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1988-04-13 第112回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年四月十三日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 関谷 勝嗣君    理事 小里 貞利君 理事 柿澤 弘治君    理事 亀井 静香君 理事 亀井 善之君    理事 二階 俊博君 理事 吉原 米治君    理事 長田 武士君 理事 河村  勝君       大野 功統君    北川 正恭君       鴻池 祥肇君    佐藤 敬夫君       田中 直紀君    津島 雄二君       増岡 博之君    三原 朝彦君       山村新治郎君    若林 正俊君       小林 恒人君    左近 正男君       戸田 菊雄君    浅井 美幸君       西中  清君    中路 雅弘君       村上  弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君  出席政府委員         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      塩田 澄夫君         運輸省国際運         輸・観光局長  中村  徹君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省貨物流通         局長      中島 眞二君         運輸省航空局長 林  淳司君         気象庁長官   菊池 幸雄君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   橋口 俊二君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      濱中 裕徳君         法務大臣官房参         事官      細川  清君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         建設省道路局高         速国道課長   玉田 博亮君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         自治省財政局公         営企業第一課長 渡辺  明君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     愛野興一郎君   北川 正恭君     村田敬次郎君   鴻池 祥肇君     村山 達雄君   小林 恒人君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     魚住 汎英君   村田敬次郎君     北川 正恭君   村山 達雄君     鴻池 祥肇君   上原 康助君     小林 恒人君 同月十二日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     小沢 辰男君   中路 雅弘君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   小沢 辰男君     魚住 汎英君   田中美智子君     中路 雅弘君 同月十三日  辞任         補欠選任   魚住 汎英君     三原 朝彦君   小渡 三郎君     大野 功統君   鹿野 道彦君     佐藤 敬夫君 同日  辞任         補欠選任   大野 功統君     小渡 三郎君   佐藤 敬夫君     鹿野 道彦君   三原 朝彦君     魚住 汎英君     ───────────── 四月六日  国鉄清算事業団職員雇用確保等に関する請願戸田菊雄紹介)(第一二〇九号)  同(山下洲夫君紹介)(第一二一〇号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一二三二号)  同(金子みつ紹介)(第一二五九号)  同(加藤万吉紹介)(第一二七三号)  同(三野優美紹介)(第一三六二号)  同(田口健二紹介)(第一三六三号)  鉄道航空運賃障害者割引内部障害者にも適用に関する請願魚住汎英紹介)(第一二八七号)  同(加藤六月紹介)(第一二八八号)  同(柿沼弘治紹介)(第一二八九号)  同(亀井静香紹介)(第一二九〇号)  同(平林鴻三君紹介)(第一二九一号)  同(小林恒人紹介)(第一三六四号)  同(左近正男紹介)(第一三六五号)  同(新盛辰雄紹介)(第一三六六号)  同(中路雅弘紹介)(第一三六七号)  同(吉原米治紹介)(第一三六八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 四月十三日  北陸新幹線即時本格着工に関する陳情書(第三二号)  常磐新線建設促進に関する陳情書(第三三号)  高崎線北本駅新特急停車実現に関する陳情書(第三四号)  鉄道航空運賃障害者割引内部障害者にも適用に関する陳情書(第三五号)  便宜置籍船における日本人船員職域確保等に関する陳情書(第三六号)  海難事故における救難体制強化に関する陳情書(第三七号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件(内閣提出承認第三号)  陸運に関する件  気象に関する件      ────◇─────
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 きょうは一時間ほど時間をいただきまして、二つの課題について質問をいたします。  一つは、広島市でかねてから計画されております新交通システム導入をされんとしておるわけでございますし、承りますと三月の十四日でございますか、具体的な申請運輸省の方に上がってきておるかに承っておるわけでございまして、私は、同じこの課題について昭和六十年の四月十九日に当委員会質問をいたしております。したがって、その六十年四月の委員会経過等も振り返りながら、広島交通システム課題を約三十分余りかけてやりたいと思いますし、後半の三十分はハイタク問題を中心質問をいたしたいと存じます。  まず最初お尋ねをする広島の新しい交通システムでございますが、建設省にまずお尋ねをしたいのでございます。新しい祇園新道というものが建設省の手によって一部最近になって供用をされておる部分もございますが、こういった祇園新道と称する新しい道を建設するに至った理由といいますか経過、こういうものをひとつ簡潔に御説明を願いたい。
  4. 堀泰晴

    堀説明員 お答えいたします。  現在の国道五十四号線でございますけれども、この五十四号線は広島市の西北部団地等からの交通が大変多うございまして、朝夕において大変混雑が著しいわけでございます。ちなみに、交通量祇園町西原というところで見てみますと、五万六千二百台というような交通になっております。混雑度が二を超えるというような状況で、三キロに及ぶような渋滞長があらわれておるわけでございます。そういった状況の中でいろいろ工夫をしながらやっておるわけでございます。具体的にはリバーシブルレーン、朝は上り方向車線、夕方は逆の方向に三車線というようなことをやってきておるわけでございますけれども、なかなかそういうことでは抜本的な解決にならないということで祇園新道計画をしたわけでございます。  祇園新道は延長が八・五キロメートルでございまして、六車線から八車線計画でございます。五十二年に都市計画決定を行いまして、その後一生懸命事業推進を図ってきたわけでございますが、先生指摘のように三月の二十三日に、そのうち五・三キロの部分につきましては二車線もしくは一部分車線供用を行ったわけでございます。なお、この祇園新道には、先生先ほどお話がありましたように、中央部に新交通システムを整備する計画と相なっております。  以上でございます。
  5. 吉原米治

    吉原委員 そこで、建設省お尋ねをするのですが、この祇園新道という新しいバイパス機能を備えた新道をつくるということとその上を走ろうとしておる新交通システム、どっちが——新交通システムをやらせんがために新しい道をつくられたのか、既存の五十四号線が渋滞をして困るのでやむなく新道建設ということになったのか、どっちがこの新道をつくる目的であったのかということを正確にひとつお答え願いたいわけです。
  6. 堀泰晴

    堀説明員 お答えいたします。  先生の御指摘は、新交通システムをつくるために祇園新道をやったのか、それともそうでないのかということかと思いますが、計画といたしましては祇園新道が先にございました。その後、やはり新交通が要るのではないかというようなことで、特に西北部大変住宅団地等が開発されまして、大量交通機関といいますか中量交通機関というか、そういうものが必要ではないかというようなことであわせて計画をされたわけでございまして、お答えといたしましては、やはり道路も要るし、新交通としての新交通システムも要るということでございます。
  7. 吉原米治

    吉原委員 どっちが先だとも言えぬというような御答弁でございますが、私は、少なくとも五十四号線の実態を見て、これはどうしてもバイパス機能を備えた新しい道路が必要だという前提で、建設省は当初計画されたものだというふうに理解しておるのです。その後、広島市の新交通システムという構想が打ち出されて、それではということで、しかもこのインフラ部分については建設省負担でつくっていらっしゃるわけですから、私は何か同時に、それが新しい道路も要るし、新交通システムも入れようという同時発想ではなかったのじゃないかという記憶をしておるのですが、どうですか。
  8. 堀泰晴

    堀説明員 お答えいたします。  祇園新道都市計画決定は、五十二年に実は行われております。この都市計画決定に当たりまして、都市計画地方審議会の場において新交通システム推進すべしという附帯決議が実はついておるわけでございます。そういったことから見てみますと、確かに時間的な経過先生おっしゃられるような祇園新道が先にあって、新交通システムが後のような形かもしれませんけれども、既に祇園新道都市計画決定段階で新交通システム推進すべしということが出ておりますので、そういったことからいって、やはり両方が同時に必要であるというふうに認識しておるわけでございます。
  9. 吉原米治

    吉原委員 今さらそれが同時であったとか後からとかいう論議をしようとは思わぬわけですが、少なくとも私はこの六十年の四月に質問をしておるわけでございますが、新しい交通システムということでこの地域計画されておるようだけれども、どうしても採算が合わないのじゃないかというそういう視点から質問をしておるわけでございまして、建設省祇園新道建設に至る経過については承知をいたしました。  ところで、きょう警察庁お呼びしておるわけでございますが、この新しくつくる祇園新道にぜひひとつバスレーン設置をしていただきたい。特に五十四号線の渋滞状況は、今建設省の方からお答えのあったとおり大変道路の幅員も狭いし、かてて加えて広島市の西北部の多くの住宅団地から、あるいはまた極端に言いますと山陰側の方から車両が入ってくるわけでございまして、そういう意味では大変渋滞が続いておる、そういう五十四号線にかわる祇園新道ですから、私はもう一部供用開始をされている部分はあるといえども、そういう渋滞に備えてこのバス優先レーン最初にきちっととっておく。交通量がそこまで渋滞しないうちは何も規制を加える必要はないのですけれども全面供用開始後、交通量を見ながら時間規制をしていく、こういう手順をまず最初計画をしておくべきじゃないのか、このように思いますが、警察庁の見解はいかがですか。
  10. 橋口俊二

    橋口説明員 お答えいたします。  今先生から御説明ありました祇園新道のうち、既に供用されている区間があるわけでございますが、そこのところはお話のありましたように、交通量が多くて路線バスのおくれが予想されるというような状況がございましたところから、六十年の二月までに既にバス専用レーンを朝夕設けているところであります。ことしの三月二十三日に供用開始されました部分が四・六キロあるようでございますけれども、この道路は現在暫定二車線ということで、片側車線ずつ供用されております。それから、現在のところその部分には路線バスは走っておりませんので、バス専用レーンというものは設けておりませんけれども、同区間は将来計画としまして片側車線道路になるように伺っておりますので、そういう状況が出た場合、あるいはバス路線となりました際には、既に供用になっておる部分一体として考えまして、バスレーン設定を検討いたしまして、今お話ありましたように、公共輸送機関対策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 吉原米治

    吉原委員 そこで、これはむしろ建設省側お尋ねした方がいいと思いますが、この新しい祇園新道にはバス運行はさせないというふうなうわさを実は私耳にしておるわけでございます。それは言ってみれば、祇園新道の上を走る新交通システムの方に乗客を誘導せんがための、私はある意味では市側のエゴとも受け取れかねない課題だと思って重要視しておるわけでございますが、少なくとも天下公道公共輸送機関であるバスを通させないなんていうようなばかげた話があってはならないと思うのですが、建設省サイドはそういう問題についてはどういうお考えでございましょうか。天下公道だから少なくともどの車が走っても当たり前だという認識かと思うのですが、いかがですか。
  12. 堀泰晴

    堀説明員 新しい祇園新道バスを通すか通さないかということについて、建設省は所管をしておりません。ただ、道路をつくる立場といたしまして、その地域道路としてどういう使われ方をするかということについて関心があるわけでございますけれども、まだ二車線供用をしたところでございますから、そこまでの議論は私どもはしておりませんけれども、確かにおっしゃられるように、新交通ができるということと、もしバスが走るということになりますと、競合関係が生ずるんだろうと思いますから、そこでどういう選択といいますか、どういうことになるのかというのは今後の問題かと思っております。いずれにいたしましても、ちょっと私ども権限で走らせるとか走らせないとかということにはならないと思っております。
  13. 吉原米治

    吉原委員 それじゃ、これはあと運輸省側お尋ねしましょう。  警察庁の方に再度確認をしておきますが、祇園新道に再びかつての五十四号線の渋滞のような状況が生じた場合に、直ちにバス優先レーン設定をして公共輸送機関定時運行ができるような配慮はしていただけるのでございますね。念のために確認しておきます。
  14. 橋口俊二

    橋口説明員 お答えいたします。  その場になってみなければどうなるかわからない話ではございますけれども、警察がとっておる姿勢、考え方は、大量公共輸送機関を優先させるという考え方に立っておりますので、それで今の祇園新道につきましては、既に供用部分にはバスレーン設定してあるわけでありますので、今度新しく拡幅されてそこにバスが乗るようになれば一体のものとして考えたい、こういうことでございます。
  15. 吉原米治

    吉原委員 わかりました。建設省警察庁、御両名ひとつ御退席になって結構です。  そこで、いよいよ運輸省お尋ねをするのですが、最初運輸大臣にひとつ御確認をしていただきたいと思います。  昭和六十年の四月十九日の当委員会の場で、当時の運輸大臣山下運輸大臣でございましたが、この大臣に御確認をしたのは、新しい交通機関既存交通機関に対して並列して導入された場合には、既存交通機関との調整、これは当然やるべきである、したがって、これは「調整がつかなければ認可をしない」、こういうことを当時の、山下運輸大臣以前の森山運輸大臣参議院予算委員会お答えになっておる、それをまたこの四月十九日の衆議院の委員会山下運輸大臣に、そのことは御確認していただけますか、こういう質問をしたのに対して、当時の山下運輸大臣は「既存交通機関との調整を十分図っていかなければならないことは当然だと私も理解いたしておりますから、森山運輸大臣が五十四年三月に参議院予算委員会で答弁されました趣旨と全く変わっておりません。」こういうことを私にお答えになった。  そこで、石原運輸大臣は、そういう昔の経過がございますので、その当時の運輸大臣お答えをそのままひとつこの場で御確認をしていただけますかどうか。
  16. 石原慎太郎

    石原国務大臣 新しい交通システム導入に当たり、既存交通機関との調整を図っていくべきであるとする運輸省の従来の方針は、全く変わっておりません。今回の広島における新交通システム導入に際しましても、そのように取り進めさせております。
  17. 吉原米治

    吉原委員 そこで、既存交通機関との調整ということが当然行われた結果、この認可申請が出されたものと思いますが、どういう調整をされて、既存交通機関との話し合いが円満についたのかどうなのか、それをお答え願いたい。これは熊代局長ですね。
  18. 熊代健

    熊代政府委員 今、広島の新交通免特許申請に際しまして、大臣お答え申し上げたようなことで、既存バス、すなわち広島電鉄並び広島交通、それと広島市とが三月の十一日、申請の三日前に当たりますが、基本的な協定書を結んだ。これは中国運輸局長立会人になっております。  中身といたしましては、基本的には、新交通システム導入についてバス事業者が協力するという点が一点と、それから広島市とその二会社が、今後公共交通機関中心交通体系の確立と既存交通機関の円滑な運行が図れるよう、総合的な交通施策推進に努める。さらに、三者は新交通システム開業二年前をめどにバス路線等再編計画を立てる。「フィーダーバス路線維持」という条項におきましては、それらのバス路線維持のために、道路乗り継ぎ施設停留所設備等の整備その他の必要な措置について広島市が協力する。さらに、「再編に伴う影響に対する措置」といたしまして、「減収・減益に対する措置」「余剰車両余剰施設に対する措置」「余剰人員に対する措置」そういう三項目について、広島市とバス事業者が協議を行って対応する、こういうような基本的な内容になっております。
  19. 吉原米治

    吉原委員 そこで、私も六十年の質問のときにも申し上げたんですが、こういう既存公共輸送機関が現存しておる中に新しい交通システム導入して、しかもわずかなキロでございますが、一体採算性がとれるものだろうかどうだろうか。三月十四日に免特許申請がなされたようでございますが、一体利用人口をどのぐらい見ていらっしゃるのか。収支バランスはどうなっておるのか。また、新交通既存バス運賃との運賃の差はどのぐらいあるのか。こういうことを、申請中身は私ども承知していないものですから、そういう申請を受けられた運輸省としては採算性についてどう見ていらっしゃるのか、ここら辺をひとつお答え願いたいと存じます。
  20. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘のように、モノレールあるいは新交通建設、運営ということにつきましては、採算面でかなりシビアなものがあるというのは御指摘のとおりでございます。ただ、ここの広島の新交通につきまして、御承知のように軌道部分についてはいわゆるインフラ補助ということで補助いたしますし、地下鉄部分につきましては地下鉄補助をするという格好になっております。  概略申し上げますと、建設費が約一千億ちょっとかかります。そのうちのインフラ補助が五百三億というような、約半分がインフラ補助を得てやられるということでございます。  建設期間は、一応第十二回アジア大会というものを一つの目標にしておりますので六十九年の春開業ということを考えておりますが、今御指摘の点につきましては、現在中国運輸局並び広島県に上がっている段階でございまして、諸手続を経て本省に上がってまいりました場合に、運輸審議会ともいろいろ御審議願うことになるわけでございますが、現在想定しておりますのは、七十年度あたりで約六万八千人ぐらいの一日の交通量というようなものを想定しております。  それから運賃につきましては、バスが百四十円の場合に、三キロぐらいの区間ですが、新交通は十円高い百五十円ぐらいの運賃になるんじゃなかろうか。これはあくまで開業時点におきましてそういう設定をされることになるわけでございますが、損益としては、九年目ぐらいで一応単年度黒字累積赤を消せるのが二十年ぐらいということで想定をしておりまして、長期的に見ればなかなか難しい問題もございますけれども、それなりの採算が可能ではないかというふうな感じを持っております。  なお、当然のことながら、こういう新交通専用軌道敷を持った交通機関というのは、ある程度の都市こなりますとどうしても空間の制約という点から将来に向けてはそういうものが必要だということで、我々としましても、こういう計画をお立てになるときに、その地方公共団体に対しまして採算の面で、主として基礎的な都市施設であるという考え方のもとにバックアップをするという考え方でないと、先行き云々という問題が生じたら困りますということは常に申し上げておりまして、広島市についても同様なことを申し上げておるところでございます。
  21. 吉原米治

