間で拠出に関する契約を締結をしていただくということになっておりまして、それの手続を現在進めているところでございます。六十三年度からこの拠出がはじまりますので、六十二年度中に今の契約の締結を終わらせたいということで本年の三月末日をもって契約締結できるように現在準備を進めている段階でございます。環境庁といたしましても円滑な基金拠出を図るという観点からいろいろな機会をとらえまして基金を設ける趣旨などを関係事業者にこれまで説明をしてまいってきたところでございますし、関係団体におきましてもその傘下の事業者に対してそういう方向で協力するようにいろいろ指導をしていただいているところでございまして、そういうことを踏まえますと、各事業者におきましても今回の制度改正趣旨を理解された上で契約を締結していただけるというふうに私ども考えているところでございます。  それから、先生お話の二番目の点でございますが、基金五百億円のうち四百億円はばい煙発生施設等設置者拠出し、百億円は自動車メーカー等の関連事業者拠出と国の出資とにより積み上げることといたしております。このような枠組みについては既に自動車工業会を含む経済界の了解を得ており、基金の確保については問題はないと考えております。なお、百億円分についての国の出資自動車メーカー等関連事業者拠出の割合につきましては国の出資額が毎年度の予算編成において固まっていく性格のものであるため、現時点で具体的に申し上げることはできませんが、環境庁としては昭和六十三年度が国と同額となっていることにかんがみ、昭和六十四年度以降においても国と関連事業者とが昭和六十三年度の分担割合をめどとして拠出等を行うこととしたいと考えております。いずれにいたしましても六ないし八年かけまして基金五百億円は確実に積み上げることができると明確に申し上げておきたいと存じます。  以上でございます。
  133. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 時間がもうありませんので最後に大臣に、このような大変立派な計画ができ上がったわけでありますけれども、これはやはり、各省庁きょうもおいでいただいてお聞きしたのですけれども、各省庁の強力な協力がなければ達成できないと私は思いますので、環境庁長官はこのリーダーシップを力強くやっていただいて、達成できるような方向でやっていただきたいと思うのでありますけれども、ひとつ御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  134. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 先生、専門的な立場でいろいろ御提言いただいておることを聞いておりますので、非常に敬意を表しておる次第でございます。  ただいまのNOxによるところの公害基準、達成できない面が先ほど来たくさんございます。これを何とかして抑えるということはもう非常手段の問題だと思いますので、このように各関係省四省、また大きな町の方も出てもらう、また大学からも専門家に出ていただくということでこういう会を運営したわけでございますが、今後とも各省庁の調整を十分やって、全体、NOxを抑えていくことに全力を挙げたいと思います。  特に御指摘ございましたようにディーゼル車の問題、いわゆる軽油のNOxをどうして下げるかということが私は一番問題だと思っておりますので、特にこの三カ年で抑制に全力をかけて何とかして環境を昔のようにしたいと思っておる次第でございます。
  135. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 よろしくお願いを申し上げまして、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  136. 吹田愰

    吹田委員長 斉藤君の質問はこれで終わります。  大矢卓史君。
  137. 大矢卓史

    大矢委員 民社党の大矢でございます。  昨年の公健法の改正に賛成をした者の立場からして今後のあり方について十二分な対策をお願いいたしたいと思います。  まず私ども承知をいたしておりますのは、大体公害基準というものが達成をされた、そのことによって健康被害の救済を打ち切っていきたいということであったろうと思います。しかしながら、そのうちで今も大臣おっしゃっていらっしゃるような二酸化窒素、NOx、いわゆる自動車から排出されます公害が完全に基準値に達しておらないということも含めて六十年にすべてのものが達成をするということができ得なかった。そのことについてまずお伺いをいたしたいと思います。
  138. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  N0Oの環境基準が五十三年度におきまして、当時にございますいろいろな知見もとにいたしましてNO2の環境基準の見直しをしまして、当時の科学的知見に基づいて現在の環境基準が定められたわけでございます。そのときに、環境基準の改定に当たりましては、六十年度を目途に達成を図るということで努力をするということで国会等におきましても御答弁を申し上げたわけでございます。その後私どもといたしましても、法律上の総量規制等の導入等を図りあるいは各種の自動車単体に対します排出規制についての強化も行ってまいっておるわけでございますけれども、いかんせん自動車の伸びが大きいことあるいは特にディーゼル等の車の伸びが非常に大きいこと、車の代替が思うように進んでいないこと等々の理由によりまして六十年度におきましてのNO2の環境基準が未達成であったということでございます。その後、引き続き私どもといたしましては各種の交通公害対策あるいは単体対策あるいは固定発生源対策等いろいろの対策を講じてまいっておるわけでございますが、残念ながら現在の時点におきましても環境基準が未達成の状況にございまして、現在いろいろな対策等を講じながらこの環境基準の達成のために努力いたしておるところでございます。
  139. 大矢卓史

    大矢委員 NOx以外のことについてはいかがでございますか。
  140. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 NO2以外に環境基準未達成のものといたしましては浮遊粒子状物質がございます。浮遊粒子状物質につきましても非常に環境基準の達成率の状況が悪いということでございまして、このSPM、浮遊粒子状物質対策といたしましては、粉じんなりばいじんの発生施設に対します対策の強化、あるいはNOx対策と同様でございますけれども、各種の交通対策を講じることによりましてSPM対策も進められるというようなこと等々、SPM対策につきましてもいろいろな手段で対策を講じているところでございますが、残念ながら達成率の状況が非常に悪いという状況にございます。
  141. 大矢卓史

    大矢委員 そうなりますと、公害値の達成がまだいろいろな面で不備である。それを直していくためにこれからもいろいろな努力をしていくということだろうと思いますけれども、その点、その中の一つとして五百億の基金の問題があると思いますけれども、この五百億以外についての公害対策というのは今後どうなるのですか。
  142. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  大気対策ということで、ただいま先生からお話ございましたように、NOxあるいはSPM対策につきましてはいろいろな方法対策を講じているわけでございます。環境庁といたしましては、そのための対策一つといたしましては自動車の単体規制の問題があるわけでございますので、そういう面での単体規制を科学的知見を踏まえながら規制の強化を講じてまいっておるわけでございますので、そういう面での情報収集あるいはいろいろな先生方の御意見を聞くというような予算、あるいはSPM対策につきましては、いろいろな発生源等がございますので、各種の発生源がどのような関連で現在のSPMを出しておるかというような調査研究というような形で、いろいろ基本となるべき事項につきましての調査研究あるいは実際の観測調査等について実際やっておるわけでございます。  そういう基本的なことにつきまして私どもは予算を設けてやっておるわけでございますが、それの具体的な対策ということになりますと、先ほども説明があったわけでございますが、それぞれの省庁におきましてあるいは道路建設あるいは交通の取り締まり等々行われているわけでございますので、そういう面で全体的な予算額となりますと非常に大きなものとなるわけでございますが、環境庁の予算といたしましてはそんな大きなものではないのでございますけれども、基本的なところにつきましては予算を確保いたしまして鋭意検討いたしておるという状況にございます。
  143. 大矢卓史

