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1988-03-22 第112回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十三年三月二十二日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 関谷 勝嗣君    理事 小里 貞利君 理事 亀井 静香君    理事 亀井 善之君 理事 二階 俊博君    理事 吉原 米治君 理事 長田 武士君    理事 河村  勝君       魚住 汎英君    加藤 六月君       鹿野 道彦君    北川 正恭君       田中 直紀君    津島 雄二君       平林 鴻三君    増岡 博之君       山村新治郎君    若林 正俊君       小林 恒人君    左近 正男君       新盛 辰雄君    戸田 菊雄君       西中  清君    中路 雅弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石原慎太郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         総括審議官   丹羽  晟君         運輸省国際運         輸・観光局長  中村  徹君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      清水 達夫君         運輸省海上技術         安全局長    間野  忠君         運輸省海上技術         安全局船員部長 野尻  豊君         運輸省港湾局長 奥山 文雄君         運輸省航空局長 林  淳司君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君  委員外出席者         法務省入国管理         局入国審査課長 大久保 基君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 三月十五日  船員雇用促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第六二号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出承認第三号) 同月十七日  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第六三号) 同月十一日  北陸新幹線即時本格着工に関する請願(若林正俊紹介)(第七五六号)  同(中村茂紹介)(第八二二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政基本施策)      ────◇─────
  2. 関谷勝嗣

    関谷委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉原米治君。
  3. 吉原米治

    吉原委員 過般行われました大臣所信表明について質問をいたします。  最初にお尋ねしたいのは、この所信表明を幾ら読みましても、ハイタクの今の業界に対する大臣所信表明が出ておりません。最近、道路運送法関係法規を無視した違法な営業行為ハイタク業界には増大しつつあるわけでございます。例えば、運転代行だとかあるいは車両管理請負業などという名のもとで白ナンバーによる違法な営業類似行為が横行しておるわけでございます。都市、地方を問わず過当競争が激化し、安全の低下ひいてはサービス低下を招いておりますし、経営側労働者に対する悪影響も実は目に余るものがあるわけでございまして、こういった不法行為違法行為に対して、この業界秩序整備をするために、何としても立法化をしながら整備をする必要があろう、このように実は考えておるわけでございます。  大臣所信は全然この点について触れられておりませんし、特に結審間近であると言われております京都エムケイタクシー等々の裁判の行方も注目をされておるわけでございますが、結果的に、裁判に勝っても負けても地域運賃の二重運賃制というものは避けて通れないような現状目前に迫っておるわけでございまして、従来から運輸省が言っておられます同一地域同一運賃、こういうことが実はもろくも崩れ去ろうとしておる、こういうことを心配をしておるわけでございます。エムケイタクシー中心にした二重運賃制見通し、あるいは先ほど申し上げました不法行為取り締まり現行法でどうしても不十分な点があるとするなら新たな立法措置が必要ではないか、こんなことを考えますが、冒頭にひとつ、所信表明には全然触れられておりませんので念のために聞かしていただいて、これは一般質問に一日とりましてゆっくりやりたいと思いますので、きょうの主要質問ではございませんけれども聞いておきたい。
  4. 熊代健

    熊代政府委員 所信表明ハイタク言葉がないということで、大臣を補佐する私の方から多少弁明めいたことを申し上げさせていただきたいのですが、一つは、所信表明に盛り込みますときに、六十三年度の予算措置あるいは立法措置に絡むものを中心に取りまとめさせていただいたものですから、「バス等」ということでハイタクという言葉自身が出ていないのは御指摘のとおりです。ただ我々といたしまして、先生指摘運送秩序の問題あるいはエムケイ中心といたします同一地域同一運賃の原則、こういった問題についてそれなりに十分取り組んでおりますし、ハイタク公共性といいますか、その点につきましては先生も御承知のとおり、昨年の売上税のときにもその公共性を強く我々としては主張してまいったところでございますので、所信表明に出てないということはあるいはおしかりをいただく点があろうかと思いますけれども、最初に申し上げたようなことですので御理解いただきたいと思います。
  5. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まさに御指摘のように、タクシーハイヤーに非常に大事な問題がございますことは十分認識しておりますが、今、局長が申し上げました事情でできるだけ短くしようということで、結果として欠落いたしまして大変申しわけございません。ただ、私自身タクシーハイヤーが現在の国民生活の中で大変大事な役割を果たしていることは十分認識しておりますし、またその経営安定化のためにもまた発展のためにも、いろいろこれからも問題の解決のために努力していくつもりでございますので、ひとつ御了承ください。
  6. 吉原米治

    吉原委員 念のために聞いておきたいのですけれども、エムケイの問題あるいは不法行為取り締まりの問題について現行法ではどうしても対応策がとれない点があると思うわけでございまして、そういう意味では同一地域同一運賃法制化といいますか、立法化による不法行為取り締まりも含めた適切な法案がどうしても必要だと私は認識しておるのですが、その点については担当局長はどうお考えですか。
  7. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘の点二点あろうかと思いますが、第一点は、運転代行あるいは白ハイヤーといったようなタクシーのちょっと外側におきまして、それがタクシー類似行為といいますか違法なタクシー行為に移りやすいということは事実でございます。ただこの点につきましては、違法なものについては警察庁の方とも打ち合わせをしておりますし、それから全乗連自身もそういうことへの対応ということをやっております。先生指摘立法化、二、三年前に軽貨物タクシーにつきましては立法的に解決したわけでございますが、規制緩和という流れの中でそういったことが可能かどうかという点はかなり問題があろうかと思います。ただ我々としては、違法なものについての取り締まりについては今後さらに努力をしていきたい。  それからもう一方のエムケイ裁判に関しまして、いわゆる同種サービスに対して同一地域同一運賃という行政方針で参ったわけでございますが、これについては、我々としては従前の考え方も違っておらないし、今後ともその行政方針は堅持していくべきだと思っております。ただ、御指摘のように京都エムケイグループを除いた運賃申請というものが出ておる、これをどういうふうに処理するか、その処理によっては現実の問題として二重運賃というものが生じ得る、これらに対して立法的な解決はという御指摘でございますが、いわゆる運賃ジャックといったようなこともなきにしもあらずという態勢になりますので、我々としても、その点を含め、このエムケイ関係京都運賃問題ということではなくて、全般的な検討は進めていかなければいかぬなというふうに思っている次第でございます。ただ、なかなか問題の多い点もあるのではなかろうかという気はいたしますけれども、検討はしてまいりたいというふうに思っております。
  8. 吉原米治

    吉原委員 ハイタク問題は、冒頭申し上げましたように一般質問日をゆっくりとりましてまた慎重に御審議をお願いしたい、こう思いますから、一応そこで打ち切らせていただきます。  大臣所信表明に具体的に入りますが、船舶解撤事業促進、特に造船業の構造的な不況と言われておる現状考え船舶解撤事業法を過般決めたときの経緯から考えますと、何か解撤事業促進することによって新たな雇用が創出されて、造船業界には画期的な活力源を与えるかのような提案理由説明でございましたが、その後解撤事業現状を見てみますと必ずしも当初の立法の精神に沿って事業促進されてない。むしろ国内よりも国外の方で一、二件あるかのような話も聞いておりますけれども、大臣はわざわざ「船舶解撤事業促進」と触れられておりますけれども、この効果、効用といいますかメリットといいますか、いささか国内的には出てないんじゃないか、こんな気がいたしますが、法が決められてから以降今日までの解撤事業現状について御説明を願いたい。
  9. 間野忠

    間野政府委員 我が国における船舶解撤進捗状況でございますが、確かに御指摘のように、昭和六十一年までは比較的高い水準で推移しておりまして、例えば昭和六十年度には百万総トンほど解撤いたしましたし、六十一年度には八十万総トンほど解撤しております。ところが、最近非常に低迷いたしておりまして、六十二年度で申しますと、現在までのところ十四万総トン程度しか解撤が行われておりません。その理由でございますけれども、燃料油の価格が非常に低下して安定しておりますので、中古船といいますか、従来なら非経済船と言われていたものの経済性が非常に改善されまして、世界的に船舶解徹が減少しておるということが一つございますし、それからもう一つは、円高によりまして我が国における回収材のコストが相対的に上昇したと申しますか、輸入鋼材に対する競争力がなくなっておるというようなことで解撤採算が悪くなっておるものでございますから、最近においては若干解撤進捗の度合いは低迷しておるということでございます。
  10. 吉原米治

    吉原委員 今十四万総トンだとかいうトン数でお答えになりましたけれども、隻数にすると何隻ぐらいになるのですか。
  11. 間野忠

    間野政府委員 九隻でございます。
  12. 吉原米治

    吉原委員 話によりますと、国内では労働賃金が外国と比較すると高いせいもあってどうも解撤事業そのもの採算がとれない、したがって、台湾だとかフィリピンだとかいう地域に出されておるやに承っておりますが、実態国内で何隻、フィリピン台湾、その他で何隻、こういう分類ができますか。
  13. 間野忠

    間野政府委員 何隻ということまでは非常に難しいかと思うのでございますが、ごく大ざっぱに申しまして、台湾が非常に解撤をやっておりまして、大体世界の半分くらいは台湾で行われておると思ぃます。最近伸びてきておりますのが韓国、パキスタン、そういった国でございまして、大体これらの三国で世界解撤量のかなりを消化しておるというのが現状でございます。
  14. 吉原米治

    吉原委員 私が言いたいのは、解撤法をつくったときの経緯からいって、結果的に必ずしも国内造船業界には画期的な施策になってない、こういう点を指摘したかったわけでございます。  さて、昨年の三月に成立をしました特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づいて設備の削減と事業提携企業集約化、こういうことを今日まで進めてきておるわけでございますが、この臨時措置法に基づいて現在まで各事業者からの実施計画が出されておるはずでございますが、設備共同処理事業提携などの内容、あるいは今日まで何事業者がそういった具体的な実施計画を出されておるのか、この点をまず最初にお聞かせ願いたいと思います。
  15. 間野忠

    間野政府委員 特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づきまして、特定船舶製造事業者設備処理集約化につきまして実施計画提出することになっております。現在まで六グループ三十一社から受理しておりまして、このうち五グループ二十六社について実施計画認定しておりますが、第一のグループ日本鋼管グループ、第二のグループが三井造船を中心といたしますグループ、第三のグループが常石造船と尾道造船を中心といたします十三社のグループ、第四のグループが日立造船を中心といたしますグループ、第五のグループ住友重機械中心とするグループでございます。いずれの場合にも営業窓口を一本化するということと、それぞれの生産体制大型船中心に建造する造船所あるいは中型船中心に建造する造船所、艦艇、特殊船中心とする造船所といったふうに、生産の分担をして集約共同処理実施しておるのが実態でございます。
  16. 吉原米治

    吉原委員 そこで、今日まで実施計画が出されてそれぞれ大臣認定されておると思いますが、認定に当たって、過日の委員会でも私は同様趣旨質問をいたしておるわけでございますが、法律に基づく各条項にあるいはまた附帯決議等々に対してきちっと適合しておったのかどうなのか。特にその点について申し上げますと、法律の中では「国民経済国際経済環境と調和のある健全な発展」、こうなっておりまして、「労働者雇用の安定及び関連中小企業者経営の安定について、十分な考慮が払われたものでなければならない。」こういうことで、経営の安定もさることながら、労働者雇用問題については法律の中で我々が特に気を配った点でございますが、こういう点についてきちっとその趣旨に適合しておる実施計画なのかどうなのか、この点についてお尋ねしておきたいと思います。
  17. 間野忠

    間野政府委員 ただいま申し上げましたように六グループから申請がございまして、そのうち五グループ認定いたしました。これらの認定に当たりましては、先生指摘のような法律に盛り込まれておりますいろいろな基準あるいは配慮事項、例えば設備処理率でございますとか事業提携中身でありますとか、雇用あるいは関連事業者に対する配慮、こういったことにつきまして基本指針に示しております基準に適合しておるかどうかを十分審査してやっておりますし、また附帯決議につきましては、関係労働組合意見書を添付させることによりまして従業員の大多数が実施計画に同意しているということを確認した上で認定を行っております。なお、認定した後につきましても、引き続き雇用の安定については努力するように指導しておるところでございます。
  18. 吉原米治

    吉原委員 私は笠戸ドックの問題について現地調査に行きました関係で特に注目しておるわけでございますが、今、局長がおっしゃったように万全の配慮をしたつもりだ、こういうことでございますけれども、必ずしも今、局長がお話しになったような趣旨が徹底していない。いまだに三百数十名の未就職状況の中で不安にさらされておるというのが現実の問題でございます。したがって、経営の側の方の安定についてはそれなり配慮がそれぞれされておりますけれども、労働者雇用ということについてはいささか軽視されておるのじゃないか。認定をした段階あるいはそれ以降の、特に笠戸ドックの具体的な問題についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  19. 間野忠

    間野政府委員 現在のところ、笠戸ドックにつきましては、会社の方に就職促進のための室、雇用対策室を設置しておりまして、あるいは先ほど申しました集約化メンバー会社、そういったところが中心になりまして求人の開拓に努めておるところでございまして、現在のところ、職業安定所等からの仲介のものも含めまして総数で千四百人ほどの求人は参っております。ただ、なかなか労働者の移動と申しますか、そういった困難な点もございまして、必ずしもうまく求職の希望求人側希望とが合致しないというようなこともございまして、この問題は完全にはまだ解決されるに至っておらないというのが現状ではございますが、笠戸ドックあるいは親会社、今回グループに参加した会社中心に鋭意雇用安定のための努力を続けておるというのが現状でございます。
  20. 吉原米治

    吉原委員 努力をされておることについては私も否定はいたしません。しかし、現実に年度末、三月末を目前に控えておるわけでございまして、さらに雇用の安定に対して関係の皆さんにもう一段と厳しい行政指導を続行していただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。  さらに、この実施計画関連をして、国鉄の民営・分割のときもそうでございましたが、関係自治体からの意見書、実はこういうものの提出も義務づけておったわけでございますが、こういった自治体から出された意見書の取り扱い、どういう関係自治体から意見書が出されて、それの趣旨をどういうふうに今後の施策の中で生かしていかれるのか。自治体から意見書が出た趣旨と、その趣旨をどう生かしておられるのか、この点をちょっと尋ねたい。
  21. 間野忠

    間野政府委員 法律によりますと、法律の第十六条で「都道府県は、基本指針に従つて行われる経営安定化措置実施当該都道府県における地域経済に著しい悪影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認められるときは、運輸大臣に対し、意見申し出ることができる。」ということになっております。ただ、現在までのところこういったお申し出はございません。ただ、我々といたしましては、特にこういった形での意見申し出がなくても、できるだけ地方自治体とは頻繁に連絡をとりながらやっておるということでございます。
  22. 吉原米治

    吉原委員 自治体の方から意見書が出てないというお答えでございますが、私どもが現地調査をした限りにおいては、この笠戸の場合は、特に関係市並びに該当県、大変な課題だということで心配をされておったわけでございます。自治体からこの種の問題について意見書提出しましてもただ聞きおく程度、こういう扱いにえてしてなりがちなものでございますから、関係自治体もその点を配慮しながら、意識的に出さなかったのじゃないかと私は推測するわけでございます。いずれにいたしましても、これだけの企業集約化が進みますと、特に山口県下は造船業はもう全滅状況、それに対する関係自治体は大変雇用問題で頭を悩ましておるという現状関係局長も御認識されておると思いますので、これからも特に雇用問題については精力的に御努力をお願いしたい、こう思います。  そこで、今六グループのうち五グループから計画書が出て認可したということでございますが、もう一グループはどうして提出ができない状況になっておるのか、その辺の原因はどう見ていらっしゃるのか。まじめにこの基本指針に従って企業集約化を計画し、出しておる業者から見ますと、出さないで済むのならもう出さなくていいのじゃないか。こういう正直者がばかを見るようなことを結果的にしてはならないと思うわけでございますが、未提出のもう一グループ見通し、また今日に至ってもいまだに提出がされないグループに対しては今後どういう指導をされていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  23. 間野忠

    間野政府委員 先ほど申しましたように、本日現在六グループ三十一社につきまして申請が出ておりまして、五グループ認定したわけでございます。残りの一グループは今治造船のグループでございまして、これは提出の時期がおくれたために現在審査中ということでございまして、遠からず認定されると思います。そのほかに、まだ申請しておりません特定船舶製造事業者というのが大手三社を含めまして十一社ございます。これらの事業者、いずれも現在実施計画の策定に最大限の努力をしているものと理解しておりますが、事業提携であれ設備処理であれ、企業経営の根幹にかかわる問題でございますので、受注窓口の一本化に関する提携中身でございますとか設備処理後の生産体制のあり方といった問題につきましては、特に検討に時間を要しているものであろうというふうに推測いたしておりますが、かなり大詰めに来ておりますので、今月中に申請が必ずあるというふうに考えております。
  24. 吉原米治

    吉原委員 今月中に申請があるものと思われる、こういうお答えでございますが、どうしても今月中に提出されなかった場合に一体どういう処理をされることになるのか。海事プレスの資料に基づきますと、年度内に立案するように求めるけれども、結果的に年度内に出なかった場合には単独処理をせざるを得ないだろう、これは造船課補佐官冨士原さんという方、きょういらっしゃいますか。——おられないかと思いますが、その人が海事プレスの中でこんなことを言っておられるが、単独処理ということに結果的にはなるのでございますか。
  25. 間野忠

    間野政府委員 ただいま申し上げましたように、実施計画をまだ提出していない事業者も、期限内に認定を受けるべく最大の努力を行っておりますのでまず大丈夫だと思いますが、ただ、可能性としてどうしてもできなかったというような場合どうなるかといえば、この場合には事業提携ということはできなくて、単独設備処理してしまう、それぞれで設備処理するという形になるかと思いますが、その場合には非常にやり方もかえって難しくなると思いますので、できるだけグループを組んで処理するという方向へ当然進むというふうに考えております。
  26. 吉原米治

    吉原委員 そこで、我が党が現地調査に出ましたもう一つ来島グループ下田造船下田ドックの問題についてでございます。ここは今全員の解雇、会社解散、こういう極めて強圧的なやり方でやられておるわけでございますが、今労使でこのことをめぐって、片や身分保全の仮処分あるいは会社更生法、こういうことで労使が紛争中のように承っております。こういった現状を一体行政当局はどのように見て、また指導をされていこうとしておるのか、このことについて特に間野局長の見解をただしておきたいと思います。  御案内のように、来島グループの傘下でございますが、この下田ドックに対しては過去もいろいろ財政的な面で経営陣の方には何らかの形で助成措置がやられておるようでございますが、労使問題、なかんずく労の方に対してはいささかの配慮がされてない。この経営安定臨時措置法というのは、経営者だけが得をして、労働者が言ってみれば失業のちまたに追い出されるという非常に片手落ちな法の執行になっておると私は思うのです。そういう観点から、この下田の問題についてはどういうふうにお考えになっておるのか、また今後どういう行政指導をされようとしておるのか、その点をただしておきたいと思います。
  27. 間野忠

    間野政府委員 基本的には、労使問題は労使間で解決すべきであるというふうに考えておりますけれども、ただいまおっしゃいましたように、なかなか話し合いが進まないというような事態でございましたので、昨年の秋ごろから会社側に対しましても、また親会社である来島興産に対しましても何とか円満に話し合い解決するよう指導しておったのでございます。そして何回か話し合い努力は行われたのでありますが、妥結の糸口が見つからないうちにああいう事態になってしまったということであります。ただ、我々の理解している限りでは、現在も何とか話し合いは続けたいという努力はしておるように聞いております。  ただ、先生おっしゃいましたこの特定船舶製造業経営安定臨時措置法対象となるいろいろな事業集約とか設備処理に至る前にこういった事態になってしまったものでありますから、この法律による援助も全く受けておりませんし、経営側に対しても特に助成を行ったということはなく、この法律対象となって集約化設備処理等を行おうという前にこのような事態になってしまったということでございます。
  28. 吉原米治

    吉原委員 限られた時間でございますから深く追及できなくて残念ですが、この法律ができたからということを言っておるわけではなくて、過去の借入金二千六百億の棚上げだとかあるいは救済のためのニューマネーなんというようなもので六百四十三億ですか、こういうものが来島グループに出されておる、こういう点を私は今指摘したつもりです。  そこで、受注の一本化だとかあるいは設計の共同化だとかあるいは資材の購入を一本化するとか生産の共同化だとか、そういう意味で大手と中手の提携促進したいというのが法の趣旨でございますが、具体的に言いますと静岡県にございます三保の造船。これは比較的経営内容もいいようでございます。しかし、船台は一基で、言ってみれば中手のクラスになりますか、この事業提携の協議はどこら辺までいっておるのか。経営は比較的安定して、いいのにかかわらず今度協業化することによって自分の船台を廃棄せなければならぬ、こういうことも実は考えられるわけでございます。この静岡県の三保造船等の関係、これは三菱重工との事業提携が計画されておるようでございますが、この問題はどうお考えでございますか。
  29. 間野忠