    吉原委員 広島運輸局あるいは県の段階申請中身はとまっておって本省へはまだ上がってこないという、そういう段階であることも私も承知をいたしておりますが、いずれにしても、私は六十年のときにも同じような質問をしておるわけでございまして、とてもこれは採算がとれないんじゃないか。また、六十年段階でも新しい交通システム導入して、結果的に累積赤字が膨大なものになって運行を停止しなければならないような状況になっておる過去の例を指摘をしておるわけでございますが、今日時点で、運輸省、こういった新しい交通システム導入して、結果的には採算がとれずに累積赤字負担に耐えかねて運行停止した例は、どの程度今日まで把握されておりますか。
  22. 熊代健

    熊代政府委員 新交通システムあるいはモノレールにつきましては、観光輸送主体のものを除きまして現在までに八社営業中でございます。新交通システム四社、モノレール四社でございますが、廃止したというものは実績はございません。ただ、観光輸送主体ということで、姫路市営モノレールにつきまして、五十四年の一月に採算上の観点から廃止したという例が一例あるわけでございます。  なお、先ほどもちょっと申し上げましたように、例えば北九州市におきますモノレール採算問題等につきましては、我々としては北九州市に対しまして予定どおり営業ができないということに伴いますいわば資金的な援助等については、北九州市としてバックアップをしてもらっておるような状態でございます。
  23. 吉原米治

    吉原委員 余りいい話ではございませんから、そういった運行停止をせざるを得なかった例は、私は六十年には姫路の例を挙げて指摘をしておるところでございますが、とかく既存交通が頻繁に確保されておる中に新交通が割り込んでくるわけですから、そういう意味では競争条件が激しいわけでございまして、この種の計画についてはよほど慎重にやらなければならぬ。また、免特許を与えるについても慎重にひとつ対応を願いたいということを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほど建設省にもお尋ねしたんですが、私の方の権限ではないということでお答えにならなかったわけでございます。この祇園新道バス運行させないというふうな、これは市側の方の話のように聞いておるわけでございますが、天下公道公共交通輸送機関を通さないというふうなばかげた話一体許せるものかどうなのか、その点についてひとつ、建設省権限外だということでお答えにならなかったから、今度は運輸省お尋ねしたい。
  24. 熊代健

    熊代政府委員 先ほども申し上げましたように、新交通ができた場合にバスとの関係をどういうふうにしていくか総合的に考えるということで、開業二年前をめどにいろいろ検討していこうということになっております。我々としましては、バス路線を新しい道に敷くか敷かないかということは、あくまで利用者の流れに対応してそういうことを考えていくべきものであるというふうに認識しておりまして、したがいまして、そういう新交通の駅、あるいは駅と住宅街とのフィーダーの格好で済むのか、あるいは祇園新道と言われる新しい道を通って市の中心部に入るような路線も残さなければいかぬのかという問題は、それまでに十分検討してみる必要があろうと思います。  いずれにしましても、我々としてはそういう流れがどうしても必要であるという場合に、これは免許をするかどうかは私の方でございますけれども道路管理者である建設省あるいは警察には、そこに路線を設定することについて協議をすることにいたしております。基本的な免許するかどうかは運輸省の判断でございますが、道路交通上の問題等につきましては一応協議はいたします。そこに通すべきであるかどうかというのは、その再編計画等を検討します中で、フィーダーという関係だけじゃなくて、直通といいますか、そういったものを残す必要があると判断されれば、当然それに対応していくということになろうと思います。
  25. 吉原米治

    吉原委員 これは御案内かと思いますが、少なくとも広島市の西北部から紙屋町のバスセンター、言ってみれば広島市の都心でございますが、これに直行便が現在で二百十便あるわけでございまして、こういった既存バス運行回数もかなり過密にやられておるわけでございますから、新交通との間の乗客の奪い合いとでもいいますか、そういうものが熾烈な形になってあらわれてくるだろうと、こう思って心配をしてお尋ねをしたわけでございますが、開業二年前にはそれぞれ建設省警察庁等と協議をされるようでございますから、ひとつ慎重に御対応を願いたい。  約三十五分過ぎましてちょっと時間が足らなくなりましたが、この新交通は都心に入る二、三キロかと思いますが、地下をはって終点になるわけでございます。これはバスセンターでつながるのかなと思っておりますと、わざわざバスセンターから約四、五百メーター地下を潜って行きどまりになっておる。これは何か理由があってのことでございましょうか、ちょっと意味がわからない。
  26. 熊代健

    熊代政府委員 広島市としましては、先ほど申し上げましたように六十九年に開催されますアジア大会までに開業したいということでやっておるわけですが、将来計画として、本通駅から南西に延伸をしたいという考え方を基本構想として持っておるわけです。それのいわば第一期的な考え方で、免特許申請が出されておるということでございます。
  27. 吉原米治

    吉原委員 ちょっと時間が足らなくなりましたから、もっとお尋ねしたいことがたくさんございますが、続いて二つ目のハイタク問題に移りたいと思います。  ハイタク問題は、御案内のとおり二つの大きな問題があると思いますが、一つ運輸省、政府、国といいますか、そういう立場で係争中の、京都にありますエムケイタクシーとの間で、運賃の値下げ問題で裁判が続行されておる、この現在の公判状況をひとつお尋ねをしたいということと、公判の判決の結果どっちになろうとも、運輸省がかねてから主張されております同一地域同一運賃の原則は、私は崩れてくるんじゃないかという懸念をしておりまして、過日質問でもしておりますけれども、エムケイの問題について、タクシーの運賃の同一地域同一運賃の原則が崩れるおそれというのは大いに私はあると思うんです。仮にこの公判で政府側が裁判に勝ったにしたところで、あるいは負けたら負けでそうでございますが、運賃認可制という今の制度から考えますと、現行運賃でも十分やっていきます、こういうことを主張する限り、なかなか同一地域運賃申請というものが足並みがそろわない、そういう私は危惧を持っておりまして、将来こういう同一地域同一運賃の原則が崩れるということになりますと、タクシー業というのは、言ってみれば自由業に転向していくのかな、そうなってくると大変なことになるなという心配を私はしておりますので、ぜひハイタク問題の第一点目にお尋ねしたいのはそのことでございます。これはちょっと考え方を聞かしてください。
  28. 熊代健

    熊代政府委員 まずエムケイの運賃値下げ訴訟の状況でございますが、中身としましては、御承知のとおり五十七年三月十一日に値下げ申請が出されたのを局の方で却下した、それに対して五十八年に裁判が提起された、六十年の一月三十一日にいわば原告勝訴の格好で判決が出、その後我々として控訴をしておるところでございます。かなり公判も進んでおりまして、この三月の二日に第十二回の口頭弁論がございまして、ここで結審をするんじゃないかと思っておりましたところ、さらにもう一回公判をする、それが五月の二十五日に行われることになっております。これで結審して、その後二、三カ月後に判決が出されるんじゃなかろうかというふうに思っております。  それから、次の問題の運賃あるいはタクシー事業に関する基本的な考え方でございますが、我々としましては、まず同種のサービスについての同一地域同一運賃という原則は、タクシー事業の実態、あるいはタクシー事業による労働実態等を考えまして、利用者の立場から見ても安全で良質なサービスを安定的に供給するという上ではぜひその原則を採用していくべきものということで、行政方針としてこれまでとってきたところでございますし、今後ともこの方針は、最初に申し上げたような趣旨から、我々として堅持していかなきゃいかぬというふうに思います。  それから、事業等につきまして、いろいろ規制緩和という観点からタクシーについての規制緩和というものも提唱されておりますが、運輸省といたしましては、基本的な参入規制あるいは運賃規制といったようなものは、我々としては基本線としては堅持すべきだ、運用等については旅客のニーズに合った運用をしていく必要があるというふうには思いますが、基本線は堅持すべきだというふうに思っております。  なお、先生指摘のように、エムケイの訴訟が国側が勝訴するにしろ敗訴するにしろ、エムケイサイドが運賃改定をいつまでもやらなければ二重運賃といった格好が生ずる、それがひいては同一地域同一運賃という基本線を崩すことになるのではないかという御指摘でございます。我々としましては、これまでも個人的な感情ですとかいろいろな業界のあつれき等から部分的にそういう二重運賃になった事例も幾つかございます。したがいまして、我々としては強制をするということじゃなしに今までやってきておりますが、同一地域同一運賃の原則を一〇〇%維持させるというためには、現在の法制では無理があるというふうな点は御指摘のとおりでございます。  これらにつきまして、我々としてそれじゃ一体どういうふうに立法的に解決すべきなのか、あるいは行政指導的な面で済むのか、その辺についてはこれまでも検討しておりますが、この裁判を契機に我々としても真剣な検討をしていく必要があろうかなというふうに思っております。
  29. 吉原米治

    吉原委員 私は、判決の結果どっちになっても、これは大変難しい課題だな、こう思っておるわけでございますが、今の行政方針でもって同一地域同一運賃の原則を貫こうとされるのは、いささか私は無理があるのじゃないか。したがって、きちっと法制化することによっていや応なしに同一地域同一運賃という制度を各業者それぞれ守らなきゃならぬという、そういうことにした方がよりベターだと思っておるわけでございますが、いずれこの問題は今日だけに限らず、引き続きひとつ御検討願いたいと思います。  そこで、このハイタク問題のもう一つ課題は、実は運転代行業なるものが、今日特定な地域に限らず全国的に蔓延をしていく傾向があると見ておるわけでございまして、運輸省は現在全国でどのぐらいの運転代行業の業者数があるのか、業者数と台数。そしてまた、最近では協同組合方式などをつくってそれぞれ県知事の段階に登録をするという、そういう傾向も出てきておりますので、該当する県、どのぐらいの県にこういった代行業の協同組合があるのかという実態把握をどのようにされておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  30. 熊代健

    熊代政府委員 これだけ免許所持者もふえてきてマイカーも多い、その中で飲酒運転を避けるという観点から運転代行業というのが出てまいったわけでございますが、法的な規制が正規の形でやられているものにつきましては特にございませんので、正確な点は多少割り引いていただきたいと思いますが、昨年九月末時点で、運転代行業務を行っておる業者数が約千七百、車両数で約九千台というふうに考えております。  なお、御承知かと思いますが、タクシー事業そのものも、こういうニーズに合わせるということで運転代行業をやるタクシー事業者もかなりふえてきておりまして、タクシー事業者数約二千、車両数三万二千といったようなものが運転代行を行っているということでございます。  それからもう一点の、地方でいわゆる事業協同組合をつくるということで県に申請して設立を許可されているものが、ことしの三月末現在で十二県十三組合、一県、長野県が二つございまして、十二県十三組合が設立の認可を受けているというところでございます。
  31. 吉原米治

    吉原委員 この傾向は、私だんだん拡大をされていくのじゃないかと危惧しておるんですが、特に六十一年の三月二十九日に群馬県議会の議長名でもって「運転代行業にかかる法制度の確立についての意見書」、こういうものが上がっておるはずでございます。この意見書を見ますと、既存の輸送秩序に多大な混乱を招いておる、交通安全その他社会的にさまざまな問題が生じておるので、ぜひひとつ国民の安全確保と社会秩序の維持を図るために、これら運転代行業に対して既存の法の規制と同等の法的措置を速やかに講ずるように強く要望するという趣旨の意見書なんです。この意見書を受けとめられて、これは運輸大臣あてにも内閣総理大臣あてにも出ておる意見書でございますからごらんになっておると思いますが、どういう感じを今持っていらっしゃるのか、この意見書に対してどういう方針で対処されようとしておるのか、この点をひとつお尋ねします。
  32. 熊代健

    熊代政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、本来の正規の形での運転代行という行為は、これは正規のものとして当然適法に行われるものでございますが、運転代行を行うものの中には、運転代行という名をかりていわゆるタクシー類似行為をやっているというものがある程度見られるということから、先ほど指摘のような群馬県の県議会からの意見書をいただいたところでございます。  この問題につきましては、御指摘のようにタクシー業界からもかなり御意見がございます。ただ、我々といたしましては、最初に申し上げたように、適法なものについてそれを法の網に乗っけて規制を加えるということにつきましては、最近におきます国の規制をできるだけ外すという流れの中でいかがなものかという点がございますし、それから安全運転ということで二種免許を持った人にしかやらせないというようなことも、この点については警察等も検討はされておるわけでございますが、そこまでの強制の必要があろうかという点で疑問がある。したがいまして、我々としましては、この問題につきましては違法なタクシー類似行為をやるものにつきまして、警察あるいは業界の指導委員会的なものをかなりの地区につくってもらっておりますが、そういうところと情報を交換しながら、例えば徳島で行っておりますようなそういうものが集中するところの駐車禁止を徹底的にやっていただくことによって効果を上げる、それから違法なものにつきまして警察と協力して取り締まりをするというようなことを強力にやっていくことについて、警察庁交通局とも前々からいろいろ相談しながらやっているところでございます。  今申し上げたようなことから、この意見書につきましては既存のタクシー等と同様な法規制を加えることについては検討はいたしましたけれども、現時点ではかなりネガティブな返事といいますか結論しか出ないというような状況でございます。
  33. 吉原米治

    吉原委員 この間、質問のときにも熊代局長は、世はまさに規制緩和の時代だ、そういう時代に逆行するような規制を強化するというのはいかがなものかという御答弁をされておりますけれども、少なくとも交通の分野で規制を緩和するというのは、言ってみれば、それは厳格なというか煩わしい事務手続を簡略にする必要はあると私も思いますけれども、基本的な問題で規制緩和をしてだれでもやれるようなシステムにしてしまうというふうなことまでの規制緩和、私は交通の秩序を維持していくためには、むしろ交通業界ではやはり一定の規制を厳格にやることによって交通秩序が保たれていくのじゃないか。こういう運転代行業というのは、言ってみれば、恐らく正規の運転代行業で成り立っていくためにはまだまだ需要はないと思っておるわけでございまして、こういう運転代行業と称する形で商売が成り立っていくというふうなことになりますと、どうしてもハイヤー、タクシー類似行為をやらざるを得ない形になってしまう。過般も車両管理請負業なるものが合法かどうかということで質問もいたしておりますが、今の段階では非合法な点は見受けられませんというのが運輸省の主張なんでございますが、一体悪質なといいますか、タクシーまがいの行為を行っておるこういう案件について、今局長おっしゃるように、過去に一体どのぐらいチェックをやって検挙までいったのか。単に警察と協力をしながら厳しい監視の目を光らしておるというだけでは、このような無法行為を放置するだけにとどまってしまうんじゃないか。よい代行、悪い代行とあるようでございますが、その悪い代行についてどういったチェックをされて、検挙件数は何件ぐらい過去にあったのか、実績がございましたらひとつ御報告を願いたい。
  34. 熊代健

    熊代政府委員 六十二年度の実績は現在集計をしておりますが、六十一年度につきまして、車両停止を含めまして全国で二十四件行政処分をいたしております。  なお、先ほどもちょっと触れましたように、全乗連におきましても昨年の六月から、こういう運転代行のかなり多い福島、秋田、群馬、愛媛、熊本といったようなところに輸送秩序改善対策協議会と指導委員会というものを設置して、街頭巡回等によって違法行為の現認に努めるとともに、当方にも連絡をしてもらうというような体制がしかれております。先ほども申し上げましたように、実効ある取り締まりというものにつきまして、なお六十三年度からさらに警察庁交通局とも十分打ち合わせて効果のある対策をとっていきたいというふうに思っております。
  35. 吉原米治

    吉原委員 時間も参りましたから簡潔にやりますが、幸いにまだ大きい事故が起きた例はございませんけれども、代行業者が代行業務を遂行する過程で事故を起こした例が六十一年の三月段階で発表になっておりますけれども、だんだん運転代行業を遂行するために途中で起きた事故に対する補償能力といいますか、そういうものも一応担保させなきゃならぬ。言いかえますと、代行業を認めるということになると、不法なことをやってはいかぬという法的規制が一方で必要になってくるんじゃないか、このように実は私は思っておりまして、いずれまたそういう考え方がまとまった段階では、ひとつ熊代局長にもお知恵を拝借しなければならぬと思っておりますので、よろしくお願いをいたしておきます。  最後に個人タクシーの問題。これは非常に最近個人タクシーの運転者の高齢化が目立っておるわけでございますが、これは定年退職が別にあるわけじゃないし、もっとも個人タクシーでございますからそういう制度もないわけでございますが、運輸省はこういった個人タクシーの高齢者対策というものを一体どのように考えてこれからも対処されようとしておるのか、この点について最後に一問だけお尋ねをしておきたいと思います。
  36. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように個人タクシーの高齢化がかなり進んでおりまして、お客さんが高齢化に伴う運転に対する不安あるいはサービス面での低下といったようなことを指摘される向きがかなりあります。これにつきまして我々としましては、ただ高齢者といいましてもこれは非常に個人差があるものでございますから、一律何歳以上は個人タクシーの免許更新は認めないというわけにまいりません。したがいまして、我々としては今二つの面でできるだけその新陳代謝が図られる方向に持っていきたい。一つは譲渡、譲受といったような面で、個人タクシーの人が第一線から引きやすくなるというようなこと。それからもう一点は、なかなかこれは掛金等の問題がございますが、個人タクシー協会を通じまして共済制度の拡充ということをやっていただく。  それから個別の問題につきまして、行政的には先ほどの譲渡、譲受を円滑化するということで、六十一年、もう二年近く前から、今までは病気等による譲渡、譲受ということしかございませんでしたものに、六十八歳以上の高齢者については譲渡、譲受の対象にするということをやりました。それからもう一点は、免許の更新ごとに身体検査をやってもらっているわけですが、高齢者につきましては年一回公的な医療機関の健康診断書を提出していただいている。そういう点で、個人差の伴いますそういうものについてのチェックはできるだけやるという方向で今進めているところでございます。
  37. 吉原米治