    大矢委員 大気汚染につきましては基本的にはなくなったけれどもNOxなり粉じん等の問題が残っておるということでありますが、その排出源がはっきりいたしております粉じんとかばいじんの工場のリスト、自動車等の与えておる総量のリストはどのようになっておりますか。
  144. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 いわゆる固定発生源からの粉じん、ばい煙の発生の状況という先生のお尋ねでございますが、ただいま手元に資料がございませんけれども、それぞれの自治体におきまして、大防法の傘の下でそういうばい煙発生施設につきましてはそれぞれのデータを把握しておりますので、改めてまた数字的なものにつきましては先生のところへお届けいたしたいというふうに思っております。
  145. 大矢卓史

    大矢委員 過去については、そういう公害病に認定されました患者についてはこれからもずっと補償の問題また医療の問題等があろうかと思います。これは排出原因者において負担をなさっておるし、今後もそういうことになろうと思いますけれども、こういうことを打ち切ったという中において、これからの五百億の分担が、国を入れてそういう自動車と申しますか、NOxの排出の方の原因、これが二〇%ということであると思いますが、それでよろしゅうございますか。
  146. 目黒克己

    目黒政府委員 およそ五百億のうちの四百億がいわゆる煙突群と称する既成の大気汚染を出しているということで認定されたものについてでございます。  なお、この辺につきましては新しく法律改正いたしましたので、賦課金につきましては、昭和六十二年の四月一日の時点要件を満たした企業について賦課金を取る、それから基金についても、それよりもさらに若干中小企業等に配慮はいたしますけれども、それよりもやや絞った企業に対しまして、御指摘のような約八割のものについてはそういうところから取る、二割については先生指摘のような方向で考えておるということでございます。  なお、この点、詳しいことにつきましては局長の方からお答えいたします。
  147. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 以上でございますけれども、公健法の関係の企業事業者の負担につきましては賦課金の問題と、ただいま申しました拠出金の問題とございます。それで賦課金の方は八割が固定発生源それから二割が移動発生源ということになっております。先ほど御答弁申し上げましたのは基金に対する拠出金の方の割合でございまして、これは先ほど申しました固定発生源で八割、そしてあとの二割を国と関連事業者、これは自動車メーカーでございますが、それが負担するということになっております。
  148. 大矢卓史

    大矢委員 固定発生源の原因者が健康に害を与えておらないということで法律改正が成ったと私は聞いておるし、そのことでずっと聞いておるのですけれども、その点矛盾しないのですか。
  149. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 固定発生源の負担というのは、従来の賦課金につきましてもそれから今回の基金に対する拠出金にいたしましても両方同じ割合で八割負担をしていただいているということでございます。
  150. 大矢卓史

    大矢委員 基金拠出金について、割合の点からいくと、時代が終わったということで法律改正したのにしては少し無理があるのではないかということを私は言いたいのであります。五百億が多いか少ないか、これは別であります。五百億の中から出てまいりますその費用が毎年二十五億ということのようでありますけれども、これは当然何年かで完全に基金拠出をするということですけれども、その点の計画をお示し願いたい。
  151. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 基金の積み上げにつきましては、考え方といたしまして、六十二年度の賦課金の額というのを基準にいたしまして、そして六十三年度以降その賦課金の額が減ってまいりますので、その減っていく部分に見合う分を基金拠出金に充てていただくということになっておるわけでございます。そういうような前提で計算をいたしまするので、その前提の置き方によって違いますけれども、考え方として、私ども一応従来の経緯をそのまま延ばすような前提での計算をいたしますと、この積み上がりに六年ないし八年ぐらいが必要ではないだろうかということを考えております。
  152. 大矢卓史

    大矢委員 六年ないし八年で積み上がるようでありますけれども、その基金とは別に毎年二十五億の事業費を使っていくということですか。
  153. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 二十五億円の事業費は六十三年度から確保するという前提でございます。したがいまして、二十五億円の事業費を確保しつつ、それを上回る分を基金として積み上げていって最終目標である五百億円の積み立てまで到達するというのが目標でございます。
  154. 大矢卓史

    大矢委員 六十三年度は、大阪市でもそうですけれども、非常に多い患者の申請があったと聞いております。これは最後の認定に至りますまで非常に時間がかかりそうだということなんですけれども、まずこれを早急にやっていただくことが一つと、そして、非常にふえるということになりますと、六十三年度には政府の一億八千百万ですか、それの同額を自工会の方から出していただくということになりますと三億六千二百万しかないわけであります。二十五億に遠いのでありますけれども、これは別の予算で計上されるわけですか。
  155. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 最初の年度につきましては固定発生源の方からの拠出がございますし、それから今先生お話のございますように、関連事業者である自動車メーカー及び国の出資というのを合わせまして二十億弱の金が集まると思っております。先ほど申しましたように、二十五億の事業費を六十三年度から確保するという計画でございますので、初年度につきましては若干借り入れをしてその点は賄ってまいります。ただ、いずれにいたしましてもこの辺も含めて、将来五百億積み立てるまでのその目標を変えることにはなりませんので、若干そういう借り入れで、今先生申しますようなところは調整をしていきたい、こう考えております。
  156. 大矢卓史

    大矢委員 六十三年度が減るのだという前提に立って物をおっしゃっておられるのか、それともこの二十億弱というのは固定排出者の方で負担増になるということなのですか。
  157. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 六十三年度の積立分につきましては、これは額は予算ベースでやっておりますので、今先生のおっしゃる患者数がふえたということでこの額の影響はないと私ども考えております。  ただ、先ほど申しましたこれからの積み立ての計画を将来に投影してみますと、今の患者数がふえますと、その分だけ積み立ての期間が若干長引くことになるかとは思っております。
  158. 大矢卓史

    大矢委員 現実にこれは六十三年度ふえた場合には二十億という金が出てこない。そうしたら三億六千二百万のほかは全部借り入れでやるということですか。
  159. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先ほど申しましたように予算ベースでやっておりまして、この額は六十三年度は必ずその負担をしていただくというか拠出をしていただくということになっております。
  160. 大矢卓史

    大矢委員 今現在でも患者の数がふえておる。平年度よりずっとふえておる。大阪の場合なんか倍ほどの患者になっているということなんですけれども、そうなってそれが認定されますと、当然今までの拠出者の方がふえていく。ふえていく中でやっていくんだということで、そういう認識でいいのですか。
  161. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 今の患者がふえる場合の基金の積み立てへの影響につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、積み立ての期間が延びることになるであろうということでございまして、六十三年度の積立額の方には影響は出ないということでございます。
  162. 大矢卓史

    大矢委員 六十三年度が、毎年これで打ち切って、お亡くなりになりますからそれで減っていく状態になるならいいけれども、ことしは一遍にふえたから、減った人と比べても減らないのではないかと私は思っておるのですが、そうじゃなしにやはり減るのですということならそれでもいいわけですよ。大阪市など毎年の倍ほど出てきているわけです。それがもし認定された場合にはそれだけのものがふえるわけです。そうすると、こういう形でまたお願いをしてそれだけのものを出していただくということで、そういう理解をしたらいいのですかということなんです。そうでなしにおたくの方で言われてもあれなので……。
  163. 目黒克己