    間野政府委員 三保造船につきましては、ただいま御指摘のように、単独処理するということになると、船台が一本しかございませんので非常に厳しいことになりますので、何とかグループ化によって、三保造船自体はその設備を温存できるような方法はないだろうかというようなことで現在検討されております。冒頭申し上げましたように、集約化あるいは営業窓口の一本化、事業提携ということはいろいろ難しい問題を含んでおりまして、簡単なことではないのでありますけれども、関係者今鋭意協議中ということでありますので、何とか道が開けるのではないかというふうに考えております。
  30. 吉原米治

    吉原委員 特に三菱の方は船台を八基持っておりますし、三保の方は一基でございますから、そういう意味では、三保の地域性も配慮しながら、やるとすれば大手が一定程度の負担をしながら協業化を図っていくというふうなことでないと、何のことはない、企業の共同化、協業化というものが中小つぶしだけになってしまったのでは片手落ちだろう、私はこう思うわけで、特にその点を今お尋ねしたわけでございます。  今度のこの実施計画で大手の方の処理率、船台八基廃棄しておるわけでございまして、全体の一九・五%。中手、小手は、三十七社の処理率というのは船台二十一基、全体の二七・九%といいますから、圧倒的に中手あるいは小手の方が処理率が多くなっておる。言ってみれば、先ほどから申し上げておりますように、造船業経営安定化というのは大手の設備を残して中小手をつぶしてしまう、こういう結果を今もたらしておるわけでございます。  だんだん時間がなくなりますから結論を急ぎますが、特定船舶製造業経営安定臨時措置法の法の趣旨の中に、中手、大手のきちっとした仕事の言ってみればすみ分けとかいう表現もあるわけでございますが、こういう分野法的な性格のものをやはり一項盛り込むべきじゃないか。そうしないと、これだけ造船業が不況になってまいりますと、資本力の大きいところだけが生き残ってしまって、従来から中小で頑張っております中小造船の仕事の確保ができない、結果的にこういうことになっておるわけでございます。  そういう意味では、臨時措置法の中に、不況だと言われておる造船業界の中にあっても大手の分野と中小の分野、例えば大手で建造する船舶は高付加価値船、LNG船とか砕氷船とか鋼造船とか超電導船、こういった特殊船に特定をして、一方中小手は一般船の建造を受け持つという建造分野を明確化する必要があるのではないか。それはただ単に行政指導ということでなくて、今度出されております、昨年決めたばかりでございますが、経営安定臨時措置法の中に、建造分野を明確にして大手並びに中小手ともども生き残っていけるような配慮が必要じゃないか、こう思いますが、間野局長はどういうお考えでございますか。
  31. 間野忠

    間野政府委員 先ほどから申しておりますように、現在までのところ実施計画提出しておりますのは六グループ三十一社にとどまっておりますので、最終的に大手と中手それぞれの設備処理率が幾らになるかというのはまだ確定しておらない現状でございます。ただ基本的には、設備処理というものは個々の企業及びグループ経営状況等を踏まえ、自主的に判断するものでありまして、大手、中手の別なく競争力のある造船所が残るというふうに考えております。  先生おっしゃいました分野調整の問題でございますが、私どもといたしましては、基本的には、現在の問題は大幅な過剰設備の存在と産業の過当競争体質に起因しているというふうに考えておりますので、我々といたしましては、特定船舶製造業経営安定臨時措置法に基づきまして過剰設備の廃棄、集約化等の経営安定化措置を講ずることによりまして、問題の根源である需給構造の根本的な改善を図ることが肝要であるというふうに考えております。ただ、短期的にはむしろ不況カルテルによりまして需給の調整を行うことが効果的であると考えておりまして、特に分野調整ということを法文化することをしなくても、こういった措置を講ずることによりまして問題の解決が図られるのではなかろうかというふうに考えております。
  32. 吉原米治

    吉原委員 確かに、現在は造船業というのは構造不況業種、こういうことが言われておるわけでございますが、長い目で見ますと、造船業というのは非常に好不況の波が激しい、言い方によりますと循環型産業などという表現もあるわけでございます。ピークのときになって、さあ需要に対応するためにせっかく廃棄をした船台をもう一回復活しなくてはならぬな、そういう事態も実はあるわけでございまして、そういう意味では、急な需要に対しましてもいつでも対応できるような業界の態勢をつくっておくべきではないか。大手と中小手の建造分野というものをふだんからきちっと態勢をつくっておくことによって、需要がぐっと伸びてきた場合にすぐさま対応できる、こういうことになろうかと私は思う。  今不況だから協業化するために何台かの船台を廃棄処分にしてしまう、また需要がふえた場合にそれに対して対応し切れなくなって新たな船台をつくらなければならぬ、言ってみれば好不況の波の激しい業界でございますがゆえに、需要に対します柔軟な対応ができるような業界整備が必要ではないか、こう思って、あえて建造分野の措置を経営安定臨時措置法の中に入れることがいいか悪いか別といたしまして、それは省政令だってあるわけでございますから、具体的に省政令の中にでも、今申し上げましたような形で建造分野を平素から混乱をしないように、大手が資本力に物を言わして何でもかんでも皆仕事を取り込んでしまうというふうなことのないような行政指導が必要な時期に来ておるのじゃないかと私は思いますが、再度、大手、中手の仕事の分野、建造分野を何らかの形でひとつ明らかにしておいていただきたい。いかがですか。
  33. 間野忠

    間野政府委員 最初におっしゃいました現在の設備処理は切り過ぎではないのかという御指摘につきましては、海運造船合理化審議会の方で需要予測をやりまして、当面は過剰設備は五割ぐらいあるけれども、長期的に見た場合このうちの二割ぐらいが過剰であろうということで、長期的に見ても過剰な分二割を削減するということにいたしておりますので、仮に今後需要が上がった場合にも造船能力が不足するということはないと思いますし、昨年までの実績をその後検討してみましても、海造審が行いました新造船需要見通しにほぼ沿って動いておりますので、将来も造船能力が不足するというようなことはなかろうと思います。  それから、再度御指摘の大手と中小とのすみ分けといいますか分野を違えることでございますが、従来からある程度大きさによっての違いはございますけれども、一般的には大手も中手も一般商船を建造してきたという実績がございまして、現在のような極端な過剰設備さえなければそれぞれがそれぞれの特色を生かして自然と得意な船をつくるというふうに落ちついていくと思いますので、我々といたしましては、当面過剰設備処理、それから過当競争的な体質を改めるということに重点を置いて進めてまいりたいと考えております。
  34. 吉原米治

    吉原委員 残念ながら持ち時間が参りましたのでこの辺で終わりますけれども、いずれにいたしましても、現在は確かに不況であるかもわからないが、もう二、三年先には好況になるという見通し業界の中では持っていらっしゃるわけでございまして、そういう意味で、特に今度の協業化に伴って、せっかく長年造船業地域で細々とやってまいりました船台すら廃棄してしまうということになりますと、業そのものが成り立っていかなくなる。一つ自治体挙げて、おれのところは造船の町だ、そういうことが言えなくなってしまう、そういう厳しい状況が出てきておりますので、今後とも、造船業の問題については機会あるごとに私も触れたいと思いますが、今度の臨時措置法の適用を受けてやむなく会社解散、全員解雇なんというふうなドラスチックな状況も生まれております笠戸下田、こういう点については地域の経済状況等々も配慮して、ひとつしっかりした行政指導を続けていただきたい、このことを申し上げて、時間が参りましたから終わります。ありがとうございました。
  35. 関谷勝嗣

    関谷委員長 長田武士君。
  36. 長田武士

    ○長田委員 我が国経済の当面する課題といたしましては、大臣所信で述べていらっしゃるとおりでございまして、何といいましても内需の振興ということ、それから円高を何としても克服するということ、さらには、国際収支の黒字を減らしまして国際的に調和のとれた経済構造に転換をするということが日本経済における当面の命題であろう、このように考えております。こうした中で、各産業界に対しましては、効率化や生産性の向上を図りまして、規制を緩和して競争が思うように促進できるようなそういう政策が展開されておる状況でございます。  運輸省関係でも、国鉄の分割・民営化を初めといたしまして、自動車の運送業界でも、多品種でしかも少量でも迅速に運べる、こういう体制の強化というのも図ってまいったわけであります。そのために道路の変更や事業区域などについての規制が緩和されました。航空業界でも、御案内のとおり国際線の複数社制が導入をされました。さらに日本航空が完全に民営化されまして、そして国内線ではダブル・トリプルトラッキングがとられまして、運賃についても若干の割引制などが採用された経緯がございます。しかし私は、我が国航空業界規制緩和がまだまだ不十分である、このように考えております。  よく例に引かれるところでありますけれども、外国旅行の運賃が、日本発と外国発では日本発の運賃がかなり割高になっておるということ。かなり手直しを行ったということでありますけれども、現在どのようになっておるか、また将来格差の解消をなされるつもりがあるのかどうか、この二点についてまず大臣所信を伺います。
  37. 石原慎太郎

    石原国務大臣 予算委員会等でたびたびこの問題について御指摘を受けておりますが、運輸省としては、為替の変動で必然的に生じます方向別格差を埋めるために努力をしてまいりました。いろいろ誤解されている点もございますが、現実にはかなり為替のレートに近いところで運賃を建てるように指導もしてまいりましたし、またちなみに、昭和六十一年度以降太平洋線、欧州線、オセアニア線あるいは東南アジア線でも数次にわたって日本発の運賃を値下げさせましたし、またある国に関しましては、バランスをとるために向こう建ての運賃を値上げもいたしまして、そのバランスをとるように努力してまいりましたが、いずれにしろ利用者の不公平感を払拭するために、今後も企業収支の推移を眺めながら、ともかくその不公平感をなくすように努力をしてまいるつもりでございます。
  38. 長田武士

    ○長田委員 今大臣がおっしゃっておりましたけれども、外国旅行の運賃ばかりじゃなくて国内旅行の運賃においても問題があるように私は感じております。大分是正をされたということでありますけれども、私は本日、国内航空行政の問題に絞りまして質問をしたいと考えております。  昨今、OECDが購買力平価の国際比較をいたしました。アメリカにおいて一ドルで買えるものが我が国では何円で買えるか、こういう比較でございます。OECDの発表は一九八六年ですから二年前ですね。これは、例えばアメリカでは半導体が一個一ドルで買えるわけです。日本では、一九八六年の平均為替レートが百六十八円程度でありましたから、大体同じ金額で買える。この場合為替レートと購買力の平価が同じということになります。ところが、交通とか通信の分野では、アメリカで一ドルで買えるものが日本では二百八十四円。運輸とか通信について比較いたしますと、アメリカでは百六十八円で買えるものが日本では二百八十四円、非常に高いわけであります。食糧なども二百八十五円十銭でありますから、為替レートの百六十八円と比べますと七割ぐらい高い、そういう状況であります。このように外国と比べて割高になっているものは、農業部門を初めといたしまして実はたくさんあります。これは貿易制限や参入規制あるいは価格の維持制度など産業保護政策がとられておりまして、豊かな国民生活の実現や内需主導型経済への転換に実は足かせになっているのではないか、このように考えられるわけであります。  航空運賃もその一つでありまして、国内航空の旅客輸送実績を見てまいりますと、昭和五十年ごろから急速に成長いたしております。昭和五十年度の百九十一億人キロから昭和六十年度には一・七倍の三百三十一億人キロまで成長をいたしております。しかし、よく調べてみますと、昭和五十四年ごろからは伸び悩んでおるという統計が出ております。昭和五十五年から昭和六十年に至る我が国国内航空の旅客輸送量の伸び率というものは一〇・七%、この間の国際旅客輸送量は四〇・三%も伸びておる、こういう状況です。そういう点を考えますと、国内輸送というのは非常に低調であるということが言えます。参考のためにこの間の欧米主要国の国内線の伸び率を見てまいりますと、アメリカは二四・二%、イギリスが二二・八%、フランスが四一・二%となっておりまして、我が国国内線の伸び率一〇・七%とは大きな差がございます。  そこで伺いますが、諸外国に比べまして国内航空旅客が伸びない原因というのは一体どこにあるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  39. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 我が国国内航空の伸び率の問題でございますけれども、先生おっしゃいましたように、確かに昭和五十五年から六十年の五年間をとってみますと、年平均の伸び率が一・六%ということで、非常に低うございます。これは具体的に申しますと、昭和五十四年までは相当大きく伸びて、二けた台で伸びておったのですが、五十五年にマイナス二・三%、それから五十六年は四・二%でありますが、五十七年がマイナス三・八、五十八年度が〇・九、五十九年度は九・五%伸びましたけれども、六十年度はマイナス二・一ということで、平均しまして五十五から六十までが平均一・六%程度の伸びということでございます。  これの原因でございますけれども、一つは、昭和五十五年と五十七年、この二回にわたりまして国内航空運賃の改定がございました。これによって旅客が相当逸走したという事実がございます。それからもう一つは、五十七年の二月、六十年の八月に御承知のとおり日本航空の大事故がございまして、この事故の影響によって航空旅客全体が伸び悩んだという事実はございます。そういう諸般の状況で、ここ五年程度についてはかなり低い伸び率ということでございますが、ちなみに六十一年度あたりから次第に回復をしてきておりまして、六十一年度が対前年比五・九%の伸び率、六十二年度はまだ正確には——上期同士の比較でございますけれども、六十一年度上期と六十二年度上期を比較してみますと、八・二%の伸び率ということで、ここ最近、国内航空旅客についても伸び率は逐次大きくなりつつありまして、かなり航空旅客の増加傾向が見られるというのが現状でございます。
  40. 長田武士

    ○長田委員 経済企画庁が国内航空旅客輸送量の伸びにつきまして、所得と運航回数、それから運賃、この三つに分けましていろいろ寄与度というものを分析をいたしております。これによりますと、所得水準の向上は昭和五十四年度以降一貫して二%から四%程度の寄与度が出ておりますね、所得においては。ところが、運航回数の寄与度は、空港容量の制限のために、特に昭和五十六年以降伸び悩んでおるというのがこの一覧表に明らかであります。それから運賃については今申し上げましたとおり、昭和五十五年三月の全線平均二三・八%の値上げがあった、五十七年の一月に一三・五%の値上げがあった、こういう状況で、四%から五%、大きくマイナスに寄与をいたしております、この表で読みますと。その後も運賃の高どまりがありまして、昭和五十八年以降も運賃の寄与度が依然として小さいという状況でございます。  このような分析を見てまいりますと、運航回数と運賃がどうも旅客の足を引っ張っているのじゃないか。国民所得には関係ない。どうも運航回数と運賃が旅客の伸び悩みの要因であろう、このように考えておりますけれども、運輸省はどうお考えでしょうか。
  41. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 運賃につきましては、先ほど申し上げましたように昭和五十五年、それから五十七年、この二回相当大幅な運賃改定を行ったということで、それの影響というものは否定できないと思います。五十七年以降現在まで、約六年間でございますが、運賃改定はいたしておりませんで、むしろいろいろな営業割引制度の導入といったようなことで旅客の誘発をねらった諸施策というものが各航空会社で行われておりまして、そういうことから運賃の影響というのはここ六年ほどはないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  それから運航回数でございますけれども、確かに、これにつきましても現在御承知のとおり、国内航空路線というのは東京及び大阪地域というものが発着の拠点でございまして、国内航空路線の大体八割、これが東京、大阪に集中しておるということでございまして、東京及び大阪地域の空港容量というものが制約をされておるということが、確かに需要について一つ大きなマイナス要因になっていることは事実でございます。ただ、航空会社の方といたしましては逐次機材の大型化というふうなことで、需要の大きい路線につきましてはそういう大型化対策でもって対処をしてきておるというのが現実でございまして、空港容量が決定的な要因であるというふうには考えておりませんが、航空全体の需要の増という問題から見た場合に、東京、大阪の空港容量の不足というものは確かに一つのマイナス要因であるということは事実であろうかと思います。
  42. 長田武士

    ○長田委員 ただいまの御答弁で、どうも容量である、運賃は余り影響はないだろう、足は引っ張っていない、こういう御回答でありましたけれども、では具体的な数字をもちまして運賃問題を私取り上げますから。  そこで、国内運賃の問題についてお尋ねをいたしますが、まず、国内航空の一キロメートル当たりの運賃を日本とアメリカ、それから日本とイギリス、この比較をしてまいりますと相当差があるようなんですね。これについてちょっと言っていただけますか、ノーマルクラスで結構ですから。
  43. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 国内航空運賃の国際比較でございますが、大体同じような距離帯の路線でアメリカあるいはイギリスと日本を比較いたしてみますと、東京—大阪、これは五百三十キロでございますが、これがキロ当たり、日本の場合で二十六円でございます。それからアメリカの場合ですが、ロサンゼルス—サンフランシスコ、これは五百三十六キロですから東京—大阪とほぼ同じぐらいの距離でございますが、これはキロ当たり十六円から五十四円ということでございます。それからロンドン—グラスゴー、これは五百四十七キロでございますが、これが三十二円ということでございまして、大体五百キロ強の距離帯で見ますと、東京—大阪の二十六円を一〇〇といたしますと、ロサンゼルス—サンフランシスコが、先ほど申しましたように指数で日本の場合が一〇〇に対して六二から二〇八、それからイギリスは一二三、こういう指数になります。  それから福岡—鹿児島、これは二百四十六キロでございます。この辺の距離帯で見ますと、福岡—鹿児島間がキロ当たり四十六円でございます。シカゴ—インディアナポリス、これは二百七十キロでございますが、キロ当たり五十二円から八十二円。それからロンドン—マンチェスター、これは二百五十一キロでございますが、これは五十五円ということでございまして、日本の場合を一〇○といたしますと、アメリカが一一三から一七八、それからイギリスが一二〇という程度の指数になっておりまして、アメリカの場合は運賃自由化でございますから会社によって相当違いますのでいろいろございますけれども、全般的に見ますと、日本の水準に対してむしろイギリスあるいはアメリカの一部については運賃水準は高いということが言えようかと思います。
  44. 長田武士

    ○長田委員 よくわかりました。それでは、私の数字が間違いかどうか、ひとつ言っていただければ大変ありがたいと思います。  ABCワールド・エアウェイ・ガイド、私この資料を見つけたわけでありますけれども、これでノーマルクラスの運賃について見てまいりますと、これは一九八七年十月の時点での比較であります。飛行距離が四百キロメートルクラス、これで見ますと、一キロメートル当たり日本が三十九円三十銭、これは今申し上げましたとおり四百キロメートルクラスですよ。アメリカが四十一円八十銭、イギリスが四十一円二十銭となっておりまして、日本の方がむしろ安いという状況です。あなたのおっしゃるとおりであります。また飛行距離が八百キロメートルクラスでは、この資料によりますと、日本が三十円三十銭、それからアメリカが二十九円九十銭、イギリスが三十円二十銭。このクラスですと日本とアメリカ、イギリスはほとんど差がない、こういう結果が出ているようであります。  ところが、アメリカ、イギリスのさまざまな割引運賃と比較しますと、日本はアメリカの二倍も高い、実はこういう結果が出ております。すなわち、飛行距離の四百キロメートルでは、一キロメートル当たり日本が三十九円三十銭、そしてアメリカが十七円五十銭、イギリスは二十七円四十銭。また飛行距離が八百キロメートルでは、一キロメートル当たり日本が三十円三十銭、アメリカでは十五円三十銭、イギリスでは二十一円という状況でございます。そしてアメリカでは、旅行者の九割が平均六割程度の割引運賃を利用いたしておると言われておりまして、我が国との差額はもう歴然といたしております。運輸省としては、こうした運賃格差についてどこに原因があると思っていらっしゃるのか、この点についてはいかがでしょうか。
  45. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま申し上げましたように、ノーマル運賃で比較いたしますと、先ほど私が申し上げた、これは時点がちょっと違いますので、あるいは先生のデータとちょっと食い違っているかもわかりませんが、全般的に見てアメリカの場合は日本より安い運賃もございますし、高い運賃もある。それからイギリスは、全体的に見て日本より二割程度運賃水準が高いということが言えようかと思います。  ただ、ただいま先生がおっしゃいましたように、割引運賃ということになりますと、これはかなり状況が変わってまいります。特にアメリカの場合は、運賃自由化政策をとっておりますので、極端に申しますと、今アメリカで国内航空運賃の種類というのは約五十万種類ございます。要するに曜日とか、例えば金曜日夕方の五時、これはウィークエンドで一番ピークでございますね。それに対してその一日前の木曜日の例えばお昼ごろの便、これはオフピークといいますかお客さんが非常に少ない便でございますが、それによって大幅に運賃が違ってくるというふうなことがあるわけでございます。ノーマル運賃の座席がオフスピークの場合は非常に少ない。それに対して、ピークの場合はノーマル運賃の座席が非常に多い。逆に割引の座席がオフピークの場合は非常に多いのでございますが、ピークの場合は非常に少ないということで、曜日あるいは季節等によって物すごく運賃が違ってくるわけです。自由化政策でアメリカの各企業は自由でございますから、企業側の論理でもって収入が最大になるようにきめ細かく運賃を変えておるわけでございます。  そういうことで、全体で見ると五十万種類ぐらいの運賃があるという形での相当複雑な運賃体系になっておるということがあろうかと思います。したがって、そのどこかをとってみると、確かに日本に比べて非常に安いというものもあるわけでございますが、また逆に非常に安定性の欠ける運賃体系あるいは運賃制度になっているということも事実でございまして、そういう自由化政策というものを徹底することが果たして利用者にとって公平か、あるいは公共交通機関のあり方として妥当であるかどうかについてはいろいろ議論があろうかと思います。  日本の場合でも、割引については航空会社営業政策という面から航空会社の自由意思をできるだけ私ども尊重するようにいたしておりまして、現在でもいろいろな種類の割引制度が設定をされております。そういうものをできるだけ拡充して、利用者の負担の軽減ということと、閑散期における旅客の誘発による収入の増大ということで航空企業経営基盤を安定させていく、同時に利用者の利便を確保していくということについて私どもも積極的に対応していきたいと考えておるわけでございます。
  46. 長田武士