    吉原委員 時間が参りましたから終わります。
  38. 関谷勝嗣

  39. 左近正男

    左近委員 私は、きょうは地方公共団体が経営する公共交通、都市交通の問題について御質問をしたいと思います。  大臣は東京にお住まいですね。今、都内の路面交通大変混雑しておるわけですね。大臣もお困りだと思うのですが、この現実について、大臣、どのような御感想をお持ちですか。
  40. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ひところ、東京に「やさしく走ろう東京」という標語がありました。やさしいというのは、いろんなとらえ方があると思いますけれども、とてもやさしくは走れない、まことに困難な状況にあると思います。予想以上にモータリゼーションが盛んになりまして、そのおかげで至るところに渋滞が起こっておるわけでありますけれども、やはり都市の円滑な機能あるいは快適な都市生活というものの確保のためには、これを解決しなければとてもそれはおぼつかないという感じがいたします。
  41. 左近正男

    左近委員 大臣の御感想も、このままほうっておいたんでは大変なことになるな、こういう御認識を持っていただいておるんじゃないかと思うのです。そのとおりでありまして、現在東京や大阪初め大都市の路面交通は、今言われましたようにモータリゼーションの波にもまれ、走行環境というのは非常に悪化しておるわけです。このことは、各地方公共団体の経営する交通事業というのが経営的にも非常に深刻な状況になっております。そういう経済的な側面だけではなしに、市民生活の面においても非常に効率が悪いわけですね。  そういうことで、今大臣も言われましたように、このままほうっておけないんじゃないか。私は、この委員会でも何回も公営交通の現状についてお訴えをしまして、何とかひとつ政策的にも新しいアプローチをしてもらいたいということを常にお訴えをしておるわけですが、なかなか効果的な対策が今日までとられておらない。そういうことで、大臣としてこの現実を見詰めてもらって、運輸行政としてひとつ新しい発想でその改善に向けて努力をしてもらえないか、その辺いかがでしょうか。
  42. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先般も予算委員会で、衆議院でしたか参議院でしたかちょっと失念いたしましたが、高速道路に関してもそういう御注文がありました。高速道路に限りませんが、この渋滞を少しでも緩和させるために、関係した省庁をまたいでの対策が必要じゃないかと思いまして、鋭意そういう会合をこれからも持つ努力をして、そこでばらばらの行政でなくて、省庁力を合わせて知恵も出し合って、できれば思い切った手段も講じて、この渋滞緩和のための対策を講じていきたいと思っております。
  43. 左近正男

    左近委員 今大臣の御答弁、非常に抽象的なんですね。今まで言い古された考え方なんですね。それでは具体的に運輸行政として何をやっていただけるのかということが非常に不明瞭なんですね。その辺どうですか、大臣
  44. 熊代健

    熊代政府委員 おっしゃるように、大都市を中心としました都市の路面交通の混雑状況というのは、車の保有に比べて、あるいは走行に比べまして、道路の整備が空間的な制約等がありましてなかなか進まないという中で大変な問題になっております。  我々としましては、この問題は二つの方向で努力をしていかなきゃいかぬ。一つは、地下鉄あるいはミニ地下鉄といったような専用交通機関、これの整備を促進する。それからもう一点は、都市におきましてもそういう軌道系の交通機関だけではカバーできない面につきまして、いわゆる都市バスの活性化ということを図っていかなければいかぬ。この点につきましては、御承知のように我々として都市バス補助というような制度を、六十二年度から都市バスの活性化対策費補助ということで、いろんなアイデアを出してもらいながらそれに対応していこうということをやるのが一つ。  それから先生指摘の走行環境の問題でございますが、これにつきまして我々として抽象的な話を地方から受け、警察庁交通局あるいは建設省道路局と、一般論として申し上げて協力を依頼するのは簡単なんですけれども、それだけではなかなか前に進まないということで、昨年八月に各運輸局に指示しまして、まず手始めに県庁所在都市を中心に、バス路線でもかなりネックになっている地域というのは限定的にあるんじゃなかろうか、それをピックアップさせまして、これに対して具体的な解決方法を考えよう。この検討の場に、事業者はもちろんですけれども道路管理者と警察に加わってもらって、バイパスをつくるといったような長期的な問題はなかなか時間がかかると思いますが、駐車の取り締まりあるいは優先信号の設置、そういったようなすぐできる問題について具体的に手をつけるようにということで、今年度から本格的にそういう県庁所在都市を中心にまずやろう、来年はその次のそれに準ずるような都市といったようなことで、具体的に前進させたいということで現在いろいろやっております。  それからバス業界に対しましても、御承知と思いますが交付金を活用いたしまして、そういった潜在的にはあり得る都市のバス需要を、走行環境等整備することによってどうやって維持していけるかというような方策の検討をそれぞれの地区においてやらしておるところでございます。
  45. 左近正男

    左近委員 私は、今日の社会においてモータリゼーションというものは市民の利便性から見て当然の成り行きだ、このように思っておるのです。近代社会においてはモータリゼーションというのは不可欠のものである、こう思っております。問題は、今も対策をいろいろ言われましたが、自家用車の集中により走行環境が極度に悪化しておるわけですね。自動車という個人の利便性と公共の交通機関の調和というか調整というか、そういうものをしっかりやってもらわなければならぬじゃないか、こう思うのです。今日、そういう政策的なアプローチが今いろいろ言われましたけれども、なかなか具体的に進行しておらない、こういう現実について大臣としてもう一歩踏み込んだ御見解をお聞きをしておきたいと思います。
  46. 石原慎太郎

    石原国務大臣 公共の交通機関あるいは営業車というものを一般の自家用車よりも優先させるという論もございますけれども、これはいろいろ法律的な問題あるいは一種の哲学的な問題にも関係してくることでもありましょうし、また思い切った一方通行の励行、こういったものも運輸省だけではできることでございませんが、そういった問題について今まで実は関係省庁をまたいだ会議が必ずしも頻繁に持たれたということではございませんので、これからそういう会議を積極的に持って、そこでできればドラスチックな何か案を出して対処しなければ、とても現実の進行には間に合わないという認識をしております。
  47. 左近正男

    左近委員 そのドラスチックな対策というのは、これは大臣、早急にやっていただけますか、どうですか。
  48. 熊代健

    熊代政府委員 今、大臣から申し上げた点は、先日も参議院で御指摘があったわけですが、都市において総量規制的な進入規制をするとか、そういった手は打てないかという話だったと思いますが、率直に申し上げて、我々としても四十年代の後半からそういう検討はしてまいりましたけれども、世論といいますか、それの支持するところにはなかなか至らないというジレンマに陥ってきたわけでございます。  大臣の御指示もございますので、先ほど申し上げた建設省あるいは警察とさらに突っ込んだ議論をしてみたいと思いますが、いつまでにドラスチックなという点につきましては、率直に申し上げて私ども、例えば年内にそういう結論を得ますというような御答弁はいたしかねる状態でございます。鋭意努力はいたしてみますけれども、単純な問題でない面が多いものですから、早急にいつまでにというふうにお答えするのはちょっと勘弁していただかざるを得ないんじゃないかというふうに思います。
  49. 左近正男

    左近委員 その関係各省と連絡調整機関を設けるというのはいかがですか、それは。
  50. 熊代健

    熊代政府委員 現在のところ、課長クラスで相当頻繁に話し合いはしてもらっております。これは今大臣が申されたドラスチックなという話だけじゃなくて、先ほど申し上げたような走行環境を改善するためにというような問題等を中心にやっておりますが、これを改めて私ども局長クラスを中心にしたものをやっていくということで、総務庁の交通安全対策室等も関係あるかと思いますので、そういうところとも相談しながら早急に検討して、設置といいますか、少なくとももう少しハイクラスでの検討の場を設けるという方向でやっていきたいと思います。
  51. 左近正男

    左近委員 大臣、関係各省を網羅した形で、やはり公共交通の問題についてはやっていただかぬといかぬ時期に私は来ておると思うんですよ。どうですか、関係大臣の閣僚会議みたいなものを設けてもらって、今大都市で困っておる公共交通の現実について、この混雑している状況を何とかひとつ打開をしていこうというような発想はお持ちじゃないですか。大臣、どうですか。
  52. 石原慎太郎

    石原国務大臣 行革の時代なんで、関係閣僚会議はなるたけ減らせと言われておりますけれども、しかし、御指摘のように大都市の渋滞、混雑というものはまさに殺人的でありまして、整備新幹線に関しても関係閣僚会議、懇談会を持たれておりますが、私はやはり交通問題からいうと、これもまた大変な優先度の高い問題だと思いますので、そういうレベルでの会議をできれば持ちたいなと思っております。また、これは閣議でも提案いたしまして何とかそういう実現を図りたいと思います。
  53. 左近正男

    左近委員 ありがとうございます。ぜひともお願いをしたいと思います。  そこで、私は少し数字を申し上げて今まで申し上げたいろいろな点について裏づけをしたいと思うのですが、自動車の保有数では、昭和四十年が八百十万台、昭和五十年が二千九百万台、昭和六十年では四千八百万台、今日五千万台を突破しておるわけです。昭和四十年と比べると六倍以上になっております。また、輸送機関の分担率で見ますと、どれだけ各交通機関が運んでおるかという分担率で見ますと、昭和四十年ではバス輸送が全交通機関の三二%、自家用車は五・五%であったのです。これに対して、ちょっと古いのですが、昭和五十九年にはバス輸送は一三・六%に落ちております。三二%から一三・六%、自家用車は五・五%から四一・三%、こういうような傾向値になっているのです。今日もこれが進行しておるというような状況です。私は、もちろん過疎地においては現在一家が三台時代と言われておりますように、公共交通機関の不便さからくるマイカーへの移行というのはやむを得ない面があると思いますけれども、都市部においては自家用車の激増というのが多くの都市で路面電車を都市から消えさせました。路面電車の撤去がずっと過去やられてきたわけです。また、バスや一部残っておる路面電車についても走行環境の悪化、運行速度の低下、定時性の喪失、こういうものを招きましてお客さんがどんどん逃げておるわけです。各地方公共団体が経営する公営バスでは、昭和四十年には年間二十三億人のお客さんを運んでおりましたが、昭和六十一年には十七億人に減っております。こんな実情について、運輸省も自治省も十分御理解いただいていることだと思いますけれども、今日まで運輸省、自治省は公共交通を守るという立場から、どんな政策なり対策をやってこられたのか、ひとつ具体的にお答え願いたいと思います。
  54. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、バス全体で見まして、ピーク時で百億人を超えた輸送量が、現在は都市地方合わせまして七十億人程度になっております。この減少傾向をどこかで我々としても何とか歯どめをかけたいということで、特に都市交通につきましては、先ほど申し上げたような軌道系の整備のほかに、都市新バスシステムあるいは都市基幹バスといったような試みを補助金を交付することによってやってきた。それは先ほど申し上げたように形を変えまして、活性化対策費補助金ということで施設設備の補助をやって、いろいろなアイデアを新しい試みとして吸い上げてやっていくということをやってまいっております。  なお、公営交通につきましては、そのほかに民間と比べて多少効率性の悪い面が残っているんじゃないかという面は、そういう指摘をしながら効率化の努力もしていただいておるということでございます。なお、大体公営交通が担当しておりますのは都市でございますので、先ほど申し上げたような個別、具体的な走行環境の改善対策を今後さらに具体的に積極的に進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  55. 左近正男

    左近委員 自治省、どうですか。
  56. 渡辺明

    ○渡辺説明員 公営バスの輸送人員は、御指摘のように昭和四十年度に二十三億六千三百万人、これは年間でございます。昭和六十一年度には十七億八千七百万人と、二四・八%の減少になっておるわけでございます。これは大都市におきまして地下鉄の整備が進み、バスから地下鉄への転換があったことが相当寄与している面があると考えられますが、その大きな部分はモータリゼーションの進展に伴います自家用車やバイク、自転車への乗りかえによるものでありまして、これが経営の悪化をもたらす大きな原因になっていると考えております。このため自治省におきましては、かねてから二次にわたります財政再建措置の実施による経営体質の強化、また、冷房化、都市新バスシステムの採用などのサービス水準向上のための施策に対する積極的な起債措置を講じますとともに、機会をとらえ、関係省庁に対しましてバス専用レーンバス優先レーン設置など、走行環境の改善のための施策に配慮を求めてきたところでございます。
  57. 左近正男

    左近委員 運輸省も自治省も、かなりいろいろ過去努力をしていただいている点については、私は率直に敬意を表したいと思うのです。ただ、今効率の問題も出ましたが、少し私、実態を申し上げたいと思います。  公営交通に働く職員は、今日管理者と協力をして、考えられるであろうあらゆる経費削減について合理化に協力をしてきているのです。特に中小都市においては、この事業を守っていこう、交通事業を守るために、それこそ涙の出るような思いで取り組んでおります。  一例を挙げますと、山口市の経営する市営バスでは、この市営バスを守るために労働組合は八六年の賃金の引き上げを見送りました。見送るどころか、本給の一二%を削減をしたわけです。さらに、今後四年間もベースアップはしない、こんな血の出るような合意を労使でやりまして、山口の市営交通バスを守っていこうと言っているんです。百人おりました職員のうち二十八名もやむなく退職をしておる、こういう現実なんですね。これはこの山口交通だけの問題ではなしに、押しなべて中小の各都市が直面をしておる今日的な課題だと、私はこのように思っております。結局職員は、事業を守る、雇用を守るために、労働条件の面では非常に悲痛な思いで協力をしておる。協力をしていかなければ事業が守れない、こういうような現状であります。  そこで、そこに働いておる職員が働きが鈍いかといいますと、そうではないんです。非常に一生懸命やりながら、こういうような現実になっておる。これは今日のモータリゼーション化の都市、社会が構造的にこういう現実を生み出しておると私は思うんですね。  大臣、どうでしょうか。大臣は先日平林たい子賞をもらわれて、おめでとうございます。非常に感性豊かな運輸行政をやっていただけると思うのですね。今私が申し上げたこの現実を、大臣今お聞きになって、どういうような感想なり、どういうような意識を持たれましたか。率直にどうですか。
  58. 石原慎太郎

    石原国務大臣 おっしゃるように、モータリゼーションの非常な進展がつくり出した非常に困難な構造の中で、公営交通に従事される職員の方々が大変犠牲を払い、御努力なさっていることは私十分承知しておりますし、運輸省としても非常に評価をしております。評価するだけではなしに、ですから、その御努力に報いるような行政的なバックアップというものをこれからも最大限していくつもりでございます。
  59. 左近正男

    左近委員 自治省はどうですか。
  60. 渡辺明

    ○渡辺説明員 バスを初めといたします公営交通事業につきましては、これまで極めて厳しい経営状況で推移してきておりまして、公営交通事業を経営する団体におきましては、二次にわたります財政再建措置など職員の積極的な協力を得ながら、懸命に事業の改善合理化に取り組んできたところでございます。しかしながら、公営交通事業をめぐる環境は依然として厳しく、事業の内外にわたりまして経営環境の整備を図る必要があると考えられるところでございます。とりわけ道路交通環境を改善整備しまして、乗客に対する輸送サービスの改善を進めて公共輸送機関をより多くの住民が利用するようにすることは、公営、民営に共通の重要な課題である、このように考えておりますので、このための所要の施策が講ぜられますよう関係省庁も連携の強化に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  61. 左近正男

    左近委員 自治省にもう一言聞きますが、中小の都市は、この山口交通のような現実にこれからも幾つかの都市が遭遇すると思うのですがね。やはり地方公共団体の経営する公営バスを守っていくんだ、そういう立場でしっかりとした行政指導を今後ともされていかれますか、どうですか。もう悪かったらつぶしていくというような考えをお持ちじゃないでしょうね。いかがですか。
  62. 渡辺明

    ○渡辺説明員 先ほどお答え申し上げましたように、その経営状況というものは依然厳しい状況にあるわけでございますが、経営悪化の著しい事業に対しましては、地方公営企業法に基づく財政再建を行うよう指導いたしますほか、新たな経営健全化措置を講じていくと、このように考えてまいりたいと思います。
  63. 左近正男