    目黒政府委員 先に患者数のことがございますので、それについてまずお答えをして、後に局長の方から具体的なお答えを申し上げます。  まず御指摘患者の駆け込みといいますか、非常にふえているんじゃないかということでございますが、これはそれぞれまだはっきりした数字はつかんでおりませんけれども、概数については私ども承知をいたしております。間もなく集計したい、このようなことで今作業中でございます。  それから第二点目の、先ほど先生の御質問に患者の申請から認定までの期間ということがちょっとございましたが、この点につきましては現在でも大体二、三カ月、申請してからかかっているのでございます。したがいまして、私どもは同じようなパターンでこの認定をしてまいることになります。いずれにいたしましても患者さんに対する補償というのは、この申請した月日を基準にしていたしますので、さかのぼるというようになるのでございます。  それから六十三年度の患者数につきましては、いずれにいたしましても六十二年度にある数の申請あるいは認定というものが起こりますれば、当然その範囲内で、それ以下あるいは横ばいというふうな形で患者の数については推移するものというふうに私ども考えておるのでございます。
  164. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 先ほどから何度か申し上げましたけれども、この基金の積み上げと患者数の増加の関係でございますけれども患者数が増加した場合に基金の積み上げの期間が延びるということになろうかと思いますけれども、その間の事業費を年間二十五億円確保するということにつきましては、これは当初の予定どおりそういうふうな方針を変える考えはございませんで、来年度六十三年度から事業費二十五億円を健康被害予防事業として確保していきたい、こう考えております。
  165. 大矢卓史

    大矢委員 そういうことであるなら、六年から長くて八年の間にそういうものは、完全に基金が調う。しかし基金が調いましても、年間五%ということで二十五億という金額でございます。その二十五億の金額の中で先ほどからも、検討会ですか、環境庁の検討会で行われた、これは前の国会附帯決議に基づいて行われた検討会だろうと思いますけれども、いろんな問題があります。先ほどの委員の質問にいろいろと各省庁からお答えを願ったのでありますが、この二十五億を何かいろんなふうにお使いになるということですけれども環境協会のパンフレットによりますと、協会が実施をするのは調査研究と知識の普及と研修だけで、実際のお金はしからば各省庁からすべてやっていただくということになっているのですか。
  166. 目黒克己

    目黒政府委員 二十五億の内訳でございますけれども先生指摘のように、一つは協会自体が行う研究研修、知識普及等といったようなものがございます。それからもう一つは、地方公共団体が行うものに対して助成する、この二つになっているのでございまして、これにつきましては他省庁というよりは地方公共団体がそれぞれ、私どもが前もってつくっておりました、先般来お答え申し上げました予防事業メニュー範囲内で実施いたしますものについて私ども助成をする、こういうふうな形をとっておりまして、地方公共団体に対して助成するものと、それから協会自体が行うものと二種類になっておるのでございます。
  167. 大矢卓史

    大矢委員 「地方公共団体等が行う事業」というのがあるわけであります。その中に「地方公共団体が民間団体等に助成を行う場合もある」ということで、この場合に、この二十五億の基金の中で地方公共団体に助成を行うというのはどういう形に、補助金ということになるのですか、どういう形になるのですか。
  168. 目黒克己

    目黒政府委員 これは助成金ということに相なるわけでございまして、その具体的なものにつきましては、地方公共団体が行うものについて特に行うものでございまして、その他のものにつきましても特に、例えば日赤とか済生会とかあるいは特定の限定を示したものを中心として、そのようなものが行う事業に対して助成する、こういうことでございます。
  169. 大矢卓史

    大矢委員 そこでお聞きをするのですけれども、交通の対策として立体化、これは先ほど御答弁ございましたように道路の立体化と、また道路と鉄道の立体化とありますが、やはりこれは環境庁の立場から言いますと、NOxを解消するために交通停滞というものを少しでもなくしていく。そのことによって基準値が下がるであろうということのようであります。  そういう観点からいきますと、これは一番わかりやすいのは大阪の阪和線と道路との立体交差ですが、このことについて、都市計画決定からきょうまで十何年かたっておるわけであります。これから完成までまだ十年かかるという。言葉の上では、立体交差化どうのこうのという宣伝文句ですけれども、実際に立体交差をやる場合に二十何年たたないとできないという現状があるわけです。この現状について、どうなっておりますかお答えを願いたいと思います。
  170. 深水正元

    ○深水説明員 阪和線の立体交差事業につきましては、昭和四十五年に補助事業として採択されておりますが、阪神高速道路大阪泉北線と二重構造になるというような特殊性がございまして、地元調整に長時間を要したものでございます。現在、既に環境アセスメント、都市計画決定、工事協定などの事前手続を終えまして用地買収を行っている段階でございまして、地元の協力を得て事業の促進に努めてまいる所存でございます。  なお、今お話しのございました暫定的な踏切の設置につきましては、道路法第三十一条におきましては原則的には認められないというようなことになっておりますが、付近の交通状況等を総合的に検討して地方公共団体が判断すべきものであるというふうに考えております。
  171. 大矢卓史