    ○長田委員 今御答弁を伺っていますと、自由化の問題、確かに私は理解できますけれども、自由化の問題については後ほど私論議をしたい、このように考えております。  大臣、今伺っていますと、どうもアメリカとかイギリスは自由化がきちっとできておるということと、曜日の設定が非常にきちっとしている。季節によって物すごく変動がある、こういう要因で非常に割引運賃が功を奏しておる、こういうような状況です。どう考えましても大体日本は高過ぎますね。この要因はどこにあるのでしょう。自由化とか曜日の関係とか季節の問題もありますけれども、最も決定的な要因がある、私はこのように考えていますけれども、大臣のお考えはどうでしょうか。
  47. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは今、林局長が御答弁しましたように、通常の運賃ということでいったら日本は決して高くないわけですね。ただ、向こうはいわゆるデレギをやりまして自由化したために非常に格安の商品がつくられ得る。そのかわり商品によっては、約束した日以外にはキャンセルして乗りかえることができない、その時間に乗らなければ全く無効になるようなチケットもあるようでありまして、後ほど御議論なさるようですけれども、自由化の問題は世界的な傾向なのかどうかわかりませんが、日本は日本でいろいろ風土的な問題もありますし、大変難しい問題を含んでいると思いますが、いずれにしろ原則的には日本の運賃国内線でもそれほど高くない。ただ、割引ということが向こうで自由奔放にできるものですから、結果として印象としては外国の方が非常に安いという形になっているんじゃないでしょうか。
  48. 長田武士

    ○長田委員 私は何点かその理由を具体的に申し上げますから、大臣お答えをいただきたいと思います。  理由の第一といたしまして、我が国航空事業に対しまして公租公課が非常に高いのじゃないか、そういうことを挙げざるを得ないと思っております。空港整備のための財源としまして、運賃の大体一〇%ぐらいが通行税であります。それから、一キロリットル当たり二万六千円の航空機燃料税、これは営業収入の大体七%から八%に当たる。各社そのようでございます。そのほか着陸料とか停留料、空港使用料が営業収入の大体一二%から一三%。こうした公租公課が営業収入の大体三割にも達しておるのが日本の航空業界の基本原則のようであります。アメリカの状況はどうかということを私調べたのでありますけれども、公租公課の負担は営業収入の一〇%ぐらいが最高のようですね。私はこれを見て、我が国は公租公課が非常に高い、この点は改善の余地があるのではないか、税制改革の一環として改善をぜひ求めたい、このように考えておりますけれども、大臣いかがですか。
  49. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 まず、ただいま先生質問の公租公課ということでございますけれども、私どもは、ある意味で純然たる公租公課というのは、航空会社が負担しております中でのごく一部、例えば通行税といったものがいわゆる公租公課に当たるわけでございまして、あとはいわば受益者負担の対価、受益者負担という観点からとらえるべきではなかろうかと思います。  そこで、航空事業の空港使用等に関する負担の問題でございますが、これにつきましては確かにただいま先生おっしゃいましたように、費用全体に占める負担の比率を欧米主要国と比較いたしますと概して我が国の方が高いという点は事実でございます。ただ、これはいろいろ事情があるわけでございまして、一つには、我が国におきまして空港整備を受益者負担の考え方でやっておるわけでございますが、国土が非常に狭いということから、諸外国に比べまして空港用地の取得に対して非常に高い用地代を払わなければいけないとか、あるいは国土が狭隘でございますので、騒音対策の面で諸外国に比べますと多額の経費を必要とするといった特殊事情もあるわけでございまして、そういう空港整備費が高くなるためにどうしても使用料が高くならざるを得ない面もあるわけでございます。  それから通行税については、諸外国におきまして形を変えた似たような例もございますけれども一般的ではない。そういう通行税のような税金が課されているという面にも原因があろうかと思いますが、いずれにしましても、これからも航空需要は相当伸びると予想されますし、空港整備もこれから着実に進めていかなければいけないという点もございますので、そういう財源を確保するためにある程度の受益者負担は今後も考えていかざるを得ないのではないかと思います。  ただ、着陸料等につきましては、航空会社の負担力とか運賃へのはね返りといったことを考慮いたしまして、ここ数年間基本的にはこれを据え置いてきております。さらに、昭和六十一年度からは、東京国際空港の沖合展開事業の財源の一部といたしまして借入金を導入して、いわば世代間の負担の公平を図るということもやってきております。さらに、昭和六十二年度にはJAL、日本航空の株式の売却収入の一部を活用して、産投会計から関西空港株式会社に対して出資を行うといったような財源対策もやっておりまして、いろいろ工夫をしながら、できるだけ航空会社の負担の軽減を図るような方向での施策はやっておりますけれども、基本的には、先ほど申しましたように日本の国土の特殊事情もございますので、ある程度外国より水準は高くならざるを得ない点については御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  50. 長田武士

    ○長田委員 大臣、今たしか空港整備とかそういう問題で非常にお金がかかる、そういう意味である程度やむを得ない、受益者負担なんだ、こういうことでございますけれども、ただアメリカと日本と比べまして、こっちは三〇%、向こうは一〇%というのは余りにも格差があるのではないか、ここいらは税制改革の一環として運輸大臣としまして主張されたらどうでしょうか。
  51. 石原慎太郎

    石原国務大臣 御指摘のとおり、例えば通行税のごときものはやはり一考の余地があると思います。大体このジェット時代に、飛行機で旅行することは一つのぜいたくだという発想は時代に合っていませんし、船の特等船客で行くのは別のことでございますけれども、まして黒字を減らすために外国に行って大いに楽しみなさいということを奨励していながら、それの足を引っ張るといいましょうか足かせをかけるような通行税というのは、やはり飛行機旅行に関しては考えられるべき時点にきているのではないかと私も思っております。
  52. 長田武士

    ○長田委員 次に、第二の理由といたしまして、固定費の負担、減価償却費などが高いということが私は挙げられるのではないかと考えております。  この固定費負担が高くなる理由といたしましては、お客が夏や春に集中してしまう。航空会社としては、それに伴った時節に合わせた航空機などの用意、いわゆる設備投資を図る。最高に需要の高まったところに設備をしませんと需要に追いつかない、こういうことでしょう。我が国国内航空旅客の季節変動率を見てまいりますと、年平均を一〇〇といたしますと、閑散期では七五%、それから繁忙期ですと一五〇、非常に変動が激しいのです。アメリカのことを調べてみたのですけれども、最低八五で最高一二五。日本の変動率が非常に高いということが明らかになります。  固定費が高いということは、当然資本回転率を悪くしておるわけですから、アメリカ、イギリスと比べましても日本の場合はかなり低いということが言えます。それを改善するには、第一に空港を整備いたしまして発着回数をふやす、そういう手段でお客さんをどんどん吸収していくというような方法というのはとれないのでしょうか。どうも飛行機の場合は二時間に一本とか、甚だしいのは一日に一本とかいうケースが非常に多いのです。そういう点では、一日二回便にするとか三回にするとかによって需要を伸ばしていく、そういう手だての方が私は賢明ではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。
  53. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいまの先生の御質問の季節波動に対する対策としては、基本的には割引制度の活用ということになろうかと思います。確かに、日本の航空路線のうち非常に季節波動の大きい路線がございます。これは路線によってかなり違いますけれども、例えば北海道路線あたりは、平均的に見ると季節波動が非常に大きいということが言えようかと思います。そういう季節波動の大きい場合は、おっしゃるように確かに固定費についての負担が大きくなるわけでございまして、これをできるだけ平準化していくためには、各種割引制度というものを導入してこれをならしていく。需要をオフピーク時にできるだけ誘発していくということが必要であろうかと思いますし、各航空会社におきましても、そのような観点から各種営業割引というのは、ここ数年かなり積極的に取り入れてきているというのが現状でございます。  それから、ただいま先生おっしゃいましたように、空港能力の拡大、これは先ほど申しましたように、東京及び大阪地域というものが中心になろうかと思います。両地域における空港能力の拡大ということは、全体的に航空需要というものを伸ばしていく。あるいは確かにおっしゃるように、非常に少数便数のところは、できるだけ頻度を多くすればそれに比例する以上にお客さんは伸びていくということもございますので、空港容量をふやすことによって航空輸送需要というものを誘発し、これを伸ばしていくということは基本的に必要であろうかというふうに思っております。
  54. 長田武士

    ○長田委員 私は、第三番目に、航空法による規制がまだまだ多いのではないか、強過ぎるのではないか、このように指摘をしたいと思っております。そして本日の私の質問のメーンテーマにしていきたいというふうに考えております。この規制の緩和ないし撤廃こそ、今後我が国航空産業が内需主導型経済成長の担い手の一人といたしまして、健全な発展を遂げていくための重要な課題である、実はこのように私は考えております。  本年七月には羽田の沖合展開の第一期工事もほぼ終わります。そうなりますと、発着能力は年間二万回ぐらいふえるだろう、このように言われておるわけです。昭和六十七年度末には、関西国際空港の第一期工事も完了いたしまして、これも発着回数が恐らく年間十六万回ぐらいになるだろう、このように予想されております。こういうときこそ私は非常に規制緩和のチャンスがあるのじゃないか、このように考えております。  既にアメリカでは、先ほど話がありましたとおり、一九七八年、昭和五十三年には航空輸送の事業規制緩和法というものが成立をいたしまして、路線の認可制度が廃止されております。そして一九八三年、昭和五十八年でありますけれども、運賃の認可制度も廃止されました。  その結果について一九八五年、昭和六十年の十一月にアメリカの会計検査院、GAOは、一つとしては、規制が続けられた場合に比べまして、予想の水準に比べて全体に運賃は低くなっておる、当初予想していたよりも、規制緩和、自由化したために運賃は安くなっておるということを第一点に挙げております。第二番目には、便数と利用のできる座席数がふえておる。便数もふえました、したがって、座席数も当然ふえましたよ、こういう結果を報告しております。三つ目には、運賃サービスの選択の幅が非常に広くなった。利用者によって選択できる幅が非常に広いということが第三番目。第四番目には、経営効率が上昇いたしまして、平均実質運賃が一九七八年、昭和五十三年から一九八四年、昭和五十九年にかけまして六%低下しておる。競争によって航空会社の能率の向上と利用者の利益がもたらされておる、こういう報告を実はしておるのです。  また、イギリスでも一九八四年、昭和五十九年でありますけれども、航空会社競争政策が発表されまして、運賃につきましても、公正な競争を阻害しない限り申請後十日以内に認可するなど、規制が大幅に緩和されております。現在十八社もの航空会社があるわけでありますけれども、イギリスにおいてもそういう点では非常に活発な競争が展開されておるという現状です。  我が国においても、羽田が拡張されまして、関西国際空港が開設をされる。当面は旅客増加要因というのは相当ある、私はこのように見ておるわけであります。しかし、かつて成田空港が昭和五十三年に開港いたしまして、一時は羽田に余裕ができまして旅客はふえたわけでありますけれども、五十六年ごろからはその寄与度は非常に落ち込んでおるというのが実情なんです。したがいまして、現在のままの航空行政の中で規制が続く、こういう状況下では内需の担い手になり得ない。大臣は、内需の担い手になるというふうに所信でおっしゃっていますけれども、どうも私はこれはなり得ないのじゃないかというふうに危惧をいたしております。そこで、アメリカ等の実情を参考にしながら、規制の緩和等についてもう一歩進めるお考えがあるかどうか、大臣に忌憚のない御意見をお伺いします。
  55. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これは省内でも議論し尽くされておりませんし、非常に激しい議論がこれかも省の内外でも予想されると私は思います。  それから、総体的には自由化というものがトレンドになっていると思いますし、現にアメリカの状況を見ますと、むしろ逆に事故は減っております。ただ、同時に日本人がそれに耐えられるか耐えられないかわかりませんが、私もアメリカで国内線に乗ってみますと、例えばそれがファーストクラスであろうとまことに不潔で、ロスーニューヨークを飛ぶ飛行機は折り返し運航するわけですから、掃除もろくにせずに食べ散らかしたものがそのまま残っていて、飛行機は新しい客を迎える。そうなってくると、日本人がそれを許すか許さないか、乗客が許すか許さないか、いろいろな問題があると思いますが、そういう点では日本と米国のような状況が果たして同じ形で重ねられるかどうか、非常に難しい問題もあると思います。  いずれにしろ現在、路線のダブルあるいはトリプルトラッキングを行いまして、競争というものを誘発しているわけでありますけれども、特に運賃の自由化ということになりますと、日本の場合それがいい面で出てくればよろしいのですが、それが裏目に出たりするとまた指弾の対象にもなるでしょう。例えばこれは想定でありますけれども、日航があの事故を起こしたときには、ほかの幾つか複数の会社がありまして、同等な条件で競争していれば、先ほど局長が答弁しましたように、飛行機全体の利用率が減るという形の現象じゃなくて、乗客がほかの会社を選んだという形になって出てくるのかもしれません。ただ、今まで一種の独占みたいな形で航空業務が続いておりましたから結果は違ったと思いますが、いずれにしろ自由化というのは、これから日本にとっても正面から受けとめて考えなければならない大きな問題だと私は思っております。
  56. 長田武士

    ○長田委員 私は大臣のおっしゃることはよくわかるのですけれども、現時点では各社間に企業体質という点で相当差がありますね。そういう点、同一条件でいきなり競争させるということの難しさを私はよく理解しております。こういう体質の強弱というのは会社によって歴然と明らかです。しかし、そういうことを言っておりますと、いつまでたっても競争の原理は導入できない。いわゆる経済のメカニズムというのは導入できない。ということになりますと、イギリスみたいに十八社とは言いませんけれども、もう少し会社をつくりまして、ある程度同じ力の体質を持った企業間でどんどん競争させた方がもっと活性化されるのじゃないでしょうか。
  57. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しくは局長からお答えしますが、要するに航空行政に関してナショナルインタレストをどこに置くか。つまりこれを利用する国民の皆さんにナショナルインタレストを重く置くか、それとも飛行機を飛ばしている会社、その会社の利益というものを国益とみなすかという非常に難しい新しい選択がここにあると私は思います。
  58. 長田武士

    ○長田委員 自由競争をやらせたいと思いましても、現実の問題といたしましては空港の容量の問題、これも制限があります。今申し上げましたように、企業もアメリカ、イギリスに比べて日本は非常に少ない、こういう点がいろいろあると思います。しかし私は、基本的には参入や事業活動にはまだまだ規制があり過ぎるというふうに考えざるを得ないわけであります。運賃や運航形態の多様化など、航空輸送サービスの根幹にかかわる部分で自由な競争ができるシステムにぜひしてもらいたい、こういう点を私は要望しておきます。  一例を挙げますと、航空運送事業の免許基準には「当該事業の開始によって当該路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、著しく供給過剰にならないこと。」というくだりが航空法第百一条に規定されていますね。私はこの規定を何回も読んだのですけれども、この条文で規定されております需要というものは、そもそも本来消費者の心の中にあるということですね。したがって、消費者自身にも案外これはわかっていない。そういう部分もあると思うのです。そのようなことを運輸省が判断して認可を与えるとか与えない、こういうことが果たして可能かどうかということを私は随分考えてみました。その点私は、現実論としてこの百一条の条文についてはどうかなという気が非常にするわけであります。  先ほども申し上げましたように、アメリカは規制をやめまして二四%も需要が伸びた、旅客が伸びておる、サービスの多様化が行われた。先ほど大臣が言われましたように、確かに汚い旅客機もあるのですね。乗ってきたままでお客を乗せる。日本人とすれば何で掃除ぐらいしないのか、サービスしないのかということを私たちは言いたいわけでありますけれども、運賃については相当ぎりぎりの線までやっておりますという側面が、アメリカにはアメリカとしての考え方があるのですね。そういう点、私たちは確かにわかりますけれども、低運賃で高頻度の運航をしておるシャトル便なんかそうなんですね。そういうのができまして、実際旅客の九割がこうした便を利用しているということが実情のようであります。  ところが、日本はどうかといいますと、五十五年と五十七年には運賃の値上げをいたしまして逆に旅客を減らしてしまったという経緯現実にあります。そこで私は、消費者の需要を運輸省が判断するなどということは全く困難なはずでありますし、参入規制の緩和について運輸省の見解を求めたいと思います。
  59. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 路線参入あるいは撤退、参入には当然撤退が伴うわけでございますが、こういう問題につきましてアメリカの場合は完全自由化しておる。それに対して日本の場合は、こういう問題についてできるだけ競争促進政策はとっておるけれども、基本的にはそういう制約というものについての撤廃はいたしておらないということでございますが、こういう路線参入あるいは撤退あるいは増減便というものを自由化した場合やはり幾つか問題がございます。  日本の場合、一つは、先ほど申しましたように、国内航空路線の約八〇%というものが羽田、伊丹の両空港に集中しておるということでございまして、もう既にこの両空港は容量が限界に達しております。さらに日本の場合、環境問題が非常に深刻でございますので、運航時間帯の規制とか発着回数の規制というふうなことも主要空港で行っておりまして、それもやはり空港の制約要因になっておる。そういう空港制約が非常にきつい中で路線の参入、増便を自由にするということは事実上物理的に不可能でございますし、ある意味で意味がないということが言えようかと思うわけでございます。  それからさらに、参入の自由ということはすなわち撤退の自由ということを必ず伴うわけでございますが、現在日本の国内航空輸送の約七〇%は不採算路線でございます。したがいまして、これらは採算路線との間の内部補助によりまして辛うじて経営を維持しておるというのが実態でございまして、こういう撤退あるいは参入というものを自由にいたしますと、当然のことながら不採算路線から撤退をするということが企業の行動として出てくるわけでございまして、これについて、やはり公共性の強い航空輸送事業として民生安定という面からも問題が非常に多いのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  アメリカ型の自由化というのは以上のような問題があるわけでございますが、ただ、先ほどから大臣が申し上げておりますように、日本の場合もやはりできるだけ航空企業について活性化をすることによって旅客利便に資するということが必要でございますので、既に一昨年来、規制緩和の一種と申しますか、競争促進政策というものを導入しておりますし、さらに今後、六十五年から七十年にかけまして東京、大阪の空港能力が逐次ふえていくということでございますので、それに向けてさらに一層競争促進政策を強化していく、徹底していくということはぜひとも必要であろうかと私どもは考えているわけでございます。
  60. 長田武士

    ○長田委員 運賃の規制につきましても私は同様だと考えております。我が国においては昭和六十年から割引運賃の認可が弾力的になりました。しかし、交通公社の時刻表を見てまいりますと、夫婦の割引であるとか回数券あるいは往復割引、スカイメイトなど数種類の割引運賃しか設定されていないのですね。ところが、ABCワールド・エアウェイ・ガイドで見てまいりますと、ここに掲載されておりますアメリカの割引運賃というのは二十八種類、イギリスが十九種類、たくさんございます。輸送サービスの多様化も含めまして、適正な供給体制といいますか、こうした企業の自由な活動によるメカニズムを通しまして需要が創出される、それに見合った形で形成されていくという点について、経済原理を踏まえた非常に自然な形であるというふうに私は考えております。  そこで、運賃について日本はもっともっと多様化すべきだと考えておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  61. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 私どもといたしましても、アメリカ型の完全自由化というものについては種々問題があろうかと思います。これは日本の実情から見て問題が非常に多いと思いますが、おっしゃるように、営業割引という形での割引制度というものをできるだけ拡充して、旅客の負担の軽減に資するということは必要なことであろうかと思いますし、私どももそういう認識のもとに、既にそういう営業割引についてはできるだけ弾力的な行政運営を行うということを航空会社の方にも通達をいたしておりまして、それに従って航空会社の方もここ数年種々の割引制度を導入してきておるということでございます。そういうことで、アメリカ型の完全自由化というのは種々問題がございますが、現在の制度の中における割引制度の拡充、弾力化というものはこれからも進めていきたいというふうに考えております。
  62. 長田武士