    左近委員 僕はそういう形どおりのことじゃなしに、やっぱり今各中小では、山口だけの問題じゃなしに幾つかの都市で経営的に大変行き詰まっていくのは目に見えているわけですよ。それを国として、自治省としてしっかり守っていくという立場でいろいろ施策をやられるのか、もうこれだけ行き詰まったら手を放してしまうのか、それはやっぱりこの選択を、自治省がどういうような視点で各地方公共団体に指導されるかという立場をはっきりしてもらわぬとだめだと私は思うのですよ。その辺もっと立場をしっかりしてくださいよ。どうですか。
  64. 渡辺明

    ○渡辺説明員 公共交通機関の重要性というものは十分認識しております。したがいまして、その経営の改善につきましては全面的なバックアップをしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  65. 左近正男

    左近委員 運輸大臣も今この現実について十分認識をしていただいて、積極的な対応を今後していくというお答えをいただきました。また、自治省も各地方公共団体を指導していく立場で、やはり各中小の公共交通機関を財政的にも十分面倒見ていこう、またその再建に向けて努力をしていこうという見解をいただきましたので、私は非常に心強く思っているのです。  そこで、きょうは私は、都市におけるモータリゼーションの進展というのは、やはり公害問題等についてもかなり今社会的に大きな問題になっているわけですね。排気ガスの問題、騒音、振動、環境問題、これは今大都市では非常に大きな深刻な問題になっております。私は過去にも環境問題について触れたんですが、特に東京、神奈川、大阪、この三地域については窒素酸化物の総量規制を国としては責任を持ってやっていく、こういう決定をされているんです。この総量規制の達成時期を、昭和六十年三月に基準達成をしていくということを決定をしながら、今日までなおかつこの基準達成がされておらないという状況です。これはなぜかといいますと、この大きな原因は、今や工場などの固定発生源よりも、自動車を中心とする移動発生源の排気ガス、この問題が基準達成ができない大きな要因になっておるのではないかと私は思うのです。やはり国民の健康を守るという立場から、ほっておけない事態に今日なっておる、こう私は思います。  そういう面で、運輸省、自治省、環境庁として、都市の環境問題から、公害問題から見詰めた交通問題、これをどういうような位置づけをされておるのか。私どもは公営バス中心にした都市における公共交通体系、こういうものをしっかりと整備することがやはり問題の解決につながっていくと思いますが、関係各三省はどのような意識を持っておられるか、今日までどういう取り組みをされてきたのかお答え願いたいと思います。
  66. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 お答えを申し上げます。  運輸省におきましては、環境問題につきまして、まず自動車公害対策につきましては、発生源対策として従来から道路運送車両法の保安基準に基づく排気ガス規制や騒音規制の強化を行ってきたところでございます。今先生が御指摘の、またこの関係では低公害車でありますメタノール自動車の導入、これはNOX対策にもなりますので、メタノール自動車の導入のための具体的な施策につきまして、現在はトラックに関してでございますが、推進しているところでございます。  先ほど指摘がございました公共交通体系の問題でございますが、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、都市部におきましては鉄道バス等の所要の公共交通機関の整備、改善を進めて利用者の利便性の向上を図るとともに、自家用車利用をできるだけ公共交通機関に誘導をしていくということをやっているわけでございまして、この点、こういう形によって運輸省としましては環境保全にも配慮をした交通体系の整備を進めているところでございます。今後ともこのような形で対策推進してまいりたいと考えております。
  67. 渡辺明

    ○渡辺説明員 鉄道バスなどの公共輸送機関は、自家用車等の個人的な交通手段に比べまして、資源の効率的使用、また交通公害の抑止などの面におきまして秀でた面があることは事実でございます。住民福祉の向上のためにも、公共交通機関と個人的な交通手段との適切な機能分担を踏まえながら、その特性を生かして公共輸送機関により配慮した形で、都市交通の体系的な整備を図っていくことが必要である。その中で公営交通は今後とも重要な役割を果たすものと考えておるところでございます。
  68. 濱中裕徳

    ○濱中説明員 お答え申し上げます。  大気汚染の状況につきましては、全般的には改善の傾向にあるわけでございますが、御指摘のとおり、大都市を中心といたしまして二酸化窒素に係る環境基準の達成率がはかばかしくない状況でございます。特に、これらの大都市地域におきましては自動車交通量が依然増大しているという傾向が見られるわけでございまして、こうした状況を踏まえまして、一層の対策の強化が必要であるというふうに考えておるところでございます。このため環境庁といたしましては、自動車排出ガス規制を逐次強化してきたところでございますが、これに加えまして自動車交通量の抑制あるいは交通流の円滑化、低公害車の普及などの対策推進することが必要であると考えておりまして、今般京浜地域及び阪神地域を対象といたしまして、関係省庁、地方公共団体の御協力を得まして、大都市自動車交通対策計画というものをまとめたところでございます。この計画の取りまとめに当たりましては、乗用車の交通量の抑制を図る上で、御指摘のとおり輸送効率の高い公共交通機関の整備などによりましてその利用を促進することが不可欠であると考えまして、鉄道バスなどを地域状況に応じて利用しやすいように整備するとともに、新バスシステムの導入などによりましてバスの利便性を向上させる、こうした対策を本計画におきます重要な柱の一つとして位置づけさせていただいたところでございます。環境庁といたしましては、今後関係省庁及び関係地方公共団体と連携しながら、この計画の着実な推進を図ることによりまして、大都市地域の環境改善に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  69. 左近正男

    左近委員 私は、特に大臣は東京にお住まいだから、先ほど御答弁いただいたようにその実態はもうよくおわかりだと思うのです。公害問題も、混雑をするという経済的なあるいは市民生活の効率だけの問題ではなしに、国民の健康を守るというか、公害問題、環境問題、こういう面からも、今東京なんかでも大阪でも横浜でも名古屋でも、京都や神戸でもこれは大変な状況になっておるわけでして、そういう面から先ほど大臣は、関係閣僚会議等の構想を初めて私はお聞きをしたわけですが、そういうものについてひとつ一歩踏み込んだ形で何とか、大臣いつまでやられるのかわかりませんが、在任中にひとつアプローチしていただけないでしょうか。どうですか、大臣
  70. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私、十年前に環境庁におりましたときに、日本の自動車の技術が非常に進展しまして、マスキー法を日本だけがマスターしまして、マスキーさんが日本にやってきて、マスキー法というものをこなした自動車に乗って非常に感動して帰りました。日本のそれに関する技術は、アメリカやヨーロッパに比べて十年あるいは十年以上進んでいると思いますし、先般ドイツに行きましたときにも、向こうの交通大臣運輸大臣から、そういう相談も受けました。ですから、技術の点に関してはもうやるだけのことを日本の技術者はやってくれているわけでありまして、これはあとは総量で規制をするということを考えないととても追いつかない。  私、田園調布に住んでおりますけれども、何か田園調布というのはよほどいいところのように思われておりますが、あそこは小児ぜんそくの非常に多いところでありまして、一方、私は湘南地方に長いこと住んでおりましたけれども、そこでも近年光化学スモッグが起こるようになりました。  繰り返して申しますけれども、何かドラスチックな対策をしなければいかぬなと思いますが、私の今ある場所でこういうことを申すと物議を醸すかもしれませんけれども、本当に知恵を出さなければとんでもないことになると思います。例えば自家用車に限って言えば、奇数ナンバーと偶数ナンバーを分けて、とにかく交互に、休日は別でありますけれども、要するに乗車を控えていただくとか、そこら辺のことをしませんと総量というものはもう規制できませんし、これは乱暴な提案かもしれませんけれども、少しそれをみんなで考えて実現を図りませんと、結局大都市に住んでいる人たちが自分で自分の首を絞めるということになりかねないので、運輸省だけ独走するわけにいきませんけれども、それこそ関係省庁持ち寄って思い切った案をつくらなければならないと痛感しております。
  71. 左近正男

    左近委員 今、大臣が総量規制という発想を述べられたことに対して、私は非常に高く評価をするわけです。私は、今日の自動車社会やマイカーを悪だとは決して思っていないわけです。四全総の中で示された交流ネットワーク構想、こういうものも推進していかなければならないだろうと私は思います。この構想を否定しておりません。高速道路中心とするこの自動車の交流ネットワークは、当然必要なことだと思うのです。  問題は、今大臣も触れられましたように、都市におけるマイカーの道義的、社会的規制がどうしても必要な時期に来ておるんじゃないか、こんな感じを私は常々持っているのです。自動車社会になって自動車産業が大きくなっていくということは、これは非常に結構なことだと私は思うのです。しかし、都市においては何らかの総量規制を国の政策においてやらなければならない時期に来ておるのじゃないか、このように思います。そんな観点から運輸行政を、今大臣が御答弁になったように、やる時期に来ておるのじゃないか、私はこう思うのです。したがって、今大臣お述べになったそういう構想を、今後ひとつ積極的に具体的に、私はあすからでもと言いたいのですが、そんな気持ちでいっぱいなんです。そういう観点から、我々は自動車産業を否定しない、自動車産業大きくなってほしい、しかし都市では道義的に調整をしていかなければいかぬ時期に来ておるのじゃないか、こういう発想を運輸行政の柱にしていただきたいなと私は思うのですが、大臣もう一度、いかがですか。
  72. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 ただいま総量規制の問題につきまして大臣から御答弁があったわけでございますが、従来この問題につきまして運輸省がどのような観点から取り組んできたかということを、もう一度申し上げさせていただきたいと思います。  もちろん、道路混雑問題が非常に重要な問題であるということは、運輸省としましても十分認識をしております。現在やっております対策を申し上げますと、まず、仮にそのような規制をするとしましても、公共交通施設がどうなっておるかということが問題でございますので、まず第一に大量の通勤通学輸送のための交通量負担道路に生ずることを極力抑制するために、公共交通機関の整備の面に関しまして地下鉄の整備あるいは鉄道輸送力の増強、都市バスのサービス向上等の整備に努める必要がある、これが第一点でございます。  第二点が物流の関係でございますが、貨物自動車の交通量も大変多いわけでございますから、貨物自動車の使用の合理化を進める必要があると考えておりまして、このような見地から、自家用車から営業車への転換、協同一貫輸送の促進、物流拠点施設の適正配置、それから情報関係でございますが、VANなどの情報ネットワークの整備等を進めているわけでございます。  それから三番目に、道路の関係でございますが、ただいまも先生から高速道路と一般道路に分けての御指摘がございましたが、現在大都市圏における道路混雑のためには環状道路の整備が非常に重要であるということが指摘されておりまして、首都圏につきましてもこの点が非常に大きな問題でございます。この点につきましては中央環状道路、外郭環状道路、首都圏中央連絡道路の整備が順次建設省中心に進められているところでございまして、運輸省としましても建設省にその整備の促進方を要請をしているところでございます。  このような対策を総合的に推進をする必要があるわけでございまして、関係省庁とも連携をとりながら、公共交通の整備及びその利便の向上を基本として、都市における道路混雑の解消にできるだけ努めてまいりたいということで従来やってまいりましたところでございます。
  73. 左近正男

    左近委員 私は、公共交通に自分自身も働いておったので、今日の状況を見ればほっておけない、こんな感じでいっぱいなんです。これは先ほど大臣も御答弁ございましたように、我々だけではなしに国民全体の共通認識ではないか、私はこのように思います。今日まで運輸省を初め自治省等関係官庁が政策面でいろいろと努力をしていただいておる、こういう面については私は感謝をいたします。しかし、今運輸政策局長から御答弁がございましたように、言葉の上ではいろいろと政策が羅列できても、なかなかそれが即物的に浸透しない、なかなか問題の根本的な解決にならないということなんです。そういう意味で、先ほど大臣が総量規則、ナンバーを偶数と奇数と分けて、国民にあるいは市民に協力していただくようなドラスチックな対応というものも大臣の考えの中で、個人的にだろうと思いますが出されたわけです。私は、そういうような発想をしてもらわぬと今の現実は解決できないのじゃないか、こう思うのです。だから、具体的な政策と総量規則を基点とした問題の解決、こういう二面から今後とも対策をやっていただきたいと私は思うのですが、その辺、大臣と政策局長、どうですか。
  74. 石原慎太郎

    石原国務大臣 問題の解決のために、今運政局長からるるお話をいたしました。これはすべて必要な手だてだとは思いますが、地下鉄の整備とか東京都もしきりに考えておりますけれども、これは百年河清を待つとまでいきませんけれども、かなり時間も金もかかることでございまして、それを待ち得る現況にあるかないかというのは認識の違いかもしれませんが、東京あるいは大阪に住んでいらっしゃる方々の不便といいましょうか、ある意味で健康的な危険も大変なものだと私は思います。ですから、運政局長が申しました施策を、これからたとえ時間がかかっても着実に講じていくと同時に、一方では先ほど私の私案といいましょうか、とんでもない思いつきになるかもしれませんけれども申し上げましたが、そのようなドラスチックな案を講じて総量というものを規制してかからないと、現況の打開は短いタイムスパンではとても困難ではないかと私は認識しております。そういうものを各行政の責任者であります大臣が持ち寄って政治的に思い切った判断を下すということをしませんと、大都会の非人間的な状況はなかなか克服されない。そのためには国民、市民の方々に多少の不便はあるかもしれませんけれども協力をしていただく。これは結局国民御自身のためになると私は確信しております。
  75. 左近正男

    左近委員 私は、きょうの大臣の御答弁を高く評価をいたします。そういう側面からぜひとも対処していただきたい、心からお願いいたします。  そこで私は、昭和六十年の百二国会に、何とか今日の交通混雑を政策的にも具体的に解消していきたいという立場から、都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案というものを提出させていただいたわけであります。この意図は、緊急に公共交通の環境整備を図る必要がある都市を公共交通環境整備都市として指定し、当該都市の実情に最も精通している市長などが先頭になり、すべての対策を網羅した総合的な調整のとれた公共交通環境整備計画を策定し、この計画に従い必要な事業推進してはどうかという考えからであります。もう一日も手をこまねいてはおれないというようなせっぱ詰まった気持ちからこの法案を出させていただきましたが、六十一年の国会解散により同法案は廃案になっております。近く同じ法案を再提出したいと思っておりますが、委員長初め各党の先生方の御理解をお願いをしたいと思います。この法案は決して党派にこだわったものではございません。今の大都市の、あるいは中小都市も含めた都市の交通問題を何とか解決したいという立場から提出をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  そこで、運輸省は六十年四月、百二国会に我が党が提出した都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案についてどんな見解を持っておられるか、お聞きをしたいと思っております。  もう一つは、私は、今の公共交通を何とかしなければならないという気持ちは、今大臣の答弁もありましたように同じ気持ちだと思うのです。したがって、我が党が出しましたこの法案にこだわる必要は私自身も全く持っておりません。問題をどう解決していくかという立場でとらえていただきたいと私は思うのです。運輸省は政策官庁に脱皮をすると言っておられるわけでありまして、今日の都市における交通の現状を踏まえて、何らかの解決を図るために運輸省自身が法的な裏づけのある政策提起をすべきではないか、こんな感じが私しておるわけですが、この二点について運輸省としてどういう見解をお持ちかお聞きをしたいと思います。
  76. 熊代健

    熊代政府委員 まず、先生指摘の六十年四月に出されました都市における公共交通の環境整備に関する特別措置法案についての運輸省考え方でございますが、この法案に盛られております公共交通環境整備計画を特定の市長さんが定める、こういうお考えになっておるわけで、関係するところは建設省、さらには交通規制に絡みまして警察庁とあるわけでございまして、運輸省の立場からのこの法案に対する見解は、先ほど先生指摘のような考え方、我々としても同じ方向で考えておるわけです。要は、それを具体的にどうやって解決を図っていくかということが何よりも大事だと思いますので、運輸省におきましては、こういう関連の法案に関しまして前々から陸上交通審議会というのがございまして、それを改組しまして地方交通審議会というものを各運輸局単位に持ちまして、そこに各府県単位の部会を設けまして、それぞれ地方交通計画を策定してもらい、それに基づく推進を図るということで進めてきております。この審議会には、御承知かと思いますが、地方公共団体の長の方のほか、学識経験者さらには労働界の方も入っていただいている審議会でございます。こういう審議会で地方の各府県ごと、場合によってはその府県を幾つかの経済圏等に分けて計画を立ててもらっておりますので、それにさらに別に同様な計画をつくるということは特段の屋上屋を重ねることにもなりかねないという感じがありまして、我々としては問題は計画をつくるということじゃなくて、その具体的な環境を改善するという実行面が問題だ。先ほど申し上げましたように、昨年の八月に各運輸局に指示いたしまして、まず手始めに県庁所在都市のネックになっている部分のピックアップとそこの状況の把握ということをまずやらせまして、今年度からそれを警察あるいは道路管理者、地方自治体にも入っていただいた協議の場を設けて、具体的、個別に検討をして改善策を講じていくということをやらせていくことにしておりますので、運輸省といたしましてこういう計画を別個にさらにつくるということについては、必ずしもその必要性はないんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  77. 左近正男