    大矢委員 質問しておらないところまでお答えを願って非常に恐縮でございます。  今お答えがございましたように四十五年から計画にかかっておるわけです。それで、ちょうど今で十七年ですかかかって、これから買収を進めていって、今からやるとちょうどまだ十年ぐらいかかるであろう。この間、住吉区の長居というところなんですけれども、東西また南北、これは両方にかかっておるので、これを越して市内へ入ろうといたしますと、朝のラッシュ時には大体三十分はあかずの踏切となっている。そういう中で、これは計画決定がなされてから今日まで十七年間たって、これからまだあと十年かかる。そうする場合に、公害ということで自動車問題、N01の問題でこれだけ大きく立体化どうのこうのということになってまいりますと、かゆいところに手の届いた公害行政の一環としてもこの問題を解決していかなければならぬ。しかし、本体の方は今言われましたようにまだ解決いたしておりませんが、その上に高速道路をつけるということでまだここまでは解決いたしておりませんけれども、阪和線の立体化は皆さん方は原則的にはオーケーだということはもう早くからできておるわけであります。その上に高速道路をつけるということで非常におくれてきた。そこへ持ってきて大阪市の財政の都合がございまして、建設省に全部やっていただけるわけでもございませんので、今からまだちょうど十年ぐらい先になるだろう。その間、毎朝三十分の停滞を来す。それ以後でも非常な停滞を来しておる。それが、大阪の長居の観測地点におきましてもその数値があらわすように、完全になる日はまだまだ遠いのではないか。せっかくこれが高架になりましたらつくための道路が東西にちゃんとついておるわけで、踏切一つあげますとその状態がやや緩和するのではないか。それがひいては、公害の問題は非常に交差点での排出が少なくなってよくなるのではないか。そういう観点からも、せっかくこういう立体交差化とかいろいろなことを言われますけれども、この二十五億では一体どういうことができるのか。ただ単に調査をして、そして地方公共団体に助成をする。助成というのは一体どの程度のことを考えておられるのか。この間から車につきましてもいろいろ聞いてみますけれども、一体この二十五億で実際どの程度のものができていくのかということになりますと、なかなか道が遠いような気もするわけであります。  私まだお聞きをしないのに御答弁を願いましたけれども、ただ、高架が決まったから踏切をつけることはまかりならぬのだと言われますが、それがあしたやあさってにつくことなら税金のむだ遣いでありますから当然すべきではないと私どもは思います。しかし、それが十七年も待ってまだあと十年も先になるということになりますと、この間の十年間というのはなかなか住民が、ここまで公害行政の一環としてもやるということになりましたら、ただ単に立体交差だけでなくして、そういう踏切をつけることによって停滞が少しでも助かるということなら、これは予算上の問題があって大阪市もなかなか法律上の問題と予算上の問題とで渋っておるようでありますけれども、当然もうその際までちゃんと道路がついておるわけでありますから、そこを通しさえすれば大きな道路ができるわけであります。その点につきましても建設省の方での問題になるのか、この基金も含めての問題になるのか、両方から御答弁を願いたい。
  172. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先生からただいまお話しございましたJR阪和線の問題につきましては、私ども先般発表いたしました大都市等の計画の中にも鉄道と道路の連続立体化ということで箇所としては挙がってございます。そういう面で、実際問題としましてはただいま先生からお話しございましたようにいろいろな問題点があることだと思いますので、地元の自治体におきましても、この問題は関係省庁とも連絡をとりながら、今後できるだけ円滑に進めてまいりたいというぐあいに思っておるところだと思います。  そういう面で、この問題以外にもいろいろなところで、計画の中におきましては道路と鉄道の連続立体化あるいは道路と道路の立体化といろいろな計画があるわけでございますが、これに要します予算、費用という問題につきましては、道路なり鉄道にかかわるものでございますから、それはそれぞれの関係する所管庁が予算を計上して必要な予算措置をするということでございまして、この基金事業の中でこれについてどうこうするということについては現在のところ考えてないわけでございます。  特に、二十五億の基金事業費を用いまして環境の改善事業ということでどんなことを考えているかということでございますが、現在のところの考え方といたしましては、この基金に基づきます環境改善事業といたしましては、それぞれの自治体におきまして環境改善のための計画をつくる、その計画の作成に要する費用について基金から助成をする。あるいは、先ほど来お話しございましたような低公害車の普及事業、あるいは最新規制適合車の代替促進事業、あるいは大気浄化のための植樹事業、あるいは共同輸配送の推進事業、それから大気汚染対策緑地の整備事業というような形での大気汚染対策につきましては、この基金の資金を活用いたしましてそれぞれ助成をしてまいりたいというぐあいに思っておるわけでございます。  基本的には、私ども、この基金のお金といいますのは、国なり地方公共団体実施いたします事業に対しましてそれを補完する立場においてこの基金から助成をしたいというような考え方で現在作業を進めておるところでございます。
  173. 大矢卓史

    大矢委員 建設省、いかがですか。
  174. 深水正元

    ○深水説明員 この阪和線関係の連続立体交差事業事業費につきましては、これは阪神高速道路との合併施行の部分がございますので費用の分担を行っておりますが、連続立体交差事業の総事業費といたしましては約四百億円が見込まれております。そのうち、六十二年度までにおきましては約十五億程度でございますが、これはそれだけを連続立体交差事業として見るものでございますが、連続立体交差事業は御存じのように街路事業として行っておるわけでございます。街路事業のうち国及び県が、この場合は大阪市でございますけれども、約九〇%を都市側が負担するということになっておりまして、その都市側の負担分が三百五十六億円、全体事業として三百五十六億円になっております。このうち国の補助金といたしましては、当初計画によりますと三分の二が国の補助ということでございましたけれども、六十二年度におきましては五二・五%が国の補助というような状況になっております。
  175. 大矢卓史

    大矢委員 そんな割合聞かぬでも、それはわかっているわけです。何か三十一条でできなくなったから市町村の方で勝手にやれということなんです。ですから、それにいたしましてもこの四百億のうちで二百億強は国が負担しなければならぬ。その中で、せめてそこに道が一つあったら交通渋滞が少しでも助かるのではないかということで、これにかかる金が、踏切一つつけるのが二億のようであります。二億についても、それはもう都市決定がなされたから三十一条によって勝手に大阪市でやれ、こっちは知らないというようなことでは、これは建設省はその全部の建前があるでしょうけれども公害という立場から立体交差化をやりますと言って大々的に宣伝をしておる環境庁からすると、この二十五億も含めて、やはり何らかの答えを出してもらわないと、ただ立体交差化をやるのは、これは建設省なり市町村、また鉄道でありますと一〇%鉄道が負担する、こういうことだけで、ただ単にやりますよという宣伝だけに環境庁は終わってしまう。この初年度にいたしましてもいろいろなことを言いながら、毎年毎年二十五億は調査費、調査費でなくなってしまって実質的に何もないんだというようなことでは、せっかく五百億拠出をしていただいても、これは生かされていかないのではないか。こういうところにもきめの細かい行政はやはり必要ではないか。この二億についてやはり現地をよく調査をしていただいて、これができることによってどれだけ交差点での、そういう三十分から停滞をしてどんどん排気ガスを出していくという状態が少なくなるかということを調査した上で、やはりそれに対して何分かの実行の予算をつけていくという考えがあってしかるべきだと思いますが、その点いかがですか。
  176. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、環境をよくするためのいろいろな施策につきまして私どもといたしましては基本的な問題、方向につきましてみずから企画、立案、推進をいたしておるわけでございまして、そういう方向を私ども示しますと、それぞれの関係省庁がそれぞれの所管の範囲内においていろいろな対策等を講じていただいておるということでございます。  そういうことで、今の問題につきましても建設サイドの方でいろいろ考えていただきまして、必要な予算の確保、施行が行われるわけでございまして、この基金事業におきましてはそういう面で公的なもの、国等が行います事業についてはそれを補完するという観点でございますので、道路の直接の整備あるいは立体交差化の整備に対しましてこの基金の中のお金を使うということは、この基金の性格からいっても非常に難しい問題であろうというぐあいに思うわけでございます。そういう面でこの基金におきましていろいろな調査研究をやる、あるいは間接的にその周辺におきまして木をたくさん植えるとか、そういうような面につきましては私どもこの基金を十分活用してもらいたいと思うわけでございますけれども先生の御提案でございます道路そのものに関する事業については、現在のところこの基金のお金を使うということは考えていないところでございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  177. 大矢卓史

    大矢委員 時間が来ましたので、これ以上は申し上げませんけれども大臣におかれましてはやはりきめの細かい目の届く行政をやっていただくことによって、住民もこれに参加をし、協力していくということがあろうかと思います。大臣、最後に、そういうことで今後頑張っていただきたいので、所信をお伺いいたしたいのです。  その前に建設省の課長にお尋ねをいたします。  一〇%というのは、国鉄の時代には一〇%でありましたけれども、私鉄の場合は七%だったと思います。私鉄になったJRについてもやはり一〇%ということですか。
  178. 深水正元