    ○長田委員 大臣、恐縮ですけれども、私は割引制度をもっと多様化すべきだというふうに提案をいたしました。大臣のお考えはどうでしょうか。今、今の制度の中でという話ですけれども、もうちょっと自由化を含めてサービスの拡大といいますか、多様化というものをやられたらどうでしょうか。
  63. 石原慎太郎

    石原国務大臣 局長が申しましたけれども、アメリカ型の完全な自由化というのはやはりいろいろな問題が出てきて、むしろお客さんの反発を食う面も出てくるかもしれません。ただおっしゃるとおり、現時点以上に運賃を含めたサービスというのはもっともっと多様化されるべきだと私は思いますし、それがまた既存の複数の飛行機会社の健全な発展につながると思います。
  64. 長田武士

    ○長田委員 昭和六十年九月二十二日のプラザ合意以来、円高と原油安が航空業界に多大な利益をもたらしておるというのが現状でございます。運輸省の資料を見てまいりますと、昭和五十七年度における航空三社の総費用が一兆三千四百九十億円で、そのうち燃料費は三千二百六十九億円であります。この総費用に占める割合というのは二四・二%という状況でございます。ところが、昭和六十一年度になりますと、総費用が一兆四千百九十七億円とふえましたが、そのうちの燃料費は五十七年度よりも一千七百七十三億円も減りまして、千四百九十六億円となっておるわけであります。これは五十七年度の半分以下となっておりまして、燃料費率も五十七年度の二四・二%から一〇・五%と大幅にダウンをいたしておる状況でございます。  ここで大臣航空料金の値上げの場合はやはり原油の値上がりということ、国民に原油が上がったから航空料金も上げますよというような説得の仕方を随分なさるわけですね。これは間違いないです。そういう中にありまして、原油が安くなりまして、実際前から見ますと五十七年度の半分以下になっている、そういう状況下にあって、円高そして原油安という二つのメリットというのは航空運賃にきちっと反映させるべきである、私はこのように考えますけれども、大臣の率直なるお答えをいただきたいと思います。
  65. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私も同じ疑義を持ちましたが、よく勉強しますとなかなか複雑なメカニズムがございまして、円高になりまして燃料費が減っても決して企業の収益率というのは上がってないのが現況でございまして、詳しい説明局長の方からいたします。
  66. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 まず円高の問題でございますが、これは日本航空の国際線の関係を主体として考えますと、日本航空の場合、外貨建ての収入と外貨建ての費用というものがほぼ見合っております。したがいまして、円高という問題については、収入の方は差損が出るわけでございますし、それから費用の方は差益が出る、ほぼ収支が見合っておりますから、差損、差益が打ち消し合ってこれについては円高のメリットというのは生じてこないということが一つございます。  それから、円建てで購入する諸般の費用というものでございますが、これについては日本航空のみならず全日空、東亜国内航空といったような国内航空会社すべてについてでございますが、ここで確かに先生指摘のように、燃料、油につきまして円高及び単価安ということによるメリットをかなり受けております。特に昭和五十九年、この時点が言うならば今回の大幅な円高あるいは原油安に至る直前の時点でございますが、五十九年と六十一年、現段階というものを比較してみますと、確かに油の単価は円高と原油安という両方のメリットを受けまして、大体半分程度になっているということはございます。  そこで、そういうメリットが生じておるわけでございますが、一方におきまして、国内航空会社国内航空運賃につきまして、先ほど申しましたように昭和五十七年以降六年間運賃値上げをしておりません。要するに六年間同じ運賃水準できておるということがございます。その間、当然コスト増があるわけでございます。この六年間の間には、人件費その他の面におきまして費用増がある。当然また合理化もやっておるわけでございますが、それにしても、どうしても費用増というものが伴ってくるということがございます。したがいまして、この燃料によるメリットというものは、六年間の運賃据え置きということの中である意味では消極的に利用者にそれを還元しているということも言えるのではなかろうかというふうに思っております。
  67. 長田武士

    ○長田委員 そういう御答弁ですと、通告してないのだけれども、ちょっとまた話したくなってしまうのだ。というのは、五十七年から六年間航空運賃を値上げしてない、確かにそのとおりです。では、五十七年度のときは一バレル当たりどのくらいと見て換算して運賃を決めたのですか。通告してないのだからちょっとわからないだろうけれども、わかったらでいい。
  68. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんものですから、その辺については後ほどまた調べて先生の方に御報告いたしたいと思いますが、要するに先ほど申しました六年間据え置いてきたということの中で、一方において費用増があった。したがいまして、そういう費用増というものをいろいろな収入増で賄っているというのが実態でございまして、その一つとして先ほどの燃料の問題もあるわけでございます。その他、低迷してはおりましたけれども輸送需要増というものも一部最近はあるわけでございまして、そういうものも含めて航空会社の収益としては、昭和五十九年でございましょうか、五十九年の状況に比べて現段階では必ずしも改善はされていないという面もあるわけでございます。  私どもといたしましては、したがって、現段階で直ちに国内航空運賃を大幅値下げするという経営状況では必ずしもないというふうに判断をいたしておりますが、ただしかし、これからの円高あるいは原油安の定着状況あるいはその他の航空需要の伸びの状況というものを見きわめて、将来の課題として国内航空運賃水準の問題については十分検討していく必要があるというふうには認識しておりますけれども、現段階で直ちにこれを大幅値下げするのは、現在の航空会社経営状況から見てちょっと難しいかな、そういう感じがいたしているところでございます。
  69. 長田武士

    ○長田委員 今、航空局長がおっしゃるとおり、五十七年一月には一三・五%の値上げをしていますから、したがいまして、五十八年以降という意味であろうと思いますけれども、大臣、五十七年のときに三千二百六十九億円燃料費が全体でかかりました。これが現在、六十一年においては千四百九十六億円ということですから、半分以下ですよ。燃料費は半分以下になっています。これは金額にいたしまして相当なものですよ。国民の皆さんは円高差益を還元せよ、あるいは原油安を還元せよという声が非常に強いですけれども、こういういわゆる独占的な企業、私は全部独占とは言いませんけれども、こういう航空業界はもう少し円高差益還元、油の安い要因をきちっと還元をするということ、実態を計算されて電気、ガスみたいにやられたらどうでしょうか。千四百九十六億円ですよ。これは絶対できます。何とかの要因なんて余り言わない方がいいのではないでしょうかね。
  70. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 確かに先生指摘のように、私先ほど五十九年、これは円高が急激に進むその前の時点でございましたけれども、その時点との比較で申し上げましたが、その時点から現在に至りまして一千億を超えるそういうメリットが生じているということは事実でございます。一方におきまして、その間これは合理化をどの程度やったかということも関連するわけでございますが、事実関係としまして、昭和五十九年と対比しまして二千億程度の経費の増があるということがございます。これは人件費単価の増とかいろいろあるわけでございますけれども、そういう面について何らかのカバーをしていかないと企業としては成り立ちにくいという点があるわけでございまして、したがって、こういう油についてのメリットというものは一部経費増というものに振り向けられたという形に結果的にはなっております。しかし、それだけでは経費増は賄い切れませんので、さらにここ一、二年輸送需要が非常に回復してきておりまして、輸送需要の増による収入増というものによってもカバーしておるということが実態でございます。  したがって、私どもとしましては、そういう状況から現段階、航空会社の収益状況は必ずしも直ちに運賃値下げができる状況ではないというふうには考えておりますが、ただ将来の課題といたしまして、こういう諸問題の推移の状況というものを見ながら、それから同時にまた、航空企業のこれからの国際時代における競争力の強化という面からも合理化あるいは経費節減、効率化ということはやっていく必要がございますので、そういうことも十分指導しながら今後の運賃水準の問題には取り組んでいきたいというふうには考えております。
  71. 長田武士

    ○長田委員 国民の皆さんは、そういう点では航空運賃が全然還元されていないというふうに考えておりますので、大臣、やはりこの点は明確にしたらどうでしょうかね、どういう点でどういうふうに還元できないのか。そうしませんと、国民は会社だけ利益を留保しているのじゃないかとかそういう話が出てくるのですよ。電力なんか、原油が安くなったというようなことで料金も下げました。さらには電線の地中化の問題も積極的に進めよう、都市化に伴っての金も投資していこうというようなことで相当努力しているのですね。航空会社はそういう点で余り努力されていないのですけれども、その点明確にしていただきたい、このように考えております。  次は、航空法による規制、いろいろありますけれども、そのうち安全性や騒音に関するものは社会的規制でございますから、私はこれは当然認めるべきだろうと考えております。しかし、事業認可や運賃の認可の問題、それから事業計画などの経済規制、これは電力とかガスのように費用の逓減的な産業でもありますし、その性質上当然独占となるような場合に限って認められる、ほかの電力会社が簡単に新規参入できないという独占的な、相当経費もかかりますから、そういう点で認められておるということなんですね。したがって、航空業界がそういう産業に当たるかどうか、私は非常に疑問に思っております。航空機は既に発達した中古市場でありまして、電力やガスの設備のような移動不可能な設備はないわけですね。他に売れる。一たん購入しても転売が可能であるという状況考えますと、電力とかガスとはちょっと状況が違うだろうというふうに考えております。ですから、潜在的な参入圧力は常にあると考えるわけであります。  こういうことを言いましても、運輸省に言わせると空港には制約があるとか、あるいは操縦士が限られておるとか訓練の費用も高いとか固定費もなかなかかかるとか、さらにはコンピューターによる予約システムなども非常に経費がかかるとか、皆さんが言うことを先に言ってしまいますが、空港の制約についても、アメリカがやっている入札による路線の割り当てを参考にすれば工夫の余地は十分あり得る、このように私は考えております。操縦士についても、外国人の登用の道もあるのじゃないですか。それからコンピューターについても専門会社がどんどん非常に専門的に研究されておりますから、そういうものとの連携、提携、これでも十分やり得る、このように考えておりますけれども、この点については考えを改めることはいたしませんか。
  72. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 今の問題については、先ほどちょっと御答弁したことともダブるわけでございますが、路線の参入規制という問題、これは当然撤退等も伴うわけでございますけれども、日本の今の空港制約の現状から見てなかなかその辺の参入規制の完全撤廃ということは難しいのではないかというふうに思っております。  それから同時にまた、参入が自由であるということはすなわち撤退が自由であるということにつながりますので、先ほど申しましたように、不採算路線の維持という問題についても種々やはり問題が出てこようかというふうに思いますし、そういう面からこの規制の問題についてはできるだけ緩和していく、今回の競争促進政策も規制緩和の一環でございますけれども、規制は緩和してできるだけ活力を引き出していくということはもちろん必要だと思いますけれども、日本の現在の物理的あるいは社会的状況から見て、アメリカ型のような完全な参入の自由というものを導入することはなかなか難しい、しかし、将来に向けて規制についてはできるだけ緩和の方向で物事を考えていきたいというふうには考えております。
  73. 長田武士

    ○長田委員 次に、地域経済の活性化策として期待されておりますコミューター航空についてお尋ねいたします。  現在定められておりますコミューター航空承認基準によりますと、定期輸送サービスの維持に重大な影響を与えるおそれがないことということになっておるわけですね。ですから、先ほどから路線の中でも東京—大阪間ということが大きな問題になりましたが、事実上、東京、大阪、名古屋などへ乗り入れは当然認められないわけですね、これは重大な影響を与えるわけですから。コミューターで地方を活性化するといいましても、人の流れのないところへ幾らコミューターをつくりましても採算性も当然とれないだろうし、利用客も非常に少ないわけでありますから、余り活性化の意味がないと私は考えておりますが、どうでしょうか。
  74. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま御質問のコミューター航空でございますが、コミューター航空は現在、航空法上の免許区分といたしましては不定期航空運送事業という区分になっております。すなわち、我々路線不定期あるいは二地点間輸送と呼んでおりますけれども、こういう不定期航空運送事業の範疇に入りますので、いわゆる需給関係というものは考慮しない、需給関係は基本的には考慮せずにコミューター航空事業については参入を認めておるわけでございます。  ただいま先生がおっしゃいましたコミューター航空が東京及び大阪の空港に乗り入れが非常にしにくいというのはむしろ物理的理由によるわけでございまして、東京の場合あるいは伊丹の場合はほとんどが大型機が入っております。大型機の場合は後方乱気流というものがございまして、そこに小型機が入ってくると安全性に非常に問題が出てくるということがございます。さらに大型機と小型機では進入速度が違うものですから、相当の間隔をとりませんと安全な離着陸はできないということになると、空港の能率が大幅に低下するという問題がございます。そういう点から東京及び大阪、現在の伊丹でございますが、ここにつきましては小型機については原則的には入れておりませんで、そういう物理的な問題から東京、大阪の現在の空港の滑走路にコミューター航空機が離着陸するのは非常に難しい、物理的な理由でございます。
  75. 長田武士

    ○長田委員 ですから、ただ単に大都市に乗り入れるという意味ではなくて、大都市の周辺の中小の飛行場というものを整備したらどうかと言っているのです。例えば東京の場合は調布飛行場がありますね。あそこにコミューターの基地をつくる、飛行場をつくる。そうすれば三多摩に用事のある人があそこを非常に利用するとか、東京都内に乗り入れるということになると利用客は非常に多いと私は思います。羽田に持ってくると、どうも大と小が競合するというようなことで安全面で非常に心配があると思いますけれども、中小飛行場の整備ということは考えてもいいのではないでしょうか。
  76. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先生のおっしゃることはよくわかるわけでございます。東京、大阪地域はやはりコミューター航空としてもかなりの需要の発生源であろうというふうに思っております。  調布は現在いろいろ問題もあるわけでございますけれども、現在も既に新島からコミューター航空機が調布に乗り入れをしておるということで、コミューター航空に一部使われておるという事実はございます。大阪周辺におきましては、現在の大阪国際空港以外には八尾空港があるわけでございますが、八尾空港は現在、もちろんコミューター航空には使われておりません。そういうことで、周辺の飛行場の問題も含めまして、東京地域あるいは大阪地域におけるコミューター航空の受け入れの問題というのは非常に難しい問題ではございますけれども、同時にまた必要性も高いということも十分認識いたしておりまして、現在航空審議会の小委員会でその辺も含めていろいろと御議論を願っておるところでございまして、私どもとしてもそういう御議論を踏まえながら、できるだけその問題については適切に対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  77. 長田武士

    ○長田委員 成田とか羽田あるいは関西の空港が次々に整備されておるわけでありますけれども、当然夜間の発着も考えていかなくてはならない、そういう時代に入ろうかと考えております。そうなりますと、空港への交通手段も二十四時間営業という形になるわけですね。そうなりますと、世界の主要大都市並みに空港が整備され、どうしても二十四時間体制、こういう状況が生まれると思います。こうなってまいりますと、空港それ自体が大きな経済性といいますか、それが一つの基地になりまして経済の効率化、活性化という点はそこを中心として発達、発展する、そういう状況になるわけであります。したがいまして、空港整備財源も航空機燃料税や通行税といった旅客に依存するものだけではなくて、港湾整備のように一般財源の活用もこの際考えるべきだ、私はこのように考えておりますけれども、大臣いかがでしょうか。
  78. 石原慎太郎

    石原国務大臣 おっしゃるとおり、今まで受益者負担ということで特別会計を設けてやってきたわけでございますけれども、これからそれぞれの地域の経済にもたらす波及効果、空港のもたらす意味みたいなものを考えますと、おっしゃることまことに妥当だと思いますが、財政の現下の厳しい状況からしますと、空港整備の財源を一般財源に求めるというのは現実的には非常に困難だと思います。
  79. 長田武士

    ○長田委員 経済企画庁は、仮に運賃が二〇%低下し、空港整備も進んで運航回数が一〇%ふえれば、実質所得の増加効果もある、したがいまして、年間の乗客量というのは大体二〇%伸びまして一千万人が増加するであろうというふうに試算をしていますね。ですから私は、航空業界の効率化、活性化は今や我が国の経済にとって重要な大きな柱であろう、このように考えております。規則を緩和して競争を起こすことこそ私は期待するわけでありますけれども、さらにそういう問題についても運輸省は前向きにひとつ取り組んでいただきたい。この点はどうでしょうか。
  80. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 空港整備の財源の問題につきましては、非常に私どもとしても頭の痛い問題でございます。現在三大プロジェクトを推進しております関係上、かなり財源的にも厳しい状況にございまして、一部羽田の沖合展開事業事業費の限度に限りまして、先ほど申しましたように世代間の負担の公平という見地から借入金を導入するというふうな措置もとっておるわけでございますけれども、今後この三大プロジェクトが完成した後におきましては、かなりその点は状況が変わってくるとは思いますが、この三大プロジェクトがピークに達する時点における財源対策をどうしたらいいかということにつきましては、私どもとしてもこれから真剣に検討する必要があるだろうというふうに思っております。  ただ、やはり一般会計に多くを求めるというのは、現在のシーリング制度というふうな中でなかなか難しい点もございまして、基本的には受益者負担という考え方をベースに置きまして、これは基幹鉄道にいたしましてもあるいは高速道路にいたしましても基本的には受益者負担でございますので、そういうイコールフッティングというような観点も含めて基本的にはそういう受益者負担という考え方でいかざるを得ないと思いますが、いろいろ財源の工夫をしながら、何とか空港整備というものについて支障のないような形でこれを進めていきたいというふうに考えております。
  81. 長田武士

    ○長田委員 次は、航空問題に関連をいたしまして、成田空港並びに東京箱崎の東京シティエアーターミナルについてお伺いをいたします。  最近の円高を反映いたしまして、日本から海外に出国した邦人数は昭和六十一年には五百五十一万人余りだそうであります。さながら海外旅行が一つの流行となりまして隔世の感を深くいたしております。私も先日韓国の大統領の就任式に出席のために成田空港を利用いたしました。特に出国審査を行う窓口が大変混雑をしておるのですね。ある人に聞いたところ、あれでもまだあいておる方だというようなことを言われたわけでありまして、もっとピークのときには階段のところから航空会社のカウンター付近まで並ぶことも珍しくない、このように言われておりまして、大体出国時間が一時間を要するということが常識のようであります。日本から出国する邦人と外国人は、昭和六十一年には全体では七百五十六万人、そのうち成田空港を利用する人は四百五十五万人余りと言われておりまして、実に約六割の人が成田空港を利用しておるわけです。しかもその数は年々増加の傾向にありまして、私は事故でも起きたら大変だということを心配いたしております。  そこで、成田空港の二期工事について後ほどお伺いするといたしまして、こうした成田空港の現状とその対応についてどうお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  82. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しくは局長お答えいたしますが、私も成田を利用いたしますたびに思いますし、また外国の友人の鋭い指摘も受けるわけですけれども、世界で最も劣悪な空港といいましょうか、乗客が多いだけにまことに皆さんに御迷惑をかけているということは否めません。二期工事がちょっと問題があっていろいろ停滞しておりますけれども、できるだけ早くこれを完成することが乗客の利便だけではなく、飽和状態でございますから、航空旅行の安危にもかかわる問題にもなると心得ておりますので、手を尽くしてできるだけ早く完成したいと思っております。
  83. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 最近、円高によります日本人海外旅行の増大といったことを背景にいたしまして、国際航空需要というものが非常に伸びておるということでございまして、成田につきましても年末年始あるいは夏休みといったようなピークのときには非常に大きな混雑が出ております。  現在、成田の完全空港化に向けての工事を進めているところでございますが、その間にもさらに混雑が増大するということが予想されるものですから、従来からいろいろ手を打っておりまして、一つにはサテライト待合室の増設ということを既に実施をいたしました。これは主として通過客の問題でございます。それから、手荷物取り扱い施設の改良を全般的に行っております。それから駐車場の増設というものも行っております。それからさらに、ターミナルビルの地下の団体用待合室の整備、これは現在国鉄清算事業団に所属しております、もともと新幹線のためにつくりました地下駅があるわけでございますが、この部分を使いまして、ここに暫定的に団体用の待合室としてこれを使っているということで、諸般の整備を現在検討している段階でございます。そういうことによりまして何とか成田空港の完全空港化までの間適切に対応していきたいというふうに考えております。
  84. 長田武士