    左近委員 効果のある具体的な実行がされておれば私は何も言いませんよ。しかし、もう審議会でいろいろちょうちょうはっし審議をしているような時期ではないと私は思うのですよ。要は、どう効果的な実行体制がとれるかということでして、やはりそういう側面から運輸省としても政策的な、法的な裏づけのある法案をひとつ用意されたらどうですか。これだけ各都市が困っているんですよ。何らかのアプローチをすべきじゃないですか。これは僕は特に要望をしておきたいと思います。  もう時間がございませんから、次に地下鉄の問題について少し触れさせていただきます。  先ほどお話がございましたように、この路面交通の混雑した状況を踏まえて、近年大都市では地下鉄の建設が積極的に行われているわけです。しかし、この建設費は膨大な金が、大臣先ほど触れられました今や一キロ三百億円時代になっておるわけです。六十一年度の公営地下鉄事業の累積欠損金は五千八百三十五億円、不良債務は一千六百八十八億円にも達しております。この地下鉄事業の年間の料金収入が二千六百三十九億円、この建設に伴う企業債の元利償還金が二千六百三十三億円なんですね。したがって、料金収入のすべてが過去の建設に伴う元利償還に充てられておる。給料は高いことはないんですよ。料金収入に対する職員の給与費の割合は五一・八%なんですよ。問題は建設費、これの償還問題が地下鉄事業を大変な経営的な窮地に陥れているわけです。国もこの建設費についてかなりの補助をしていただいておりますが、今七〇%補助方式になっております。これは国と地方公共団体が折半になっているわけです。しかし、総建設費に対しては五九・八五%なんですね。各地方公共団体から実質七〇%補助の実現をしてもらいたいという強い要望が出ているんですが、この補助金を実質七〇%にしていただけませんか、どうですか。
  78. 熊代健

    熊代政府委員 先生承知のとおり、地下鉄の建設費補助につきましては、長年かかりましてやっと建設費の七〇%と言っておりますが、基本的には一割は自己資金を充てるという考え方、あるいは総係費部分は除くということで、御指摘のような数字に、トータルの建設費に対しては五九・幾つという補助額になっております。この点につきまして、我々としてもさらに補助率を上げるということは気持ちとしては理解できるわけですけれども、一応長年かかりまして、三十年といったような長期にわたって採算がとれるはずであるという前提で成り立ってきております。したがいまして、これについて、今先生指摘のように実質七割、場合によりますと八割補助あるいは八五%補助ということになろうかと思いますが、補助率のかさ上げということについては非常に困難な状況にあると申し上げざるを得ないと思います。
  79. 左近正男

    左近委員 私は、七〇%補助だと大きなことを言いながら実質は五九・八五%、こういうような状況で、それを地方公共団体と折半をしておる、これは何とかしてもらいたい。しかし、もうきょうは時間がございませんので、今後とも運輸省としても努力をしていただきたいんです。  そういうような状況のもとで、国がさらに補助金をカットしているわけですね。これはどうですか、五十九年度建設分から今日まで年度ごとにどれぐらいの建設補助金をカットされたんですか。
  80. 熊代健

    熊代政府委員 五十九年度で、いわゆるポイント送りということで後年度に送りました額が総額で六十八億弱でございます。それから六十年度の建設費分につきまして百十八億弱を後年度に送っております。なお、六十一年度以降のものにつきましては、こういうポイント送りということはやっておりません。  それから、この調整額につきましては、これはカットするということではなくて、その後、後年度において補てんするといいますか補完するということで、既に六十二年度の予算から過去に繰り延べたものを補てんする予算を計上し、実行してまいっております。したがいまして、今申し上げました五十九年度、六十年度分につきましても平準化をするという考え方で送らざるを得なかったわけでございまして、カットということじゃなくて、後年度においてその分は補てんし、交付するというつもりでおります。
  81. 左近正男

    左近委員 それでは、今お話がございましたように、五十九年、六十年分の調整額については一応十年補助方式ですから、最終年度までにすべて補てんをする、こういう理解でよろしいのですね。
  82. 熊代健

    熊代政府委員 おっしゃるとおりに考えております。
  83. 左近正男

    左近委員 もう時間が来ました。  それでは、これは六十一年は調整はしなかったということでいいのですか。調整はしたけれども、カットはしたけれども補助はしない、復元はしないということ、どうなんですか、この点。
  84. 熊代健

    熊代政府委員 六十一年度から開業後補助という形に改めたということもございまして、六十一年度建設費分についてのいわゆる先送り、ポイント送りということは六十二年度以降やっておらないわけでございまして……(左近委員「カットしなかったの、したんだろう」と呼ぶ)いや、六十一年度建設分については基本的にはカットしておりませんし、それから一部調整をやりましたのは、主として営団における益金が出ておるといったことを中心調整をやってきたわけでございます。
  85. 左近正男

    左近委員 時間が来たから終わりますが、やはりこれの調整の補てんについてはひとつ的確にやっていただきたい、このことを強く要望しまして終わります。どうもありがとうございました。
  86. 関谷勝嗣

    関谷委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ────◇─────     午後一時開議
  87. 関谷勝嗣

    関谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西中清君。
  88. 西中清

    ○西中委員 初めに、地下高速鉄道について、若干の御質問をいたしたいと思います。  間もなく暑い夏がやってまいりますけれども、東京の夏の地下鉄というのは冷房もほとんどなくて、まさに残酷なほどの暑さでございます。古くから地下鉄の車両冷房を望む声は強かったわけでありますけれども、遅々としてその設備は進まない。通勤通学者の我慢に我慢を重ねての今日であると思います。  聞くところによりますと、営団地下鉄はことしの夏から車両冷房を始めるということでございますけれども、正直言って余りにも遅い、遅きに失した、私はこういうふうに思っておるわけであります。いずれにしても、乗客へのサービスのことでございますから、遅くてもやった方がいいにこしたことはないのでありますが、その点で大いに頑張ってもらいたいと思っております。  そこで、ことしから始めると聞いております営団の冷房設備、これは一体どういう計画になっておるのか、伺いたいと思います。
  89. 熊代健

    熊代政府委員 御説明申し上げます。  先生も御承知かと思いますが、地下鉄につきましては、車両で冷房しますとその排熱がトンネルの中にこもってトンネル温度を上げるというようなことがございまして、営団としては駅冷房、トンネル冷房ということで、古い銀座線あるいは丸ノ内線というのを中心にそういうことをやってきたわけでございますが、御指摘のように、最近ブレーキ時等におきます排熱の少ない省エネルギー型の車両というものが可能になってきた。技術的にトンネル内の車両冷房ということも可能だということになってまいりまして、東京都では昨年の夏から車両冷房化に踏み切ろう、それから営団につきましては、ことしの夏から冷房化を行うということになったわけでございます。とりあえず、六十三年の夏の計画といたしまして、シーズンまでに日比谷線、東西線、千代田線、有楽町線、半蔵門線、それから東京都の新宿線、営団が合計で二百二十六両の冷房車両を入れる、それから東京都も三十両の冷房車両を入れる。相互直通運転をしているところには当然前々から冷房車両がございますので、六十三年夏の計画としては、それぞれの線の直通乗り入れ車両を合わせまして、冷房化率が営団、東京都営ともに大体三〇%程度にはなるという計画でございます。  なお、大手の民鉄等につきましては五カ年の設備投資計画をつくらせておりますが、営団につきましてはああいう特殊な性格もございますので、着実に進めていくということにはしておりますが、明確に何年計画という形はとっておりません。ただ、今後とも踏み切った車両冷房について、これを着実に進めていくという計画になっており、我々としてもそれを推進していこうというふうに思っております。
  90. 西中清

    ○西中委員 今の御説明によりますと、六十三年度、ことしの夏、営団の場合三一%程度、これは民鉄の相互乗り入れの結果三一%になるのではないかと思うのですね。営団自体はどの程度やっておるのか、東京都の場合はどの程度やっておるのか、再度お答えいただきたい。
  91. 熊代健

    熊代政府委員 自社分だけで申し上げますと、営団が一一%、都営が六%でございます。
  92. 西中清

    ○西中委員 冷房化率というものは非常に低いわけであります。しかも私鉄が既に八〇%、九〇%を超えておるわけですから、その相互乗り入れの結果が三一%ということは、私鉄に依存している限りにおいてはそうパーセントが上がるわけではない。少なくとも今地下鉄においての混雑ぶり、そして夏の暑い盛りに冷房の思想が、といいますか技術的な面なのでしょうけれども、トンネルの中を冷やす、駅を冷やす、こういう発想で今日まで来た。それは車両の進歩で今度は車両でできるのだという状況になっておるわけですね。これから先一体何年たったら、暑い暑い車の中にいつまで閉じ込められておったらいいのかという点について、今、営団の方は確たる計画はないということでありますけれども、これは乗客サービスに対して怠慢きわまるというように私は思っております。したがいまして、今計画はないかもしれませんけれども、少なくとも輸送力が増強されないこの東京都、首都圏内において、暑い暑い夏をどうしても我慢しなければならないというような、今日の日本のあらゆる環境からいきまして極めて異常な状況の中にある、跛行の中にあると思うのです。  ですから、やはりここは五年なり十年なりという計画に従って、着実に冷房を進めるというような指導を少なくとも運輸省としてはすべきである、私はそう思うのです。  大臣、余り地下鉄にお乗りになっているのかなっていないのか知りませんけれども、夏場の地下鉄、またはそのほかの車両もそうですけれども、冷房のないところはすし詰めの中で汗がだらだら流れながら、そしてお互いの体がすり寄っているという状況が続いているわけです。ですから直接、指導程度のことでありますが、東京都の都の地下鉄はともかくとして、まず営団地下鉄は運輸省としてびしっとした指導をして、計画を立てながら冷房を着実に進める、こういうようにするべきだと私は思いますけれども大臣はいかがお考えでしょうか。
  93. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私も、地下鉄は便利なのでよく使うのですよ。ただ、夏はやはり敬遠いたします。その理由は今委員が御指摘になったことでございますけれども、私は専門家でございませんから技術的なことはつまびらかにいたしませんが、こういう時代ですから地下鉄だけ冷房なしというのはちょっと考えられないことで、やはりそれは実現しますように督励していきたいと思います。
  94. 西中清

    ○西中委員 せいぜい熱心なお取り組みを要望しておきたいと思います。  同時に、東京都に対しても、都電、地下鉄、これについても乗客サービスという点、特に非常に汗をかいて疲労が激しいわけでございますから、そういう点で東京都の場合は自前のものがわずか六%というような低い設備率でございますから、どうぞひとつしっかり御指導いただきたいというように思う次第でございます。  それから次に、ことしになってから営団から私鉄各社に車両冷房について協力方を要請した。既に私鉄の方はかなり冷房化が進んでおりますけれども、それに対する各社の反応はいかがでございましたか。お伺いできたら教えていただきたいと思います。
  95. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘の要望書につきましては、会社間のものでございますので、具体的に当方は承知していなかったわけでございますが、先生お話がございましてその写しを取り寄せ、関係の各社に一応問い合わせをいたしました。その結果、営団からの要望書というのは、自分のところも車両冷房する、したがって、今までは直通で入ってきていた車両についてトンネル内に入ると冷房をとめるといったようなことをやっていたわけですが、それを冷房を続けるということもあって、さらに今後各社それなりの冷房化を進めてほしいということでございますが、特段の反対はないというふうに聞いております。その文書そのものについては会社間のあれでございますが、最初に申し上げたようなことで、問い合わせた結果は特に反対だとかいうようなことはないというふうに聞いております。
  96. 西中清

    ○西中委員 これはちょっと横へそれますけれども、首都圏のラッシュ、大混雑、この問題についてなかなか解決ができないわけでございます。長期的に言えば、当然これは新線の建設であるとか線路工事であるとかということになろうかと思いますけれども、当面少しでも緩和をするという立場に立てば、それぞれ工夫があるのではないかと思います。例えば駅舎、ホームを若干延長しまして、車両編成を十五両ぐらいまで大きくするとか、それからこれも相当努力いただいていると思いますけれども、情報機器が非常に発達しているわけでございますから、運行間隔も少しは短縮できて増発ができるのではないか、こういうように私は見ておるわけでございますけれども、こういう輸送力の増強ということに今どういうようなお考えなのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  97. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  私の担当はJRの方でございますので、JRに限った答弁になると思いますが、JRにつきましては、首都圏のラッシュ時の混雑緩和のためのまずは車両の編成長の問題につきましては、常磐線の通勤時の編成を六十年三月に、いわゆる中電と言っておりますが、中距離電車を十二両から十五両という編成にいたしました。それから、最近でございますが、六十三年の三月、そこの時点で快速を十両から十五両編成、こういう形に増結して輸送力の増強を図っております。ほかの線区につきましても、今のような編成長の問題というのはそれはそれなりにあるのだろうと思いますが、ただいまの先生の御指摘の中にもございましたように、ホームの延伸とかいろいろ問題点がございますものですから、JRの東日本といたしましては、まずは運行回数の増回というのでしょうか、そういうことで今後対応していくというようなことを計画していると聞いております。  私どもといたしましても、できるだけそういうラッシュ時の混雑緩和のための輸送力増強策をしっかりやっていただくよう指導してまいりたい、こう思っております。
  98. 西中清

    ○西中委員 いろいろな面で、一つの例示として挙げたわけでございますけれども、いろいろ工夫していただいて、わずかであっても増強していくという方向で御努力をいただきたいと思います。  次に、これは首都圏だけに限りませんけれども、大都市の地下高速鉄道建設について若干伺いたいのですが、大都市の市民の足として地下鉄道というものは大変効率的なものであって、その要望は極めて強いわけでございます。したがって、各大都市ともその建設を強く推進いたしておるところでございますけれども、国の地下鉄建設補助金というものが年々減額をされてきておるわけでございます。東京都がその代表でありましょうけれども、どうしても足が後追いになって、状況が悪化してから動き出すということでは、事をさらに解決を困難にするという状況になっておるわけですから、どこの都市でも一刻も早くという思いでおるわけですが、これは私は財政上の問題であると思いますけれども、なぜこれだけどんどん下がっていったのか、理由をお聞かせいただきたいと思います。
  99. 熊代健

    熊代政府委員 先生の御指摘のように、地下鉄の建設はこれからの都市生活の中で着実に整備していかなきゃいかぬということでございますが、五十七年以降、補助金額は年々減少してまいりました。これは端的に申し上げて、その整備の必要性を否定されたわけじゃないのですけれども、厳しい国の財政再建ということで、補助金は原則一〇%カットということの対象になってきたわけでございます。六十二年度予算でも対前年度十一億減といったようなことだったのですけれども先生指摘のように札幌、仙台、京都等が新しく地下鉄をやりたいというようなこともございますし、各地でそういう新線あるいは延長工事といったようなことが出てまいります。したがいまして、我々としては最大限これを確保するということで努力をいたしまして、六十三年度、先日成立していただきました予算におきましては、六十二年度四百二十三億に対しまして五千万弱の減にとどまった。我々としては、今後ともこの地下鉄の建設につきましては、建設費の低減といいますか、そういったこともあわせてやりながら、できるだけ予算額の確保には全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
  100. 西中清

    ○西中委員 事情はよくわかるのですが、五十八年で五百二十七億三千万円、六十三年度の予算で四百二十二億四千九百万円、百億からの減額になっておるわけですね。僕は、大都会における地下鉄の重みというものは、やはり都市交通のこれからの基幹になるべきことだと思うのです。ですから、都市計画の中でもこの持つ重みというのは非常に大きいというように実は認識をしておるのです。ですから、財政が厳しいということはよくわかりますけれども、やはりこういう基盤、根幹にかかわる問題については、それなりの予算の配分を考えて、しっかりした計画のもとに実行していくということが大事だろうし、同時にまた、多くの指定都市等が関連いたしておるわけでございますから、それなりの計画を持っておるわけですから、その計画を着実に遂行するためには国の姿勢というものがある程度はっきりしておらないと、どんどん減っていく一方じゃないかというようなことでは、計画上そごを来すということも非常に多いわけなんでございます。これは単なる予算補助ということでございますから、本当はできれば立法措置によるところの補助ということになれば、それにこしたことはない、私はそう思います。そういう点で、御苦労いただいておるわけでありますし、御苦労を多といたしますけれども、せいぜいこの点については、来年度予算等については強い姿勢で考えていただきたいし、でき得れば立法措置まで考えるぐらいの決意をお持ちいただきたいと思うのです。大臣、いかがでございましょうか。
  101. 石原慎太郎

    石原国務大臣 運輸行政にはいろいろ大事な案件がございますし、整備新幹線なども大きな問題の一つとして、結局、最後は財源の問題ですから、このための検討委員会も設けてやっておるわけですが、同時に、大都市の地下鉄は、ある意味ではこれにまさるとも劣らない大事な行政上の案件でございまして、現実に非常に肉体的な苦痛を大都市の通勤者に与えておるわけでございますから、これをやはり一刻も早く解消するための地下鉄の整備のために努力しなくちゃいけませんが、やはり財政上の問題もございますので、これが何らかの形でより積極的に事業バックアップするような、そういう努力を重ねていきたいと思っております。
  102. 西中清