    ○深水説明員 国鉄からJRになったばかりでございますが、現在、運輸省あるいはJR当局とあわせて調整中でございます。
  179. 大矢卓史

    大矢委員 今後、一〇%が変わるということはあり得るわけですね。
  180. 深水正元

    ○深水説明員 目下調整中でございますが、結果がどういう形になるのか、まだはっきりした見通しは持っておりません。
  181. 大矢卓史

    大矢委員 そういうことで、最後に一言大臣から。
  182. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 心情と言っていいのか、御心配いただいている点はよくわかるのですが、三月一日で指定地域解除したのが四十一地域でございます。単純に二十五億円を振り当てても約五千万か六千万ぐらいのものでございますから、プールをつくって、そして未然にぜんそくにならないようにするとかぜんそくに非常に役立つような環境に変えることができればそういうところへつくっていくとか、地方の状態きめ細かく、金額は別として一つ一つの問題にきめ細かい対策を講じていきたい。  また、今のように四百億というような大事業にしても、これは環境庁に相談あれば、また相談もするでしょうけれども、でき上がったその事業についてあとちょっと変えればあとの公害がうんとなくなるというような指導は今後ともいろいろな関連を通じてやっていきたいと思っておりますので、そういうふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  183. 大矢卓史

    大矢委員 終わります。
  184. 吹田愰

  185. 岩佐恵美

    岩佐委員 まず、大気汚染の状況について伺いたいと思います。少しも改善されていない、それどころか悪化をしていると思います。  昨年十二月発表の一九八六年度の大気汚染結果についてどうお考えか、御意見を伺いたいと思います。
  186. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 お答えいたします。  六十一年度の大気汚染の状況でございますが、特に二酸化窒素にかかわります環境基準の対応状況について御説明いたしたいと思います。  二酸化窒素にかかわります環境基準の対応状況は、六十一年度における全国の非達成局の割合は、一般測定局あるいは自動車排出ガス測定局それぞれにおきまして、三十四局二・六%あるいは七十局二四・八%でございますが、特にそのうち、東京とか神奈川、大阪等のいわゆる総量規制三地域におきます非達成局の割合は、一般環境測定局、自排局それぞれにおきまして、先ほど申し上げましたうちの二十九局あるいは五十二局ということでございまして、環境基準未達成局といいますのは、東京、神奈川、大阪等の総量規制三地域を中心に非達成局が残されている状況にございます。この非達成局の状況を少し分析したわけでございますが、これらの地域におきまして最近の五年間の非達成局の割合、状況について少し分析してまいりますと、一般環境測定局及び自動車排出ガス測定局とも各年度の気象の条件等によりまして達成、非達成が左右される測定局はそのうちの六割を占めているというぐあいに見ておるところでございます。また、比較的この気象要因による変動の少ない年平均値ということで考えてみますると、悪化傾向にございます測定局も一部にはございますけれども、改善または横ばいの傾向にあるものがそれぞれ五割ないし三割ということで、全般的に見ました場合には改善または横ばいの傾向にあるというぐあいに言えるのではないかと思うわけでございます。特に毎年度非達成となっておりますような汚染濃度の高い測定局を見ますると、環境基準は未達成でございますが、その中におきましても若干改善傾向を示しているものが六割、横ばいのものを含めますと七割ということでございまして、その面でも悪いなら悪いなりに少しずつでもよくなっているのじゃなかろうかなというように思っておるわけでございます。  いずれにしましても、原因といたしましては自動車排出ガス規制が順次効果を上げてまいっておりますことと、それから主要な固定発生源の排出量が減少傾向にあることなどが反映しているものというぐあいに思うわけでございます。したがいまして、六十一年度に特に悪化した要因といたしましては冬季におきます風の強い西高東低の気圧配置の出現頻度が例年に比べ少ないという特殊な気候、気象条件の影響であろうというぐあいに思っているわけでございます。いずれにしましても環境基準が未達成の状況にあるわけでございますので、私どもいろいろな面での二酸化窒素対策につきましては今後とも精いっぱい努力してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  187. 岩佐恵美

    岩佐委員 気象のせいにするわけにいかないので、いかなる気象の条件においてもきれいな環境が保たれていかなければいけないわけであります。今お話がありましたように、NOx総量規制を行っている東京、神奈川、大阪の自動車局では未達成が六十八局中五十二局、七六・五%にも達しているわけであります。NO2の環境基準未達成局、これは一般局、自動車局とも前年より増加をしているわけであります。具体的にこういう対策についてどういうふうにされていかれるのか、先ほどの議論もいろいろあるわけでありますけれども、かいつまんでちょっと説明をしていただきたいと思います。
  188. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 NO2対策といたしましては、簡単に申し上げますれば、まず第一に固定発生源の対策一つございます。それから移動発生源といたしましては自動車に対する単体規制の強化ということであろうかと思います。それから三番目には、そういう自動車の交通量、交通の流れ、それは人流、物流、交通流とあるわけでございますが、そういう面での不要不急な車をできるだけ抑制するという方向で考えたいと思っているわけでございます。一応この三つの柱を基本に置きまして各種の対策を講じてまいりたいというふうに思っておるところでございます。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
  189. 岩佐恵美

    岩佐委員 その対策について発表されたものを伺ったところでは、もし対策がうまくいって一九九〇年度、つまり三年後の自動車局での環境基準の達成、これが東京では五五%、神奈川では四七%、つまり五割から六割が未達成、そういう状況で全く大気が改善されるという点では展望のない状態であります。そういう中で自動車窒素酸化物汚染を免罪をする、これは一層被害を深刻にするわけであります。私たちは人の命、これはもう本当に大事なものでありますし、だからこそこの公害指定地域解除、こういうことをしないで窒素酸化物指定要件に入れるべきだということを前国会でも強く主張したわけであります。公害指定地域について再度指定をする、これが当然ではないかというふうに思いますけれども、その点の御意見を伺いたいと思います。
  190. 目黒克己

    目黒政府委員 先生の御指摘大気汚染が改善されてない状況で再指定する。解除は妥当でないんじゃないかという御質問でございます。この点につきましては、先国会でも再々お答え申し上げたところでございますので簡略に御返答申し上げますけれども、まず第一点は、この現在の大気汚染の程度と申しますものは、この指定解除の根拠となっておりました中公審の答申で検討いたしておりますところの現状の大気汚染範囲内であるというふうに私ども考えておりまして、また先ほど行いました指定地域解除を改める必要はない、このように考えておるところでございます。いずれにいたしましても、今後は昨年の法律改正で行いました健康被害予防事業の着実な実施ということへ向けて進んでまいりたいということでございます。
  191. 岩佐恵美

    岩佐委員 ことしの二月の公害認定の申請、これは私どもの新聞の調査、赤旗の独自調査では二月の一カ月間だけで八千人以上です。これは一年間の認定患者数に大体近い数となるわけでありますけれども、私たちは公害はなくなっていない、潜在患者さんはたくさんいるし、これからも患者さんはふえる、そういうふうに指摘をしてきたわけであります。今回、二月の申請というのはそのことをはっきりと示したものであるというふうに思いますけれども、その点、どうとらえておられるか伺いたいと思います。
  192. 目黒克己