    ○長田委員 この問題については、根本的な解決は第二期工事が完了して利用できるという状況が望ましいわけであります。  そこで、この二期工事はいつごろできるのでしょうか。そして空港の一部として使用できるわけでありますけれども、完成した場合、どの程度の使用者数まで可能であるか。余り混雑という状況でなくてそれが解決できるかどうか、この点について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  85. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 成田空港の二期工事と申しますか、完全空港化の事業は一昨年の十一月から開始をいたしておりますけれども、これにつきましては昭和六十五年度概成ということを目標にいたしまして現在一生懸命工事を進めておるという段階でございます。  それから、この完全空港化が達成しました段階での処理能力でございますけれども、発着回数は、現在約十一万回程度というふうに申し上げておりますが、その約倍の二十二万回でございます。それから取り扱い旅客数、これは現在約千三百万人程度ということでございますが、これが完全空港化の暁には約三千三百万人の旅客の取り扱いが可能であるということでございます。
  86. 長田武士

    ○長田委員 私、箱崎の東京シティエアーターミナル、いわゆるTCATに見学に参りました。さぞ混雑しているだろうと私思いましたけれども、非常に閑散としているのですね。聞くところによりますと、昭和四十四年の営業開始当初は手荷物から解放される、こういう利点がある、搭乗手続が済ませられるというようなことで利用客が非常に多かったようであります。ところが、旅行代理店の扱いで団体客などが直接成田空港に集合するようになりましてこのターミナルの客が激減しておる、それが現状であるというように伺いました。  ターミナルを見学中の私は大変便利なシステムが利用できることに気がつきました。それはこのターミナルで出国審査を受けられるという点であります。実は四年前からこのシステムはもう実施されておりまして、パスポートとかビザ、それから航空券、申請書を提出して審査をしてもらいますとこの赤いカードを渡してくれるのですね。あとは成田空港にこのカードを持ってまいりまして決められた窓口提出をする。このように非常に便利なシステムがあるにもかかわらず、その利用実態というのは、昭和五十九年から六十一年のこの三カ年間に成田空港利用者全体の六%から大体七%という低調ぶりだそうであります。私は、もっとこのシステムを利用することによって成田空港の混雑が緩和できるのではないか、このように考えております。  そこで、運輸省はこうしたTCATの実態についてどのように認識されておるのか、また今後この活用についてはどのように考えていらっしゃるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  87. 中村徹

    中村(徹)政府委員 最近、海外旅行者が非常にふえてまいりまして、成田空港での出国手続等が非常に混雑しておるというのは御指摘のとおりだと思います。一方、箱崎のシティエアーターミナルの状況につきましては、実際の利用者の立場から申しまして、最近バスが都心まで実際には運行しておりまして、都心のターミナルと直結した形で成田への運行が行われているというようなことがございまして、利用者は箱崎に一回参りませんで、直接都心、新宿なら新宿から成田へバスで直行するというような制度が最近できてまいりましてから、やはり利用者が減ってまいったということが実態としてあると思います。  ただ、先ほど申しましたように、成田における出国手続の混雑を緩和するということは旅行業者にとりましても大変重要な問題だと思いますし、本日有益なサゼスチョンをちょうだいいたしましたわけでございますので、箱崎の活用という問題を含めまして、旅行業者にこういう出国手続の緩和対策についてさらに研究するよう指導してまいりたいと思っております。
  88. 長田武士

    ○長田委員 きょう法務省からもお越しをいただいております。出国審査業務が法務省の所管となっていることは御承知のとおりであります。先ほどは箱崎のシティエアーターミナルにつきまして伺ったわけでありますけれども、成田空港の出国審査官がTCATに常駐いたしまして出国審査が受けられること自体、運輸省の方も知らない人も結構いるのですね。そういう制度があるということについて知らない方もいらっしゃる。ですから、一般の方が知らないというのは私は当然だろうというふうに考えております。このように便利な制度があるわけでありますから、もっと多くの旅行者に利用していただければ少しでも成田空港の混雑は避けられる、私はこのように考えているわけであります。  そこで、私から提案でありますけれども、この際成田空港の二期工事が完了するまでの間、TCATの出国審査官の増員とブースの増設を図れないものかどうか、一度ひとつ検討していただけませんか。また、これを契機に運輸省とこの問題について話し合いのテーブルをどうかひとつ設けていただいたらどうだろうか。この二点についてどうでしょうか。
  89. 大久保基

    ○大久保説明員 お尋ねの箱崎のシティエアーターミナルにおきましては、昭和五十六年七月以来成田空港の出国審査場の延長という形で東京入国管理局成田支局の職員七名を配置しております。現在、先生指摘のとおり大体六%から七%ぐらいの成田空港利用客が箱崎の出国審査場を利用いたしまして出国しております。出入国者の増加に伴いまして成田空港における出入国審査業務が非常に増大していることは先生指摘のとおりでございまして、これまでも入国審査官の増員ということで鋭意努力してまいっております。成田空港関係審査業務につきましては、箱崎のシティエアーターミナルにかかわる業務、先生指摘のカウンター数、現在は二つございます。それから人員は先ほど申しました七名配置されております。こういうものを含めまして今後とも適正かつ円滑な処理のために努力をしてまいりたいと考えております。
  90. 長田武士

    ○長田委員 テーブルに着くというのはどうですか。運輸省と法務省と話し合ってみたらどうでしょうか。
  91. 大久保基

    ○大久保説明員 失礼しました。今、先生指摘の点につきましては、今後とも箱崎における利用客の動向等を踏まえまして運輸省当局とも御相談して、検討させていただきたいと思います。
  92. 長田武士

    ○長田委員 昨年運輸省が策定をいたしました海外旅行倍増計画によりますと、海外旅行者の比率を現在の日本の総人口の四%ないし五%から昭和六十七年までに大体八%から一〇%まで引き上げたい、このような計画が出ております。ところが、諸外国では既にオーストラリアが一〇%、それからイギリス、フランスでは三〇%から四〇%にまで達しておるのが実情であります。休暇の問題とか生活習慣の違いなど、こういう問題もございまして簡単に比較できないだろう、私はこのように考えておりますが、こうした海外の実態を知りまして、なお国内の海外ブームを見るにつけまして、成田空港のあの混雑が少しでも解消できないうちは運輸省の倍増計画はまさに絵にかいたもちだろう、こう言わざるを得ないと思います。  そこで、TCATの活用促進につきましては運輸省といたしましても本腰を入れて検討しなければいけないのじゃないか。確かに我々が箱崎を使って、そしてまた成田まで行くというのも何となく二重の手間のように考えがちなんですね。ほとんどの手続がそこで済んでしまう、カードをもらってそのままストレートで入れるということが利用客の皆さんによく理解していただければもっとふえるだろう、そういうPRの面も不足しておりますし、先ほど法務省の方が言っておりましたが、窓口も少ない、そして審査官も非常に少ない、こういう問題もあわせまして、ぜひこの点はもっともっと利用すべきである、そういう時期に来ておる。さらに旅行代理店等にTCATの活用をぜひひとつ運輸省から促進をしていただいて、そして成田の混雑緩和という点で一役買ってもらう、この二点についてはいかがでしょうか。
  93. 中村徹

    中村(徹)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもとして、TCATを活用するということも含めまして、特に団体旅行における成田の出国手続の緩和のために、旅行業者に十分これを研究するよう指導してまいりたい、かように考えております。
  94. 長田武士

    ○長田委員 次に、運輸省の官公需、特に中小企業向けの発注についてお尋ねをいたします。  ここ最近、景況は上昇傾向を示しておるわけでありますが、長期化した不況はやっとトンネルから出口に差しかかったという状況でございます。しかし、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況に置かれております。こうした中にありまして中小企業庁も、毎年中小企業向けの発注の増大を各省等に懸命にお願いしておると伺っておりますけれども、一向に改善されていないというのが実態でございます。各省庁は、昭和四十一年六月に制定されました官公需法に基づきまして一斉に中小企業に発注の門戸を開いたことは大臣もよく御存じのとおりであります。その後、昭和五十年と五十一年の二回にわたりまして、当時の三木総理からは、官公需の中小企業向けの発注率は五〇%を努力目標に進めたい、このように答弁をいただきました。政府といたしましても指標を示しまして、これを期してさらに各省とも努力されてきたわけであります。これは大臣御存じのとおり、毎年閣議で決定するわけです。来年度は何%中小向けに発注しよう、こうやって決めておるわけです。  ところが、私の調査によりますと、昭和六十一年度における各省庁別の中小向けの官公需の割合では、六八・六%の労働省がトップでございまして、運輸省は十八省庁中十七番目の三二%であることが判明をいたしました。特に公共事業施行官庁では御三家と呼ばれております運輸、建設、農水の中では、農水は七番目、それから建設省は十一番目、この二省は結構健闘しているのです。運輸省だけがいわゆるブービーでございまして、最下位一歩手前という状況であります。大臣の地元も大変中小企業が多いようでありますから、中小企業に力を入れていらっしゃると思いますけれども、この点もうちょっと改善する要があるのじゃないでしょうか。
  95. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その資料、データ、初めてお聞きしましたが、おっしゃるとおりこれは十分改良すべく努力しなくてはならないと思います。
  96. 長田武士

    ○長田委員 これはそちらからいただいた資料ですから、またよくごらんをいただければ大変ありがたいと思います。  私も長らく商工委員を務めた経験がございまして、中小企業問題については国会でもいろいろ主張してまいりました。そして常々、なぜ中小企業向けの発注がふえないのか、いろいろな角度から研究もしてまいりました。運輸省の場合も例外ではないのです。と申しますのは、その根拠は、昭和六十年と六十一年の運輸省予算における実績を比較してまいりますと、総体的に、中小企業向け発注の実績が、金額的にも伸び率においてもともに減少傾向を顕著に示しておるのが見受けられるわけです。特に金額的に申し上げますと、港湾整備特会、空港整備特会の二つが中小企業向け発注の増大を阻害しているように思えてなりません。この点について運輸省の御見解をお尋ねをいたします。
  97. 奥山文雄

    ○奥山(文)政府委員 御指摘の港湾及び空港の土木工事につきましての件でございますが、一般的に言いまして、工事のうち国の直轄施行分というのは、その規模とか技術力の内容につきまして大変高度なものが多いということは一つ言えるのではないかと思います。  港湾につきましては海上、海中の工事という現場の特性に加えまして、自然的条件などから、気象、海象条件による影響というものを大きく受けるというようなことがございますし、施工上の技術の問題であるとか施工機材などの装備力というようなこと、あるいは施工管理につきましても、高度な総合的な技術力が必要とされるというようなことがございますし、空港につきましても、航空機の運航もしながら空港を閉鎖せずに工事を行わなければならないということに関しまして、安全性確保というようなことから、空港工事につきましても十分な理解と経験というものが必要だというようなことがあるわけでございます。こういった工事の特殊性というものが、結果的には御指摘の他事業に比べまして小さくなっているというふうに考えているところでございます。
  98. 長田武士

    ○長田委員 御答弁のように、設備の面あるいは技術の面においては中小企業は多少劣る、不安な面があるように私も思います。しかし、少なくとも同じランクの業者につきましては、極力中小企業に仕事を発注する、そしていわゆるJV方式をとるなど、温かい配慮の積み重ねが私は当然必要ではないかと考えているわけです。そうすればこういう中小企業に仕事を与える機会というのはもっともっとふえるであろう、私はこのように考えるのです。この事項につきましては、大臣御存じのとおり六十二年七月の閣議でも了解されまして、中小企業者に関する国等の契約の方針の中にも盛り込まれております。そういうことを踏まえまして、もう一度大臣の率直なる前向きの御答弁を願います。
  99. 石原慎太郎

    石原国務大臣 今、局長が御答弁しましたように、技術的な問題がございますとこれはやはり最後は安危にかかわる問題になってまいりますから、そういうハンディキャップを中小企業が負わざるを得ないということも理解できますが、結果としてJV方式であろうと、それを含めまして運輸省が管轄する公共事業の中で中小企業のシェアができるだけふえるように努力をしたいと思います。
  100. 長田武士

    ○長田委員 官公需発注の多い建設省なんか、技術的にもすぐれている大手にどうしても仕事が偏りがちなんです。そういうことを改めようというようなことで、中小企業に発注できる状況というのがあるかどうか、そういうことを検討する検討委員会、諮問委員会を省内につくっているそうであります。それで学識経験者等も踏まえまして、公共事業の共同受注のあり方を建設省内でいろいろ検討しておる。この問題について、各省庁とも大変苦労されていらっしゃる。そういうことは私は多とします。  そこで運輸省といたしましても、こうした中にありまして何らかの新しい試み、大臣、十八省庁中十七番目というのはちょっとうまくありませんので、そういう点で何か新しい試み、例えば学識経験者等踏まえまして検討委員会を設置するなどの措置を講じたらいかがでしょうか。この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  101. 奥山文雄

    ○奥山(文)政府委員 工事の発注に当たりまして、中小業界の受注機会の確保ということにつきましては、適当な工種をどうするかというような問題だとか、あるいは工事の規模を可能な限り分割することはどうだとか、あるいは先生指摘のようないわゆるJV方式というものがどういう効果があるかというようなことにつきまして種々配慮しながら施行しているのでございますが、今お話がありましたような、昨年八月の中央建設業審議会におきます答申の趣旨に沿いまして、発注ができるだけ中小業界にわたるようにするにはさらにどういう点が必要かというようなことにつきまして、私どもの発注機関でございます地方の港湾建設局を中心にいたしまして現在検討委員会を設けて、検討している段階でございます。可及的速やかに結論を得たいということで努力中でございますので、この結論を得てしかるべき措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  102. 長田武士

    ○長田委員 次に、大臣も積極的な姿勢を示されていらっしゃいますところの磁気浮上式鉄道、いわゆるリニアモーターカーについて若干お尋ねをいたします。  まず、リニアモーターカーについてこれまで研究開発の経過並びに技術的に見てどこまで実用化が可能であるかどうか、この点についてお示しをいただきたいと思います。
  103. 石原慎太郎

    石原国務大臣 JR、国鉄が主導したいわゆる超電導高速のマグレブ方式と、もう一つ、日本航空がやっておりましたHSSTという二つの種類がございまして、これは常電導で中速というのでしょうか、こちらの方はもうあらかたその限りでの開発研究を終えまして、速度が二百数十キロでしょうか、そこまででしたら実用に供され得るというところまで来ております。  それからマグレブの方は高速でございますが、たびたび申しているように、平たんで比較的勾配の少ない、あるいはトンネルを要さない直線という形になれば、これも高速で一応のところまでほとんど来ておりまして、また海外からも引き合いがあるようでございます。  ただマグレブの方は、高速ということになりますと長い距離の運行というものも想定されますし、この場合日本のような地形ではトンネルを掘らざるを得ない。そのときに五百キロという超高速で通過する列車が主にどういう障害を与えるか、また自分自身、風圧でどういう危険を冒すかということの実験がまだ足りませんので、これは少し長い軌道を敷いて、これから数年間そうした種類の実験をしなければならぬと思っております。ただ、平たんに近い、直線に近い地形では、マグレブの方も高速でもはや実用に供し得るところまで来ていると思います。現に開発研究当事者もそういうふうなコメントをこの間も公式の席でしておりました。
  104. 長田武士

    ○長田委員 大臣はフランスの新幹線や西ドイツで開発中のリニアモーターカー、トランスラピッドの視察を終えられまして、ことし一月二十一日の記者会見では、国内のリニアモーターカーの実用実験について次のように述べていらっしゃいます。  すなわち、建設のための調査が終了する二年後に札幌—千歳間と東京—甲府間の実験線建設を同時に着工したい、このように言明されております。また、日本の技術は西ドイツにおくれをとっていないとした上で、直線でのピストン輸送なら実用化できる段階に来ている、それを実証する実用実験線を年間一千万人の利用客が見込める札幌ー千歳間に建設をしたい、また、トンネルや列車のすれ違いのときの風圧の実験が当然必要である、この実験線は非常に山が多い東京と甲府、このところに建設をしたい、そうすれば日本のリニア技術は完全なものとなると述べていらっしゃるわけです。そこで、この発言についてこのとおりと受けとめていいかどうか、再度大臣にお尋ねします。
  105. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いささか言葉が足りません。特に宮崎県には御迷惑をかけました。それから範疇の混乱がございまして、私が千歳—札幌を例に挙げましたのは、実験路線というよりも、ここまで開発された日本の技術を国際商品化するための一種のショールームとして別途の意味で申し上げました。ですから、地元も非常に熱意がおありのようで、お金をみずから出資される、あるいは起債を試みられる。これは北海道プロパーでできる仕事でないかと思います。  ただ、トンネルを含みましたすれ違いの実験等は、宮崎なりあるいは山梨県で——国府津あたりに新幹線の実験線を設けて実験した後、それを東海道新幹線に組み込んだ形で今も運行しているわけでありますけれども、そういう形で立地を構えて実験すべきであるというつもりで申しました。  決して宮崎を欠落させたわけでもございませんし、糟糠の妻を堂より下すべからずということも心得ております。ただ、どちらがこれからの実験に都合がいいかということはこれから二年かかって、一億八千万円調査費もつけましたのでそこで検討するつもりでおります。
  106. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参りましたので最後の質問といたします。  今東京都では東京湾岸構想プロジェクトの一環としまして、現在都心から環状でつなぐ全国初の環状地下鉄、これは地下鉄十二号線であります。これについて昭和六十六年度の建設着工を決めておるわけであります。この地下鉄十二号線は非常に曲線が多いのですね。そういう地下鉄になるために、急カーブとか急傾斜に強い磁気浮上式の鉄道の導入が本格的に東京都では検討されておるわけであります。地下鉄十二号線は、従来の都営地下鉄のトンネルよりも約二・二メートル小さくなりまして四メートルであります。それで一般の地下鉄よりも小さくて四〇%ですね。したがいまして、建設費がかなり安くなると期待されておるわけであります。  そこで、地下鉄十二号線にリニアモーターカーを導入することにつきまして大臣はどのような御見解を持っていらっしゃるか、お尋ねをいたしまして、終わりたいと思います。
  107. 熊代健

    熊代政府委員 先生指摘のように、先ほど来議論になっておりましたのは、浮上式ではなくていわば在来的なものにモーターとしてリニアを使うということで、運輸省といたしましても三年前から地下鉄協会と協力しまして、御承知かと思いますが、大阪南港に実験線を設けまして研究をしてまいりました。  それで、先生指摘のように、急勾配あるいは急カーブ、騒音といったような面ですぐれた特性があるということで、東京都の方としましては、十二号線の光が丘ー練馬間についてトンネルそのものは小さいトンネルで既にやっております。その車両をリニアにするか在来モーターにするかということで、大阪南港の方の実験がかなり成果を上げておりますので、東京都としてはできればリニア方式を採用したいということで検討を進めておることは我々も承知しております。したがいまして、まだ多少問題がなきにしもあらずという点もございますが、我々としても、先生指摘のような車両の背が低くてスペースがとりやすいという面もございますので、できればそちらの方向の推進を図ってまいりたいと思いますが、まだ東京都において実車、割合大きい車両をつくって独自の検討をするというふうに聞いておりますので、その結果等を見たいというのが現状でございます。
  108. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。
  109. 関谷勝嗣

    関谷委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ────◇─────     午後四時開議
  110. 関谷勝嗣

    関谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。河村勝君。
  111. 河村勝

    ○河村委員 運輸大臣所信表明演説の中で外航海運の不況についてあなたも触れておられます。その中で、世界的な船腹過剰、それから最近の大幅な円高等による深刻な外航海運不況に対処するために、これまで、我が国商船隊の近代化や緊急雇用対策等をやってきたというふうに言っておられます。  しかし、これはどうも通り一遍のあいさつであって、本当に今の外航海運不況の深刻さを認識しておられるのかどうか。これは事務当局の作文をそのままお読みになったのでしょうから意は足りないかもしれないけれども、現実海運不況の中で、企業ももちろん大変な状態であるけれども、そればかりでなくて、現在日本の本来の商船隊、日本人が乗る日本の商船隊そのものが毎年毎年激減を続けてとどまるところを知らない。このままでいったら世界に冠たる技術を持つ日本の商船隊がなくなってしまうのじゃないかというような状態にあるのですけれども、一体このままでいいのか。そういうことについてあなたはどの程度の認識をお持ちになって、これからどうしようと考えておられるか、それをまず伺いたいと思う。
  112. 石原慎太郎

