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1988-04-15 第112回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十五日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 糸山英太郎君    理事 甘利  明君 理事 北川 石松君    理事 中山 利生君 理事 浜野  剛君    理事 高沢 寅男君 理事 神崎 武法君    理事 永末 英一君       天野 公義君    石井  一君       大石 正光君    鯨岡 兵輔君       椎名 素夫君    塩谷 一夫君       村上誠一郎君    森  美秀君       石橋 政嗣君    岩垂寿喜男君       上原 康助君    岡田 利春君       河上 民雄君    伏屋 修治君       正木 良明君    岡崎万寿秀君       松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宇野 宗佑君  出席政府委員         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁建設         部長      田原 敬造君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         沖縄開発庁総務         局長      勝又 博明君         外務大臣官房審         議官      谷野作太郎君         外務大臣官房審         議官      福田  博君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 有馬 龍夫君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      山下新太郎君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   村田 直昭君         防衛庁防衛局計         画官      太田 洋次君         外務大臣官房審         議官      兵藤 長雄君         外務大臣官房審         議官      小原  武君         文化庁文化財保         護部記念物課長 小林 孝男君         外務委員会調査         室長      藪  忠綱君     ───────────── 委員異動 四月十五日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     岡田 利春君 同日  理事永末英一君同月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として永末英一君が理事に当選した。     ───────────── 四月十五日  特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約第六条及び第七条の改正の受諾について承認を求めるの件(条約第六号)(参議院送付) 同月十四日  核兵器の廃絶に関する請願古川雅司紹介)(第一三九四号)  永世中立宣言等に関する請願外一件(中沢健次紹介)(第一三九五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第七号)      ────◇─────
  2. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事永末英一君を指名いたします。      ────◇─────
  4. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  5. 上原康助

    上原委員 アフガン問題について冒頭少しお尋ねしたかったのですが、大臣がまだお見えになりませんので、今委員長からもきょうの審議案件についてお話がありましたように、いわゆる労務費協定改定についてまずお尋ねをしたいと思います。  本来ならこの種の労務費負担というのは使用者である米側負担であるべきである。ただ、日米両国経済力変化、加えて昨今の円高ドル安という異常な状況下では、この趣旨説明にもありますように、駐留軍労働者雇用の安定という観点からすれば、雇用主責任という立場から、日米労働慣行の違いによる社会的手当を我が方が負担せざるを得ないという点もあろうかと思うのです。その点は理解をしないわけでもありません。  しかし、昨年の六月に協定ができて一年もたたないうちにまた協定改定するというようなことは、安易に米側要求に応じている嫌いはないのか、こう感ぜざるを得ないわけですが、まずこの点についての御見解をただしておきたいと存じます。
  6. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先生の御質問の中にございましたように、今回特別協定改定をお願いいたしまして、お願いしている理由と申しますのは、日米両国を取り巻く経済情勢が最近におきまして一層の変化を見せておって、そのために在日米軍経費が著しく圧迫されている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、もって在日米軍効果的活動を確保するとの観点から在日米軍経費我が国負担増加を図ることが適切であると判断して今般の措置をとることとしたものでございます。  したがいまして、これは自主的な措置であって、米側の要請にのみこたえているということではございません。
  7. 上原康助

    上原委員 昨年の協定を制定するときもそのような御説明をしておったわけですが、やはり地位協定の解釈上からしてもいろいろ問題があるという点を改めて指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、今度のこの協定改定がなされると、八つ手当全額負担できるようになる。今、思いやり予算その他いろいろ問題がありますように、最初が五〇%だった、今度の改定では全額もしくは一部ということになるわけですが、いわゆる上限八つ手当については全額負担が可能だ。  こうなりますと、一般的に懸念されていることは、この調子でいくと、この次は基本給の分まで日本側負担をすることになるのじゃないのか。例えば農産物の自由化の問題も、十二品目が十品目になって八品目になってとうとう輸入自由化に踏み切らざるを得なかった。今牛肉、オレンジが問題になっておる、本願は米だ、こういう懸念をみんな持っているわけですね。  私は、やはり日本側としてそこまで労務費負担というものは絶対に踏み込むべき筋合いのものではない、こう考えるわけですが、政府はこの点についてはいかようにお考えですか。
  8. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先ほども申し上げたことでございますけれども、今般の改正理由と申しますのは、在日米軍経費が著しく圧迫されているという事態にこたえて、現行労務費特別協定対象としている八種類の手当についてこれを全額持つということでございますが、これは暫定的、特例的、限定的な性格のものでございまして、今般明らかにされておりますもの以外の措置をとることは、今検討しておりません。
  9. 上原康助

    上原委員 ですから、私がお尋ねしているポイントは、基本給の分まで踏み込むべきでない、またそういう考えは恐らく政府にもないと思うのだが、その点はどうかということを尋ねている。
  10. 有馬龍夫

    有馬政府委員 政府といたしましては、基本給負担対象として検討を行っているということはございませんので、法律論も含めてこの時点であれこれ申し上げることば差し控えさせていただきたいと思います。
  11. 上原康助

    上原委員 次に、今度協定改定されることによって、果たして駐留軍従業員雇用の安定が図られるのかということもよく吟味をしておかなければいかぬことだと思うのですね。余りにも見え見えなんですが、きょうからこの協定審議に入るからかもしれませんが、昨年七月に発表された沖縄における海兵隊クラブの三百三名の解雇を撤回するという公式発表が、けさなされた。余りにも時間もかかったし、こういうやり方も問題があると思うのですね。  仮にこの協定が通過をするとすれば、果たして昨年七月のような沖縄米海兵隊で起きた解雇問題が在日米軍基地で発生しないという保証があるのかどうか。こういうことについては米側とはどのような協議がなされ、また何らかの合意が成り立っているのかどうか、その点も明確にしておいていただきたいと存じます。
  12. 山崎博司

    山崎政府委員 ただいま御審議をお願いいたしておりますこの特別協定駐留軍従業員雇用の安定を目的としていること、我が国として厳しい財政事情の中で地位協定、さらに昨年六月からは特別協定に基づきまして労務費負担についてできるだけの努力をしているということにつきましては、米側十分承知をし、高く評価をしているところでございます。  本年の一月、瓦防衛庁長官が訪米いたしましてカールーチ米国防長官と会談いたしておりますけれども、その際も、本年の一月に政府与党首脳会議で決定されました特別協定改正労務費負担増加を図るという方針説明いたしておりますが、その際、同米国防長官の方から、今回のこのような日本政府方針決定がなければ相当程度人員整理も懸念されたけれども、これが回避できて喜ばしいといったような発言もございましたし、また駐留軍従業員雇用の安定について特段の配慮をするということも約しておられます。  そのような経緯等もございまして、ただいま委員から御発言がございましたように、昨年七月に発生いたしました沖縄海兵隊クラブ人員整理問題でございますけれども、これが十六名の昨年九月三十日付の人員整理を除いては全員雇用が継続したということも、これまた特別協定の、さらには今回の特別協定改定についての雇用安定の効果というものを示している一つの証左ではないかと考えている次第でございます。
  13. 上原康助

    上原委員 ですから、この協定改定することは、皆さんがたびたび強調しておられる雇用の安定を図るための措置だ。そうであるならば、さらに増額をするわけだから、日本側としても雇用形態というものについてもより積極的に責任を持つというか、あるいは米側に強く主張できる立場にあると私は思うので、そういう面で新たな解雇問題が起きるとか、また米側の一方的なやり方雇用のあり方というものが乱されるとかいうことはなくなるのかどうか、それを聞いているわけです。
  14. 山崎博司

    山崎政府委員 私どもは各般の問題について在日米軍担当部署とはしばしば会っておりますけれども機会を求めては従業員雇用の安定については十分の配慮も要請しておりますし、また、現在のところ特にまとまった規模の人員整理があるということは承知いたしておりません。米側十分雇用の安定について配慮しているということでございます。
  15. 上原康助

    上原委員 去年もそういうことをおっしゃっておったと記憶しているわけですが、協定が六月にできて七月にはもう解雇が発生したわけですね。またそういうことがあっては決してならぬと思うので、その点は特に御配慮いただきたい。御配慮というか強く要求をしておきたいと思います。  そこでもう一点。先ほど協定暫定的措置である、協定の期限は六十七年三月末となっておるわけです。そうしますと、それ以降の措置はどのようになるのか。これも一応頭に置いてこの基地労働雇用の問題というのは考えておかなければいかぬ性質のものだと私は思うのですが、この点は現段階で確定的なことはなかなかお答えいただけないかもしれませんが、一応の政府考え方もあわせて聞いておかなければいけない問題でありますので、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  16. 有馬龍夫

    有馬政府委員 特別協定有効期間、一九九二年三月三十一日まででございますけれども、そのことにつきましては、現時点で予断することは差し控えさせていただきたいと思います。
  17. 上原康助

    上原委員 次に、今度の六十三年度予算では労務関係費が四百三十五億六千百万、トータルでたしかそうなっておろうかと思います。現在の在日米軍雇用されているところのMLC、MC、IHAの全体の労務費は幾らになっているのか、日米間の負担割合はどうなっているのか、それをお答えいただきたいと思います。
  18. 山崎博司

    山崎政府委員 お答え申し上げます。  昭和六十二年度の在日米軍労務費の総額は千百七十三億円と推計されております。六十三年度につきましては、これはこれからでございますが、千百九十六億円と想定されております。  その割合でございますが、六十二年度についてはおおむね七割が米側負担残り三割が日本側負担、六十三年度については六六%、約三分の二が米側負担残り三分の一が日本側負担ということになってございます。
  19. 上原康助

    上原委員 そこで、上限である八つ手当全額負担した場合はどういう割合になるのですか。
  20. 山崎博司

    山崎政府委員 全額というのは、六十三年度の御審議でお願いしております特別協定関係予算が二百九億でございますが、これは単純に倍になったと仮定いたしまして、千百九十六億ほどの中の割合を計算いたしますと五二%弱、こういう数字になろうかと思います。
  21. 上原康助

    上原委員 そこで細かいことは控えるというか時間の都合がありますので、資料を提供していただきたいわけです。  今お答えのありましたMLCIHAに分けた資料を、負担額、それから八つ手当分、その他の手当もたしかありますね、超勤であるとか祝祭日手当であるとかいろいろあると思うので、それがどのくらいの金額になっておるのかというのが一つ。  それと沖縄本土に分けたMLCIHA負担額。さらに現在主にIHAに導入されているというHPTの数、いわゆる時給制臨時雇用の数、そのHPT給与はどうなっているのか。  それからもう一つ常用パートの数、常用パートのこの給与というか賃金状況はどうなっているのかという点。それから勤務時間数。こういうことについての関連資料を御提出願いたいと思いますが、よろしいですね。
  22. 山崎博司

    山崎政府委員 ただいまお申し越しのございました資料のうちで、労務経費の中に占めるいわゆるMLCIHA別の推計というのは実は予算算定上はじき出しておりません。これにつきましてはかなり膨大な作業になりますが、御要求のございました本土沖縄別については十分可能と承知いたしております。  なお、そのほかの資料については速やかに調査して提出したい、このように考えます。
  23. 上原康助

    上原委員 できるだけ私が要望したことに沿って御提出を願いたいと思います。  そこで問題は、このように日本側負担がふえているにもかかわらず人事権はやはり使用主という立場での米側にあるわけです。しかし、一方また雇用主責任日本側にある。非常に矛盾したというか変則的な雇用形態なわけです。私はこれは大臣にもよくお聞きになっていただきたいわけですが、日本側がこれだけ負担をするというならば、もう少し人事裁量権というものについても米側の一方的なやり方というものを阻止と言うと抵抗感があるかもしれませんが、やめさせる必要があると私は思うのです。  例えばどんどんHPTを導入しているとかパートを採用していくとか、これは事の性質上、職場性格上やむを得ない分野もあると私は思うのですが、しかしドル安円高だということで人事裁量権使用権向こうにあるからというだけで向こう自由裁量で今やっている節はないのかどうか。  もう一つ定年退職補充についてはこれまでも相当問題になってきているわけですが、定年退職で年間たしか全体で五、六百くらいやめているのじゃないですか。もし詳しい数字があればお答えいただきたいわけですが、その補充等についても、これは原則としてというかやはり常用雇用として補充をすべきだと思うのです。したがって、このようなことについてもAB間あるいは外交マターとしての日米間でよく協議をし、十分日本側意向というものあるいは関係労働団体意向というものも尊重される、こういうこともあわせて改善をしていかなければいかない非常に重要な問題だと思うのですが、この点はいかように改善していかれるおつもりですか。
  24. 山崎博司

    山崎政府委員 ただいまのHPTの問題、それからパートの問題、こういうお尋ねでございましたので、まず簡単にどういうものかということを御説明申し上げたいと思います。  まずHPTでございますが、これは時給制によります臨時雇用制度でございまして、俗に言うパートタイマー、アルバイト、こういったものでございます。一方、駐留軍従業員パートと申しますのは、これは常用雇用の一形態でございまして、ただ単に週当たり労働時間数が四十時間に満たないもの、こういうことでございまして、身分的には全く常用と変わりございません。  それを前提とした上で、IHAにつきましてHPTが、現在では千百名くらいと思いましたが、いることは確かでございます。と同時に、昨今の経済情勢の変動に伴いまして米側財政事情も大変窮乏いたしております。そのために現在IHAに導入されておりますが、IHAというのはクラブPXでございますが、さらに部隊とか司令部に勤務するいわゆる政府雇用職場にも導入したいという強い要望がございます。  この問題については現在日米間で鋭意協議中でございますけれども、私ども今の段階でどういう方向かということは明らかにできませんけれども、基本的に先生がおっしゃるように本来的に常用で占めているポストの方が定年でやめたときにいわゆる常用雇用すべきだという原則はまさに先生のおっしゃるとおりであろうと思います。  ただ、そういった仕事の中にも極めて軽易な単純作業あるいは補助業務、こういったものについて定年者の後をHPTの形で導入する、あるいは臨時的な業務、季節的な繁閑のある業務についてその種のものを導入するということを一概に認めないというのもいかがか、こう考えております。いずれにいたしましても、そういった導入の検討に当たっては、現在おります常用従業員雇用に好ましくない影響を与えないように十分配慮してまいりたい、このように考えております。
  25. 上原康助

    上原委員 そのほかにも懸案事項がいろいろ残っておると思うのです。AB間の問題とか労使間で低等級問題であるとか祝祭日問題、そういうことも協定だけ食い逃げするような形で懸案事項はまた片づかないということでも困ると思うので、その点もあわせて解決を図ってもらいたいと思います。  そこで大臣、私が今申し上げたようなこと等について、これは単なる労務問題というよりもやはり重要な外交案件でもあるわけです。今度の協定をこれだけの日本側負担をふやす、ふやさざるを得ないという立場からすると、さっきも申し上げたようなもっと米側の一方的な解雇とか人事裁量を振り回すようなことをさせないという歯どめも必要だと思うのですが、この件についての大臣の御見解をお聞かせください。
  26. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 政府委員からもずっとお答えいたしたと思いますが、今回は従業員雇用の安定を目的といたしておりますから、勢いこのことはアメリカに対しましても日本政府の自発的な一つ考え方としてこうしますということを伝えてあるわけでありますし、同時にまた雇用問題に関しましても日米安保体制をスムーズに運営していくというのが私たち考え方でありますので、従業員問題はその重要な一環であるということも私たちは常に主張いたしておる次第でございます。  幸いなるかな、上原さんの方は見え見えだというような表現を使われましたが、決して見え見えではなくして、今朝沖縄マリーン基地従業員の問題は解決を見ましておめでたいことだと思うのですが、こうしたことにおいて本当に我が国政府雇用の安定ということに対します熱意のほども米軍としては知っていただいておるのではなかろうか、かように思います。  したがいまして、今後も、こうして特別協定を結んでそして議会の御承認を仰ぎました以上は、今申されましたようなことも随時米軍と出会うたびにいろいろ私たちといたしましても非常に重大な関心があるということは申し伝えなければならぬ、かように思っております。
  27. 上原康助

    上原委員 この協定についてはきょうのところはこの程度にとめておきたいと思うのですが、次にアフガン和平協定について、せっかくの機会ですから、外務大臣の御見解を聞かしていただきたいと思うのです。  御承知のように、昨日アフガン和平協定がジュネーブでアフガニスタンパキスタン間接交渉合意など四つの文書の調印がなされました。これはまさに和平への歴史的な一ページだと私は高く評価をするわけです。とりわけ、このアフガンパキスタン両国米ソの四カ国の外相が署名をしたということ、いろいろありますけれども、これによってアフガニスタン駐留ソ連軍は五月十五日から九カ月間で撤退をしていくということになりますね。特に国連の仲介、米ソ両大国の保証という枠組みでの解決策は、これまでの国連のこの種和平解決策でも初めてだと言われているようであります。  そうしますと、今一番紛争の激しい中東など他の地域の紛争解決への波及効果も期待されると私は思うのです。そういう面からしますと、日本としても和平を促進していく立場から何らかの協力体制というものをやはりやるべきだと私は思うのです。その点についてどのようなお考えをお持ちか、明らかにしていただきたいと存じます。
  28. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 昨日の和平合意は本当に歓迎すべきことであると存じます。特に我が国外交も世界に貢献する、その中におきましても平和にも貢献しなくちゃいかぬということを強く打ち出しまして、アフガンはもちろんのこと、イラン・イラク紛争に関しましても、さらにはまた西岸、ガザの問題に関しましても、カンボジアに関しましても、実はいろいろと国連の機関と意思を通じながら私たちは私たちとしての外交を展開している最中のアフガン合意でございますから、それだけに私たちといたしましても平和外交に貢献する一ページが開けた、かように喜んでおる次第でございます。  今上原委員からも御指摘のとおりに、当然今後そうしたものに大きく貢献しなくちゃなりませんが、とりあえずソ連軍撤退ということが直ちに行われます。何分にも十万でございますから、国連といたしましても当事国も大変なことではないかと思いますが、これに対しまして一応国連監視団というものがつくられるということになっておりますので、私は、相当な経費が要るのではなかろうか。さらにはまたパキスタンにも、国連保護下にありますけれども、難民の方々も大変たくさんいらっしゃる。こうした方々も本国へ無事お帰りになるというふうなこと等を考えますと、国連といたしましても非常に今回の和平はアフターケアにおいて相当スケールの大きなものになる。  こういうふうなことも考えられますし、当然軍隊だけの監視団派遣ではなくして文民派遣ということも考えられてしかるべきである、またそういう考えもあるというふうなことでございますので、私たちといたしましては、そうした経費の面におきましては拠出金の中からひとつ使っていただいてよかろうというふうなことも考えておりまするし、さらにはまた、監視団の中には、文民派遣ならば、これは当然国連に寄与するという意味合いからも大切なことではなかろうか、こう思っておりますので、そうしたことを現時点においては準備をいたしておるというところでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 もちろん我が国が援助をするといっても一定の枠があることは指摘を申し上げるまでもないので、経済的側面、特に難民の方々――難民というかアフガンパキスタンにおるいわゆる難民の帰国の場合の後の経済援助、医療とかあるいは食糧等、そういうことに今こそ日本経済力というもので貢献をしていくということが日本に対する国際的信頼関係をより高めることになると私は思うし、また、そのことが日本としての大きな役割じゃなかろうかと思うのですね。  若干今具体的なお答えもありましたが、ぜひひとつそういうことで、これからのアフガンの民生を安定させるということはなかなか容易な道のりではないとは思うのですが、これだけ国際的に問題になった紛争地域であったので、今大臣お述べになったような方向で積極的な御努力を要望しておきたいと思います。  次は、沖縄米軍基地の問題についてお尋ねをしたいと思います。  いわゆる沖縄国会と言われた第六十七回国会の所信表明で当時の佐藤総理は、  私は、これまでことばに尽くしがたい辛酸をなめてこられた沖縄百万の県民に対し、全国民とともに、衷心よりその御労苦をねぎらうものであります。さきの戦争においては、おとなも子供も、男も女も、全島あげて祖国防衛の第一線に殉じ、戦後は二十余年の長きにわたって外国の施政権下に置かれてきたこれら同胞の方々に対し、ほんとうに御苦労をおかけいたしました、と申し上げる以外のことばを知らないのであります。この上は、その御労苦に報いるためにも、一日も早く円滑な復帰を実現し、明るく豊かでそして平和な沖縄県を建設することが、われわれに課せられた使命であると信ずるものであります。 こう述べたんですね。  私が、なぜあえて今このことを引用するかといいますと、復帰後十六年近くなりますと、なかなかこういうことが忘れ去られている感がするからです。さらに、第六十八国会の施政方針演説でも佐藤総理は、  沖縄における人口密集地及び産業開発と密接な関係にある地域に存在する米軍施設区域については、復帰後できる限り整理縮小することについても米側の理解を得ております。 また、   沖縄百万の同胞は、戦中、戦後を通じて大きな犠牲を払ってこられました。われわれは沖縄同胞の苦悩を忘れてはならないのであります。国民各位とともに、沖縄県民の御労苦を深くねぎらいたいと思います。そのためには、平和で豊かな県づくりに全力をあげなければなりません。 こう述べましたね。  私も当時から国会におりましたので、よく記憶をしておるわけです。そしてこういう方向でいわゆる核抜き本土並み返還ということで復帰をしたわけですが、復帰後、四十八年の第十四回、昭和四十九年の第十五回、それから五十一年の第十六回、各日米安全保障協議委員会において沖縄米軍基地の返還について合意を見ております。  しかし、その合意されたところの基地返還の実態を見てみますと、何と返還率はわずかに三五%にすぎない。まことに遺憾のきわみですね。また、基地返還が進まない最大の理由は、移設条件がついているので、狭い沖縄では移設の設定が極めて困難な状況にある。だから返還が難しい。したがって、基地の整理縮小の一番の隘路になっているのはこの条件つき返還にあるわけなんですね。この点について政府は一体どういうふうにお考えなのか、どう認識をしておられるのか、まずここら辺からお聞かせください。
  30. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  沖縄の県民の皆さんには、戦中戦後大変御苦労をおかけしたということは私ども十分承知をいたしておりまして、また米軍基地も非常に大きな面積を占めておりまして、沖縄の振興発展、そういったものにもいろいろな影響を及ぼしておるという現状を私どももよく認識をいたしております。  ただ一方、私どもといたしましては、やはり安保条約目的の達成、こういった面がございます。沖縄の振興開発計画というものとの調和をどこでとっていくか、こういうのがやはり一番の問題であろうということで、諸般の施策についてその両者がよく調和をしていきますように努力をいたしておるわけでございまして、返還問題につきましては、御案内のとおり日米安全保障協議委員会におきまして了承されました施設区域の整理統合計画もそういった観点から基本的にはできるだけ速やかにやっていきたいということで今日まで実施の努力をいたしてきておるわけでございます。  数字といたしましては、現在までおよそ四六%に当たる施設区域、約二十六平方キロメートルを返還をいたしておりますが、私どもといたしましては、まだまだ十分であるとは思っておりませんで、今後もそういった努力を継続して続けていきたいというふうに考えておるところでございます。  ただ、先ほど先生指摘いただきましたように、残り施設区域の整理統合につきましては、移設先を探してくるということが条件になっておるものがほとんどでございまして、そういった移設先を探すということにつきましていろいろ方々当たっておるわけでございますが、土地所有者の意向にも配慮する必要がございますし、移設先の選定といった問題についてはなかなか難しい問題が現在あるわけでございます。  残余の施設区域の問題点、個々具体的に私どもとしましては検討いたしまして、先ほど申し上げました米軍の運用上の所要、安保遂行上の目的、こういったものも私どもも十分考慮していかなければならない問題でございますので、そういった問題も十分踏まえながら、地元の要望等もこれまた十分勘案をいたした上で可能なものから返還を進めていきたいということで現在努力をいたしておるところでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  31. 上原康助

    上原委員 いつも同じ答弁じゃいけないんですよ、あなた。そんなことで御理解いただけますか。そんなことではだめなんです。  皆さん、外務大臣も外務省も、日米安保協議委員会十四回、十五回、十六回。十四回は四十八年、復帰翌年ですね。十五回が四十九年一月三十日、十六回が五十一年七月八日。それ以降、この三回の安保協で合意をして条件つき返還あるいは条件つかない返還を含めてやったにもかかわらず、今六十三年ですよ、五十一年以降何と十二カ年間もこれがどういうふうになったかは日米間で協議もされていないのじゃないですか。それでもってできるだけ速やかに返還する努力をしてきたと言えますか。  しかもあなた、四六%云々と言っていますが、この三回の安保協で日米政府間で返還の合意を見た五千七百四十七ヘクタールのうち返還が実現したのは二千ヘクタールですよ。全体の三五%にすぎない。違うんですか。
  32. 友藤一隆

    友藤政府委員 補足をいたしたいと思いますが、六十一年十月一日現在ではたしか三五%という数字でございましたが、その後六十二年五月三十一日に牧港地区、これは一・六平方キロでございます。六十二年八月三十一日、嘉手納弾薬庫地区の一部、これは〇・七八平方キロですか、それから六十二年十一月に北部訓練場、安波訓練場関係合わせまして三・二平方キロ等の返還がございまして、現在四六%、返還済みの面積といたしましては二五・八平方キロというような状況になっておりまして、私どもとしては今後も鋭意努力を続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  33. 上原康助

    上原委員 そんな細切れ返還、使い物にもならぬようなところをあっちこっち端々と返したって意味ないんだ、あなた。数字だけつじつま合わせするなよ。  外務省、こういうふうに返還合意がなされて、五十一年七月八日に十六回安保協を持たれて、その後日米間で――少なくともこれは両国間の、政府間の、国家間の約束事ですよ。約束事に対して結果がどうなっているか、なぜ返還ができないのか、これについて詳しく詰めた議論がなされていない理由は何ですか。まさにほっておったと言ってもいいくらいの状況じゃないですか。
  34. 有馬龍夫

    有馬政府委員 確かに返還の進捗ぶりが遅々としているのは事実でございます。しかし、これは返還についての合意がございましたけれども、移転先の選定というのが一つの条件でついておりまして、この条件を私どもとして考えなければならないのは、先ほど施設庁の長官も申しましたように、我が国としては日米安保条約のもとで米軍施設区域を提供している、提供しなければならないその理由があるわけでございまして、これとの関連でその条件を充足させてやらなければならないという事実があるわけでございます。  その間、これも先ほど施設庁の長官が申しましたけれども、土地所有者の意向等があるわけでございまして、なかなか進捗していないということについてひとつ御理解をいただきたいと思います。  ちなみに、外務省もこの過程には完全に参画しているということを申させていただきたいと思います。
  35. 上原康助