    ○西中委員 次に、これは新聞で拝見をしたわけですけれども、いわゆる大深度地下鉄道について運輸省では調査研究をなさったというふうに聞いておるわけですが、その調査結果はどういうふうになったのか、概略を簡単に御説明いただきたいと思います。
  103. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 お答え申し上げます。  大深度地下鉄道の整備に関する調査研究委員会が三月十一日に大深度地下鉄道の整備に関する諸問題についての検討結果を出したわけでございます。  その概要は、第一が、通常土地所有者が利用しないほど深い地下空間にトンネルを敷設することが技術的に可能である、技術面についてはそういう内容でございます。第二番目に、経済性の観点から見ると、郊外部と都心部を直結するようなサービスを提供する鉄道については、従来からの方式による地下鉄道よりも有利となる場合がある、これは経済面でございます。三番目に、法制的に見ても、民法上は土地所有権の及ぶ範囲を法令によって制限できるということから、法律を定めて鉄道事業者に極めて深い地下空間の利用権を公企業特権の一種として付与することは立法論としては十分考えられるという内容でございました。
  104. 西中清

    ○西中委員 そこで、技術面などというのは私にもよくわかりませんけれども、五十メーターの地下で建設をされるということでございますが、結果的には、これはいけるぞ、大いに推進しなければならぬ、こういう結論でございますか。その辺のところはいかがなものでしょうか。
  105. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 現在の段階は、今申し上げました学識経験者による調査研究委員会でそのような結論を出していただいたわけでございまして、私どもとしては、この結論をいただきましたので、今後できるだけ早く具体的な制度化に向かって各省庁と御相談しながら前向きに検討させていただきたいと考えております。  いずれにしましても、この制度は現行の制度によって鉄道の整備が進まないという事態に対処するための道を開くものであると考えておりまして、このような法制度がもし確立されれば、また新たな鉄道建設技術の発展も期待されるのではないか、かように考えます。いずれにしましても、この学識経験者の委員会の結論を踏まえまして、これについてできるだけ早く具体的な施策にしたいというのが現在の状況でございます。
  106. 西中清

    ○西中委員 さまざまな難しい問題があると思いますけれども、法制面について若干伺っておきたいのです。  土地の所有権はさまざまな解釈があると思いますけれども、一般的には土地の上下に及ぶと理解されているようでございますが、地下五十メーターの大深度地下空間と土地の所有権のかかわりはどう判断したらいいのか。新しい立法措置が必要なのかどうか。その辺のところは法務省としてはどういう見解をお持ちか、伺っておきたいと思います。
  107. 細川清

    ○細川説明員 お答え申し上げます。  民法第二百七条では、土地の所有権は法令の制限の範囲内においてその土地の上下に及ぶ、このように規定しているわけでございます。したがいまして、法令の制限がない場合には無制限に地下に及ぶのではないかという考えもあるかもしれませんけれども、現在民法の通説におきましては、土地の所有者の利用の利益の存する限度において所有権が及んでおるということで、極端に申せば地球の中心にまで及ぶ、そういうことではないのだというふうに理解されているわけでございます。
  108. 西中清

    ○西中委員 そうすると、この首都圏における地下五十メーターというのは及ばないと理解していいわけですか。
  109. 細川清

    ○細川説明員 土地の所有権が地下に及ぶ範囲につきましては、先ほど申し上げましたような抽象的な範囲が考えられるわけでございます。しかし、これは一律に何メートル以下ならばというのは難しいわけでございます。したがいまして、これから立法を考える上では、相当深いところにまでも所有権が観念的には及んでいるのだということを前提にして法制度を考えていけばいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  110. 西中清

    ○西中委員 それから、トンネル敷設権を公企業特権の一種として認めることにしたいというように報告では出ているようでありますけれども、これには問題はないのでありますか。運輸省はどういう見解でありますか。     〔委員長退席、二階委員長代理着席〕
  111. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 お答え申し上げます。  いずれにいたしましても、学識経験者の委員会からこのような御提言をいただいたわけでございますから、立法論的に可能性があるという観点から前向きに取り組んでいきたいと考えております。
  112. 西中清

    ○西中委員 それからもう一つ、新鉄道建設の際にこれと一体化して宅地開発するために、鉄道会社に土地の先買い権を付与することも検討されたというふうに聞いておるのですが、現状を判断しますと、私も先買い権というものを認めざるを得ないのではないかと思っておりますが、この点については運輸省はこれからも積極的にその方向で頑張っていかれるのかどうか、その辺を伺っておきたいと思います。
  113. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  四全総を推進するために国土庁が法案を提出されたわけですが、我々として、主として東京圏あるいは大阪圏のような大都市圏におきまして優良な宅地供給をふやす必要がある。それには鉄道と大規模な宅地開発を一体的に進める必要がある。そのためにはどういう手法をとるべきかということで、実はその宅地開発の進め方、その計画鉄道整備の計画をいかにして一体的なものにしていくか、あわせまして、その検討をする中で鉄道の敷設の場合に用地の取得というのが非常な問題になります。これをできるだけ取得しやすくするためにいろいろな方策が考えられるわけですが、その中の一つとして、公共団体、地方公共団体等に認められている先買い権といったようなものを鉄道事業者に付与することはできないかという観点から検討をするということでございまして、とりあえず、現在建設省運輸省とで宅地開発と鉄道整備を一体的に進めるための検討をしておるのですが、その中の一つの項目として先買い権、言葉ではあれなんですけれども、これは単純に先買いするだけの権利なのか、それとも価格まで指定できるような権利なのか、いろいろ問題がございます。したがいまして、そういう点を含めて目下鋭意検討している、できるだけ用地取得を容易にするという考え方の一環としてそういうことを検討しているということでございます。
  114. 西中清

    ○西中委員 どうかその点、非常に僕は大事だと思っておりますので、しっかりした取り組みを要望しておきたいと思います。  次に、トラック運送事業についてお伺いをいたします。  まず、所定労働時間についてでございますけれども、最終目標を週四十時間とし、当面四十六時間とする改正労働基準法がこの四月一日から施行されました。しかし、このトラック運送事業については三年間の猶予措置が設けられているわけでありますが、当然できる限り早い機会に週四十六時間とすることが望ましいことではないかと思っておりますが、運輸省及び労働省としてはどういう考え方で進んでおるのか、伺っておきたいと思います。
  115. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘のとおり、トラック運送事業につきましては、バス、タクシーなどのほかの運輸交通業などとともに三年間の猶予措置の対象とされたところでありますけれども、労働省の方におきましては、この労働基準法の改正に伴う政省令案についての中央労働基準審議会の答申におきましての特に規模の大きい事業などにつきましては猶予期間中の一定の時期までにできるだけ速やかに四十六時間以下となるように行政も指導を行うべきであるという指摘を受けて、労働省としては二年以内を目途に週四十六時間以下とするように大手の事業者に対しては指導をしておられるところであります。運輸省といたしましても、トラック事業の今後の健全な発展を図るという観点から、ぜひ労働省が指導しておられるとおりのことを実現すべきであると考えますので、私どもの方としても強く事業者の方にそういう方向で働きかけをしてまいりたいと存じております。     〔二階委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 西中清

    ○西中委員 次に二七通達でございますけれども、この問題は中央労働基準審議会にあります自動車運転者労働時間問題小委員会において検討がされていると聞いておるのでありますけれども、この検討の主な課題は何なのか、簡単にお伺いいたしたいと思います。同時にまた、この小委員会の結論はいつごろまでにまとめられるか教えていただきたいと思います。
  117. 松原東樹

    ○松原説明員 中央労働基準審議会に自動車運転者労働時間問題小委員会を昨年六月に設置いたしまして、自来、現在ハイヤー・タクシー部門、トラック部門、バス部門と三つの業態に分けまして各作業部会を設置して、それぞれ業態に応じた議論をお願いしておるところでございます。  具体的な議論の中身といたしましては、規制の対象をどうするか、あるいは規制の内容、現行の二七通達の中身でよいかどうか、あるいは規制の手段をどうするか、履行確保をどうやって図っていくか、さらには労働時間管理のあり方、方法をどうするか、そのようなことの議論が行われております。  具体的な結論の出る時期でございますが、現在鋭意御検討をお願いしておるところでございまして、私どもも、労働基準法改正の際の参議院での附帯決議の項目もございますので、できるだけ早い時期に結論をいただきたいというふうに期待を申し上げておるところでございます。
  118. 西中清

    ○西中委員 早い時期と言われると、ちょっとよくわからないのですけれども、これはことしじゅうというぐらいに認識しておってよいのですか。
  119. 松原東樹

    ○松原説明員 できるだけ年内早い時期にと思っております。
  120. 西中清

    ○西中委員 やはり労働者にとって労働時間が長いというのは非常につらいことであるし、世界的に見ても日本の労働者は就業時間が長いということは極めて問題になっておるわけであります。  これは労働省からちょうだいした資料でありますけれども道路貨物運送業は長時間労働で比較的低い賃金、こういう大変な形になっておるわけでございますが、個々の労働者の中にはともかく長時間働いてでも稼がなければならないという人もいないわけではないようでございます。一方、トラック事業者というのは大方が零細でございますし、しかも、法定運賃などと言うけれども実際にはなかなか守られていない、というよりも荷主の一方的なというか、かなり強い力によって安い運賃になっておるわけで、その点では経営が極めて不安定といいますか厳しい状況にある、こういう一面も持っておるわけでございまして、この辺を製造業とかと同じように考えていくということは労使ともに非常に厳しいのではないか、私はそのように見ておるしまた聞いてもおるわけでございます。これからの検討の中でどういうように結論が出てくるかわかりませんけれども、その辺のところは十分に配慮されることが非常に重要なことであり、これは物流の混乱を防ぐ上でも大事なことだと思うのですね。こういう点について運輸省としてのお考えが何かあれば伺っておきたいと思います。
  121. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘のとおり、トラック運送事業につきましては他の一般産業に比べまして年間の総労働時間が著しく高いという点は、御指摘のとおりであります。今日トラック事業は、自家用トラックに比べて効率性が高いということで需要も非常にふえてまいっておりまして、産業、経済活動にとって不可欠の重要な交通機関としての役割を果たしてまいっております。今後ともそういう需要はますますふえてまいると思いますので、トラック事業の健全な発展を図るためには、そしてまた将来ともトラック事業がそういう需要にこたえてきちんと役割を果たしていくためには、何といっても運転者を初めとする人材の確保が必要でございまして、そういうことのためには労働環境を整備していくことが極めて大切だと思っております。トラック業界におきましても総論としては皆賛成なのでありますけれども、ただいま御指摘のようないろいろな事情がございまして、二七通達についても実際違反も非常に高いというのが現状でありますが、今申し上げたように、将来のことを考えて業界を挙げて取り組むべき重要な課題と私どもも受けとめておりまして、運輸省としても労働省とよく連絡をとりながら、望ましい方向に進むように努力してまいりたいと考えております。
  122. 西中清

    ○西中委員 労働省にお伺いしますけれども、小委員会で検討している、早い時期に取りまとめをいたしたいということでございますけれども、今日までの議論を通して、どうなんでしょう、これは新しい通達という形でまた出てくるのか、それとも法律までつくらなければならないというような改正になっていくのか、その辺はどういうふうに判断されておりますか、もしわかっておれば伺いたいと思います。
  123. 松原東樹

    ○松原説明員 この小委員会の発足に当たりまして、通達の見直しで済ませるのかあるいは法改正をするのか、そういったことも含めて小委員会で関係労使入っていただいて御議論をいただくということできておりますが、現段階ではまだどういう方向で結論づけがなされるか申し上げられるような状況に至っておりませんので、ひとつ御了解をお願いしたいと思います。
  124. 西中清

    ○西中委員 次に、長距離トラック運転者の労働環境の整備を図る上から、運輸事業振興助成交付金を活用してトラックステーションの整備を行っておりますが、現状を簡単に御説明いただきたいと思います。
  125. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 トラック運転者の休憩、仮眠、食事などのための施設といたしまして、トラックステーションの整備を逐次進めてまいっておるところでございますけれども、現在までに全国で二十三カ所が既に供用が開始になっておりまして、さらに九カ所の整備が計画されているところであります。  ただいま御指摘の運輸事業振興助成交付金も、軽油引取税の暫定税率が五年間延長になりましたことに伴いまして、六十三年度から同様に五年間交付されるということがはっきりいたしております。トラックだけで年間百五十億くらいの規模になりますので、これを有効に活用しまして、計画的にこのトラックステーションの整備を図っていくべく、全日本トラック協会を中心に、現在検討をいたしておるところでございます。
  126. 西中清

    ○西中委員 現在のトラックステーションは一般道路に接しておりまして、高速道路上にはまだ一カ所も設置されておらないわけですね。したがって、高速道路を走行する長距離トラックは一たん高速道路を出て、ステーションで休んで、再び高速道路に入る、こういうことになって、時間的にロスも少なくございませんし、高速道路通行料金も割高になる、こういう現況でございます。したがって、サービスエリア、パーキングエリア等で休憩する車が非常に多くなっておりまして、入り口で渋滞するケースもしばしば起こっておるというのが今日の状況であります。  私も手元に通行車両の量の統計を拝見させていただきましたけれども、毎年毎年すごい勢いで一般車もトラックもふえておる。特に東名、名神ということになりますと、それは顕著にあらわれているわけでございます。したがって、一日も早く高速道路上で外に出なくてもいいようにトラックステーションを設置してほしい、こういう要望が強く出ておるわけでございますけれども建設省のお考えはいかがなものですか。
  127. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  高速道路上に設置いたしますトラック専用の休憩施設でございますが、先生指摘のとおり、現在のところ、我が国の高速道路上に専用の施設を設けているというところはないのでございます。ただいま全日本トラック協会等から御要望がございまして、現在のところ運輸省建設省、日本道路公団、全日本トラック協会、この四者が集まりまして、さまざまな角度から、高速道路上にトラック専用の休憩施設を設けることに関しまして、その可能性等多角的に検討を進めているところでございます。今、その内容を具体的に詰めたという段階ではございませんが、今後関係する省庁の御意見も十分お伺いしながら、できるだけ早く私どもとしても方針を固めてまいりたい、そのように考えております。
  128. 西中清

    ○西中委員 高速道路からパーキングエリアとかサービスエリアに入るのに、もう中がいっぱいだ、こういうケースを最近特に多く見るのですね。それが渋滞して中に入るのを待っておる、待ち切れないで徒歩で出てくる、こういう安全上も極めて問題のある危険な姿も目にするところでございまして、できるだけ早く結論を出していただいて、難しい問題があることも承知をいたしておりますが、実施をしていただきたいと思うのです。いつごろまでにその結論をお出しになるのか、その点はどうでしょうか。
  129. 玉田博亮

    ○玉田説明員 昨年来私ども鋭意検討をしている段階でございます。現時点で、時期等につきましては御容赦いただきたいわけでございますが、この問題の重要性にかんがみまして、できる限り早く結論を得たいということで努力をさせていただきたいと思っております。
  130. 西中清

    ○西中委員 これは運輸省建設省も公団も一緒にいろいろ検討されていると思うのですが、どうか精力的にひとつ早い結論をお願いいたしたいと思います。  そこで、すぐと言ったってそうたくさん一遍にできるわけじゃないのですから、当面、先ほど申したような危険な状態を防ぐ意味においても、現在のサービスエリアとパーキングエリアを拡張、増設するといったことにひとつ力を入れていただきたいなというふうに私は思っておりますが、何か計画がございましたならば、建設省お答えをいただきたいと思います。
  131. 玉田博亮

    ○玉田説明員 現在特に東名、名神の東京、大阪付近におきまして、先生指摘のような駐車場が不足しているという状況があるわけでございます。特に大型車の駐車升が不足しておるのではないかということで、私どもはそれに対しまして手当てをするということを考えております。昭和四十八年度から逐次駐車スペースの拡充整備を進めてきておりますが、その結果、昭和六十一年度末におきまして、大型車の駐車升は供用当初の千二百七十四台から二千七百五十二台、約二倍強に拡充したところでございます。しかしながら、依然として不足している状態が続いているというのが実情でございまして、現在のところ、東名高速道路におきましては霧ケ丘パーキングエリアほか七カ所、名神高速道路におきましては多賀サービスエリアほか三カ所、合計十二カ所で改良事業を行っておるところでございます。これが完成いたしますと、大型車約八百台近い駐車升の増設が図られるということでございます。鋭意大型車の駐車升の増設に力を注いでいるところでございます。
  132. 西中清

    ○西中委員 次に雪害対策について伺いますが、三月には北陸自動車道上り線で、近接する二カ所の現場で十八台の車が衝突したという事故がございました。事実はどうかわかりませんが、新聞報道によりますと、除雪作業の後も雪が降り、当時シャーベット状の雪が約五センチ積もっていた、こう言われているのですが、こういう事故を見ますときに、雪害対策として、当然除雪作業ということはあり得るのですが、やはりロードヒーティングであるとか定置式散布装置などの凍結防止装置をできるだけ多く配置するということが有効な対策ではないかというように私は考えておるのです。この点、建設省としてこれらの装置を今後増設するというか、そういう計画があるのかないのか伺っておきたいと思います。
  133. 玉田博亮