    石原国務大臣 所信表明はできるだけ簡潔を図りましたので言い足りない部分もあったと思いますけれども、実は私の父親も汽船屋でございまして、それからまた、私の大学の同窓生でも中堅幹部以上になっている仲間もたくさんおりまして、そういう父のかつての知識、あるいはかつての同級生、同窓生なんかから現況の海運の話なんかをよく聞かされます。それは決して経営者側だけでなしに、彼らも船員の問題については非常に深刻な憂慮をしております。  私も決して他人事でなく、何といっても海運というのは国家民族のバイタルな手段でございまして、日本人の船員の賃金が外国に比べて非常に高くなるということは結構なことでありますけれども、それが余り格差ができることで、そういう点をもってなかなか太刀打ちができないという現況は日本人にとって非常に不安なものでありますし、よく食糧安保などという論がありますけれども、そういう国家民族にとって致命的な手段というものをすべて外国人に任せて安心できるものでも決してございません。そういう点で私は、日本人の船員雇用の問題、単に船員の皆さん御自身にとってだけではなくて、国家にとって非常に深刻な重要な意味を持つ問題だと心得ております。
  113. 河村勝

    ○河村委員 この十年来の外航船員の数をずっと見ていきますと、昭和五十年に五万五千人、これが昭和六十年には二万五千人になっていますね。その後さらに減り続けてきて、六十二年に入ってから、昨年に入ってから既に二万を切って一万人台になってきている。この私が言った数はおおむね正しいと思うけれども、それを見て、運輸省としてこれはどこまで減っていくという見通しを持ってなぜ抜本的な対策を考えることをしないのか。一体どんどん減っていくこの見通しをどう考えているのか、まずそれを伺いたいと思います。
  114. 野尻豊

    ○野尻政府委員 今、先生がおっしゃいましたように、この十年来ずっと船員の数は減っております。それから、現在外航海運業界におきましては緊急雇用対策ということで雇用調整を続けております。昨年の四月現在一万八千人を割りました船員数が、来年の四月には恐らく七、八千人減って一万人台になるだろう、こういうことで私も危機感を感じております。外航船員の職場をできる限り確保するということで各般の努力を重ね、また政策を展開しているところでありますけれども、今、先生が御質問になられました、今後運輸省として外航船員見通しいかんということに関しましては、現在のところ、余りにも業界が不透明でありますので確たる御返事はできかねるというところでございます。
  115. 河村勝

    ○河村委員 雇用調整というのは要するに人減らしを続けていくということですから、現在なお進行中です。このままほうっておくとどこまで減っていくかわからない。一体それでいいのかというところまで来ていると私は思うのです。円高という大きな波が日本に特に大きいということは事実であります。しかし、船員のコストが開発途上国の船員に比べて数倍に上っているという状態は、これは日本だけではなくて先進国すべてが似たような条件に直面をして、これじゃいかぬということでそれぞれが相当思い切った対策に取り組みつつある。  日本の場合は、それは近代化船の建造、それから一方では解雇された後の後始末についてのいろいろな手当て、こういうものはやっているけれども、本当に日本人の乗る日本商船隊をどれだけ維持しなければならぬかという、そういう目標も何もなしに、今の答弁でも、ただ減っていくので大変危機感を感じておるというだけであって、どこにめどを置くかというのは何もないんですね。そこに今の一番の問題があると私は思う。  現実に外国ではいろいろなことをやっております。例えばアメリカなどは、ほかの問題では日本のいろいろな補助金行政にやかましいことを言っているにもかかわらず、運航助成金というものを出しているんですね。これは開発途上国の船員費とアメリカ人の船員費とのコスト差を補助金でカバーして競争力をつけるというところまでやっているというふうに聞いています。これは運輸省は確認していますか。
  116. 中村徹

    中村(徹)政府委員 船員費の運航助成をアメリカが行っているというのは事実でございます。もちろん受けている会社と受けてない会社とあるわけでございますけれども、アメリカの船員を確保するという観点からそのような助成策を講じていることは確かでございます。しかし、今後にわたって新しい形で助成が引き続き続くのかどうか、その辺のところは若干はっきりいたしていないところがございます。
  117. 河村勝

    ○河村委員 これからのことは別にして、とにかく開発途上国の船員との格差があることを認めた上で、アメリカの商船隊の国際競争力を持たせなければアメリカ商船隊が維持できない、それはアメリカ自身の安全保障にかかわるというところからそういう思い切った運航補助金まで出している。補助金行政がいい悪いという議論はあるけれども、この種の問題についてはそこまでの手を打っている。これは事実なんですよね。  それから、ヨーロッパにおいて今各国でいろいろ苦労しています。今、日本の場合もそうですが、日本人の船員はどんどん減っているけれども日本商船隊そのものはほとんど減ってないのですよ。だから、日本の船員は減っているけれども、便宜置籍船を含めた外国船の用船でカバーして商船隊は維持しているのですね。そのかわり日本船は減って、いわゆる便宜置籍船がどんどんふえている。ヨーロッパも同じでありまして、それでヨーロッパでは、便宜置籍船がどんどんふえて固有の商船隊が減っていくということに対する防衛策としてオフショアレジストリー、イギリスやフランスは植民地の島、イギリスはマン島、フランスはケルゲレン島というような小さな植民地の島に籍を置かせて、そこで人員構成、船員の乗り組み基準や税制上のコスト減につながるようないろいろな手当てをしている。それで便宜置籍船化していくことを防いで、全部がその国の船員が乗るんじゃないけれども、とにかくその国の固有の船に、ある部分は外国人を乗せてもその国の船員を乗せた船を確保しようということでやっておるわけですよね。このオフショアレジストリーというのは運輸省でもかなり日常研究しておられると思うが、大臣は御存じですか。
  118. 石原慎太郎

    石原国務大臣 よく存じております。
  119. 河村勝

    ○河村委員 それでどういうふうにお考えですか。
  120. 石原慎太郎

    石原国務大臣 前段のアメリカの補助金というのは、アメリカの世界全体に対する戦略的な姿勢というものもありまして、一たん緩急のときに補助金を出している商船隊なるものをアメリカの戦略の遂行に組み込んでいこう、そういう構想もあってのことと承知しておりますし、また、オフショアレジストリーも一つの苦肉の策だと思いますが、日本の場合にはそういう特殊なテリトリーが格好な形でございませんし、それをまねするわけにもいかないとも思います。  ただ、いずれにしろ委員の御指摘のように、ミニマムの商船隊というものを日本がどの程度確保するのか、それに対する混乗を許すにしても船員の数を最低限どこまで確保するかということはやはり決めてかからないと、難しい問題ではありますけれども、いたずらに時が費やされて、気がついてみたらすべて外国人の手になったということになりかねない。これは食糧の自給率みたいな問題とやや似ていて、まさに船員も、やはり日本の商船隊を最低限の日本の船員が、つまり国家として自給する、運航することが最低必要条件だと私は思います。
  121. 河村勝

    ○河村委員 そういう認識をお持ちであることは大変期待をしたいと私は思うのです。だけれども、これはただそう思うというだけで前に進まなきゃ何にもならないのですね。  今オフショアレジストリーの場合に日本は適当な植民地を持たないというお話だったけれども、ノルウェーなんか植民地でなしにベルゲン、同じオスロの北の方、あそこを特殊な地域にしてそこに登録した場合いろいろな規制緩和をやって、それで便宜置籍船に逃げたもの、それをもう一遍リフラッギングを促進しようということでありまして、国情によって違うから、すぐにそれをまねしろという意味じゃもちろんないけれども、そこまでそれぞれの国で苦労しているわけですね。  日本は世界じゅうで最大の海洋国家ですし、商船隊も今まで持っていたんですね。現実に今、日本の場合は遠征軍を輸送するという意味での安全保障を考えることはないかもしれないけれども、さっきあなたがおっしゃったような経済的な安全保障、それをもうちょっと広く考える。  今爆撃下のペルシャ湾で日本の商船隊が活動していますが、常時活動しているのは八十五隻ですよ。その場にそのときにいるのは十隻くらいですけれども。その中には便宜置籍船もあるんです、外国用船も。つい二、三日前パナマ船籍の便宜置籍船が爆撃をされて、日本人船員が不幸にして一人亡くなりましたね。だから、便宜置籍船も一部使っているけれども、それでもああいうところで行動するのは、やはり日本人船員を乗せなければやっていけないから便宜置籍船でも日本人船員を乗せているわけですね。それ以外は日本船ですよ。外航海運というのはああいうところで油を確保するために危険を冒しても活動しなければならぬ、そういう性格を持っているんですね。  ですから、広い意味で言えば、経済的という以上の安全保障は一定部分確保しなければならぬ。いろいろな手当てをしようと思っても運輸省だけの枠の中で考えていたんではなかなか手当てをし切れない性格の対策が必要になってくるんだと思うのですね。ですから、この辺でやはりナショナルミニマムをどの辺に押さえるか、どのくらいに見るかということを決定をして、それを運輸省だけの政策ではなくて一つの国策として位置づけて、そのためには一体日本商船隊の競争力を維持するのにはどういう手当てをしたら競争力が維持できるであろう、そこに集中して国として対策を決めていかなきや問題は解決しないと私は思うのですよ。  だから、ナショナルミニマムというものをぜひともことしじゅうにも決めて、それを出発点にして、それでどうやったらいいかということをそれからつくっていくということであるべきだと思うのですけれども、いかがですか。
  122. 石原慎太郎

    石原国務大臣 現況の事の推移を眺めますと、私は、いかにも委員が御指摘のように、ナショナルミニマムを一応我々がめどをつけて事に取り組む必要があるような気がいたします。ただ、これは運輸省の行政の枠を超えました一種の国家の大計でありますから、各省間またいでということで政府そのものがこの問題に腰を据えてやらなければならないと思います。  それからまた、ナショナルミニマムをつくるということ、想定するということ、言うには易しいけれども非常に難しい問題だと思いますが、私は、事の推移を眺めていて、ずるずるずるずる船員の数が減り、日本の海運が外国人の手にゆだねられるという現況を見ますと、やはりそういう歯どめというものを考えるためにもそういう発想が必要ではないかと思います。
  123. 河村勝

    ○河村委員 そうしたものの一環になることについて、一、二伺いますが、今近代化船について計画造船を毎年やっておりますね。これも乗り組み定数の少ない、現在ではパイオニアシップと称せられる、十一人でやっていこうというような近代化船をつくるべくやっているわけですが、六十二年度は、予算は融資の目標を七百億円組んでいるんですね。どうも一隻ぐらいしかできていないと思うのですが、いかがですか。
  124. 中村徹

    中村(徹)政府委員 昭和六十二年度におきます計画造船の実績は、日本郵船のコンテナ船一隻、約五万総トンでございますが、新規建造船としてはそれだけでございます。もちろんそのほかに前年度からの継続費等がございますので、トータルで約二百二十億円を使うという予定にいたしております。
  125. 河村勝

    ○河村委員 一隻しか建造できないという理由はどこにありますか。
  126. 中村徹

    中村(徹)政府委員 私どもで考えますところでは、やはり長期にわたる海運不況等によりまして、船社の新船建造意欲が低下しているというのが最も大きな理由だと思いますが、さらに、日本人船員が乗り組む日本籍船を建造するという建前でございますので、国際競争力が非常に落ちてきているというか、円高によりまして船員コストの格差の拡大ということをもたらしておりますので、これによって、国際競争力のある船をつくらなければいけないという観点から、計画造船を避けるというような傾向があらわれておるのは否定できないと思います。
  127. 河村勝

    ○河村委員 そこで、現実にこの二年くらいで賃金格差はさらに広がりましたから、だんだん近代化船をつくる魅力が低下してきたというのは事実でしょう。だけれども、それはそれとして、それをカバーするような手当てができないものだろうかということですね。  だから、そこに国家目標としてあるいは国策として日本商船隊を維持するという、そのことの決定が必要なところがあるので、現在融資条件にしましても、融資比率が平均して五〇%、それで金利が特利を適用しているけれども、それで五・二%ですね。だけれども、五・二%というのは、今市中でお金を借りたって五%ですから、特利でも何でもないのですよ、開銀から融資をしても。これをもったいらしく言ったって、借りて船つくろうなんてだれも考えませんよ。ですから、多少賃金格差が広がっても、融資条件やなんかに魅力のあるものがあれば、融資比率も高める、そういうようなことがあれば、やはり近代化船をつくろうと思えばできないことはない。これも運輸省だけ頑張ってできることじゃないけれども、それもやはり一つの条件になるだろうと思うけれども、どうお考えですか。
  128. 中村徹

    中村(徹)政府委員 ただいま御指摘の金利あるいは融資比率につきましては、現在既に開銀融資で認められております最優遇金利五・〇%でございまして、融資比率は六〇%でございますが、最優遇金利でございますので、これ以上の金利の引き下げということになりますと、開銀の資金調達コスト等から見ましてなかなか難しいというふうに考えております。
  129. 河村勝

    ○河村委員 普通の返事はそういうことだと思うのですよ。そこを打開しないことには物は進まないので、一つにはそうした近代化船をつくるための融資条件、それからもう一つは、やはり租税公課の面での手当て、オフショアレジストリーのノルウェー、イギリス等を見てみますと、いろいろなことをやっていますが、やはりそういう特殊なところに船を登録することによって船舶登録料、こういうものを安くする。日本の場合でいえば、そのほかにとん税その他がありますね。あるいは減価償却費の特例、こうした特別な例としてオフショアレジストリー的なそういうものをつくって、それで手当てをするということは、やはり一つの国策として位置づければできないことはないのですね。その点はどうお考えですか。
  130. 中村徹

    中村(徹)政府委員 税制上の優遇措置につきましては、現在の海運税制におきましてかなりの優遇をいたしておるわけでございますが、船舶の特別償却でございますとか登録免許税の課税の特例、それから固定資産税の課税の特例というようなことをやっております。特に固定資産税については、外国貿易船の場合には簿価の十二分の一というような形になっております。そういう優遇税制をいたしておるわけでございまして、今後ともその優遇税制を確保し、海運経営の安定に努力してまいりたいというふうに考えております。
  131. 河村勝

    ○河村委員 要は、私は大臣に期待するのは、あなたは今までのいきさつに余りとらわれないで考えることができるでしょうから、ぜひともさっき言いましたナショナルミニマムというものを設定して、それを一つの国策としてやってほしいということが私のお願いです。  そこで、当面の対策として、便宜置籍船がどんどんふえていくということをさきにお話ししました。これは船会社としては当然で、日本の船員をなるべく乗せないで安く運営しようというのが便宜置籍船の目的です。ですから、これは日本人を余り乗せないというのは当たり前かもしれないけれども、しかし、そこのところを少しでも打開して、当面、どんどん減っていくものを抑えられないかということなんです。どんどん減っていきますと、後の養成もききませんからね。だんだん船員の年齢は高くなって、後が続かなくなってしまいますからね。だから、本当に大きな国策としてやってもらう間のつなぎとして、便宜置籍船の中でもいわゆる仕組み船、日本の船社が事実上支配している便宜置籍船、これについて、二人とか三人とか、少なくとも最低限度の幹部職員は日本人船員を乗せるように行政指導でやれないか。名目上は外国船でありますけれども、事実上日本の船社が支配下に置いている船ですから、いろいろな角度から実際、法的にもつながりがあるのです、細かいことは省略をいたしますけれどもね。だから、運輸省もやる気になれば、一定の魅力ある条件をつくれば、できないことはないんだと思うのです。  例えば、今外国船へ乗るとき、船主に対して船員派遣助成金というのは月三万円出ていますね。それから船員に対しては就職奨励金として月三万円出ている。これは一般会計と船員保険との両方を使って出したものですけれども、これをもう少し高くしてやれば、それで一方で行政指導で半ば押しつけていくという形をとれば、そうすれば便宜置籍船に日本人船員の配乗をするということもそう難しいことではないと思うのですけれども、一体その点はどうお考えですか。
  132. 野尻豊

    ○野尻政府委員 便宜置籍船に対して日本人船員を配乗させるということについて、まず第一点の御質問は行政上の措置でできないか、こういうことでありますが、残念ながら、便宜置籍船は外国の法律に基づいて設立されておりますので、外国の法律まで我が方の行政権が及ばないという点から、歯がゆい感じではありますけれども、便宜置籍船に対して日本人船員雇用について行政指導する、あるいはさらに行政措置を講ずるということはなかなか至難のわざであると考えております。  ただ、先生がおっしゃられましたように、日本人船員の方に対してあるいは日本の企業に対して日本人船員が便宜置籍船に乗りやすくするような環境を整備するという意味で、例えば就職奨励金、これは従来十二万円でありましたのを六十三年度の政府予算案の中では十八万円と五割増の予算を考えておりますし、また企業の側に支給されます厚生省の船員保険特別会計からの船員派遣助成金も、六十一年度には限度額が月二万円でありましたのを三万円に引き上げるということで各般の施策を講じているわけでありまして、こういう点につきまして今後も十分配慮して政策を展開してまいりたいと考えております。
  133. 河村勝

    ○河村委員 奨励金その他の手当てはできるけれども、外国船だから口がきけないというのは形式論であって、外国船ではあるけれども実質的にそれを支配しているのは日本の船社なんだから、日本の船社に対しては行政指導どころじゃない、いろいろな角度で今までも行政的な指導ないしは広い言葉で言えば面倒を見てきている間柄だから話し合いでやれないことはないでしょう。それもできませんということじゃないはずだと思うのだけれども、どうなんですか。
  134. 野尻豊

    ○野尻政府委員 先生おっしゃるとおりであります。仮に外国船社に対してあるいは外国船社を支配している日本の企業に対して私どもが行政上の観点からどういう措置が講じられるかということを考えた場合に、日本人船員を何人雇えとかあるいはどういう資格で乗り組ませるとかいうのは、雇用関係に対して政府が介入するという問題が生じてくるわけでありまして、やはり労使間で十分この点について協議されることが望ましいと考えております。
  135. 河村勝

    ○河村委員 表向きはそれでも結構ですけれども、実際やろうと思えばできるはずで、それをできませんと言うのはどうもいわゆる官僚的答弁。官僚が答弁するのだから当たり前かもしれないけれども、運輸大臣、その辺のところがやはり政治であります。便宜置籍船は外国船だといったって、とにかく持っている会社も、パナマやリベリアに籍はあるけれども、日本の船社が半分以上資本を持っている会社ですよ。それを借り上げて事実上自分の商船隊として使っているのも、これは完全な日本船社でしょう。要するに脱法的に逃げているだけの船ですからね。それが外国法人だから手がつけられませんという法はないはずです。  僕は、やはりナショナルミニマムをつくって、根本的に日本商船隊をどうやって維持するかというもとができないことには本当のものはできませんけれども、現実にどんどん船員が減ってしまって、ひょっとすると六十三年度中には一万人ぐらいまで減ってしまうかもしれないのですね。そこまでいったら再起不能でしょう。ですから、大国策をつくる前のとりあえずの処置としてぜひとも運輸大臣にこれをやってほしい。いかがですか。
  136. 石原慎太郎

    石原国務大臣 しかと承っておきます。
  137. 河村勝

    ○河村委員 いきなり返事をしろというのは無理でしょう。しかし、十分な認識を持っていただいたと思いますので、この問題は本当にこの一両年が勝負ですから、運輸省の枠にとらわれないで、どうかぜひとも広い視点から取り上げてほしい、それをお願いしておきます。  きょうは、それと航空運賃のことを少し伺いたいと思っております。  さっき長田委員から国内航空運賃について質問があったときに、円高、原油安によるメリットは五十七年の運賃値上げ以降の費用増で全部消えてしまっているから値下げができないんだという説明でしたが、どうも納得がいかないのです。今油が経常費の中で占めるウエートは何%ですか。
  138. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 先生おっしゃいましたように、原油がここ最近単価が非常に安くなっております。それから、円高によるメリットによって相乗的に安くなっているということでウエートは随分変わってきているわけでございますけれども、六十一年度の日本の航空企業の費用構成の中に占める燃料費の比率は八・七%でございます。
  139. 河村勝

    ○河村委員 六十一年度というと幾らかな。それは二百四十円としてですか。八・七%が半分になると四%以上ですが……。
  140. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 六十一年度は平均いたしますと一ドル百六十円でございます。
  141. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、五十七年の運賃を決めたときは二百五十円ぐらいかな、もっとかな。——まあいいでしょう。それはよろしい。この数年間、卸売物価は下落または横ばいだ。だから他の費用がそんなにふえたという理由はない。人件費は若干上がったかもしれないけれども、そうすると、その分を全部人件費で食ってしまったということですか、差し引きもう円高メリットがなくなってしまったというのは。
  142. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 私ども、最近の円高、原油安という問題を考えます場合に、油の単価が急激に変動したあるいは為替が急激に変動したという要素を考えますと、五十九年度に対しまして六十一年度がどういう状況になっているかという比較をいたしております。五十九年度まではそれほど変動はなかったわけでございますが、それから急激な変動があったということでございます。  その関係から見てみますと、五十九年度から六十一年度の二年間に、ただいま先生質問の費用増でございますが、国際、国内全部合わせてでございますけれども、航空三社で費用増が、これは事実関係といたしまして二千億強ふえております。この中には人件費の増もございますが、その他輸送力増強の関係に伴います機材費あるいは整備費あるいは運航量の増というような要素も加えまして、トータルとしての費用増が二千億強ふえている、この二年間の決算の状況はそういうことでございます。
  143. 河村勝