    上原委員 そんな日米安保条約云々とか土地所有者の意向と言ったって、じゃあ土地所有者は返してもらいたくないと言っているような言い分じゃないですか。そうじゃないでしょう。  そこで、これは事務的な問題じゃないので、外務大臣に篤とお考えいただきたいのですが、あんな狭い沖縄で全国の専用基地の七五%あるわけでしょう。那覇軍港のような機能をどこに移設するのですか、本当に。最初からできないことを約束して、あたかも沖縄基地の整理縮小はやります、これこそ口約束だけの宣伝もいいところ。全くの実体のない約束をしてきているわけです。そこに根本的原因があるわけですよ。  だから、私は提言を含めてお尋ねしたいわけですが、この際、沖縄の基地の実態を踏まえて移設なしの返還。それがだめなら多極分散でいいでしょう。基地はまさに沖縄だけに一点集中なんだ、もう復帰前から。移設先を沖縄県内に限定することなく代替地を広く求めるなど日米安全保障協議委員会で改めて検討してみたらどうですか。  できないことを約束をしてできるかのように――これは五十一年に決めておって、もう何年たっている。十年たってできないのがいつになったらできるのですか。大臣の御見解を聞きましょう。
  36. 有馬龍夫

    有馬政府委員 まずは現行の整理統合計画の残与の施設区域についての問題点を個々具体的に検討してこれから実現していくというのが筋であろうと思います。  移設先を考えないでということでございますけれども、これは先ほど来申し上げておりますように、安保条約に基づく米軍の存在というものは我が国の安全及び極東の平和と安全に寄与しているということがあるからでございます。  ただ、政府といたしましては、沖縄における米軍施設区域の密度が極めて高く、その整理統合について強い要請が出ているということは篤と認識はいたしております。
  37. 上原康助

    上原委員 移設先を考えないではできないというなら、じゃあ移設先を考えたらできるの。できないから十年かかっても今までほったらかしたんでしょうが。これじゃ納得できませんよ。  そこで大臣、今私が申し上げたように、沖縄の基地をどうするかということで、四十八年、四十九年、五十一年。五十一年で終わっているわけですよ。この時点で一体できるのかできないのか日米安全保障協議委員会を持ってもう一遍総点検をする、そのくらいはできるのじゃないですか。どうですか。
  38. 有馬龍夫

    有馬政府委員 日米安保協議委員会を改めて場面として考えるまでもなく、施設区域の整理統合につきましては、一般論として、ただ単に沖縄県だけではありませんで、常に、地位協定の合同委員会施設委員会というのがございますけれども、必要に応じ考えているところでございますが、その過程におきましては米軍の運用上の必要というようなことも考えていかなければならないということがあるわけでございます。
  39. 上原康助

    上原委員 ですから、一般論としてこれまで合同委員会とかそういうところでやってきたけれども、進まないわけでしょう。  私が申し上げているのは、大臣、例えば皆さん那覇空港からおりてごらんよ。すぐ目につくのは金網でしょう。一方は自衛隊基地、一方は金網。日本全国探してもいまだにああいう県がどこにありますか。これが典型的実情であり、那覇軍港は昭和四十九年の十五回日米安保協議委員会で移設条件つき返還が合意されているのですよ。代替地がないということでいまだにほったらかし、むしろ強化されてきている。ですから、この時点でもう一遍――軍事的なことなら安保協を開いていろいろやるのに。やはりこの時点で安保協を開いて、日米間で総合的に検討してみる。これは事務屋の問題じゃない。政治の問題ですから、大臣お答えください。
  40. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 政府委員のお答えしたことを私もじっと聞いておる次第でありまして、もちろんこの問題には重大な関心を抱いておりますから、私もしばしば説明を受けることにいたしております。  今さら申し上げるまでもなく、沖縄が基地において密度が高いということは私たちも認めておりまして、極力整理統合の必要性も考えておりますが、やはり基地というものは、日米安保体制下におきましてはその安定的な使用ということも大切なことでありますから、したがいまして、移設先というふうな一つの問題もそこに提起されて、いろいろと関係者は苦労してきたものではなかろうかと思います。  したがいまして、十年かかってそう大した実績が上がっておらないということも、あるいは一面においてさようでございましょうけれども、なお一層そうした整理統合が図られるように私からも努力するように督促したいと思います。
  41. 上原康助

    上原委員 ですから、努力をする具体的な行動として日米安保協を開いて、なぜ那覇軍港は今まで返らなかった、じゃ移設先はあるのかどうか。取り決めをして、返す返すと言って、いつまでたってもそのまま未来永劫できなければどうするんだ。そんな無責任な取り決めはやめなさいよ。  私は、そういった答えはあってはいかぬと思いますよ。少なくとも国家間で合意したら、四年ないし五年、十年ではめどをたてて、できなければ再検討をするというのが政治じゃないですか。そのことをおやりになりますねと聞いているのです。
  42. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 すぐそこへ飛び込んでいくのかどうか、私といたしましても、その職責上、もう  一度担当官、担当省からの説明を受けたい、かように思っております。
  43. 上原康助

    上原委員 ぜひひとつ、そのくらいのことをやって誠意を見せないと。じゃ、あれですか、基地の安定的使用ということで、安保体制の円滑な運用ということで、沖縄はいつまでも犠牲になれということですか。沖縄だけ対象にせぬで、全国に分散させなさいよ、そういうのだったら。もう冗談じゃない。それはぜひ各省庁御相談の上で、この時点において安保協を開くなり総点検を強く求めておきます。  そこで、もう一つお聞きをしておきたいわけです。きょう十五日ですから、たしかあさって西銘知事が再びワシントンに行かれるようですね。その件について、政府と何か協議をなさったのかどうか。  私が聞いているところでは、今回の訪米で、キャンプ・シュワブ及びキャンプ・ハンセン演習場での実弾演習の中止。二点目が普天間飛行場の早期移設。三点目が、今私が言った、日米安保協で合意された移設条件つき返還の見直し。これはもう何も私の主張じゃないのですよ、大臣。みんなそう言っている、返還条件を見直せと。在沖米海兵隊の駐留部隊の規模縮小等々を重点に要請をするという報道があるわけですが、この点については、政府とも何か御相談があったのか。あるいはまた、今指摘をしたことについては、政府はどうお考えか、御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
  44. 有馬龍夫

    有馬政府委員 西銘知事が米国を訪問されるに当たりましては、外務省といたしましてもできるだけの御協力をさせていただくということで、実は外務大臣のところにもお見えくだすったということがございます。  私ども承知いたしておりますところでは、今回の訪米に当たって西銘知事が具体的な要望をお出しになられるというふうには承っておりません。
  45. 上原康助

    上原委員 承っていなければ、今私が指摘をしたことについてはどうお考えですか。それは例えば普天間飛行場の移転問題も、しばしば宜野湾市長さんも言っているわけでしょう。その可能性とかそういうのはあるのですか。
  46. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 普天間飛行場の移設ということにつきましては、従来から沖縄県がそういう要望をされているということは承知しております。ただ、この問題について具体的に米軍との間で話題に上ったことはございません。
  47. 上原康助

    上原委員 これは、そんな施設部長が答えるようなものじゃないんじゃない、あなた。だから私は、施設庁にしても外務省にしても、基地の密度が高い、沖縄に苦労をかけていると、言葉ではだれだって言えますよね。しかし本当にできないのかといったら、もう少し真剣に努力をすれば私はできると思う、全面撤去とかいうことでなくて、整理縮小ということは。それは誠意のなさですよ、大臣。そうしか受けとめられませんね、極めて残念ですが。もう少しは、これだけの基地にインパクトを与えておきながらできることもやらないというのは、これはよくありませんよ。さっきの北米局長のお答えはちょっと気になりますけれどもね。具体的に四つのテーマをひっ提げて行くのだと説明はしておられる。しかし外務省は、それは承っていない。  そこで、より具体的な問題として、返還問題とかかわる問題で、読谷飛行場の件についてお尋ねをしたいと思うのです。  最近の沖縄の基地の動きというのは、非常に活発化しているのですよ、大臣、訓練にしてもいろいろな面で。この読谷のパラシュート降下訓練施設の移設問題はどうなっているのですか。昭和五十五年十月に、日米合同委員会施設特別委員会のもとに移設を検討するための特別作業班が設置をされて移設が鋭意検討並びに基礎的な調査の実施に入った、たしか五十八年三月ですね。こういう答弁をこれまでやってこられた。既に八年になりますが、まだ結論が出ていないのですよ。  だから、いかにあんな狭っこい沖縄の範囲だけで移設を考えてみたってそれは難しいという実態は、もう全部その例が出ているわけですよ。この点はどういうふうになさるのか、現在どうなっているのですか、その可能性、見通し。
  48. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように読谷飛行場の落下傘降下訓練機能の移設につきましては、昭和五十五年十月九日の日米合同委員会におきまして、本件訓練機能の適当な代替地を検討するために施設特別委員会の下に特別作業班が設置されまして、その後その作業班において検討を行っているところでございます。  なお、代替地を選定するために調査を行っておりまして、昭和五十七年度から候補地の調査を実施しております。昭和六十二年度におきましても、具体的な候補地三カ所につきまして基礎的な調査を実施しておるところでございます。  いずれにいたしましても、降下訓練場としての条件を満たす区域を選定するということはなかなか困難でございまして、飛行場からの距離、地形、広さ、それから代替施設の候補になっております場所の周辺の住民の御意向、そういうふうな広範な観点からの検討が必要でございますので、早急に結論を見出すことはなかなか難しい問題であると考えております。
  49. 上原康助

    上原委員 早急に結論を見出すのは難しいというのは、あなた前から言っているじゃないですか。いつまで検討検討をやるんだ。  そういうような状況で、この四月六日には読谷補助飛行場で、爆撃で滑走路が破壊されたことを想定した滑走路の損害査定訓練というものを実施しているのですよ。ますます演習なりそういう面は傍若無人にやっている。この訓練には核・化学兵器取り扱いを任務とする爆発物処理部隊、いわゆるEODも参加をしている。これは嘉手納基地報道部が、EODが毒ガスマスク、防護服などを着用して訓練することもある、こういうことを明らかにしているわけですね。  移設をするということで七、八年検討しておきながら、どんどん演習の面では激化をさせている。このような訓練はもう即刻やめるべきだ。しかも、今後は毎週行うとか、あるいはパラシュート訓練にしても、国体の開会中はやらなかったが、これからは週一遍ぐらい行う、こういうふうにむしろ演習が激化をしてきている。まさにこれは読谷村民なり沖縄県民が返還を求めている基地の中で、今までは遊休化をしておったのに、だんだん演習なりそういうものを激化をさせて返さない。こういうような防毒マスクをつけての演習が激化している。  全くもってけしからぬ話で、外務省か施設庁、わかればお答えいただきたいのですが、何か最近、こういった演習をもっと強化したいという米側からの通告なり、あるいは皆さんとの協議の上でこれもさせているのですか。
  50. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米国政府はそのようなことは申してまいっておりません。
  51. 上原康助

    上原委員 そのようなことを言っていなければ、じゃ、勝手にやっているわけですね。
  52. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米軍は、御指摘になりましたような態様、形態の演習を含めまして、提供されている施設区域の中で、その目的に沿っておれば諸般の活動をすることが許されているわけでございます。
  53. 上原康助

    上原委員 これもやりとりすると長くなりますので、目的に沿っておればと言って、読谷補助飛行場というのは、当時はあれはたしか陸軍が使用して、それから空軍なり海兵隊なりグリーンベレーなり、今は各軍が使っている。使用目的もどんどん変わってきているのじゃないですか。  防毒マスクとかEOD、化学生物兵器も使用する、そういう条件がついているのですか。当初ついていなかったでしょう。何が使用目的に合致すれば利用できるんだ。
  54. 有馬龍夫

    有馬政府委員 米軍は、日米安全保障条約目的達成のために我が国に駐留して必要な種々の訓練を行っているものでございます。  それから、御指摘のような訓練が行われたということは承知しておりますけれども、これはあくまでもそのような戦闘を仮想して行っているものでございまして、それに問題があるというふうには考えておりません。
  55. 上原康助

    上原委員 おめでたいお答えだね。問題があるから聞いているんじゃないですか。あれだけ住民、地域にも被害を与えて、サトウキビ畑を踏み荒らす。問題がないとは何事ですか。じゃ、日米安保条約目的に合致をすれば沖縄県民はどんな状況に置かれようが、日本国民はどんな状況に置かれようがいいんですか。冗談じゃないですよ。  そこで、施設庁、外務省、両方に確認をしておきたいことは、こういう無謀な演習はやめさせなさいということと、もう一つは、この降下訓練機能を移設をする、これはこれまで確認、確約してきましたね。移設をする立場で今でも、今後これからも作業は進めますね。
  56. 友藤一隆

    友藤政府委員 機能の移設につきましては、引き続き私どもとしては努力を続けていきたい、かように考えております。  なお、本訓練場の使用につきましては、降下訓練場ということだけでなく、一般訓練場としての機能も有しておるわけでございますので、その辺は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  57. 上原康助

    上原委員 努力はやる、移設はするということはもう確認済みなんですから、その方向でもっともっと努力をしてもらいたい。  そこで、この基地の整理縮小問題でなかなか進まないというのは、さっき地主の意向云々も言っていましたが、返還のあり方にも問題があるわけですよ。跡利用の問題。この読谷の補助飛行場というのは、全面返還をしてもらいたいということでこれまでもしばしば国会で議論がなされて、開発庁もおいでですが、昭和五十四年六月の第八十七回国会で、参議院の沖特における当時の三原開発庁長官の御答弁、さらには第百二回国会、昭和六十年三月二十六日の衆議院の決算委員会における読谷村内の国有地問題の解決促進の決議がなされていますね。  そして、これを受けて昭和六十一年二月七日に、内閣総理大臣中曽根康弘から衆議院議長坂田さんに「沖縄県読谷村内の国有地について」「沖縄県読谷村内の国有地については、沖縄振興開発にとつて貴重な財産と考えられるので、その利活用に当たつては、地元の土地利用構想を尊重しつつ沖縄振興開発特別措置法の趣旨を踏まえて、対処してまいる所存である。」こういうふうに明確にお述べになっている。  この点はおわかりと思うのですが、そういう経過があるということは確認できますね。
  58. 勝又博明

    ○勝又政府委員 ただいま先生が御指摘になりました国会における前、元大臣の答弁あるいは国会に対する政府の意見表明等の経緯は十分承知しております。
  59. 上原康助

    上原委員 そこで、それを受けて読谷村は、この読谷飛行場転用方針をどうするかということで、跡地利用についていろいろ検討を進めてきているわけですね。  だから、跡利用の問題で今一番ひっかかっているのはパラシュート降下訓練機能の移転問題なんです。これが進めば、立派な基本計画もできている。国有財産ですから、その後大蔵とのいろいろな検討事項もあるかと思うのですが、そういった地元の意向を尊重してやるというからには、皆さんもまたパラシュート降下訓練場は移転をするというのを促進してもらわなければいけないと思うのです。  その経過があるということはおわかりということでしたので、今後施設庁も移転については努力をするということですので、もしそういう条件が整備をされた段階においてこの読谷飛行場の跡利用をどのように促進していかれるおつもりなのか、改めて御見解を聞かせていただきたいと思います。
  60. 勝又博明

    ○勝又政府委員 読谷村の飛行場跡地利用につきましては、読谷村が昭和五十八年十二月に読谷飛行場転用審議会を設けまして、この審議会において飛行場跡地を含めました約二百五十六ヘクタールの利用計画を検討いたしたところでございまして、その結果、六十年十二月に利用計画を定めたところでございます。  この利用計画におきましては、農業団地として約七割、村民センター、道路あるいは広場等の公共公益用地として約三割の利用区分となっております。この利用計画に基づきまして具体的な事業を実施するために、読谷村は読谷飛行場転用基本計画というものを昨年七月に策定いたしまして、現在沖縄県とその具体化について検討中というふうに聞いております。  私ども沖縄開発庁といたしましては、地元の検討結果を待って、沖縄振興開発特別措置法の趣旨に沿いまして関係省庁とも十分協議して対処してまいりたい、かように考えております。
  61. 上原康助

    上原委員 大臣のお時間の都合があるようですから、今の問題をちょっと置いて、一つだけ思いやり予算で聞きたいわけですが、この十七日にフィリピンのマングラプス外相が来日なさるようですね。そこで、よもやフィリピンの米軍基地の貸与料、いわゆる賃貸料ですか、これを日本側が肩がわりするというようなことはやらないと思うのですが、しかしカールーチ国防長官の議会における証言等を見てみると、何か日本側に肩がわりをさせようという動きが米国内に強いような感を受けて非常な懸念を持つ者の一人なんですが、このことについての明確なお答えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  62. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 カールーチ発言の前後をお読みいただきますと、あれは質問者の意見の方が中心で、何かそれがカールーチ発言とオーバーラップしまして長官みずからの発言のように思われておりますが、米国から一切そういう話はございません。この間、議会人も来ましたが、一切そういう話はございませんし、我々はなすべきではないと思っておりますので、その点はっきりいたしております。
  63. 上原康助

    上原委員 どうぞ、お時間のようですからやむを得ません。ぜひその点は日本側としてしっかり踏まえてやっていただきたいと思います。  そこで、今沖縄開発庁の局長からお答えがありましたが、ぜひ外務省も防衛施設庁も開発庁も、もちろん大蔵もこれは御協力、御理解をいただかなければいけない問題ですが、非常に難しい課題を抱えてはおっても、二百五十五ヘクタールですか、それだけの土地を読谷村の中心地、あるいはまた一方宜野湾市の中心地には普天間飛行場というものを抱えてやっているということは、経済的にも村の振興、沖縄県振興全体において非常な障害になっておるわけです。したがって、跡地利用基本計画もできているし、また一方、演習による事故も起きている。  そういう面で、ぜひ政府全体としてこの問題を実現可能な方向に持っていく最大の努力をやってもらいたいと思うのですが、この点は外務大臣がおれば大臣から御見解を聞きたかったわけですが、防衛施設庁長官、それから外務省の見解も改めてひとつ明らかにしてください。
  64. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  読谷補助飛行場の落下傘降下訓練場としての機能の移設については先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、付言して申し上げましたように、一般訓練場としての機能という面もございますので、この返還の問題についてはなおいろいろ問題はあるわけでございますが、先生お尋ねのございました各省庁と連携をして今後に対応すべきである、かような点につきましては、この問題に限らず沖縄県の基地問題については開発庁、外務省等々各省よく連携をとって対応させていただきたい、かように考えております。
  65. 有馬龍夫

    有馬政府委員 今施設庁長官が申されたことに特につけ加えることはございません。  お許しを得まして、私が先ほど演習について申しましたことに一言つけ加えさせていただきますけれども米軍が訓練等の活動を行うに当たりまして、公共の安全に妥当な考慮が払われるのは当然のことでございます。米軍は、先生先ほど指摘になられた、訓練を行うに当たっては読谷飛行場の滑走路が周辺住民の交通路として利用されていること、あるいは黙認耕作地があるというふうにも承知しておりますけれども、その辺にはきちっとした配慮を払って行っていると聞いております。
  66. 上原康助

    上原委員 聞いておるだけではいかないですよ。あなた、一遍行ってみたらいいですよ。どれだけの被害を受けているか。  そこで、移設をやって、一般訓練にも提供しているが、それを含めてこの転用計画の促進方を改めて強く要望しておきたいと思います。  同時に、返還のあり方の問題ですが、なぜ地主の一部が返還をちゅうちょするかというようなことが時折あるわけですが、今の防衛施設庁の返還のあり方というのは、跡利用計画がなされるまで相当の期間がたつわけですね。例えば上之屋のハウジング、俗に言う那覇牧港ハウジングエリアというのが上之屋にあるのですが、これは一部返還は復帰後、五十一年でしたね。いまだに利用されていませんよ。たしか去年全部返還されてこれからどう都市計画をしていくかということで今那覇市でやっている。この上之屋ハウジングを見ても、実際に区画整理をしてそこに入れ物ができるまではあと十年かかる。  そうしますと、五十一年に一部返還され、昨年全面返還をされて、これから都市計画をして入れ物ができ、利用するには約二十年かかるわけです。その間地主は何の補償もないのですよ。こんな無慈悲な、非情なことがありますか。ここに大きな問題がある。かつて私たちも軍用地転用の特別措置法もつくって国会に提案をしたことも実はあったわけですが、その後一時中断をいたしておりますが、改めてその必要性を私は強調をしておきたいと思うのです。  防衛庁、防衛施設庁、外務省も含めて駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱というものは昭和二十七年に原案ができてその後若干改定はされているわけですが、原状回復するだけのことなのです。畑なら畑にもとのようにやる、宅地なら宅地にやる。これじゃ今の社会に通用しないのじゃないですか。返還土地損失補償額算定基準、こういうものなどを早急に改めて、返還の実情、実相に合わすような努力をやってもらわなければいかぬと思うのですが、この点、いかがお考えですか。
  67. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 確かに御指摘のように返還処理に伴う要綱、訓令というものは昭和二十七年に制定されたものでございます。ただ、この内容は、施設の返還に際しまして賃貸借契約書に基づいて使用期間中に生じた形質変更の損失を補償するという内容のものでございます。そしてまた形質変更の原状回復をするに必要な期間の賃借料相当額を補償する、そういった内容のものでございまして、先生指摘のように限界はございます。  ただ防衛施設庁といたしましては、沖縄復帰後、沖縄だけの特殊な事情といたしまして、例えば土地の位置、境界が不明確であった時代には、この境界明確化の作業をする期間、特別に補償したという事例もございますし、また土地が返還されまして復帰される場合に、必要な道路とか水路とか水道とか公共施設の整備について補助したという例もございます。
  68. 上原康助

    上原委員 そんな位置境界明確化法とこれとは性格が違うのだよ。例えば現在の上之屋周辺を見てみてください。あれは昔はたしか畑ですよ。那覇の一番へんぴなところだった。今は那覇市のど真ん中になっているじゃないですか。周辺は全部住宅地、都市化されている。そういうところを原状回復するといってみたって、それは地主にとっては大変な損失ですよ。  土地建物等賃貸借契約書の十六条、「前条第一項の返還に際し、甲から原状回復の請求があった場合、又は甲が返還物件に復帰する際、補修を要すると認められる場合において、甲から請求があったときは、乙は、原状回復及び補修の程度に応じて、その工事中の管理費として三月分以内の賃貸料に相当する金額を甲に補償する。」原状回復をする工事中わずか三カ月分しかやらない。  これじゃ取り上げるときはブルドーザーと銃剣で取り上げて、二十年、三十年使って返すときはこんな涙金にもならぬようなことで返しているのが今の国の沖縄の軍用地に対するやり方なんですよ。こんなものは今の政治や今の日本人の感覚に合わない。したがって、このことをぜひ改めてもらいたい。こういうやり方は重大な問題です。  そこで、時間もだんだん来ましたので、この問題の結論として提言をしておきたいわけですが、返還後の軍用地をどうするかということで地元新聞が特集をやっています。私もこれを読んで大変共鳴したところがあるわけです。  「検証 なぜ返らない 沖縄基地の整理統合」ということで特集をやっておって、読谷村村長とか元琉大教授の久場先生とかあるいは地主会連合会の砂川さん、こういう方々がいろいろ議論をやっているわけですが、細切れ返還のあり方、今、私が指摘をしたように、返還後は原状回復するだけで全く何の補償もない。失業手当だって一年続くでしょう。ついこの間改定した臨措法の場合には三年間何割か保障するわけでしょう。人間に対してはそういう法律があるんだよ、あなた。事、地主に対しても特別措置法を制定してこの種のものはやるべきです。  そのくらいのことは今の日本政府経済力でできないはずはないのだよ。思いやり予算をつけてばかすか使ってアメリカにたくさんのサービスをするよりも、同時に日本人に対してももう少し温かい政治を施設庁もやってみたらどうでしょうか。こんな昔の古証文を使って補償問題をやるということです。この点は私たちも改めて特別措置法の制定ということを国会に提起をしたい。同時に、政府としても、今私が指摘した問題について、これはだれが聞いたって道理にかなう話だと私は思うのですが、お考えになってみますね。これは外務省も関連しますから、両方お答えください。
  69. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  この問題は、制度上の制約もありましてただいま施設部長から御答弁申し上げましたようになかなか難しい面がございます。  ただ、運用の面で返還時期、その他順序、段取り、こういった過程を通じましてそういった点できるだけ大きく負担がかからないようなやり方というものを工夫できる余地もあるわけでございますので、そこら辺を含めまして今後いろいろ研究をいたしたいというふうに考えております。
  70. 上原康助

    上原委員 時間が来ましたので、終わらざるを得ません。あと思いやり予算のことについてもお尋ねしたかったのですが、アフガンその他が入りましたのでちょっとできませんでしたが、今の点は、施設庁長官、運用の面でできる代物じゃないのですよ。  今私が指摘をした規則とかあれをぜひ改定をするということと、これはすぐれて法律事項です。そういう面で誠意を持ってこの点についてはぜひ御検討をいただきたい。私たちもまた法的措置が可能かどうか改めて検討してまいりたいと思います。よろしいですね。この点についてもう一言。
  71. 友藤一隆