    目黒政府委員 御指摘の申請者の数でございますが、昭和六十二年の十一月末のものでございますけれども、六十二年の四月から十一月までこれは大体例年並みで推移をいたしてきたのでございます。しかしながらその後申請者の数は増加の傾向を示しているということは私ども地方公共団体からは聞いてはおりますけれども、現在六十三年二月末までの速報値を集計中という段階でございます。いずれにいたしましても、この増加の傾向でございますけれども、これは指定地域解除に伴いまして今後この補償給付のための申請が行えなくなるというようなことからある程度の申請の増があるということは私ども予想はしておったのでございます。この状況に対しまして、私どもは、これも先般再々お答え申し上げましたようにぜんそく等患者大気汚染以外の原因によっても発病するものでございまして、このような申請者がいるからといって現在の大気汚染ぜんそく等の主たる原因とは考えられず、また答申の趣旨からいいましても今回の地域指定解除は合理的で妥当であるということにいささかも変更もないのでございます。また私ども、既認定患者等につきましては従来どおり補償を継続するということでこれもまた先国会で御答弁申し上げたとおりのことでございます。
  193. 岩佐恵美

    岩佐委員 二月に申請しないと大変、そう考えて申請された患者さんは確かにおられると思います。ただ、この方々患者会の皆さんの運動の範囲といいますかそういうかなり意識があってこれはしないと大変だなというふうに思われた、そういう方々が大半であるというふうに推定をされます。恐らく法制度が変わったということを知らない方々が随分いらっしゃるんじゃないか。例えば今度法制度が変わりますというそういうことについても、東京のお知らせのうちのごくごく小さな部分にしか書いてないわけですから、恐らく気がつかれない方が多いんじゃないかというふうに思います。しかも昨年の二月に比べて川崎市では十倍の申請者があります。それから大阪府では十六倍、神戸、大牟田では五十倍以上の申請となっています。申請者の中には、これまでずっと我慢をしてきたけれどもここに来てやむにやまれない気持ちで申請された方が多いと聞いております。特に女性の場合には近所の評判や子供の結婚、そういうことを気にして我慢してきた例が多いというふうに言われておりますし、また企業に気兼ねをして申請に踏み切れなかった勤労者も多いというふうに言えると思います。そういう意味では、今回の申請者数がこれだけ多かったというのは潜在患者がいかに多いかということを示していると私たちは指摘せざるを得ないわけであります。今後、新規患者を放置する、これはもう当然のことだ、予防事業に力を注ぐのだというふうなことを環境庁は言われますけれども、実際はこういう潜在患者を放置して新規患者を切り捨てていくというのは、人間的に考えてやはり非情な仕打ちである。私は事務的に、こういうことはある程度予測されましたということだけで済ますべきではない、もっとこの事態を深刻にとらえて認識をしていただきたいということを強く訴えておきたいと思います。そこのところは大臣にぜひ踏まえていただきたいと思います。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕  次に、自動車による大気汚染、これはひどくなる一方でありますけれども自動車メーカーはNOx規制を実行しているから責任はない、こういうふうに言っているわけであります。しかし、大都市部では自動車の台数というのは急増しています。しかも、先ほどからも論議がされていますバスやトラック、これはNOx排出量の格段に多いディーゼル車、それも直噴式のものがふえているわけであります。こうした車を売って利益を上げているのは自動車メーカーであります。公害患者への補償費用自動車メーカーが全く負担しない、そして個々の自動車ユーザーからの税金で賄っている。だから、自動車メーカーは売らんかなの商法をやっていてもちっとも痛みを感じない、また、NOx排出量の改善の意欲もわかない、そういう状態になるのではないでしょうか。そういう点ではこういう点が非常に大きな問題であるというふうに私は思います。この点どう考えられますか。
  194. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 公害健康被害補償制度費用負担につきましては、先生承知のとおり汚染原因者負担ということを原則といたしております。そして、患者補償費用の二割分につきましては、自動車に係る負担分、移動発生源の負担分ということにいたしておるわけでございます。その負担を行います具体的な方式につきましては従来から種々の方式を検討いたしてきたところでございますが、制度発足以来自動車重量税からの引き当てという形で財源措置を講ずるという方式でこれを行ってきたところでございます。  御指摘自動車メーカーに負担を求めるということにつきましては、これはこれまでもいろいろ検討はいたしましたが、新しい車は対象にできるものの、汚染寄与度が高い使用過程にある自動車に負担を求められないために、自動車全体に係る費用を新規販売車のみに負担させるということになりまして公正が得られないのではないかというような問題があって、これまで適当でないというふうに取り扱ってきたところでございます。  六十三年度以降における自動車に係る費用負担につきましては、徴収コストの問題など従来からのいろいろな問題があるということがございますし、さらにまた今後患者補償費用が減少していくというようなこの段階で新たな費用負担の仕組みを設ける必要性は乏しいのではないかというようなこともあわせ考えまして、引き続き自動車重量税から財源措置を行うことが適当であるということで、今回の法案もそういう方針でお願いを申し上げているところでございます。  なお、中公審におきましても、自動車に係る費用負担のあり方につきまして今般の法律改正に当たりいろいろ検討をいただいたところでございますが、この検討の結果、引き続き自動車重量税から財源措置を行うことが適当であるというような結論をいただいているところでございます。
  195. 岩佐恵美

    岩佐委員 自動車の場合には洋服と違って注文でつくるわけではないわけですね。既製のものをユーザーが買うということになります。公害を出すという車、これを一番よく知っているのはつくっている人たちであります。その人たちが燃費が安いよとか力があるよということで売り込むわけですから、それはもう自動車メーカーの責任というのは非常に重大だと指摘せざるを得ないわけであります。  健康予防事業基金について先ほどからいろいろ議論があるところですが、当初環境庁は衆議院段階でもそれから参議院段階でも、法案が「成立しました暁には必ずこういう事業を行わせていただく。もちろんそのためには、五百億の規模を考えておるわけでございますが、この基金が特殊法人の中に設立されなければならないわけでございます。この点につきましては、関係方面は協力するという合意を既にまとめておられる旨の報告を受けております。」今読み上げたのは、八月二十一日当委員会金子委員に対しまして当時の加藤調整局長が答弁された内容であります。ところが自工会は五十億円しか出さなかった。残りは国が出すということになってしまっているわけであります。今の事態というのは、まさに国会できちんと答弁をされた、それに反することじゃないですか。
  196. 森幸男

    ○森(幸)政府委員 健康被害予防事業につきましての財源を確保するための基金は、大気汚染原因者からの拠出金によるほか、大気汚染関連事業者からの拠出金並びに国からの財政措置というものによって造成をすることとされておるところでございます。自動車メーカーにつきましては、大気汚染関連事業者ということで拠出を行うことといたしておりまして、国の財政措置と合わせまして百億円まで積み上げるという方針で応分の負担をしていただくこととしているところでございます。  それから、今お話がございましたが、国といたしましては当初より昨年の法律改正で加わりました附則の第十九条の四の規定にございますように「財政上の措置」を講ずるということがはっきり規定をされていたものでありまして、特に今回新たにこういうような出資の考え方を導入したものではございません。今回の法律改正は、その具体的な方法につきまして健康被害予防事業に関する政府の積極的な姿勢を示すために国の出資という方式によることとした、そういう内容法律改正をお願いいたしたところでございます。  なお、国の出資関連事業者拠出とにより、先ほど申しましたように基金五百億円のうち百億円分を積み上げるという方針でございます。
  197. 岩佐恵美