    ○河村委員 運航量の増による経費の増というのは、それは収益がそれだけふえているのだから、それだけマイナスだということじゃないはずだから、当然それはふえるけれども、それ以上に稼いでいるわけだから、そんなものを、これだけ使いましたから円高メリットは消えましたというわけにはまいらない。そういうものを抜いたら一般の資材はむしろ値段は下がっているのだから、これはどうもおかしいね。
  144. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 それでは全体の状況を申し上げますと、ただいま申し上げましたように、五十九年度から六十一年度、この二年間の変動というものを比較いたしてみますと、まず一つは、円高等に伴ういわばメリット、収入増といいますか、あるいは経費節減、そういう要素がございます。これにつきましては、大きいのはやはり油代でございまして、これはこの二年間に千四百億強、これだけ燃料費がむしろ費用の節減をしているということが言えるわけでございます。そのほか、航空機材についての償却費その他の面での円高メリット、あるいは整備費、人件費、これは海外の人件費でございますが、そういうものについての円高メリット、そういうものを合計いたしますと、航空三社、国内、国際合わせまして二年間に二千百億円強、いわば円高等に伴うメリットを受けております。  一方、日本航空を主体といたしまして海外で収入を得ている、すなわち外貨による収入がございます。その外貨収入に伴う円高の差損でございますが、これがこの二年間で約一千億強でございます。したがいまして、この両者を相殺いたしますと、円高等に伴う収支への影響というのはこの二年間で一千億をちょっと超えた程度、その程度円高メリットあるいは油安によるメリットというものを受けているわけでございます。  一方、先ほど申しましたように、費用増が全体でこの二年間に二千億強ございました。そういたしますと、この二千億強のいわば費用増に対して、一つは先ほどの円高あるいは原油安によるメリット、これの約一千億というものをまず充てる、それでもなお一千億程度費用がふえているわけでございます。先ほど費用増の中には輸送力増強に伴うものというものを申し上げたわけでございますが、需要の増加がここ二年ほどかなり顕著に見られるところでございまして、そういう需要の増加に伴う収入増というのが八百億円強ございます。そういうことから、円高等に伴うメリット一千億、それから輸送の需要増に伴うメリット八百億、これでもってほぼ費用増を埋め合わせているということでございまして、その結果、五十九年度の航空三社の収支の状況は、三社合計で経常利益が三百四十億でございますが、それに対して六十一年度は三社合計で二百億という程度でございまして、経常利益はやや五十九年度より悪いというのが六十一年度の収支の分析の結果でございます。  もちろん、その間いろいろ合理化等の努力会社といたしてもしておるわけでございますけれども、こういう費用構成というもの、経費増というものが果たして絶対的に必要であるかどうかという点については、私どもとしても、合理化あるいは経費節減の努力というものをさらに一層航空企業には進めてもらわなければいけないというふうには思っておりますけれども、少なくとも五十九年度—六十一年度の短期間の状況で見ますと、ただいま申し上げたような費用分析になるわけでございます。
  145. 河村勝

    ○河村委員 それ以上聞いても結局わからないからもうやめにしますがね。しかし、運賃というのは上げるときだけ認可するのじゃなくて、たまには下げる認可があってもよさそうにも思うのだけれども、ひとつこの辺で一遍ぐらいやったらどうですか。運輸大臣いかがですか。
  146. 石原慎太郎

    石原国務大臣 今、林局長お答えした実情でございまして……。  ちなみに六十一年度の経常利益は、申し上げたように二百億そこそこでありましたが、利益率も一・四%と決して高い状態ではないのでして、そういうものをしんしゃくして現況の運賃が続いているわけでございますが、方向別格差などの調整も部分的にはしてまいりましたし、そのうちに通行税などが廃止されるときには、また国内運賃の総じての値下げも可能ではないかと思っております。
  147. 河村勝

    ○河村委員 私は国内運賃のことを本当は聞くつもりではなかったのですけれども、さっきの長田さんに対する答弁がちょっと気になったものですから、ちょっと深入りしたようなところがありますが、国際航空運賃について、収支については円高がマイナスにもプラスにも働くから、それだけで円高のメリットがあるとは思っていません。だけれども、油の安い分だけは安くなるわけですけれどもね。それ以上に、これだけ円高になっているのに、実際の国際運賃が方向別でいまだにかなりの格差があるのですね。これはもう少し機動的に直せないものかということなんです。  今、東京とロサンゼルス間で、円に換算すると日本発とロス発とでは一体どういうバランスになりますか。
  148. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 日本—ロサンゼルス間で申し上げますと、現在日本発のロサンゼルス行きの往復運賃でございますが、これが三十三万八百円でございます。それに対しまして片道運賃が十九万六百円ということになっております。一方、ロサンゼルス発東京行きの往復運賃が二千十二ドルということになっております。したがいまして、これを換算いたしますと、日本発の往復運賃に対してアメリカ発の往復運賃を比較いたしますと一ドル百六十四円、そういう事実上の換算率になっているというのが実態でございます。
  149. 河村勝

    ○河村委員 そこのところが納得がいかないのです。もう大体百三十円中心ぐらいのところで安定しつつあるときに、百六十円というのは随分前ですね。一体百六十円を使っているという理由はどこにあるのですか。  時間がなくなったからついでに伺っておきますが、IATAとの関係で、一体国際航空運賃はどうやって決まるのか。そこのところが難しいためにアップ・ツー・デートのレートにならないのだろうと思うのだけれども、その辺は一体どうなんですか。
  150. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 まず、現在の今申し上げました百六十四円と申しますのは、このように円高が進んでまいったものですから、この二年ほど逐次方向別格差是正をやってきているわけでございます。そのやり方として、私どもとしては、片道買いというものが行われなくても済むように、すなわち、片道買いをすると得になるということは少なくとも避けるということを目標にしてその運賃を是正してきているわけでございますが、現在の百六十四円と申しますのは、去年の七月の時点で実勢レートが百五十円程度だったものですから、したがいまして、日本発の往復運賃とアメリカ発の往復運賃の比較をいたしまして、それが百五十円程度になるように、そのような方向で設定をしたわけでございます。  その後またさらに円高が進んでまいったわけでございまして——失礼しました。今の百五十円と申しますのは、日本発の往復運賃から日本発の片道運賃を引いた額をアメリカ発の片道運賃に換算した額が百五十円。そうすれば、その百五十円に換算したものを帰りの運賃としてその運賃に足せば当面は片道買いをしなくても済む、こういうことでございますので、それを目標にして昨年の七月に是正をしたわけでございます。  その後為替レートが百三十円を割り込むという状況にまでなったわけでございまして、現在ロサンゼルスと東京の間は、結果的に片道買いをした方が約一万円弱得になるという状況になっておるわけでございます。これにつきましては、少なくともそういう現象というものは避ける方が妥当であろうということで、目下その是正措置を講じつつあるという段階でございます。すなわち、IATAの段階におきましてその辺のことを協議し、それを実施に移す方向で目下進めておるという段階でございます。  それから、国際航空運賃の仕組みでございます。これにつきましては、いわゆるIATAの場におきましてそれぞれの航空企業、両国の航空企業によりますところの技術的な検討、調整を行います。それを踏まえまして各企業から両国政府に運賃設定の申請があるわけであります。そしてそれを両政府が認可した後に実施されるということになっておりまして、これは現在、二国間の航空協定において、国際的に大体そういう仕組みのもとに運賃設定が行われているという段階でございます。
  151. 河村勝

    ○河村委員 今アメリカと相談して決める場合に一ドル百三十円で換算して決めようじゃないかということになれば、アメリカは別段損するわけじゃないからいつでも話し合いはまとまるのではないかと思いますが、そうではないのですか。
  152. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 まさに今、日本発の往復運賃のうちアメリカから日本に帰ってくる部分について、現在ロサンゼルスから東京が約千ドル、百三十円を掛けますと十三万、そういうものに行きの運賃を足したものを日本発の往復運賃にしようということでアメリカ側に、日本の航空企業がアメリカの航空企業に提案をし、おおむねその線で今進めておるという段階でございます。なるべく早くそういう結論を得られれば、なるべく早い段階で私どもとしてはそれを認可をしていくということで進めたいと思っております。
  153. 河村勝

    ○河村委員 時間が来たからやめます。まだ問題がありますけれども、後に問題を残したいと思います。きょうはこれで終わります。
  154. 関谷勝嗣

    関谷委員長 中路雅弘君。
  155. 中路雅弘

    ○中路委員 JRが発足してからこの四月でちょうど一年になるわけですが、先日の参議院の予算委員会で労政局長の答弁で、六十二年の不当労働行為の救済申し立て件数が五百七十八件、そのうちJRの各会社それから清算事業団の関係が三月八日現在で百七十一件と報告されています。三分の一がJRの関係という異常な状態にあるのですが、この不当労働行為の申し立て事件のトップで、先日、三月三日に東京都地方労働委員会で救済命令が出されたのは御存じだと思います。  国労の新宿車掌区の分会の申し立て事件について、国労の組合所属であることを理由とする降格処分、国労脱退工作は不当労働行為であると認定して、JR東日本に是正と謝罪文の掲示を求めた救済命令が出されております。国労や関係の職員の主張を全面的に認めた中身になっておりますけれども、JRは十一日に中央労働委員会に再審査の申し立てをしていますが、この中身を見ますと、JRが組織ぐるみで管理機構を使ってこうした不当労働行為を行っているということも言っているわけですね。JRの株式一〇〇%を国が有しているわけですし、株主として、また運輸省は行政官庁としてこの都労委の命令についてどういう感想、お考えを持っておられるか、まずお聞きしたいと思います。
  156. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいまの先生の御指摘の事案につきましては、三月三日に東京都地方労働委員会から救済命令が発せられたということは承知いたしております。それで今、先生のお話しのように、三月十一日にJR東日本は中央労働委員会に対して再審査の申し立てを行っております。今後中央労働委員会におきましてその内容についての審理が進められるということでございますので、私どもはその推移を見守りたいと考えております。
  157. 中路雅弘

    ○中路委員 私がお聞きしているのは、中労委に申し立てがあっていますからそこでまた審査されるわけですけれども、国鉄分割・民営化法案の審議の際も、所属組合によって差別はしない、あってはならないということは附帯決議もあり、繰り返し当時言明されたところです。また石原運輸大臣も、先日そういう答弁をされています。しかし、こういう救済命令が出たということについてやはり行政官庁として、もちろん中労委に提訴されていますけれども、今百七十一件もこうした申し立てがJR関係から出されている。そしてこのトップにこういう救済命令が出されたわけですから、どういうお考えか、一言感想的な意見もお聞きしたい。
  158. 石原慎太郎

    石原国務大臣 この特定の事案に関しましては、今総括審議官お答えしましたようにいわば控訴中でありますので、これについての発言は差し控えたいと思いますが、かつての国鉄は、国民から眺めればやや狂態に近い状況でございました。それが民営という形に踏み切りまして国民の高い評価を受けつつあるわけでありますが、そういう中で、人間のことでありますからいろいろ感情の問題もあるかと思いますけれども、やはりそういう恩讐を超えたところで合理的な経営をしてもらいたいと思っております。
  159. 中路雅弘

    ○中路委員 申し立てはそれぞれの委員会審査されるでしょうけれども、これほど異常な、全国の労働案件の中の三分の一以上も占めているという状態ですから、国会では繰り返しそういうことはあってはならないというかたい約束もしておられるわけですから、監督官庁としてどういう実態にあるのかということをもう一度調査をされてみる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  160. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、ただいま、個別の案件につきましての両者の言い分が異なってそれを労働委員会において審理中という段階でございます。そういう段階におきまして、私ども行政官庁がそれについて何かと調査をするなりなんなりするということにつきましては、この際は差し控えるべきかと考えております。
  161. 中路雅弘

    ○中路委員 じゃ具体的な問題でもう少し私お聞きしますけれども、前回の十二月八日の委員会で、JR東海のやはり国労組合員の出向の問題で、大阪地方裁判所が出向命令無効の仮処分を行いました。しかし、その当時実施されてないということで私質問しましたところ、丹羽審議官が、私が質問した当日もとの職に戻したという答弁をされていますが、事実は全くそうじゃないのですね。私、現地へその後行ってきました。八名の労働者は、私が行った二月、いまだに本来の業務に戻されてないばかりか、本来業務とは全く関係のない仕事、台車のブラシかけとかあるいは粉じん落としとか、そういう清掃の仕事へ回されている。二月十五日でしたか、その後の裁判の席で裁判長も本人を本来の仕事に戻すことを検討しなさいということを言っているのですね。国会の答弁であなたはもとの職に戻したということを答弁されているのですが、その事実が全くないということなんですが、いかがですか。
  162. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 JR東海のただいま先生指摘の事案につきましては、出向発令前の職場というのは大阪運転職場、大阪第一車両所、第二車両所、第三車両所、京都保線所、こういうところでございます。それで去年の御質問のときに、十二月の七日と八日、そのどちらかそれぞれ違いますけれども、七日または八日の段階でただいま私が申し上げましたもとの職場に会社側関係の方々を戻しているというふうに承り、そのように答弁いたしまして、現にそうなっているところでございます。
  163. 中路雅弘

    ○中路委員 裁判所はもとの職とかあるいは職場とか同じように使っていますけれども、あなたの答弁、議事録を見ても、もとの職に戻したとあるでしょう。もとの職というのは原職復帰ですよね、明確に。そうなってないということを私は事実で言っているのです。
  164. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 私の答弁は二カ所ございまして、今私、議事録を持っておりますのでそれを読ましていただきますが、その私の答弁の二回目のところで「私どもが東海会社からお伺いしたところでは、仮処分の決定がございましたので、会社のもとの職場についていただく、それまでの間とりあえず待機していただくということがあったそうでございます。」と答弁を申し上げております。
  165. 中路雅弘

    ○中路委員 それは全く詭弁なんで、もう一つそれと関連して、これも私はきょう電話で聞いてけしからぬと思ったのですが、この戻したという職員に——二月十日ごろJR東海が初めて制服を支給したが、制服も渡さないのですね。もとの職場へ、原職に戻してないだけではなくてJRの制服も渡さない、支給しない。これは全く嫌がらせというか差別というか、制服貸与もしていない。私が、この委員会、日にちが延びたわけですが、質問をするとこの前通告したのです。そうしたら制服を貸与した。この前もそうなんです。私が質問通告したらその日にもとの職場へ戻しましたという答弁が返ってきた。今度は制服も渡してないじゃないか、職場へ戻してない、そういうことを質問するよと言ったら、今度制服を渡しました。これは指導の監督官庁として全く無責任ですよ。私が質問で国会で取り上げなければこうした差別を是正できない。けしからぬことじゃないですか。
  166. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 ただいま会社はその職員の方々に制服を貸与しておりますが、それは三月十三日のダイヤ改正を機会に新制服を貸与したということで伺っておりますので、先生の御指摘のように嫌がらせとかそういうようなことではないと考えております。
  167. 中路雅弘

    ○中路委員 そうじゃないんです。私は二月の中旬に現場へ行ったのです。青柳とか沢野君とか、名前も聞いたんですが、そのときに既にJR東海の制服を渡しているんですよ。渡していて、上部の指示がなければあなた方は貸与名簿にもありませんと言われて、渡されないんだと私は直接訴えられたんです。答弁をそんなすりかえちゃだめですよ。それで、きょう私は電話で聞いたんですよ。もう一度質問するが、どうなっているんだ。この前質問通告ができた後ですよ。十三日から運転が変わるからとかそういうことじゃないのですよ。二月の十日過ぎに既にJRが初めて東海の制服をみんなに配っているのです。私は現場へ行って本人にも会っているんです。このことは、制服も渡されてないというのは大阪の裁判所の陳述書にも出ているのです。そんな詭弁を言ったってだめですよ。
  168. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 私どもが会社からお伺いしましたところでは、制服の数が社員一遍に渡らないので、それを順番に渡していくということになったということを聞いておりまして、三月の十三日のダイヤ改正を機に制服が貸与されているというふうに伺っております。
  169. 中路雅弘

    ○中路委員 裁判所に訴えた人間だけ衣服が足りなかったと言って後に回した、そういう会社の言うことをうのみにして国会で答弁するとはけしからぬですよ。あなたのそういう無責任な答弁というのは。この前も、もとの職場に戻したと言って全然戻してない。裁判長からも早く戻しなさいとその後で言われているんですよ。もう少し正確に実態を聞いて調査をして、国会でも言っているこうした組合による不当な差別は絶対にあってはならない、そういうことを監督官庁として厳格に指導するようにしなさいよ。制服が今度は足りなかったから。二人、裁判所に訴えている人間ですよ、制服も貸与しないということを。それが、制服が足りなかったから後で渡した。あなた、そんなことを国会で恥ずかしくて答弁できますか。その点はもっとしっかりと実態を調べて、こうした不当な差別について是正するように監督官庁としてやりなさいよ。もう一度私はそのことに抗議を含めて強く言いたいのです。
  170. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 不当労働行為の問題につきましては、私ども何遍も御答弁を申し上げているように、もちろんそういう問題があってはならないと思っておりますし、今回のいろいろ御指摘の事案につきましても、会社側の方は不当労働行為という事実があったということではないということを私どもに説明しております。
  171. 中路雅弘

    ○中路委員 裁判所もそういう判定を出していますし、都労委の場合でも救済命令も出している。こういうことが相次いでいるわけですから、もう少し監督官庁として実態をしっかりつかんで、国会の附帯決議や皆さんの、政府委員の答弁に反するような事態について是正させるようにすべきだと私思います。  もう一点、ついでというんじゃないんですが、大阪へ行ったときに訴えられた問題で、これもびっくりしたのです。二月一日から新幹線の大阪駅ホームの上り下りで「ぐる麺」といううどん店が一号店、二号店開業した。そこのうどん店に派遣されているのは十五名、全部国労の組合員でありますし、ほとんど二十年以上経験の、新幹線の運転、検査をやってきた労働者ですけれども、この問題は一応別にしまして、このうどん店、私直接会ってきましたけれども、このうどん店の労働時間です。一日拘束時間が二十四時間三十分。朝九時半に出勤して翌朝の十時まで。そして実働時間が十七時間。立ちづめです。うどんで腱鞘炎になりそうだと言っているのですね。  なぜそうやったんだと私聞いたら、就業規則にあると言うのです。確かに就業規則に二十四時間三十分というのはあるんです。これは国鉄からJR、ずっと運転が中心だから、鉄道事業という公共性事業としての交通輸送という性格から、深夜列車の発車ということもあるし、災害があれば飛んでいかなければいけないこともあるから、二十四時間三十分という就業規則にそういう変形時間も設けてあるんですよ。これをうどん屋に適用したんです。二月の一日から始めたんですね。  私は、鉄道事業の就業規則でこういう時間帯があるのは、それは当然だと思うのですね、病院の場合もそうですし。飲食業でこんなところどこにもないですよ。同じ交通のも私調べてみたのです。私鉄でも近鉄それから阪急あるいはJRでも西日本の京都駅でもやっていますね。全部時間帯を調べてみた。どこも大体八時間で二交代ですよ。当然なんですよ。うどん屋でこんなことをやる必要はないんですよ。飲食業をやるんだったらその就業規則を決めて組合と交渉して、ちゃんと勤務の方法を決めればいいんですね、うどん店がどうか,ということは抜きにしまして。  私も初めびっくりしたんですよ。十七時間の労働で、立ちづめで、拘束時間二十四時間三十分、休憩場所も手足を伸ばせない。その休憩場所を見せろと言ったら拒否されちゃったんです、JRに。しようがないので私そのまま行ったら職員がピケ張ったけれども、行ったら文字どおり手足も伸ばせないような休憩所。そこはすぐ改善しますと言いました。私が現場を見て話したからです。いずれにしてもうどん屋で、飲食業でこういう労働時間帯ですね。変形労働時間が労基法の改正で認められていますけれども、しかし、その場合でも業務上の必要性があることが大前提ですね。うどん屋でこれだけの時間帯でやっていく、そういう必要性がありますか。
  172. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 JR東海が新幹線の新大阪駅ホームでうどん屋をやっておりますが、今、先生の御指摘の二十四時間三十分という勤務は、うちに休憩時間が七時間二十六分でございますけれども、それは結局、そこのホームにおける始発時間との関係で、列車の始発が朝の六時でございます。したがいまして、始発の列車に乗られるお客様のためにうどんの開店をしなければならないわけですが、そういう意味で午前五時三十分から午後九時三十分まで開店をしているわけでございます。それでこれを八名の方、これは一号店という方でございますが、八名の方がやっているわけで、その中に今、勤務が二人ペアでほぼ同じ勤務があるわけでございますけれども、これは毎日やっているわけじゃございませんで、いろいろな勤務形態が就業規則で決まっておりますので、その就業規則の勤務形態を組み合わせまして、その間に何日か入った形で循環していく、こういうやり方をとっているというふうに聞いております。これは結局、列車の運行時間との関係ということが一番大きな理由だというふうに聞いております。
  173. 中路雅弘