    友藤政府委員 研究をさせていただくことにいたします。
  72. 上原康助

    上原委員 終わります。
  73. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ────◇─────     午後二時二十三分開議
  74. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  75. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 安保条約に関係して、内外情勢に関連をする質問を少しさせていただきたいと思います。  きのうの夜ですが、テレビでアフガニスタンからのソビエト軍の撤退のニュースを見ました。ある感慨と、同時に感動を覚えました。  八年間の歴史を振り返ってみるまでもなく、長い長い交渉の中で、特に国連がかかわって米ソ保証人になってといういきさつを含めて結論が出、その対応を進めようとしているときに、また同時に五月二十九日からの米ソ首脳会談、戦略核五〇%削減だとか、通常戦力の削減だとか、さまざまな課題があります。  私はこれはある種の新しい情勢への転換であると同時に、デタントの第一歩だというふうに受けとめたいと思いますけれども外務大臣はこの辺についてどんな御判断をお持ちか、最初に聞いておきたいと思うのです。けさ新聞で見ますと、えらい控え目なお話をしている感じがいたしますので、その点を含めて率直な御見解を賜りたいと思います。
  76. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 地球上における地域紛争一つの大きな問題が片づく端緒を得たという意味におきましては、これは大いに歓迎をいたしたい、かような気持ちでございます。  実はきのう委員会が始まっているときにはもう少しく詳細がわからなかったこともございまして、そして十二分に外電等々により状態を確認した後に、昨夜私の歓迎の談話を発表したということでございますから、きのう衆議院で内閣委員会が開かれているときには、合意というやつだけが先行しておりました。考えてみると、いろいろ難しい問題も今後あるかもしれませんが、しかしここまで米ソ両国、さらにはまたパキスタンアフガン現政権同士が四つの重要事項に関しまして合意を見たということは、当然歓迎すべきでございます。  したがいまして、今岩垂委員からデタントという言葉が出ましたが、そういう言葉を使う使わぬの是非は別といたしまして、実はデタントという言葉がはやったのはまさに十年ばかり前であって、そして一回、二回というSALT交渉がなされて、そしてそのSALT交渉の二回目のときにソ連のアフガン進駐という異常事態が起こりましたから、もうそれからアメリカでは、もういい、デタントという言葉は意味がないね、こういうようなことがあったわけでございます。  したがいまして、当事者が嫌っているような言葉を私たちもあえて使いますと、外電等によって、何だ、日本はまだそんな認識かと言われますから、昨今、私みずからもそういう意味でデタントという言葉は使わないというふうにいたしておりますが、そうした言葉の有無は別といたしまして、一応地域紛争がこれによっておさまる端緒を得た。今後幾つも山があるかもしれませんが、これはひとつ日本もそうした面におきましては、お手伝いできるところはお手伝いいたしまして、やはり紛争というものはないようにしなければならぬ、こういうふうに私は考えておるところでございます。
  77. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 五月二十九日から開かれる米ソ首脳会談の問題ですが、戦略ミサイルの五〇%削減交渉や化学兵器の禁止、あるいは通常戦力の削減などの成果がどんなことになるのだろうかということについて、外務大臣、御判断がございましたらお教えをいただきたいと思います。
  78. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 米ソ会談は、頭から勘定しますと四回目でございますが、いわゆるINFとか、あるいはまた戦略核とかいう問題に関しましては今度二回目がモスクワで開かれるというふうなことでございます。その話題は、戦略核の五〇%削減であり、二国間の紛争であり、さらには地域紛争であり、あるいはまた人権という問題もございます。二国間の問題の中には実は日ソ間の北方四島という問題も、既に事務レベルにおきましてはいろいろと議論がされたという経緯もある次第でございます。そうしたものを含めまして、やはり我々といたしましては米ソが努力をしておられるということに対して敬意を表しつつ、その成功をお祈りしたい、かように思っております。その一つアフガンであるということを申してもいいと思います。  戦略核に関しましては、私たちといたしましても、INFはグローバル・ゼロを見たのである、ただしそれは全核の数からいけばあるいは四%程度のものであろう。したがって、もっと物騒なものがいわゆる戦略核である。いわゆるICBM、さらにはまたSLBMとかあるいは重爆撃機とか、これをどうするのだという問題に話は移っていくと思いますが、何分にも移動性のものが、移動できるのだからその検証をどうするんだいと、頭からこのことを疑問視する専門家もおられます。  しかし私たちといたしましては、やはり日本は極力、米ソの努力によって所期の目的どおり五〇%削減ということが合意されて、しかもその検証も、両国が知恵を出されて立派にやっていただくということを今日ただいまは望んでおるというのが我が国立場でございます。
  79. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 八〇年代に入って、アメリカのレーガン政権のいわゆるソ連観、ソ連に対する見方、あるいはソ連の側のアメリカに対する認識というものがいわば冷戦の構造をたどってきた。そして相互信頼や相互理解というものが全く失われてきたように思われてなりません。この相互不信というものが強まれば強まるほど、例えばソ連脅威論とかあるいはアメリカ脅威論というものが増幅してきたことも事実だと私は思うのです。  そういう歴史を振り返ってみますと、今こういう状況が展開されているというのは非常に大きな変化の兆しであるというふうに私は思うのです。まだ米ソは政治や経済あるいはイデオロギーや価値観は違うし、それだけではなくて、国際政治におけるリーダーシップも激しく競争されているということは事実だと思います。  しかし、今日の米ソ関係というものを導いたものはこのような現実、長い間続いた現実に対するある種の反省というものがやはりあったのではないだろうか。国際政治における共存の論理とルール、そういうものをやはりお互いに模索をする、それが両国の政治にかかわっている人々の認識になってきている、こんなふうに思いますけれども、その点についての認識は私どもと共通でございましょうか。
  80. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 考えようによりましては久しく東西は対立いたしておったわけでございます。対決までいかずによかったね、こういうふうに思います。しかし、言うならば代表的な形においてあわやというふうな幕もなきにしもあらずだったということもあるいは言えるかもしれません。しかし、大国同士の自制によってそうした危険というものは今日まで見ずに済んだことは非常に結構でございました。そんなことが、言うならば果てしなき核兵器の開発等々にあるいは狂奔した時代があったのではないだろうか。  そうしたことを考えますと、今日地球も非常に小さくなってまいりましたし、お互いに東西も南北も民族そのものが理解し合ってこの大切な地球を大切に住む場所として考えなくちゃならぬということになってまいりますと、今までの余りにも果てしなき競争というものがよいか悪いか、恐らくそういうようなことが両国においてあったのではないだろうかと思います。  私はソ連の立場の方は聞いておりませんが、アメリカの指導者からは直接伺った話でありますが、レーガン大統領はそういう気持ちにおいて、ブレジネフ書記長の時代からアンドロポフ、さらにはチェルネンコ両書記長、このときも粘り強く話をしたんだ。そしてやっとゴルバチョフ書記長になってからお互いが合意するところまで来ました。やはり長い歴史がございます。その間にはいろいろございましたが、やはり両方が忍耐し、また粘り強く米国が交渉した、そういう結果でございますということを聞きましたので、確かに今両大国におきましては、そのような過去のもう少しく考えてほしい面を余りにもおろそかにしていたずらに軍拡だけに狂奔した、あるいはそうしたものが今日の成果を生みつつあるのではないだろうか。  INFに関しましては完全に生んだわけでございましょうが、十分に検証されまして、そうしたことが今後は人類のために向けられることを私たちも祈っておるわけであります。
  81. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今大臣からお話がございまして、私どもも似たような認識に立つわけですが、少し整理をして言いますと、やはり第一は、米ソの経済的な困難、特に軍拡の不経済、そういうものについて米ソが共通の認識を生み出しているということ。第二は、核戦争が人類を滅ぼしかねない、そういう危険な状況というものをお互いにつくり出してしまった、これは大変なことだということに対するある種の反省といいましょうか、ということが二つ目だろうと思う。三番目は、平和を求める国際世論がいわゆる米ソ超大国と言われる国のリーダーの決断を促したという意味でも、民衆の、世論の力というものを非常に大きく評価をしたいと私は思いますけれども、言ってしまえばこれは極めて常識的な判断だと思いますが、これも大臣と私どもは共有できると思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 おおむねそういう線に対しましては私も同じ気持ちを抱いております。
  83. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そこで、実はお互いにその認識というものを共有することができるとすれば、今、日本は何をなすべきか、この国際緊張の緩和という新しい幕あけの中でいたずらに手をこまねいているわけにもいかないと私は思うのです。平和憲法の国として、あるいは非核三原則を守り抜く立場から、日本独自の外交といいましょうかあるいはこの自主的な外交努力とでもいいましょうか、そういうものをぜひひとつ頑張ってやってほしいものだなというふうに思うのです。  そこで、例えば一つの例を挙げます。幾つか例を挙げたいと思うのですが、今戦略ミサイルの削減交渉が行われています。米ソに対して、私どもは例えば太平洋でのSLBMの削減を、非核三原則の国としてあるいは被爆体験を持っている国として要求すべきだ、あるいはまた米ソが太平洋地域でSLCM、巡航ミサイルの増強を行っていることに対しても、これはやはり削減してほしいということを日本政府米ソに対してもあるいは国際世論に対しても発言をなさらなければならない時期が来ているのではないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
  84. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 太平洋における米ソの軍事力というもののあり方に対しましては常に私たちも重大な関心を持っておるわけでありまして、その中にはお互いがひとつ五〇%削減しようねという話の対象である幾つかの戦略核があるわけで、これもまた私たちは見落とすことができない、かように存じております。我々といたしましては、今日INFが地球上から全廃するという約束ができたゆえんも、この間のウィリアムズバーグで日本が相当思い切ったことを言ったということも端緒だということは西欧諸国も認めてくれています。  ということは、最初はヨーロッパだけの削減でございましたが、それじゃ不公平ですよ、アジアのやつも取り払ってくださいというふうなことが一時は物議を日本の国内では醸したわけでございますが、そうしたことが端緒になってそうして西側陣営が結束しましょう、単にアメリカさんだけが頑張っておったらいいのじゃない、我々も結束を固めてアメリカのそういう方針を支援しましょうということが成功のまず大きな原因であった、こういうふうに私たちは認識いたしております。  したがいまして、太平洋の問題に関しましても、同様にまず西側が結束するということが一番大切なことではなかろうか。そうして米ソそれぞれいろいろな、五〇%ですからどこを五〇減らしてどこをゼロにするのか難しい問題があると私は思います。  現に私たちも専門家の話を聞きますと、例えばこの一本は廃止と決まりましたよ、廃止と決まって本当に移動したの、まだ残っていますね、そんなところまで疑い出したら切りのないような専門家の話もございますが、そうしたことはそうした戦略核を所有している国同士が今度は真剣に話をしようというのでございますから、言うならばそうした国同士の戦略の中において解決していく問題じゃなかろうか、こう思いますので、まず私たちといたしましても重大な関心を太平洋には持っておりますが、やはりEC諸国は当然大西洋に重大な関心を持ち、あるいはヨーロッパ諸国に重大な関心を持っておる。この中において我々西側がどうするかという問題がございましょうから、私はやはりそうした点も十二分に考えてやっていただきたいものである、こう思います。  だから、自分さえよければいいというふうなことでいいのか。過般はヨーロッパだけのSS20の撤廃ですよという話だけが先行しましたが、それじゃ困るからアジアも、こういうことでございますから、恐らく今回も西側陣営といたしましては、それぞれの地域におきまして直接交渉される米国を支援する、そういう中における一つのお話である、こういうふうに承っておきたい、かように思います。
  85. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ウィリアムズバーグの発言というのは、アラスカへ置けばいいじゃないかという付録もございまして、いろいろ意見があります。  西側の結束というのは、外務大臣のお立場としてはそうだろうと思うのですが、お互いが減らしていくという立場でないと、片方はふやしていくというのでは、またこっちも負けないでというのが今日までの核軍拡競争の論理でございますから、それは日本として、さっき申し上げたように被爆体験を持っている、それから非核三原則の国だ、しかも、今太平洋がむしろ洋上核の主戦場みたいな形で増強を遂げているわけですから、そういうことについて日本がきちんと物を言うということがあってもいいのではないかということを申し上げたかったわけでございます。この点はぜひお気持ちの上にとどめておいていただきたいというふうに思います。  きのう、おとといでしょうか、アフガン撤退に関連してアメリカのシュルツ国務長官が、この合意をカンボジア問題の解決に生かすべきだということを述べられたという報道がございました。一方でゴルバチョフ書記長も、これがほかの地域の紛争解決の刺激になってほしいということを指摘されたということを新聞報道で見ました。私は非常に重要な発言だというふうに思います。  そういう点では、カンボジア問題の解決、これはベトナムの撤退ということにつながるのかもしれませんけれども、そのことを含めて日本として一定の発言をなすべきだと思いますが、いかがですか。意思表示をなさるお気持ちはございませんか。
  86. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 カンボジア問題に関しましては、既にしばしば日本政府の態度を鮮明にいたしております。  それは、ベトナムの即時撤兵であり、同時にカンボジア民族によるところの自決である、これ以外に方途なし。ASEANの各国の意見も、一応私たちは直接昨年のASEAN会議のときに耳にしたわけでございますが、ASEANも私たちと同じ気持ちで、やりましょうということでございます。  その次は、岩垂委員も御承知かと思いますが、この間はラオスの外務大臣がやってきました。これはラオスでございます。あくまでもそうした国でありますが、我々といたしましては、社会主義、自由主義を問わずやはりアジアの一員として今日までおつき合いして、そして経済復興のためには随分日本も尽くしてまいりました。だから、そういう謝恩も兼ね、新しい借款も兼ねまして来られたわけでございますが、やはりラオスはラオスの立場におきまして、私たちはベトナムと親しいから早くベトナムが撤兵する方がいいと思うし、また、シアヌーク殿下が一番まとまりやすいお方ではないかと思うというふうなことで、だんだんと我が国の主張もまずアジアの方々からはオーソライズされつつあるというのが現状であります。
  87. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今までそれぞれの発言をなさってきたわけですが、こういう機会にある種のアトモスフィアをつくり上げていくための努力、それはアジア外交を重視する日本立場から見ても当然のことだと思いますので、ぜひそういう御努力を賜りたいというふうに思います。  外務大臣、何か連休を利用して中国に行かれるという新聞報道を拝見をいたしました。申すまでもございませんけれども、ことしは日中平和友好条約締結の十周年でございます。日中関係は順調な発展を遂げてきましたけれども、例えば、両国間においては光華寮事件のような問題もあることは事実でございます。  この際私は、日中共同声明と日中平和友好条約原則を遵守するという立場の上に立って、これは当然のことなんですけれども、これらの問題を解決をするためにも努力をしなければならないということに思いをいたすわけですが、それらのことを含めて、訪中に対する外務大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  88. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 かねて日本立場は、西側の一員であり、同時にアジア・太平洋諸国の一員である、こういうふうに外交の基盤を御説明申し上げております。  そうした意味におきましても、アジアにおきまして中国は隣国でもあり、また一番大きな国でもあり、そして、私たちとは互いに永久にその平和を誓い合った仲である、こういう関係でございますから、たまたま十周年を迎えるわけでございますが、日中平和友好条約というものは今後も続けていきたい。私の気持ちといたしましては、その条約みずからに書かれておりまするように、永久に続けていくべきものである。かつて私も通産大臣のときに参りましたが、そのときの私たちの認識は今日も変わっておりません。  つまり、日本には資金があり、また日本には技術があり、中国には資源があり、中国には労働力があり、ひとつ日中平和友好条約、さらに四原則、さらには共同声明、そうしたものを土台として大いに手を結んでやっていきましょうというのが、その当時から相も変わらぬ日中間の大きなきずなでございます。したがいまして、多少その間に今御指摘のような問題も出たこともありますが、極力大きな友好に傷をつけないことが大切だ、こういうことで私たちは進んでいきたいと思います。  現に今日、日本もいろいろな国々に対しまして援助をさせていただいておりますが、アジアにおきましては中国が日本の援助の最大の受益国であるというふうな実績も上がっておりますし、今度はまた人事が一新されました。そういうこともございますので、その新しい人事に対する我々といたしましての祝意を込めてそして参ることにおいて、八月には総理大臣が参られる、それまでにいろいろな懸案事項がございましたならば、それを外相間においてお互いの理解のもとに実を結ぶものは実を結ばそう、こういうことでございます。
  89. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私も実は去年二回中国を訪問いたしまして、二回とも鄧小平、今は軍事委員会主席でございますが、お目にかかる機会がございました。先般も趙紫陽総書記とも、土井委員長と一緒にお邪魔したわけですが、お話をいたしました。  光華寮問題というのは、実は非常に大きな要素をいまだに持っているということを私は考えます。確かに三権分立の問題もあります。しかし同時に、国際条約上のある種の責任というものも考えなければならない。これらのバランス問題をどう処理するかというのは非常に難しい問題だと思います。  ただ、例えば最高裁で二つの中国みたいな判決が出てしまいますと、私は日中関係というのは非常に困難なところに立ち至るだろうと思いますので、釈迦に説法でございますけれども、それらのことについてもどうかひとつ念頭に置きながら、訪中の成功を期待したいものだと思います。  アジアのことを言いますと、どうしても朝鮮半島のことに触れざるを得ません。大韓航空機行方不明事件に関連をいたしまして、政府は、これは朝鮮民主主義人民共和国の犯行であるという立場で制裁措置をおとりになったわけであります。この制裁措置はいつまでお続けになるおつもりですか。同時に、どういう条件のもとで解除されるというふうに私ども考えればよろしいのか。外務大臣の御見解をいただきたいと思います。
  90. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これに関しましては、制裁という言葉は一切使っておらない、措置をする、こういうふうに申し上げたわけでございます。そして大韓航空機事件は、残念ながら北朝鮮のテロであると私たちも確認いたしましたので、韓国のオリンピック大会が成功するためにはやはりそういうテロ事件があってはいけない、毅然たる態度を持つことが必要である、これは国際場裏においても日本立場を鮮明にしたような次第がございます。  ひたすら私たちは無事平穏に、しかも盛大に、成功裏に韓国のソウル・オリンピックが終わることを友人として、隣の国として願っております。したがいまして、そこに当然安全に関する合同委員会も設けて、そしてテロに対処しなければいけないねということも、先般韓国と日本間におきましてお互いに確認し合ったわけでございますが、そういう意味で、オリンピックが終了した時点において、いつかのよろしき時点をとらえましてもう一回考え直したらいいね、こういうことがあの措置の内容でございます。
  91. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 きのう実は我が党の広瀬議員の質問に対して、新潟で開かれる国際卓球大会の選手団の入国に関しまして、入管局長は、前向きといいましょうかこれを受け入れるという見解の表明があったそうですが、外務大臣、それは承知の上での話でしょうか。
  92. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 きょうも入管局は来ておられますから、後から法務省としての立場、これを申していただいたらよいと思いますが、あの措置の中には、公務員の交流ということは、日本からも行けませんし向こうからも来てもらわない、こういうことが書かれておりますから、スポーツはまた別の問題だ。したがいまして、措置に触れるようなことがなかったならば当然入管といたしましては認めるでございましょうが、措置に触れる部分がありますとそうはまいりませんぞと入管局長がきのう答弁をいたしておりましたのを私は聞いております。それもまた私たち見解は同じである、かように思います。
  93. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 措置に触れる部分があればというその措置は何のことですか。
  94. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 つまり、スポーツ選手団、スポーツはいいだろう、しかし、選手団のどこかに、どなたとは言いませんが、措置の中に含まれている公務員の入国は認めません、そこら辺は措置に触れる部分ですから、もしそうした方がおられた場合には、そう簡単ではございませんよと入管局長は答えておるわけです。  したがいまして、まだ名簿が出ておりませんから、今からいい悪いを言わなくてもいいじゃないですかというような感じできのうは質疑応答が続けられた、こういうふうに御理解願います。
  95. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今大臣、スポーツは別だということを三遍強調されました。スポーツは別だということになりますと、実はこれは私全く個人的にお伺いをして申し上げたいと思うのですが、オリンピックというのはスポーツの祭典です。同時に平和の祭典です。できれば南北朝鮮がともにこの成功を祝うことができるような、つまり三十八度線を平和の力で、スポーツの力で北から南、南から北に自由な行き来ができるような状況というものをつくることがオリンピックの精神に照らしても非常に重要だというふうに考え続けてきました。今なおその気持ちは捨てていません。  形はいろいろございましょうけれども、朝鮮〆民主主義人民共和国がこの第二十四回オリンピックに参加することに対して大臣はどんなお考えを持っていらっしゃるか、お尋ねしておきたいと思います。
  96. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 かつて、分裂国家であるけれどもドイツの場合には非常にすばらしい成果をオリンピックで上げられた、こういうふうに思います。したがいまして、さような意味でソウルにおけるオリンピックは朝鮮半島の緩和に役立つと私たちも歓迎いたしておりますし、また、韓国の盧泰愚大統領は、この間私が行きましたときにも、オリンピックに北朝鮮が参加していただくように一日前まで門を開いております、こういうふうに言っておられましたから、当然日本といたしましてはそのことを歓迎しておる次第でございます。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  97. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その歓迎する態度というのと制裁措置との間には矛盾がございます。しかし、それには触れますまい。その点はやはり念頭に置きませんと、言っていることとやっていることと違うじゃないかという議論も生まれる可能性がありますので、これはそれ以上言いません。  次に移りたいと思います。  第十八富士山丸の船長と機関長の問題について、ここにいらっしゃる石橋前委員長も大変な御努力をいただきまして、そして前向きな方向を導き出してくれました。そして同時に土井委員長が金日成主席とも直接話をして朝鮮民主主義人民共和国と日本政府の間で正式に交渉をするというルールが開かれたわけですけれども、閔兵士の一方的な釈放によってこれが挫折をいたしました。実はこれは私ども日本社会党の責任じゃございません。ひとえに政府がその措置によってとんざをしたというふうに言わなければなりません。  その後、裁判所の判決ということになったわけでございますが、何かきのう福岡県の知事にお目にかかったときに、大臣は、朝鮮民主主義人民共和国と親交の深い第三国に釈放を働きかけるなど全力を挙げるということをおっしゃっておられます。外交問題ですから第三国がどこであるということを私はお尋ねをいたしません。ただ、その働きかけが朝鮮民主主義人民共和国に本当に届いているんだろうか、あるいは第三国はそれを引き受けてくれたのか、その点の御答弁をもしいただけたらお願いしたいと思います。
  98. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 我が国と親しい第三国はまたいっぱいおられまして、その方々はまた北朝鮮とも親しいという間柄でございます。だから、むしろよく情報を知っておられまして、北朝鮮と日本との間には第十八富士山丸の二人の船員がまだ向こうで抑留されておられますねというふうなことを知っておられる第三国もありますし、あるいは関心を持っておられても、それは外国のことだという方々もいらっしゃいます。  そうした方々が来られるたびに、もしそうした話が出た場合に、私はむしろ積極的に、我々は無罪だと思うが、北朝鮮側は有罪だと言っていらっしゃる。それはそれとして、とにかく安否だけでもよいから留守家族との間に機関長並びに船長さんの二人との連絡ができないものだろうか、人道上から私は日本外務大臣としてそのようなことを考えておるのです。せめて肉親との便りだけはさせてあげたいものである、そういうことも私は考える。もちろん今すぐに釈放してほしいという心は、もう本当に私たちの最大の願いであるが、もし皆さん方がお行きになった場合にはそういうお話をしてもらえば結構ですねというふうなことで、日本立場に関しましては、御関心のある向きにはその経緯等々も御説明もしたことがございます。  特に、私もシベリアに抑留されたことがございますが、そのときにも万国赤十字社で捕虜はがきというふうなはがきでございましたが、留守家族に、父母にはがきをあてて、生存をしておることを家族が知って喜んだ。これは何十万という人たちが皆そうだったと思いますが、戦争中においてすらそのように家族との交流というものは一片のはがきによってなされたのである。今平和なときだし、向こう向こうとしていろいろ問題があるから捕まえておるんだとおっしゃるかもしれぬが、それはそれとして、釈放をお願いするが、せめて釈放までにでも家族との間の音信の行き来だけはひとつ頼んでほしいね、これは率直に私は何人かの方にお願い申し上げた次第でございます。そして中には、十分言いましたよという方々もいらっしゃいます。  それに対して、この間ある新聞等々を通じまして、日本は第三国を通じてばかり人頼みをしておるが、そんなことはこっちは受け付けぬというような意味合いのことが載っておりましたが、たとえそうでございましても、やはり第三国で非常に善意を持って私たちに接触をし、また北朝鮮にも人道上の問題として接触していただいておる国々がございますので、こうしたことは風の便りと申しましょうか、我々といたしましては当然やるべきことではなかろうか、かように思っておる次第です。  もちろん社会党の先生方がお行きになって、そして特に直接二人に出会われていろいろと激励され、また北朝鮮に対しましても二人の無実のことに関して話をしていただいた、そういう経緯も十分知って私たちは感謝いたしているような次第でございます。
  99. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 第三国ということも、それは今の状況でそういうことになってくるのかもしれませんが、日本政府自身が直接に働きかけていくという誠意と努力というものだけはひとつしっかり堅持していただきたい。これはある意味で裁判で判決を受けて服役をしている状態、その人たちに対する扱いの問題になりますから、そういう態度が必要ではないだろうかということだけ申し上げておきたいと思います。  実は、この間新聞を見ておりましたら、イクレ氏やウォルステッター氏が共同座長になって、ことしの一月ですけれども、アメリカの国防長官に提出した戦略、安全保障問題の専門家たちによるアメリカの統合長期戦略に関する諮問委員会の報告書、つまり選択的抑止という新聞報道がございました。  その中で「一国の軍事力は経済力を反映する。日本経済力は世界で二番目の力を持ち、さらに成長を続けるだろう。今後数十年間の戦略バランスのカギとなるのは日本が主要な軍事大国になる道を選ぶかどうかだ。そうでない場合でも、日本の投資決定だけで戦略環境に影響し得る。日本の対ソ技術援助の決定一つが、ソ連の潜在的軍事力を高めることになる。一方、日本による米国の同盟国、友好国への経済援助増額が我々の安全保障に有効だ。」こう書いてある。  「日本の対ソ技術援助の決定一つが」云々以下は気に入りませんけれども、それはそれとして、日本がやはり世界のいわば戦略環境を変化するだけの力というものを持つだろうというふうに指摘されているという意味では、今が、軍事大国になるのかならないのかの岐路に立っていると私は思うのです。  そういう点から考えても、率直に言って極東におけるソ連脅威論だけで、そして洋上防空を含めたアメリカとの戦略を一層強めて、そして事実上の安保体制の変質みたいなこともやっていく、そういう努力よりも、アジア・太平洋の平和な環境をどうつくっていくのかということのために努力をすべきときが来ている、つまり国際的な安全保障の仕組みというものをつくっていくことが必要ではないだろうかと思いますけれども大臣はこれらについてどんなお考えをお持ちか、お尋ねをしておきたいと思います。
  100. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 冒頭に引用されました文章、ブレジンスキーさんとかあるいはまたキッシンジャーとか、そういうアメリカの著名な方の政府に対する報告書の内容だ、こういうふうに私もお聞きしておったわけでございますが、そこには日本が経済大国になるか軍事大国になるか、どちらをとるのだろうかというふうなことが書いてあります。  私たちといたしましては、これは大変な参考事項ではございますが、一応政府でない、民間のお話でございますから、それはそれなりの関心度で眺めさせていただいております。衆議院の予算委員会におきましても、今の経済力でいくと軍事大国に間もなくなるよというふうな感じで、しかも倍増というふうな数字がその中に出ておったりしておりまして、それだと軍事費が、昔の池田所得倍増論じゃないけれども、こういうスピードで伸びなくちゃいかぬねというような話も、予算委員会においては質疑応答でございました。  私は、そういう面におきまして、アメリカのそういう専門家の方々日本を見ておられることに対しまして、竹下総理もASEANに御出席のときに、はっきりと日本は軍事大国にはなりません、経済大国と言われておりますが、軍事大国にはなりません、このことをしばしば宣言をしていただいたわけでございます。このことは当時フィリピンの新聞のトップを飾るというふうなことで、いかに、かつて太平洋戦争の言うならば主役であった日本というものに対して、アジアのみならず世界がどういうふうな思いで見ておるかということを常に心しなければ、それこそ日本は孤立無援の立場に追い込まれていってしまう、かように思いますから、私たちといたしましては防衛に関しましては節度ある防衛をしたい。  そこで岩垂さんの御提案のごとく太平洋においても立派な、そういうような環境づくりをしたらどうか、もっと太平洋全部としてのというようなお気持ちだろうと思いますが、私たちももちろん太平洋の一員でございますし、また、西側でございますから、常に経済大国と言われるからにはその経済力を平和に利用したい、むしろ平和に貢献したい、こういう気持ちでございます。  だから、現在といたしましては、新しい構想をここで持つのではなく、今、日米安保体制下にある、そうしたことが一応極東のみならず、安定感というものをそれぞれ与えておるのじゃないだろうか。そこで日本がやはりそういう枠内で専守防衛の国である、シビリアンコントロールのきいた国である、そして非核三原則の国である、憲法も私たちには戦力を与えておらない、こういうふうな幾つもの制約の中で我々は平和を望んでおる。常にそのことを申し上げることが必要ではなかろうか。  だから、私たちといたしましては、一応そういう意味で太平洋諸国とのお互いの共栄を図っていきたい、かように思っておる次第でございます。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 次は、今度の協定に入ってまいりたいと思いますので、これは大臣でなくて担当の方にお答えをいただきたいと思うのですが、地位協定の二十四条一項というのは「日本国合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」こう書いてあります。「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」ですよ。  「すべて」ではなくなっていることに対して、どのような言いわけをなさるおつもりですか。
  102. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昭和五十三年度以降、私ども一連の自主的な措置をとってまいったわけでございますけれども地位協定第二十四条1に申します合衆国軍隊を維持することに伴う経費については、在日米軍がその任務を遂行していく上で必然的に発生する経費を言うものであって、具体的にいかなるものがかかる経費に該当するかは、個々の経費性格に即して判断すべきものと考えております。
  103. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それで答弁になっているのですか。「すべての経費」というのは極めて常識的な言葉遣いなんですよ。今は「すべて」でなくなっているのですよ。そのことについてどう言いわけをなさいますかと私は聞いているのです。
  104. 有馬龍夫