    ○玉田説明員 御説明するまでもなく、我が国は冬季の雪がかなり多いという地域をたくさん抱えておるわけでございます。特に北陸地方につきましては、これほど雪の多い地域にこれほど土地利用を進め、人々が生活をするということは、やや話が大きくなりますが、世界的にもそれほど例の多いことではないわけでございます。したがいまして、私どもはかなり過酷な条件のところで高速道路を初めとする道路の管理をしているということに相なるわけでございます。  高速道路におきます雪寒期の安全かつ確実な交通を確保するため、効率性あるいは経済性といったもの、あるいは我が国の気象条件を考慮いたしまして、我々は機械除雪と凍結防止剤の散布を雪氷対策の基本にしておるわけでございます。基本はそこにございます。しかしながら、御指摘のとおり、例えばトンネルの坑口、出口を出たすぐの部分、こういったところはトンネルの中と外と路面の条件が非常に激変するということがあるわけでございます。それからトンネルの中に雪の持ち込みが行われる、さらにはトンネルの前後については機械除雪が難しいケースがあるというふうなことがございまして、私どもは現在のところトンネルの坑口付近等におきまして、ロードヒーティング等の融雪装置を設置してきているのでございます。ロードヒーティング等の融雪装置につきましては、その建設費維持管理費両面にわたりましてかなり多額の経費を要するのが実情でございます。したがいまして、その設置は限られた箇所にとどめざるを得ないというのが実情でございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった特に気象条件の激変のある箇所、道路の構造から見て特に必要がある箇所、そういった箇所に絞りましてロードヒーティング等の融雪施設を設置してきているということでございます。
  134. 西中清

    ○西中委員 凍結防止装置は既に何カ所か設置をされておりますが、今これから新たに設置をする場所というのはあるのでしょうか。私、建設省の方だったと思いますが、お聞きしたら、もうそんな気は全くないんだというような意味お話をなさったこともありますので、その点ではっきりしたことをお答えをいただきたいと思います。
  135. 玉田博亮

    ○玉田説明員 お答え申し上げます。  全国集計ではございませんが、現在特に雪の多い名神の関ケ原であるとか中国自動車道、中央道の恵那山付近それから北陸自動車道の米原—朝日間といったところで見ますと、現在のところ、ただいま申し上げましたこれら区間が高速道路の延長で約二百三十キロ程度でございますが、ロードヒーティングが既に五十五カ所、それから定置式の散布装置、これは大部分がスプリンクラーでございますが、十九カ所といった設置になってございます。全国的に見ますともう少し多い数字になってございます。  今後の予定でございますが、新しい高速道路供用に伴いまして同じような条件を持つ区間がふえてくるわけでございます。そういった箇所につきましては、今後はできるだけ道路建設する段階からそういったものの手当てを基本的には考えていくというふうに考えております。
  136. 西中清

    ○西中委員 今の御答弁ですと、既設のところは考えていないということですね。いかがですか。
  137. 玉田博亮

    ○玉田説明員 既設箇所につきまして、私ども長期計画のようなものは現在のところ備えておりません。しかしながら、交通状況、気象の状況、常に道路の管理につきましては細心の注意を払い、そのような融雪施設の必要があるというふうに判断されるものについては既設道路においても新規に追加、増設を考えてまいりたいということでございます。
  138. 西中清

    ○西中委員 私は、先ほど北陸自動車道の事故を挙げましたが、まさしく機械除雪だけでは非常に危険な場所はまだまだあるんだ、こういうために例示をしたわけでございまして、除雪した後どんどん降ってシャーベット状で五センチも積もっておる、そういう危険な場所は、私はやはりあると思うのですね。それで、そういう既設の高速道路は余りやる意思がないような、今後調査で危険なところがあればというような非常にあいまいな話に聞こえたのですけれども、何といっても生命というのは非常に大事でありますし、特に主要な高速道路は産業の動脈としてもこれは停滞するということは極めて影響が多いわけでありますから、やはり大事の上に大事をとる、こういうことは私は大事だと思うのですね。ですから、これは私の一つの考えですけれども、専門的に気象その他の調査も十分なさり、そして構造的にもこのあたりは非常に危険であるかないか、こういう危険調査をしっかりしていただいて、これは全面的にといったって無理な話ですから、重点的に何カ所かピックアップして、毎年それについて何カ所ずつか計画的にやっていく、こういうことが既設の高速道路でも必要ではないかと思っております。したがって、私も実際に道路を走っている方からお聞きしましたのですが、例えば名神高速道路多賀インター—名古屋インター間、豊川インター—三ケ日間、それから御殿場—大井松田間、広島北—戸河内ですか、それから新見—三次、中央道の恵那—諏訪インター、北陸自動車道の米原—朝日間、この中で運転されている方が現実に危険性を感じながら走っている箇所があるということでございます。私は、これは実際にそういう意見を集約してもらってこの箇所を今申し上げているわけですが、そういうところについてはよく点検をしていただいて調査をしていただいて、この辺はどうも危険度が高そうだというところはあらかじめそういう設備をしていただきたい。ただ、機械除雪だけではなかなかうまくいかないのじゃないか、こういうように思っておりますし、その点、いかがでしょうか。
  139. 玉田博亮

    ○玉田説明員 道路管理者といたしまして、交通事故の防止ということにつきましては従来から引き続きまして最善の努力を傾注してきたところでございます。したがいまして、御指摘の点もございますので、雪氷対策の充実につきましては今後ともさらに努力を続けていく必要があると私どもも考えております。さらに、障害の程度に応じまして、道路管理者側が講ずる対策に加えまして、速度規制であるとかチェーン規制道路利用者の交通マナーの向上、規制の遵守等、道路管理者、交通警察、道路利用者の三者が相互に協力をいたしまして、安全で円滑な交通を確保するよう努めてまいりたいと思います。
  140. 西中清

    ○西中委員 ぜひこの点は留意をされましてしっかり調査をし、事故が起こってから設備を整えても間に合わないわけですから、事前にひとつお願いをいたしたい、このように思います。  それで大臣に伺うのですけれども大臣は閣議の後の記者会見か何かで、滋賀、岐阜両県境付近の名神高速道路における雪害対策の必要性について発言されたというように伝えられておるわけですが、極めて妥当な提言だと私は思っております。これについてはその後建設大臣等との御相談などはどうなっておるのか、伺っておきたいと思います。
  141. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 大臣が閣議でこのお話をされましたその日に建設省に問題を提起いたしまして、検討をお願いしているところでございます。
  142. 西中清

    ○西中委員 具体的には何か話が進んでおりますか。
  143. 塩田澄夫

    ○塩田政府委員 建設省から伺っている対策でございますが、昭和五十八年度から名神の雪氷対策委員会設置して種々の対策について調査研究を進め、機械除雪、融雪装置の強化を図るということで、六十年度から計画的に整備を進めて効果を上げているというふうに伺っております。  名神高速道路につきましては、我が国の主要幹線道路であり、また自動車事故の防止を図る観点からも、その雪氷対策が重要であると認識をしておりまして、運輸省としても今後雪氷対策の一層の強化が図られるように建設省とも十分連絡協議を進めてまいりたいと考えております。
  144. 西中清

    ○西中委員 大臣の発言ですからもう少ししっかりやってもらいたいね。何かちょっと余り気合いがかかっておらぬね。困りますよ。やはりこういう点は、極めて重要な産業の動脈になっておるわけですから、大臣、ひとつもう一遍みんなを督励していただいて、こういう問題は生命の尊重という点からも極めて大事なことですから頑張っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  145. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ほかの地域をないがしろにするわけではございませんけれども、東海道線を走る車の量、それが運ぶ貨物というのは日本の物流のほとんどを占めるぐらい重要な路線でありまして、それが冬季とはいえ、あそこでボトルネックになって交通が遮断される、それが場合によっては物価にも響くということを聞きましたので建設省にお願いしたわけでありますが、あのあたりの雪の降り方というのはゲリラ雪とかいって、あっちで降ったりこっちで降ったり、なかなか対策が難しいそうでございますが、これはだれのためでもない、国のためでございますので、これからもひとつ技術も考えていただきまして、何か効果の上がるような施策を講じてもらうように運輸省の方からも強く働きかけていきたいと思っております。
  146. 西中清

    ○西中委員 時間がなくなってしまいまして、テン・ミリオン計画を伺うつもりでしたが、せっかくおいでいただいた方に申しわけないのですが、これで終わらせていただきたいと思います。  以上です。
  147. 関谷勝嗣

  148. 中路雅弘

    中路委員 きょうは二つの問題についてお尋ねしたいと思います。気象事業の問題とトラック輸送事業者の問題です。  気象について国民的な関心が非常に高まっているわけですが、例えば、先日、三月二十五日ですが、神奈川県議会では全会一致で運輸大臣初め関係大臣に四項目にわたる要望を意見書として提出をしております。その中では、「昨今、気象情報に対する要望と関心が高まる中で、都市化が進み過密化している本県内にある横浜地方気象台は、正確で迅速な気象情報に対する県民の強い要望や期待に応えるためには、十分な体制にあるとは言い難い」として四項目の要望を出しているわけです。  こうした趣旨の意見書を出したのは最近ですね。調べてみますと、県の段階七つ含めまして自治体で六十以上に上っておりますし、また農協や漁協など気象と密接に関係している、全国で五千三百に上る団体が気象事業の整備改善を求めているわけです。この問題について、二、三御質問をしたいと思います。  先日、気象関係者の人と懇談して大変印象深く受けたのですが、一つは、今打ち上げられています気象衛星ひまわり、これから送られてくる雲の画像、これは各気象官署に送られているわけですが、お聞きしますと、今全国でこの受画装置があるのが、管区気象台、沖縄を含めて五つと、大きな地方気象台を含めまして全部で十一、それに海洋気象台が四つ、航空気象台を除けば十五のところで設置をされているということでありますが、これは間違いありませんか。
  149. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 現在設置されている気象衛星の受画装置の数につきましては、先生指摘のとおりでございます。
  150. 中路雅弘

    中路委員 これで見ますと、いわゆる予報を出している地方気象官署、これにすべて配置されているということではないわけですね。横浜の地方気象台の問題が意見書で出ていますけれども、ここのところの状況を聞きますと、衛星画像が気象庁本庁からファクシミリで送られる、三時間ごとにこれが配信されているということで、気象衛星の画像装置がないわけです。そこでテレビ局の天気予報で放送されている気象衛星の連続の画像をビデオ録画して、予報を出す上での参考資料として利用していることもあるというお話も聞いています。全国で、こうした受画装置は気象官署以外のマスコミや防衛庁など大体七十カ所で今もう利用されているのですね。民間のマスコミ等でこれだけ利用されていて、予報を出す気象台にないというのは大変おかしなことだと私は思うのです。最近、機器の値段も相当下がってきて安く手に入るわけですし、これは至急に改善すべきではないか。横浜の気象台等を含めて、せめて予報を出す気象官署には、一遍にというわけにいきませんから年次計画等を立てて受画装置がないところを解消していくべきではないかと思いますが、いかがですか。
  151. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 先生指摘のように、現在いわゆる新地方気象台と言われているところにはまだ静止気象衛星の受画装置が行っていないわけですけれども先ほど先生お話の中にもございましたように、地方気象台に対しましては、静止気象衛星資料に基づいてつくられました雲画像情報図、これは雲の分布状況を示す図でございますけれども、これが三時間ごとに一日八回本庁からファクシミリによって配信されております。さらにまた、本庁から地方気象台に対しましては静止気象衛星資料を利用して得られた雲の特徴などについての情報を含めまして予警報が適切に行われるように、必要な指示報、情報それから数値予報のいろいろな資料、そういったものが伝達されております。したがいまして、各地方気象台におきましてはそういう衛星の資料のみならず、数値予報の資料とか、そのほか予警報に必要ないろいろな資料を用いまして総合的に判断して、予警報に誤りなきよう努力しているところでございます。  それからなお、静止気象衛星の一層の有効利用ということにつきましては、今後ともいろいろと技術的に検討してまいりたい、そのように考えております。
  152. 中路雅弘

    中路委員 これは実際に作業をやっている方のお話ですから事実だと思うのですが、天気予報を放送されているテレビ局のをビデオで録画してそれも参考に利用する。本来の気象予報をやるところにこの画像がなくてビデオで参考にしている、これはだれが考えてもおかしいわけですよ。そんなに費用もかかる問題ではありませんから、私が言っているのは、せめて予報を出す地方気象台くらいにはこれからも逐次こういう画像を見られるように改善をしていくということくらいはやるべきではないか。これはまた地方からの強い要請でもあるわけですから、こういう要請にもこたえていくということはいかがですか。
  153. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 予警報を行う場合には一番基本になるのは数値予報の資料でございます。この数値予報の資料によりまして予想天気図、将来の予想気圧配置がどうなるかというのがわかりまして、それに基づきまして天気へ翻訳する。そういう形でもって予警報が出されているわけですけれども、そのときに、現在の気圧配置と気象衛星資料による雲の分布図などから、天気への翻訳がいろいろと行われるということでございます。先ほど雲画像情報図が流れていると申しましたけれども、これなどはそれに十分使えるものでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、静止気象衛星資料の一層の有効利用ということはこれからも考えていかなければならない問題である、そういうことでございますので、さらに検討を進めてまいりたいと思っているところでございます。
  154. 中路雅弘

    中路委員 後でまとめてもう一度お聞きをしたいと思いますけれども、もう一つは海洋気象の問題です。  悪天候のときデータ収集で活動しなければならない観測船ですが、今本庁を含めて六隻あると聞いています。長崎や函館のは最近更新されたというお話を聞いていますけれども、特に舞鶴にある海洋気象台の観測船、三百五十トン前後と非常に小さいのですが、二十四年たっているというのですね。大体二十五年ぐらいが耐用年数だと聞いています。資料を見ましたら、穴があいたりなんかしているのですよ。風速十メートルから十五メートル、波高が二、三メートルになると観測を打ち切って退避する事態だという話も聞いているのですが、せめて一千トンの船をという要望がありますが、いずれにしても清風丸は更新をしなければいけない。先日、関係者の皆さんがたしか大臣にも直接要請に行ったというお話も聞いていますけれども、これも関係の京都府議会や舞鶴、宮津、福知山、それぞれの市議会全会一致で請願あるいは漁業団体からもしているわけですが、少なくともこの次はこの舞鶴の老朽化した船は至急更新をするということについてはお考えはいかがですか。
  155. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 舞鶴の清風丸につきましては、先生指摘のように二十四年経過しておりますけれども、これは一般的に言えることでございますけれども、観測船の代替の建造ということにつきましては、観測船の担当海域における観測業務のあり方などを踏まえ、またその老朽化の度合いなどを勘案しながら、国の予算、財政事情が非常に厳しいもとでございますので、気象庁におきましても他の重点施策とともに総合的に検討すべき問題であるというように考えております。
  156. 中路雅弘

    中路委員 耐用年数で、長崎のがたしか二十六年ぐらいたっていたですね、更新された。これもほぼそれに近いわけですから、いずれにしてもこのままにしておくわけにはいかないですね。今予算でどうするという話まで詰めませんけれども、次はこの舞鶴の観測船については検討しなければいけないということは事実ですね。
  157. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 やはり船齢がある程度超しますと、これはいずれは更新しなければならない、そういうことでございます。
  158. 中路雅弘

    中路委員 予算のこともあるし、他の運輸省内のいろいろ予算があるから歯切れもよくないのですけれども、いずれにしてもこれはこのまま置いておくわけにはいかないですよ。ぜひひとつ至急改善をしてほしい。  もう一つは、気象庁の顔とも言われているお天気相談のことなんですが、現在天気相談所が設置されているのが本庁と管区気象台及び沖縄気象台、開所の時間も平日の日中だけということですね。限られた人員の中で期待にこたえ得ないということで、関係者は非常に苦労しているわけです。  これも例でありますけれども、例えば神奈川県は人口七百七十万、全国で三番目という大きな県ですけれども、これを担当する気象官署としては横浜気象台だけでありまして、ここにも天気相談所がないわけです。しかし、実際さまざまな相談が来ているのですね。これも先日事情を聞きましたけれども、例えば気象台で調査した昨年九月十六日から十月十五日の一カ月間の実態ですけれども、天気相談の一日平均の通話回数が百八・四回、これに対応する時間が二時間三十分かかっているわけです。この期間に、例えば震度四の地震が十月五日にありましたけれども、このときには二百七十六回、所要時間七時間、平日でも早朝、夕方が多いのですが、こうした天気の悪いときとか地震のときとか、全体の職員が忙しいときにまた、もちろん相談は集中、電話がかかってくる、天気図とにらめっこしながら電話にも対応するというのが今実態だというお話も聞きました。また、電話がかからないという苦情が殺到しているので、同じ時期にNTTでこの電話の着信状況調査がありますけれども、例えば九月二十七日の調査のあれを見ますと、電話のかかった率が四二・八%、逆に半分以上は最初かからないという事態が統計でも出ているわけです。この改善を求める声が出てくるのは当然だと思うのですね。関係の議会等でも、だから全会一致で、少なくとも政令都市の中心の気象台にはこういう相談所等をぜひ開いてほしいという要望が強いわけですが、御見解をお聞きしたい。
  159. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 横浜気象台のようないわゆる新地方気象台におきましては、技術課及び防災業務課におきまして天気相談を担当することにしております。したがいまして、天気相談所の機能を果たしていると考えているわけでございます。  それからなお、ダイヤル一七七、電話でございますけれども、これによりまして天気予報、気象概況などの情報サービスも常時行っているところでございますけれども、現在のように気象情報に対する社会のニーズが非常にふえつつあるという現状でございますので、気象情報のサービスのあり方につきましては、進展しつつある新しい情報メディアの利用を含めまして、今後総合的に検討してまいりたい、そのように考えております。
  160. 中路雅弘