    岩佐委員 しかし、現に前国会では、こういう五百億円については、これはもうちゃんと関係方面は協力をする、合意を得ているというふうにはっきり答弁されておられるわけですね。それが今、国が積極姿勢を示した方がいいからある程度積み上げるんだとか、いろいろ言われるけれども、私、それは環境庁の苦し紛れの言いわけにしか過ぎないというふうに思います。自動車メーカーに対してこういうふうな弱い態度だからNOxによる大気汚染がなくならない、また患者さんがますます苦しめられる、そういうことになると思うのですね。  先ほどからの議論もありますけれども、現在の五十億円についても、これが一体どうなのかという点について質問の中で非常に不安になってくる。これはきちんと確認をしておかなければいけない、そういう事態にまで立ち至っているわけであります。その点について大臣に、基本を踏まえてきちんと自動車メーカーに対して厳しく対処していく、そういう決意をお伺いをしておきたいというふうに思います。
  198. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私たちの普通の慣習というものからいうと、被害者がある、加害者があるという中で処理されるという中に、いわゆる今先生指摘自動車工業会、こういうものはそういう普通の慣行からいうたら外れておるところに問題がある。しかしだれが言うても、今先生指摘のように、全然これが関係ないというような位置に置いておくのはおかしいじゃないかというところからこれを組み入れてきたというふうに御理解いただければいいんじゃないか。初めから関係の二次的なものを主体だ、こういうふうに考えていくと、今先生のおっしゃるような議論が展開されていくけれども、普通の慣行では違うんだという立場がございますので、そういう中でここへ引き入れたとお考えをいただければ御理解いただけると思います。  ただ、今申しますように、私ども自工会に弱気じゃないのですよ。原因がそこにあれば私どもぴちっとやりますから、その点遠慮して言うてないんだということだけひとつ御理解を得たいと思います。
  199. 岩佐恵美

    岩佐委員 そこのところはもう従前、前国会でも議論したところでありますので、これは強く大臣の方に――自工会について免罪をするような、そういう事態というのが患者さんを苦しめる、あるいは新規の患者さんをつくり出すということにつながるおそれが非常に強いわけですから、そこのところはきちっとやっていただきたいというふうに思います。  次に、具体的な問題、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。  NOx低減策の一つにバス専用レーン、これを挙げておられます。東京の町田市でも実施に踏み切ることになったわけでありますけれども、しかしバス専用レーンをつくってもアフターケアがきちんとされないと効果が上がらない、そういう問題がございます。  ここに一月二十四日付の朝日新聞の投書がありますので、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。見出しは「バス優先道路確保頼みます」。   私は私鉄バスの運転手です。主に、JR渋谷より、国道246号を走り、世田谷街道に入って走ります。   三軒茶屋から渋谷のそこまでは相当数のバスが走りますので、朝と夕は「バス優先」の表示がされています。道交法にも載っていて、始まったころは、渋滞する一般車両に悪いなと思うほど、優先の時間帯はスイスイと走り、一般道での渋滞で遅れた分を取り戻していたのです。   一年たち二年たち、指定していた白ペイントは薄くなり、道路に埋め込んである黄色のライトは消え、違法駐車はのんびり居座っています。もちろん、すきがあれば一般車両も堂々と走り回り、時折立っている警官をみては急いで逃げて行きます。やむを得ず一一〇番通報しても「人手不足です。努力します」の答えが返ってくるだけ。大きなバスは、小型車一台のために、右に割り込んだり、左に寄ったりしなければならないこともあります。 ということで、アフターケアの重要性ということを非常に強調をしておられるわけであります。  この点について環境庁がまとめて、こういうバス専用レーンを意欲的につくろうということでありますので、具体的に伺いたいと思います。
  200. 長谷川慧重

    ○長谷川(慧)政府委員 先般発表いたしました大都市自動車交通対策等計画の中におきましても、先生からお話ございましたバスの利用を促進するためのバスレーンを設置するという対策が盛り込まれているわけでございます。そういう面でバスの利用を促進するためには、バスレーンを設置するということによりまして非常にバスの利用率が高まるだろうというぐあいに思っているわけでございます。  こういう計画をつくりますためには、この計画を策定した検討会におきまして、関係省庁あるいは自治体の協力も得てこの検討計画をつくっているわけでございますので、その実施上の問題点や解決策を明らかにいたしまして、今後とも対策が適切に実施されるように図ってまいりたいというように思うわけでございます。  特に、この検討会は引き続きこの計画のフォローアップをやるということになっているわけでございますので、こういう検討会の場におきましてあるいは私ども別個に設けてございます道路交通公害対策関係省庁連絡会議の場合もあるわけでございますので、こういう場所等を利用いたしまして、このバスレーンの設置あるいはバスレーンとしての機能が維持されるように、関係の機関に対して協力を求めてまいりたいというぐあいに思っておるところでございます。
  201. 岩佐恵美

    岩佐委員 予防事業内容についてちょっと伺いたいと思います。  この事業は基本的には既存の認定患者以外の人を対象にしているわけでありますけれども患者さんたちの中からは、患者の健康回復に役立つような事業を行うべきだ、こういう意見もありますけれども、この点についてはどうですか。
  202. 目黒克己

    目黒政府委員 この予防事業につきましては先生今おっしゃったように、原則として私どもはこれは今までの既認定患者さんを対象としないというふうに考えているところでございます。
  203. 岩佐恵美

    岩佐委員 現在の既存患者に対する保健福祉事業、この充実を求める声が強いわけであります。  尼崎市の認定患者対象にして行われたアンケート調査、これでは、福祉事業の改善を非常に望むかという問いに対して、はいと答えた方が六一・一%、いいえが一四・一%、わからないが二四・二%、つまり過半数が改善を望んでいるわけであります。尼崎市は市独自に上乗せをして、本来の補償制度による事業費の四倍もの予算を投入をしているけれども、それでも患者さんの間からは不満が出ているわけであります。国の制度の枠だけだったらいかに不十分かということをこの例は示しているというふうに思います。一九八六年十月の中公審答申でも「転地療養等の事業を一層充実」をする必要がある、こういうふうに言っているわけであります。福祉事業の改善を図るべきだと思いますが、いかがですか。
  204. 目黒克己

    目黒政府委員 公害保健福祉事業につきましては、これはこの法制定以来続けられているものでございまして、さまざまの論議の中、またこの長い間に患者さんのあるいは関係者各位からの御意見等を取り入れながら今のような形に推移しているものでございます。私ども、現在のこの制度を今の形で続けてまいりたい、このように考えているところでございます。
  205. 岩佐恵美

    岩佐委員 大臣、保健部長といつもやり合いますと、今みたいにすぐ木で鼻をくくったような答弁しか出てこないわけであります。非常に私はこの点よくないというふうに思っているのですね。やはり患者さんのために行っている事業でありますから、患者さんの意見を十分聞きながら、聞く耳を持ちながらやっていくことが大事であるというふうに思います。大臣からしかるべく、血の通った答弁を伺いたいと思います。
  206. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 私も今先生お話聞いておりまして、そうだなという考えを、一緒になって聞いておるわけです。今の患者さん、一日も早く治ってもらうということが大事なんだから、そうして我々が、今の補償制度で一日も早く治すということの方がまたこれ一つの責務でありますから、そういうことを踏まえていろいろ検討もしていきたいと思います。
  207. 岩佐恵美