    有馬政府委員 労務費につきましては、在日米軍がその任務を遂行する上で労働力を使用するのに直接必要な経費を意味するものと考えますけれども、かかる経費としての賃金であっても、間接雇用制度のもとで日本側が決定したものすべてが、そのまま自動的に同項により米国の負担となるものであるとは私ども考えておりませんで、労務の需要者たる米国がいかなる水準まで負担して労務の提供を受けることになるかは、諸般の事情を勘案の上合理的に決められるべきであると考えているわけでございます。  したがいまして、より具体的に申しますと、最初に我が国負担することといたしました法定上のあるいは任意の福利費でございますとか、それから我が国立場配慮して一九六〇年以降採択しておりますところの間接雇用制度の結果生じましたいわゆる管理費、それからその後、昭和五十四年……
  105. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もういいですよ。そんなこと知っているのです。「すべて」じゃないのですよ。そこだけ聞いているのです。もういいです。次に移ります。  地位協定のこれ以上の拡大解釈をして思いやり予算の枠を広げることはできませんと、今までアメリカに対して何回か言ってきましたね。そういう立場から見ると、拡大解釈は無理なのですよ。二十四条の一項に矛盾する協定ということになっちゃっているのですよ。これを合法だというふうに押しつけようといっても、それは無理です。  答弁をいろいろ見ますと、国会で決めれば、例えば「すべて」と書いてあるけれども、一部だけでもいいのだというような言い方になっているわけですから、こういうことは二十四条の精神から見てやはり問題があると言わざるを得ない。この辺はどうなんですか。長い長い答弁はいいですから。
  106. 有馬龍夫

    有馬政府委員 したがいまして、昭和五十三年度、五十四年度に我が方が負担することとなりました理由というのは、先ほど私が申し上げたとおりでございますけれども、昨年御了承いただきました特別協定、今改定をお願いいたしておりますこの協定は、ここで今、半額持つこととしております八つの項目については、時期を暫定的なものとして、対象が限定的なものとして、二十四条との関連では特例であるということでお願いした次第でございます。
  107. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この際ですからはっきりしておいてほしいのですが、維持的経費というものの定義を、今後のためにもしっかりここで述べてください。
  108. 福田博

    ○福田政府委員 地位協定二十四条一項に申します合衆国軍隊を維持することに伴う経費というのは、在日米軍がその任務を遂行していく上で必然的に発生する経費を言うというふうに理解しております。
  109. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは、それがさっきの「すべて」というところとどういうことになるかということを実は聞きたいのですが、もういい。  去年の国会で、プラザ合意でどうのこうの、円高でアメリカが困っているので特例的に一時的に、しかも限定的にということをおっしゃってこられました。今回も一時的で特例的で限定的な措置だということをさっきから答弁されておられます。  つまり、為替レートにスライドして日本側負担をふやすということなんでしょう。そうじゃないのですか。その点、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。
  110. 有馬龍夫

    有馬政府委員 スライドしてふやしていくという考え方ではございません。
  111. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは、スライドでなくても円高になったからということは理由一つでしょう。それはお認めいただけるでしょう。
  112. 有馬龍夫

    有馬政府委員 さようでございます。
  113. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 円安になればこれは減少するという性質のものですか。今までだって円安の時代があったのです。そのときは黙っていたのです。こういう関係はどうなるんですか、お答えいただきたいと思います。
  114. 有馬龍夫

    有馬政府委員 プラザ合意以後円高が継続的にございまして、この一年間にもさらなる円高があったものですからお願いしているわけでございますけれども、従来も円高、円安、いろいろな場面がございましたが、在日米軍隊を維持するに当たっての経費の中で米軍負担しております経費は常に漸増の傾向をたどってきたということもございます。
  115. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 答弁になっていないじゃないですか。漸増の傾向にあるから、それは面倒を見ると今言った。さっきは円高になって大変苦しいからということを言った。どっちが本当なんですか。私は午前中からの上原さんに対する答弁を聞いていた、あるいは議事録を読ませてもらった、これは円高と言っているのですよ。それが最大の理由なんですよ。それなら、円安になったらそれは減少するのですねと私は聞きたいのです。そうでなかったら、これは理屈が合わないのです。はっきり答えてください。
  116. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私どもといたしましては、今般の措置在日米軍労務者の方々雇用の安定を目的としておりますので、ある程度の展望をある時期にわたって提供することが大切だと思っておりますけれども、もし本件協定有効期間中におきまして著しい円安の状況が続く基本的状況の変化があった場合には、在日米軍財政事情あるいは従業員方々雇用を取り巻く情勢等を勘案しつつ、その時点において適切な負担について検討が行われることとなろうと存じております。
  117. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 余り言いたくないのですけれども大臣、去年の協定というのは、つまり二分の一負担というのは五年間ですよ。そして、この協定では、全額負担をするのは実質二年間ですね。二年の法律みたいなものだ、これは。木に竹を接いだわけですよ。木に竹を接ぐと木か竹か私もようわからぬが、接いでみたけれども、またもう一遍竹を接ぐというのはこれなんですよ。もう木じゃなくなっているんだけれども、それはもうさっきの話ですからやりますまい。  結局、二年後にまた新しい竹を接ぐということを予定していると私は考えざるを得ないのですよ。そんなものなんですか。そして、その二年後のことまで展望が持てない。去年のが六カ月で狂ってしまったのだから、それは展望は持てないのかもしらぬけれども、そんなあいまいな形で協定をやり直していくというようなことを繰り返していて、一体政府責任はどうなるんですか。見通しが余りにも暗い。後始末もない。その点についてどう責任をとるのですか。はっきり答えてください。
  118. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私どもは、現在御審議いただいております措置以外のものは今考えておりません。したがいまして、将来についての予測をすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  119. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一ドル百円時代になったらどうなるか、これも見えているのです。だから風のまにまにということでしょう。朝令暮改ということでしょう。そして協定審議しろと言われたって本当のことをいって困るのです。これから基本給や光熱費まで持てと言われたら、またその協定を出してくるのじゃないかと思いますが、そういうことはございませんね。それははっきり答えておいてください。
  120. 有馬龍夫

    有馬政府委員 現在私ども考えておりますのは、今御審議願っております諸措置だけでございます。
  121. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 現在ということは、将来は事情が変わることもあり得るということですか。そんなことないでしょう。――大臣、では理事さんがそうおっしゃいますから、御答弁をいただきたいと思います。
  122. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 午前中、私もちょっとインド首相がお越しになられて首脳会談がありまして立ち会いましたので、その間の質疑応答等を耳にいたさなかった次第でございますが、そのときもあるいは政府委員から答弁があったと思いますが、去年特別協定をお願いしたときの円ドルの関係等、そしてこの協定をことし出さざるを得なくなったというふうな、あくまでも従業員雇用の安定でございますが、その円ドルの関係というものが相当大きな数字になっておるということは岩垂議員も御承知のところでございます。  それで、円安の場合はどうかと言われましたが、それは今北米局長が答えたような認識でよいと思いますが、G7がこの間終わりまして、やはり基軸通貨であるアメリカのドルに対してアメリカはもっと責任を持てということが今世界の世論でございますし、今おっしゃったような、これは百円になるのだよということをもしここで私たちが公言したら大変なことになりますし、そういうことがないように我々といたしましては国際通貨が安定することを望んでおりますから、したがいまして、この協定は一九九二年までお願いしたい、限定的、暫定的だと言っているのはそこでございますので、そこら辺でぎゅうぎゅうやっていただきますと、理論としては確かにそうであると私は思いますが、政府責任を持たせていただいて、この特別協定従業員雇用の安定ということを念頭に置いて、アメリカの経費負担が重くなったからやはりそれでは日米安保条約の円満な運営も難しかろうからという思いやりということになっておるわけでございますので、そこら辺もひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  123. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣、私が聞いているのはそれではないのですよ。本給を持つとか光熱費を持てというようなことになりかねない状況だが、そういうことはないでしょうね。実は公務員法の規定にもかかわる問題ですから、この点をはっきりしておいてほしいと思います。そういうことはないでしよう。
  124. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今のところは特則として出したものでございますから、しかも今の趣旨をずっとお考え賜りましたならば、とりあえず現時点ということを中心として向こう五年間ということを頭に描いてやったものでございますから、今からその先どうなるのだとおっしゃいましても、今からそういうことに関しましてあれこれとお答えする立場にはいない、現時点のこうしたことというものが一番大切ではなかろうか、こういうふうに私は思っております。
  125. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私の危惧は、大臣日本だけだと思うのです、これだけ手厚くやっているのは。もう細かく言いません。それなりに調べさせてもらいました。それはそれで対応してきたのでしょう。ところが、おんぶにだっことは言いませんけれども、そういう状況になって日本にこれだけやってもらった、まだ悪いぞ、もっとやってもらおう、もっとやってもらおうといったら、給料全部までみたいなことになりかねないのですよ。だから、そこはけじめをつけましょうと言っているのです。  そのけじめについて、本給とか光熱費まで持てなどと言われたって、それはだめですよということを、これは実は公務員法の問題もある、だからきちんと歯どめをかけておきたい。同時にそのことについて誠意のある答弁をいただきたい、こう言っているのです。それはもういいでしょう。しかし、できたらそういうことはないと答弁してほしいものだな、どこまでいくかわからないから。大臣どうですか。
  126. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 こうした問題は、我が国の財政も苦しいときでありますし、社会的、経済的な影響もありますし、そうしたことを考えつつ今日の協定を出したのですから、今の協定に対して私たち向こう五年間の責任は持ちたい、こういうふうに思っております。  これから円安になるのやら円高になるのやら、どういう情勢になるか、だから、その費目もあるいは拡大されるのではないかとか、いろいろ御想像をなさる点に関しましても、私たちといたしましては現時点では答える立場にないということだけは申し上げたい。  もちろん我が国の自衛はあくまでも節度を保った防衛費ということを考えて進むわけでございますから、この問題に限定いたしまして今からあれこれ議論するのは、私といたしましてもはっきり申し上げる立場にはおらない、これだけはひとつ御理解賜りたいと思います。
  127. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきから大臣は五年、五年と言うけれども、これは実質二年なんですよ。ちっとも遠いところじゃない。目の前の話なんです。それがわからないわけです。その次に今度は本給ですよと来られたのではたまったものではない。  だから、そういうことはないということを、それはあり得るかもしれません、今申し上げるわけにはいきませんと言われたのでは、これはちょっと我慢ならぬですよ。だから、本給とか光熱費とかいうことはあり得ませんと、はっきり答えてください。そうでないと本当に困りますよ。
  128. 有馬龍夫

    有馬政府委員 この特別協定は一九九二年の三月三十一日まで有効でございますけれども、今大臣が繰り返し申されましたように、今明らかにしております措置以外の措置をとることは現在検討しておりませんで、その他のことにつきましては、法的側面も含めて仮説に立って推測することを差し控えさせていただきたいということでございます。
  129. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 公務員法をちょっと勉強してください。公務員法違反になりますよ、本給まで持つという話になったら。それはもういいです。  さっきから円高になってという話をなさったものですから、円高でやりとりしました。それで、これは将来の見通しを含めてわからぬことになりました。それから雇用の安定ということをおっしゃいました。本当にこれで雇用安定に対して責任を持っていただけますか。
  130. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 本来は施設庁の問題でございますから、そちらからお答えなさる方があるいは適当かと思いますが、外務大臣は総攬者でございますから、そうした意味合いにおきまして、我々が自発的に今回の予算をつくったということは十二分に米軍承知いたしておるはずでございます。しかも、それは雇用の安定だということを申し上げておるわけでございますから。  けさほども上原委員にお答え申しましたとおり、米軍といたしましては、かねて問題になっておりました沖縄における海兵隊の従業員の問題は、これは解消いたしますということを言われましたので、一応解決をした。そうしたことが鏡のごとく映るのではなかろうか、また映さなければならぬ、私たちはしょっちゅうそのことを申し上げている、こういうふうに思っております。
  131. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 去年、鏡に映るだろうと思って一生懸命見ていたのだけれども、鏡に映るどころか黒くなっちゃったのです。だから、そういうことを含めて、ぜひそういうことのないように頑張っていただきたいと思います。  ことしの春闘の加重平均というのは大体四%を超えるような感じがするのですが、これは人事院勧告にはね返るわけなんで、完全実施ということについて保証すること、これは防衛施設庁長官になりますか、御答弁をいただきたいと思います。
  132. 友藤一隆

    友藤政府委員 給与改定につきましては、全体の姿がどういう形になるのか今のところつまびらかでございませんので、ここで明確にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、例年私ども、必要なべース改定については米側と十分折衝をしてまいっておりますので、そういう線で今後も進めてまいりたいと思っております。
  133. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一項のことはいろいろ聞きたいけれども、どうもさっぱりわけがわからないからもうやめます。二項についてちょっと質問をしたいので、簡単にイエスかノーかで結構ですから、お答えいただきたいと思います。  二十四条の二項というのは、すべての施設の提供は可能であるという立場に立つわけですが、念のために伺っておきますが、例えばABC兵器のための施設などはこの「すべて」という中に含まれない、あくまでも我が国の法律や条約の枠の範囲内だということを御答弁いただきたいと思いますが、どうですか。そのとおりならそのとおりというふうに答えてください。
  134. 福田博

    ○福田政府委員 お尋ねのいわゆるABC兵器関連の施設というものが何を意味するか必ずしも定かではございませんが、地位協定の二十四条二項によって我が国負担すべき施設及び区域について条文上特に限定がついているわけではございません。
  135. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そうすると、ABC兵器のための施設ということも「すべて」の中には入るというふうに考えていいのですか。
  136. 福田博

    ○福田政府委員 今申し上げたのは、二十四条二項に何と書いてあるかということを御説明したわけでございますが、このABCのAというのは、例えば中長距離ミサイルの基地の建設というような問題でありますならば、当然地位協定に基づく負担の問題以前の話として、安保条約上の事前協議の主題になるわけでございます。
  137. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 中長距離のこともありますけれども、ニュークリア、つまり核兵器など、そしてB、Cは考えられないというふうに私、受けとめてよろしいかということを聞いている。そのとおりならそのとおりだということを言ってください。これは法律と条約がかかっていますから。当たり前の話ですけれどもね。
  138. 福田博

    ○福田政府委員 核兵器の問題につきましては、もちろん御説明するまでもなく非核三原則というものが我が国の国是としてございまして、事前協議の際にはそれを断るということになっておるわけでございます。  その他、B、Cというものが何を意味するかわかりませんが、これはもちろん各種の国際条約の範疇の中において考えられ、処理されるべきものと考えます。
  139. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 つまり、毒ガス禁止のジュネーブ議定書などの国際的な条約で決められたものはその中に入らないということで理解をしてまいりたいと思います。  それから、もう時間が迫ってしまったのですが、アメリカの一九八八会計年度の国防費のうちに在日米軍関係は千六百十八万ドル、アメリカの政府要求したのが六千七百四十七万ドル、七割以上実はカットされたわけですね。例えば空軍について言えば嘉手納のジェット燃料貯蔵庫など四件、横田の指揮センターなど二件というふうに承っていますが、それは後で内訳を教えていただきたいと思うのですが、それらの肩がわりをしろと言われる可能性はないでしょうね。そういう可能性と政府の態度というのを明らかにしてほしいと思います。
  140. 有馬龍夫

    有馬政府委員 施設区域の提供は私どもが米国と合意して行うものではありますけれども、肩がわりということはなく、あくまでも我が国が自主的に判断して決めていくということでございます。
  141. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 肩がわりとは言わないけれども、思いやりでやってあげることもあるということだというふうに受けとめます。それはやはりいろいろ問題が出てきますよ。アメリカでカットしたものを日本経費で持っていくということになったら、幾ら自主的に決めたと言ったって肩がわりと言われても仕方がない、こんなふうに思います。  しかし、それはここでやりとりをしても仕方がありませんから、その点はその辺でとめておきたいと思います。  大変恐縮でありますが、地位協定に関係をいたしますので、池子問題を少し、私の選挙区でございますものですから、質問をさせていただきたいと思います。文化庁お見えでしょうか。もうちょっとこっちの方へ来て、さっさと答弁をいただきたいと思います。  アセスメントでは、防衛施設庁が県に対してシロウリガイの保存のための協議をすることになっておりますけれども、文化庁は協議を受けたことがございますか。
  142. 小林孝男

    ○小林説明員 協議は受けておりません。
  143. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 アセスとは別に、文化庁は文化財保護法による天然記念物指定ができるはずでございますけれども、何で調査をしないのですか。
  144. 小林孝男

    ○小林説明員 文化財の問題につきましては、各地方公共団体の教育委員会が文化財行政を担当しておりますので、一義的にはそこで調査をする、こういうことになっておるわけでございます。
  145. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは大臣、シロウリガイなんというのは私も実は初めて聞いたのですが、最近新聞にたくさん出ておりまして、シロウリガイの化石というのは世界的に見ても日本にしかないと言われているのです。日本では四カ所。これを、専門家の鑑定といいましょうか、意見を私も尋ねてみたわけですが、大変貴重なものなんです。それが池子弾薬庫の建設予定地の中から出てまいりました。  実は、ベンソス、底生動物の権威である先生方が要望書を出しておられまして、私、ちょっと読んでみます。   逗子市内及び近接地域には、シロウリガイ類の二枚貝が、一箇所に多量に群集をなして埋蔵されている化石産地が存在します。この中で逗子市内には、他の区域での場合のように貝殻が溶け去って内外型のみが痕跡として残されているのとは異なり、石灰質の貝殻が完全にしかも多数に保存されている特殊な化石産地があります。   近年になって、シロウリガイ類は、プレート・テクトニクスと関連した地質構造に関係のある断層などが、深海底に露出して地底からの冷水が湧出する場所に、特異的に群生して群落(コロニー)を形成する特殊な深海性二枚貝であることが知られて来ました。これを逆に申しますと、シロウリガイの群落は、その存在によって現在ないし過去の地質時代の特異的な地質構造の存在を指示するものであると云えることになります。   最近、海洋科学技術センターの潜水艇「しんかい二〇〇〇」によって、伊豆半島伊東沖合の深海急斜面の麓の緩斜面にシロウリガイ群落が散在することが知られ、一連の研究が進展しております。その他房総半島洲崎沖合の沖ノ山堆(沖ノ瀬)の麓にも群落が発見されました。また遠州灘沖合や本州東方の日本海溝などでも、日仏共同研究によりフランスの潜水艇「ノゥティール」によって採集され、シロウリガイ類群落とプレートの沈み込み帯における地質構造や、大規模地震との関係などが論じられています。   逗子市内のシロウリガイ類化石は、三浦半島を東西に横切る古い地層である葉山層との関連のもとに、衣笠の蛇紋岩の存在などと共に過去のプレートの沈み込み帯との関係が深いものである可能性が高いものであると考えられるようになって来ております。   上記のような事情から、逗子市内と同周辺区域での、シロウリガイ類化石産地群について、地質学的、古生物・古生態学的、および地球物理学的調査を早急に実施すると共に、化石産地、特に貝殻の保存されている産地を中心に、単に単一の地点としてでなく、綿的、面的な分布も考慮した上で保存し文化財保護の措置を講ぜられるよう要望致す次第でございます。 こういう文書があるわけです。  というのは、プレートテクトニクスといいまして日本列島がプレートの圧力で隆起する、そこのいわば歴史の証言みたいなもの、それがシロウリガイであると言われています。それから、海底何千メートルというところに、太陽の光も届かないのにそれがすんでいる。その生態系は一体何なのかということが、種の起源みたいな、ルーツみたいな意味でも非常に貴重なものだと言われております。  文化庁にこの際お尋ねしますが、このシロウリガイというものは、今私が申し上げたような非常に貴重なものだとお考えになりますかどうか。その点の判断をいただきたいと思います。
  146. 小林孝男

    ○小林説明員 シロウリガイにつきましては、今先生がるるお述べになったようなことを私ども承知しているわけでございます。  プレートテクトニクス及び巨大地震との関連で地球科学の分野で、また太陽の光の届かないところで生息する生物といたしまして生物学の分野で、それぞれ注目を集めるようになってきているわけでございますが、これらはいずれもまだ研究の緒についたばかりのところでございまして、十分解明されていない面が多い、こういうことで、今後の研究にまつところが大きいのではないか、このように考えているところでございます。
  147. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう研究をしていくためにも、それを壊してしまっては困りますね。そういうものは保存すべきでしょう。それが天然記念物行政の基本でしょう。今すぐ天然記念物に指定できるかどうかは別として、その可能性を含めて調査をすることは大事でしょう。その点はいかがですか。
  148. 小林孝男

    ○小林説明員 今申し上げましたように、非常に学術関係者の間では話題になっている事柄でございます。そういう面で、シロウリガイの化石の全国的な分布状況もまだ解明されておりません。それから、その学術的な意味づけというものについてもまだ十分でございません。そういう意味で、私どもとしては、文化財として指定する云々ということはまだ時期尚早であるということで、専門の学会等での研究の成果を少し待ちたい、このように考えているところでございます。
  149. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 学会の研究成果を待ちたいという気持ちはわかります。しかし、壊してしまったのでは研究の手だてがなくなりますね。つまり、あなたがおっしゃったように非常に重要な要素を持っているということから考えて――私は実は学者の先生に直接お尋ねしたのです。他のものと比べてみてこれは当然天然記念物指定にすべきものだと考えていますというふうにお答えをいただいています。  そういう意味では、壊してしまってはどうにもならないと思うのですが、その前に、きちんと調査をなさるお気持ちはございませんか。
  150. 小林孝男

    ○小林説明員 先ほどから申し上げておりますように、まだ未解明の分野の問題でございます。私どもとしては、現在のところ文化財の指定ということを念頭に置いた調査は考えていないところでございます。
  151. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それでは、例えば市なり県なりが文化財保護の立場でそういう決定をして、そして文化庁に上げてくるという場合には、当然のことながら文化庁としてはそれに対応するというふうに考えてよろしゅうございますか。
  152. 小林孝男

    ○小林説明員 文化財の指定につきましては、国指定、それから県の指定、市町村の指定といろいろ段階がございます。市町村あるいは県の段階で指定されたということで、それに基づきまして、将来の問題でございますけれども、国の方へ上がってくれば、それなりの対応は考えなければならないだろうと思っております。
  153. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛施設庁長官、こういうものを特別に調査する場合の立ち入りなどについては便宜を図っていただけますね。
  154. 友藤一隆