    中路委員 実際に、例えば名古屋の気象台に天気相談所ということで六十三年度の概算要求では要求されたのですね。大蔵省との折衝の中で予算で落ちているのですが、皆さん自身もこれは認められているわけですね。現に六十三年度で要求されているのですから。こういうことが必要だということは概算要求で既に要求されているのですから、その点について積極的に——横浜で聞きますと職員数二十五人ですから、これが相談にも応じているといっても、実際には天気図を見ながらこれだけ一日にかかってくる電話を、しかも忙しいときに集中してやっているのですから、それなりの体制をとらなければニーズに応じられないわけでして、その点でこの状況の改善について積極的な努力をしていただきたい、再度要請したいと思います。
  161. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在情報化時代を迎えまして、非常に気象情報に対するニーズがふえております。そういう意味では、どういう形で今後対応していくべきか、これはある程度根本的に考えなければならない時期に来ているのではないか、そういうことでございまして、先ほど申し上げましたように、気象情報サービスのあり方につきましては、今いろいろな情報メディアが進んでおりますので、そういうものの利用ということも含めまして、総合的に検討してまいりたいと思っておるところでございます。
  162. 中路雅弘

    中路委員 これも改めて時間があればもう一度お聞きします。  もう一つ、これも要望が出ている問題で、大臣も関心あるかと思いますけれども、海の気象の問題なのですが、例えば神奈川県の場合、東京湾、相模湾というような大きな湾に接していまして、沿岸の波浪に対する関心が非常に強いわけです。とりわけ最近はレジャーやヨット、サーフィン、こういう愛好者もふえておりますし、釣りの愛好者もふえているわけですが、例えば相模湾等で見ましても、波浪計は石廊崎に設置されているものだけですから、外洋に向けては把握できても、湾内のレジャーの釣り舟等が利用する、ここの実況を十分把握することができない。例えば、相模湾遊漁船組合の機関誌等を見ましても、また要望事項が出ていると思いますが、きょうは波が高いとかそういう予報だけ出るものですから、しかし相模湾内は波静かだ、その予報が来て釣り舟のお客が来ないというようなことで商売にも影響するということまで書いてあるわけですが、気象庁とも相談されているようですけれども、どうして改善していくか。相模湾内に波浪計の設置という要望もありますけれども、もう少し細かく予報を出してほしい、例えば東京湾、三浦半島、相模湾とか地域ごとにやってもらえないか、あるいはもう少し細かい波浪の状況を予報できるようにしていただきたいということが要望の中心になっているのですが、既にこの問題では関係者ともいろいろ懇談をされているというお話も聞いておりますので、この要望についての改善方が今どのように進行しているのか、お聞きをしたいと思います。
  163. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 最初にちょっと一般的なお話をいたしますと、波浪計というのは、海上予報を出す場合に必要な沿岸波浪予報業務におきまして、先生指摘のように外洋から伝わってくるうねりなどを把握するために全国の沿岸の外洋に面した代表点に設置してあるものでございます。これらのデータと、それから気象の数値モデルによります、これはきめが細かいのですけれども、七十五キロメートル間隔で計算した海上区のデータを用いまして、電子計算機によって詳細な波浪の分布がどうであるか、それが将来どういうふうに推移するかの予測をしております。これが沿岸波浪予報業務ということでございまして、現在かなり細かい情報が提供できる状況になっているわけでございます。  今後こういう波浪予報の精度向上ということが情報提供の上で非常に求められるわけでございますけれども、それに関しましては、計算機にかけます波浪モデルの改良が大きな課題でございまして、今後この改良に取り組みまして沿岸波浪業務の改善に努めてまいりたいと考えております。
  164. 中路雅弘

    中路委員 少なくとも、例えば神奈川県の海は何メートル、こういう大ざっぱな予報ではどうしようもないわけですよ。先ほど要望が出ておりますけれども、もう少し細かい波浪予報が出せるようにしてほしいという要望で、今もお話がありましたが、相模湾でいえば少なくとも東部と西部ぐらい分けても、地域的にもわかるぐらいの予報はやっていけますか。
  165. 菊池幸雄

    ○菊池(幸)政府委員 ただいま申し上げましたように、波浪モデルによりましてかなりきめの細かい波浪の現状分布、それからその予測ができておるわけでございますけれども、将来的には十キロぐらいのメッシュでそういうことができるように現在技術開発を進めております。
  166. 中路雅弘

    中路委員 気象の問題について二、三お聞きをしましたけれども、一言大臣にも総合的にちょっとお考えをお聞きしておきたいのです。  今お聞きになったと思いますけれども、例えば予報を出す気象官署にもまだ衛星からの受波装置がないわけですよ。最初入ったときは二千万ぐらいとお聞きしましたけれども、機材にもよりますが八百万か九百万ぐらいで入るというお話も聞いております。あるいは全く老朽化した更新の時期を迎えている船ですから、予算のこともありますけれどもいずれにしても更新しなければならない。あるいはヨットのことは大臣御存じだと思いますが、沿岸のもう少し細かい波浪の状態についても改善をして予報を出していただきたい。さっき言いましたように釣り舟なんかの業者にとっては、大ざっぱに予報が出されるとかえって大変だという苦情も出るぐらいの状態ですから、この改善方について、今現状を一、二実例でお話ししたのですけれども、ひとつ総合的に検討していただけませんか。
  167. 石原慎太郎

    石原国務大臣 前川リポートなどでも日本人はこれからライフスタイルを変えていこうということがうたわれていますけれども、その一つの大きな眼目がレジャー、旅行ということでございまして、陸でも海でも、そういうレジャーの兼ね合いで気象予報は非常に大事な意味を持ってくるわけでございます。私は半玄人でありますから、日本の気象通報というのは非常に評価しておりますけれども、国民の皆さんになおこれを評価していただき、理解していただくような措置を多岐にわたって講じていきたいと思います。これは党派を超えてひとつ委員の皆様にも御協力、御理解賜りたいと思っております。
  168. 中路雅弘

    中路委員 気象庁の方は現実に予算の壁もあっていろいろ苦労されていると思うのですが、全国的に非常に要望の強い問題でありますし、さっき都道府県や関係団体を言いましたが、この国会にも全国から約三十三万のこうした気象の整備を求める請願が寄せられているわけです。ぜひこれにこたえられるように努力をしていただきたいということを改めてお願いしておきます。  あと残された時間で、問題はちょっと別ですけれども、零細トラック業者の問題について御質問したいと思います。  この問題は一九八〇年、昭和五十五年の衆議院予算委員会の分科会で、当時の実態調査に基づいて私が取り上げた問題ですけれども、全国で今三万五千社ぐらいトラック事業者がありますが、その八割近くは保有台数二十台以下という中小零細業者です。しかし、こういう人たちが日本の経済、物流を支えているわけですね。過積載の問題や過労による事故や運賃、いろいろ問題がありますが、きょうは認可運賃の問題を改めて取り上げたいと思うのです。  当時私の質問でもお話をしましたけれども、当時の百社の実態調査で、認可運賃を上回って運賃収受をしているのはわずか二・一%という数字が出ていたわけです。そして、下回っている業者の六二%、そのほとんどが荷主の方の圧力でやむを得ず認可運賃を大幅に下回っているという原因を述べているわけです。当時飯島さんでしたか、自動車局長が私の質問に二十台以下の実態は指摘のとおりだということで認めた上で、業種別に荷主懇談会を開いて貨物輸送監理官が立ち会って事業者と協議をさせ、適正な指導をし、問題がある場合は実態に基づいて行政指導を行うと約束をされたのですが、その後この運賃収受の改善問題についてどのような対策、行政指導をやってこられたのか、最初に簡潔にお聞きしたい。
  169. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 認可運賃の遵守につきましては、やはり運送事業者の自覚が必要でございます。これを喚起する意味でも、事業監査などを通じまして事業者に対して指導を強化してまいっておるところであります。ただいま御指摘のとおり、貨物輸送監理官が監査を中心とした輸送秩序の改善関係を担当するわけでありますが、これを逐次増強してまいっておりますし、それから、なかなか官だけでは手が及ばないわけでございますので、トラック協会の職員を中心といたします輸送秩序改善指導員というのを全国的に配置いたしておりまして、地方運輸局長からこの方々に輸送秩序改善のための業務を委嘱することといたしておりますが、この方々も逐次増強いたしまして、昭和六十三年度予算におきましては全国で百九十名ということにいたしております。  先生の御質問をいただいた後、昭和五十八年に参議院の運輸委員会におきまして、トラックの輸送秩序改善についての決議がございました。これを受けていろいろな施策を推進しておるところでありますが、ただいまの御指摘の、特に荷主の理解と協力を得ることにつきましては、荷主懇談会を従来行っておりましたけれども、五十八年以降は特にこれを強化してまいっておりまして、全国的に荷主懇談会を計画的かつ積極的に開催するということでいたしてまいっております。  荷主業界を所管しております関係官庁、通産省と農林水産省に対しましても、輸送秩序改善方についての荷主団体、荷主の事業者に対する指導を要請いたしまして、通産省、農水省におきましては地方機関に通達を出すと同時に、荷主団体に対しても通達を出していただき、団体傘下の事業者に対しても徹底していただいてきているところであります。  なお、最近公正取引委員会から、一部の荷主に独占禁止法の優越的な地位乱用の行為が見受けられるということから、荷主業界の主管官庁を通じまして、関係荷主団体に対する改善指導が行われたこともございます。
  170. 中路雅弘

    中路委員 実態はほとんど改善されていないのですね。先ほどおっしゃった神奈川で見ますと、貨物輸送監理官も陸運支局に一人しかいないのです。いない県もあるのです。  きょうは時間の関係で、具体例で、企業の名前を挙げてあれですけれども、私はお尋ねをしたい。これは「とらっくウイークリー」というトラック関係の、既に新聞でも詳しく三月十五日付で報道されているのですが、トラック業界の中では東芝運賃という名前すら出ている問題なのでこれを問題にしますけれども、今全国的に大手企業が物流子会社をつくってやっていますね。その一つであります東芝物流ですけれども、神奈川県のトラック協会と、この関係の路線事業者が参加して、この問題で運賃に関する話し合いですか、交渉が最近行われました。この中身が「とらっくウィークリー」に詳しく出ておりますけれども、私はこれを見て大変驚いたのですよ。東芝物流では五十三年改定当時の認可運賃のまま、まだ変わっていないのですね。これが東芝運賃と関係者で言われているのです。そして、けしからぬのですけれども、東芝物流では一律に七%の手数料を取っている。だから、この要求を見ますと、基準運賃を改定してほしい、この手数料制度を廃止してほしいという要望が中心になっております。手数料の分七%を引かれると、実際には五十一年改定の認可運賃しかもらっていない。当然赤字になるわけですね。  もっとけしからぬのは、路線事業者に白紙の請求書を出させているのです。運賃は荷主の言うとおりなのですね。白紙の請求書を出させている。これは新聞でも既に報道されているところですから事実だと思うのですが、こうした実態について御存じですか。
  171. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいまの「とらっくウィークリー」に出ております記事は拝見いたしました。  御指摘のとおり、認可運賃の遵守状況については決して芳しいものではございません。私どもの監査を通じましても、かなりの事業者が認可運賃を下回った運賃を収受しているという事実は見受けるところでございます。  トラックにつきましては、サービスにいろいろな種類のものがあるということから基準運賃がございまして、これに対して幅を設定いたしております。原則として上下一〇%、路線トラックのような場合は、長期契約につきましてはさらに一五%の値引きを認めるということをいたしておりますけれども、中にはこの幅をさらに下回るというものがあるのは事実でございます。
  172. 中路雅弘

    中路委員 局長も「とらっくウィークリー」を見たというお話だから改めてお尋ねしますけれども、ここに出ているように手数料を七%も取る。それで見ますと実際には五十一年改定の認可運賃にしかならない。あるいは白紙で請求書を出させる、こういう事態についてはどうお考えですか。
  173. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 手数料につきましては、現在の取引慣行は、荷主が取り扱い事業者を通じまして運送事業者と運送契約を結ぶわけでございますけれども、取り扱い事業者が間に入りますので、これに対する手数料というのは当然ございます。  そこで、この取り扱い事業者につきましては、荷主から収受しました運賃の中から、ケース・バイ・ケースでございますが、一定の部分を手数料として収受するということは一般に行われているわけでございます。運送事業者の方からすれば、荷主と直接契約を結ぶということになれば当然そこで営業活動ということが必要になってくるわけでございますけれども、そういう営業活動を取り扱い事業者がいわば代行するという性格もございますので、取り扱い事業者がある程度の手数料を収受するということはあるわけでございます。  しかし、ただいま御指摘の運送事業者の方から白紙で請求書を出すということは、東芝の場合、御指摘の記事によれば東芝独自の計算方法があって、非常に複雑で事業者の方にもよく理解できないので白紙で出すというような事実があったようでございます。しかし、運送事業者としては、認可運賃があるわけでございますから、それに従った実際の運送にかかった経費というものに基づいての請求があってしかるべきだと思います。
  174. 中路雅弘

    中路委員 今お答えがありましたが、貨物輸送監理官も、白紙の請求書を含めてもう少し実態を調査して改善すべきだということを改めて強く指摘しておきたいと思います。  あと五分なのでもう一問お聞きします。  神奈川県のトラック協会が五十七年に約二千社を対象に細かい実態調査を行っています。運輸省にももう行っておりますか。この実態調査の結果はお届けしたいというお話をしておりましたけれども、この統計を見ますと、一例を挙げますけれども、企業が支払う法定保険金、法定福利費、健康保険や厚生年金及び労働保険、労災や雇用保険、これに未加入なのが二百七十七社もあるのです。法定福利費、こういうのに未加入。幾らかやっているところも一部しか払っていない、問題があるというのは五百八十四社あります。こういう実態は御存じですか。
  175. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいまの御質問お答えいたします前に、前の御質問に関連してでございますが、神奈川の私どもの機関は関東運輸局の神奈川陸運支局になりますけれども、輸送秩序の確保の問題については大変熱心にやってくれております。  そこで、本年二月十九日付で神奈川陸運局長名で神奈川県トラック協会会長あてに、最近の監査の結果を見て相当運賃、料金違反がある、そういう事実に基づきまして、トラック事業の健全経営のために、あるいはまた道路運送法の目的達成のためにも、業界の社会的地位向上のためにもこういう違法行為は許せないことで、今後とも厳しく対処する方針であって、早急に適正運賃、料金を収受するようにという通達を出しております。そういうことも契機になって、今回の神奈川県におきますトラック事業者の荷主に対する動きということになったのではないかと思います。  それからただいまの御質問の点でございますが、御指摘のとおり、私どもの方も資料をいただいておりますけれども、神奈川県のトラック協会で行いました法定福利費に関する調査、千九百五十七社を調査して千八百九十社の回答がございましたが、その中で一四・七%に当たります二百七十七社が未加入であるということは私ども承知いたしております。
  176. 中路雅弘

    中路委員 時間ですので終わりますけれども、この法定保険金も支払えないという実態の背景には、先ほどから論議しています、例えば各企業が認可運賃の大体六〇%から七〇%ぐらいしか収受していない、こういう現状もあるわけです。資料で見ますと、石油だとか鉄鋼だとかセメント関係なんか特にひどいですね。こういう点で最後に特に要請をしておきますけれども、全ト協にもこの運輸事業振興助成交付金も出ているわけですから全ト協とも相談していただいて、全国的にそういった実態調査を行って問題点を明らかにし、適正な運賃収受ができるようにひとつ指導を改善してほしい。最後にこのことを要望しておきたいのですが、いかがですか。
  177. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま御指摘の運輸事業振興助成金につきましては、昭和六十三年度からさらに五年間延長されることになりました。全国的には毎年年額で総額百五十億円ぐらいの規模になります。五年間ということがはっきりいたしましたので、ぜひこれを計画的に有効に使ってまいりたいと私どもも考えております。そのために輸送秩序改善についてもどういうふうに使っていくのが一番実効が上がって望ましいものであるかということを、全日本トラック協会において現在検討いたしておりますけれども、私どももよくトラック協会を指導して御趣旨に沿うような運用になるように努力してまいりたいと存じます。
  178. 中路雅弘

    中路委員 終わります。      ────◇─────
  179. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次に、内閣提出地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。石原運輸大臣。     ─────────────  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  180. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  この案件は、運輸省の地方支分部局として、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置しようとするものであります。  すなわち、愛知県の東三河地域における自動車の検査及び登録に関する事務の円滑化を図り、あわせて当該地域の住民の利便を増進するため、愛知県豊橋市に、中部運輸局愛知陸運支局の下部組織として、豊橋自動車検査登録事務所設置する必要があります。  以上の理由によりまして、地万自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し国会の御承認を求める次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
  181. 関谷勝嗣

    関谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。    ─────────────
  182. 関谷勝嗣

    関谷委員長 本件に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 関谷勝嗣

    関谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 関谷勝嗣

    関谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  185. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十五分散会