    ○中路委員 当事者はみんな、日勤で二交代、ほかでもやっているように、それでいいんだ、それをやってもらいたいということを言っている。しかし、そういう話も全然ないですね。一方的なんです。西日本のJRとは、国労は昨年労働協約を結んで確認書を取り交わしています。その中で、勤務や出向については、組合所属別の差別はやめて、具体的な基準を設けて確認するということで、正常な労使関係では極めて当たり前のことですけれども、こうした確認も交わされているわけです。  しかしJR東海では、組合と今そういう話し合いも全くない。一方的にやるわけですね。しかもこういううどん店で、ほかの全く同じ交通関係でも例がない、異常な勤務を一方的に押しつけているわけです。本人が承知しているわけじゃないんですよ。組合が承諾しているのではないんですよ。交通関係にそういう就業規則があるから、それを当てはめたんだから不当じゃないという言い方。だから、少なくともJRの他の職場や同じような私鉄の関係の店を見ても、そういうような異常な長い労働時間、拘束時間、これは全く意図的なんですね。そこにはもとの新幹線の、国労の組合員の方が全部働いている。合理性がないのです。きょう労働省は来てもらっていませんけれども、しかも変形労働時間を認めた場合も、業務上の必要性ということを言っているわけですからね。実際に飲食業にこういうのはないのですよ、これだけの拘束時間は。だから、今の場合も、JRがどう言っているかなどという、それだけを受けて運輸省がいつもここで答弁するのじゃなくて、こんな例がないことは改める。また当事者の組合とかあるいは当事者ともよく話し合って、勤務の問題を決めていくというふうにやるべきじゃないですか。
  174. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 一般論で申し上げますれば、そういう勤務をどのようにするかということは労使関係の問題でございますので、労使関係での話し合いで決めるといいますか、解決する問題だと思っております。ただ、私が御答弁申し上げておりますのは、今のこういう勤務形態を選択したということは、ホームでの列車の出発時刻との関係から、早朝五時三十分というところからスタートしなければいけない、そういう事情があったということを御説明申し上げたところでございます。
  175. 中路雅弘

    ○中路委員 今おっしゃったように労使関係で決めていけばいいのですよ。それがないのですよ。JRの西日本は、さっき言ったように、そういう確認をとってやっておるのですよ。こういう勤務でやるということについて労使間で十分話し合って、そして乗客のニーズがあれば、何時からやれとかやっちゃいけないとかいうことを私は言ってないのですよ。その場合に、どういう勤務の形態にするのか、交代勤務にするのかということを労使間で十分話し合えばいいのですよ。あなたが言われたとおりにやれということを私は言っておるのですよ。何も話し合いがなくて一方的にやらせるからこういう紛争になるのですよ。  大臣いかがですか。その点はよく話し合うようにしていくということで指導してくれませんか。
  176. 石原慎太郎

    石原国務大臣 おっしゃるとおり、会社における労使間の問題は、あくまで労使間の意思疎通を図って決めていくべきだと私たち心得ております。
  177. 中路雅弘

    ○中路委員 今の問題、ひとつそういう方向で指導してください。労使間で全く話し合いもないまま、例がないようなうどん屋、こんなのテレビなんかに出たらびっくりしますよ。十七時間もうどん屋をやって腱鞘炎になりそうだなんてみんな言っているのですからね。そんなことやめさせなければいけない。  時間の関係でもう一つ、やはりJRの関係です。  これも国会で、分割・民営化の法案のときに論議になったのですが、JRがこれから関連事業をやりますね。その場合に、地元の商店といろいろ矛盾が起きる場合がありますね。分割・民営化以後、JR各社が今本格的に関連事業に進出をしてきていますし、例えばJR西日本が同社の一〇○%出資の子会社四百五十店舗の設立を今計画をしています。物販会社で二百店、飲食会社で二百五十店、第三次産業へ出ようとしておるわけです。他のJR各社もいわゆる多角経営ということで本格的に乗り出してきておるのですが、そのことが地元の商店街、特に中小業者と摩擦をいろいろ各地で起こしておる。これもやはり調整しなければいけないと思うのですね。  一例を、これは私直接行きましたからお話ししますけれども、敦賀の例なんですが、JR西日本が十二月に、敦賀の駅の構内に相当大きい焼きたてのパン屋を出店するということになったわけです。これは経過がありまして、昨年春に、JR発足のときに、敦賀駅に直営店の「マイタウン」という、タコ焼き屋、お好み焼き屋を開店している。そのときに地元の商店といろいろお話し合いがありまして、やむを得ない、これを認めよう、しかし、これ以外の飲食物の販売はしない、それから、今後その他の業種の営業はしないということを商店街と約束していたのですね。それが今度、全く事前に説明も何もなしに、いきなり焼きたてのパン屋をやるというので駅の改装の工事を始めた。それで地元で大問題になって、説明もやらない、約束違反だというので、私JR西日本にも行ったのです。バスで敦賀から商店街の人が西日本まで行ったのですね、訴えに。西日本に行って、また敦賀にも飛びましていろいろ関係者と話をしました。そのとき驚いたのですが、JR西日本の関連事業の担当者がこう言っておるのです。商店の真ん中に店を出すわけじゃないから、駅を使って自分たちがやるんだから。  ここが問題なんです。これが国会の決議とか討論で問題になったのですよ。国会の論議の中で言っていますね。JRは大量の利用者が集散する駅というものを所有している。だから営業をやると、規模いかんによってはその周辺において同種の事業を営む中小業者に極めて大きな影響を及ぼすおそれなしと言えない。このため、会社がそれぞれの地域において営む事業と同種の事業を営む中小業者の事業活動を不当に妨げないような観点から十条が設けられ、配慮規定が設けられ、いろいろ国会でもこのことについて特に配慮しなければいけないという論議がなされた。  担当者は逆なんですね。自分たちの駅だから何をやってもいいんだという言い方をしておる。これでは業者との間の紛争はますます拡大すると私は思うのです。だから、当然こうした問題は、国会の答弁でありますと、飲食業のこういう分野は小売商業調整特別措置法とか分野調整法の適用の対象になりますという答弁をしているのですから、十分これに基づいた対策が必要ではないかと私は思うのです。敦賀の方は私行って、とにかく地元の商店街と話し合わなければだめだというのでずっと今とまったままになっています。両方とまったままになっているのですが、何かの形でこれは調整しなければいけないという問題です。  その点で、こうした事実が今あちこちで関連事業が拡大していくと起きてくるので、私は、運輸省に一定の——ここの店ではないのですが、こういう事業をやりたいという場合は事業の認可は運輸省に来るわけですね。その場合に、もう一度国会のこうした論議や法の趣旨を踏まえて、JRに対するきちっとした指導、地元の中小業者への事前の説明だとか話し合い、合意の手続、あるいは事業計画はやはり公表するとか、自治体ともある場合には協議をしていくとか、そうした問題について十分な、関連事業をやってはいけないというわけじゃないですから、関連事業をやる場合にこうしたルールが必要だと思うので、これをきちっと監督官庁として指導してもらいたい。そうしないと、全国的にこれからこういう問題がいろいろなところで起きてくるのじゃないかと思いますので、この点は大臣いかがですか。
  178. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いずれにしましても、分割されたとはいえJRというのはその地域で仕事をするとなるとやはり一種の大きな象でありますから、これがうかつに身動きすることでアリを踏み殺してはならないと思うのであります。仄聞しますと、NTTが発足したときもあの種の業界でそういうことがあったと聞きますが、JRの個々の関連事業の展開に当たっては、やはり国会の附帯決議を踏まえて、地元の中小業者の事業活動を不当に妨げあるいはまたその利益を不当に侵害することのないように指導していくつもりでございます。
  179. 中路雅弘

    ○中路委員 ぜひその点は徹底させてほしいと思うのです。国会でも中小企業庁が答弁しているのですが、こうした悪影響が及ぶことのないように新会社に対して適切な指導運輸省にお願いするということを言っているわけですから、紛争が起きたら中小企業庁の問題だ、地元のそういう関係じゃなくて、やはり今、大臣がおっしゃったように、所管としての運輸省がきちっとその点について指導をしていただきたいということも特に要請しておきたいと思います。  JRの関係はそれぐらいにして、もう一つ航空の問題です。  日本航空が昨年の九月二十一日、B747—400を導入して、その乗員を二名編成で昭和六十五年から就航させるための準備を今進めているわけですけれども、この二名編成について日本航空関係の六組合のうち五組合が、二名編成では航空の安全という点で非常に不安がある、安全が確保できない、主としてこういう理由で反対しておりますが、運輸省はこのことを御承知ですか。
  180. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいま先生指摘のB747—400の導入に伴う乗員編成の問題で、乗員編成会議等の場におきまして、日本航空関係の労働組合あるいは乗員編成会議構成員以外の労働組合がそれについて反対をしているという事実は私どもとしては承知しております。
  181. 中路雅弘

    ○中路委員 この組合の皆さんは、自分たちの職場がなくなるからとか労働強化になるということで反対しているのじゃないのです。これは、最大の理由がまさに二名編成で航空の安全が確保できるかどうかという問題なんです。日本航空は、資料を見ますと、二名編成でも安全だという理由で、一つはメーカーの信頼性が高いということ、もう一つは十分な地上の支援体制をとるということを言っているわけですが、十分な地上の支援体制というのは三名編成の場合でも当然やらなければいけないことです。メーカーの信頼性が高いという問題でも、最近いろいろ事故が相次いでいるのです。  去年以来、私も新聞で見る限りですけれども、例えば767機の客室から煙が出るというトラブルが先日ありました。一月二十一日ですか、全日空の一〇八便です。これは補助動力装置のオイル漏れで、ゴムの取りつけ忘れというボーイング社の初歩的なミスだということがわかったという報道がされておりますし、それから例えば、昨年十二月二十五日の日航の羽田から福岡の三五三便で、最新のB747SR機の初就航ですが、ナンバー4のエンジンの加速が遅くて離陸を断念して引き返して、エンジンの点検並びにナンバー4のEPR指示計の交換を行って再出発したのですが、飛行中またEPR指示計の故障が再発するというトラブルも起きています。十二月十二日には、日航の新しくつくったB747のナセル温度計の逆取りつけとか、あるいはこれは全日空のB767の初飛行でフラップの脱落事故というふうに、最近の新聞を見ても相次いであるのです。そういう点で、ボーイング社の飛行機が全く信頼性が高いということは、こうした事故は一歩誤れば非常に大きな事故にも結びつく問題でもありますし、そういう点で、航空機メーカーを妄信的に信じてはいけない、このことは八五年の一二三便の事故でも大きな教訓だったわけですから、私はそういうことを強く痛感するのです。  新聞の報道を見ますと、山地社長が一月十二日の経営協議会でこの二名編成の問題について、ツーマン、二名で飛んでくれるなら私がぶん殴られたっていいですよと言っているのですね。この発言は本当に営利主義がむき出しの発言じゃないかと私は思うのです。社長は二名で本当に飛んでくれればぶん殴られたっていいんだという言い方をしているのですよ。  昨年の七月ですか、日航法廃止法の論議のときに、私の質問で前の橋本運輸大臣が「航空企業におきましては、安全の確保というのはすべてに優先する重大事項だ」という答弁をされています。私は、運輸省がこの考えについて変わりはないと思いますが、こうした山地社長の発言を見ても、関係の組合が皆反対しているのですから、そのまま押し切っていくということは大変問題ではないかと思うのですが、運輸省いかがでしょう。
  182. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 日本航空の導入を予定しておりますボーイング747—400の乗員編成の問題でございますが、これにつきましては、日本航空では乗員編成会議をつくりまして関係の乗務員で構成する労働組合もこれに加わりまして検討を行ってきた。それを受けまして乗員編成検討委員会、これは日本航空の運航関係等の構成員でございますが、これでさらに検討するということで、この会議並びに委員会において一年の時間をかけて慎重に検討した。その結果を踏まえまして最終的には最高経営会議で二名乗務を決定したと私どもは聞いております。  このボーイング747—400につきましては、ボーイング社が機長それから副操縦士の二名で運航できるように設計、開発中の航空機であるということでありまして、製造国であるアメリカ政府の型式証明の審査が完了するのがことしの末ごろというふうに聞いております。私ども運輸省といたしましては、製造国であるアメリカ政府の厳しい安全性審査というものに合格するということを前提といたしまして、その後我が国の耐空証明を行わなければならぬわけでございますが、その機会に、二名の乗員による安全性について検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  183. 中路雅弘

    ○中路委員 私は、中身の技術的な安全かどうかの論議はきょうやるつもりはなくて、この二名編成について、先ほど一番最初お答えになったように、関係の組合が皆まだ反対しているわけですね。現場で働いている、フライト中全責任を持っている機長の組合である機長組合はもちろんのことですが、副操縦士や航空機関士でつくられている乗員組合、先任航空機関士組合、客室乗務員組合、それから日航労働組合、もう関係の組合がみんな反対しているわけです。だから、きょう特に要請したいのは、一方的に決めるのではなくて、こうした労働組合と、飛ばしている直接当事者ですから、十分話し合うということがこの問題でも必要ではないか。  やはり昨年の日航法の廃止のときの論議で、当時の山田航空局長は、航空安全の確保と労使問題について私が質問したことにこう答弁されている。労働組合の役割としてチェック機能ということを言っておられますね。労働組合はチェック機能という面にもその意義を認める。こういう場合に、そういう関係者の組合の意見をよく聞いていくということは、安全確保の上でもチェック機能としての役割を認めるということを答弁されているのですが、こういう立場から、航空安全に責任を負う官庁として、一方的に決めていくのではなくて、関係者の乗員、いわゆるそういう機長だとか操縦士、そういう人たちでつくられている組合と検討の場を設けて十分話し合ってやっていくということを強く要請したいと思うのですが、この点についてもひとつ大臣からお答えを願いたいと思うのです。
  184. 石原慎太郎

    石原国務大臣 安全性の確保は航空行政の何といっても絶対、そしてまた基本的な課題でございまして、今後とも、各会社にこれについて最大限の努力を傾注するように指導していくつもりでございます。  ただ、今、局長からも御説明いたしましたが、人間の技術というのはどんどん進んでいくものでして、本質的に人間というのは技術に対しては保守的なものですから、いろいろな反発も危惧もあると思いますけれども、現にジャンボジェットの数十倍もあるような大コンテナ船、大タンカーも合理化されて、近代化船というような形で脱皮しようとしておりますし、またこれに対して船員の組合からどういう反応があるかわかりませんが、いずれにしろ私たちは、安全の確保というものは絶対の大前提として指導していくつもりでございます。
  185. 中路雅弘

    ○中路委員 運輸省も組合のそういうチェック機能ということは前回も認められているわけですから、そうだとすれば、そういう関係の組合と十分な検討話し合いをしていただきたいということを重ねてお願いしておきたいのですが、局長どうですか。
  186. 林淳司

    ○林(淳)政府委員 ただいまの乗員の編成問題でございますが、日本航空の社内におきまして、労使で構成される乗員編成会議、これは乗員関係の三組合が入った会議でございますが、ここで約一年にわたって種々の観点から協議をしている。これはかなり異例の労使間の話し合いだと思います。会社としては、最終的にその労使話し合いを十分踏まえた上で、こういう会社としての意思決定をされたというふうに私どもとしては理解をいたしております。  いずれにしましても、私どもとしましては、ただいま大臣から申し上げましたように、航空の安全というものは何物にもかえがたい重要なことでございますので、ダッシュ400の耐空証明の際には、その安全性については十分検討してまいるというつもりでございます。
  187. 中路雅弘

    ○中路委員 繰り返しでありますけれども、山地社長が言っているように、二名で飛んでくれればぶん殴られてもいいというような、こういう経営姿勢ではなくて、十分関係者、組合とも話をして、この問題が解決できるようにひとつ指導もしていただきたい。重ねて要請しておきたいと思います。  時間がもう少しなので最後に一問だけ。これはまた鉄道の話なんですけれども、陳情的話です。  武蔵野南線は、御存じだと思いますが、東京の府中から新鶴見信号所まで、今全長二十四・九キロ、そのうち川崎市内が十九キロありますが、梶ケ谷貨物ターミナル付近を除けばほとんどトンネルなんです。この武蔵野南線は、今貨物線専用になっています。開業が五十一年の三月一日だったのですが、私は、この工事が終わって開業する前、昭和四十八年の七月六日のたしか衆議院の内閣委員会だったと思いますが、川崎市内の団地自治会等二十二の自治会の連名の陳情も含めまして、この貨物線に客車を導入するということについて質疑をしたことがあります。当時は、費用も大変かかるとか地下駅をつくらなければいけないからとか答弁もあったのですけれども、その後川崎市としても、市の総合計画の中で、縦貫高速鉄道が必要だということで、とりわけこの武蔵野南線の旅客化の問題を取り上げているわけです。  その後国の段階でも、昭和六十年の七月十一日の運輸政策審議会の答申で、「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」というのが出されていますが、この答申の中で、東京都心部を中心とするおおむね半径五十キロ圏内の高速鉄道網の整備の計画を示しているのですね。その際に、既設線の混雑緩和に重点を置く、そこで、投資効率の観点からいうと、極力既投資施設の有効活用を図るという観点から、貨物線の旅客化ということをその中で取り上げているわけです。その一つとして、今取り上げましたこの府中本町から新川崎、川崎へ向けての区間を旅客化すべき路線として運輸政策審議会が打ち出しています。またその中には、新百合ケ丘から武蔵野南線への接続線を整備するということも述べられているわけです。  時間も迫っていますからまとめてお聞きをしますが、今武蔵野南線における貨物輸送量は減っているんじゃないかと思いますが、今どういう傾向にあるのかということが一点。  もう一つは、川崎市の方はこのほど、JR武蔵野南線の旅客化について、近くJR東日本との間で協議機関をつくることを明らかにしています。この南線の旅客化について、運輸政策審議会の答申も出ているわけですから、これについてどのように具体化、また促進を図ろうとされるのかということが一点。そして、川崎市とJR東日本の検討機関ということが新聞紙上でも出ていますけれども、この問題について、いつごろ開かれるのか、どういうふうに進められるのか、今の段階で御見解をお聞きをしておきたい。
  188. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生の御質問のまず第一点でございますが、三月、今月のダイヤ改正で、武蔵野南線の貨物列車の運行状況は、一日百十九本、その前に比較いたしますと十二本増ということになっております。それは、この貨物線は京浜地区と東北、上越方面とを結ぶ大動脈でございますので、青函トンネルも開通いたしましたし、今後とも引き続き運転本数は増加していくことになるのではないかと思います。  それから、第二点の地元川崎市との関係でございますけれども、現在、先生も御承知のように、武蔵野南線はほとんど地下化されておりますものですから、駅の新設とか他線との取りつけ等については数多くの技術的な問題がございます。それでまた、この武蔵野南線に近接いたしまして南武線もございまして、その全体との関係での需要の動向だとか採算性を考えていくという問題もあるものですから、JR東日本の方としても総合的に検討していくということになると思います。それで、ただいまは川崎市との間で調査研究を行う場として連絡会的な会合を持っていると伺っております。いつまでにどういうふうな結論を出すかということについてはまだ決まっておりません。
  189. 中路雅弘

    ○中路委員 その協議機関は川崎市の方がそれをやりたいということを言っておられるのですが、まだ開かれていないのですよ。JR東日本としてもこれを受けてそういう検討の機関を、協議機関ですか連絡機関ですか、そういうものを設けてやっていかれることになるのかということも含めて、そしてまた運輸政策審議会の答申が出ておりますから、こういう貨物線をできるだけ旅客化して交通緩和に役立てようということで、南線についてはその対象として名前を挙げているわけですから、運輸省としてもそれについて積極的な姿勢で検討を進めてほしいという要請なんですが、いかがですか。
  190. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 先生の御指摘のとおり、運輸政策審議会の答申で地元負担を前提として旅客化を図るということの答申がございます。私どもの方といたしましても、この答申の実施のフォローは当然していくわけでございますが、現状は、先ほど申し上げましたとおり、川崎市とJR東日本との間で連絡会的な会合を持つことになっているというところまででございます。
  191. 中路雅弘

    ○中路委員 それじゃ、時間ですので終わります。
  192. 関谷勝嗣

    関谷委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十二分散会