    友藤政府委員 ただいまお尋ねのシロウリガイの化石に関する件でございますが、私どもで実施をいたしました神奈川県環境影響評価条例に基づきます諸般の手続の中で、その審査書におきまして、シロウリガイの化石について調査を行い、その内容を明らかにするように指摘をされておることは私ども承知をいたしております。それで、この関係につきましては、県等の関係機関と調整をいたしまして、調査が必要ということになれば適切な措置をとってまいりたいということで考えておるところでございます。
  155. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これは実はシロウリガイの問題だけでなしに史跡もそうなんですけれども、実は最初に逗子と県と防衛施設庁の三者で提供区域全部の史跡の調査をするということの合意を見ているわけですが、実際には建設予定地の調査ということで終わっているわけです。長い間米軍の基地だったのですから、人が入ってないわけです。だから史跡の調査の上でいうとブランクになっているわけです。そのブランクを埋める作業と努力は私はどうしても必要だろうと思うのです。  そういう調査をお願いしたら、何かアメリカから断られた、だからだめだというふうな話が防衛施設庁から伝えられたと承っていますが、どうも外務省に聞いてみたら、外務省はそんなこと聞いてないということのようでございますけれども、そこのやりとりはどうなっていますか、それについての結果をお知らせいただきたいと思います。
  156. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 池子住宅地区及び海軍補助施設全般の調査ということにつきましては、昨年の十二月七日に住宅計画区域の調査について県との打ち合わせをした際に、全般の調査がしたいというお話があったことは事実でございます。  その際、横浜防衛施設局としましては、これが米軍が管理し使用しておる土地であるということ、当面ここを形質変更する計画はないということから難しいのではないかなというお話を申し上げたと聞いておりまして、全般の調査をする合意があるというふうには承知しておりませんけれども、その後、神奈川県から文書で全般の調査をしたいというお申し越しがありましたので、横浜防衛施設局におきまして現地米軍に対しまして照会し、その結果、現状では困難という回答を申し上げた、そういういきさつでございます。
  157. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 立入調査というのは防衛施設庁ではなしに外務省がなさるわけでしょう。建設予定地だけかもしらぬけれども、調査をしないで壊していくということになると、一体何だろうか、何か逃げ腰じゃないだろうか、何か出てくると困るのじゃないだろうかという疑念が起こってくるに決まっているのです。だから全域の調査をやるべきです。  それはアメリカの住宅を建てるのですよ。それなのにアメリカが日本の古い歴史の調査をすることを拒むなどということは常識じゃないです。そんなことは私は考えられないと思う。アメリカはそんな態度をとるとは思わない。外務省にぜひその点は全域の調査について努力するということをお願いしたいと思います。これは常識なんですから。御答弁をいただきたいと思います、
  158. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 文化財の調査につきましては、今住宅の建設を計画している計画区域につきましては既に神奈川県が調査を開始しておりまして、私どもはそれに協力しているということは御理解願いたいと思います。  それから、計画区域外の調査についてでございますけれども、実は県の条例に基づきます環境アセスの手続の中で、これは表面の踏査でございますけれども、私どもが予測評価書をつくるために全域の調査を一回した事実もございます。先ほど申し上げましたのは、形質変更を前提として大がかりな発掘とかということはなかなか難しいであろうと思いますけれども、その調査の方法、内容等によりましては、またその関係機関が調査が必要ということでありましたら、米側と立ち入りの調整をすることにやぶさかではございません。
  159. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事業者が開発のために調査をするというのが今の日本のアセスの制度なんですよ。それはそれで仕方がないと思う。しかし、それに対する信頼性というものはなかなか難しい面があると思う。だから、県の文化財保護委員会がお願いしているのですから、今までかかわりを持ってきた神奈川県の文化財保護委員会がそれを言っているのですから、立入調査の実現について努力をいたしますということを御答弁いただきたいと思います。  そうでないと、アメリカが断っているんだ、片方で住宅が欲しいと言って片方で調査がだめだと言うのでは、アメリカもかなり虫のいい話だなということになってしまうんです。大臣、大変御答弁が難しいかもしれませんが、当たり前の話ですから、文化財保護という立場で立入調査について努力をすると御答弁をいただきたいと思います。
  160. 友藤一隆

    友藤政府委員 先ほど来担当部長から御説明をいたしましたが、計画区域外は形質変更を今回全く予定しておるところでございませんので、米側はそういう考えで対応したのではないかと思います。  ただ、調査の方法にもいろいろなやり方もございますし、その辺、県側の御意向等も十分伺いまして、私どももまた米側と調整をいたしてみたいと考えております。
  161. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大臣、池子問題というのはかなり厳しい対立を今でも続けています。やはりそういう住宅というものがつくられるときには、周辺住民というか、逗子の場合には市民を初め神奈川県民の理解と協力が必要だと私は思う。そういう意味で三者協議が行われましたが、結果的に県知事の調停というものが実になりませんでした。非常に残念なことだと思いますけれども、それが現実です。  だとすれば、防衛施設庁長官あるいは防衛庁長官なりと当該の市長が話をする。特に河川協議という問題がございまして、地方自治法に基づいてやらなければいけない協議の機関があるわけであります。そういうことなども含めて、ぜひそういう努力をお願いしたいと思いますが、いかがでしよう。
  162. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今友藤施設庁長官からもお答えがありましたから、そうした線において、直接責任者も一応努力しようとおっしゃっておりますから、この話が極力和やかに進む方がいいと私たち考えております。  ただ、今も触れられましたとおり、長洲知事がせっかく調停案を出されたのにどうなっているんだろうかというような疑問もまた私たちは持たないわけではございません。しかしながら、今施設庁長官が直接申したそうした線で結構ではないかと思っております。
  163. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 一遍、富野市長と話をするというお気持ちはあるでしょう。
  164. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  住宅建設の計画そのものにつきましては、先ほどお話がございました知事調停案をいただきます際に、三者協議等を通じまして十分地元の市長さんの御意見等も伺って、私どもとしては米側を説得するのに大変苦労するほどぎりぎりの内容に大幅に圧縮しまして、緑の保全その他地元の御要望を十分に盛り込んだ自信のある内容という形に実はしておるわけでございますので、その大筋の内容について私どもはこれでぜひ進めさせていただきたいということで現在工事を実施いたしておるわけでございますが、お話しのございました河川協議につきましては、やはり河川管理者としてのお立場がございます。したがいまして、そういった河川管理上の諸問題等について地元の局長を通じて現在協議をお願いしておる、かような状況でございます。この点についてはなお一層私どもも努力してまいりたいと考えております。
  165. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いずれにせよ両方で突っ張っていたってどうにもならない話でございまして、時間がずれるだけの話なんです。だから話し合いでこれは解決していく。確かに今までのいきさつがあったことは私も承知しています。しかし、市民の選択というものがそこにある以上は、そのことを全く無視するということもいかがなものかというふうに考えます。地方自治というものはそういうものではないか、私はこんなふうに思います。  その点で、大臣にはもう御答弁いただかなくても結構ですが、やはり当事者の話し合いということについて理解のある態度と努力をお願いをしたいと思います。御答弁は要りません。  最後にちょっと時間が余りましたから、これはきのうの朝日新聞の夕刊なのですが、地震の日独海中爆発実験に対して防衛庁が待ったをかけた。そしていまだにそれができないということなのですが、安全保障上の見地からだめだ、こういうふうになっているそうなのです。  これは御存じのとおりに、さっき私が申し上げましたが、プレートの動きというものが東海地震や日本列島南方での地震に大きな影響がある。この研究を通して地震予知などの問題を調べておきたいということなのです。  地震対策というのは、本当に国民生活の命と安全を守る安全保障の手だてなのですが、そういうことを認めないというのは、これはちょっと防衛庁さんもひどいことを言うものだなというふうに思うのですが、これは今外交交渉みたいな形になっているのですか、それとも防衛庁の対応なのですか。その経過をちょっとお答えをいただきたいと思います。
  166. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 この件につきましては、三月の中旬に、西独大使館から口上書をもちまして調査の許可申請が正式に出ております。それを受けまして、外務省を中心といたしまして関係省庁とただいまこの許可申請につきまして鋭意検討中でございます。  先生の御指摘のとおり、この調査は地震の専門家による調査でございますが、その中に爆発物の使用ということが明確に出ております。そういうことがございましたので、この問題というものを含めて今関係省庁とその対応ぶりについてなお調整中ということでございます。
  167. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 もう時間がありませんから最後ですが、可能性というのはない方なのですか、それとも見込みがあるのですか。  そういう地震の予知のための研究みたいなものが防衛という名前で踏みにじられるということになってしまったら、これはどういうことなのだろうか、そこのけ、そこのけタンクが通る世の中になってしまったのかいな、僕はこんな感じがいたします。実現の可能性はあるのでしょう。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  168. 兵藤長雄

    ○兵藤説明員 この調査の目的は、純粋に科学的な調査を目的とするということは私どもも十分理解できますので、方向といたしましては、一切認めないということではなくて、認める方向で検討はいたしておりますけれども、しかしいろいろな問題点があるということで、どういう条件、どういう形で認めるかということについてなお調整中、こう御理解いただきたいと思います。
  169. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 防衛庁がそういう科学技術の研究に対してくちばしを入れて、そしてそれが国際協力をも阻害してしまうということをやっていいものかどうかという点は、どうかひとつお考えをいただいて、その実現を目指していただきたいものだということを要請をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  170. 甘利明

    ○甘利委員長 代理 次に、伏屋修治君。
  171. 伏屋修治

    ○伏屋委員 まず最初に、本協定改定に至るまでの経緯について御説明をいただきたいと思います。  聞くところによりますと、本協定に踏み切るまでには、政府あるいは与党内においてのかなりの揺れがあったように聞いておるわけでございますけれども、その辺の経緯について御説明をいただきたいと思います。
  172. 有馬龍夫

    有馬政府委員 政府といたしましては、昨年、日米両国を取り巻く経済情勢変化ということで在日米軍経費が急激に圧迫されていて、労務費特別協定締結させていただいたわけでございます。  そして、さらなる一層の変化による在日米軍経費の圧迫ということで、今般在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、在日米軍効果的活動を確保するとの観点から在日米軍経費我が国負担増加を図ることが適切であると判断いたしまして、一月八日の政府与党首脳会議におきまして、在日米軍労務費特別協定改正を行い、この特別協定対象とする諸手当全額までを我が国負担し得るようにするとの方針を決定したわけでございます。  その後、この方針に従いまして、在日米軍労務費特別協定改正する議定書締結について米国政府との間で交渉を行った結果、合意に達しまして、三月二日に議定書に署名したわけでございます。  一月八日の政府与党首脳会議の決定に先立ち、政府としても慎重な検討を行ってきたわけでございますが、その検討の過程の内容につきまして申し述べることは難しゅうございますので、差し控えさせていただきたく、御理解をいただきたいと思います。     〔甘利委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕
  173. 伏屋修治

    ○伏屋委員 これ以上立ち入ってお聞きしようとは思いませんけれども、かなり外務省主導であったと聞いておりますし、またいろいろな面での大きな問題点があったということも聞いております。これ以上のことは聞きませんけれども。  経緯の中の一端でございますけれども、最初この協定改正しないというような方針で臨もうという段階もあったと仄聞をいたしておるわけでございますが、その根拠はどういうことなのですか。
  174. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私はそのようなことがあったとは承知いたしておりませんけれども検討の過程について具体的にお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  175. 伏屋修治

    ○伏屋委員 新聞によりますと、六十三年度思いやり予算の中で、一応六十二年度に決めて、発効が六月であった、その半年後にまたこの協定に踏み切るのはいかがなものであるか、こういうことから、協定に踏み切らずに、いわゆる円高差益あるいは油の値下がり、そういうものの百億円に余る値下がり分を思いやり予算施設費の方へ回したい、こういうような方針があった、このように報道されておるわけですが、関係者の方が御存じないというのは不思議であるなと思うわけでございますが、もう一度御説明いただきたいと思います。
  176. 有馬龍夫

    有馬政府委員 政府方針というものは、先ほど申し上げました一月八日の政府与党首脳会議に決められたものに尽きるわけでございます。  その決定に立ち至るまでの間にさまざまな検討がさまざまの関係省庁で行われたと思いますけれども、その具体的内容につきましては、繰り返して申しわけございませんが、申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  177. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほども申し上げましたように、六十二年度で改定し、しかも六月に発効してその半年後の改定、こういうところに関係者の方の大いなるちゅうちょがあったのではないかな、こういうふうに私は推測をするわけでございますが、それ以上のことは何度言いましてもお答えがないようでございますので、これ以上は問いません。  次に、今回の改定の提案理由に「経済情勢の一層の変化」、これが一つの提案理由になっておるようでございますが、六十二年度の改定のときにも「経済情勢変化」であったわけでございます。今回はその上に「一層」という言葉がつけられておるわけでございますが、その「一層」というものの中身は一体何なんですか。
  178. 有馬龍夫

    有馬政府委員 この「一層の変化」とは、大幅な一層の円高ドル安を指すものでございます。これによりまして在日米軍経費、なかんずく円で支払っております在日米軍労務費に係るドルベースの負担を急増させているということを踏まえて今般の措置をとることといたしたわけでございますけれども、具体的に説明させていただきます。  六十三年度におきまして、日本側特別協定対象たる手当の半分の限度いっぱいを負担しようとしているわけでございます。特別協定検討した際の六十一年十二月の一ドル百六十二円三十銭のレートが維持されていたと仮定して計算いたしますと、在日米軍従業員労務費米側負担総額が七百八十五億円でございますので、約四・八億であったはずなんですが、円高が進行いたしましたために、昨年十二月の一ドル百二十八円四十銭を用いますと、これは約六・一億ドルと試算されます。これが特別協定改正の背後にある経済情勢の一層の変化の大きな要因でございます。
  179. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほど岩垂委員の方からも御指摘がありましたように、円高ということが一つの大きな提案理由になっておると思うわけでございますが、重複するわけでございますけれども円高によってこういう改定に踏み切ってきたということでございますが、その間の政府の見通しの甘さがどうもあったのではないか。半年間でこれを改定せざるを得ないというような面におきまして、政府円高の傾向、推移というものに対する見通しの甘さ、こういうものに対してはどうお考えになっておられるわけですか。
  180. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これほどの円高が進行するであろうということはきちっと予測はしていなかったと思います。
  181. 伏屋修治

    ○伏屋委員 いやしくも国の政治のかじ取りを考えられる方々でございますし、我々もその一員でございますけれども、そういうような見通しの甘さに対して我々も責任を痛感しなければならないのではないか、このように思うわけでございます。  それで先ほども岩垂委員指摘されましたように、円高が提案理由の大きな一つであるということであるならば、円安状況になった場合はどうなのか、私も重ねてこの問題について御答弁をいただきたいと思います。  なぜならば、五十三年から始まりましたいわゆる思いやり予算、これもやはり諸物価の高騰とかオイルショックとかいろいろございました。そういうものによって五十三年から思いやり予算、六十一億というものがついたわけでございますけれども、その後、円高が続いたわけではなくて円安状況もその中間過程にあったわけでございますけれども、年々その思いやり予算は増額していったということでございますので、その辺のところはどうお考えになっておられるわけですか。
  182. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは先ほどもお答え申し上げましたけれども、私どもといたしましては、在日米軍の労務者の方々雇用状況、雇用環境の安定化をこれによって達成しようと思っているわけでございまして、そのためにはある程度の時期にわたっての展望を提供するということが大切だと思っております。  他方、仮にこの協定の有効期間に著しい円安の状況が続くなど基本的状況の変化があった場合には、在日米軍のその段階における財政事情でございますとか従業員雇用を取り巻く情勢等を勘案しながら、その時点において適切な負担について検討が行われることとなると存じております。
  183. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そうすると、今後の経済状況の変化に応じて日米合同委員会等々においていろいろな協議をされながらその都度考えていく、こういうような御答弁と確認してよろしいですか。
  184. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは米側と話し合って決めていくということではございませんで、我が国がそれぞれの事情に応じて判断し決定するということでございます、これは我が国予算にかかわることでございますから。ただ、先ほども申し上げましたけれども雇用の安定を確保するためにある程度の時期にわたって一つの展望を提供しておく、それによって安定的な予測を可能ならしめるということが大切だと思っております。
  185. 伏屋修治

    ○伏屋委員 円安がどういう状況で起こり得るか、このことは今のところでは予見はできないわけでございますけれども、円安状況になった場合には、その状況に応じて日米合同委員会等々で話ししながら、日本の財政も今は経済大国とは言われておるもののやはり厳しい面もあるわけでございますので、そういう面からもその問題を主題にしながら、円安状況に即応できる体制を議題として論議するのは当然のことだと私は考えるわけですが、もう一度御答弁願いたいと思います。
  186. 福田博

    ○福田政府委員 この特別協定の仕組みは、昨年締結されました特別協定第二条、これは今も変更なく有効でございますが、その二条の規定によりまして、我が国我が国の会計年度ごとに負担する経費の具体的金額を決定し、当該決定をアメリカ合衆国に対して通報することになっておりますので、あくまでも我が国自身が決定すべきことだと考えております。
  187. 伏屋修治

    ○伏屋委員 その問題はそれくらいにしておきましょう。  去年のことしでございますから、経済情勢変化に伴ってこういう協定改定され続けてきておるというようなことでございますから、何か場当たり的と見られても仕方がない、こういうふうに私は強く印象を持つわけでございますが、そのあたりはどうお考えなんですか。
  188. 有馬龍夫

    有馬政府委員 場当たり的ということの御趣旨がよくわかりませんけれども、私どもといたしましては、我が国にとって大変に重要な日米安保条約体制の運用の円滑化を確保することが重要なことだと思っております。それを確保いたしますために在日米軍従業員方々雇用環境を安定的なものにしていくということも大切でございまして、その目的に沿って努力しているということにおきましては場当たり的ということでは多分なかろうと存じます。
  189. 伏屋修治

    ○伏屋委員 日米安保条約効果的な運用というようなことについては私も認めるにやぶさかではないわけでございます。その考えに立つならば、六十二年に改定したこと、それが一九九二年までの時限が限られておるわけでございますので、それで通していけばいいではないか、私はそう思うわけでございますが、六月に発効して半年間でこれを変えざるを得ないというのは場当たり的と言う以外に言葉がないのじゃないですか。その辺はどうなんですか。
  190. 有馬龍夫

    有馬政府委員 繰り返して申しわけございませんけれども、その間、より一層の日米両国間をめぐる経済環境の中に変化がもたらされたわけで、それを放置するわけにはまいらぬということで今回御審議を願っている改定政府の決定としたわけでございます。
  191. 伏屋修治

    ○伏屋委員 前の見通しの甘さというような面等も絡んでくるわけでございますけれども、やはり二国間でこういうことで協定を結ぶということになれば、やはりそれ相応の責任を持った結び方をしていかないといけないのではないか。確かに円高が進行したということはわかるわけですけれども、その辺はこれからもよく考えていただきたいと思いますし、先ほどの御答弁の中にもございましたけれども日本従業員雇用の確保、こういうようなことも先回六十二年のときにもそれが理由になっておったわけでございまして、緊急避難的に今回はその改定をするんだ、こういうふうに述べられたその速記録もあるわけでございますが、今回のこの改定もまたその緊急避難的のそのまた緊急避難、こういうふうに解釈していいのですか。
  192. 有馬龍夫

    有馬政府委員 申しわけございませんけれども、緊急避難ということの意味がまた私にはきちっと理解できませんけれども、繰り返しになりますが、経済情勢変化にこたえてとった措置ということでございまして、もしも緊急避難ということが何か法に定められている以外のことをしなければならないということであれば、そういうことではございませんで、まさに御審議をいただいているというのは、私どもが決定いたしました措置を今後実施してさらなる経済の変化に対応しよう、駐留軍労務者の雇用の安定化という目的の中でそれを実施しようと考えていることでございます。
  193. 伏屋修治

    ○伏屋委員 先ほどの岩垂委員への御答弁にも自主的に判断したというようなお言葉が何度も出ておったわけでございますけれども、今回の改定についてもやはり円高の進行によっていわゆる米軍駐留軍が日本従業員の整理縮小、しかも常時雇用でなくてパート化の方向を示してきた、そういうようなことから日本負担を求めてきた、こういうふうな経緯もあると私は思うわけでございますが、前のときにも雇用関係の問題から一つのそういう改定に踏み切ったということで、私は今回もそういう面でアメリカからそういうものを求められて今回の改定になったということからするならば、やはり緊急避難的なまた緊急避難ではないか、こう申し上げたわけです。それについての御答弁は結構でございます。  こういうふうに、昨年労務協定改定されて、それが発効して半年後にまた改定しなければならないというようなことは過去のこういう協定の中にあったのですか。
  194. 福田博

    ○福田政府委員 昨年国会の御承認を得まして発効いたしました特別協定は昨年六月に発効いたしたわけですが、今回改正議定書が三月に署名されましたので、その差は九カ月ということになります。  過去、戦後の国会承認条約と申しますか承認を得て締結をした条約のうち、発効後比較的短期間のうちに改正議定書等を締結した若干の例を申し上げますと、例えば米国との農産物協定というのがございます。これは一九五五年に締結されたものですが、八カ月で改正議定書の署名が行われています。また、米国との特殊核物質の賃貸借協定、これは一九五六年に締結されましたが、五カ月で改正措置がとられております。さらに、パキスタンとの租税条約、これは一九五九年五月に発効しておりますが、十三カ月後に改正の手続がとられております。また、ベネルックスとの通商協定、これは一九六二年の四月に発効しておりますが、十二カ月ちょうどで改正議定書が署名されております。その他いろいろ事例はございますが、時間の関係上、代表して申し上げました。
  195. 伏屋修治

    ○伏屋委員 さきの国会におきまして、日本が二分の一を負担することが一つの大きな歯どめになる、こういうような発言があったわけです。時間的にも特定しておるというようなことからしてそれが歯どめになる、こういうふうに国会答弁しておりますけれども、この国会答弁を撤回せざるを得ないという現状ではないかと思うわけでございます。  それにしましても、そのときの答弁では、この協定を通していただければ今日あることはないような、非常に強力な答弁であったのではないかと私は考えるわけです。けれども先ほどから答弁を聞きますと、円高の急激な進行だとかいうようなことを言っておられるわけでございますけれども、そういうように情勢が変わってくると、またすぐ、先ほどは六カ月だ九カ月だという御答弁もございましたけれども、そういうような形でずるずるといくのは何かアメリカの方に対しても日本が時間稼ぎをしておるのではないのか、少しずつ小出しをするような形で時間稼ぎをしておるのではないか、こういう印象を与えておるのではないかと私は危惧するわけですけれども、その辺はどうお考えですか。
  196. 有馬龍夫

    有馬政府委員 私どもが極めて難しい財政状況のもとでこのような努力をしていることは米国は承知いたしております。したがいまして、今先生がおっしゃられたような無責任な期待を我が国に寄せているとは思いません。
  197. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今後もこの協定が来年にまた改定されるようなことのないように強く希望したいと思います。そんなことがずるずる続いていくということになれば、日本の国の信頼が失われていくのではないかなということも考えます。  およそ二国間のそういうような協定がほんのわずか一年もたたないうちに次から次と変えられていくということになれば、やはり二国間の信用の問題になっていくのではないか。こういうことからしましても、やはり政府に対して強い反省を求めたいと思います。そういう経済的な見通しを持てなかった、そういう反省は強くしていただきたいなと私は思うわけでございます。  今回の思いやり予算労務費について六十三年度で言うなれば労務費の総額が四百十一億三千二百万、こういうことになってまいります。それが全額ということになってくると、ほとんど日本側労務費に限って言うなれば半分以上負担するということになるわけでございますが、そういう半分以上負担するということに対して、関係省庁はどういう御認識を持っておられるのですか。
  198. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昭和六十三年度の労務費に即して仮に特別協定対象の諸手当全額負担日本側が行う場合を想定して試算いたしますと、今先生がおっしゃられましたとおり、我が方の負担割合は五一・八%、けさほども指摘のありました五二%弱となります。  しかしながら、累次御説明しておりますように、今般の特別協定改正日米両国を取り巻く経済情勢が最近において一層の変化を見せており、在日米軍経費が圧迫されているという事態にかんがみ、在日米軍従業員方々雇用環境の安定を確保するということから実施させていただきたいと思っている次第でございまして、我が国労務費負担が大きくなり過ぎているというふうには考えておりません。その点、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  199. 伏屋修治

    ○伏屋委員 昨年の十月以降この協定に踏み切るまでの間に、先ほど冒頭に申し上げましたようにいろいろな与党内あるいは政府内にも揺れ動きがあったと聞いております。その間において安倍幹事長の発言が非常に大きな反響を及ぼしておるわけでございますが、その安倍幹事長の発言は、将来的には地位協定改定で大幅な負担増を図るべきだ、こういうふうな発言がされたと新聞では報道されておるわけでございます。  また、竹下総理も昨年十二月の予算委員会におきまして、一九六〇年の安保のときには一対七であった日米一人当たりの国民所得が、今とんとんの状態になってきておるというようなことの発言も報道されております。何かここに共通したものがあるように思えてならないわけでございます。  しかも安倍幹事長が前外務大臣でもあった、こういうようなことからしましても、その影響するところは大きいものがあるのではないか、これからのあり方、こういう労務あるいは思いやり予算のあり方について何か示唆しておるような気がしてならないわけでございますが、その辺はどうとらえておられますか。
  200. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先ほども申し上げましたように、我が国政府立場、政策というのは一月八日の政府与党首脳会議で決められまして現在御審議いただいている特別協定改定に尽きるわけでございます。  その決定がなされるまでにいろいろな方の御発言が各紙に報じられていたことは事実でございますけれども、現在私どもは、今御審議願っていること以外のことは何も考えておりません。
  201. 伏屋修治

    ○伏屋委員 余り私の求めておる答弁にはならないと思うのですけれども、何かそこには複雑な事情があるようでございまして、これ以上突っ込んでお聞きはいたしませんけれども、やはり外務大臣を務められた方の発言ということはかなり波及的な影響も大きいというようなことからも、今後ともそういう問題については慎重を期していかなければならない、こういうように私は思います。  それでは、次の問題に移ります。  先ほども岩垂委員の方からも御指摘がありましたけれども日本人の従業員の本給、これは二十四条の一項にかかわる問題でございますし、今後本給を負担しないとはっきり言えるかどうか、この辺の御答弁をいただきたいと思います。
  202. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これも先ほど来繰り返し申し述べておりますように、仮定の問題につきまして論ずることは差し控えさせていただきたいと思います。
  203. 伏屋修治

    ○伏屋委員 経済情勢変化によってその都度その都度変えられてきた、もう今の思いやり予算という枠内ではできないということで特別協定に踏み切って、特別措置として去年協定を結び、本年もそれをまたかさ上げした協定になってくる。さらに今後とも経済情勢が深刻化してくればまたかさ上げをせざるを得ない。今もう二十四条一項、二項は限度に来ておるわけでございまして、そうなってくれば、当然本給の肩がわりというようなことが考えられるわけでございますので、そういうことになれば、安保条約の変質でもあるし、安保条約の強化にもつながっていくこういう重要な問題でもございますので、はっきりした仮定は申し上げられないという答弁でございますけれども、その辺は慎重に考えていただきたい。このことを強く要望したいと思います。  現在日本人の従業員に支給されておりますところの手当、十九、これ以上あるやに聞いておりますけれども、そういう諸手当というのはどういう手当があるのですか。
  204. 山崎博司

    山崎政府委員 駐留軍従業員給与体系でございますが、これは国家公務員の給与体系に準じたものになってございまして、したがいまして、従業員手当についても、その大部分は国家公務員にある手当ということでございます。  個別的に申し上げますと、この種の手当には、現在の特別協定対象といたしております調整手当でありますとか扶養手当といったような社会的な諸手当、それからボーナス、退職手当に加えまして、寒冷地手当でありますとか、夜間看護手当あるいは時間外勤務給、これは公務員でいいますところの超過勤務手当でございますが、これら十七手当がございます。  それから、これは一般労働法視に基づく手当でございますけれども、これには解雇手当、休業手当等三手当ございます。  最後に、これは駐留軍従業員独自の手当でございますけれども、五十四年以来負担いたしております格差給、語学手当等四手当ございます。都合二十四手当でございます。
  205. 伏屋修治