    岩佐委員 新規の予防事業の中にぜんそく児のキャンプ合宿があるわけです。これは対象認定患者でないという点は違うのですが、内容的には従来の福祉事業の中で転地療養の一つとして行われてきたキャンプ合宿と同じものだと思います。中公審答申では、予防事業と従来の福祉事業とは性格は違うけれども内容においては類似のものもあり、「事業内容によっては、あわせて行うことが事業運営の上において効率的な場合があろう。」というふうに指摘をしています。このキャンプ合宿などはそういう例に当たるのじゃないかというふうに思いますが、いかがなんでしょうか。
  208. 目黒克己

    目黒政府委員 木で鼻をくくったようなということでおしかりを受けて大変恐縮でございますが、実は私、前に長々と御答弁申し上げて大変おしかりを受けましたので簡便に御答弁申し上げたわけでございますが、できる限り丁寧にしたいと思います。  この公害保健福祉事業につきましては、御指摘のように一部にぜんそくキャンプあるいは水泳教室といったように同じような内容のものがあることは事実でございます。これは、私ども予防事業をどういう事業をするかというメニューを考えていきます場合に、従来私どもが行ってまいりました保健福祉事業内容あるいは地方公共団体の御意見等を聞きながら入れていった結果このようになったのでございます。したがいまして、この類似のものをあわせて一緒に実態上は行うことは私ども当然と考えておるのでございます。したがいまして、あるキャンプを行う、予防事業対象となる方あるいは保健福祉事業対象となる方、それがそれぞれこの現場の地方公共団体においては恐らく当然保健婦さんあるいは保健所の方々等が中心になって行うわけでございますので、当然そこでもって同じような形で行われるものについてはそのようなことは当然のことであろう。事業を行う上で効率的である、このように私ども考えているところでございます。
  209. 岩佐恵美

    岩佐委員 そこで、私が予防事業と福祉事業とびしっと線を引いてどうのこうのできないのじゃないかということで最初にお話をしたわけですけれども、下に行けば予防事業も福祉事業も同じになるわけですね。そういう点は十分踏まえてやっていかれるだろうと思いますけれども、これも先ほど木で鼻をくくったような答弁になっていたものですから、そこのところはそういうとらえ方だということで理解をしておきます。  ちょっと細かい点になりますけれども予防事業のキャンプ合宿の場合には、地方自治体は、これからのあれは全額原因者負担になりますから地方自治体の負担は予防事業ではゼロなわけですね。ところが、従来の認定患者さんを対象にした福祉事業では四分の一地方自治体が負担をする。ですから、同じキャンプ合宿でもそういう資金的にちょっとアンバランスが生じるわけであります。こういうケースの場合に、現行の福祉事業予防事業に合わせて自治体負担をゼロにするぐらいの思い切った施策も考えていく必要があるのじゃないかというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  210. 目黒克己

    目黒政府委員 この費用負担の場合でございますが、先ほど申し上げましたキャンプ等で両方の、保健福祉事業とそれから新たに行います基金予防事業との基金財源の分担ということは、例えば認定患者さんの数と予防事業対象となる方の数で、恐らく現場の地方公共団体は案分比例ということでいかれようと思いますし、私どももそのとおりになるだろうと思っているのでございます。  次に御指摘の、公害保健福祉事業についても全額汚染原因者の負担という形にという御質問と私ども受けとめているわけでございますが、この点につきましては、公害保健福祉事業制度発足当初、先ほど申し上げましたようにさまざまな議論がありまして、この費用負担についても関係者の合意を得、国会法律としてお決めをいただいたというような経緯もあるわけでございます。このような経緯を踏まえまして、私ども、この費用負担については従前どおり今の形のものを、この公害保健福祉事業認定患者方々のこのものにつきましては費用負担を変更することは考えてないのでございます。
  211. 岩佐恵美

    岩佐委員 やはり矛盾が生じると思いますので、そこもきちっと対応していかれるように、後でまたまとめて大臣の答弁の中でちょっと触れていただきたいと思いますけれども、時間がありませんので幾つかまとめてお伺いさせていただきたいと思います。  現在、民間団体などでぜんそく児のサマーキャンプなどに取り組んでいるところがかなりあり、効果を上げています。ところが、公的補助がないので大変苦しんでおられるのです。愛知県で民間団体がやっているキャンプの場合、百五十人の児童に対して医師、看護婦、親御さん、ボランティアの学生さん、大体百人ぐらいがついていって、全部で三百万円ぐらいかかるということであります。参加するスタッフは自分の費用はそれぞれが負担をしているわけであります。ボランティアの活動というのは、それはよさはよさであるのですけれども、これだけに頼っていたら行き詰まってしまうということがあります。さらに、バザーをやったり、いろいろ大変苦労しているけれども、親の負担が二万円ぐらいかかる。こういうところに基金を活用する必要があるのじゃないだろうか。  それから、患者さんの中にはいつでも使える療養施設が欲しいという要求も強いわけで、これの建設について積極的に取り組んでいくべきではないかということです。  それから、子供たちが療養しながら勉強ができる健康学園、東京では区が独自事業で行っています。全部が全部公害患者さん、公害の子供たちだけではないのです。肥満児なんかも最近の特徴として入っているということでありますが、公害の子供はそこに入ることによって勉強しながら療養するということで非常に効果が上がっていると伺っています。国としてもこうした積極的な事業については位置づけをして、そして援助をしていく必要があるというふうに思います。  ちょっとまとめて幾つか提案を申し上げるわけでありますけれども、時間の関係でまとめて御答弁いただきたいと思います。
  212. 堀内俊夫

    堀内国務大臣 今、先生のいろいろな御提案を聞いておりますと、ボランティアであったり、そして必然的に金がかかってもみんなやっておるというような事業もいろいろあるようでございます。聞いておるだけでいろいろ新しい私たちの仕事というものを、大体二十五億程度でやるわけでございますから、きょうはみんな非常に参考にしながら聞いておると思います。そういう意味で、事業がうまくマッチできたらなおいいのに、また、民間から自然に発生したような事業に乗っていったらもっと効果もあるんだというような気持ちで承っておるところでございますので、十分参考にしながら新しい事業と取り組んでいきたいと思います。
  213. 岩佐恵美

    岩佐委員 これで終わりたいと思いますけれども、新しい予防事業について、その財源についても内容についても今までちょっと指摘してきたような問題点がいろいろあると思います。特に心配なのは、基金五百億円を積み上げる、そういうことで既存の患者さんを切り捨てるようなことが行われる、こういうことについては皆さん非常に危惧の念を持っておられます。既存の患者さんの既得権及び利益を損なわないようにするという点については、これは厳重に守っていただきたいというふうに思います。また、NOxの汚染について沿道地域そのほかではかなり深刻でありますから、こうした問題を放置をしないできちっと対応していく、このことを強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  214. 吹田愰

    吹田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る二十五日金曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十九分散会