    ○伏屋委員 二十四あるのですか。そうすると、今回の八手当を除いてあと十六あるわけですね。その十六手当の総額というのはどれぐらいになるのですか。
  206. 山崎博司

    山崎政府委員 実は、先ほど申し上げましたけれども、従前から負担しております手当分として六十三年度予算には約八十八億計上してございます。そういうことで、先ほどの二十四手当のうちの実は日本側負担してない手当が十四になると思いますけれども、これについては約五十億円でございます。
  207. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最初は厚生福利、それから格差給、こうだんだん膨らんできまして八手当になってきたわけでございます。本給の肩がわりはしないとははっきり言われませんでしたけれども経済情勢変化してまいりますと、本給をさわらないということになれば、またぞろこういう諸手当負担せざるを得ない状況になってくるのではないかな、こういうように私は心配するわけでございます。将来にわたってこういうものを負担する可能性があると考えておみえですか、どうですか。
  208. 山崎博司

    山崎政府委員 再三にわたりまして特別協定改正内容について御説明しておりまして、それはあくまでも現在対象としている八つ手当について負担の限度額を二分の一から全部または一部に変えるということでございます。現在、さらに対象手当をこれ以上ふやすといったような措置については検討いたしておりません。
  209. 伏屋修治

    ○伏屋委員 また来年改定にならぬことを私も希望しておるわけでございますけれども先ほど局長答弁によりますと、経済情勢がさらに進んでいけばまたそういうような負担増の要求がアメリカからなされる。そうなってくれば、本給をさわらないということになればそういう諸手当の肩がわりをしてそういうものを負担するというような形になっていくのではないかと私は心配するわけですけれども、もう一度、その点お答えいただきたいと思います。
  210. 山崎博司

    山崎政府委員 確かに理論的な可能性として、八手当以外の手当について、具体的には従前から持っております手当を除いた残り手当について政府がそのような方針を立て、国会の御審議を経てというそういった理論的な可能性があることは否定しませんけれども先ほど申し上げましたように、現在のところそのようなことは考えておりません。
  211. 伏屋修治

    ○伏屋委員 今回の八手当の中には退職手当もあるわけでございます。この退職手当というのはアメリカの労働慣行にはなじまない、ないものであるということから考えますと、これを全額負担するということは、そういうふうに考えられるかどうかわかりませんが、私の危惧に終われば幸いでございますけれども、アメリカから見れば、そういう労働慣行にない退職手当というようなものは本給と同じ、そういうふうに見てくるのではないか。  そうなってくると、当然本給の肩がわりをやってくれた、こういうような評価をアメリカはしてくるのではないか。そうなれば、当然次の本給の肩がわりという方向へ今度は進行していくのではないかな。これは私の危惧かもわかりませんが、その辺はどうなんですか。
  212. 山崎博司

    山崎政府委員 委員お尋ねは、アメリカの賃金概念と日本の賃金概念の相違についてのお尋ねだと思いますので、私どものこの点についての考え方を申し上げてみたいと思います。  私ども日本の賃金体系では、米国あるいは欧米のような職務給ではございませんで、それに加えて生活保障給でありますとかあるいは年功給と申しますか、そういった要素がいろいろ加わっているわけでございます。したがいまして、私どもの方では、基本給といったようなもののほかに、例えば扶養手当といったような扶養者の数によって増減する手当でありますとか、あるいは交通費のように、あるいは住居手当のように、そういった個別的な事情によって支給される手当がございます。  あるいは一時的に支給されます例えばボーナス、これは多分に褒賞的な意味合いのものだと思います。あるいはお尋ねの退職手当でございますけれども、これについては、これも多分に長年にわたる勤務に対する褒賞という意味と、それから職を離れた後の生活保障といった意味合いがあると思います。その意味では多分に日本的な制度だと思います。  他方、アメリカの場合はそこに提供されます労働の質、量といったようなものを極めて合理的にドライに評価いたしまして、そしてその対価を払う、こういう考え方でございます。  したがいまして、まさに言うところのウエットな日本的な思考とドライなアメリカ的な思考と、この差によるものであって、それが本給に含まれる、含まれないといったような考え方になじまない、このように考えております。
  213. 伏屋修治

    ○伏屋委員 時間もございませんので、次の問題へ移ります。  中期防の十八兆四千億円の枠外にするか枠内にするかということもかなり論議されたようでございますけれども、今回は枠内ということになっておるわけでございますが、こういうふうにして枠内に組み込まれていきますと、正面装備、いわゆる別表で示されておるような装備、そういうものがだんだんと窮屈になっていくのではないか、そういうようなことも考えるわけで、私ども何も中期防を認めておるわけではございません、GNP一%枠内におさめるというのが私どもの党の主張でございますので。  しかし、この思いやり予算、いわゆる労務協定労務費負担増によって昨年の一月からGNPを突破したわけでございますが、政府・与党の方々は中期防が新たな歯どめであるというような考えに立っておるように思われますけれども、この中期防のその中におさめられてくると、やはり正面装備が圧縮されてくるのではないか、こういうようなことも考えられるわけですけれども、その辺、防衛庁はどのようにお考えになっておりますか。
  214. 太田洋次

    ○太田説明員 お答えいたします。  本件特別協定にかかわります経費につきましては、防衛費の効率的な使用の観点から各年度これを精査しつつ、また中期防を着実に実施していく過程におきましてその所要経費の限度額、これは昭和六十年度、策定した年でございますけれども、その価格で十八兆四千億でございますけれども、その枠内で賄い得るものというふうに考えております。
  215. 伏屋修治

    ○伏屋委員 この問題についてもう少し細かく聞きたいのですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後に、民間の方々が駐留軍向けの賃貸住宅を建てましたね。それに対して、政府はそれを奨励した。その反面、思いやり予算で駐留軍基地内に住居を建設したという実態もございまして、そういう政府の奨励によって建てられた民間賃貸住宅というものが入る人がおらなくて非常に困っておる、こういう一面もあるわけでございまして、そういう面において政府やり方というのは非常に場当たり的ではないか、まことに遺憾であると私は思うわけでございますが、そういう奨励をした政府として、駐留軍向けの賃貸住宅を建てた民間人に対して今後どう対応しようと考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  216. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 お答えいたします。  先生のお言葉でございますが、日本政府として、国として賃貸住宅を奨励したということはございません。むしろこれは米軍沖縄復帰前からそういうことをしておったというのが正しいのだろうと思います。  いずれにしましても、沖縄におきまして基地内の米軍家族住宅は、米軍の家族同伴基準の緩和が一九八一年から海兵隊によって行われたというようなことによりまして数千戸不足していると承知しているわけでございます。  この不足を緩和するために、沖縄におきましては五十六年度から米軍家族住宅を提供施設整備によって建設を始めたわけでございますけれども、六十一年度までに二千百二十五戸、六十二年度には三百五十二戸というふうな建設を行っているわけでございます。  基地外の民間貸し住宅につきましては、最近新築の住宅が多数増加したというような理由によりまして、古いもの、狭いもの等が一部空き家になっているという事実は承知しております。しかしながら米軍の家族住宅はまだ不足しているという現状がございますので、需給のバランスを崩すようなことにはならないと考えておりますけれども、今後もできるだけ民間住宅への影響が及ばないように現状に配意しながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
  217. 伏屋修治

    ○伏屋委員 そういうふうに御努力をお願いしたいと思います。  それで、駐留軍基地の中に駐留軍向けの住宅をいわゆる思いやり予算の中で建設をしておるわけでございますが、それに対してアメリカの建設業界からのそういう建築参入というような問題があるのかないのか、その辺、お聞きしたいと思います。
  218. 田原敬造

    ○田原政府委員 お尋ねの提供施設整備工事に米国企業が参加を希望しているかどうかということでございますが、現在までのところ特に参加についての申し入れは参っておりません。
  219. 伏屋修治

    ○伏屋委員 最後に、日米関係というのは私ども日本外交の基軸である、これはもう外務大臣も常々おっしゃってみえます。両国の関係が一層発展することが日本の平和と世界の平和に寄与することは当然である、こういうように考えるわけでございますけれども先ほども申し上げたように、アメリカに対して無原則に支持するという姿勢だけは改めていかなければならないのではないか、あくまでも日本国憲法の枠内、しかも国民のコンセンサス、そういう範囲内でのことで考えていくべきであると私は思うわけでございます。  しかし、こういうことから考えますと、今までの政府は、国会に対してこの思いやり予算の内容を余り詳細に報告されないままにどんどんふやしてきた、こういうことに対して国民は非常にこれは無制限にふえていくのではないかというような疑念も持っておるわけでございまして、こういう疑念を解消するためにも政府はやはり厳しい対処をしていかなければならない、こういうように考えるわけですが、最後に外務大臣の決意を伺いたいと思います。
  220. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 防衛はあくまで自主的判断に基づき、また節度あるものでなければなりません。したがいまして、そういうことで既にして防衛大綱の水準を果たすべく中期防等々も制定され、さらには十八兆四千億という総枠も明示されておる次第でございます。  特に我が国が経済大国になればなるだけ、アジアのいろいろな国々からは軍事大国になるのではないかというふうな懸念もあからさまに表明される場合もございます。そうしたことも私たちは十二分に考えて、したがいまして経済大国になるといえども軍事大国にならずということを常に申し上げておるわけでございますが、やはり日米防衛体制というものは大切なものでございますから、今後これの効果的な運営を図りますけれども、おっしゃるとおり、その間には本当に我が国といたしましても節度をたっとぶということが必要だろう、かように思っております。
  221. 伏屋修治

    ○伏屋委員 終わります。
  222. 中山利生

    ○中山(利)委員長 代理 永末英一君。
  223. 永末英一

    永末委員 昨年、在日米軍従業員の労務に関する特別協定が成立しております。それから施行してから半年にして再び同一問題についてこれを改定する議定書を出しておる。説明によりますと、もっぱら経済的理由である、こういうことでございますが、本当の理由は何ですか。
  224. 有馬龍夫

    有馬政府委員 改定をお願いいたしておりますこの内容、これの理由と申しますのは、日米両国を取り巻く経済情勢が最近において一層の変化を見せていて、そして在日米軍経費が著しく圧迫されている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図る、これが目的でございます。
  225. 永末英一

    永末委員 それは書いてありますから何遍も読みましたですな。  それでは外務大臣にひとつお伺いしたいのでありますが、総理が一月に、総理になって初めてレーガン・アメリカ大統領に会いに行くというので、そのころしきりに報道されたことは、その土産の目玉としてこの駐留軍労務費負担全額負担にしてアメリカの負担を少なくするんだ、協力の実を示すのだということで、その理由はペルシャ湾の安全航行に対して我が国が貢献するのだということのこれがあらわれである。このようにアメリカ軍が日本における云々ではなくて、むしろペルシャ湾における安全航行に貢献する、これは既に十月七日でしたか、あなたのところから非軍事的手段によってという政府と党との合同会議で決めたことはございますけれども、竹下総理の訪米に際して、このペルシャ湾の問題に関する一番の目玉として、この労務費全額負担ということを打ち出し、それはマスコミにも報道され、国民もそういうことが目玉なのかと承知をしておったのでありますが、訪米中もそれが報道されました。もっとも竹下さんとレーガンさんは何を話したか、ようわかりませんけれども、話したことになっているから外務大臣は御承知だと思います。  ところが、いよいよこれが我が方の議会に提案されるころには、ペルシャ湾のペもないのですな。そして専ら日米経済、労務費、従業者の雇用を安定させるということだけで、今北米局長が申し述べたとおりのことが何遍も繰り返されている。ペルシャ湾はどこかへ行ったのですか。
  226. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ペルシャ湾の決定は、ちょうど昨年の秋でございまして、その付記のところで、やはり日米安保条約等々を円滑に運営するためには、今後どういうふうな対象について考えるべきか、米軍とひとつ話してみようというふうなことがございますから、そうした中からまず米軍従業員雇用安定を図るべきであるという強い私たちの主張並びに私たちの自主的な判断に基づいて今回の特別協定が出ました。  だから、ペルシャ湾のときにそういう問題を扱うということについては、確かに去年ペルシャ湾の決定そのものにも、一考に値すると思いますが、あくまでもペルシャ湾自体ではない、私たちはこういうふうに申し上げておる次第でございまして、ペルシャ湾に関しましては、私たちは憲法上問題ではないのじゃないかというような御意見もいろいろ内外に上がったことを覚えておりますが、しかし、この際、我々といたしましても、非常に大切なぺルシャ湾で、もうほとんど五割以上の石油を依存いたしておるわけでございます。だから、非軍事的に協力申し上げようというので安全航行システムというものを湾岸六カ国と協議をいたしまして敷設することにする、こういうことでございますから、ペルシャ湾そのものではない。総理もしばしば予算委員会でお答えになられました。  決定したときには確かにその中に今日を生み出す一項があったであろうけれども、ペルシャ湾そのものではございません。こういうふうに御理解賜りまして、あくまでも今回の特別協定雇用の安定、それは米軍円高ドル安に基づく負担が増大したから何とかそれを軽減してあげなくてはいかぬ、こういう気持ちの具体的なあらわれである、こういうふうに御理解賜りたいと思います。
  227. 永末英一

    永末委員 ペルシャ湾の問題でいろいろな船に被害が来、日本船もまた被害を受ける。しかし、世界はそういうことでNATO加盟国はそれぞれ部隊を派遣をして、艦船を派遣して航行の安全を図っておる。日本はペルシャ湾の油のおかげを他国に比較すると一番こうむっている国であるのに、実際何もせぬではないか、こういう非難的世論が起こっておったので、政府はどうせねばいかぬかということでいろいろ考えた。あのときだって、全くペルシャ湾と関係のないレバノンの国連監視団に金を出したらどうかとか、いろいろな意見が出ておったわけです。  しかし、ペルシャ湾におけるアメリカの艦船派遣によって、いわば一番我々が安全を保っておるわけでありますから、それでアメリカ軍が我が国に駐留しているその費用のどこかを何とか持つことはないかということをあなた方は考えて、その一番いいのが、まあ二分の一持ったのだから全額にしよう、国会で特別協定も成立しておるから法律的に問題あるまい、こういうので、これを目玉にしたと我々は見ておったわけです。  だから、発生の過程においてまさにそういうこともあったとあなたもお認めになった。しかし、問題はペルシャ湾の航行安全を我々が何とかしている一つのあらわれとして、貢献しているそのあらわれとしてこの労務費を持つのだということと、円高によって労務者の雇用がおかしくなる、これを防がなければならぬから労務費をふやそう、分担をふやそうということとは次元が違うわけですよ。だから私はこのことを聞いておるのであって、ペルシャ湾はないのですか、あるのですか、もう一遍言ってください。
  228. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今お話しいたしましたとおり、ペルシャ湾そのものではない、決定時においてはそういう経緯があった、こう申し上げておるわけでございます。  特に米軍はグローバルな活動をいろいろしていてくれる、だからそれに対する貢献かという話もあるのですが、いや、そうじゃありません、それは確かに米軍は平和の維持のためにいろいろとグローバルに頑張っていてくれる、そのことを私たちは十分認識しておりますが、今回のこの特別協定に基づくところの労務費負担はあくまで日米安全保障条約の円滑な運営、そうした範囲内のものでございます。そこら辺に非常にいろいろ議論がございましたから、そういうふうに仕分けをさせていただいた。  ペルシャ湾のときであるけれども、ペルシャ湾そのものではない。これが今日の私たちの大体統一した見解でございます。
  229. 永末英一

    永末委員 そうすると外務大臣、イノシシを食いに行こうやなんといってなべが出ておる。イノシシかと思ってのぞいてみたら豚が入っておった。いや、最初イノシシも食おうと思っておったんだけれども、まあ豚かというような話ですか、これは。
  230. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 唐突なる永末流の巧みな比喩でございますから、そうだと言うわけにもいきませんし、非常に、なかなか難しいところでございます。
  231. 永末英一

    永末委員 イノシシと豚は異質のものじゃないのですね。先祖は同じでございますので、聞いておるわけでございます。  それならば、グローバルだとおっしゃったからひとつ伺いたいのでございますが、アメリカの国防費というのはこれから一体どういうような傾向を示すと外務大臣は判断しておられるでありましょうか。  そのためにまず第一に伺いたいのは、アメリカの貿易赤字と財政赤字とはこれからどういうぐあいに進んでいくとお考えですか。
  232. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 レーガンさんが登場せられましたときにレーガノミックスという新しい方式を生み出されたわけで、私たちもさっと一べついたしましたときに、財政面においては減税、歳出面においては防衛費の拡大というのが果たしてうまくいくのだろうかと思っておりましたが、一時は金利高というふうなこともございまして、他国資本の流入等々これあり、一応かなりやるものだなと思っておりましたが、結論的には貿易赤字を生み出し、さらには財政赤字を生み出した、こういう結果でございますから、特にドルは世界通貨の基軸でございますので、これが余り乱高下するということは決して世界経済のためによい結果を生むものではございません。アメリカにそれだけの責任を持ってもらわなくてはいかぬ。  私たちも実は会うごとに、その二つの赤字というものの解決をアメリカ政府としても真剣にやってもらわなくては困る、我々としては、例えば貿易の赤字に関しましては、簡単に言えば、日本もあるいは輸入拡大ということにおいてこれは御協力することができるか知らんが、財政赤字というものは米国そのもののお考え方であるから、今日さらに輸入がふえないように、そのためにはいろいろと手段がございましょう、そういうふうなお話もしておるわけでございますから、私は、今申されましたように、貿易の方はきのう発表になりますとまた余り大した結果が出ておらないので心配をいたしておりますが、この間まではある程度調子よく動いておった面もあります。  しかしながら、赤字の財政に関しましては、これは米国自体の問題として、いろいろ削減方向が今具体化しつつある、また模索されておる面もある、こういう状態だろうと判断いたします。
  233. 永末英一

    永末委員 レーガン政権ができましてから、強いアメリカというので、国防費をふやそう、それから国民の景気をよくして生活水準を上げるために、強いアメリカだというのでばちっと減税をやったわけですね。だれが考えたって、減税と歳出増である国防費の拡大というのは算術的に合わぬのでありますが、それをレーガノミックスなどと言ってやった。しかし、やった結果、どんどんアメリカ国民は需要力を増しましたためにいろいろなものを買い込む、輸入もどんどんふえるということが貿易赤字になったのであります。  さて、アメリカのある人の言うことを聞きますと、政治は遊園地ではないのだ、そういう妙なことを考えて遊んでいるんじゃないのだと言う人がございますが、今、大統領が交代期でございますけれども、そのうちで財政赤字をなくすための一つの手段として国防費は既に減じてきておるわけでございまして、私が伺いたいのは、アメリカは国防費はこれから年々減ずると外務大臣は見ておられますか。
  234. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 一番そこが問題であろうと見ております。
  235. 永末英一

    永末委員 どういう政権になるかわかりませんが、財政赤字をなくすための一つの方法は、レーガン式の強いアメリカということを受けてつくられたあの国防費の拡大、これを改めざるを得ない。これは議会とレーガン政権とが昨年の秋一月にわたって相談をして、結論として、少しではございますが明らかに国防費は削減をされてきておる。  さて、この間INFの全廃条約の調印があり、今戦略核兵器の五〇%削減交渉が行われております。こういうことがアメリカの国防費にマイナス方向、つまり減っていく方向に作用すると思われますか、それともプラスの方向に作用すると思われますか。
  236. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 やはり核兵器そのものは非常に高価についておったというふうなことがある程度財政的な負担になっておったことも事実でございましょう。また果てしなき軍拡競争というものも、そうした反省に立ってのINFというふうな会談を提唱するに至ってその面は成功した、かように思いますが、やはり世界の平和を考えました場合には、当然、抑止と均衡ということを常に念頭に置かなくてはならぬ、こういうふうに思いますと、確かに核兵器の問題におきましてはある程度そうした結果を生むでございましょうけれども、では通常兵器はどうかということになれば、ここら辺にも一つのある程度の問題は残しておるのではないか、そういうふうな感じがいたします。
  237. 永末英一

    永末委員 INF全廃も、全廃をする作業を進めると、それはそれなりに金のかかることである。つまり核兵器をどんどん拡大することは大きな財政負担を伴うものであるが、廃止するといったって廃止するまでの手続においては、これは非常に大きな金がかかる。また、戦略核兵器の削減交渉だって、どういうことになるかまだだれもわかりません。わかりませんが、五〇%の削減をやる、ふやすことをやめて削減をやるといったって、削減の措置そのものにこれは莫大な金が要ることは皆が承知をしているところであります。  いわんやそれによって、例えば通常兵力の増大が考えられれば、これはもろに国防費の増大を促すもとになる。つまり、今進んでおる戦略関係の変化の行く末と、アメリカが要するに財政赤字をおさめなければならぬ、それはレーガン流のあの膨大な国防拡大計画はやめるのだということで縮小方向に向かってきたこととは、まだ整合性がありませんわな。そういう意味合いだけれども、通常兵力のアメリカの強大ではなくて、もし我々の方に何か肩がわりをやってくるというようなことがあれば困るわけだから、アメリカの国防費というのは一体縮減される方向に行くと我々は判断しておるのかどうかというのは重要なことなんですな。お答え願いたい。
  238. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほど申しましたとおりに、そこに私たちは重大な関心を抱いておる。私はアメリカそのものではありませんから、そういう方向かと断定するわけにはまいりません。したがいまして、重大な関心を抱いているとお答え申し上げた次第であります。
  239. 永末英一

    永末委員 それは、宇野さんはアメリカの国務省の長官と違いますからな、それはなかなか問題があろうかと思いますが、しかし、我々としては、アメリカの国防費の行く末ということは、我が国の財政にも我が国の戦略にも重要な影響がある問題だから、やはりしっかりそれはその流れを見きわめる必要がある問題だと思います。  さて、アメリカで起こっております一つの意見は、大体世界の超大国というのはどんどん手を広げて世界平和や安全のために大いにやってきた、ところがだんだん自分の内容が変化しているにもかかわらず、一遍広げた手はおさめられないものだから広げたままになっておるのが世界大国の没落である、スペインしかり、イギリスしかりというような本も出ておりますが、そういうことがアメリカで話題になり、そういう種類の書籍が生まれておることも御承知のとおりだと思います。  さて、アメリカは今や債務国になってしまったわけですね。その債務国になったアメリカが、なお第二次大戦や第二次大戦後世界の平和の護持者あるいは安全の担当者としてやってきたグローバルな政策をなお続けていき得る力があると外務大臣は判断されますか。
  240. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 恐らく、ことし行われます大統領選挙の一つの大きた論戦になる、私はかように考えております。
  241. 永末英一

    永末委員 どういう方向をとるか、どっちの方向をたどるかは非常に大きな問題。もしアメリカがなお世界的な今まで果たしてきた責任を果たそうとするならば、我々側には目に見え変化は起こらぬかもしれませんが、もし自分の責任を少し軽くして、その責任の分担を自分の仲間の国に分かち合おうということになりますと、それはもろに我々の問題になりますね。このごろバードンシェアリング、そういう責任分担を持ち合おうではないかという意見が非常に強く出ております。そういう意見になった場合には、外務大臣はどうされますか。
  242. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 この間、下院のシュローダーさんという女性の方が来られまして、この方は何人かの国会議員と一緒に来られました。そして、その肩書は同盟国に対する分担問題についての小委員長というふうなことでございまして、私も三十分ばかりお目にかかりましたが、シュローダーさんは、一言も分担問題は出さなかったものの、日本には憲法上の制約があることをよく知っておりますよというふうな話だけをされました。他の国会議員が、いささかアメリカは困っておるんだ、日本はどうだろうと言わんばかりの話がありました。私はそのときにはっきりと、当然日本には憲法上の一大拘束がございますから、そう簡単なものじゃありませんという話を一通りいたしまして、なおかつ、私といたしましては、東南アジアの各国から見るのならば、経済大国日本はきっと軍事大国になる、こういう見方が現にあるんだから、私たちはあらゆる機会に経済大国日本は軍事大国になりません、こういうふうに言っておるわけであって、今、日本日米安保条約という一つの大きなものもあるけれども、そうした中において我々は経済的に栄えてきたことは事実であるが、私たちにはやはりそうした幾つもの足かせ手かせがありますから、それを破るわけにはまいりませんということを申し上げました。  だから、日本の役割というものは、その経済力というものを軍事に回すのではなくして、ひたすら民生の安定、福祉の向上、そうしたことで今日私たちは途上国に対処をいたしております。またアメリカに対しましても、私たちは企業の構造の調整をしてまでも輸入の拡大を図って輸出依存にならないようにしていますから、やはり皆さん方の方も努力してもらわなければかないませんよということをはっきり申し上げました。したがいまして、こうした主張は今後も続けるべきであろうと私は思います。
  243. 永末英一

    永末委員 先週末から今週の初めにかけまして東京で日米委員会がございました。北米、アメリカやカナダ、それからヨーロッパの各国のいろいろな方面の政治家も経済界も学者も来ておりましたが、その中で、日本日米欧協力する、協力すると言うが、一体どういう協力をするのであるか。そこにはペルシャ湾の話も出、それから我が東アジアにおけるシーレーンの話も出、いろいろな話が出ておったわけですね。しかし、日本側委員にして、何でもやりますと言うた人は一人もおりません。我々は我々の政治構造、法律構造を持っておるわけでございます。  さて、それをさかのぼる一週間前にフィリピンの議員の方が来られまして、いろいろ話し合いました中で、こういう話が出たわけです。現在フィリピンとアメリカとは、在比米軍基地の期限が切れますので、今それの存続か否かの交渉をしておる。フィリピンはその基地貸与の費用を十倍以上にせよというような要求をしておるようでございますが、そこにバードンシェアリングの考え方が入ってきまして、どういうバードンシェアリングかといいますと、フィリピンがアメリカにスビックやあるいはクラークの基地を貸していることは日本の安全に大きな寄与をしているではないか、日本はおかげをこうむっているではないか、こういう議論なんですね、議論の前提が。外務大臣、そう思われますか。
  244. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 フィリピンにおける米軍基地の問題は、あくまでもフィリピンと米軍の問題であって、我々の関与する問題ではありません。しかし、一応フィリピン周辺における安全、平和というものに寄与しておることは否定することはできないであろう、かように存じております。
  245. 永末英一

    永末委員 ソ連がベトナムのカムラン湾基地を海空軍基地として使用しておるということは、シーレーンという面におきましてもその他の面におきましても東アジアのいわゆる戦略関係に大きな影響を及ぼしておる。その意味合いでは、我々はそれとは無関係ではない。しかし、それに向かい合っているアメリカ側の基地はスビックとクラークである。我々はその北に位置しておる。  そして、我々のシーレーンというのはそのフィリピンの北から以北である、東の方は別でございますけれども、というようなことを言っておるわけでございまして、それを見ておるフィリピンの人は、それならばなぜフィリピンの北からだけでいいと日本は言っておるのか、もし我々が軍事基地をやめたと言ったら日本は自分の海洋国家としての権益を守る必要上シーレーンを南へ延ばすのかと言う有力な人すらあるのでありまして、これがよその世論の一部です。だから、我々は、いや、それはフィリピンとアメリカとの間でこのフィリピンの在比米軍基地は討議されているのだ、それはそのとおりであります。  さて、これは外務大臣に聞いておったのですが、防衛庁の人は一体あのシーレーン構想なんというのは、前提にフィリピン基地があるということを念頭に置いて立てたのですか、お答え願いたい。
  246. 村田直昭

    ○村田説明員 お答えいたします。  今先生から御指摘のように、我が国が海上防衛力の整備に当たりまして、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域において海上交通の安全を確保し得ることを目標として防衛力を整備をしている。その千海里以遠につきましては、従来から確認されておりますが、米軍に期待することとしているということでございます。したがって、在比米軍基地を含めてでございますが、米軍の西太平洋・東アジア地域における軍事的プレゼンスが我が国にとって重要な意味を有するということは私ども承知しております。
  247. 永末英一

    永末委員 外務大臣、防衛庁はあんなことを言っているが、あなたも防衛庁長官をやったのですね。我々はシーレーン千海里と言っておるが、それから遠いところは米軍に期待をする。米軍に期待すると、期待される米軍の一番近い我がシーレーン以南の基地はスビックでありクラークでございますね。  そうすると、フィリピンの人から見ると、我々の方を頼りにしておるなということになる。そうすると、日本に対してバードンシェアリング、何か応分のことをやりなさい、やってしかるべきではないかという期待が生まれてくる。いや、それは違うのだと日本が言えるか、それともそういう期待にこたえるつもりでフィリピンあるいはこの方面のアメリカと立ち会うか、外務大臣、いかがですか。
  248. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 航路帯、シーレーンの話に関しましては、一千海里、南西、南東両航路があるわけでございますが、我々といたしましては、やはり有事の際にはその分野は当然責任を持たなくてはならない。  それでは、あとアメリカさん任せかということになりますと、アメリカと日本というものがともどもに西側陣営として、しかも太平洋のお互いに友人として存在している以上は、一つの大きなそこに責任の分担のようなものがおのずからあるのではないかと思いますし、それに似たようなことを過般も米国の国防次官のアーミテージさんが申しておられます。日本にこれ以上の防衛的な負担というものを課するということは決して賢明なことではないであろう、そうやってアメリカの肝心かなめの国防関係の人たちの中にもおのずから日本に憲法の制約があり、日本にはやはり東南アジアにおけるところの諸国間の監視あり、監視というよりも関心あり、そういうふうなことで、私たちといたしましては自分の分限は知ってやっていかなくてはならぬ、だからそこにそれ以上のことを、おい、やれというようなことを言われましても、できないことはできないと言うていくのが日本立場ではないか、かように思います。
  249. 永末英一

    永末委員 アーミテージという人がそういうことを言っておることは我々も知っておりますが、この人の言うことはどうもアメリカでも余り力がなさそうでございまして、過般、東芝のあの旋盤がソ連に売られたが、その前からソ連の潜水艦の音響はもう低くなっておった、静かになっておったということを彼が発表したにかかわらず、それから以後包括貿易法案にああいう東芝制裁条項がつけられているので、どうもアメリカというのはおもしろいところだな、日本も各省縦割り行政と言われておるが、一番責任者の国防省の責任者がそう言っているのに、なお議会では包括貿易法案に対して東芝の制裁条項をつける。どういうことだろう。アメリカの議会人はまだそれを言うておりますね。これをどう思われますか。
  250. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私はアーミテージを信頼いたしておりますが、それがもしだめならば、同じようなアメリカの方々において、この間の日米欧のあの会議永末委員もお越しでございましたが、ブレジンスキーを初めいろいろとかつてのアメリカのそうそうたる人たちが出席しておりました。そのブレジンスキーを初めキッシンジャー等十二、三名のお方が、御承知日本に関する研究会をつくられて、将来にわたっての論文を政府にお出しになっておられます。  これはあくまでも民間の意見でございますから、私たちも民間の意見として拝読をした次第でございますが、その中にも、日本みずからが軍事大国になるか経済大国になるかということは日本が選ぶことであろう、しかし今の経済の大きさから見れば、軍事大国になる趨勢は多分にある。しかしながら日本は経済大国になった、その方がいいのではないか、これは国民の選択だ。その場合に、経済大国といえども、ソ連に味方するのか、我々につくのかで大きな差が出てくるね、こういうふうな感想も漏らしておられます。  私たちは、こうした方々も信頼するに足る人である、こういうふうに思っておりまするから、したがいまして、そうした人等を介しまして、日本には日本の分限があり、節度ある防衛と言っている以上は、その節度ありということをおつき合いするたびに申し上げておる次第でございます。  残念ながら議会の方はそれとは全く考えを異にして、はっきり申し上げますと、防衛というよりも貿易摩擦一点張りの話が今まかり通っておるという次第でございまするから、我々といたしましても包括貿易法案を初めとするいろいろなことに対しまして、常に重大な関心を持ってアメリカ政府にいろいろ申し上げておる。この間も、永末委員承知の下院の民主党、共和党のフォーリーとマイケルという、この二人がそろうということはめったにないと言われるほどの実力者が来ましたから、私も三、四十分かけましていろいろなことを申し上げました。それは、先ほど申し上げた趣旨と全く同じでございます。  それプラス日本の、いかに本邦資本がアメリカの財政を助け、さらに経済を助けておるか、年間二十兆円になるよという話も実は申し上げ、最近それが衰えてきたから、SDRとか短期金利の低目誘導だとか、こういうことも日本考えておるのであって、単に物の動きだけでアメリカの議会、かっかしなさんなと言わんばかりに私は実は申し上げた次第でございます。  したがいまして、そうした面において、軍事面ではない、経済面において平和的なことならば、自分たちのかい性に応じて、世界の平和、またアメリカとの関係におきましてもいろいろと御相談に乗ればいいじゃないか、これが私たちの今日の考え方でございます。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 永末英一

    永末委員 私も、フォーリー民主党院内総務とこの件について二十分も話し合いましたけれども、つまりアメリカの国防省の方は、我が方のアメリカの駐留に関する費用について、十分負担をしておる、世界でも一番の負担をしておる、一人当たり四万五千ドルだというようなことを言っていますね。  ところが、貿易摩擦の点で、日本とアメリカと比較する立場に立つ人は、どうも我々アメリカの方に物を売りつけてきて赤字をもたらして、日本はその金をしこたまもうけておるじゃないか、もっと金を出せと言う。その中には防衛費をもっと出せという人もおるわけですね。  したがって、今回のこの問題も、アメリカが我が国に駐留をしているその経費について、一体どういう流れがあるかということをはっきり見ておかなければならないのじゃないか。  そこで、アメリカが米軍の在日駐留についておる経費について負担をしておる昭和五十三年と五十四年、昭和六十二年と六十三年、それから後は見通しでございますが、六十五年、この五つ、ひとつ数字をお示し願いたい。  同時に、その同じ年次について日本負担はどうなってき、どうなっていくか、これは昭和五十四年は思いやりであり、昭和六十二年は二分の一労務費であり、六十五年は、もしこの議定書が通れば全額労務費負担になるからであります。  同時に、この年次について労務費負担はどう変わってき、またどう変わっていくかということをひとつ簡単に、数字だけでございますから、御報告願いたい。
  252. 山崎博司

    山崎政府委員 お答え申し上げます。  労務費日米負担割合の変遷でございますけれども昭和五十三年度から私どもは一般管理費、福利費を負担いたしておりまして、その年度の在日米軍労務費の総額は九百二十四億円でございます。そのうち、日本側負担分は六十二億円でございまして、割合は六・七%。以下同じ要領で申し上げます。五十四年度が総額九百二十七億円、この時点から実は格差給等の給与負担も始まっております。そういうことでございまして、この年度では百四十億円を日本側としては負担しております。この割合が一五・一%でございます。  それから六十二年度、特別協定負担が始まりました六十二年度でございますが、これが総額において千百七十三億円、そのうち日本側負担は三百六十一億円でございまして、割合として三〇・八%、それから六十三年度でございますが、これは総額が千百九十六億円と推計されておりまして、このうちの日本側負担割合は四百十一億円、パーセントにして三四・四%でございます。  それから六十五年度と申しますか、全額負担するということになってございます六十五年度でございますが、これについてはなかなか労務費の総額の推定が困難でございますので、仮に六十三年度の総額に変更がないという条件を置きまして、さらに六十三年度持っております特別協定関係が二百九億円でございますが、これが満額ということで倍になるということで計算いたしますと、六十五年度の日本側負担は六百二十億円ということになります。その結果は五一・八%という数字になってまいります。  以上でございます。
  253. 永末英一

    永末委員 経費全般は計算していますか。
  254. 有馬龍夫

    有馬政府委員 御質問は、在日米軍経費について、米側負担(円ベースを含む)と我が国負担の推移、昭和五十三年度、昭和五十四年度、六十二年度、六十三年度。六十四年度、六十五年度につきましては今防衛施設庁の方から御説明がありましたような推定ができませんので、六十三年度までということでやらさせていただきたいと思います。  在日米軍経費昭和五十三年度、五十四年度、六十二年度、六十三年度における我が国在日米軍経費負担は、それぞれ千三百四十四億円、千六百九十億円、二千五百四十三億円、二千五百九十五億円でございます。なお、提供普通財産借り上げ資産を含めますと、それぞれ千七百五十九億円、二千八十九億円、三千百六十億円、三千二百七十九億円となります。  他方、米会計年度、これは我が国会計年度と異なりますけれども、一九七八、一九七九及び一九八七会計年度における在日米軍経費米側負担は、それぞれ十五・三億ドル、約三千六百億円、十六・七億ドル、約四千七百億円、三十六億ドル、約五千億円、円ドルレートは我が国会計年度の東京市場中心相場によりますもので、昭和五十三年は二百十円……。よろしゅうございますか、細か過ぎますか。
  255. 永末英一

    永末委員 はい、それで結構です。大体概数でございますが、だんだん駐留米軍に対してアメリカの予算で払っているものと、我が方が我が国予算で払っているものとが差が近づいてくるわけですね。僕は、こういう点をアメリカの国防省ははっきり認識していると思いますが、アメリカの議会が認識しているとは思われない。  だからフリーライダーなどと言っておるわけでございますが、さて、この中で五十三年、五十四年から思いやり予算という奇妙きてれつな予算が組まれましたのですが、思いやり予算をアメリカ人はどういう英語で言っているのですか。それから、その中でなるほど福利厚生費等の人件費が言われましたが、同じこの思いやり予算という言葉で物件費も、家を何ぼ建てるとかいって合同委員会で決めてやっていますね。その思いやり予算の英語を教えてほしいことと、一体物件費として何ぼ出しているのか、これを教えてください。
  256. 有馬龍夫

    有馬政府委員 前者は私からお答えいたしますけれども施設区域と労務とは別々の英語を使っておりまして、施設につきましてはファシリティーズ・インプルーブメント・プログラムというのを使っております。それから、労務につきましてはレーバー・コスト・シェアリングでございます。
  257. 永末英一

    永末委員 外務大臣、これを思いやりとどっちも訳せますかね。先ほどのバードンシェアリング、つまりアメリカの重荷を思いやってやったら思いやりなのか知りませんが、これは二つとも思いやりと言っているが、これは要するに協定上の根拠がないから日本政府が独自でやっているという意味で、日本語は思いやりになっている。あっちはレーバー・コスト・シェアリング、こっちの方はファシリティーズ・インプルーブメントだから、まさに施設区域施設についていろいろや改造を加えること、これは日本は勝手にやっているというような感じなんでしょうな。  これは二つとも思いやりでいいですか。日本人に説明されるのは、どっちも思いやりなんて言っている。思いやりをやられてあっちは喜んでおるような状態ではないと私は思うのだけれども、いかがですか。
  258. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 本当に日本語と英語との関係は難しいことがありまして、この間の公共事業も、公共事業といったら日本では政府並びに地方がするものだ、アメリカでは公共の橋であり公共の道路等々、公共のものに対する事業は公共事業だ、こんな大きな解釈が入り口にございました。だから、思いやりというものを日本人的感覚から申しますと、いかにも持てる者が持たざる者に対することが思いやりというのが一般的な常識でございますし、本当にそんなことが知れたなら怒るんじゃないか、私はいつもそう言っておるわけでございます。  したがいまして、英語専門家の北米局長が、そのように向こうは使っておるということでございますが、一応政界におきましてはボランティアバジェットというふうな言葉もあるということを聞いたことがございます。
  259. 永末英一

    永末委員 これはやはり日本人に説明しているのと同じようにアメリカ人もわかる言葉でやってもらわないと、おれらだんだん金持ちになってきたから、おまえらつらいだろうから思いやっているんだというようなことに映ったのでは憤慨しますよ、それは。  その物件費の額を言ってください。このファシリティーズ・インプルーブメントと称するものでやっているもの。
  260. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 お答えいたします。  御指摘の提供施設整備は昭和五十四年度から実施しております。昭和五十四年度当初は年間約百四十億円でございました。これが六十三年度の予算では七百九十二億円。この間約五・六倍、年間の平均伸び率でいいますと二二・一%となりまして、五十四年度から六十三年度までの合計は約四千七百十六億円ということでございます。
  261. 永末英一

    永末委員 この人件費の方は、やはり相手方と合同委員会で費目を決めて我々は払っている。それから、昨年度からは特別協定、これは地位協定がちゃんとあることを知っておるから特別協定にして、そして払っている。今度はそれをまた満額にする。  こっちの物件費の方は、わけがわからぬわけですね。一つ一つやっている。基準がない。どこまでやるかわからぬというので、過般予算委員会で問題になりましたが、基準をつくるつもりはありませんか。
  262. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  年度年度、私どもの方で具体的に米側と折衝をしておりますので、お答えいたしたいと思います。  提供施設整備の基準でございますが、根拠といたしましては、地位協定二十四条二項に基づきまして施設区域の提供を行うという条項がございまして、これに基づいて実施をいたしておるわけでございますが、まず米側の希望を聞きまして、私どもといたしましては、日米安保条約目的達成上の見地、それから財政負担との関係、それから社会経済的影響等、総合的に勘案をいたしまして、しかも施設はそれぞれいろいろな種類あるいは地域にございますので、個々の施設ごとに私どもといたしましては個別に判断をいたしております。  これは我が方の自主的判断ということで、米側の希望は聞くわけでございますけれども、例えば経済社会的影響等からなかなか周辺との折り合いが難しいというようなものにつきましては、私どもとしてその採択についていろいろな条件をつける、こういうような場合もあるわけでございまして、さらに、毎年度予算の形で国会で御審議をいただいておる、こういうような形で現在実施をいたしておりまして、事柄の性質上、個々具体的にやはり安保条約目的達成との関係等含めまして判断をしてまいる必要がございますので、一概に一定の基準をつくるというようなことは現在考えておりません。
  263. 永末英一

    永末委員 人件費の方は地位協定二十四条一項があって、それをきちんと基準にしてやっておる。やり切れなくなったから特別協定をつくったが、地位協定の趣旨にのっとってやっているわけですね。  ところが、こっちの方は、ようわからぬわけだ。つまり我々が地位協定を結んでいる二十四条二項の協定上の義務としてこれをやっておるのか、何か思いやりというと直接の義務は出てこないけれども日本独自の判断で勝手にやっているのか、はっきりしてください。
  264. 友藤一隆

    友藤政府委員 これはあるいは外務省からお答えいただくのがよろしいかもわかりませんが、米軍施設区域内におきます施設を建設いたします際には、我が方が二十四条二項によって提供をする場合、あるいは米側地位協定三条、これは管理権でございますが、この規定によりまして建設をする場合、いずれも可能なわけでございますけれども日米安保体制の運用を適切にいたしていくという趣旨から、昨今の経済情勢の状況等を勘案いたしまして我が方でできるだけの努力をする、こういう見地に立って現在実施をいたしておる、こういうことでございます。
  265. 永末英一

    永末委員 聞きたいのは、二十四条二項による地位協定上の義務としてやっておるのか、義務ではないけれども勝手にやっておるのか、どっちですか。それを聞かしてほしいんだよ。
  266. 有馬龍夫

    有馬政府委員 地位協定上の義務として行っております。
  267. 永末英一

    永末委員 速記録に残りますから、そのように受けとめました。  もう一つ、最後に聞いておきたいのは、昨年この二分の一の審議をいたしましたときに、外務省の答弁は、この二分の一負担する手当は一般的、報償的手当であって、アメリカの給与体系に必ずしもなじまないものであるから、取り上げて八項目やるのである、だから二分の一にするのが一番妥当である、こういうことを言っておるわけだな。今度全部持つのは、一番妥当のもう一つ上ですか。
  268. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは八項目を選んだ理由を申したわけで、その、だからがかかっておりますところは二分の一にするためではございませんで、必ずしも米国の:::
  269. 永末英一

    永末委員 それじゃいいです、読み上げるから。  それを読み上げますと、「そういう意味で八項目を選びまして、その二分の一ということが一番妥当な方法であろうという考え方によりましてこの取り決めを締結したものでございます。」となっておるわけです。「二分の一」にかかっておる。
  270. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これの条文の趣旨の説明といたしましては「八項目」にかかるわけなんでございます。ですから、そのように御理解いただければ幸甚に存じます。
  271. 永末英一

    永末委員 ここの審議をしているわけではございませんが、文章の流れから言えば、項目を選んだ、なぜ二分の一にしたかと言ったら、そういうなじまぬものだ、私は聞いておりましてそういう理解をしたのであります。  もう一つは、五年間に限ったという説明が、急激な円高に対処するため、こういうことで時限的、限定的なものにしたから五年だ、こういうことになっておるわけですね。その五年が来ておらぬ。あのときに言ったのは、円高がそれ以上進んだらどうなるのだ、円安になったら変えるのか、いや、五年後のことは考えないから五年が時限であって、それから先の判断は述べられないので要するに五年が時限だということでございましたが、一年で変えちゃったですな。  だから、円高だけが理由なのだったら、まさに問題としては、これから円高が進めば、八項目はとってしまったのだから、基本給に手が伸びますね。今や円高はなお進みつつありますね。あなた方が昨年のこの交渉をされたときの円相場と現在とは違うわけです。なお円相場がどうなるか、なかなか微妙な問題でございますが、もし円高になっておれば、この交渉をやりました、百二十八円というのでやられたのかどうか知りませんが、そうだとしますと、教えてほしいのですが、この協定議定書を結ぶためにアメリカ側と交渉したときの、あなた方の両方で確認し合った円の相場と現在とは同じか違うか、それを言うてください。そして、それ以上の円高になったらどうするのか。
  272. 有馬龍夫

    有馬政府委員 一つは、先ほど来申し上げておりますけれども、現在考えておりますのは今御審議願っている措置だけでございます。  それから、私ども米側と話し合うというのは、文章を詰めたわけでございますが、私ども立場、私どもが自主的に何をするかということは私どもが決めたことでございまして、実は、円とドルの割合を正確に取り上げて、これだけ米側負担がふえたからこちらがこれだけ持ちましょうという趣旨の話し合いではございませんでした。全体の趨勢をとらえて我が方としてこれだけ負担することとしよう、今まで二分の一を限度として持っていたものを、今度は全額というところまで持つことができるようにしよう、そういう話し合いでございました。
  273. 永末英一

    永末委員 外務大臣、きょうの質疑で私はこういうことを申したのですね。御提案の説明は経済だけに限っておる。経済だけに限るのなら、今ちょうどお答えになった円の相場をどう考えておったかということになるわけで、それならば円相場が変わったらどうなるか、こういうことになりますわね。  そうではなくて、もっと別の経済状況だとしたら、アメリカの国防費が減ってきてアメリカが日本に使う駐留費が減ってくるということになると問題ですから、それも伺ったわけだ。  しかし、そうではなくてもっと別の政治的理由だ、ペルシャ湾と言われるならそれもあるのかなと伺ったわけであって、三つとも必ずしも釈然といたしておりません。  質問を終わります。
  274. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 岡崎万寿秀君。
  275. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 特別協定改定について朝からずっと聞いていまして、なぜ変えるのか、今も釈然としないと言われましたけれども、全くよくわからないわけです。  今回の改定は、日米経済状況の変化だということを言われています。しかし一年前、たしか五月十八日でした、当委員会で、駐留軍労務費の中で八手当の二分の一を持つことが一番妥当だと言ったのじゃないかというふうに今も言っていましたけれども、私には「明確なる上限」だというふうにはっきり言われたわけですね。  政府ともあろうものが、五年間の特別協定で、五年先までの一応の円高ドル安等について、その進行について見通しもなく国会に協定を諮るなんということはあり得ないはずなんです。そんな見通しもないことでやったのか、まことにこれは不明だと思うのです。みずから不明を認めるか、それとも別の原因があるのか、どっちかだと思いますが、どうですか。
  276. 有馬龍夫

    有馬政府委員 先ほども申し上げましたけれども、これだけの速度で円高が進行するというふうには判断していなかったということでございます。
  277. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 だれもそういうことを聞いても信用しませんよ。外務省ともあろうものが円高の進行について知らなかったなんという、そういうことは国会の答弁にふさわしくないと思います。  昨年の十月七日、政府会議で決めました「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」、これを持ってまいりました。  これは、ペルシャ湾における我が国船舶の安全航行の確保は本来我が国自身が責任を持つべきものであるという見地から、三つをやろうというのです。一つは、湾岸地域に航行安全の施設を設ける。湾岸及びその周辺に経済技術協力をやる。それから、国連に対して特別の拠出金をやる。こういうこととあわせて、問題は、なお書きなんです。  「なお、」というところで、「米国が、ペルシャ湾を含め国際的な平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている状況の下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う。」こうなっています。ここにはっきり書いてあるのは、ペルシャ湾に関連して在日米軍経費の軽減の方途について話し合うというふうになっているわけですね。これは協議は行われましたか。そして、何をやりましたか。
  278. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昨年十月七日の政府与党首脳会議の決定も、今般の改正も一月八日の政府与党首脳会議で決められたことでございますが、いずれも我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保することを趣旨とするものであることは、今般繰り返し申していることでございまして、国際の平和と安全の維持のためにグローバルな役割を果たしている米国の行動を直接支援するためのものではございません。  そして、今言われました米側と話をするということでございますけれども、これは先ほども御説明申し上げましたが、一月八日の政府与党首脳会議の決定を受けて米側特別協定改定の話し合いを始めたということでございます。それまでの間は米側とは何ら話をいたしておりません。
  279. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そうしますと、政府与党首脳会議を受けてと言われましたが、受けたのは、ここに書いてある「在日米軍経費の軽減の方途について米国と協議を行う。」この「協議」というのは、日米首脳会談を指すのですか。それを受けて話が進んだように今聞きましたけれども、どうですか。
  280. 有馬龍夫

    有馬政府委員 竹下総理が米国に行かれましたときにプレスリマークスというのを出されまして、「今般、在日米軍財政事情を圧迫している最近の経済情勢にも鑑み、自発的措置として、日本負担額を一層増加する方針を決定したことを伝えました。」伝えられたわけです。しかし、話し合いというものは事務的な交渉でございまして、その後行われたということでございます。  したがいまして、総理の訪米を最初の去年の秋の政府与党首脳会議で言われているところの話し合いというふうには私どもは観念いたしておりません。
  281. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 要するに、この方向を伝えたということは事実なのでしょう。  じや、話を進めましょう。今回の改定で、日本人基地従業員労務費のうち八手当を、これまでの二分の一を全額負担することになるわけです。これで在日米軍経費の中で労務費というのは三分の一から二分の一以上に日本負担するようになったわけですね。  逆に言うならば、これまで三分の二を持っていた米軍は二分の一で済むようになってきたわけなので、まさに在日米軍経費の軽減そのものだと思いますけれども、これはそうですね。関係あるかなしか、まず削減そのものでしょう。
  282. 有馬龍夫

    有馬政府委員 そのとおりでございます。
  283. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 では、先ほど読み上げたペルシャ湾に関する政府方針があるし、これについては竹下さんが先方に伝えているわけでございます。この中で、在日米軍経費の軽減の方途について打ち出しているわけです。そして現実には当の特別協定に見られるように在日米軍経費の軽減が行われた、これは無関係だと言えますか。  先ほどからこの問題で質問がありましたが、これは竹下総理の答弁をお引きになっているようでございましたけれども、ペルシャ湾問題そのものではない。それはそうですよ。そのものじゃありません。しかし、これは大いに関係がある。決して無関係ではない。なぜそう言えないか。外相、これはなぜそう言えないのでしょうか。関係があったっていいじゃないですか。こういう方針を持ってやったわけです。現に軽減したわけでしょう。どうですか。
  284. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 時しもペルシャ湾の重要性がいろいろ議論を呼んだときでありますから、先ほども他の党の質問者にお答えいたしましたが、公海上の問題だから日本としては掃海艇を出していいのじゃないかという話があったことは岡崎委員も御承知のところでございます。しかしながら、いろいろな観点からすれば、あるいは公海上に掃海艇が出ること自体はいわゆる海外派兵には当たらないだろうという法律的な解釈は確かに成り立ち得るかもしれないが、現下ペルシャ湾においてイラ・イラ戦争があるということ等を考えた場合に、これは当然法的解釈がたとえあり得ても現実の問題としてなすべきでない、こういうことがまず私たちの認識でございます。  第二番目は、やはりペルシャ湾を通過する五〇%以上の石油は日本向けであるということを考えた場合に、ほうっておいていいのかという問題が当然出てまいります。そうしたことを踏まえてペルシャ湾対策というものが昨年の秋にできたわけでございます。日本はいろいろな意味で軍事大国というふうに見る国がなきにしもあらずであります。経済大国がやがては軍事大国、こういうような方程式で見る人がありますから、さようではございません、非軍事的な面で協力しましょう、こう言っているわけでございまして、これは御承知のとおりいわゆる航行安全システムでございます。  そこで、なお書きが問題である。確かにそのときに私たちはなお書きによりまして今回の措置をとったのではございますが、そこにも明らかなとおり、米国は今いろいろとグローバルな働きをしている状況ということは私たちはよく知っています。しかし、それではなくして日米安保条約効果的運用に基づくところの対象は何かということをひとつお互いに協議しましょうということでございますから、竹下総理がペルシャ湾そのものではない、なお書きから説き起こした問題であってもペルシャ湾そのものではない、こういうふうに言っておるわけでございます。  そうでなかったならば、いや掃海艇を派遣するんだとか、あるいは海外派兵の一歩手前じゃないかとか、いっぱい議論が出てくるだろうと私は思います。したがいまして、そういうことをきちっと整理をする必要があるということで総理の御答弁になった、こういうふうにお考え賜ればいいと思います。
  285. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 その明快な中身をいいましょう。明快な中身というのは、これまでの答弁とかなり違った、つまり、なお書きによって今回の措置をとったというわけですからね。なお書きというのは、はっきりペルシャ湾に関連して在日米軍経費の軽減の方途について図るということなんです。  そうしますと、これに沿って今回の措置がとられているわけなんで、ペルシャ湾問題そのものじゃないのは当たり前なんですけれども、少なくともこのなお書きとのかかわりでできている。だから、在日米軍経費労務費を二分の一から全額持つようになった今度の特別協定改定というのは、単に日米経済状況の変化だけではないということ、これは今の説明から見ても明らかだというふうに思うのです。この辺がどうもはっきりしないもので、盛んにみんな聞いていたのですよ。  それは言われるような理由を挙げることはできるでしょうけれども、しかしペルシャ湾問題が非常に重要な要因になっている、これははっきり指摘できると思います。これは外相、それでよろしゅうございますね、先ほどの御答弁でございますから。重要な要因になっている。
  286. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 ペルシャ湾問題を議論したときの決定の中のなお書き、そうしたものの経過を踏まえつつ今回の協定がつくられたわけであって、ペルシャ湾そのものではございませんよ、これは何回も同じことを繰り返しておるわけですが、そのように御理解賜ります。
  287. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 踏まえつつ今回の措置というわけですから、そのものじゃないということは当たり前のことなんです。  さて、ペルシャ湾に派遣されている米軍、四十隻を超えるというふうに言われていますけれども、これはしーガン大統領も去年の五月二十九日の声明で、ペルシャ湾の航路がイランとソ連の支配下に置かれるのを許さないというふうに述べていますが、それにも見られるように、航行安全の確保という名目でありますけれども、イランやソ連に対する牽制、つまりこの地域にソ連の影響力がもっと広がることを抑えるし、また湾岸諸国を西側につないでおく、こういうアメリカの戦略に沿ったものであることは明らかだと思うのです。ワインバーガー国防長官が出したペルシャ湾における安全保障取り決めにもそういう趣旨が述べられています。  さて、このペルシャ湾で日本関係の船は随分動いているわけでございますけれども、これは直接米艦船によって護衛されていますか。
  288. 小原武

    ○小原説明員 お答えいたします。  日本の船舶が米国の艦船によって護衛されているという事実はございません。
  289. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 直接は護衛されている点はない。私どもは、ペルシャ湾でああいうイラン・イラク戦争とのかかわりで、国際紛争地域に米軍先ほど言ったようなイランやソ連に対する牽制的な意図を持って行動するのは干渉行為であるというふうに批判をしています、米艦船のイラン派遣というのは。こういうことに対して、たとえ非軍事的な手段であったとしても、特別協定等を変えて日本予算を組むというのは、これは間接的にはこういう米軍の干渉行為に対する支援に当たるということで、私どもは国際紛争への関与を禁じている憲法上にも許されない問題であるというふうに思っています。しかし、これは議論してもしようがないから、私どもはそういうふうに指摘しておきたいと思うのです。  さて、憲法の問題に関連しまして、竹下さんは去年の十一月十二日号のニューズウィーク誌で、「ペルシャ湾を通るタンカーは日本向けが最も多いにもかかわらず、日本は何もしていない。したがって、日本国民は本当に申し訳なく思っている。しかし憲法によって、日本は外国での軍事行動ができない。」云々というふうに書いてあります。  申しわけない気持ちを持っているというのは先ほど外相もおっしゃったことだと思いますけれども、この後の「憲法によって、日本は外国での軍事行動ができない。」と言われているところ、ここを私は大変注目しているのです。それで、ペルシャ湾における行動が、単に政治的な判断でなくて、憲法判断から日本の自衛隊を派遣すべきでないというお話のように承るわけです。外相も大体これと同じような御見解ですか。
  290. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) ただいま御引用のありました竹下総理のニューズウィークにおけるインタビューの御発言、これは我々も承知しております。  我々のこの御発言の理解というのは、従来政府が申し上げている立場と全く変わらないわけでございまして、海外派兵とは、これは武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することであるという定義づけでございます。このような海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えている。これが従来の政府立場でございまして、竹下総理の「憲法によって、日本は外国での軍事行動ができない。」という御発言も全く同じ趣旨を述べられたものと考えております。  したがいまして、ペルシャ湾への掃海艇等の派遣、これが公海に派遣するということであったとすれば、直接には憲法の解釈、政府の憲法の解釈及び竹下総理の御発言とは関係のない問題というふうに考えられる次第でございます。
  291. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 この間からこの問題は議論していますけれども、公海上だったらいいというわけですか。この竹下総理のお話というのは、公海上ではない、つまり湾岸諸国等の領海に入っている場合に、これは憲法上の問題が起きてくるけれども、公海上だったら、航行安全のために、そういう目的日本の自衛艦が派遣されても憲法上問題はないと言われるのですね。
  292. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) この点も申し上げた点でございますけれども、私が申し上げておりますのは、全く法律解釈ないし憲法解釈の問題でございまして、政策としてそれが適当かどうかという点を申し上げているわけではございません。政策につきましては、先ほど外務大臣が御答弁申し上げているとおりでございます。  この竹下総理の御発言も、公海であれば掃海艇を派遣すべきだということを言っているわけでは全くなくて、外国での軍事行動はできない、憲法上できないということを言っているわけでございまして、それはすなわち、武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、必要最小限の自衛権の行使の範囲を超えるから憲法上許されないという従来の政府立場と軌を一にしている次第でございます。
  293. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 ここでの竹下総理の話というのは、政治判断というだけではなくて、憲法の問題も持ち出していますので、憲法論も入っているのです。  それで、今公海上だったら問題ないように言われますけれども、航行安全の確保ということで自衛隊がペルシャ湾の公海部分に出動するということになれば、これは当然艦船護衛がつきますね。艦船護衛というのは、攻撃を受ければこれについての反撃があるでしょうし、またその辺に対して哨戒その他の行動が伴うでしょう。これは明らかな軍事行動じゃありませんか。公海上であっても軍事行動は許されるのですか。
  294. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 全く理論上の問題としてお答えいたしますけれども、公海におきまして我が国船舶が他国から武力攻撃を受けた場合、我が国の自衛艦が我が国の個別的自衛権の行使としてそれに反撃を加えるということは、憲法上もあるいは国際法上も当然許されることであるという次第は政府が何度も国会で御答弁申し上げているところでございます。
  295. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 答弁になっていないです。ペルシャ湾という今国際紛争の真っただ中に、たとえ公海部分であっても日本の自衛隊が航行安全の目的でもって派遣される、そしてそれに対する攻撃があった場合は反撃することもできる、これは軍事行動ですよね。そういうことが今の憲法上許されるかということを聞いているのですよ。  あなたは理論的、理論的と言うけれども、ペルシャ湾という一つの具体的な問題があるわけです。それをめぐってやっているわけです。純理論的な問題ではなくて、まさに国際紛争の真っただ中のこの地域に派遣できないからこそこういう非軍事的手段でやろうと言っているわけでしょう。憲法上許されるということになると、とんでもない問題なんですよ。外務大臣のお答えが必要だと思いますね。
  296. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先ほども私ちょっと触れましたのは、そういう問題が起こるから、ペルシャ湾そのものではない、こういうような解釈で今回の協定をお願いいたしておるわけでございます。  そこで、今岡崎委員が公海上も憲法で禁止されておる、それは一般論、きちっとした法理論から申しますと条約局長の答えたとおりであります。  もう一つは、自衛隊法でございます。自衛隊法において海外派兵という任務があるのかないのか、これは今日は全くございませんから、海外派兵はできないわけであります。しかし、ある人に言わしめるならば、掃海という任務は書いてあるわけです。  では自衛隊はどこで掃海をするのか、恐らく自衛隊法に言う掃海というのは、我が国の、公海とはいえ、いざというときの二、三百海里かな、あるいはまた千海里かなという議論はできますが、政治的に判断した場合に、今イラ・イラ戦争のあるペルシャ湾まで行くことが、自衛隊の任務であるから行けるんだということは、私たちはそのような配慮をすべきではない、こういうことで実は出さずに、非軍事的な面で御協力申しましょうということで航行安全システムを使った、こういうふうに御理解ください。  だから、そういう議論になるから私たちはちゃんと節度を心得て今回の協定を出した、これが私たちの気持ちでございます。
  297. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 政治論はわかりますよ。先回からやっているのは政治論のお答えでしたから。私がきょうここへニューズウィークを持ってきたのは、憲法上の問題として竹下総理が問題提起されていましたので、憲法的にはどうかということを言っているわけです。  それでは、先ほどから言っているように、航行安全上の目的で自衛艦がペルシャ湾の公海部分に派遣されて、そこで艦船護衛の行動をとる、作戦をとる、そして攻撃があった場合については自衛権の行使として反撃する、これは軍事行動と認めるのか認めないのか。条約局長、どうですか。
  298. 斉藤邦彦

    ○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 誤解のないようにあらかじめ申し上げますけれども、私は、憲法上自衛艦をペルシャ湾に派遣することが適当であるとか、あるいはそうすべきだというようなことを申し上げているわけでは全くございません。  私が申し上げておりますのは、あくまで理論上の問題といたしまして、憲法上禁止されております必要最小限の自衛権の範囲を超える行動というのはいわゆる海外派兵と言われるものであって、これは武装した部隊を武力行使の目的をもって他国の領土、領海、領空に派遣することであるというのが従来の政府考え方でございます。  公海部分におきまして我が国船舶が攻撃を受けましたとき、その攻撃を排除するのは、これは個別的自衛権の行使として憲法上許されるというのが従来政府が申し上げている点でございまして、これは理論上の問題として申し上げれば、ペルシャ湾の公海部分につきましてもこれは妥当する考え方でございます。  しかしながら、先ほどから外務大臣が申し上げておりますとおり、現に紛争が行われている地域に自衛艦を派遣するということにつきましては、これは極めて慎重な政治的判断が必要だというのが政府考え方でございます。(岡崎委員「軍事行動かと聞いているのです」と呼ぶ)  軍事行動というのは国際法上余り厳密な概念ではないと存じますけれども、軍事行動という言葉を実力の行使あるいは武力の行使という意味で使っておられるとすれば、それはもちろん軍事行動というふうに考えざるを得ないと思います。
  299. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 重大な発言だと思いますよ。国際紛争の真っただ中に公海部分に行って、そしてそこで今言った軍事行動にわたるようなことをやっても憲法上許される。私はこの間の議論を踏まえた上で言っているわけですけれども、竹下さんが特に憲法上できないということをおっしゃっているからこそそのことを言ったのですけれども、竹下総理の発言を特に外国の領海だけに限定して、公海部分だったら軍事行動だって許されるのだ、そういうことを発言なさるのは重大問題だと思います。  外相、それでよろしいのですか。たとえ政治的な判断じゃなくても、憲法問題として竹下総理が問題提起されていますからね。政治的議論じゃなくて憲法論として私は言っているのですよ。それでいいのですか。
  300. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 総理の念頭に海外派兵と、ややもすればそういう議論が起こります。本当にそういう事態がなくても起こります。  私は、岡崎さん、そういうふうに入ってくるだろうと予想したとおりの質問を今なさっているわけですから、したがいまして、政府といたしましては、我が国の国民の方ならこうやって御説明できますが、世界の方にはなかなか説明する機会がないということでございますから、軍事大国になりません、さような意味でペルシャ湾の、特にいわゆる海外派兵、掃海艇一隻出してもきっと海外派兵という議論が起こって新聞に載るだろう、そういうことは私たちはしません、海外派兵できません、こういうふうに言っていらっしゃる、こういうふうに御理解賜りたいと思います。だから、総理のそのままでいいのです。  さらに、では領地、領空、領海以外ならばいいかということになれば、法理論的には今申されましたような条約局長の解釈にもなり得る。しかし、そうしたことは法律論の話でありますから、我々政治家としては竹下総理のお話でいい、こういうふうに考えております。
  301. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 あれこれおっしゃっているけれども、斉藤条約局長の答弁を容認されている発言でございますし、憲法論としても私は大問題をはらんでいると思うし、こういう立場は撤回すべきだと思います。  先に進んで母港化問題について触れますけれども特別協定も一年で何かわけのわからぬような理由で変えていく。私は、横須賀の母港化に関連しても、本当に次から次へと政府は国会における答弁、約束を覆していっている事実を挙げてみたいと思うのです。これで国会の権威があるかどうかと思うことがいっぱいあります。  まず最初に、これは参議院の予算委員会要求で外務省が出しました昭和四十八年三月二十日付の文書ですが、「横須賀の「ミッドウェー母港化」について」という表題の文書の3のところで「本件計画の骨子は、ミッドウェーの乗組員家族中の希望者約千世帯を本年春以降横須賀基地内の住宅及びその周辺の民間の借家等に自らの負担により居住させようとするもので、同計画の実施に関し、新たな施設区域の提供を必要とするものではない。」つまり、ミッドウェーの母港になっても新たな施設区域の提供は必要でないというふうに外務省の見解をはっきり予算委員会に表明されているわけですね。この約束は守れましたか。
  302. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昭和四十八年当時、政府側から、ミッドウェー垂組員家族の横須賀居住に際し新たな施設区域の提供を要するものではないという認識を示したのは御指摘のとおりでございます。また、実際にも、当時のミッドウェー乗組員家族居住のために何らの施設提供も行われたことはございませんでした。  御指摘の点は、当時の事情等についての現状認識をしたものと理解しておりまして、将来にわたって空母ミッドウェーと何らかの関連のあるような施設区域の提供を一切排除するとの趣旨のものであったとは考えておりません。いずれにいたしましても、政府としては安保体制の円滑かつ効果的運用のため安保条約に基づき施設区域の確保を初め所要の協力を行っていくのは大切なことだと考えております。
  303. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 将来にわたって排除するものじゃないなんて、今からそんな言いわけをしてもしようがないのです。守ったかどうかということを聞いているのです。この約束は今日まで守れているかどうか。
  304. 有馬龍夫

    有馬政府委員 新たな施設区域の提供を必要とするものではないということでございまして、この表現は、当時、将来にわたって何かを約束したというふうには考えておりません。
  305. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 約束を守ったかどうかを聞いているのです。将来約束してないと言うのですか、これでは。
  306. 有馬龍夫

    有馬政府委員 当時の現状認識を述べたものだったと考えております。
  307. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 苦しい言いわけですね。少なくとも予算委員会に対する政府のはっきりした見解ですよ。当時の現状認識であって、将来にわたって拘束されない約束なんてありますか。はっきり破っている。三宅島がそうです。逗子の米軍住宅もそうじゃありませんか。こういうことだから信用されないというふうになってくるわけです。  二番目を挙げましょう。  これは昭和四十八年二月二日の予算委員会での我が党の不破委員の質問に対する増原防衛庁長官の答弁です。「家族を横須賀周辺に置くという意味の母港化ということで考えまして、これは主管は外務省でございまするが、検討の上これは特別に、何と申しますか、施設を提供するというふうなことも不要であるということのようでございまして、そういう意味の母港化に同意をしたということでございます。」  同種のことが書かれていますけれども、私がここで言いたいのは、ここで言っているのは、要するに家族の居住だけの母港化だと言っていますね。そうでしたか。家族の居住だけが母港化でしたか。この約束はどうなっています。
  308. 有馬龍夫

    有馬政府委員 当時の要請はそのようなものでございまして、例えばNLPが必要であるといったような具体的な要請は当時はございませんでした。
  309. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 この約束を守ったかどうかを聞いているのですよ。当時のことじゃないのです。約束というのは、そのときと先にわたってまで守るのが約束でしょう。守ったかどうかです。
  310. 有馬龍夫

    有馬政府委員 昭和四十八年にミッドウェーの母港化をするに当たって、米側としては運用上の必要、当時の運用上の必要性を述べたということが今御指摘になった点でございまして、我が方が何かを約束した、あるいは米側が何かを約束したというふうには振り返って考えておりません。
  311. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 答弁になっていません。母港化というのは、必ず空母艦載機の訓練基地が要るのですよ。NLP基地が要るのです。なぜ正直にそれを言わなかったのです。単なる乗組員の家族対策だ、居住対策だと言って、うそを言ってから母港化したのじゃありませんか。これも約束を破ったことです。  三つ目を挙げましょう。  昭和四十八年十月九日、内閣委員会での政府答弁です。大河原さんの答弁でございますが、「ミッドウェーの乗り組み員の家族の受け入れということが日本側との関係において問題があるわけでございますが、」飛ばしまして「したがってその点について、日本側に対して一切経費的な負担をかけることはない、こういうことをはっきり言ってきたわけでございます。」日本側に対して一切経費的な負担をかけないと米軍は言ったそうでございますね。このことを国会でこう答弁されておりますけれども、この約束は守れましたか。
  312. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これも、考え方といたしましては私が今まで述べてきたことと同じでございまして、当時、昭和四十八年、ミッドウェーの母港化をするに当たって、その段階で米国政府としては日本側に追加的な経費負担を求めることはないということを申していたということでございます。
  313. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 アメリカの言うとおり、先も見ないで言われるままに国会で答弁なすっているということなんですね。  四つ目を挙げましょう。昭和四十八年十二月十九日、決算委員会での同じく大河原政府委員の答弁です。「空母「ミッドウェー」が横須賀周辺に家族を居住させておる期間はおおむね三年というふうに承知いたしております。」おおむね三年でしたか。
  314. 有馬龍夫

    有馬政府委員 当初の計画は三年ということであったと承知しております。
  315. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 もう答弁にならぬですね。  五つ目を挙げましょう。昭和四十八年十月九日、内閣委員会での山中防衛庁長官の答弁でございます。ミッドウェー母港化に関連して、厚木並びに三沢等に訓練のためにこういうことが起こるというふうに述べられています。「基地の公害はふえていくという現象が起こると思います。その点は今後十分に配慮してまいりたい、そう考えます。」十分に配慮なさいましたか。
  316. 友藤一隆

    友藤政府委員 当時の山中防衛庁長官の答弁でございますが、空母ミッドウェーの乗組員家族の横須賀居住の開始とともに厚木飛行場が空母艦載機の補給整備等の基地として使用される、こういうことから、その飛行に伴う騒音対策の必要性について触れたものということで私ども承知をいたしておりまして、その意味合いにおいて、現在のNLPを厚木で行うというようなことを念頭においていたような御答弁というわけではございません。
  317. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 随分苦しい答弁で、現に厚木で行われているでしょう。厚木ではもう忍耐の限度が来たというふうに言っているんですよ。十分な配慮が行われていなかったという、これを見ても明らかじゃありませんか。外務大臣、こんな状況なんですよ。  初めは処女のごとくという言葉がありますけれども、大したことないんだ、単なる乗組員家族の居住対策だと言いながら、ちょっとしたことだからということで母港化しながら、そして現に厚木での騒音問題、基地被害の問題がありますし、三宅島のあの緑の島に環境を破壊するNLP基地建設が起こっておりますし、そちらは否定をなさるかもしれませんけれども、ニミッツ級等の代替空母を想定してでしょうか、池子の森を壊して逗子の住宅地がつくられようとしている。  このように国会の答弁をいいかげんにして、アメリカの言うままに大したことありませんというふうに言って、現実にはこういう問題が起こっている。まさにこれは安保優先であり、国会軽視じゃありませんか。こんな答弁をしょっちゅうやっているんだったら国会は要らなくなってしまうんですよ。責任ある答弁じゃないんです。  これはまさにアメリカの言うままになって、自主的な立場をなくして、とにかくアメリカの御機嫌を損じないように、効果的な運用といい言葉をなさいますけれども、そういう形で基地化、施設の提供を進めるということから、こういう国会でのうそがまかり通っている。責任ある政府としてこういうことはやはり許されるべきじゃないというふうに思いますけれども大臣いかがでしょう。
  318. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろ変遷がございましたから、先ほど政府委員が言いましたとおり、それはその当時の時点に立っての認識であり、御答弁であって、ぐるぐるアメリカの言いなりのままに変わったということでもないと私は考えております。  第一、太平洋も今申されました時点では、あるいはベトナム戦争があって、終了してというふうな時点であるかもしれませんし、ソ連の太平洋艦隊そのものもまだ太平洋に姿をあらわすかあらわさなかったかと、いろいろな問題もございます。また、一九八四年というのが非常に大切にされた年でございまして、もうむやみやたらとソ連の軍備が増強されましたから、これに対処して、この年に抜かれたら永久にバランスは崩れるぞということを米国が言っておったということを私たちも耳にいたしております。  先ほど永末委員との間でいろいろと論戦がございましたが、一つは、レーガノミックスというものがその当時考えつかれた。しかし、それは財政的に破綻を来した。かくのごとくやはりいろいろと変遷がございましたから、それに対応いたしまして、日米安保という重大な問題の効果的運用のために、一貫してそういう基盤の上での答弁である、私はかように考えておりますので、決して国会を軽視したり、国会に対して何か反逆をしたというようなものではない、私はこういうふうに考えております。常に政府はそのときそのとき誠心誠意を持ってやはり国会に対処しなければならない、これが私たち考えであります。
  319. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 例えば三年ということについては、アメリカがそう言ったからということで答弁なさっているでしょう。しかし、新しい施設の提供は要らないとか単なる乗組員の居住対策だけだというのはうそですよ。  空母というのは母港化になれば必ずNLP基地が要るわけです。艦載機の訓練基地が要るわけなんで、これは十分わかっていたはずなんですよ。それを新しい施設の提供は要らないとか、あるいは単なる家族の居住対策だと言うのは、これは明らかに誠心誠意を持った政府答弁じゃないというふうに厳しく批判をしておきたいと思うのです。うそをついて横須賀の母港化をやった。だから、こういう問題が起こっているわけなんです。  今、私は厚木、横須賀、それから逗子、三宅島等の例を出しましたけれども、ここで起こっているすべての問題はこの母港化をやめれば解決がつくわけなんです。  最近、私何回か質問をいたしましたけれども、ミッドウェーの退役問題が起こっているわけなんですね。横須賀のミッドウェーの母港化というのはミッドウェーに限ったもの、一代限りのものなんですよ。先は先でまた議論があるでしょうけれども、少なくともミッドウェーは一代限りで、この退役によってミッドウェーの母港化は終わる、このように認識してよろしゅうございますね。外務大臣
  320. 有馬龍夫

    有馬政府委員 これは予算委員会でも取り上げられた問題でございますが、現在、ミッドウェーがいつ退役をするかということは決まっておりません。それから、その後のことにつきましては一切白紙でございます。
  321. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そういうひきょうな答弁はよしなさいよ。大体アメリカの議会筋でもレーマンさんあたりも言っていますし、今すぐかそれとも数年先かはともかく、退役は必定なんですよ。  だからこそ、友藤さんもいますけれども、ミッドウェーのあのNLP基地、かつてはミッドウェー、ミッドウェーと言っていましたよ、今はミッドウェーとは言わずに、空母艦載機の基地をつくるんだ、先のことまで考えておっしゃっているのですがね。きょうはその議論はよしましょう。  しかし、少なくともそういうことが想定される時点になりますし、この退役問題について母港化返上の世論と運動がうんと広がっているのです。外務省にも大和市の市長が見えたそうでございますが、大和市、茅ケ崎市、それから藤沢市の各市議会でも母港化返上の決議をしていますし、逗子市長の富野さんも母港化反対の態度を表明なさいましたし、ミッドウェーの退役のときに、こんな被害を与える、そしてうそをついて母港化した、この母港化はもうお断りだ、こういうふうに多くの世論、運動が起こるのは当然だというふうに思うのですね。  だから、先のことだからわからぬじゃなくて、今の母港化というのはミッドウェー限りのものでしょう。代替空母は新しい問題なんでしょう。それが政治判断で、外相、これはやはりミッドウェー限りのものだ、ミッドウェーが退役したら一応母港化は終わる、そしてその後は後の問題として、国会に諮るなり、また議論するなりしてから、私たちは反対ですけれども、やってくるでしょう。  一応これで終わりますね。外務大臣、どうでしよう。
  322. 有馬龍夫

    有馬政府委員 繰り返しになりますが、その後のことは一切白紙でございます。
  323. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 その後のことを言っているのじゃないのです。今のことを言っているのですよ。  ミッドウェーが退役になれば、もうミッドウェー限りでしょう。家の契約も、岡崎が借りていれば岡崎だけなんですよ。あとだれか来たって、これは新しい契約なんですよね。ミッドウェー限りのものかどうかを聞いているのです。それは答えられないはずないですよ。外務大臣、どうでしょう。さっきと同じ答弁だったら時間がもったいないですよ。
  324. 有馬龍夫

    有馬政府委員 現在、ミッドウェーにつきましては、艦籍四十七年にするかあるいはそれよりふやすか、大幅の改修を必要とするかしないか等々が論じられておりまして、四十七年というと九〇年代の半ばというようなことになると思います。したがいまして、それらのことがはっきり決まっていない段階で御質問の趣旨に断定的にお答えするということはできないと思います。しかし、ミッドウェーが完全にある段階で退役するとすれば、それはそのミッドウェーがいなくなるということでございます。
  325. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 それはそれで母港がなくなるのでしょう。そこを聞いているのですよ。そのときは母港でなくなるのでしょう。それをちゃんと答えてくださいよ。
  326. 有馬龍夫

    有馬政府委員 ミッドウェーの母港化は終了いたします。
  327. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 終了しますね。
  328. 有馬龍夫

    有馬政府委員 はい。
  329. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 そのことを聞きたかったのです。  外務大臣、この問題についてはそれでよろしゅうございますね。
  330. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 これは我が国を守る義務があるアメリカの一つの戦略でございますから、ミッドウェーだけの母港であるとか、今はそうであっても、ミッドウェーがもしも廃船になった場合にはまた別の空母の母港になるであろうと思いますから、名前だけの問題で、岡崎さんの表札がかわった、家がかわったという問題でもない、私はこう思います。
  331. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 とんでもないことなんですね。代替空母絶対反対だ、母港化返上の声に耳を傾けていただきたいということを強く主張しておきます。  終わります。
  332. 糸山英太郎

    ○糸山委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会